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コンペ・ロワイアル【本編 その2】

184「ねぇ今何処?」「会場ん中」 ◆7PJBZrstcc:2025/05/18(日) 21:53:29 ID:Ao0ZANaU0
 コンペロワ会場北西部にて、三人の男女、りあむ、クロちゃん、変なおじさんが疾走している。
 三人が疾走するのはひとえに逃走の為。
 彼らは名を知らないが、ザメドルという圧倒的な力の持ち主である吸血鬼から逃げる為だ。
 その為に彼らは走る。

「ハァ……ハァ……」
「もう無理だしん……」

 しかしどれほど走ったか彼ら自身ですら分からない頃、クロちゃんと変なおじさんが息を切らして地面にへたり込む。
 二人ともいい年と言えるような年齢なのだ。
 そのうえでこんな整備されてたグラウンドとは真逆のような走りにくい場所で、長時間全力疾走を強要されれば体力を消耗して疲れるのは無理もない。
 幸いなことに件の吸血鬼や他の参加者、それにNPCも周りには見えない。
 なので二人に次いでりあむも腰を下ろす。
 いくら二人より二回りは若くて、おまけにアイドルとしてトレーニングを積んでいるとはいえ、やはり疲労はするものだ。

『おはよう。四時間半ぶりだな、参加者の諸君』
「えっなになに!?」

 するとその直後、いきなりミルドラースの声が響く。
 三人が戸惑うが、大魔王の放送は止まることなく進む。

『では禁止エリアの発表と行こうか』

 そして始まる禁止エリアの発表。
 大人しく聞く三人だが、ここでりあむがあることに気付く。

「……そもそもボクたち、今どこにいるの?」
「「……さあ?」」

 三人は現在位置を把握していなかった。
 逃げるのに必死でどっちに向かったかも曖昧なうえ、そもそも人間は真っすぐ歩けない生き物だ。
 真っすぐ進んでいるつもりでも実はグルグル同じところを回っている、ということもよくある。
 ただでさえ必死に走っていた状況で、なおかつ真っすぐ進んでいないとなれば、どこにいるのか分からないのは必然だった。

 とはいえ禁止エリアのA-6、D-5、I-6は出発点C-3から見れば、D-5以外はそこまで近い位置ではない。
 おまけにD-5にはディルディット・タワーという目立つ施設があるが、彼らの視界にそれらしい建物は見えない。
 なのでひとまずは大丈夫だろう、と三人が結論づけたところで放送は更なる情報、脱落者の名前を告げる。

『ホル・ホース』
「えっ」

 次々と告げられる名前に対し、最初に反応したのはクロちゃんだ。
 彼が知るホル・ホースという男は抜け目がなく、そう簡単に死ぬとは思っていなかった。
 だが現実は殺し合い開始六時間以内での脱落だ。
 クロちゃんからすれば危険人物であるので死を悼むことはないが、驚きは隠せなかった。

『高垣楓』
「そんな……!」

 次に反応したのはりあむだ。
 彼女にとっては偉大なシンデレラガールズの一人にして、尊敬する先輩。
 決して、こんな殺し合いなんかで死んでいい存在ではなかった。

『ひろし』
『甘露寺蜜璃』
「「「……」」」

 そして最後に三人そろって反応するのは、ひろしと蜜璃の二つの名前。
 もっとも、りあむにとっては話に聞いただけの相手なので少々芳しくないところもあるが、蜜璃に関しては素直にショックを受けている。
 なにせ、殺し合いに乗って襲い掛かって来た男を相手に足止めをかって出てくれた相手の死なのだ。
 おまけに殺し合いに乗った方の名前らしきものは呼ばれていない。
 仮に相打ちになったとするなら、放送でひろしと蜜璃の間にそれらしい名前があるはずなのだから。

『ではこれにて、コンペ・ロワイアル第一回定時放送を終了する。
 次の放送も聞けると良いな、参加者の諸君』

 ミルドラースの放送が終わり、ショックが抜けきらない三人。
 しかしコンペロワは彼らを休ませない。
 彼らの元に、三匹のNPCが現れた。


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