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シン・チェンジロワイアル

1 : OP -シン・時代- ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:21:18 owxdf2Z.0
まるで、夢の中にいる気分だった。
自分は今ふわふわと浮いている、そんな風に意識だけがあるかのような状態だった。
白昼夢とはまさに、このような感じなのだろうか。
そんな感覚を、何十もの意識が感じていた。


やがて、ぼんやりとある景色が見えてきた。
見えたのは青く晴れて白い雲がいくつか空、
緑に染まった草原とその奥の方にある一つの丘、
そして、その丘の上にある一本の樹だ。

その木のある方向から、一人の人物が歩いてきた。
その人物は女だった。

女は白いワンピース服の上に左右赤とピンクの色をしたパーカージャケットを羽織っている。
髪は長く、色は右側が赤、左側が白だ。
また、髪は後頭部の方で二つのリング状に結ばれている。
前髪は左の白い方だけ長く、左目を隠している。

ある世界の住む者達ならば、その姿を見てこの女が何者なのかを察することができる者がほとんどだろう。
大海賊時代において彼女の名を知らぬ者はいない。
彼女はひとつなぎの大秘宝(ワンピース)をめぐるこの混沌の時代において、世界中で苦しむ人々の心を歌で救い、やがては救世主とも呼ばれた。

彼女は、世界の歌姫と呼ばれた少女、『ウタ』だった。


しかし、どこか様子や雰囲気がおかしかった。
彼女は、これまで彼女がしたこともないような形の妖しい笑みを浮かべていた。


木のある丘から歩いて近づいてきた彼女は、やがて言葉を発した。

「こんばんは。今から、君たちに殺し合いをしてもらうよ」

それは、本来の彼女の口からは絶対に出ない言葉だった。

「ただし、普通の殺し合いじゃない」
「今からお前たちにしてもらうのは、自分とは別の者の身体で戦う殺し合いだ」
「一応言っておくと、二人の人物が一対一で身体が入れ替わっているわけではないよ」

続け様に語られたのは、より信じられない内容の説明だった。

「実は俺も、本来のものとは別の身体になっているんだ」
「俺の名は魘夢。元十二鬼月の下弦の壱だった男だ」
「そして今の俺の身体の女の名はウタという」
「確かこのウタは世界の歌姫だの何だの言われているみたいだけど……まあ、今そんなことは関係ない」

「重要なのは、別人の身体になっているということが事実ということだけ」
「この女のことをよく知っていれば、こんなことは絶対に言わないことは分かるだろうからね」


ウタ…否、魘夢は顔に張り付けたような笑顔を浮かべたまま説明を続ける。
彼の声を聞いているものがどう感じているのかも無視し、話し続ける。


「信じられなくても、この後目を覚まして自分の身体を確認すれば、俺の言っていることが真実かどうかはすぐに分かるだろうね」
「支給品に手鏡を用意したから、自分が今どんな顔になっているかもすぐに確認できるようにしてあるからね」

「基本的な支給品には他に、ここで説明する殺し合いの決まりが記された"でーたふぁいる"というものが入った"たぶれっと"というものがあるから、それもよく確認することだね」
「ついでに言うけど、この殺し合いでは最初のうちに参加者の名簿や地図は配らないことになっているんだ」
「お前たちが目覚めてから一時間、この間は新しい身体に慣れるための時間ということにするんだ」
「その後に、先に述べた"たぶれっと"に名簿や地図を入れる予定だ」
「それ以降が、この殺し合いの本番って考えてくれたらいいよ」
「まあ別に、この一時間の間に始めてくれても構わないけどね」
「一時間経ったら、こっちの方から連絡するからそれまで待っていてね」

「それと、一時間後の連絡の他にも、六時間ごとの定期放送というものがある」
「最初の定期放送は、最初の一時間も含んでの、目覚めてから六時間後に行われる」
「ややこしいと感じるかもだけど、我慢することだね」

「この定期放送では、"禁止区域(エリア)"というものが発表される」
「一度の放送で指定される数は三つ、有効になるのはそれぞれ定期放送から一時間、三時間、五時間後になる」
「このように立ち入りを禁止された区域は、時間になると"見えない壁"で囲まれる」
「そして、時間になるまでに中から出なかった者は例外なく消滅、死亡する」
「こっちとしてもあまりつまらない死に方は望まないから、十分注意して放送を聞くことだね」
「ついでに言っておくと、後で配る地図の範囲外の場所は、さっき述べた"見えない壁"で通り抜けできないようになっているから、逃げようと考えても意味がないことを予め理解しておいてね」


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2 : OP -シン・時代- ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:21:54 owxdf2Z.0


「次に、報酬についての話をしようか」
「この殺し合いに最後まで残った生存者一人…優勝者には【元の身体に戻る権利】と【どんな願いでも叶えられる権利】を別々に譲渡することを約束しよう」
「一応言っておくけど、もし自分の身体が他の参加者のものになっていて、殺し合いの過程でそれが死亡してしまったとしても、それを蘇生することと願いの権利は別とする」
「また、今の身体のままで良いのなら、そのままにしておくのも可能ということににしておくよ」
「そういった点については考える必要は無いからね」


「それからもう一つ言っておくと、この殺し合いにおいては参加者とされる者達以外にも本来の身体とは別物になっている精神がいる可能性がある」
「一つは、支給品の一種にある意思を持つものが身体となっているもの」
「もう一つは、主となる参加者に与えられた身体が元は多重人格であったために発生する、副人格に割り当てられる精神だ」
「まあ、そうとは言えないものも便宜上"副人格"として扱うこともあるかもしれないけど」
「そんな『参加者以外で精神が別の存在になっている者達』についてだけど、これらは"殺し合いの優勝者が許可する"ならば、元の身体に戻れるものとしておこうか」






「さて、これで殺し合いのために必要な情報は大体伝えられたかな」
「それじゃあ、お前たちの健闘を…」

『待て』

魘夢が話を切り上げようとしたその時、新たな人物が突如としてこの空間に現れた。
そいつは魘夢の後ろの方から来て、彼の隣に並び立った。

それは白い服を着た子供だった。
ただし、明らかに普通の子供ではないことを、雰囲気とその顔に装着されている物から感じ取れた。

子供は顔に仮面を被っていた。
ハート型、そこからいくつかの棘が左右対称についている。
紫色を基調としており、不気味な目と模様を有している。


その仮面は、名を『ムジュラの仮面』と言った。

「どうしたの?」

仮面を被ったこの子供がここに来るとは思っていなかったらしき魘夢は不思議そうに尋ねる。

『まだ、緊迫感が足りない』
『禁止エリア以外に参加者の命を縛る方法が無い』

子供は自分が何者であるかも教えずに新たな説明を続ける。

『だからここで、もっと視覚的にも分かりやすい『タイムリミット』を入れることにする』


『これから目を覚ました後、空も見上げてみるといい』
『そこにはきっと、『月』が浮かんでいるのが見えるだろう』

『その『月』は、お前たちが目を覚ましてから3日後の深夜0時に地上に落下する』
『その時、世界は消滅する』


『止めたければ、この殺し合いを完遂し、最後の一人になることだ』

「……なるほど、それはとても良いね」

仮面の子供の説明を聞いた魘夢は何かを理解したのか、顔を少しにやつかせながら自身の顎を撫でる。

「でも、"あの人"にそのことは話した?」
『その心配はない。既に了承は得ている』
「じゃあ、大丈夫か」

少しだけ疑問に思うことがあるのか、仮面の子供に質問を投げかける。


「今説明された通り、この殺し合いに『時間制限』ができることになった」
「世界ごと消え去りたくなければ、殺し合いをしっかりと進めることだ」

「それじゃあ、お前たちの健闘と、極上の悪夢を見てくれることを期待しているよ」

魘夢は手を振りながら言ったその言葉を最後に、この光景を見ていた者達…殺し合いの参加者達の視界は再び暗転した。

◆◇


3 : OP -シン・時代- ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:22:25 owxdf2Z.0


そして、彼らは目覚める。
草原、山、森、雪原、街、村…その他様々な場所でだ。
スタート地点はバラバラ、それぞれの都合なんか考慮していないランダムなものだ。

そこで彼らは、きっとすぐに自分の顔・身体を確認することになるだろう。
やがて先ほどの、ウタから身体を奪ったと思われる魘夢が話していたことが、真実であることを理解するだろう。


参加者達が目覚める時間は深夜0時、漆黒の闇が支配する夜の時間帯だ。
天候は晴れており、見上げれば黒い空と小さく輝くたくさんの星々があることを確認できるだろう。
そして、彼らが見るものはそれだけではない。
空を見て"それ"を確認した者達は、きっとより深く自分達が本当に殺し合いをしなければならないことが分かるだろう。

空には確かに月が浮かんでいる。


世にも恐ろしい顔を持つ、不気味な月が。

その月はゆっくりと僅かずつにだが、けれども確かに、地上に顔を向けながら近づいてきていた。


















0時になる少し前、殺し合いの舞台となる場所の上空に浮かぶ一つの影があった。
その影は、人の姿をしていない。
けれども、それは確かに生物のようだった。
そいつは、白い煙のような頭部と黒い体を持っている。

それの名は、『ダークライ』といった。

ダークライは本来、新月の時にのみ活動する、ポケモンという生物の一種だ。
しかし、普通のものではないとはいえ、月があるのに確かにここにいた。

実は、こいつはダークライではない。
けれども、確かにダークライの姿をしていた。

「………」

ダークライの姿をしたその存在は、月を背に向けて地上を一瞥する。

ある程度地上の様子を俯瞰した後、そのままそいつは、煙のように消えた。
まだ眠っている地上にいる者達がそいつがそこにいたということを認識することもない。


この者が一体何なのか、その話はまたしばらく後だ。



【主催陣営】
・ムジュラの仮面@ゼルダの伝説ムジュラの仮面
・魘夢@鬼滅の刃(身体:ウタ@ONE PIECE FILM RED)

・???(身体:ダークライ@ポケットモンスターシリーズ)


※コンペ時の候補作において、精神側としてウタやダークライ、身体側として魘夢を登場させることは可能とします。


4 : 企画概要 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:23:10 owxdf2Z.0
【当企画について】
・様々なキャラに別のキャラの体を与えてバトロワをする、という企画の第二弾です。
・コンペ形式で参加者の登場話を募集します。
・初心者から経験者まで誰でも歓迎します。

【参加者について】
・このロワの参加者は皆、自分の体とは別人の体で戦うことになります。
・参加者として扱われるのは体を動かす精神の方のキャラクターです。
・精神と体の元になるキャラの組み合わせは自由です。

【参加者用ルール】
「基本ルール」
・参加者全員で殺し合い、最後に生き残った1人が優勝者となる。
・制限時間は3日。
・地図で記された場所の範囲外は見えない壁により立ち入りは不可能である。この見えない壁は何人たりとも通り抜けはできないものとする。
・参加者は最初、会場のどこかにランダムにテレポートさせられている。

「優勝者が持つ権利等について」
・優勝者はどんな願いでも叶える権利と元の体に戻れる権利を得る。
・それぞれの権利を使用するか否かは優勝者の判断にゆだねられる。
・優勝者の本来の身体が、別の参加者のものとなっていたために殺し合いの過程で死亡した場合、その身体は優勝者が元の身体に戻るのを望むのならば蘇生される。
・参加者以外で身体が元のものとは別の存在になっている者達は、優勝者が許可するならば元の身体に戻れる。
・優勝の権利を得ることができる参加者として扱われるのは、精神側の名簿に載っている者達のみである。

「放送・禁止エリアについて」
・ゲームの進行状況等は6時間ごとに行われる定期放送で連絡する。
・定期放送ごとに禁止エリアが3か所発表される。
・3つの禁止エリアが有効となるのはそれぞれ放送から1時間後、3時間後、5時間後とする。
・禁止エリアに指定された場所は、時間になると、地図の範囲外と同じように見えない壁に囲まれる。
・時間になった際に禁止エリア内にいる参加者は必ず消滅・死亡する。

「月について」
・本ロワの舞台には『月@ゼルダの伝説ムジュラの仮面』が空に浮かんでいます。通常の月はありません。
・この月は、制限時間である3日後に落ちてきて、そうすると世界が消滅・参加者全員が死亡するものとします。
・優勝者が出て殺し合いが終了すればこの月は止まるものとします。

【書き手用ルール】
・今回は参加者に首輪は存在しません。
・NPCなどは、虫や魚などといった動物も含め存在しません。
・空に浮かんでいる『月』は「ゼルダの伝説ムジュラの仮面」出典のものです。
・身体側の精神が復活する展開はNGとします。
・以下のアイテムの登場を念のため禁止したいと思います。以下のものはこちらで登場させたら都合が悪いかもしれないと判断したものです。今後の進行によっては、他に増える可能性があります。
 ・スタンド使いを生み出す矢@ジョジョの奇妙な冒険
 ・天逆鉾@呪術廻戦
・参加者や支給品の力で身体が元に戻る展開もNGとします。
・制限については基本的には書き手ごとにおまかせします。
・なお、精神入れ替え系の能力・アイテムには時間や回数などの制限をつけてください。具体的な制限内容は書き手ごとにおまかせします。
・予約ルールについては現在未定で、本編開始と同時に決定する予定です。
・意思持ち支給品を登場させることができるのは、コンペ時の登場候補話のみとします。


【その他ルール】
・参加者や、参加者の死体をデイパックに入れることは不可能とします。


5 : 企画概要 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:24:40 owxdf2Z.0
【コンペについて】
・期限は2023年7月23日(日)の22:00までを候補作投下のための宣言の期限、23:00までをSS投下期限とします。ただし、こちらの都合によっては変更されることもあるものとしておきます。
・参加者となるキャラの出展元は、ガイドライン上の問題のある出典(例:ウマ娘等)からの登場はできません。該当する前企画の候補作からの流用もできません。
・上記のようなもの、もしくはその他何らかの問題があるもの以外であれば、出典元は基本的には制限はありません。
・候補話は複数人登場するもの、死亡者が出るものなどどんな内容でもOKです。
・投下された候補話の中から>>1が選出して参加者を決定、名簿を作成します。
>>1が投下した話は確定枠ではありません。参加者キャラ被り・身体側キャラ被りも気にせずに書いてください。
・参加者人数の上限は生存者が72人までにする予定です。この人数に死亡者・意思持ち支給品・副人格は含まない予定です。
・『チェンジ・ロワイアル』や他のコンペ形式のロワに投下した候補話の文を流用しても構いません。
・『チェンジ・ロワイアル』本編に登場したキャラクターを出すのも可能とします。
・『チェンジ・ロワイアル』本編に採用された精神・身体の組み合わせは、ここでは使えないものとします。精神・身体の組み合わせを逆にするのは可能とします。
・先述した前企画の候補作の内、問題ある出展のキャラが登場する作品は、該当するキャラが登場しない形になるなら文章の流用は可能とします。
・流用する際は、前に投下したロワの名前の記述と、トリップを一致させることをお願いします。
・候補話の時間帯は24〜1時の間の出来事としてください。
・コンペ時においては、【A-1】や【B-2】等といった参加者の詳細な現在位置の記入はしないでください。
・一部を除くポケモンなど、動物などの種族名でキャラ名を表記する時は、精神・身体どちらの場合においてもなるべく性別を備考欄に明記してください。出展元で性別が明らかな特定の個体を指す場合は必要ありません。
・候補作における生存登場人物数は、意思持ち支給品や副人格も含めて4人までとしてください。
・死亡者も4人までとします。
・コンペ段階においては、特定の役割や出典を持つ施設は登場させないようお願いします。
・また、こちらで用意した地図に元から存在する施設(地下鉄)も登場させないようお願いします。


【支給品について】
参加者にはデイパックというどんなものでも入る小さなリュックが渡されます。その中身は以下の通りです。
・食料(3日分):ペットボトルの水やお茶、コンビニ弁当など。
・ランダム支給品:現実、フィクション作品などを出展とするアイテム。最大3つまで。
 ※ランダム支給品の出典元は明確に記載してください。
 ※本ロワ限定で効果を発揮する支給品の出展元はオリジナルとしてください。
 ※名簿決定後は、ランダム支給品はそれまでに登場した出展元からのみ登場可能とします。
・コンパス:方位を知るためのアイテム。手持ちサイズの小さなコンパス。赤い針が北を指す。
・懐中電灯:一般的な懐中電灯。単3電池2本入り。
・手鏡:一般的な小さな手鏡。枠はピンク色・プラスチック製。
・タブレット:黒い板状のシンプルなタブレット機器。使い方の説明書が付いているものとする。最初に入っているのはルールと身体のプロフィールについてのファイルのみ。本編開始後に名簿と地図のデータファイルが送られてくる。

「初期状態からタブレット内にあるファイル」
・ルールファイル:殺し合いのルールについて記されている。
・身体の持ち主のプロフィールファイル:このロワで与えられた体の元の持ち主について簡単に記してある。記載事項は名前、顔写真、経歴、技能といったものなど。

「本編開始と同時にタブレットに追加されるファイル」
・名簿:参加者の名前が羅列してある名簿。精神と身体側の名簿はそれぞれ別々のファイルで存在する。どれも五十音順で記されている。
  ・名簿(精神):精神側の名前が載っている。メインの参加者として扱われるのはこちらに名前が記されている方である。
  ・名簿(身体):身体側の名前が載っている。
・名簿(意思持ち支給品・精神):意思持ち支給品の精神側の名前が載る。
  ・名簿(副人格):副人格にあてがわれた精神側の人物の名前が載る。
・地図:会場について記されている。施設については位置を表す赤い点と施設名のみ記載される。


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6 : 企画概要 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:25:27 owxdf2Z.0
【施設について】
・地図上における施設は、名簿決定後に、>>1がどのような施設を登場させるか、位置はどこにするのかといったこと等を調整します。
・名簿決定後に、どのような施設を登場させたいかの案を募集する時間を設ける予定です。なお、その時に来る案が必ず採用されるわけではないものとします。
・先述したように、コンペ段階においては、特定の役割や出典を持つ施設は登場させないようお願いします。
・本編中で施設を追加するとした場合、それができるのは定期放送時のみとします。なお、実際に施設を追加することになるかどうかは未定です。


【地図・地形等について】
地図:ttps://w.atwiki.jp/sin-changerowa/pages/10.html
・川・池:水は基本的に綺麗なものとします。川は基本的にマップの範囲外に向かって流れているものとします。
・海:他の地形に面している部分は、砂浜以外は基本的に全て3〜5メートル程の高さの崖になっているものとします。
・森:背の高い木々で埋め尽くされています。常人の肉眼で上空から中の様子を見ることや、奥の方を見ることは難しいものとします。
・草原:草の高さは長くても足首くらいまでのものとします。人体に有害な草花は存在しません。
・雪原:積雪量はおよそ人の足首までが埋もれる程のものとします。ロワ開始時には雪は降っていないものとします。
・橋:基本的にはレンガ製で、丈夫でかなり壊れにくいものとしてください。
・氷の池:氷が厚めで、が乗っても基本的には割れにくいものとしてください。
・街:現代の都会風の建物が並んでいます。
・村:田舎風の建物が並んでいます。ここにおける村は全て雪原に囲まれているため、村内の建物の屋根や地面・道などにも雪が積もっているものとしてください。
・地図の範囲外のエリアの奥の方は深い霧が立ち込めており見えないものとします。

【地下鉄について】
・地下鉄は現在、下記のように運用する予定でありますが、本編開始の際に変更される可能性もあります。
・少なくとも、コンペ中、登場候補話の段階の時間帯においては全く運行していないものとします。
・下記の時刻表のように早朝4:00から駅①にて初めて運行する予定です。
・また、こちらも先述したように、コンペ中の登場候補作においては地下鉄は登場させないでください。

「地下鉄の運行について」
・線路の数は一つのみ。
・電車は4車両繋がっているものとする。
・運転手はいない。無人・自動で動く。
・次の駅までの移動時間は、片道15分程度とします。

「地下鉄の時刻表」
・駅①→駅②
早朝4:00→4:15
朝6:00→6:15
午前8:00→8:15
昼10:00→10:15
日中12:00→12:15
午後14:00→14:15
夕方16:00→16:15
夜18:00→18:15
夜中20:00→中20:15

・駅②→駅①
早朝5:00→5:15
朝7:00→7:15
午前9:00→9:15
昼11:00→11:15
日中13:00→13:15
午後15:00→15:15
夕方17:00→17:15
夜19:00→19:15
夜中21:00→21:15

【開始時刻について】
・開始時刻は真夜中の24(0)時からです。

【時間表記】
深夜(0〜2)
黎明(2〜4)
早朝(4〜6)
朝 (6〜8)
午前(8〜10)
昼 (10〜12)
日中(12〜14)
午後(14〜16)
夕方(16〜18)
夜 (18〜20)
夜中(20〜22)
真夜中(22〜24)


7 : 企画概要 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:27:10 owxdf2Z.0
【状態表について】
・状態表には以下のテンプレート例に示すように[身体]の欄を表記することを必須とします。

【状態表テンプレート例】

【現在地/時間(日数、未明・早朝・午前など)】
【名前@出典】
[身体]:名前@出典
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:
1:
2:
3:
[備考]

・死亡者が出た時は以下のように表記してください。
【名前@出典(身体:身体の名前@出典) 死亡】



【意思持ち支給品に関するルール】
・意思持ち支給品を登場させる場合は、その支給品に存在する精神・意思も、参加者達のように本来のものとは別のキャラクターのものにしてください。
・意思持ち支給品は参加者として扱いません。
・意思持ち支給品もまた、OPでの主催の説明を聞かされたこととします。
・例えば、『ライダーデッキ@仮面ライダー龍騎』に付属する『契約ミラーモンスター』等のような、特定の支給品に付属する意思ある存在も、精神チェンジの対象の意思持ち支給品とします。
・意思持ち支給品が話の中に出る際は、通常参加者の状態表の下に下記のように専用の状態表を書いてください。


【意思持ち支給品状態表テンプレート】

[意思持ち支給品状態表]
【名前@出典】
[身体]:名前@出典 ※支給品としての名前・出典を記載する
[状態]:
[思考・状況]基本方針:
1:
2:
3:
[備考]

【『チェンジ・ロワイアル』本編ではそのままになっていたが、本ロワにおいては精神チェンジの対象となる意思持ち支給品一覧】
※参考までに記載しておきます。なお、場合によってはここへの記載が無くなる可能性もあるものとしておきます。
※また、ここで挙げた意思持ち支給品を、場合によっては参加者として登場させることも可能としておきます。
※下記に並べたものを意思持ち支給品として扱うことに異議があればお申し付けください。
・ダイアン@こちら葛飾区亀有公園前派出所
・アビスのデッキ(に付属するアビスラッシャーとアビスハンマー)@仮面ライダーディケイド
・トビウオ@ONEPIECE
・ベルデのデッキ(に付属するバイオグリーザ)@仮面ライダー龍騎
・召喚石『ドグー』(が召喚するドグー)@グランブルーファンタジー
・スゲーナ・スゴイデスのトランプ(が召喚するアクション仮面、カンタムロボ、ぶりぶりざえもん)@クレヨンしんちゃん
・シャルティエ@テイルズオブデスティニー
・リュウガのデッキ(に付属するドラグブラッカー)@仮面ライダー龍騎
・賢者の石(グリード)@鋼の錬金術師

「精神チェンジの対象にしてもしなくてもどちらでも可とする支給品」
※簡易的なAI搭載の機械類等がここに該当するとしておきます。
※これらにおいても、ここに当てはまらないと感じる方がいればお申し付けください。
・レイジングハート@魔法少女リリカルなのは
・ハードガーディアン@仮面ライダービルド
・サソードゼクター@仮面ライダーカブト
・カブトゼクター@仮面ライダーカブト



【多重人格系のキャラを身体側にする場合のルール】
・身体側のキャラが人格を2つ以上有していたものの場合、主人格だけでなく副人格のキャラにも別のキャラの精神を当てはめてください。
・副人格のキャラは参加者とは扱いません。
・副人格のキャラもまた、OPでの主催の説明を聞かされたこととします。
・例えば、『泉新一@寄生獣』に付いている『ミギー@寄生獣』等のような、特定参加者の身体の一部が意思を持っている存在も、副人格として扱い精神チェンジの対象とします。
・元から、主人格・副人格の関係にあるキャラ同士の精神を、上記の条件の身体に当てはめることも可能です。
・こちらも、該当するキャラの身体の参加者が話に出る際は、通常参加者の状態表の下に下記のように専用の状態表を書いてください。


【副人格キャラ状態表テンプレート】

[副人格キャラ状態表]
【名前@出典】
[身体]:名前@出典
[状態]:
[思考・状況]基本方針:
1:
2:
3:
[備考]

【『チェンジ・ロワイアル』本編ではそのまま(+封印状態)になっていたが、本ロワにおいては精神チェンジの対象となる副人格一覧】
こちらも参考までに記載しておきます。
・ポチタ@チェンソーマン
・ウィザードラゴン@仮面ライダーウィザード


8 : 企画概要 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:28:17 owxdf2Z.0
【精神チェンジの対象にならない存在】
流石に、精神チェンジの対象にしなくても良いと判断したものの例を下記に示します。
※念のため、ここに示されるものは今後増える可能性はあるものとしておきます。
※また、下記のものはここには含まれないのではという異議、もしくはこういったものも含むのではという意見があればお申し付けください。
・新しく生まれた存在
例:「ゴールデンエクスペリエンス@ジョジョの奇妙な冒険」の能力が生み出した生物 等
・ショックや成長などによって新しく増える人格等
例:「ドードー→ドードリオ@ポケットモンスターシリーズ」などといった、進化することにより頭が増えることのある身体
・脳を複数有する身体だが、主人格以外の人格の存在が確認されないもの
例:鬼舞辻無惨の複数の脳@鬼滅の刃 等
・意思を持っていると言われることがあるが、詳細が出展元でもまだ不明瞭で不可解な部分があるもの
例:動物系悪魔の実@ONEPIECE 等
・原作等において精神移動の際に一緒に移動する描写のある別人格の存在。
例:人格のあるスタンド(エコーズやセックス・ピストルズ等)@ジョジョの奇妙な冒険 等
・本編開始後に原作において意思の存在が発覚したもの。
例:令和ジャンプロワに登場したとある支給品 等
・妄想上の幻覚 等




まとめwiki:ttps://w.atwiki.jp/sin-changerowa/
専用したらば:ttps://jbbs.shitaraba.net/otaku/18420/ 
※専用したらばは『チェンジ・ロワイアル』と共通とします。質問等があればここに書き込んでください。


9 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:30:55 owxdf2Z.0
OPとルールの投下はこれで終了です。

こちらとしても本当にやるかどうかはかなり悩んでいましたが、やはりやりたいと感じたため今日こうしてこの企画を始めさせていただきました。

ルールが前回よりもかなり多く、複雑になっていますので、内容をよく確認することをお願いいたします。
特に、私が重要なルールだと感じているものを念のためここでもう一度いくつか挙げておきます。
・首輪なし
・名簿だけでなく地図も初期支給品に無い
・ルールやプロフィールはタブレット形式で支給
・施設は名簿決定後、本編開始前に何を登場させるかを決める。
・意思持ち支給品の登場はコンペ時のみ

なお、今回ルールに設定した、意思持ち支給品や副人格も精神チェンジ対象にするという件についてですが、実験的な面もありますので、集まる候補作やそれから最終的に作る名簿の内容によっては、このルールを無かったことにすることも考えております。
場合によっては、OPも一部書き直すかもしれません。
このルールのまま進めることが可能そうならば、そのまま進めることにしたいと思います。

その他にも、ルールは必要に応じて変更される可能性はあるものとしておきます。

続けまして、候補作の投下を始めます。
まずは一つ目からです。


10 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:32:27 owxdf2Z.0
あるところに、ふわふわのぬいぐるみがいた。

人の子供ほどの大きさをした存在だった。
まるでうさぎのような耳を生やした、全身を毛で覆われた、可愛らしい姿をした者だ。

その周囲には、小さな軍隊のようなものが存在している。
銃を持った歩兵隊や、戦車やミサイルのついたヘリコプターなんかもある。

そのぬいぐるみは左手に手鏡を、右手にタブレットを持ち、それぞれ交互に眺めていた。
タブレットの画面に映っているのは、ある人物のプロフィールだ。
そのプロフィールに添付されている顔写真は、これを見ているぬいぐるみと同じものだ。
ぬいぐるみは、今の自分の顔とその写真に写っている顔が同じものであることを確かめていた。

そのプロフィールが示す、ぬいぐるみのような姿をしたそれの名はナナチ。

そのナナチに宿る人格の名は、虹村形兆。

彼は、この別人の身体で戦うというこの殺し合いの参加者の一人になっていた。

「……なるほどな」

形兆はタブレット内にあったナナチのプロフィール内容を把握していた。

形兆はこのようなタッチパネル式のタブレットが普及している時代の人間ではないが、説明書も確認しながら何とか中にあるファイルの閲覧をしていた。
念のため、警戒するために周囲に自分のスタンドである「バッド・カンパニー」を展開しながらでだ。
思えば、最初の説明にあった身体に慣れるための時間というのは、このタブレットのような、参加者によっては使い慣れていないものを利用できるようにするための時間も兼ねているのかもしれない。

(こいつ(ナナチ)は元からこんな生物じゃあなくて、人体実験の結果こうなったという訳か)

形兆は今の自分の身体であるナナチが、なぜ人からかけはなれた姿をしているのかの理由を知る。
このナナチという生物が元は人間で、波瀾万丈な過去の下このような姿になってしまったとのことだ。

そして、その過程に大きく関わっている人物の名も記されている。
人体実験を行った男、ボンドルド。
共に実験にかけられ、ナナチも受けるはずだった『呪い』を引き受けてしまった少女、ミーティ。
ナナチがボンドルドの下からミーティを連れて逃げ出した後、隠れ家で潜伏していた頃に出会ったリコとレグという二人組。

ナナチのプロフィールに書かれた他の者の名はこの四人だけだ。
彼らがどのような形でナナチに関わったかは書かれているが、それぞれの内面についてや、ナナチが二人に対しどんな感情を抱いていたか等の情報は無い。
一応、書かれている内容からある程度想像は可能だが。

「…こいつは、殺せたのか」

形兆はナナチのプロフィールの内容の中に気を引かれる箇所があった。
それは、自分との『共通点』と見れるかもしれないことであった。

ナナチと共に実験にかけられたミーティは、身体が崩れた上に、何をしても死ねない不死身の存在になってしまったとのことだ。
そしてナナチは、このミーティを殺せる方法を探していたとのことだ。
ミーティの魂を、救うために。

そう、それはまるで自分と自分の父親と似たような状態であると読み取れた。
ミーティは完全に一方的な被害者らしく、自業自得でもある父と比べるのは差し出がましいかもしれんが。

だが、ナナチとミーティ、そして自分と父には、決定的に違う点もあった。
ナナチは自分とは違い、ミーティを殺す方法を見つけることに成功していた。
それを、実行することもできた。
一体どんな手段があったのかについては、書かれていない。

ナナチのプロフィールの経歴に書いてあるのは、ここまでだ。
ミーティを死なせた後どうなったかについたは記されていない。
プロフィールにおいては、それがナナチの最終時系列とされていた。

そして、これらを読み終えた形兆は、考える。
自分は、この殺し合いにおいてどうするのかを。



DIOという男の部下になったことが原因で、醜くて死ねない化物になった父を、虹村形兆は前述の通り殺してやろうとした。
その手段として、形兆は手に入れた『弓と矢』を使うことで父を殺せる能力を持ったスタンド使いを見つけようとした。

その過程において、人を何人も死に追いやってしまった。
そして最後には、自分が作り出したスタンド使いに『弓と矢』を狙われ、殺されてしまった。
そう、虹村形兆は本来、死んでいるはずの人間だった。

ここにおける形兆は、そうして命を落とした直後にこの殺し合いの場に連れてこられた。
そして、死の直前まで共にいた者達について、彼は想起する。


11 : 失うべき宝物 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:33:03 owxdf2Z.0


『「殺す」スタンド使いよりよ―――。「治す」スタンド使いを探すっつーんなら』
『手伝ってもいいぜ』

東方仗助…直前まで自分が殺そうとしていたにも関わらず、自分達の事情を知った後に、父に心がまだ残っていることを見抜き、より『優しい』方法での解決の模索を提案してきた男。

『なあ〜。こんなことはよ〜。もう やめよおぜ なあ〜〜』
『おやじは治るかもしれねーなあ〜。肉体は治んなくともよお〜 心と記憶は昔の父さんに戻るかもなあ〜〜』

虹村億康…形兆の実の弟であり、自分とは違いまだ手を汚しておらず、『希望』をまだ捨てていない男。
そして、形兆が最期の時に庇って、その命を救った者だ。

もし彼らがここにいるならば、きっと殺し合いに乗らずに、事態の解決法を模索する道を選ぶのだろう。



「………悪いな。俺はよお…乗らせてもらうことにするぜ」

だが、形兆はそう呟いた。
殺し合いに乗ることを、決意していた。

この殺し合いにおいて最後に生き残った者が得られるというどんな願いでも叶えられる権利、そんなものが本当にあるのかどうかが疑わしいのは確かだ。
しかしながら、主催はおそらく、少なくとも自分の望みを実現することができるだけの力がある可能性はあると、形兆は考えていた。

この殺し合いの主催は、人の精神を別人の身体に移すなんて芸当を実現している。
そして、形兆は考えてた。
主催の力があれば、精神…もしくは魂を抜き取るという形で、父を殺すことができるのではないかと。
形兆はその力を利用したいという考えが浮かんだ。


結局のところ、仗助が言った治すスタンド使いを探すにしても、その方法も確実性は無い。
それに仗助は弓と矢を壊したがっていたが、あれを使ってスタンド使いを増やすこともしないで治す能力を見つけることは余計に難しいという考えも浮かぶ。
もしこのまま殺すことも治すこともできなければ、自分どころか億康がいずれ寿命で死んだ後も、父はあの体のまま永遠に苦しみ続ける可能性だって考えられる。
ならばこそ、この殺し合いの優勝の報酬という、他よりも可能性がまだ考えられる方法にすがりたいという気持ちが出てきていた。



また、几帳面な性格の形兆は、殺し合いに乗るかどうかといった点で迷いを持ちたくなかった。
中途半端な気持ちを抱いたままになるくらいならきっちりと決めておきたかった。

だからこそ、先に億康達のことを想起しておいた。
もし彼らがこの殺し合いのような状況にいたとしたら、乗らずに主催を打倒しようなんて考える可能性は高い。
東方仗助ならば特にそうであろう。

先に思い起こしておくことで、彼らとは決別するという意志を、より深い決意としておきたかった。
もしここで出会うことがあったとした時に、目的のため、迷いを振り払えるようにするために。
………その心の奥底には、できるならばそんなことには望まない感情もあった。


形兆に与えられた身体が、もしナナチではなかったら、彼がこのような決意をしたかどうかは分からない。
しかしどちらにせよ、『ナナチは形兆とは違い、魂が不死身の体に捕らわれた者を解放することができた』という事実は、形兆の心に少なからず影響を与えているようだった。

どうせ既に何人も殺してしまっている、もはや後戻りはできない。
親父が箱で探っていた写真に写っていたような光景は、戻らない、取り戻してはいけない。

水道の蛇口をしっかりと閉めるが如く、その決意は固められた。
…けれどもその目には、僅かばかりだが涙が出ているようにも見えた。

【虹村形兆@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:ナナチ@メイドインアビス
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝し、おやじの魂を解放する
1:まずは名簿と地図が来るまで待つか…
[備考]
※死亡後から参戦です。
※ナナチのプロフィールの経歴欄の情報は、ナナチハウスでのミーティ死亡までのものとします。


12 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:33:38 owxdf2Z.0
一つ目の投下は終了です。
次は、二つ目を投下します。


13 : 美少女たちのΨ強チーム復活大作戦 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:34:41 owxdf2Z.0
「こ、これはどういうことだ…!?」

広く開けた草原の上で、とても狼狽えている様子でいる美少女がいた。
具体的にイメージするならば、パッと思い浮かべられるこれまで見た美しいもののおよそ18倍の美しさ、大体それくらいの美少女だ。
まあ、何というか、そんな感じだと考えてください。
その美少女は高校生くらいで、青髪で少し発光している。(アニメ版準拠)

そんな容姿を持つ少女の名は、照橋心美という。

そして、ここにおいてその身体を使っている精神の者は、自分達の状況を作り出せる能力に心当たりがあった。
だからこそ、そいつはかなり狼狽えることになった。
何故ならば、そんな能力の持ち主が、自分の所属するチームの隊長だからだ。

照橋心美の姿をしたその者の名はバータ、宇宙の帝王フリーザ直属のギニュー特戦隊の一員である。
宇宙一のスピードを持っていた彼は、宇宙一の美貌を持つ存在になっていた。

「これは…ギニュー隊長の能力!……なのか!?」

バータは現状のせいでとても混乱している。

彼ら特戦隊の隊長であるギニューは、他人と自分の体を入れ替えるボディ・チェンジという能力を持っていた。
この状況に陥ったバータがそれをすぐに連想するのは自明の理だった。

しかし、そうだとしても疑問に感じる点はある。
ギニューの能力では入れ替えられるのは一対一までだ。
何十人もの相手を同時にといったことはできない。
やるとしたら、ちまちまと1人ずつやるという面倒くさい作業が必要となる。
そんなことをギニュー隊長がするとは思わないし、何より自分まで巻き込むとはバータにとっては考えにくい。

「それに俺は確か、孫悟空とかいうサイヤ人と戦っていたはず…」

それがバータに残っている最後の記憶だった。
彼は孫悟空との戦いの最中、自慢の宇宙一のスピードを越えられてしまい、やがて相手の攻撃をくらって気絶してしまった。
そこから先の記憶は無い。
それから導き出される結論は1つだ。

「つまり俺は…死「ぅおっふぅっ!!?」んだ?」

そこまで考えた瞬間、バータの目の前に突如として新たな人物が1人現れた。
黒髪で三つ編みおさげの、眼鏡をかけた中学生くらいの少女だ。
その手にはゴルフクラブが握られている。

彼女は、何もなかったはずの場所に突如として出現した。
その場所まで移動してきたところは見えなかった。
何の前触れもなく、瞬時の内に現れていた。
どこかからかワープしてきたかのようだった。

しかし、バータにはこのような現象に1つ心当たりがあった。

「何者だキサマは!グルドのように時間を止めたのか…!?」
「え?な、なぜオレの名前と能力を知っているんだ!?」
「何だと?」

彼女改め彼は、そのバータの心当たりそのものだった。



「地球育ちのサイヤ人…?そんな奴にお前らがやられたと言うのか!?」
「認めたくないが事実だ…。おそらくはリクームも……。オレの宇宙一のスピードも破られてしまった…!」

バータは再会できたグルドと話していた。
グルドがベジータに殺された後、何があったのかについて教えていた。

「そう言えば、お前は今も超能力が使えるのか?さっき時間を止めてからオレの前に現れたようだが…」
「いや、そういうわけじゃない。今のオレの、この身体の女もオレのような時間を止める能力を持っていたんだ。ただし、基本的には時間に関する能力だけで、金しばりとかは無い。オレの本来の能力は、使えないみたいだ」

ここで言ってしまうと、今のグルドの身体の本来の持ち主の名は暁美ほむらという少女だ。
ほむらは魔法少女であり、時間に関係する固有魔法を有していた。
その魔法を、今身体を使っているグルドも使用できるようになっていた。

「俺は、ここから少し離れた場所から何か光るもの…お前を見つけ、能力を試すのを兼ねてお前がどんな奴なのか確認しようとした。そして、お前の顔を見てオレは…とても美しいと感じてしまった…!それと同時に時間停止にも限界が来たんだ」
「オレはまだ鏡を見てないから分からんが、それほどなのか?」
「ああ、今まで見てきたものの中で一番だと感じる」

以上が、グルドがここに来るまでの事情だった。


14 : 美少女たちのΨ強チーム復活大作戦 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:35:13 owxdf2Z.0

「……で、お前はオレたちのこの状況をどう見る?オレは違うと思うが、ギニュー隊長と関係があると思うか?そして、殺し合いはどうする?お前はどう考えている、グルド」

ここからが最も重要なことだった。
殺し合いにおける、今後の方針を決めなければならない。

「オレもギニュー隊長は関係ないと思うぞ。大人数の入れ替えができるかどうかもそうだが、何よりオレたちを巻き込むと考えにくい」
「まあ、そうだよな」

「殺し合いについては、オレたちで優勝を目指したい。優勝して得られる権利とやらで、特戦隊に復帰しよう!」
「ああ、オレもそうするべきだと考えていたところだ!」

二人の意見は一致していた。
この殺し合いを主催する魘夢という者や仮面の子供が何を企んでいるから分からないが、本当に願いを叶えられるのならばこの状況を利用しない手はない。
自分達は死んだ直後にこの場に来た、だから優勝による権利で生き返ろうという魂胆だ。
願いの内容を『ギニュー特戦隊の復活』とすれば、リクームも含め三人で生き返ることができるだろう。

願いを叶えられるなら、本来ならそれを敬愛するフリーザ様のために使うべきではあろう。
だが彼らの認識ではフリーザ様はまもなくナメック星のドラゴンボールで不老不死になる願いが叶うはずなのである。
どれだけ自分を倒したサイヤ人が強かろうと、ギニュー隊長やフリーザ様に敵うわけがないと、バータは考えている。
願いを叶えるなんて凄まじそうな力を無許可で勝手に自分たちのために使うのは後でかなり叱られそうでもある。
最悪の場合は粛清だ。
それでも宇宙最強チームであるギニュー特戦隊をもう一度完全なものにしてフリーザ様に貢献できるようにするべきだろう。
自分たちは信用されているだろうし、流石に粛清までは無いだろうと考えておく。

「しかし、願いを叶えられるのは1人だけだ。最後になったらどっちが残る?」
「オレが残る!その美しい顔を失わせる訳にはいかない!」
「お、おう…?分かった。最後の願いは任せろ」

複数人で協力して殺し合いを進める場合の最後に残る問題について、グルドが真っ先に自分が死に役になることを申し出た。
即座に、力強く答えたことについてバータが何か普段のグルドらしくないような気を感じるも、これを了承した。



「さて、方針も決まったことだ。アレをやるぞ!」
「オーっ!!」


「「ギニュー特戦隊、出動!!!」」

バータとグルドは、二人でファイティングポーズを決めた。

見てくれは良いのに、どこか少し間が抜けているかのような光景がそこにあった。

「………やはり二人だけではファイティングポーズは決まらない…!」
「残っているギニュー隊長とジースもきっと同じく悩んでいるはず…!」
「もう一度、美しいスペシャルファイティングポーズを決めるためにも絶対に勝ち残るぞ!!」

「「ファイト!!オーーーーーッ!!」」

二人の決意は、より一層固いものとなったのであった。



【バータ@ドラゴンボール】
[身体]:照橋心美@斉木楠雄のΨ難
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝してギニュー特戦隊を復活させる
1:グルドと協力する。
2:もし他の特戦隊のメンバーがいたら探す。
3:どこかでチョコレートパフェも食べたい。
[備考]
※死亡直後から参戦です。

【グルド@ドラゴンボール】
[身体]:暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカシリーズ
[状態]:魔法少女に変身中、魔力消費(微小)、照橋心美(身体)による魅了状態
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ、ゴルフクラブ@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:バータを優勝させ
てギニュー特戦隊を復活させる。
1:バータと協力する。
2:もし他の特戦隊のメンバーがいたら探す。
3:今のバータの美しい顔を傷つけさせるわけにはいかない。
[備考]
※死亡直後から参戦です。
※ソウルジェムは支給品と扱われません。
※まどか☆マギカシリーズ原作と同じく、ソウルジェムは本体と扱い、一定距離を離されたら体を動かせず、破壊されたら死亡するものとします。
※いわゆる、眼鏡ほむらであるとします。


[支給品紹介]
【ゴルフクラブ@魔法少女まどか☆マギカ】
暁美ほむらが眼鏡をかけていた頃に使っていたゴルフクラブと同じもの。


15 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:35:52 owxdf2Z.0
二つ目の投下終了です。
次は、三つ目を投下します。


16 : 戦争コンプレックス ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:36:33 owxdf2Z.0
転がる朝、君に岩が降る。
今の後藤ひとりの状況を言い表すとしたら、この言葉が似合うかもしれない。
『岩が降る』が表すのはもちろん、空に浮かぶ人面月のことだ。
この月は、ゆっくりとだが着実に、地上へと近づいてきている。
しかしながらこの月は、この殺し合いの全ての参加者にとって共通のことだ。
後藤ひとりだけと言えるのは『転がる朝』の部分だ。
だがこれが意味するのは、ただ単に彼女に与えられた肉体の名が「朝」であるというだけのことだ。
ここにおいて、それ以上の深い意味は無い。

後藤ひとりはここにおいて、三鷹アサという名の人物の身体を割り当てられていた。



(え…?何これ、どうしたらいい?………本当にどうしたらいいの???)

彼女はある民家の中でベッドの上に仰向けで寝っ転がった状態で目を覚ました。
その顔は、青ざめていた。
心の底から、自分がこの状況で次にとるべき行動が分からなかったからだ。

目を覚ましたばかりで、手鏡等による顔の確認はまだだが、感覚から自分の身体が別のものに変わっているのは何となく分かる気がする。
だが、実際に鏡を見るなどして確かめて自分の現状を認めてしまうことに対し、恐怖を感じてしまう。
前に一歩進みだす勇気がなかなか持てないのだ。

ただ、死ぬのが怖いということまでにはまだ至っていない。
殺し合いをすると言われても、実際に死人が出たところなんか見てないし、そういった情報を入手したわけではない。
実感がまだ足りないというわけだ。
それでも、自分の身体が別人のものになるなんて、そんな超常現象の存在を認めるなんて、それができるほどの心の準備をすることが全然できなかった。
普段からよく顔面を崩壊させたり肉体を胞子化させてみたりしている自分を棚にあげて、後藤ひとりはそんなことを考えていた。

ベッドの近くには窓がありそこから外の、空の様子が見える。
そこから、遠くで浮かんでいる、まだ小さめに見える人面月も視界にちらちらと入ってきている。
正直なところ、アレが存在することも脳が理解を拒んでいる。
月の不気味な顔は、アレは本当に落ちてくるものなのではなんてことを感じさせる迫力を有している。
けれどもやはり、アレが地上に落下して世界を滅ぼすなんてこともそう簡単には信じようとも思えない。
もう少しまとめて具体的に言うと、現状は夢かなんかだと思いたい。

(そうだ…これは夢なんだ。本当の私はきっと、武道館を埋めるほどの人気者のバンドマンで、友達もたくさんいて…)

だんだんと、現状を夢だと思うどころか、本来の現実ともかけ離れた完全なる妄想の段階に至っていた。

『そうだよひとりちゃん!こんなの全部ウソ♪ウッソ♪さあ、目を覚まそう!ファンと結束バンドのみんなが待っているよ!』

イマジナリーフレンドのギタ男も出てくる。

(そうだ…私の居場所はここじゃない。帰ろう、私の世界に…!)

ひとりは目をつむる。
夢の中ならば、ここで眠ることで元の現実(ほぼ妄想)の世界に帰れるだろうと考えながら、現状から逃避しようとする。



『………おい、ちょっと待て!おい!寝るな!!』
「ンア゛ッ!?」

そうしようと瞬間に、新たな声にひとりはたたき起こされる。
目を開けたひとりがベッドの横辺りに顔を向けると、その声の主が目に入る。

まだ今の自分の顔を確認していないひとりには分からないことであるが、そいつは今のひとりと瓜二つな顔をしていた。
今のひとり…三鷹アサと違う点は、顔に大きな傷跡があることと、目が渦を巻いているようになっていることだ。

『はあ…やっと気づいたか』
「あ…えっと……あっ……うっ…あっ………え…?」

ひとりは言葉が出なかった。
相手はひとりが気がつく前…現実逃避していた間から話しかけ続けていたようだが、そのこともすぐには理解できなかった。
混乱して、次にどうすればいいか分からなくなっている。

そんなひとりを見つめながら、そいつは語り出した。

『とりあえず、まずは俺について話させてくれ。俺は杉元佐一。ひとまずは、元軍人だと言っておく。あとこれも念のため言っておくが、俺は男だ』




17 : 戦争コンプレックス ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:37:30 owxdf2Z.0
「日露戦争……?って、いつだっけ…?」

ひとりは、杉元の話をあまり理解することができなかった。
元々地頭は良くない方で、まだ混乱していたこともあり日露戦争と言われてもそれがいつの時代の出来事かすぐにピンとはこなかった。
けれども、杉元が自称過去の存在と実質言っていることになるのは何となく分かった。
日本が戦争に最後に直接的に関わったのは大体70年くらい前のはず、流石にそれくらいなら覚えている。
だが結局のところ、杉元が本当に過去の時代の人間であることはそう簡単に信じられるわけではない。
…と言うか、もうすでに話を聞くという行為自体に疲れを感じてきて止めたいという思いが出てきている。


『…?……気になることはお互いまだたくさんあるだろうが、先に俺の現状を話させてくれ』

杉元は自分も疑問に思う点ができ、ひとりが話についていけてないことに気付きながらも、一々そこに触れていては話が停滞すると判断し、先に他の話を進め始めた。



現在、ベッドの上で上半身を起こして足を伸ばして座っている状態のひとりから見れば、杉元はベッドのすぐ側で立っているように見える。
しかし、実際は違うようだった。
杉元からしてみれば見た目は直立していても、体の感覚としてはひとりのように座っている状態に感じるとのことだ。

『もしかして何だが…俺たちはひょっとして、さっきの紅白頭の女が言っていた、多重人格の身体ってやつに入れられたんじゃねえか?』

実際、彼らの現状はその通りだった。
彼らが入っている三鷹アサは、戦争の悪魔と同じ身体を共有している。
戦争の悪魔はアサの脳の半分を乗っ取る形で、アサと同一の存在になった。
またついでに言うと、戦争の悪魔はアサによってヨルと名付けられている。
そしてここにおいては、ひとりがアサを、杉元がヨルの人格を割り当てられていた。


「あっ、そういう……いや、えっ、え?……何そ………え?いや、えぇ…」

ひとりは相変わらずしどろもどろで上手く喋れていない。
けれども、何となくだが理解はしてきている。

先ほど、話の途中で杉元が自分に対し触れさせようとした。
しかし、触れることはできなかった。
幻覚のようだった。
そして、ひとりが自分にとって分かりやすい考え方を模索すると、イマジナリーフレンドのようなものだという解釈を思い付く。
それと違うのは、自分にとって都合の良いことを言ってくれない、明らかに全く知らない人の記憶を持つ存在であることだ。
こういったこともあり、受け入れがたいという感覚はまだ変わってない。

『俺だって全然飲み込めてねえけどよ、こうなってしまった以上俺たちはこれからどうにか上手く付き合っていくしかないだろうな』
「付き合うって…いや、別にそういう意味じゃないのは分かってるけど…いや……」

ひとりはまだまだ言葉の歯切れが悪い。
会話を上手いこと成り立たせるのが、この場においてはかなり難しいことのようになっていた。

『あー、……何て言うか、喋ることが苦手なら、無理しなくてもいいんじゃないか?こっちは一応、そっちの考えが把握できるみたいだし…』
「……?どういうことですか?」

杉元の言い方にひとりは少し引っ掛かりを感じる。

『少し言いづらいことなんだが……今の俺は、あんたの考えが直接伝わっているみたいなんだよな』

「……………え?」

少しバツが悪そうに杉元が発したその一言により、ひとりの表情が固まった。
それが意味することを、信じたくなかったからだ。

「全部、聞こえていたんですか?………怖いとか、思っていることも?」
『……ああ、そうだ』

ひとりからの確認に杉元は少し悩んだ様子を見せながら肯定する。

「…サイショカラ、ゼンブ?」
『まあ……そんな感じ、だな。何か、結束バンド?が何とかも聞こえ…』

これにより、本当にひとりの心の中が読まれていたことが確定する。
ひとりはこれまで、杉元に対し結束バンドの名を出していなかった。
それが分かるということは、本当に自分が考えていることが聞こえているということだ。


「……あば あばばば あばばばばばばばばば」
『お、おい、どうした?』

ひとりの様子が明らかにおかしいことになった。
今の彼女の中を占めていたのは、多大なる羞恥心だった。

ネガティブな思考、イキった思考、どうしようもない現実逃避な妄想、その他諸々…
自分がよく思考してしまう、恥まみれなこの頭の中を、全部現在進行形で見破られていた・いることを理解してしまった。
そのことに、彼女の心は耐えられなかった。

「ぎゃああああああああああああああああああぁぁぁーーっ!!!!」

そんな悲鳴を上げたと同時に、ショックを受けた後藤ひとりの意識は闇の中に落ちた。


18 : 戦争コンプレックス ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:38:22 owxdf2Z.0


「おい!どうした!?しっかりしろ!」

ひとりの意識が失われたことに対し、杉元は呼び掛ける。
しかし、ここで反応が返ってくることはなかった。
杉元から見て、ひとりはベッドの上でとんでもない顔をしながら横たわっている状態だ。
しかしこれは、彼女の実体というわけではなかった。

現在の身体の主導権は杉元に移っていた。
今はひとりの方が幻の状態だ。

アサが心底恐怖を抱いていると、ヨルは身体を使えない。
そのルールはひとりと杉元にも適用されている。
今まではひとりは現実逃避しながらも、恐怖の感情はやはり心の底にあったため、杉元は身体を使うことができなかった。
杉元との会話中も、杉元や会話することに対し大きく恐怖を抱いていた。
杉元はこれまで身体の主導権を握ることはできなかった。
しかしひとりの意識のみが完全に気絶してしまえばそんなことは関係ない。
杉元にも身体を使うことは可能になっていた。
ただ、杉元は意図的に身体の主導権を握ったわけではない。
どうにかして自由に動きたいという思い心の中にあったため、ひとりの意識が失われたタイミングでたまたま主導権を移せた感じだ。
現状には慣れていないため、自分の意思で身体の主導権をどうこうするというのはまだ少し難しい状態だ。

また、ひとりの恐怖の感情は解消されたわけではない。
それによって起こるのは、彼女の意識が戻ればまた体の主導権を取られるということだ。
そういう仕組みになっているのだ。
そのことに杉元が気付けることはない。


「参ったなこりゃ…先に話すべきじゃなかったか…」

同じ身体に同居する相手の心を読めるようになっていることは、普通の状況(これを少しでも普通と表するのは流石に憚られることだが)なら、相手のプライバシーのことを考えたら下手に話すべきではないだろう。
しかしこの殺し合いというとても異常な状況下では、少しの情報共有の漏れが致命的な要素になることも考えられる。
どこかのタイミングで話さないわけにはいかなかった。
けれどもまさか、話した瞬間に気絶されるとまでは思わなかった。

「色々相談したかったんだがな…」

他者の肉体を使用するという異常なテーマの殺し合いの中でも、後藤ひとりと杉元佐一の状態は特に不可解なものだ。
だからこそ、今後の行動方針は共に厳密に決めなくてはならない。

そして杉元は、殺し合いに乗るつもりはない。
月を落とすだとか、悪夢を見てくれることを期待するだとか、そんなふざけたことを言う連中の思い通りにはなりたくない。


「そういや…俺の方が副人格?ってやつなのか?」

杉元はふとそんなことを思う。
最初に意識を取り戻した時、身体の主導権を持っていたのは自分の方ではなかったためそう考えた。
この場合、杉元は参加者として扱われないこととなる。
仮に後藤ひとりと一緒に優勝しても、杉元自身に報酬は与えられないのだ。
まあどちらにせよ、杉元にはそんな事にならせるつもりはないのだが。


「しかしどうすっかな…もしもの時…」

心を読んだ感じでは、ひとりも殺し合いに乗るつもりはないようだった。
というよりは、殺しだとかそういったこととは無縁の人生を送ってきた人物のように思われた。
年もまだ20以下で若いようだった。
アシリパと同じく、まだ手は汚れていないのだ。
戦争のような血みどろの舞台も知らない・想像もできない人間だろう。


そして、殺し合いという状況下においては、たとえ自分に乗るつもりがなくても誰かを殺さざるをえない状況になる可能性が十分に考えられる。
先ほどの草原の奴らの言葉につられて乗る者や、そもそも危険人物といった者がどこかにいる可能性も考えられる。
そういった奴らに出くわせば、『殺らなきゃ殺られる』状況になることはこれまでの経験則からほぼ確実と言える。

しかし、もし自分が誰かを殺してしまえば、その罪を今の自分のもう一つの人格にされている後藤ひとりにも背負わせてしまうことになるのではなかろうか。


19 : 戦争コンプレックス ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:38:59 owxdf2Z.0

そしてそれはひとりだけでなく、自分たちが入れられている身体の主にも言えることではないだろうか。
もっとも、杉元もまだ身体側のプロフィールは確認していないため、どの程度まで気にすべきかは判断が難しいところでもあるが。
主催の話からこの身体は多重人格者というものだったことは杉元も理解しており、それがどういうものかの心当たりはある。
かつて出会った網走監獄からの脱獄囚の一人である松田平太(師匠)、彼は頭の中に別の心…彼がウェンカムイ(悪い神)と呼んでいた熊の心がいた。
そのせいで彼の身に起きた悲劇のことを考えると、この身体にも何かしらの出来事はあったかもしれない。
今はまだ想像の段階だが、タブレット内のプロフィールを見ればそれは確定する。


「…で、この板を見ればいいってことなのか?これはどう使えばいいんだ?」

杉元はデイパックからタブレットを取り出してみたが、使い方は分からない。
こういった電子的な機械類とは無縁の時代の人間のため、パッと見では使い方がピンとこない。
何というか、最初はまな板かと思った。
説明書が無ければこれに情報が入っていることは分からなかっただろう。
けれども本当にこれで知りたい情報を得られるのかどうか懐疑的になる。

(まさかこれ、未来の道具なのか?)

後藤ひとりの考えていることが自分にも流れ込んできた時、ひとりが自分のことを過去の時代の人間なのかと考えた瞬間があった。
杉元からしたらそれは逆に、ひとりは自分よりも未来の人間なのかということになる。
それも中々信じがたいことではあるが、本当ならば他にも未来の存在がある可能性も念頭に置く必要が出てくるかもしれない。

(何にしても情報共有の必要はあるし、まずはこいつを起こすところからだな)

杉元はタブレットの中身の確認より先に、ひとりを起こすことに決めた。
これが未来の道具ならば、自分一人でやるよりもちゃんと使えるかもしれない。
説明書を読みながら使う選択肢もあるが、下手な触り方をして壊してしまったら問題だ。
そうなるよりは、自分よりも詳しそうな人と一緒に扱った方がいいだろう。

「さて、どうやって起こすか…」

次にやることを決めた杉元はそれを実現するための方法について考え始めた。




【後藤ひとり@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:三鷹アサ@チェンソーマン
[状態]:気絶中、精神的疲労、多大な羞恥心、大混乱
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:もう無理…帰りたい…
1:やだやだやだやだ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいムリムリア゛ア゛ーーッ!!
2:ただでさえコミュ障なのに全然知らない人が別の人格になっているって何??イマジナリーフレンドとかでもないのに心を読まれる???これだけでもう死ねるっ!!!
3:戦争時代の人間とかもわけわかんないし…
4:話を聞き疲れた……
[備考]
※細かい参戦時期は後続の書き手にお任せします。


[副人格キャラ状態表]
【杉元佐一@ゴールデンカムイ】
[身体]:ヨル@チェンソーマン
[状態]:
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らないし、こいつ(ひとり)にも乗らせない
1:どうやってこいつ(ひとり)を起こすか…待てばいいのか…
2:これ(タブレット)の確認はまた後で
3:殺す必要がある時はどうするか…
4:俺の方が副人格ってやつで…参加者にはならないってことなのか?
[備考]
※細かい参戦時期は後続の書き手にお任せしますが、少なくとも原作第221話「ヒグマ男」終了以降のどこかとします。


20 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:39:23 owxdf2Z.0
三つ目の投下終了です。
最後に、四つ目を投下します。


21 : 義父 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:40:22 owxdf2Z.0
世界の歌姫ウタには、父親と呼べる人物が2人いる。
血の繋がった実の父親と、彼女自身が本当の父のように感じていた育ての親だ。
しかし彼女の実の父親は、彼女が僅か2歳の頃に海賊に攫われたため、それ以降は生死も含めた詳細が不明だ。
もう一人の育ての親…シャンクスは前述の海賊を倒したことにより偶然にウタを拾い、それで彼女を育てることになった。
それからウタは、シャンクスが船長を務める赤髪海賊団の下で本当の家族のように育った。
しかしそれから7年後、ウタが9歳の頃、ある事件によりウタとシャンクスは離れ離れになる。
そして12年後、彼女が21歳の時にシャンクスと再会するまで、彼女は父親と呼べる者がいないまま成長することになる。

…いや、見方によってはその期間の間にも父と呼べるかもしれない者はいたのだ。
その男は、シャンクスと別れ離れになってしまったウタを、音楽について教えながら12年間見守ってきた。

しかし彼は自分をウタの父親の一人だと言うことはないだろう。
他者にそう言えるのではないかと指摘されても、それを認めることもないだろう。
ウタと共にいた時間が最も長かったにも関わらず彼女を救えなかったと思い、内心自分を責めているだろう。


そんな男…音楽の国エレジアの元国王、ゴードンは今、この殺し合いの舞台上に居た。
ただし、参加者の形でいるわけではなかった。



頭頂は禿げて傷の縫い跡が見え、両脇の髪だけは長く伸びており、サングラスをかけた体格の大きな男。
そんな容姿をしている人物がゴードンだ。

その外観を持つ人物が、この殺し合いの舞台のある場所にいた。
しかし、そいつがゴードンという訳ではなかった。
そいつはここにおいてゴードンの身体を割り当てられた者だ。
そしてゴードンの精神が中に存在するものもまた、そいつの近くにあった。


ゴードンは、本来の自分の姿をした人物の手の中にいた。
彼は、先ほどの殺し合いの説明にもあった、意思を持つ支給品になってしまった状態でここにいた。

赤黒い外装に、中央の画面とその横に筋繊維のある変身ベルト、名をデモンズドライバー。
これを動かすために中に封印されていた悪魔に、ゴードンはなっていた。

ゴードン(デモンズドライバー)を持つ人物の横には、大きなスタンプが二つある。
それらにはそれぞれ、蜘蛛と蠍を象った意匠が取り付けられている。
これは悪魔の力を使うのに必要な、意匠の付いた生物の遺伝子情報を中に持つ特殊なスタンプ、バイスタンプだ。
これらは、デモンズドライバーとも共に使用可能な代物だ。


それらスタンプを横に置いたまま、ゴードンは自分の支給先である人物と話していた。


『………これらが、私があの子の…ウタについて知っていることの全てだ』
「なるほど、よく分かりました」

ゴードンは殺し合いの説明をしていた人物…魘夢がなっていた姿の少女、ウタについて自分の持ち主に説明していた。
殺し合いの説明はゴードンも聞いていたし、それが行われていた謎の空間とそこでの魘夢の姿を目撃していた。

今の魘夢の姿を見た時、ゴードンはもちろん大いに驚愕した。
ウタが話して、動いているだけでも本来なら有りえないことだった。
何故ならウタは、既に死んでいるはずだったからだ。

それだけでなく、彼女の声で殺し合いの開催が宣言された。
更には、彼女の身体は今、全くの別人が動かしていると伝えられた。

これらを見て、聞かされたばかりの時は酷く混乱し、状況の理解・実感も出来なかった。
けれどもやがて、大きな悲しみと、悔しさと、怒りがゴードンの中に湧き上がってきた。

『……私には耐えられない。こんな、あの子の尊厳を…想いを踏みにじっているようなこの状況を…!』

ウタがかつてやろうとしていたことは間違っていたと言える。
しかしその根底にあったのは、誰よりも深い優しさだった。
彼女は本当に、世界中の人々のためを思っていた。

しかしその思いを、あの魘夢という人物、そして不気味な仮面の子供が踏みにじった。
ウタの遺体は赤髪海賊団が引き取ったはずだった。
しかしどんな方法を使っているのかは不明だが、魘夢はウタの姿を手に入れた。
そしてその身体で、殺し合いの強要という非道を働き始めた。

これでは、彼女が余計に救われない。
こんなことになるだなんて全く思ってなかった。
けれども今の姿ではどれだけ悲しくても涙は流せない。

『だから頼む!どうか…殺し合いには乗らずにあの魘夢という者を止めてくれ…!』

ゴードンはそのように、悲痛な面持ちで訴えた。


22 : 義父 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:41:25 owxdf2Z.0


殺し合いの説明の後、ゴードンが目覚めたのはデイパックの中でだった。
意識がはっきりとしたばかりの時は、いきなり暗闇の中で身動きがとれないばかりか手足も動かせなかったため、当然大いに混乱した。
けれどもやがて、デイパック内から取り出されたことで自分の立場を察した。

自分を取り出した相手が本来の自分の姿をしていることにも大いに驚かされた。
相手はどこか、今のゴードンであるデモンズドライバーに対しとても興味深そうに眺めていた。
そしてドライバーの中央の方にもう片方の手を伸ばしてきたところで何とか声を出し、自分に意識があることを伝えた。
相手も驚いたようであったが、話し合いには何とか持ち込むことができた。

ゴードンは話した。
相手の身体が本来は自分のものであること、自分は殺し合いの説明をした者が使っていた身体の本来の持ち主のウタと関わりを持っていたこと、彼女がどのような人物だったのか、何が起きたのかといったことを。


「あなたの言うウタの能力…『ウタウタの実の力』はとても興味深いですが、それが使われた可能性はあるのでしょうか?」
『……ありえるかもしれない』

ゴードンはウタが持つ能力についても話した。
その能力が使われたている可能性があるかもしれないからだ。
ウタウタの実の力があれば、ウタワールドという特殊な世界に人を閉じ込めることができる。
ウタワールドの中でならば、そこでウタは人の姿を変えることができていた。
実際にやっているところをゴードンは直接見た訳ではないが、ウタは自分の観客達をぬいぐるみやお菓子等に変化させていた。
人を完全に別人の姿にすることも、もしかしたらできるかもしれない。
精神の入れ替えが行われているのではなく、見た目だけを変えられているかもしれないという考え方だ。
よって、この殺し合いが行われているこの場所は、現実世界ではない可能性も念頭に置いておかなければならない。

『だが、この場合だと制限時間についての問題が出てしまう。ウタワールドの維持は、3日もなんてできなかったはずだ』
『…能力者が死ねば、ウタワールド内にいる人々は永久に閉じ込められるが、それだと殺し合いが成り立たなくなるだろう』
「もしかしたら、何か改良方法でも見つけたのかもしれませんね」

ウタワールドの展開は能力者の体力が続く限りまでだ。
体力を消耗した能力者が眠ってしまえば、ウタワールド内の人々は現実世界に解放される。
ネズキノコという眠れなくなるキノコで時間を延ばす方法はあるが、それでも3日には届かないし、結局は死亡する。
純粋にウタの能力を使っているとは、まだはっきりとは言えない状況でもあるのだ。


「真相がどうあれ、この状況は何とかしたいですよね」
『……それは、この殺し合いを止めるために動いてくれるということでいいのか?』
「ええ、その通りです。それに、実は私にも大切な娘がいましてね。あなたの気持ちも少し分かるかもしれません」
『……私はウタの父親ではないし、そう名乗る資格は無い。だが、私の願いを聞いてくれたことには本当に感謝する…!』


ゴードンは安堵した。
今、自分は身動きがほとんどとれない以上、自分の持ち主が殺し合いに乗るような人物かどうかがとても気がかりだった。
けれども、相手に話が通じていることもあり、少なくとも今は心配する必要は無いようであった。
自分をウタの父親扱いしたのは少し気になったが、それを問題にすることはない。


ただ、ゴードンは相手が殺し合いに乗るような人物かどうかを気にするあまり、取り出された後はほぼ一方的に自分の都合の話ばかりを喋ってしまっていた。
様々な衝撃的な情報のせいでかなり焦っていたこともあり、そうしてしまった。

そのためゴードンは、他に大事なことを一つ忘れていた。
相手の協力を取り付けられた今、そのことに気付いた。


『ああ…そういえば、あなたの名前をまだ聞かせてもらっていなかった。これまでこちらが一方的に話してしまっていてすまない。よければ、あなたについても教えてもらえないだろうか?』

「ええ、よろしいですよ。確かに私についてはまだでしたね。私の名は…


23 : 義父 ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:42:17 owxdf2Z.0










ボンドルド。アビスの探窟家、『白笛』です」

「人は私を黎明郷と呼びます」


「さあ…共にこの殺し合いを、夜明けに導きましょう」




【ボンドルド@メイドインアビス】
[身体]:ゴードン@ONE PIECE FILM RED
[状態]:健康、多大なる好奇心
[装備]:デモンズドライバー@仮面ライダーリバイス、スパイダーバイスタンプ@仮面ライダーリバイス、スコーピオンバイスタンプ@仮面ライダーリバイス
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:殺し合い、何とかしたいですよね。ですが…この状況はとても興味深い。目的、及びこの状況を作り出している方法について知りたい。
1:これ(デモンズドライバー)の中が見たい。どうにかして機能を損なわずに調べる方法を探したい。
2:ゴードンからウタという少女の能力についてもう少し詳しく聞きたい。
[備考]
※細かな参戦時期は後続の書き手にお任せします。


[意思持ち支給品状態表]
【ゴードン@ONE PIECE FILM RED】
[身体]:デモンズドライバー(ベイル)@仮面ライダーリバイス
[状態]:正常
[思考・状況]基本方針:ウタの想いを守るために、殺し合いを止める。
1:まずは今の自分が何をできるかを把握する。
2:殺し合いを止めるため、ボンドルドと協力する。
[備考]
※映画本編終了後から参戦です。
※ここにおいては基本的に、デモンズドライバー内から自分の意思で抜け出すのは不可能であるとします。
※殺し合いの舞台が現実世界ではないという可能性について考えています。


【デモンズドライバー&スパイダーバイスタンプ@仮面ライダーリバイス】
仮面ライダーデモンズに変身するための変身ベルト。
ベルト内に悪魔ベイルを幽閉し、システムの中枢としている。
使用者は変身するたび、内部の悪魔により命を食われるというリスクがある。命を食われた変身者は肉体年齢が上がってしまう。
このリスクは、内部の悪魔の自由意思で使用者の命を食う・食わないを選択できるかどうかは不明。
また、体にギフの遺伝子を有する者は、上記のリスクの影響を受けないもよう。
基本フォームに変身するための蜘蛛の遺伝子情報を有したスパイダーバイスタンプもセットで一つの支給品とする。


【スコーピオンバイスタンプ@仮面ライダーリバイス】
悪魔と契約を交わし、体外に解き放ち実体化させることができるバイスタンプの一種。
蠍の遺伝子情報を有している。
仮面ライダーデモンズに変身後に、デモンズドライバーに押印することで「仮面ライダーデモンズ スコーピオンゲノミクス」にドミネイトアップする。


24 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/22(土) 21:44:28 owxdf2Z.0
四つ目の投下終了です。
これで、今回の分の候補作の投下は終了です。
これで、本企画を本格的に開始することします。
コンペの募集も解禁します。
企画概要に書いたように、私が投下した候補作は確定枠ではありませんので、キャラ被り等は気にしないでください。

それでは、チェンジロワ共々、今度もよろしくお願い致します。


25 : ◆2dNHP51a3Y :2023/04/22(土) 22:01:01 M0jZ.hHo0
新しいコンペ開催お疲れ様です!
私も投下させていただきます!


26 : 人魚姫は浮かばれない ◆2dNHP51a3Y :2023/04/22(土) 22:01:54 M0jZ.hHo0
落ちる




堕ちる




―――墜ちていく





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


何処までも暗い場所の中に私はいる。
何処までも深い奈落の底に私はいる。
何処までも広がる、草原の上に私はいる。

「……はは。」

プラネタリウムぐらいでしか知らない綺麗な夜空。
雲一つもなく晴れやかに星が見える空。
でも、私の心はずっと曇ったまま。
私が充電を忘れたせいで。
何もかも、変わらないまま。

「なによ、これ。」

呆れたような声が、出る。
別の人の体にされて、それで殺し合いをしろだなんて言われて。
しかも、最後の一人が決まらなかったら月が落ちてきて何もかも消えると言われて。
でも、仕方のないことだったと、私、草薙寧々は諦めている。

思えば、後悔ばかりの人生だった。
人生初の初主演の公演で、セリフ忘れてショーが大失敗になってしまった時も。
ワンダーステージのショーで、私がネネロボの充電を忘れてしまって、みんなに迷惑かけた時も。

「どうしろっていうのよ。」

今更、戻る気なんて、どうすればいいかだなんて。
人を殺すなんてこと、私には出来ない。
結局、あの時と同じ。何もかも放り投げて、逃げてきて。この有様。
嗚呼、これが私にとっての罰なのかな。

「……あ。」

手鏡で、別人になったっていう私自信の顔を見る。
私なんかと違って、元気そうな、赤い髪の女の子。
『喜多郁代』なんていう、結束バンドなんていうバンドの女の子。

「……ひどい顔。」

そんな、汗まみれな『私』の顔を見て。
何もかも抜け落ちるような、乾いた声だけが漏れて、夜の中に流れ落ちた。



【草薙寧々@プロジェクトセカイ】
[身体]:喜多郁代@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:健康、焦燥(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:……どうしろっていうのよ
1:……『私』、ひどい顔してる。
[備考]
※参戦時期はワンダーランズ×ショウタイム メインストーリー13話『失った笑顔』から


27 : ◆2dNHP51a3Y :2023/04/22(土) 22:02:07 M0jZ.hHo0
投下終了します


28 : ◆7PJBZrstcc :2023/04/22(土) 22:58:08 DSKhQviM0
新企画応援を兼ねて投下します


29 : お兄ちゃんはおしまい! ◆7PJBZrstcc :2023/04/22(土) 22:58:59 DSKhQviM0
「な、なんだよこれ……」

 会場のどこかで一人の男が驚き戸惑っている。
 いきなりの殺し合い、それも体を入れ替えてとなれば、ある種当然の反応と言えよう。
 彼――体だけでなく精神も一応男である――の名前は、緒方まひろ。
 どこにでもいるとは到底言えない、元高卒ニートの二十歳。現女子中学生である。

 なぜこんな経緯なのかというと、飛び級で大学に入れるほど優秀な妹が作った薬を飲まされ、女体化の上幼くなり、さらにはどんな根回しがあったのか中学校に編入しているからである。
 正直、一行で説明していいものではない。

 とはいえ、殺し合いには関係のない話だ。
 ここで大事なのは、まひろが体の変化を一度経験していることである。

「そうだ! とりあえず今の俺の体についてなんか分かるものないか!?」

 体の変化という常識外の経験を持っていたまひろは、戸惑いもそこそこに割り切り、今自分が誰の体になっているのかを把握しようとした。
 経験値の存在により、彼は変化に戸惑う時間が一般人よりは短かったのだ。
 とりあえずデイバックを漁っていると、今の自分の体について書かれた資料が出てきた。

「えっと、この体の持ち主の名前は……つげくに、みちかつって読むのかこれ?」

 少々読み方に困りつつも読み始めるまひろ。
 すると、この体の持ち主は継国巌勝といい、戦国時代の武士であることが分かった。
 彼は更に資料を読み進めようとするが――

 ザザザザザザザッ

 という大きな足音が聞こえるので一度中断。
 音のする方を見ると、そこには今のまひろと同じく戦国時代のような着物を纏い、包丁をこちらに向け、恐ろしい目をした男が迫ってきている。
 例えどんな小さな子供でも分かるほど明らかに、殺し合いに乗っている参加者がそこにいた。

「やべっ!!」

 まひろは迫って来る男に向けて迷うことなく後ろを向き、全速力で走り出す。
 体の本来の持ち主は武士なので逃げることを恥じるかもしれないが、今の持ち主は一般人なので別に気にはしない。
 彼はただ、継国巌勝の体のスペックの高さを信じ、逃げようとするだけだ。
 それは間違いではないだろう。
 継国巌勝は武士だ。それも鍛錬を重ねてきた剣士だ。身体能力は決して低くはない。

 だがスペックの高さのみを当てにするのなら、覚悟しなければならないことがある。
 それは、より高いスペックの相手には勝てないということだ。

 ザシュッ!

 必死に逃げたが、包丁を持った男は継国巌勝の肉体が出せるスピードより圧倒的に速く、まひろに即座に追いつき、心臓を突き刺した。
 血を流し倒れ伏すまひろを、男は無感動に見下ろす。

(みはり……)

 己の死を悟ったまひろが最期に思い浮かべるのは、妹であるみはりのこと。
 薬を飲まされ女の子にされた時は憤慨したものの、友達ができたり疎遠になった妹と再び距離が近くなったことで、それも悪くないと思い始めた矢先にこの様だ。
 死んでも死にきれないが、彼の思いだけで現実は変えられない。

「ダメな兄貴で、ごめんな……」

 まひろは妹への謝罪の言葉を最期に、この世を去った。

【緒方まひろ@お兄ちゃんはおしまい!(身体:継国巌勝@鬼滅の刃) 死亡】


30 : ◆OmtW54r7Tc :2023/04/22(土) 22:59:21 BT33TPFg0
投下します


31 : ◆OmtW54r7Tc :2023/04/22(土) 22:59:53 BT33TPFg0
かぶったので待ちます


32 : お兄ちゃんはおしまい! ◆7PJBZrstcc :2023/04/22(土) 23:01:18 DSKhQviM0





「まず一人なの……」

 自らが手を下したまひろを見下しながら、包丁の男が呟く。
 まひろを殺した際に返り血を浴びているので、血塗れの和服男が佇んでいることになるが、酷く不気味な構図だ。
 しかし、彼にはそんな考えに思い至れる知能はない。

 否、正しくは『彼女』というべきだろう。なぜならば、男の体にある精神は少女の物だからだ。
 ここで男の中にある精神について説明しよう。

 彼女の名前はメリーさん。
 電話を掛けながら少しずつ電話先の相手に近づき、最後には背後に立つ都市伝説でお馴染みのメリーさんである。
 もっとも、彼女は元々の話とは違い少女ではなく、埼玉に上京してきた男子大学生、内原平和の命を狙っているが。

 メリーさんは元々、平和に捨てられた人形として彼の命を狙うべく、電話を掛けながら少しずつ彼に近づいていった。
 そして紆余曲折の末彼が住むアパートにたどり着きそうになったその時、彼の隣の部屋の邪教の信者たちが生贄として彼女を捧げた結果、なぜか彼女は異世界に転移していた。
 その世界はいわゆるファンタジー世界で、レベルとかもあるテンプレなナーロッパだった。
 そこで彼女は強くなり、魔王を倒して元の世界に帰り今度こそ平和の寝首を掻くと決意した――

 ところでこの殺し合いだ。
 メリーさんも当然の如く困惑し、平和に電話したが繋がらない。
 異世界に行っても通じたのに、と思ったが彼女は即座に思考を放棄し、とりあえず殺し合いに優勝することにした。
 彼女ははっきり言って根本的に知能が低く短絡的で、おまけに基本的に問題を皆殺しで解決しようとする質だった。

 もし平和と電話がつながっているなら、彼が何とか主催を倒すように誘導で来たかもしれないが、そんな未来はもうない。
 メリーさんは縁も所縁も、おまけに罪もない人間を一人殺した。そしてそれを幸先がいい、としか思っていなかった。


 そんな彼女だから、支給品もロクに見ていない。
 自分のスマホと適当な包丁があったので満足し、今の自分の体が何者になっているのか興味もない。
 後で元の体に戻してもらおうとは思っているが、それだけだ。
 そんな彼女だから、決して存在しないだろう。


 今の体の持ち主の名前が継国縁壱といい、さっき殺した男の体、継国巌勝の弟であることを、メリーさんが知る機会など。


【メリーさん@あたしメリーさん。いま異世界にいるの……。(漫画版)】
[身体]:継国縁壱@鬼滅の刃
[状態]:健康、返り血を浴びている
[装備]:包丁@ファイナルファンタジーシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、メリーさんのスマホ@あたしメリーさん。いま異世界にいるの……。(漫画版)
[思考・状況]基本方針:優勝して元の世界へ帰って、今度こそあの人を殺すの
1:とりあえず見つけた人を殺すの
2:元の体は返して欲しいの
[備考]
参戦時期は1話終了後です

※緒方まひろ(継国巌勝)の遺体、デイバック(基本支給品、ランダム支給品0〜3)が会場のどこかに放置されています。


33 : ◆7PJBZrstcc :2023/04/22(土) 23:01:48 DSKhQviM0
投下終了です


34 : ◆OmtW54r7Tc :2023/04/22(土) 23:03:52 BT33TPFg0
かぶってしまってすいません
改めて投下します


35 : キターン!東方仗助究極体爆誕! ◆OmtW54r7Tc :2023/04/22(土) 23:05:21 BT33TPFg0
「いやあああああああ!」

喜多郁代は叫んだ。
自分の変わってしまった姿に。

「なんで…なんでこんな姿なのよ!?」

その姿が『男』であるのはまだいい。
本来の自分とはずいぶんと歳の離れてしまっている『老人』であることもまあ、置いておこう。
この姿の一番の問題、それは…

「なんで半裸の腰ミノ姿なのよおおおお!」

彼女の肉体…その名はアドバーグ・エルドル。
キタキタおやじと呼ばれる、腰ミノ親父であった。
年頃のJKである郁代にとってはあまりにも衝撃的で羞恥が強すぎる姿であった。

「と、とにかく、どこかで服を調達しないと…」

郁代は、誰かに見つかる前にこの半裸姿から解放されたかった。
しかし、先ほど叫んでしまったのが災いしたのか。

「おい、大丈夫かあん……なんだその格好!?」
「いやあああ!見ないでえええええ!!」
「ぐはあっ!?」

突然現れた頭に触角のようなものがある宇宙人のような姿をした生物を、郁代は思いっきりぶん殴った。


36 : キターン!東方仗助究極体爆誕! ◆OmtW54r7Tc :2023/04/22(土) 23:06:07 BT33TPFg0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「ごめんなさい!東方君!」
「いや、まあ気にしてねえっす」

いくらか落ち着いた郁代は、先ほど反射的に殴ってしまった宇宙人姿の男の子に頭を下げた。
それに対して宇宙人…東方仗助はタブレットに目を向けながら気にしてないと笑って返す。

「でも…顔に傷までできちゃってるし」

彼の頬には殴られた時に出来たと思われる軽い傷があった。
そんな仗助の姿を見て、郁代はますます申し訳ない気持ちになる。

「あー…この傷については軽いものだし…むしろちょうどいいかもしれないっすね」
「へ?どういうこと?」
「まずはこれから試すか…クレイジー・ダイヤモンド!」

仗助が叫ぶと、彼の背後に謎の人形が現れる。

「うわっ!?東方君、後ろに変なのが!」
「へ?郁代、お前スタンドが見えるのか?」
「スタンド…?」
「知らねえのか?スタンドってのはな…」

疑問符を浮かべる郁代に、仗助はスタンドについて簡単に説明する。

「ふーん…まだよくわからないけど…東方君は超能力者みたいなものなのね?」
「まあ、そういう認識であながち間違ってもねえかな…しかし、スタンド使いでもねえのにスタンドが見えるって…あのエンムとかいう奴が何かしたのか…?」
「それで東方君、そのスタンド?ってので何をしようとしてるの?」
「ああ…このクレイジー・ダイヤモンドはあらゆるものを『治す』。怪我だろうと、壊れた物だろうと。ただし、例外があって…」

そういうと仗助は、先ほどできた傷にクレイジー・ダイヤモンドの手をかざす。
しかし、何も起こらない。

「自分は治せない…ってこと?」
「ああ…肉体が変わっても、これは変わんねえみたいだな」
「うう…ごめんなさい」
「いやだからそれはもういいって。…それに、本番はこっからだ」

そういうと仗助は、先ほど見ていたタブレットを郁代に見せる。
そこには今の仗助の肉体のプロフィールが書かれていた。
肉体の人物の名前は…


37 : キターン!東方仗助究極体爆誕! ◆OmtW54r7Tc :2023/04/22(土) 23:07:11 BT33TPFg0
「アンチョビ(究極体)?」
「ああ、本来の姿は別にあって、本当ならこれ以外にも色んな姿になれるらしいんだが…この姿で固定されてるんだと」
「で、これがどうしたの?」
「このアンチョビ究極体の能力を今から試すんだ」

そういうと仗助は、触覚のようにとがった頭部を掴み…引っ張る。

「完全再生(パーフェクトリバース)!」

仗助が頭部を引っ張ると、彼の…アンチョビの肉体の皮が脱げる。
そして脱いだ先には、新しいアンチョビの肉体が現れる。
先ほど郁代に殴られた傷がすっかり消えた新しい姿が。

「アンチョビの完全再生…脱皮することで傷とかダメージを完全に再生することができるらしい!」
「す、すごいじゃない!さっきのスタンドと合わせたら…無敵じゃない!」

自分以外を治すクレイジー・ダイヤモンド。
自分のダメージを完全になかったことにする完全再生。
郁代の言った通り、ある意味今の東方仗助は死角のない無敵といえる状態となっていた。

「おう、無敵のスタープラチナならぬ、無敵の仗助君だぜぇ!ってはしゃぎてえとこだけど…まあ弱点がねえわけじゃねえけどな」
「そうなの?あ、完全再生に回数制限があるとか?」
「いや、そういうことじゃなくて…まずこの完全再生、脱皮するのにちょい時間かかるんだよ。だからいつでも使えるかって言うとそうでもねえ。それに…この頭部か、あるいは腕を使えなくされたらやっぱり使えねえ」
「ああ…確かに」

実際本物のアンチョビは、足をかた結びされたり、頭部がボロボロになって完全再生を封じられるという憂き目にあったことがあった。
自分を治せないというクレイジー・ダイヤモンドの欠点が克服されたとはいえ、油断はできないだろう。

「それより郁代、お前服がなくて困ってるんだよな?それ、解決できるかもしれないぜ」
「え、本当に!?もしかして支給品に服が!?」
「いや、支給品にそういうもんはなかったが…これだよ」

そういって仗助が見せてきたものを見て…郁代の表情が固まった。


38 : キターン!東方仗助究極体爆誕! ◆OmtW54r7Tc :2023/04/22(土) 23:07:55 BT33TPFg0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「…ねえ東方君、これはこれで怪しくない?」

郁代は今、半裸の上半身にあるものを着ていた。
それは…皮である。
先ほど仗助が完全再生を行った時に発生した、アンチョビの脱皮した皮である。
下半身部分を切り取って、上半身部分をかぶせて仮の服としたのだ。

「贅沢言うなよ郁代。半裸よりはマシだろう?どっかで代わりの服見つかるまではそれかぶっとけよ」
「うう…早くまともな服を見つけたいわ」

こうして宇宙人っぽい男の子と、変な皮と腰ミノ姿の老人という奇妙な二人組は、まずは服を探すため、一緒に行動を共にすることになったのだった。

【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:アンチョビ(究極体)@コロッケ!
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:エンムとかいやつをぶっ飛ばして殺し合いを止める。
1:とりあえず郁代の為にまともな服を探す。
[備考]
※肉体のアンチョビは究極体以外の姿に変化することはできません。

【喜多郁代@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:アドバーグ・エルドル@魔法陣グルグル
[状態]:健康
[装備]:アンチョビ究極体の皮@コロッケ!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:元の世界に帰りたい
1:とりあえずまともな服が欲しい。
2:キタキタおやじってなによ…いくら私が『キタ』だからってあんまりじゃない?


39 : ◆OmtW54r7Tc :2023/04/22(土) 23:08:30 BT33TPFg0
投下終了です


40 : ◆0EF5jS/gKA :2023/04/22(土) 23:11:14 BjUDInWo0
シンチェンジロワの開幕をありがとうございます、私も投下させていただきます。


41 : LOVESUN&LOVEMOON ◆0EF5jS/gKA :2023/04/22(土) 23:14:09 BjUDInWo0
「信じられんほど喜ばしい、利用されてはいるが奇跡が起こったようだ」

天に浮かぶ満月は同じ異形の月である妻を思い起こさせる。
そんな月のもとでどこか愛らしい太陽のような怪物が安堵と狂喜を内に燃え上がらせていた。
凸様と呼ばれていた太陽は、妻とともに死に絶えたはずだが今は蘇り生きている。

「アマルガムの体とはまた別の意味で珍妙だが、最低限は戦える肉体だな」

与えられた肉体は文字通り太陽に手足が生えた肉体で
拳や蹴りも極めて繰り出しにくい体だが
太陽なので非常に温度が高く、高温のまま相手に突進するのが主な戦法になるだろう。

凸様は特に教養が深いわけではないが太陽の表面は約6000度に及ぶという。

もちろんこの体は太陽に極めて近いだけであり
本物ではないためさすがに6000度の熱を宿してはいないが
それでもひとたび敵がぶつかればただではすまない熱さではある。

本来の梟頭のアマルガムボディとはかなり方向性が異なる体のため
徐々にならしていく必要がある。

「アア…マタアナタニアエルナンテ…ユメミタイダワ」

「おおお…我が…愛しき妻よ…やはり前と私は、魂の愛情で結ばれているようだ」

凸様のかけがえのない嫁、凹様もまた別の肉体をもって殺し合いの場に召喚されていた、
死んだ後も愛を誓ったパートナーと会えるとは夢にも思わず二人は深く抱き合った。
そして凹様も例外なく本来の体とは別の体になっている。
凸様と同じく一頭身かつ頸のない、三日月の体を与えられていた。
今浮かんでいる悪鬼ごとしの形相の月とは対照的に
子ども向けの絵本に現れそうなどこか愛らしい顔つきの月だった。

「アナタミテノトオリダケド、オツキサマミタイニナッチャッタノ、」

二人はハグを解いた。


42 : LOVESUN&LOVEMOON ◆0EF5jS/gKA :2023/04/22(土) 23:14:33 BjUDInWo0
愛の力故か、それとも耐性が身についているのか、
太陽として燃えている凸様に抱きついても凹様が引火することはなかった。

生前の凹様の肉体は頸から下が全裸の女で
頭部が三日月のあらぬ箇所に目、鼻、口のあるアマルガムだった。

月のような頭の自分が本当にお月様と化したのだから皮肉というかなんとも珍妙に思えた。
この体を与えた主催者どもは「月のような怪物を本当の月にしてみよう」と
意味も無くただ見たいから遊んだのだろう。

遊ばれているのは腹正しいが、蘇生したという意味では実に好都合。

凹様も凸様とおなじく早々に楽園へ帰還するのが最大の目標だ。

「どんな見た目になろうともかまわん、愛するお前に会えたのだからな」

「アア…アナタァ…」

幸せだ、こんな自分に良き夫と巡り会えて結ばれて。
どんなときでも私を想い、愛情を絶やさない。
そんな夫を愛せずにはいられないしこれからも変わることはない。

日本が壊滅して無法の世界へ堕ちても私が幸せなのは豹丸様の存在、
そしてどんなときでも優しく、私と二人そろえば最強で最高な夫の凸様がいるから。

そんな凸凹アマルガム夫妻は隻腕の悪魔こと宮本明を死の手前まで追い詰めたが
その相棒山本勝治の乱入によりペースをくずされ見事な連携の前に敗れ去った。

宮本明一行は間違いなく我らが楽園の長、
豹丸様に挑み玉砕していることだろう。

我ら夫婦を辛くもとはいえ撃破した腕前と一寸の乱れもない連携は認めるべきだ。
しかし数多の猛者を吸収し、力だけではなく知性すらも
完璧となったアマルガムの中のアマルガムな豹丸様に
勝てる要素などあるはずがない。そもそも我らに苦戦していた時点で
豹丸様と宮本明の実力差は覆しようがないほど開いているのは明らかなのだ。

「さあ、こんな殺し合いなど早々に終わらせ一刻も早くもどるぞ」

「エエ、マチノモンバントシテノ…シメイヲ…マットウシナクチャイケナイシ…
ナニヨリヒョウマルサマニヤブレテイルハズの…
ミヤモトアキラのシタイを、ハヤクオガミタイワ」

血の楽園へ生還する、宮本明の死体を確認する。
二つの目的を胸に異形の夫婦は、皆殺しのため動き出した。
邪魔をする不届き者は参加者だろうが主催者だろうが一人残らず屠るのみだ。

【凸様@彼岸島 48日後…】
[身体]:Mr.ブライト@星のカービィシリーズ
[状態]:健康[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:優勝し元の場所へ帰還する。
1:他の奴らはを見つけ次第殺さねばならん。
[備考]
※参戦時期は死亡後。

【凹様@彼岸島 48日後…】
[身体]:Mr.シャイン@星のカービィシリーズ
[状態]:健康[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:ユウショウをメザスワ…
1:ホカノサンカシャ、コロス…
[備考]
※参戦時期は死亡後。


43 : LOVESUN&LOVEMOON ◆0EF5jS/gKA :2023/04/22(土) 23:15:44 BjUDInWo0
投下は以上となります、これからもシンチェンジロワを応援させていただきます。


44 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/22(土) 23:48:53 wSNxNL3A0
投下します


45 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/22(土) 23:49:46 wSNxNL3A0
気が付くと、島村卯月がいたのは森のどこかであった。
無茶苦茶な記憶の途切れた隙間を否定したくて、不気味な『月』の明かりを頼りに鏡を見れば、自分とは似ても似つかない同い年ぐらいの少女の顔が映る。
タイムスリップした先でフルダイブゲームをプレイしたり、空の世界に迷い込んだりとそれなりに超常現象を経験している卯月でも頭がぐちゃぐちゃになったが、とりあえず深呼吸を繰り返して、どうにかまともに歩けるようになる程度には落ち着きを取り戻せた。

(これから、どうしたらいいんだろう?)

なにせ顔が全く別人になってしまっているのだ。
声こそ少し似ている気がするが、それ以外似ている所なんてないと言っていい別人。
誰かに言った所で自分が島村卯月であると信じてもらえる保証はない。

(私が卯月だって信じてもらえなかったら、びょ、病院に閉じ込められたりするんじゃ……)

それどころか、この見知らぬ場所で錯乱した誰かとか、犯罪者のような連中が殺しにかかってくるかも知れない
冷静になったところで次々に湧いてくる最悪な想像にまた気分が悪くなってくる卯月だったが、その思考はピーン!と響いた甲高い金属の音にかき消された。
コインを指ではじくような音だ。
なんでそんなことをしたのかは分からないが、そこに行けば人はいる。
いい加減心細かった卯月に、もしかしたら自分と同じ境遇の人間がいるかもしれないという希望が差し込んだ。
勿論さっきの嫌な想像で思い浮かべたような怖い人がそこに居たらどうしようとか思わなかったわけではないが、自分と同じ境遇の人間を欲する心がその恐怖に勝った。
森はかなり広い。
具体的にはアメリカのパークレンジャーがいる様な公園の中でも大きい方ぐらいの広さあるようだ。
どうにか道を見つけて広場のように開けている場所に出ると、卯月から見て丁度反対側の木の下に一人の、卯月や初音と同い年ぐらいの少女がいた。

「……」

女の卯月から見ても魅力的で、他の同じプロダクションのアイドルたちと比べても見劣りしないほどの美人だ。
赤い学生服に包まれた肢体は出るところはしっかり出て引っ込むところはしっかり引っ込んだ理想的なスタイル。
夜風に緩くなびく桜色の髪が白い肌に映えて、細められた青い目は手にした赤いメダル(先ほどの音はこれを弾いたのだろう)を指先程の距離も分からない深淵を見通そうとするように鋭い。
顔立ちも整っていてミステリアスな雰囲気と合わせて一種の芸術の様だ。

「……ん?」

「ッ!」

じっと見ていたからか、卯月に気付いた彼女は手にしたメダルを上着のポケットにしまうと、変わってマゼンタの何か四角い物を取り出しこちらに近づいてくる。

「あ、あのえっと、私……」

「怯えなくていい。俺は誰も殺すつもりはない」

声質自体は明るさがあるが、落ち着いた感じはなんだかミスマッチな気がする。
いや、どちらかと言うと雰囲気と合ってないのは、中身のほうだろう。

「どうした?」

「あの、失礼かもしれないですけど、男の人ですか?」

そう言われて彼女(?)は一瞬キョトンとした顔になったが

「ああ。俺の元の性別は男だ。今のこの体は一ノ瀬帆波というらしい。
そう言う君も似たようなものだろう?君はどうやら女性の様だが」

そう言われて卯月は、この超常現象に翻弄されているのは自分だけではないことを確信して、ちょっと不謹慎な安堵を覚えた。

「はい。島村卯月っていいます。
この体は、柏崎初音さんって人の物みたいです。えーっと」

「手塚海之。占い師だ」


46 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/22(土) 23:50:33 wSNxNL3A0
自己紹介を終えた二人はそこにいあった岩に腰掛け情報交換を始めた。
とは言え参加者名簿はまだアップロードなので主に自分と、不幸にも体を奪われた最も身近な他人の話になる。

「アイドルに超能力者に苦学生に仮面ライダー。
連中は随分とバラエティに富んだ殺し合いをご所望のようだな」

かつて経験した仮面ライダー同士の戦いにはあまり感じられなかった悪辣な趣向の様な物が見え隠れするこのバトルロワイヤルに手塚は眉をひそめた。

「にしても、見せてもらってもまだ信じられません。
鏡の向こうで変身して戦っていたなんて、男の子向けの特撮や、奈緒ちゃんの見ているアニメみたいなことが本当にあったなんて」

「大丈夫だ。俺も卯月の立場なら信じてない」

そう言って手塚は手にしたマゼンタに金色のエイのエンブレムの付いたカードケース、ライアのカードデッキを見つめる。
肉体は変わっても、まるで手塚の魂に紐づけされた運命の様に配られたこのデッキに頼もしさと同時に、不吉な運命を感じる。

「……手塚さんは、また戦いを止めるために戦うんですか?」

「ああ。今度こそ、前も出来ていなかったわけではないが、自分の目で運命が変わる瞬間を見届けたい」

そう言って手塚が立ち上がったのと、二人の前に彼が現れたのは同時だった。

「よう、随分楽しそうに話してるな?」

やや灰色っぽい髪の中年の男だ。
スポーツでもしているのか体格はよく、何か変わったところはなにか?と言われたらそれこそ先述の髪の色ぐらいしか目立つ物はない。
しかしその口元には、隠す気も無いのか下衆な笑みが浮かんでいる。

「……っ!」

卯月はほぼ反射で初音の身体を庇う様に抱きしめた。
彼女も一人の女性でアイドル、そう言った視線がどういう物かは嫌と言うほど知っている。
そんな卯月の反応を見て、手塚も男を睨むように見据える。

「なるほど。確かに殺し合いには浅倉やお前の様なカンフル剤が必要か」

そう言って手塚はてデッキを構え

「『吊られた男(ハングドマン)!』」

ようとするより、男の手鏡の中から現れたミイラ男のような異形が出現するのが早かった。
ミイラ男に腕を掴まれ、首を絞められる手塚。

「手塚さん!」

「ひっひっひっ!そんなイイ身体になっちまったのが運の尽きだな!」

そう言って勝ち誇る男にあわせて『吊られた男』と呼ばれたミイラの異形の指に力がこもる。

(あの男の契約モンスターのような物か!?)

そうは思うが、帆波の細腕ではデッキを持つ腕が自由にならず、反撃できない。
それに加えて『吊られた男』と呼ばれた異形は、向こうからは手塚を捕まえれているのに、こちら側からはどうしてか捉える事が出来ず、その体を自由な右手がすり抜ける。

「このままじゃ……」

『吊られた男』の使い手は、苦しみ藻掻く手塚を下衆な視線で嘗め回すのに夢中だ。
今なら卯月は、逃げるだけなら何とかなるかもしれない。
けど

(いやだ)

さっき戦いを止めたいと言った手塚の目は真剣だった。
ステージで輝くアイドルとはまた違った情熱がそこにあった。

(それを無視したら、私はアイドル失格です!)

どこまでも普通。
それが島村卯月の自他ともに認める評価である。
けどたった一点、それが当てはまらない物がある。
アイドルとしてもっと輝くこと、憧れのその先に行くことに対する意志の強さは確固たるものがある。

(初音さん、ちょっとだけ力、お借りします)

「うぅああああ!」

「!?」

「な、なんだと!?」

吊られた男を操る男の身体が重量気に逆らい浮き上がった。
柏崎初音の超能力の一つである浮遊の能力である。
能力発動の反動の眠気に襲われながらも、決定打にならなかったことに焦る卯月。
しかし手塚にとっては耳慣れた音と共に、男の持っている手鏡から、今度は巨大なマゼンタのエイが出現した。
手塚の持つカードデッキが鏡面に映ったことで契約モンスターのエビルダイバーは出てくることが出来たのだ。

「な、なにぃ!?俺の『吊られた男』と同じタイプのスタンドだと!?」

「—————ッ!」

エイ、エビルダイバーはバチバチと両鰭に電撃を纏わせ、『吊られた男』の本体に突進攻撃を仕掛けた。


47 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/22(土) 23:51:18 wSNxNL3A0
素早く転がって避ける『吊られた男』の本体だったが、その隙に一瞬緩んだ『吊られた男』から脱出した手塚はデッキを今度こそ構え、腰にVバックルを出現させる。

「変身!」

人差し指と中指を立てた右手を突き出すポーズを取り、デッキをバックルにセット。
幾重もの鏡像が重なり、一ノ瀬帆波の身体をアラビア風の仮面とマゼンタ色の鎧が包んだ。
手塚海之の戦う姿、仮面ライダーライアである。

「手塚さん!よかったぁ……」

「卯月!さっきは助かった。礼を言おう。
そして下がっていろ。俺が戦う」

そう言ってライアは左手に装備されたエビルダイバーを模した盾、エビルバイザーを打撃武器代わりに『吊られた男』に向かって行った。

「ちっ!厄介なってうわぁ!?」

『吊られた男』の本体、J・ガイルは内心では愚痴を吐き捨てながらも、冷静だった。
この体、朝霧次郎は毎週欠かさずゴルフをしているとあって筋力、体力はそれなりのものだ。
だが年齢的な衰えもあり、いつまでもエビルダイバーを避け続けるのは難しいだろう。
その上、『吊られた男』の操作も行うとなれば、耐久で不利なのはJ・ガイルだ。
エビルダイバーはそれを分かっているのか、いっそ憎悪さえ感じられる執拗さで『吊られた男』の本体へ攻撃を繰り返す。

(……おかしい。エビルダイバーはこんなに攻撃的だったか?
まさか、エビルダイバーにも誰か別の精神が入っているのか?)

手塚の想像通り、エビルダイバーの中身はミラーモンスターですらない。
白波千尋という、一ノ瀬帆波の学友にして、帆波に恋する少女の精神が入っている。
最初は人ならざる存在と化した自分に激しい戸惑いと抱いた千尋だったが、最愛の彼女が肉体だけとはいえ、危機に瀕しているとなれば、むしろ怪物になったのが幸いと言わんばかりに猛然と戦っている。
当然いつまでもやられるままのJ・ガイルではない

「使ってみるか」

J・ガイルは取り出した奇妙なベルトを腰に巻き、付属していたデータキーのスイッチを押す。

<HIT!>

それをベルトのスロットにセットし、キーを展開。

<Authorize!>

「変身!」

<Think-net rise! Crowding hopper!
An attack method using various group tactics.>

その姿は、厄災の化身たる蝗害の一角。
何もかもを喰らい尽くし、際限なく増殖する悪意の一片。
仮面ライダーアバドン、顕現。

「さーて、まずは!」

スペックだけなら一点もののドライバーで変身したライダーの基本フォームにも勝るアバドンのスペックと、スタンド使いの刺客として磨いた運動スキルで軽々とエビルダイバーをいなしたアバドンはハングドマンと戦うライア、ではなくその様子を見守っていた卯月に迫った。

「しまった!卯月!」

「ひっ!いや……」

「死ね!」

ベルトから取り外した武器、スラッシュアバドライザーを右手に卯月に斬りかかる。
こうも卯月に肉薄されると、エビルダイバーも下手に突っ込むわけにもいかない。
卯月も超能力で対抗しようとするが、やはり精密性、と言うより操作練度が足りないため、抵抗らしい抵抗は出来ない。
それでもアイドルとしてそれなりに運動している卯月は一回は避けることが出来たが、足をもつれさせて転んでしまった。

「死ねぇ!」

「あ……」

約11トンの威力のパンチを繰り出せる剛腕が刃を振り下ろす。
あと数秒で初音の頭が割れたザクロの様に炸裂させられる。

「させるか!」

<SWING VENT>

しかし寸前の所でどうにか吊られた男をすり抜けた手塚の鞭、エビルウィップがアバドンの腕を絡め取って止めた。
そのまま手塚はエビルウィップごとアバドンを投げ飛ばすと、卯月を抱えて呼び寄せたエビルダイバーに飛び乗り、空の彼方へ去っていく。

「ちっ!ついてねえぜ」

スラッシュアバドライザーで腕に絡まったエビルウィップを切り落としたアバドンは変身解除すると、さっさとその場を後にした。

【J・ガイル@ジョジョの奇妙な冒険Part3 スターダストクルセイダーズ】
[身体]:朝霧次郎@魔法少女サイト
[状態]: 正常。仮面ライダーアバドンに変身中
[装備]: スラッシュアバドンライザー@仮面ライダーゼロワン、クラウディングホッパープログライズキー@仮面ライダーゼロワン、
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:好きなように暴れる
1:今度で有ったらあの2人(手塚と卯月)は犯して殺す。
2:もしジョースター共が来ているのなら身体、精神を問わず必ず復讐する(特にポルナレフと花京院)
3:仮面ライダー、スゲェ力だ!
4:もしホルホースがいるなら合流したい。
5:もしDIO様もおられるなら……
[備考]
※特になし


48 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/22(土) 23:53:18 wSNxNL3A0
街の方を目指しながら、変身を解除した手塚は、能力発動の反動で眠ってしまった卯月にブレザーをかけると、再びメダル、支給品のウルトラマンアグルのウルトラメダルを弾いて占った。

(なんだろう、この未来につながるかどうかも危うい運命は……)

ライダーバトルとはまったく別種の不安を覚えながらも、手塚は覚悟を決めた。
今度こそ自らの眼で変えていく運命を見届けるために。




【島村卯月@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[身体]:柏崎初音@プリンセスコネクト!
[状態]:健康、睡眠中、疲労(中)、眠気(大)、ダメージ(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:絶対に死にたくない
1:ZZZ……
2:み、皆変身した……。
3:なんか浮けた、、浮かせた?
4:どうしてこんなに眠いんでしょう?
5:エイさんの背中あったかい……
[備考]
※初音の超能力はメリットもデメリットもそのままに使えるようです。

【手塚海之@仮面ライダー龍騎】
[身体]:一ノ瀬帆波@ようこそ実力至上主義の教室へ
[状態]:健康、疲労(小)、ダメージ(小)
[装備]:ライアのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1、ウルトラマンアグルウルトラメダル@ウルトラマンZ
[思考・状況]
基本方針:今度こそこの戦いを止める
1:なるべく無関係な少女の体に無理はさせたくないが、仕方ない。
2:卯月がちゃんと休めるところに行きたい
3:エビルダイバーはこんなに好戦的だったか?
[備考]
※死亡後からの参戦です。
その為、自分の肉体はもう死体になっていると考えています。

【白波千尋@ようこそ実力至上主義の教室へ】
[身体]:ライアのデッキ(に付属するエビルダイバー)@仮面ライダー龍騎
[状態]:卯月、手塚、マフティーを乗せて飛行中
[思考・状況]
基本方針:一ノ瀬帆波の身体を守り通す。
1:こんな姿になっちゃったのがショックではあるけど、絶対に帆波ちゃんの身体を守りたい。
2:もしこの人(手塚)や他の人が帆波ちゃんの身体に変な事したら許さない。


49 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/22(土) 23:53:52 wSNxNL3A0
投下終了です。
タイトルは『指で弾くメダルが空に舞う』です。


50 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 00:13:19 EWmSnMRw0
皆さん投下ありがとうございます。
感想を書かせてもらいます。
なおあらかじめ記しておきますが、場合によっては元作品を未把握のまま書くことにより的外れな感想になる可能性もあります。
そのことをどうかご了承願います。


>人魚姫は浮かばれない
いきなり自分がチュートリアルで登場させたキャラの関連キャラが身体側で出てくるとは思わなかった。
他人のものなのに『私』と表現するしかないの、このコンセプトならではの悲しみですかね。

>お兄ちゃんはおしまい!
THE・タイトル通り。せっかく一応肉体は男に戻れたのに、早々に退場するのは虚しいですね。
しかもよりにもよって巌勝と縁壱の姿で殺し殺されの関係になるなんて。
お労しや兄上…

>キターン!東方仗助究極体爆誕!
(他の候補作のことを言及するのは大丈夫なのかは分かりませんが)キタちゃんが身体側で出た話との温度差で笑ってしまいました。

>LOVESUN&LOVEMOON
凹様、確かに言われてみれば頭の形が三日月みたいに見えなくもない。
何と言うか、二人が今の身体で例の実質セッ〇スアタックをやり始めたらと思うと、何とも言えない気持ちになりそう。

>指で弾くメダルが空に舞う
早速ミラモンボディが出て来ましたか。設定したルールが使われるのは嬉しいことです。
Jガイルはミラモンの特徴をハングドマンと同じタイプと言ってますが、どちらかと言えばマン・イン・ザ・ミラーの方が近い気がします。
本人がそんなスタンドがあることを知らないからしょうがないですが。


51 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 00:14:28 EWmSnMRw0
念のため追記しておきたいことですが、ロワでは意思持ち支給品として登場することが多いキャラや、多重人格キャラの副人格に相当するキャラを、身体の主人格に当てはめて参加者とすることもこのロワでは可能となります。
このことはまとめwikiのルール欄の方にも記入しておきます。


それと、これから2つ作品を投下します。
まずは1つ目から始めます。


52 : 花のカースガノン ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 00:16:31 EWmSnMRw0
ハイラルという王国に、オコバという女性がいた。
彼女は、花がとても好きな人物だった。
歴史的にも重要そうで、何か役割がありそうな祠の周りに、勝手に花畑を作ってしまうほどに。
そして、その花を何度も踏みつけるような人は、絶対に許さないほどに。
それ故に、祠に用事のある"英傑"とは、トラブルを起こすこともあった。



そんな彼女は今、この殺し合いの舞台にいた。
そして、とても大きな恐怖を感じさせられることになった。

殺し合いに巻き込まれたから…と言うと、少し違うかもしれない。
最初の説明でいきなり知らない女に殺し合えと言われた時は夢の中にいるようで、現実であるという感覚が無かった。
状況をいまいち理解しきれなかった。

また、後で現れた子供に関しては、被っていた仮面に見覚えがあるようなないような気がした。
その仮面を見た時、何故だか怒りの感情を少し抱いた。
おそらくは、過去にオコバの花畑を踏んだ人物の中に同じ仮面を被っていた者がいたのかもしれない。

明確に恐怖を感じ始めたのは、空を見た時だ。
彼女もまた、夜空に浮かぶ人面月を見た。
これこそが、先ほど夢の中で女が説明した三日後に落ちてくる月であることを察した。
元から魔物が存在する世界に住んでいた彼女は、あの恐ろしい顔の月が落ちてくるというのは本当のことなのではと感じた。


しかし、彼女に本当の意味で大いなる恐怖を与えたのは、その月というわけではなかった。

目が覚めてからしばらくして、意識がはっきりしてきた彼女は、まず自分の体躯が本来のものよりも大きいものであることに気付く。
自分の右腕を見てみると、肌は白く、黒い線が入っていることに気付く。
ちなみに、左腕の方は何故か布に覆われていた。

オコバは恐る恐る、近くにあった自分のデイパックに手を伸ばし、中を探って手鏡を取り出す。
鏡を覗き込み、今の自分の顔を確認する。


『きゃあああぁーっ!!?』

そこに映ったのは、両目があるはずの部分から木の枝が飛び出たかのような容姿をした、怪物の姿だった。

今のオコバは、人が森を畏怖する感情から生まれた特級呪霊、花御の姿をしていた。

『何よこれぇ!?』

オコバが恐怖したのは、今の自分の姿であった。

彼女は、魔物に対しては普通に恐怖を抱く。
それこそ、逃げるために大切にしているはずの花畑を自分で踏みつけてしまうほどに。 ※なお、通常プレイではその姿を見ることはできない。

そんな怪物に、彼女自身がなってしまっていた。
その事実を、受け入れられなかった。
直接的な音ではなく、無意識のテレパシーのような形ではあったが、彼女は悲鳴を上げた。

どれだけ嘆いても現状は変わらない。
けれども彼女は、この場ではただただ混乱し、恐怖することしかできなかった。
オコバは手鏡を放り投げ、どこに向かうのかも考えないまま逃げるよう駆けだした。


はたしてこれは、自分勝手な理屈で人を傷つけるようなことをしていた彼女に対する、呪いだろうか。


【オコバ@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド】
[身体]:花御@呪術廻戦
[状態]:恐怖、混乱
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:現状を受け入れられない
1:何で私がこんな目に…私はただ、お花が大好きなだけなのに!
[備考]
※手鏡を失いました。


53 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 00:17:08 EWmSnMRw0
1つ目の投下終了です。
2つ目の投下をします。


54 : 世界はワシの思い通り^ ^ ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 00:17:51 EWmSnMRw0
ロコンという種のポケモンがいる。
分類はきつねポケモン。
タイプはほのお、アローラのすがたの場合はこおり。
平均的な高さは0.6m、重さは9.9kg。
赤みがかかった茶色の毛並みと、6つに分かれた尻尾が特徴的だ。
可愛らしい容姿から人間からも人気はあるポケモンだ。

しかし、ここにいるロコンは…ゲス。



不適な笑みを浮かべている男が一人いた。
男の腰には特殊な形状をしたベルトが巻かれている。
そのベルトの名はデザイアドライバー、本来はデザイアグランプリという催しの参加者が使用するベルトだ。

このデザイアドライバーを装着している男の本来の名は浮世英寿。
デザイアグランプリにおいて不敗伝説を作り上げている男だ。
しかし、今の彼の中身は…

「とてもキケンなわたしはまろうこん。よろしくね!」

まろうこんだと!よろしくね。

「……………。(おかねもちになりたい!……。)」

彼女は、欲まみれだった。

「セカイは…ワシのものだ!」

そんなまろうこんの行動方針は至極単純、殺し合いに優勝して自分の欲しいものを全て手に入れることだ。
あとついでに、自分に支給されたアイテムとかも持ち帰って、全部売っ払おうとか考えている。

「う〜ん…ちが みたい」

闘争本能も極限まで研ぎ澄まされていた。

「みんなこらしめてあげる。それにジュプトルも!」

えっ!?オレ!?



ちなみに、状況が状況なので当然のことではあるが、今のまろうこんはバケ…ポケモンとしての技は使えない。
お得意の"ときのほうこう"もそうだ。

その代わりとなるメインウェポンは、彼女への支給品の一つであるマグナムバックルを腰のデザイアドライバーにセットして召喚される。
それの名はマグナムシューター40X、銃だ。
彼女得意の『じゅうじゅうにくコース』ならぬ、『銃銃にくコース』というわけだ。

……さむいよお。

【まろうこん@バケモン混沌のダンジョン 罵愚の探検隊】
[身体]:浮世英寿@仮面ライダーギーツ
[状態]:健康
[装備]:ギーツのIDコア&デザイアドライバー@仮面ライダーギーツ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、マグナムバックル@仮面ライダーギーツ
[思考・状況]基本方針:みんな きえてもらいます(優勝狙い)
1:エーンテイ
2:たからっていうのはな、じぶんのものにならなきゃ、いみがねえんだよ
3:スペシャルエピソード"てんさいまろうこん"があそべるようになった!
4:すべて、ダークライのしわざです
[備考]

※ギーツのIDコアは、元の使用者である浮世英寿の身体でないと使用不可なものとします。


【ギーツのIDコア&デザイアドライバー@仮面ライダーギーツ】
デザイアグランプリ参加者の個人識別符号端末のギーツ用のIDコアとそれを使用するための変身ベルト。
IDコアをデザイアドライバーにセットすることで仮面ライダーギーツへの変身を可能とする。
IDコアは本人専用だが、デザイアドライバーだけなら誰でも使用可能である。

【マグナムバックル@仮面ライダーギーツ】
レイズバックルの一種で。
デザイアドライバーにセットして使用することで、仮面ライダーにマグナムフォーム装備を実装する。
マグナムフォームになると、拡張武装である「マグナムシューター40X」を召喚可能になる。


55 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 00:18:07 EWmSnMRw0
投下終了です。


56 : ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:21:50 VgcMDxTQ0
投下します


57 : 手を伸ばしても/手を振り払っても ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:23:02 VgcMDxTQ0
『それなら一緒に強くなろう。一人じゃ難しくても、一緒ならできるよ』


焼かれる


『つらくても誰かがいてくれたら…きっとどんな不安にも押し潰されない』


あなたの優しさが


『私たち魔法少女は、希望を…望みを力に変えられるんだよ?』


あなたの正しさが


『私と一緒に魔法少女になろう!』


灰も残らないくらいに、私を焼き潰す


58 : 手を伸ばしても/手を振り払っても ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:23:51 VgcMDxTQ0



ああ夢じゃ無いんだ。
頭上を見上げ、真っ先に思ったのがそれ。
月が私を見下ろしている。
言葉にすればロマンチックというか、そういう小説で使われそうなフレーズ。
現実にはそんな良いものじゃないんだけど。

恐ろしい形相が浮かんだ月が、私を睨みつけていた。
正確に言うと私一人じゃなくて、私達全員を。

殺し合い、別人の体、月の落下。
流行りのゲームとか漫画の設定でありそうなそれらは全部、現実として私の身に降りかかっている。
趣味が悪いなとか、そう思いはしても不思議と恐いとは感じない。
私も普通の人間とは程遠い存在だからか。

それとも、既に死というものを経験しているから。

ハッキリと自分が死んだのを理解したとかじゃない。
最後に覚えているのは、ショックを受けた“彼女”の顔。
悪いことをしたと思ってる。
私がやったのは本気で助けようとしてくれた“彼女”を裏切るにも等しい行為。
一人だけ勝手に逃げて、挙句の果てに後の始末を押し付けてしまったようなもの。

最低のことだと理解しても、相手を傷付けると分かっても。
それでも私は逃げたかった。
結局は逃げ切れず、何故かこうして生き返っているのだけれど。
他人の体、それも殺し合いの参加者と言う嬉しくないおまけ付きで。

「うわっ…」

リュックサックから手鏡を取り出し、自分の顔を確認する。
思わず引いた声が出たのも、仕方のないことだと思う。
映っていたのは、当たり前だけど別人の顔。
それも、人の顔じゃあなかった。


59 : 手を伸ばしても/手を振り払っても ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:24:51 VgcMDxTQ0
ギョロリとした、六つの目。
それも人間や動物のとは明らかに違う、ギラギラした不気味な目だ。
時代錯誤な着物を着ているだとか、性別まで変わっているだとかは、この体の容姿に比べたら些細な問題な気さえする。

「私…人前に出れるのかな…?」

体の持ち主には失礼だけど、この顔では誰であっても恐がらせてしまいそうだ。
まさかとは思うけど、顔のせいでいきなり攻撃される、とかは無い筈。
無いと言い切れないのが非常に困る。

手鏡をリュックに戻して、今度はタブレットを取り出した。
確か殺し合いの決まりが記されたとか何とか言っていたので、一応見ておく。
…実際、私は誰かを殺すとかやりたくない。
というより、どうすればいいかが分からない。
基本的なことを決められない現状から目を逸らす為と自覚しつつ、タブレット端末を起動。
画面に表示された、体のプロフィールとやらに目を通した。

「鬼…」

読んで分かったのだけれど、この体の持ち主は悪い人、じゃなくて悪い鬼のようだ。
人を沢山殺し、食べて来た。
自分が所属していた組織を裏切り、リーダーの首を手土産に鬼にしてもらった。
裏切り云々に関しては私もとやかく言える立場じゃないけど、ここまで酷くはない。
それに奥さんと小さい子供を捨てたのも、正直どうかと思う。
何というか、控えめに言ってもヤバいという印象の拭えない男の人だ。人じゃないけど。

「……」

それでも何でだろうか。
嫌悪とか、そういうのはあんまり無くて。
どちらかと言うと、共感のような感情を抱いている自分に驚いた。
彼が鬼になった理由、彼を狂わせた存在。
双子の弟への嫉妬、それが何となく分かる気がするからだろうか。
プロフィールを読む限り、弟さんは物凄く強いくて正しさを持ち合わせているらしい。
自分には無いものを持つ弟さんへの妬みで、彼は道を踏み外した。


60 : 手を伸ばしても/手を振り払っても ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:25:43 VgcMDxTQ0
彼にとっての弟とは、私にとっての“彼女”のようなものだと思う。

嫉妬を向けた事は一度もない。
優しい人だなと思った、手を握ってもらえて嬉しかった、助けになりたいと思った。
太陽みたいにあったかい、“彼女”の近くにいられたらと願ったのは本当のこと。

でも“彼女は”、眩し過ぎた。
優しさも正しさも強さも、私が持っていない全てを兼ね備えていて。

優しくされれば、自分の浅ましさを自覚した。
正しい言葉を掛けられれば、自分の間違いを突き付けられた。
強い“彼女”は弱い私を炙り出し、惨めな気持ちになるばかり。

私にとって、環いろはという少女は猛毒にも等しい太陽だった。

無論、環さんを恨む気持ちなど微塵も無い。
全部私が弱かったからであって、環さんは何も悪くない。
今だって、環さんには申し訳ない思いばかりが募り出す。

だけど、逃げる事を選んだのは間違いなく本心からだ。
正しさに救われて、魔法少女を続ける。
この先も環さんや、環さんを大切に想っている七海さん達と一緒に、魔法少女の運命に抗う。
私には無理だ。
助けられてまだ魔法少女でいなきゃならないなら、助からなくて良い。
弱いままで終わった方が、私にはずっと救いになる。

そうやって逃げた先が殺し合いなのだから、ある意味私には相応しいのかもしれない。

「私は……」

空を見上げて月と視線を合わせても、何も言わない。
どうするべきかを教えてはくれない。

私の手を引いてくれた太陽は見当たらず、月が黙って見下ろしていた。


【黒江@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[身体]:黒死牟@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする気は無いけど…。
1:どうすれば良いんだろう……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。


61 : ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:26:35 VgcMDxTQ0
もう一作投下します


62 : 邪・龍・降・臨 ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:29:34 VgcMDxTQ0
絶望。
彼の心情を一言で表すならば、それ以外にない。

いきなり体を自分じゃない者に変えられたりだとか、殺し合いをしろと命令され当初は困惑した。
次に考えたのは、この状況はまたとないチャンスではないかというもの。
何故なら彼は一度死んだ身。
見下している人間、それも粗末な装備の冒険者如きの手で殺された。
思い出すだけでも臓腑が捩じ切れんばかりの怒りが湧き出す最期は、決して夢などではない。
しかし方法は不明だが生き返っている。
きっとこれは自分が特別な存在だから、知能の低い同胞たちとは違うからだと傲慢さを隠さずに確信。

最後に感じたのは苛立ち。
そのような特別な存在である自分が、どうして命令されなければならない。
自分は王者(ロード)、命令を下す側であってされる側なんかじゃあないのに。
何を勘違いしたか、あの紅白髪の女と仮面の子供は自分を駒のように扱おうとしているではないか。
許せない、断じて許してはおけない。
子供の方は骨の一本も残さず喰らい、女の方は孕み袋として使ってやる。
言動は小賢しいが顔と体に不満は無い、あれなら子を産む道具としても玩具としても最適だ。

鞄を漁り中の道具を確認し、使い方も理解した。
彼は他の同胞を見下すだけあって、知能も非常に高い。
支給された道具は複数のモンスターを使役し、特殊な鎧を纏う効果を持つ。
正しく王者たる自分に相応しい道具。
頭の悪そうな人間の雄の体なのは不満だが、この道具は満足がいく
馬鹿な同胞や人間どもではなく己の手にこれが渡ったのは当然だと、得意気に笑った。


63 : 邪・龍・降・臨 ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:30:15 VgcMDxTQ0
その直後だ、彼が一気に絶望へ叩き落とされたのは。

「ヒッ…ヒィ……」

起きた事を説明すれば、別の参加者に襲われたで片付く。
呼び出したモンスターが一瞬で殲滅に追いやられ、彼自身も重傷を負った。
そう付け加える必要があるが。

腰を抜かし、全身を苛む痛みに顔を引き攣らせる彼からは最早余裕などどこにも見当たらない。
どうしてこうなった、何故こんな事になっている。
自分がこんな風になるのはおかしい、きっと何かが間違っている。
そうやって現実から目を背けたとて、これから起こる事態は変えられない。
嫌だ嫌だと言わんばかりに首を横に振る彼の耳へ、悪夢の声が届けられた。

『Ready Go!』

襲撃者の腰巻きから鳴り響く威勢の良い声。
同時に周囲一帯を焼き尽くさんばかりの炎が生み出され、力として一点に集中。
跳躍し右足を突き出した襲撃者の姿が、彼には自分を喰らい殺そうと迫る巨龍に見えた。

―どうして…

自分は生き残るべき存在なのに。
自分は王者なのに。
何度問い掛けても、返って来るのは言葉じゃ無く圧倒的な暴力。
理不尽に零した雫が瞬く間に乾く程の灼熱が彼を飲み込んだ。

――こんなはずじゃなかったのに……


【ゴブリンロード@ゴブリンスレイヤー(身体:佐野満@仮面ライダー龍騎) 死亡】


64 : 邪・龍・降・臨 ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:31:16 VgcMDxTQ0



「あァ…つまらねぇな」

青いジャケットを着た茶髪の青年。
剣を担いだ彼の口から出たのは、今しがたの戦闘の感想。
否、誰が見てもあれを戦闘とは言えまい。
相手の必死な抵抗も青年からしたらお遊戯以下、準備運動にすらならない。
それ程までに、両者の間には絶望的とも言える戦力差があった。

人を殺して言うべきとは到底思えない言葉。
だがそれも当然だろう。
何故なら彼は破壊者。
生物の住まう星々へ侵略し、塵一つ残さずに宇宙から消し去る星狩りの一族。
特に彼は一族の中で最も苛烈極まりない男。
同胞のみならず、実の弟にすら危険視された王なのだから。

そのような男だからこそ、殺し合いに乗るのだって何の躊躇も無かった。
但し彼の場合、優勝して願いを叶えるのでも、元の体に戻りたいからでもない。
最初に参加者が集められた場で、制限時間を過ぎれば月が落ちると知りこう思ったのだ。

「何てスケールが小さくつまらないのだろう」と。

月を落とせるだけの力を持ちながら、たかだか数十人しか滅ぼさないとは。
これでは興醒めもいいところである。

「なら俺が教えてやらなくっちゃなァ。本当に盛り上がる、最っ高の破壊ってやつを」

まだ見ぬ参加者も、殺し合いを仕組んだ運営陣も。
何より未だ破壊を逃れている全宇宙の生命全てを。
生前は叶わなかった、宇宙全土を巻き込んだ完全なる滅びを実現させるのだ。

ああしかし、その中でも優先して滅ぼしてやりたい奴らがいる。

「万丈龍ゥウウウウウウウウウウウ我ァアアアアアアアアアッ!!!さっさと止めに来い!でなきゃ俺はこのまま好きにやらせてもらうからなァ!それからお前もいるなら早く会いに来いよ!なァ、エボルトォオオオオオオオオッ!!!!!」

自身を滅びした地球人と弟へ向けて、地球外生命体のキルバスは狂気の笑みを浮かべた。


65 : 邪・龍・降・臨 ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:32:05 VgcMDxTQ0
【キルバス@仮面ライダービルド】
[身体]:万丈龍我@仮面ライダービルド
[状態]:健康
[装備]:ビルドドライバー+グレートクローズドラゴン+グレートドラゴンエボルボトル@仮面ライダービルド、ビートクローザー@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品×0〜3
[思考・状況]
基本方針:参加者も主催者も全て滅ぼす。
1:地球の仮面ライダーどもがいるなら優先して殺す。
2:万丈龍我とエボルトが参加していれば必ず殺す。
[備考]
※参戦時期はVシネマ『ビルドNEW WORLD 仮面ライダークローズ』で死亡後。
※グレートクローズへの変身ツール一式はセットで一つの支給品扱いとなっています。

※ゴブリンロードに支給されたインペラーのデッキ@仮面ライダー龍騎は破壊されました。
 ミラーモンスターのゼール軍団も全滅しました。

【ビルドドライバー@仮面ライダービルド】
仮面ライダービルドやクローズの変身に使うベルト。
葛城忍が設計を行い、その息子の葛城巧がシステムを完成させた。

【グレートクローズドラゴン@仮面ライダービルド】
桐生戦兎が開発したドラゴン型の自立飛行ユニット。
口から火炎を吐き変身者を支援する。
グレートドラゴンエボルボトルの成分によりカラーリングや機能が変化した。
今ロワでは支給された者に従うよう細工が施されている。

【グレートドラゴンエボルボトル@仮面ライダービルド】
元は仮面ライダーエボルの変身に用いたボトルが、万丈龍我の強い想いを受けて変質したもの。
上記のアイテム二つと併用する事で仮面ライダーグレートクローズに変身できる。

【ビートクローザー@仮面ライダービルド】
桐生戦兎が仮面ライダークローズ用に開発した剣型の武器。
刃にドラゴンフルボトルの成分が溶かし込まれており、刀身が高熱になるとより切れ味を増す。
フルボトルを装填し、成分に応じた技を使用可能。

【インペラーのデッキ@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダーインペラーに変身するカードデッキ。
レイヨウ型モンスターのギガゼールと契約している。
ギガゼールは集団で行動する習性を持ち、他のゼール系モンスターと意思疎通する能力を有している。
その為インペラーはゼール系モンスターを種族ごと支配下に置いている。


66 : ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 00:32:34 VgcMDxTQ0
投下終了です


67 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 00:48:09 EWmSnMRw0
すみません、せっかく投下してくださったところ何ですが、少しだけ話したいことがあります。
詳しいことは専用したらばで新たに作ったシン用の議論スレに書き込みましたので、詳しくはそちらをご確認お願い致します。


68 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 01:18:05 EWmSnMRw0
ルールについて再び少し追記します。
登場候補作での死亡者の人数は4人までとしていますが、これは生存者と同じく意思持ち支給品や副人格も含めてのこととします。


69 : ◆ytUSxp038U :2023/04/23(日) 01:31:25 VgcMDxTQ0
したらばで修正を行いましたので、確認をお願い致します。


70 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 01:41:59 EWmSnMRw0
SS仮投下スレの内容を確認しました。
まとめwikiには修正後の内容で収録させていただきます。


71 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/04/23(日) 02:12:47 xD99ZmQE0
投下します


72 : 現代はさながら戦国 ◆IOg1FjsOH2 :2023/04/23(日) 02:13:39 xD99ZmQE0
「ふむふむ♪中々、面白いことになってるじゃあないか」

鼻歌混じりにタブレットを操作している、黒と紫を基調とした衣装を着た獣人の少女がいた。
突如、殺し合いの場に巻き込まれたにも関わらず猫耳はピコピコと、尻尾はクネクネと動いてる上機嫌ぶりである。
現在『キャル』と呼ばれる少女の姿になっているのは天才科学者である戦極凌馬であった。

彼はロード・バロンと化した駆紋戒斗と戦い、命を落としたが今こうして別人の肉体を得て生きている。
それなら、今やるべきことは既に決まっている。
この殺し合いで生き残り、新たな研究の糧に利用させてもらうまでだ。

「彼らの持つ力は非常に興味深い、是非とも手に入れたいところだ」

これだけの大掛かりなゲームを引き起こせるのだ。
主催者である魘夢達の持つ力を利用すればオーバーロードを超える強さを得るのも夢では無いだろう。

「……まぁ、まずは生き残ることが先決だけどね」

今は殺し合いの場に置かれている参加者の一人でしかないのは事実。
自衛する手段が無ければ一方的に殺害されるのみである。
そう考えながら凌馬が視線を前に向けた瞬間だった。

「ニャアアアアアッ!!」
「おやぁ?」

緑色をした見たことも無い品種の猫がこちらに向かって鳴いていた。
まるで何かを訴えかけるかのように必死な顔で鳴き続ける。

「ニャアン!ニャン!ニャン!ニャアアアン!」
「悪いけど猫語はさっぱりなんだ……お、そういえば」

リュックサックの中に手を伸ばした凌馬は支給品の一つであるヘッドホンを取り出す。
それを自らの頭に装着し、足元にいる猫の声に耳を傾けた、すると。


73 : 現代はさながら戦国 ◆IOg1FjsOH2 :2023/04/23(日) 02:14:39 xD99ZmQE0
『それ私のかーらーだー!!返しなさいよー!!』
「なるほどねぇ〜」

話しかけてきた猫は参加者の一人であり
その人格は現在の凌馬の身体になっているキャルだった。



状況を整理するために一人と一匹は軽い自己紹介を済ませた。
キャルのいたランドソルの世界の話もことごとく初耳ばかりの情報であり
凌馬にとってますます知的好奇心が刺激されていった。

一般人には夢物語の話かと思われがちな内容だが
彼は既にヘルヘイムという他の星の存在をその身で体験しており
それも一つの現実として容易く受け入れることができた。

「ではこうしようじゃないかキャルくん、私達で手を組み、共に脱出を目指そうじゃないか。
 そうすればきっと元の肉体に戻れる方法も見つかるはずだ」
『いいわ。協力するわよ。だけど私の大事な身体なんだから傷つけないでよね!』
「もちろん、私も痛い思いはしたくないからね、それじゃあ……」

キャル共闘を結んだ凌馬はキャルのリュックサックへと手を伸ばす。

『ちょっとアンタ何してるのよ!』
「使えそうな道具を探しているのさ。君もそんな身体じゃ扱えないだろう?」

猫の身体ではリュックサックを開けることさえ出来ない。
それなら共闘相手である凌馬が有効活用した方が効率的というもの。

「おやおや……フフフ、まさかこんなところにあるとはねぇ」
『どうしたのよ?何が入ってたの?』

リュックサックから凌馬が取り出したのは、ある変身ベルトと錠前だった。
その名はゲネシスドライバーとレモンロックシード。
彼が愛用していたライダー、仮面ライダーデュークへと変身するアイテムである。
キャルと手を組んだことで、凌馬は意図せずして自分の変身道具を取り戻せたのだった。

「君には感謝しているよ。これで自衛の心配は無くなった」
『そんな玩具みたいな道具を使ってどう戦うのよ?』
「そうだねぇ。お礼に見せてあげよう。私の叡智が産んだ力を、変身!」

凌馬はゲネシスドライバーを装着するとポーズを取り
レモンロックシードを起動させた。

『レモンエナジー!ロックオン!ソーダァ』
『ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイト!』

すると上空からジッバーが出現し、凌馬の頭上からレモンの形をした物質が変形しながら落下すると
彼の肉体に覆いかぶさり仮面ライダーデュークの姿へと変わった。

『ど、どうなってるの?』
「音声も私が考えたんだ。かっこいいだろう?」

驚くキャルを他所に凌馬はドヤ顔でデュークの姿を見せつけていた。
あらゆる世界から集結された参加者達による群雄割拠の殺し合い。
まるで戦国のような状況の中、戦極凌馬の野心のの炎は再び燃え盛るのだった。


74 : 現代はさながら戦国 ◆IOg1FjsOH2 :2023/04/23(日) 02:15:02 xD99ZmQE0
【戦極凌馬@仮面ライダー鎧武】
[身体]:キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive
[状態]:健康
[装備]:ゲネシスドライバー+レモンロックシード
[道具]:基本支給品、動物語ヘッドホン@ドラえもん、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:脱出して主催者の力を手に入れる。
1:生存優先、手段は問わない。
2:キャルと共に行動する。
[備考]
仮面ライダー鎧武43話、死亡後からの参戦です。

【キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive】
[身体]:ニャオハ@ポケットモンスター(アニメ)
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:脱出して元の身体を取り戻す。
1:戦極凌馬と共に行動する。
2:殺し合いなんて乗りたくない……。
[備考]
参戦時期は後続の書き手にお任せします。

支給品紹介
【動物語ヘッドホン@ドラえもん】
このヘッドホンを付けて動物の声を聞くと言葉が分かるようになる。

【ゲネシスドライバー+レモンロックシード@仮面ライダー鎧武】
装着して変身することで仮面ライダーデュークへと変身することが出来る。


75 : 名無しさん :2023/04/23(日) 02:15:17 xD99ZmQE0
投下終了です


76 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 02:22:13 wlwYdW2U0
投下します、支給品の説明をエトラロワ候補作から流用しています


77 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 02:23:40 wlwYdW2U0
『戦いに勝てばまだ、優衣を救う事ができるんだぞ…!?』
『…もうお前には騙されない!優衣ちゃんは、そんな事望んでないんだ…!他人の命なんていらないんだよ!
それが…優衣ちゃんの選択なんだ…!』
『……ふん。馬鹿め……』

ーーーー

「…顔のある珍妙な天体。あれが奴らの言っていた『月』か」

タブレット内にあった身体の持ち主のプロフィールファイルを見終えて、支給品を確認し、手鏡で自らの姿を確認した後、空に浮かんだ顔のある月を目視した茶髪の幼い少女ーーの肉体を与えられた男はそう呟く。
男の名は「鏡像の」城戸真司。またの名をリュウガと言う。

(…確かに俺は奴に…「本物の」城戸真司に負けた筈だ。だがどういう訳かこうして身体を与えられている…。最も…この女も幻のようだがな。何故存在を保ててるのかは分からんが…鏡の中の幻に過ぎない俺がミラーワールドでは存在を保てるように、この会場では存在を保てるようになっている…?)

鏡像の真司に与えられた肉体の名はゼーラ。「本物の」彼女が死んだ事実を受け入れられなかった魔導士メイビスが、類稀なる才能を無意識の内に行使して魔力により作り上げた、「自我を持つ偽物の幻」。

(……奴らが、魘夢達がどういうつもりで俺を蘇らせこの殺し合いに巻き込んだかは知らないが…俺のやるべき事は変わらない。
俺は……今度こそ本物の城戸真司の肉体と融合し、最強のライダーとして現実への存在を確定させる)

本物の城戸真司とは違い寡黙で冷酷、容赦という物をしない彼は何の躊躇いも無く、優勝への道を選ぶ。
鏡の中の幻でしかない自らを今度こそ…現実の存在へとする為に。

(…この女の身体が、元の身体よりはマシだが不安定な以上は…本物の城戸真司の身体がこの女のように巻き込まれていた場合、肉体の奪取法を考えた方がいいだろう。
プロフィール内に書かれていた情報からするに、この身体は魔力とやらで構成された不安定な幻。炎の魔法を使用可能とも書かれていたが…使う程に活動限界が近付く可能性もある以上、魔法とやらといい、この日本刀といい…多用は出来ないか)

鏡像の真司は、バッグの中にある、支給されていた日本刀…烈風丸を一瞥後考える。

(魔法力とやらと魔力とやらが同一かは分からんが…念の為にも、いざという時まで温存すべきだろうな)
「…それまでは、この2つを主に使うとするか」

そう鏡像の真司は、バッグの中にあるコートを見据えた後、手元に持った時計型のアイテムに視線を移す。
高性能のステルスを搭載したコートと、使用する事で自らを仮面ライダー龍騎…に似て非なる怪物へと変身させるウォッチ…当面はこれらを使用する事と彼は定めた。

(最も、説明文が正しければだが…ステルス機能の方は暫く使うと一定時間使えなくなる上に、攻撃時には自動的に解除されるらしいコートの方は過信は出来なさそうだ)
「…とりあえずは、名簿や地図の追加を待つか。もし俺のように奴も…「本物の」城戸真司も巻き込まれているようならば……」

その時は本物の城戸真司のフリをして悪評をばら撒いてやろうと思いつつ、追加されるまでのひとまずの方針を、鏡像の真司はそう決めた。

(あの月が落ちるまでの猶予は今から3日後まで…リミットはあのライダーバトルと同じか。…何にせよ、ある程度は慎重に動くべきだろう。場合によっては…本物のように殺し合いに乗らないフリをする必要も有るかも知れない。
兎に角…殺せる相手から殺して行くべきだ。
そして優勝を果たして俺は……優衣を───いや、奴を救うにしろ、まずは俺自身の存在を確定させねば)

そこまで考えた後、鏡像の真司は思考を止めて周辺を警戒し出す。

こうして、魔力により出来ている幻の少女の身体に入れられた…鏡の中の幻の青年の精神の戦いが今、再び始まった。


78 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 02:24:01 wlwYdW2U0
【鏡像の城戸真司@劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL】
[身体]:ゼーラ@FAIRY TAIL ZERØ
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、アナザー龍騎ウォッチ@RIDER TIME 仮面ライダー龍騎、ミラーズコート@セブンスドラゴンシリーズ、烈風丸@ストライクウィッチーズ2
[思考・状況]基本方針:優勝する
0:名簿と地図が来るまで待ちつつ、周辺を警戒。
1:ある程度は慎重に立ち回る。
2:炎魔法と烈風丸の使用は控えた方がいいか。
3:ミラーズコートのステルス機能は過信しない。
4:本物の城戸真司の肉体が巻き込まれてた場合は、肉体の乗り換えなどが可能か模索する。
5:本物の城戸真司自身が巻き込まれていた場合は、本物のフリをし悪評をばら撒くか、或いは殺し合いに乗ってないフリをするか…。
6:俺と同じ幻に過ぎないこの女が存在を保てるのは…?
7:…優勝すれば優衣を救う事も出来るだろうか…いや、可能だとしてもまずは俺自身の存在を確立させるべきだ。
[備考]
※死亡後からの参戦です。
※ゼーラの肉体は主催の手により、術者であるメイビス以外の他者からも視認・接触が可能となっています。
※炎魔法の行使や烈風丸の使用によりゼーラの肉体に影響が出るかどうかは後続にお任せします。鏡像の城戸真司自身は影響が出るのではと考えているようです。
※幻に過ぎないゼーラの肉体の存在が保たれているのは、自分にとってのミラーワールドのように会場内が存在を保っていれる場所だからではと考えています。

【アナザー龍騎ウォッチ@RIDER TIME 仮面ライダー龍騎】
使用者を仮面ライダー龍騎のアナザーライダーであるアナザー龍騎へと変身させるライドウォッチ。
アナザー龍騎は特殊能力こそ無いものの、右手のドラグセイバー@龍騎に似た長剣と左手のドラグクロー@龍騎の頭を想起させる手甲を装備しておりこれらを使い戦う。
手甲からは強力な火炎攻撃を行う事も可能。
本編では加納達也が変身した。

【ミラーズコート@セブンスドラゴンシリーズ】
セブンスドラゴン2020とその続編の2020-Ⅱに登場する防具。
回避率のステータスに+7する効果がある。ゲーム内でのフレーバーテキストには高性能のステルス機能が搭載されていると書かれている。
今ロワでは、ステルス機能の方は主催による制限により、暫く使用していると、一定時間使えなくなる
(どれくらいで使用できなくなるか、また使用できなくなる時間がどれくらいかは後続にお任せします)
他、自分から攻撃する際にはステルスが自動的に解除されるようになっている。

【烈風丸@ストライクウィッチーズ2】
ストライクウィッチーズ2にて坂本美緒少佐が自らの魔力を込めて打った扶桑刀
(現実でいう所の日本刀)。
刀身自体がシールドの役割を果たし、ネウロイのビームを切り裂けるほどの力がある。
しかし魔力を保有している者が使った場合、使えば使うほど使用者の魔力を吸い取って行く諸刃の剣である。
坂本少佐はこの刀で烈風斬
(刀の切っ先に魔法力を一極集中させる事によりコアごとネウロイを両断可能な技)
を使用している他、最終回にて宮藤芳佳がこの刀を手にした際には真・烈風斬という技により、それまで攻撃が一切通用していなかったコアが巨大化したネウロイの破壊に成功している。
(ただし使用した芳佳は魔法力(=ウィッチとしての力)
を完全に失った。
その後「ストライクウィッチーズ2」最終話の最後のカットで、彼女のストライカーユニットである震電と共に海岸に打ち上げられている姿が映っていたが、震電は劇場版にて魔法力が戻った芳佳の元に戻ったものの、烈風丸がどうなったのかは不明である。
なお原作及びキャラクター原案を担当している島田フミカネ氏は、「ストライクウィッチーズ2」放送当時に、デフォルメされた西沢義子
(リバウの魔王とも呼ばれる扶桑のウィッチ)
が砂浜に漂着していた烈風丸を掲げた落書きを描いていたらしい。


79 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 02:24:30 wlwYdW2U0
投下終了します。タイトルは



80 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 02:25:03 wlwYdW2U0
>>79
途中で書き込みしてしまいました、タイトルは
「鏡と魔の幻では最早ない」
です。


81 : 未来遺す希望 ◆EPyDv9DKJs :2023/04/23(日) 03:07:52 ogHpEUhA0
投下します


82 : 未来遺す希望 ◆EPyDv9DKJs :2023/04/23(日) 03:08:31 ogHpEUhA0
「あたしはさよならを言った。そして死んだ。
 だったら、此処にいるのはあたしじゃなくねえかぁ?」

 恐ろしい形相をした月下の世界。
 近くに川のせせらぎが聞こえる草原にて、二人の参加者が言葉を交わす。
 互いに学生服の青年ではあるが、中身は学生とは余り縁がない存在だ。
 一人称が女性のような喋り方の方は、緑色の学生服で前髪が独特な赤い髪を持つ男性。
 もう片方の顎に手を当てる方は黒い学生服で、整った金髪の髪型が特徴的な男性だ。

「全く同じ記憶を植え付けられた、どっかの誰か。
 とでもいうのが正しいのかね。俺も死んじまった身だしな。」

 肩を竦めながら男もそう答える。
 お互いに死んだ。死んだ人間は蘇らない。
 どんな能力を、どんな道具を以てしても不可能だ。
 お互いにそれを知っている。だからそういう考えに至る。

「ま、確かにそっちの方がありえるか?
 だとしても胸糞悪い話だな。この記憶はあたしのもんだ。
 誰かに植え付けられた? そんな紛い物がい物なんて御免だね。」

 精神は彼女……と呼ぶべきかは怪しい存在だ。
 名をF・F(フー・ファイターズ)。スタンドが本体であり、
 その正体はプランクトン。性別はあるにはあるが定かではない。
 嘗て肉体を借りたエートロは女性なので女性、と言うべきかもしれないが。
 その辺も実際の所はよくわからないものの、便宜上彼女と呼ぶこととする。

 フー・ファイターズは仲間である徐倫にさよならを告げた。
 DISCを取り戻してもそれは別のフー・ファイターズ。
 これがあたしだと、さよならを言うあたしなのだと。
 この記憶は誰のものでもない。『あたし』しか持ちえない。
 ───であれば。此処にいるフー・ファイターズは誰だ。
 全く同じ記憶を持ったフー・ファイターズのような『何か』なのか。
 思い出を作ることが知性、それが生きることとした彼女にとって、
 人の記憶を勝手に誰かに上書きされた可能性ともなれば、
 憤るのも無理からぬことだ。

「むかつくのが、記憶を形にして他人に与える。
 そんな奴に心当たりがあるからありえちまうのが腹立つんだよッ!」

 近くに転がる石ころを蹴り飛ばす。
 傍にある川へとポチャリと音を立てながら沈んでいく。
 プッチ神父は他人の記憶をDISCとして保存できるうえに、
 特定の効果を発揮するDISCを作ることだってできる。
 だからあり得てしまう。死んでいった自分からどうやったかは知らないが、
 人の記憶を抜き取ってそれを改造して上書きする……なんてことも。

「だとしたらそいつが噛んでいるのか?」

「どーだかねぇ。あいつは別の目的にご執心だ。
 歯磨きを終えて寝る前に磨き忘れを見つけて放置する、
 あたしらなんてそんな程度の存在としかみてねーだろーしな。」

 プッチは徐倫たちを捨て置いた。
 こんなまどろっこしいものに興味もないだろう。
 なので正直ありえない、と言うのが彼女の答えではある。
 あくまで可能性の一つ。最悪ホワイトスネイクが奪われた、
 なんてことも可能性の一つといて視野に入れておくのもあるだろう。
 こんな事態に巻き込んだ連中のできる能力はよくわからないわけだ。

「ま、どっちにせよだ。えーっとなんだっけ。ケーチョーだっけ?」

「ブラートだ。そいつは肉体の名前だ。」

「ブラートね。アンタはどうする?」

「俺は生憎と死んでも民の味方だぜ?」

 ブラートは殺し屋だ。
 いつだって報いを受ける覚悟はしていたし、
 事実その報いを受けるように死んでいった男だ。
 けれど、こうして他人の身体を得て、最悪記憶を植え付けられただけの虚構の存在。
 そんな可能性であっても、自分を本物のブラートとして、民の安寧の為悪を斬り捨てる。
 肉体の方については、お世辞にも善人とは呼べない人物であるのは確かだが。

「そっちはどうだ? 偽物の可能性があっても、
 お前はお前らしく生きてみる……って言う方がいいと思うぜ。」

「ま、そっちの方が楽しいし前向きでいいよなぁ〜〜〜。
 それに、可能性であって本当かどうかもわかんねえしな。
 んで、あたしはとりあえずこの身体を当人に返した方がよさそうなんだ。
 こいつの身体さぁ、知り合いの親父の知り合いみたいなんだけど。」

「随分遠いなおい。」

 遠い親戚にもほどがあるような発言だが、実際にその通りではある。
 花京院典明。それが今彼女が身体としている人物の名前だ。

「えーっとなんだっけ? タイムパラドックスだっけ?」

「悪い、わからねぇ。」


83 : 未来遺す希望 ◆EPyDv9DKJs :2023/04/23(日) 03:10:08 ogHpEUhA0
「例えるなら、アンタ一度死んだんだよね?
 死んだ原因となる奴を過去で殺したとする。
 そしたら未来で戦うことはないじゃん? そういうこと。」

「なるほどな。納得はともかくとして、それなら俺は死なないか。」

「過去の人間が死んじまったら、未来変わるとかそんな感じだ。
 もしこいつが此処で死んで、仲間の未来が変わっちまったらまずいだろ?」

 五十日間の旅路の果てに、DIOを倒すきっかけを与えた人物。
 ……とまでは分からないが、DIOの秘密を仲間に託したことは書いてある。
 もしそれが、空条承太郎の戦いにとって極めて重要な情報であったのなら。
 此処で死なせてはならない。元の精神の彼には生きてもらわねばならない。
 ただ、此処で死ななかったとしても、託した……つまり彼は死んでいるのだろう。
 死地へやるために生かさねばならないと言うのは、あまり気分のいいものではない。
 だからと言って、徐倫が生まれなくなる可能性を考えてしまうとそれはできない相談だ。

「そういう意味でも、死なせたくないって言うか……後はシンパシーかねぇ。」

 承太郎によって助けられ、彼と共に旅をし続けた青年。
 何処かが自分と重なる。徐倫によって助けられ、共に生活した自分と。
 この親子は誰かを助けて、空いた隙間を埋めてくれる人物なのだろうか。
 だからたとえ死ぬとしても、彼に納得の行く未来を、後悔なき道を進んでほしい。
 そう願いたいのもある。できれば、死んでほしくないとも思ってはいるが。

「俺もその方針には賛成だな。けど、百人斬りの名とは裏腹に活躍は難しそうだが。」

 ブラートは嘗て仕えた帝都では、
 特殊工作員含む百二十八人を一人で屠ったと言う化物じみた逸話を持つ。
 しかし、今の身体は虹村形兆と言うスタンド使い。しかもスタンドが出せるかどうかも定かではない。
 帝具は第一印象で大体決まるので、今こうして自分の精神であるのならば、
 インクルシオを見つけても扱えるだろうが、現状ないのでは青年の腕っぷしだけ。
 何とも残念な状態になってしまう。

「そこはお互い様で。あたしのスタンドってプランクトンありきだから、
 この身体は撃つこともできやしねえのが残念っつーか。ついでに水もおいそれと飲めねえ。」

 吐瀉物だろうと平気で飲めていたF・Fでも、
 流石にこの身体では人間らしい食事をしなければならない。
 可能ならばすぐそこの川に飛び込んでがぶ飲みしたさすらある。

「マイナスからのスタートか……となると二手に別れるのは難しいか?」

 戦いの経験があるのであれば、
 互いに別れて行動してもある程度は問題ないだろう。
 とは言え、お互いスタンドと言う自衛手段すら満足に出せない。
 そも、精神に宿るそれが果たして今も肉体にあるのか定かではないが。
 これでは殺し合いに叛逆しようにもうまく行くとは言い難い状態だ。

「いや、お互いスタンドが使える身体を寄越したんだ。
 スタンドも使えず死ぬ、なんてお粗末な負け方は向こうも望んじゃいない。
 地図とか配られる前に、スタンドを使いこなす練習でもしておけばいいだろ?」

「確かに、地図もなしに動けば厄介なことになるのは間違いないな。
 よし、フー・ファイターズ! スタンド使いなら俺にスタンドを教えてくれないか!」

「熱いのは結構だけどよ〜〜〜あたしは元はプランクトンなんだぜ?
 通常のスタンドとは違うから、正直こいつの奴も使い方全くわかんねえよ。」

「……そうか。」

 彼等の闘志は消えることはない。
 ただし、立ち向かう(Stand Up)にはまだまだである。



【ブラート@アカメが斬る!】
[身体]:虹村形兆@ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3(インクルシオはない)
[思考・状況]基本方針:死んでも民の味方らしくやろうじゃねえの
1:一先ずスタンドっつーのを出せるのを練習してから動く。
2:兄貴……か。
3:インクルシオは探しておきたい。
[備考]
※参戦時期は死亡後
※参加者はプッチの記憶のDISCを利用して、
 上書きされてるだけではないか、と言うのを考えています。
 但し確信はなく、一つの説として受け止めている程度です。


84 : 未来遺す希望 ◆EPyDv9DKJs :2023/04/23(日) 03:10:25 ogHpEUhA0
【F・F@ジョジョの奇妙な冒険Part6 ストーンオーシャン】
[身体]:花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険Part3 スターダストクルセイダース
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:徐倫を守るってんなら、こいつを死なせるのはよくねえのは分かる。
1:スタンドの練習してみっかぁ〜〜〜! やり方わかんねーけどッ!
2:にしても糸? 弾丸も発射できる? あたしと徐倫のハイブリットみてーで楽しいねぇ! まだ出ねーけど!

[備考]
※参戦時期は死亡後
※参加者はプッチの記憶のDISCを利用して、
 上書きされてるだけではないか、と言うのを考えています。
 但し確信はなく、一つの説として受け止めている程度です。
※肉体そのものが関係してるためフー・ファイターズのスタンドはどれだけやっても使えません。


85 : 未来遺す希望 ◆EPyDv9DKJs :2023/04/23(日) 03:10:45 ogHpEUhA0
投下終了です


86 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 04:18:16 wlwYdW2U0
投下します。


87 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 04:19:24 wlwYdW2U0
⚠︎このSSには卑猥なホモ表現が含まれています!注意してください⚠︎

ーーーー

殺し合いへの拉致は突然だ。
マネヱジャアからの電話に応対しようとした途端意識がぶっ飛び射精。腹筋ボコボコにされる間も無く拉致され気付いたら、紅白髪の女が喋りだす。
オンナの話ってチョーうぜーし!と話半分でネムネムの顔でしらけ気味になってると、仮面付けた男の子っぽいのが突然出てきてタイムリミットを入れる事にするとか月が落下するとかわけわかんねー事言ったからと思ったらまたもや意識がぶっ飛び射精。

そしてビルダー拓也が目覚めると…顔の付いた月と目が合った。思わず「ウッス!」と挨拶した後、ビルダー性処理玩具になっていく拓也はチョーネム!ジム行きたい!と現実から逃避。
……マジかよぉ!?あれが地表に激突したらマジで全員皆殺しになるな。猶予は3日間だけ。使える穴は拓也だけ。
…そういえばあの紅白女が別人の身体になってるとか言ってたな…俺の激エロのモロホストでギリシャ彫刻のガタイな身体が奪われてるのか!チョーS(最悪)だよな!!
と思いながら手鏡で自分の姿を確認する淫獣拓也。するとそこには……ガタイのいい白い肌で強面のイケメンが写っていた。拓也の方がガタイは良いけどね(笑)。

そこから手鏡を見た俺は一気に野獣モード。その勢いのままタブレットを見て、イケメンの名前がホワイトと知ってそのままバックの中身も漁っていった。
結果出てきた日本刀を装備し快感で全身が痙攣するオレは、とりあえず他の参加者を探す事にした。
目的は殺し合いの打倒。
拓也ゎ揉め事ゎ嫌いだけど揉む事ゎ好き。愛し合って生きれるのなら、それが一番だろ?
乗ってる奴がいたらその時は…男なら拓也はマジ狂いの絶叫セックスマシーンになるぜ!
…肉体が女で心が男だったら?
…はっ、はい、1時間後には、か、考えまっす!

ーーーー

などとそう思いながら、ハァハァ喘ぎ続ける拓也は会場を駆け回る。
こうして、人懐っこいけど少し足りなそうなマジ狂いのホモが強面イケメンの身体となり、会場へと解き放たれてしまったのであった。

【拓也@AI拓也】
[身体]:白一護@BLEACH
[状態]:健康、マジ狂い
[装備]:白一護の斬月@BLEACH
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いの打倒
0:ウッス!
1:他の殺し合いに乗ってない参加者と会いたい。
2:乗ってる奴がいたら男相手ならマジ狂いの絶叫セックスマシーンになる。
3:チョーネム!ジム行きたい!
4:あの顔のある月マジムカツクなぁ…。
5:シャワーは何があっても浴びない。
6:マネヱジャアやセンパイ、レオ達が巻き込まれてたらと心配でマジで狂うな。
[備考]
※白一護の身体は主催によってアニメで言う斬魄刀異聞録で斬月のおっさんから分離した状態で実体化させられています。

【白一護の斬月@BLEACH】
白一護が振るう斬魄刀。一護の斬月と同様月牙や月牙天衝を放てる。
なお一護の斬月には白一護と斬月のおっさんの人格がある為、今ロワのルールでは他の誰かの精神が入る事になるがこちらは白一護=斬月かつ斬月のおっさんがこちらの斬月に入ってる描写もない為、意思のない支給品として扱う。


88 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 04:20:10 wlwYdW2U0
投下終了です。タイトルは「殺し合いでマジ狂い!投稿者:ビルダーホワイト拓也」です。


89 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 04:28:12 wlwYdW2U0
備考にミスがあったので修正します。
[備考]
※白一護の身体は主催によってアニメで言う斬魄刀異聞篇で斬月のおっさんから分離した状態で実体化させられています。
※ガタイで分析する能力がこの身体でも使えるかどうかは後続にお任せします。


90 : ◆diFIzIPAxQ :2023/04/23(日) 12:16:49 9gAUuzGw0
短いですが、候補話を投下させていただきます


91 : ◆diFIzIPAxQ :2023/04/23(日) 12:18:33 9gAUuzGw0
「……くだらねぇ」

 真夜中の雪原に一人、立ちずさんでいる男が一言呟く。
 男の名は、流竜馬。この実験の参加者である。

 彼が発した一言は、正義感から来た発言ではない。ただ自分の目的を邪魔された怒りから来た発言である。
 最も、遥か昔の若い命を燃やして地球を守るパイロットだった時代に呼ばれていたら、正しき怒りを胸に抱いてこの実験に反旗を翻した事だろうが、それはもはやあり得ない「もしも」である。

 今の彼の胸の内にある思いは、果てしなく湧いてくる憎悪のみ。

 こんな馬鹿げたゲームに、抵抗も出来ずにのうのうと巻き込まれてしまった自分自身に腹が立つ。
 実験台の様に扱われるような現状に、地獄と呼称されたA級刑務所の頃の出来事を思い出してイライラさせてくる。
 タブレットで肉体のプロフィールを一応確認したが、「兜甲児」とかいう昔の俺みたいなヤツを自分の肉体にさせた主催者達が憎たらしい。
 そして何より、これから復讐を為そうとしたタイミングにこんな事をしやがったという事実が、俺を一方的に罠にハメて地獄に落とした神隼人を想起させて忌々しい。

 怒りだ。もう怒りしかない。

 だがヤツは、このゲームを仕組んできた女はこうも言っていた。「最後まで生き残った生存者一人に、どんな願いも叶えてやる」と。
 だったら都合が良い。その権利を利用して、確実に神隼人と理由は知らないが蘇った早乙女博士を殺す。そうでもしなければ気が済まない。

「いいぜ、乗ってやる。殺し殺されなんて日常茶飯事だ。
 だがこんな事に巻き込んだテメェ等も必ず殺してやるから首を洗って待ってやがれ!!」

 冷たい夜の寒さもつゆ知らず、逆に雪原を溶かしてしまう様な熱く、そしてドス黒い憎悪を言霊に乗せて、彼は歩き始める。
 その顔立ちはまさに阿修羅と呼ぶに相応しく、正義を掲げて悪を討つ戦士にはとても見えなかった。

「早乙女のジジイ、それに隼人……!!お前等二人をこの手で殺せるなら、俺は鬼になってやる!!」


【流竜馬@真(チェンジ!!)ゲッターロボ 地球最後の日】
[身体]:兜甲児@マジンカイザー(OVA)
[状態]:健康、果てなき憎悪
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:参加者を殺し、主催者を殺し、優勝権限を使って神隼人と早乙女博士を殺す
1:サーチアンドデストロイ。容赦はしない

[備考]
※参戦時期は、1話のゲッターロボに乗るより前のタイミングです


92 : ◆diFIzIPAxQ :2023/04/23(日) 12:19:51 9gAUuzGw0
投下終了です。 タイトルは「開幕!! 地獄から戻ってきた男!」です


93 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/23(日) 13:10:14 W1xQRUXM0
投下します


94 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/23(日) 13:10:54 W1xQRUXM0
狂った『月』が見降ろすコンクリートジャングルにて。
紫色の長い髪をポニーテールにまとめた少女がステージの上で思わず真似したくなるステップを踏んでいた。
ノリノリでブレイクダンスを決める彼女、朝比奈まふゆの外面しか知らない者が見れば二度見、三度見すること間違いなし。
母親に至っては卒倒するするかもしれない。

「いぇーい!ははっ!この子の身体すっごく踊れる!」

だが、今彼女の肉体に強制的に憑依された彼はそんなことお構いなしにポーズを決めながら無邪気に笑う。
彼、リュウタロスにとって重要なのは良くも悪くも己の快、不快が根底にある。
傍若無人、とまではいかないまでも、自分で良いと思った事を強行する子供故の頑固さのような部分がかなり強いのだ。

「のんきだなぁ、俺たち殺し合いに巻き込まれてんだぜ?」

そんな彼女に呆れたような、煽るような口調で返すのは黒に青いグラデーションのかかった髪にキラキラと☆の飾りが輝く夜空のような長髪の少女、白石杏だ。
元々のサバサバしたイメージとは合致しないやや粗暴とも取れる物言いだ。
それもそのはず。白石杏もまたまふゆのように強制憑依させられた存在に肉体の主導権を乗っ取られているのだ。
その悪魔の名は、カゲロウ。
仮面ライダーライブ、五十嵐大二の劣等感を糧に生まれた悪魔にして、仮面ライダーエビルの変身者である。

「別にいーじゃん。あのエンムってやつも気にくわないからどうせ倒すし。
コウモリちゃんも契約者探したいんでしょ?」

「まあな。それにお前の今の身体や、この身体の持ち主も会ってみたら面白そうだしな」

そう言ってカゲロウは元々憑依していた五十嵐大二の肉体を乗っ取った時に衣装を変えていた能力を応用して、今回放り込まれた肉体、白石杏の服装を変える。
どちらかと言えば元々の宿主の大二を思わせる様な白とターコイズのパーカー姿が、カゲロウのイメージぴったりな黒一色の派手な格好に変わった。

「あー!いいなぁ!ボクもやるー!」

そう言ってリュウタロスもまふゆの衣装をぬいぐるみやバッチがじゃらじゃらついたおかしな格好に変わる。
丁度かつて電王の世界にて光夏海の肉体を乗っ取った時と同じような衣装だ。

「もうちょっとなんかなかったのかよ」

「えー?コウモリちゃんこそ、真っ黒じゃん」

「はぁ……まあいい。模様替えも済んだし行くか?」

「オッケー!」

2人はそれぞれ支給されたいつものとは違う変身アイテムを腰に装着し、歩き出した。


95 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/23(日) 13:11:21 W1xQRUXM0
【カゲロウ@仮面ライダーリバイス】
[身体]:白石杏@プロジェクトセカイ
[状態]: 健康、衣装チェンジ
[装備]: ゲーマドライバー@仮面ライダーエグゼイド、プロトマイティアクションエックスガシャット(レベル0)@仮面ライダーエグゼイド、ガシャコンバグヴァイザーⅡ@仮面ライダーエグゼイド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:このクソみてぇなゲームから脱出する。
1:もし大二や他の連中も呼ばれているなら探す。
2:この身体にバイスタンプを押印したらどうなるんだ?
3:イマジンに悪魔ねぇ、面白おかしい奴らが選ばれてんだな、この殺し合い
[備考]
※衣装はZOZOTOWNコラボの時の物です。
※白石杏本人の意志は封印されています。バイスタンプの使い方次第では分離できるかもしれません。
※ゲーマドライバーとプロトマイティアクションエックスガシャット(レベル0)の二つ合わせて一つの支給品扱いです。

【リュウタロス@仮面ライダー電王】
[身体]:朝比奈まふゆ@プロジェクトセカイ
[状態]: 健康、衣装チェンジ
[装備]: 戦極ドライバー(龍玄)@仮面ライダー鎧武、ブドウロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:あいつら倒すけどいいよね?答えは聞いてない!
1:コウモリちゃんと一緒に行く
2:良太郎やモモタロスたちも来てるなら探したい
3:まふゆちゃんなんか楽しく無さそー。お母さんやっつけたら楽しくなるかな?
[備考]
※衣装は光夏海に憑依した時と同じです。
※戦極ドライバー(龍玄)はユグドラシルEU製の物と同じ仕様に改造されています。
龍玄にしか変身出来ない代わりに誰でも変身出来ます。
また、ブドウロックシードと合わせて一つの支給品扱いです。
※朝比奈まふゆ本人の意志は封印されています。バイスタンプなどの特殊なアイテムを使ったら分離が可能かもしれません。


96 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/23(日) 13:11:51 W1xQRUXM0
投下終了です。タイトルは『バッドダンスミーツデビル』です


97 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 14:06:10 EWmSnMRw0
すいません、『バッドダンスミーツデビル』についてですが、少しだけ話したいことがあります。
詳しくは専用したらばの議論スレに書き込みましたので、お手数をおかけしますがそちらをご確認お願いします。


98 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/23(日) 14:14:10 EWmSnMRw0
すみません、またまたになりますが、ルールについて追記したいことがあります。
今回、書き手ルールに身体側の精神が復活する展開はNGとすると書いていましたが、これについて以下のように付け加えたいと考えております。
・そもそもの話として、身体側の精神は元から存在しないものとして扱ってください。

このようなルールの追記修正が何度もあって申し訳ありませんが、どうかご了承願います。


99 : ◆4u4la75aI. :2023/04/23(日) 15:39:06 Jk7NsGwA0
新企画開催おめでとうございます、お疲れ様です。
二つ投下させていただきます。


100 : 石のようにかたいそんな意志で ◆4u4la75aI. :2023/04/23(日) 15:40:25 Jk7NsGwA0
 彼はただ上下に動くだけの存在であった。

 常に宙に浮かび、対象が近づけばそれを押し潰す様に落下する。

 落ちる時に発する何とも形容しがたい声が、その心情を表すとでも言うのか。

 ただ、その場から動くことも出来ず決められた景色を永遠に見つめるだけ。

 遥か遠い世界、そんな彼を見た人々は口を揃え言った。

『ドッスンって生きてて楽しいの?』


◇◇◇


 暗闇の野原、慣れない動作。
 脚を全力で動かし、そこらを駆けてみる。風を全身で浴びる、今までにない感覚。そのままの勢いで、かの赤い帽子の彼の様に、跳びはねてみる。彼の様に高く跳ぶことはできずとも、地面を踏み締める着地の感覚も、また今までに味わったことのない感覚。
 たった、それだけの動作。それだけで、彼は理解した。『ヒト』は自分達と違い、あらゆる無限の動きを可能とする。

「これが、活きると言う事か……!」

 クッパ軍団の戦士、ドッスン。彼はこの殺し合いの舞台、『ヒト』の身体を手に入れた。


◇◇◇


「タケシ……『つよくて かたい いしの おとこ』。成程、ワシの精神を入れる器にはもってこいの人物だ」

 ドッスンに与えられた『ヒト』の身体、その名はタケシ。ニビシティのジムリーダーであるいわポケモン使い。肉体のプロフィールに書いてある通り、強く固い意志を持つ青年である。ドッスンから見てプロフィールに登場する『ポケモン』という単語は何を意味するかはわからない、だが善良な人物であることは確かな様だ。

「……返さねばならないな」

 だからこそ、ドッスンは決意する。『活きる』喜びは大いなるもの。だがそれがこの青年の身体を奪って良い理由にはならない。ドッスンはドッスンとして、生きなければいけない。ただ上下する役目でも、果たさなければならない。
 赤い帽子、マリオとの死闘を続ける日々。争いが日常の彼だが、闘争を求める性格でもない。殺し合いなんてものは、もってのほか。クッパ軍団とマリオ達との間だけならまだしも不特定多数の人々を集め殺し合わせるなど意味もなく、ただ虚しい行為だ。

「タケシよ、暫く身体を借りるぞ」

 元の身体を使った潰す攻撃は使えない。ただ、出来る事は何なりとある筈だ。

「……『ヒト』の力を、借りるぞ」

 自由に走り、自由に跳び、自由に会話する。ドッスンにはなかった、『ヒト』の力。
 『活きる』喜びを少しでも味わわせてくれた。それだけで、ドッスンは満足だ。だから、この殺し合いは潰してみせる。そして、自らは自らの居場所に戻るんだ。


【ドッスン@スーパーマリオシリーズ】
[身体]:タケシ@ポケットモンスターシリーズ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを潰し、タケシに身体を返す
1:ヒトの力を使い、殺し合いを破綻させてみせる
2:もしかしたらクッパ様やマリオも巻き込まれているかもしれない
[備考]


101 : ◆4u4la75aI. :2023/04/23(日) 15:41:30 Jk7NsGwA0
一本目投下終了です。
二本目を投下します


102 : ポンコツカリスマリーダー ◆4u4la75aI. :2023/04/23(日) 15:42:45 Jk7NsGwA0
 街中、カフェテリアの様な建物。そこに居たのは赤髪の少女。だがこの殺し合いの性質上精神と肉体はバラバラな為、精神は赤髪の少女のままではない。彼女は手鏡をカバンから取り出す前に近場に偶然ガラス窓があった為、自分の身格好を第一に確認できたが頭をぺたぺた触ってみたりと困惑するほかない。無理もない事である、精神に入っている彼女は殺し合いや肉体の精神の入れ替え――なんてものとは程遠い日常で過ごす少女だ。その精神の名は、大槻ヨヨコと言った。

 殺し合い、なんて言われても困惑するほかない。ドッキリ番組か?と言われればそうかもしれないがメジャーデビューもまだ果たせていない身であるミュージシャンを大掛かりなドッキリに巻き込ませる訳も悔しいがあまり想像できない。
 だが自分の身体に起こっている異変、それに上空に浮かんでいるなんとも禍々しい月は仮想現実とかそう言う言葉で説明しきれないものとは理解しているし、逆にそれ以上は何もわからない。しかし何せさっきまで睡眠をとっていた筈だ。誘拐紛いの行為をされていることは事実であまり良くないことが起きていることは理解している。
 だがただ困惑しているだけでも状況が変わらないこともわかる。だから配られているデイパックの中身を確認してみることにした。

 まず、タブレットに肉体のプロフィールやら地図やらが入っていると聞いた為それを取り出そうとした……が、何よりも先に目を引かれた大きなもの。それが何なのかは流石に理解ができた。
 銃。日常生活ではまず見かけないもの。一応取り出してみるが、そこでまず困惑する。銃とはこんなにも軽いものなのか?と。詳しい知識は皆無だがそれが金属で出来ていることくらいはわかる。派手な装飾もありレプリカやおもちゃという線も考えてみたが、指で弾いてみた感覚からするに金属であることは確かだ。そして何より、妙に身体に馴染む。だが支給品とやらに困惑するよりも自らの身体について知るのが先だと、肉体のプロフィールを見るためタブレットを取り出す。ヨヨコは現代に生きる人間、難なくタブレットを操作し、プロフィールの欄を開き――


便利屋68の『社長』
          『アウトロー』な悪党
  『一日一惡』を掲げる


「(かっ、カッコいいわ……!!)」

 ヨヨコは肉体――陸八魔アルに惚れ込んだ。


103 : ポンコツカリスマリーダー ◆4u4la75aI. :2023/04/23(日) 15:43:28 Jk7NsGwA0

 アルのプロフィールにときめいたヨヨコ。悪党だとか委員会と対立しているだとか悪い事柄も書かれているものの、生真面目な性格だとか便利屋68の仲間達を大切にしている人間なんて事も書いておりあまり悪い印象は受けなかった。キヴォトスやゲヘナ学園等知らない単語だらけだったが、そこを気にしていてもあまり意味のない様に感じる。それよりポンコツ、なんてワードも目に入った気もするが気にしない様にした。

「(社長……私も、SIDEROSのリーダーとしてアルさんみたいに頑張らなくっちゃ)」

 そして見つけた自分自身とアルの共通点。それは組織のリーダーである事。ガールズバンドと便利屋、立場はまるで違うものの仲間との絆が大切なモノという事は同じ。アルのプロフィールにも書いてあった通り仲間を大切にするもの。

「(……というか、私が居る以上みんなも居るかもしれないのよね)」

 SIDEROS。4人組ガールズバンド。ボーカル兼ギターのヨヨコの他にもあくび、楓子、幽々という仲間が居る。

「(ここに居るなら、真っ先に見つけなくちゃ)」

 大槻ヨヨコは、ツンとした性格で人付き合いも苦手な陰キャ。だが、仲間への想いは何よりも強い。何もわからない事だらけだが、少なくとも誘拐されている今仲間との合流は最優先。

「(……ま、まずはここで色々確認するのが先だけど)」

 だから、準備はしっかりと。しばらくヨヨコはカフェテリアに留まる事にした。



【大槻ヨヨコ@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:陸八魔アル@ブルーアーカイブ -Blue Archive-
[状態]:健康
[装備]:ワインレッド・アドマイアー@ブルーアーカイブ -Blue Archive-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:何かよくわからないけど帰りたいわ
1:とりあえず鞄の中身を調べなくっちゃ
2:SIDEROSのメンバーが居るかもしれない。見つけないと
3:アルさん、カッコイイわ……!
[備考]
※参戦時期は結束バンドとの関わりが出来た後のどこかです。


104 : ◆4u4la75aI. :2023/04/23(日) 15:44:06 Jk7NsGwA0
投下終了です


105 : ◆4u4la75aI. :2023/04/23(日) 15:53:36 Jk7NsGwA0
失礼します、『ポンコツカリスマリーダー』の状態表及び支給品説明に抜けがあった為以下のものに修正させていただきます。

【大槻ヨヨコ@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:陸八魔アル@ブルーアーカイブ -Blue Archive-
[状態]:健康
[装備]:ワインレッド・アドマイアー@ブルーアーカイブ -Blue Archive-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:何かよくわからないけど帰りたいわ
1:とりあえず鞄の中身を調べなくっちゃ
2:SIDEROSのメンバーが居るかもしれない。見つけないと
3:アルさん、カッコイイわ……!
[備考]
※参戦時期は結束バンドとの関わりが出来た後のどこかです。
※アルの肉体はヘイローを破壊=死亡扱いとします。キヴォトスの住人における肉体の頑丈さの制限はありません。


【ワインレッド・アドマイアー@ブルーアーカイブ -Blue Archive-】
大槻ヨヨコに支給。
陸八魔アルが扱うスナイパーライフル。その名の通りワインレッド色で、古風なデザインで装飾されている。


106 : ◆OmtW54r7Tc :2023/04/23(日) 18:01:12 Fy0B2cMc0
すみません、自作の「キターン!東方仗助究極体爆誕!」ですが
喜多ちゃんが名前呼びを本来嫌がっていることを失念していたので、>>36の部分を修正します

--------------------------------------------------------------------------------------

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「ごめんなさい!東方君!」
「いや、まあ気にしてねえっす」

いくらか落ち着いた郁代は、先ほど反射的に殴ってしまった宇宙人姿の男の子に頭を下げた。
それに対して宇宙人…東方仗助はタブレットに目を向けながら気にしてないと笑って返す。

「でも…顔に傷までできちゃってるし」

彼の頬には殴られた時に出来たと思われる軽い傷があった。
そんな仗助の姿を見て、郁代はますます申し訳ない気持ちになる。

「あー…この傷については軽いものだし…むしろちょうどいいかもしれないっすね」
「へ?どういうこと?」
「まずはこれから試すか…クレイジー・ダイヤモンド!」

仗助が叫ぶと、彼の背後に謎の人形が現れる。

「うわっ!?東方君、後ろに変なのが!」
「へ?郁代、お前スタンドが見えるのか?」

仗助から名前を呼ばれた郁代は、ぐっと顔をしかめる。
彼女は、自分の名前が苦手で、尊敬する先輩からであっても、郁代という自分の名前を呼ばれることを嫌う。
だから仗助にもその旨を伝えようと思ったが、

『キタキタキタキタ』

(今は…苗字呼ばれる方がもっといやかも)

プロフィールにあるアドバーグ・エルドルの別名を知った今、喜多という苗字は彼女にとって郁代以上に忌むべきものとなりつつあった。

「おい、聞いてるか郁代?」
「へ?ああえっと…スタンドだっけ?その後ろにいるの」
「ああ、知らねえのか?」
「知らないわよそんな変なの。なんなの、スタンドって」
「まじで知らねえのか?スタンドってのはな…」

スタンドが見えるのに知らないという郁代を不思議に思いつつ、仗助はスタンドについて簡単に説明する。

「ふーん…まだよくわからないけど…東方君は超能力者みたいなものなのね?」
「まあ、そういう認識であながち間違ってもねえかな…しかし、スタンド使いでもねえのにスタンドが見えるって…あのエンムとかいう奴が何かしたのか…?」
「それで東方君、そのスタンド?ってので何をしようとしてるの?」
「ああ…このクレイジー・ダイヤモンドはあらゆるものを『治す』。怪我だろうと、壊れた物だろうと。ただし、例外があって…」

そういうと仗助は、先ほどできた傷にクレイジー・ダイヤモンドの手をかざす。
しかし、何も起こらない。

「自分は治せない…ってこと?」
「ああ…肉体が変わっても、これは変わんねえみたいだな」
「うう…ごめんなさい」
「いやだからそれはもういいって。…それに、本番はこっからだ」

そういうと仗助は、先ほど見ていたタブレットを郁代に見せる。
そこには今の仗助の肉体のプロフィールが書かれていた。
肉体の人物の名前は…

------------------------------------------------------------------------------
以上です
話の流れから分かる通り、仗助の呼び方は郁代のままです
後、喜多ちゃんの状態表の備考欄に、以下の追記をします。

※「郁代」呼びよりも「喜多」呼びへの忌避感の方が強くなっています

これらのwikiへの修正は自力で行います
長々と失礼しました


107 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/23(日) 18:49:59 W1xQRUXM0
投下します


108 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/23(日) 18:50:24 W1xQRUXM0
「……よし。誰もいない。入って大丈夫だぞ」

風が吹けば雪が舞い上がる極寒のエリアにて。
ようやく暖を取れる、否、寒さをしのげる民家を見つけた学生服の男女がそこに上がり込んだ。
先頭を往くのが地味ながらも整った顔立ちの赤いブレザーの男子生徒。
表情に乏しく、手にした黒い奇妙な銃を片手に経過しながら進んでいる。
それに殆ど距離を開けずに続くのが、白い上着に黒いスカートの男子生徒とはまた別の制服の少女だ。
スポーツでもやっているのか、茶色い髪をかなり短くしている。
戸を閉めて、休みながらもいつでも動けるようにする男子生徒だったが、その手を女子生徒が遠慮がちに握った。

「帆波、大丈夫か?」

「うん。怪我とかはないよ。
でも、どうしても不安でさ。ごめんね?チェイス君が綾小路君じゃないのは重々承知なんだけど……」

「構わない。これで少しでも帆波が安心するならば本望だ」

そう言って綾小路清隆の肉体となった人造人間(ロイミュード)、チェイスは帆波、一之瀬帆波を気遣った。
彼女の精神が放り込まれた肉体は春咲ひよりといい、チア部所属とあって体力はあるが、戦闘が出来るわけではない。
不安になるのも無理はないだろう。

「ありがとう……んんっ」

腰を下ろしたチェイスの肩に寄りかかった帆波は安心できたのか思わず声が漏れた。

(きっと胸がキュンというやつだな)

曲がりなりにも失恋の経験のあるチェイスには帆波の自分を見る目に自分が映っていないことに気付いていた。
口ではこの身体に別人の精神が宿っていると理解しながらも、その実彼女は綾小路清隆以外が視界に入っていない。

(人間の知性は素晴らしい物だ。
が、人間は時に知性を得ると時に邪悪になる。
もし、帆波が邪悪となり他の誰かに危害を加えるなら……)

人類の守り手、仮面ライダーとして帆波を止めなければならない。
腰に装着した永遠に失われたはずのドライバーを撫でながら追跡者は何よりも守るべき存在をある意味最も警戒していた。



【チェイス@仮面ライダードライブ】
[身体]:綾小路清隆@ようこそ実力至上主義の教室へ
[状態]: 健康
[装備]:スカルマグナム @仮面ライダーW、ロストドライバー(鳴海荘吉)@仮面ライダーW、スカルガイアメモリ(T1)@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:仮面ライダーとして生きとし生けるもののために戦う。
1:風がやむまでこの民家で休む
2:どうやら帆波は清隆を愛しているようだ
3:人は、残念ながら愛によっても邪悪になる。
  もし帆波が邪悪で有った場合……。
[備考]
※肉体が完全に人間の物となっているので、ロイミュード000、そして仮にブレイクガンナーを入手出来ても変身の原理として強化ロイミュードの延長の魔進チェイサー、超魔進チェイサーへの変身も不可能です。
※参戦時期は死亡後からです。なのでドライブ本編及びVシネチェイサーでの記憶は間違いなくあります。


109 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/23(日) 18:51:50 W1xQRUXM0
(うれしい。これで中身まで綾小路君だったらもっとうれしかったかにゃ〜)

一之瀬帆波は今、幸福をかみしめていた。
綾小路清隆の側にいるという事実に。
綾小路清隆に触れているという事実に。
綾小路清隆の体温を感じているという事実に。

(でもこのゲームは1人しか生き残れないんだよね)

短い時間とはいえ、先導してくれたり、ボディーガードを買って出てくれたチェイスには悪いが、最終的には殺すしかないのだろうか?
もし綾小路清隆の魂も来ていて、本人の肉体と合流できるなら、主催者の裏をかける可能性もあるが、チェイスだけでは、肉体だけでは無理だろう。
だから

(辛いのは大好きな男の子を殺さなきゃいけない私もだから、お相子だよね?)

そう思いながら綾小路の顔を見つめ続ける帆波は恋する乙女の顔で、生気の無いガラス玉のような眼をしていた。





【一之瀬帆波@ようこそ実力至上主義の教室へ】
[身体]:春咲ひより@プリンセスコネクト!
[状態]: 健康
[装備]: なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ひとまずは穏健派のふりをしつつ優勝を狙う
1:チェイス君(綾小路君の身体)と行動する。
2:もし綾小路君(精神)も呼ばれているなら合流したい。
3:もし同じ学校の子たちが呼ばれてたら……
[備考]
※参戦時期は二年生編開始以降です。


110 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/23(日) 18:52:17 W1xQRUXM0
投下終了です。
タイトルは『恋する乙女はロイミュードに想い人を見い出すか』です


111 : ◆7PJBZrstcc :2023/04/23(日) 19:49:36 wDCIkGSE0
自作『お兄ちゃんはおしまい!』にて、支給品の説明文を入れ忘れていたのでウィキにて修正しました。

では新しい候補話を投下します


112 : みはりとお兄ちゃん ◆7PJBZrstcc :2023/04/23(日) 19:50:19 wDCIkGSE0
「何、これ……」

 突如始まった体を入れ替えての殺し合い。
 空に浮かぶのは不気味な顔が浮かぶ不可思議な月。
 それらに酷く戸惑い、怯える少女が会場の一角にいる。

 彼女の名前は緒方みはり。
 陸上の大会で優勝し、大学に飛び級し、成人男性を女体化の上中学生くらいにまで若返らせる薬を製作できるほどの文武両道な天才科学者である。
 しかし、そんな彼女でも現状は理解不能である。
 とても科学で起こせるのは思えない、魔法のような出来事。
 だが彼女の手元に主催者がよこしたのはデイパックに入っていたのは、あまりにも分かりやすい手鏡と、どうみても科学の産物であるタブレット。
 正直、どこかチグハグな印象が隠せない。

 それでもとりあえず、みはりは手鏡を使い、自分の顔を見てみた。
 すると確かに、普段鏡で見るものとは違う自分の顔があった。
 そこで今度はタブレットに手を伸ばす。
 使い方が書かれた紙もあったが、彼女には必要ない。
 特に問題なく、彼女は自身の肉体について書かれたページにたどり着き、読み始めた。
 しかし、そこに書かれた物は到底信じられるものではなかった。

「……」

 あまりの内容に言葉も出ないみはり。
 まず、彼女の肉体の持ち主は篠ノ之束。
 とある世界で『細胞レベルでオーバースペック』と称するほどの天才科学者である。
 宇宙まで単独飛行可能なパワードスーツインフィニットストラトス、通称ISを単独開発できる科学力に加え、そのISと素手で打ち合える戦闘力も有する、みはりの文武両道とは比べ物にならないものを持つ。
 おまけに見た目も整っているうえ、スタイルもいい。
 人格には多大な問題があるようだが、今それは関係ないので横に置いておく。

 事実、この体はみはりよりもスペックが高いことはよく理解している。
 歩いただけで分かるほどに運動性能が高いし、頭も普段より冴える気がしていた。
 だからこそ、それが怖い。

 裏を返せば、そんなものを主催者達は殺し合いの道具として使い、参加者に与えているのだから。
 お前達に抵抗する術などない、と言わんばかりに。
 しかし、みはりの恐怖の矛先は、次の瞬間急激に変わることになる。

「キサマ! ジエンド星人ダナ!!」

 みはりに向けられた男の声が聞こえ、彼女は声のする方を見る。
 するとそこのは、よだれを垂らしながらどう見ても正気とは思えない目でナイフを構える、一人の男が立っていた。

「ジ、ジエンド……何……?」

 男の言葉に戸惑うみはり。
 彼女は地球人であり、ジエンド星人とか言う訳の分からない存在ではないのだから、当たり前だ。
 しかしそんな当然の道理が男には分からない。

「トボケルナ! チキュウセイフクヲタクラムアクノテサキジエンド星人メ・・・セイギノミカタダイスケマンデアルボクガヤッツケテヤル! シネエエエエ!!」

 ダイスケマンと名乗った男はそう叫ぶと、意外にも最初にしたことは攻撃ではない。

「ダイスケビーム!」
「きゃっ!」

 男はみはりに唾を吐きかけた。
 彼女は思わずつばを躱すが、それが彼の狙い。
 そうして体勢を崩したところに、本命であるナイフを彼女の体に向けて刺そうとする。

 実の所、ここからでもみはりは男のナイフをどうにかできる。
 彼女が持つ体の身体能力に比べて、男が与えられた体の能力は凡人に近い。
 なので、純粋なスペック差なら押し返すことは十二分に可能だ。
 しかし、みはりは殺し合いへの恐怖と目の前の男の狂気に飲まれ、まともに動くことができない。
 彼女にできるのは、これだけだ。

「助けて! お兄ちゃああああああん!!」
「ウルサイ!」

 みはりの悲痛な叫びを切り捨て、ナイフを容赦なく彼女へと進めるる男。
 しかし――

「シルバーチャリオッツ!!」

 助けは来た。
 レイピアを携えた銀の騎士が前触れもなく現れ、男のナイフを押しとどめる。

 ザッ

 その後に足音が響いたかと思えば、現れたのは特徴的な緑色の服を着た金髪の少年だ。
 彼はみはりに優しく、こう声を掛けた。

「君の兄貴じゃなくて悪いが、大丈夫かい? レディ」


113 : みはりとお兄ちゃん ◆7PJBZrstcc :2023/04/23(日) 19:50:46 wDCIkGSE0





 時は少し遡る。

「何で寄りにもよって子供なんだ……」

 一人の男、いや正確に言うなら少年が、少々うんざりしたような態度で自身を手鏡で眺めていた。
 彼の名前はジャン・ピエール・ポルナレフ。
 軽い態度こそ目立つものの、その実確かな騎士道精神を持つスタンド使いである。
 そんな彼が今うんざりしているのは、彼に与えられた体に理由がある。

 ポルナレフは前に敵スタンドにより子供の姿にさせられ、色々と散々な目に遭ったことを思い出していたのだ。
 しかしいつまでもそうしているわけにはいかない。
 彼の時代に無いタブレットを、説明書を見ながらおっかなびっくり操作しつつ、彼は今の体についての資料を読む。
 その結果は、あまりに信じられないものだった。

 まず、この体の名前はリンクといい、ハイラルという国の時の勇者らしい。
 正直この時点で信じられないが、ハイラルでの冒険の果てに大魔王ガノンドロフ、その後にタルミナという異世界でムジュラの魔人を倒した、などと続けられては最早言葉も出ない。
 どこのファンタジー小説なんだ、と言いたくなったポルナレフだが、この状況で嘘を書く意味も分からない。
 故にきっとこれは信じがたいが真実で、どこかにあるハイラルやタルミナで本当に起こったことなのだろう、と彼は判断した。

 しかし、裏を返せばこれはそんな異世界に干渉できる存在がこんな殺し合いを開いている、ということになる。
 殺し合いに乗る、という選択肢は最初からない。必ず倒し、元の体を取り戻すつもりだ。
 とはいえ、あまりにも強大な敵にまずどうしたものか、と考えていたところ

「助けて! お兄ちゃああああああん!!」

 という女性の叫び声が聞こえ、ポルナレフは即座に思考を止め駆け出す。
 どんな状況であれ、助けを求めるレディがいるのに何もしないという選択肢も、彼には存在しなかった。

 幸いそんなに遠くなかったのでポルナレフはすぐに悲鳴の元にたどり着く。
 すると、そこではナイフを構えた男が豊満な女性にナイフで襲い掛かるところだった。

「シルバーチャリオッツ!!」

 それを見たポルナレフは即座にスタンドを出し先行させ、男のナイフを押しとどめる。
 後にスタンドに追いついた彼は、襲われている女性、みはりに向けて優しく声を掛けた。

「君の兄貴じゃなくて悪いが、大丈夫かい? レディ」
「は、はい……!」
「下がってな」

 助けが来たという安堵か、ポルナレフの言葉に素直に従うみはり。
 それを見てから、彼はナイフを構えた男に向けて険しい目を向け、話しかけた。

「おいテメー。どういうつもりだ、なんて聞く気はねーぜ。
 代わりに聞くのはこうだ。どこをどう斬り刻まれたいんだ?」
「ダマレエエエセイギデアルオレノジャマヲ・・・ユルサナイゾジエンド星人メ!キサマカラシネエエエエエ!!」
「なにィ〜ジエンド星人だぁ〜?」

 会話が成立せず、ナイフを振り回しながら狂乱する男に向かって、ポルナレフは最早話す気にならなかった。
 代わりにこう宣言する。

「ジエンドするのはテメーだ!! シルバーチャリオッツ!!
 希望がないなら全身斬り刻んでやるぜッ!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!」

 言葉通り男の全身をスタンドで斬り刻んだポルナレフ。
 実の所、男の元の体ならば、まだ耐えて戦える可能性はあった。
 しかし、ここにいる彼の肉体は比較的一般人に近いもの。
 故に、全身を斬り刻まれて生きていけるほどの高性能はしていなかった。


【嵐山ダイスケ@ファイナルファンタジーS(浦上@寄生獣) 死亡】


「さて、大丈夫かいレディ?」

 男を倒したポルナレフは目の前の敵だった相手からデイパックとナイフを回収してから振り向き、みはりを心配する。
 しかし心配された当人は怯えた表情を見せていた。
 無理もない、と彼は考える。
 自分のようなスタンド使いならいざ知らず、平和に生きていた一般人なのだろう。
 下手をすると死体すら見たことがないのかもしれない。そんな子をこんな殺し合いに放り込むなんざ許せねえ、とまた怒りを新たにするだけだ。
 いや、つい最近まで平和な日常を生きていた筈なのにやたら覚悟が決まっている仲間を知っているものの、あれは例外だろう。うん。

 一方、みはりは怯えこそ隠せないもののそれでも立ち上がり、目の前の少年、ポルナレフに礼を言った。
 見た目は少年でも中身がいくつかは分からないので、敬語を使って。

「ありがとうございます……私は緒方みはりって言います。
 あの、よろしければあなたのお名前も……?」
「名乗らせて頂こう。ポルナレフ」

 まひろの問いに応じ、ポルナレフは名乗る。
 己の名を、誇り高く。

「ジャン=ピエール・ポルナレフ」


114 : みはりとお兄ちゃん ◆7PJBZrstcc :2023/04/23(日) 19:51:22 wDCIkGSE0


【緒方みはり@お兄ちゃんはおしまい!】
[身体]:篠ノ之束@IS 〈インフィニット・ストラトス〉
[状態]:恐怖(大)、戸惑い(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、
[思考・状況]基本方針:元の世界に帰りたい
1:ポルナレフ……さん? くん? と行動したい
2:お兄ちゃん……
[備考]
少なくともまひろが中学に編入以降からの参戦です。

【ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:リンク@ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、ナイフ@ファイナルファンタジーS、ダイスケのデイパック(基本支給品、ランダム支給品0〜2)
[思考・状況]基本方針:主催者を倒し、元の体を取り戻す
1:みはりと一緒に行動する。
[備考]
少なくともアレッシー戦終了以降からの参戦です。


【ナイフ@ファイナルファンタジーS】
嵐山ダイスケに支給。
ダイスケ本人が使っていたナイフ。多分、ただのナイフ。
少なくとも本ロワではただのナイフ。
彼はこれでジャコハマという町の住人全てを一度皆殺しにしたことがあるので、切れ味が衰えることはないのだろう。多分


115 : ◆7PJBZrstcc :2023/04/23(日) 19:51:47 wDCIkGSE0
投下終了です


116 : ◆/dxfYHmcSQ :2023/04/23(日) 19:52:11 .WyBMi6g0
投下します


117 : 神の頭脳に鬼の肉体 ◆/dxfYHmcSQ :2023/04/23(日) 19:52:40 .WyBMi6g0



 ドンッッッ!!!

 森に中に、大量の高性能火薬を爆発させたかの様な音が響く。
 発破を仕掛けられて、幹が爆ぜ砕けたかの様な惨状を呈して、天を衝くかの様な高い樹木が倒れる。

 ヂャッッッ!!!

 爪先が空気との摩擦熱で燃え上がる。そう、見るもの全てに思わせる程の高速の回し蹴りが、樹木に炸裂。重戦車すら転倒させそうな勢いの蹴撃が、爆発音としか聞こえない音と共に、致命的な損壊を樹木に与えた。

 ボッボッパパパパン。

 蹴りの衝撃で、枝から外れ、宙を舞う木の葉に向けて、無数の拳が乱れ飛ぶ。
 一拳一拳に込められた速度と威力。
 宙を舞う燕さえも捉え、掠っただけで常人なら戦闘不能に追い込む拳の乱打は、宙を舞う葉を悉く捉え、文字通りに粉砕してしまった。
 塵と化した葉が、あるかなきかの風に吹かれて飛び去っていく中で、その男は無言で佇んでいた。
 黒いカンフーシューズを履き、黒いカンフー着という出立ち。
 しかしてその男を見た者は、いや、人に非る者でも、そんな出立ちなどには眼もくれまい。もし見たとしても、印象にすら残らないだろう。
 この雄(オトコ)を見た者は、全く別のものを────もっともっと原始的なものを印象に残す。
 燃え上がる炎の様な赤毛と、黒光する鉄を思わせる皮膚。そしてその皮膚の下に収容されている、僅かに解放するだけで、地上の如何なる生き物をも屈服させ得るであろうと、見るもの全てに確信させる筋肉の束。
 その全てから感じられるもの。強い────凡そ強いと感じられない箇所が、その雄(オトコ)の肉体に存在していない。
 その姿を見ただけで、意識が、意思が、意志が、本能が────。
 否、肉体を構成する60兆にも及ぶ細胞の全てが、比類無き、雄(オトコ)の強さを。
 人が天を仰ぎ見た時の様な、神々の座す地と信仰される壮麗にして峻険な山脈を遥か地平の果てに見た時の様な。
 己が矮小さを、己が無力さを、己の全身全霊が、この男の細胞の一つに及ばぬと自ずから悟る。
 その結果────。ほぼ全ての者は屈服し、ごく稀に、レアメタルよりも希少な者達が敵対する。
 雄(オトコ)はそんな存在だった。
 雄(オトコ)の名は範馬勇次郎。地上最強の生物と呼ばれ、当人も臆面も無くそう名乗り、そしてそれが許される。
 無双の暴と無比の強をその身に宿した絶対強者。
 それがこの肉体の名である。そしてこの肉体に宿る精神は、本来の────人類史に於いて究極と断言できる『自我(エゴ)』を有する範馬勇次郎の精神では無い。

 「イエイッ」

 本来の、範馬勇次郎ならば決して出さない声であり、決してしない事であった。
 快哉の声と共にガッツポーズ。範馬勇次郎を知る者ならば、狂ったかと思っただろう。
 
 「この肉体のパワー、スピード。全てに於いて私の身体を、否、トダーさえも上回るっ!」

 今現在、範馬勇次郎の肉体に入っているのは、ゴア博士。
 天才を超えた天才と呼んでも良い頭脳を有する、米軍の軍事開発研究所の所長である。

 「最強の武術家などというレベルでは無いっ!世界に存在するあらゆる兵器、凡ゆる生物を上回るっ!この肉体に私の頭脳が加わればっ!究極生物を(アルティメット・シング)と称しても過言ではないっ!
 フォフォフォ、悪魔を超えた悪魔(デビルズ・デビル)などと片腹痛い。今度こそ心ゆくまであの“鬼龍”をっ!いや、“力”を持つ傲慢な男どもをブチのめしてくれるっ!」

 この身体があれば、鬼龍と言えども敵では無い。この身体を以って元の世界へと凱旋し、持ち前の頭脳とこの肉体の力で以って、傲慢な男をぶちのめす快感を心ゆくまで満喫する。
 特に鬼龍は絶対にいたぶる。
 その方針の元に、ゴア博士は行動を開始した。



 


【ゴア博士@TOUGH 龍を継ぐ男】
[身体]:範馬勇次郎@刃牙シリーズ
[状態]:健康、イエイッ
[装備]: 無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝してこの身体で元の世界に凱旋する。そして鬼龍をいたぶる。
1:傲慢な男がいたらブチのめす
2:鬼龍が居たら最優先でいたぶる


118 : 神の頭脳に鬼の肉体 ◆/dxfYHmcSQ :2023/04/23(日) 19:53:01 .WyBMi6g0
投下を終了します


119 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 21:03:04 wlwYdW2U0
投下します。


120 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 21:03:47 wlwYdW2U0
「…皇帝である余が気付かぬ内に、この小娘の身体へと封じ込められるとはな……」

会場の一角にて、幼なげな割に発育が良く、下半身がパンツ…のように見えるズボンだけな少女は呟く。

「…しかし、闇の力に目覚め、闇こそが永遠の世界だと悟った余を…よりにもよって「ひかり」と、そう名付けられた小娘の身体へ押し込むか……ハーハッハッハッハ…!!」

狂ったかのように笑った後、少女の表情に映るのは…怒りと憎悪。
肉体となっている少女の名は「雁淵ひかり」。そしてその肉体に入れられた者の名は…暗黒宇宙大皇帝、エンペラ星人。
太陽の消滅により母星と一族・そして同胞を失い1人暗闇の中生き抜いた末闇の力へと覚醒し、同時に光に救われなかった自分達と違い救われたウルトラマン達を始めとする光ある者や、光の加護をのうのうと享受している者達へ対する深い憎悪を抱いてしまい、自らエンペラ星人と名乗ってそれら光の恩恵を受ける者を襲い数々の太陽系を滅ぼして回っていた宇宙人。

彼からすれば、宇宙に降臨する皇帝である自らを光の恩恵を受ける者であり、ちっぽけな存在である人間に…それもよりにもよって「ひかり」という名の付けられた小娘の身体へと押し込まれた事を魘夢らの当て付けと感じ取り、深い怒りを抱いていた。

「…良いだろう、魘夢と言ったな…これは貴様らが余へ対して宣戦布告を行ったと、そう取るぞ…!!
…愚かな選択を取った貴様らも、そしてあの月も…参加者達の命もろとも、漆黒の闇としてやろう……!!」

そう顔のある月へ向けて叫んだエンペラ星人は、支給されていた剣と、縮小された状態でバッグの中に入っていた自らのマントを装備し、まずは他の参加者を探し狙う事とした。

(参加者に限っては、仮に賢明にも余への服従や隷属を選ぶと言うのならば、話は別だがな…)

こうして、自らの元の名を捨てエンペラ星人と名乗った孤高の皇帝は会場を彷徨う。主催への報復を成し遂げ元の肉体を取り戻した後には、殺し合いに巻き込まれる前に地球に対し行った、地球人にメビウスを差し出させ、自らへ服従する道を選ばせるという要求の返答を聞くと、そう定めながら。

【エンペラ星人@ウルトラマンメビウス】
[身体]:雁淵ひかり@ブレイブウィッチーズ
[状態]:健康、主催への激しい怒り、光の恩恵を受ける者への憎悪(極大)
[装備]:ガイソーケン&ガイソウル@騎士竜戦隊リュウソウジャー、リフレクターマント@ウルトラマンメビウス
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:主催も含めて皆殺し
0:余は暗黒の支配者。闇こそが永遠の世界…余の母星を一族を同胞を、救わなかった光など…!!!!
1:他の参加者を探し出し狙う。
2:この小娘の身体にされた以上、余の剣(エンペラブレード)があるか探す必要もあるか。
3:余に服従の道を選ぶのであれば…裏切らず価値がある内は従えてやろう。
[備考]
※参戦時期は第48話の「皇帝の降臨」にて、地球人にメビウスの差し出しと自らへの服従を要求した後からです。

【ガイソーケン&ガイソウル@騎士竜戦隊リュウソウジャー】
ガイソーケンは鎧の戦士ガイソーグが使う剣。紫のカラーリングで形状はリュウソウケンに似ている。ガイソウル以外のリュウソウルを飲み込ませる事も可能。
ガイソウルはリュウソウルのプロトタイプであり、ガイソーケンに飲み込ませる事でガイソーグへの変身を可能とする。
2つセットで1つの支給品扱いとなる。
ガイソーグは本来なら怨念により自らの意思を持っているが、今ロワでは作中にてその怨念が浄化された後から支給品として支給された為、意思持ち支給品扱いにはならない。
またガイソーグ変身時には本来盾も付属するが、今ロワにて変身後に付属するかは後続にお任せします。

【リフレクターマント@ウルトラマンメビウス】
敵の光線を無効化出来る機能があるマント。
本来は体長56mのエンペラ星人が装備する為相応の大きさだが、主催の手により今ロワでは人間が装備できるサイズまで縮小されている。
また無効化の上限が制限されてるかどうか、光線以外の飛び道具が無効化可能かにつては、後続にお任せします。


121 : ◆8eumUP9W6s :2023/04/23(日) 21:04:34 wlwYdW2U0
投下終了します。タイトルは
「ひかりなきもの」です。


122 : ◆4u4la75aI. :2023/04/24(月) 14:44:22 NvnfaenU0
投下します


123 : そこに在る力 ◆4u4la75aI. :2023/04/24(月) 14:46:07 NvnfaenU0
 暗闇の市街地、がしゃん、がしゃんと音を立て歩く者がいる。その身体は甲冑。オーガヘッドという銘の鎧はこの殺し合いの舞台、『アルフォンス・エルリック』という人物の肉体として扱われている。
 アルフォンス・エルリック、愛称アル。アルフォンスは本来は若き少年の肉体を持つ人間だったが、過去に行った人体錬成の対価としその肉体を『真理の扉』へと『持って行かれ』てしまい失った。しかしアルフォンスの兄であるエドワード・エルリックにより魂は取り返され、緊急で兄弟の父であるコレクションの鎧、オーガヘッドに定着させられた。
 だが魘夢達はこの鎧を『アルフォンス・エルリック』の肉体として扱い他者の精神を入れ込んだ。
 空の鎧に精神を入れられた者。偶然か意図されたものなのか、その者の名も『アル』と呼ばれる者であった。
 フルネーム、陸八魔アル。キヴォトスにて便利屋68という組織を率いる自称社長。肉体の入れ替え、殺し合いの宣言、アウトローを志す彼女でも困惑するしかない状況であるが、なんとか行動しようと歩き出していた――

「(……動きづらいわ!!)」

 だが超銃社会に身を置く陸八魔アルにとって鎧を纏う経験なんてものはない。これから物騒な出来事が起こる事が決定づけられているこの状況、少しでもこの身体に慣れようとそこらを動き回ってみたはいいもののやはり慣れない。歩く動作もだが、何より身体のゴツさ。普段は狙撃銃を扱う身だが、この身体ではどうも楽に扱えそうにない。鎧である以上弾丸のダメージも普段以上に軽減できるだろう、やら利点も考えつくが。
 だがめげずに身体を動かすアル。その意識は突如として現れた少女に奪われることとなった。

「(……あら?)」

 自らも気づかないうちに側に居た少女。桃色の長髪に、同じく桃色のジャージ。暗闇の中では顔色が窺えない程に俯いており、耳を澄ませてみれば何かぶつぶつと呟いている。

「えっと……あなたも殺し合いとやらに巻き込まれたクチよね?あっ、大丈夫よ!私はあなたに危害を加えたりは――」
「――さい――ださい――ください……」
「へ?」
「――でくださいしんでください死んでください死んでください死んでください死んでください死んでください死んでください死んでくださいぅあああああああああああぁっ!!!!」
「ぎゃあぁっ!?」

 アルが歩み寄ろうと話しかけた直後……少女は物騒な言葉を並べながらその手に持っていた銃を発砲した。アルは間一髪の所で避け切るも、バランスを崩し地面へと倒れ込んでしまった。弾丸の跳んでいった先を振り返ってみると、ビルの壁にめり込み大きなヒビを生み出している。いくら鎧の身体とはいえアレが直撃してはたまったものではないと即座に判断する。

「まっ、待って!ちょっと話を!!」
「うわああああああ殺します!殺します!殺します!!!!」
「ぎゃあああぁああ!!!!」

 ゴロゴロと転がりながらも器用に弾丸を避けるアル。だが数発避け切った所で、弾丸が止んだ。様子を見てみると膝をつきぜえぜえと息を切らしている。
 チャンス!と考え逃亡を図ろうとする――が、どうもアルには引っかかるものがあった。物騒な言葉を何度も呟く、銃を乱射する。少女の言動がどうも馴染みのあるものなのだ。
 もしやと思い念の為逃げる準備はしながら少女へと近づく。


124 : そこに在る力 ◆4u4la75aI. :2023/04/24(月) 14:47:15 NvnfaenU0

「……えっと、まず名乗らせていただくわ。私は陸八魔アル。この身体はアルフォンス・エルリックっていう人のものみたい」
「…………えっ?あ、アルるっ、アル……さま……?」

 その反応、そして様を付けて自らを呼ぶ人物。アルの疑問は確信へと変わった。

「あなたっ、ハルカよね!あなたも巻き込まれていたのね……っでも良かったわ!こうしてすぐに出会えて!」
「あ、あ、アル様……っ!はいっ、ハルカです……!」

  アルの予想通り、少女の精神は便利屋68の仲間、伊草ハルカのものであった。仲間も巻き込まれていた事は喜ばしくない事だが、最初にハルカと出会えた事は大きい。アルもハルカも安心した表情を浮かべ――

「…………ということは、私はアル様に向かって……撃っ……て……」

 なんとなく、なんとなくアルはハルカの次の行動を予想していたが、やはり現実のものとなった。

「ぁああああああああぁぁぁぁあぁぁっ!!!!!!私がアル様をっっっアル様を殺そうとしてたぁっ!!!!????ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい死にます!死にます!死んで詫びます!死にます!今すぐ死にます!死にます!死にます!死にます!死にます!死にます!死にます!死にます!死にます!死にますうあああああ!!!!!!!!!」
「お、落ち着いて……」

 ハルカはどうも少しでも非があると思い込めばすぐに自害しようと暴走する、アルは若干困りはするもののそれもハルカの個性だと無理に抑えたりはしない。身体が溶けていると錯覚するくらいには錯乱しているハルカ。銃を自身の顎に当て引き金を引こうとしているのでいつも通りなんとか落ち着かせようとする――

 だが、今はどうも事情が違うことを思い出した。
 アル自身に与えられた身体、アルフォンスはプロフィールを見るにおそらくキヴォトスの人間ではない。それは見た目からの判断だがハルカの身体の少女もそうであろう。ならば、この状態でハルカが自爆でもしてしまえば――ハルカが、本当に死んでしまうかもしれない。

「――待ちなさい!ハルカっ!!」
「っ!えっ、はっアル様っ」
「今は……今は絶対そんなことしちゃダメよ!ハルカが本当に死んでしまうわっ!」
「し、死にます……」
「そうなったら、私本気で怒るわ!別に他のことなら何をやっても問題ないけれど、本当に死ぬ様な真似は……絶対にダメよ」

 肩を掴み説得する。身体の心配はもしかしたら杞憂であるかもしれない、しかし少しでも、ハルカを失ってしまう可能性があるなら絶対に止めなくてはならない。ハルカは、大切な仲間なのだから。

「……ごめんなさい。アル様に迷惑ばかりかけて……」
「迷惑なんて思ってないわよ!それに、お詫びがしたいのだったら私にいつも通りついてきて欲しいわ」
「へっ?そ、そんなの当然ですっ」
「そうよね、安心したわ!」

 落ち着いた様子のハルカを見てアルはほっ、と息をついた。


125 : そこに在る力 ◆4u4la75aI. :2023/04/24(月) 14:48:00 NvnfaenU0
ハルカは未だ息を切らしている。

「……そういえば、ハルカはその身体について何か知ってるかしら?」
「あっ何も……知りません……この銃しか取り出してなかったので……」
「だったら今プロフィールを見ておきましょう。身体のことは知っておかないと」

 そう言ってアルはハルカのデイパックからタブレットを取り出し、プロフィールの欄へと操作していく。

「……えっと、後藤……『後藤ひとり』っていうらしいわ。今のハルカの身体」
「そ、そうなんですねっ」

 アルは後藤ひとりのプロフィールを読み進めていく。最初は 『ギターヒーロー』という名義で動画サイトで人気を誇るギタリスト、だとか『結束バンド』というバンドのギターを担当している、だとか書いていたが途中から陰キャ、コミュ障、友達0人、承認欲求モンスターなんて単語が飛び出しまくった為アルは後藤ひとり本人が心配になってきたがどうしようもなかった。

「…………えっと、その身体、やっぱりあまり強くないらしいから無理しちゃあダメよ。銃を撃ちすぎても普段とは違ってさっきみたいに疲れちゃうと思うし……」
「はっ、はい了解ですアル様っ」

 アルはタブレットをハルカへ返すと立ち上がる。

「ハルカ、立てるかしら?」
「は、はい。アル様の為ならばっ」

 そしてアルは思惑する。自分とハルカ、2人がこの場所に居る以上同じ便利屋68のメンバーであるムツキとカヨコが居る可能性も大いにあるはずだ。

「ムツキとカヨコ……2人も巻き込まれている可能性が高いわ」
「たっ確かに……お二人とも、早く見つけないとですね……」
「そうよ!早く見つけないとだわ。でも!それさえ済めばこの事件は解決も同然!例えどんな姿であろうとも私達4人が集えば百人力だわ!」

 だから名簿も見れない間、例え1時間だけでも便利屋のメンバーを探す時間に割くのは正しい判断の筈だ。何せ日常のほとんどを共に過ごす仲。側にいるだけでも安心感が変わる。

「そうと決まれば、2人を探しに行くわよ!ハルカ!」
「はいっお供します……!!」

 目指すは便利屋68再集結。4人の中でも特にトラブルメーカーである2人が最初に出会ってしまったが、そこには確かな信念があった。


【陸八魔アル@ブルーアーカイブ -Blue Archive-】
[身体]:アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いなんてしないわ!
1:ハルカと会えて良かった、他のメンバーもいる筈、探さなきゃ
2:ハルカの身体の人はあまり強くないから、守らないと
[備考]
※参戦時期は対策委員会編2章終了後です。
※アルフォンスの本当の肉体ではなく、鎧の姿が『アルフォンス・エルリックの肉体』として設定されています。

【伊草ハルカ@ブルーアーカイブ -Blue Archive-】
[身体]:後藤ひとり@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:健康、疲労(小)、アルを撃った事の罪悪感
[装備]:ジャンボガン@ドラえもん
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:アル様に着いていきます
1:ムツキさんとカヨコさんを探します
2:アル様、やっぱり優しい……
[備考]
※参戦時期は対策委員会編2章終了後です。
※後藤ひとりの身体が溶けたり崩壊したり顔のパーツが落ちる等の描写が実際に起こっているものかどうかは後の書き手さんにお任せします。


【ジャンボガン@ドラえもん】
伊草ハルカに支給。
戦車を一撃で吹き飛ばせるほどの威力を持つひみつ道具。
この殺し合いにおいては威力は本来の戦車を撃ったとしても戦車がほんの少し凹む程度の威力に制限されている。普通の人間に撃てば一撃で瀕死に出来る。


126 : ◆4u4la75aI. :2023/04/24(月) 14:48:18 NvnfaenU0
投下終了です


127 : ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:20:00 92vybL420
投下します


128 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:23:01 92vybL420
良いことが起これば次は悪いことが起こる。
自分の身に降りかかったのは正しくそれだと、伊地知虹夏は心底思う。
虹夏がドラムを担当するグループ、結束バンドの初ライブ。
台風の影響で当初の予定よりも客足は減り、しかも本番の演奏は息の合わないぐだぐだなもの。
冷え切ったスタジオの空気を嫌でも感じ、念願のファーストライブは失敗に終わり苦い後悔の記憶として刻まれるはずだった。
しかし、そんな悪い流れを後藤ひとりが変えてくれたおかげでライブは無事成功。

そうだ、そこまでなら良かったのだ。

現実は厳しい、というか意地が悪い。
虹夏とてこの先のライブ活動が順風満帆に進むとは思っていない。
きっとここからが苦労の本番でもあるとは、自分なりに分かっていたつもりだ。
でもこれは予想のしようが無いだろう。
身体を全くの別人に変えられ、しかも殺し合いを強要させられる。
二次元の世界ではありふれた悲劇が、一体全体どうして現実の一女子高生である自分の身に降りかかるのか。

「はぁ、はぁ、はぁ…!」

他人の体で殺し合いに参加させられただけでも最悪だというのに、虹夏の不幸には続きがある。
やたらと恐ろしい形相の月が見下ろす会場で目を覚まし、夢だと思い込もうとするも五感で感じる全ては現実のもの。
頭を抱えながら自分の体のプロフィールを確認。
前髪をアップにしデコを出したのが特徴の体は、偶然にも虹夏と同じ女子高生であると知った直後だ。
いきなり現れた参加者に襲われたのは。

急に出て来て何のつもりだとか、文句をぶつけてやるだけの余裕はない。
問答無用で拳を振り上げた相手の存在に、自分達は殺し合いをさせられていると嫌でも現実を理解させられた。
焦りと恐怖とその他諸々に突き動かされるまま逃走。
息を切らして襲撃者から少しでも遠くへ逃げようとする。

「うわっ!?」

まだ追いかけて来るのかと背後を見たのは失敗だった。
木の根に躓き転倒してしまう。
切羽詰まったこの状況で子供みたいに転ぶなんて。
悪態が突いて出る筈だった口からは、ヒュッと息を呑む音。
立ち上がりかけた虹夏へ降り注ぐ月光が何かに覆い隠された。


129 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:24:47 92vybL420
見なくても分かる、しかし見ずにはいられない。
恐る恐る顔を上げると案の定、自分を襲った参加者の姿。

「……っ!」

虹夏を見下ろす参加者は男だった。
長身で筋肉質、顔立ちも整っており浅黒い肌と合わせてワイルドな印象。
しかし刃物のように鋭い瞳は、男がカタギの人間では無いとアピールしているかのよう。
外見がどれだけ異性から受けが良さそうでも、虹夏には関係無い。
彼女にとってこの男は、自分を殺そうとする危険人物以外の何者でもないのだから。

「……」

一言も発さずに男は拳を振り上げる。
ゴツゴツした岩の塊を思わせる拳を叩き込まれたら、虹夏の体は無事では済まない。
きっとこちらが息絶えるまで、何度でも殴り続けるつもりに違いない。
ツンが多量の姉に頭を叩かれるのとは別の、殺意に満ちた暴力だ。

(嘘…私、死ぬの……?)

ライブが成功して、結束バンドとして本当の意味でのスタートを切った。
なのにこんな、殺し合いなんて意味の分からないもののせいで死ぬのか。
まだ夢を叶えていないのに。
ぼっちちゃんと呼ぶあの娘の、ギターヒーローの音楽を見続ける事も出来ずに。

「そんなの嫌…私まだ…皆と一緒に夢を叶えてない……まだ死にたくなんかない……!!」

自らの魂を震わせ死を拒絶する言葉を口に出しても、男の心には微塵も響かない。
つまらないものを見る目のままに拳を振り下ろし、





銃声が木霊した。


130 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:25:37 92vybL420
虹夏を殴り殺す拳は止められ、へたり込んだ虹夏もまた突然の事態に目を白黒させる。
揃って視線を動かした先に立つのは、虹夏殺害を中断させた乱入者。
手には赤い銃。
車のドア部分に似た銃身という奇妙なデザインのそれが、今しがた銃声を響かせた正体。
銃を構えるのは少女。
ブルーのショートヘアに泣きぼくろが特徴の彼女は、虹夏が良く知る人物だった。

「リョウ…!?」

山田リョウ。
結束バンドのメンバーであり虹夏の友人は、険しい表情で男へ銃を突き付ける。

「そいつから離れろ。妙な動きをしたら撃つ」

自分が知っているリョウとは別人のように、殺伐とした空気の彼女に戸惑いを隠せない。
精神は本当に別人なのだが。
困惑する虹夏を尻目に男はじっとリョウを睨み返し、ここでようやく言葉を発した。

「リントの戦士か…」
「あ?何の話だ?」

誰かに聞かせる目的で口にしたのではないらしい。
リョウの疑問に答える素振りは見せず、虹夏からゆっくり距離を取ろうと動く。
が、男はリョウの言葉に従ったのではない。
足元を爆発させたが如き勢いでリョウに急接近、真っ直ぐに拳を突き出す。
殺す対象を虹夏からリョウへと変更したのだ。

「チッ!」

舌打ちと同時に回避へ動き出すリョウ。
銃を撃って動きを止めるには男が一手早く、引き金を引くより先に殴られると察知。
真横に跳び体勢を立て直す暇も無く迫る二撃目、地面を転がりこちらも避ける。
今度こそ立ち上がった位置は虹夏のすぐ近く。
彼女を庇うように前へ出たリョウへ男は攻撃を仕掛けて来ない。
殺す気が失せたからではない、「殺し合い」の本番を始める準備に移る。

剛腕を掲げると手首にブレスレットが装着されているのが見えた。
すると、どこからか飛来して来たカブトムシがブレスレットと合体。
自動で角が上部を向くように作動する不思議な光景も意に介さず、「その言葉」を口にする。


131 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:26:19 92vybL420
「変身」

『HENSHIN』

『CHANGE BEETLE』

右手首のカブトムシ、カブティックゼクターを中心に装甲を身に纏う。
超金属、ヒヒイロカネで覆われた全身は頑強でありながら軽量。
黄金色のアーマーが月光に鈍く反射、青の目で標的を見据える。

仮面ライダーコーカサス。
秘密機関ZECTが開発したマスクドライダーシステムの一体である。

「えっ、え、え?ちょ、えぇ!?」

自分を殺そうとした男が今度は特撮番組にでも出そうな姿になった。
次から次へと起こる事態に虹夏の困惑はあっという間に頂点へ達する。
虹夏を尻目にリョウは眉をひそめつつも、動揺は面に出さない。
男が使ったブレスレットや昆虫に見覚えは無い、だがああいった「変身」するシステムなら知っている。

何故ならリョウの体に入った精神もまた、仮面ライダーと呼ばれる戦士。
現在は元々変身していた姿にこそなれないものの、代わりを果たせる道具は手元にある。
敵が仮面ライダーの力を殺しに使う気なら、こっちも同じ力で叩き潰すまで。

「おい」

その前にまずは傍らの少女を引き離しておかねばなるまい。
短く声を掛けられ反応する虹夏と視線を合わせる。
気の利いた言葉など浮かばない、それでも安心させようと口を開く。


132 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:27:29 92vybL420
「あいつは俺がぶっ潰す。だから離れてろ。お前には指一本触れさせねぇ」
「うえっ!?あ、う、うん…」

クールなようでいて実際は何も考えていないリョウの口から出るとは思えない言葉。
精神が別人と理解してはいるのだが、どこか上擦った返事になった。
動揺する虹夏に背を向け右手を掲げ、飛来した青いクワガタムシを掴む。
自然界に生きる昆虫とは違う金属の感触が手から伝わる。
背後からは驚き、正面からは興味深気な視線を集め、銀色のバックルにクワガタムシを装填した。

「変身!」

『HENSHIN』

バックル部分を中心に展開するのはコーカサスと同じヒヒイロカネの装甲。
両肩に銃口を装備した重厚なアーマーを纏い、真紅の瞳で敵を射抜く。
青い戦士の名は仮面ライダーガタック。
コーカサス同様、マスクドライダーシステムの資格者が変身した姿。

「さっさと倒させてもらうぞ!」

同じシステムを用いたライダー同士の戦闘、先手を切ったのはガタックだ。
両肩の専用火器、ガタックバルカンが火を吹く。

四門の砲口が放つは毎分500発の連射が可能なエネルギー弾。
群れで行動するサナギ体のワームを纏めて殲滅する高火力の武装。
此度の標的はコーカサス一体。
過剰とも言える量のエネルギー弾が殺到、夜の森に爆音が響き渡る。
棒立ちのまま生きた的になる趣味をコーカサスは持ち合わせていない。
砲口の照準が向けられた時には既に動き出していた。
エネルギー弾の間を泳ぐかのように軽やかな回避。
時折装甲を掠めるエネルギー弾は捨て置き、瞬く間に急接近を果たす。

「フンッ!」

突き出すパンチは強力、それでいて速度も脅威。
ガタックの胸部装甲へヒット。
分厚いアーマーを纏っているにも関わらず、スーツの下の胸まで鈍痛が響く。


133 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:29:13 92vybL420
「ぐっ…!」

痛みに怯み隙を見せれば、コーカサスの猛攻を許す事に他ならない。
二撃目を待たずに距離を取りながらエネルギー弾を発射。
先程と同じく流水のような動きで回避しつつ接近される。
補助具に覆われた腕部を振るうもあっさり躱され、反対に蹴り飛ばされた。

(このままじゃサンドバッグだな…)

受け身を取ったガタックは自身の不利を冷静に受け止める。
現在ガタックが変身しているマスクドフォームはパワーと耐久力に優れる形態。
しかしコーカサスを相手取るには圧倒的に速さが足りない。
致命傷こそ無いとはいえ、マスクドフォームの装甲越しでも痛みを感じる打撃を何度も受けては一方的に体力を削られるばかり。
同じ土俵で戦うなら、敵の動きに対応可能な速さを発揮する必要がある。
それを実現させる方法をガタックは持っていた。

「キャストオフ!」

『CAST OFF』

『CHANGE STAG BEETLE』

バックルに装填されたクワガタムシ、ガタックゼクターの大顎部を操作。
マスクドフォームのアーマーが弾け飛び、コーカサスへと襲い掛かる。
その間にもクワガタムシの大顎をモチーフとしたガタックホーンが持ち上がり固定。
鉄の塊を弾き落としたコーカサスが睨む先で、ガタックはもう一つの変身を完了させた。
同じ青い装甲でも、マスクドフォームよりスマートな印象を与える形態、ライダーフォームだ。

「ほう……」

関心を含めた呟きを漏らすコーカサスへ、ガタックが向けるのは変身前に構えた赤い銃。
開発者曰くドア銃という、見た目通りの名を持つ武器のトリガーを引く。
発射されたエネルギー弾の狙いはマスクドフォーム時の弾幕よりも正確無比。
こういった拳銃タイプの武器は殺し合い以前より使い慣れている。


134 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:30:05 92vybL420
だが飛び道具一つで仕留められる程、コーカサスは甘くない。
エネルギー弾を両腕で弾きながら接近を試みる。

「っぶねぇ…!」

仮面を叩き割るべく迫った拳を紙一重で避け、銃のドア部分を開閉。
空気中のエネルギーを取り込み、ドア銃内部の装置が新しい弾に変換。
至近距離で撃つも銃身を片手で弾かれ狙いを逸らされた。
次いでガタックの腹部を狙う膝蹴り。
装甲に覆われていない箇所への一撃には肘を振り下ろし対処。
互いの腕と脚が弾かれ合い体勢が崩れ、されど一秒と経てずに復帰。
エネルギー弾がコーカサスの装甲から火花を散らさせ、拳が胸部装甲を強く叩いた。

「がぁっ…!」

ヒヒイロカネの装甲とはいえマスクドフォームには劣る耐久力だ。
一撃の重さに堪らず呻き殴り飛ばされるも、倒れる前に両足を踏ん張り耐える。
コーカサスから一瞬たりとも意識を逸らせば、あっという間に猛攻の餌食。
予想通り一気に距離を詰め打撃を繰り出す相手に対し、ガタックもまた新たな手に出る。
ドア銃ではなく、ガタックに元々備わった武器を手にした。

マスクドフォーム時にガタックバルカンが装備された両肩。
ライダーフォームとなった今は、クワガタムシの大顎を模した双剣、ガタックダブルカリバーがマウントされている。

「オラァッ!」
「フン…!」

振るわれる双剣を前にコーカサスが選ぶのは変わらず徒手空拳。
ガタックダブルカリバーは荷電粒子エネルギーを刃に纏わせ、一般的な刃物以上に切れ味を強化する。
だがコーカサスを保護するアーマーとて、同じくZECTが開発した既存の技術を凌駕した性能だ。
ガッタク専用の武器であっても斬られずに、打ち合いが可能だった。
加えて変身者が持つ技量も合わさってか、一撃の破壊力は素手であっても侮れない。

「オオオオオッ!!」

ライダーフォームの俊敏さを活かし、双剣を振るう速度を引き上げる。
パワーでマスクドフォームに劣るなら、速さに物を言わせ手数で攻めるだけ。
しかしライダーフォームのスピードを発揮出来るのはガタックのみに限った話ではない。
速さを増したガタックの双剣を、同じ速さでコーカサスが防ぎ躱す。
刃と腕部装甲により響き合うは戦いの音色、どちらも長々と続けるつもりは無い。


135 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:31:12 92vybL420
「ぐぅっ…!」

双剣の間を縫って放たれた一撃が綺麗に命中。
再度ガタックを殴り飛ばしたコーカサスは右手を、自身のベルトのバックル部分に当てる。
それが何を意味する動作なのか、同じ系統のライダーシステムで変身したガタックには即座に察しが付いた。
向こうがそのつもりなら自分も同じ手に出るまで。

「クロックアップ」
「クロックアップ!」

『CLOCK UP』

それぞれのゼクターから流れてくるタキオン粒子を解放、全身にくまなく送る。
成体ワームへの対抗手段としてマスクドライダーシステム全てに備わった共通の機能。
クロックアップが発動され二人の姿が掻き消えた。
常人では目視不可能、同じくクロックアップを使うか、或いは時間そのものを止めなければ対抗はほぼ不可能。

「ハァッ!」

双剣と拳、斬撃と打撃がこれまで以上のスピードで繰り出される。
木の枝から落ちた葉が地面に到達するまでの僅かな間に、互いが放った攻撃回数は百へ届こうとしていた。
それ程までの攻防を繰り返しながらも、ガタックが敵へ与えたダメージはほとんどない。
ガタックダブルカリバーの猛攻を凌ぐコーカサスから焦りは毛先程も窺えず、敵の余裕もまたガタックの精神に焦りを生じさせる。
精神の僅かな乱れはそのまま現実の動きに繋がった。

「っ!!」

双剣の片方、左手に持ったマイナスカリバーが弾かれた。
手元を放れクルクルと宙を舞う剣に一瞬でも気を取られたのは大失敗もいいところだ。
取りに行くまでコーカサスは待ってくれない、隙を見逃してもくれない。
残る一本を防御に回そうとした時には既に手遅れ。

腹部に拳が捻じ込まれ、猛烈な吐き気を覚えると同時に体が宙に浮く。
自然落下は許してもらえず、胸部を蹴り上げられ更に上昇。
頬を殴られ頭の中がシェイクされる、頭部もヒヒイロカネで覆われているにも関わらず冗談のような威力だ。
最後は背中からの衝撃で地面に叩き落とされた。変身していなければ上半身と下半身が真っ二つに引き千切れただろう。


136 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:32:08 92vybL420
「がはっ…」

打撃の嵐で呼吸が止まりかけた。
ヒヒイロカネの装甲で身を守られているとは言っても、女子高生の体には酷な痛み。
このような負担を強いている事を本人には申し訳なく思うが、そういった謝罪は全て後回しにさせてもらう。
今は生き残れるかどうかすら怪しいのだから。

『COLCK OVER』

クロックアップの持続時間が切れ、再び常人でも視認可能な状態へと戻る。
倒れ伏すガタックと仁王立ちするコーカサス、どちらが優勢かは明白。
どちらのライダーも本来の変身者こそ違うが、殺し合いの前から戦い慣れているのは同じ。
勝敗を分けたのは主催者から与えられた肉体のスペック差。
男女の違いのみならず、コーカサスの体は生身であっても非常に高い身体能力を持つ。
一方でガタックの体は一般的な10代後半の少女の域を出ない。
身体の能力差が変身後にも影響した結果が今の光景だ。

「ライダービート」

『RIDER BEAT』

与えられた肉体の性能を喜びはせず、敵の肉体の脆弱さを嘲笑うでもなく。
ただ敗者に相応しい最期をくれてやるべく、コーカサスはトドメを刺そうとゼクターを操作。
180度回転させタキオン粒子を解放、打撃の威力を最大限に高める。
解放されたタキオン粒子が右腕を覆い、放たれる瞬間を今か今かと待ち侘び輝きを増す。
黄金色の装甲をより際立たせる光も、ガタックには自身の死を予感させる忌々しさしか感じられない。

「ど、どうしよう…!このままじゃリョウ…じゃなくて、えっと…とにかくリョウの体の人が…!」

少し離れた物陰から覗く虹夏も、ガタックの絶体絶命の危機には顔が青褪めるばかり。
二体のライダーの戦いはテレビ番組で繰り広げられるものより苛烈で、これは本当に現実なのかと自分の頭を疑いそうになったくらいだ。
この期に及んで現実逃避している場合じゃないとは理解しており、現に離れた場所からでも肌をビシビシ刺激する殺気は紛れも無く本物。
自分に直接向けられたものでは無くとも恐怖で震え上がり、一瞬の内に二人の姿が消えたと思ったら、片方が倒れた状態で現れた。
何が起きたかはともかく、リョウの体に入っている人物がピンチなのは分かる。
自分を助けてくれた人を見殺しに出来るような、恩知らずな奴になったつもりはない。
何より体のみとはいえリョウが殺されそうならば余計に何とかしなくては。


137 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:33:08 92vybL420
問題は虹夏の体は戦う為の力を持たない、至って普通の女子高生であること。
軽音楽部という部活に所属し、ドラムを担当していると知った時はシンパシーを感じた。
本人と直接会えたらドラム担当ならではの苦労を分かち合えるかも、などと呑気に考えたがそれどころじゃない。
このまま何も考えずに飛び出して行ったとて、二人揃って殺される以外の結末が見えない。

「あっ、そうだ!リュックの中に何かあれば…」

デイパックの中で確認したのはタブレットのみ。
若しかしたら他にも役に立つ道具が入っているかもしれない。
ひょっとしたらガタックやコーカサスのように、特撮番組のキャラみたいな姿になれるアイテムが支給されてる可能性だってある。
望みを託してデイパックを漁り、手に取ったのは虹夏の予想とまるで違うもの。

「何これ…杖……?」

ジャラジャラした金属が付いた杖。
時代劇とかで見た事があったかもしれないが、今この状況で役に立つとは思えない。
一応鈍器には使えそうだがと悩み、杖と一緒にいちまいの紙も出てきた。
見てみると杖の説明書らしく、読んで率直な思いが呟きとして漏れる。

「嘘くさい…」

どこのファンタジー出身だと言いたくなる内容。
いやしかし、冷静に考えれば体を別人に変えられてる時点で十分現実離れしてはいないだろうか。
もっと言えばぼっちちゃんことひとりの生態だってミステリーの極みだ。
完全に嘘と決めつけるのは早計、そして今は本当に余裕が無い。

「こうなったら、なんとかなれー!!」

半ばヤケクソ気味に杖を思いっきり振るい、説明書に書かれていたのが真実だとすぐに分かった。
虹夏が手に持った杖から電撃が放たれたのだ。
夜闇を切り裂き、右腕を突き出そうとしているコーカサスを光が貫く。


138 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:34:29 92vybL420
「ヌゥッ!?」

全く予期せぬ方からの攻撃にはコーカサスも驚愕を抑えられない。
一番の標的と見ているのはガタック、虹夏は後回しにしても問題無い雑魚。
その認識を抱いていたからこそ、眼中になかった小娘の抵抗は予想外だった。
装甲を纏っているとはいえ電撃の威力は侮れない。
全身へ広がる痺れに動きを抑制され、必然的にガタックへ刺す筈だったトドメも防がれる。

「う…おおおおおおっ!!」

『ONE・TWO・THREE』

コーカサスはガタックの隙を見逃さなかった。
ならばガタックも同様に、千載一遇のチャンスを逃す真似はしない。
傷を噛み殺して立ち上がり、ガタックゼクターに手を伸ばす。
ボディ後部にあるボタンを3回押してゼクターホーンを操作、こちらも持てる最大威力の技を放つ為だ。

「ライダーキック…!」

『RIDER KICK』

ゼクターホーンをもう一度動かしタキオン粒子を解放。
右足に収束され稲妻を散らし、これで全ての準備が整った。
ガタックの様子に気付いたコーカサスも中断された技を以て迎え撃たんとする。
だがやはり痺れに苛まれる影響か、一手先に動くのを敵に許してしまう。

「ぶっ…潰す!!!」

勢いを付けてのジャンプキック。
突き出した右足がコーカサスへ命中し、装甲越しにタキオン粒子に痛め付けられる。
くぐもった悲鳴は大きく蹴り飛ばされ、ガタックはおろか虹夏にも拾われない。

「――――ッ!!!」

怨嗟か、或いは苦痛の訴えか。
どちらにせよロケット弾のように吹き飛んで行った相手の声に籠められた感情など、最早知る由も無い。


139 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:36:06 92vybL420
ガタックの視覚センサーを以てしても姿は捉えられず、一先ず戦いは終わったと判断。
バックルからガタックゼクターが離れ、何処へと去って行く。
何と無しに飛ぶ姿を眺めていると、慌てて駆け寄る気配があった。

「リョウ!じゃなかった…と、とにかく大丈夫!?」

隠れていた虹夏も出て来て大丈夫だと分かり、友人の肉体を使っている人物を心配する。
杖を握る両手に力が込められているのが見ても分かった。

「無茶しやがって…。だがお陰で助かったぜ。ありがとな」

安心させるように笑いぽんぽんと軽く頭を撫でる。
中身が別人でも知っている姿でやられるもんだから、思わずぎょっとした。

我が友ながら顔が良いのは前から知っている。
色んな意味で適当だったり、その場のノリで物事を言ったり、何も考えてなかったり。
そういう残念な内面ではなく、ぶっきらぼうながら優しさを忘れない態度。
この顔と態度を他の誰かが見たらどうなるか、考えるまでも無い。

「第二第三の喜多ちゃんが生まれるやつだこれ」
「は?」





落ち着いて自己紹介できるだけの余裕が出来、改めて互いに名乗る。
虹夏にとって驚きだったのは、リョウの体に入っている精神は何と男らしい。
口調からしてそんな予感はしていたが、本人の口から言われるとやはり驚くというもの。
また自分の名を伝えた時、結束バンドというガールズバンドのグループを組んでいるとも伝えたが無反応。
余り音楽に興味は無いとのことなので仕方ないと言えば仕方ないし、むしろ知っている方がまだ珍しいだろう。
ちょっぴり残念ではあるものの、後を引き摺るレベルの話でもない。
だが相手の話になった時、不穏な空気が流れた。

「伊地知、お前本当に知らないのか?」
「だ、だから知らないってば…。不破さんが言ったの全部初耳だもん」

不破諫。
彼の話す内容は虹夏には聞き覚えの無い単語ばかりだった。
ヒューマギア、飛電インテリジェンス、A.I.M.S、ZAIAエンタープライズジャパン、滅亡迅雷.net、デイブレイクタウン。
その全てが虹夏の記憶には存在しない。
「ヒューマギアってなに?」、そう聞いたら不破には信じられないものを見る目をされた。
身体はリョウだからか、絵面だけなら普段のしょうもない雑談の一場面に見えない事もない。


140 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:36:58 92vybL420
難しい顔で考え込む不破を前に、虹夏はどうにも居心地の悪い思いになる。
別に虹夏だって命の恩人との関係を悪くする気はない。
でも知らないものは知らない、どうにか記憶を絞り出すけどどれも本当に聞いたことが無い。
若しかしてリョウみたいにめんどいオタクっぷりを発揮して、ヒューマギアとか言うのを早口で説明し出すつもりではあるまいか。
少々失礼な予想をして警戒する虹夏だが、そうはならなかった。

「知らないってんなら仕方ねぇ。この話は終わりだ」
「……いやいや、え?私が言うのも何だけど良いの…?不破さんにとって大事なことなんじゃ…」
「ごちゃごちゃ考えんのは苦手なんだよ。その内理由がハッキリするかもしれねぇだろ」

大らか、というよりは大雑把な返答に肩透かしを食らう。
いや変に言い争って険悪になるよりはずっとマシだけど、でもそれで良いのか。
さっき助けてくれた時はクールな人かと思ったけど、案外そうでもないようだ。
身体の持ち主である友人に少し似ている適当さに、逆に安心している自分がいる。

「俺の事よりお前の話の方が重要だ。この体、友達なんだろ?」
「うん…。それにもしかしたら、ぼっちちゃんと喜多ちゃんまでいるかもしれないし…」

虹夏が参加していて、リョウの体もある。
ならばリョウ本人も参加している可能性は十分考えられるし、最悪の場合は結束バンドのメンバー全員が巻き込まれているかもしれない。
自分は不破が助けてくれたけど、三人も同じように無事とは限らない。
こんな場所で自分が死ぬのは勿論お断りだし、ひとり達が死ぬのだって絶対に嫌だ。
本当に皆が参加しているかを確認できる名簿はまだ見れない。
だがもし参加していて一時間の間に命を落とすようなアクシデントに見舞われていたら?
不安を隠さずに言うと、友の顔をした男が返すのは何とも心強い言葉。

「お前が友達を心配してんのはよく分かった。なら探しに行くぞ」
「うん…。って、不破さんもしかして手伝ってくれるの?」
「じゃなかったらこんな事言ってねぇよ。但し無茶な真似はやめとけ。さっきの奴に追いかけられて、まだ疲れてるだろ?」
「それはまぁ…。気を付けます。……ありがとうございます」

ぶっきらぼうだけど、やっぱり彼は優しい人だ。
不破への感謝、ひとり達が巻き込まれていないかの心配。
そしてリョウの体が無事に本人の元に戻るよう願いながら、虹夏は不破の背を追いかけた。


141 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:38:45 92vybL420
自分の後ろを付いて来る少女に気を回す不破は、先程の会話で一つだけ明かしていない情報がある。
不破自身にも答えが出せない内容で、虹夏を余計に混乱させると考え黙っていた。
改めて考えても実に不可解だ。

(何で俺は生きてる…?)

不破諫という人間は既にこの世にはいない筈。
リオン・アークランドの策略に嵌り、必要悪として人類に討たれる覚悟を決めた滅達4体のヒューマギア。
彼らが変身した仮面ライダー滅亡迅雷との一騎打ちの果てに相打ちとなり、刃唯阿に看取られ不破はこの世を去った。
なのに他人の体という形ではあれど、不破は再び現世に生を受けているではないか。

主催者は死者の蘇生すらも可能にしているのだとしたら、成程強大な敵だ。
人工知能アークにすら不可能だった死者蘇生や月の落下など、体を変えられバルカンに変身できないのもあって、これまで以上に厳しい戦いとなるのは間違いない。

だが敵が強大=諦める選択は不破の中に最初から存在しない。
チラと背後の少女を見やる。
殺されそうになっている所へ駆け付けた時、虹夏は確かに言った。
まだ夢を叶えていないと。
だったらその夢を殺し合いで失わせる訳にはいかない。
虹夏も、或人も、唯阿も、ついでに天津の奴も。
生きてる誰もが夢に向かって走り続けている。

(なら、その夢を邪魔する連中をぶっ潰すのが俺の役目だ)

虹夏や巻き込まれた人々を助け、彼女の友人に体を返す。
それが仮面ライダーという夢を追いかける自分がやるべきことだ。


【伊地知虹夏@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:田井中律@けいおん!
[状態]:疲労(小)
[装備]:積怒の錫杖@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする気はない。
1:不破さんと一緒に結束バンドの皆を探す。
2:リョウの体、ちゃんと本人に返るよね…?
[備考]
※参戦時期は初ライブ終了後。(アニメ8話後)

【不破諫@仮面ライダーゼロワン】
[身体]:山田リョウ@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)
[装備]:ガタックゼクター+ライダーベルト@仮面ライダーカブト、ドア銃@仮面ライダードライブ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを仕組んだ連中をぶっ潰す。
1:伊地知を守りつつ友達探しを手伝う。
2:一般人がいれば保護、協力できる奴も探しておく。
3:何で伊地知はヒューマギアを知らないんだ?
[備考]
※参戦時期はVシネマ『ゼロワンothers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』で死亡後。


142 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:39:55 92vybL420



「甘く見ていたか……」

不破達から大きく離れた場所でボソリと呟く。
既にコーカサスの変身は解除され、最初に虹夏を襲った時の姿を晒す男の名はゴ・ガドル・バ。
長野県の古代遺跡に封印されていた古代の種族、グロンギの一体。
その中でも上位の能力を持つゴ集団のリーダー、それがガドルである。

人間の体にされ、グロンギの力ではなく奇妙な機械を使って行うゲゲル。
本来のゲゲルとは余りにも違う変則的なルールに、当初は困惑したものだ。
これは自分達にとっても予期せぬ事態、それともバルバは知っていて自分をこのゲゲルに参加させたのか。
殺し合い自体は望む所と言えども疑問は尽きない。
そんな時に見つけたのは、あからさまに怯えているリントの少女。
クウガやクウガと協力関係にあるリントよりも遥かに弱いソレが、よりにもよって最初の標的だとは。
落胆しつつも見逃す気は無いので殺そうとし、それから別のリントが乱入して来た。
身体は同じ小娘でも、中身は戦士としての経験を積んだ者と立ち振る舞いで理解。
支給された道具の試運転がてら戦い、結果はこの通りだ。

あのままガドルの勝利で終わる筈の初戦は、予想外の反撃を受けて敗北。
生きてこそいるが、より高威力の一撃だったなら死んでいてもおかしくはない。
グロンギの肉体がうしなわれているから、負けた理由は他にもある。
言い訳はしない、自分の油断があったからだ。
たとえ力で劣ろうとも、突き立てる牙の一本くらいはリントとて持っている。
クウガに協力するリント達が良い例だ。
連中は個々の力こそクウガに大きく劣ってはいれど、クウガとの共闘で幾度も同胞を追い詰めたではないか。
取るに足らないと甘く見て手痛い反撃を食らう。
ならばもう二度と、今回のような失態は犯すまいと戒める。
予想だにしない新ルールのゲゲルへの困惑もあったが、このまま雪辱を晴らさずにいるのは己のプライドに賭けて許せない。
バルバが関わっているにせよいないにせよ、このゲゲルには乗ってやろう。
何でも願いを叶えるとは少々胡散臭いが、事実ならば勝ち残った末に更なる力を得られるかもしれない。
参加者との殺し合いで己を研磨し、最終的に力を得ると考えれば悪い状況でもなかった。


143 : キミの夢は終わらせない ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:41:30 92vybL420
「だが、この肉体だけは気に入らん」

苛立ちを籠めて自分に与えられた体を見下ろす。
リントにしては生身であっても非常に高い身体能力を有する、それは良い。
ガドルが気に入らないのは体の持ち主のプロフィールに記されていた内容。
この男は元々親友の右腕として立ち回っており、本来は既に死んでいるのだという。
実は親友に同性でありながら恋愛感情を抱いており、それをネタにした脅迫に屈したとの記述も見つけたがそこはどうでもよかった。
ガドルが苛立ったのは、男が親友の補佐としてNo.2に徹していた点。
何故リントの中でも強い部類に入る力を持ちながら、もっと上を目指そうとしない。
何故上に立つ者へ力で打ち勝ち、自らが最強になろうとしない。
グロンギの王として君臨するダグバをに勝利し最強になる為に研磨し続けるガドルからしたら、常に右腕である事を望んだ男の生き方は全く理解出来なかった。

「……まぁいい」

気に入らない思いはそう簡単に消えないが、これが与えられた体である以上は仕方あるまい。
リントの体故に傷の治りも遅い事へため息をつきながら歩き出す。
リベンジと、勝利の果てに得る力と、その先に待つ究極の闇をもたらす者を強く意識して。


【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[身体]:逆蔵十三@ダンガンロンパ3 The End of希望ヶ峰学園
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:カブティックゼクター(コーカサス)+ライダーブレス@仮面ライダーカブト
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:ゲゲルに勝ち残る。
1:参加者を探し殺す。
2:青い鎧のリント(不破)とはいずれ決着をつける。リントの小娘(虹夏)も殺す。
3:この体の持ち主は気に入らない。
[備考]
※参戦時期は死亡前のどこか。

【積怒の錫杖@鬼滅の刃】
半天狗の分裂体の一体、積怒が使う錫杖。
雷撃を放つ。

【ガタックゼクター@仮面ライダーカブト】
マスクドライダーシステムの心臓部となるクワガタムシ型のメカ。
資格者の意思に応じて姿を現わし、ライダーベルトに装填する事でガタックへ変身する。

【ライダーベルト@仮面ライダーカブト】
仮面ライダーガタックに変身する為のベルト。
バックル部分にガタックゼクターを装填し変身する。
変身時はベルトに触れクロックアップを発動させる。

【ドア銃@仮面ライダードライブ】
沢神りんなが開発した仮面ライダードライブ専用の拳銃型武器。
ドアパーツの開閉で銃弾の補充を行いエネルギー弾を発射する他、ドアパーツ型のエネルギーシールドを展開する事も可能。
装填したシフトカーの情報を読み取り種類に応じた特殊弾を放つが、今回シフトカーは付属していない。

【カブティックゼクター(コーカサス)@仮面ライダーカブト】
マスクドライダーシステムの心臓部となるコーカサスオオカブト型のメカ。
資格者の意思に応じて姿を現わし、ライダーブレスに装填する事でガタックへ変身する。

【ライダーブレス@仮面ライダーカブト】
マスクドライダーシステムの資格者が右手首に装着するブレスレット型のツール。
各種ゼクターが装填する事で仮面ライダーに変身する。


144 : ◆ytUSxp038U :2023/04/25(火) 23:42:25 92vybL420
投下終了です


145 : 逃げ出すよりも進むことを君が─── ◆EPyDv9DKJs :2023/04/26(水) 09:59:25 7x.8qW7g0
投下します


146 : 逃げ出すよりも進むことを君が─── ◆EPyDv9DKJs :2023/04/26(水) 10:00:10 7x.8qW7g0
 彼らはきっと正しいのだろう。
 どんなに困難でも、負ける可能性の方が高いとしても。
 自分の信じる道を、正しいと思える道を歩む覚悟があった。
 迷いのない、暗闇を照らす朝陽のような、そんな眩い黄金の意志を持った仲間。

 彼らは万夫不当の英雄達だ。
 誰も彼もが一騎当千、名だたる猛者たち。
 ワシとは別格の大英雄達。そんな彼等と冒険の旅路を過ごせる。
 たとえ人類史の運命と言う大役あれど、心は躍ってしまうものだ。

 けれど。僕は/ワシは───逃げた。
 敵を前に戦うと言う、抗うと言う選択肢を選ぶことすらできず。
 ただ保身のために踏み出すことができず、ただ逃げた恥知らず/臆病者。





「月も本当らしいな……どんなスタンド使いなんだ?」

 中学生か、下手をしたらそれ以下か。
 蓄えられた髭や中年のような顔つきは、
 その体格とは裏腹に老獪さを感じさせる姿だ。
 声もその顔らしい、年季の入った低い声色が出てくる。
 鉄の鎧や兜を装備した姿はさながら中世時代の人間であり、
 彼の姿でタブレットを持つのは中々にシュールな光景だが、
 完全な現代ではないにせよ、頭脳に優れた中身の男なら操作は難しくない。

「僕の知るタブレットは、性能もサイズも明らかに異なるはずだ。
 こんなもの、スタンド使いであったとしても作れるとは思えない。」

 今の状況を分析している男の精神の名はパンナコッタ・フーゴ。
 イタリアのギャング組織『パッショーネ』における護衛チームの構成員『だった』男だ。
 いや、厳密に言えば逆。唯一の護衛チームの人間と言うべきなのかもしれないが。
 護衛していた娘に対する仕打ちに憤ったリーダーであるブチャラティにより、
 自分を除いた仲間は全員彼へとついていく……即ち組織を裏切ることとなり、
 彼は一人岸に残ったまま組織を裏切ることを選択することはなかった。

 できるわけがない。バカげている。好みの音楽も分からない女の為に、
 圧倒的な力を持つ組織とスタンドを持つボスに勝ち目など何処にもない。
 頭が良すぎた、と言うべきか。だから現実を見てしまう、現実的に考えてしまう。
 彼は利口だ。だから正しいバカになることができず、一人残ることになった。

(身体を入れ替える能力がスタンドと言う可能性は十分にあり得るが、
 タブレットの性能を見るに未来か、別の世界に干渉できるスタンドもあるのか?
 少なくとも複数のスタンドや、何かしらの能力が関わっているとみていいか。)

 もし、彼がボートに乗っていたら、
 身体が入れ替わる現象に心当たりがあったかもしれないが、それは詮無き事。

「それにしても、英霊か……」

 彼が状況の分析の片手間でタブレットで見ていたのは、この身体の持ち主の記録。
 ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ、またはアロンソ・キハーノ。本名等は別として、
 名前だけであればたとえIQの高いフーゴでなかったとしても、大抵の人は知る名前だ。
 いや、学がないナランチャであれば知らないのかも、なんてことを少し思ったりもするが。
 風車に挑んだ人物、と言ってしまえば大概の人は知ってると答えるぐらいの知名度を持つ。
 少し掘り下げるのであれば、現実と物語の区別がつかなくなった人間が騎士になりきって、
 多くの人を巻き込んでは笑われたり、迷惑を掛けたりするコメディチックな世直しの物語。
 小説の人物は、どうやら彼の知らない世界では英霊として召し上げられた存在になっていた。

「僕に対する皮肉、と言うわけか。」

 ドン・キホーテの話を考えると、とても皮肉のようにも思う。
 彼は風車に立ち向かった滑稽な騎士、世間的には主にそう言った喩えや評価をされたりする。
 半分当たりで半分外れだ。強大な敵を前にして立ち向かわなかった。滑稽な臆病者。
 悪い部分だけを抽出しただけでも大分皮肉が効いているが、まだ続きがある。

「アトランティスの、アルテミス……? 女神もいたのか。」

 人類史が辿るものとは別の未来を辿った人類史、異聞帯(ロストベルト)。
 その内の一つ、神々が統治する世界において、彼は汎人類史を守る抑止力として召喚された。
 だが彼は立ち向かわなかった。英雄ヘラクレスが瞬殺され、屈した結果彼は逃げたのだと。
 恐らくそう言うことだ。ついていけなかった自分と同じ、相手の強さを理解し戦うことを選ばなかった。
 異聞帯とか汎人類史とか、搔い摘んだ説明では流石のフーゴでも完全な理解はできないが、
 無理だとは理解した。どういった強さかまでは定かではないにせよ、ギリシャのヘラクレスだ。
 凡庸な騎士と比べるまでもない、神話レベルの存在が女神により一瞬で殺されたのだ。
 自分がそこにいたとしても耐えられる精神ではないのは間違いない───だが。

「……彼は違ったのか。」


147 : 逃げ出すよりも進むことを君が─── ◆EPyDv9DKJs :2023/04/26(水) 10:00:53 7x.8qW7g0
 更に綴られていた内容を見て、読み終えてみればより皮肉だと感じた。
 彼は逃げた先の舞台においても、汎人類史の為に立ち向かうこととなる。
 だが相手は最後のローマ皇帝に即位した男、コンスタンティノス十一世。
 これもまた不釣り合いだ。彼は悪く言えば妄想癖を拗らせた凡庸で、くたびれた老騎士。
 傍迷惑で、騙されやすく、笑われる元一般人。コメディリリーフな騎士と言うのが一般的。
 そんな彼が幾万のオスマン帝国軍に抵抗し続けただけの力を持つローマ皇帝相手に勝てるわけがないと。
 自分の弱さを誰よりも理解し、忌み嫌いながら、なおもそこを死地とする覚悟の上で必死に立ち向かった。
 必死に耐え抜き、血反吐を吐こうともなおも抗い続けた騎士の勇士を見て、
 やがては勇敢なる騎士の為に王が参上したことで、彼は命を拾うこととなる。

「正しいバカに、彼はなれたんだ。」

 タブレットを閉じ空を仰ぎ、複雑に思う。
 それはフーゴにはできなかったことだ。
 あの日、ボートに乗ることができなかった進む一歩。
 安寧はなく、先の見えない暗い未来へとドン・キホーテは踏み出せた。

 現実を見ていない、無謀なことに挑もうとするブチャラティの理想を選べず。
 夢や理想と言ったものを抱くことができないまま、ただこの惨たらしい現実に浸り続ける。
 これが選ばれた理由。彼にはない『現実を知っても尚立ち向かう勇気』を持った騎士だと。

「……僕になれ、と言うのか?」

 殺し合いを差し向けておきながらとんだ皮肉を与えてくる。
 まるで殺し合いを叛逆して、乗り越えて来いと言わんばかりだ。
 何を目的にしているのか分からない。最後は月が落ちてゲームオーバー、
 なんて発言もスタンドも月までぶっ飛ぶ衝撃と言わざるを得ないことだ。
 IQ152とされたフーゴでも。この殺し合いの目的にはそう簡単にたどり着けない。
 いや、精神が優れたIQだとしても脳はドン・キホーテのものなので定かではないが。

(だが、できるのか?)

 この身体は騎士もどきでも、妄想に囚われた人間でもない。
 一度は折れたが、今度は臆しても逃げずに立ち向かう、善良なる騎士。
 ドン・キホーテのように、風車に、コンスタンティノスに、自分の弱さに。
 立ち向かうことができるのか。小柄な老兵の身体を得た少年は、
 未だに彼等のような理想を見ることができないまま俯いていた。
 逃げことよりも進むことをこの男が選べるか。
 勇敢な騎士に、正しいバカになる。答えは未だ遠く。

【パンナコッタ・フーゴ@ジョジョの奇妙な冒険Part5 黄金の風】
[身体]:ドン・キホーテ@Fate/Grand Order
[状態]:マスター不在によるステータス低下、悩み
[装備]:ドン・キホーテの鉄鎧@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]基本方針:正しいのバカに、なれるのだろうか。
1:ジョルノ達はいるのか?
[備考]
※参戦時期はボートが離れた後。
 一応アニメ版の想定になります(過去も小説版とは別)。
 ただ、最悪原作版でも行けると思います。
※6.5章『死想顕現海域トラオム』におけるドン・キホーテです。
 そのため、アトランティスや(又聞きで)オリュンポスの知識も保有してます。
 肉体の参戦時期は少なくともトラオム16節のコンタンティノス戦よりも後です。
※鎧は没収されてない代わりに支給品は減ってます。
※従者のサンチョがいない為スキル『同行従者』と『遍歴騎士の大冒険』、
 及び宝具『嗚呼、愛しき姫に捧ぐとも我が槍を!』と『嗚呼、この惨たらしくも優しい現実を』は使用できません。
 ただ『嗚呼、愛しき姫に捧ぐとも我が槍を!』は騎乗して走る馬(かそれに類するもの)があれば、
 ひょっとしたら疑似的なものはできるかもしれません。
※マスター不在によるステータスの低下が発生してます。

【ドン・キホーテの鎧@Fate/Grand Order】
フーゴに支給と言うより基本装備。ドン・キホーテの鎧。色合いと状態は第二再臨の鉄鎧。
特別な逸話はないため、さほど鉄鎧と変わらない(サーヴァントなので頑丈かもしれないが)。


148 : ◆EPyDv9DKJs :2023/04/26(水) 10:01:27 7x.8qW7g0
投下終了です


149 : ◆NIKUcB1AGw :2023/04/26(水) 21:06:04 jpp0dQI.0
投下します


150 : だって「シン」だもの ◆NIKUcB1AGw :2023/04/26(水) 21:07:26 jpp0dQI.0
とある民家の居間。
物々しい戦闘服の上からコートを着込んだ青年が、タブレットを操作している。
青年に宿る精神は、人間のものではない。
厳密には、地球人のものではない。
宇宙の彼方、光の星から地球にやってきた巨人。
地球人から、「ウルトラマン」と呼ばれた存在だ。

「本郷猛……」

ウルトラマンは、タブレットに表示された肉体の名前を読み上げる。

「秘密組織SHOCKERと戦うサイボーグ、『仮面ライダー』か……。
 彼もまた、誰かを守るために戦った者。
 この肉体、無碍に扱うわけにはいかないな」

タブレットをしまいつつ、ウルトラマンは決意を固める。
彼は元々、殺し合いを破壊するつもりでいた。
だがおのれに与えられた肉体の素性を知り、その決意はさらに固まる。

「本郷猛も私が見てきた人間と同様、素晴らしい精神を持つ人間の一人だ。
 その肉体をもてあそぶような真似を、許すわけにはいかない。
 必ず、この殺し合いを企画した者を打ち倒す」

口に出して宣言するウルトラマン。
その直後、どこからともなく拍手の音が響いてきた。

「誰かいたのか……。姿を見せてもらおう」
「では、お邪魔するよ」

ドアを開けて入ってきたのは、鍛えられた体つきの青年だった。
その精悍な顔つきの奥に宿るよこしまな雰囲気に、ウルトラマンは覚えがあった。

「おまえは……まさかメフィラスなのか?」
「ご明察。さすがだな、ウルトラマン」

自分の言葉を肯定した相手に対し、ウルトラマンは迷わず攻撃態勢を取る。
かつての仇敵が目の前に現れたのだから、当然の反応である。

「よそう、ウルトラマン。
 私たちが争っても仕方がない。
 私も君と同様、この殺し合いを止めたいのだからな」
「それは本当か、メフィラス」
「もちろんだ、ウルトラマン。
 思い出してみろ、私は地球人を戦力として活用しようとしていたのだ。
 その総数を減らす行いなど、賛同できるはずがない。
 弱肉強食、私の苦手な言葉です」

飄々とした口調で、メフィラスは語る。

「おまえを信用しろというのか、メフィラス」
「そうだ。だが信用するのは、私の人格ではない。
 利益へのこだわりだ。
 それならできるだろう?」
「それも怪しいものだ。
 おまえはゼットンの投入を察知して、真っ先に逃げ出しただろう」
「あのときは仕方なかったのさ。ゼットンは私の力でどうにかできる存在ではなかったからね。
 だが、今は違う。私の力でも、あらがうことができる」

しばしの沈黙。やがて、ウルトラマンが口を開く。

「わかった。この場にいる間は、おまえを信用しよう。
 あくまで仲間ではなく、同盟相手としてだが」
「それでいい。仲良くしようじゃないか、ウルトラマン」

右手を差し出すメフィラス。
ウルトラマンは渋々ながら、その手を取る。

「呉越同舟……」
「私の好きな言葉です、か」
「……ウルトラマン。他人の台詞を奪うのは、地球ではマナー違反だぞ」


151 : だって「シン」だもの ◆NIKUcB1AGw :2023/04/26(水) 21:08:36 jpp0dQI.0


【ウルトラマン@シン・ウルトラマン】
[身体]:本郷猛@シン・仮面ライダー
[状態]:健康
[装備]:仮面ライダーの戦闘服&ヘルメット@シン・仮面ライダー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを破綻させる
1:メフィラスはとりあえず信用する
[備考]
※参戦時期はゼットン撃破後


【メフィラス@シン・ウルトラマン】
[身体]:風祭真@真仮面ライダー・序章
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを破綻させる
[備考]
※参戦時期は地球を去った後


【仮面ライダーの戦闘服&ヘルメット@シン・仮面ライダー】
本郷のバッタオーグとしての力を引き出すための装備。
これを着用した状態でタイフーンを起動することにより、本郷は「仮面ライダー」となる。
なおヘルメットは、一般的なバイク用ヘルメットに変形することも可能。


152 : ◆NIKUcB1AGw :2023/04/26(水) 21:09:17 jpp0dQI.0
投下終了です


153 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/26(水) 22:48:29 xFnDynxM0
【お知らせ】
突然すみません、コンペ・書き手に関するルールで一つ追加したいことがあります。

仮面ライダーシリーズに登場する変身ベルト・変身アイテムについてなのですが、これらを登場させることができるのはコンペ時の登場話候補作のみということにしたいのです。
理由としては、ロワの方向性が仮面ライダー系統に傾きすぎるのは防いだ方が良いのではという気持ちが出てきたためです。
一応、いわゆるフォームチェンジ用のアイテム等にはこの制限を付けるつもりは現状ありません。
まとめwikiのルールのページの方にもこれらに関することは追記します。
個人的な感性の問題でもあり申し訳ありませんが、どうかご了承願います。


154 : ◆ytUSxp038U :2023/04/27(木) 03:21:58 7KgjOnig0
投下します


155 : 光を前に闇で構えろ ◆ytUSxp038U :2023/04/27(木) 03:23:30 7KgjOnig0
タブレット端末の電源を落とし、音も無く瞼を閉じる。
眉目秀麗という言葉がこれ程までに似合う者はそういない。
見る者へそんな感想を抱かせる少年だった。
男ながらに細い体と白い肌が月に照らされ、どこか危険な艶やかさを放っている。
異性のみならず同性までもが心臓の高鳴りを抑えられない彼は暫しの沈黙を挟み、やがて静かに言葉を紡いだ。

「君はそうしたんだね」

ここにいて、だけどここにはいない。
身体の持ち主へと、届かない思いを告げる。
全てを知った。
彼がどのように生きて来たのか、どんな力を持っているのか。
何より、彼が下した選択を。

全てを知って心に宿った感情を一言で表すのは難しい。
自分の知る彼と同じ名前、同じ顔、同じ家族構成。
しかし決定的に違う、選び取った結末。
どうしてその道を選んだと、憤りがあるかもしれない。
他に方法は無かったのかと、悲しみがあるかもしれない。

でも確実にあるのは、きっと安堵だ。
自分の知る彼は妹を心の底から愛していた。
自分の知らない彼も、同じく妹を愛した。
世界を敵に回そうと、人の道を外れ、袂を分かつ事になっても。
妹への愛は最初から最後まで失わなかった。
それがきっと嬉しいから、だから自分は今ほんの少しだけど笑みを浮かべているんだろう。

「……」

すぐに顔を引き締め、これから為すべき事を考える。
殺しあえと言われた、勝者が出ねば全員死ぬとも脅された。
見上げれば地上の人々を優しく照らす月は無く、三日後の地獄を今か今かと待ち侘びる凶月と目が合う。
ハッキリ言おう、こんな事をしている場合ではない。
自分には、いや自分達には為さねばならない大仕事が控えている。
命を捨て、己を捨て、新たな世界の礎とならねばならない。
であれば殺し合いなどにかまけている余裕は全く無いのだ。


156 : 光を前に闇で構えろ ◆ytUSxp038U :2023/04/27(木) 03:24:43 7KgjOnig0
早急な帰還が望ましく、手っ取り早い方法は殺し合いの優勝。
されどすぐさま皆殺しを選ぶ程の短慮にはならず。
自分がここにいるのなら、仕える主までもが参加している可能性を否定できない。
あの計画には自分と主、双方の存在が必要不可欠。
故に今は待つ。
主が参加しているか否かを把握可能になるまでの一時間は、じっと待つしかあるまい。

もし、主が不参加で、尚且つ殺し合いから生還する方法が何も見つからなければ。
その時は、

「その時は……僕はもう一度自分の手を汚す」

思い出せ、決して許しを求めぬ己の罪を。
父を手に掛け、友を敵国に売り、多くの人々を焼き払った。
必要ならば此度も自分は罪を犯す。
数多の屍を積み上げる、騎士とは思えぬ悪魔に。

「いや、今だけは魔王だ」

決意新たに右手を翳し、己が身に纏うは黒。
世界を相手取り、世に混沌を齎す使命を背負った魔王が君臨する。

零を冠した騎士は、零を名乗る魔王の肉体を得た。
彼がこの地に齎すは絶望か、或いは……。


【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[身体]:ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:ゼロレクイエムの為に急ぎ帰還する。
1:名簿が見れるようになるまで待つ。
2:ルルーシュが参加しているなら合流する。
3:ルルーシュが参加しておらず、脱出方法が見つからなければ優勝を選ぶ。
[備考]
※参戦時期はR2でルルーシュが新皇帝になって以降〜ゼロレクイエム完遂の前。
※能力の制限などは後続の書き手に任せます。


157 : 光を前に闇で構えろ ◆ytUSxp038U :2023/04/27(木) 03:26:01 7KgjOnig0



(………………って不穏な地の分で終わらせないで下さいよ!?)

ガンガンと脳内に響く大声に足を止める。
仮面の下でそれそれは重苦しいため息を吐いた。
殺し合いが始まってまだたったの数十分とは思えない程、心の疲れがこれでもかと籠められたため息である。
威圧感のある魔王の雰囲気はどこへやら、勘弁してくれとでも言いたげなオーラが漂う。
そんなスザクに構わず声は更に響いて来た。

(どうして殺すとかそういう物騒な方に行っちゃうんですか!普通に帰れる方法を探しましょうよ!私も手伝いますから!)
「……」
(な、何だその沈黙は!私じゃ不満だって言うのかー!)

よく知る魔女の声で、魔女本人は絶対に言わないだろう事を言う者。
彼女は正式な参加者ではない。
スザクに与えられた身体はブリタニアの少年ルルーシュと、魔女C.C.が契約を交わし一体化した事で生まれた魔王。
正式な参加者の資格を得たのはスザクの方、しかしもう一つの人格であるC.C.にも彼女とは別の精神が宿っているのだ。
厄介な事にもう一人の精神は、いざとなれば優勝を選ぶスザクの方針に大反対。
そればかりか誰も殺さずに生きて帰りたいと言い出す始末。
体の主導権は自分にあって心底良かったとスザクは思う。
もし逆だったら無謀と言う他無い彼女に振り回された挙句、きっとルルーシュの元に帰れず命を落としていたに違いない。

「さっきも言ったけど、僕だってすぐに殺し合いに乗るつもりは無いよ。殺さずに終わるそれに越した事はない」
(それなら…)
「だけど、僕にはどうしても帰らなければならない理由がある。他の人の命を踏み躙り、大勢に怨まれたとしても帰らなくてはならないんだ」
(……っ)

有無を言わせぬ声色で言い切ると、向こうが言葉に詰まったのが分かった。
彼女には悪いが自分の考えを変える気は一切ない。
無論、誰も殺さないで帰れるならそれは悪いとは言わない。
だがそんな都合の良い展開は有り得ない、たとえ殺し合いに乗らずとも障害が立ち塞がるなら排除するのに躊躇は無いのだ。
黙り込んだ彼女へそれ以上は何も言わず、話は終わりだと足を動かし、


158 : 光を前に闇で構えろ ◆ytUSxp038U :2023/04/27(木) 03:26:46 7KgjOnig0
(……でも)

再び動きを止める。

(でもやっぱり、誰も死なないのが一番だと思うんです。殺されたらきっと悲しむ人がいますし、殺したり傷付けても色んな人が悲しくなります。皆を悲しませて帰るより、一緒に安心して帰る方がずっと良いです)
「……」

甘すぎる、温すぎる考えだ。
殺し合いという現実を見れていない、理想主義にも程がある。
無視すれば良い、聞く価値無しの雑音と切って捨てて良い筈。
なのにどうしてか、そんな風には思えなくて

「……」

何かを言おうとし、結局言葉にはせず歩き出す。
「無視しないでくださいよ!」という声には反応せず、ただふと思う。
前の自分なら、結果ではなく過程を重視していたあの頃の自分なら。
彼女の言葉にもっと違う想いを抱いたのだろうかと。

(あっ、他の参加者の人と会ったら私に代わってくださいね?まぞくのトーク力でばっちり安心させてみせますから!)
「余計な事まで言いそうで心配しかないよ、吉田さん」


[副人格キャラ状態表]
【吉田優子@まちカドまぞく】
[身体]:C.C.@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー
[状態]:健康
[思考・状況]
基本方針:殺し合いとかしないで帰りたい。
1:スザクさんと一緒に帰る方法を探す。
2:もしスザクさんが殺し合いに乗ったら…?
[備考]
※明確な参戦時期は後続の書き手に任せます。


159 : ◆ytUSxp038U :2023/04/27(木) 03:27:44 7KgjOnig0
投下終了です


160 : ◆5IjCIYVjCc :2023/04/28(金) 00:40:00 bud8AzqQ0
投下ありがとうございます。感想を投下します。
なお、こちらの都合によりこれまで投下された作品全ての感想を一辺に投下することはできないこともあります。
今回はそのパターンとなります。
そのこともどうかご了承ください。

>手を伸ばしても/手を振り払っても
黒と言えば、光を吸収しやすくてそれで熱くなりやすい色ですね。
そんな黒と黒が重ね塗りされてますね。
熱くなりそうですね。

>邪・龍・降・臨
黒影は本家で量産型=雑兵にされていて、確かモチーフも足軽だったと記憶しているから、ゴブリンロードに渡されているのはすごい皮肉になっている感じがします。

>現代はさながら戦国
キャルハは絶対に誰かやると思っていた。しかも戦極と同時に登場するとは。
このコンビをキャルちゃんズと呼びたい。

>鏡と魔の幻では最早ない
元々鏡の中だけの存在だった奴が、元々幻だったものになる…一応状態表の備考上では安定しているようですが、妙な反応が起きないかみたいなことも考えてしまいます。

>未来遺す希望
記憶を植え付けられただけの可能性に早い内から思い付くとは。
身体側のスタンドを使えるかどうかは…まだ少し分からない感じもしますね。

>殺し合いでマジ狂い!投稿者:ビルダーホワイト拓也
今回のそういう方面からの風評被害一号は白一護になりましたか。
あの月に挨拶しようとするのは肝が座っていると言うべきでしょうか。

>開幕!! 地獄から戻ってきた男!
実はこんなにシンチェンジというタイトル名に合っている作品があることは知らなかったです。
だいぶ思考が物騒になっていて、対話は難しそうです。

>バッドダンスミーツデビル
衣装変更ができるのは視覚的な変化の想像が楽しめて良いですね。
もしバイスタンプとか押してみた場合は…ゾディアーツのラストワンみたいなことになりそうですかね?

>石のようにかたいそんな意志で
その発想はなかった。しかも対主催とは。
作品によっては横移動できることもありますが、結局のところ扱いがほぼ罠なことは変わらないので、人の身体で自由自在に動けるのは新鮮な感覚になるのでしょうね。

>ポンコツカリスマリーダー
明らかに何か勘違いしていることが分かりやすい感じがします。
関係者に会ったらどうなることやら。


161 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/28(金) 23:48:17 SHKkI/yU0
投下します


162 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/28(金) 23:48:49 SHKkI/yU0
白波の立つ浜辺で、奇妙な人型が佇んでいた。
全身を隙間なく黒い特殊スーツと赤いアーマーが覆っていて、アーマーもただのアーマーではない。
胸、右肩、左肩に仮面のような飾りがついており

『まさかヒューマギアにも死後があるなどとは、露にも思いませんでしたね』

『ああ。けどこうして……蘇った以上、やることは一つだ』

一人の人間から複数の違う声が出ているのだ。
しかも声が変わるごとに、仮面のどれかが一人でに動いているかのように体の一部がどう見ても胴体を無視しているかのように動いている。
彼らは(一人無性別の者が居るが、便宜上こう呼ぶ)滅亡迅雷.net。
人類の悪意の監視者であったが、かつて悪意の先兵であった過去を清算することが出来ず、自ら悪となる事で、同志である仮面ライダーバルカンに倒されたはずであったが、何の因果か、自分たちと同じように複数の意志を統合して戦う仮面ライダーの肉体に封じられ、不浄なる殺し合いに放り込まれた。

『どうやらマスブレインシステムは参加者とは判断されず、肉体側に残留したようだ。
今は我ら4人のフリーエネルギーなる物で、この仮面ライダーの変身者の肉体の生命活動を維持しているようだ』

肉体の主導権を持つモモタロスの役割を与えられた滅が告げる。

『なら一人もかけるわけにはいかないね』

それに滅によるラーニングを受けた「息子」、迅が返した。
残る『亡』、『雷』も同意する。

『俺たちには俺たちの正義があるが、間違っても本当なら関係のない人間を巻き込むもんじゃねえ』

『ヒューマギアの自由を求めて、人間の自由を奪っては本末転倒ですから』

『往くぞ。全ては滅亡迅雷.netの意志のままに』

『『『意志のままに!』』』 

【仮面ライダー滅亡迅雷@ゼロワンOthers仮面ライダーバルカン&バルキリー】
[身体]:仮面ライダー電王クライマックスフォーム@仮面ライダー電王
[状態]: 正常
[装備]: デンガッシャー@仮面ライダー電王、デンオウベルト@仮面ライダー電王、ケータロス@仮面ライダー電王、ライダーパス@仮面ライダー電王
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:全ては滅亡迅雷.netの意志のままに
1:この殺し合いやその首謀者がアークを生み出す前に滅ぼす。
2:この格好で怪しまれないと良いのだが……。
3:他にも仮面ライダーがいるなら協力したい。
[備考]
※モモタロスに滅、ウラタロスに亡、キンタロスに迅、リュウタロスに雷が割り当てられています。
※野上良太郎の肉体は、4人のフリーエネルギーによって維持されています。
魂は入っておらず、空っぽです。
※変身解除が出来ない仕様になっています。その為、デンオウベルト一式の分、支給品が最初から一つ少ない状態で支給されています。


163 : ◆NZLw2eWqIk :2023/04/28(金) 23:49:53 SHKkI/yU0
投下終了です。
タイトルは『Climax Jump METUBOUJINRAI.net form』です


164 : ◆NIKUcB1AGw :2023/04/29(土) 14:55:31 IkhVWg8Q0
投下します


165 : その身を獣の牙として ◆NIKUcB1AGw :2023/04/29(土) 14:56:32 IkhVWg8Q0
草原の真ん中に、白衣を着たまだ若い男がたたずむ。
その肉体の名は、ジョージ・狩崎。
仮面ライダーを心より愛する、天才科学者である。

「生き返るのは……これで二度目か……」

そしてジョージの肉体に宿る精神の名は、ジュウガ。
怪獣の力によって世界を変えようとした、「怪獣優生思想」の一人である。
巨大ロボット・ダイナゼノンとの戦いの果てに、彼は仲間共々怪獣と一体化し、そして敗れた。
彼はそこで、死んだはずだった。
だがその魂は、こうして殺し合いの場に導かれた。

「殺し合い……。ああ、かまわないさ。
 今さら、人殺しに躊躇なんてない……。
 それで僕らの理想をもう一度目指せるなら、悪い話じゃない。
 おそらく怪獣はいないだろうが……武器はいいものをもらった」

ジョージの肉体自体は、鍛えられてはいるがそこまで戦闘力が高いわけではない。
しかしジュウガに支給されたアイテムは、それを補ってあまりあるものだった。
「それ」を手にしたジュウガは、腰へと装着。
さらに付属していたスタンプを押印する。

「変身……」

『スクランブル!』
『十種の遺伝子、強き志』
『爆ぜろ、吠えろ、超越せよ』

『仮面ライダージュウガ!』

『Go Over…!』

ジュウガを取り囲むのは、10種の最強生物のビジョン。
それが彼に吸収され、黄金の鎧を形作っていく。

仮面ライダージュウガ。
ジョージの研究の到達点である、凄まじき戦士である。

「僕と同じ名前とは、なんという偶然……。
 いや、そんなわけはないか。
 主催側の戯れだろうな。
 だが、おかげで強力な武器が手に入ったのだからありがたい」

仮面の下で、ジュウガは口元をゆがめる。

「ついでに、移動手段まで支給してもらったんだから至れり尽くせりだな……。
 存分に使わせてもらおう」

ジュウガの視線の先。そこには、ネコ科の動物を摸したかわいらしい自動車があった。

「しかしこれ、どうやってカバンに入ってたんだろう……。
 というか、僕もどうやって出したんだろう……」

思わずしみじみと呟いてしまうジュウガ。

「まあ、どうでもいいか。
 この世の理を外れたことなんて、慣れっこだ」

思考を打ち切り、ジュウガは運転席に乗り込む。
そして、自動車を走らせ始めた。

「さあ、始めようか。怪獣の世界のために……!」


【ジュウガ@SSSS.DYNAZENON】
[身体]:ジョージ・狩崎@仮面ライダーリバイス
[状態]:健康、仮面ライダージュウガに変身中
[装備]:ジュウガドライバー&ジュウガバイスタンプ@仮面ライダーリバイス、ジャパリバス@けものフレンズ(アニメ版)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:優勝を目指す
[備考]
※参戦時期はTVシリーズ終了後


【ジュウガドライバー&ジュウガバイスタンプ@仮面ライダーリバイス】
仮面ライダージュウガの変身アイテム。
悪魔の力を借りずに変身することを可能とした、ジョージの研究の到達点となっている。


【ジャパリバス@けものフレンズ(アニメ版)】
サーバルとかばんちゃんが、ジャパリパーク内の移動に使用した車両。
運転席のある前部と、座席のある後部で構成されている。
外見はネコ科の動物を摸した、かわいらしいもの。


166 : ◆NIKUcB1AGw :2023/04/29(土) 14:58:16 IkhVWg8Q0
投下終了です


167 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/04/29(土) 19:18:41 SifREsAk0
投下します


168 : 推しの號 ◆IOg1FjsOH2 :2023/04/29(土) 19:19:08 SifREsAk0
「あの野郎、ふさけた真似しやがってぇぇ!!」

殺し合いを企てた者への怒りを顕わに叫ぶ者がいた。
彼の名は一文字號。
ネオゲッターロボのパイロットに選ばれた彼は恐竜帝国と戦い続け。
その途中、新たに乗り換えた真ゲッターロボの力によって恐竜帝国は滅びた。
そして束の間の平和を手にしたと思いきや、この有様である。

「俺の体を返しやがれぇぇぇ!!」

まるで山猿のようにキーキーと怒り吠える彼の今の姿は
アイドルグループ・B小町のセンターの星野アイである。
ドラマや映画の出演数も増え、今や売れっ子の大スターで。
誰もが目を奪われていく、完璧で究極のアイドルであるが。
現在ではアイドルがやってはいけない表情になっている。

「あの野郎!必ず見つけ出してボコボコにぶん殴ってやる!」

女の体にされた號は怒りが冷めぬまま駆け抜ける。
彼は巨大ロボであるメカ・ザウルスに生身で挑むほどの無鉄砲な男である。
喧嘩に不慣れな女の肉体になった所で躊躇するはずがない。
彼の辞書には『諦める』という文字は載ってないのだ。

「首を洗って待っていろよ!!必ずここから脱出して、てめえらをぶっ倒してやるからなぁ!!」

アイドルの顔とは思えない邪悪な笑みを浮かべて、嵐のように號は走る。
主催者達の企みを叩き潰し、明日の希望を取り戻すために。
悪の炎を全て消しさるために。

【一文字號@真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ】
[身体]:星野アイ@推しの子
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:脱出する
1:主催者共をぶちのめす。
2:脱出する手段を探す。
3:主催者共の言いなりにはならない。
[備考]
本編終了後からの参戦です。


169 : 名無しさん :2023/04/29(土) 19:24:23 SifREsAk0
投下終了です


170 : ◆Z9iNYeY9a2 :2023/04/29(土) 20:24:36 sRIuUi7.0
投下します


171 : 真のエンディングに向けて ◆Z9iNYeY9a2 :2023/04/29(土) 20:26:22 sRIuUi7.0
「どうにも妙なことに巻き込まれてしまいましたねぇ。
 初めて死んだ時の慎平君もこんな気持ちやったんでしょうか」

体に生えた4つの腕を動かしながら、その生き物は思案する。

精神の男の名はシデ。本当の名は別にあるが、かつて、生前の男を表していた名としてはこの名が最も相応しいだろう。

かつてとある離れ島でヒルコ様を名乗り島を影で支配していた神の下で、その影の力で繰り返し生まれ変わることで生き永らえてきた。
しかしその限界を感じ取り、自身が死ぬ前にその力で世界を滅ぼそうと企み、自身が崇めていた神さえも利用し。
最期はある少年少女達に破れ消滅したはずだった。

(確かにあれが私のエンディングというには不満だらけでしたが。
 でもこれはこれでチャンスやないでしょうかね)

どんな願いでも叶えられる権利。
それを使えば、かつて望んだエンディング、世界をゲームの電源を切るかのごとく終わらせることもできるのではないか。
人の精神を入れ替える能力を持っているのだ、ヒルコ様にできることができてもおかしくはない。
いや、あるいは原初の望みであった不老不死すらも可能かもしれない。

(どっちにするかはおいおい考えていくとして。ええでしょう、乗ってあげましょうかそのゲーム。
 もし叶える気がないっていうんやったら、その力を奪ってしまえばいいんですし)

試しに腕の一本を道端に生えていた木に叩き込む。
それなりの太さを持った樹木であったが、ただの一撃で真っ二つにへし折れた。

いい体を引いたと思った。
人間ではない身はちょっと考えさせられたが、ハイネとの繋がりを失っており今の自分は影を操る力がない。
もしただの人間のものであれば正直生き残ることは諦めざるを得なかったかもしれない。

ガラスの反射に映った体は何かのモンスターのようだった。
ファイナルファンタジーのゲームにも多腕のモンスターはいたが、あれほど刺々しい感じの生き物ではない。
だがシデ――四手を名乗っていたように影の力で4本の腕を操っていた自分には使い勝手がよかった。
それに先程木をへし折ったように力もある。ともすれば影よりも強い。
これならば及第点以上だ。

(今度こそ、目指しましょうか。
 この追加ルートの中で、私の望む真の"エンディング"を)

そうしてポケットモンスター・カイリキーの肉体を持った男は、その瞳に邪悪な色を映しながら歩み始めた。

【シデ@サマータイムレンダ】
[身体]:カイリキー@ポケットモンスター
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]基本方針:願いを叶え、真のエンディング(世界の終焉or自身の不老不死)を目指す。
1:生き残るために皆殺し。
2:ただし立ち回りには気をつける。敵は増やしすぎないように慎重に動き他者を殺していく。
[備考]
※24話での敗北、消滅後からの参戦となります。
※シデの元の人間体にはゲーム好きという設定がありますが、ポケモン知識はないものとして扱います。


172 : ◆Z9iNYeY9a2 :2023/04/29(土) 20:26:36 sRIuUi7.0
投下終了です


173 : ◆OmtW54r7Tc :2023/04/29(土) 23:10:01 zgJsrhTM0
投下します


174 : 私の知らない私 ◆OmtW54r7Tc :2023/04/29(土) 23:12:16 zgJsrhTM0
「これは…!」

江戸川コナンは、自身に与えられた肉体のプロフィールを見ていた。
そこに書いてあるのは、ベロニカと呼ばれる少女の情報。
一通り目を通したコナンは、二つの驚きに見舞われた。

まず一つは、このベロニカという少女が、自分とは全く違う世界の住人だということ。
そこに書かれているのは魔法使いとして、僧侶である妹と共に、勇者と呼ばれる少年と共に旅をしたことが書かれていて。
とても自分たちの住む世界の話とは思えず、まるでゲームの世界の話のようだった。

(この情報は…信じていいものなのか?どう見ても、創作としか思えないが…)

しかし彼、コナンは探偵である。
探偵に思い込みは禁物だ。
完全に信じる気もないが、有り得ないと切り捨てるのもよくない。
そもそもこの殺し合いという舞台自体が、他の人間の肉体に精神が宿っているという状況そのものが、既に常識からかけ離れているのだ。
勇者とか魔法とか、そういうものが存在する可能性も視野に入れておくべきだろう。

「とりあえず、このプロフィールに書いてあるベロニカが使える魔法と詠唱分…これを試してみたいとこだが…」

しかし、プロフィールを見てコナンは、もう一つ気になることがあった。
それは、このベロニカという少女が、元々はこんな子供ではなく、もっと大人な姿だったということだ。
そう、高校生工藤新一から小学生江戸川コナンになった自分と同じく。
魔物に魔力を吸い取られて、という経緯はやはり眉唾物だが、しかし今はそこが問題ではなくて。
このような経緯を持つ少女に、自分の精神を入れたということだ。

(間違いねえ…この殺し合いゲームの奴らは、俺が薬で身体が縮んじまったことを知ってやがる)

自分と同じく子供の姿に退化した経緯を持つ少女。
肉体として選ばれたのは、明らかに意図的なものだ。
奴らは、自分の正体を知っている。

(こんな殺し合いなんてふざけたことを企画する奴に俺の正体が知られた…最悪じゃねえか)

自分の肉体がどうなっているのかもわからない。
先行きは非常に不透明、いや、かなりグレーであると言っていい。

「だからって…負けるかよ」

不敵な表情に少しばかりの怒りを込めて、コナンは呟く。
奴らは、人の命を、身体を、おもちゃのように弄び、蹂躙した。
到底許せることではない。
探偵として、この事件を解決し、奴らを捕らえる。
それが、今のコナンがやるべきことだ。

「とりあえず、このプロフィールにある魔法って奴を試してみるか」

コナンは、一番上にある【メラ】と呼ばれる呪文に挑戦してみることにした。
書いてある詠唱分を唱え、右手を突き出し、

「メラ!」

魔法の名前を、叫ぶ。
が、何も起こらなかった。

「やっぱ魔法なんて、ガセ情報だったか?それとも、やり方がまずいのか?」

ちょっと気取ってそれっぽくポーズまで取って何も起きなかったことに気恥ずかしさを感じつつ、どうしたもんかと考えていると、

「あー!私の身体!?」

背後からの声に、振り向く。
そこにいたのは、茶色の髪に緑の瞳。
ピンクのワンピースに赤いカーディガンを羽織った美しい少女だった。
その肉体の人物の名はエアリス・ゲインズブール。
そしてその中身の精神は…今コナンが纏っている肉体の人物、ベロニカその人であった。


175 : 私の知らない私 ◆OmtW54r7Tc :2023/04/29(土) 23:15:41 zgJsrhTM0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「お姉さんが、この身体の持ち主の…ベロニカさん?」
「ベロニカ、でいいわよ。はあ、それにしても…自分の肉体をこんな早く見つけるなんて、幸運と思うべきなのか、肉体まで参加させられてる不運を嘆くべきなのか…微妙なところね」

そういってベロニカは溜息をつく。
とりあえずコナンは、気になっていたことを聞いてみることにした。
口調は…主催連中にも正体ばれてるし、相手はおそらくは異世界の人間。
今更コナンの演技をする必要はないだろう。
おおっぴらに正体を喧伝する気もないが、工藤新一としての喋りでいかせてもらおう。

「なあベロニカ、この身体、魔法ってやつが使えるらしいが、本当なのか?さっきメラって魔法を唱えてみたけど、何にも起きなかったんだが」
「ええ、私こそ偉大なる大魔法使い、ベロニカ様よ!その口ぶりだと…あなた魔法について全然知らないでしょう?」
「そりゃあ、まあ」
「魔法ってのはただ詠唱分唱えるだけで発動できるほど簡単なものじゃないのよ。それが本当に私の肉体なら体内に魔力は蓄積されてるだろうけど…魔力を外に放出するにもコツがいるの」
「それって俺でも出来るのか?」
「まああんたのセンス次第ではあるけど…任せなさい!将来は、魔法を教える先生になるのが夢なんだから!あなたを、立派な魔法使いにしてあげるわ」
「分かった、頼んだぜベロニカ」
「…ただ、その前に、それ見せてほしいんだけど」

そういってベロニカは、コナンが持っているタブレットを指さした。

「それ、私のプロフィールが載ってるんでしょう?変なことが書いてないか確認する」

そういってコナンからタブレットを奪い取ったベロニカは、自分のプロフィールを読む。
そして数分後、その表情は恐ろしいものをみたかのように固まっていた。

「どうしたんだ、ベロニカ」
「…なんなのこれ」
「…何か気になることでも書いてあったのか?」
「ありまくりよ!」

コナンは横からベロニカのプロフィールをのぞく。
そこに書いてあるのは、魔法使いとして勇者と共に旅をしたということが書かれている。
本人が魔法を使えると明言したこともあり、ここに書かれてあることは真実だろうと思っていたのだが、どこかに虚偽情報でも混ざっていたのか?

「このプロフィールには、私がみんなと…仲間と共に、魔王や邪神を倒して世界に平和をもたらしたってあるけど…ありえないのよ」
「ありえない?」
「ええ、だって私は…」


「私は…旅の途中で死んだはずなんだもの」

【江戸川コナン@名探偵コナン】
[身体]:ベロニカ@ドラゴンクエストⅪ
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止めて主催陣営を捕らえる。
1:ベロニカの話を聞いてみる。
2:ベロニカから魔法の使い方を教わる。
[備考]
※主催陣営に自分の正体はばれていると考えています。
※肉体のベロニカは時渡り後、真ED後のものです。

【ベロニカ@ドラゴンクエストⅪ】
[身体]:エアリス・ゲインズブール@ファイナルファンタジーⅦ
[状態]:健康、動揺
[装備]:マテリア「ほのお」@ファイナルファンタジーⅦ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いをする気はない
1:私は死んだはずなのに…この私は…何?
2:コナンに魔法の使い方を教える。
[備考]
※参戦時期は時渡り前の世界線、死亡後です。


【マテリア「ほのお」@ファイナルファンタジーⅦ】
その名の通り炎の魔法を使えるようになるアイテム。
APはMASTERまで成長済みで、「ファイア」「ファイラ」「ファイガ」が使える。


176 : ◆OmtW54r7Tc :2023/04/29(土) 23:16:13 zgJsrhTM0
投下終了です


177 : ◆NIKUcB1AGw :2023/04/30(日) 14:21:41 ol1F7Ohg0
投下します


178 : 悪魔に宿る影 ◆NIKUcB1AGw :2023/04/30(日) 14:22:59 ol1F7Ohg0
暗い夜の森の中で、彼は目を覚ました。
彼の名は、ミストバーン。否、精神だけを呼称するならば真の名である「ミスト」の方が適切か。

「たしかに私は消滅したはずだが……。
 この殺し合いとやらを開いた奴等の中には、そうとうな力の持ち主がいるようだな」

おのれがたしかに生きていることを確認したミストは、そう独りごちる。
彼のいた世界において、死者の蘇生は非常に難しいことではあるが絶対に不可能な事象というわけではない。
だがそれも、蘇らせる肉体があってこそ。
おのれの肉体を持たないミストにとって死とは魂の消滅であり、それを蘇らせるというのは奇跡という言葉でも足りないレベルだ。

「私を蘇らせるのに比べたら、精神を別の肉体に宿らせることなど簡単か……。
 おかげで、私本来の能力は封じられているようだが……」

本来ミストは他人の体に憑依することができ、その状態で自身の能力である暗黒闘気を操ることもできる。
だが今の彼は、憑依とは別の方法で精神を他者の体に定着させられている。
ゆえに自分の意思で体を離れることはできないし、暗黒闘気も使えなくなっていた。

「これほどの力を持っているのなら、願いを叶えるというのもあながち戯れ言ではないか……。
 信用できるかは別問題だがな」

そう呟くミストだったが、実際のところ彼にとってそれはどうでもよかった。
主君である大魔王バーンの役に立つ。それがミストの全てだ。
個人で叶えたい願いなどない。
バーンのために願いを使うというのも、ミストの価値観ではおこがましい行為である。
そもそも自分が死んでからどれほどの時間が経っているのが、ミストにはわからない。
バーンが勇者ダイに倒されていることだけはないとミストは信じているが、何にしても主の現状がわからなければ願いの使いようがない。
ゆえに、「バーンの元に帰還する」。それがミストにとって最大の目標だ。
そのためなら、手段はどうでもいい。
優勝して主催者が元の世界に帰してくれるなら、それでよし。
それ以外に脱出する方法があるなら、そちらに乗っかってもいい。

「何にせよ、まずはこの体のことを知らんとな……。
 このアイテムを操作すればいいのか……」

ミストは荷物からタブレットを操作し、肉体の情報を表示する。

「これは……ハーッハッハッハッハ!!
 面白いことをしてくれる!」

普段の彼からは考えられないほどの大声で、ミストは笑う。

「大魔王の忠実な従者である私に、異世界の勇者の体を与えるとはなあ!
 なかなか洒落の効いたことをしてくれるじゃないか!
 少しだけ、おまえたちの掌の上で踊ってやってもいい気がしてきたぞ!」

ミストは、邪悪な表情でなおも笑う。
かつて、「悪魔の子」の汚名を着せられた勇者の顔で。


【ミスト@ドラゴンクエスト ダイの大冒険】
[身体]:勇者イレブン@ドラゴンクエストXI
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:バーンの元に帰還する。方法は問わない。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※完全に肉体と一体化しているため、憑依能力は使えません。


179 : ◆NIKUcB1AGw :2023/04/30(日) 14:23:50 ol1F7Ohg0
投下終了です


180 : ◆7PJBZrstcc :2023/04/30(日) 18:21:24 vaQGsShY0
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181 : 渡る世間はクズばかり ◆7PJBZrstcc :2023/04/30(日) 18:22:00 vaQGsShY0
「ハァ……ハァ……」

 いびつな月が浮かぶ、体が入れ替わった殺し合いの会場で、一人の少女が逃げている。
 この体に入っている精神は男の物なので、ここでは彼と称すが、彼は殺し合いに乗っていなかった。

 彼の名前は……何だろうか。
 公式の記録には乗っていない、一部ではサイコロステーキ先輩と呼ばれることもあるので、ここでは先輩と呼称しよう。

 ともかく、先輩は殺し合いに乗るつもりはなかった。
 いきなり攫われた挙句殺し合いを強要してくる相手に従ったところで、生きて帰れる保証も体が返って来る保証もない。
 それに曲がりなりにも人を守る組織の人間である以上、相手が殺しに来るならまだしも何の罪もない相手を手に掛けることには抵抗があった。

 とりあえずまずは他の参加者と合流しようとした先輩だが、しばらく歩いていると一人の少年と出会った。
 その少年は異様だった。
 何が異様かと言うと、髪形が。
 先輩が生涯において出会ったことのない、奇妙としか言いようのない髪型。
 あえて彼の語彙で例えるなら、星型だろうか。
 そんな少年が、先輩を見かけた瞬間こう叫ぶ。

「知らない人、ごめん!」

 少年が叫んだ瞬間、空からピンクの閃光が先輩に向かって降って来る。
 咄嗟に躱し、地面を転がる彼を少年は冷たく見下ろしていた。

「何しやがる!!」
「いや、別にあなたに恨みがあるわけじゃないんだよ。
 でも、さやかちゃんの体が生きている必要なんて、無い!!」

 少年の言っていることが一瞬理解できず、思考が止まる先輩。
 しかしすぐに再稼働させ、相手の言動を分析した。

 何が何だか分からないが、どうやら相手はこの体の本来の持ち主に恨みがあるらしい。
 だからとりあえず体だけでも殺そうとした、ということだろう。

「ふざけんな!!」

 考えた結果、先輩は怒った。当たり前である。
 そんな自分からすれば全く知ったことでは無い因縁で殺されてたまるかと、彼は猛りデイパックから一本の刀を取り出した。
 それは、彼が普段使いしている刀とは別物ではあったが、武器として使えないかと言われればそんなことはない程度の刀であった。

 先輩は刀を構え、少年に向かって言う。

「はっ。さっきは不意討ちを喰らったが、よく見りゃガキじゃねえか。
 こんなガキの参加者なら今の俺でも殺れるぜ」
「えぇ〜」

 先輩の態度の変わりように少々引く少年。
 しかし先輩は構いやしない。

「正直何が起きてるかさっぱり分かんねえが、とりあえず殺し合いに乗ってる奴なら一人くらい殺しても罰はねえだろ」

 そう言って少年に向かっていく先輩。しかし彼は忘れていた。
 さっきの閃光がどこから降ってきたのかを。

「ウェヒヒヒ」

 刀を持った相手に凄まれてなお、平静と笑みを浮かべる少年。
 そのことに不気味さを覚えつつも向かっていく先輩だが、次に聞こえてきた声に思わず彼は足を止めた。

「お願い、ホワイトデビルマジシャンガール!」
「か……! め……! は……! め……!」

 上空から野太い男の声が聞こえ、思わず空を見上げる先輩。
 するとそこには、月を背にした声に見合わぬ小柄な少女が、身の丈以上の閃光を集め、先輩に向かって放とうと準備を整えていた。

「波ァ――――――――――――――――ッ!!」

 閃光が先輩へと放たれ、彼は何もできずその身にそのまま攻撃を喰らう。
 逃げることも避けることも、防御することもできないまま。
 そして先輩は消滅した。
 肉体も所持品も何一つ残すことなく、完全に。


【累に切り刻まれた剣士@鬼滅の刃(身体:美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカシリーズ) 死亡】


182 : 渡る世間はクズばかり ◆7PJBZrstcc :2023/04/30(日) 18:22:44 vaQGsShY0





「おぉ〜さっぱりした〜!」
「派手すぎない?」

 先輩を殺した二人は、呑気な顔で互いに喋っていた。
 小柄な少女は自らの行いを見て、どこかスッキリしたような態度で笑う。
 指示をした少年は、眼前の光景に少々呆れを見せる。
 どちらも、人の人生をさっき終わらせたとは思えないほど、軽い。

 ここでこの二人について紹介しよう。
 まず少年、ただし精神は少女の物なので彼女と称するが、彼女の精神の名前は鹿目まどか。
 彼女の性格は一言で言うなら、クズだ。
 自分さえ良ければ周りがどうなろうとおかまいなし。 
 圧倒的な力に焦がれ手に入れ、周りを利用し見下し続ける悪そのもの。

 しかし、そんなまどかにも敗北の過去がある。
 この殺し合いに来る直前、彼女は友人(?)のさやかに敗北した。
 そのさやかは社会的に抹殺したものの、彼女の心にはしこりが残っていた。

 そこにこの殺し合いだ。
 まどかが更なる力を求め殺し合いに乗ることに、迷いは一切なかった。
 体が入れ替わったせいで元々持っていた力は失ったものの、代わりになるものは支給品にある。

「そのためによろしくね。ホワイトデビルマジシャンガール」
「オラ、ホワイトデビルマジシャンガールじゃねえ! 孫悟空だ!!」

 そしてもう一人。小柄な少女でありながら似合わない太い声の持ち主は、ホワイトデビルマジシャンガール。
 まどかに支給されたカードから召喚された、立場的には召喚獣のようなものである。
 しかしそれに宿る精神は、また別の存在だ。

 この精神もまた体と性別が異なり、男なので彼と称するが、彼の名前は孫悟空。
 西遊記とは関係ないとある世界に存在する、戦闘民族サイヤ人の一人である。
 彼の性格は、まどかと同じくクズだ。
 圧倒的な強者には媚を売り、不意討ちや味方を見捨てたり売るのは日常茶飯事。
 戦闘民族の誇りはどこに置いてきたのかと言わんばかりに、彼はクズだった。

 そんな彼はこの殺し合いに不満だった。
 まどかとは異なり、彼の立場は支給品だ。
 仮に自分以外の全ての命を皆殺しにしても願いなど叶わず、またまどかを優勝させても彼にメリットは一切ない。
 更に言うなら、ロワの為に調整されたせいで召喚者に従うようある程度体が勝手に動くよう調整されている。
 こんな状況で不満を抱かない方がおかしいだろう。
 できることなら殺し合いの主催者をぶっとばし、元の体を取り戻したくてたまらない。

 だが彼は支給品。故にできることなどたかがしれており、また彼も己の命は惜しかった。
 なので今のところはまどかに大人しく従っていた。それに全く勝算がないわけでもない。

(ま、オラ支給品だしそうそう殺されねえだろ。
 仮にまどかの奴が優勝しちまっても、まあ最悪ドラゴンボールでなんとかなるさ!)

 勝算と言えるかは、微妙な所だった。


 ところでお気づきかもしれないが、ここに居る二人は本来の性格ではない。
 どこかの誰かが生み出した、本来ありえない可能性の存在だ。
 更に言うなら、二人の体の本来の持ち主もまた、彼らと同じく本来とは異なる存在だった。

 何もかもが虚構の可能性である彼らの殺し合いは、果たしてどこに行くのだろうか。


183 : 渡る世間はクズばかり ◆7PJBZrstcc :2023/04/30(日) 18:23:07 vaQGsShY0


【鹿目まどか@クズなまどかシリーズ】
[身体]:武藤遊戯@遊戯王なのはMADシリーズ
[状態]:健康
[装備]:管理局の白い悪魔(ホワイトデビルマジシャンガール)@遊戯王なのはMADシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝して、さやかちゃんを超える力を手に入れる。体も取り返す。
1:格好良くて素敵な私を、こんな殺し合いに参加させるなんて酷いよ……あんまりだよ……!
2:それはそれとして、優勝はしようかなって。
3:よろしくね! 孫悟空さん!
[備考]
※参戦時期はクズなまどかVS逆襲の魔法少女スーパーさやかちゃん【後編】終了後です。

【孫悟空@ブロリーMAD】
[身体]:管理局の白い悪魔(ホワイトデビルマジシャンガール)@遊戯王なのはMADシリーズ
[状態]:健康、レベル1、現状への不満(大)
[思考・状況]基本方針:体を取り返す。ま、いざとなったらドラゴンボールでなんとかなるさ!
1:生き残りを優先する。ま、オラ支給品だしそうそう殺されねえだろ
2:参加者に従わなきゃなんねえとか冗談じゃねえぞ。でもオラも死にたくねえしな
3:殺し合いの主催者はできればぶっとばしてえ
[備考]
※クズロットです。
※現在の召喚者は鹿目まどかです。


※累に切り刻まれた剣士の遺体とデイパック(基本支給品、ランダム支給品0〜2)、日本刀@彼岸島は消滅しました。


【日本刀@彼岸島】
累に切り刻まれた剣士に支給。
彼岸島に群生する日本刀。そこら辺に一杯ある。
少なくとも人は苦も無く斬れるくらいの切れ味。

【管理局の白い悪魔(ホワイトデビルマジシャンガール)@遊戯王なのはMADシリーズ】
鹿目まどかに支給。
外見は高町なのは@魔法少女リリカルなのはシリーズ が描かれたデュエルモンスターズカードだが、中身は全く別物。
カード名を叫ぶことで召喚可能。
基本的に召喚者に従うが、このロワでは独自の意志を持っているので、場合によっては隙あらば召喚者の意に反する行動をとる可能性もある。

このカードには『相手がドローするとレベルアップし攻撃力が増す』効果があるが、本ロワでは『相手が新しく武器を持つと』レベルアップする仕様となっている。

また、敵からの魔法と特殊効果の無効効果も持つ。ただし罠は効くので注意。
ロワ内でどれが罠扱いされるかは書き手氏にお任せします。


184 : ◆7PJBZrstcc :2023/04/30(日) 18:23:31 vaQGsShY0
投下終了です


185 : ◆NZLw2eWqIk :2023/05/02(火) 23:33:59 pitMHdRY0
投下します。


186 : ◆NZLw2eWqIk :2023/05/02(火) 23:35:29 pitMHdRY0
その少女が舞台に立った瞬間を誰かが見ていれば、これからオペラでも始まるのかと勘違いしただろう。
白い羽飾りのついた亜麻色の髪と、羽織ったファー付きの白いマントを翻し、手にした白い光る刃の剣を振るう姿は一種の芸術品。
学に入れて飾るなら、画廊の最も良い場所以外にあり得ないことだろう。

「……」

呼吸一つ乱さず舞い散る白い羽と共に舞う彼女は、アスナ。
浮遊城アインクラッドにて、閃光とうたわれたレイピア使いである。
そして今その体を動かすのは

「この身体も、この剣も美しいが、それ以外が全て駄目だな。
何もかもプリンスたるこの私に相応しくない」

他人ならざる、時を旅する魔人、イマジンが一人、ジークである。
上の台詞から分かる通り傲慢不遜な私様王子で、基本的に上から目線。
初対面の連中は大体お供呼び。
しかも基本的に過去を持たないイマジンと違って、2007年に曲がりなりにも『誕生』した経緯があるため、他のイマジンより存在そのものが強いから質が悪い。
よっぽどのことがない限り自分から動こうとしない……むしろ世界の方が自分たちの為に動くとすら考えているこの男だが、真っ当な家族愛や高潔な精神は持ち合わせている

「しかし、この身体の持ち主もキリトなる男の『姫』ならば、無事エスコートしなければプリンスの沽券にかかわるか」

そう言って光の剣、ライトセーバーを納刀すると、ジークは

「まずはお供を探さねば。
プリンスが荷物を姫の細腕に運ばせるなど、よろしくない」

まあ、何時も通りであった。



【ジーク@仮面ライダー電王】
[身体]:アスナ@ソードアート・オンライン
[状態]: 正常
[装備]: アソーカ・タノのカーブドヒルト・ライトセーバー@スターウォーズ反乱者たち
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:美しくない殺し合いなど興味ない
1:我が友や家臣たちがいるのなら探す。
2:プリンスとして、キリトなる者の『姫』たるこの身体をエスコートする。
[備考]
※ジークがイマジン態で使えていた能力は基本的に制限されています。
※アソーカ・タノのライトセーバーはカーブドヒルトの方のみが支給されています。
 二刀流で使っていたもう片方は支給されていません。


187 : ◆NZLw2eWqIk :2023/05/02(火) 23:36:24 pitMHdRY0
投下終了です。
タイトルは『わたし系王子様』です。


188 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/03(水) 14:34:53 /rjzSg6o0
投下します


189 : 名は体を表してたまるか ◆NIKUcB1AGw :2023/05/03(水) 14:36:04 /rjzSg6o0
名前とは、その人物を構成する大きな要素な一つである。
ゆえにそれに問題があれば、その人物の人生に大きな影響を及ぼすことになる。


◆ ◆ ◆


「なんか……とんでもないことになってる……」

由崎星空(星空と描いてナサと読む)は、呆然とした表情で呟いた。
体を別人のものに入れ替えての殺し合い。
空に浮かぶ、顔のついた月。
とても現実とは思えない状況だ。
だが幸か不幸か、ナサはこの世に常識では理解できない事象があることを理解していた。
何せ彼の愛する妻・司は、1000年以上の時を生きる「不死者」なのだから。

「そうだ、司ちゃん!?
 まさか司ちゃんまで巻き込まれてないよね!?
 司ちゃんが死なないって言ってもそれは司ちゃんの肉体の特性であって、別の人の肉体に入れられたら……」

最愛の女性に危機が及んでいる可能性を考え、あわてふためくナサ。
だがひとしきり取り乱した後で、彼は何事もなかったように冷静さを取り戻す。

「落ち着け、僕……。
 確定してない事象を心配しても仕方ない……。
 今は自分が生き残ることを考えないと……」

地べたに腰を下ろし、ナサはまず手鏡で自分の顔を確認する。
鏡面に映るのは、ブレザーを着た高校生と思わしき青年の姿。
端整な顔立ちだが派手さはなく、どこかおとなしそうな印象を受ける。

「外見に、特に変わったことはなし……。
 中身の方は……」

続いてナサはタブレットを取り出し、肉体の情報を表示する。

「熱田……充瑠……?
 この名前、ジュールが由来かな?
 ちょっと親近感が湧くな……」

かすかに口元をほころばせながら、ナサはプロフィールを読み進めていく。
だがその顔は、あっという間に真顔になってしまった。

「キラメイジャー……?
 何これ……? まんま子供向け番組のヒーローじゃん……」

記されていたプロフィールは、充瑠がヒーローとして地球を襲う侵略者と戦っていたという、荒唐無稽なもの。
非現実的な存在に慣れたナサですら、それは容易に受け入れられなかった。

「まあこれが嘘であろうと本当であろうと、僕にはあまり関係ない。
 重要なのは生き残るのに有利な能力を持ってるかだ」

さらにプロフィールを読み込んでいくが、どうやら充瑠は変身しなければ身体能力は一般人レベルらしい。
そして変身アイテムは、支給品の中には見当たらない。

「つまりはただの一般人、ってことか……。
 楽には生き残れそうにないなあ」

ナサは、殺し合いに乗るつもりはない。
しかしだからといって、むざむざ殺されるつもりもない。
生き延び続け、この殺し合いを止める方法を見つける。
それが、彼の方針だ。

「さて、それじゃそろそろ動くか……。
 さすがにこんな道端でじっとしてても、どうしようもない」

護身用に支給された剣を手にすると、ナサは移動を始めた。


190 : 名は体を表してたまるか ◆NIKUcB1AGw :2023/05/03(水) 14:37:01 /rjzSg6o0


◆ ◆ ◆


しばらく歩くと、ナサは一人の少女と遭遇した。
黒髪を長く伸ばした、育ちの良さそうな容姿だ。

「ひいっ! こ、来ないでください!」

ナサに気づくなり、少女は涙を浮かべて後ずさる。
完全におびえてしまっているようだ。

「大丈夫。僕は、殺し合いをするつもりはないから。
 君を襲ったりしないよ」

剣を地面に置き、ナサはできる限り優しい声色で語りかける。
それでも少女はなかなか警戒を解かなかったが、粘り強く会話を続けることでようやく心を開き始めた。

「……そう、ですね。そこまで言っていただけるのでしたら」
「うん、わかってくれて嬉しいよ」

信頼を勝ち取ることに成功し、ナサは安堵の笑みを浮かべる。
彼は、心優しい男である、
こんな危険な状況で、子供を放置することなどできない。
彼女を保護できそうなことは、ナサにとって喜ばしいことだった。
だがここで、彼はある可能性に気づく。

「あれ、ひょっとして体は子供だけと中身は大人?
 だとしたら、とんだ失礼を……」
「ああ、いえ。中身も小学生です、私」
「それならよかったけど……。
 というか、名前も聞いてなかったね」
「名前……ですか……」

唐突に、少女の表情が暗くなる。

「えーと、この体の名前は橘ありすらしいです」
「いや、体じゃなくて。
 中に入ってる、君の名前」
「……どうしても言わないとダメですか?」
「え、そんなに名前言うのいやなの?」
「はい……」
「そ、そう……」

自分も名前にコンプレックスがあるだけに、ナサはそれ以上追求できなかった。



(ごめんなさい……。でも、できる限り名前は知られたくないんです!)

ありすの体に宿った少女……珍子は、罪悪感に潰されながらうなだれた。


【由崎星空@トニカクカワイイ】
[身体]:熱田充瑠@魔進戦隊キラメイジャー
[状態]:健康
[装備]:ぎんがのつるぎ@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める方法を見つける
1:少女を保護する
[備考]
※参戦時期は、少なくとも司の過去を知った後


【小仏珍子@炎の闘球女 ドッジ弾子】
[身体]:橘ありす@アイドルマスターシンデレラガールズ
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:死にたくない
1:できるだけ名乗りたくない


【ぎんがのつるぎ@ドラゴンクエストシリーズ】
登場作品のいずれにおいても、最強クラスの攻撃力を持つ剣。
攻撃が命中した時、まれに相手の守備力を下げることがある。


191 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/03(水) 14:37:50 /rjzSg6o0
投下終了です


192 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/03(水) 20:35:17 EUcvQ9eI0
投下します。


193 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/03(水) 20:37:10 EUcvQ9eI0
その言葉を、見てはいけない、言ってはいけない、聞いてはいけない。



『くしゃがら』

『くしゃがら』

『くしゃがら』『くしゃがら』

『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』

『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』『くしゃがら』……


194 : シン・『くしゃがら』イダー ◆5IjCIYVjCc :2023/05/03(水) 20:38:41 EUcvQ9eI0



「『くしゃがら』ああああああああああああああああァーーーーーーーーーッ!!」


そんな言葉を叫びながら、猛り狂う男が一人いた。
男の名は志士十五、職業は漫画家だ。
本名は西桂太郎というのだが、今はそのことは置いておき、後の文では彼のことは「十五」と表記する。


十五は、自らに支給されたデイパックの中身を全てひっくり返し、その中にあったもの全てを周囲にばら撒いていた。
その目的は、自分が求めているある"情報"を探すことだ。
しかしその情報は、その中にはない。
あるはずが、なかった。


「チクショウがああーーーーーーーーーーーッ!何でここにも『くしゃがら』ねえんだよ『くしゃがら』があああーーーーーーーーッ!!」


十五は〈くしゃがら〉という単語の情報を探し求めていた。
それだけが、彼にとって何より重要なこととなっていた。
殺し合いに巻き込まれたことよりも、自分の身体が別人のものになっていることも、月が落ちてくることも、〈くしゃがら〉の意味を知るためには気にしている暇はなかった。

まず最初に十五が確認することになったのは基本支給品のタブレット端末だ。
その中にあったルールファイルや、自分の身体の元持ち主のプロフィール情報を確認した。
例え僅かな可能性でも〈くしゃがら〉の手がかりがありそうなら何だろうと調べる、十五はもはやそうすることだけが自分の行動理念になっていた。

けれども先述した通り、そのプロフィールの中にも〈くしゃがら〉の手がかりはなかった。
プロフィールは「緑川イチロー」という名の人物のものだ。
その顔は十五にとてもよく似ているのだが、それを認識することは彼にできなかった。
ちなみに服装は、青い変わったデザインのライダースーツの上に白装束を着ている。
また、その腰には風車のようなものが二つついたベルトらしき物体があらかじめ装着されている。
ぱっと見では下のライダースーツやベルトの存在には気づけないだろう。

閑話休題。

とにかく、十五はイチローのプロフィールを読んで少しでも〈くしゃがら〉に関連する何かを探そうとしたが、見つからなかった。
『SHOCKER』『プラーナ』『オーグメント』『ハビタット世界』『チョウオーグ』『仮面ライダー第0号』
プロフィール内に出てきた初めて見る単語はどれもこれも、〈くしゃがら〉とは関係がない。

十五の頭の中には〈くしゃがら〉しかなかった。
他のことは、まともに認識できなかった。


デイパック内には食料や手鏡など基本的なもの以外にも支給品はある。
十五のデイパック内にあったのは、複眼の付いた銀色のヘルメット、白くて大きな雪男みたいなぬいぐるみだ。
それらも当然、〈くしゃがら〉とは何の関係もない。
そしてぬいぐるみの方は〈くしゃがら〉どころか殺し合いの役にも立ちそうにない。
ベルトやヘルメットは、説明書から今の緑川イチローの身体だからこそ使える物品であることは分かったが、十五にはそれよりも〈くしゃがら〉が知りたかった。



「…………そうだ……あいつらは最後の『くしゃがら』一人になればどんな『くしゃがら』願いも叶えるって『くしゃがら』言った…。だ、だがよ…ひ、人を『くしゃがら』殺すってのは…!」

殺し合いに優勝すれば、〈くしゃがら〉の意味を知ることができるかもしれない。
その可能性に気付いたものの、ギリギリ残った最後の理性が手を汚すという決断を鈍らせる。



「……………いや、『くしゃがら』ちげー。〈くしゃがら〉を『くしゃがら』教えてくんねー奴なら『くしゃがら』いいわ。そんな奴が『くしゃがら』わりーんだからよォ…!」

それでも、〈くしゃがら〉の魔力は十五に明らかに誤った考え方を抱かせる。
十五は今、この舞台の上にいるであろう数十人の参加者に〈くしゃがら〉の意味を知っているかを聞き、答えられないのならば殺そうと考えた。
そのための"力"も手に入れている。
先ほどは〈くしゃがら〉の手がかりがなかったことでその辺に放ったヘルメットと腰に装着されていたベルト。
それらを使えばプロフィールに書いてあった『チョウオーグ/仮面ライダー第0号』という存在になれる。
そいつは、人間を超えた力を持っている。
そもそもで言えば、それらを使って0号にならずとも、今のままの状態でも人間から『プラーナ』というものを奪うことによっていとも容易くに殺害できるらしい。
だからこそ、この新たな方針も思いつけた。


195 : シン・『くしゃがら』イダー ◆5IjCIYVjCc :2023/05/03(水) 20:39:36 EUcvQ9eI0

「…〈くしゃがら〉さえ、『くしゃがら』分かれば殺す必要は『くしゃがら』ない。そうだ…〈くしゃがら〉さえ分かればそれで『くしゃがら』いいんだ…」

十五はそんな風にぶつぶつと呟きながら自分に言い聞かせる。
〈くしゃがら〉さえ知れば、自分は殺し合いに乗る必要はない。
だから、〈くしゃがら〉を知るまでは優勝を狙っても良い。
そんな、どこか破綻している理論を正当化するために言い聞かせる。


「〈くしゃがら〉を…誰か『くしゃがら』教えてくれよォー…!それなら『くしゃがら』殺してやんねえから『くしゃがら』よおォー…!」

十五は虚ろな目で独り言を呟きながら自分が散らかした支給品を片付ける。
明らかに正気を失っている様にしか見えなかった。


今の十五は、〈くしゃがら〉について決着がつかなければ"幸福"にはなれない。
それでもやはり、〈くしゃがら〉の本当の意味を知る方法はこの世に存在しない。

〈くしゃがら〉のことを忘れでもしない限り、志士十五の真の安らぎはこの世にない。



【志士十五@岸辺露伴は動かない(ドラマ版)】
[身体]:緑川イチロー@シン・仮面ライダー
[状態]:〈くしゃがら〉による精神汚染(特大)
[装備]:アルティメットハーフタイフーン(試作改造型)&第0号のライダースーツ@シン・仮面ライダー
[道具]:基本支給品、第0号のヘルメット@シン・仮面ライダー、もっふんのぬいぐるみ(大)@王様戦隊キングオージャー
[思考・状況]基本方針:この『くしゃがら』殺し合いで〈くしゃがら〉を確実に『くしゃがら』知る。場合によっては『くしゃがら』優勝を狙う。
1:〈くしゃがら〉の手がかりを『くしゃがら』調査する。
2:他の『くしゃがら』参加者を『くしゃがら』見つけたら、〈くしゃがら〉について何か『くしゃがら』知らないか聞く。
3:〈くしゃがら〉の調査に『くしゃがら』役に立たなそうな参加者は『くしゃがら』殺す。
[備考]
※変身ベルトは、支給品ではなくあらかじめ体に装着されていたものであるとします。
※名簿には、本名の西桂太郎ではなくペンネームの志士十五で表記されるものとします。
※岸辺露伴に記憶を消されるよりも前の、〈くしゃがら〉の意味を探していた頃から参戦とします。


※このSSを読む方々の安全のため、作中で〈くしゃがら〉としていた単語は、実際のものとは異なるものを使用しております。


【アルティメットハーフタイフーン(試作改造型)&第0号のライダースーツ&第0号のヘルメット@シン・仮面ライダー】
仮面ライダー第0号への変身に必要な品々。
この中で厳密な支給品として扱われるのはヘルメットのみとし、他のベルトやスーツは予め装着されていたものとする。

【もっふんのぬいぐるみ(大)@王様戦隊キングオージャー】
ゴッカン国王のリタ・カニスカが所有するもっふんというマスコットキャラクターのぬいぐるみ。
ここにあるのは人間並の大きさのものとする。


196 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/03(水) 20:40:52 EUcvQ9eI0
投下終了です。


197 : ◆OmtW54r7Tc :2023/05/04(木) 00:58:08 65oAcAAs0
投下します


198 : 蝶になりたかった蛾のお話 ◆OmtW54r7Tc :2023/05/04(木) 00:58:59 65oAcAAs0
『アゲまる〜、お前はアゲハントってポケモンに進化するんだってさ』

そう言い聞かされて、僕は育てられた。

『いっぱい食べて、立派なアゲハントになるんだぞ〜』

僕自身、自分はアゲハントになるんだって信じてて。
その日が来るのを楽しみにしていた。
だけども、そう上手くはいかなかった。
ケムッソから進化した自分の姿は、カラサリスではなくマユルドというポケモンで。
そしてマユルドからドクケイルへと、自分は進化した。

ご主人であるスグルは、優しかった。
期待に応えられなくて落ち込む自分を、似合わない名前をつけてしまったことを詫び、これからも相棒でいてほしいと言ってくれた。

『どくけけ〜!』

ドクケイルに進化した時も、自分の事のように喜んでくれた。
だから、不満があるわけじゃない。
これからもスグルは大切な相棒で、彼といられることは自分にとっても幸せだった。
だけど、それでも心残りはあって。

スグルが期待を寄せ、僕自身もそうなると信じたアゲハント。
叶えられなかった僕とスグルの夢への未練だけが残った。
だけど今となっては、こんな未練、断ち切ってしまえばよかったと思う。

「は〜ん…」

僕、アゲまるは今、念願だったアゲハントになった。
相棒と引き離され、殺し合いなんてものに参加させられるという最悪のおまけつきで。


199 : 蝶になりたかった蛾のお話 ◆OmtW54r7Tc :2023/05/04(木) 01:00:07 65oAcAAs0
「は〜〜〜〜ん!」

僕は、アゲハントの短い手で、デイバックを持ち上げる。
デイバックは見た目ほど重くはなく、運ぶのは問題なさそうだった。
続けて中身を確認しようとして出てきたのは、このアゲハントのプロフィールだった。
人間の言葉など分からないはずの自分にも、何故か読むことができて。
こんな状況とはいえ、憧れだったポケモンの詳細を知れることには胸が躍った。
だが、最後まで読み終えると微妙な気分になった。
このアゲハントの肉体。
どうやらメスのようだが、彼女にも自分と同じくハルカという相棒がいるらしい。

「はぁん!」

アゲまるは、気合いを入れるように鳴いた。
このアゲハントがいなくなったらきっとハルカという相棒は悲しむ。
自分がいなくなったらスグルも悲しいだろうし、なにより僕自身もスグルのとこに帰りたい。
そう、これはアゲまるだけの問題ではないのだ。
自分とアゲハント、そしてそれぞれの相棒、2匹と2人の問題なのだ。

殺しなんてしたくない。
あの優しい相棒、スグルもそんなこと望まないだろうし。
それに他ポケの、しかも自分にとって親戚みたいな間柄のポケモンの肉体を借りて手を汚すなんて嫌だった。
なんとか、それ以外の方法で元の姿に戻って、スグルの元に帰るんだ。

決意を固めたアゲまるは、改めてプロフィールに載っているアゲハントの写真を見た。
それにしても、これが僕がなるかもしれなかったポケモン、アゲハントかあ。
自分とは違う、綺麗な羽根の模様。
青いつぶらな瞳。
コーディネーターとしての相棒の育て方がよかったのだろう、その魅力は並のアゲハントを上回るもので。

「はあああああん♡♡」

アゲまるは、目をハートにして自分の姿に欲情していた。

【アゲまる(ドクケイル)@Pokémon LEGENDS アルセウス】
[身体]:アゲハント@アニメ版ポケットモンスター
[状態]:健康、欲情
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺しはせずにスグルの元に帰る。
1:アゲハントちゃん可愛い、はあ、はあ…♡
2:協力できそうな参加者を探す。


200 : ◆OmtW54r7Tc :2023/05/04(木) 01:00:58 65oAcAAs0
投下終了です


201 : <削除> :<削除>
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202 : <削除> :<削除>
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203 : ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:26:35 4QBEzrUI0
投下します


204 : 憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット) ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:27:58 4QBEzrUI0






ドッドッドッドッドッドッドッドッ

ドッドッドッドッドッドッドッドッ

ドッドッドッドッドッドッドッドッ




威圧感のある重低音があたりに響く。
その音の中心、発生源にいるのは一人の男だ。
放たれている音に劣らぬオーラを放ち、それに見合った強面の風貌。100人が100人、紛うことなき強者であろうと判断する存在感。
その男……肉体はキングと呼ばれるヒーローのものであった。
ヒーロー協会に所属する数多の戦士の中でも卓抜した力を持つ、17人の最高戦力〈S級ヒーロー〉の一人であり、その中でも一目置かれる地上最強の男こそがキングである。

タブレットに記録されたそんなキングの風評や武勇伝に、最強の戦士に宿ったモノがじっくりと目を通す。
機械の操作にはなじみがなく人差し指一本でのろのろと、自信なさげに背中を丸めて、入念に戸締りをした小屋の中でのそんな振る舞いはよく言えば用心深く、悪し様に言えば臆病に映った。
そんな振る舞いをキングの肉体にさせている精神の名はキングゥという。
メソポタミア神話における母神ティアマトの仔の名を持ち、人類の歴史、人理焼却という大事件において人類と時に敵対し、時に共闘した生きる兵器。その銘がキングゥである。

(……ボクに用意される器は、どうやら毎度身の丈に余るものらしい)

かつては神代最強の兵器を肉体とし、英雄王ギルガメッシュとも人類最後のマスターとも互角以上に戦い、人類悪と化した母神ティアマトを縛り上げることもできた。
肉体のスペックを、本来の持ち主ほどでなかったかもしれないが存分に発揮することができたためだ。
だが今回はそれもままならない。

(身体能力は凡庸。魔術回路はなし。魔眼や超能力のような異能もない、カルデアのマスター以下の凡夫……にしか思えないが。
 それでも人類史に名を刻んだ武勇を持つ英雄のようだから、おそらくは魂に宿る異能か、優れた武装を使いこなすのか……)

肉体をコントロールしているのがキングゥである以上、そのスペックは当然彼の知るところになる。
タブレットに記された逸話に似つかわしくない虚弱な肉体をはじめは疑問に思うが、カルデアのマスターや英雄王のような外付けで強化された英雄と近しいとキングゥは推察した。
何より英雄とはその【力】よりも【在り方】によるものなのだから、キングゥは与えられた肉体に一抹の敬意を覚え、そして現状に恐怖する。
――――――そんな至宝は、自分ごときが勝手にしていいものではない。



器である神代の英雄に恥じない振る舞いでもって、かつてのキングゥは最期を彩った。



――――――この体が。やるべきことを覚えている――――――



そうだ。肉体は違えど今もきっと、この体はやるべきことを訴えている。


205 : 憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット) ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:28:44 4QBEzrUI0



ドッドッドッドッドッドッドッドッ

ドッドッドッドッドッドッドッドッ

ドッドッドッドッドッドッドッドッ




響き渡る心臓の鼓動〈キングエンジン〉。
キングゥの怯えでしかないその音だが、なぜだかそれが戦意の表れのように聞こえる。闘えと鼓舞しているように響く。

(……ああ。肉体〈キミ〉が英雄であるならば。精神〈ボク〉も英雄として振舞わねばなるまいよ)

最後の最期に目覚めた英雄としての矜持。天の鎖の後継たる天の遺児は人類を守る戦士となる。
ヒトを害する災厄〈コロシアイ〉に立ち向かおう。
そう、意を決した瞬間に


ドン!ドン!


籠っている小屋の戸を叩く音が響く。
いつの間にか止んでいた鼓動に比べて大きな音が小屋の中に響く。
とっさにキングゥは支給されたディパックを手もとに引き寄せ、警戒態勢となる。

ノックというには荒々しすぎる音が散発的に響き、そして……



バァン!!!



と扉を破って一人の男が現れた。

「よォ、ご同輩。お互い妙なゲームに呼ばれたな。説明やらなにやら足りねえゲームマスターで困ったモンだ?なぁ?」
「……おまえ、は」

穏やかな声色で、しかし邪悪さを含んだ口調でそれは呼びかけた。
森のように輝く緑の長髪と、空のように澄んだ瞳。極上の宝石と見紛う容姿を真っ白な貫頭衣で覆って、足元は裸足。
それは女のように柔らかで、しかし男のように強く。
娼婦のように淫靡で、されど神官のように純粋で。
大地で生まれ育ったように自然で、なおかつ作られた道具のように人為で。
そんな相反する要素を併せ持った美しいモノだった。

キングゥはその体の名を知っている。
神の手によって作られた兵器、その銘をエルキドゥという。
人格を得た兵器であるがゆえに、その器を本来のものとは異なる人格で再び満たし、この戦場に招かれた。

「面白れぇ器だ。デカい音がしてたんで今は必要はなかったが、人の気配を感じ取れる。コイツに長いこと入っていた経験もあってかね?」

キングゥの知るエルキドゥにはない特徴を男はしていた。首から下げた特徴的な装身具だ。
中心にウジャト眼を刻んだ正三角形のピラミッドをリングで覆い、そのリングから周囲に向けて剣のような円錐状の指針が五つ付いている奇妙なペンダントを。
悪趣味を通り越して邪悪さまで覚える黄金の輝きと意匠のそれの名は千年リングという。
――――――そう、ソレの中身がエルキドゥの肉体に巣食っている。

「一応聞くが、なんのつもりだい?」

扉を荒っぽく叩くだけならかろうじて平和的な解釈もできなくはないが、ブチ破って乱入してきた者にどうぞお茶でも、とはまずなるまい。
キングゥの声は敵意を帯びた問いを放ち、その手はディパックの中へと伸びていく。

「そりゃあお前、今はお試し期間〈チュートリアル〉じゃねえか。デッキを組んだらテストプレイするだろ?車を慣らすなら走らせるだろ?だったら……」

それを見とがめるでもなく、エルキドゥの声は愉しそうに問いに答えた。

「新しい体で殺し合い〈ゲーム〉ときたら、暴れるに決まってんだろォが!?」

デュエル開始の合図などない、と一瞬で距離を詰め、キングゥを蹴り飛ばす。
神代の大英雄の速度に現代人の肉体で反応できるはずもない。キングゥはディパックに突っ込んだ腕を抜くこともできないままに小屋の壁をぶち破り外へと吹き飛ばされた。
少なくないダメージだ、うずくまって動けなくなってもおかしくない。
それでもキングゥの胸を焦がす怒りがその体を動かす。

(なんて、無様……!)

腹を蹴られたダメージよりも、あまりに情けないザマに吐き気がする。
武器も使えずに、優れた肉体〈うつわ〉の足を引っ張るばかり。
そんな無能な精神〈ナカミ〉が


206 : 憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット) ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:30:16 4QBEzrUI0

「キサマごときが、我が物顔でエルキドゥのごとく振舞うな!!!」

彼の攻撃がまともに入っていれば立てるものなどいてたまるか。
そんな程度の腕前で、神代の兵器を振るうんじゃあない――――――――――――――――――!!!

その憤怒を浴びせられてなお男は平然と答える。

「悪ィが、ここでのオレ様はエルキドゥだ。なにぶん身分も名前もあってないようなモンでね。主人格サマに相乗りさせてもらうしかないのさ」

軽薄なその答えに沸点をとうに超えていたキングゥがさらに激怒する。
ディパックの中で握っていた武器を起動。銀色の円盤かコアのような機械を右手で握りしめると、そこから粒子状の金属が展開しキングゥの体を覆っていく。
瞬く間に赤を基調に黒と金を交えたカラーリングのマスクとスーツを纏い、攻撃態勢に入った。
その姿を鏡面のように映した千年リングが信号でも発するように輝くと、エルキドゥの口から戸惑うように声が漏れた。

「…スパイダーマン?そいつのことか?」

そう。
キングゥの姿はスパイダーマンというヒーローのものへと転じていた。
正確にはアイアン・スパイダー。天才科学者トニー・スタークの開発したパワードスーツで、ナノマシンをベースにしたハイテク装備だ。
キングゥの生きる世界においてはギリシャの神々の用いた技術、クリロノミアに近しい超抜技術といえる。
それを纏うことで身体能力をサポートしたキングゥがエルキドゥへと躍りかかった。

「さぁ、どこを縊り落とそうか!」

低い姿勢で距離を詰め、伸び上がるようにして右の拳を放つ。
エルキドゥの肉体に宿っていた頃を彷彿とさせる攻撃。それを当代のエルキドゥは払うようにしてよけるが、続けざまに放たれた左手が腹部に食い込む。
ひるんだところに二撃三撃とさらに拳を浴びせ、体勢を崩す。

「ノック・アウトだね、わかるとも!」

そして意趣返しのように蹴りを打ち込んで大きく吹き飛ばす。
森の木々の一つに叩きつけられ、エルキドゥの口から小さく嗚咽が漏れた。
しかし即座に立ち上がり反撃の拳を放たんとする。
それをするりと躱してキングゥがカウンターを叩き込む。

四度五度とキングゥが四肢を打ち込んでエルキドゥを地に伏せさせる。
優位なのは誰が見ても明らかだ。
しかし、マスクの下でキングゥは焦燥に震える。

(…決めきれない。サーヴァント相手に神秘を伴わない攻撃だからか?……いや、アレは生身だ。【霊体】じゃなくエルキドゥの【肉体】を使っている。ひたすらその頑強さにものを言わせているだけ、か……!)

サーヴァントになれば最高ランクの耐久となるエルキドゥの肉体は、当然生前から凡百の鎧やパワードスーツなど目ではない。
対してキングゥの纏うアイアン・スパイダーは単純なパワーでは及ばない面があると言わざるを得ない。
本来の装着者であるスパイーダーマンことピーター・パーカーはスーツ抜きの身体能力でも極めて秀でたヒーローで、そのため身体機能のサポートはスーツの機能として重視されない。
情報面や手数、環境適応のバックアップならば超一流だが、攻撃力ではある一点を除いて優れた装備とは言えなかった。
これがもし肉体的には常人であるものが纏うのを前提としたアイアンマン・スーツ、特に【ストロンゲスト・アヴェンジャー】ことハルク対策に考案されたマーク44ハルク・バスターならば神代の英雄の防御すら砕く矛となったであろうが。
今のキングゥには知るはずもない、ないものねだりで。限られた手札を模索するざるを得ない。

起動だけでも手こずったスーツの機能を手探りで走査し、キングゥは必死に勝機を漁る。
機械文明などなじみないことこの上ないが、それでも必死に。
そうして見つけた一つの武器から戦略を練り上げていく。

(糸?糸が出るのか?ああ、それでスパイダーか)

文字通りのからめ手にいきつく。
手首に装着されたウェブシューターから放たれる蜘蛛の糸を切り札にして仕留める。
格闘戦では自分が勝り続けているのだからこれで決められるはず、と。

地に伏せていたエルキドゥが立ち上がろうとしているところに追い打ちをかける。
蹴りを叩きこんで転がし、そこに糸をかけようとする……が。
打ち込んだ蹴足を片手で受け、蹴りの勢いも利用してエルキドゥが立ち上がる。
突然熟達した格闘技能におののく間もなく、立ち上がる勢いそのままに頭突きがキングゥの顎に刺さった。

(なッ!?こ、の!)

たまらずたたらを踏んで距離をとる。
苦し紛れに拳を振るが、エルキドゥはそれを上体をそらして華麗に躱した。

(…しめた)

拳は外れてしまったが、糸を放って振れば首をとらえられる。
ここまでまだ一度も見せていない手の内だ。初見での対応は簡単ではないはず。

(縛り首だね、わかるとも!)

ウェブシューターから糸を放ち、エルキドゥを締め上げようとする。


207 : 憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット) ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:31:46 4QBEzrUI0

ニヤリ、と。
エルキドゥの顔に今までになかった悪辣な笑みが浮かんだ。
それに疑問や怖気をキングゥが覚える間もなく、次の動作にエルキドゥは移っていた。
くり出された糸に対して右手を振るう。

はらり、と。
糸が切られ、手ごたえが失われる。
予測していた、と言わんばかりにエルキドゥは片手間に迎撃して、続けざまにキングゥへと右手を振るった。
動揺したキングゥはその一撃をまともに受けてしまう。
あたりに響く金属音。
アイアン・スパイダーのスーツを手刀が削る。
手刀……いや、文字通りに刃がエルキドゥの腕から生えていた。

「ハッハッハッハッハッハッ……!」

エルキドゥの歪んだ口元から嘲るような笑い声が漏れる。
いつの間にか、その顔に浮かぶ邪悪さの性質が先ほどまでと変わっていた。
例えるなら全てを奪い取ろうとする強欲な盗賊から、全てを見下して嗤い続ける狂った怪物のように。

「相棒はなっちゃいねえ。この体を全然使いこなせてねえんだよ、なぁ?お前もそう思うだろ?あぁぁ、ついでもお前もてんでなっちゃいねえ。エルキドゥを名乗るなって?お前こそ、それでスパイダーマンのつもりか!?」

腕の刃を手慣れた様子で振るい、さらにキングゥをいたぶる。スーツから上がる悲鳴のような音を心底楽しむように何度も何度も。
キングゥも大人しく攻撃を受け入れているわけではないのだが、人が変わったような格闘技術で圧倒的にエルキドゥが上をいっていた。
さらに、腕の刃はエルキドゥの持つ変容能力だ。体を構成する泥を変質させて武器にする力を使い、馴染んだ得物を再現しているのだろう。
技と攻撃の質が向上したことで形成は大きく傾いた。
スーツの防御性能だけがキングゥには頼りだが、それも無敵ではない。確実に削られていき、そしてもう一歩でキングゥの首に刃が届くというところまできてしまった。

「…じゃあ。バ〜イ♪」

両の腕から刃を生やしてとどめの一撃をエルキドゥが振るった。
首筋を一閃して、おしまい――――――

とはならず。

『スパイダーアーム、ピンサー起動…!!』

アイアン・スパイダー内にキングゥのものではない音声が響いていた。
そしてスーツの背から四本のアームが構築され、エルキドゥの刃を受け止める。

ワオ、とエルキドゥが感嘆する。
と同時にアームが刃ごとエルキドゥを弾き飛ばし、二人の間に距離が開いた。
すかさずウェブシューターから山林へと糸を飛ばし、スイングしてエルキドゥからさらに距離をとった……キングゥの意志によるものでなく。

『ごめん、プログラムのロックがなかなか解除できなくて!ここからは拙いなりに加勢するよ!』
「キミは……?」

望外の援軍だが、自分が纏うスーツを自分以外が操作しているのに少しばかり不満の色を混ざった声がキングゥから漏れる。
その疑問に、こちらは申し訳なさを滲ませて声は答えた。

『僕は才賀勝といいます。うーんと、何者かっていうと……懸糸傀儡が得意なサーカス団員?』
「素性よりも事情が知りたいんだけど」
『あ、このパワードスーツには補助人格AIが組み込まれてたみたいで…』

エルキドゥから離れて、警戒しながら樹上で距離を保って勃発した作戦会議……というよりはキングゥによる勝への詰問に近いだろうか。
勝の声からはなかなか負い目が消えない。


208 : 憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット) ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:33:15 4QBEzrUI0

「なるほど、君がその人格と入れ替わっていると」
『そうなんだ。だから、つまり、その……』
「本来の補助人格じゃないから、この礼装を使いこなせないわけだ」
『…………はい。そうです。ううん、それでも』

諦念が見え始めたキングゥに対して勝の声には自信が満ち始める。
未熟な自分でも、知っていることはあるんだと。

『糸の操作には少しばかり自信がある。それに、二人で背中を預けあえればできることはたくさん増えるよ』

人形相撲や、真夜中のサーカスとの戦いを通じて学んだこと。
糸の操作はもちろんだが、過去からの【糸】に操られずに人と繋がる力のことを。

『詳しくはわからないけど、あの体は友達なんでしょ。助ける……のは今は出来ないかもしれないけど……放ってはおけないんだよね?』

友達。半端に会話を聞いているとそう勘違いするのだろうか。
間違いなくそんな関係ではない。
体はともかく、精神のほうは風評を聞いたりわずかに記憶を覗いたりしたくらいで面識すらない。
だが敬意はある。
偉大なる先達、尊敬すべき大英雄、エルキドゥよ。

「あの体が悪用されるくらいなら、破壊することも厭わない」

キングゥはそう言い放つ。
過激だなァ、と勝は思うが。
エルキドゥという体の中身は、これまでの振る舞いを見るに他者を踏みつけて幸せを奪い取るのに躊躇しないタイプだろう。
それは勝にとって許せないことだ。
勝手に他の人格を転送(ダウンロード)されているならなおのこと止めなければならない。

『わかった。それじゃあ…』

ウェブシューターとそれに伴う腕の操作は勝のままに、背中から生えたアームの操作権限がキングゥに移る。

『糸は僕が使って、動いたり縛ったりする。アームでの攻撃と防御に集中してほしい』
「…フン。せいぜい役に立ってもらうよ」

戦端が再び開かれる。
勝がウェブスイングにより木々の間を立体的に飛び回り、キングゥが四本のスパイダーアームにより多角的な攻撃を繰り出す。
やすやすと敗れるエルキドゥではないが、空間を自由に跳び回るうえに手数でも勝る相手にはさすがに苦戦するのか、またも一方的な戦況を許してしまう。
アームによるダメージが蓄積し、糸が少しずつ体に絡む。
腕の刃で糸を刻んでも、その動作が新たな隙へと繋がり追撃の布石となる。
まさに蜘蛛にとらわれた獲物のよう。

追い込んだ。
そう勝もキングゥも考えた。それは決して油断ではなく、確かな判断ではあった。
狂気のエルキドゥ一人が相手ならば正しかったろう。
しかし、敵もまた自分たちと同じで一人ではなかったのだ。

「オレ様のターン……!!」

狂気のエルキドゥから強欲のエルキドゥへ。
千年リングが輝き、人格がチェンジする。
すると瞬く間に腕の刃がほどけるように変形し、数多の鎖となって一帯を覆いつくした。
糸で跳びまわるアイアン・スパイダーでは空中での自由に限界があり、避けきれず捕らえられてしまう。
スパイダーアームまで完全に縛られてしまえば【天の鎖】を破る手段などありはしない。

「トラップ発動、ってな……!オレだってこういう使い方なら慣れたもんだ」

千年リングの指針を弄びながらそう嘯く。
エルキドゥの能力を十全には使いこなせないが、馴染んだ鎖の形になら変形させられるようになっていたのだ。
伏せていた切り札の発動にキングゥたちはほぞを嚙まされる。

「スパイダーが縛られてちゃ世話ねーな?アァ?めでたく敗北、罰ゲームの時間だぜ」

エルキドゥは左腕から伸びた鎖を手繰り、キングゥを引き寄せる。当然抵抗はするのだがそれもむなしく、射程が詰まってしまう。
そしてついにその手が届く距離までくると鎖の根本、左腕がキングゥの喉を掴む。

「あばよ」

と、空いた右腕から再び刃を伸ばし、それでキングゥにとどめを刺す……かと思われた。
しかしエルキドゥの動きが突如止まる。
キングゥや勝の抵抗ではない。
エラーを起こした機械のように静止したのだ。


209 : 憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット) ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:33:39 4QBEzrUI0

「…………う、ああああああああああああ!!!」

悲鳴のような声を上げてエルキドゥがキングゥを投げ飛ばし、そして鎖もほどいて解放した。
事態の変化にキングゥも勝も戸惑うしかない。

「逃げろ!逃げてくれ!私が私であるうちに!」

エルキドゥは頭を抱えて蹲り、何かに怯えているようだった。

「早くしろ!また誰かを殺してしまう前に、消えてくれ!」
「何を言っている…?」

これも何かの罠かと迷うキングゥだったが、勝の判断は彼より早かった。
ウェブシューターを操作し、木々に糸を飛ばしてスイングでこの場から離れ始めたのだ。

「おい!何をする!?」
『いったん立て直しましょう!装備も状況も調える必要がある!』

とどめを刺せる状況だったのにそこからこんな芝居をする必要は、恐らくないはず。
自らの本体と向き合ったしろがねーOとOのように混乱したのか。
しかしスーツのダメージも、万一混乱が解けた時の敵の技量も、こちらを一太刀で仕留められるレベルで。
そのリスクを負ってまで、友人(?)の肉体を損壊するために踏み込むというのは勝にはリスキーに感じられた。

『今は!三十六計逃げるにしかずです!友達を助ける方法がないとも限らない!』
「……クソ!言っておくが別に友達じゃあない!」

いまさらながら突然殺しあえだの、ハイテクノロジーな装備だの、エルキドゥの襲撃だのでキングゥも混乱している。
それを落ち着けるために時間を使うことを彼もまたよしとし、撤退を選んだ。


◇  ◇  ◇



「……ハァ、ったくよ。やってくれたな相棒、ええ?おい」

千年リングが輝き、主人格が切り替わる。
少なくともそこに怯えを浮かべていたエルキドゥはいない。

「何のマネだ、クソッタレ・ゴブリン?それともまさか聞いてたノーマン・オズボーンの人格に戻っちまった、とか言わねえだろうな?」

苛立ちを隠しもせず、リングの中のもう一人の人格へと詰問の声が飛ぶ。
オズボーンと呼ばれた人格はリングの中から軽い調子でそれに答えた。

『戻るゥ?ここにノーマンはいねえのにどうやってあいつになりゃいいのさ?本来の意識が目覚めた、なァんてミラクルに期待しちまったか?』

ハッハッハッハッ……!とからかうように男は笑う。

『オレは今も昔もグリーン・ゴブリン。千年リングに宿る邪悪な人格さ。強いて言うならちょっとばかし善人〈ノーマン〉の演技ができるってだけの小悪党だよ』

リングに新たに宿った人格の名こそがグリーン・ゴブリン。
エルキドゥの肉体に宿った人格のほうが

『ゾーク・ネクロファデスだった名無しの邪神様よォ。アンタは器があるから優勝すりゃいい。で、このリングは大事なもんだから丁寧に持ち帰ってくれるってのは信じよう。けどよ、こんなにか弱い城の中じゃあちょっとばかし保険を利かせたくなるのが人情ってもんだろ?』

千年リングに宿る人格になってしまったグリーン・ゴブリンには持ち主が優勝したとて無事に帰れる保証はない。
だからこそ彼はその悪辣な頭脳で生きるための戦略を巡らせた。

『パラサイト・マインド。アンタにゃ説明はいらねえだろうが、一応な。ジャパンでいうとこの報連相ってやつはビジネスじゃあ大事だもんなぁ……オレの人格が、スパイダーマンのスーツに取りついた。ここぞ、ってところであの親愛なる隣人はグリーン・ゴブリンにちょっかいを出されるのさ』

グリーン・ゴブリンの人格の持ち主が多くなれば当然生き残る可能性は大きくなる。
生存能力に乏しい種が多くの子を残すように、グリーン・ゴブリンを産んで増やして地に満たせば有利なのは言うまでもない。
そしてなにより、邪悪な二人には楽しみなことがある。
誰かを助けようと伸ばした糸で誰かを絞め殺す。誰かを助けようとした腕で誰かを貫く。
スパイダーマンがそんな風に殺し合いに加担したら、面白いことこの上ない。

「…それじゃあ、まあしょうがねえか」
『どうしてもって言うなら今から追いかけて殺すかい?俺はどちらでも構わねえぜ』

納得半分呆れ半分の笑いをゾークは浮かべる。
そして快楽主義のゴブリンは自らの生存戦略をおじゃんにしても、面白ければそれでいい。
首から下げた千年リングの指針が一本、キングゥたちの……いや、アイアン・スパイダーに宿るゴブリンの邪悪な意思の方角を示す。

邪悪なる兵器の歩む先は、いずこ。


210 : 憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット) ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:34:29 4QBEzrUI0

【キングゥ@Fate/Grand Order 絶対魔獣戦線バビロニア】
[身体]:キング@ワンパンマン
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:アイアン・スパイダー(中度損傷)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:キングの体に恥じない英雄として振舞いたい
1:エルキドゥからいったん離れる。
2:エルキドゥを開放する手段を探す。ないのならば悪用される前に破壊したい。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※キングのプロフィールの経歴欄の情報はS級ヒーローとしての評判などのみとします。


[意思持ち支給品状態表]
【才賀勝@からくりサーカス】
[身体]:アイアン・スパイダー@マーベル・シネマティック・ユニバース
[状態]:損傷(中)、グリーン・ゴブリン寄生中
[思考・状況]基本方針:殺しあうつもりはないが、悪者を見逃すつもりもない
0:またすごいところに記憶を転送(ダウンロード)されたなぁ……
1:エルキドゥからいったん離れる。
2:キングゥ(まだ自己紹介すら聞いてない)の事情を知りたい。
[備考]
※参戦時期はナイアたちOの本体を開放して以降です。詳細は後続の書き手にお任せします。
※補助AIカレンと人格が入れ替わっています。
※パラサイトマインドによりアイアン・スパイダーにグリーン・ゴブリンの精神が取りついています。どのような影響が出るかは後続の書き手にお任せします。


[支給品紹介]
【アイアン・スパイダー@マーベル・シネマティック・ユニバース】
トニー・スタークが開発し、ピーター・パーカーに送ったパワードスーツ。
ナノマシンで構成されており、マスクやスーツ、アームの面積や強度などを自由にコントロールできる。
装着者の意志によって操る、背中から伸びるスパイダーアーム「ピンサー」や手首から強靭な糸を放つウェブシューターが主な攻撃手段。
宇宙空間や低酸素領域での活動、視界の確保や聴力の拡張、機械へのハッキングなど、他にも様々な機能を持ち、それらを補助人格AIがサポートする。
電源稼働式で、家庭のコンセントで充電可能。なおアメリカのコンセント対応なので日本や他国の施設だと規格が合わないかもしれない。


211 : 憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット) ◆yy7mpGr1KA :2023/05/04(木) 22:35:00 4QBEzrUI0

【闇バクラ(ゾーク・ネクロファデス)@遊☆戯☆王】
[身体]:エルキドゥ@Fate/Grand Order 絶対魔獣戦線バビロニア
[状態]:健康
[装備]:千年リング@遊☆戯☆王
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:大邪神ゾークとして復活する。優勝によるものか、千年アイテムを集めてかはどちらでもいいが念のため千年リングは回収したい。
1:どうすっかな…

[備考]
※参戦時期は千年リングに邪念が残っている時期です。詳細は後続の書き手にお任せします。
※エルキドゥの体はサーヴァントではなく肉体です。霊体化などサーヴァント固有の能力はありませんが、魔力供給やマスターなども必要ありません。
※千年リングに長年宿っていた(邪念探知と鎖の形状に馴染みがある)ため、エルキドゥの能力を一部使いこなしています。現在土を鎖に変えて武器にすることと、気配感知スキルを行使できます。
※気配感知スキルは周囲1エリアに満たない範囲の強い気配しか感知できません。これが制限によるものか、不慣れなためか詳細は後続の書き手にお任せします。
※キングゥを追うかどうか、具体的な行動は後続の書き手にお任せします。

[意思持ち支給品状態表]
【グリーン・ゴブリン@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[身体]:千年リング@遊☆戯☆王
[状態]:正常
[思考・状況]基本方針:生き残りたいし、楽しみたい。
1:どうするんだ?え?

[備考]
※参戦時期はノーウェイ・ホームでスパイダーマンと戦い始めて以降です。詳細は後続の書き手にお任せします。
※今のところエルキドゥの能力を、ノーウェイ・ホームで装備していた武器(手甲剣やジャマダハルのような刃物)を泥で作るくらいは使いこなしています。
※パラサイト・マインドにより精神の一部をアイアン・スパイダーに取りつかせました。それを千年リングの指針で感知できます。


[支給品紹介]
【千年リング@遊☆戯☆王】
古代エジプトで邪悪な錬金術によって作られた7つの千年アイテムの一つ。
資格を持たないものが身に着けると本来なら命を落とすが、本ロワでは制限され誰でも身に着けることができる。
装備者は魂や精神を物に宿す能力を獲得し、リング自体は邪悪な魂の探知機となる。ただし装備したものはリングに宿る邪悪な人格に乗っ取られる可能性が極めて高い。
自分の魂の一部を物に封じ込めるパラサイト・マインドは無制限。
他者の魂を封じ込めるのは、制限により闇のゲームの敗者に対してのみ行使可能。
邪悪な魂の探知はどこまでできるか不明(原作ではゾークの宿る千年アイテムを指し示し、記憶編では罪人の魔物の存在を感知した)だが、少なくともグリーン・ゴブリンの精神の一部は感知できる。


212 : 名無しさん :2023/05/04(木) 22:35:48 4QBEzrUI0
投下終了です


213 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/05(金) 00:38:15 csgMXUjE0
皆さん投下ありがとうございます。
書けた分だけ感想を投下します。

>恋する乙女はロイミュードに想い人を見い出すか
この女の子、怖いですね。
チェイスが悪い方向の可能性に気づいているのが幸いか。

>みはりとお兄ちゃん
そういえばポルナレフはお兄ちゃんキャラでしたね。
今の状態だと説得力はなさそうですが。

>神の頭脳に鬼の肉体
勇次郎が何かちょっと残念な感じになったみたいです。
語録を勉強していればもっと良い感じの感想が書けたかもしれない…。

>ひかりなきもの
名前だけとはいえ、暗黒の宇宙人がひかりの名を与えられるのは皮肉ですね。
下半身はパンツというよりは…スク水?

>そこに在る力
後藤ひとりの生態には謎が多い。
原作者の発言もどこまで本気にしていいものか…。
アルはアルと重なってアルアルになってしまっていて何か自分がエセ中華人みたいな気分になる。

>キミの夢は終わらせない
ガドルのガワが誰か分かった時、「いやお前かよ」と思ってしまいました。

>逃げ出すよりも進むことを君が───
『逃げなかった』人の情報を見れば、フーゴはそりゃあ心が痛むのでしょう。
パープルヘイズがサンチョの代わり…と見るのはこじつけですかね?

>だって「シン」だもの
企画名が企画名だから、シンシリーズ出展から誰か出てくるのも誰かやるかもしれないなとは思ってました。
今さらですが、第1号のベルトであるタイフーンは予め装着状態にあると考えて良いのでしょうか?

>光を前に闇で構えろ
シャミ子が脳内でひたすら話しかけてくるのはかなりやかましそうです。
果たしてシャミ子は今後シリアスブレイカーになれるのか。

>Climax Jump METUBOUJINRAI.net form
何と言うか、今でもこれはこのままで扱っていいのかと少し思い悩むところのある作品です。
滅亡迅雷を一つの個のキャラクターとして扱うとしても、少々人格の扱いがややこしい感じがします。
組み合わせについては、滅役の方が想像していたのになっている感じですね。

>その身を獣の牙として
ジュウガ(色んな意味で)がジャパリバスを運転しているのを想像すると、かなりシュールです。

>推しの號
このSSがきっかけで、最近流行りの例のMADの存在を知りました。
顔の良い女の子が普段しないような悪い顔しているのを見るのは好きです。

>真のエンディングに向けて
終末思想のヤバそうな奴なのに、見た目がカイリキーなことを考えると、ちょっとシュールさを感じます。
もしポケモンを知ってた状態だったらどんな反応だったのだろう。


214 : ◆diFIzIPAxQ :2023/05/05(金) 00:55:25 ArGZ43aA0
感想お疲れ様です。短いですが候補話を投下させていただきます


215 : 元ピンク玉のブルース ◆diFIzIPAxQ :2023/05/05(金) 00:58:04 ArGZ43aA0
とある銀河のとある星、そしてとある国にプププランドという呆れかえる程平和で、しかしやけに危機に見舞われる国家がある。
その国の一人(あるいは一匹?)に住まいを置く住民に、カービィという若者がいる。

普段は寝るだけ寝て、食べるだけ食べて、歌いたい時は沢山歌う、天真爛漫で自由気ままなピンク玉だが、国家存亡の危機から銀河規模の戦いによく巻き込まれ、そして後戻りが出来なくなる前に全て解決させてしまう強さを誇る、"星の戦士"と呼ぶに相応しい勇者みたいな存在である。

そんな存在が最後の一人になるまで戦いあう殺し合いに一方的に巻き込まれたのなら、良しとせずに間違いなく壊しにかかるだろう。
しかし、カービィはルールの説明の段階でも動く事は無く、殺し合いの会場に来てから10分経ってもにその場から動く事はなかった。

ルールの説明段階では、白昼夢を見ている様なふわふわした状態だった故に行動する事は叶わなかっただろうが、それでも殺し合いの会場で行動を移す事は無かったのは些か何かあったのかと思われる。

「この身体……、思うよりご飯を食べられないな……」

理由を上げるならば、二つ。
一つは、肉体が一概に運動を行うには優れていると言えない肉体でないという事。
もう一つは、動くより先に食事と取っていたという事であった。

……もっともブラックホールの如き胃袋を持っていたカービィからすれば、心情的には全く納得出来る量でもなく、肉体的にもあまり食べる事が出来ず不満の様子ではあった。


【カービィ@星のカービィシリーズ】
[身体]:後藤ひとり@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:健康、満腹、思うより食べる事が出来ない不満
[装備]:
[道具]:基本支給品一式(食料は一日分消費済)、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催者を倒して、元の肉体を取り返す
1:まずはこの身体に慣れる

※性別・各媒体の経験等は後続の書き手に任せます


216 : ◆diFIzIPAxQ :2023/05/05(金) 00:59:09 ArGZ43aA0
投下を終了します


217 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/05(金) 10:16:11 yVDqyp2c0
>>213
『だって「シン」だもの』についてお答えさせていただきます
自分としましては本郷のベルトは原典同様「肉体と一体化したもの」という認識でしたので、
装備品としては記述しませんでした


218 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/05(金) 16:49:19 U.9pf38k0
>>217
了解しました。返信ありがとうございます。


219 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/06(土) 00:11:47 USJdcCXI0
投下します


220 : かわいいは正義 ◆NIKUcB1AGw :2023/05/06(土) 00:12:54 USJdcCXI0
「しくじった」。
ジェイク・マルチネスの脳を埋め尽くすのは、そんな言葉だった。
退屈な刑務所暮らしから、突如招かれた殺し合い。
好き放題暴れられるという喜びの中に、想定外の事態による混乱が混ざっていなかったと言えば嘘になる。
そのために、自分のNEXT能力が使えなくなっているという事実に気づくのが遅れた。
代償としてたまたま近くにいた他の参加者に奇襲を受け、重傷を負った。
ついでに物色中だったデイパックも、遠ざけられてしまった。
そして今の肉体は、何の変哲もない日本のサラリーマン。
いかに百戦錬磨のジェイクでも、この状況から逆転する方法が思い浮かばない。
むしろこの肉体の本来の持ち主であれば、底力を発揮して窮地を脱することができたかもしれない。
だが自分に与えられた肉体を「下等な存在」と見下すジェイクには、その力を十全に発揮することなどできない。

「うう……」

かすむジェイクの視界に、血に染まった剣を手にした襲撃者が映る。

「俺が……こんな……」

最後まで言い終わる前に、剣がジェイクの心臓を貫いた。


◆ ◆ ◆


「まったく、あとどれだけこんなことすりゃいいんだ……」

ジェイクを殺した男は、眉間にしわを寄せてぼやく。
その外見は、モヒカンにひげ面。背広の上からコートを羽織った、厳つい姿だ。

「よりによって、こんなかわいくない体にしやがって……。
 絶対元の体に戻ってやる!」

渋い表情のまま、男は叫ぶ。
彼の精神の名は、モモンガ。そして肉体の名も、モモンガ。
むろん、肉体と精神が一致しているわけではない。
同じ名前の別人というだけだ。
もっとも、精神の方はそれを名前といっていいのか微妙だが。

「そういや、ここには知り合いもいるのか……?
 まあいい。誰であろうと邪魔ならやっつけるだけだっ」

そう言い残し、かわいさに取り憑かれた獣は闇へと歩き出した。


【ジェイク・マルチネス@TIGER&BUNNY(身体:野原ひろし@クレヨンしんちゃん) 死亡】


【モモンガ@なんか小さくてかわいいやつ】
[身体]:モモンガ@ONE PIECE
[状態]:健康
[装備]:一級剣バロンソード@暴太郎戦隊ドンブラザーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜5(ジェイクの支給品を回収済み)
[思考・状況]基本方針:優勝して、元の体に戻る
[備考]
※参戦時期は食糧枯渇事件の最中


【一級剣バロンソード@暴太郎戦隊ドンブラザーズ】
脳人三人衆の一人・ソノイが戦闘に用いる剣。
特殊能力などはない。


221 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/06(土) 00:14:31 USJdcCXI0
投下終了です


222 : ◆DJ6C0hLJds :2023/05/06(土) 01:47:51 YfH5xI0s0
皆様投下お疲れ様です。2作候補作を投下します。


223 : 夢を追う君と見守る僕に同じ光りが降り注ぐ ◆DJ6C0hLJds :2023/05/06(土) 01:48:58 YfH5xI0s0

「……殺し合い……」

 赤い服の青年が自分の置かれた状況を冷静に考える。
 その表情はどことなくだが達観としている。
 不気味な月を見上げる。

  『月は人を狂わせる』

 西洋では古くから伝わる言葉であり。
 『Lunatic(ルナティック)』の語源もラテン語の月を示す『ルナ(Luna)』から来ているとされている。
 そんなとりとめもないことを少しだけ思いだした。

 この身体は自分のものではない。
 どこの誰のものなのかもわからない。
 何故自分がこのような場所にいるのかもわからない。
 どういう仕組みでこのようなことが出来るかはわからない。

 今現在わかることは一つ。

「……これはレヴューやオーディションじゃないんだね」

 彼、いや、彼の肉体に宿る彼女の名は『大場なな』。
 
「『ロイド・アーヴィング』、二刀流の剣士か……」

 タブレットからこの身体の持ち主のことを調べる。
 北欧神話の単語が多く見受けられる。
 しかし、彼女の知っている北欧神話とはかけ離れていた。
 自分の知っている北欧神話の名前だけを借りた物語の中心的な人物のようだ。
 
 人とエルフとハーフエルフ。
 神子と世界救済の旅。
 シルヴァラントとテセアラの二つの世界。
 たった一時間しかないので掻い摘んで読んでいたが、何故か同じような説明が8回ほど続いた。
 だが、結末はほんのわずかだが変わっていた。

 ななはこの『ロイド』という青年をこう考えた。
 『届かない理想に手を伸ばして足掻き、叶えた青年』。
 
 ――――自分とは対極にいる存在だ、と。

 とはいえ今は時間は少ない。
 この身体で何ができるか、直ちに確認する。
 そして、彼女の目に留まったのは……。

「……天使化による視覚と聴覚の強化……。
 ……食事と睡眠の不要……。
 ……温度感覚や痛覚の排除……
 ………羽による飛行能力、か……」

 この殺し合いの場において、あまりにも大きなアドバンテージ。
 単純な身体能力の強化。
 人間としての活動には必要不可欠なものの排除。
 そして、人間には不可能な羽による飛行能力。


224 : 夢を追う君と見守る僕に同じ光りが降り注ぐ ◆DJ6C0hLJds :2023/05/06(土) 01:49:28 YfH5xI0s0

「――――つまり、そういうことね」

 最後の一人になるまで、奪い合う。
 【どんな願いでも叶う権利】はななが何度も勝ち取ってきた。
 そして、何度も、何度も、何度も同じ時間を、あの一年を繰り返してきた。
 
 しかし、彼女は届かなかった。 
 何度も何度も何度も繰り返しても。
 あの『煌き』には、彼女は届かなかった。


「………………そうね、なら」


 右手に氷の魔剣ヴォーパルソード。
 左手に炎の魔剣フランヴェルジュ。
 二つの魔剣を手にした彼女は口元だけが少し笑った。

「ドワーフの誓い 第7番……」

 プロフィールに書かれていた台詞。
 ロイド本人は好きじゃないと書かれていた。
 あまりにも青臭い台詞。
 
 だが、嫌いじゃない。
 

「『正義と愛は必ず勝つ!』」

 
 ――――大場ななは『舞台少女』である。

 
 舞台に魅了され、舞台に生かされている少女。
 与えられたのは『熱血な青年剣士』の役だ。
 この殺し合いというエチュードでその役を与えられた。
 
 ならば、最後まで演じ切ろう。
 それが『舞台少女』なのだから。



【大場なな@少女☆歌劇 レヴュースタァライト】
[身体]:ロイド・アーヴィング@テイルズオブシンフォニア
[状態]:健康
[装備]:マテリアルブレード@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:最後まで演じ切る。
1:あのキリンは関わっているのかな……
[備考]
※参戦時期はアニメ12話終了後。
※ロイドのプロフィールをかなりざっくり把握しました。

[支給品紹介]
【マテリアルブレード@テイルズオブシンフォニア】
氷の魔剣と炎の魔剣が組みになった武器。


225 : ◆DJ6C0hLJds :2023/05/06(土) 01:50:16 YfH5xI0s0
投下終了です。2作目投下します。


226 : 正義の大魔王降臨!!の巻 ◆DJ6C0hLJds :2023/05/06(土) 01:51:23 YfH5xI0s0
「ゲギャゲギャ〜〜〜ッ!! まさかこんなにも簡単にジャスティスマンの肉体を得ることが出来るとはなぁ〜〜〜!!!」

 嬉々として森林を破壊する男が一人いた。
 この肉体のパワーを確かめるかのように大木に対してラリアットを繰り出す。
 
「ゲギャ〜〜〜〜ッ!!!」

 掛け声とともに一本の大木がはじけ飛ぶ。
 凄まじいほどのパワーである。
 はじけ飛んだ大木をがっちりと掴み、そのまま握りつぶす。
 凄まじいほどの握力(パワー)である。

「だが! 我は悪の権化!! 『大魔王サタン』であるぞゲキャゲキャ〜〜〜ッ!!
 私をこんな殺し合いに呼んだことを確実に後悔させてやるぞ〜〜〜ッ!!!」
 
 『完璧・陸式ジャスティスマン』の身体を得た者の名は『大魔王サタン』。
 
「まず、手始めにこの殺し合いの参加者を皆殺しだ!!!
 そして、次は貴様らだ、ド下等な主催者どもよ!!
 最後には元の世界に戻りザ・マンやその手下どもを皆殺しにしてやる……ゲギャギャギャーーーッ!!!!」

 あまりにも短絡的な思考回路だが、その肉体の力は凄まじいもの。
 一度完全敗北しているので大魔王サタン自身もジャスティスマンのフィジカルの強さを知っている、
 だからこそ、まさに鬼に金棒と言ったところか、例えこの場にジャスティスマンが居ようとも負ける気がしなかった。

「さしずめ『最後は正義(ジャスティス)が勝つ!』と言ったところだなゲギャゲギャ〜〜〜ッ!!」

 邪悪な笑みを浮かべ、ジャスティス・サタンは歩き出す。
 全ては己の野望のために。

【大魔王サタン@キン肉マン】
[身体]:完璧・陸式ジャスティスマン@キン肉マン
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:優勝する、この肉体を手放すわけがない。
[備考]
※参戦時期はジャスティスマン戦後。


227 : ◆DJ6C0hLJds :2023/05/06(土) 01:51:47 YfH5xI0s0
投下終了です。


228 : ◆dltjJrbYYM :2023/05/07(日) 22:56:34 AW0QQs/g0
投下します。


229 : 赤く燃える白百合、天国を撃ち抜く最後の弾丸 ◆dltjJrbYYM :2023/05/07(日) 22:57:22 AW0QQs/g0
「あちゃー……とうとう『茅森月歌』でさえなくなっちゃったか」

支給された手鏡に移る自分の姿を見ながら、茅森月歌は呟いた。

「ユッキーとふざけて君の〇はごっこしたことはあるけど、まさかこんなことになるとはねぇ」

肉体の入れ替わりとは関係なく、この茅森月歌は茅森月歌であって彼女本人ではない。

外宇宙生命体ナービィが本当の茅森月歌の死体をコピーして生まれたヒト・ナービィである。

ヒト・ナービィ故に同じく外宇宙生命体……こちらは侵略者であるキャンサーと戦う唯一の手段、セラフを使うことができる少女を集めたセラフ部隊。
その切り込み隊「31A」の部隊長……それがこの茅森月歌だ。

「ま、あたしはあたしだ。どんな姿でも、な」

ヒト・ナービィの特徴として、一種の環境適応能力がある。
それは簡単に言えば「不自然な状況でも気にしない」という特性。

いきなりキャンサーとの戦場に放り込まれても多少の困惑こそあれど戦えるし、自分の正体に気づきかねない違和感……たとえば西暦のズレや滅びかけの世界のはずなのに数ヶ月前まで普通にライブ開催していた記憶があるなどといった矛盾に気づけない。

「あんまり混乱してないのもヒト・ナービィだからかもしれないけど……それを含めてあたしだから」

自分の体……ピンクの髪、体格は小柄でふわふわした感じの、自分とは似ても似つかない体。それでも心は、魂はここにある。
ユキが、月歌の歌に籠もっていると言ってくれた魂が。

「とりあえず、この体について調べてみるか」

なにはともあれ、月歌はタブレットで自分の肉体の情報を確認する。



「なんかよく分からん謎の外敵に世界滅ぼされかけてて、通常兵器がほぼ効かないから、選ばれた女の子にしか使えない武器で戦ってて、色んな部隊があって、そのうちの一つのリーダー……ってウチらのパクリじゃん!!」




彼女の親友がいれば「いやいやそんくらいよくある設定だよ!?箇条書きマジックだよ冤罪だよ!つーかなんなら多分アタシらの方が後輩だし後追いだよ!似たようなくだり31AB!の時も言ったわ!それとほぼほぼ確定とはいえ一応まだアタシらのセラフは女性にしか使えないと決まったわけじゃないからな!」などとキレがありつつも癖のあるツッコミをしてくれたことだろう。

閑話休題。



「一柳梨璃……じゃあリーリーか」

一柳梨璃。ヒュージという謎の生命体に滅ぼされかけた世界で戦う少女……リリィ。月歌の言うように、彼女と月歌の世界は同じような境遇にあるようだ。

「ここでえっ、異世界?どういうこと?とか言わなくていいのがヒト・ナービィの良いところだよな、流石ベテランは設定段階から手の抜きどころが分かってる、うんうん」

そう頷きながら歩いていると……


「梨璃すぅわぁああああんん!!」

「その声は……蔵っち!?」

死んだはずの戦友の声がした方向を向くと、見覚えのある紫色の髪の大人っぽい少女……蔵里見がいた。

「って、中身は蔵っちじゃないんだっけ……いやにしてもなんでその体が無事なの!?」

「な、なんですのそのサバサバ感のある喋り方!?梨璃さんはもっと愛らしい、鈴の音の転がるようなお声の方のはず!?」

「いやー、それはお互いさまでしょ。あたしからしたら蔵っちがお嬢様喋りしてる方が不自然だし。でも蔵っちがわざと高い声出したらそんな風な声なんだろうな、ってなぜか謎の納得があるなぁ」



奇しくも、蔵里見の中にある魂……楓・J・ヌーベルは、月歌の肉体、一柳梨璃の仲間であった。


230 : 赤く燃える白百合、天国を撃ち抜く最後の弾丸 ◆dltjJrbYYM :2023/05/07(日) 22:58:48 AW0QQs/g0

◆ ◆ ◆



「つまり、月歌さんは31Aというレギオンのリーダーだったのですわね」

「レギオンとは呼ばれてなかったけど……まぁそんな感じ」

「ヒュージとは別の脅威が現れた異世界……何回かそういった方ともお会いしましたが、やはり困惑してしまいますわね」

「へぇ、そんなソシャゲのコラボみたいに異世界の人がポンポン遊びに来てたんだ」

あの後、「きぃいいい!!梨璃さんの体を乗っ取るなんて羨まし……ゲフンゲフン!!納得いきませんわーー!!いえ、でも普段と違う梨璃さんもこれはこれで……グヘヘヘ」と騒ぐ楓を落ち着かせてから、二人は簡単な情報交換をした。

流石に月歌が人間ではないこと、蔵里見が既に死んでいることまでは言わなかったが。

ナービィの性質……他の誰かの死体からその人物をコピーするというのはひょっとしたらこの殺し合いとも何か関係があるかもしれない、とは思ったが、それをいきなり話しても困惑するだけだろうし、何より悪い相手じゃなさそうとはいえ月歌自身が話したくなかった。


「そして月歌さん、貴女はこの体の持ち主……蔵里見さんともお知り合いなのですわね」

「うん、蔵っちはめっちゃ強かったし、体も動かしやすいでしょ?」

「ええ、軽い運動しかしていませんが、元の私に勝るとも劣らない反応です……そしてなにより!!」

「わっ!?」

急に大事で叫ぶ楓に驚く月歌。なんか心なしかデ!デデデ!!とクラシックバレエ風のBGMが聞こえてきた気がする。


「お慕いしている女性に振り向いてもらえない悲恋!」

「あ、もなにゃんのこともタブレットに書いてあったんだ」

「私も梨璃さんが夢結様のことばかり見ていて、毎夜枕を涙で濡らしているので、その気持ちが痛いほど分かります!きっと私がこの体に入ったのは運命ですわ!」

「ま、まぁ蔵っちならノリの良いツッコミこそすれど嫌がりはしなさそう」

本人がいれば「いやいや普通に嫌だよ別にその子が嫌とかじゃなくて他人が自分になるのは一般論として嫌だよ!お前はあたいをなんだと思ってるんだい!?」とノリが良くも癖のあるツッコミをしてくれたことだろう。


「しかし、貴女は気にならないんですの?」

「え、なにが?」

「ご友人の体を私が、別人が動かしていることについてです。正直、私は梨璃さんの愛らしい体に他の方の精神が入っているなどと考えたら腸が煮えくり返りそう……ああっ、梨璃さんの体でそんな脚を開いた座り方しないでくださいまし!!」

「うーん、そう言われてもなぁ、仕方ないんじゃない?」

(ヒト・ナービィ自体がそんな感じだしなぁ)

勝手に人の体を使って、その人自身かのように振る舞う。ヒト・ナービィ自身がそういう存在だ。だからそこに文句を言う資格は自分にはないと思うし、そもそも言う気もなかった。
そもそも論として、楓の入っている蔵里見の体が月歌の知っているセラフ部隊の蔵里見なのか本当の蔵里見なのかだって分からないのだ。体の反応が良いとかタブレットに最中のことが書いてあった、ということはセラフ部隊の方だとは思うが。


「私だってこれで貴女を責めるのが筋違いだというのは分かっておりますけど、気持ちの問題ですわ気持ちの」

しばらく「ほら梨璃さんの御御足をお閉じなさいな!と、抑えつけるフリをして合法的に梨璃さんの下着を……グヘヘヘ」「ぎゃーー!!蔵っちの体でセクハラされるとアソコなぞられたトラウマが蘇るーー!!」などと騒いだ後、楓は座り方の矯正とセクハラを諦めたようにため息をついた。


231 : 赤く燃える白百合、天国を撃ち抜く最後の弾丸 ◆dltjJrbYYM :2023/05/07(日) 22:59:21 AW0QQs/g0

「とにかく、私はこんな悪趣味な催しに手を貸すつもりはありませんわ」

「あたしだってそんなことしないよ。ロックじゃないからね」

「ロック、ですか……そういえば、貴女はミュージシャンとも名乗っておりましたね」

「そう、SHE IS LEGEND……って、異世界じゃ知らないか」

戯けた口調で言う月歌だが、楓はふっ、と真剣な眼差しになる。

「月歌さん、貴女は何か隠していますわね?」

「え?そりゃまぁ話してないことはあるけど、じゃあまずあたしのスリーサイズとかから……」

「会ったばかりの相手に言えないことがあるのは分かりますわ。しかし月歌さん、同行するにあたって一つだけ確認させてください」

楓は自分たちの頭上に浮かぶ月……自分たちに殺し合いを強要させる『力』を見上げてから、月歌の方に向き直った。

「魘夢という少女の言っていたこと……どんな願いでも叶える、ということについて」

「あー、ありがちだよね、玉を7つ集めるとか貯金箱を一杯にするとか……」

「私は真剣な話をしてるんですの」

まっすぐな瞳で月歌を見据える楓。ちゃらんぽらんな性格の月歌だが、ふざけているような雰囲気ではないことを感じて真面目な顔つきになる。

「もしも、この殺し合いに優勝したら、貴女の世界……察するに私たちよりもっと追い詰められている世界を救えるとしたら……貴女は、その誘惑に打ち勝てますか?」

「願いが叶う……世界を救う、か」

目を閉じる。深く息を吐きながら思い出す。死んだ仲間たちのことや……平和だった頃の、自分じゃない自分……本当の茅森月歌の記憶。母親と海へ行った日のこと。



「こんなこと言うと、怒る人もいるかもしれないけど……私は世界を救いたいんじゃない……そう、救世主になりたいわけじゃないんだ」

救世主になることことが自らのアイデンティティであった仲間のことを思い出す。それから、他の仲間のことも。

「ただ、大切な人たちと一緒にいたいだけ」

『月歌!』『月歌さん!』『茅森!』

滅びかけの世界。本当は自分は茅森月歌なんかじゃなくて、ただ戦うだけの道具だった。そんな自分が戦う意味なんかないのかもしれない。でも、それでも戦えるのは仲間がいたからだ。悪夢でもいい。仲間と過ごした記憶は、素晴らしいから。

そう思うと、自然とかつて作詞した曲のフレーズが浮かんできた。


「どうかそばにいて。こんな悪夢も、狂おしいほど愛してた」


「え?」

突然歌い出した月歌に面食らったような顔をする楓。

「そんな方法で世界を救っても、私は、私が一緒に生きていたい人たちと一緒にいられなくなる……だから、いいんだ」

「そう、ですか」

月歌の目をまっすぐ見ていた楓だが、その目以上に……魂の籠もった歌声で、月歌の言葉が本心であることが分かった。



「ふざけただけの方かと思っておりましたが、評価を改めますわ、月歌さん。梨璃さんの体も預けておきます」

「やった!カエーデの好感度が上がった!」

「カエーデ……ってひょっとしてそれ私のことですの!?」






【茅森月歌@ヘブンバーンズレッド】
[身体]:一柳梨璃@アサルトリリィ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:こんな馬鹿げた殺し合いなんてさっさと止めてみんなの所へ帰る
1:カエーデと一緒に行動する。
2:31Aのみんなも来てたりするのかなぁ
3:魂と肉体の入れ替わり、あたしたちヒト・ナービィ、死んだはずの蔵っちの体……うーん、ユッキーか覚醒つかさっちがいたら考えてもらおう!
[備考]
※4章前編からの参戦です。後編?微課金なんでまだストーリー読めてねぇんだよ!!




【楓・J・ヌーベル@アサルトリリィ】
[身体]:蔵里見@ヘブンバーンズレッド
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:こんな悪趣味な催し、私が止めてみせますわ!
1:月歌さんと同行しますわ。
2:まずは協力者を集めたいですわね、一柳隊の皆さんはこんなことに巻きこまれて欲しくはありませんが。
3:サバサバした感じの梨璃さん……ああっ、これがギャップというやつですのね!!
[備考]
※アニメ本編終了後からの参戦です。ラスバレのコラボシナリオは経験済なのを匂わせましたが、流石に高町なのはや立花響などと知り合いかまでは後続に任せます。


232 : 赤く燃える白百合、天国を撃ち抜く最後の弾丸 ◆dltjJrbYYM :2023/05/07(日) 22:59:32 AW0QQs/g0
投下終了です。


233 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/09(火) 21:33:32 Mr5mmF0s0
投下します


234 : 戦争はヒーローの顔をしていない ◆NIKUcB1AGw :2023/05/09(火) 21:34:34 Mr5mmF0s0
森の中、一人の男が引きつった表情でタブレットを操作している。

「たしかに、ヒーローに対する憧れはあったけどさ……。
 こんな状況でなっても、嬉しくないっての!」

そう叫ぶ精神の名前は、内海将。
無力な一般人なれど、ヒーローとなった友を最後まで隣で見守り続けた少年だ。
そして彼が宿る肉体の名は、内海成彰。
別に親戚関係ではないが、同じ姓である。
ついでに眼鏡をかけているのも同じだし、顔つきもそっくりというほどではないがまあまあ似ている。
意図的に共通点の多い人物をあてがったのだろう、と内海は考えていた。
それはさておき、肉体の方の内海は「仮面ライダー」というヒーローに変身していたらしい。
しかしタブレットに記載されたプロフィールを読む限り、その人生はとてもヒーローとは思えない。
ダークヒーロー……というか、もはやヴィランである。
しかしその行動も全ては、侵略者の懐に入り込み打倒の道を探るためだったらしい。
彼もまた表面上はともかく、心はヒーローだったのだろう。
内海はそう結論づけた。

「で、変身アイテムがこれか……」

タブレットをデイパックに戻した内海は、代わりに別のものを取り出す。
仮面ライダーマッドローグへの変身アイテム、エボルドライバーである。

「こんな状況で不謹慎だとは思うが……。
 正直、わくわく感はある! あるけど……。
 なんか危険そうなんだよなあ、これ!」

まず侵略者の側が作ったアイテムという時点で、内海にとってはうさんくさい。
しかも説明書きには、「生身の人間が使用する場合、肉体に負担がかかる」とまで書いてある。
それじゃとりあえず変身してみようか、などと軽い気分では使えそうにない代物だ。
ドライバーを手にしたまま、悩み続ける内海。
だが、その思考は強制的に中断させられる。
響いたのは、一発の発砲音。

「ひいっ!」

反射的に、内海は身を縮める。
彼は気づいていなかったが、近くの木の幹に銃弾がめり込んでいた。

「ふむ、体が変わっても、銃の腕前は変わらないか……。
 まあ体の方に銃の心得がないのなら、当たり前か」

そんな言葉を漏らしながら、一人の男が歩いてくる。
その男の姿は、まさに闇そのものだった。
顔は黒い仮面と黒いヘルメットで、完全に覆い隠されている。
体に装着したプロテクターの色も黒。
全身タイツなのか地肌なのか、プロテクターに覆われていない部分も黒だ。

(なんだよ、この人……! 黒すぎて、目以外ろくに見えねえ!)

男の異様な姿に内海がたじろいでいる間に、男は内海へと歩み寄っていく。

「あの、つかぬ事を伺いしますが……。
 やはり殺し合いに乗るおつもりで?」
「もちろんだ」

動揺のあまり必要以上に丁寧になった内海の問いに、男は短く答えた。

「いやいや、やめた方がいいですって!
 なんでも願いを叶えるとか、眉唾じゃないっすか!」
「ああ、私は別にいいんだ。願いを叶えるというのが嘘でもね。
 何せ私の目的は、闘争そのものなのだから」

突如仮面の口部分が開き、凶悪な笑みを浮かべる。
その瞬間、内海は確信した。
この男は、怪獣と同じだ。
対話など不可能な、暴力で他者を蹂躙するだけの存在。
放置していれば、どれだけの人々に害をなすかわからない。

(迷ってる場合じゃねえ!)

内海はすぐさま、覚悟を決めた。
ドライバーを腰に装着し、2本のボトルをセットする。

『コウモリ! 発動機! エボルマッチ! Are you ready!?』

「準備なんかできてねえよ! でもやるしかねえだろ!」

叫びながら、内海は両腕を十字に交差させる。
親友が戦いに向かう時の、「アクセス・フラッシュ」のように。

「変身!」
『バットエンジン! ヌゥハハハハハハ……!』

その決意をあざ笑うかのような音声と共に、内海の姿が変化していく。
黒い素体を覆う、白い鎧。輝く青い瞳。
仮面ライダーマッドローグの姿が、そこにあった。


235 : 戦争はヒーローの顔をしていない ◆NIKUcB1AGw :2023/05/09(火) 21:35:23 Mr5mmF0s0

「ほほう、これは未知の技術だな……。
 面白い!」

男は笑みを浮かべたまま、内海に飛びかかる。
その手にはいつの間にか銃に代わり、金属の爪が装備されている。

「ふん!」

気合の叫びと共に、男は爪を振り下ろす。
その攻撃は内海に直撃し彼をよろめかせるが、マッドローグの装甲に傷をつけるには至らない。

「こんにゃろう!」

今度は、内海が拳を振るう。
素人丸出しのパンチは相手の腕に防御され、有効打とはならない。

「ふむ……」

男は追撃をしかけるでもなく、一歩下がって何やら考え込む。

「おい、なんのつもりだ!」
「いや、何。つい気がはやって、こうしてしかけてしまったが……。
 準備不足だったと思ってね」
「はぁ?」

男の発言に、内海は困惑を隠せなかった。

「ルール説明でも言っていたではないか。開始から一時間は、準備期間だと。
 私も君も、まだこの体に慣れていない。
 慣れてから戦えば……もっと素晴らしい戦いができる!」
「ふざけるなあ!」

男に殴りかかる内海。しかし男は跳躍し、その拳を回避する。

「では、また会おう!」

そう言い残し、男は内海に背を向けて逃げ出した。

「逃がすか!」

当然、内海はその後を追う。
だがただでさえ暗い、夜の森の中。
全身が黒い男を見失わずにいるのは、至難の業だ。
結果、内海は程なくして男を見失ってしまった。

「ちくしょう……」

悔しさを噛みしめ、内海はうなだれる。

「このままじゃダメだ……。
 俺も……ヒーローにならないと……!」


◆ ◆ ◆


「いやあ、思っていた以上に楽しくなりそうだ」

内海を振り切った男は、笑顔のままで呟く。

「いかなる戦争が、私を待っているのか……。
 楽しみで仕方ないよ!
 さあ、参加者諸君! 思う存分殺し合おうじゃないか!」

高ぶる思いを抑えきれず、何よりも戦争を愛する男は叫んだ。


236 : 戦争はヒーローの顔をしていない ◆NIKUcB1AGw :2023/05/09(火) 21:36:20 Mr5mmF0s0

【内海将@SSSS.GRIDMAN】
[身体]:内海成彰@仮面ライダービルド
[状態]:健康
[装備]:エボルドライバー(複製品)&バットボトル&エンジンボトル@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:一人でも多くの人を守る。
1:黒い男と決着をつける。
[備考]
※参戦時期は「グリッドマンユニバース」終了後。
※内海成彰の肉体は新世界のものです。そのため、サイボーグ化はされていません。


【少佐@HELLSING】
[身体]:ウォーズマン@キン肉マン
[状態]:健康
[装備]:鉄の爪@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ニューナンブ(残弾49)@現実、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:闘争を楽しむ
1:いずれ鎧の青年と決着をつける。
[備考]
※参戦時期はロンドン襲撃以前


【エボルドライバー(複製品)&バットボトル&エンジンボトル@仮面ライダービルド】
仮面ライダーマッドローグの変身アイテム。
セットでひとつの支給品扱い。
エボルドライバーは本来エボルト専用の変身ベルトだが、複製品は地球人用にデチューンされている。
それでも、肉体にかかる負担は大きい。


【鉄の爪@ドラゴンクエストシリーズ】
鉄の手甲に、爪状の刃物が取り付けられた武器。
ドラクエにおいて、武闘家の象徴的な武器である。


237 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/09(火) 21:37:12 Mr5mmF0s0
投下終了です


238 : かわいそうなまおう ◆0EF5jS/gKA :2023/05/10(水) 05:29:12 /A5QGAGc0
「…哀れなものよ」

支給されたiPadに表示された肉体の持ち主のプロフィールを読めば
哀れみと呆れしかこみ上げてこなかった。

師のおくりもの、人としての命をを受け入れるどころか心底憤慨し、嘆き、
魔の統率者の道を歩むまでにその男、ザンデは魔王となり果てた。

世界そのものを崩壊させるため、そして己が望む永遠の命を掌握するために
暗躍する魔王の末路は光の戦士に殺される無念の最期。

永遠を手にする機会は文字通り永久になくなった。
その事実こそがザンデの手にした唯一の永遠なのだろう。

「だが、哀れは俺とて変わらんか。」

死に絶えるジュラル星人を救い、再び平和と繁栄を取り戻さなくてはならない。
ジュラル星人という種族の存続のために、
地球を奪おうとしたジュラルの魔王とその配下たちは
チャージマン研と地球防衛軍に敗れ去り、
地球支配の夢は幻と消えた。

もうジュラル星人という存在は一人も残らずこの世から消えてしまう。
母星のジュラル星に残った仲間を地球に迎え入れることは永遠にできなくなった。

「俺たちジュラル星人は50年以上も前に地球へ潜伏し
支配のために労力と資源を費やしてきたのだ」

「しかし…結果はどうだ、長い年月を掛けた全ジュラル星人地球移住の夢は
木っ端微塵に打ち砕かれてしまった…」

サンダラパレスアグリアスという遙か昔に絶滅した地球の蝶がいた。
実態はジュラル星人が2074年の50年前、つまり2024年に
残らず捕らえて人類の細胞を主食とする生物兵器に生まれ変わった。

そのためジュラル星人は最低でも2024年には地球へ訪れていたことになるのである。

改造したサンダナパレスアグリアスはチャージマン研の活躍によりすぐさま絶滅させられた。

50年以上もかけた作戦は一分も掛からず阻止され、
その後も数多くの作戦を実行するも泉研の息の根を止めるには至らず
多くの時と労力、そして魔王を含めた多くのジュラル星人の命は没してきた。

これを哀れと言わずしてなんと言えばいいのか、
魔王ザンデを蔑み哀れむ立場にいるわけがない。
己もまた何もできず、これっぽっちのものだって手にすることのできない、
かわいそうなまおうだったのだ。

「研よ、いまだに貴様は俺たちの存在そのものが憎いのだろうな…
母星の仲間を生かす気などまずあるまい…。」

滅びた母星に残った仲間が全滅するのも時間の問題だ。
あの地獄の環境で生き延びられる種族などそういない、
海底の圧力をも生身で平然と耐えられる
ジュラル星人ですら凌げないほどの荒れ狂った環境だ。

それどころか研と地球の軍隊が残党狩りとして
直接ジュラル星に攻め込んでいる最悪の事態もあり得る。

泉研は地球と人類の平和を乱す悪を許さない
真っ直ぐな正義感の持ち主で、他人をいつもいたわる慈悲深い心の持ち主だ、
いろんな意味で小学性とは思えない小僧だ、泉研は。

そしてジュラル星人の侵略活動を嫌と言うほど目にして、
腹の底から怒りと憎悪を燃やしている。
妊婦の食事に工場廃液を混ぜたり、
西ドイツの科学者を爆弾を搭載した人間ロボットに改造して
レセプションの場に訪れた人間の虐殺を目論んだり、
またあるときは奴隷を増やすため孤児院の子どもを騙してさらう。


239 : かわいそうなまおう ◆0EF5jS/gKA :2023/05/10(水) 05:29:49 /A5QGAGc0
こんな非道を繰り返す存在を見れば犠牲を広げないため
ただちにジュラル星人の殺害を決行するのは当たり前なのだ。

ジュラル星人を放置すれば本当にろくなことがないと危惧し、
そして地球人がもうこれ以上死ぬ可能性を摘むため
母星へ攻め込んでもなにも不思議ではない。

「まさに絶望そのものよ、だが哀れな俺にもチャンスは巡っているようだぞ研。」

肉体を変えられる奇怪な殺し合いでただ一人生き残ればどんな願いも叶えられる。

厭夢と名乗った地球人のいいなりになるのは、
その地球人を相手に戦ったジュラル星人としては許しがたい恥だ。
侵略対象でしかない地球人などはあくまでも利用道具としては役に立つ。
大勢の人間と養子の命を「地球の人口は多すぎる」などほざき、
踏みにじろうとした白ダブルスーツ男はわかりやすい例だ。

しかし逆に一方的に利用されるのはただ滑稽で惨めなだけだ。
敵を下の立場に追いやり、決して上の立場にはしない。
それが誇り高きジュラルの流儀だ。

「だが今は敢えて恥と誇りを捨てねばならん」

恥を嫌う誇り高き精神も役に立たなければ何の意味も無い。
意地と願望を強く思うだけでは結果は残せない。
だから尊厳もジュラル星人の統率者としての誇りすらも
かなぐり捨てて優勝を目指す方針を定めた。

しかし仮に最後まで生き残ったとしても反故にされ
あっさりと始末される最悪の事態だってあり得る。

問答無用で殺し合いのためにさらった上に、
肉体を別人のものにかえるという
神業までしでかしているのだ、そんな超越的な驚きの技術は
優れた科学力を有するジュラル星人ですら知らない。
そのような荒唐無稽な連中の言い分なんぞ都合一つなどでひっくり返されても不思議ではない。

「それでも…俺はやらねばならん」

たとえ希望がどんなに小さくても、騙される悲劇で終わるとしても
ジュラル星人の復活の可能性が目に映れば飛びつかないわけにはいかない。

賽は投げられ、退路は既に崩れている、もうやるしかない。

「私はジュラルの魔王だ、そして偉大なるジュラル星人の一人だ
哀れな敗者として滅びてはならん…やってみせよう。」

この魔王もジュラル星人という種族かわいそうな負け犬に堕ちるいかない。

全ジュラル星人の復活を賭けて異世界の魔王の肉体と
力を得た魔王は優勝のため参加者を皆殺しにする決意を固めた。

屈辱の敗北など二度と味わうものか、
断末魔の叫びをあげて滅ぶ結末など受け入れん。

最後に勝利の座に君臨するのはジュラル星人がふさわしい。

【ジュラルの魔王@チャージマン研!】
[身体]:ザンデ@ファイナルファンタジーⅢ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:願いを叶えるため優勝する。
1:他の参加者を見つけ次第殺害するのだ。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。


240 : ◆0EF5jS/gKA :2023/05/10(水) 05:30:39 /A5QGAGc0
申し訳ありません、投下宣言を忘れておりました。
投下は異常となります。


241 : ◆0EF5jS/gKA :2023/05/10(水) 05:54:15 /A5QGAGc0
もう一作投下します。


242 : 英雄は滅びず ◆0EF5jS/gKA :2023/05/10(水) 05:55:02 /A5QGAGc0
男は奴隷に堕とされた人間たちの英雄だった、
類い稀なる知性と恐怖に屈さない気高さを併せ持つ英雄の中の英雄だった。
最期まで希望を絶やさず、吸血鬼どもを相手に対峙し続けた英雄の名は北沢徹。

「…もうなにが起こっても不思議じゃないんだな。」

吸血鬼ウイルスによるバイオテロ、そのテロで発生した吸血鬼に制圧される人間、
吸血鬼すらも凌ぐアマルガムという上位種、一度は血の楽園の統治者、
豹丸食い殺されたがその豹丸の肉体を乗っ取る形で復活した自分自身、

生前に彼が経験してしまった悲劇や復活劇は摩訶不思議に満ちていた。
そんな荒唐無稽な経験を積んだこともあってか
肉体を変えられる殺し合いに巻き込まれても今更驚きはしないしできない。

北沢もこの殺し合いの参戦者となり例外なく肉体が変えられ、
今は桃色の球体となっていた。
この肉体の持ち主の名は星のカービィと呼ばれ、
敵の力を我が物にするコピー能力を使いこなし戦うらしい。
プププランドなる場所で活躍し、食料を奪い尽くした大王をやっつけたり
クーデターを起こした剣士の野望を食い止めるなど様々な状況で活躍し勝ち抜き
果てには宇宙を魔の手から守ったことだってあるとてもすごい英雄らしい。

「…これを考えた奴は説得力というものを知らないのか…?」

…荒唐無稽な設定にもほどがある。
一頭身のピンク玉とは思えない戦闘力に加え宇宙まで救ったときた。

売れない脚本家でももうちょっとリアリティのある設定を練られるだろう。
吸血鬼という異常な存在の猛威を知る徹もさすがにすぐに信じることはできない。
それほどまでにIPadに表示された設定は信じがたい内容であった。

しかし今の徹は肉体を別のものに変えられただけではなく
蘇生させられるという前代未聞の状況に立たされている。

だからこのカービィという存在が本当に強く、
それこそ宇宙だって守れるほどでも不思議ではないのか。

それにこのコピーの力には覚えがある。
仇敵の豹丸にも喰らった敵の特殊能力や身体能力を我が物にする特殊能力があった。
徹も豹丸に喰われ明晰な頭脳をコピーされた苦い経験があるのだ。
だからカービィのコピー能力は嘘だとは思いにくい。

そしてコピー能力を使いこなせば食料を強奪した大王と
クーデターの剣士を倒せてもおかしくはない。
宇宙を救ったという途方もないスケールに比べたら現実味を感じる。


「とにかくこの肉体のことも気になるが、
今は速くこんな殺し合いを止めなくては」


この肉体の持つ力や能力などに関係なく
今やるべきことは殺し合いと早々に終わらせ犠牲が出るのを防ぐことだ。

カービィという存在の真偽をゆっくり考えている場合ではない。
こうしているあいだにもどこかで
労働区の奴隷たちのように罪のない誰かが
無情な暴力に晒されているかも知れないのだ。

「聡と希はいないといいが…」

吸血鬼により文明が崩壊した日本でもたくましく生き延び
死に際の自分が守った最愛の家族
そんな二人が巻き込まれていてはたまったものではない。

家族はこの狂った殺し合いに不在なことを祈り
そしてその劣悪な殺し合いを停止させる決意と人としての意地と希望を胸に
復活の英雄は歩み出した。

【北沢徹@彼岸島 48日後…】
[身体]:カービィ@星のカービィシリーズ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを打破する。
1:まずは殺し合いに乗っていない参加者と合流する。
2:殺し合いに乗っている参加者は止める。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。


243 : ◆0EF5jS/gKA :2023/05/10(水) 05:55:21 /A5QGAGc0
投下は以上となります。


244 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/12(金) 20:42:30 Xp3uzjUI0
投下します


245 : 豪運対不運 ◆NIKUcB1AGw :2023/05/12(金) 20:43:35 Xp3uzjUI0
夜の市街地に、髪の短い一人の少女がたたずんでいる。
本来なら純粋な心の持ち主が使うその肉体に現在宿っているのは、強欲な老人。
その名は、鷲巣巌。
生まれ持った豪運と行動力により財界の支配者となり、されど死への恐怖から狂気に至った怪物だ。

「わけが……わからん……!」

大粒の汗を浮かべながら、鷲巣は呟く。
日常生活の中でふいに意識を失ったと思ったら、見ず知らずの少女の姿になり殺し合いに参加させられていた。
おまけに支給された荷物の中には、昭和の技術ではとうてい作れそうもない高度な機械も含まれている。
いかに鷲巣と言えども、困惑は免れない。
だがそんな状況にも対応してみせるのが、鷲巣という男だ。

「まあいい……!
 これが夢であろうが茶番であろうが、勝負であるならば受けて立とう……!
 いかなる勝負にも勝つ……。それがこの鷲巣巌よ……!」

愛らしい少女の顔に、醜悪な笑みが浮かぶ。

「あまり期待はしていないが……本当に願いが叶うというのならそれも考えておかんとな……!
 とりあえず、体は戻してもらわんと……。
 若いのはいいが、この体では威厳も何もない……!
 そもそも、わしだとわかってもらえん……!
 元の体に戻させた上で、若返る……。これだな……!」

目標を定めると、鷲巣は支給品の一つを取り出した。
その支給品の名は、リスキーダイス。
「大吉」が出れば凄まじい幸運をもたらすが、「大凶」が出れば死もありうるほどの不幸が襲ってくるさいころだ。

「この体の持ち主は、たいそう運が悪いそうだが……。
 わしの運と、どっちが勝つかな……?」

一切ためらうことなく、鷲巣はダイスを転がす。
出た目は、大吉。

「勝ったのは……わしの運の方だったなあ」

ニタニタと笑いながら、鷲巣は二つ目の支給品である銃を適当な方向に向けて撃つ。
次の瞬間うめき声が上がり、一人の男が地に伏した。

「隠れてわしの命を狙っておったか……。
 これは幸運……!
 クカカ……この調子でいきたいものよな……!」

倒れた男から支給品を剥ぎ取り、鷲巣はその場を去った。
おのれが勝利する未来を、一切疑うことなく。


【団長の手刀を見逃さなかった殺し屋@HUNTER×HUNTER(身体:ウェカピポの妹の夫@ジョジョの奇妙な冒険) 死亡】


【鷲巣巌@アカギ】
[身体]:白菊ほたる@アイドルマスターシンデレラガールズ
[状態]:健康
[装備]:ファイズフォンX@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品、リスキーダイス@HUNTER×HUNTER、ランダム支給品1〜4
[思考・状況]基本方針:優勝し、若返る
[備考]
※参戦時期は、アカギと対決する以前


【リスキーダイス@HUNTER×HUNTER】
「グリード・アイランド」に登場する、指定ポケットアイテムの一つ。
1面だけ「大凶」、他の面全てに「大吉」と書かれた20面ダイス。
振って大吉が出れば通常ではあり得ないような幸運に恵まれるが、大凶が出れば壮絶な不幸が発生し、死に至ることもある。


【ファイズフォンX@仮面ライダージオウ】
仮面ライダーファイズの変身アイテム、「ファイズフォン」に酷似した携帯電話。
変形させて銃として使用できる。
未来世界で量産されているようでゲイツやソウゴも使用しているが、作中では特にツクヨミの武器としての印象が強い。


246 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/12(金) 20:44:41 Xp3uzjUI0
投下終了です


247 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/14(日) 15:11:36 pfIO9j2U0
投下します


248 : 人でなくなったとしても ◆NIKUcB1AGw :2023/05/14(日) 15:12:32 pfIO9j2U0
雪原に囲まれた、村の一角。
とある家屋の屋根に、一人の少女が立っていた。
黒髪を長く伸ばし、桜色の着物を纏った姿は可憐と言っていい。
だがその口をふさぐ枷が、ミスマッチによる異様さを生み出している。

(こんなくだらない催しを思いついて、実行するような連中がいるとはな……。
 多数の人間の拉致、人格の入れ替え、そして何をどうやったかわからんあの月……。
 これだけのことができるなら、もっとまともな使い道があるだろうに)

少女に宿る人格は、内心で殺し合いの主催者に対して毒づく。
その精神の名は、由崎司。
不死者として、1000年以上の時を生きてきた女性だ。

(もしもやさぐれていた時期に参加させられていたら、ワンチャン乗っていた可能性も合ったが……。
 時期を間違えたなあ。
 今の私では、殺し合いになど乗らないよ)

今の司は、かつての孤独にさいなまれていた彼女ではない。
愛する旦那様がいる。
彼の優しい笑顔を曇らせるような愚行など、できるはずがない。

(しかし、なんというか……。
 微妙に親近感が湧くな、この禰豆子という少女は……)

肉体のプロフィールを読み進める司は、そんな感情を抱く。
彼女が宿る肉体の名は、竈門禰豆子。
元は家族と慎ましくも幸せに暮らしていたが、人ならざる存在になってしまい過酷な運命に叩き込まれてしまった少女。
その人生は、司の人生と重なるものがあった。
もっとも、決定的な違いもあったが。

(私が人でなくなったのは、歪んでいたにしろ親の愛によるものだ。
 だが彼女の場合は、偶然……。むしろ悪意によるもの。
 その点では、彼女の方が不幸と言えるだろう)

司は、文章でしかわからぬ禰豆子の人生に思いを馳せる。

(私は旦那様という光に巡り会うことができた。
 彼女にも、できれば幸せになってもらいたい。
 そのためには……ここで死なせるわけにはいかないな)

もとより死ぬつもりなどなかった。
だが生き延びようという意思は、司の中でますます強くなる。

(あと、これは外してもよさそうね)

司は、無造作に口枷を外す。
精神が本来のものでないためか、あるいは司の精神が禰豆子より成熟しているからか、彼女は食人衝動を感じていなかった。
ゆえに口枷は必要ないと判断したのだ。
とはいえ、何かの拍子で衝動が抑えられなくなることがないとも限らない。
念のために口枷は捨てたりせず、デイパックにしまっておく。

「ふう……。それじゃ、そろそろ行きましょうか。
 待っててね、旦那様。
 がんばって、あなたのところに帰るから」

愛する人の顔を浮かべながら、司は屋根から飛び降りた。


◆ ◆ ◆


今、司が宿っている禰豆子の肉体は、太陽光を克服した時点でのものだ。
そのため、プロフィールもそこまでのものしか記されていない。
本来の歴史であれば禰豆子はその後人間に戻り、結婚もして穏やかな人生を送ることになる。
司がその事実を知らずにいるのは、幸か不幸か。
それはまだわからない。


【由崎司@トニカクカワイイ】
[身体]:竈門禰豆子@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、口枷、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗らずに生還する
[備考]
※参戦時期は、少なくともナサと結婚した後
※禰豆子の肉体は、刀鍛冶の里編終了時点でのものです


249 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/14(日) 15:13:33 pfIO9j2U0
投下終了です


250 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/14(日) 22:51:39 GtTgOavE0
皆さん投下ありがとうございます。
感想を投下します。


>私の知らない私
大きな共通点があることに気付けば、主催がかなり深いところの情報までを把握しているかは確かに推察できますね。
何にせよコナンにとってかなり不可解な状況でしょう。

>悪魔に宿る影
悪魔呼ばわりは確か風評被害のはずなのに、それがマジなことになりそう。

>渡る世間はクズばかり
インターネット濃度が高い。
ヤバい奴らに出くわしたサイステ先輩にはご愁傷さまとしか言えない…。

>わたし系王子様
アンダーワールド編のアスナも確か「降臨、満を持して」って感じでしたね。

>名は体を表してたまるか
珍子は確かに名乗れない。
苗字で名乗っても、名簿が来たら結局バレる。
もう、ありすと呼ぶよう頼むしかない?

>蝶になりたかった蛾のお話
確かケムッソは生まれた時点でカラサリス・アゲハントとマユルド・ドクケイルのどちらに分岐進化するか決まっているため、どっちになりたいか選べないのが難儀ですね。

>憑依する邪悪霊(ダーク・スピリット)
グリーン・ゴブリンのことも不穏ですが、それよりもキングのプロフィールが元の評判そのままの方が何か心配になってきます。

>元ピンク玉のブルース
カービィはまあ、胃の容量の限度が自分より少ない身体なら、誰のものだって不満になるでしょう。

>かわいいは正義
モモンガ中将が「いーやーやだやだ」と言いながらこちらに向けてお尻を振っている光景が思い浮かびました。

>夢を追う君と見守る僕に同じ光りが降り注ぐ
自分に与えられた姿を舞台の役と解釈し、それを演じるという見方、そういう手もありましたか。
それなら、慣れるのも何か早そうな気もします。

>正義の大魔王降臨!!の巻
笑い方の癖の強さに目が行く。
タイトルは詐欺ってる?それともある意味あってる?

>赤く燃える白百合、天国を撃ち抜く最後の弾丸
ノリが軽めなのか重めなのか少し分からない不思議な気分になりました。
適応能力が元から引き継がれているのは確かに話が早くて便利ですね。

>戦争はヒーローの顔をしていない
この内海なら忠誠を誓いながら杖を折らなさそう。
予め最初の一時間を慣れるための時間としていたから戦いにならなかったものの、結果的にどうにもできなかったのは確かに悔しそうです。

>かわいそうなまおう
タイトルは最初、研の声で脳内再生されました。
本人は多分そんなことは言わないだろうけど。

>英雄は滅びず
個人的に、結構な発想の勝利を感じました。
カービィに足りなかったのはこの頭脳だったのかもしれん…。

>豪運対不運
だ、団長の手刀を見逃さなかった人ーっ!
団長の手刀を見逃さなかった人が台詞無しでやられてしまうなんて…。
白菊ほたる状態でも当たりを引ける鷲巣の運がすごい…と、言うよりは団長の手刀を見逃さなかった人の運が無かったのでしょう。
団長の手刀を見逃さなかった人…南無…。

>人でなくなったとしても
禰豆子は原作で鬼の肉体で普通に話す場面はなかったはずだから、これについては新鮮な感じになりそう。


251 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/15(月) 21:37:51 zni8jQOg0
投下します


252 : 勇者と魔王 ◆NIKUcB1AGw :2023/05/15(月) 21:39:17 zni8jQOg0
男は、周囲が望むままに生きてきた。
強かったから、勧められるがままに武術大会に参加した。
勇者だから、姫の救出に向かった。
他人が敷いたレールの上を走ることに、何の疑問も抱かなかった。

その結果、信頼していた友に裏切られた。
救おうとした姫に、拒絶された。

絶望した男は、勇者であることをやめて魔王となった。
魔王は、「正しさ」を否定したかった。
「絆」を否定したかった。
「愛」を否定したかった。

そのための手段として、彼は様々な時代、様々な世界の英雄たちに戦いを挑んだ。

一人の少女のため、数々の苦難を乗り越えた原始の少年を、葬った。
孤独に生きながらも団結の力を信じたガンマンを、葬った。
理不尽な暴力に立ち向かった師弟を、葬った。
よりよき未来のため闇の中で戦った忍者を、葬った。
好敵手たちとの戦いで成長していった格闘家を、葬った。
「人間は一つになれる」と吠えた超能力者を、葬った。
疑心と恐怖が満ちた宇宙船の中で、それでも人間を肯定したロボットを、葬った。

葬って、葬って、葬って。
勝利の果てに、彼が得たものは……何もなかった。
虚無が満ちた世界に、ただ「最強の一人」が残された。


◆ ◆ ◆


「おまえは……なぜ最後まで戦い続けられた」

おのれに与えられた肉体のプロフィールを確認しながら、オルステッド……否、「魔王オディオ」は独りごちる。
その肉体の名前は、「勇者ソロ」。
魔物に大切な人たちを皆殺しにされながらも、その張本人と手を組んでまで世界を救った男。
まさに「勇者」と呼ぶにふさわしい聖人だ。

「わからない……。なぜおまえは、憎しみに囚われなかった……。
 俺とおまえ、何が違っていたのだ……」

オディオは苦悩する。
少し前の彼ならば、ソロに対しても倒してきた英雄たちと同様に敵意を抱くだけだっただろう。
だが今の彼には、迷いが生じていた。

「おまえの体で戦えば……何かわかるのだろうか……」

手に、禍々しい剣を握る。
魔王は、幽鬼のごとき足取りで進み始めた。

彼が行き着くのは救いか、それとも破滅か。


【魔王オディオ@LIVE A LIVE】
[身体]:勇者ソロ@ドラゴンクエストIV
[状態]:健康
[装備]:魔王の剣@ドラゴンクエストXI
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いの中で、答を見つける
[備考]
※参戦時期は、最終編・オルステッドルートクリア後


【魔王の剣@ドラゴンクエストXI】
勇者の剣が、魔王ウルノーガの力を受けて変質した大剣。
闇のバリアを破壊する力を持つ。
また、闇属性の魔法を放って攻撃することもできる。


253 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/15(月) 21:39:56 zni8jQOg0
投下終了です


254 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/17(水) 21:44:14 k.8YTOfc0
すみません、以前お話しした「仮面ライダーシリーズの変身ベルト・変身アイテムを登場させることができるのはコンペ時のみ」というルールについて、念のため少し補足したいことがあります。
ここで言う変身ベルト・変身アイテムについてですが、これらには怪人・疑似ライダーへの変身アイテムも含まれています。
また、スーパー戦隊シリーズ等、他の特撮作品シリーズに登場する変身アイテム等についても、同じようなルールを念のため設けておこうかと考えています。
これらについては、まとめwikiの方でルールでの該当箇所を編集しておきます。


255 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/18(木) 00:10:38 GVmRstDk0
2作続けて投下します


256 : 不死身の二乗 ◆NIKUcB1AGw :2023/05/18(木) 00:11:46 GVmRstDk0
「手強かった……」


【照井竜@仮面ライダーW】
[身体]:ヒュンケル@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
[状態]:HP1、出血多量、全身各所に裂傷及び骨折、上半身を中心に火傷
[装備]:オチェアーノの剣(半壊)@ドラゴンクエストVII
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止めるために戦う
[備考]
※参戦時期はTVシリーズ終了後

【フェニックス@仮面ライダーウィザード(身体:ヘラクレス@Fateシリーズ) 死亡】
※照井の残りの支給品、及びフェニックスの支給品は全て戦闘で破壊または消費されました。


【オチェアーノの剣@ドラゴンクエストVII】
はるかな海の底から出現したという、伝説の剣。
攻撃時にデイン属性の追加ダメージを与える。
また道具として使用すると、攻撃力を倍増させるバイキルトの効果がある。
他のシリーズで言う伝説装備のポジションだが、主人公以外のキャラも装備できるという異質の存在である。


257 : 橋本陽馬は止まらない ◆NIKUcB1AGw :2023/05/18(木) 00:13:23 GVmRstDk0
「うおおおお!!」

市街地にある、とあるビルの一室。
オフィスらしき内装を、一人の男が苛立ちのままに荒らしていた。
男の名は、橋本陽馬。
彼は元々、駆け出しの俳優だった。
事務所は彼に、体を鍛えることを求めた。
それが、彼の運命を狂わせた。
自分の体を鍛えることに没頭した陽馬は、やがてそれ以外の全てを犠牲にしていくようになった。
結果として、彼は「筋肉の神の化身」となった。
だがその肉体は、主催者によって奪われた。
その代わりに、陽馬に与えられたのは……。

「よくも……よくもオレを、こんな醜く太った体にしたなぁぁぁぁぁ!!」

現在の陽馬が宿る肉体は、でっぷりと太った男のものだった。
脂肪の下には筋肉もあるようだが、そんなものは慰めにならない。
こんな体は、陽馬の理想とするものとはほど遠い。

「こんな体でいるなんて……耐えられない!
 早く! 早く元の肉体に戻らなくては!
 そのためには……一刻も早く、こんな殺し合いを終わらせるんだ!」

鬼気迫る表情で、陽馬は部屋を飛び出した。
おのれの存在意義である、肉体を取り戻すために。


◆ ◆ ◆


なお、陽馬に与えられた肉体の名はファットガムという。
その肉体が持つ能力を使えば、とりあえず痩せることはできるのだが……。
怒りのあまりプロフィールを確認していない陽馬は、それを知らなかった。


【橋本陽馬@岸辺露伴は動かない】
[身体]:ファットガム@僕のヒーローアカデミア
[状態]:激怒
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝し、元の肉体を取り戻す
[備考]
※参戦時期はトレーニングジムから転落した直後
※支給品をチェックしていません


258 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/18(木) 00:14:00 GVmRstDk0
投下終了です


259 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/19(金) 23:02:19 Ac4SzAOs0
投下ありがとうございます。
感想を投下します。
>勇者と魔王
悩める元勇者様。
でも、この特殊なロワの環境で答えが得られるかどうかはそう簡単にはいかない気もします。

>不死身の二乗
まさかこのロワで一行SSを成り立たせることができるとは思ってませんでした。
何が起きたのか、大体想像がつく気がします。

>橋本陽馬は止まらない
たとえ能力に気付いて痩せることができたとしても、結局太らなければ使えないから、それを嫌がって能力を使いこなすのが難しそうな気がします。

それでは、私からも1つ投下します。


260 : キミの親友は一輪の大口 ◆5IjCIYVjCc :2023/05/19(金) 23:03:31 Ac4SzAOs0
「あーあー………ハロー!ボクはフラウィ!おはなのフラウィさ!ボクとともだちになろうよ!」

どこかの廃墟の中で、一輪の花が話している。
そこに、その花…フラウィの話相手はいない。
これは、別の誰かの幻覚等が見えているわけではない。
彼は発声練習をしていただけだ。

「………ハア。喋れたのはいいけど、結局前と同じで花のままか。花びらは無いけど」

フラウィは元々、花の姿をした存在だった。
ただし、ここにおいては花は花でも一風変わった姿をした花だった。
白の水玉模様と牙の生えた巨大な口を持つ赤い花だ。
花と呼ぶ割には花弁も無く、玉に近い形状だ。
だが繋がっている茎や葉の存在が、それが花であることを示していた。
その花の名は、パックンフラワーと言った。

「植木鉢に入ったまま歩く…なんて発想はなかったな」

パックンフラワーになっている彼は、花らしく植木鉢から生える形でここにいる。
そして何と、この植木鉢の中にいたまま歩いて移動することができるようだった。
どうも植木鉢の底の方から、足っぽいものが少し出ているようだった。
正直なところ、この辺りの身体の構造はタブレット内のプロフィールを読んでも彼にはよく分からなかった。

実は、このパックンフラワーは普通のパックンフラワーではない。
ある戦いのために調整された、特別なパックンフラワーだ。
だから植木鉢の中にいたまま歩くことができるのだ。


(別の体に意思を移し変えるなんて、その辺については何がしたいのか分からない)
(嫌がらせにしか思えないなあ)
(入れ替えについては分からないけど、でも、殺し合いについては何がしたいのか分かるよ)

(みんなに教えてやりたいんでしょ?この世界は、殺すか、殺されるかだって)

変則的な形だが、彼は再び地上に出た。
そしてフラウィは、自分がここでやるべきことの答えを簡単に出す。
殺し合いは、この世界の理・本質。
それを、これを見ている奴らも含めて全てに教えてやる。
地下世界での物語には飽きてきたところだ。
また花の姿というのは不満だが、それでもまあできることはあるはずだ。

『それがお望みなんだろ?』とでも言わんばかりに、フラウィはその大口の口角をつり上げていた。

【フラウィ@UNDERTALE】
[身体]:パックンフラワー@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
[状態]:自分の身体に対し少し不満感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:このせかいでは、ころすかころされるかだ
1:最初のカモを探す
2:花の姿というものには飽きているんだけどなあ…
[備考]
※最初のチュートリアル前、もしくは本当のリセット後からの参戦です。
※原作ゲームの本編進行中の時と同じく、ケツイによるセーブはできません。
※タマシイを奪うこともできないものとします。
※スーパーマリオRPGでのCMのように、パックンフラワーの身体で喋ることは可能としておきます。
※もし、最後の切り札が使用可能とするならば、そこで召喚されるボスパックンは意思の無い存在とします。


261 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/19(金) 23:03:59 Ac4SzAOs0
投下終了です。


262 : ◆4u4la75aI. :2023/05/20(土) 03:12:47 OLHJZN7o0
投下します


263 : One &Only ◆4u4la75aI. :2023/05/20(土) 03:14:53 OLHJZN7o0
現代に生きる身分、タブレットの操作は難なく行える。ただそこに書かれる肉体のプロフィールなんてものは日常ではまず見ることのない言葉だ。自らの身体が別人の身体と入れ替わる、なんて経験は日常を過ごす者にとってはありえないものなのだから。
だがしかし、手鏡に映った自分の顔、運動は基本しない自分には似合わない筋肉、声を発すれば聴こえる知らない音色。あらゆる事実がこれが催眠術や仮想現実なんてものでは断じて無いと、彼女の心に深く刻みつけた。

「おれの身体は津上ってヤツの身体らしいすね、なんかアギトやらなんやらよくわかんねーことばっか書いてるけどォ……ま、いいヤツらしいっす」

ふと、ここで出会った青年の声が聞こえた。名は虹村億泰。青年と言ってもそれは見た目からの判断であり、中身は本人曰く高校生らしい。実際その口調からも『大人っぽい』という印象は感じられなかった。

「そっちはどうすか?何か読み込んでるみたいっすけどよォ〜」

億泰は近寄る。ドレッドヘアの髪を軽く揺らすと、女は言った。

「いや……この身体の人、姉を亡くしてるって書いてあって、な」
「…………ははあ」

スタンド、キッス、グリーン・ドルフィン・ストリート、知らない単語だらけの中、『姉であるグロリア・コステロが殺された』という記述が彼女の目を引いた。
肉体の名は、エルメェス・コステロ。グロリアという姉を持つ妹。そして精神の名は伊地知星歌。虹夏という妹を持つ、姉である。

「…………もし私がここで死んだら、虹夏が一人になってしまう」
「ニジカっつうと……」
「私の妹だ」

伊地知家に母親はもういない。虹夏が幼く、星歌も高校生という若い頃に事故によって亡くなってしまった。父親は存命であるが、滅多に顔を見せる事はなく今の生活は姉妹二人で成り立っている。
そこで殺し合い。星歌が死んでしまうと、虹夏はひとりぼっちとなってしまう。最愛の妹にそんな仕打ちを与えたくなどない。

「だから、絶対生きて帰らなきゃならないんだ」
「それについてはおれも同じ意見っすねェ、早いとこあのエンムとかいうヤツをブチのめして、おれはおれの住む場所に戻る」
「……できんのか、そんなこと」
「できるかできねーかっつわれると困るけどよ……ま、できるかじゃねーっすね、やるんすよッ。見た目は変わっちまったがこの虹村億泰、修羅場には慣れてるしよッ!」

胸をポンと叩き鼻を鳴らして豪語するさまは可笑しいが、同時にどこか頼もしくも見える。

「……ははっ、そうだよな。やらねえと、帰らねえとな」
「おれとしても妹サンのとこに無事に帰って貰いたいっすし、おれの元々の力とこの身体……津上が持ってる力の両方使ってサポートしますぜッ!」

 そう億泰は言うと、腰に手を当てる。するとベルトの様な物体が腰に現れる。億泰自身も「うおっマジだ」と声を上げその存在に驚く。

「このベルト使うとアギト?っつーのに変身できるらしいが……」
「変身って……特撮ヒーローみたいな」
「そう考えるとメチャ興奮してきたぜ〜ッ!?つっても万が一ん時に使えないようになったら困っちまうし出し惜しみしておくっすけどよ」

 その言葉に星歌は感心。正直な所、心では馬鹿だと思っていた億泰だがこういう所では頭が回るらしい。修羅場は慣れているという発言、それに言葉使いからして地方で名を馳せるヤンキー的な存在なのだと星歌は勝手に判断。だが次の発言で、その考えは改めることとなる。

「ま、大抵のことはおれの『ザ・ハンド』で解決しちまうからよ」
「……!?逃げろ虹村っ!何っ、急に幽霊みたいなのが……」
「幽霊?あ、いやコイツはおれのスタンドで…………ってスタンドが見えてる?」

 億泰の背後に現れた幽霊らしきものにスタンドという言葉。億泰が認識した上一切の動揺を見せない様子からして、億泰はスタンドについて何か知っていると星歌は考えた。


264 : One & Only ◆4u4la75aI. :2023/05/20(土) 03:15:59 OLHJZN7o0

「そいつは……何か見えちゃダメな奴なのか?」
「んーいやあ、見えちゃダメっつーワケじゃあねっすけどォー……スタンドはスタンド使いにしか見えねえんすよ。星歌さんはその様子からしてスタンドなんて知らねーっすよね」
「ん、ああ……ただ、心辺りはあるんだ、この身体だ。さっきプロフィール見てたら、その中にスタンドって言葉が入ってたんだ」
「っつうとその身体の女……?の人がスタンド使いだから見えてる……ってことすかねえ。ちょっぴしおれにも見せてほしいっす、それ」
「ん、ああ。頼む」

 億泰にタブレットを手渡すとははーなんて言葉を漏らした後、数秒で返却される。

「やっぱりスタンド使いっすね、そのエルメェスっつー人」
「そうなのか……ということは、私にもそのスタンドが使えるのか?」
「多分使えんじゃあないっすかねェ〜!スタンドは精神のエネルギー……らしいけれどもそれで使えないようじゃエルメェスの身体を星歌さんに渡す意味ァないっすし」
「ということは……」

 星歌は拳を握る。

「私も戦えるってことか」
「そうっすね〜!プロフィールに書いてたシールの能力とかはよくわかんねえけど、少なくとも普段の何倍の力で殴る、くらいなら簡単に出来ると思いますし」

 その言葉を聞いて、星歌は少しだけ表情が緩む。

「この力があれば……虹夏の元まで無事に帰れるかもしれない」
「……」
「……虹村君、お願いがあるんだが……スタンドの使い方とか、出来る事とか、教えてほしい」

 星歌は億泰とはっきり目を合わせ、言う。億泰に断る理由なんてものはない。妹想いのその姿、是非とも支えたいものだ。

「もちろんっすよ!知ってることだけっすけど」
「ああ……本当にありがとう虹村君」
「構わねーっすよ!…………あ、一つだけ良いっすか?」
「……?何だ?」

 億泰は振り向きざま、問う。

「今さら聞くまでもないっすかもけど……姉として、妹さんのことはどう想ってますか」
「……虹夏は唯一無二の、大切な妹だ。何が起ころうとも、私は虹夏を守る」

 億泰の問い、星歌が答えると

「……へへっ、そっすか」

 と一言、見たことのなかった笑みを浮かべながら。
 星歌がその表情について気にする間もないまま、すぐに億泰のスタンド講座が始まった。


【伊地知星歌@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:エルメェス・コステロ@ジョジョの奇妙な冒険Part6 ストーンオーシャン
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:虹夏を悲しませない為にも、無事に帰る
1:虹村にスタンドについて教えてもらう
2:もし虹夏達も巻き込まれていたら、絶対に守る
[備考]
※参戦時期は少なくとも結束バンド結成以降です。
※スタンドに制限はかかっていません。

【虹夏億泰@ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない】
[身体]:津上翔一@仮面ライダーアギト
[状態]:健康
[装備]:オルタリング@仮面ライダーアギト
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:エンムとかいうやつをぶちのめして、殺し合いを止める。
1:星歌さんにスタンドについて教える。
2:アギト?変身?カッピョイイ――ッ!
3:妹さん大事にするんだぜ、星歌さん。
[備考]
※参戦時期は吉良吉影撃破後のどこか。
※津上翔一の本名は沢木哲也ですが、今後肉体の名前が記される場合は津上翔一とだけ表記されます。
※オルタリングは一つの支給品扱いです。



【オルタリング@仮面ライダーアギト】
虹村億泰に支給という扱い。
津上翔一の肉体の中に分子レベルで拡散しており、変身者の意思によって物質固形化し、腰に巻き付けられる。
ベルトの両脇にあるスイッチを押すことで『仮面ライダーアギト』への変身が可能。
バーニングフォーム、及びシャイニングフォームへの変身は制限がかかっており、それぞれ一度変身すると6時間仕様不可となります。


265 : ◆4u4la75aI. :2023/05/20(土) 03:17:54 OLHJZN7o0
投下終了です。
タイトルは『One & Only』でお願いします。


266 : ◆4u4la75aI. :2023/05/20(土) 03:19:49 OLHJZN7o0
すみません、虹村億泰の状態表を誤字の為以下の通り修正します。

【虹村億泰@ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない】
[身体]:津上翔一@仮面ライダーアギト
[状態]:健康
[装備]:オルタリング@仮面ライダーアギト
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:エンムとかいうやつをぶちのめして、殺し合いを止める。
1:星歌さんにスタンドについて教える。
2:アギト?変身?カッピョイイ――ッ!
3:妹さん大事にするんだぜ、星歌さん。
[備考]
※参戦時期は吉良吉影撃破後のどこか。
※津上翔一の本名は沢木哲也ですが、今後肉体の名前が記される場合は津上翔一とだけ表記されます。
※オルタリングは一つの支給品扱いです。


267 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/20(土) 18:26:24 1s6Q1lWo0
投下します


268 : 私が私を見つめてました ◆NIKUcB1AGw :2023/05/20(土) 18:27:57 1s6Q1lWo0
とある屋内の、鏡の前。
紫の装甲に身を包んだ何者かが、おのれの姿を確認している。

「ふぅん……。まあ、悪くはないわね」

口調は女性的なれど、その声色はある程度の年齢を重ねた男のもの。
精神は女性、肉体は男性。それが今の「彼女」だ。
精神の名は、朝倉涼子。
社交的で誰にでも優しいクラス委員長……というのは、仮の姿。
その正体は、涼宮ハルヒという超常の存在を観察するために地球外生命体によって造られた人ならざる存在だ。
そして肉体の名は、浅倉威。
おのれの荒ぶる心のままに罪を重ねた、凶悪犯である。
一見しただけでは苗字の読みくらいしか共通点のない二人だが、それ以外にも通じる部分はある。
それは、人を殺すことに何の忌避感も抱いていないこと。

「どうにもおかしなことになっちゃったけど……。
 要するに、ここにいる人間をみんな殺せば帰れるのよね?
 さすがに数十分じゃ終わらないだろうから、キョンくんを殺すのはまた次の機会になっちゃうだろうけど……。
 ああ、いっそのことキョンくんも参加させられていれば手間が省けるわね」

王蛇と呼ばれる仮面の下で、朝倉は無邪気に笑った。


◆ ◆ ◆


その頃ミラーワールドから朝倉を見つめる王蛇の契約モンスター・ベノスネーカーは、焦りを見せていた。

(まずい……。その路線はまずいわよ、過去ないし並行世界の私!)

ベノスネーカーに宿る精神もまた、朝倉涼子だった。
ただし王蛇に変身している朝倉とは違う世界線……長門に敗れた後に幼児サイズで復活した朝倉、通称「あちゃくらさん」である。

(長門さんに付き合って、デスゲームものの作品を何本か把握した私にはわかる……。
 序盤から殺意満々のキャラは、よくて2,3人殺したところで退場!
 最悪の場合、強キャラの噛ませ犬にされて序盤で脱落!
 優勝なんてまず無理なのよ!)

独自の考えから、あちゃくらはもう一人の自分の行く末を憂う。

(でも伝えようにもしゃべれないしなあ、この体。
 ……まあいいか。私が死んでも、私には影響ないだろうし。
 いっそ別の人の手に渡った方が、生還できる確率は高まるかも……)

あっさり並行世界の自分を見限る、意外とドライなあちゃくらであった。


【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[身体]:浅倉威@仮面ライダー龍騎
[状態]:健康、仮面ライダー王蛇に変身中
[装備]:王蛇のカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝して元の世界に帰る
1:キョンが参加していた場合、優先的に殺す
[備考]
※参戦時期はキョンを襲撃する直前


[意思持ち支給品状態表]
【あちゃくらさん@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱】
[身体]:ベノスネーカー@仮面ライダー龍騎
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:生還する
1:場合によっては、朝倉を見捨てることも辞さない


【王蛇のカードデッキ@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダー王蛇の変身アイテム。
契約モンスターを3体まで持てるのが特徴。


269 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/20(土) 18:28:42 1s6Q1lWo0
投下終了です


270 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/22(月) 19:45:42 YyDzUwK60
投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>One & Only
そういえば確か、エルメェスは兄貴と呼ばれることもあるから、中身を姉キャラにしてもあまり違和感なさそうですね。

>私が私を見つめてました
まさかのあちゃくらさん。
相方が自分の元ネタなのに、速攻で見捨てることを考えるのが草生える。


271 : ◆TruULbUYro :2023/05/22(月) 22:03:10 Kaajo3xA0
一作、投下させていただきます


272 : ◆TruULbUYro :2023/05/22(月) 22:05:59 Kaajo3xA0

煉獄杏寿郎ほど気持ちの良い男はそうはいない。
「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務」
亡き母の言葉を胸に、力なき者の為、悪鬼に刃を振るう鬼殺隊の柱。
性格は快活にして豪快。誰であっても分け隔てなく接する人当たりの良さ。
家族思いの一面もあり、疎遠となった父に対しても今際の際に労りの言葉を遺す程、愛情深い。
強敵を前にしようとも一歩も引かず、未来ある隊士と人々を最期まで守り抜いた鬼殺の剣士。
熱くも優しきその生き様に、多くの人々が彼を心から慕い、彼の殉死を惜んだのも頷ける。

「何をしている…!我が人生の汚点を、注がんとする時に…!」

しかし見よ。
この激しい憤怒と怨嗟に塗れ、歪み切った杏寿郎の顔を。
数多の者の心を強く鼓舞し照らした益荒男の姿か、これが…
子は親に似るとはよく言ったもの。炎が如き明るさで彩られた金と朱色の髪とは正反対。
悍ましき呪いを宿した呪物が如き、黒々した負の感情を滾らすその醜き有様は。
才能への劣等感と妻の死から自暴自棄を起こした頃の彼の父、槇寿郎と酷似していた。

「況してや、非術師の身体で縛ろうなどと…
 此れは私の──引いては我ら呪術師への挑発に他ならない。」

皆が知りえる彼への記憶と現在の人格の乖離。
肉体に宿る魂が別物である事など最早説明するまでもあるまい。
現在杏寿郎の精神となった者の名は特別一級術師、禪院扇。
闇の中で人知れず力を振るい、世に蔓延る呪いを祓う。
奇しくも鬼殺隊──杏寿郎と似た使命を背負った男である───あくまで、表面上では。

そんな彼が連れてこられたのはまさに最悪のタイミング。
家の為、己の為。長年に渡り、己を苦しめた『人生の汚点』を抹殺する絶好の機。
千載一遇のチャンスを、馬鹿げた殺し合いに招かれたせいで逃したのだ。
結果、態度には其処まで過剰に露わにしてないものの。
その実、内心はこの会場一帯を焼き尽くさんばかりに燃え滾っていた。

「……」

扇は手に握られたタブレットの画面を一瞥する。
書かれているのはプロフィール。悪鬼蔓延る大正を駆け抜けた煉獄杏寿郎の全て。

「……鬼殺隊……柱……呼吸。それが何だと言う」

元の身体にはない若々しさと全身に満ち満ちる活力。
煉獄杏寿郎の身体がそれなりに上等な部類に入るであろうことは扇とて理解している。
恵まれた才とそれに胡坐を掻かない弛まぬ研鑽。
鬼殺隊として積み重ねた数々の経験に裏打ちされた強靭な肉体は。
数百年の時を生きた上弦の鬼とて手放しに称賛した程。
単純な基礎スペックで語れば、扇本来の肉体など遥かに凌駕するだろう。
だが、それを理解した上で、彼は述べる。この身体は『出来損ない』であると

「我々術師は日々鍛錬した肉体を更に呪力で強化して戦う。
 この身体程度の力など、術師は皆持ち合わせているのだ」

呪術師は才能が全て。生まれ持った術式と呪力が物を言う世界。
膂力は非力であろうとも、呪力が膨大であれば、自身の体躯より遥か巨大な呪霊を粉砕する事も容易く。
数十年の研鑽を積んだ呪術師・呪詛師が、術師になって一年にも満たない若造に敗北するなどザラだ。

才能至上の世界の中で、扇は歴史ある格式高い名門 禪院家の生まれ。
禪院家に非ずんば呪術師に非ず 呪術師に非ずんば人に非ず。
一族相伝の術式の有無が家での格付けを決め、優れた呪力を有するは至極当然の理。
持たざる者がいるならば、それは一族からすれば、人ですらない。
鍛え抜いた肉体は所詮副次物。あって損こそないが、呪術師にとっては誇れるものでも何でもない。
故に、例えどれ程類まれなる強さがあろうと呪術に縁遠い身体など不良品───出来損ないでしかないのだ。

そう、出来損ない。
碌な呪力を持たずして産まれた堕ちた己が娘──真希と真依の様に。

「………」

逡巡の中、ふと脳裏に浮かぶ娘達の顔。
扇の頬に水雫が一筋、零れ落ちる。
それは決して殺し合いの外に残した娘達の身を案じた慈愛の涙に非ず。
もし彼が杏寿郎の様に家族を慈しみ思いやる親であったならば。
自分の娘を『出来損ない』などと蔑称で呼ぶ筈が無い。

「何故私が当主になれなかったか…」

扇は深く涙する
得るはずだった栄光の陰に潜むしかなかった悲しき日々に。
そして…

「それは子供が出来損ないだからだ…!!」

何の価値も無い人生の汚点──愚かな娘に足を引かれ続けた、己の不憫さに。


273 : ◆TruULbUYro :2023/05/22(月) 22:08:11 Kaajo3xA0
禪院扇はかつて兄である禪院直毘人との26代目当主の座を争い、敗れた。
当主任命の争点は偏に実力の有無。敗北は扇の責であるが、当人はそう認識しなかった。
術師として唯一つ兄に遅れをとったことはない。唯一つ──子供の出来を除いて。
故に扇は逆恨みも甚だしい理由で、娘達に責任を擦り付けた。己の不幸は総て娘が原因であると。
其処に自身の実力や素行に問題があったなどとは微塵も考えない。
行いを省みる所か、打算と憎しみの果て、自ら率先して娘達の謀殺を企てる鬼畜っぷり。
徹底した自己愛と責任転嫁。それこそが、禪院扇の本質である。

「───もしも、私が優勝を果たしたならば」

憐憫の涙で頬を濡らしながらも、彼は努めて冷静に、殺し合いでの在り方を思案する。

「人生の汚点を消しさるのみならず、あるべき歴史への修正も叶うのだろう」

自身に子など産まれなければ、或いは禪院の名に相応しき優れた子が産まれていたならば。
人の親として恥ずべきたらればを考えた事は一度や二度では利かない。
地位、名誉、財産。本来ならば己が享受したであろう栄華。優勝すればその全てが手中に収まる
26代目当主禪院家当主禪院扇。甘美な響きだ。有り得た筈のイフに心が揺れ動く。

「だが、この様な薄っぺらな甘言で惑わせようなどと、笑止千万。
 愚鈍な輩は騙せようとも、この私の眼を誤魔化せると思うな」

確かに魘夢と名乗った少女──否、男は『最終生存者一人』に『願いの実現』と『元の肉体への回帰』を確約した。
だが、約束するとは言ったが、その『約束』が『縛り』であるとの明言は一切無い。
呪術師にとって縛りを介した誓約は絶対。その効力は呪いの王、両面宿儺であろうと易々と逆らえない。
一部抜け道はあるものの、破れば重き罰が下る縛りは何よりも信におけるものとなる。
呪力の伴わない契約など所詮単なる口約束。宣言通り実行するかは奴らの裁量次第となる。
縛りの有無が不明確な以上、馬鹿正直に殺し合いを勝ち残ったとて生還の保障は無い。

しかし、魂の入れ替えを初めとする黒幕らの一連の所業
大正を生きた杏寿郎の身体といい、全てが歴戦の呪術師たる扇を以てしても瞠目するものばかり。
これ等が強力な縛り無くしては実現不可能な代物であるのもまた事実。
ハッタリであっても実現可能な力を有しているならば、眉唾と斬り捨てるのは些か早計。
ならばどうする。乗ると言うのか。呪術も碌に使えない菲才の身で。

「………」

ふと見上げた、箱庭の夜空。
この身が呪術師に非ずとも鮮明に見える禍々しき人面月。
空を覆い尽くすばかりの巨大さ。会場とされた領域を超え、全て破壊して余りある質量。
もし殺し合いが完遂されねば、月が堕ち世界を滅ぼす。
奇怪な仮面の童が語った世の終わりも大言壮語とは切り捨てられまい。
日本並びに呪術界へ破滅と混乱を招いた渋谷事変
それと同等か、それに勝る大事件であろう事は疑いようもない。
その時、彼の脳内にあるプランが浮かんだ。禪院扇にあるまじき奇特なプランが。

「いいだろう!!」

杏寿郎らしい声の通った豪快かつ威勢の良いの叫び。
同時に、扇は腰に差していた刀を勢いよく抜き放つ。
その切っ先を天に翳すと、空に浮かぶ月に届くかの如く高らかに、彼は宣言した。

「哀れな参加者共を私が導き、我が力を以てこの事変を解決する!
 そして、この禪院扇こそが!当主の座に相応しき男であると世に知らしめてくれよう!!」


274 : ◆TruULbUYro :2023/05/22(月) 22:08:42 Kaajo3xA0

世界崩壊。兄、直毘人であっても解決出来ないであろう一大事件
それを解決してみせた男を世は、呪術連は捨ておけるだろうか。
此度の事変での功績を以て、呪術界、禪院家。双方の信頼と地位を盤石なものとする。
前当主の血迷った遺言状の効力は絶対。
何処ぞの馬の骨とも知らぬ又甥が実権を握るのが、現在の禪院家の実情。
しかし、当主に相応しくない輩が座るのを不服と感じる者は多い。
殺し合いによって中断されたが、直前まで扇らがそうした様に、必ず家内で動乱が起こる。
その時禪院家における絶対的地位を築いておけば、当主の座を奪還するのも夢ではない。

烏合の衆を先導し、自身の正当性を示しつつ、団体の中で生存戦略を練る。
万一解決の兆しが見えぬようであれば、その時は鏖殺に切り替えれば良い。
何方も成し得るだけの力はある。差別してきた出来損ないの真似事などと躊躇いはあるが。
杏寿郎の肉体も相まって、剣客としての強さに於いては他に勝る。
剣士としての技量も充分な自身とは、相性が良い。与えられた札を腐らせる程、耄碌してはいない。

弱者が強者の足を引くなどあってはならない。扇には果たすべき目的がある。
あるべき栄光を、あるべき名誉を、自らの手で取り戻さねばならぬのだから。
そして、帰還した暁には今度こそ。
己が手で出来損ない達を葬り去り、人生の汚点を完全に拭い去るのだ。

「往くぞ!!出来損ない共!!」

宣戦布告代わりの挑発。
己の正しさを信じて疑わない呪術師は悠々と歩を進める。
その胸中に、轟々と燃え滾る野心の炎を宿しながら。

【禪院扇@呪術廻戦】
[身体]:煉獄杏寿郎@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:何らかの刀@出典不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:禪院家当主(候補)による迅速な殺し合いの終結
1:自らが旗頭となり、参加者達を導く。弱き者を救う、それが呪術師の責務だ…
2:解決不可能と判断した場合は優勝に切り替える。弱者が強者の足を引くなどあってはならない…
[備考]
※参戦時期は禪院家忌庫にて真希を待ち伏せていた時からです。
※何の刀が支給されたかは、採用された場合後続の書き手様にお任せします


275 : ◆TruULbUYro :2023/05/22(月) 22:09:39 Kaajo3xA0
投下終了です。
タイトルで「私が禪院家当主になれないのはどう考えても出来損ないが悪い!」でよろしくお願いします


276 : ◆2dNHP51a3Y :2023/05/22(月) 22:51:20 veIAyhY.0
投下します


277 : 全部愛して地獄で壊して ◆2dNHP51a3Y :2023/05/22(月) 22:52:25 veIAyhY.0

雁が海を渡って遠くへ飛ぶとき、会場で羽を休めるために枯れ葦を口に加えて行くという。
要するに、その雁は準備万端と言うことであり。
『葦を啣む雁』という熟語が、準備万端を意味する言葉として存在している。

ある家に、出来損ないの姉妹が存在した。
姉も妹も才能はなく。いや、あったにしても妹は中途半端な才能が足枷となっていた。
一卵性双生児、呪術の世界において同一人物とみなされる二人。
故に、中途半端を解消するには全てを持って行ってもらうしかない。

妹は、それを選択した。
姉の中途半端を、長くなりすぎた葦を切り離した。
切り離し、中途半端をすべて背負って、お別れを告げて、向こう側へと旅立った。
唯一、願うべき呪いを残して―――













"全部、壊して"











この日、姉は。




"完全"な零を得た。







「……慣れねぇもんよ、他人の体なんざ。」

瞳に映る夜空を見上げながら、禪院真希という女は一人呟いた。
禪院家を全て壊して、気がづけばこんな辺鄙な場所に、殺し合いという場所に居た。
禪院の柵(しがらみ)の次は殺し合いだとは、一周回って笑えてくると自嘲したくなる。
まずこの体は色々と不便だ。元の体と似つかぬ細腕。緑色のヘアバンドで纏めた短い金髪。如何にもご令嬢だと言わんばかりの顔立ち。
禪院真希の魂が宿る、今のこの身体(ボディ)の持ち主の名はセーニャと言った。
妹を喪った自分とは対称的な、姉を喪った妹だ。

「……けっ。」

運命の悪戯、にしてはたちが悪すぎるだろ、とは思った。
ただ、少なくとも身体の方は姉妹の関係は良かったようではある。姉へのコンプレックスはあれど良好な関係を築けていたようだ。
自分たちとは、違っていた。仲違いしてしまった自分たちとは、大違いだった。
最後の最後に、ああなってしまったのは、ある意味救いだったのか。それとも。

「……いいか。」

自分でも何を考えていたのか、馬鹿らしくなった。
まあ殺し合いというか大量虐殺なんざ禪院家だけで十分だ。必要以上に巻き込むつもりはない。
家の事は全て片付いた、こっから先は禪院家の落語者ではなく、元の世界に帰るため、禪院真希という呪術師としてやらせてもらう。

「じゃあ、自由にやりますか。呪術師らしく、あたしらしく。」





【禪院真希@呪術廻戦】
[身体]:セーニャ@ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない、さっさと元の世界へ帰らせてもらう
1:自由にやりますか。呪術師らしく、あたしらしく。
[備考]
※参戦時期は17巻『葦を啣む』以降


278 : ◆2dNHP51a3Y :2023/05/22(月) 22:52:40 veIAyhY.0
投下終了します


279 : ◆U1VklSXLBs :2023/05/23(火) 21:31:53 qk/lDh4s0
投下します


280 : アイムカムバック! ◆U1VklSXLBs :2023/05/23(火) 21:32:31 qk/lDh4s0
無人の映画館で目を覚ましたトガタは、身を沈めていた客席から立ち上がると、リュックを手に息を切らせて出入口へと駆ける。
「はははっ…マジか」
映画館を出たトガタを雲一つない夜空が出迎えた。瞬く星空の中に恐ろしげな顔をした月が浮かんでおり、見ているだけで緊張してくる。トガタの周囲に人はおらず、気温は暖かい。街は凍りついてもいない。
トガタが生きていたのは、文明が失われた極寒の世界だった。そこで炎に覆われた男に出会い、しばらく旅をした後に本懐を遂げた彼…アグニを命を引き換えにして救ったのだ。
「そういえば別人の体になるんだっけ」
参加者は体を入れ替えて戦うと、紅白の髪をした女が言っていた。殺し合い、それ自体にショックは受けない。元いた世界は道徳や倫理が限りなく摩耗した場所であり、命のやりとりは日常茶飯事だった。
そんな事より、どんな顔になったか確かめなければ。細いが筋肉のついた腕と節のある手、そして股間についているアレ。間違いなく男の体に入っている。
鼻歌混じりに映画館に引き返したトガタは、男性用トイレの洗面台で己の人相を確かめる。
「おぉっ!イケメ〜ン!いいね〜やる気がムンムン湧いてくるね〜」
暗い色の髪を後ろで団子状に纏めた、細面の美男子。身につけているのは礼服のようなフォーマルな衣装。
「プロフ見れるんだっけ」
トガタはタブレット端末を取り出すと、体のプロフィールを画面に呼び出す。

この体の持ち主は、どうやら貴族らしい。ファーガス神聖王国、フラルダリウス公爵家の嫡子。剣の稽古、質の良い武具、戦いが好き。反面、冗談や甘い物を嫌う。
「本人はクール系のバトルマニアってとこかな?4年前に起きた事件で兄を喪い、父との間に溝が出来るか…ドラマチックだねぇ」
トガタはこの体の持ち主に興味を抱いた。喋れないのが残念なくらいだが、あまり持ち主に気を使ってもいられない。
本来のトガタは再生能力を備えていたが、この体にはない。代わりにフラルダリウスの紋章なる力が宿っているらしいが、継戦能力は本来の体より落ちている。
「いいもの入っててくれよ〜」
どういうつもりでトガタを巻き込んだのかは知らないが、目的はもう決めてある。トガタはいつか男になって、映画の主人公みたいに誰かを助けたかったのだ。
ならば、武器がいる。殺し合いに乗った奴らから、巻き込まれた人々を守れるような強い武器が欲しい。
「よし!武器キタ!」
トガタに与えられたのは、煌びやかな装飾が施された直剣だった。


281 : アイムカムバック! ◆U1VklSXLBs :2023/05/23(火) 21:33:16 qk/lDh4s0
【トガタ@ファイアパンチ】[身体]:フェリクス(第1部)@ファイアーエムブレム風花雪月[状態]:健康[装備]:ミケラの騎士剣@エルデンリング[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2[思考・状況]基本方針:映画の主人公みたいに誰かを助ける1:ハズレじゃなくて良かった〜2:どんな奴等が参加してるんだろう?[備考]
参戦時期は死亡後です。
【ミケラの騎士剣@エルデンリング】
聖樹のミケラに仕える者たちがカーリアの騎士剣を模した得物。輝石の替りに、聖樹の琥珀が埋め込まれている。一度も、騎士に授けられたことがない豪奢ではあるが、主なき不遇の剣。

【フラルダリウスの紋章】
フェリクスの血に宿る紋章。ゲーム的には武器で通常攻撃時、たまに威力が上昇。本ssにおいては、筋力に上方修正がかかるものとします。


282 : ◆U1VklSXLBs :2023/05/23(火) 21:33:38 qk/lDh4s0
投下終了です


283 : ◆7PJBZrstcc :2023/05/23(火) 22:54:32 y2x2EaZw0
二本投下します


284 : きっとここに夢の続きなんてないさ ◆7PJBZrstcc :2023/05/23(火) 22:55:13 y2x2EaZw0
「俺、消えたよな……?」

 不気味な月を見上げつつ後頭部を右手の平で掻きながら、一人の男が呟く。
 彼の言葉には殺し合いについてではなく、まるで別の事柄に動揺しているような口ぶりがあった。

 それもそのはず、なぜなら彼は消滅した筈だからだ。
 ユウナを救うためにスピラを千年に渡って蝕み続けた『シン』、そしてエボン・ジュを倒し、その果てに夢の存在だった自らも故郷のザナルカンドと共に。
 納得できたかはともかく、受け入れた上で消滅した筈なのだ。
 にも拘わらず、彼はここに居る。

 最初は戸惑いしかなかった。
 消えたと思ったら知らない女が現れて、そいつが殺し合いの開始を宣言した。
 しかも体を入れ替えた上での殺し合いだ。
 正直、『シン』の毒気にやられたなんて言わなくても訳が分からないといってもいいくらいだ。

 だが状況を受け入れたとき、彼はこう思ってしまった。
 もし殺し合いを勝ち抜けば、またスピラに戻り、仲間と再会できるのではないかと。

 ワッカ、ルールー、アーロン、リュック。
 そして、ユウナ。

 会いたくないわけがない。
 きっと向こうだって歓迎してくれるはずだ。
 だけど――

「できないよな、ユウナ……」

 できる訳がない。
 そんなことは、決して。生きて悲しみと戦った皆に誓って。

 それだけじゃない。
 この体は彼の物ではない。

 この体の持ち主は彼によく似ていた。
 夢と現実を股にかけた大冒険の末、最後には現実を選んだ王子。
 違いがあるとするなら、夢の存在は体の持ち主ではなく、その仲間だった。
 彼とは似ていたが、決定的な部分が真逆だった。

 そう、この体の持ち主は現実を生きている。
 ならば、返さなければならないだろう。
 夢ではなく、現実を生きるのなら。

「んじゃ、行くか!
 まずは他の参加者と合流して、それからのことはあとで考えるっス!」


【ティーダ@ファイナルファンタジーX】
[身体]:主人公@ドラゴンクエストVI 幻の大地
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:魘夢と仲間を倒して、レックスに体を返す
1:まずは他の参加者と合流したいっスね
2:もし叶うなら、もう一度スピラに行って仲間に会いたいけどさ……
[備考]
※参戦時期は消滅後です。
※主人公@ドラゴンクエストVI 幻の大地 の名前は当選した場合、次の書き手氏にお任せします。


285 : サル野郎 ◆7PJBZrstcc :2023/05/23(火) 22:55:52 y2x2EaZw0
「猿だなんだ言われてたが、まさか本当に猿みたいな奴になるとはな……」


【伏黒甚爾@呪術廻戦】
[身体]:孫悟空(少年期)@ドラゴンボール
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:とりあえず体を取り返す。殺し合いに乗るかは保留
1:なんだこの尻尾……


286 : ◆7PJBZrstcc :2023/05/23(火) 22:56:17 y2x2EaZw0
投下終了です


287 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/24(水) 00:17:41 VUmlDQR20
投下します


288 : 忌まわしき体 ◆NIKUcB1AGw :2023/05/24(水) 00:18:52 VUmlDQR20
薄暗い室内で、一人の青年がうなだれている。

「くそっ、俺としたことが……。
 ひどく混乱している……」

眉間にしわを寄せ、青年……草加雅人は独りごちる。
ただでさえ「流星塾の出身者はいずれオルフェノクになる」という衝撃的な言葉を告げられ、動揺していたのだ。
その直後に殺し合いへ放り込まれれば、いかに聡明な彼であっても混乱するのは無理からぬことである。
その上、別人の体に精神を映されるという異常事態。
さらに草加にとって最悪なことに、彼に与えられた肉体はオルフェノクのもの……彼の憎む怪物のものだった。

「どうすればいい、俺は……。
 俺自身の体がオルフェノクとなってしまったというのなら、まだ覚悟も決められる。
 だがオルフェノクの体に人格を移されるなんて……。想像できるか!
 どうしろというんだ!」

苛立ちを乗せて、草加は拳を壁にぶつける。

「いや、考えるまでもなかったな……。
 一刻も早く本来の体を取り戻し、この体から離れる!
 それが正解だ!」

草加は、決意と共に叫ぶ。
だがその決意は、殺し合いでの優勝を目指すためのものではない。
自分にこんな屈辱を味わわせた連中に従うなど、草加にはとうてい許容できない。
殺し合いの主催者たちを打倒し、本来の体を取り戻す。
それが草加の決意だ。

「とはいえ、今の状況でできることは限られている……。
 まずは情報と戦力を集めるべきか。
 使えるものは、なんでも使おう。
 不本意だがな……」

草加が取り出したのは、ベルトと携帯電話。
彼が元々使用していたカイザギアと同じシステムの、変身アイテムだ。
オルフェノク専用だというのは引っかかるが、カイザギアがない今これに頼るしかない。

「そうと決まれば、行くか……」

建物の出口に向かって歩き出す草加。
その途中、ふと窓ガラスに映った今の自分の姿が目に入る。

「何だろうな、この顔に感じる不快感は……。
 見ず知らずの男だというのに。
 まるで、前世で不倶戴天の敵だったような……。
 ふん、前世など言い出すようでは、まだ冷静さが充分ではないようだ……」

ひとつため息を漏らすと、草加は再び歩き出す。
「木場勇治」の顔に、憂いを浮かべて。


【草加雅人@仮面ライダー913】
[身体]:木場勇治@仮面ライダー555
[状態]:健康
[装備]:オーガギア@仮面ライダー555
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主催者を打倒し、元の体を取り戻す
[備考]
※参戦時期は本編終了後
※木場のプロフィールには、草加との因縁は書かれていません


【オーガギア@仮面ライダー555】
仮面ライダーオーガの変身アイテム一式。
ベルトの「オーガドライバー」、携帯電話の「オーガフォン」、武器の「オーガストランザー」で構成される。
サイガギアと並び、「帝王のベルト」と称される。


289 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/24(水) 00:19:57 VUmlDQR20
投下終了です


290 : ◆4u4la75aI. :2023/05/24(水) 14:41:35 zBtL18Xw0
投下します


291 : 救済の物語 ◆4u4la75aI. :2023/05/24(水) 14:42:08 zBtL18Xw0
 奇怪な現象が続いている。
 紅白の髪をした女性――魘夢。本人曰くウタという女性の肉体を借りているらしい。そして命じられたものは殺し合い、それも魘夢と同じく身体を別人と入れ替えられた状態で。

「……確かに入れ替わっている」

 視力は悪く無い為、普段メガネはかけていない。しかし今の肉体は眼鏡をかけている。それに頭髪は身体の持ち主には申し訳ない表現だが、薄いと表現するのが正しい具合。元の身体では同じく短髪ではあるがこうではない。
 肉体のプロフィールとやらを見るに、この身体は臼井という高校生の少年のものらしい。影が薄い、頭髪も薄いだの散々な事を書かれているが、高校生という未来ある人間、必ず身体を返さなければいけない。

「悪魔が関わっている……筈だな」

 他人と身体を入れ替えるなんて、現代の科学技術では不可能な筈。となると、この現象はなんらかの悪魔が引き起こしているのだろう。そして魘夢という者はその悪魔を利用し、この悪趣味な催しを引き起こしている。宙に浮かぶおどろおどろしい月もまた別の悪魔による現象もしくは悪魔そのものであろう。

 そうなればここは自らの出番だ。公安対魔2課所属、市民を悪魔から守るのは自分たちの役目。他のメンバーに救援要請を望みたいところだが、生憎連絡できる環境は整っていない。公安がこの催しに気付くまでは自分一人でここを凌ぐしか無い。

「……やるしかないな!」

 一人で複数巻き込まれている市民を救出、それに今は肉体が変わった以上悪魔の力を借りることもできない。それに他人の身体である以上無理をしすぎることもできない。骨が折れる作業になるが、人命救助は何より大切な事だ。

「……!」

 早速一人、目に入った。桃色髪のアニメキャラクターの様な衣装を纏っている少女。背丈は低く、そのまま考えれば学生。真っ先に守るべき存在だ。

「すみません! 危害は与えません、お話がしたいのでそちらに向かわせていただきます!」

 少女を驚かせない様に、声をかけてから近づく。やがてはっきりその姿が見える。きょとんとした表情でこちらを見つめている。

「……えっと、ぼくかな?」
「はい。私は公安対魔2課の中村と申します。お怪我はありませんか?安全が確保出来るまでご一緒させていただいても良いでしょうか」

 あまり慣れている仕事では無いが、やるべき事。まずは目の前の少女から。
 自慢げに言えることでは無いがこう人に向かって名乗ることは自分にとって珍しい体験だ、やっと公安としての仕事をしている、そんな感覚が巡る。

「中村さん……公安……」
「はい……。ああ、すみません。よろしければ貴方のお名ぁ――――」

 そしてそれはあまりにも突然であった。
 肉体が宙に浮かぶ感覚、視界が落ちていく。次に理解したのは自身の首が肉体と切り離されたいう事実。公安に属する身、人の死に様は何度も見ている。首を切り離されたという現象も素早く理解でき、その番が自分にやってきてしまっただけだ。そう彼は思った。
 ただ、自身を手にかけた少女、その顔が憐れみに満ちた、どこか気味が悪く、どこか安心できる表情であったことだけが気に掛かり――やがて意識は闇に消えていった。


【中村@チェンソーマン(身体:臼井影郎@さよなら絶望先生) 死亡】


292 : 救済の物語 ◆4u4la75aI. :2023/05/24(水) 14:42:48 zBtL18Xw0


 中村を殺めた張本人は、自身の武装を解除する。桃色のフリフリとした衣装から、主張の大人しい制服へ。
 その正体は魔法少女、中村が生きる世界には存在しないもの。エネルギーの矢を虚無から生み出し、即座に首を引き裂く。中村がそれに気付けなかったのも無理はない。
 中村の血を直に浴び、その場に立ち尽くしている少女は――

「ああ……ごめんね、中村さん……」

 涙を流しながら、手を合わせていた。

「魔族でもない……それなのに、ああ……。それにあなたの事を忘れさせることも今はできない」

 次にその死体に触れると、丁寧に中村の瞼を閉じ、離れ離れの首と身体を並べる。そして再び手を合わせながら、呟き続ける。

「それでも、ぼくは絶対に忘れないよ。あなたを」
「あなたの犠牲を、絶対無駄にはしない」
「ぼくは願いを叶える」

 そして彼女はその場を立ち去る。

 魔法少女という存在は、中村と違い身近な者であった。それこそ、自分自身も元々魔法少女であるのだから。しかしプロフィールや身体の使い勝手をみるに、どうやら魔法少女のシステムがまったく異なるらしい。ソウルジェムという器に精神を移し替えられていること。魔術を扱う度ソウルジェムが穢れていくこと。その二つは既に認識している。問題はソウルジェムが濁りきってしまうとどうなるか、ということだがそれは穢れきるまでにこの殺し合いを終わらせればいいこと。
 彼女は本心から中村の死を悲しんでいる。ひどいことだと、悲しいことだと、『かわいそう』だと。しかしそれすら乗り越えなければいけない理由があるのだ。
 その願いは、この殺し合いを勝ち抜けば叶えられるかといえばわからない。どんな願いでも叶えるとは言っていたが、魘夢が素直に言葉を聞いてくれるか否か、そもそも魘夢の言葉はただの戯言ではないか、あらゆる問が生まれる。しかし元の姿に戻りさえすればまた元に戻るだけ。どちらにせよこの場を切り抜けなければいけないのは事実。

 そしてその願いは、奇しくも元の身体の持ち主が願ったものとも似通っていた。それは世界から、絶望を取り除くという者。

「……ぼくは世界から『かわいそう』を根絶したい」

 その為に身体の彼女は祈った、『全ての魔女を消し去る』と。
 そしてその為に精神の彼女は祈る、

「だから、ぼくは世界を巻き戻す。感情なんてなかった頃まで」

 宙に独り呟く。それは魘夢への、世界への、そして自分への宣言。

「だから、ごめんねみんな。今だけは『かわいそう』な目に合わせてしまうけど」
「ぼくがみんなを、救うから」

 決して疑わず、自らの信じる世界を望む。

「……だからまどかちゃんも、ちょっとだけ身体を借りるね」

 肉体の名は、鹿目まどか。
 精神の名は、那由多誰何。
 同じ魔法少女、同じ希望を望む存在。
 ただ、一人は世界の絶望を受け止めきれず捻じ曲がってしまった。
 それを、彼女を止める術は――――

「あなたも救うから、まどかちゃん」



【那由多誰何@まちカドまぞく】
[身体]:鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ
[状態]:健康、中村の返り血
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:皆を殺して、魘夢に世界を巻き戻してもらう。
1:『かわいそう』を根絶する。
2:中村さん、ごめんね。
[備考]
※参戦時期は少なくとも思想が現代の形になった後。
※鹿目まどかの身体は魔法少女に変身可能です。


293 : ◆4u4la75aI. :2023/05/24(水) 14:43:39 zBtL18Xw0
投下終了です


294 : スモール・ワールド ◆EPyDv9DKJs :2023/05/24(水) 17:00:13 .ZLYi4e.0
投下します


295 : スモール・ワールド ◆EPyDv9DKJs :2023/05/24(水) 17:01:15 .ZLYi4e.0
 草木の生い茂った森を駆けずり回る一人の青年。
 青年は赤と黒を基調としたコートを羽織っており、
 意志の強い瞳をしてはいるものの、それは外見の都合で見えるだけだ。
 今の彼は精神が別物故か、何処か格好のつかない表情で逃げ回っている。

「遅い。」

 後方から投げかけられた冷徹な言葉と同時に、
 飛来する水の弾丸を咄嗟に転がるように飛び込むことで回避。
 周囲に木々はあれど少し開けた場所へと辿り着くと相手もそこへ追いついた。
 逆立った髪と青みのかかった黒い服が特徴的な青年が、指鉄砲を構えをしつつ。
 遊んでるように見えてこれが彼の───否、相手の肉体の戦闘における構えであり、
 そこから何が起きるかは、逃げていた以上嫌と言う程理解していた。

「クソッ、こんな時に加速がありゃ余裕なのに……ッ。」

 追い込まれた青年の方に宿っている男の名は七原健。
 元は社会的弱者とも言うべき立場にあった男ではあるが、
 ある日を境に人ならざる者、ヴァンパイアの力を得た青年だ。
 ヴァンパイアにおける彼の能力は『加速』で、文字通りの効果を持つ。
 攻撃から防御に、優れた汎用性を誇る能力も、別人の身体では当然使えない。

「七原みたいな能力でも持ってたのか。
 まあ、今の身体じゃあ使いようもないみたいだがな。」

「! おい、なんで俺の名前───いや、まさかだよな?」

 七原にとって自分の名前を知っている中で、
 その口調と、今の指から弾丸を放つ攻撃をしてくる。
 相手の精神がすぐに誰か気づいた。ありえないと思いたかった。
 既に死んだ奴がこんな場所に、しかもあんな奴がいるこの状況に。

「やっぱりお前、七原なのか? 因果なもんだな。」

「マジかよ、芭藤……!」

 芭藤哲也。
 多数のヴァンパイアを傘下にした組織、燦然党の幹部。
 七原も元々は燦然党に入っており、芭藤は彼の指導係でもあった。
 けれどそれは今や過去の話。燦然党の理念は弱者は真っ先に淘汰し、
 弱者救済を願う七原は離反。そして彼はとどめを刺して灰になったはず。
 ヴァンパイアとの戦いと言う非日常の中で、様々な現実離れしたことを目にしてきた。
 しかし、流石に死者の復活までは想定しておらず唖然とした表情で立ち上がる。

「死んでも尚、お前に関わるとは思わなかったな。
 俺が死人ってことは、燦然党にやられて此処にいるのか?」

「……さあて、どうなんだろうな。」

『変身しろよ。ぶっ殺してやるからよぉ……!!』

 此処に来る前の記憶と言えば、燦然党との二度目の戦いにおいて、
 燦然党の党首である日ノ元士郎と出会ってしまったところだ。
 満身創痍の中必殺技たるD・ナイトを使っても当然真祖の日ノ元には届かず。
 瀕死だったが生きてたような、或いは死んでしまったから記憶がないのか。
 その辺は曖昧なまま、今こうして脅威の月下で悪夢のような展開に見舞われている。
 悪夢のような現実を見てきた以上、此処が悪夢でもさして変わらないが。

「正直どうなったか分かんねえけど、ただ一つ言えるのは……芭藤。
 テメエだけはどんな理由があっても、生かしちゃいけねえってことだ。」

 芭藤は幸福な人間を不幸にすることに愉悦を感じる。
 たとえそれは自分の命が脅かされる状況であっても平然と行う。
 だからこの男を生かすことは、此処の参加者全員を危険に晒す。
 だったら殺すべきだ。身体の持ち主には悪いとは思うも芭藤の身体は、
 生前の彼と同様、自分の身体から銃弾を発射できる類の能力を持っている。
 慣れてるわけではないにしても、彼にとってはそれはお手の物だ。
 手加減して勝てる相手ではないことは十分に理解できた。

「だろうな……お前はそういう奴だ、七原。」

 どこか嬉しそうな笑みを浮かべながら、人差し指の先端に水が収束していく。
 もっとも、善人の面とは言えない男の面でそれをやっても凶悪犯の類だが。
 事実、彼の身体はレモネードと言う、とある世界のバンデットの一人だ。
 元ヤクザであり、元燦然党だった彼らしいアウトローな人物とも言える。

(とは言ったけど、こいつの身体には何があんだよ!?)

 状況や来る前までの記憶に困惑するなど、
 普通はそう言った行為で判断が遅れるものではある。
 特に七原の場合は生死の瀬戸際。混乱もより大きいものになる。
 だが芭藤は死者であり、死んだところで改心も葛藤もない灰色の男。
 なので身体の戦い方さえ把握してしまえば、後は即座に行動できてしまう。
 お陰で情報の差は歴然。名前以外を七原は何一つとして分かっていない。
 放たれる弾丸をその身体が持つ身体能力と経験と運でなんとか凌いでいくが、
 木々を遮蔽物にしようと穴を開けて貫いてくる威力のそれは当たればまず致命傷。
 一発も被弾が許されぬそれに、焦りは当然あった。


296 : スモール・ワールド ◆EPyDv9DKJs :2023/05/24(水) 17:02:49 .ZLYi4e.0
(だからって、諦められるかよ!!)

 弱い奴は負けて為す術もなく、強い奴は勝って好き放題する。
 散々見てきた。ヴァンパイアの戦いでも、この世の基本法則だ。
 幼い頃から七原と言う男は、常に弱い立場としての日々を過ごした。
 クソみてーな人生で惨めな気分で生き、守りたいと思った人も守ることはできず。
 慣れ親しんだ友人のような奴も死なせてしまった。嫌と言うほどに彼は味わい続けた。
 何処まで行っても、世界とは黒と白で二分されている。強者の白と弱者の黒、
 一方だけが陽の光を浴び続け、一方は陰の中でひっそりと死に絶える世界。
 そんな世の中を変えたい。だからこそ彼は掲げた。『弱者救済』と言う理想を。
 此処でもそうだ。自分達がたまたま戦えると言うだけで、他にも弱者はいるはずだ。
 芭藤にも、燦然党のような弱者を捨て石にする奴にも絶対に殺させはしない。

「!」

 その願いに呼応するかのように、七原の身体に変化が訪れる。
 植物の蔦や葉が全身を覆い、予期せぬ事態に芭藤は距離を取っていく。
 『確実に殺せると踏まなければ前に出ない慎重派』とは七原の仲間に評されたが、
 そう言った部分は死んでも変わることはなかった。

(七原の身体の奴もヴァンパイアなのか?)

 ある意味、その姿はヴァンパイアもと言えるだろうか。
 黒、赤、黄の骨格のようなものに覆われたその異形の怪物の姿は。
 頭部の二本の黒角が、より怪物であることを引き立たせてくれる。





 その身体の持ち主は、弱者を嫌った。
 弱いものは淘汰されると言う現実を知ったから。

 その身体の持ち主は、とても強い信念を持っていた。
 何度打ちのめされようとも、決してその心は折れはしない。

 その身体の持ち主は、弱者が踏みにじられない世界を築こうとした。
 故に、今の世界を滅ぼそうと黄金の果実を求め、理想を目指した男の果て。

 ───七原の精神を宿す器の名を、駆紋戒斗。
 ヘルヘイムの実を食べて進化した、オーバーロードインベス『ロード・バロン』だ。

「なんじゃこりゃあ!?」

 一番驚いていたのは当人ではあった。
 ヴァンパイアに類する怪物とも言うべきその姿でそんな発言をしては、
 ロード(支配者)の肩書きやバロン(貴族)も形無しになってしまうもの。
 普段七原のヴァンパイア態によくあるデフォルメされた犬とは全く無縁のデザイン。
 しかし、身体から感じる力が並大抵のものではないと言うことがすぐに分かる。

「芭藤ォ!!」

 何にせよ戦う力は出てきた。
 拳を作りながら七原はそのまま直進する。
 オーバーロードもまたヴァンパイア同様に人間離れした存在。
 元の身体の加速程ではないにせよ、さっきとは比較にならない動き。
 芭藤も距離を取りながら指から水の弾丸を連射していく。

「……やっぱり油断ならねえな、七原。」

 木々を貫通するはずの弾丸は今度はよく当たる。
 しかし当たっても弾丸は骨格を貫くことはない。
 当たってもダメージにはなってるが、多少怯ませるだけに終わっていた。
 自身の元の身体のヴァンパイア態同様、強固なタイプの装甲のようだ。
 攻撃は通ると言えば通るが、貫通しなければちゃんとしたダメージに足りえない。

 右ストレート、飛び蹴り。
 爪も加速もないせいでチンピラみたいな攻撃だが、
 オーバーロードの攻撃力を以てすれば並みの一撃ではない。
 バンカーであるレモネードも相当人間離れしてはいると言っても、
 受ければただでは済まないことは、躱した後七原が突っ込んで圧し折った大木でお察しだ。

(あれは立花かそれ以上だな。)


297 : スモール・ワールド ◆EPyDv9DKJs :2023/05/24(水) 17:03:10 .ZLYi4e.0
 優れたヴァンパイアは燦然党にもいたし、
 この程度なら幹部であれば珍しいことではない。
 だが、レモネードの身体を使っていてわかることがある。
 水のリボルバーと言う水の弾丸は確かにできるが、水を常時射出し続け、
 剣のように扱うと言った様々な応用に優れているのが彼の強みでもある。
 けれど、できるのはほぼ水のリボルバー一辺倒。戦い方は慣れたものだが、
 それもまた力が衰えてるようでならなかった。

(やはり慣れない身体にはついていけないか。)

 いきなり身体能力もわからない人間の身体にされ、
 十全な動きをすぐにできるかと言われれば当然ノーだ。
 拳銃の扱い方を覚えさせた後に『狙撃銃を扱え』と言われ、
 即座にそんなものが覚えられるような人間がいないのと同じである。
 芭藤も慣れながら動いて、ようやく人並み外れた動きを手にしたばかり。
 まだ発展途上。強くなるにはやはりそれなりの時間を要するだろう。
 だからの猶予と言うべき時間だが、そんなことは彼にはどうでもよい。
 たまたま運が良かっただけで幸せを噛み締めているバカ共を不幸にする。
 きっとここにもいるのだろう。自由な体を手に入れて幸福を手にした奴が。
 彼が即座に動けたのは、そういうところもあったのだろう。

「うお、植物も操れるのか!」

 地面から突如生える蔦は芭藤を掴まんとする。
 咄嗟に樹木を蹴り、反動で回避を続けていく。
 捕まればどうなるかは予想できないが、それは問題ない。
 自分が扱いきれてないのだ。七原だって扱いきれてないはずだ。
 事実、蔦はあらぬ方向へと飛んでは適当な木の枝を圧し折るだけに留める。
 しかし当たらないとは限らない。

「一旦退くとするか。」

 勝つのは難しい上に、長引けば長引く程七原は適応する。
 芭藤は七原をずっと見続けてきた。日ノ元に矯正を進言するほどに。
 恐らく、それは惨めな人生を歩んできた共感も含まれていたのだろう。
 だが分かっていた。この男はやればできる奴なんだと。だから負けた。
 故に逃げる。此処で仕留められないならば、一度退くしかないと。
 準備を整え、確実に殺せる状態になるまで放置するのが得策だ。

「な、テメエ待ちやがれ!!」

 無論逃がすつもりはない。
 此処で逃がせばどうなるか分かり切っていること。
 すぐさま接近するが、芭藤はあえて地面に水のリボルバーを放つ。
 今までの弾丸とは別。砲弾のように溜めた水はさながら噴水の壁となる。

「じゃあな七原。救う間に何人死ぬかを考えるんだな。」

 そんな捨て台詞と共に、すぐさま距離をとっていく。
 水のリボルバーの回避のために逃げを選んだ森は、
 逆に芭藤をすぐに見失ってしまう要因となってしまう。
 狼の七原にあった嗅覚での追跡も今の身体では不可能だ。
 ただ、何も追跡することが正解と言うわけではなかった。
 水が消えた後、七原の身体が駆紋戒斗へと戻ってしまったからだ。

(な、変身がもう切れたのか!?)

 ロード・バロンはインベスの上位主であるオーバーロード、
 その中でもトップクラスの強さを誇るスペックを持っている。
 ただでさえ精神と身体は別物。変身時間は短くなっており、
 今のままでは一分と持たない短さでしかなかった。

「……クソッ。」

 これでは芭藤を追うことはできない。
 寧ろ何かしらの理由で戻ってくる前に、
 此処から離れて自衛の手段を確保しなければならず、
 七原もまた、一先ず撤退を選択せざるを得なかった。


298 : スモール・ワールド ◆EPyDv9DKJs :2023/05/24(水) 17:03:44 .ZLYi4e.0
 弱者救済と言う理想を掲げた七原。弱者のいない世界を望んだ戒斗。
 同じに見えて違う。駆紋戒斗の臨んだ世界は確かに彼の理想と同じ。
 だが、そのために今の世界を滅ぼし、弱者も淘汰するその考えは、
 実力主義で弱者が真っ先に淘汰される日ノ元の思想と何が違うのだろうか。
 そんな男の身体に宿った男は、果たしてどこまで弱者救済を掲げられるのか。
 はたまた、弱肉強食の理論のような弱者は淘汰されてしかるべきに染まるのか。
 真祖に最も近い男の足掻きが始まる。

【七原建@血と灰の女王】
[身体]:駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武
[状態]:疲労(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:弱者救済。絶対変わらねえ。
1:芭藤は絶対倒す。
2:俺の身体、これちょっとやばくね? なんだこれ。
[備考]
※参戦時期は燦然党との戦いで日ノ元に敗北後。
※肉体の参戦時期は少なくともロード・バロンになれて以降。
※クラックでインベスは呼べません。
※ロード・バロンになれる時間は長くありません。
 何かしらのきっかけや慣れで時間は増えると思います。




「……」

 逃げ切った後、芭藤はレモネードのプロフィールを見ていた。
 マッシュ星の異星人シトロンと言った事実はあるがどうでもいい。
 静かに眺め終えるとタブレットをしまってそのまま何処かへと歩き出す。

(チェリーか、その代替が必要だな。)

 どうやらレモネードにはD・ナイトに匹敵する技、
 水のドラゴンとやらがあるそうだが、それには素体が必要。
 レモネードの相棒となる生きたバンク、チェリーかそれに類する誰かが必須。
 今後の目的にしておきつつ、災厄を願う男は動き出した。

【芭藤哲也@血と灰の女王】
[身体]:レモネード@コロッケ!
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:参加者を不幸にする。
1:因果なもんだな、七原。
2:誘える奴がいたら誘っておく。
3:チェリーとやらを探す。いるかどうかは知らないが、代替の奴でもいい。

[備考]
※参戦時期は死亡後。
※肉体の方は現時点では不明。
※チェリーがいないので水のドラゴンは使用できません。
※水を常時出し続けて剣にする、と言ったことはまだできません。
※DS版の技、水のグレネードのようなものを覚えました。
 他にも何かのきっかけでDS版の技も使えるかもしれません


299 : スモール・ワールド ◆EPyDv9DKJs :2023/05/24(水) 17:04:20 .ZLYi4e.0
投下終了


300 : ◆OmtW54r7Tc :2023/05/24(水) 22:55:10 WePlzfwo0
投下します


301 : お菓子を愛する者たち ◆OmtW54r7Tc :2023/05/24(水) 22:55:56 WePlzfwo0
ツンツンとした黒髪に赤いハチマキの少年がいた。
彼は、自分の手足を興味深そうにジロジロと見る。
そして支給された手鏡で自分の顔を観察し、呟いた。

「マジかよ、オレ人間になっちまったのか」

彼の名はミルモ。
人間の少女、南楓をパートナーとする、妖精族の王子である。

♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

「うひょおおおお!チョコじゃねえか!」

リュックの中身を改めて確かめ始めたミルモが見つけたのは、これまたリュックであった。
そしてその中に入っていたのは、大量のチョコレート。
チョコが大好物であるミルモは、早速一つのチョコを取り出し、食べた。

「う……」

チョコを一口かじったミルモは、顔を俯かせて震え始めた。
味が気に入らなかった?あまりおいしくなかった?
いや、そうではない。

「うっめええええええ!」

そのチョコは、物凄く美味であった。
見た目は市販のシンプルな板チョコなのに、その味は格別であった。
更に一口、もう一口と食べていく。
なんだろう。
食べるほどに、身体の底から力があふれてくるような、そんな感覚がした。
自分の中から、何かが生まれてくるような…

ボン!

突然目の前に何かが現れた。
ミルモの目の前に現れた物、それは…

「チョコのマラカス…?」


302 : お菓子を愛する者たち ◆OmtW54r7Tc :2023/05/24(水) 22:57:29 WePlzfwo0
♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

「鐘木チョコ…うまそうな名前じゃねえか」

チョコのマラカスが目の前に現れた後、ミルモは食事をやめて再びデイバックを漁った。
そして、タブレットを取り出す。
先ほど現れたチョコのマラカス。
あれが、この肉体と関係あるものなのではないかと考えたのだ。
そして、その予想は当たった。

「お菓子の力で戦う菓子能力者(カシマスター)…さっき食ったチョコは菓子能力者専用のお菓子ってわけか」

プロフィールによれば、チョコの世界はオアズーケ王国によって施行されたお菓子禁止令というものにより人々がお菓子を食べられないらしく、チョコはレジスタンスに所属して正義の菓子能力者として仲間たちと共に打倒オアズーケ王国を目指して日々戦っているらしい。

「お菓子禁止令…オアズーケ王国許せねえ!」

プロフィールを読んだミルモは、自分事のように激怒した。
彼ら妖精族はお菓子が大好物であり、彼らの国は三食おやつに至るまでお菓子づくめなお菓子を主食としたような国である。
そんな妖精族の一員であるミルモにとって、オアズーケ王国の蛮行はとても他人事とは思えない許しがたいことであった。

「こいつの身体、返してやらねえとな…」

空に浮かぶ月を見ながら、ミルモは呟いた。
たとえ殺し合いをしなくても、3日経てば月が落ちてきて、みんな死んでしまう。
ミルモも、チョコの肉体も滅んでしまう。
そんなのはごめんだ。
ミルモ自身まだまだ生きてチョコをいっぱい食いたいし、パートナーである少女の願いだって叶えてやってない。
鐘木チョコだって、彼が元の世界に帰らなければ彼の世界はいつまでもお菓子を自由に食べられないままかもしれない。

「待ってろよチョコ!魘夢とか言う奴をぶっとばして、お前の身体、帰してやるからな!元の世界で…絶対にお菓子を取り戻せよな!」

ミルモは先ほど具現化した2本のマラカスを握る。
既にチョコのマラカスは溶けかけていて、形が崩れつつある。
魔法のマラカスではないので当然魔法も使えないが、しかし…

「鐘木チョコは剣やシールドなんかを出してたらしいけど…やっぱオレの武器は、これがしっくりくるぜ」

【ミルモ@わがまま☆フェアリー ミルモでポン!】
[身体]:鐘木チョコ@カシバトル
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、大量の菓子能力者専用チョコ@カシバトル
[思考・状況]
基本方針:魘夢をぶっ飛ばして身体を取り戻し、元の世界に戻る


303 : ◆OmtW54r7Tc :2023/05/24(水) 22:58:04 WePlzfwo0
投下終了です


304 : ◆U1VklSXLBs :2023/05/25(木) 04:55:18 /31EHv0M0
投下します


305 : 鳴りやまぬ内、思いを馳せて ◆U1VklSXLBs :2023/05/25(木) 04:56:20 /31EHv0M0
直哉はパッとしないオフィスの一角で目を覚ますと、まずリュックの支給品を検める事にした。

(いや…支給日の前に誰の身体か確かめなあかんな)

直哉はリュックを漁っていた手を一瞬止めると、手鏡を取り出した。かなりの大柄で甲冑を身につけている事はわかる。
鏡面に映った顔を眺め、直哉は言葉を失った。直哉自身もこの身体の持ち主も端正な顔なのだが、本来のものよりも線が太い。太い眉、がっしりした顎、そして孤狼を思わせる眼差し。それはあまりにも…

(甚爾君…)

幼い頃に邂逅し、その存在感をもって直哉の価値観を決定した男。顔は似ても似つかないが、顔から受ける印象があまりにも甚爾によく似ている。タブレットを取り出し、直哉は体のプロフィールを確認。

「ハハッ…」

この身体の持ち主については、直哉も心当たりがあった。
武芸を極めた、弓馬の達人。丁原を切って董卓の配下となり、貂蟬への思いから董卓をも裏切った男。

ー呂布奉先。

直哉は乾いた笑いを零した。彼は呪術界の名門、禪院家の人間だ。禪院家に非ずんば呪術師に非ず、呪術師に非ずんば人に非ず。そんな差別思想が蔓延する家風に、直哉もまた染まっているが、彼にはそれ以上に強さへの敬意と執着がある。
呪いに縁のない身体を与えられてしまったが、この身が秘める武威を理解できない雑魚ではないと直哉は自負している。

「うん、ええ身体や。気分もええわ」

直哉にはやっておかねばならぬ事がある。
あの偽物のクソ女を殺す、その為ならば勝ち残りも辞さない。規格外、最強のみが立つ領域に自分も行くのだ。

「この身体に術式があれば言うことなしやけどな」

それは流石に贅沢という物だろう。最後の生き残りには元の身体に戻る権利、どんな願いでも叶えられる権利を別々に譲渡してくれるらしいが、この身体に呪力と術式を宿して元の世界に帰るのも悪く無さそうだ。
その場合は自分を直哉と周囲に理解させる手間が必要になるが、禪院家の人々はあの後、真希が殺してしまったと思われる為、そこまで面倒ではないかもしれない。

「なんやこれ」

支給品の確認に移っていた直哉は、取り出した物を見て困惑した。見たところ剣なのだが、うっかり触れると怪我しそうなほど鍔が鋭く、刀身は氷のように冷たい。
オフィスの一角に飾られていた観葉植物で試し斬りをしてみると、なんなく斬れた。実戦で使える切れ味に加え、切断面には氷が張っている。
ひとまず命を預けられる武器が手に入ったが、直哉は不満だった。術師が得物を使うなどみっともない。


306 : 鳴りやまぬ内、思いを馳せて ◆U1VklSXLBs :2023/05/25(木) 04:57:58 /31EHv0M0
【禪院直哉@呪術廻戦】
[身体]:呂布@真・三國無双シリーズ
[状態]:健康
[装備]:ふぶきのつるぎ@ドラゴンクエストV
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:元の世界に帰って真希を殺しに行く。
1:せめて呪力が扱えるんなら、文句なかったんやけどなぁ。
2:この身体に呪力と術式を宿してもええか
[備考]
※母親に刺されて死んだ直後。
※領域は使えません。
※チャージ攻撃、無双乱舞などの技の扱いは、後続の書き手さんにお任せします。

【ふぶきのつるぎ@ドラゴンクエストV】
強力な氷の魔力を秘めた剣。その凍てつく刀身で斬りつけられた傷は凍り、痛みをさらに増すという。ゲーム的にはヒャド系呪文に弱い敵に大ダメージ。


307 : ◆U1VklSXLBs :2023/05/25(木) 04:58:22 /31EHv0M0
投下終了です


308 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/26(金) 22:10:08 A2hXoM9o0
投下します


309 : ヴァンパイア・クロス ◆NIKUcB1AGw :2023/05/26(金) 22:11:47 A2hXoM9o0
静かな夜に、足音だけが響く。
赤い帽子とジャケットを身に纏い、拳銃を手にして歩き続ける男の名は、アーカード。
英国ヘルシング機関の切り札にして、最強の吸血鬼である。
だが今の彼は、限りなく不死に近い肉体も、超常の力も奪われていた。

(いったい、何年ぶりになる……。
 人間の体でこうして歩くのは……。
 もはや、どんな感情を抱けばいいかもわからん)

今のアーカードが宿るのは、若い人間の体。
人間としては非常に高い身体能力を持っているが、本来のアーカードの肉体とは比べるべくもない。
だがそれでも、アーカードはこの肉体に好感を抱いていた。

(人間の身でここまで鍛え上げるとは、並大抵の努力ではなかっただろう。
 このロナルドという男、ジャパンで吸血鬼ハンターを生業にしているらしいが……。
 元の体に戻った時には、彼に戦いを挑んでみるのも悪くない)

アーカードの口角が、無意識につり上がる。

(この人間に免じて、今回ばかりは闘争は控えめにしておくか……。
 むろん向こうから挑んでくる輩と、殺し合いの首謀者たちは別だがな!)

両の瞳を、ギラギラと輝かせるアーカード。
はたして本人の言うとおり、闘争を抑えることはできるのか。
たぶん無理である。


【アーカード@HELLSING】
[身体]:ロナルド@吸血鬼すぐ死ぬ
[状態]:健康
[装備]:フリントロック式44口径6連発リボルバー(残弾50)@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主催の撃破
1:積極的に戦うつもりはないが、向こうから攻撃されれば容赦はしない。


【フリントロック式44口径6連発リボルバー@ONE PIECE】
バロックワークスのエージェント、Mr.5が使用していた拳銃。
Mr.5は能力により自らの息を弾丸の代わりにしていたが、今回は通常の弾丸が付属している。


310 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/26(金) 22:13:10 A2hXoM9o0
投下終了です


311 : ◆7PJBZrstcc :2023/05/26(金) 22:29:28 q1CCG4lo0
以前コンペロリショタロワに投下したものを手直しして投下します


312 : ◆7PJBZrstcc :2023/05/26(金) 22:30:12 q1CCG4lo0
 殺し合いの会場北にある雪原。そこに二人の子供が立っていた。
 二人とも雪原にふさわしいモコモコの服装をしており、顔立ちもそっくりだ。実は中身も双子である。
 違うのは服の色が青とピンクなことくらいだろうか。
 青い服を着ているのは男の子だが中身は女の子で、中身は姉であるナナ。
 ピンクの服を着ているのは体も中身も女の子で、妹であるノノ。二人はとても仲良しの双子である。

「変なことになっちゃったわね」
「ナナ。きっとこれは誘拐って言うんだよ」

 状況を理解しているのかいないのか、どこか呑気な物言いのナナにゆるくツッコミを入れるノノ。
 しかし、本質的にはノノもあまり姉と変わらない。

「でも殺し合いって遊びはどうしたら勝ちになるんだろう? 鬼ごっこやかくれんぼとは違うのかな?」
「そうね……」

 殺し合いというものを理解しておらず、首をひねるノノ。
 そんな彼女に対し、ナナは己の推測を話す。実の所姉も理解してはいないが、妹よりはマシだった。

「きっと私達と同じように、誘拐……? された人を皆やっつければ勝ちなのよ」
「そっか〜」

 ナナの言葉を聞いたノノは笑みを浮かべ、背負っているデイパックからハンマーを取り出してこう言った。

「面白そう! ナナ、一緒に頑張ろうね!!」
「そうね。頑張りましょう。でも……」

 笑顔のノノとは対照的に、ナナは不安げな表情である懸念を話す。

「お兄ちゃんはいないのかしら……?」
「そういえば、どこに行っちゃったんだろう? お兄ちゃんは誘拐されてないのかな?」

 お兄ちゃん。
 それは二人にとっては最近遊んでくれた近所のお兄さんであり、別に血縁があるわけでは無い。
 だが二人は彼が大好きである。故に、ある不安が二人を襲った。

「もう遊べないなんてことないよね、ナナ……」
「大丈夫よノノ……そうだわ。たしかあのえんむ? ってお姉ちゃんが、殺し合いに勝てばお願いを聞いてくれるって言ってたわ」
「じゃあノノかナナが優勝すれば、ずっとノノ達がお兄ちゃんと遊べるようにお願いすればいいんだね!!」

 ナナの言葉を聞き、笑顔になるノノ。
 心底から喜ぶ彼女はハンマーを振り回し、やる気を見せる。

「ええ……一緒に遊びましょう」

 それを受けてナナもまたデイパックからノノとは違うハンマーを取り出し、妹と同じく軽く振り回す。。
 そして二人は歩き始めた。
 一見子供らしい願いを掲げ、子供らしい笑みで雪原をただ進む。


 ところでここまで読んだ人には分かると思うが、この双子には善悪の概念や倫理観というものが存在しない。
 育ち方の問題なのか、元々こうだったのか。ともかく彼女達には、普通の環境で育てば持っているはずのものが備わっていない。
 故に人を傷つけること、殺すことに抵抗など一切ない。
 その性質故に彼女達が慕う『お兄ちゃん』に突き放されたが、それを理解することができない。

 故にナナとノノはこの殺し合いにおいて、他者からは脅威としか扱われないだろう。
 あるいは、彼女達に善悪や倫理観を教えることができればもしかしたら――


【ナナ@ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDぎゃーーーっ!】
[身体]:ポポ@大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ
[状態]:
[装備]:ハンマー@ペーパーマリオRPG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝して、お兄ちゃんとずっと遊べるようお願いする
1:せっかくだし他の人とも遊びたいわね
2:いつもと違う武器や体も面白いわ
[備考]
※参戦時期は本編登場前です
※ナナが死亡してもノノは死亡しません。それぞれ独立しています

【ノノ@ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDぎゃーーーっ!】
[身体]:ナナ@大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ
[状態]:
[装備]:ハンマー@マリオ&ルイージRPGシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝して、お兄ちゃんとずっと遊べるようお願いする
1:せっかくだし他の人とも遊びたいな
2:いつもと違う武器や体も面白いね
[備考]
※参戦時期は本編登場前です
※ナナの移動に合わせてノノは移動したりしません。それぞれ独立しています


【ハンマー@ペーパーマリオシリーズ】
ナナに支給。
木槌のハンマー。攻撃力は低い。

【ハンマー@マリオ&ルイージRPGシリーズ】
ノノに支給。
金属製のハンマー。攻撃力は上記のハンマーより高いが、油断すると金属部分がすっぽ抜けるので注意。


313 : ◆7PJBZrstcc :2023/05/26(金) 22:30:45 q1CCG4lo0
投下終了です
タイトルは『ヤンデレの女の子が参加してて眠れないシンチェンジロワぎゃーーーっ!』です


314 : ◆4u4la75aI. :2023/05/27(土) 13:20:34 .RFV8O.c0
投下します


315 : LOVE♡LOVE ◆4u4la75aI. :2023/05/27(土) 13:23:26 .RFV8O.c0

 空っぽ、全部空っぽだった。
 何もなかった、私には。

 あの人に、出会うまでは――

♡♡♡♡

 タブレットを操作し、入れ替わっている肉体のプロフィールを確認する。セーラー服を着ていた所から察していたが、自らと同じ高校生らしい。

「……ヤマギシ、ユカコ」

 山岸由花子。杜王町、ぶどうヶ丘高校の一年生。
 別に名前や通う学校の情報などどうでも良かった。それより目を引いたのが――

「ヒロセコウイチを、愛している」

 広瀬康一、同じ高校に通う男子。彼の詳細なプロフィールを書かれていないが、山岸由花子が彼を深く愛している事実が延々と書かれていた。
 それこそ、彼の為なら手段を選ばない、殺人すら厭わない、なんて記述も。

「……だから、この身体なのね」

 だがその文章に少女は恐れるも、怒りしなかった。
 何故?答えは簡単。

「私と、同じ」

 自らも、愛する人間の為ならば『何だってやる』のだから。

♡♡♡♡♡♡♡♡

 地面に置いたデイパックを、髪の毛を扱い持ち上げる。これは自分自身と山岸由花子の相違点。

「便利ね」

 『スタンド』なる力。今までに触れたことのない、漫画の様な異能力。山岸由花子は『ラブ・デラックス』というスタンドを持っているらしい。髪の毛を自由自在に操れる。単純だが扱いやすく、人間の殺害も確かに遥かに簡単になるだろう。

「いいセンスね、『ラブ・デラックス』」

 利用できるものは何でも利用する。それがポリシーな以上『ラブ・デラックス』の力は非常に使い勝手がいい。複数人を相手にした際でも普段の何倍も楽に対処出来るだろう。

「……嗚呼、センパイ。待ってて」

 殺し合い。愛しのセンパイにしばらく会うことができない事は辛いが、かなりのチャンスだと解釈。
 エンムという女……もしくは男が語るには、願いを叶えてくれるらしい。かといってセンパイの心が欲しい、なんて言っても洗脳でもされて心にもない言葉を呟くセンパイが手に入るだけ。それはそれで構わないが、望むのは――

「センパイに擦り寄る奴等の排除」

 魘夢やその裏に居る人間の事は知らないが、殺し合いなんて催しを開いた上身体を入れ替えるなんて芸等もしている。対象を排除する事なんて容易い事だろう。

 ここはアカデミ高校ではない、人を殺しても許されるどころか、人殺しが推奨されている場。変に頭を使い人の目を盗んだ殺害をする必要もなければ、証拠隠滅なんてものいらない。ただ殺して殺して殺せば、エンムの元へと辿り着ける。

「……今の所、イージーモードね」

 だが油断してはならない。殺し合いなんてものを行う以上、皆が反抗的なものではつまらない。必ず、自らと同じように殺しに積極的な人間が居るだろう。その上自らに与えられたこの身体、そして能力。『スタンド』という力は、他の人間も持っている可能性がある。それに『スタンド』が髪を操る力を差す言葉というわけではないだろう。あらゆる異能力を相手にする覚悟も持っておかなければならない。

 それでも、大丈夫だ。

「……愛は無敵だ」

 偶然か、山岸由花子も発したその言葉。
 愛が、愛こそがこの世で最も強い力。彼女達はそう、信じている。

♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

 センパイ、センパイ。
 私に“全て”をくれた。
 私の空っぽを、埋め尽くした。
 センパイ、ああ愛しのセンパイ。
 待っていてください。
 この場所を乗り越えて。
 私はあなたと、永遠に
 一緒。

♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

 精神に在る少女の名は、アイシ・アヤノ。
 アカデミ高校。自らの邪魔になる人物は容赦無く排除し、たちまち学内を恐怖に陥れる。

 ただ、場所が移っただけだ。
 新たにYandereのSimulatorが始まるだけ。



【アイシ・アヤノ@Yandere Simulator】
[身体]:山岸由花子@ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝し、センパイだけとの永遠を望む。
1:異能力に注意。
2:センパイ……♡
[備考]
※スタンドはゲーム内でのイースターエッグにて扱っていた為難なく扱えます。


316 : ◆4u4la75aI. :2023/05/27(土) 13:27:24 .RFV8O.c0
投下終了です。
そして何度もすみません、以前投下した『救済の物語』の状態表をwikiにて、装備欄にまどかのソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカを追加、及びソウルジェムは支給品に含まないという旨の備考を追加させていただきました。


317 : ◆OmtW54r7Tc :2023/05/27(土) 20:20:09 5tAP.lMw0
投下します


318 : ドワーフの息子、ドワーフになる ◆OmtW54r7Tc :2023/05/27(土) 20:21:01 5tAP.lMw0
ロイド・アーヴィングという少年がいた。
彼は、幼い頃に母親と共に森で倒れているところをダイクというドワーフ族に拾われた過去を持つ。
母親はダイクに息子を託してそのまま死んでしまったが、ロイドは育ての親であるダイクの影響で正義感の強い真っ直ぐな少年に育った。
ドワーフである彼には劣るものの、手先は器用で幼い頃に叩きこまれたドワーフの誓いを心に刻み、血の繋がりどころか種族さえも違うダイクのことを実の父親のように大切に想っている。
そんな少年が今、この殺し合いに呼ばれてしまった。
自分とは別の肉体が提供される奇妙な殺し合いで彼に与えられた姿、それは…

「まさか親父と同じドワーフになっちまうなんてなあ」

牛のような角の生えた兜をかぶり、顎には立派な髭を生やした大柄なドワーフの戦士。
ガレス・ランドロック。
それがロイドに与えられた肉体であった。

「ドワーフって言ってもむっちゃ老けてるし、その割に身体はムキムキだし…親父の息子になったって感じはあんましないなあ」

手鏡を見ながらそんな感想を漏らす。
いや、ダイクも大概老け顔だが、なんというか…このガレスというドワーフには、迫力というかオーラというか…そういうのを強く感じるのだ。
見た目通りに相当鍛えている生粋の戦士、という感じだ。
ロイドは続けてタブレットというものを操作してプロフィールを見た。

「神ロキの眷属?よく分からねえけど、天使と関係あったりしねえよな」

ロイドは試しにガレスの肉体の頬をつねってみた。
うん、痛みを感じる。
とりあえず天使疾患で痛覚を失ったとか、そういうことはなさそうだ。

「ただ、エクスフィアもないのに妙に力強さを感じる…大丈夫だよな?この身体」

友人の身に起きたことを思い出してか、ロイドにしてはやや慎重で疑り深くなっていた。

「ま、いっか。考えても分かんねえし」

が、やはり難しいことを考えるのは柄ではない彼なので、すぐにその思考を打ち切った。
難しいことを考えるのに飽きたとも言えるかもしれない。


319 : ドワーフの息子、ドワーフになる ◆OmtW54r7Tc :2023/05/27(土) 20:21:52 5tAP.lMw0
「武器は…これ、プレセアの斧、だよな」

ガイアクリーヴァー。
魔装備という特殊な武器を除けばプレセアの最強武器にあたる斧である。
ガレスも斧使いであり、パワフルな彼の肉体にはぴったりの武器ではあるが…やはりここにも懸念がある
一つは、この殺し合いにプレセアも巻き込まれているかもしれないということ。
あるいはプレセアだけでなく、コレットや他の仲間たちも巻き込まれているかもしれない。
そしてもう一つは、

「俺、二刀流なんだけどな」

ロイドの元々の戦闘スタイルだ。
手数とスピードで勝負する二刀流と、一撃の重さで勝負する斧では、根本的に戦い方が違うのだ。

「これで使えそうなのは…魔神剣と獅子戦吼、岩砕剣、後は武器が関係ない粋護陣くらいか?」

他には魔神剣の派生で剛・魔神剣や魔皇刃、獅子戦吼の派生で獅吼翔破斬辺りも頑張ればいけるだろうか。

「他には…プレセアの技か。爆砕斬とか孤月閃なら見様見真似ですぐ使えそうだけど、他は慣れないと難しそうだな」

ともかく、慣れない考え事は終わった。
ロイドは立ち上がると、今にもこちらに迫って来そうな、元の世界とは似ても似つかない月を睨みつける。
そして斧を月めがけて突きつけると、宣言した。

「見てろよ魘夢!殺し合いも月の落下も、俺が絶対に止めてやるからな!」

【ロイド・アーヴィング@テイルズオブシンフォニア】
[身体]:ガレス・ランドロック@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
[状態]:健康
[装備]:ガイアクリーヴァー@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いも月の落下も止めてみせる。
1:仲間を探しつつ身体と斧に慣れる。
2:この身体、天使みたく副作用あったりしないよな?
[備考]
※救いの塔2回目直前からの参戦です。
※斧で使えるロイドの技は「魔神剣」「剛・魔神剣」「魔皇刃」「獅子戦吼」「獅吼翔破斬」「岩砕剣」「粋護陣」です。(このロイドはSタイプとします)
 剣を斧と同じように扱う先輩主人公もいたので斧に慣れれば他の技も使えるようになるかもしれません。
 プレセアの技で現在使えるのは「爆砕斬」「孤月閃」のみです。
 原作のように戦っているうちに他の技も習得できるかもしれません。


320 : ◆OmtW54r7Tc :2023/05/27(土) 20:22:32 5tAP.lMw0
投下終了です


321 : 名無しさん :2023/05/28(日) 21:37:16 bUdZWhQ.0
すみません、候補作を読んでて気になったことがありました
39「名は体を表してたまるか」についてです
この話では、熱田充瑠の肉体を与えられた人物に、キラメイレッドの変身ツールであるキラメイチェンジャーが支給されていないという描写がありましたが
このロワのルールでは、変身アイテムの支給はコンペ中だけとなっています
承知の上で支給しなかったというのならいいのですが、もしこのルールを知らないまま投下したのなら、このまま通すと後々後悔してしまうのでは、と思い一応指摘させていただきました


322 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/28(日) 23:15:34 HF7NBNgs0
>>321
該当話の作者です
変身アイテムに関しましては、ルールを承知した上であえて支給しませんでした
理由としてはキラメイジャーのメンバーは精神面を評価されてスカウトされており、
精神が別人の場合変身できるかどうか確信が持てなかったからです
いちおう自分の調べた限りでは変身資格についての設定は見つかりませんでしたが、
個人的な判断で支給を見送りました


323 : ◆TruULbUYro :2023/05/29(月) 05:24:36 VbmV/nT.0
投下します


324 : 煌めく夜に会いましょう ◆TruULbUYro :2023/05/29(月) 05:26:14 VbmV/nT.0



なんという恐ろしい化物なのだろう。

僕はとんでもない身体になってしまった。

世界中、隅々まで探してもこれ以上の生き物はいない。

こんな化物、この世に存在して良いはずがない。

嗚呼どうか。どうか皆さん、僕を殺しに来てください。

だれでも構いません。この化物に立ち向かえる人なら、誰でも。

そんな素敵な方がいるのなら、僕は──────

──────僕は…。



◆◆◆



男は震えていた。
自身に宛がわれた肉体、吸血鬼(ヴァンパイア)アーカード。
500年も昔、悠久の時から生き続ける串刺し公。
大英帝国が誇る対吸血鬼機関 王立国教騎士団ヘルシングの鬼札。
人である事を諦め、生命の理に背いた同じ吸血鬼さえ。
泣いて自らが唾吐いた神々に許しを請う最強のアンデッド。
信仰、戦争、憧憬。様々な執念に執り憑かれた極々少数の狂信者達。
化物も死さえを恐れぬジャンキー共ですら終ぞ滅ぼしきれなかった不死者。
タブレットとの壮絶な悪戦苦闘の結果把握した、その語るも悍ましき力と異常性に。
戦争も異能さえ知らぬ男は、心の底から震えていた。

無理もない話ではある。
不死身の吸血鬼など、一小市民に宛がうには過ぎた力。
例え殺し合いで生き残るには限りなく最適な身体であったとしても。
人は有り得がたき力に恐れを抱く。人は人ならざる身へと堕ちた事実に絶望する。
実際男も、アーカードをこの世に存在してはならない、忌むべき化物だと判断していた。
決して生かして還してはならない世界の異物。

化物は葬られなくてはならない。
男は、自らの死を願う。
肉片の一片から毛髪の一本に至るまで、徹底的な己の根絶を望む。
鮮血で丹念に染色したかの如き、死臭漂う真紅の外套を纏った吸血鬼。
此処が日本ならいざ知らず、こんな狭く小さな世界なら必ず大勢の耳に届く。
人喰い・化物喰いの悪鬼羅刹。
その所業とあり方を聞けば誰もが、恐れ、忌み嫌い、蔑み、討伐の対象とする。
正義か、保身か、それとも狂気か。
思い思いの信念を掲げて皆が化物を殺しに現れるだろう。
男は将来待ち構える、自身の凄惨な末路を思い浮かべ───

「──────ああ、素敵だ」

全身から溢れ出る"歓喜"を言葉で紡ぎ。

「化物(これ)なら皆きっと、僕を残酷に殺してくれるぞ」

無限に膨張する妄想の中で震え───そして、絶頂した。


325 : 煌めく夜に会いましょう ◆TruULbUYro :2023/05/29(月) 05:27:52 VbmV/nT.0
◆◆◆


アーカードに宛がわれる魂が、ありふれた一般人であるはずもなかった。
肉体が生粋の怪物であるならば、精神もまた一種の怪物でなくては釣り合わない。
吸血鬼に宿った新たな怪物の名は辺見和雄。
誰に対しても物腰も柔らかく、人当たりの良いニシン漁師。
しかし、その正体は犠牲者総数百名以上にも上る連続殺人鬼。
変人奇人の巣窟、網走監獄の刺青囚人の中でも一二を争う大罪人。

辺見和雄の犯行動機は自身への殺害願望。
「凄惨に殺されたい」と言う度し難い性癖こそが殺しの原動力。
幼少期、彼は魅了されたのは猪に食い殺されんとする弟の姿。
人の力で絶対に勝ち目のない獣に押し倒され、生きながらに肉を貪られ続ける。
そんな絶望の中、弟が生を掴む為、必至に藻掻いた。藻掻いた末に、抵抗虚しく死んでいった。
弟が最期に魅せた『命の煌めき』。その美しさに辺見は深い羨望と情欲を抱いたのだ。

弟と同じ光をもっと見たい。自分も弟の様に輝きたい。
抗い難き強者を前に、足掻きに足掻いた末死ぬ。
最期の一滴まで命を絞り尽くした果てに放たれる、命の煌めきを夢見て。

辺見和雄の宿願は既に達成されている。
ようやく巡り合った"素敵な人"との煌めき(ころし)合いの末。
横から現れた無関係のシャチにより与えられた理不尽な死。
弟と同じく唐突に訪れた絶望に抗い、太陽もかくやと言うほどに、輝きを放って死ねたのだ。

故に辺見はこの地で覚醒した当初、深い虚無感に包まれていた。
あれ程凄まじい死は、何度生き返ろうと二度と実現不可能。
文字通り天にも昇る幸福を知ってしまったら、もう第二の人生など蛇足でしかない。
それなのに蘇らせるなんて、なんと無粋な真似を、と。

(世界はなんて広いんだ。僕の死が霞む程の絶望が、この世にあるなんて──!)

だが、「えんむ」と名乗る少女のが開いた殺し合い。
精神の入れ替わり、世界を圧し潰す巨大な月、そして死なずの君、アーカードの存在。
殺し合いの壮大なスケールを理解した時、辺見は自らの浅はかを思い知らされた。
次々に辺見を襲う想像だにしない衝撃の事態は、充足感が作り出した天井を易々と突き破り。
その穴から広がる夜空に、爛々と輝く煌めきがまだまだ沢山あると教えてくれた。

(しかし僕の浅識っぷりでは、彼の煌めかせ方が皆目見当がつかない…)

辺見に自身の肉体を滅ぼす手段は皆目見当がつかなかった。
アーカードが持つ驚異的な戦闘能力と再生能力。
玉切り包丁で首を撥ねられようと死なず。
機関銃の雨に撃たれようとケロリと起き上がり。
獰猛なケダモノの群れに全身を引き裂かれようと生還。
例え日露両国を敵に回し、全勢力と戦争したとて。
自らが作り上げた夥しい屍の大地に立ち、嗤う姿が目に浮かぶ。

この有様では、彼の望む死など迎えられるはずがない。
常識の範疇で殺し合っても、アーカードが蹂躙してお終いだ。
迫る来る理不尽を前に足掻く人々の姿は、それはそれで綺麗だろうが、駄目なのだ。
一番味わいたいのは己自身の煌めき。必死の抗いでのみ得られる生の極致。
死と隣合わせで無くては得られない輝きは、終わりなき不死者とって最も縁遠い光。


326 : 煌めく夜に会いましょう ◆TruULbUYro :2023/05/29(月) 05:29:20 VbmV/nT.0

「でも、きっと大丈夫ですよね?だって──ここは殺し合いなんですから」

ならばと、彼は考えた。
自分では考えつかなくとも、まだ見ぬ誰かに期待すればよいと。
ここは想像も及ばない出来事ばかりが起こる場所。
化物による蹂躙劇の舞台ではなく、殺意渦巻く戦場なのだから。
アーカードも一参加者。殺せない参加者など呼ぶはずがない。

吸血鬼と同じく人々に理不尽を振り撒く怪物。
怪物を恐れず、恐れようとも死に立ち向かう勇敢な人間。
不死者とそれに比肩する超人達との殺し合いは、辺見には想像の及ばない未知の領域。
其処に必ず、この怪物(アーカード)の死は存在する。
彼は確信していた。人と化物、化物と化物による闘争の果て。
その先に訪れるであろう吸血鬼の眼すら焼き焦がす程に眩い、命の煌めきを──!

そうと決まれば探し(ころし)に行こう。
僕(バケモノ)"なんか"に殺されない、強く激しく煌めかせてくれる人を求めて。
やる事はいつもと変わらない。
死(エサ)をばら撒いて、獲物が食いつくのを待つだけ。
殺して殺して殺し尽くした先に、素敵なひと──杉元佐一の様な運命的出会いが待っているはずだ。

いや、もしも。
もし彼も殺し合いにいるとしたら。
その時あの人はどんな姿でいるだろうか。
自分と同じ化物?それとも何の力も持たない人間?
いや、どっちだろうと関係ない。

何故なら彼は不死身の杉元。
如何なる死も捻じ伏せ、跳ね除け、乗り越えて来た兵士。
積み重ねた死を一つとて忘れず、罪を背負い、罰を覚悟して生き続ける人殺し。
誰よりも死を前に諦めず抗ってきたからこそ、強く激しい煌めきを持った素晴らしい人間。
彼ならば、理不尽な死(アーカード)を前にしても、全力で抗うだろう。
禍々しくも輝かしき、絶望の月の下、また巡り合えたなら。
姿形は違えど、化物を葬りに来た彼と、また一緒に煌めき合えたなら───

「そんなの、最高すぎるじゃないですかぁ……!」

甘美な未来に、辺見の頬がだらしなく緩む。
その浮かれ姿は、人間に殺戮と闘争を振り撒く化物にあらず。
さながら思い人との逢瀬に一喜一憂する、うら若き乙女の様であった。

◆◆◆


嗚呼どうか。どうか皆さん、僕を殺しに来てください。

だれでも構いません。この化物に立ち向かえる人なら、誰でも。

そんな素敵な方がいるのなら、僕は──全力で殺しに伺います。

ですからどうぞ。貴方達も全力で抗ってください。

殺し合いと言う名の絶望の泥の中で。

さぁ一緒に煌めきましょう。


【辺見和雄@ゴールデンカムイ】
[身体]:アーカード@HELLSING
[状態]:健康、高揚感、下半身がちょっと湿っている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生前以上の最高の煌めきを探しに。
1:自分の存在を喧伝出来る様に、参加者を殺していく。
2:化物と殺し合える強い人を見つけたら、煌めかせてもらう
3:杉元さんが此処にいたら…最高過ぎるッ!!
[備考]
※死亡後から参戦。
※現状命の残機は1。心臓を破壊されれば復活せず死亡します。
※拘束制御術式の制限は採用時、後続の書き手様にお任せします。


327 : ◆TruULbUYro :2023/05/29(月) 05:30:10 VbmV/nT.0
投下終了です


328 : ◆U1VklSXLBs :2023/05/29(月) 05:37:48 hzxUd7460
投下します


329 : どこでこわれたのohフレンズ ◆U1VklSXLBs :2023/05/29(月) 05:38:36 hzxUd7460
体を入れ替えた上での殺し合い、という異常事態に陥れられた深見は、自分でも驚くほど冷静に動いていた。ここに来る直前、深見はスナイパーの技術を仕込んだ"だりあ"と助っ人に襲撃され、所有するコカの葉と大麻の栽培場を駄目にされた。
次々と殺されていく部下を置いて逃走している真っ最中、いつの間にかエンムだかウタとかいう女の前に招かれていた。

(首の皮一枚で助かったわ)

ツキにはまだ見放されていないようだ、と支給品の鋼の剣を手に深見は会場内を探索する。

(どんくらい参加しとるかわからんが、絶対に優勝したるでよ)

深見はタブレットで地図を確認しながら、探索を行う。どうやら自分はC-4にいるようだ、と見当をつけた深見は駅を目指して歩く。その視界、優に20mは離れた前方にスーツ姿の女が現れた。眼鏡をかけており、黒髪を長く伸ばしている。

(もっと近づかにゃいかんわ)

警戒心を煽らないよう、深見は切っ先を下げて声を掛ける。簡単な自己紹介などを交えながら2人は近づき、距離が出会いから半分程度に縮まった時、眼鏡をかけた女はにっこりと微笑みながら、手に持っていたハンドガンを掲げた。
職業柄、深見は女の動作の意味がすぐにわかった。身を翻したすぐ脇を9mmのパラベラム弾が疾る。
素人か、と判断した深見を激痛が襲う。高速で飛翔する何かが背中から心臓を貫いたのだ。

(弾丸はッ…)

外れた、というのが深見の最後の思考となった。


【深見@バイオレンスアクション(身体:コスタス@ファイアーエムブレム風花雪月) 死亡】

女、いや人格は男性である。マイロは身体のプロフィールにあった魔弾がもたらした疲労と倦怠感に襲われていた。留まっている訳にもいかず、少し離れた住宅に避難。息を潜めて休息をとる。本当は支給品を漁るなり、血を吸うなりしたかったが、発砲音を聞きつけた参加者に襲われたらマズい。
マイロが得た身体はナチス残党所属の吸血鬼であり、ホーミング能力のある弾丸を操る女性。彼女の弾丸は標的に命中した後も運動能力を失わないが、マイロは1回動かすのが限度だ。

(魔弾は当てにしない方がいいな…)

殺人に対する嫌悪感はない。それ以上に健康な身体が手に入った喜び、新しい生への執着の方が強い。25年前、血液疾患に苦しんでいた彼は同じ病に苦しむ親友マイケルと組んで、病を克服する事にした。
優れた知性を持つマイケルが治療法を研究し、自分が出資者となって彼を支援する。そして…マイケルはやり遂げた。
血液を飲み、病気が回復したように見えたマイケルに同じ施術を求めたマイロだったが、マイケルは実験によって身についた、血を渇望する怪物の如き体質に戦慄していた。

ー制御できないんだ!
ー自分だけ生きて僕は死ねと?

マイケルは頑なに拒絶したが、彼の研究成果はマイロの役に立った。血清を使い、進化した肉体を手に入れたのだ。そしてこの場においても、超人と化した人物の肉体を得た。必ずや殺し合いを生き延びて兄弟とヨボヨボになるまで、…或いは永遠に生きるのだ。


330 : どこでこわれたのohフレンズ ◆U1VklSXLBs :2023/05/29(月) 05:40:06 hzxUd7460
【マイロ(渾名であり、本名はルシアン)@モービウス(映画版)】
[身体]:リップヴァーン・ウィンクル@HELLSING
[状態]:軽度の疲労、倦怠感
[装備]:ブローニングHP@バイオハザード2
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:生存。マイケルと共に新たな生を謳歌する。
1:素晴らしい!身体が軽い!
2:消耗が激しい…魔弾の使い所は考えないと
3:変わった自分を楽しもう…僕はそうするよ、兄弟
[備考]
※魔弾の性能は調整されています。使うたびに元気と体力が減り、短時間のうちに濫用すると身動きが取れなくなります。
また、弾丸操作は1発につき1回が限度です。
マスケット銃使用なら、少し性能が上がります。
※血清を使った後から参戦。


【ブローニングHP@バイオハザード2】マイロに支給。
ベルギー製の大型拳銃。HPはハイパワーの略で、弾薬は9mmのパラベラム弾を使用する。


331 : ◆U1VklSXLBs :2023/05/29(月) 05:40:40 hzxUd7460
投下終了です


332 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/31(水) 19:16:25 8TylGlPo0
皆さん投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>私が禪院家当主になれないのはどう考えても出来損ないが悪い!
かなりアレな思想のまま対主催になろうとしている点が笑いを誘う。

>全部愛して地獄で壊して
全部ぶっ壊し済みだと思っているから比較的安定している気がするけど、これが変わるかどうかは…名簿次第ですかね。

>アイムカムバック!
フェリクスを映画の主人公のように…そういったことは思い付かなかった。

>きっとここに夢の続きなんてないさ
ティーダの決意かっこよすぎだろ!

>サル野郎
猿は猿でも、宇宙猿。
何でサイヤ人って野菜の名前なのに大猿に変身する種族なんでしょうね?

>忌まわしき体
仕方がないこととはいえ、これで参戦時期が本編終了後扱いなことに少し笑いが出てしまう。

>救済の物語
中村…ただでさえ誰?とか言われていたのに、身体のせいで余計に誰からも気にされなさそう。
いや、生きてたとしてもそれはあまり変わらない気もするし、どちらにしてもかわいそうを避けれなさそう。

>スモール・ワールド
ロードバロンの真っ当なヒーローっぽい活躍をする図が見られるかもしれない。

>お菓子を愛する者たち
菓子禁止令はそりゃあ情報だけでも許せない。
食べ物の恨みは恐ろしいのです。

>鳴りやまぬ内、思いを馳せて
直哉…呪霊化してなくてもこういう奴になってしまうか。
"こっち側"へは近付いたのか遠ざかったのか。

>ヴァンパイア・クロス
どちらにしても、ヴァンパイアハンターであることには変わらない。
服装も元から似ている気もしますね。

>ヤンデレの女の子が参加してて眠れないシンチェンジロワぎゃーーーっ!
スマブラのアイスクライマーと言えば、Xで選択した時の「行くよ!」の掛け声が印象的でした。
それが、「逝くよ!」になっちゃうんですかね。

>LOVE♡LOVE
出たわね、センパイへの告白以外なんでもできる女。
このロワの舞台上なら、彼女の何でもあり度も上がりそうか?

>ドワーフの息子、ドワーフになる
他種族の知人と同じ種族になるっていうのは、少し変な気分になるでしょうね。
元々の関係が義理の親子という良好なものだったのが幸いな感じですかね?

>煌めく夜に会いましょう
辺見ちゃんがとんでも強マーダーになってしまった。
目的が変わらないまま人外になられてとても恐ろしい存在になっている感じがします。

>どこでこわれたのohフレンズ
いきなり弾丸を操ってくる奴に遭遇したことそうだけど、コスタスというだいぶどうにもできなさそうな奴があてがわれたのも不運な感じがします。
それからついでで申し訳ありませんが、遅れて気付いたことについてもここに記します。
本ロワでは地図の配布は本編後、コンペ時には具体的な現在地は記さないとしていました。
しかしこの話では深見が地図を見る描写と、現在地をC-4だとする描写があります。
お手数おかけしますが、これらの点について見直していただけると幸いです。


333 : ◆5IjCIYVjCc :2023/05/31(水) 19:19:39 8TylGlPo0
名簿ルールについて少し変更します。
本編開始後に配布予定の「意思持ち支給品の精神側名簿」と「副人格の精神側名簿」ですが、これらを一つにまとめて「その他精神側名簿」にしたいと思います。

また、ついでの連絡になりますが、リアルの都合により、来週の6月6日(火)〜6月16日(金)まで、こちら側に顔を出すことができなくなります。
その間、私の方でまとめWikiの編集等といった対応もできなくなります。
ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうかご了承願います。


334 : ◆U1VklSXLBs :2023/05/31(水) 20:21:43 .iTfaEBQ0
>>332
見落としてました。wikiの方を修正しておきます。


335 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/31(水) 21:35:57 oAxWuAbk0
投下します


336 : 悪夢のヒーロー ◆NIKUcB1AGw :2023/05/31(水) 21:38:12 oAxWuAbk0
仲村叶は、一般人である。
熱心な特撮番組オタクという特徴はあるが、それを加味しても凡人の域を出ない。
そんな彼女が、何の因果かこの度の殺し合いに参加させられてしまった。


◆ ◆ ◆


「なんで私が、こんなことに……。
 そりゃ現実離れした話にハマってるけど、自分自身が現実離れした体験をしたいわけじゃないのに……」

森の中、手鏡にぼんやりと視線を向けながら仲村は呟く。
鏡に映るのは、本来の仲村よりだいぶ若い少女の姿。
深海カノン、という名前らしい。

「別人の体になるなんて、普通に考えてあり得ないんだけど……。
 何度ほっぺたつねっても痛いし!
 現実が受け入れられない!」

少しでも不安を紛らわせようとするかのように、仲村は一人でしゃべり続ける。
その背後から近づく影に、彼女は気づかない。

「!?」

仲村がそれに気づいたのは、背後からの強烈な殺気を感じ取った時だった。
直後、彼女が寄りかかっていた木が爆ぜる。
衝撃だけで吹き飛び、地面に伏す仲村。
その体に、小さく砕けた木片が降り注ぐ。

「うう……」

かろうじて意識を保っていた仲村は、なんとか首を動かして襲撃者の姿を確認する。
そこに立っていたのは、全身タイツのようなコスチュームを身に纏った筋骨隆々の大男だった。
まるで、アメリカンコミックから飛び出してきたかのような風貌だ。

「すいません……。私、アメコミはあんまり詳しくなくて……」
「ああ? 何言ってるんだ、おまえ」

仲村の口から漏れ出した言葉に、襲撃者は顔をしかめる。

「痛みで意識がもうろうとしてるのか?
 まあいい。あんたに恨みはないが……。
 俺の目的のために、死んでもらうぜ」

瞳に狂気の光を宿しながら、男は仲村に向かって拳を振り下ろそうとする。
だがその瞬間、見えない何かが彼の顔面を直撃した。

「ぐあっ!」

予期せぬ攻撃に対処できず、男は尻餅をつく。
その間に一人の少年が仲村に駆け寄り、その体を抱き起こした。

「ギリギリセーフ、というところか……。
 遅くなってすまない、お嬢さん。
 だがもう大丈夫。なぜなら……。
 私が来た!!」

少年はそう告げて、サムズアップを決めながら不敵に笑った。

「あ、ありがとうございます……。
 あなたはいったい……」
「私はヒーロー、オールマイト!
 信じてもらえないかもしれないが……あの体の、本当の持ち主さ」

そう告げて、少年は目の前の巨漢をにらみつけた。

「へえ、この体は元々あんたのなのか」

ニタニタと笑いながら、オールマイトの体に入った男は立ち上がる。

「いい体じゃないか。とても人間とは思えない筋力だ。
 この化物じみた体があれば、優勝も充分に狙える!
 感謝するぜ!」
「そんな感謝、全く嬉しくないな」

男の言葉を、オールマイトは即座に斬り捨てる。

「私の力は、人々を守るためのものだ。
 それを、殺戮のために使うというのなら……容赦はしない!」

オールマイトは腕に鈍色の筒をはめ込み、それをおのれの肉体に向ける。

「ドカーン!」

叫び声を引き金に、筒から弾丸と化した空気が発射される。
だが男は両腕を交差させ、その空気を防御する。

「なにっ! 空気砲が……」
「さっきは不意打ちだから、派手に転んじまったが……。
 真正面から撃たれたならどうにでもできるっての。
 それが可能な体だってのは、おまえが一番わかってるんじゃねえのか?」
「くっ……」

自分の顔で煽られ、オールマイトは歯噛みする。


337 : 悪夢のヒーロー ◆NIKUcB1AGw :2023/05/31(水) 21:39:03 oAxWuAbk0

「薄々感づいてはいたが……。
 これはまずいな」
「え? 何がですか?」
「私に支給されたものの中で、武器になるのはこの空気砲だけだ。
 そしてこの肉体である、響少年だが……。
 以前はヒーローと一体化していたそうだが、現在は単なる一般高校生!
 戦闘力は無きに等しい!
 つまり空気砲が効かなければ、私に対抗手段はないのだ!」
「ええ……。それって詰んでません?
 どうすれば……」
「こうするのさ!」

突如、オールマイトは走り出した。
そしてある程度仲村と距離を取ると、襲撃者に空気砲を放つ。
すかさず、また走る。

(これは……)

仲村には、オールマイトが何をしようとしているのか理解できていた。
彼は襲撃者の注意を引き付け、その間に仲村を逃がそうとしているのだ。
たしかに襲撃者を倒すだけの力が無いのなら、一人でも生き残れる策を選ぶのは悪い判断ではない。
だが、必ずしも最善手とは言い切れない。

(ここで逃げたら……私は私の好きなものに顔向けできない!)

仲村が愛するのは、あくまでフィクションの中のヒーローだ。
だが仲村の心の中で、たしかにヒーローたちは生きている。
彼らの言葉は、これまで何度も仲村を救ってきた。
平和な日常の中と、命がけの状況を一緒にはできないかもしれない。
だがそれでも、仲村はおのれを支えるものを信じる。

(まだできることを全部やってないのに……諦めるわけにはいかないでしょ!)

万策尽きたわけではない。まだ、仲村の支給品は確認を終えていないのだ。
その中に、状況を好転させられるものがあるかもしれない。
わらにもすがる思いで、仲村は自分のデイパックをあさる。
そして、一つの支給品をつかんだ。

(この説明、とても信じられないけど……。
 信じられないことなら、すでに充分起こってる!
 かけるしかない!)

仲村は、視線をオールマイトに戻す。
巧みに距離を保ち続けていた彼だったが、やはり身体能力の差はいかんともしがたいのか追い詰められつつあった。
だが、まだ襲撃者の間合いには入っていない。今なら間に合う。

「オールマイトさん! 口開けて!」

叫びながら、仲村はそれを投擲する。
その言葉で、オールマイトは理解した。
投げられたものを、食べればいいのだと。
限界まで口を開けて、オールマイトは投げられたもの……派手な色のキノコを迎え入れる。
次の瞬間、とんでもない現象が起きた。

「は……?」

襲撃者は間の抜けた表情で、はるか上を見上げる。
その視線の先にあったのは、5メートルほどに巨大化した少年の肉体だった。

「ふーむ……。Mt.レディの個性のようだねえ」

呆然と立ち尽くす襲撃者に対し、オールマイトは冷静に現状を把握する。

「あまりヒーローとして絵面はよくないが……。
 そんなことを言ってられない相手なのは、よくわかってるからね。
 恨まないでもらおう!」

その言葉と共に、オールマイトは蹴りを繰り出した。
巨大な足に激突された襲撃者はなすすべもなく宙を舞い、やがて降下して森の中に消えた。
それを見届けていたオールマイトだったが、やがてその体が元の大きさに戻る。
支給品の効果が切れたらしい。


338 : 悪夢のヒーロー ◆NIKUcB1AGw :2023/05/31(水) 21:40:20 oAxWuAbk0

「しまったな……」

曲がりなりにも勝利したにもかかわらず、オールマイトは渋い顔を浮かべる。

「深く考えずに吹き飛ばしてしまった……。
 捕縛を考えたら、地面に叩きつけておくべきだったな」
「捕縛って……。あれは明らかに死んでるでしょ……」
「いや、おそらくは死んでいない。
 何せ、私の体だからね」
「どれだけ頑丈なんですか……」

真顔で断言するオールマイトに、仲村は軽く引く。

「というわけで、奴を見つけなければ。
 ついてきてくれ、えーと……。
 そういえば、まだ名前を聞いてなかったな」
「あ、仲村叶です……」
「オーケー、仲村くんだな!
 さあ、行こう!」
「あ、ちょっと!」

走り出すオールマイトを、仲村は慌てて追いかけた。


◆ ◆ ◆


走りながら、オールマイトは思考を巡らす。

(あの肉体、明らかにワンフォーオールを使っていた。
 まるで全盛期……少なくとも、オールフォーワンに傷を負わされる前の私だ……。
 主催者サイドに肉体の時間を戻せる個性の使い手がいるのか、
 あるいは緑谷少年からワンフォーオールを奪って私の肉体に戻した……?
 何にせよ、緑谷少年に悪影響が出ていなければいいのだが……)


【仲村叶@トクサツガガガ】
[身体]:深海カノン@仮面ライダーゴースト
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、巨大キノコ@スーパーマリオシリーズ、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:生き残る
[備考]
※参戦時期は本編終了後


【オールマイト@僕のヒーローアカデミア】
[身体]:響裕太@SSSS.GRIDMAN
[状態]:健康
[装備]:空気砲@ドラえもん
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(武器はなし)
[思考・状況]基本方針:人々を守る
1:自分の肉体に入っていた男を捕縛する
2:緑谷が少し心配
[備考]
※参戦時期は雄英教師就任後


【巨大キノコ@スーパーマリオシリーズ】
2個セットで支給。
食べるとスーパーキノコよりもさらに巨大化できるキノコ。
このロワにおいては、効果発動中は物理ダメージを受けないが状態異常は有効。
1分で効果が解除される。


【空気砲@ドラえもん】
腕にはめ、「ドカーン!」と叫ぶと空気を発射できるひみつ道具。
武器系ひみつ道具の筆頭としておなじみ。


339 : 悪夢のヒーロー ◆NIKUcB1AGw :2023/05/31(水) 21:41:32 oAxWuAbk0


◆ ◆ ◆


「くそっ、さすがにあれは予測できなかった……」

なぎ倒された木々の傍らで、血まみれの男が呟く。

「しかし、あれだけの目に遭って死なないとは……。
 本当に化物だな、この体。
 まあ、おかげで助かったが……」

荒い息を漏らしながら、男はデイパックから一つのアイテムを取り出す。

「つけてるだけで傷を癒やす腕輪なんて、信じちゃいなかったが……。
 人間が巨大化できるなら、これも嘘じゃなさそうだ」

腕輪をはめると、男は大きく息を吐く。

「とりあえず、これで傷が癒えるまで待つか……。
 それが済んだら、あの二人に復讐してやるぜ……。
 そしてその後は……あいつらだ……」

男の両手が、自らの頬をかきむしる。

「この力があれば、タコ野郎も俺を馬鹿にした連中も叩きのめせる……。
 待ってろよ……。必ず優勝して、復讐を……」

男の名は、鷹岡明。
狂気に支配され、我欲に溺れた男。
ヒーローからは、遠くかけ離れてしまった男。


【鷹岡明@暗殺教室】
[身体]:オールマイト@僕のヒーローアカデミア
[状態]:ダメージ(大)
[装備]:いやしの腕輪@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝する
1:オールマイトたちに復讐する
[備考]
※参戦時期は夏休みにA組を襲う直前


【いやしの腕輪@ドラゴンクエストシリーズ】
装備していると、一定時間ごとにダメージが回復するアクセサリー。


340 : ◆NIKUcB1AGw :2023/05/31(水) 21:42:24 oAxWuAbk0
投下終了です


341 : ◆ytUSxp038U :2023/05/31(水) 23:43:12 V02/49Z.0
投下します


342 : 誰!? ◆ytUSxp038U :2023/05/31(水) 23:44:06 V02/49Z.0
「いや誰なのこの人ォオオオオオオオオオ!?」

山崎退は叫んだ。
今が危険な状況である事も忘れ、全力でツッコんだ。

地味だのジミーだの言われ続けたし、単行本の表紙だって一度も飾らず銀魂は完結した。
作者公認の扱いにはもう諦めている。
でもだからって、これはあんまりだろう。

山崎が握り締めるタブレット。
画像に表示されたプロフィールには特技も経歴も何も記されていない。
ただ一文だけこう記されていた。

『名前:病院に現れた謎の人物』


【山崎退@銀魂】
[身体]:病院に現れた謎の人物@ゴールデンカムイ
[状態]:謎の大怪我
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:誰なんだよこの体!?
[備考]


343 : ◆ytUSxp038U :2023/05/31(水) 23:44:43 V02/49Z.0
投下終了です


344 : ◆OmtW54r7Tc :2023/06/01(木) 21:24:12 yHtLr3cI0
投下します


345 : ◆5IjCIYVjCc :2023/06/01(木) 21:26:04 8MAAXG760
投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>悪夢のヒーロー
最悪のヒーロー教師が誕生してしまった。
AFOがこれを見たらどう思うだろうか。

>誰!?
うわああ!誰なのおじさんだ!
あの情報将校の鶴見中尉に自身に関する情報を一切入手させなかった誰なのおじさんじゃないか!


346 : その嘘に賭ける ◆OmtW54r7Tc :2023/06/01(木) 21:26:18 yHtLr3cI0
『おおい!狼が来たぞー!』

少年は嘘をついた。

『狼が来たぞーい!』

何度も何度も嘘をつき続けた。

『た、大変だ!狼が…!今度は本当だよ!信じてくれよ!』

そして破滅した。

800,800,800,800,800,800,800,800,800,800,800,800,800,800,800,800

「なんだよ…なんなんだよ、これは!」

上空の不気味な月を見上げながら、褐色で長髪の男性が怯えていた。
無理もないだろう。
現在のその見た目こそ成人男性であるが、その中に宿る精神はまだ少年なのだ。

「はは…嘘ばっかついて、罰が当たるにしたって…ここまでするかよ」

少年は、元の世界では羊飼いをしていた。
しかし、平穏な毎日に退屈していた羊飼いの少年は、とある遊びを思いついた。
町の大人たちに向かって、「狼が来たぞ!」と叫ぶ遊びを。
羊飼いの少年の言葉を信じた大人たちは、慌てて少年の牧場へ殺到する。
そして騙されたと知って憤慨して帰っていく。
そんな大人たちを面白がった羊飼いの少年は、何度も何度も同じことを繰り返した。

だが、そんなある日、羊飼いの少年の前に本当に狼が来た。
羊飼いの少年は必死に大人たちに助けを求めたが、大人たちは「どうせ嘘だろう」と、誰も相手にしてくれなかった。
そして羊飼いの少年は、大切な羊をすべて失ってしまった。


347 : その嘘に賭ける ◆OmtW54r7Tc :2023/06/01(木) 21:27:26 yHtLr3cI0
「優勝者はどんな願いでも叶えられる…」

魘夢という女が話していた言葉を思い出す。
正直、胡散臭いことこの上ない。
あの女が自分のような嘘つきだって可能性もある。
だけど…もし本当に願いが叶うと言うのなら。

「俺は…過去に戻ってやり直したい…!」

嘘偽りない本音が、羊飼いの少年の口からこぼれる。
嘘をつかなければ、あの日大人たちは狼を退治してくれた。
羊たちを失うこともなかった。
今度こそ正直に生きて、やり直したい。

少年はデイパックの中身を確認し、肉体のプロフィールが載っているというタブレットという未知の道具を慣れない手つきで操作した。
この肉体は、ティッツァーノという名前らしい。
彼はスタンドと呼ばれる異能を持っており、その能力は…

「『トーキング・ヘッド』…!?嘘をつかせる能力…!?」

まるで自分の過去を皮肉ったかのような能力に、少年は愕然とする。

「ふざけるなよ…嘘であれだけひどい目にあった俺に、嘘をつかせろってのかよ!?」

それは、かつての過ちを繰り返すかのような蛮行と言えた。
嘘をつくのは自分じゃなくて他人とか、そんなのは屁理屈だ。
この能力を使うのはかなり気が引ける。

(でも…俺は、それでも…!)

しかし同時に、羊飼いの少年は知っていた。
嘘というものの恐ろしさを。
嘘をついたものに待っている破滅を、その身をもって知っていた。
この能力が非常に強力な武器になるということを、痛いほどに知ってしまっていた。

「いい子ぶってんじゃねえ…!俺はもう汚れちまったんだ!自分の気持ちに嘘をつくな!過去に戻ってやり直す…それが嘘偽りない、俺の願いだろ!」

決意の言葉と共に、羊飼いの少年の背後に不気味な化け物…【トーキング・ヘッド】のスタンドビジョンが現れた。
嘘を利用して破滅した羊飼いの少年は、再び噓を利用する。
嘘偽りない、願いの為に。

【羊飼いの少年@イソップ童話「嘘をつく子供」】
[身体]:ティッツァーノ@ジョジョの奇妙な冒険
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝して過去をやり直す
[備考]
※参戦時期は狼に羊を全て食べられた後です。
※名簿上の名前は「羊飼いの少年」ですが、後続の方で本名を自由に設定してもらって構いません。


348 : ◆OmtW54r7Tc :2023/06/01(木) 21:28:02 yHtLr3cI0
投下終了です


349 : ◆dltjJrbYYM :2023/06/01(木) 22:55:34 QfjG4F4.0
投下します


350 : 命にふさわしい ◆dltjJrbYYM :2023/06/01(木) 22:56:08 QfjG4F4.0
「あぁ、良かった、殺せる……この体なら、たとえ人間でも、殺せる……!!」

歯を剥き出しにしてクツクツと狂ったような笑い声を出すのは、ヨルハ九号S型……通称9S。
地球に攻めてきたエイリアンから人類を守るために作られたアンドロイドである。

とはいえ既に地球人もエイリアンも滅んでいて、エイリアンの生み出した機械生命体となんの意味もない戦いをただただ繰り返しているだけなのだが。

そんな9Sの入った肉体は、人間と同じ『心』を持ってしまった哀しきロボット、ジロー。

不完全な良心回路『ジェミニィ』を持つが故に苦しんだ彼の末路は、服従回路『イエッサー』……すなわち完全なる悪の心を手に入れること。心の中の正義と悪が永遠に戦い続け、善にも悪にもなる人間と同じになることだった。

スキャナータイプとしての好奇心でジローのプロフィールを見た9Sは、勝手な都合で良心を付けられたジローを哀れむと同時に……自分と重ね合わせて、余計に自分が惨めになった。

「もうどうでもいいんだよ、全部っ!!」

仲間であり姉のように接してきた2Bを●したかった。けれどA2が彼女を殺してしまった。ヨルハ部隊は機械生命体に負けた。人類はもう滅んでる。エイリアンだってもう滅んでる。戦う意味もないのに、機械同士で命もないのに、殺し合っている。



本当に願いが叶うとして、一体何を願えばいいんだろう。

2Bを生き返らせる?直近のデータを復旧して適当な2Bタイプのボディを用意するのは可能だろう。でもその後はどうする。ヨルハ部隊も滅んだのに。
あの時の敗北をなかったことにしたところで、いつかはヨルハ部隊が負けるのは確定だ。ヨルハ部隊は捨て駒だからだ。

アンドロイドが戦う意味を持つ為に作られた、月面の人類偽装サーバー。とっくの昔にレプリカント計画の失敗で滅んでいた人類が、まだ月に生き残っているという嘘。その嘘を守る為に用意されたヨルハ部隊は・・・・・・証拠隠滅の為に、最初から全滅するように計画されていた。

何もかもなかったことにして、自分たちが産まれてきた意味さえ否定しなければ、自分たちは……ヨルハは幸せになれない。


351 : 命にふさわしい ◆dltjJrbYYM :2023/06/01(木) 22:56:36 QfjG4F4.0


「だから……だから壊してやるんだよっ、全部!!今さら……今さら人間と触れ合えたって、僕たちはっ!」


『私たちアンドロイドは、主たる人類を守るように作られている!その基礎プログラムが、私たちの心をっ……!』

「っ……!!うるさいうるさいうるさい、うるっっさぁああああいいい!!!」

この殺し合いに巻き込まれる直前に宿敵であるA2と交わした会話がフラッシュバックした9Sは、近くの木を殴り飛ばして鬱憤を晴らす。


「この体には、そんなくだらない基礎プログラムはない……あんなに会いたいと思ってた人間に会えるかもしれないと思っても、何とも思わないっ!!」



機械生命体のウイルスに犯された9Sの心なのか、イエッサーに侵食されるジローの心なのか、それは分からない。


それでも確かなことは、機械でありながらジローも9Sも「心」を持っていること。心を持つが故に苦しんでいること。

パラパラと粉々になった木を見下ろしながら、9Sは再び狂ったような笑顔を浮かべる。


「そうだ、僕らはこの世界に必要ないんだ……ならいっそ、いっそ世界を……っ!!チェンジっ!!!」


9Sが叫びながら両肩のスイッチを入れると同時に、彼の姿が変わる。
左右で赤と青の対象的な色を持ち、左側の顔からは電子回路のようなものが覗く、グロテスクで未完成な機械。

良心回路と服従回路……善と悪の心を持って人間と同じになった機械、キカイダー。

本来なら人々の為に作られた機械であるジローの体で人を殺す。それは皮肉なことに思えたが知ったことではない。

そんな作る側の都合で苦しむのはもう真っ平だ。




「殺してやるっ!!壊してやるっ!!」





──こんなに、苦しむことなんて、なかったのにな

──心さえ、心さえなかったなら




【9S@ニーアオートマタ】
[身体]:ジロー@人造人間キカイダー(漫画版)
[状態]:健康、精神錯乱、キカイダーに変身中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:この場にいる奴らをみんな殺す。もし優勝できたら……どうしよう。
1:殺してやるっ!壊してやるっ!!
2:まずはこの体に慣れる。スキャナータイプの能力はなくても理解力は高い方だし。
3:キカイダー、イエッサー……ふざけた名前だ。

[備考]
※Cエンド或いはDエンドで、A2と戦っている最中からの参戦です。


352 : 命にふさわしい ◆dltjJrbYYM :2023/06/01(木) 22:57:07 QfjG4F4.0
投下終了です


353 : ◆5IjCIYVjCc :2023/06/03(土) 08:50:21 8/sN1Vj20
投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>その嘘に賭ける
嘘をついて酷い目を見たのに、結局嘘に縋り付いてより悪い方向に行っているようで、救いが無いように感じます。
嘘をついたら閻魔大王に舌を抜かれる…とかは、日本人でないと分からないか。

>命にふさわしい
心を持ってしまったが故のジレンマ、被造物であるが故により大きな苦しみのように感じます。
人間に近づくことが良い事か悪い事かは、永遠の課題なのでしょうか。


また、私の方からも一つ投下します。


354 : 僕を連れて進め ◆5IjCIYVjCc :2023/06/03(土) 08:51:54 8/sN1Vj20
竈門炭治郎はその時、この殺し合いに巻き込まれてから二度目の大きな衝撃を受けた。

一度目の衝撃は、最初の殺し合いについての説明の時、最初の説明を行った人物の自己紹介の時だ。
その時の少女…ではなく、男が明かした身分に対し、炭治郎は心当たりがあった。
その人物、魘夢は自分のことを十二鬼月の下弦の壱だと言った。
それは、炭治郎自身が頸を斬った鬼のことだった。
そして、魘夢という名は初めて知ったが、その雰囲気から相手がその自分が倒したはずの下弦の壱本人である可能性が高いと感じた。
何故生きているのか、どうしてこんなことをしているのか、自分も別人の身体ということは無関係の女の子を巻き込んでいるのか、
炭治郎の中では困惑と怒りの感情が大きく駆け巡っていた。

しかし、ルール説明の最中ではそんな思いを抱きながらもどうすることもできず、やがては殺し合いの舞台の上に強制的に降り立たせられた。
そして、空の上の顔のある月の存在も確認した。
炭治郎は、複雑な胸中のままながら、現状把握することを余儀なくされた。

炭治郎に与えられたのは、右腕の無い男の身体だった。
複雑な経緯により左腕が動かせなくなった本来の炭治郎の肉体とは対称的なものだ。
顔には無精髭が生えている。
そんな顔つきは、まるで気骨ある武人を彷彿とさせる。
その肉体の本来の持ち主である男の名は、宮本明といった。

炭治郎は、その宮本明の名前だけはこの瞬間でも把握することはできていた。
しかしそれは、プロフィールが記されている、タブレットの使い方が分かったからではない。
大正時代の人間に、現代文明の機器はそう簡単に扱えない。

何故に明の名前を知れたのかと言うと、それはデイパック内から発見した一つの支給品に理由がある。
それは、宮本明の仕込み刀入りの義手だ。
それに付属していた説明書に宮本明の名が書いてあったのだ。
とは言え、これだけで自分の身体が宮本明だという証明にはならない。
けれども、元々右腕が無く、自分にこの義手が支給されていることから、何となくこの身体の主は宮本明という名の人物だということを段々と察してきていた。
わざわざ支給品に入れるということは、専用の義手なのだろうということだ。
しかし結局の所、名前が分かったからと言って、タブレットが使えなければどのような人物なのかを知ることはできない。

また、もし先ほどの魘夢が自分の知る下弦の壱なら、今自分がいる場所はあの鬼の血鬼術による夢の中だという可能性も出てくる。
その場合だと、自害すれば夢から目覚める。
しかし、その行動に移る訳にもいかない。
そもそも倒した以上あの鬼の肉体は残っていないはず、血鬼術を使う手段が無いはずだ。
確証が無いのに、危険な行動を試すことはできない。

そういったこともあり、炭治郎は途方に暮れていた。

だが、そんな時に新たな人物が炭治郎の近くに現れた。
炭治郎が二度目の衝撃を受けたのは、その時だ。

そこに居たのは、自分だった。
それも、無惨との最後の戦いよりも前の、五体満足だった頃のものだった。




「……つまり、今のあなたの身体は俺だけど、俺じゃないってことですか?」
「うん…まあ、大体そんな感じで良いと思う」

炭治郎は、自分の姿をしたものと話し合うことができた。
相手も、自分と同じく殺し合いに乗るような人物ではなかったからだ。
自分の見た目の人物と会話するというのは少し変な気分だったが、話の通じる人物で炭治郎は安心した。


炭治郎が出会った今の彼の身体の中身、「黒嶺ユメ」による説明から、全て理解できた訳ではないが炭治郎は一応自らの混乱をある程度抑えられた。
彼女は、この身体が炭治郎にとっての並行世界から来たものである可能性を説明した。

黒嶺ユメは、裏バイターである。
それも、何件もの裏バイトを生き延びた歴戦の猛者である。

ここで言う"裏"とは、現実的に実在しそうな、犯罪的なものとか、そういうものでは一応ない。
彼女にとっての"裏"とは、これを見ている者達に分かりやすく言えば、いわゆる超常的な、"怪異"的な、それだ。
その中で、一度並行世界に迷い込んだこともあった。
そんな経験があったから、炭治郎に対し説明することができた。

ユメの認識としては、自分は今、"裏"の案件に巻き込まれているのではないかと考えている。
直前まで特にバイトに入っていたとかの記憶はなく、それとは関係なく巻き込まれたのかもしれない。

なお、ユメは炭治郎に"裏"について詳しくとか、自分が裏バイターだとかいったことは話していない。
一応、別世界に迷い込んだことがあるとかは話したが、それについても詳しい経緯等は説明していない。
詳しい話をする必要があるかどうかの判断は保留中だ。
けれども、ユメは炭治郎のことを裏バイターに近いものなのでは?とも少し感じてもいた。


355 : 僕を連れて進め ◆5IjCIYVjCc :2023/06/03(土) 08:54:55 8/sN1Vj20
ユメは自分に支給されたタブレット内のプロフィールを確認済みで、炭治郎が大正時代の人間であることも把握している。
相手が過去の時代の人間であることについては、裏案件ならばそんなこともあるかもしれないとそこまで大きくは気にかけてない。
人を喰う鬼と戦っていたことも確認している。
それについても裏案件のように思えて、詳しいことを丁度出会えた炭治郎本人から聞いてみたいと思っていた。

けれども、ユメはここですぐにそれらについての話は振らなかった。
それよりも先に、炭治郎にタブレットの使い方を教えてあげるべきだと判断していた。
相手が大正という電子機器類の無い時代の出身らしいことから、そうすることにした。
実際、炭治郎もタブレットの使い方に困っていた。




「どう?炭治郎君」
「…はい。見れました」

ユメから使い方を教えてもらった炭治郎は、早速中に入っているプロフィールのデータファイルを開く。
そこに書いてあることから、今の自分の身体の名は確かに宮本明であることを確認した。
彼がユメと同じく自分よりも未来の時代の人間であることも把握した。
そして、彼のこれまでの壮絶な人生も知ることになった。

(吸血鬼…この人も、戦っていたのか…)

宮本明は、人間が変じた存在ながら人のことを喰い物にする怪物である、吸血鬼を相手に戦っていた。
それはまるで、自分たちの知る鬼のような存在だった。
その過程で、吸血鬼になってしまった友や果ては自分の兄とまで殺し合いになったことまで書いてあった。
右腕を失ったのは、雅という名の、吸血鬼達の親玉との戦いによるものとのことだ。

炭治郎は明の経歴に対し、悲しい気持ちを抱いてしまう。
特に、吸血鬼になった兄を殺すことになった点についてそう感じ、注目してしまう。
炭治郎もまた、自分の妹である禰豆子が鬼となってしまっていた。
最終的に、禰豆子は人間に戻せたのだが、一歩間違えれば自分が殺さなくてはならなかったかもしれない。
そう考えると、宮本明の人生はまるで自分のもしもの可能性の一つのように感じられる。

そして、宮本明の戦いはまだ終わってないようだった。
なんと雅は、(どんな方法を使ったまでかは書いてなかったが)日本中を吸血鬼だらけにして、国として滅ぼしてしまったらしいのだ。
そして明は、その雅を倒すために探しているとのことだった。

(…俺は、絶対にこの人に体を返してあげなくちゃ)

炭治郎はその決意をより強く固める。
宮本明のことを、炭治郎は他人だと思えなかった。
プロフィールを読んだ感じでは、明が戦いを続けているのは、これ以上吸血鬼による悲しみを増やさないためと言うよりは、雅への復讐のような感じがした。
それでも、彼に返さねばならないと思った。
明は、自分たちが無惨を倒したように、絶対に雅を倒さなければならないと思った。
そうでないと、彼のこれまでの凄惨な人生が報われないと感じたからだ。

ユメからは、未来の日本が吸血鬼によって滅びているなんて話は聞いてない。
その点についてもおそらく、それぞれが別世界のものだと考えれば説明は簡単に付く。
それと同じように、自分が生きる未来も宮本明の未来とは繋がらないかもしれない。
それでも、炭治郎は彼のために何かしてあげたいと感じた。
助けてやりたいと、思った。

そのためにもまず、この殺し合いを絶対に止めること、そしてあの魘夢の正体も見極めることをより強く決意する。

「…ユメさん、ありがとうございました。それから、お話したいことがありま…」

炭治郎はユメに対し自分の知ることについてより詳しい話をしようとする。
これまでのユメの様子から、彼女も殺し合いに乗っていないと判断しており、実際にその通りだった。
鬼や、魘夢のことなど、情報を共有しようと思った。


だがしかし、その話に入ることはできず、遮られることとなる。

「……クッッサ!」

ユメは、顔を青白くしながらそう叫んだ。
彼女は、この場に新たなる存在が近づいていることに匂いで気付いた。

「炭治郎君ここはクサイ!ここにいては駄目!離れないと!」
「お、落ち着いてくださいユメさん!確かに俺の鼻はいいですが…」

突然慌てふためくユメを炭治郎は落ち着かせようとする。
炭治郎は常人よりも鼻がきく。
それにより、その身体になっている彼女が前よりも匂いに対して敏感になってしまうことも考えられるだろう。
しかし今のユメの様子は、ただ敏感であるだけのものには見えなかった。
それにより、炭治郎は対応が少し遅れてしまった。


そうこうしている内に、やがてその匂いの発生源が、彼らの前に現れる。

「………は?」

それを見た炭治郎は、この日三度目の大きな衝撃を受けることとなる。
それが、最も強大な衝撃となった。


356 : 僕を連れて進め ◆5IjCIYVjCc :2023/06/03(土) 08:56:17 8/sN1Vj20
炭治郎は、何故ユメが先ほどのような反応をしたのか、その理由を少し察した。
けれども、自分が見ているものを信じられなかった・現実だと認識したくなかった。
それほどまでの存在が、そこにいた。


そこにいたのは、自分達鬼殺隊が多大な犠牲を出しながらも倒したはずの鬼の始祖、鬼舞辻無惨だった。




黒嶺ユメは元々、ある異能を有していた。
それは、あらゆる危険を匂いで感じるという異能だ。
更には、危険度数が高ければ高いほど、匂いも強烈になっていくというものだった。
ユメはそれを、黒い匂いと表現していた。
逆に、安全に繋がるものがあるならば、白い匂いを感じ取ることもできた。

ただし、今回ユメはその異能により匂いを感じ取った訳ではない。
ユメの異能は、現在は使えない状態だ。

匂いは、炭治郎の肉体の鋭い嗅覚で感じ取ったものだ。
炭治郎の肉体は、鬼の匂いを警戒の匂いとして覚えていた。
それを、ユメは自分がこれまで嗅いできた黒い匂いと認識してしまったのだ。


実際、炭治郎にとって鬼とはユメの知る危険な存在達とほぼ同じようなものと考えていい。
そのような視点で見れば、彼女のこの場から離れるべきだという判断はそこまで間違っていないと言えるかもしれない。

けれども、炭治郎にとっては、今現れた匂いの元…鬼舞辻無惨の姿をしたものを放っておく訳にはいかなかった。
鬼舞辻無惨とは、それほどまでの存在なのだ。


彼らの前に現れた無惨は、白髪の状態…無限城決戦において、珠世が投与した薬によって老化してた白髪の状態のものだった。
また、無惨は少しどこか苦しそうな表情をしていた。


やがて、炭治郎は驚愕しながらも、ある事実に気付くことになる。
それは、無惨…の姿をした者は、自分達に対し"敵意"がないことだ。
この殺し合いの環境である以上、この無惨もまた、その肉体を動かす意思は本来の鬼の始祖のものではなかったのだ。


「……あなた達、誰?……まさかだけど、ボンドルドの仲間?」

無惨の姿をした者は、とても怯えている様子だった。
ボンドルドという名を出されたが、それについても心当たりは無い。
その瞬間、炭治郎はただ、驚愕したまま『彼女』を見ることしかできなかった。
ユメも一応、さすがに目の前に出てこられたら、相手が敵意を持っていないことまではさすがに気付いた。
けれども、自身が感じる匂いにより、『彼女』のことを警戒してしまっていた。


「………あたしは、ミーティ。ねえ、ここは…アビスの中なの?」

無惨の肉体を与えられた者は、炭治郎とユメにそう名乗った。

ここからが、炭治郎に与えられる新たなる課題だ。
たとえ、自分の住んでいた元の世界には関係の無いであったとしても、炭治郎はこれに対し答えを出さなければならない。
確実に鬼による悲劇を止められるが、そのために罪の無い者を犠牲にできるのかどうか、という問を。



ミーティが覚えているのは、ガラスの向こうの自分と同じ装置に繋がれた親友の姿。
それが、ここに来る直前に見た最後の光景だ。

そのような状況になってしまったのは、ある人物からの裏切りによるものだった。
そして彼女には、想像を絶する激しい苦痛がその身に降りかかるはずだった。
しかし、それが来る直前になって、彼女はこの場所に突然招かれた。
そんなことは、彼女が直前までいた場所…アビスの6層の上昇負荷のことを考えると、絶対にあり得ないことだった。

今の彼女は現状を把握仕切れない・理解できないままただただ混乱し、怯えることしかできなかった。
これが現実なのかどうかも判断できなかった。


そして、今の彼女の身体は、本来なるはずだったものと似たように、不死身の肉体であった。
その本来のものとの違いは、明確な弱点があること。
日光を浴びれば、死ぬことは可能だ。
しかし、果たしてそれで、自分が求める場所に魂は還りゆくのか。


357 : 僕を連れて進め ◆5IjCIYVjCc :2023/06/03(土) 08:57:02 8/sN1Vj20
【竈門炭治郎@鬼滅の刃】
[身体]:宮本明@彼岸島48日後…
[状態]:健康
[装備]:宮本明の仕込み鉈入りの義手@彼岸島48日後…
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、身体を元の持ち主に返す。
1:どうして…よりによって…無惨なんだ…!?
2:ユメに自分や鬼殺隊、鬼のこと等についてより詳しいことを教える。
3:魘夢は俺の知る下弦の壱なのか?だとしたら、あいつの血鬼術も関係あるのか?
[備考]
※無惨との最終決戦が終わった後からの参戦です。
※黒嶺ユメから別世界の概念について聞きました。


【黒嶺ユメ@裏バイト:逃亡禁止】
[身体]:竈門炭治郎@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない、生還優先
1:目の前の相手(ミーティ)は敵意は無い。だけど、黒い匂い?が…
2:炭治郎君とより詳しい情報共有をする。
[備考]
※具体的な参戦時期は後続の書き手にお任せしますが、少なくとも遊園地スタッフのエピソードまでは経験しているものとします。
※炭治郎の身体は、無限城決戦の直前辺りのものとします。
※鬼の匂いを黒い匂いに近いものと認識しています。


【ミーティ@メイドインアビス】
[身体]:鬼舞辻無惨@鬼滅の刃
[状態]:9000年分の老い
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:いまいち状況を理解できてない
1:この人達は信じられる…?警戒されているみたいだけど…
2:何か体がダルい…
3:ナナチはどこ?
[備考]
※昇降機の上昇負荷実験にかけられる直前辺りから参戦です。
※無惨の身体の状態は、最終決戦途中の、本人が9000年分の老化に気付いた辺りの頃のものとします。


【宮本明の仕込み鉈入りの義手@彼岸島48日後…】
隊長と呼ばれる吸血鬼が宮本明の為に作った右腕用の義手。
中に先端の曲がった鉈が仕込まれている。


358 : ◆5IjCIYVjCc :2023/06/03(土) 08:57:27 8/sN1Vj20
投下終了です。


359 : ◆4u4la75aI. :2023/06/06(火) 15:54:31 u1G3JWTI0
投下します


360 : クソ度し難い ◆4u4la75aI. :2023/06/06(火) 15:55:14 u1G3JWTI0
 褐色の髪に、若干の浅黒い肌。見た目は少年そのものだが、四肢は機械的な彼。
 本来その身体を持つ者はレグという名であった。少年と言ったがその正体は人間でなくロボット。リコという少女と共にとある世界に在るアビスという巨体な穴を探索していた――ところで肉体のみこの殺し合いへと連れてこられてしまった。
 ならば、その肉体に入れられた精神の名は?
 その少女は、ある世界ではレグと同じくロボットであった。
 その少女は、ある世界ではレグと同じ出版社のキャラクターであった。

 その少女は、どの世界でも非常に荒れ狂っていた。

「ア゛ォ゛ァ゛ーーーーーーーッ!!ン゛ッ゛ゾゴァ゛ーーーーーーーーッ!!」

 レグ自身はまず発する事ないであろう叫び声。同時に「死ね」と連呼しその場を駆け回る。その様子はどう見ても異常者であり、この場に他の人間が居ない事が幸福であっただろう。
 彼女の名はポプ子。どこにでもいる中学二年生を名乗る、荒くれ者。
 ひとしきり叫び終えると途端彼女は動きを止める。

「私をここに連れてくるたぁええ度胸やんけ……ええわ、期待に応えたる」

 そう一人、空へと語り始め――

「全員ぶっ殺してテメーもぶっ殺したらぁ!!エンムゥ!!」

 中指を立て、叫んだ。

 気性が荒く、すぐに暴力を振るい、他人を煽っては、中指を立てる。暴虐無人を絵に描いたような彼女がポプテピピックという檻から、この殺し合いへと放たれてしまった。
 他の参加者にとってはまるで台風の様な脅威。この狂気を打ち消す者は現れるのか――

「ほんなら殺戮、がんばるぞい!」



【ポプ子@ポプテピピック】
[身体]:レグ@メイドインアビス
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:皆殺し。もちろん魘夢も殺す。
1:がんばるぞい!
[備考]
※レグの腕は健在です。
※ポプ子が『メイドインアビス』についての知識を有しているかどうかは後の書き手様にお任せします。


361 : ◆4u4la75aI. :2023/06/06(火) 15:55:34 u1G3JWTI0
投下終了です


362 : ◆NIKUcB1AGw :2023/06/07(水) 22:43:06 oCx8S5ls0
投下します


363 : 呉越同舟! ◆NIKUcB1AGw :2023/06/07(水) 22:44:10 oCx8S5ls0
会場のとある一角。
二人の男が、ただならぬ緊張感をみなぎらせながらにらみ合っていた。
片方は眉の太い、厳つい顔立ちの青年。
もう片方は髪を染めた、どことなく軽薄そうな雰囲気の青年である。

出会った当初、二人は友好的に言葉を交わしていた。
だがお互いに自己紹介をしたとたん、空気は一変した。
彼らは元々、対立する立場にあったのだ。

「まさかこんなところで、おまえと再会するとはな……。
 あのときはよくもやってくれたな、ルパン三世!」

怒鳴り声を上げる厳つい顔の青年に対し、ルパン三世と呼ばれた青年はにやけ顔で答える。

「まあまあ、あんたとやりあったのはもう10年以上前の話じゃねえか。
 引きずるのはやめようぜ、両津の旦那」
「ふん、わしらにとって時の流れなんて、たいした意味はないだろう」
「まあ、そりゃそうだ」

にべもなく返され、ルパンは大げさに肩をすくめる。

「まあそっちがどうしてもっていうんなら……。
 やりあってもいいけどなあ!」

神がかり的な速さで、ルパンは支給された銃を構える。
だが銃の扱いなら、両津もまた超人的である。
ほぼ同時に、銃口が相手に向けられる。
だが、引き金は引かれない。

「あぁん?」
「おいおい……」

二人は、共に怪訝そうな表情を浮かべる。
お互いが取り出した銃が、全く同じデザインだったからだ。

「ひょっとして、変身アイテムも付属してたりするか?」
「うわ、そっちもかよ……」
「おい、ちょっとおまえの体のプロフィール見せろ。
 この分だと、体同士も絶対関係あるだろ」
「いいけど、そっちのもちゃんと見せろよ?」

いったん銃を収めた二人は、交換したお互いのタブレットを確認する。
結果として肉体の持ち主は警官と怪盗であり、敵対する立場にありつつも友として絆を結んだ関係であることが判明した。

「これは……主催者の連中、わざとやってやがるな……」
「ああ、俺たちに警官と泥棒の体を与えて、近くに配置してる……。
 とても偶然とは思えねえ。
 その方が面白くなりそうだと思って、やってるんだろうよ」
「気に入らんな」
「ああ、気に入らねえ」

そこまで言えば、もはや確認する必要も無い。
「このふざけた殺し合いをぶっ潰す」。
二人の心は、その思いで統一されていた。

「緊急事態につき、おまえの罪は棚上げしておいてやる。
 キリキリ働くんだな」
「おいおい、もうちょっとやる気の出る言葉をかけてくれよ。
 次元でももう少し優しいぜ」

軽口を叩きながら、二人は歩き出す。
自堕落な警官と、享楽主義の泥棒。
常識人からはほど遠い二人だが、それでも現状の理不尽は許せない。
彼らの目には、強い光が宿っていた。


364 : 呉越同舟! ◆NIKUcB1AGw :2023/06/07(水) 22:44:52 oCx8S5ls0


【両津勘吉@こちら葛飾区亀有公園前派出所】
[身体]:朝加圭一郎@快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
[状態]:健康
[装備]:VSチェンジャー&トリガーマシン1号@快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを潰す
[備考]
※他作品の知識がどの程度あるかは、後続の書き手さんにお任せします


【ルパン三世@ルパン三世】
[身体]:夜野魁利@快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
[状態]:健康
[装備]:VSチェンジャー&レッドダイヤルファイター@快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを潰す


【VSチェンジャー@快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー】
パトレンジャーとルパンレンジャーの共通武器にして、変身アイテム。
トリガーマシン1号をセットするとパトレン1号に、レッドダイヤルファイターをセットするとルパンレッドに変身できる。


365 : ◆NIKUcB1AGw :2023/06/07(水) 22:45:58 oCx8S5ls0
投下終了です


366 : ◆diFIzIPAxQ :2023/06/07(水) 23:12:40 AKmBB9gg0
候補話を2作投下させていただきます


367 : 誇りと決意を胸に抱いて ◆diFIzIPAxQ :2023/06/07(水) 23:13:49 AKmBB9gg0
「この私を…、クイーン・エリザベスをこんな殺し合いに巻き込むとはいい度胸をしているわね」

「必ずあんた達の目論見を破壊して、私の身体を取り返して元の世界に戻ってみせるわ!」

自らを『クイーン・エリザベス』と名乗る女性が、理不尽に始まった実験に対して、高らかに反抗を宣言する。
国際軍事連合アズールレーンの4大勢力の1つであるロイヤル陣営のリーダー格として、そして現場から一時離脱した指揮官の代理として先頭に立ち続ける高貴なる精神は、例え肉体が変わろうとも捻じ曲げる事は出来ないのだ。

「……で、でも、もうちょっとこの胸の弾力に浸らせてもらうくらいは、問題ないわよね…?」

しかし、それはそれとして“今の肉体”の豊満なバストを堪能する程度には邪な思いを持っていた。

【クイーン・エリザベス@アズールレーン Queen's Orders】
[身体]:愛宕@艦隊これくしょん
[状態]:健康、
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催者を撃破して元の世界に戻る
1:配下を集める。下僕(指揮官や部下)達がいるのなら合流する
2:それはそれとして、今の肉体の胸のふくよかさを堪能する
[備考]
※タブレットの肉体のプロフィールはまだ見てないです


368 : ◆diFIzIPAxQ :2023/06/07(水) 23:15:08 AKmBB9gg0
1作目の投下を終了しました。続けて、2作目を投下します


369 : マネーイズパワー ◆diFIzIPAxQ :2023/06/07(水) 23:18:08 AKmBB9gg0
 とある場所のとある室内、山田リョウは目を瞑り集中をしていた。
 彼女を知る人物がその光景を見ていれば、バンドのライブ前より気を張っているのではと思いたくなるだろう。
 しかし、別の者の身体で戦う殺し合いにおいて、今彼女の肉体となっているのは男性である。
 だが、そんな肉体的ギャップを気にする事無く、沈黙を貫き気を張り巡らせる。
 これから起こそうとする行為は、このデスゲームにおいて立ち回る事に重要な事。
 上手くいけば自身の人生の今後に繋がるかもしれないのだ。

 大切なのはイメージだ。
 力を操る事は、それが出来て当然と思い込む事が大切だ……と、どっかの漫画かアニメで言ってた気がする。

 そう思いながら、リョウは脳内でイメージを作り込む。
 印税生活でお金持ちになってる自分。札束で満たされたバスタブの中に浸かっている自分。ノルマ代をひねり出すのに苦労してるぼっちに札束を持って誘惑する自分。

 自身が持ちうる想像力をフルに働かせてイメージを作り上げきり、カッと目を開く。
 そうして、右手を突き出しながら、プロフィールに乗っていた情報の力の名を叫ぶ。

「ゴージャス真拳奥義!!ハァ!!」

 大声で叫ぶ事に一瞬恥じらいを感じるものの、その感情はすぐに消え去る。
 何故なら、突き出した右手から軽く二桁台はある枚数の紙幣が飛び出してきたのだ。
 リョウは興奮しながら、床に落ちた紙幣を拾って歓喜に震え始める。

「す、凄い……!!この力があれば、ぼっちや郁代に食費をタカる必要も無ければ、ノルマ代の為に無駄にバイトを入れて苦労する必要も無い……!!」

 リョウは感動しながら、プロフィールに乗っており、今の自身の肉体である男性―――『ハレクラニ』の情報を思い出す。
 最初は『マルハーゲ帝国』だの『ハレルヤランド』だの、ふざけているのか?と思いたくなる文字に嫌な顔をしていたが、お金を操る力・ゴージャス真拳という能力にはとても魅力を感じた。
 もし、この力が偽物だったらあの自称歌姫にどうクレームをつけようかと考えてもいたが、その言葉を考える必要はなさそうだ。

「でもお金の力を使ってデスゲーム優勝なんて、文字的にも倫理的にもさすがに駄目でしょ」

 しかし、現状を思い出しリョウは気が沈み始め、手に持っていた紙幣を懐にしまう。
 本来の自分はどこにでもいる一般高校生にして、病院経営を行っている両親の一人娘。そしてメジャー確定(予定)のバンドのベーシスト。
 この力があれば生き残れるかもしれないし、デスゲーム生還経験有りのバンドマンという異名はそれはそれとしてかっこよく感じるが、一方で現状に怖がる気持ちも少なからずあった。

「ま、いっか。そういう事は後で考えよ……」

 だが、その手の暗くなる今後について考える事をリョウは放棄し始める。
 もしもこの肉体じゃなくても、自分ひとりで考えてもどうにかなるとは思えない。そういうのは誰かと集まってから考えよう。
 自分がこうしているのなら、虹夏もいるかもしれないな。リョウはそう考え始める。
 そして、今考える事はこのデスゲームについてよりも、ゴージャス真拳を使いこなせる様になる事だと結論づける。

「しかし、何処の国のお金か知らないけど、こんだけ札束があるのは色んな意味で助かるな」

 リョウは傍に置いておいた2つのバッグに目を向ける。
 自身に渡されたバッグの中にはまたバッグが入っており、そしてその中には大量の紙幣が詰まっていた。
 『一万ベルク札』なんて聞いたことない紙幣の名前だが、金を操る能力を持つ肉体である今の自分にとっても、元々お金が大好きな自分自身にとってもありがたい支給品であった。
 このお金について説明が何も無かったのは謎に思うが、銃だの爆弾だの渡されるよりは平常心を保てられる。
 これほどの札束があれば、ゴージャス真拳の練習を行うのには問題ないだろう。
 しばらくはプロフィールに乗っている情報を元に、この札束を自由自在に操れるようにしたい。

 「練習の前に一言……。お金持ちバンザーイ!!フハハハハハ!!」

 そう言いながら、リョウは両手でベルク紙幣をまき散らし始めた。
 その光景は、端から見たら正に金の亡者というに相応しかったが、ハレクラニの整った顔立ちのおかげか、どことなく様にはなっていた。


370 : マネーイズパワー ◆diFIzIPAxQ :2023/06/07(水) 23:19:31 AKmBB9gg0
【山田リョウ@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:ハレクラニ@ボボボーボ・ボーボボ
[状態]:健康
[装備]:真・ハイパーノートの紙幣一部
[道具]:基本支給品一式、真・ハイパーノート@ハイパーインフレーション、ゴージャス真拳で出した紙幣、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:生き残る。殺しは流石にダメでしょ
0:お金持ちバンザーイ!!
1:自分が巻き込まれてるなら、虹夏やバンドの皆もいるかもしれないな
2:ゴージャス真拳を自由自在に使えるようにしたい
3:脱出方法とか、元の肉体の戻り方とかは、後で考えよ…
[備考]
※参戦時期は、少なくとも結束バンドに喜多郁代が加入した後


【真・ハイパーノート@ハイパーインフレーション】
精巧な贋札(ハイパーノート)を身体から生み出す能力を得た少年ルークが、ゼニルストン自治領に売られた姉ハルを買い取る為に作った紙幣。
リョウに支給されたハイパーノートは、自治領領主の息子・イェルゴーを騙す為に手を加えた贋札の一部。印刷ミスの無い完璧な、完全ゆえに不完全な贋札。
なお、ハイパーノートやベルク札等の、この支給品についての説明のメモの付属品はない。


371 : ◆diFIzIPAxQ :2023/06/07(水) 23:21:15 AKmBB9gg0
2作目の投下を終了します


372 : ◆.EKyuDaHEo :2023/06/07(水) 23:57:34 ja6ZV8Ps0
投下します


373 : 運命 ◆.EKyuDaHEo :2023/06/07(水) 23:57:52 ja6ZV8Ps0
「ど、どうしよう…」

殺し合いの場、メイド服を着た銀髪の女性がいた
彼女の名前は『十六夜咲夜』…しかし、今彼女の身体に入っているのは別の人物だった
その名前は『風間トオル』…埼玉県春日部に住む5歳の幼稚園児だ

「しんのすけと身体が入れ替わったことならあるけど…また似たようなこと、しかも見ず知らずの女の人の身体に替わってるなんて…おまけに殺し合いをしろだなんて無茶苦茶すぎるよ…」

風間は過去に野原しんのすけという親友と身体が入れ替わったことがあった、しかし今回は状況が違う、今自分が入ってる彼女は知り合いでもなければ見ず知らずの女性、勝手に身体を扱ってしまっている罪悪感と殺し合いによる恐怖で風間は混乱していた

「とりあえず、タブレットで詳しいことが書いてあるみたいだから見てみよう」

魘夢と名乗る主催がタブレットで殺し合いのことについて知れると言っていたのを思い出した風間は早速タブレットを開き、ルールファイルの中に書いてあった殺し合いのルールについて読み始めた
ある程度読み終えた風間は次に身体の持ち主のプロフィールファイルというのを開いた

「名前は十六夜咲夜さん、変わった名前だな…時間を操る程度の能力を持っており時間を止めたり遅くしたり速くしたりできるだって!?…この咲夜さんっていう人、凄いな…」

普段の風間なら簡単には信じないだろうが、今の状況や過去の自分達の出来事を考えたらあり得る話なのかもと思った
そして風間は一通りプロフィールを見終わりタブレットを閉じこれからのことについて考えた

「これからどうしようかな…ひょっとしたらしんのすけ達もいるかもしれないし探した方がいいかもしれないけど…僕一人じゃ…」

風間はしんのすけ達のことも探したいと考えたが元より風間と咲夜では体格があまりにも違いすぎるためまだ咲夜の身体に慣れておらず、おまけに彼は幼稚園児…いくら今まで様々な経験をしたからといって一人で行動するのは危険すぎる
その時…

「ねぇ、そこのあなた」
「!!」

突如声を掛けられ風間は反射的に振り返った…

「…え…?」

何とそこにいたのは…風間だった

「あなた、身体は咲夜だけど中身は違うのよね?一体誰が入ってるのかしら?」

風間が自分の身体が存在することに驚くなか、風間の身体に入っている誰かは風間に対して問いかけてきた



◆◆◆



「トオル…って言ったわね、まさか今私が入ってる身体の持ち主があなたでこんなに近くにいるなんて思わなかったわ…」
「僕も自分の身体があることに驚きましたよ…」

風間は驚きながらも自分のことを教えた、そして風間の身体に入っている人物はレミリア・スカーレットと名乗った

「それにしても私も舐められたものね、殺し合いに参加させる上に子供の身体を使わせるなんて」
「な、何かすみません…」
「別にあなたを責めている訳じゃないわ、でもあいつをぶっ飛ばさないと気が済まないわね」

レミリアは自分をこんなふざけたことに無理矢理参加させた主催に対してうっすらと怒りを露にしていた


374 : 運命 ◆.EKyuDaHEo :2023/06/07(水) 23:58:07 ja6ZV8Ps0
「で、でもぶっ飛ばすってどうするんですか?レミリアさんは今僕の身体に入ってるんですし…」
「問題はそこね、今私はトオルの身体に入ってる、それにトオルはただの人間でおまけに子供…悔しいけど天変地異がひっくり返っても今の私じゃどうしようもできないわね」
(…その通りなんだけど何だか地味に刺さるなぁ…)
「でも、プロフィールファイルってので見たけどあなた、今まで結構色々経験してきたらしいわね」
「あ、はい一応…例えば映画の世界に行ったり、夢の中に入って悪夢と戦ったり、動物になっちゃったり、未来に行ったり、後それから…」
「…もういいわ…思ってた以上に凄い経験してたのねあなた…」

風間の語る今までの経験が自分の想像を越える経験でレミリアは半分呆れ気味に会話を静止した

「とりあえずこれからどうしますか?」
「そうね、とりあえず一緒に行動した方がいいと思うわ、私も身体にあまり慣れてないしトオルだって自分の身体が気になって仕方がないでしょう?」
「確かにそうですね…」
「まぁいざとなったら私のことは守りなさいよ?」
「えぇ!?ぼ、僕がですか!?」
「咲夜の身体を扱っているんだからそれぐらいしても罰は当たらないと思うわよ?それに咲夜は私に仕えるメイドなんだから」
「そうかもしれないですけど今身体に入ってるのは咲夜さんじゃなくて僕なんですけど…」
「うふふ…冗談よ、子供のあなたにそんなことできるとは思えないし咲夜の身体に何かあったら困るもの、でも極力できる範囲ではお願いするわ、私は今は非力な子供なんだしあなただって自分の身体に何かあったら嫌でしょう?」
「…そうですけど…」
「なら決まりね、安心しなさい、別に必ず守りなさいとは言わないから」
「は、はい…」

風間はレミリアの無理難題な頼みに頭を抱えるも共に行動することを決めた


二人は不幸中の幸いだった
風間は自分の身体を持つ参加者と出会うことができた
そしてレミリアもまた自分に仕えているメイドの身体を持つ参加者と出会うことができた
これもまた、何かの『運命』なのかもしれない…


【風間トオル@クレヨンしんちゃん】
[身体]:十六夜咲夜@東方project
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:レミリアさんと行動する
2:何かあったらレミリアさんを守らなきゃだけど…僕にできるのかな…
3:しんのすけ達もいるなら探したい
[備考]
※殺し合いについて理解しました
※映画での出来事を経験しています

【レミリア・スカーレット@東方project】
[身体]:風間トオル@クレヨンしんちゃん
[状態]:健康、主催に対する怒り(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催をぶっ飛ばす
1:トオルと行動
2:子供の身体なんて…私も舐められたものね
3:トオル…想像していた以上に凄い経験してるわね…
4:いざとなったらトオルに守ってもらうつもりだけど…大丈夫かしら?


375 : ◆.EKyuDaHEo :2023/06/07(水) 23:58:29 ja6ZV8Ps0
投下終了します


376 : ◆2dNHP51a3Y :2023/06/08(木) 22:05:10 Dd6qGryc0
投下します


377 : Don't leave me ◆2dNHP51a3Y :2023/06/08(木) 22:11:53 Dd6qGryc0

「どうして、こんな事をするんですか!?」

言葉と共に、一迅の雷鳴が落ちる。
常人ならば即死は免れない雷光を、間一髪避けた女の姿があった。
桜色の髪と豊満な肉体を持った、可憐で力強い女性。
鬼殺隊恋柱・甘露寺蜜璃の身体で、『美食殿』のギルドマスター・ペコリーヌは目の前の『彼女』にそう尋ねる。

「忘れない為に。」

そして、そんな彼女に雷光を打ち下ろした張本人であり、淡白に返答したのもまた少女。
籠手を付けた、如何にも普通そうに見える少女。
だが、その中身は――れっきとした男性。ペコリーヌ同様、別の身体に魂を入れ替えられた。

「忘れない、為?」
「オレはな、分かりやすく言えば、俺は一度覚えたものを絶対に忘れない体質でな。」

『彼女』が語るのは、自らの在り方。見たもの、記憶したものをずっと忘れること無く覚えておくことが出来る異能。
『彼』の世界において、否定能力と称される神からの祝福(のろい)。

「だったらどうして――」
「だが、だからといって全てを覚えてられるわけじゃない。」

それだけで、ペコリーヌは『彼』の心の痛みを理解する。
ペコリーヌだからこそ、忘却という恐怖を身に沁みて知っている。
誰かから忘れられる痛み、大切なことを忘れる痛み。何より、忘れた事すら忘れてしまうと言う恐怖にも近いものを。

「――オレの能力は、妻の死の直前に発現した。」
「……ッ?!」

思わず、絶句する。
前置きされた『全てを覚えてられるわけじゃない』その意味を。
能力の発現が、『妻の死の直前』だったことを。

「分かるだろ? 潰されていくんだよ。忘れられない情報に。アイツとの記憶が。」

不忘―Unforgettable―
文字通り忘れることが無くなる否定能力。だが、能力発現前の記憶は、忘れることが無い情報の積み重ねによって押し潰され、消滅する。
『彼』の妻との思い出は、殆ど残っておらず。不忘で鮮明に焼き付いている記憶は。

「残ったのは、妻(あいつ)の死に顔だけだ。――耐えられるわけ、ないだろ。」

思い出は消え続け、ただ死に顔だけが永遠に脳に刻まれたまま残り続ける。
幸せの残響は時期に塗りつぶされる。死の冷たさと虚空を見つめる伽藍堂の瞳孔だけが残る。

「会いたいんだよ。また、アイツに。」

『彼』が、再び手を翳す。迸る輝き、再びの放電の合図。
赤い刀身の日本刀。炎柱・煉獄杏寿郎の日輪刀をペコリーヌは構え、直後に降り注ぐ雷撃に対し咄嗟に対応しようとして。

「――かすかに残る、この気持ちを。忘れる前に。」

その言葉を最後に、二人の姿は輝きに呑まれた。


378 : Don’t leave me ◆2dNHP51a3Y :2023/06/08(木) 22:12:15 Dd6qGryc0


◯ ◯ ◯


「あ、危なかったです……!」

二度目の雷が落ちた場所より離れた場所で、ペコリーヌは黒煙を上げる身体で安堵した。
咄嗟に弾くように雷を防いだが、それで防げるなら無理はない。反動で吹き飛ばされ、少なくとも黒煙が上がるほどの火傷を負う程には。

『忘れない為に。』

「わかります、その気持ち。忘れることって、辛いですよね。」

『彼』の言葉が反響する。「忘れない為」に殺し合いに乗った、彼の思いの丈を
忘れることの辛さを知っている。大切な記憶が抜け落ちていく辛さを実感している。
"絆"を奪われる痛みを、彼女は知っている。

「でも、だからって……!」

だからといって、そのやり方は間違っている。
例えどれだけ甘い考えだと言われても、それだけは譲れない。
失いたくない気持ちは分かるけれど、だからといって誰かから大切なものを奪ってでもという考えは止めないといけない。

「――止めてみせます。あの人のことは。」

忘却の痛みを知っているからこそ。
忘れ去られる苦しみを知っているからこそ。
思い出に縋らなければならない彼を、止めなければならないと。
かつて全てから忘れ去られ、絆によって掬われた王女はふたたび立ち上がった。


【ペコリーヌ@プリンセスコネクトRe:Dive】
[身体]:甘露寺蜜璃@鬼滅の刃
[状態]:体中に火傷(小)
[装備]:煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:あの女(?)の人は止めたい。大切な人のことを忘れてしまうなんて悲しいことだけど、だからって殺し合いに乗るのは間違ってます!
[備考]
※参戦時期は第一部以降



【煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃】
煉獄杏寿郎の保有する日輪刀。他の一般的な日輪刀と違い、赤い刀身に加え、拵は鍔は炎の様な意匠の鍔と縁頭を備えており、白い片手巻の柄と白色と灰色の檜垣紋様の鞘を持つ。


379 : Don’t leave me ◆2dNHP51a3Y :2023/06/08(木) 22:12:32 Dd6qGryc0

◯ ◯ ◯


突きつけられた選択肢は二つ。
妻か、神殺し(ユメ)か。

オレは、妻を選んだ。
その為に、組織(ユニオン)を裏切って、同僚(なかま)を殺した。
オレの発明と、霊(ゴースト)の理さえあれば。

「逃げられたか。この身体だと、追いかけるのは困難だな。」

地面に残る焦げ跡と、不自然な足跡を見下ろして。
咄嗟の機転で防いだのは兎も角、その反動で吹き飛んで見失うとは。
己の、『蒼井えりか』という少女の身体にその魂を押し込めらた、ニコ=フォーゲイルという否定能力者は。ペコリーヌと名乗った女の、同情し憐れむような視線が、その記憶に焼き付いたまま、思考する。

身体は変わったが、否定能力はそのままだ。それは別に都合がいいので構わなかったが。
どうにも、この体は扱いづらい。勝手が違うから近接格闘も難しいし、サイコポッドもない。
だが、それを補うように支給された籠手は役に立つ。
「雷神憤怒アドラメレク」。雷を発生させる帝具、と言うものらしい。
要するに、古代遺物(アーティファクト)と似たようなものだ。

「……オレに充てがわれたのが、超記憶症候群(ハイパーサイメシア)持ちの身体とはな。」

自分の現在の身体。蒼井えりかという少女は超記憶症候群(ハイパーサイメシア)持ち。
どんな些細なものであろうと、見たもの全てを記憶出来てしまうらしい。
羨ましく思った。"それ"以前は忘れてしまう自分とは違って。
能力発現前の記憶であるがゆえに、それ以降の記憶しか残ることが出来ない自分を比べて。
悲劇だろうと喜劇だろうと、関係ない。妻の思い出を失いたくないからと。
なんて滑稽で、笑える話だろう。

「笑えねぇ。」

笑えるわけがないだろ。ここは自分の研究所ではない。
妻に関する微かな記憶は徐々に綻んでいく。
研究所にいなければ、その記憶は保てない。
だが、このピンチはチャンスでもある。
優勝すれば、元の体に戻るだけでなく、何でも願いを叶えることが出来る。
UMAの連中より信用はならないが、これを逃すつもりはない。
例え藁にでも縋ってでも、一片でも可能性があるなら、それに望みを賭ける。

「ああ。待っててくれ、イチコ。もう忘れたりなんかしない。もう、忘れてなるものか。」

二度と、忘れたくない。
二度と、忘れてなるものか。
オレからその記憶が無くなる前に。
妻の死で抜け落ちた穴は、妻でしか埋めることが出来ない。
やるしか無い。殺すしか無い。優勝するしか無い。
だから。


「早く、お前との、忘れない思い出をくれ。」


【ニコ=フォーゲイル@アンデッドアンラック】
[身体]:蒼井えりか@ヘブンズバーンレッド
[状態]:健康、焦燥
[装備]:雷神憤怒アドラメレク@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:優勝して、妻を取り戻す
1:あの女(ペコリーヌ)は、見つけ次第始末する
2:忘れない思い出をくれ。
[備考]
※参戦時期は組織(ユニオン)を裏切った直後
※不忘の否定能力は問題なく機能しています

【雷神憤怒アドラメレク@アカメが斬る!】
帝国の大将軍ブドーが保有する、籠手型の帝具。
籠手型の帝具。籠手に仕込まれた鉄芯(電磁誘導などで使われる)を利用して雷撃を操ることができる。威力が高く、雷撃を円状にして攻撃を防ぐなど攻防に優れている。しかし籠手の中に電気エネルギーを帯電させておく必要があり、撃ち尽くしてしまうと雷が使用不能となりただの籠手になってしまう。空から雷を落としたり、空を飛んだりすることもできる。
奥の手は、巨大な雷球を作り出して、それを飛ばして攻撃をおこなう「ソリッドシューター」


380 : ◆2dNHP51a3Y :2023/06/08(木) 22:12:45 Dd6qGryc0
投下終了します


381 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/06/11(日) 02:44:24 6BtI8VfE0
投下します


382 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/06/11(日) 02:45:09 6BtI8VfE0
「はぁ、はぁ……逃げないと、早く逃げないと!」

赤い長髪を揺らし、息を切らせながら走る少女の姿があった。
彼女はさっきゅん、淫魔仲間からそのあだ名で呼ばれている。
肉体は小悪魔と呼ばれる紅魔館で従事する種族であり
意図してか、さっきゅんと近しい存在の肉体であった。
現在、さっきゅんはある存在から逃げ切るために必死になって走り続けていた。

(どうして……どうして私はこんな目に遭ってるの?)

いきなり殺し合いを強要され、気付けば森の中で一人ぼっち。
遭遇した相手は有無を言わさず、私に襲いかかってくる。

(魔王城に帰りたいよ……助けて、誰か助けてよぉ)

心細くなったさっきゅんは魔王軍の仲間達を思い浮かべて涙が溢れた。
魔王様達なら、魔王様達ならきっと助けに来てくれる。
それに姫ならこの状況下でも打開してくれるはず。
私が人間達に捕らえられる前に救出してくれた時のように。
それでいつもの日常へ帰れるはずなんだ。

シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ

蒸気の音が段々と近くなる。
それはさっきゅんを追跡する者が放つ音だった。
彼女を追跡する存在、それは……

〜♪

(来る……!)

ドォンッ!

軽快なBGMを流しながら周囲の木々を薙ぎ倒して、さっきゅんを付け狙うそれは
3メートルほどのサイズで動き回る人面の機関車だった。
ぎょろりと動く巨大な双眼がさっきゅんの姿を捕らえ
張り付いたような笑顔で無言のまま追いかけてくる。

「いや、いやぁぁぁぁぁっっ!!」
シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ

恐怖のあまり悲鳴を上げながら走るさっきゅんの後を追う機関車。
それに宿る人格の名はタイラント、アンブレラ社が開発した生物兵器であり。
自我という物は一切存在せず命令されたままに動く存在である。
この舞台では、主催者の命令に従い、全ての参加者を殺害する様に行動している。

そのためにタイラントへの対話や交渉は不可能。
それと相対した参加者は戦うか逃げるかしか選択肢は無い。
そんな化け物に狙われたさっきゅんは必死に逃げていた。
しかし、その足取りは決して速くなく このままだと追いつかれるのは時間の問題だろう。


383 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/06/11(日) 02:46:05 6BtI8VfE0
(戦わなきゃ、戦わなきゃ!)

意を決したさっきゅんはデイバッグから杖を取り出して機関車へと向けた。
この杖は『魔道士の杖』と呼ばれ非力な魔法使いでも装備出来る杖である。
しかもこの杖は道具として使っても効果があった。

「これでぇ!」
『…………』

杖の先端にある赤い宝石から火の玉が出現し、タイラントの大きな顔面に直撃する。
火の玉をまともにくらってもタイラントの不気味な笑みは一切変わらず。
怯むことも無いままさっきゅんの元へと前進していき……。

『ポッポ〜♪』
「きゃああああああ!!」

タイラントは汽笛を鳴らしながら巨体を生かした体当たりを仕掛けてくる。
とっさに右横に飛んだことで直撃を避け、彼女の真後ろにあった木々をへし折った。

「あ、危なかった……」

もし避けなかったら自分の体が木々みたく破壊されていた。
そう思うだけで背筋が凍りつく。
だけど、今は怖気づいてる場合じゃない。
ここで立ち止まったらあの怪物に追い付かれてしまう。

「こうなったら!」

さっきゅんはもう一つの支給品に手を伸ばした。
手にしたのは石の欠片だった。
それは『爆弾石』と呼ばれる攻撃アイテムであり
投げると大きな爆発を起こす効果がある。

「これであっち行ってぇぇ!!」

投げられた爆弾石はタイラントの額へコツンと当たると一瞬、爆弾石が光だし――
轟音と共に爆風がタイラントの体を包み込んだ。

(今のうちに!)

これで倒せるとは思えないさっきゅんは走り出した。
少しでも距離を稼ぐために。
さっきゅんは脇目も振らずに息の続く限り走った。

(ここなら……休めるかも……)

森の中でロッジを発見したさっきゅんはそこで休息を取ることにした。
そこで身を隠せば、機関車の追跡から撒けるかもしれない。
それにこれ以上、走るのはさっきゅんの体力的にも限界に来ていた。

シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ
「ひっ!?」

距離を離したはずなのにタイラントはもうすぐそこまで近づいていた。
機関車の肉体を得ているタイラントの体力はほぼ無尽蔵であり
移動速度もさっきゅんより上であった。

(どうかお願い……見つかりませんように……)

扉の鍵を閉めたさっきゅんは部屋の隅で縮こまり、ひたすら祈り続けた。
歯はガタガタと震わせ、涙もさっきから止まることなく
ポタポタと頬を伝って床にこぼれ落ちていた。

シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ

ガチャガチャガチャ!!

(……!?)

機関車の体でどうやっているのか。
タイラントがドアノブを掴んで開けようとしていた。
内側から鍵を閉めなければ侵入されていただろう。

(〜〜〜ッ!!)

悲鳴を上げない様に両手で口元を押さえつけるさっきゅん。
必死に恐怖を押し殺して耐えていた。
何度も扉のドアノブを回し続けるタイラントだったが
入れないと理解するや諦めて扉から去っていった。

シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ シュツ ……

(良かった……離れていった……助かった!)

蒸気の音が徐々に小さくなり聞こえなくなった。
聞き耳を立てていたさっきゅんはホッと胸を撫で下ろす。
だけど、まだ安心できない。
タイラントはまだ近くに居るかも知れないからだ。
だから、さっきゅんはロッジの中でじっとしていた。
絶対にタイラントに見つからぬようにと身を隠していた。
それが今のさっきゅんが出来る最善の行動と考えた。


384 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/06/11(日) 02:46:45 6BtI8VfE0
(このまま朝になるまで隠れてから、それから……)

協力者を探して脱出しよう、と決めたその時だった

シュツ シュツ シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ

ドゴォン!!

〜♪

「え……?なんで……?」

タイラントがロッジの壁をブチ破って中へと侵入し、軽快なBGMが流れ出す。
突然の出来事に、すっかり安心していたさっきゅんは思考することもままならず
迫りくるタイラントへの脅威に対して対応が遅れる結果となった。

『ポッポ〜♪』

タイラントは汽笛を鳴らしながら巨体を左右に振り回し
まるでラリアットを当てるかのように、機関車のボディをさっきゅんに叩きつけた。

「うがぁ……」

巨大な重量の塊をぶつけられたさっきゅんは壁に激突して倒れる。

「痛いよ……動けないよぉ……」

頭に鈍い痛みが響き渡り、意識が朦朧としてくる。
自身の後頭部を撫でてみると、手のひらが血でベットリと濡れていた。

「ああ……、私、酷い怪我してる……」
『ポッポポ〜♪』

未だ起き上がれないさっきゅんをタイラントは見下ろすと
後輪だけでバランスを取るように前輪を高く持ち上げると
さっきゅんの倒れている方向へ向けて勢いよく前輪を振り下ろした。

ズドン!!

「んぎっ……んぎゃあああああああああああああ!!!!!!!」

数百キロはあるだろう機関車の重量がさっきゅんの腰を押し潰す。
骨は粉々に打ち砕かれ、ぶちゅぶちゅと肉が潰れる音を立てながら前輪を押し込んだ。

「やめでっ!!やめでぇぇぇぇっ!!ごぼぉっ!!」

ごぼごぼと血を吐きながらひたすら懇願するさっきゅんに
タイラントは一切反応せず、無慈悲に破壊を続ける。
殺戮兵器は完全に命を奪うまで攻撃の手を辞めることはない。

ブヂブヂブヂブヂッッッ!!!

「ごっ!!あがっ!!ごぶぉおおおお!!」

腰から上の上半身へ攻撃を加えるタイラント。
肉体が破壊される度に口から血が溢れ、口周りは真っ赤に染め上がっていく。

(助けてぇ……魔王様、姫ぇぇ……)

ヒュウ、ヒュウと微かな息を吸いながら彼女が思うのは
魔族の長である魔王タソガレの姿と
魔王軍の人質であるスヤリス姫の姿だった。

彼らが救ってくれると信じながら涙を流し
そして、タイラントの前輪がさっきゅんの頭部を踏み潰して脳漿をぶちまけた。

シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ

さっきゅんの息の根を完全に仕留めたタイラントはロッジを後にしていった。
次なる殺害対象を見つけるために……。

もしトーマスのBGMが聞こえた注意をしよう。
すぐそこに死神が迫ってきている合図なのだから
じこがほら、おきるよ。
いきなりくる。
君たちの目の前に突然やってくる。

じこはおこるさ。

【さっきゅん@魔王城でおやすみ(身体:小悪魔@東方Project) 死亡】


385 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/06/11(日) 02:47:05 6BtI8VfE0
【タイラント@バイオハザードRE:2】
[身体]:トーマス@きかんしゃトーマス
[状態]:健康、返り血が付いている
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:全ての参加者の殺害
1:次の殺害対象を探す
[備考]
※トーマスのサイズは3メートルほどに縮小されています
※タイラントに補足された参加者は、きかんしゃトーマスのBGMが聞こえるようになります
※線路以外のあらゆる道で走ることが出来ます
※階段の上り下りや扉の開閉も出来ます
※デイバッグはトーマスの中に入っています

※さっきゅんの圧殺死体はデイバッグ共々、ロッジの中で放置されています。

【魔道士の杖@ドラゴンクエスト3 そして伝説へ】
先端の赤い宝玉を手で掴んだ形状の、魔法の杖。
道具として使用するとメラの効果がある。

【爆弾石ドラゴンクエスト5 天空の花嫁】
自爆したばくだん岩が残していったカケラ。
敵に投げつけて衝撃を加えると爆発を起こす。


386 : 名無しさん :2023/06/11(日) 02:47:54 6BtI8VfE0
投下終了です
タイトルは『じこはおこるさ』です


387 : ◆NIKUcB1AGw :2023/06/12(月) 23:18:33 2gm0NADY0
2本連続で投下します


388 : 負けない敗者 ◆NIKUcB1AGw :2023/06/12(月) 23:19:21 2gm0NADY0
勝利マン。それは誰よりも勝利に執着するヒーロー。
頭は表彰台。額には「必勝」のハチマキ。
眉は「V」の字を描き、耳にはトンカツ。
肩にはカツオ、膝には謎に包まれた坊主頭の少年の似顔絵。
そして胸に輝くのは、「勝利」の文字。
まさにその姿は、勝利という概念の具現化と言えた。
そしてこの殺し合いにおいて、その体を与えられたのは……。

『マイナスとプラスをかけると、マイナスになるんだよねえ。
 いや、ひょっとしたらかけ算じゃなくて足し算かもね。
 その場合は……純粋に大きい方の性質が出るのかな』

敗北を運命づけられた男。グッドルーザー。
名を、球磨川禊。

『まあ体が変わったくらいで、僕が勝てるようになるとも思わないけどね。
 とりあえずは、適当にやってみようか』

うっすらと笑みを浮かべ、球磨川は歩き出す。
行き先は定めない。方角すら確かめていない。
だが、それでいい。
勝つにしろ負けるにしろ、彼の行く先で何かが起きるのはたしかなのだから。


【球磨川禊@めだかボックス】
[身体]:勝利マン@とっても!ラッキーマン
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:『まあ、気の向くままにやらせてもらうよ』
[備考]
※参戦時期は生徒会選挙直前


389 : 人間でいられなかった怪物 ◆NIKUcB1AGw :2023/06/12(月) 23:21:06 2gm0NADY0
轟音と共に、一つの家屋が倒壊する。
破壊したのは、参加者の一人。
おのれに与えられた肉体の強さを確認するための、試し斬りである。

「は……はは……ハハハハハ! 素晴らしい!
 素晴らしいじゃないか! ほんの小手調べでこれか!」

狂喜の声を響かせるのは、六つの目を持つ異形の侍。
その手には、やはり異形のおぞましい刀が握られている。

「日光に弱いという弱点はあるが……。
 単純な戦闘力なら、全盛期の俺より明らかに上だ!」

そう叫ぶ精神の名は、「辻斬り」ナギリ。
かつてその悪名を轟かせた、吸血鬼の通り魔である。
だがその悪名も、すでに過去のこと。
本人からすれば理不尽と言うしかない不運により、彼は力の大部分を失った。
今ではいつか力を取り戻せると信じながら、警察や吸血鬼ハンターから逃げ回る日々だ。
そんな中、彼は突然凄まじい力を与えられた。
その代償が殺し合いへの参加だが、そんなことは彼にとって重要ではない。

「この体なら、優勝などたやすい!
 そして俺は、戻るんだ! 誰からも恐れられる存在へ!」

その言葉を口にした瞬間、ナギリの中から急激に熱が失われる。
つい最近、同じようなことを口にした。
その言葉を聞いた男は、悲しげな表情で言った。

『戻ったその場所に、君は本当に居たいのかい?』

「くそっ、余計なことを思い出した……」

記憶を追い出そうとするかのように、ナギリは激しく頭を振る。

「これは千載一遇のチャンスなんだ……。
 絶対に逃すわけにはいかないんだ……」

おのれに言い聞かせるように呟きながら、ナギリはゆっくり歩き出した。


◆ ◆ ◆


これは、完全な余談になる。
ナギリにかけられた容疑は、「連続傷害」。
彼は、人を殺したことはない。


【辻斬りナギリ@吸血鬼すぐ死ぬ】
[身体]:黒死牟@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝して、恐怖の象徴に返り咲く
1:俺は、本当に……
[備考]
※参戦時期は単行本25巻終了時点
※虚哭神去は肉体の一部を変化させたものなので、支給品ではありません


390 : ◆NIKUcB1AGw :2023/06/12(月) 23:21:49 2gm0NADY0
投下終了です


391 : ◆4u4la75aI. :2023/06/14(水) 11:18:40 4R48x.GU0
投下します


392 : 心臓に居座る支配の目 ◆4u4la75aI. :2023/06/14(水) 11:21:24 4R48x.GU0
 ええ、とても幸福な気分です。
 私は彼のファンですから。
 ああ、それでも……この身体だけは、どうにか取り除かないと。


◆◆◆◆


(デンジくんの身体はね、そのロープを引けば好きな場所からチェンソーを生やせるんだ)

 肉体の入れ替え。それだけでも訳がわからないのに私にはもう一つの人格を植え付けられる待遇。主催の言葉を借りるなら副人格というものが私の心臓に在る。
 この場に降りてまずその人物、心臓のもう一人の人物の対話を試みてみた。最初に呼ばれたのは、名乗ってもいない自らの名。それだけならまだしもその後も次々と、言葉を発さずとも相手に思考を読まれ返答される。
 相手に思考が全て読まれている。同じ肉体、どういうシステムなのかはわからないが厄介なのは確か。副人格というシステムがこうも危険なのは想定外であった。

「(デンジさんは……魔法少女?)」
(うーん、デンジくんは取り敢えず魔法少女ではないかな。桃ちゃんの世界にあるシステムのことを深くは理解できていないけれどまずデンジくんは男の子だからね)」

 だから無駄に心情を隠すことはせず、心臓の相手との会話を始める。物腰は柔らか。ただ、どこかで味わった様な底が一切知れない性格。
 そしてわかったことだが、どうやらこの肉体と心臓の彼女は知り合いらしい。与えられた身体の名はデンジ。心臓部分の人格ポチタという悪魔。これも新たにわかったことだが自らの過ごす世界と彼女らが住む世界ではどうも世界の理ごと違うらしい。闇の一族、光の一族。悪魔、デビルハンター。デンジと彼女の世界が同じだったことはひとまずポジティブなことだと考えておく、肉体のことを深く知れるのは利点でしかない。

 ただ、その肉体、デンジをよく知る彼女は本当に安全なのか?彼女らの世界は聞いただけでも物騒過ぎる世。その様な場所で組織を集わせている彼女は本当に善良な人物なのか?
 過去からの経験、人を疑う目だけは無駄に発達してしまった。

「(……取り敢えずは、あの魘夢って奴をどうにかしてここを脱出するつもりです。魘夢さえどうにかすれば私と貴方が一生同じ身体、ってこともないでしょうし)」
(それは賛成かな、取り敢えずは主催の人をどうにかしないとね)
「(だから取り敢えずは……協力者を探すことにします。殺し合いに乗った相手は戦うつもりですけれど)」
(デンジくんは大切な仲間だからね。私としてもこの身体が死んじゃったら困るから賛成かな)

 警戒はやめない。ただの疑いすぎならば良いのだが。

(ああ、そういえば)

(私が今いる人格、ポチタって言うんだけどね、桃ちゃんさえ許してくれれば私がデンジくんの身体を操作できる様になるから。桃ちゃんが勝てないって相手が出てきた時はいつでも言ってね)
「(……はい、覚えておきます。マキマさん)」


◆◆◆◆


 この身体は、どうにかして持って帰りたいな。
 桃ちゃんは良い子みたい。いつもの力は無くなっちゃったけど今の所言う事を聞いてくれるからそこは大丈夫かな。それでも最後はこの身体から追い出さないと。

 私がチェンソーマンになれる。
 考えてもなかった。デンジくんの身体と結ばれた今、それも良いかもしれない。

 その為にはまず、魘夢の力を手に入れなきゃ。



【千代田桃@まちカドまぞく】
[身体]:デンジ@チェンソーマン
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:魘夢の打破、この場所からの脱出。
1:マキマは底が知れない。少し警戒。
2:デンジの力をどこかで試しておくべき?
3:心を読まれるのは厄介。無駄なことは考えない様にしよう。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手様にお任せします。
※デンジの能力についてマキマから聞かされました。
※チェンソーマンの世界についてマキマから聞かされました。悪魔等 やデビルハンター等の概念を理解しました。


[副人格キャラ状態表]
【マキマ@チェンソーマン】
[身体]:ポチタ@チェンソーマン
[状態]:
[思考・状況]基本方針:チェンソーマンの力を手に入れる。
1:桃ちゃんにはよく働いてほしいな。
2:違う世界があるんだ。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手様にお任せします。
※まちカドまぞくの世界についての情報を得ました。
※支配の悪魔の力は使用できません。
※デンジの肉体から許可が出た、もしくはデンジの肉体が意識を失った場合デンジの身体を操作し『チェンソーの悪魔』に変身可能となります。『チェンソーの悪魔』の力は大幅に制限されています。


393 : ◆4u4la75aI. :2023/06/14(水) 11:22:02 4R48x.GU0
投下終了です


394 : ◆vV5.jnbCYw :2023/06/16(金) 23:04:35 BjIvzk5w0
投下します。


395 : この世に悪があるとするなら、それは人の心だ ◆vV5.jnbCYw :2023/06/16(金) 23:05:12 BjIvzk5w0
禍福は糾える縄の如し。
よほどのペシミストでない限り、多くの人間は、自ずと考えてしまうものだ。
自分が最悪の状況に見舞われれば、その後は良い事が代わって来るだろう。
少なくとも、これ以上悪いことは起こりやしないだろう。
口ではそんなことは無いと言っても、心のどこかでそう思うはずだ。


現にこの少年だってそうだ。
人間のほとんどが吸血鬼になり、逃亡と抵抗を繰り返す日々を過ごすことになった。
必死で生きようとしていた仲間も、吸血鬼の警官に捕まってしまった。
ここから人間が逆転する可能性など、無いに等しい。
逆に今以上に最悪の事態に追い込まれることはないはずだ。
つい先ほどまで、そう思っていた。


だというのに、よく分からない殺し合いに参加させられた。
しかも、自分の身体を奪われ、身元の分からない身体に憑依させられ。
挙句の果てに、その身体は。


彼が憎み続けた、吸血鬼のものだった。



「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


手鏡でその姿をはっきりと確認して、自分がこれまで以上に最悪の事態に立たされていることを知った。
殺し合いの真っただ中だというのに、凄まじい悲鳴をあげた。
夜でも分かるほど赤く輝く目、病人のそれより白い肌。そして口から覗かせる鋭利な牙。
そもそも、深夜の森なのに異様なほど明るく見える時点で、おかしいと思うべきだった。
どう考えても、自分が憎み、心臓に杭を突き立てた同胞のそれだ。
肉体の説明書を読まなくても分かる。


「返せ!!僕の身体を!!」


手鏡を八つ当たり気味に投げ捨てる。それは、あっけなく砕けた。
たとえ地球上の人間が、自分しかいなくなったとしても、吸血鬼になってまで生きようとは思いたくない。
そんな決意は、理不尽によりあっけなく砕かれた。
自棄を起こしたかのように、近くの樹に蹴りを入れる。
頑丈な幹を持つそれは、サッカーボールか何かのように飛んで行った。
普通の人間ならば、どう考えても出来ない行為。
今の身体は、間違いなく人間を凌駕する吸血鬼のそれだと確信した。


「こんな体になってまで生きたくない!!」
「おい……」


癇癪を起して叫んでいる元少年の後ろで、声が聞こえた。


396 : この世に悪があるとするなら、それは人の心だ ◆vV5.jnbCYw :2023/06/16(金) 23:05:30 BjIvzk5w0
そこに立っていたのは、紫色をした猿だった。体格は人間の大人と同じか、少し小さいくらい。
異様なまでに毒々しい毛皮や、背中に生えている蝙蝠のような翼から、怪物だと伝わった。


「うわあああああ!!来るな!!来るな!!」


先程とは異なるトーンの悲鳴を上げ、後ずさる。
人間とは比べ物にならない力を持つ種族には似つかわしくない所作だ。
尤も、元の身体の持ち主も、屋根の上で血で滑ったりと、しばしば間抜けをさらしていたのだが。


「おい、落ち着け。」


おおよそ話が通じそうにないと思っていた猿の怪物は、少年を宥めるように呼び止めた。


「え?」
「落ち着けよ。あんたも同じ、人間だったんだろ?俺もそうだ。」


ひどく落ち着いた口調だった。
親友の兄をはじめとした、知識人や大人が話す時の喋り方だ。
目をつぶっていれば、人間が話しているのだと勘違いしてしまうだろう。


「どうして……分かったんですか?」
「さっき、『返せ、自分の身体を』って叫んでただろ?」
「……ああ、はい。」


他人にばれずに話すつもりは無かったが、他人に聞かれてしまうと恥ずかしいものだ。
それでも、吸血鬼の真っ白な肌は、赤面することは無いが。


「まずはあんたのことを知りたい。それでいいか?」


少年は話を始めた。
自分は良太という名前で、東京という町で一人の少年として暮らしていた。
けれど、ある日を境に、人間が次々に凄まじい力を持った吸血鬼に変わって行ったことを。
人間の数は刻一刻と減って行き、ついには知っている人間が自分一人になってしまったことを。


どんな話でも、ストレイボウと名乗った怪物は聞いてくれた。
どこか大人びた人間の口調だと思ったが、話をしてみると、本当に大人のように話を受け止めてくれた。


「どうかしたのか?」
「いえ……人と話を出来たのが嬉しくて……。」


しばらく話をすると、段々涙が出て来た。
いくら見た目が怪物とはいえ、人間相手に話をしている。
親友が撃たれた後、もうそれは出来ないんじゃないかと考えていた彼にとって、それは涙が出るほど嬉しい瞬間だった。


397 : この世に悪があるとするなら、それは人の心だ ◆vV5.jnbCYw :2023/06/16(金) 23:05:55 BjIvzk5w0

一通り話すべきことを話し終えても、色々なことを話そうとした。
元々はどんな姿なのだとか、どんな国に住んでいるのかとか、釣りは好きかとか。
話をしている間に、次に話したいことが次々浮かんで来た。
言ってしまえば、軽く酔ったような気分にさせられていた。


「なあ。」


だからこそ、次にストレイボウが発した言葉は、酔っ払いに対する冷水のような力を発揮した。


「お前、殺し合いに乗る気はないのか?」


沈黙。
良太は声を出そうにも出せなかった。
ただ、真っ白な手を震わせるしか出来なかった。


「な……なぜ……。」


良太は善良な一般市民だ。
吸血鬼の胸に杭を突き立てたことはあるが、それはあくまで緊急事態だったから。
それ以前に、相手は人間ではなかった。
今も昔も、人殺しをする気なぞさらさらない。


「簡単な話だよ。吸血鬼になった者達を元に戻せるチャンスじゃないか。
いや、そもそもそのマチスンウイルスってヤツを消してしまえば良い。」



人殺しなどする気はない。身体が吸血鬼になっても、心まで血に飢えた化け物になりたくない。そう思っていた。
だと言うのに。


闇の真ん中に現れた光は。
砂漠の真ん中に現れた水たまりは。
地獄の真ん中に垂らされた蜘蛛の糸は。

無視するにはあまりに眩すぎる物だった。



「道理じゃどうにもならないモノを、無理で引っ込ませる。間違ったハナシじゃないだろ?」


今度はストレイボウの方が、話を続ける。


「気持ちは分かる。俺も、色んな物を奪われてきたからな。」


先程と口調は変わらない。静かで、物怖じと言う言葉を感じさせない。
大人が子供をなだめるような、ともすれば優しさと勘違いしてしまいそうになる。
無視しようにも、無視できない。


「そしてどんなに努力しても、奪い返すことは出来なかった。」


398 : この世に悪があるとするなら、それは人の心だ ◆vV5.jnbCYw :2023/06/16(金) 23:06:16 BjIvzk5w0

言葉という水面の上に、怒りという波紋が走る。


「あ、あなたは……。」


ようやく気付いてしまった。
目の前の男は、見た目だけが怪物なのではないことに。
心の奥でも、醜悪な怪物を飼っていることに。


「けど、願いさえ叶えてもらえば、そんなことはどうでも良くなる。
それに俺達には、新しい力がある。この怪物の力だ!!」


悪魔の顔をしているから恐ろしさを醸し出している。そんなものではない。
たとえストレイボウの、元の端正な顔からでも、悍ましさが伝わって来ただろう。


「ま、まさか、僕を……。」


彼は恐ろしいのは見た目だけで、殺し合いに乗ってはいないと錯覚していた。
吸血鬼の王とは思えない挙動で後ずさる。
目の前の男がどんな力を持っているか分からない。
それでも、戦いに関しては素人に毛が生えた程度の彼からすれば、不利なのは明確だ。


「殺すつもりは無い。ただ、協力して欲しいだけだ。
たとえ願いを叶えてもらえるのが1人だけだとしても、生き残る可能性は上がるだろう?」

「……いや、だ……。」


からからに乾いた口を動かして、辛うじてその言葉を紡いだ。
ストレイボウの言葉を正しいと思っている自分がいる。
いや、彼の言っていることが正しくないとは思えない。
万が一、元の世界に帰っても、帰りを待ってくれる家族や友達はいない。
結局生き残りの人間として、吸血鬼から追われるだけだ。
雅という吸血鬼の王の力を使い、参加者を殺して、あの日に帰る方が理にかなっているんじゃないか。



「嫌?言っていることが分からないな。」
「………!!」


それを言うと紫の怪物は、猿特有の皴だらけの顔に、さらに皴を寄せた。
吸血鬼の、冷え切った体にさらに寒気が走る。


「お前はかなり強い肉体を得たようだが。戦いに関しては素人だろう?
殺し合いに乗るにしろ身を守るにしろ、仲間は必要だと思うがな。」


ストレイボウは蝙蝠の翼と尻尾を見せ、風のように去って行こうとする。
決して隙を見せたということではない。
お前のような優柔不断な相手など怖くないし、その気になれば簡単に殺せる。
そんなことを感じるサインだった。


「ま、待ってくれ!!」


399 : この世に悪があるとするなら、それは人の心だ ◆vV5.jnbCYw :2023/06/16(金) 23:06:38 BjIvzk5w0

その言葉は、夜の風に消えた。
待ってくれたとしても、その後どうするか分からない。
親身になって話を聞いてくれた男を止めるか、それともその手を握り、心までも吸血鬼となるか。


吸血鬼特有の人間を凌駕する筋力を使おうともせず、気の弱い男はただそこに立ち尽くしていた。




【良太@流血鬼】
[身体]:雅@彼岸島シリーズ
[状態]:健康 焦燥
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:この場所からの脱出。しかし帰っても……。
1:あの日に帰るために、参加者を殺すべきなのか?
2:ストレイボウにまた会ったら、協力すべきか、止めるべきか。
3:身体は吸血鬼になっても、心まで吸血鬼になりたくない。
[備考]
※参戦時期は親友が吸血鬼の警官に撃たれた所を目撃した直後
※『良太』という名前はアニメ版からの名前です。






(つまらねえ奴だったな……)


ストレイボウは嘘など言っていない。
実際に自分を親友と言う男、オルステッドに奪われてきたのは事実だ。
恋した女性を、勝者の名声を、人々の歓声を。


だからこそ、魔王山で一人だけ地下への入り口を見つけた時、勇者を嵌めようと考えていた。
結果は、その途中で殺し合いに巻き込まれてしまったが、それはそれで問題はない。
優勝すればアリシアを、オルステッドでさえ手に入れられない程の名声も、手に入るはずだから。


参加者を殺すついでに、もう一つやることがある。
むしろ、積極的に殺すつもりは無い以上、そちらの方が肝心だ。
ほんの少し、最低限の力で人を動かし、誤った道へ進ませる。
彼の肉体になった怪物、バズズと同じように。





【ストレイボウ@LIVE A LIVE】
[身体]:バズズ@DQM+
[状態]:健康
[装備]:炎の爪@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝し、アリシアをその手にする。
1:参加者の背中を押し、殺し合いに乗せる。
2:バズズの力をもう少し知っておきたい
3:あの怪物(良太)はどうなるか気になるな。
[備考]
※参戦時期は魔王城でオルステッドと別れてから、再会する前です。
※良太の国は、ほとんどの人間が怪物になったことを知りました。


400 : この世に悪があるとするなら、それは人の心だ ◆vV5.jnbCYw :2023/06/16(金) 23:06:49 BjIvzk5w0
投下終了です。


401 : 異常事態 ◆EPyDv9DKJs :2023/06/18(日) 13:00:32 N/taeh2I0
投下します


402 : 異常事態 ◆EPyDv9DKJs :2023/06/18(日) 13:01:51 N/taeh2I0
 先の説明を思い返す。事態は飲み込めた。
 月を見た。ちゃんと月には顔が存在している。
 自分の身体を見た。元の肉体とは別物の身体。
 鏡を見た。本来の顔とはかけ離れた醜悪な顔が映った。
 念のため近くで流れている水路で反射する自分の顔を見る。
 結果は同じだ。手鏡に細工はなく、紛れもなく今の顔が自分なのだと。

「いや、つっこみどころしかねえぞこの状況。」

 全てにおいてわけがわからない状況に軽く頭を抱えてから男は呟く。
 名をユーリ・ローウェル。とある世界で下町の用心棒をしていた人間だ。
 魔導器(ブラスティア)と言ったものがあるため特殊な存在は慣れたものだが、
 流石に身体まで入れ替わっているとなると話は変わってくると言うものだ。
 魔導器だろうとこんなことができるとは思えない。

「しかも何なんだよこの身体!」

 一番納得いかないのは身体だ。
 せめて人間であったのならまだいい。
 今の身体を思うと、しつこいザギの方がましだ。
 最悪、人間でなくても人型であれば構わなかった。
 それぐらいに今の身体は異様な姿をしているのだ。
 白い肌を通り越した真っ白と言ってもいいぐらいの肌。
 陽に当たることを避け続けたとしてもこうはならないだろうレベルだ。
 本来瞳があるはずの部分には口が二つ存在しており、
 逆に瞳となるものは額や口にあたる部分に存在していて、
 手は全身に十は超えている上に、そもそも下半身が壺に入った状態だ。
 別の身体に変わるにしても、これは人からかけ離れすぎている形。
 外見的にも、はっきり言って気持ち悪いの一言に尽きてしまう。

(一体何を考えてこの身体なんだよ……俺と似ても似つかねえだろ。)

 タブレットでこの身体のプロフィールを見るが、
 はっきり言って理解に苦しむ内容で余計頭を抱えた。
 上弦の伍と呼ばれる鬼、玉壺と言う人物ではあるらしいが、
 これを他人に見せれば間違いなく警戒されるレベルの外道になる。
 人を食らう鬼であり、人の死体を使って芸術品を仕上げると言う、
 いかにクズを見てきたユーリでもこういう形の狂人は珍しい方だ。
 自分を何度もストーキングしてきたザギでさえましに見えてくるだろう。
 あれはまだわかりやすい。共感するつもりはないが。

(けどまあ、魔導器がないことを考えると便利なのか?)

 ユーリのいた世界、テルカ・リュミレースでは魔導器がないと魔術が使えない。
 使用者の能力を高めるものにも必要であり、それがないと不便にもなる代物だ。
 別の身体である以上当然ないし、戦闘もできない人とかの身体とかならまだしも、
 戦闘においては相応に強いことについては一つの利点となりうるだろう。

(けど、身体がついてこれねえんだよな。)

 もっとも、そんな身体も扱えればの話ではあるが。
 うさぎ跳びの要領で壺をジャンプさせながら歩いて(?)いく。
 玉壺は基本壺をあらかじめ転移させて移動すると言う独自の移動方法を持つが、
 まだこの身体に慣れてないせいでうまくできない為、こういう形でしか動けない。
 そも、玉壺と言う鬼の血鬼術は他の上弦の鬼と比べると搦め手が多すぎる。
 ユーリもまたトリッキーな動きをすると言えども基本的には近接戦が主体。
 こういうのは頭を使うリタの方が向いている(彼女ならこの身体は絶対に嫌だろうが)。

(そういえば魘夢も十二鬼月って言ってたよな。)

 最初に説明をしていた少女の身体の精神も鬼らしい。
 上弦や下弦の概念から察するに上下関係はあるようではある。
 生憎とその手の考察の知識はリタ程ではない為掘り下げられないが、
 もしいるのであれば何かしら攻略の鍵になるかもしれないとは思う。

「やめろおおおおお!!」

「ん?」

 地道に跳ねているユーリの下へ、全力で駆け寄る一人の青年。
 橙色の髪と紫色が多めの服を着た、どこにでもいそうな人物だ。
 駆け寄ると同時にユーリ、と言うより壺を持ち上げる。

「貴様! 私の身体を使っておきながら壺を粗雑に扱うでない!
 私の芸術品を理解できぬ野蛮人であることは許容するとしても、
 壺を傷つけるものではないことぐらい野蛮な人間でも分かるだろうッ!!」

 怪物でありながら物怖じせず、
 振り向いた自分に物凄い剣幕で迫る青年の表情はかなり怖いが、
 別に特に動じることはなく、発言の内容から相手が誰か察した。

「あー、ひょっとしてこの身体の持ち主?」

「そうだ! 下弦の分際で私の身体を弄りよって!
 よもや、あのお方を巻き添えにはしてないだろうな!?」

 人を食う鬼ではあるが、
 思ってるより話し合いが通じる相手だとは感じた。
 鬼なのに人間臭いと言う奇妙な光景と持ち主の遭遇と言う、
 思わぬエンカウントに少しばかり気後れしていることは否めない。

「で、そっちはどうしたいんだ?」


403 : 異常事態 ◆EPyDv9DKJs :2023/06/18(日) 13:03:29 N/taeh2I0
「決まっている! 身体を取り戻して私は芸術品を仕上げるだけだ!」

「───ああ、そう。」

 その言葉を聞いた瞬間、
 冷めたような言葉と共に壺から身体を蛇のように伸ばし、突き飛ばす。
 不慣れな身体と言えども上弦の伍だ。たとえデコピンでも威力は相当で、
 突然の衝撃にそのまま倒れ、壺が軽く周囲を転がるがすぐに起き上がった。
 いや、起き上がったと言うよりは別の地点に壺が立った状態で置かれていた。
 玉壺の基本的な移動手段となる、壺からの転移が簡易ながら機能している。

「な、貴様! 何をしている!?」

「何って、そりゃ殺さなきゃいけない相手がいるんだからな。」

 玉壺は一つ、致命的な勘違いをしていた。
 彼は肉体と精神は性格等類似した人物をあてがわれるものなのだと推察した。
 理由は今の玉壺が持つ肉体、雨生龍之介は彼と同様に死体で芸術品を作る狂人だ。
 厳密には目的の一環でしかない行為だが、ある日を境に更にその芸術品は悪辣さに磨きをかけ、
 人間でピアノを作ったり椅子を作ったりと、常人からは狂気としか思えないものを制作している。
 こんな狂った奴の精神に入るなどどうかしてると普通の人は思うだろうが、彼もまた芸術家。
 彼の芸術品を見てないので理解するわけではないにせよ、そういう類似点を見出してみたわけだ。
 『確定してない情報に嬉々としてだすな』とは首魁である鬼舞辻無惨にも言われたが、今回も同じ。
 自分の身体に入ってる奴ならば、龍之介のような独自の感性を持った人物であると言う思い込み。
 相容れない存在が自分の身体を使っていると言うことに、欠片も疑問を抱いていなかった。
 攻撃を受け、身体を使われていることで激昂して自分が鬼ではなくなってることに改めて気づく。
 玉壺は長い間鬼として蹂躙し続ける側にいたが、逆に立たされる側になるとは欠片も思うことなく。

「テメエは少なくとも、この世にいていい奴じゃねえのは分かってる。」

 生憎とユーリは狂ってはないが、
 一方で殺し合いと無縁な博愛主義者でもない。
 法で裁けない悪党を自分の手で殺めると言う、
 一つの覚悟を決めた、悪を以って悪を裁く側の存在。
 当然、玉壺の精神について野放しにできるわけがなかった。
 もし彼が今までを悔いて殺し合いに乗らないとかを言えていたのなら、
 情状酌量の余地が僅かにでもあったかもしれないが、その様子は見受けられなかった。
 だったらやることは変わらない。法と言う概念がそもそもない場所だが、
 変わらず汚れ仕事を請け負うことにすると。

「ま、待て! 私を殺せばこの男の持ち主はどうなるか分かってるのか!?」

 連続殺人鬼と言う肩書がある龍之介の身体は、
 常人としては高いスペックはあるし魔術回路はあるが結局は人間の範疇を超えない。
 肉体と精神が別物だとしても、上弦の鬼を振り払えるような力は全くない。

「分からねえ。だが、持ち主だったら人様の身体で好き勝手させられる方が不本意だろ。」

 さっきのお前がキレたようにな、
 とも思いながら逃げようとする玉壺の首根っこを小さい手で挟む。
 小さい手なのにもがこうと逃げられない。自分の強さは自分が一番分かってるが、
 分かってるからこそ理解したくない。二度も下等な存在に殺されてしまうなど。

「てめえの悪趣味な芸術に付き合う気はねえんだよ。」

「───それは貴様の見る目がないからだろうがッ!!!
 貴様のようなッ! 生まれたらただ老いるだけの脆弱で矮小な存在が!
 芸術的価値をも理解できぬ人間が、誰の許しを得てその身体を使っている!
 つまらぬくだらぬ命が神の手を持つ玉壺をウジ虫如きが勝手に使うなど断じて───」

「地獄で言ってろ。」

 何処までも救えない奴だ。
 諦念のようなものを感じながら指に力をこめれば、
 容易く首の肉を抉って頸動脈ごとちぎって、その命を終わらせる。

 敗因は柱と戦って敗れた時と同じだ。
 無惨のように高いプライドを捨てて生き足掻けば、
 このような結末を迎えることはなかっただろう。
 人間性を持ち続けたままでいた。それだけである。
 無惨も言っていたことを、全く理解してないかの如く。



【玉壺@鬼滅の刃(身体:雨生龍之介@Fate/Zero) 死亡】



(まさか、こんな形で手を汚すことになるとはな。)

 手についた返り血をしかめっ面で見やる。
 救えない人間は見てきたし、法で裁けない悪党を自分の手で裁いたことはある。
 だが、鬼となってもそういう連中を裁くことになるとは思いもしなかった。
 この身体の能力となる血鬼術を使うまでもないあたり、どれだけ強いかは伺える。


404 : 異常事態 ◆EPyDv9DKJs :2023/06/18(日) 13:05:48 N/taeh2I0
(にしても、こいつも負けず劣らずじゃねえか。)

 玉壺の方の身体の持ち主も大概な人間だと言う事が把握できた。
 寧ろ、人間の身で似たようなことをやっていたのだから恐ろしい。
 最初こそ殺す際は身体の持ち主には悪いと言う罪悪感はあったが、
 これで良かったような気もしてしまう。

(支給品……はちょっと待つべきか。)

 このまま支給品を得るのも手、そう思ったが流石にまだ早いと思った。
 開始早々支給品を複数持っている怪物……どう見たって悪印象しか持たれないだろう。
 最初からマイナスである中、更にマイナス要素を抱えてスタートするわけにはいかない。
 かといって血鬼術で壺の中に収納するのも、事故が起きてもし出したら言い訳できない。
 近くに川があることなので、一度死体を沈めて必要になったら回収をすることにする。
 支給品も身体の都合、急いでほしいと言うわけでもないのが幸いと言うべきか。
 最悪死体を食わねばならない状況に追い込まれた場合にも重要な存在だ。
 そうならないことを願いたいものではあるが、何が起きるかは分からない。
 既にすべての状況が異常事態だ。最悪のケースは考えるに越したことはなった。

 そこらへんから石を採取して玉坪、基龍之介の服の中へと入れた後、
 そっと水の中へ落として、ゆっくりと死体が水ぞ子へと沈んでいく。
 死体はその内腐敗ガスの都合浮上するだろうが、どの道期限は三日以内だ。
 浮上する頃にはおおよその決着はついていることは予想できる。

「よし、完了っと。」

 手をはたいて汚れを飛ばし、
 改めて先程できた転移を試してみる。
 移動はできるが今の上限は二メートル程度。
 疲れないが移動速度が貧弱極まりないのだけは察した。

「さて、仲間がいなきゃいいんだがな。」

 仲間がいたらこの姿でも接してくれるかもしれないが、
 それはそれとしてこんなのに巻き添えになってほしくもない。
 そんな風に思いながら、短距離ではあるが壺で転移して移動を始めた。

(後、血は見ない方がよさそうだ。)

 身体が鬼だからなのだろう。
 先ほど手についた血を、舐めたくなっていた。
 鬼の身体のせいだということはなんとなくわかる。
 だから気を付けたい。万が一最悪の事がおきないように。

【ユーリ・ローウェル@テイルズオブヴェスペリア】
[身体]:玉壺@鬼滅の刃
[状態]:健康、身体の状態や人物に嫌悪感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:いつも通りにやるとしますか。
1:フレンとかエステルはいねーよな?
2:必要なら悪党を斬ることも辞さない。ザギとかいたら仕留める。
3:必要になったらあいつ(玉壺)の支給品を回収する。
4:日光の対策も考えねえといけねえよな。

[備考]
※参戦時期は少なくともザギ(タルカロン戦)より前。
※肉体の参戦時期は不明。
※血鬼術は現時点では殆ど使えないor使っても貧弱です。
 (一万滑空粘魚で僅か十体しか飛ばせないとか、そんな感じ)
 壺から壺への転移は一応できますが慣れない限り短距離です。

※川の何処かに玉壺(龍之介)の遺体が沈んでます。
 服に石が詰められてるため暫くは浮いてきません。


405 : 異常事態 ◆EPyDv9DKJs :2023/06/18(日) 13:06:27 N/taeh2I0
以上で投下終了です


406 : ◆5IjCIYVjCc :2023/06/20(火) 00:18:23 DyuW5Ya20
皆さん投下ありがとうございます。
こちらでの報告は遅れましたが、帰ってきました。
感想が書けたので投下します。

>クソ度し難い
これはマジで度し難き組み合わせ。
竹のビルを火葬砲で消し飛ばしそう。

>呉越同舟!
国民的な存在によるケイドロの、ちょっと意味が変わった感じですね。
アニメか、特撮かって感じの。

>誇りと決意を胸に抱いて
タイトルの胸ってまさかそういう意味の方?

>マネーイズパワー
山田と言えば確かに金のイメージがあるし、必然的にこんな組み合わせになるのでしょう。
けれど贋札掴まされてる…。

>運命
レミリアは運命を操る程度の能力を持っているというけども、この出会いの運命は果たして自分で引き寄せたものなのかどうなのか。

>Don't leave me
ペコリーヌからしてみれば、記憶の話はそりゃあ気にしないわけにはいかないでしょう。
忘れる・忘れられるってのはどっちにしても辛いだろうね…。

>じこはおこるさ
事故は事故でも合体事故の方な感じがします。
あの「テ、テ、テ、テテッテ〜♪」の音楽を鳴らしながら追いかけてくるの、追いかけられる人からしたら滅茶苦茶恐怖だけども、こちらから見たらやはりシュールさの方が勝ってしまう。
また、これを読んだ後、昔見たことのあるトーマス改造シリーズの動画を見返しに行きました。

>負けない敗者
名前が勝利になっても、グッドルーザーは変わるのだろうか。
本人の本音としては…。

>人間でいられなかった怪物
無惨の声の吸血鬼が兄上にですか。
シリアス成分が高い時の吸死になってます。

>心臓に居座る支配の目
憧れのチェンソーマンと一緒になれてよかったねマキマちゃん!
果たして、理想のやること全てが無茶苦茶のチェンソーマンは再現できるのか。

>この世に悪があるとするなら、それは人の心だ
流血鬼のオチのことを思うと、良太の態度に何とも言えない気持ちになる。
雅の身体が宛がわれたのも皮肉な感じな気がします。

>異常事態
何気に、自分の身体に殺された奴は初めてか?
玉壺の見た目の気持ち悪さはかなりの上位の方に入ると思いますし、その点についての苦労がかなり大きくなりそう。


407 : ◆U1VklSXLBs :2023/06/22(木) 05:14:12 pYu0WILQ0
投下します


408 : 天使のような悪魔の顔で ◆U1VklSXLBs :2023/06/22(木) 05:15:21 pYu0WILQ0
キッドが目を覚ましたのは、浴槽と寝室が一体になった奇妙な部屋だった。風俗店の店内である。周囲に人気のない事を確かめるとキッドは現在地への興味を無くし、身体の顔とプロフィールの確認を始める。

「お、美形だな」

小柄な体格に女性と見紛う顔立ち、背中に一対の翼と頭上の輪を備える人物。天使の悪魔、という皮肉っぽい名前と特徴を併せて見ると、人間ではないようだ。プロフィールによれば触れた人間の寿命を吸い取る能力を持つ他、吸い取った寿命を変換して武器を作ることもできるらしい。

ー外の世界は悪魔でいっぱいなんだ。6歳にもならない子は喰べられてしまう。

遠い過去の記憶。祖母のいいつけを思い出したキッドの顔に笑みが浮かぶ。

(ディーヴァ・ウォッカを受け取りに来ただけなのにな…)

身体を入れ替えての殺し合い、という奇怪な状況に陥ったキッドだったが動揺はしていない。彼は元々殺し屋であり、異常な生育環境と常軌を逸した様々な体験からサディストとして育っている。さらに自らの身体を膨大な時間と資金によって小児体型へと改造していた。
ゆえにキッド。少年の姿をした殺し屋にして、フランケンシュタイン博士の息子の如きつぎはぎの怪物。

この場に招かれる前、キッドは軍と繋がりのあるロシア系マフィアと手を組み、属していた殺し屋組織を裏切った。
殺し屋専門の食堂キャンティーンの料理人ボンベロが守る酒「ディーヴァ・ウォッカ」を狙い、店に襲撃をかけようとしたその時に紅白の髪をした女の前に連れてこられた。

報酬の願いはまだ思いつかない。どんな願いでも叶えてくれるそうだが元の世界に帰ろう、くらいの望みしかなかった。しかし負けるつもりはない。
人殺しは、殺し屋は…唯一、人間の上に立つ事ができる存在だ。虎として生まれた俺達は、死と恐怖によって奴等を支配できる。弱者達を喰い、裂く牙と爪を俺達は与えられてきた。

支給品の確認に移ったキッドは初めに取り出した剣を脇に置いて、2つ目の支給品を探す。デイパックを漁っていたキッドが手にしたのは、大きな箱。
中に収まっていたのはウサギの耳の形をしたヘアバンドと肩出しのボディスーツと網タイツ、さらにハイヒールのバニーガール衣装一式。

「……ハズレかよ」



【キッド@DINER(漫画版)】
[身体]:天使の悪魔@チェンソーマン
[状態]:健康
[装備]:ソウルセイバー@FF15
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:とりあえず、元の世界に帰る
1:生き残れってんなら生き残ってやるさ
2:……着ろってか?
[備考]
※27話開始前からの参戦です。
※寿命を吸い取る能力、寿命を武器に変える能力は制限されています。どの程度の制限なのかは、後続の書き手さんにお任せします。


【ソウルセイバー@FF15】
使用者のスタミナに応じてダメージが変化する片手剣。スタミナが少ないほど攻撃力がアップする。
ゲーム内では攻撃力343。ロワの参加者なら誰でも装備可能。

【バニーガール衣装一式@現実】
主に飲食店の接客係、カジノの女性ディーラーが身につけるウサギをモチーフにしたセクシーな衣装の一揃い。


409 : ◆U1VklSXLBs :2023/06/22(木) 05:16:15 pYu0WILQ0
投下終了です。


410 : ◆5IjCIYVjCc :2023/06/24(土) 14:51:41 epIDFNNI0
投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>天使のような悪魔の顔で
天使くんの姿にバニースーツは、似合いそう。
でも、この環境で渡されてもただ困るだけでしょうね。


411 : ◆NIKUcB1AGw :2023/06/24(土) 23:38:42 2yQWBkKQ0
投下します


412 : 「無法松」ってそういうことじゃねえんだよ ◆NIKUcB1AGw :2023/06/24(土) 23:39:48 2yQWBkKQ0
深夜の道路を、一人の青年がフラフラと歩いている。

「なんだ、これは……。俺はいったい、どうなっちまったんだ……」

青年の口から、絞り出したような言葉が漏れる。
彼の名は、初瀬亮二。
ダンスチーム「レイドワイルド」のリーダーにして、仮面ライダー黒影として戦っていた男だ。

彼は仮面ライダー斬月に敗北した際に味わった恐怖が原因で情緒不安定となってしまい、ヘルヘイムの果実を口にしていた。
そこから先の記憶は、初瀬にはない。
果実を食べた直後に別人の体となり、殺し合いに参加させられた。
それが彼の認識である。
実際には果実を食べた彼は怪物・インベスへ変貌し、ユグドラシル社のライダーに処分されている。
だがインベスとなった時点で自我は失われているため、初瀬自身がそれを知ることはない。

「なんで俺は……別人になっている!」

道沿いに建つ建物にはめ込まれたガラスに向かって、初瀬は叫ぶ。
そこに映るのはバーカーを着た、本来の初瀬とは似ても似つかぬ青年の姿。
よく言えば愛嬌のある、悪く言えば間の抜けた顔立ちだ。

「とにかく……。殺し合いなんて冗談じゃない……。
 逃げないと……。何もかもわからないが、なんにせよ死ぬのはいやだ……」

震える声で呟きながら、初瀬は再び歩き始める。
その直後、彼の耳に何らかの音が届いた。

「これは……?」

怪訝な表情を浮かべる初瀬。
やがて、音の源が彼の前に現れる。
それは、凄まじい速さで走るバイクだった。
だが、初瀬がそれをバイクと認識する余裕があったかどうか。
あまりにも速いそのバイクは、リアクションする間もなく初瀬を撥ね飛ばした。

「アアーッ! しまったーっ!
 スピードに夢中になりすぎたーっ!」

そう叫ぶのはバイクに乗っていた、長い髪を逆立てた男。
男は慌ててバイクを止め、自分が轢いた初瀬に駆け寄る。
そして頭から血を流す初瀬の姿を確認すると、男は再び叫んだ。

「お……おそ松兄さぁぁぁぁぁん!!」


【松野十四松@おそ松さん】
[身体]:無法松@LIVE A LIVE
[状態]:健康、動揺
[装備]:ヘルダイバー@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:よくわかんない!
1:おそ松兄さんを轢いちゃったーっ!


【初瀬亮二@仮面ライダー鎧武】
[身体]:松野おそ松@おそ松さん
[状態]:情緒不安定、気絶、ダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:死にたくない
[備考]
※参戦時期は死亡後


【ヘルダイバー@仮面ライダーSPIRITS】
仮面ライダーZXの専用バイク。
バダンのコマンダー用バイクを、立花藤兵衛と谷源治郎がカスタマイズしたもの。


413 : ◆NIKUcB1AGw :2023/06/24(土) 23:40:32 2yQWBkKQ0
投下終了です


414 : ◆4u4la75aI. :2023/06/26(月) 15:12:40 J3Ba1z3k0
投下します


415 : ◆4u4la75aI. :2023/06/26(月) 15:21:49 J3Ba1z3k0
 身体の入れ替え、と聞いた時点で自らの自慢が奪われることは覚悟していた。ペラペラな身でどう戦おうか、どう元の身体を取り戻そうか、色々と考えながら目を覚ます――

「――あれ、あれれぇ?なんだこれ?」

 男は一人呟く。抱いたものは疑問、だがそれも当然の事。何故なら彼の住む世界においてこの様に肉厚な身体は存在しないのだから。
 ブンボー軍団の一員、ハサミ。彼はまだ知らない種族の肉体を手に入れた。


✂︎―――――


「うーん、面白いな!」

 肉厚な身体、最初はどうかと思ったが結局彼は気に入った。デイパックの中に入っていた見慣れたペラペラに書かれてきたのは、この肉体のプロフィール。須藤雅史という名前らしい。シザース、カードデッキ、ミラーワールド等々事細かく須藤についての説明が書かれていたが、その中にこの肉厚な身体についての説明はなかった。よってこの身体については自ら調べるしかないと判断。

「あいたっ」

 そして今、試しに近場にあった木の枝で身体をなぞってみた。妙な感覚が伝わる中、より力を入れてみる。すると赤い液体と共に痛みが襲う。たらたらと流れていく液体をじっと眺め、想う。

「なるほどね、良いじゃん良いじゃん!」

 新鮮な感覚だった。ペラペラな身体には当然『中身』なんて存在しない。だがこの肉厚な身体には『中身』が存在する。この液体が詰まっているのか、他の何かが詰め込まれているのか、好奇心が収まらない。


416 : ◆4u4la75aI. :2023/06/26(月) 15:22:33 J3Ba1z3k0

 そういえば、とドウマと名乗った人物を思い出す。あれも肉厚な身体であった。ならばここには肉厚な身体を持つ者がたくさんいるのだろう。

「ケケッ、楽しみになってきた!新しいオモチャの作り方を考えなきゃ!」

 いつのまにか流れなくなった腕をぶんぶんと振り回して、宣言。新たな世界に放り込まれ、無知な状況故――より暴走し出す好奇心。


ジャキン


 だが、それはここで打ち切りとなる。

「……うーん、男の人かぁ。これもアレかな、乗り越えなきゃいけない試練ってやつ」
「?あれれ」

 金属音を鳴らし、自らに近づく影が一つ。やはり肉厚、見た目は大きく違うようだ。
 だが、何よりも注目すべき点があった。

「(……ボクと同じ)」

 彼女の手にあったもの、それは間違いなく――

「(ハサミだ)」

 形状こそ少し違うものの、鉄の体に持ち手部分。自らを客観的に見た様な感覚。だがそれが自分みたく浮いて自我を持つならばよかった。目の前のアレは、まるでペットの如く扱われているじゃないか。

「あたしさ、女の子じゃないと興奮できないの。だから早く死んでね」

 だが疑問を抱く間も一瞬。気がついた時には目の前に彼女がいて――


ジャキン


「(――あ)」

 さっき見た赤色で目の前が染まる、尋常でない痛みが脳を襲う。何が起こってる、理解できない、知らない、わからない。ただ、決定された事項だけは少し間をおいて、理解できた。

 死。二度目だ、それも前とは違って、実力も何も発揮できずに訳もわからず死んでいく。

「(……切られるってこんな感じかあ)」

 ただ、自分が自分のままじゃ絶対に出来なかった体験だけを味わって、意識は遥か底に沈んでった。


【ハサミ@ペーパーマリオ オリガミキング(身体:須藤雅史@仮面ライダー龍騎) 死亡】


✂︎―――


417 : ぶつ切り ◆4u4la75aI. :2023/06/26(月) 15:23:03 J3Ba1z3k0


「……やっぱ気分良くない!」

 ハサミの野望を切り落とした主、名を武智乙哉と言った。
 女子高生の身ながら、正体は美しい女性を狙っては、切り刻み自らの欲望を満たすシリアルキラー、その性質や残忍さにより世間からは21世紀のシリアルキラー、なんて名があてがわれている。
 そんな彼女はミョウジョウ学園黒組という場で一人の女子高生を狙うことになるのだが――それはここにいる乙哉はまだ知らない記憶。

 事件が示す様に、彼女の好みは美しい女性。目の前の人間はそれに一切当てはまらないが、願いを叶える為にはそのくらい我慢すべきって事くらいはわかっている

「私の願い……『シリアルキラー保険』!」

 やがて黒組でも願うことになるその願い。この先どれだけ殺人を犯そうとも一切の罪に問われない権利、それっぽく名付けては叶えるべき願いとする。

「……ああ、でもこの場所はボーナスステージみたいなものだよね」

 だがそれ以前に、この殺し合いの場所こそがいくら殺しても罪に問われない場所。目の前の死体の様な男ばかりではないだろう、美しい女性の肉体を切り裂く悦びを想像するだけで既にゾクゾクと感じてくる。

 それに偶然か意図されたものか、この肉体の主も自らと同じ様な性癖を持っていたらしい、対象は『強い人物』と自分とは少し違う様だが。それに肉体の主は色々と普通の人間と違うらしい、『ドーパント』とやらについてはよくわからずそれに変身する術も今は無いらしいが、明らかに発達している聴覚、それだけでも価値がある。

「……うんうん、優勝優勝!」

 男のデイパックを回収し、その場からスキップで離れる。彼女の欲望を満たす旅は、ここから始まる。




【武智乙哉@悪魔のリドル】
[身体]:五条一葉@風都探偵
[状態]:健康、若干の性的興奮
[装備]: ボビィのハサミ@クロックタワー
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品1〜5
[思考・状況]基本方針:『シリアルキラー保険』を手に入れる。
1:はやく綺麗な女の子に会いたい。
2:皆殺し。
[備考]
※参戦時期は本編開始前、黒組加入前。


【ボビィのハサミ@クロックタワー】
武智乙哉に支給。
両手で扱う大バサミ。あらゆる動物や人間がこのハサミによって切り殺された。


418 : ◆4u4la75aI. :2023/06/26(月) 15:24:05 J3Ba1z3k0
投下終了です。投下宣言から間が空いてしまい申し訳ありません。
タイトルは『ぶつ切り』でお願いします。


419 : ◆7PJBZrstcc :2023/06/26(月) 17:22:26 tuzb1.MM0
投下します


420 : 勇者は少女を救えない ◆7PJBZrstcc :2023/06/26(月) 17:23:13 tuzb1.MM0


『「悪魔」というのを本で調べたが、いちばんそれに近い生物はやはり人間だと思うぞ……』

                                                       岩明均『寄生獣』より





「ウオェェェェ……!!」

 緑髪と長耳が特徴の、まるで絵物語から抜け出したかのような美少女が、街中の地面に四つん這いになりながら嘔吐している。
 その少女を、これまた美しい大人の女性が真横で見下ろしている。
 しかしこの二人もまた殺し合いのルールに則り、見た目はおろか年齢も肉体とは大きく異なる。

 まず今ここで嘔吐している少女の精神の名前は廣井きくり。
 新宿のとあるライブハウスで活動するインディーズバンド、SICK HACKのリーダーにしてベーシストである。
 天才ベーシストを自称しそれにふさわしい腕前はあるものの、重度のアルコール中毒であり、ほぼ常に酔っぱらっているダメ人間だ。

 とはいえ、元からアル中だったわけではない。
 昔は陰キャだった彼女は自分を変える為にバンドを始めたものの、緊張を紛らわせようとアルコールに頼ったのが始まりだ。
 もっとも今ではそれが常態化し、更に言うなら漠然と抱えている将来への不安を忘れるために常に酔っぱらっているのだが。

 そんな彼女がこの殺し合いで最初に行ったことは、酒を探すことだ。
 元々不安から逃げる為に酒を飲んでいる彼女にとって、この殺し合いはあまりにも過激すぎる。
 その為咄嗟にデイパックを漁り酒を探し、幸か不幸か支給品の中にあったので、彼女は迷うことなく口を付けた。

 だが彼女がいくら逃避しようとこの殺し合いは現実で、きくりの体は別人と入れ替わっている。
 元々どれほど酒に強かろうと、体が変わればそれも変わる。

 きくりの体は今、とある世界のエルフの少女で弓使いの凄腕冒険者となっていた。
 しかし、その少女はワインの数杯で酔っぱらってしまう程度には酒に弱く、更に言うなら口を付けた酒もとんでもない代物だった。
 その酒の名は『PaB式ウーロン茶』という、名前こそ茶なものの、その実ウォッカ:9、ウイスキー:1をブレンドした凄まじいカクテル、と呼ぶのも躊躇われる何かだった。
 そんなものを酒に弱い少女が飲めばどうなるか。
 当然、吐く。

「……そこの彼女、おみずとってー」
「自分のデイパックから取ってください」

 そんなきくりに対し、横にいる女性は塩対応だった。
 誰かに襲われたり、あるいは病気とかならいざ知らず、こんな極限状況で勝手に酒を飲んで酔っ払った相手を介抱する気にはならなかった。
 一方、この対応にきくりは悲しむ。

「うぅ〜ひどい〜
 ぼっちちゃんは初対面でも介抱してくれたのに〜!」
「その人随分と人がいいですね。
 ……でもお姉も同じことしそう」

 きくりの話を聞き、思わず身内を思い出した女性は自身のデイパックから水を取り出し、渡す。
 その水をきくりはゴクゴクと飲むのだった。

 この女性の精神の名前は吉田良子。
 実は人以外の存在、魔族も住む町、多魔市に暮らす、魔族の父と人間の母を持つ小学生である。
 心優しい姉を慕い、参謀として力になりたいと願う純粋な少女だ。

 そんな彼女は今、大人の女性の体を得ていた。
 体の本来の持ち主の名前は高垣楓。とある世界でアイドルを務める25歳の女性だ。
 この楓に対し、良子は少々残念に思っていた。

 もしこの殺し合いに良だけじゃなく、あのお姉が参加していたらとても心配。
 お姉は優しく人に騙されやすい側面があるので、下手をするとすぐ死んでしまうかもしれないからだ。
 なので自分が傍にいれば少しはフォローできるかもしれない。
 だがもしこの体が、良が知っている魔法少女みたいに強い体ならもっと力になれるのに。

 そう考えながら良子がきくりを介抱していると、少し離れた所から足音が聞こえてきた。
 思わずきくりを連れて隠れようとする良子だが、それより早く足音の主は二人の前に姿を現した。

 足音の主は、少女だった。
 片手剣を持ち、頭には特徴的な兜、そして背中にはマント。
 まるでお姉の好きなゲームの勇者みたい、と良子は感じた。


421 : 勇者は少女を救えない ◆7PJBZrstcc :2023/06/26(月) 17:23:55 tuzb1.MM0

 その勇者が迫って来る。
 剣を携えたまま、淡々と。
 とても友好的には見えない。

 思わずきくりを連れて逃げ出そうとする良子だが、勇者は見た目からは想像もできない程素早い動きで二人に追いつく。
 酔っ払いを連れていたからだろうか。否、万全であったとしてもこの勇者から逃げ出すのは不可能だったに違いない。
 そう思わせるほどの早さだった。

 そして追いついた勇者は持っている剣を二人に向けて振るう。
 その剣もまた早く、このままでは到底二人とも避けられないだろう。

「危ないっ!!」

 だがきくりはここで良子を突き飛ばした。
 これは見ず知らずの自分を介抱してくれた恩義か、はたまた何も考えていない咄嗟の行動か。
 ともかく、彼女はこの瞬間の犠牲者を一人減らした。

【廣井きくり@ぼっち・ざ・ろっく!(身体:妖精弓主@ゴブリンスレイヤー) 死亡】

「……っ!!」

 目の前で人が死亡する光景にショックを受ける良子。
 しかし、それに囚われている暇など彼女には本来存在しない。
 なぜなら、きくりを手に掛けた当人は返り血を浴びつつも、何一つ表情を変えることなくもう一度剣を振るおうとしていたからだ。
 だが、彼女の命運はここではまだ尽きない。

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 空を裂く叫びが辺りに響き、まるで魔法少女のような服装をした、本来の良子と同年代であろう少女が両手に斧を持ち、勇者の凶行を止めるべく突撃してきた。


 ◆


「こんな、殺し合いなんて……」

 時は少し遡り、会場の街中で一人小学生くらいの少女が動揺していた。
 しかし体は少女でも精神は男なので彼と称すが、彼の名前は天之河光輝。
 容姿端麗で文武両道。性格も正義感が強く、善意に溢れた、一見完璧超人に見える高校二年生だ。

 光輝は突然の殺し合いに酷く動揺していた。
 これは単純に異常な状況に動揺しているだけでなく、彼のアイデンティにもかかわる問題だ。
 彼は人の善意を信じている。
 だから、例えば人が何か悪事を働いていたとしても何か理由があると考え、また謝罪すれば割とあっさり許してしまうところがある。

 故に、こんな邪悪なデスゲームを悪びれもなく開催できる存在がいることに光輝は動揺し、驚愕を隠せないのだ。
 しかし彼はここで、ある可能性に思い至る。

「まさか、魔人族の仕業なのか……!?」

 それは、主催者が人ならざる者の仕業であるということ。
 人間でないのなら、人でなしの所業も当然にこなせるだろう、と光輝は思った。

 魔人族とは、光輝がいずれ戦わなければならない存在である。
 そもそも彼はこの殺し合いに呼ばれる少し前、現代日本の住人でありながらクラスメイトとたまたま近くにいた社会科教師と共にファンタジーな異世界『トータス』に召喚された。
 そこでは人間族と魔人族が長きにわたって戦争をしているが、最近魔物を操る魔法を手に入れ強化された魔人族に対抗すべく、人間族の神エヒトが強力な力を持たせ光輝達を召喚したのだ。
 光輝はそこで魔人族と戦うことを承諾。
 仲間と共に魔人族を撃ち滅ぼし、元の世界へ帰る為に戦うことを決意したのだった。

 もしこれが魔人族の仕業なら、最初に自分を殺すのではないか、という疑問は浮かばなくもなかった。
 しかしそれよりも仲間や何も関係ない人々が巻き込まれているのでは、という懸念が湧き、結果光輝は深く考えず思考を次の段階に進める。

「そうだ、支給品……」

 慌ててデイパックを検める光輝。すると最初に出てきたのはスマホだった。
 もしや外に連絡できるのでは、と考え試しに110番してみるが、通じない。
 期待は薄かったがやはりだめだったか、と思いスマホを仕舞おうとするが、ハラリとスマホにくっついていた説明書きが地面に落ちる。
 そこには、このスマホはただの連絡機器ではなく、この体を勇者に変身させるものであることと、その方法も書かれていた。

 それを見てどこか皮肉を感じる光輝。
 なぜなら彼がトータスに来て得た力もまた、勇者だからだ。
 勇者を別の勇者の体に移す意味が、彼には分からなかった。


422 : 勇者は少女を救えない ◆7PJBZrstcc :2023/06/26(月) 17:24:24 tuzb1.MM0

 だが変身することで強くなると判断した光輝は、一度変身してみることにした。
 スマホのアプリを起動し、変身と書かれたアイコンをタップする。
 すると、彼の姿はただの女子小学生から、まるで変身ヒロインのようなコスチュームへと変貌した。
 更に、手にはさっきまで持っていなかった二丁の大きな斧がある。

 こんな得体のしれない、現代科学を超越した現象が現代地球にある物体で実現可能なことに、どこか違和を感じる光輝。
 異世界召喚を経験しているので多少のファンタジーには耐性があるものの、それが現代のアイテムでもたらされることにはどうにも変な感じがするのだ。

「ん?」

 しかしその直後、光輝は気配を感じ、そちらの方を見る。
 すると、一瞬だけだが人影が見えたような気がした。

 すぐに声を出して呼びかけようかと考えるも、気のせいかもしれないし、気のせいじゃなかったとしてもこの状況なら大声で呼びかけられたら怖がってしまうかもしれない。
 そこでまずは人影が本当にあるかを確かめようと考え、探すことにした。
 幸い、人影自体は見間違いでも何でもなかったのか、すぐに他の参加者を発見することができた。

 血濡れの剣を振るおうとする血まみれの少女と、今まさに斬られかかっている女性、良子の姿を。

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 それを見た光輝の行動はあまりにも早かった。
 怒り叫びながら突貫し、二丁ある斧のうち右手にある方を少女に向けて投げつける。

「おっと」

 投げられた斧は少女が跳躍することであっさり躱されるが、光輝は斧に追いつくと即座に拾いあげつつ、斬られかかった良子を背に庇いつつこう告げた。

「逃げてください!」
「……え?」
「早く!!」
「は、はい!」

 光輝の言葉に一瞬戸惑うも、彼の強い口調に頷き逃げ出す良子。
 それを少女は特に追うことも無く、ただ光輝を見つめていた。
 そこに執着はない。ただ目の前にいる方から殺して、逃げたほうは後でいいや、という機械的な処理をしているようにしか見えない。
 意思を感じない。感情が読み取れない。
 彼には、目の前の相手が人間だと思えなかった。

(そうか。こいつは”怪物„なんだ)

 普通に考えて、こんないきなり連れてこられた殺し合いに乗る人がいるわけがない。
 もし乗っている参加者がいるとするなら、それは人間ではないとしか思えない。
 だから、目の前の相手は”怪物„なんだ。
 だったら俺が、”勇者„が倒さなければならない。

 光輝はそう考えた。考えてしまった。
 そんな考えのまま、戦いに突入しようとしていた。





 良子から勇者みたいと、光輝からは怪物と称された少女の精神は、人間の父と母を持ち、おまけに妹もいる青年の物である。
 彼の名前はカゲイ・ソウジ。
 彼もまた光輝と同じく、しかし別の世界に勇者として召喚されたのだ。
 もっとも、実際の所は敵国を滅ぼし終われば暗殺する使い捨ての兵器程度にしか思われていなかったが。
 しかし、それ以前に彼は勇者として、人間としてあまりにも異端だった。

 ソウジは優秀な人間だった。
 大抵のことはこなせ、教えられたことはすぐに覚える。
 だが彼には人として足りないものがあった。
 それは、欲望。

 誰かにこれをしろと言われたら実行できるのに、自分からこれがしたいと思えない。
 彼はそんな自分に悩んだ。
 自分には意志がある筈なのに、外部に出力できなければただの人形ではないのか、と。
 そして彼は決断した。


423 : 勇者は少女を救えない ◆7PJBZrstcc :2023/06/26(月) 17:25:02 tuzb1.MM0

 人の欲求を叶えるしかできないのなら、せめてそれを叶えるか逆を成すかを目の前の偶然性の二択に委ねると。

 石を投げ、右に落ちたら求められるままに助け、左に落ちたのなら無惨に殺す。
 たまたま時計を見て時間が偶数なら求められるまま救い、奇数なら奈落に落とす。
 そんな道を、ソウジは選択した。

 裁判官のネクタイが赤色だから、自身に課せられた判決に従わない。
 空に雲一つないから、国民を皆殺しにして国を滅ぼす。
 石が左に落ちたから、彼に恋する少女を切り捨てる。

 これがカゲイ・ソウジ。
 人の腹から生まれ、勇者として召喚された怪物。

 そんなソウジは殺し合いに呼ばれる前、勇者になれと言われた。
 それも使い捨ての兵器ではなく、おとぎ話にでてくるような本物の勇者に。
 彼はそれを引き受けた。
 あらゆる理不尽を正し、弱き者を救い、世界から悲劇を取り除く本物になると決めた。
 だから彼の中でこの殺し合いの主催者は倒さなければならない。
 しかしそこにたどり着くまでの道筋に二択が生まれた。

 殺し合いに乗り、優勝することで主催に辿り着くか。
 あるいは殺し合いに乗らず、他の参加者と協力して主催と戦うか。
 それをソウジは当然、偶然性の二択で決める。

 ソウジが使ったのは、基本支給品の中にある手鏡だ。
 まず手鏡の鏡がある方を表、反対側を裏とする。
 それをコイントスの要領で空に投げ、地面に落とす。
 この時表が出たら殺し合いに乗る。裏が出たら参加者と協力する。

 そして出た面など最早、語る必要はない。
 彼は殺し合いに乗り、優勝することで主催に辿り着くと決めたのだ。
 だから、殺し合いに乗らず自分を止めようとする相手にも何も感じない。

 ただ、決めたことだから排除しようとするだけ。


【天之河光輝@ありふれた職業で世界最強】
[身体]:三ノ輪銀@鷲尾須美は勇者である
[状態]:健康、勇者に変身中、怒り(大)
[装備]:三ノ輪銀のスマホ@鷲尾須美は勇者である
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:勇者として誰も殺さず殺し合いを止め、主催者達を倒す。”怪物„も倒す
1:目の前の”怪物(ソウジ)„を倒す
[備考]
※参戦時期はハジメが奈落に落ちてから再会するまでのどこかです。
※殺し合いに乗っている参加者を”怪物„と認識しています。

【カゲイ・ソウジ@その勇者、虚ろにつき(書籍版)】
[身体]:女勇者@ドラゴンクエスト3
[状態]:健康、返り血を浴びている
[装備]:きせきのつるぎ(血濡れ)@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:勇者として主催者を殺す。その為にまずは優勝する
1:目の前の人(光輝)を殺す
2:逃げた人(良子)は……生きていればそのうち会えるでしょう
[備考]
※参戦時期はエピローグ『勇者は少女を救えない』終了後です。
※元の体で使用した魔術が現在使えるかは当選した場合、次の書き手氏にお任せします。


424 : 勇者は少女を救えない ◆7PJBZrstcc :2023/06/26(月) 17:25:32 tuzb1.MM0





「ハァ……ハァ……」

 光輝とソウジの戦いが始まろうとしている一方、少し離れた場所では先程逃げ出した良子が息を荒げていた。
 彼女の中にあるのは、強烈な罪悪感。
 命がけで庇ってくれた人と、自分を守ろうとした人を見捨てて逃げたことに強い罪悪感を抱いていた。
 しかし、彼女はそれを理由にふさぎ込んだり、仕方ないと諦める少女ではなかった。

「そうだ、支給品の中に何かあるかも!」

 今までロクに調べられなかったデイバックの中を慌てて検める良子。
 すると最初に出てきたのは、何やら小さな銀色のアタッシュケースだ。
 そのアタッシュケースを開けてみると、中にはベルトと携帯電話。それから懐中電灯とカメラに加え、説明書が入っていた。
 彼女がすぐさま説明書を読むと、そこにはこれらを使うことでファイズという存在になれると書かれている。
 これを彼女は魔法少女のような変身と解釈し、早速実行することにした。

「まずベルトを着けて……」

 良子は腰に中に入っているベルト、ファイズドライバーを巻く。
 次に携帯電話、ファイズフォンを取り出し、変身コードを打ち込もうとする。

「えっと、5――」

 初めて見るガラケーに戸惑いつつ、コードを間違えないようにするため、画面を睨み慎重に打ち込む良子。
 しかしそれがいけなかった。

 ヒュンヒュンヒュン

「え――」

 唐突に聞こえる風切り音に思わず良子が顔を上げると、眼前には旋回するブーメラン。
 それが彼女の見た最期の光景。
 次の瞬間、ブーメランは彼女の頭蓋を破壊した。

 これで吉田良子の生涯はおしまい。
 二人の人間に助けられながら、それを繋ぐことなく、彼女は無意味にここで朽ちる。

【吉田良子@まちカドまぞく(身体:高垣楓@アイドルマスターシンデレラガールズ) 死亡】

 そしてブーメランは風切り音を鳴らしながら投げた主の元へと戻って行く。
 主の姿は露出度の高い服装をしたピンク髪のツインテールをした美少女だ。
 しかしブーメランで人間の頭を破壊できるほどの力の持ち主がただの少女な訳がない。
 この体の本来の持ち主の名前はミリム・ナーヴァ。とある世界で魔王を務める存在で、その気になれば集落一つなど容易く滅ぼせる強力な存在だ。

 そしてそのミリムの体を今操っているのは、とある世界の勇者。
 勇者ロトの子孫とされ、竜王を倒せと王様に命じられた男である。
 そんな彼がなぜ良子を手に掛けたのか。
 それは、彼の直前の選択にある。

 勇者は殺し合いに呼ばれる直前、宿敵竜王と相対していた。
 その時、敵である竜王がこう問いかけてきた。

『もし わしの 味方になれば 世界の半分を やろう。
 どうじゃ? わしの 味方に なるか?』

 この問いに、勇者は頷いてしまった。
 なぜ頷いたのかは、彼自身にも分からない。
 好奇心だったのかもしれない。
 あるいは、根拠も示さず自身を勝手にロトの子孫だと断定し、戦いに駆り立てた王様に対しての苛立ちが無自覚にあったのかもしれない。
 はたまた、ここで竜王を倒してしまえば、自身が暴力を振るう機会が大きく減ると考えたからかもしれない。

 いずれにせよ、この問いに頷き視界が闇に覆われたとき、勇者は直感した。
 しくじったと。
 自分は取り返しのつかない間違いを犯した、と。

 そんな時、この殺し合いは最後の希望。
 優勝してやり直し、今度は世界を救うと決めたのだ。
 だから勇者は戦う。

 それはそれとして、勇者はさっき殺した良子のデイバックを手に取る。
 殺し合いを勝ち抜くにあたって、手札を増やすことは必然だ。
 しかし、彼は良子が装備しているファイズドライバーを始めとしたファイズギアに手を出そうとはしなかった。

 なぜなら、ただでさえ勇者から見てよく分からない代物の上、その内一つは遺体となった良子の腰に装着されている。
 それをはぎ取る労力と、得られる対価が釣り合うとは思えなかったのだ。
 正直力なら、ブーメランの一投で人の頭を吹き飛ばせる今の体で十分だ。なのでファイズギアは置いていく。

 そして勇者は町から離れようと歩き始めた。
 理由はひとえに優勝の為。
 さっき殺した女性は誰かから逃げていた。ということは、恐らく殺し合いに乗った誰かがいるのだろう。
 ならば、ここで鉢合わせて潰しあう意味もない。
 さっさとここから去って、別の場所にいる参加者と戦うのが賢明だ。
 
 こうして勇者は歩き始める。
 ただ一つの希望の為、罪なき者にだって手を掛ける。
 だって、一度闇に落ちた彼からすれば、今更でしかないのだから。


425 : 勇者は少女を救えない ◆7PJBZrstcc :2023/06/26(月) 17:25:58 tuzb1.MM0

【勇者@ドラゴンクエスト】
[身体]:ミリム・ナーヴァ@転生したらスライムだった件
[状態]:健康
[装備]:ブーメラン@ゼルダの伝説シリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、吉田良子のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0〜2)
[思考・状況]基本方針:優勝してやり直し、今度こそ世界を救う
1:ひとまず町から離れる
[備考]
※参戦時期はりゅうおうの「世界の半分をやろう」に対し「はい」と答えた直後です

※会場のどこかに廣井きくりの遺体と彼女のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0〜2)とPaB式ウーロン茶入りペットボトル(少量消費)@ぐらんぶる が放置されています。
 また違う場所には吉田良子の遺体とファイズギアのセットが放置されています。


【PaB式ウーロン茶入りペットボトル@ぐらんぶる】
廣井きくりに支給。
ウーロン茶とは名ばかりでその実態は、ウォッカ9:ウイスキー1の比率で入れられたカクテル、と呼ぶのもおぞましい何か、が2リットルのペットボトルに入っている。
火を近づけると燃える。

【きせきのつるぎ@ドラゴンクエストシリーズ】
カゲイ・ソウジに支給。
相手にダメージを与えると、その四分の一体力が回復する不思議な剣。
シリーズによって攻撃力は異なる。

【三ノ輪銀のスマホ@鷲尾須美は勇者である】
天之河光輝に支給。
勇者に変身するためのアプリ『NARUKO』が入っているスマホ。
満開や精霊などは搭載されていない。

それ以外のメールや電話機能も当然ある。ただし、どちらも外部とは接続されていない。
他の参加者に支給されているスマホや携帯、もしくは会場にある電話やパソコンにならつながるかもしれない。

【ファイズギア@仮面ライダー555】
吉田良子に支給。
ファイズドライバー、ファイズフォン、ファイズポインター、ファイズショットが入ったアタッシュケース。
これの内前二つを使うことで仮面ライダーファイズへと変身する。
ファイズフォンは普通の携帯電話としても使用可能。

本来ならオルフェノクかその記号を持っていないと使用できないが、このロワでは誰でも使用可能となっている。

【ブーメラン@ゼルダの伝説シリーズ】
勇者(DQ1)に支給。
シリーズによってまちまちだが、効果は概ね投げると真っすぐか狙った敵目掛けて飛んでいき、命中するか壁などに阻まれる、もしくは一定距離飛ぶと持ち主の元に戻って来る。
本ロワでは狙った対象に向けて投げるとそこに向かって飛んでいく。何も狙わず投げれば真っすぐ飛んでいくようになっている。


426 : ◆7PJBZrstcc :2023/06/26(月) 17:26:23 tuzb1.MM0
投下終了です


427 : ◆5IjCIYVjCc :2023/06/26(月) 21:53:17 ClnVfmeY0
皆さん投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>「無法松」ってそういうことじゃねえんだよ
実は初見では分かりませんでしたが、松ぼっくりってことから繋がっているのですか。
精神的に不安定な状態だったのにいきなり撥ねられて初瀬ちゃん可哀想…。

>ぶつ切り
殺した相手が元はハサミそのものなことを知ったら、どんな反応をするだろうか。
ハサミはせめてシザースのデッキとかあれば、何か変わっただろうか。

>勇者は少女を救えない
殺し殺されで、勇者も少女も色々と救われないですね。
酔っぱらいを少女と言えるのかは疑問ですが。


私からも一つ投下します。


428 : ちゃいかわさま ◆5IjCIYVjCc :2023/06/26(月) 21:55:31 ClnVfmeY0

「うわ、ワッ…ワアッ……」

そんな声を出しながら、啜り泣く黄色の髪の少女がいた。
その姿を持つ者の本来の名は、伊地知虹夏と言う。

そして、その中にいるのは、通称「ちいかわ」と呼ばれる存在だった。
本来のちいかわは、小動物のような姿をしている。
ちいかわという呼称も、「なんか小さくてかわいいやつ」から来ている。

そんなちいかわは、普通に怖くて泣いちゃってた。
いきなり殺し合えだのなんだの言われたら、恐怖を抱くのは当たり前だ。

上空にある人面月のことだってそうだ。
あんな不気味なものが本当に空に浮かんでおり、しかもそれが落ちてくると聞けば怯えない方が無理なものだろう。

それに、ちいかわは以前にも他者と身体が入れ替わったことがある。
前も元に戻れるかどうか不安で怖かったのに、さらに似たような状況に陥ってしまった。
しかも今回の場合は原因が完全に不明、本当に元に戻れるかどうかの保証が無い。

「フウッ、ウン……フウ…ん、ンショ…」

だからと言って、怯えたままで動かないわけにはいかない。
しばらくは縮こまっていたが、少しずつ勇気を出して、やがて行動し始めた。
ちいかわはまず、体を震わせながらも自分に支給されたデイパックに手を伸ばし、それを開けて中を探った。
そして最初に、全員共通の支給品であるタブレットを取り出した。

「……ん?」

しかし、ちいかわはすぐにそのタブレットの中を確認することはなかった。
誰かに、呼ばれたような気がしたからだ。
それも、自分のデイパックの中から、呼び掛けられたように感じたのだ。

ちいかわはふと気になって、タブレットは横に置き、デイパックの中を再び探った。
そして新たに出てきたのは、1本の刀だった。
刀は、鞘に納められた状態にあった。
鞘の状態でも、その刀はとても高価そうに見えるものだった。

「ワアッ…」

ちいかわはその刀を少しだけ鞘から引き抜いた。
隙間から覗かせたその刀身は、美しく輝いているように見えた。
また、そこから何か音というか、声?が聞こえたような感じもした。

ちいかわは、刀身に見とれてそのまま刀を鞘から引き抜こうとしていた。


そんな時に、『ザッ』という足音が聞こえた。
自分の近くに、新たな人物が現れたことにちいかわは気付いた。

「ワッ!?」

ついさっきまで刀に見惚れていたちいかわは、突然の人の気配に少し驚いてしまう。
そして慌てて、後退りしながら前を向き新しく現れた人物を確認した。


そこにいたのは、今のちいかわと同じく女子高生の姿をした人物だった。

「う、い…ワッ…!」
「………」

ちいかわは少し警戒しながらその人物と対面する。
この殺し合いの環境上、相手が危険かどうかは見た目で判断できない。
そしてこの瞬間、何故か相手が自分に向かって何も喋らない・無言だったためにちいかわはとりあえず刀を手に持ったまま対峙するしかなかった。
相手が何を考えているか、ちいかわには分からなかった。
しかし、その沈黙はやがてすぐに破られることとなる。




「ヘブンズ・ドアー」

「エッ、ワアッ!!?」

開口一番、ちいかわに有無を言わさず相手は手をかざしながらそう言った。
直後、彼らの間に謎の小さな人型の像が現れ、同時にそれを見たちいかわの虹夏としての身体に異常が起きた。
顔の表面が正中線に割れ、まるで本のページのような状態で開かれた。
同時に、ちいかわはその意識を失った。





「ふむ、『本』に肉体側の情報は無しと…。どうやら、精神側にのみ起因するみたいだな」

岸辺露伴は、タブレットを片手に持ちながら、自分のスタンド能力『ヘブンズ・ドアー』で『本』にしたちいかわを読んでいた。
露伴は相手が近くに置いていたタブレットを勝手に拝借し、その中のプロフィール内容と自分が能力を使って本にした相手の内容を見比べていた。


429 : ちゃいかわさま ◆5IjCIYVjCc :2023/06/26(月) 21:59:52 ClnVfmeY0
露伴の目的、それは精神を入れ替えられた状態の相手を自身の能力で本にしたら、どのようになるのかを確認することだった。
ヘブンズ・ドアーで『本』にした相手には、その人物がこれまで人生でどのような体験をしてきたか、肉体や精神に記憶された情報が書かれている。
しかし、全くの他人の精神が肉体に宿った状態の人間を本にしたことはない。
もしかしたら、肉体側と精神側の情報が混ざってしまうこともありえるのではという考えも浮かんだ。

確認のために自分でやらなかったのは、そもそも自分を『本』にしても自分の古い記憶は読めないためだ。
そうであれば、この殺し合い上の参加者の状態がヘブンズ・ドアーの能力に影響が出るかどうかの証明はできない。
だから、露伴は他の参加者を探し、見つけた相手を対話もせずに『本』にし、その内容を確認することを優先した。

けれども、心配は杞憂だった。
相手に支給されたプロフィールに書かれていたことは、相手の体験として『本』に記されてはいなかった。
少なくとも、ここにおいては精神側のものしかなかった。



「こいつの肉体側の名は『伊地知虹夏』、年齢は『17歳』で『女子高生』…ここまでは僕の『鬼頭はるか』と同じだが…こいつの方は何かしらの『非日常』なものと関わりの無い普通な『日常』を過ごしていたみたいだな。…まあ、ここに書いてあることがどこまで本当かは分からないがな」

露伴は一旦ちいかわを置いておき、彼のタブレット内の虹夏のプロフィールの詳細を確認する。
それを読んで、東京の下北沢高校に在学しているだとか、『結束バンド』というバンドを組んで活動をしているだとかということを知った。
他にも、12歳年上の姉がいるとか、9歳の頃に母親を事故で亡くしたとか、バンド活動を止めた姉の分まで自身のバンドを人気にするという夢を持っているという情報も書いてあった。

露伴からしてみればどちらかというと平凡寄りな人生のように感じるが、つまらないものではないようだった。
だが、このプロフィールはあくまで殺し合いの主催側が用意したものであり、この少女が体験してきたことがそのまま書かれているわけではない。
自分の漫画に活用するかどうかも、これだけでは不十分だろう。
本人の精神側の『本』を読んで比較してみたいところだが、本人がこの殺し合いにいるかどうかはまだ定かではない。


それは、今の露伴の身体側である『鬼頭はるか』にも言えることだった。
露伴としては、どちらかと言えば虹夏よりも鬼頭はるかの方が興味深いように感じた。
鬼頭はるかは虹夏とは違い、『非日常』に関わりのある人間だった。

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』、鬼頭はるかはそんなまるで子供向けの特撮番組に登場しそうなチームの一員であると露伴に支給されたプロフィールファイルに記されていた。
その暴太郎戦隊とやらは、実際に特撮番組のように専用アイテムを使用してヒーローに変身できるようだった。
しかも、専門とするジャンルは違うが、彼女は自分と同じく「漫画家」であったらしい。
更には、未来から来た自分のせいで盗作漫画家扱いされたことがあるだとか、そういった同業者としての面についても詳細を知りたくなるような情報が書かれていた。


また、露伴には変身するために必要なアイテムである銃「ドンブラスター」と「アバタロウギア」なる物体、それと「サングラス」が露伴に支給されていた。
露伴に支給された変身セットは、もちろん鬼頭はるかが変身していた「オニシスター」という戦士になるためのものである。
ドンブラザーズは「ヒトツ鬼」という名の人が変ずる怪物を相手に戦っていたらしいが、それなのに何故鬼の名を冠するメンバーがいるのかと、露伴は疑問には感じた。
が、今はそれを考えても仕方がなかった。

それよりも重要なのはこれで本当に変身できるかどうかではあったのだが、結果的に露伴はそれも後回しにした。
そうするよりも先に、自分以外の参加者を見つけてしまったためだ。
ドンブラザーズや鬼頭はるかの体験についてはとても興味深かったが、ここは一先ず自身のスタンド能力の仕様がどうなっているのかを確認することを優先としたのであった。




「しかしこいつ…何故か自分の名前というものを認識していないようだが…見た目に似合わず、とても興味深い『体験』をしてきたようだぞッ!」

露伴は虹夏のプロフィールをある程度確認した後、『本』にしたちいかわに多大な興味を惹かれていた。
それを読んだことで、露伴はまずちいかわが本来は人の姿をしていない、小動物のような存在であることを知った。
ちいかわが自身の名前を「ちいかわ」どころか、自分の名前があるかどうかも全く認識していないことも分かった。


430 : ちゃいかわさま ◆5IjCIYVjCc :2023/06/26(月) 22:01:16 ClnVfmeY0
そして、露伴の興味関心を何より引き寄せたのは、ちいかわの波乱万丈な(非)日常であった。
ちいかわは元々、小動物のようなマスコット的なビジュアルをしていた。
仲間達も似たようなもののようだった。
しかしそれにも関わらず、彼らはかなりハードな体験をいくつもしてきたようだった。

「『キメラ』、『なんとかバニア』、『呪いの杖』、『客を食べようとする三ツ星レストラン』、『擬態型のカブト虫』、『呪いの木彫り人形』、『寄生するキノコ』、『拾魔』、『あくむ』、更には今の状況と似たようなことを引き起こした『ゲームセンター』……こいつはとても良いネタになりそうだ」

ちいかわが住んでいた世界には、怪物や、曰くの有りそうな物品、怪奇的なものが存在するようだった。
それらに対し、露伴は自分の漫画に活用できるかもしれないという考えが浮かんでいた。

「それに、こいつ自身のキャラクターもどちらかと言えば魅力のある方だ。普段はとても臆病ながらも、いざという時には勇気を持って行動できる…己の弱さに対しコンプレックスもあるようだが、それも十分許容範囲になりそうだ」

露伴はちいかわの『本』に見入っていた。
他にももっと、こいつについて知ってみたいと思ってきた。

そして露伴は、そのために地面に倒れた状態の虹夏としての体の胸倉を掴み、ぐいっと立った状態の自分に向かって引き寄せた。


それと同時に、動かされたことに伴い、その手に握られていた刀から鞘が滑って抜けていった。
鞘が完全に刀から抜けてしまった時、異変が生じた。


露伴がヘブンズ・ドアーで動きを封じていたはずのちいかわの体が、動き出したのだ。


「ハアッ!」
「何ッ!?」

ちいかわは、まだ顔のページが開かれた『本』の状態のままだ。
それにもかかわらず、相手は素早く動き出した。

予想だにしなかった出来事に、露伴の行動が遅れる。
自身の能力により、本にした相手のページにはもう既に「岸辺露伴に攻撃できない」とは最初に書き込んでいた。
しかしそれに反するかのように、相手は起き上がって攻撃を仕掛けて来た。

起き上がった相手はまず、手に持った刀の峰の方を露伴に向かって振ってきた。
それに気づいた露伴は咄嗟に両腕で体を守りながら、刀が向かってくるのとは逆方向に跳んだ。

露伴と刀の峰は一瞬触れたが、露伴が反対の方に跳んだこともありダメージは殆どない。
しかし、露伴は攻撃を避けてさらに後退った。
それにより、彼らの距離は離されることとなった。


「…お前は、何だ?僕の「ヘブンズ・ドアー」で『本』になりながらも動き出し、しかも書き込みもしたのに攻撃してきただと?くッ…!何でよりにもよって僕の相手はこんなのばっか何だ…!?」

予想だにしなかった出来事に露伴は混乱する。
同時に、またもヘブンズ・ドアーの書き込みの意味を無くしてくる存在と対峙してしまうという自分の運命を呪っていた。


「…何を言っているのか理解できないが、こちらから先に言っておこう。私は、刀だ。私は今、この娘の肉体を操っている」

ちいかわ…否、それを操って攻撃してきた『刀』は、露伴に対しそう教えた。

「何だって?まさか、『妖刀』ってやつか…!?」
「正確に言えば、私が元々刀だったわけではない。どうやら私は、そんないわくつきの刀に精神を移されてしまったらしい」
「…そういえばさっきのルール説明の時にも言ってたな。意思のある支給品になってしまっている奴がいるとか何とか…」

相手の説明に露伴は納得の色を見せる。
肉体を別の存在に操られているだけなら、自分が能力で書き込んだことが無効化されるのもあり得ない話ではない。
相手の話し方からして、その操る力は自身が精神を移された刀に由来するものらしい。
そしてその操るためのトリガーは、刀が鞘から抜かれることのようだ。


「私はアラバスタ王国の護衛隊副官、チャカ。ジャッカルのチャカとも呼ばれる。さて…お前は、この殺し合いに乗っているのか?それに、これは悪魔の実の能力なのか?」


妖刀…「アヌビス神」に宿ったその精神、チャカは名乗った。
そして、『本』と化した顔をなでながら、露伴に対して刀の切っ先を向けたまま質問した。


「アラバスタ王国?悪魔の実?また何か気になる単語が出てきたな」
「アラバスタを知らないのか?いや、今重要なのは殺し合いについてだ。誤魔化すんじゃないぞ」


431 : ちゃいかわさま ◆5IjCIYVjCc :2023/06/26(月) 22:03:23 ClnVfmeY0
露伴が聞き返したことに対しチャカは一蹴し、自身の質問に対する解答を求める。

「誤魔化したつもりはないんだがな。まあいい、とりあえず僕はあんな説明で殺し合いに乗るような馬鹿じゃあないとは言っておく。あと、僕の名前は岸辺露伴。元は男で、漫画家だ」
「それならそれでいい。私も、このような殺し合いは許せないと思っていたからな」
「人を操る妖刀になっているくせに、あんた自身はまともなことを言うんだな」
「何だそれは?精神を入れ替えられている者同士は似た者同士だというのか?」
「…まあ、そうとは限らなさそうだがな」

露伴とチャカはお互いが殺し合いに乗るつもりじゃないことを知る。
それにより、チャカは今の自分である刀の切っ先を下ろす。


「で、あんたはこれからどうする?いつまでもそいつの肉体を操っているつもりなのか?」
「いや、それではこの娘に悪いだろう。だがこれまでの様子からして、この娘がまともに戦えるとは思えない。できることなら、戦闘時は肉体を貸してほしいという思いもある」
「……僕としては、そうとは限らないとは思うがな」
「ん?何か言ったか?」
「いや、何も」

露伴の呟きはチャカに聞こえなかった。
ちいかわに勇敢な一面があることは、ヘブンズ・ドアーで知った露伴にしか分からない。
だが、一々そういったことを教えてやる必要もない。
どこかの国の護衛隊に所属しているなら、相手の戦闘能力もそこまで疑う必要はないだろう。


「…それで、この顔のペラペラはお前の能力によるものか?」
「ああ、そうだ。僕はそうやって人を『本』にし、人の記憶を読むことができる」
「な…!?それは勝手にやっていいことではないだろう!」
「それは確かにそうだが今は緊急事態だ。相手が危険人物かどうかを確認するために使うぐらいは許してくれてもいいだろう?」
「……しかしお前は、この娘を読んでいた時面白がって興奮していたんじゃないのか?」
「…まあそれは、漫画家としての性(さが)みたいなもんだ。いいネタになりそうな取材対象だったんだから、仕方が無いだろう?」
「私は漫画家とやらは詳しくないが、そういうものなのか?」

露伴の回答に、チャカは『本』になったままの虹夏の顔で怪訝な表情を浮かべる。
しかしこの件については、ここで2人だけで話し合っても埒が明かないものだった。



「とりあえず、まずは一旦先にそいつの意識を戻さないか?僕はまだそいつと直接話していないんだ」
「まあ確かに、いつまでもこの状態でいるのも悪いな」
「それじゃあ、僕の方も能力を解除しておくから、お前も鞘の中に収まればいいんじゃあないかな?」
「分かった。それでは、言う通りに私はここに戻っておこうか」

結局のところ、先述した通り今露伴とチャカだけで話し合っても埒が明かなさそうなのは確かだった。
露伴はヘブンズ・ドアーを解除し、虹夏としての顔を元に戻す。
チャカも、今の自分自身であるアヌビス神の刀身を、鞘の中に収めた。


「ん……エ?ワアアーーッ!!?」

そしてちいかわは意識を取り戻し、今の露伴の鬼頭はるかとしての姿をその視界に収める。
同時に、先ほど自分に対し何かよく分からないことをして意識を奪った相手に恐怖・警戒し、後退りした。

「あー……一応言っておこう。さっきはすまなかったな。僕は君に危害を加えるつもりはないし殺し合いにも乗らない。僕の名前は岸辺露伴。漫画家だ。色々と説明したいことはあるが、とりあえずは仲良くしようじゃあないか」
「エ、エェ…」

露伴の言動に怪しさを感じ、ちいかわはより警戒心を強めてしまう。
しかし、相手の方から説明するつもりがあるというのなら、それは聞いた方がいいんじゃないかという思いもある。
ちいかわは、とりあえず露伴の話を聞く体勢に入った。



僕は殺し合いには乗らない…だが、取材もさせてもらう。
ただでさえ殺し合いという特異な状況である上に、さらに精神の入れ替えなんて事象まで合わさっている。
こんな、とんでもないネタを見逃すわけにはいかない。
それに、他にも興味深い取材対象はある。
鬼頭はるかや目の前の元小動物のこともそうだ。
それに、さっきの妖刀についてもまだまだ気になることはある。

殺し合いからの脱出も大事だが、取材したいことはまだまだたくさんあるからな。
しばらくは、僕に付き合ってもらおうか。


432 : ちゃいかわさま ◆5IjCIYVjCc :2023/06/26(月) 22:04:11 ClnVfmeY0
【岸辺露伴@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:鬼頭はるか@暴太郎戦隊ドンブラザーズ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、サングラス&ドンブラスター&アバタロウギア オニシスター@暴太郎戦隊ドンブラザーズ、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らないが、取材は満足するまでさせてもらう
1:こいつ(ちいかわ)の体験に興味。もっとよく知りたい。
2:自身に支給された変身アイテムもどこかで試しに使ってみたい。
3:鬼頭はるかはこの殺し合いにいるだろうか。いたら取材してみたい。
4:先ほどの妖刀にヘブンズ・ドアーは効くのか?
5:アラバスタ王国や悪魔の実なる単語についても気になる。
6:こいつ(ちいかわ)のことは何と呼称すべきか…
[備考]
※第4部終了後からの参戦とします。
※ヘブンズ・ドアーで殺し合い参加者を本にした場合、そこに記される記憶は精神側のもののみとします。


【ちいかわ@なんか小さくてかわいいやつ】
[身体]:伊地知虹夏@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:健康、「岸辺露伴に攻撃できない」と書き込まれている、露伴に対し警戒心
[装備]:アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:イヤッ!イヤッ!!(殺し合いは嫌だ)
1:うーん…(岸辺露伴を信用しても良いのか?)
2:うん?(さっき意識を失った時に何が起きたのか?)
[備考]
※参戦時期は、あくむ編が終了した頃とします。



[意思持ち支給品状態表]
【チャカ@ONE PIECE】
[身体]:アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険
[状態]:鞘の中
[思考・状況]基本方針:殺し合いの打倒
1:ひとまずは岸辺露伴に説明をさせる。
2:私も娘(ちいかわ)としっかり話し合いたい。
3:戦闘時はなるべく、私に肉体を使わせてほしい。
[備考]
※細かい参戦時期は後続の書き手にお任せします。



【サングラス&ドンブラスター&アバタロウギア オニシスター@暴太郎戦隊ドンブラザーズ】
ドンブラザーズの一員、オニシスターに変身するための変身セット。
これら三種で一つの支給品と扱われる。
ドンブラスターにアバタロウギアをセットしてトリガーを引くことでドンブラザーズの戦士にアバターチェンジする。
ドンブラスターは銃としても使用可能で、「キビ弾丸」と呼ばれる弾を発射する。
本来はヒトツ鬼と呼ばれる鬼が出現すると、自動的に現れて現場にワープさせる機能があるが、本ロワにおいてはこの機能はないものとする。
サングラスはかけることで脳人レイヤーというものを視認できるようになり、そこに存在するホログラムのような扉に入れば、遠くの場所に移動することができる。
ただし、本ロワにおいてはこの実質的なワープ機能は一度使うと二時間使えなくなり、そして最大でマップ上における1マス分の距離しか移動できないものとする。
また、サングラスをかけた者は変身資格のあるなしに関わらず、ドンブラザーズに変身できるようになる。


【アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険】
約500年前のエジプトの鍛冶師が作った刀にその鍛冶師のスタンドが宿ったもの。
刀を鞘から抜いた者や刀身に触れた者を操る力を持つ。
物体を透過する能力や、一度受けた攻撃の性質を覚えて次は同じ攻撃に対応できるようにする性質もある。


433 : ◆5IjCIYVjCc :2023/06/26(月) 22:04:44 ClnVfmeY0
投下終了です。


434 : Soul of Rebirth ◆vV5.jnbCYw :2023/06/26(月) 23:58:47 ZhmfSaj.0
投下します。


435 : Soul of Rebirth ◆vV5.jnbCYw :2023/06/26(月) 23:59:12 ZhmfSaj.0

その世界に立って、初めてナギが思ったことは「うるさい」だった。
彼がかつて生きていた世界とは違い、ここには虫一匹いない。
それでも、聞いたことのある音、聞いたことの無い音が、耳鳴りのように彼の鼓膜を揺らした。


(確かに死んだはずだよな……おれ……)


次第に音に慣れてくると、殺し合いに呼ばれるまでのことを次第に思い出してきた。
最後に覚えているのは、馬という檜皮色の動物に乗ってやって来る敵の軍団。
敵の軍から投げられた大量の槍。
火の鳥の血を飲んで不死になることも叶わず、全身を串刺しにされて、命を終えるはずだった。
でも、こうして生きている。
ヤマタイ国やクマソの国とは、全く違う世界の地面を、踏みしめている。


(もう一回生きられるってことか……。)


状況を考えてくると、沸き上がって来るのは恐怖ではなく喜び。
また不死になれるチャンスが巡って来たのではないか。
勿論、殺し合いに優勝して、厭夢に不死にしてもらおうなんて心づもりはない。
元の世界に帰り、今度こそ火の鳥をその手にし、血を手に入れるのだ。
不死になれば、ヤマタイ国を守ることだってできるし、何よりずっと長く生きることが出来る。
そして、出来るならば戦場で別れた猿田彦の下へ帰りたい。
もう一度、彼を父と呼びたい。


まずは支給品と、肉体がどのような人物なのか確認する。
何でも西園寺右京という青年で、司帝国や化学王国という国の兵士だったことは分かった。
他にも潜水艦やらソナーマンやら、ナギの知らない言葉が多かったが、妙に辺りの音が五月蠅く聞こえるのは、この男が異様に耳が良いからなのは分かった。
何にせよ、弓矢が得意な肉体を与えられたことに安堵する。


続いて支給品を覗いてみることにする。
運が良いことに、自分の得意な武器。しかもとりわけ上質な素材を使っているものだと分かった。
寸分のぶれもなく弦は張られており、怠ることなく手入れをされたのか、光沢を放っている。
火の鳥を撃ち落とした弓彦でさえ、このような弓は目の当たりにしたことは無いだろう。
それもそのはず。それはとある世界の勇者が、魔王を射った矢を放った曰く付きの弓だ。


(これがあれば…魘夢も射殺せるんじゃないか?)


勿論、良い武器を手に入れたからと言って、鍛錬を怠るほど短絡的ではない。
早速、試し撃ちをしてみることにする。
理想を言うと、ヤマタイ国の草原みたく狼が出てきてほしかったが、どうやら本当に動物はいなさそうなので、近くの立木で試してみることにした。






2,3発打ってみて、弦の弾き方や、然るべき手の角度などの感覚を掴む。
言ってしまえば原始的なつくりをしている弓より、遥かに使いやすく、遠くに飛ばせることが分かった。


436 : Soul of Rebirth ◆vV5.jnbCYw :2023/06/26(月) 23:59:45 ZhmfSaj.0

だが、興奮をよそに、誰かが近づいて来る音が聞こえた。
しかも、その音は酷く静かで、右京の聴力を以ていなければ察知出来ないと分かった。


「動くな!!」


戦って勝てるかはわからない。
けれど分かるのは、間合いに入られれば、まず負けるということだ。
近付かれる前に射ねばならないのは、猿田彦との訓練で学んだこと。


「お前、俺を敵だと思うか。」


目の前にいたのは、白髪で厳めしい顔つきをした高身長の男だった。
それ以上にナギを驚かせたのは、寸分のぶれもない体軸に、鋭いまなざし。
まだ剣を振るどころか、抜いてさえいない。でもその立ち居振る舞いだけで、相当な達人だということが伝わって来た。
その視線を合わせるだけで、身体中に鳥肌が立った。


「ああ。それ以上近付いたら撃つ。」


その声には、震えが混ざっていた。
ただ単に、強くもなんともない男が、恵まれた肉体を与えられただけだと楽観視することも出来る。
だが、そのようにも思えなかった。
矢を引く前に近づかれ、斬り殺されるという恐怖があった。
しかしそんな感情は、次に聞いた言葉で幾分かは消え失せた。


「俺があの魘夢という男のことを知っていると言ってもか?」
「え!?」


老人の口から出たのは、予想もつかない言葉だった。
だが、そこから先に聞いた言葉は、それ以上に予想外なものだった。





「十二鬼月やら、キブツジムザンやら、おれには分からないな…どこの国の話をしているんだか……。」
「時代や国よりも、気にすることはあるだろう。」


ナギは様々な話を聞いた。
老人の魂と、赤と白の髪をした少女の魂は、かつて同胞だったということ。
どちらも鬼舞辻無惨という者の血によって鬼にされ、それからは同じように手足として働いていたこと。
結局は鬼を狩る剣士に討ち取られて、死んだということ。
あまりにも知らないことを聞きすぎて、漫画ならばヒョウタンツギの顔になっていただろう。


「………あんたと魘夢って、同じ鬼だったんだろ?どうしておれを食ったり、殺したりしないんだ?」
「一度死んでまで、同じことをするつもりはない。それに俺が忠誠を誓ったのは鬼の王だ。あの男に従ったことは一度たりともない。」


話が終わると、すぐに老人、佩狼は立ち去ろうとした。
元々ナギの仲間に入れて欲しくて、自分の出自や厭夢のことを話した訳ではない。
無益な争いを生み、人を殺すことになりたくなかったからだ。


437 : Soul of Rebirth ◆vV5.jnbCYw :2023/06/27(火) 00:00:02 RNtPZXu20
一度蘇ったはいいが、これ以上人を殺すつもりは無いし、それを命じる相手が元同僚というのもどうにも腹立たしい。


「待ってくれ。まだ話があるんだ。」
「なんだ。付いて来てくれというなら、お断りだ。」


鬼は得てして集団で動くことは少ない。
理性の乏しいものは共食いを始め、理性がある者でも協力することはない。
たとえ鬼舞辻無惨の血の呪いが抜けても、人間と共に行くつもりはなかった。
人間だった頃は、徒党を組んで敵と戦っていたが、それは昔の話だ。


「そうじゃなくて……鬼の血を飲むってどんな感じなんだ?」
「………何が言いたい。」
「鬼の血を飲めば、不死になるんじゃないのか?」


元々ナギと言う少年は、飲めば不死になるという火の鳥の血を求めていた。
病や戦であっさりと死んでしまう周りを見て来た彼だからこそ、不死というものに代えがたい憧れがあった。
彼が弓の腕を鍛えていたのも、偏に人では辿り着けない空を舞う火の鳥を射抜くためだ。
そんな彼にとって、飲めば人離れした力を得られる血というのは、火の鳥の血を連想させた。


「やめておけ。」


佩狼はその話を聞き、この少年が不死になるために、鬼の血を欲していると察した。
だが、彼の願望をにべもなく切り捨てた。


「どうしてだよ?」
「不死になったからと言って願いが叶う訳ではない。」


実際に鬼となり、飢えず、病にも罹らず、ほとんどの傷が瞬く間に完治する肉体を得た佩狼だからこそ言えることだ。
彼は確かに人間よりはるかに強い力を手に入れた。だが、実際には。
自分達を表舞台から引きずりおろした人間達に復讐することも出来ず。
あろうことか憎しみ抜いたはずの銃を使って、無関係の人間を殺しただけ。
自由を得ることもなく、戦っていた目的さえ忘れて、ただ鬼の王の走狗となっていただけの生涯だった。


「話がねじれてるよ。おれは不死になって叶えたい願いがあるわけじゃなくて、不死になることが願いなんだ。」
「それなら猶更、やめておくべきだ。最も俺が望んでも、お前を鬼にすることは出来ないがな。」


佩狼を鬼にした無惨や、彼より階級が上の鬼ならば、その決定権はある。
だが、十二鬼月の中では下の方である彼には出来ないことだった。


「何だが、あんたって猿田彦と弓彦を足して2で割ったみたいだ。」
「お前の時代にそんな複雑な計算式は無かっただろう。」
「二次創作だからそんな時代考証は必要ないんだ。」


少し話がずれた所で、今度こそ佩狼は背を向け、1人で行こうとした。
ナギという少年が殺し合いに乗っていないのは分かったが、だからと言って同行する理由はない。
厭夢の身体や、この世界について知っている者がいるならまだしも、彼はそのような知識さえ持ち合わせていない。


「おい!待ってくれよ!!」


ナギは佩狼を追いかけようとする。
仲間がいない中、彼が頼りになる存在なのは間違いない。
たとえ彼が元々鬼で、人を殺していたとしても、それは過去の話だ。
現に彼は、故郷の村の者を何人も殺した猿田彦と、無二の仲間になった経験がある。
同じように殺し合いに乗ってない者同士、佩狼とも組めるのではないかと期待した。


438 : Soul of Rebirth ◆vV5.jnbCYw :2023/06/27(火) 00:00:20 RNtPZXu20

「話は終わりだ。そこで好きに弓矢の訓練でもしておけ。」
「話をしておいて、それは無いだろ!!」


なんともまあ、面倒な相手に話を振ってしまったものだ。
相手はかつて自分を殺した鬼狩り、煉獄杏寿郎のように、呆れるほど愚直。
それでも力を持っていればいいのだが、あの男ほどの力も持っていない。


今の状況をどうにも我慢できず、ついつい衝動的に銃で頭を打ち抜こうとした。
だが、そんなものは無い上に、今は人の身。そんなことをすれば、たちまち死んでしまう。
面倒なので、刀で脅して追い払おうとした。


早速その白い柄に手をかけようとした時、あることに気付いた。
目に入ったのは、炎を連想させる鍔。
いくら爆弾を投げても、銃を撃っても決して壊れなかった刀。
抜いてみると現れた、やや幅広で金色の刀身は。
間違いなく自分を討ったあの男のものだった。



この刀を突き付け、あのナギという少年を追い払うのが良い方法なのだろう。
けれど、あの刀の持ち主の男なら。
竜の鬣のように猛々しい髪型で、虎のように強い瞳を持ったあの男なら。
どんなに追い詰められても決して人を救うことを諦めず、己の責務を全うしようとしたあの男なら。
ナギのような男を決して見捨てることは無いのだろう。


「仕方がないな。行ってやろう。」
「ありがとう!助かるよ。」



(煉獄よ。これで良かったのだろう?)

今さら人の心を取り戻したなどというわけではない。
そんなものは
ただ、あの男の剣を承ったまま、同じ失敗をしたくないだけだ。





【ナギ@火の鳥 黎明編】
[身体]:西園寺右京@Dr.Stone
[状態]:健康
[装備]:勇者の弓@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス(矢30本)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:生還し、今度こそ火の鳥の血を飲む。
1:佩狼と共に行く
2:殺し合いに乗るつもりは無い。
3:鬼の血には興味がある。


※ 参戦時期は死亡後です。



【佩狼@鬼滅の刃外伝】
[身体]:土方歳三@ゴールデンカムイ
[状態]:健康 苛立ち(小)
[装備]:煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(銃器の類はなし)
[思考・状況]基本方針:魘夢の言いなりになるつもりはない。
1:とりあえずナギと共に参加者を探し、脱出の手掛かりを探す。
2:武器(煉獄の刀)に恥じぬ行いをする。
※参戦時期は本編死亡後です。

【勇者の弓@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス】
ナギに支給。
ゴロン族の宝として、長い間ゴロン鉱山の奥に保管されてきた
かなり遠くまで矢を飛ばすことが出来、威力も申し分ないが、爆弾を先端につけることで、さらに威力を上げられる。

【煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃】
佩狼に支給。やや長めの刀身に加え、拵は鍔は炎の様なデザインの鍔を備えており、白い持つ。
元の持ち主であった煉獄は炎の呼吸の使い手であるため、刀身が赤い色に変わっていたが、佩狼も元の身体の土方も呼吸は使えないため、刀の色は変わらない。


439 : Soul of Rebirth ◆vV5.jnbCYw :2023/06/27(火) 00:00:34 RNtPZXu20
投下終了です。


440 : Soul of Rebirth ◆vV5.jnbCYw :2023/06/27(火) 17:51:01 RNtPZXu20
訂正です。>>438 に抜けがありました。


今さら人の心を取り戻したなどというわけではない。
そんなものは
ただ、あの男の剣を承ったまま、同じ失敗をしたくないだけだ。


今さら人の心を取り戻したなどというわけではない。
そんなものは鬼になる前に捨てた。
ただ、あの男の剣を承ったまま、同じ失敗をしたくないだけだ。


441 : ◆TruULbUYro :2023/06/28(水) 06:33:11 WYlwc0Gg0
投下します


442 : 決めるのは僕じゃない ◆TruULbUYro :2023/06/28(水) 06:36:10 WYlwc0Gg0

「…理想を謳う歌姫と、俺の人生はつくづく縁があるらしい」

殺し合いの開幕を宣言した少女の肩書に、男は思わず苦笑する。
全能を対価に、人々の魂を入れ替え殺し合いを強いるウタ──或いは魘夢。
理想を対価に、後悔無き世界へ人々を永遠に閉じ込めるリグレット。

どちらも碌なものではない。
仮初の希望を求めた先にあるのは、多くの者達の犠牲と破滅。
彼らの人生を糧に慈愛の微笑みを浮かべる女神の児戯に、人間は付き合わされているに過ぎない。
最も、その女神を護る立場である者が言えた話ではないのだが。

バーチャドール リグレットが創り出した仮想世界リドゥ。
歌姫の理想の箱庭を守護するオブリガードの楽士が一人、ドクトルは一人思案する。
彼の最新の記憶はリ・リドゥ完成を阻む帰宅部の迎撃任務。
多くのバグを産み、欠陥が目立ち始めたリドゥを一度消し去り、
元居た千人近くの住民のエネルギー──命を代償に行われる新たな理想郷の再構成。

大勢の他人がどうなろうと、今更興味も良心の呵責を感じる事もない。
今度こそ理想が叶うならば、自身の死さえ厭わない。
そんな確固たる思いを以て防衛に向かっていた筈だったが、この惨状は何だ。

当初楽士内で計画していた内容から逸脱した現象である事は先ず間違いない。
今行われている殺し合いは、楽士筆頭、ブラフマンの語るリ・リドゥの構想とは明らかに違う。
完成前だとしても、再構築に必要な感情エネルギーの回収に直接的な殺人行為など不要。
わざわざ肉体と精神を入れ替える意図も不可解過ぎる。
そして何より、あれ程リグレットを信奉していた男が、今更別の歌姫を女神に据えるとは考えにくい。

一連の現象がブラフマンに依るもので無いとすれば、
考え得るは、第三陣営による外部からの介入を許し権限を乗っ取られたか。
リグレットへの信仰が最高潮に高まった今、何者が来ようと彼女の影響力を上回れる筈がないのだが。
元よりリドゥは特異点の為に用意されたミクロメビウスを強引に改変拡張した不完全な世界。

其処へ新たに開始された強制フォーマット。
エラーを修正する為のものとは言え、それもまたイレギュラーなプログラムには変わりなく。
掛け合わされた不確定要素が、リドゥの根幹を揺るがす綻びが生じ、其処を突かれた可能性もある。
飽くまで可能性だ。リドゥを統括し管理していたのはブラフマン。
彼の計画に相乗りしていただけの一楽士には事の真相など測りえない。
何れにせよ彼の計画は既に頓挫した物と仮定して話を進めた方が良いだろう。

リドゥに夢見た理想の成就は失われた。
しかし、新たに提示された女神からの殺し合いへの誘い。
一見すれば正気を疑う内容だが、今回と今まで、一体何が違うと言う。
他者を犠牲に願いを叶える。手段も目的も、リドゥの頃と何ら変わっていないではないか。
目的を達成出来るならば大差無い。彼女の為にやるべき事は何も変わらない。
例え現実も理想も、等しく地獄になり果てたとしても。


443 : 決めるのは僕じゃない ◆TruULbUYro :2023/06/28(水) 06:36:42 WYlwc0Gg0

「──よりにもよって、医者とはな」

自身に宛がわれた身体は、同じ医者だと言う。
才能の無い、自分の様な凡人と同列に扱うのは、向こうとしては余りにも不服だろうが。
鏡飛彩。聖都大学附属病院所属の天才外科医
24と言う若き身空で如何なる名医も匙を投げた難手術さえ確実に成功させる神の手を持ち、
人間に感染する性質を有するコンピュータウイルス、バグスター
それらが蔓延させる感染症、通称ゲーム病を治療するCRの仮面ライダーでもある。

前者は同じ界隈で生きる同業者として、後者は情報社会に生きる一般人として。
記載された名前や単語に一切聞き覚えが無いのは些か妙に感じたが、
直ぐにどうでも良い問題だと脳内から切り捨てた。

「お前の様な天才なら…あの子を救えたのかもな」

世界に名高い失敗知らずの天才ドクターであり、バグスターと闘うドクターライダー。
さぞかし多くの人命を救ってきたのだろう。自分の半分と少しばかりの若さで。
例え仮面ライダーの意味は分からずとも、彼の成し得た偉業の価値は理解出来る。
医者として尊敬の念と細やかな憧憬を抱くと同時に芽生える、仄暗い理不尽な感情。
半ば子ども染みた、八つ当たりにも等しい鬱屈した怒り。

──お前が神の手を持つのだと言うならば、何故彼女を救ってくれなかった。
──何故誰も──神も女神でさえ、俺達の理想を叶えてくれないのだろうか。

24歳、丁度それ位の年齢の頃だった。
初めての患者(クランケ)、真莉愛と出会ったのは。
難病で生まれつき足が弱く、親からも邪険に扱われ、人生に一欠片の希望さえ持たない少女。
狭く殺風景な病室に長年囚われ、冷たく心を閉ざす彼女の心を救ってあげたい。
ただその一心だった。
恥ずかしい程愚直な志を以て彼女に寄り添い、十年掛けてその心の氷を溶かして来た。
真莉愛の趣味である作曲活動を通じ、初めて柔らかな笑顔を見せてくれた時は、嬉しかった。
絶望し切っていた彼女の笑顔を取り戻す事が出来たなら。
きっといつか、彼女の病を治す奇跡だって起こせると、根拠もない希望を抱いたのを覚えている。

だが、あの時の自分は何も知らなかった。
現実の残酷さも、やがて訪れる絶望も、己の限界も知らず。
「一人でも多く、困っている人を救いたい」
そんな叶えられもしない青臭い理想論を語るだけの、無知な若造でしかなかった。


444 : 決めるのは僕じゃない ◆TruULbUYro :2023/06/28(水) 06:37:02 WYlwc0Gg0

──あの日。
──難病の治療法が見つかったあの日から
──病室で震える彼女に俺は一体、どんな言葉を掛けた?

必ず、君を治してみせる。

必ず、君を外の世界で自由に歩ける様にしてみせる。

だから信じて欲しい。

どうか恐怖を乗り越えて、手術を受けて欲しい。

反吐が出る。
確約など出来もしない癖に、淡い希望で彼女を騙した卑劣な自分に。
後悔が蘇る。
嫌がる彼女を強引に説き伏せて、手術を決行した愚かな選択に。

患者の笑顔を信じて選んだ選択。
その結果は破滅、手術の失敗による多大な後遺症。
下半身不随。彼女が自らの脚で外の世界へ歩き出す望みは完全に絶たれた。
否、絶ったのだ。彼女の華やかな未来を。ありふれた幸せを。他ならぬ自分自身の手で。
外の世界の美しさを語ったこの口が、彼女に与えた希望の全てを取り上げたのだ。
その瞬間から、生涯失われた、誰かを、他の患者を救う医者としての資格。
残る全てはたった一人の患者の為、後悔と絶望に支配された贖罪の人生が始まった。

二人だけの世界で繰り返される後悔ばかりの色褪せた日常。
真莉愛の絶望を癒す方法も、己の贖罪を果たす手段もない
終わりなき地獄。この世に救いなど何処にもないと諦念を抱くには充分過ぎた。
だから、女神とその信奉者が口にした夢物語にも協力した。
願いを求めた末に、他者の人生を台無しにする結果になろうとも。
医者の矜持をかなぐり捨ててでも、理想の世界へ救いを信じたと言うのに。
だが、理想を叶える歌姫の力を以てしても尚、あの子の幸せは叶わなかった。

リグレットの創り上げたリドゥは、まさに理想郷だった。
後悔を抱える人々にやり直しの機会を与える夢の世界──なのに、彼女の脚は動かない。
他の人間の願いは全て叶っているのに。何故か真莉愛の──自分の願いだけが叶わない。
まるで、ドクトルが罪から逃れる事を許さない様に、仮想世界にも侵食する呪縛。
相も変わらず動かない、己が壊した彼女の脚が、永遠の懺悔を要求する。
何度やり直そうと拭い切れない己の罪過が、罪なき真莉愛が得るべき幸せを奪う。

彼女は今も箱庭に囚われている。
元より少し広くなっただけの電子の箱庭の中で。
楽士クランケとして、あの日から続く儚き後悔の音色を奏で続けている。
音楽は何より雄弁だ。明かさない心情の答えは分からずとも。
原因は自身の選択の結果である事だけは、痛い程分かっている。
ならば、自分は彼女に捧げなくてはならない。罪滅ぼしを続けなけらばならない。
理想さえ既に宛にならないと理解して尚、それでも惨めに理想に縋り続ける。
それが、一人の患者も、自分さえ救えない、無才の医者の限界。


445 : 決めるのは僕じゃない ◆TruULbUYro :2023/06/28(水) 06:37:39 WYlwc0Gg0

「………」

何も言わず、ただ自身に取り付けられた装備を見やる。
派手な緑とピンクの蛍光色で彩られた奇抜なベルト、ゲーマドライバー。
手に握られた巨大なダイヤルの付いた赤紫のデバイス、ガシャットギアデュアルβ
何方も鏡飛彩の戦闘(オペ)を支えて来たドクターライダーとしての医療器具。
たった今よりこれ等はドクトルが生き続ける限り、只の殺人道具になり下がる。

命を救う使命を課せられた医者ともあろうものが。
殺し合いで失われつつある命を摘む側へ回り、大勢の命を守り続けた神の手を汚す。
恋人の離別を天秤に掛けられて尚、ドクターの責務を果たした
何より誇り高き信念を持つ勇者の魂を穢すのだ。

「…魔王か」

説明書によれば。
ガシャットにはその力のモチーフとなったゲームが存在する。
タドルファンタジー、魔王が勇者を倒し世界を征服するRPGゲーム
魔王とは、人類を脅かすモンスター達の頂点に立つ存在。
勧善懲悪をテーマとするゲームでは、倒されるべき悪の首領として君臨するラスボス。
ゲーム知識など人並み程度だが、その意味位は概ね把握していた。

「…碌な悪役も務められない半端者が、悪の親玉とは笑わせる」

バグの抹殺、医者の矜持。
何方も真面に果たせないどっちつかずが、魔王を気取るなどと。
実に滑稽な話だ。奴等は役をやらせる演者を選び間違えている。
能力も肉体も悉く、自分とは不釣り合いなものばかり。
狙ってやっているなら実に趣味が悪いと、自嘲気味に嗤う。

(悪役になりきれてない。そう言われた事もあったか)

帰宅部と相対した時、幾度も言葉を交えた少年。
他より一回り若く、そして誰より理知的な子どもだった。
確か天才──そうとも呼ばれていただろうか。
感情を切り分け合理を取る。己を正しく律し、能率を語る。
どれだけ月日を重ねても完全に感情を抑えられない者もいる世の中で。
あの年で理性を保つ事が出来る少年はきっと、特別な存在なのだろう。
心が砕け散る程の現実に直面した事もない、世間知らずとも呼べるかもしれんが。

神童にぶつけられた苦言はどれも記憶に残っている。
自分に酔うな。プライオリティのトップに人命を置け。現実にもどって現実の人間を助けろ。
ああ、どれもこれも。実に耳が痛い。苛立たしい程に正論だ。
患者の救済の志した医者ならば成して当然の責務なのだろう。


446 : 決めるのは僕じゃない ◆TruULbUYro :2023/06/28(水) 06:39:09 WYlwc0Gg0

「それでも俺はもう…正気では立ってられない」

正論だけで生きていられたなら、人間に後悔なんて感情は生まれていない。
クランケの未来を奪う選択したあの日から既に、ドクトルの心は狂い果てている。
彼女に捧ぐ狂気が無ければ、次の瞬間にでも、絶望と恐怖に取り殺されてしまいそうな程に。

「真莉愛…お前の脚は俺が必ず治してやる。
 例えお前が外の世界を歩くその隣に、俺がいなかったとしても」

彼女の幸福の為に闘っているのか。
それともただ贖罪と後悔から、自分が解放されたいだけなのか。
日に日に、その境界線が曖昧になっていく己の弱さが嫌になる。
だが、例え自分の中に答えが見通せなくとも、それでいい。
この闘いのエンディングに彼女の幸多き未来に繋がっているのならば
己の結末はバットエンドだろうと構わない。

「さあ──オペを始めよう。あの子の幸福を蝕む悪性腫瘍を全て切除する」

罪に呑まれし魔王の執刀が始まる。
切除すべきは魔王の意に背く勇者と、罰を欲する己自身。
後悔に満ちた咎人に与えられる報いは許しか、罰か。
己の運命を決める権利は、とうの昔に失われた。
その権利を持ち合わせているのは、嘗て愛した贖罪の象徴ただ一人。

【ドクトル@Caligula2】
[身体]:鏡飛彩@仮面ライダーエグゼイド
[状態]:健康
[装備]:ゲーマドライバー@仮面ライダーエグゼイド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1、タドルクエストガシャット@仮面ライダーエグゼイド、ガシャットギアデュアルβ@仮面ライダーエグゼイド
[思考・状況]
基本方針:真莉愛の理想と幸福を叶え、贖罪を終える
1:医者が人の命を奪う。その行為に、最早躊躇いはない。
2:万が一真莉愛が此処に来ているならば、彼女を生かし優勝させる。
[備考]
※参戦時期は第8章前

【ゲーマドライバー+タドルクエストガシャット@仮面ライダーエグゼイド】
檀黎斗が開発したバグスターウイルスに対抗するための医療器具。
付属品、若しくは支給品のライダーガシャットをセットする事で装着者を仮面ライダーに変身させる。
付属ガシャットはタドルクエスト。
鏡飛彩が使用時は、仮面ライダーブレイブクエストゲーマーレベル1,レベル2に変身。

【ガシャットギアデュアルβ@仮面ライダーエグゼイド】
檀黎斗が開発した新型ガシャット
タドルファンタジーとバンバンシミュレーションズ、二つのゲームが搭載されている。
ダイアル操作でファンタジーゲーマーレベル50・シミュレーションゲーマーレベル50の何方かを選択あい、ゲーマドライバーに装填する事で変身可能。
また、変身を行わず、召喚したアーマー(ゲーマ)を使役し敵へ攻撃をさせる事も出来る。
両方のゲーマに搭載された戦闘能力強化システムの関係上、負荷が非常に厳しい設定になっており、
その負荷を克服出来ない場合、多大なダメージが変身者に蓄積される仕様となっている。


447 : ◆TruULbUYro :2023/06/28(水) 06:39:30 WYlwc0Gg0
投下終了です


448 : ◆NIKUcB1AGw :2023/06/28(水) 21:16:45 isUl4uOs0
投下します


449 : イケメン無罪貫通 ◆NIKUcB1AGw :2023/06/28(水) 21:18:03 isUl4uOs0
注意深く周囲を警戒しながら、一人の太眉巨乳女子高生が市街地を進んでいる。
その肉体に入った精神の名は、黒井ななこ。
アラサーで巨乳でネトゲ好きの、どこにでもいるような教師である。

さすがに当初は超常現象の数々に混乱したななこであったが、「考えるのは生き延びた後」と割り切ることで落ち着きを取り戻していた。
そして危険を承知で、移動を開始した。
もしかしたら、知り合いも参加させられているかもしれないと考えたからだ。
特に教え子が参加させられていたとしたら、教師として絶対に守らなければならない。

やがてななこは、一人の参加者を発見した。
憂いを帯びた表情を浮かべた、やたらとイケメンな青年だ。
もっとも、中身までイケメンかどうかはわからないが。

(殺し合いに積極的なようには見えへんけど……。
 声をかけるべきか?)

物陰から様子をうかがうななこ。
だが逡巡しているうちに、青年と目が合ってしまう。

(しまった、見つかった!)

慌てて逃げようとするななこだったが、青年は彼女を呼び止める。

「お待ちください、そこの方。
 私は、高校教師をしている木村という者です。
 殺し合いに乗るつもりはありません。
 よろしければ、情報交換だけでもしていただけないでしょうか」
「教師……?」

ななこは、思わず足を止めた。


◆ ◆ ◆


それから数十分後。
ななこと木村は、同職という親近感もありすっかり打ち解けていた。

「しかし黒井先生の武器がそれだけというのは、不安ですな。
 鈍器の威力は筋力に左右されますから、非力な女性が使うには心許ない。
 その体もアウトドアが趣味とはいえ、体力は人並みということですし」

ななこが手にする木刀に視線を向けながら、木村は言う。

「できればこれを差し上げたいのですが、どうやらこれは私に与えられた肉体に紐付けされているようで……。
 他の人には使えないようなのです」

なおもしゃべりながら、木村は銃のような物を取り出した。

「それは?」
「いわゆる変身アイテム、というやつですか。
 使用すると、戦闘力の高い姿に変身することができます」
「そんな、特撮番組みたいな……」
「信じられないのも無理はありませんが……。
 黒井先生と出会う前に試して、効果は確認済みです」
「マジですか……。まあ、すでに体が入れ替わるって超常現象が起きてますしね……。
 何が起きても不思議はないですか……」

冷めた表情で、視線を虚空に泳がせるななこ。
彼女がそうしている間に、木村は自分のデイパックに手を入れる。

「仕方ありませんので、私の残りの支給品を黒井先生に差し上げます。
 何かの足しにはなるでしょうから」
「はあ!?」

木村の発言に、ななこは思わず大声をあげてしまった。

「な、なんでそんな!? 今ここで会ったばっかりの人間に!」
「何をおっしゃいます。弱い者を守るのは教師として……いえ、大人として当然でしょう」
「木村先生……!」

ななこの目に、うっすらと涙が浮かぶ。


450 : イケメン無罪貫通 ◆NIKUcB1AGw :2023/06/28(水) 21:18:59 isUl4uOs0
「わかりました。ありがたく使わせてもらいます」

ななこは木村から支給品を受け取り、それを確認する。
ひとつは、読むと爆発を起こせるという巻物。
もう一つは……セーラー服とうさ耳のセット。

「あの……この衣装は?」
「私の支給品を全てお渡しするという約束でしたので。
 もちろん、別に着る必要はありませんよ。
 着たら、私が喜びますが!」
「はあ……」

これまで全幅の信頼を寄せていた木村に対し、初めて疑念を抱くななこであった。


【黒井ななこ@らき☆すた】
[身体]:犬山あおい@ゆるキャン△
[状態]:健康
[装備]:木刀@現実
[道具]:基本支給品、イオの巻物@トルネコの大冒険、ビブリオピンクチューリップの衣装@魔法先生ネギま!、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:生き残る
1:知り合いが参加させられていないか心配
2:この人、信用してええんか?


【木村先生@あずまんが大王】
[身体]:キューン@仮面ライダーギーツ
[状態]:健康
[装備]:レーザーレイズライザー&レイズライザーカード@仮面ライダーギーツ
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:教師としての責務を全うする


【イオの巻物@トルネコの大冒険】
読むと爆発を起こし、周囲の敵にダメージを与えられる巻物。
使い捨て。


【ビブリオピンクチューリップの衣装@魔法先生ネギま!】
TVアニメ「魔法少女ビブリオン」に登場するキャラのコスプレ衣装。
具体的には、袖なしのセーラー服とうさ耳のセット。
麻帆良祭のコスプレコンテストで、佐々木まき絵が着用した。


【レーザーレイズライザー&レイズライザーカード@仮面ライダーギーツ】
デザイアグランプリのサポーターが所持する、変身アイテム。
キューンの場合は、翼の生えたライオンのような姿の「仮面ライダーキューン」に変身できる。


451 : ◆NIKUcB1AGw :2023/06/28(水) 21:20:16 isUl4uOs0
投下終了です


452 : ◆5IjCIYVjCc :2023/06/30(金) 23:20:55 2mmpuOqQ0
皆さん投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>Soul of Rebirth
実は生きてた新撰組同士の組み合わせか。
煉獄さんの想いがここにも届いていたと感じました。
唐突なメタ発言に手塚治虫作品らしさを感じました。

>決めるのは僕じゃない
自分の患者を救うためなら他を犠牲にしても良いのか、医療倫理が問われます。
飛彩がやったことも考えると、それについても皮肉な感じがします。

>イケメン無罪貫通
見た目が良くてもダメなもんはダメの良い例。
キューンはここまでのことはしないと思う。


453 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/01(土) 12:49:21 fhi01rnQ0
短めですが投下します


454 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/01(土) 12:52:07 fhi01rnQ0
顔のある偽りの月が見下ろす会場のとある一角、そこに1人の青年…いや、青年の精神が入った、薄紫色の長い髪に、赤き瞳を宿した制服姿の少女の姿があった。

「…タブレットの情報通りって事は…この娘が吸血鬼ってのは、嘘じゃなさそうだな」

鋭敏になっている感覚と高い視力を、身を以て体感している青年の名は衛宮士郎。
彼には幾つもの分岐する可能性がある中、この衛宮士郎は…ある世界にて妹の為に悪である事を選んだ青年。未来の可能性にしてある種自分自身とも言える英霊の力を行使し、その身が英霊へと置換られていくリスクを背負って戦う男。
妹の為に世界の敵となったその在り方は奇しくも、今の身体の持ち主である少女柊真昼と同様であった。

(この娘の方は、表向きは英雄扱いって違いはあるけどな…。俺や美遊が居た世界とは違う方向で、滅びに向かって突き進んだどん詰まりの終わりかけの世界の。
…あのタブレットの情報が正しければ最期まであんたは、二重スパイなんてもんやりながら、シノアって妹の為に頑張ってた。)

生まれた時から計画の為に死ぬ事が決まっており、それを知りながら…決して成就する筈の無い恋をしてしまい、それでも想い人より妹を優先し、妹の為に、自分が更に壊れる事も厭わず鬼を引き受け、吸血鬼となり人を完全に辞めてなお、妹を守る為二重スパイとして戦いながらも、抗う事自体は辞めずにいた結果、最期は想い人に看取られ消えた筈の少女。

(…俺もあんたみたいに、最期まで妹の…美遊の為にこの命を使って、美遊の幸せの為に戦う。
────だから、今はあんたのこの身体を使わせて貰うぞ。…真昼)

タブレットのデータファイルから彼女の来歴を見た際に、母を殺された件から柊家に生まれながらも、それを嫌っていると載っていた事を思い出した士郎は…返答が返ってくる事はないだろうとしつつ、心中では下の名前で呼び掛けた。
その後士郎は一呼吸置いた後思考する。

(あの魘夢って、女の身体に入った奴は優勝者に『【元の身体に戻る権利】と【どんな願いでも叶えられる権利】を別々に譲渡する』と言っていた…聖杯由来で行うと仮定するなら、天然の聖杯な美遊が魘夢達…主催の手に有る可能性も考えなきゃいけなくなる。
もしそうだとしたら…或いは────美遊がこの殺し合いに巻き込まれてたとしたら…俺は妹を守る為、どんな手段でも取る。悪でいいと決めた以上は…殺し合いに乗る事になっても構わない。)

「…今は周辺を探しながら、名簿を待った方が良さそうだ」

決意を改めて固めた上で、士郎は方針を定めた後、バッグの中に入っていた日本刀を取り出し鞘から抜刀して手に持ちながら、その場から駆け出す。

(…今の身体が吸血鬼な以上、どちらもまだ大丈夫だけど…データファイルにあった通り血への渇きや、日光…それに鬼呪装備って奴には気を付けないとな)

特に即死こそしないものの紫外線が弱点となる都合、このままだと朝から夕方までは迂闊に出歩けない点を留意して、どう動くにせよ念頭に入れた立ち回りをするべきだと考えながら士郎は駆ける。
脳裏に少女の、柊真昼の守ろうとした妹がもしこの殺し合いに巻き込まれていたら…?という問いが浮かびながらも、それを考える事を保留しながら。

かつて正義の味方を志したものの、紆余曲折の果てに悪である事を肯定した青年の殺し合いが…ここに始まるのであった。


455 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/01(土) 12:52:20 fhi01rnQ0
【衛宮士郎(美遊兄)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!】
[身体]:柊真昼@終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅
[状態]:健康、決意、肉体の吸血鬼化
[装備]:武刃@仮面ライダーギーツ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:妹が──美遊が巻き込まれてないか探る。
0:俺も、あんたみたいに最期まで妹の為に戦うよ…真昼。
1:今は周辺の捜索をしつつ名簿を待つ。
2:美遊が巻き込まれてるようなら、美遊の生還を最優先にして動く。その場合はまず殺し合いに乗る事になるだろう。
3:日光及び紫外線対策を探したい。
4:上空の顔のある月への対処法も探る。
5:血への渇きは…今は大丈夫だけど気を付けないとな。
6:もしもこの娘が…真昼が守ろうとした妹(シノア)が殺し合いに巻き込まれていたら、その時俺は──。
7:魘夢達はエインズワース家に…ジュリアン達に囚われていた筈の俺を、どうやって殺し合いに巻き込んだんだ…?
8:どちらにせよ、敵対者や邪魔者に容赦はしない。
[備考]
※参戦時期はアニメで言う雪下の誓いよりは後、エインズワース家の地下牢にてイリヤ達と出会う前から。
※肉体である柊真昼の参戦時期はノ夜で自分の心臓を貫いた後からです、都合上吸血鬼化しています。
※吸血鬼化により、肉体は身体能力の向上と視力を含めた感覚の鋭敏化、手足が切断されても結合可能な再生能力を得ています。
ただし血への渇きとそれ由来の定期的な吸血が必要になる体質と、紫外線や鬼呪装備(呪術的な攻撃になる)が弱点になる体質にもなっている他、元人間が吸血鬼化すると生前執着を抱いてた対象以外への感情が全体的に減衰する傾向があります。
精神側に影響があるかどうかは後続にお任せします。

【武刃@仮面ライダーギーツ】
仮面ライダータイクーン ブジンソードの使う日本刀。鞘と刀のセット。
斬撃波を飛ばしたり、物質の結合をほどいて対象を両断する事が可能。原理上本来ならデザイアドライバーが無ければ使用不可だが、本ロワでは主催側の調整により無くても使用可能となっている。


456 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/01(土) 12:53:22 fhi01rnQ0
投下終了です、タイトルは「妹の為、悪を成した姉と悪を成す兄」です


457 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/01(土) 22:48:30 L6Hbs2JI0
二本投下します


458 : 消去する右手 ◆7PJBZrstcc :2023/07/01(土) 22:49:10 L6Hbs2JI0
「何が殺し合いだあのタコ共がッ!」

 殺し合いの会場のどこかで、一人の少年が怒っている。
 重力に反発するように髪の毛が逆立っている特徴的な髪形だが、よく見ればワックスで固めていることが分かるので、この少年なりのファッションだと理解できるだろう。
 しかし、それは今怒っている少年のファッションではない。
 なぜなら、この殺し合いのルールに準じて彼もまた、体と精神はそれぞれ別人のものだからだ。

「テメーらはこの虹村億泰が仕留める!! 覚悟しなッ!!」

 億泰は怒っていた。
 最初に殺し合いを告げた魘夢とかいう女は間違いなく、この惨事を楽しんでいる。
 かつて出会った殺人鬼吉良吉影や、形兆の兄貴の仇である音石明に匹敵かそれ以上のゲス野郎であることは明らかだ。
 そんな奴を生かしておく道理はない。
 だが――

「でもあの女は綺麗だったし、何よりエンムって奴に乗っ取られてるだけなんだよな〜」

 この殺し合いの中で魘夢を殺すということは、あのウタという女を殺すことと同義だ。
 もし彼女も億泰の知る邪悪と同じくらいの外道であるならば、別に迷いはない。
 しかし彼女がもし善人であるのなら、何の罪もない相手を手に掛けることには大いに抵抗があった。

「こんな時、兄貴ならどうする?」

 億泰が考えるのは、少し前に死んだ兄ならどうするだろうか、ということ。
 兄貴なら迷わず、ウタ諸共魘夢を殺すだろうか。
 いやひょっとしたら、親父を殺すために殺し合いの優勝を目指すかもしれない。

「ああクソッ、俺こういうの考えても分かんねえんだよ」

 しかし当たり前だが、ここにいるのは億泰であって、彼の兄形兆ではない。
 故に彼は考えていたことを放棄し、自分の体の情報について見てみることにした。

 見慣れないタブレットを慎重に扱いつつ、体のプロフィールを見る億泰。
 肉体の名前は上条当麻。
 学園都市という所の億泰と同じ高校一年生で、右手には幻想殺し(イマジンブレイカー)というどんな異能でも打ち消す能力が宿っていると書かれていた。

「右手、か……」

 思わず自身の右手を見つめる億泰。
 それは単純に能力の強大さに感心するとともに、己との共通点に気付いたためだ。

「俺のザ・ハンドと似てんな」

 億泰のスタンド、ザ・ハンド。
 右手の平で触れたものを削り取る能力を持った近距離パワー型スタンド。
 削り取ると打ち消すでは少々意味合いが違うが、それでもどこかシンパシーのようなものを億泰は覚えていた。

 そんな感情を持ちながら上条のプロフィールを読み進める億泰。
 しかし、彼が抱えていたシンパシーは読み進めていくうちにどんどん消えていくことになる。
 なぜならば

「この上条ってヤロー、随分と女にモテんじゃねえか……」

 羨ましい、とはさすがに口に出さなかった。
 しかし、億泰が一方的に覚えていたシンパシーは完全に消え失せていた。


【虹村億泰@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:上条当麻@とある魔術の禁書目録
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:エンムとかいう奴と仲間をぶちのめす。が、ウタは殺したくない
1:とりあえず殺し合いに乗ってない奴と合流したい。いるのなら仗助や康一を優先
2:幻想殺し、こいつは強いぜぇ〜
3:この上条って奴、女子にモテて羨ましい……!
[備考]
※参戦時期は4部終了後です


459 : カミガカリ ◆7PJBZrstcc :2023/07/01(土) 22:49:39 L6Hbs2JI0
「ホッホッホ。人間かどうかは知らんが、エンムとやら。中々面白いことやるのう」

 会場のどこかで一人の少年が笑う。
 とても楽しそうに。とても愉快に。
 彼の名前は――正しくは、彼の精神の名前は、ゼウス。
 全宇宙の父(ゴッドファーザー・オブ・コスモス)と神々の間では呼ばれる、ギリシャ神話の最高神その神である。
 そんな彼には一つ、欠点と呼んでも差し支えない部分がある。

 ゼウスは世間だと性豪だと言われている。
 女癖が悪く浮気性で、妻の目を盗んでは美少女から人妻、さらには曾孫娘に美少年にまで手を付ける節操無しと思われている。
 しかし、それは真実ではない。
 確かに彼は神々の中でエロジジイなどと呼ばれることもあるが、それは断じて性欲によるものではない。

 ゼウスは、戦闘狂だ。
 身内に裏切られても、自分達が劣勢の際まで追い込まれても、それが面白ければ歓喜する享楽主義。
 故に戦闘愛好嗜虐変態神(エロジジイ)などと揶揄されている。

 だからゼウスは、この殺し合いにも存外肯定的だった。
 どこの誰かは知らないが、よりにもよってこのワシをこんな場所に気付かれずにつれてこれる力量。
 それだけのみならず精神を抜き出し、人間の体に入れるという、最早どうすればそんなことが可能なのかと真剣に問いたくなるレベルの行いだ。
 おまけにこの体もなかなかいい。

 身体のプロフィールにはこの身体の少年はある日唐突に始まった英雄譚の結果、最後には地上に現れた神も悪魔も全て滅ぼしたとある。
 それも策謀ではなく、純粋な力量で。
 仲間や召喚獣を用いた記述もあったが、決してそれ頼みではない。むしろ当人の力量の高さで成し遂げたようにゼウスは感じていた。

「ヘラクレス以来じゃのう。こんな人間は」

 ゼウスは素直に感心していた。
 彼としては、別に人間に思うところはそこまでない。
 滅ぼすことになったら滅ぼすし、場合によっては撤回してもいい。その程度だ。
 しかし、今の自分の身体である少年には素直に感心していた。
 神に召し上げたくなるほどだが、プロフィールを見る限り誘いには乗らないだろう。まあ別に咎める気はないが。

「こんな人間を駒に使うとは、エンムはさぞ強いんじゃろうな! それともこうなればワシを殺せるという算段かの?
 面白くなってきたわい!」

 ゼウスは興奮していた。
 神々なら誰もが知るレベルの戦闘狂に対し、魘夢達は死ぬかもしれない戦場に放り込んだのだから。

「せっかくじゃし、まずはこの殺し合いで優勝を目指してやるとするか。
 そしてその後はエンム、おぬしらとの殺し合いじゃ!!」

 だが勘違いするな。
 ゼウスは戦闘狂で、敵対者を嫌うわけでは無い。
 しかしこうして喧嘩を売ってきた以上、ただで済ますつもりもない。


 神の雷は等しく降り注ぐ。
 敵対者にも怯え惑う者にも、そして主催者にも。


【ゼウス@終末のワルキューレ】
[身体]:ザ・ヒーロー@真・女神転生
[状態]:健康、興奮(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:せっかくじゃしまずはこの殺し合いを楽しむ。終わったら主催者は皆殺し
1:適当に他の参加者を探す
2:この人間、なかなかやるのう……
[備考]
※参戦時期は本編登場前です。
※身体のザ・ヒーローの参戦時期はNルート終了後です。


460 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/01(土) 22:50:03 L6Hbs2JI0
投下終了です


461 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/02(日) 17:31:23 R/.rnOwk0
投下します


462 : 再びの戦場 ◆yy7mpGr1KA :2023/07/02(日) 17:31:55 R/.rnOwk0

ギリギリギリ…カッ!

弦が絞られる緊張音と矢の奔る音が響く。
発生源は少女が構えた弓矢によるもので、的は並べられた空き缶がひとつ。
缶は中心を矢に貫かれ、穴をあけて転がっていた。
それを確かめると少女は息をついて構えをとく。

(…悪くはねえ。ガキの引く弓の強さとしちゃこんなモンか。とはいえ)

少女…いや、少女の体に宿る男ジョン・ランボーにとっては弓矢でもって彼方の的を射抜くなど朝飯前の技能だ。
しかしそれは強靭な張力の弓を引く剛健な肉体あってこそ。子供、それも女の筋力では再現するべくもない。
先ほどまで泣き崩れていたが、今度は違う意味で泣きたくなる。

(何だってんだこいつは。枯葉剤の副作用か?ベトナム帰りで俺までおかしくなっちまったのか?)

シェルショックと言われる心の病の話は知っているし、自分にその傾向があると言われれば受け入れざるを得ないだろう。
だがローティーンの少女の体になって殺しあいを強制される幻覚を見るなど、どんなドラッグや病気の症状なのだ。

(戦場に帰りたいとは言ったが、さすがにこんなのは望んじゃいねえぞ……!)

殺し殺されを望んでるわけじゃない。
ただ友達のいるところに、義理人情の通じるところに身を置きたかっただけなんだ。
それをこんなところにこんな状態で送られるなんて、ベトナムよりもタチが悪い。

しかしそれでも、ランボーは諦めたり現実逃避を続けるような男ではない。
夢想でも幻覚でもなく、ここは確固たる戦場だ。
自身のコンディションは確かめた。訳は分からないがローティーンの少女、傷や障害はなし。
装備も確かめた。武装として扱えそうなのは弓一つに矢が多数。
非力な体で扱えるようにポンド調整はできなかったが、幸い子供でも引ける弓だったので試射で体と弓の調子を確かめる。

なんとしても、生き残るために。

(行くか。タブレットとやらは手探りでいじったが、使いこなせてるとは間違っても言えねえ。装備の使い方を知るのは必須事項だ)

そして動き出す。
自分自身と、この少女の体を守るために。

拙い手つきで確かめた肉体のプロフィールにはほとんど何も書かれていなかった。
見た目からしておそらくアジア系だろうが、生まれや出身などなく、名前と年齢だけ。
それがランボーには意味深に、なんだか自分のように思えた。

戦場におけるこの少女は、日常におけるランボーなのだ。
戦場ではヘリを乗りこなし、戦車にも乗り、100万ドルの武器だって任されたランボーは、本土では駐車係の仕事すら任されない。職歴にはほとんど何も書くことがない。
この少女もきっとそうだ。
もしかしたら未来のチアリーダーとして将来を期待されているかもしれない。学校一番の成績かもしれない。ボランティアで表彰されたかもしれないし、最近じゃあ軍学校に女子生徒が入ったなんてのも聞いた。けれど、きっとこの少女は戦場では何もしていないのだろう。
それは当然のことだし、そうするためにランボーは戦ったのだからそれでいい。
そんな少女を戦場で散らすわけにはいかないし、自分もこんなところで死ぬつもりはない。

(生きて帰ろうぜ、お嬢ちゃん)

少女のプロフィールにはこう書かれていた。

ポプ子
どこにでもいる14歳の女子中学生。


【ジョン・ジェームズ・ランボー@ランボー】
[身体]:ポプ子@ポプテピピック
[状態]:健康
[装備]:勇者の弓(矢立、予備矢多数含む)@ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(ランボーから見て武器ではない)
[思考・状況]基本方針:生き残る
1:タブレットの使い方や脱出プランなどの情報提供者を探す


[備考]
※参戦時期はラストシーン、トラウトマン大佐に連れられ逮捕された直後です。
※必要ならポプ子のCV設定は後続の方にお任せします。
※服装はポプ子の着てるセーラ服です。クソダサくはないです。海兵スタイルのランボーだってありだろゥァア゛ーッ!!


[支給品紹介]

勇者の弓@ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
勇者リンクの扱う弓。矢立、矢とセットで支給された。
ゼルダシリーズ恒例の武装で、ムジュラの仮面においては子供リンクでも扱える強さのようだ。
原作ゲーム中では通常の矢のほか炎の矢、氷の矢、光の矢などを撃っている。


463 : 名無しさん :2023/07/02(日) 17:32:24 R/.rnOwk0
投下終了です


464 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/03(月) 04:04:57 pIiJUY9Y0
投下します、コンペLSロワの候補作から一部流用している他、登場人物の内片方がキャラメイク系のゲーム出典で、もう片方の肉体が原作では名無しのモブキャラな為、独自解釈や捏造している部分があります。


465 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/03(月) 04:06:39 pIiJUY9Y0
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⚠︎このSSには卑猥なホモ表現が多少含まれています!注意してください⚠︎
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会場のある一画、顔が存在する異質な月の下にて戦闘が起こっていた。

「っ!なんなんだよ、オマエは…!」
「…」
「は、っぐ…!?」

片方の既に傷だらけな青年は、パッと見では誘導棒のような剣を振りもう片方の相手である、装甲を纏った戦士の打撃を受け止めようとする…も、戦士は無言のまま押し切り青年を吹っ飛ばす。
受け止めたのもあり威力こそだいぶ減衰したとはいえ、地面に叩きつけられ打ちのめされた青年はうめき声と共に血反吐を吐いた。
青年の肉体が曲がりなりにも剣士だったのもあって、有無を言わさず襲いかかられたにも関わらずここまで耐える事は出来ていたものの、斃れるのも時間の問題といった所であった。

血を口から零しながら、立ち上がろうとする青年を尻目に戦士は、右手に身に付けていたウォッチの形をした機械からメモリを取り外し、ベルトの携帯に挿れる。

『Complete.』

機械音声の後、戦士の胸部の装甲が肩部のアーマーへと変質し、赤目に銀色のラインの姿へと変わる。

「オマエ…姿変えて胸見せつけるとか、俺のペットみたいな淫乱さだな…!」

などと傍から見たら訳わかんねーことを息を荒らげ叫びながらも、青年はなんとか防御…剣を用いた体勢に立て直した…と同時に、再び機械音声が響く。

『Start up.』

青年がそれを聞いたすぐ後、戦士は加速し……蹴られたような感覚を感じた直後気付くと青年はまたふっ飛ばされていた。剣は手元になく折れてはないが吹っ飛んでおり、胴体に穴が開けられている。

『Time out.』と、そんな機械音声が聞こえたような…と思うと同時に、穴から血が噴出する感覚を感じ取り青年は再び倒れる、うつ伏せだ。

(…まったく、よぇーよな…)

身体側が持っている技術である全集中の呼吸とやらで止血を試みるも、命が消えるまでの時間が少し伸びるのみ、結局逃げる事すら出来ずに、ここで死ぬ事に対し自嘲する青年に対し…沈黙を保ってきた戦士が近付く。

「…ごめんね。私の世界のために…死んで行ったみんなの、ために…私を探して、必要としてくれてるみんなのために…この身体の持ち主の子のために……立ち止まることも、容赦も出来ないんだ。
…私が優勝したその時は……願いで生き返らせるから」
(…ほんとよぇーな…こんなメスガキに…殺されるのかよ…)

戦士から出て来た声は、少女のそれである。少し震え他声で、罪悪感に潰れそうになっているのが何となくだが察せられる物だった。

「…オマエはその、『みんな』や…身体の、持ち主が…殺し合いなんて手段で願いを叶えて、喜ぶような…ヤツだって…そう思って、るんだな…マジ、おもしれー……」

息も絶え絶えになりながらも青年はそう呟く。
血を失いすぎたのか、意識が薄れ、眠気に襲われながら音も声も耳に届きづらくなっていく。少女がなにか反論しようとしているが、もはや青年には良く聞こえない。

「…知らねーよ、そんな……の……」

そう返す他無く、口を動かすことももはや不可能となった。

(…深夜、だったな今……朝が早いから、寝ないと……じゃあ、おやすみ……拓也)

走馬灯が流れる中、大量に飼ってる自分のペットの内1人、人懐こいけどちょっと足りなさそうなマジ狂いの男の事を最期に脳裏に浮かべる。
サングラスを掛けながら男が、笑顔でこちらに手を振ってる幻覚を見ながら…何処か安らいだ顔で、青年は息絶え屍となった。

【センパイ@AI拓也(身体:累に切り刻まれた隊士@鬼滅の刃) 死亡】

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⚠マジおもしれーは原作の原作(怪文書)ではセンパイの台詞ではありません!サーファー二人組の台詞です!⚠

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466 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/03(月) 04:07:31 pIiJUY9Y0
「…わかってる…わかってるよ、そんなこと!!」

戦士への変身を解除した後、現れた栗色のロングヘアーの少女はそう、言いたい事を言うだけ言って反論すら聞かないまま死に逃げした形の相手に怒りと悲しみが混じった叫びをあげた。
少女の肉体に放り込まれた精神の名はアリカ。13班としてスカウトされ、仲間たちと共に過去や未来へ赴き竜を狩ったものの、黒幕の掌の上から抜け出せないままに守りたかった物を殆ど全て奪われ、或いは自らの手で葬った…その上で、人類の進化の果てといえる第7真竜候補へと至った少女。

(この身体の持ち主や、ミオやみんなはきっと喜ばないだろうし、殺し合いに乗るのは…力が全てなんて思い詰めちゃって、暴走したキミと同じ轍を踏んじゃってることになるのも…わかってるよ、ユウマ…)
「…でも、他にどうしろって…私だけじゃなく、この子の命まで握られて…こんなこと出来る相手に…どう抗えって…!!」

殺し合いに巻き込まれたのがよりにもよって、自身が13班として戦うきっかけでありずっとナビとして共に戦ってくれていた少女ミオが、事切れている様を見てしまった後、シン・ドラゴンクロニクルによる宇宙との統合が始まる直前からだったのもあり、アリカの精神は焦りもあって不安定極まりない状態であった。
なまじ同じく第7真竜候補となったユウマや、黒幕と呼べる第2真竜NDに仲間込みとはいえ勝利を遂げてしまっていたが故に…そんな自分に勘付かせないまま拉致と肉体の交換を行った主催側を彼女はそれら以上に強大な物と認識してしまい、アリカの心は折れてしまった。

これが宇宙との統合を果たした後なら、そもそも殺し合いに巻き込む事はまず出来ず、もう少し早い時期からかもしくは全てが終わった後ならば、殺し合いに抗う決断をして戦っただろう。
或いは…時期が今の最悪な時だとしても他人の肉体を与えられなければ、他参加者との遭遇時にいきなり奇襲なんて真似をする事はなく、遭遇した相手次第では殺し合いに抗う方向に向かったかも知れない。

──しかし結局、それらは仮定の話である。


(…この子にはまだ、家族が残ってる…私と違って…タブレットのファイル通りなら、赤ちゃん産んだ直後に若くして死んじゃうみたいだけど…だからって…せめて、返してあげなくちゃいけない、でしょ…!!)

アリカに与えられた肉体の名は、菜花黄名子。サッカーを消す為に未来からの歴史改変を行う組織エルドラドに対抗する為、雷門イレブンの一員として過去に赴きサッカーで戦った少女。そして方向性こそ違えど、アリカと同じく人類が進化した先の存在と言えるセカンドステージ・チルドレンの1人フェイ・ルーンの母親になるも、出産直後に早逝する運命にある未来人。

既に自分達以外の生命が全て絶えた状態にあり、家族も例外ではない状況なアリカからすれば、過去へ赴いたという共通項と声が似ているという親近感も込みで…例え書かれている通り早逝する未来しかないとしても、せめて身体を返してあげたいと、そう思い覚悟をしたまま青年を襲撃したのだ。
…最も、身体を返すつもりかつ、最期には願いで犠牲者を生き返らせるつもりとはいえ、彼女の身体で人殺しを行った事、それも蹴りで殺してしまった事には罪悪感を強く感じているのだが。

「…今更、1人殺したくらいで…!…怖気付いてる暇なんて、ない…罪を背負ってでも、私は…!!」

罪悪感で立ち止まりそうになるも、今更止まるわけには行かないと、自分に言い聞かせアリカは青年の持っていた剣とバッグを回収する。

(…止まったら、止まってしまったら私は何のために…何のためにキミを…!!)

外見だけは自分よりよっぽど年上のカッコいいお兄さんって感じなのに、実年齢は自分よりも下で、自分の存在意義に付いてずっと悩み思い詰めてた事に気付けず、知らない間に追い込んでしまっていた少年。
そして最期は暴走した末…アリカ自身の手で殺し止める事しか出来ず、自分なんて生まれてこなければよかったとすら言い放つも、最期にはやり直せるなら友達になりたいと彼女に言い遺し散った男の子、如月優真。

(私はもうとっくに友達だと、仲間だと思ってたんだよ…いや、それ以上に……キミの事が、好きだった。気付いた時にはもう…何もかも手遅れだったけど)

「……今の私をキミが見たら、否定しに来るんだろうなぁ…」

つい内心を、まるで願望かのように口に出しながらも、アリカは先に進む事を決める。
罪を背負って突き進もうとするその先は地獄だと知りながら、それでも少女は歩みを止めない。
なまじ年相応よりも聡いが故に、一度でもそれを止めてしまえば──進めなくなって崩れ落ちて、何もかもが無意味になってしまうと、そう悟ってしまっているから。


467 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/03(月) 04:08:15 pIiJUY9Y0
【アリカ(ノーティスタイルA♀)@セブンスドラゴンⅢ code:VFD】
[身体]:菜花黄名子@イナズマイレブンGOシリーズ
[状態]:健康、焦り、罪悪感、情緒不安定気味
[装備]:ファイズエッジ@仮面ライダー555、ファイズギア@仮面ライダーディケイド、ファイズアクセル@仮面ライダー555
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、センパイの基本支給品とランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝して犠牲者を蘇らせ、身体を返した後で元の世界へ帰る
1:周辺を探しながら名簿を待つ。
2:参加者がいたら殺しに行く。立ち止まるわけには行かないから…。
3:罪は全部背負う、優勝出来たら生き返らせる。
4:月が落ちる前に決着を付けないと…。
5:…もし、みんなが巻き込まれてたら……ごめん、それでも容赦は出来ない。
6:どうやって、主催側に勝てって云うの?他に手段なんて…!
[備考]
※参戦時期はChapter6 此ノ花、咲ク刻/Time has Comeにて、シン・ドラゴンクロニクルにより宇宙と統合される寸前からです。
※ミオの遺体を目撃しています。
※職業が何なのかや、スキルをどれだけ習得しているか、また転身を行ってるかは採用された場合後続にお任せします。
※台詞や一人称などは、女性のボイスタイプGを参考にしています。
※アリカという名前は、公式サイトや動画でのノーティスタイルA♀の名前から来ています。
※肉体の参戦時期がいつなのか、またゲーム版とアニメ版どちら順序にするか等は後続にお任せします。

【ファイズギア@仮面ライダーディケイド】
仮面ライダーファイズへと変身させるアイテム一式。一個のアイテム扱い。
中身はファイズドライバーと光線銃にもなるファイズフォン、クリムゾンスマッシュを放つ際に必要になるファイズポインター、グランインパクトを放つ際に必要になるファイズショットが入っている。
原作では普通の人間には変身できず、進化した人類であるオルフェノクやその記号を埋め込まれた人間のみが変身出来たが、今ロワでは普通の人間でも変身可能。
なおこれはファイズの世界にて尾上タクミが用いていた物である。

【ファイズエッジ@仮面ライダー555】
仮面ライダーファイズが使う誘導棒に似た形の剣。ミッションメモリーバイクであるオートバジンの左ハンドル部分に普段は装着されていて、ファイズフォンにセットされているミッションメモリーを装填する事で剣として用いることが可能だが、主催の手により単体でも剣として振るう事は可能にされている。
これを持ったままエクシードチャージを行うと必殺技のスパークルカットを放つ事が出来る。

【ファイズアクセル@仮面ライダー555】
ファイズの強化アイテム。ウォッチ型をしている。
メモリースロットにあるアクセルメモリーをファイズドライバーに挿入する事でファイズをアクセルフォームへと変身させる事が可能。
スタータースイッチを押すと、10秒間のみ通常の千倍の速度で移動可能になるアクセルモードが発動する。
10秒間を超えると同時に強制解除され、通常のファイズへと戻される。
主催の手により、アクセルフォームに一度変身すると次に変身するまで時間を置く必要があるよう制限されています。どれくらい置く必要があるかは後続にお任せします。


468 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/03(月) 04:09:06 pIiJUY9Y0
投下終了です、タイトルは「立ち止まる選択肢はない」です


469 : ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:47:57 cpr.uahg0
投下します


470 : SuicidePrototype ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:49:08 cpr.uahg0
私の目の前に私がいた。

哲学的だとか抽象的な意味で言ってるのではなく。
新曲のフレーズが浮かんだとかでもなく。

言葉の通り、私が見ている先に私自身がいた。
着ている服も、耳に掛けたヘッドホンも、紅白色の髪も。
毎朝鏡で見ている顔も、何もかも全部が私。

世界の歌姫、私を応援してくれる皆が付けてくれた名前の女。

その女が私の知らない名前を名乗り、ハッキリ言ったのだ。
殺し合いをしろ、と。

最初は夢を見ているんだと思った。
初ライブの緊張と疲れが原因で眠ってしまったのではと。
おかしな話だ。
夢なんて見れる筈が無い。
眠ってしまったら計画は台無し、だから美味しくもないキノコを無心で齧り続けたというのに。

ああつまり、これは紛れも無い現実らしい。

「……」

鏡に映るのは私じゃない女の子。
羽と輪っかを付けて、同性の私から見ても可愛いと思える顔立ち。
天使みたい、大半の人はそう言うのかもしれない。


471 : SuicidePrototype ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:49:59 cpr.uahg0
「酷い顔……」

でも私にはそう見えなかった。
今この子の体に入っているのが私だから。
それが理由かもしれないけれど、でも私にはこう見えたのだ。
着たくも無い服を無理矢理着せられた、可哀想な子供。
随分失礼な意見だなと自分でも思う。

それでもこんな風に考えてしまうのは、私も本当は……。

「…っ」

浮かびそうになった言葉を打ち消す。
考えては駄目だ、今更考えたってもう遅い。
そんなのよりもっと優先して頭を働かせないといけないものがあるだろう。

逃げるようにして思い浮かべるのは、私の体を使っていたエンムとかいう奴。
それにこの不可思議過ぎる状況。
真っ先に思い付いたのは、この地はエンムが創り出した世界なのではないかということ。
即ち、ウタウタの実の能力で創ったもう一つの世界。
自分で言うのも何だけど、あの世界では基本的に何でもありだ。
だから多分、大勢の人を別人の体に入れ替える何て真似も出来ると思う。
私はやった事が無いから絶対の自信を持って言えはしないけれど。

この考えが正しいとすれば、一つ重大な問題がある。

「皆はどうなったの…?」

エンムが私の体を奪う前から、私の世界にいた人たち。
ファンの皆、悪い海賊、海軍、そして『アイツ』。
彼らはどこへ行ったのだろう。
体を奪われる前に能力を解除され、現実世界に戻った?
いやでも、現実の私が意識を失った覚えは全く無い。
そもそもネズキノコを食べていたのに、眠りに落ちるなど有り得ないだろう。


472 : SuicidePrototype ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:51:28 cpr.uahg0
現実で最後に覚えているのは…アイツらが来た。
会いたくて、でも会いたくなかった皆が来てくれて。
海賊らしく抵抗すれば良いのに、誰一人として手を上げようとはせず一方的に殴られるばかり。
その内海軍が私のファンに銃を撃って――。

「あっ…」

自分でも顔が青褪めるのが分かった。
そうだ、呑気に考え込んでいる場合じゃない。
私の体を奪われた、つまり皆を新時代に連れて行く計画は失敗だ。
今皆がどうなっているのか分からないけど、何よりも優先してやらないのは決まっている。

「取り返さないと…!」

体を取り戻す。
新時代を創るにはウタウタの実の能力が必要不可欠。
エンムの手に渡ったまま、好き勝手させる訳にはいかない。

手鏡をリュックサックに戻し、ふと指先が何かに触れた。
予感があったとかじゃない。
ただ何となく、本当に何となく気になっただけ。
指先に触れたソレを引っ張り出す。

「これ……」

見覚えのある物が出て来た。
水色のアームカバー。
手の甲の部分へ縫い付けられた、ヘタクソな絵。
瓢箪にも壺にも見えるソレが、麦わら帽子だと知っているのは私を含めてこの世で二人だけ。
…アイツが覚えてくれてるかなんて分からないけど。


473 : SuicidePrototype ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:52:12 cpr.uahg0
「ここにあったんだ…」

アームカバーをそっと撫でる。
状況は全然良くなっていないのに、今だけは安堵が私の心にあった。
エンムからしたらどうでもいい物としか思えなかったから、こうして私の元へ返したのだろうか。
理由は知らないけど、ともかくほっとしている。
あんな奴がこれを着けて無くて心底良かった。

安堵に浸るのはそこそこにしないと。
つい気が緩みかけた自分へ言い聞かせて、出発の準備をする。
誰にも私の新時代の邪魔はさせない。
海賊も海軍も、エンムだって邪魔をするなら容赦しない。
必ず体を取り戻して、今度こそ皆を新時代に――



『あんたにそんな資格があるわけないでしょ』



目の前に、私がいた。
私よりもずっと小さな背丈で、丸い瞳がこちらを射抜く。
エンムが動かす私じゃない。

『あんたなんかが新時代を創れるわけないじゃない』

ああ私ってこんな顔も出来たんだ。
こんな冷たい話し方も出来たんだ。
現実逃避気味に場違いなことを考えても、『私』は私を逃がしてくれない。
凍ったみたいに動かなくなった私へ向けて、お構いなしに言う。


474 : SuicidePrototype ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:53:05 cpr.uahg0
『何が世界の歌姫よ。ただの人殺しの癖に』

ナイフを突き立てられた気分だった。
忘れたつもりは無い。
どれだけ忘れたくても忘れられない、知ってしまった真実。
それを今一度突き付けられて、胸がじくじくと痛む。

『シャンクスを信じ切れなくて、ルフィまで殺そうとして。それでも新時代を創りたいって言うなら――』

『そのマークに誓って言ってみなさいよ。私は新時代を創ってみせますって』

「――――――」

視線を落とす。
ヘタクソな麦わら帽子。
父が被っていた帽子を、アイツが描いたもの。
私とアイツの、新時代のマーク。

このマークに誓えと、『私』はそう言った。
1年にも満たない僅かな時間、だけど私にとっては宝物のようにキラキラ輝いた日々。
フーシャ村での思い出に向けて誓ってみろと、そう言うのか。

「…分かってる、分かってるよ」

人殺し。
そんな資格はない。
今更言われなくたって……


475 : SuicidePrototype ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:54:08 cpr.uahg0
「全部分かってるよ……!!」

最初は、本当に最初はこんなんじゃ無かった。
私を応援してくれる人たちがいるのが嬉しくて。
だから皆が海賊に苦しめられてるって知った時、何とかしてあげたいと思った。
皆が私を助けてくれたから、今度は私も皆を助けたいって。
皆を傷付ける海賊は許せない、私を救世主だって認めてくれた皆の為にも頑張らなきゃって。

本当のことを知った時には、もう手遅れだった。

『ねえウタちゃん、ここから逃げたいよ』
『助けてくれウタ!俺達を助けてくれるのはウタしかいないんだ!』
『ウタちゃんの歌を聞いている時だけが幸せだよ』
『また村が海賊に襲われた…いつまでこんな生活が続くんだ…!』
『海賊が母さんを連れて行った!チクショウ!アイツら死んじまえば良いのに!』
『海軍は何もしてくれない。俺らに死ねって言いたいのかよ』
『お願いよウタちゃん。どうか私達を助けて……』
『あなたこそが救世主なんだ。だから頼む…!』

『ウタ』『ウタちゃん』『ウタ様』『ウタ』『ウタ』『ウタちゃん』『ウタ』『ウタ』
『どうかお願い』『あなたしかいない』『他に誰も助けてくれない』『ウタだけが頼りだ』『頼むよウタ』

『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』
『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて』『助けて『助けて』『助けて『助けて』

                     






                     「助けて」












ふと見た時にはもう、そこに『私』はいなかった。
勝手に出て来て言いたい放題言った挙句、また勝手に消える。
何とも腹立たしい幻覚だと、苦笑いを浮かべる余裕も無い。

父親達へずっと見当違いな恨みを向けた。
大切な友達を殺そうとした。
覚悟を決めた筈なのに今更になってあんな幻覚を見て、自分の罪に向き合わされるのは他人の体になり動揺したからだろう。
強引な言い訳を自分に言い聞かせ、振り返らずに歩き出す。


476 : SuicidePrototype ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:54:55 cpr.uahg0



救世主と崇められた少女達がいた。
現実で苦しむ人々を仮想世界に連れて行き、理想の楽園として人々を救おうとした。
しかし彼女達は、最初から救世主になりたかった訳ではない。

自分を称賛する声が、認めてくれる想いが嬉しかったから。
自分を必要としてくれる存在に救われ、気が付けば逃げ場を失った。
皮肉と言う他無いだろう。
救世主を最も苦しめるのが、救世主を必要とする民衆の声だとは。

救世主の傍に寄り添うと約束したバーチャドールはいない。
救世主を解放した麦わら帽子の大海賊はいない。

『皆』を救う為に戦う救世主こそ、誰よりも救いを求めていると知る者は、どこにもいなかった。


【ウタ@ONE PIECE FILM RED】
[身体]:リグレット@Caligula2
[状態]:精神的疲労(中)
[装備]:ウタのアームカバー@ONE PIECE FILM RED
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:エンムから体を取り戻す。
1:体を取り戻す方法を探す。その後は…
[備考]
※参戦時期はライブ会場に赤髪海賊団到着後〜トットムジカを歌う前。
※殺し合いの会場がウタウタの実の能力により創られた世界ではないかと考えています。

【ウタのアームカバー@ONE PIECE FILM RED】
ウタが左腕に付けているアームカバー。
手の甲の部分には、幼少時代のルフィが描いた麦わら帽子のイラストがプリントされている。


477 : ◆ytUSxp038U :2023/07/03(月) 12:55:35 cpr.uahg0
投下終了です


478 : ◆kLJfcedqlU :2023/07/03(月) 22:30:24 Wu93Res60
投下します


479 : 神様の不要(いらな)い月曜日 ◆kLJfcedqlU :2023/07/03(月) 22:34:58 Wu93Res60
 ―――こいつは馬鹿なんだな。

 殺し合いに巻き込まれたルインが最初に思ったことは、魘夢への怒りでもなければ巻き込まれたことによる恐怖でもない。
 自分に与えられた体…野性味溢れる長身の盗賊に対する、忌避感と嫌悪だ。

 プロフィールを見る限り、バンという名のこの男は、「生命の泉」なるものを飲んだことで、一度は不老不死の体を手に入れたらしい。
 だが、その際に死なせてしまった少女のことを思い続け。挙句の果てにその少女を生き返らせるという滑稽極まる動機でその不死性を捨てたという。

「お前。何考えてるんだ?」
 返事など無いことは分かっていながらも、そんな疑問を溢してしまう。
 酷似した能力を持ちながら、この男の人生観はルインのそれとは微塵も合わない。

 不滅(UNRUIN)
 滅びを否定する能力。ルインが持つそれはかつてのバンと同様、あらゆるダメージから完全に回復する無敵の能力。
 バンとの違いをあげるなら。その力を与えてくれた「神」に、ルインが心酔しているということだ。
 彼にとって、バンのしたことは寵愛を捨てる行いであり、理解する価値もない愚行である。
 虫唾が走る。とさえ思っている。
 心も想いも、願いも罪も、絆も愛も。ルインにとっては等しく無価値だ。
 そんなものをまざまざと見せつけられたルインは、はっきり言って不快の絶頂だった。

 ルインにとって唯一のいいニュースは、魘夢の整えた舞台が皆殺し上等のバトルロイヤルであること。
 彼は元の世界で、敵対する組織(ユニオン)を全員殺し、「神」を迎えることを目的に動いている。
 その前にこの舞台の人間を皆殺しにして脱出しよう。そう方針を固めるのに時間はかからない。

 「……見つけた」
 獲物を探すルインは一人の少女を視界に収め。駆ける。
 バンの体は本来のルインのものより、ずっと速い。
 兎を狩る狐のように、ルインは目の前のウサミミをした女に狙いを定めた。


 「…誰か来た。速い。」
 ルインの標的に選ばれたウサミミ少女。
 彼女はいち早く自分に真っ直ぐ突っ込んでくる赤いジャケットの男に気づき、支給品のチェーンソーを構える。
 迫るルインに備えることが出来たのは、身体である兎人族の少女……シア・ハウリアの持つ「未来視」の能力の賜物だ。

 「ウサちゃんありがとう……」
 消費が大きく、日に数度しか使えない能力。だが、確定した未来が見えるその力は、あると無いとでは大違い。
 チェーンソーを構えたシアの体の人物...大佛という名の殺し屋はそう思った。
 
 俊敏な動きで、迫りくる男のナイフを躱す。大佛の元居た場所には、深々とナイフが突き刺さっていた。

 「よく躱したね!」
 「見えたから…」

 ナイフを抜いたルインの攻撃を、大佛は紙一重でかわし続ける。
 バンもシアも、白兵に長けた肉体であり。
 ルインも大佛も、戦闘に手慣れた精神だ。
 だが、技術的には大佛に若干の分があり。ルインの攻撃はなかなか当たらない。

 「神の為に、君の命を捧げろよ!」
 「神様の為?」
 若干のいら立ちを込め、狂ったような笑顔で叫ぶルイン。彼の言葉に、無表情のまま大佛が返す。

「そう、ボクが元の世界に戻って。神の意志を果たすために!ここで死んで!」
「それって...何するの?」
 「ラグナロク!」

 ルインの語るラグナロク。それは文字通り神が地球に降り立つ地獄。
 その手で世界を破壊し、作り直す最大の罰(ペナルティ)。

 「それって...生きてる人たちはどうなるの?」
 「全員死ぬ。ループを超えられるボクともう一人以外はね」

 その理不尽な終わりを聞いて、大佛の目の色が。少し変わった。


480 : 神様の不要(いらな)い月曜日 ◆kLJfcedqlU :2023/07/03(月) 22:43:10 Wu93Res60
 大佛は本来、神に対して肯定的なスタンスだ。

 自分達のような人殺しを受け入れてくれる神は、きっと優しいのだと考える。
 自分が神だったら、大佛が相手する殺人者は....大佛のような人殺しは。つくらないと思うから。

 でも、ルインの神様は優しくない。
 人を殺すことを肯定し、自分の手で世界を滅ぼす神は。優しくない。

 「それ...本当に神様?」
 「は?」
 ルインの言葉を....ルインという狂信者の全てを否定する発言。
 ルインの額に青筋が浮かぶ。

 「神様が本当に優しいのなら。自分で人を殺したりなんかしない。」
 ――私たちみたいな人殺しじゃない。
 そういう意味合いを、明確に込めた否定だった。
 顔をゆがめるルインに対し、大佛は「それに...」と続ける。

 「このウサちゃんは...そういう酷い神様は嫌いだって。書いてあったから。」
 
 大佛が見たのは、自身の体、シアという兎人族の経歴。
 狙われた自身の部族を助けるために、命がけで動いた少女。
 愛する人と出会い、道を同じくする友達と出会い。旅を続ける中で、世界を弄ぶ神との戦いの最前線に立った少女。

 シアの記録の中の神と、ルインの語る神。どちらも同じような神(クソヤロー)だと。大佛は結論付ける。
 そして、ルインやその神どものような秩序を乱すクソヤローを殺すのが、大佛たちORDERの使命だ。

 「優しい子が悪い神様と戦ったんだから...、悪い私たちはもっと頑張らないと...」
 不公平(アンフェア)だ。
 その意志を込め、大佛が大きく武器を...手にしたチェーンソーを振るう。

 ブゥンと、森の中に一際大きい駆動音が響き。同時に、2人の視界が赤で溢れる。
 その赤は、ルインの右手があった場所から、吹き出していた。。

 「は?」
 ルインが驚いたことは、自身の右手が吹き飛んだこと...ではない。
 不滅のルインにとって、戦いは死に覚えが基本。全身ズタズタになるなど良くある話だ。
 だが、普段ならば数秒とかからず治るはずの右腕が、一向に戻らない。
 止血までの速度こそ通常より早いが、普段と比べれば亀の歩みだ。

 「あああああああああああああああああああ!!!!!」
 「...すごい切れ味。」

 悲痛の叫びをあげるルイン。対して、自身の振るったチェーンソーの性能に、大佛は少しだけ嬉しそうに呟く。
 そのチェンーンソーがある世界の死神が所有している「死神の鎌(デスサイズ)」であることを、彼女はまだ知らない。

 少しほほ笑んだ大佛が、右手を抑えるルインに向き直る。
「貴方みたいな危ない人は、ここで殺しておかなきゃ。」
「どういうつもりだ!殺人鬼が!」
「.....貴方や私みたいな人のせいで、普通の人が悲しんだら。ダメだから....」

 ふざけるな!といつになくルインは感情をさらけ出す。
 物理的に右腕を失ったルインは自身の治らない右腕を見て、この場での敗北を確信する。
 不滅の否定者は生まれてはじめて「死」を...「滅び」実感する。
 「クソっ!!」
 大佛から背を向け、何処へとも知れず逃げた。
 敗走。という他ない。不服な選択だった。


481 : 神様の不要(いらな)い月曜日 ◆kLJfcedqlU :2023/07/03(月) 22:48:27 Wu93Res60
 「逃げちゃった……」
 ぽつんと一人残される大佛。
 追いかけようとも考えたが、ルインの速度を考えれば追いつくのは難しい。
 未来視を使った疲労もあって、追いかけることを断念した。
 「…これ、任務じゃないからお給料でないし。」
  打算的な理由もあった。

 ガチャリとチェーンソーを背負い、どこへなく歩き出す。
 大佛は殺し屋だ。人を殺すことには抵抗はない。
 だが、殺し合いとは無縁な人は平和で幸せに生きるべきだと考えている。
 対して、平気で人を殺す人は殺さなきゃいけないとも考える。
 シアの世界の神や、ルインの妄信する神のように。悪い神様なら、殺さなきゃと。ぼんやりながら考える。
 あの魘夢というのも、同じような人だったら。殺さなきゃなと考える。

 いつも通りに穏やかな、しかし鋭い殺意を胸に、殺し屋は歩く。
 
【大佛@SAKAMOTO DAYS】
[身体]:シア・ハウリア@ありふれた職業で世界最強
[状態]:疲労(小)
[装備]:チェーンソー型の死神の鎌(デスサイズ)@黒執事
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:放浪しながら悪い人は殺したり。
 1:ウサちゃんありがとう。「未来視」便利....
 2:あの魘夢っていうのが悪い神様なら、殺したほうがいいよね
 3:ルインを危険人物だと判断
[備考]
 ※参戦時期はダンプ戦以降
 ※シアの能力がどの程度使えるかは、後続の書き手様にお任せします



 「あの女ァ!!」

 大佛から離れた場所で、ルインは吠える。
 止血こそされたが、右手はもう戻らないだろう。思えば、殺し合いのゲームで不滅の能力にデメリットも無いことの方が不自然だ。そこはいい。
 憎悪の対象はチェーンソーを振るったウサギ女...大佛。
 恨みを....憎悪を個人に向けるのは、まだ不公平の否定者と相対していないルインにとって、初めての経験だった。

「あのウサギ女は、ボクが殺す!」

 太陽(かみ)のいない世界に、狂信者の叫びが響いた。

【ルイン@アンデッドアンラック】
[身体]:バン@七つの大罪
[状態]:右手欠損 疲労(大)
[装備]:ナイフ@出典不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:元の世界に帰る。邪魔する奴は全員殺す
1:大佛は絶対に殺す
[備考]「不滅(UNRUIN)」の能力は大きく弱体化。傷の治りが早くなる程度。
※参戦時期はシールとの合流〜組織(ユニオン)襲撃の間
※使用しているナイフの正体・出典は、後続の書き手様にお任せします


482 : ◆kLJfcedqlU :2023/07/03(月) 22:49:04 Wu93Res60
投下終了です


483 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/03(月) 23:52:06 aLxo3bwA0
投下します


484 : 神父と信徒 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/03(月) 23:53:37 aLxo3bwA0
「許さん……。許さんぞ、エンムとやら!
 よりによってこの私の精神を、邪神なんぞをあがめる化物に宿らせるとはぁぁぁぁぁ!」


◆ ◆ ◆


「なるほど……。それで神父様は、先ほどまで我を忘れていたのですね」
「いや、お恥ずかしい。私もまだまだ未熟なようです」

雪原で、二人の男が言葉を交わしている。
一人は筋骨隆々の男に宿った格闘家、戌井番神。
もう一人は人のようでいて人でない異形に宿った神父、アレクサンド・アンデルセンである。

「しかし、イヌイさんの話も興味深い。
 たしか明治というのはジャパンの暦で……。
 私の時代から見れば、100年ほど前のはずです」
「なんと!」

アンデルセンの発言に、番神は目を見開いて驚愕する。

「では、この殺し合いを開いた連中は、時を越えられるというのですか!?」
「私もにわかには信じられませんが……。
 私たち二人の記憶が間違っていないのなら、そういうことになってしまいますね」
「とうてい現実とは思えませんが……。
 すでに精神を他人の肉体に移し替えるという、信じられない現象が起こっているのは事実。
 それができる存在なら、時間の流れに逆らえてもおかしくないということでしょうか」
「そう考えるしかありませんね。
 ひょっとすると主催者達は、私よりさらに未来から来たのかもしれません」

そう口にするアンデルセン自身も、半信半疑であった。
だが精神の入れ替えならまだしも、時間移動など彼の知るどんな組織、どんな化物にも不可能だ。
この殺し合いを開いた者は自分の想像を超越した存在であると、認めざるを得ない。

「では俺に与えられたこの体も……。
 未来の技術の産物なのでしょうか」

神妙な表情で、番神は己の手を見つめる。

「死体を蘇生した兵士、ですか。
 まるで吸血鬼かグールですが……。
 プロフィールを読ませていただいた限り、どうやらそれらとは違う方法のようですね。
 たしかに、未来の技術かもしれません。
 何にせよ、化物を想起させる存在であることには違いありませんね。
 あなたの本来の体を取り戻せた時には、この体はしっかりと葬りましょう」
「俺も、その考えには賛成です」
「ならば参りましょう、イヌイさん。
 このような残虐な催しを開いた許されざる者たち、神への反逆者達を一人残らず打ち倒し……。
 我々の肉体を取り戻すのです」

アンデルセンの瞳が、獰猛な光を宿す。
番神は、それに怖じ気づくことはない。
むしろ、引き込まれるような態度を見せる。


485 : 神父と信徒 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/03(月) 23:54:57 aLxo3bwA0

「ええ、神父様。
 俺も全力で、あなたと共に戦います。
 必要とあらば、この魔性の力も使いましょう」

そう口にする番神の右手には、いつの間にかスティック状の物体が握られてる。
ガイアメモリ……収められた地球の記憶により、人に超常の力を与えるアイテムだ。

「頼りにしていますよ。
 現状ではあなたと私、二人だけのイスカリオテ機関です……。
 ですが、戦わねば。
 塵は塵に……!」

たしかな戦意と殺意を胸に、アンデルセンは笑った。


【アレクサンド・アンデルセン@HELLSING】
[身体]:ハーゴン@ドラゴンクエストII
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者を討つ
1:異教徒には容赦しない


【戌井番神@るろうに剣心(実写映画版)】
[身体]:泉京水@仮面ライダーW
[状態]:健康
[装備]:T2ルナメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:アンデルセン神父に従う


【T2ルナメモリ@仮面ライダーW】
財団Xが開発した新型ガイアメモリの一つ。
従来品と異なり、コネクタを刻印しなくても適合者の体内に入り込み変身させる。
これによって変身できるルナ・ドーパントは、伸縮自在の腕とマスカレイド・ドーパントの姿を摸した分身の生成が主な能力。
制限により分身の生成は、同時に2体まで。
生み出すごとに体力を消耗する。


486 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/03(月) 23:55:46 aLxo3bwA0
投下終了です


487 : ◆4u4la75aI. :2023/07/04(火) 08:41:42 5KKcswzs0
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488 : 後の後のブレイクタイム ◆4u4la75aI. :2023/07/04(火) 08:42:45 5KKcswzs0
 現状について何の理解も得れていない。いきなり知らない場所に連れてこられて殺し合えって言われてもワケわかんないよね、多分私じゃなくても無理になる。

 気付いたら野外に放り込まれてた。知らない土地だとかそういうのはどうでもいい、いきなり夜風に吹かれたことが怖くなって、泣きたくなって。外とかいつぶりだろ、最後にお酒をコンビニに買いに行ったのは……ああやだ、思い出したくない。ここでまだ幸いだったのはまずまだ太陽が出てなかったこと、外にすら出れないのに日光に照らされでもしたら私の全部が燃えてなくなってしまいそうで。あとはすぐそばに建物があったこと。埃が被ってる何年も使われてなさそうな場所だったけど私の部屋と同じような雰囲気で、安心と苦味の同時接種。

 ほんのちょっと落ち着けたところでやっと自分の身体の異変に気づく。断片的に覚えていた女の人の話から他人と身体が入れ替えられてるってことを思い出した。視界には見られない黒髪、身体も普段より数倍健康のはず。ゲームや漫画じゃあるまいし、なんて思っても事実は事実。なんとか持ち運べていたカバンの中からタブレットを取りだし、唯一ずっと浴びていたブルーライトの光を浴びる。この身体について知っておくべき、そんな考えでタブレットを操作していく。

「秋山……さん、高校3年生…………」

 簡素に書かれている私の身体、秋山澪さんのプロフィールを読み進める。でも『ベースを担当』、なんて文字が出てきたところでタブレットを落としてしまった。

 一緒じゃん、あの時の私と。

 軽音部、放課後ティータイム、ベース担当。ここまで書かれては嫌でもバンドを組んでいた人だとわかる、だけどその『バンド』という単語が私の中で何回も巡って。

『結束バンド』

「ああ、あの頃の私、輝いてたんだなあ」

 いつか、ちょっと、ずっと前、私の居場所だったバンド。もう今はない、私の居場所だったバンド。虹夏ちゃん達何してるんだろなあ、きっと、うまくいってるんだろなあ。でももう私頑張れないよ。


489 : 後の後のブレイクタイム ◆4u4la75aI. :2023/07/04(火) 08:43:22 5KKcswzs0
たった数行の、一人のベーシストの女の子について知っただけで、勝手に自分と比べて、勝手に落ち込んで。
 ああ、忘れたい。でも手元を動かしてもそこにお酒はない。ここは外だった、殺し合いの場所だった。

「あ、うぁ…………」

 身体が震える。今すぐにでも消えたい。惨めさだけが積もって積もって。涙まで流れてきて。
 ばたん、とその場で寝転がる。このまま意識を失って、通りかかった誰かに殺してほしい。でもそうなったら、秋山さんまで巻き込んでしまうわけで。そんなことはしたくないからこの生き地獄の中ただ涙を流す。

それで、そんなゴミの気配でも感じたのかな。私の目の前が急に光に照らされて。

「ひぃいあっ」
「あっやっぱり誰か居…………澪?」

 懐中電灯を私に照らした主は不思議そうな顔をして固まる。いや、別にそんなことはどうでもいい。今、ダメなのは、その目の前に居る人が、

「てんちょ……さ、ん?」

 店長さん。STARRYの、あの頃の思い出の中そのままの、店長さん。
 忘れたかった、忘れられなかった、そんな過去の光に今、思いきり照らされて。

「う、あ、あ、あああぁぁぁぁぁぁっっ……ーー」

 私の心は限界を迎えた。

◇◇◇◇

 いきなり殺し合えなんて言われても断固反対。人間として当然だし、強制されても無理。そんな中でも自分の身体が入れ替わるというのは不謹慎ながら若干楽しくもあって、星歌という名のライブハウスの店長を勤める女性に変わった今をちょっとだけエンジョイしていた。単に身長のお陰で今まで見れない景色が見れるようになったってのが一番面白い。

 ここまではよかった。でも、物音がしたからおそるおそるそこに向かえば……親友の姿をした人が居たのだ。それでその人は私が話しかけるや否や泣き出してしまった。

「(ちっちゃい子なのかなー、そうだとしたら多分聡よりも幼いし……)」

 あまり見覚えのない顔で泣き出す親友――澪が若干面白いなんて思っても、目の前にいる人はおそらく他人。下手に傷付けるなんてことはしただめだし澪の身体になってる以上仲良くしたい。ちっちゃい子なら尚更怖がらせちゃダメだし、優しく触れる様に会話を試みる。

「あー、えっとさ。大丈夫大丈夫、私は田井中律。普通の高校生だしこんな殺し合いとかもしない、できれば名前を教えてくれないかな?」

 その言葉を聞いて澪の身体の人はチラリとコチラを見る。

「あ、っえっ、ぁ……そ、だ。てんちょさんじゃ、ない」

 壊れたラジオみたく、途切れ途切れの声。多分店長、なんて事を言ってる所からしてもしかしてこの身体の人の知り合いだったのだろうか。それでこれだけ私に怯えてたのは……この身体、星歌さんに怯えてたってこと?


490 : 後の後のブレイクタイム ◆4u4la75aI. :2023/07/04(火) 08:43:54 5KKcswzs0

「あー、うん。知り合いだったらごめん、勝手に身体取っちゃったー!まあ取らされちゃった、だけどさ!」
「ぁ、ひ」

 いつも通り能天気な態度で接してみる。ちょっとでもこの子に安心しててもらいたい……ああでも名前だけは聞いとかなくちゃ。

「……あ、何回もごめん。名前だけ教えてくれない?なんて呼べば良いかわかんないから……」

 そう言った後、澪の人は息を何回か吸って――

「ごっ……後藤……ひとり、です」

 死にそうな顔で、名乗ってくれた。


◇◇◇◇

 田井中律、そして後藤ひとり。二人は同じ音楽の道を志す者。本来の世界線なら、互いに切磋琢磨し合う良き関係を築く事が出来たかもしれない。ただ、この場に居る後藤ひとりは、ある『可能性』の世界から連れてこられてしまった者。

 全部燃え尽きて、全部無くなった、XX年後の後藤ひとり、それが今ここにいる彼女。妄想の中の存在であった彼女だが、ここは何もかもが無法な殺し合い。

 終わった彼女と出会ってしまったのは、未だ輝き続ける田井中律。その輝きは終わった後藤ひとりを再び照らすことが出来るのか、それとも燃やし尽くしてしまうのか。あるいは、共々消えてしまうのか。

 あらゆる可能性が点在する殺し合い。二人の行方は如何に。


【XX年後の後藤ひとり@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:秋山澪@けいおん!
[状態]:精神的疲労(大)、外への恐怖
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:怖い、何もわからない、消えたい。
1:田井中さん……店長さんじゃ、ない
2:外が怖い。ここから出たくない。
3:何も思い出したくない。何も考えたくない。お酒で全部消したい……秋山さんの身体だし飲めないんじゃ……。
[備考]
※アニメ第6話にて後藤ひとりの妄想の中に登場した、『XX年後』の姿です。
※ぼっち・ざ・ろっく!本編の出来事をどこまで経験しているかは後続の書き手様にお任せします。
※名簿には『後藤ひとり』とのみ記載されます。

【田井中律@けいおん!】
[身体]:伊地知星歌@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:無事に帰る。殺し合いなんてしない。
1:後藤さん……ちゃん?と話す。
2:澪がここまでやばい顔してるの新鮮だけど心配。
[備考]
※参戦時期は中野梓加入後のどこかです。


491 : ◆4u4la75aI. :2023/07/04(火) 08:44:10 5KKcswzs0
投下終了です。


492 : 再起■能 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/04(火) 22:00:10 RIO7/OnE0
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493 : 再起■能 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/04(火) 22:01:51 RIO7/OnE0
 月が文字通り見下ろしている殺し合いの舞台。
 整然とされた人が住みやすいであろうビル街。
 人がろくにいないのは不気味とも言える場所にて、一人の参加者がいた。
 いや、それを一人とカウントするべきなのか少々悩ましくなってしまう。
 それは小柄を通り越して、およそ人とは呼べない何かとでもいうべきだろうか。
 一般の学生の膝丈にも劣るかもしれない程に小柄で、下手をすれば見落としかねない。
 小動物か何か、かと言われると果たしてどの生物のカテゴリ入れるべきかも悩むだろう。
 あえてその者を喩えるのであれば、大道芸人やピエロと呼ぶのが相応しいだろうか。
 赤と青の二股の帽子が、そう印象付ける役割を果たしている。

「新天地、トンでもないことになっちゃったネェ。」

 謎の生物は溜め息交じりに少しばかり項垂れる。
 死ぬ思いで生き延びて、自分の不始末にも決着を付けた。
 だと言うのに、まだその贖罪は終わりそうにないような展開だ。

「コレもマスタークラウンに手を出した罰、だったり?」

 悲惨な記憶を思い返しながら彼、マホロアはそう呟く。
 彼は世界一のテーマパークを望んだ。その為にハルカンドラの遺産を求めた。
 だがハルカンドラの遺産など扱えるものではないのだと身をもって知ることになる。
 当然の話だ。機械仕掛けの星に願いを叶えようとした者はろくな末路を辿らなかったし、
 そも、マスタークラウンを持っていたランディアでさえ本来制御しきれなかったものだ。
 洗脳されるわ、ボコボコにされるわ、アナザーディメンションで必死に生き延びて、
 それでも暴走する遺産を破壊して脱出して新天地へ向かってみたらこの有様だ。
 ろくに能力も使えなくて悲鳴を上げてなんとか倒したあの身体は何処かへと行き、
 今はどこか見覚えのある身体になっている。

「性格、バレちゃってル?」

 この身体はよく知った存在だ。
 自分と同じようにカービィを利用し、
 最終的にはカービィに倒された者同士。
 明らかに意図的なものであることは拭えない。

「とは言え、願いはチョーット懲りてるんだよネェ。」

 ハルカンドラの遺産に手を出そうとして、
 死にそうになった現状、流石に願望の成就に胡散臭さしか感じない。
 と言うか願いを叶える手段がこの身体が狙った『アレ』だと更にアウトだ。
 もしここに『友達』がいるのであれば、きっとここでも反抗してるのだろう。
 苦難を乗り越えて来た彼等がいたならば、肉体は変わろうと志は変わらない。
 なら、自分は別にそこまで動かなかったとしても問題はないと───

「お客サンとなるかもしれない相手を死なせるのは、支配人として失格だネェ。」

 思うことはなく。
 両手をあげ(る手が今は出してないのでできなかったが)やれやれと首を振る。
 今度こそ当初の目的でもある、楽しいテーマパークを目指したいわけだ。
 テーマパークを作るのなら、自分の手で何とかしていこう。
 なんてことを考えてる以上、足を止めるわけにはいくまい。
 肉体が変わってるなら、最悪友達の身体が危険人物に渡った可能性もある。
 数々の困難を前にしても成し遂げる万夫不当の星のカービィだ。
 扱える人物はそう多くないにせよ、危険であることには変わらないだろう。
 メタナイトを筆頭とした仲間も同様だ。いた場合非常に厄介極まりない。

「にしても、随分と広いナァ。」

 ポップスターの住人は基本的に体躯が小さい。
 何倍もの体躯を持つ人を想定して作られた町並みはかなりの広さを持つ。
 一歩一歩の移動が別の身体ともあって不便に感じているので、
 仕方なく両手、と言うよりは煌びやかな翼を広げて空を飛んで移動を始めた。
 普段は浮いていたので翼と言うものには全く慣れておらず、
 飛ぶと言うよりは大きくジャンプしてからの滑空する形に近い。

「んー、浮く方が性に合ってるナァ。」

 滑空していてもどこかふらついている。
 とは言え今後も戦いがあることになれば、
 頼れるのは主にこの身体となれば慣れる必要がある。
 早い所身体慣らそうと空を舞いながら街を眺めていた。
 ポップスターでは珍しいタイプの建築技術であり、
 テーマパークを作る際の参考にしたくもある。

(ちょっと整然されすぎてるけども。)

 例えるならば礼装や正装と言うべきか。
 どうも身綺麗で整備された街並みは窮屈にも思える。
 好きな場所へ遊びに行く。テーマパークはそういうものであり、
 流石にこの街中だと道が決まっているかのようでよろしくない。
 緩やかなカーブのような道を用意したほうがいいなと軽くうなずく。


494 : 再起■能 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/04(火) 22:03:00 RIO7/OnE0
(お、あのお店のデザインいいネェ。ポップな感じがすると客受けも───)



「チェリー、ハイドロポンプ。」

「!?」

 冷徹な声と共に轟音。
 地上を見やれば大量の水が弾丸、と言うより砲撃のように迫る。
 ぐるりと旋回しながら回避することでダメージは回避するも、
 急にバランスを崩した結果きりもみ回転しながら地面に墜落する。
 と言っても体躯が小さいからか、ポテッと可愛らしい音で済むのだが。

「アイタ、っておっとっと!」

 続けざまに地を這うように迫ってくる冷気。
 地面が即座に凍結するそれを見れば、
 触れるわけにはいかずジャンプして旋回し、
 牽制の為カッターを放ちながら距離を取る。

 相対するのは、それは雪男と言うべきだろうか。
 カービィが戦ったとされる雪男もいたそうではあるので、
 なんとなくマホロアは又聞きのそれを連想してしまう。

「随分過激だネェ。まだ戦いは始まったばかりだヨ?
 身体の試運転の時間、みたいなこと言ってたじゃないか。」

「だからこそだ。眉唾物であるとしても、
 元より命を落とした私にできることは、
 その万能の力をあの方に捧げるだけだ。」

 随分と忠義があるご様子で。
 などと脳内で軽くごちりながら相手の様子を伺う。
 声では性別が判断できない相手の背後にはタツノオトシゴのような、
 ほぼ相手の身の丈と同じぐらいの生物が宙を浮いてマホロアを見ていた。
 赤い眼差しは元なのか精神が理由かは定かではないが、鋭い目つきだ。
 恐らく、先程の水はあれが放ったものなのだろう。

「なるほど、身体が慣れてない今こそ好機と。
 ずいぶん強気だけど、支給品も人格変わっててよく動けるね。」

「彼……かどうかは定かではないが、
 彼なりの信念があるのだよ。私のように。」

 純粋に二対一。
 しかも先の水は別の身体で威力が落ちてると言っても、
 直撃すれば大ダメージは免れなかったような一撃を使っていた。
 生前から似たような身体か、得意分野だったのかと考えるが、
 余りそう言うのを考える時間は残されていなかった。

「さて、問答はこれ以上不要だろう。
 私はあのお方のようなサディスティックではない。
 潔く散るのであれば、苦しませるような真似はしないとも。」

「それはそれは。じゃあ───」










「飲み込んで差し上げよう。」

 ニタりと笑みを浮かべると、突如マホロアの身体が縦に分断された。
 原理も一切何もかも不明だが、マルクの身体を縦に両断すると、
 周囲のものを吸い込むブラックホールが発生する。

「な、これは……!!」

 規模はマルクが使う物よりも小さいが、
 初見でそれを見て逃げに徹しない人物はまずいない。
 雪男とタツノオトシゴは即座にその場から離れるように逃げ出す。
 街路樹や近くの看板などを飲み込んでいき、やがてマホロアの身体も消える。
 その場に残ったものは、吸い込んだものが残骸として空から降るだけだった。










「よし、逃げよッカ。」

 それを近くのビルの屋上から見届けた後、
 即座にジャンプした後、滑空して街から逃げていく。 
 別に殺し合いに乗る気は今のところないので、少しの間は適当に過ごす。
 あの雪男には、もう少し戦えるようになってからが得策だなと後回しとする。
 力に一度溺れ、敗北を知った虚言の魔術師は気ままに空を舞う。
 一度夢見たテーマパークに、参加者を招待する為。


495 : 再起■能 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/04(火) 22:04:45 RIO7/OnE0
【マホロア@星のカービィWiiDX】
[身体]:マルク@星のカービィスーパーデラックス
[状態]:滑空中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:お客さんはなるべく多いに越したことはないよネェ。
1:あの怪人(アイスエイジ)は一旦放置。
2:カービィ達がいたらどうする? 協力する? 素直に? うーん。なんか違うような。
[備考]
※参戦時期はマホロアエピローグでラスボス撃破し、カービィハンターズ世界へ行く前。
※肉体の参戦時期は不明。
 USDX、スターアライズ、スマブラSPで登場した技も使用可能かは後続にお任せします。
※マホロアエピローグの内容を『贖罪』として、またマルクを知り合いと解釈してます。
 (いずれも原作で明言されたわけではなく示唆と言う形なので、一応表記)
※ブラックホールは二時間に一回使用可能。
※現在上手く飛べません。滑空ならできる程度です。










「不慣れと言えど、侮ってはならんと言うわけだな。」

 マホロアがブラックホールを発生させた場所から離れた場所で、
 雪男だったその男は本来の姿を見せる。
 胸元の露出が目立つ、何処か和服のような衣装。
 中性的な顔つきもあり、何処か色気を感じる男性だ。

「いくらあのお方と同じ氷を得ようとも、やはり同格とは言えぬな。」

 手にしたUSBメモリ、ガイアメモリを目にしながら彼、リヴァは思う。
 氷河期の記憶を内包する力を使えば、主君となるエスデスの力と同じ氷が使役できる。
 しかし使い始めたばかりの能力を差し引いても、やはりあのお方には届くことはない。
 帝都最強の存在だからこそ、彼女に心酔したとも言うべきなのだが。

「身体、支給品……いずれも高水準ではあるが、
 最高ではないことは分かった。今後は油断しないでおこう。」

 先の戦いは慣れる前に敵を仕留めるは本音でもあるが、
 同時に自分の力が現状どの程度のものかを試す意味合いもあった。
 油断も驕りもない。元々は帝都で優秀な将軍だった存在だから当然ではある。

「さて、次の相手を探すとしよう……チェリーよ。戻るか?」

 次出会った時あの技には警戒しておこうと理解し、
 背後に立つタツノオトシゴこと、チェリーに紅白のボールを見せる。
 モンスターボール。元々チェリーは彼の支給品としてこの舞台へ招かれた。
 今はキングドラと言うポケモンの身体であり、ボールに入ってた理由もそれだ。

『……』

 一度睨むようにリヴァを見た後、そっぽを向く。
 チェリーにとっての主人は決まっている。
 掃き溜めの中必死に共に生きた主だけだ。
 本来ならば毒をぶっかけたり噛みついていたところだが、
 今の状況が分からないわけではない。今の所リヴァがいれば主人の下へ戻れる手段だ。
 それまで付き合うだけの間柄で、当然慣れ合うつもりもないし、
 意志表明をしたところで何かが変わるわけでもなかった。



 力に一度溺れ、志を変えることはなかった三獣士の一人は進む。
 同じように腐敗した国を見限りながらも、自分の正義を貫こうとした男の身体を使って。



【リヴァ@アカメが斬る!】
[身体]:ユーリ・ローウェル@テイルズオブヴェスペリア
[状態]:健康
[装備]:TSアイスエイジメモリ@仮面ライダーW、キングドラ+モンスターボール@ポケットモンスターHGSS
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]基本方針:あの方に願いを捧げたいが、眉唾物とも考えている
1:チェリーを飼い主に返すぐらいは考えておきたい。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※肉体の参戦時期は不明。

[意思持ち支給品状態表]
【チェリー@コロッケ!】
[身体]:キングドラ@ポケットモンスター
[状態]:正常
[思考・状況]基本方針:ピューイ(レモネードのところに戻る。)
1:リヴァと行動する。
2:レモネードがいるならレモネードを優先。
[備考]
※参戦時期は採用された場合後続にお任せします。
※キングドラの個体はイブキのキングドラで技構成などは以下の通り
 とくせい:スナイパー 性別:♀ 技:あくび ハイドロポンプ りゅうのいぶき れいとうビーム
※地上でも浮いてます。まあドラゴンだし浮くこともあるでしょう。


496 : 再起■能 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/04(火) 22:05:09 RIO7/OnE0
【T2アイスエイジメモリ@仮面ライダーW】
リヴァに支給。氷河期の記憶を内包したガイアメモリの一つ。
アイスエイジ・ドーパントへと変身可能で、氷河期の通り氷が使える。
氷像を身代わりにしたり、地面を凍らせて滑ると言った芸当も可能。
T2ガイアメモリは通常のガイアメモリと違いスロット処置をせずとも変身できる。
ドーパントへ変身するとメモリの毒素により精神や身体が影響を受けることになる。
またメモリは相性のいい人間に惹かれる場合、勝手に其方へと飛んで行って侵入して強引に変身する。
場合によっては暴走して無差別攻撃をする可能性もある。

【モンスターボール+キングドラ@ポケットモンスター ハートゴールド/ソウルシルバー】
リヴァに支給。ポケモンを収納できるモンスターボールとで一つの支給品。
キングドラの個体はHGSSにおけるジムリーダーのイブキで、強化後の技構成。
他の生物や死体をボールに収納できるかは現時点では不明。また、参加者は収納は不可能。
持ち主が譲渡されない限りは使用者の命令に従うようにされている。


497 : 再起■能 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/04(火) 22:10:44 RIO7/OnE0
投下終了です


498 : ◆ytUSxp038U :2023/07/05(水) 01:56:29 UiqiGbGc0
投下します


499 : 誓ってヤクザじゃありません! ◆ytUSxp038U :2023/07/05(水) 01:57:52 UiqiGbGc0
「ゆ、夢でも見ているんでしょうか…?」

などと呟き目を擦っても、目に映る景色は同じ。
見知らぬ土地、遥か頭上を見上げれば恐ろしい形相の月。
仕事の疲れで荒唐無稽な夢の世界に迷い込んだ、残念ながらそういう展開ではないらしい。

それならドッキリ企画か何かと考えるも、これもまた直ぐに否定せざるを得ない。
自分の体がまるっきり別人と化している。
こうまで現実を突き付けられては、流石にこれが正真正銘の殺し合いだと認めるしかなかった。

「そんな……」

何故自分がこんな物騒な事件に巻き込まれるのだろうか。
当たり前だが誰かを殺すなんて真っ平だし、殺されるのだって御免だ。
災難という言葉では到底片付けられない事態に頭を抱える。

不意に一つ疑問が浮かんだ。
果たして殺し合いに巻き込まれたのは自分一人だけなのかと。
もしかしたら知り合いが参加させられているかもしれない。
思い浮かべたのは個性的な子供達の顔。
特にジャガイモ頭と太眉が特徴の少年は、何かと騒動に巻き込まれる事が多い。
色々と手を焼かせられるが、それでも大切な子達だ。

「…!こうしてはいられません!」

恐怖はある、不安も大きい。
しかし子供達まで巻き込まれているならば、彼らは今もどこかで震えている筈。
大人として、何より一教育者として子供達を守らなければ。

竦みそうになる足を使命感で動かし、男は動き出す。
叶うならば、殺し合いに参加しているのは自分だけであってくれと願いながら。

という教育者の鑑とでも言うべき男だが、焦りからか彼は一つ失念している事があった。
今の自身の肉体、それがどんな外見なのかを。

オールバックに浅黒い肌、サングラスで隠した瞳はナイフの如き鋭さ。
それなりに年を食っているにも関わらず、スーツ越しでも分かる程に屈強な肉体。
酒焼けした声で声を掛けられようものなら、震え上がること間違いなし。
何より開けたスーツの下から覗く刺青。

偶然にも元の肉体に負けず劣らずの迫力は、十人中十人が声を揃えて言うだろう。

組長、と。


【高倉文太@クレヨンしんちゃん】
[身体]:久瀬大作@龍が如く0 誓いの場所
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:園児達が巻き込まれていないか心配。もしいるなら守らなければ…。
[備考]


500 : ◆ytUSxp038U :2023/07/05(水) 01:58:40 UiqiGbGc0
投下終了です


501 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/05(水) 14:53:44 r3k69yTY0
投下します


502 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/05(水) 14:54:24 r3k69yTY0
(これまでのあらすじ:突如始まった殺し合い。
 その参加者の中にはニンジャスレイヤーこと、フジキド・ケンジの姿もあった。
 しかしこの殺し合いはただの殺し合いに非ず。なんと体を入れ替えての殺し合いなのだ。
 なんたる奇妙な殺し合いか! すなわちここにいるニンジャスレイヤーはフジキド・ケンジではない。
 それどこか、ニンジャの力を手に入れただけの、モータルであった)


――


「どういうことだ……」

 赤黒の衣装を身に纏った殺戮者、ニンジャスレイヤーが殺し合いの会場にあるビルの屋上に一人、タブレットを持ち佇む。
 しかし彼が醸し出すアトモスフィアは殺戮者らしくもない戸惑い。
 常の彼ならばこの状況を敵ニンジャのジツと考え、警戒を露わにするだろう。
 しかしそれも仕方ない。なぜなら彼はモータル。それどころか異世界の人間なのだ。
 彼の世界においてニンジャは我々から見れば信じられないがカラテとジツを使い、驚異的な戦闘力を持つ半神的存在ではない。
 故にニンジャの存在を知ってもニンジャリアリティショックなど起こらない。
 ただ、己の知る忍者との違いに戸惑うばかりだ。

「何だよ、ニンジャソウルとかネオサイタマとか……訳分かんねえよ」

 まるで昔の外国人が勘違いして作った日本のような世界観の中で繰り広げられる、訳の分からない話にしか思えない。
 だがニンジャスレイヤーの物語は決して面白おかしいものではない。
 むしろ凄惨で重苦しい、亡き妻と息子の仇を討つために自身と同じニンジャに挑む復讐譚だ。
 そしてニンジャスレイヤーに精神を宿した者は、この復讐譚にどこか共感していた。
 なぜなら、彼もまた復讐を志す者だからだ。

 フジキドが妻と息子の仇を討つ者なら、彼は母の仇を討とうとする者。
 彼の名前は星野愛久愛海(アクアマリン)、通称アクア。母の仇を追い求める男である。
 しかし今の彼は復讐どころではなかった。

「こんな殺し合いなんてやってる場合じゃないんだぞ……」

 なぜなら、まずは殺し合いを生き残らねば復讐どころではないからだ。
 ちなみに、この殺し合いに復讐相手が関わっているとは考えていなかった。
 相手が何者かしらないが、こんな物理法則を超越した振る舞いができるのなら、自身の行動理由などとっくに伝わっているだろう。
 にも拘わらず現在生きているのだから、関係ないだろう、とアクアは推測した。

 そして、アクアは復讐する相手がこの殺し合いに参加者として存在する可能性は考えなかった。
 そもそも彼は復讐相手がどこの誰かも知らない。だからいたとしても分からない。
 ならば考えても仕方ない。いないことを、いたとしても自身に殺される前に死なないことを祈るばかりだ。

 そして、この場にいて殺し合いに否定的なのは何もアクアだけではない。

(((同感ですね)))
「だ、誰だ!?」

 突如聞こえた声に思わず辺りを見回すアクア。だがいくら探しても誰もいない。
 しかし彼はすぐ思い至る可能性があった。

「あんたがナラク・ニンジャか……?」

 ナラク・ニンジャ。
 それはニンジャスレイヤーに宿るニンジャソウル。
 彼がフジキドに宿ったからこそ、ニンジャスレイヤーはニンジャスレイヤーたりえるのだ。
 だが今は違う。

(((正しくはそのナラクに精神を宿した者ですね。
 私は、高遠遙一と申します。あなたは?)))
「俺は、星野愛久愛海です。
 それでいきなりですが、あなたはこの殺し合いをどうする気ですか?」
(((どうする気と言われましても……星野君と同じ体に宿っているうえ、主導権は現状あなたにある。
  この状況ではどうしようもありませんが、それでも言うのなら――)))

 ここで高遠は一度言葉を止める。
 そして声こそ荒げないものの、彼は強い意志を籠めてこう言い切った。

(((乗る気はありません。
  こんな美しさの欠片もなく、芸術犯罪を行う余地もない場で私が好き好んで何かすると思っているのなら、主催者は底が浅い)))
「芸術……犯罪……?」
(((ええ、だってつまらないでしょう。ただ人を殺すだけなんて。
  ですので私はあなたの様に誰かを殺したがっている人に犯罪計画を授け、導き、時に手助けしているのですよ)))


503 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/05(水) 14:54:58 r3k69yTY0

 なんてことないように語られる高遠の言葉に、思わず気が遠くなりそうになるアクア。
 だってそうだろう。自分の体に宿るもう一つの精神が犯罪者だと知って、まともでいられるだろうか。

「あんた、ダークヒーローでも気取ってるのかよ……!?」 

 少なくともアクアはいられなかった。
 特に、高遠の殺人教唆をしているという宣言は、アクアにとって決して許せない。
 なぜなら、彼が追い求める仇もまた殺人教唆したものだからだ。
 それに加え、彼には前世の記憶がある。そして前世では、彼は医者だった。
 誰かを救いたいと願う、心優しき医者だった。
 その優しさは復讐者となった今でも陰ることはない。
 だからこそ、彼は高遠に思わず怒りを向けていた。

 一方、アクアに怒りを向けられている高遠は平然としていた。
 この程度の怒りなど、彼からすれば慣れたものだ。

(((まさか。私はただのマジシャンですよ。
  ですが意外でした)))
「何がだ」
(((あなたが私に怒りを向けていることがですよ。だってそうでしょう?)))
「……?」
(((警察や探偵が言うならまだしも、あなただって人を殺そうとしているのに、それを棚上げして私に怒る権利があるのですか?)))
「――っ! それは……」

 高遠の言葉に何も言えなくなるアクア。
 確かにその通り。どう言いつくろったところで、彼がやろうとしていることは人殺し。
 俺とお前は違うと、アクアがそれを言うことはできない。
 できる位人道が欠けていれば、最初から復讐など志さない。

(((まあ、その話は今はやめておきましょう。
  実の所、私もかつて母の仇を討ったことがあったので勝手にシンパシーを感じて喋りすぎました。
  ここからは生き残るための質問を一つします。よろしいですね?)))
「……分かった。答えられることなら答える。」
(((星野君。あなた、人を殺せますか?)))

 高遠の言葉の意味が分からないアクア。
 さっきまでさんざん復讐の話をしていたのに、なぜ今になって人を殺せるか問う高遠の意図が。

(((別に仇といざ遭遇して殺せるか、という話ではありませんよ。
  ただ、私はこの殺し合いに乗っている者が襲い掛かって来たとして、あなたにそれを返り討ちにできるかと聞いているのです)))
「それは……」
(((断っておきますが、こんな殺し合いに乗るような者がいるとは思えない、とは言わないでくださいね。
  常識で考えればその通りでしょうが、だからこそ主催者の方が調整しているはずです。
  シリアルキラー、主催者の手駒。あるいは願いに目をくらませる参加者をチョイスする、などして手を打っているでしょう)))

 高遠の問いに言葉が出ないアクア。
 彼の言い分はどこまでも正論で、そして実行できなければ死ぬのはアクアの方だろう。
 そうなれば、母の仇は決して討てなくなる。

「俺は……」

 それは分かっている。頭では分かっている。
 しかし、そう簡単に覚悟はできない。

 アクアは悩む。大いに悩む。
 高遠は悩まない。そんなこと、今更躊躇しない。
 そんな二人が同じ体で共闘した時、一体何が起きるのだろうか。


【星野愛久愛海@【推しの子】】
[身体]:フジキド・ケンジ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康、高遠への不信感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:復讐とは関係ない殺人が俺にできるのか……?
2:高遠はどうにも信用ならない
[備考]
※参戦時期はアニメ一期終了後です
※フジキドの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。
※アクアの了承、もしくはアクアの意識が弱くなれば高遠が身体の主導権を握れます。
※アクアが聞こえるもの、見えるものは基本的に高遠と共有されます。

【高遠遙一@金田一少年の事件簿】
[身体]:ナラク・ニンジャ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る気はない。
1:しばらくは星野君に協力する。私もこんな芸術性の欠片もない殺し合いで死にたくはないので
2:復讐ですか……
3:もし星野君が人殺しを躊躇うなら、その時は変わってあげてもいい。変われるのなら
[備考]
※参戦時期は少なくとも魔術列車殺人事件終了以降です。
※ナラクの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。


504 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/05(水) 14:55:35 r3k69yTY0
投下終了です
タイトルは「アベンジャー・アンド・ア・ワイル・ゴウ・アベンジャー・ウィズ・バディファイト」です


505 : 名無しさん :2023/07/05(水) 20:37:23 geQR7ziY0
再掲
期限は2023年7月23日(日)の22:00までだそうです。


506 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/06(木) 20:27:56 Izat3NqY0
投下させて頂きます。
また、今回応募させて頂くキャラクターについて、独自の解釈もつけております。


507 : 太陽に育まれた娘 ◆bLcnJe0wGs :2023/07/06(木) 20:29:16 Izat3NqY0
(この殺し合いも…あの悍ましい月も…銀河意思ダークの差し金なの?)

 会場内の屋外、上空に浮かぶ月を睨みつける参加者の姿があった。
 その肉体は頭から鹿の角が二本生えており、顔は人間のもので、髪は黄色いサイドテール、そしてそこより下が鹿そのものという異様な外見だ。
 その肉体に入れられた者の名はドゥラスロール。
 かつて、太陽によってありとあらゆる生命が生み出されていった『世紀末世界』出身の少女であった。
 しかし、その世界で一度目の人生を送った時は太陽の光を一度も見る事無く命を落とす等といったとても不遇なものであったが、
 同じ世界に存在する銀河宇宙の意思・ダークという生あるものを生む太陽とは対極的で、
 逆に生命の概念を持たない不死の反生命種・イモータルを作り出す存在によって地球に使わされた実体を持たない影のイモータル・ダーインによって彼女自身もイモータルとして蘇らせて貰ったことがきっかけで一度は彼の『妹』の一人となり味方についた過去もあった。
 やがては彼女も兄や二人の『姉』共々封印されたが、
 長い時が経って兄姉共々封印が解かれ、自分もイモータルの一員として廃墟と化した市街地を拠点に太陽の光を吸い上げ続ける悪事を働いていたが、
 それを阻止する為に自分の元へと現れた太陽の使者たる存在・太陽少年と出会った。
 最初こそは自分達の敵ということで戦闘になったが、そこで倒され棺桶に閉じ込められ、太陽少年の拠点たる街、サン・ミゲルに運ばれ太陽の光を大量に浴びせられ浄化こそされたものの、そこで初めて太陽の暖かさを知った上、
 元人間だったこともあってか消滅することもなく太陽の加護を受ける太陽樹と一つになった。
 そこで漸く彼女は救済されることになったのだ。
 しかし、救われだけではまだ銀河宇宙の意思との戦いは終わっておらず、それから間もなくして太陽少年にもいずれは冒険で役に立つであろう植物の成長を促進させる魔法を与え、彼やその仲間たちを見送っていき、兄姉達とも決別することにした。

 そんな戦いが続く世界にいた彼女もこの殺し合いの会場となる世界に呼ばれてしまったが、
 そこでも主催者達に抗う決意を抱いていた。

 それは、世紀末世界から全ての生命を滅ぼさんとする銀河宇宙の意思に抗い、戦い続ける太陽の戦士達の様に─────


508 : 太陽に育まれた娘 ◆bLcnJe0wGs :2023/07/06(木) 20:29:54 Izat3NqY0
【ドゥラスロール@続・ボクらの太陽 太陽少年ジャンゴ】
[身体]:伊地知ニジカ@ぼざろクリーチャーシリーズ
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生命種達為に主催者達や関与しているかも知れない銀河宇宙の意思やイモータル、アンデッド達と戦う。
1:まずは主催と戦う為に何か行動をとる。
2:生存している生命種の参加者を見つけて保護したい。
3:お兄様(ダーイン)、お姉様方(ドゥネイル、ドヴァリン)と敵対することがあれば…その時は生命種達の味方をする。
4:あの『月』と呼ばれていたのも…『銀河意思』の差し金なの…?
[備考]
※参戦時期は少なくとも主人公に太陽魔法『ヒーリング』を与えた後。
※茨で出来た武器(イモータル時代、身体の一部が変化してなったものも含む)を作り出す能力の制限については当選した場合、後続の書き手様にお任せします。
※土の中に一定時間以上潜っていると強制的に土の上に追い出される制限を設けられています。
※会場内にある月を『銀河宇宙の意思』の差し金ではないかと思っていますが、現状では確証はありません。


509 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/06(木) 20:30:20 Izat3NqY0
投下終了させて頂きます。


510 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/06(木) 20:34:00 Izat3NqY0
>>508脱字があった為修正させて頂きます。
【ドゥラスロール@続・ボクらの太陽 太陽少年ジャンゴ】
[身体]:伊地知ニジカ@ぼざろクリーチャーシリーズ
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生命種達の為に主催者達や関与しているかも知れない銀河宇宙の意思やイモータル、アンデッド達と戦う。
1:まずは主催と戦う為に何か行動をとる。
2:生存している生命種の参加者を見つけて保護したい。
3:お兄様(ダーイン)、お姉様方(ドゥネイル、ドヴァリン)と敵対することがあれば…その時は生命種達の味方をする。
4:あの『月』と呼ばれていたのも…『銀河意思』の差し金なの…?
[備考]
※参戦時期は少なくとも主人公に太陽魔法『ヒーリング』を与えた後。
※茨で出来た武器(イモータル時代、身体の一部が変化してなったものも含む)を作り出す能力の制限については当選した場合、後続の書き手様にお任せします。
※土の中に一定時間以上潜っていると強制的に土の上に追い出される制限を設けられています。
※会場内にある月を『銀河宇宙の意思』の差し金ではないかと思っていますが、現状では確証はありません。


511 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/07(金) 00:00:56 azDrkVbA0
皆さん投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>妹の為、悪を成した姉と悪を成す兄
妹のために戦うのはいいが、そのために成す悪は悪でも、より外れた方向に行ってしまうかどうか少し心配な感じもしますね。

それからついで申し訳ありませんが、後から気付いたことなのですが、ブジンソードが登場しているのにも関わらずランダム支給品の数が1〜3と変わっていなかったので、こちらの方で数を0〜2と勝手に修正しました。
これについて何か問題があればどうかご連絡をお願いします。


>消去する右手
空間か異能かの違いはあるが、確かにどちらも消す能力の右手ですね。
当麻がモテてるのは、まあ、主人公補正も有りということかな?

>カミガカリ
この状況に興奮する神様の価値観にはついて行けなさそうですね。

>再びの戦場
絶対にどこにでもいる中学二年生ではない。
女声だった場合、服のセンスが悪いとディスられる可能性が高くなりそう。

>立ち止まる選択肢はない
前に他のロワで読んだ話も含めて、サイコロステーキ先輩のイメージがズガン枠になりそう。
センパイが亡くなった直後の台詞に対する注意書きで、一瞬シリアス空気が死んだ感じがしました。

>SuicidePrototype
遂に来てしまったウタ。
ここまで来なかったらもう来ないんじゃないかなんてことも考えてました。
身体側を主催陣営に設定してしまったことについてはごめんね。

>神様の不要(いらな)い月曜日
これは週刊少年ジャンプの発売日的な意味での月曜日ということでしょうか?
大佛が自分の身体側をウサちゃんと呼ぶの、ちょっと好きかも。

>神父と信徒
これはアンデルセン神父はブチギレするに決まってますね。
落ち着いた口調のルナ・ドーパントは少し想像しにくい感じがします。

>後の後のブレイクタイム
「あっ、ぼっちちゃんがかぶ…いや誰!?」と、最初読んだ時思ってしまいました。
妄想の未来がマジのifとして具現化だなんてその発想はありませんでした。

>再起■能
ドノツラフレンズ繋がりですか。
殺し合いに乗ってなくても、いきなり体を縦に分割する奴は怖いです。
意思持ち支給品の身体側がボール入りポケモンなの、むしろ今までよくこの形で出てこなかったなという思いもあります。

>誓ってヤクザじゃありません!
組長が本当に組長になってしまっている。
まあ、元の身体でもどちらにしろ組長呼ばわりされるとも思いますが。

>アベンジャー・アンド・ア・ワイル・ゴウ・アベンジャー・ウィズ・バディファイト
脳内に高遠がいるのははっきり言って嫌すぎる。
母親の仇という復讐のための動機は同じでも、相容れることはなさそう。

>太陽に育まれた娘
鹿のニジカを身体側にすることには笑ってしまいました。
こんなクリーチャーの見た目だと他参加者はどんな反応をするだろうか。



私からも一つ、投下します。


512 : 私は最強 ◆5IjCIYVjCc :2023/07/07(金) 00:02:08 azDrkVbA0
「ったく…一体全体どうなってんだこりゃ」

とある場所、「黒の組織」と呼ばれる犯罪集団の一員、コードネーム:ウォッカは多大に困惑していた。

他人同士の身体を入れ替えて行われるという殺し合い、時間制限として設定された落下してくる人面月、ここまではウォッカ以外にとっても同じことだ。
殺し合いはまだしも、肉体の入れ替えといったことはいまいち理解できないし信じられない。
裏切り者の女科学者が何らかの科学の力で子供になって逃げ延びた、みたいな話の方がまだ飲み込める。

そして、彼に与えられたのはまだ高校生くらいの可憐な少女の身体だ。
その少女の名が島村卯月であること、アイドルをしているらしいことはウォッカはプロフィールから把握した。
正直、アイドルなんて沖野ヨーコの名前ぐらいしか知らないから、卯月についてはよく分からなかった。

殺し合いについては、自分のスタンスを決めあぐねている。
自分の所属する組織が関わっているかどうかも不明な現状では、どうするのが自分にとって正解なのか答えは出せない。
乗るにしても、こんな女でさらにはガキの身体でちゃんと動けるかもかなり不安だ。
自分がアニキと呼んで慕う、ジンならこの状況をどう対応するだろうかなんてことも考えてしまう。



だが、ウォッカはやがてそんなことを気にする暇もなくなった。
この現状以上に、さらに異常と言えるかもしれないものが、彼の前に現れたのだ。



「……………は?」

それは、阿修羅だった。
痴女の、阿修羅だった。
そうとしか、形容できなかった。

何故そいつを阿修羅だと思ったのか、それは腕が6本あったからだ。
いや、よく見たらその内4本は本物の腕ではなかった。
人形のような関節の付いた、作り物の腕のようだった。
顔は3つあるわけではない、1つだ。

服と言えるものはほとんど無く、細長い布が巻き付けられているような感じだった。
だが、それはほとんどの肌を隠さず、露出させている状態だ。
そして、丸出しの豊満な胸には搾乳機のようなものが両方に付けられている。
二つの搾乳機はチューブを通して背中側に繋がっている。
相手の作り物の腕の内二つには布団叩きが2本、もう2つには哺乳瓶がそれぞれ1つずつ握られている。
哺乳瓶も、チューブを通して背中側の方に繋がっているようだった。
哺乳瓶の中には、禍々しいピンク色の液体が入っている。


そして、痴女の顔をよく見てみれば、その目からは血涙のように見えるものが流れていた。
それもまた、この光景の異様さを引き立てていた。


「お、お、おれ、レ、俺、俺れ、俺は最強だ」

痴女は、壊れた機械のような声を出した。
明らかに、正気を失っているようだった。

「俺は最強の男なんだあああぁぁーーーーっ!!!!」

痴女は、ウォッカに向かって雄叫びを上げながら襲いかかってきた。



「うおあっ!?」

ウォッカは咄嗟に、自身の支給品を1つ取り出す。
それは、バイクのタイヤのようなものが付いた、全体的に白い玩具のような見た目の銃だ。
その銃の名は、ゼンリンシューターといった。
ウォッカはゼンリンシューターのトリガーを引き、その銃口からエネルギー弾を発射する。
だが慌ててやったことなので、その標準は定まっていなかった。
弾は相手の体には当たらなかった。

結果的に、その弾は相手が持つ左側の哺乳瓶に命中した。


しかしこれは、ウォッカにとって幸運なことではない。
むしろ、不運であった。

相手が飛び掛かって来ながら、哺乳瓶の片方が半分ほど割れた。
その結果、その際の勢いが保たれたまま哺乳瓶の中の液体がウォッカに向かって零れ飛んできた。


そのピンクの液体は、ウォッカの島村卯月としての顔に、全てかかった。
それにより、口からその液体が少し体内に入り込んでしまった。

「!?」

瞬間に、ウォッカの肉体に異変が起こる。
その時、明らかに自分に襲い掛かっている相手である痴女に対する、敵意が自分の中から消える感覚があった。
同時に、謎の多幸感も感じていた。


「な…!?この感じ、まさか、ヤク…ブベッ!?」

困惑すると同時に生じた感覚から、自分は何らかの薬物を顔に被ってしまったのだとウォッカは感じた。
しかしそんな隙が出来た瞬間に、ウォッカは布団叩きに顔を打たれた。
布団叩きと侮るなかれ、その衝撃は凄まじく、ウォッカはゼンリンシューターを手の中から落とし、地面に倒れ込んだ。



「俺は最強だ俺は最強なんだ誰も俺に逆らうな俺は勝ち続ける最強は俺なんだ」

痴女はぶつぶつと呟きながら新たな得物を取り出す。
それは、大剣であった。


513 : 私は最強 ◆5IjCIYVjCc :2023/07/07(金) 00:02:59 azDrkVbA0
痴女は生身の両手と2本の作り物の腕、計4本の腕で大剣の刃先を下向きにしながら構える。


「マッ、てめ…!」

相手が自分に何をするつもりなのか想像できても、ウォッカはそこから起き上がることができなかった。
先ほど被った薬物のせいか、相手の意思に逆らう行動をとれなくなっていた。
理性では一刻も早くこの場から離れなくてはと思っていても、体が動かなかった。
体が勝手に、痴女の近くから離れることを拒んでいるかのようだった。

そうこうしているうちに、痴女は大剣をウォッカのすぐ上に持ってきていた。

『ドスッ』
「ガハッ…!」

そしてそいつは、そのまま大剣を急降下させてウォッカの島村卯月としての肉体の胸に落とすように突き刺した。
心臓も、貫かれていた。
大剣はやがて引き抜かれ、その大きな傷口からは鮮血が大量に吹き出した。
その血は、痴女の体にもかかっていった。

こうして、かつての黒ずくめの男は、このあまりにも変態的で混沌とした現状について行けないまま、即死した。


【ウォッカ@名探偵コナン(身体:島村卯月@アイドルマスターシンデレラガールズ) 死亡】





かつて、首領・クリークという海賊がいた。
彼は、東の海の覇者として恐れられていた男だった。
50隻もの船と5000人のクルーで構成された艦隊を率いた提督だった。

だが、彼の栄光の道は夢半ばで途切れてしまった。
偉大なる航路にて、ある一人のより上位の実力者に出くわして艦隊は壊滅した。
そこからでも這い上がろうと、海上レストランの船を奪おうとしたが、そこでまだ名も上げていない格下のはずの若僧の海賊に敗北して失敗した。

彼のプライドは、ズタボロになっていた。
それにより、その敗北直後の彼は半狂乱の状態になっていた。

彼がこの殺し合いに招待されたのは、その頃のことであった。

そんな首領・クリークに与えられた肉体、それはアイゼンという女のものであった。
アイゼンは、変態人妻だ。
バニシング排斥婦人会に所属する、とても危険な人妻だった。

変態人妻は皆、リビドークロスと呼ばれる特殊な武装の付いた服を所有している。
リビドークロスにはどれも、共振石という石が付いている。
これは、リビドークロスを身に付けるそれぞれの人妻専用にチューニングされている。
これに近づけば脳に働きかけられ、対象となる者はリビドークロスを身に付けたくなってしまう。

そしてクリークには、アイゼン用のリビドークロスが支給されていた。
専用の共振石も一緒だった。
それにより、脳もアイゼンの形になっていたクリークは、狂乱状態のままリビドークロスを装着してしまった。

リビドークロスと共振石には、身に付けた者の自制心を無くし、欲望を増幅する効果もある。
それによりクリークは、完全に理性を失った。
己が最強であると証明するために、無差別に人を襲う修羅が誕生した。
ウォッカは、そんな修羅に遭遇してしまったのだ。



「俺は最強だ俺は最強だ俺の武力は最強だ俺は最強の男なんだ…」

ウォッカを殺した後のクリークは、ぶつぶつ呟きながらも相手が落としたゼンリンシューターと、死体に担がれていたデイパックを剥ぎ取った。
理性を喪失していながらでも、彼は自身の本能で戦闘における武力の重要さを理解していた。
そのため、殺した相手からその武力を奪っていた。

そしてクリークは、自分が何をしているのかもよく認識できないまま、その場を歩いて去って行った。


変態人妻:『最強魔』首領・クリーク、進撃開始。


【首領・クリーク@ONE PIECE】
[身体]:アイゼン・ホノカ@淫獄団地
[状態]:狂乱、暴走、返り血を浴びている
[装備]:プレミアムリビドークロスGreat mother@淫獄団地、ダ・イルオーマの大剣@ゼルダの伝説スカイウォードソード、ゼンリンシューター@仮面ライダードライブ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、ランダム支給品0〜2(ウォッカの分)
[思考・状況]基本方針:俺は最強だ!!!
1:誰も俺に逆らうな!!!
[備考]
※参戦時期はルフィからゴムゴムの大槌を喰らった直後とします。
※現在、共振石の影響もあって狂乱状態にあり、無差別に人を襲うようになっています。
※リビドークロスの一部である哺乳瓶の左側の方が半壊しています。


514 : 私は最強 ◆5IjCIYVjCc :2023/07/07(金) 00:04:53 azDrkVbA0
【プレミアムリビドークロスGreat mother@淫獄団地】
リビドークロスと呼ばれる変態的な装備の一種。
付属する共振石と呼ばれる石は、装着者の自制心を消し、欲望を解放する。
このリビドークロスには4本の人工的なアームと2本の哺乳瓶が取り付けられている。
装着した際には、両胸に搾乳機のようなものが取り付けられ、それ以外は裸に細長い布が申し訳程度に巻き付けられたかのような状態になる。
4本のアーム、哺乳瓶、搾乳機は背中の部分に繋がっており、そこには瓶に入れるための薬物が貯蔵されている。
哺乳瓶に入る薬物は禍々しいピンク色の液体状である。
これを経口摂取した者を一時的にトリップしたような状態になり、このリビドークロス装着者をママと慕うかのようになる。
また、6本の布団叩きも付属している。
プレミアムリビドークロスのため、「性癖第二解放」と呼ばれる第二形態も有している。
「性癖第二解放」を発動すれば、このリビドークロスは黒い液体状のような状態になって装着者の裸体に纏わりつき、一部分は蓮の花のような形をとるようになる。
この形態になると、黒い蓮の実のようなものを茎を通じて伸ばし、その実から筋弛緩剤を含んだ黒い液体を雨のように降らせることができる。


【ダ・イルオーマの大剣@ゼルダの伝説スカイウォードソード】
ダンジョン「古の大石窟」のボスである「魔蝕神器 ダ・イルオーマ」が第二形態から使ってくる大剣。
原作ゲームにおいては、この大剣を落とさせて拾うことが攻略の鍵となる。
リンクがこれを持つ際は、肩に置いて支えながら両手で持つため、それなりの重さはあると思われる。
ダ・イルオーマはこの大剣を6本扱っていたが、ここにおいては支給されているのは1本のみとする。


【ゼンリンシューター@仮面ライダードライブ】
主に仮面ライダーマッハが使用した、タイヤパーツ付きの銃。
高威力のエネルギー射撃や、タイヤパーツを使って打撃攻撃も可能。
シグナルバイクを装填してその能力を引き出して攻撃に利用する機能もある。
なお、ここにおいてはシグナルバイクは付属していない。


515 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/07(金) 00:05:12 azDrkVbA0
投下終了です。


516 : ◆EMaQQEjKTc :2023/07/07(金) 00:39:39 7aQYdubg0
投下させていただきます。


517 : いつだって、舞台の上 ◆EMaQQEjKTc :2023/07/07(金) 00:45:02 7aQYdubg0
おぞましい顔の月が見下ろす丘の上。
殺し合いの舞台に招かれた一人の少年がいた。
自分の顔をペタペタ触ると、次に借り物の体の性能を確かめるため体を動かし始めた。
さながら新しい人形の動かし方を覚えるがごとく。

一通りの運動を終えるとその顔に、ぐにゃりと歪ませ笑顔が作られた。
純粋そうな少年の風貌に似合わない笑みを浮かべるその体には、
本来の持ち主より長い時を生きた精神が宿っていた。

「ふーん、こりゃあ手間が省けた。
 どうやったかわからないけど、僕は本当に勝の体になってるね。」

月が見下ろす狂気の舞台で、踊る役者のその一人。

肉体の名前は才賀勝。
精神の名前はフェイスレス――白金。



彼はこの殺し合いに招かれる前。
愛しのエレオノールと一緒になるために、世界を巻き込んだ計画を巡らせていた。
計画の集大成、彼女にとって大事な少年――才賀勝の肉体に、自分のすべてをダウンロードして、
宇宙行きのロケットを前に、"悪役"のフェイスレスを"主役"の才賀勝が打ち倒す。
そうしてエレオノールと、才賀勝となった自分のふたりっきりの世界へ旅立つ……というのが彼の筋書きだった。

しかし計画の最中にこの舞台へと招かれ、
そして何の因果かフェイスレスの精神は、才賀勝の体へ割り当てられた。
つまるところフェイスレスの計画は、すでに半分は達成しているようなものだった。

「でも……このままじゃ僕の夢は叶わない。
 エレオノール……君に会わなきゃ、出会わなきゃ何も始まらないよ。」

残念そうに呟くと、フェイスレスは再び、頭上に浮かぶ月を見上げた。
そして、これから自分がどう動くか思考を巡らせる。

計画の途中で殺し合いに巻き込まれたのはいただけないが、勝の体になったのは非常に都合がいい。
他の命を奪うことに抵抗はない。ただ帰りたいのなら、他の参加者を殺し尽くし優勝すればいい。
ただ気にかかる事がある。”エレオノールも殺し合いに巻き込まれているのか?”

この殺し合いの首謀者は、フェイスレスの目的や人間関係をある程度把握している。
現に少なくともフェイスレスと、勝の体はこの殺し合いに放り込まれているのだ。
互いの大事な人である彼女が招かれていても何もおかしくは無い。

フェイスレスの目的はただ一つ。エレオノールと愛し合うこと。
だから、エレオノールがいないのならば会いに行かなければいけないし。
エレオノールが殺し合いに巻き込まれているのであれば、殺されないよう守らなければならない。

「なのに優勝できるのは生き残った一人だけ?なら、言われたルールなんかに縛られる必要は無いよね。
 僕は僕の思うとおりに動かせてもらうよ。」

フェイスレスがめざす先は優勝ではなく、殺し合いからの≪脱出≫である。

(ま、かといって今の僕には何にしても、手数も情報も足りない。
 他の参加者に接触するか。材料を集めて新しく自動人形(オートマタ)を作るか……
 まずは少しでも状況を把握しないと。)

僕の役に立たないヤツはいらないけどね。そう心の中で呟く。
例えばここから脱出するためのロケットを作れたとして、定員が2人だけならば、
エレオノール以外の全ては見捨てるか殺害を選ぶ。
≪脱出≫を志すとは言えその心中は、いわゆる正義とはほど遠いものだった

ひとまず情報収集に方針を固めると、デイパックからカボチャのお化けを模した人形を取り出す。
その名をジャック・オー・ランターンという人形は、かつてフェイスレスが作成した懸糸傀儡(マリオネット)であり、
糸を操ることで空を飛ぶことも出来る。

使い慣れた移動手段が支給されていたのは運がよかったと考える。
単に使い慣れた道具が支給されたのかも知れないが。


518 : いつだって、舞台の上 ◆EMaQQEjKTc :2023/07/07(金) 00:46:22 7aQYdubg0



偽りの月が見下ろす空を、望みの顔を手に入れた人形遣いが飛ぶ。
目指すは愛しのエレオノールと愛し合うこと。
エレオノールが舞台にいるのなら、騎士となり守りぬくこと。

いるかも分からぬ女性のために目標を決めるのか?
しかしフェイスレスは、エレオノールがいようがいまいが、
もとよりこの舞台におけるルールに盲目的に従うつもりは無かった。

それは、魘夢と名乗った舞台の首謀者の一言からはじまった。

「優勝すればどんな願いでも叶えられる権利、か。
 大層なことを言っていたけど、そんな甘言に乗るヤツの気が知れないぜ。
 誰かに夢を"叶えてもらう"なんてまっぴらごめんだね。
 この夢は僕のものだ。僕だけで夢を叶えて見せる!」



嘘つき男が 心入れ替え 恋した娘と 結ばれたいと
狂気の舞台で 役者をそろえ 目指すは脱出 夢の世界へ


【白金(フェイスレス)@からくりサーカス】
[身体]:才賀勝@からくりサーカス
[状態]:健康
[装備]:ジャック・オー・ランターン@からくりサーカス
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いの舞台からの≪脱出≫
1:この肉体のまま脱出して夢を叶える。
2:脱出するための情報を集める。
3:エレオノールがこの場にいないか知りたい。
4:使えないヤツは邪魔だし殺しておきたいなあ。
[備考]
参戦時期は宇宙ステーション行きのロケットを乗っ取ったあたりです、

【ジャック・オー・ランターン@からくりサーカス】
カボチャ頭のお化けのような風貌をした懸糸傀儡(マリオネット)。
手にした巨大な鎌で切りつけたり、空を飛ぶことができる。
他の懸糸傀儡同様、全ての指を使う特殊な人形操作の技術が必要なため、
訓練を積んだ者で無ければ扱うのは難しい。


519 : ◆EMaQQEjKTc :2023/07/07(金) 00:47:43 7aQYdubg0
投下終了します


520 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/07(金) 03:26:04 AVJahnlk0
投下します


521 : 再起のHERO ◆QUsdteUiKY :2023/07/07(金) 03:27:58 AVJahnlk0
鏡飛彩はドクターだ。
世界で一番のドクターを恋人に願われた飛彩は――いつしか名実共に世界一のドクターといっても過言ではない存在に成長した。

しかしその代償は大きい。
世界で一番のドクターになったというのに、恋人は――小姫の命は救えぬまま。
それどころか花家大我を――目の前で死にかけている患者を救うために、彼は小姫を救う機会を失った。

彼の選択は、もう二度と取り返しがつかない。
小姫は二度と蘇らない。救えない。
――ゆえに飛彩は決断を下したその日、泣いた。声を上げて、無様な程に――泣いた。



美樹さやかは魔法少女だ。
片思いとはいえ、大好きな少年がバイオリン奏者になるという夢を絶たれたから――そんな彼のために。傷付いた左腕を癒して、再び再起させるために――少女は祈った。

――夢とは呪いだ。
もしもさやかが少年を――恭介を再起させなければ、彼は呪われ続けたままだったのかもしれない。
されどもさやかという少女の祈りはそんな呪いすら跳ね除けた。


――ただそれだけならば、最高のハッピーエンドだ。奇跡も魔法もある――誰もが幸せになれる最高の結末だ。

そんな“愛と勇気が勝つストーリー”こそが誰もが想像するような魔法少女だけれど。
さやかの世界はそんなありふれた魔法少女とは一風違った、残酷な世界。

魔法少女は願いを叶えられる。
それは素晴らしいメリットだ。実際、恭介の腕だって本当に治った。

――だが、メリットがあればデメリットも存在する。
インキュベーターは最初に説明こそしていないが――魔法少女はやがて魔女になる存在だ。
どんな手段でも――それこそ女神が誕生しない限り、逃れられる術はない。魔法少女は呪われている。

そして当然、魔法少女はもう人間じゃない。
魂は魔法少女になった時点で肉体と分離、ソウルジェムとして加工された。魔法少女と言えば聞こえこそ良いが“元人間”や“ゾンビ”――要するに人外扱いされても仕方の無い生物へと変わっている。

つまり美樹さやかがやったことは、恭介を治した――と言えば聞こえは良いが。
本人も無自覚なうちに彼の呪いを、自分が引き受けたのだ。それも腕一本なんかに対して、あまりにも大き過ぎる呪いを。

例えばこれが自らの意志で呪いや穢れを引き受けたならば話は違っただろうが、そんな決意が出来るのは精神的に人外の領域に達した者くらいだろう。少なくともまだ幼い少女であるさやかには、そんな覚悟は出来なかった。

下手な真実を知らないうちは正義の味方として振る舞っていた少女は、衝撃の真実を明かされ――自暴自棄になり、その心は完全に濁り切った。

そして魔女となり、佐倉杏子と相討ちした存在――それが美樹さやかだ。


522 : 再起のHERO ◆QUsdteUiKY :2023/07/07(金) 03:28:58 AVJahnlk0


「美樹さやか。……それが俺の今の身体の、元の持ち主か」

美樹さやかのプロフィールファイルを見て、飛彩はなんとも言えない複雑な気分になった。

――どんな願いでも叶う、魔法少女。

もしもそんな権利があるのなら――昔の自分なりきっと、小姫を生き返らせるために躊躇なく使ったのだろう。

さやかの気持ちはよくわかる。片想いとはいえ、好きな相手が夢を挫折しそうならば、救ってやりたいと願うのは不思議なことではない。
……飛彩は夢を応援されてた側だが、それでも恋人を。大切な者を想う気持ちは強く、そこはさやかと同じだ。

今回の殺し合いだって、昔の自分なら小姫のために他人を踏み台にしていた可能性もある。ドクターが他者を殺すなど、言語道断。絶対にやってはいけないことだが――それほどまでに執着していたことは否めない。

「それにしても成長途中の少女を勧誘し、魔法少女に仕立て上げるとは……恐ろしい存在が居たものだ」

さやかのプロフィールには“インキュベーターと契約した”と書いてある。このインキュベーターがさやかを地獄に落とした張本人だと考え、飛彩は僅かに怒りを募らせた。

大切な者を想う気持ちを利用し、あまつさえ不幸のどん底に叩き落とす。……気持ちを利用されたことは飛彩も経験しているが、インキュベーターの悪どさは檀正宗以上だ。
たしかに報酬こそ与えているが――何もここまで悲惨な運命を押し付ける必要はないだろう。

「……そしてさやかを不幸に陥れた魔法少女の運命は、今度は俺に押し付けられたわけか」

――呪いは、繰り返す。

美樹さやかは円環の理に導かれたが、それでもどういうわけかその肉体には鏡飛彩の魂が宿った。
つまりそれは、魔法少女(さやか)の呪いが飛彩に降り注いだというわけで。

「美樹さやか。死亡後も利用されるとは、哀れな少女だ――」

美樹さやかのプロフィールは全て読んだ。
そこに記載されていたことの大半は彼女の不幸に関するものだが――それでも彼女が正義の魔法少女を目指していたことも、しっかりと書かれていて。

当然――鏡飛彩はそれを読み落とすような男ではない。

「ドクターの俺にも、お前の命を救う手段はない。――だがお前が果たせなかったことは、俺が果たしてやる!」

人々のために戦う勇気ある魔法少女――美樹さやか。
彼女の想いは、字面でしか読んでいないが――それでもよく伝わった。
たとえ力を得たとしても、ただの少女が魔女と戦うなんて勇気のいることだ。

飛彩は彼女の夢も、願いも、苦悩も――否定しない。

「この殺し合いは俺が止める。魔法少女の運命など知ったことか。――俺に切れないものはない!」

さやか――お前が挫折した“夢”の続きを、必ず見せてやる。
たしかに魔法少女は呪われているかもしれない。やがて世界を蝕む癌に成り果てる可能性は理解している。
それでも――俺はドクターとして。お前がなろうとした“正義の味方”として――この殺し合いの主催者共を切除する!

【鏡飛彩@仮面ライダーエグゼイド】
[身体]:美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ
[状態]:健康
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]基本方針:さやかが果たせなかった“正義の味方”として、この殺し合いは俺が止める!
1:ゲーマードライバーとガシャットを探したい
2:ドクターが他人の命を奪うなど言語道断だ。だが危険人物は切除しなければ被害が増す。……そういう輩は、俺が切る
[備考]
※参戦時期は少なくとも本編終了後。Vシネ以降かどうかは後続の書き手にお任せします
※ソウルジェムは支給品と扱われません。
※まどか☆マギカシリーズ原作と同じく、ソウルジェムは本体と扱い、一定距離を離されたら体を動かせず、破壊されたら死亡するものとします。


523 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/07(金) 03:29:18 AVJahnlk0
投下終了です


524 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/07(金) 21:42:22 d90AJ2/s0
投下します


525 : 「仮面ライダー龍騎が好きなんだ」 ◆OmtW54r7Tc :2023/07/07(金) 21:44:00 d90AJ2/s0
「作品としては好きだけど、別に参加したかったわけじゃないんだけどなあ…」

箱庭学園生徒会執行部書記という肩書を持つ男・阿久根高貴は手鏡を見ながら呟いた。
そこに写った姿は、彼がよく知るヒーローのものだった。

「城戸真司…確かにこの顔は当時の須賀貴匡氏そのものだが…」

城戸真司。
仮面ライダー龍騎として、13人の仮面ライダーによるライダーバトルを戦ってきた男。
不器用だが正義感が強く、ライダーバトルにも否定的……という設定の男。
『仮面ライダー龍騎』という特撮作品の、主人公である。
仮面ライダーは平成派の高貴が、特に好きな作品である。

「須賀氏の身体を持って来たのか…?まさかドラマの世界から引っ張り出してきたわけじゃあるまいし…」

当たり前だが、現実の俳優、須賀貴匡は仮面ライダーでも何でもないただの一般人である。
実は自分たちの周りにいる人たちのような特別な異能を持っているという可能性も…まあ、多分ないだろう。
あったとしても仮面ライダーではないだろうし。

「まあ、これがおもちゃじゃなく本当に変身できたら、認めるしかないんだが」

そういって高貴が取り出したのは、仮面ライダー龍騎のカードデッキ。
カードは基本のものに加えて、サバイブのカードまで用意されている。
これが本物なら、鏡の前にかざすことで腰にVバックルが装着されるはずなのだ。
高貴は、手鏡の前にデッキをかざす。
すると、本当に腰にVバックルが装着された。

「変身!」

その掛け声と共に、右腕を左斜め上に伸ばし、Vバックルにカードデッキを装填すると、高貴の姿仮面の戦士…仮面ライダー龍騎へと変わった。

「本当に、本物なのか…この身体も、本物の城戸真司!?」

無意識のうちに、声が上ずっていた。
平成ライダーの中でも特に好きな龍騎に変身できたということに、少なからず興奮していた。


526 : 「仮面ライダー龍騎が好きなんだ」 ◆OmtW54r7Tc :2023/07/07(金) 21:44:48 d90AJ2/s0
(…ん?平成ライダー?)

そこで、違和感を覚える。
阿久根高貴は仮面ライダー龍騎のファンだが、他の平成ライダーだって好きだ。
それなのに…

「どういうことだ?仮面ライダー龍騎以外のライダー作品を思い出そうとすると、頭にもやがかかる…龍騎より前も、後も、思い出せない…!」

あの魘夢という女に、記憶を弄られたのか。
もしそうだとして、何のために。

「城戸真司はフィクションの存在。彼のように、僕達の世界においてフィクションとされる存在が、多数参戦しているのか」

それ故に、自分のフィクション知識は殺し合いを有利にしすぎると判断されて、記憶に制限をかけられた。
無理やり理由をつけるとしたら、こんなところだろうか。

「…そういえば、タブレットに書かれたルールによれば、意思を持った支給品も、精神を入れ替えられている、だったか」

高貴は、一枚のカードを左腕のドラグバイザーに装填する。

『ADVENT』

機械音声と共に、高貴の目の前には巨大な赤い竜が現れた。
仮面ライダー龍騎の契約モンスター、ドラグレッダーだ。
しかし、ルール上その中の精神は高貴同様別の存在だ。

「誰が入っているかは分からないが自己紹介させてもらうよ。俺の名前は阿久根高貴。これから俺は君の相棒だ。この殺し合いを止めるため…力を貸してほしい」

高貴の言葉に、ドラグレッダーは了承するように雄たけびを上げた。


527 : 「仮面ライダー龍騎が好きなんだ」 ◆OmtW54r7Tc :2023/07/07(金) 21:45:58 d90AJ2/s0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

(殺し合いなあ、なんか知らんけどウチ、厄介なことに巻き込まれてしもうたようやなあ)

巨大な赤龍、ドラグレッダー。
その中の人物は、そんな威風に反するかのような能天気な関西弁で思考を繰り広げていた。

(いくらウチの前世が龍やからって…あんな紙切れの中に封じ込めて道具扱いとか、腹立つわあ)

ドラグレッダーの中に入り込んだ精神、その名はエルマーナ。
ほんの12歳の少女である。
そして彼女は、ヴリトラという炎の中から生まれた龍を前世としている。
ドラグレッダーの精神に選ばれたのも、前世が龍だった縁ゆえだろう。

(確か最後の一人になるまで殺しあえ、やったか………一人、か)

エルマーナは思い出す。
かつてヴリトラだった頃の記憶を。
住んでいた天上界が崩壊し、誰もかれもが死に絶えた中、龍としての強靭な肉体と寿命故に生き延びてしまったヴリトラは…長い間、本当に長い間一人ぼっちだった。

(…あかんあかん!センチになっとる場合やない!)

暗くなってしまった思考を打ち切ると、目の前の人物、阿久根高貴に視線を向ける。
そうだ、昔は昔、今は今。
今の自分は一人じゃないのだ。

(コーキ兄ちゃん、死ぬんやないで。ウチもあんたのこと守ったる…お互い、大切な人のとこに帰ろうや)

【阿久根高貴@めだかボックス】
[身体]:城戸真司@仮面ライダー龍騎
[状態]:健康
[装備]:龍騎のカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
[備考]
※参戦時期は少なくとも生徒会執行部在籍時
※『仮面ライダー龍騎』、『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』、『仮面ライダー龍騎スペシャル 13RIDERS』の知識はありますが、それ以外のライダー知識は制限されており、またその事に自覚があります。


[意思持ち支給品状態表]
【エルマーナ・ラルモ@テイルズオブイノセンス】
[身体]:ドラグレッダー@仮面ライダー龍騎
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:コーキと共に身体を取り戻して元の世界に帰る


【龍騎のカードデッキ@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダー龍騎の変身アイテム。
基本カードに加えてサバイブのカードもあり。


528 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/07(金) 21:46:38 d90AJ2/s0
投下終了です


529 : ◆EPyDv9DKJs :2023/07/07(金) 23:09:37 yFKkY5hM0
投下します
此方の作品は◆N9lPCBhaHQ氏の代理投下になります


530 : ◆EPyDv9DKJs :2023/07/07(金) 23:10:36 yFKkY5hM0
「カカカ、優勝したらどんな願いも叶う殺し合いですか」

月明りの下、スマートフォンを構え、自撮りをするセーラー服の少女がいた。
少女は螺旋状の金色のツインテールとハートのリボンを携えて、カカカと笑みを浮かべる。
それだけでも画面映えするほどの美貌。
『まるで天使のような微笑み』。
そんな言葉が似合いそうなほどに顔がいい女。

「せっかくのお誘いですが、オレちゃん今はこうしたネタには興味ありませんので」

但し、精神は天使ではなく悪魔だが。

中身の悪魔、『ブラック』にとってこうした状況は慣れたものである。
ブラックは鬼ヤバ最強動画専門の動画クリエイターだ。
悪魔系ヨーチューバーとして、動画の素材にこうした題材を扱ったことは数多くある。
宇宙人、未来人、都市伝説、SCPといった超常存在。
果てにはまんが、アニメ、ゲーム、ラノベ、童話といった創作物の主人公達。
どんな願いを叶える少女も、異世界の強者達を集めての戦いも、ブラックは既に知っている。
というより撮影したばかりだった。

「一度ウケたからって、同じ企画を焼き増ししてもバズるとは限りませんしね」

そこのアナタに言ってるんですよとばかりに、ぎょろりと振り向き、笑う。
その相手は主催か、或いはその上にいるであろう存在か。
何かを見据えている、天使のような悪魔の笑顔。
そう言うブラックも小学生をシャイガイに襲わせる動画を何本も投稿しているのだが。

「まあでも、わざわざ肉体を替えての殺し合いというのはちょっと気になりますね」

本来のブラックであれば、単なる殺し合いなんて容易に勝ち抜ける。
異世界の最強格と渡り合える戦闘力。無限に等しい寿命。相手の技のコピー。別の世界への移動といった多様な能力。
それに加えデビルツールといった摩訶不思議な道具。
悪魔としての能力やアイテムをフル活用すれば、ブラックに勝てる者はごく僅かだ。

「魘夢さん、オレちゃんの人間界エンジョイライフを邪魔するつもりなら、容赦はしませんよ」

しかし、悪魔の身体では無い以上、ブラックは本来のスペックを発揮できない。
今の身体能力は人並みに過ぎず、愛用のデビルツールも手元になく没収されている。
普段のような戦いが出来ないことに、ちょっとだけ鬼ヤバかもですねと付け加え小さく呟く。

「オレちゃんはヨーチューバー!この殺し合いの裏側を全て暴いて動画にしますよ!」

だが、どんな姿であれ、ブラックのやるべき事は変わらない。
こうした状況を動画の素材にし、闇を暴いてこその動画クリエイターである。

「では『超絶最かわてんしちゃん』さん、大変不本意な形ではありますがコラボといきましょうか」

タブレットから少女のプロフィールを読み終え、小さくため息をつく。
配信者として、人々の現実の苦しみを忘れさせる一筋の光。
視聴者の孤独を癒して回る、インターネット・エンジェル。
こうした形でなければ、正式に契約した上で撮影を申し込みたい逸材であった。

「救世主となってしまった少女の抱える『やみ』、非常に魅力的な題材ですが……」
「ロトッ」

スマートフォンからプラズマ状の生命体がいったん抜け出し、タブレットへと移る。
その正体は、ブラックの相棒であるカメラちゃんと呼ばれる悪魔だ。
この殺し合いでも身体を変更されたうえで、ブラックに支給されていた。

「ではカメラちゃん、お願いします」
「ロト〜」

彼に与えられた身体はプラズマポケモンであるロトム。
その生命体は、電化製品に入り込み様々な悪戯を行うという。

「……こうした形で貴女を知ることになったのは少々残念です」

カメラちゃんが少々タブレットのデータを弄ると、少女のプロフィールが削除される。
もう二度と、天使の『やみ』が人の目に触れることはない。

ブラックはあくまで動画クリエイターだ。
契約により本人の意志を確認したうえで願望を叶えてやり、そこから現れる人間の本性を動画にする。
それこそがブラックの求める炎タメである。

他者から与えられた情報をただ晒すような行為は暴露系の炎上投稿者と変わらない。
こんなデータだけで人間の『やみ』を暴くのはブラックの趣味ではないし、そんな行為を行うつもりは一切ない。
オレちゃんそこまで悪魔ではないですよ、と小さく付け加えカカッと笑う。

「では、行きましょうかカメラちゃん。せっかくなのでかわいく撮っておいてくださいね。✝昇天✝」
「ロトロトッ」


531 : ◆EPyDv9DKJs :2023/07/07(金) 23:10:59 yFKkY5hM0
【ブラック@ブラックチャンネル】
[身体]:超絶最かわてんしちゃん@NEEDY GIRL OVERDOSE
[状態]:健康
[装備]:ロトム+モンスターボール@ポケットモンスター
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いの闇を暴く
1:撮影開始といきましょうか
2:面白そうな参加者がいればインタビューする
3:帰ったら身体を元に戻したうえで改めて超てんちゃんに撮影を申し込む
[備考]
※参戦時期は原作漫画版7巻「BREAKING THE WALL」編以降です。
※人間になったことで魔力が普段より抑えられています。時空を超える能力など殺し合いから抜け出す能力は使えません。
※肉体の参戦時期・到達エンディングはお任せします。
※タブレットから肉体のプロフィールが削除されました。


[意思持ち支給品状態表]
【カメラちゃん@ブラックチャンネル】
[身体]:ロトム@ポケットモンスター
[状態]:正常、撮影中、スマホロトム
[思考・状況]基本方針:ブラックと共に行く
1:撮影する
[備考]
※参戦時期は原作漫画版7巻「BREAKING THE WALL」編以降です。
※支給されたスマートフォンに入り、スマホロトムになっています。


【ロトム+モンスターボール@ポケットモンスター】
ブラックに支給。
プラズマポケモン、タイプはでんき・ゴースト。
電子機器に入り込んで、人々にいたずらやサポートを行う。
特殊なモーターが使われている電化製品に宿れば、バトル向けのフォルムチェンジができる。
出典媒体、技構成、具体的にどの個体かはお任せします。


【スマートフォン】
ブラックに支給。出典はお任せします。
利便性と引き換えに様々な依存症を引き起こす携帯端末。
こんなインターネットから抜け出して二人で海を見に行こう。


532 : ◆EPyDv9DKJs :2023/07/07(金) 23:11:45 yFKkY5hM0
以上で終了になります
タイトルは「【コラボ】チェンジロワのやみがヤバ過ぎる……【特別編】」になります


533 : ◆vV5.jnbCYw :2023/07/08(土) 18:35:58 E81tWZys0
投下します。


534 : もうやめろ、私は ◆vV5.jnbCYw :2023/07/08(土) 18:37:20 E81tWZys0
「糞共が!!」


白いマントと尖った仮面が印象的な男が、ひどく憤っていた。


「こんな体で、おれが満足できるとでも思っているのか!!」


その姿は、とある世界でヴァンパイアと呼ばれる。
富士山の噴火を境に、火山灰を被った一部の人間が変身した姿だ。
おまけにそのヴァンパイアの中でも、句楽兼人に与えられた肉体は上澄みの方の強さを持っている。
もし力を欲する一般人がこの身体を与えられれば、その人物はさぞかし喜んだことだろう。


だが、かつて句楽兼人の持っていた肉体は、ヴァンパイア以上の物だった。
人間は愚か、ヴァンパイアさえ容易に引き裂くことの出来る怪力に飛行能力。
透視能力に、核爆弾を落とされても傷一つ付かない肉体。
ある日突然に手にしたその力で、自分をウルトラ・スーパー・デラックスマンとして、正義の活動に忙しんでいた。
暴走族から悪徳政治家。そして自分を人殺しと罵ったマスコミにまで正義の鉄槌を浴びせて行った。


「覚えていろあいつら…絶対にギッタギタのグチャグチャにしてやるからな……。」


だというのに、身体を奪われ、こんな下卑た催しに参加させられるとは。
正義の鉄槌でグチャグチャのバラバラにするだけではこの怒りは収まらない。
是が非でもこの殺し合いを開いた者達から、元の身体を取り戻した後、徹底的に嬲った上、殺してもらうことを懇願されて初めて殺そう。
ヒーローを謀った罪は重い。


怒りにどうにかなりそうになっていた所、遠くから獣が鳴くような声が聞こえて来た。
もしかすると、動物に参加者が襲われているかもしれない。
そう思った句楽は、すぐにお決まりのセリフと共に駆け出した。


「シュワッチ!!」


音がした辺りの場所に近づくと、辺りに赤い獣のような何かが蠢いていた。
顔は豚かイノシシに似ている。だというのに、二本足で歩き、腰蓑を付け、片手で鉈を持っている。


「ゲアーーーーーーーーッ!!!」


早速獲物を見つけたからか、赤い色をした小鬼たちは、耳障りな雄たけびをあげた。
鉈を振りかざして、我先にと句楽に襲い掛かって来る。


「その程度でおれに逆らう気か!!」


だが、彼に襲い掛かって来たのは、所詮は雑兵のような者。
句楽が持っているヴィクティブレードで難なく切り裂かれ、斬撃から生き残った者も蹴られ、頭を潰されて息絶える。
中にはナタで防御した者もいたが、武器ごと切り裂かれた。
彼のむしの居所が悪かった時に、グチャグチャの肉塊にされたかっぱらいと似たような運命を遂げた。


535 : もうやめろ、私はお前が嫌いだ ◆vV5.jnbCYw :2023/07/08(土) 18:37:49 E81tWZys0

「けだものの分際で逆らうな!おれは機嫌が悪いんだ!!」


最後に生き残った獣人の首を引きちぎり、野球ボールのように投げ飛ばす。
獣人は死体を残さず、黒い霧に包まれて消えた。


「何処にいるんだ!!コソコソ隠れていないで出てこい!!」


首輪をつけていないことから、先程殺した獣人は参加者ではないと、怒り心頭の句楽でも分かった。
けだものを利用して、ヒーローである自分を攻撃した者など、悪人に決まっている。
是が非でも成敗せねばならない。


「そう大声を出さなくても、私はここにいるよ。」


ぬるりと出てきたのは、全身白づくめの、顔色の悪い男だった。
どうにも強そうには見えないが、右手に長い剣を持っていた。
見た目はどう見ても悪人。状況が状況なだけに、見た目で判断してはいけないが、凶暴な獣人を操っているような者に、善人がいるわけがない。


姿が見えるとすぐに、句楽の剣が男を襲った。
狙いは、敵の頭。一撃で潰して、操っている怪物も皆殺しにせねば。
だが目の前の男も、剣で弾き飛ばした。
ヴィクティブレードの強みは『万物両断』。たとえ相手がどんな硬度を持っていても、真っ二つに出来る。
なので、剣ごと真っ二つにすることも可能だったはずだ。
だが、いくら力が強くても、刃が獲物に触れられなければ意味が無い。
黒い刀は、ヴィクティブレードとぶつかり合うのではなく、剣の腹を打つことで弾いたのだ。
細腕とは思えないほど強い力に、句楽も驚かざるを得ない。


大剣の飛んでいく方向にあわせて、句楽にも予想のしない向きに力がかかる。
目に付いたものは何でも、超が付く怪力でねじ伏せて来た句楽にとって、久し振りの感触だった。


「どうした?威勢ばかりかな?」
(くそ……元の身体ならば、こんな奴すぐにでも殺せるのに……。)


ヴァンパイアの力は強い。だが、無敵ではない。
ましてや戦いというものをろくに経験しておらず、一方的な蹂躙しかしていない句楽なら猶更だ。


再び剣を振りかぶるが、次の相手は白髪の男ではなかった。
白手袋に包まれた指をパチンと鳴らすと、大きな槍と盾を持った赤い獣人、モリブリンが現れる。
先程の獣人のボコブリンよりも太く、大きい。


「シュワッチ!!」


掛け声とともに、豚面を思いっ切り殴る。
それでも倒れぬ獣人を、剣で斬り付ける。でっぷりとした腹から血が溢れ、前向きに倒れた。


536 : もうやめろ、私はお前が嫌いだ ◆vV5.jnbCYw :2023/07/08(土) 18:38:25 E81tWZys0

「うわっ!」


倒したが、倒れた敵の腹の弾力に弾き飛ばされ、またも敵から遠ざかる。
これもまた、経験したことの無い感触だ。
続けざまに、敵は怪物を出してくる。今度は小さいボコブリンだ。


「この野郎!おれと一対一で戦え!!」
「元の身体は剣の方が長けているらしいが、元の私はこういった戦い方が得意でね。」


思うように標的と戦えなくて苛立つ句楽に対し、白髪の男は余裕の笑みを浮かべる。
どちらが優勢かは、互いの表情で一目瞭然だ。


「おや?弾切れか。昔とは違い、態々吐しゃ物を拭いた雑巾のような味の呪霊を食べなくていいから、気に入ってたんだがな。」


何を言っているのか分からないが、今こそ目の前の悪に天誅を下すべきだと意気込む。
ヴィクティブレードを頭上へと振り上げ、頭をかち割ろうとした。
だが、その剣は空を切る。
敵は消えたのだ。超スピードで躱したわけではなく、文字通り空間から姿を消したのだ。


その瞬間、句楽は背中を斬られた。
ヴァンパイアの生命力のおかげで、死ぬことはなかったが、背中に鋭い痛みが走る。


「良かった。これで斬れなかったらどうしようかと思った。」
「くそ……!!」


背後にいた相手に剣を振るうが、バックステップで難なく躱されてしまう。
明らかに戦いの経験が違う。
続けざまに白い男は指を鳴らし、今度は二体の骸骨の魔物を呼び出す。


何でも斬れる剣を持っている者にとって、さほど手ごわい相手でもない。
だが、確実に敵側の時間稼ぎになる。
続けざまに相手が出してきたのは、赤く光るナイフ。
縦一列に集まると、真っすぐに飛んで来た。


どうにか横っ飛びに躱すも、相手が剣の射程内に入ってこない。
目の前にまごうとなき悪がいるというのに、成敗できないという悔しさを抱くのは初めてだった。



「つまらないな。どれほどの者なのか期待はしていたが、ただの着飾った猿じゃないか。」


白髪の男の身体の持ち主、夏油傑にとって、目の前の戦士はじつにつまらぬ相手だった。
確かに自分はこの殺し合いに優勝しようと考えていたのは事実だ。
だが試しに異形の魔物を召喚した。それだけで自分を悪と見なし、使い慣れぬ力を振りかざす目の前の男を、到底正義の道を歩むヒーローとは思えなかった。
かつて呪術師として弱きを助け、強気を挫こうと考え、やがて乙骨という少年に討たれた彼だから猶更だ。


537 : もうやめろ、私はお前が嫌いだ ◆vV5.jnbCYw :2023/07/08(土) 18:38:47 E81tWZys0

「言ったな!!」


この世界の句楽は知らぬことだが、友人から血に飢えたケダモノだと言われたことがある。
よりによって正義のヒーローを猿呼ばわりするなど、許してはおけぬ発言だ。
地団駄を鳴らし、剣を振り回す勢いが一層強まる。
だが、どれほど切れ味の鋭い剣でも、刃先が触れなければ意味が無い。


「努力をすることもなく後から手に入れた力に振り回され、だというのに強くなったと勘違いをしている。
まさしく愚かさの結晶だ。」

「気持ちの悪い怪物を操り、好き放題している悪が何を言うか!!」


もはや句楽は怒りで周りが見えなくなっていた。
剣を振り回すも、斬ることが出来るのは空気と雑兵のみ。


傍で見れば滑稽とも言える状況の中、夏油傑は気づいた。
この男は、呪われている。
正義という名の呪いに。
だが、その事実に目を伏せ、他者を悪と呪いながら戦い続ける、救いがたき救世主。
そんなことを考えている内に、ヒーロースーツのような恰好をした句楽が斬りかかって来る。
ひょいと躱し、剣の範囲からすぐに離れる。


「君は実に猿らしい猿だ。私が断言しよう。」


夏油は剣を掲げ、ぐるりと自分の前で時計の針のように回した。
その中心目掛けて、大剣がまっすぐに飛んで来たが、彼は刺されることなく姿を消した。


「おのれ!おれから逃げるとは!!今度会ったらメッタメタのグチャグチャにしてやる!!」


偽りのヒーローの声が、空しく木霊した。




【句楽兼人@ウルトラ・スーパー・デラックスマン】
[身体]:堂島正@血と灰の女王
[状態]:ダメージ(小)背中に裂傷 疲労(中)
[装備]:ヴィクティブレード@現地調達
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いに乗った者も、主催者も徹底的に殺す。
1:悪はどこだ!
2:白い男(夏油)は今度会ったら絶対殺す
[備考]
※参戦時期は本編で片山が家に来るまで。
※Dナイトは少なくとも今は使えません。


538 : もうやめろ、私はお前が嫌いだ ◆vV5.jnbCYw :2023/07/08(土) 18:39:18 E81tWZys0

夏油が句楽を殺さず、瞬間移動を選択したのは、理由がある。
勿論、殺さずに泳がせておけば、他の者達にも悪影響を及ぼす確信はあった。
それだけではない。
あの男が、これ以上声を聞きたくないほど、不快だったからだ。


白い鎧を身にまとったあの男は、かつての自分を思い出させてしまったから。
最強の座に理想を抱き、自分と友ならば何でもできると信じていた自分を。
傲慢な正義を胸に抱き、死と暴力を振りまくことしか出来なくなった自分を。


ああ。人間と言う物は、いや、人間じゃなくてもそうだ。
いくら理想と言う形で望んでも、やれることが限られている。
それは努力をしたり、他所からの力を手に入れたりしたぐらいで変わるものではない。
理想を叶えようとして暴力的になってしまったり、何も残せなかったり。悪戯に呪いを振りまくだけだ。
自分の今の肉体だってそうだ。何度も正義を振りかざす勇者を追い詰めておきながら、結局は何も出来なかった。
魔王の道具のまま、生涯を終えた。


句楽兼人と言う男は、自身にそんな事実を突き付けてくるような男だった。



「魘夢。君は私の可能性を越えたものを、見せてくれるのかな?」


空を見た。
元の世界では決して見られない、顔の付いた月がそこにあった。





【夏油傑@呪術廻戦】
[身体]:ギラヒム@ゼルダの伝説 スカイウォードソード
[状態]:健康
[装備]:召喚した剣@現地調達
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝し、世界の清浄・非呪術師(さるども)の絶滅を望む
1:参加者は殺す。ただし争いに使えそうな者は生かしておく。
2:この身体で出来ることをもっと試したい。

[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※召喚術で、魔物を一度に召喚できる数は限られています。また、全て殺されると、再召喚まで時間を要します。
(ボコブリン(赤)×5 モリブリン×2 スタルフォス×2 青ボコブリン×1)
瞬間移動(大)(原作で剣を回して消える技)は、一度使うとしばらくは使えません。


539 : もうやめろ、私はお前が嫌いだ ◆vV5.jnbCYw :2023/07/08(土) 18:39:50 E81tWZys0
投下終了です。


540 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/08(土) 20:47:19 g7q4HhBU0
投下します


541 : シンチェンジロワ地獄化計画 ◆OmtW54r7Tc :2023/07/08(土) 20:48:17 g7q4HhBU0
「ふん、人間にしては面白いことをする」

愛くるしい見た目をした幼い少女が、不気味な月を眺めながら不敵な表情でつぶやく。
その少女の名はフランドール・スカーレット。
吸血鬼であり、人間ではない。
そして、その中に入っている精神の人物もまた、人間ではなかった。

「殺し合いとは…地獄なんかよりよっぽど地獄だと思わないか、初代?」

彼女…いや、彼の名はサタン。
とある世界の地獄にて、かつて二代目閻魔大王候補とされた男である。
彼は、500年前のとある事件によって初代閻魔大王、ゴクオーにより罰を受けた。
そして500年後、刑を終えて戻ってきたサタンは、現世の小学校に小学生として頻繁に足を運んでいたゴクオー同様、現世に降り立ち、ゴクオーが通う小学校の校長として現れ、ある計画を実行しようとしていた。

「『現世地獄化計画』…実行の為に初代が通う学校に潜伏する直前でこんなことに巻き込まれたのは癪だが…ここはここで楽しめそうだ」

人間の本質は悪。
たとえどれだけの善人であろうと、一皮むけばみな本性を現し悪人となる。
サタンは現世にて、現世の人間たちの悪の心を引き出し、現世を地獄に変えてしまうという、恐ろしい計画を立てていた

「殺し合い…悪意が蔓延する舞台…『現世地獄化計画』の予行演習としてはこの上なく都合がいい」

サタンのこの殺し合いにおける目的。
勿論最終的には優勝を目指すつもりではあるが、ただ殺して回るつもりはない。
他の参加者…特に人間に悪意を植え付け、この地獄の舞台を更なる大地獄にする。
不信や裏切り、恐怖。
そういった悪の心で、この場所を満たす。
そして、元の世界にて現世を地獄に変える足掛かりとするのだ。

「初代ィ…貴様は精々現世でガキどもと遊んでいろ。俺様はこの殺し合いも、貴様の大好きな現世も…全て地獄に変えてみせるぞ!」

まずは、この殺し合いに反抗する、善人の皮をかぶった奴らと接触しよう。
見た目だけなら可憐な少女であるこの姿であれば、ある程度の信用は得られるだろう。
それと、やはり吸血鬼らしく日光には弱いようなので、昼間の活動拠点も抑えておきたい。
支給品に傘があったので全く外を歩けないわけではないが。

「ふん…しかし、495年館の地下に閉じこもった吸血鬼の妹、か」

この肉体の人物であるフランが、どういう理由で閉じこもっていたかまでは書かれていない。
しかし…自分に重なるその境遇を考えれば、ろくでもない理由だろう。
きっと彼女の姉であるレミリアは、初代と同じで妹の力を恐れて…

「…はっ、どうでもいいことだ」

ほんの少しの感傷と共感を心の中から追いやり、サタンは歩く。
この殺し合いの舞台を、地獄にする為に。

【サタン@ウソツキ!ゴクオーくん】
[身体]:フランドール・スカーレット@東方project
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、神楽の番傘@銀魂、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:この殺し合いの舞台を地獄にする。最終的には優勝狙い
1.善良な対主催グループに潜り込み、悪の心を植え付ける。
2.日光対策に一応昼間の拠点になりうる場所も探しておく。
[備考]
※参戦時期は39話終了後


542 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/08(土) 20:48:47 g7q4HhBU0
投下終了です


543 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/09(日) 00:33:40 CQHhRnzY0
投下します


544 : 違う月を見ている! ◆NIKUcB1AGw :2023/07/09(日) 00:34:51 CQHhRnzY0
おぞましい月が照らす夜の中、1匹のピカチュウが走っていました。
その名前を、ピカと言います。
ピカは、ポケモンリーグのチャンピオンであるレッドと一緒に旅をしていました。
しかしいつの間にか違うピカチュウの体になり、1匹でこんな場所にいました。
ピカには、「えんむ」という人間の言う言葉の全てが理解できたわけではありませんでした。
しかし、ここが命の危険がある場所だというのはわかりました。
死んでしまっては、もうレッドや仲間たちに会えません。
そんなことは、ピカにとってはいやでたまりませんでした。

それに、自分が今体を借りているピカチュウを死なせるわけにもいきません。
ピカにはプロフィールを読むことはできませんでしたが、毛並みのよさなどからこのピカチュウが野生ではなくトレーナーに育てられているとわかりました。
もし死んでしまえば、きっとトレーナーはひどく悲しむでしょう。
見ず知らずの人間であっても、誰かが悲しむのは辛いことです。
だからピカは、絶対に生きてここから抜け出そうと心に決めていました。

脱出のための手がかりを探して、ピカは走り続けます。
自分でないピカチュウの体は、とても速く走ることができました。
それはポケモンリーグを制したポケモンである、ピカですら感心するほどでした。


◆ ◆ ◆


そのピカチュウは、マサラタウンから旅立った少年と共に数々の冒険を経験したポケモンでした。
ピカにとっては、「もう一人の自分」と言ってもいい存在でした。
しかし、今のピカはまだそのことを知らないのでした。


【ピカ@ポケットモンスターSPECIAL】
[身体]:サトシのピカチュウ@ポケットモンスター(アニメ版)
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:ここから脱出する
[備考]
※参戦時期はレッド編とイエロー編の間
※肉体のプロフィールを把握していません


545 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/09(日) 00:36:14 CQHhRnzY0
投下終了です


546 : ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/09(日) 07:45:43 LkwF5fmc0
投下します


547 : アンフォーギブン ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/09(日) 07:45:54 LkwF5fmc0
「許せなかった…星野アイが双子の子持ちの親だったなんて……!!」

【リョースケ@推しの子】
[身体]:バトル・キング@タフ・シリーズ
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:元の世界に戻って星野アイを殺害する
[備考]


548 : アンフォーギブン ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/09(日) 07:46:17 LkwF5fmc0
投下を終了します


549 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/10(月) 18:54:49 2rykzujg0
wiki収録版にて拙作『太陽に育まれた娘』の文章を一部修正させて頂きました。


550 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/10(月) 22:34:07 pmQ/L20E0
皆さん投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>いつだって、舞台の上
うわでたドリカムおじさん。
役に立たなそうなら殺すとは言っても、下手を打てばそれが遠因となって計画失敗する可能性もあるだろうから、注意が必要そう。

>再起のHERO
鏡先生ほどの腕前の医者がいたとしても、恭介の腕を治せたかどうかまでは分からないし、そもそも既に過ぎ去った話ではある。
それでも、自分の患者ではなくとも、救いになるように戦うってのは良いですね。

>「仮面ライダー龍騎が好きなんだ」
こんな台詞があったこと、これを読むまで忘れてました。
メタ知識の制限されてしまうのはちょっと痛いかもです。

>【コラボ】チェンジロワのやみがヤバ過ぎる……【特別編】
「一度ウケたからって、同じ企画を焼き増ししてもバズるとは限りませんしね」>あっ、はい。何かすみません。
ロトムの力ならタブレット内のデータを消せるってのは盲点でした。

>もうやめろ、私はお前が嫌いだ
方向性は違えど、どちらも歪んでしまった正義って感じがしますね。
召喚された魔物は、新しく生まれた命判定なら、精神チェンジの対象外で問題はなしかと。

>シンチェンジロワ地獄化計画
人に悪の心を植え付けることの影響は、選ぶ相手によって大きさは変わるたろう。
フランに感じた共感も、少なからず影響出るかも?

>ピカ@ポケットモンスターSPECIAL
人から見たら同じようでも、ピカチュウ同士からしたらチェンジされたらそりゃあ別人(別ピカチュウ)であることになるから、こんな組み合わせも生まれるということですか。

>アンフォーギブン
まさかの人選で一行SSが来るとは。
実は元ネタは知らなかったのですが、調べるために画像検索して探してたら内容まんまのものが出てきて、納得と同時に思わず笑ってしまった。


551 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/10(月) 22:42:43 qmfCr8Ms0
投下します


552 : 其は太陽の化身 ◆yy7mpGr1KA :2023/07/10(月) 22:44:07 qmfCr8Ms0

「ぬあァッ!!!」

気合一閃、男が拳を振るった。
その一撃で身の丈ほどの巨大な岩が砕け散る。
その尋常ならざる力も男にとっては当然のことのようで、ゆるさん、と言わんばかりの怒りに染まった表情で破片を一瞥するだけだった。
常人なら腕の方が折れるだろうが、黒く染まったその肉体は揺るぎもしない。

その肉体は様々な名で呼ばれていた。
南光太郎、または世紀王ブラックサン、あるいは太陽の王子、仮面ライダーBLACK RXなど。
その名にふさわしく、男の腕は黒く光り輝いている。
しかしそれは本来の南光太郎が持つ能力ではなく、心の方に由来する輝きだった。
ある世界で流桜、または武装色の覇気と呼ばれる技法で男は腕を黒く染め、強靭なものにして岩を砕いたのだ。

心の名は、モンキー・D・ルフィという。
海賊王を目指し、海の皇帝と呼ばれるまでに至り、太陽の神をその身に宿した大海賊である。

男、ルフィは怒っている。
激情に身を震わせ、歯を食いしばり、怒りに任せて岩を砕いたのだ。

「ウタ……!!」

棺に眠る幼馴染の少女を見送った。
その最期に、かつて語り合った夢の果てにたどり着いてみせる、麦わら帽子にふさわしい男になってみせる、とそう誓いを新たにした。
その少女の亡骸が、似姿が、厭夢なるものに奪われていた。
夢を、誓いを、遺志を穢すような所業でルフィの逆鱗を逆なでしたのだ。
怒り。もう怒りしかない。

「あァァ!!!!」

感情のまま、激しい怒りのままに叫びをあげると、ルフィの気迫が辺り一帯に放たれた。
覇王色の覇気。
本来ならただの威圧だけで万を超える敵をなぎ倒すそれだが、規模も威力も小規模に収まる。
世紀王の器を海賊王という中身で満たしたとは思えない半端なそれ。

その不調もまた苛立ちを募らせ、ルフィが再び拳を繰り出す。
ウタを亡くして奪われて、こんなもの八つ当たりでしかないなど誰に言われるまでもなく分かっているが、それで止まるようなら苦労はない。
視界が赤く染まるほどの憤怒が沸き上がる。

その時、不思議なことが起こった。
光太郎の肉体がルフィの怒りに応えるように、バイオライダーに変身したのである。

一瞬のことだったため、ルフィはそうと気づく間もなく武装色を纏ったパンチを放っていた。
すると腕が伸び、パンチは彼方までも届く一撃となって立ち並ぶ障害をすべて砕き、貫いて、そして縮んで元の長さに戻った。
まるでルフィ本来の肉体のように。

バイオライダーの能力は体をゲル状に変えることができる、というものである。
ゲル状になった体に武装色の覇気を纏わせて弾力と強度を与えることで、偶然にもルフィは元のような伸縮自在の力を得たのだ。
それはルフィにとっても意外な出来事だったため、驚きが怒りを通り越して動きが止まる。

「お…?おぉー……」

身体をいじり、見渡して自分が変身していることに遅れて気づく。
能力者だろうか。だとしたらパラミシア?あるいはゾオン?それとも能力ではない科学による変身?

「だとしたら……」

何かに気づいたルフィが腰を落とし、両の掌を正面に向けて構えをとる。


553 : 其は太陽の化身 ◆yy7mpGr1KA :2023/07/10(月) 22:44:57 qmfCr8Ms0
仲間の一人、フランキーを想起させるフォームから

「ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーム!!!!」

雄たけびを上げてエネルギー波を前方に向けて放つ!
…………なんてことはできなかった。残念だがバイオライダーにそのような技はない。

「………………んー、ダメか。そういうのじゃねえのか、これは。でも」

再び腕に覇気を纏い、彼方に向けて拳を伸ばす。
強烈なパンチを空に放ち、そしてそれがバチンと音を立てて縮んで戻る。

「ギア4みたいな感じでやれそうだな。いや、どっちかっていうと」

ギア4ほどの覇気の消耗も、張力もない。
色合いは水あめのよう。その弾性はゴムよりは餅のよう。そう、まるで

「カタクリみてえだ。なら、あいつみたいに戦えるか」

先日まみえた好敵手を思い出す。
自分と近似する能力を持ち、自分以上に能力も覇気も使いこなした戦士。四皇の大幹部、偉大なる海賊の先達。
彼を思わせる能力を得て、彼との戦いを振り返って、大切なことも思い出す。
熱くなれば勝機を逃がす。冷静でなければ未来は見えない。

息を一度、吸って、吐いて。
怒りを抑える。忘れはしない。一時裡に溜め込んで、然るべき時に炸裂させるのだ。
冷静になって見聞色の覇気を発動させる。
ウタの歌声は何度も聞いた。
肉体だけとはいえ、その声を自分が聞き漏らすはずがない。エンムとかいうやつを見つけてやると耳目を凝らすが……

(なんでだ?上手くできねえ。まだ冷静じゃねえのかおれは)

ウタの声が聞こえないだけならばともかく、周囲一帯の声が全く聞こえないというのは妙だ。
ルフィはバカだが、愚かでない。
殺しあえ、というのだから自分以外に誰もいないということはあり得ない。コロシアムに戦士を一人だけ放り込むなんて間抜けはしないだろう。

(あー、そういやフランキーがチョッパーになったら暴走したし、ケムリンになったメガネのやつは弱くなってたし、おれもなんかダメになってんのかなぁ)

見聞色で声が聞こえないということは自分に不備があるということで、そこからかつての同盟者トラファルガー・ローの能力を思い出す。
身体の入れ替わりという近似する事象だがまさか彼が関わっているなど露ほども疑わず、ただ似たような理由で自分も覇気をうまく扱えないのではと思い至る。

「ま、それならそれでしょうがねえか」

出来ないことを嘆き続けても仕方ない。悪い意味でいつでも前向きと評された切り替えの早さを取り戻してきたようで、思考はすぐに次の段階へと移っていた。
砕いた岩の欠片を一つ手に取り、上空へと軽く放り上げる。
すぐに重力に従い落下してくるそれの軌道上に腕を伸ばすと、接触する直前で能力を発動した。
腕をゲル状にし、最小限の変形で岩を避けたのだ。かつての戦いでカタクリがやったように。

「コレが実戦でもできれば見聞色の修行になる!前より強くなって、ウタの身体を取り戻す!」

よし、と一息つくとバイオライダーへの変身が解けて南光太郎の姿に戻る。
その姿で己の内側を探るように覇気を走らせると

「…こいつか」

腰のあたり、キングストーンという変身の源に気付いて手で触れる。
そうするとなぜだかルフィ自身にもわからないのだが、改めて変身することができるだろうという考えが湧いてきた。
ゾオンやロギアの変形、あるいは能力の覚醒に近しいような、できて当然という確信に満ちていく。

「えーと。じゃあ、ギア……いや違うな。サンジのレイドスーツみたいだし……あれが〈黒!マスク!たてがみ!〉だからこれは……」
『バイオライダーだ。その姿の名は、バイオライダー』
「え?」

不思議なことが起こった。
ルフィの脳裏に何者とも知れぬ声が響いたのだ。
周りには誰もおらず、声を発せるようなものは何もない。
だからこそ、というべきか。ルフィは声の主がなんとなく分かった。
キングストーン。その身に宿る神秘の石から響いたものだと。

見聞色の覇気は、極めれば万物の声を聞くといい、石に込められた想いを声として聞く達人すら存在した。
本来ならルフィもまた見聞色の達人である。
海王類や巨象など人ならざるものたちの声を聞いた経験がルフィにその声が幻聴ではないと確信させたのだ。


554 : 其は太陽の化身 ◆yy7mpGr1KA :2023/07/10(月) 22:46:30 qmfCr8Ms0

「ふーん、バイオ……じゃあ〈ギア・バイオ〉か。おれの考えてた〈青!マスク!ゼリー!〉より…いいな」

改めてギア2を発動するように腰を落として宣言する。〈ギア・バイオ〉と。
その声と覇気に応えるように体がバイオライダーへと転じるのを確かめると今度はすぐに変身を意図して解き、次には荷物をほどき始める。

「タブレット…よくわかんねえし、ログポースみたいに壊れても困るしなー。ビブルカードとかねえかなー」

一先ず誰かと合流する手段が欲しい。
独りでいるのは寂しいし、タブレットの使い方もよく分からないし、腹も減るし、これから戦いになるのだから仲間は必要だ。
何かないかとデイパックを漁るが……それらしいものは見つからない。
出てきたものといえば

「お、キノコだ!食えるやつかな!?」

色とりどりのキノコ詰め合わせが出てきた。
一先ず腹が減ることへの当面の対策になるだろうかと中身を漁る。

「これは…チョッパーが食べちゃダメだって言ってた気がするな」

まず一つ、アミウダケ。毒キノコだ。食べられない。
仲間のアドバイスに従って食べはせず、とはいえ捨てて誰かが拾っても問題なので改めてしまうことに。毒に耐性があるなら食べられるかもしれないし、など考えつつ。
次のキノコは

「お、ワライダケじゃん。こんな時はこれがいいんだ」

ワライダケ。食べると笑いが止まらなくなる毒キノコだ。
しかしそれをルフィは服用していた経験があり、孤独を誤魔化す手段としていた。
今回もまた一人でいる寂しさを紛らわせるために口にしようとする。
が。
キノコの山から現れたもう一つのモノがルフィの頭を氷点下まで冷ました。

三つめは、ネズキノコ。
食したものから眠りを奪い、正気を奪い、命まで奪う悪魔のキノコ。
ウタの命を奪ったそれ。所詮キノコに意志などないが、悪感情以外の何を抱けというのか。
目につく限りのネズキノコを全て地に捨て踏みにじり、二度とだれも口にしないようにする。

「…………キノコなんか、食ってる場合じゃねえな」

一度は抑えた怒りがまたぶり返す。
そうだ。
こうしている今もウタの肉体は奪われたままなのだ。
忘れるわけはないが彼女の躰と、もしかしたら能力までものにしているのかもしれないと思うと一分一秒も惜しい。
前回はトット・ムジカの撃破が間に合わなかった。
あと少し急いでいたら、あの時ああしていたら、もしかしたら。
義兄の時にも何度もよぎった後悔だ。
だから、こんどこそ。
せめて亡くなった後くらいは。

「待ってろよ、ウタ」

祈りを込めて、誓いを秘めて歩き出す。
親愛なる歌姫に、せめて安らかな眠りあれ、と。


555 : 其は太陽の化身 ◆yy7mpGr1KA :2023/07/10(月) 22:47:05 qmfCr8Ms0

【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】
[身体]:南光太郎@仮面ライダーBLACK RX
[状態]:健康、激しい怒り(だいぶ落ち着いた)
[装備]:キングストーン@仮面ライダーBLACK RX
[道具]:基本支給品、キノコ詰め合わせ(ネズキノコ抜き)@オリジナル、ランダム支給品0〜2(ビブルカードではない)
[思考・状況]基本方針:エンムをぶっ飛ばしてウタの身体を取り戻す。
1:まずは仲間集めだ。10人は欲しいかな!とりあえず音楽家と、コックと、医者と…あとタブレット使える頭のいい奴!
2:動物系?超人系?わからねえけど変身するのは面白いなコイツ。元の体に戻ったら仲間になってくれねーかな。
3:ここ、ウタワールドなのか?

[備考]
※参戦時期はFILM RED終了後です。
※RXおよびロボライダーには現在のところ変身できませんが、ウタの身体を奪われた怒りでバイオライダーに変身できるようになりました。武装色を纏うことで体の一部を弾性の強いゲル状に変化させてゴムのようにすることができます。
※見聞色、覇王色の覇気は効果も射程も大きく落ちています。体が馴染んでいないためか制限によるものかは後続の書き手にお任せします。
※キングストーンがランダム支給品に含まれるかは後続の書き手にお任せします。

[支給品紹介]
【キノコ詰め合わせ@オリジナル】
様々なキノコの詰め合わせセット。ルフィの見たことない、作品や世界観の枠も超えた様々なキノコが入っていてもおかしくはない。
ただし開幕ルフィの手によりネズキノコだけは一つ残らず廃棄・踏みつぶされた。
確認できたのは以下の通りだが、他にもあるかもしれないし、ないかもしれない。

・アミウダケ@ONE PIECE
猛毒のキノコ。
食べても不味く、口にして数時間で死に至る。
かつて麦わらの一味のトニートニー・チョッパーは正しい医療知識を持っていなかったため、恩人Dr.ヒルルクにこのキノコを薬として口にするよう勧めてしまった。

・ワライダケ@ONE PIECE
食べると笑いが止まらなくなるキノコ。
幼少期や女ヶ島でルフィは独りの寂しさをこれで誤魔化していた経験がある。

・ネズキノコ@ONE PIECE
食べると眠れなくなり、時間を追うごとに狂暴化し、いずれ死に至るキノコ。
ONE PIECE FILM REDにおいてウタが口にし、無理矢理にウタウタの能力を継続した。
ウタは多量に口にしていたため明確な致死量は不明だが、効果を発揮すると数時間で死亡するようだ。


556 : 名無しさん :2023/07/10(月) 22:47:54 qmfCr8Ms0
投下終了です


557 : ◆kLJfcedqlU :2023/07/10(月) 23:08:18 sa8VgFjw0
投下します


558 : 怨炎を以ても解けぬモノ ◆kLJfcedqlU :2023/07/10(月) 23:17:55 sa8VgFjw0
 「じゃあ、嬢ちゃんも死んでるのか。奇遇だな。」
 「全くね。お互い逝くところにもいけないでこんなところでフラフラしてるなんて、ままならないわ。」
 「違いねえ。」

 歪んだ月の照らすビル街の一角で、2人の笑い声が響く。
 より正しく言えば、一人の少女とその傍らに浮く骸骨が、どこか虚しそうにからからと笑い合っている。

 笑う少女、その体の名をシノブという。
 彼女の傍らに浮くドクロは彼女の父だ。霊媒の仕事の最中ドクロの身体になってしまった。そんな父をもとに戻すことが、本物のシノブの目的だ。
 無論、このシノブもドクロも魘夢の手によって中身は別人に変わっていた。


 「それで、これからどうするんだ?禪院の姉ちゃん。」
 傍らのドクロの問いかけに、禪院と呼ばれたシノブは苛立ちを持って答える。

 「名字で呼ばないでって言ったわよね。シルバーのおじさん」
 「悪い、そうだったな。それで、真依の嬢ちゃん。これからどうする?」
 「一先ず、安全地帯を見つけないとね。状況がさっぱり分かんないし」
 「同感だな。」

 シルバーと呼ばれたドクロの問いに堅実な答えを返し。一人とドクロはビル街の片隅を行く。

 シノブの体に宿る精神の名は、禪院真依。
 呪術の名家にあって、出来損ないと蔑まれた女。
 父に斬り捨てられ、姉に願いと呪いを託して死んだ妹。

 ドクロの中宿る精神の名は、シルバー・フルバスター。
 悪魔によって殺され、悪魔によって蘇させられた男。
 悪魔を滅する力を息子に託し、息子の胸の中で二度目の死を迎えた父親。

 共存する存在として扱われた二人は、一人だけが生き残るデスゲームの中行動を共にする関係である。


 廃ビルの一角で休む場所を見つけた真依は、タブレットで自分たちの情報を確認する。
 それを見た真依は、自身の中の常識はやっぱり随分歪んでいるのだと、死んだ後ながら自覚した。

 何より大きいのは、父親との関係だろう。

 ドクロ親父という青い炎を持ち周囲に浮かぶドクロ。体の少女の父親である彼は、スケベで難儀な性格をしていながらも、娘への愛は本物だ。
 その中に宿ったシルバーという男。彼もまた悪魔に殺され死霊術により隷属されながら、息子のことを思い息子の成長を見届けて消えた優しき父親だ。

 真依のことを産まれたときから出来損ないと蔑み、挙句の果てに致命傷を追わせた実の父とはえらい違いだ。
 タブレットを読み進めながら真依は自嘲気味に笑う。

 そして真依の体となっているシノブという少女。
 霊媒師や退魔師としての技能を持つ体であり、呪術師である真依との相性は抜群に良い。
 むしろ呪術師としての素質をいうのであれば、真依より遥かに高いのではないか。そう確信できる程度にはシノブの呪術適性は高かった。

 おそらくシノブの体であったならば、真依の術式は平安の術師のような蟲の鎧とまではいかずとも、弾丸一つ作るのが限界になるチャチなものではなかっただろう。
 あるいは生前がこの体であったなら、辛酸と苦汁を舐め続けた人生も多少は変わっていたかもしれない。

 「複雑ね...いまさら気にもしないけど。」

 何から何まで真依を虐めんばかりの人選で固められた現状に、つまらなそうにため息をつく。
 もし生前の真依であったなら、多少なりとも心が揺さぶられていたかもしれない。
 姉にすべてを託し、ぜんぶを壊すことを望んで死んだ今となっては、その感情も凪いだものだ。
 
 この全てが魘夢の仕込みであるのならば、実に質の悪い話である。
 ウタという少女の陰に隠れた主催者。その本来の姿は芋臭いブサイクに違いないなと真依は思い、バカにしたようにクスリと笑った。


559 : 怨炎を以ても解けぬモノ ◆kLJfcedqlU :2023/07/10(月) 23:31:19 sa8VgFjw0
 「シルバーのおじさん。ちょっといいかしら。」
 「なんだ。嬢ちゃん。」
 タブレットを読み終えた真依は、気になる文面を見つけシルバーに手招きする。
 ふわふわと寄ってきたシルバーに、真依はタブレットの画面を見せる。そこにはドクロ親父の、すなわちシルバーの能力が書かれていた。

 シルバー・フルバスターがこの会場で持つ能力は、大きく2つ。
 一つは、ドクロ親父の体が持つ占いの力。
 中身がシルバーでは百発百中とはいかないが、あてずっぽうよりは参考になる力だ。

 そしてもう一つが、シルバー自身が会得していた、『氷の滅悪魔法』。
 真依の興味を引いたのはこちらの能力だ。
 魔法という真依にはなじみのない言葉。魔女のような友人はいたが、彼女は呪術師であり魔女ではないのだ。

 「魔法...って。具体的に何ができるのよ。」
 「ああそうか。真依の嬢ちゃんは魔導士じゃねえもんな。」

 真依は詳細の知らないものに対しての警戒を半分、魔法というファンタジックなものに対する興味半分といった眼でシルバーを見つめる。
 警戒が期待を上回ったような少しだけ光る眼をむける少女に、「ちょっとまてよ、今見せるからよ」とシルバーはドクロの体に力を籠める。

 変化はすぐに起きた。
 ピキリという音とともに、真依のすぐ横の地面に氷が生まれる。
 紫色に光る氷は周囲の瓦礫を吹き飛ばしつつどんどん大きくなり、みるみるうちに真依を超える高さの氷柱が生み出される。
 曇り一つない氷は隣に立つ真依の姿を奇麗に映し、呪力とは似て非なるエネルギーを放ち佇む。
 下手な炎では溶かせない、魔力を秘めた滅魔の氷だ。

 「.....へぇ。やるじゃない。」
 「ざっとこんなもんだ。息子に託したはずだったが、残滓程度は残っているらしいな。」

 紫の氷を見て満足げに笑う真依をよそに、前より出力は落ちてるなとシルバーはぼやく。
 冥府の門にいたころは村一つ凍結させ得た滅魔の氷も、ドクロ親父の姿では広範囲に力を振るうのは難しい。
 それでもこのデスゲームを生き抜くにあたり、頼もしい武器だ。

 「思わぬ収穫ね。」
 「そりゃあどうも。」

 自分の手札を再確認した真依。思わぬ戦力に高揚を冷めやらぬまま、今後の方針を決める。

 真依とシルバー。二人に共通していたことは、率先して人を殺すつもりはないということだ。
 2人とも人を殺す覚悟が無い人間ではないが、好き好んで殺したいわけではない。
 だが、バトルロワイヤルである以上率先して人を殺す参加者は少なくない数居るだろうし、それに対する備えは必要だ。
 その点、シノブの体もシルバーの魔法も『備え』としては十分といえた。

 一先ず、他の参加者を探し、上手くいけば協力関係を気づく方針で。二人は纏まる。
 真依は移動をしようと腰をあげ、荷物を纏めながら。一つ思い出したように振り返り尋ねた。

 「そういえばシルバーのおじさん。純粋な興味で聞くんだけど。なんで氷なの?」
 「なに簡単な話だ、俺の標的だった最強の悪魔にE.N.Dってやつがいてな。」
 「ああ、その悪魔に対抗するためってことね。」

 成程と頷く真依に、シルバーは続ける。

 「そうだ。E.N.Dは炎の悪魔だった。だから対抗するために、氷の滅悪魔法を会得した。」

 それだけの話だ。とシルバーは締めくくる。


560 : 怨炎を以ても解けぬモノ ◆kLJfcedqlU :2023/07/10(月) 23:32:50 sa8VgFjw0
 
 ゼレフ所の悪魔

 シルバーの世界で、最強最悪の黒魔導士が生み出した。正真正銘の怪物たち。
 悪魔のギルドに居ながら、悪魔に殺され滅魔の力を会得したシルバーの怨敵達。
 そのギルドのマスターであるE.N.Dは、シルバーが最大の敵と定めた相手だ。

 無論、それは真依の敵ではない。真依の敵は別にいる。

 炎の悪魔。シルバーからすれば質問に答えただけの純然たる事実。
 だが、その言葉を聞いた真依の脳裏には、一つの姿が浮かぶ。
 それは、炎を纏った巨人でも鉄を溶かす火を吐く竜でもない。

 頭に浮かぶのは、炎を纏った剣を振るう呪術師。
 実の父である禪院扇の姿。
 
 生前は勝つことなど考えもつかなかった、恐怖の象徴。
 悍ましいほどの罵声と嘲笑により、戦う気力は幼少の頃より折られていた。
 何より彼は、真依の死の直接の要因となった傷を負わせた相手。

 ドクロ親父やシルバーとは比べることさえおこがましい、クソ親父にしてろくでなし。

 自身の死後、姉が真依との誓いを果たし、扇を一刀のもとに下したことも。願い通りに姉妹を縛るすべてを壊してくれたことも、ここにいる真依は知らない。
 知っていることがあるとすれば。真依の死に際の約束を姉が絶対に守ってくれるという信頼。
 
 そして、強くなんてなりたくなかった少女の手に、炎の悪魔を倒すための魔法があること。

 シルバーの返答に真依の口角は無意識のうちに上がる。
 真依本人がそのことに気づいているかはわからない。
 望みさえしなかった力を、全てを失った後に得た少女は、ただ答える。

 「悪くないわね。それ。」
 「そうか。なら存分に使ってくれ。」

 真依の答えに声を上げて笑うシルバー。彼は真依の言葉の真意を知らないし、聞くつもりもない。
 ただ、息子とそう変わらない年で自身と同じように生者に託して死んだ少女に力を貸す。 
 父親に愛されなかった少女を前に、死んでまでも息子を愛した父親は、少女の力になる覚悟を、とっくの前にきめていた。


561 : 怨炎を以ても解けぬモノ ◆kLJfcedqlU :2023/07/10(月) 23:34:37 sa8VgFjw0
【禪院真依@呪術廻戦】
[身体]:シノブ@プリンセスコネクト!Re:Dive
[状態]:健康 興奮(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺されてやる気はないけど、殺し合いに乗るかは状況次第。率先して殺す気はなし
1:炎の悪魔を殺すための氷...悪くないわね
[備考]
※参戦時期は死亡直後。死んだ後の出来事は把握していません
※術式の使用・呪力の操作などが可能かは後続の書き手様にお任せします

[副人格キャラ状態表]
【シルバー・フルバスター@FAIRY TAIL】
[身体]:ドクロ親父@プリンセスコネクト!Re:Dive 
[状態]:万全 真依の周囲に浮遊
[思考・状況]基本方針:真依に同調 基本的に彼女の意志を尊重する 
[備考]
※参戦時期は消滅後
※氷の滅悪魔法の規模は弱体化しています


562 : ◆kLJfcedqlU :2023/07/10(月) 23:35:33 sa8VgFjw0
投下終了します


563 : ◆tAzjJve9.E :2023/07/11(火) 00:05:58 iV/CXjYg0
投下します


564 : DANGER!! ◆tAzjJve9.E :2023/07/11(火) 00:07:02 iV/CXjYg0


「お月様がまるで怒ったみたいに……一体何が起きているの?」


一人の少女が異様な月を見上げ、慄いていた。
豊満な胸と形の良い尻をした肉体の少女の名は間桐桜。
身体的特徴が具体的なのは、彼女の肉体が一糸纏わぬ全裸であるからだ。


間桐桜の肉体に宿った精神、つまり殺し合いのプレイヤーに選ばれた者は瑞々しく豊満な身体を惜しげもなく晒しながら、しかしそれ自体には何の疑問も抱いていない。
その者の本来の肉体が男性であるからではなく、人外の生物というわけでもない。間桐桜と同じく人間の女性である。
にも関わらず裸でいることに羞恥も疑問も感じないのは彼女、モモコの生い立ちに理由がある。


幼少の頃、天狗森で両親とはぐれ迷子になったモモコは妖怪である木の子たちと出会い、仲良くなった。
そのまま五年間森の中で人間と会うことなく過ごすうちにいつしか両親の存在をはじめとした人間社会の記憶を失い、衣服を着ることも忘れた。
木の子たちと違い人間であるモモコは五年のうちに成長し、第二次性徴を迎えていたがそれでも裸で過ごすことに何の疑問も抱いてはいない。
むしろ、モモコの精神が宿った者が衣服を着ている者であったなら、そちらの方に疑問を抱いただろう。


「これが今の私の身体なの?背も高いし声も違うし、胸もこんなに大きいし、お股に毛も生えてる……。
私の身体も大きくなったらこんな風になるのかしら?」


近くにあった池の水面に映った今の自分の身体をしげしげと眺める。
動く度に揺れる豊満な胸を興味津々に触り、揉みしだいていく。


「んっ……!」


揉んでいくうちに胸の先端を摘むと、性的快感に襲われ一瞬身体が震え、甘い吐息が漏れた。
未知の感覚への戸惑いが快感を上回り、慌てて手を離した。
幼い上に人間社会の常識がないモモコには殺し合いの主旨も、支給品の扱い方も、自分の身体になっている人間のプロフィールもよく理解できない。
それでも何かただならぬことが起きていることだけは理解できていた。


「みんな、無事だといいけど……ううん、私が探しに行かなくっちゃ!」


気になるのは共に暮らす木の子たちの安否だ。
もしかしたらモモコと同じように身体を入れ替えられて、どこかにいるかもしれない。


そうして少女は走り出した。
一糸纏わぬ全裸であることに羞恥も疑問も抱くことなく、己がどれほど扇情的で無防備な状態でいるかも一切自覚しないままに。



【モモコ@ゲゲゲの鬼太郎(アニメ版)】
[身体]:間桐桜@Fate/stay night Heaven’s Feel
[状態]:健康、全裸
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:スタンス不明
1:木の子たちを探す。
[備考]
※少なくとも人間社会に戻る前からの参戦です。
※肉体(間桐桜)の参戦時期は士郎に『破戒すべき全ての符』で刺された直後です。
※殺し合いや支給品の説明、肉体(間桐桜)のプロフィール等について半分以上理解できていません。


565 : ◆tAzjJve9.E :2023/07/11(火) 00:07:23 iV/CXjYg0
投下終了です


566 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/11(火) 00:17:29 Dlozahbw0
投下します


567 : ブラックホールになったやつがいる ◆NIKUcB1AGw :2023/07/11(火) 00:18:30 Dlozahbw0
「あの地獄の次は、殺し合いだと! いいかげんにしろ!」

怒号を飛ばしながら、男は苛立ち紛れに足下の石を蹴飛ばす。
男の名は、アーノルド・ベックマン。
海底油田基地「セラフィックス」の所長秘書だった男である。
セラフィックスを襲った異常の中で、彼は権力を握った。
そして他の職員を犠牲にしながら、生きながらえた。
だがようやく脱出の目が見えてきたところで、彼はこの殺し合いに連れてこられた。

「くそっ、とうてい納得はできないが……。
 こうなってしまった以上は仕方ない。
 伊達に、極限状況で生き延びてきたわけではないというところを見せてやる……」

未だ動揺をにじませながらも、アーノルドは支給されたタブレットを操作し始める。

「この肉体は……。第二次世界大戦中の軍人のものか。
 それなら、多少なりとも戦闘力はありそうだな。
 しかも魔術師でもあると……。
 大喜びするほどの当たりではないが、無力な女子供よりはよほどましか」

情報を確認しながら、アーノルドはおのれが生き残るための策略を組み立てていく。

「さすがに、単独行動で最後まで生き残るのは厳しいだろうな。
 殺し合いに否定的な連中を集めて、私を守らせるのが無難なところか。
 戦闘力の高い奴を引き込めれば、なおいい。
 問題はどう交渉するかだが、まあ魔術師なら多少の精神操作くらいは……」

アーノルドの独白は、そこで途切れる。
彼が、例えようのないほどの悪寒を感じたからだ。

「な、なんだ! 誰かいるのか!」

一瞬で顔を冷や汗だらけにしながら、アーノルドは背後に振り向く。
そこには、一人の男がいた。
白髪を長く伸ばした、和風の装束を纏った男だ。
顔を見る限り、年齢は中年から初老程度。
だが体つきは、年齢の割にはしっかりと鍛え込まれているのが一目見てわかる。
そしてその目は、冷たく輝いていた。

「落ち着け! 私は殺し合いに乗っていない!
 まずは話し合おう!」

必死で呼びかけるアーノルドだったが、男からの返事はない。
その代わり、男の体に変化があった。
彼の体から、黒いもやのようなものが吹きだしてくる。
同時に、周囲に異変が起こった。
近くの石や木の葉が、男の体に吸い寄せられている。
やがてその異変は、アーノルドの体にも生じた。

(これは……よくわからんがまずい!)

本能で危険を察したアーノルドは、一目散に逃げようとする。
だが彼の脚力よりはるかに強い力で、男がアーノルドを引き寄せる。
アーノルドの体は宙に浮き、猛スピードで男に向かって飛んだ。

「う、うあっ……ふぐっ!」

男に首根っこを掴まれ、アーノルドは止まる。
だがそれは、彼にとって全く安堵すべき状況ではない。
男は凄まじい握力で、アーノルドの首を絞めているのだから。

「やめ……ろ……。私……を……殺せば……後悔……する……ことに……」

必死で声を絞り出し、命乞いをするアーノルド。
だが死の恐怖に支配された頭脳では、まるで具体性のない脅ししか出てこない。
そんなものが、男の心を動かすはずもない。

「愚かだな」

短く吐き捨て、男はアーノルドの首をへし折った。


568 : ブラックホールになったやつがいる ◆NIKUcB1AGw :2023/07/11(火) 00:19:43 Dlozahbw0


◆ ◆ ◆


「やはり人類は、救いようがない……」

伝説の忍者・自来也の肉体でそう呟く男の名は、アヅマ。
はるか昔、ギフという超常生命体と契約したことで不老の肉体となった男だ。
悠久の時を、彼は人類の監視者として過ごした。
その結果、彼は人類に失望してしまった。
「人類に善も悪もない。ただ愚かである」と。
それからの彼は、山奥にこもり世捨て人として過ごしていた。
だがこの殺し合いに参加させられたことにより、アヅマの中で監視者だった頃の感情が蘇ってきた。
このような愚かな行いをする人類には、今一度自分が裁きを下さねばならないと。
さいわい、ギフの死によって崩壊を始めた肉体は新たなものが与えられた。
さらに支給品の果実を食べたことで、強力な闇の力も手に入れている。

「後悔するがいい、主催者共。
 私に、これほど強大な力を与えたことをな……」

そう言い残すと、アヅマは夜の闇の中に消えていった。


【アーノルド・ベックマン@Fate/Grand Order(身体:間桐少佐@コハエースGO 帝都聖杯奇譚) 死亡】


【アヅマ@仮面ライダーリバイス】
[身体]:自来也@NARUTO
[状態]:健康、ヤミヤミの実の能力
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜5(アーノルドの支給品を回収済み)
[思考・状況]基本方針:参加者も主催者も、自分が裁く
[備考]
※参戦時期はシックと出会う直前


【ヤミヤミの実@ONE PIECE】
自然系の悪魔の実。
一般的な自然系と異なり体を不定型にすることはできず、それどころか後述の能力により敵の攻撃も引き寄せてしまう。
その本質は、全てを引き寄せ飲み込む「引力」の力である。
また他の能力者に触れることで、その能力を封じてしまう特性も持つ。


569 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/11(火) 00:21:02 Dlozahbw0
投下終了です


570 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/11(火) 00:21:43 pKU.qdM20
投下します


571 : シーホースとかも新規テーマでリメイク来たらしいよ ◆QUsdteUiKY :2023/07/11(火) 00:22:19 pKU.qdM20
スカゴブリン
通常モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 400/守 400
完璧な「スカ」の文字を極めるため、日々精進するゴブリン。
その全てを一筆に注ぐ。

そんなあんまり使い道もなく、モリンフェンのような謎のカルト的な人気もない微妙なバニラのスカゴブリンに新たなテーマの所属カードとしてリメイクカードが登場した。

メメント・ゴブリン
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 400/守 400
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに、
自分フィールドに「冥骸合竜-メメントラル・テクトリカ」が存在する場合、
このカードを手札から捨てて発動できる。
このターン中、自分フィールドの「メメント」モンスターを相手は効果の対象にできない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
自分フィールドの「メメント」モンスター1体を破壊し、デッキから「メメント・ゴブリン」以外の「メメント」カードを2枚まで墓地へ送る(同名カードは1枚まで)。

色々と使い道がありそうな新規カードだ。
そして今回、一体のスカゴブリンがメメント・ゴブリンの肉体を得たわけだが――


「知るかバカ!そんなことよりスカの文字だ!」

彼は何一つ変わらなかった。
殺し合いだろうがなんだろうがガン無視。ボディチェンジ?リメイクカード?知るか馬鹿、と。ひたすらスカの文字を書き続けた

【スカゴブリン@遊戯王OCG】
[身体]:メメント・ゴブリン@遊戯王OCG
[状態]:健康
[装備]:スカゴブリンの筆と紙と炭@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:知るかバカ!そんなことよりスカの文字だ!
1:知るかバカ!そんなことよりスカの文字だ!
[備考]


572 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/11(火) 00:22:39 pKU.qdM20
投下終了です


573 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/11(火) 22:09:17 XOHGL6720
投下します


574 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/11(火) 22:10:53 XOHGL6720
「身体を入れ替えた上で行われるデスゲームに、3日後に落下し全てを終わらせる顔のある月…リアリティーも何もあった物ではない、とんだフィクションだ。
…と言いたい所だが、あの時死んだ筈の私がこうして、他人の身体に封じ込められた上でこの場に立っている以上は…認めるしかないようだ。これがこの殺し合いでのリアルだと…」

上半身は白を基調とした軍服を着ているが下半身が下着…それもパンツのように見えるズボンのみな少女の肉体に入れられた青年は、物怖じせず月にある顔を見ながらそう零す。ち
男の名はニラム。デザイアグランプリの"元"ゲームプロデューサーで、フィクションを唾棄しリアルを…リアリティを追い求めた未来人。
それを追い求めたが故、また現代とその世界の人間に感化された故に使命に対し情熱を持った彼は…最期は銃撃というある種リアリティある攻撃により致命傷を負い、ある1人のプレイヤーのリアルを見届けたかったと遺し跡形もなく消えた筈だった。

(スエルやサマスの関与…は、運営に歯向かう形になった私をわざわざこうする必要性が無い。それに関与しているならば…)

そう思いながら、バッグの中から取り出したのは…仮面ライダーゲイザーへと変身する為のヴィジョンドライバーとプロビデンスカード。

「…大幅な機能の制限がかかっているとはいえ、これを私に支給するような真似も、ましてや誰にでもゲイザーへの変身を可能にはしないだろう」

説明書には制限されている機能についてと、誰でも変身可能になっている旨が書かれており、ニラム自身も一度試したのだ。

(この身体でも変身が可能な事自体は有り難い、が……奪われないよう立ち回らねば)

「…果たして、運営側のやり方はリアルなのか、それともフィクションの上に成り立った真実なき虚構か…見極める必要があるようだ」

そう思案しつつも、ニラムは行動方針を定める。
殺し合いに自分から乗る気は無く、魘夢らこの殺し合いの運営のやり方を見定めつつ情報を探り、降りかかる火の粉は払い除けると。

(…この少女と私の共通点は…精々よく食べる事程度。「ネウロイ」や「ウィッチ」と言った、聞いた事の無い単語ばかりがあるタブレットの情報が…リアルかフィクションかを判断する為にも、身体の持ち主と繫がりがある参加者と…それに、ストライカーユニットなる物も探すべきか)

精神側であれば話は早いが、肉体側だとしてもタブレットの情報を比べる形で見れば比較的判断し易いだろうという考えである。
最も、こちらの場合は友好的な参加者に見せて貰うか、破損してない場合に限るが既に息絶えた死体から拝借するかになるのだが。
ユニットの方が見つかり装着して使用可能ならば、わかりやすい物証になるだろう。

…と、そこまで考えていたニラムの脳裏に、ある可能性が浮かぶ。
リアルを見届けたいと望んだプレイヤー…浮世英寿が、この殺し合いに巻き込まれているのではという考えが。

(浮世英寿…もし君がこの殺し合いに呼び込まれていたその時は、今度こそ見届けるとしよう…悠久の時を超えた君のリアルを)

【ニラム@仮面ライダーギーツ】
[身体]:ジョーゼット・ルマール@ブレイブウィッチーズ
[状態]:健康
[装備]:ヴィジョンドライバー&プロビデンスカード@仮面ライダーギーツ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:この殺し合いの運営側のやり方がリアルなのかそうでないのか、情報を集め見極める
1:浮世英寿が巻き込まれていれば、彼のリアルを見届ける。
2:殺し合いに乗る気は今はないが、降りかかる火の粉は払う。
3:身体の持ち主(ジョゼ)の知り合いか、知り合いの肉体を与えられた参加者を探す。
4:ストライカーユニットなる物も探す。
[備考]
※参戦時期は死亡後からです。

【ヴィジョンドライバー&プロビデンスカード@仮面ライダーギーツ】
仮面ライダーゲイザーへと変身させるアイテム一式。一個のアイテム扱い。
なお主催側の手により、誰でも変身可能にされているものの、ヴィジョンドライバーの機能のひとつであるデザイアグランプリのルールの設定及び修正や、真実の目に保存された歴代のゲームマスターの記録を閲覧する事は不可能となっている。


575 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/11(火) 22:11:45 XOHGL6720
投下終了です、タイトルは「真実(リアル)を探し求める」です


576 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/13(木) 18:58:55 0NI60qlY0
投下させて頂きます。


577 : 双子の片割れ ◆bLcnJe0wGs :2023/07/13(木) 19:00:26 0NI60qlY0
 青い肌、緑色の服、長い紫色の髪。
 手鏡や身体側のプロフィールを確認するまでもなく自分が現在誰の身体に入れられているのか、精神側の『彼』は理解していた。

(ジニー…今度こそは守ってやる!)

 その身体の名はヴァージニア・ポー。 とある世界の不死者達が支配する地球で、人間や滅びた他の惑星から逃れて来た人々を苦しめてきたヴァンパイアの一員だ。

 そしてその身体に入れられた者の名はエドガー・ポーで、同じヴァンパイア。
 ヴァージニアの双子の兄であり、妹を『ジニー』と呼び、大切にしてきた少年である。

 かつては自分達より先に辺境伯のライマーを討った、地球の支配者たるデュマ公爵への復讐を目的に掲げる暗黒剣の使い手、
 反生命種達の支配から人々を救う為に闘い続けるギルドの一員である太陽銃の使い手、
 身も心も目的もバラバラだが反生命種達の支配を脅かす存在となった二人組をこちらも双子であるが故の抜群なコンビネーションと星霊獣が封じ込められた棺桶スーツで襲いかかたのだが、結果はこちらの敗北。
 兄妹共々敵側が容易した棺桶に入れられ、本物の太陽が当たる宇宙空間に運び出され、地球側の人々が扱う太陽の光を光線にして放出する魔法科学が用いられた兵器によって一緒に浄化され、利用していた星霊獣達も奪還されたが、エドガーは消滅するその時まで二種の武器の使い手達を睨みつけていた。

 その後に意識を取り戻した時にはこの殺し合いの場に招かれ、現在に至る。

 そんな『彼』は妹の為にも己の身を守ることを選んだ。

【エドガー・ポー@ボクらの太陽DS Django & sabata】
[身体]:ヴァージニア・ポー@ボクらの太陽DS Django & sabata
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:ジニー(ヴァージニア)の為にもこの身体を守る。
1:まずは支給品の確認。何か武具は欲しい。
2:同胞のヴァンパイア達やポリドリもいるなら合流したい。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※不死性や吸血能力の制限については当選した場合、後続の書き手様にお任せします。


578 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/13(木) 19:00:51 0NI60qlY0
投下終了させて頂きます。


579 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/14(金) 00:23:17 FjTNKUAc0
投下します


580 : 我が心は仮面ライダーと共に ◆NIKUcB1AGw :2023/07/14(金) 00:24:51 FjTNKUAc0
とある建物の一室。
黒いライダースーツを纏ったその男は、整った顔立ちを不機嫌そうにゆがめていた。

「おいおい、なんだこりゃ。デザグラのパクリ企画かぁ?
 別にやりたきゃやればいいけどよ、俺を勝手に参加させるんじゃねえよ。
 こっちはまだ、推しの戦いを最後まで見届けてねえんだよ」

忌々しげに呟く精神の名は、ケケラ。
はるか未来のリアリティーショー「デザイアグランプリ」の、熱心なサポーターである。

「こんなところで死ぬなんて、ごめんだぜ。
 ここは優勝を目指すしかねえ……と言いたいところだが。
 他の参加者がわからんことには、うかつに動けねえなあ」

独白を続けながら、ケケラは部屋の中にあったソファに腰を下ろす。
彼の脳裏に浮かんでいるのは、自らの「推し」である光月景和の顔だ。
もし彼も参加させられていたとしたら、優勝を目指すわけにもいかない。
自分が優勝することは、景和の死を意味するのだから。
優勝の願いで景和を蘇生するというのもありだが、デザグラと違って本当に願いが叶うのか不明な以上、あくまで最後の手段だ。
それに、他の知り合いも参加させられている可能性はある。
デザグラの運営スタッフや最強のデザ神・英寿が参加していれば、優勝の大きな壁となるだろう。
参加者が不明なうちに、うかつに行動方針を固めるわけにはいかない。

「たしか、名簿の発表は1時間後だったなあ。
 それまでは、ゆっくり手持ち戦力の確認といくか」

ケケラはデイパックからタブレットを取り出し、肉体のプロフィールを確認し始める。

「滝和也……。FBIの捜査官……。
 たしか、今いる時代の警察組織だったか?
 仮面ライダー1号と2号の協力者として……ほう! こいつも仮面ライダーと縁があるのか!
 いいねえ!」

ケケラの声色が、途端に弾んだものとなった。

「仮面ライダーの戦いを間近で見続けてきたとは、うらやましいご身分だねえ。
 こいつの記憶ものぞいてみたいもんだが……。まあ無理か」

薄ら笑いを浮かべながら、ケケラはタブレットをデイパックに戻す。

「さて、次は武器のチェックか?
 さすがにレーザーレイズライザーはねえか。
 あったとしても、今の体で使えるかどうかは微妙だけどな。
 あぁん? なんだこりゃ」

しばらくデイパックの中をかき回した後、ケケラは両手にひとつずつ支給品をつかんで取り出す。
出てきたのは、蛙と狸の着ぐるみだった。

「いや、たしかに俺は蛙で、推しは狸だが……」


581 : 我が心は仮面ライダーと共に ◆NIKUcB1AGw :2023/07/14(金) 00:25:55 FjTNKUAc0


【ケケラ@仮面ライダーギーツ】
[身体]:滝和也@仮面ライダーSPIRITS
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、カエルスーツ@スーパーマリオシリーズ、タヌキスーツ@スーパーマリオシリーズ、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:方針は参加者名簿が公開されてから決める
1:景和が参加しているかどうかが気になる
2:この支給品、おちょくってやがるのか?
[備考]
※参戦時期は慕情編終了直後。


【カエルスーツ@スーパーマリオシリーズ】
カエルを模した衣服。
着用すると、水中を高速で泳ぐことができるようになる。
その代わり陸上では普通に歩けなくなり、飛び跳ねての移動しかできない。


【タヌキスーツ@スーパーマリオシリーズ】
タヌキを模した衣服。
着用すると尻尾での攻撃や短時間の飛行が可能となる。
また、物理攻撃無効の地蔵に変身することもできる。
このロワでは制限により、地蔵化は10秒で自動解除。
再変身には、30秒のインターバルが必要。


582 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/14(金) 00:26:27 FjTNKUAc0
投下終了です


583 : ◆C77Ws.YZnQ :2023/07/14(金) 20:31:50 SF8aOGc60
投稿します。


584 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/14(金) 21:39:21 ceq3Qj7U0
>>583
こちらの投下宣言についてですが、専用したらばの方で、何故かここに書き込みが出来なくなったこと、代わりに専用したらばのSS投下スレに投下したとの連絡を受けました。
SSはそちらの方で確認済みでありますので、皆様方につきましては、今後このままここでSSを投下しても問題は無いと思います。


585 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/14(金) 23:14:36 FjTNKUAc0
投下します


586 : わからないから教えて! ◆NIKUcB1AGw :2023/07/14(金) 23:15:51 FjTNKUAc0
人類最後のマスター、藤丸立香。
未来を取り戻すために戦い続けていた彼もまた、この殺し合いに招かれていた。
当然彼は、現状に強い怒りを抱いた。
力を尽し、必ずこの悪趣味なイベントを破綻させると心に誓った。
だがそれはそれとして、彼には気になることがあった。

「…………」

藤丸はずっと、無言で支給された手鏡を見つめ続けていた。

「やっぱりいくら見ても、俺なんだけど……」

殺し合いの参加者は、別人の肉体に精神を移される。
そういうルールのはずだ。
しかし手鏡に映るのは、藤丸にとって明らかに自分の顔だった。
髪型はいつものツンツンヘアだし、服装ももはや見慣れたカルデアの制服だ。
だがそこには、確実な違和感もまた存在した。

「俺なんだけど……なんというか、画風が違う!」

我慢できずに、藤丸は叫ぶ。
その叫びを誰かが聞いていたら、十中八九いかれた人間の叫びと判断するだろう。
だがそれは、間違いなく藤丸の素直な思いだった。

「ひょっとしてこれ、あれかな。
 並行世界のカルデアのマスターってやつ?
 前に出てきたことあったよね?
 きっと、俺にそっくりな人がマスターやってる並行世界がどこかに……。
 というか、タブレット見ればいいんじゃん。
 すっかり忘れてたよ」

一人で納得すると、藤丸はタブレットを取り出して肉体のプロフィールを閲覧する。
そして、まずそこに表示された名前に衝撃を受けることになった。

「ぐだお……。ぐだお!?
 何その名前!? 日本人だよね!
 子供にこんな名前つけることある!? どんな事情で!?
 それとも、文化が全然違う世界なの!?」

藤丸の脳内に、次々と疑問符が浮かんでいく。

「どういうことなの!? 誰か教えてよ!
 ダヴィンチちゃん! ホームズーっ!」

藤丸の叫びは、むなしく響き渡った。


【藤丸立香@藤丸立香はわからない】
[身体]:ぐだお@教えてFGO!
[状態]:健康、困惑
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:名前が気になって仕方ない


587 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/14(金) 23:16:37 FjTNKUAc0
投下終了です


588 : ◆4u4la75aI. :2023/07/15(土) 16:43:50 3R2MmI2A0
投下します


589 : 君は完璧で究極のアイドル ◆4u4la75aI. :2023/07/15(土) 16:44:33 3R2MmI2A0


 プロフィールを読む限り、今の身体は元と同じバーチャルな肉体ではない。言うならば敬愛する『マスター』と同じだ。

「殺し合いなんて……ダメに決まってます」

 プロフィール画面へと向かう様に語りかける。肉体の人物と自分自身、バーチャルとそうでない肉体を持つ差はあれども同じ志、そして同じ信念を持っているのだろう。

「天海春香さん。同じアイドル同士、貴方もそう思いますよね」

 天海春香。ある世界で人々へ幸福を振りまいたトップアイドル。しかしそれは、自分自身もそう。

「マスター……そして、春香さんのプロデューサーさん。どうか見守っていて下さい」

 マスターから貰い、今まで紡いできた詩を。自分が歌ったこの世界の全てを胸に、彼女は宣言する。

「私は……“歌”の力でこの催しを止めてみせます」

 それこそが彼女の生きる理由。それこそが彼女の持つ力。
 歌が紡いできた歴史を、幸福を、彼女は何よりも知っていた。

 バーチャルシンガー、初音ミク。
 彼女はこの殺伐とした世界を救う為降り立った。



【初音ミク@VOCALOID】
[身体]:天海春香@THE IDOLM@STER
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:“歌”の力で殺し合いを止める。
1:まずは誰かと出会いたいのですが……
[備考]
※自らの歌った楽曲全ての知識を有しています。
※同じくVOCALOIDのキャラクターの知識は持っていますが、制限によりコラボなどで出会ったキャラクター、プロジェクトセカイ等のゲームシリーズで出会ったキャラクターに関する知識は封印されています。


590 : ◆4u4la75aI. :2023/07/15(土) 16:44:56 3R2MmI2A0
投下終了です


591 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/15(土) 22:16:09 vgAiOrY.0
投下します


592 : 『■■■』だけが取り残された世界で ◆2dNHP51a3Y :2023/07/15(土) 22:16:57 vgAiOrY.0
それを自覚したのは、世界が平和になった故郷に帰って何度か月日が経った時の頃。
魔王が倒されて、全てがめでたしめでたしになったというのに。

あたしの心から、何かが抜け落ちていた。
みんなの言葉は煩わしい雑音にしか聞こえなくて。
見るも美しかった景色はセピア色に色褪せて。
何かが足りない、ぽっかりと空いた小さな穴が埋まることがなくて。
帰ってきた直後の歓声は心地よかったというのに。
退屈なのだ。退屈で窮屈で、ありきたりでつまらない日々。

どうしてなのか。そんな事決まっている。
「アイツ」がいないから。勝手に我儘言って、過去に残るとか言い出して。
自分の家族にどんだけ心配掛けたのか知らないで。

アルスと海に出れば、このもやもやが解決できると思ってた。
旅に出れば、この気持ちが晴れると思っていた。

だって、あの時の三人での旅は、初めは辛いことがあったけど。
苦しくも楽しくて、平和な生活に慣れていた私達にとって新鮮で。
楽しかった。楽しかったんだ。いつもの3人で、時には言い争ったりもした。
そんな、騒がしくも楽しい世界が、私が望んでいたものだった。



――あたしが欲しかったのは、平和な世界じゃなかった。


● ● ●


別の身体に押し込められてしまったが、それはもう取り戻せばいいからどうでもよかった。
問題はその別の身体というのが間違いなく魔力を持たない女の子の身体だと言うこと。

「このマリベル様よりかわいい身体だなんて、なんだか複雑な気分よ。」

小柄で金髪、そして血よりも濃い色と錯覚するような瞳の色。
北条沙都子という身体の押し込められた、マリベルという少女が渋々認めざるえない美貌ではあった。
最も、そんな愚痴を聞いてくれる者は、仲間はいない。
今となっては過ぎ去った過去。色褪せた欠片の断片でしか無い。

「まあ、この身体でもやりようはあるわね。」

兎も角。魔法が使えない身体であってもやれることはある。
猫被った態度で他の参加者たちを行き来、最後の最後に願いの権利を手に入れる。
魔法が使えればもう少しはどうにもなったのだが、こうなってしまっては仕方がない。

「でも、魔王を倒した勇者たちの一人であるあたしも、ここまで落ちぶれるなんて。」

自嘲の如く吐き出した言葉には何も籠もっていない。
エスタード島というガラスの箱庭で、輝かしい未知の光景を目指した時間は夢のようだった。
アルスとキーファと自分と、3人で遊んだ思い出だけは今となっても色褪せてはいない。

「でも、仕方なかったのよ、アルス。」

その声に耳を傾けるものは誰も居ない。これは少女のただの独り言。
あの閉じられた世界で、三人のままずっと遊んでいられればよかったのに。
だけどそれは叶わぬ夢となった。キーファがあの道を選んだ時点で全ては終わっていたのだ。
あの懐かしき過去には二度と戻れない。戻れないのなら取り戻すしか無い。
賽は投げられた。ここにいる少女は勇者アルスの仲間ではなく。
港町のやんちゃな三人組の一人でしかなく。

「本当は、平和なんて欲しくなかった。」

そう、平和なんて一つも欲しくなかった。
冒険して、時には苦しいことがあっても、時には悲しいことが会っても。
魔物を倒して、みんなに称賛されて。危険なダンジョンでお宝を見つけて、そんな。

「あたしと、アルスと、そしてあいつと。」

世界が平和じゃないままのほうがよかった。
平和なんて要らなかった。
平和じゃなくとも、3人が揃っている。






そんな。そんな小さくも残酷な世界が。






「3人でいた世界が欲しかったの。」


593 : 『■■■』だけが取り残された世界で ◆2dNHP51a3Y :2023/07/15(土) 22:17:12 vgAiOrY.0

【マリベル@ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち】
[身体]:北条沙都子@ひぐらしのなく頃に業
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あたしの望んだ世界を取り戻す
1:当分は他の参加者を探して動向、生き残る事を優先
2:平和なんて欲しくなかった。
3:何よこの身体、このマリベル様より可愛いなんてなんかムカつく!
[備考]
※参戦時期は魔王オルゴ・デミーラを倒した後から


594 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/15(土) 22:17:23 vgAiOrY.0
投下しました


595 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/15(土) 22:57:50 vgAiOrY.0
投下します


596 : チェンジ・オブ・ザ・ハンター&ヴァンパイア ◆2dNHP51a3Y :2023/07/15(土) 22:58:27 vgAiOrY.0

(今の俺、すっげぇイケメンじゃねぇか!)

などと、己の現在の身体の美貌に見惚れている黒髪ワイルド系イケメンがいた。
その外見はかの大英帝国で名を馳せる名探偵シャーロック・ホームズのものであった。

(おいマジかこれ、別の身体にされるとは聞いたが、こんなイケメン本当に俺のでいいのか!?)

残念なことに、その中身は名探偵とは程遠い情緒5歳児レッドアホゴリラ。
(一応優秀な)吸血鬼ハンターであるロナルドなのである。

(いやまて、そういやあの魘夢とかいうやつ、元の体に戻るかどうか選べるとかだったよな。)

そして思い出す。【元の身体に戻る権利】と【どんな願いでも叶えられる権利】が生き残った際に与えられると。
それはつまり、選択によっては元の体に戻らなくてもいいということで。

(俺、このままこの身体のまま帰れば昔の兄貴みたく女の子にモテモテになるのでは?)

ロナルドの兄ヒヨシ。かつて優秀な吸血鬼ハンターとして女の子にモテモテでなんかビームとか出せた(ロナルド談)ロナルドにとって憧れの対象。
流石に身体変わった程度で兄貴に追いつけるはずはないのだが、イケメン具合だけでいえばシンヨコの平均男性顔面偏差値でトップワンを狙える逸材。

(別に元の体に戻らなくてもいいよな! 新たなるイケメン吸血鬼ハンターロナルドとして生まれ変わってもいいってことだよな!?)

などと、身体の関係者が聞いたら一部がマジで殺しにかかりそうな事を内心ぶちまけるこの5歳児ルド。

「……っていかんいかん。今はそんな事考えてる暇はねぇな。」

一周回って冷静になる。とりあえずこの身体のまま帰還するかどうかと、この殺し合いもどきみたいなサバイバルの事は切り離す。
勿論、この状況下で無辜の民の犠牲を許容できるほどロナルドはクズではない。

「一般人はなるべくは保護、危険なやつはまあぶん殴って黙らせりゃいいだろ。」

至ってシンプルな思考ではあるが、ある種柔軟な方針。
妙ちくりんな場所を持ち前の体力で駆ける。

「……おっと、第一発見者。」

一通り走り回ってみれば早速第一発見者。
見た目は自分よりもよっぽど小さな女の子。青白い銀髪に真紅の瞳。
薄いピンク色のドレスのようなのを着込んで、まるで貴族のご令嬢。

「大丈夫か? 俺は……まあ身体の方は今は違うが、吸血鬼ハンターのロナルドっていうんだ。」

まずは優しく話しかける。ワイルド外見のせいで少々怖がられると思ったが。
肝心の少女はぽつんとロナルドの言葉に反応して彼の方を眺める。

「ロナ、ルド……?」
「大丈夫か嬢ちゃん、こんな所で一人で彷徨いてたらあぶねぇぞ?」

どうやら「ロナルド」という名前に反応しているようだ。
もしかして同じ名前の誰かと勘違いされているのでは、とスルー。
そもそも自分のモテなさは誰よりも知っている。
可愛い女の子と劇的な出会いなんてありえないのだ。

「……あ。」
「ん? どうしたんだい?」

肝心の女の子といえば、何かを思いついたかのようにデイバッグを探り始める。
ロナルドが気になって覗いてみれば、少女が手から取り出したのは。










セロリだった。

「オッボギャボオボボボッボギャッベボビャボギャギャボー!!!!!!????」

ロナルドは発狂した。イケメンフェイスを台無しにして涙やら鼻水やらを撒き散らして地面を転げ回った。
それはもう何も知らない一般人が見れば変人にしか見えないほどに。

「ふむ。まさかだとは思ったが、やはりロナルドくんだったか。」
「チクショオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

少女の中身は吸血鬼ドラルクだった。レミリア・スカーレットという幼女吸血鬼の体になったクソ雑魚吸血鬼だった。
ロナルドは、ほんの一瞬でも運命の出会いかなと思った己を後悔し、絶叫した。


597 : チェンジ・オブ・ザ・ハンター&ヴァンパイア ◆2dNHP51a3Y :2023/07/15(土) 22:58:53 vgAiOrY.0

【ロナルド@吸血鬼すぐ死ぬ】
[身体]:シャーロック・ホームズ@憂国のモリアーティ
[状態]:セロリを直視したことによる発狂
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:まずは生き残る
1:※※※※※※※※※※※!!!!!?!???
2:クソ砂ああああああああああああ!!!!!
3:なぁ、俺このまま元の体に戻らないで帰って良いんじゃね?
4:無力無害な一般人は保護、危険なやつはまあ腕力で。
[備考]
※別にホームズの身体になったからといって頭がよくなるとかはありません(当然)


【ドラルク@吸血鬼すぐ死ぬ】
[身体]:レミリア・スカーレット@東方Project
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2、セロリ@吸血鬼
[思考・状況]基本方針:なんかよく分からんがさっさと帰りたい
1:ふむ、やはり彼はロナルドくんだったか
2:何処なのだねここ!?
[備考]



『支給品紹介』
【セロリ@吸血鬼すぐ死ぬ】
ドラルクに支給。至って普通のセロリ。ロナルドの嫌いな食べ物。


598 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/15(土) 22:59:06 vgAiOrY.0
投下しました


599 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/16(日) 12:44:37 fiBmzPgg0
投下します


600 : これは聞いてない ◆2dNHP51a3Y :2023/07/16(日) 12:45:25 fiBmzPgg0
「まさか私自身が岡田将生になるなんてな……」


【吸血鬼熱烈キッス@吸血鬼すぐ死ぬ】
[身体]:虹村形兆@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章
[状態]:健康、困惑(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:さっさと帰りたいところなのだが、これ帰れるのか?
1:まさか推しの身体になるとは……
[備考]


601 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/16(日) 12:45:37 fiBmzPgg0
投下終了します


602 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/16(日) 13:58:27 ZKdD5t3.0
投下します


603 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/16(日) 13:58:38 ZKdD5t3.0
「どうすれば良いんですの…」
道に迷っていたのは、小柄な少女。
彼女、北条沙都子は姿を変えられていた、自分と同じで小柄な少女に。

「誰かいませんの!誰か!」
声を上げても誰も来ない…そうだと思われた。
ポンと、肩を叩かれる

「キャァァァァ!」
「ウォッ!」
叫びながら後退りする、そこには、自分と同じくらいの少年がいた。

「何をするんですの!レディの肩を触るなんて!」
「お、落ち着けぇ!危害を加える気はねぇよぉ!」

焦りながら、手でジェスチャーを組む男。
完全に両者パニック状態である。

「ウワァァァァン!誰かァァァ!」
「落ち着けぇ!とりあえず話を…」
その瞬間、男と彼女の距離が一気に縮まった、そう物理的に。

「!?そ、それは」
「え…は?」

男の後ろには、人形のナニカ…スタンド、ザ・ハンドがいた、そして彼女にはそれが。

「なんですのそれはァァァァ!」
「嘘だろぉぉぉぉ!?」
見えていたのであった。

【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[身体]:ティファ・アディール@機動新世紀ガンダムX
[状態]:健康、パニック(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:早くみんなの下へ帰る
1:何者何ですのぉぉぉ!?

【虹村億泰@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない】
[身体]:ガロード・ラン@機動新世紀ガンダムX
[状態]:健康、パニック(中学)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:悪趣味なあの野郎(魘夢)をぶっ飛ばして、街に帰る
1:なんでスタンドがぁぁぁ!?


604 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/16(日) 13:59:02 ZKdD5t3.0
投下終了です


605 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/16(日) 14:00:51 ZKdD5t3.0
>>604
追記です
タイトルは「パニック・ザ・スタンド」です
大変失礼しました


606 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/16(日) 14:48:28 IRn/RZB.0
2本続けて投下します


607 : またおまえか ◆NIKUcB1AGw :2023/07/16(日) 14:49:26 IRn/RZB.0
「彗星のブレドラン」として倒され。
「チュパカブラの武レドラン」として倒され。
「血祭のブレドラン」として倒され。
「サイボーグのブレドRUN」として倒され。
「救星主のブラジラ」として倒され。

「黒十字のブラジラ(または復活の救星主ブラジラ)」として復活しても倒され。
大ザンギャックの一員として復活しても倒され。
ゴーカイジャーの記憶から再生されたコピーも倒され。

それでも、この男は立ち上がる。

「我が名は……仮面ライダーのブレイドラン!」


【救星主のブラジラ@天装戦隊ゴセイジャー】
[身体]:剣崎一真@仮面ライダー剣
[状態]:健康
[装備]:ブレイバックル+ラウズカード@仮面ライダー剣
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝を目指す
[備考]
※参戦時期は死亡後。「199ヒーロー大決戦」や「スーパーヒーロー大戦」の記憶があるかは不明。


【ブレイバックル+ラウズカード@仮面ライダー剣】
仮面ライダーブレイドの変身アイテム。
ラウズカードは、スペードのカテゴリー13枚が付属している。


608 : 転生(?)してもスライムだった件 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/16(日) 14:51:06 IRn/RZB.0
「別人の体になれるっていうから、正直ちょっとワクワクしてたんだけど……。
 やっぱりスライムじゃん! いや、元の体とはだいぶ違うけどさ」

草原の真ん中で、1体の参加者がぼやく。
現代日本に生きるかわいいスライム・ぷにるに宿るのは、イムラ。
ファンタジー世界で、魔王に仕える下っ端モンスターとして生きるスライムである。

「っていうかまあ、体が変わるだけならよかったんだけど……。
 殺し合いか〜。やりたくないな〜。
 死んだら、絶対蘇生してもらえないじゃん」

イムラは、死ぬこと自体に対する恐怖心はあまりない。
何せ雑魚モンスターなのだから、死ぬことは日常茶飯事だ。
だが普段は、死んでも相方が蘇生してくれる。
蘇生が期待できない状態で死ぬのは、イムラといえど恐怖を感じる。

「優勝とか、絶対無理だしなー。
 とりあえず、逃げ回っておくかー。
 運がよければ、生き残れるかもしれないしな」

そう呟くと、イムラは早足で移動を開始する。

「あー、やっぱりこの体動きやすいわ。
 もうこの体のままでいいんじゃないかな」

生来の性格のせいか、命の危機を感じてもどこか緊張感が欠けている感のあるイムラであった。


【イムラ@ポンコツクエスト】
[身体]:ぷにる@ぷにるはかわいいスライム
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生存優先
[備考]
※参戦時期は第1シーズン終了時点


609 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/16(日) 14:52:01 IRn/RZB.0
投下終了です


610 : 進撃のバハムート ◆EPyDv9DKJs :2023/07/16(日) 19:55:05 ZPyfEAXU0
投下します


611 : 進撃のバハムート ◆EPyDv9DKJs :2023/07/16(日) 19:58:11 ZPyfEAXU0
「ヒャッホーイ!!」

 空を舞いながら、下卑た笑い声を空中に響かせる男がいた。
 ガスマスクを筆頭とした黒い装甲を身にまとい、虫のような薄い翼を羽ばたかせる。
 周囲をブンブンと乱雑に飛び舞う姿は、さながらハエと言うべきだろうか。
 ハエと呼ぶには、余りにも人の姿に寄っているが。

「いいねいいねぇ最高だぁ!! 俺の異能(シギル)にも負けてねえぞ小蠅ちゃんよ!!」

 この身体に精神を宿した男は、今の状況を楽しんでいた。
 天上から見下ろす月も、入れ替わった肉体も、それに伴う殺し合いにも。
 いすずれも関係ない。今の状況が愉快で、痛快でたまらないのだから。
 もっとも、彼の今に至る顛末を考えればそれは無理もないことだが。

 王(ワン)。それが今この身体に宿った精神の名前になる。
 彼は元いた世界で異能を駆使して戦う命懸けのゲームに身を投じていた。
 一時期は組織を築いて名が売れるぐらいの勢力にはなったものの、
 相手の力量を見誤り、全てを奪われた上で脱落───死んだわけだ。
 だからこそ第二の人生の今を、新たに得た今の身体を堪能していた。
 負け犬の遠吠えみたいな辞世の句を最後に消えた先がこれである。
 言うなればセカンドライフ。このチャンスをものにしない手はないだろうと。

(シギルはねえが、それにしたっていいじゃねえかよぉ、小蠅ちゃん。)

 彼が持っていたシギル、虚空の王(ベルゼバブ)は優れたシギルだ。
 見えない斬撃、空間跳躍。エイスのリーダーを務めるに相応しいシギル。
 彼だって最強と信じて疑わなかったが、今の身体も決して悪くないものだと。
 富士山の火山灰を被った結果、人間が変異した存在『ヴァンパイア』。
 再生力の都合手足が千切れたとしても最悪元に戻るだけでも行幸だ。
 生前は生意気な小娘に四肢を切断されたが、もしそうなっても気にせずに済む。
 未だに不慣れだが空も飛べる。危うく墜落による自爆しかけたことを思えば最高だ。
 更に生身で銃から毒ガス。十全に使うことはできずとも至れり尽くせりではないか。

「ま、惜しいのはこいつがチンピラってとこだがな。」

 不満があるならば、この身体の持ち主の北ノ城篤が余りにも小物と言う点。
 ヴァンパイアになる前は半グレ集団の下っ端で、焦って警察の世話になった。
 その後は良い集団にスカウトされたようだが、自分の立場とは真逆の存在だ。
 言うなれば持たざる者。王の名を冠する優秀なシギルの自分とは比べるまでもない。
 だと言うのに同じ蠅の王(ベルゼブル)と言う、自身のシギルと同じモチーフの大技を持つ。
 その点は不満と言える。こんなチンピラ如きの存在が何故王を名乗る技を持つのか。
 クソにたかるハエみたいなことをしてるから、こんな姿なのだろうと悟る。

「ま、小蠅ちゃんよぉ。俺様がこの力の使い方ってのを、
 存分に教えて有効活用してやっから、しっかり覚えておけよ?」

 この身体便利だし返すかどうかと言われたら話は別だけどな。
 などと内心で注釈をつけながらいちどは地上へと降りる。
 空を飛べば目立つ。使うなら一方的に攻撃する場合だ。

「さーて、子豚ちゃんみたいな犠牲者は───」

 低空飛行でもっと飛行の練習をしながら得物を探そうか。
 生前はステップを踏み間違えたから断頭台に行った。多少は慎重に行くべきだ。
 なんせここにはエイスのメンバーはいない。一人で戦うことになる。
 今度は間違えない。それは身体の持ち主と奇しくも同じ考えをしていた。










 けれど、心構えをしたところで容赦ない現実と言うものはある。


612 : 進撃のバハムート ◆EPyDv9DKJs :2023/07/16(日) 19:59:23 ZPyfEAXU0
「あ?」

 動き出そうと思っていた矢先にズン、と大きな音と揺れが発生した。
 地震ではない。それは巨大なものが落ちてきたと言う音だ。
 視線の隅に埃や、自身を襲う風から背後に落ちてきたのは分かる。
 何かと思って振り返れば、王でも思わず絶句したくなる光景があった、

 それは、紛れもない怪物───いや、怪物と呼ぶべきではない。
 全長は五メートルはあるだろう、橙色を基調としたそれは最早怪獣が如き姿。
 鋭利な爪、獰猛な牙。王でなくても思うだろう。これは、この存在は会ったらだめな奴だと。
 北ノ城のヴァンパイアの能力は、動物や生命に毒ガスをばらまく爆弾を仕込むことができる。
 なので生物を用意したかったが、此処には存在しなかったので結果的に諦めざるを得なかった。
 じゃあこの生物はなんだ。決まっている。この身体が、大古の時代にでもいそうな恐竜は参加者だ。
 と言うより、背中にそんな怪物に合わせたかのようなデイバックがシュールにもあれば嫌でも気づく。

「何じゃこりゃ!! 何じゃこりゃ!! 何じゃこりゃー!!」

 この身体は大当たりであると思うし、持ち主以上に扱えるだろう。
 そう自負する王でも、流石にこれは理解が及ばない。と言うか理解したくない。
 こんな質量の塊の化物を参加者に放り込むとか、主催者の連中はバカなのかと。
 こんなの能力を駆使とか関係ないだろ、斬撃喰らうだけで常人死ぬだろうがアホかと。
 危険だと判断した瞬間、即座に彼は飛んだ。誰だって逃げると言う選択肢をするだろう。
 しかしやはり慣れ親しんだ能力や身体ではない以上、僅かに遅れてしまった。
 飛んだ瞬間と同時に恐竜は口を開きながら飛び込む。
 強靭な顎と鋭利な牙によって、左足が容易み噛み砕かれる。

「ギャアアアアア!!」

 欠損の痛み自体はヴァンパイアとなるとある程度気にならない。
 顔面をスライスされたり目を潰されても痛みの声を上げないこともざらだ。
 けれど彼の場合、いかに捨て駒でも組織の幹部のポストに収まったヴァンパイアの身体でも、
 左足は生前クソビッチと蔑んだ女に真っ先に斬り落とされた部位ともあって余計な動揺が走る。
 そんな状態でなんとか飛べて即座に逃げることができただけましな方だろう。

「なんだよこのゲーム! あんな化け物いるとは聞いてねえぞ!!」

 とりあえず腕についた銃を乱射しながら空へ逃げ逃走自体は続ける。
 乱射こそしてるが、此処で相手の図体の大きさが仇となって多めに被弾に成功。
 スイッチを押すように右手の親指を人差し指の側部に叩き込めばれんさてきに爆発を起こす。
 ガスが一気に拡散して姿は見えなくなる。煙幕の役割を果たし今は逃げることを優先とする。

(とんだクソゲーじゃねえかよ!? なんだよあれ!?
 レイドバトルでもしろっつーのかよあんなでたらめな───)

 ゴウッ、と風が吹き荒ぶ音が後方からした。
 いや、まさか、そんな。なんて思いながら振り返る。
 怪物は生きている。肉は削がれてはいるし口から血も出ている。
 毒は効いている。だが、王とてこれはまだなり始めたばかりの姿。
 北ノ城篤よりも扱えるとはいっても、まだその域に達したわけではない。
 彼ならばより大きな爆発、より大きな効果の毒にもなっていたのだろう。
 しかし相手の身体の強靭さも相まって、ダメージはかなり軽減されている。

(いや、そりゃねえだろ。)

 そんなことは彼にとってどうでもよかった。
 あれで即死するような存在じゃないのは最初から。
 問題は、背後を目視した今のこの状況が理解したくない。
 相手が両手を広げ、ムササビのように滑空してきたからだ。
 そう、飛べる。この恐竜は飛ぶことさえも許されているのだと。
 プテラノドンとかのような翼竜ではないのにも関わらず、だ。
 滑空しながら急接近した恐竜は再び口を開き、
 またしても生前と同じように右腕を持っていかれる。

「ああああああああああっ!!」


613 : 進撃のバハムート ◆EPyDv9DKJs :2023/07/16(日) 20:03:15 ZPyfEAXU0
 欠損と動揺とダメージにより、王は錐揉み回転しながら墜落する。
 ただ幸いなことに、落ちた先は森林地帯。図体がでかすぎる恐竜では、
 密集した木木は身動きがうまく取れないし、落ちた先も細かくは目視できない。
 姿も目視しづらいともあって王は運よくではあるが追撃は免れた。










「ク、クソゲー過ぎんだろうが……これならDゲームの方がマシだぞ……!!」

 鬱蒼とした森の中。
 再生しつつある手足を見ながら、ゴチる王。
 墜落して身体はボロボロでもヴァンパイアのお陰で戦闘の続行は可能だ。
 問題は参加者の質のバランスだ。あんなのがいたら再生可能でも限度がある。
 シギルにも確かに層はあった。王の名前がつくシギルなどは上位にあたると言ったように。
 けれどこれはそんな次元ではないだろう。シギルでどうこうできる範囲を超えている。
 しかもほとんどの参加者はその身体を扱いきれてない中で、あのシンプルな暴威だ。
 とんだふざけた存在にキレそうになるが、一周回って冷静になる。

(そうだ、支給品だ。朝になったらやべえ!)

 メリットばかりに目を向けていたがこの身体にも問題がある。
 ヴァンパイアは朝を迎えると変身できなくなってしまう。
 再生力は残るとしても、飛べない撃てない戦えないでは嬲り殺しだ。
 いつだって狩る側であるのだから、その辺はぬかってはいけない。

「……なんじゃこれ。」

 それで出てきたのは、
 これまた彼が先程の動作のように押せそうなスイッチだった。
 虚空の王であり蠅の王だけあって、ハエ座の力が。

【王(ワン)@ダーウィンズゲーム】
[身体]:北ノ城篤@血と灰の女王
[状態]:左足右腕欠損(いずれも再生中)、苛立ち
[装備]:ムスカ・ゾディアーツスイッチ@仮面ライダーフォーゼ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝一択。要はDゲームみてえなもんだ。
1:もしかしてクソゲーじゃねえのか? これ。
2:あんなの(バハムート)他に任せときゃいいんだよ。
3:サンセットレーベンズ(特にシュカ)がいたらぶち殺す。
4:……なんじゃこりゃこのスイッチ。

[備考]
※参戦時期は死亡後。
※肉体の参戦時期は少なくとも七原と再会後。
※夜以外で血と灰の女王作品のヴァンパイア同士が殺し合うと、
 殺意を持った側は死ぬと言うものがありますが本ロワでは適用されません。
※ヴァンパイアの変身解除は六時、変身可能時間は十八時からとします。
※D・ナイト、及び身体をガス状にはまだできません









 実は王は知らないが、もう一つだけ追撃を免れた原因があったりもする。
 いや、それがあろうとなかろうと、森の都合助かったので何ら問題はないが。
 恐竜は、滑空に失敗して軌道が変わってしまって、こちらも海にだが墜落したからだ。
 王が扱いきれないように、此方の身体の持ち主も一応は完全に扱いきれてなかった。
 質量の塊が落ちてきたことで海の水が派手に飛沫を上げ、そこから砂浜へと這いあがる。

(逃がしたか……まあいい。)

 王が墜落した森の中へ方角を見やる恐竜───否、飛竜。
 喋る能力はこの飛竜こと、ティガレックスには存在しないので意思疎通は不可能だ。
 けれどそんなことは些末事だ。何故ならば、その身に宿る男はそれでも構わなかった。
 男の名は勝村……ではあるのだが、厳密には本来の勝村の精神は既に消え去っている。
 今はファントムと呼ばれる存在の一体、バハムートが乗っ取った。

(ゲートを絶望に落とすはずだったが……まあ、別にいいだろう。此処には楽しみがいっぱいだ。)

 もっとも、彼にとってファントムの目的である、
 ゲートと呼ばれる存在を絶望に落とし同胞を増やすことは二の次のようなものではあったが。
 幹部であるメデューサからも苦言される程に、彼は好戦的で闘争を楽しんでる側になる。
 面倒なことをするよりも、この殺し合いについては非常に手っ取り早いことだと思えた。
 もしゲートがいるならば自身の存在を見れば一発で絶望させるに至ることは間違いない。
 ファントムを増やすことができないならできないで、戦いを楽しむことに専念できる。
 何ら問題はない。同胞を増やすよりも、闘争を求めるバハムートにとっては。
 水を得た魚のような高揚と共に、轟竜は動き出す。


614 : 進撃のバハムート ◆EPyDv9DKJs :2023/07/16(日) 20:03:47 ZPyfEAXU0
【バハムート@仮面ライダーウィザード】
[身体]:ティガレックス@モンスターハンターシリーズ
[状態]:毒(軽微、時期に消滅)、肉体の一部が削がれてる、高揚感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:闘争を楽しむ。願いが叶うならメデューサの意向でも叶えておく。
1:ゲートがいれば絶望させる。が、意味があるかは怪しい。
2:強い奴と戦いたい。
[備考]
※参戦時期は少なくとも死亡前。
※肉体のティガレックスは所謂原種。
※本ロワでは本来のサイズより三分の一ほどで、
 全長約5m、全高約160cm、足の長さは約60cm辺りにちぢんでます
 (MH2Gにおいては全長1927cm、全高483cm、足184cm)



【ムスカ・ゾディアーツスイッチ@仮面ライダーフォーゼ】
王に支給。我望光明が開発した人間を怪人、ゾディアーツへ変えるスイッチ。
使用を続けると心を蝕まれ、最終的にスイッチはラストワンに変化する。
ラストワンを超えて十二使徒のゾディアーツホロスコープになれるかは定かではない。
(原作ではこれがホロスコープになれたわけではない)
このスイッチは草尾ハルが使用したハエ座のゾディアーツになれる。
感情や変化の高ぶりによって進化していく特性を持つ。


615 : ◆EPyDv9DKJs :2023/07/16(日) 20:04:16 ZPyfEAXU0
投下終了です


616 : ◆ytUSxp038U :2023/07/17(月) 00:15:15 Zhv/n/y20
投下します


617 : 野獣F:ヒーローと化した先輩 ◆ytUSxp038U :2023/07/17(月) 00:19:08 Zhv/n/y20
「え、誰こいつは…(困惑)」

いつの間にか持っていたデイパックから鏡を取り出し、自らの姿を確認。
自分の顔とは似ても似つかぬ青年への困惑がついそのまま口を突いて出た。

青いメッシュの入った髪と、あどけなさを残した顔立ち。
何もかもが本来の姿とは別人。

青年の体に入った精神の持ち主、彼には数多の異名がある。
ある時は世界一イキ顔を見られた男優、ある時は一生ネットの玩具、ある時はジュッセンパイヤー、ある時はうんこの擬人化。
またある時は、ホモビに出ただけで殺し合いに参加させられる男。

今回は星の数ほどある異名の中でも最も有名な野獣先輩と記させてもらおう。

「どうすっかな〜俺もな〜」

大先輩の語録を勝手に使うという人間の屑っぷりを早くも見せつつ、顎に手を当て考える。
いきなり殺し合えだなんだと言われても、はい分かりましたと従う気にはなれない。
願いが叶うとか何とか言っていたが、こんな勝手に人の体を奪った挙句殺し合いを強要する輩の言葉など誰が信じられるのか。

何より、この体で殺し合いに乗るのにはどうにも抵抗がある。
顔を確認した時こそ困惑したものの、どうしてか他人の体であるのにまるで違和感を感じない。
まるで自分と近しいもの(風評被害)を、この青年に抱いてしまうのだ。

殺し合いに否定的な思いが強い、となれば取るべき選択は一つ。

「やっぱり僕は王道を往く…対主催者ですか(ヒーローの風格)」

頭上の月を睨み主催者への反逆を堂々と宣言する。
その姿の何と力強いことか。
後輩を昏睡レイプする人間の屑の濁り切った瞳ではなく、熱き正義を秘めた戦士の瞳。
誰がどう見ても人間の鑑だってハッキリ分かんだね。

幸いなことに戦う為の武器も支給された。
あとはこの力を用いて主催者をパパパってやって、終わりっとするだけだ。
尤も自分一人でどうにか出来る程、簡単な戦いで無いとも理解している。

「まずは仲間を探しに行きますよー、イクイク」

果たして野獣先輩は主催者を打ち倒し、後輩と幸せなキスをした時のようなハッピーエンドで殺し合いを終わらせられるのだろうか。
結末は主催者達ですら知らないがGOは神なので知っている。

GO is GOD


【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[身体]:ジーン@仮面ライダーギーツ
[状態]:健康
[装備]:レーザーレイズライザー+レイズライザーカード(ジーン)@仮面ライダーギーツ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:まずうちさぁ…殺し合いあんだけど、潰してかない?(対主催者)
1:一緒に戦ってくれる仲間を探す。
[備考]

【レーザーレイズライザー@仮面ライダーギーツ】
デザイアグランプリの公認サポーターが持つ銃型の変形デバイス。
レイズライザーカードと組み合わせ、使用者に応じた仮面ライダーへの変身が可能。
光線銃としても使用できる。

【レイズライザーカード(ジーン)@仮面ライダーギーツ】
デザイアグランプリの公認サポーターが持つカード型のアイテム。
レーザーレイズライザーのライズカードリッジにセットした後、本体と合体させることでサポーター固有のライダーに変身する。


618 : ◆ytUSxp038U :2023/07/17(月) 00:19:58 Zhv/n/y20
投下終了です


619 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 01:43:38 chFSc6DY0
投下します


620 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 01:44:40 chFSc6DY0
男は怒りに身を震わせていた。
因縁を吹っ掛けスコップで相手に殴りかかったと思えば、何故か居たカエルに当たりそれと同時に頭部に強い衝撃を受け…気付いたらこの殺し合いに呼び込まれていた。
殴ろうとした相手が何かしたのではと真っ先に考えついた男はキレ、バッグの中から取り出したスコップを取り出し持った後、怒りのまま他参加者を探し…そして見つけた。

「めーはも ……」

黒髪ロングの少女に向かい男は迫る。
少女が何か呼び掛けているが聞く耳を持たない。

「めーはも 〜〜〜〜」

男はそのまま少女へと近付く。
出典の都合上、男は狂っていた。残念ながらまともに会話は通じない。

「めぇはも おし だーーーーーっ!!」

そのまま男はスコップを少女目掛けて振りかぶった……が、手応えが無い。
少女の姿はそこにはなく、ふと振り向くといつの間にやら男の背後に居たではないか。
それに更に苛立った男はもう一度、またもや意味不明な叫びをあげながらスコップを振りかぶる。

「おっおっおっおっおっおっおっおしまいだーッ!」

────しかし、スコップが振りかざされる事は無かった。
男の心臓部分には、いつの間にかナイフが深々と突き刺さっていたからだ。即死である。
そのまま男は斃れ動かなくなった。

【涙目のルカ@―パッショーネ24時―(身体:リョースケ@【推しの子】 再起ドン!!(死亡)】


621 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 01:47:06 chFSc6DY0
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「…何が言いたいのかさっぱりだったけど、おしまいになるのは、貴方の方だったみたいわね」

少女は男だった遺体を冷たい目で見つめながらそう呟く。
少女の身体の仮の名はツクヨミ。時を司る王家の一族であり、本来王になるはずだったが記憶を奪われ放逐されていた少女。
そしてその身体に今入れられている精神の名前は十六夜咲夜。恐らく生まれながらに異能を持ち、流れ着いた幻想郷にて吸血鬼の主に仕える完全で瀟洒な従者の少女。

「この身体の持ち主も、時間を操れるのは間違いないけれど…」

男の初撃を避け背後に移動したのは、身体の持ち主の異能を使って時間を止めその間に動いたからであり、あたかも瞬間移動したかのように見えたのである。
男を仕留めたのも、時間を止めその隙に支給されていた自らの得物…ナイフを心臓目掛けて投げた一撃によるものであった。

「…細かい部分の操作に、それに空間の方の操作が出来ないのは困りものね。…これは戦闘力面ならともかく、そういう方面の代わりにはならなさそうだから」

本来の身体では彼女は、時間の停止だけでなく加速や減速、更には空間の拡張・ 縮小すら出来るのだが…ツクヨミの身体である都合、今は時間停止しか出来ない。
それをぼやくように呟いた後、咲夜はバッグの中に目をやる。視線の先には説明書にツクヨミが使用していたと書かれていた変身アイテムなるもの…ジクウドライバーとツクヨミライドウォッチがあった。

「…話が通じなくて、敵対的な相手だから試すには丁度いいと思ったのだけど…失敗だったかしら」

はぁと咲夜は溜息を吐く。せっかく支給品を試すチャンスだったというのに、存外相手が弱かったせいで時間停止の能力を試すだけで終わってしまった為に。
ちなみに彼女は殺し合いに乗る気は"今"はない。むしろ抗う方向で考えている。
先程の相手のように敵意を持ち、会話も通じないのなら殺すが…無用な殺生はなるだけ控える心づもりであった。

『貴方は少し人間に冷たすぎる』
(…あの異変の時に色々と言われてなければ今でも…躊躇う事なく私は、お嬢様達の元へ一刻も早く帰る為に乗っていたでしょうね)

咲夜はそう、かつての異変にて、地獄の閻魔に言われた事を思い返す。
あの異変以後彼女は、紅魔館に閉じ籠もり、外へと出る事を避けていた所から交友関係を広げ始め、釣りや登山などの趣味を持つようにもなった。
閉じていた私(咲夜)の世界から一歩を踏み出すきっかけとなったのである。

「…それに、お嬢様達が巻き込まれてたとして、私が軽率に殺し合いに乗ってしまえば…お嬢様達に余計な風評が流れてしまうでしょう」

主に迷惑をかけるような従者が…メイド長が、完全で瀟洒などと名乗るなんて、とんだお笑い草だろう。そう咲夜は考えていた。
しかし仮にそのお嬢様が…レミリア・スカーレットが殺し合いに乗り気な場合は、状況によっては意見しつつも付き従うつもりなのだが。

とにかく咲夜は、相手の支給品とタブレットを回収し、それを見る事とした。
タブレットの中には、男の身体の持ち主のプロフィールが入っていた。

「……そう、哀れね」

プロフィールに書かれていた情報を見て咲夜は、率直にそう零すと憐れみの目で遺体を見た。
ストーカー行為をしていた事は軽蔑するが、そこまで好いていた相手を、誰かに利用されるがまま好意を殺意に反転させてしまい殺めるも、相手の真意に耐えれずに自らも命を断ったはずが、死後も先の叫ぶ狂人に操られる…哀れでなければ何だというのだろうか。
最も、だからといって遺体を埋葬して弔うような事はしない。自らを省み変わる事を選んだとはいえ、自分はそこまで他者…特に赤の他人に情を傾ける人間ではなく、そういうのはお人好しがする事だと咲夜は考えている。

(死んだ筈の身体に入った精神…死体になるのか、それとも半死体なのか…)
「…それにしても、従者な私が王になるはずだった人の身体にねぇ…」

脳裏に白玉楼の主とその従者の事を浮かべつつ、なんとも言えない表情を咲夜は浮かべる。
同系統の能力でこそあるものの、仕える立場である自分が王になるはずだったこの少女の肉体に…魘夢ら、この殺し合いの胴元は何を考えてこの選定をしたのだろうと考えるも、それらしい答えは出なかった。

「…解せないけど、とりあえずお嬢様達が巻き込まれてないか探しましょう」
(…それに、3日後に落ちてくるらしい、あの顔のある不気味で奇妙な月の対策も探したいところね)

そう行動方針を定め、メイド長はこの殺し合いの舞台を行く。


622 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 01:47:31 chFSc6DY0
【十六夜咲夜@東方Project】
[身体]:ツクヨミ@仮面ライダージオウ
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、咲夜のナイフ@東方Project、ジクウドライバー&ツクヨミライドウォッチ@仮面ライダージオウ、ランダム支給品0〜1、スコップ@東方Project、涙目のルカの基本支給品とランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:今は殺し合いには乗らない、とりあえずは抗う方向で行かせてもらうわ。
1:お嬢様達が巻き込まれてないか、気がかりね…。
2:先程みたいに話が通じない敵相手には、今度こそこのドライバーとやらを試しに使ってみたい。
3:お嬢様が巻き込まれてて、その方針次第なら…私は従者として、殺し合いに乗る事も考える。
4:軽率に乗ったり殺す事はしない。万一お嬢様達まで居たらいい迷惑よ。
5:姫虫百々世?誰なのかしら…?
6:あの顔のある月をなんとかする方法…あるといいんだけど…。
[備考]
※参戦時期は「東方花映塚」のED後、「 東方虹龍洞」よりは前の何処かからです。少なくとも異変中からの参戦ではないようです。
※ツクヨミのプロフィールには本名と最期については書かれていません。
※時間停止の能力について制限があるかどうかは後続にお任せします。
※咲夜の過去については色々な説が出ていますが、どれを採用するか等は後続にお任せします。

【咲夜のナイフ@東方Project】
十六夜咲夜が投擲に使用しているナイフ。これはステンレス製の物で、切れ味が良い以外はただの無銘のナイフである。
何本支給されているかは後続にお任せします。

【ジクウドライバー&ツクヨミライドウォッチ@仮面ライダージオウ】
ツクヨミが仮面ライダーツクヨミへと変身する為のベルトとライドウォッチ。2つセットでひとつの支給品扱いになる。
なおツクヨミ以外がこのセットを用いて仮面ライダーツクヨミになれるのかは不明。

【スコップ@東方Project】
黒きドラゴンイーターこと姫虫百々世が右手で持っている金色のスコップ。恐らく採掘用に使用している物と思われる。


623 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 01:48:07 chFSc6DY0
投下終了です。タイトルは「2023:King of Knights」です。


624 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/17(月) 11:52:37 Ly9oY3ro0
投下します


625 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/17(月) 11:52:56 Ly9oY3ro0
誓いの言葉――病める時も、健やかなる時も、喜びの時も――
私は――

「お胸が大きい…」
少年は胸をさすりながら、自信の身体を触る。
少女――神戸しおの持った身体は、自身よりも大きな体を持ち、愛した人と同じくらいの年齢、そして胸を持つ女性であった。

「さとちゃん、居るのかなぁ…」
少女はつぶやきながらそう話す、名簿がない以上、来ているかどうかなんてわからない。
とにかく――今を打破するそれが採決だった。

そして、すこし走ったときだった、なにかに打つかった、そして、そこにいたのは、いかつい高齢の男性だった。

「グララララ、おい嬢ちゃん、迷子か?」
地鳴りのような笑い声を話す男――名をエドワード・ニューゲート、またの名を、白ひげをという男だった。


「おじさんだぁれ?」
「俺は白ひげってもんだ、まぁ、この身体の持ち主事はわかんねぇが…」
「私も、身体の人が誰かはわからない。」
「そうか、で?お前は何をしようとしてたんだ?」

白ひげを質問を返す。
それに対してしおは
「探したい人が居るの。」
「そいつぁ誰だ?」
「私にとっての最愛の人なの。」

その時、白ひげが笑い声を上げる
「グララララ!愛する人を探すか、そりゃあ良い!俺も家族がいる、もしかしたら、この戦いに混じってるかもしんねぇ。」
「私達に、似たものどうしだね。」
「まぁ、そうかも知んねぇな。」

そして、白ひげが、一つの問をかける
「嬢ちゃん、俺と行動しねぇか?」
「……なんで?」
「人探しは、人が多い方がいい、それに、オメェみたいなのがいつ襲撃されかもわかんねぇからな。」

確かに――としおは考える、そして結論は
「分かった、よろしくね、白ひげのおじさん。」
「グララララ!いい返事だ!なら行くぞ!殺し合いに巻き込まれる前にな!」
「うん!」

少女と――大海賊は、動き出した。

【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[身体]:藤野静留@舞−HIME
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:もう一度、私達の「ハッピーシュガーライフ」を作る
1:待ってて、さとちゃん
2:このおじさんについてけばなんとかなるかも

【エドワード・ニューゲート@ONEPIECE】
[身体]:工藤清志@ヒューマンバグ大学
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者を倒し、息子たちの下へ行く
1:この嬢ちゃんは保護しないとな
2:家族は…誰がいるか?


626 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/17(月) 11:53:43 Ly9oY3ro0
投下終了です
タイトルは、「誓い−−愛と家族」てす


627 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/17(月) 19:56:14 57mBR.lk0
投下させて頂きます。


628 : 命なんていらない ◆bLcnJe0wGs :2023/07/17(月) 19:56:46 57mBR.lk0
(まずは身体側のプロフィールっと…)

 空に浮かぶ星々と参加者達を睨みつける様な顔を持った月が目立つ空の下、赤い髪に色素の薄い肌と尖った耳を持つ少女の姿をした参加者が、タブレットを難なく操作し、身体側のプロフィールを確認する。

(『アーティ』…それが今、オレの精神が入れられている身体の名前か。
 次にソイツの詳しい情報と…ん?)

 身体側のプロフィール欄には彼女の生い立ちや特殊能力が記されており、その中には鍛えた武器には魔力が宿る能力を持った魔女であること、
 魔力を与えられた武器は決して折れず錆びなかったこと、そしてその込め方次第では一振りで大量の死者を出し、更には自立し壊れるまで暴走し続ける非常な危険且つ強力な代物を作り出すことや過去に作成した武器のレプリカを召喚することも可能であることも記されている。

(これはビンゴ、かも)

 その身体で一人笑みを浮かべる参加者の名は『ニーズホッグ』。

 世紀末世界に於いて生死の輪廻から外れし『命』を持たない『イモータル』という存在。

 イモータルは太陽が生み出し、育んだ生命全てを命なき存在へと変えんとする銀河宇宙の意思の使者。
 故に生死という概念がなく、太陽の光にさえ長時間当たることもなければ消滅することもない。

 彼には元の世界にいた時からその使命のもと命ある者を滅ぼし、自身の築き上げる鉄(くろがね)の機械が支配する世界へと変えようする野望を持っている。


629 : 命なんていらない ◆bLcnJe0wGs :2023/07/17(月) 19:57:19 57mBR.lk0
 それ故にプロフィール通りであればアーティの能力は自身の機械を作り、動かす技能とは異なるものの、
 同じ金属から動き、幾つもの生命を奪う人工の無機物を作り出すことが可能であり、自身の使命や野望には合うものだろうと身体に入れられた身でありながらも期待する。

 その後に残りの支給品を確認してその全てをデイパックに仕舞い、月を眺めながら移動を開始する。

 元の世界では赤く染まり、生命の滅びと破壊の獣の復活をイモータルへの敵対者達に告げようとした月。
 彼はそれを見ることをなかったが、世紀末世界とは異なる要因でこの世界を滅ぼさんとする月の下で。

【ニーズホッグ@新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ】
[身体]:アーティ@メメントモリ
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]基本方針:この身体が持つ能力を使って命ある者を殺し尽す。
0:もしこの身体の能力が本当に使えるものだったとしたらイモータルとしての不死性をもったまま帰還するつもりでいる。
[備考]
※参戦時期はパイルドライバーによって完全に浄化され消滅した後。
※イモータルとしての不死性はないものとします。(本来の身体にあったもの)
※身体側が持っている魔法の制限については当選した場合、後続の書き手様にお任せします。(その場合プロフィール欄に制限が設けられている旨が記されており本人把握済み)


630 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/17(月) 20:02:05 57mBR.lk0
投下終了させて頂きます。
また、アーティにつきましては下記URL(httpのhは抜いております。)の二次創作ガイドラインを確認した上で投下させて頂いております。
ttps://mememori-game.com/guideline/
また、企画主様にお願いしたいのですが集計の際は『メメントモリ』のキャラクターの画像を掲載しない様にお願いします。
(ガイドラインに抵触してしまう為)


631 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/17(月) 20:57:29 /oH3k53M0
皆さん投下ありがとうございます。
感想を投下します。

>其は太陽の化身
遂にルフィまでも来てしまったか。
その時起こる不思議なことでだいたいなんとかなりそうな気がする。

>怨炎を以ても解けぬモノ
こんな形の副人格扱いもありましたか。
理解ある父親に会えたのは幸運か。

>DANGER!!
身体側がまさかの参戦時期。
これが無知シチュってやつですか。

>ブラックホールになったやつがいる
これがニンジャブラック=サンですか。

>シーホースとかも新規テーマでリメイク来たらしいよ
自分はあまり詳しいわけではなかったのですが、これ情報が出たばかりのものだったのですね。
パロロワ参戦RTA界隈に新たな記録誕生ですかね?

>真実(リアル)を探し求める
ニラム…この企画を建てた当初はまさかあんな退場の仕方をするとは思ってなかった。
ヴィジョンドライバーが誰でも使用可能とは指紋認証機能が泣きそう。

>双子の片割れ
身体側が妹になるの、自分だったらかなり複雑な気持ちになりそう。
それを守ることはようするに、生存優先って感じになりますね。

>我が心は仮面ライダーと共に
ケケラ…スタンスが本当に誰がいるか次第って感じの奴が来ましたね。
場合によってはかなり厄介なことをやらかしそう。
支給品のチョイスはギャグになってますが。

>無題
戦いを止めるために身体を少し借りると宣言、シンプルイズベストですね。

>わからないから教えて!
まさか謎丸にここで会えるとは。
こういう組み合わせなら画風が違うネタが使えるのは良いですね。

>運命
何故この組み合わせの運命になったのか、調べてみたら中の人由来でしたか。

>君は完璧で究極のアイドル
金輪際現れない、一番星の生まれ変わりですね。
自分が歌った曲全部の知識があるとのことですが、カバー曲とかも含まれるのでしょうか。

>リコリスの少女
アイドルは体が資本だから、ただ止めるだけでなく傷つけないようにも気を付けてもらいたいところですかね。

>『■■■』だけが取り残された世界で
何と言うか、昔の思い出をただ取り戻すだけだと、結局どこかで歪みが生じそうな気はします。
業沙都子の影響はあるんですかね…。


632 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/17(月) 21:00:29 /oH3k53M0
>チェンジ・オブ・ザ・ハンター&ヴァンパイア
ロナルドくーん?身体は返してあげないとさすがに元の持ち主を困らせてしまうんじゃないかなー?
ドラルクには保護者をやってもら…いや、貧弱さがなくなった分この人もちょっと調子に乗りそうな気も…。

>これは聞いてない
だいぶ見た目がまともになったなキッス。元がアレ過ぎる気もしますが。
こんな形での中の人ネタもあったとは。

>パニック・ザ・スタンド
業卒のせいかまともな方の沙都子を久しぶりに見た気がします。
パニックになっている方がむしろ安心感があるかも。

>またおまえか
この人…そんなにやられているキャラだったのか。
ギャグを言う精神的余裕はあるみたいですね。

>転生(?)してもスライムだった件
ぷにるにはスライムでも雑魚のイメージはないですね。
かわいさにも意識を向ければ生き残れるだろうか。

>進撃のバハムート
確かにこのバハムートは何か強かったような記憶がある。
縮んでいるとはいっても5mは十分デカい、これはかなりの脅威ですね。

>太陽の少女と自称イケメン
イケメンの意味が変わる感じがしますね。

>野獣F:ヒーローと化した先輩
これはちょっとまずいかも。いくら対主催でも先生ェへの風評被害はヤバいかもしれん。

>2023:King of Knights
まさかアイやアクアよりも先にリョースケが心身そろうとは思わなかった。
灼餅のムカから推しの子に接続されたのは正直言ってかなり笑いました。
この咲夜さんの方針が変わるとしたら、どんな場合ですかね。

>誓い---愛と家族
よく考えてみると、白ひげもしかして元より身長が低くなってる?
言い換えれば、常識的な大きさになっていることになりそう。

>夢を結ぶ少女と絶剣と呼ばれし少女
少し離れているとはいえ、対主催同士が合流できないのは痛いですね。
どっちも剣持ちで気が合うかもしれないのに。

>命なんていらない
消滅=死の後が参戦時期になっているのに、タイトル通りまだ元の不死性でいいと思っているのは少し哀れに感じるかもです。
画像の件については了解しました。



それでは、わたしからも一つ投下します。


633 : 僕は海賊にはならないよ ◆5IjCIYVjCc :2023/07/17(月) 21:02:36 /oH3k53M0
「あいつら…ラピュタの科学力でも使っているのか?あの月も、まさか飛行石が入ってたりするのか?」

草原の上で、そう呟く麦わら帽子を被った少年が一人いた。
少年は、名をパズーといった。

少年と表現したが、見た目的には青年といった方が適切だったかもしれない。
また、その身体は何故かパズーの元の肉体と声が同じように感じられた。
胸には、大きな×印状の傷跡もあった。


「こいつの名はモンキー・D・ルフィ、海賊なのか…」

パズーは、自身に支給されていたタブレット内のファイルを開くことに何とか成功した。
とは言っても、これは本来は彼の生きていた時代には無い技術のもの。
扱うのも慎重に、恐る恐るやっていた。
プロフィールは今のところ、最初も最初の一部分にしか目を通していない。
パズーからしてみれば、このタブレットもラピュタの技術で作ったのかなんて考えが浮かんでしまうような代物であった。

そしてパズーは、自身の肉体とされたルフィという人物が、海賊であることについて注目した。
彼自身が、かつて海賊と関わったことがあるからだ。

海賊ドーラ一家、パズーは彼らと最初は敵対していたが、後にラピュタに行くために共闘した。
その過程で彼らとの間には絆が生まれていた。
彼らは一応悪人ではあったが、良い人達でもあったのだ。

そんな人達との関わりがあった以上、ルフィと彼らのことをどうしても比較してしまう。
彼らが良い人達だったからといって、ルフィという海賊もそうであるとは限らないのだ。

プロフィールを見たところ、この男はどうも『海賊王』になることを目指しているらしい。
ただ正直なところ、そんな記述があると、こいつは本当に大丈夫な奴なのかと少し疑問に感じてしまう。


王を自称する者と言えば、ラピュタ王になろうとしていたムスカという男のことを思い出してしまう。
ムスカは、かつてのラピュタにあった帝国のように、その科学力を利用した地上の支配を目論んでいた。
思えば、この殺し合いの主催者達もそれに似たやり方をしていると言えるかもしれない。
月かラピュタかの違いはあれど、空に浮かぶ脅威で地上にいる者達を思い通りにしようとしている点は共通しているだろう。


閑話休題。

まあようするに、海賊の王を名乗ろうとするだなんて、もしかして何か危ない奴なんじゃないかという考えも浮かんでしまっていた。
ルフィは、プロフィールの冒頭部分だけではそんな印象を抱いてしまう者だった。


「それに、『ゴムゴムの実を食べたゴム人間』だって?また奇妙なことが書いてあるな」

ルフィは、悪魔の実という特殊な果実を口にし、体がゴムのようになる能力を得たと書いてあった。
その代わり、水の中だと体から力が抜けて泳げなくなってしまうらしい。
にわかには信じられない話だが、それが事実であるかどうかはこの場ですぐに試すことはできる。

パズーは草原の上にあった岩を手で掴み、そのまま後ろに歩いてみた。


「うわっ!?『バチッ』……本当に伸びた」

歩いた分だけ、腕は普通の人間ではあり得ない長さに伸びた。
その際に、痛みが生じることもなかった。
それに驚いたことで手を離し、腕はそれこそ伸ばされたゴムのように勢いよく縮んで戻ってきた。
少なくともこれで、ルフィの肉体には人智を超えた力があることが証明された。


「こいつはすごいなあ…悪魔の実ってのは一体何なんだ…」

ルフィの肉体に宿る特殊な能力には素直に関心を持つ。
これもラピュタの科学力によるものか、それとも全く別の何かなのか。
気になるが、ここにおいてはその答えを得ることはできない。





パズーはやがて、プロフィールを全部見終える前に、デイパックの中の他の支給品を確かめることとした。

そうしたのは、まずそもそもタブレット端末は彼にとって使い慣れたものでなく下手な使い方をすれば壊してしまうかもしれないこと。
ルフィに対する印象が今は少し悪い方向に傾いていて、プロフィールを読み進めることに流石のパズーも少し不安が出てきたこと。
だから、ちょっとした気分転換がてらに、先に支給品の確認を行おうとした。


パズーはデイパックの中に手を入れてみて中を探った。
そして、ある球状の物体がその手に掴まれた。

「なんだこれ、木…実?と、石でできているのか?」


634 : 僕は海賊にはならないよ ◆5IjCIYVjCc :2023/07/17(月) 21:04:11 /oH3k53M0
それは、上下で二色に別れたほとんど木製と思われるボールだった。
上は赤っぽく、下は木目のある木のように見える。
赤い部分の上には謎の金属製のように思える何かの排出口と思われる穴が付いている。
二色の境目部分には金属と思われる枠と、留め具の付いた円形の部品が付いてる。



「……!?動いた!?」

不思議に思ってそのボールを見ていたら、そいつが突然勝手に動いたようだった。
パズーの手の中で、ボールは何度も揺れていた。
まるで、そこから抜け出そうとしているかのようだった。


パズーは試しに恐る恐る、ボールに付いた留め具の部分に指を近づけてみる。
そしてその留め具を軽く弾き、外してみた。

すると、同時にボールが境目から割れ、その中から何かが飛び出してきた。


「うわあっ!!?」

パズーは驚きの声を出す。
ボールから飛び出してきたそいつが何なのか一瞬認識できないまま取り逃がす。
ボールから出てきたものは、明らかにボールのサイズよりも大きかった。
だからこそ、パズーは咄嗟の対応ができなかった。


ボールから飛び出たのは、生物だった。
そいつはパズーから少し離れた後、立ち止まって空を見上げた。
そうやって動きを止めたことで、パズーはようやくそいつがどんな姿をしているのかを確認できた。

そいつは、頭と上半身は水色で、下半身は黒色の毛並みを持った、犬か猫くらいの大きさの四足歩行の謎の生物だった。

パズーは知らぬことだったが、そいつは「ポケモン」という生物群に分類される、『コリンク』という種名の生物だった。


コリンクは、空の上にある『月』を睨みつけていた。
その表情は、どこか「決意」に満ち溢れているようだった。




彼は、あの『月』を知っていた。
それを、操っている者のことも。
そしてそいつは、彼自身がその手で討ち滅ぼしたはずだった。

彼が倒したそいつの名は『ムジュラの仮面』、身に着けた者を操る邪悪な意思を持つ仮面だった。


あの人面月は本来、タルミナという世界の空に浮かび、落ちてくるはずのものだった。
彼がタルミナを訪れた時、月は3日後に落ちてくるとされていた。
それこそまさに、今彼が巻き込まれているこの殺し合いの状況と同じだった。

タルミナでの事件を引き起こした元凶であるムジュラの仮面、その姿を彼はこの殺し合いの最初のルール説明で目撃した。

最初はあの仮面の邪悪な意思がまだ存在していることを信じられなかった。
だが、ようやく外に出てその空に浮かぶ月を見て、この状況を受け入れるしかないことを理解した。


自分が最初に目覚めた時の状況から、自分がこの殺し合いにおいてどのような扱いを受けているのかも理解しているつもりだ。
ルール説明にあった参加者以外の意思を持つ支給品、自分はそれにされている。
そのため、自分はこの殺し合いで参加者として扱われない、奴らが言っていた優勝の権利を手に入れることはできない。
もっとも、もし自分が参加者の立場であったとしても、優勝を狙うことはない。
あの仮面が関わっているとなると、この殺し合いの主催陣営が何を考えているか分からない。
もしかしたら、全てをただの"遊び"でやっているのかもしれない。

ならば、彼のやることは決まっている。
この遊びを、終わらせるだけだ。


もしこの遊びを"かくれんぼ"だとする場合、奴らの隠れ場所も彼は予測がついている。
先ほどのルール説明が行われた場所に見覚えがあった。
それがどこの中なのか、心当たりがあった。
だから彼は、空に浮かぶその場所を睨みつける。
あの、『月』を。


それを睨む少年は、名を『リンク』といった。



リンクは少しした後、やがて空を見上げるのを止め、パズーの方に向き直る。
そして、何かを訴えかけるような力強い視線を向けた。

「えっと、君は…」

パズーは、ボールから動物が飛び出て来たという事実に対する衝撃がまだ抜けきっていない。
それでも、相手が一体どんな状態にあるもので、何を伝えたいのかは何となく察してくる。
相手は、ルール説明においてあった意思を持つ支給品、それに精神をあてがわれた何者かであること。
そして、自分はこの殺し合いにおいて一体どんなスタンスでいるつもりなのかを問いかけていること。

「…僕は殺し合いには乗らないよ。えっと、これでいいかな?」


635 : 僕は海賊にはならないよ ◆5IjCIYVjCc :2023/07/17(月) 21:07:22 /oH3k53M0
パズーの言葉にリンクは一度相槌を打ち納得した様子を見せる。
言葉での意思疎通は不可能でも、互いの考えは一致していることを確かめられた。

だが、一番決定的なことをリンクは伝えられていない。
そのための手段もまだない。
でもきっといつか、それも伝えなければならない。
方法を考えるなり、見つけるなりしなければならない。


そして、まだをそのことを知らないパズーにとっては、ある意味経験のあることではあった。

リンクの思惑、それは空に浮かぶあの『月』へと行くこと。
パズーがかつて、ラピュタに向かったように。

あの『月』に、この殺し合いの首謀者達がいることを、リンクは確信していた。




【パズー@天空の城ラピュタ】
[身体]:モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE
[状態]:健康
[装備]:ヒスイ地方のモンスターボール@ポケットモンスターシリーズ(Pokémon LEGENDS アルセウス)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:この動物は一体…?中にいる誰かは殺し合いに否定的みたいだけど…
2:他の支給品も確かめたい。
3:ルフィという海賊は危険な人物なのか?
[備考]
※本編終了後から参戦とします。
※ルフィの肉体の細かい参戦時期は後続の書き手にお任せしますが、少なくとも新世界編以後のものとします。
※ルフィのプロフィールにウタと幼馴染であるといった情報が書かれているかどうかは後続の書き手にお任せします。


[意思持ち支給品状態表]
【リンク@ゼルダの伝説ムジュラの仮面】
[身体]:コリンク@ポケットモンスターシリーズ(Pokémon LEGENDS アルセウス)
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:ムジュラの仮面を倒すために月に行く
1:オレを出した、目の前にいる人物(パズー)と共に行動
2:オレが知っている、月やムジュラの仮面についての情報を伝えたい
[備考]
※ゲームクリア後からの参戦とします。
※コリンクとしての性別はオスとします。
※技構成などは後続の書き手にお任せします。


【コリンク+ヒスイ地方のモンスターボール@ポケットモンスターシリーズ(Pokémon LEGENDS アルセウス)】
シンオウ地方の過去であるヒスイ地方産のモンスターボールとそれに入れられたコリンク。
このモンスターボールは現代のものとは違い木材が使われている。
ポケモンを捕まえた際には上部から蒸気が噴き出す(なお、既に中身がいる以上これについての記述の意味はない)。
ゲームにおいてはぼんぐりのみとたまいしからクラフトすることで入手することができる。
コリンク自体はせんこうポケモンに分類されるでんきタイプのポケモン。
基本的には自分をボールから出した者に従うものとする。
状態表に先述したように、性別はオスとし、技構成などは後続の書き手にお任せします。


636 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/17(月) 21:08:16 /oH3k53M0
投下終了です。


637 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/17(月) 21:40:21 57mBR.lk0
拙作『命なんていらない』の文章を一部修正させて頂きました。


638 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 22:50:29 chFSc6DY0
2作続けて投下させて貰います。


639 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 22:51:23 chFSc6DY0
「心(こころ) か」

【ウルキオラ・シファー@BLEACH】
[身体]:秦こころ@東方Project
[状態]:健康、若干の困惑
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ウルトラマンのマスク@ウルトラマン拉致、66種類の能面@東方Project、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:殺し合いを強制するような下種に従う理由などない
1:心が理解出来ずにいた俺と、感情を顔に出力出来ないこの女(こころ)…何の意図がある…?
2:…なんだこのマスクは。
3:あの女(井上織姫)や、黒崎一護が俺と同じようにこの場に呼び込まれていた場合…その時俺は────
[備考]
※参戦時期は死亡後からです。
※肉体側の感情を操る程度の能力について制限があるかどうかは後続にお任せします。
※肉体側は霊力により扇子や薙刀を生成可能と思われますが、今ロワで制限されてるかどうかはお任せします。

【ウルトラマンのマスク@ウルトラマン拉致】
拓也のブログ内にあった怪文書のひとつであるウルトラマン拉致内にて、拓也さんが怪文書内にてプレイの際に着用したマスク。
当人曰く「仮面かぶった拓也ゎ前見えねぇし息ゎ苦しいし」との事。
ちなみに他のブログ内の大半の怪文書は拓也さんによる創作の可能性があるのだが、これについてはウルトラマンのマスクを被った拓也さんの写真が残っている為にウルトラマンマスクをかぶったプレイをした事自体は事実だと思われる。

【66種類の能面@東方Project】
秦こころの持つ能面。こころは感情が顔に出ない為に、会話を行う際はその時々に抱いてる感情に対応した面を付け替える形で行う。
戦闘時は3つ面を周囲に浮かせている他、一部の攻撃を行う際にのみ付け替える能面もある。全部纏めて1つの支給品扱い。


640 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 22:53:20 chFSc6DY0
1つ目の投下終了です、タイトルは
「これがそうか、この掌にあるものが───」です。
続けて2つ目を投下します


641 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 22:54:48 chFSc6DY0
「景和さんは…本当に聞き覚えとかないんです?」
「悪いけど全く…俺からしたら、シノアちゃんの言ってる事もさっぱり聞き覚えがなくてさっぱりなんだ。
…吸血鬼や呪術が実在して、世界が一度滅んでなんて言われても…」
「私からしても景和さんの言う「デザイアグランプリ」とか、「スポンサーが未来人」だとか「創世の女神」とか…色々と疑わしすぎてさっぱりわからないなぁと思うんですよねぇ、そこはお互い様って所です」

厳つい顔の偽りの月の元、青年と少女の2人の参加者が情報の擦り合せを行っていた。
青年の身体の名はうちはサスケ、そしてそれを動かすは桜井景和。
対する少女の身体の名は美遊・エーデルフェルト、身体を動かしている少女は柊シノア。
なんの因果か精神側も肉体側も揃って、兄や姉絡みで色々あった存在達。

「ここまで違うとなると、この身体の持ち主…美遊ちゃんのプロフィールにあったみたいに、平行世界…互いに全く違う世界の存在かも知れませんねー」
「…あり得ると思うよ。俺も前に……姉ちゃんと一緒に、平成って元号が35年まで続いてる世界に飛ばされた事があるから」
(なんですかそのトンチキな世界…!?…他人の世界の事は言えなさそうですけどもー……って考えてる場合じゃなさそうですねぇ…地雷を踏んでしまった気がします)

記憶を辿る中で今はもういない在りし日の姉、桜井沙羅の事を思い出した景和は思わず暗い顔を浮かべる。それに対しシノアは話題を変えに行った。

「その辺はひとまず置いとくとしましょうか。それで…これからどうするんです?景和さんは。
私は……早急に元の世界に戻って助けたい人がいますが、だからといって皆殺しなんて事するのは流石に…そもそも出来る気もそんなにしませんからね〜」

まあやったとしても、なんとなくですが景和さんに勝てずに押し倒されて、あんな事やこんな事されて、私の心と美遊ちゃんの身体が汚されちゃう…なんて事になるのがわかりきってますから〜…
などと冗談めいた口調であはーと笑いながら言うシノアに対し、随分耳年増というか…ませてるなあと思いつつも、呆れが混じった様子で景和は答える。

「仮に今襲って来たとしても、君が想像してるような事はしないよ。
…俺は、叶えたい願いはある…けど、殺し合いには乗りたくないんだ。だからシノアちゃん…目的も同じだし…君さえよかったら、一緒に行ってあげようか?」
「いいんですか?じゃあ決まりですねえ、協力関係成立という訳で〜よろしく景和さん♪」
「こっちこそよろしく、シノアちゃん」

またもやあはーと笑みを浮かべるシノアと、受け入れる景和。
こうして2人は、とりあえず周辺の散策を行う事に決めた。


────しかし少女は気付けていない。青年が心の奥に秘めた真意…真なる願いに。


642 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 22:55:40 chFSc6DY0
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桜井景和はお人好しである。それは確かに間違いない真実である。でなければ…自分の家族のみならず、デザイアグランプリで犠牲になった人たちの蘇生などという願いを抱かない筈なのだから。

しかし彼は同時に、唯一残っていたたった一人の家族であった姉が絡むと途端に普段の冷静さが飛び粗暴になり、視野が狭まってしまう欠点があった。
そして彼は、本意ではない形だったとはいえ姉を目の前で奪われ……復讐者と化した。
復讐者となり憎悪に突き動かれながらも、冷静さと判断力が残っていた故に景和は、他者を化かす方向にも動けるようになった。奇しくも、さんざん自分を化かして来た浮世英寿のように。
そんな彼はこの殺し合いに巻き込まれ、タブレット内の情報という形で身体の…うちはサスケの経歴を知った。
慕っていた兄に父母を含めた一族を皆殺しにされ、復讐に必要な力を得るため闇に落ち、遂には復讐を果たすも、兄の真意を知って兄を犠牲にした里への憎しみを拗らせた男…。
それを知り、更にシノアとの情報交換によって、彼女のいた世界も、肉体である美遊がいた世界もろくでもなく悲劇のある世界という事を知った景和は…自らの「デザイアグランプリで犠牲になった人たちの蘇生」という願いをアップデートさせる事を決める。
なまじお人好しであるが故に、そのままでは悪人の類まで蘇ってしまうという自らの願いの致命的な欠陥に気付けぬままに。

景和がこの殺し合いに巻き込まれたのが、一度願いが叶った後に、蘇った筈の家族をいっぺんに失ってからであれば、主催側の技術なりを奪う方向に行っただろう。
だが、よりにもよってこの桜井景和が殺し合いに巻き込まれたのは…創世の女神となったツムリに自らの願いを叶えてもらう寸前からであった。

(…デザイアグランプリの犠牲者だけじゃダメだ。だから俺はどんな犠牲を払ってでも、デザイアグランプリ…だけじゃない、この殺し合いを含めた全平行世界の、全ての悲劇に見舞われ命を落とした人たちを…全員蘇生させる。そして魘夢達には罪を償わせてやる…!!)

魘夢ら主催側が、願いを叶えると言っていた以上、彼らはなんらかの手段で創世の女神もしくは代替出来る何かを持っているという事という考えが景和の中では成り立っていた。

(…ごめんシノアちゃん、殺し合いに抗うつもりの参加者に信用される為にも…利用させて貰うよ。)

そう、心中で呟く。お人好しな側面自体はそのままな為、罪悪感と後ろめたさはあるものの…その程度で今の桜井景和は止まらない。


【桜井景和@仮面ライダーギーツ】
[身体]:うちはサスケ@NARUTO
[状態]:健康、決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いに抗う振りをして優勝を狙う。優勝して全並行世界の全ての悲劇に見舞われ命を落とした人たちを全員蘇生させる。
1:シノアちゃんを利用しつつ、対主催として動いて信頼を得る。
2:この身体の持ち主も忍…平成35年の世界に飛ばされた時をどうしても思い出す…姉ちゃん…。
3:五十鈴大智が巻き込まれてたら今度こそこの手で息の根を止める。道長は…死んだ方が楽になりそうだから、いない方がいい。でもいたら殺す。
4:例え英寿や祢音ちゃん、どういうつもりかはわからないけどジットやケケラ、ベロバが居ても、俺の願いを叶えるために止まるわけには行かない。利用させて貰う。
5:天照と炎遁・加具土命、それに須佐能乎はあまり使いたくはない。
[備考]
※参戦時期は第42話「創世IV:女神完成 闇の刃」にて、自らの願いを叶える寸前から。
※肉体の参戦時期は2部の五影会談襲撃時からです。
※ギーツエクストラ 仮面ライダータイクーンmeets仮面ライダーシノビを経由しています。
※肉体の参戦時期の都合、天照と炎遁・加具土命、須佐能乎は使えば使うほど視力が低下していきます。


────しかし青年は気付けていない。少女が抱いている想い人への恋心と、身体の秘密に。


643 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 22:56:53 chFSc6DY0
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柊シノアは、確かに今は殺し合いに乗る気はなく、抗うつもりだ。
幼い頃に感情を壊されたのもあって、虚無で無感動気味とはいえ…根の優しさは残っており本質的には情深く、また仲間達との関わりで彼女は再び感情を得ていった。
だが彼女が殺し合いへと巻き込まれたのは…自らに生まれながらに宿っていた鬼にして吸血鬼の真祖シカ=マドゥに、仲間であり部下であり家族みたいな存在の1人であり…そして恋をした相手である百夜優一郎が心を乗っ取られそうになっている土壇場からなのであった。

(もし優さんが、この殺し合いに巻き込まれちゃってたら……何が何でも生かして返してあげないと、ですねえ)

彼を守る為になら彼女は、殺し合いに乗る選択すらするだろう。
まだ敵対していた頃の吸血鬼・百夜ミカエラを、優一郎の大事な家族だからと造反も厭わずに庇い、「いっそもう、優さん連れて逃げちゃってください」と託して信じて逃してしまうくらいに、シノアは優一郎に入れ込んでしまっているのだから。

(…しかし景和さんは、何と言うか…お人好しって感じなのにどこか、姉さんみたいな所もあるような…美遊ちゃんが、天然の聖杯って願望機な事はとりあえずは黙ってた方がいいかも知れませんねー)

脳裏に今は亡き、天才だけど嘘つきな姉柊真昼の事を浮かべつつ、意図的に伝えない事にした情報を思い出しながら、内心焦りながらも…柊シノアは桜井景和と共に征く。


【柊シノア@終わりのセラフ】
[身体]:美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤシリーズ
[状態]:健康、若干の焦り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ハルペーの大鎌@Fate/Grand Order、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:とりあえず殺し合いには乗らない
1:今は景和さんと一緒に行動させて貰いましょうか。
2:この美遊ちゃん…魘夢が身体で使ってた女の人(ウタ)と…なんか似てません?何というか声が。
3:何だか不安なので、とりあえず景和さんには聖杯絡みの事は黙っておきましょう。
4:優さんが居たら…死なせたくないですねえ。
5:みっちゃん(三葉)や君月さん、与一さんにミカさんが居た場合も…死なせたくないです。
6:仮に優さんが巻き込まれてたとして…四鎌童子(シカ=マドゥ)がどうなってるのかも気がかりではありますね…私の手元にはないですが…。
[備考]
※参戦時期は第18巻の第七四話「恋がメザメル」にて、優一郎の意識が消えてから呼びかけてる時からです。
※肉体の生まれながらの聖杯としての力がどうなってるかは後続にお任せします。

【ハルペーの大鎌@Fate/Grand Order】
アナことメデューサ(ランサー)が使用する鎖分銅が付属した大鎌。不死殺しの鎌。
本来はこの鎌により、メデューサはその命を刈り取られ終えているが、死因が逸話として昇華された結果振るう事が可能になっている。


644 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/17(月) 22:57:41 chFSc6DY0
投下終了です、タイトルは「創世IR:隠す互いのシンイ」です。


645 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/07/17(月) 22:59:46 eyCo5BBs0
投下します


646 : 君は不完全で出来損ないのゲッター! ◆IOg1FjsOH2 :2023/07/17(月) 23:01:02 eyCo5BBs0
『破壊セヨ!破壊セヨ!』

ガシャン、ガシャンと金属で出来た物体が動く音を街中で響かせながら歩く存在がいた。
それは3メートル程もある大きな赤いロボットだった。

『破壊セヨ!破壊セヨ!』

彼の名はHVC-09、アンドルフ軍の秘密兵器として開発されていたが
何らかの原因でプログラムが暴走し、自らを作り上げた基地を破壊し壊滅させ。
未完成の状態のまま、敵味方の区別も付かずに破壊を繰り返していた。

最終的にはスターフォックスの手によって撃墜されたが
現在では新たな機械のボディを手に入れ、再び破壊の限りを尽くそうとしていた。

『破壊セヨ!破壊セヨ!』

その得たボディの名はプロトタイプ・ゲッター。
体こそはゲッタードラゴンに似ているが頭部の内部構造が剥き出しになったまま破棄された試作機である。
失敗作と言えどゲッター線で動くゲッターであることには変わりなく
人ならざる物が触れれば肉体が融解する劇物で動いている。

『破壊セヨ!破壊セヨ!』

この狂ったロボットを破壊しない限り、奴は参加者を襲い続けるだろう。
完璧や究極とは真逆な未完成のまま放置されたロボットはまるで誰かを求め続けるように破壊を繰り返すのだ。

『クリエーター ハ ドコダ!』

【HVC-09@スターフォックス64】
[身体]:プロトタイプ・ゲッター@真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ
[状態]:暴走
[装備]:ゲッタートマホ-ク
[道具]:無し
[思考・状況]基本方針:破壊を繰り返す。
1:破壊セヨ!破壊セヨ!
2:クリエーター ハ ドコダ!
[備考]
※撃墜後からの参戦です。
※プロトタイプ・ゲッターの全長は約3mほどに縮小されています。
※支給品を無くす代わりにゲッタートマホークやトマホークブーメランは何回でも使用出来るようになっています。


647 : 名無しさん :2023/07/17(月) 23:01:52 eyCo5BBs0
投下終了です


648 : ◆kLJfcedqlU :2023/07/17(月) 23:41:53 02I1GD9o0
投下します


649 : 探偵はGARDENにいる ◆kLJfcedqlU :2023/07/17(月) 23:49:16 02I1GD9o0


 情報を整理しよう。

 魘夢と名乗る存在が告げた。体を別人に変えたうえでの殺し合い。
 その只中に、俺ことシャーロック・ホームズはいる。

 犯人は少なくとも3名。
 魘夢を名乗ったウタという少女と、仮面の子ども。そして魘夢の言う“あの人”。
 ここまではいい。

 夢のようにおぼろげな記憶の中には同じような影が何十といた。その全員が殺し合いの参加者か?だとすれば規模が大きすぎる
 貴族が貧民の子どもを攫って狩りをしているような胸糞悪い話は知っているが、この殺し合いは『規模』でも『参加者』でも、状況が違い過ぎる。

 何より、『別人の体になる』という荒唐無稽な話。
 そんなことが可能ならば、他人と体を入れ替わっての殺人も強盗もし放題だ。
 当然、俺の知る範囲でそんなことは妄想ですら聞かない。
 本来なら不可能だと断じてもおかしくない内容。そのはずだが、そうは言えない事情がある。

 俺は支給された手鏡を見る。
 くたびれた顔の目つきが鋭い男が映るはずのその鏡面には、銀色の髪を肩にかからない程度に整え左側を編み込んだ、瞳の青いお嬢ちゃんが映る。
 
 確実に俺の顔ではない。女装をした記憶は無いし、それでもこれほどまでの変装は出来ない。
 髪や瞳の色もそうだが骨格の時点で違う。何より耳が尖ってる。
 ドイツあたりだと美容整形の技術があることは小耳に挟んだことがあるが、そういった次元の話ではない。そもそもせいぜい鼻の高さをどうこうする程度の技術だろあれは。

 自分自身で実証されてしまえば、もう反証のしようが無い。『別人の体になってる』ことは事実だ。 
 必然として、『ここで殺し合いをすること』も『3日後には月が落下すること』も事実とみるべきだ。

 そして、もう一つ気になる点。それはこの殺し合いの「参加者」について。
 引っかかる要素はいくつもあるが、確信を持ったのは魘夢の発言だ。

―――このウタは世界の歌姫だの何だの言われているみたいだけど
―――この女のことをよく知っていれば、こんなことは絶対に言わないことは分かるだろうからね

 魘夢はウタのことを「世界の歌姫」、つまり世界規模の知名度を持つと言った。
 だが、その女に対して何とも思っていない。世界の歌姫を相手にするには、余りにも無関心すぎる。
 「この女のことをよく知っていれば」
 この言い回しも不自然だ。ウタがよく知られた人物なら『彼女のこと』とで十分だろう。
 わざわざこんな言い方をするなんて、まるで魘夢本人もウタのことを知らないかのようだ。

 つまり、あの場の魘夢は『ウタの知名度が極めて高いことは事実』であるが『参加者の大半はウタのことを知らない』と判断しているということ。
 実際、俺もウタなんて女は知らない。赤白の髪の歌姫など噂にならない方が不自然なはずなのにだ。

 世界規模に知られた人物を、あの場にいる大半の人間が知らない。
 矛盾する話だが、それが成立しているのならば答えは一つしかない。

 『そもそも知りようが無いほど、俺と魘夢とウタの世界は離れていた。』
 つまり、ウタと魘夢は同じ場所に居る存在ではない。...おそらく俺や他の参加者、鏡に映る嬢ちゃんのような“体”の側も含めて。ここにいる人間は同じ場所からやってきてはいない。

 『時代』...或いは『世界そのもの』が異なる。

 それも一つや二つではない、あの場にいる全員が(体も精神も含めて)別々の世界からきているという可能性さえある。
 まるで麻薬中毒者の妄言のような話だが、『体が別人』などという妄言が現実に起きている以上、そう考えるのが一番自然だ。

 「一つ一つ可能性を潰していけば、どんなに有り得なそうなことでも、それが真実。」

 自身の出した結論を噛みしめるよう。呟く。
 その声は、いつものような少しタバコに焼けた俺の声ではない。
 紛れもなく女の声だった。


650 : 探偵はGARDENにいる ◆kLJfcedqlU :2023/07/17(月) 23:54:40 02I1GD9o0


 空に浮かぶ異形の月。どれだけ絶望的な時に見た月でさえ、あれほど醜悪な顔を浮かべたりはしなかった。
 風の音以外、生き物の気配一つない森。見知らぬ何処かに連れてこられたよりは、巨大な作り物の世界に閉じ込められたと言った方が適切だろう。

 そんな世界の片隅で、一人の女性が木陰に腰を下ろしてタブレットを眺めていた。
 銀色の髪は異形の月に照らされ、その合間から見える尖った耳は彼女がエルフという種族であることを示している。

 「それじゃ、この体について見てみるか。」
 タブレットの画面を、彼のものではない細い指でなぞっていく。
 声も、顔も、種族さえ異なっているが。そこに居るのは紛れもない、シャーロック・ホームズだ。

 シャーロックは自身の体となっている女に対し、幾つか推理をしていた。
 まず、何らかの秘密結社に属する人物であるということ。
 製法どころか材質さえ不明な金のラインの入った黒い衣装、間違いなく隠密性と機動力に重きを置かれたものだ。軍や警察の実働部隊というよりは、暗殺者のような手合いが扱う装備だ
 その衣装は女の抜群のプロポーションをはっきり浮かび上がらせる。自身のスタイルに自信を持っているのだろう。
 爪にインクの汚れがある。シャーロックの友人、ジョン・H・ワトソンがそうであるように彼女も物書きをしている可能性は高い。

 先の予想も組み合わせれば、この女は『「美人作家」の表の顔を持ち、表社会で情報を集める秘密結社の幹部』といったところだろう。
 そして、そのような表の顔を用意して活動している。その必要のある相手。
 つまり、彼女らの敵は社会の中枢にいるか、極めて規模の大きな存在である。

 シャーロックはそう予想を立て、その全てがピタリ当たっていた。

 女は、シャドーガーデンという秘密結社に属している。
 女は、『ナツメ・カフカ』という名義で作家として名を馳せている。
 彼女らの敵はディアボロス教団。社会の中枢に潜みながら、古の魔人の力を得るために活動する組織。
 彼女らシャドーガーデンは“シャドウ様”なる人物を首領とし、ディアボロス教団打倒のために裏表に勢力を伸ばしつつ活動している。
 それらはおおむね、シャーロックの予想したとおりである。

 「だからって、名前が“ベータ”はやり過ぎだろうがよ。元の名前を捨てたってのか?」
 唯一、タブレットに表示された彼女の名前だけは、シャーロックの予想の外にあった。
 本名として表示されたのは明らかな偽名。記号的だとシャーロックが思うのも無理もない。
 紛れもない、コードネームだ。

 そしてそれは彼女が“悪魔憑き”という奇病にかかり、名も地位も失うほどの迫害を受けた。その証明。
 彼女らシャドーガーデンが、ディアボロス教団と戦うその根源。
 その理由はタブレットには書かれていなかったが、シャーロックの類まれな頭脳はその顛末を『教団を要因とする迫害と追放』であるとこれまたピタリと予想していた。

 その上で、彼は全く違う部分を注視していた。

 ベータという名を聞いて。シャーロックが気になったのは、“元の名前が記入されていないこと”ではない。
 “シャーロックとは別の世界の住人の名前に、ギリシア文字が使用されている”点である。

 β ギリシア文字の一つ。つまりこの名をつけた人間は、『ギリシア文字の知識を有している』ということ。
 ベータの世界に関して細かな記載はなかったが、彼女の世界には魔力という力が存在し、魔剣士という者たちがいるという。
 ディアボロス教団という存在も加味すれば、シャーロックのいた世界とは大きく歴史に差があることは想像に難くない。

 つまり、この名を名付けたのはベータやその親ではない。
 『シャーロックと同じか、極めて類似した世界の住人』が名付けたものだ。偽名...そうでなくても新しく与えられた名前ということ。
 古代ギリシアが存在しない世界で、古代ギリシアの文字を偽名とする。そしてその名をベータに与えることが出来る人物。

 「“シャドウ様“か。」
 ただ一人、その条件に該当する人の名を口にする。

 シャーロック・ホームズの脳が、一つの可能性に向けて動き出す。
 ギリシア文字を知る以上、“シャドウ様“なる人物は『異世界の知識を取得できる』か、『異世界から移動した経験のある』可能性が高い。
 おそらく後者だ。前者であるならば知識を独占するにしろ一般化するにしろ、表立った活動をするか名声を受け取るための“隠れ蓑”を用意するだろう。秘密結社の頭目という選択肢は、効率が悪いと言わざるを得ない。
 
 そして、後者であるならば。一つの希望が浮かぶ。
 殺し合いに乗らない、「殺す」と「殺される」以外の可能性。


651 : 探偵はGARDENにいる ◆kLJfcedqlU :2023/07/18(火) 00:00:26 bVGOw/e60
 「もし仮にこの“シャドウ様”が、異世界への移動手段を経験した人物であるのならば。“別の世界に移動する手段が実在する”ということじゃねえのか?」

 “異世界間の移動”
 異世界という夢物語に、輪をかけて荒唐無稽な理論を重ねる。
 だが、ホームズの頭脳は“異世界”の存在を確信している。
 そして今、“シャドウ様”という世界の移動を行った可能性のある存在がいる。

 無論。すべては推測の域だ。推論に推論を重ねた、推理とも呼べないものだ。
 事実として、ホームズは知る由も無いが、根拠として存在する”シャドウ様”の異世界移動は生まれ変わりに類するものだ。ホームズの望むものではない。

 それでも、異世界の転移を経験した人物は、数多の世界には数多くいる。
 推理にも満たない希望的観測でも、ホームズは可能性の影を捉えていた。

 万が一異世界間の移動が可能だとしても、魘夢や仮面の少年がその能力を没収している可能性もある。
 あるいはそのようなことが可能な人物はあらかじめ排除されているかもしれない。
 当然、ホームズはその可能性に思い至った。可能性はどれほど低いか、及びもつかない。
 
 その上で賭ける価値のある可能性だと。ホームズは考えた。

 シャーロック・ホームズは、人を殺すつもりはない。
 人を殺した事はある。だが、この場にいる参加者は集められた被害者達だ。犯人である魘夢たちの口車に、むざむざ乗せられるつもりはない。

 彼がずっと考えていたのは、「誰も殺すことなく、元の世界に帰る」手段だ。
 ベータの記録の中に、万に一つかもしれない憶測ながらシャーロック・ホームズはその可能性を見た。
 何より、シャーロック・ホームズには、元の世界に帰らねばならない理由がある。

(リアム....)
 ホームズの頭に浮かぶのは、同じ地平を見た数学者の青年。
 ニューヨークの片隅で、共に生きようと伝えた彼は、未だ眠り続けている。
 彼の目覚めを待つために、シャーロック・ホームズは帰らなければならない。

「...とにかく情報がいるな。“俺とは違う世界”があることは確定なんだ、他の参加者と会ってその情報を集めねえと『推理』もなにもできねえしな。」

 推理とさえ呼べない『仮説』。だがこの殺し合いから抜け出せる『可能性』。
 確率は万に一つかもしれない。不可能な可能性も高いだろう。
 だが、0ではない。
 同じような考えを持つ参加者。世界を移動する事象を知る参加者。いない可能性はゼロではない。

―――一つ一つ可能性を潰していけば。どんな有り得無さそうな事でも。それが真実。
 ならば、この箱庭の中。一つ一つ可能性を潰していくまでだ。
 不可能ならば、不可能だと確定するまで。
 そして不可能が、可能になるまで。

 それが、シャーロック・ホームズという男だ。

「悪いが、今は俺の体だ。使わせてもらうぜ、名も知らねえお嬢ちゃん。」
 自身の体になっている。ベータであり、ナツメ・カフカであり、名も知らない少女に対し、決意するよう告げる。
 悪魔憑きの後遺症で強靭になったベータの体も、シャドーガーデンの技術が生み出した魔力で変化する服も、今のホームズには大切な武器だ。

 シャーロック・ホームズは、願いのために行動を開始する。
 シャドーガーデンが、名も知らぬ異世界でそうしたように。
 犯罪卿が、ロンドンの町でそうしたように。

 エルフの女の姿で、世界一の諮問探偵は動く。
 目的は、元の世界への帰還と殺し合いの平定。
 かつて、犯罪卿に「闇に光を当てる主人公」として見込まれた男が、壮大な殺し合いという難事件に光を当てるべく、月夜に一人、動き出した。
 

【シャーロック・ホームズ@憂国のモリアーティ】
[身体]:ベータ@陰の実力者になりたくて!
[状態]:健康
[装備]:スライムボディスーツ@陰の実力者になりたくて!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止めて、元の世界に帰る。
1:“シャドウ様”とやらのように、別世界に移動できる可能性。万に一つの可能性だが....
2:情報収集が優先か、他の世界について知っている奴が居ればいいが
[備考]
※参戦時期は14巻以降 ウィリアムが目覚めるまでの間


652 : ◆kLJfcedqlU :2023/07/18(火) 00:01:31 bVGOw/e60
投下終了します


653 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/18(火) 00:18:30 iZpKKYe.0
投下します


654 : 違う世界の大魔王 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/18(火) 00:20:24 iZpKKYe.0
森の中。凍り付き、なぎ倒された何本もの木に囲まれ、一人の男が立っている。
体格こそ人間に近いが、悪鬼じみた顔や青い肌はとうてい人間には見えない。
その肉体の名は、ゾーマ。一つの世界を支配し、闇で包み込んだ大魔王だ。
そしてこの肉体に宿る精神もまた、大魔王と呼ばれた存在であった。

「この体、素晴らしい戦闘力だ……。
 悔しいが……少なくとも、老いたわしよりは強いと認めねばなるまい」

そう独りごちる男の名は、ピッコロ大魔王。
異星より飛来して地球の神となった男が捨てた邪心が実体化した、魔性の存在である。
後に彼が命と引き換えに生み出した息子はやがて善性に目覚めることになるが、ここにいる彼には悪意しかない。
ピッコロは一切の迷いなく、優勝を目指すことを決意していた。
とはいえ、主催者の言いなりになるつもりもない。
優勝した時、おとなしく願いを叶えるならば見逃してやる。
叶えないならば殺す。
それが彼の思考だ。

「しかし、いかに強大な力でも馴染まねば使いこなせぬか……」

先ほどまで、ピッコロは別の参加者と戦闘していた。
内容はピッコロが圧倒的に優勢だったが、とどめを刺せずに逃げられてしまった。
大魔王としては、不覚というほかない。

「まあ、少しずつ慣らしていけばいいか……。
 何せ、時間は三日もあるのだからな」

どうせ、勝ち残るのは自分だ。
その自信を胸に抱き、ピッコロは笑った。


◆ ◆ ◆


ピッコロから少し離れた、森の中。
イノシシの面をかぶった青年が、凍傷だらけの体でフラフラと歩いていた。

「情けない……。魔王ともあろうものがこうも簡単に拉致され……手も足も出ずに叩きのめされるとは……」

この体に宿る精神も、また魔王。
その名を、魔王タソガレという。
まだ方針も定まらぬうちに、タソガレはピッコロに遭遇してしまった。
そして戦闘になり、大敗。
支給品の力で移動速度を強化し、なんとか逃げ延びたのが現状だ。

「この借りは必ず返す……。
 だがまずは、態勢を立て直さなくては……」

魔王が、こんなところでは終われない。
強い意志を支えにして、タソガレは歩き続けた。


655 : 違う世界の大魔王 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/18(火) 00:21:24 iZpKKYe.0
【ピッコロ大魔王@ドラゴンボール】
[身体]:ゾーマ@ドラゴンクエストIII
[状態]:MP消費(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝を目指す
[備考]
※参戦時期は封印が解かれてから、悟空と最初に戦うまでの間


【魔王タソガレ@魔王城でおやすみ】
[身体]:嘴平伊之助@鬼滅の刃
[状態]:ダメージ(大)、全身各所に凍傷
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、チーターローション(残り2回分)@ドラえもん、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:今はとりあえず生き残る
1:ピッコロへの借りは、いずれ返す


【チーターローション@ドラえもん】
足に塗ると、常人の肉眼では目視できないほどのスピードで走れるようになるローション。
ただし、効果は短時間で切れる。
このロワでは、3回使用できる分の量が支給されている。


656 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/18(火) 00:22:03 iZpKKYe.0
投下終了です


657 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/18(火) 17:11:08 MuUR1KlM0
投下します


658 : 愛憎−−−狂気のシンヤ坊 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/18(火) 17:11:48 MuUR1KlM0
「………」
月夜に照らさせる女性がいた。
いや…中身は男である。

「さて…この場に別の身体で呼ばれたわけだが…」
男…相羽シンヤ、またの名を、テッカマンエビル。

「この身体で兄さんを殺せというわけか?」
虚空に投げられた質問は返される訳がない。
「ふふっ…」
そして、笑い。

「ふざけるな!」
地を叩きふせ、怒りをあらわにした。

「どんなやり方でも、兄さんが殺せるなら問題はない!だが!僕の身体でやらなければ、兄さんを超えたという証明にはならない!」
兄を乗り越し、そして殺すための怒りを周りに撒き散らしていく。

「はぁ…はぁ…」
荒い息を放ちながら、立ち上がる。

「まぁいい、この戦いに、乗れば身体は戻るはずだ、そしたら、望むのはただ一つ!兄さんとの再戦さ!」
その狂気は、止まることを知らない、愛憎の具現化のようなものだ。

「待っててよ、兄さん、これから僕が勝って、あんたとの再戦をしに行くからな、フハハハハハ!」
狂気の獅子は、立ち上がった。

【相羽シンヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[身体]:岩崎みなみ@らき★すた
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝し、兄さんを殺しに行く
[備考]
※参戦時期は本編28話後、ラダムが地球支配を始めたあたり


659 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/18(火) 17:12:26 MuUR1KlM0
投下終了です


660 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/18(火) 21:06:56 DdiSwrfI0
投下します


661 : 新たなるフェイス ◆OmtW54r7Tc :2023/07/18(火) 21:08:18 DdiSwrfI0
安室透。
喫茶店ポアロで働きつつ探偵として活動する青年。
その正体は通称「黒の組織」と呼ばれる犯罪組織の一員「バーボン」…として潜入するスパイ。
その真の正体は、警察庁警備局警備企画課に所属する公安警察官である。

が、そんな彼の肉体を与えられた人物にとって、それらの情報はどうでもよかった。

「『喫茶店ポアロで作る彼のサンドイッチは絶品で、パン職人がレシピを盗もうと画策するほどである』……素晴らしいパン!」

彼…いや彼女、ワンダーパン職人という肩書を持つミミー・ブレッドにとって重要な情報は。
おいしいサンドイッチを作れる。
ただそれだけであった。

「決めたパン!小生はこの殺し合いを止めて、安室って人を助けるパン!」

ミミーは決意する。
必ずこの殺し合いを止めて肉体の人物…安室透を救助すると。

「そして、恩を売ってサンドイッチのレシピを聞き出すパン!うぷぷ、小生、頭いいパン!」

その動機は非常に不純かつみみっちいものであったが。
そもそも恩を売らなくても安室さん、教えてくれると思うよ?

「そうと決まれば、まずはこの身体に慣れるパン!」

ミミーが取り出したのはパン…フランスパンである。
彼女はワンダーパン職人流パン術の免許皆伝の持ち主であり、このフランスパンを武器に闘技場のチャンピオンを務めたこともあるのだ。

「パン沙雨パン沙雨パン沙雨パン沙雨パン沙雨」

探偵兼喫茶店店員、黒の組織、公安警察。
トリプルフェイスと呼ばれる男、安室透、あるいは降谷零、バーボン。
そんな彼は今、パンパン言いながらフランスパンを振り回すという、知り合いが目撃したらドン引きされそうな、新たなるフェイスを見せるのであった…

「素振り完了だパン!早速出発するパン!」

なにはともあれ、フランスパンを振り回すのをやめたミミーは、殺し合いを止めるための第一歩を…

コテン

「いたいだパン…」

…踏み出そうとして、転んだ。

【ミミー・ブレッド@テイルズオブレジェンディア】
[身体]:安室透@名探偵コナン
[状態]:健康
[装備]:フランスパン@テイルズオブレジェンディア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止めて安室透を助けて恩を売り、サンドイッチのレシピを聞き出すパン!


662 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/18(火) 21:11:37 DdiSwrfI0
投下終了です


663 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/18(火) 23:04:16 i0c/nlMM0
事後報告になりますが、自作である「妹の為、悪を成した姉と悪を成す兄」「立ち止まる選択肢はない」「真実(リアル)を探し求める」「創世IR:隠す互いのシンイ」について、wikiにて誤字脱字の修正や一部文章の修正・ 追記をさせて貰いました。
そして短いですが一作投下させて貰います。


664 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/18(火) 23:05:07 i0c/nlMM0
「…脈がない?どういう事だ!?死んでいるって訳ですよね?」

【ジョルノ・ジョバァーナ@―パッショーネ24時―】
[身体]:西行寺幽々子@東方Project
[状態]:健康、若干混乱中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗るべきか?そうは思いません!なぜなら『黄金』だから。
0:ムャング・スター(ギャング・スター)に憧れるようになったのだ!
1:この身体、ブチャラティみたいに死んでいるって訳ですよね??
2:そういや僕もピッツァが食べたいな…故郷ネアポリスに帰って…シンプルな丸刈り…俺はそれを解き放ってみせる…!
3:げんた誰ごす?(あんた[幽々子]誰です?)
4:ジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風 2002年 発売予定ッ!(なにィ!?)
5:東方妖々夢 〜 Perfect Cherry Blossom. 2003年 リリース予定ッ!(なにィ!?)
6:ブチャラティ達を探して合流する。大丈夫ですかブチャラティ?
7:えと…爆億円を手に入れろ!
[備考]
※参戦時期は少なくとも護衛チームに加入してから以降、ディアボロ戦にてハゲたブチャラティがスタンド化する前までの間のどこかです。詳細な時期は後続にお任せします。
※肉体側の異能である死を操る程度の能力がどのような制限をかけられてるかは後続にお任せします。
※スタンドであるゴァード・エァーペァーンァ(ゴールド・エクスペリエンス)はこの肉体でも使用可能となっています。パープル・エクスペリエンス(パープル・ヘイズ)が使用可能かは後続にお任せします。
※まだ肉体側のプロフィールを見ていません。


665 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/18(火) 23:05:43 i0c/nlMM0
投下終了です、タイトルは「だって亡霊ですもの」です。


666 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/18(火) 23:16:28 i3gW9qDk0
投下します


667 : 世界のつづき、歌のゆくえ ◆2dNHP51a3Y :2023/07/18(火) 23:17:26 i3gW9qDk0



ドッドッドッドッドッドッドッドッ
ドッドッドッドッドッドッドッドッ
ドッドッドッドッドッドッドッドッ



まるで獣の慟哭の如き鼓動が鳴り響く。その一帯に重圧が立ち込める。
心音と言うには余りにも大きすぎる"その音"は、大地を震わせるドラムのようで。
それを発する元凶たるその男が見据えるのは、今にもドリルを向けるロボットと、隣で縮こまる金髪の少女。

経緯を簡単に説明すれば、この金髪の少女がドリルロボットに殺されそうとした時に通り掛かった。それだけのこと。
そして、このまま少女が殺されるのは気分が悪いということもあり、ロボットを睨みつけ、ただ一言。





「失せろ」






たった一言。その言葉一つだけでロボットは全身を串刺しにされるかの如き恐怖に襲われた。
言葉が、声が耳に流れ込み、全身を蹂躙される感覚を味わうのだ。
銃の男はその身の毛のよだつ感覚に、一度死んだと思い込んでもおかしくない恐怖を味わい、仕留めるはずだった獲物を尻目に逃走した。

一方少女。銃の男がいなくなり胸を撫で下ろせば、目の前に居るのはまた別の男性。
金髪オールバック、左目に残る3本の傷の痕跡。そして、見るからに歴戦の古強者な佇まいと雰囲気。
明らかに自分とは違う世界の住人と、一目で少女は理解して、言葉を発することが出来なかった。

何故ならば、シンプルに怖かったからだ。
少女の、その中身たる彼女は、こんな荒事は間違いなく始めてだったし、先程殺されかけた時も兎に角恐怖の真っ只中だったからだ。
自分を助けたこの男も、何かの間違いで自分を殺しに掛かってきそうという恐怖を感じていたのだ、つまり下手に言葉を発して機嫌を損ねるのが怖かったということで。
だが、このまま沈黙したままだというのも気まずく、かと言って下手に話題を出しても。


「……大丈夫か?」
「……!」


先に言葉を発したのは男の方だ。単純に少女の方を心配しての物言いだったのか、その重低音響く声は少女を萎縮させるには十分。というか普通に怖いという印象の方が与えがち。
これには「やってしまったか?」と男の方はほんの少しだけ困った表情。そして少女の方は、話しかけられたのに何も言葉を返さないのはどうかなと悩みに悩んで。

「あ、あのっ……!」

意を決して声を出す。強いて言うなら一般の人よりはほんの少し肝が据わっているのも彼女の強み。
こんな所で怯えているなんてらしくなかった。殺し合いの恐怖に当てられて現実を直視するのに時間がかかってしまった。これは夢でも何でもなく現実だ。セカイでもない。

「歌って、好きですか?」

なので、何とも普通に。まあ特に起伏もないような質問を投げた。
だが、それこそが彼女の――星乃一歌の強み。友達の為にいじめっ子多数を相手取ったりしたその度胸は伊達ではない。
今はアルトリア・キャスターという少女の身体であるが、身体に宿る星乃一歌が振れることはなく。
本当ならミクを布教したかったが、それは一旦我慢してもうちょっと仲良く慣れたらの話。

男の方は一歌の言葉に、その度胸にほんの少しだけ呆気にとられ口を開き。
その上で、耳に流れた歌が好きかどうかの質問にほんの少しだけ口元を緩ませ。

「……ああ、大好きさ。」

その返答は、星乃一歌を安心させるには十分な言葉であり。
「悪人かもしれないけれど、悪い人では無さそう」と安堵させ、ようやく彼女の心は落ち着きを取り戻したのだ。


668 : 世界のつづき、歌のゆくえ ◆2dNHP51a3Y :2023/07/18(火) 23:17:46 i3gW9qDk0
■ ■ ■


ゴールド・ロジャー亡き後の世界。彼が残したひとつなぎの財宝。
数多の海賊がそれを求めて縦横無尽に行き交う大海賊となった大海原で。
海賊の中の海賊、その頂点に近いとされる『四皇』と称される者たち。

『黒ひげ』マーシャル・D・ティーチ
『千両道化』バギー
『麦わら』モンキー・D・ルフィ

そして。今この場においてヒーロー『キング』の身体となっている最後の四皇。
『赤髪』シャンクス。激動した四皇の内部事情において未だその席を譲らず鎮座し続ける大頭。
星野一歌への応対で一応に穏やかになっている反面、彼は魘夢という存在に対する怒りを抱えているのだ。

何故ならば、魘夢の今の身体が、シャンクスの娘(かぞく)であるウタであるのだから。
別に彼女とは血の繋がりこそはないが、血の繋がりがなくともウタがシャンクスの家族であることに一切の欺瞞は無い。
そうでなければ、娘が拗らせた際にわざわざ駆けつけるなんてしないだろう。

故に、今のシャンクスの心中は怒りに滾っていた。噴火直前の活火山のごとく。
何せ、救ったはずの娘の身体がわけも訳の分からない連中の好き勝手にされているのだ。
シャンクスは無用の争いは好まない、それこそ酒をぶっかけられた程度では動じない。
だが、仲間や友達に――家族に手を出されたのなら話は別だ。
それだけは絶対に許すつもりはない。
ましてや、ウタの身体で、ウタが絶対望まないであろう事をする魘夢という推定能力者に。

「あ、あの……目が怖いですけれど。大丈夫ですか?」

一歌に心配され、シャンクスは冷静になった。何ら普通の女の子の前で、内心感情的になってしまったのだ。
歌が好きかどうかと聞いてきたのだ、彼女は音楽に携わる人物なのだろうか。そう言えば麦わら海賊団の中にも音楽家がいたが、あれとはジャンルは違いそうな少女。

「ああ、大丈夫だ。……ほんの少し、考え事をしていた。」
「……わかりました。」

ほんの少しの一歌が開けた間で、自分のことを何となく察せられてしまったと後悔。
これは自分たちの問題で、他人をとやかく巻き込むつもりなんて無いのだ。

「……所で、君も音楽家、いや歌を歌うのかい?」
「はい。Leo/needっていうバンドでギターとボーカルやってるんです。」

ほう、と感心したような相槌。

「……せっかくだ。聴かせてくれないか?」
「えっ、あっあのいや……わ、わかりました。」

興味が湧いて、聞きたいと言ってしまった。
そそくさとデイバッグからギターを取り出して、構えて。歌う。
余りにも急すぎる一人バンド。だが頼まれてしまった以上は期待に答えないと。

「♪〜」

集中し、その手は熱く、かつ心は冷静に、弾き語り、歌う。
ステージのセカイ、君が輝ける場所はここ。
1分半の演奏を軽く終えて、冷や汗やまぬ一歌の視線の先、軽く拍手をする。

「……いい歌だ。彼女にはまだ及ばないが、それでもその歌は伸びしろがある。」
「あ、ありがとうございます……。」

いい歌だった。世界中を虜にする、まあ悪魔の実の能力のこともあるし当然だろうが。
ウタには届かぬとも、それでもいい歌で。
彼女の歌を、こんな所で絶やしてしまうのは勿体ないということで。

「………良いものを聴かせてくれたお礼だ。安心しろ、当分は俺がお前を守ってやる。」

それ以上に言葉は必要なく。ただ、星乃一歌の歌声と思いはシャンクスに届いたと同義であり。
それはつまり、彼女の歌がシャンクスに認められたというのと証左でもあった。


669 : 世界のつづき、歌のゆくえ ◆2dNHP51a3Y :2023/07/18(火) 23:18:14 i3gW9qDk0


(――俺の家族に手を出したということは、そのつもりだということだな、魘夢。)

赤髪海賊団の身内に、家族に、娘に手を出すというその意味は。
とどのつまり、赤髪海賊団全てを敵に回すということで。

(――戦争だ。)

魘夢は、絶対に踏んではいけない虎の尾を踏んだのである。


【シャンクス@ONE PIECE】
[身体]:キング@ワンパンマン(村田版)
[状態]:健康、一歌の歌に対して高評価、魘夢に対する怒り(絶大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:娘を取り戻す
1:――戦争だ、魘夢。俺の娘に手を出した覚悟は出来ているんだろうな?
2:いい歌のお礼だ、当分はお前(一歌)のことは俺が守ってやる
3:
[備考]
※少なくともFilm Redは経験しています

【星乃一歌@プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク】
[身体]:アルトリア・キャスター@Fate/Grand Order
[状態]:健康、
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2、後藤ひとりのギター@ぼっち・ざ・ろっく
[思考・状況]基本方針:何とか元の世界に戻りたい
1:この人(シャンクス)、悪人かもしれないけど悪い人ではなさそう……?
2:咲希、穂波、志歩……
3:
[備考]
※少なくともユニストクリア後


『支給品紹介』
【後藤ひとりのギター(初代)@ぼっち・ざ・ろっく】
星乃一歌に支給。後藤ひとりが父親から借りた50万近い値段の「ギブソン・レスポール・カスタム」という種類のギター。


670 : 世界のつづき、歌のゆくえ ◆2dNHP51a3Y :2023/07/18(火) 23:18:43 i3gW9qDk0


(ふざけんじゃねぇ、あんなの聞いてねぇぞ!?)

ドリルマンと呼ばれるボディに押し込まれた、真・真夜中のサーカス所属の自動人形(オートマタ)たるドリル・セプテンバーは内心悪態を付きながらもあの場から離れるように逃げていた。

魘夢が何を求めているのかは知らないが、加藤鳴海に敗北し破壊された自分が別のボディに拵えられてこうやって蘇っているのだ。
それに、今更無事元の世界に戻っても任務をしくじった自分がどうなるかなんて目に見えている。創造主はしくじった自動人形に容赦はない。それは落ちぶれた最古の四人の生き残りの扱いで目に見えている。
幸いにも、このボディは前のボディよりも性能自体は良い。しかも人間の血を吸わずともメンテナンスする程度で長持ち出来るとは至れり尽くせり。

(どう考えてもあの時の人間よりもクソ強えやつと相手なんか出来るか!)

これからは、先のジジィみたいなやつはなるべく避け、弱そうな人間を狩っていく事を主軸としよう。あれは運が悪かっただけだ、あんなのが何人も居てたまるかと心底思う。

(つーか夢叶えてどーすんだって話だが……)

正直、魘夢の言っていたことは魅力的だが、正直夢叶えて何をしたいって言われても困るのは確か。

(ま、人間ども狩っときゃ勝手に見つかるだろ)



【ドリル・セプテンバー@からくりサーカス】
[身体]:ドリルマン@ロックマン4
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:取り敢えず生き残る
1:あんなジジィみてぇなやつが何人も居てたまるか!
2:趣味と実益を兼ねて適度に人間は狩っておく
3:どんな夢でも言われてもなぁ……
[備考]
※参戦時期は鳴海に敗北した後。


671 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/18(火) 23:19:02 i3gW9qDk0
投下終了します


672 : ライアー・ゲーム ◆EPyDv9DKJs :2023/07/19(水) 20:02:30 .aU.EFEA0
投下します


673 : ライアー・ゲーム ◆EPyDv9DKJs :2023/07/19(水) 20:05:15 .aU.EFEA0
 村に近い雪原にて、一方的な蹂躙……と呼ぶかは少し怪しい状況が起きていた。
 黒い薄着の中性的な人物は、退屈そうな目で目の前に倒れる男を踏みつける。
 咄嗟に茶のプロテクターを纏ったサングラスの青年は横へと転がり、すんでのところで回避。
 雪越しでも地面を伝わる反動は、小柄な少年とは思えない質量の感覚を受ける。
 生身の人間が受ければ、ただのダメージでは済まないかもしれない。
 勢いのまま起き上がって、なんとか体勢を立て直す。

「あのさぁー、早く死んでくれないか?」

 男女とも区別しがたい声色で相手は呟く。
 プロテクターの青年は分かっていた。これは遊ばれているのだと。
 自分の身体が正面切っての戦闘ができるものではないと言うのは、
 早々に出会って最初に交流した際に話してしまったので露呈している。
 何度か攻撃は避けることはできたが、あくまでそれは相手が遊び半分。
 そういう憐れんだり侮蔑の眼差しを向けられながら戦っている。
 そういうのは、彼は嫌と言う程経験している。

「と言うかその身体ヒーローだっけ? 人を守るのが仕事なんだろ?
 ほら、このエンヴィーは戦争を引き起こしちまった程の大悪党だぜ?
 ヒーロー様なら、このエンヴィーを倒すのが筋ってもんじゃねえのか?」

 彼の身体は確かにヒーローだ。
 ただ、ヒーローと言ってもこの身体も結局人並みでしかない。
 サトル、またの名を無免ライダー。彼はC級ヒーローであり、
 C級とはひったくりと言った一般犯罪者を捕まえるのが主な仕事だ。
 月の落下、人格の入れ替え、殺し合い。今までのどんな凶悪な犯罪者や怪人を超えている。
 怪人や殺し合いを止めるだけの力なんてものは、当然この身体に備わってなどいない。

「……きっとこの身体の人は、立ち向かってほしいのは分かる。
 けど、だからこそこの人を死なせるわけには、俺も死ぬわけにはいかないんだ!」

 加えて、彼は───斎藤は元の身体も強くはない。
 ただの社会人で、君の代わりはいくらでもいると言われ、
 特別秀でたこともない。身体が強くなったところで根底は変わらない。
 異世界に転移しても陰では言われてきたことだ。
 パーティのおこぼれに肖っている存在だと。

 でも実際は違う。戦士や魔法使いでもないし、治癒術もない。
 武器を振るう筋力はあると言っても、斧を振り回し続けるだけの強さでもなく。
 彼には何でも屋をやってた名残で色々できる。鍵開け、修繕、詠唱のサポート。
 寧ろ彼がいないとパーティが回らない、なんてことだって存在している。
 いくらでも代わりがいると吐き捨てられた自分にとっての一番の居場所。
 そこを失いたくないし、同時にこの身体の人だって死なせたくはない。
 だったら何が大事だ。生きることだ。足を引っ張らないよう生き足掻く。
 それが斎藤にできる、ありふれた行為であり、最も大切な事だと。

「鋼のおチビさんみたいな精神か? つまんないこと言ってないで、とっとと死ねば?」

 エンヴィーは拳を作る。
 斎藤もこればかりは避けられないと悟った。
 遊びで今まで当てない程度に手加減されてた物とは違う。
 今度は当てる気のある攻撃。経験則から飛び退いたが、
 それでも間に合いそうにない。










 あくまで彼の力量だけであればの話だが。
 急速に斎藤の身体が後方へと下がった。
 エンヴィーの拳は空振りに終わり、どういうことかと二人が困惑する。

「おい、大丈夫かアンタ!」

 後方へ引っ張られた斎藤の背後にはゴーグルをつけた謎の青い人型。
 更に、その背後には黒鎧に身を包んだ騎士が立っていた。
 左手に兜を持っており、装備してる途中で駆け付けたのだと伺える。
 助けてくれた以上は味方なのは伺えるが、斎藤は思わず目を疑った。
 顔の傷が目立つ茶髪の凛々しい女性は、余りにもよく知った顔だったから。

「ラ、ラエルザ!?」

「え? 身体の方の知り合い? えっと悪ぃ、この身体借りてる。」

「あ、そりゃ、そうか……」


674 : ライアー・ゲーム ◆EPyDv9DKJs :2023/07/19(水) 20:06:07 .aU.EFEA0
 俺がそうなんだからそりゃ別人だよな。
 何処か落胆したような、消え入る声で小さく斎藤は呟く。
 しかしすぐに首をブンブンと振る。精神はラエルザではないとしても、
 此処にいる身体は紛れもなくラエルザ。大事な仲間の身体なのは間違いない。
 ラエルザは戦士だ。少なくとも自分以上に戦える存在であると。

「ま、少なくともこいつの知り合いってならよぉ〜〜〜……つまり敵でいいんだな、お前は!」

 ラエルザのプロフィールを軽く見るに、
 悪い奴ではないのだと彼女───空条徐倫は判断した。
 先の斎藤の反応は、助けに来てくれた時のようなものだ。
 だったらそれに対して害をなす相手が敵であると認識するのは当然だ。

「そうだけど相変わらず人間って、愚かなことに命かけて───」

「ストーン・フリー!!」

 話を聞く気など毛頭ない。
 そうと言わんばかりにゴーグルをつけた人型、
 彼女のスタンドのストーン・フリーと共に駆け足で迫る。
 (因みに兜は斎藤の方へと投げ捨てた。)
 鎧を付けながらもある程度のスピードで走ることができるのは、
 いかにこの身体が異世界で鍛えていたかを伺うことができる。
 とは言え、あくまである程度のスピード。人並みの速度とそう変わらない。
 五メートルは開いた距離で、拳を構えて右ストレートを叩き込む。

「おいおい、この距離で当たるわけ───」

 が、当たった。
 いや、エンヴィーが自ら右ストレートに当たりに行ったと言うべきか。
 ストーン・フリーは身体を糸状に分解することができるスタンド。
 会話の隙に夜の暗がりを利用して、左手を鎧の中でばらして地面を這わせ、
 殴る寸前にエンヴィーの背後から糸を手繰り寄せれば、さながらそれは漁の網。
 鎧のお陰で左手をばらしてることには気づかれることもなかった。
 しかも殴られたところで網は背後にある。つまりバウンドして引き戻される。
 再度右ストレートが叩き込まれる。しかし網はある。即ち、

「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

 拳のラッシュが始まると言うわけだ。
 全身にスタンプをぶちこむように叩き込み、
 渾身の一撃と同時に網を解除して思いっきり吹き飛ばす。

「や、やったのか?」

「いや。なんかあいつ硬いんだけど。生身だよな? あれ。」

 両手のラッシュだったら最善だったかもしれないが、
 右手だけのラッシュで火力は落ちてるにしても、なんか手ごたえが浅い。
 生身の人間を殴ってるのかどうか疑問を浮かべてしまう程に。

「畜生……やりやがったな……ッ! つかなんだよそれ。プライドの亜種かよ!」

 類似した能力に愚痴を零しながら起き上がるエンヴィー。
 顔面をボコボコにされ、血を流しながらも割と平然としている。
 一応ダメージにはなってるようではあるのだけは分かった。

(スタンド使いじゃない? いや、まあ見えなかったらズルだし当たり前か。)

 肉体が変わろうとも己の精神はそこにある。
 となればスタンドが引き継げることは不思議ではない。
 一方で元の戦術が十分に活用できるのはずるい方だ。
 ならば、何らかの制限として見えたり干渉できるようになってるのだと察した。

「この、人間如きが!!」

 しかし、そんなことを考えてる場合ではなかった。
 エンヴィーが右手を翳すと、光の球が何発も発射される。
 精度が非常に悪くて殆どがあらぬ方向に飛んで地面を抉るが、
 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると言うもの。何発かが徐倫を襲う。
 思わぬ飛び道具に防具がまだ装備してない頭部をガードしつつ受けて防ぐ。
 着弾と同時に爆発。鎧のお陰でダメージは余りないが衝撃は中々のものであり、
 これはプロテクター程度の斎藤の方が受ければ、ただでは済まないと即座に判断。

「おい、逃げるぞ!」

「え、ちょ!?」

 切羽詰まった状況なので、返事の有無は問わなかった。
 無数の攻撃が飛び交う中、即座に斎藤(と彼が持ってた兜)を回収。
 スタンドの糸を伸ばして近くの適当なものに巻き付けては高速で移動する。
 幸いなことに、攻撃の余波で煙が出たのもあってか逃げることはそう難しくはなかった。

【斎藤@便利屋斎藤さん、異世界に行く】
[身体]:無免ライダー@ワンパンマン
[状態]:疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:便利屋にできることは少ないだろうけど、なんとかがんばる。
1:エンヴィーから逃げる。
2:徐倫と行動したい。ラエルザの身体だし放っておけない。
3:ラエルザ(精神)達もいるのだろうか。
[備考]
※参戦時期はオムニバスよりに近いので概念が曖昧の為、
 アニメで少なくともモーロックが死亡、アンデット化してない時期とします。
※肉体の参戦時期は深海王戦以降。アニメ版準拠の為村田版になります。


675 : ライアー・ゲーム ◆EPyDv9DKJs :2023/07/19(水) 20:08:12 .aU.EFEA0
【空条徐倫@ジョジョの奇妙な冒険 第六部 ストーンオーシャン】
[身体]:ラエルザ@便利屋斎藤さん、異世界に行く
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:黒騎士の鎧(兜はスタンドが所持)@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]基本方針:乗る気はない。
1:死んでも戦いって、やれやれって感じだわ
2:とりあえず逃げる。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※肉体の参戦時期は原作が割とオムニバスなので細かい指定はできませんが、
 アニメで少なくともモーロックが死亡、アンデット化してない時期とします。







「はぁー、はぁー……あ? 逃げられちまったか?」

 煙が晴れ、雪景色などなくなるほどに荒れ果てた周囲を見て、
 二人の姿がどこにもないことに落ち着いたことでようやく気付く。
 チッ、と舌打ちはするものの、実のところエンヴィーとしてはどっちでもよかった。
 肉片も残らず倒したならよし、そうでないならいつも通りの手段だ。
 そう思いながらデイバックの中から取り出した大きな絵筆を手にしながら、姿が変わる。
 と言うより、この殺し合いにおいてエンヴィーの姿がそのままの姿であるわけがない。
 此処は精神と肉体は別物になる場所、当然彼もまた別の身体で、今までが姿を変えてただけ。
 元に戻れば、水色の肌ではあるものの緑の髪を束ねた端正な顔立ちをしており、
 女性が見れば黄色い声の一つもあげるだろう男の姿が現れる。

「ま、いつも通り騙しまくってやるさ。愚かな虫けらどもをな。」

 これが本来のエンヴィーによるこの殺し合いにおける姿、ザーボンの身体だ。
 手にした絵筆、マジックブラシの力によって姿を別の姿に変えることができる。
 条件は面倒だったり小動物もいないとなると逃げるのには向いてないものの、
 元の身体でやったような化かし合いについては問題なく可能なので別にいい。

「さーてと、悪逆のヒーローでも名乗ってみるか?」

 スライムのような半透明の青い色かつ、
 赤い瞳の無免ライダーの姿へと変わっていく。
 およそヒーローがしていいものではない表情になりながらエンヴィーは何処かへ向かう。



 ただ一つ、許せないことはあるにはある。
 それはザーボンもまた変身した姿が醜いのだと。
 自分への当てつけをした主催への報復はしておきたい。
 もしかしたら、そこを付け入れば味方になる可能性もある。
 もっとも、人間を見下すエンヴィーが共闘する相手など、早々ないことだろうが。

【エンヴィー@鋼の錬金術師】
[身体]:ザーボン@ドラゴンボール
[状態]:顔面に腫れ、ダメージ(中)、無免ライダーに擬態
[装備]:マジックブラシ@スーパーマリオサンシャイン、フリーザ軍戦闘服@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]基本方針:いつも通り遊ぶけど、この身体にしやがった主催は殺す。
1:いつも通り場を混乱させる。
2:とんだ嫌がらせをしてきやがるな、あいつら(主催)。
3:変身はしたくねえなぁ。
[備考]
※参戦時期は少なくとも死亡前。
※肉体の参戦時期は不明。
※現状の戦闘力は気が発射できるのと、多少パワーが強い程度です。まだ変身はできません。
※マジックブラシで擬態できるのは現在斎藤(無免ライダー)とエンヴィー、徐倫(ラエルザ)の三人です。
※マジックブラシの制約等は以下の通り
①:擬態は一度はエンヴィーが目視で全身の大体を見ていること。
  原作から擬態可能なのは自身のみ(本ロワで同作のキャラが参戦し、出会った場合は別)
  この条件の為、参加者か無機物以外の意志持ち支給品の生物にしかなれない。
②:擬態中の声は変身した対象と同じになる。
③:擬態中の戦闘能力や耐久は肉体のザーボン、及び装備に依存。(質量も同じく)
④:プチプチ(汚れから沸く敵)が湧くかは採用された場合企画主の判断に任せます。
⑤:原作ではどう見ても色が違ってるにもかかわらずマリオが犯人と間違われてることから、
  ある程度の認識阻害効果を持つものとして扱う(擬態した対象には色違いの認識が可能)。
⑥:大きめのダメージを受けると強制的に擬態は解除される。
⑦:壁に絵の具を塗った場合は壁抜けなら可能。長距離のワープは不可能。

【黒騎士の装備@グランブルーファンタジー】
空条徐倫に支給。黒騎士アポロニア・ヴァールが装備している鎧と兜。
全天に轟かせる七人の騎士、七曜の騎士の鎧の一つとなる。
具体的な性能は不明だが、長年継承されながら老朽化をしてなければ、
破損個所も修繕箇所も見当たらない(或いは完全に修復されてる)ため恐らくかなり頑丈。


676 : ライアー・ゲーム ◆EPyDv9DKJs :2023/07/19(水) 20:08:40 .aU.EFEA0

【マジックブラシ@スーパーマリオサンシャイン】
エンヴィーに支給。オヤ・マー博士が作った発明品の一つ。
絵の具を塗ることができ、絵の具がばらまかれた上にいると沈んでしまう。
沈んでも死ぬことはないが、水で地面を洗うなどしない限り脱出が困難。
擬態する能力もあり、これによって偽物のマリオとしてドルピック島で暗躍していた。
擬態する場合はスライムのような半透明の青い色かつ赤い瞳になる。

【フリーザ軍戦闘服@ドラゴンボール】
エンヴィーに支給、と言うよりデフォルト装備。
フリーザ軍の兵士の標準的な装備の一つで、超質ラバーにより柔軟でかつ頑丈。
ただし本ロワでは原作よりも結構弱体化しており、過信は禁物。
なお、フリーザの外殻をもとに開発されてるとかなんとか。


677 : ライアー・ゲーム ◆EPyDv9DKJs :2023/07/19(水) 20:09:20 .aU.EFEA0
以上で投下終了になります
企画主には一応変身についての確認はとってありますがあくまで簡易的な確認だけでして、
この内容がアウトでしたら修正、或いは破棄します


678 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/19(水) 22:15:40 8vB.Fa720
投下します


679 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/19(水) 22:16:12 8vB.Fa720
「誰なのよこの身体ァァァ!」
少女、カタリナ・クラエスはショックの雄叫びを上げた。
それは彼女の身体だった。
生前見ていた漫画やアニメならいいだろう。
しかし、彼女が入った身体は、いわば、筋肉モリモリマッチョマンの変態であった。
半裸で軍人のような着こなしの男に入ってしまったのだ。

「ううっ…せめて知ってる人が良かった…キースとかニコル様とか…」
悲しみのあまり跪いたその時だった。

「おい、あんた大丈夫か?」
顔を上げると、そこには、2mぐらいの大男がいた。
現在の自身ほどの大きさである。

「キャァァァァ!」
「ウォッ!待ってくれ!危害を加える気は無い!」
「そ、そうなの?」

男の静止を聞き、なんとかカタリナは落ち着きを取り戻す。

「ふぅ…なんとか落ち着いたわ、ありがとう。」
「嫌、当然のことをしたまでさ。」

「ところであなた、名前は?」
「織斑一夏、もちろん身体は違うが、あんたは?」
「カタリナ・クラエスよ、ホントは女性だけど、今はこの身体。」
「ははっ…そりゃあ災難…」

「そうだ、俺と一緒についていかないか?」
「え?」
一夏にとっては、人助けがしたい、その一心の要求だ。

「で、でも」
この場は殺し合いの場だ、なにか勘ぐってしまうのが、筋だ、カタリナは考え込むが。

「大丈夫だ。」
「へ?」
そして手を掴むと。

「俺がしっかり、守ってやるからな。」
「ふっ…ふっ…ふぇぇぇぇ!」
まるで婚約のような発言、カタリナは衝撃に飲まれた。
こうして、一見は大男二人だが、片方は令嬢の物語が始まった。

【カタリナ・クラエス@乙女ゲームの破滅フラグしか無い悪役令嬢に転生してしまった…】
[身体]:ジョン・メイトリックス@コマンドー
[状態]:健康 困惑(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:絶対に生還する
1:ふぇぇぇぇ!(大困惑)
2:みんなは居るのだろうか…
[備考]
※参戦時期はキース誘拐前

【織斑一夏@IS 〈インフィニット・ストラトス〉】
[身体]:オルガ・イツカ@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生還優先
1:この人は保護しないとな
2:学園のみんなはいるのか…


680 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/19(水) 22:16:37 8vB.Fa720
投下終了です
タイトルは「縁のない人に転生してしまった…」です


681 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/19(水) 22:54:31 vedLRfqM0
投下します


682 : 同じアナのムジナ ◆NIKUcB1AGw :2023/07/19(水) 22:56:22 vedLRfqM0
市街地の裏路地。
海軍元帥「赤犬」ことサカズキは、手鏡を見ながらため息を漏らした。

(よりによって、あいつの体とはのう……)

彼に与えられた肉体の名は、「青雉」クザン。
壮絶な一騎打ちの末に袂を分かった、かつての同僚だ。

(同じ自然系の能力同士、コツはつかみやすそうな気はするが……。
 なにぶん、属性が正反対。そう上手くはいかん可能性もある)

本来のサカズキは、肉体をマグマに変化させる「マグマグの実」の能力者。
一方クザンは、肉体を氷に変化させる「ヒエヒエの実」の能力者。
高温と低温。司る力は真逆である。

(まあそれは、実際に試してみるしかないか……。
 しかし、誰がこんな真似を……。
 体の入れ替えなんて真似をやっとる以上、能力者が関わっているのは確実。
 それ以外のしかけも考えれば、入れ替え以外に3,4人は能力者がいてもおかしくないのう)

主催者への考察を巡らせるサカズキ。
だが、そこに響く銃声が思考を強制的に中断させる。
銃弾が、サカズキの肩を貫く。

「無駄じゃ」

だが、血は流れない。
撃たれた場所が氷の破片となって砕け散り、欠けた部分はすぐに塞がっていく。
ヒエヒエの実の能力による現象だ。

「単なる鉛の弾丸なんぞ、自然系には通用せんわ」

ゆっくりと振り返り、サカズキは自分を撃った本人に向かって言い放つ。
そこに立っていたのは、髪の長い女だった。
顔つきは美人といっていいのだろうが、異様に陰鬱な雰囲気を纏っている。

「へえ、すごいのね。
 この体もそうだけど、ここには特殊な力を持った人間がたくさんいるのかしら」

動揺を見せず、女は淡々とした口調で言う。

「悪魔の実を知らんのか? どこぞの田舎の人間か……。
 まあ、そんなことはどうでもええ。
 背後からいきなり撃ったっちゅうことは……おまえさん、殺し合いに乗っとるな?」
「ええ、そうよ」

その返事を聞いた瞬間、サカズキは駆け出した。

「なら、死ね! 悪党に生きる権利なし!」

女に向かって拳を突き出すサカズキ。
だが女の体はふわりと宙に浮き、拳は宙を泳ぐ。

「月歩か!?」

一瞬、達人の使う空中歩行術を連想したサカズキだったが、すぐにそうではないことを理解する。
女の背中から、翼が生えていた。
いや、違う。鳥が背後から彼女を持ち上げているのだ。

「あなたもこの体と同じで、冷気使いみたいね。
 私の能力じゃ、あなたを殺せない。
 だから、逃げるわ」
「逃がすか!」


683 : 同じアナのムジナ ◆NIKUcB1AGw :2023/07/19(水) 22:57:12 vedLRfqM0

サカズキは腕から氷を伸ばし、女を攻撃しようとする。
だがそれは、難なく回避されてしまう。

「ああ、最後にもう一つ」
「なんじゃ!」
「悪人と判断すればすぐに殺そうとするあなたも、願いのために殺そうとしてる私と大差ないんじゃないの?」
「ああ!?」

女の言葉は、サカズキの逆鱗に触れる。

「知ったような口を利くなぁ!!」

怒りのままに、サカズキは巨大な氷柱を生み出して女を攻撃する。
だがそれも、間一髪のところでかわされてしまった。

「危なかった……。長居は無用ね。
 行って、フリーザー」

鳥に指示を出し、女は飛び去る。
後には、サカズキだけが残された。

「おのれぇぇぇぇぇ!!」

絶叫と共に、サカズキは目の前の建物を殴りつける。
建物は瞬く間に凍結し、砕け散った。


◆ ◆ ◆


「幸先はよくないわね……」

夜の街を飛びながら、女……ムジナは呟く。

「でもがんばらないと。せっかく生き返ったんだから」

かつてムジナはおのれの存在意義を賭けて決戦に挑み、そして負けた。
この殺し合いに呼ばれたのは、彼女にとってまさかの敗者復活戦だ。

「私には……怪獣しかないんだから」

考え込むように目をつぶり、ムジナは言った。


◆ ◆ ◆


自分は何をやっているのか。
フリーザーに宿る精神……ゴルドバーンは自問自答する。
ムジナは自分たちの敵、怪獣優生思想の一員だった。
そしてこの場でも、多くの人を殺そうとしている。
モンスターボールとやらの力である程度制御されているとはいえ、ここまで積極的に助ける義理はない。
それでも、ゴルドバーンにはムジナを見捨てることはできなかった。
怪獣優生思想はゴルドバーンにとって一番大切な人……ちせの、あり得たかもしれない未来の姿だから。


684 : 同じアナのムジナ ◆NIKUcB1AGw :2023/07/19(水) 22:58:42 vedLRfqM0


【サカズキ@ONE PIECE】
[身体]:クザン@ONE PIECE
[状態]:健康、激怒
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る者と、主催者の打倒
1:あの女は必ず仕留める
[備考]
※参戦時期は新世界編開始直後


【ムジナ@SSSS.DYNAZENON】
[身体]:アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ@ドリフターズ
[状態]:健康
[装備]:ミスタのリボルバー(残弾49)@ジョジョの奇妙な冒険、モンスターボール(フリーザー)@ポケットモンスターシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:優勝して、願いを叶える
[備考]
※参戦時期は死亡後


[意思持ち支給品状態表]
【ゴルドバーン@SSSS.DYNAZENON】
[身体]:フリーザー@ポケットモンスターシリーズ
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:生き残る
1:いちおうムジナのことは助ける
[備考]
※参戦時期は「グリッドマンユニバース」終了後


【ミスタのリボルバー@ジョジョの奇妙な冒険】
グイード・ミスタが愛用する銃。
彼の並外れた射撃の腕は本人の力量とスタンド能力によるものなので、これ自体はいたって普通の銃である。


【モンスターボール(フリーザー)@ポケットモンスターシリーズ】
カントー地方に伝承を残す伝説の鳥ポケモン、フリーザーが入ったモンスターボール。
技の構成などは、後続の書き手にお任せ。


685 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/19(水) 22:59:53 vedLRfqM0
投下終了です


686 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/19(水) 23:00:51 Y8MA/MvE0
投下します。短いです


687 : これはドラマでもメソッドでもない ◆7PJBZrstcc :2023/07/19(水) 23:01:34 Y8MA/MvE0
「こ、これはどういうことなんだ……!?」

 殺し合いの会場にある町の中で、一人の青年が身体のプロフィールを見ながら困惑している。
 彼の名前は橘優李。ある特撮アクションドラマの主人公役を務める若手俳優である。
 そんな彼が困惑している理由は、殺し合いだけではない。

 勿論殺し合いという非現実に困惑しているのは間違いない。
 おまけに体を入れ替えるという、最早魔法としか思えない現象に戸惑わない方が少数派だろう。
 だがそれを念頭に置いたうえで、彼が戸惑っているのは別の理由だ。

 なぜならば――

「ケンシロウって、僕がドラマ『北斗の拳』で演じている主人公じゃないか……!!」

 彼の体は今、撮影で演じているドラマの主人公そのものになっているからである。


【橘優李@北斗の拳世紀末ドラマ撮影伝】
[身体]:ケンシロウ@北斗の拳
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いなんてするわけない
1:僕が本物のケンシロウに……!?
[備考]
※参戦時期は少なくともサザンクロス編クランクアップ以降です


688 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/19(水) 23:02:04 Y8MA/MvE0
投下終了です


689 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/19(水) 23:47:08 CBbMFQgQ0
投下します。


690 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/19(水) 23:49:27 CBbMFQgQ0
『お前の役目はもう終わりだ』
「…黙れ…」
『お前には王たる資格など無い』
「…黙れ…!」
『一時の夢を見られただけでもありがたいと思え』
「…黙れ!!俺は…俺はお前に利用された道化のままでは終われない…終わらない!!」

月の下にて、茶髪の可愛らしい顔をした少女が…それに似合わぬ憤怒の表情を浮かべながら叫ぶ。
少女の肉体に放り込まれた青年加古川飛流はこの殺し合いに招かれる前、憎き常磐ソウゴ一行と世界の破壊者ディケイドである門矢士に敗北、自らが裏の王だと云う事を証明していた力のアナザージオウⅡウォッチをこそ泥海東大樹に盗まれ、挙げ句自分を王としていたはずのタイムジャッカースウォルツに傀儡として利用していたに過ぎないと切り捨てられていた。
脳裏にフラッシュバックした光景に飛流は声を荒らげ、思わず叫んでいたのだ。

「…諦めて、たまるか…!!」

絶望の底に落とされた所を、殺し合いに巻き込まれ他人の身体に押し込まれ結果としてある程度冷静となった為に、再び胸の内に湧いてきた怒りと憎しみにより…飛流は再起する道を選んだ。
そして飛流は、まずはバッグの中を見ることとする。

「…これは、あのこそ泥に盗まれた筈。だが何故ここに…」

バッグの中には盗まれた筈のアナザージオウⅡのウォッチが入っており、思わず面食らう。

(あの魘夢とやら達に盗まれでもしたのか…?だとすればこそ泥が盗んだ道具を更に横から盗られた事に…ざまあみろと言いたくなるが…魘夢達に自分から協力している可能性もあるか?
より価値のある宝を提示されれば或い……いや、今はいい。使い慣れた、戦う為の力が在るだけで十分だ)

少し考えつつも思考を打ち切った飛流は、他の支給品を確認した後に身体のプロフィールを見る事とした。

「名前はシャル・アクスティカか。…ガンダムマイスター…?何だそれは…」

そこから飛流は、「MS」だの「ガンダム」 だの「 ソレスタルビーイング」だの、聞き覚えが全くない単語が多いプロフィールに難儀しつつも読み込む。
そして全て見終えた後、彼の中には何となくだが何故シャルの身体が自分に与えられたのかという答えが浮かんでいた。

「…俺にこいつの身体を与えたのは、道化の敗北者だからとでも…!?」

そう、憎悪を募らせながら飛流は呟く。
彼女の、シャルのプロフィールにはこれから先彼女が直面する「恋心を抱いてた相手が友人と結ばれ失恋する」「リボンズとビサイド、2体のイノベイド同士の内部抗争に巻き込まれる形で、自分を助けようとした友人夫婦を失い助け出された自身も顔に大火傷と細胞のテロメア破損という外傷と深い心の傷を負ってしまう」という事態が記述されていたのだ。

「…いいだろう…お前達主催からすれば今の俺は敗北者の道化だろうが…だとしても、このままでは終わらない。
生き延びて…そしてさらなる力を得て俺は、スウォルツも海東大樹も門矢士も──常磐ソウゴをも超えた、魔王になってやる…これはその一歩だ…!!」

主催からの煽り・挑発だと受け取った飛流はバッグの中にあった支給品の実を躊躇う事なく食べた。
実の正体は海の悪魔の化身とされる、食べた者に異能をもたらす代わりに泳げなくなる呪いを受ける悪魔の実。それも自然(ロギア)系の…メラメラの実、それを飛流は食したのだ。

(アナザージオウⅡだけでは、常磐ソウゴ達に最終的には負けた…泳げなくなるデメリットを払ってでも、力を得る必要がある!
主催達にも、常磐ソウゴ達にも勝つ!
…お前達を倒さなければ!俺は前を見る事も…進もうとする事も出来やしない…!!)

こうして青年は、過去への執着と憎しみに塗れながらも、違う身体・新たな力を得た上でこの殺し合いに臨む。

(こいつ(シャル)はMSとやらの操縦が上手いらしい。俺が動かしてる以上活かせるかはわからない、が…探してみる意味はあるか)


691 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/19(水) 23:49:51 CBbMFQgQ0
【加古川飛流@仮面ライダージオウ】
[身体]:シャル・アクスティカ@機動戦士ガンダム00P(1st season)
[状態]:健康、主催達と常磐ソウゴ一行・スウォルツ・海東大樹・門矢士への怒りと憎悪、メラメラの実の能力
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、アナザージオウⅡウォッチ@仮面ライダージオウ、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:生き延びて力を得て、主催達にも常磐ソウゴ達にも勝ち復讐を果たして魔王になる。
0:常磐ソウゴ達を超えたその時、俺は初めて前に進める…のかもしれない。
1:まずはMSとやらが無いかを捜索。
2:邪魔者には容赦はしない。この実の力を試す為の犠牲になってもらう。
3:どう動くにせよ主催達は最終的には殺す。
4:常磐ソウゴ達が居たら悪評をばら撒く。
5:対主催内に潜伏する事も考えておこう。
6:水場や水辺には注意が必要か。
7:敗北者のままでも、良いように使われる道化のままでも…終わってたまるか。
[備考]
※参戦時期はEP43「2019:ツクヨミ・コンフィデンシャル」にて、海東大樹にアナザージオウⅡウォッチを盗まれスウォルツに見放された後からです。
※肉体側のプロフィールには1st seasonまでの出来事についてしか書かれていません。また肉体の参戦時期はルイードに対し失恋する前からです。

【アナザージオウウォッチⅡ@仮面ライダージオウ】
使用者及びウォッチを埋め込んだ対象をアナザージオウⅡにと変身させるライドウォッチ。
劇中では海東大樹が門矢士の蘇生に使っていたが、本ロワでは蘇生に使用する事は不可能。
また変身後のアナザージオウⅡは、歴史及び時間改変能力は制限により使用不可能となっています。アナザーライダーの召喚については後続にお任せします。

【メラメラの実@ONE PIECE】
自然(ロギア)系に分類される悪魔の実。オレンジ色のメロン型の形をしている。
食べた者に対して全身を炎にし、また火炎を操る事が出来る異能を与える。ロギア系なので覇気を纏った物や、海楼石にて能力を封じられた場合に受けた物以外の物理攻撃を無効化出来る。
炎は慣れれば焼いたり爆発させたり、延焼させたり、包み込んで焼き尽くしたり、噴射したりなど多彩な芸当が可能。ただし慣れない内は身体から火をうっかり出してしまったりする事もある。
なお、マグマグの実の能力者には能力が効かない。(赤犬曰く、マグマグの実の方がメラメラの実の上位互換だからとの事)


692 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/19(水) 23:50:25 CBbMFQgQ0
投下終了です。タイトルは「2019:敗北者のままでは、終われない」です。


693 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 12:34:27 NGtQH5XA0
投下します


694 : 戦争狂の天才 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 12:34:49 NGtQH5XA0
「ほう…緋田功哲朗、異名は戦場の天才か…」
タブレットの自身の身体の解説を見ながら、笑う男がいた。
戦争屋、アリー・アル・サーシェス。
主義を持たず、本当に殺し合いを楽しむような男である。

「おもしれぇ、この俺様に与えられた身体は、天才様の身体って訳だ。」
「ひと暴れと行こうじゃねぇか!」

男は更に大きな笑いを起こす。
その笑いは、狂気に満ちていた

【アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダムOO】
[身体]:緋田功哲朗@ヒューマンバグ大学
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝
1:この戦いを存分に楽しんでやろうじゃねぇか!


695 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 12:35:15 NGtQH5XA0
投下終了です


696 : ◆.EKyuDaHEo :2023/07/20(木) 14:45:19 3XUYFm4s0
投下します


697 : 嵐を呼ぶエスパー巫女 ◆.EKyuDaHEo :2023/07/20(木) 14:45:48 3XUYFm4s0
「はぁ…まいったわね…」

赤いシャツに黄色い短パンを身につけている少年はそう呟いた
しかし今その少年の身体にいるのは少年本人ではなく別の人物だった
その名前は『博麗霊夢』…幻想郷の博麗神社の巫女である、彼女もまたこの殺し合いに巻き込まれていた

「それにしても殺し合いをさせるなんて…随分と悪趣味なやつね…」

霊夢はこんなくだらないことを開催した主催に対して呆れ気味にそう言い放った

「それに…よりにもよってこんな小さい子供の身体にされるなんて…」

今自分が入ってる人物の身体を見た、見た目からして幼児ぐらいの男の子だろう…自分の本来の身体とは体格差がありすぎて動かすのに一苦労だった

「悩んでても仕方ないわね、とりあえずタブレットってやつでこの子のことを知れるみたいだから見てみようかしら」

そう言うと霊夢はタブレットを開き少年のことについて調べた…

「この子の名前は『野原しんのすけ』、歳は5歳でごく普通の幼稚園児…綺麗なお姉さん好き…?…随分と変わった子ね…」

そのまま読み進めていった霊夢だが、ある点について目が止まった

「え…?何これ…?」

それはしんのすけが経験してきたことである、オカマ魔女、暗黒世界ドン・クラーイの王、怪獣、巨大ロボット等様々な強敵と戦ったこと、未来や過去に行ったり映画の世界や夢の世界に入ったこと、動物になったりヒーローになったり等、とても普通の幼児が経験してるとは思えないことばかり書いてあった
しかし、それだけではなかった…

「え…しかも超能力が使えるの…?」

何とそこには超能力まで使えると書いていたのだ、霊夢からしてみれば超能力自体に驚きはない、霊夢本人は幻想郷という妖怪やら鬼やら神などが存在する世界で暮らしていたからだ、しかし普通の幼児が使えるとなると驚きが隠せなかった
詳しく呼んでみると白い光がしんのすけの身体に入ってしまい、どういう原理かは書いてないが超能力が使えるようになったらしい
能力自体は念力で物を浮かせて投げたり、バリアをはったり宙に浮いたり等ができるらしい

(この子…本当に普通の子供なの?)

一通り読み終えた霊夢はそう思った、無理もないだろう、普通の幼児とは思えない経験ばかりが書かれていたのだから

「そういえば超能力が使えるって書いてたわね…本当なのかしら?」

そう思った霊夢は試しに近くの小石に対して持ち上がるよう意識してみた
するとゆっくりとだが小石が宙に浮きはじめた

「使えた…ってことは少しずつこの身体に慣れてきてる…ってことかしら」

そう思った霊夢は今度はバリアを張るよう意識してみた、すると霊夢の周りにしんのすけ本人を囲む程度の小さな光のバリアが現れた

「これがバリアね…でもこれ、だいぶ疲れるわね…やっぱりそう簡単にはいかないってわけね」

バリアを張れたのはいいものの、体力が消耗されてしまい維持し続けるのは困難だった
しかし、とりあえず使えるとわかったためなにもないよりかはマシかなと考えた
しかし、それでも身体は普通の子供…元の身体とは別で明らかにできることは少ない

「殺し合いとなると、安全ってことはないでしょうね…殺し合いは勿論するわけないけど今のところ様子見するしかないわね…」

幼い子供の身体となってしまった以上無闇に動き回るのも逆に危険に繋がる可能性もある

「それにこのしんのすけって子にちゃんと身体を返してあげないとね」

好意ではないとはいえ今は他人の身体を扱っている身、本人に身体を返すために大事に巻き込まれないよう霊夢は様子を見ることに決めた


698 : 嵐を呼ぶエスパー巫女 ◆.EKyuDaHEo :2023/07/20(木) 14:46:17 3XUYFm4s0
【博麗霊夢@東方project】
[身体]:野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:今はとりあえず様子見
2:この子(しんのすけ)本当に普通の子供なの…?
[備考]
※身体のしんのすけは「エスパー兄妹 今世紀最初の決戦!」からの参戦なので物を浮かせたり宙に浮いたりバリアを張ったりなどの超能力を扱えます
※制限により超能力を使いすぎると体力が消耗されます


699 : ◆.EKyuDaHEo :2023/07/20(木) 14:46:41 3XUYFm4s0
投下終了します


700 : ◆0EF5jS/gKA :2023/07/20(木) 16:31:40 pw9vtIZM0
投下をします。


701 : もしも親父ぃが老けたら ◆0EF5jS/gKA :2023/07/20(木) 16:32:05 pw9vtIZM0
「ゑゑ!?んむのやつ…俺を老いさせ弱くしようなどと…
その気になっているゑゑ!?んむの姿はお笑いだったぜ。」

老人が殺し合いを開いた厭夢をあざ笑う。

名はパラガス、一応戦闘民族サイヤ人である。
普通のパラガスとは色々違うがれっきとしたお笑いパラガスでございます。

そんなお笑い名パラガスも例に漏れず肉体を変えられてはいた。

しかし肉体を別人にはされていないものの
老いたという意味で変えられていた。

制限により弱体化はしているものの
サイヤ人の肉体は戦いに優れ
闘争を繰り返すため若年期が長く
非常に頑強だ。

宇宙最強の戦闘民族という肩書きは伊達ではない。
年老いた身体でも全盛期より多少衰えているが
雑魚たちを蹴散らすのは容易だ。

パラガスは肉体を別の人物のものにかえられたのではなく単純に老いさせられた。

「じじいの姿でもそこそこつよいではありませんか」

当初は無理矢理老いさせられ
『ゑゑ!?こぉんなじじいの姿では生き残れるわけがないっ!
ふあぁ〜はんはぁぁぁ〜〜(泣)』

悲観するあまりいい年こいてだだっこみたいに泣き騒いだが、
泣いて泣いて一週回って落ち着き、
肉体の身体能力を軽く四肢を振ったり、
エネルギー弾を乱射して年老いた体の力を調べた。

いつもの姿と比較して大幅に弱体化はしているが
それでも十分に戦える実力はあった。
老いてもさすがサイヤ人と褒めてやりたいところだ。

ちなみに真実は単に年を取らされたのではなく
このパラガスとはまた違う運命を歩んだパラガスの肉体をあてがえただけである。

肉体が別の世界の自分自身になっていると気づけず、
老いさせられたとパラガスは判断してしまった。

殺し合いという激戦が繰り返される修羅場でも楽々勝ち残れるだろう。

(しかし油断はできん、俺より強いバケモンがいても不思議ではない
いやむしろ、いると考えた方が良いだろうなあ。)

楽観気分から思考を切り替え冷静に考察する。
複数の参戦者の中に一人だけ強すぎる者を入れれば
成り立つのは殺し合いではなくただの殺戮、
自分かそれ以上の強さを有する参加者はほぼ間違いなくいるだろう。

「他に気になることだが…ブロリーやカカロットベジータもいるのかもしれんなぁ」

大事ではあるがはちゃめちゃでいつも周リーを振り回す我が子ブロリー、
食欲と保身を何よりも優先する俗なクズロット、
いつもヘタレては岩盤送リーにされる憎きベジータ。

3人とも肉体の若い屈強なサイヤ人、加えて超サイヤ人に
変化できるほどの実力なため心配無用と言いたいが、
特殊ルールによって肉体を取り替えられている。

息子♂のブロリーが戦闘力5のようなゴミにされている恐れもあるのだ。
パラガス自身ブロリーにひたすら翻弄され
キャッキャう腐☆腐な野望達成から
あと一歩オオオォォォォ!!!のところで計画が頓挫したリー、

一人用のポッドの中に入ったまま幾度となく潰される
お約束のオチを数え切れないほどブロリーのせいで味わった。


702 : もしも親父ぃが老けたら ◆0EF5jS/gKA :2023/07/20(木) 16:32:43 pw9vtIZM0

「カカロットやベジータはどうでもよいわー!だが
ブロリーの身に何かあれば心苦しい。」


かつてベジータ王に理不尽に処刑させられかけ(本当はパラガスのしょうもない逆恨み)
その直後、惑星ベジータがフリーザによって滅ぼされた。
崩壊する惑星と運命をともにする寸前で、
当時赤子だったブロリーが偉大な潜在パワーを発揮し星から脱出することで
死の淵から守ってくれたお涙ホイホイな過去をこんなお笑いパラガスでも持つ。

若い女を見れば『へえあっ!?カワイイカワイイ娘ェ!』などと興奮し、
かしこさ26としか表現しようのない
お馬鹿ぶりでアホなそうdoor!?を巻き起こし、
自分や周囲にこれでもかと大迷惑をかけてくるお笑いな息子でも
たったひとリーの大事な息子なのだ。

「こぉんなところにとどまるわけにはいかん、
まずはブロリーがいるかどうかをを確認しようではありませんか」

当面の目的をブロリーの有無を調べることに決め
その場からじじいになった親父ぃは立ち去ろうとした。

「ん?」

背後からけたたましい叫びと砲弾のような足音が聞こえたのはそのときだった。



慈悲や情けなどの温かい感情を一切感じさせぬ恐ろしき白目、
ケロイド上に焼けただれたようにも見えるどす黒い岩のような皮膚、
全てを壊さんばかりの強靱な四肢、

文字通り疑う余地が微塵もない破壊の権化。
同じ怪獣であろうとアリのようにちっぽけな
平和ボケの人間どもだろうが例外はない。
怨念の集大成は絶望と殺戮を巻き起こし
目に映る命を破壊尽くしてきた。
その肉体は無数の怨念をやどす破壊神ゴジラ。

伝説通りに破壊と殺戮と血を何よりも好む悪魔ブロリーの精神がゴジラに宿ってしまった。

ただでさえ獰猛に染まっているサイヤ人に
ゴジラのような極悪性が付与されれば答えは一つ。
生きる者の絶望と永久に続く破壊以外に価値を見いださない化け物が降臨してしまう。

全ての崩壊を宣言するような悍ましい咆哮を発する。


怨念の怪獣王と化したブロリーだがやることは変わらない
文字通り圧倒的なパワーによる蹂躙、殺戮、滅亡劇、
そして許しがたいカカロットを血祭りに上げること。

怪獣王と化した悪魔は歩み続ける
全てが消え去るまで滅ぼし続けるために。

【ブロリー@ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない】
[身体]:ゴジラ@ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
[状態]:健康、殺意
[装備]:
[道具]:基本支給品。
[思考・状況]基本方針:全てを破壊し尽くすだけだぁ。
1:何かを見つけ次第滅ぼす。
2:カカロットはどこだ!血祭りにあげてやる!

※備考
制限はありません、支給品類も一切ございません。



視界に移らないようとっさに身を隠して
親父ぃは見てしまった、怪獣と化した我が子の姿を。


703 : もしも親父ぃが老けたら ◆0EF5jS/gKA :2023/07/20(木) 16:33:07 pw9vtIZM0
そして親として理解できてしまった、
あのあふれ出る破壊衝動は間違いなくブロリーのものだ。
肉体が変わってもあの凶暴性だけは一切揺るいでいない。
あの白目は伝説の超サイヤ人と変身したブロリーを思わせた。
常時より一層獰猛になっているように見える。

「嘘だロットォー!?ブロリーが大怪獣になっているなどと…
こぉんな超☆展☆開がお待ちしておりましたなどと予想できるはずがございません」

驚愕せずにはいられない、獰猛でドジでお馬鹿なブロリーがあんな途轍もなさそうな
大怪獣になってしまえばdoor!?なるかわかったもんじゃない。

このまま多くの命がデデられる、それどころかこの会場を破壊し尽くして
参戦者もゑゑんむもなりふり構わず何もかも蹂躙するだけだろう。



「しかし何をすればブロリーを止められるのか…?」

肉体が変わっているため科学者に作らせた制御装置は
装着されてないためコントロールすることもできず、
真っ正面から戦って止めようにも勝負になる気がしない。

大猿になれば一応勝負へもつれこむことはできなくもないだろうが
良くて相打ち、最悪で返り討ちだろう。

例え相打ちでブロリーの暴虐を止められても
我が子には死んで欲しくはない。

かといって今の所食い止める手段があるわけでもなく
どうすれば良いのかパラガスは必死に考えを巡らせるのであった。

【パラガス@ブロリーMAD】
[身体]:パラガス@ドラゴンボール超 ブロリー
[状態]:健康、焦りと危機感。
[装備]:
[道具]:基本支給品。ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:ブロリーを止める。
1:やめろブロリー!落ち着けぇ!
2:しかし…door!?すればいいんだぁ?
3:考えろ…何か策を考えるんだぁ!

※備考
超弱体化しています。
親父ぃは肉体を別のものにされたのではなく
そのまま老いさせられたと考えています。


704 : ◆0EF5jS/gKA :2023/07/20(木) 16:34:08 pw9vtIZM0
もう一作投下します。


705 : タコ説 ◆0EF5jS/gKA :2023/07/20(木) 16:34:44 pw9vtIZM0
鬼舞辻無惨は無駄に増やした複数の脳を持つ
タコも有意義な脳をいっぱい持つ。

鬼舞辻無惨は心臓が無駄に多い。
タコも心臓をたくさん持つ。

鬼舞辻無惨は触手をブンブン回して攻撃する
タコも触手で獲物を攻撃する。

だから鬼舞辻無惨は実質たこであるそのため…





実際にタコになってもなんの矛盾もない
実に完璧である。


【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[身体]:大ダコ@キングコング対ゴジラ
[状態]:健康、困惑
[装備]:
[道具]:基本支給品。ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:?
1:?

※備考
制限はありません。


706 : タコ説 ◆0EF5jS/gKA :2023/07/20(木) 16:34:57 pw9vtIZM0
投下は以上となります。


707 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 17:55:51 NGtQH5XA0
投下します


708 : 肉体美・困惑の術師 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 17:56:54 NGtQH5XA0
「わぁっ…すごい…」
自身の器を見ながら、男、嫌、少女、静岡みれいは語る。
彼女は、とある性癖をお持ちである、それは「男性の裸体をじっくり見たい」というもの。

(あ…でも、この身体は元の人に返さなきゃ駄目だよね…そもそも、殺し合いなんてしちゃ駄目だし…)
(でも…今は、許されるよね…)

彼女は肉体美を見せつけるようなポーズを続ける。
そして、それを見ているものが一人いた。

「おいおい、ほんとに少佐と入れ替わってんのか?」
遠くから、彼女を見つめる青年、エドワード・エルリックは困惑していた。
あの体の主、アレックス・ルイ・アームストロングと同じような言動をしているからだ。

「ミスって体が変わんなかったのか…嫌、もしかしたら危険なやつの可能性がある。」
「仕方ねぇ…ここは一旦逃げるか、このおばさんの事も調べねぇといけないしな。」

そう言い、彼は気配を消しつつ歩きだした。

【静岡みれい@ケンコー全裸系水泳部ウミショー】
[身体]:アレックス・ルイ・アームストロング@鋼の錬金術師
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生き残る
1:今はこの身体を…
2:水泳部のみんなは居るのかな…


【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師】
[身体]:パクノダ@HUNTER✕HUNTER
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者をぶん殴って、元の世界に帰還する
1:とりあえずあいつ(みれい)からは逃げるか
2:知ってる人がいるなら合流するか。
3:このおばさん(パクノダ)の身体を調査しないとな。


709 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 17:57:09 NGtQH5XA0
投下終了です


710 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 22:30:53 NGtQH5XA0
投下します


711 : 切り裂き――暗黒の少女 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 22:31:23 NGtQH5XA0
地は裂かれ、斬撃が飛ぶ
2.5mの緑色の鎌を持つ巨人によって。

(どこだいどこだい!この戦いに参戦してるやつは!)
その巨人に乗り移った少女――園崎魅音はイカれていた。

ただ血と殺人を求め、殺し合いに興じる、それが彼女の目的だ。

(さぁさぁどこからでも来な!全員の返り血に染まってあげるさ!げげげげげげげげげげ!)

狂ってしまった少女の狂気は、止まることを知らない。

【園崎魅音(黒の覚醒)@ひぐらしのなく頃に命】
[身体]:バズソンM1@マジンガーZ
[状態]:暴走
[装備]:鎌、回転ノコギリ
[道具]:無し
[思考・状況]基本方針:殺し合いをする
1:せっかくだ…部活のみんなもいたらこの殺し合いはもっと面白くなる!
2:みんな殺してやるよ!げげげげげ!
[備考]
発症直後の参戦です。
※バズソンM1の全長は約2.5mほどに縮小されています。
※支給品を無くす代わりに回転ノコギリは何回でも使用可能です、ただし、威力に制限、鉄筋コンクリートが一瞬で真っ二つにできないレベルに。


712 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/20(木) 22:31:39 NGtQH5XA0
投下終了です


713 : ◆EMaQQEjKTc :2023/07/21(金) 02:37:03 a171OJ3.0
投下します


714 : クロちゃん、仲良く殺し合いな ◆EMaQQEjKTc :2023/07/21(金) 02:38:35 a171OJ3.0
狸じゃん。オイラが自分の姿を確認した時思い浮かんだのはその一言だった。
頭テカテカチャイムがピカピカ、黒猫のオイラとはかけ離れた真っ青なタヌキ。
タブレットを確認すると、オイラの今の体は"ドラえもん"っつー22世紀の猫型ロボットらしい。いや狸じゃん。

「この体じゃじーさんばーさんも、オイラだとわからねーかもな。
 めんどくせーことしやがって。」

オイラは知らねー公園のベンチの上で目を覚ました。
魘夢ってやつが言ったルールを思い出して、噴水で今のオイラの姿を確認したら、狸が写っててびっくりしたぜ。
サイボーグクロちゃんもいよいよ猫成分ゼロのロボになっちまうとはな。

突然殺し合いをしろなんて言われて、おまけに体が別もんにされるときた。いよいよタダ事じゃねーな。
元の体には戻りたいが、あいつらの言いなりになって殺し合うなんてご免だ。
最後には魘夢と仮面のやつをぶちのめすとして、さてどうやって元の体に戻るか。

そういえば他のヤツらもいんのかな。まあミーやマタタビならどうとでもなるだろ。
コタローは元から弱っちいからむしろ頑丈になってたりしてな。
・・・・・・じーさんばーさんも巻き込まれちゃいねーだろーな。

これからの動き方を考えようとしてみたが、どーにも他の奴らの心配をしちまう。
うんうん頭をひねったが考えがとっちらかってなにも思いつかねえ。
しょうがない、これからのことは歩きながら考えとくか。
少しでも情報を集めるため、公園から出てテキトーにぶらつくことにする。






「お?」

とりあえず道なりに歩いていたオイラの耳に、トンテンカンとリズミカルに響く金属音が届いた。
近くに誰かがいるんだろう。殺し合いに乗ってるヤツの可能性もあるが、ちょっと会ってみるか。
音の鳴る方へ向かってみると、そこそこ広い空き地の中で、上下ピンクのジャージでそろえた女が、
手にもった棒をひたすら車に叩き付けていた。
なーんか忙しそうだが、こっちも無駄に時間かける訳にゃいかねーから、声をかける。

「おーっす。なにしてんだー?」

声をかけると女はこっちを一瞬だけ見たが、睨みをきかせてすぐに戻っちまった。
取り込み中だから邪魔するなってか。

見かけた時点でなんとなく予想はしてたが、コイツは車を改造してる真っ最中らしい。
満足な工具がなかったからか、トンカチの代用に金属バットでもって、
テキトーなもん(廃材か?)を叩いて折り曲げ変形させて、車に取り付けているみたいだ。
本当はもっと本格的な改造をしたいんだろうが、道具や材料不足でのせいか多少装甲が増えた程度で、うまくいっちゃなさそうだな。


「なあなあ、無視しないでくれよ。作業中に声かけたのは悪いけどさあ、
 トンテンしながらでも話くらいできるだろ?
 アンタその車、いい感じに改造しようとしてんだよな。
 オイラもメカいじりは得意なんだよ。なあ、オイラにも改造手伝わしちゃもらえねえか?」

せっかくだし車の改造の手伝いを提案してみる。
じーさんばーさんが拾ってきた壊れた家電をよく直してたんだ。車の改造くらい訳はない。
何より、足が手に入りゃあ人捜しでも情報収集でも便利になる。
そんなわけで改造の手伝いを提案したわけだが、今度はこっちを振り向きもしねえ。

コンニャロ、また無視しやがったな。

ムカついたから、バットを振り下ろす瞬間を狙って、軽くタックルをかます。
女の体制が崩れて、振り下ろそうとしていたバットは、
鉄板を押さえつけていた、そいつ自身の右手へと思いっきり直撃した。

「ア゛ァ゛ア゛ア゛ーーーーーァ゛!!!」

ある種聞いてて気持ちがいい悲鳴があがる。うわ痛そ〜。
ソイツはひとしきり騒いだ後、怒り心頭といった様子でにらみつけてきた。
いっちょ前にガン飛ばして、オイラに向けてバットを振り上げようとしていたが、すぐにその手が止まった。


715 : クロちゃん、仲良く殺し合いな ◆EMaQQEjKTc :2023/07/21(金) 02:39:33 a171OJ3.0

「下手に動くんじゃねえぜ。バットは捨てて手を上げな!
 さすがに銃を向けられて殴りかかるほどアホじゃねえよなあ?」

使い慣れたガトリングやらはなかったが
イングラムM10とかいう銃が支給品として配られていた。
元の体の武装と比べて火力不足だが、今は脅しに使ってるだけだし問題ねえ。

ソイツの視線は眉間へ突きつけられた銃口に釘付けになっている。
持っていた金属バットを放り投げた後ホールドアップ。
すっ飛んだバットは車のフロントガラスに突き刺さっていた。


オイラからちょっかいかけといてそりゃあんまりだろって?
確かに目の前のヤツが普通の人間ならさすがにここまでしなかったと思うぜ。多分。

だが、この女がはじめにこっちを振り向いたとき、その目を見て分かった。
オイラがサイボーグになる前の時期に何度も見てきた、自分以外の全てを邪魔者と考えている獣の眼。
今でこそ人間の体だが、コイツの中身はおそらくオイラと同類、名の知れたネコかも知れねえ。
こうして脅しかけるまで、「後で排除する」とでも言いたげな敵意を隠さ無かった。
逆に今みてーに身の危険が迫れば敵意を引っ込める択もとれる。

こういうヤツは目的のためならどんなことでもやる。
今でこそ車の改造にお熱みたいだが、それが出来るほどの知識と技術を持っているヤツが野放しになると何しでかすか分からん。
で、厄介事をおこさせないために、目に入るところに置いときたかったわけだ。


「オイラに出会ったのが運のつきだったなぁ。こちとら敵には銃で答えるタチでね。
 あんなバリバリの敵意で見られちゃエンリョ無くぶっ放せるってモンだぜ。。
 オマエの目的はなんだ?何にせよ命までは取らねーが、オイラと一緒に動いてもらうぜ。
 なーに優勝を考えてるんでも無きゃ問題ないだろ。文句あるか?」

そう言ってやつの顔面に銃口を突きつけてやる。
黒光りする銃身は言葉に重みを持たせてくれる。
現に見てわかるほどに目の前の女は心臓をバクバク跳ね上げていて……

突然パンッ!と、女がはじけ飛んだ。

「ハァ!?」

急に目の前にいた女が破裂して、さすがのオイラも戸惑った。
まだ銃は撃ってねえ。この辺に誰もいないのはわかってる。遠くから別のやつが攻撃してきたか?狙撃を警戒して思わず遠くへ目をやる。
だが狙撃にしては火薬の匂いもしねえな。いや、そもそも何の匂いもないのはおかしい。
人間の体がはじけ飛んだら血の匂いがするはずだろ。そんなことを考えていると、エンジンの駆動音が聞こえた。

さっきの女がいた場所へ視線を飛ばすと車が動き始めていた――やられた!

「おいコラてめえ待ちやがれ!」

反射的に引き金を引きそうになるのを抑えて運転席に眼をやると、目立つピンクがうごめいているのが見えた。
何がどうなったかわからねえが、あいつはオイラの目の前から消え失せ、
いつの間にか車の運転席に潜り込みやがったのか。


見た目の割に速度をあげた車は、周囲のフェンスを足蹴にしながら旋回し、オイラへ突進してきた。
オイラを轢き飛ばそうってか?上等!その前にズダボロの蜂の巣にしてやるぜ!
曲がる気の無い目標なんて外す方が難しい。銃を構えて狙いを定める。
そういや指が無いのに引き金が引けるな。まあどうでもいいか。
軽快な音を立て、フルオートで発射された弾丸は。

「なにっ!?」

目標に当たることは無く宙を通り過ぎていった。
速度を乗せた車は、落ちてた鉄板をジャンプ台みてーに利用して車体ごと跳躍。
銃弾飛び越えた後もオイラの頭上を通り過ぎていき背後側に着地した。

振り返ってもっかい撃とうとしたが弾が出ない。
くそっ普段使いのガトリングと違ってすぐに弾切れになっちまう。
追撃が来ないことを悟ったからか、ヤツはわざわざこっちを向いてベロベロバーをしやがった。

「……ち、チクショウ。余裕がでr来た瞬間あ、あいつなめやがって……!」

といつもの調子で走り出したが、ぜんぜん追いつけねえ。
そういえば、今のオイラの体は子守用のロボットとやらになっているんだった。
だからってあきらめるかよ!よしとりあえず目標が一つ出来たぜ。あのヤローに追いついてぶっ飛ばす!
ミーやマタタビがいるかどうかはそのうちきっと分かるだろ、
どのみちあいつを逃がしたらろくなことにならん!

遠くに見える車の背中を、オイラの短ーい足をばたつかせつつ追いかけることにした。
……やっぱ何かしら乗り物は必要だわ。


716 : クロちゃん、仲良く殺し合いな ◆EMaQQEjKTc :2023/07/21(金) 02:40:37 a171OJ3.0





ピンクのジャージに身を包んだ少女――後藤ひとりの肉体を割り当てられたのは、
クロの予想通り人間では無く、トムという名のネコである。

目を覚ましたトムは真っ先に支給品を確認し、
運良く支給されたクルマを、トム好みに妨害機能をたっぷり搭載しようと、改造をするつもりだった。
最も、ろくな工具や材料が無かったので、そこらに落ちていた廃材を貼り付けて装甲にする、程度しか出来なかったが。

道具も材料も無く、うまくいかない改造作業にいい加減いらついていたところに、先ほどのクロとの遭遇である。
いきなり銃器を突き付けられたときは驚愕したが、驚きすぎて体がはじけたのでこれ幸い。
薄っぺらくなった体で運転席まで器用に移動し、心を落ち着けてみると体が元の人間に戻れたことで、
エンジンを始動、車を発進させる。

仕返しに跳ね飛ばそうとも思ったが、銃口を向けられているのを見て断念。
逃走を優先し攻撃をかわすと、ここぞとばかりに挑発をして逃げおおせることに成功した。



車を走らせつつこれからのことを考える。
トムの記憶では、車に乗って世界をまわる番組「スーパーレース」に参加し、
南極大陸からオーストラリアへ向かうため、海の中を走っている最中だったが、
気がつくと先ほどのルール説明を聞き、見知らぬ町に、人間の体となって立っていた。

動揺こそしたが、つい先ほどまで速度が命のレースに参加していたトムの判断は速かった。
詰まるところ、これは「スーパーレース」の続きなのだ。

何度も目的地を変更したあの番組スタッフのことだ。
途中から参加者追加に優勝条件の変更、乗り物ではなく体のほうを変更、なんて方針になってもおかしくない。
さきほどの青いタヌキといい、番組の参加者も一新、想像以上に手強く簡単には蹴落とせそうに無い。

自分の体、ルールに参加者、運転する車にゴールまで変わってしまったが、
それでも、トムのやることは特に変わらない。
他の参加者を蹴落として優勝を目指す。
そして優勝賞品の豪邸をもらうのだ。


【クロ@サイボーグクロちゃん】
[身体]:ドラえもん@ドラえもん
[状態]:健康、苛立ち
[装備]:イングラムM10サブマシンガン@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:ピンクの女(トムin後藤ひとり)を追いかけてぶっ飛ばす
2:知り合いが参加してないか探す。
3:魘夢と仮面のやつにあったらぶちのめす
[備考]
※少なくとも異世界サバイバル編終了後からの参戦とします。
※ドラえもんの体に四次元ポケットはついていません。

【トム@トムとジェリー ワイルドスピード】
[身体]:後藤ひとり@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:右手を打撲
[装備]:コベニの愛車@チェンソーマン、金属バット@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:優勝して豪邸をもらう。
1:青いタヌキ(クロ)から逃げる。
2:どこかで車を改造したい。そのための材料や工具も探したい。
3:他の参加者を見かけたら、チャンスがあれば殺す
[備考]
※参加時期は南極大陸から海の中に潜ったあたり。
※後藤ひとりの体は精神的に大きく感情が変動すると、体が破裂したり胞子になったりします(本編描写より)
※本SSでは絶叫しかしていませんが、人間の言葉を喋れるかどうかは後続の書き手にお任せします。




[支給品紹介]
【イングラムM10サブマシンガン@現実】
軍用のサブマシンガン。
本家バトル・ロワイアルで桐山が利用していたことで有名なあの銃。

【コベニの愛車@チェンソーマン】
東山コベニがお給料で買った車。人気投票7位。
車種はイタリアの小型自動車のフィアット500らしい。
本ロワの登場話でトムが改造し、側面や上部に廃材を貼り付けたので、多少装甲が増している。

【金属バット@ひぐらしのなく頃に】
北条悟史や前原圭一が使用していたごく普通の金属バット。
未使用のため、血などはついていない。


717 : ◆EMaQQEjKTc :2023/07/21(金) 02:41:17 a171OJ3.0
投下終了です


718 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/21(金) 06:58:07 eIhsVk8I0
投下します。


719 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/21(金) 06:58:39 eIhsVk8I0
めざましじゃんけんタイム!
Are you ready?

「行くぞ…!めざましじゃんけん、じゃんけん

「ポン」
『ドスッ』

ポングハッ…!?」



赤い髪色と服装をした魔法少女が、手のような形の体から長い腕と細い足を生やした姿の怪物に槍を突き刺した。
槍は、怪物の体を貫通した。

「お、おれは…パーを……出した、ぞ……。ま、あ……勝っても、負けても、楽しかった、ら………いい、じゃ……ない、か………。良い………1……日………に………し……………」

そう言って、手の怪物は倒れ、動かなくなった。


【シャンクス@めざましテレビ/ネットミーム(身体:じゃんけんするやつ@なんか小さくてかわいいやつ) 死亡】


720 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/21(金) 06:59:14 eIhsVk8I0


「ったく、何だったんだこいつは…。ミラーモンスターか何かか?」

浅倉威はそう言って、自分が殺害したばかりの手の怪物の死骸を見つめる。
こいつは突然現れたかと思うと、何故かいきなり自分にじゃんけんを挑んで来たため、隙だらけだったから殺害した。
相手は手のような身体からまた別に生えていた腕を片方伸ばしながらパーを出してきたが、そこに害意は無くあっさりと避えることができた。
相手が一体何をしたかったのか、その真意は永遠に闇の中だ。
それは、浅倉威にとっては全く興味の無いことだった。

(だが、こいつの力は本物のようだな…。一応は、楽しめそうか)

浅倉はそう思いながら自分が持つ槍を眺める。
これは、浅倉にその肉体があてがわれた魔法少女、佐倉杏子の魔法によって出現した槍であった。

浅倉威にとって、殺し合いという環境に放り込まれたことそのものには不満はない。
元々彼はミラーワールドにおける仮面ライダー同士の殺し合い、ライダーバトルの参加者だった。
そんな浅倉の目的は単純明快、戦うことだ。


この殺し合いの舞台で最初に目覚めた直後は、自分の身体を何の力もないガキにされたと思って大いにイライラさせられた。
だがタブレット内のプロフィールを確認してみれば、魔法少女というライダーと同じく特殊な力を持つ存在であるという情報が記されていた。
プロフィールにおいて、浅倉は杏子の経歴といったものには興味が無い。
どんな力を持っているかについてのみ確認した。
そして、少なくとも魔法少女に変身できることと槍を出せることまではここで実践できた。
ならばもう、この後どうするのかは当然決まっている。
戦えるなら、ライダーも魔法少女も関係無い。


浅倉威は永遠に、戦い続けるだけだ。


721 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/21(金) 06:59:36 eIhsVk8I0

【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[身体]:佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ
[状態]:健康、魔法少女に変身中
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ、佐倉杏子の槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品1〜3、ランダム支給品1〜3(シャンクスの分)
[思考・状況]基本方針:戦いを続ける
1:戦う相手を探す。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※ソウルジェムは支給品に含まれず、破壊されると死亡するものとします。
※槍は魔法で出したものであるため、支給品に含まれません。


722 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/21(金) 07:00:08 eIhsVk8I0
投下終了です。
タイトルは「シャンクス、ありがとうございました。では、ロペまち占いです。」とします。


723 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/21(金) 10:04:09 us2MNIxc0
投下します


724 : 闇の刃はされども情を捨て切れず ◆QUsdteUiKY :2023/07/21(金) 10:05:21 us2MNIxc0
桜井景和は理想の世界を叶えた。
デザイアグランプリの全ての犠牲者が蘇った世界。
おかげで姉の沙羅や両親は生き返り――そして瞬く間に再び命を落とした。

理由は簡単。
蘇らせた犠牲者の中に、救いようのない悪党も大勢居たからだ。
本来ならジャマトの肥やしになっていた彼らを含め、全ての犠牲者を対象に願ったから――家族を再び失うことになった。

もっともこれは事前に教えなかったジットも悪い。彼がバッドエンド請負人だと知らぬまま、景和は理想の世界を叶えてしまったのだから。

そしてもう一度世界を創り変えろと詰め寄ると、ジットはギーツを倒せと言ってきた。
彼が生きてる限り、女神の力が使えないと。


それから――景和は気が付けばここに居た。

「殺し合いだと?ふざけるな……!」

景和の怒号が、辺りに鳴り響く。
だがそれはドスの効いた声ではなく――それとは逆の、なんとも可愛らしく幼い声であった。

「あれ?これが俺の声……?」

自分の喉から発せられる声に景和は違和感を覚える。
辺りを見回せば何故かいつもより色々と大きく感じ、足元がスースーとする。

そこで景和は魘夢の言葉を思い出す。
自分が今、別人になっている可能性に辿り着き――手鏡を見る。

「これが、今の俺の身体……?」

そこに映っていたのは、小さな女の子だった。
黒髪のおさげで、星形の髪留めが特徴的。服装も独特で、良くも悪くも目立つだろう。
何の穢れも知らなさそうな無垢な幼女――だがその中身は、今や桜井景和だ。表情が強ばっている――が、可愛らしい顔付きゆえか威圧感はあまりない。

景和は驚いた後、タブレットを操作する。ルールファイルを読み終えると、身体の持ち主のプロフィールに目を通した。

「こめっこちゃんって言うのか」

こめっこ。
変な名前だと思ったが、この緊急事態ゆえにそこまで気に留めない。そもそも魘夢からして、現実世界に存在しないような名前だったから。

「この子にも姉ちゃんが居るんだな……」

プロフィールを見る限り、めぐみんという名の変な名前の姉がいること、こめっこは紅魔族という知力と魔力に秀でた種族であることなどが判明した。
貧乏一家でザリガニなどを食べているが、それでも姉妹の仲は良好。お互いを大切だと思っている、良き姉妹だという。


725 : 闇の刃はされども情を捨て切れず ◆QUsdteUiKY :2023/07/21(金) 10:06:22 us2MNIxc0

「……魘夢。お前はこんな子の身体を使ってまで、殺し合いがしたいのか。お前が居なければ……この子は殺し合いに巻き込まれなくて済んだんだ……!」

景和は魘夢に怒りを募らせる。
こめっことめぐみんが。大切な姉妹の絆が、この程度で切り裂かれて良いわけがない。……自分の時のような悲劇は、もううんざりだ。

「お前は姉ちゃんをジャマトにした五十鈴大智と変わらない。他人の身体を使わせて殺し合いさせて――その結果、身体を失った参加者はどうなるんだ!身体を乗っ取られた参加者の心はどこにいったんだ……!」

人々をジャマトにした、五十鈴大智。
勝手に他人の身体を利用して殺し合いを強要させる魘夢。
どちらも最悪のクズだ。

もしもこれで善良な者の身体に悪人の魂が宿ったりしたら、どうしようもない。
何故なら悪人を殺せば善人まで道連れになるのだから。
なんとも悪趣味極まりないルールだ。悪人ならば殺す覚悟を決められただろうが、無関係の人々が身体だけ巻き込まれてるとなればそうもいかない。

「魘夢。こんな殺し合いを開いたお前には、必ず罪を償わせてやる」

景和は魘夢に怒りを燃やす。
優勝特典には惹かれるが、だからといって元の身体の持ち主もわからない人々を殺すことには躊躇う。
桜井景和は根っこの部分ではお人好しな善人なのだ。紆余曲折を経て悪党を殺すことにはもう容姿ないだろうが、身体が別人となると迷いが生まれる。

また今の身体をなんとか元の持ち主――つまりこめっこに返してやりたいとも思う。きっと今、姉のめぐみんは心配してるはずだから。
そのために自分は死ぬわけにいかず、生存を第一優先とする。

そして魘夢は必ず殺す。容赦する気はない。
元の肉体に戻す技術については、そういう装置か何かがあると考えている。魘夢を殺し、それを手に入れたらいい。

危険人物については――もちろん倒すが、命を奪うことには躊躇がある。無関係の人を巻き込みたくないというエゴだ。
それに危険人物を殺すために無関係な人を殺したら――それこそジャマトになった姉を殺した道長と変わらない。それだけは嫌だ。

優勝特典で死者を蘇らせるという手もあるが――それで痛い目に遭ったばかりだ。それに魘夢なんて五十鈴大智並に胡散臭くてクズな男を信じる気もない。

「こめっこちゃん。君のことは必ず俺が、無事に帰してあげるから」

この肉体に今、こめっこの意識が眠っているかどうかはわからない。
それどころか、こめっこの意識がどうなっているのかもわからない。

だが景和はこめっこのことを想い、声を出して――彼女の肉体を無事に戻すと誓う。

そして元の世界に帰ったらギーツを倒し、女神の力で再び世界を創り変える。今度こそ姉が平和に暮らせる世界を創る


【桜井景和@仮面ライダーギーツ】
[身体]:こめっこ@この素晴らしい世界に祝福を!シリーズ
[状態]:健康
[装備]:ウィザードライバー&ドライバーオンウィザードリング&フレイムウィザードリング&キックストライクウィザードリング@仮面ライダーウィザード、ウィザーソードガン@仮面ライダーウィザード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:魘夢に罪を償わせ、こめっこちゃんにこの身体を返す
1:危険人物を倒す覚悟は出来てる。でも身体が普通の人なら、あまり殺したくない
2:大智と道長が居たら、俺が倒す。英寿も女神の力を使うために容赦しない
[備考]
※ 参戦時期は43話「創世Ⅴ:その名はギャーゴ!」です


726 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/21(金) 10:06:45 us2MNIxc0
投下終了です


727 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/21(金) 13:56:26 FHpGdTDo0
投下します


728 : 狂戦士、再び舞台へ ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/21(金) 13:56:45 FHpGdTDo0
(なんだ…ここは?)
戦士、高城蓮太郎は暗い底から這い上がった。
先の戦争、守若冬四郎に敗れ、命を落とした彼は、今ここに蘇った。

(たっくなんだ…頭が痛え、けどなんだ…この湧き上がる闘争心は…)
今の彼の身体は紫の鎧に染まった騎士であった。
(ランスロット…それがこいつの名前か…狂戦士だっておもしれぇ…)

そして狂気の染まった産声をあげる。
(やってるさ!この殺し合い!強いやつを求めになぁァァァ!)

「Ahhhh!!!!!!」

狂気は言葉にならない…しかし、今の彼の身体ととの相性は、経歴も何もかも含め、フィットしていた。


【高城蓮太郎@ヒューマンバグ大学】
[身体]:バーサーカー@Fate/zero
[状態]:暴走
[装備]:
[道具]:基本支給品 ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いはするが、強いやつを中心に闘う
1:面白れぇ!乗ってやるよ!
2:秋元や城ヶ崎の旦那は居るのか?
[備考]
羅威刃傘下になってからの参戦です
会話はできませんが、理性はあります
霊体化は不可です


729 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/21(金) 13:56:56 FHpGdTDo0
投下終了です


730 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/21(金) 16:51:21 C3z4S5FY0
投下させて頂きます。
また、今回の作品は以前決闘ロワに投下したものを流用しております。


731 : 運動神経抜群オタク(の身体)をなめんな ◆bLcnJe0wGs :2023/07/21(金) 16:52:01 C3z4S5FY0
 ─自分は先程、義妹4人を大学に行かせる為の資金を稼ぐ為に勤めていたアルバイト先のファミレス内にあったテーブルから謎の強烈な殺気を感じとり、
 昔から責任感の強かった自分でも抗えない生存本能に従って店長にバイトの辞退宣告をして店から脱出したところだった。

 だがその直後、急に意識を失い青空が広がる空間の中にいた。
 ─そして殺し合えと言われてしまった。

(どういうことだ…)

 震えが止まらず、支給品にも手を出せないが、ここでは何もしない訳にはいかない。
 タブレットで長い時間調べ物をしていたらその隙を突かれて終わりというのは一般人の彼でも生存本能から察している。
 だから、タブレットに触れられない。

(生きるんだ…生存本能には抗えない、そして義妹達を大学に行かせるんだ…!)

 そうして、己の生存本能に抗えない彼は恐怖を抑えながらも一歩、踏み出したのである─


732 : 運動神経抜群オタク(の身体)をなめんな ◆bLcnJe0wGs :2023/07/21(金) 16:52:22 C3z4S5FY0
【本名不明(ファミレスのアルバイト店員)@呪術廻戦】
[身体]:本名不明(私/壱)@1/2ゲーム
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:己の生存本能に従って生き延びる。
[備考]
※参戦時期はバイト先だったファミレスを脱出した直後。
※自身に支給されたタブレットを確認していません。


733 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/21(金) 16:52:38 C3z4S5FY0
投下終了させて頂きます。


734 : ◆4u4la75aI. :2023/07/21(金) 23:42:23 /nCyOQB60
>>631
>自分が歌った曲全部の知識があるとのことですが、カバー曲とかも含まれるのでしょうか。
失礼しました。カバー曲は対象外ということで、wikiにて文面を『全ての初音ミクオリジナル曲の知識を有しています。 』に変更させていただきました。


735 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/21(金) 23:52:03 OZSc9ihc0
2本続けて投下します


736 : 消せない記憶 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/21(金) 23:53:06 OZSc9ihc0
とあるビルの屋上で、一人の男が禍々しい月を見上げる。

「何だか、おかしなことになったなあ。こいつもハーゴン教団の仕業なのか?」

しかめっ面で呟く彼の名は、シドー。
相棒のビルダーと共にハーゴン教団と戦いながら、彼らによって衰退した町を再生している記憶喪失の少年だ。

「しかし心と体を入れ替えるとは、面白いことをしやがる。
 どれ、俺はどんな姿になったんだ?」

好奇心に胸を弾ませながら、シドーは手鏡を取り出してのぞく。
その瞬間、彼の頭に鋭い痛みが走った。

「ぐっ!」

苦悶の声と共に、シドーは手鏡を取り落とす。
手鏡は床にたたきつけられて砕け散ったが、シドーにはもはやそんなことを気にしている余裕はない。

「なんだ……この感覚は……。
 俺は……こいつを知っているのか……?」

鏡に映ったのは、歴戦の風格を漂わせてはいるが、強い特徴の無い青年の顔だった。
だがシドーには、その顔がひどくおぞましいものに見えた。

「ぐ……う……」

胸を押さえ、シドーはうずくまる。
胸の奥から、黒いものが湧き出してくる。
彼はそんな感覚を覚えていた。

「まずい……このままじゃ……俺が俺じゃなくなる……。
 心を落ち着けないと……。
 あいつに……あいつに会いたい……」

この場にいるかわからぬ相棒を求めて、シドーはふらつく足取りで歩き始めた。


◆ ◆ ◆


シドーは、まだ知らない。
自分が宿っている体が、かつての自分を葬った張本人であることを。
「ローレシアの王子」として歴史に名を残す男。
それがシドーに与えられた体であった。


【少年シドー@ドラゴンクエストビルダーズ2】
[身体]:もょもと(ローレシアの王子)@ドラゴンクエストII
[状態]:情緒不安定
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(手鏡なし)、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:相棒に会いたい
1:殺し合い? それどころじゃない!
[備考]
※参戦時期はオッカムル編クリア直後


737 : キミは淫らな夜のヒーロー ◆NIKUcB1AGw :2023/07/21(金) 23:54:49 OZSc9ihc0
「殺し合いを強制するなんて……。これは疑いようもなく、悪!
 私が裁かなくては!」

殺風景などこかの屋内で、スタイル抜群の美少女が叫ぶ。
その少女に宿る人格の名は、ショウダ。
強い正義感を持つ人妻だ。
そこだけ聞くといたって善良な人物に思えるが、決してそうではない。
彼女の正義感は、過激かつ独善的。
「悪人は乳首舐められて当然!」などとのたまい、「正義魔」とあだ名される危険人物なのだ。

「とはいえ、この格好ではあまり正義っぽくないな!」

今のショウダが来ているのは、学校の制服らしきYシャツとスカートだ。
動きやすいが、正義を執行する者としてはふさわしくない。

「リビドークロスはないのか?」

デイパックをあさり、本来の装備であるリビドークロスを探すショウダ。
しかし、彼女にリビドークロスは支給されていなかった。
なぜなら支給されたところで、元の肉体と身長が違いすぎてサイズが合わないからである。

「む?」

その代わり、ショウダはとある支給品に目をつけた。

「デザインはそこまで好みじゃないが、顔が隠れるのはいいな。
 マントがついてるのも、正義っぽい!」

それは王家の血を引きながらも、剣闘士に貶められた一人の少女が使っていた防具。
だがショウダには、その装備に込められた様々な思いなど知ったことではない。
評価するのは、見た目だけだ。

「これでよし!」

顔を隠す兜に、肌の大部分を露出した鎧。
そしてマントを身につけ、ショウダは満足げな笑みを浮かべる。

「さあ、行くぞ! 正義マンの出撃だぁぁぁぁ!!」

今、狂いし正義が解き放たれた。


【ショウダ マサミ@淫獄団地】
[身体]:八百万百@僕のヒーローアカデミア
[状態]:健康
[装備]:レベッカの鎧@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:悪人に正義の鉄槌を!
[備考]
※参戦時期はヨシダとの対戦前


【レベッカの鎧@ONE PIECE】
レベッカが闘技場で使用していた防具のセット。
顔の上半分を隠す兜と、金属面積が極めて少ないビキニアーマーで構成される。
元王族ともあろう者がこんな格好をしていたのは、装備の重量制限のため。


738 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/21(金) 23:56:01 OZSc9ihc0
投下終了です


739 : ◆ZbV3TMNKJw :2023/07/22(土) 00:23:34 rZSxAs0A0
投下します


740 : 抜かねば無作法、ヌいたら無法 ◆ZbV3TMNKJw :2023/07/22(土) 00:24:14 rZSxAs0A0
其の者は鏡の前で己が姿を見つめていた。

「うむ...この筋力...そして体躯に...極限にまで練り上げられた肉体...これほどの剣士を拝むのは...いつ以来か...」

そう独り言ちる彼の名は、『黒死牟』。
人を喰らう鬼の頭領、鬼舞辻無惨。
彼に見定められ、選ばれた上弦の壱の鬼である。

そんな彼に与えられた肉体は、初老のものだった。
しかしただの初老ではない。
大量に蓄えた髭と鋭い眼光は賢明なる王を想起させ、その肉体もまた初老とは思えぬほどに練り上げられ鍛え上げられた筋骨隆々な巨体。
そしてなにより目を惹くのが

「しかし...コレもまた剣とは...珍妙なり...」

股間にぶら下がる巨大な逸物である。

「鬼ですら...一物で戦う者はいない...本当に人間か?この者は...」

黒死牟は数百年に渡り、多くの戦士と相対したが、それでも自らの急所を使い戦う剣士など見たことも聞いたこともない。
本当にこんなものが戦に使えるのか、甚だ疑問である。

「試し斬りと...興じよう...」

ス ゥ ゥ ゥ

呼吸が変わる。
彼のこの呼吸法は、鬼殺隊特有の呼吸法の一つ、全集中の呼吸。
身体に力を巡らせ、潜在能力を引き出し全力のパフォーマンスを披露できる呼吸法である。
彼が力を巡らせるは、身体の一部、それも下腹部———否、その股間にぶら下がる巨大な一物。
ビキビキとソレに筋が奔り硬さが増していく。
勃起とは血の巡りにより起こる現象である。
彼が呼吸によって起こしたのはそれだ。
血の巡りを集中させ、そのズル剥けの巨棍を勃起させたのだ。

「おぉ...」

黒死牟は思わず感嘆の声を漏らす。
バキバキに張り詰めたソレは、身の丈ほどに大きくなり、その硬さは金剛石の如し。
まさに名刀。いや、宝刀。
これほどの逸品はお目にかかったことがない。


741 : 抜かねば無作法、ヌいたら無法 ◆ZbV3TMNKJw :2023/07/22(土) 00:24:36 rZSxAs0A0

「これならば...私の型も...」

ブォン、と巨根がしなり、空気を震わす。

———月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮

振るわれた一閃に、眼前の石造りの柱が両断され、落ちた石柱に細かい斬撃跡が刻まれる。

「うむ...やはり...こちらの刀であれば...血鬼術に酷似した技も...可能か...」

体内の血液を呼吸で抑制し、勃起を収める。

「鬼のように...体力も無尽蔵ではない故...放ち続けることはできんが...この膂力ならば...ただ振るうだけでも仔細ない...」

身体の使い心地は確認した。
次いで、この催しについてに思考を巡らせる。
主催の女は魘夢と名乗っていた。
奴は確か死んだはずだが、それがなぜ姿を変えてまで生きているのか。
なにか裏がある。
それも、自分や主すら理知が及ばないなにかが、だ。

(どうあれ...勝ち残らねば...知る由もないか...)

自分はこんな場所で燻っている暇はない。
一刻も早く主のもとへ戻り忠を尽くさねば。
なにより、身体を取り戻さねばならない。
如何に優れようともいずれ朽ちる肉体ではなく、永劫の時を生きれる鬼の肉体が。
そして、いつかは辿り着くのだ。決して届かなかったあの———

「...行くか」

身を焼かれるようなあの想いから目を背けるように歩き出す。

その場に、生臭いタンパク質の跡を残しながら。



【黒死牟@鬼滅の刃】
[身体]:ベオウルフ@ローゼンガーテンサーガ
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生還し元の肉体を取り戻す。
1:まずは無惨がいないか確かめたい。

[備考]
※参戦時期は時透との邂逅前


742 : ◆ZbV3TMNKJw :2023/07/22(土) 00:25:31 rZSxAs0A0
投下終了です


743 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 06:01:55 7aMe562I0
投下します


744 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 06:02:05 7aMe562I0
「まさか、女の体になるとはな。」
かつて、ドナン・カシム政権において、軍事面にからデロイアの指揮官、フォン・シュタインより、最も信頼された男がいた。
その名は、ジャッキー・ザルツェッフ。階級は少佐。
しかし、数々の作戦の失敗と対立から少尉降格のもと、拘束される。

しかし、かつての仇的、J・ロックの手引きにより、デロイア革命ゲリアに加入した彼は、圧倒的な知力と軍略により、もうすぐで北極ポート支配寸前にまで迫っていた。

「だが、この状態じゃ、どうにもならん。」 
今の体は銀色の髪、白いどこかの学園の制服、黒の眼帯を身に着けた少女だった。

「とにかく、ゲリラの誰かを探しに行こう、あやつらがいるかもしれん。」
「まぁ、この身体じゃ、戦闘にあったときに困るが、とにかく進むか。」
少女になってしまった策謀家は、歩きだした。

【ジャッキー・ザルツェッフ@太陽の牙ダグラム】
[身体]:ラウラ・ボーデヴイッヒ@IS〈インフィニット・ストラトス〉
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生還し、元の体に戻る
1:まずはゲリラの誰かと合う
2:もし、対主催グループがいるなら、参加したい
[備考]
※参戦時期は北極ポート攻略中、進軍停止の命令がでる前


745 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 06:02:23 7aMe562I0
投下終了です


746 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 06:03:16 7aMe562I0
追記
タイトルは「最も信頼された黒兎です」
失礼しました


747 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/22(土) 07:34:53 lXMc8OnE0
投下させて頂きます。


748 : 兄と姉 ◆bLcnJe0wGs :2023/07/22(土) 07:35:15 lXMc8OnE0
 会場内のとある場所、説明書通りにタブレットを操作し、身体側のプロフィールを確認する、白衣の女性の姿した参加者の姿があった。

(うぐ…この身体の本来の持ち主は妹の為に…こんな酷い目に遭ってきたのか…)

 それによると、その身体の本来の持ち主は魔女という特殊な能力を持った女性達が『災いの元になる』という理由で迫害される世界の出身で、
 彼女の妹が6歳になった日に魔女の力に目覚め、それを両親に披露したことがきっかけで彼らに家を追い出されて捨てられ、
 そこからすぐにその妹の元へ駆けつけたこと、
 自身も妹や両親と暮らした家を出て姉妹二人で暮らすようになったこと、
 魔女狩りの標的にされた妹の身代わりになって捕らわれ、熾烈な拷問を受ける中で絶望し自身もあらゆるものを凍らせる氷の魔女の力に目覚め捕らわれていた場所の周辺を氷漬けにしていたと記されている。

(そうだ、オレさまにも妹がいた。
 地上のゴンババ城と自分がいた地下の闇の宮殿。
 ずっと離れ離れだったけど、手紙でやり取りをしていた。
 だが、ある日を境に手紙を出しても返事が来ることがなくなって、おかしいと思っていたら自分のもとにやって来た侵入者の一人の口から「ゴンババは倒されたはず」なんて発言が飛び出した。
 それを耳にした時は驚きと怒りを隠せずヤツらに襲い掛かったものの、逆に自分がやられてしまった。
 今思えば、ヤツらが憎い…憎い憎い憎いッ…!)


749 : 兄と姉 ◆bLcnJe0wGs :2023/07/22(土) 07:36:31 lXMc8OnE0
 プロフィールの説明に目を通した『彼』、ブンババは妹を先に倒され、自身も仇討ちの為に倒した者とその仲間達を倒そうとしたのだが、それもかなわず敗れてしまった自分に彼女の境遇を重ね合わせる。
 ─その結果、彼の精神はあっという間に妹の仇となる者達への憎悪と怒りに染まり始める。

(────そうだ、この殺し合いで最後の1名になればどんな願いも叶えてもらえると説明をされておった。
 オレさまはゴンババの仇が…ヤツらが…許せない、許せない、許セナイッ…!!)

 憎悪と怒りが魔女の力を発動させる。
 それは制御出来ず、白衣の女性の身体からは冷気が発せられ、次第にその温度は低くなっていく。

 ──その負の感情は、かつての主であるカゲの女王への忠誠心も薄れていく程に強く染まっていく。

 果たして、彼の暴走を食い止められる者は現れるのだろうか?

【ブンババ@ペーパーマリオRPG】
[身体]:ルナリンド@メメントモリ
[状態]:元の世界で妹(ゴンババ)を倒した者達への憎悪及び怒りとそれに伴うカゲの女王への忠誠心の薄れ、魔女の力が暴走中
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:妹の仇がいるなら復讐、いなければ優勝も視野に入れる。
[備考]
※参戦時期はマリオとその仲間達に倒された後。
※彼(彼女)の周辺で本人制御不能の冷気が発生しており、徐々に温度が低下しております。(制限により限度あり)


750 : ◆bLcnJe0wGs :2023/07/22(土) 07:36:50 lXMc8OnE0
投下終了させて頂きます。


751 : ◆tAzjJve9.E :2023/07/22(土) 10:51:59 w/viwOVk0
投下します


752 : 変・身 ◆tAzjJve9.E :2023/07/22(土) 10:52:53 w/viwOVk0
「な、なんでさ……なんで、なんで……なんでやねん……」


とある民家の一室で、ブロンドの髪の少女が手鏡で自らの姿を見てわなわなと身体を震わせていた。
無論、少女とは言ってもそれはあくまで肉体、外見上の話。
この殺し合いのルール上、肉体に宿っている精神は全くの別人であることは言うまでもないことだ。


「女の子の身体じゃないか……!?しかもこれ、車椅子だよな?
さっきから足の感覚が全然なくて動かせないし、きっとこの子は歩けないんだな……。
あの野郎、何が殺し合いだ……!こんな身体でどうしろって言うんだよ……!?」


車椅子の少女、ナナリー・ランペルージの肉体に宿った人格の名は衛宮士郎。
数週間前に起きた聖杯戦争を潜り抜けた魔術師、あるいは魔術使いである男子高校生であり、今はこの殺し合いの参加者の一人だ。


誰に言われるまでもなく、士郎はこの殺し合いに乗るつもりはなかった。
唐突に巻き込まれた自分と同じような境遇の参加者がいれば積極的に助けようとも考えていた。
だが、恐ろしく非力で車椅子がなければ移動もままならないような少女の身体で一体誰を救えると言うのだろう?


「―――投影、開始(トレース・オン)。…………やっぱりダメ、か」


念のため、魔術を行使しようと試みたが魔術回路が励起する感覚が一切ない。
魔術回路が一切ない肉体なのだから当然だ。仮に投影を使えたところで、少女の細腕では剣を持つことすらできなかっただろうが。


仕方ないので床に置かれていたデイパックを苦労しながら持ち上げ、近くのテーブルに置いてタブレットを見ることにした。
学校のパソコンの授業でも見たことのないタブレットの操作にやや手こずったものの、説明書のおかげでそう時間をかけずに扱えるようになった。
真っ先に確認したのは今の士郎の身体になっている少女のプロフィールだった。


「……苦労してるんだな、この子。でも良い兄貴がいるみたいだ」


神聖ブリタニア帝国なる国の皇女ながら、母親の暗殺事件で目と足が不自由になり、日本に外交カードとして送られた挙句日本とブリタニアが開戦。
終戦後は後援貴族のアッシュフォード家に身を寄せて兄のルルーシュやメイドで日本人の咲世子と暮らしている女子中学生。
ブリタニアという聞き慣れない国や日本が侵略されたという荒唐無稽な内容の真偽は不明だが、今はそういうものと受け入れるしかない。


「しかし目が見えないって書いてあるけど普通に見えるんだよな……。目の方は心因性ってことだから、別人の俺には関係ないってことなのか?」


プロフィールによると目と足の障害はそれぞれ原因が異なるらしく、目の方はトラウマによるもので足の方は物理的なダメージによるものらしい。
であれば衛宮士郎がナナリーの身体に入っていることで目が普通に見えているのはおかしくはないのだろう。
というかただでさえ歩けないという特大のハンデを抱えているというのに盲目まで加わっていたらそれこそどうしようもないところだった。


「さて、どうしたもんかな……」


自分の身体について一通り把握できたところで考えるべきは今後の立ち回りだ。
仲間を募るにせよ、主催者の情報を集めるにせよ他の参加者との接触が欠かせないが、自衛はおろか逃げることすら覚束ないこの身体では相当のリスクを伴う。
思案に耽っていると、遠くの方から爆音のような音が聞こえてきた。


「誰か戦ってるのか?でも音は遠い、外の様子を見るだけなら……」


彼女と出会った、聖杯戦争に巻き込まれた日の夜を思い出す。
あの日も物音が気になって校庭を見に行って、ランサーに見つかった。
今の士郎には聖杯戦争を共に駆け抜けた剣の英霊も居らず、令呪の兆しも、魔術回路も、それどころか五体満足な身体すらない。


それでも、いつまでも開始地点であるこの民家に隠れ潜んでいることもできない。
誰かが襲われている可能性があるのなら、何かをしなければならない。出来ることなら救いたい。
この身は誰かを救うために在らねばならないという衝動が、自分の精神が宿った少女の身体を傷つけてはならないという理性を上回る。
決意とも焦燥が綯い交ぜになった感情を抱え、慣れない車椅子を動かしながら外へ出た。


「……何だよあの月」


753 : 変・身 ◆tAzjJve9.E :2023/07/22(土) 10:53:26 w/viwOVk0


空を見上げると人の顔がついたような月が、鬼の如き形相で地上を睨みつけていた。
あんなものが三日後に落下してくるのか?戦慄するが、今はどうすることもできない。


「音がしたのは確かこっちのはず……アレ、か?」


夜の上に距離があって見えづらいが、遠くで黒煙が立ち昇っている様が見える。
その周辺には破壊された建造物らしきもの、そして、遠目にも僅かに視認できる一体のヒトガタだった。
けれど、有り得ないことにそのヒトガタはどう見ても普通の人間の大きさを逸脱していた。
士郎が隠れるべきか逡巡した一瞬、その間にそいつは不気味な月が浮かぶ空へと大きく跳躍し、士郎がいる民家群の近くに着地した。


「なっ!?何だよ、アレは……!?」


それは全長四メートルほどの、人型のロボットとしか言い表せない存在だった。
白と黄色を基調としたボディに兜を模したような頭部、両脇には剣を収納しており、右手には物々しい銃器を手にしていた。
ロボットの胸部から赤く発光するセンサーのようなものが飛び出したかと思うと、数秒後には士郎へと振り向いた。


(ヤバい!見つかった!)
『汚え人間は滅びろ!!!』


恐らく外部スピーカーのようなものを使ったのだろう、男性の声で周辺全体に響き渡るような罵声が流れる。
士郎を見つけたロボットは迷うことなく右手に持った銃を突きつける。間違いなく殺し合いに乗った参加者だ。
たった一人の人間に向けるにはあまりに大きな銃口、如何なる弾丸が放たれるにせよ衛宮士郎を殺すには十分すぎる殺傷力を有しているに違いない。



―――終わるのか?こんなところで。
わけもわからず聖杯戦争とも異なる殺し合いに放り込まれ、他人の身体に入れ替えられ、挙句何一つ為せないまま、誰も救えないまま死ぬのか?
この手はまだ誰も救えていないのに―――?


「ふざけるな、俺は……!」


突きつけられた銃口を前にして、いつかの夜と同じ言葉が口をついて出た。
けれど、彼女と出会ったあの夜とは何もかもが違いすぎる。
衛宮士郎の精神が宿った少女の身体は魔術師のそれでなく、令呪もそれに代わる武器もない。
だから、あの夜のような奇跡は起きない。







「アクセース、フラーッシュ!!!」





この状況を見かねた、第三者の介入がない限りは。



















響裕太にはわからない。
この異様な状況で自分に何ができるのか全くわからない。
人同士の殺し合い。怪獣や怪獣を操る黒幕との戦いとは全く違う、明確に誰かの生命を奪う可能性の高い状況だ。
この場に内海や六花、新世紀中学生やアンチ、蓬たちがいるかどうかもわからない。同時に誰も巻き込まれていないでほしいと願う気持ちもある。
何より、ここにはジャンクもなく、グリッドマンがいない。
グリッドマンとアクセスフラッシュできない裕太に果たしてどれほどのことができるのか?


代わりと呼べる力はないわけではない。
アスミ・カナタ。裕太の精神が入れられたこの身体の持ち主はウルトラマンデッカーというグリッドマンに近しい巨人に変身して怪獣と戦っていたのだという。
ウルトラマンと言えばしょっちゅう内海が口に出していたが、デッカーなんて名前は聞かなかった気がする。
そんなウルトラマンデッカーに変身するためのデバイス、ウルトラDフラッシャーが裕太には支給されていた。
しかし強い光を持つ者でなければ変身する資格がない、と説明書には書かれていた。自分がそうであるという確信など持てるわけもない。


何もわからずどう動くべきか決めあぐねていると、遠くから大きな物音が聞こえた。
何事かと音のした方へ動くと、夜の闇の中でもわかるほど大きな人型ロボットが車椅子らしきものに乗った誰かに銃を向けている光景が見えた。
駆け出した。僅かの逡巡すらもなく、ロボットに狙われた誰かを守りたい一心で飛び出していた。


754 : 変・身 ◆tAzjJve9.E :2023/07/22(土) 10:53:54 w/viwOVk0


―――俺に何ができるかなんてわからない。だけど、今、俺がやらなきゃいけないんだ!


その時、アスミ・カナタの肉体に対してではなく、響裕太の精神に呼応してデイパックに入れていたはずのDフラッシャーが右手に握られていた。
直感的にやるべきことを理解し、同時に腰に装備されていたカードホルダーから一枚のカードを取り出し、Dフラッシャーに装填した。


『Ultra Dimension!』


「アクセース、フラーッシュ!!!」


咄嗟に叫んだ掛け声は、きっと本来の変身者であるアスミ・カナタとは違うのだろう。
それでもDフラッシャーは確かに裕太の叫びに応えてくれた。


『Ultraman Decker! Flash Type!』























覚悟していた痛みや衝撃は、何時になっても訪れることはなかった。
あの大口径の銃で撃たれたのだ、もしや自分は痛みを感じることもなく死んだのか?
衛宮士郎が恐る恐る目を開けると、どう見ても人間ではない、仮面のような顔が視界に映った。


「だ、誰!?というか、何だ!?」


驚きのあまり身じろぎして、自分が目の前の存在に抱き上げられている、もっと言えばお姫様抱っこをされていることに気づいた。
乗っていた車椅子は見事にバラバラに砕け散っており、目の前の謎の存在が助けてくれたことだけは理解できた。
だが(精神的には)男がお姫様抱っこをされているという情けなさに思わず赤面してしまう。


「デヤッ!?」(この子が無事なのは良いけど、何これ!?小っさ!等身大じゃん!)


「あー、その、もしもし?日本語、わかりますか?」


「デヤッ!……デヤッ!?」(う、うん!大丈夫!……ってあれ!?喋れてない!?グリッドマンと融合するのとは違うのか!)


一方で士郎から見れば謎の存在、ウルトラマンデッカーに変身した響裕太は変身後の姿が異様に小さく、まともに会話できないことに戸惑っていた。
本来50メートル級の巨体を誇るウルトラマンだが、この場においては変身時の体躯に大幅な制限が設けられ、等身大サイズにしかなれなくなっている。
それにグリッドマンが主体となって身体を動かしていた時とは違い、裕太の意識がダイレクトに動きに反映されるため、危うく士郎を手放してしまいそうになった。
地面に落ちそうになったことなど気にも留めず、士郎が青ざめた顔で前方を指差した。


「前見ろ!来るぞ!」


第七世代KMF(ナイトメアフレーム)、嚮導兵器Z-01ランスロット。
それが今、デッカーに変身した裕太の前に立ちはだかる機動兵器だ。
その鋼の手に持つのは可変弾薬反発衝撃砲、ヴァリス。KMFの装甲を一撃で破壊する威力を誇る、人間に向けるには過剰すぎるほどの装備である。
ヴァリスの銃口から人体を軽く消滅させるほどの威力の弾丸が次々と放たれ、周囲に破壊を齎していく。
デッカーは両腕で士郎を抱えながら、時には単純な跳躍で、時には物理法則を無視した飛行で躱していくが余裕はない。
余裕を持って回避しなければヴァリスの余波だけでも士郎を傷つけかねないからだ。


(このままじゃ躱しきれない!だったら!)


士郎を抱えたままでは戦えないが、間違っても撃たせるわけにもいかない。
ならば方法は一つ。七度目の跳躍の後、士郎を優しく地面に降ろした。
隙だらけの背中を見逃すはずもなく、ランスロットからヴァリスが放たれる。
轟音、衝撃。デッカーは両腕を広げて、背中で士郎を庇いながらヴァリスを受け止めた。


755 : 変・身 ◆tAzjJve9.E :2023/07/22(土) 10:54:26 w/viwOVk0


「お、おい!よせ!俺のことはいいから!」


「デヤッ!」(そんなわけにいかないだろ!)


決して勝算のない行動ではなかった。
ウルトラマンデッカーがグリッドマンに近しい巨人なら、ダウンサイジングされていようと相当の力を持っているはず。
事実、デッカーの背中は無防備にヴァリスの直撃を受けたにも関わらず傷一つついてはいない。
さすがに痛みや衝撃はあるが、耐えられないようなものではない。
デッカーは素早く振り向くと、次々と撃ち込まれるヴァリスを腕を振るって弾き飛ばしていく。


想定外のデッカーの戦闘能力にランスロットは動揺したような挙動を見せるが、気を取り直して両腕でヴァリスを構えるとともに砲身が伸びていく。
ヴァリスのフルパワーモードで一気に二人とも仕留める算段だ。
デッカーもまた最大火力の攻撃が来ることを察し、両腕にエネルギーを集中していく。


『人間を守るやつも滅びろ!!!願いはヒューマギアの俺が叶えてやる!!!』


「デヤァッ!」(そんなことさせるか!)


可視化されるほどの紫電を纏った砲身から、それまでのものとは段違いの威力を有する弾丸が放たれた。
最大出力のヴァリスは超人的な力を持つ参加者であっても一撃で粉砕し得る威力を有している。
対するデッカーは両腕で十字を形成し、必殺技・セルジェンド光線を放った。
等身大にまでダウンサイジングされているとはいえ、セルジェンド光線は本来巨大怪獣を一撃で撃破するほどの絶大な威力を有している。
あくまで人間同士の戦争に用いられる機動兵器であるランスロットのヴァリスを一瞬の拮抗すらなく打ち破り、殆ど減衰せずランスロット本体へと突き刺さる。


『なっ、がああああああああ!!!!』


ランスロットを操縦していた参加者、MCチェケラの断末魔が外部スピーカーを通して響き渡る。
彼は政治家と企業の腐敗に激怒し、汚い人類を殲滅することを願い殺し合いに乗った。
滅亡迅雷.netの一人、雷のボディに入れられたチェケラは支給品のフォースライザーとドードーゼツメライズキーで仮面ライダー雷に変身。
同じく支給されていた機動兵器のランスロットに乗り込み、参加者の、人類の殲滅に乗り出していた。


けれど、その終わりはあまりにも早く、呆気なく訪れた。
セルジェンド光線は瞬く間にランスロットの装甲を融解させ、脱出ブロックが装備されていないコックピットへと達する。
ランスロットにはある程度の威力の攻撃を防ぐシールドであるブレイズルミナスが装備されていたが、仮にそれを構える暇があったとしても結果は何も変わらなかっただろう。
KMFの防御システムでは防ぎようのない光の奔流がコックピットを、中にいる仮面ライダー雷ごと貫き、ランスロットはチェケラの憎悪とともに盛大に爆発四散した。


【MCチェケラ@仮面ライダーゼロワン(身体:雷@仮面ライダーゼロワン) 死亡】


















「終わった……のか?」


まるで子供の頃にテレビで見たヒーロー番組のような光景だった。
神話の再現たる聖杯戦争とは種類の違う戦い。これが魘夢が仕掛けたゲームにおける戦いなのか。
白兜のロボットを葬り去った謎の戦士、あれも参加者ということなのだろう。
足が動かないこともあり、見ているしかできなかった士郎へと戦士がゆっくりと振り向く。
戦士は無言だったが、「もう大丈夫」と言わんばかりに悠然とした佇まいであった。


有り得ざる月の下、士郎を見下ろす戦士の姿がある。
何故だか彼女と出会った聖杯戦争の夜を思い出す。姿も、地上を照らす月のカタチさえ違うというのに。
戦士が光に包まれると、どこかの制服、あるいは軍服のような出で立ちの青年に姿が変わった。


「君、平気?……って、見た目が女の子でも中身は違うかもしれないんだっけか」


「あ、ああ。俺は衛宮士郎。高校二年生で、あと男です」


756 : 変・身 ◆tAzjJve9.E :2023/07/22(土) 10:55:38 w/viwOVk0


いや、あの時とは姿が違うのは自分もだったか。
ナナリーという少女の身体に入れられて多少の時間が経ったが、自分の口から可愛らしい少女の声が出る感覚は当分慣れそうにもない。


「そうなの!?同い年じゃん!……あっ、俺は響裕太です。同じく高校二年の男子。
さっき遠目に車椅子に乗ってるのが見えたんだけど、もしかしてその子の身体って……」


「ああ、見ての通り歩けない。足が麻痺してて丸っきり動かないんだよ」


「そんなに酷いの?……わかった、俺が安全な場所まで荷物と一緒に背負っていくよ!
お互いの情報交換だって安全なところまで行かないとできないだろうしさ」


屈託のない笑顔で手を差し伸べる裕太の手を取るべきなのはわかる。
自力では歩けもしない少女の身体に精神を入れられ、乗っていた車椅子も壊れた以上このままでは文字通り座して死を待つだけ。
この身は誰かの好意に甘えなければ生きていくことさえ不可能。論理的にはそうだとわかっている。
だというのに、胸の奥から剣が生えてきたかのように心がチクチクと痛み、軋む。衛宮士郎が目指す生き方の正反対のことしかできない現実がもどかしい。
おずおずと差し出そうとして、止まった手を裕太が掴んだ。


「あっ、いや、俺は……。大体、俺ごと荷物もまとめて運ぶなんて、いくら何でも無茶なんじゃないのか?」


「それなら大丈夫だと思う。この人の身体、すごい鍛えてるみたいで滅茶苦茶動けるしガッシリしてるのに軽いんだ。
まあ普段の俺なら無理だと思うけど……。よく童顔とか言われるし、背だってその子と同じぐらいしかないし……」


そうして裕太の勢いに押されるがまま、背負われることになってしまった。
幸いにも士郎が初期配置されていた民家は損壊こそしていたがデイパックに損傷はなく、中身を裕太のデイパックに移し替えて移動することになった。
驚くべきことにデイパックは質量保存の法則を完全に無視した作りになっており、中身を移し替えても重さがまるで変わらなかった。
この便利な特性を鑑みて、空になった士郎のデイパックも荷物を分割保持する場合や裕太のデイパックが壊れた場合に備えて入れておくことにした。


「なあ響、本当に大丈夫か?」


「う、うん!今のとこ平気!本当に疲れたら一旦降ろすからき、気にしないで!あと裕太でいいから!」
(ヤバい!女の子の匂いがする!いやいやいや、普通に同年代の男同士なんだから意識なんてする必要ないでしょ!
六花だってきっとわかってくれるって!多分、きっと、恐らく……!)


『ふーん、響君って華奢で中身が男子な子が好きなんだ』
軽蔑の眼差しでそんなことを言う六花を幻視したがきっと気のせいだと自分に言い聞かせる。
肉体の性別の違いにドギマギしている場合ではないとわかっているのに心のGコールが止まらない。
背中に当たる柔らかな感触を努めて気にしないようにしながら移動する響裕太の苦行は始まったばかりだった。


757 : 変・身 ◆tAzjJve9.E :2023/07/22(土) 10:56:11 w/viwOVk0
【衛宮士郎@Fate staynight】
[身体]:ナナリー・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ
[状態]:下半身不随・自力歩行不可能(デフォルト)、裕太に背負われている、精神的苦痛(小)
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]基本方針:正義の味方として殺し合いを止める。止めたいが……
1:裕太と安全な場所に移動して情報交換をする。
2:こんな身体でどうすればいいんだよ……。
[備考]
※Fateルート終了後からの参戦です。
※ナナリーのプロフィールの経歴欄の情報はTVアニメ一期時点でナナリーが知り得る範囲です。
※士郎の精神が入っているためナナリーがシャルルから受けたギアスは機能していません。
これにより問題なく目が見えていますが、代わりに皮膚感覚の鋭さが低下しています。
※乗っていた車椅子は破壊されました。


【響裕太@グリッドマンユニバース】
[身体]:アスミ・カナタ@ウルトラマンデッカー
[状態]:疲労(中)、ダメージ(微)、緊張、士郎を背負っている
[装備]:ウルトラDフラッシャー&カードホルダー@ウルトラマンデッカー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜4
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らずに俺に出来ることをする。
0:当たってる……!?いや、気のせい気のせい!
1:士郎を連れて安全な場所まで移動してから情報交換をする。
2:六花や内海たちが巻き込まれていないか気になる。
3:さっき倒した参加者のことは……。
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※肉体側(アスミ・カナタ)の参戦時期はダイナミックタイプを会得してから変身能力を失うまでの間です。

※MCチェケラの支給品は全て完全に消滅しました。


【ウルトラDフラッシャー&カードホルダー】
ウルトラマンデッカーに変身する変身ブレス。響裕太に支給された。
カードホルダーから取り出したカードをDフラッシャーに装填することで変身する。
強い光を宿す、選ばれた者にしか変身できないため悪人がこのアイテムを奪取しても変身することはできない。
制限により等身大サイズにしか変身できず、スペックも殺し合いを破綻させない程度に制限されている。
また怪獣カードは予め主催者によりカードホルダーから抜かれている。


【滅亡迅雷フォースライザー&ドードーゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン】
主に滅亡迅雷.netに所属する仮面ライダーが使う変身ベルトとキー。MCチェケラに支給された。
ドードーゼツメライズキーとの組み合わせで仮面ライダー雷に変身する。
フォースライザー自体の特徴として同作品に登場する他のライダーシステムと比べ攻撃力と機動性に特化しており防御力に劣る。


【ランスロット@コードギアス 反逆のルルーシュ】
ブリタニア軍特別派遣嚮導技術部が開発した第七世代KMF。MCチェケラに支給された。
ユグドラシルドライブをはじめとした当時最新の技術が惜しみなく使われており、火力・防御力・機動性全てにおいて第五世代までのKMFを遥かに上回る。
主な武装としてスラッシュハーケン、MVS、ヴァリスを搭載し、光学シールドであるブレイズルミナスを展開することもできる。


【ナナリーの車椅子@コードギアス 反逆のルルーシュ】
作中でナナリーが使用している車椅子。衛宮士郎の支給品扱い。


758 : ◆tAzjJve9.E :2023/07/22(土) 10:56:32 w/viwOVk0
投下終了です


759 : ◆4u4la75aI. :2023/07/22(土) 11:18:57 35lQg5gU0
投下します


760 : Unwelcome Battle Royal ◆4u4la75aI. :2023/07/22(土) 11:20:54 35lQg5gU0
 この場に降りてからの身体の違和感。
 長い髪が身体に触れる感覚、普段絶対に履かないスカートの違和感、声も自分らしからぬ高めの声。
 何より、胸元にある確かな重量感。
 
「う〜〜〜あ〜〜〜っ」
 
 高校生活を送る青年デンジにとってそれは違和感どころでは済まない事態であった。異性の胸を触る経験なんて、かつての同居人の偽乳をカウントしようともたったの一回。それ故目の前どころかもはやゼロ距離にある胸を触ってみたくて仕方がない。
 
「オレんだよな!?今は!オレん胸を触るだけだよな!?」
 
 しかしやはり本人の許可を取っていない以上かなりの躊躇いが生まれてしまう。その許可もとれない為これは仕方ないことだと言わんばかりに何者かに確認を叫ぶ。
 
「触っちまうぜ〜!良いのかああ〜〜っあああ〜〜〜」
 
 転送され身体の確認をした瞬間からデンジはずっとこの様子である。デンジに与えられた身体は頭に浮かぶ輪っかだとか背中の羽だとかもっと気になる場所もある筈だが異性の胸の魔力というものに囚われてしまってはデンジの精神力じゃ抜け出すことはできなかった。
 しかしいつまでもそうしてはいられない。
 
「くふふ、面白〜!触っちゃえ触っちゃえ!」
「応!!……おあ?」
 
 背中越しに聞こえた声。かけられた言葉そのものはデンジが求めていたそれであったが、それどころではない問題が今生じたのだ。
 デンジは脳に浮かんだものを確認をするように背後を振り向く。
 
「…………レ、ゼぇ?」
 
 そこに居た存在は、脳に浮かんだ人物と完全に一致した。忘れたくとも忘れられない、ひと夏の恋の記憶。少女、そして爆弾の悪魔、レゼが姿形変わらずそこに立っていた。
 
「あ、もしかして身体の子と知り合いだった?」
 
 しかしそれを訂正するよう、記憶の中のレゼにはあまり似合わない可憐な動作を彼女は魅せる。
 
「でもごめんね!今この身体に居るのはムツキちゃんでした!」
 
 呆気にとられたデンジの前にいつの間にか移動していた『ムツキちゃん』はそう言い悪戯に両指を頬に当てた。


761 : Unwelcome Battle Royal ◆4u4la75aI. :2023/07/22(土) 11:21:07 35lQg5gU0
◇◇◇
 
「レゼん身体がある以上、結構ワケわかんねえことになってんのか」
 
 記憶の中のレゼと目の前の彼女をなんとか切り離し、デンジは座り込み考える。レゼは自らと似たような性質の存在、それをわざわざ捕まえて他人の身体に入れ換えるのは至難の技だろう。そもそも自分だってチェンソーマン。世間の風潮からするとたまたま誘拐した学生がチェンソーマンならば殺し合いなんてさせてる場合じゃないほどには大騒ぎになる筈だ。しかしそんな騒ぎが起きることもなく他人の身体へと入れ換えられてしまっている。
 
「それを言うとこっちもなんだけどー、その身体さ、結構ヤバい人のものなの」
 
 その隣にムツキちゃんこと浅黄ムツキも座り込んだ。互いに名前の交換をした後はムツキが色々と身体のことについて聞いてきたのだ。
 
「んあ?」
「トリニティ最強の兵器、剣先ツルギ。最初見かけた時は私もビックリしちゃったよ」
「トリニティー?」
「あー、レゼちゃんのプロフィール読むにデンジくんもキヴォトスの外の人だよね、ごめんごめん」
「きぼと……なんだ?」
「ま、剣先ツルギはとにかく強い人」
 
 そしてムツキはデンジの肉体についても知ってる限りを伝える。トリニティ学園正義実現委員会の剣先ツルギ。別学園のムツキでも知っている程には有名な人物であり、何より化け物と形容するしかないフィジカルから彼女を知る大抵の人間は姿を見かけるだけで倒れてしまう程。
 そんな人物の身体がここにあることも、ムツキからして異常事態でしかなかった。
 
「(レゼちゃんもキヴォトスの外の人だけどヤバい能力持ってるし、剣先ツルギの身体を持ってくるなんて普通に考えたら無理。デンジくんの言うとおりワケわかんない状況……エンムって何者、どうやって誘拐を、顔の付いた月、というか身体を入れ換える方法…………あーもうあれこれ考えるのは無理!)」
 
 ムツキは頭を抱える。彼女もキヴォトスの中でも実力者が集う便利屋六八というグループのメンバーであるのだが、彼女の役割は罠の設置や直接の戦闘。ブレイン担当ではない上あっけらかんとした性格からして頭を使うことは好きではない。
 
「(私がレゼちゃんの身体になってるのは多分私が爆弾好きってところからだと思うけど……趣味まで知られてるとなると気味悪いなー)」
 
 何事も楽しもうというスタンスのムツキだが、この異常事態の中何も考えずにはしゃげる程図太い訳ではない。何よりそういうスタンスで居られるのは便利屋の仲間、それに愛する幼なじみの陸八魔アルが隣に居るからこそ。皆の安否もわからない今楽しめる状況ではない。
 
「取り敢えずわけわかんないし……ここから出る方法探すためにその辺ぶらぶらしよっかデンジくん」
「んーああ」
 
 対するデンジも、今は公安の下で自由に暴れまくる犬ではない。こうしている今もナユタという同居人が何よりも心配でたまらない。
 
「(とっとと帰る方法見つけて……ツルギちゃんの胸ちょっっっとだけ触って、帰らねえと)」
 
 少しの邪な心を含みつつ、デンジもムツキの方針に賛成。
 
「(ただ……ムツキちゃん……レゼの身体なのがな〜)」
 
 思い出の存在がまた目の前に居る状況にはまだ慣れそうにないデンジ。ムツキはムツキで彼らの関係の全てを察せられるわけもなく、いつも通りの行動しかできない。
 ただ、二人とも目的は一致。帰る場所へ帰るため、自由人二人は歩き出す。
 
 
 【デンジ@チェンソーマン】
[身体]:剣先ツルギ@ブルーアーカイブ -Blue Archive-
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品 ランダム支給品一〜三
[思考・状況]基本方針:帰る。
1:ムツキと行動。
2:レゼ……何で?
3:胸って揉んでいいよな!?
[備考]
※第二部開始以降からの参戦です。
※ヘイローは視認可能、基本干渉不可とします。
 
【浅黄ムツキ@ブルーアーカイブ -Blue Archive-】
[身体]:レゼ@チェンソーマン
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品 ランダム支給品一〜三
[思考・状況]基本方針:便利屋に帰る。
1:デンジくんと行動。
2:後で変身?を試してみたい
[備考]
※メインストーリー対策委員会編終了後より参戦です。


762 : ◆4u4la75aI. :2023/07/22(土) 11:21:44 35lQg5gU0
投下終了です


763 : ◆4u4la75aI. :2023/07/22(土) 11:25:28 35lQg5gU0
>>761
すみません、状態表を以下の通り修正します。

【デンジ@チェンソーマン】
[身体]:剣先ツルギ@ブルーアーカイブ -Blue Archive-
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品 ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:帰る。
1:ムツキと行動。
2:レゼ……何で?
3:胸って揉んでいいよな!?
[備考]
※第二部開始以降からの参戦です。
※ヘイローは視認可能、基本干渉不可とします。
 
【浅黄ムツキ@ブルーアーカイブ -Blue Archive-】
[身体]:レゼ@チェンソーマン
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品 ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:便利屋に帰る。
1:デンジくんと行動。
2:後で変身?を試してみたい
[備考]
※メインストーリー対策委員会編終了後より参戦です。


764 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 13:07:13 w6B3zCvo0
投下します


765 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 13:07:42 w6B3zCvo0
山田浅ェ門士遠が最初に発した言葉はそれだった。

山田浅ェ門は死罪人の処刑を生業とする一門で、そのスタンスはここに連れてこられても変わらない。
それより重要なのは、士遠は元より目の見えない体だったということだ。

士遠は目が見えずとも、処刑人としての地位は試一刀流四位でありかなり上位である。
それ"タオ"と称される流れを多少ながら理解し、空間を把握しているからだ。
だからこそ目が見えずとも処刑人を斬ることができる。

そして同じく入れ替えられた身体も目が見えない。
身体の名前は悲鳴嶼 行冥。大正時代に「岩の呼吸」を使用し鬼と戦った柱の一人である。
彼もまた目が見えずとも実力は鬼殺隊最強と評価されるほど強い人間。
殺し合いを生き抜くには申し分ない身体だ。

だが、士遠にはそれを確認するすべはない。
目が見えないということは手鏡で顔を確認することもできない上、士遠は江戸時代の処刑人。
当然"たぶれっと"が何なのか分からない。
身体を触れば結構な筋肉を蓄えていることが分かる程度である。

「とりあえず同行者を探そう。目が見える人だといいが」


766 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 13:10:11 w6B3zCvo0


【山田浅ェ門士遠@地獄楽】
[身体]:悲鳴嶼 行冥@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:悪・即・斬
1:同行者を探すか…
2:魘夢はいずれ斬る
3:ほかの処刑人や山田浅ェ門はここにいるのだろうか…?
[備考]
・タオは変わらず認識できます。


767 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 13:10:24 w6B3zCvo0
投下終了です。


768 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 13:14:41 w6B3zCvo0
>>766
参戦時期を明記してなかったので修正します。申し訳ないです。


【山田浅ェ門士遠@地獄楽】
[身体]:悲鳴嶼 行冥@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:悪・即・斬
1:同行者を探すか…
2:魘夢はいずれ斬る
3:ほかの処刑人や山田浅ェ門はここにいるのだろうか…?
[備考]
・タオは変わらず認識できます。
・参戦時期はアニメ終了後です。


769 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 14:55:22 chGNsoqE0
二作続いて投下します。


770 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 14:56:08 chGNsoqE0
「紛い物でも優勝を果たせる事をお前達に教える」ド ン !!

【シャンクス@ネットミーム】
[身体]:鞍馬祢音@仮面ライダーギーツ
[状態]:健康
[装備]:デザイアドライバー&ナーゴのIDコア@仮面ライダーギーツ
[道具]:基本支給品、ファンタジーレイズバックル@仮面ライダーギーツ、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:優勝して本物のシャンクスになる。
0:この殺し合いを、(俺の優勝で)終わらせに来た!!
1:ルフィに会えたらその時は…帽子の他にも返すものがあるだろ?ゴムゴムの実を返して貰う。
2:優勝するためには手段を問わない。卑怯?聖者でも相手にしているつもりか、麦わらのルフィ。
3:よくやった!これは俺の身体じゃない。だが赤髪が男の時代はこの殺し合いの間は終わるんだ。
4:お前(祢音)の紛い物の身体、俺とファンタジーレイズバックルによく馴染むぜ。
5:優勝したら願いを叶えて貰った上で主催者達を背後から一突きする。殺し合いを勝手に開いて巻き込んだからには命をかけろよ。
6:I can swim.
7:なぁウタ、この殺し合いに平等なんてものは存在しない…。
[備考]
※この身体で覇気を使えるかどうかは後続にお任せします。覇王化は制限により使えない扱いになります。基本的には誰かに教える事も出来ません。
※このシャンク(単数形)は主に「MONSTERsJOHN TV」のONE PIECE考察動画のサムネネタが元になっています。

【デザイアドライバー&ナーゴのIDコア@仮面ライダーギーツ】
デザイアグランプリの参加者の個人を識別し対応したライダーへの変身に使用する物と、それを装填する事でライダーになれるドライバー。この場合は仮面ライダーナーゴへの変身が可能となる。一つの支給品扱い。
IDコアは対応している当人のみが使用可能だが、デザイアドライバー自体は誰にでも使用が可能。
なおこのIDコアは鞍馬祢音が、父である鞍馬光聖から引き継いだ物である。

【ファンタジーレイズバックル@仮面ライダーギーツ】
浮世英寿が創世の力によって創り出した大型バックル。
使用する事でライダーにファンタジーフォームの装備を実装させる事が可能。
特徴としては使用者の持つ幻想を増幅する事により、それをファンタジーエフェクトとして具現化する能力がある。
本編内では盾と爪の複合武器(ギャーゴこと鞍馬光聖使用時)や光のサーベル、及びサーベルを重ねた爪(ナーゴこと鞍馬祢音使用時)をこれにより使用している。
なお、祢音が使用した場合のみ、ファンタジーフォームに物体や攻撃を透過する追加効果が発揮される。これが発揮される理由は公式サイト曰く「祢音が本当はいなかった存在だから」との事。
今ロワでは祢音の肉体であれば透過能力は発動する物とする。


771 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 14:56:49 chGNsoqE0
一作目の投下を終了します。タイトルは「何やってんだお前ェっ!!!」です。続いて二作目の投下をします。


772 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 14:59:06 chGNsoqE0
『まずったよなぁ…色々とやばいよなぁ…ま、なんとかなるか』
『期待してるよ、皆』

「…なんてあの時言ったけど、流石にこれはちょっと予想外すぎるんだよなぁ…」

顔付きのまやかしの月が照らす会場内の一角、そこに銀髪で小柄、ともすれば小学生くらいに見える…上は軍服、下がパンツのような物だけの少女がそう零す。

この少女の肉体に放り込まれた男の名は…五条悟。特級呪術師の内1人にして、最強と言っても過言ではない存在。

(確かに僕は封印されてた筈、なんだけど…まさかアイツ絡みか…?)

この殺し合いに巻き込まれる前彼は、ハロウィンに勃発した渋谷事変にて、親友夏油傑の身体を使っていた何者かの策により、呪具である獄門疆内へと封じ込まれ出られなくなっていた。
…袂を分かち呪詛師へと堕ちて、呪いの言葉を吐かず喉の奥につっかえさせたまま、自分の手で引導を渡したとはいえ…それでも、五条悟という男にとって夏油傑はたった一人の親友だ。
その親友が、亡骸を掘り起こされどこの誰とも知れぬ者に使われ尊厳を壊されている現状を思い出し…自然と表情が険しくなる。

(…この殺し合いってのがアイツ絡みの案件なら、獄門疆の中に僕を入れたまま精神だけをこの娘に入れるくらいならしてそうだけど…そんな事出来るのかな?
獄門疆から取り出して…ってのも考えれるけど、封印するって形で無力化を図ったアイツが、わざわざ僕が行動可能になる瞬間を作った結果、全部ひっくり返される可能性を考えないってのは…まあしないでしょ。

……それならそれで、アイツが気付かない内に獄門疆から僕が引っ張り出されてこうなったか、或いは獄門疆ごと僕が魘夢達に拉致られた事になるけどね。
もしくは…この身体と精神の入れ替えが、何らかの術式を使って行われてるってのもあり得るな。それなら魘夢達側にいそうなその術者を叩ければどうにか出来る可能性はある。

後は…僕の本来の身体が、主催側か他の参加者か、誰かしらに奪われてるかも…ってのも頭には入れとこう)
「…うーん、やっぱりかなり不味いな、これ」

思考を取り纏め現状への危機感を持ちながら、とりあえず悟は支給品を確認した後にタブレット内にある肉体側のプロフィールを見る事とする。

「……聞き覚えが全くない単語だらけで構成された、僕の知らない過去の時代の…第二次世界大戦の話なんだけど」

少女の…エディータ・ロスマンのプロフィールを一通り読み込んだ悟はそう、率直な感想を呟いた。

(まず『ウィッチ』とか、『ネウロイ』とか、『ストライカーユニット』とか『シールド』とか『固有魔法』とか…全く聞き覚えのない単語ばっかりが載ってる。そして色々とギスギスしてるらしいけど、人間同士の戦争をやらずにネウロイ相手に手を組んで戦ってると来た。
本当に過去に起こった事なら…表向きなら隠蔽もあり得るけど、流石に呪術界にも何かしら痕跡が残ってる筈なのにねえ。僕が知らないのはおかしな話だ)
「…と言うか、どう見てもパンツでしょ。これは」

またプロフィールの末文にはパンツのような物はズボンと呼称されており、パンツという概念は存在しないと書かれていた。
解せないという表情を浮かべつつ、悟は再び思考をする。

(僕の知ってる歴史との齟齬…ひょっとしてあれか?この支給品の説明に書いてた『ミラーワールド』とか、後デジモンで云うところの『デジタルワールド』とかそんな感じの…別世界って奴。そもそも僕らと別の世界なら…だいたい全部に説明付くんじゃないかって思うんだよね)

自分達の世界とこの身体の少女の世界は別の異世界なのでは?と考えた悟は、先程確認した支給品…仮面ライダータイガのデッキを手に取る。

(ミラーワールドは勿論、『ミラーモンスター』や『仮面ライダー』、『ライダーバトル』って単語にも聞き覚えは無いしね。鏡の中に入り込む術式や呪霊はありそうではあるけど…)
「術式ではない、僕が知らない未知の何かで入れ替えを行ったかも知れないなぁ…まあとりあえず、別の世界の話って考えた方が良さそうだ」


773 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 15:00:07 chGNsoqE0
暫定的な結論を出した悟は、次に身体を動かそうと試みる。元の身体で使えていた体術が、この小さな少女の身体でも使えるかを試す為に。

「うーん、軍人なだけはあって、動かす事自体は可能…だけど、書いてた通り、体力は少なめっぽいからあまり無理出来ないな…それに元の僕の身体と比べると身長差があるから、慣れる必要がある」

大病により身長が伸びず体力も不足気味と書かれていた事を思い出しつつ、そう悟は体力の消耗を感じ呟く。身長差については悟の元の身体の身長は190〜191cm程なのに対して、今の身体であるロスマンの身長は150〜151cmとかなりの差がある。その為に多少動かしづらさを感じているのであった。
とはいえ多少で済む辺り、悟の適応力の高さが伺える。

「…さてと。ざっとだけど確認もした事だし、教え子達が巻き込まれてないか探しに……っと、ひとつ忘れてた」

殺し合いに反抗すると決め、自分が後を託した教え子達を探しに行動しようとした悟であったが、なにか思い出した様子で……タブレットの中にあったルールをもう一度読み直した後に、手鏡を取り出す。

(…思った通り写ってるね。こっちの様子は見えてるだろうけど…一応自己紹介くらいはしとこうか)

意思のある類の支給品も、参加者同様に精神を入れ替えられてるというルールを思い返した悟は、手鏡に写り込んだ白虎の怪物に呼びかける。

「聞こえてるなら手でも挙げてねー…お、大丈夫みたいだ。じゃ自己紹介するよ…僕は五条悟。こんなちっちゃい女の子の身体に入れられちゃったけど、特級の呪術師だ。先生もやらせて貰ってる。
早速で悪いけど…君は殺し合いに抗うつもりはあるかい?あるなら…是非力を貸して貰いたいんだ。この子の身体は…体力が無いからねぇ」

手を挙げてる怪物を見て、とりあえず話は聞こえてて、通じる可能性があると判断した悟は単刀直入に話し、ダメ元で頼む。

(元は一般人とかだったら…まあ断るだろうけど、それも仕方ないか)

怪物は即断し、頷こう…としたのか、首を少し動かした。

「いいの?じゃ…よろしく。不安もあるだろうけど安心してよ…僕、最強だからさ」
(戦意があるのは有り難いけど…さて、危険人物じゃなきゃいいなぁ)

そう声をかけた後、今度こそ悟は散策へと向かった。

【五条悟@呪術廻戦】
[身体]:エディータ・ロスマン@ブレイブウィッチーズ
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、タイガのカードデッキ@仮面ライダー龍騎、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合い?乗るわけないでしょ。
1:とりあえず周りを探してみる。教え子達が巻き込まれてないか心配だ。
2:へぇ、この子(ロスマン)も先生なんだ。この子の教え子や仲間が居たら探すのもありかもね。
3:飛べないのは不便だしストライカーユニットっての、あったら探そうか。
4:あの怪物に入れられたのが危険人物じゃないといいんだけど…。
5:主催側が使ったのは精神と肉体を入れ替える術式か、或いは未知の何かか…。
6:最悪の場合は僕の身体が奪われ使われてるかもとも考えとく。
[備考]
※参戦時期は91話の「渋谷事変⑨」にて、完全に獄門疆に封印された後からです。

【タイガのカードデッキ@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダータイガに変身可能なカードデッキ。
カードデッキの内訳はアドベント、ストライクベント、フリーズベント、リターンベント、ファイナルベントの5枚から。


774 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 15:00:34 chGNsoqE0
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(…特級の、呪術師?とか言われてもな…身体のせいでどうしても小学生くらいの女の子にしか見えない…大丈夫か?)

そう思考する怪物、デストワイルダーの精神に入れられた男の名は城戸真司。
紆余曲折の末、ライダーバトルを止めたいと自らの叶えたい願いを見つけたものの、直後に命を落した筈の青年。
今自らの身体になっているミラーモンスター…の元の契約者であり、タイガに変身していた東條悟とはそれなりに因縁があった。

(…なんで死んだ筈の俺が、こいつの身体に入ってるか…さっぱりだけど。とりあえず、こんな殺し合いに乗る気はなさそうだから…俺もこいつに、五条に協力したい。
やっぱり、こんな馬鹿げた戦いは…止めないと)

そう思いつつも真司は、この殺し合いに招かれる前の事を思い返す。

『だったら生きてその願いを叶えろ!死んだら…終わりだぞ!』
『お前こそ生きろ!城戸…死ぬな!死ぬな!』

(…本当、お前が俺にそんな事、言ってくれるなんてな…蓮)

秋山蓮、目覚めない恋人の為にライダーバトルに参加した青年。
城戸真司が最後に、なるべく生きて欲しいと願った男。

(…これはライダーバトルとは違うけど、俺の願いは変わらない。
…あの魘夢達は神崎士郎みたいに、浅倉や東條みたいな危険な奴も参加させてると思う。そんな奴らを…倒して止めなくちゃな)

蓮が巻き込まれてない事を願いつつ、懸念を考えながら真司はそう決めた。

[意思持ち支給品状態表]
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
[身体]:デストワイルダー@仮面ライダー龍騎
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:五条に協力して、このこの殺し合いを止める。
1:こんな馬鹿げた殺し合い、止めなくちゃな。
2:蓮…巻き込まれてないといいけど。
3:浅倉や東條みたいな危険な奴が居たら、五条と一緒に戦って倒して止める。
[備考]
※参戦時期は死亡後からです。


775 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 15:01:09 chGNsoqE0
投下終了です、タイトルは「今でも青が棲んでいる」です。


776 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 15:28:05 w6B3zCvo0
投下します。


777 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 15:28:15 w6B3zCvo0
幕府の命で死罪人と共に山田浅ェ門は神仙郷に向かった。
その時に神仙郷に向かう死罪人を10人に絞るために死罪人同士で選別…殺し合いをした。
私はそれを見ていた。だが何も思わなかった。
自分には関係のない殺し合いだと思っていたからだ。
その考えは間違っていたと今思い知らされた。

山田浅ェ門佐切は3mを超える死罪人陸郎太と戦い、その首を切り落とす直前にここに呼び出された。
己の剣に憑いた死罪人の魂、迷いを戦いを通して取り払えそうな気がしていた。
もう少しだったのに、と悔しい思いが頭をよぎる。
だがそんな幼稚な考えは今は無視する。
今起きているこの状況を把握しなければならない。

(殺し合い…あの選別を思い出す)
(あの選別に巻き込まれたと思っていいでしょう。)
死罪人同士が生き残りと無罪放免の可能性を賭けて戦った選別。
画眉丸の立ち位置にそっくり私がいる。そう思うと恐怖が押し寄せてくる。

だが無暗に人を斬る気はない。もし願いを叶える権利欲しさに襲ってくれば斬るつもりだが、
戦う気のないもの、もしくはあの魘夢を殺そうとするものがいれば協力したいと思っている。
神仙郷に行くのには不老不死の仙薬探しという目的があったが、ここには無い。
脱出できるのではあればすぐに脱出したい。


778 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 15:29:06 w6B3zCvo0
次はこの身体を調べる。
支給品の中に手鏡が用意されているのでまずは確認する。
髪は黒く腰ぐらいまで伸びていて、目は血に似た赤さを持っている。
服装は佐切が見たことがないものだった。
襟を立て黒くピッチリとした服装に赤い布を襟の下に通したもので、佐切の白を基調とした服装とは真逆だ。
下は短く浅ェ門の装束を膝から下を切ったようなような感じで、少し恥ずかしい。
そしてここに来てからというものの、この身体から感じる血の匂い。

この身体は間違いなく人を無数に斬っている。

その思いを確証に変えるべく、"たぶれっと"をバックから取り出す。

山田浅ェ門が生きた時代にタブレットはおろか電話という文明はない。発明されるのはこの後何百年後の話。
佐切は悪戦苦闘しながらもどうにか"たぶれっと"を起動、"でーたふぁいる"と身体に関する情報を把握した。

「アカメ…悪人を殺すという点では私と似ている…」
「だけど私の刀には死罪人の怨念が憑りついて離れない…」


アカメにはスイッチがある。悪を斬るために「葬る」という言葉と共にスイッチを入れ敵を殺せる。
だから刀に斬った者の怨念や声が憑りつかない。

佐切は迷いがある。死罪人を斬ることには迷いがあるわけではない。ただスイッチや刀に迷いが生じるから怨念が溜まる。

「葬るという切り替えの言葉…私にも必要なのだろうか」

佐切は考える。陸郎太との戦いでつかみかけたものを合わせれば怨念を取り払える気がしていた。
だが今は無理だ。考えるだけでは意味がない。
そう蹴りをつけ、向かうべき場所について考えをはせる

「とにかく人がいそうなところへ行きましょう。一人では生き残れないでしょうし」

こうして刀に思いをのせた者が動き始めた。


779 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 15:29:21 w6B3zCvo0
【山田浅ェ門佐切@地獄楽】
[身体]:アカメ@アカメが斬る!
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:魘夢を討つ
1:まずは人のいるところへ行きましょう。
2:死罪人やほかの山田浅右衛門はいるのでしょうか?
3:死罪人に相当する人は斬る。
[備考]
・参戦時期は陸郎太を斬首する直前です。


780 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 15:31:14 w6B3zCvo0
投下終了です。
>>765のタイトルは「盲目の剣士」
>>777のタイトルは「W●RK」
です。


781 : ◆OlXEAH97lI :2023/07/22(土) 15:39:14 w6B3zCvo0
>>765 頭の一行が抜けてたので修正します。申し訳ないです

「目の見えぬ者に殺し合いをさせるか」

山田浅ェ門士遠が最初に発した言葉はそれだった。

山田浅ェ門は死罪人の処刑を生業とする一門で、そのスタンスはここに連れてこられても変わらない。
それより重要なのは、士遠は元より目の見えない体だったということだ。


782 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 15:55:08 ne1uO/sw0
投下します


783 : この自称ライバルと爆焔を! ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 15:56:14 ne1uO/sw0
「……これは困りましたね」

紅魔族随一の天才、めぐみんは突然わけのわからない殺し合いに巻き込まれて困惑していました。
エン厶だかインムだかいう者が言うには、他人の身体で戦う殺し合い。

まあ一人称が俺の女性なんてドン引きされるだけですし、演技ではないのでしょうが……正直、あまり現実味はありませんでした。
十二鬼月やら下弦やら言われても知らない言葉ですし、歌姫と言われてもウタなんて人は知りません。

……で、まあ目を覚まして自分の身体を確認したら真実かどうかわかるなんて言うので、目を覚ました私は手鏡を――。

持つ前に思ったのが、胸が何か重いということでした。今までの私には無かった謎の重さ。……あ、今貧乳とかそういう失礼なことを思った人は後で覚悟してくださいね。

さて。
まあこの重さは――間違いなく“アレ”でしょう。
それで顔はどうなってるのでしょうか。一時的な身体とはいえ、肉付きだけ良くて残念な顔とか、そういうパターンはやめてほしいものですが。

意を決して私が手鏡を見ると、そこには――

「ゆ、ゆんゆん……!?ゆんゆんじゃないですか!」

なんと、ゆんゆんが映っていました!
わけもわからず夢から覚めるべく頬を抓りましたが、何も変わりません。というか手鏡のゆんゆんも頬を抓ってます。


784 : この自称ライバルと爆焔を! ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 15:57:16 ne1uO/sw0

たしかに魘夢は身体が別人になると言ってましたが――まさかのゆんゆんですか。
自称ライバルでぼっちなあの子の身体に私の魂が移植されてしまったというのですか!!

ああ、もう――なんということでしょうか。赤の他人ならともかく、どうしてゆんゆんなのでしょうか。

これでは元の身体に戻るまで爆裂魔法が撃てないじゃないですか!……まあそれは他の身体でも変わらないのですが。

そして私はゆんゆんの身体に入ってしまいましたが、ゆんゆんの魂はどうなったのでしょうか?
私みたいに他の誰かの身体に――という可能性が高そうですが、実際どうなのかはわかりません。

ただまあ……他のよくわからない人に渡るよりは、私がゆんゆんの身体になって良かったのかもしれないですね。
殺人鬼の魂でも入ったら、ゆんゆんの身体で誰かを殺したり、殺人鬼を止めるために誰かがゆんゆんの身体を殺したり――そういうロクでもないことが起きる可能性もあります。

その点、私なら絶対にそういうことはしません。
それにまあ――腐ってもライバルですからね。
こんな時にまで彼女の面倒を見るのもアレですが……まあ無事に生きて、身体を返してあげましょう。

……あ、別にゆんゆんが好きとかじゃないですよ?ただのライバル、腐れ縁です。

私がこめっこのために爆裂魔法を一時的に諦めて、中級魔法を覚えようとした時に――自分が上級魔法を覚えるまで長くなると覚悟した上ですぐに中級魔法を習得して、私の背中を押してくれたり。

私を危険な目に遭わせないために、私に内緒で強敵に挑んだり――。
二人で共に魔王軍の幹部を倒したり――。

まあ、色々とありましたが――ただのライバルです。
この“ライバル”という言葉は――私にとってもゆんゆんにとっても、大切なものなのですよ。
と――まあ、これはあまり関係のない話でしたね。

さて。
私がこの殺し合いでするべきことは決まりました。
それはゆんゆんの身体を守ることです。……あんなぼっちですが、傷付けたくありませんからね。だから私が守ってあげます。


785 : この自称ライバルと爆焔を! ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 15:58:43 ne1uO/sw0
あとはゆんゆんの魂を見つけること。見つけ次第、保護してやりましょうか。
あとはこの“たぶれっと”の操作にも慣れる必要がありますね。色々と大事らしいので。
あとはカズマ達が巻き込まれてたら、合流してパーティーを組むくらいですね。

まあカズマ達に限らず、パーティーは組んだ方が良さそうですが。
ゆんゆんの身体は上級魔法が使えて、体術にも秀でてるので戦うことには苦労しなさそうです。……爆裂魔法が使えないことは最悪ですが、そこはまあ我慢しましょう。自称ライバルの身体を無事に返してやるためです。

それにしても――。

「やっぱりゆんゆんは無駄に発育が良いですね!」

今は自分の身体とはいえ、ゆんゆんの身体はゆんゆんの身体。この巨乳だってゆんゆんのものです。
まさか自分がゆんゆんの身体になるとは思いませんでしたが……こうしてゆんゆんの身体になると、その発育の良さが更に伝わってきて複雑です!視線もいつもより高いですし。

さっさと魘夢を倒して、ゆんゆんにこの身体を返して元の身体に戻りたいですね。
どうやって身体を変えられたのかはわかりませんが、魘夢をとっちめてやれば吐き出すでしょう。きっと。

【めぐみん@この素晴らしい世界に祝福を!シリーズ(アニメ版)】
[身体]:ゆんゆん@この素晴らしい世界に祝福を!シリーズ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生存優先。魘夢を倒してさっさと元の身体に戻ります。もちろん、ゆんゆんもです!
1:ゆんゆんの身体は私が守ってあげます!
2:カズマ達が居たら合流しましょう!
3:流石にこめっこは巻き込まれてないでしょう
4:爆裂魔法は使えませんか。仕方ないので上級魔法で戦ってやりましょうとも!
[備考]
※ 参戦時期はこの素晴らしい世界に祝福を!紅伝説終了後です


786 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 15:59:00 ne1uO/sw0
投下終了です


787 : ◆kLJfcedqlU :2023/07/22(土) 17:30:39 CyntxlSs0
投下します


788 : 悪刀 惡金は忍ばない ◆kLJfcedqlU :2023/07/22(土) 17:43:38 CyntxlSs0
 黒川あかねという女は、役者としていわゆる「憑依型」に属する。

 役作りに当たって徹底的に相手の事を調べ、見抜き、考え、学ぶ。
 探偵の如き調査力とプロファイリングを基に、卓越した演技力でそれを再現する。
 誰もが眼を奪われる程の伝説のアイドルを『演じた』時は、その瞳に一番星のごとき輝きを宿すことさえ可能にした。

 そんな彼女の瞳には今、四葉のクローバーの如し異形の形を宿していた。



「知らん顔か。魘夢とやらの夢想(トボケ)た発言も、嘘ではなさそうじゃ喃。」

 支給品の鏡を見て唸る人物。その顔は黒川あかねであり、その声も黒川あかねだ。
 その言葉遣いと、人格。そして四葉のような異形の瞳だけが、ここにいるのが黒川あかねでないと伝えていた。

「秀麗(マブ)いツラしていると思ったが、なるほど女優か喃。それも随分有名(バズ)っている。」
 黒川あかねの体を得た人物は、さっとプロフィールと荷物を確認した。特筆すべきものは黒川あかねが高い調査力と演技力をもつ人物であることと、支給品と思われる黄金色の苦無だろうか。
 
 黒川あかねの体をした人物は、殺し殺される環境に360年以上晒され続けた殺人の達人(プロ)にして戦場の玄人(プロ)。殺し合いという現状に憤りを覚えながらも適応するのは容易い。
 だが、17歳の少女の肉体で殺し合いを強要されることは初めての経験である。

 その名は神賽惨蔵。忍者集団『帝都八忍』の長にして、江戸の世から悪を殺し続ける仕事人。自他ともに認める最古にして最強の忍者である。

 神賽は右手の先端を鋭く集め、独自の貫手....忍者の誇る体技『暗刃』の構えを取る。
 シュン。という音とともに、突かれた指が風を切る。
 黒川あかねの手で目の前の空中に繰り出される突き。それは素人目に見ても、一般人に毛が生えた程度の速さでしかない。
 元の体ならば音速を超え、撃たれた弾丸を超えるほどの速度で放てるが。黒川あかねの体ではこの程度である。

「鈍(と)ッ足(ろい)喃〜〜。」

 神賽は嘆く。黒川あかねの身体能力は、劇団での訓練によりフィジカルは並の女子高生よりは高い。だがあくまでその程度だ。
 戦闘訓練も受けていない少女なれば、人間の限界まで至る忍者の肉体とは鼠と羆の差である。
 本来の神賽ならば『全姿全能』という己の特異体質により、あらゆるものに姿を変えることも、他人の能力を再現することも自由自在。
 戦闘を極限まで鍛えた肉体と特異体質に頼っていた神賽は、自身の戦闘力の7割以上を剥奪されているに等しい。

 残されたものは3つ。忍者の持つ戦闘センスと、神賽惨蔵及び黒川あかねが持ちうるあらゆる情報に対する調査・学習能力。
 そして、支給品の一つである金色の苦無だ。

「この苦無....。雷のような活力(エネルギー)を秘めているか。」

 金色の苦無を取り出した神賽は、タブレットでその詳細を確認する。
 武器の名は、悪刀 鐚。
 天才鍛冶師である、四季崎記紀の造りあげた。完成形変体刀がひと振り。
 雷を帯びたその短い切っ先は、敵を打ち倒す為の者にあらず。
 己の胸に突き刺すことで蓄えられた雷を体に宿し、莫大な身体能力を使用者に与えるものだ。

 苦無という、忍者である神賽が持つにあまりにもふさわしい武器でありながら。
 その効能は神賽ら『忍者』に敵対する『極道』、彼らが持ちうる己を超人に変える麻薬によく似ていた。


789 : 悪刀 惡金は忍ばない ◆kLJfcedqlU :2023/07/22(土) 17:52:00 CyntxlSs0

「少女の体で戦うとなると、こういう強化(ド―ピング)もやむなしか。参加者の詳細も不明な以上、この殺し合いを楽観(ナメ)てかかるわけにもいかんし喃。」

 自分に刺して使うと知るやいなや、神賽は黒川あかねの胸元をはだけさせ、鐚の切っ先をその中央に向ける。
 
 この極限状態では希少かつ有用な武器といえ、神賽にとっては気が進まない行いである。
 それは『極道』のように外的要因で力を得ること....もあるが。
 こんな若女優(ジェーケー)の体に苦無を刺して傷を付けねば戦えない。そんな現状に対する憂いと怒りだ。

 忍者は、罪なき者を手にかけない。巻き添えであろうと殺すことは無い。
 自身の主義(プライド)に反するからと巻き込まれただけの少女である黒川あかねをむざむざ殺す選択を、ここでの神賽が取ることは無い。

 「この少女生かす為、そしてあの魘夢とやらブッ殺すため!業腹(ムカ)つくものだろうと今回ばかりは使おうぞ!」

 黒川あかねの柔肌を刺す苦無。その切っ先から血が滴り、刺された端から止めどなく活力と熱が送り込まれる。
 苦無の先より、雷に打たれたような衝撃が指の先まで響いた。

 神賽は手を尖らせ、先ほどのように暗刃を放つ。
 先ほどの女子高生の手遊びとは比べ物にならない、勢いある鋭い一撃が空の壁を貫き。パァンという音が響く。
 本来の肉体には劣るが、先ほどまでの女子高生の体よりは遥かに強いだろう。
 眠ることも無ければ疲れることもない。今の神賽....『悪刀 惡金(あかね)』とでも呼ぶべき個体は、そういうものである。

 「傷は残るし副作用もあるやもしれん喃....。 黒川あかねよ!魘夢ブッ殺して元の世界に返した後、無能な儂を存分に恨めい!!」

 殺意と闘気に満ちた目で、神賽は異形の月を睨む。
『100%ブッ殺すと決めた相手には堂々名乗る』。それが神賽らが戦う、元の世界の裏社会の裏礼儀(マナー)。
 この殺し合い場でそのルールが通じるとは、神賽は考えていないが。それでもケジメとじて必要なことだ。
 黒川あかねの顔で。黒川あかねの声で、神賽は高らかに名乗る。

「帝都八忍 神賽惨蔵!!! 悪夢(クソゲー)に儂とこの少女を巻き込んだこと。悔いてもらおうぞ!」


【神賽惨蔵@忍者と極道】
[身体]:黒川あかね@推しの子
[状態]:健康 悪刀に対する警戒
[装備]:悪刀 鐚@刀語
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主催者と殺し合いに乗り気な悪人は殺す それ以外は生かして帰す
1:儂とこの少女(黒川あかね)をこんな悪夢(クソゲー)に巻き込んだこと。悔いてもらおうぞ!!
[備考]
※参戦時期は情愛大暴葬より後です

【悪刀 鐚@刀語】
 完成系変体刀のうちひと振り 活性力に重きを置かれて造られた刀
 電気を帯びた苦無であり 自身に刺すことで肉体を極限まで活性化させる
 寝ることも疲れることも死ぬことも無い戦士を生み出す刀


790 : ◆kLJfcedqlU :2023/07/22(土) 17:52:37 CyntxlSs0
投下終了です


791 : ◆TruULbUYro :2023/07/22(土) 17:56:06 wSYVuARE0
投下します


792 : ◆TruULbUYro :2023/07/22(土) 17:57:49 wSYVuARE0

禪院甚壱は困惑の最中にあった。
覚えているのは、敷地内に鳴り響く警鐘。
倒れ伏す同胞の惨殺死体。決死の覚悟で足止めを敢行する「炳」の同僚達。
大勢の期待と命を背に『怪物』へ放つ、渾身の一撃。
崩壊する大地、荒れ狂う爆風、濛々と立ち込める砂煙───。
其れが最後の記憶だ。存亡をかけた決戦の真っ只中であったと言うのに。
如何してこのような馬鹿げた催しに参加しているのか、皆目見当がつかなかった。

だが、疑問だらけの状況で唯一、甚壱は確信している事があった。
自分は、既に死んでいる。
未だ不明瞭な闘いの結末、彼は自身の敗死と結論付けていた。

『降霊術式』と呼ばれる呪術が存在する。
自身あるいは他者の肉体を霊媒に、死者や霊獣の霊魂を肉体に降ろす術式。
霊魂に存在する「肉体」と「魂」の二種類の情報。
術者はこの情報を使用して、降霊した霊魂の姿能力を借り受けるのが主な使い方。
この術式で重要なのは、生者が霊魂の情報に負けると術式が暴走し、霊に肉体を乗っ取られるリスクがあると言う点だ。

甚壱は1000年以上続く呪術界の名家出身。
歴史の浅い近代術式ならばいざ知らず、古い歴史を持ち体系化された術式には一定の理解がある。
自身の身に起こった一連の現象の正体は、降霊術式の一種。
何者かが術式を意図的に暴走させ、霊媒者を死者の魂に上書きし乗っ取らせた結果と推察する。
そして、術式の精神側の対象となっている現状を鑑みれば、理由は一つ。
それは既に死亡し、魂のみになってしまった結果以外考えられない。

決着の記憶が曖昧なのもその先に続く記憶など存在しないから。
扇、甚壱をはじめとする特別一級術師が死した今、禪院家は壊滅状態。
禪院家の誇る精鋭呪術師部隊「炳」も『筆頭』を残すのみ。
その事実に思わず眉を顰める。筆頭は歯に衣を着せず言えば、いけ好かない男である。
呼吸する様に他者への侮蔑が口から飛び出し、ヘラヘラした態度に殺意を覚えた経験は数知れず。
実の親からの信頼すら乏しい歪んだ性格。しかし、実力において奴ほど信における者はいない。
少なくとも風前の灯である禪院家では、一番の兵。一族の進退はあの男に託す他ない。

入れ替わりの原因は大まかではあるが、推察出来た。
だが、死者を口寄せし、殺し合いをさせるのかは未だ不明。
蟲毒めいた呪術的儀式の一部か、将又想像だにしない思惑があるのか。
いずれにせよ他人の肉体であろうと生きているならば、やるべき事が2つ。
子殺しの奸謀を良しとした結果、怪物を再び禪院家に生み出した罪への償い。
己を慕い命を預けた炳の隊員達、一族郎党をむざむざと死なせた事への責任。
果たすべき役目を胸に、甚壱は再び進み出す決意を示す。

甚壱は支給された手鏡を覗く。
肌は浅黒く、無骨な肉体。独特の装飾品は異国の物であろうか。
お世辞にも見てくれが良いとは言い難い相貌。
とは言え其れは元の肉体にも言える話ではあるが。
外見の美醜などに重きは置かない。重要なのは何を成せるか。
与えられた肉体の更なる理解を深めようとタブレットを開き───



「邪魔や」



刹那、自らの結末を収束させる様に、死神の鎌が彼の眼前にまで迫っていた。


793 : ◆TruULbUYro :2023/07/22(土) 17:58:45 wSYVuARE0


「─────────ッ!!」

肉体が違った。余所事を考えていた。混乱の渦中にあった。
生死の境に、何の益にもならない言い訳ばかりが過ぎる。
甚壱とて特別一級呪術師。未知の環境なれど周囲への警戒網は万全に整えていた。
なのに、彼の命運は此処で尽きる。その答えは単純。
ただ彼方にあった筈の特農の殺意が、彼の警戒網に触れるより迅く侵入したまでの話。
正に、理不尽の極み。しかしその事を嘆く事は出来ない。
逃れられぬ死を前に許される行動など有りはせず。


「去(い)ね」


ぐちゅり


耳に届く奇妙な擬音。
瞬間、天と地が引っ繰り返る。
それが首を捻じ切られた結果だと理解したのは、命が費える数秒前。
「死」、一度目は不確かだった生の終わり。
今際の際に抱いたのは、無念と疑問。
仲間を犬死させた挙句何も成せぬまま死ぬ、不甲斐なき自身への叱咤。
男より発せられた、他を寄せ付けない絶対零度の如き声色から仄かに感じた懐かしさ。

(俺は…あの声を、知っている……?)

そう遠くない過去。
魂に深く刻まれたその声は一体、誰のものであったか。
肉体が変わろうとも忘却出来ない其れは、一体何だったか。
命が抜け出る感覚に微睡む甚壱の視界に最期、下手人の後姿が映り、
閉じるのを待つばかりだった眼が大きく見開かれた。

(甚、爾──────)

遠ざかる背は、袂を分かった弟。禪院を崩壊へ導いた鬼人の元祖。
異界に迷い出た亡霊を瞳に焼き付け、禪院甚壱は二度目の生を終えた。

【禪院甚壱@呪術廻戦 (身体:モハメド・アヴドゥル@ジョジョの奇妙な冒険) 死亡】


794 : ◆TruULbUYro :2023/07/22(土) 18:00:06 wSYVuARE0


「禪院家に非ずんば呪術師に非ず 呪術師に非ずんば人に非ず」
長きに渡る選民思想が根付く禪院家。
彼は平安より続く名家の歴史でも例のない、一切の呪力を持ち合わせない存在だった。
術式を持たず、呪力を持たず。呪術師足り得る才総てを神から毟られ、世に生まれ落ちた出来損ない。
無才を差別する呪術界において、禪院──伏黒甚爾は、唾棄すべき塵芥の猿であった筈だった。

「これがあっち側の景色なんやね」

知らずではあれど、同族を殺した事など意にも留めず。
禪院直哉は誰に届けるでもない、感慨深げな独り言を呟く。
己の誇りであった相伝術式。心の支えであった膨大な呪力。
何方も感じない。術師としては死に体の伽藍洞な身体。
だが、その事に対し、絶望は微塵も無かった。
どころか術師に有り得ざる『無』を心地よいとさえ思う。
全てが見える、総てを感じる。
あらゆる枷や束縛から解放された肉体より迸る絶対的な力。

これこそ、幼少より恋焦がれ、強さを知らぬ雑魚共が恐れ、追放した最強の肉体。
天はその男に何も与えない代わりに、全てを与えた。
天与呪縛、究極のフィジカルギフテッド。
無能故に全能。矛盾が齎す縛りにより体得した超人的な身体能力と感覚機能。
何者も捕らえる事の叶わない天さえ縛れぬ特級の極致。

「ようやく俺も立てたで、甚爾君」

家柄や才能に恵まれ、有頂天だった幼少期の直哉は最強が何たるかを知った。
猿と蔑まれながらも、降りかかる差別・侮蔑・逆境。その総てを捻じ伏せんばかり圧倒的覇気
理解不能な強さに怯え、目を背けるだけの弱者では到底理解出来ない本物の強さ
それを目の当たりにした事で、驕れる少年の世界は一変した。

憧れは呪いへと転じ得る。
たった一度、憧憬に心を焼かれた時、人は永久に囚われ続ける。
憧れと同じ様になりたいと願った瞬間から、当人しか分からない地獄が始まる。
どれだけ歩みを進んでも、藻掻いても終わりは見えない。
それどころか、遠ざかっている様にさえ思える。何が駄目だ。何が違う。
天に聳え立つ程のプライドの裏で、最強の座へ届かない現実に苦悩し続けた。

「嗚呼、感激や。涙がちょちょぎれる位嬉しいわぁ」

しかしこの瞬間、直哉は晴れて、向こう側に立った。
ケラケラと。彼は与えられた祝福に感謝の意を口にする。
少年の頃の憧れは、唐突に降って湧いた天からの恵みにより成就した。
労を重ね、苦汁を舐め、人の身を捨ててでも。
焦がれ続けた願いはいとも簡単に達成された。憧れそのものと変化する事で。
禪院直哉を縛り続けた憧れと言う名の呪いは、今此処に祓われたのだ。













「────んなわけあるかい、ドブカスが」


795 : 天贈呪殺 ◆TruULbUYro :2023/07/22(土) 18:01:49 wSYVuARE0

闇夜に轟く、暴君の癇癪。
拳一つ、民家の壁を叩けば、忽ち童話の藁の家が如く容易に崩れ落ちる。
天が創りし驚天動地の暴。
それを受け止めるなど、例え堅牢な城塞であろうとも役者不足。

「何を穢してくれとんじゃクソアマ」

誰の許しを得て、この身体を利用している。
男に媚びる声を出す以外能のない娼婦風情の児戯に利用していい肉体ではない。
他人の身体の威を借りなければ、何も出来ない塵の何処に伏黒甚爾を玩具に出来る強さがある?
そして、何を血迷ったかその身体を、寄りにもよって自分に宛がった。
何様のつもりだ。夢破れた敗残兵に対するお情けのつもりか。
施しをやる自分達は、"あっち側"。それ以上の超越者とでもほざくつもりか。

「お前等が御膳立てした最強で、満足してろ言うんか」

憧れた姿になれば、嬉々としていきり散らかす小物だとでも?
態々天与の剛力でも扱える様な刀を寄越して。獲物をぶら下げなけりゃ戦えない雑魚か
最強の座を恵んでやれば、膝を付いて、女神の様に崇拝するとでも本気でのぼせ上っているのか。

「ざけんなや…」

巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな───
彼の価値も理解しないゴミクズが、俺の憧れを気安く扱かうな。
俺が憧れた向こう側の領域は俺自身の脚で辿り着かなければならなかった。
断じて、誰かに与えられる強さではない。俺が夢見た最強は、こんなにも安くない───!

「認められる訳、ないやろうがァァァァァッ─────!!!!」

虚空に木霊する憤怒の咆哮。
彼──伏黒甚爾以外ならば誰でも良かった。
甚爾と同類の強者でも、かねてより見下し続けた非呪術師や女だろうと。
口汚い不平不満や文句を口にしつつも、最終的には受容して見せただろう。
しかし、魘夢は禁忌を侵した。
蛆虫の如き醜き呪霊と成り果てても、変わる事なく抱いた澄み渡る様な純真な夢を壊してしまった。
行き場を失った悍ましき呪いは、それを破壊した張本人へと襲い来る結果となる。

「…どうでもええわ、何もかも」

家の栄華、認めがたき紛い物への復讐心、術師をしての尊厳。
そして果せず終いの向こう側で待つ者達と並び立つ宿願。
直哉の中で渦巻く欲望、その全ては解放された怒りと共に、彼方へと消え去った。
最後に残ったのは黒き呪い、憧れを穢した女神気取りへの報復。

「全部や───此処に在る全て、最高速で潰したる」

究極の天与を持った肉体が破壊へと行き着くのは、逃れられぬ因果なのか。
人を呪わば穴二つ。
愚図共が俺を呪うのであれば、返礼は死さえ生温い呪詛返し。
呪霊らしく、呪術師らしく、神気取りに特級の呪いを贈り付けてやろう。
己の手で辿り着かねばならなかった神域を穢した報いを与えてやる。
殺戮遊戯での優勝が最短距離だと言うならば、従うまで。
俺の走りを止めたければ、現代最強でも連れて来い。
それ以外が最強の往く道を塞ぐなど叶わない。否、俺が赦さない、許されない。
全てを破壊すべく、新たな誕生した鬼人は疾走を開始した。

【禪院直哉@呪術廻戦】
[身体]:伏黒甚爾@呪術廻戦
[状態]:健康、主催への怒り(極大)
[装備]:絶刀・『鉋』@刀語
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:全て潰す
1:甚爾君を穢したクソアマ共を皆殺しにする。
2:俺を見下し切ったアバズレ共は絶対に呪い殺す。
3:1、2の為に参加者も全員殺す。甚爾君の身体で負けるなんてあったらいかんのや
[備考]
※参戦時期は呪霊として祓われた後

※禪院甚壱の支給品は死体の傍に放置してあります

【絶刀・鉋@刀語】
『世界の何よりも固き、折れず曲がらぬ絶対の刀』
天才刀鍛冶四季崎記紀が創り出した刀の内、極めて完成度の高い十二本の刀、「完成形変体刀」が一本。
頑丈さに重きを置かれ、どの様な扱いをしようと決して折れず、曲がれず、刃こぼれ一つ起さない壊れずの絶剣。


796 : 天贈呪殺 ◆TruULbUYro :2023/07/22(土) 18:02:28 wSYVuARE0
投下終了です


797 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 19:45:42 7aMe562I0
投下します


798 : 傲慢〈プライド〉 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 19:45:56 7aMe562I0
傲慢のホムンクルス、セリム・ブラッドレイは死んだ、鋼の錬金術師の手によって。
だが、この世界に、姿を変えて蘇った。

「………この私をこの場に呼ぶとは…」
「ふふっ…面白い。」

彼の今の体は、人間の少女だった。
かつての自身と同じくらいの。

「ホムンクルスの力は使えませんが、なんとかなるでしょう。」
「とにかく、この享楽、魘夢とやらに乗ってみようか。」

ホムンクルスの鼓動は動いた。

【セリム・ブラッドレイ@鋼の錬金術師】
[身体]:小早川ゆたか@らき★すた
[状態]:健康、幸福(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:このゲームに乗る
1:今の体をうまく使いこなし、参加者殺していく
[備考]
参戦時期は死亡後


799 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 19:46:11 7aMe562I0
投下終了です


800 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 20:17:05 7aMe562I0
誤字があったので修正します
大変失礼しました
【セリム・ブラッドレイ@鋼の錬金術師】
[身体]:小早川ゆたか@らき★すた
[状態]:健康、興奮(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:このゲームに乗る
1:今の体をうまく使いこなし、参加者殺していく
[備考]
参戦時期は死亡後


801 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 20:28:05 ne1uO/sw0
投下します


802 : 男の裏技 ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 20:28:50 ne1uO/sw0
「キリトだなー、やっぱw」

手鏡を見てキリッと決めポーズをする黒の剣士――キリト。
しかし彼はデスゲームの場で開始早々に笑う人物じゃなければ、自分の顔を見てカッコつけるナルシストでもない。

では今、この場に居る黒の剣士は誰なのか?
その正体は――。

(その正体は――あれ、俺ってどんな名前だっけ?)

彼は名も無き一般人。
ネット上では“イキリト”と呼ばれているので、便宜上そう呼ぶことにする。

さて。
イキリトはその特殊な出自から自分の名前を思い出せない。あくまでイキリトとして参加させようとした主催者に、その名を奪われたのだ。

(何故か名前を思い出そうとすると、イキリトって思い浮かぶんだよな。記憶をいじくるのやめろ!笑)

こんなわけのわからない状況だが、イキリトはポジティブだ。
そもそも彼はあの有名な“イキリト構文”の生みの親であり、あの構文通りポジティブな性格だ。
クラスの女子によくたかられるのに笑って済ませられる程の度量を持ち、キリトに似てるという“弄り”も何の嫌悪感もなく受け止めてる。

また中学一年生にしてアスナ似の彼女がいるという点からも、その性格の良さが窺える。

あなたっぽいアニメキャラというタグに「キリトかなー、やっぱw」と答えてしまったのは周りからそう言われてたことを純粋にピュアな心で受け止め、そしてオタクであるがゆえにキリトに憧れが強いからだ。

「とりあえず近くの探索でもしてみるかw」

イキリトはそこら辺を歩き始めた


803 : 男の裏技 ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 20:30:09 ne1uO/sw0



――男と男の拳が、ぶつかり合う。

片や丸坊主の池沼のような男。
片やうんこの擬人化のようなクッソ汚い男。

彼らは身体だけなら――友人であり、同じ空手部の仲間だった。
MURと野獣先輩。意味不明な名前だが、それが彼らの肉体の名前だ。
そんな二人が互いに全身全霊の一撃を放つ。

其れは相手の意識を刈り取るための一撃。
其れは愛する者のため、他者の命を奪い取るための一撃。

されどもなかなか、勝負が決まらない。
幾度となく殴り、殴られ――互いに体力を消耗してゆく。
支給品もあるが、そんなものを使う必要もなし。男の喧嘩といえば、やはりステゴロに限る。

それが彼にとっての矜恃であり。
それが彼にとって、今から己が拳で他者を殺すと誓うための“儀”であった

「オウ、結構入ってんじゃん」

鳩尾に一撃喰らい、坊主男の身体が揺れる。
坊主男――MURに入った男の名は、KMR。MURと同じ空手部に所属する後輩だ

「へー、すっごい我慢強い……」

そんなKMRを見て、感心するような声を出すうんこの擬人化こと野獣先輩。その中身は遠野という、野獣のことが好きな男だ。

最初はそんなふうに強気を保ってた遠野だが、何度も殴り、殴られ――それでも倒れないKMRに徐々に恐怖を覚える。

何故、彼は倒れないのか?
これだけ何度も――それこそ頭がかち割れてもおかしくないほどクッソ殴りまくってるのに。

遠野はただ野獣先輩を守りたいだけだ。
自分が野獣先輩の身体になってしまったから、それを守るために優勝することを誓った。魘夢なんて化け物に挑むことは最初から諦めている。

もしも野獣先輩が居るなら、もちろん彼に優勝を譲ってもいい。これもう純愛だろ。

だからKMRにはさっさと死んでほしいのだ。
手始めに誰かを自らの手で殺せば、覚悟が完全に決まると思ってた。

野獣先輩の肉体は――遠野は水泳部だと思っているが、時として空手部になったりするので強くて頑丈だ。素手で空手部のKMRとやり合うには、素人の遠野でも張り合えるくらい強い。

だがそれでもKMRはなかなか倒れない。
もう顔面には幾つも痣があるのに――その坊主頭は射抜くような瞳でこちらを見てくる。

「どうして倒れないんだよぉ!」
「あぁ、はぁ、あぁ……。今にも逝きそうだけど、それでも“譲れないもの”があるからよ――」

動揺する遠野に対して――KMRは拳を構える。
――それは正拳突きの構え。

されども、侮ることなかれ。
その正拳突き、ただの正拳突きには非ず。

そして――放たれる一撃。
たかだか正拳突きで何を今更――と遠野は嘲笑うが――刹那、彼の脳天を“突き”が直撃した。

――聖拳“月”

これぞ空手の真骨頂。漢の極意。
月のように腕をしならせ、脳天を一思いに突くという禁術だ。

「〜〜ぁっ、ぁあああ!」

遠野がたたらを踏み、倒れる。
これにてKMRの勝利だ。

(すっげ……)

二人の戦いを遠目に眺めていたイキリトが感嘆する。


804 : 男の裏技 ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 20:30:56 ne1uO/sw0

「……もう安全だ。来ていいぜ」

KMRが支給品のサングラスを掛けると、これまた支給品のタバコとライターでワイルドにキメてイキリトを呼ぶ。もうここは安全だ、と。
それを聞いてイキリトは向かうが――。

「――危ない!」

KMRの背後から再び遠野が迫るのを見て、支給品のエリュシデータを手にする。
彼はこう見えて正義感が強い。ここぞという時に退けない性格だ。
しかも遠野はナイフを手にしている。間違いなく殺す気だ

(なんとかして、止めなきゃな――!)

だがイキリトが手を出すよりも早く――KMRは裏拳を放ち、遠野を返り討ちにしていた。
その首から多大な量の出血しながら――それでもハードボイルドにタバコを吸う。血液混じりのタバコを、ふぅ――とひと吹き。

「――よぅ兄ちゃん、もう終わりか?」

薄れゆく意識の中、フッと笑う。
イキリトは。あの少年は、こんな殺し合いでも懸命に人を助けようとした。“漢”の芽は、芽吹いている。たとえこんな殺し合いだろうと――心優しい少年が最期には魘夢を倒してくれることだろう。

(先輩……俺……)

意識が朦朧とし、肉体が崩れ落ちる。
心配して駆け寄る少年に――グッとサムズアップして「後はお前に託す。この殺し合いを、止めてくれよ……兄ちゃん」と笑った。
そんなふうにKMRが笑うものだから――イキリトも持ち前のポジティブさで「任せろ。やっぱりキリトらしく、俺が止めないとなw」とニッコリ笑った。

その笑顔に救われて――

(俺……やりましたよ……)

KMRはその息を引き取った。

(先輩……。俺は、先輩のことが好きで……――)

そして遠野も意識を手放す。
結果は引き分け。勝者など此処になし。
されども後を託された少年――ここに在り。

「あんたの名前はわからないけどさ。俺、頑張るよ。だってほら……俺、今キリトですよ?」

今は亡きKMRにそれだけ声を掛けて――イキリトはその場を去った。このデスゲームを生き抜き、攻略するために

【KMR@真夏の夜の淫夢(身体:MUR@真夏の夜の淫夢) 死亡】
【遠野@真夏の夜の淫夢(身体:野獣先輩@真夏の夜の淫夢) 死亡】

※KMRと遠野の支給品が落ちてます

【イキリト@ネットミーム】
[身体]:キリト@ソードアート・オンライン
[状態]:健康
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:魘夢を倒して、デスゲームを攻略かな〜、やっぱw
1:名前も知らない人(KMR)の意志を無駄にはしない。俺はキリトだからなw
2:名前を思い出せなくても、俺は俺だなw
[備考]
※制限により自分の本来の名前を思い出せません


805 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/22(土) 20:31:12 ne1uO/sw0
投下終了です


806 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/22(土) 22:09:48 lskIBAIg0
投下します


807 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/22(土) 22:10:41 lskIBAIg0
仮面ライダー、一文字隼人は改造人間である。
肉体のプロフィールはその一文から始まり、悲痛でありながらも気高い物語を綴っていた。
SHOCKERなる悪の組織に拉致、改造されて怪人になるも正義の心に目覚めて戦うことを決めた誇り高き戦士だと。

(……さて、おれとは縁もゆかりもねェジャッジ〈あのおっさん〉とどっちがマシだ?どっちもクソか)

その肉体に宿る男、ヴィンスモーク・サンジもまた改造人間である。
悪の王国ジェルマの第三王子として産まれ……産まれる前から父親に改造手術を施され、科学の力を身に宿した。
本来なら心まで失くした怪物になるはずで、事実彼と同じ改造を施された三人の兄弟は感情の一部を失ったが、サンジだけは母親の命を懸けた献身によって心を持って産まれることができたのだ。

「まあ、そんな感じだからおれをこの男の体にぶち込んだんだと思うぜ、ルリ子ちゃん」
『そう。軽く言うつもりはないけれど、あなたも大変ね』

サンジが手に持つ、ヘルメット状のもの……仮面ライダー第2+1号のマスクに宿った人格、緑川ルリ子に語り掛ける。
彼女もまたSHOCKERに産み落とされた人造人間であり、そして一文字を洗脳から解放し、SHOCKERと戦った女傑である。
血のつながった息子を改造した科学者と何の関わりも持たない一般人を改造する組織とどちらが邪悪か、など論じる価値もない目クソと鼻クソだが、互いの近似する環境が二人に奇妙な連帯感を生んでいた。
とはいったものの。

「ルリ子ちゃんも大変だったな……そして今も大変な事態だ。だが安心していい。これからはおれが君を守る。そう、君という天使を宿したマスクのように、心に愛という力を宿したこのおれが……!」
『あー、はいはい。そうね、まあそういうのは後でいくらでも聞いてあげるから』

二言目には口説き文句を混ぜ始めるサンジの態度にはさしものルリ子も辟易する。
これが本当にただの軟派男なら適当にあしらうし、おれも君と同じなんだなどというのも同一性を提示して親近感を抱かせる話術だろうと切って捨てるのだが。
他人の体に押し込められて殺しあえなどと命じられた超常の異常事態まっただ中で、自分も悪の組織に改造されたんだなんてホラを吹ける人間はまずいないだろう。

(嘘ならもう少しマシなものにするでしょうし……あまりにも突拍子がなさすぎるもの)

身の上だけではない。
そもそも生まれた世界がまるで違うとしか思えない、絵物語のような自己紹介をされた。
大海賊時代に生きるコックで、偉大なる航路を旅する海賊。改造人間というだけで十二分におとぎ話だろうに、嘘ならこれ以上設定を盛る必要はないだろう。
そして逆にサンジはルリ子の生きる世界のことを初めて聞いたようなリアクションをする。
いくらなんでも日本やアメリカのような国名まで知らないなど、そんな嘘はつく意味はない。
ならばこの男の持つ情報は真実だと判断し、ルリ子はさらなる提示を求めた。

『人格を入れ替える能力に思い当たる節があるって?』
「ああ。オペオペの実と、一応カゲカゲの実も体に別の人格を宿す能力ってことになるかな」
『ふぅん。私もプラーナを機械に移植できるのは知っているけど、人格の入れ替えなんてうまくいくかは正直わからない。あなたのいう能力者がバックにいる可能性は高いと思う?』

無駄な口説き文句を交えながらも進めていた情報交換で互いに推察を進めていく。
サンジも女好きではあるが、幸い頭の回る部類ではあるので必要な説明や質問などは粛々と行われていく。

「トラ男…オペオペの能力者がこんなマネするとは思えねェな。カゲカゲの方はやるかどうか判断できるほど人柄を知らないんでどうにも」
『微妙なところね』
「あ、いや」
『なに?』
「カゲカゲの能力者は確か2年前の新聞で死亡記事が出てたから、別のやつが食ってるかもしれないな……そいつが関わってる可能性はある」
『…えーと。代替わりするものなの?能力者っていうのは』
「ああ、それはーーー」

悪魔の実についてサンジが話し、続けてルリ子はプラーナについて解説を返す。
それ以外にもいくつか議題を投じあうが、結局は推察に過ぎないことなので重点は置かない。
目にした確かな情報が一つある。


808 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/22(土) 22:11:24 lskIBAIg0

『それで、あのウタって子のことだけど』
「ああ。ウチの船長の幼馴染らしい。ウタウタの実の能力者で……」

つい先ほど、命を終えた。そうサンジは記憶している。
ネズキノコという覚醒作用のあるキノコを口にし、その副作用で最期を迎え、家族である赤髪海賊団に看取られて、棺の中で眠っている。
そのはずなのだが……

「四皇から娘の遺体を奪うなんてマネがよくできたもんだとは思うがそれはともかく。亡骸を動かせるのはおれの知識じゃカゲカゲだけだ。死んだ人間を生き返らせるのは……」

ヨホホと笑うガイコツがサンジの頭の中に浮かんだがいったんそれは追い払う。

「全くないわけじゃないが、彼女には無理かな」
『彼女の死体を動かす意味は何かしら?知り合いの動揺を誘うため?悪魔の実って死んだら使えなくなるんだったら、死体を動かしても意味ないんじゃないの?』
「それは……」

どうなのだろうか。
ルリ子の提示した疑問の答えをサンジは示せない。

(トラ男の能力で入れ替わったとき、フランキーはヒトヒトの変形に手こずってたし、たしぎちゃんもケムリ野郎の能力を使いこなせてなかったらしい。
 逆にルフィの影が入ったオーズに能力はなかった。悪魔の実は体の方に宿るってことだ。じゃあ、能力者の死体を動かしたらそこに能力は残ってるのか……?)

スリラーバークで能力者の死体は確認できなかったからその答えは分からない。
参考でしかないがヨミヨミの実の能力者であるブルックは魂が実態に近いエネルギーを持ち、それでも骨が傷つくとダメージになると。
なにより、ルリ子の言う通り。ウタは可憐な少女だが、彼女を利用するというなら容姿や強さよりもその能力こそが目的と見るべきだろう。

「遺体に能力が残る可能性はある。悪魔の実を食った銃なんてのもあったらしい。命のないモノ、っていうとなんだが、そういう方向では近いかもしれない……」

つまり敵はウタウタの能力をものにしている可能性が極めて高い。
彼女ほどに能力を使いこなせる歌姫がそういるとも思えないが、一つの仮説に思い至る。

「ウタウタの実もある意味肉体の入れ替えができる能力だな……」
『あの子の能力が?』

実際に入れ替えるわけではないが、そう見せかけることはできるはずだ。

『彼女はどういう能力なの?』

ルリ子から当然の質問が飛ぶ。
当然これまでのようにサンジからすぐに答えが返ってくるものと思っていたが、合槌もなく思った以上に長い沈黙が下りた。
聞こえなかったのか、あるいは言語化するのがそれほど難しいのか、それにしても一言も返さないのはこの男らしくない、などと思い改めてルリ子の口から問いが発されようとした瞬間。
やおらサンジが立ち上がり、彼方へと視線をやる。

『なに?どうしたの!?』

これまでにない真剣な表情と佇まいにルリ子も意識新たに警戒心を強める。
殺しあえと放り込まれた環境なのだ。油断はならない、とサンジの次の言を待つが

「女の涙が落ちる音がした……!」

真剣な表情はそのままに、口から発せられたのは軟派男の妄言としか思えないものだった。
真面目な話の最中だというのに妄想を豊かにするのはやめてほしいとルリ子の心中が呆れに満ちる。
感想も当然辛辣なものだ。

『何言ってるのあなた……って、ええ!?』

文字通りに、サンジが飛び出す。
跳躍以上、飛翔未満。
空を蹴り、天を駆けていずこかへと向かっていくサンジの歩法にはさすがのルリ子も驚いた。
さらにサンジの目指す方向に、何者かに追われる女性の姿が見えた時にはさらに驚いた。

逃げているのは美しい少女だった。
艶やかな黒髪を腰のあたりまで伸ばし、学生服の上から赤いカーディガンを纏った大和撫子といった女の子が涙を浮かべて駆けている。
それを追うのは金髪の男。
右目を覆うように前髪を伸ばし、黒いスーツに革靴のフォーマルスタイル。渦のようにカールした眉が特徴的だ。
男が少女に追いつかんとするその刹那。

「おれの身体で何しとんじゃクラァ!!!」

怒声を上げてサンジが割り込む。
そう、少女を追っているのはサンジの肉体だった。
自分の体を使って女性に危害を加えるなど断じて許すまじと蹴足を構え……その足が即座に止まる。
それを見てサンジの肉体が嗤う。


809 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/22(土) 22:12:17 lskIBAIg0

「あら?あらららら〜ぁ?どうしたの、新しい王子様?何か用事かと思ったら、エスコートしてくれるのかしら?」

吐き出された挑発的な言葉とその口調、見聞できる気配にサンジが眉根をひそめる。

(なんてこった、おれの体にレディが)

案の定、というかそんな予感はした。だから攻撃をとっさに止めたのだ。
しかし状況次第では歓喜するであろうシチュエーションも、別人の体を使って殺しあえと言われたさなかで、さらにはその女性が別の女性に危害を加えようとしていたとなると悪夢の一言に尽きる。

「一応、事情を聞かせちゃくれねぇか。なんだってその子を追っていた?」

持ち物を盗られたとか先に襲ってきたのは向こうだとか何か主張はあるかもしれない。
だからといって自分の身体がレディに手を上げるのをよしとはしないが。
そんな類推も裏切るように、サンジの身体は笑って答えた。

「中身は違うかもしれないけど、天城雪子の、その身体は私のモノよ。私が私のモノをどうしようと勝手でしょう?」

器を満たしていたのは虚ろな影。
天城雪子という少女の逃避願望が歪んだ形で具現化された天城雪子のシャドウであった。
本体に受け入れられないシャドウは本体を殺そうとするもの、という性質が他者の肉体と入れ替わる特異な環境で歪に発現しているらしい。
サンジはそれを知るべくもなく、言葉面だけでは自殺願望に近似する何かのよう程度にしか理解も及ばず。
ひとまず悲劇を止めるために言葉を紡ぐ。

「心が体を自由にしていいってんなら、おれの言葉に従ってもらおうかレディ。おれの身体でレディを傷つけるのはやめてくれ」
「そうなの!?あなた、北の海の王子様!?もしかしてぇ、私をここから連れ出すために来てくれたの?」

サンジの名乗りにシャドウ雪子は媚びるような声を漏らす。
カマーランドの奴らみたいで勘弁してほしい、どうやらおれのプロフィールには目を通しているのかなどとイヤな思いを何重にも味わうがそれはこらえて。

「まず、おれをヴィンスモークと呼ぶのはやめてくれ。そして残念ながら脱出の案はおれにもないし、キミだけを助けにきたとは言えない」

もちろん、それでも必ずみんな助けてみせるがねと口説き文句を添えようとするが

「あら、そう」

冷え切ったシャドウ雪子の声がそれを遮った。
期待を裏切られた失望だろうか。あるいは器と中身でぶつかり合うシャドウの本能だろうか。
雪子の体だけでなく、サンジの精神にまで敵意が向けられる。

「一人前気取りで文句か?偉くなったな、チビナスがよ」

女性的な口調だったのが突如として低く威圧的なものに変わった。
天城雪子の影ではなく、お前はおれなんだと突きつけるようにその声色はサンジのそれと等しく響く。

「一人じゃ何もできねえ、どこにも行けねえ恥晒しが。ジェルマから逃げ出すのも、バラティエから飛び出すのも!自分一人じゃできなかったクセして文句ばかり一丁前か」

知っているのか。あるいは同類、囚われのものである故に理解できるのか。
精神〈サンジ〉のトラウマを肉体〈ヴィンスモーク〉が抉り出す。

「檻の中で、鎖につながれて、鉄仮面を被されて!ケージの中のネズミじゃねえか!姉上か船長に連れ出されなきゃどこにも行けない、弱くてちっぽけで哀れなネズミ!」
「お前……」
「不服か?そうだな、たしかにネズミは言い過ぎだった。産まれた時から外も中も弄られてるのはそれ以下のモルモットと言うべきか?」

似ている。
当たり前のことが思い出され、突きつけられる。
自分に、ではない。
ヴィンスモーク・サンジは容姿だけならば兄弟〈ジェルマ〉にそっくりだ。紡ぐセリフが近いモノなら吐き気を催すほどによく似ている。

「モルモットでも非常食でも飼ってくれるんだ、ありがたいことだよ。さすが器のデカい船長だ。あいつにはおれなんかいらねえ。放っといても海賊王になれる。
 あんまりに弱っちくて群れから迫害されたモルモットは、ただじーっと、夢の果てに連れてってくれるのを期待してるだけでいいんだ。だからおれは群れの主に餌を運ぶだけで……」

キレる。
サンジを貶めるだけでなく、尊敬する船長への無理解な言葉と、料理という神聖な行為まで貶されたことでサンジの頭に血が上った。


810 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/22(土) 22:12:43 lskIBAIg0

「ふざけんな!!!お前は、おれじゃねえだろ!ちょっと体に入っただけで知ったようなことほざいてんじゃねえ!」

その言葉が、きっかけとなった。
それを影は待っていたのだ。

「ふふ…はは。あははははははははははは!!」

あたかもサンジのように言の葉を紡いでいた雪子の影が、本来の女性的な口調と声色に戻る。
そう、この瞬間に一個の存在を確立したと言わんばかりに。

「ええ、そうよ。私は、あなたじゃあない……!」

嘲笑うように口元を歪めて、シャドウ雪子はサンジの言葉を肯定する。
そしてサンジの存在を否定するべく、一つの武器を取り出す。

「そいつ、は……」

サンジにとって見知った、唾棄すべきものだった。
3というナンバーが刻まれた筒状の金属管。それを腰だめに構えて装着すると、シャドウ雪子は宣言する。

「ジェルマ…!」

内部からスーツが展開しシャドウ雪子に装着された。
黒を基調としたマントにマスクにスーツを纏う戦士の姿へと彼女は転じた。
その名はステルス・ブラック。
悪の王国ジェルマ66の戦闘員であり、本来のヴィンスモーク・サンジに与えられた科学の力である。

「我は影…真なる我…さあ、出来損ないの王子様。私の王子様じゃないなら、死んじゃってよ」

サンジの肉体で、サンジの忌避する能力を行使して、サンジの精神を破壊にかかる。
シャドウとしてこれ以上の所業はなかろう。

「千枝の、マネっ!!!」

拙い構えから鋭い蹴りをシャドウ雪子が繰り出す。
格闘経験は素人同然だが、秀でた肉体と装備に加えて我流ながらも積み上げた功夫の模倣は侮れるものではなかった。
想定以上に速い回し蹴りをサンジはかろうじていなし、さらに二撃三撃と蹴りを交差させる。
シャドウの本能か器の扱いを心得ているようで、シャドウ雪子は蹴撃中心の戦術を繰り広げた。
サンジが女性に反撃できないことも含めてだが、一方的に優位な戦況を作り上げる。

「あはは!どうしたの!?反撃できないのかしら!?」

技巧と経験など内面では圧倒的にサンジが勝る。
しかしレイドスーツを纏ったサンジの肉体に、ただの一文字隼人では及ばない。武装色もなよって使えず、ガードの上から強靭な装甲を叩きつけられて小さくないダメージになる。

「こんなのはどう!?」

二連牙、シャドウやペルソナの放つ二連続物理攻撃系スキル。
シャドウ雪子はそれを高速の二連脚として放った。
スキルとしては下位のものだが、レイドスーツの機能であるブースターで加速して放たれた連撃は上位のペルソナから放たれる一撃に劣るものではなく、人体程度ならば容易く貫通する。

「“三級挽き肉”(トロワジェム・アッシ)!!!」

防御、迎撃のために小規模だが技で返す。
双方小技とはいえ、生物として超級の二人だ。
その衝突は尋常でないエネルギーを産み、炸裂して互いの距離が離れる。

『…くん!サンジくん、あなたも変身しなさい!このままじゃ本当にやられるわよ!?」

先刻から呼びかけていたのだろうか。
動揺してほぼ聞こえていなかったが、ルリ子の声に悩みながらもサンジは応えた。


811 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/22(土) 22:13:46 lskIBAIg0

「くそ、こうか?変身!」

科学の力を行使するのに僅かに逡巡するが、自分の肉体とジェルマの力はよく知っているため迷ってはいられないと腰に手を伸ばした。
奇しくもステルス・ブラックが変身時に取る構えと近似するポーズとなり、鏡合わせのように対峙する。
タイフーンが起動し、取り込んだ大気のプラーナを己が力へと変換し、そしてルリ子の宿るマスクを装備。
悪の軍団SHOCKERにより生み出された正義のヒーロー仮面ライダーが、悪の軍団ジェルマ66の戦闘員ステルス・ブラックとの戦いに臨む。

「へえぇ、あなたも変身するんだ。それじゃあ、もぉっと強さを見せてちょうだい!」

僅かな距離を一瞬にして詰め、シャドウ雪子が前蹴りを打ち込む。
サンジもそれを蹴りでいなすが、彼の騎士道が反撃を許さない。マスクが闘えと機能的に干渉するが、それを戯言と流す心意気だ。
変身して身体スペックでも双方五分といえるまで持ち込んだが、その信念がサンジを劣勢に追い込む。
シャドウ雪子が操るのは我流クンフーのそのまた真似事という格闘技未満の戦闘術のため有効打には及ばないが、一方的な戦況には変わりない。
そして拮抗と言えない停滞ではあるが、それを良しとするほどシャドウ雪子は怠惰ではない。何より女性に手を上げないという騎士道も、戦場では手を使わないというコックの誇りも、本来サンジの肉体ならば持ち得るそれらを欠片ももたない彼女に戸惑いはない。

「皆殺しよ!!!」

焼き払い。
扇を振るうように片手を振るい、一帯へと火炎を放つ。
サンジも、ルリ子も。そして恐怖に震える天城雪子の肉体に対しても諸共に焼き尽くさんと。

「させるかよ、“悪魔風脚”〈ディアブル・ジャンブ〉!!!」

炎を征するならより熱きものを。
大気の摩擦と燃え上がる情熱が、肉体は違えどもサンジの脚に火をつけた。
一流コックならば火も得手として当然といわんばかりにシャドウ雪子の炎を迎撃する。

「“揚げ物盛り合わせ”〈フリット・アソルティ〉!!!」

燃え盛る高速の蹴りで放たれた炎を巻き込み、瞬時にかき消す。
火力も技巧もモノが違うと一蹴されシャドウ雪子が不快感に顔をしかめるが、それ以上の興味が浮かぶ。

「それ…」

炎熱で赫く染まった脚。
常人ならば耐えられるはずのない熱量を改造人間の頑健さと装備、さらに本人曰くより熱く燃える心でモノにする。
―――ステルス・ブラックと仮面ライダー2+1号は身体スペックにおいておおむね五分である。ならば。

「その技、変身したから使えるの?カラダの技?いいえ、違うわね。熟達してる……ココロのものよね?つまり」

シャドウ雪子の顔に歪んだ笑みが浮かぶ。

「ヴィンスモーク・サンジの技なら、この肉体でも使えるでしょう?」

ヴィンスモークと呼ぶな、と声を上げる間もなく。
シャドウ雪子は掌に炎〈アギ〉を生成し、それを自らの脚へと放った。
―――そして足が赫く染まる。

「“悪魔風脚”〈ディアブル・ジャンブ〉……!!!だったかしら?ふふ」

それにサンジが瞠目する時間も与えず、燃え盛る蹴撃を叩きこんだ。

「痛ッ…!」

反射的にサンジも自らの“悪魔風脚”〈ディアブル・ジャンブ〉で迎撃し、それによって理解する。
シャドウ雪子のそれは自分に匹敵する威力だと。
仮面ライダーの装甲が悲鳴を上げるほどのエネルギーをステルス・ブラックの燃え盛る足は秘めていた。

「千枝とぉ、アナタのマネッ!!!」

拙いカンフーに“悪魔風脚”〈ディアブル・ジャンブ〉を加えた蹴りを続けざまに叩き込む。
サンジがそれを迎撃することで赫い足がぶつかり合い火花を散らす。
さらに二撃、三撃、交差するたびにシャドウ雪子はじわりと練度を増す。
そしてついに

「これでいいかしら?“揚げ物盛り合わせ”〈フリット・アソルティ〉……!!!」

サンジの技も模倣する。
燃え盛る脚での高速の連打。
七武海ドフラミンゴをして強力と言わしめる威力の蹴りをシャドウ雪子は再現した。
秀でた戦闘力をした一文字の肉体であっても容易く受けられるものではない。
短いうめき声をあげてサンジが吹き飛ばされる。

「色々ご教授ありがとう。お礼にぃ、立派な鉄くずにしてあげる」

そう告げるとシャドウ雪子が姿を消す。
ステルス・ブラックにはその名の通りステルス機能がある。全身に背景を投影することで姿を消すのだ。
鋼鉄にすら足跡を残す実力者が透明化するその脅威は計り知れない。
容赦なく、シャドウ雪子がサンジへとどめの連撃を繰り出した。


812 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/22(土) 22:14:13 lskIBAIg0

しかしそれで散るほどサンジという男は甘くない。
見聞色の覇気という技法がある。人や物がそこに在るだけで発する声を聞き取る技術で、姿が見えずとも相手を捉えることができる。
サンジはその達人だ。
ステルス・ブラックが姿を消しても、容易く惑わされはしない。
良くも悪くも戦況は変わらず、シャドウ雪子の攻撃をサンジがしのぎ続ける。

そこへ一手、シャドウ雪子が勝負に出た。
一足飛びに距離をとり、炎をともして決着に向かう。
それによって生じる空間の歪み……炎の熱で空気が歪んだことで投影機能にほころびが生じた。
そのリスクもよしとしたのか、さらに火力を上げた巨大な炎の塊がサンジへと飛び掛かった。

「“悪魔風脚”〈ディアブル・ジャンブ〉!!!」

その炎を自らの燃え盛る脚で受け止めんとするサンジ。だが

(な、すりぬけっ…!?)

その一撃もシャドウ雪子の纏う“悪魔風脚”〈ディアブル・ジャンブ〉と想定していたが当てが外れる。
それは囮で放った単なるアギだったのだ。
そのすぐあとからシャドウ雪子はステルスして追撃することで、ついにサンジに決定的な一撃を入れることに成功する。

「ふふ。どーん……!!」

意識を刈り取るほどの一撃でサンジが吹き飛ぶ。
バッタオーグの機能で少しずつ回復するものの、その程度では牛歩に等しい。
とどめの追撃にシャドウ雪子が踏み込む。

そこへ新たな炎が奔り抜けた。
放ったのは肉体の方の天城雪子だ。
炎の壁がシャドウ雪子とサンジを阻む形で燃え広がり、歯噛みしながらシャドウ雪子は距離をとる。

「あら。怯える以外にできることがあったのね、ワタシ」

シャドウ雪子は肉体と遭遇した時に真っ先にテラーボイスというスキルを放ち、雪子を恐怖のバッドステータスに陥れていた。
それゆえに闘うすべがあるにもかかわらず彼女は怯え逃げまどっていたのだが、窮地で何もしない無能ではない。
そしてダメージがあろうとも、サンジは好機を見逃しはしない。

追われていた少女が動けると分かればこの場にとどまる理由は皆無といえよう。
雪子の肉体を抱えて空を蹴り、撤退を選ぶ。

「“空中歩行”〈スカイウォーク〉!!!」

消えたように見えるほどの爆発的な脚力で空を走る。
当然それを黙って見ているシャドウ雪子ではない。レイドスーツのブースターで飛んで追いすがろうとする、が。
わずかな飛行や攻撃に用いる短時間の発動はともかく、長距離を安定して飛ぶには練度が足りていなかった。

「ざぁんねん、上手く飛べない。仕方ないわね、私って籠の中の鳥だもの。翼を広げるのは向いてないわ」

自発的に動くことを得手としない性質のシャドウである故、彼女はそこで足を止める。
どこまでも受け身な逃避願望の結晶、認めがたい天城雪子の暗黒面。それがヴィンスモーク・サンジの闇も新たに抱えてゆっくりと歩き始めた。

「それじゃあ、王子様♡もしくは船長♡首を洗って待ってろよ♡」

ギシリ、と。
躰の内で科学の目覚めを蠢かせつつ。

その彼方で、腕の中でいまだに恐怖に震える少女にサンジは名を問うた。

「わたくし……斗和子と申します」

心の奥に闇を潜ませつつ、女はそう応えた。


813 : ◆yy7mpGr1KA :2023/07/22(土) 22:14:38 lskIBAIg0

【シャドウ天城雪子@ペルソナ4】
[身体]:ヴィンスモーク・サンジ@ONE PIECE
[状態]:健康、レイドスーツによる科学の目覚め(微小)
[装備]:レイドスーツNo3(ステルス・ブラック)@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:ここではないどこかへ自分を連れてってくれる人を探す。
1:我は影、真なる我。私じゃない天城雪子/ヴィンスモーク・サンジは殺す。
2:誰かぁ私をここから連れ出して♡できないなら死んじゃってよ。
[備考]
※参戦時期は本編で雪子の体に戻る前です。
※召喚を除くシャドウとしてのスキルを使用できます(二連牙、白の壁、焼き払い、アギ、コーチング、テラーボイス、戦慄のロンド)。
※アギを纏うことで悪魔風脚を発動できるようになりました。
※レイドスーツを装備したことで肉体の科学が目覚めつつあります。具体的な影響や進展は後続の書き手にお任せします。

【ヴィンスモーク・サンジ@ONE PIECE】
[身体]:一文字隼人@シン・仮面ライダー
[状態]:ダメージ(極小、回復中)
[装備]:タイフーン&ライダースーツ&仮面ライダー第2+1号マスク@シン・仮面ライダー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを打破し、ウタちゃんたちを救う
1:一時撤退。自分の身体とは言え中身がレディーじゃ手は上げられねえ。
2:ウタちゃんがいろんな意味で心配。
[備考]
※参戦時期はFILM RED終了後です。
※ルリ子とお互いの世界についてある程度情報交換をしました。

【斗和子@うしおととら】
[身体]:天城雪子@ペルソナ4
[状態]:恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]基本方針:陽より産まれたもの全てを滅ぼす。主催も参加者も関係ない。
1:サンジを利用して人間に取り入り、内部から滅ぼす。
2:獣の槍があるなら破壊したい。
[備考]
※手のひらから炎を放つ妖術を行使できます。他どの程度の能力を行使できるかは後続の書き手にお任せします。


[意思持ち支給品状態表]
【緑川ルリ子@シン・仮面ライダー】
[身体]:仮面ライダー第2+1号マスク@シン・仮面ライダー
[状態]:正常
[思考・状況]基本方針:一度失った命にこだわるつもりはないが、SHOCKERが殺し合いに関わっているのならばなんとしても止める。
1:脱出のすべを探る。
2:SHOCKERの関わりの有無を調べる。

[備考]
※参戦時期は映画本編終了後です。
※サンジとお互いの世界についてある程度情報交換をしました。




[支給品紹介]

【タイフーン開閉式安全装置付初期改良型@シン・仮面ライダー】
ヴィンスモーク・サンジに支給された。
一文字隼人の腰に装着されているベルト。
風車を回転させてプラーナを取り込み、防護服とマスクと連動して仮面ライダーに変身する。

【防護服@シン・仮面ライダー】
ヴィンスモーク・サンジに支給された。
タイフーン、マスクと連動して仮面ライダーに変身する。

【仮面ライダー第2+1号マスク@シン・仮面ライダー】
ヴィンスモーク・サンジに支給された。
タイフーン、防護服と連動して仮面ライダーに変身する。
マスクには生存本能と闘争本能を刺激し、容赦なく人を殺せる状態にする効果があるほか、データを受信・送信・保存する機能がある。
仮面ライダー1号本郷猛の死後、一文字が受け継いだ1号マスクに本郷のプラーナを移植し、彼の意思を宿した。現在は緑川ルリ子の人格と入れ替わっているため彼は不在。

これら3つで1セットである。



【レイドスーツNo3(ステルス・ブラック)@ONE PIECE】
シャドウ雪子に支給された。
ジェルマ66の強化スーツ。平時は筒状に収納されており、腰に当てることで起動・装備される。
本来は適合者であるサンジ以外には装備できないのだが、本ロワでは制限によりそれ以外の者でも装備できる。
足のブースターによる加速と飛行、耐熱・耐衝撃をはじめとした装甲、全身に背景を投影することで疑似的に透明化するなどの能力を持つ。
なお副作用か正規の仕様かは不明だが、本編において何度かスーツを用いたサンジの肉体は失ったはずのジェルマの科学を取り戻してしまうことになった。ヴィンスモーク・サンジの肉体で使用した場合、その作用は免れない。


814 : 名無しさん :2023/07/22(土) 22:15:40 lskIBAIg0
投下終了です。
タイトルは
変身するわ、変身するの。私は貴方、貴方は私。変身するぞ、変身したぞ。我は汝、汝は我。
でお願いします。


815 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 22:58:18 7aMe562I0
二本、投下します


816 : pray to god before you die ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 22:58:46 7aMe562I0
「この身体は…」
イスカリオテ13課、ハインケル・ウーフーの身体は奇跡の一致を起こしていた。
協会関係者であり、なおかつ銃使いの人物の身体だったのだ。

「経歴を見るか…」
タブレットを取り出し、彼の経歴を確認する。

「ニコラス・D・ウルフヘッド、とある惑星にて、牧師兼殺し屋、クレーバーなリアリストだが、血の気が多く子供には優しい…最後は師と共に散るか…」
少し、自分たちの神父と当ててしまった部分がある。
だが、そこは置いておく

「とにかく、この身体は持ち主に返そう、同じ協会関係者として…」

こうして、イスカリオテの殺し屋は、歩みを進めた。

【ハインケル・ウーフー@HELLSING】
[身体]:ニコラス・D・ウルフヘッド@TRIGUN(アニメ)
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者を殺す
1:まずはこの身体を返さねば。
2:異教徒は殺したい、だが、持ち主を傷つけたくはない。


817 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 22:59:20 7aMe562I0
一本目投下終了です
二本目いきます


818 : 少女狂乱 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 22:59:53 7aMe562I0
「さあさあさあ!反撃してこないんですか!」
大木を具現化し、地で暴れ狂う者がいた。
名を園崎詩音、借り物の力で暴れ狂うのであった。

「舐めるなァァァ!」
怒気を含め、巨大な苦無で木をなぎ倒していく。
名を郡千景、こちらも借り物の力で自分の身を守るのであった。

「こんなところじゃあ!」
「やりますね!でも!いつまでもつか!」
千景の下より大木が迫る、身体を貫いてしまうか如くの。

「まずい!」
「これで!」
その時だった、彼女の「生存本能」だろうか、それが、起こったように見えた。

「!」
「な、何を!」
大木が彼女を貫いたと、思った瞬間、彼女は消えていた、チリ一つ残さず。

「チッ!仕留めそこねましたか…まぁ、この力使えるだけ使ってみるだけすからね…くけけ…」

――――――――――

――――間一髪だった――

彼女の脳裏にはその言葉が浮かぶ。

「この身体の人が使ってた技でしょうね…奇跡的出てきてくれた…」
ボロボロの身体を労りながら、彼女は立ち上がる。

「戻らなきゃ…高嶋さんと乃木さんのところに!」
彼女は、生前からかけ離れるように、生きる希望を持った。

【郡千景@乃木若葉】
[身体]:御庭番の壱モンスター烈伝オレカバトル
[状態]:ダメージ(小、回復中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、生還する
1:一時撤退。自分の身体を休める。
2:もしかしたら死んだ面々(杏や球子)はいるかもしれない、逆に生きてる面々(若葉や友奈、ひなた)はいないのでは…?
[備考]
※死亡後に参戦
※大苦無は先の戦いで破壊されました


【園崎詩音(黒の覚醒)@ひぐらしのなく頃に命】
[身体]:アラマキ@ONEPIECE
[状態]:ダメージ(極小、回復中)苛立ち
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1∼3
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る
1:自分の信条を正義として、生きていく
[備考]
※参戦時期は発症後です


819 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 23:00:11 7aMe562I0
投下終了です


820 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/22(土) 23:08:19 7aMe562I0
とんでもないミス発見
参戦作品のところに@マークがついてませんでした…
大変失礼しました

訂正後
【郡千景@乃木若葉】
[身体]:御庭番の壱@モンスター烈伝オレカバトル
[状態]:ダメージ(小、回復中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、生還する
1:一時撤退。自分の身体を休める。
2:もしかしたら死んだ面々(杏や球子)はいるかもしれない、逆に生きてる面々(若葉や友奈、ひなた)はいないのでは…?
[備考]
※死亡後に参戦
※大苦無は先の戦いで破壊されました


821 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/22(土) 23:16:01 VlD./Vcs0
投下します


822 : 死せる父達 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/22(土) 23:17:18 VlD./Vcs0
「おいおいおいおい。まずいだろ、これは……」

手鏡を見て、マース・ヒューズは顔面を蒼白にして呟いた。
普段からビックリ人間を見慣れているおかげで、精神の入れ替えという超常現象もなんとか受け入れられた。
死んだはずの自分が生きているのも、完全に死ぬ前に精神を別の肉体に移したのだとしたら納得できる。
だが、その移した先が問題だ。

「よりによって、ロイかよ!」

ヒューズに与えられた体。
それは彼が支え続けると誓った親友、ロイ・マスタングのものだった。

「死ぬわけにはいかねえなあ、こりゃ……」

すでに一度死んだ身。妻子のことは果てしなく心残りだが、ここでまた死んでもそういう運命だったと受け入れられる。
そのはずだった。
だが自分の肉体が親友のものになっているのでは、そうも言っていられない。
自分の死は、親友を道連れにすることと同義なのだから。

「こりゃ気合い入れて……」

ヒューズの独白は、途中で途切れる。
軍人として鍛えられた彼の感覚が、近づいてくる気配を察知したのだ。

(失敗したな……。何はなくとも、まずは武器を確保しておくべきだった。
 いくらロイの体でも、俺じゃ錬金術使えねえし……)

錬金術の基礎は、「理解」「分解」「再構築」の三段階。
知識が無いゆえに「理解」ができないヒューズでは、いくら国家錬金術師の肉体でも錬金術を使うことはできない。

(できる限りの抵抗はするが……。
 頼むから、殺し合いに乗ってないやつであってくれ!)

最低限の備えをしつつ、ヒューズは近づいてくる相手を待ち構える。
やがて、それは暗闇の中から姿を現した。

「はぁ?」
「警戒させたのなら済まない。俺は殺し合いに乗るつもりはない。
 よければ、情報の交換を……おい、聞いてるか?」
「あ、ああ。済まん。
 その、ちょっと……ビックリしちまって」
「そうか。まあ、無理もない。
 こんな体じゃな」

ヒューズの前に現れた男。
その姿は、骸骨だった。


823 : 死せる父達 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/22(土) 23:18:05 VlD./Vcs0


◆ ◆ ◆


「……とまあ、俺の人生はこんな感じだ。
 骸骨に変身してはいたが、まさか本物の骸骨になっちまうとはなあ」
「そんな冗談めかして言っていい話なのかよ、これ……」

少し後。
ヒューズは骸骨になった男……鳴海壮吉と共に近くの建物に入り、そこでお互いの身の上を語っていた。

「しかしこうして情報を交換してみると……」
「ああ、明らかに世界が違うな。
 俺の世界じゃ、錬金術なんて何百年も前に廃れた学問だ。
 そもそも名前こそ同じだが、中身が同じかどうかは甚だ疑問だぜ」
「こっちもガイアメモリなんて、聞いたことないぜ。
 それに、日本……だっけ? そういう国も知らないしなあ」
「おまけに、こいつだ」

そう言って、壮吉がタブレットを突き出す。
そこに表示されているのは、「バルトス」なる彼の肉体のプロフィールだ。

「魔王だ勇者だ……。どう考えても、ファンタジーの世界だ。
 とうてい同じ世界の住人とは思えねえ」
「それ以前に、骸骨が生きてる時点で別の世界だろ……」
「まあそりゃそうだが……。
 俺の世界には、たまにこういう化物が出てくるんでな」
「マジかよ……。まあこっちの世界にも、合成獣(キメラ)とかはいるしなあ」

額に汗を浮かべつつも、ヒューズは納得する。

「さて……それでどうする、ヒューズ。
 体の入れ替えにばかげた月、おまけに異世界。
 とうてい信じられないことばかりだ。
 この狂った箱庭で、おまえは何をなす?」
「聞かれるまでもないさ。
 こちとら善良な軍人さんなんだ。
 こんなことやらかす連中、野放しにしておけるかよ」

壮吉の問いに、ヒューズは迷わずそう答えた。

「そうか……。
 なら、改めて頼もう。
 俺に手を貸してくれ、ヒューズ」
「ああ、喜んで」

二人が、がっちりと握手を交わす。

「あっ、そうだ」
「どうした?」
「いや、ガイアメモリの話を聞いた時から気になってたんだがな。
 さっき手鏡を取り出す時、それっぽいものを見かけたような……」
「本当か?」
「えーと、どこだ……? ああ、これだ」

ヒューズはデイパックから一つの支給品を取り出し、壮吉に見せた。

「これがガイアメモリで合ってるか?」
「これは、トリガーメモリ……。
 だが、俺の知っているメモリとは少しデザインが違うな。
 俺が死んだ後に作られた新型か?」

壮吉はメモリを、まじまじと見つめる。

「ヒューズ……。悪いがこのメモリ、俺に渡してもらってもいいか?」
「ああ、もちろんだ。
 知識がある人間の方が、有効活用できるだろうからな」
「済まない。代わりに俺の支給品から、好きなものを持って行ってくれ」

そう言って、自分の支給品を広げる壮吉。
ヒューズは、その中の一つに目をつけた。

「こりゃたしか、東の国で使われてる投擲武器だったな。
 よし、これをもらうぜ。こういうのの扱いは得意なんでな」
「わかった」

壮吉の許可を得ると、ヒューズはそれを軍服のポケットにしまい込む。

「じゃあ、そろそろ行きますか。
 ここから脱出する手段を見つけて、高みの見物を気取ってる連中をぶっ飛ばす!」
「ああ、そうだな」

二人は、肩を並べて歩き出す。
出会ったばかりにもかかわらず、彼らの間にはすでに充分な信頼関係が築かれていた。
二人にとって、相手の身の上を聞けばそれだけで信頼するには足りた。
相手が「家族を愛する父親」であることは、痛いほど理解できたから。

「家族を幻滅させるような父親には……」
「なりたくねえからなあ」


824 : 死せる父達 ◆NIKUcB1AGw :2023/07/22(土) 23:19:18 VlD./Vcs0


【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】
[身体]:ロイ・マスタング@鋼の錬金術師
[状態]:健康
[装備]:操のクナイ(30本)@るろうに剣心
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主催者の打倒
[備考]
※参戦時期は死亡後


【鳴海壮吉@仮面ライダーW】
[身体]:バルトス@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
[状態]:健康
[装備]:T2トリガーメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主催者に、罪を数えさせる
[備考]
※参戦時期は死亡後


【操のクナイ@るろうに剣心】
隠密御庭番衆、巻町操の用いる武器。
大きく振りかぶり、大量のクナイを一度に投擲する「貫殺飛苦無」が彼女の必殺技である。


【T2トリガーメモリ@仮面ライダーW】
財団Xが開発した新型ガイアメモリの一つ。
従来品と異なり、コネクタを刻印しなくても適合者の体内に入り込み変身させる。
これによって変身できるトリガー・ドーパントは、右腕と一体化した銃による狙撃を得意とする。


825 : ◆NIKUcB1AGw :2023/07/22(土) 23:20:45 VlD./Vcs0
投下終了です


826 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 23:57:51 chGNsoqE0
投下します。


827 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 23:58:26 chGNsoqE0
俺はずっと、自分の存在意義について悩んでいた。
ドラゴンを駆逐するために人工的に生み出されて12年、軍人として学び戦う中で"彼女"たち13班と出会って、協力したり共同戦線を張ったりして…どんどん強くなっていく、自分より小さい年上の"彼女"に俺は、焦燥感と疎ましさを募らせた。

君がそれだけ強くなって、追い越されてしまったら俺は、俺はなんの為に生み出されたんだ?君が居たら俺は、必要な存在じゃなくなってしまう…なんの為に俺は……!?
…そして拗らせ続けた俺は、存在意義の喪失に怯えたまま5体分の真竜のデータを取り込んで…第7真竜候補へ至った代わりに、ヒトの姿からヒトと竜が混じった化物に成り果てた。

そのまま暴れて邪魔な相手を、楯突く相手を殺して…その末に国会議事堂で"彼女"達と殺し合った果てに…俺は負けた。全ての力を出し切った末に。
独りになった俺が、仲間を捨てなかった" 彼女"に勝てる道理は無かった。それ以上に…本当は心の中で、わかっていたんだ。
"彼女"の方が俺よりも、強いんだって。
だからその時の俺は…存在意義が無いと認めてしまった俺は…自分は世界に不要な存在なんだと、生まれてこなければよかったと言った。

…それを聞いた"彼女"は、今にも泣き出しそうな顔で首を何度も横に振っていた。
そんな中"彼女"の、13班のナビ…肉体的には一番弱い筈のミオが言った。

『強くなくたっていいんだよ。
いてくれるだけでいいって…お父さんは、13班のみんなはずっとそう思ってたはずだよ。
だから、俺なんか…なんて、生まれてこなければなんて言わないでよ!』

俺は提督を…ミオの父親を、目の前で殺したのに…それでも、恨まずにミオは俺の間違いを正してくれた。
そして"彼女"も、
「…不要な人間なんていない…キミは…ユウマは大事な……仲間、だよ…!!」
そう言ってくれた。

…楽しかったんだ、戦う事以外でも…"彼女"達や、提督と一緒に居れる事が…それに気付けた俺は…ようやく、自分の存在理由を理解出来た。なんだ…こんなところに、あったじゃないか───!

「アリカ…。
……俺は。どうして…こんなに…焦っていたのかな…。
…もし…やりなお…せるなら…君と…と…もだち…に…」

自分の身体が崩れてく感覚を感じながら、俺は彼女に…アリカにそう遺して…消え去った……筈だった。

----

「この身体の持ち主も、如月姓ですか…」

たしかに死んだ筈の俺は、別人の…如月弦太朗という男の身体に放り込まれた上で、殺し合いとやらに巻き込まれた。

「…如月弦太朗、あなたの意識がもしあったのなら…ともだちに、なりたかった所ですが…」

事情があったとはいえ、自分を一度は殺した相手すら受け入れ、友達になり…全ての元凶とも言える黒幕とすら、激突の末に友になった。
そんな友達…仲間思いな人の身体に俺を入れる…あの魘夢達がどうしたいのか、全く推測は出来なかった。
ただ、ふたつ程わかる事がある。

「俺はこの殺し合いに抗いますよ。そして身体は…持ち主に返す」

教師になる未来が待ってるこの人を、如月弦太朗を再び死なせる訳にはいかない…彼の友達達の下へと返さなければ行けない事。
そして如月弦太朗なら…ミオなら…そして"彼女"達なら…こんな殺し合いには乗らず、抗うだろうという事。

決意を固めた俺は、支給されてたフォーゼドライバーとやらをベルトに付けてから、周りを探す事にした。

【如月優真@セブンスドラゴンⅢ code:VFD】
[身体]:如月弦太朗@仮面ライダーフォーゼ
[状態]:健康
[装備]:フォーゼドライバー&1〜4までのアストロスイッチ@仮面ライダーフォーゼ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いに抗う。
1:まずは周りを探す。
2:乗ってる参加者が居たら、その時は倒す。
3:君が…アリカが居たら、合流したい。
4:弦太朗の知り合いが居たら探したいところです。
5:ミオが巻き込まれてたら保護する。償いには…ならないでしょうけど。
6:俺は俺の存在意義を見つけましたよ、提督。
[備考]
※参戦時期はChapter6 此ノ花、咲ク刻/Time has Comeにて、13班に敗北し消滅してからです。
※肉体の参戦時期は本編終了後からです。

【フォーゼドライバー&1〜4までのアストロスイッチ@仮面ライダーフォーゼ】
仮面ライダーフォーゼへと変身するためのドライバーと、使用する事で対応するモジュールをコスミックエナジーにより物質化して使用する事が可能。ただし体力が無いと使えない模様。
セットのアイテムとして支給されている。
支給されたアストロスイッチは1:ロケット、2:ランチャー、3:ドリル、4:レーダーの4つ。


828 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/22(土) 23:59:37 chGNsoqE0
投下終了です。タイトルは「未・完・優・真」です。


829 : 取捨蘇生 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 00:15:30 nHym/M2.0
投下します


830 : 取捨蘇生 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 00:16:44 nHym/M2.0
「そうじゃないんだよなぁ。」

 プロフィールを見終えて、げんなりとした存在がいた。
 人型であるといえば人型なのだが、同時に人間離れしている姿だ。
 白と紫の鎧のような肌が目立ち、長い尻尾や黒い角が目立つ存在。
 宇宙人。そう言うのが正しいだろう姿をしているのはただの人間だ。
 いや、人間ではあるのだが非日常的なことは過ごしていた人物ではある。
 北岡修一。元の世界では有名にして悪徳とされる弁護士だ。

「あのさー、俺が求めてるのは不老不死であって、
 不老不死を求めてる奴じゃないし、宇宙最強じゃないんだよ?」

 病に侵された自分と同じように病弱と言うあけではないが、
 不老不死を求める宇宙の地上げ屋の元締めとも言える存在、フリーザ。
 とんだスケールのでかいプロフィールは少しばかりは唖然としてしまう。
 ミラーワールドで繰り広げるバトルロワイアルなどちっぽけなレベルだ。
 彼の今の身体はそれなのだが、なんともちぐはぐな状態で溜め息しか出てこない。
 不老不死を願ってライダーバトルに挑んだのに、同じ状態では意味がないではないか。
 惑星を破壊できる身体ではあるので、殺し合いと言う点においては大当たりの次元ではない。
 それでも、求めているものはそこじゃない。宇宙最強すら求めるぐらいの永遠の命なのだから。
 しかも、今更だ。もうちょっと前だったら嬉々としてやってたと言うのに、
 もう彼は戦いを降りた。今更永遠の命が手に入りますと言われても襲い。

「しかも、これじゃあ令子さんの約束に間に合わないだろ。
 俺がこんな恰好で行ったら、絶対ドン引きだよ? いや、スクープにはするかな?」

 余命幾ばくもない中、アプローチを続けた相手と食事の約束を取り付けた。
 今までずっと自分を毛嫌いしていた彼女が、珍しくOKしてくれたのだ。
 この機会をすっぽかすなど言語道断───まあ、眠るように事務所で命を落としたので、
 どちらにせよ行けるものではなかったことはなんとなく理解はしているが。

 ライダーバトルからも降りたと言うのに結局またも殺し合い。
 今度はもっと短い時間制限まで設けられて呆れるしかなかった。
 戦いから降りても戦い。永遠にライダーバトルが続くような感覚。
 宿敵の浅倉ならさぞ喜ぶだろう。いたのならきっと凶悪で強力な身体に違いない。

「……はぁ。」

 とりあえずもう戦いを降りたんだから休ませてくれないか。
 仮に殺し合いを終えても、元の身体に戻っても結局病で死ぬ。
 かといって、今更不老不死を求めて優勝を目指すような気もない。
 宇宙の帝王なんてとんでもない身体なのに、公園のベンチに座っている。
 余りにもシュールな光景の中、背後から足音が聞こえて視線を向けた。

「隣、いいだろうか?」

 凡そ殺し合いにおける初対面の相手に対する発言ではないだろう。
 それだけは分かる言葉を発しながら、白と紫の服に紫の仮面をつけた青年だ。
 仮面越しでも随分端正な顔立ちをしているもので、寧ろ隠す理由があるか怪しい。

「ああ、構わないとも。」

 これも宇宙の帝王の声からありえないような言葉で返す。
 元より公園のベンチ。所有物でもなんでないのだから。
 青年は反対側の端へと座り、沈黙が暫く続いた。
 戦いに発展することなく、ただ静かに時間が過ぎる。

「戦わないのか?」

「戦っても、生き残れそうにないからな。」

 だろうな、とは内心で北岡は思う。
 こっちは宇宙の帝王の身体だ。使いこなせずとも、
 そんじょそこいらの連中に後れを取ることはないだろう。
 けどそんな情報を提供することなく話を進めていく。

「もしかして、外れの身体か?」

「いや。強さは雑兵を無双できるぐらいの一騎当千でもあるようだ。」

「……それなら多少は頑張れるんじゃないのか?」

「無理に戦えば、血反吐を吐くほど病弱な身体でもあるらしい。」


831 : 取捨蘇生 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 00:17:21 nHym/M2.0
 ああ、そりゃ手遅れだな。
 長期戦になれば、スタミナ切れで負けるのは目に見える。
 三日想定の戦いだそんな身体では。いくら一騎当千でも無理だ。
 彼だけ強い身体が支給されてないのは、自分自身がその証明となる。
 惑星を破壊できる、人類数十億を即座に皆殺しできると比べれば。
 もっとも、そんな力が発揮できるような力はあるようではないが。
 こんな時間制限の月をも容易に破壊できる身体を支給してるのだから、
 弱体化は勿論のこと、使いこなせないだろうと踏んでの事なのは分かる。

「───だからと言って、私は死にたいとは思わない。」

 彼は野心はあるにはあったが、別に大それたことは考えてなかった。
 ただ、同じように寿命の短い同胞と共に寿命が延びる場所を目指しただけだ。
 多大な犠牲を、嘗ての同胞すら断腸の思いで手にかけて、最後にはヴァルキュリアも倒して。
 古代文明の遺産へと手を伸ばそうと必死に足掻いた。生きたい、それだけの夢を目指し。
 何処までも希望なき生。せめて最期ぐらいは安寧を求めた果てが、この戦いである。
 自分の死に、運命に抗う手段すら行使することを許されなかった。

「死にたくない、ね。」

 不老不死を求めたから分かるものだし、
 仮面越しの瞳は今まで見続けてきたものだ。
 高い医療費を払えず、満足な治療を受けられない病人のそれと同じ。
 だからなのだろうか、ちょっとばかりシンパシーと言うものはある。

「ま、病弱だって言うなら……ちょっとだけ手伝ってあげるよ。」

 少しだけやる気が出てきた。
 ベンチから席を立ちながら数歩歩く。
 キュピ、キュピと靴ではなく裸足ゆえに独特な足音だ。

「いいのか? 俺に払えるものなんて何もないぞ。支給品にも金目になるものは……」

「ああ、いいよ。特別料金として今回だけただで。
 優勝か脱出か、どっちかは別としてお前を生かすさ。」

 北岡は決していい人間ではない。
 彼に弁護されることは自分達は黒ですと認めるようなもの。
 それぐらいにとんでもないことをして無罪を勝ち取る弁護士だ。
 恨みを買うのは勿論で、浅倉につけ回されてるのもそれになる。
 けれど、彼は同じように病に苦しむ人間に対しては善良な人物だ。
 治療費が払えない病人の為に、大金をポンと寄付するぐらいに。

「会ったばかりの人間を、何故助けようと思える?」

 名前も、出自も、何一つ分からない。
 ただ日常で席が隣だっただけのような間柄だ。
 自分が、ただ心の弱い人間を装ってるだけかもしれない。
 そんな可能性だってあるのに何故そんな行動に出られるのか。

「弁護士は、会ったばかりの人間を弁護する仕事だからだよ。
 さて、この北岡弁護士の弁護ならぬ援護を受けるおたくの名前は?」

「……名前はない。あるとするなら───エレクトロゾルダートと言う総称ぐらいだ。」

 エレクトロゾルダート、直訳すると電気の兵士。
 使い捨ての戦士にあてがわれた、クローン兵士の総称。
 使い捨てられ、最後は戦車の材料行きの存在などに名前などない。

「じゃあ君───今からゾルダで。」

「え。」

 突然の名前に困惑する。
 ゾルダ。兵士の意味は変わらない。
 けれど、何故だか悪い気はしなかった。
 兵士だからゾルダではない。自分だからゾルダの名前を賜ったような。
 何故だか、そんな気がしてならなかった。

「何かその名前に思い入れがあるのか?」

「まあ、ちょっとね。」

 吾郎ちゃんだけじゃないよな。
 俺とずっと戦ってきたのは、たとえ貰い物だとしてもあいつでもあるわけだし。
 なんてノスタルジックなことを考えながら、北岡はそのまま歩きだし、
 ゾルダの名前を貰った名のある兵士は後ろへとついていく。

【北岡修一@仮面ライダー龍騎】
[身体]:フリーザ@ドラゴンボール
[状態]:ちょっと無気力でナイーヴ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:今更不老不死求めても、ねぇ。
1:かといって殺し合い抗って死にたいかって言うのも、なぁ。
2:病人には優しつもりだよ、俺は。
3:とりあえず今はゾルダを弁護ならぬ援護をするってことで。
4:今から君(エレクトロゾルダート)、ゾルダね。
5:浅倉がもしいたら決着をつける。

[備考]
※参戦時期はTV版、ソファで眠った後(死亡かどうかはお任せします)。
※肉体の参戦時期は悟空に敗れてからですが、肉体はメカではありません。
 姿は第一形態です。時間が経てば形態を変えられます。
※尋常じゃないレベルで戦闘力が落ちています。
 並の人間でも格闘戦で負ける恐れがあります。


832 : 取捨蘇生 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 00:17:39 nHym/M2.0
【エレクトロゾルダート@エヌアイン完全世界】
[身体]:竹中半兵衛@戦国BASARA
[状態]:病
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本方針:生きたい。だが戦うのは……
1:彼(北岡)と行動する。
2:必要なら戦うが……不安だ。

[備考]
※参戦時期はヴァルキュリアを倒した後、
 それを倒したエレクトロゾルダートの個体です。
※肉体の参戦時期、媒体は現時点では不明。
 アニメ、ゲームどちらでも問題ありません。
※無理に戦えば吐血します。
※名簿にはエレクトロゾルダートと表記されますが、
 北岡からはゾルダと言う名前を貰いました。


833 : ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 00:18:05 nHym/M2.0
以上で投下終了です


834 : ◆an/2F3dSJg :2023/07/23(日) 00:26:19 .7RXc6jE0
投下します


835 : 今はただ、この一瞬を。 ◆an/2F3dSJg :2023/07/23(日) 00:28:25 .7RXc6jE0
あの鎧たちの中身も、このような感じなのだろうか。
その者は、元々の自分の体より一回り二回りも大きい体を手に入れてしまい、困惑を露わにしていた。

しばし呆然としていたが、グズグズしている場合ではない。今は現状の確認が第一だ。
あの魘夢というやつ曰く、肉体の情報を知る手段が支給されているらしい。

ピンクの手鏡を構えると、鋭い視線と横一文字に伸びる傷が目に入った。
鏡に映ったそれが自分の顔だと分かっていながらも、一瞬ひるんでしまう。

続いてタブレットに手を伸ばす。その体の持ち主の名は宮沢鬼龍といった。
「怪物を超えた怪物」「悪魔を超えた悪魔」といった物々しい二つ名が記載されている。
灘神影流活殺術に精通しており、その世界では上位の強さを誇るとのことだった。
このタブレットをいじる腕の逞しさに目をやれば、あながち誇張でもないと理解できる。
もしこの者がキメラであったなら、自分たちは果たして無事でいられるだろうか……

眉間に皺を寄せたその時、腹部から空腹を訴える音が鳴り出した。
呑気に食事している場合ではないかもしれないが、こういう時こそ平常心が大切なのだと食料を漁る。
リュックに手を突っ込み、紙に包まれた食料を引きずり出す。紙には「ハンバーガー」とアルファベットで記載されていた。
普段湧きドコロで目にするそれは自分の体を優に上回る大きさなのだが、今では片手にすっぽりと収まってしまう。

「白トリュフをたっぷりふりかけたキャビアの握り飯」が好物のようである鬼龍は好みとしないだろうが、
構わず一口齧り付く。
パティを包み込む酸っぱいケチャップやパサついたバンズに口の中の水分を奪われながらも、無心に咀嚼し、飲み込む。
同様に二口目にありつき、ハンバーガーはあっという間に半分になってしまった。

酒とはいかなくとも、何か飲み物も欲しい。
『微糖SPECIAL』と記された金色のコーヒー缶が目に入ったので取り出す。

そういえば、草むしりで出会った子に餞別として缶コーヒーをあげたことがあった。
もしあの子はじめ自分の知っている者も呼び出されていたとしたら……

不安な感情を引き裂くように、思い切りタブを引き上げコーヒーを流し込む。
ハンバーガーで渇いた体が、みずみずしさとほろ苦さで満たされていく。

血が滾るような高揚感を、肺から喉へ、口へ、思い切り吐き出した。


「はーっ」


【くりまんじゅう先輩@なんか小さくてかわいいやつ】
[身体]:宮沢鬼龍@タフシリーズ
[状態]:健康
[道具]:基本支給品(食料1/4食分消費)、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1.とりあえずこのハンバーガーは食べきる。
2.自分の知り合い達が呼ばれていないか心配。
[備考]
※参戦時期は未定。


836 : ◆an/2F3dSJg :2023/07/23(日) 00:29:30 .7RXc6jE0
投下終了です


837 : ◆0EF5jS/gKA :2023/07/23(日) 00:32:25 uPhnQwIA0
投下をします。


838 : ◆0EF5jS/gKA :2023/07/23(日) 00:33:29 uPhnQwIA0
少年、継国縁壱は自分に与えられた肉体に心底驚愕している。
元の体の人種とは異なる肌の色、
あどけなさを感じる子どもの身体とは対照的な筋骨隆々の偉大な肉体。



だがそんな上記の特徴が心底気にならなくなるほどインパクトがあり
最も注目を奪われたのは肉体の下の中央。



雄なら誰もが付いている男根であった。
これでもかというほど驚愕するだけあって普通の男根とはあらゆる次元が違う。
なんと重さ約250貫(約1トン)の生き物すら一切の苦も無く
持ち上げられる偉大な根だという。

とても信じられない、普通に考えても、多少ひねって考えてみても
信じることなど到底不可能。
縁壱は思わず、元の子どもの体の男根で物を持ち上げる想像をしたがやはり無理がある。
まだ短く未熟な根では持ち上げられず
重さに耐えきれず股間が最悪の場合壊れてしまいそうだ。

というかなぜ男根で物を持ち上げる必要があるのか
欠損しているならともかく、このキンターマンの両腕は健在なので
普通に持つべきではないのだろうか。

荒唐無稽にもほどがあるが、
疑いと同時に興味もある、
男根が本当に約250貫(約1トン)を持てるほどの馬鹿力が宿るのか。
めちゃくちゃだが、本当に持つことができればそれはそれでなんだか面白いように思えた。

なので無邪気な好奇心のままに縁壱は試してみることにした。

呼吸を整え、神経と血の巡りを落ち着かせ
全身の力を男根の一点に極限まで集中させる。
人は全身の力を普段は抑えており、全体の三割しか引き出せない。

しかし縁壱は生まれ持った特殊な呼吸法で規格外の膂力を極限以上まで上げられるのだ。

「信じられない」

でたらめでもなんでもなかった、男根に凄まじい馬鹿力が宿るのは事実のようだ。
活力が込められた男根は棍棒のように野太く厳つく勃起し、
紅蓮を思わせる熱い色に染まり、
強大さを主張するかのように血管がびっしりと浮き上がった。
すごいと思った。

「やはり世界は広く、大切なものなんだ。」

本来なら寺へ向かうはずの縁壱だったが
初めて三畳の畳のへやから生まれて初めて自由の身となって
開放感と世の広大さに打ち震えるほど高揚するあまり一心に地平を駆け抜けた。

この力ある男根を見た感動は、あの走った際の高揚感に極めて近いものがあった。

やはりこの世は美しくありとあらゆるものが尊い、
兄上と母上が教えてくれた人の温かさと優しさ、
そしてこの男根のような触れたことのない未知への驚きと感動が世界に溢れている。

だから優しくも温かい世を澱ませ悲しみを降らせてはいけない。
あの厭夢という人物が行おうとしている殺し合いはまさにそれに当てはまる。

殺し合いを宣言する邪悪な言葉、天から大地に向けて禍々しい面構えで睨む月。


839 : ◆0EF5jS/gKA :2023/07/23(日) 00:34:36 uPhnQwIA0

まだ幼い継国縁壱を恐怖させる外的要因は多々あったが
怖いものに屈しているだけでは尊いものはきっと踏みにじられるだけだ。

後に鬼狩りの全集中の呼吸の創設者となる少年は
殺し合いと厭夢を止める揺るぎない意思と、
この肉体を元の持ち主であるキンターマンに返すと心に決めた。



その決意と同時に、いつまでも男根を勃起させるのは
端から見れば品がなく、卑猥に見えるので
呼吸で再び肉体の脈を制御して男根を縮小させた。

次に勃起させるのはまた必要となった場合だけである。

【継国縁壱@鬼滅の刃】
[身体]:キンターマン@キン肉マン
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いと厭夢を止める
1:まずは他の参加者と出会いたい。
2:殺し合いにのった参加者は説得か強行手段で無力化する。
3:2の状況になっても命を殺めたくはない。
[備考]
※継国家を出て空の下を走りぬけた後に
うたに会う間からの参戦です。


840 : ◆0EF5jS/gKA :2023/07/23(日) 00:35:24 uPhnQwIA0
投下は以上となります、SS名は「未知への大きな大きな思い 〜やはりこの世は美しい〜」です。


841 : ソロモンの悪夢 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 01:32:10 nHym/M2.0
投下します


842 : ソロモンの悪夢 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 01:32:52 nHym/M2.0
 殺し合いの為に生まれた舞台。
 そう書くと物騒であり、事実物騒なのは間違いない。
 雪原は参加者の体力を奪い、森林は参加者の目を欺く。
 街は地の利を把握しやすく、海は人を島から逃がさぬかの如く。
 しかし、だからと言ってそこにある自然や景観が全て醜悪なものではない。
 森や海の自然、町並みだって当人の環境次第ではより美しいものに見える。

「おーすっごいおっきくて見晴らしいいっぽーい!」

 特に、戦いに身を置き続けてきたものにとっては。
 厳密には違うが、景色に声を上げるものだっているわけだ。
 草原から見える暗い大海原を眺めながら、少女は感嘆の声を上げる。
 いや、少女と呼ぶにはそれはあまり呼べるものではない背丈をしており。
 二メートル近くのモデルどころか、並みの男性さえも凌駕するであろう高身長、
 蒼と白銀の鎧越しでも豊満なバストを筆頭としたスタイルの良さは隠しきれておらず、
 見事なプロポーションを持ちながら、凛々しい青い瞳は見るだけで他者を圧倒できる。
 男性、女性問わず惹かれて然るべき、ティアラの装飾品のような角が生えた女騎士の姿。。
 だから、子供っぽい言葉を大人びた声色で出すこの光景は何とも言えないシュールさがある。

「戦艦の人でも、こうも大きい人はいなかったっぽい?」

 全身を見やりながら彼女、艦娘こと夕立はそう呟く。
 駆逐艦は基本的に小学生の体躯で、小柄な存在になるのが定石。
 なので突如として戦艦か、それ以上のサイズから見る景色は珍しく見えてしまう。
 椅子の上に立ってから見なければ、きっと見れないであろうその景色は爽快感がある。
 もし戦艦の武蔵に憧れていた駆逐艦の清霜がこれを体験したら、どんな気分だったのだろうか。

「っと、鎧はなんとかつけたけど楽しんでる場合じゃないよね。」

 今の姿を少し堪能したあと改めて状況を整理する。
 艦娘と言う大分非科学的な存在ではあるので順応は早い。
 人類が深海棲艦から制海権を奪還する、人類の味方が艦娘の仕事。
 ならば答えは最初から決まっている。殺し合いなんてものはしない。
 けれども、深海棲艦がいたとしてもそれは人の身体の可能性もあるし、
 逆に深海棲艦の身体にさせられた人だっている可能性もあるわけだ。
 こんな半端な気持ちで動くべきかと、少しばかり疑問に思ってしまう。

 最悪それは人質だ。
 誰かに手を汚させるわけにもいかず、
 かといって深海棲艦の味方もできない。
 そういったとき、ちゃんとした判断は取れるのか。
 重巡洋艦や戦艦、空母のような冷静な考えはできるのか。
 どうあっても子供に近い駆逐艦には、その判断は少し難しい。
 いくらソロモンの悪夢を見せると言った好戦的な発言が多くある彼女だが、
 根はどちらかと言えば子供っぽいものだ。何なら提督と言う飼い主に褒めてもらいたい子犬。
 冷酷無比ではない彼女に、合理的だったり最適解な判断を取れと言うのは酷な話だ。 

「……ダメダメ! こんなの夕立っぽくなーい!」

 暗い気分になるが首を横に振り、頬をパチンと叩いた後両手を空へと伸ばす。
 容姿端麗で麗しい声色の騎士がすると、流石に不格好が過ぎる光景だ。

「このバーゲストって人だって、きっと守ることを選ぶよね!」

 妖精騎士ガウェイン、またの名をバーゲスト。
 妖精國と言う、夕立とは別の世界で國に尽くしてきた騎士。
 強者は弱者を守るべきものとする、騎士らしいとも言える人物の身体だ。
 それが過ぎて弱者を侮ることもあったそうだが、基本的には根は良い方になる。
 砲雷撃戦とは全く違う剣での戦術だし、体格も違いすぎて色々不便なのは間違いない。
 ただそれでも、妖精騎士は女王モルガンから円卓の騎士の名と霊基を賜った存在だ。
 単純に戦うだけでも、きっと強いのだろうと言うことはなんとなく予想できる。
 だったら一人でも多く人類を守る。それこそが彼女の、艦娘のするべきことだ。

(でも、こんなことなら天龍や木曾とかに剣とか習った方が良かったっぽい?)

 深海棲艦と接近戦なんてすることなんてまずないので、
 当然剣の心得なんてものはない。肉体の経験でなんとか頑張るしかない。
 どこか呑気に思いながら、暫く海の上は走れないことを惜しみながら夕立はその場を去った。
 太陽の騎士の名を賜った騎士の艦娘は、人々に平和な朝を迎える為戦いに挑む。


843 : ソロモンの悪夢 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 01:33:27 nHym/M2.0
【夕立@艦隊これくしょん-艦これ-】
[身体]:妖精騎士ガウェイン(バーゲスト)@Fate/Grand Order
[状態]:健康
[装備]:妖精騎士ガウェインの鎧@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしないっぽい!
1:がんばるっぽい……けど剣とかないとだめっぽい?
2:宝具? の角は使うのは、気を付けないと危ないっぽい?
3:同じ世界の仲間や身体の人がいたら合流したい。
4:■■■■■(■■■)。
※参戦時期の概念はほぼありません。
 ただし少なくとも改二改修を受けています。
 名簿に夕立か夕立改二になるかは採用された場合にお任せします。
※姿は第一再臨のものとしています。鎧の中は第二再臨です。
※肉体の参戦時期は■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■───


844 : ■■■の悪夢 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 01:34:02 nHym/M2.0
以上で投下終了
しま


























 罪滅ぼしに命を絶つのかい?
 気持ちは分かるけど、まあ落ち着いて。
 妖精の中でも随一と言える、高潔な君が自決とはあまりに悲しい。
 契約をしよう、バーゲスト。君が呪いを受けるには、まだすこし刻が早い。
 この記憶にフタをしてあげよう。君の心の中で、いつまでも彼は生きているように。
 なに、辛くなったらこの部屋に戻ってくればいい。
 彼の最後の日を、夢のように繰り返そう。

























 そう、これは夢の終わり。


845 : 妖■■の悪夢 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 01:34:54 nHym/M2.0
 此処にあるのは、高潔な騎士の物語はではない。
 惨めで、滑稽で、どうしようもなかった哀れな騎士の物語。

 バーゲストは、騎士としては立派な方だったのだろう。
 敵の時は残忍な手段や冷酷さはあった。森を焼き払う行為すら厭わない。
 それでもだ。曲者だらけの妖精國の中では、大分常識的な部類になるだろう。
 ある妖精騎士でさえ彼女が謹慎処分を受ければ『バーゲストの代わりはいない』と言う程に。
 容姿端麗、才色兼備。バーゲストを表するのであれば、恐らくそれがとても似合うと言える。

 ───けれど。彼女は立派な志を持つからこそ壊れた。壊れてしまった。
 彼女は自分の領土の妖精を、そして恋人のアドニスを守りたいと願ったのだ。
 妖精國の女王であるモルガンは妖精國ブリテンを守ってきた。長い間、途方もない時間の間。
 一代の女王として君臨し続けてきたのだから、それがどれだけの偉業かは語るに及ばず。
 しかし、彼女が守っているのは國だけだ。そこに根差す民たる妖精については守る気がない。
 弱者は守るべき存在とするバーゲストにとって、その行為について疑念を抱いていた。
 だから妖精國の敵たるカルデアへと協力……いや、邪魔をしない形で反抗を選んだ。
 その代わりとして、汎人類史の世界へ妖精達を連れて行くと言う約定を結んで。
 激戦だったが無事その反乱は成功に終わり、約定もまた無事結ばれるはずだった。
 だが、待っていたのは地獄と言う言葉で片づけることのできない程の連鎖。
 自分を戒めるつもりの鎖を皮肉るかのように、繋がり続ける悲劇の連鎖。

『マンチェスターに……私は、あの街の領主として……』
 
 突如として、ブリテン中に起きた大厄災。
 モースの毒に侵されようとも、彼女は独り戦い続けた。
 次々と現れる敵を斬り倒し、逃がそうとした仲間を喪い絶望しながらも、
 自分の傷さえも顧みることなく、せめて自分の領地の者だけでも守らねばと。
 なんとか自分の領土へと戻り───彼女は見た。見てしまった。



『え───』

 地獄を見た。
 そこには、自分が庇護する民は残っていた。
 笑いながら民が、妖精が人間を■■にしている。

『さあ行こう、すぐ行こう!
 人間達のたくさんいる外の世界にひとっとび!』

『もうすぐ引っ越しだ、古いオモチャは始末しろ!』

 地獄を見た。
 人間の手足をもぎ、腸を引きずり出す妖精。
 妖精が変質した敵となるモースなどではなかった。
 それは、自分が守り続けた領民達が自らの意志で行ったこと。

『最初の鳴き声が最高だね! その後の鳴き声はよくないね!』

『楽しいぞ楽しいぞ、きっと何十倍も楽しいぞ!』

 地獄を見た。
 妖精が人間を■している。罪悪感など欠片もない。
 まるで、無邪気な子供が玩具で遊んでいるかのように。

『遊ぼう遊ぼう、人間たちで愉快になろう!
 漂流物で読んだことがある! こういうのって、悪魔っていうんだよね!』

 ───結論を言おう。
 彼らは、守るべき存在などではなかったのだ。
 妖精とはそういう存在だ。例外はあるにはあったものの、
 妖精國の妖精の大半は、自己の気まぐれや都合を優先して行動を起こす。
 森に迷い込んだ人間を、当人の意思を問わずバラそうとしたりと言ったように。
 ある意味、その身勝手さは『はじまり』から続くものではあるのだが……とにかく、
 彼らは自由気ままに過ごしているだけだ。それが人間からしたら醜悪で、惨酷でも。
 これもその一つに過ぎない。彼らは別に虐殺も、処刑も、殺人もしてない。
 彼らは───遊んでいるだけだ。人間を使って。

『責任を取らなければ。』


846 : 妖精■の悪夢 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 01:35:31 nHym/M2.0
 それだけでも十分、バーゲストの精神に来るものはあっただろうが、
 バーゲストの恋人のアドニスは既にいない存在だ。領民が殺した? 否。
 とっくに、バーゲスト自身が昔に喰った。愛した者を喰らう、バーゲストの呪いとも言える本能。
 相手が好みの強者でも喰い殺す。だから彼女には、長い間恋人ができたとしても最期は喰い殺して独りになる。
 そんな中、新しい恋人のアドニスは病弱で弱い少年。彼女の言う強者とは無縁だ。だから喰い殺すことはなく過ごせた。
 けれど、彼女は彼をも喰い殺した。恐らくは満足に動けずとも、懸命に生きる心を『強い』と認識したのかもしれないし、
 或いは死期を悟ったアドニスが自らその身を差し出したのか。どちらにせよ、その理由は語られることはないが結果として、
 弱小なる存在であるはずの彼ですら食い殺してしまい、彼女の精神はついに限界を迎えた。
 そんな彼女を、ある人物が記憶操作することで今日までやり過ごしていた。
 あの最後の日を、夢のように繰り返し続ける形で。

『決して外の世界に出してはならない。』

 それを覗き見た領民の妖精たちは、
 アドニスを保護しながらも、最後は喰い殺す彼女の光景を見てそれを真似た。
 彼女が領地で目の当たりにした光景とは、即ちバーゲストを真似た『ごっこ遊び』でしかないのだと。
 領民の妖精はやがて外の世界……カルデア達の汎人類史でも、同じように人間達を扱おうとしていた。
 この妖精國には、彼女が守るべきものも、正義も、救いも。はなから何一つとしてなかったのだ。
 だからこそ切除される。異聞帯(ロストベルト)、過った選択や繁栄を辿り行き止まりとなる人類史。
 悪を切除し続けるだけの人類史、僅かな人類を管理するだけの人類史、この世界はそれらと同じ存在。
 その一つとなりうるだけの光景を、彼女は身をもって経験したのだから。

『この邪悪な生き物を。一匹のこらず、殺さなくては。』

 何も守れなかった彼女───いや、そも守るべきものさえなかった。
 マンチェスターの妖精を全て殺し、まだ残っていた人間をも喰い殺し、
 やがて獣の厄災となり妖精國を蹂躙する。そんな姿へと至る前の、
 まだ辛うじて人の姿を保っていたバーゲストの身体へと夕立は入れられた。

 今の彼女には妖精を殺すと言う、
 肉体の奥底から来る殺意に自覚は全くなかった。
 妖精となりうるものを見たら、無意識に殺しかねないことにも。
 妖精と言えば、概ね小さい羽が生えた小人を指すので基本少ないのでは?
 そう思うかもしれないが、ゴブリン、ケット・シー、グレムリンなども妖精だ。
 言ってしまえば、日本における妖怪も西洋風に言えばそれは『妖精』とも言えるだろう。
 つまり、彼女は妖精と誤認した相手を、善良だろうと殺害対象にしかねない危険性を持つ。
 妖精騎士と言う立場の都合、多種多様な妖精を見てきしまったので彼女ならなおの事。

 加えて、彼女が悪夢のような惨劇を前にすれば。
 もし、彼女が守るべきものを守れなかったのであれば。
 ソロモンの悪夢は、やがて獣の厄災となりこの舞台へ降り立つだろう。
 人面の月が見下ろすこの場における悪夢となって。

 此処にいるのは、狂犬だ。
 ソロモンの悪夢を見せた狂犬であり、
 妖精國を蹂躙せんとした、黒い狂犬ただ一匹。

【夕立@艦隊これくしょん-艦これ-】
[身体]:妖精騎士ガウェイン(バーゲスト)@Fate/Grand Order
[状態]:健康、元の身体の精神疲労(超絶大・夕立自身は完全無自覚)、妖精に対する殺意(夕立は無自覚)、魔力喰い発生
[装備]:妖精騎士ガウェインの鎧@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(剣の類はない)
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしないっぽい!
1:がんばるっぽい……けど剣とかないとだめっぽい?
2:宝具? の角は使うのは、気を付けないと危ないっぽい?
3:同じ世界の仲間や身体知り合いとかがいたら合流したい。
4:妖精は殺す(夕立自身は無自覚)。


847 : 妖精國の悪夢 ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 01:36:13 nHym/M2.0
[備考]
※参戦時期はゲーム版の為概念はほぼありません。
 ただし少なくとも改二改修を受けています。
 名簿に夕立か夕立改二になるかは採用された場合にお任せします。
※姿は鎧の都合第一再臨のものとしていますが、鎧の中は基本第二再臨です。
※肉体の参戦時期は29節、マンチェスターの妖精や人間を殺した直後です。
 アヴァロン・ル・フェのバーゲストであるためサーヴァントではありません。
 その為、魔力が切れると言った理由で消滅はしないため魔力供給も必要ありません。
※魔力喰いは抑えてないので勝手に発生していますが、現状では大した量は奪えません。
※捕食する日輪の角(ブラックドッグ・ガラティーン)はそのうち使用可能です。
※妖精かそれに該当する容姿等をしていた場合、攻撃する恐れがあります。
 現時点では夕立がバーゲストになったばかりなので起きることは稀です。
※惨劇や悪夢などによって深い絶望をする場合、獣の厄災となります。
 なった場合、元のバーゲストには通常の手段では戻ることはできず暴走します。

【妖精騎士ガウェインの鎧@Fate/Grand Order】
夕立に支給、と言うよりデフォルト装備。
妖精國でエクターと言う鍛冶師が作った鎧。
曰く一番やりがいのある仕事だったとのことで多分頑丈。
一方で彼女の特性も合わさることで鎧は結構窮屈とのことでもある。


848 : ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 01:36:48 nHym/M2.0
以上で投下終了です
タイトルですがWIKIに収録の場合「■■■の悪夢」でお願いします


849 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 01:44:04 sZCYrSSE0
投下します


850 : こなたクラブ ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 01:44:15 sZCYrSSE0
「私の…私のアイデンティティがァァァァァ!」


【泉こなた@らき★すた】
[身体]:戦場ヶ原ひたぎ@化物語
[状態]:健康 ショック(大)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:ぬぉぉぉぉぉぉ!アイデンティティが消えたァァァ!
2:みんなはいるのかな…


851 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 01:44:33 sZCYrSSE0
投下終了です


852 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 02:34:19 sZCYrSSE0
出来上がったので
投下します


853 : 思うもの、思われる者 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 02:34:37 sZCYrSSE0
「はぁ…はぁ…」
少年は息を荒げながら坂を上がる。

「しおは…しおは居るのか…」
早く見つけないと…あの女に毒される…ま…え…に…

ドタッ

――――――――――


意識が戻ったのはほんの一瞬だった。
自分と同じ体力がない貧弱な男性の体になった。
そして、横にいたのは――

「あっ、大丈夫でさ…?」
金髪のきれいな女性だった。

「あの…その…」
「あ…いや!別に殺そうとか言う訳とかじゃなくて…そこに倒れてて。」
俺はこの人に介抱されてたことに気づいた。

「本当にすいません…ありがとうございます。」
「あっいやぁ…うん、ありがとう…」
互いに例を言い合った。

「…俺、神戸あさひっていいます、あなたは…」
「あっ、うちはちせってゆうねんや、よろしくな…」
「あっ、よろしくお願いします…」

この人は信用して大丈夫――心の中で理解できた。


――――――――

(この子、うちのこと理解してくれてるかな…)
かつてのちせの生は、国の機密兵器だった。
ただ、それでも愛してくれる人が、一人いた。

(シュウちゃんみたいに身体は強くないけど、同じくらい芯が強い…信頼できるかもしんね…)

――――――――
「あの、それじゃあ。」
「あっ…うん、行こか。」

彼らは、人一倍信念が強い。
たった一つの願いを手にするため。

(待ってろ…しお!)
(今戻るべ…シュウちゃん。)


【神戸あさひ@ハッピーシュガーライフ】
[身体]:ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:もしいるならしおに会いたい、殺し合いはしない
[備考]
※参戦時期はマンション襲撃前。
ギアスが使用可能は書き手様に任せます。

【ちせ@最終兵器彼女】
[身体]:シェリー・ベルモンド@金色のガッシュ!
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:シュウちゃんのところに帰る、殺し合いはしない。


854 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 02:34:51 sZCYrSSE0
投下終了です


855 : ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:10:46 EsmN7WLY0
投下します


856 : DON'T STOP SO "CROSS-Z" ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:11:37 EsmN7WLY0
「見てよお兄さん、この瓢箪お酒が無限に出てくるんだよーすごくない?」

「よくこの状況で酒が飲めるなお前!」

「やだなー今シラフに戻ったら『どうして私がこんな目に……』って正気に戻ってふさぎ込んじゃうよ?」

「ツッコミにくいボケかますのやめろよ!」

バイクの後ろに二人乗りしている女に思わずツッコミを入れる。
……思わず助けちまったけど、もしかしてこの女ヤバいやつじゃねーか?
内心、万丈は不安を隠せなかった。

普段、戦兎が使っているバイクを全速力で走らせる。
使い慣れたナックルとはいえ、手にそれを握った状態での片手運転は不安定だ。
スカイウォールの垂直な壁も平然と走行できる戦兎のバイクでなければ、すぐにバランスを崩していたかもしれない。
でも今はそんなこと言ってられる状況じゃない。アイツがまだ追いかけてきているのは音で分かっている。

他に何か使えるものはないか、と今のうちに自分のデイバッグを漁る。
だが、クローズマグマナックル以上に使えそうな支給品は見当たらなかった。
先ほどの戦闘で相手がライダーに変身しているのを見た万丈としては、これだけでは心許ない。

その最中、偶然目に留まった体の持ち主のプロフィールを見る。
どうやら元の体の持ち主は、まだ20にも満たない少女のようだった。
そりゃいつもより動きづらくて当然だな、と納得する。

何やらいろいろ少女のプロフィールが書いてあったが、この状況では小難しい情報は万丈の頭に入ってこなかった。
別にバカだからではない。全速力でバイクを運転しながらこんな情報を読み込むのは誰だって不可能だろう。断じてバカだからではない。

そんな状況で最も万丈の目に入ってきたのは、片隅に記載してある漫画のようなイラストだった。
赤髪の少女と紫髪の少女が漫才のような掛け合いをしている。紫色の方が、プロフィールに記載されている少女らしい。
……決して文章よりも漫画の方が目に入ってきたわけではない。




『まあゆかりさんは天っ才ですから?』『うん?』



―――ははーん、さてはコイツ……バカだな!!




自分のことを天才などと自称するイタいやつは大体バカなのだ。
相棒の顔を思い浮かべながら勝手に納得した。
初対面の相手をいきなりバカ認定するんじゃないよ、というどこかの物理学者のツッコミが聞こえた気がしたがスルーする。
俺と初めて会った時、自分がなんて言ってたか思い出せってんだ。

「……ねえお兄さん、さっきの奴すごいスピードで追っかけてきてない?このままだと追いつかれそうだよ」

「あん?」

後ろの女にそう言われ、相棒との脳内コントを切り上げて後ろを振り返る。
……てっきり今まで、相手も同じようにバイクで追いかけてきているのだと思っていた。
その認識も間違ってるわけではない。エンジンが唸りを上げる音も、タイヤが地面を切りつけ音も、ちゃんと聞こえてくる。
問題は、バイクに『乗っている』わけではなかったこと。

「―――アイツ、自分がバイクになってやがる!?」

真紅の装甲や、ハンドルに変わっているベルトのバックルなど、確かに人型だった時の名残はある。
いや、でもそうはならねえだろ!!?あれで体平気なのかよ!?
エンジンか何かの出力の違いだろうか、そんなことを思ってる間にも奴との差が狭まっていく。


857 : DON'T STOP SO "CROSS-Z" ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:12:57 EsmN7WLY0



『なんで殺し合いに乗るのかって?お前さん、さっきの奴の話きいてなかったのか?』

『こいつぁ戦争なんだぜ?最後の一人になるまで殺しあうド派手な戦争だ!!』

『死にたくなきゃあ、殺すしかねぇだろうが!!!』

殺し合いを止めに入った後。
何故殺し合いに乗るのか、と尋ねた時のアイツの言葉が頭をよぎる。

―――戦争。二度と聞きたくないと思っていた言葉だ。
しかも、精神を他人の肉体に入れるという悪趣味さ。
自分は戦兎じゃないから、なぜ肉体をわざわざ入れ替えるのか?主催者の目的は?といった小難しいことはわからない。
それでも、これは止めなければいけない事態だというのはわかる。

「こっちもビルドドライバーが使えりゃ、反撃できるのによ……!」

それは不可能だ、とはさすがに万丈でもわかっていた。
ビルドドライバーを用いた変身には、ネビュラガスの注入し人体実験を受けることが必要になる。
今の体では、たとえ支給品にビルドドライバーが入っていたとしてもクローズには変身できないだろう。
わかっていても、歯痒かった。

「ドライバー?……お兄さん、それってもしかして―――これ?」

そう言ってデイバッグを漁る女。
正直女という脳内呼称もどうかと思ってはいるが、彼女の名前はわからず、アルコールに溺れているところから少女という年齢でもないので、暫定的に女とか彼女とか呼んでいる。

彼女が差し出したアイテムを見た。
―――思わず、眼球が飛び出しそうなほど目を見開く。何故それがここに。
ボトルを挿入する二つのスロット。右手側についている回転式のレバー。確かにビルドドライバーによく似ていた。
いや、その表現は正しくないだろう。正確には、ビルドドライバー『が』このベルトに似ているのだ。

なぜならビルドドライバーは、このベルトを元に作られたのだから。
そのベルトの名は―――



「―――エボル、ドライバー…………!」



これエボルトしか使えねえじゃねーか!!!
一瞬、そう叫びそうになった。だが、その直前で思い出す。
……違う。このベルトを使って変身していた人間が他にいたはずだ。

―――内海成彰。
アイツは人間用に調整されたエボルドライバーを使い、仮面ライダーマッドローグに変身していた。

……考えてみれば、この支給品は殺し合いの参加者にランダムに配られるものだ。
参加しているかもわからないエボルトにしか使えないアイテムを入れはしないだろう。
これは人間用に調節されたドライバーのはずだ。

どうやらご丁寧にボトルもセットで支給されているらしい。
エボルドライバーでの変身ならば、人体実験を受けている必要はない。
実際に内海も人体実験は受けていなかった故に、当初は新世界で記憶が戻らず、わざわざ戦兎のもとを訪ねてきたのだ。
……こうなったら、このドライバーにかけてみるしかない。

「わりぃ、それ借りるぞ!」

少し乱暴にドライバーを受けとり、バイクを横向きにドリフトさせて停車する。
奴が追いつくまで時間がない。急いで変身を完了させなければ。
少し離れているように彼女に伝え、敵を見据える。

「どうしたァ、逃げんのはやめたのか?そうこなくっちゃなァ!」

その状態でも喋れるのかよ!マジでどうなってんだそれ!?
気にはなったものの、口には出さずにベルトを腰に装着する。

―――『エボルドライバー!』

……普通のフルボトルも使えるなら、もしかしたらクローズマグマナックルも使えるかもしれない、とは少し考えた。
でもやめておく。そもそもこのベルトを使って変身すること自体が博打なのだ。
これ以上不安要素を増やさない方がいいだろう。

そう考え、ベルトと一緒に支給されていたボトルを見る。
……苦い顔になる。自分にこれを使っていた時の記憶はないが、良いイメージは抱けそうにない。
よりによってこれかよ、と思ったが……ドラゴンが混じっているのは、不幸中の幸いかもしれない。
そう思うことにして、一息にボトルをスロットに挿入する。


858 : DON'T STOP SO "CROSS-Z" ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:15:01 EsmN7WLY0



―――『ドラゴン』『ライダーシステム』『エボリューション!』



「―――ぐあっ!?」

瞬間、全身を高圧電流が流れていったと錯覚するような激痛が走る。
痛みに耐えきれず、片膝をつく。
ダメだったか……?と一瞬思う。だが、ベルトが腰から外れる様子はなく、変身待機音もけたたましくなっている。
昔、戦兎がスクラッシュドライバーを使えなかった時のような拒絶感はない。
そう思い返した時、万丈はこれに似た感覚を感じたことがあるのを思い出した。

初めてスクラッシュドライバーを使った時の感覚。それと、似ている気がした。
強すぎる力に、まだ体がなじんでいないような。それ故に体が悲鳴を上げているような、そんな感じ。
そういえば、内海が初めてマッドローグに変身した時も苦しんでいたのを思い出した。
しかもこの体の持ち主はこんな危険なもの使ったことがない、普通の少女だったはずだ。ある意味、当然の痛みだろう。



「―――遅え!!!」

その僅かな隙を、見逃してくれるような甘い相手ではなかった。
急加速した真紅のバイクが、万丈の目前まで迫っている。
普段の変身なら問題ない、僅かなタイムラグだっただろう。
でもそれは、一秒一瞬を争う刹那の攻防では致命的だ。

―――間に、合わねえ……!

痛みを押し殺して立ち上がり、レバーに右手を伸ばす。
だが、どう考えても変身が完了するより敵の突撃が万丈に直撃する方が早い。
空いている左手を咄嗟に前に出して、顔と体を庇う。

―――ガァン!!と甲高い衝突音が響いた。思わず目を瞑る。
……しかし、数秒経っても覚悟していた衝撃はやってこない。
どういうことだ、と疑問に思い恐る恐る前を向く。

万丈の瞳に映り込んだのは、自分と奴の間を隔てるように広がっている半透明の障壁だった。
よく見るとそれは真っ直ぐな壁ではなく、少し大きめの円形に広がって万丈のことを覆っている。
勿論、万丈が作り出したものではない。

一体誰が……と考えたところで、該当者は1人しかいないことに気付く。
後ろを振り向く。視界に飛び込んできた彼女は、先程まで持っていなかった何かを抱えていた。
ギターだろうか?ボディ部分が小型のハートに近い形で、水色を基調にしている。

音楽には詳しくないが、一般的なギターの形状からは逸脱しているように見える。
それこそ「ツナ義ーズ」の佐藤太郎が使っているような、普通の楽器ではないのだろう。
どちらかと言えば、子供向けアニメに出てきそうなデザインをしている。

「―――今の、うちに……っ!」

その言葉で我に帰る。
彼女の演奏音に合わせ、障壁も光っているように見えた。
彼女が展開しているのは間違いないだろう。それもいつまで持つかはわからない。
前に向き直り、改めてレバーに手を伸ばす。

痛みは少しずつ引いてきていた。これなら……いける!
レバーの回転に合わせて、甲高い変身音がドライバーから鳴る。
変身後に纏うための装甲が、万丈の前後に形作られていく。


859 : DON'T STOP SO "CROSS-Z" ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:16:43 EsmN7WLY0



―――『Are you ready?』



エボルトの皮肉げな声が尋ねてくる。
『俺のドライバーで変身する覚悟が、ホントにお前にあるのか?』
嫌味な声でそう言ってくるアイツの顔が目に浮かぶ。

上等じゃねーかよこの野郎。
誰のドライバーでも関係ない。
どんな力であっても、ヒーローが使えば、それは希望になるのだから。



「―――変身!」

―――『ドラゴン! ドラゴン! エボルドラゴン!』

―――『フッハッハッハッハッハッハ!』



装甲が万丈を挟み込み、黒い靄の様に混ざって変身が完了する。
変身前の状態が嘘のように、意識ははっきりしてる。
右手をグーパーと開いて閉じてみる。大丈夫、動ける。

「―――今の俺は、負ける気がしねぇ!!」

「ようやくお出ましかぁ!ライダーさんよぉ!!!」

相手がハンドルを回して、アクセルの出力を上昇させる。
障壁に徐々にひびが入っていく。加速力が増しているからだろう。
時間はない、チャンスは一度。一撃で決める!

―――『ビートクローザー!』

使い慣れた剣を召喚し、構える。
タイミングは障壁が耐えられなくなって砕け散る、その瞬間だ。
ドラゴンマグマフルボトルを取り出して、ビートクローザーのスロットに装填する。
剣を地面から水平にして剣先を左後方へ構え、持ち手の先端にあるグリップエンドスーターを引っ張った。

―――『スペシャルチューン!』『ヒッパレー!』

剣が技発動の待機状態に入る。……直後、まわりの壁が砕け散った。
それまで奴の加速力を抑えていた障害がなくなり、急加速を開始する。
……ここだ!

―――『スマッシュスラッシュ!』

今まさしく突撃しようとしていた敵の前輪に、左側から横薙ぎの一閃をお見舞いする。
そのまま、敵の推進力を右後方へと受け流し、敵を吹き飛ばした。
急加速による相手の前方向への慣性を、すべて自分の攻撃に加算させる。
ドラゴンマグマフルボトルによる超高温で、切れ味も増した強烈な一撃だ。

「―――なん、だとぉ……!?」

苦しげに驚愕の声を上げた敵が、後方の地面に直撃した。
激しい衝突音と、強制変身解除の音が万丈の耳に入る。
土煙で具体的なダメージまでは確認できない。それでも、戦闘継続は困難だろう。

「今のうちに撤退するぞ!」

「……あっ、お、オッケー!」

激しい攻撃の余波で茫然自失としていた彼女も、今の言葉で我に返ったようだ。
戦兎のバイクに乗り込んで、スロットルを吹かす。
後から追いついた彼女も後ろに飛び乗ったのを確認してから、アクセル全開で急加速した。


860 : DON'T STOP SO "CROSS-Z" ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:18:11 EsmN7WLY0




◇◇◇




「……ねえ、お兄さん。今更だけどさ、なんで見ず知らずの私のこと助けてくれたの?」

「あん?」

しばらくお兄さんの後ろで風に揺られたあと、思い切って聞いてみた。
さっきのおっかないアイツが追いかけてきてないのは確認してる。
さすがにそれを怠るほどは、泥酔しきってない。というか、いつもより酔いが回るの遅い感じもする。
身体の違いかなー?

「なんだよ、知らねぇのか?ヒーローが人を助けるのに、理由も見返りも必要ねぇんだぜ」

「ヒー、ロー……?」

いつの間にか変身を解いて元に戻っていたお兄さんは、そんな風にヒーローの心得を語ってきた。
……ヒーロー、か。……普段、ライブハウスでライブしてる時は、私も自分がヒーローだ!なんて錯覚したりする。
でも、打ち上げ終わって酔いつぶれて……路上の冷たい風と、ひとりぼっちで見上げる夜空から感じる憂鬱が、私を現実に引き戻す。
それを忘れるには、お酒を流し込むしかない。
……多分、お兄さんの言う『ヒーロー』はそういうのじゃないんだ。本物の、ヒーロー。

「……そっか、じゃあお兄さんは、今の私にとってのヒーローってわけだ」

「なんだよ急に。……ま、そう言われて悪い気はしねえな」

最初にここに投げ出されたときは、なんでこんなことに……って打ちひしがれもした。
支給品のお酒をがぶ飲みして、みっともなく現実逃避もした。

今は、ちょっとだけ気分が上向きになってる気がする。アルコールのせい、ってだけじゃないと思う。
やっぱり、お兄さんのおかげかなー。容姿はどう見ても高校生くらいの女の子なのに、不思議な感じ。
……そこまで考えて、私はこのお兄さんの名前すらまだ知らないことに気づいた。

「そういえば、お兄さん名前なんてゆーの?私は廣井きくり!」

「俺か?俺は―――『プロテインの貴公子』!万丈龍我だ!」

「え、ダサい…………」

右手の人差し指を天に向けてピンと伸ばしながら、二つ名……なのかな?を名乗った。
万丈のお兄さん、ネーミングセンスはないんだなぁ。
そんなことを思いながら、バイクの後ろで強めの涼風を感じていた。




【万丈龍我@仮面ライダービルド】
[身体]:結月ゆかり@VOICEROID
[状態]:健康 、疲労(小)
[装備]:エボルドライバー+ドラゴンエボルボトル+ライダーエボルボトル@仮面ライダービルド、ビートクローザー+クローズマグマナックル+ドラゴンマグマフルボトル@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1、マシンビルダー+ライオンフルボトル@仮面ライダービルド
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:助けちまったし、しばらく一緒にいた方が安全だろ、多分。
2:でも時折酒臭いんだよな……。
3:プロテインの貴公子はダサくねえだろ!
[備考]
※参戦時期はVシネマ『ビルドNEW WORLD 仮面ライダーグリス』終了後です。
※元の体ではないのでビルドドライバーでは変身できません。
※エボルドラゴンへの変身アイテムはセットでひとつの支給品となっています。(元の持ち主はきくり)
※クローズマグマナックルとドラゴンマグマフルボトルも同様にセットでひとつの支給品です。
※エボルドライバーでクローズマグマナックルが使えるのか確証が持てていません。


【廣井きくり@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:伊吹萃香@東方Project
[状態]:健康 、泥酔(小)
[装備]:ラブギターロッド@スイートプリキュア
[道具]:基本支給品、伊吹瓢@東方Project
[思考・状況]
基本方針:まだ、死にたくはないなー……。
1:ひとまずは、万丈のお兄さんと一緒にいようかな。
2: 私の担当、ギターじゃなくてベースなんだけどなー。
3:無限にお酒が出てくるのさいこー!
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。 少なくとも結束バンドのメンバーとは知り合った後です。
※鬼としての身体能力や『密と疎を操る程度の能力』は問題なく使用可能ですが、本人は泥酔しているので全く気づいていません。
※体の違いの為、元の体よりアルコールに強いです。


861 : DON'T STOP SO "CROSS-Z" ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:20:21 EsmN7WLY0



【エボルドライバー+ドラゴンエボルボトル+ライダーエボルボトル@仮面ライダービルド】
仮面ライダーエボル・ドラゴンフォームへの変身セット。
人間用に調整されたドライバーで、人体実験やネビュラガスの有無など、変身者の肉体の適性は問わない。
まとめてひとつの支給品扱い。


【ビートクローザー@仮面ライダービルド】
桐生戦兎が開発したクローズ用の剣型武器。
刀身の温度が上がるほど切れ味が増す特性を持ち、フルボトルを装填して使うこともできる。
このアイテム単体で支給されている訳ではなく、ドラゴンの成分を含むボトルでライダーに変身した場合に召喚できる武器という扱い。
その為支給品の括りとしては、上記のエボルドラゴン変身セットの中に含まれる。


【クローズマグマナックル+ドラゴンマグマフルボトル@仮面ライダービルド】
オレンジ寄りの赤で、大きめの拳の形をしたナックル。
そのままナックルとして使っても高い威力を誇るが、本来の使い方はドラゴンマグマフルボトルと合わせてビルドドライバーに装填する、仮面ライダークローズマグマへの変身アイテム。
エボルドライバーでも使用することが可能で、その場合現実でDXエボルドライバーとDXクローズマグマナックルを連動させた時と同じ変身音が鳴る。
だが、万丈はまだ使えるのか確証が持てていない。


【マシンビルダー+ライオンフルボトル@仮面ライダービルド】
桐生戦兎が使っているバイク。
普段はスマートフォン型のアイテム、ビルドフォンの形で小型化されているが、フルボトルを装填することでバイクへ変形する。
ハンドルの中心にあるスマートフォンの時と共通のモニターをタッチすることで、ヘルメットの召喚も可能。
その場に止まって一回転しながらの打撃攻撃、スカイウォールの垂直な壁を登り降りする、といった常識はずれな運転ができる。
ライオンフルボトルはバイクへの変形用としてセットで支給されている。


【伊吹瓢@東方Project】
伊吹萃香がいつも持ち歩いている瓢箪。
酒虫という、少量の水を多量の酒に変える生物の体液が塗布されている為、酒が無限に湧き出てくる。
ただし、一度に出てくるお酒の量は瓢箪のサイズまで。
実は武器としても使用可能。


【ラブギターロッド@スイートプリキュア】
キュアビートの使用するギター型の武器。
フェアリートーンが付属していない為浄化技は使えないが、ビートバリアやビートソニックなどの基本技は使用できる。


862 : DON'T STOP SO "CROSS-Z" ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:21:36 EsmN7WLY0




◇◇◇




「……ったく、とんでもねぇ力だな、仮面ライダーってやつは」

体についた砂埃を払って立ち上がる。
若干痛むが、行動には支障ない程度だ。
振り返って、自分が激突した地面を確認する。

―――そこにあったのは、巨大なクレーターだ。
もし生身でモビルスーツに吹き飛ばされたら、おそらくこんなクレーターができるだろう。
そんな規模の衝撃の痕跡だった。

この攻撃をダイレクトに受けたのに、自分の体は軽傷で済んでいる。
傭兵として戦場を渡り歩いてきたサーシェスの常識からすれば、あり得ない事態だ。
この体の本来の持ち主が特別頑丈、というわけでもない。

執行官だのシュビラシステムだのは聞いたことがないが、要するに主の指示で犯罪者を捕まえる猟犬だ。
ならば多少鍛えてこそいただろうが、普通の人間だったはず。
体の影響ではなく、自分も変身していたからこそ、この程度で済んでいるのだろう。

「ま、こいつの使い勝手がわかっただけでも大きな収穫だった……ってことにしとくか」

使っていたドライバーを眺める。
バイクのハンドル部分だけを切り拭いたような、奇妙なベルトだった。
珍妙な代物だが、これがなければ既にサーシェスの命はなかったことは間違いないだろう。



最初にあの女を見かけた時、その肉体の力は人間離れしていると肌で感じた。
何かデータがあるわけではない。ただ、長年殺し合いの場に身を置いていたサーシェスの傭兵としての勘だ。
だからこそ、ベルトの力を試すにもちょうどいいと思い戦いを仕掛けたのだ。

だがその精神は、戦いとは一切無縁の一般人だった。
あれでは、あの身体の秘めているだろう力も宝の持ち腐れだろう。
確かに俺は戦争が好きだが、弱い相手を一方的に嬲るのが趣味ではない。
せっかくなら強敵との白兵戦を望みたいところだ。

その点でいえば、あとから割り込んできたアイツは面白い。
先ほどとは逆に、肉体は何の変哲もない普通の少女のもの。
……その精神は、場数を踏んで戦い慣れした、おそらく男の物だ。

普段の自分の体との違いをものともせず、こちらを変身解除まで追い込んだ。
仮面ライダーというものへの、慣れと知識の差はあるだろう。
それでも、あの肉体であの戦闘力は驚異的だ。

「アイツみてえな奴がもっといるんなら、面白れぇ戦争になりそうだなぁ!」





【アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダム00】
[身体]:東金朔夜@PSYCHO-PASS サイコパス 2
[状態]:健康 、疲労(小)、ダメージ(小)
[装備]:アクセルドライバー+アクセルメモリ+エンジンブレード+エンジンメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:この戦争を楽しむ。
1:さっきのライダー……多分、女じゃなくてガキだよな?アイツを見つけたら今度こそ殺す。
2:でもま、ひとまずは参加者の情報を集めるべきか。情報不足で足元救われてちゃ元も子もねえ。
3:執行官、主人の指示通り敵を狩る猟犬……ねぇ。結局こいつも俺も、同じ穴の狢って訳だ。
[備考]
※参戦時期は本編2nd seasonのどこかです。詳細は後続の書き手にお任せします。



【アクセルドライバー+アクセルメモリ@仮面ライダーW】
仮面ライダーアクセルへの変身セット。
アクセルメモリの力を限界まで引き出すための設計がされており、アクセルメモリとエンジンメモリしか基本使用できない。
ドライバーとメモリのセットでひとつの支給品扱いとなある。


【エンジンブレード+エンジンメモリ@仮面ライダーW】
照井竜が使う対ドーパント用多機能型大型剣。
マキシマムスロットが搭載されておりガイアメモリのマキシマムドライブを発動することができる。
ただし重量が剣とは思えないほどあるため生身での使用には向かず、アクセルへ変身して使うのが前提となる。
専用のギジメモリであるエンジンメモリとセットで支給されている。


863 : ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 05:23:36 EsmN7WLY0
投下を終了します


864 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 09:00:01 sZCYrSSE0
投下します


865 : 海勇王 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 09:00:12 sZCYrSSE0
富――名声――力
このすべてを手に入れた男。
海賊王――ゴール・D・ロジャー
彼が最後にはなった言葉は、人々を海に駆り立てた!

――――――俺の財宝?
――――探せ!この世のすべてを置いてきた!

――――――世はままさに――

「はははははははは!おもしれぇ!これが後の世の俺かぁ!」

オレンジの髪、金色の鎧、それを纏った青年がいた。 
そしてその中身は――

「たっくあの魘夢のやろう、俺たちをこんなところに呼び出しやがって、挙げ句にカタギにも手ぇ出すなんて、許せなやつだぜ!」

新たなる世界の夜明けを作った男、海賊王。
ゴール・D・ロジャー。

そして、ロジャーは支給品の大剣を取り出す。

「さぁ!鬼退治と行こうかじゃねぇか!おでんの真似事だぁ!」

海賊王、ゴール・D・ロジャーは変わった。
「勇者王」の体になりて。

【ゴール・D・ロジャー@ONEPIECE】
[身体]:獅子王剴@勇者王ガオガイガー
[状態]:健康
[装備]:MMI-710 エクスカリバー レーザー刀
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:主催を打倒する。
1:ウォぉぉ!まっとれ魘夢ぅぅぅぅぅ!
2:とにかく、戦えねぇやつがいたら保護するか。
[備考]
※参戦時期は死亡後です

【MMI-710 エクスカリバー レーザー刀@機動戦士ガンダムSEEDDESTINY】
ソードインパルスに付属する武装。
元は対艦刀だが、支給品として回されたものは、人間用に扱えるよう、威力調整と小型化済み


866 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 09:00:53 sZCYrSSE0
投下終了です


867 : 勇次郎が強すぎるんでしょ ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/23(日) 09:34:50 D4atzm6.0
投下します


868 : 勇次郎が強すぎるんでしょ ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/23(日) 09:35:08 D4atzm6.0
「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」

 惨めさと無様さと哀れさのミックスされた声。こんな声を出すのは強き者に襲われた弱き者のみ、誰しもがそう思い、誰しもがそう考える。そんな声。
 しかし、声の主を見れば誰もが瞠目するだろう。
 声の主を一言で言えば、巨人。
 2mを遥かに超える巨躯、それに相応しい文字通り鉄でできているとしてもおかしくは無い太く強靭な骨。その骨格に支えられるのは、銃弾すら通さぬといっても信じられる程に分厚く硬く、その秘めたる力を解放すれば、地上のいかなる生物も屠れそうな筋肉 
 悠久の時を雨風に晒され続け、余分な所が全て削れ落ちた巌。それが人の形を得て動き出したと言っても、誰もが信じるだろう。凡そ、その肉体の何処にも、『弱い』というものが見出せない。そんな巨人。
 それが、逃げている。一心不乱に、後ろを省みる事もせず。
 獣じみた────というよりも、獣と人の合いの子といった風貌の異相を恐怖一色に染め上げて。
 
 「何で、どうして!俺が!負けるわけが!!」

 地響きを立てて走るその背中に、朧げに霞む影が吸い込まれた!!

 ドンッッ!!!

 「ぐぎゃあああああああああああ!!!!!!」

 優に200kfを超える巨体がゴム毬のように弾みながら地を転がる様は、明らかに現実味を欠いた光景で、特撮か幻夢を思わせる光景だった。
 
 「それ程の肉体を得ても、中身は喰うに値せぬ塵(ゴミ)かッッ!」

 無様に転がり、尻を突き上げて突っ伏した巨人に歩み寄る人影。十代と覚しい少女の姿。
 長身かつ鍛えられた身体付きだが、巨人と比べれば大人と子供────どころか、大型猛獣と幼児程も差が有りそうだが、この少女こそが、巨人を敗走に追い込んだ張本人だった。

 「くだらぬ…。これ程の肉体の主であれば、心技もまた、共に冠絶した強者だろうに……」

 凄まじい────という言葉ですら遠く及ばぬ気迫を全身から立ち上らせて少女が言う。気やオーラといったものに敏感なものならば、少女の姿をした存在から立ち昇る、天すら衝く気炎を見ることが出来ただろう。

 「その強者の身体にこの様なクズを入れるとは……。上等な食材を無能な料理人に委ねるが如き所業ッ!」 

 少女は────否、少女の姿をした何者かが怒号する。
 獲物を見つけた飢えた巨虎も、血に狂ったピラニアの群れも、狂乱した万を超える暴徒も────。
 この少女の姿をした『何か』の声に含まれたものに触れれば、即座に正気に返り、恐怖にかられて逃げ出すか、畏怖に打たれて跪く。
 それ程の気迫が、意志が籠った声。
 巨人────では無く、巨人の肉体に容れられた精神は、少女の声に己が敗北を───否、死を意識した。

 「が、がああああああああああッッッ!!!!!」

 巨人が吠え、電柱を一撃で砕き折れそうな拳打を放つ。
 技も経験も感じさせぬ、身体能力に任せたテレフォンパンチ。速さも力も凄まじいが、武に秀でた者ならば容易に躱せる。そんな拳だ。
 当たれば少女の身体など、吹き飛ぶどころか二つにちぎれる。技も何も無い只の暴力であっても、人外の域に至ったそれは人を殺すには充分を通り越して過剰に過ぎる。
 そんな殺傷力過剰な一撃を受けて、少女の体は宙に舞った。

 站ッ!と、羽毛の如く宙を舞った少女は、足から着地。嘲笑を浮かべて巨人を見やった。
 
 「只の力任せ…中身がクズではこの程度か、しかも…花山薫やオリバに較べれば、遠く及ばぬッ!」

 少女の身体から力が抜ける。全身が弛緩を通り越して液体へ、更に気体へと変じたかのような脱力。
 極限の、その更に先の境地へと至った脱力が生む超加速。少女の身体は、刹那よりも短い時間の内に、新幹線に匹敵する速度となるまでに加速。残像が残るほどの速度で巨人へと迫る。
 脱力を用いた移動術。それにより生じた速度を余さず残さず貪り尽くし、既存の格闘技では考えられない拳速としてl撃ち込む。
インパクトの刹那。存在するかどうかも判別しない、極小の時間。その有るか無きかの刻の内に、全身をの関節を硬直させ、全体重を拳に乗せる!!
 反応はおろか感知すら出来ないまま、腹部に受けた巨人の身体が『く』の字に曲がり、口から噴水のように胃液と血液を噴き出しながら後方へとすっ飛んだ。


869 : 勇次郎が強すぎるんでしょ ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/23(日) 09:35:35 D4atzm6.0
 「この俺が、技を駆使(つか)って闘う事になろうとはな。それは良い、ちょいと違うが…梃子摺れるんだからな。だが、この様なクズでは梃子摺る事など」

 打たれた腹部をクレーターの様に陥没させて、よろめきながら立ち上がろうとする巨人に、少女は悠々と歩み寄った。巨人の反撃など一切意に介しない。絶対的な強者の振る舞いだ。

 「到底出来ぬわッ!」

 蹴撃。少女が放ったのは、何の変哲も無い前蹴りだが、その速度が尋常ではなかった。
 轟く響きは、骨と骨、肉と肉とがぶつかる音などでは無い。音を超えた速度の少女の蹴り脚に蹴り砕かれた空気の壁が上げる断末魔だ。
明らかに現代格闘技の最高峰が遥か遠く及ばぬ速度で、少女は立ち上がろうとしていた巨人の顔面を蹴り砕いた。
 綺麗に顔面を蹴り抜かれ、火山の噴火口から飛散する噴石の如くに砕けた歯を飛び散らせ、顔面にめり込んだ鼻からポンプの様に鮮血を噴き出しながら、巨人は辛うじて倒れる事を持ち堪え、少女目掛けて反撃の豪腕を横殴りに振るう。
 常人ならば最上の運に何重にも恵まれて戦闘不能。普通ならば絶命している筈の痛手(ダメージ)。此処まで暴威に晒されて、なお心折れぬのは賞賛に値した。

 「へっ」

 全身を弛緩させて、少女があからさまな嘲笑を浴びせる。

 「芸の無い野郎だ」

 少女の手が、巨人の豪腕にそっとあてがわれた。
 瞬間。巨人の豪腕があらぬ方向にベクトルを変えて、少女を捉える事なく空振りする。
 少女がやった事は簡単だ。巨人の腕に手を当てて、自分の方へと引きこんだのだ。
 必然。巨人の腕は更に勢いを増すが、引き込まれた際に少女の手により与えられた、ほんの僅かな方向のズレにより、その腕は空を切ったのだった。
 理解不能の現象に、愕然と動きを止めた巨人目掛け、少女の右正拳突きが放たれる

 「邪ッッ!!!チェエリャアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!」

 肉と骨とがぶつかったとは到底信じられない轟音。巨人の胸部が陥没し、撃ち込まれた巨大な運動エネルギーが背骨を砕き折って、背の肉を突き破り露出させた。
 完全に脱力した状態から放たれる正拳突き。その拳がインパクトした瞬間に込める力みの振れ幅が生み出す破壊力。
 更には全身の関節を拳が触れた瞬間に硬直させて、拳に全体重を乗せ、その重さを極限まで増す。
 人の理合が産み出す最高クラスの威力の拳打。
 人の身で生み出せる極限域。

 少女が放った正拳突きは、強暴そのものの巨人に致命の傷を与えたのだった。


【長沢勇治@シークレットゲーム 〜Killer Queen〜 (身体:不死のゾッド@ベルセルク) 死亡】





 「詰まらん……」

 少女は骸と化した巨人を意識の端にも留めずに呟く。

 「この俺を闘争の場に招いておいて、こんな雑魚ばかりって訳でもあるまい」

 この雌の体であっても敗北するなどあり得ないが、少しは愉しめる者が、本来の身体であっても梃子摺る事ができる強者が、此処には居ると信じたい。

 「この俺を────範馬勇次郎を、断りも無くこんな所に放り込み、断りも無く闘争を行わせるなんて、舐めた真似をしてくれたんだ。それなりの御馳走(強者)を用意しとかねえと」

 続く言葉は無い。だが、その瞳に宿る意志は、その全身から立ち昇る闘気(オーラ)が告げていた。

 ────俺を満足させれば、この事は許してやる。そうで無ければ、必ず殺す。




【範馬勇次郎@刃牙シリーズ】

[身体]:村井真央@凛々しい真央ちゃんは、中イキし過ぎなエロい身体を隠してる。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:強者を求め、闘う


870 : 勇次郎が強すぎるんでしょ ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/23(日) 09:35:48 D4atzm6.0
投下を終了します


871 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 11:32:55 83sAra9.0
投下します。


872 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 11:35:10 83sAra9.0
「…困ったわね。まさか私が…気配すら察知出来ないまま身体を地上の人間に入れ替えられるなんて。
…それにあの月…私達が住む物とは異なるわ。明らかに顔がある上に、ここが地上なら…って仮定でしかないけど、近く見える」

そう、凛々しさのある少女は困惑しながらも月を見据えていた。
少女の名は綿月依姫、月の民である月人にして、月の使者のリーダーの片割れ。

「ざっと見た感じだと、この少女は地上の人のようだけど…私がこうして巻き込まれているという事は、お姉様も同じ、ように…?…だとしたら、すぐにでも探さなければ…!」

肉体である少女、勇者である乃木若葉の情報をざっと見た依姫は、自身の姉である綿月豊姫も同じように巻き込まれてしまい、地上で生きる穢れある生物の肉体に入れられてしまっているのではという懸念を抱いた。
そのままバッグの中にあった刀と、若葉の姿を変える必要のある地上の物と思われる機械を手に取る。

「…背に腹は代えられない、わね!」

機械の中にインストールされている勇者専用アプリとやらを起動させた依姫は、勇者装束なる物を身に纏い、剣を持ったまま駆ける。
自分はまだ戦える身体だが、姉である豊姫も同じように戦える身体とは限らない、名簿が来てない以上今は捜索を行うべきと判断したのである。

そして駆けていた依姫であったが、ここで他参加者を発見。
警戒をしながら彼女は、身体側の身体能力を活かして一気に相手に不意を付く形で接近、男が反応し咄嗟に動こうとしてる最中にその顔に剣を向けながら問いかける。

「動かないで。…単刀直入に聞きます。貴方は殺し合いに乗ってる?」
「…お、おう…乗ってない」
「…そう、名前は?身体の方も名乗って貰うわよ」
(…元死神代行…って言っても、気が立ってそうだし信じて貰えるかわかんねぇから…)
「空座第一高校の黒崎一護だ、身体の方の名前は…呉島貴虎」

依姫が警戒を続ける中、男…一護は死神代行『だった』事を伏せた上で、自分と肉体側の方の名前を告げる。

「…わかったわ。とりあえず今は信じる。…ただ疑わしい事をしたら即座に斬りますので、そのつもりで」
(…相手にだけ言わせておいて、自分は名乗らないのも良くないか)
「私は綿月依姫。月の民…と言っても今は、この乃木若葉って地上の人間の身体だけどね」
(…元死神代行って事、隠さなくて良かったんじゃねぇか…?…って、待てよ…!?)

とりあえず剣を収めつつ、自分からも名乗った依姫に対し、一護は月の民という部分に反応する。

「な……月の民……だと……!?」
「…あら、知ってるんです?」
「…悪い、それはわかんねぇ…けど、あの顔のある月の事を知ってるのか!?って」
(…しまった、あの顔の月とは無関係な事を最初に言うべきだったわ)
「…説明が足りてなかったわ。ごめんなさい、私達月人はあの月とは無関係よ。地上から見える範囲なのにアレは誰が見ても顔があるでしょう?」
「国によって見え方が違う…とか聞いた事はあるけどな…流石におかしいだろアレ」
「ここが地上ならって話ですけど…本来地上から見える月よりあの顔付きの月は近く見えるわ。
…邪魔したわね、それじゃあさようなら、一護」
「おう…いやちょっと待て!」

そう顔付きの月について話す2人であったが、ここでこれ以上の長居は不要と立ち去ろうとする依姫を一護が引き留めた。

「…なんです?私は急いでる用があるんだけど」
「…何かアンタが、焦ってるように見えてさ。まだ情報とか交換し切れてねえだろうし、アンタの事情次第なら…俺もその用ってのを手伝えるかもしれねぇ」
「……一理はある、わね。でも貴方は戦えるの?」

一護の言葉に依姫は耳を傾けつつ、問う。
彼女は堅物で厳格だが、本質的には真面目かつ温和、当人曰く甘い所もある少女だ。身体を入れ替えられた上での殺し合いという異常事態なのもあって、穏当に対応し聞き入れているのである。焦っている自覚があったのもるが。

「今の身体だとまあ…殴り合いならそこそこだな。支給されてたこれを使って「斬月」に変身すれば、もっと戦えると思うぜ」
(…月の都や幻想郷では見た事の無い機械ね。知らない内に随分、地上の技術も進歩したのかしら…普段なら縁起の悪い名前と思いますが…)
「偽りの月を斬る、故に『斬月』…そういう事かしら?この状況では心強い。
…情報の交換が終わったら、一戦交えてみます?言い方からしてまだ使っては無いようだから…私もこの身体でどれだけ戦えるかは未知数な以上、互いにメリットはある」
(…偽りの月を斬るって、多分そういう意味じゃねぇんだけどな…斬月のおっさん達が残ってたら…無いものねだりしても仕方ねえか)
「おう、いいぜ、依姫」

こうして青年と少女、2人は一先ず情報交換をしてから、一戦を交える事となった。


873 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 11:35:27 83sAra9.0
【綿月依姫@東方Project】
[身体]:乃木若葉@乃木若葉は勇者である
[状態]:健康、勇者装束
[装備]:倭刀@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
[道具]:基本支給品、乃木若葉のスマートフォン@乃木若葉は勇者である、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:殺し合い等と穢れに満ちている催しに乗る気はない、願いを叶えると言われても信用できる要素が何も無い。
1:まずは一護と情報交換をし、一戦交える。
2:お姉様(豊姫)…どうか巻き込まれてない事を願います。
3:八意様や「レイセン」達も巻き込まれてないと良いのだけど…。
4:「切り札」ね…神降ろしみたいな物かしら?
5:博麗の巫女(霊夢)達が巻き込まれてたら、現状なら合流出来ると心強いかも。
[備考]
※参戦時期は「東方儚月抄」終了後以降の何処かから。

【倭刀@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-】
雪代縁が振るう日本刀の刀身に大陸風の拵えをした刀。長物の類に入る。
これを用いて縁は我流混じりの倭刀術で戦った。

【乃木若葉のスマートフォン@乃木若葉は勇者である】
乃木若葉が使う携帯機器。普通の通話等にも使える他、インストールされている勇者専用アプリを起動させる事で勇者装束を纏いその身を勇者へと変身させる事が可能。
今ロワでは少女の肉体であれば誰でも勇者装束を纏えるようになっている。
また、精霊をその身に宿す切り札が使えるかどうかは後続にお任せします。

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(依姫見てると何て言うか、白哉の事思い出すんだよな…)

一護は堅物で真面目な少女に対して、かつて戦った相手であり戦友でもあった死神、朽木白哉の事を思い出す。

(…とりあえず、情報伝えるなら…死神代行だった事と……アイツらがもし居たら、気を付けろってのも言わねえとな…)

脳裏に浮かぶはこの殺し合いに巻き込まれる前、死神の力を取り戻したかと思えばそれを信じていた相手に…銀城空吾らに奪い取られた事。

(どんな理由があるかはわからねぇけど…月島共々、巻き込まれてたらまず間違いなく…俺の敵になる)

月島秀九郎、妹達を含めた一護の親しき人達に偽りの記憶を挟み込み居場所を奪い取ろうとしている男。チョコラテとすら称されるレベルのお人好しな一護ですら、その所業には怒りを通り越し、殺せばみんな元に戻るのか?という考えが浮かぶ程の外道。自然と一護の表情も強張る。

(…とにかく、この『斬月』の力…護って殺し合いを止める為、使わせて貰うぜ…貴虎)

そう一護は、同じ裏切られた者同士の兄である呉島貴虎に内心で声をかけた。

【黒崎一護@BLEACH】
[身体]:呉島貴虎@仮面ライダー鎧武
[状態]:健康、月島と銀城への怒り(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、メロンロックシード&戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
0:今はこの力で…護る為に戦う。
1:まずは依姫と情報交換をしてから、戦ってどれだけやれるか試す。
2:織姫やチャド達は…悪い、今は会いたくねぇ……。
3:月島や銀城を警戒。可能なら銀城から力を取り返したい…けどこの身体で使えんのか…?
4:アンタも裏切られた兄なのか…貴虎。
5:…斬月は多分そういう意味じゃねえと思うぞ、依姫。
[備考]
※参戦時期は459.Death & Strawberry2にて、ルキアに刺され死神の力を再び取り戻す前から。

【メロンロックシード&戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
アーマードライダー斬月へと変身する為に使うドライバーとロックシード。一セットのアイテムとして支給されている。
戦極ドライバーにはヘルヘイムの果実をロックシードへと変換する機能がある。


874 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 11:36:01 83sAra9.0
投下終了です。タイトルは「偽りの月を斬れ」です。


875 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 11:55:32 xaYYmw1k0
投下します


876 : 霞雲のメモリア ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 11:56:04 xaYYmw1k0
夜の静寂を裂く一陣の風が通り過ぎる。
静けき森の草木は揺らめき、風と共に影が通り過ぎれば、大木のうちの一本の根本が平面に切り裂かれ、大きな音を立てて倒れる。

「……この身体、意外にいいかも。」

そう軽く呟いたのは、一人の少女の姿。
短い銀髪を靡かせ、空を眺める少女の名。
否。その中に宿る魂の真名は時透無一郎。
鬼殺隊所属、霞柱と称される天才剣士。

彼がやっていたのは、身体と支給品の試運転と言った所か。
無一郎に施されたのは刀使・糸見沙耶香の身体。
刀使イコール剣士である、ということを把握するのに数秒。
この身体が左利きである事を察し、左利きでの霞の呼吸の技の使用可否を判断するのに数分。
その後、写シや迅移等のこの身体だからこそ使える技術の確認。そして先程大木の一本を切断した。

結果だけ告げれば、この身体と無一郎の相性は抜群の一言だ。
時透無一郎が扱う霞の呼吸とは敵を翻弄する高速移動がその本質。かつこの身体の本来の持ち主は迅移なる特殊な移動術を用いている。
迅移とは瞬間的な高速移動であるのだが、無一郎からすればその一瞬ですら大きな価値だ。

「まあでも、女の体なのはちょっと戸惑うかな。」

唯一懸念があるとすれば、男の体から女の体にされたことによる体の違和感だ。
微妙に胸が重い、下半身がスースーして違和感がある。
今まで自分を鍛えてきた最中にこんな感覚を覚えたことはなかった。というか思春期特有の悶々との縁など全く無かった無一郎にとって、新鮮を通り越して未知の感覚だったのは言うまでもなく。

「………ッ!」

途端に、恥ずかしくなった。甘露寺や胡蝶のような大人の女性ではない。
何ならカナヲよりも年下のロリっ子寄りボディ、しかも胸の方は成長の余地がある(byねね)
所謂えっちな気分とは一切無縁だった無一郎は、ここに来て始めてそんなもどかしい気分を味わったのだ。

『人のためにすることは、巡り巡って自分のために』

そして、何故か炭治郎のあの時の顔が思い浮かんだ。そして再び顔を赤らめた。

「……何余計な事を考えていたんだ、僕は。」

確かに時透無一郎にとって竈門炭治郎はある種恩人だ。
彼の言葉を始まりに過去を思い出せたようなものだから。
いやだからといって女の体になったからといって精神的な意味で炭治郎が好きだとかどうしてそういう事一瞬でも頭によぎってしまったとか、冷静な顔立ちに反して内心滅茶苦茶困惑していたのだ。

「まあいいや。"これ"はもう忘れよう。」

何故か浮かんだ雑念を振り払い、これからどうするかを考える。
考える、と言うが実際の所元凶である魘夢を斬るという方針には何も変わらない。
問題はその魘夢の今の身体が巻き込まれただけの人間であること。
昔の自分なら手遅れだと判断して切り捨てていただろうけど、そうはいかない。
やれることなら出来るだけ手は尽くす。
たとえ無意味な行為だとしても、それが巡り巡って自分のためになることを知っている。

「どっちにしたって、やること変わらないなら楽かな。」

そう、身体が変わろうと、精神が女の子よりの感情になろうと鬼殺隊の役目は変わらない。
弱きを助け、人に仇成す悪鬼どもを滅殺する。

【時透無一郎@鬼滅の刃】
[身体]:糸見沙耶香@刀使ノ巫女
[状態]:健康、女の体になったことによる精神的な変化への戸惑い(小)
[装備]:妙法村正@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:魘夢を倒して殺し合いを止める
1:なるべく人は助ける。
2:……この感情は、何?
[備考]
※参戦時期は裁定でも刀鍛冶の里編終了後

『支給品紹介』
【妙法村正@刀使ノ巫女】
時透無一郎に支給。本来は糸見沙耶香の御刀。
千子村正が作成した村正唯一の重要美術品で。かつて佐賀藩初代藩主である鍋島勝茂が愛刀として所有していた。


877 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 11:56:20 xaYYmw1k0
投下終了します


878 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 13:54:37 sZCYrSSE0
投下します


879 : 音楽の王、屍の王に ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 13:54:58 sZCYrSSE0
「なんですかこの身体ー!またゾンビじゃないですかー!」

【ブルック@ONEPIECE】
[身体]:魔皇トカイ@モンスター烈伝オレカバトル
[状態]:健康、困惑(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:魘夢を倒して、帰還する
1:どうしよーこの身体ー!
[備考]
※参戦時期は新世界編後
トカイの能力に関する制限は書き手様におまかせします


880 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 13:55:15 sZCYrSSE0
投下終了です


881 : 名無しさん :2023/07/23(日) 13:56:33 WRugYUPQ0
投下します。


882 : カラ・ダ ◆SrxCX.Oges :2023/07/23(日) 13:58:08 WRugYUPQ0
 扉を開けた先に、姿見があった。鏡面の中に、私が映っていた。
 私だけど私じゃない、誰かの姿。
 誰か、じゃない。私がよく知る人の姿。渡されたタブレットに記載されたプロフィールの情報なんかよりも、私の方がずっとよく知っている、こいつの姿。
 本当に、私の意識がこいつの身体の中に放り込まれたのだということを納得して、そして理解した。
 ああ在りたいという願いが。欲すると共に、叶わないだろうと悟っていた私の願いが、無理矢理に叶えられたのだと。
 こうして上辺だけ達成させられて。ああ、在れない。やっぱり、叶わない願いだったのだと。
 湧いてくる情動、色にすれば決して透明じゃない、赤黒いのだろう想いに任せて、私は、私の頬に爪を突き立てた。
 籠められるだけの力を、指先に籠める。簡単に折れそうなくらい繊細な白肌の指を、酷使しながら。
 私の身体、違う、こいつの身体が声ではない悲鳴を上げる。今のこいつの身体に、こいつの意識は宿っていない。ただの痛覚の信号だ。無視して、痛めつけていく。
 やがて、肉が僅かに削げた。裂け目から滲んでくる、赤い血。鮮やかな色の血。
 小さな傷の刻まれた顔を、鏡で見る。
 美しくない、と思った。
 精巧な作りの顔面に刻まれた赤がもたらす不調和、それだけじゃない。肉体の本当の持ち主でない簒奪者であることを、こんな自傷を行ってまで証明した、私の有り様が。まるで、美しくない。
「ふふっ」
 自嘲の笑いも、我ながら耳障りだ。発音が同じだけの、こいつがやるのとは別物の笑い方。
 こんな気持ちを、思い出したくなかった。再燃させてしまう真似なんかしなければよかった。知らないどこかへ行ってしまうのが嫌で、のこのこと同じ世界に飛び込むんじゃなかった。
 ああ、アイドルになんかなるんじゃなかった。
 でも、もうなってしまった。もう引き返せない。
 私はずっと、広大な海の中で、どこにも見当たらない陸地を求めてみっともなく溺れ続けるように生きていく。イルカかクジラみたいな生き物のように、こいつのように、自由に泳げないことを自覚しながら。
 それが、私の選んだ生き方。後悔しながら、こいつのことをずっと嫌いだと思いながら、そんな感情全部が私のものなのだと抱えて、生きる。感情を声に、歌にする。私の、私だけの声帯を震わせて。
 ……だから、とりあえず、私の身体を取り戻さなければいけない。借りてしまっているこの身体を、こいつに返さなければいけない。
 優勝を目指さず、あの人みたいに四六時中善人やってるような誰かを探して、一緒に魘夢とかいう奴を倒して、みんなでパッピーエンドでめ迎えるか。
 駄目だ、と結論づけた。魘夢に勝てるかどうかじゃない。私が、五体満足で、最後まで生き延びられるかも含めての話だ。どの道ただの人間である私には、無謀なリスクだと思ったから。
 この殺し合いの破綻を成せたとして、その時にこの身体に取り返しのつかない傷や欠損が出来てしまっては、駄目だ。こいつの美しさが損なわれては、駄目なんだ。
 優勝したら、どうなるか。得られる報酬は、元の肉体の復活。そして、何でも自由な願い。
 じゃあ、十分だ。私が私の身体を取り戻すのと同じく。間違いなく、万全の状態へ、こいつの肉体を戻す。最後の一人になるまでの過程で、どんな不可逆のダメージを負ったとしても、綺麗に無かったことにする。どちらの道を選んでも絶望的なのだから、せめて最後にマシなオチのつく道が良い。
 願いなんて、これで良い。他に何も望まない。
 本当に良いのか、もっと複雑で壮大で奇跡的な願いだって……なんて、最後に尋ねれそうな気がして。
 無性に腹が立って、姿見を蹴った。傾いて倒れて、不愉快な音を立てて鏡面が割れ、硝子が無惨に飛び散る。今の私の姿を、もうまともに映せなくなる。
 私の本当の想いなんてものがあるとして、簡単に理解されてたまるか。意地でも、望んでなんかやるものか。


883 : カラ・ダ ◆SrxCX.Oges :2023/07/23(日) 13:59:48 WRugYUPQ0
「……文句言わせないから、透」
 肉体だけはここにあって、意識がどこへ行ってしまったのかわからないこいつに、語りかける。私は、これから人を殺しに行くのだと。
 ……誰かを幸せにするアイドルがそんな真似をすることは決して許されないと、あの人に叱られそうだなと一瞬思ったけど。無意味な忠告だと打ち捨てた。
 私はもう、狂わされたのだ。魘夢なんかよりも、ずっと前に。
 私は――樋口円香は、こいつに――浅倉透に、とっくに食われてしまったのだ。



【樋口円香@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[身体]:浅倉透@アイドルマスターシャイニーカラーズ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝する。


884 : 名無しさん :2023/07/23(日) 14:00:31 WRugYUPQ0
投下終了します。


885 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/23(日) 14:22:09 RmdrDbj.0
投下します


886 : 多分これが一番速いと思います ◆7PJBZrstcc :2023/07/23(日) 14:22:52 RmdrDbj.0
「ユリウス。ヴァンパイアハンターだと……」

 顔が付いた異常な月の下の殺し合い。
 その会場で、一人の男がタブレットで自らの身体のプロフィールを確認していた。

 男の精神の名前は音速のソニック。
 暗殺から用心棒まで何でも請け負う自称忍者であり、自らの実力と速さにプライドを持つ男である。
 もっとも最近はサイタマという男に敗れ、それ以来リベンジを誓い何度も襲撃しているものの全く勝てない、という情けない面を見せているが。

 ソニックはこの殺し合いに、当然の如く怒りを燃やしていた。
 依頼として殺し合いに参加するならまだしも、何の前触れもなく呼びつけた挙句、自らの身体を奪う相手に良い気がするはずもない。
 なので最終的に魘夢とその仲間を皆殺しにするつもりである。
 だがその為に他の誰かと手を組んで殺し合いに抗う、という性格でもないので、まずは殺し合いに優勝した後、主催者を皆殺しにする算段であった。

「ふむ」

 そんなソニックはプロフィールを読んでいる最中、ふと気になる文章を見つけた。
 別に、彼はユリウスの事を気に掛けているわけではない。
 ユリウスは人々の為に吸血鬼と戦うが、ソニックはそんな殊勝な男ではない。
 そして他者に気を遣う男でもない。
 ただ、あまりにも気になる事が書いてあっただけだ。

『この身体で一番速い移動方法は、ジャンプした後即座に前方へキックすることです』
「どういうことだ……?」

 普通に考えればどう考えてもおかしい一文だが、ソニックの元の世界は人が些細なきっかけで怪物になったり、異常な強度の人間がいたりする。
 ならばまあ、走るよりジャンプキックが素早くなる人間がいてもおかしくない、のかもしれない。
 いやおかしいとは思うが、ソニックはツッコミを入れる気にはならなかった。
 ただ、試してみようとは思った。

 まずは普通に走る。
 しばらく走ったが、元の体に比べれば圧倒的に遅く、不満が募る結果となった。
 次に、前方へジャンプキックを繰り返してみる。

「ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥエ」

 これでもまだ元の体程ではないが、少なくともさっきよりはマシだ、とソニックは感じた。
 なので彼の次の行動は決まっている。

「ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ―――」

 ソニックはジャンプキックを繰り返し、他の参加者を探し始めた。
 全ては最速で優勝するために。


【音速のソニック@ワンパンマン】
[身体]:ユリウス・ベルモンドゥエ@悪魔城TAS
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:最速で優勝し、その後主催者を皆殺しにする
1:何だこの移動法は……


887 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/23(日) 14:23:16 RmdrDbj.0
投下終了です


888 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 14:34:16 sZCYrSSE0
投下します


889 : 飛べ飛べ羽蟲、地獄へと ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 14:34:33 sZCYrSSE0
「くっ…この身体は…!」
男、間桐雁夜の身体はとある共通点があった。
蟲使い――――という一つが。

「僕のは蟲を召喚するタイプだが…この身体の持ち主は…ぐっ!」

あいにく、この場に参加者以外の生命体は存在しない、だが、彼には二つ武器があった。

一つは体の中にある蟲たち、これを使うことで、相手を食い荒らすことさえ可能だ。

そして、もう一つは…

「ぐっ…はぁはぁ…!?なんだ…この声…!」
それは――植物さえも操るテレパシーだった。
念ずることでものを自在に操り、自分の思うままにできる。

「ふぅ…ふぅ…とにかく、この力を使いこなさないと…」
「生還しなくちゃ…聖杯戦争すら始まってないこのときに…!」
男は、覚悟を決めた

【間桐雁夜@fate/zero】
[身体]:暮れなずむ幽鬼@ジャイアントロボ THEANIMATED 地球が静止する日
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生還する
1:とにかく…蟲の力を調整しないと…!
2:人殺しはしない、だが、相手から襲われた時は…
[備考]
※参戦時期は聖杯戦争前、バーサーカーの召喚途中
幽鬼の能力をうまく扱えてません、今後の訓練で可能に


890 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 14:35:00 sZCYrSSE0
投下終了でさ


891 : ◆ytUSxp038U :2023/07/23(日) 14:46:33 UhINpNa60
投下します


892 : ◆ytUSxp038U :2023/07/23(日) 14:48:03 UhINpNa60
一体全体何がどうなっているのやら。
不可思議極まりない現状を夢かと思うも、五感より伝えられる情報は一つ残らず現実のもの。
何から何まで有り得ないが、実際に自分の身に起きてしまっていては受け入れる他ない。

死んだ筈の自分が生きている。
神仏が齎す奇跡でも受けたのかと考え、すぐに首を振って否定した。
うた、ウタ、或いは歌か。
紅白の珍しい髪色の娘に、けったいな仮面の小僧。
連中は天より見下ろす神々では無く、冥府の底で爪を研ぐ悪鬼と言った方がしっくり来る。
こんな状況と出会いで無ければウタ相手に逸物をそそり立たせ、何が何でも抱き潰すと決意したかもしれない。

与えられた肉体もまた奇怪なことこの上なし。
常人を遥かに超える長身に、不動明王の如き強靭な肉体。
到底人とは思えぬ、否、事実人ならざる肉体を与えられたのである。
吸血鬼、その中でも特に上位の能力を有する希少な存在。
男も元々並外れた怪力を誇ったが、人として生まれ人としての終わりを迎えた。
よもや死後に人外の肉体へ精神を幽閉されるとは予想外にも程があるだろう。
尤も、肉体の正体を男は知らない。
プロフィールを確認する為のタブレット、男にとっては遥か未来の技術故に使い方が分からないからだ。

死者であり、怪物の体を得た男は今何をしているのだろうか。
予期せぬながらも手に入れた二度目の生へ執着し、他者を蹴落とす算段を立てる真っ最中?
悪童のさながらに得た肉体の性能を試そうと、血眼になって他者の捜索に動いた?


893 : ◆ytUSxp038U :2023/07/23(日) 14:49:19 UhINpNa60
「わー!高いでごぜーますー!」

違う、肩に少女を乗せ会場を練り歩いていた。

少女と男は初対面、だが肉体は別。
己が身を盾にして守った少女は、体を奪われ他者の精神を閉じ込める檻と化した。
怒りはある、少女の人生で最も重要な戦いの最中でありながら、このような催しに巻き込んだ連中への。
不安もある、あの機関車から少女が消えて、相棒である不死身の兵士は不覚を取らないかと。

沈黙した男へ恐る恐る少女が話しかけ、懐いたのに時間は掛からなかった。
男の知る少女よりも幼い精神、しかし幼いが故に本質を見抜く目は時に大人以上の洗練さを見せる。
見た目は恐く、言葉数も多くは無い。
だけど、おかしな被り物越しに自分を見つめる顔から良くないものは感じなくて。
言葉の端々に自分を気遣う態度が見え隠れしたのはきっと気のせいではなくて。
自分と仲間を煌めく舞台へと連れて行ってくれるあの人とは見た目が全然違うけど。
暑い中駆け回ってキグルミを探してくれた彼と同じ、信頼できる大人なのには違いない。
だからこうやって、肩に乗せてくれるのだろう。

「落ちないようにしろよ、お嬢」

無邪気にはしゃぐ少女を、親元に返してやりたい。
少女の体を元の持ち主に返してやりたい。
それにまぁ、生き返ったんなら協力してやった連中がどうなったかを知りたい。
どうせなら女も抱きたいが、それは元の体を取り返してからになる。
他人の体で性交したとて、真に気持ちが良いとは言えない。

少女を乗せて、巨人は異界の地を踏みしめ進む。

不敗神話の続きが始まる。


【牛山辰馬@ゴールデンカムイ】
[身体]:斧神@彼岸島
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする気は無い、お嬢の体を本人に返す。
1:お嬢(仁奈)と行動。
2:自分の体も取り戻したい。これじゃあ女ともヤれんだろ。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※プロフィールを見れていません。

【市原仁奈@アイドルマスター シンデレラガールズ U149】
[身体]:アシリパ@ゴールデンカムイ
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:何だか分からないけど帰りたい。
1:ヤギさん大きいでごぜーます!
[備考]
※参戦時期は少なくとも2話以降。


894 : ◆ytUSxp038U :2023/07/23(日) 14:50:10 UhINpNa60
投下終了です
タイトルは「帰ってきたチンポ先生」でお願いします


895 : ◆4u4la75aI. :2023/07/23(日) 14:55:06 z8GU7I/o0
投下します


896 : 道化師殺しの混沌 ◆4u4la75aI. :2023/07/23(日) 14:55:47 z8GU7I/o0
「私はムスカ大佐だ」

 そう名乗るは、長い黒髪の麗人。片腕にリボルバーを構え確かな威圧感と共にそこに立っていた。

「跪け!命乞いをしろ!」

 そう言い放つも対する相手は無反応。ムスカを名乗る麗人は苛立ちの表情を浮かべる。

「君はラピュタ王の前にいるのだ。床に伏せていたまえ!」

 どこかツギハギな言葉。相手の返答を律儀に待つも言葉は返ってこない。

「死ねぇ!」

 とうとう痺れを切らし、銃を発砲。しかし相手はいとも簡単にその攻撃を避けた。

「へぇっ!?」

 驚くも刹那、次は私の番だと言わんばかりに攻撃は繰り出された。


クラウンイマジンは しんくう斬りをはなった!

「うわああああああああっはああああっ」

ド ン ★


 首を斬られた麗人は何故か全身を爆破させ、この世を去った。下手人の名はクラウンイマジン。ピエロの様な見た目をしたイマジンでありこの場で与えられた肉体もまさにきりさきピエロというモンスターのもの。
 状況こそ深く理解はできていないものの、とにかく契約者の元へ戻らなければいけないのは確か。きりさきピエロの能力も自身と相性が良く、殺し合いも淡々と切り抜けようと思っていた。
 幸先よく1人の参加者を殺せた。不気味な笑い声を上げながら彼は踵を返し次に目標を探しに向かう――

「何度でも甦るさ!」

 だが次に彼の耳に入ったのは、聞こえるはずのない声。

「ははっ、どこへ行こうと言うのかね」

 距離はすぐ側、銃口も目の前。もはや彼に逃れる事は出来なかった。
 ドギャン、と一つの銃声がピエロの額を撃ち抜きここに勝者が決まった。


【クラウンイマジン@仮面ライダー電王(身体:きりさきピエロ@ドラゴンクエストⅥ) 死亡】


「さっさと逃げればいいものを」

 勝者はそう言いながらクラウンイマジンのデイパックを回収する。
 黒髪の麗人こと、蓬莱山輝夜の肉体に入った彼の名は名乗りの通りムスカ。しかしこの場に居るムスカは大佐でありラピュタ王を名乗るロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ本人ではない。

 彼の正体は、カオスバトルという名の戦場にて活躍する、別世界のムスカ。
 区切られた枠の中で数々の敵を相手し続け、勝利と敗北を何度も重ね、何度も甦りし男。特に赤髪のピエロとは何度も拳を交えた。初戦の相手がピエロであった事は何かの運命であろうか。

 そんな彼は今、不老不死の肉体を得て枠から解き放たれる。
 更なる混沌の戦場へ足を踏み入れる――!!


【ムスカ@カオスバトル】
[身体]:蓬莱山輝夜@東方Project
[状態]:健康、一回死亡
[装備]:
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品1〜5
[思考・状況]基本方針:見せてあげよう、ムスカの雷を!
[備考]
※制限により輝夜の肉体は2回までは死亡しても生き返りますが、3回目で完全に死亡します。
※復活のタイミングは自由ですが、制限により死亡後5分経てば強制的に肉体が元に戻ります。復活の場所は元の居場所から視界に入る圏内ならばある程度指定可能です。
※ムスカ側の仕様により死亡時はその場で小規模な爆発を引き起こします。爆発音は響きますが、巻き込まれても大した影響はありません。これにより死体は残りません。


897 : ◆4u4la75aI. :2023/07/23(日) 15:00:02 z8GU7I/o0
投下終了です。いきなり申し訳ありませんが、状態表の備考欄に以下の文を付け足させて頂きます。

※天空の城ラピュタ内のムスカのセリフ以外の言葉を発する事は出来ません。セリフの組み合わせによるある程度の改変は可能です。

事後報告ですが、以前投下した『Unwelcome Battle Royal』の状態表欄に互いの世界の情報を得たという旨の備考を追加させていただきました。


898 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 15:00:14 xaYYmw1k0
投下します


899 : 酢豚を垂直に切ると砂肝の火力が強くなります。 ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 15:01:29 xaYYmw1k0
要異するもの:星漿体の女にょ



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


不協和音。燃える故郷。響く歌声。頭がおかしくなる女の人の高音。
何のリズムもなく、何の感慨もなく、過去のトラウマの風景とただ狂った音程だけが彼女の心を蝕んでいく。

「ヒャヒャヒャアーヒャヒャヒャノーヒャヒャヒャヒャッヒャッヒャヒャヒャ」

笑っている。コック姿の女が無表情で嘲笑する。
料理には下拵えが重要というが、この悪魔が行っている下拵えは、今、空に向かって『落ちてゆく』彼女をを絶望させる事。絶望こそが最高のスパイス。その失意に落ちた感情こそが味を引き立たせる。

「さぁ、おぃ↑しぃ↑親子丼をつくりましょう…↓」

音程は高く、時に低く、コック姿の悪魔の音調は安定しない。
いや、これはこの悪魔ではなく、中に宿る魂、バグとカオスに塗れた狂気のコックによるものだ。
絶望で叩いて、叩いて、お肉を柔らかく。

「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

絶叫。少女の悲鳴が響き渡る。
調理はまだ始まったばかり。絶望で叩いて柔らかくした人肉はさぞや美味しいものだろう。
次に取り掛かるのは肉をブロック状に解体すること。その次に塩と胡椒を555555.555555mg程度加えて、煮込んで煮込んでゼラチンになるまで煮込んで。
やるべきことは沢山ある。さっさと仕込みは済まさないと鮮度が悪くなる。

「トゥォォォォォォォォォォォォォォォォ!! トゥォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

再びの奇声。全く持って安定しない。
理解不能という言葉を体現した悪魔がそこに居る。

「ピュピュピュ、ピュピュピュピュピュピュピュビュピュピュピュピュピュピュ!!!」

別の奇声を上げながら、その手に持つのはまるで鋸の如き刃の日本刀。
つまり次の手順に移るということ。相応しいソイルは決まった。
少女に待ち受けるのは調理されるという事実のみ。
泣き叫ぼうが全て無意味。落ちて、落ちて、最後には調理されるのみ。


◯ ◯ ◯

ある意味、潮時だと思っていた。
旬だったのは子役だった頃だけ。
結局自分の事なんで誰も使い捨て。
親ですら自分を見限った。
そんな自分がかつての大人気アイドルグループのセンターなんで出来るわけがない。
ああわかってる、分かってた。

そんな陰鬱とした気分で、自分でもない身体を与えられた。
天内理子。それが今の、有馬かなの身体。
"私"を見てくれる人は居ない。
嫌な記憶ばかり。嫌な記憶ばかりがフラッシュバッグして、心が押し潰されそうに。
そういえば、この理子って娘は、星漿体とかなんだか重要なのなんだっけ?
いいじゃない。どんな形でも、自分を見てくれる人がいて。
くっだらない人生だったとしても、天内理子として見(推し)てくれる人が居て。
私を見てくれる人なんていない。誰も彼も過去の私しか見てくれない。

何で、こんな事に。
まだ、死ぬ事になったとしてもこんな巫山戯た死に方は嫌に決まってる。
私じゃない身体で、私という符号すら消えたまま死ぬなんて。
ねぇ。私を知っている人はいないの?
私を見てくれる人はいないの?

今の私を、"天内理子"か"ただの食材"でしかないの。
嫌に決まってる。嫌だ。
お願いだから、私を見て。
誰でも良いから、褒めて欲しかった。必要として欲しかった。

誰でも良いから、"有馬かな"を見つけて欲しかったのに。




誰か、助けて。




「頼まれなくたって助けるわよ、こっちとらこんな下らない事に巻き込まれて人生で一番苛ついてるんだからっ!!!」


900 : 酢豚を垂直に切ると砂肝の火力が強くなります。 ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 15:02:00 xaYYmw1k0


「ウメシュゥゥゥゥゥゥゥッッ!?」


悪魔に炎が降り注ぎ、爆ぜる。
一彗の赤い流星の如く、地面に突き刺さり、着地する。
三度寄生を上げて、悪魔は遥か彼方に吹き飛んだ。

「ったく。そんな顔してるやつを助けない訳にはいかないでしょ。……あーもう、お姫様抱っこするならする側じゃなくてイッキにされる側の方がよかったのにぃ!」

地面に『堕ちる』有馬かなをうまい具合にキャッチして。
姿を見せるはブロンドヘアーの赤甲冑な巨乳女子。
見事に有馬かなをお姫様抱っこ状態で着地して、口から出てきたのはシチュエーションへの謎文句。
それはそれとして有馬かなとしては助けてくれたのが"あいつ"だったらなぁなんて一瞬でも思ってしまったり。

「……あの、どちら様。」

有馬かながそう呟いて、キョトンとした目でこちらの事を見る金髪の少女。
後に有馬かなは知ることになるが。この彼女の生身の名はステラ・ヴァーミリオン。
北欧の小国ヴァーミリオン皇国第二王女。『紅蓮の皇女』と呼ばれる、伐刀者と呼ばれる存在でも一二を争う規格外の天才である。
最も、今のボディは"ゼダ"なる異界の戦士の身体であるが。


【有馬かな@推しの子】
[身体]:天内理子@呪術廻戦
[状態]:健康、憂鬱
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:早く元の世界に戻りたい
1:誰でもいいから"私(有馬かな)"を見て
2:どちら様?
[備考]
※新生B小町のセンターに決まった後からの参戦


【ステラ・ヴァーミリオン@落第騎士の英雄譚】
[身体]:ゼダ@グランブルーファンタジー
[状態]:健康、主催に対する怒り
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:魘夢ぶっ飛ばして元の世界に戻る。早く一輝のところに行かないといけないから。
1:よくもまぁとんでもないタイミングで呼び出してくれたわねあの魘夢とかいうやつ……!
2:まさか一輝ここにいるとかじゃないわよね???
3:この子(有馬かな)、どうしよ
4:何だったのかしら、あのコックみたいなの。どう見てもやばそうだから吹き飛ばしちゃったけれど
[備考]
※参戦時期は七星剣武祭の代表の一人になった後


901 : 酢豚を垂直に切ると砂肝の火力が強くなります。 ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 15:02:12 xaYYmw1k0









あらゆる生物が本能として恐怖を抱くもの、それを根源的恐怖を称する。

先程ステラ・ヴァーミリオンは有馬かなの救出を優先してか、その悪魔を視界には入れるも気には留めなかった。

だが、この悪魔はそう簡単にはくたばらない。

中身こそバグとチートに塗れた狂気のお料理先生であったとしても。
その本質こそ全く変わっていないのだから。いやむしろ、中身がああだからこそ狂気は加速する。

根源的恐怖の悪魔が一体。その身体の名は――落下の悪魔。


「ソラマメガ、オイシイジキデス?」





【辻先生@チートバグ動画】
[身体]:落下の悪魔@チェンソーマン
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:これでお前は終わりです(参加者全員調理)
1:長さをんっ・・//(調理の邪魔をしてきた謎の女は最重要警戒。それはそれとしていい肉ついてたな彼女)
[備考]


『支給品紹介』
【嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃】
辻先生に支給。鬼殺隊退院嘴平伊之助の所有する二振りの日輪刀。
最大の特徴として刀身の物打が鋸のように削られている。


902 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 15:02:28 xaYYmw1k0
投下終了します


903 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 15:36:29 83sAra9.0
投下します、登場人物の内肉体側がキャラメイク系のゲーム出典な為、独自解釈や捏造している部分があります。


904 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 15:36:58 83sAra9.0
「…あの月、本当に顔がありますわね…まるでこちらを睨んでるかのようですわ」

顔付きの月が見下ろすなか、学生服を着た少女がそう零す。
没落貴族の娘であり軍人の少女であるペリーヌ・クロステルマン。それが肉体に入れられた精神の名前であった。

「…何でも願いが叶うというのは、魅力的かも知れませんが…生憎と、取り戻したい場所は既にわたくし達の手で取り返しましたわ。
それに……こんな手段で、取り戻そうとしても…坂本少佐や宮藤さん達に顔向け出来ませんもの」

怪異であるネウロイによって、目の前で家族を皆殺しにされ財産も全て失ったペリーヌからすれば…無かった事にしたいと思わなくもないが、それ以上に…殺し合いに乗って優勝する事で叶えてしまえば、尊敬する上官や仲間達に合わせる顔がないと、そう思ったのである。

「なのでわたくしは、こんな殺し合いには乗りませんわ。止めて見せましょう。殺し合いも…あの月も…!」

そう言いながら、ペリーヌはバッグの中身を見る。
中には籠手型の武器と、扶桑刀らしきものがあった。

(この籠手は…雷神憤怒アドラメレク?扶桑の物でしょうか…?…よく分かりませんが、とりあえずトネールの代わりにはなりそうです。髪がボサボサにならないのは喜ばしいですわ。
そしてこちらは…扶桑刀ですわね。日本刀って書かれていますが聞き覚えはない…。
レイピアなら得意なのですが、果たして坂本少佐みたいにこれをわたくしが使いこなせるのか…)

支給品である籠手を装備し、刀をとりあえず帯刀状態にしたペリーヌはここで、タブレットを見て、この身体の持ち主の…どういう訳か声の似た、本来の自分よりも胸のある少女の事を知ろうと考えた。

(えっと…たしか、こうして…慣れないというか、難しいですわね…このような機械、わたくしは見た事も聞いた事も……2021年??遠い未来…という事!?)

殺し合いに巻き込まれる前は1946年に居た人間なのもあって、ハイテクなタブレットに四苦八苦しながらも…どうにかペリーヌはそれに辿り着いたが、彼女…カタナコがドラゴンとやらと戦っていたのが2020年と2021年と云う事実に混乱を隠せずにいた。

(…年代だけでなくネウロイでは無くドラゴン?とか云う物なのも…気になりますが……そう、貴女も……ですの)

混乱したままだが、それ以上に目を引いたのは…カタナコが、ドラゴンによって家族を、友達を皆殺しにされたという過去。
復讐の為に、そしてこれ以上…自分のように、理不尽に全てを奪われる人を増やさない為にという動機で、戦いに望み苦しみ心身ともに更に傷を負いながらも、戦い続けたという事実。

(わたくしも…貴女のように、戦って見せますわ。だから今は力を、貸してくださる?カタナコさん)

そう心中で呟いた後、ペリーヌは他参加者を探す事とした。

【ペリーヌ・クロステルマン@ストライクウィッチーズシリーズ】
[身体]:カタナコ@セブンスドラゴンシリーズ
[状態]:健康、決意
[装備]:雷神憤怒アドラメレク@アカメが斬る!、天叢雲剣@セブンスドラゴン2020
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らず抗いますわ。
1:まずは周りを探す。
2:軍人として、戦えない人が居たら保護する。
3:2021年…仮にその頃まで生きてたらわたくしはとっくにお婆さんですわね…。
4:カタナコさん…貴女の思いも、わたくしが背負って抗いますわ。
5:坂本少佐や宮藤さん達が巻き込まれてないか心配ですわね。
[備考]
※参戦時期は「RtB」最終話後から。
※肉体側の参戦時期はセブンスドラゴン2020-Ⅱのフォーマルハウト戦終了後以降から。
※肉体の職業はサムライです。スキルをどれだけ習得しているか、また転身を行ってるかは採用された場合後続にお任せします。
※肉体の声は2020-Ⅱで云う「女性G」 です。

【雷神憤怒アドラメレク@アカメが斬る!】
帝国の将軍ブドーが使用する籠手型の帝具。
地形にすら影響を与え得る電撃を放てる。電撃自体のダメージと衝撃によるダメージ、更に痺れる効果も付属している。
また雷撃を円形にし盾にするかのように変える事も可能。
巨大な雷の玉を生成し放つソリッドシューターが奥の手。

【天叢雲剣@セブンスドラゴン2020】
人類の願いが込められた刀。分類は日本刀の類。
ゲーム内だとクリア前までで手に入る刀の武器では一番性能が高い。なお続編の2020-Ⅱでは入手不能。


905 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 15:37:19 83sAra9.0
投下終了します。タイトルは「天涯少女」です。


906 : お前のようなデカイ兎がいるか!! ◆vV5.jnbCYw :2023/07/23(日) 15:37:27 AdOhmk1Y0

ある男には、夢があった。
彼の故郷では絶滅したウサギになって、大地を駆け抜けることだ。
何の皮肉か、この世界で夢は叶った。
いくら走っても疲れない体力を手に入れた。自分はウサギになったのだと鏡を見ずとも伝わった。



「うおおおおおおおおおおお!!!この身体で、走るぞおおおおおおおお!!!」




それは ウサギと言うには あまりにも大きすぎた
大きく ぶ厚く 重く そして 大雑把すぎた
それは 正に ウサギ型の戦車だった



【マラソンマン@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
[身体]:ウサンダー@スライムもりもりドラゴンクエスト2 大戦車としっぽ団
[状態]:HP:MAX
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:走るぞ!!
[備考]
※1回だけ大型ドリル、デス・キャロットを発射出来ます。
※自分はいっかくウサギ型戦車ではなく、ウサギになったのだと勘違いしています。


907 : お前のようなデカイ兎がいるか!! ◆vV5.jnbCYw :2023/07/23(日) 15:37:38 AdOhmk1Y0
投下終了です。


908 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 15:42:26 xaYYmw1k0
投下します


909 : 私はこの屈辱を一生忘れない ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 15:42:53 xaYYmw1k0
「は?」

【ドミノ・サザーランド@血と灰の女王】
[身体]:タマちゃん吸血鬼すぐ死ぬ
[状態]:困惑
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:は?
1:は?
[備考]
※参戦時期は18巻、善によって封印された後からの参戦です


910 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 15:43:09 xaYYmw1k0
投下終了します


911 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 15:56:54 83sAra9.0
投下します。


912 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 15:57:23 83sAra9.0
「わけがわからないよ」

【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカシリーズ】
[身体]:らんどう@セブンスドラゴン2020-Ⅱ
[状態]:健康、困惑
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:わけがわからないよ
1:魘夢達はボクに何をさせたいんだい??
2:この身体じゃ魔法少女の契約も出来ないんだけど。
[備考]
※参戦時期は少なくとも叛逆の物語よりは前、詳細は後続にお任せします。
※肉体側の参戦時期はセブンスドラゴン2020-Ⅱのフォーマルハウト戦終了後以降から。
※肉体の職業はデストロイヤーです。スキルをどれだけ習得しているか、また転身を行ってるかは採用された場合後続にお任せします。
※肉体の声は2020-Ⅱで云う「女性Q」 です。
※肉体の名前は開発中のサンプルネームのひとつから来ています。


913 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 15:57:50 83sAra9.0
投下終了します。タイトルは「一人称がボクでCV:加藤英美里だから」です。


914 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:01:17 sZCYrSSE0
投下します


915 : しにがみ! ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:01:29 sZCYrSSE0
「あーもうどうなってんのよ!」
海猫商業高校水泳部主力、織塚桃子は嘆いていた。
いかんせん――性別が変わったのだから。

「とにかく、荷物の確認を…」
バックを開けた瞬間だった。
何かが飛び出してきたのだ、それは顔に引っ付いてきた!

「うわぁ!離し…なさいよ!」
強引に剥がすとそこにいたのはネコであった。
そして。

「すまない…驚いたもので…」
「え?ちょ…ちょ…」

その猫は、喋った。

「なんでよぉぉぉぉぉぉ!」
「いや…僕にもわからない…なぜ猫なのに喋るのが…特殊な生命体なのか…?」
「嫌なんで冷静に分析できるわけ!?普通もっとパニクるでしょ!」
「嫌…セブンス能力と戦ってきた…いや…僕の世界の話はよしとこう…」

「はぁ…とにかく、あんたは手助けしてくれるの?」
「あぁ、君が殺し合いに乗らないと言うのなら。」
「わかってるわよ。」

こうして、奇っ怪な死神たちが生まれたのであった。

【織塚桃子@ケンコー全裸系水泳部ウミショー】
[身体]:六道りんね@境界のRINNE
[状態]:健康、
[装備]:
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:とにかく生還する
1:とりあえずあんた(ガンヴォルト)のこと頼りにするわね
[備考]
参戦時期は関東大会終了後

[意思持ち支給品状態表]
【ガンヴォルト@蒼き雷霆のガンヴォルト】
[身体]:六文@境界のRINNE
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:生き残る
1:彼女(ツカ)についていく
[備考]
※参戦時期は初代終了後


916 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:01:39 sZCYrSSE0
投下終了です


917 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:11:05 sZCYrSSE0
すいません
状態表にミスが見つかりました、訂正します
大変失礼しました

訂正後
【織塚桃子@ケンコー全裸系水泳部ウミショー】
[身体]:六道りんね@境界のRINNE
[状態]:健康、
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:とにかく生還する
1:とりあえずあんた(ガンヴォルト)のこと頼りにするわね


918 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:13:24 sZCYrSSE0
もう一本、投下します


919 : なでこマンドラ ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:13:41 sZCYrSSE0
(へ、蛇のロボットになってるぅぅぅぅ!?)

【千石撫子@化物語】
[身体]:マンドラM3@マジンガーZ
[状態]:健康、パニック(大)
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]基本方針:とにかく生還する
1:な、なんでロボットに!?
[備考]
全長は3mに制限
ミサイルは威力制限されてますが無限に打てます
支給品は無しです


920 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:13:53 sZCYrSSE0
投下終了です


921 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 16:21:17 83sAra9.0
投下します。


922 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 16:21:28 83sAra9.0
出自からして真っ黒な存在である機械は、それ故に倒すべきである筈の怪異によって狂い、怪異以外の敵を全て倒す暴走マシーンに成り果てた。
そしてこの殺し合いでも…その意思?或いは思考?兎も角それは無差別に暴れ回る、天使のような機械へとインストールされてしまった。

機械音声を響かせながら、魔法使いの名を持つ兵器は天使に由来した兵器の身体で、殺戮を繰り広げる事となった。

【ウォーロック@ストライクウィッチーズ】
[身体]:ハシュマル@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
[状態]:健康、暴走
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]基本方針:怪異(ネウロイ)以外の全てを滅ぼす。
1:(ハシュマルの機械音声)
[備考]
※参戦時期は第12話「ストライクウィッチーズ」にて撃墜後からです。
※支給品は一切ありません。
※プルーマは1戦闘につき5機までしか生成出来なくなっています。


923 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 16:21:50 83sAra9.0
投下終了します。タイトルは「全て壊すんだ」 です。


924 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 16:35:06 M0FfSEds0
投下します


925 : 本名晒しには気を付けよう! ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 16:35:41 M0FfSEds0
俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー

とかいう本名晒すスレ立てたら何か(`ェ´)ピャーの顔文字になってた件

【佐藤裕也@2ちゃんねる】
[身体]:(`ェ´)ピャー@顔文字
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー
1:あんなクソスレ立てなければ良かった
2:殺し合いの終わらせ方おしえて
[備考]


926 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 16:36:01 M0FfSEds0
投下終了します


927 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:44:42 sZCYrSSE0
投下します


928 : 大阪の狙撃手 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:44:53 sZCYrSSE0
「なんやこれ、ガキの身体やんけ!」
天王寺組幹部、渋谷大智は驚愕の声を上げた。
自身の体が本当に変わっていたからである。

「とにかく、こいつの経歴は…」
「浪花十三、大阪出身の狙撃手か…まさか大阪出身のやつに当たるとはなぁ。」
渋谷はため息をつくと
「もし現実で合ってたらいい同郷の仲間になってたかもしれんなぁ…」
と嘆きの声を上げた

「まぁ、くよくよしててもいかへんか…この狂った殺し合いは止めないといけへん。」
こうして、男は歩みを始めた。

【渋谷大智@ヒューマンバグ大学】
[身体]:浪花十三@超電磁ロボ コンバトラーV
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める、魘夢をぶっ飛ばす
1:ほな、行くで!
2:他の組のメンツはいるやろか…
[備考]
参戦時期は青山戦後


929 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 16:45:04 sZCYrSSE0
投下終了です


930 : 引くに引けない痛み ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 16:57:50 nHym/M2.0
投下します


931 : 引くに引けない痛み ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 16:59:44 nHym/M2.0
「俺の知る月とは、大分違うようだな。」

 周囲が雪原に囲まれた古びた集落にて、
 空に浮かぶ人面の月を見ながら男は呟いた。
 男の姿は、はっきり言って特徴的な部分は少ないと言える。
 よくて小さな眼鏡があるぐらいで、特別現代人の一般的な格好だ。
 もっとも彼、バザラガは所謂ファンタジーな世界の出身なので一般ではないが。
 バザラガにとっての月とは、仲間であるカシウスやアイザックの古郷であり、
 『敵』と呼ばれる空の随所で動乱を巻き起こすことになった元凶でもあり、
 同時に機神を筆頭とした別の敵となる存在の本拠地と、色々縁のある場所でもある。

(異なる世界の月、と言ったところか。)

 別の世界から割と人が来てはその人らと関わる人達が近くにいたのもあって、
 別の世界とかその手の類、と言うことであっという間に今の状況に適応している。
 (別の世界線で同僚と人格が入れ替わったこともあるが、平行世界なので割愛)

 なので最低限の準備を終えて、
 今はこの身体の持つ力を試すところだ。
 集落における年季の入った家の引き戸タイプの玄関の前に立つ。

「『戸よ、引け』でよかったか。」

 言葉にすると、触れることなく戸はひとりでに引かれてバザラガを迎える。
 右手の甲には魔法陣のようなものと11と言う数値が浮かび、減ってることを確認した。
 この身体、所陵一は言葉(ウェルブム)の戦士と呼ばれる、言葉の戦争(ウェルベルム)の参加者だ。
 ウェルブムの戦士は、簡単に言えば動詞を使った言葉を呪文とし行使できると言うものになる。
 例えば『引き金を引く』と唱えれば、設置した銃は指を使わず弾丸を放つと言ったように。
 『視線を引く』『幕を引く』『物を引く』『目を引く』などの手段が挙げられる。

(MPの補充は『引く』の字を見る、か……手間はかかるが戦う術はこれだけだ。)

 普段は大鎌グロウノスと改造し続けた身体の結果、
 物理的な痛みを伴わない強靭でパワフルかつ重厚な鎧を合わせ、
 敵の攻撃をものともしない外見通りの戦い方ができていたのだが、
 所は動詞の力はあるもののあくまで人間。自分のような無茶はできない。
 ただ一つの動詞の力を除いて。

(『痛みを引く』か……)

 動詞の力は基本的に人体に対しては使えない。
 しかし自分自身には使うことができる。だからそれを言えば実行可能だ。
 銃弾を受けようと、腕を斬られようと。身体が動くのを許す限り活動できる最終手段。
 勿論、使うべきではないだろう。身体の男は言うなればテロリストの一人ではあったようだが、
 同時にある人物によって心を開いた際は、そのテロリストの首魁を止めようと行動したらしい。
 搔い摘んだ内容だ。何故心を開いたかは分からないし、探る手段は今の状況ではないのだろう。
 とは言え、余りぞんざいに扱うと言うのは少しばかり躊躇うところはある。
 所がテロリストに加担した理由も、弱者が虐げられるのを許容する社会が許せなかったから。
 誰かを喪った結果暴走する。嘗て仲間を喪ったバザラガにも分からない話でもなかった。

「さて……どうしたものか。」

 それはそれとして。
 移動手段がない中この雪原の中を歩くのは体力を奪われやすい。
 体力がないわけではないにしても、普段のような体力はないのも事実。
 かといって移動しないことには知り合いや味方にも会えないので少し頭を悩ませる。
 普段兜をかぶって顔を隠してるのもあって、頭部を過る冷気に違和感を感じつつ。
 とりあえず、今出来ることは有事の際に必要なMP補充のための手段となる、
 動詞を見るため何かにメモしておくぐらいだろうか。
 民家を漁れば、ペンと紙ぐらいはあるはずと願って。

【バザラガ@グランブルーファンタジー】
[身体]:所陵一@ウェルベルム-言葉の戦争-
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3(確認済み、移動手段になるものなし)
[思考・状況]基本方針:生存優先。
1:言葉の力に対する理解をしておきたい。
2:ゼタやユーステスや、団長たちがいれば合流。
3:『痛みを引く』は最終手段とする。
4:MP補充のための手段の確保。

[備考]
※参戦時期は少なくともSTAYMOON終了以降。
※肉体の参戦時期は、少なくとも入間ケイジに『心を開く』をされて以降。
※MPの補充は動詞の『引く』の文字を見ることです(一度使った文字は回復対象にならない)。
 MPの上限は12で、抽象的な物やサイズが大きいものを対象にするほど消費するMPが減ります。
 (その辺のさじ加減は採用された場合書き手にお任せします)
 人体に直接干渉はできませんが、精神的な干渉は可能です(例:この戦いから手を引く)
 『引く』が動詞ですが『痛みよ引け』みたいな言い方でも能力は行使可能です。


932 : ◆EPyDv9DKJs :2023/07/23(日) 17:00:28 nHym/M2.0
投下終了です


933 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 17:05:46 M0FfSEds0
投下します


934 : ダンスは苦手だな ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 17:06:14 M0FfSEds0
「アイドルの身体になっても……ダンスは苦手だな」

【不動遊星@遊☆戯☆王5D's】
[身体]:聖川真斗@うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレジェンドスター
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには抗うが、どうしてアイドルの身体なんだ?
1:アイドルの身体になっても……ダンスは苦手だな
2:身体側のプロフィールにある“心のダム”はなんのことだ?
[備考]


935 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 17:06:28 M0FfSEds0
投下終了です


936 : ◆5IjCIYVjCc :2023/07/23(日) 17:36:14 3kA1AeQU0
締め切りの時間が近づいてきたので、それについての注意事項を再度書き込みます。
期限は今日、2023年7月23日(日)の22:00までを候補作投下のための宣言の期限、23:00までをSS投下期限としています。

なお、もしも混雑が起きることにより22:00に投下宣言していても23:00までに投下完了が間に合いそうにないといったことがある場合は、専用したらばのSS投下スレに投下しても問題ありません。
URLはこちら→SS投下スレ:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/18420/1655904147/l50

もしこれでもまだ混雑が起きそうな場合は、別の新たな投下スレを専用したらばに建てることも検討しております。


937 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 17:44:17 83sAra9.0
投下します。


938 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 17:45:07 83sAra9.0
「眠りについていた私を叩き起こすまでなら兎も角、元翅無しの身体に封じるとは、許すわけには行かない…だが今はお前達の思惑通り動いてやろう…全ては我らの楽園復活のために…!!」

【頭翅@創世のアクエリオン】
[身体]:比那名居天子@東方Project
[状態]:健康、主催への怒り
[装備]:緋想の剣@東方Project、メダジャリバー@仮面ライダーオーズ
[道具]:セルメダルセット@仮面ライダーオーズ
[思考・状況]基本方針:優勝し願いを叶えた上で主催も殺す
1:他参加者は皆狩り尽くす。
2:元翅無しの分際で「天子(テンシ)」などと名乗るか…!!
3:太陽の翼…君もこの場に居るのかい…?
4:ケルビム兵が在れば、狩り易くなるだろう。
[備考]
※参戦時期は本編にて目覚める前からです。
※精神側である頭翅が属している堕天翅族は、自己進化する中で性別の概念を捨て去っています。
※肉体側の大地を操る程度の能力が制限されてるかどうかは後続にお任せします。

【緋想の剣@東方Project】
比那名居天子の持つ剣。天人しか使いこなせない。今ロワでは誰でも振るう事が出来るようになっている。
気質を見極める程度の能力による相手の弱点を付ける特性が制限されてるかどうかは後続にお任せします。

【メダジャリバー@仮面ライダーオーズ】
仮面ライダーオーズ専用の大型の剣。
素でも斬れ味が良く、更にセルメダル3枚を投入すると空間毎相手を切り裂く斬撃であるオーズバッシュを放つ事が出来る。

【セルメダルセット@仮面ライダーオーズ】
グリードやヤミーの力の源兼身体の維持や構成に必要となるメダル。メダジャリバー等に投入する事で効果を発揮する。
本ロワでは何枚かのセルメダルが一つのアイテムとして纏めて支給されています。どれだけ支給されたかは後続にお任せします。


939 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 17:45:34 83sAra9.0
投下終了します。タイトルは「天子と天翅」です。


940 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/23(日) 17:54:22 RmdrDbj.0
投下します


941 : 灘神陰流の伝承者 ◆7PJBZrstcc :2023/07/23(日) 17:54:51 RmdrDbj.0
「銃弾は弾丸滑りで回避した筈じゃが、ここはどこじゃ……!?」

【天内理子@コラ画像】
[身体]:宮沢熹一@タフシリーズ
[状態]:健康、戸惑い
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:死にたくない
1:ここはどこじゃ……?
[備考]
※弾丸滑り以外の灘神陰流の技が使えるかは当選した場合次の書き手氏にお任せします。
※身体の参戦時期は少なくともTOUGH開始以降のどこかです。


942 : ◆7PJBZrstcc :2023/07/23(日) 17:55:14 RmdrDbj.0
投下終了です


943 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 17:57:43 sZCYrSSE0
二本投下します


944 : 我がさだめ ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 17:58:10 sZCYrSSE0
「……………」
かつて、世界に反乱を起こした組織があった。
鉄工竜…そして、彼らが主力八卦衆。
山のバーストンが受けたりし男、祇鎗は、この地に転移されていた。

「この力…なんのために使うか…」
前世の無念が残る…彼の中には

「あの魘夢というもの、殺しというものを快楽に捉えている…そんなものに付き従うほど私は落ちぶれていない!」
彼の身体は、老獪な武人だった、地上にて名機を持ち、殿を努めた者を。

「待っていろロクフェル…今そっちに行こう…」

【祇鎗@冥王計画ゼオライマー】
[身体]:ノリス・パッカード@機動戦士ガンダム 第08MS小隊
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催打倒
1:主催を倒す、そして、いるべきところへ行く。
[備考]
死亡後に参戦


945 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 17:58:29 sZCYrSSE0
一本目投下終了です
二本目いきます


946 : 禁断の冥王 ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 17:58:46 sZCYrSSE0
「……………ざけんな」

冥王になった少年が一言呟く。
まるで何もかもに興味がないような


【シャニ・アンドラス@機動戦士ガンダムSEED】
[身体]:木原マサキ@冥王計画ゼオライマー
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:さっさと優勝する。
1:………めんどっ
2:………あの気持ち悪いやつ(魘夢)ムカつく
[備考]
死亡後に参戦


947 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 17:58:56 sZCYrSSE0
投下終了です


948 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 18:39:45 xaYYmw1k0
投下します


949 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 18:40:24 xaYYmw1k0
ここは よくある パロロワ の世界

物語はここから始まる



















まるで魔王みたいなツノのカチューシャを付けた女がいた。
上空に広がる満点の空と、墜ちてくると言われた月を見上げていた。
この少女の身体は人気ユーチューバーにして新生B小町のメンバーであるMEMちょ。ちなみに年齢は25歳だ。
だが、ここは魂が別の身体に文字通りチェンジされている一風変わった殺し合いの舞台。
つまる所今のMEMちょの中身は全くの別人ということで……

「俺は…オスカー! 何処にでもいる普通のイエネコだ!」

「つい最近までお母さんを倒してやっとこさ平穏を取り戻したと思ったら……」

「なんだか魔王の娘みたいなツノがある女の子の体になっていた!!」

てなわけで。
現在MEMちょの身体となっているのがごく普通の飼い猫ことオスカー。
食って寝て人を癒やすことが義務なイエネコのオスカー。
つい最近、本性を明らかにした、悪魔に人格を支配された母親に猫料理にされそうになったが、父親の尊い犠牲とマジソンが用意してくれたメギド砲によって危機を脱した。

「それになんだこれは!? 身体を入れ替えて殺し合いをさせて、最後の一人にならないと会場諸共墜ちてきた月に押し潰されるだと!?」

聞けば聞くほど素っ頓狂な話だ。あの魘夢という男がどのようなやり方で身体を入れ替えたのかは兎も角、無理やり連れ込んでかつこの所業。まさにその人格が悪魔に支配されていると言った所か。
実際魘夢の言うことが確かなら、あのウタという少女が魘夢という悪魔に人格を支配されているようなものだが。

「だったらやることは単純だ。あの魘夢という悪魔をデストロイすれば問題ない話!」
「クックックッ……」
「だ、誰だっ!?」

打倒魘夢!と方針を決めた途端、背後から聞こえる謎の声。
オスカーが振り返ればそこには――!

「久しぶりだなオスカー。貴様にやられた時の痛みは今でも覚えているぞ……!」
「なっ……誰だっ!?」
「ならばもう一度教えてやろう。俺の名はコモドオオトカゲ! そしてこの身体の名はベルゼバブ!」
「こっコモドオオトカゲ……ってベルゼバブだとぉぉぉぉぉっ!?」

余りにも巨体な金髪焼け肌ムキムキマッチョマン。筋肉の黄金比そのもの。
そして名乗った名前はコモドオオトカゲ。かつて新しいペットとしてやってきて自分のエサを勝手に食べた不届き者。
いやそれよりも、オスカーにとってはベルゼバブという名前のほうが驚愕に値するものだった。
何故ならば、あの母親に取り憑きその人格を支配していたのがベルゼバブと言う名の悪魔なのだから。

「……まさか、生きていたなんてな……!」
「そうだ。俺はこの世に蘇った。しかも最高完璧の身体を手に入れた上で。もう俺は一介のペットに収まる存在ではない。人間を飼い主とする時代は終わりだ、これからは我らペットが人間の飼い主とするのだ!!」

コモドドラゴンはオスカーへの復讐以上に、ペットと飼い主の関係性を完全に逆転させるつもりだ。
オスカーとてペットとしての矜持がある。飼い主が積極的に害を成してくるなら容赦はしないが、それ以外の人間を巻き込むなどという凶行、赦してはおけない。

「ふざけるなぁぁぁぁ! 俺たちペットの役目は食って寝て人を癒やすことだ。貴様のような外道、もう一度粉微塵にしてくれるぅぅぅ!!!!」
「やってみろハズレ身体を渡された羽虫がぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


950 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 18:40:48 xaYYmw1k0


● いざ、決戦のバトルフィールド!(この場所) ●



















コモドドラゴン(ベルゼバブの姿)が現れた!

「いくぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

オスカー(MENちょの姿)は支給品からミニ八卦炉を取り出した。

「喰らええええええええますたぁぁぁぁぁすぱぁぁぁぁぁぁぁく!!!!!!」

オスカー(MENちょの姿)はマスタースパークを放った! しかし魔力が足りなくて微妙な威力だった!
コモドドラゴン(ベルゼバブの姿)は全治8秒の怪我を負った!

「な、なにいいいいいいいいいいいいいいいいいっっ!!!!?」

「馬鹿めぇぇぇぇぇぇぇ!! この程度の攻撃が今の俺様に効くと思っていたのかぁぁぁぁ!?」

「今度はこちらの番だ! 死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!!」



コモドドラゴン(ベルゼバブの姿)のコモドドラゴンパンチ(さっき命名)! 渾身の一撃!
オスカー(MENちょの姿)は全治132周間の怪我を負った!

「ぐわあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

オスカー(MENちょの姿)はふっ飛ばされた!

オスカー(MENちょの姿)は戦いに敗れた……


「馬鹿め、普通のイエネコ程度にこのコモドオオトカゲ様が負ける余地は無いぞ常識的に考えてなぁ! あーはっはっはっはっは!!」




【コモドオオトカゲ@妹が作った痛い RPG「萌え萌えウォーズ Episode 1 ファントム・エロス」】
[身体]:ベルゼバブ@グランブルーファンタジー
[状態]:健康、上機嫌
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:最後まで生き残り、我らペットが人間の飼い主となる世界を作り上げるのだぁ!
1:馬鹿め、普通のイエネコ程度にコモドオオトカゲが負ける余地は無いぞ常識的に考えてなぁ!
2:さて、オスカーに舐めされられた苦渋は熨斗付けて返したぞ!
[備考]
※殺し合いが崩壊しない程度の制限が科せられています


951 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 18:41:02 xaYYmw1k0



「しっかり、しっかりしてください!!」

「ち、ちくしょう……!」

オスカーは生きていた。生きていたが全身が兎に角骨折しまくってまともに戦えない状態になってしまった。
そもそも一介のYouTuberの身体で戦うということ自体が支給品有りきだとしても無謀の極みであった。
そして、そんなオスカーに対して治癒魔法を施したのは水色髪の女性。
アクシズ教の女神アクアの身体で必死にオスカーの傷を治す彼女の名は宮藤芳佳。

彼女が覚えているここに来る前までの記憶。
オペレーション・サウスウィンドにて魔法圧の不調から最終決戦時まで出撃を禁止されていたが、仲間のピンチに思わず飛び出してしまい無理した結果気を失ってしまったのが最後。
その上で与えられた身体がマジモンの女神様というのは流石の彼女も面食らったもの。
だが、その直後にふっ飛ばされてきたのがこの女の人。

幸いにも身体が違うのか魔法力は兎に角溢れていたので緊急治療開始。
何とかオスカーの一命こそは取り留めたものの、ここから先大変なことばかりということで宮藤芳佳は気を引き締めなければならないと自覚するのであった。

【オスカー@妹が作った痛い RPG「萌え萌えウォーズ Episode 1 ファントム・エロス」】
[身体]:MEMちょ@【推しの子】
[状態]:複数箇所骨折(現在治療中)
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜
[思考・状況]基本方針:魘夢という悪魔をぶっ飛ばしてウタという人間を助ける!
1:ち、畜生……!
[備考]

【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズシリーズ】
[身体]:アクア@この素晴らしき世界に祝福を!
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:なんとかしてこの殺し合いを止めないと……!
1:まずはこの怪我してる人を何とかする
2:501のみんな、私がいなくなった間大丈夫なのか……ううん、大丈夫だと信じないと何も始まらない!
[備考]
参戦時期は「RtB」10話、魔法力を無理して行使した事で気を失ってからの参戦です。


952 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 18:41:26 xaYYmw1k0
投下終了します
タイトルは「萌え萌えウォーズ Episode 3 コモドオオトカゲの逆襲 〜バースオブニューキング〜」です


953 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/23(日) 18:51:48 J1kzAxEg0
投下します


954 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 18:51:52 sZCYrSSE0
投下します


955 : ロマンス小説を舐めんじゃねぇよ ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 18:52:05 sZCYrSSE0
「な…ななななななななななんですかこの身体はー!」

【ソフィア・アスカルト@乙女ゲームの破滅フラグしか無い悪役令嬢に転生してしまった…】
[身体]:トニー・トゥートーズ@イレイザー
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生還する
1:ど…どうしてこんな身体に…
[備考]
参戦時期はアニメ1期終了後


956 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 18:52:17 sZCYrSSE0
投下終了です


957 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/23(日) 18:52:36 J1kzAxEg0
改めて投下します


958 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 18:52:49 sZCYrSSE0
あ…被ってました…
申し訳ありませんでした


959 : 望まぬ開花 ◆OmtW54r7Tc :2023/07/23(日) 18:53:35 J1kzAxEg0
これは、サトシたちがゼニガメ消防団のリーダーであり、かつての仲間であったゼニガメと再会し、喧嘩し、そして仲直りをして別れた後の話。
この頃のサトシは手持ちを頻繁に入れ替えていたため、フシギダネとリザードンもオーキド研究所に戻された。

『…そういや、リザードン。俺とお前が喧嘩…ってわけじゃないが仲が悪かった時期もあったよな』
『そんなことあったか?』
『ああ…そういやあの頃のお前は俺達のことなんて歯牙にもかけちゃいなかったっけか』

元々、フシギダネはヒトカゲだった彼と仲が良かった。
ヒトカゲはフシギダネを尊敬し、面倒見のいいフシギダネは気にかけて、良好な関係を築いていた。
そんな関係が変わったのは、ヒトカゲがリザード、リザードンと進化をしていった頃からだった。

『ゼニガメの奴は『誰にだって悪ぶりたい時期はあるもんだ』ってあんまり気にしてなかったけどな。俺はあの頃のお前が、大嫌いだった』
『…まあ、俺もあの頃の自分はどうかしてたって今では思うよ』

リザード、そしてリザードンに進化した彼は、ヒトカゲの頃の素直さを捨て去るかのように、横柄な性格に変わってしまい。
トレーナーであるサトシも、長い間持て余してきた。

『ヒトカゲの頃は、強くなることに真面目で、ひたむきだったのに…進化して手に入れた力に胡坐をかくお前を、心底軽蔑してたよ』
『…そういやフシギダネ、お前進化を前に拒んだって聞いたが…俺のせいか?進化した俺が腑抜けてたから、進化するのが嫌だったのか?』

バツが悪そうに、少し申し訳なさそうにリザードンが聞いてくる。
そんな彼に少し昔の面影を感じつつ、フシギダネはフッと薄く笑って言った。

『そんなんじゃ…いやまあ、理由の一つくらいではあるかもしれねえが、根本的な理由はそんなんじゃないから、気にするなよ』
『じゃあ、なんで進化しないんだ?』
『…秘密だ。俺とピカチュウだけの、な』
『ピカチュウには話したのかよ!俺にも話してくれたっていいだろ!』
『あいつは特別だよ。ピカチュウは俺と同じ…進化を拒んだ奴だからな』
『…今も進化する気はないのか?』
『ああ…勿論だ』


960 : 望まぬ開花 ◆OmtW54r7Tc :2023/07/23(日) 18:54:12 J1kzAxEg0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

そして今、フシギダネは不気味な月が浮かぶ殺し合いに巻き込まれて。
彼は、非常に怒っていた。

「バナアアアアアアアアアアア!!」

彼が与えられた姿は…フシギバナ。
彼、フシギダネの最終進化系だ。
進化を拒んだ彼に、殺し合いの主催者はよりにもよって進化後の姿を与えたのだ。
だがしかし、彼が怒っているのは厳密に言えばフシギバナに…進化後の姿にされたことではない。
フシギバナの巨体で慣れないタブレットを操作して知った、このフシギバナの正体。
それが彼の怒りの原因だった。

「バナアアアアアアアアアアア!!(あいつを…妹分の身体を利用しやがってええええ!!)」

彼が与えられたフシギバナ。
それはかつてサトシが共に旅をしたハルカというトレーナーのパートナー。
サトシから呼び出されて、フシギダネだった彼女の面倒を見てやったこともあるし、サトシがホウエンの旅を終えた後、ハルカがオーキド研究所を彼女の預け先にしたため、付き合いは長い。
かつてのリザードンとは違って、進化してからも自分を兄貴分として慕ってくれる可愛い奴だ。
妹分の方がでかくなったことにちょっと複雑な気分になったが。

「バナアアアアアアアアアアア!(大切な妹分の身体を好き勝手した落とし前…つけてやるからなあ!)」

意図せず手に入れた進化後の姿や力。
それを前にフシギダネが何を思うか。
リザードンのように性格が変わってしまうのか、変わらないのか。
それはまだ、分からない。
今はただ、大切な存在を虚仮にされた怒りの感情だけが、彼を支配していた。

【サトシのフシギダネ@アニメ版ポケットモンスター】
[身体]:ハルカのフシギバナ@アニメ版ポケットモンスター
[状態]:健康、怒り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:妹分の身体を利用した主催者は許せない。叩きのめす
[備考]
※参戦時期は新無印141話(めざポケ5話)以降です。


961 : ◆OmtW54r7Tc :2023/07/23(日) 18:54:42 J1kzAxEg0
投下終了です


962 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 18:58:34 rE9Nditk0
投下します


963 : アイツを探せ ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 18:58:55 rE9Nditk0
「あのさぁ……。俺、ユニオンモンスターだからこうやって身体入れ替えられただけじゃ意味ないんだけど。とりあえずアイツこと俺のボディ探すか」

【アイツ@遊戯王OCG】
[身体]:コイツ@遊戯王OCG
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:アイツ(俺)を探す
1:ユニオンだからアイツ(俺)が居ないと意味ないんだわ
[備考]


964 : ◆QUsdteUiKY :2023/07/23(日) 18:59:16 rE9Nditk0
投下終了です


965 : 気をつけて!このアルトリアは猛毒です! ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/23(日) 19:39:28 D4atzm6.0
投下します


966 : 気をつけて!このアルトリアは猛毒です! ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/23(日) 19:40:18 D4atzm6.0
暗い地下線路の上を銀髪の女性が血塗れで這いずっていた。
 この女性の名はアイリスフィール・フォン・アインツベルン。精神の名は条河麻耶という。
 
 変な夢を見て、気が付いたら大人の身体になっていたという、人に話したら変なクスリでもやっているのかと訪ねられかねない現状を受け入れるのに時間が掛かったものの、頬を抓ったら普通に痛かったので、これを現実だと認めざるを得なかった。
 そして現実だと認めた瞬間にチマメ隊の二人が巻き込まれていないか心配になり、地下線路を歩き出したのだった。
 慣れない大人の身体に戸惑いながらも、歩き続けること数分。薄暗い地下でも光り輝いて見える程に美しい少女と出逢い、思わず話し掛けた。
 これが条河麻耶の運の尽きだった。
 少女は麻耶が放心する程に穏やかで、慈愛に満ちた笑みを浮かべ近づいて来た。その少女の姿に、思わず麻耶が力を抜いた瞬間。
 麻耶の視界が急速に右側に傾き、麻耶は線路上に倒れ込んだ。
 急な身体の変化に戸惑ったのは一瞬の間だけ。右膝に生じた激痛に絶叫し、涙を流しながら目を向けると、右膝が常時曲がる方とは逆の方向に曲がっていた。正面からの前蹴りで蹴り折られたとは、麻耶には当然知る由もない
 ありえない方向に曲がった脚を見た事による吐き気と、それを遥かに上回る痛みとに再度絶叫した麻耶の右手を、赤い槍が貫いた。
 明らかに出逢ったばかりの少女が自分を殺そうとしている。そう悟った麻耶は必死に逃げようとするも、右膝と右手を壊された身では満足に動くことも出来ず。一方的に嬲られ、痛めつけられて、哮笑する少女を見ながら、意識を失った。


 「中々に面白い身体を充てがわれたものだ」
 
 血濡れた長槍を手に地下鉄の線路上でに佇む一人の少女が居た。
 最上級の翡翠を思わせる深緑の瞳。右手首に嵌めた黄金の腕輪にも劣らぬ輝きを放つ金の髪。処女雪の如き白皙の肌を持つ美しい少女だ。
 だが、この少女を見た者は、それらの美を意識する事は無いだろう。
 少女の面貌に浮かぶ表情。それを見れば誰もがこう思う筈だ。
 『この少女は悪魔だ』と。
 その顔に浮かぶ邪悪という概念を形にしたかの様な笑み。全身から放散される鋼をも腐らせそうな凶念。手にした槍で全身を穿たれ、鮮血に塗れて地に伏した女──── 条河麻耶を見つめる愉悦と悪意に満ちた眼差し。

 「身体能力こそ脆弱だが、魔力を通す事で爆発的に高める事が出来る…。謀り、欺くには丁度良い」

 少女は笑顔のまま、足元の女の腹に槍を突き刺す。

 「ガッ!?ぎいいいいいいいい!!!!」

 刺した槍で腹を抉られ、掻き回される。その激痛に意識を取り戻した女が泣き喚くのを、少女は満足げに見ていた。

 「それに、人間共に讃えられ、崇められる騎士の王というのもまた良い。この身体で陽光の加護を受ける者共を殺し尽くすのもまた一興」

 この少女の内にある精神の名は『ラゼィル・ラファルガー』。地下世界アビサリオンに暮らす、凡そ地上世界に於ける悪徳が美徳である。
 より狡猾に、より悪辣に、より冷酷に、より残虐にある者が讃えられるダークエルフ族の中にあって知らぬ者などいない大英雄であり、地上世界に生きる者たちにとっては、死と廃滅を齎す悪鬼である。
 
 「まだ持ってくれたまえよ。神楽の本番が始まる前の前奏だ。そうそう簡単に終わって貰っては、こちらとしても困る」

 力もロクに入らない身体で、這いずって逃げようとする女に、労りとも言えるほどに優しい声を掛けて、再度槍を一振り。背骨を突き砕かれた女が挙げる絶叫に耳を傾けて笑う。

 「混沌神グルガイアよ、此度の神楽は一風変わった趣向なれど、御身に捧げる贄はいつもと変わらず。此度もまた、豊潤な命を御身に捧げましょうぞ」

【条河麻耶@ご注文はうさぎですか?(身体:アイリスフィール・フォン・アインツベルン)死亡】


967 : 気をつけて!このアルトリアは猛毒です! ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/23(日) 19:40:38 D4atzm6.0
【ラゼィル・ラファルガー@白貌の伝道師】
[身体]:アルトリア・ペンドラゴン@Fate/Zero
[状態]:健康
[装備]:神の眼@白貌の伝道師 破魔の赤薔薇(ゲイ・ジャルグ) @Fate/Zero
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:この身体を巧みに用いての皆殺し。強力な相手は嵌め殺す。

支給品紹介

破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)Fate/Zero
由来:ディルムッドが養父であるドルイドのアンガスより贈られた紅槍ゲイ・ジャルグ。
「赤い槍」を意味する名の通り、紅の長槍。刃が触れた対象の魔力的効果を打ち消す。
セイバーの鎧のように魔力で編まれた防具、魔術やあるいはバーサーカーの宝具「騎士は徒手にて死せず」のような魔術的な強化・能力付加を受けた武具から、その魔力的効果を奪って物理的な防御力のみの状態にする。
但し過去に交わされた契約や呪い、既に完了した魔術の効果を覆すことはできない。
「宝具殺しの宝具」と呼ばれる槍だが、この破魔の効果単独で宝具の初期化はできない。あくまで「刃の触れた部分だけ」「刃の触れている間だけ」効果を打ち消す。作中、セイバーと切り結んでも「風王結界」はその瞬間だけ僅かにほどけるのみであるし、キャスターの「螺湮城教本」を傷つけて海魔の大群を消し去った時も、表紙を切り裂かれた宝具は時間を置かず再生している。
魔術を使わないものにはただの槍だが、サーヴァント同士の戦いに魔術的なものを使わないことはまずなく、派手さはないが実に有用な宝具。

神の眼@白貌の伝道師

巧妙精緻な彫刻が施され、中央に大きな猫目石象嵌された黄金の腕輪。
この猫目石は、アビサリオンに有る混沌神グルガイアの像からラゼィルが抜き取ったもので、文字通りの『神の眼』である。
混沌神グルガイアは、この石を通して地上世界の者達の死と苦痛を見る。


968 : 気をつけて!このアルトリアは猛毒です! ◆/dxfYHmcSQ :2023/07/23(日) 19:40:55 D4atzm6.0
投下を終了します


969 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 19:54:11 sZCYrSSE0
二本投下します


970 : 嵐を呼ぶ(物理) ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 19:54:34 sZCYrSSE0
「うわァァァァァ!誰かァァァ!」

【旋風寺舞人@勇者特急マイトガイン】
[身体]:ネコタイフーン@にゃんこ大戦争
[状態]:健康、パニック(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催打倒、生還
1:身体がァァァ!


971 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 19:54:50 sZCYrSSE0
一本目投下終了
二本目投下します


972 : いや同じ名前だけど ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 19:55:20 sZCYrSSE0
「でもこれ…声がジェイドじゃ…?」

【ルーク・フォン・ファブレ@テイルズオブジアビス】
[身体]:ルーク・バレンタイン@HELLSING
[状態]:健康、困惑(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生還優先
1:でもこれ…声がジェイドじゃ
2:みんなはいるのか?
[備考]
バレンタインの経歴について確認しました


973 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 19:55:34 sZCYrSSE0
投下終了です


974 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 20:13:22 xaYYmw1k0
代理投下します


975 : 雷電将軍と勇者侍 ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 20:14:57 xaYYmw1k0
 不覚。そうとしか言いようがなかった。
 まさか精神と身体を入れ替えた状態での殺し合いを強制されるなんて。

「……」

 殺し合いという催しが行われる場所の一角で、手鏡を手にした一人の少女が神妙な顔つきで立ち尽くしていた。
 背は低く、小学生高学年くらいだろうか。髪をツインテールに纏めており、年齢にしてはお洒落な服装をしている。
 しかし、本人――この身体に入った精神の主はそれを気にする余裕もなかった。

「これは……なんということでしょう」

 そう呟くことしかできなかった。
 彼女の名は、雷電影(らいでん えい)。テイワット大陸における七神の統治する国の一つ、「永遠」の国・稲妻で、稲妻幕府の雷電将軍として信仰を集め、国を治める者。
 つまるところ、影は神——雷元素を司る神であり、またの名をバアルゼブルである。

「まさか、このような幼子の身体を持つことになるなんて……」

 この身体の元の主のことも気になるが、影にとってはるタブレット端末は未知の技術の産物であるために扱うことができず、プロフィールを確認することができなかった。
 影が知らぬことだが、この身体の主の名は的場梨沙。この殺し合いがなければ、第三芸能課の小さなアイドルの卵として活動していたはずの小学生だ。
 梨沙はアイドルとしての上昇志向が強く、年齢の割には生意気な面もある子だが、その中に入った精神が3000年以上も生きる神の一柱のため、見る者が見れば違和感を拭えないだろう。

「『いなづまのやり』ですか。私の国と同じ名を冠する武器を手にできるとは何とも不思議な縁ですが……少し、この身体を試してみるとしましょう」

 影は支給されていた「いなずまのやり」という槍を手に取り、薙刀の要領で振るってみる。
 本体であれば、卓越した影の武人としての才能が合わさり、見る者の信仰さえも集める演舞が完成する――はずだった。

「あっ……」

 しかし、影の願いとは裏腹に、それは叶わなかった。
 影が槍を勢いよく薙ぎ払ったまではいいものの、槍の重さに引っ張られてしまい、影は身体ごと転んでしまった。
 いなずまのやりが力なく音を立てて地面に落ちる。

「やはり、ですか。厄介なことになりました」

 影の精神が分かっていても、梨沙の身体がついていかない。3000年以上もの歳月を生きて鍛錬を積んできた武人と、アイドルとしてのレッスンを受けてはいるものの弱冠12歳の小学生の間には、埋めがたい差があった。
 特に、気になるのが年齢故のあまりにも成長の薄い胸だ。これでは、切り札である自身の武装――夢想の一心が出てくる角度が元の身体とはずれてしまい、抜くのに些か苦労しそうだった。

「ならば――裁きの雷」

 影は気持ちを切り替えて、今度は元素力を扱うためにその小さな手を振り払うようにして空間をなぞる。
 すると梨沙の黒髪のツインテールが雷元素を象徴する紫に発光すると共に、空間が雷で切り裂かれ、その裂け目が開いて禍々しい眼が映し出された。
 神変・悪曜開眼。雷電将軍の操る雷元素力の一片であり、凶星の手眼を操り、眷属に加護を、敵に雷罰を与える雷神としての権能。

「元素力は扱えるようですね」

 神としての元素力は精神、または魂由来の能力であるためか、梨沙の幼い身体に宿った影でも雷元素を操ることができた。そこは不幸中の幸いだろう。

「しかし、どうしましょう……。『雷電将軍』がいるとはいえ、長期間稲妻を開けてしまうのは拙いですね」

 この身体でできることを確認して、影はこれからのことを考える。
 稲妻には、影に代わって統治を行う、人形の『雷電将軍』がいるとはいえ、急に影がいなくなったことを友人の八重神子や旅人に勘づかれてしまうと、心配をかけてしまう。
 やはり、稲妻への帰還を目標にすべきだ。

「ですが……稲妻へ帰還するとして、ここに招かれた者達の願いを踏みにじるというのも、気が進みませんね」

 かつての自分であれば、そんなことは考えずに手段を選ばず帰ろうとしたのに、と影は内心で自嘲する。
 数百年前の災厄で、影は姉である雷電眞(らいでん まこと)を、数多くの友人を、稲妻の民の大勢を、あまりにも多くのものを失った。
 時が移ろうことによって摩耗すること、時が移ろうことによって失うこと――それらを極端に恐れた影は、何も失うことがない不変の「永遠」を追求するようになっていた。
 人々の「願い」から目をそらし、何も聞き入れようとしなかった。
 自身に代わって統治を行う人形の『雷電将軍』を造り、自身は意識空間である一心浄土に閉じこもっていた。


976 : 雷電将軍と勇者侍 ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 20:15:15 xaYYmw1k0
 だが、今は違う。
 旅人との戦いで垣間見た、稲妻の民の「願い」の輝きと「願い」がもたらす可能性。
 自分が不変であろうとも、自分の知らぬところで稲妻の民が変わり続けていたという現実。
 時によって失うもの、時によって新たに得られるもの。
 在りし日の姉が見せていた姿。
 影はようやく、変わることによって紡がれていく「永遠」を見出した。

「ならば神として、敢えて茨の道を歩みましょう」

 人々の願いを蹂躙するという狂った催しを開いた者を討つ、その上での帰還。
 改めて握った槍には、影の決意が込められていた。

「――何者です」

 そんな影の背後に、近づいてくる者がいた。
 影はいち早く気づき、振り返る。
 そして、影は目を見開いた。

「――!!」

 それは、旅人との戦いで人々の「願い」の輝きを見た時と似たような衝撃だったのかもしれない。
 影は一瞬で理解した。影の前に立つ者の瞳には、「世界を救う」という決意と、願い、そして絶対に諦めない心が映っていた。
 これほど強い願いを、影は見たことがなかった。
 しばらくして、影はハッとする。

「ええと……信じてもらえるかは分かりませんが、私は殺し合いには乗っていません。その――」

 影は自分の姿勢について、明確にしつつ、言葉を詰まらせながら目の前の男の全体像をもう一度見た。

「目つきだけは非常に澄んでいますね。……目つきだけは」

 そう言われた男は、改めて手鏡で自分の姿を見る。
 そう、男――この肉体の精神に宿った少年は、世界を救った勇者だった。大切な仲間や、多くのものを失いながらも、一度は魔王に支配されたロトゼタシアを救い、命の大樹の魂をも取り戻した勇者――イレブン。
 だが、イレブンに宛がわれた肉体の主は、あろうことか万屋銀ちゃんの主である坂田銀時であった。
 何より問題だったのは、「イレブンの精神が入ったことで、銀時の死んだ魚のような目つきがイレブンの目つきになっていた」ことだ。

 鏡に映った目つきだけは異様に綺麗な姿を見たイレブンはほんの少し身体を震わせ、改めて影を見る。
 本来の肉体の主であれば、「テイワットの将軍かよォォォ!!」と叫んでいたであろうが、異様に綺麗な目に対してアンバランスな肉体を持ってしまった勇者は叫ばなかった。



【イレブン(主人公)@ドラゴンクエストⅪ】
[身体]:坂田銀時@銀魂
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止めた上で帰還。
1:まずは目の前の女の子(雷電影)と情報を交換する。
[備考]
※参戦時期は時のオーブを破壊し、過ぎ去りし時を求めた以降です。
※イレブンの精神が入った影響で、目つきだけが銀時の死んだ魚のような目からイレブンの目つきに変わっています。
※プロフィールを見れていません。

【雷電影@原神】
[身体]:的場梨沙@アイドルマスター シンデレラガールズ U149
[状態]:健康
[装備]:いなずまのやり@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:主催の撃破による稲妻への帰還。
1:この目つきだけは非常に澄んでいる人(イレブン)と情報を交換する。
2:この幼子の身体、動きにくいですね……。特に胸が薄いせいで夢想の一太刀を浴びせる時に苦労しそうです。
[備考]
※参戦時期は雷電将軍の伝説任務「天下人の章 第二章」クリア後です。
※元素力は精神由来の能力のため、元素力を操ることができます。
※プロフィールを見れていません。


977 : 雷電将軍と勇者侍 ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 20:15:30 xaYYmw1k0
§





 影とイレブンが出会った場所とはまた別の地点で、銀髪の髪をした女が佇んでいた。

「――なるほど」

 慣れない手付きで、タブレットを操作した女はプロフィールを見て、冷徹な表情のまま決意を新たにした。

「この八意永琳という者の肉体と『蓬莱の薬』――嘘ではないようですね」

 肉体は八意永琳、しかしそこに宿る精神は違っていた。
 彼女は雷電将軍。だがそれは影のことではなく、影が作成した「人形」の雷電将軍そのものの人格だった。
 それも、平時から影のコントロールを受けている時の「人形」ではない、影が「変化」に対する考えを改めたことで、影を排除しようと反旗を翻した時点の「人形」だ。
 影は「人形」を作成した際に、不変の「永遠」を追い求めるためにあらゆる可能性を考慮し、「永遠の敵」を排除するよう調整した。その「永遠の敵」とは、いずれ心変わりをするかもしれない影自身すらも含まれていたのだ。
 本来の時間軸であれば影と「人形」が刃を交えることで両者が和解していたはずなのだが、この「人形」の人格は、そうなる前から来てしまった。

「内なる者は規則から逸脱した――ならば、私自身の手で稲妻に永遠をもたらしましょう。蓬莱の薬を稲妻の民全てに与え、稲妻を真なる「永遠」の国にするために」

 八意永琳のプロフィールに書かれていた、「蓬莱の薬」とその効能。それは「人形」の興味を引くには十分すぎる内容であった。
 蓬莱の薬のもたらす不老不死。これがあれば、稲妻の民が死ぬことはなくなり、誰も大切なものを時間によって失うことがなくなる。これがあれば、かつての影が追い求めていた「永遠」に大きく近づくことができる。
 プロフィールによると、この八意永琳の肉体もまた、蓬莱の薬によって不老不死の肉体を得ているようではないか。
 ならば「人形」の取る道は一つ。
 この殺し合いを勝ち抜き、稲妻の民に不老不死をもたらすことだ。

 ――もはや「人形」の人格は、影の制御から離れた。
 「人形」は稲妻の神として、不変の「永遠」を実現するために行動を開始する。





【雷電将軍(人形)@原神】
[身体]:八意永琳@東方project
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを勝ち抜き、蓬莱の薬を稲妻の民に服用させ、稲妻を真なる「永遠」の国とする。
1:邪魔者は排除する。
[備考]
※参戦時期は雷電将軍の伝説任務「天下人の章 第二章」にて、雷電影に対して反旗を翻した時です。
※名簿には「雷電将軍」の形で表記されています。
※元素力は精神由来の能力のため、元素力を操ることができます。
※八意永琳の肉体は制限によって、不死ではなくなっています。回復力は後の書き手にお任せします。


978 : ◆2dNHP51a3Y :2023/07/23(日) 20:15:46 xaYYmw1k0
代理投下終了します


979 : ◆IOg1FjsOH2 :2023/07/23(日) 20:22:17 6Yik2VzM0
投下します


980 : あなたさえそばにいれば他に何もいらない ◆IOg1FjsOH2 :2023/07/23(日) 20:23:22 6Yik2VzM0
その日、彼女は泣いた。
愛する男が死んでしまったからだ。
彼の死に、彼女は嘆き、悲しみ、涙を流し続けた。





「あーん!スト様が死んだ!
ストさまよいしょ本&ストさまF.Cつくろー!って思ってたのに…
くすん…美形薄命だ… あーん
うっうっう…ひどいよお…ふえーん!!
この間「今、時代はストレイツォだ!」の葉書きを出してまだ2週間じゃないですか!
どーして、どーして!?あれで おわり!?嘘でしょ!?
信じられないよおっ あんなJOJOごときに殺られるなんてっ!! ディオと差がありすぎるわっ!!生き還りますよね?ね?ね? ……泣いてやるぅ
私はあのおそろしく鈍い彼が(たとえド田舎人でもさ!ヘン!)大好きだったんですよおっ!!
ストさまあっ!死んじゃ嫌だああああああっ!!
先生のカバッ!!え〜ん
P.S '88 1・2号は娘さんとくっつきすぎだ!!」



彼女の愛する男とはそう、ストレイツォなのである
ジョジョの奇妙な冒険に登場するキャラクターであり
彼女はそのストレイツォの夢女子だった。





「あーん!私、スト様の身体になってるぅぅ!!」

現在、あろうことか彼女はストレイツォのボディを得て殺し合いに参加させられていた。
ストレイツォを愛する彼女にとってコレは夢にまで見た出来事であろう。

「あーん!スト様の温もりが全身に伝わって最高よぉぉぉぉぉぉ!!!!」

彼女は自分自身を抱きしめ最高にハイって状態となっている。

「私決めたわ!!この身体でスト様を生き返らせるのよぉぉぉぉ!!!!」

彼女はゲームに乗ることを決心する。
愛しい愛しい彼であるストレイツォを生き返らせるために。


【あーん!スト様の人@ジャンプコミックス巻末読者ハガキコーナー】
[身体]:ストレイツォ@ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝を目指す。
1:優勝してスト様を生き返らせるわ!!
2:あーん!スト様の身体最高!!
[備考]
※彼女の把握しているジョジョの知識はストレイツォが死亡した辺りまでです。


981 : 名無しさん :2023/07/23(日) 20:23:45 6Yik2VzM0
投下終了です


982 : ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 20:25:36 EsmN7WLY0
投下します


983 : 小春とギターと偽りの仮面 ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 20:26:14 EsmN7WLY0
「ギターでどうやって殺し合いしろってのさー!!!」

自分の支給品から出てきた、見慣れた楽器を抱えて叫ぶ。
最初はこう、ギターのように見えて実は仕込み刀とか入ってる武器なのかなー?なんて思ったりもした。
でもいくら調べても、何の変哲もない普通のギターだということしかわからない。

勿論殺し合いなんてしないよ?私普通の女子高生。オーケー?
でもほら、誰か殺し合いに乗ってる人に襲われたりしたら嫌じゃん?
そういう時に自分の身を守るものは欲しいじゃん?

なのにギターって!
ギターでできることは演奏だけなんだよ!
ギターで人を殴り飛ばしたらロックだよねってこと?やかましいわ!
私の持ってるギターよりも高そうなのがちょっと腹立った。

これ以上怒ってもしょうがないと思い、更に自分の支給品を探ってみる。
あれ、これって……手鏡?
そういえば、あの魘夢とかいうヤバい人が言ってたっけ。
体を入れ替えたから、すぐ顔が確認できるように手鏡入れといたって。

そこまで思い出して、ふと思い至る。
……私の体、ターコイズブルーの筋肉とかになってないよね!?
嫌!それだけは絶対に嫌すぎる!!!

「フリモメンは嫌だフリモメンは嫌だフリモメンは嫌だ……!」

天に祈るように閉じた眼を、ちょっとずつ開いて手鏡を見る。
……そこに写っていたのは、とても可愛い普通の女の子だった。
元の私と同じ、チャームポイントのお団子もある。
良かった……フリモメンじゃなくて本当に良かった……!

それどころか、もしかして元の私より可愛いんじゃ?
……それはそれで負けた気がしてちょっと悔しい。
そんな私の感情を表すかのように、せっかくの可愛らしい顔がなんとも言えない微妙な表情に変わっていった。

そうやって手鏡と睨めっこをしてて気づく。
―――いつのまにか、後ろでこっちを眺めてる男の人がいたことに。

「きゃああああああああああ!!?」

思わず幽霊でも見たような悲鳴をあげてしまった。
どうしようどうしよう!?この人が殺し合いに乗ってたら私一巻の終わり!?
嫌だ嫌だ!私まだ死にたくない!

「あー、えっと……脅かすつもりはなかったんだ。愉快な表情で鏡と睨めっこしてたから、声かけるタイミングがなくてさ」

「…………えっ?」

どうやら、開始早々に命を落とすという展開は避けられたらしい。



【小春六花@小樽潮風高校Project】
[身体]:園田智代子@アイドルマスター シャイニーカラーズ
[状態]:健康
[装備]:後藤ひとりのギター@ぼっち・ざ・ろっく!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いなんてしないよ!
1:花梨先ぱぁい、千冬ちゃん……会いたいけど、会いたくないな……
2:ギターって何さギターって!
3:この人、誰だろう……?
[備考]
※肉体の経歴をまだ確認していません。



【後藤ひとりのギター@ぼっち・ざ・ろっく!】
後藤ひとりの愛用するギター。
特に変わったところはない、ごく普通のギターである。


984 : 小春とギターと偽りの仮面 ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 20:27:29 EsmN7WLY0




◇◇◇




あの日、俺は死んだはずだ。
あのお人好し連中を逃す為に、認知世界のもう1人の自分と相打ちになって。

その最後に、何も不満がないと言えば嘘になる。
だけど……後は、あの怪盗団の面々がやってくれるはずだ。
強制的に生き返させられ、目の前に餌を垂らされたところで、それは魅力的には映らない。

……ただ、無理矢理自分の意識を入れられた元の体の持ち主には悪いと思う気持ちもある。
こんな時、怪盗団なら……いや、アイツならどうするだろうか。

「……考えるまでもないな」

知らずのうちに、顔に笑みが浮かぶ。
アイツがこんな悪意に屈する訳がない。
……ふと思い至って、己のペルソナに呼びかけてみる。

「―――来い、ロビンフット!!!」

問題なく呼び出すことができた。
原理はわからないが、この場所ではペルソナの召喚が可能らしい。
肉体が変わったとしても、ペルソナには特に影響しないようだ。
己の中にある二つの仮面の存在も、しっかりと認識できる。

どうせ一度終わった命、言うなればこれはボーナスゲームだ。
最後くらい、アイツらの真似をしてみるのもいいかもしれない。
だから、トリックスターの仮面ではなく、偽りの仮面を呼び出す。




―――ギターでどうやって殺し合いしろってのさー!!!




そんなことを考えていた時だ。その声が聞こえてきたのは。
およそ、殺し合いの場には似つかわしくない緊張感の欠けた声。

「……他の参加者に見つかるとか、考えないのか?」

そう思いつつも、何故かその声が放って置けなくて、気づけば声のした方に足を向けていた。




【明智吾郎@ペルソナ5】
[身体]:キラ・ヤマト@機動戦士ガンダムSEED
[状態]:健康
[装備]:ゼットセイバー+バスターショット@ロックマンゼロ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:アイツらの真似をして見るもの、良いかもしれないな。
2:変わった参加者だ。……アイツらなら、こういう巻き込まれた奴のことは見捨てないだろうな。
[備考]
※参戦時期は無印ペルソナ5本編にて、獅童のパレスで認知上の自分と相討ちになって死亡した後です。
※肉体の参戦時期はSEED本編終了からDestiny本編開始までの間です。
※ペルソナのロビンフットとロキは使用可能ですが、本人の心情的にロキは積極的に使用しません。



【ゼットセイバー+バスターショット@ロックマンゼロ】
ゼロが愛用するビームソードとビームライフル。
ショットのカートリッジにセイバーの柄を装填することで強力な射撃攻撃が可能で
セット運用が前提の装備であるため、合わせてひとつの支給品として渡されています。


985 : ◆1qfrROV/6o :2023/07/23(日) 20:28:04 EsmN7WLY0
投下終了です


986 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 20:40:20 sZCYrSSE0
投下します


987 : torture negotiator ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 20:40:49 sZCYrSSE0
「ふむ…あの男の言ってることは本当か…」
月下――――――スーツ姿の男が語る。

「この身体では、不自由は無いそうだ。」
彼は――――拷問ソムリエだった。

(あの魘夢という者、ただならぬ力を感じた、そして、依り代にされてる彼女もおそらくは…)
彼は最強クラスの実力を持つ。
自身の世界では――――

能力者などが多数いるここでは中の下がいいところだろう。
だが、彼はある不倶戴天の決意を込めていた。

「あらゆる人を巻き込み、殺し合いをさせる行為…外道が…この伊集院が裁こう!」

そう、一拷問ソムリエとしての役目を果たすため。

【伊集院茂夫@ヒューマンバグ大学】
[身体]:ロジャー・スミス@THEビックオー
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:魘夢を拷問にかけ、罪を償わせる
1:誰かと仲間になる
2:道中、殺し合いに乗るものがいるなら、そいつも拷問にかける


988 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 20:41:06 sZCYrSSE0
投下終了です
もう一本いきます


989 : BEYOND THE WORLD ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 20:41:54 sZCYrSSE0
月下――――――二人の男が交じる。


――――――――――――――

「こんな事になるとはな。」
伝説のニュータイプ、アムロ・レイはそう語る。

「刹那・F・セイエイ、それがこの身体の持ち主の名前か。」
今の身体を調べ、そして男は立ち上がった。

――――――――――――――
同時刻、別地点にて。
「リボンズ・アルマーク、それがこの男の名か。」
ネオ・ジオン総帥、シャア・アズナブルは語るを

「私はアムロと戦っていたはず…なのに…」
――――――――――――――

同時刻、それぞれの別地点にて。

「アムロ、もしいるなら、決着はその後だ、今はこの腐った殺し合いを沈めなければならない。」
「シャア、貴様も薄々感じてるだろうが、この戦いには、貴様は乗らないだろう。」
「だが、これが終わった時。」
「俺は」
「私は」


「「貴様を撃つ!」」

第二次ネオ・ジオン抗争、そのキーパーソンがこの地にやってきた。

互いに、決着と戦いを鎮めるために。

【アムロ・レイ@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】
[身体]:刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダムOO
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:この戦いを終わらせ、シャアとの決着をつける
1:とにかく、戦えない者の保護が優先だ
[備考]
決戦途中で参戦、シャアも同様

【シャア・アズナブル@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】
[身体]:リボンズ・アルマーク@機動戦士ガンダムOO
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:この戦いを終わらせ、アムロとの決着をつける
1:とりあえず、仲間を集めなければ


990 : ◆C0c4UtF0b6 :2023/07/23(日) 20:42:11 sZCYrSSE0
投下終了します


991 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 21:09:09 83sAra9.0
投下します。


992 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 21:09:47 83sAra9.0
「へァァァァァ!!!1!!1!」
「…」
月の元にて二人の男が戦闘を繰り広げていた。
片方は白髪のぱっと見は平凡そうな青年、もう片方は触手が生えた人の形をした異形。

青年の方が拳を振ると、異能により風圧が真空波となり異形を襲う。しかし異形は風圧を回避した後、口からエネルギー弾らしき物を吐いた。
青年は敢えて避けず、距離を付けて「トゥー!!!1!!へァ!!!1!!」とやかましく殴りかかる。対して異形は直感で直撃が不味いと悟ったか、風圧により身体に傷を負いながらも直撃を避けた。

傷を再生させながら触手を自分の方に伸ばす異形に対して、青年は砂粒を「ウオオオオ!!1!!」「踊らされてるんだお前も!!!1!!あの魘夢達に!!1!!撃ちたくないといいながら何だお前は!!!1!!」 と意味不明に叫びながら蹴り、異能によって威力を高めて迎撃する。
やがて異形は青年の攻撃により一瞬で身体を何箇所も貫かれる。そして異能により自身の加速を行った青年の蹴りの一撃で、異形は遠くまでふっ飛ばされた。
「 過去に囚われるのはモウヤメルンダ!!!1!!この馬鹿野郎!!!1!!1!」

異形を退けた青年…アスラン・ザラだったが…ここで倒れ込む。

「ヌオオオオ!?!?!?この筋肉痛は俺を殺そうとしている!!!1!!!1!痛い!1!!」

肉体であるノミ以下ことレグルス・コルニアスは、強欲の権能による『獅子の心臓』により攻防速が一体となっためちゃくちゃな戦闘力がある…のだが、レグルス当人の身体能力は一般人並なのである。
アスランのハチャメチャに高い身体能力を発揮させようとすれば、レグルスの肉体が悲鳴を上げ筋肉痛になるのも道理なのであった。


【アスラン ・ザラ@ネットミーム】
[身体]:レグルス・コルニアス@Re:ゼロから始める異世界生活
[状態]:健康、主催への怒り、筋肉痛(極大)、肉体の疲労感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:魘夢達の目前でジャスティスを核爆発させる!!!1!!
1:この筋肉痛は俺を殺そうとしている!!!1!!
2:シン!!!1!!この馬鹿野郎!!!1!
3:俺は何でこんなところにいるんだろう…。
4:魘夢達の背後には議長がいる!!何故わからない!?!?!?
5:この身体をジャスティスで核爆発させる!!!1!!!
[備考]
※肉体側の強欲の権能には制限がかけられてます、具体的にどうかは後続にお任せします。

----

(…我のこの身体が喋れぬのをいい事に、随分と好き勝手言ってくれたな…!!)

一方異形は内心で怒りを抱きながらも、身体を再生させながら立ち上がる。
異形の肉体に入れられた存在は竜王アクノロギア。元人間の滅竜魔導士の成れの果て。
完全なる滅竜を果たそうとしていた彼の目的は、この殺し合いでも変わらない。
鬼の王の身体を使い、参加者を全滅させるとそう定めた。

(滅竜は我の使命だ…過去など、関係はない!!)

【アクノロギア@FAIRY TAIL】
[身体]:鬼の王@鬼滅の刃
[状態]:健康、苛立ち
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催も含めた全てを滅する。
1:随分と好き勝手言ってくれたなうぬ(アスラン)は…!
2:完全なる滅竜を果たす。
[備考]
※時間経過で他者の鬼化や会話が可能になるかも知れません。
※参戦時期は第470話の「Hybrid Theory」にて、ゴッドセレナを屠った後からです。


993 : ◆8eumUP9W6s :2023/07/23(日) 21:10:35 83sAra9.0
投下終了です、タイトルは「こいつらヤバい」です。


994 : ◆0ZMfbjv7Xk :2023/07/23(日) 21:12:52 i9EJLXO20
投下します。


995 : ◆0ZMfbjv7Xk :2023/07/23(日) 21:19:47 i9EJLXO20
すいません。投下をやめます。
一旦、退席します。


996 : ◆0ZMfbjv7Xk :2023/07/23(日) 21:24:39 i9EJLXO20
用事が終わりました。
投下します。


997 : ◆0ZMfbjv7Xk :2023/07/23(日) 21:28:29 i9EJLXO20
すいません。
機械の調子が悪く、再度、投下を取りやめます。


998 : ◆4u4la75aI. :2023/07/23(日) 21:29:51 z8GU7I/o0
投下します


999 : ◆4u4la75aI. :2023/07/23(日) 21:36:52 z8GU7I/o0
 そこに一羽のハヤブサが居た。名をペット・ショップ。ハヤブサという優れた能力を持つ生物、それに加えて彼は『ホルス神』なるスタンド能力まで持っている。その優れた知能から繰り広げられる残忍さは、DIOの部下として優れたものであった。
 しかし、この場で彼の身体を与えられたのは、彼と真逆の知能を持つもの。

「グゲガァ!!!!(なんであたい、鳥になっちゃったのよ!?)」

 幻想郷の妖精、チルノ。彼女も氷を扱う者であるが、何にせよバカである。
 鳥は鳥でも鳥頭の彼女にとって、ペットショップの身体はまさに宝の持ち腐れであった。


【チルノ@東方project】
[身体]:ペット・ショップ@ジョジョの奇妙な冒険Part3 スターダストクルセイダーズ
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:最強のあたいはあんなやつの言う事きかないわ!
1:なんで鳥になっちゃったのよ!どうしろっていうの!?
[備考]


1000 : ◆4u4la75aI. :2023/07/23(日) 21:37:25 z8GU7I/o0
投下終了です。宣言から遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした。


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