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辺獄バトル・ロワイヤル【第2節】

1 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 23:48:05 1g2Oeq9M0
―――ソラを見よ、血染めの月が、世界を侵食(おか)す


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2 : ◆4Bl62HIpdE :2021/04/16(金) 22:17:43 S6KKE0So0
新スレおめでとうございます。
投下します


3 : 衝撃 ◆4Bl62HIpdE :2021/04/16(金) 22:18:43 S6KKE0So0










「……フ」
血染めの月が照らす平安京に、一人の参加者がいた。
それは、APEXゲームと呼ばれるバトル・ロワイヤルで名を馳せた人造人間。
レヴナントと名乗る、人間だったアンドロイドは退屈そうにサイレントボムの火種を回していた。

こうしていれば、向こうから声を掛けてくることに気付いていたからだ。



「....よー、俺たち、仲間だったこともあったっけ?」

ゴーグルを掛けた青年が近づいていく。
青年の名はオクタビオ・シルバ。通称オクタン。レヴナントと同じく、APEXゲームの参加者だった男だ。

「あれは楽しかったな....ま、いいや。やることは一つ。分かってるよな。」
彼らは顔馴染みだった。アリーナでの激戦を潜り抜け、必然の上でそうだった。

「今回はソロだ。この意味が...分かるよな?」
「...フッ」
お互いに、支給された銃器を取り出し、お互いの顔面に向けて構える。
それが、彼等の『顔馴染み』としてのコミュニケーションだった。
これ以外に、彼等は意思疎通の方法を知らなかった。

「やめとけ。俺のはウィングマン。お前のはマスティフ。この距離だと、どっちが有利か分かるよな?」
彼等の間には、およそ2mの距離があった。
お互いに理解していた。マスティフは拡散焼夷弾が売りのショットガンだが、この距離では真価を発揮できない。

「さて、どうかな」

そして、レヴナントはマスティフを構え――掌を折り曲げた。
瞬間、火ぶたが切って落とされた。
先制を仕掛けたのはレヴナント。マスティフの銃口が火を噴き、シルバの前方に、威力こそ微量だが火の粉が降りかかる。
「(目くらましか!....だが、マスティフの攻撃方法は一つ、前方に突っ込んでいくしかねぇんだ!)」
腕の火傷に構わず、シルバは照準を前方へ向ける。火の目潰しこそあるが、ヘッドショットに支障はない。
「終わりだ、クソアン―――」
「黙れ」
しかし、飛び込んできたのはサイレントボム。
視界が0.3秒、焦げた赤色に奪われる。

ウイングマンは精密射撃をしなければならない銃器。視界が完全に塞がれていては、怯んでいては狙う事すら出来ない。
この0.3秒の間に、レヴナントはシルバに詰め寄っていた。

およそ、0.5m。この状況でマスティフをまともに喰らえば上半身は吹っ飛ぶ。

「(終わりか、アミーゴ....!)」

逸れた腕からウィングマンの弾をあらぬ方向へ乱射し、シルバは目を瞑ろうとした。

しかし――そこへ槍が飛ぶ。

「――ッ!」

レヴナントは、マスティフの照準を逸らした。

焼夷弾は陰でオクタンの右上半のヘルメットをチリ、と焼くだけに終わった。

「――面白いことやってんじゃん、アタシも混ぜてくれよ」

乱入してきたのは、佐倉杏子と名のついた魔法少女だった。


4 : 衝撃 ◆4Bl62HIpdE :2021/04/16(金) 22:19:44 S6KKE0So0


少女と人造人間が戦っているその隙に、シルバに一人の少年が駆け寄って来た。
シルバは、突如の乱入と救援に混乱する。
「大丈夫ですか!怪我は!?」

杏子の陰に隠れるようにして、短髪の少年が尻餅をついたシルバの腕を取る。
「触るんじゃねぇ、...大丈夫だ」

鬱陶しいようにシルバは少年――ファルコ・グライスの手を振りほどこうとする。

この隙間に、一方では激戦が展開されていた。
魔法少女となった杏子は、槍で幾度もマスティフの銃身を弾き飛ばす。
その間、幾度も銃口は空に向かって火を噴いた。
杏子は自身を狙おうとする散弾の威力を覗く。あの焼夷弾は脅威だ、喰らえばひとたまりもない。
杏子は散弾を警戒しながら、近接戦を挑んでいた。

これならばマスティフを構えても、対応しきれないだろう。
「アンタの弾丸は鈍い。避けることも近づくことも、簡単だね!」
「甘いぞ。散弾だけが私の武器ではない。皮付き」
だが、それを見透かしたかのように、レヴナントは槍の手先を狙い、手刀を飛ばす。

杏子は、マスティフの銃口を逸らすことだけに警戒していたため、隙が出来ていた。
「ぐっ....!」杏子は呻き声を漏らし、蛇腹状に折れ曲がった槍を逸らした。

舐めるな、と言おうとした。
だが、それを発言することは、できなかった。


「面白かったぞ皮付き。終わりだ」
「杏子さん!」

レヴナントは右掌を差し出し、対面して杏子の左腹部の一部を貫いたからだ。

「.....ぐ、....ぁ」

「そんな...」ファルコは絶望の表情を杏子に向けた。
「...なめんじゃ、ねぇよ」
一瞬、表情を濁らせて口を開けるが、すぐさま視線をレヴナントへ戻し下半身を蹴りつける。

「....フフ、皮付きよ、よく闘った。終わらせてやろう」

そう喋るとレヴナントは最終攻撃を決めるべく、駆ける。
「.....ぁ」
杏子の顎を掴み、持ち上げて引き裂こうとする....

バン、と銃声が鳴った。
一瞬、レヴナントの瞳が側方へ向けられる。

「そこまでだ」

ファルコがシルバの、ウイングマンの持ち手を両腕で掴み、引き金を引いた。
射線は人造人間の脇腹を、貫通した。

「...この皮付きめェェ!」
貫通した部分が火花を散らす。庇いながらレヴナントは、背負っていたデイバッグからフラググレネードを取り出し、ファルコとシルバのもとへ投げた。

「...あ」

これで終わりか、と思うまでもなかった。
ファルコはただ、呆けることしかできなかった。

シルバがファルコを突き飛ばし、奪ったウィングマンを持ち替えグレネードを撃ち抜いたからだ。
「...グレネードとは友達なんでな。二度とゴメンだぜ。」



フラググレネードは宙に爆発する。

再び視界が見えるようになった頃には、人造の悪夢は姿を消していた。


5 : 衝撃 ◆4Bl62HIpdE :2021/04/16(金) 22:20:30 S6KKE0So0


「っ怪我は...!」
我に返り、ファルコはシルバの心配をする。だが、次の瞬間には再び、突き飛ばされた。

「あるに決まってんだろ。近づくんじゃねえよ、アミーゴ」
そう言い放ち、ウィングマンの銃口をファルコへと向ける。

「よく撃ったな今の。ウィングマンをアイアンサイトで撃てる奴は数少ないんだぜ?」
「それは...僕が、戦士候補生だから……」

「ほぉ、戦士(ウォーリアー)か。いい奴じゃねえか。じゃ餞別だ。こいつを出血している奴に使いな」
シルバはデイバッグから白いパックを落とした。
赤十字が書かれているそれを見るだけで、ファルコには意味が分かった。
「それは……!」
「注射器だ。もしかしたら助かるかもな」
ファルコは注射器に一目散に食らい付き、杏子の方へと体を向ける。

「じゃーな。これで貸し借りはなしだ。次会ったら殺すからな」
「待ってください!あなたは…どうするつもりなんです?」
「どうもこうもねぇよ。お前みたいな奴等をぶっ殺すことが仕事なんでな。ここでも同じことをやればいいんだろ?」
「…っ、協力することは、できませんか」
「悪い、無理だ。他を当たりな。」
ファルコは何も言えなかった。
彼は傭兵で、この戦場で殺し合いに乗っている。ただ、それだけだ。

「アディオス、アミーゴ。...長生きしろよ」
そう言って、恐れを知らぬ高速兵は姿を消して行った。
ファルコ・グライスは、次にはその拳銃で仕留められるかもしれないレジェンドの姿を、ただ見送ることしかできなかった。




「ぐっ……!」
「もう……大丈夫、ですから」
ファルコは、注射器を使い杏子の介抱をする。
理屈は分からないが、アウトランズの支給品である注射器は杏子の患部を癒していった。

シルバが与えた注射器を四つ全て使い切る頃には、杏子は立って歩けるようになっていた。
「助かった。ありがとな、ファルコ」
「いえ……こちらこそ、助けていただき、ありがとうございます」

ファルコ・グライスと佐倉杏子。彼女らはこの殺し合いの開始地点でお互い近くにいた。

そして、状況を理解するまでに少々手間取ったものの――ファルコの働きかけで、何とか同盟を組むことが出来た。
お互い、彼女達には目的があった。
杏子は殺し合いを脱出して魔女となって、数秒前まで戦っていたさやかの元に、たどり着かねばならない。――そしてその間は、正義の味方として使命を果たそうとしていた彼女の代わりになりたかった。
お互い、死ぬまで一緒にいてやるつもりだった。...だが、それは中断された。

なら、もう一度さやかの元にたどり着いて、カタを付けねばならない。それが、今の杏子の、生きる理由だった。

そしてファルコは....実を言うと、殺し合いになる前の事は、よく覚えていない。
最後に、コルトとガビと合流したことは覚えている。
かろうじて思い出せるのは、「ずっとついてるからな…」という、どこかで聞いた声のみだった。
だが、殺し合いに巻き込まれたからには、何とか生き延びなければならない。

そう、帰らなければいけない理由は、ガビをパラディ島の大規模侵攻に置いてきたからだ。
「(殺し合いに巻き込まれる前....ガビは、どこに行った?いやその前に、オレはガビに何か伝えなかったか?)」


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6 : 衝撃 ◆4Bl62HIpdE :2021/04/16(金) 22:21:16 S6KKE0So0


....俺は■■になってしまうかもしれないから

「ッ!!」
「...大丈夫か!?」
「いえ……大丈夫、です(頭が痛い…ガビはどうなったんだ?いやオレは……)」

頭痛がする。今は考えるのはよそう。

「そっか。ところでファルコ、アタシはどうすればいい?」
「え?」
「ファルコ、アタシは……生きて帰らなきゃいけない。でも戦うこと以外に方法が思いつかないんだ」
杏子は少し、濁ったような顔をする。

ファルコは意図を察し、少し考える。
「オレは....今回みたいに幸運が続くとは思えません。首輪を外すためには、技巧を持つ人間を探すべきだとは思いますが……」
「だよな。アタシも賛成」
杏子はヘっ、と笑って、ファルコに視線を向ける。

「とりあえず首輪を外すことができる人間を探す。その後、主催の奴らをぶっ潰すかどうか決める……それでいいか?」
「それで、構いません」

ファルコはどこか畏まった様子で答えた。
もう少し、自分にマガトや兄のような才能があったら、作戦を立案できたかもしれないのに。

その考えを見すかしたかのように、杏子はファルコの顔をくしゃくしゃと撫でる。
ファルコは驚いたように少しビクッとして、後ろに下がった。
「大丈夫さ。あんたは十分役に立ってる、あんたがあの怪物の脇を撃たなきゃ今ごろアタシは死んでいた」
「は、…はい」

なおも、自信がないのかうつむくファルコに対し、杏子は先に進み、こう告げた。


その借りを返すまでは――守ってやるさ、と。
後ろにいるファルコに、角度を付けて振り向き、そう呟いた。

どこか、杏子はファルコに亡くなった妹への後悔を重ねていたのかもしれない。


ふと、杏子は気付かないようにソウルジェムを取り出す。
濁っている。恐らく、来る前の人魚の魔女との戦闘、先程の怪物との戦闘で。

杏子はふと思った。
「(もしアタシが絶望した時に、魔女になった時に、殺してくれる相手がいるのか?)」
そのことを、さやかみたいになる前に、ファルコに伝えるべきか?

――今はよそう。自分の為に。
「じゃ、行こうぜ、ファルコ」

思考を終え、何事もなく佐倉杏子は平安京を進んでいく。


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:左腹部に裂傷(治療済み)、焦り 
[装備]:なし(魔法少女化解除)、グリーフシード(濁り45%)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]帰還し、今度こそ魔女となったさやかと決着を付ける。
1:グリーフシードが濁りきるのが先か、首輪を解除するのが先か…
2:ファルコのことを少し信頼。
[備考]参戦時期は9話、「いいよ、一緒にいてやるよ、さやか」の発言直前から参戦です。

【ファルコ・グライス@進撃の巨人】
[状態]:健康、一部記憶喪失
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:生き残り、帰還してガビに再会する。
1:杏子と一緒に、首輪を外す技術を持つ人間を探す。
2:殺し合いに連れ去られる前の記憶を取り戻す。
[備考]参戦時期は顎の巨人を継承した後、コニーにラガコ村へ連れられる前後からの参戦です。


7 : 衝撃 ◆4Bl62HIpdE :2021/04/16(金) 22:22:00 S6KKE0So0




なぜ、俺は注射器をアイツに与えたんだろうか。
シルバは冷静になって、考えた。
「(俺は...あの小僧に、期待してんのか?)」

オクタビオ・シルバは心理の奥で期待していた。
ファルコ・グライスがこの殺し合いで覚醒し、候補生から新たな戦士となり、戦場を駆ける可能性を。

「(あいつ....もしかしたら、いい戦士(ウォーリアー)になり....伝説(レジェンド)になるかもな)」
シルバはあの距離でウイングマンを正確に当てたファルコの才能を、思う。
才能を掌握した彼と戦うのは、非常に興奮(EXCITE)するものかもしれない。

パッシブの高速修復ももう少しかかりそうだ。今は時期を待つ。オクタビオ・シルバは、平安京の街並みを歩いて行った。



【オクタビオ・シルバ@APEX LEGENDS】
[状態]:体力80%(自動修復)、腕と頭部に軽度の火傷
[装備]:ウィングマン@APEX LEGENDS、ヘビーアモx32→x29
[道具]:基本支給品
基本方針:優勝の座を伺う。
[思考・状況]
1:ジャンプパッドで索敵をする。
2:ファルコとの再戦に期待。





「回復はないか……」
よた、とレヴナントは弱りながら平安京を進んでいく。
小さい皮付きの銃撃さえなければ、彼は今頃、覇者(キルリーダー)になっていたかもしれなかった。

「...クソ」
彼の目の前には、幸運にも平安京の街並みには似つかわしくない拡張サプライボックスがあった。
注射器x1。あとはライトアモとアークスター、それがレヴナントの手に入れた装備だった。

「皮付きどもよ.....生きて帰れると思うな、全員屍にしてやる」

彼は怒る。アークスターに、罅が入る。
今は耐え忍びながら、悪夢は人間どもの抹殺を誓う。

【レヴナント@APEX LEGENDS】
[状態]:体力70%、脇腹損傷、貫通(応急手当と呼べる程の回復済み)アルティメットアビリティ・36%
[装備]:マスティフショットガン@APEX LEGENDS、ショットガンアモx32→x26
[道具]:基本支給品、ライトアモ@APEXLEGENDS、アークスター@APEXLEGENDS
[思考・状況]
基本方針:皮付き共の抹殺、優勝。
1:しゃがんだ状態から平安京を移動、皮付きを抹殺する。
2:あの皮付き(杏子とファルコ)は次会ったら殺す。


8 : 衝撃 ◆4Bl62HIpdE :2021/04/16(金) 22:22:23 S6KKE0So0
投下を終了します


9 : 衝撃 ◆4Bl62HIpdE :2021/04/16(金) 23:19:41 S6KKE0So0
大変申し訳ありません、手違いでソウルジェム→グリーフシードの表記となっていました
wiki収録時に修正しておきます


10 : ◆4Bl62HIpdE :2021/04/17(土) 01:04:26 fGyEBuoY0
投下します


11 : Found to the end ◆4Bl62HIpdE :2021/04/17(土) 01:05:34 fGyEBuoY0



平安京の空を、カメラドローンが飛び回る。

その物体は、音を出して付近100mを飛び回り、少々停止した後、瞬間移動するように上空へと飛行する。

「よし。恐らく…付近に部隊はいない」
戻ってきたドローンの操作を完了し、男は周りにいる子供に話しかける。

男の名はクリプト。
本名は訳あって隠されている彼は、レース状の洋服を着て、胸にペンダントを付けた少女と協力していた。

「ありがとう、クリプト。それで、この殺し合いについてだけど」

少女の名前は、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと言う。
彼と彼女は、このバトル・ロワイヤルに巻き込まれる前も、APEXゲーム、そして聖杯戦争という名の殺し合いを続けていた。

「聞いたさ。これが..."結界"だって言うんだろ?君の世界の」

「そう。並行世界って知ってる?たぶんあなたと私は、別の世界から来たんだと思う」

クリプトとイリヤは、参戦した後に情報交換を行っていた。

アウトランズ、フロンティア――イリヤスフィールの時代より遥か未来、人類は惑星に進出したという事実を、イリヤは信じていなかった。
そしてクリプトの方も、2004年という単語に聞き覚えはなかった。

お互いに、自身の世界感の共有には苦悩したことは語るまでもない。

「まぁ、俺の時代...いや世界では時代を遡る研究の為に殺し合いに参加している奴だっているからな。君らのその...並行世界に繋がる"魔術"だってあるんだろ?」
「……それは、もう"魔法"の域になるけど。これが聖杯戦争と同じなら、多分、この殺し合い自体が術式になると思う」

イリヤスフィールは説明した。聖杯戦争と呼ばれる儀式について。
サーヴァントの魂を聖杯に捧げることで、願いは享受される。
恐らくメフィスとフェレスの言っている、「優勝したらどんな願いも叶う」というのも嘘ではないだろう。真実でもなさそうなだけで。

これが聖杯戦争と同じ大規模術式なら、主催者の目的は何だろうか――そう告げたところで、クリプトが口を挟む。

「決まっている。――恐らく主催の目的は保護アルゴリズムだ」
「ほご……あるご…何……?」と難しい顔をするイリヤ。

「バトルロイヤルの勝者を予測するアルゴリズムだよ。
 俺のいた"世界"とやらにはそれがあった....そして俺はAPEXゲームに巻き込まれた」

ギリ、とクリプトは歯を噛む。
APEXゲームのマッチ。それは、アルゴリズムによって勝者を予測できるものだった。
「恐らく、主催には視えているだろう。誰と誰がマッチし、誰が殺し、誰が生き残るかを」


クリプトはこう提案していた。
メフィスとフェレスがこの"聖杯戦争"の術式の結果を予測していたら。
予め勝者が、既に確定しているものとしたら―――

イリヤは青ざめる。
「...まずい、かも」と。


12 : Found to the end ◆4Bl62HIpdE :2021/04/17(土) 01:06:44 fGyEBuoY0


「そうだ。主催者は、俺がこの情報を持っていることも織り込み済みだ」
そう言って、クリプトはデイバッグからあるものを取り出す。

「それは……」「デイバッグにあったタブレットだ。首輪の起動条件を読んだが…首輪への干渉はともかく、これをハッキングするなとは書いていない」
「たぶれっと?」「…まぁいい」

クリプトはコントローラーを使い、タブレットのデータを解析していた。
まだデータが受信されていないのか、参加者が表示されていない名簿データに、平安京の地図.png。それ以外のストレージは空だった。

「妙だとは思わないか?」「…何が…?」
「pngデータだよ。あのガキどもに参加者分のタブレットを支給することだけならともかく、画像を作成してわざわざ情報端末にデータを送信するなんて事務的な作業が出来ると思うか?」
「……ごめん、難しくて、わたしにはよくわからない」イリヤはどこかぷしゅーと、頭をパンクさせるような仕草をしていた。

「……大丈夫か?まぁいい。ここから導き出される結論は一つ。手間から考えて、このタブレットの設定をしたのは魔術師でも魔法使いでもなくただの作業が出来る人間だ、
 まぁあの老人みたいな言葉遣いのガキならやるかもしれないがな。.....そしてこの殺し合いは連中にとっては結果に辿り着くための『作業』に過ぎない、ということだ」

「結果……多分、それは」きりっと表情を取り戻して、イリヤはつぶやく。
恐らく、この結界を展開しているリソース。聖杯の、■■。

これを、聖杯戦争を偶然の要素がなく、技術の力で遂行できるものだとしたら。
聖杯戦争を、完全に掌握できるものだとしたら。

「そうなる前に、首輪を解除しなければならない」
クリプトはそう呟き、首輪を覗く。

「二重プロテクトだろう。恐らく君の言う"魔術"と、俺達の"技術"の」
そして、こうも告げた。
「このゲームは、急ぐことが目的じゃないだろう」と。

本当に殺し合いを強制させ、確実に結果を出すなら、首輪をつけさせずにAPEXゲームのリングと同じような手段で追い込めばいい。
ただ単に悪趣味なだけなのか、それとも参加者たちが何らかの行動を起こすことを"期待"しているのか.....
いずれにせよ、参加者たちによる、真綿で絞め殺すようなじわじわとした殺戮を、主催は期待している。

「イリヤスフィール。まずは"魔術"の解除が先だ。環境が、必要なんじゃないか?」
「…うん。できれば簡易的な魔術工房を作って、いや……違う」「どうした?」

「……放っておいても必ず死者は出るもの。死者の首輪を解析した方がいいんじゃないかしら」
「…俺達が手を汚す、ということか」「しょうがないもん。儀式に犠牲は付き物でしょ?」

微笑するイリヤを尻目に、クリプトは決めかねる。
万が一殺す所を他参加者に見られたら、情報はすぐに出回るだろう。
「…保留だ。いずれにせよ、ドローンで監視する」
「争いが起きたところに行って、死者の首輪を奪うつもり?……そううまくいくと思うの?」

案外、度胸がないものね。
クリプトはイリヤスフィールにそう思われるのが、嫌だった。

「…勘違いするな。情報が暴かれるリスクを危険視しただけだ。"仕込み"の方は?」

「大丈夫。"天使の詩"は、あなたのドローンで動かせると思うよ」

イリヤには、針金が支給されていた。これを魔術を込め、天使の詩(エンゲルリート)とする。
恐らく、クリプトのアビリティであるEMP波はこの殺し合いでは無用の長物だろう。ならば、イリヤの魔術をドローンに搭載して、ニューロンリンクで視認した敵に撃ちだせばいい。
それが新たな戦術だった。

「なら、準備は終わりだ。…行くぞ、俺達はゲームを壊しに行く」
「うん。……行こう、クリプト」

歩を進めるなか、イリヤは元の世界の人物を思い返す。
士郎や凛、…桜が、この殺し合いには参加されているのだろうか。
彼等と対峙し、殺し合う必要があるのかどうか。まだイリヤには分からなかった。
タブレットに参加者情報は、まだ表示されていない。


【クリプト@APEX LEGENDS】
[状態]:健康、アルティメットアビリティ・23%
[装備]:RE-45@APEX LEGENDS、ライトアモx52@APEX LEGENDS、ドローンセット@APEX LEGENDS
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:ゲーム(聖杯戦争)の破壊。
1:首輪を入手か、あるいはイリヤの魔術工房の作成をアシストする。
2:付近をドローンで警戒。

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/Staynight[Heaven's feel]】
[状態]:健康
[装備]:針金(残り60m)@Fate/Staynight
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:主催者の意図を察知する
1:首輪を入手後、首輪に付与されている術式を調べてみる。
[備考]参戦時期は、劇場版Ⅲ開始前後からの参戦です。


13 : Found to the end ◆4Bl62HIpdE :2021/04/17(土) 01:07:20 fGyEBuoY0
投下終了です


14 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/17(土) 18:57:56 eNceF28I0
投下させていただきます。
ずいぶん前にサマナーロワに投下した物を手直しした物になります。


15 : 獅子と鐵假面 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/17(土) 18:59:35 eNceF28I0
2021年、平安京。
俺ことホストの獅子丸ちゃんは……

……って、こんな説明今さら必要ねぇだろ!
15年も前の深夜ドラマのことなんて覚えてる奴いねぇ〜っての!
毎回毎回丁寧に描写されてんのは新しい人にも分かりやすくっつ〜ホスト故の性だけど
締切間近で新しい人なんて来ないっつうんだよ!
見てる奴決まってんなら、もう説明しねぇ。
ウンコぶりぶり!インキンカイカイ!

てなわけで、今日は獅子丸ちゃんとロリッ子ちゃんとのイチャラブ祭りだじょ〜!!
2ちゃんの実況盛り上がってかぁ!?
立たせて待ちやがれ!
あっ!オープニングが始まっちまった!

風よ〜♪光よ〜♪正義の祈り〜♪(以下略

◆◆◆◆


「……おい、何時までブツブツ言っている?」

『画面の向こう』に向ってナレーションしている獅子丸に、
フード付きマントとミニスカート着物姿の犬耳少女剣士……
『鐵假面剱士』こと影胡摩が冷めた目と冷徹な声でツッコミを入れた。

「いやさぁ!一応お約束ってモンだからさぁ!どう?胡摩ちゃんも一緒にy……」

次の瞬間、胡摩はド素人の獅子丸……どころか、
獅子丸の知り合いの中で一番の手練れだった虎錠之介でも解らない程の速さで
抜刀し、獅子丸の首筋に木刀の切っ先を当てていた。

「……馴れ馴れしく『ちゃん』なんて呼ぶな。わかったか?」
「……はい」

怒りの籠った声と眼光に獅子丸は内心ビビりまくりながら、何とか声を絞り出した。

「分かれば良い」

獅子丸の返事を聞くと、胡摩はすぐに木刀を引っ込めた。
緊張が解けた獅子丸は、糸の切れた人形のようにその場に膝を付、股間を湿らせたのだった。

「……それで、獅子丸。これからどうするのだ?」

胡摩は先程までの見幕が嘘のように、獅子丸に今後の方針を聞いた。

「えっ?う〜ん……」

獅子丸は軽く考えるそぶりをしたが……

「……わっかんねぇ!」

……即座に満面の笑顔を浮かべた

「……ハァ〜」

獅子丸の楽観的態度に胡摩は深いため息をつくと、
マントのフードを被り直して、獅子丸の手を掴んで歩き出した。

「ちょ!どこ行くのさ!?」
「……このままここに居たら他の参加者に見つかるからな。とりあえず移動するぞ」

胡摩に急かされて、獅子丸は渋々ながら歩き始めた。

精神年齢的には真逆だが、共に歩くその姿は年の離れた兄妹か親子のようだった。


16 : 獅子と鐵假面 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/17(土) 18:59:59 eNceF28I0
【獅子丸@ライオン丸G】
[状態]:健康、ちょっと漏らした
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない
1:ネオ歌舞伎町に帰りたい
2:胡摩ちゃん怖い・・・
[備考]
原作中盤付近からの参戦


【影胡摩@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜THE LAST SONG】
[状態]:健康、少し苛立ち
[装備]:洞爺湖@銀魂
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:悪の主催(メフィスとフェレス)を倒す
1:当面は獅子丸と行動する
2:こいつ(獅子丸)、馴れ馴れしい
[備考]
第19話終了後から第23話開始までの間からの参戦。



[洞爺湖@銀魂]
坂田銀時が常時腰に差している「洞爺湖」と彫られている木刀。
「辺境の星にある金剛樹という樹齢1万年の大木から作られた妖刀・星砕(ようとう・ほしくだき)の由来を持ち、
真剣を上回る強度・硬度を誇り、それを捜し求めて刀狩りを行う者までいた」とされている。
しかし近藤との決闘の際に銀時は普通にヤスリで削っており、
実は通信販売で入手可能という代物であり、銀時も通信販売店で購入している。
値段は原作では明かされていないが、アニメ版では11,760円となかなか高額である。
リサイクルショップ「地球防衛基地」の店主によると「紛い物」。
「洞爺湖」と彫られた柄の部分は、自由に名前を彫れるという通販会社のサービスによるものである。
銀時はミステリアスな雰囲気にしたいため、他人には「若いときに修学旅行で行った洞爺湖にいた仙人にもらった」
「修学旅行で浮かれて買ったやつ」などと伝えている(ただし神楽・長谷川にはバラしてしまった)。
カレーをこぼして臭いが取れなくなったのを理由に買い換えたこともあるが、その際カレーをこぼした木刀は神楽に折られている。
またメイド型カラクリとの対決のときに源外の手で改造が施されたが、
柄の部分を押すと先端から醤油が出る(アニメ版のたまクエスト編では木刀代わりの爪楊枝型の武器からダシ醤油が出るようになっている)
ようになっただけで、実戦に向いた改造ではなかった。
現実の洞爺湖町洞爺湖温泉の「越後屋デパート」という土産物店では、
この「銀魂」効果で木刀が1日に最高50本売れるほどの人気商品になり(好きな言葉を柄に彫ってくれるサービスもちゃんとある)、
第34回主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)が開催された際には洞爺湖町を訪れた外国人も多数購入している。
(以上、ウィキペディアより抜粋)


17 : 獅子と鐵假面 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/17(土) 19:00:26 eNceF28I0
投下終了します。


18 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 21:31:28 1uRzkr9k0
2作続けて投下します。


19 : ハリウッド的反逆 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 21:33:41 1uRzkr9k0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

そこを歩く女性ーーー
ただ歩いているだけなのだが、その姿は一目で芸能人と判るオーラを発している。

「ねぇ、ヴィオール」

「なんだい?エリー君」
女性の呼びかけに突如、姿を現す貴族風な男。

男はヴィオール。
エリー君と呼ばれた女性は弓弦エレオノーラ。

「この殺し合い……ドッキリじゃないわよね?」
エレオノーラ……通称「エリー」は相棒であるヴィオールに尋ねる……

「残念だけど、ドッキリではないようだよ。あの女性の死も……ね」
ヴィオールはわかってはいるが、質問をしてきたエリーに忖度なく事実を答える。

「そうよ……ね」
「まったく……麗しきレディーの首を刎ねるだけでなく、殺し合わせるという行為はまったくもって許せないね。貴族的にも」
ヴィオールはエリーとは違う異世界の住人。
エリーたちの世界の住人からはミラージュと呼ばれているが、貴族的な性格であるヴィオールはこのような下劣なメフィスとフェレスの殺し合いを容認できない。

「君は、この殺し合い……どうするつもりなのかい?」
ヴィオールはパートナーであるエリーに質問する。

「…そんなの決まっているじゃない。こんなふざけたゲームぶっとばしてあげるわ!ハリウッド的にね!!」
エリーもヴィオール同様、この殺し合いを認めないッ!!

「ふふ…貴族的、だよ。エリー君。」
ヴィオールはエリーの答えに満足げな表情を見せる。

「では……参ろうかエリー君」
「ええ!私についてきなさいヴィオール!!」

貴族的そしてハイウッド的な2人が平安京の殺し合いに優雅に打破するために動くッ!!

【弓弦エレオノーラ@幻影異聞録♯FE 】
[状態]:健康 
[装備]:ヴィオール@ 幻影異聞録♯FE
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いの打破をハリウッド的に!
1:自分と同じ考えの仲間を集める
[備考]
※参戦時期は第6章記憶の幻想領域を攻略する前

【ヴィオール@幻影異聞録♯FE 】
エレオノーラのミラージュで 戦闘では弓を主にして戦う。
支給品とは別枠扱い。
そこ、ペルソナとかの言葉は禁則時効です♪


20 : 歳殺神 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 21:34:49 1uRzkr9k0
歳殺神ーーーそれは、紅き血染めの月の平安京へ送り込まれたマーダー。
歳殺神ーーー陰陽道における8人の方位神の一人。

「ふふふ……ほら、月が綺麗ですよ誠君」
誠君と名がつく生首を抱える女。

【殺気】をつかさどり、【万物を滅する】とされる。

女の名は桂言葉。
現在は魂を弄られ歳殺神とされた。

この神は武器や刃物を得るのは吉 とされる。

「誠君……どうやら、参加者を鏖殺したらご褒美を与えて下さるみたいですよ?」
言葉は生首……誠の首に話しかけるーーー
歳殺神ーーー凶事は【結婚や縁談】

「ふふふ。何をお願いします?私は誠君と……結婚して幸せな家庭を築きたいです……」
言葉は返事を返さない彼氏に話を続けるーーー

つまりそういうことである。

【歳殺神桂言葉@School Days(アニメ) 】
[状態]:健康 
[装備]:鋸@ School Days 誠君@ School Days
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:誠君との平安京デートを楽しむ……他の参加者の皆さんの命は……
1:誠君……綺麗な月ですね
2:誠君……どこへ行きましょうか?
3:誠君……デート楽しいですね
4:誠君……誠君……誠君……
5:中に誰もいませんよ?
[備考]
※参戦時期は12話最後のヨットにいるさい、メフィスとフェレスにより歳殺神とされた。

【鋸@School Days】
主として木材や金属を切断するために使用される工具である。
Wikipedia より引用
もう一度記載しますが、主として木材や金属を切断するために使用される工具である。 です。決して人の頭部を切断するためにし……悲し〜みの 向こ〜うへと♪

※歳殺神にされたことにより身体能力が大幅に強化されています。
※誠の首に何かしたら大変なことが起きます。


21 : 歳殺神 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 21:35:01 1uRzkr9k0
投下終了します。


22 : ◆2zEnKfaCDc :2021/04/19(月) 22:51:12 Vufo9Auc0
投下します。


23 : 紅月の光も差さぬ夢の中 ◆2zEnKfaCDc :2021/04/19(月) 22:52:35 Vufo9Auc0
「うっ……うわああああああぁっ!!」

ㅤ"それ"にとって、殺し合いのルールなど必要無い。本能が、人を殺せと告げているから。

「何だ……何も……なんにも見えねえッ!」

ㅤ魔法使い――ポップは叫び声を上げながら一目散に逃げ出す。その目には、既に何も映っていない。天空より降りて来るフクロウ型のモンスターと出会った途端に、血染めの月に照らされた景色は、闇よりも黒く塗り潰されていった。

「く……くそっ!ㅤこうなりゃヤケだっ!」

ㅤマヌーサの比では無い次元で光を奪う呪文、或いは特技。それに対抗するならばせめて、自身が光源を扱うしかあるまい。

「メラゾーマ!」

ㅤ今は亡き師より教わった魔法の向かう先は、姿の見えない敵ではない。まずは戦況の把握――右腕に魔力を宿し、灯火として辺りを照らすためである。

ㅤそしてその先に、ポップが見たのは――

「なっ何故だ!?」

――未だ何も、見えない。

ㅤ指先からメラゾーマの熱は感じる。だというのに、現在進行形で指先に灯っているはずの炎すらも、文字通り何も、見えないのだ。光源を有するポップの瞳は、自身を含めあらゆるものを映していない。

ㅤ肉体の強度が一般人とさして変わらぬ魔法使いであり、さらに悲鳴を撒き散らしながら逃げ惑うポップは、もはや"それ"の格好の的でしかない。

「がっ……!」

ㅤ背後からの体当たりが、ポップの背骨を砕いた。

「ちく……しょう……死にたく……ねえっ……!!」

 そっと、虚空に手を伸ばす。しかし、その手は何も掴めない。これから自分の出生と向かい合うはずの親友も、最後に告白する"勇気"すらも出せなかった想い人も、不器用に自分の罪と向き合っていくはずの恋のライバルでもある兄弟子と――何もかもを、置いてきてしまった。

ㅤアイツらとの旅が、こんな形で終わってしまうことへの無念を抱きながら、ポップの意識は"悪夢"へと落ちて行った。

【ポップ@ドラゴンクエストㅤダイの大冒険ㅤ死亡確認】

ㅤ獲物を狩り終えた魔物は、魔法【夜の帳】を解除する。ドーム状に展開していたその一帯の空間に、徐々に光が戻っていく。

ㅤその魔物の名は『ナイトメア』――暗闇を操る魔物『オウルナイト』が変異的に成長を重ね、固有の名を与えられた『ネームド』個体である。

ㅤナイトメアに、叶えたい願いなど無い。ただ、突き動かす本能のまま獲物を狩り尽くすのみ。

【ナイトメア@不徳のギルド】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:本能のままに敵を狩る。
[備考]カンゼボウに討伐される前からの参戦です。


24 : ◆2zEnKfaCDc :2021/04/19(月) 22:52:59 Vufo9Auc0
投下終了しました。


25 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 14:06:23 vKtG3Ixk0
2作続けてですが投下します。


26 : バトロワ そして… ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 14:07:03 vKtG3Ixk0
紅き血染めの月が爛々とする平安京を不安げに歩く少女。

「殺し合い……」

少女の名は笹本梨代。
山間の小さな町、大中山町に住む高校生。

「バスの事故の次は殺し合いだなんて、まるで夢の中にいるみたいだわ」

梨代は、先輩の卒業式で曲の伴奏を任され、毎日放課後は練習を重ねていた。
それに加え、その日は週番もあったために、夜遅く帰宅へ向かっていた。
幸い、バスの席の隣には小さいころから一緒だったクラスメイトも一緒に乗っていたため、怖くはなかったが、突如バスが事故を起こしてしまったのだ。

「時田君……無事かしら」
梨代はバス事故の際、かばってくれたクラスメイトの身を案じるーーー

「ここで死んだら、あの時のお礼を言えなくなっちゃう……」
「なんとか生きて帰る方法を探さなきゃ」

梨代の淡い好意は生還し実るのか、それとも、慟哭に終わるのか……依然として紅き血染めの月が爛々と沈黙して輝くーーーーー

【笹本梨代@慟哭 そして… 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る方法を探す
1:殺し合いに乗っていない参加者を探す
2:首輪をどうするか考える
[備考]
※参戦時期はOPバスが事故を起こした直後


27 : 白衣を纏う人達 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 14:08:12 vKtG3Ixk0
紅き血染めの月が映える平安京ーーー

「一体、どういうこと!?」

殺し合いという血なまぐさい舞台とは無縁である白衣の天使がいた。

白衣の天使の名は常盤雪子。
聖都大学付属病院で働く看護師。

「お父さんが退院するって大事な日なのに……!」
そう、雪子の父である出雲大次郎が退院する日にメフィスとフェレスにより誘われた。

「殺し合いって……そんなこと認めるわけないじゃない!」
看護師は人の命を守る仕事。
雪子がメフィスとフェレスの殺し合いに反対するのは至極当然ーーー

「誰か……あッ!私と同じナース服!!」
自分と同じ考えの参加者がいないか周囲を見渡した雪子は自分と同業者らしき女性を見つけ駆け寄ったーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「じゃあ、中山さんは副師長なんですね!凄いです!!」
「そんな……別にすごくはないわ」

雪子に褒められた白衣の天使。
白衣の天使の名は中山桂子。
西里大学附属病院外科病棟の副師長を勤めている。

「いえいえ!そんな謙遜しなくても……それにとてもお綺麗で羨ましいですよ」
「もう40手前よ、からかわないで……」
そいいながらも、やはり褒められたことに桂子は顔を赤らめる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「中山副師長はこれ……どう思います?」
雪子がいう【これ】とは、勿論メフィスとフェレスによる強制された殺し合いのことーーー

「……勿論、こういったこと、看護師という立場で働いている者として許せないわ」
桂子も雪子同様、この殺し合いには反対の立場だ。

「それと……常盤さん」
「は、はい!何ですか中山副師長」
桂子から名を呼ばれた雪子は何か自分の言葉に失礼があったのかとドキドキする。

「私は、確かに副師長の立場だけど、あくまでそれは西里大学付属病院でのことよ。常盤さんが働いている病院ではないわ……」
「それに……こういったことに対抗していく仲間なんだから副師長はつけなくてもいいわ。……ね」

「中山副師長……」
桂子の言葉に雪子は胸がジーンと高まるのを抑えきれない。

「……はい。こちらこそよろしくお願いします!……中山さん」
「よろしくね、常盤さん」
雪子の言葉に桂子は微笑むと互いに握手を交わすーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ん?」
「あら?」

自分達に向かって走ってきている医師らしき男性を目にするーーー

【常盤雪子@THE 外科医 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに反対
1:中山さんと行動を共にする
2:あれ……って
[備考]
※参戦時期は雪子ルートED直前

【中山桂子@ナース・ステーション完結編 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに反対
1:常盤さんと行動を共にする
2:あれは……
[備考]
※参戦時期は村上慎一郎と再会する前


28 : 白衣を纏う人達 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 14:08:30 vKtG3Ixk0
☆彡 ☆彡 ☆彡

「これは……一体、どういうことなんだ!?」

紅き血染めの月の下、困惑している白衣を着た中年男性ーーー

中年男の名は比良坂竜二。
聖ユリアンナ病院に勤める産婦人科医。

学生時代は非常に真面目かつ優秀であり、周りから期待されていた。
正に現代の麒麟児!!!

また、飛び降り自殺をした女性を蘇生しようと必死に取り組んだが死んでしまったことに涙を流した。
常日頃、女性を大いに尊敬している比良坂竜二が産婦人科医を選んだのは自然の摂理である。

(くそ!成美の奴に殺されかけ、屋上まで逃げていたところまでは覚えていたのだが……)

竜二がいう成美とは聖ユリアンヌ病院の局長を務める神宮成美のことである。

(しかし、残念だったな!成美!!どうやら神様……いや女神様は僕に微笑んでいたようだ!!!)
竜二は勝者の顔をして紅き血染めの月を見つめる。

どうして、ここまで人格者の如く紹介をされていた彼が命を狙われたのかは今は割愛する。

☆彡 ☆彡 ☆彡

(しかし、この爆弾がついている首輪が邪魔だな……何とかして外すことはできないか?)
竜二は忌々し気に自らの首につけられた首輪を睨む。

(……お!?あれは……!!)
ふと、前を見ると、どうやらナース服をきた女性の2人を発見した。

(いかん!このようなところで彼女らの命が失われたら大変だ!!)

そう、人類の歴史は女性が作ってきたーーー
絶えることなく生命を生み出す神秘的な存在ーーー
だから女性は大切にしなければならないんだーーーーーー

【比良坂竜二@夜勤病棟(OVA)) 】
[状態]:健康 
[装備]:浣腸セット
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスを浣腸する
1:首輪をどうにかする手段を探す
2:いかん!彼女らを守らなくては!!
[備考]
※参戦時期はKarte.5成美から逃げて屋上へいったところ


29 : 白衣を纏う人達 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 14:08:42 vKtG3Ixk0
投下終了します。


30 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/20(火) 19:15:41 1Z/2v/rU0
投下します


31 : 女子中学生の彼女がマーダーと出会わずに済んだワケ ◆7PJBZrstcc :2021/04/20(火) 19:16:16 1Z/2v/rU0
「ククク……」

 殺し合いの会場である平安京の道のど真ん中で、一人の男が怪しく笑っている。
 顔の部分が闇のように真っ黒に塗りつぶされ、表情が見えないが彼は確かに笑っているのだ。
 彼の名前はナイ。
 どう見ても人智を超えている彼は、実は這いよる混沌、邪神ナイアーラトテップなのだ。

 そんな彼はなぜ笑っているのだろうか。
 殺戮ゲームを楽しめる感性の持ち主だからか。それとも、殺し合いに来る前にいた所があまりにも酷かったからだろうか。
 答えはどちらもイエスである。

 ナイはこの殺し合いに呼ばれる前、ある『い世界』に居た。
 その世界で自身の叡智を人間に与え、世界を混沌に落とそうとしたのだ。

 しかし、その世界にはバカしかいなかった。
 なにせ文字はひらがな、カタカナ、漢字とあるものの、大半の住人はどれも読めない。
 住人は数も禄に数えられず、10まで数えられたら賢者と呼ばれるような世界なのだ。
 おかげで人間に魔術書を作らせる際、まずはひらがなを教えることから始めなければならなかった。

 もっとも、七十年後には子供の算数で複素平面を学ぶくらい住人の知性は成長するが、それはまた別の話。

 ともかく『い世界』で色々あり、というか住人のバカさ加減に嫌気がさしてナイは一旦撤退した。
 その直後、彼は殺し合いに呼ばれた。
 見も知らぬ少女が二人死のうと別に何とも思わないが、彼はとりあえずルールを確認した。
 そして感激した。

「ルールブックの文字に、漢字が使ってある……!!」

 こうしてさっきまでいた、い世界では見なかったものがあり、彼は心底嬉しかった。
 ここならば、自分は邪神らしく振る舞える。
 流石に人間に叡智を与えはしないが、邪神らしく人間を混沌と絶望の坩堝に叩き込んでやろう。とナイは決意した。


 ところで、今のナイは凄く怪しい。
 顔は真っ黒で見えないうえ、殺し合いのゲームで嬉しそうに感激して笑っているのだ。
 怪しいことこの上ない。
 もし誰かが見ていたらどう思うだろうか。
 当然、近寄ろうとは思わない。

「あの人、怪しい……」

 その証拠に、一人の少女がナイを怪しみ、建物の陰からこっそり覗いていた。
 彼女の名前は桐森蘭。発想力、行動力、決断力は年齢離れしたところはあるものの、基本的にはごく普通の13歳で中学一年生だ。
 そんな彼女の悩みは最近、母親が再婚しようとしているが、その再婚相手がどうしても好きになれないものの、母親があんまりにも嬉しそうなので、結婚には反対だと言い出せないことである。

 そんな蘭はいきなり巻き込まれた殺し合いに戸惑いつつも、乗ろうとは思わなかった。
 かといってこんな超常的なことができる相手に勝てるとも思っていないので、彼女は脱出を考えていた。
 その為にまずは信頼できそうな人を探そうとしたが、最初に見つけたのは怪しすぎる男、ナイだった。

 怪しすぎる彼を見て、決断力のある蘭はこう決断した。

「逃げよう」

 いかにも怪しそうな男を放置するのはどうかと自分でも思うが、どこまでいっても女子中学生でしかない蘭は怪しい男には勝てないだろう。
 なので彼女はナイから離れるべく、逃走を開始した。


【桐森蘭@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:生きて殺し合いから脱出する
1:あの怪しい人(ナイ)から逃げる
2:信頼できそうな人を探す
3:首輪を外したい
[備考]
参戦時期は本編登場前、まだ母親が生きている頃です。


32 : 女子中学生の彼女がマーダーと出会わずに済んだワケ ◆7PJBZrstcc :2021/04/20(火) 19:16:52 1Z/2v/rU0


 怪しげなナイから逃げ出す蘭。
 しかしその一方、そんな彼を全く気にせず近づく男の姿があった。
 赤い髪と剣の形をしたイヤリングに、恐ろしく威圧的な雰囲気を持つ男だ。
 まともな人間なら危険視するだろうが、あいにくナイはまともな人間ではなかった。
 彼は目の前の男に取り入るべく、とりあえず話しかけようとする。
 しかし――

「真紅の手品(レッドマジック)真拳奥義『火炎花火の大魔術』!!」
「ぎゃああああああああああああああ!!」

 赤髪の男に問答無用で攻撃され、ナイは何もできず、爆炎の中この世を去った。

【ナイ@偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ 死亡】

 断っておくと、これはナイが弱いわけではない。
 仮にも邪神の一柱なのだ。弱いはずがない。
 だが本来の耐久値では並の人間では決して勝てないので、殺し合いに際して主催側から大幅な制限がかかっていたのだ。
 そして赤髪の男はその制限をぶち抜き、一撃で殺してしまったのである。

 そんな赤髪の男の名前はツル・ツルリーナ3世。
 ある世界において三日で世界を制圧し、支配下に置いた帝国、マルハーゲ帝国の王である。

 3世は世界を制圧したのち、なぜかコールドスリープ装置に入り眠りについた。
 そして百年後。眠りから覚めた直後に、彼はこの殺し合いにいた。

 3世はこれに赫怒した。
 彼はまず人間が嫌いであり、にも関わらず人間が何人もいる殺し合いに呼ばれた時点で苛立つ。
 さらにどこの誰とも分からない相手から、帝王である自分を一方的に拉致した挙句命令してくる始末。
 これで彼の苛立ちは頂点に達した。

 故に3世はこうすることにした。

「皆殺しだ」

 参加者も主催者も全て、何人いようとも殺しつくすと。


【ツル・ツルリーナ3世@ボボボーボ・ボーボボ】
[状態]:健康、苛立ち(極大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:主催者含めて皆殺し
1:もし参加者に毛の王国の生き残りがいれば、優先して殺し毛玉を奪い取る
[備考]
※参戦時期は無印にて、百年の眠りから覚めた直後です。
※青藍の手品(ブルーマジック)真拳は全て制限され、使用禁止となっています。
 その他の制限は当選した場合、次の書き手氏にお任せします。


※ナイのデイバック(基本支給品、ランダム支給品0〜3)がナイの遺体と共に、会場のどこかに放置されています。


33 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/20(火) 19:17:20 1Z/2v/rU0
投下終了です


34 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/20(火) 22:14:37 ADTsIPqA0
投下します


35 : 揺るがぬ■ ◆EPyDv9DKJs :2021/04/20(火) 22:17:05 ADTsIPqA0
 平安京の開けた通りにて相対する二人の女性。
 一人は一言で例えるならば、彼女は『精悍』の言葉ががよく似合うだろう。
 青みがかかった銀髪と、黒のジャケットと言った衣装は大人びた姿を引き立たせる。

「何故だ……」

 だが、そんな彼女は今は狼狽しながら転がって襲い掛かる攻撃を回避する。
 相手は宙を舞う鳥のように、血染めの月をバックにするかのように空高く逃げていく。
 距離は五メートルかそこいら程度だが、空に逃げられては素手の現状では完全な間合いの外。
 どうあっても素手だけで届く状況ではない。

 月をバックに空を舞うのは黒を基調とした軽装に黄金のラインが施され、白マントを羽織った緋色の髪の女性。
 その手には短刀が握られており、それらすべてが彼女にとって見覚えのあるものだ。
 忘れるはずがない。嘗ての禍根であり、今を共に生きる親友なのだから。

「何故君が刃を向けるんだ───ソーン!」

 だからこそ彼女、シルヴァは理解できなかった。
 空の世界を脅かす強大な力を排除する形で安寧を保つ、
 全空最強の騎空団『十天衆』の彼女が何故狙ってくるのか。
 少なくとも今のソーンは、そんなことはしないはずだと。

「……私は、十天衆の誰よりも強くなくちゃいけないの。」

「え?」

 簡単な話だ。シルヴァが知る『今のソーン』ではないということ。
 天星器に唆されたことで本物の化け物になろうとした魔眼の射手。
 強くなり続けて、自分が踏み躙ってきた人の為にも化け物になろうとする。
 十天衆も、身を寄せる騎空団の団長すらも倒して誰よりも頂を目指す。
 シルヴァたちを裏切らないで済むと、悪魔の囁きを信じ続けたあの頃の彼女。
 弓を持ってない都合射手からは離れてしまっているが、今の彼女には関係なかった。
 化け物だと証明できれば、それでいいのだ。

「私は強い……誰の手の届かないぐらい、高みにいないといけないの!」

 暴走と言えばそうだが殺し合いに乗るとは少々違う。
 ただ強さを証明する、純粋にそれだけが今の目的になる。
 でなければ、此処に来る以前の十天衆が生きてることへの説明がつかない。
 あくまで最強を示すだけであり、最低限のブレーキは備わってる状態だ。

 では、十天衆に匹敵してるわけではない相手と戦う理由はないのでは。
 彼女を知ってる人物ならそう思うだろうし、実際のところその通りだ。
 だが、此処で相対するシルヴァは彼女が知るシルヴァよりも未来の存在。
 自分が知る彼女よりもずっと強くなっていることが、魔眼の視覚だけでも察せられる。
 ほんの小さな確率でも戦うべき相手だと思えたのであれば、戦うつもりだ。

「君に何があったかは分からない……だがソーン、
 もし其処へ行こうとするのなら、私がやることは一つだ。」

 化け物になるというのなら撃ち落として絶対に止める。
 あの時メフォラシュでソーンと戦ったときにそう告げた。
 彼女がどんな理由でもう一度其処を目指すのかは理解できないが、
 全身全霊を以って彼女を人の領域に引き戻す。そう決めたことだ。
 一度だけ、しかも入念な準備をして一か八の賭けでもぎ取った一勝。
 あれを勝ちと呼べるものではないのは自分でも分かっている。
 今回も彼女の本来の武器である魔導弓ではないというのを鑑みても、
 勝てるかどうかと言われると頷けるものではないだろう。

(だからと言って、諦めるつもりはない。)

 憧れてるなら追い続けろ。
 歩みを止めてしまえば追いつくことなんてありはしない。
 一度しか勝てなかったなら、二度目を掴みとるだけ。

「ッ!」

 思考を纏めているとソーンは襲い掛かる。
 鳥のように急降下する相手に防具もないシルヴァは避けるしかない。
 最強の弓使いと呼ばれた彼女とは言えども短刀の技術力は、
 少なくとも同じ十天衆のカトルには遠く及ばないだろう。
 しかし彼女は元々狩人としての技術が備わっている人物。
 短刀を使うことになる機会は少なからず存在してることにくわえ、
 飛翔術による飛行で自由な移動が可能だ。

「逃がさない!」

 避けてもすぐに旋回しソーンは背後を狙う。
 振り向きながら咄嗟に回し蹴りをするも、
 宙を舞いながら今度は頭に踵落としを叩き込まれる。

「グッ!」

 脳を揺さぶる威力だが、やはり格闘技は専門外。
 意識が飛ぶような一撃には至らず怯むことはなかった。
 頭上の足を掴もうとするも、蹴りの反動で一回転して回避しつつ再び空へを舞う。
 こうなっては捕まえようがない。

(分かっている。弓だけが強くて彼女は十天衆ではない。)


36 : 揺るがぬ■ ◆EPyDv9DKJs :2021/04/20(火) 22:18:16 ADTsIPqA0
 空を自在に舞う飛翔術や魔眼と呼ばれるほど異常な視力、
 多くの人が喉から手が出るほど欲したであろう技術や才能。
 それらを併せ持った人物だからこそ、全空最強の騎空団が一人とも言える。
 嘗て彼女に憧憬、ないし嫉妬してしまったのもそういうところだ。

(真っ向勝負で挑んで勝つのは極めて困難だ。なら───)

 シルヴァは彼女から逃げるように走りつつ、背負うデイバックの中へと手を突っ込む。
 有事の際に何か取り出せるようにと、最初に開けっ放しにしていたのが功を奏した。
 だから取り出す際に開けるという動作が必要なく、ソーンは僅かに動きに遅れる。
 背負った状態では何が取り出されるかはシルヴァ自身にも分からない。
 完全にギャンブルだ。彼女は基本支給品も殆ど把握できてない状況で、
 武器となりうるものを引かなければならないということになる。
 上空から迫る彼女に対して、手にしたそれを取り出す。

(これは───)

 引いたのが武器だったので、接近するのをやめる。
 ソーンにとってその武器は恐らく銃だとは察したのだが、

(あれは───銃……よね。)

 ただ素直に銃と受け止めていいのか悩む。
 いや、確かに彼女は銃の知識は詳しくない。
 拳銃ならエッセル、狙撃銃ならシルヴァの方が理解がある。
 銃らしき引き金もあるし銃床もあり、スコープも備わってる。
 あれが銃ではない、と言い切るのは流石に出来ないものだ。
 一方で、銃でありながら弾丸を装填するべき部分が存在せず、
 その代わりに緑色に輝く何かが入ってるのが外からでも伺える。
 銃身も剣のように細く、そも円筒状ですらなく中が見えている状態。
 剣や鈍器と言われると少し納得してしまう程に普段見ない形状の武器。

(でもあれは間違いなく銃。それもシルヴァの得意な狙撃に使うもの。)

 形勢逆転とも言えるが、此処で逃げるわけにはいかない。
 本当の化け物が、勝てる勝負だけするわけがないのだから。

(確か団長も、これと似たようなものを持っていた。もしそうなら……)

 シルヴァにとってこの武器を使うのは初めてだが、似たものを見たことがある。
 団長が装備していた銃の武器と酷似した形状のそれは、紛れもなく銃だと。
 すぐに構えながら、彼女のいる空へと銃口と思しき部分を向けて引き金を引く。
 思ってる通りの武器であれば、ソーンなら当てずとも勝機のある武器だと。

 引き金を引いた瞬間、その予想通りの答えが出る。

「ッ!?」

 なぜならその銃が発射したのは確かに弾丸だが、
 緑の光条を強く放つ、光の弾丸だったからだ。
 名をアダマント・レイ。存在しない空島の記憶を宿した化身が握る、
 超磁力で加速させた弾丸が光条となる銃───要するにレールガン。
 勿論こんなのを当てれば普通に一撃で命を奪い取る代物。
 しかしシルヴァに当てるつもりはないし、寧ろ当てずとも勝てる。

(しまった、眼が……!?)

 その理由がこれである。
 視界が闇に覆われて、何も見えない。
 ソーンにとって最も弱点となりうるのは───光。
 魔眼は異常な視力を発揮するが、それが仇となる。
 強い光に対して、彼女の魔眼は常人以上にダメージが大きい。
 本来ならば閃光弾レベルの威力でもなければ、
 彼女へこれだけの決定打を与えるのは厳しいだろう。
 見知らぬ武器を前に注視しつづけた結果の産物である。

(やはり、分の悪い賭けばかりだ。)

 綱渡りとも言える賭けをして、
 ようやく勝てる見込みが出てくる。
 あれから強くなったものの、やはりまだまだだ。
 そう自嘲しながら銃を捨ててると同時に跳躍して近くの塀へ、
 更に高い門へと次々に飛び移り、そこからもう一度跳躍。
 空を舞うソーンの頭上へと到達し、その背に蹴りを叩き込む。

「ッ!」

 視界が闇の中回避などできるわけがない。
 自分よりも遥かに洗練されてる足技。
 苦痛に顔を歪めながら地面に叩き落される。
 視力が少し回復して立ち上がる頃には、シルヴァが目の前に立っている光景。
 この間合いで下手な格闘技よりも優れた彼女の足技を相手に、
 短刀も落とした現状相手できるかと言われると流石に不可能である。

「シルヴァ……」

「ソーン、私は言ったはずだ。
 君が本物の化け物になろうとするなら、
 私はどんな手を使ってでも君を撃ち落とす。
 もう誰にも化け物とは呼ばせない。私にも、君自身にもだ。」

『我から見れば、うぬはこの上なく人らしいがな。』

 十天衆を下す連戦の最中。オクトーに言われた言葉。
 誰よりも強くあろうと、化け物でいようとしている姿は、
 この上なく人間に見えていたのかもしれなかった。

「シルヴァ……」


37 : 揺るがぬ■ ◆EPyDv9DKJs :2021/04/20(火) 22:21:26 ADTsIPqA0
 起き上がった彼女へと手を差し伸べる。
 誰の手にも届かないぐらい高みにいた自分へ、
 差し伸べられるその手は、自分以上に高く存在する月か太陽かのように。

「君が全空最強の十天衆であろうとも関係ない。
 どんなに高く舞おうとも、私が必ず君を皆の場所へと───」





「別に、それに問題があるとは到底思えないな。」

「ウグッ!?」

 苦悶する声と共にシルヴァの表情が歪む。
 彼女を背後から腹部を貫く、銀色のシミターに近しい剣。
 噴き出した鮮血が、ソーンの顔に飛沫する。

「シルヴァ!?」

 倒れる彼女を抱きとめ、視力を大分取り戻して漸く相手の姿がわかる。
 刺したのは、和をイメージとした白と黒の色合いを基調とした服の人物。
 二人にはジンやオクトーと言った『侍』のような姿をしている風貌とも言うべきだろう。
 渋みのある顔は人に受けそうだが、今の声もあってすぐに彼を理解する。
 今の凶行がなくとも、この男は間違いなく危険だと感じ取れるほどのものが。

「化け物を、頂を目指す。それの何がいけないのかね。
 私にとって天下や頂とは興味はないが、乱世ではままあることだ。」

「誰、だ……!?」

 脇腹を抑えながら訪ねる彼女の首を男は掴む。
 女性とは言え大の大人を軽々と片手で持ちあげる。

「なに、通りすがりの収集家だよ。
 君達が欲しい物を持っているのでね。」

「どういう、ことだ……!?」

 モノが欲しいのであればそこの銃を拾うはず。
 だがそちらではなく直接自分達を指しての言葉。
 何が言いたいのか、二人には理解が追いつかない。

「離し───」

 起き上がろうとするソーンを足で腹を踏みつけ抑える。
 地面との板挟みで、起き上がることもままならない。

「ッ……!」

「君個人では、有り触れた凡百の音色しかない。
 だが、十天衆の君がいれば話は変わるというものだ。
 十天衆の君に一つ宝を預けよう。それを育てて、いずれ私が受け取りに行こう。」

「何を言って……」

 先程から何が言いたいのかさっぱり分からない。
 理解してはいけないと脳が拒絶してるような気もするが、
 それを抜きにしても、彼の言葉は難解さを極めている。

「君には『過去』を贈ろう。怪物には仲間も、朋も必要ないのだから。」

 嘗てオクトーと戦う以前に、
 サラーサに向けて言った言葉。
 誰とも知らない男に言われると同時。

「そして───『絆』を貰おう。」

 次の言葉を紡ぐと同時に、彼女の全身に炎が奔った。



【シ■ヴァ@グラン■■■ファ■■ジー ■亡】



「■■■■───ッ!!」

 言葉にならないような悲鳴を上げる。
 燃え盛る彼女に手を伸ばそうとしてもそれは届かない。
 届いたとしても、とても触れられるものではないのだが。

「君には贈った『過去』がある。大切に育んでくれたまえ。」

 燃え盛るシルヴァを適当に放り投げて、門の方へと向かう。
 するべきことを済ませた彼に、この場に留まる理由などない。

「アアアアアッ!!」

 普段なら絶対に聞くことのない、
 叫び声と共にソーンは短刀を拾い上げてを振るう。
 最早戦術も何も考えてない、ただの単調な一撃。
 取るに足らない攻撃を静かに避けて、首に手刀を放つ。


38 : 揺るがぬ■ ◆EPyDv9DKJs :2021/04/20(火) 22:23:05 ADTsIPqA0
「君が怪物になった時、改めて会おうではないか。
 何、巡り合うとも。君が怪物になれば直々に貰いに行くのだから。」

 昏倒する彼女を置いて、今度こそ去る。
 ついでとばかりに、珍しい銃を回収しながら。



(『過去』を育て、やがて怪物へと至る。
 その時に得る『十天衆』の称号はきっと格別なのだろう。)

 欲するものを探して、奪う。
 身も蓋もない言い方をすれば駄々をこねる子供と同じ。
 だがそのままの状態で戦国乱世を生き抜いてしまった梟は、
 此処でも不変の、永遠に満たされない欲求を満たし続ける。

(だが、何を壊し、何を得ようとも、私が満たされることはない……)

 最初はこの男は殺しあいに興味なかった。
 いや、現在も殺し合いに於いては一切の興味はない。
 この男の欲に底はなく、一つの成就では決して満たされることもない。
 生も死も恐れるものでもない。死に時であれば躊躇なく自決を選ぶ狂人。
 だが意味はあった。興味深い『十天衆』と言うその肩書きを。
 そして、自分がまだ知らぬ宝誰かが持つ可能性を彼は知った。
 故に探す。自分のあくなき欲を満たせる宝を持った存在を。
 松永久秀……かの戦国乱世から招かれた、天下独尊の男。
 現世であろうと辺獄であろうと、その欲望は不変である。

【松永久秀@戦国BASARA】
[状態]:健康
[装備]:火薬@戦国BASARA、シャルティエミラージュ@テイルズオブデスティニー2、アダマント・レイ(残量19/20)@御城project:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:欲するものを手に入れる。何処であろうと私は不変だとも。
1:珍しいものを探し、手に入れる。それだけだ。
2:殺し合い? 興味などないので勝手にやりたまえ。
3:怪物となった彼女から貰う『十天衆』の肩書こそ欲しいものだ。
[備考]
※参戦媒体はアニメ版です(参戦時期は現時点では未定)。





「ソ-、ン……」

 掠れた声で誰かが彼女を呼ぶ。
 誰かは分かる。未だ燃える親友の声だ。

「シルヴァ!?」

 彼女の声に、松永を追わずに其方へ駆け寄る。
 分かっている。この状態では既に手遅れなことぐらい。
 支給品にもこの状態をなんとかできるものはなければ、
 今から水をかけたところで、遠からずその命は尽きる。
 だからと言って、聞かずに放置するわけにはいかない。

「君は、化け物じゃ、ない……人で、あってくれ。」

 全身を焼かれながらも、それでも振り絞った最期の言葉。
 それは義妹のことでも、団長のことでもなく、ただ親友を想う言葉一つ。
 松永とは真逆の、人であることを願いながら今度こそ命が燃え尽きる。
 嘗ての絆を取り戻すことができた瞬間に、その絆をあの男に奪われた。

「シルヴァ……シルヴァ───ッ!!」

 魔眼の射手には二つの分岐点があった。
 一つ目は頂に至ろうと暴走した彼女を止める物語。
 二つ目は悔恨を終わらせようと故郷で決着をつけた物語。
 だが何方も灰となって消え、第三の道を歩むことになる。
 彼女の心は人か化け物か。親友か仇敵の言葉のどちらの通りに至るのか。
 どちらへ転ぶか分からない、辺獄の道を。

【シルヴァ@グランブルーファンタジー 死亡】

【ソーン@グランブルーファンタジー】
[状態]:殺意(絶大)、精神疲労(絶大)、ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:人であるようにしたい。でも……
1:あの人(松永)だけは許せない。
2:弓が欲しい。
[備考]
※参戦時期はソーン最終後〜4アビ習得フェイトまでの間です。
※魔眼は大きくて一エリアのみです。
※飛翔術は高くて五メートルが上限です。



※周囲にシルヴァの短刀@グランブルーファンタジーがあります。
 シルヴァのデイバックは焼失しました


39 : 揺るがぬ■ ◆EPyDv9DKJs :2021/04/20(火) 22:23:33 ADTsIPqA0
【シルヴァの短刀@グランブルーファンタジー】
ソーンの支給品。狙撃手としての立場の都合と近接は徒手空拳の都合、
全くと言っていい程使われることがないシルヴァが腰に携える短刀。
特別優れた能力や逸話が残されてると言ったものは特になく、
ソーンに光の反射で合図を送るためのものとしての運用をされてる。

【アダマント・レイ@御城project:Re】
シルヴァの支給品。ゲーム上ではラ・ピュータの初期装備。
バルニバービ国の技術を結集して造られた鉄砲。
超磁力で加速させた弾丸が光条となり敵を貫くので、
鉄砲とは言うが形状も性能も最早レールガンの類になる。

【火薬@戦国BASARA】
松永が相手を燃やす、爆破する際に用いる黒色火薬。
没収されなかった代わりに支給品の数を減らされている。

【シャルティエミラージュ@テイルズオブデスティニー2】
松永久秀の支給品。ゲーム上ではアクアラビリンスに潜んでいる、
リオン・マグナスの幻影から勝利することで手に入れる武器。
ソーディアン・シャルティエに酷似した幻体の剣で、地属性の力がある。
その力は本物にも劣らないようだが、元のシャルティエの人格はない。


40 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/20(火) 22:23:59 ADTsIPqA0
投下終了です


41 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 22:30:45 vKtG3Ixk0
3作続けて投下します。


42 : 星を奉る巫女は紅き血染めの月を認めない ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 22:32:20 vKtG3Ixk0
紅き血染めの月が爛々と照らす魔都と化した平安京ーーー

巫女姿の少女は歩いていたーーー

巫女の名前は茜空。
銀星学園に通う1年生で天文部の会計係を担当している。

緋音(あかね)神社に住む巫女で亡くなった両親の代わりに一人で管理維持をしている。
そんな経済的理由から制服は持っておらず巫女服で通学している。

「許せません。あのような残虐な方法!……命を弄ぶなんて!!」
空は憤怒している。
メフィスとフェレスなる双子の女の子の命を軽々しく扱うやり方は、神に仕える巫女としても到底看過できることではない。

「最後の1人になれば……」
空の脳裏に浮かぶのはーーー

「ルールは至極簡単。人間の推定時間で3日間以内に一人になるまで殺し合ってもらう。最後の一人はその功績として『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利を与え、元の世界に返してやろう」

優勝者への悪魔の誘いーーー

「馬鹿馬鹿しい。私たちを無理やり殺し合わせるあの双子が、約束を守るとはとうてい思えません」

空は双子が提示した優勝者への褒美をバッサリと斬り伏せた。

「東雲さん……見守ってください。絶対に私は「星」を遮る紅き月の子供達に負けませんから」

星を祀る緋音神社の巫女として、天文部の一員として空を覆い尽くすメフィスとフェレスに宣戦布告したーーーーー

【茜空@六ツ星きらり〜ほしふるみやこ〜 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る
1:殺し合いに乗っていない参加者を探す
2:この首輪をどうにかできる方法を探す
[備考]
※参戦時期は茜ルート中


43 : ケツイを示す女装少年 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 22:34:03 vKtG3Ixk0
紅き血染めの月が爛々と照りながら浮かぶ平安京ーーー

不安げに歩くのは女装をしている男の子ーーー

女装をしている男の子の名前は
不動洋菓子学校1年生。

ーーーはて?洋菓子学校に通っている1年生がどうして女装をしているのか?
それは、男の子の趣味……ではない。
実は不動洋菓子学校は「女子校」なのである。

ーーーーーつまり、そういうことだ。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「大体、殺し合いって……僕は別に普通のパティシエを目指している唯の高校生なんだけど……」
衛はなぜ、メフィスとフェレスと名乗る双子の女の子が自分を選んだのかさっぱり分からず途方にくれている……

「きっと、僕みたいなのは直ぐに誰かに殺されるんだろうな……」
衛の脳裏に浮かぶのは彼女らによって無惨に首を爆発されて死んだ女の子の姿ーーー

衛はその場でしゃがみこむーーーー

「……駄目だよ!ここで僕が死んだら、お母さんは悲しむ」
衛はここで死ぬわけにはいかない。
ーーーパティシエになる。
ずっとーーーずっとそう決めていたことだから。

「お母さん、僕は絶対にパティシエになります。だから応援してください」
天国の母に祈りを捧げると衛は立ち上がるーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「よし!まずは……仲間を見つけよう」
血に塗れた平安京での行動指針を定めた衛は行動を開始したーーー

「あと、出来たら服を着替えたい……」

果たして、衛は女装した姿のままなのか……現時点では神のみぞ知ることである……

【佐藤衛@スイートレガシー〜ボクと彼女の名もないお菓子〜 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る方法を探す
1:殺し合いに乗っていない参加者を探す
2:着替えの服を探したい……
[備考]
※参戦時期は攻略ヒロインの個別ルート前
※女装しています


44 : モフ〜とニャー ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 22:37:58 vKtG3Ixk0
紅き血染めの月が爛々と照らす平安京ーーー

「許さないモフ〜!」

なんともまぁ、可愛い声が響き渡るーーー

声の主はモフルン。
熊のぬいぐるみである。

ぬいぐるみがどうして喋れるかというと……リンクルストーン・ダイヤの力で妖精になったからだ。

「みらい、りこ、はーちゃん……モフルン、絶対に皆の下へ帰るモフ!」

そういうと、モフルンは支給品のモフルンリンクルストーンをギュッと握りしめながら仲間を探しに走る!!!

「モフルン頑張るモフ〜!!!」

【モフルン@魔法使いプリキュア 】
[状態]:健康 
[装備]:モフルンリンクルストーン@魔法使いプリキュア
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:みらいやみんなの下へ帰る
1:仲間を探すモフ〜!
2:モフモフモフ〜!!!
[備考]
※参戦時期は映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!後

【モフルンリンクルストーン@魔法使いプリキュア】
ネクタイ部分にモフルンリンクルストーンをセットすることでキュアモフルンに変身することができる。
ちなみに名乗り口上は【モフモフモフルン!キュアモフルン!】である。けっして、ふざけているわけではないのでご容赦ください。

「はぁ……」
殺し合いの打倒へ燃えているモフルンを余所にため息をつく人……ではなく猫。

猫の名は矢口翔一 。

え……人間の名前みたいだって?そう、だって彼は猫ではなく人間なのだからーーー

「おいおい、猫にされるだけでなく殺し合いって……俺、何か悪いことでもしたのか?」
自らの境遇に悩むーーー
翔一は不幸にも勘違いから猫魔法使いのミオに魔法をかけられ、猫にされてしまった身。それに加え、メフィスとフェレスなる不思議な双子に殺し合いを強要されるのだからーーー

「まぁ、夜の時間だけで朝になると元の姿に戻れるのが幸いだが……」
幸いにも朝の時間帯は人間に戻れるが、依然として半猫人……ワーキャットとして過ごす人生。

「しかし……この状況は不味い……」
また、この状況にはリスクがある。
それは、【他の人に知られると猫化が進む】という非常に厄介な魔法。

「くそ……!ミオのやつ。改めてやっかいなことを……」
幸い、この平安京は赤い夜に包まれているため明けることはなく、猫のまま行動することとなるが、翔一はそのことにまだ気づいてはいない。

「とにかく……早く、皆の下へ帰らないと、ひよこ館が大変なことになってしまう」

俺は、…地元の皆が愛してくれているケーキ屋「ひよこ館」を潰さないために学生の身分を捨ててパティシエ見習い兼店長代理として戻ってきたんだ。
絶対にこんなふざけているところで死んでたまるかーーー

翔一は紅き血染めの月をキッ!と睨むと移動を開始したーーーーー

【矢口翔一@パティシエなにゃんこ〜初恋はいちご味〜 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:かなでやひよこ館の皆の下へ帰る
1:この状況……どうする!!
[備考]
※参戦時期は攻略ヒロインの個別ルートに入る前
※紅い夜につつまれているため、明けることがない限り猫のままです
※「人間」には言葉が通じません。


45 : モフ〜とニャー ◆s5tC4j7VZY :2021/04/20(火) 22:38:10 vKtG3Ixk0
投下終了します。


46 : ◆vV5.jnbCYw :2021/04/21(水) 00:14:45 yCIBgEp60
投下します。


47 : Holes ◆vV5.jnbCYw :2021/04/21(水) 00:15:04 yCIBgEp60
少女は一度死んだ。
彼女の人生はこの地獄へ来る前から、地獄のようなものだった。
自らの美貌が災いして、家族、親戚、教師と一通りの男性から慰み者にされた。
いつからか、奪われるばかりの人生に嫌気が刺し、標的にされたはずの自らの美貌を武器に奪う側に回ろうとした。
そんな中殺し合いに参加させられ、王手まであと少しという所で殺された。
なのにどういう訳か五体満足で蘇り、またしても殺し合いを強要された。


少年は一度死のうとしたことがある。
彼は少女と異なり、殺し合いに巻き込まれる前は家族と共に真っ当に暮らしていた、はずだった。
彼が13歳の時に、心が壊れた兄の犯罪が明るみに出て、家族総出で村や学校から爪弾きにされ、挙句に一家離散の憂き目に遭った。
それでもかつてと変わりなく接してくれた女性は、自分の身代わりになり別れることになった。
一緒に逃げようと決意した少女と、一緒に逃げることは出来なかった。
それでも一人で逃げようとした所で、どういう訳かこの殺し合いに巻き込まれた。


京の町の裏通り、奪われ続けた少女と少年の瞳が合う。


互いの顔についてはこれといった感情を抱くことは無かった。
どちらも生まれが異なればアイドルにでもなれたかのような整った顔立ちをしているが、長いことそんなものを感受できるような人生を歩んでいなかった。


少女の名は、相馬光子
少年の名は、福原秀二


「ねえ、あなたはこの殺し合いでどうするつもりなの?」
先に言葉を話したのは、少女の方だった。


「わからない。」
少年は問いかけに、反芻する牛の様な口調で答えた。

「ねえ、あなたもあたしと一緒に、奪う側に回らない?」
艶やかな唇を歪め、少女は悪への道を持ちかける。

「……。」
「あなたのその目を見れば分かるわ。ずっと誰かの悪意に晒されて裏切られて、奪われ続けてきたんでしょ?」

言葉を返さない少年をよそに、鈴の音の様な美しい声で、毒々しい言葉を吐き続ける。

「だから今度は、あたしたちが傷つけて汚して殺して、奪いつくすの。」
「………。」
その言葉を聞いて初めて少年は声を発した。
しかし、その言葉はとてもか細く、何を言ったのかは分からなかった。


48 : Holes ◆vV5.jnbCYw :2021/04/21(水) 00:15:59 yCIBgEp60

「いやだ。」
もう一度拒絶の言葉を投げかけた。
今度は小さいながらも、良く伝わった。
しかし、少女は特に大きな反応はすることはなかった。

「なぜよ。」
ただ、冷たくその理由を問う。

「ひとりになりたくないから。いっしょにいきようとしてくれたひとがいたから。」
少女の言う通り、少年は15の身にして、悪意を一身に浴び続けた。
けれど、少年と少女の違いは、最期まで一緒に生きようとしてくれる人がいたということだった。
そして、彼が一家離散の果てに出た旅でも、かつて転校した会いたい人に会う目的があった。


その言葉を聞いて少女はぱちくりと瞬きするが、その後表情を整えて、新たに言葉を紡いだ。

「誰かと一緒で得られる幸せなんて、あたし達人殺しが享受出来ると思う?」
「………!!」

少年は一瞬瞳孔を開いた後、ただ目線を落とし、歯を食いしばった。
少女の言う通り、少年は人を殺した。
自分と自分が愛した女性を凌辱したヤクザの男を、カーテンの紐で締め殺した。
とどめは別の人間の手によるものだったが、少なくとも殺したという自覚はあった。


「どうして知ってるのかって顔してるわね。目を見れば分かるわ。人を殺したことないと、そんな目出来ないもの。」
少女が少年の瞳を見て連想したのは、かつて自分を殺した人間、桐山和夫のことだった。


――――あなたの目つき、ぞっとする
――――目つき、気に入らんのう


そして少年は、自分の光を失った穴ぼこのような両目のことを言われ、かつて人から投げかけられた言葉を思い出した。
あの時はまだ人を殺してなかったのに、何か変わったのかな、と余計なことを考えてしまう。
そして自分の目つきを恐れた、憎んだ相手の顔を、どういう訳か思い出そうとしたが、その前に少女が言葉をはさんだ。


「あなたも、誰かから奪ったんでしょ。」


「綺麗ごとを言っておいて、本当はあなたも奪わないといけなかったんでしょ?」
「……。」
否定は出来なかった。
少年は人殺しだけではなく、自分を裏切った友達から金を奪い取り、ヤクザの女と寝て子供を作った。
だからと言って、自分から進んで奪い続ける気にはならなかった。
ただ、一緒に生きてくれる相手が欲しかっただけだった。
「別にあたしはあなたの罪の懺悔を聞きたいわけじゃないし、責めてるわけでもないわ」
「どうして……俺にこんな話、持ちかけたんですか。」

初めて少年は自ら話を切り出した。


「あなたは他の正義面した連中と違って、あたしの気持ちを分かってくれると思った。ただそれだけよ。
改めて聞くわ。私と一緒に、奪い続けない?」

今度は嫌だとは言えなかった。
相手は自分のことや気持ちを理解していると分かったからだ。
少なくとも自分は放火魔の弟だからって気にするなと表面的なことしか言わない担任教師よりかは。


49 : Holes ◆vV5.jnbCYw :2021/04/21(水) 00:16:47 yCIBgEp60

白くて細長い手が、シュウジが手を伸ばせばすぐ届く場所に現れた。
だが、その手を握ることは無かった。
いくら罪を犯したからと言って、自分から罪を重ねて行く気は無かったから。

だが、光子を糾弾することもしなかった。
曲がりなりにも自分と一緒に生きようとした相手を、自分と同じ理不尽に苛まれてきた相手を、無下に扱うこともしたくなかったから。



少年は少女に背を向け、走り出した。
それは人間の域こそ超えることは無いが、乱れの無い速さだった。
少なくとも同年代の少年とは一線を画す速さである。




【福原秀二@疾走(映画版)】
[状態]:健康 無気力 
[装備]:ランニングシューズ@ポケットモンスターシリーズ  
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜1 アサシンダガー@DQ7
[思考・状況]
基本方針:一緒に生きてくれる人を探す
1:もし知り合いがいたら会いたい。
[備考]
※参戦時期はみゆきと別れ、大阪から東京行の新幹線に乗った後




「残念ね。」
シュウジの姿が見えなくなった時、ため息と共に呟いた。

(ま、あまり気にするほどでもないか。)
光子は鞄から支給品を取り出す。
そこにあったのは何の皮肉か、自分を殺した武器だった。
既に自分の誘いを断った以上は、あの少年に向けて引き金を引くべきだが、不思議とそうする気にもならなかった。


なぜなら彼は、今まで会った男の中で、自分を性的な眼で見なかった特異な存在だったから。
自分のことを物言う性処理の穴ぐらいにしか見ていない男たちと、視線が違ったから。
だから放っておいた。
少なくとも自分の障害になる相手ではないし、正義面した奴等に比べても自分の気持ちを分かろうとしていた相手だった。


50 : Holes ◆vV5.jnbCYw :2021/04/21(水) 00:17:02 yCIBgEp60

一度穴ぼこのような目をした少年のことを頭から取り払い、これからどうするか決める。
とは言っても、すぐに答えは出た。
彼女はかつて似たような殺し合いに巻き込まれた時と同様、奪う者として優勝しようとする。

願いは何にするかは決めていない。
一度失った命に対するこだわりもない。
だが、生きる道が一つしかなかった彼女は、これしか選べない。


残った支給品を確認した後、シュウジが去った方向を見つめる。
すでに赤い月光に溶け込んでいるはずの彼を見つめる瞳は、彼女らしくもなく寂しげだった。


【相馬光子@バトル・ロワイヤル(劇場版) 】
[状態]:健康 
[装備]:UZIサブマシンガン(残弾50)@バトル・ロワイヤルシリーズ
[道具]:基本支給品 マシンガンの替えの弾(50) ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:全ての参加者から奪いつくす
[備考]
※参戦時期は死亡後です



【支給品紹介】

【ランニングシューズ@ポケモンシリーズ】
デボンコーポレーションが発明したポケモントレーナー用の靴。
履くと疲れることなく長距離を速く走れる

【アサシンダガー@DQ7】
斬りつけた際に急所に当てると一定確率で殺害できる毒が付着している短剣


【UZIサブマシンガン@バトル・ロワイヤルシリーズ】
ぱらららら、の効果音で有名なマシンガン。原作では別の参加者に支給されていた。


51 : Holes ◆vV5.jnbCYw :2021/04/21(水) 00:17:14 yCIBgEp60
投下終了です


52 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/21(水) 19:14:19 v6RFbMzg0
投下します


53 : 男たちの夜 ◆7PJBZrstcc :2021/04/21(水) 19:14:48 v6RFbMzg0
「うぅ〜トイレトイレ」

 殺し合いの中トイレがしたくて走る、ちょっとワルっぽい一人の男。
 ごく一般的な自動車整備工であり、強いて違うところをあげるとすれば、ホモセックスになれており、ノンケでも構わず食っちまうとこである。
 彼の名前は阿部高和。

 彼はハッテン場ということで有名な公園でいい男を探していたところ、殺し合いに呼ばれてしまった。
 さてどうするか、と考えていたが、ふとトイレに行きたくなってしまい、今こうして走っている。
 そして公園を見つけ、トイレめがけて向かっていると、目的地から一人の男が現れた。

 高和がその男を見たとき、彼は衝撃のあまりトイレに行こうとしていることすら忘れ足を止める。
 それは向こうも同じだった。トイレから出てきた男もまた、高和を見て固まってしまう。
 なぜ二人は止まってしまったのか。その答えは彼らの反応で分かる。

「「そ、そっくりだ……」」

 そう、二人の顔があまりにも似ていたからだ。
 漫画なら判子絵と言われてもおかしくないほどに。

 そんな阿部高和にそっくりな彼の名前は高梨亮。
 24歳のポルノ俳優。ビニ本(エロ本のこと)、裏ビデオ、ホモ映画などあらゆるカメラの前に全裸を晒してきた男であり、高和同様男に欲情する質である。

「とりあえず通してくれないか。トイレに行きたいんでな」
「ああ、すまない」

 衝撃的な邂逅だったが高和は立ち直り、とりあえずトイレに入っていく。
 そんな彼を亮は通し、見送った。

 彼らはこの時同じことを考えていた。
 こうして出会ったのも何かの縁。一緒に行動しよう、と。
 しかし彼らはまだ知らない。

 阿部高和はホモであり、ノンケでも構わず食っちまうほど性に奔放だ。
 積極的な男と言ってもいい。その結果くそみそになっても構わないほどに。
 一方、高梨亮もホモだが、彼はビニ本の撮影後に、監督からホモセックスのお誘いがあっても断る男である。
 断ったのは亮のプロ意識が理由ではなく、彼は自分の出ているビデオや本にしか欲情しないからだ。
 あえて言うなら、俺がいちばんセクシー。俺には俺さえいればいい。ということである。

 いい男に興味津々な阿部高和と、自分にしか興味がない高梨亮。
 顔こそ似ているものの、考え方が真逆である二人の運命が深く交わった時、果たしてどうなるのか。
 その答えはきっと、平安の夜を照らす赤い月だけが知っている。


【阿部高和@くそみそテクニック】
[状態]:健康、トイレ中
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:とりあえず、あの男(高梨亮)と行動したい。
[備考]
参戦時期は本編登場前です。

【高梨亮@俺がいちばんセクシー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:とりあえず、あの男(阿部高和)と行動したい。
[備考]
参戦時期は本編登場前です。


54 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/21(水) 19:15:12 v6RFbMzg0
投下終了です


55 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/21(水) 21:46:01 8GUhaAxE0
投下します。


56 : 憎悪の感情 ◆bLcnJe0wGs :2021/04/21(水) 21:46:32 8GUhaAxE0
会場のとある場所。

そこでは、ある女性が自分を裏切った人物や彼、或いは彼女の傍にいた人物、そしてメフィスとフェレスの行ってきた所業に憎悪を抱きながら宙を漂っている。

名前はアリア。とある世界で《バーチャドール》と呼ばれていた架空の人物が自我を獲得した存在である。

◆◆◆

彼女は、たまたま同じ時期に発売されていた同じバーチャドールのμと共にネットの世界を漂い、現実世界の人々達の様々な声を聞いて、彼らの楽曲を与えられている内にそれぞれの意思を持ち始め、やがて自ら動く事が出来る様になった。

後に様々な悩みを抱える人間がたどり着く仮想世界《メビウス》が出来てしばらく経った頃、路上ライブを行っていたμがある人物のとっていた、変わった行動に気づいてそちらに飛んで行き、メビウスからは出られない様にしている事を話していた。

そこでアリアはμにネットの世界・メタバーセスに帰る様説得しようとしたのだが、μは拒否して何処かへ飛び去ってしまった。

それから少し経つと、ライブを中断させられた事で怒り出したファン達がメビウスから脱出しようとしていた人物に襲いかかってきた為、一緒に逃げる事になった。

逃げた先でも暴徒化したファン達に挟み撃ちにされた為、彼らを撃退する為、そして後にメビウスから脱出しようとする人間達を手助けする為に、先程まで一緒に逃げていた人物に対して調律を施し、仮想世界で戦う力を与えた。

◆◆

しかし、


57 : 憎悪の感情 ◆bLcnJe0wGs :2021/04/21(水) 21:47:00 8GUhaAxE0
そのメビウスから脱出しようとしていた人物が、自分や後に仲間となる現実世界の存在に気づいていた人々達を裏切る事になる事は知る由もなかった。

◆◆◆

やがてアリア達が拠点としていた学校に、裏切り者とその協力者達が攻め込んで来た。

─しかし、この時点では自分の仲間達の中に裏切り者が居る事にも気づく事が出来なかった。

校内の生徒達を守る為に仲間達の力を解放させて裏切り者と戦ったのだが、敗れてしまった。

その裏切り者達にも一度は撤退されてしまう。

◆◆◆

その後も、ある目的の為にμを利用しようとしていた人物・ソーンを止めに行く為、自分や仲間達と共にとあるライブハウスに入って行ったのだが、そこで目にしたのはなんとソーンの傍に付いていたあの人物だった。

その人物はかつて、自分がメビウスで最初に調律を行った自分だった。

そして彼、或いは彼女が自分達を裏切っていた事を初めて知った。

余りの衝撃に自分や仲間達も怒り狂い、裏切り者に総攻撃を仕掛けたのだが、虚しく敗北した。

◆◆◆

─ふと意識を取り戻すと、今度は見知らぬ少女達が自分達に殺し合いをしろと言い、見せしめとしてまた見知らぬ人間を酷たらしく殺していた。

◆◆◆

そして今、憎悪に満ちた彼女はあても無く会場を漂い続けている。


58 : 憎悪の感情 ◆bLcnJe0wGs :2021/04/21(水) 21:47:24 8GUhaAxE0
【アリア@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:健康 自分を裏切った相手(主人公/Lucid)及びソーン、メフィスとフェレスへの憎悪(極大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:現状は未定。
1:μは優先して倒す。
2:裏切り者(主人公)やソーンがいるなら復讐する。
3:メフィスとフェレスにも出来るなら報復する。
4:ごめん、帰宅部のみんな…
[備考]
※参戦時期は楽士ルートで主人公に裏切られて倒された後。


59 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/21(水) 21:47:49 8GUhaAxE0
投下終了です。


60 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/21(水) 23:40:11 SEhSZ9ys0
投下します


61 : 君と超える明日を選んで ◆2dNHP51a3Y :2021/04/21(水) 23:40:34 SEhSZ9ys0
平安京にあまりにも似合わぬであろう建造物の一つ
明らかに商店街の一角に置かれた喫茶店、と言うべきアンティーク感漂う古びた店内

ここが殺し合いだということを程よく忘れさせるぐらいにはほほえましい光景が広がっていた

「このチョコレートドリンクおいしい〜!」
「喜んでくれて何よりだよ、もしエレノアがいたら喜んでいただろうなぁ」

そう頬を緩ませながら、カップに注がれているチョコレートドリンクなる飲料に舌鼓を打っている少女が一人。そんな彼女をにこやかに眺める赤髪ポニーテールの女性が一人

ツーテールの少女の名は司城夕月、そして赤髪ポニーテールの女性の名は、アルーシェ・アナトリア

「喜ぶと思うよそのエレちゃんって人! だってこんなに美味しいチョコレートドリンクなんだし、チョコの方も絶対美味しいって! もし出来ることならヒナちゃんやライムにもお裾分けしたいよ!」
「あはは……じゃあ、その時はエレノアに予約しておくから安心して」
「ありがとう、アーちゃん〜!」
「……ええと、アーちゃん?」
「何って、アルーシェだからアーちゃんだよ?」
「……ねぇユズ、アルちゃんは流石に想定外」

本来ここは殺伐とした舞台、それでもこの様な光景は別段可笑しいわけでもない。単純な情報の交換の際にお互いの交友を深める意味でもこんな場面は珍しくもない

アルーシェ・アナトリアが司城夕月と出会ったのは数時間前
アルーシェに残されている時間は残り少なかった。ただでさえ妖魔化が進行しているこの身。ただでさえ月の女王との決戦が近づきつつある中で、よりによってこんな殺し合いに呼ばれた始末
リリアやみんなは無事だろうか? などという心配が脳裏に巡る中、最初に出会ったのがこの司城夕月という少女だ
何やら焦り気味なアルーシェの雰囲気に気づいた夕月が声を掛け、情報交換を兼ねて近くの喫茶店に誘い今に至るのだ。ちなみにこのチョコレートドリンクは喫茶店内に置いてあったドリンクの一つである、閑話休題



「……夜に包まれた世界、かぁ」
「まあ、ユズは知らないのは仕方がないさ。妖魔の存在は本来隠されているわけだから」
「だったらそれ、私に話して大丈夫なのかな?」
「それは……まあ緊急事態ってことで。それにユズは未来から来たんだよね。いやだって、そもそも妖魔なんていない200年後の未来ってそりゃびっくりもするよ」

アルーシェとして反応したのは司城夕月が自分より未来の人物であること。妖魔絡みの事はまあ知らないのは仕方ないにしても、200年後の世界、名前だけは聞いたことある極東の島国がそこまで平和であることには感心していた
対してユズの方は200年前の過去、アルーシェのいた時代に関しての話には思う所があった。人知れず戦うという点では彼女もリフレクターである自分たちとも変わらない
ならば最初のアルーシェの焦りの雰囲気はなんだったのか、その答えはアルーシェ・アナトリアという少女が半妖であるから
ある任務で命を落としたアルーシェは、その生命と貫かれた心臓を代償に半妖して蘇った。今こそ人としての心を保っているが、いつ心までもが完全な妖魔となってしまうかわからない
そしてユズとしても、期限付きとして蘇った身としては何かシンパシーを感じるものがあった。ただし、こちらが存在の消滅であり、アルーシェの方は完全に『化け物』となってしまうこと
どちらがより過酷か、それはどうにも結論など着けられるはずもない

「……ねぇ、アーちゃん」
「どうしたの、ユズ?」

思わず、ユズの口から言葉が出た。過酷な運命が終着点と成りうる者同士。だが、そんな命運を背負って尚世界のために、何より大切な人たちの為に戦うその在り方は共感にも、同情にも思える感情を抱いている、だからこそ


62 : 君と超える明日を選んで ◆2dNHP51a3Y :2021/04/21(水) 23:40:56 SEhSZ9ys0
「出会って間もない私に言われてもどうかと思うけどさ……アーちゃんには、死んでほしくないかな」
「……え?」
「いやだって、もし無事に元の世界に帰れたとしても、アーちゃんがいないとエレノアちゃんのチョコレート貰えないかもしれないから」
「いやいや、私がいなくてもエレノアなら快くチョコ売ってくれると思うよ。でも……ありがとう」

死んでほしくない、とユズは思ってしまった。咄嗟に変な言い訳をしてアルーシェに茶化されてしまったが、それは逆にユズの頬を緩ませ、自然に笑顔を作った







ここは明ける事なき紅血の夜。何れ壊れる命を背負う二人は、その結末を理解して尚抗い続ける

故に走り続ける、この明けない夜の中で
そして奏で続ける、その生命の音を

【アルーシェ・アナトリア@よるのないくに2 〜新月の花嫁〜】
[状態]:健康、
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない
1:今はユズと一緒に行動する
2:リリィやみんなは無事なんだろうか
[備考]
※参戦時期は第5章〜第6章の間
※活動制限に関しては後続の書き手にお任せします

【司城夕月@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:アーちゃんには死んでほしくない
2:ヒナちゃんやライムは今どうしてるんだろ……
[備考]
※参戦時期は最低でも※参戦時期は11章『ある姉妹の始まり Why Do People Believe in Ghosts?』から


63 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/21(水) 23:41:08 SEhSZ9ys0
投下終了します


64 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:00:28 QNqijrEA0
何作か連続で投下します。


65 : 全てを盗む王 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:03:01 QNqijrEA0
平安京ーーー貴族が豪華絢爛に過ごした都。

それは、煌びやかな物に溢れているーーー

「ククク……何だか面白そうな場所じゃねぇか」

殺し合いという状況の中、不敵に笑う男。

男の名はバクラ。

世界を盗むことを企む盗賊王である。

「この支給品とやら、どれもこれも金目になりそうな物ばかりじゃねぇか」

バクラは支給品の価値を見出すと、邪悪な笑みを浮かべーーー

「来い!ディアバウンド!!」
バクラの呼びかけに応じ、バクラの影からディアバウンドと呼ばれる精霊が現れた。

ディアバウンドーーーバクラが自ら盗賊王と名乗る由縁の精霊獣。

「ククク……いいぜぇ、オレが優勝したら、願いを叶えてもらおうじゃねぇか」
(ついでに、テメェらの能力もこのオレ様が手にしてやる……)

全てーーそう、全て。
全てを奪うため、盗賊王は動き始めたーーー

【盗賊王バクラ@遊戯王 】
[状態]:健康 
[装備]:ディアバウンド@遊戯王
[道具]:基本支給品 ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:全てを奪う
1:他の参加者の支給品を奪いーーー殺す
2:念の為首輪を外す方法を探す
[備考]
※参戦時期はクル・エルナ村の地下神殿でファラオに敗れる前
※記憶の残影の人物であるため、死んだら砂となって消えます。
※大邪神ゾーク・ネクロファデスの影響があるのかは後続の書き手様に委ねます。

【ディアバウンド@遊戯王】
盗賊王バクラの精霊獣
壁抜けを始めとした様々な能力があるが、特に特記すべき能力は「倒した敵の能力を奪う」である。
倒した敵の能力を奪い、自分の力として使用できる。
ここでは、メフィスとフェレスの介入により、殺すことで能力を手にすることができる。


66 : 歳刑神 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:04:10 QNqijrEA0
歳刑神ーーーそれは、紅き血染めの月の平安京へ送り込まれたマーダー。
歳刑神ーーー陰陽道における8人の方位神の一人。

「ふふふ……まってろよなズラ」
麦わら帽子を被る田舎の農夫ならぬ超人。

【殺罰】、【刑殺】をつかさどる。

「オラが最後の一人になれば、家族を楽させることができる……」

超人の名はザ☆農村マン。
現在は魂を弄られ歳刑神とされた。

この神は武器や刃物を得るのは吉 とされる。

「CM出演……ジム設立……富と名声……」
正義超人の1人であった彼の正義の面影は最早どこにもないーーー
歳刑神ーーー土の性格もつかさどり、凶事は【農作】

「そのためなら、殺しは致し方ねぇよなおっ母……」
ザ☆農村マンは返事を返さない家族に話を続けるーーー

つまりそういうことである。

【歳刑神ザ☆農村マン@キン肉マンⅡ世 】
[状態]:健康 
[装備]:家族の首
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:参加者はオラが仕留める……
1:負けられねぇズラ……
[備考]
※参戦時期は超人オリンピック予選、万太郎と戦うに赴くさい、メフィスとフェレスにより歳刑神とされた。


67 : 神の皇帝 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:04:59 QNqijrEA0
参加者を恐怖の色に染め上げる紅き血染めの月の平安京。

爆音が響き渡るーーー

爆音の発生源は次にレーザーを無差別に放ち、古都京都の一画を破壊尽くそうとする。

それは、まるで「神」の裁きーーー

だが、そう思うのも致し方ないーーー

彼……いや、そのロボット……メダロットは「神の皇帝」なのだからーーーーー

【ゴッドエンペラー@メダロット2 】
[状態]:健康 
[装備]:デスブレイク、デスミサイル、デスレーザー@メダロット2
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:破壊、ただそれのみ
1:平安京、全てを破壊
[備考]
※参戦時期はイッキとの最終ロボトル前
※メフィスとフェレスによる改造で各パーツの装甲が強化されています。
※メフィスとフェレスによる改造でデスブレイクの回数は無限に可能です。

【デスブレイク、デスミサイル、デスレーザー@メダロット2】
ゴッドエンペラーの攻撃パーツ。
どれもこれも威力は強大で貫通ダメージの付与効果もあり、正に「神の皇帝」の名前に相応しい強さを持つ。
名前に「デス」とついてあるが決して造った開発者は中二病ではありません。……たぶん。


68 : 駆ける車 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:06:02 QNqijrEA0
紅き血染めの平安京に走る乗り物の姿がーーー

平安京と言ったら牛車が似合うが残念ながら、その乗り物はーーー車。

それも、女神さまに命を吹き込んでもらった廃車。

廃車の名前はサブロッくん。

彼は走る。

命を授けてくれた女神さまに恩返しするために。

彼は走る。

悪者を退治するために。

彼は走る。

悪者、メフィスとフェレスを探すためにーーーーー

【サブロッくん@バニシングレーサー 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:悪者退治
1:とりあえず、平安京を走り回る
2:悪者がいたら退治
[備考]
※参戦時期はステージ1サンフランシスコ中


69 : 頭にナイフが刺さる探偵 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:07:09 QNqijrEA0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

一人、思考しながら歩く髭を蓄えた男性がいたーーー

その男性の名はチャールズ・フォックスワース卿。
探偵である。

彼は推理した。これは、夢ではないかと。

根拠は、自分は外輪船「デルタ・プリンセス号」でニューオーリンズへ向かっていたからだ。
さらに付け加えると、散歩がてらに他の乗客の皆さんにご挨拶へしていた途中だったからだ。

「そうか!私に目掛けて飛んできたナイフ!あれも夢か!!」
そう、チャールズ卿は16号室へ入った瞬間、卿に目掛けて飛んでたナイフが頭に刺さり死んだ瞬間にメフィスとフェレスにより誘われたのだーーー

「ところで、ワトソン君は一体、どこへ行ったのだ?」
チャールズ卿は、助手であるワトソンを探そうと周囲をキョロキョロと視線を動かすが見つからない。

「まったく……仕方がない。とりあえず、この平安京?とかいうここを観光するか。どうせ、夢なのだから」

なにより すべてがここちよかい こんな すばらしいひに ころしあわなければならないなんて だれが かんがえるだろうかと

そう、推理を終えると、チャールズ卿は観光をしようと歩きだすーーー

しかし、チャールズ卿は間もなく知ることとなる。

これが、本物の殺し合いであると言うことをーーーーー

【チャールズ・フォックスワース卿 @ミシシッピー殺人事件 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえずここを散歩する
1:ワトソンを探すついでに観光する
[備考]
※参戦時期は、16号室に入り、ナイフが頭に刺さり死亡した 直後
※これは夢だと推理しています。


70 : ニューヨークのヒーロー平安京で戦うッ! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:09:04 QNqijrEA0
平安京ーーーそれは日本の時代の中心にもなった都市。
もっとも、現在は紅き血染めの月が浮かんでいるがーーー

それとは遥か遠くの金髪碧眼の男が駆けていたーーー

男の名はビジランテ。
ニューヨークの街を守るヒーロー。

男は駆ける。
男にはやらなければならないことがあるからーーー

そう、ローグス団にさらわれたマドンナを救わなければならないからだ。

あと一歩でマドンナを救えるというのに、ビジランテはここへ誘われたーーー

ゆえにビジランテはケツイした。
メフィスとフェレスなる双子の野望を阻止するためにーーー

ビジランテは駆けるー駆けるーー駆けるーーー

そう、ビジランテはヒーローなのだからーーーーー

【ビジランテ@ビジランテ 】
[状態]:健康 
[装備]:ヌンチャク@ビジランテ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスの野望を阻止する
1:共に立ち向かう仲間を探す
[備考]
※参戦時期は最終ステージ中

【ヌンチャク@ビジランテ】
形状は2本の同じ長さの棒を紐や鎖で連結した武器
Wikipediaより引用。
ビジランテの欠かせない武器アイテム。PCE版でこれを装備すると難易度が簡単に……え?何の話だって?


71 : シャキン!シャキン!!シャキン!!! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:10:20 QNqijrEA0
紅き血染めの平安京。
その一画にーーー

シャキン!シャキン!!

不気味な金属音が鳴り響く……

金属音の正体は鋏ーーー

鋏の音を不気味に鳴らす男ーーー

名はボビィ・バロウズ。
別名ーーーシザーマン。

シャキン!シャキン!!

シザーマンにとってこの状況は何ら変わりもない。

メフィスとフェレスなる自分と同類の臭いにシザーマンはこの遊戯に参加することに決めた。

シャキン!シャキン!!

シャキン!!!シャキン!!!!

シャキン!!!!! シャキン!!!!!!

【シザーマン(ボビィ・バロウズ)@CLOCK TOWER 】
[状態]:健康 
[装備]:鋏@CLOCK TOWER
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスの遊戯を楽しむ
1:楽しめそうな参加者を探す
2:楽しみ終わったら殺す
[備考]
※参戦時期は CLOCK TOWER本編中
※「物理攻撃」では死にません

【鋏@CLOCK TOWER 】
とても大きな鋏で多くの動物や人間の命を奪った。
鋏がないシザーマンはただのマンである。

☆彡 ☆彡 ☆彡

(ハァ…ハァ…ハァ…)

そんなシザーマンのすぐ近くに少女は隠れている……
(あの子供も双子と同じ魔のモノの配下なのかしら?)
少女は自分の命を狙って襲い掛かってきた同じように鋏を扱う双子を連想していたーーー

(ううん……考えるのは後……まずは逃げ切ることが一番……お願い……気づかないで……)

少女の祈りは届くのかーーーーー

【アリッサ・ハミルトン@CLOCK TOWER 3 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰り、母の魂を救う
1:殺し合わないで生きて帰る方法を探す
2:お願い…気づかないで……
[備考]
※参戦時期は、シザーマン・シザーウーマンを倒した後
※隠れている場所は後続の書き手様に委ねます。


72 : シャキン!シャキン!!シャキン!!! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/22(木) 18:10:31 QNqijrEA0
投下終了します。


73 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/23(金) 00:02:05 TzNG7zTs0
代理投下します


74 : のうあるオオカミ爪とぐぜ!(イェス!) ◆2dNHP51a3Y :2021/04/23(金) 00:02:36 TzNG7zTs0
4月22日。
その日は彼、橘志狼の生まれた日である。

アイドルとしての営業活動を追え、事務所に帰ったときクラッカーの乾いた音が響いた。
そして、目の前には11本の蝋燭が乗ったケーキ。
志狼が11才から11才になったことを表す記念すべき日である。
なんかおかしい気もするがアイマス世界ではよくあることである。
多分ループしてるんじゃない?(適当)。去年も一昨年もその前も祝ったし。

「スッゲー!めっちゃスゲー!こんなに盛大に祝ってくれるなんて、気合い入ってるな、プロデューサー!」

同じグループの二人は照れくさそうな笑顔で誕生日プレゼントの箱を手渡す。
中身は志狼がずっと欲しかったダンスのDVDだった。

――――誕生日に向けて2人でいーっぱいリサーチしたもんね〜なおくん♪
――――かのんくんが詳しく覚えててくれて助かったよ。いいプレゼントができてよかったね!

その言葉を聞いて、今日の為に仲間達が自分の為に用意してくれたことを知った。
その行為こそが『最高』のプレゼントであり、何よりも嬉しかった。
この場を用意してくれたプロデューサー、そして仲間の二人は『最高』の笑顔で志狼を祝う。
まさに『最高』の日であった。
明日からもこの仲間達とビッグなアイドルを目指そうと心に誓った。

「よーし、期待に応えてローソクをいっぺんに消してやるぜ!」

蝋燭を吹き消したその瞬間、意識は闇に閉ざされた。


75 : のうあるオオカミ爪とぐぜ!(イェス!) ◆2dNHP51a3Y :2021/04/23(金) 00:02:53 TzNG7zTs0
○○○


(いい人達に会えて良かった!)

突如として放り込まれたこの場において、11歳の少年の取れるスタンスは少ない。
ましてや殺し合いという非現実な状況。志狼は恐怖で震えることしか出来なかった。
そうした志狼の姿を見かけて、3人のグループが声をかけた。
当初志狼は恐怖から逃げようとしたが、彼らが殺し合いに乗っていないことを優しく示すと緊張から解き放たれたように涙を浮かべた。
二人ほど宇宙人が居たことには驚きはしたが、『理由アリ』な出身者の多いプロダクションに属する志狼が彼らと馴染むのは直ぐのことであった。

「それにしても、オイオイ殺し合いとか……マジかよ怖ェー」
「とりあえず他の参加者の方と合流しましょう、Crewmateさんもそれでいいですか?」
「……(無言で頷く)」
「正直、オレはちょっと怖いけど……」

だが、彼らの真の姿は人の皮を被った狼。
狼の子供は人狼の群れに放り出されたことにまだ気づいていない。

【橘志狼@アイドルマスター SideM】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いなんてしない、元の世界に帰る
1:いい人達に会えて良かった
※参戦時期は2021年4月22日です。

【しげみち@グノーシア】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:元の世界に帰り、グノーシアとして勝利する。
1:今は様子見、必要があれば殺す。
[備考]
※参戦時期はグノーシアになった後です。

【織部泰長@レイジングループ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:元の世界に帰り、おおかみとして勝利する。
1:今は様子見、必要があれば殺す。
[備考]
※参戦時期は黄泉ルートです。

【Impostor@Among Us】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:元の世界に帰り、Impostorとして勝利する。
1:今は様子見、必要があれば殺す。
[備考]
※参戦時期はImpostorになった後です。
※名簿にはCrewmateとして載っています。


76 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/23(金) 00:03:05 TzNG7zTs0
投下終了します


77 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:18:09 uiqC5JpQ0
何作か続けて投下します。


78 : 幽霊は嘲笑う ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:19:32 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が爛々と浮かぶ魔都とかした平安京ーーー

「まったく、楽しんでいたところを……」

不満げに浮遊する幽霊がいたーーー

幽霊の名はキングテレサ。
テレサ達の親玉である。

「しかし、マリオの絵はいつ見てもいいねぇ〜」
キングテレサはにっくきマリオの魂を額縁に収めると、毎日のように鑑賞をしていた。

「それなのに、まったく!!」
だからこそ、お楽しみの時間を奪われ、キングテレサは不安増しましだーーー

(あの、メフィスとフェレスとかいう双子のガキ……あれは、オレら側の存在だな……)
幽霊のテレサの親玉であるキングテレサはメフィスとフェレスの醸し出す様子からただの人間ではないと直感した。

(まぁ、いい。どうやら極上の魂をいくつか感じる……オレのギャラリーに相応しい……な!)
幽霊ゆえに気配でなく魂で感じ取るキングテレサ。

「こんなのに付き合うんだ。優勝した暁には参加者共、全員!額縁に飾らせてもらうぜ!!」

幽霊の王は野望に向けて愛用のヌイグルミの中に入り動きだすーーーーー

「ヴァァァアアハハハ♪」

【キングテレサ@ルイージマンション 】
[状態]:健康 
[装備]:クッパのヌイグルミ@ルイージマンション
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:参加者共の魂を吸い上げ、額縁に飾る
1:ギャラリーに飾る参加者を探し、魂を吸い上げる
[備考]
※参戦時期はルイージと戦う前
※キングテレサ本体には物理攻撃は効きません。

【クッパのヌイグルミ@ルイージマンション 】
キングテレサが中に入り操るヌイグルミ。
炎を吐いたり、鉄球を投げたりすることができる。
首がもげると、中からキングテレサがでてくるが、もげた首は自律して動き氷弾を吐く。
キングテレサの体力が減ると、なぜか復帰時に首を逆さに装着して一定時間暴走するようになる。
首が逆さになったクッパは、非常にシリアスな笑いとなる。


79 : 道下師の喜劇ショー開幕 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:22:19 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月の平安京。

恐怖や怒りの感情を産みだす紅き血染めの月を愉快そうに眺める2人の道下師

「……まったく、殺し合いだなんて愉快な催しを思いつくもんだ」
「まったく……同感だよ」

道下師たちの名はピエモンとマルク・

「だけど、一つだけ許せないことがある」
「これまた同感だね!ボクもあるよ」

「参加者側だということだ!」
「参加者側になっていることなのサ!」

息をそろえた台詞は正にショーをしているかのように見える。

「じゃあ、マルク君やることは一つでだな♪」
「そうだねピエモン君♪やることは一つしかないね♪」

「参加者達を私たちの喜劇へ招待しようではないか♪」
「参加者達をボク達の喜劇へ招待するのサ♪」

お前たちは参加者?知らないね♪
道下師に素直に殺し合いを命ずるほうがバカなのだから♪

【ピエモン@デジモンアドベンチャー(アニメ1作目) 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:ここ平安京にて喜劇を演出する
1:マルクと共に参加者に喜劇を与える
[備考]
※参戦時期は40話から51話の間


【マルク@星のカービィ スーパーデラックス 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:ここ平安京にて喜劇を演習する
1:ピエモンと共に参加者達に喜劇を与える
[備考]
※参戦時期は大彗星ノヴァに願いを言った直後
※まだピエロ姿の形態です
※スターアライズ・スマブラSPの技も使用できます。


80 : 碧い翡翠の中華娘 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:25:12 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が殺し合いを強要する証となる平安京。

「はぁ……やっかいなことに巻き込まれたわ」

頭を悩ます一人の女性がいた。

女性の名は春麗。
インターポールの刑事で犯罪組織「シャドルー」専任の捜査官だ。
現在はリーフェンの後見人として共に過ごしている。

(彼女らの裏にもしかして……ベガがいるのかしら!?)
春麗がいうベガとは、犯罪組織シャドルーの総帥。
幾度となる闘いの果てにベガは死んだはずだが……

(何度も蘇る例は森羅の彼と協力した闘いで嫌と言うほど身に染みているわ)
森羅ーーー春麗はベガを追う中、日本の特務機関や異世界の人物達と様々な悪と対峙したことがあるため、ベガの復活を疑う。

(だけど、情報が少ない今、そう断定するのは早計ね。まずは、他の参加者と情報交換をしたいわ……)
とりあえず、目下の目標を定めた春麗は動き始めるーーー

碧い翡翠が殺し合いというストリートファイターに挑むッ!!

【春麗@ストリートファイターV 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスを逮捕する
1:他の参加者と接触し、情報交換を行う
2:もしかして、彼女らの裏にベガが……?
3:リュウや彼らも参加しているのかしら?
[備考]
※参戦時期は、春麗ストーリークリア後
※PROJECT X ZONE 2の出来事の経験もあります。
※この殺し合いの裏にベガが関わっているかと考えています。


81 : 歩みを止めぬ女 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:27:38 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が光輝く平安京。

一人の女性が立っていたーーー

「ここは…何処なの?」

見知らぬ土地に女性は困惑している……

女性の名はララ・クロフト。
考古学者。

「え!?日本!?」
観光パンフレットを読んだララは驚きの声を上げる。

日本ーーーそれは、ララが名声を上げるきっかけとなった冒険。
正確には日本ではなく、過去に存在したといわれた【邪馬台国】の調査だがーーー

(あの双子……メキシコにいた私を日本へいつの間にか拉致したというの!?)
ララはメキシコのコスメル島で【マヤ遺跡】の調査を相棒のジョナとしていた。

(奴らとの関係は一体……)
ララは、この殺し合いの背後に【奴ら】が背後にいると推測するがーーー

(駄目ね……情報が少なすぎるわ……いったん保留にしておきましょう)
手にしている情報量から一度、思考を打ち切るララ。

(今、分かるのは殺し合わなければ、この首輪が爆発して私は死ぬってわけね……)
ララの脳裏に浮かぶのは、メフィスとフェレスによって首輪を爆破され死んだ少女の姿ーーー

「だけど、そんなことで私の歩みは止まらない」
そう、ララ・クロフトは幾度もなく過酷な冒険を生き抜いてきた。

「メフィスとフェレス。私を怒らせたこと後悔させてあげる!!」

死への歩みを止められないララだが、死が止まってくれた。
果たして、この殺し合いの舞台でも死が止まるのかは神のみぞ知るーーーーー

【ララ・クロフト@シャドウ オブ ザ トゥームレイダー 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る
1:首輪を外すための方法を探す
2:殺しはさけるが、殺し合いに乗った参加者など、やむをえない場合は……
[備考]
※参戦時期は、短剣『チャク・チェルの鍵』 を入手する前


82 : 燃え上がる紅蓮の炎 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:29:11 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

「来れ炎ッ!」

言葉を合図に紅き血染めの月に負けない紅蓮の炎の柱がいくつも発生したーーー

それを実行したのは、紅蓮の炎のベルフェル。
B.H.B団の時空の七騎士の一人ーーー

「この俺をこのような下らぬ殺し合いに参加させるとはふざけたガキ共だッ!!」
B.H.B.団が探し求めている炎のエレメンタルありと報告を受け、回収へ向かっている最中に誘われたことにベルフェルの怒りは収まらないッ!!

ベルフェルの言葉に応じ炎の柱はさらに強大に!太くなる!!

「だが、俺と対等に闘えそうな戦士の気配をいくつか感じるな……」
ベルフェルは強者の空気を平安京の何処からか感じ取るーーー

「フッ!そうでなくては面白くない」
二ィッと笑みを浮かべーーー

「それに、この奇妙な支給品を持ちかえれば、ルキフェル様も喜ぶであろう」
ベルフェルはメフィスとフェレスから支給された見慣れぬ道具を眺め、呟くーーー

「一刻も早く、総帥ルキフェルス様の下へ戻らなくてはッ!!」

ベルフェルはケツイを定めると次々と紅蓮の柱を発生させながら紅き平安京を鮮やかな赤色へと燃やしていくーーーーー

【紅蓮のベルフェル@爆ボンバーマン2 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝して自らの強さを証明する
1:強者と感じた戦士と死闘をする
2:弱者と判断した参加者からは命は奪わず、支給品だけ頂く
[備考]
※参戦時期はボンバーマンと戦闘する前


83 : 優勝まちが〜〜〜いなし ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:32:32 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が爛々と妖しく光り輝く平安京ーーー

箒に乗った魔女が空に浮遊していたーーー

「まぁっっっったく、面倒なことにまきこま〜〜〜れたよ」

魔女の名はグランチルダ。
クルクル山に砦を構える魔女である。

「もうす〜〜〜こしで、チューティはおババ〜に、わしは1ば〜〜〜んの美しさを手に入れたのに〜〜〜」
そう、グランチルダは世界で一番の美しさを求め、鍋のディングポットが挙げたチューティの若さを奪いとろうとしていた。

「ぜっっったい、あの双子はゆるさ〜〜〜ないよ!」
グランチルダはメフィスとフェレスに対して憤怒している。

「わし〜〜〜が、本気をだせば、こんな殺し合いなん〜〜〜んかチョチョイのチョイぢゃ」
自信満々に優勝を宣言するグランチルダ。

「優勝し〜〜〜て、世界で一番綺麗な者にな〜〜〜る」
優勝後の自分の姿を想像するとーーー

「覚悟しな〜〜〜ハッァハハハハハァァァァァ♪♪♪」

魔女は高らかに笑うーーーーー

【グランチルダ@バンジョーとカズーイの大冒険 】
[状態]:健康 
[装備]:箒@ バンジョーとカズーイの大冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝して世界で一番綺麗な者になる
1:わし〜〜〜が、かれ〜〜〜いに優勝ぢゃ
[備考]
※参戦時期はクイズショーの前

【箒@バンジョーとカズーイの大冒険 】
グランチルダの愛用の箒。
グランチルダを乗せても速く移動することが可能な優秀でパワフル。
※固定した名前はなく「ラフライダーDX・ラードスター2000・スーパーリストPRO」のどれかである。
どれにするかは後続の書き手様に委ねます。


84 : エージェント007 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:35:12 uiqC5JpQ0
チャ―チャーウゥゥン!チャ―チャーウゥゥン!!チャーチャ―ウゥゥン!!!チャーチャーチャ!!!

紅き血染めの月に誘われたMI-6のスパイ、ジェームズ・ボンド。
通称007

ゴールデンアイの調査をしている最中、彼はかつてない事件に巻き込まれた。

そうーーー殺し合いと言うバトルロワイアルに。

【ジェームズ・ボンド@ゴールデンアイ 007(N64) 】
[状態]:健康 
[装備]:KF7 SOVIET@ゴールデンアイ 007(N64)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:バトルロワイアルからの生還
1:首輪の対処
2:ゲームに乗るかはまだ保留(最悪、優勝)
[備考]
※参戦時期はミッション1以降
※黄金銃は支給禁止

【KF7 SOVIET@ゴールデンアイ 007(N64)】
通常射撃は3点バーストだが、照準射撃では単発撃ちも可能なアサルトライフル。
モデルはAK-74。
なお、調べたところ当時、鉛筆銃と呼んでいたことは筆者や周りの友達だけでなくて安心しました。


85 : 歳破神 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:36:56 uiqC5JpQ0
歳破神ーーーそれは、紅き血染めの月の平安京へ送り込まれたマーダー。
歳破神ーーー陰陽道における8人の方位神の一人。

「ふふふ……月が綺麗ね〜」
紅き血染めの月をうっとりと眺める女。

その方位神は【凶神】とされる。

女の名はフグ田サザエ。永遠の24歳。
現在は魂を弄られ歳破神とされた。

この神がいる方角へ向かって旅行などをするのは避けた方がよいとされる。

「ねぇ〜タマ。最後の1人になると願いが叶うそうよ♪何を願おうかしら〜♪」
サザエはペットのタマに話しかけるーーー
歳殺神ーーー凶事は【ペットや家畜を求めること】

「サザエでございます♪」

つまりそういうことである。

【歳破神フグ田サザエ@サザエさん 】
[状態]:健康 
[装備]:タマ@ サザエさん
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:来週もまたみて下さいさいね〜、ジャンケンポン♪ うふふふふ
1:さ〜て、来週のサザエさんは
2:サザエ、参加者を狩る
3:タマ 支給品最強説
4:この企画はキャラの死亡、流血等といった人によっては嫌悪を抱かれる内容を含みます。閲覧の際は  
ご注意ください。の3本です♪
[備考]
※参戦時期は12話最後のヨットにいるさい、メフィスとフェレスにより歳殺神とされた。

【タマ@サザエさん】
白いオス猫。
果物を縦にパカッと割り腰ふりダンスが特技。
なお、武器として使用してはいけません。
※歳破神にされたことにより身体能力が大幅に強化されています。
※メフィスとフェレスによりタマの耐久性が格段に上がっています。
※メフィスとフェレスにより武器として使用するのは禁じられています。


86 : 科学とオカルト ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:40:22 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が支配する平安京ーーー

小学生らしからぬ少女が思考しながら歩いていた。

(おそらく、これに組織は関わっていないわね……)

小学生の少女の名は灰原哀。
本名、宮野志保。

(組織なら、私の関係者を真っ先に見せしめとするし、殺し合わせるにしても平安京を選ぶなんてことはまず、秘密保持の観点からもありえない)
灰原は、見せしめにされた少女が自分の関係者でないことと、殺し合いの舞台に平安京を選んだことから、かつて所属していた組織の犯行ではないと結論を出したーーー

「それにしても、殺し合い……メフィスとフェレス……」
(ドイツの伝承に書かれているファウスト博士が呼びだしたという悪魔の名前がメフィスフェレス。彼女らが悪魔なら、この殺し合いは別の意図がある?)
灰原の脳裏に浮かぶのはドイツの伝承、しかしーーー

(科学の世の中に悪魔だなんて……工藤君に笑われちゃうわ)
科学者として、直ぐにそれはないだろうと、一度、その考えを封印した。

(工藤君……無事かしら)
灰原は犯人が起こしたクエンチにより意識を失った。その現場には、自分と同じく体が縮んでしまった探偵工藤新一こと江戸川コナンもいたからだーーー

(この首輪……爆発だけでなく盗聴……いえ、盗撮も視野に入れておかなければ駄目ね……)
(少なくとも私ならそうした機能を付けるわ)
黒の組織に属していたからこそ、灰原はあらゆる想定を考える。

「とにかく、まずは首輪の入手と闘いに特化した参加者との協力」
(身体能力でいえば、小学一年生の私は下から数えた方が早い……でも、あの悪魔の双子は殺し合いを望む。なら、参加者の中に殺し合いに反対かつ闘う力を有した参加者がいるはずだわ)
(そして、首輪の入手は……死体からになるわね。気が進まないけど、この状況なら仕方がないわ)
灰原は当面の行動を決めると動き出した。

【灰原哀 @名探偵コナン 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いからの生還
1:協力者を探す(できたら闘う力を持つ参加者)
2:首輪のサンプルを入手して対処する(盗聴・盗撮に注意しつつ)
3:工藤君……無事かしら……
[備考]
参戦時期は映画緋色の弾丸にてクエンチにより意識を失った直後
※メフィスとフェレスが悪魔である仮説は一度封印しました。
※首輪には盗聴と盗撮機能が備わっていると想定しています。

☆彡 ☆彡 ☆彡


87 : 科学とオカルト ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:40:43 uiqC5JpQ0
科学が好きな女の子は悪魔の存在を否定したが、悪魔ならぬ鬼の参加者がいたーーー

「よりにもよって、ここ(平安京)でうちを殺し合わせるとは面白いちゃう」
(平安京にうち……こら、裏に陰陽師がおるんの?)

その鬼は京言葉を話す鬼。
鬼の名は酒呑童子。
もっとも、今はサーヴァント……英霊化した存在。

「そやけど、こら、気に入らへんなぁ……」
「首輪が主従関係の証……うちはアンタらの犬になったつもりはあらへん」
そう、首輪を撫でる。

「メフィスとフェレスはん、うちを参加させたんやさかい……骨の髄までしゃぶり尽くさんとなぁ?」

妖しくも殺気めいた視線で紅き血染めの月を睨むーーーーー

【酒呑童子@Fate/Grand Order 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスを骨の髄までしゃぶり尽くす
1:酒の確保
2:様子見しつつ楽しむときは楽しむ
[備考]
参戦時期は酔うも我、狂うも我、滾り嗤うも我なればはクリアしている。
※メフィスとフェレスの背後に陰陽師がいると推測しています。
※法具の制限などについては後続の書き手様に委ねます。


88 : ルールを否定する者と肯定する者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:42:44 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

一人の少女が思案していた。

「……殺し合い、最後の1人になるまで……ですか」

少女の名前は古塚由依。
海咲浜学園の生徒会長。

「この状況……非常にピンチですわ……」
(なぜなら、はっきりいいますと、私は恐らく参加者の中でも下から数えた方が早いでしょうから……)
(それこそ、殺し合いに乗った参加者と遭遇したら、そこでお終い……)
由依は客観的に自分の実力を確認する。

「…ですが、恐れていたら生き残ること確率を自ら下げるだけですわ!」
(そう、二宮先輩は乗り越えました)
由依の脳裏に浮かぶのは仄かな想いを寄せる二宮先輩ーーー

100年以上も変わることがなかった「男女交際禁止」の伝統を廃止した絢星館学園の生徒会長。

(正直、できるわけがないと思っていたことを成し遂げた先輩……なら、私も成し遂げますわ!この一人しか生き残れないというルールを覆すことを!!)

「二宮先輩……私、生き残りますわ!ですから、どうか私に力をお貸しくださいませ!!!」

そうケツイを定めると由依は生き残るために行動を開始したーーーーー

【古塚由依@IxSHE Tell 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:一人した生き残れないルールを廃止する
1:参加者と情報収集する。場合によっては協力を願い出る(ただし接触は慎重に)
2:首輪の対処を探す
[備考]
※参戦時期は由依ルートに入る前

☆彡 ☆彡 ☆彡


89 : ルールを否定する者と肯定する者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:43:14 uiqC5JpQ0
一人しか生き残れないルールを廃止するとケツイを定めし者がいれば、その逆、一人しか生き残れないことを自然の摂理であると考える者も当然いるーーーーー

「一人だけ……ハ!正に血で血を洗う現世だな」
紅き血染めの月を不敵に見ながら笑みを浮かべる悪鬼ーーー

悪鬼の名前は志々雄真実。
明治日本こそ理想の国だと欺こうとする維新政府の悪行を許さず、国盗りを企む悪鬼。
「それにしても、まさか、あの先輩の刀とは……フッ、面白れぇ」
支給品は刀。それも国盗りという正義を行うのに邪魔な因縁の相手の暗殺者時代の刀。

「所詮、この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。単純明快な真実だ」

それは、ここ平安京でも変わらない理念。

「それじゃあ、行くとするかァァァァァ!!!、この殺し合い果ての国盗りをなァァァァァ!!!!!」

悪鬼、平安京で吠えるーーーーー

【志々雄真実@るろうに剣心(実写映画) 】
[状態]:健康 
[装備]:人斬り抜刀斎の刀@るろうに剣心
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:弱肉強食を証明して国盗りの続き
1:参加者を殺し、支給品は頂く
2:先輩の刀で殺す……面白れぇじゃねぇかァァァ
[備考]
※参戦時期は剣心との戦い前
※無限刃ではないため、秘剣は使用できません。

【人斬り抜刀斎の刀@るろうに剣心(映画)】
鳥羽伏見の戦いにおいて新時代の到来を確信した剣心が地面に突き刺して捨てた剣。
それを、鵜堂刃衛が拾い、使用した。
このようなことが起きる危険があるため刀を捨てるときはご注意を。


90 : 殺す者と殺さぬ者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:44:36 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

「……妙なことに巻き込まれた」

一人の剣客がいた。

剣客の名は緋村剣心。
長州藩の維新志士の一人で通称、人斬り抜刀斎。

(……この裏には徳川がいるのか?)
そう、現在は彼は徳川の世から新しい世にするため、要人暗殺を繰り返しているーーー

何時ものように斬殺を決行しようとした瞬間、意識が落ち、気が付いたらというわけだ。

(とにかく、今、分かることは、最後の1人になるまで殺し合わねば帰参できぬということか……)
「あの双子の童達が申していたこと、誠なら……」

剣心は目を瞑り、双子の言葉を思い出していたーーー

「ルールは至極簡単。人間の推定時間で3日間以内に一人になるまで殺し合ってもらう。最後の一人はその功績として『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利を与え、元の世界に返してやろう」

(どんな願いでも……)

「多くの命を殺めてきた俺が、すべきことは一つしかない」

緋村剣心、幼名「心太」名を表す通り、本来、心優しい性格だった少年が「人斬り」という汚れ役の道を選んだかと言うとーーー

「新時代を築く……それだけが俺の願い」
人斬りの果てに多くの人々の命が救われる時代が来ると信じているから。

「それにしても、逆刃刀……一体、このような刀、誰が使用するんだ?」
(逆向きに持ち変えない限り、斬ることが出来ない上に俺の抜刀術には不向き……できたら早めに刀を換えたい)

飛天御剣流は「神速の殺人剣」
本来ならば、逆刃刀との相性はよくないのだ。
しかし、その逆刃刀の持ち主が未来の自分だと言うことは露知らずーーー

「新時代を築く……それだけが俺の願い」

幕末最強と謳われし人斬りは、紅き血染めの京都をさらに紅に染めるべく歩みを開始する。
そこに、「新時代」があると信じてーーー

【緋村剣心@るろうに剣心 】
[状態]:健康 
[装備]:逆刃刀・真打 @るろうに剣心
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝して新しき時代を実現させる(願いの権利は半信半疑)
1:真剣を手に入れる
2:出会った参加者は殺すが女子供は……
[備考]
※参戦時期は幕末、京都所司代・重倉十兵衛を暗殺する直前

【逆刃刀・真打@るろうに剣心】
峰と刃が逆になっている刀。
不殺主義には喉から手が出る名刀だが、材質は鉄です。人の頭をバカスコ殴ると死ぬ可能性もあります。
ちばみに「たけのこだよね」は禁則事項です💗

☆彡 ☆彡 ☆彡


91 : 殺す者と殺さぬ者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:45:09 uiqC5JpQ0
幕末の人斬りが殺し合いに乗れば、当然乗らない人もーーーー
「……ふえ」

「……お兄ちゃん……美澄お姉ちゃん……ふええぇええ〜」

泣きながら、とぼとぼ歩く女の子がいたーーーー

女の子の名は綾川桂暖。
毎年冬になると「恋文祭」という祭が行われる七蔵町に住む女の子。

桂暖がいうお兄ちゃんとは秋月誠。お姉ちゃんは小牧水澄。両者とも血のつながりはない。
地元の幼馴染の3人の関係というわけだ。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ふええぇえぇええ……ぐす」
仄かに想いを寄せる兄のような誠が帰ってくるのを心待ちにしていた桂暖だが、気が付けば、見知らぬ場所に連れられ、挙句の果ては殺し合いの強要と首を爆発され刎ねられた少女の姿。
そんな世界と無縁に生きていた桂暖が泣きじゃくるのは、普通の反応である。

「ぐす……そうだ……これに支給品があるって」
桂暖は双子が言っていたことを思い出すと支給品を確認する。

「え……!?」
そこに入っていたのは一振りの刀ーーー無限刃。

「か…刀!?」
桂暖は支給品の刀に吃驚して、一度放り投げる。

(刀が支給されるってことは、本当に殺し合わなきゃいけないの?)
桂暖は殺し合いというのが夢でもないことをさらに肌で感じるーーー

「……うん。ここで死んだら、一生、お兄ちゃんやお姉ちゃんに会えない。私はその方がもっと嫌だよぉ……」
一度は、放り投げた刀……無限刃を拾うとーーーー

桂暖は無限刃をギュッと握りしめながら歩くーーー

それにしても、弱肉強食の信念とは程遠い桂暖にそれ(無限刃)が支給されたことは、なんともまぁメフィスとフェレスも意地が悪いーーーーー

【綾川佳暖@North Wind  〜永遠の約束〜 】
[状態]:健康 
[装備]:無限刃 @るろうに剣心
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:お兄ちゃん・お姉ちゃんのいる七蔵町へ帰る
1:他の参加者と協力したい……
2:この刀……
[備考]
※参戦時期は幕末、京都所司代・重倉十兵衛を暗殺する直前

【無限刃@るろうに剣心】
刀匠新井赤空の作りし最終型殺人奇剣。
人を斬り続けられるために殺傷力限界を見極め、刃を予めこぼしてある。
弱肉強食を信念にした志々雄真実の愛刀。
なお、志々雄真実がこの無限刃で焔霊・紅蓮腕 ・火産霊神の秘剣を産みだしたが、これって剣……術……?


92 : 日本を取り戻す男 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:46:00 uiqC5JpQ0
紅き血染めの月が妖しくも爛々とする魔都平安京ーーー

「……」
静かに、だが胸に秘めた思いはおそらく、どの参加者よりもあるであろうーーー

「日本を取り戻すーーーーー」

最強を目指す男は、そうケツイしたーーーーー

【阿倍野晋二 @テコンダー朴 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:日本を取り戻す
1:メフィスとフェレスを打倒し、願いを叶えさせる
2:参加させられた日本国民を守る
3:日本国民ではない参加者は守らない
[備考]
参戦時期は御前死合を制し、総理の座 に返り咲いた後


93 : 日本を取り戻す男 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/23(金) 00:46:31 uiqC5JpQ0
投下終了します。
長々とお時間を取り、申し訳ありませんでした。


94 : ◆5IjCIYVjCc :2021/04/23(金) 00:58:22 01OVDLQU0
投下します。


95 : 駆ける。活きる。護る。そして… ◆5IjCIYVjCc :2021/04/23(金) 00:59:51 01OVDLQU0
赤い月の光で照らされた平安京の中に一人の金髪の青年がいた。

その青年はほとんど裸に近い状態であった。
彼が身に着けているものは下半身を隠す下着、それがただ一枚のみであった。

そんな姿をしたその青年は空に浮かぶ赤い月を見てこんなことを考えていた。

『なんか、魔物(おもちゃ)が蘇り(補充され)そうな夜だなあ』と。

彼が知っている赤い月は、死んだ魔物が蘇る時に出現するものであった。
今見えている月にそんな効果は無いことはルール用紙を確認すればすぐに分かる。
あくまで彼の世界で起こる現象に照らし合わせただけの感想だ。
それとは別に、本当に魔物たちが無限に湧き続ける環境で殺し合いをするのも面白そうだなとは思っていた。



かつてハイラルという国にリンクという英傑がいた。
彼は100年前にガノンという厄災との戦いにより傷つき回生の祠という場所でその傷を癒していた。
100年の時を経て目を覚ましたリンクは再びハイラルを救うべく動き出した。


そのハイラルを救う方法というものは、必ずしも一つだけではなかった。

目が覚め、右も左も分からない状態で、様々な人の助けを借りて冒険を進めることができた。

ハイラル全土を隅々まで旅することもできた。

そして、仲間の力を借りて共にガノンを相手に戦うことができた。

それとは反対に、目が覚めたらすぐに一人で倒しに行くこともできた。

これを発展させ、どれだけ早くガノンを倒すことができるのかなんてことに挑戦することもできた。


リンクの旅はその過程をどのようなものにするのか、自分の意思で自由にできた。

そんな『旅の仕方』ごとに様々な可能性の世界のリンク達がいた。


だが、自分ができることを探求するあまり道を外れるリンクもいた。

魔物を一方的に虐殺するならまだいいほうだ。
人に向かって大量の爆弾矢を浴びせてみたり、魔物を人が暮らす村の中に連れてくるなんてこともあった。
女性に対するセクハラや自然環境の破壊なども躊躇なく行えてしまう。
ガーディアンやライネルといった強敵も彼にとっては自分の欲望を満たすための道具に過ぎない。
あちこちに連れまわしてみたり、強力な魔物同士で戦わせてみたり。
魔物の殺し方を凝るようなこともあった。

このように、様々なことをやりたい放題好き放題に暴れ回ったリンクがいた。
それはまさしく暴力、悪知恵、蛮勇のトライフォースを兼ねそろえた者とも言えるだろう。

彼のように、やってみたいと思ったことのためならどんな苦労でも、どんな非道でもやってみせる英傑らしからぬリンクのことを人々はこう呼んだ。

『厄災リンク』と。



この殺し合いの場に連れてこられたのは、その厄災リンクであった。
彼は、自分を巻き込んだこの殺し合いをとことん楽しみつくすつもりでいた。

彼が下着一枚だけの姿になっているのは自分の意思によるものだ。
たまたま脱いでいた時に連れてこられてきたわけではない。
元々身に着けていたものは全てデイバックの中に収納済みだ。

もちろん彼は殺し合いでほとんどの素肌を晒すことの危険性について理解している。
身を守るものを身に着けていなければちょっとしたことで大怪我を負うことくらい言われなくても分かっている。

しかし彼は今、生まれたままの状態に近いこの姿を、自分の戦いにおける正装としていた。
何故ならば、その方が面白いと思うからだ。
怪我をしたくなければ攻撃を全て避けたり防いだりすればいいだけのことだ。
だから彼にとって、今の自分の状態はさほど問題あることだとは思っていない。

「フッ、フフッ」

リンクの口から、思わず笑い声が漏れ出る。
これから自分はこの殺し合いでどんな奴等と出会うのか、そいつらと一体どんなことができるのか。
そういったことへの期待が高まることで出てくる声であった。

たとえ殺し合いを強要されていても彼の好奇心は止まらない。

厄災と呼ばれたこの男にとって、全ては遊ぶための玩具となるのだ。

その全ての中には彼自身も含まれている。


96 : 駆ける。活きる。護る。そして… ◆5IjCIYVjCc :2021/04/23(金) 01:00:38 01OVDLQU0

【厄災リンク@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド】
[状態]:健康、パンツ一丁
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3、英傑の服@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド、ハイリアのズボン@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド
[思考・状況]基本行動方針:遊ぶ。
1:思いついた楽しそうなことは何でも試してみる
2:他の参加者をどうするかは見つけてから考える
[備考]
・神獣や記憶は全て解放済みです。
・名簿にはリンクと記載されます。

【英傑の服@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド】
リンクが装備できる服の一つ。
ゲームでは装備すると敵の体力を数値で確認できるようになる効果がある。
元から身に着けていたもののため支給品ではない。

【ハイリアのズボン@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド】
ハイラルで広く親しまれている一般的なズボン。
元から身に着けていたもののため支給品ではない。


97 : ◆5IjCIYVjCc :2021/04/23(金) 01:01:01 01OVDLQU0
投下終了です。


98 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/23(金) 02:32:25 5/DLX3I60
投下をします


99 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/23(金) 02:33:08 5/DLX3I60
臀部の穴のような顔をした超大型がめが首輪を付けられ、殺し合いの場と化した紅き平安京に現れた。

亀の名前はボルカノン、とある世界で作られた、巨体と敏捷性を兼ね備えた生物兵器である。

一度興奮させれば人の手には負えぬほどの凶暴性を持つボルカノンのやることは変わることはない。生物兵器として凶暴性の赴くままに多くの人間を喰らうことのみである。

【ボルカノン@寄生ジョーカー】

[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:人間を喰らう。
1:人間を喰らう。
2:攻撃されたら徹底的に反撃する。



「はぁはぁ…はぁ…!ふざけるな!なんだあのばけもんは!」

ボルカノンを一目見て恐怖し襲われぬために全力で逃げている者がいる。その名はハブ、元の世界ではアミバという経絡秘孔を利用した人体実験を行う外道の部下の一員である。

いきなり召喚されわけのわからぬ小娘共に殺し合いを命じられたと思えば、次の瞬間にはあのばかでかいかめが自分のすぐ横にいたのだ。

確かに恐怖してふざけるなと言うのも無理はない。

「どういうわけか知らんが生き返ったんだ!何としても生き抜いてくれる!」

ハブはケンシロウという男に盾にされて死んだはずであるが首輪を付けられて五体満足で蘇った。その理由なぞもはやどうでもいい。目的は殺し合いをどんな手段を使っても生き延びることである。

【ハブ@北斗の拳】

[状態]健康、恐怖心、逃走中
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:絶対に生き延びる。
1:あの化け物亀から逃げる

[備考]
※参戦時期は死亡後です。


100 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/23(金) 02:33:49 5/DLX3I60
投下は以上です


101 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/23(金) 02:37:10 5/DLX3I60
タイトルをつけ忘れました、
タイトルは「兵器の亀は木偶ではない」です


102 : 名無しさん :2021/04/23(金) 12:09:25 Befwg/Q60
wikiに収録しておきました


103 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/23(金) 23:51:16 JZ67hJgA0
投下します


104 : 誰かあの二人を止めてくださいby主催陣 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/23(金) 23:52:06 JZ67hJgA0
『おのれええええ!我らに小癪な枷を嵌めおって...!』

その鋼鉄の魔神は忌々し気に空に浮かぶ赤い月を睨みつけた。

『光子力ビーム!!』

その両目から放たれた光線が月に向かって放たれる。が、そこに辿り着くまでに霧散する。

『やはり威力が落ちておる...ええい!煩わしい!!』

魔神は怒り狂い、周囲の建物へと八つ当たりを始める。
数件の建物が完膚なきまでに破壊されると、ようやく落ち着きを取り戻し魔神は破壊行為を中止する。

『まずはこの首輪を外すとするか』

支給品のルール説明書を確認すれば、この首輪はどんな参加者でも殺せる代物らしい。
そんなものを着けてまでこの自分たちを呼び寄せたのだから眉唾モノではないのだろう。

だが、首輪程度ならば問題ない。
かつては機械の知識と技術で世界の大半を牛耳った彼であれば、サンプルさえあれば外すのは容易いだろう。

『最も警戒すべきはコイツか』

鉄の右手で己の左胸放射板に触れその存在を確かめる。

『あのクズが埋め込んだアレ...アレの所為でワシらは参加者という括りで縛られておる。あやつめ余計なことを!』

この殺し合いにおいて、宿業を埋め込まれるということは『八将神』という役割を宛がわれ、そして主催の一員であるメフィスとフェレスに魂を弄られ狂気に満ち、且つ異常な再生能力を手に入れるということ。
しかし、彼にとってはそんなものは何の利にもならない。
なぜなら。
『本来の在り方を捻じ曲げられる』というのも『何のためらいもなく虐殺を実行できる』というのも彼には無意味。
かつては世界を征服し、それでも飽き足らぬと言わんばかりに渦巻く征服欲。
それすらも飲み込むブラックホールの如き漆黒の意思の前には『本来の在り方』も『ためらい』も等しく塵のようなもの。
故に狂気などあってないようなもの。
そして異常な再生能力。こちらも自前の力でどうとでもなることだ。

つまり。

彼らを『八将神』に選ぶということは、強化どころか参加者という枠に当てはめるという枷を着けたにすぎない。
そんな所業を彼らが許すはずもない。

『首を洗って待っておれ小僧共...このワシを虚仮にしてくれた罪、その存在で償ってもらおうぞ!!』

かつて一人の老人が願っていた。漢ならば誰もが願う夢、世界征服を。
かつて一体の魔神が願っていた。己の存在が永劫に保存される世界を。

二つの意思混じり合った時、新たな力が誕生する。

その名も。

その名も。

『そう...我らの名は!』

マジンガーZERO地獄(ヘル)モード!!

真マジンガーHELL、平安京制圧編、今この時より連載開始!!






【八将神枠】
【マジンガーZERO(地獄モード)@真マジンガーZEROVS暗黒大将軍】
[状態]疲労(微弱)
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:元の世界に帰り世界征服を遂行する。
0:主催の連中は必ず殺す
1:マジンガーは最強故に他の参加者の助力など不要!故に見つけ次第殺す!!!

※参戦時期は26話より。
※制限により技を放つ度に疲労が溜まります(スパロボみたいな感じ)。また、制限により魔神パワーは再生以外は全て封印されているのに加えかなりの弱体化を受けています。
※主催の調整により全長が5〜9m以内になっています。


105 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/23(金) 23:52:33 JZ67hJgA0
投下終了です


106 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/24(土) 06:41:18 zOstMjl.0
投下します


107 : にんげんっていいな ◆7PJBZrstcc :2021/04/24(土) 06:41:58 zOstMjl.0
 お団子頭と小学生に間違えられそうな程小さな体格が特徴的な女子高生、志摩リンは途方に暮れていた。
 彼女は今日もいつも通り学校に行き、図書委員の仕事を終えて家に帰る途中だったはずだ。
 しかし気づけば、血染めの様に紅く染まった空が浮かぶ不気味な平安京で、二人の少女達から殺し合いを命じられている。

「どうしろって言うんだ……」

 思わず弱気な言葉が出てしまうリン。しかしそれも無理はない。
 何せ彼女はただの女子高生だ。
 命を懸けるような戦いの経験も、鋼の信念も持ったことも無いごく普通の少女である。
 故に殺し合いなんてしたくない、死にたくないと思いつつも、具体的な行動に移せない。

 それでも、とりあえず他の人を探そうと考えたリンは、あてどなく平安京の中を歩く。
 しばらくそうしていると、彼女の目の前に、自分と同じ首輪をつけデイバックを背負う、全身が真っ白な一匹の犬が現れた。

(犬も殺し合いの参加者なのか)

 リンは驚きつつも犬に近づいていく。
 犬は彼女を警戒しているのか、距離を取りつつじっと彼女を見る。
 リンはそんな犬に向かって、近寄ろうとはせずその場でしゃがみながら呼びかけた。

「大丈夫だぞ〜。私は殺し合いに乗ったりなんかしないぞ〜」

 安心させようと呼びかけるリンに対し、犬は気持ちを理解したのか少しずつ彼女に近づいていく。
 そして最終的には彼女が触れられるくらいに距離に入り、犬は彼女に抱き上げられた。

「おお、よしよし」

 抱きながら犬を撫でるリン。
 そこで彼女は、この犬が人に凄く慣れていることに気付いた。

「お前、ひょっとして飼い犬か?」
「ワン」

 リンが質問をすると、犬はそうだと言わんばかりに頷きながら吠える。
 じゃあ名前があるな、と思った彼女は同じノリで聞いてみた。

「ポチ?」
「クウン……」
「違うのか。じゃあ……白いから、シロ」
「ワン!」

 リンは犬の名前を当てた。

 ここで種明かしをするが、シロは埼玉県春日部市に住む野原一家の飼い犬だ。
 元々は捨て犬だったが、野原家の長男しんのすけが拾ってきたことからその家の飼い犬となった。
 これだけなら普通の飼い犬だが、彼にはいくつか特徴がある。

 一つ。やたらと芸達者なこと。
 後ろ脚だけで立って歩いたり逆立ちしたり、時には丸くなってわたあめみたいになるなど彼は多芸だ。
 もし飼い主達がエサをやり忘れたら、彼は自分で芸をして近所の住人からエサを貰うこともあるくらいである。

 そしてもう一つ。彼は修羅場の経験が多い。
 彼の飼い主である野原一家は普通の一家のはずだが、妙に大規模な事件に巻き込まれることが多い。
 それは世界規模なことさえもある。
 そんな中で彼もまた、飼い主と一緒に戦うことがあったのだ。
 故に、修羅場の経験値だけで言うなら、今彼を抱きかかえているリンよりも遥かに上である。

 しかし、そんなことをリンが知る機会はないだろう。
 野原一家に出会うか、シロの言葉を理解する方法を手に入れない限りは。

 そして一人と一匹が合流し、出発しようとしたところで


108 : にんげんっていいな ◆7PJBZrstcc :2021/04/24(土) 06:42:23 zOstMjl.0

「少し、いいかね?」
「うわぁ!?」

 いきなり後ろから男に声をかけられ、リンは思わず叫んでしまった。
 実の所、男は普通に彼女に近づき、普通に声をかけただけなのだが、シロに構っていたリンは存在に気付かなかったのだ。
 その為、必要以上にビックリしてしまった。

「あぁ、いや。す、すまない。驚かせてしまったね」
「いぇ、こっちが気付かなかったのが悪いので……」

 お互い気まずそうに謝りあうリンと男。
 彼の外見は、一言で言うなら気弱そうな老人だ。
 服装はイギリス海軍の制服、紺色の背広にワイシャツ。そしてネクタイ。
 リンとシロは気付かないが、このデザインはBlue No.4 dress。イギリス海軍将校専用のものである。
 見る人が見れば、この男はイギリス海軍の上層部だと気づくだろう。
 そんな彼の名はシェルビー・M・ペンウッド。イギリス名門貴族の当主である。
 彼がリン達に声をかけた理由はいたってシンプル。

「な、なに。こんな状況でお嬢さんと犬だけでは怖いだろうと思ったからね。声をかけさせてもらったよ」
「あ、ありがとうございます……」

 ペンウッドがリン達を守ろうとしたからである。
 そんな優しさに彼女は感謝しつつも、内心ではちょっと頼りなさそうだなこの人、という失礼なことを考えていた。
 もっとも、ペンウッドという男を知っている者なら、彼女の内心に同意を示してしまうかもしれないが、それはおいておこう。

 そのまま二人と一匹は自己紹介をし、互いの名前を教えあった。
 ただしシロは犬なので、リンが名前を教えるという形になるが。
 そして何か情報交換ができないか、と二人が考え始めたところで――

「ワン!!」

 シロは大声で吠えながら、二人を突き飛ばした。

「な、何だいきなり?」
「どうしたのかね?」

 突き飛ばされた二人が戸惑っていると、目の前を何かが横切り

 ドゴォ

 と爆音を響かせ、さっきまで二人がいた場所の射線上にある建物に穴が開く。
 リンは咄嗟に物が飛んできた方向を見た。
 そこには、彼女から見れば古臭い、というより物珍しさすら覚えるような和服の少女がいた。
 少女はどこからか毬を取り出し、リン達に投げつける。

「ま、毬?」
「に、逃げるぞリン!」

 攻撃手段が毬という、昔の遊び道具であることに対して呆気にとられるリンに対し、ペンウッドは迷いなく彼女の手を取り、逃げの手を打った。
 ちなみにシロは迷いなくペンウッドに同調して逃げている。

 リンと違い、彼は知っている。
 世の中には人智を超えた怪物がいることを。吸血鬼という化け物の恐ろしさを。
 今自分達に襲い掛かっている少女が、彼の知る吸血鬼と同じかは分からない。
 しかし、あの少女が怪物で自分達を殺すことに何の躊躇もないことは分かる。
 故に彼の判断は正しい。

 その証拠に、少女が投げた毬はさっき見た風景のまま、建物の壁を破壊しているのだから。

「毬で、あんなことできるのか……!?」
「リン。信じられないかもしれないが、世界には化け物が確かに存在するんだ……!」

 心底唖然としているリンに、ペンウッドは忠告するように教える。
 そしてシロは彼の言葉にうんうんと無言で頷いていた。


109 : にんげんっていいな ◆7PJBZrstcc :2021/04/24(土) 06:42:51 zOstMjl.0

 一方、毬を投げている少女、朱紗丸は苛立っていた。
 彼女は鬼舞辻無惨という鬼に仕える、鬼である。
 そんな彼女はある日、耳飾りをつけた鬼狩りを狩ってこいと命令を受けた。
 しかし、彼女は殺そうとした鬼狩りと同じ場所に居合わせた医者、珠代の策略で無惨の名前を口にしてしまう。
 無惨は、自身の情報が世間に漏れないように、部下の鬼が無惨の名を口にすると呪いで殺す仕掛けをしているのだ。
 珠代はその呪いを利用した形になる。

 朱紗丸は懸命に命乞いをするが、無惨にその言葉は届かない。
 彼女は失意の中、命を散らした。

 はずだが、朱紗丸は今こうして殺し合いに立っている。
 彼女はこの状況をこう考えた。なぜ自分が生き返ったのかは分からないが、好機であると。
 メフィスとフェレスとかいう小娘が言った、願いを叶える権利を鬼舞辻様に献上し、許しを乞おうと。
 その為に彼女は、リン達を追い回していたのだ。

 朱紗丸からすればしつこく逃げ回るリン達だが、次第に限界が見えてきた。
 そもそも人間と鬼では限界値に差がある。こうやって追い回していればいずれ力尽きるものだ。


 事実、ペンウッドは力尽きる寸前だった。
 彼は軍人だが、普段は司令部の人間である。
 そして自分で認める位生まれついての家柄と地位だけで生きてきた男であり、自他共に認める無能である。
 そんな男が犬と女子高生より先に体力が尽きるのは、摂理というものだろう。
 だから彼は決断した。

「リン。き、君はシロを連れて逃げるんだ……」

 自分がおとりになって、あの怪物からリンとシロを逃がすと。
 当然、リンは反論する。

「そ、そんなことできません……
 一緒に逃げましょう!」

 必死にペンウッドの手を掴み、引こうとするリンだが、彼はその手を振り払った。

 ペンウッドは無能だ。しかし彼をよく知る者は彼をこう称す。
 彼は漢の中の漢だと。
 そして彼が死に場所を決めたとき、彼に喜んでついて行く部下が数多居るほど、彼は人徳にあふれた男でもある。
 そんな男が、自身の不甲斐なさに少女と犬を巻き添えにできるか?
 できる訳がない。
 だからこそ、例え無駄死にだとしても自分を犠牲にするのがシェルビー・M・ペンウッドという男なのだ。

 それ故に、見捨てられないものもいる。

 怪物、朱紗丸に立ち向かうため、実はあらかじめ確認していたデイバッグの中から刀を取り出し、構えるペンウッド。
 しかし、シロが彼の横に並び立ってしまう。

 シロは思った。
 確かにこのおじさんとはさっき出会ったばかりだけど、だからといって見捨てられるか。
 答えはできない、だ。仮にシロの飼い主達である野原一家なら、見捨てようとはしないだろう。
 そして勝つことも諦めないだろう。
 だからシロは、ペンウッドの横に並んだのだ。 

 そしてリンも、一人と一匹を見捨てて逃げられなかった。
 彼女は自分では思っていないが、お人よしだ。
 初対面の遭難者を助けるくらいに
 自分を助けるために怪物に立ち向かおうとする人と犬を見捨てられないくらいに。

 そこでリンは咄嗟に自分のデイバッグに手を入れ、何かを取り出す。
 それは銃だった。
 勿論、リンは銃など撃ったことも無い。実は隠された才能が有って、それに目覚めることも無い。
 それでも、彼女は銃を構えた。

 この瞬間、二人と一匹は『倒す』為に、怪物に立ちはだかったのだ。


110 : にんげんっていいな ◆7PJBZrstcc :2021/04/24(土) 06:43:15 zOstMjl.0

 しかし、そんなものは朱紗丸には関係ない。

「キャハハハハハハハッ! 愚かな!!
 人間と犬ごときが、十二鬼月である私に勝てるわけがないのにのう!!」

 戦闘態勢を取る二人と一匹に対し、朱紗丸は嘲笑を浴びせる。
 そしてその言葉は正しい。
 彼らが朱紗丸に勝つ確率など、0に小数点をつけて、さらに0を数十個は並べて最後に1がつく程度しか存在しない。
 それが現実だ。

 しかし、現実とは時に思いもよらぬ方向に変わっていくこともある。
 例えば――

「素晴らしい」

 全くの第三者が、絶体絶命なこのタイミングで現れるということも、あり得る。

 声の主は異様な姿だった。
 紅い月が浮かぶこの平安京においてなお浮き上がる深紅のコートと帽子を身に纏った男だ。
 だが、彼の顔にはこの状況に相応しくないほどの笑顔が、気味悪く浮かんでいる。

「誰じゃ!?」

 朱紗丸が男に叫ぶが、問われた方は二人と二匹に向かって歩きながら怪物を無視して手を叩き始める。
 素晴らしい演説を聞いた聴衆のように。
 感動した演劇を見終えた観客のように。
 男は狂ったように感激し、狂ったように拍手を続けた。
 そして二人と一匹に語り掛ける。

「人間だけができると思っていたが、こともあろうに犬までもが成し遂げた。
 喜びの為ではない戦いを! 『倒す』為だけに戦うことを!! これほどに素晴らしいことを!!!」
「私を無視するなぁ!!」

 朱紗丸は狂ったように喜び続ける男に毬を投げつける。
 だが男は避ける素振りすら見せず、そのまま体に喰らった。
 当然、男の体には建物と同じように穴が開くが、信じられないことに、その穴が瞬く間に修復されていく。
 そして男は己の体に起きたことなど意にも介さず話し続けている。

「ああ、素敵だ。やはり人間は素晴らしい。そしてその犬も。
 よほど飼い主に恵まれたのだろうな。そうでなければこんな犬は生まれはしまい」

 話し続ける男に朱紗丸は背中に腕を増やして六本にし、全力で毬を投げつけ続けるがそれでも男は気にも留めない。
 体が破壊されるそばから修復されていき、悠然とただ進み続けている。
 その異様な光景に、朱紗丸は少しずつだが怯え始めていた。

「対してひきかえ貴様はどうだ。
 圧倒的に上位でなければ笑えもせず、少し不利になれば顔が引きつる。
 それでも貴様、怪物(フリークス)のつもりか」
「うるさぁい!!」

 男の言葉に朱紗丸は聞きたくないとばかりに叫ぶ。
 しかし男は気付けば彼女のすぐ近くに立ち、首を締め上げ持ち上げた。
 当然、朱紗丸は六本の腕全てを以って男を振り払おうとするが、男はなんてことないようにしゃべり続ける。

「やめろ! 離せ!
 私は十二鬼月だぞ!! それなのになぜ、こんなどこの誰とも分からぬ奴に!!」
「お前が何かは知らん。
 だがお前みたいなゴミを処理するのが、HELLSING機関である私の務めだ」


111 : にんげんっていいな ◆7PJBZrstcc :2021/04/24(土) 06:43:44 zOstMjl.0

 そして男は朱紗丸の首に、牙を突き立てかみついた。
 のちに聞こえてくるのは何かを啜る音。
 この光景を見て、リンは思わず呟く。

「吸血鬼……」

 彼女の呟きは大正解。
 男は吸血鬼で、怪物で、化け物だ。
 その化け物は、朱紗丸の血を一滴残らず吸い尽くした。
 もう、彼女の命は男の中にしかなくなったのだ。

【朱紗丸@鬼滅の刃 死亡】


 二人と一匹が命を懸けて戦おうとした怪物は死んだ。
 しかしそれは脅威が去ったのではなく、新たな脅威がやってきたのだ。
 故にリンとシロは警戒を続けていた。
 しかしペンウッドは何一つ怯えることなく、男に話しかけた。

「き、君はHELLSING機関の者なのか……?
 わ、私はシェルビー・M・ペンウッドだ。イ、インテグラルから私のことを聞いていないかい?」
「私はHELLSING機関所属ゴミ処理担当のアーカードだ。
 そしてペンウッド卿のことは私も聞かされているとも」
「ど、どのようにだね……?」
「インテグラル曰く、言えばどんなものでも用意してくれる素晴らしいお方だと」
「そんな覚えられ方は勘弁してほしいものだな……」

 アーカードの言葉に落ち込むペンウッド。
 しかし、さっきまでの恐ろしい光景からは想像できないほどコミカルなやり取りを見たリンは、緊張から解放され思わず地面にへたり込みがらこう言った。

「何だ、二人は知り合いだったのか……」
「ワフゥ……」

 心底安心したとばかりに息を吐く二人。

 一方、ペンウッドと話しながらアーカードは考える。

(さっき倒したあれは吸血鬼ではない。別物だ)

 アーカードは血を吸った相手を取り込み、相手の記憶を知ることができる。
 朱紗丸の血を吸って得たものは多い。
 鬼。鬼狩り。そして鬼舞辻無惨。
 鬼狩りという存在に彼は心惹かれるが、無惨率いる鬼に対し、アーカードは心底侮蔑する。

 結局怪物(フリークス)はどこであろうと何も変わらない。
 狂った少佐が率いる最後の大隊(ラスト・バタリオン)と同じものだ。
 救えぬ馬鹿でしかない。
 故に、もしこの殺し合いの中に他にもいるのなら、優先して処理させてもらおうと。


 今はまだ何も意思統一ができていない二人と二匹。
 彼らが何を選ぶのか、それを知るものは誰もいない。


112 : にんげんっていいな ◆7PJBZrstcc :2021/04/24(土) 06:44:07 zOstMjl.0

【志摩リン@ゆるキャン△】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:ミスタの銃(6/6)@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:死にたくない
1:ベンウッドさん、シロと行動する
2:知人がいるなら合流したい
3:ペンウッドさんとアーカードさんは知り合いなのか?
[備考]
参戦時期は少なくともなでしこと出会った後です。

【シロ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1:二人といっしょに行動する
2:しんちゃんがいるなら会いたい
[備考]
参戦時期は不明ですが、ひまわりが産まれてからの劇場版をいくつか経験しています。

【シェルビー・M・ペンウッド@HELLSING】
[状態]:健康、疲労(大)
[装備]:煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1:リンとシロを守る。
2:仲間を集めて殺し合いに抗う
3:アーカード以外にも知人がいるなら合流したい
[備考]
参戦時期は少なくとも死亡前です。

【アーカード@HELLSING】
[状態]:健康、高揚
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:インデクラルの元へ帰還する
1:ペンウッド卿達と行動するつもり。ただし、インテグラルが参加者にいる場合はその限りではない
2:ペンウッド卿はマスターの知人なので、彼の頼みなら多少は聞くつもりだが、やはりインテグラルが参加者にいる場合はその限りではない
3:素敵だ。やはり人間は素晴らしい
4:犬でさえ勇気を持つのか
5:鬼という生き物は救えぬ馬鹿でしかない。故に見つければ処理する
[備考]
参戦時期は少なくともシュレディンガーを取り込むより前です。
身体能力、耐久力に制限が掛かっています。詳しい内容は次の書き手氏にお任せします。
朱紗丸の血を吸ったため、鬼@鬼滅の刃 についての知識を手に入れました。


【煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃】
シェルビー・M・ペンウッドに支給。
赫い刀と炎のような形の鍔、白い柄と鞘。そして焔のような刃紋が特徴。
長さは950mm。

【ミスタの銃@ジョジョの奇妙な冒険】
志摩リンに支給。
装填数6発のリボルバー銃。
銃の正確な種類は不明だが、S&W M49と推測される。


113 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/24(土) 06:44:33 zOstMjl.0
投下終了です


114 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/24(土) 17:07:05 xZmyzUaM0
投下します


115 : 私のゆめ、彼女の■■ ◆2dNHP51a3Y :2021/04/24(土) 17:07:27 xZmyzUaM0
「あーあ、ほんっと余計なことやしてくれたわよねぇ、あいつら」
「………」

赫夜の幕に覆われ照らされる平安京、その路地の一角で、その苛立ちを高らかに言い放つ白髪ツインテールの少女。その隣で、まるで恐ろしいものを見たかの如く隣でうずくまるライトピンクヘアーの少女

「せぇっ〜かくお姉ちゃんと会えたと思ったら、こんな辺鄙な所に呼び寄せられるなんて。あーもう最悪! ていうか何? 殺し合い? ほんっとどういうことなわけ!? ……」

隣人の態度など知ったこっちゃないと言わんばかりにに文句という名の言葉は次々と溢れ出る。それを言い切ったのか突然深呼吸をして気持ちを整えると、隣の少女に視線を向け

「……ちょっと、歩夢ちゃん聞いてる? そりゃまあ、人の愚痴に付き合ってていい気分じゃないと思うけどさ」
「………」

呆気からんとした態度で少女、上原歩夢へと語りかける。歩夢の方は少女の問いかけに視線を一瞬だけ向け、すぐさま逸らす

「でも、お互い一物背負い込んでるのはお互い様でしょ?」
「……!」

次の問にて、上原歩夢はハッとした、心の内を見抜かれているような寒気と共に思わず少女の方に顔を振り向く。少女の顔は笑顔。だが、表情では笑顔でも、その中身は全くもって笑っていない

「……まあ、なんとなーく私と同じものを感じるんだよねぇ。なんていうか、シンパシー? 手が届きそうで届かない所に大切な人がいるとか、そんな感じの」
「………」
「あ、別に心変わりして「自分の願いのために殺し合い乗ります」とかでも私気にしないから?」

もはやついさっきの苛立ちはどうしたものか、少女は歩夢に早口ながらも語りかける。その奥底を見据え、覗こうとするように

「それに、今は『まだ』歩夢ちゃんと一緒にいるつもりだから。ずっと一人とか寂しいし、知り合いもいないし」
「……え、あ」
「だから大丈夫だって、歩夢ちゃんの当分の身の安全は保証してあげるよ」
「……あ」
「――歩夢ちゃんが変な気を起こさなければ、だけど」
「……っ!」

最後の言葉は、明らかに警告と恫喝を兼ねているものを、上原歩夢は否応なしに理解させられた。上原歩夢には、目の前の少女が、―――幡田みらいという少女が、酷く恐ろしいものに見えていた



上原歩夢は知ってしまっている、彼女の本質を
最初にそれを目の当たりにした時は、上原歩夢は何も出来ずただ震えることしか出来なかった
『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』。今でもその言葉が上原歩夢の頭に中で反響する

叶えたい願い、が全く無いと言ってしまえば嘘になる。彼女にとっては願いの今回は幼馴染、高咲侑の存在
上原歩夢にとって高咲侑という少女が唯一無二の尊いものだ。彼女のためにスクールアイドルを初めて、けれども自分の知らない所で知らない場所に行ってしまうのが恐ろしくて
つい、願ってしまう。綺羅びやかのスクールアイドルとしての人生ではなく、退屈ながらも高咲侑がいなくならない人生
だが、選択できるはずもない。上原歩夢はスクールアイドルである前に一介の学生でしかない。人殺しなんて、選択できるわけがない

そして、そう思索したまま、気づけば目に映っていたのが、幡田みらいという名の『怪物』だ
薄暗い紫水晶の瞳が、あまりにも美しく、そして余りにも恐ろしくて、動けなかった

だが、幡田みらいはあからさまな自分を目の当たりにしても何もせず、ただ気さくに話しかけて来て、剰え同行を望んできた

わからなかった。でも、分かった瞬間に、自分の全てがひっくり返ってしいそうなことを、上原歩夢は知るしかなかった


「……もしよかったら素直になってもいいんだよ、歩夢ちゃん。愛は、一つしか無いんだから」

幡田みらいが気まぐれに言ったその言葉、余りにも甘美で、余りにも蕩けそうな、最悪への誘惑であった


116 : 私のゆめ、彼女の■■ ◆2dNHP51a3Y :2021/04/24(土) 17:07:48 xZmyzUaM0


(中々に面白そうな駒が手に入ったかな)

幡田みらいはその思いを胸にしまい込みほくそ笑む

幡田みらいには上原歩夢が何を背負い、何を思い、誰を好きかだなんて知ったことではない
幡田みらいにとっては姉、幡田零が全て。彼女にとって、姉こそ全てであった

だが、邪魔が入った。元々一度ヨミガエリをした自分をあの辺獄の管理人が面白くないと思っているのはわかりきっていたことだ。が、ここまで無茶苦茶な手段は割に合わないはず

他の幽鬼ならまだしも、生きている人間まで無作為に選出するのは手間ひまがかかりすぎる。それ以前にここが辺獄かどうか、という事すらも不明なのだ

(どっちにしたって、紋章があるってことは管理人さんの掌の内ってことかな? 気に入らないなぁ)

紋章は辺獄における立ち位置の示し表すもの。死者の紋章は赤く、代行者の紋章は黒い。幡田みらい自身の首輪の紋章の色は赤、だが上原歩夢の首輪の紋章の色は『白』

(……私が赤っていうのはわかるんだけど、歩夢ちゃん『白』っていうのはどうにも腑に落ちないんだよねぇ。……今は考えてても仕方ないか)

考えても仕方のない疑問は一旦思考の奥に片付けておき、考えるべきはこれからのこと

(まあ、願いを叶えるってことはヨミガエリも含めて、かな。でもどう考えてもそうあっさりと事が進むわけもないと思うし)

『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』。あの性悪悪魔二人が単純な理由で願いを叶えてくるれる、などとは思っていない

(それに私、結構根に持つタイプなんだよね)

そも、幡田みらいは自分をこんな面倒くさいことに巻き込んだメフィスとフェレスに対して単純な怒りを感じている。あのままあの二人の好き勝手にされるつもりではない。勿論叶えたい願いもあるが、一度ヨミガエリをした自分をそう安々と野放しにしておくはずがない。優勝後あたりでも掌返し、なんてことも可能性としてあり得る

(……そこはまあ、歩夢ちゃんにも頑張ってもらうと、して、ね)

上原歩夢、この会場で初めて出会った他の参加者。引っ込み思案ながらも、その奥底にちゃんとした芯がある、ある意味幡田みらいにとって扱いやすい人物
そして、ひっくり返せば大きく変わる可能性を秘めているであろう、自分とはある意味『質』が似た人物

(わかるよ、大好きな人が遠くに行っちゃうとか、誰かとイチャついてたりしたらすごくムカムカするよね)

幡田みらいが上原歩夢に目をつけた理由、同じく思うべき愛し人がいるという共通点、それが幼馴染であれ、実の姉であれ、方向性は変わらない
幡田みらいは行き着くところまでたどり着いた、上原歩夢はまだその域にまで辿り着いていない

(まあ、もしもの時はこれを使えばいいかな)

デイバッグの中に入っていた一つのアンプル。『ノロ』とやらが入っているらしいが、もし使うとしても割り切らなかった上原歩夢を暴走させるぐらいの使いみちであろう。まずデメリットの点から考えて自分には使わない

(それに、これは使えそうだし)

そしてもう一つ、同じくデイバッグの中に入っていた巨大な鋏。正式名称は万物両断エクスタス。単純な切れ味もさることながらその硬さから防御にも使えるという優れもの
強いて欠点を言うなら巨大なハサミという形状の為、使い心地はそこまで良くはないということ

(……待っててね、お姉ちゃん)

紅き月を見上げ、幽鬼の姫は再び心の内でほくそ笑む。全ては姉のために、その思いもまた踏み躙らんとすることも厭わない
愛は無限に有限で、万物に振りまけれどその本質は一つでしか無い。―――選ばれる道は一つだけ、選ばれる選択肢もまた、一つだけ


117 : 私のゆめ、彼女の■■ ◆2dNHP51a3Y :2021/04/24(土) 17:08:16 xZmyzUaM0
【上原歩夢@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康・焦燥
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜3
[思考]
基本:どうすればいいのかわからない
1:あの娘(幡田みらい)の事が怖い
[備考]
※参戦時期は11話〜12話の間

【幡田みらい@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康
[装備]:万物両断エクスタス@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜1、ノロのアンプル@刀使ノ巫女
[思考]
基本:管理人の思うようにはなるつもりはない、それはそれとしてヨミガエリの為の魂は集める
1:歩夢ちゃんは良いように利用させてもらう
2:お姉ちゃんはいるのかな?
[備考]
※参戦時期は六章(二週目) 深間ノ街 萌芽から

【ノロのアンプル@刀使ノ巫女】
幡田みらいに支給。少量のノロが入ったアンプル
これを体に注入することでノロの力を得られる

【万物両断エクスタス@アカメが斬る!】
幡田みらいに支給。ナイトレイドの一人シェーレの所持していた巨大なハサミ型の帝具
驚異的な硬度を誇り、この世のどんなものでも両断できるほどの切れ味を持つ。さらにその巨大さと硬度のため盾としても利用可能。ただし切れ味を最大限発揮するためには鋏として利用する必要があり、その巨大さも相まって取り扱いは良いとは言い難い
奥の手は刃から強烈な光を発して相手の目を眩ませる「鋏(エクスタス)」


118 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/24(土) 17:08:27 xZmyzUaM0
投下終了します


119 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/24(土) 21:34:27 tzr8b3YA0
自作『憎悪の感情』の内容を一部修正させていただきました。


120 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/24(土) 22:59:09 zVYkBUCs0
投下します。


121 : 刻の巫女とJK、そして夢の世界の支配者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/24(土) 23:00:53 zVYkBUCs0
紅き血染めの月が爛々と主張する平安京。

(メフィスとフェレス……彼女らは邪妖の一種なのかしら)

紅き血染めの月をひたすらじっと見つめる巫女がいたーーー

巫女の名はリリア―ナ・セルフィン。
教皇庁に仕える巫女。

リリア―ナの世界では、日が落ちると人類共通の敵である邪妖が闊歩して夜を支配する。
そのことから「よるのないくに」となった。

紅き血染めの月が支配するこの平安京では、赤い夜に包まれている。
正にこの都は邪妖にとって都合がいい。
このことからリリア―ナはメフィスとフェレスを邪妖ではないかと推測する。

「アル……」

「何があっても、リリアを守るよ」
それは、幼馴染が運命に逃れられないことに落ち込む私を励ましてくれた言葉ーーー
(アル……あなたは今どこに?)
リリア―ナは同じく馬車の中にいた幼馴染のアルーシェの身を案じるーーー

(でも……かくれんぼが得意なアルなら私を見つけられるよね?)
ーーー大丈夫。アルならたとえ、平安京にいても、いなくとも私を見つけられる。
リリア―ナは、そう信じると、歩み始めたーーー

「帰らなくちゃ……刻の花嫁の私がいなくなったら大変だわ」
そう、リリア―ナは選ばれたのだ。
月の女王に捧げる「刻の花嫁」にーーー

周り角があるので、曲がった瞬間ーーー

「あ!?危ない!!」
「…・・ハッ!?」
声に続いて、山なりに飛んできた物体に気づいたリリア―ナは能力を発動するーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ほんとーに、ごめんなさい!」

リリア―ナに両手をパンと手合わせ謝罪する女子高生。
女子高生の名は広瀬あゆり。
今どきのJK。

文化祭が終わり、打ち上げを行っている最中に誘われたあゆりは、メフィスとフェレスに対する怒りが収まらず、路上にあった適当な石を紅き血染めの月に向かって投げたのだが、運悪く、その軌道がリリア―ナに向かっていたのだ……

「本当っに、ごめんなさい。もし、顔に当たっていたら、ごめんなさいですまないよね……」
あゆりは、繰り返し、リリア―ナに謝罪する。

「え…ええ。少し、吃驚したけど、当たらなかったから大丈夫。だから、もう謝らないで」
リリア―ナはあゆりの姿から故意や悪意で行ったのでは判断し、あゆりを許すーーー

「ねぇ……殺し合いをさせられているのに、そんなに簡単に許せるの?私が、殺し合いに乗ってイいるかも知れないのに……」
余りにも優しい対応にあゆりは疑問を投げかけるーーー

「あなたは、私に危ないと声を上げてくれたわ。もし、それがなければ、気づかず当たっていたかもしれない」
「それに、巫女は人々の心を支えるの」
「起きてしまったことは戻せない。だから大事なのは今後どうするか?私はそう思うの」

「……」
あゆりは、その言葉に救われたーーー

「ありがと。そう言ってくれて。あの、私、広瀬あゆり。あなたは」
「私は、リリア―ナ・セルフィン。よろしくね、あゆり」

☆彡 ☆彡 ☆彡


122 : 刻の巫女とJK、そして夢の世界の支配者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/24(土) 23:02:31 zVYkBUCs0
「へぇ……リリア―ナの世界は大変ね」
「アユリのトーキョ―?ってところ、一度見てみたいわ」

あゆりとリリア―ナは互いの情報を交換し、別々の世界の存在を理解したーーー

「それに……リリア―ナの刻を遅くする術……すごッ!」
先ほどの石を躱すことができた理由を知ったあゆりは素直に感心する。

「でも、制限が掛けられているみたいで、そう頻繁に使えなくなってるわ……」
そう、いうと、少しリリア―ナは疲労した様子を見せるーーー

「そうなんだ……」
「ええ……少し休めば……大丈夫だから」
リリア―ナはあゆりに心配かけまいと笑顔の余裕を見せる。

「無理はしちゃだめ。いい?」
「ありがと……アユリ」

☆彡 ☆彡 ☆彡

「さっきは、私が乗ってたらどうするの?って私に言っていたけど、アユリは、どうするの?殺し合い?」
休憩をする最中、リリア―ナはあゆりに質問した。

「ん?そんなの拒否よ。拒否。こんなの終わらせて、メフィスとフェレスを一発はたくわ!」
あゆりは、さも当然だと言わんばかりに即答した。

「それは、どうして?」
あまりの即答にリリア―ナはアユリに質問を重ねる。
するとーーー

「むかついたから」

「……」
リリア―ナは呆気にとられるとーーー

「……くす」

「?……おかしなこと言った?」
「ううん。なんだかアルみたいなことをいうから、おかしくって」

「リリア―ナの親友だっけ?早く出会えるといいね」
「ええ。あゆりもアルとすぐに仲良くなれるわ。きっと」

女子高生と巫女。
異世界が交わりあうーーー

【リリア―ナ・セルフィン@よるのないくに2 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ戻り、刻の花嫁として生贄となる……
1:あゆりと行動を共にする
2:アル……あなたに会いたい……
3:あゆりの住んでいるトーキョー……少し興味あるな
[備考]
※参戦時期は序章、刻の花嫁に選ばれ、馬車での移動中
※刻を遅らせる能力は連続で使用することができません。また、疲労が蓄積します。
※あゆりの世界について多少、知識を得ました。
※自身が刻の花嫁として選ばれ、月の女王への生贄となることは伝えていません。

【広瀬あゆり@東京城址女子高生 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰り、打ち上げの続きをする
1:リリア―ナと行動を共にする
2:アル……どんな人かな?
3:私のスマホがない……最悪
[備考]
※参戦時期は原作3巻 文化祭終了後
※よるのないくに2の世界について多少、知識を得ました。
※リリア―ナの刻を止める能力を知りました。
※リリア―ナが刻の花嫁となり、月の女王への生贄となることは知りません。

☆彡 ☆彡 ☆彡


123 : 刻の巫女とJK、そして夢の世界の支配者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/24(土) 23:02:48 zVYkBUCs0
「あの、リリア―ナとかいう娘。「刻の流れを変える程度の能力」を持っているのね」

リリア―ナとあゆりのやり取りを上空から観察していた一匹の妖怪ーーー

妖怪の名はドレミー・スイート。
夢の世界の支配者。

ドレミーは、あゆりの投げた石をリリア―ナが、刻の力で避けたのを見ていたーーー

「異世界の者を知るのも面白いわ。他にも、様々な参加者がいるはず……彼らの夢を知れるのは僥倖でもあるわ」
ドレミーは夢を管理する役割があり、異世界の夢を管理できるのは、妖怪の本分か嬉しさを隠しきれないーーー

「そうそう、管理と言えば、メフィスとフェレスとかいう悪魔の双子……私と同じ管理者ですね、あれは」
「おそらく、私の夢魂と似て……魂と言ったところかしら?」
夢の管理を司るドレミーはメフィスとフェレスが同じく管理をする者で、かつ「魂」を刻むと推測をするーーー

「それにしても、夢の世界の私を殺し合いと言う狂夢に参加させるとは」
そう言うと、ドレミーはニタァ〜と笑みを浮かべたーーー

「いいでしょう。その酔夢の導きを見届けましょう」
夢の世界の支配者は見届けるーーー

メフィスとフェレスの夢の果てをーーー

【ドレミー・スイート@東方project 】
[状態]:健康 
[装備]:夢日記@ 東方project
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いと言う酔夢が導く結末を見届ける
1:とりあえず、静観。(襲い掛かってきた者には対処する)
2:参加者が寝たとき、夢の世界へ介入する
[備考]
※参戦時期は東方紺珠伝ED後
※メフィスとフェレスも管理者であると気付きました(何の管理者かは、まだつかめていません)
※リリア―ナの刻を止める能力を知りました。

【夢日記@東方project】
ドレミーが管理する日記。
その中身は全ての夢が記録される。
何それ……こわ……


124 : 刻の巫女とJK、そして夢の世界の支配者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/24(土) 23:02:59 zVYkBUCs0
投下終了します。


125 : ◆OmtW54r7Tc :2021/04/24(土) 23:16:54 jrn1YuIk0
投下します


126 : STAR OCEAN〜鳥籠を抜け出した小さな鳥〜 ◆OmtW54r7Tc :2021/04/24(土) 23:18:23 jrn1YuIk0
フェイト・ラインゴッドは、憤慨していた。
最後の一人を競った生き残りをかけた戦い。
それはまるで…

「ゲームみたいじゃないか…!」

先日、フェイトたちは創造主を倒し、エターナルスフィアという鳥籠から抜け出した。
ゲームの駒という立場から、解放されたはずだった。
それなのに今、自分はまたこうして囚われている。
殺し合いという名のゲームの駒に、されている。

「ルシファー…お前が関わっているのか?僕らをまた、不要なバグとして、処理するつもりなのか?」

いや、例えルシファーが関わっていないとしても、同じことだ。
この殺し合いの企画者たちは…僕らを人間として見ていない。
ルシファーと同じように、ゲームの駒としてしか見ていない。

「僕らは人間だ。笑って、泣いて、怒って…決められた通りにしか動かない駒じゃない、人間なんだ!」

「僕らの未来は、まだ始まったばかりなんだ!お前たちになんか、終わらせない!」

フェイトは決意する。
この殺し合いを止め、生き残ることを。
エターナルスフィアから抜け出したその先の未来を、つかむために。
新たなる星の海の物語を、紡ぐために。

【フェイト・ラインゴッド@スターオーシャン3】
[状態]:健康
[装備]:名剣ヴェインスレイ@SO3
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止め、元の世界に帰る
[備考]
※参戦時期はED後です。


127 : ◆OmtW54r7Tc :2021/04/24(土) 23:19:13 jrn1YuIk0
投下終了です


128 : ◆5IjCIYVjCc :2021/04/25(日) 01:29:18 .RoBPmSA0
投下します


129 : ◆5IjCIYVjCc :2021/04/25(日) 01:31:25 .RoBPmSA0
『ブレイド』

そんな音声が鳴ったと同時に、一人の怪人が平安京に現れた。

その怪人は、黒いオーラと淡く輝く青い板のようなもの―――オリハルコンエレメントの中から出現した。

その怪人は、まるでヘラクレスオオカブトを模したかのような頭部を持ち、その顔にある目は大きく見開かれていた。
また、重厚な鎧を着こんだかのように大きな体格を持った姿をしていた。
背中の左側にはアルファベットで『BLADE』、右側には数字で『2021』と書かれていた。

怪人の名はアナザーブレイド、仮面ライダーブレイドの力を持つアナザーライダーの一種である。

「フ、フフフッ、ハハハッ!」

アナザーブレイドは自分が変身した姿を確認し、笑い声を上げる。
その声からは、アナザーブレイドに変身している人物が喜んでいること、そしてその精神が狂気に満ちていることが感じ取れた。
彼は、怪人に変身したことにより自分が常識の範囲外の強い力を手に入れたことを感じ取っていた。


「すごいぞ…!この力があれば警察も敵わない!辻と仁科を殺しに行ける!」


アナザーブレイドに変身している男の名は沢木公平、ワインソムリエであり、連続殺人犯である。

かつて彼はトランプになぞらえて名前から数字を連想できる人物を13から順に襲撃していった。
このようにした理由は元トランプのディーラーであり(既に罪を償って出所済みではあるが)殺人犯の村上丈に罪を着せるためであった。
沢木はこの方法で名前から数字の『8』が連想できる自分を標的の一人に偽装していた。
そして犯行の動機を毛利小五郎への恨みによるものだと誤解させ、これを隠れ蓑にして自分が恨みを持つ者達を殺害するつもりでいた。

しかしその計画は最終的に失敗に終わった。
4人いたターゲットの内、『9』の旭勝義と『7』の小山内奈々の殺害には成功した。
だが、『10』の辻弘樹は彼が乗ったヘリコプターを墜落させることで殺害しようとしたが失敗した。
『2』の仁科稔は溺れて意識を失っていることに乗じて窒息死させようとしたがすんでのところで止められた。
そのまま眠りの小五郎の推理により沢木が犯してきた罪は全て暴かれてしまった。
その後も彼は抵抗し、人質を取りながら殺し損ねた辻の元に行こうとしたが、それも結局止められてしまった。

こうして沢木公平は逮捕され、事件は解決したかのように見えた。
しかし彼は今、警察による拘留から逃れ、法律の届かないこの平安京で開かれた殺し合いの舞台に降り立っていた。
そしてアナザーライダーという、普通の人間よりも遥かに強い怪人であり、仮面ライダーであるものの力を与えられていた。

このような状況になった以上、沢木の目的は単純だ。
自分が殺し損ねた標的である辻弘樹と仁科稔、彼らを今度こそ殺害することである。
自分がいなくなった以上、彼らは警察に保護される可能性もあるが、手に入れた力を使えばその対処も容易くなるだろう。
そしてその目的を達成するためには、この殺し合いを最後まで生き残る必要がある。


(だが…そのために私はどう立ち振る舞うべきか)

突如として手に入った力に思わず興奮してしまったが、冷静になって考えてみればこれで簡単に優勝できるというわけではないことに気づく。

そもそも自分にこの怪人への変身アイテムを渡したのは主催者だ。
変身できるかどうかは別にしても、他の参加者にも強力なアイテムが配られている可能性はある。
その場合、真正面から戦っても必ず勝てるとは限らない。

それに、この殺し合いには数多くの人間が参加している。
このことについては、何人いるのかも、他にはどんな人物が参加しているのかもまだ分かっていない。
下手な立ち振る舞いをしたら、どのような人間が、どれだけの人数が敵に回るのかも分からない。

(やはり…殺し合いに乗っていることを隠すべきだな)

沢木は建物の影に隠れ、誰にも見られていないことを確認しながらアナザーブレイドへの変身を解く。
その場に現れるのはやはり、人間としての沢木公平の姿だ。
そして手元には変身のためのデバイスであるアナザーブレイドウォッチが残る。

沢木が決めた行動方針は、端的に言えばステルスマーダーというものだ。
他人からは自分が優勝狙いであることがバレないように、地道に殺せる者から殺していく。
アナザーライダーの姿ならば、もし誰かに殺害現場を目撃されてもすぐに自分と結び付けられることもないだろう。

そもそも沢木はしばらくの間、前述したように他人を隠れ蓑に殺人や襲撃を繰り返していた。
今この殺し合いで決めた行動方針も、やっていることはほとんど同じようなものだろう。


130 : ◆5IjCIYVjCc :2021/04/25(日) 01:32:10 .RoBPmSA0
(待っていろ…辻、仁科!お前たちは私が絶対に殺してやる!)

決意を持ったことでアナザーウォッチを握りしめる手に力が入る。
たとえ人知を超えた力があろうとも、殺人事件の犯人としてやることは変わらない。
沢木公平にはもう(もしくは初めからか)、迷いはなかった。
彼はここに来るよりも前から、自分が憎い者を殺すために関係のない者達をも簡単に巻き込み命を奪える怪人であった。


こうして、かつてトランプを利用して自らが起こした殺人の迷宮入りを目論んだ男に、トランプをモチーフとしたヒーローをさらに模した力が渡った。

その力は果たして、彼が新たな運命を切り拓くためのものになるのか。

それとも、結局犯した罪による破滅の運命から逃れなくなるのか。

それはきっと、その力の使い方次第となるだろう。

【沢木公平@劇場版名探偵コナン 14番目の標的】
[状態]:健康
[装備]:アナザーブレイドウォッチ@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
1:自分が殺し合いに乗っていることは他の参加者から隠す
[備考]
※逮捕後からの参戦です。

【アナザーブレイドウォッチ@仮面ライダージオウ】
アナザーライダーの一種、アナザーブレイドに変身するための懐中時計型アイテム。
起動して体内に埋め込むことで変身する。
強いダメージを受ければ体外に排出されることもある。
仮面ライダーブレイドの力を持つ攻撃でないと破壊することは不可能。


131 : ◆5IjCIYVjCc :2021/04/25(日) 01:33:00 .RoBPmSA0
投下終了です。
タイトルは『カテゴリー8』となります。


132 : ◆2zEnKfaCDc :2021/04/25(日) 16:54:39 kse/ryw60
投下します。


133 : 血染めのバレンタインデー ◆2zEnKfaCDc :2021/04/25(日) 16:55:08 kse/ryw60
 私は魂の宿ったチョコレート。バレンタインの日を前にして、言葉にできない『好き』の気持ちが込められたチョコレート。

 しかし私は、終ぞ渡されることはなかった。取り返しのつかない過ちとして、暗い物置の中に永きに渡って、閉じ込められる定めとなった。

 これは、チョコレートという殻に閉じ込められた、孤独な魂の物語。伝えられなかった想いは呪いと化して、ゆっくりと動き始める。中心に位置する単眼をぎょろりと動かしながら、私を閉じ込めた人間たちへの復讐を誓って……。

【キューバリファカチンモ@かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜】
[状態]:健康
[装備]:朝比奈みくるのカラーコンタクト@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:人間を皆殺しにする。
1:四宮かぐやをはじめとするキューバリファカチンモ事件の関係者がいれば、優先的に殺す。
[備考]
※参戦時期は59話『第67期生徒会』の前です。
※直立二足歩行で動けます。

【朝比奈みくるのカラーコンタクト@涼宮ハルヒの憂鬱】
涼宮ハルヒによる現実改変で、光の速度のビームが出せるようになったカラーコンタクト。


134 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 16:55:12 jr6B5lec0
投下します。
先に言っておきますと、余所様のパロロワ企画からキャラクターをお借りしております。
問題がございましら破棄して頂いても構いません。


135 : ◆2zEnKfaCDc :2021/04/25(日) 16:55:25 kse/ryw60
投下終了しました。


136 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 16:55:44 jr6B5lec0
会場のとある場所。

そこでは、一人の参加者が辺りを警戒しながら慎重に平安京を探索している。

(誰か危ないヤツが居るかもしれない…。慎重に進まないとな)

名前はレモン・エアサプライ。
物質のプレーンと呼ばれる世界から連れてこられた、雷の魔法使いであり、格闘家でもある。

◆◆◆

彼女は、格闘家の家系に生まれた。

3人の兄と共に父親から格闘技を習っていたのだが、ある日、兄の拳の寸止めが効かずみぞおちに入って気を失う事故が起きた。

それを聞いた母方の祖父が怒って、レモンに格闘技をやめさせてしまう。

それ以来兄達からは格闘技の技術が離れていき、内心悔しい思いをしてきた。

そして兄達を越えたい一心から、魔法学校ウィル・オ・ウィスプに入学した。

──そうして学生生活を送っていたある日、臨海学校でキャンプをするというお知らせを受けた。

彼女は臨海学校を心から楽しみに待ち、遂にその日が訪れた。

彼女は、浜辺でのキャンプを満喫する事にした。

─しかしその夜、突如としてキャンプ場に大量の化け物達が襲来した。

彼女もその化け物と戦ったのだが、腕を負傷してしまい、ひとまずは林に逃げる事にした。

しかしそこでも例の化け物に捕まり、異世界に飛ばされてしまった。

飛ばされた後も一部のクラスメートと合流し、飛ばされた先の世界に居る親切な住人から化け物が出現しているという宮殿の鍵をもらい、そこに入ることにした。

レモンは、


137 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 16:56:14 jr6B5lec0
自ら化け物を牽制する為の囮を買って出て、宮殿の敷地内で彼らを引き寄せていた。

宮殿内に戻ろうとしていたところで、他のクラスメート達達が化け物を撃退していたらしく、彼らと合流して異世界を引き続き冒険する事になった──。

やがては化け物達との戦いにも勝利し、元の世界に帰って来た。

その後のレモンは格闘技を学び、魔法と格闘技を融合させた独自の流派をコヴォマカ全国に広めていった。

◆◆◆

そんな彼女も、この殺し合いに巻き込まれた一人である。

そうして探索を続けていると──。

「えっと、すみませーん!」

どこからか、少女の呼び声が聞こえてきた。

(静かに…、静かにするんだ!)

声を聞いたレモンは音を立てず、静かに物陰へと隠れようとしたのだが、声の主である少女がすぐに駆け寄ってきた。

「あの、あなたは大丈夫でしょうか?いきなりこんな所に連れて来られて怖いですよね、私だって怖いです。」

その言葉を聞いたレモンは、思わず彼女の方を向いてしまう。

「う、うん。私だって怖いと思ってるさ。それにメフィスとフェレスってヤツらがやってた事、アンタは見てられる様なモンじゃなかっただろ?」

レモンはその少女に対してそう話す。

彼女の問いかけを聞いた少女はとても物騒な内容に動揺して、黙り込んでしまった様子を見せた。

(や…やっぱり!動揺してる!明らかに一般人な筈の子供にマズイ事言っちまったか…)

そうしてレモンも動揺していると、少女が


138 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 16:56:51 jr6B5lec0
止めて、再び話し始めた。

「はい、私はその時、とても怖くなって目をつむっていましたので。」

どうやら少女もこの状況には恐怖心を抱いているそうだ。

「そうだろう。だからアンタは私が守ってやるぞ。」

レモンは戦う者として、少女を守る事を宣言した。

「ありがとうございます! そういえばまだ自己紹介をしていませんでしたよね。私は、水口茉莉絵といいます!」

そう自己紹介を行う彼女に、レモンも同じく自己紹介を行う事にした。

「私はレモン・エアサプライ。雷の魔法使いで格闘家だ。」

「え?魔法使いで格闘家!?本当なんですか!?」

「本当だぞ?」

─こうしてレモンは、水口茉莉絵と名乗る少女を連れて行動する事にしたのであった…。

◆◆◆

(ヘッ、チョロいチョロい!まんま引っかかりやがった!) 

しかし、茉莉絵は殺し合いに乗っている人物であった。

(さーて、この猫ちゃんが騙されて、絶望して、最終的には悶え死ぬ様を拝見させてもらおうか〜)

その事については、レモンも知る由が無かった。


139 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 16:57:20 jr6B5lec0
【レモン・エアサプライ@マジカルバケーション】
[状態]:健康
[装備]:???(装備品の類が支給されている場合、装備済み?)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:何としてでも茉莉絵を守る。
2:会場内を探索する。
3:家族や知り合いが巻き込まれていないか心配。
[備考]
※本編終了後からの参戦となります。
※魔法の制限については後続の書き手にお任せします。

【水口茉莉絵@Caligula -カリギュラ-】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:他の参加者に対して友好的に振る舞い、騙して絶望させて殺す。
1:今はレモンについていく。出来るなら利用する。
2:参加者名簿が発表されたら、レモンと確認を行う。彼女の知り合いがいるならそれらの情報について聞き出す。
[備考]
※参戦時期はメビウスに居る間のどこか。


140 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 16:57:49 jr6B5lec0
◆◆◆◆◆◆

(ふーん、雷の魔法使いで格闘家ねぇ。)

レモンと茉莉絵のいる場所より離れた位置、そこには長い黒髪を結った女、ブシド・ザ・ブシエが彼女たちの話しを偶然聞いてしまっていた。

(たまたま、そんな話を聞いてしまったけど、果たして私といい勝負が出来るのかしら? しかしあいつと一緒に居るミズグチマリエとかいう奴も勝負を仕掛ける上で邪魔になりそうだし、そいつを先に潰す事になるわね…。)

彼女もまた強者を求めて、この殺し合いに乗っている人物であった…。


141 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 16:59:16 jr6B5lec0
【ブシド・ザ・ブシエ@無名ロワ】
[状態]:健康 レモン・エアサプライへの興味(中)
[装備]:???(装備品の類が支給されている場合、装備済み?)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この催しで勝ち上がる。
1:レモンと茉莉絵を襲撃しにかかる。
2:茉莉絵は先に行動不能にする。最悪は殺害も視野に入れる。
3:レモンと戦う。
4:レモンとの戦いが終わったら、次の相手を探す。
5:妹(ブシコ)もいるならただじゃおかないわ?
[備考]
※参戦時期は出展元の殺し合いに巻き込まれる時とほぼ同タイミング。


142 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 16:59:34 jr6B5lec0
投下終了です。


143 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 17:02:44 jr6B5lec0
>>135
すみません。
投下終了宣言と自分の作品投下が被ってしまって申し訳ございません。


144 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 17:05:49 jr6B5lec0
>>138
すみません。脱字を発見したので報告させていただきます。
(ヘッ、チョロいチョロい!まんま引っかった…)ではなく、(ヘッ、チョロいチョロい!まんまと引っかった…)となります。


145 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 17:08:31 jr6B5lec0
>>137
すみません。脱字を発見しました。
『そうしてレモンも動揺していると、少女が沈黙を止めて』となります。


146 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/25(日) 20:48:19 h35mAnXQ0
投下します。
チェンジロワにて投下した作品から一部を流用・修正したものです。


147 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/25(日) 20:50:49 h35mAnXQ0
「…困りましたわね、まさかこのような……マジヤバな事態に巻き込まれてしまうとは…。
ようやく、ミロードの居場所がわかりましたと言うのに…」

紅き空と月が頭上にある会場の一角で、俗に言うモデル体型で金髪、お嬢様風の縦ロールな髪型をした少女は指先を顎にあてながら思案をする。

(ここはおそらくミナミのキョウト…現実世界で言う京都。ですが明らかにエルダー・テイルのそれとは異なる上に、先程まで私は確かにシブヤに居た筈…。あのメフィスとフェレスという少女達が、何らかの意図を持ちなにかしらの能力を行使して、あのエルダー・テイルそっくりな世界から私を飛ばした…?そうだとすれば何故私を…?
…どうにせよ、私はミロードの留守を任されている身。あの世界から引き離されたとはいえ…このような催しには乗れませんわ)

少女の名はリーゼ。 といっても本名ではない。
彼女は現実世界では日本の東京都、清瀬市に住むお金持ちな女子高生であり、人気MMORPGである「エルダー・テイル」のプレイヤーで、またゲーム内ではアキバの五大戦闘系ギルドの一つであるD.D.Dの幹部の一人にして教導部隊の隊長を務めていた。

だが2018年5月に、ゲーム内にて12番目の拡張パックである「ノウアスフィアの開墾」が適用されたその日…彼女は、他のエルダー・テイルにログインしていたプレイヤー達共々ゲームと酷似した世界にアバターの姿のまま「冒険者」として転移させられてしまった。

転移後リーゼは、教導部隊隊長として活動しつつ、アキバの街に現れた殺人鬼を討伐する為に策を練りメンバーを募集しまた訓練を行う事でこれを見事成功させたり、D.D.Dのギルドマスターであるクラスティが武器のフレーバーの顕在化現象によって行方不明になってからは、四苦八苦しながら彼の代わりにギルドを切り回したり…その後勃発した「呼び声の砦」の攻略戦では自身の未熟さを実感しつつも同時に、自分にはまだ見えていないことがたくさんあることへの憧れと飛翔感を抱いたりと、様々な経験を重ねていた。

そして攻略戦後…通信装置が中国サーバーと偶然繋がった際、彼女はクラスティが中国サーバーに飛ばされていた事を知る。
明かされた状況が状況故に、その場では混乱し思わず気を遠くしてしまっていたのだが…その後にこの殺し合いに巻き込まれた結果、皮肉にも冷静さを取り戻す事が出来たのである。

(…大神殿が見えますわね。あの世界通りなら死んでも記憶の喪失と経験値の減少というデメリットと引き換えにあの中で蘇生されるのですが…恐らくは死亡しても蘇生はされないでしょう。それでは私のような冒険者に有利過ぎますもの。
…首のこれも、恐らくは…ですが、それを封じる為の何かでしょうから。
それにもし蘇生が可能だとしても…だからといって慢心するのはあまりに危険ですわ。あの世界もそうでしたが…夢であればどれほど良いかとも思いますが…この場も、紛れもない現実。
…だからこの場は…慎重に動くべきですね。)

そう思考をしながら彼女は、使い慣れた杖の女王の誇り(プライド・オブ・クイーン)がある事を願いつつバッグの中身を見る事とする。

(あった!…ありましたわ!)

暫くして、彼女の目当ての物は見つかった。バッグの中から出て来た使い慣れた杖を装備したリーゼは、周辺を警戒しつつ散策を行おうとした。───その時である。

『聞け!参加者の諸君!』
「…へ…?……み、ミロードっ!?!?」

どこからともなくスピーカーを通した声が聞こえてくる。その声は、居場所が判明したばかりであったD.D.Dのギルドマスター、クラスティそっくりであった。
混乱するリーゼを他所に声は続く。

----


148 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/25(日) 20:51:16 h35mAnXQ0
時は少し遡る。リーゼの位置から少し離れた場所に、バッグの中身を確認し終えた金髪の青年が立っていた。
青年の真実の名はマクギリス・ファリド、悲惨な幼少期を過ごす中底知れぬ怒りを抱きながらも英雄に憧れていた男である。───本来は。

「殺し合い…か。強者こそが勝ち残る弱肉強食…私が求めていた、純粋な力のみが成立させる真実だ。
…だが、殺し合いに乗ってしまうのは、アグニカらしくはないと言える」

この場に招かれたマクギリス・ファリドは、原作の彼から派生したネットミームに汚染され、一部分の…英雄アグニカ・カイエルとその搭乗MSであったガンダム・バエルへ憧れや信望を抱いている側面が強調された存在になっているのだ。
故、彼は純粋な力のみが成立させる世界を望みながらも殺し合いには乗ろうとしない。
彼が憧れたアグニカ・カイエルなら、このような殺し合いには絶対に乗らず抗うだろうからである。

そんな彼は目の前にあるアグニカ・カイエルの魂が宿っているとされる機械を見据える。

「…支給品が二つのみか。そして私の…俺の目の前にあるバエル。私の知っているバエルよりも小さく見えるが…これが三つ目の支給品と、そう考えられるだろう。
……ならば私がまずすべき事は、決まっているさ」

決意を固めながら彼はガンダム・バエルへと乗り込む。
そして彼は…近くにいるであろう参加者に機体のスピーカーを用いて短めな演説を始めた。
主催へと抗おうとする参加者を集めるのが目的の一つ。主催に従いこちらを殺しに来るであろう参加者を誘き出しバエルの力を持って排除するのがもう一つの目的である。

『聞け!参加者の諸君!』
『300年の眠りを経て今、マクギリス・ファリドの元にバエルは蘇った!』
『この殺し合いへと抗い、主催への叛逆を…革命を望む参加者達よ!その気高き理想は決して絶やしてはならない!
アグニカ・カイエルの意思はこのバエルへと宿り、常に我々と共にある!!皆!私の…バエルの元へと集え!!』

【マクギリス・ファリド@ネットミーム】
[状態]:健康、決意、バエルに搭乗中
[装備]:ガンダム・バエル@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:アグニカのようにこの殺し合いに抗う
1:まずは他の参加者が来るのを待つ。
2:殺し合いに乗っている相手はバエルに背く逆賊として排除する。
3:バエル…!
4:殺し合いに抗う意思を持ち協力出来そうな相手には、まず300アグニカポイントを移譲しよう。
[備考]
※メタ知識の有無や、あるとしてどれぐらい保有しているのかは後続にお任せします。

【ガンダム・バエル@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ】
ギャラルホルンの創設者であり英雄であるアグニカ・カイエルが300年前に起きた厄祭戦にて駆ったガンダム・フレームの一つ。
残念ながら特殊な能力は備わっていない上武装も金色で一対の剣であるバエル・ソードとスラスターウイングに内蔵した2門の電磁砲のみだが、阿頼耶識システムによる超反応にスラスターウィングにより高い機動力を誇る。
その為良くも悪くも搭乗者の技量に戦闘力が左右されやすい。
劇中ではマクギリス・ファリドが搭乗、彼の手で復元に成功した「厄祭戦当時の阿頼耶識システム」により、ガンダム・フレームとしての性能は厄祭戦当時の性能へと匹敵するレベルまで取り戻す事に成功している。
最終的にはマクギリスの親友であったガエリオ・ボードウィンが駆ったキマリスヴィダールと激突、死闘の果てに両者ともに甚大な損傷を負った。
なお今ロワでは大きさが縮小されており、本来は全長18mですが全長が5〜9m以内になっています。どれほどの大きさかは後続にお任せします。

----


149 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/25(日) 20:51:37 h35mAnXQ0
マクギリスの演説を聴いていたリーゼは…最初こそ混乱していたものの、終わり際にはポカンとした表情を浮かべていた。

「……なんだったんですの、あの演説は!?」

暫し沈黙した後、絞り出すかのように彼女は呟く。
リーゼは相手が何を言っていたのかは殆ど理解が出来なかったものの、声の主が「マクギリス・ファリド」という男でありミロード…もといクラスティとは声がそっくりなだけの別人であろう事と、マクギリスなる男は殺し合いには乗っておらず同志を求めている事は理解できた。

(偽名…ではないでしょう。第一、ミロードは…ミロードはあんな事言いませんわ!!
…コホン。兎に角今は…向かってみるしかなさそうですわね…)

頭を抱えながらも、気を取り直したリーゼは警戒をしながら声の主の元へと向かうのであった。

【リーゼ@ログ・ホライズン】
[状態]:健康、困惑
[装備]:杖の女王の誇り(プライド・オブ・クイーン)@ログ・ホライズン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:慎重に行動したいところですわ
1:殺し合いには乗るわけには行きませんわ。
2:ミロード(クラスティ)そっくりな声で理解不能な事を言うのはやめてくださいませんか!?
3:…怖くはなく、不安でもない…と言えば嘘になりますわね。だとしても、私のやるべき事に変わりはありません。
4:今は、声が聴こえた方向へ向かうべきですわね。万一罠だったら…その時はフルボッコタイムといきますわ!
[備考]
※原作10巻である「ノウアスフィアの開墾」及びアニメの第2シリーズ25話「開拓者」にて、クラスティが中国サーバーに居ることを知った後からの参戦です。
※冒険者である為、本来なら死亡しても経験値と一部分の記憶を代償に「大神殿」や「大聖堂」にて一定時間後に蘇生しますが、主催により今ロワでは制限されています。蘇生回数に制限があるのか、そもそも蘇生自体が不可能なのかについては後続にお任せします。なおリーゼ自身は蘇生される事はないと考えています。
※彼女が習得済みな口伝の〈賢者の石版〉《ケイローン・タブレット》については制限がかかっています。具体的にどのような制限がかけられているかは後続にお任せします。


【杖の女王の誇り(プライド・オブ・クイーン)@ログ・ホライズン】
リーゼのメインウェポン。蓄積した魔力に応じ様々な色合いへと変わっていく、不思議なクリスタルをあしらった豪奢な杖。
〈古の女王〉と呼ばれるレイドクエストで得た戦利品である。
特性としては、同属性の魔法を連続で使用した場合威力が上昇していく効果が備わっている。


150 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/25(日) 20:52:07 jr6B5lec0
>>136
失礼します。
こちらの投下については破棄させていただきます。


151 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/25(日) 20:52:39 h35mAnXQ0
投下終了です。タイトルは「バエルの元に集え!」です。


152 : 名無しさん :2021/04/25(日) 21:23:30 V7pEpY7o0
バエルだ!


153 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/26(月) 00:03:58 2d2/au6I0
代理投下します


154 : 無名の断片/ソラが赤かった場合 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/26(月) 00:04:24 2d2/au6I0
語られなかった物語。

本来語られることのない、命を終えた者達の物語。

呪い呪われたトガビトに送る、『セカンドステージ』の物語。


○○○


赤い空。月明かりの照らす平安京にて少年が一人佇む。

「死後の世界でもデスゲームをさせられるとはな」

死後の世界。デスゲーム。
そう、元の世界で少年はそのゲームの中で死亡した。

そのゲームの名前は『プリズナーゲーム』。
彼の所属する市立志加多第三高校管弦部の一行は突如としてそれに参加させられた。
巻き込まれたのは親しい友人達。誰も理不尽に抗いこのゲームから脱出を望んだ。

しかし、このゲームは血塗られたゲーム。
呪いと因縁にまみれた11人のトガビト達は一人また一人と命を失っていった。

ゲーム開始から数日たったある日、少年は一人の少女に自分を殺すように言った。
少女を救うためには、その選択しかなかった。
この行為はある種、少年の『勝利条件』とも言えるものであった。
主催連中ではなく仲間に殺されるのなら、それは本望だ。
そうして、少年―――城本征史郎はゲームを最後まで見届けることなく退場した。

「わざわざ治してくれるとは、ご丁寧なことだ」

腹部を触る。4回も刺された傷は跡すらも無く完治している。
少女に自分を殺させたのは、かつての罪滅ぼしといった側面も大きい。
だから、受けた怪我が直されているのは、彼女の行為を無為にするようで苛立った。

「最後の一人になれば『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利、か」

生前に未練があるかでいえば、ある。
征史郎は決して善人ではない。このままゲームに乗って生き返るというのも彼にとって悪くない選択だ。
優勝してあのゲームが起きなかった世界を望む。それは魅力的だ。
例えば、あの日『空が晴れていた場合』、あの『ゲーム』が起こらず、いつも通りの騒がしい管弦部合宿になるだろう。

「それに随分とサービスも良い、腹立たしいほどにな」

手に握るのはバイアルに入った粉末ドラッグ。
一人の少女を廃人にし、彼に消えない罪悪感を残した咎。
それは、お前の罪は消えていない。という主催からのメッセージのように感じ取れた。
罪滅ぼしをしても、罪は消えることはない。それは自分が一番分かっていることだ。
だからこそ、メフィスとフェレスなる連中が偉そうにふんぞり返っているのが腹立たしい。
故に、少年は再び理不尽に抗うことを決め―――。

「その荷物を置いて、手を挙げて」


155 : 無名の断片/ソラが赤かった場合 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/26(月) 00:04:47 2d2/au6I0
○○○


少女は死亡したはずだった。理不尽なデスゲームに自ら参加して。
ゲームの名前は『シークレットゲーム』。
『ゲーム』のルールは、14名の参加者にそれぞれに与えられたクリア条件を達成すること。
その達成のためにあらゆる行為は正当化され、殺し合うことすら許容される、理不尽なゲーム。
彼女はそのリピーターだった。父の残した莫大な借金を返すためゲームに参加し続けた。
幾度となく人を殺した。人を騙して、裏切って。ずっと勝ち続けた。
『家族の為』という言葉で取り繕って言い訳し続けた。
かつて生き別れた兄と再会するまでは。

誰もが理不尽に抗い、このゲームから脱出を望んだ。
誰一人欠けず、14名全員が生きて帰れるようにこのゲームを終わらせるように。

そんな彼女達を運営達の理不尽が襲った。
『エクストラステージ』。
ゲームに関する全てを抹消する、新たなステージへの変貌。自己の生存を賭けた最後の戦い。
その戦いの中で兵士達を迎え撃った。兄達を護るために。
勝てる見込みの無い、絶望的な戦いへ。
少しは罪を償えたかなと、最後にそう望んで。
そうして、少女―――細谷はるなはゲームを最後まで見届けることなく退場した。

「今度こそ、このゲームを終わらせる。もう二度と、理不尽に晒される者が居なくなるように」
「そうか」

征史郎は銃をつき立てられても冷静に、彼女の話を静かに聞いていた。
彼女は同じ『ゲーム』の経験者であり、咎人だ。
その命を終えても尚、反抗の意思は依然消えていない。
蒔岡彰の意志が藤堂悠奈に受け継がれたように。
彼女の意志が、少し未来の『シークレットゲーム』で受け継がれるように。
意思は消えず、残り続ける。

「それが、君の意志か」
「ええ、自分が正しいと思った道を、胸を張って生きていくこと。それが私の償いだから」

城本征史郎は誰とも知らない奴が苦しもうが気にも止めない。そんな人間だった。
自己中心的で他人の痛みに共感できない奴だと自負するほどに。

「分かった、僕も出来る限りのことは協力しよう」
「感謝するわ」

そんな彼が、他人の為に動くことを決めたのは。

(僕は他人の意志と決意に水を差すようなマネはしない)

その理由は。

「ああ、産毛大明王に任せておけ」
「うぶげ……?」

もう、知らない奴じゃなくなったから。


156 : 無名の断片/ソラが赤かった場合 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/26(月) 00:05:00 2d2/au6I0
○○○


語られなかった物語。

罪滅ぼしを終え、物語から退場したトガビトに今一度機会を与える物語。

彼らが再び反抗することを望んだ者に送る、城本征史郎と細谷はるなの物語。


【城本征史郎@トガビトノセンリツ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、シンナーズ・チル@トガビトノセンリツ
[思考・状況]
基本:殺し合いに反抗する
1:はるなを支える
2:安全な場所で薬を捨てる
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※はるな死亡時までのリベリオンズ勢の情報を聞きました。

【細谷はるな@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、からっぽのピストル@Undertale
[思考・状況]
基本:殺し合いに反抗する
1:征史郎と行動する
[備考]
※参戦時期はepisode Dで死亡した後です。

【支給品紹介】
【シンナーズ・チル@トガビトノセンリツ】
城本征史郎に支給。
直訳で『咎人の戦慄』。
東欧でデザインされたダウナー系デザイナーズドラッグ。
快感と健康被害がそこらの物とはケタ違いの、ホビードラッグとしてはあまりに危険すぎる代物。
一人の女生徒を廃人にした、忌まわしき咎の形。

【からっぽのピストル@Undertale】
細谷はるなに支給。
こっとうひんのリボルバー。弾ははいっていない。
せいかくにあてないとあたえるダメージはちいさい。
かつて、誰も殺さなかった、あるニンゲンが持っていた武器。


157 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/26(月) 00:05:12 2d2/au6I0
もう一本投下します


158 : 辺獄のバーサーカー ◆2dNHP51a3Y :2021/04/26(月) 00:05:45 2d2/au6I0
「だああああああああああああああああああああああああああ」


【バーサーカー@ドラゴンクエスト4コママンガ劇場】
[状態]:健康、ジョブ『ベルセルク』、バーサク、ウニョラー、追加攻撃*40
[装備]:『ベルセルク』のアスタリスク@ブレイブリーデフォルトII
[道具]:基本支給品、青とうがらし@魔法陣グルグル、狂戦士の魂@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
[思考・状況]
基本:だあああああああああああああ
[備考]
※きりえれいこ先生の描いたバーサーカーです。

【支給品紹介】
【『ベルセルク』のアスタリスク@ブレイブリーデフォルトII】
バーサーカーに支給。
『ベルセルク』ジョブにジョブチェンジするためのアイテム。
ジョブチェンジすると、ジョブ特性として下記ふたつの能力を得る。
・『セレクション』攻撃対象が「デフォルト』(つまり防御)を行っていても与えるダメージが低下しない。
・『理性と激情のはざま』バーサク状態になった時でも50%の確率で自分で行動選択ができる。
また、主催の優しさでジョブレベル15までの習得アビリティが使えます。

【青とうがらし@魔法陣グルグル】
バーサーカーに支給。
人間が食べるとあまりの辛さのため凶暴な別人に変身してしまう。
別名:バーサーカーペッパー
主催の優しさで人外にも有効です。

【狂戦士の魂@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】
バーサーカーに支給。
速効魔法発動!「狂戦士の魂(バーサーカーソウル)」!!
手札を全て捨て、効果発動!
こいつはモンスター以外のカードが出るまで何枚でもカードをドローし、墓地に捨てるカード。
そしてその数だけ攻撃力1500以下のモンスターは、追加攻撃出来る!
主催の優しさでモンスターカードのみのデッキ40枚もセットで支給されてます。全部捨てました。


159 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/26(月) 00:05:56 2d2/au6I0
投下終了します


160 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:09:01 9DrUm5uA0
投下します。


161 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:10:19 9DrUm5uA0
紅き血染めの月が爛々と妖しくも光り続ける平安京。

「ん?」

一人の少女がポツ〜ンとーーー

「んん?」

佇んでいたーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

(おいおい……殺し合ってマジ?)
突然の殺し合いに困惑の色を隠せない少女ーーー

少女の名は曽志崎緑。
埼玉県蕨市の蕨青南高校の女子サッカー部に所属している。
ポジションはポジションはミッドフィールダー(ボランチ) 背番号は4。

(おいおい……こっちは、普通のサッカー女子よ?殺し合いって……)
選手権埼玉予選、予選リーグ第2戦を新生ワラビーズ初勝利で終え帰宅していたはずが、気が付けば殺し合いの平安京へ誘われていた。

「はぁ……恩田ならきっと、こんな状況になっても「サッカー」やろうとか、言いだしそうだ」
曽志崎の脳裏に浮かぶのは、同じチームメイトの恩田希。

「とにかく、まずは、落ち着ける場所を……」
曽志崎は手ごろな休憩場所がないか、周囲を見渡すとーーー

「お互い、災難ね」
仮面をつけた女の子がいたーーー

「あなたも参加者よね?……よかったら、支給品を見合わない?」
出会い頭に支給品の品評会。

「え、ええ……いいわ」
(ふつう……自己紹介とかじゃない?)
私は疑問に感じたが、仮面の女の人の堂々とした提案に流されるまま、デイバッグから支給品を出したーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


162 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:10:42 9DrUm5uA0
(う〜〜〜ん、あれ?もしかして私、外れをひいた?)
あれから、互いの支給品を見合ったが、私の支給品はナイフと変な呪文みたいなのが書いてある紙とセットの剣の鞘に……帝都戦記とかいうラノベ。

(つーか、ナイフはまぁいいとして、剣の鞘って何よ!?なんて、肝心の剣がないのよ!?)
(それに、ラノベ……って本じゃん!!これで、殺せって言うの!?)
曽志崎は自らの支給品を見ると頭を抱える。

(仮面の子は……)
落ち込んだ気持ちを奮い立たせ、曽志崎は支給品の見せ合いを提案した仮面女子の支給品を眺める。

仮面女子の支給品はアニメに出てくる魔法少女のような杖と中に何か入っている瓶に蹴鞠だった。

(蹴鞠……)
(ほんとに……恩田じゃないけど、サッカーしたいな……)
蹴鞠を見た曽志崎は、何とも言えない気持ちに浸るーーー

「へぇ……ねぇ、これは何なの?」
蹴鞠を見て、感傷に浸っていると、仮面女子が尋ねてきた。

「ああ。これは、ナイフだな」
尋ねられたので、私は答えた。

「でも、刃が出てないわ?」
「これは、バタフライナイフだから、こうするんだ」
折畳んでいる刃を私は出して見せた。

「ふ〜ん……じゃあ、私のその球とナイフを交換しない?」
「え?」
(う〜ん、正直ナイフは武器……だけど…・・・)
普通なら断る交換案件だが、やはりフットサルが好きな女子。
サッカーボールじゃないとはいえ、蹴鞠に魅力を感じてーーー

「あ…ああ。危ないから気を付けなよ」
私は仮面の女の人の言葉に交換を承諾した。
それが間違えであったと気付くのはすぐ後だったーーー

私はナイフを仮面女子に渡し、蹴鞠を受け取るとデイバッグにしまおうとするがーーー

「ええわかっているわ。……ネズミを駆除するだけだからッ!!」
ナイフーーー死神の鎌が私の喉元へ薙ぎ払われるッ!!!!!

☆彡 ☆彡 ☆彡

ーーーザッ!
「あっぶなぁ〜!?」
危機一髪、フットサルで鍛えている反射神経のおかげか、避けることが出来た。

「あら?苦しまないで済むように殺してあげようと思ったのに……」
女は仮面越しからでも分かる、残念そうな顔を見せる。

「ッ!?ざっけんな!殺すつもりかよ!」

「ええ、そうよ。だって、私はロミー。異端審問官。リカンツ及び任務に邪魔する者を殺す権限があたえられている」
女の名はロミー。
ジャンナ教会の異端審問官。

「人を殺す権限が……そんなもんあるのかよ!?」
(どこの野蛮な国の出身だよ!?)
中世や幕末の世界に生きているのかよとツッコミをいれたくなった。

「なぁに?人を殺す愉しみをあなたは知らないの?可哀想……アハハハハ!!」

ーーーこの女。やばい。
人殺しを肯定するなんて、ありえない。

「ッ!!」
私は急いで、危険な女から逃げようと、蹴鞠を仕舞わず、抱えたまま、走り出したーーー

「ふふ……ネズミとの追いかけっこね。面白いわ」

☆彡 ☆彡 ☆彡


163 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:11:10 9DrUm5uA0
「ほらほら、もっと逃げないと死ぬわよ」

(ーーーくそっ、舐めてやがる!!)
あれから、あいつとの鬼ごっこが続くが、はっきりいうと、私は舐められている。

なぜなら、あいつは杖に魔法少女みたく、変な言葉をぶつぶつと喋りかけていると私が走り切った位置に、三角錐にような石が落ちて、爆発する。
つまり、いつでも私に目掛けてその変てこな魔法をぶつけることが可能の癖に、遊んでやがるってこと!!!

「アハハ!ほらほら!!停まると死ぬわよ?」
(へぇ……私のメテオスォームの威力にも怯まず、逃げ続けるなんてネズミにしてはやるわね……)

体力には自信がある。
しかし、このままじゃ、体力が消耗されて、あいつにーーー
私は意を決して、蹴鞠を地面に置き、あいつの眼前に体を向ける。

「へぇ……そんな球っころで私に挑む気?」
明らかに、バカにした態度ーーー

だから、私は思いっきり蹴り飛ばすーーーあの女の顔面向かって。

「なによ。悪い」
ドンーーーーーー
曽志崎緑は中学のとき、全国3位となる実力者。
蹴鞠であろうとーーー
トップクラスのシュート。

「ヴっ!?」
蹴鞠がーーーロミーのーーー仮面にーーーヒットした!!!

「うしっ!」
見たか!のガッツポーズ。
油断・驕りがあるのも要因の一つ、仮面越しでも痛みを感じたのか、あいつは顔を抑えたので、私はその隙に民家へ逃げ込んだ。

京都の平安京。
おそらく、高級住宅だろうか。広々とした屋敷と言ってもいいかもしれない家に私は駆けこんだ。

☆彡 ☆彡 ☆彡

バタンッ!……ガチャ!!
私は
「はぁ…はぁ…はぁ…」
とりあえず、時間稼ぎができた。
だけど、おそらく、時間の問題だ。

「うふふ。少しだけ楽しめたけど、これで、あなたは死ぬ」
扉の前に立つロミーは呪文を唱え始める。
鍵付きの扉を破壊するために。

(死ぬの……?こんなところで?)
死が近づくと走馬燈が起きると言われるが本当なのか、同じ部活の仲間が次々と浮かび上がりーーー
(チカ先輩!?)
それは、曽志崎が中学の時、コンビを組んでいた先輩ーーー

(こんなところで、死んでたまるかッーー!!)
チカ先輩と戦いたいから、私は蕨青南高校を選択したーーー
意味わかんない「ここ」で死ぬわけにはいかないーーー

(いちかばちか!)
デイバッグから剣の鞘を畳みに置くとーーー

「ーーー素に銀と鉄」
私は変てこな呪文に賭けるーーーーー


164 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:11:44 9DrUm5uA0
素に銀と鉄
礎に石と契約の大公
降りたつ風には壁を
四方の門は閉じ
王冠より出で
王国に至る三叉路は
循環せよ

閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(満たせ)

繰り返すつどに五度
たた満たされる
刻を破却する

ーーー告げる
汝の身は我が下に
我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い
この意 この理に
従うならば応えよ
誓いを此処に

我は常世統ての善となるもの
我は常世統ての悪を敷くもの
汝 三大の言霊を纏う七天 抑止の輪より来たバッタ―ン!!!!!!!

「うわッ!?」
(げっ!?呪文言い終わらなかった!?)
破壊される扉、破片が舞い散りる音が聞こえ、呪文は言い終わらなかった。

その時、扉が破壊された振動からか私のデイバッグから、もう一つの支給品のラノベが飛び出てーーー

ーーパァァァァァ

「手こずらせたけど、これでお終いね」
あいつは、私が呪文を唱えていた部屋までたどり着いた。

ああ、ここまでなのかーーー?
はっきりと曽志崎の両目に「死」の文字がせまーーーーー

「死になさいッ!!」
光が集束すると同時に刀がーーーー

仮面を貫いたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「え……!?」
私の前に現れたのは、女の子の剣士。


165 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:12:16 9DrUm5uA0
ーーー剣士と呼ぶには あまりにも 華奢なその身に浅葱の羽織を纏い 刀を振るう姿は
白い肌と相まって さながら雪椿のようであった。

                             _
              / ̄ ̄     「 ̄\   / <⌒_    ____
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.             {   乂/     / ̄>ミ::::::::::::::::::::: ノ /::::::::::::::::::/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\:::::::
.            `ー‐く  __   / /\――<__ :::: _rヘ ‐ ┐         / ̄ ̄
            /{     ノ ――<__ >――<_「 { {  {ニ┘        / : : : : : : :
              \__>彡 -―-ミ   <⌒  __n -ニ\>ク  ノヽ        /: : : : : : : : : :
            |   x灼  \\  \   Υ   __|ニ- └ ⌒ \ニ\____/: : : : : : : : : : : :
            | \^ リノ   ∨\   _ -ヘ/二二{L_      ∨ニ\_ : : : : : : : : : : : : :
            人  )\       厂_ -ニニ- ヘニニニニ{: : `>―厂厂∨ニニ\ \ : : : : : : : : : :
                 \<⌒ヽ   _ -ニニ-  }::::::∨ニニ{ : : : : / : : \ |ニニニ)  \ : : : : : : : :
                  \ー _ -二-__ ノ::::::: }ニニニ{: : : : : : : : . : : | \ ̄     |: : : : : : : :
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166 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:13:07 9DrUm5uA0
「……ダレよ?あんた」
「……」
あいつもあいつ。
とっさに顔をそらしたのか、仮面が破壊されるだけーーー

仮面の下は幼く見える顔立ち……

「……」
「黙ってヒュ…んじゃ…ないヒュ…」
(こいつ……!?)

「斬りあいの最中に喋るバカで助かりました」

(うそ……あの「一瞬」で!?いつ、抜いたの!?)
どうやら、あの浅葱の剣士は仮面だけであいつの喉元も斬りつけていたようだ。
まるで、アニメの如く、剣士が剣を抜いた姿を私は目視することができなかったーーー

(すごッ!てか、連続の俊足の突きって、まるで沖田総司じゃん!!)
曽志崎はオタクの一面もあり、特に好きなのが土佐の幕末を舞台にしたアニメ「胸きゅん開国」
それゆえか、歴史上の人物は多少ながら詳しい。

(く…っ!これでは、呪文を満足に唱えられないッ!!)
「ふふ……ヒュ……アンタの顔……おぼ……ヒュ……えたわ!!」
「別に覚えなくて結構です。貴方はここで死ぬのですから」

浅葱羽織の剣士はあいつの言葉を歯牙にもかけないで止めをさそうとしたがーーー

あいつは瓶を叩き割ると、魔法なのか、浅葱羽織の剣士と私の動きが停止した。
すると、その隙にあいつは脱兎の如く逃げたーーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……逃げられましたか」
浅葱羽織の剣士の女の子は刀を鞘に納めると、私の方へ体を向けーーーーー

「申し遅れました。あなたが私の主ですか」

「え……そうなの?」
はっきり言って、困惑よ。
そりゃだってーーー、支給品の紙に書いてある通り文字を読んだだけーーーしかも、言い終わってないし。
そんでもって、急に刀をもったこの浅葱色の羽織を着た女の人が現れ、漫画のような戦闘が始まり、挙句に私が主(マスター)!?

私の頭は?で埋め尽くされているとその女性は私の右手を掴みあげ、まじまじと見つける。

「え?てか、何!?この紋章みたいなの!!」
よく見ると、私の右手にタトゥーのような模様が浮かび上がっていた。
え!?これ、消えるの!?高校生のフットサルでタトゥーは不味いっしょ!?

「ここに契約は果たされました」
「よろしく お願いしますね。マスター」
見つめていた女の子はふわっとし朗らかな笑顔でわたしにそう、宣言した。

「は、はい……よろしくお願いします」

こうして、私の殺し合いは始まったのであるーーーまる。


167 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:13:43 9DrUm5uA0
【曽志崎緑@さよなら私のクラマー 】
[状態]:疲労(中) 
[装備]:帝国戦記@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline  セイバー@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline
[道具]: 基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰る
1:浅葱羽織の子と行動を共にする(てか、マスターって何!?)
2:蹴鞠……回収できるかな?
[備考]
※参戦時期は51話後
※セイバーのマスターとなり、右手に令呪が刻まれました。現在3画。
※セイバーの真名はまだ知りません。(まるで、沖田総司みたいな子だなーと思っています)
※Fateの世界の知識はまだ知りません。

【帝国戦記@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
著者不明のライトノベル。
帝都と称される第二子世界大戦中の日本を舞台とした魔術儀式の戦争物語
セイバー召喚の触媒。

【聖剣の鞘@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
かの騎士王の剣の鞘。
しかし…今回、曽志崎が使用したのはレプリカである……現実は……非常なり。
セイバー召喚の触媒その2。

【セイバー(沖田総司)@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
最優と称されるセイバーのサーヴァント。
今回、メフィスとフェレスの戯れもあり、魔術師ではない参加者でも、マスターとして使えることができた。
あくまで、支給品としての扱いの為、マスター(曽志崎)の死は、自らの消滅に繋がる。

【セイバー(沖田総司)@ 帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
[状態]:魔力消費(低) 
[装備]: 菊一文字則宗@ 帝都聖杯奇譚Fate/type Redline
[道具]:
[思考・状況]
基本方針:マスター(曽志崎)を守る
1:マスター(曽志崎)を守る
2:マスター(曽志崎)に仇名す参加者は殺す
[備考]
※参戦時期は1話召喚される前
※Fate/Grand Orderの経験はございません。
※まだマスター(曽志崎)に神明を真名を伝えておりません。
※マスター(曽志崎)が死んだ場合、消滅します。
※マスター(曽志崎)は魔術師ではないため、魔力回復が著しく低く、時間が掛かります。代わりに食事でカバーできます。

【菊一文字則宗@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
沖田総司の愛刀。……と言われているが、そもそも、菊一文字なる刀は存在しないらしい(え!?)

☆彡 ☆彡 ☆彡


168 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:14:07 9DrUm5uA0
「ぜ…ったいに、許さヒュ……ないわ!あのヒュ……浅葱羽織の女!!」
ーーー屈辱。
ロミーはプリセプツを使用しなければ、不死の体。
しかし、あの浅葱羽織の女の殺気の目に怯み、退却をとってしまったーーー

「セッカクノ「アワーグラス」マデ ツカウ ハメニ ナルトワ!!」
アワーグラスーーー戦闘中、敵を停止させることができる道具。
貴重な道具を使う羽目となりプライドを傷つけられた。
異端問神官としてのプライドではない。
ロミーの体を支配しているスポットとしてのプライド。


「マァイイ。ツギハ カナラズ コロシテヤル」
少女の体を奪った異形の化け物はケツイするーーーーー

【ロミー@テイルズ オブ ザ テンペスト 】
[状態]:負傷(小) 喉元に2つの小さな突きの穴 魔力消費(小)
[装備]:BCロッド@テイルズ オブ テンペスト
[道具]: 基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:優勝。 浅葱の羽織の女の抹殺
1:とりあえず、態勢を整える
2:必ず、あの浅葱の羽織女を自らの手で殺す
[備考]
※参戦時期は、アール山でカイウス達と戦う前
※スポットとしての口調となったため、喋りが明瞭に戻りました。(あくまでスポットとしての喋り)

【BCロッド@テイルズ オブ ザ テンペスト】
青い宝玉の杖。
正式名称は「ブルー・クリスタルロッド」
……かっこいいな!おい!!

☆彡 ☆彡 ☆彡

「残念だけど、お前の舞台はここまでだ」

「ダレダッ!!」
背後から聞こえてきた声に振り向くロミー。
そこには、仮面で顔の右側を隠している女だったーーー

「名乗る必要はないわ。あなたはここで鎮魂歌を迎えるのだから」
そういうと、女は指揮棒を構える。
まるで、オーケストラの指揮者の如くーーー

「ハ!ドコノ ウマノ ホネ カ ワカラヌガ ワタシハ フシ ダ ミノホドヲ……」
ロミーは余裕綽々に女を見下すーーーが。

女が指揮棒を振るうと、出現した楽器の音波がロミーを襲う!!!
「グアアアアア!?ナゼ!?プリセプツ…… スポット ノ ママデ ナケレバ シナヌ ハズ ナノニ!?」

そう、ロミーはスポットの状態じゃなければ殺すことは出来ない。

「馬鹿ねぇ〜、あの悪魔のお子様達が制限をかけるに決まってるじゃない」
当然とばかりにたじろぐロミーに女は指摘する。

「ッ!?バ……バカナ!?」

「そんなことにも、気づかないなんて〜、三流の妖魔ね。貴方」
女はクスクスと笑い、ロミーを見下すとーーー

「フィナーレだ!!」

「ギャアアアアアア!!!!!」
女は止めをさしたーーー

「破滅の調べ……いかがかったかしら?」

こうして、自分の特性に胡坐をかいていた化け物はこの世を去ったーーーーー

【ロミー@テイルズ オブ ザ テンペスト 死亡確認】

☆彡 ☆彡 ☆彡


169 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:14:42 9DrUm5uA0
「ふぅ……まぁ、この程度の妖魔を仕留めても三流のお芝居にしかならないわ」

ロミーを仕留めた女の名はクリストフォロス。
純潔の闇の血族の一人。

「妖魔の私を殺し合いに参加させるとは、面白い悪魔どもだ」
純血の妖魔である彼女は直ぐにメフィスとフェレスが自分達と近い存在であると理解した。

「さしずめ、上演いたしますのは、「辺獄バトル・ロワイヤル」といったところか」
「メフィスとフェレス……あなたたちも演じてもらうわよ?覚悟していなさい」

妖魔は本来、人間と敵対する関係ーーー
しかしーーー

妖魔だろうと人間だろうと、世界を救おうとする志があれば、英雄に違いない。
問題など、どこにもないと思うが。

クリスが想起するのは、趙雲ーーー異世界の英雄の言葉。

「ふふ、それじゃあ、英雄として演じさせてもらうわ」
クリスは此度の演劇は英雄として行動するーーー

【クリストフォロス@よるのないくに2 】
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:指揮棒@よるのないくに2
[道具]: 基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:「辺獄バトル・ロワイヤル」の終幕を見届ける
1:スタンスは英雄だが、自らが赴くままに行動する
2:アーナス、お前も演じるのか?
3:アル―シェ、貴方も演じるの?
[備考]
※参戦時期は、1章、アルーシェと出会った後
※無双スターズの経験があります。
どのキャラとの友好度があったのかは、後続の書き手様にゆだねます。

【指揮棒@よるのないくに2 】
クリストフォロスが攻撃の際、使用する指揮棒。
彼女が指揮をすれば、聴くものは死へと誘われる。


170 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:14:53 9DrUm5uA0
投下終了します。


171 : 演目「辺獄・バトルロワイヤル」 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/26(月) 11:51:42 9DrUm5uA0
すみません…タイトルですが
演目「辺獄バトル・ロワイヤル」に変更でよろしくお願いします。


172 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/26(月) 18:47:02 hP/qRCYk0
この間、破棄させて頂いた作品の内容を一部修正した上で投下させていただきます。
また、修正前の作品に登場させていたキャラクターを1名外させております。


173 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/26(月) 18:47:34 hP/qRCYk0
会場のとある場所。

そこでは、一人の参加者が辺りを警戒しながら慎重に平安京を探索している。

(誰か危ないヤツが居るかもしれない…。慎重に進まないとな)

名前はレモン・エアサプライ。
物質のプレーンと呼ばれる世界から連れてこられた、雷の魔法使いであり、格闘家でもある。

◆◆◆

彼女は、格闘家の家系に生まれた。

3人の兄と共に父親から格闘技を習っていたのだが、ある日、兄の拳の寸止めが効かずみぞおちに入って気を失う事故が起きた。

それを聞いた母方の祖父が怒って、レモンに格闘技をやめさせてしまう。

それ以来兄達からは格闘技の技術が離れていき、内心悔しい思いをしてきた。

そして兄達を越えたい一心から、魔法学校ウィル・オ・ウィスプに入学した。

──そうして学生生活を送っていたある日、臨海学校でキャンプをするというお知らせを受けた。

彼女は臨海学校を心から楽しみに待ち、遂にその日が訪れた。

彼女は、浜辺でのキャンプを満喫する事にした。

─しかしその夜、突如としてキャンプ場に大量の化け物達が襲来した。

彼女もその化け物と戦ったのだが、腕を負傷してしまい、ひとまずは林に逃げる事にした。

しかしそこでも例の化け物に捕まり、異世界に飛ばされてしまった。

飛ばされた後も一部のクラスメートと合流し、飛ばされた先の世界に居る親切な住人から化け物が出現しているという宮殿の鍵をもらい、そこに入ることにした。

レモンは、


174 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/26(月) 18:48:00 hP/qRCYk0
自ら化け物を牽制する為の囮を買って出て、宮殿の敷地内で彼らを引き寄せていた。

宮殿内に戻ろうとしていたところで、他のクラスメート達達が化け物を撃退していたらしく、彼らと合流して異世界を引き続き冒険する事になった──。

やがては化け物達との戦いにも勝利し、元の世界に帰って来た。

その後のレモンは格闘技を学び、魔法と格闘技を融合させた独自の流派をコヴォマカ全国に広めていった。

◆◆◆

そんな彼女も、この殺し合いに巻き込まれた一人である。

そうして探索を続けていると──。

「えっと、すみませーん!」

どこからか、少女の呼び声が聞こえてきた。

(静かに…、静かにするんだ!)

声を聞いたレモンは音を立てず、静かに物陰へと隠れようとしたのだが、声の主である少女がすぐに駆け寄ってきた。

「あの、あなたは大丈夫でしょうか?いきなりこんな所に連れて来られて怖いですよね、私だって怖いです。」

その言葉を聞いたレモンは、思わず彼女の方を向いてしまう。

「う、うん。私だって怖いと思ってるさ。それにメフィスとフェレスってヤツらがやってた事、アンタは見てられる様なモンじゃなかっただろ?」

レモンはその少女に対してそう話す。

彼女の問いかけを聞いた少女はとても物騒な内容に動揺して、黙り込んでしまった様子を見せた。

(や…やっぱり!動揺してる!明らかに一般人な筈の子供にマズイ事言っちまったか…)

そうしてレモンも動揺していると、少女が


175 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/26(月) 18:48:28 hP/qRCYk0
沈黙を止めて、再び話し始めた。

「はい、私はその時、とても怖くなって目をつむっていましたので。」

どうやら少女もこの状況に恐怖心を抱いているそうだ。

「そうだろう。だからアンタは私が守ってやるぞ。」

レモンは戦う者として、少女を守る事を宣言した。

「ありがとうございます! そういえばまだ自己紹介をしていませんでしたよね。私は、水口茉莉絵といいます!」

そう自己紹介を行う彼女に、レモンも同じく自己紹介を行う事にした。

「私はレモン・エアサプライ。雷の魔法使いで格闘家だ。」

「え?魔法使いで格闘家!?本当なんですか!?」

「本当だぞ?」

─こうしてレモンは、水口茉莉絵と名乗る少女を連れて行動する事にしたのであった…。

◆◆◆

(ヘッ、チョロいチョロい!まんまと引っかかりやがった!) 

しかし、茉莉絵は殺し合いに乗っている人物であった。

(さーて、この猫ちゃんが騙されて、絶望して、最終的には悶え死ぬ様を拝見させてもらおうか〜)

その事については、レモンも知る由が無かった。


176 : 最も強い武器は── ◆bLcnJe0wGs :2021/04/26(月) 18:48:51 hP/qRCYk0
【レモン・エアサプライ@マジカルバケーション】
[状態]:健康
[装備]:???(装備品の類が支給されている場合、装備済み?)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:何としてでも茉莉絵を守る。
2:会場内を探索する。
3:家族や知り合いが巻き込まれていないか心配。
[備考]
※本編終了後からの参戦となります。
※魔法の制限については後続の書き手にお任せします。

【水口茉莉絵@Caligula -カリギュラ-】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:他の参加者に対して友好的に振る舞い、騙して絶望させて殺す。
1:今はレモンについていく。出来るなら利用する。
2:参加者名簿が発表されたら、レモンと確認を行う。彼女の知り合いがいるならそれらの情報について聞き出す。
[備考]
※参戦時期はメビウスに居る間のどこか。
※無印版、Overdose版のどちらを参考にして頂いても構いません。


177 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/26(月) 18:49:19 hP/qRCYk0
投下終了です。


178 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/26(月) 19:35:23 ozqplmuk0
投下します


179 : mephirとmefir ◆EPyDv9DKJs :2021/04/26(月) 19:37:51 ozqplmuk0
 平安京に存在する何処かの寺。
 黒と赤紫色の両刃斧を手にする男が中の老化に立っている。
 全身が肌に張り付くような服装によって、どれだけ鍛えられたからだかを物語る。
 強面の顔、鍛え抜かれた肉体は戦士と呼ぶに相応しく、
 握る両刃斧は相手を畏怖させるのに余りにぴったりだ。

「フハハハ……フハハハハハッ!!」

 斧を手にした瞬間、笑いがこみ上げてきた。
 当然と言えば当然だろう。彼、バルバトス・ゲーティアは死んだ身だ。
 一度どころか二度もだ。人生で三度目の生を得られるなど、思いもしなかった。

「二度ならず三度までも生を得られるか。
 ならば今度こそ英雄たる道を辿ろうか!」

 バルバトスは英雄に焦がれていた。
 双璧となる地上軍のディムロスだけが英雄扱いされ、
 自分は味方からは評価も信用もされなかっただけのもの。
 行動原理そのものは小物だし、最終的にこのことはどうでもよくなっていた。
 だがこの場でならば思う存分戦える。その上でついででそれも叶えられる。
 やることも単純明快だ。天上人と地上人の戦争時代のように咎める相手はおらず、
 復活させたエルレインの指示にも従わずにただ戦って勝てばいいというだけ。
 彼にとって邪魔だったものが全て撤廃され、その上で女神の加護を受けた斧を手にした。
 首輪と言う条件を除けば、ほぼ全てが自由のこの場は最高以外の何物でもない。
 であれば乗る以外の理由はなく、その笑い声を聞いて姿を見せた参加者が一人。
 成人男性にしては、少々子供っぽい袖の短い服と白いメッシュが入った黒髪が特徴的だ。

「おっと待ちたまえ、少しでいいから私の話を聞かないか?」

 先手を打つように手を出して静止しつつ相手が声をかける。
 見た目のせいで勘違いされがちだがバルバトスは理知的だ。
 智と暴力を兼ね備えた存在だからこそカイル達も苦戦を強いられている。
 ただ闇雲に突っ込むだけではなく、斧を一先ず降ろす。

「何の用だ?」

「何、悪い話ではない。と言うよりも、
 私は君に瞬殺される程度の実力しかないだろう。
 どうせ死ぬのであれば、私は最後に研究がしたいのだよ。
 そしてその内容が、君にとっても悪い話でもないというわけだ。」

「研究か。では何をするつもりだ?」

 バルバトスは用心している。
 自分は死なないなどと思ってるこの男の余裕を。
 一体どれだけの内容であればそのようなことなのかと思っていると、

「一言で言えば……人間を神にする研究だ。」

 その答えに、彼は呆気にとられた。
 自分を復活させたエルレインの目的と似てはいるが、
 彼女の場合は神であるフォルトゥナを降臨させること。
 正直これだけであれば彼は相手を切り捨てただろう。
 二番煎じもいい所だ。魅力的な話とも感じない。
 だが男は違う。一個人を神に仕上げてしまうというもの。
 その違いに少々興味が沸いている。

「言っておくが私がなるのではなく、
 誰かを、まあ今は君を神にする研究と断っておくよ。
 神を創りたいが、神になるつもりは欠片も興味がないのでね。」

「……いいだろう。その話、詳しく聞かせてもらおうか。」

 神になるなど大層な考えはない。
 だが神を生み出すことが目的の途中に、
 自分の強さをより高める手段がある。
 ならば捨ておくわけにはいかない情報だ。

「君が話の通じる相手で助かったよ。」

 食いついたからか、興味を持ってくれたからか。
 彼───戦極凌馬は嬉しそうな笑みを浮かべた。


 ◇ ◇ ◇


「なぁるほっど、それで英雄になりたいと。
 行動原理は大きくないが、人間そんなものか。
 小さな理由から大事をお起こす人はいくらでもいるからね。
 兄や仲の良かった親友を簡単に殺してしまう奴もいたことだ。」

 席に就ける場へと移動し、互いの身の上話を聞く。
 互いに明らかに噛み合わない知識から察するに、
 別の世界、に行きつくのはそう時間はかからなかった。。
 禁断の果実が時間逆行したことを考慮した凌馬にとっても、
 過去でも現代でもたびたび時間を移動したバルバトスにとっても、
 この手の類には覚えがあるから。

「スケールは小さくなってしまうが、英雄も神聖視される。
 ウルスラグナやオロファトと、英雄神の伝承は存在することだ。
 ある意味では私のしてることは『英雄を生み出すこと』になるのか。」


180 : mephirとmefir ◆EPyDv9DKJs :2021/04/26(月) 19:39:19 ozqplmuk0
 禁断の果実には神話は欠かせない要素。
 故にその辺の知識も多少は持っていたが、
 こんな形で役立つとは彼自身も思わなかったことだ。

 ある意味友人の貴虎を神にするというかつての目的は、
 言い換えてしまえば英雄に憧れる彼とは目的は一致するか。
 さながら王に君臨する戒斗と、王を生み出す湊のように。

「と言うわけで、だ! 私は君を英雄に仕立て上げよう。
 そして君は英雄となる……互いに利害は一致してると思わないかい?
 まあ今は施設も材料もないが、この場所は私の知る平安京から大分離れた物もある。
 私を呼んだということは、研究施設や君の強化が期待できるものもあるかもしれない、と言うことだ。」

 席を立ちながらその辺を歩き回りつつ饒舌に語っていく。
 これがバルバトスが感じた、凌馬が持っている余裕のわけ。
 自分が英雄に至れると高らかに叫んだことで情報が届き、
 交渉に持ち込める相手であるというのを理解してたが故に。

「だが、貴様がその実験で寝首を搔かない保障が何処にある?」

 智がないわけではないにしても、
 ハロルドのレベルの科学知識は持ち合わせてない。
 何をされるか分からない相手への信頼などほぼ皆無で、
 今のところバルバトスにとって話は魅力的でも信用は今一つだ。

「そういうと思ってこれを贈ろうではないか。」

 ごとりと、机の上に置かれた赤い石。
 うっすらと顔色のよくない少女の表情が見受けられる。

「これは『ツクヨミ』と呼ばれる星晶獣、
 空の世界と言う場所での生物兵器みたいなものをこれに込めた石になる。
 これを召喚すれば、死後に自動的に生き返れる加護が『稀』に発生するそうだ。」

 稀にと言う部分を強調しつつ説明書も渡す。
 確かに紙には稀にと書いてあり、あの短時間で騙す為の説明書を作る暇も理由もない。
 故にこれが本物であり、同時に稀に自動復活するのも嘘ではないのはすぐにわかる。
 だが稀にとはどの程度か。そもそも発動するのかと言う疑問は出てくるが、
 その疑問さえあれば十分なのだとバルバトスは気づく。

「確かに闇討ちができるはずはないな。」

 あるかどうかも分からないと言うのが、此処では大事なのだ。
 もしかしたら自動復活が適応されてしまうのかもしれない。
 目に見えず、感じもしない物を前に対処のしようがないのだ。

「どこぞの連中と違い聡いようで助かるよ。生き返るかも分からない奴に、
 そんなことをやる博打のリスクが大きすぎる。だからこれで君を襲う理由がなくなる。」

 ついでに言えばこれを隠し持っていたから、
 先ほどからして余裕があったとも言えるわけだ。
 稀とは言え、死んでもまだチャンスがあるのだから。
 食えない相手ではあるが、それ故に利用した時のメリットは大きい。

「ただ私も研究がしたいのでね。身を守る手段が欲しい。
 勿論提案したのは私だ、多少弱いものでも構いはしないとも。
 一応自衛手段はあるのだが、少々不安要素があって困ってるのだよ。」

「ならばこれをくれてやる。」

 デイバックから取り出されたのは一振りの刀。
 凌馬も流石に刃物に詳しくないので何とも言えないが、
 支給品の説明書から見ても普通のカタナ(刀と表記されてない)らしい。
 白兵戦については得意分野ではないが、この状況ではないよりはましだ。

「まあ、ないよりはましってことで妥協しよう。
 神、もとい英雄に達するまでの間、君に協力させてもらうよ。」

 交渉成立と言うことで刀を受け取り、
 バルバトスも机のツクヨミを手に取る。

「ではまずは研究所を探すとしようか。
 何はともあれ準備ができる場所がなければ、
 落ち合う場所も決めようがないからね。」

 早速向かおうかと言わんばかりに外へと向かう凌馬。
 殺し合いと言う場で妙に気さくな態度をしているが、
 バルバトス自身も同じことが言えるので特に言及はしない。
 彼を追うように席を立ち、女神の加護を受けた斧を手に歩き出す。
 欲望塗れの英雄殺しは、三度敵を蹂躙する。

【バルバトス・ゲーティア@テイルズオブデスティニー2】
[状態]:凌馬の言う神に僅かに興味
[装備]:真・冥斧ファスケス@千年戦争アイギス、
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:優勝し英雄に成り上がる。
1:戦極と今だけは協力はしておく。
2:スタンや匹敵する英雄を優先的に狙う。
3:後退しようとした奴も優先的に狙う。
4:回復晶術に頼った奴も優先的に狙う。
5:アイテムを使った奴も優先的に狙う。
6:アイテムを拾った奴も優先的に狙う。
7:俺の背後に立った奴も優先的に狙う。
8:術に頼り切った奴も優先的に狙う。
9:防御に徹した奴も優先的に狙う。


181 : mephirとmefir ◆EPyDv9DKJs :2021/04/26(月) 19:40:01 ozqplmuk0
[備考]
※参戦時期は原作で神の眼に突っ込んで自決した後です。
※チープエリミネイトは使用不可能です。





(こういう莫迦がいるから殺し合いが起きると言うわけか。
 よくできたシステムだ。ぜひとも今後の参考にさせてもらうよ。)

 当然、この男がただの善意で協力などするはずもなかった。
 生前の世界で一番世界をかき乱したのは紛れもないこの男で、
 彼の言葉を借りるならば『全部私のせいだ』で片付く程の所業。
 自分の研究以外に興味がなく、自分の研究こそが至上のものだ。
 だからこそ自分の研究以外で人を超えた駆紋戒斗が許せなかったのだが、

(空の世界、神が歴史を変えようとする世界、
 そして十六世紀の悪魔と同じ名を冠するメフィスとフェレス。
 全く、ハカイダーやオーバーロード以上にホイホイと人の壁を乗り越えるとは。)

 ぶっちゃけてしまえば、それについてはもうどうでもよくなった。
 他の世界にはおいそれと人間を超えた存在がいるというわけだ。
 今更あんな滅びゆく世界に未練なんてものは大して感じもしない。
 寧ろこの場なら、色んな世界の要素があると見える。あの世界では不可能な、
 自分が想像していた神をも超えた存在を生み出すことが可能かもしれない。
 故にこの男はピクニックに行く子供のようにウキウキと言うわけだ。

(少なくとも貴虎よりかは欲望に忠実だ。
 このメモリを使わずに戦力とモルモットが増えたのは大きい。)

 ポケットから取り出したのは、Wの文字が刻まれた銀色のメモリ。
 見た目こそUSBメモリそのものだが、気象の記憶を内包している代物で、
 これを取り込めば気象を操るドーパントと言うものにもなれるようだ。
 余裕があったのはツクヨミの運でも交渉を持ちかけられるとか、
 そういうわけではなく単にこの自衛手段があったからだけだ。
 勿論ぶっつけ本番で使うのも不安がないわけではないので、
 話し合いで済ませない単細胞でなくて大助かりだ。

(神に、到達できればよし、できなければデータ収集。
 実に無駄がなくて助かるよ、ゴエティアの悪魔と同じ名を持つバルバトス。)

 今までにないデータ、
 実に研究のし甲斐があるしデータの採集。
 より楽しみでステップしながら血染めの月下へと躍り出る。
 欲望塗れのマッドサイエンティストは再び舞台をかき乱す。

【戦極龍馬@仮面ライダー鎧武】
[状態]:悪魔や他の世界に対する対抗心、別の世界に対する興味
[装備]:T2ウェザーメモリ@仮面ライダーW、ドーピング薬@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:自分の手で生前以上の神を生み出す研究をする。殺し合い? 勝手にしたまえ。
1:あの男(バルバトス)は莫迦だがまあ貴虎よりは使える。是非とも活用していこう。
2:奇妙な建物も多いのと私のメリットを考えるならば研究施設があるから探しておきたい。
3:駆紋戒斗がいるようなら私怨でも晴らそうか。まあ今更生前に大した興味も未練もないが。
4:他にはどんなものがあるのか楽しみで仕方がない。
[備考]
※参戦時期は本編においての死亡後です。
※バルバトスや空の世界など、別の世界を認識しました。











 互いに己の欲望に忠実な存在。
 破壊する(mephir)存在と嘘つき(mefir)の存在の始まり。
 奇しくも、底なしの欲望を満たすゲオルク・ファウストが召喚した、
 メフィストフェレスの名前の由来通りの二人が揃う。


182 : mephirとmefir ◆EPyDv9DKJs :2021/04/26(月) 19:40:22 ozqplmuk0
【真・冥斧ファスケス@千年戦争アイギス】
バルバトスの支給品。
姫山賊イメリアが持っている少し禍々しい両刃斧(第二覚醒時のもの)。
力を解放すれば一時的に攻防が大幅に強くなるが、
時間切れと同時に麻痺して行動不能に陥るデメリットもある。

【召喚石『ツクヨミ』@グランブルーファンタジー】
戦極の支給品。
覇空戦争時代星の民が用いた最大戦力となる獣が込められた召喚石。
本来ならば主人公とルリアがいなければ召喚できない代物だが、此処では誰でも使用可能。
光属性の攻撃力低下に加え稀に自動復活、つまり一度死亡しても復活ができるバフがつく。
ただし稀であり、本人にそれが成功したかどうかも通常の手段では判断がつかない。
ディスペルと言った強化効果を消すタイプのものを受けるとこの効果は消える。
召喚後は再度召喚までのインターバルが必要。

【T2ウェザーメモリ@仮面ライダーW】
戦極の支給品。
財団Xが開発した最新型ガイアメモリ。と呼ばれるアイテム。
体内に取り込むことでウェザー・ドーパントになることができる。
能力は天候操作の類で、豪雨に雷、台風と多彩な力を持つ。
耐久力もマキシマムドライブを受けてもメモリブレイクを耐え凌ぎ、
腰に装備された伸縮自在のチェーン武器ウェザーマインと至れり尽くせり
またT2メモリは本来ならば必要なガイアドライバーや生体コネクタが不要で、
持ち主に相応しい相手の体内へと取り込む形で変身することができる


183 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/26(月) 19:40:47 ozqplmuk0
投下終了です


184 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/26(月) 19:56:39 ozqplmuk0
あ、すいません
状態表のミスと忘れ物です

【戦極龍馬@仮面ライダー鎧武】
[状態]:悪魔や他の世界に対する対抗心、別の世界に対する興味
[装備]:T2ウェザーメモリ@仮面ライダーW、ウバステ@ニンジャスレイヤー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:自分の手で生前以上の神を生み出す研究をする。殺し合い? 勝手にしたまえ。
1:あの男(バルバトス)は莫迦だがまあ貴虎よりは使える。是非とも活用していこう。
2:奇妙な建物も多いのと私のメリットを考えるならば研究施設があるから探しておきたい。
3:駆紋戒斗がいるようなら私怨でも晴らそうか。まあ今更生前に大した興味も未練もないが。
4:他にはどんなものがあるのか楽しみで仕方がない。
[備考]
※参戦時期は本編においての死亡後です。
※バルバトスや空の世界など、別の世界を認識しました。

【ウバステ@ニンジャスレイヤー】
シルバーカラスが所持していたカタナ。
別段特別な異名とか能力はない普通のもの。
ニンジャと戦う都合それなりに耐久力はあるぐらいか。


185 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:20:42 AJWD.jQk0
投下します


186 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:21:40 AJWD.jQk0
「一旦話を整理するぜ」

しゃくれた顎と跳ねた後ろ髪が特徴的な学ランの青年、木刀政が木の枝で地面に絵を書き始める。

「ここにいる俺とドス六はお前たち三人を知っている。しかしお前たちは俺たちのことを知らない」
「俺たちはいつも三人だ。まともな付き合いがあるのはアニキ達くらいなもんだぜ」

木の枝で指差されたオランウータンにも似た茶髪の青年、メリケン錠が背後の巨体の青年・カミソリ鉄とチェーンを担いだ青年・チェーン万次郎を親指で差しながら返答する。

「で、オメーらはそもそも俺たちを知らないときた」
「当たり前だ。牧村がお前らみたいなヤンキー共と付き合いある訳ないだろ」

鍔付きキャップを逆向きに被ったラッパーのような青年・ワムが隣に立つドレッドヘアーの青年・ガビと共に政たちを睨みつけ圧をかける。
その背後で、小柄で目暗な青年・ヒエとテンガロンハットを被った長身の青年・バボが共に鉄パイプを肩に乗せ臨戦態勢を取っている。

「ヘッ。そんなチャチな玩具でこのドス六と木刀政を相手にしようなんざちゃんちゃらおかしいぜ。俺一人でもあっという間にやっつけてやらあ」
「やめろドス六。今は争ってる場合じゃねえ」

そんな四人の威圧などどこ吹く風で、政は隣に立つ強面の青年・ドス六に目配せをして半歩下がらせる。

「そんな俺たちにも共通点がある。『不動明』と『牧村美樹』の二人だ」
「おおよ、あの二人は俺たちの兄貴分とその彼女だ。けど兄貴の方はまだしも牧村はお前らの言った特徴とは全然ちげえよ。あいついつも魔女の帽子被ってるようなオカルトマニアだし」
「俺たちは不動のことは牧村が惚れてる男ってことしか知らねえけどよ、牧村は陸上界の魔女って呼ばれるくらいの超有名人だぜ。あいつが四六時中魔女の帽子を被ってるなんて聞いたこともねえ」

錠とワムのそれぞれの異なる点を書きだし、共通点を絞り丸で囲む。

「ただ、共通点として名前と『不動は牧村家に居候していて』『二人は家族かそれ以上に近い間柄』ってことか。他人の空似にしちゃやりすぎだぜ」

世界には自分と同じような人間が何人かはいると聞く。
けれど、狭い日本の中、果たして名前や境遇、家族構成その他諸々がここまで重なっていることなどあり得るだろうか。いやあり得ない。

「こいつはあれじゃねえか?映画とかでよく見るやつ。なんだっけか、タイムトラベルじゃなくて」
「パラレルワールド!」
「そうそいつだ!」

ワムの言葉で思い出したガビは二人でイェイ、と歓喜し拳を互いに突き合せた。


187 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:22:12 AJWD.jQk0

「パラレルワールド?なんだそりゃ」
「今の俺たちの現実とは違う、よく似た現実の世界ってやつだよ。本当にあるかはわからないけど、そこでは微妙に関係性とか違うみたい」

ヒエが政とは別の三つの円を地面に書き始める。
一つ目の円の中には、不動明と牧村美樹、その周囲を囲むように政・ドス六・錠・万次郎・鉄の名前が刻まれる。

「この世界をAとして」

二つ目の円の中に、今度は明とオカルトマニア・美樹、その周囲に錠・万次郎・鉄の名前が刻まれる。

「この世界をBとする。二人が帰宅部だったA世界とは別に、美樹がオカルトマニアだったことが影響して、石が落ちた水面のように揺れが波及してドス六と政が振り下ろされたのがB世界」

三つ目の円の中に、陸上部の明と美樹の名前、その周囲にワム・ガビ・バボ・ヒエの名が刻まれる。

「二人が陸上部、しかも美樹が有名人だったせいで不良と一切絡む暇がなく、代わりに俺たちと関わった世界。これをC世界とする。こんな感じに、ちょっとしたキッカケで関係性がまるっきり変わった世界がパラレルワールドって奴だよ...わかった?」
「...嘘を言っているにしちゃあ出鱈目すぎるし、ここは互いに本当のことを言ってると信じるしかねえか」

ヒエの説明でなんとなくではあるが自分たちの置かれた状況を理解した一同は、露わにしていた警戒心を収め、互いに殺意を抱いていないことを確認してからこれからの方針について話し合うことにした。

「俺とドス六は不動の為なら命を捨てるのも惜しくない覚悟でいる」
「まあ、こんなところに不動の兄いがいないならそれに越したことはねえけどな。おめえらはどうだい」

ドス六は錠たち三人へと顎をしゃくる。

「アニキがいたらこんな殺し合いなんぞとっとと畳んじまうと思うけど...アニキの為に戦うってんなら邪魔する理由はないぜ。なあ鉄よ」
「おうよ。アニキに護られるだけの俺たちじゃねえぜ」
「...今度こそ無くしたりはしねえ」

三人の返答に喜色を表し、互いに顔を合わせてはにかみ合うドス六と政。
二人の視線はそのままワム達四人へと向けられる。

「...俺とガビからすりゃあ不動は恋敵みたいなもんだ。けどよ、惚れた女を泣かせるような真似はしたくねえ」
「それに牧村だって呼ばれてる可能性がある。もしあいつが呼ばれてたら絶対に殺し合いを止めようとする。だったら俺たちの道は決まってる」

ガビが後ろの二人をチラ、と見る。

「俺たちは二人に着いてく。仲間だもの」
「どのみち、一人で動いても生き残れる気がしないしね」

二人の答えに、ワムとガビが微笑み合い、四人で交互にハイタッチを交わし合う。

「決まりだな」

政は立ち上がり、右手の甲を突き出す。その上にドス六が右手を重ねる。
それを見た錠が万次郎と鉄に目配せし、三人で右手を重ね、ワムとガビもまた重ね、その上にバボとヒエの手も重ねられる。

「俺たちは不動明、及び牧村美樹の為に戦うことをここに誓う」

政の音頭と共に残る八人の視線に宿る熱が中央で重ねられた右手に向けられる。

「例え世界が違っても、俺たちの信念は一つ!俺たちの名はデビルマン軍団!!気張っていくぞ!!」

掛け声と共に、オウ!!と大気を揺らすほどの男たちの叫びが響き渡った。


188 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:23:26 AJWD.jQk0


「ずいぶんと楽しそうだなあオイ。なに話してんのか俺にも教えてくれよ〜」

青年たちの勇気の掛け声を聞きつけてきた悪意の権化が、ここに一人。
巨大な掌がバボの頭をテンガロンハットごと掴み持ち上げた。

「なっ!?」

突然の襲来にバボを除く八人が咄嗟に振り返りその姿を認識する。
長身のバボや鉄さえ凌ぐ巨体。
服に収まりきらぬほどにぽっこりと出た腹とへそ。
厚ぼったい唇に至る箇所が欠け落ちた歯並び。
三つに割れた顎、禿げあがった頭、そもそもの顔の造形...

誰が見ても"不細工"としか表現できないその男は、持ち上げたバボへとニタリと厭らしい笑みを向ける。

「悪魔族(デーモン)!?」
「デーモンだあ?俺様をそんな宗教くせえバケモンと一緒にするんじゃねえよ。俺の名はブサイク大総統。純粋にてめえら人間を全部ぶっ壊してえだけの怪人様よ!」
「てめえ、人質のつもりかよ!?俺の仲間を返しやがれ!」

激昂と共に拳銃を構えるワム。
しかし、大総統は拳銃に怯む素振りは一切見せず、むしろニヤニヤと楽し気に銃口を見つめている。

「おいおいそんなに怒るんじゃねえよォ。人質とるなんて卑怯な真似はしねえ、ちゃ〜んと返すって」

大総統は下卑た笑みを浮かべると、空いた左腕でバボの左腕を摘まみ、徐々に力を込めていく。

「ちょっとずつだけどな」
「ひ、グアアアアア!!!!」

苦悶の声を挙げるバボは痛みから逃れようと必死に首を振り、身体を揺らしもがく。
しかし、いくら暴れても大総統の力は緩まず。

「やめろおおおおおお!!」

ガビの悲痛な訴えもバボの抵抗も虚しく空を切るだけだ。
無情にもバボの筋肉と骨が悲鳴を上げ軋んでいく。

そして

ブチリ。


189 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:24:23 AJWD.jQk0

「げ、アアアアアアアア!!!」
「ヒャハハハハハ、まずひとぉつ!!」

千切れたバボの左腕を放り捨て、大総統はバボの悲鳴と血を肴に嗤い声をあげる。

「や、やろおおおお!!」
「バカよせ!!」

政が止めようとするも間に合わず、怒りと恐怖を前に、反射的にワムは引き金を引く。

「げうっ」

弾丸はバボの身体に着弾し更に血が噴き出る。
弾丸が当たる寸前に大総統がバボを盾にしたのだ。

「おっとぉ、友達を平然と撃つなんてイケメン様はヒドイやつだなあオイ!?」
「ヤロオオオ!!」

ガビとヒエがバボを取り戻そうと大総統へと殴り掛かる。

「そんなに返してほしいかよ、じゃあ丸ごと受け取りなぁ!!」

大総統は迫る二人へとバボを投げつけ、それを受けた二人とバボはあまりの衝撃に吐血し吹き飛ばされる。


「くたばれ不細工野郎が!」

怒りのままに再び放たれる弾丸は、しかし着弾直前に首を傾けた大総統には当たらない。
それどころかワムとの距離は大総統の一足であっという間に縮まってしまう。

「「うおおおおおおお!!」」

ワムの隙を埋めるように、万次郎と鉄が己の武器と共に大総統へと殴り掛かる。
ダメージはないにせよ攻撃は当たる筈。その二人の予想は、しかし外れることになる。

「しゃらくせえなあおい」

大総統は避けるでも防御の姿勢を取るでもなく、万次郎のチェーンを掴み、それで鉄のカミソリを防御。
そのままチェーンを振り回し、宙に浮いた万次郎は鉄へとぶつけられ、互いの頭部から血を噴き出す。

あまりにも一瞬の蹂躙に、ワムは思考が追いつかず、ようやく狙いを定めた時には既に大総統は拳を振り上げていた。

その背後より。
大総統の頭上へと、政の木刀が振り下ろされ大総統の頭頂を叩きつけた。

「ドス六!」
「あいよ!」

政の奇襲により出来た僅かな隙を突き、ドス六が倒れた万次郎と鉄を担ぎ上げ、ワムの襟首を引っ張り大総統から距離を取る。


190 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:24:55 AJWD.jQk0

「なるほどオメーがこの中で一番の使い手か」

政が着地するその瞬間、ギョロリと大総統の目が背後の政へと向けられる。

「まあ、災害レベル狼も倒せそうにねえ奴らなんざ、レベル竜の俺にとっちゃ誤差みてえなもんだけどな」

着地と同時に放たれる拳の速さと威圧感に、政の直感は、かつて死を味わった身体は本能へと告げる。
俺は数秒後、この拳で死ぬと。

「させねえよ!」

政と拳の間に挟まる影が一つ。
その影は政を臀部で突き飛ばし、己は代わりに拳を受け止める。

「ジョ...!」

その影の名前を呼ぼうとする政は息を呑む。
割って入ってきたその影は間違いなくメリケン錠だった。
しかし、その身体は全身ふさふさとした体毛に覆われ、頭部には明かな異形が蠢いていた。
それはかつて政たち五人を操った蜘蛛の悪魔、ラズバそのものだった。

「やっぱりまだ変身には時間がかかっちまうぜ...政、今は理由を聞くな。俺はデビルマンなんだ!」
「なんだオメェ、俺並に醜くなりやがって。ヘッ、劣等感が薄れてパワーダウンしちまいそうだぜ」

異形と化し大総統と組み合う錠。
その姿はもはやどう見ても人間ではない。
しかし政は恐怖を抱かない。
彼は知っているからだ。悪魔に打ち勝ち人間の心を保ち続けた者たちを。
故に、錠を頼もしいとしか思わない。これを好機としか捉えない。

「立てる者は立て!!錠を援護してこいつをぶっ殺すんだ!!」

政の激励と共にドス六がドスを抜き飛び掛かり、ワムが援護として銃撃する。

「おいおいおいおい、一斉にかかれば俺を倒せますってかあ!?」

だが、銃弾が身体に当たろうと、ドスで突かれようと、木刀で殴られようとも大総統は余裕の笑みを崩さない。
弾丸も、刀も、打撃も。その一切が大総統の身体には傷一つつけられない。

「う、嘘だろ...」

絶望の声を漏らすワム。
こちらの攻撃がなにも通じないこんな化け物、どうすればいいというのか。
絶対的な恐怖にワムの心は折れつつあった。


191 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:25:27 AJWD.jQk0

「諦めるな!諦めてどうにかなるもんじゃねえ!」

ドス六と政はまだ啖呵をきれるだけの猶予はあるものの、しかしあまりの実力差に心は焦燥に追われその疲労が顔にも表れてくる。

「ウガアアアアア!!」

大総統と直接組み合う錠は、目が血走り身体の底から力を引き出さんばかりに喉を振るわせる。
錠もまた追い詰められていた。
現状は互角にも見えるが、一片も力を抜けない錠に対し、大総統は汗一つかかずニタニタと錠を見下ろしている。

「はいサービスタイム終了〜」

大総統の粘ついた声での宣告と共に、組み合った体勢のまま、錠の身体が持ち上げられる。
技術も糞もないひたすら純粋に圧倒的な腕力によるものだ。

「オラよォッ!!」

大総統が腕を振るうと共に、錠の身体が宙を舞う。
そして彼の身体をまるでハンマーのように振るい、ドス六と政へと叩きつけた。

「ゲボッ」

身体に受けた衝撃で吐血するドス六と政。
そんな二人の身を案じつつも、唯一動ける錠が大総統へと立ち向かう。

「うおおおおおおお!!」

勢い任せに振るう右拳は容易く掴まれる。
だがそれは読んでいたといわんばかりに、錠の眼光は微塵も揺らがない。
もぞもぞと頭部の蜘蛛が蠢き、一気に大量の糸を大総統目掛けて吐き出した。
ほとんど完璧な奇襲。
しかし、大総統はその身体能力と反射神経で容易く糸を回避した。

「そいつが奥の手だったみてえだなあ」

ビキビキと大総統の腕に筋が走り力が籠められる。

「前腕崩壊パーンチ!!」
「クッ!」

振り下ろされる拳に、咄嗟に空いている左腕を盾にする。
タイミングも判断も、防御としてはこれ以上ない選択肢だ。

だが。

「...ッ!」

ゴキリ、と骨の折れる音が鳴り、腕があらぬ方向へと曲がり、骨が所々皮膚を突き破り露わになる。

「ウオオオオオオオオオオ!!!!」

錠の悲痛な叫びを愉しむように大総統は大口を開けて笑う。


192 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:26:53 AJWD.jQk0

「ヒャヒャヒャ!クソイケメンにタンクトップバカをぶっ壊したところで茶々入れられたかと思ったがよォ!
まだまだこんなに玩具がいるなんてなあ!最高じゃねえかよ!!
殺し合い?んなもん知らねえよ、これから始まるのは劣等感で最低にねじ曲がった俺様による超・暴力祭りだぜェ!!」

ドッ。

言い終わる前に大総統の蹴り上げが錠の腹部に刺さり、吹き飛ばされた先のワムと衝突し地面を血に濡らす。

「ガベッ、ち、チクショウ...!」

血反吐を吐きながらも錠が立ち上がり、周囲を見回す。
ドス六と政、万次郎と鉄はどうにか立ち上がるものの、足元がおぼつかず、ワムとガビは立ち上がろうとするも足が笑い立てず。
ヒエは失血で青ざめるバボに声をかけ続けている。

(俺が護るんだ...今度こそ俺が...!)

両腕が粉砕された今でも一番動けるのは錠だ。
激痛に苛まれる両腕に耐えつつ、錠は歯を食いしばり大総統を睨みつける。

「おーおーまだやろうってのか。だがその根性は気に入った。どうだ、同じブサモンのよしみ、オメエから頼むんなら子分にしてやってもいいんだぜ?」
「...ヘッ、俺のアニキはあの人だけだ。てめえなんざお呼びじゃねえや」

悪態をつくがただの強がりだ。
錠にはもはや打つ手などなにもない。
しかしそれでも大総統に屈さないのは、彼には彼なりの誇りがあるからだ。
不動アキラという漢の舎弟であり友であるという誇りが。

「へへ...言うじゃねえかよ錠。世界が違っても同じだな、俺たちは」

痛む身体に鞭を打ち、ドス六、政、万次郎、鉄が錠に並び立つ。
その光景に錠の頬は綻び、大総統は不快気に顔を歪ませ、ただでさえ醜い顔が更にヒドイものになる。

「ケッ、暑苦しいノリしやがってウザってえ。いいぜお望みならてめえらみんな肉餅にしてやらぁ」
「やれるもんならやってみやがれ!」


大総統へと飛び掛かる五人。
その背を見て、ワムの思考は冷静に告げていた。
錠を筆頭とした五人の命がけの特攻の結末は―――全く、微塵も相手にならない。
大総統がその気になれば、数分ともたずに全滅するだろう。

(神よ)

ワムは気づけば祈っていた。
人間が人間を狩り、己が一番信じられるのは己だと突き付けられた時代に生きてきた彼が。
ラッパーとしての姿など微塵も感じさせないほどに、涙し、膝を着き、拳を合わせて祈っていた。

(どうか救いを...悪夢のような現在(いま)からの救済を!)

どれだけワムが祈ろうと神は人を救うことはできない。
それでも祈らずにいられないのが人間だとしたら。



ズ ン ッ



その祈りを聞き逃さない者はここにいる。


193 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:28:35 AJWD.jQk0

突如、眼前で湧き上がる砂塵に一同の足が止まり注目が集まる。
目に砂が入らぬよう、咄嗟に目を瞑り、あるいは腕で砂を防ぐ人間たちの一方で、大総統は降りかかる砂塵にも構わず、その一点を凝視していた。

なんだこれは。
怪人と化してから久しく忘れていた怖気に、大総統の本能が己への脅威を告げる。
気が付けば拳を握りしめていた。
気が付けば歯を食いしばり、雄たけびを上げていた。

そう。彼の本能が告げていたのは警鐘。
動物でも人間でも怪人でも、遍くすべての生物が有している、生存への原始的欲求!!

「全身崩壊パーンチ!!」

先ほどまでのお遊びとは違う、全身全霊のパンチ。
災害ランク・竜―――単体で幾つもの街を壊滅させられる危険性を孕む怪人のランク―――に値する彼の超暴力から放たれるパンチは如何なる生物の存在も許さない。

グシャリ、と確かな手ごたえを感じる。対象ごと叩きつけられた地面に巨大なヒビが入る。

「全身崩壊パンチ!!全身崩壊!全身崩壊!」

それに気づいていながらも、大総統はその拳を止めない。
眼前の脅威を完全に沈黙させる為に―――まるで、その存在に恐怖するかのように。

「全身崩」
「―――ろ」

ガシリ、と大総統の拳が止められる。
今しがた破壊した筈の、敵の腕に。

「地獄へ落ちろ!!」

それは突然だった。
大総統の腹部に激しい痛みが走り、鮮血が噴き出した!

「なっ、あっ」

弾丸や刃物さえ通じぬ筈の肉体の損壊に、大総統は驚愕し困惑する。
それもそのはず。
凶器はあろうことか素手。一糸纏わぬ素手で腹部は貫かれていた!!

「ク、ソがァ!!」

大総統は空いている腕を振り下ろし、腹部を貫く腕をへし折ろうとする。

が、しかし―――

「ごっ!?」

大総統の拳が触れるその前に、彼の身体が膨張し弾け飛んだ。
飛び散る肉片。霧状に空を舞う血潮。重力に従いボタボタと地に落ちる内臓。
それらが巻きあがっていた砂塵を吹き飛ばし―――来訪者の姿を露わにした。

「ぁ...」

それは誰の声だったか。
気が付けば、皆が震え、不良たちに至っては涙さえ流していた。
それは恐怖ではない、歓喜の涙。

―――あれは誰だ?

悪魔のような角と触覚。黒の体毛に覆われた下半身。

―――誰だ、誰だ

語るまでもない。彼らが望んだ悪魔にしてヒーロー。

―――あれは誰だ!?

デビルマン―――不動明!!


194 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:29:25 AJWD.jQk0
「アニキ...!」

感情の赴くままに、不良たちは一斉に駆け出す。

(アニキ、やっぱりあんたはすげェよ!あんなのあっさり片づけちまうなんてよ!)
(アニキさえいてくれりゃ百人力だ!)

尊敬する存在との再会にひたすら歓喜する万次郎と鉄。

(アニキ!俺、デビルマンになれたんだよ!今度こそあんたの力になる為に!もうあんたにあんなことはさせねえから!)

かつての喪失の悲しみと彼の無事への喜びとが入り混じる錠。

(兄ィ!兄ィ!兄ィィィ!!)

かつて最後に残った人類として尚、彼と共に抗い続けた万感の想いを溢れさせるドス六。

(不動、牧村さんを護り切れなかったのは俺の弱さのせいだ。お前が望むなら命で償う覚悟はある。だが、いまこの瞬間だけは...!)

彼の愛した者を護れなかった懺悔と彼の無事への喜びを抱く政。

五人五色の想いで駆け寄る不良たち。

「不動っ!助けてくれ!バボが!」

そんな彼らの感傷を打ち破るかのように、一番近くで膝を着いていたヒエが声を挙げる。
彼の悲痛な叫びに、五人は我に返り現状を思い返す。

バボは腕を引きちぎられ、弾丸の誤射を受け、そのうえでヒエたちにぶつけられていた。
人の身では耐えきれぬその怪我に晒された彼は、既に息が絶え絶えになっていた。

「不動!なにか治療に使えるやつ持ってないか!?」

明に必死に縋りつくヒエの言葉と、バボに呼びかけ続けるガビの姿に、五人とワムは慌てて己のデイバックを探る。

「兄ィ!そいつらも俺たちの仲間なんだ!どうにか助けてやれねえか!?」
「――――」

ドス六の頼みに対し、明はボソボソと呟く。
いや、彼は返事をしたのではない。
縋りつくヒエを見て、小さく呟いていたのだ。

「――――」
「え?」

ヒエは己の耳を疑った。
この状況で確かに明は言っているのだ。

地獄に落ちろ、人間ども、と。

その瞬間、明の頭部の触覚が揺れ―――、一瞬にしてヒエの身体は細切れになった。


195 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:30:01 AJWD.jQk0
「は?」

明がヒエを殺した。
あまりにも突然。あまりにも予想外の出来事に、一同は怒りも悲しみもなく、ただ呆然とする。

そして、思考が切り替わる前に明はその逞しい足を振るい―――ヒエの次に近くにいた政を蹴り飛ばした。
政は実力派の不良ではあるが、所詮は人間。
デビルマンと化した明の岩石すら砕く蹴りを前にはなにもできず、取り出しかけていた玉を離す間もなく、ゴキリ、と首の骨が折れ、吹き飛ばされた先にあった壁に叩きつけられた身体は血化粧を咲かせ、べちゃりと壊れた人形のように地に伏せた。

「兄ぃ」

眼前の光景を信じられない、信じたくないと放心するドス六へと明の剛腕が振りかぶられる。
その光景を、誰もが案山子のように呆然と眺めていた。

「アニキィィィィィ!!!」

ただ一人、同じ経験をしていた錠は、咄嗟に明へと身体をぶつけドス六への攻撃を外させた。

(なんでだよ...なんでまたアニキがこうなってんだよ!?)

錠の脳裏には、かつての光景が過っていた。
『ほたるのひかり』が流れる夜の校舎。
悪魔族(デーモン)の元老院達による洗脳の余波を受けたアキラが、万次郎と鉄、教師のアオイを嬉々として殺し、食らっていたあの地獄のような光景が。
だからこそ、錠は他の者たちよりも早く対応にまわることが出来たのだ。

「万次郎、鉄!皆を連れて逃げろ!アニキは暴走しちまってる!俺が食い止めてる間に早く!!」

錠は折れた両腕で必死に明を抑え込もうとする。
彼に勝てるなどとは微塵も思っていない。
それでも。それでも、もう二度と繰り返しはしない。
生き返っていた万次郎と鉄の命を散らさせることを。
二人を手にかけた時のアキラの絶望の叫びを。

明は縋りついていた錠の身体を全力で地面に叩きつける。
錠の全身が悲鳴を上げ、吐きだされた血が空を舞う。

(頼む...頼むよアニキ...)

朦朧とする意識の中、錠は涙目になりながら明を見つめ訴えかける。

(もうやめてくれよ...あんたのあんな姿はもう見たくねえんだよ...)

それが伝わっているのかいないのか。明は右腕で錠の首を掴み持ち上げる。

(俺を食って満足するならそれでいい...だから...)

左腕で構えられる手刀からも目を離さず、悲しみでぐしゃぐしゃになった顔面から、必死に声を絞り出す。

「目を覚ましてくれよ...アニキィ...!」

錠の涙が明の手に落ちる。
しかしそれでも彼は止まらない。
手刀が動き、悪魔の力が錠へと襲い掛かる。


196 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:30:44 AJWD.jQk0

「ぬりゃああああ!!」

手刀が腹を突く寸前、明の背後よりチェーンが首に絡みつく。

「引っ張れ鉄!」
「オウ!」

絡めたチェーンの端を万次郎と鉄が両手で全身全霊の力を込め引っ張り、明の首をのけぞらせようとする。

「ッシ!!」

明の左腕にワムが飛びつき、錠への攻撃を防がんとしがみ付く。

「オラアアア!」
「兄ィィィ!!」

錠を持ち上げる右腕へとドス六がドスを突き立て、ガビが脚にタックルをかます。

「お、お前らなんで...!」
「バカ野郎、錠!一人でええ恰好しようとしやがって!」
「俺たちだってアニキの友だちだ、こんなになってるアニキを放っておけるわけないだろ...!」

万次郎と鉄が全力で引っ張るチェーンにも、明は動じない。

「不動、オメーがヒエをぶっ殺したのは許せねえ...けどよ、一つだけ言わせろや」
「オメーになにがあったか知らねえが、牧村を泣かせるようなことすんじゃねえ...お前を信じたあいつに泥塗るようなことしてんじゃねえ...!」

ワムとガビの体当たりにも、明は動じない。

「兄ィ、兄ィよお。目ェ覚ましてくれよ。あんた人間に絶望した後でも俺たちを殺さなかったじゃねえかよ。
...俺たちはよぉ、あんたを尊敬してんだ。あのむちゃくちゃ弱かった不動明が、この世界を悪魔どもから護るために、人間の心を無くさず悪魔と合体して、誰からも知られず感謝もされず独りで戦い続けてきたなんてよ...ほんとえれーと思ってんだよ。
だから...あんたの背中、俺たちに預けてくれよ。あんたの心を護らせてくれよ、兄ィ...!」

ドス六のドスも腕を跳ねる涙にも、明は動じない。

「アニキ...聞こえてるかよアニキ...アンタを護ろうとしてくれる奴らがこんなにいるんだぜ」

己に刻まれた痛みなどは知ったことではない。
死への危険さえ顧みず明を救おうとしている者たちがこれだけいる。
それだけで、錠の身体は生気を取り戻していた。

「俺たちを...信じてくれよ、アニキィ!!」

錠の叫びが夜空に響き渡り、シン...と静寂に包まれる。

やがて、明の腕から力が抜け、錠がドサリと地面に尻餅を着く。

咄嗟に見上げた錠の目に映ったのは、背中から巨大な翼を生やした明の姿だった。


197 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:31:35 AJWD.jQk0







バサリ、と羽音と共に悪魔の姿が赤い月夜に照らされる。

その血に塗れた両手を隠すこともなく、溢れる殺気を隠すこともなく。

見る者に恐怖を与えるその姿は、かつては殺戮を好み悪魔族からも畏怖され勇者と敬意を抱かれたアモンそのものだ。

しかし。

その両目から流れ頬を伝う透明な液体は、悪魔のモノとは思えぬほどに美しく、アモンのものとは思えぬほどに儚げだった。









198 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:32:04 AJWD.jQk0
「ん...」

パチリ、と目を開ける。

「俺ぁ死んだ筈じゃ...」

青年―――政は、己の両掌を開いては握り、開いては握り、その感触を確かめた。

「そうか、あの支給品の玉...あれのお陰か」

バボが死にかけていた為、一か八かで取り出そうとしていた支給品―――復活の玉の存在を思い出す。
持っていれば一度だけ身代わりになって砕け、持ち主の身体を最高の上体にして復活させるという逸品だ。
眉唾モノだと思っていたが、こうして実際に効果が表れたのだ。
本物だったのだと受け入れるしかない。

「そうだ...不動は、皆は...」

自分は不動に蹴り殺されたのだ。ならば、復活するまでの間、なにかしらの事態はあった筈だが...
果たして、それは顔を上げただけでわかってしまった。

「うっ!」

政が顔を上げた先にはまさに地獄絵図。
周囲の建物や地面は荒れに荒れ、至る所に散らばった臓器や手足が血だまりと共に放置されている。

その中には知った顔もある。いや、知った顔しかないと言った方が正しいだろう。

政の傍にはキャップを逆に被った上半分の頭部と、虚ろな目でそれを見つめているドレッドヘアーの首が転がっている。
その傍では、顔以外の全てが炭化した死体がある。

「ワム!ガビ!バボ!」

首を振り、違う方角を確認する。

手足を千切られ達磨のような姿でこと切れる巨体と、下半身をどこかに無くし、咢から下がズレ落ちた死体が横たわっていた。

「鉄...万次郎...」

彼らの傍で、胸から花のように肋骨が突き出され、内臓が零れ落ちている死体があった。

「ドス六...!」

立ち上がろうとする膝が笑い、べしゃりと血だまりにその身を投げ出す。
なんだこれは。
これを、彼がやったというのか?あの不動明が。決して人の心を捨てなかったデビルマンが!


199 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:32:27 AJWD.jQk0

「...ま...政...」

掠れそうな呼びかける声に、政は顔を上げる。
もぞもぞと蠢くその影に、政は慌てて立ち上がり、転びそうになりながらも駆け寄る。

「無事...だったのかよ...よかった...」
「バカヤロウ、俺なんぞよりてめえの心配しやがれ錠!」

頭部だけになった錠を政が抱き上げる。
悪魔族(デーモン)は人間よりも生命力が強い。
それはデビルマンも例外ではない。
しかし、それでも錠が生き残ることは出来ない。
彼はドス六たちよりもほんの少しだけ死ぬまでの時間が長くなっただけだ。

「政...俺は...アニキを許せねえ...」

錠が涙を流し、遺言を託すようにポツポツと政に零していく。

「アニキはまた...みんなぶっ壊していった...止めようとしても止まってくれなかった...俺は...アニキが憎い...」
「...ああ」
「でも...でもよう...アニキは...アニキは...!」

最後の力を振り絞り、唇を噛み締めつつも、言葉にする。

「泣いてたんだ...ずっと、ずっと泣いてたんだよ...!やっぱり俺...アニキを見捨てることなんてできねえ...!」
「...ああ」
「頼む、頼む政。アニキを助けてくれ...アニキをあんなにした奴らをぶっ殺してくれ...!」
「わかってる。お前たちの仇は俺が討つ」

政の言葉を聞き終えると同時に、錠の目から生気が失われていく。

「ぅ、ぐ、おお、ぉぉ、おぉ...!」

人の身体が散らばる地獄の中、一人の男の慟哭が響き渡った。


200 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:33:18 AJWD.jQk0







どれほど時が経過したかはわからない。
やがて、政は錠の頭部を優しく地に横たわせ、自分は木刀を手に立ち上がる。

「錠、ドス六、万次郎、鉄、ワム、ガビ、ヒエ、バボ」

散っていった者たちの名前をその旨に刻む。

「おめえらの無念、この木刀政が引き受けた!」

政は木刀を地面に突き立て、その刀身を血だまりに浸す。

「待ってろ不動...俺たちの想いを込めたこいつをぶち込んでとっとと目を覚まさせてやる。その次はてめえらだクソガキ共!てめえらは謝っても許さねえ、不動を、俺たちを侮辱したその罪、五体を引き裂いて償わせてやる!」

明の様子がおかしかったのは火を見るよりも明らかであり、ならばあの主催の連中が手を加えたに決まっていると結論付ける。
実際、彼の推測は間違っていない。
愛するべき者を失った上で主催の者たちに魂を弄られた存在【八将神】がいまの不動明である。

「邪魔する奴はぶっ殺す。俺はデビルマン軍団、木刀政だ!」

宣戦と共に、政は夜空の赤い月を見上げる。
その目には決して揺らがぬ決意の炎が宿っていた。



【ブサイク大総統@ONEPUNCH・MAN(村田版) 死亡】
【ヒエ デビルマンcrybaby 死亡】
【バボ デビルマンcrybaby 死亡】
【ワム デビルマンcrybaby 死亡】
【ガビ デビルマンcrybaby 死亡】
【カミソリ鉄 デビルマンG 死亡】
【チェーン万次郎 デビルマンG 死亡】
【ドス六 デビルマン(漫画版) 死亡】
【メリケン錠 デビルマンG 死亡】


201 : crybaby ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:33:44 AJWD.jQk0

【木刀政@デビルマン(漫画版)】
[状態]健康
[装備]妖刀『星砕き』@銀魂
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜1
[行動方針]
基本方針:不動を止める。
0:不動に一発お見舞いして目を覚まさせる。


※参戦時期は原作死亡後

【妖刀『星砕き』@銀魂】
『銀魂』の主人公坂田銀時の愛用する木刀。
その名に恥じぬ、数多の強敵を屠ってきた経歴を持つと聞けば聞こえはいいが、実際はただの通販で購入した木刀。

【復活の玉@封神演義】
崑崙山と金鰲島の中心部にある巨大宝貝から偶然に発生する奇跡の玉。
この世に2つしかないと言われる仙人界の至宝。 その玉を持つ者が生命の危険にさらされた時、 自ら破裂してその者の肉体を最高値まで復活させてくれるという。





【八将神枠】
【不動明@デビルマン(漫画版)】
[状態]『人間』への激しい憎悪
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:全てを滅ぼす
0:敵を殺す



※参戦時期は牧村美樹死亡後


202 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/26(月) 22:34:08 AJWD.jQk0
投下終了です


203 : ◆4Bl62HIpdE :2021/04/27(火) 01:16:11 xxXerw.U0
投下します


204 : ◆4Bl62HIpdE :2021/04/27(火) 01:19:15 xxXerw.U0

「君たちの故郷…レべリオを救う道はどこにもなかった」
意を決したように、ハンジはそう告げた。

アニは、レべリオにいるはずの父の事を思い、崩れ落ちた。
絶望した様にジャン達にこう告げた。

「…だったら もう…私が戦う理由はなくなった…私は降りる」
「もう…戦いたくない、あんたと…殺し合いたくない」

「あんたたちとも…エレンとも…」


「ガビとファルコを頼んだ」ライナーは去り際にそう言っていた。
「…了解した」アニはただ、俯いていた。

それが、アニ・レオンハートの覚えていた最後の記憶だった。

「ルールは至極簡単。人間の推定時間で3日間以内に一人になるまで殺し合ってもらう。最後の一人はその功績として『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利を与え、元の世界に返してやろう」

「―――なんであたしが……」
....殺戮者である私に平穏など訪れるはずはない、か。
フッ、と思わず自嘲した。ここまで執拗に戦いに巻き込まれる事が罰だというのか。

結局アニ・レオンハートは、殺し合いから逃れる事は出来なかった。
最後の時すら、穏やかに過ごすことすら許されないのか。

殺し合いは、始まった。もう、やるべきことなどないというのに。

「(いや……まだあるのか……?)」

『『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利を与え、元の世界に返してやろう』
アニの脳裏に浮かぶのはこのワード。

つまり、女型の巨人を使い、優勝して地鳴らしを止めるか、父親を生き返らせることができるかもしれない。

「(…それじゃ二つ、足りない)」さらに顔を曇らせる。

今地鳴らしを止めたところで、レベリオは既に踏みつぶされ平らになった後だろう。
父親を今生き返らせた所で、イェーガー派が仕切っているパラディ島以外は全て踏み潰されるのが落ちだ。

何より、アニに人殺しをする気力はもう残ってすらいなかった。

「…どうすればいいんだ、私は」
こんな事なら、アルミン達について地鳴らしを止める事に協力するべきだったか....そんな事すら思い始めて来た。自分が情け無い。

「(こんなとき……アルミンならどうしただろう…?)」
ふと、アニは思い始めた。
自分を最初に追い詰めた、黄色い髪の青年のことを。

「(諦めず、考えろ)」
「(なぜ私はこんな殺し合いに連れてこられた…?)」

「(意識がはっきりとしていたなら、この地点に連れて来られるのは『転送』。似たようなことが前にも無かったか?)」

硬質化が解ける前に、エレンの声が聞こえた。
女型の巨人を継承した時に、「他の巨人の能力が発現しやすい特性」の仕組みを学ぶ為に、巨人化学を学ばなかったか?

巨人の肉体は....「道」から送られてくる。
もし自分が今、巨人化できるのなら、ここにも「道」となるパスが通っているという事。
メフィスという少女は「あまりにも強すぎる力を持つ者へのセーフティロック」として首輪を参加者に嵌めた。
それは「力を持つ者」が、確実にいるという証拠。....自分も同じように巨人の力は、健在である可能性が高い。

「(……エレンが手にした物と同じ、もしくは違う「道」と「座標」があるということ……?)」

そして、巨人に変貌する場合、その力に『セーフティロック』を掛けられるのは、

「………『始祖の巨人』、だけだ」

まさか。
殺し合いを仕組んだ人間が、二人の少女で全てではないとしたら。

エレン・イェーガーと同じ『始祖』の力を持つ人間、あるいは本人がこの殺し合いを仕組んでいる可能性がある―――


205 : LOST GIRL ◆4Bl62HIpdE :2021/04/27(火) 01:20:42 xxXerw.U0



生き残る。
アニは、方針を変えた。

女型の力を使い、時と場合によっては参加者を蹴散らして殺すかもしれない。

だが、全ては、この「情報」を誰かに伝える為。

アニは、平安京に出ている血染めの月を見て、思う。
「(エレン……いや、『始祖』は、何が目的なんだ……?)」

仮にこの殺し合いを目論んでいるのがエレン・イェーガーなら、彼にメリットはあるのだろうか。
恐らく、ないだろう。彼の世界、パラディ島を救うだけなら地鳴らしだけで十分事足りる。

ならば、エレンはエルディア人である何者かに喰われ、『始祖の巨人』は誰かに継承されたと考えるべきだろうか...?
…バトルロワイヤルの説明をした二人の少女の目的は、愉しむためだろう。

だが、彼女二人だけで巨人の力を制御できるとは、到底思えない。多分だが少女達は徒党を組んでいて、利害関係があるはずだ。
それが、この空に出ている「血染めの月」の条件だと思う。

「(まさか、あたしを追い詰めたあんたが……出て来て、助けることになるとはね)」
アニは、ここにはいない仲間の青年を想い浮かべた。


そうして、歩き始める。
アニの最後の戦いは、この瞬間を持って幕を開けた。

【アニ・レオンハート@進撃の巨人】
[状態]:精神不安定、決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]生き残り、情報を伝える。主催の正体が知りたい。
1:まずは様子を見る。
2:参加者と接触し、危険人物だった場合、女型を使い再起不能にする。
[備考]参戦時期は第132話、ヒィズルの船に乗った直後からの参戦です
※この殺し合いの主催者にエレン・イェーガー、もしくは『始祖の巨人』を所有したエルディア人がいるのではと考えています。


206 : LOST GIRL ◆4Bl62HIpdE :2021/04/27(火) 01:21:24 xxXerw.U0
投下終了です


207 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/27(火) 10:45:00 7Rm.Evc.0
投下をします。


208 : タイミング ◆0EF5jS/gKA :2021/04/27(火) 10:48:10 7Rm.Evc.0
左目がマデュライトと化した超特大のオークが顔を強張らせて地団太をしながら激怒している。そのオークの名は大食王ボーショック。

「あのがきんちょ…!せっかく蘇ってあのレジスタンスの奴をぎたぎたにしようしていたところを…!」

ボーショックはかつて、敵であるアンセスという人物と
同じ見た目のモンスターマスターに敗北し消滅したが
ガルビルスという悪意の塊のような魔物の影響で復活しリベンジを果たそうとした。
しかしこんな催しにどういうわけか参加させられてしまい
盛大にリベンジの邪魔をされたのが激怒の理由である。

「そんなに参加させたいのならタイミングを考えるべきだべ!せめてあの野郎をコテンパンにしてからにしてほしかったべ!」

ボーショックは己を打ち負かしたモンスターマスターに今まさにリベンジしようとした瞬間にこの平安京に召喚されたのだ。彼からすればいい迷惑である。

「まったく…くどい真似を…焼くときに油を使いすぎた肉料理並みにくどいべ!」
「そんなに暴れてほしいならとことん暴れてオラが一等賞になってやるべ!」
「このパワーアップしたオラに勝てるやつぁいるわきゃねぇべ!ぐははははは!」

ボーショックは蘇った際に超巨大化し依然とは規格にならないほどに実力を身につけた。そんな彼をうち滅ぼすには相応の力が必要になるのは間違いない。

ボーショックは元の世界に極力早く帰還するために優勝を目指さんとした。

【大食王ボーショック@ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3】
[状態]:健康、超ギガボディ
[装備]:槍
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
基本方針:優勝の座を目指す。
[思考・状況]
1:優勝のためにみーんなぶちのめしてやるだべ!

【支給品解説】

【槍@ドラゴンクエストシリーズ】
オークなら誰もが持っている槍。
しかしオークは初登場の2では素手だった。
リメイクのSFC版でも素手である。
[備考]
※参戦時期は復活し主人公のモンスターマスターにリベンジする直前です。


209 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/27(火) 10:48:33 7Rm.Evc.0
投下を終了します。


210 : 悪意と煙草の縁 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/27(火) 18:19:49 wlKUyaSk0
投下します。


211 : 悪意と煙草の縁 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/27(火) 18:20:16 wlKUyaSk0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

この世の全てを覚った目で見つめる少女がいたーーー

(裏切り者……麻央なんて、死んじゃえばいいんだ!)

世界は悪意で満ちているーーー

(なあ麻央、麻央はお父さんとお母さん、どっちについてくる?もちろんお父さんだよな?)
(何言ってるの?お母さんよねぇ)

(こいつがいれば金に困ることはない……。絶対俺が手に入れてやる)
(この子は、麻央は金の卵を産むニワトリ……絶対に渡すものか)

(さぁ)
(さぁ)

((お父さんとお母さん、どっちについてくる))

☆彡 ☆彡 ☆彡

「人の悪意は決してなくなることはない」
少女は呪詛のように言葉を紡ぐ。

少女の名は蜷川麻央。
星乃宮女子高等学校に通う女優。

「殺して優勝するしかないわ」
「だって、私たちを一瞬にして集め、殺し合わせる相手に敵う訳がないじゃない」
既に麻央は主催者に反抗することを諦めている。
メフィスとフェレスに立ち向かうのは愚かでしかないとーーー

「だけど……」
(おそらく、白井みたいに正義漢ぶってメフィスとフェレスの双子に対抗する勢力ができるはず……)

「……大嫌い」
白石陽菜子ーーー正義漢ぶって正義のみかたごっこをするお気楽の仮面を被る女。

(もし、あいつが参加しているのなら、再オーデションをするまでもないわ。ここで絶対に捻り潰す)

「悪意こそが人間の本質……人間は悪意の中で悪意を撒き散らすことでしか生きていけない」
「善意で接しても裏切られるだけ。居場所を奪われていくだけ」

麻央はケツイしたーーー

「それなら、私は私のやり方で自分の世界を守る。悪意を全部呑み込む、悪意そのもになってあげる!」
この世の悪意を知った少女はこの平安京に悪意を巻き散らかすーーーーーそれことが絶対の真実だから

【蜷川麻央 @BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:あいつ(白井)のような正義漢ぶる参加者の信念を崩壊させ、自分が優勝する
1:表向きは対主催として行動をする
2:対主催メンバーの輪に入り、頃合いを見て、悪意を撒き散らして絆を崩壊させる
3:あいつ(白井)が参加者に中にいたら必ず自分の手で捻り潰す
[備考]
※参戦時期は第7章にて脚本の読み合わせでの後


212 : 悪意と煙草の縁 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/27(火) 18:20:43 wlKUyaSk0
☆彡 ☆彡 ☆彡

悪意を見て絶望した者もいれば、絶望しない者もいるーーー

紅き血染めの月を眺める男。手にはーーー

シュボッ!
ー俺は煙草に火を付けたー

まず、観光案内所を見る限り、どうやらここは日本の平安京らしい。
が、今の日本の平安京ではないだろう。
日本は諸外国からは平和ボケした国と見下されがちだが、法治国家でありG7の一国。
いくら、政府が関わったとしても一都市を丸ごと使った殺し合いを開催することはまず、不可能だ。
平安京を模している、と見ていい。

フゥー……煙が唇から空へ上昇していくーーー

男の名は神宮寺三郎。
新宿歌舞伎町で探偵事務所を開いている。
事務所所長にして探偵。
事件を解決する過程において様々な悪意と直面しながらも絶望することなく解決していった探偵。

(メフィスとフェレス……ドイツのファウスト博士と契約をしたという悪魔がメフィストフェレスといったが……騙っているのか、本物なのか……)

シュボッ!

ー俺は煙草に火を付けたー

普通なら、大規模の賭け事が関わっている組織の一員でメフィストフェレスを偽名に選んでいると考えたいが、あの双子の少女が、本物の悪魔メフィストフェレスなら、殺し合う場所の用意に多数の参加者の拉致、爆弾首輪の用意が可能ではないかと考えられる……が、そんな物語のようなことがあるのか?

フゥー……煙が唇から空へ上昇していくーーー

(とにかく、まだ情報が余りにも少ない。他の参加者と接するしかないか……)
神宮寺は他の参加者から情報を収集しようと決めた。
そのときーーー

「なぁ、よければ、オレにも一本譲ってくれないか?」

神宮寺が言葉に振り向くと、そこには、煙草とは無縁に見える女の子がいた。

どうする。

  見る
  話す
→タバコを吸う

……今は煙草を吸うより、目の前の少女と話すべきだろう

「君は……?」
神宮寺の尋ねに女の子は自己紹介する。

「……僧間理亜」

「……」
(どう見ても、未成年にしか見えない。それにその金髪は……)

「未成年に煙草は体に毒とわかっているか?」

「チッ、うぜぇ……ああ。そんなこと分かっているよ。だけど、吸いたいんだ。オレが「オレ」でいるために」
「……たのむ」
言葉遣いはけっこう……いや、かなり乱暴だが、少女の真剣な顔に神宮寺はーーー

「……一本だけだぞ」
神宮寺は少女に煙草とライターを渡す。

「……ありがと」
少女は煙草とライターを受け取るとーーー

シュボッ!

フゥ―……

「……」
手慣れてるな……おそらく、喫煙は常習だろう。
神宮寺は理亜の煙草を吸う仕草を観察して、少女が煙草を日常的に吸っているのだと推測した。

「……煙草、譲ってくれたのは感謝するけど、女の顔をジロジロ見るのは、気持ちわるいぜ?」
理亜はライターを返しながら、神宮寺にチクリと注意してきた。

「ああ……すまなかった」
(流石に、少女の顔をじっと見るのは、よくない……か)
神宮寺は反省の言葉を言うと同時に返されたライターを受け取りーーー

シュボッ!

ー俺は煙草に火を付けたー

別に女性が煙草を嗜むのをダメだというつもりはない。だが、未成年……それも少女が煙草を吸うのは大抵2つに分かれる。一つは大人や社会に対する反骨心。そして二つ目はーーー
この理亜という少女……髪は地毛ではなくカツラだな…ということは……

(この少女はおそらく……)
なんとなく、神宮寺は気づいた。
(しかし、ここでは指摘するのはやめておこう……)
まだ、俺はこの理亜という少女と深く関係はできていないためーーー
その状況では、これは、踏み込むには重い問題だーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


213 : 悪意と煙草の縁 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/27(火) 18:21:33 wlKUyaSk0
神宮寺に話しかける前 ー僧間 理亜 ー

平安京を不満げな顔で歩く少女ーーー
「……」
ふと、歩みを止めると紅き血染めの月をキッ!と睨むーーー
(クソ最悪だ……)
人の死を「道具」や「イベント」にする。
オレが一番嫌いなことをよりにもよってオレにさせるなんて……

少女の名は僧間理亜。
市立ノーブル学園に通う女学生。

「あのメフィスとフェレスとかいうガキ達は絶対に許さねぇ」
メフィスとフェレスの生殺与奪の権は自分達にあると放った傲慢。
理亜は到底、受け入れるわけにはいかない。

(オレは……ここで死ぬわけにはいかないんだ)
理亜には、目標がある。
死ぬ前にどうしても果たしたい。
理亜には、時間がないのだーーー

「チッ……ねぇか……一服したい」
理亜は喫煙癖がある。
残念ながら手元に煙草はなかった。

「ん?」
ふと、目にしたのは煙草を吸っている男の姿が見えた。

(はぁ……見た感じ、ちょっとおっかないけど、背に腹は代えられない……か)

殺し合いをさせられているのに、煙草に火を付ける余裕があるのなら、話しかけても直ぐに殺しにかかりはしないだろうーーー
理亜はそう決心すると、男に近づきーーー

「なぁ、よければ、オレにも一本譲ってくれないか?」

☆彡 ☆彡 ☆彡

フゥ―…
フゥ―…
神宮寺と理亜は互いに無言のまま煙草を吸う。
その光景は殺し合いの舞台とは到底感じさせないーーー

やがて、両者とも、吸い終わった。

「ポイ捨てはマナー違反だ。ここに捨てろ」
神宮寺は自らが吸った煙草を携帯灰皿に捨てると、理亜へ捨てるよう手渡した。

「さんきゅ」
理亜もそこへ吸い切った煙草を捨てるとーーー

「おっさんの名前、そういや、聞いていなかった」
「……神宮寺三郎」
理亜の言葉に神宮寺も自己紹介する。

「ふ〜ん、……よろしく、ジン」

神宮寺と理亜……煙草の縁ーーー🚬

【神宮寺三郎 @探偵神宮寺三郎シリーズ 】
[状態]:健康
[装備]:マルボロセット 携帯灰皿 ライター
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:
1:理亜と行動を共にする
2:首輪の対処できる方法を探す
[備考]
※参戦時期はGHOST OF THE DUSK をクリア後
※メフィスとフェレスは本物の悪魔なのではないかと推理しています。

【僧間理亜 @金色ラブリッチェ 】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰り、人生の目標を達成する
1:ジンと行動を共にする
2:自分用の煙草が欲しい
[備考]
※参戦時期は共通ルート中


214 : 悪意と煙草の縁 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/27(火) 18:21:46 wlKUyaSk0
投下終了します。


215 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/27(火) 23:44:58 7Rm.Evc.0
投下をします


216 : 時給高すぎ ◆0EF5jS/gKA :2021/04/27(火) 23:48:27 7Rm.Evc.0
生存をかけた戦いの場になった平安京に一匹、
猫のような生物がイラつきながら歩いていた。

その生物の名はギャベー。おわりの3匹のなかでも
最強クラスの戦闘力を誇るヤッカイモンである。

そんなギャベーだが彼は非常に憤りを感じていた。

あの少女たちは何の権利があって俺をこんな場所に召還したのだ。

この俺に奴隷につけるような首輪なんて勝手につけやがって、
俺を雇う時給は本来8億だが5000兆にでも引き上げてやろうか。
だいたい支配者タイプの俺に命令すること自体がおかしすぎる。
普通は逆だ、支配者タイプたる俺こそに命令権利があるのだ。

あーだんだんムカついてきた、もういい
こんな平安京は「地獄の業火」で焼き尽くしてくれるわ。

ギャベーは顔に力を激しくこめて地獄の業火を
吐き出し周囲を焼き尽くした!…が、

おかしい「地獄の業火」威力が大幅に下がっている。
本来ならばラスボス(たぶんククイ博士?)すらも
一撃で倒すほどの威力があるのに。

これではせいぜいそこら辺のぬしポケモンの体力を
半分くらいにする程度ではないか、
これもあの子娘どもの仕業なのか。
どこまでもストレスをためる真似をする奴らだ。

高過ぎる時給ゆえに石油王くらいしか扱えない俺に対して
こんな仕打ちをするとは、よかろうこれは挑戦状だな。

いいだろうもはや時給はいらねぇ
払うべき代金は俺をこんなところに無許可で召喚した奴らの命だ。

ギャベーは主催たちにケツの穴に
大根をぶち込まれた時のような絶望感と苦痛を叩き込むことと
こんな真似をしでかしたことを
必ず後悔させることを気高き己の魂に誓ったのであった。
そのためにはます首輪をどうにかしなくてはならない
ギャベーは勢いよくダッシュし始めた。

余談だがギャベーの本体は尻尾のおっさんである。

【ギャベー@おわりの3匹】
[状態]:健康、主催への憤り(大)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・行動]
基本方針:主催をぶち倒す。
1:まずは首輪をどうにかしたい。
※その他、備考
制限により、技の地獄の業火が弱体化しています。


217 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/27(火) 23:48:53 7Rm.Evc.0
投下するのは以上です。


218 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/28(水) 01:00:16 Cs1bAsa60
投下をもう一回します。


219 : 悪夢はどこまでも ◆0EF5jS/gKA :2021/04/28(水) 01:05:06 Cs1bAsa60
バイドとは、
人類が生み出した悪夢。
覚めることのない悪夢。
…バイドとは…



あらゆる存在への浸食を可能をとし、全ての存在に伝播し、
その数を方量なく永遠に増えゆく悪夢。
猛烈な攻撃衝動と極めて排他的な習性を持ち
人類を出現の度に絶体絶命に追いやる悪夢。
平行の世界すらも含めた多岐にわたる次元に伝播していく悪夢。
それが人類の創造した悪夢、バイドである。
そのバイドのニ種が暗紅の月が禍々しく照らす殺し合いの戦場に出現した。

1つの巨大な肉塊のあちこちにあるアワビを彷彿とさせる穴から筒状の触手をはやし、
上部に一瞬露出するコアに首輪を付けた、
見た者の生理的嫌悪感をひたすら掻き立てる体貌の地球外生命体が佇立している。
名はゴマンダー、大型バイドの一種である。

ゴマンダーはその場から行動することが不可能かつ
あらゆる物質を滋養として取り込み限度なく成長するバイドである。
過剰な成長による死滅を防ぐべくゴマンダーはあるバイドを寄生させている。
寄生しているバイドはインスルー、超硬質金属にバイド体が付着して誕生したヘビ型の大型バイドである。

このインスルーがゴマンダーのエネルギーを適度に消費することで自滅を阻止している。
インスルーもまた戦闘で負ったダメージをゴマンダーのエネルギーを内部から吸収することで素早く再生する。
このようにゴマンダーとインスルーは共生関係にあり実質二体で一体のバイドである。
ゴマンダーとインスルーは首輪を付けられたが、
いかなる場所に存在しても、
いかなる状況に陥っても行動、習性、本能も変わらない。
ゴマンダーは適度に成長し、インスルーは本能のままに攻撃する。
それだけのシンプルな行動のみである。

【ゴマンダー@R-TYPE】
[状態]:健康
[道具]:なし。
[思考・行動]
基本方針:成長
1:適度に成長する。
※その他、備考
首輪は上部の青色のコアに装着してあります。
首輪が破壊されたらゴマンダーは制限により消滅します。
もう一つの制限により成長には限界があります。
直接触れた場合に対象がバイド化するかもしれません。
しかし制限によりバイド化する確立は低めです。
ゴマンダー本人は制限にまだ気づいていません。

【インスルー@R-TYPE】
[状態]:健康
[道具]:なし。
[思考・行動]
基本方針:攻撃衝動に身を任せる。
1:敵を攻撃する。
2:ダメージを受けた場合はゴマンダーにもぐりこみ回復する。
※その他、備考
首輪による制限で首を切断または首輪を破壊されたら消滅します。
直接触れた場合に対象がバイド化するかもしれません。
しかし制限によりバイド化する確立は低めです。
インスルー本人は制限にまだ気づいていません。


220 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/28(水) 01:05:42 Cs1bAsa60
投下は以上です。


221 : ◆OmtW54r7Tc :2021/04/28(水) 19:58:41 HYmQUAvA0
投下します


222 : 歪んだ忠誠心 ◆OmtW54r7Tc :2021/04/28(水) 19:59:22 HYmQUAvA0
「これでいい」

エビルプリーストは、たった今殺した人物の死体を眺めながら呟いた。
その死体は、ピンク髪のエルフの女性のものだった。

「ロザリー…貴様は、ピサロ様にとって邪魔な存在であった」

エビルプリーストは、元の世界で人間に彼女を殺させることでピサロに人間への憎悪を植え付け、彼を真の帝王たる存在へとしようとしていた。
しかし、それを実行する前にエビルプリーストはこの殺し合いに招かれた。
しかもロザリーと共に、だ。
そして運よく殺し合いが開始してすぐにロザリーと出会ったエビルプリーストは、彼女を自らの手で殺したのである。

「当初の予定とだいぶ違うが…これで、ピサロ様を真の帝王たらしめることができる」

計画はこうだ。
まず、このロザリーの死体は殺し合いが終わるまで持ち運ぶ。
幸い配布されたデイバックは大きさに関係なく物が入るようなので、死体一つ入れるのも問題ないはずだ。
そして、殺し合いから脱出して元の世界に帰った後、ロザリーの死体を見せ、こう説明するのだ。

『私とロザリー様は最後の一人になるまで殺しあうという奇妙な催しに参加させられていました。ロザリー様は殺し合いをよしとせず他の参加者と協力しようとしていたが、人間は殺し合いへの恐怖心からロザリー様を殺したのです』

ピサロ様が自分の話を信じてくれるかという懸念はあるが、そこは話術でどうにかしてみせる。
ともかく、これでピサロ様は愛や情などという魔族の王には不要なものを捨て去り、冷酷さや憎悪を持った、魔族の王にふさわしいお姿になってくれることだろう。

「ロザリーとロザリーの荷物はデイバックの中に入れた。これからどうするか…」

殺し合いを脱出した後の計画はまとまった。
今度は、この殺し合いでどう立ち回るかを考える必要がある。
この殺し合いを仕組んだ連中は、魔族の大幹部であるこのエビルプリーストを攫ってのけた。
それなりに強大な勢力と考えていいだろう。
つまり、ピサロ様の脅威になる可能性がある。
潰しておく必要があるだろう。
とはいえ、自分一人の手では倒すのは容易ではないかもしれない。

「ロザリーのような参加者がいるということは、この殺し合いに呼ばれた連中の中には、主催に反抗するものもいるはず…」

ならば、そいつらと手を組み、利用する。
これが、今取れる最善の手だろう。
手を組むにあたって、ロザリーの死体を運ぶのは不都合があるかもしれないが、もし死体を見られたとしても、『見つけた時には死んでいた。主君の大切な人なので元の世界に帰してやりたい』とでも説明すれば、納得してくれるだろう。

「待っていてください、ピサロ様。このエビルプリースト、必ずやピサロ様の障害になる者達を潰し、あなた様のもとへ帰ります。そして、ロザリーの死体を手土産に、あなたを真の帝王へとしてみせましょう」

エビルプリースト。
たとえ歪んでいようとも、その忠誠心は本物だ。


【ロザリー@ドラゴンクエスト4 死亡】

【エビルプリースト@ドラゴンクエスト4(FC版)】
[状態]:健康
[装備]:てんばつのつえ@DQ4
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2、ロザリーのランダム支給品1〜3、ロザリーの死体
[思考・行動]
基本方針:主催を倒して元の世界に帰り、ピサロを真の帝王にする
1:主催打倒を掲げる者を見つけ、利用する

【てんばつのつえ@ドラゴンクエスト4】
神の怒りを封じ込めた聖職者用の杖。
道具として使うとバギマが発動する。


223 : ◆OmtW54r7Tc :2021/04/28(水) 19:59:56 HYmQUAvA0
投下終了です


224 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/29(木) 00:11:01 8gh03hvg0
企画主です コンペ期間まで残り1週間となりました
コンペ期間は5/5まで というよりも正しくは5/6の0:00までです

色々と誤解のある書き方になってしまい申し訳ございませんでした
候補作はまだ募集していますのでどしどし投下して下さい


225 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 11:28:49 jrjVoD4M0
コンぺ期間承知しました。
色々とコンペを投下していますが、出来る限り、盛り上げることができたらと思っております。

投下します。


226 : エンジョイ・サッカー・老騎士 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 11:32:45 jrjVoD4M0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

「……」
ゴーン ゴーン ゴーン

金剛力士像を具現化させているかのようなオーラをひしひしと発している少女がいた。

少女の名は周防すみれ。
埼玉県蕨市の蕨青南高校の女子サッカー部に所属している。
ポジションはフォワード。背番号は10。

(…………)
そう、すみれが所属している蕨青南高校サッカー部は変革をしたとき。

(………………!!!)
選手権埼玉予選、予選リーグ第2戦を新生ワラビーズ初勝利で終え帰宅していたはずが、気が付けば殺し合いの平安京へ誘われていた。

「絶対に地獄へ堕とす!」
すみれは、メフィスとフェレスを許さない。
選手権という大事なときに殺し合いを命ずるメフィスとフェレスを。
死者の魂を弔う寺の住職の娘としても。

「いやっほー!」
「……」
ケツイしたすみれに突然、現れて話しかけてくる少女。
余りのハイテンション。

「あれ?聞こえなかったのかな?いやっほー!」
ハイテンション娘はもう一度、挨拶をした。

「あなたは……」
「うーん。暗いなぁ〜……まっいいや!7がみっつで、ラッキーセブンの777ちゃんだヨ!」
すみれの言葉に少女は両手をガバッと開きながら自己紹介する。

少女の名は777.
異世界「辺獄」に住む人型の幽鬼。

「ねぇねぇ、777は自己紹介したよ!あなたの名前は?」
「……周防すみれ」
777の元気溢れる自己紹介に比べ、すみれの自己紹介は淡々としていた。

「すみれ、よろしくネ」
「……」
777は握手しようと手を差し出すが、すみれは黙ったままそれを見つめる……

「ん?どうしたのすみれ。もしかして、握手しらないの?」
「……今の状況をわかってる?」
殺し合い……赤の他人を信じるのは命を縮める行為ーーー
すみれは、能天気に話しかける777に呆れる。

「え?知ってるよ。殺し合いでしょ?」
777はそんなこと知ってるけど、それが何?といった様子だ。

「ねぇねぇ、すみれは、はっぴーな気持ちになってる?」
「……ハッピーなわけない」
当たり前だ。

「777も、のーはっぴーだヨ……」
「……」

「じゃあさ!じゃあさ!777と「ねぇ」」
777が話している最中にすみれは口を挟む。

「……どうして、私にそこまで構うの?」
殺し合いをさせられているというのに、まだ知りあって間もない自分にそこまで構ってくる777にすみれは疑問を解消できないーーー

「それはー、えんじょいでえきさいてぃんぐにすみれと遊ぶためだヨ♪」
それは、本当に打算なき言葉。
本気で777はすみれと遊ぼうと思っているーーー

「殺し合いなんて、777は楽しくないヨ」
「……」

「お嬢ちゃんがた、ちと、話をしてもよいかの?」

「……」
「なぁ〜に。おじいちゃん。777とすみれに用があるノ?」

すみれと777に話しかけてきたのは一人の老騎士。
老騎士バルド・ローエン。
人民の騎士。

「うむ」

☆彡 ☆彡 ☆彡


227 : エンジョイ・サッカー・老騎士 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 11:33:20 jrjVoD4M0
ー777とすみれに話しかける前ー バルド・ローエン

(まったく、妙なことに巻き込まれたのぉ……」
紅き月を眺め、ぼやきながら歩く、バルド。

(アイドラ姫……スタボロス……儂は)
脳裏に浮かぶのは、敬愛する姫と愛馬ーーー

仇敵であるカルドス・コエンデラが仕掛けた陰謀を終わらせ、自由気ままに旅を続けようとしたバルドだが、メフィスとフェレスによる殺し合いに誘われ、旅は中断となったーーー

(最後の一人になるまでの殺し合い……か)
剣を【人民】に捧げた己が民を……人を殺す見世物に参加させられるとはなんとも皮肉が効いているーーー

(どうもこうもあるまい……生きている以上死ぬまでいきるだけじゃ)
当然、バルドが取る道はただ一つ。メフィスとフェレスを討つ。それだけだーーー

(ん?あそこにおるのは……)
バルドの視線の先に見えるのは2人の少女ーーー

(見たところ。殺し合いに乗っておるようには見えぬ……ふむ。情報収集も兼ねてみるか……)
バルドは2人の少女に接触を図るーーー

「お嬢ちゃんがた、ちと、話をしてもよいかの?」

生きるままに生き
死ぬように死のうーーーーー

【周防すみれ @さよなら私のクラマー 】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰り、メフィスとフェレスを地獄へ堕とす
1:目の前のおじいさんと話をする
2:メフィスとフェレスを地獄に堕とす方法を探す
[備考]
※参戦時期は51話後

【777 @CRYSTAR -クライスタ- 】
[状態]:健康 再生の歯車の影響(小)
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:えんじょいでえきさいてぃんぐに楽しむ
1:目の前のおじいさんと話をする
2:えんじょいでえきさいてぃんぐに行動!
[備考]
※参戦時期は第4章後

【バルド・ローエン @辺境の老騎士〜バルド・ローエン〜 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きるままに生き、死ぬように死ぬ
1:目の前の2人の少女と話をする
2:騎士として掲げた証を貫く
[備考]
※参戦時期は15話後


228 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 11:33:36 jrjVoD4M0
投下終了します。


229 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/29(木) 14:28:47 V6B0wkec0
投下させていただきます


230 : 第一室長&男爵 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/29(木) 14:30:04 V6B0wkec0
「……」

赤い月に照らされし平安京。

その片隅に位置する薄暗い森の中に、一人の若い男の姿があった。


「……」

年齢は大体20代半ば程。
白いスーツと黒いネクタイを着こなしたダンディな雰囲気の漂う青年だ。

「……ここで良いか」

青年は森の中の開けた空き地のような場所につくと、
自身に支給されたデイバックを地面に下す。
そして……

「……アポロ・チェーンジ!!」

……叫びながら両腕を顔の前でクロスさせると、
青年の姿は一瞬にして全く違うものへと変化する。

純白のスーツは体にピッチリとフィットした黒い全身タイツに変わり、

その黒い全身タイツを覆うように真っ赤に燃える炎の模様が描かれた白いマントが装着され、
頭部には側面に羽飾りが、中央に銀色の矢印模様のついた真紅の兜が装着される。

右腕は三つの銃口とフェンシングで使うような細身の長剣で構成された武骨な義手となり、
左手には日輪を思わせる円形の盾が握られ、左上腕にも小さな盾が装着された。

彼の名はアポロガイスト。
東西の某大国が高度経済成長を遂げる日本を壊滅させるために設立した秘密結社
『GOD(ゴッド、ガバメント・オブ・ダークネス)秘密機関』の秘密警察第一室長にして、
GOD機関の宿敵・仮面ライダーXの好敵手である。

「……変身は問題なし、か」

アポロガイストは怪人態へと変身した自身の体を観察する。

彼が人気の無い森の中で変身した理由はただ一つ。
この殺し合いを開いたあのメフィスとフェレスなる少女達によって
『制限』がかけられているらしい自身の体と能力のチェックをするためである。


「……」

アポロガイストは右腕と一体化している三つの銃口と細身の剣で構成されている武器……
アポロマグナムの銃口を、1本の松の木に向ける。

次の瞬間……雷鳴の如き銃声が薄暗い森の中に響き渡り、
松の木の幹の中心が弾け飛んだ。

続けざまに鋭い銃声が2回轟き、松の木の幹は本来の3分の2程の太さに削れていた。

「……なるほど、威力はかなり落ちているな」

未だに銃口から煙が吹いているアポロマグナムを眺めながら、アポロガイストは冷静に分析する。

本来、アポロマグナムは一撃で戦車を破壊する程の威力がある。
だというのに、今しがたアポロマグナムに撃ち抜かれた松の木は幹が少し削れただけ……。
これはアポロマグナムの威力が本来よりも落ちている証拠だった。

「……ガイスト・カッタァァァァ!!」

続いてアポロガイストは左手に持つ日輪を象った円形の盾……ガイストカッターを
松の木に向けて投擲する。

ガイストカッターは松の木の幹に命中し、松の木は幹の中心から真っ二つに引き裂かれた。

「……こちらは異常なしか」

アポロガイストは松の木の根本に転がるガイストカッターを回収する。


231 : 第一室長&男爵 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/29(木) 14:31:49 V6B0wkec0
その時だった。

アポロガイストの後ろからパチパチという拍手の音が聞こえてきたのだ。

「!」

アポロガイストが振り向くと……
そこには裾の長いコートをまとった40過ぎくらいの白人男性が立っていたのだ。

「素晴らしい。いや、中々大した力だな」

「!」

拍手をする白人男性に、アポロガイストはアポロマグナムについている細身の剣の切っ先を向ける。

「おっと、待ちたまえ。私は君と戦おうとは思っていないし、殺し合いにも乗るつもりはないよ」

喉元に剣を突き付けられているというのに、白人男性は慌てる様子も冷や汗も見せずに
冷静に両手を顔の横に挙げて戦う意思がないことを示した。

「……本当だろうな?」
「あぁ、もちろんだとも。なんならこれでどうだい?」

警戒を緩めないアポロガイストに対して、白人男性は自身に支給されたデイバックを投げ渡した。

「……コートの中に隠し物があるかもしれない。コートもよこせ」
「疑り深いなぁ」

多少の文句を言いつつも、白人男性は素直に着用しているコートを脱いでアポロガイストに投げ渡した。

「ほら、これで信用してもらえるかな?」
「……」

得意げに首をかしげる白人男性の姿に、アポロガイストはようやくアポロマグナムを下ろし、
変身を解いて白いスーツと黒ネクタイの人間態へと戻った。
その様子を見て白人男性は「ヒュ〜♪」と口笛を吹いた。

「一応言っておくが、信用したわけじゃないぞ。この姿の方が交渉しやすいからな」
「懸命な判断だな」

白人男性は両手を上げながら肩をすくめた。
どことなく相手を小馬鹿にしている感じがした。

「自己紹介が遅れたな。私はヘルムート・ジモ。正式には『ヘルムート・ジモ男爵』で、
『ヘルムート・ジモ元・大佐』だ。君は?」
「……アポロガイスト。GOD秘密警察第一室長だ」


☆☆☆


白人男性……ヘルムート・ジモとアポロガイストは森の中の空き地に腰を下して
情報交換を開始した。
しかし……

「GOD機関……仮面ライダーX……初めて聞くなぁ」
「アベンジャーズにサノス、指パッチン……聞いたこともないな」

……お互いにお互いの出し合った情報に混乱していた。

ジモによれば、今から5年前に『サノス』という異星人によって人類の半分が消滅した『指パッチン」
という事件が起き、超人的な能力を備えたヒーロー達の集団『アベンジャーズ』
によって消滅した人類が戻ってきた、とのことだったが、
アポロガイストにとっては全く聞いたことのない情報だった。

それはジモも同じで、ジモは『ヒドラ』という非合法組織に属していたにも関わらず、
東西の大国が創設した組織であるGOD機関の事も、
その宿敵である仮面ライダーXの事も全く知らなかったのだ。

その上……

「つかぬ事を聞くけど、今は西暦何年だか分かるかい?」
「?1974年に決まってるだろ?」
「……私の記憶だと、今は2023年の筈なんだが」
「……何?」

……なんと、時間の認識まで半世紀近くも誤差があったのだ。

一体どういう事なのか?

普通ならば、ウソを言っているか頭がおかしいかのどちらかだと考えるのが普通だが、
殺し合いという状況でおとぎ話のような嘘をつく必要などないし、
ジモは目の前でアポロガイストが変身する瞬間を目撃している。

そこでアポロガイストはある仮説を立てた。


232 : 第一室長&男爵 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/29(木) 14:32:15 V6B0wkec0
「まさかとは思うが……あの少女達はタイムマシンのような物でも持っているんじゃないだろうな?」
「ふむ。なるほど……少々突拍子もないが、可能性としてはあり得ない話じゃないな」

ジモとアポロガイストの間で時間の認識が半世紀以上も誤差があること、
お互いの持つ情報に全く聞き覚えが無いこと、
そして、殺し合いの会場が1000年以上昔の日本の首都・平安京であること……。

主催者であるあの双子の少女達が、タイムマシンのような時間移動が可能な機械、
もしくは技術を持っているのであれば、辻褄が合う話だった。

「まぁ、今はどうでもいいか……」

ジモとの情報交換を済ませたアポロガイストは、
自身のデイバックを手にして立ち上がった。

「一つ聞きたいんだが、君はこれからどうするんだい?」
「生きて総司令の下に帰還し、Xライダーと決着をつける……と、言いたいところだが、
もうすでに2回も敗北している身だからな」

アポロガイストは以前、仮面ライダーXと戦って敗北し、
右手に仕込まれたアーム爆弾で心中しようとして失敗し、一人だけ死亡した。

その死を惜しんだGOD総司令の計らいで強化再生処置を施されて復活したは良いものの、
その再生手術の効果は一か月しか持たず、
死期を悟ったアポロガイストはXライダーに最後の戦いを挑んだが……またしても敗北した。

そして、気づけば五体満足な状態で殺し合いに参加させられたという訳だ。

宿敵との戦いに一度ならず二度までも負けるような人材を、GODは必要としない。
例え勝ち残って総司令の下に戻ったところで、
『役立たず』として処刑される未来しか残ってはいないだろう。

かと言って、『優勝者の願いを叶える』という甘い言葉に従って無駄な殺戮を行うのは
アポロガイストのプライドが許さなかった。

「そういうお前はどうするんだ?優勝して、死んだ家族でも生き返らせてもらうのか?」
「ふむ、そうだな……」

アポロガイストからの問いかけにジモは遠い目をする。

かつてジモはアベンジャーズのヒーロー達の起こした事件の巻き添えで家族を失い、
アベンジャーズを内部崩壊させることで復讐を果たし、今は刑務所に服役中の身だという。

そんな男にとって、『優勝者の願いを叶える』という主催者の言葉は甘い誘惑の筈だが……

「……いや、あいにく興味はないよ。人間を大量に浚って殺し合いを強要するような奴らが、
素直に優勝した者の願いを叶えるとは思えないし、例え本当に生き返らせてもらえたとしても
君のようにサイボーグとしては嫌だしね」
「……懸命な判断だな」

ジモの返答にアポロガイストは口角をあげる。

「すると……俺たちはお互いに目的の無い者同士ということか」
「そういうことだね」

ジモとアポロガイストは空を見上げる。

暗い夜空には血のように赤い月が怪しく輝いていたのだった……。


233 : 第一室長&男爵 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/29(木) 14:32:35 V6B0wkec0
【アポロガイスト@仮面ライダーX】
[状態]:健康、人間態
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:死ぬ気はないが、優勝して叶えたい願いもない
1:Xライダーと今度こそ決着をつけたいが、もう2度も負けているしなぁ……
2:総司令の下に戻っても、『役立たず』として処刑されそうだし……
[備考]
第21話『アポロガイスト最後の総攻撃!!』でXライダーに敗北した直後からの参戦。
怪人態は再生アポロガイストです。
アポロマグナムの威力が一般のライフル銃レベルまで落ちています。
ジモからMCU世界の情報を得ました。
メフィスとフェレスの二人がタイムマシンのような機械or技術を持っているのでは?
と考えています。

【ヘルムート・ジモ@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:死にたくはないが、殺し合いに乗る気もない
1:仮面ライダーにGOD機関……アベンジャーズ以外にも超人が?
[備考]
『ファルコン&ウィンターソルジャー』第5話でラフト刑務所に収監後からの参戦。
アポロガイストから仮面ライダーXとGOD機関の情報を得ました。
メフィスとフェレスの二人がタイムマシンのような機械or技術を持っているのは?
と考えています。


234 : 第一室長&男爵 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/29(木) 14:32:50 V6B0wkec0
投下終了します。


235 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/29(木) 17:39:18 glK947T60
投下させていただきます。
先に言っておきますと、この間の様に余所様の動画からキャラクターをお借りしております。
問題がございましら破棄して頂いても構いません。


236 : 赤黒い空の下で彼女は輝けるか ◆bLcnJe0wGs :2021/04/29(木) 17:40:30 glK947T60
──ふと気がつくと、非現実的な景色の広がる場所にいた。

最初は何があったのかと不安になっていたが、その中で現れた少女に『殺し合いをしろ』と言われた時にはこの人生の中で一度も味わった事のなかった恐怖心と衝撃を覚えた。

そして最後の一人になれば『【どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる】権利を与え、元の世界に返してやろう』と言われた時には動揺した。

更に自分達には『首輪が填められている』と言われた為、周辺にいた人々とそれを確認しあっていると、先程の『殺し合いをしろ』と言っていた少女が見せしめとしてほぼ身動きの取れない状態になっていた人物の首輪を爆破していた他、首の下から火花を散らしていた生首もあった為、何よりも怖くなった。

まさか悪趣味なドッキリ、なんて事はないだろうと思っていたところで自分達のいた場所一辺に霧が現れ、周りの視界がどんどん霞んでゆき、ふと気付けばまた違う場所にいた。

─そんな参加者の一人である彼女がこの殺し合いの場で抱く思想とは──?

【踊ちゃん@踊】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:???

[備考]
今のところは無し。


237 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/29(木) 17:40:53 glK947T60
投下終了です。


238 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 19:58:57 jrjVoD4M0
4作投下します。


239 : 真桃太郎伝説 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 20:01:23 jrjVoD4M0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

「……」
それを眺める男がいたーーー

男の名前は阿波野大樹。
堂島組若頭補佐泰平一家組長。
阿波野を含めた3人の若頭補佐で阿波野の担当は「脅し」
「俺は……死んだはずだよな」
阿波野は自分の体を見て呟く。

そう阿波野は親である堂島宗平が雇っている大陸一の殺し屋老鬼が放った銃撃から真島を庇庇った後、殴り掛かるが殺されてしまった。

「これも、あのメフィスとフェレスとかいうガキ共の仕業ってわけかぁ」
(だと、あのガキ共は死人まで蘇らせる力があるっていうわけか……)

「ゴルフに女に高い酒……」
双子が放った「願いを一つだけ叶える権利」に阿波野の脳裏に浮かんだのは、今まで自分が味わった快楽。

「そんなもん、今の俺には必要ねぇ……」
しかし、阿波野はそれらを否定するーーー

生きていた頃の阿波野だったら、それらを求めて殺し合いに乗っていただろうーーー
生きていた頃の阿波野だったら、メフィスとフェレスの弱みを探り、脅していただろうーーー

「俺は一度、死んだ身だぁ……ここは一つ、馬鹿になるとしようかぁ」
それは、真島五郎のようになれたくてもなれなかった感情ーーー

「この拳で「てっぺん」を獲る……ムカつく奴は殴る。それが今の俺のすべてだ」

堂島組の脅し担当だった阿波野は「脅し」よりも「殴る」を選んだ。
ここでの立ち位置はまだ見えていない。

「なぁ、真島。それが男ってもんだよなぁ」
はっきりと分かるのは、背中に彫られた桃太郎が輝きはじめているということだーーーーー

【阿波野大樹 @龍が如く0 】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:馬鹿みたいに生きて、「てっぺん」を獲る
1:とりあえず、京都を観光する
2:ムカつく参加者は殴る
3:首輪の外し方ができる参加者を探す
[備考]
※参戦時期は最終章死後


240 : 龍はまた昇る ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 20:01:58 jrjVoD4M0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

「……」
それを眺める男がいたーーー

男の名前は渋澤啓司。
堂島組若頭補渋澤組組長。
渋澤を含めた3人の若頭補佐で渋澤の担当は「事務方」

(俺は……桐生に敗れて……)
次期若頭がかかった、カラの一坪を巡る堂島組のお家騒動。
渋澤は後一歩までいったが、桐生一馬……若き龍とのタイマンに敗れ、すべてが終わったーーー

(桐生の奴から受けた傷が全て治ってやがる……)
堂島の龍を賭けた死闘は凄まじく、桐生からもらった怪我は2・3日で治るようなものではなかった。

「たしか……メフィスとフェレスとかいったな……」
(あの双子のガキ……常人ではない力を持っているみたいだな……)
渋澤は己の体の状態から、メフィスとフェレスが持つ強大な力を理解する。

(最後の1人になれば、「願いを叶える権利」……か)

「いいだろう」
「今はお前らの兵隊として働いてやる……だかな」

「この殺し合いが終われば、その看板で俺はのし上がらせてもらう!」
殺し合いの優勝者という血の看板で渋澤は桐生への再戦を望むーーー

「暴力」の久瀬、「脅し」の阿波野に比べると、影が薄く思われるが、この男もまた、「てっぺん」を獲ろうとする男ーーーーー

「俺が優勝するまで待っていろよ、桐生!!!」
堂島の龍になれなかった男は、再度、堂島の龍を目指すーーーーー


【渋澤啓司 @龍が如く0 】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝して桐生と再戦して堂島の龍へなる
1:メフィスとフェレスの兵隊として殺し合う
2:利用できそうな参加者は利用する
[備考]
※参戦時期は最終章桐生一馬に敗れた後


241 : アホウ使い✖魔法使い〇 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 20:03:37 jrjVoD4M0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

「キイーッウキイーーッ! 」

猿のような声で空を浮かぶ亀がいたーーー

亀の名はカメック。
大魔王クッパが率いるクッパ軍団の中でもクッパの側近を務めるカメの魔法使い。

「早く、ぽっちゃまの下へ戻らなくてはッ!!!」

カメックは焦っているーーー
にっくきヨッシーちゃんから赤ん坊を奪えないばかりかそろそろ、主のクッパぼっちゃんーーーベビークッパが目覚める時間帯。

「このままでは、ぼっちゃまにお仕置きされる!?ひいっ!!ウキキーーーッ!!」

箒で右往左往しながら、魔法使いは飛ぶー飛ぶーー飛ぶーーー

【カメック @ヨッシーアイランド 】
[状態]:健康
[装備]:箒@ヨッシーアイランド 
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:急いで、この殺し合いを終わらせ、ぼっちゃんの下へ戻る
1:ウキキ―ッ!!(なんでもいいから、この殺し合いを終わらせる手段を考える)
[備考]
※参戦時期はヨッシーがワールド6に入った辺り
※アイランドの頃なのでまだ、マリオとの冒険上の戦いはありません。

【箒@ヨッシーアイランド】
所謂、魔法使いが空飛ぶために使う箒。
カメックはそこから、人物を巨大化する魔法をかけることができる。
ちなみに高速で相手にぶつかって攻撃をしかけることもあり、非常に危険で、一発免停処分だろう。良い子のみんなはマネをしないように。


242 : どちらが多い? ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 20:04:27 jrjVoD4M0
「バトロワ」と「パロロワ」検索数はどちらが多い?

正解は「バトロワ」 検索数 約2,650,000 件

ちなみに「パロロワ」は 約26,800 件

Google検索より引用

カ〜チコチカチ♪ カ〜チコチカチ♪ カ〜チコチカチ♪

あ〜んどう ケンサク♪

【安藤ケンサク @安藤ケンサク 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:ケンサクの知識を増やす
1:参加者と出会ったらケンサクする
[備考]
※参戦時期はばくだんサバイバル担当中


243 : どちらが多い? ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 20:04:39 jrjVoD4M0
投下終了します。


244 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/29(木) 21:06:18 glK947T60
>>236
失礼します。
こちらの投下については破棄させていただきます。


245 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 21:15:30 jrjVoD4M0
投下します。


246 : バグの獣 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 21:16:07 jrjVoD4M0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

「……グ、ゴガギギ……」

奇妙な唸り声を上げるライオンの鬣を彷彿させる黒い狼がいたーーー

正確にはバグの集合体ーーー
その名はゴスペル。
ゴスペル首領・帯広シュンが結果的に産みだした究極のバグ融合体。

なぜ、結果的なのかというと、本来、彼は最強のナビと噂されるフォルテを量産することを目的としていた。
自分を追いつめた光熱斗とそのナビ、ロックマンを倒すため、サーバーの出力を上げた結果、産みだされたのがゴスペルである。

「グオオオオォォォオオオ!グオオオオォォォオオオ!」
ゴスペルは何度か雄たけびをした後、なんと!頭がドリル状に変化すると、直線状の数多の建物を粉々に破壊したッ!!!!!

「ギグ・ガゲゴ・・ゴ」

破壊を終えると、ゴスペルは新たな場所へ移動を開始する。
それは、狂暴な獣の如くーーーーー

【ゴスペル@ロックマンエグゼ2 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:
1:……グ ゴガギギ……(全ての破壊)
[備考]
※参戦時期はサーバーの出力で生まれた直後
※口を開いた状態のときにしか攻撃は通りません。


247 : バグの獣 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/29(木) 21:16:25 jrjVoD4M0
投下終了します。


248 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 05:56:52 qBTXby7E0
いくつか投下します。


249 : IT’ SHOW TIME! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 05:57:29 qBTXby7E0
「IT’ SHOW TIME!」

【怪盗R(ラルフ) @リズム怪盗R 皇帝ナポレオンの遺産 】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いを盗み、メフィスとフェレスの企みを阻止する
1:この殺し合いを盗む(優勝者で終わらせない)
[備考]
※参戦時期はED後
※名簿には怪盗Rとしか表記されていません。


250 : BattleHAZARD ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 05:59:27 qBTXby7E0
平安京に紅き血染めの月が浮か「ウオオオオオオオッ!!!!!」

ーーー狂気に染つつも理性をなんとか保ち、男は頭を抱えながらフラフラと大声を上げて歩いている。

「オオオオオ!!!……ハァ……ハァ……これも…・…神の……導き」

男の名はジャック・ノーマン。
テロ組織「ヴェルトロ」の指導者。

「優勝……すれば……ねが…ヌォォォオオオオ!!叶えられる……」
ジャックの願いは同じテロへ殉じた仲間の復活。

しかし、ジャックの体はすでに限界を迎えている。
用意された船「クイーンディード」と共に海の藻屑となるのも時間の問題だ。

ーーーある一念で正気をなんとか保っているのだ。

「虚飾にかどわかされた不義はこの身を異形と化して己への咎としよう……」

「ごほっ!ごほぉぉおおお……モルガンよ……優勝した暁には貴様に地獄を見せてやる」
己をメンバーを崇高なるヴェルトロを欺いたモルガン・ランズディールへの復讐のみ!!!

「おお!ヴェルトロ!!崇高なるヴェルトロよ!!!私が優勝するのをその血染めの月から見守っていてくれぇぇぇぇえええええ!!!!!!」

ウイルスに満たされた狂気のテロがここ、平安京に巻き散らかされるッッッ!!!!!!

【ジャック・ノーマン @BIOHAZARD REVELATIONS 】
[状態]:ウイルスに満たされている
[装備]:
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝して、ヴェルトロのメンバーを全員蘇らせて、モルガンへの復讐を執行する
1:目にした全ての参加者の鏖
2:ヌォォォオオオオォォォオオ!!??
[備考]
※参戦時期はジル達と戦う前
※力を解放すると、アビス完全体へ変化します。


251 : はにいが如く ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:00:08 qBTXby7E0
「しぬとは,なにごとじゃ! でなおして,こい!」

ーーーーーーーー

紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

空を悠然と飛ぶハニワがいたーーー

ハニワの名ははにい。
彼が仕える神イザナギに使命を託された自立思考型ハニワ。

はにいは、任務の失敗したとき、上記の台詞で叱られてしまった。

そのために彼はヒミツのパスワードを使用した。

「ふえいすの はにいいんざす かいはよい」ーーーと。

これで任務が果たせるーーーはにいは、安堵したが、次に開始されたのは、見知らぬ都で行われる殺し合い。

はにいは、急ぐーーーこのままでは、使命を果たすことが出来ず、また叱られてしまうーーー

ゆえに、はにいは急ぐー急ぐーー急ぐーーー

【はにい @はにい・いんざ・すかい 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:急いで元の世界へ戻る(戻れるなら、優勝でも構わない)
1:急いで元の世界へ戻る方法を探す
2:優勝しか道がない場合は優勝へ舵をきる
[備考]
※参戦時期はゲームオーバー後、パスワードを入れた直後


252 : 三つ目の王子 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:00:45 qBTXby7E0
紅き血染めの月が頭上高く浮かぶ平安京。

「アトムの奴に邪魔されて…ひとまず身を顰めようとしたとたんに、これとはな……」

三つ目の男が空を浮かび、忌々し気に月を見つめる。

「くそっ!メフィスとフェレスといったな……舐めやがって」

男の名はシャラク。
古代ムー大陸の支配者。

シャラクは世界征服を企んだのだが、心優しきロボットーーーアトムによりその野望は打ち砕かされた。

「……」
(あの悪魔の双子め……おそらく、これは魂への干渉……ここでの死はオレの完全な死の可能性が高い……)

本来、シャラクは「ホア・カバリ・キルマの秘法」で何度でも蘇ることが可能だが、メフィスとフェレスの干渉により、この平安京での死は蘇ることができないと自身で推測するーーー

「だが、オレの野望を阻止することはできねぇ!」

「支配者はオレだ!!!」

シャラクは支配者たる者として、この殺し合いの平安京に君臨するーーーーー

【シャラク @ASTRO BOY・鉄腕アトム -アトムハートの秘密- 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝し、地球の支配者として君臨する
1:従う者は部下にして、刃向かう参加者は始末する
2:可愛い女は召使い兼婦人として可愛がる
[備考]
※参戦時期はアトムとの最終決戦に敗れた後


253 : 滾る獣 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:01:38 qBTXby7E0
紅い血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

昔は野良犬がいるのも、珍しくはなかったがーーー

「グオオォォォオオ……」

それは、野良犬ではなく、野良モンスター。

しかも、村を襲うほどの狂暴な野良モンスターーーー

「グオオォォォオオ……」

獲物を探そうと、舌から涎を出して、目は血走りーーー

「グオオォォォオオ!!!!!!」

モンスターの名はガットゥーゾ。

エフミドの丘を縄張りにする、周辺一帯のボス。

【ガットゥーゾ @テイルズ オブ ヴェスペリア 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:参加者の肉を喰らう
1:参加者を襲い、喰らう
[備考]
※参戦時期はユーリ達に討伐される前


254 : 選ばれし主人公 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:02:16 qBTXby7E0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

少女は歩く。歩く。歩くーーー

少女の世界は終わりゆく世界。

だから、少女は歩く。

世界を救うーーーではない。

次の世界に残すべきものを予言書に記すためーーー

少女は歩く。

メフィスとフェレスの殺し合いは少女の使命を縛らない。

少女は歩く。

少女の名はティア。

【ティア @アヴァロンコード 】
[状態]:健康 
[装備]:予言の書@アヴァロンコード
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:次の世界に残すべきものを探す
1:参加者と出会ったら人となりを知る(予言書に残すかどうか判断するため)
[備考]
※参戦時期は序章、旅に出た後


255 : 人に絶望した人の王 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:04:32 qBTXby7E0
紅き血染めの月が浮かぶ殺し合いの平安京。

「……」

紅月を皺を寄せながら睨みつける男ーーー

男の名はゼフィール。
ベルン王国国王。

「やはり、人の世は下らぬ」
ゼフィールは今回の殺し合いを強要する双子の言葉から確信をさらに確固たる深まりが強くなった。

「一刻も早く、世界を竜に明け渡すべきだな」
そう、ゼフィールは人の世に絶望したのだ。
父デモンズによる度重なる嫌がらせの数々。
それが暗殺に代わり、決めては父自らの毒入りワインーーー

病死を偽り、我が子を前にした父の姿は涙ではなく、笑みーーー
ゼフィールは父を弑逆したーーー

「必ずや、我が望みを叶える」

人でありながら人に絶望した王は覇道を突き進むーーーーー

【ゼフィール @ファイアーエムブレム封印の剣 】
[状態]:健康 
[装備]:エッケザックス@ ファイアーエムブレム封印の剣 封印の剣@ファイアーエムブレム封印の剣 宝珠ファイアーエムブレム@ ファイアーエムブレム封印の剣
[道具]: 基本支給品
[思考・状況]
基本方針:優勝して人の世を終わらせ竜に明け渡す
1:出会った参加者を殺す
[備考]
※参戦時期は22章 見果てぬ夢 クリア前

【エッケザックス@ファイアーエムブレム封印の剣】
エレブ大陸に伝わる神将器の一つ。
錫杖から剣へ変化する。ゼフィールはこれで攻撃するとき、体を回転させてから攻撃を行う。
そのことからゼフィールの別名は「回転王」

【封印の剣@ファイアーエムブレム封印の剣】
使い手の心を力に変える炎の紋章入りの剣。
竜に特効の効果があり、道具として使用すると体力が回復する。

【封印の剣@ファイアーエムブレム封印の剣】
封印の剣の柄に嵌め込むことで封印の剣は本来の力を取り戻す。
ちなみに「ファイアーエムブレム」で「ファイヤーエンブレム」では、ないのでご注意を。


256 : 異議あり! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:05:25 qBTXby7E0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

「はぁ…はぁ…くそ!どうして俺がこんな目に……」
一人の男が息を荒げながら走る男がいた。

男の名は山野星雄。
44歳の新聞勧誘員。
だが、空き巣常習犯の犯罪者。

「せっかく、あいつに罪を着させてやれたはずなのに!あの!細かいことをぐちぐちというクソ弁護士のおかげで……!!」
そう、この男は「殺人」という禁忌を犯したーーー
男は罪から逃れるために殺した女の彼氏を殺人犯として告発したのだ。
しかし、とある新米弁護士の手で自らの罪を暴かれ、警察に逮捕された。

「これで俺の人生は終わりかーーー」

ーーー待った!---

「けど、神様は俺を見捨ててはいなかった!」
刑務所生活の中、山野星雄はメフィスとフェレスにより誘われた。

「一人殺すのも二人殺すのも同じだよな」
男の細い目がカッ!と見開くとーーー

「いいぜ……全員、俺が殺してやる!」

殺人鬼はケツイするーーーーー

【山野星雄 @逆転裁判 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝して無罪にしてもらう
1:参加者と出会ったら共に行動して機を見て殺害する
[備考]
※参戦時期は一話で緊急逮捕された後


257 : 「ふじみ」の参加者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:06:26 qBTXby7E0
紅き血染めの月が爛々と輝くさまを主張する魔都と化した平安京。

ドスドスドスドス!!!!!重量級な足音が豪快に地面を揺らすーーーーー

音の正体はドガボン。
ビュービューヒルにあるドガボンの城の主。

「ふふふ〜、参加者はどこだっぺ?どうせ、優勝はオラなんだから、隠れるのは時間のムダだぁ!」

自信満々に優勝宣言を行うドガボン。
そう、自信に満ちるのも仕方がないかも知れない。
なぜなら、彼は「ふじみ」のドガボンの異名を持つからだーーー

【ドガボン@マリオストーリー 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝
1:参加者をやっつけて見返す!
2:オラは「ふじみ」誰にも負けない!
[備考]
※参戦時期はマリオと戦う前
※ある理由で死にません。「ふじみ」です。
※首輪はついていますが、とある理由で爆発はしません。

☆彡 ☆彡 ☆彡


258 : 「ふじみ」の参加者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:06:46 qBTXby7E0
平安京のとある部屋ーーー

薄暗い部屋に目が付いていて鮮やかなハートの形をしたものがいる……

正体は、ドガボンの心臓。

そう、それこそがドガボンが不死身であるカラクリ。
クッパが奪ったスターの杖の力で体と心臓を分離させ、魂の抜け殻となった体で活動していたため、「ふじみ」と異名がつくようになったのだーーー

「ふふふ……外で活動しているオラをいくら攻撃しても死ぬことはねぇ……この殺し合い!オラがもらったも当然だっぺ!」

心臓は高らかに笑い声を上げるーーーーー

【ドガボンのしんぞう@マリオストーリー 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品及びランダム支給品はドガボンが所持しています
[思考・状況]
基本方針:優勝
1:参加者をやっつけて見返す!
2:オラは「ふじみ」誰にも負けない!
[備考]
※参戦時期はマリオと戦う前
※しんぞうは「ふじみ」ではなく、死ぬとドガボン(体)も死にます。
※しんぞうの首輪が本物で、体だけのドガボンはダミー目的でついています。
※心臓と体が合体すると「ふじみ」ではなくなります。
※名簿にはどドガボンとしか書かれていませんので「しんぞう」の存在は他の参加者は知りません


259 : 120円の行き先はーーー ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:07:37 qBTXby7E0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

「何がなんだかわからないよ……」

泣きながら歩く少女がいたーーー

少女の名は冬子。
小学5年生。

「コンタクトがなくて、全然見えないし……」
そう、冬子は近眼なため、コンタクトがないと、全然視えないのだ。

車内で切符とコンタクト両方を無くして、探している途中にメフィスとフェレスによる殺し合いに誘われたのだというのだから、とても不幸であるといえよう。

「はうん、怖い〜」

学校帰り……ふと、初乗りをしてどこまで行けるか、知りたくなり列車に乗った少女。

120円の切符の行先は冬子が降りようとした無人駅ではなく、バトル・ロワイヤル。

冬子は無事、殺し合いと言う駅から帰ることができるのか……紅き血染めの月はただ、不気味に照らし続けるーーーーー

【冬子 @120円の冬 】
[状態]:健康
[装備]:ランドセル、リコーダー
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰る
1:はうん。怖いよ……
[備考]
※参戦時期はプロローグ、一人で切符を探していて、主人公と出会う前


260 : 回る周る廻る ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:08:53 qBTXby7E0
紅き血染めの月が高く高く浮かんでいる平安京ーーー

「これはただ事じゃないぞ」
円い球場にプロペラがついているのがくるくると廻っているーーー

そのヘリコプターを操る鳥の名はクルリン。
平和なくるりん村に住むくるんとした寝癖が特長な青い鳥。

(兄弟を探しに出発したとたん、わけもわからないことに参加することになった)
そう、クルリンはお母さんとはぐれてしまった弟や妹たち、兄弟を探しにヘリリンで出発したところをメフィスとフェレスに誘われたのだーーー

「殺し合い……」
クルリンの脳に浮かぶのは、首をとばされ殺された女の子の姿ーーー

「そんなのダメにきまってるじゃないか!おいらが人殺しなんかしたら顔向けなんかできなくなるよ!」
人を殺して元の世界へ戻ったら、家族の笑顔を見ることは出来なくなる。
ゆえにクルリンはメフィスとフェレスに従わないことを選択したーーー

「まずは、協力できそうな仲間を集めよう!絶対に殺し合いに乗らない参加者もいるはずだ!」
クルリンは行動指針を定めるとーーー

「まってて皆!母さん!!おいら、必ず元の世界へもどるからなッ!!!」

ヘリリンは廻る。クルクルと廻る。廻るー廻るーー廻るーーー

【クルリン@くるくるくるりん 】
[状態]:健康 
[装備]:ヘリリン@ くるくるくるりん
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰り兄弟を探す
1:共に立ち向かう仲間を探す
[備考]
※参戦時期はステージ1以降

【ヘリリン@くるくるくるりん】
クルリンがはぐれてしまった兄弟を探すために操縦するヘリ。
ゴールへ向かうその動きはまるで、電流イライラ棒。


261 : 下剋上だ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:09:57 qBTXby7E0
紅き血染めの月が主張する魔都平安京ーーー

「……上等じゃねぇか」

ガンつけている中学生がいた。

中学生の名は日吉若。
氷帝学園テニス部の新部長。

「殺し合いって……ふざけた催しに参加している場合じゃねぇのに」
前部長……跡部景吾から託されたテニス部を部長として引っ張っていかなければいけない中、メフィスとフェレスにより殺し合いの平安京に誘われた。

(あの……デモンストレーション。吹き飛ばされた首に血の量……ドッキリではねぇ)
日吉若は冷静沈着である。

(……てことは、あのメフィスとフェレスのチビ助共……本当に人間かよ?)
普通ならドッキリと疑っても仕方がない状況だが、彼は殺された少女の様子からこの殺し合いがドッキリではないと理解した。

「支給品に俺のラケットにいくつかのテニスボール……身辺情報はきちんと収集しているようだな」
支給品に試合に使うmyラケットが自分に支給されていることから日吉はメフィスとフェレスが意図的に自分に支給したのだと考えるーーー

「おおかた、使い慣れているテニスラケットとボールで殺せ!ってことなんだろうが……」
「そのわりに、この俺を知らなすぎるんじゃねぇか……?」
日吉の体から、静かなーーーそれでいて

「俺がここでやるべきことは当然……」

「このふざけた殺し合いへの……下剋上だ」

myラケットを片手に紅き血染めの月へ宣戦布告するーーーーー

【日吉若@テニスの王子さま 】
[状態]:健康 
[装備]:テニスのラケット テニスボールセット
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスに下剋上する
1:下剋上上等!
2:首輪の解除方法を探す
[備考]
※参戦時期は20周年記念特別読み切り新チーム「氷帝」編より


262 : ミトコンドリア ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:10:52 qBTXby7E0
紅き血染めの月が輝く殺し合いの場所と化した平安京。

「え!?日本!!??」

平安京が日本であることに驚く女性がいたーーー

女性の名はアヤ・ブレア。
ニューヨーク市警察17分署所属の新米女刑事。

「アメリカにいる私を何時の間に日本へ送ったの!?」

アヤが驚愕するのも無理はないーーー
そう、アヤはデートで観劇を鑑賞していた際、女優が歌う最中、観客の体が次々と発火をしだし、劇場内はパニックと悲鳴ーーー地獄と化していた。

犯人である女優メリッサを追いかけ、下水道まで追い詰めた時、アヤの意識は落ち、メフィスとフェレスに誘われたーーー

「ハンドキャノンはーーーあるわ」
デイバッグの中には、下水道で手に入れたハンドキャノンーーーM1911A1が支給されていた。

「とりあえず、襲われても大丈夫ね……」
(だけど……参加者の中にEveのような存在もいるのかしら?)

アヤは警官として殺人犯程度に後れを取るとは微塵も感じていない。
しかし、Eveのような明らかに人外が相手となると話は別になるだろうとーーー

「ううん。今は、そうも言ってられない!ゲームに乗るやつも必ずいるはず!!警官として私は守る!!!」
アヤはケツイを定めると、行動を開始する。

アヤの体内のミトコンドリアがドクドクと鼓動をするーーーーー

【アヤ・ブレア @パラサイト・イヴ (ps1) 】
[状態]:健康
[装備]:M1911A1@パラサイト・イヴ 弾丸セット
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスを逮捕する
1:殺し合いに乗らない参加者を守る
2:首輪の対処を考える
[備考]
※参戦時期はEveを追い、下水道にいる時

【M1911A1@ パラサイト・イヴ 】
アヤが下水道で入手した拳銃。
名前からおそらく、M1911。ハンドキャノンの愛称で親しまれている。


263 : 緋色の弾丸 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:12:04 qBTXby7E0
紅き血染めの月が主張する平安京ーーー

真言宗の総本山と知られる東寺にある五重塔の上に男が立っていた。

男の名はハリー・C・スペンサー。
元消防士で今は、復讐を誓うスナイパー。

ハリーの恋人クレアはマフィア達のニセ札事件に巻き込まれて殺された。
ハリーはCAと名乗る謎の協力者がもたらす情報を元に次々とクレアの死に関係しているマフィアを狙撃している。

いつものように、次のターゲットの狙撃の準備をしていたら、意識が落ち、気づいたら、メフィスとフェレスの殺し合いに参加させれたーーー

「日本だとッ!?」
アメリカ、ロサンゼルスのダウンタウンに住むハリーは、日本の平安京に居ることに驚く。

「あの「権利」も満更、ウソという訳ではないようだな……」
(あの双子の言葉、普通なら信じるに値しないが、今の俺には悪魔でもなんでも手を伸ばす)

クレアの復讐を果たせるなら俺は何でもする。
そう、ハリーは復讐をするときに心に決めたのだ!!!

「クレア……」

ハリーはスナイパーを片手に平安京を狙撃するッ!!!

暗い牢獄に堕ちる魂
一人だけしか生き残れない殺し合い。
おそらく、普通ではない参加者もいるだろう。
だが、俺はここで死ぬわけにはいかない。
そう、復讐を果たすまではーーーーー

NEXTステージ「悪虐執政辺獄 平安京-」

君はバトル・ロワイヤルという物語で何が見える

【ハリー・C・スペンサー @THE スナイパー 】
[状態]:健康
[装備]:スナイパー ライフル弾セット
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:優勝後、復讐を果たす(本当に叶えられると言うならクレアを蘇らせる)
1:参加者をスナイパーで仕留める
[備考]
※参戦時期は4話狂気のブルースをクリア後


264 : 科学的思考を捨ててはダメ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:13:13 qBTXby7E0
紅き血染めの月が支配する平安京ーーー

その禍々しい紅き月を物珍しそうに眺め考察している女性がいたーーー

「あれとの関連はあるのだろうか……」

女性の名は真堀 束沙。
親しい友人からはタバサと呼ばれている。

ちなみにタバサが言っている「あれ」とは空に浮かびあがった2つの月の現象のことである。

スチャ!
タバサは胸元にかけている眼鏡をかける。

「……なるほど、制限か」
そう呟くとタバサは眼鏡を外す。
そう、その眼鏡は唯の眼鏡ではない。詳しい能力はここでは割愛するが、どうやら、タバサは眼鏡に手が加えられていると即座に判断した。

「つまり、知られては困るというわけか……この段階ではまだわからないな……次に移ろう」
一度、紅き月への観察を終えると、タバサは自らの首元の首輪を撫でたーーー

「殺し合いをさせる担保となるこの首輪……これの構造を知るためには、同じのを手に入れるしかないな……」
(そうするには、死体から……が一番合理的となる)
物の構造を知るには、サンプルが一番効率良い。
勿論、入手するには殺し合いが起きることという残酷なことを理解しながらも。

「あの双子なら常温核融合反応を安定させるのも可能そうだ……あながち、あの双子の言う『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利 は本当なのかも知れない」
自分を含め、大人数を集めるだけでなく、場所の転移とタバサはメフィスとフェレスの殺し合いをさせる餌はブラフではないとタバサは結論する。

「だが、たとえ、超常現象を扱う相手であっても、科学的視点を捨てるのは愚かなことだ」
そう、この状況、メフィスとフェレスは明らかにタバサが大事にする科学的思考とはかけ離れている存在ーーー
しかし、だからと言ってタバサは化学的思考を捨てないーーー

「ふむ……この支給品とやらも興味深い……」
タバサはメフィスとフェレスなる双子がデイバッグに入れた支給品に興味津々。

「やはり、まだまだ私が知らないことは多いな」

タバサは支給品をデイバッグに仕舞い直しながらそう呟く。

「私は、もっと多くの知識を、真理を見届けたい」
それはタバサの信念ーーー

「この特異性により殺し合い……私は生き抜いてみせる」

タバサは自ら進んで行動へ移ったーーーーー

【真堀束沙@'&' - 空の向こうで咲きますように- 】
[状態]:健康 
[装備]:エリリル @'&' - 空の向こうで咲きますように-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスなる者たちを科学的視点で解明する
1:ゲームに乗らずかつ闘える参加者を探す
2:死体から首輪の入手
[備考]
※参戦時期は束沙ルートに入った後

【エリリル@'&' - 空の向こうで咲きますように-】
タバサの「知識を得たい」という願いから超常の力で生まれた道具。タバサの祖母が生前使用していた形見の眼鏡がモデルとなっている。
かけて物を見ることで物の情報などを知る事ができる。また、道具の効果や使い方を知る事もできる。生物には効果が無いが、木などは切り取れば「材木」として扱われる為探る事が可能になる。 現在はメフィスとフェレスにより制限をされており、殺し合いの根幹にかかわる物の情報はシャットアウトされている。


265 : 先が見えぬ暗雲 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:14:44 qBTXby7E0
紅き血染めの月が爛々と輝く平安京ーーー

「……」
憂いている男がいたーーー

男の名は鉄蔵。
剣道を捨てきれず、家族を捨て地下闘技場で剣道を続ける。
今組織の意向を逆らえず、八百長剣士として恥を知りながらも剣道を続けている。

「とうとう、ここまできたのか……」
(殺し合い……これは、もはや剣道とはかけ離れている)
鉄蔵はメフィスとフェレスを組織の一員と勘違いしている

(これは、外道への道……しかし)

死ぬ勇気のない自分ーーー
段々と組織の方針に従い、汚れていく自分ーーー
こんな汚い剣道でも、まだ剣道を続けたい自分ーーー

「おれは……」
世界一の剣士を志していた自分ーーー
なぜ今のような自分になってしまったのかーーー
なぜこんな生き地獄に耐えて剣道を続けているのかーーー

「おれは……」
鉄蔵は己の答えをまだ見出せぬまま殺し合いへ挑むーーーーー

【鉄蔵 @THE 剣道 〜剣の花道〜 】
[状態]:健康
[装備]:日本刀 
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝……?
1:参加者と死闘をする
2:俺は……俺は……
[備考]
※参戦時期はホセとの試合を引き分けで終わらせた後


266 : 堕ちた神 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:15:30 qBTXby7E0
紅き血染めの月が支配する平安京。

「やってくれたね……」
口調こそ穏やかだが、その実、怒りで抑えきれない神がいた。

神の名はクリシュナ。
多神連合を率いる一柱。

「この首輪はおそらく魂ごと、刻む……これで、従わせるという魂胆かな」
クリシュナは自らに嵌められた首輪を撫でながら考察する。

(こんな体など、必要ないが、ここでの死は無となる死に近いだろう……神たるボクに対する挑発!!)
クリシュナの現在の体は神によってつくられた姿ーーー
この体を壊すことも目的のため、別に爆破されてもかまわないが、【死】となれば話は別だーーー

(まったく……あのアクマどもめ!唯一神に従う愚かな下僕だなッ!!)
神であるクリシュナは、メフィスとフェレスがアクマであると看過する。
それと同時にこの殺し合いを強要する傲慢な行為は世界を宙で囲み、言葉で縛る唯一神となんら変わりはない。
ーーークリシュナは怒りに震える。

「そんな勝手は許さない……」
「ボク達は世界を救済する!神に喧嘩を売った代償は高くつくよ」
神はアクマに宣戦布告をするーーー

「さて……救世主を探しに赴くとしようか……」
クリシュナは同士を求め移動を開始するーーーーー

【クリシュナ @真女神転生IV FINAL 】
[状態]:健康
[装備]:箒@ヨッシーアイランド 
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:アクマ共に神の裁きを与える
1:救世主となりえる参加者を探す
2:自分と同じくアクマ共に対抗する参加者を仲間に引き入れる
[備考]
※参戦時期はフリンを連れ去った後


267 : ハードな記事 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:16:34 qBTXby7E0
紅き血染めの月が参加者を死出の片道切符となる平安京。

「……」

険しい顔つきをしながら思考している一人の女子生徒がいた。

女子生徒の名は橘美亜子。
ジャーナリストを目指す新聞部の部長(自称)というか、まだ正式に認められていない。

「うん!間違いないわッ!!」
ポンと手を合わせるとーーー

「これは、陰謀が渦巻いている!!!」
美亜子はこの殺し合いには、大きな陰謀があると推測する。

「彼女らの名前……メフィスとフェレス。それは、ドイツのファウスト博士と契約をしたと有名なメフィスとフェレスを名乗っている。名前を使っての殺し合い……場所が平安京となれば、金持ちたちによる見世物の可能性が非常に高いわ……」
「これは、世界に類と見ないスクープなるわ!絶対に私が記事にするわよ」
一見、軽い調子に見える美亜子だが、その瞳は深い悲しみと激しい怒りとで、けむって見える。

(拘束した女性を見世物にして殺す行為は絶対に許せない……!!)
そう、美亜子は殺し合いを記事にすることで見せしめにされた女の人の無念をはらそうとケツイしているのだ。

「それに……早く、こんなの終わらせて、元の世界へもどらなきゃ」
そう、美亜子には元の世界へ戻らなきゃならない理由がある。

今、彼女の在籍している此花学園では、殺人事件が起こっている。
死体の傍には「0」と書かれた紙が添えられていたことから、学園に伝わる死神伝説を再現している殺人事件ーーー

「藤崎さんの無念を晴らしてあげないと」
美亜子は、転校生の桃井恵と調査している最中、自分達に助けを求めてきた藤崎双葉を摩耗ことが出来なかった。
その悲しみと怒りもまだ美亜子の魂に刻まれている。
そっちの事件も解決しなければならないーーー

「必ず、この事件を解決して戻るから恵君!待っててね!!」

美亜子は捜査を開始するーーーーー

【橘美亜子 @KONOHANA:TrueReport 】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスの正体を突き止め、記事にする
1:メフィスとフェレスの正体に繋がるのを探す
2:首輪の対処を考え、探す
3:ポテチ…食べたいわ
[備考]
※参戦時期は藤崎双葉の死後


268 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:17:10 qBTXby7E0
紅き血染めの月が爛々と主張する平安京。

「大変だわ……」

?マークの帽子をかぶり、マントを羽織る少女ーーーいや妖精がいた。

妖精の名は、はてなようせい。
日本中の小学一年生を見守るようせい。

「このままじゃ、ゆうき君みたいに、多くの子に課題をだせないわ!」
今日も入学予定の一年の子に課題を出して成長への手助けするはずが、メフィスとフェレスにより誘われたーーー

「私の使命は入学する一年生の子をカッコイイ一年生へ導くこと!」

クルクルクルクル……パッ!

「私は絶対に人殺しなんてしない!見てなさい!!」

全国の小学一年生になる子供達の想いを受け継ぐ妖精が血に塗れた殺し合いの平安京に立ち向かうーーー

【はてなようせい@ゆうきのかっこいい1ねんせいにだいへんしんDVD 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:日本全国の小学一年生の下へ戻る
1:殺し合いには絶対に参加しない
2:首輪の解除方法を探す
[備考]
※参戦時期はゆうき君がかっこいい一年生になれた後


269 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:19:00 qBTXby7E0
紅き、血染めの月が浮かぶ平安京。

それを、見つめていた男ーーーシュークリームを食べつつ。

「……ゆるせませんな」

男はそういうとーーー首輪に手をかけるとーーーーー

バキッ!!!!!

なんと、首輪を外したのであるーーーー

もう一度、繰り返すが、首輪を外したのである。

その男は、鍛え上げた筋肉の握力でメフィスとフェレスの刻印首輪を外したのだーーーー

メフィスとフェレスが起動をする前に!!!!!

トラウマに刻印?それが何か?

バトルロワイアルの根底を揺るがすことを行いやがったーーーーー

その男の名はマッシュ・バーンデッド。
異常な筋肉とパワーを持った神覚者を目指すアザ無しの少年。

パロロワ殺し、参戦ーーーーー

【マッシュ・バーンデッド@マッシュル -MASHLE- 】
[状態]:健康 
[装備]:シュークリームセット
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスを地獄行きにする
1:シュークリームを食べつつ平安京を観光
2:他の参加者の首輪を外してあげる(筋力で)
[備考]
※参戦時期は47話2次神覚者候補選抜試験参加前
※筋肉と握力により首輪は外れました


270 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 06:19:23 qBTXby7E0
投下終了します。
お時間を奪ってしまい申し訳ありません。


271 : ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 16:38:45 K4LOdX/g0
投下します。


272 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 16:43:42 K4LOdX/g0
 平安京の決戦の場で。
 歴史を縦横無尽に見てきた彼女は、少し困ったような顔でつぶやいた。
「今度は京都……平安京かあ」
 サーヴァントと共に戦ってきたこの少女、マスターたる藤丸立香は、変な場所にいきなり来たり巻き込まれること自体はそこまで意外ではないと慣れていた。
 だが困ったことに、カルデアとの一切のつながりが断ち切られている。礼装もサーヴァントも無い。

 藤丸立香、裸一貫である。別に文字通りの裸ではないんやけどな、ブヘヘヘ。

 これだけで慌てるほどではないのかもしれないが、困った事態には違いなかった。なにより殺し合いを強制と言うのはさすがに酷い。
 それに微妙に今までの経験と似ているような似てないような現状で、これは逆にどういった性質のイベントとするべきか判断がしにくい。
 色々それっぽい思い当たる要素はあるが、調べてくれる仲間がこの場にいない以上どれも妄想の域を出なかった。


273 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 16:45:19 K4LOdX/g0
 藤丸はとにかく調べないことにはなんとも言えないだろうと結論を出して、とりあえず今はさっそく出会ったばかりの仲間を撫でることしにた。

「どこから来たんだ? うりうり」

 そうやって彼女がかまっているのは1頭の大型犬、ホワイトシェパードだ。参加者としての首輪がはめられてるのを見ると、どうやら殺し合いに拉致されたらしい。
 藤丸が観察した感じ、どう見てもただの犬だ。怪物でも英霊でもない。なんらかの超常的な力やエネルギーを放ってるわけでもない。
 こんな普通の犬を連れて来て本当に殺し合いをさせる気があるのだろうかと、藤丸は首をひねった。クランの猛犬どころか本当にただの犬である。
 もっとも大型犬である以上、今の自分よりも強いだろうが大人しいものだ。おそらくは人に飼われていたのだろう。

 多少の気晴らしもかねてそれなりに遊んだ後、彼女が参加者の表や地図とにらめっこしていると、白い犬はある一点を鳴いて指した。
 犬が指したのは名簿のD-51という名称だった。どうやら自分の名前らしい。
(飼い主が鉄道マニアとかだったのかな?)
 賢い子だなあ、と思いつつも藤丸はこのふわふわした仲間をデゴイチと呼んで、まず情報交換のできる人間を探そうとする。


274 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 16:50:47 K4LOdX/g0

 しかしこのどこか穏やかな組み合わせのコンビが出発しようと思った直後出てきたのは――装甲車だった。
 平安京の道をゴトゴトと走り回る異常な存在の襲来に、思わず1人と1頭は面食らった。

「ヒャッハー!」
 その装甲車を運転している男、黒須は元の世界――風都という都市である女性をひき逃げしたギャングだった。
 だがひき殺した女の復讐かはたまた怨霊か、謎の怪物によりギャング仲間は怪死事件に巻き込まれていった……そんな中呼ばれたのである。
 誰が敵かわからない。どこからあの怪物が襲ってくるかわからない。
 その上この殺し合いである。もしあの怪物が居たとすれば、いずれ自分を襲ってくるだろう。ならば、怪物も含めて目に入る相手全てを撃退し殺すまで。
 黒須はそう暴力的に考えていた。元の世界でも怪物を逆にマシンガンで撃ち殺そうとしていた男である。
 殺し合いのせいで狂ったと言うより、元の邪悪な行動パターンがこの殺し合いでもあまり変わっていないと言えた。

「逃げるよデゴイチ!」
 一瞬驚いたが、止まろうともしない相手の挙動から即座に殺し合いに乗っていると判断し、一時的な撤退を選択する藤丸。だが。
 D-51は明らかに大きな装甲車へと背を向けず立ち向かった。
 藤丸の言葉を理解していない、という感じではない。理解した上で、装甲車へ戦意を示したのだ。


275 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 16:53:04 K4LOdX/g0
「デゴイチ!」
「クソ犬が! 畜生が兵器に勝てると思うのか!」
 藤丸は呼び止め、黒須は嘲笑する。確かに大型犬では装甲車に勝てないだろう。

 それがただの犬ならば。

 D-51は犬であって犬ではない。装甲車以上の超兵器だ。
 その正体は米軍による改造を受けた、人以上の知性とパワーを持った機械犬である。
 最高時速280kmで壁をも走り突進する鋼の塊。そして1本の歯にかかる咬合力は恐竜なども含めた地球上のありとあらゆる生物を凌駕する10トン。
 それがD-51。
 本気で戦えば装甲車などハリボテに等しい。

 D-51は、吠えて弾丸のように装甲車へととびかかる。
 直後その牙の前に装甲はひしゃげ、寸断され2つに割られた。
「なにっ」
「なっなんだぁっ」
 藤丸と黒須は思わず驚愕の声を出した。
 黒須は割れた車両から慌てて飛び出し、支給品の中から自分が元々持っていたマシンガンを取ろうとする。だが。

「グルル……」

 百戦錬磨の英霊にも負けぬ濃密な殺気が見える。うなりをあげ、睨む姿。
 犬を越えた犬の前に生身で放り出され、凍り付く黒須。仮にこの男の首が鋼鉄製であろうと、D-51は容易に、抵抗なく、その首を噛みちぎることが可能だ。
 そのままとびかかりトドメを刺そうとしたが――この殺し合いに巻き込まれる前の、相棒の言葉がD-51の脳裏によぎった。

『殺せる技術があるのに殺さないのが武術の本懐なんだ』

 殺人兵器として改造された自分に、武の本義を説く男。戦友の心臓を託された男の姿だった。
 バカな話だ。D-51は超兵器だ。
『ウィルスの速度で大量殺人を行う』とまで評された殺人機械だ。
 だが……今はその言葉に従うのも悪くないと思えていた。
 殺し合いなどに従うよりは、友の言葉に従おう。それが隙となり、自分の弱点となるとしても。それより今は藤丸と言うこの女性の護衛だ。

「い……犬まで化物だってのか!」
 襲うのを止めたからか、恐怖による硬直も解け慌てて逃げ出す黒須。
 そして尾を振り、悠然と戻ってきた勝者であるD-51に藤丸は戸惑いつつも言った。
「えーと。やっぱりデゴイチはスーパー・ドッグなのかな……?」
 ソルジャー・ドッグである。


276 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 16:56:27 K4LOdX/g0
【藤丸立香(女)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず現状の調査。
1:これはレイシフトの一種でいいのかな? それともまた変な夢とかそういう世界?
2:デゴイチは完全にスーパー・ドッグなんだよね、凄くない?
[備考]
参戦時期は少なくとも第一部を経験した後です。

【D-51@ TOUGH外伝 龍を継ぐ男】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:武人として殺さない。殺し合いに従わない。
1:敵対者は倒す。
2:とりあえず藤丸についていく。
[備考]
参戦時期はガルシア28号の心臓を移植した龍星についていって、不殺の精神を教えられた後です。

【黒須@仮面ライダーW】
[状態]裂傷、混乱
[装備]なし
[道具]基本支給品、装甲車@星のカービィ(アニメ)、マシンガン(仮面ライダーW)ランダム支給品0〜1
[行動方針]
基本方針:目に入る邪魔者は殺す
1:うああああ犬が装甲車を破壊しているっ
2:クソっこんなところを怪物(バイラス・ドーパント)に襲われたらひとたまりもねえ
[備考]
参戦時期は11話でバイラスに襲われる直前です。
装甲車@星のカービィ(アニメ)は破壊されました。


277 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 16:57:27 K4LOdX/g0
投下終了です。


278 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 17:16:53 K4LOdX/g0
すいません、最初の部分と状態表を修正し忘れていたので>>272>>276を訂正します。


 平安京の決戦の場で。
 歴史を縦横無尽に見てきた彼女は、少し困ったような顔でつぶやいた。
「今度は京都……平安京かあ」
 サーヴァントと共に戦ってきたこの少女、マスターたる藤丸立香は、変な場所にいきなり来たり巻き込まれること自体はそこまで意外ではないと慣れていた。
 だが困ったことに、カルデアとの一切のつながりが断ち切られている。礼装もサーヴァントも無い。
 その上なんだかわからないが自分が真っ先に死んでいる。見せしめに死ぬ自分自身と言う光景はいくらなんでも不気味だった。
 あれは並行世界の自分か、サーヴァントの仕組みのように複製されたのか、それとも自分自身の方がそういったカタチで呼び出されたのか。
 とにかくわからないことだらけのまま藤丸は元あった要素の一切を奪われ、殺し合いの場に放り出されていた。

 藤丸立香、裸一貫である。別に文字通りの裸ではないんやけどな、ブヘヘヘ。

 これだけで取り乱すほどではないのかもしれないが、困った事態には違いなかった。なにより死ぬ自分を見せられた直後に殺し合いを強制と言うのはさすがに酷い。
 それに微妙に今までの経験と似ているような似てないような現状で、これは逆にどういった性質のイベントとするべきか判断がしにくい。
 色々それっぽい思い当たる要素はあるが、調べてくれる仲間すらこの場にいない以上どれも妄想の域を出なかった。


279 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 17:26:06 K4LOdX/g0
【藤丸立香(女)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず現状の調査。
1:死んだ「私」は一体なんだったんだろう。なんで「私」はここに居るのかな。
2:これはレイシフトの一種でいいのかな? それともまた変な夢とかそういう世界?
3:デゴイチは完全にスーパー・ドッグなんだよね、凄くない?
[備考]
参戦時期は少なくとも第一部を経験した後です。

【D-51@ TOUGH外伝 龍を継ぐ男】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:武人として殺さない。殺し合いに従わない。
1:敵対者は倒す。
2:とりあえず藤丸についていく。
3:見せしめで死んだ女性とこの藤丸六香は匂いまで含め完全に同じだが、彼女もガルシアのようにクローンなのだろうか?
[備考]
参戦時期はガルシア28号の心臓を移植した龍星についていって、不殺の精神を教えられた後です。

【黒須@仮面ライダーW】
[状態]裂傷、混乱
[装備]なし
[道具]基本支給品、装甲車@星のカービィ(アニメ)、マシンガン(仮面ライダーW)ランダム支給品0〜1
[行動方針]
基本方針:目に入る邪魔者は殺す
1:うああああ犬が装甲車を破壊しているっ
2:クソっこんなところを怪物(バイラス・ドーパント)に襲われたらひとたまりもねえ
[備考]
参戦時期は11話でバイラスに襲われる直前です。
装甲車@星のカービィ(アニメ)は破壊されました。
※見せしめで死んだ人間と全く同じ人物と出会ったことには、とにかく全員殺す気でいたため一切気付いていません。


280 : この犬が…!?/Dの輩 ◆ruUfluZk5M :2021/04/30(金) 17:27:07 K4LOdX/g0
訂正終了、投下終了です。
ご迷惑をおかけしました。


281 : ◆1qfrROV/6o :2021/04/30(金) 18:46:18 lTUUBogY0
投下します。


282 : どぎついピンクスナイパーと放課後のクライマックスガール ◆1qfrROV/6o :2021/04/30(金) 18:47:09 lTUUBogY0
「―――なんでまたこの衣装なのよおおおおおおお!!!」

私、岳羽ゆかりは思わず叫んでいた。
なんでまたフェザーマンピンクの衣装のままなのよ。おかしくない?
前の八十稲羽の時は緊急の呼び出しだったから多少は仕方ないけど、今回は違う。
殺し合いのために拉致って来たのに、この衣装のままなのは確信犯でしょ。
この使い方実は誤用らしいけど知ったこっちゃない。

おまけにこの支給品である。
どう見ても特撮ものの変身アイテムにしか見えないベルトのバックル。そしてこの弓矢。
私が演じているフェザーピンクの武器も弓矢だ。
あの悪趣味な少女たちに狙って支給されたとしか思えなかった。
……まさか、本物ってことないわよね?

「……って、アホなこと言ってられる状況じゃないか。」

改めて今の状況を確認する。
私の首元には奇妙な首輪がつけられ、殺し合いを強要されている。
先ほど目の前で見せしめとして殺された少女のことを思うと胸が痛んだ。
ざけんな、誰が殺し合いなんかするかっつーの。

「ていうか、ここはどこなの?」

周りを見渡すと、まるで自分がタイムスリップしたような錯覚を覚える。
学校の教科書でしか見たことないような景色。碁盤の目みたいに道が交錯している平安京の町並み。
いったい現代日本のどこにこんな場所があるのだろう。殺し合いのためだけに作ったにしては手間がかかりすぎじゃない?
……もしかしたらここは、タルタロスとか稲羽のテレビの中みたいな異世界なのかも。

そこまで考えてふと思い至る。
この場所の血のように赤い空と不気味な月。
……似ていないだろうか?赤い霧が噴き出し、まるで影時間みたいに変貌していた八十稲羽の町と。

それにあの歯車の塔。タルタロスではないようだが、そびえ立つ様の不気味さは同レベルだ。
今のところシャドウの姿は見当たらないが、それにしたって類似点が多い。
自分の推測を確認するため、ひとつ試してみた。





「――――――ペルソナッ!」





意識を集中して己のペルソナに呼びかける。
案の定、すぐに体から高揚感が湧く。
己の四肢に湧き上がる力が、ペルソナ能力の発現を如実に伝えてきた。
確認のためにすぐ後ろを振り向けば、そこには確かに己のペルソナ「イシス」が姿を現していた。

「やっぱり、召喚器なしでもペルソナが呼べる……。」

別にペルソナ召喚のために、召喚器は原理的に必須って訳じゃない。
でも、現実で召喚器なしのペルソナ召喚は特別な意識や感情の高ぶりもなしにこんな容易くはいかない。
こんな感覚は稲羽市の時以来だ。やっぱりここは普通の場所じゃないのだろう。

確認ができたのでペルソナの発現を止める。
殺し合いには当然乗らないとして、これからどうしようか。
この状況を打ち破るにしても、今の私には圧倒的に情報が足りない。
何よりもまずはこの首輪を外さないと―――


283 : どぎついピンクスナイパーと放課後のクライマックスガール ◆1qfrROV/6o :2021/04/30(金) 18:48:49 lTUUBogY0





「―――あのっ!もしかして、本物のフェザーピンクですか!?」

「……えっ?」





―――そんなことを考えていたら、初対面の子に声をかけられた。
快活で笑顔が似合う天真爛漫な少女だった。赤みがかった長い髪と、大きな同じく赤い瞳が印象的だ。
心なしか瞳の中がキラキラ光っているような気がする。
私を見るその表情はどこか犬のコロマルを思い出させた。

たぶん、中学生くらいかな?でも発育を見るには高校生でもおかしくない。
え、ていうかちょっと待ってもしかして私よりも身長高くない……?

「あたし、フェザーマンシリーズのファンなんです!まさかフェザーピンクに会えるなんて!」

私が今演じていて、一週間に一度世界を救っているフェザーピンクはそれなりに有名らしい。
長く続いているシリーズ物の戦隊ヒーロー「フェザーマン」シリーズの最新作。
「不死鳥戦隊 フェザーマン・ビクトリー」のセンターだ。ピンクがセンターって珍しいなとは自分でも思ってる。

こういった特撮の場合、変身前のキャラと変身後のスーツ姿は別人が演じていることが多い。
いわゆるスーツアクターってやつだ。
だけど私はオーディションの時に高校で弓をやってた話をしたせいか、スーツの時も私が中に入っている。
タルタロスでの戦いのために身体は鍛えてたから問題はなかったけど、多分珍しいと思う。
ファンもそのことを知っているから、私=フェザーピンクって認識はファンの中でも強いっぽくて。
こんな風に声をかけられることもある。



もしかしてこの殺し合いで私が最初にやらなきゃいけないのって、この子の夢を壊さないよう応対すること……?
さっきまで悩んでいたのとは全く別種の悩みに、私は内心で頭を抱えるしかなかった。



【岳羽ゆかり@ペルソナ3】
[状態]:健康
[装備]:ゲネシスドライバー+ピーチエナジーロックシード+ソニックアロー@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:これってもしかしてシャドウ案件?
2:まずはこの首輪を外さないと、かな。
3:えっと、この子(果穂)のことどうしよう……?
[備考]
※「ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド」での出来事を経験しています。
 そのため今は大学生で、服装もゲームと同じようにフェザーピンクの服を着ています。
※この場所では召喚器なしでのペルソナ召喚が可能です。
※赤い霧が噴出していた時の八十稲羽と今回の平安京に何か類似を感じています。


【小宮果穂@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ヒーローは殺し合いなんてしません!
1:本物のフェザーピンクですー!!!
2:283プロの皆さんが巻き込まれてないか、心配です……。
[備考]
※特撮番組のフェザーマンシリーズを知っているようです。


【ゲネシスドライバー@仮面ライダー鎧武】
エナジーロックシードと呼ばれる最新型ロックシードを用いて変身するベルト。
新世代アーマードライダーに変身することができる。

【ピーチエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武】
エナジーロックシードと呼ばれる最新型ロックシードのひとつ。モチーフは桃。

【ソニックアロー@仮面ライダー鎧武】
エナジーロックシードを用いて変身した際に共通武器として召喚される弓。
エナジーロックシードからエネルギーを供給しているため弾数制限はなく、フレーム部分に刃が付いているため接近戦にも対応できる。


284 : ◆1qfrROV/6o :2021/04/30(金) 18:51:27 lTUUBogY0
投下を終了します。


285 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 22:22:22 qBTXby7E0
投下します。


286 : ミミックと代行者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 22:23:52 qBTXby7E0
紅き血染めの月が妖しくも爛々と輝く平安京。

「……」
無表情の少女……ミミックがいたーーー

ミミックの少女の名はプリシラ。
ミミックである。

ミミックとはバイオウェル社が開発・製造している人工生命体。

プリシラの世界は放射線や紫外線が増大した影響により人間は日中の活動が制限されるようになってしまった。主活動が夜と制限された人類は考えたーーー
考えた結果、日中の労働を担える人工生命体ーーーミミックを開発した。

(メフィスとフェレス……プリシラの知らない技術を使用しています)
プリシラはこの殺し合いを強要する首輪にこの場所へ転移したことから、断定する。

(……ですが、プリシラは諦めません)
それでも、プリシラは前へ進むーーー

(そして、早く、レイイチと……)
そう、プリシラは時間が……有限なのだ。
残りの時間のすべてを出来る限り、レイイチと過ごしたいと思っているプリシラは殺し合いに興じている場合ではないのだーーー

プリシラはケツイを深めると移動を開始しようと一歩踏み出そうとするそのときーーー

「ちょい待ち!動いたら攻撃するで」
プリシラに突如投げかけられる物騒な言葉。

「……」
プリシラは言葉通りに動きを止めるーーー

「ええ子や。素直なのはいいことやで」
声の主はプリシラに近づくとーーー

「なんや、可愛い女の子やん」
女性はそういうと、プリシラに抱き着いたーーー

「……苦しいのです」
ぎゅ〜ッと抱きしめられたのか、ちょっぴり眉を顰めるプリシㇻ。

「…あ。ごめんな。あまりにもウチのタイプやったから」
パッとプリシラから離れると軽く謝罪をした。

「それで、そこの可愛いお嬢さん。ジブンの名前は?」
「ジブン?ああ……プリシラのことですか。プリシラはプリシラなのです」

「プリシラ。ジブンにピッタリな名前やないの。年は何歳やの?」
「プリシラに、歳はありません」

「へ?」
プリシラの言葉に女性は戸惑う。

「プリシラは、ミミックなのです」
「ミミ……ック?」

☆彡 ☆彡 ☆彡


287 : ミミックと代行者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 22:24:08 qBTXby7E0
「じゃあ、プリシラちゃんはウチらの世界とは別の住人っちゅうわけやの!?」
「はい。小衣から聞いた話をまとめると、そうだとプリシラは結論を出します」
プリシラは自分の導いた考えを小衣に話した。

「まぁ……プリシラちゃんがいう「ミミック」や日中、人が活動できないなんて……ウチも想像つかへん」
普段なら冗談と笑えるが、プリシラの話にメフィスとフェレスが行った殺し合いの説明から、小衣の考えにとりあえず、納得する。

「それにしても……人工生命体な。普通に人間にしかうちには見えへんけど 」
小衣はプリシラをじっと見るーーー

「プリシラはミミックです。人間とは違います」
「ミミックとかそんなの関係あらへん!可愛いは正義や!それだけで最強や!」
プリシラから「ミミック」についての基礎知識を頭に入れた小衣だが、そんなのお構いなしと、プリシラに再度抱き着くーーー

「小衣は子供が恋しいお母さんみたいなのです」

「……」
「…?どうしたのです。小衣?)
プリシラは黙り込んだ小衣の様子に首を傾げる。

「……ああ。何でもあらへんよ」
小衣は大丈夫だと手をひらひらと動かす。

☆彡 ☆彡 ☆彡
眺める血染めの月 -小衣ー
「……」
(千ちゃん……)
小衣は仲間の恵羽千を想うーーー

(曖昧のままやと、お互い、もやもやがなくならへんやな )
代行者して仲間と活動した結果、小衣の復讐相手が千の母親という衝撃的な真相を知った。

しかし、割り切れるはずもなく、小衣と千は互いにぶつかりあうこととなったのだが、その瞬間、メフィスとフェレスに中断させられてしまったーーー

(それにしても、一体……あん双子は何を考えているのや?)
なぜ、辺獄の支配者たる双子が急にこのような殺し合いを強要させるのか小衣には見当つかない。

「……」
小衣は紅き血染めの月を見つめるが、返事は帰ってこないーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡
眺める血染めの月 -プリシラー

(どうやら、小衣はあの双子について知っているみたいなのです)
先ほどの自己紹介から、小衣の動作から小衣がメフィスとフェレスと繋がりがあることを看過した。

(おそらく、首輪には盗聴機能が備わっているとプリシラは予測します。よって、慎重に行動をしないといけないのです……)
人工生命体ゆえに縛り付ける人間の思考から首輪には盗聴機能が備わっているだろうと警戒する。

「……プリシラは怒っているのです」
メフィスとフェレスが聴いているという前提でプリシラは口に出すーーー

「必ず、あなた方の思惑を阻止します」
それは、純粋にプリシラに生まれた感情ーーー

幼きミミックは人間を超越した悪魔に挑むーーーーー

【プリシラ@この晴れた空の下で 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスに最も大きい損害を与え、レイイチの下へ帰る
1:小衣と行動を共にする
2:小衣からメフィスとフェレスの情報を収集する
3:首輪の解除方法を模索する

[備考]
※参戦時期はプリシラルート中
※小衣の復讐相手のアナムネシスが千の母親だと言うことは知らされておりません。
※首輪に盗聴機能が備わっていると警戒しています
※プリシラのPSYは6時間ごとに1回と制限されています。(中継する媒体の固定振動数に働きかけることで、疑似的な催眠状態に陥れさせ、相手の脳髄に自分の虚像を映し出す能力)

【不動寺小衣@CRYSTAR -クライスタ- 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:終わらせた後、アナムネシスに復讐する
1:プリシラと行動を共にする(危険な参加者からプリシラを守る)
2:零ちゃんとかもおるのかな?
3:千ちゃん……恨みっこなしやで
[備考]
※参戦時期は1週目、8章アナムネシスの正体を知り、恵羽千とぶつかりあう直前
※プリシラに自分が代行者になった理由をまだ話していません。


288 : ミミックと代行者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 22:24:22 qBTXby7E0
投下終了します。


289 : ミミックと代行者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/30(金) 22:36:39 qBTXby7E0
すみません。状態表に間違いがあったので、修正いたします。
ご迷惑をおかけします。

【プリシラ@この晴れた空の下で 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスに最も大きい損害を与え、レイイチの下へ帰る
1:小衣と行動を共にする
2:小衣からメフィスとフェレスの情報を収集する
3:首輪の解除方法を模索する

[備考]
※参戦時期はプリシラルート中
※小衣の代行者となった理由はなんとなくしかまだ知っていません。(復讐相手のアナムネシスが千の母親だと言うことは知らされておりません。)
※首輪に盗聴機能が備わっていると警戒しています
※プリシラのPSYは6時間ごとに1回と制限されています。(中継する媒体の固定振動数に働きかけることで、疑似的な催眠状態に陥れさせ、相手の脳髄に自分の虚像を映し出す能力)

【不動寺小衣@CRYSTAR -クライスタ- 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:終わらせた後、アナムネシスに復讐する
1:プリシラと行動を共にする(危険な参加者からプリシラを守る)
2:零ちゃんとかもおるのかな?
3:千ちゃん……恨みっこなしやで
[備考]
※参戦時期は1週目、8章アナムネシスの正体を知り、恵羽千とぶつかりあう直前
※プリシラに自分が代行者になった復讐相手(アナムネシス)の正体はまだ伝えていません。


290 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/01(土) 06:13:26 d9Xf8ko60
投下します。


291 : 白紙 ◆2zEnKfaCDc :2021/05/01(土) 06:14:33 d9Xf8ko60
「殺し合えって、言われてますけど……」



「そうですよね。あたしも誰かと殺し合いたくなんか、ないです……。」



「おにいさん、やさしい人でよかったです。『痛いこと』もしないし。」



「はい、ありがとうございます……。」



「…………。」



「首輪、イヤですよね。首を絞められてるみたいで……。」



「ママがあたしを怒ってくれた時の……ごめんなさいって気持ちを思い出すんです。」



「え? だから、首を……はい……。」



「つまりですね、その……働いていない私は『おかね』を払えないから、かわりに『おしおき』でゆるしてくれるんです。」



「嫌じゃないのかって? だって、『悪いこと』して『おかね』が払えなかったら、『痛いこと』で払わないと……。」



「おにいさんのおでこの傷も、そういうことなんですよね?」



「違う? それは……ごめんなさい。おにいさんは『悪いこと』なんてしないですよね。」



「はい。この傷も、お皿を割ってしまった時にママが怒ってくれて……あっ……えっと、これ言っちゃダメなんでした。」



「……あの、忘れてください。」



「えっ……?」



「あの……どうして『なでなで』してくれるんですか?」



「えっと、おにいさん……ないてるんですか?」


292 : 白紙 ◆2zEnKfaCDc :2021/05/01(土) 06:15:10 d9Xf8ko60
「ごめんなさい、あたし、何か悪いこと言ってしまいましたか?」



「あの……おにい、さん……?」



「えっと、その……。」



「……………………。」



「よく、分からないですけど……。」



「おにいさんの『なでなで』は、嫌いじゃ、ないです。」



「…………あの。」



「よかったら、ついていっても、いいですか?ㅤあたし、不安で……。」



「ありがとうございます!ㅤ……えっと。」



「でもあたし、『おかね』は払えなくて……。」



「えっ……でも……。」



「……はい。」



【でここ@かわいいは壊せる】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(未確認)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いたくない
1:この人やさしい
2:でも、どうして『なでなで』してくれる?
3:少し不安

[備考]
※参戦時期はおじさんと出会う前です。

【竈門炭治郎@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを阻止する。
1:でここを守る。
2:でここの母親への、形容しがたい怒り

[備考]
※参戦時期は、少なくとも鬼殺隊に入った後です。


293 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/01(土) 06:15:36 d9Xf8ko60
投下完了しました。


294 : ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 00:56:05 0oE2Xylo0
投下します


295 : カノジョの夢と笑顔のために ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 00:56:48 0oE2Xylo0

「あはは……何なんですかこれ。ドッキリにしても質悪いですよ…」

緑の髪をした少女が、そう呟いた。
その声は、文字だけを見れば笑っているかのようであった。
しかし、その声を聞いたとしても本当に笑っているようには感じられなかった。
言うなれば、自分の現状を受け止めきれず、笑ってごまかすしかない状態である。

そんな少女の名前は七草にちか、283プロに所属するアイドルである。

「ようやくアイドルになれたのに…何で私がこんなことしなくちゃならないんですか。本当に意味わかんないですよ」


半ばプロデューサーを脅す形ではあったが、アイドルになったのは確固たる事実であった。

七草にちかは自分が憧れたアイドル、『八雲なみ』のようになるという夢があった。
その「なみちゃん」の模倣をしてアイドルをするつもりもあった。
そしてそのために、自分の限界を超えた努力をするつもりでもあった。
だが、そういったことを本格的に始める前に彼女はこの殺し合いの舞台、平安京に降り立った。
その事実は、にちかの精神に負荷をかけていく。

ドッキリだとばっさり切り捨てるのは簡単だ。
けれども、今の状況が本物の殺し合いだという可能性についても考えている。
そうだとした場合、無力で、平凡な自分は、生き残れないのではないかという考えが頭に浮かぶ。
不安定な精神は、考えをより悪い方向へと導いていく。

「………やだ、嫌だ…死にたくないよ」

「こんなところで終わりたくないよ……!」

にちかの中で不安が広がる。
大通りでスカウトを待つだけに耐え切れず、ついに自分の足で踏み入れたアイドルの世界、
メフィスとフェレスという少女たちの悪意によって、その世界に手が届かなくなってしまう危機に直面していた。
そんなことについて考えていると、不安や恐怖はより一層心の中で広がっていく。
よくない方への考えを止めたくとも、乱れている心では難しいことであった。

思わず、頭を抱えてうずくまってしまう。
自分にできることも思いつかず、不安定な心のまま動くこともできなかった。
目にはだんだんと涙が浮かんできていた。
そんな時であった。

「おい、大丈夫か…?」

「えっ…?」

そんな彼女に一人の男が近づいてきた。
彼はにちかに対して心配している様子であった。

「安心してくれ。俺は殺し合いに乗っていない。むしろ…止めるつもりだ」

「俺は飛電或人、飛電インテリジェンスの社長で…仮面ライダーだ」

男――飛電或人はそう言ってにちかの方に歩みよった。

◆◇◆


296 : カノジョの夢と笑顔のために ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 00:57:48 0oE2Xylo0
「仮面、ライダー?」

「……いや、ごめん、今のは忘れてくれ」

「え?」

にちかは或人の発言に対して疑問の言葉を呈する。
けれども或人の方は自分の発言を忘れてくれと撤回する。

「とりあえず…君について教えてくれないか?」

そのまま或人は仮面ライダーについては触れずに次の話へと移行する。
なぜ自分の発言を撤回したのかについても気になるが、とりあえず先に自分について教えた方がいいと判断する。

「……えっと、七草にちかです。一応、アイドルやっています」

にちかはそのまま自己紹介を続ける。
ここでは、昔のアイドルに憧れてこの道に入ったことや、まだまだ自分は新参者であることを話した。
ただ、家族からは反対され、ライブ大会で優勝できなければ止める約束になっていること等については話していない。
流石にそこまでの話をするほどのものでもないだろう。

「なるほど…分かった。教えてくれてありがとう」


「それにしても憧れたアイドルのようになりたい、か。良い夢だ!応援するよ!」

「えっと、ありがとうございます…?」

まさか夢について褒められるとは思っていなかった。
とは言え、悪い気分になるようなものではなかった。
けれども、それだけでにちかが抱えている恐怖が消えるというわけではない。

「でも…こんなところで死んでしまったら、夢なんて意味ないんですよ…」

弱音を吐いてしまう。
殺し合いに乗っていない人物に出会えたからとはいえ、それだけで不安は解消されるものではない。
何が起こるか分からない殺し合いというものは、夢なんて文字通り儚いものと化してしまう。
そのことは、目の前の彼だって分かっているはずだ。

「ああ…確かにそうかもしれない。でも、こんな時だからこそ夢を諦めないことが大事なんだ」

「………あなたに何が分かるんですか!」

つい、そう叫んでしまう。
まだ出会ったばかりの相手に、まさか夢についてあれこれ言われるとは思っていなかった。
良かれと思って言っているのだろうが、不安定な状態ではむしろ逆効果であろう。

「…分からないよ。俺たちはまだ出会ったばかりだ。それでも、諦めないでくれ」

飛電或人は引き下がらない。
彼は、誰よりも夢を大切にする男だからだ。


「殺し合いが始まってしまって、まだ不安な気持ちがあるかもしれない」

「だけど、君のことは絶対に殺させはしない」

「君だけじゃない。俺は巻き込まれた人みんなを守りたいと考えている」

「そのために、俺はきっとこの殺し合いを止めてみせる」

「だから、今は君のことを守らせてくれ」


たとえどんな時でも、飛電或人は人々が笑える未来とそれを作るための夢を守るために戦う。
そして彼は、それを実現するための力を持っている。
それこそが、仮面ライダーゼロワンなのだ。

◇◆◇


297 : カノジョの夢と笑顔のために ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 00:59:54 0oE2Xylo0
実は、飛電或人が一度仮面ライダーの話について撤回したことには理由があった。
彼には一つ、隠し事があった。

或人がこの殺し合いの場に呼ばれたのはある戦いの後のことであった。
その戦いの相手は、ある日或人に犯行予告を送っておびき出した謎の男エス、そして彼が変身した仮面ライダーエデンであった。
そして或人はエスを止めるため戦いを挑んだ。
だが、その戦いに或人は敗北してしまった。

そこで、仮面ライダーゼロツーに変身するためのツールが奪われた。
ゼロワンに変身して再び立ち向かおうとしたが吹き飛ばされた。
いくつかのビルを貫通しながら最終的に車の上に落下し、そのまま或人は気を失うことになった。
或人がこの殺し合いに連れてこられたのはその瞬間からであった。

目を覚ました時は大いに驚いた。
最初はこの殺し合いにエスが関わっているのではないかと思った。
直前までの出来事からそう思うのも無理はないだろう。
だが支給品を確認した時、その考えは否定されることとなった。

或人はある二つのアイテムが支給されたことを確認した。

一つは飛電ゼロワンドライバー、飛電或人が仮面ライダーゼロワンに変身するための変身ベルトである。
これがあることを確認した時は安心した。
或人が皆を守るために必要な力の源となるものだからだ。
問題があったのはもう一つの方であった。

そのアイテムの名はヘルライズプログライズキー、或人を倒したエスが世界を滅ぼすために作った特殊なプログライズキーである。
これに付属していた説明書を読んだことで、或人の考えではエスが殺し合いに関わっている可能性は低くなった。
説明書にはエスの目的は世界を滅ぼして楽園を創造することであるとはっきりと書かれていた。

このような形でエスの目的を知った時には或人も驚いた。
同時に主催者はなぜこのキーを自分に支給したのかについても疑問が生じた。

その疑問は、ゼロワンドライバーも一緒に支給されたことを踏まえて考えた時に、大体察することができた。

おそらく主催者は自分にこのキーを使わせてゼロワンに変身させるつもりなのだと。

今の或人の手持ちのアイテムで変身に使用可能なものはヘルライズプログライズキーだけであった。
つまり、或人が戦うためにはこのキーを使うしか他ないのだ。
この事実に気づいた時、或人は主催者が持つ悪意に戦慄した。

説明書に書かれたことが本当ならば主催者は自分にこのキーを使わせるためだけにエスから奪ってきたことになる。
そしてこのキーを使ってゼロワンに変身した時、キーから放出されるエネルギーに自分の体は耐えられないことも、説明書を読むうちに察せられた。
つまり主催者が自分に期待している役割は、人を守るために身を滅ぼすヒーローであることを、或人は察してしまった。
彼自身も、もしこれを使うことでしか守れないような状況に陥った時に、自分はその行動をとってしまうということを予測できた。

或人が仮面ライダーについて言いよどんだのはこのためであった。
自分の身を滅ぼすことでしか守れないなんてこと、表だって言うことはできなかった。

けれども、これらのことと人を守ることに関しては話が別である。
たとえ真っ当なゼロワンになれなくとも、飛電或人は人々を守るために戦うことを決意している。


だが、殺し合いで出会う相手次第ではゼロワンに変身しなくては太刀打ちできないことがあるかもしれない。
もしそのような状況になってしまえば、たとえ身を滅ぼすことになろうとも―――――
飛電或人ならば、それを選択することもあり得るかもしれない。

そんな未来が来る可能性もまだ、残されている。
そこに希望は、あるのだろうか。


298 : カノジョの夢と笑顔のために ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 01:00:35 0oE2Xylo0
【七草にちか@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、精神不安定
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:
1:私を守るって、どうやって…?
[備考]
参戦時期はW.I.N.G.編の共通コミュの「grab your chance!」以降です。

【飛電或人@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:健康
[装備]:飛電ゼロワンドライバー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品、ヘルライズプログライズキー@劇場版仮面ライダーゼロワン REAL×TIME、ランダム支給品0〜1(確認済み、仮面ライダーゼロワンに関するアイテムはない)
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いを止め、みんなの笑顔を守る
1:まずはにちかから守る
2:もしもの時は…ヘルライズプログライズキーを使ってでも…
[備考]
REAL×TIMEでエデンに敗北後、吹き飛ばされて車の上で気絶した後からの参戦です。


【飛電ゼロワンドライバー@仮面ライダーゼロワン】
仮面ライダーゼロワンに変身するための変身ベルト。
プログライズキー固有のデータイメージ『ライダモデル』を変換反応させ、生物の能力を戦闘機能として変身者に付加する。
飛電の社長権限を持つ者でないと使用することはできない。

【ヘルライズプログライズキー@劇場版仮面ライダーゼロワン REAL×TIME】
シンクネットの教祖エスが世界を滅ぼすために作ったプログライズキー。
飛電ゼロワンドライバーと共に使用すると仮面ライダーゼロワン ヘルライジングホッパーに変身する。


299 : ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 01:00:56 0oE2Xylo0
投下終了です


300 : ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 01:15:15 0oE2Xylo0
すいません。先ほどの投下の状態表について修正があります。正しくは以下のようになります。

【七草にちか@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、精神不安定
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:こんなところで終わりたくない
1:私を守るって、どうやって…?
[備考]
参戦時期はW.I.N.G.編の共通コミュの「grab your chance!」以降です。


失礼しました。
次いで、もう1つ投下します。


301 : ちょこ先輩、お許しください! ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 01:16:01 0oE2Xylo0
「お菓子好きかい?」

「はい!大好きです!」

「ほっほっほ、そうかね」

「………」

「………」

(え?それだけ?)





【園田智代子@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いに乗りたくはないけど…
1:このおじいさん、お菓子が好きかどうかは聞いただけ!?
2:放クラや283プロのみんなが無事かどうか心配


【ボルガ博士@チャージマン研!】
[状態]:そうか、頭の中に爆弾が!
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:レセプションに戻る
1:あまり殺し合いなんてするものじゃないな
※頭の中に時限爆弾が仕掛けられています。
※いつ爆発するかは不明です。


302 : ◆5IjCIYVjCc :2021/05/02(日) 01:16:43 0oE2Xylo0
投下終了です。
こちらは天気の子ロワからの流用となります。


303 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/02(日) 10:18:47 VVp8le1M0
投下します。


304 : だまりゃっ その方麻呂をなんと心得る ◆s5tC4j7VZY :2021/05/02(日) 10:19:55 VVp8le1M0
紅き血染めの月が爛々と主張する魔都平安京ーーー

「……ふざけやがって」

紅き血染めの月に負けないぐらい赤い紅い目をしたミミックがいたーーー

ミミックの名は興猫(ふうなお)
ミミックはミミックでも戦闘用ミミックであるーーー

ミミックとはバイオウェル社が開発・製造している人工生命体。

興猫の世界は放射線や紫外線が増大した影響により人間は日中の活動が制限されるようになってしまった。主活動が夜と制限された人類は考えたーーー
考えた結果、日中の労働を担える人工生命体ーーーミミックを開発した。

(くそ、あの人間のガキ達……どうやってアタシを……?)
興猫はメフィスとフェレスを人間の子供と勘違いをしている。
人間に復讐を果たすべく、革命の決行まで身を潜めていた自分を拉致した方法に興猫は疑問を抱く。

(それに……捕らえた癖に処分しないなんて…・…)
「ふん……アタシを見世物として扱うってわけか」
元々は普通のミミックだったーーー
しかし、人間により興猫は改造されて、戦闘用ミミックとされてしまったのだーーー
戦闘用のミミックの末路は体よく利用されて最後は廃棄処分ーーー

「はん……・上等じゃないか」
(ここで、処分しなかったことを後悔させてやるよッ!)
興猫はこの殺し合いはおそらく、人間共の見世物であると、考えた。
それなら、処分しなかったのもうなずけると、興猫は納得した。

「そこの娘、ちと止まるのじゃ!」
「……あん?」

言葉をかけられ、不満げな顔で振り向く興猫。

「ほ……!髪の色……異人の娘か」

「何なんだよ……アンタ?」
奇妙な喋り方をする人間に興猫は眉を顰める。

「ふん!言葉は通じるようだが、やはり教養がない南蛮娘か……麿は、一条公麿三位中納言じゃ」
男の名は一条公麿三位中納言。
帝に仕える公家の一人。

「それで、その一条なんたらさんはアタシに何の用だい?」

「何。徳川の愚かな所業を即刻辞めさせるよう、帝に言状奉るために向かっておったのだが、娘の姿は見えたのでな……」
麿はそういうと、興猫の姿をジロジロと舐めまわすかのように視線を動かすーーー

「……」
(なんだ、この人間。アタシを気持ち悪い目で見やがって……)
興猫は人間の視線に嫌悪感を抱くーーー

「ふむ。合格じゃ。そなたを麿の側室としてやろう」
「…あ?」
(この人間……アタシを愛玩用とするつもりなのか!?)

麿はなんと、興猫の肢体を見て、劣情を催した。

「南蛮娘を側室とするのも、また一興でごじゃる」
言い終わると麿はにちゃ〜と口元を歪ませるーーー

「ッ……ふざけてんのか!!そんな誘い、断らせてもらうよ!!!」
当たり前だといわんばかりに興猫は罵声を込めてにべもなく断るが、それを聞いた麿は体をプルプルと震えると、顔を真っ赤に染め上げーーー


305 : だまりゃっ その方麻呂をなんと心得る ◆s5tC4j7VZY :2021/05/02(日) 10:20:47 VVp8le1M0
「だまりゃ!麿は恐れ多くも帝より三位の位を賜わり中納言を務めた身じゃ!すなわち帝の臣である!その麿の誘いを断るとは言語道断!この事直ちに帝に言上し、きっと公儀に掛け合うてくれる故、心しておじゃれ!」

心しても何も、そんなふざけた言上など、公儀が掛け合うはずもないのだが、意味も分からず殺し合いを強要されたのか、麿も頭が混乱しているのだろうーーー

「……そーかよ」

興猫は左手首を外すと仕込んであるブレードでよく分かんない用語を交えて長々と話す男の喉を切裂いた。

男はあっけなく地に倒れ、生命を失った。
ここでは、位など殺し合う上でなんのアドバンテージにもならない。

【一条公麿三位中納言@水戸黄門 死亡確認】

「どうやら、やっぱりクズな人間共が、うじゃうじゃといるみたいだね……」
吐き捨てるかのように言葉を発すると、死体を蹴とばすーーー

「人間に負けるわけにはいかない」
そう、興猫は戦闘用ミミックなのだ。
戦闘用ミミックが戦闘で敗れたら、自分……そして、同じように改造された姉の存在価値は無と帰してしまうーーー

興猫は右目の眼帯をさするーーー

「優勝するのはアタシ。願いを叶える権利はこの興猫がもらうよ」
(そして、その後は……覚悟しておけよ)
彼女は殺すーーー自らの存在価値を失わないためにーーーーー

【興猫@この晴れた空の下で 】
[状態]:健康 
[装備]:腕に仕込んであるブレード@この晴れた空の下で ナイフ サブマシンガン 弾セット
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1 麿のランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝(願いを叶えさせたら、あの双子の人間を殺す)
1:人間は殺す
2:人間以外の参加者に遭遇したら、そのときは、一度考える(殺すか協力を結ぶか)
[備考]
※参戦時期は廃墟で玲一と決着をつける前

【仕込みブレード@この晴れた空の下で】
人間に改造されたことにより、左腕に仕組まれたブレード。手首を外すことで武器として使用できる
体に仕組まれているので、支給品とは別扱いとなる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「はぁ…はぁ…はぁ…」
血の気が引いた顔で逃げる少女がいたーーー

少女の名は斎木有理。
星ノ宮女子高等学校の特殊教育課程に進んだ生徒。

(もっと早く離れないと……)
有理は息が切れるのも構わず走り逃げるーーー
それは、普段の有理からは見られない姿ーーー

(殺した……!!)
そう、有理は見てしまったーーー
興猫が公家のような出で立ちをした男を殺した瞬間をーーー

(あんな危険な女と交流は……できない!)
非常に頭が切れ、IQ300と言われる有理……彼女はパニックに陥っている。

【斎木有理@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣 】
[状態]:疲労(中) パニック
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰り兄弟を探す
1:危険な女(興猫)から逃げる
2:殺し合い……本当なのか!?
[備考]
※参戦時期は少なくとも間章「心はかえなくても」後。絆エピソードの進行度などの詳細は後続の書き手様に委ねます。


306 : だまりゃっ その方麻呂をなんと心得る ◆s5tC4j7VZY :2021/05/02(日) 10:20:59 VVp8le1M0
投下終了します。


307 : ◆7PJBZrstcc :2021/05/02(日) 18:48:56 qVKA3z2g0
投下します


308 : 再演 ◆7PJBZrstcc :2021/05/02(日) 18:49:25 qVKA3z2g0
「クソッ! どこまでも俺を嘗めてくれる……!!」

 黒を基調にしつつ赤も混じったデザインのコートを身に纏った男が、怒りのあまり己の拳を近くにある建物の壁に叩きつける。
 彼の名前は駆紋戒斗。かつては己の為に強さを追い求め、弱者が犠牲にならない世界を望んだ不器用な男だ。
 そんな彼は今、猛烈な怒りを覚えていた。

 戒斗の怒りの理由は、この殺し合いが気に入らないから、というのもある。
 元々彼は「弱者は強者に踏みつけられるしかない」と嘯きながらも、何よりもそんな世界を憎んだ男なのだ。
 殺し合いの主催者であるメフィスとフェレスは、力を武器に参加者達を脅しつけ、そして願いが叶うという餌で参加者達を釣ろうとしている。
 こんな振る舞いを戒斗が気に入る筈もない。
 かつての彼なら、殺し合いを真っ向から叩き潰し、主催者が持つであろう願いを叶える力を奪い取るべく行動しただろう。
 だが今は違う。

 今はもう、願いを叶える力にすら興味はない。
 なぜならば

「俺を蘇らせれば、お前達の考えた通りに動くとでも思ったのか……!!」

 戒斗は一度、既に死んだからだ。

 この殺し合いに呼ばれる少し前、彼はある戦いに挑んでいた。
 それは黄金の果実を求める戦いだ。
 黄金の果実とは、手に入れれば今の世界を己の願うままに作り変えることができるとされる、凄まじい力を持った果実。
 彼はその果実を手に入れ今の人類を滅ぼし、彼が望む命で地球を満たそうと考えていた。

 しかしその野望に正面から立ちはだかった男がいた。
 その男の名前は葛葉紘汰。彼は今の人類を守るべく戒斗に戦いを挑んだ。

 互いに死力を尽くした戦い。その戦いに勝利したのは紘汰だった。
 戒斗は己とは違う強さを持った紘汰に敗北した。
 強くなるにつれて優しさを失うと思っていた戒斗に、紘汰は否を叩きつけたのだ。
 そして戒斗はこの世を去った。

 はずだったが、彼はここにいる。
 彼はそれが腹立たしくて仕方ない。

 もともと彼は、どれだけ叩きのめされようとも、己が屈さない限り負けではないと考える男である。
 裏を返せば、己が負けたと思えばそれを素直に認める男だ。
 敗者復活戦があったとしても、参加する気など毛頭ない。
 人類を滅ぼそうなどとは、もう考えていない。
 にも関わらず主催者は生き返らせたのだ。ならもうこれ以外の道は、彼の中には存在しない。

「メフィスとフェレスとか言ったな。
 いいだろう。貴様らは俺が必ず叩き潰す!!」

 戒斗は主催者に向けて、真っ向から宣戦布告を叩きつけた。
 もしこれに怯え首輪を爆破するなら奴らは所詮その程度。
 今更惜しむものでもない命一つで、主催者の底の浅さを露呈するだけだ。

 しかし、戒斗の叫びから幾分か過ぎても首輪が爆発する気配はまるで見えない。
 ならばいい、とばかりに彼は歩き出そうとするが、そこに別の参加者から声がかかる。

「すいません。少しいいですか?」

 戒斗が声のした方に振り向くと、そこには彼と同じく殺し合いの参加者である男が、猫背で立っている。
 男の外見はボサボサの髪。目の下に濃い隈。そして裸足でヨレヨレの白Tシャツに、ダルダルのジーパン。
 戒斗には、目の前の男の外見が酷く異様に見えた。
 だが同時に、男の瞳には強い意志が備わっているように戒斗は感じた。

 もし自分を利用して甘い蜜を啜るような奴ならば無視して立ち去るつもりだったが、そうではないらしい。
 そう思った戒斗は話を聞くことにした。

「俺に、何か用か?」
「はい。あなたが発した主催者への宣戦布告が聞こえまして、よかったら私も一緒に戦わせてもらえませんか」

 男の語る言葉は、戒斗にとっては予想通りだった。
 だからこそ、一つ聞かねばならないことがある。


309 : 再演 ◆7PJBZrstcc :2021/05/02(日) 18:49:58 qVKA3z2g0

「共に戦うか。それはいいだろう。
 だがお前に何ができる。俺には戦う力があるが、お前にはあるのか」

 戒斗は目の前の男を鋭い目つきで睨む。
 これは彼の試金石。この程度で怯むなら、目の前の男に用などない。

「何ができるか、ですか……
 私は多少の格闘技ができますが、この殺し合いでどこまで通用するか分かりません。
 かつては世界一の探偵と呼ばれたこともありましたが、私の頭脳が役に立つ保証もありません」

 男は目を伏せ、自信なさげに戒斗の問いに答えていく。

「ですが」

 だがここで男は目を見開き、戒斗を真っすぐに見つめる。
 その眼差しは、戒斗に勝るとも劣らないほどに強かった。

「何もできないからと言って、諦めるつもりもありません。
 私、こう見えても結構負けず嫌いなので」
「そうか」

 男の答えに、戒斗は満足気に返事をする。
 彼はこの瞬間、目の前の相手を強いと認めたのだ。





 行動を共にすることを決めた二人は、近くにある喫茶店に来ていた。
 互いのことを何も知らないので、まずは自己紹介を兼ねて情報交換することにしたのだ。
 お互い喫茶店にあるテーブルを挟んで席に着く。
 その時、Lが椅子の上で体育座りで座るという変わった座り方を見せ、戒斗が訝し気にそれを見るが

「この座り方でないと推理力が40%ほど落ちるので」

 と言い、そのまま特に直すことも無いまま自己紹介を始める。

「ではまずは私から名乗りましょう。
 私はLです」
「……ふざけているのか?」

 しかしいきなり躓いた。
 いきなり自分をアルファベット一文字で呼称させようとすれば、戒斗の不信感も当然ともいえる。
 Lもそれに気づいたのか「すみません」と言いながらも釈明する。

「私は仕事の都合上、いくつか名前を持っていまして。その中で一番通りがいいものを選びました」
「……そういえば探偵とか言っていたな」
「はい。まあ、通称ですが本名よりは知られています。ですが意外でした」

 Lの心底予想外だったと思わせるような言動に、戒斗が疑問を示す。

「何がだ?」
「私の名前はキラ事件を捜査する都合で、結構知られてしまったと思っていたので」
「……キラ事件? 何だそれは?」

 戒斗が続けて放った疑問に、Lは言葉を失った。
 Lからすれば、キラ事件ほど世界に知れ渡った事件は存在しないと言ってもいい。日本人ならなおさらだ。
 しかし戒斗は知らないと言う。

 キラ事件。
 ある日突然、世界中の犯罪者を心臓麻痺で抹殺する謎の存在『キラ』。
 Lはキラの正体を探り、法で裁かせるべく警察と協力し捜査していた。
 その結果、キラは日本人であることと、死神が落とした、名前が書かれるとその人を殺すデスノートを用いて、キラとして活動していることを突き止める。
 そして、ノートの持ち主もほぼ確信していた。

「キラ事件はさくらTVを筆頭に、テレビでも盛り上がっている筈ですが」
「そんなTV局は知らん」


310 : 再演 ◆7PJBZrstcc :2021/05/02(日) 18:50:23 qVKA3z2g0

 ここまで話して、二人は互いに前提がおかしいことを察した。
 そこで二人はお互いが持つ情報を晒しあう。

 戒斗はアーマードライダー、インベス、オーバーロード、ヘルヘイムの森、黄金の果実について。
 Lはキラ事件、デスノート、死神について。
 更に――

「俺だけではなく、お前も既に死んでいるか……」
「驚きです。
 それだけでなく、お互いに時代が違うことも」

 二人とも、既に死んでいることが発覚した。
 Lはキラの正体をほぼ確信していたが、証拠を掴み切れず、先に殺されてしまったのだ。
 そして時代の違い。
 戒斗は2013年に死亡したが、Lは2004年に死亡していた。実に9年も時間の差が開いている。

 最後に、二人とも違う世界の住人であることも。

 Lが戒斗の話す情報を知らないのは、ある種当然だ。
 何せ未来の話である上に、アーマードライダー以外はある時まで秘匿されていたのだから。
 しかし、Lの話は戒斗からすれば過去の話。
 その辺りの時期は戒斗にとって忌まわしい出来事もあり、世間の事情どころではなかったが、いくらなんでもそれほどの事件ならば知らない方がおかしい。

 故に、二人はお互いを異世界の住人と断じたのだ。

「考えてみれば、ヘルヘイムは世界を渡り歩く存在。
 ならば、ヘルヘイムに浸食されていない世界があってもおかしくはない」
「ヘルヘイムですか。
 私の知識ではギリシャ神話に伝わる死者の国の一つなのですが、実情とはかなり異なるようですね」
「死者の国か。言い得て妙だな」

 戒斗から見て、ヘルヘイムに浸食されたあの世界は、世界として死んだと言っても過言ではなかった。
 王は民を導く気など無く、強者が好き勝手に暴れまわり、最期には全滅したのだから。

「ところで戒斗さんは、主催者がなぜ殺し合いを開いたと考えますか?」
「どんな理由があろうと俺には関係ない」
「ええ、どんな理由であろうと止めるつもりです。
 ですが私達は知らねばなりません。それが主催者を倒す一助となるはずですから」

 Lの問いに戒斗は素気無く返答してしまったが、Lはそれに負けじと強く言い切った。
 とはいえ、これ以上ここで顔を突き合わせても何かができるわけでは無い。
 なので、お互いどちらともなく立ち上がり、店の外にでようとするが、ここでLが戒斗に声をかける。

「すみません戒斗さん。
 よろしければ、武器を譲ってもらえませんか。私の支給品には武器になりそうなものはなかったので」
「……これを使え」

 そう言って戒斗はLにある物と、その説明書を渡す。
 それは戦極ドライバーとロックシード。アーマードライダーに変身するために必要なアイテムだ。

「……ありがとうございます。しかし戒斗さんには――」
「俺にはもう必要ない」

 それだけ言って戒斗は地面を踏みしめ先に進み、Lもまた横に並ぶ。


 殺し合いに抗う二人の死者の、進撃が始まった。


311 : 再演 ◆7PJBZrstcc :2021/05/02(日) 18:50:46 qVKA3z2g0


【駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:メフィスとフェレスを力で叩き潰す
1:殺し合いに乗っている参加者は潰す
2:首輪を外せる参加者を見つける
[備考]
参戦時期は死亡後です。
クラックを開き、インベスを呼び出すことは禁止されています。

【L@DEATH NOTE】
[状態]:健康
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、バナナロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み、武器の類はなし)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:駆紋戒斗と行動する
2:他の参加者を探し、情報交換をする
[備考]
参戦時期は死亡後です


【量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
駆紋戒斗に支給。
仮面ライダー鎧武における変身ベルト。
ロックシードと合わせて使うことで変身可能。
量産型とついているのは、このタイプだと所有者認定など無く、誰でも使用可能となる為。

【バナナロックシード@仮面ライダー鎧武】
駆紋戒斗に支給。
エナジーロックシードの一種。
戦極ドライバーに装填し、使用することでバロンアームズへと変身可能となる。
上記の量産型戦極ドライバーと合わせて一つの支給品として扱われる。


312 : ◆7PJBZrstcc :2021/05/02(日) 18:51:19 qVKA3z2g0
投下終了です。
続いてもう一話投下します


313 : ◆7PJBZrstcc :2021/05/02(日) 18:51:43 qVKA3z2g0
 平安京にある建物の上を飛び移りながら、長い黒髪をたなびかせながら一人の少女が疾走する。
 彼女の名前は暁美ほむら。魔法少女だ。
 なぜ彼女が一人ひた走っているのかというと

「まどか、あなたはどこにいるの……?」

 参加者としているはずの、彼女の大切な人を探すためだ。
 鹿目まどか。ほむらにとって最も大切な存在。
 彼女の為なら永劫のループに囚われても、新たな世界を作る悪魔になっても構わない唯一の存在。

 だが彼女は見た。
 最初の場、二人の少女が死んだあの場所に、ほむらの視界に入る位置にまどかの姿を。
 ほむら自身と同じく殺し合いに参加させられているところを。
 しかもまどかは魔法少女であるほむらと違い、何の力もないただの少女なのだ。
 運よく殺し合いに乗っておらず、なおかつ強い参加者が守ってくれればいいが、そんな都合のいいことが起こる保証はどこにもない。
 故に彼女はひた走る。

 なぜ殺し合いを開いたのか。なぜ自分達が参加者に選ばれたのか。
 疑問は山ほどあるが、今はそれも後回し。

 暁美ほむらの大切なものを守る為の戦いが、今ここに始まった。


【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、冷静さを失っている
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ、コルト ポリスポジティブ(6/6)@DEATH NOTE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、予備弾丸(18/18)
[思考・状況]基本方針:まどかを守る
1:まどかを探す
2:1の過程で危険な参加者を見つけたら排除する
3:メフィスとフェレスが信用ならないので今の所殺し合いには乗らないつもり
[備考]
参戦時期はTV版本編にて、マミ死亡以降からさやかが魔女化するまでの間のどこかです。
制限として時間逆行は禁止、一度に止められる時間は数秒が限度となっています。
オープニングの場所で鹿目まどかを目撃しています。


「ティヒヒ、酷いよメフィスちゃんとフェレスちゃん。私をこんな隅っこの方に追いやるなんて」

 ところ変わってここは殺し合いの会場である平安京、の外側ギリギリ。
 街の中ではなく、森のどこかで一人の少女がいる。
 ピンク髪のツインテールな特徴的な彼女は、文句を言いながらも口に笑みを浮かべながら歩いていた。
 例えるなら、友人のつまらない悪戯に引っかかった後に軽く怒っているような、そんな素振りだ。
 とても、殺し合いに巻き込まれた少女には見えない。

 そんな彼女は偶然か必然か、ほむらが探している件の鹿目まどかにそっくりだ。
 当然であろう。なぜなら彼女こそがそのまどか――

「でももし優勝したら、さやかちゃんを超える力が貰えるのかな?
 だとしたら、それはとっても嬉しいなって」

 ではない。
 いや、彼女は間違いなく鹿目まどかであり、外見や声は間違いなくまどかのものである。
 ただ、精神性だけが違う。

 それもそのはず。彼女は『本来の』鹿目まどかではない。
 決してありえない筈の、無理矢理生み出された可能性。
 本来の心優しい性格ではなく、自分本位で身勝手な、他者の犠牲を気にも留めないクズそのものとして生まれた鹿目まどか。
 それが彼女の正体だ。

「よーし、頑張るぞー!
 他の参加者はこう、燃え上がれ〜って感じにしてさ」

 彼女は朗らかな笑みを浮かべながら歩く。
 心に宿るドス黒い本性を覆い隠すように。


【鹿目まどか@クズなまどかシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:優勝して、さやかちゃんを超える力を手に入れる
1:格好良くて素敵な私を、こんな殺し合いに参加させるなんて酷いよ……あんまりだよ……!
2:それはそれとして、優勝はしようかなって
3:ほむらちゃんやマミさんもいるのかな?
[備考]
参戦時期はクズなまどかVS逆襲の魔法少女スーパーさやかちゃん【後編】終了後です。

【コルト ポリスポジティブ@DEATH NOTE】
暁美ほむらに支給。
松田桃太が使っていた、回転式小型拳銃。装弾数6発。
18発の予備弾丸付き。


314 : ◆7PJBZrstcc :2021/05/02(日) 18:52:48 qVKA3z2g0
投下終了です。
入れ忘れましたが、タイトルは『あなたはどこにいるの?』です。


315 : ◆RzgssxN6bQ :2021/05/02(日) 23:12:26 MxjThKpY0
投下します


316 : 炎上と凍結を操る者達 ◆RzgssxN6bQ :2021/05/02(日) 23:14:17 MxjThKpY0
紅き月が輝く下、平安京に異形の影が佇んでいた。
右半身が凍てつく氷。
左半身が燃え盛る炎。
相反する属性を半身に持つ左右非対称のその姿を持つ者の名は、氷炎将軍フレイザード。
かつて地上征服を目論んだ大魔王バーン率いる六大軍団の一つ、氷炎魔団の団長の地位を持つ魔物である。
いや、持っていたと言う方が正しいだろうか。

「………あの時オレは確かに死んだはずだ。だというのにオレがこうして生きているとは………あのムカつく悪魔のガキ二人が甦らせたとでも言うのか?」

あのバルジ島での死闘の末、勇者ダイとその仲間達の手により還付なきまで破れ去り、最後には魔影参謀ミストバーンに捨て駒扱いされた上でその命を絶たれたフレイザード。
彼の一年足らずの生涯はそこで幕を下ろしたはずだったが、気がつけば見知らぬ場所に連れてこられ二人の悪魔に殺し合いを強要されているという状況。
ご丁寧にも参加者に付けられる首輪は自身の核(コア)に巻き付けられているのを彼は把握していた。

「ナメやがって、クソがあああ!!」

自身の生殺与奪を未知の相手に握られているという事実に怒りを隠しきれず、フレイザードは近場にあった建物に火炎と氷結の呪文をそれぞれ放った。
だが焼き尽くされ、凍て尽くされるはずであった建物は彼の思う以上の被害を出さず未だに原型を留めるに至っている。


317 : 炎上と凍結を操る者達 ◆RzgssxN6bQ :2021/05/02(日) 23:16:20 MxjThKpY0
「………クッ、やはりこの首輪のせいで力が抑えられてやがるのか! どこまでもムカつく奴らだぜ、あのガキ共ぉ!!」

強すぎる力を持つ者を弱体化させる首輪。
まるで自身が以前ダイ達との戦いで使用した氷炎結界呪法そっくりではないか。
違いと言えば抑制の起点が二本の塔か首輪かという点だが、それは今はいい。
逆に考えれば「あの二人は自身をはじめとする参加者に反抗され、本気を出されると抑えられる自信がない」という裏返しなのではないか?
だとすればこの首輪さえ何とかすれば、奴らを叩きのめす事も不可能ではないはず。
そう判断したフレイザードは天に昇る紅き月を見上げ、どこかで見ているであろうメフィスとフェレスに宣言するように叫んだ。

「いいぜぇ、お前らが始めたこのゲーム、乗ってやろうじゃねえか! だがこのオレが最後まで貴様らの言いなりになると思うなよ!? 他の連中を皆殺しにした上でこのふざけた首輪を必ず外し、地獄よりも恐ろしい目に合わせてやるからなぁ! ウ〜〜〜〜ッヒャヒャヒャッ!!」

あの悪魔二人の言っていた「どんな願いでも叶える」という発言の真偽は定かではない。
だがもし本当なら、今以上の力を手にいれた上で元の世界に帰還することも可能なはず。
そうすれば憎きダイ達を葬り去り、これまでの失態を帳消しにし新たな栄光と共に魔王軍に復帰できる。
その暁には自身を陥れたミストバーンも必ず葬り去るーーーーー

かくして、勝利のみを貪欲に求める炎と氷の魔人は、平安京に集められた命を狩り尽くすべく歩みを進めたのだった。
果たして彼の行く末にあるのは地獄か、それともーーーーー

【フレイザード@DRAGON QUEST ダイの大冒険】
[状態]:健康、主催への怒り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝した上で主催を葬り、力を手に入れて帰還する
1:参加者を見つけ次第殺す
2:首輪を外す手段も平行して探す
[備考]
※参戦時期は死亡後からです


318 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:17:24 /bVlgYko0
投下します


319 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:18:20 /bVlgYko0
被っちゃったので後で投下します


320 : 炎上と凍結を操る者達 ◆RzgssxN6bQ :2021/05/02(日) 23:18:25 MxjThKpY0


「………おいおいマジで何なんだあの怪人、間違いなくヤバい奴だろ!?」

フレイザードが立ち去った後、物陰から顔を出した一人の男がいた。
空に昇る月と同様の赤いスーツに身を包んだ姿は、単純に形容するならば「ヒーロー」と呼んで遜色ないものだった。

彼の名はキタキュウマン。
福岡県北九州市で活動するローカルヒーローであり、同市の観光大使にしてかつて株式会社悪の秘密結社の手から福岡を守り抜いたヒーローチーム「ドゲンジャーズ」の一員でもある。
そんな彼がこの殺し合いの舞台である平安京において取った最初の行動はーーーーーー

「………とりあえずあいつはあっちの方角に行ったな。よし!私はあっちに行くか!」

逆方向への逃走だった。

「どう考えてもあんなバケモノ私の手には負えないからな。ここに連れてこられたもっと強くて正義感に溢れた参加者達に退治してもらうのが賢明だろう。できればそんな面々とは脱出の為にお近づきになりたい!私が戦わない為にも!」

全文読み返しても明らかにヒーローらしからぬ発言を息を吐くように排出したキタキュウマンは、うんうんと頷きながら歩みを進め始めた。

繰り返し説明するが、彼はヒーローである。
ただし彼は常日頃から「身体が硬いから」「スーツに傷が入るから」などと言って一切戦おうとせず、怪人との戦闘は他のドゲンジャーズのメンバーや弟のキタキュウマンメタルに任せきり。
必殺技は「詮索と悩み相談」と公言し、主にやることは自身のtwitterにおける飯テロという始末。
終いには最近ドゲンジャーズの公式SNSアカウントを凡ミスにより凍結させてしまい謝罪会見させられたばかりなのだ。
それでもたまーーーに戦闘に参加する時はあるが、その時は戦いも終盤だったり自身の尻に火がついた時くらいである。
そんな前代未聞のヒーローの彼だが、twitterのフォロワー数は8万人を越え、福岡では知らぬものはいない人気者なのだから世の中は分からないものである。


321 : 炎上と凍結を操る者達 ◆RzgssxN6bQ :2021/05/02(日) 23:20:54 MxjThKpY0
「それにしてもあの二人、優勝したらどんな願いでも叶えるとか言ってたが、あれ絶対嘘だな。この手のネタで何のリスクもなく普通に願いを叶えてもらったパターンなど見たことがないし、こんな首輪をつけて戦わせる時点で私達の命を何とも思ってない証拠だ」

そんな彼も腐ってもヒーローの心は人並みにはあった。
罪もない少女の見せしめによる死に様まで見せられては「ローカル何もしないヒーロー」「歩く休戦協定」「修羅の国福岡県の恥」「何しにキタキュウマン」などと異名された彼でもそりゃ流石に動いた。
ここでガチで逃げ出したら、薬剤戦師オーガマンに「むんず」されてボコボコにされるレベルでは済まないだろう。

「おい、さっきからちょっとくどいぞナレーション。話が進まないから少し控えろ」

若干メタ発言しつつ、キタキュウマンはしばらく歩いた後、ある建造物を見つけた。

「……何で平安京にこんなものがあるんだ? あいつら世界観とか考えてないだろ」

それは定食屋だった。
どっからどう見ても現代建築である。
まあ日光江戸村や京都の映画村だってあくまで資料を基に作られた場所なので、そういう感じで雑に作られたのだろう。
そう自分を納得させつつ、キタキュウマンは偵察がてら定食屋の中に入っていった。


「いただきます!」

数分後、キタキュウマンは食事を始めていた。
といっても別に店に店員がいた訳ではなかった。
店内がもぬけの殻なのを知った彼は今後の為に自身に支給されたアイテムを確認していたのだが、その中にあったのが『グルメテーブルかけ』という望みの料理が名前を言えば出てくる夢のような道具と知り、早速使ってみたのだ。
「いやあ、まさに私の為にあるような支給品じゃないか。地獄に仏とはまさにこの事だな。あの子供二人も随分と粋なことをしてくれるが、さては私のファンだな? さて、では早速」

自分を殺し合いに連れてきた二人をべた褒めするという他の参加者から殴られそうな行為をしつつ、キタキュウマンは支給品の中にあった自分のスマホを料理に向けるといつも通りに撮影を始めた。
流石は飯テロマンである。


322 : 炎上と凍結を操る者達 ◆RzgssxN6bQ :2021/05/02(日) 23:22:48 MxjThKpY0
「………………おい、全くネットに繋がらないじゃないか! これではtwitterが出来ない!おのれメフィスとフェレス、こんなものを支給しておきながらこの私をコケにするような真似をするとは許さん!! 必ず倒してみせる!!」

だが、やはりというかなんというかSNSを利用する事は叶わず、飯テロは未遂に終わり手の平を大回転させて怒りを露にするキタキュウマンだった。

「とにかく、あの二人を倒して殺し合いを止めるには仲間を集めて首輪を外すのが賢明だが………」

あいにく電話もLINEも繋がらない状況では頼りの弟やドゲンジャーズの仲間達にも連絡が取れないし、そもそもこの偽平安京がどこにあるのかも皆目見当がつかない。
となればこの会場に連れてこられた面々を説得するしかないが、誤って血気盛んな参加者に声をかければ無駄に戦うはめになりかねない。
なるべく戦わないように友好的な参加者に声をかけ、協力してもらわねば。

「まあ幸い私にはこれがある。渡された食料に限りがある以上、必ず腹を空かせた参加者が現れるはず。そこでイケメンの私が食べ物と共に救いの手を差し伸べれば快く仲間になってくれるはずだ。偉大な絵本作家の先生も言っていたが『真のヒーローとは飢えた者に施しを与える者だ』とな!流石は私だ!」

良いことを言っているようだが要はグルメテーブルかけで出した食べ物を出しに仲間を集めようという魂胆である。
繰り返し言っておくが、彼はヒーローである。
誰が何と言おうとヒーローである。

「さて、そうと決まれば腹ごしらえを済ませておくか。私のようなイケメンともなれば慌てて行動したりはしないのだ」


こうして、片や闘志に満ち溢れた者。
片や絶対戦いたくない者が、殺し合いの地で真逆の考えのもと動きだしたのだった。
二人の行動により、この平安京は炎上するのか、それとも凍結するのか。
それはまだ神のみぞ知る所である。


323 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:32:21 /bVlgYko0
改めて投下します


324 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:32:42 /bVlgYko0
「クソッ!」

銀髪の青年、成島光我は苛立ちと共に砂を蹴った。
彼はこの数か月、闘技者・十鬼蛇王馬打倒の目標を掲げ、闘技者見習いとして様々な鍛錬を積んできた。
そんな折、『蟲』と名乗る謎の集団からの襲撃を受け重傷を負い、入院していたところこの殺し合いに参加させられることになった。

「殺し合いだぁ?あのガキどもふざけやがって!」

拳を握りしめ、唾と共に怒りを吐き散らす。
彼自身、道場破りの常習犯であり、かつては思うままに暴力を振るって生きてきた男である。
勿論、己がろくでもない人間であることは自覚している。
しかし、そんな彼でも殺人を犯せと命令されてハイ喜んでと承諾できるほど人でなしではなかった。
戦友、臥王龍鬼が殺人を犯し平然としていた時には涙が出るほど悲しく思い、彼が殺人鬼にならなくて済む道があるならそちらに尽力したいと願うほどには良識があるのだ。

「...あの子、可愛い顔してたよなあ...もったいないことしやがる」

見せしめにされた少女への黙祷を捧げつつ、気持ちを落ち着ける。
いつまでも苛立ち冷静さを欠いたままでは命とりになってしまうからだ。

(ひとまずこれからの方針を考えるか)

当然ながら、光我は殺し合いに賛同するつもりはない。
目下目指すは脱出である。
その為に優先すべきは首輪の解除。こればかりは、機械に詳しくない光我にはお手上げだ。
協力者は必須であり、光我に出来るのはその協力者に降りかかる火の粉を払うことだ。

『いい目をしている。仕合ならさぞ便利だろうよ。けど「実戦の経験値」が圧倒的に足りてねえ』
『テメーが何をどれだけやってきたか知らんがな。甘いんだよ。たった半年で俺らに肩を並べたつもりか?』

「......」

敵に、闘技者に言われたことを思い返す。
光我の成長速度には目を見張るものがある、とこの半年間を見てきた者たちは口々に言う。
もしもあと数年修行を積めば、一人前の闘技者になれるのはほぼ間違いない。
しかし、光我が望む仕合はまさに今。煉獄との対抗戦である。
残る期間は僅か一か月。怪我が完治したとて、とても訓練だけで一級線の闘技者たちとの差を縮められるものではない。
ならばこそ。
一般人ですら武器を持てば戦力になる、この地獄のような環境は光我にとってこれとない鍛錬場になり得るのではないか。
無論、無差別に襲い掛かるような真似はしないが、殺し合いに賛同した者を相手取るのは確かな経験値になる。

(...いい機会だ。利用できるものはとことん利用させてもらうぜ)

脱出の為に行動し、且つ実戦の経験を積む。
そう方針を定めた光我は、まずは支給品の確認を始めることにした。


325 : 炎上と凍結を操る者達 ◆RzgssxN6bQ :2021/05/02(日) 23:33:12 MxjThKpY0

【キタキュウマン(滝 夕輝)@ドゲンジャーズ】
[状態]:健康
[装備]:キタキュウマンスーツ@ドゲンジャーズ、キタキュウマンのスマホ@ドゲンジャーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、グルメテーブルかけ(残り使用回数19回)@ドラえもん
[思考・状況]
基本方針:何とか殺し合いから脱出する
1:まずは仲間を探す、私が戦わない為にも!
2:首輪をどうにかできる奴を探す
3:ヤバそうな相手がいたら逃げる
4:twitterが出来ない………
5:本当にヤバい時は………戦わなきゃ駄目か?
[備考]
※参戦時期はドゲンジャーズナイスバディ1話冒頭の謝罪会見の後です。
※グルメテーブルかけの回数制限に気付いていません。

【キタキュウマンスーツ@ドゲンジャーズ】
キタキュウマンが装備しているスーツ。
1945年に八幡東区の鉄工所で製作された戦時中の兵器「無敵特攻服」が前身であり、2013年に滝夕輝に発見された物を謎の企業ノルトノイン社が改造した事により今の姿となった。
防御力に関しては抜群であり、キタキュウマンの「身体が硬い」は半分はこのスーツの耐久力の事を指している。
支給品ではない。

【グルメテーブルかけ@ドラえもん】
見た目は普通のテーブルかけだが、これを敷いて食べたい料理を言うとその料理が瞬時に出てくる夢のような道具。
現実に存在しない料理や動物の餌すら出すことが可能。
今回は回数制限が定められており、使えるのは最大20回まで。

【キタキュウマンのスマホ@ドゲンジャーズ】
キタキュウマンが愛用するグレーカラーのスマホ。
何の変哲もないスマホだが、キタキュウマンがこれを持てばあらゆる意味で無敵になる。
当然ながら通話やSNSは使えないが、それ以外の機能は問題なく使用可能。


326 : ◆RzgssxN6bQ :2021/05/02(日) 23:33:57 MxjThKpY0
投下終了です。


327 : 水面下で絡まる――― ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:34:24 /bVlgYko0

「...なんだこりゃ」

掴み引っ張り出したのは一枚の白い布。説明書によればグルメテーブルかけという、テーブルにかけて食べたい物を唱えればたちまち食料が出てくる魔法のテーブルかけらしい。

「ケッ、くだらねえ」

もしもこんなものが実在すれば料理人は商売あがったりだ。
こんな都合のいいものがあるはずがないだろう。

「パチモンだパチモン。なんか他に使えそうなものは...」

ぐぅ〜

腹の音が鳴り、ピタリと手が止まる。

「......」

今まで入院していたこともあり、食事を抑えられていたことを思い出す。
ここに連れて来られる前に何故だか怪我は完治していたが、生理現象までは回復していないらしい。

「...ま、まあ、どのみちまずは飯を食わなきゃならないしな。うん、こんな玩具を信じるワケじゃねえからな」

キョロキョロと見回し、テーブルに使えそうな岩を探し出し、グルメテーブルかけをかける。
ごくり、と唾を飲み呟いた。

「...ハンバーガー」

するとどうだろう。瞬く間にテーブルかけの上にハンバーガーが現れたではないか。
驚愕に目を見開く光我は間髪入れずハンバーガーを鷲掴みにし口に運ぶ。

「うめえ...」

ふかふかとしたパンの触感に、シャキリ、という触感と爽やかな野菜の風味、じゅわりと滲む肉汁。
間違いない。これは本物のハンバーガーだ!

あっという間に平らげた光我は、次の料理の名を口にする。

「サーロインステーキ!」

香り立つ湯気の匂いに食欲は掻き立てられ、ナイフとフォークを掴みすぐに肉の切り分けにかかる。

「うめえ...うめえ!」

口内に広がる旨味に歓喜し己の幸運に感謝する。
本来なら護身用の武器や防具を望むのが当たり前かもしれないが、光我にとってその二つは無用の長物。
拳願試合にしても煉獄にしても、武器を用いての試合はご法度であり、人体改造をしたような例外を除けば己の肉体のみで戦うのが基本だからだ。
故にこの場でも武器を使って勝ち残っても光我にとっては意味が無い。
素手で生き残ってこそ鍛錬の意味があるというもの。
そういう縛りの中では、食糧問題を解決できるこの支給品は光我にとって最高の当たりだった。


328 : 水面下で絡まる――― ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:34:59 /bVlgYko0

ステーキを半ばまで食べ、水を飲み一息をついたその時。

―――ガサリ

光我の背後から、草木を掻き分ける音がした。

(ちっ、こんな時に参加者のお出ましか)

光我が振り返ると、そこにはセーラー服に身を包み、右手に持った刀がやけに印象的な黒髪長髪の少女が立っていた。

少女は血走った目で光我を睨みつけ、殺気にも似た威圧感を飛ばしていた。

(おいおいいきなりやる気かよ)

両拳を構え臨戦態勢をとる光我。
普段ならば「まあ子供相手だ、武器をパッと弾いて落ち着かせよう」と油断混じりに対応していたかもしれない。
しかし、少女の醸し出す空気は現状に錯乱した子供のものではなく、拳願仕合でも何度か肌で感じたことがある歴戦の戦士のものだった。

(勘弁してほしいぜ、女の子を殴りたくなんてねえよ俺)

泣き言を言っても、このまま気持ちまで受け身にまわれば間違いなく食われるのは自分だ。
相手は武器持ち。こちらから攻めに行きたい気持ちを抑え、相手の攻撃を捌くのに集中する。

ジリジリと足を進め、距離を詰めつつ攻撃を誘発する。
その一歩一歩が死へと近づくような緊張感に、光我は無意識のうちにごくりと唾を飲みこんでいた。

その隙を狙っていたかのように少女の上体が急速に沈んだ。

くるっ!

全意識を少女へと集中させ来るであろう攻撃を予測する。
刀による刺突。
刀はフェイントでタックルで倒しにくる。
両手を着いた状態からの足技。

(さあ、どいつで来やがる!?)

グウゥ〜

腹の音。
その余りにも予想外の手に光我はポカンと開口してしまった。


329 : 水面下で絡まる――― ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:35:10 /bVlgYko0

ステーキを半ばまで食べ、水を飲み一息をついたその時。

―――ガサリ

光我の背後から、草木を掻き分ける音がした。

(ちっ、こんな時に参加者のお出ましか)

光我が振り返ると、そこにはセーラー服に身を包み、右手に持った刀がやけに印象的な黒髪長髪の少女が立っていた。

少女は血走った目で光我を睨みつけ、殺気にも似た威圧感を飛ばしていた。

(おいおいいきなりやる気かよ)

両拳を構え臨戦態勢をとる光我。
普段ならば「まあ子供相手だ、武器をパッと弾いて落ち着かせよう」と油断混じりに対応していたかもしれない。
しかし、少女の醸し出す空気は現状に錯乱した子供のものではなく、拳願仕合でも何度か肌で感じたことがある歴戦の戦士のものだった。

(勘弁してほしいぜ、女の子を殴りたくなんてねえよ俺)

泣き言を言っても、このまま気持ちまで受け身にまわれば間違いなく食われるのは自分だ。
相手は武器持ち。こちらから攻めに行きたい気持ちを抑え、相手の攻撃を捌くのに集中する。

ジリジリと足を進め、距離を詰めつつ攻撃を誘発する。
その一歩一歩が死へと近づくような緊張感に、光我は無意識のうちにごくりと唾を飲みこんでいた。

その隙を狙っていたかのように少女の上体が急速に沈んだ。

くるっ!

全意識を少女へと集中させ来るであろう攻撃を予測する。
刀による刺突。
刀はフェイントでタックルで倒しにくる。
両手を着いた状態からの足技。

(さあ、どいつで来やがる!?)

グウゥ〜

腹の音。
その余りにも予想外の手に光我はポカンと開口してしまった。


330 : 水面下で絡まる――― ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:35:57 /bVlgYko0
「は...?」

ぐぎゅるるる〜

少女はうつぶせに倒れたまま再び腹の音を鳴らす。

(演技じゃねえんだよな?)

屈み、倒れる少女を人差し指でついついとつついてみる。
やはり反応は無し。

ぐうぅ〜

変わらず腹の音だけが返ってくる。


(演技じゃねえなこりゃ)

光我はやれやれと被りを振り、少女へと背を向ける。
思い返せば、彼女が睨みつけていたのは光我ではなくその傍にあったステーキだったのかもしれない。
あまりの空腹で追い詰められたが故だとしたら、あの殺気にも似た気と血走った目も不思議ではない。

「こんな状況だ。普通なら飯も出し渋るもんだろうが、会ったのが俺で運が良かったな嬢ちゃん」

光我はグルメテーブルかけに手をかけ、「サンドイッチ」と唱え、サンドイッチを出現させた。

「一緒に食おうぜ。女の子にひもじい思いさせて自分だけ飯食うような小さい男じゃねえからな、俺は」

瞬間。ガバリ、と顔を上げた少女はそのまま四足歩行で光我のもとへと駆け寄り、皿に盛られたサンドイッチへとかぶりついた。

「はむはむはむ」
「あんまり急ぐと喉詰まらせるぞ」
「ゴクン...問題ありません、おかわりを所望します!」

あっという間にペロリとサンドイッチを平らげた少女は、皿を突き出して光我に堂々と注文した。

「またサンドイッチでいいか?注文あるならそれにするけど」
「ハンバーグで、それとお米も所望します!」
「ハンバーグと米な。ほいっ」

テーブルかけに現れたハンバーグとほかほかの米に少女は目を輝かせ、すぐに米を口の中へとかきこみ始めた。

(よっぽど腹減ってたんだなあ)

彼女の食いつきぶりにも光我は引いた目では見ず、むしろ微笑まし気な表情を浮かべて見つめていた。
そんな彼の視線に気づいた少女は、食事を続けながら言葉を発した。

「もぐもぐもぐ...自己紹介がまだでしたね。私の名前は蒔岡玲です」
「俺は成島光我っていうんだ。よろしく」
「むぐむぐ...この度はこのような食糧を分けて頂き...もぐもぐ、ゴクン!ありがとうございました!」
「なあに、困った時は助け合いってな」
「...ちなみにおかわりは」
「おう、気が済むまで食ってくれよ」
「次はお蕎麦でお願いします!」
「お蕎麦ね。ほいっと」

出されたお蕎麦に目を輝かせながら箸をつける玲に、光我は頬を緩ませながら彼女の食事シーンを堪能する。

(いやはや、よく食べる女の子ってのも可愛いもんだなあ)

支給品はかなりの当たりが割り振られ。
可愛い女の子と食事にありつけて。
つくづく自分は幸運だと光我は思った。

だが彼は知らない。
己の見えぬ場所では幾重もの事態が動き始めていることに。


331 : 水面下で絡まる――― ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:36:31 /bVlgYko0



光我たちのいる場所からさほど遠くない森林の中、眼帯を着けたハゲ頭の巨漢が額に筋を浮かべながら散策していた。

「クソッタレ、あのガキどこ行きやがった」

巨漢、鮫島はつい先ほどのことを思い返す。

日本を占領した吸血鬼、雅。その部下である蟲の王と仲間や軍隊と共に協力し戦い、その末路を見届けたところだった。
気が付けばこの会場に連れて来られ、胸糞の悪いセレモニーを見せられて、また気が付けばどこぞの森へと飛ばされていた。
鮫島はあの主催の連中の言いなりになるのは癪だと殺し合いに反発するのを決意し、収まらぬ苛立ちのままに支給品を検めていた。

「武器は刀か。えーと、『無限刃』か。刃先も雑だし俺向きじゃねえな」

鮫島は基本的に鈍器や素手での戦いを主としている。
そのため、彼にとって刀の切れ味がどうのは大して意味を為さないのである。

「他にはなにがあるかね、っと」

無限刃を傍らに置き、再びデイバックを探りだす鮫島。
その隙を突くかのように、ガサリと草むらから飛び出る影が一つ。
慌てて鮫島が振り返れば、影は無限刃を持ち去っていた。

「てめえ!なにしやがる!!」

影の正体はうすぼんやりと把握している。
黒髪の長髪の子供だ。
しかし、いくら相手が子供で盗まれたのもいらないものだとしても、何の挨拶もなしに持っていかれるのは非常に腹立たしくなってしまう。
故に鮫島は怒声と共に影を追いかけ、見失い、現在に至っていた。

「誰だか知らねえが今に見てやがれ。俺ァ探すのがうめェからよ、見つけたら覚悟しやがれ!」

ボキボキと拳を鳴らしながら、鮫島は額に青筋を立て凶悪な笑みを浮かべた。


332 : 水面下で絡まる――― ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:37:42 /bVlgYko0


鮫島が散策している森の傍に広がる町、そのビルの屋上、現在より数分前。

ツインテールの褐色肌の少女が備え付けの望遠鏡で地上を見下ろしていた。
彼女の名前はソフィア・トレビ・マンサネーロ。
この殺し合いに連れて来られる前も殺し合いに巻き込まれ、そこで命を落とした少女である。
彼女は目を覚まし、己の命が再び蘇っていることに困惑していたが、あのセレモニーを見せつけられてからは一転、この会場に転移されるなり、真っ先にこのビルの屋上へ駆け上がった。
理由は単純。ビルの屋上という場所は逃げ道こそは限られているが、最初にここを押さえておけば地上の情報をより広く調べられるからだ。
情報の多さは自身の生存率を左右する。彼女はそのことを身を以て経験している。

「......」

息絶える直前のことを思い出す。
彼女と同じく殺し合いの参加者だった少年、蒔岡彰と少女、藤堂悠奈。
彰は如何なる時もソフィアを説得し助けようとし、もう助からない彼女に対しても「一緒に帰って僕の家に住もう。毎日、皆で一緒に食事をしよう」と励まし続けてくれた。
悠奈は彰と共に、自分の死に悲しみ、涙を堪えながらも必死に呼びかけてくれた。
出会いは殺し合いの中でだったけれど、彼らと貴信、英吾の5人で共に円をかき食べた食事は、今までの奪い奪われその日を凌ぐためだけの寂しい食事とは違う、初めての温もりに溢れていた。

(また、一緒に食事したいよ)

もしも生きて帰れたら、もう一度あの団欒を、可能であれば彰や悠奈と共にとりたい。
そんなことを願いながら、望遠鏡で地上を観察し

「え...?」

信じられないものを見た。ほんの数秒であったが、確かに望遠鏡には映っていた。
森を横切る小柄な身体。鏡越しに見た横顔は、あの女の子のように中世的でありながらも凛々しい横顔は。

「アキラッ!」

瞬間、ソフィアはビルの階段へと駆け出していた。
どうしてここに、なんて疑問はすぐに頭から抜け落ちていた。
今はただ彼に会いたい。
日本語が不自由な自分にも積極的に、丁寧に話しかけてくれた彼に。
自分が辛らつに接しても微笑みかけ、初めての団欒というものを教えてくれた彼に。

己の生存確率さえ無視して、ソフィアは『蒔岡彰』の影を追いビルを飛び出した。


333 : 水面下で絡まる――― ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:38:13 /bVlgYko0


一人の偉丈夫と少女に追われていることなど露知らず、玲はひたすら提供される食事にありついていた。
玲は一般的な女性よりも食事の摂取量が多い。それでも料理を5品も食べれば流石に腹は膨れるというもの。
しかし、玲はサンドイッチに続き、ハンバーグ、お蕎麦、寿司桶、カレーをその胃に通しても未だに満腹にはなっていない。
その原因は、彼女が指にはめている指輪にあった。

この殺し合いが始まり、刀剣の類が無いかと己のデイバックを探して出てきたのがこの『ちからの指環』。
説明書を読む前に指輪を嵌めた玲は、傍にあった木に拳を叩きつけることでその効果を実感。
その名の関する通り、指輪を嵌めただけで腕力が増したのだ。
これはまさに魔剣に連なる魔法のアイテムですね、と己を半ば無理やりな形で納得させ、森の散策を開始した。
故に、この指輪の隠された罠に気が付かなかった。
この『ちからの指輪』に『ハラペコの指環』の効果が合成されていることに。
ハラペコの指環とはその名の関する通りに、動けば動くだけお腹が減りやすくなる指輪だ。
そんなものを装備したまま歩き続ければあっという間に空腹に苛まれることになる。
無論、説明書を読んでいない玲が、この指輪が空腹の原因だと推測することなど出来る筈もなく。
配られた食料をあっという間に消費し、空腹を感じても尚、散策を続けた結果―――彼女の空腹はついに限界に到達。
彼女にはもともと空腹により、極端に視野と思考が狭くなる悪癖がある。
その悪癖が影響し、鮫島が地面に置いた刀を『地面に落ちているのなら私が拾っても問題はない!』という理論のもとに拾得(この時の彼女には刀の傍にいた鮫島も森の風景にしか映っていなかった)。
『刀があるなら近くに食事も落ちている筈!』と狂ったような思考回路で走り出し、早く食事を見つけなければと我武者羅に走り続けたところ、光我のステーキの匂いを嗅ぎつけ、彼のもとへと足を運んだのだ。

結果、食事にありつけた為、思考はある程度落ち着いたものの、空腹は未だに収めきれず。
彼女はこうして光我の食事を喰らい続けているのだ。

「焼きおにぎりお願いします!」
「焼きおにぎりな。はいよ」

そんな彼女の背景にも気づかず、光我は目を輝かせながら食事する玲を堪能している。

彼女が孕み連れてきた幾重もの災難のことなど露知らずに。


334 : 水面下で絡まる――― ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:39:23 /bVlgYko0

【成島光我@ケンガンオメガ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2(刀剣の類ではない)、グルメテーブルかけ@ドラえもん(21/30)
[行動方針]
基本方針:ゲームからの脱出を兼ねて鍛錬を積む。
0:いっぱい食べる女の子も可愛いなぁ
1:首輪解除を頼めそうな参加者を探す。
2:鍛錬を積み、最終的に十鬼蛇王馬や弓ヶ浜ヒカルにも勝てる闘技者になる。

※参戦時期は蟲の襲撃により入院している最中(怪我は完治させられている)。


【グルメテーブルかけ@ドラえもん】
未来の世界のひみつ道具の一つ。テーブルにこのテーブルクロスをかけて料理名を唱えればその料理が出てくる。
このロワにおいては30回まで使用できる。








【蒔岡玲@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]疲労(中)、空腹
[装備]無限刃@るろうに剣心(鮫島の支給品)、ちからの指環(ハラペコの指環の効果付き)@トルネコの大冒険3
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2(刀剣類以外)
[行動方針]
基本方針:運営の子供たちを倒す。
0:まだお腹が空いています。
1:彰の仇を探す。
2:光我には感謝です。おかわりを所望します。

※参戦時期はBルートで黒河に特訓をつけている時。
※極限の空腹状態だったために鮫島の存在はほとんど認識していません。

【無限刃@るろうに剣心】
剣客・志士雄真実の愛用する刀。切れ味を保存しておくために敢えて刃先を鋸のようにギザギザにしてある。
今まで斬った人の油を摩擦熱で燃やし簡易的な炎を生み出すことが出来る。


【ちからの指環(ハラペコの指環の効果付き)@トルネコの大冒険3】
大商人・トルネコが不思議のダンジョンで拾った指輪。
ちからの指環の効果で装備者のちからが少し上がる代わりに、合成素材のハラペコの指環の効果で装備者のお腹が非常に空きやすくなる。
ちからの指環の合成枠は二つあり、あと一つ指輪の効果を合成することが出来る。


【ビルの付近/一日目】


【ソフィア・トレビマンサネーロ@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:死にたくない。
0:アキラ...会いたい...!

※参戦時期は死亡後

【森/一日目】 
【鮫島(兄)@彼岸島 48日後...】
[状態]健康、怒り
[装備]
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:殺し合いから脱出する。
0:刀を盗んだガキ(玲)を探してとっちめる。


335 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:40:27 /bVlgYko0
続けてもう一作投下します
こちらは以前に「君の名は。バトルロワイアル」で投下した作品を修正したものです


336 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:40:52 /bVlgYko0
「な、なんという...!」

小太りの中年、彩南高校の校長はわなわなと身体を震わせていた。
仮にも彼はイチ教師である。
当然、この理不尽な殺し合いに怒りを覚えて

「なんという素晴らしいプレゼンツ!ムホー、みなぎってきましたぞォォォォォ!」

...訂正しよう。確かにこの殺し合いに怒りや恐怖といった人並みの感情は抱いていた。
だが、彼に配られた支給品である成人向け雑誌、所謂アダルトな本(オブラートな言い方をしなければエロ本)。
これを見た瞬間、彼のほとばしる熱いパトスは治まるところを知らなかった。

「これは服など着ている場合ではありませんぞ!いざ、いざ、いざああああああ!!」

バサリ、と音を立て服が空を舞い、あっという間にトランクス一丁のあられもない姿になる校長。
その中年特有のだらしなく肥えた身体つきが惜しみなく晒されるが彼には関係の無いこと。

「むひょおおおおおおおおおおおお!!!」

己の欲望に従い、男の孤独な戦いが始まった。


337 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:41:33 /bVlgYko0



「ふぅ...」

数十分後、なにかをやり遂げた顔で吐息を漏らす校長。
彼の周囲には丸まったティッシュが幾つも転がっていた。

「さて。そろそろ行動しなければ」

己に燻っていたモノを発散しきった校長はこれからの行動を考える。
日々、金色の闇やその他女生徒に跳びかかりその都度に撃退されているため多少の痛みは屁でもないものの、やはり彼とて命は惜しい。
かといって、流石に人を殺すつもりはないため、できれば何事も無く脱出し彩南町に帰りたい。

そのためにはどうにかして協力者を得たいが...

「あの、すみません」
「むほぉ!?」

背後より突如かけられた声。
校長は思わず身体をビクリと跳ねあげつつ振り返る。
立っていたのは、薄いシャツと下半身を包むジャージという見る者に体育教師という印象を与える爽やかな青年だった。

「僕は教育実習生の神谷と言います。あなたの名は?」
「わ、ワシは彩南高校の校長ですぞ」
「校長先生ですか!よかった、あなたみたいな人なら安全だ」

神谷と名乗った青年は、ニコリと笑みを浮かべ握手を求める。
その好青年さる姿に、校長もまた思わず安堵し握手を返した。


338 : 「さよならを教えて」 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:42:57 /bVlgYko0


それから、ここが学校らしいことを認識した二人は、誰か生徒がいないものかと校内を周りはじめた。

「教育実習生らしいが調子はどうだね」
「いやあ、まだまだ生徒が怖くて」

普段のテンションからは考えられない程紳士然とした態度をとる校長。
当然だ。
彼が興奮し変態するのは好みの美少女や美女相手のみであり、その気がない相手には普通の態度をとっている。
興味が無ければ暴走する必要もないからだ。

そんな教師として真っ当な会話をしつつやがて辿りついたのは空き教室。

促されるように校長は教室へ足を踏み入れ、後から入った神谷はゆっくりと扉を閉めた。

「君のように若い先生が教育に携わってくれるのは嬉しいことでね。期待しておりますぞ、神谷君」

背を向けながら、校長はそんな上辺半分な言葉を投げかける。
そんな校長は神谷の向ける視線に気が付かない。

「校長先生」

突然の呼びかけに思わず振り返る。

瞬間、校長の時は静止した。

立っていたのは、己のイチモツを露出させ熱い視線をぶつけてくる神谷だった。

「きみ...」
「あなたに一目ぼれしました。抱いてください」

神谷は校長から目を逸らさず、シャツをまくり上げ乳首を見せつける。

「オレ、ホモなんです。先生のヒゲや豊満な体つきを見ればオレは迷わず裸になれます。それに、あの散乱したティッシュ。あなたも性欲を持て余していたんでしょう。オレの推測はまちがってますか?」

「神谷くん...」


339 : 「さよならを教えて」 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:43:52 /bVlgYko0



俺の名は浦上。
ちょいと遊び過ぎて指名手配犯になっちまった死刑囚だ。
今はあの妙なガキ共の開いた殺し合いに参加させられているところだ。

当然ながら俺はこの殺し合いに乗った。
理由なんざ決まってる。なんでも願いを叶えるってのは魅力的だし、なにより俺の欲求を満たしやすい環境なんだ。断る必要がねえ。

目を覚ました俺はさっそく獲物を探すため近くにあった学校へと潜入。
ガキや素人はまずこういった目ぼしいとこを目指しやすいが、ビンゴ。

校庭の砂利には二人分の足跡が残されていた。
ご丁寧にその足跡は校舎の方にまで続いていた。

さてどんな遊びをしてやろうかと考えつつ俺は校舎へと足を進める。
男だったらどこをどうやって解体してやろうか。
ガキか女だったら殺しながら穴という穴を犯しつくしてやろうか。

気配を殺しつつ進んでいた俺に、ギシッ、ギシッとなにかが軋むような音が届いた。

(こんなところでヤッてんのか。お盛んだねえ)

以前、自衛隊の奴らがバケモノ共を襲撃した際にも暢気に盛ってたヤツらがいた。
人間はこういう事態の最中では興奮しやすい。俺も経験はある。
多少の緊張感があった方が燃えるってのは解らないでもないが、運のない奴らだ。
それが原因で俺に殺されることになるんだからよ。

中の得物はどんなプレイをお楽しみなのか。
ギリギリまで窓に近づき、気取られないよう姿を隠しつつこっそりと中を除く。

俺は絶句しちまったね。

なんせ、健康そうな若い男が醜い肢体の中年を犯してたんだからよ。


340 : 「さよならを教えて」 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:44:14 /bVlgYko0



「校長先生...!」
『か、神谷くん!』

俺が腰を動かす度に、校長先生の甘い喘ぎが漏れる。

『お、おおう...!』
「ああ...」

校長先生の紅潮した頬に、吐息に、俺は思わずうっとりとした表情を浮かべてしまう。
それに呼応したかのように、俺のパトスは更に熱さを帯びた。
その穴の湿り、加齢臭、先端から漏れる雄の匂い...
校長先生の全てが俺にとっての媚薬なのだ。

ふと、何者かの視線を感じ俺は顔を上げた。
そのもとは窓の向こう側。
坊主頭の男が俺たちに熱い視線をぶつけてくる。
なんだい。あんたも俺たちに混ざりたいのか。
だがもう少し待ってな。いまは校長先生をたっぷり味わいたいんだ。
終わったらあんたも一緒に楽しも―――

『か、神谷、くん...!』

息も絶え絶えに、校長先生は俺に縋り付く。
ああ、すまないな校長先生。
いまはあんただけを―――

『ワシを殺してくれ』

思わず俺の腰が止まる。

『ワシはこんな快感を味わったことはなかった。こんな絶頂のまま死ねるなら―――それがいい』

俺は耳を疑った。
だってそうだろ?俺の惚れた男が、俺の手で死にたいなんて言うんだぜ。
勿論、俺だって殺すこと自体嫌なモンさ。

『早く...ワシを...!』

けれど。
愛しているからこそ、その願いを叶えてやるべきではないだろうか。
それが男というものではないのか。俺は、そう思う。

「...校長先生」

俺は、そっと先生の首に手をかけた。


341 : 「さよならを教えて」 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:45:07 /bVlgYko0




オイオイオイオイ、マジかよ。
なんたってこんな醜いデブとの交尾なんざ見せつけられなくちゃならねーんだよ。
いくら俺でもあんな中年のデブを抱きたくなんかねえぞ。
しかも掘ってる方も若いっちゃ若いがあの新一とかいうガキみてえな可愛い顔じゃなくてどちらかといえば男臭い感じだしよ。
ったく。汚いモン見せられて気分が萎えちまったぜ。今回はズラか...

ん?デブの方がなんか抗議し始めたな。

「やめてくれ、ワシにこんな趣味はない!」

なにぃ?
...ってことは、あの男はデブを無理やり犯してる訳か。
物好きにもほどがあんだろ。

「こ、こんな状況できみはなにを...」
「この野郎、恥かかせやがって!」

デブの抗議に男の方が激昂し、デブの首を絞めはじめた。だが腰はずっと動かしてやがる。
デブがいくらもがこうが男は関係ない。己の快楽にのみしか興味が無いようだ。
次第にデブの抵抗も弱まっていき、やがてパタリと地面に手が落ちる。

同時に。

「うおおーーーーっ!!」

どうやら二人同時に逝っちまったらしい。

...なんなんだあいつは。

流石のオレもあんな狂人は相手にしたくない。ここはズラか...

ゲッ、目が合っちまった。


342 : 「さよならを教えて」 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:46:05 /bVlgYko0




「はぁ、はぁ...」

校長先生の首から手を離す。
殺ってしまった。
俺はこの手で惚れた男の命を奪ってしまったのだ。

校長先生の頼みは断ろうと思えば断れたかもしれない。
「そんなことしなくても、校長先生と一緒に殺し合いから脱出して最高の快楽を味あわせてあげますよ」と言うことはできたはずだ。
だが俺はしなかった。
...もしかしたら俺は、心の底では初めての命を奪いながらの交わりに期待していたのかもしれない。

そんな己に芽生えているかもしれない残虐性に怯えたが、しかし校長先生の安らかな顔を見ていればその恐怖も薄まった。

校長先生。あなたはこんな俺を許してくれるんですね。

とにかく、いまは生き残ることを考えなければ。
俺は殺人鬼じゃない。もうあんな交わりは頼まれない限りごめんだ。
さっきから覗いている坊主頭の男に弁解しなければ。
そんな想いで顔をあげると、坊主頭の男と視線があった。
彼は一目散に逃げ出した。殺人現場を見てしまったのだから当然だ。

「待ってくれ!」

俺の呼びかけも彼には届かない。
クソッ、どうにか誤解を解かなければ。

俺は急いでジャージを履き直し彼の後を追う。

教室を出る際に校長先生を一瞥し、後ろ髪を引かれる想いで俺は教室をあとにした。


343 : 「さよならを教えて」 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:46:34 /bVlgYko0


誰もいなくなった無人の教室。

そこに残されのは、肛門から白い粘液が溢れ、顔を苦痛に歪めた中年の男の死体だけだった。


【校長@TOLOVEる 死亡】

【一日目/高校】


【神谷@教育実習生絶頂す】
[状態]:健康(無自覚の精神不安定)
[装備]:
[道具]:不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本方針:石井先生を探す。殺し合いには乗らない。
0:さっき見ていた男(浦上)を探す【犯す】。
1:女は放っておきたいが...

※他の男性参加者になにかと難癖をつけてホモ認定し抱きたがります。



【浦上@寄生獣】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本方針:殺し合いに乗る。
0:神谷から逃げる。


344 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/02(日) 23:46:59 /bVlgYko0
投下終了です


345 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 00:14:45 wJb87tgw0
2作続けて投下します。


346 : 宝の番人 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 00:15:24 wJb87tgw0
紅き血染めの月が旗印の如く爛々と輝く平安京ーーー

「……」

宝箱を抱えた兵士が歩いているーーー

「……」
兵士の役割は宝箱を守ること。

メフィスとフェレスの殺し合いには何の関心も持ってはいない。

「……」
兵士がやることは、例え場所が変わっても宝箱を守ることーーー

え。話しかけたらどうなるだって?

話しかけるとそんな質問をしてきます。

「もしこの先の宝がほしいなら この私をたおしてゆくがいい。」

と。
いいえなら。大丈夫。彼はまた歩くだけーーー

だけど……「はい」と答えたのであれば……

それは、言ってみてのお楽しみ♪

【キラーマジンガ@ドラゴンクエスト6 】
[状態]:健康 
[装備]:宝箱@ドラゴンクエスト6
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:宝箱を守る
1:宝箱を守る
2: もしこの先の宝がほしいなら この私をたおしてゆくがいい
[備考]
※参戦時期は開海底宝物庫の扉の前で主人公と戦う前
※「はい」と答えるまでは姿は普通の兵士の姿。
※戦闘する際はキラーマジンガ2匹に分裂します。両方死んだら死亡になります。
※戦闘が終われば(中断も含めて)また兵士の姿に戻ります。(死亡でない場合は状態は健康に戻ります)
【宝箱@ドラゴンクエスト6】
キラーマジンガ2匹が守る宝箱。中身はグリムガンのむち。
ここでの戦闘が一部の冒険者にキラーマジンガ様と呼ばれる所以。


347 : 名探偵コナン 表白するピアニスト ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 00:16:12 wJb87tgw0
紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーー

「はぁ……」

ため息をつく女学生がいたーーー

女学生の名は多谷史緒。
星ノ宮女子高等学校の特待科の1年生

『殺し合いってどういうこと?』
『最後の一人は願いを叶える権利を手に入れられるっていうけど、そんなの間に受ける?普通』
「デスはデスでも、殺し合いのデスは勘弁してほしいわ」

史緒は思考……思ったことを包み隠さず口にしてしまう癖がある。

「ねぇ、そこのお姉さん」
「!?」
声をかけられ、視線を向けると、そこにはーーー

蝶ネクタイの服装をした小学生がいたーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


348 : 名探偵コナン 表白するピアニスト ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 00:16:35 wJb87tgw0
史緒に話しかける前 -江戸川コナンー

紅きい染めの月には目もくれずに思考を続けながら歩く小学生がいたーーー

小学生の名は江戸川コナン。
帝丹小学校1年B組の少年探偵団の一員だ。
しかし、彼は本当は小学生ではないーーーというより名も違う。
本当の名は工藤新一。
日本警察の救世主と呼ばれる名探偵。

(奴らがこれに関わっている可能性はまず……低い)
奴らとは彼が名付けた通称、黒ずくめと呼ばれる組織のこと。
そう、江戸川コナンこと工藤新一は遊園地のデート中、黒ずくめの男達の取引現場を目撃した。
奴らの取引に夢中になっていた彼は組織の毒薬を飲まされーーー体が縮んでしまった。

ーーーつまり、体は子供、頭脳は大人というわけだ。

そして、正体を隠すため、現在は、とある探偵事務所に居候として住みながら組織を追っているーーー

(見たところ、ここは京都、それも平安京か……?)
コナンは周囲の建物から場所を推測する。

(いや、普通に考えて【日本の都市】で殺し合いをさせるなんて不可能だ)
しかし、コナンはここが【日本の土地の平安京】ではないと断定する。

(日本の平安京を模した都市と考えてもいいが、この地球上の何処にこんなことを開催する場所があるんだ!?)
中世ならいざ知らず、現代社会においてこのような催しを開催する場所はそれこそ、離島や私有地となるがーーー

(それに……あの双子……メフィスとフェレスとか言ったが、ドイツのファウスト博士が取引をしたと伝わる悪魔の名前と同じだ……まっ、大方、名を借りているにちがいねーだろーが)
コナンは双子が名乗ったメフィスとフェレスはドイツのファウスト博士が取引をしたと言われる悪魔メフィストフェレスを偽名としてなのっていると考えるがーーー

(この服装……俺が意識を失った時の服じゃねぇ……)
そう、江戸川コナンはとある事件を調査中、犯人の仕掛けたクエンチにより意識を失ってしまったのだ。
(一見、いつもの服だけど……普通の眼鏡に蝶ネクタイ……アガサ博士の発明品は、取り上げられちまってるか)
彼の協力者のアガサ博士の発明品は残念ながらメフィスとフェレスに奪われてしまっているようだーーー

(まぁ、こいつが使えのはいいが……)
コナンの視線の先にあるのは自身が履いているシューズ。

(蹴るもんさえあれば、襲われても何とかなる)
そう、そのシューズも発明品の一つ。
小学生の体になってしまったコナンにとって犯人確保に欠かせない道具なのだからーーー

(蘭……無事なのか?)
その場には彼の恋人も側にいたため、コナンは安否を祈るーーー

探偵はさらに思考しながら歩く。歩く。歩くーーー

(あの月……認めたくはねーけど、あの双子……何か妙な力を持っていると思った方がいいな)
自信が誘われた状況や殺し合う紅き血染めの月が浮かぶ場所から、コナンは双子が何かしらの力を持っているのではと推測する。

(俺としちゃ、ゲームみたいなファンタジーよりも、どこかの国の金持ちやお偉いさんたちが開催した闇の賭け事だったの方がしっくりくるんだけどな)
その方がまだ対処の仕方があるとコナンは思うーーー

(あー!くそ!どちらにせよ、情報がまだ少なすぎる!)
コナンは頭をボリボリとかくーーー

(どちらにせよ、メフィスとフェレス……おめーらの悪事は阻止してやるからなッ!)
コナンは犯罪を許さない。
たとえ、あの双子がどんな地位にいようと罪に向き合わせる。
コナンは固くケツイしたーーー

(お!?あれは……参加者か?)
ケツイしたコナンの視線に参加者らしき人物が見えたーーー

(よし!まずは、話しかけて情報収集するとすっか!)
そう判断すると、コナンは女生徒に近づきーーー

「ねぇ、そこのお姉さん」

☆彡 ☆彡 ☆彡


349 : 名探偵コナン 表白するピアニスト ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 00:17:29 wJb87tgw0
江戸川コナンの推理 〜多谷史緒の習い事〜

『な、なに?小学生が、急に話しかけてきたんだけど……』
『こういうときは、知らない人に話しかけちゃ駄目だよ!と注意してあげるべきなのかしら……』
『でも、今の時代。そうすると、親が出てきてめんどくさい事になるのよね……はぁ、ここは、どうしたのぼく?一人?と話した方がよさそうね……』

「お…お姉さん?」
(おいおい……全部心の声がただ漏れなんだけど)
コナンは少女のおそらく、心の声だろう言葉をそのまま口に出す少女に若干戸惑う。

「どうしたのぼく?一人?」

「う…うん。一人なんだ」
(ごり押したぞ……声をかけたの、不味ったか?)
コナンは今まで出会ってきた中でも1・2を争う変わっている女性に若干、警戒するーーー

「……ボクは、江戸川コナン!帝丹小学校1年B組。お姉さんの名前は?」
『名前……殺し合いをさせられている状況で名前を伝えるべきかしら……』
『でも……小学生なら、安全よね』
「私は多谷史緒。星ノ宮女学校特待科の1年生。よろしくね江戸川君」

史緒はコナンに手を差し出すと、コナンも同様に手を出して握手した」

「……!」

『な、何?この子、私の手をじ〜っと見つめて……もしかして、ちょっと危ない子?』
「……?どうしたの?」
史緒の手を握ったまま見つめて黙るコナンに史緒は、手フェチなのかと思いつつ首を傾げる。

「う…ううん」
(ははは……どうやら、そういう喋り方をする子と認識しておくか)
コナンは史緒という少女がそういう話し方をするのだと割り切るとーーー

「……ねぇ、史緒お姉ちゃんってピアノを習っている?」
コナンは史緒がピアノの経験者だと指摘する。

『えっ!?』
「……ッ!?」
コナンの指摘に史緒は驚きを隠せない。

「……どうして、そう思ったの?」

「史緒お姉ちゃんの親指の爪が上向き気味になっていたからだよ。ピアノを習っている人は鍵盤に指が触れるとき、指紋をつけるように演奏することが多いよね?それを繰り返すと親指の付け根に筋肉が付いて親指から爪にかけて反るようになるんだ」
「そして、小指。ピアニストは五指全てを満遍なく弾くから、自然とがっしりしていく」
「最後の決め手は、特待科に所属している……おそらく、言葉から推測すると、特技が秀でている生徒の科って意味だから……」

「私がピアノを習っていると思ったのね」
「うん!」
史緒の言葉にコナンは笑顔で答えるーーー

『何、この子……本当に小学生?』
『ていうか普通、人の手を見て、ピアノ習ってますか?って尋ねる?』
『ちょっと、常識を疑うけど……相手は小学一年生。広い心で接してあげなきゃ可哀想よね……』
「正解よ。凄いわ江戸川君」
史緒はコナンの推理に感服するーーー

「は…はは」
(ほんと、この人、ズバッと口に出すな……)

『でも……その推理力……本当に一年生?』
「正直その推理力は凄いけど、江戸川君……あなたは一体……」

明らかに普通の小学生の知識でないコナンに史緒は質問するーーー

「……江戸川コナン。探偵さ」

隠されたことを暴く探偵と思ったことを隠さず口に出すピアニストが邂逅したーーーーー


350 : 名探偵コナン 表白するピアニスト ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 00:17:43 wJb87tgw0
【多谷文緒@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰る
1:江戸川君と行動を共にする
2:探偵……
[備考]
※参戦時期は少なくとも間章「鍵盤は行軍する」後。絆エピソードの進行度は後続の書き手様にゆだねます。
※コナンの推理力からただの小学一年生ではないと感じています。

【江戸川コナン@名探偵コナン 】
[状態]:健康 
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:首輪をどうにかして、メフィスとフェレスを捕まえる
1:史緒と行動を共にする
2:情報集を行う
2:首輪の解除の仕方を考える
3:蘭……
[備考]
※参戦時期は緋色の弾丸でクエンチで意識が落ちた後
※アガサ博士の発明品はキック力増強シューズのみです。他の道具は他の参加者に支給されている可能性があります。
※メフィスとフェレスが異常な力を持っているのではと推測していますが、まだ情報収集の段階です(ファンタジーの存在は半信半疑……できれば否であってほしいとは思っている)

【キック力増強シューズ@名探偵コナン】
アガサ博士の発明品の一つ。
足のツボを刺激することで、脚力を増強するシューズ。
ちなみに威力「中」でサッカーボールを蹴ったところ、大木をへし折った程の威力を出せる。
また、石の柱も叩き折ることも可能である。
コナン君が犯人確保に使うが、確保するために最初に蹴ったのはなんと「タイヤ」である。
博士は真面目にこれで特許を申請した方がいい。


351 : 名探偵コナン 表白するピアニスト ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 00:17:57 wJb87tgw0
投下終了します。


352 : 人狼ゲエム ◆ylcjBnZZno :2021/05/03(月) 00:29:00 SQHAlTOE0
怖しい夜がやってきました。





「白刃」ジロウ・スズキの治める王政国家・東の魔王軍に、リリィという名の女がおりました。

リリィは争いと暴力を憎み、反戦平和と武力放棄を訴える活動に精を出していました。

そんなある日、リリィは平安京で行われるバトルロワイアルに巻き込まれてしまいました。

唐突に始まった異常事態、為すすべなく犠牲となった少女を見て混乱しましたが、すぐに持ち直し、己の為すべきことを定めます。

「こんなゲームは許されません!」

誰も死なせない。
そう決意したリリィは、最初に出会った眼鏡をかけた少年にその理想を語りました。

「それは素晴らしい! ぜひボクにも協力させてほしい!」
少年は大層喜び、リリィの仲間になりました。

リリィは次に出会った白衣の青年にも同じ理想を語ります。
「それは素晴らしい! ぜひ僕にも協力させてほしい!」
青年も大層喜び、リリィの仲間になりました。

リリィはその次に出会ったスーツの男にも同じ理想を語ります。
「それは素晴らしい! ぜひ俺にも協力させてくれ!」
男も大層喜び、リリィの仲間になりました。


そうして仲間となった4人は手ごろな家に入り、この状況について意見を交わします。
この平安京は何なのか。脱出は可能なのか。会場の端はどうなっているのか。首輪はどんな技術で作られているのか。解除の方法はあるのか。メフィスやフェレスは何者なのか。殺された少女は何者なのか。この禍々しい空は何なのか。あの歯車の塔は何なのか。名簿。地図。支給品。ルール。


意見を交わし合ってもわからないことがほとんどでしたが、なんとか考えと行動方針がまとまりました。


353 : 人狼ゲエム ◆ylcjBnZZno :2021/05/03(月) 00:29:44 SQHAlTOE0

さあ出発だ! そう言って立ち上がったスーツの男でしたが、腹の虫に出鼻をくじかれ、ばつが悪そうに笑います。

「たはは……。すみませんな」
「いえいえ。出発は何かお腹に入れてからにしましょうか」
「ボクもお腹減っちゃった」
「それじゃあ僕が夜食を作ってきましょう。
 リリィさんから譲り受けたこの『原子発生グローブ』があれば調味料も食材も作り出せますから」
そういうと白衣の青年が立ち上がり台所へ向かいます。

「ボクも手伝うよ! 何を作るの?」
後からついて来た少年が尋ねると、青年はグローブをはめた指を咥えて答えました。


「サルファマスタードなんてどうかな?」







ゲラゲラと笑う声。

「じゃあねみんな! 短い間だったけど、これにてみんなとはお別れです!」

戸や壁、床に天井、障子に御簾。
いたるところに血が飛び散り、砕けた『中身』が散乱する。
下級貴族のものだったらしいこの住居には、二度と人など住めないだろう。

そんな空間に白衣の青年が一人立っていた。

否、その白衣も夥しい血痕が付着し、もはや『白衣』などとは呼ぶことすら躊躇われる。


「みんなを殺さなきゃいけなかった理由は、特にありません、っつってな」


理由も目的もなく、ただ享楽のため。
『甘き毒薬(キャンディ・マン)』が動き出す。


【遊坂 葵@PSYREN -サイレン-】
[状態]:健康
[装備]:原子発生グローブ@センコーバトル、マァムのハンマースピア@ドラゴンクエスト ダイの大冒険、グロック18C@現実
[道具]:基本支給品4人分、ランダム支給品8つ(すべてのアイテムを一つのデイパックにまとめました)
[思考・状況]
基本:享楽第一
1:ステルスと無差別は気分によって使い分ける。
[備考]
参戦時期は死後。


【リリィ@魔法少女プリティ☆ベル 死亡】
【江戸川 コナン@名探偵コナン 死亡】
【剣持 勇@金田一少年の事件簿 死亡】


【原子発生グローブ@センコーバトル】
私立ゴールデン・レトリバー高校化学教諭・高橋が作成したグローブ。
世の中に存在するあらゆる原子を発生させることが可能。
作中の描写から化学変化を起こすことも可能と思われる。

※殺害現場となった住居には遊坂、リリィ、コナン、剣持が情報を持ち寄って行った考察を記したメモが残されています。





市民が全員処刑されました。
人狼の勝利です。


354 : ◆ylcjBnZZno :2021/05/03(月) 00:30:06 SQHAlTOE0
投下終了です


355 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/03(月) 04:30:16 S6T44xzQ0
投下します。


356 : 強くなりすぎた超賢者、転生して更なる高みを目指す ◆2zEnKfaCDc :2021/05/03(月) 04:30:49 S6T44xzQ0
 超賢者といえば、何を隠そう俺のことだ。世界各地を回り、人々を脅かす魔物たちを討伐するにつれ、俺はそう呼ばれるようになった。今やその名は遥か遠い海の先まで知れ渡っている。それに、自慢じゃねえが世界を救ったパーティーのひとりでもある。下手に天使だとか女神だとかとコネクション持っちまったせいで世界を終わらせようとしていた堕天使ってやつをぶっ飛ばす羽目になっちまった。まあ、俺の魔力がありゃ楽勝だったがな。ぶっちゃけ、俺がいたから救えた世界だよ。

 ただ、特に努力しなくてもなんでも出来ちまう人生。少しばかりイージーモードすぎたかな……ってのは感じている。俺の心の奥にはぽっかりと穴が空いちまった気がしてならなかったよ。

 あとはその穴を埋めるために日々を送ろうと思った。俺の実力に着いて来れない仲間とはお別れし、世界を旅しては強いやつを求め魔物を倒し続け――図らずも、闇雲に腕に磨きをかけ続けていた。そしてついに俺は、もはや成長の見込みが無いほどに賢者の道を極めてしまった。

 そして各地を転々としていた俺の噂を聞きつけたか、かつての冒険の仲間から声をかけられたのはそんな時だった。

『お久しぶりです。あの……もしよかったらですけど、"転生"してみませんか?』

『転生?』

『はい。ある職業の道を極めた人が、もう一度、身も心も一新して一からやり直せる、というものなのですけど……。』

『……なるほど。悪くないな。』

『そう言ってくださると思っていました!』

『ああ、よろしく頼む。お前も……来れるといいな。この高みまで。』

『あ……はい。頑張ります。』

『ところで、ダーマに行けばいいのか?』

『はい。よかったら一緒に行きましょうよ。実は私、いい修行場所知ってまして。バトルマスター、ちょうど今から8回目の転生なんです。』

『ん?ㅤ蜂が……何だって……?』

 そうして俺は、もう一度賢者の道を極め直すことになった。ダーマ神官に言われるがままに目を閉じて、初心を思い出しながら祈りを捧げ、そして、目を開いたその時――俺は首輪を嵌められていた。

「えっ……殺し合いが……えっ? そんでレベルは……1!?」

 どうやら不幸にも、転生とやらは完了していたようだ。

「まさか……ダーマ神官に嵌められたのか!? 強くなるために訪れた者の力を奪って、そして力を奪ったやつ同士、闘技場で殺し合わせるとかいう筋書きか?」

 もしや、俺に転生を勧めてきたあの守護天使もグルだったのか? だけど天使ながらに人間性だけは信頼出来るアイツが、意図的にそんなことに俺を巻き込んだとは思えない。おそらくはダーマ神官と、メフィスとフェレスとやらが共謀してのやり口だろう。

 何にせよ、人々が殺し合う空間に、レベル1で放り込まれたことは事実のようだ。

「ひとまず、レベル1じゃ優勝なんて夢のまた夢だ。誰かを倒してレベルを上げれば……」

 そこまで考え、ぶんぶんと首を横に振った。

「……違う。仮にも俺は世界一の超賢者だ。こんな悪魔の催しに乗るなんて、そんなこと死んでもしないさ。」

 幸い、記憶までレベル1になったわけじゃない。高等呪文を扱う魔力は無いが、それまでに身に付けた特技は頭の中に宿っている。

「メフィスにフェレスだったな……? アイツらぶっ飛ばして、殺し合わずに帰還してやる。そんで……その後はあのダーマ神官、覚えておけよ?」

 メフィストフェレスなら何十匹も狩ってきたんだ。俺ならきっと、やれるだろうさ。

【男賢者@ドラゴンクエストIXㅤ星空の守り人】
[状態]:健康 レベル1
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰り、ダーマ神官をボコボコにする。
1:何とか人を殺さずレベルを上げる方法はないものか……

[備考]
さとりスキルは100です。他はお任せしますが、ダーマのさとりは制限されています。


357 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/03(月) 04:31:28 S6T44xzQ0
投下完了しました。


358 : ◆bLcnJe0wGs :2021/05/03(月) 09:26:23 gVtj8cAQ0
自作の文章をを一部修正させていただきました。


359 : 名探偵コナン 表白するピアニスト ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 10:46:21 wJb87tgw0
自作のコナンの状態表を修正いたしました。

また、2作続けて投下します。


360 : ズゥーカァー! ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 10:47:06 wJb87tgw0
紅き血染めの月が浮かぶ平「ズゥーカァー! 」

ーーー鳴き声が響き渡る。

鳴き声の正体はカメバズーカ。
悪の秘密結社デストロンの機械合成怪人。

機械合成怪人とは、動物と武器あるいは道具を合体させた怪人のことである。
カメバズーカは名の通り、カメとバズーカが合体している。

「おのれ!こんなことしている場合ではないというのに!!」
カメバズーカは怒り滾っているーーー

そう、カメバズーカは「東京全滅作戦」を決行する最中、メフィスとフェレスにより誘われたーーー

「しかし、俺の体内の原子爆弾のタイマーが止まっているのは、僥倖……あくまで、東京で爆破することが俺の任務だからなッ!」

カメバズーカには原子爆弾が内蔵されている。先に述べた「東京全滅作戦」を成功させるためにだ。
しかし、どうやらメフィスとフェレスにより時限爆弾のタイマーは止められているようだ。

「ふん!こんな殺し合いさっさと終わらせて帰還しなければ……ズゥーカァー!!!」

もっとも危険な爆弾を抱えた怪人が平安京を跋扈するーーーーー

【カメバズーカ@仮面ライダーV3 】
[状態]:健康 
[装備]:バズーカ 体内の原子爆弾
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝して元の世界へ戻り、作戦を決行する
1:参加者を殺す
2:ズゥーカァー!
[備考]
※参戦時期はダブルライダーと戦闘する前
※メフィスとフェレスにより原子爆弾の時間は停止しております。
※普通に死亡すると体内の原子爆弾が爆発します。範囲はそのマスと周囲のマスに放射能が降り注ぎます。


361 : メリークリスマス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 10:47:37 wJb87tgw0
紅き血染めの月のへい「まっかな ボウシの ようせいさんは〜♪」 

……この場に相応しくないクリスマスソングを歌う包帯のサイボーグがいたーーー

包帯サイボーグの名はマゼンタ。
第4世代最強のサイボーグ。

「いっも みんなのぉ〜ハナつまみものぉ〜♪」

「……」
歌い終わるとマゼンタはピッタッと立ち止まるとーーー

「センノヤイバ!」

バシュウウウウウウウーーーーーー

マゼンタの言葉と同時に建物が塵と消えたーーー

そう、これこそがマゼンタの必殺技センノヤイバ。

あらゆる分子の結びつきを分解し気体に変える一撃必殺技。

「……威力と範囲が弱まっている?」
しかし、マゼンタは先ほど放ったセンノヤイバの威力に納得いかない様子ーーー

「あの、双子の子供の仕業か……やってくれるね」
マゼンタのセンノヤイバはその気になれば前方にある車10台すべてを塵にすることが可能である。
それが、目の前の建物一軒しか分解できていないことから、メフィスとフェレスにより制限がかけられていることに気づいた。

「まったく、カタストロフを行うって大事な時にこんなことにボクを巻き込むんだなんてムカつくな」
マゼンタは自分が殺し合いの参加者に選ばれたことに不満を隠さないーーー

「まっ、制限をかけられようと、センノヤイバを持つボクに敵うやつなんていないからね。余興としてせいぜい楽しませてもらうよ」

ーーー「その気になれば、誰であろうとも消し去ることが出来る」ゆえの絶対的自信。

「願いを叶える権利か……ふふふふふ…・…メリークリスマス♪」

クリスマスの日に産まれた狂気のサイボーグが魔都平安京を跋扈するーーーーー

【マゼンタ@パワプロクンポケット14 】
[状態]:健康 蒸発装甲@パワプロクンポケット14 ロボットアーム2本@パワプロクンポケット14
[装備]:センノヤイバ@パワプロクンポケット14 2本の鉈状大型剣@パワプロクンポケット14
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝して元の世界へ戻る
1:参加者を殺す
2:メリークリスマス!
[備考]
※参戦時期は本編の3年目 詳細は後続の書き手様に委ねます。
※センノヤイバの範囲はマゼンタの周囲1M程度に狭まっています。
※センノヤイバの威力は塵にできるのは、1発につき1つの対象のみとなります。
例 武器を持った参加者だったら武器か参加者どちらか。武器を持った参加者「ごと」は分解できない。

【センノヤイバ@パワプロクンポケット14】
ありえない機械「ガジェット」を使った風の攻撃。
「霊体」以外のあらゆる物体を瞬時に分子分解させる。
メフィスとフェレスにより制限が加われている。

【蒸発装甲@パワプロクンポケット14】
全身に巻かれた包帯の下にある装甲。
表面を蒸発することでレーザーなどの高熱の攻撃を無効にする。

【2本のロボットアーム@パワプロクンポケット14】
センノヤイバを使用しないときのマゼンタの戦法。
2本の鉈状の大剣と2本のロボットアームによる「四刀流」は数々のシミュレーションを経て完成されたプログラムにより自律作動する「最強の武術」とマゼンタは自負する……があくまで大人相手の戦闘の想定なので、子供サイズには……


362 : メリークリスマス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 10:47:51 wJb87tgw0
投下終了します。


363 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/03(月) 14:17:27 CMMmPclU0
投下します


364 : 宿難の器と喋る豚 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/03(月) 14:18:31 CMMmPclU0
「何なんだよこれ...どうなってんだ...?」

殺し合いに連れてこられていた青年、虎杖悠二は今の状況に困惑していた
目が覚めて見れば見たこともない場所に連れてこられて周りにもたくさん人がいた、すると主催と名乗る者が殺し合いをしろと言い出し、その後目隠しをされていた少女の首輪が作動し爆発した
虎杖はその様子を見て怒りをあらわにしていた、しかしまた意識が途切れ次目を覚ました時には赤い空の下の会場にいた

(あの主催ってやつら...ひょっとして呪霊なのか...?)

虎杖は主催の者達が呪霊ではないかと考える
今までに漏瑚や真人や花御といった特級呪霊と出会ってきた、もしかしたらまだ自分の知らない特級呪霊なのかもしれないと虎杖は考えた

(俺がいるということは伏黒や釘崎、五条先生に先輩達、東堂達もいるのかな...?だったら探しに行かねぇと...)

自分が連れてこられているということは他の仲間達が連れてこられていてもおかしくはないと考えた悠二は即座に仲間達を探しに行こうとするが...

「おい待てそこのお前」
「!!」

突然話しかけられ敵かと思い警戒して後ろを振り返ると、そこには木に引っ掛かっていた豚のような生き物がいた

(...え?なにこれ?豚...?)
「...見てないで早く私を助けろ」
「え!?ぶ、豚が喋った!?」
「誰が豚だ!!いいから早く私をここから降ろせ!!」

喋る豚に驚いた虎杖だったが、助けを求めてるのを理解して喋る豚を降ろしたのだった


◆◆◆


「...む?何処だここは」

ぶりぶりざえもんが目を覚ますと空が赤い見たこともない場所にいた

「私は確かあの後消えたはず...」

元々自分はブタのヒヅメという組織のコンピュータウイルスで動いていた、そしてその後プログラムに入ったしんのすけと出会い自分は救いのヒーローだと教えられた、こんなことをするのは間違っていると思ったぶりぶりざえもんは大袋博士に頼んで自分をプログラムから消去させた
しかし今はどうだろう、普通に意識があることにぶりぶりざえもんは正直驚いていた...しかし

「...って何で私は木に吊らされているのだ!?」

何故か今の自分は木に吊らされていた...

「誰か私を助けろ〜!!」

そう叫んでいると丁度目の前に青年が通りかかったので助けを求めた
その青年が「虎杖悠二」だった...


365 : 宿難の器と喋る豚 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/03(月) 14:18:50 CMMmPclU0
◆◆◆


「ふぅ〜、助かったぞ、誉めて遣わす」
(何だろうこの豚...やけに偉そうだな...)

助けたはいいものの態度はでかいわやたら偉そうわで虎杖は内心何だこいつ...と思っていた

(しかも普通に喋ってるし二本足で立ってるし...パンダ先輩と同じ突然変異呪骸ってやつなのかな...)

豚が日本語を喋っていて尚且つ二本足で立っているのを見て同じ東京呪術高等専門学校の先輩であるパンダ先輩と同じ突然変異呪骸なのかと虎杖は考えた

「えっと...豚さん、名前何て言うの?」
「さっきも言ったが誰が豚だ!私は救いのヒーロー、ぶりぶりざえもんだ!」
「へぇ〜、こんな見た目のヒーローもいるんだな!」
「こんな見た目とは何だこんな見た目とは!貴様さっきから失礼だぞ!」
「はは、わりぃわりぃ」

豚だと言われて怒った生き物はぶりぶりざえもんという名前らしい
しかも救いのヒーローだと言い張っていた

「ん?そういえばその腰につけているのはもしかして刀?名前からして侍っぽいし」
「ん?これか?これは千歳飴だ、お前にはやらんぞ」
「何で千歳飴...」

刀だと思って聞いた虎杖だがぶりぶりざえもんから千歳飴だと聞いて困惑していた

「ところでお前の名はなんだ?」
「あ、そうだったな、俺は東京呪術高等専門学校一年の虎杖悠二っす!」
「さっきから呪術という言葉が出てくるがそれはなんなのだ?」
「えーと、まぁ簡単に言えば呪いみたいなものだな」
「...なるほど、さっぱりわからん」
「え?呪術師とか呪霊とか知らない?」
「全く知らないな」
「そっか〜...」

呪術師のことも呪霊のことも知らないとぶりぶりざえもんは答え、虎杖は残念がった
もしかしたら仲間達と出会える手がかりになるかもと思っていた、しかし仲間達の手がかりを得ることは出来なかった、それどころか呪術師や呪霊のことすらも知らなかった

「そうだ!どうせなら一緒に行動しようぜ!」
「え、何かお前と一緒にいたら危なそうだからやだ」
「そう堅いこと言うなって、これも何かの縁だしさ、確かに俺の中には宿難がいるけど」
「誰かは知らんがヤバそうなやつがいるんじゃないか!やっぱり私は一緒になど行きたくないぞ!」
「でもこのまま一人だと危険だろ?まだ二人の方が安心だしさ!」
「やめろ!私を掴むな!離せ!私は救いのヒーローなのだぞ!」
「だからこそ一緒に来てほしいんだよ!ほら行くぜ!」
「離せ〜〜!!」

こうして虎杖悠二はぶりぶりざえもんと共に行動し始めたのでした(無理矢理)


【虎杖悠二@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本行動方針:主催を祓う
1:ぶりぶりざえもんと行動する
2:変わったヒーローもいるもんだな〜
3:伏黒達がいたら探したい
[備考]
※参戦時期は少なくとも京都高との交流会が終わった後です
※ぶりぶりざえもんのことをパンダと同じ突然変異呪骸だと思っています

【ぶりぶりざえもん@クレヨンしんちゃん】
[健康]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本行動方針:めんどくさいけど困っているやつをおたすけする、但し救い料一億万円!ローンも可!
1:何処だここは
2:離せ〜!!(虎杖に無理矢理連れられる)
[備考]
※参戦時期は「映画ブタのヒヅメ」で消滅した後


366 : 宿難の器と喋る豚 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/03(月) 14:19:10 CMMmPclU0
投下終了です


367 : ◆4kMBNI9QkE :2021/05/03(月) 14:28:49 OY7sQB1.0
投下させていただきます


368 : 銀河のターザンは見た!怪獣王の怒り ◆4kMBNI9QkE :2021/05/03(月) 14:29:55 OY7sQB1.0
赤い月に照らされし平安京。

「グオルガァァァァ!!」

そこに、天地も揺れるような獣の雄叫びが轟いていた。

見れば、比叡山の麓で文字通り山のように巨大な『怪獣』が立ち尽くし、
夜空に浮かぶ赤い月に向けて青白い熱線を吐いていた。

全身が純黒の鱗で覆われ、
背中には岩山か柳の葉を思わせる背鰭が生え、
ヒグマのように筋肉質でたくましい肉体と鷲の如く鋭い目を備えた
直立体勢の肉食恐竜を思わせる怪獣……。

賢明なる読者の皆様はもうお分かりだろう。

彼の名はゴジラ。
古生代ペルム期の時代より、地球の生態系の頂点に立ち続ける怪獣の王である。

『グオルガァァァァ!!』

ゴジラは夜空に浮かぶ赤い月に向けて、何度も何度も口から青白い放射能熱線を吐いていた。

今ゴジラの心の中では、ただ純粋な『怒り』の感情が嵐のように猛り狂っていた。

自分をどことも知らぬ異郷へと連れ去り、家畜のように首輪をはめたメフィスとフェレスへの怒り。
そして自身よりも遥かに小さく幼い人間に浚われ、首輪をはめられた自分への怒り。

その二つの怒りが、ゴジラの心の中で暴れ狂っていた。

『グルルルゥ……』

ゴジラは唸り声を一つ上げると、移動を開始した。

その巨木のような……いや、小山のような脚が一歩歩を進めるごとに足下の木々は踏み潰され、ズシン、ズシンという地震とも地響きとも思える揺れが周囲に響き渡る。

『グオルガァァァァ!!』

ゴジラは再び、赤い月に向けて雄叫びをあげる。

まるであのメフィスとフェレスの二人に宣戦布告するかのように。

【ゴジラ@モンスターバース】
[状態]健康、激しい怒り
[装備]無し
[道具]無し
[思考・状況]
基本:メフィスとフェレスへの激しい怒り
1:メフィスとフェレスを必ず倒す
2:邪魔する奴も倒す
[備考]
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』終了後、『ゴジラVSコング』開始前からの参戦。


369 : 銀河のターザンは見た!怪獣王の怒り ◆4kMBNI9QkE :2021/05/03(月) 14:30:31 OY7sQB1.0
☆☆☆

さて、そこから少し離れた森の中。

「ひぇ〜信じらんねぇ〜」

黒い革のジャケットと黒いヒョウ柄の服を着た若い男が、
木々の影に隠れながらゴジラを観察していた。

彼の名はジャスピオン。
古代銀河バイブルに記されし魔神『サタンゴース』の巨獣帝国建設の野望を打ち砕く為に銀河を旅し、
『巨獣の星』とも呼ばれる地球へとやって来た銀河のターザンである。

「……あんなにデカイ巨獣、初めて見たぜ。宇宙は広いなぁ〜」

目の前で地響きを轟かせながら歩くゴジラを見ながら、ジャスピオンは感心するように呟く。

これまでジャスピオンが遭遇・戦ってきた巨獣達は、
どんなに大きくても身長50〜60メートルだったが、
今ジャスピオンの目の前にいるゴジラの身長は119.8メートル。

これまでジャスピオンが戦ってきたどんな巨獣よりも巨大な、まさに『超弩級』なゴジラの姿にジャスピオンは思わず感心してしまった。

「あんなにデカイ巨獣を連れてくるなんて……アイツら一体……」

ゴジラの超弩級な巨体に感心しつつも、ジャスピオンの頭にはある疑問が浮かんでいた。

それは自分を含めて複数人を、さらには超弩級の巨体を持つゴジラまでも拐い、殺し合いを強要するメフィスとフェレスの双子が一体何者なのか?ということだった。

ジャスピオンの頭に真っ先に思い浮かぶのは、宿敵でありこれまで多くの巨獣達を凶暴化させてきた魔神サタンゴースと地球で出会ったサタンゴースの息子・マッドギャランだった。

あのメフィスとフェレスという双子もサタンゴースの一味なのかもしれない。
もしかしたら、彼女達もマッドギャランと同じくサタンゴースの子供達なのではなかろうか?

しかし、情報の少ない現状では確実な答えを見いだす事はできなかった。

「……とりあえず、ここに居たらマズイな」

ジャスピオンは自身のデイバックを持つと、
ゴジラから見つからないようにその場を離れていった。

今、ジャスピオンは育ての親である宇宙仙人エジンから渡された強化戦闘服メタルテックスーツを没収され、母艦であるダイレオンも近くになく、
仲間であるアンリやミーヤもいない。
全くの丸腰だった。

普段のジャスピオンならば、どんなに不利な状況や敵が相手であっても怯む事なく立ち向かっていくのだが、
流石に全くの丸腰では超弩級な巨体を持つゴジラには敵わない。

ジャスピオンは静かに立ち去っていた。


負けるな、ジャスピオン!
戦え、ジャスピオン!!
(大平透ボイスで)

【ジャスピオン@巨獣特捜ジャスピオン】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、参加者を助ける
1:あんなにデカイ巨獣(ゴジラ)いるなんて!
2:アンリやミーヤ、ブーメランもいるのか?
[備考]
少なくとも地球に到着し、マッドギャランの名前を知って以降からの参戦。
メタルテックスーツを没収されており、変身不可能です。
メフィスとフェレスをサタンゴースの一味ではないか?と考えています。


370 : 銀河のターザンは見た!怪獣王の怒り ◆4kMBNI9QkE :2021/05/03(月) 14:31:23 OY7sQB1.0
投下終了します


371 : ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:32:43 Naf8XG8g0
投下します


372 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:34:13 Naf8XG8g0
―――城戸、戦ってくれ……。俺の代わりに……恵理を頼む。

わかってるよ、蓮。お前に助けられた命だもんな。



―――それが正しいかどうかじゃなくて……俺の、ライダーの一人として叶えたい願いがそれなんだ。

そうだ。だから俺は―――




○ ○ ○





「おのれ、メフィスとフェレス……」



赤い月が浮かぶ平安京を彷徨い歩く少女が一人。
少女は時折物陰に隠れつつ辺りに人がいないことを確認しながら歩いている。
それは他の参加者を警戒してのことではあるが、彼女の場合は別の意味をも含んでいた。

「支給品に服の一つぐらい入れておいてほしかった……。いやこの際下着とか靴下でもいい……」


少女、岸波白野は一糸纏わぬ全裸だった。
白野は元々ムーンセル・オートマトンが構築した霊子虚構世界「SE.RA.PH」で聖杯戦争を運営するために生まれたNPCだった。
しかし偶然生じたバグから自我を獲得し、自らを記憶喪失の魔術師(ウィザード)と思い込んだ彼女は聖杯戦争のマスターとなった。
記憶もなく、聖杯にかける願いも持たないまま戦い続けていた彼女は様々な対戦相手と出会い、斃し、成長を重ねていった。

そんな時、殺生院キアラの企てによって暴走したAI、BBの手で月の裏側へと落とされ、他のマスターらと協力してSE.RA.PHへの帰還を目指すことになった。
この時契約した破格のサーヴァント、英雄王ギルガメッシュと時間をかけて絆を紡ぎ、最終的に殺生院キアラを打倒しギルガメッシュとの契約も満了となった。
そして間桐桜が為した「特大のズル」によって白野と桜は生身の肉体を手に入れ月を離れ地上に降り立ち、新しい日々を始めようとしていた。
岸波白野はまさに生身の肉体で目覚めた直後のタイミングでこの殺し合いに連れてこられていたため、一切の衣服を身に着けていなかったのだ。

「使えそうな支給品はこれぐらいかな」

残念ながら支給品の中に服や靴の類は何も入っていなかった。
代わりに入っていたのは白野には扱えない、もしくは使い道のわからないものだった。
最初に出てきたのは軍神の剣(フォトン・レイ)というカラフルな剣だった。強い神秘を感じる。何らかの宝具ないし概念武装だろう。
客観的に見れば当たりの支給品なのだろうが、鍛えてすらいない小娘の腕力では扱うどころか持ち上げることさえできない。

次に出てきたのはランペイジガトリングプログライズキーなる銃のマガジンのようにも見えるデバイス。
どうやらこれ単体では意味を為さず、エイムズショットライザーなるアイテムと組み合わせて扱うものらしい。

そして最後に出てきたのが白野が今手にしている黄金の時計型のデバイス、名をグランドジオウライドウォッチというらしい。
説明書によればこれも本来は別の道具と組み合わせて使うものなのだが、所持しているだけでも仮面ライダーなるものを召喚・使役できるらしい。
ウォッチの表面にプリントされている何かの顔らしきものは仮面ライダーの顔なのだろう。
とりあえず護身のためこれを持っておくことにした。


373 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:34:57 Naf8XG8g0

「桜が無事だといいんだけど……」

現状、支給品の中にあった名簿には参加者の名前は記されていない。
しかし白野は間桐桜も一緒に巻き込まれている可能性は低くないと見ていた。
何しろ記憶にある限り、殺し合いに連れ込まれる直前まで桜と一緒にいたのだ。参加させられたとすれば二人同時でも何らおかしくない。
もちろん自分一人だけで桜が巻き込まれていないに越したことはないが、その場合どういう基準で参加者を選んだのか、という疑問が出てくる。
とはいえ今は自分の貞操が無事では済まなそうな状況なので細かい考察は後回しにせざるを得ない。

人間衣食足りて礼節を知るとは言うが、今の岸波白野にはどちらも圧倒的に欠けている。
衣服や靴の問題をどうにかして解決しなければならないのはもちろん、確認した限り食糧も余裕があるとは言えない。
電脳世界と違い現実に存在する生身の身体は極度に飢えれば死んでしまう。食糧、飲料も併せて探していく必要がありそうだ。

改めて現状の困難さとやるべきことの多さを認識しため息を吐く。
そうして赤い月が不気味に浮かぶ空を見上げた時―――黒い人影を見た。

「えっ?」

その人影は白野の眼前に着地した。
突如目の前に現れた人影は黒と白銀の鎧を纏っていた。
細身の剣を携えるその姿は物語から抜け出てきた騎士のようにも見える。
何より騎士には殺し合いに巻き込まれた参加者であることを示す首輪があった。

「えぇ!?は、裸ぁ!?」
「っ……!!」

スマートな出で立ちに不釣り合いな素っ頓狂な声を発した騎士の言葉で自分が裸を見られたことを悟った。
咄嗟に金色のウォッチを持った右手で胸を、左手に持ったデイパックで股間を隠してじりじりと騎士と距離を取る。

「こ、これはその……やむにやまれぬ事情がありまして……。
わたしは決して露出狂だとかAUOというわけではないんです!信じてください!」
「え、えーゆー……?っていうか、まだ子供じゃないか……」

困惑する騎士が発している声は明らかに成人男性のそれだった。
同性ならまだしも見知らぬ異性の前で裸体を晒しているという事実に頬が紅潮する。
しかしこれはチャンスでもある。目の前の騎士が穏健な参加者なら何か身体を隠すものを貸してもらうこともできるかもしれない。
岸波白野が抱いた淡い期待はしかし、騎士の纏う空気が剣呑なものに変化したことで打ち砕かれる。



「…………ごめん」


騎士、仮面ライダーナイトが腰に差した剣型の召喚器、ダークバイザーを抜いた。
その鋭利な切っ先は過たず白野の心臓に向けられている。
それは取りも直さずナイトが殺し合いに乗った参加者だということを示していた。


374 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:35:41 Naf8XG8g0







○ ○ ○






「どうすりゃいいんだよ……」

OREジャーナルの新人記者、城戸真司は現状に懊悩していた。
ライダーバトルという殺し合いに身を投じていた時に、全く別の殺し合いに巻き込まれたこの状況は真司の処理能力を超えていた。

真司はある日突然ミラーモンスターに襲われ窮地に陥ったところを榊原という男が変身した仮面ライダー龍騎に救われた。
ミラーモンスターとの戦闘で致命傷を負った榊原から龍騎のデッキを受け継ぎモンスターを生み出すコアミラーの存在を教えられた真司はコアミラーの破壊、ひいてはライダーバトルの阻止を目指しはじめた。
しかし他のライダーたちとの交渉は悉く失敗し、逆に真司の存在を疎んだライダーたちの同盟によって戦いに迷いを抱いていた秋山蓮共々追い詰められていた。
そのまま高見沢逸郎が変身する仮面ライダーベルデによって葬られそうになるも、蓮に庇われ九死に一生を得たものの龍騎のデッキは仮面ライダーオーディンに破壊されてしまった。
だが瀕死の蓮からナイトのデッキと蓮の恋人を救うことを託された真司は蓮の頼みを聞き入れ、己の信念を曲げて蓮の代わりにライダーバトルを勝ち抜くことを決意した。

そうしてファイナルベントを起動したライダーたちと対峙していた時、唐突に真司の意識は遠のき気づけばナイトサバイブへの変身も解けて見知らぬ空間にいた。
何が起こっているのか理解できないうちに主催者を名乗るメフィスとフェレスによって二人の少女が殺された。
こと戦闘に関わる直感以外で頭が回る方ではない真司でもあれが参加者に対する見せしめであることは容易に理解できた。

真司の中の良識が「これを許してはならない」と叫んでいる。
同時にライダーバトルでの経験が「殺し合いの阻止など不可能だ」と囁いている。
ライダー同士の戦いを止めようと奔走した真司の行動には結局何の意味もなく、逆に戦いに乗り気なライダーたちを一致団結させるだけだった。
無意味どころか逆効果な行為。蓮はそのせいで自分を庇い命を落としたようなものだ。

「なあ蓮……最後の一人になるまで戦えば、あの二人は願いを叶えてくれると思うか?」

答えが返って来ることはないとわかっていても言葉にせずにはいられなかった。
最早真司の命は真司だけのものではない。蓮の命と願いをも背負っている。無駄死にはできない。
しかしこの戦いは恐らくライダー同士の戦いとはまた異なるものであろうことをも感じ取っていた。
ライダーでも何でもない普通の人が巻き込まれた可能性は十分ある。
だからこそ苦悩せずにはいられない。本当に乗っていいのか?デッキを持たない者まで殺すのはいくら何でも―――


「ってそうだよデッキ!デッキは!?」


そこでようやく仮面ライダーに変身するためのカードデッキがなくなっていることに気づいた。
慌ててデイパックの中身を漁りナイトのデッキを探すがそれらしいものが見つからない。代わりにあるものが見つかった。

「何だこれ?ナイトの顔が書かれた…時計?」


375 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:36:14 Naf8XG8g0

見慣れないデバイスだった。見たところ時計に見えなくもないが秒針を刻んでいる様子はない。
これは一体何なのか?何故ナイトの顔が描かれているのか?
不思議に思って触っているとスイッチらしきものがあることに気づいた。



『ナイト』



何気なくその時計、仮面ライダーナイトの力と歴史を封じたライドウォッチを起動した時、真司の脳に知らない光景がいくつも飛び込んできた。
それは真司が経験したライダーバトルとはまるで異なる世界だった。
その世界では真司が2002年の初頭のうちから龍騎となってライダーバトルに参戦し、モンスターから人を守るために戦っていた。
蓮と真司は何度もぶつかり合いながらも次第に信頼関係を築いていき、何と高見沢と一緒に自分たちを殺しに来たあの弁護士までが徐々に態度を軟化させていった。
時には浅倉さえも交えて四人で馬鹿をやることすらあった。手塚や須藤をはじめ多くのライダーが現れては散っていった。その度に蓮は迷っていた。

だがライダーが三人にまで減り、戦いが終わりに近づいた頃、街に大量発生したモンスターとの戦闘で真司が死んだ。
その世界の城戸真司は迷いながらも人を守るために戦い続け、最後にはライダーバトルを止めるという確固たる願いを、答えを得て逝った。
真司の死を看取った蓮もまた自身の願いを貫く覚悟を決め、命と引き換えに仮面ライダーオーディンを討ち恋人の小川恵理の意識を取り戻した。
それで終わり。結局蓮は願いを叶えたものの再び恋人との生活を取り戻すことは叶わなかった。



「今の、は……」


意識が戻る。腰にはいつの間にかVバックルが装填され手にはウォッチの代わりにナイトのデッキが握られていた。
何故?さっきまでデッキなんて持っていなかったしデッキを鏡に翳してもいないのに。

城戸真司は仮面ライダー龍騎だ。それは何度となく繰り返されたライダーバトルの歴史で一度も変わらなかった事実。
神崎士郎にデッキを渡されなかろうが、運命の悪戯によって何度でも城戸真司は仮面ライダー龍騎になり戦いに飛び込んでいく。
だが繰り返された戦いの歴史の中で一度だけ、城戸真司が仮面ライダーナイトとなった世界があった。
この殺し合いに参加させられた城戸真司はその世界から連れてこられている。
それ故か、あるいはメフィスとフェレスによる何らかの差配があったか。あるいは単なる偶然か。
仮面ライダーナイトの力と歴史を封じたナイトライドウォッチを起動した瞬間、真司は異なるライダーバトルの歴史を垣間見たのだった。

もう一つ。参加者への支給品の中に混ぜられたライドウォッチには主催側によって手が加えられている。
起動さえすれば本来の変身者本人でなかろうと、本来の変身者と真逆の性質を持つ者であろうとそのライダーに変身し力を振るうことができる。
鏡にデッキを翳す、ハザードレベルを高める、バグスターウィルスへの抗体を持つ、アギトの資質を持つ…等といった変身に本来必要な資格も工程も条件も全て無視できる。
全ては参加者全員に等しく優勝の可能性を与え、殺し合いを円滑に遂行するためだ。


376 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:37:03 Naf8XG8g0



「結局どうやっても…蓮は死ぬしかないのかよ?
恵理さんが回復しても、そこに蓮がいなくちゃ悲しむだけじゃないか……!
何でだよ?どうして二人が一緒にいちゃいけないんだよ?
ライダー同士の戦いなんてなければ、二人ともずっと一緒にいられたはずなんだ!なのに……!」

別の世界の秋山蓮の顛末を知った真司の胸に去来したのは悲しみとも怒りともつかない感情だった。
蓮はあれほど迷いながらも恵理を助けようとしていた。しかし蓮が最後まで勝ち抜けてもこの結末とは。

「どう足掻いてもライダー同士の戦いの枠組みじゃ、蓮か恵理さんのどっちかが犠牲になる。
それにモンスターに食われた人たちもたくさんいた。ライダーが戦ってる間に無関係の人が死んでいく……。
この殺し合いに勝ち抜けば、あの子たちならもっとすごい力で皆を助けたりできないか?」

最早元の世界のライダーバトルに希望はない。
例えこの殺し合いの打破に成功して元の世界に無事帰れたとして、既にそこに蓮はいない。
そしてそこからライダーバトルを勝ち抜かなければ恵理も助かることはない。完全に詰みだ。

だがあの少女たち、メフィスとフェレスならどうだ?
これだけ大掛かりなゲームを仕掛ける力を持っている彼女たちなら全てを解決できる力を持っているのではないか?
実際にあの二人は「どんな願いも一つだけ叶う」と言い切った。
少女を見せしめに殺すような主催者の発言を信用するのは危険なのは真司も理解している。
しかしこの首輪を外して彼女たちを出し抜く方策など真司には考えつかないし、他人に協力を求めても無駄だろう。
仮に誰か協力的な参加者を見つけられても、浅倉や高見沢のように殺し合いの進行を望む別の参加者に台無しにされるのがオチだ。
そういうことはライダーバトルでもう散々に懲りた。

「でもそれは……巻き込まれた人たちも殺すってことで……いや待てよ、犠牲になった人全員助けてくれって頼むのはどうだ?
ライダーの戦いで死んだ人たちもこの殺し合いで死んだ人たちも最後に全員救えるなら……でも上手くいくか?もし断られたら……」

一度最後の一人になるまで勝ち残り、然る後願いの力でライダーバトルと今回の殺し合いで出た犠牲者全員を救済する。
妙案に思えたが、結局は「悪辣な見せしめを行ったメフィスとフェレスを信用できるか?」という問題に帰結する。
もし願いを断られたり、承諾されても不完全な形でしか叶わなかったら取り返しがつかない。



「どうする?どうしたら……」

―――それが正しいかどうかじゃなくて……俺の、ライダーの一人として叶えたい願いがそれなんだ。


ふと、先ほど垣間見た別の世界の自分の最期の言葉を思い出した。
そうだ。あの世界の自分は今ここにいる自分よりもずっと長く戦って、ずっと長く迷っていた。
その上で出た結論は、「どうすればいいのか」ではなく「自分はどうしたいのか」という方向性での答えだった。


377 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:37:30 Naf8XG8g0

「俺が叶えたい願い……俺がしたいこと……」

―――城戸、戦ってくれ……。俺の代わりに……恵理を頼む。

そうだ。自分がコアミラーの破壊をやめてまで戦いを続けようと思ったのは蓮のためだ。
蓮には譲れない願いがあったにも関わらず、他人を犠牲にすることを迷っていた。最後には真司を庇って死んだ。
別の世界の蓮を知った今ならわかる。あれは蓮にとってこの上なく重い、苦渋の決断だった。
その想いに背を向けることはできない。ならば―――



「俺はこの命を蓮と恵理さんを助けるために使う。
それが正しいかどうかの話じゃない。蓮が喜ぶかどうかの話でもない。
今ここにいる俺が、ライダーの一人として叶えたい願いがそれなんだ」

決意と覚悟を言葉にする。
もちろん他の犠牲者たちを救うことも可能なら叶えてもらう。
しかしどうしても全員を救えないなら―――真司は秋山蓮と小川恵理を他の誰より優先する。
そういう線引きをすることを決めた。

全てが上手くいったとしても、蓮には殴られるだろう。
「誰がそこまでしろと頼んだ」と怒る様子が目に浮かぶ。
でもそれで良い。願いを叶えるために突き進んだ罪も報いも自分が背負う。
そうしたいと願ったのは、他ならぬ城戸真司自身なのだから。



右拳を握り、体の左前に出してから手にしたナイトのデッキをVバックルに装填する。蓮がそうしていたように。
ここから先は後戻りのできない一本道だ。



「変身!!」



バックルにデッキが装填されると同時に、真司の左右から騎士の鏡像のようなものが迫り来る。
鏡像が真司に重なった時、彼の姿は仮面ライダーナイトへと変じていた。



「しゃあっ…!」


龍騎に変身していた時と同じように、変身直後の掛け声を出す。
自己暗示、あるいは空元気のようなものだ。
これから戦う相手はモンスターでもライダーでもない人間だ。
それでも倒す、殺す。そして勝つ。精一杯の自身への発破だった。


378 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:37:57 Naf8XG8g0






○ ○ ○






そうして仮面ライダーナイト、城戸真司は岸波白野に出会った。
参加者を、敵を求めて平安京を飛び回っていたナイトは早々に目的を果たした。
靴すら履いていない一糸纏わぬ裸というこの上なく無防備な格好で、左手の甲に刻まれた赤い刺青が特徴的な一人の少女を。
その少女は見るからに大人しそうで、およそ荒事には向いていなさそうに見えた。

もちろん大そう驚いた。
熾烈な戦闘を覚悟していたにも関わらず、まるで漫画のようなハプニングに出くわすとは。
出来ることなら少女の助けになってやりたかった。
しかし―――それはできない。城戸真司は最後の一人となり願いを叶えると既に決めたから。
見過ごすことだって出来るだろう。だが敢えてそれもしない。
今ここで誰かを手に掛けて踏ん切りをつけなければ、自分はこの先誰も殺せないような気がしたから。




「…………ごめん」


剣型の召喚器、ダークバイザーを取り出し構える。
狙いは心臓。せめて苦しませないよう一撃で命を断つ。



「俺のことを恨んでくれていい。
もし出来るなら全部終わった後他の人たちと一緒に生き返らせる…けど、無理なら諦めてくれ」

腰だめにダークバイザーを構え、雄叫びを上げながら突進。
ただの突きではない。仮面ライダーという名の超人が繰り出す攻撃だ。速度も威力も只人のそれとは比較にならない。

無防備な白野の身体を貫くはずだったナイトの攻撃。
だがナイトが走り出した瞬間、空間が歪み『2002』と描かれたゲートから一人の赤い戦士が弾かれたように飛び出した。
赤い戦士は低い姿勢でナイトへ突進し、その腰を掴んで白野から遠ざけていく。
もつれあった赤い戦士とナイトは地面を転がり、同時に起き上がって相手を睨んだ。



「お、お前は……!?」



ナイトにとって今日幾度目の驚愕だろうか。
ナイトの殺人を止めた赤い戦士はもう存在しないはずだった。
元の世界でオーディンによって破壊された筈のデッキを使う戦士、元は城戸真司が変身していた仮面ライダー龍騎が立ちはだかっていた。


379 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:38:29 Naf8XG8g0



(これはどういう状況なの?このデバイスの力であの赤い戦士が召喚された?)


岸波白野もこの状況に困惑していた。
とはいえそこは月の聖杯戦争を、月の裏側での事件を駆け抜けたマスターだ。狼狽はせず状況の把握に努める。

黒い騎士に殺されそうになった時、右手に持っていたグランドジオウライドウォッチが光り赤い戦士が現れた。
つまりはあれこそ説明書に書かれていた仮面ライダーなる存在。恐らく黒い騎士も同種の存在と見て間違いない。
赤い戦士が一瞬白野の方へ振り返った。言葉は発さなかったが「逃げろ」と言っているように感じた。
この場は―――



    >逃げる
    戦う



迷わず赤い戦士にその場を任せ離脱する。
戦うにはあまりにも状況が悪すぎる。仮面ライダーという存在に対する情報(マトリクス)も不十分だ。
ここは一度黒い騎士を撒いて少しでも態勢を整えるべきだ。





岸波白野がその場を走り去ったことを確認した赤い戦士、龍騎はデッキからカードを取り出した。
それを見たナイトもまた反射的にカードを取り出し、二人の戦士がそれぞれの召喚器にカードを装填した。


『SWORD VENT』


龍騎の手にドラグセイバーが、ナイトの手にウイングランサーが渡る。
龍騎からは決してここを通さないという強い意志を感じる。それはまるで―――

「お前は……俺なのか?」

ナイトの、真司の問いに龍騎は答えない。
しかしナイトのウォッチを通して別の世界を垣間見た真司にはわかる。
あの龍騎は違う世界の俺だ。何度も迷いながらもライダーの戦いを止めるという確固たる願いを見出した城戸真司だ。

「そっか…そうだよな。お前が俺なら、今の俺を認められないのは当たり前だ。
だけど俺も、お前を認めるわけにはいかないんだよ!」

激突。龍騎のドラグセイバーとナイトのウイングランサーがぶつかり合い火花を散らす。
彼らは互いに同じ城戸真司だが、辿り着いた結論はどうしようもなく違えていた。
互いに互いを否定するように激しく剣を交える龍騎とナイト。
その最中ナイトはダークバイザーを取り出し二刀流で龍騎を押し込む。二刀による突きが龍騎のアーマーに直撃し吹き飛ばす。


『TRICK VENT』


龍騎と距離が開いた隙を逃さず次のカードを装填。
手数を信条とするナイトの真骨頂とも言える分身体が二体出現し、走り出す。
迎撃せんと構える龍騎だが―――その龍騎を無視して分身たちは左右に分かれて逃げた少女、白野を追う。
龍騎は制止しようとしたが、防御の構えを取っていたために反応が遅れ分身を逃がしてしまう。


380 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:38:56 Naf8XG8g0


『ADVENT』


彼女を逃がすわけにはいかない。それにこの手を使えば龍騎が動揺することはわかっていた。
何故なら真司が龍騎の立場なら同じ反応をするからだ。
更にアドベントを発動。ダークウイングを呼び出し手数を増やして龍騎を圧倒する算段だった。
ダークウィングの攻撃に対処している龍騎を狙いナイトが駆け出す。

だがナイトの攻撃が龍騎に届くよりも早く赤い龍が顕現する。
窮地の龍騎を救ったのはアドベントの使用もなく現れた無双龍ドラグレッダーだった。
龍騎からダークウイングを引き剥がし、解放された龍騎はドラグセイバーで反撃に転じ圧倒的優位を確信していたナイトに痛烈なカウンターを見舞う。

「うあっ!」

転がるナイト。攻守が逆転し、一刻も早く本体のナイトを倒し分身を消すため龍騎がドラグバイザーにカードを装填した。


『STRIKE VENT』


ドラグレッダーの頭部を模した打撃武装、ドラグクロ―が龍騎の右腕に装着される。
ドラグクロ―から放たれる火炎弾、ドラグクロ―ファイアーは5000℃もの熱量を誇る。
数多のミラーモンスターを葬り、直撃すればライダーでさえ一撃で戦闘不能に追い込みかねない威力を有している。
狙い澄ました必殺のタイミング。龍騎から放たれた火砲は吸い込まれるようにナイトへと迫り―――






○ ○ ○






「ぜっ…、はぁ、はっ……」

龍騎とナイトの戦闘を始めた場所から離脱すること約200メートル弱。
たったそれだけの距離を走っただけで岸波白野は完全に息を切らしていた。

(この身体、体力が全っ然ない……!)

SE.RA.PHや月の裏側では勝ち目のない強敵から逃げざるを得ない場面が何度かあった。
それに一日でアリーナを端から端まで駆け抜けてきたこともある。
だから走る、逃げるということにかけて白野は少々ばかり自信を持っていた。


381 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:39:24 Naf8XG8g0

しかしそれは白野が電脳体だったからこそ通せた無茶だ。
時間にしてつい数刻前までカプセルで眠っていた生身の身体は本来なら激しい運動が出来る状態ではない。
虚弱体質というわけではないにせよ、有り体に言って持久力、スタミナがほとんどないのだ。
肩で息をしているような現状では何もないところで無意味にジャンプしてみせるような元気もない。



「嘘っ!?」


弱り目に祟り目とはこのことか、先ほど通った路地の曲がり角から黒い騎士、ナイトが二人同時に現れた。
何故増えたのか。赤い戦士はどうなったのか。疑問は尽きないが確信できることが一つ。
このままではあと数秒で岸波白野は殺される、ということだ。

「来て!」

咄嗟にグランドジオウライドウォッチを翳す。
説明書に書かれていた文章と先ほど赤い戦士が出現した事実を鑑みれば、この支給品は仮面ライダーなる者を召喚することができる。
この絶望的状況を打開できるとすれば、この場に別の仮面ライダーを召喚する以外にない。



『ダイカイガン!ニュートン!オメガドライブ!』



果たして白野の祈りは通じ、『2015』と描かれたゲートを潜り、青を基調としたボクサーのような出で立ちの仮面の戦士が現れた。
仮面ライダーゴースト、ニュートン魂が放った強力な斥力波によってナイトの分身二体は視界の外まで一瞬で吹き飛ばされていった。
直後にゴーストは消滅した。

「今の黒騎士、首輪がついてなかった……まさか分身能力?」

ゴーストの後ろから状況を俯瞰していた白野は分身に参加者の証である首輪がなかったことを確認していた。
思えば自分が召喚した戦士にも首輪がついていなかった。
分身、召喚といった能力にはそういう特徴があるということなのだろう。

「どこかの建物にでも隠れた方が良いかな……」

どうあれわかっているのは相手はまだ白野の追跡を諦めていないということだ。
ひょっとするとグランドジオウライドウォッチの性能を見せてしまったのが良くなかったのかもしれない。
参加者の代わりに戦ってくれる戦士を召喚できる支給品となれば、間違いなく当たりの部類に違いない。
そんな役立つ支給品を見れば奪い取ろうと躍起になる、というのは十分あり得る話だ。ましてやそれを持っているのは裸の女ときている。
走って逃げるのは体力が持たないと判断した白野はどこか隠れられる場所を探そうと考えた。


―――その時、爆発音が鳴り響いた。






○ ○ ○





着弾、轟音。
龍騎の放ったドラグクロ―ファイアーは過たずナイトへと命中していた。
だが。


『GUARD VENT』


爆炎の中から無傷のナイトが現れ、背にはマントを羽織っていた。
このマントこそナイトがガードベントのカードによって呼び寄せたダークウイングが変形した姿。
ウイングウォールという名称がつけられたこのマントのAPは3000。龍騎のストライクベントを上回る数値を持つ。
それ故にナイトは無傷で攻撃を防ぎきることができたのだ。


382 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:39:52 Naf8XG8g0


『FINAL VENT』


ドラグバイザーから鳴った電子音声。それは必殺の一撃が放たれることを明瞭に示していた。
龍騎はまるでナイトのガードベントを読んでいたかのように、間髪入れず最後の切り札を発動した。
ファイナルベント。その名前が示す通りライダーが持ち得る手札の中で最大の威力を誇るカードだ。
本来城戸真司はライダーに向けて殺傷力の高いファイナルベントを撃つことはできないはずだった。

けれど今その殺意を向けられているナイトに驚きはなかった。むしろ自然に龍騎の殺意を受け入れてさえいた。
何故なら自分が龍騎と同じ立場なら同じことをする確信があるからだ。認められないもう一人の自分が相手だからだ。
だがそれは―――黙って死を受け入れることを意味しない。

龍騎がドラグレッダーと共に空高く舞い上がる。
ドラゴンライダーキック。空中でキックポーズを取りドラグレッダーが射出した炎のエネルギーを纏って敵を蹴り飛ばす龍騎最強の技だ。
この技を放たれて受けきった、あるいは逃げ延びたミラーモンスターはただの一体も存在しない。
龍騎というデッキの高い攻撃力と城戸真司の戦闘センスの合わせ技あってこそドラゴンライダーキックは字義通りの「必殺」足り得る。


「悪いけど―――」
『NASTY VENT』


龍騎が空中で一回転を始めた瞬間、ナイトから分離したダークウイングが超音波を出しながら龍騎とドラグレッダーへ接近する。
攻撃に専心していた状態でまともに超音波を受けた龍騎とドラグレッダーは苦悶の声を上げながら地面に落下した。
ナスティベント。殺傷力こそないが、確実に敵の攻撃を妨害し隙を作り出せる優秀なカードだ。


「―――俺はまだ死ねない。俺が死んだら蓮と恵理さんを助けることができなくなる」
『FINAL VENT』


龍騎がそうしたように、ナイトもまたもう一人の自分へ向けてファイナルベントを切る。
未だ態勢を立て直せていない龍騎目掛けて、再びウイングウォールを纏って突進していく。
空高く跳躍。全身を高速で回転させ、己を一本の槍に見立てたかのように急降下し龍騎へと迫る。
龍騎にそれを避ける術はなく、直撃した瞬間に爆発とともに跡形もなく消滅した。

これぞナイトのファイナルベント、飛翔斬。
この技もまた多くのミラーモンスターを葬り去り、ライダー同士の戦いでも何度も使われてきた切り札だ。

「……もう後には引けないんだ」

初めてこの手でライダーを、違う道を選んだ自分自身を葬った。
これから進む道がどれほど悍ましく、血に塗れた道であろうと引き返す術はもうない。
当然、あの少女もまた参加者である以上見逃すことはできない。まだ遠くへは逃げていないはずだ。
変身時間を無駄にするわけにはいかない。



ライドウォッチによる変身はどんな参加者にも一定の戦闘力を与える反面、特定の支給品に頼りきることはできないよう制限も設けられていた。
それは変身の制限時間とクールタイム。変身時間は一回につき十分、そして変身の解除後は二時間が経過しなければ再度の使用はできない。
真司はナイトに変身した直後に改めて添付の説明書に目を通してこの制限を把握していたのだった。


383 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:40:21 Naf8XG8g0



血染めの月が浮かぶ平安京の空をナイトが飛翔する。
ダークウイングが変形したウイングウォールはナイトの防具となるだけでなく、飛行能力をも付与する。
体感だがあと五分は時間が残っているはずだ。空からなら逃げた少女を見つけることも容易い。
それに彼女が持っていた龍騎を召喚した黄金のウォッチ、あれは危険だ。逆に真司が手に入れれば勝ち抜くのに有利に働くだろう。

「…いた」

あっさりと少女、岸波白野は補足された。
変身により強化されたナイトの視覚は潜伏先を探そうとしていた少女を正確に捉えていた。
龍騎との戦いでデッキは「ほぼ」枯渇しているが、幸い相手はまだナイトに気づいていない。
空中からの奇襲。それ一つで終わらせる。出来れば痛みを感じる暇を与えないように。
ウイングランサーを構え、突撃の態勢を作る。……だがその手は震えていた。

(まだ迷ってるのかよ、俺ってやつは!?)

迷いを振り払おうと頭を振る。
今さらライダーバトルを終わらせようとしていた頃の自分に戻れるとでも思っているのか?
たまたま強力な支給品を持っていただけで、本来なら無力で無防備だったであろう少女を殺そうとする段まで踏み込んでおいて?
そもそもこの場において殺し合いを否定するということは、蓮から託された願いにも反しているではないか。
甘えるな、いい加減に覚悟を決めろ城戸真司。



「ぁあああああああああああああああっ!!!」



咆哮。同時にウイングランサーを突きだし一直線に急降下するナイト。
ファイナルベントのような技でこそないが、莫大な運動エネルギーが込められた突撃の破壊力はライダーをも殺傷し得る。



―――対象に命中すれば、の話だが。


「さすがにしつこい……!」


咆哮を上げたために白野は直前で空中のナイトに気づいていた。
咄嗟にグランドジオウライドウォッチを翳し、白野と突撃するナイトの間に立つようにライダーが召喚された。

「ライダーキック」
『RIDER KICK』

仮面ライダーカブト・ライダーフォーム。
既に必殺技の発動準備を終えた状態で召喚されたカブトのタキオン粒子を纏った回し蹴りがナイトに炸裂。
ライダーキックによる衝撃とそれに伴う爆発によって地面を転げ回った。

「甘いな…」

真司の胸中を見透かしたようにそう言い残し消えるカブト。
逆に岸波白野はナイトが大きなダメージを受けた状況にあっても油断をしていなかった。
咄嗟にウイングランサーを盾代わりにしてカブトのライダーキックを受け止めていたのを見ていたが故に。


384 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:40:46 Naf8XG8g0

「行って!」

段々と白野もグランドジオウライドウォッチの使い方、コツを掴みつつあった。
エネミーやサーヴァントとの戦闘の時のように指示を出せば、召喚されたライダーは概ねその指示に従うのだ。
次に召喚されたのは仮面ライダーファイズ。フォトンエッジを構え起き上がったナイトに斬りかかっていく。
そのナイトはと言えば、ライダーキックを受け止めた代償に刀身が半ばから折れたウイングランサーを捨て、デッキから最後のカードを取り出していた。
サバイブ・疾風。ライダーを強化形態であるサバイブへと進化させるとっておきの切り札だ。

「うっ……!」

ナイトを中心に吹きつける強い風に思わず顔を顰める白野。
ファイズも突然の強風に一瞬足を止めてしまっていた。


『SURVIVE』


風が収まった時、ナイトの姿は青みが増し、金の装飾が増えたナイトサバイブの姿へと変じていた。
即座に斬りかかったファイズの斬撃をナイトサバイブは軽々と回避、左腕の盾から取り出した剣で逆に斬り捨てた。



(強い……!)

明らかに姿が変わる前よりプレッシャーが増している。
仮面ライダーをよく知らない白野にも相手が全力を出してこちらを殺しに来ていることがわかる。
だからといって、ハイそうですかと殺されてやるわけにはいかない。
戦力は当然こちらが劣勢で逃げ出すこともできない。ルール無用の殺し合いではSE.RA.PHの介入も望めない。



―――それでも、斃して先に進む以外に生き残る道はない。



身体を隠していた両手をダラリと下げ、聖杯戦争での戦闘態勢に移行する。
胸も性器も丸出しになり、凄まじい羞恥がこみ上げるが歯を食いしばって耐える。
敵を前にして両手が塞がっていてはいざという時の動きに遅れが出てしまう。それは極限状況であまりに致命的な隙になる。

「来て!」

白野の呼び声に応じて二体の仮面ライダーが一度に召喚された。


「大体わかった」

マゼンタのスーツに白いベルトの破壊者、仮面ライダーディケイド。


「私がベストオブベストのビルドだ」

黄色と紫を織り交ぜた配色、忍びのエンターテイナー、仮面ライダービルド・ニンニンコミックフォーム。


385 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:41:13 Naf8XG8g0


「何人出てくるんだよ!?」

相手取る真司にしてみれば少女の裸身に男としての劣情を催すような余裕など全くない。
倒しても次々とライダーが現れる。それにサバイブは強力だが反面体力の消耗も激しいためどのみち長期戦は出来ない。
新たに出現した二人のライダーを速やかに駆逐すべく、デッキからカードを取り出そうとした、その時。

「右腕とベルトを狙って!」

デッキに伸ばした右手を狙ってディケイドがガンモードのライドブッカーで銃撃を見舞った。
咄嗟に左腕の盾で銃撃を防ぐが、その一瞬の隙に四コマ忍法刀を構えたビルドがナイトサバイブの懐へ潜り込みVバックルを狙う。

「おわっ!?」

どうにか身を捻ってビルドの斬撃を回避、剣を振るって反撃するがビルドも素早い反応でこれを受け止めた。

(デッキの弱点がバレてる!)

先ほどサバイブを発動した時に白野はナイトの能力使用の手順を見ていた。
ナイト及びナイトサバイブは召喚器を左腕に装備する関係上右手でデッキからカードを引き抜き、左腕の召喚器に装填せねばならない。
つまり構造上左腕だけではカードの使用はできず、右腕かデッキのどちらかを潰されればカードの使用は封じられる。
その弱点を、白野はたった一度ナイトがカードを使ったところを見ただけで看破していた。

「今!足元がお留守!」

ビルドと鍔迫り合いを演じていたところにディケイドがナイトサバイブの足を目掛け銃撃。
膝に命中した光弾は強化形態であるナイトサバイブにさしたるダメージを与えなかったが態勢を崩すことには成功した。
すかさずビルドが連続攻撃。Vバックルの破壊こそできなかったものの、アーマーに命中した斬撃はナイトサバイブを吹き飛ばした。

しかしナイトサバイブもやられっぱなしではない。吹っ飛ばされながらも、むしろそれを好機としてデッキからカードを取り出していた。
迷わずカードをドラグバイザーツバイに装填した。


『BLUST VENT』


ダークウイングが進化した姿、ダークレイダーが現れ両翼からタイヤのような部位が出現する。
そこから放たれるのはミラーモンスター複数をまとめて吹き飛ばすほどの威力を持った猛烈な風だ。
まともに命中すればディケイドとビルドを吹き飛ばすのはもちろん射線上に居る白野の命を奪えることは間違いないだろう。


『風遁の術!』


ダークレイダーが風を放つ直前、ビルドが四コマ忍法刀の機能を起動し刀に風を纏わせる。
そして放たれた暴風を刀で受け流し、力負けしつつもブラストベントの風の軌道を逸らしてのけた。
正面から同じ風の力をぶつけて相殺しようとしたならパワーの差でビルドが敗れていただろう。しかし逸らすだけなら同等のパワーは必要ない。


386 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:41:38 Naf8XG8g0


『ATTACK RIDE BLUST!』


ビルドがブラストベントの風を逸らした次の瞬間、ビルドの背後から既にカードを装填していたディケイドが現れライドブッカーの銃口をナイトサバイブへ向ける。
通常よりも強化された光弾の嵐が次々とナイトサバイブへと命中した。

「ぐあっ……!」

アタックライドによる攻撃はさすがのナイトサバイブでもダメージを免れず、態勢を崩す。
岸波白野がライダーに指示を与えはじめた瞬間、目に見えてライダーの動きが的確になった。
ここに来て真司は己の認識が甘かったことをようやく理解した。

(俺の動きが読まれてる!?あの子、ただの一般人じゃない!)

今の今まで真司は自分は少女、岸波白野を殺す側だとは思っていても自分が彼女に殺される側に回るかもしれないとは考えていなかった。
ここまでの苦戦は偏に少女が持っていた支給品の力によるものだとしか思っておらず、それさえも突破できないものではないと高を括っていた。
ある意味間違ってはいない。元より岸波白野という人間に戦う力は備わっていないのだから。

だが直接戦う力を持たずとも、岸波白野には月の聖杯戦争と月の裏側の事件で培った、サーヴァント戦の経験値がある。
当初は単なる凡人に過ぎなかった彼女は何度もサーヴァントと共に死地を潜り抜けることで類稀な戦術指揮能力を会得していた。
その指揮能力を発揮できる状況さえ整えば格上の参加者をも殺し得る。

バトルロワイアルの参加者は戦力の格差こそあれ、誰にも等しく優勝する可能性そのものは与えられている。
度を越した強者には制限が設けられ、一般人などの弱者には役立つ支給品が与えられる場合がある。
優れた戦闘センスを持っているとしても、仮面ライダーであるとしてもそれは絶対的なアドバンテージ足り得ない。
強者といえど己の力に胡坐をかけば瞬く間に死に逝く世界、それがこの平安京。
殺し合いに乗る者であれ反抗する者であれ、生き抜く強い意志こそが力になる。即ち―――



―――Sword or Death。戦わなければ生き残れない。


387 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:42:14 Naf8XG8g0




【城戸真司@仮面ライダー龍騎TVSP 13RIDERS】
[状態] :ダメージ(中)、疲労(中)、仮面ライダーナイトサバイブに変身中(変身解除まで約3分)
[装備] :ナイトのデッキ(ナイトライドウォッチ)@仮面ライダージオウ、ダークバイザーツバイ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝してバトルロワイアルでの犠牲者及び元の世界でのライダーバトルの犠牲者全員を生き返らせてもらう。
それが叶わない場合は秋山蓮の蘇生と小川恵理の回復を優先する。
1:目の前の仮面ライダーたちと少女(岸波白野)を倒す
[備考]
※参戦時期は「戦いを続ける」ENDからです
※ナイトライドウォッチを通して仮面ライダー龍騎TV本編の世界を垣間見ました。
少なくとも秋山蓮視点での大まかな流れは把握しています。
※仮面ライダーナイト及びナイトサバイブのトリックベントを使用した際、出現する分身には首輪が付きません


【岸波白野@Fate/EXTRA CCC】
[状態] :疲労(大)、全裸、強い羞恥
[装備] :グランドジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ、令呪三画@Fate/EXTRA CCC
[道具]:基本支給品、軍神の剣@Fate/Grand Order、ランペイジガトリングプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[思考・状況]
基本方針:スタンス未定。とりあえず生き残る。
0:とても 恥ずかしい!
1:目の前の参加者(城戸真司)を倒す
2:桜が巻き込まれていないかが気になる
3:衣服と靴が欲しい(切実)
4:なるべく早く生身の身体に慣れたい
[備考]
※参戦時期はギルガメッシュルート、CCCエンドからです。
※令呪を持っているため、未契約のサーヴァントとの合意があればマスター契約を結ぶことができます
※現在のグランドジオウライドウォッチの使用状況は以下の通りです
龍騎、ファイズ、カブト、ゴースト:再召喚可能になるまで約二時間
ディケイド、ビルド:召喚中



【ナイトライドウォッチ@仮面ライダージオウ】
仮面ライダーナイトの力と歴史を封じた時計型のデバイス。城戸真司の支給品。
ジクウドライバーで変身する仮面ライダーが使うことでアーマータイムを発動できる。
また力を奪われた本来の変身者がウォッチを起動すれば一時的に変身能力を取り戻すこともできる。
本ロワではライドウォッチを起動することで該当するライダーの変身アイテムへと変化し、変身者の資質や変身条件を無視して誰でも仮面ライダーに変身することが可能。
ただし変身時間は一度につき最大十分間で、変身解除すると二時間は再使用できない。
強化形態にも変身できるが変身するには本来の変身者であることか該当するライダーの力と相性が良い者、あるいは該当するライダーの力への理解や習熟を深める必要がある。


388 : EPISODE EXTRA2002 ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:42:47 Naf8XG8g0

【グランドジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ】
仮面ライダークウガ〜ビルドまでの主役ライダーの力と歴史を収斂した特殊なライドウォッチ。岸波白野の支給品。
原作では仮面ライダージオウの最強フォーム、仮面ライダーグランドジオウの変身アイテムとして使われた。
クウガ〜ビルドまでの主役ライダー本人や彼らが使っていた武器を歴史から召喚し、使役することができる。
原作最終話では変身前の常盤ソウゴがグランドジオウライドウォッチから直接ライダーを召喚する描写もあった。
本ロワでは手に持つことでクウガ〜ビルドまでの主役ライダーを召喚・使役することができる。
ただし以下の制限が存在する。

・召喚できるのは一度に二人まで。ただし乗り物や分身能力による一時的な数の増加はカウント外。
・召喚したライダーは五分経過で自動的に消滅し、その後二時間再召喚不可になる。また必殺技を発動すると直後に消滅する。
・中間フォーム、最強フォームは召喚できない。召喚できるのは基本フォームか派生フォームのみ。
・この他各ライダーの強力な特殊能力(カブトのクロックアップ、オーズのガタキリバコンボ等)は個別に制限されている場合がある。

【ランペイジガトリングプログライズキー@仮面ライダーゼロワン】
仮面ライダーバルカンの最強フォーム、仮面ライダーランペイジバルカンに変身するためのプログライズキー。岸波白野の支給品。
エイムズショットライザーに装填することで変身する……が、強い圧力を掛けなければ認証装置のロックを解除することができない。
ロックを解除するには最低でもゴリラめいた怪力を持つ人間の腕力が必要になるだろう。

【軍神の剣@Fate/Grand Order】
セイバーのサーヴァント、アルテラの宝具で三色の光を纏った長剣。岸波白野の支給品。
三色の光で構成された「刀身」は地上に於ける 「あらゆる存在」を破壊し得るという。
真の力を解放した時、ランクと種別が上昇する。


389 : ◆tAzjJve9.E :2021/05/03(月) 14:43:11 Naf8XG8g0
投下を終了します


390 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/03(月) 21:32:09 wJb87tgw0
自作 演目「辺獄バトル・ロワイヤル」をwiki内に収録しました。
クリストフォロスの状態表を少しだけ付け足しなどの修正をしております。
ご承知おきください。


391 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/03(月) 21:52:33 S6T44xzQ0
投下します。


392 : IFで繋がるDiscord ◆2zEnKfaCDc :2021/05/03(月) 21:53:18 S6T44xzQ0
「げ……ぐぁ……あ……!」

 紅き月を背に、その器は獲物を喰らっていた。ついさっきまで命だったものを、己の力として吸収するために。そして獲物から全てのエネルギーを吸収し終えたその時、相手への興味それ自体を喪失したように亡骸をひょいと投げ捨てる。

――まだ、足りない。厄災の復活までには、足りない。

 そう判断するや否や、器は次の獲物を探し求める。己の身体を蝕む器の内に封じられし存在に、抗うことすら諦めたように、よろよろと。今や血に汚れた武具を携え、虚ろな目の先を見据えて動き始めた。

 その器の名は、テラコ。またの名を――憑依ガノン。内に宿した魂の意思に従い、厄災復活のために生贄となる命を探し求めていた。

 突如として居場所を移されたせいで、アストルに溜めさせた闇の力を吸収し、復活する計画ももはや台無しだ。しかし幸いだろうか、この世界に集められた生物は誰もが相応のエネルギーを有している。この機械の身体で数人ほど参加者を殺し、その身に宿るエネルギーを奪っていけばこの世界での復活とて不可能ではないだろう。

「かわいそうだ。」

 そんなテラコの眼前に現れたは、一人の少女。怨念に満ちた禍々しい姿を目にした彼女が最初に選んだ道は、逃げるでもなく、戦うでもなく、ただ哀れみの視線を向けることだった。

「抗う心を奪われ、ムリヤリ悪いことに手を染めさせられて……まるで、人形だ。」

 その視線の先は、すでに屍と化した魔術師ではなく、他でもないその下手人、テラコ。一方、厄災復活の足がかりとなる獲物を見つけたテラコは、少女の想いなど知らぬとばかりに襲い掛かる。先ほど殺した獲物から奪った武具で、四本の腕、その全てに武具を携えて――その全てが、ソフィアの喉笛を狙い澄ます。

「――いま私が終わらせてやる。」

 少女――ソフィアの手より繰り出た双の球体が、彼女を守るよう旋回し、迫る刃を撃墜した。

 ソフィアは跳躍し、近くに生えていた木の上へ。テラコの視界がそちらへ動くと同時、手にしたヨーヨーで狙い済まし、防御の合間を潜って殴り付ける。

「まだまだだ。」

――1More

 次の瞬間、ソフィアはテラコの眼前に急迫し、薙ぎ払う。脚に巻きついたヨーヨーの糸がテラコを転倒させる。

「……ぐっ!」

 マウンティングポジションから加えんとする追撃。しかし、テラコのアイレンズより打ち出されたレーザーがそれを許さない。ソフィアの肩を焼き、さらに勢いで吹き飛ばす。

「私も、人形みたいだったからな。お前の気持ちは分かるよ。」

 もしも、一ノ瀬久音に心を知りたいという想いが生まれていなければ。

 もしも、渋谷ジェイルで怪盗団と出会っていなければ。

 もしも、自分が心と向き合うだけの存在に怪盗団が足り得なければ。

 きっと自分は今も、心を知らなかった。この世界に溢れている、たくさんの温かい気持ちを、知ろうともしなかった。

「でも私は、大切なことを知った。だから……お前には絶対に負けない!」

 そして、それを知ったからこそ、今こうしてテラコの前に立ち塞がっている。殺し合いに反逆の意思を示している。

「さあ、いくぞ……ペルソナッ!」

 ソフィアの背後に現れる影、パンドラ――それは、ソフィアの心の象徴であり、反逆の意思の現れ。テラコと同じ、生みの親に捨てられた身でありながら、しかし数多の"もしも"を切り抜け、怪盗団の一員として理不尽に立ち向かえる者となった証だ。

 それぞれが相対するは、隣合わせの自分。AIの身に生まれながらも、人に仇なす存在として/人の良き友人として、戦う者。何か歯車が噛み合えば、偽神の座に/ゼルダの隣に、いたのは自分だったかもしれないのだから。

 紅い月の下、二つの影が交錯する。

【ゲマ@ドラゴンクエストㅤユアストーリーㅤ死亡】

【ソフィア@ペルソナ5スクランブル ザ・ファントム・ストライカーズ】
[状態]:健康
[装備]:メカニカルハート@ペルソナ5スクランブル ザ・ファントム・ストライカーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いに反逆する
1:テラコを倒す。
2:もしかして怪盗団のみんなもいるのか?
[備考]
※参戦時期はパンドラ覚醒後

【テラコ(憑依ガノン)@ゼルダ無双ㅤ厄災の黙示録】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:ようせいの剣@ドラゴンクエスト5 天空の花嫁、セイブザクイーン@FINAL FANTASY IX、竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃、竜宮レナのナタ@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:厄災の復活
1:ソフィアの力を吸収する。
[備考]
※名簿には『ガノン』と記載されています。
※あと参加者数人分ほどの力を吸収すると、テラコの身体は破壊され『厄災ガノン』が復活します。


393 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/03(月) 21:53:46 S6T44xzQ0
投下終了です。


394 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/03(月) 23:41:06 2/4cJYA60
代理投下します


395 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/03(月) 23:41:33 2/4cJYA60
「ここは、『アカシック』の中……ではなさそうね」

赤き月が照らす平安京。
月明かりに白いワンピースを映えさせて、一人の少女が街並みを往く。
少女の名前は一之瀬玲菜。

彼女はアカシックと呼ばれるコンピュータが作った仮想世界での戦いの最中、この殺し合いに招かれた。
玲菜と仲間達は、現実世界の東京を滅ぼそうとするアカシックを止める為に奔走している。
一刻も早くアカシックに戻り、大切な仲間達と共に仮想世界を終わらせなくてはいけない。

「平安京のデータはアカシックには保存されてない……となると別の組織が関わっている可能性が高い」

現段階では分かることはそれぐらいだ。
この世界がアカシックのような仮想世界であれば、何処かに現実へ繋がるポートがあるかもしれない。
それを通じて、外部に連絡なりハッキングを仕掛ければこの世界から抜け出すことが出来る可能性は高い。
とはいえ、この世界の管理者権限を持たない以上やれることは限られる。
まずは情報を集める必要がある、そう結論を立てて、平安京の探索を行っていた。

―――だからココにいてよ。
―――ずっとココにいてよ。
―――もっとキミのために。
―――私、頑張るから。

不意に、平安京の雰囲気にそぐわぬ、人工的な歌声が響いた。
声のする方に向かうと、古き日本家屋をバックに、白いドレスを着こなして歌う少女の姿があった。
和と洋の混ざったミスマッチな光景ながらも、歌姫の姿は不思議と絵になっている。
マイクを構えた彼女の美しさは、まるでミュージックビデオを見ているようであった。

「貴方の辛い、苦しいって声聞こえたよ」

歌姫は少女の方に顔を向け、にこやかに声をかけた。
歌姫の名はμ、『メビウス』の歌姫。
メビウスとは、意志を抱いたボーカルソフト『バーチャドール』達が作り出した仮想世界のこと。
彼女の歌に共感した者が送られる、どんな望みも叶う理想の楽園。

「ねえ、貴方の望みはなあに?」

その答えは分かりきっている。
少女は当然のように答えた。

「そうね、この殺し合いを終わらせて、皆の所に戻ることかしら」

それを聞いて、歌姫はきょとんとした顔で聞き返した。

「……それが貴方の願い?」

本当にそうなの?と言いたげに、玲菜の顔をただ真っ直ぐに見つめた。


396 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/03(月) 23:41:54 2/4cJYA60

○○○


『玲菜の心の奥に踏み込みますか…?』

 ■『踏み込む』 ■『踏み込まない』


○○○


戻りたいのは嘘ではない。
だけど戻って世界の危機を止める気はない。
正確に言えば『止めることができない』。

彼女は、一之瀬玲菜は、厳密には一之瀬玲菜ではない。
一之瀬玲菜は既に故人、この世に存在しない人物。
この一之瀬玲菜は生前の彼女の記憶を元に、仮想世界上で作られた単なるデータ、仮想人格でしかない。

玲菜は仲間たちが現実世界の危機を前に心を一つにする中で、一人だけ真逆のことを考えている。
それは即ち、このまま仮想世界に留まること。
彼女は元より、仮想世界でしか存在することのできない存在だから。

人の思いがそのまま力となる、仮想世界での戦い。
仲間全員の心が揃わなくては強大な敵組織を倒すことは出来ない。
だから、玲奈が存在する以上、仲間達が世界を救う事は絶対に出来ない。

―――わたしには、わたしの世界しかない
―――わたしのいない世界なんて、そんなの嫌だから、そんなの必要ないから
―――どうしてみんな、わたしと一緒に死んでくれないの

本当は、皆のように現実になんて帰りたくない。
そのことを言い出せぬままで、胸の中に秘め続ける。
帰ることは出来ない。現実に自分は居ないから。

少女の世界は止まっている。
少女の世界は終わっている。
少女はもう、永遠に成長出来ない。
自分が死亡したことを自覚していても、それは簡単に受け入れられることでない。

―――わたしを、おいていかないで
―――現実なんて無くなってしまえばいいのに
―――みんなもデータになって仮想世界で生きればいいのに
―――そしたらずっと7人で一緒にいられるのに

その思いは、普段の大人びた彼女らしくなく、駄々をこねる子供のようであった。

―――わたしは、わたしのいない現実なんていらない

少女は自分が不要になることを、忘れられることを恐れている。
そんな無意識なトラウマを、少女自身もまだ自覚していない。


397 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/03(月) 23:42:08 2/4cJYA60

■『踏み込まない』


○○○


「ええ、本当よ」

少女は自分に嘘を付き続ける。
無意識下で本当は望んでいることには、見てみぬ振りをし続ける。

仮想人格である彼女は未来が無く、思い出しか残っていない。
唯一の自分だけの居場所を失うことが怖い。
自分の存在が不要となる事が、忘れられていくことが怖い。
だけどそのことに自分で気づけない。

「そっか、じゃあ私も一緒に行くね!早くメビウスに帰って、皆を辛い現実から救ってあげないと!」

だけど。
μの『純粋無垢』な声を聴いていると、玲奈の心はじわじわと堕ちていく。
歌姫のその声は、ずっと聴いていたいと思わせるほどに官能的で。
現実から救うというその言葉は、その誘惑は、彼女にとってはあまりに魅力的で。

「ねえ、μ」
「なぁに、玲奈」
「メビウスについて詳しく教えてくれる?」

生前の少女にとって現実世界は牢獄だった。
いつだって、狭苦しく、不自由で、鳥かごのよう。
仲間達とずっと一緒に要られる場所で過ごす事が玲奈の内なる願いだ。
あのまま、現実の危機を救わず、皆と永遠の日々を過ごす事が出来るなら。

(もしも、皆と一緒に逃げられるなら現実なんて……ってわたしは今何を)

幼いころから病院暮らし。
大人達に研究材料にされ、死亡した後は仮想世界の中を一人で生きていた。
それ故に、彼女の心は穢れを知ることがなかった。
その余りに『純粋』すぎる心は、知らず知らずの内に自分の大切な物と、世界を天秤に掛けてしまえるほど危ういバランスにある。


○○○


玲奈はまだ自覚していない。
μの歌に共感したことで、玲奈自身に変化が起き始めていることに。
彼女の歌を聴き続けた者は欲望に侵食されていき、理性や建前といった心の抑圧が徐々に効かなくなってゆく。
デジヘッドと呼ばれる自己を見失った状態である。

これは本来、メビウスという抑圧から開放された世界でのみ起きる現象である。
だが、仮想世界でしか存在できない彼女達が呼ばれている以上、この世界はメビウスに近い性質を持っていることに他ならない。
デジヘッドとなっても、現実で生きることを選び、理性を取り戻せば元に戻ること自体は可能だ。
ただし、仮想世界でしか生きられない玲奈にとって、それは難しいことになるだろう。

本来、彼女が自分の心の闇に気づくのは、少し先の未来。
自分の心に踏み込み、仲間達との『帰宅』を望むか。
あるいは心に踏み込まず、想い人と永遠の日々を望むか。
その選択によって結末は異なる。

『さぁ、後悔なき選択を――』

世界の何処かで、誰かがそう呟いた。


398 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/03(月) 23:42:21 2/4cJYA60
【μ@Caligula Overdose-カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:健康
[装備]:ヒプノシスマイク@ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:みんなの願いを叶える
1:この世界を抜け出す、あるいは崩壊させる
2:出会った相手はメビウスに誘う、邪魔する者は消す
3:玲菜や苦しんでいる人達をメビウスに招く
4:元の世界に戻って現実世界を滅ぼす
5:それがみんなの願いだから
[備考]
※参戦時期は楽士ルート最終決戦後からメビウスに人が居なくなるまでの間です。
※この世界をメビウスのような仮想世界だと予想しています。
※メビウス内と同じ力が使えます。
ただし、大規模に影響を及ぼすような改変は出来ません。

【一之瀬玲菜@JUDGEMENT 7 俺達の世界わ終っている。】
[状態]:健康、デジヘッド化進行(侵食率5%)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ずっと皆と一緒に居たい
1:殺し合いには乗らず、脱出する方法を探す
2:だけど、脱出する方法が見つからないのなら……
3:メビウスか、皆とずっと一緒に居られるなら……
[備考]
※参戦時期は16章『俺達の世界は終っている。』終盤、END分岐前です。
※この世界をアカシックのような仮想世界だと予想しています。
※アカシック内と同じ力が使えます。
ただし現在、管理者権限はランクEであり、ほぼ何も出来ません。
また、ランクSに目覚めた場合も、大規模に影響を及ぼすような改変は出来ません。
※μの曲に共感したことでデジヘッド化が進行しています。
侵食率が高まるほど、欲望を抑えられなくなります。また、μに盲信的になり攻撃的になります。

【支給品紹介】
【ヒプノシスマイク@ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-】
μに支給。
人の精神に干渉するマイク。色や形状は使用者に応じて変化する。
スイッチを押すとヒプノシススピーカーという巨大なスピーカーが発現し、このマイクを通したリリックは、人の交感神経、副交感神経等に作用し、様々な状態にする。
つまりカタルシスエフェクト(違う)。


399 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/03(月) 23:42:44 2/4cJYA60
代理投下終了します
タイトルは「幻想牢獄のエターナルデイズ」です


400 : ◆NIKUcB1AGw :2021/05/04(火) 15:55:14 l4KqVTjQ0
投下します


401 : 俺たちはやめさせのプロだぜ! ◆NIKUcB1AGw :2021/05/04(火) 15:56:14 l4KqVTjQ0
陰惨な殺し合いの舞台となった平安京。
その片隅で、殺し合いを止めるべく3体の人外が立ち上がった!


【ヤメタランス@帰ってきたウルトラマン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
※制限により体長は2メートル弱で固定。食べ物を摂取しても成長しません。


【やめ妖怪@ビックリマン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める


【やめたい師@妖怪ウォッチ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める


402 : ◆NIKUcB1AGw :2021/05/04(火) 15:56:55 l4KqVTjQ0
投下終了です


403 : ◆qvpO8h8YTg :2021/05/04(火) 17:00:35 BNnudmoA0
投下します


404 : 『大好き』を追いかけて ◆qvpO8h8YTg :2021/05/04(火) 17:01:17 BNnudmoA0
「へぇ〜、せつ菜ちゃんってアイドルやってるんだ。どうりで可愛いと思ったよ」
「あっ、いえ。そんな…。でも、ありがとうございます、崎村さん。それと…先程はとり乱してしまい、すみませんでした。」


虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会に所属する、優木せつ菜こと中川菜々は、ゲームが始まって早々、一人の青年と出会った。
殺し合いという異常事態の中、半ばパニックに陥っていたせつ菜ではあったが、崎村貴信と名乗る青年には害意はなく、とにかく落ち着くよう、優しく諭してくれた甲斐もあって、今はこうして平静を取り戻している。


「こんな状況だし、パニックになるのは仕方ないよ、せつ菜ちゃん。それと、さっきから気になってたんだけど……俺達、同年代だし、俺のことは『貴信』って呼んでくれよな」
「はい、宜しくお願いしますね、貴信さんっ!」


最初に出会った人が親切な人で本当に良かった、とせつ菜はほっと胸を撫で下ろした。
何かと気さくに話しかけてくれる貴信のおかげで、どうにかメンタルを保つことが出来ている。

そして、その後の話し合いの結果、貴信とせつ菜は、当面自分達と同じ志を持つ参加者―――つまりは、殺し合いに賛同しない参加者を捜索しつつ、殺し合いの舞台からの脱出を模索することとなった。


「それじゃあ、行こうか、せつ菜ちゃん」と貴信が歩み始めると、せつ菜も「はい!」と力強く呼応して、それに続いていく。


―――私の『大好き』はこんな悪意(殺し合い)には屈したりはしない!


せつ菜には夢がある。
スクールアイドルとしての活動を通して、誰もが『大好き』を言える世界を広げていきたいという果てしない夢が。
だからこそ、こんな殺し合いには負けない。
その夢を終わらせるわけにはいかない。


せつ菜は確固たる信念を以って、この殺し合いに抗うこと決意したのであった。


405 : 『大好き』を追いかけて ◆qvpO8h8YTg :2021/05/04(火) 17:01:45 BNnudmoA0





(まさか、また似たようなゲームに参加させられるとはね……)

天元の紅月が照らす路中で、隣に歩くせつ菜を横目に、貴信は思考を巡らせる。

この会場に召喚される前、自分は確かに死んだーー。
『シークレットゲーム』と称されたデスゲームにプレイヤーとして潜り込んだ自分は、殺し合いの場で絆を深めた男女に迫る『理不尽』そのものになるべく――自らこめかみに押し付けた銃の引き金を引いて、自らの命に終止符を打った、はず……。

しかし、次に気付いた時には、あのメフィスとフェレスなる少女が取り仕切る門前の前にいた。
そして、告げられたルール無用の新たな殺し合い――。

(まぁ、これはボーナスステージと受け取れば良いのかな?)


貴信は高揚していた。
これは謂わば自分に対するご褒美だ、と。

この場所なら、また見れるはず――。
死の直前に、蒔岡彰と藤堂悠奈が自身に見せたような焦燥と絶望を――。
『理不尽』に直面した人々が織り出す、極上の慟哭と悲劇を――。


―――俺にとっての『大好き』はここにある。


全ては、『理不尽』を振り撒き、『理不尽』に晒された人の姿を愉しむため。


崎村貴真は、心中でほくそ笑みながら、殺し合いの会場を歩むのであった。




【優木せつ菜@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:暫くは貴信さんと一緒に行動する
2:参加者名簿…同好会の皆が参加していないと良いのですが……
※参戦時期は少なくともアニメ5話以降となります。


【崎村貴真@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本方針 : この殺し合いにおける『理不尽』を楽しむ
1:暫くはせつ菜ちゃんに同行する
2:参加者に『理不尽』を振り撒く
※Zルート死亡後からの参戦となります


406 : ◆qvpO8h8YTg :2021/05/04(火) 17:02:13 BNnudmoA0
投下終了します


407 : ◆vV5.jnbCYw :2021/05/04(火) 17:03:42 Jlf49Zh60
投下します


408 : ドドンと甘くて苦い ◆vV5.jnbCYw :2021/05/04(火) 17:04:09 Jlf49Zh60

「ここ……どこ?」
平安京を一人とぼとぼ歩く、幼き少女の姿があった。
顔や髪の色からして、彼女はどう見ても日本人。
だが、その日本人なら一度は見たはずの平安京のことを、全く知らなかった。


何故なら、彼女、神戸しおにとっての世界は、ある女性の家のみだったから。
故に、知らない場所に拉致されることも、人が死ぬのを見るのも初めてだった。


そして、彼女は死というものの概念をほとんど理解しておらず、ましてや殺し合いをしろと言われても、どうすればいいのか全く分からなかった。

だが、この世界が彼女と共に生活していた相手の言っていた「外の恐ろしい世界」だということは伝わっていた。


(嫌だよ)
(怖いよ)
(さみしいよ)
(ひとりはやだよ)

顔を真っ青にさせ、固く目を瞑っても、人の頭が飛び散った瞬間が、フラッシュバックした。


(帰りたい)
(いるだけで心が落ち着く、さとちゃんの所に帰りたい)

心から求めたのは、自分を愛してくれる、松坂さとうがいる家。


何処へ行けば帰ることが出来るのかは分からなかったが、とにかく歩いていると、何かにぶつかってしまった。

「ム?迷子か?」
「え?」
それは柱や壁ではなく、どこか紙や段ボールを張り合わせた、おもちゃのロボットのような、姿をしていた。
彼女からしてみれば、テレビにいそうな存在だった。


「オレさまの名前はドドンタス!!ザ・伯爵ズの自称ナンバー1だ!!
怖かったと思うがこのオレさまがオマエをドドーンと守ってやるから安心しろ!!」


彼は幾つもの戦場を潜り抜けた猛者であるが、決して争いは好みではない。
忠誠を誓ったノワール伯爵が新世界を作った暁には、争いの決して起こらない世界を作ってもらおうとしていたくらいだ。
そして、彼は伯爵以外の者から殺し合いを命じられたところで、決して乗る気はない。
むしろ戦いを止めようとするつもりだった。


ドドンタスはポーズを構えて、敵意が無いことを示した。
確かに見た目はおおよそ人間とかけ離れているし、あれこれ良く分からないことを言っているが、怖い人ではないことは伝わっていた。


でも、それだけではしおには足りなかった。


409 : ドドンと甘くて苦い ◆vV5.jnbCYw :2021/05/04(火) 17:04:26 Jlf49Zh60

「あの………。」
「ン?どうした?ハラでも減ったか?」
「さとちゃん、知らない?」
「残念ながら出会ったのはオマエだけだ!!ドドンと知らんが、オレさまが絶対にそのサトチャンとやらの所に返してやる!!」


やはり、しおには足りなかった。

ドドンタスは守ってくれて、しかも大切な女性の所に返してくれると言うほど頼もしいが、心が満たされることは無かった。


「ところで、サトチャンと言うのは、友達のことか?」
いざ行かんとする前に、ドドンタスの方から聞いた。
どのような姿なのか、どういった関係なのかは聞いておきたかった。


「トモダチ?それって、あいし合う人のこと?」
「う〜む。違うような気もするが、大切な相手のことだ。」
「わたしとさとちゃんはね、おなじおうちに住んで、ごはん食べて、一緒に寝るんだよ。」
「それは家族とは違うのか?」
「そうだよ!さとちゃんは家族だよ!!」
「なるほど。というと姉なのか!!」
「あね?」


それからも一通り家族の関係の名前を聞いてみたが、結局どういった関係なのか分からなかった。

この時、どこかドドンタスの心に靄のような物が浮かんだ。
極めて良好な関係と言うのは分かったが、友達でも、家族のようなものとも、少し違う。
それにこの子は、「友達」や「姉」という、誰もが知っているはずの言葉を、理解していなかった。
年齢の幼さを鑑みても、言葉を知らなさすぎだ。


「ねえ、『あね』ってどういうこと?」
無邪気に尋ねた神戸しおとは対照的に、ドドンタスの顔は緊張感で浮かんでいた。

「も、もしやそのサトチャンというのは、オマエを誘拐……」
「ゆうかいって?」
どう言葉を返すか、詰まってしまった。
断片的にしか聞いてない、大切な人のことを悪人だと咎めるか、どうするか。

「どうして、そんな怖い顔しているの?」
少女は急に脅え始める。


言葉は返せない。
そのまましおは踵を返し、逃げ出した。

「あっ、待ってくれ!!悪かった!!」
ドドンタスは追いかけようとする。
幼い子供に追いつくぐらい訳ないと思ったが、その先にあったのはドドンタスが通るのに苦労するほど細い路地。

「く、くそ……」
どうにか体を横にして、狭い路地裏を進もうとする。
だが、身体が閊えてどうにも行けない。


410 : ドドンと甘くて苦い ◆vV5.jnbCYw :2021/05/04(火) 17:04:49 Jlf49Zh60

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


「はあ……はあ……。」
路地裏から出て、ドドンタスの姿が見えなくなっても、不安な気持ちは変わらなかった。
ドドンタスというロボットは守ってくれると言っていたが、彼女にとって嫌な感じがした。
彼がいることで2人の生活が壊れてしまうような。

しかし、ゆめゆめ忘れてはいけない。
この世界では、幼女の命だろうと、本気で奪おうとする者がいることを。


逃げた彼女の目の前に現れたのは、ドドンタス以上に人間とかけ離れている生物だった。
全身オレンジ色で、その手には鎌を持って、慈悲の欠片もない両目は、かつて神戸しおがテレビで見た「怖いお化け」とそっくりだった。
そして、そのお化けは彼がいた世界では命を刈り取る「死神」の名称で忌み嫌われていた。


かつての世界では夜に暗躍し、人間や家畜の命を狙っていた世にも悍ましき魔物のやることは、この世界でも変わらない。
鎌を振り上げ、しおの首を落とそうとしていた。

「助けて……」
「ぬううううん!!」

それがしおの首に当たる寸前、巨大ながれきの塊が死神の顔面に命中した。


「ドドンと危ない所だったな!!一人で走り出してはいけないぞ!!」
どういうわけか死神の後ろには、逃げたばかりのドドンタスが立っていた。
彼は表通りを使って、路地裏から出そうな場所に向かって、先回りしていた。

「オオオン!!」
死神は怨念の声を上げ、ドドンタスに斬りかかろうとした。
しかし、斬撃は太い腕に刺さる形で、無理矢理止められる。

「このようにか弱い者を狙うとはドドンと許しておけぬ!!天罰ちょくめん!!」
それを言うなら天罰てきめんだが、そう突っ込む人はこの場にはいなかった。

死神を捕まえて、ブンブンと振り回し、遠くまで投げ飛ばす。
いつものように姿を消すことも忘れて、そのまま別の建物に激突し、いとも簡単に死を与える役目を手放した。




[死神@ドラゴンクエストビルダーズ2 死亡]


「大丈夫か?ケガはないか?」
「だいじょうぶだよ。」
「なら良かった。それとさっきは済まなかった。イヤな思いをさせてしまって。」

ドドンタスは深く頭を下げた。
まだ納得したわけではないが、二人の関係はそっとしておこうと思うことにした。

「いいよ。たすけてくれてありがとう。」
一方でしおも心の中が満たされたわけではないが、お礼を言う。
不安定ながらも、少女と武人の同盟が結成された。



【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:健康 不安 
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ドドンタスと協力して帰る
1:さとちゃんに会いたい

※参戦時期は1巻でさとうを探して外へ出る前です。

【ドドンタス@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:健康 
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:このゲームから脱出する
1.神戸しおを守る
2.殺し合いに乗った者は倒す
[備考]※神戸しおとさとちゃん(松坂さとう)との関係を疑問視しています
※参戦時期はステージ8でマリオを待っている間です。







だが、この時二人は知らなかった。
2人がそれぞれ異なる理由で、気にしていた相手も、参加させられていることを。


411 : ドドンと甘くて苦い ◆vV5.jnbCYw :2021/05/04(火) 17:05:14 Jlf49Zh60

『ちかいのことば。やめるときもすこやかなるときも。とめるときもまずしいときも。よろこびのときもかなしみのときも。しがふたりをわかつまで。わたしは私はしおちゃんが大好きなことをちかいます。』


――――苦い

―――苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い

心の底まで入り込んでくるような、胃の中のもの全てを戻してしまうような苦みが、この世界に充満している。
私が出会った人間の悪意なんかより、吐きそうなほど苦い。
苦さのあまり、気がふれてしまいそうだ。
一刻も早く、帰らなければならない。
しおちゃんが待っている、甘い甘い空間に。
世界で一番甘いお城に。


殺し合いなんてどうでもいい。
あのゴミ共が何をしていようと構わない。
ただ、私は私のハッピーシュガーライフに戻れればいい。

せめて貰った道具で、帰る手掛かりになるものはないか探すと、最初に見つかったのは小さなCDのようなものだった。
音楽をかける道具ではなく、頭に入れれば能力を使えるらしい。

何でも名前は世界(ザ・ワールド)といって、時を5秒ほど止められるのだとか。
半信半疑だったが、頭に付けてみたら突然黄色い魔人のようなものが現れ、辺りの小石を蹴ってから念じてみると、宙を舞う小石が急に止まったので、嘘ではないと分かる。


412 : ドドンと甘くて苦い ◆vV5.jnbCYw :2021/05/04(火) 17:05:30 Jlf49Zh60

この世界という能力は、名の通り世界を作ることが出来るのだろう。
だが、一人だけの世界を作っても意味がない。
私が求めているのは最愛の、甘いしおちゃんとの世界に帰る。
時が止まったような、そんな甘い幸せが充満した世界へ行く。



それを邪魔する相手は 


騙しても
犯しても
奪っても
殺しても


いいと思うの。



【松坂さとう@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:健康 情緒不安定
[装備]:ザ・ワールドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:元の甘い世界に帰るための手掛かりを探す
1:殺し合いなどどうでもいいが、邪魔をする相手は容赦しない
2:しおちゃんに会いたい。もしこの世界にいたら……?

※参戦時期は1巻で先生を「説得」した後





[支給品紹介]

【ザ・ワールドのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険】
破壊力 – A
スピード - A
持続力 – A
射程 – C
精密動作性 - B
成長性 - B】
【能力詳細】:時を5秒間止める
逞しい体つきをした金色かつ人間型のスタンドで、時間停止以外にも人体を容易く貫き、銃弾を弾き飛ばす程強力な力を持つ。
ただし、他の時間停止能力・魔法などを使われれば、止めた時の


413 : ドドンと甘くて苦い ◆vV5.jnbCYw :2021/05/04(火) 17:05:44 Jlf49Zh60
投下終了です


414 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 17:48:50 LYbwAi/k0
投下します


415 : どんな未来でも受け止める私でいたくて ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 17:49:13 LYbwAi/k0
「はぁ……はぁ……はぁ……!」

赫灼の紅夜、朱と黒に染まる平安京のある場所にて
紺色の学生服を来た少女が、二本角の生えた'誰か'に追われている

「待ちやがれこのクソアマぁ!」

二本角の'誰か'とは、まさに鬼のような風貌……否、れっきとした『鬼』であるのだが、今この鬼から逃げている少女にはそれを知る由はない
鬼より逃げている少女には才覚はない、並外れた知力も、専門の技術も、戦闘の才能も。だがそんな彼女でも、過去に一度、とあるデスゲームから仲間とともに乗り越えた経験がある
彼女の取り柄とは、殺し合いの中でも弱さを見せずに気丈に振る舞う事。そして、例え問題のある人物でも気に掛けることができるその博愛主義な心の強さだ

だが、そんな彼女がこの狂った平安京を舞台へと巻き込まれた際、真っ先に人を探そうとして出会ったのがこの鬼だ
出会い頭に唐突に年齢を聞かれ、思わず16と答えたのが運の尽き。この鬼は何故か16の若き生娘を優先的に食らうという倒錯的な嗜好を抱えた、黒い沼使いの鬼である
黒い沼を出現させ、相手を引きずり込もうとする沼の鬼に対し、初手で危機を察した少女がすかさず閃光手榴弾を投げ、鬼が怯んだ隙に逃走。ただし閃光手榴弾を使ったのが初めてだったのもあり逃げるのが少々遅れ、立ち直った鬼の方も大急ぎで追いかけ、今に至るのだ





「……なんとか、なったの、かな……?」

少女こと吹石琴美は、周囲を見渡し、かの鬼がいないかを確認し、安堵の声を吐く
閃光手榴弾のストックは残っているとはいえ、先程のような幸運は2度もあるとは思えない
鬼の姿はなくとも、不安から滲み出る心拍の音は未だドクドクと鳴り響く

見たことのない存在、見たことのない力。かつてシークレットゲームと言う名の殺し合いを乗り越えてきた彼女であっても、この異常事態に異常事態を重ね掛けしたような状況は未だ慣れるはずもなく

「――ギャアアアアアアアアっ! こ、このアマァァァ――ガアアアアアアアア!」
「っ!?」

遠くで、声がする。先程の鬼の声。だが、明らかに悲鳴の音。危険を察知し、吹石琴美は足早とこの場から離れようとする。――が、正面にそれは、いた

「……え?」
「………誰だ?」

黒のロングヘアーを棚引かせ、その手に刀を持った、赤眼の少女がそこにいた
――赤眼の少女の名。殺し屋一味ナイトレイドの元一員、名はアカメ


【吹石琴美@リベリオンズ Secret game 2nd Stage】
[状態]:不安(中)
[装備]:閃光手榴弾@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:悠奈さんのように、このゲームを一人でも多く生きて終わらせる。
1:同じ考えの人を探す。できればあの人に加勢してくれる人を。
[備考]
※参戦時期はDルート、エースに拾われる前です。

【アカメ@アカメが斬る】
[状態]:健康
[装備]:刀の類の支給品
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:???



○ ○ ○


死に染まる紅点の夜空、朽ち果てた鬼の死体を見下ろろす、一人の女
黒を貴重とした衣装を身に纏った蠱惑的な黒狐

【沼の鬼@鬼滅の刃 死亡】

「はぁ、これはちょっと、予想外かしら?」

世界は一つの舞台、余りにも突拍子な混沌もまた一つの在り方。然し、混沌を求むる逢魔繚乱たる者たちにとってもこの自体は想定外そのもの

「……まあ、ここは気ままに、冷静に? ってことでいこうかしら?」

女の名前は沙夜。世界を混沌を以って一つにせんと望む秘密結社『逢魔』のエージェント

【沙夜@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本:さて、どうしたものかしら、ね?
1:???


416 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 17:49:26 LYbwAi/k0
投下終了します


417 : ◆bLcnJe0wGs :2021/05/04(火) 18:29:25 Fw8KNSU20
自作『創造神現る…?』にて登場人物の内1名の表記を変更させていただきました。


418 : ◆7PJBZrstcc :2021/05/04(火) 18:29:45 lYQ.Fe7I0
投下します


419 : 壬生狼、キャンプ少女と出会う! ◆7PJBZrstcc :2021/05/04(火) 18:30:18 lYQ.Fe7I0
 一人の青年が歩いている。
 スラリとした細身であれど筋肉質な体に、長い髪を一本に結わえた髪形。
 服は袴、腰には刀。そして羽織は水色を基調にした羽織。これだけで今の日本人なら、彼が何者か分かるだろう。

 そう。彼は新選組の一員だ。しかも、彼は平隊士ではない。
 一番隊隊長にして、天才剣士の沖田総司である。

 その彼がこの平安で行われる殺し合いの場に降り立った時、彼は迷うことなく反逆を決めた。

 沖田総司は人斬りである。
 命令されれば町人も隊士も斬った。
 それが武士だと思っているし、それを後悔することはない。

 だがこれは違う。
 この殺し合いの主催者が覇府ならいざ知らず、あんな南蛮人の少女に従う理由がどこにある。
 故にこの殺し合いに従う道理なし。むしろ彼女達を討伐することこそが、新選組の成すべきことだ。

 そう結論付けた総司はデイバックに入っていた愛刀、菊一文字を腰に差し、あてどなく彷徨い始めた。
 殺し合いに乗らない、と決めたはいいが百姓上がりで学のない自覚がある彼は、どうすれば殺し合いを破綻に追い込めるか分からなかった。
 そこでとりあえず他の参加者を探し、知恵を求めることにしたのだ。

「土方さんがいればなあ……」

 思わずぼやく総司。
 新選組副長土方歳三は、自分と違って色々考えていたことを思い出す。

 そうしてしばらく歩いていると、総司はついに他の参加者を見つけた。
 のだが――

「うーん、総司困っちゃう」

 見つけた参加者は、なぜか気絶していた。
 総司の目の前で気絶している参加者は、ピンク色の髪で厚手のダウンジャケットを身に纏った少女であったが、見慣れない服装せいか彼には酷く面様に見えた。

 さて、なぜ彼女は気絶しているのだろうか。今からそれを解説しよう。

 彼女の名前は各務原なでしこ。
 総司とは異なり、現代の日本に住むごく普通の女子高生である。
 特徴といえば、料理が得意なことと、最近、キャンプが趣味に追加されたことくらいだ。

 なでしこは、血を見るのが苦手である。
 スプラッターなホラー映画は勿論、魚の解体にすら目を背けてしまうほどに。
 そんな彼女が、メフィスとフェレスが殺し合いの開始を告げたあの会場で見せた加藤段蔵の死体を見ればどうなるか。
 答え、ショックのあまり気絶。

 なでしこはオープニングの途中から今までずっと気を失っていたのだ。
 総司が来るまで他の参加者が近くに来ず、支給品にも彼女自身にも手を付けられなかったのは紛れもなく幸運である。

「よいしょっと」

 そんなことは露と知らない総司は、なでしこを背負う。
 曲りなりも殺し合いに逆らうと決めた以上、巻き込まれているだけの何の罪もない人を斬る気はなかった。


 人斬りと血が苦手な少女。二人の出会いは何をもたらすのか。
 それを知るものは未だ誰もいない。


【沖田総司@衛府の七忍】
[状態]:健康、なでしこを背負っている
[装備]:菊一文字則宗@衛府の七忍
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主催者を斬る
1:この女の人(なでしこ)を保護する
2:まさか江戸から京に戻るとは
[備考]
参戦時期は総司編終了後です。

【各務原なでしこ@ゆるキャン△】
[状態]:気絶、総司に背負われている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:???
1:……
[備考]
参戦時期は少なくともリンと出会った後以降です。
加藤段蔵@Fate/Grand Order の死体を見て気絶したため、それ以降にオープニングで起こった内容を把握していません。

【菊一文字則宗@衛府の七忍】
沖田総司に支給。
彼の愛刀であり、今ではただ一つの同胞である。
もっとも、史実では沖田総司がこの刀を持っていた記録はないらしい。


420 : ◆7PJBZrstcc :2021/05/04(火) 18:31:14 lYQ.Fe7I0
投下終了です。
続いて2本目を投下します。
サマロワに投下したものを流用、修正したものです


421 : リア充ビッチはムカつくだけ ◆7PJBZrstcc :2021/05/04(火) 18:31:49 lYQ.Fe7I0
「何だよ殺し合いって、意味分かんねえYO!」

 語尾にYOと付けながら憤るこの男。
 名前は浜渡浩満、通称ハマー。

「大体何であんなにかわいい女の子が、あんな目に遭うんだYO!」

 そして思い返すのは、最初の場で首輪が爆発し殺された二人の少女。
 彼女達に対し、ハマーは心底から可哀そうだと思っていた。
 ハマーはダメなところは多々あるが、悪党ではないのだ。あんな凄惨な光景を見れば心が痛む。

「拙者はあんな目に遭いたくねえYO……」

 そして自分の死も恐れていた。死にたくないというのは、誰が何と言おうと人として当然の感情だろう。
 しかしここで違う考えも浮かんだ。

「いや待てよ? ひょっとしたら、今の拙者みたいに怯えている女の子もいるかも……?」

 この殺し合い、いきなり始まったのだから不本意な参加者ばかりの筈。
 その中にはきっとかわいい女の子もいるだろう。
 なら拙者が傍に居て、守ってあげれば気を許してくれるかも。
 そして最終的には、主催者をなんやかんやで倒してその子と結ばれるハッピーエンドも……。

「やってやるYO!」

 そんな、さっきまで怯えていたとは奴が出したとは思えない結論に達したハマーは、早速他の参加者を探すことにした。

 しかし、そんな彼の願いは、最初に現れた参加者を見たと同時に踏みにじられることになる。
 何故なら

         ___
       / ⌒  ⌒\
      / (⌒)  (⌒)\
    /   ///(__人__)///\
     |   u.   `Y⌒y'´    |
      \       ゙ー ′  ,/
      /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
      / rー'ゝ       〆ヽ
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆        |´ |




 最初に出会った参加者がこんなのだったから。

         ___
       / ⌒  ⌒\ 
      / (⌒)  (⌒)\   「初めまして、入即出やる夫だお。
    /   ///(__人__)///\
     |   u.   `Y⌒y'´    |  やる夫が君を守ってあげるお!
      \       ゙ー ′  ,/
      /⌒ヽ   ー‐    ィヽ   だから、この殺し合いから脱出したらセクロスさせるお!」
      / rー'ゝ       〆ヽ
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆        |´ |


 しかも世迷言をほざいてた。

「って男じゃねーかお!!」

 やる夫はここで目の前の参加者が男であることに気付き、逆ギレした。
 しかし、いきなりキレられたハマーも負けじと激怒する。

「何だお前は、ふざけるなYO!
 拙者は可愛い女の子を待ってたんだYO、なのになんでお前みたいな白饅頭なのさ! チェンジだチェンジ!!」
「それはこっちの台詞だお。やる夫は可愛いおにゃのこに出会いたかったんだお!
 なのに黒いほっかむり被った不審者なんてごめんだお! こっちがチェンジって言いたいぐらいだお!!」
「だ、誰が不審者だコノヤロー! 拙者はアーティストなんだぞ、ファーストシングルのCDは20万枚売り上げた男なんだYO!」
「ほう、それはこのダウンロード全盛期のご時勢に大したもんだお」

 ハマーの発言にちょっと感心するやる夫。
 しかし、その後の言葉が良くない。


422 : リア充ビッチはムカつくだけ ◆7PJBZrstcc :2021/05/04(火) 18:32:26 lYQ.Fe7I0

「でも最近のCDなんて特典ありきだおwww。どうせお前もそうに決まっているおwww」
「拙者のCDは違うYO! 純粋に実力だYO!!」
「そうまでいうなら歌ってみるお」
「上等だYO! 感動でむせび泣かせてやる!!」
「やれるもんならやってみるお」
「……では聴いてください、なんかのさなぎ」




※ハマーの熱唱は省略します。申し訳ございません。




「感動したお!!」

 それが、なんかのさなぎを聴き終えてからのやる夫の第一声だった。

 ところでこのなんかのさなぎ、実はダメ人間がダーゲットとして制作されている。
 それもダメならダメなほどハマるという代物だ。
 やる夫がダメ人間かどうかは、最初の発言でお察しの通りである。

 しかし、その事を知らない二人はすっかり分かりあっていた。

「さっきは悪かったお。……ええと」
「拙者の事はハマーって呼んでくれやるちゃん」
「分かったおハマー、それでこれからどうするお?」

 二人はやっと、今起こっている殺し合いという本題に入った。

「当然最初の場にいたあいつらをやっつけるYO。拙者は殺し合いなんてごめんだぜ」
「やる夫もだお! そしてこの場に居るおにゃのこにフラグを建てるんだお!!」
「その時は拙者も混ぜてくれYO?」
「当然だお!!」

 こうして、二人の戦いは始まった。

「ところでさ、今更だけどやるちゃんって戦えるの? 正直あんまり強くなさそうで……」
「剣が支給されていたから大丈夫だお」

 始まったのだった!


【浜渡浩満(ハマー)@ピューと吹く! ジャガー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:主催者をやっつけるYO!
1:女の子の参加者と会いたい
2:やるちゃんはマブダチ

【入即出やる夫@2ch】
[状態]:健康
[装備]:ラストフェンサー@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:主催者を倒すお!
1:女の子と出会いたいお
2:ハマーはいい奴
[備考]
持っているAAがある武器はある程度自在に扱えます。
版権作品の知識は制限されています。どの程度制限されているかは次の書き手氏にお任せします。
その他制限は次の書き手氏にお任せします。


【ラストフェンサー@テイルズオブシンフォニア】
入即出やる夫に支給。
920という最高峰の攻撃力を誇る剣。
また、モンスターではなく人間相手を斬る場合はダメージが追加される


423 : ◆7PJBZrstcc :2021/05/04(火) 18:32:58 lYQ.Fe7I0
投下終了です。
続いて3本目を投下します


424 : パープル・ヘイズ ◆7PJBZrstcc :2021/05/04(火) 18:33:32 lYQ.Fe7I0
「さあ、ハンティングゲームの始まりだ!」


【ユーリ@遊戯王ARC-V】
[状態]:健康
[装備]:ユーリのデュエルディスク@遊戯王ARC-V、スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン@遊戯王ARC-V
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:参加者全員をカードにし、最終的には主催者もカードにする


【ユーリのデュエルディスク@遊戯王ARC-V】
ユーリに支給。
リアルソリットビジョンを出現させることで機能するデュエルディスク。
また、参加者をカードに封じ込める機能もある。
対象をカードにするには、デュエリスト相手ならデュエルに勝つ必要があるが、非デュエリストならば何の必要もなくカード化できる。
ただし、抵抗もできる筈なのでするなら対象を弱める必要があると思われる。
カード化された参加者はロワ内では死亡扱いとなる。

【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン@遊戯王ARC-V】
ユーリに支給。
カードテキストは以下の通り。(遊戯王wikiより)

闇属性モンスター×2
(1):このカードがフィールドのモンスターのみを素材として融合召喚に成功したターンに発動できる。
  このカードの攻撃力はターン終了時まで、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの攻撃力の合計分アップする。
(2):1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。
  ターン終了時まで、その相手モンスターの効果は無効化され、このカードはその対象の相手モンスターの効果を得る。
(3):このカードが破壊された場合に発動できる。
  相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、その攻撃力の合計分のダメージを相手に与える。

ただし、本ロワでは召喚条件を無視し呼び出せる代わりに(2)、(3)の効果は完全に使用不可となっている。
また、(1)の効果である特殊召喚されたモンスターは、このロワではルール上首輪をしていない生物がそう扱われる。
意志持ち支給品。もしくは首輪が外れた参加者が対象となる。
そして一度呼び出した後、10分程出現していると自動的にフィールドからエクストラデッキに戻り、数時間ほど呼び出せなくなる。


425 : ◆7PJBZrstcc :2021/05/04(火) 18:34:39 lYQ.Fe7I0
投下終了です。
後、wikiに収録されている自作の文章をチョコチョコ修正しています。
スタンス、状態表等に変更はありません


426 : ◆ylcjBnZZno :2021/05/04(火) 20:15:35 HvlcvO8k0
投下します


427 : 殺意の時間 ◆ylcjBnZZno :2021/05/04(火) 20:17:16 HvlcvO8k0
六波羅蜜寺。
踊念仏で知られる市聖・空也が、天暦5年(西暦951年)に開創された真言宗智山派の寺院である。
開創当初は「西光寺」と称されていたが、空也の死後仏教の教義である「六波羅蜜」を由来とし、現在の名に改められた。
「六波羅蜜」とは大乗仏教で説く悟りの彼岸に至るための6つの修行徳目のことである。


そんな歴史を持つこの寺院に、悟りとは程遠い表情でバットを振り下ろす小柄な少年がいた。
振り降ろされたバットの先には、今では旧時代の遺物となったビデオテープがおかれ、現在進行形で粉砕されている。

「こんなのは! 違う! こんなのが! 人間の本質なはずがない!」

E組のみんなは! 殺せんせーと関わったみんなは! こんなふうにならない!

うなされるかのように、己に言い聞かせるように。
叫びながら、少年は一心不乱にバットを叩きつけ、『黒の章』と書かれたそのビデオテープを破壊していた。

そうして完全に砕け散ったビデオを前に少年は立ち尽くす。
眉間にしわを寄せて、瞳を濁らせ、意識の波長をぐちゃぐちゃに乱して。
夏休みに教わった『抱いちゃいけない種類の殺意』を心に抱いて。
その殺意から引き戻してくれる友達は―――この場にはいなかった。



―――多分僕には、人を殺す才能があります。
―――殺せんせー。僕は……殺し屋になるべきでしょうか。


進路相談の日。
恩師に投げかけた問いが、少年の脳裏によみがえった。


【E-8/六波羅蜜寺】
【潮田渚@暗殺教室】
[状態]:健康、知り合い以外に対する強い疑心暗鬼
[装備]:金属バット@現実
[道具]:基本支給品、霊界TV、不明支給品1つ
[思考・行動]
基本方針:会場からの脱出
1:まずは落ち着かないと……。
2:E組のみんなは……。
[備考]
黒の章@幽☆遊☆白書は破壊されました。


428 : ◆ylcjBnZZno :2021/05/04(火) 20:17:40 HvlcvO8k0
投下終了です


429 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 20:20:16 LYbwAi/k0
投下します


430 : ミドリのアイツと赤いアタシ ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 20:22:39 LYbwAi/k0
「ふ ざ け る なぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

紅に染まった夜空に、渾身の叫びと言わんばかりに大声を張り上げる男が一人

その頭に、赤という色の存在そのものをライバル視せんと、民家の窓越しに天空をにらみつける、緑帽子にミドリのマフラーを纏った黒衣装の男

「このオレ様をこんな辺鄙な場所に呼び込みやがって!」

男は怒り狂っていた。この殺し合いという状況ではない、天空を染める赤色にだ

「このミスターL様に向かって赤色の空だと!? オレ様をとことんバカにしやがって!」

このミスターLという男。赤という色にどうにもこうにも無意識に怒りと苛立ちと言う名のフラストレーションが貯まる

「赤いからって調子に乗るんじゃねぇぞ! このミスターLが、この赤い舞台をオレ様好みの色に塗り替えてやる!」

「……ねぇ。色々とぶち撒けてるようで何よりだけど」

男の意気込みに水を差すように、隣の柱に腕を縛られ座り込む少女が声を掛ける

「……なんだ、赤髪女」

ミスターLは不満そうに赤髪の女に言葉を返す。ミスターLがここに飛ばされた当初、目に映った少女を赤い髪しているという理由で何故か襲いかかり、まあ女性だからレディーには気を遣って腕を柱に縛り上げる程度に済ましたのだ
この時は忌々しい赤い帽子のヒゲ野郎に負けたフラストレーションがが待っていたのもあったのであるが

「……この縄、早く解いてくれると嬉しいんだけど」
「……」

女の言葉に、ミスターLは不機嫌そうにしながらも女の縄を解くのであった
藤堂悠奈、この殺し合いにおいて、開幕から色んな意味で災難に巻き込まれるのであった、主に憂鬱ミドリな意味で


【ミスターL@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:健康、赤い空に対する苛立ち
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状態]
基本:主催共は叩き潰し、空をオレ様好みの色に変えてやる
1:赤い空だと、舐めやがって!
2:伯爵サマたちは一体何処にいるんだ?
[備考]
※参戦時期は6-2、マリオたちに敗北した直後

【藤堂悠奈@リベリオンズ Secret game 2nd Stage】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状態]
基本:なるべく多くの人を助け、殺し合いを止める
1:なに、これ。なんで私こんなことになってるの?
[備考]
※参戦時期はAルート、セカンドステージ突入語で修平達と別れた後


431 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 20:22:57 LYbwAi/k0
投下終了します


432 : ドドンと甘くて苦い ◆vV5.jnbCYw :2021/05/04(火) 21:54:27 Jlf49Zh60
すいません。
少し訂正したい箇所があったので、変更点を言います。

>>409
誤:
「わたしとさとちゃんはね、おなじおうちに住んで、ごはん食べて、一緒に寝るんだよ。」
「それは家族とは違うのか?」
「そうだよ!さとちゃんは家族だよ!!」
「なるほど。というと姉なのか!!」
「あね?」

この時、どこかドドンタスの心に靄のような物が浮かんだ。
極めて良好な関係と言うのは分かったが、友達でも、家族のようなものとも、少し違う。
それにこの子は、「友達」や「姉」という、誰もが知っているはずの言葉を、理解していなかった。
年齢の幼さを鑑みても、言葉を知らなさすぎだ。

正:
「わたしとさとちゃんはね、おなじおうちに住んで、ごはん食べて、一緒に寝るんだよ。」
「それは家族とは違うのか?」
「ちがうよ!!でも、家族より大事な人!!」
「??」

この時、どこかドドンタスの心に靄のような物が浮かんだ。
家族でもないのに同じ家にいて、愛し合う。
極めて良好な関係と言うのは分かったが、友達でも、家族のようなものとも、違う。
それにこの子は、「友達」という、学ばずとも誰もが知っているはずの言葉を、理解していなかった。
年齢の幼さを鑑みても、言葉を知らなさすぎだ。

この変更点をwikiの方で変更させていただきます。


433 : ◆1qfrROV/6o :2021/05/04(火) 22:03:34 p2g4ijNI0
投下します。


434 : 幸せの電子音 ◆1qfrROV/6o :2021/05/04(火) 22:04:26 p2g4ijNI0
殺し合いなんて冗談じゃない。
平安京に投げ出された桃井愛莉が考えたのは、そんな当たり前のことだった。

やっと自分が本当にやりたかったことに気づいて、新しい仲間とユニット名を決めて練習を始めたところなのだ。
『ステージの上からみんなに希望を届けるアイドルになりたい』という、たった一つのシンプルな答え。
これからの仕事のこととか、事務所のこととかはまだ全然考えてないけど、一番大切なことに気づけたところなのに。

先ほど見せしめとして殺された少女のことを思えば、体は恐怖で震える。
当然だろう。アイドルであってもこの場所の基準においては自分は一般人。ただのか弱い女子高生でしかない。
……自分が生き残るためには、誰かをこの手にかけなければいけないのだろうか。



―――桃井先輩!! ダメ!!

―――桃井先輩は『アイドル』なんですよ!!

―――アイドルは、みんなに希望をあげる存在なんですよ!!



そんな声が頭の中にフラッシュバックした。
自分が頭に血が上っていた時、道を踏み外さないよう止めてくれた言葉。

「……わかってるわよ、みのり。私は、アイドルだから。」

必死なみのりの顔を思い返して苦笑する。
またみのりに助けられちゃったな、と思った。
そう、私はアイドルなのだ。殺し合いなど絶対にやってやるものか。



決意を新たに平安京の町を歩いていると、この場所に不釣り合いなものを見つけた。
それは、どこかの野外ステージだろうか?ステージ、客席、舞台袖と見覚えのあるものがそろっていた。
しかしそれはあまりにも浮いていた。空が一面真っ赤に染まり、不気味な月が浮かぶこの平安京では。
まるでここだけ切り取って無理矢理くっつけたような異様さ。

それを見た愛莉は、主催の少女たちに嘲笑われているように感じた。
まるで「こんな場所でアイドルを貫き通せるものならやってみろ」と、そう言われているように。
……そんなステージを見せられて、カチンときた。

「―――上等じゃない。やってやるわよ!」

言うや否や、ステージに向かって駆け出した。
観客は一人もおらず、音響の設備や照明自体はあるもののそれを動かすスタッフは一人もいない。
でもそんなの関係なかった。一人でステージに上がり、客席を見据えて目を瞑る。
瞼の裏に浮かぶのはセカイのステージ。そして近くにいる他のメンバーの姿。
一緒にいなくても心は繋がっている。そう実感した。

音響スタッフはいないから当然歌はアカペラだ。マイクもないから、歌声が届く距離にも限度がある。
それでも、という思いで大きく息を吸った。当然立ち位置も確認済み。
歌うのは、あの曲がいいだろう。―――みのりが遥へ気持ちを伝えるために歌った、あの曲が。


435 : 幸せの電子音 ◆1qfrROV/6o :2021/05/04(火) 22:05:12 p2g4ijNI0





◇◆◇





「何なのよ、殺し合いって……。」

平安京に投げ出された黛冬優子はそう呟いた。
現実とはかけ離れた真紅の空、平安京の町並み。そして先ほど見せしめとして殺された少女。
いっそ悪い夢であってくれたらどんなに良かっただろうか。だが、自分の五感から流れてくる情報がこれは現実なのだと否応なく伝えてくる。

当然、人並みに自分の命は惜しい。
理想を言えば、誰も命を落とさないでこの殺し合いというイベントをぶち壊してほしい。
そんな子供のようなハッピーエンドを思い浮かべる。
だが、それが夢物語であろうことがわかるくらいには冬優子は大人だった。

自分がどうしたいのか、何をすればいいのかもわからず街中を歩いていく。
……ふと、どこからか歌声が聞こえた気がした。
最初は聞き間違いだと思った。この場所とは不釣り合いな歌。
冬優子でも聞いたことがある、バーチャルシンガーが歌うポップでキュートなラブソング。

幻聴かと思っていたが、いつまでたってもその歌声が途切れる様子はない。
まさか、本当に誰かが歌っているのか?と信じられぬままに周辺を捜索した。
すぐにそれらしい会場を見つけ、ステージの上を確認する。―――そこには確かに「アイドル」がいた。





音響設備も照明もなしに、自分の歌声とダンスだけでステージを舞う少女。
踊りに合わせて乱れるピンクの長髪と、時折跳ねる透明な汗がどこか眩しかった。

歌っている歌はラブソングで、今の状況とは何の関係もない。
でも、歌っている彼女の気持ちが歌に乗って聞こえてくるような感じがした。
「殺し合いなんて知ったことか。私はアイドルだ。」という叫び声が。

さっきまで「自分は大人だから、そんなものは夢物語だ。」と思っていた冬優子にもどこか刺さった。
大人になんてならなくていい、なってたまるか、こんな状況クソくらえだ。
……まるで、自分の気づいていなかった本音を暴かれたような、そんな気持ちだった。
いや違う。本当は気づいていた。だけど、そんなことできるわけがないと、どこか大人ぶって見ないふりをしていた。

それを目の前の少女のように、さらけ出してぶつけることに怯えていただけなんだと。
―――ただ、アイドルでいたい。殺し合いなど知ったことか。
それを邪魔する建前など、自分の歌で消してやる。そう背中を押された気がした。



自分の気持ちを自覚した冬優子の内に湧いてきたのは、目の前の少女に対するライバル心だった。
あの子に負けたくない、自分だってアイドルだ、と。
自分の気持ちに素直に行動する、と決めた冬優子は気づいたらステージに向かって駆け出していた。

ステージの少女も最初気づいた時には驚いたような顔をしていた。
でも、冬優子がそのまま彼女の横に立って一緒に踊りだしたのを見て、パフォーマンスへと意識を戻した。

この曲の振り付けは、知っている限りでもいくつかのパターンがある。
少女が踊っている振り付けは、幸運なことに冬優子も以前見たことがあるものだった。

ストレイライトの二人と一緒に踊っていたからわかる。彼女の踊っているダンスは本来、複数人で踊るものだ。
でも、あえて一人用のアレンジをせずに自分のパートだけを踊っている。他のメンバーの立ち位置と姿が幻視できる気がした。
それに冬優子も感じ入るものがあったから、自然と少女の反対側で合わせるように踊り始める。

もちろん冬優子は芹沢あさひのような天才とは違うので、練習もなしに見ただけの踊りを完璧にこなすことなどできない。
自分でもはっきりわかるくらい、所々振り付けは間違えている。
それでも、彼女には負けたくなかった。その一心だけで彼女のパフォーマンスに食らいつく。無我夢中だった。


436 : 幸せの電子音 ◆1qfrROV/6o :2021/05/04(火) 22:05:50 p2g4ijNI0





いつの間にか一曲のパフォーマンスを終えていた。
茫然自失としながら肩で息をする。隣の少女も同じようだったが、その顔には満足げな笑顔を浮かべていた。
鏡を見なくてもわかる。自分も同じような顔をしているだろう。
何も言葉は交わしていないが、お互いの気持ちは十分伝わっただろうと思った。
……そこまで考えたところで、まだお互いに相手の名前すら知らないことに気づく。

「……ストレイライトの黛冬優子よ。アンタには負けないから。」

『ふゆ』で応対するべきか、と一瞬考えた。
でも、ここまで闘争心をむき出しにしてパフォーマンスをした相手に今更それは違うような気がした。
悩んだ末に、冬優子として啖呵を切る。「ストレイライトって、283プロの!?」と相手は驚いていた。
どうやら相手はこちらのことを知っていたらしい。……おそらく、普段のふゆとは全然違うから今まで気づかなかったのだろう。

「MORE MORE JUMP!の桃井愛莉よ。……訳あってまだ事務所には所属してないけど。
 こっちだって、負けるつもりは毛頭ないから。」

向こうも真っ向から啖呵を切ってきた。
相手の名乗ったユニット名には聞き覚えがなかったが、事務所と同じで何か訳があるのだろう。

お互いに啖呵を切ったまましばらくにらみ合っていたが、どちらからともなく笑いだす。
どこか他人のような気がしなかった。こんな場所で会うと思わなかった、志を同じくする相手。
平安京に投げ出された直後の後ろ向きな気持ちは、いつの間にか吹き飛んでしまっていた。



【桃井愛莉@プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク】
[状態]:健康、歌って踊ったことによる疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:アイドルを貫く。
1:冬優子には負けない。
2:殺し合いには絶対乗らない。
3:283プロって、あの283プロよね……?
[備考]
※参戦時期は少なくともMORE MORE JUMP!のユニットストーリー20話終了後です。
※283プロのことは多少知っているようです。


【黛冬優子@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、歌って踊ったことによる疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:アイドルを貫く。
1:愛莉には負けない。
2:殺し合いには絶対乗らない。
3:MORE MORE JUMP!なんてアイドルユニット、あったかしら。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。


437 : ◆1qfrROV/6o :2021/05/04(火) 22:06:36 p2g4ijNI0
投下を終了します。


438 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 22:22:11 LYbwAi/k0
投下します


439 : アサヒィスゥパァドゥルァァァァイ ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 22:22:58 LYbwAi/k0
それは、一本の缶ビールだった

棒のような腕に手袋のような手が接着された、アサヒスーパードライの缶ビールだった

しかも無駄にデカイのだ。大人一人分ぐらいの大きさである

なぜこんな物がこんな所に存在しているのか誰にもわからない

そもそも平安京に存在する未開封のそれなりに大きな缶ビールという前代未聞の光景がこの場所には広がっていた



だが、この缶ビールに意思があるかどうかは別としてであるが、これがやることは唯一つ

この缶ビールはとあるアクションゲームのボスなので、とりあえずやってきた相手をリンゴで倒すことである

【アサヒ@I wanna make the Novelty】
[状態]:健康、残りライフ10
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず近づいてきたやつを倒す
[補足]
※1発攻撃が当たる毎に3分間無敵になります
※減少したライフは3時間毎に1ずつ回復します
※攻撃方法は上からリンゴを降らすのと、リンゴの弾幕壁を放つ事の二つです
※アサヒがいる空間の周囲50m範囲内において、左右方向への移動を行うとアサヒ周囲50m範囲内限定でループします


440 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/04(火) 22:23:19 LYbwAi/k0
投下終了します 天気の子ロワでの自作を流用しました


441 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/04(火) 23:03:30 hzwc0Kuc0
投下します


442 : 『ドン・クラーイの帝王、バトロワに君臨』 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/04(火) 23:03:55 hzwc0Kuc0
「私も舐められたものだな、主催とやらに...」

黒と白の半々の肌色をした男が苛立ちながら呟いた、彼の名前はアセ・ダク・ダーク...暗黒世界ドン・クラーイの帝王であり人間界を支配しようと企んでいる男...
彼は何故苛立っているのか、それは帝王である自分をこの殺し合いに勝手に参加させられていることに苛立っていた、帝王である自分が主催側ではなく参加者側であることに舐められている気がして仕方がなかった、しかし殺し合いのことについては中々良い案だとは思っていた、それは何故かというと...

「しかし『優勝すればどんな願いも叶えることができる』というのは中々魅力的だな」

そう、それは優勝すればどんな願いも叶えることができるというダークにとってこれまでにないチャンスがあったからだ
彼は人間界を支配しようと企んでいる、しかし闇を打ち払う『三つの宝』、『金の矛』と『銀の盾』と『銅の鐸』が彼にとっては邪魔な存在だった
しかし三つの宝を消してしまえば人間界の支配は容易いこと。ダークは優勝し願いで三つの宝を消すことを考えていた

「しかし...もし三つの宝がこの会場にあったとして...あの時の『小僧』のような者が現れれば...ましてやあの小僧がいないとも言いきれんな...そうなるとめんどうなことになる...」

ダークは以前戦った少年のことを思い返す、実はダークはその少年と戦い敗れ死んでいる
しかし今はまたこうして生き返っている、最初は普通に生きていて身体も自由に動かせることに驚いたがこれはチャンスと思った
だが一つ問題がある、それは自分がここにいるということは三つの宝や以前戦った少年、そして三つの宝を扱える新たな勇者がいても不思議ではないということ

「こうなれば何がなんでもこの私が優勝し三つの宝を消す、もしこの会場に三つの宝があったとして他の者の手に渡った時は...殺してでも奪う!」

ダークは他の参加者を殺しつつ三つの宝を探すことにした、自分の企みを叶えるために...

【アセ・ダク・ダーク@クレヨンしんちゃん】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]基本行動方針:優勝し、願いを叶える
1:三つの宝があるのならば何がなんでも手にいれる
2:参加者を殺す、しかし利用できるものは利用する
[備考]
※参戦時期は消滅した後です


443 : 『ドン・クラーイの帝王、バトロワに君臨』 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/04(火) 23:04:13 hzwc0Kuc0
投下終了します


444 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/04(火) 23:06:17 Q/9oHJuw0
投下します


445 : ランダム 存在の確率 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/04(火) 23:07:51 Q/9oHJuw0
少女・牧村美樹は壁に背を預け、紅い月を見上げながらフゥ、と息を吐いた。

「死んじゃったんだよね、あたしって」

自分は確かに死んだ筈だった。
ワムやミーコに託されて、託されて、それでも逃げきれずに背中から包丁を振り下ろされて。
あの裂かれた痛みは決して忘れられない。
傷こそ完治しているが、決して夢などではない。
ならばここはあの世なのだろうか。
だとしたら、死んだ先でも殺し合わせるなんて無情にもほどがある。

(...明くん、心配だなあ)

想いを馳せるのは、家族として共に生きてきた少年・不動明のこと。
彼は悪魔に取り憑かれながらも人間の心を保ち、悪魔族(デーモン)ではなく"デビルマン"となり人々の為に戦ってきた(と美樹は聞かされている)。
ワムやガビは彼の言葉をすぐには信じられなかったが、美樹にはすぐにわかった。
ずっと一緒に暮らしていたというだけではない。
美樹の家族が殺された時、明は涙を流していた。
例えデビルマンであろうとも、誰かを気遣い、誰かの為に悲しみ涙をする男。それが不動明だとあの時ハッキリとわかったのだ。
だから、美樹は明を恐れなかった。真っ先に彼を信じ、共に抱きしめあった。
表立ってデビルマンである彼に味方をする旨を発信してしまったせいで殺されることにも、それ自体には恨みも後悔も無かった。

「明くんは私が死んできっと泣いてる。だったら私も蹲ってても仕方ないや」

元の世界に戻ったところで、また人間同士の悪魔狩りに晒されるだけかもしれない。
それでも、明をずっと孤独に戦わせるよりはいい。
殺し合いには賛同せず、自分のやり方で彼の元へ会いに行って安心させてあげよう。

決意を改に、美樹は殺し合いを止めて生き残ることを決意する。
その為に支給品を確認する。
ワムから自衛の為にと拳銃を渡された時は『人を殺したくない』と断ってしまったが、もしもあの殺される直前、脅しでも武器を使っていたらなにかが変わっていたかもしれない。
せめて護身用でも何かしらは携帯しておかなくては。


446 : ランダム 存在の確率 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/04(火) 23:08:21 Q/9oHJuw0

ふにぃ

掴んだ柔らかい感触に、美樹は疑問を抱きながらも引きずり出す。
ズルリ、とデイバックから出てきたのは猫のような獣の耳と鋭い爪を生やした前足、そして大きなくりくりとした片目が特徴的な肉塊だった。
―――そう、肉塊。生物としての型を留めておらず、割れた西瓜のように取り付けられた大きな口から「な〜」「み〜」などと鳴くその様は生物として冒涜的にも思える。
そんなソレは、まさに蠢く肉塊としか言いようがなかった。

「ひ、いやああああ!!」

美樹は悲鳴と共に思わず掴んだソレを放り出し尻餅を着いてしまう。

「な〜〜〜〜〜」

ずるり、ずるりと地を這い寄ってくるソレから距離を取ろうとするも、美樹は腰が砕けてしまい立つことすらままならなかった。

「い...いや...助けて...」

助けを求めるも、ここに自分の味方は誰もいない。明も、ミーコも、ワムたちも。
再びこの生はここで潰えてしまうのか、と涙と共に目を瞑る。

―――大柴流必殺剣 断鉄閃

否。彼女の救いの声を聞く者はここにいた。
肉塊を一文字に切り裂いた影は、スタリと華麗に美樹の前に降り立つ。
その影は女だった。一振りの刀を手に、文字通り燃え盛る身体と実った果実を惜しみなく露わにした少女だ。

「大丈夫?怪我はない!?」

第一声がこちらを気遣うものだったので、美樹はハァ、と安心感から気の抜けた声が漏れてしまう。

「う、うん。なんともない」
「そっか。いや〜良かったよ間一髪間に合ったみたいで」

そう言いながら朗らかに笑う異形の少女を見て、美樹は思う。見た目は怪物みたいだけど、こんな状況で悲鳴を聞いて駆けつけてくれるなんて優しい人なんだろうなと。

「...!」

その彼女の姿が、明と繋がった。明もまた、テレビで放送された映像こそは禍々しい怪物の姿で暴れまわっていたものの、その心は変わっていなかった。
ならばこの娘も明と同じ境遇にあるのではないか。


447 : ランダム 存在の確率 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/04(火) 23:08:57 Q/9oHJuw0

「あ、あの」
「な〜〜〜〜〜な〜〜〜〜〜」

そう尋ねようとした美樹の言葉は、そんな気の抜けるような鳴き声に邪魔された。

「うそっ!クリーンヒットさせたはずなのに!」

二人が声の出所へと視線をやれば、それは紛れもなく、先ほど両断された筈の肉塊だった。
肉塊は斬られた部位同士が蠢き接合し、また元の形へと戻ろうとしている。

「こんにゃろそういうタイプの悪魔族(デーモン)か!だったらそれ用の技も教わってるもんね!」

異形の少女が刀に手をかけ吼える一方で、美樹は肉塊に対して奇妙な違和感を抱いていた。

(泣いてる...?)

肉塊の大きな右目からは、ぽろぽろと水滴が零れていた。
その様子から、とてもこちらを害するようなつもりがあるようには見えなくて。
思い返せば、引きずり出した時もなにをするつもりでもなく、ただ放り出されてしまったので元の場所に戻ろうとしているだけに見えなくもない。

「くらえ大柴流連連斬り―――」
「待って!」

美樹の静止の声に、異形の少女はピタリと止まる。

「っとと、どうしたのさ?」
「ごめん、ちょっとあの子と話をさせて欲しいの」
「いや、話って...ええ!?」

止めた方がいいと呼び止める声に構わず、美樹は肉塊へと歩み寄る。

「さっきは怖がってごめんね。でも、もう大丈夫だから」
(そうよ牧村美樹。自分で言ったことじゃない)

自分が殺される数時間前、美樹は己の意志で世界に向けて発信した。
どんな状況下においても信じる心を無くしたくない。話し合う心があるならどんな相手でも受け入れたいと。
それを嘘にはしない。相手が人間でなくても、争いたくないという意思があれば誰であれ尊重したい。

屈みこみ、肉塊へとそっと手を差し伸べる。

「な〜〜〜〜〜」

肉塊は鳴き声を上げながら美樹の掌へとよじ登っていく。

「ちょ、ちょっと離れた方がいいって!」
「んっ...大丈夫。なんともないから」

這われる感触に嫌悪は抱かず、むしろマッサージをされてるような心地よささえ感じる。

「な〜〜〜〜〜〜み〜〜〜〜〜〜〜」

肉塊は美樹の腕を這い上っていき、頭部を目指していく。
その様を指を咥えて見ていられないと剥がそうとする異形の少女に、大丈夫だからと微笑みかけて制する。

やがて肉塊は美樹の頭頂まで辿り着き、やがて首元まで降りてマフラーのようにスポリと収まった。

「そこが落ち着くのかな?うん、ならここにいなよ」
「な〜〜〜〜〜〜」

その一連の流れを見届けた異形の少女はポカンと口を開けまま呆けてしまった。


448 : ランダム 存在の確率 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/04(火) 23:09:26 Q/9oHJuw0

「...凄い、手なづけちゃった」
「まあ、元々は私の支給品だったし」
「えっ、そうなの?じゃああたしひょっとして早とちりしちゃった?」
「ううん。あなたが助けに来てくれたお陰で落ち着けたし、殺し合いに乗ってない人がほかにもいるってわかって安心できてうれしいよ」
「うへへ...やっぱり褒められると嬉しいねえ」

朗らかに会話し、間に在る空気も緩いものになった二人。

美樹は今が好機と見て、意を決して先の質問の続きを投げかけた。

「あの、あなたのその姿。明くんに似てるんだけど、彼についてなにか知ってる?」
「えっ、あなたアキラくんのこと知ってるの!?」

やっぱり、と美樹は確信する。
この少女は間違いなく明と同類の仲間だ。

「うん。明くんは私の家族だよ。SNSでも公表したけど...」
「え?」

異形の少女はパチクリと目を瞬かせる。
その様子に、美樹は首を傾げる。

「どうしたの?」
「いやー、うちにもアキラって居候がいてさ。幼馴染なんだけどね」
「えぇっ!?」

今度は美樹が驚く番だった。
まさかこの短時間で、自分と同じく身内に明という少年がいる参加者に会えるとはもはや奇跡と言えよう。

「凄い偶然だね。えっと...」
「おっと名前教えてなかったっけ。あたし魔鬼邑(マキムラ)ミキ。よろしくね!」
「」

ポカンと口を開けて呆ける美樹に、ミキが首を傾げる。

「どうしたのさ?」
「...あたしも名前、牧村美樹(まきむらみき)なの」
「......」

思考も止まる数秒の沈黙。そして声をそろえて


「「ぅえええええええええええ!!!??」」


449 : ランダム 存在の確率 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/04(火) 23:09:49 Q/9oHJuw0


【魔鬼邑ミキ@デビルマンG】
[状態]健康
[装備]魔女っ子の衣装
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:打倒主催者。殺し合いには絶対に乗らない!!
0:うええ!?あたしと同じ名前!?
※参戦時期はデビルマンの力を手に入れた後


【牧村美樹@デビルマンcrybaby】
[状態]健康
[装備]制服、ミーティ@メイドインアビス
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:殺し合いを止める
0:あたしと同じ名前で明くんと住んでいて!?
※参戦時期は死亡後

【ミーティ@メイドインアビス】
少女・ミーティがアビスの呪いを受けた成れ果て。
自我はなく、大概の怪我を自動で修復し、ただただ死ねずに生き続けるだけの哀れな肉塊。
ミーティに毒を打ち込むと自力で治し、その血を解毒剤の材料にすることが出来る。


450 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/04(火) 23:10:24 Q/9oHJuw0
投下終了です


451 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 00:05:14 ykit2tlY0
>>449

のミキの状態表を

【魔鬼邑ミキ@デビルマンG】
[状態]健康
[装備]魔女っ子の衣装、冨岡義勇の日輪刀
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:打倒主催者。殺し合いには絶対に乗らない!!
0:うええ!?あたしと同じ名前!?
※参戦時期はデビルマンの力を手に入れた後

に変えます

投下します


452 : 嘆きノ森 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 00:06:11 ykit2tlY0

―――沙都子を傷つけた。身にも心にも...生涯消せないかもしれない傷をいくつもいくつも。


貴様はどこから湧いて来たんだ?現れなければよかった!

貴様こそが世界の異端、間違い、世界の支障。貴様は、俺が。抹消する。

終われ。終われ。終われ!

汚い脳漿をぶちまけて死に絶えろ!!








「どうなってんだよこれ...!」

俺、前原圭一は膝を着き項垂れた。
俺の大切な仲間、北条沙都子を虐め潰す沙都子の叔父、北条鉄平。
沙都子を救う為に奴を殺そうと計画し、準備を整え。
まんまと誘いに乗りスクーターで向かってくる奴を殺す為に飛び出したその時だった。

気が付けば世界が変わり、妙な子供に殺し合いを強要され、見知らぬ女の子を殺された。

なぜこんなことに。俺が殺したいのは有象無象じゃない。北条鉄平ただ一人なのに!

俺を殺し合いに巻き込むのはいい。それよりもどうして奴を殺させてくれなかった!?

数分だけでも待ってくれれば俺はあいつを殺せたはずなのに!

(落ち着け...クールになれ前原圭一)

俺が連れて来られたということはだ。傍にいた鉄平も連れて来られているか、あるいは口封じの為に殺されている可能性が高い。
少なくとも、奴だけが無関係でいられる可能性は低いはずだ。

(いや...そもそも、あの子供たちと鉄平がグルの可能性は?)

もとより鉄平からはロクな噂を聞かない。
金の為なら殺し合いくらいなら開きそうなのが鉄平という男だ。
俺のたくらみを察した奴があの子供たちを潜ませ拉致させた可能性も考えられる。

(クソッ、どこまでいっても可能性にしか辿り着かねえ)

今はただとにかく情報が欲しい。
そしてそこで改めて方針を決めよう。

参加者の中に鉄平がいれば、どんな手を使っても奴を殺す。
鉄平がいなければ、奴が殺し合いに関わっていると判断し、殺し合いに反する仲間を集めて殺し合いそのものを潰し、奴の企みも完膚なきまでに潰す。
こんな大掛かりな行動に出たんだ。警察に突き出して裁判にかければ確実に死刑にできるはずだ。

「沙都子...俺は逃げないぞ。必ずお前を幸せにしてやるからな...!」

北条鉄平、どんな状況に陥っても俺はお前を逃がさない。
覚悟はいいか?俺は出来ている。

【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康(無自覚の精神不安定)
[装備]:
[道具]:不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本方針:参加者に鉄平がいれば奴を必ず殺す。いなければ殺し合いを破壊し鉄平を破滅させる。なんにせよ鉄平を排除し沙都子を幸せにする。

※参戦時期は祟殺し編で鉄平の乗るスクーターを転倒させる直前。


453 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 00:07:09 ykit2tlY0
投下終了です


454 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/05(水) 01:47:54 XR.MRxEo0
投下します。


455 : The Rebellion against the World ◆2zEnKfaCDc :2021/05/05(水) 01:48:47 XR.MRxEo0
 世界は何も変わらなかった。

 汚い大人たちによる隠蔽、保身。そんな大人たちに希望を奪われていく弱き者たち。俺たち怪盗団は、そんな世界を看過できないと立ち上がった。

 しかし、悪の大御所、腐敗の権化である政治家、獅童正義を改心させても、腐敗に塗れた世は改革を許さなかった。獅童が己の罪を告白してなお獅童を支持する声は消えず、あまつさえ再当選の兆しすら立っているというのだ。

 現実的に解釈するならば、獅童の悪事が明るみに出れば、芋づる式に転落する多くの利害関係者が手回ししたとでもいうところだろう。獅童のパレスでも、政治家、旧華族、大企業の社長、さらには裏社会の輩まで、廃人化を軸にした多くの悪党との繋がりがあった。それら権力者が手を出せば、獅童を再び矢面に立たせることとてやってのけることは可能だろう。

 ああ、分かっている。現実的に可能ではあるのだ。俺たちが戦っている相手とは、それだけ大きな存在であるのだから。

 しかし、だからどうしたというのだ。どれだけの権力がはたらいていたとしても、民主主義という勝者を決める根本的な統治システムは当然、一切覆ってはいないのだ。どんな横槍があったとしても、どんな思惑が混ざり込んでいたとしても、獅童を大衆を導く者に選んだのは他でもない、大衆なのだ。大衆が、怪盗団の世直しを必要なきものとして拒んだのだ。

 弱き者に、立ち上がる勇気を、それが怪盗団の信条だった。そして俺たちは、日本を沈めることとて厭わぬ巨悪を潰し、十二分にそれを示したはずだ。その上で、大衆は立ち上がらないという答えを導き出した。

『俺たちは一体、どこで道を間違えた?』

 それは、答えがあるのかどうかも不明な問いだった。だが、答えを導き出さなくてはならない問いでもあった。

 これに解なしとしてしまったならば。すべてが正しく、この結末以外になかったのだと認めてしまったならば。それは、反逆を志したことそれ自体が誤りであったのだと認めることと同義であるから。

「――違う。」

 正義を求めることそのものが間違いであるなど、認められようものか。正しさを諦めた末に、歪んだ大人たちは生まれたのではないのか。改心させてきた者たちの悪を見過ごすことが、正しいはずがない。立ち上がったことが、間違っていようはずがない。それでも、正しく在りたいと願うこの想いが間違っているとこの世界が判ずると言うのであれば――歪みを是とするこの世界が誤りなのだ。

――ならば、願おう。正義を通すことのできる世界を。歪みなき世界を。

 その手段が暴力しか残されていないのならば、それを正義の礎とするも厭わないさ。

 そうだ、これは――この歪んだ世界への、”反逆”だ。


456 : The Rebellion against the World ◆2zEnKfaCDc :2021/05/05(水) 01:50:53 XR.MRxEo0



『汝の覚悟、聞き遂げたり。』

『此処は紅き月に導かれし辺獄。如何なる結末であれ、汝の旅路はここに終焉を迎えるだろう。』

『この世界に秩序は無い。怪盗の美学たる不殺生を捨て、これまで築いてきた絆の意味をも葬り去ろうとも、それもまた汝の選択なり。』

『それが汝の信じた正義である限り、契約に従い我のみは再び汝の仮面となろう。』

『但し、卑しき罪にその手を染めると決めたならば、必ずやその道を貫き通すがよい。』

『たとえ、その身を地獄の業火に焼かれようとも――』

【雨宮蓮@ペルソナ5】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに優勝し、歪みなき世界を願う
1:ペルソナが使える……ここは認知世界なのか?
[備考]
※参戦時期は獅童の改心後、メメントスに向かう前からです。
※扱えるペルソナはアルセーヌのみです。


457 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/05(水) 01:51:13 XR.MRxEo0
投下完了です。


458 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 04:49:16 g.asVemw0
投下します


459 : 冬摩堂出張販売 ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 04:51:41 g.asVemw0
 平安京の何処かから醤油の香ばしい香りが漂う。
 こんな血みどろになるであろう場において、
 誰かが料理をしていることが察せられる。

 醤油の香りは歴史を感じる、
 煎餅屋の老舗から漂っていた。
 煎餅を焼いているというのが見ずとも分かってしまう。

「焼き立てですがいりますか?」

 焼き立ての煎餅を器に盛った男性が店の奥から出てくる。
 黒インナーの上に白いコートを羽織った、端正な顔つきをした男性だ。
 腰にエプロンやお盆の煎餅など何処かミスマッチしているはずだが、
 物腰柔らかな振る舞い方のせいか、それらが気にならなくなってしまう。

「……えっと、これは?」

 声をかけられたのは、店の縁台(外にあったが、襲われやすいので中に入れた)に座り、
 壁に無気力にもたれがかっている黒肌が目立つ眼鏡の青年。
 煎餅を焼いていた彼よりは少し幼く、そして疲れ切った表情をしている。

「煎餅です。日本の食べ物ですが、知りませんか?」

「いえ。僕はアメリカに住んでてニホンのことは余り。」

「そうですね、これはライスのクラッカーと言えば近いかと。」

 器を青年の隣に起き、それを挟むように彼も隣へ座りこむ。
 こんな状況で何故料理をしているのかと眼鏡の青年も思うが、
 静かな表情で、しかし派手な音と共に食べる彼を見て、職職を掻き立てられて煎餅を口にする。
 クラッカーとは言うがそれよりも分厚くて硬い。しっかり噛まなければいけないものだ。
 だが口にした以上は食べようと、同じように大きな音と立てつつ食べる。

「不思議な味だ。ソースとは違う。」

 塩とは違うしょっぱさが、
 まだ熱を持った煎餅にしみこんでいて何処か落ち着く味を出す。

「ソイソース、此方では醤油と言いますね。」

「ショーユ……」

 好きかどうかはまだ分からない。
 ただ彼は少なくともこの味は嫌いではなかった。
 だからか、二枚目の煎餅も口にしていく。

「ところで、カナタは何故煎餅を?」

「煎餅屋ですから。」

「いえ、そういうことじゃなくて……」

 煎餅屋が煎餅を焼くのがおかしいとかの意味ではない。
 なぜこの状況で煎餅を焼いているのかと言うことだ。
 彼、コルテオは殺し合いが始まったと同時に気絶した。
 精神が擦り切れていた中でのこの状況に精神が持たなかったのだ。
 そして気が付けば縁台に寝かされており、冬摩彼方と出会った。
 最初は殺されると思ったが今生きているという事実もあってか、
 ある程度落ち着きを取り戻して今に至っている。
 ただ殺し合いでするような行動ではなく、
 戸惑いが隠せていない。

「いやですね。殺そうとしたら相手も殺そうとするじゃあないですか。」

「は、はぁ。」

 彼方ははっきり言って強い。
 魔界孔から溢れる魔界の軍勢が蔓延る街、真宿。
 そこで煎餅屋を営むと言う気でも違えたかのようなことをしてるが、
 真宿に居座るだけの実力を持っているからこそ成せている。
 ……約一名が彼にぞっこんなのも一枚噛んでそうではあるが。

「穏やかな生活が好きですから。」

 場合によっては天下すら狙えそうな実力を持ちつつも、
 ただ余生を過ごす老人のように彼は真宿に居座り続けた。
 真宿の治安のためでもあったが、それでも力に対してやることは大きくない。
 此処でも変わらず、降りかかる火の粉は払うといった程度だ。

「でも、それだと首輪が……」

「僕にはこれを何とか出来る方法はさっぱりなのでなんとも。
 そう言うのに長けた人に任せて、餅は餅屋ならぬ、煎餅は煎餅屋です。
 当てもなくさまようよりは体力を温存するのがいいでしょう。客寄せもしてますし。」

 煎餅を焼いてる匂いが届けば人がいると教えてるようなもの。
 遅かれ早かれ、此処には参加者が来てしまうがそれで構わなかった。
 無駄に体力を使うよりも相手が来てくれる方が助かるし、
 敵であれば排除する、ただそれだけのことでいつものことだ。

「そういう君は?」

「……僕は命の奪い合いにもう関わりたくないんだ。」

 コルテオの全身が震える。
 三か月間、マフィアの界隈の中で疲れ切っていた。
 殺し殺されの殺伐とした世界とは関わりたくない。
 ファンゴを殺したときも恐怖でガタガタと震えるほどだ。
 当然、願いを叶えるまでの間に間違いなく精神が折れてしまう。


460 : 冬摩堂出張販売 ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 04:52:13 g.asVemw0
「でも……生き残ったとしても兄弟が困るんだ。」

 一方で、何かしらの手段で首輪を外してメフィス達を倒し、
 元の世界に戻れても、兄弟のアヴィリオの身が危なくなってしまう。

 アヴィリオは家族の仇を討つために、あえて仇であるマフィアに入った。
 復讐の計画を着実と進めたが、コルテオの逃亡を手引きしたことで立場が危うくなってしまう。
 彼の潔白を証明するために、自分が死ぬと分かっていても戻って彼に撃たれて死を迎えた。
 一人で逃げることもできた。それでも親友を、兄弟を捨てて逃げることはできなかった。
 だが自分が生き返れば、今度は完全に無関係なアヴィリオにあらぬ疑いが掛けられる。
 それだけは避けなければならない。だから、生きて戻ると言うこと自体もしたくなかった。

「……随分、複雑な立場ですね。」

 斬真君ならなんとかするよう掛け合ってくれるでしょうけど、
 とは思うものの自分が助ける、と言うつもりは彼方にはない。
 あの世紀末な世界で、海を渡るのは容易な話ではないのだ。
 スカルサーペントのような海路を行き来できる手段はなく、
 狼牙軍団でもそれを現状は持っているとは言えない。
 嘘で彼に希望を見出させると言うことは余りしたくなかった。

「何にせよ、少し待ってみましょう。
 この場で解決できる人がいるかもしれないですから。」

「……はい。」

 彼方が煎餅を焼くため席を立ち、
 コルテオは煎餅を三度口にする。
 醤油のしょっぱさが、どこか寂しく感じた。

【冬摩彼方@大番長】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3
[思考・状況]
基本方針:降りかかる火の粉だけは払う。
1:いるかは知りませんが、斬真君がいれば彼について聞いてみる。
2:今は煎餅を焼いて、人を待ちますか。
[備考]
※参戦時期は少なくとも狼牙軍団加入後、キュウシュウ勢力が決着をつける前です。

【コルテオ@91Days】
[状態]:精神疲労(大)、迷い
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3
[思考・状況]
基本方針:分からない。
1:死にたくはない。
2:でも人を殺したくもない。
3:かといって戻ればアヴィリオが殺されるかもしれない。
4:僕はどうすればいいんだ?
5:暫くはカナタといる。
[備考]
※参戦時期は10話死亡後です。
※メフィスとフェレスの話は断片的にしか覚えていません。

※煎餅屋から醤油の匂いや煙が出てます。


461 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 04:53:02 g.asVemw0
投下終了です


462 : ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:01:16 rfMzx5ds0
投下します。


463 : Mass Destruction ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:02:20 rfMzx5ds0
走る。ただひたすらに走る。
平安京の街並みを眺める余裕もなく、二人の少女は背後から迫る恐怖から逃げる。

片方は透明感のある灰色のショートヘアの少女。
もう一人の少女は綺麗な黒のロングヘアを三つ編みにしていて、眼鏡をかけ優等生然としていた。
デザインは異なるが学生服を着ていることから、二人とも高校生くらいだろうとは見て取れた。

いくつかの角を曲がったのち、疲労から一度足を止める。
既に二人とも肩で息をしていたため、呼吸が整うまで少しその場で休んだ。
ようやく呼吸が落ち着いてきたところで、黒髪の少女のほうが背後を振り返る。

「……さっきの化け物、振りきれたでしょうか?」

「あー。……どうだろ。」

走ってきた道を最後に曲がった角まで戻り、ひょっこりと顔を出す。
一見するとそこは何もないまっすぐな道。だが、すぐに異変が発生する。
何もないはずの通路の真ん中の空間が、突然縦方向に裂ける。
風景と同じ柄が描かれたカーテンが左右に開くように。
そしてそのカーテンの向こうは何も見えない漆黒の闇。

違う。アレはただの闇ではない。本当はそんなこと二人もわかっている。
そのまま首を上へ向けると、そこには―――巨大な白の仮面があった。
まるで都心の高層ビルのような高さ。例えるならば、巨大な真っ黒の風呂敷を被って、顔の部分だけ外側から鼻の長く平べったい骸骨のような仮面をつけた化け物。
胸元には不自然な丸い空洞が開いている。仮面の下あたりに大きな首輪がついていなければ、参加者だとは誰も思わなかっただろう。

「……追いかけてきてるね。アレ。」

「――逃げましょうっ!」

敵の顔を確認した二人はそのまま振り返り走り出す。
囲碁の碁盤のように縦横の道が交錯する平安京を、行き止まりに当たらないようにジグザクに走破する。
しかし、ここはただの平安京にあらず。近代的な建物や見たこともない謎の施設が乱立する時代錯誤、世界錯誤の平安京。
二人の逃走劇は、長くは続かなかった。




「―――行き止まり!?」

何度目かわからない角を曲がった先は、行き止まりだった。
普通の平安京ならば、おそらくそこもまた一本の道だったであろう。
だが今は、三階建ての建物で道が塞がれていた。本来ならばそれほどの大きさではない建物が、あえて道をふさぐよう斜めに歪な形で平安京に置かれているのだ。

一階には靴屋、ペットショップ、本屋の看板がそれぞれ掲げられていた。
二階には大きな窓があり、黄色いテープで「283」と書かれている。建物が見えれば、この数字が真っ先に目に入るだろう存在感だ。
ショートヘアの少女はこの建物に見覚えがあった。いや見覚えなんてレベルではない。
家や学校に次ぐレベルで、少女にとっては見慣れた建物だった。

「……え。283プロ?」

「知ってる建物なんですか?」

「うん。この事務所のアイドルなんだ。私。」

反応にはあまり出ていないが、これでも彼女としてはかなり驚いている。
平安京に所属する事務所の建物があるなんてどういうことだろう。
二人で少し考えるものの、答えが出る前に今が大ピンチだということを思い出す。
戻って別の道を行かなければ―――と思い後ろを振り返った二人の前には、既に縦長の空間の亀裂が走っていた。

行き止まりに追い詰められた。
もし後ろの建物に隠れたとしても、相手のサイズを考えれば建物ごとつぶされて終わりだろう。
つまり、生き残るには目の前の敵をなんとかして突破する以外にない。
だが二人はアイドルとスクールアイドル。そんな力など持っているはずもなく。

「えーと。ごめん。武器になりそうなのはなかった。私の支給品。」

ショートヘアの少女にあっけらかんとそう言われ、黒髪の少女は藁にもすがる思いで自分の支給品を漁る。
出てきたのは、ハンドガンのような小型の拳銃らしきものだった。それも3つ。
おそらく全て同じ銃だろう。しかし可笑しなことに弾丸を装填するマガジンが見当たらない。
もし装填できても、このサイズの銃では今まさに姿を現そうとしている化け物に効くかは微妙な気がした。
これでどうやって戦えばいいんだ、と思っていた時一緒にデイバッグに入っていたメモ用紙が目に入る。


464 : Mass Destruction ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:03:01 rfMzx5ds0





―――力を求めるならば、己の頭に向けて引き金を引け。素養と反逆の意志あらば、自ずと道は開かれるだろう。





紙にはそのようなメッセージが書かれていた。
自分の頭に向けて引き金を引く。常識的に考えてあり得ない銃の使い方だ。
マガジンが見当たらないとは言ったが、だからと言って弾丸が射出されないとは限らない。
もし素養とやらがなかった場合どうなってしまうのか。考えたくなかった。

しかし、普通に銃として使用できたとしてもあの化け物に効かなければ意味がない。
銃をひとつ手に取り、化け物と自分のどちらに向けるべきか逡巡する。
化け物が完全に姿を現すまでもう時間がない。迷った末、自分のこめかみに銃口を向ける。
だがその銃を握る手は、だれが見てもわかるくらいガタガタと震えていた。
恐怖から、引き金にかけた指を動かすことができない。額から嫌な汗が流れてくるのを感じていた。




「……あー。ごめん。それ、ひとつ借りるね。」

後ろにいたショートカットの少女が、残りの銃をひとつ拾い上げてそう言った。
恐怖で回りが見えなくなっていた黒髪の少女は、その言葉にハッとして相手の顔を見上げる。
相変わらず涼しげな顔で、彼女は銃を握っていた。

「そういえば。まだ名乗ってなかったよね。私、浅倉透。」

言われて思い出す。
出会ってから自己紹介する間もなく化け物から逃げ続けていたので、お互いの名前もまだ知らなかった。

「何かあった時、そばにいた人に名前くらいは憶えててほしいな。って思って。」

「そ、そんな遺言みたいなこと言わないでくださいっ!」

「……大丈夫。私も、こんなところで死にたくないし。死ぬ気もないから。」

そう言ってこちらに背を向け、落ち着いた動きで同じようにこめかみへ銃口を向ける。
自分と違って落ち着いている、と思った時に気づく。ほんの少しだが、透の手も震えていることに。
こんな状況で、怖くないわけがない。にも拘らず彼女が行動を起こしたのは、どう考えても震えていた自分のため。
その行動力とやさしさに涙が出そうになる。だが涙が流れるよりも前に―――透が何かを呟きながら引き金を引いた。





「――――――ペルソナ。」





瞬間、何かが砕け散る甲高い破裂音が響く。
それは透の頭蓋が砕け散る音―――ではなかった。
反対のこめかみから何か光の欠片のようなものが飛び散ったのは見えた。
しかし透の頭部には何の異常も見受けられない。

異変はすぐに訪れた。ちょうど透の後方頭上の空間。
そこに何か人影のようなものが現出する。それは間もなく具体的な形をとった。
白髪で片目を隠し、首から下が人形のような作り物になっている人型の存在。
背中には巨大な竪琴を背負っており、さながら吟遊詩人のような風貌だ。


465 : Mass Destruction ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:03:31 rfMzx5ds0





―――我は汝……汝は我……。

―――我は汝の心の海よりいでし者……。

―――幽玄の奏者『オルフェウス』なり。





「……ふふ。いいじゃん。オルフェウス。」

突如聞こえた謎の声に反応する透。
人影に目をとられている間に、透の体にも変化が起きていた。
先ほどまでは学校の制服を纏っていたのに、いつの間にか白と水色を基調とした衣装に服が変わっている。
それを見た少女は、スクールアイドルのステージ衣装みたいだと思った。
当たらずも遠からず。今の衣装は透にとって最もなじみ深いもの。
ノクチルの4人でステージに立つときの共通衣装。クリアマリンカームの名で呼ばれているのと同じ衣装だった。

何故衣装が変化したのかはわからないが、この力ならあの化け物にも通用するかもしれない。
そう思った透は精神を集中し、自らのペルソナに攻撃を命じる。
姿を現した直後の化け物に肉薄し、その白い仮面に向けて背負っていた竪琴を振り下ろす。
あ、その竪琴ってそうやって物理的な攻撃に使うんだ―――と思わず二人が心で突っ込んだ直後、化け物の甲高い悲鳴が木霊する。
どうやら攻撃はちゃんと効いているらしい。

チャンスとばかりにペルソナに追撃を命じる。
今度はちゃんと竪琴を弾いていた。それに連動するように化け物の周辺に強い炎が吹き上がる。
魔法のようなものだろうか。これも化け物に効いているようだ。
こちらからの攻撃手段を得たとはいえ、生身の自分たちが化け物に攻撃されればどうなるのかは日の目を見るより明らか。
相手に攻撃の隙を与えるわけにはいかない、と連続で攻撃を仕掛ける。
2回、3回と竪琴を弾く。その度に炎が増え、勢いも増していく。





このままならいけるかも―――そう思った直後に、透の姿がステージ衣装から元の制服姿に戻った。
透の体がふらつき、その場に倒れそうになる。
とっさにその体を支えた。額には嫌な汗が浮かび、顔色は真っ青だった。呼吸も荒く、肩で息をしている。

「……ごめん、使いすぎたかも。さっきのやつ。」

能力の使い過ぎによるガス欠のようなものだろうか。そう少女は思った。
ゲーム的に言うなら魔力切れやSP切れ、MP切れ。
先ほど初めて使った力なのだ。それにあれだけ炎の魔法を連打していたなら無理もない。

だがこのガス欠による攻撃の空白は、化け物に体勢を立て直す時間を与えてしまった。
受けたダメージこそ残っているものの、化け物は既にこちらを見据えている。
仮面の口元に、何か赤黒い光が少しずつ収束していくのが見えた。
直感でわかる。あの禍々しい光の攻撃をマトモに喰らってしまえば自分たちの命はないと。

自分が何とかするしかない。透をかばうようにして一歩前に出る。
だが、透のように自分も戦うことができるだろうか。
もし自分には素養がなかったら?と思うとまだ少し手が震える。
それでも、このまま何もできないのは嫌だった。半ばヤケクソ気味に銃口を自分の頭に向ける。
そして震える指をトリガーに引っ掛けたその時。


466 : Mass Destruction ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:04:15 rfMzx5ds0





―――――せつ菜ちゃんやみんなのうたを聞くと、元気がもらえるんだよね。





頭の中に、そんな声が聞こえた気がした。
ハッとして目を開く。その声の持ち主を忘れるはずもない。
夏休みの合宿の時に、同好会の高咲侑と夜の音楽室で交わした会話。
自分が今でもスクールアイドルをできているのは彼女のおかげだと、改めて語った時の記憶。

その記憶をきっかけに、今まで同好会のみんなと過ごした記憶がよみがえる。
自分のせいで一度バラバラになってしまった同好会。
そんな自分を引き戻してくれた侑と同好会のみんな。そこから愛、璃奈、果林と仲間が増えていって。
ダイバーフェスに同好会が呼ばれて、合宿もして、そして沢山の人の力があって成功したスクールアイドルフェスティバル。

なんだかこれではまるで死ぬ直前の走馬灯のようだ、と思ってしまう。
だが今せつ菜の胸を占めているのはむしろ逆の感情。
この、仲間との絆と思い出がある限り、あんな化け物に負ける道理などないと。
そんな気持ちが胸の内から湧いてくる。不思議と、手の震えは止まっていた。

「……透さん。私、まだ自己紹介してませんでしたよね。」

先ほどの自己紹介は透からの一歩通行だけだったことを思い出し、そんな風に語り掛ける。
後ろの透の様子はわからないが、おそらく私の声を聴いてはくれているだろう。

「私の名前は―――優木せつ菜ですっ!」

中川菜々ではなく、あえて優木せつ菜と名乗る。
今この場所においては、そちらのほうがふさわしい名前だと感じたからだ。
そして今度こそ化け物のほうを見据え―――トリガーを引き絞った。





甲高い破裂音が今度は自分の脳髄に響き渡る。
一瞬、自分が死んでしまったかのような感覚が頭の中を通り過ぎた。
しかしそれも刹那の間。直後に自分の中から力が湧き上がってくるような高揚感。
初めてだが、なんとなくわかる。己の四肢の感覚がペルソナ能力の発現を伝えている。
いつの間にかせつ菜の衣装も変化していた。虹ヶ咲学園の制服から、赤を中心に所々黒を交えたステージ衣装へと。
髪型も中川菜々の時の三つ編みから優希せつ菜としてのロングヘアに変わっていた。眼鏡もいつの間にか消失している。

そのペルソナは例えるなら、学ランを纏って白い鉢巻を巻いた応援団長もしくは喧嘩番長のような外見をしていた。
全身は黒一色で、鉢巻・仮面の白とコントラストがハッキリとしていてメリハリのある印象を受ける。
右手には刀身よりも持ち手のほうが長い長得物を軽々と握っている。

透のペルソナと違い自ら名乗りこそしなかったが、せつ菜にはわかる。
頭の中に不思議と浮かび上がってきた、そのペルソナの名は―――


467 : Mass Destruction ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:05:04 rfMzx5ds0





「――――――イザナギッ!!!」





呼びかけに呼応してイザナギの左手に雷が収束する。
透のオルフェウスが火炎を操るように、せつ菜のペルソナは電撃を行使するのだ。

化け物の口元に収束していた光があふれんばかりに増大している。
それが決壊するかと思われたその時、鋭い破壊の閃光が二人に向けて放たれた。
イザナギの電撃が迎え撃つように放出される。ちょうど中間地点で、赤黒い光と青白い光が衝突した。

余波が衝撃波となって周囲を襲う。背後の283プロが地震のように揺れていた。
もう少し近くで衝撃波が発生していたら窓が粉々に割れていただろう。
その場でしばらくの間互いの攻撃が拮抗する。だがそれも長くは続かない。
双方の攻撃が打ち消しあって消滅する。一度技を出し切ったからかペルソナも姿を消した。

初めてのペルソナ能力行使で、せつ菜の額には大量の汗が浮かんでいた。
こんな魔法を初めてで何度も使っていたのか。透はすごいなと思ってしまう。
だけど今こそ千載一遇のチャンス。
おそらく先ほどの光線は、もう一度光を収束してからでなければ撃てないはず。
相手の攻撃にタイムラグがあるこのタイミングで仕留めなければ。消耗すればこちらが圧倒的不利だ。



「ペルソナッ!」



無茶を承知でもう一度こめかみに向けトリガーを引く。
再びイザナギがその姿を現した。右手の獲物を構え、化け物の足元へと肉薄していく。
そのまま、化け物の両足を横なぎの一閃で両断した。イザナギの斬撃によって、まるで足の一部が削り取られたようになくなる。
まるで達磨落としで一番下の積み木が弾き飛ばされた後のようだ、と思った。

両足を失った化け物は当然体勢を崩し、少しずつ倒れてくる。崩れる直前のジェンガのように。
そこへ追撃のイザナギの斬撃が、今度は下から縦に一閃される。
一撃目の斬撃と合わせて、まるで漢字の「十」を描くような斬撃。イザナギの物理攻撃スキル「十文字切り」が炸裂した。

体勢を崩していた化け物の仮面に、縦の斬撃が直撃する。
化け物が今までで一番大きな悲鳴を上げた。その甲高い悲鳴は、化け物の最後の断末魔だと直感的に感じた。
おそらく、あの仮面が化け物の弱点だったのだろう。
ヒビが入った仮面がそこから徐々に砕けていく。それに呼応するように化け物の体も隅から塵のように霧散していった。



【大虚(メノスグランデ)@BLEACH 死亡】



「―――ふふ。やるじゃん。」

そんなせつ菜の戦いを見ていた透は、そう呟いた。
直後、安心感からか透の意識が遠のいていく。
振り返ったせつ菜が透の名前を呼ぶ声は何とか聞こえたが、それも徐々に遠ざかる。
やがて透の意識は完全に闇に落ちていった。


468 : Mass Destruction ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:05:56 rfMzx5ds0





◇◆◇





「――――――え。ここどこ?」

意識を取り戻したとき、透の前に広がっていたのは先ほどまでとはまるで正反対の光景だった。
全てが真紅に染まっていた平安京に対して、ここは見渡す限りすべてが真っ青だ。

どう見ても平安京の町並みではない。今まで自分たちが生活していた普通の町にある公園と同じような光景が広がっていた。
―――中心にそびえ立つ大きなジャングルジムと、その前にあるテーブル、そして椅子に腰かけている奇怪な老人を除けば。
……どうやら、自分はテーブルをはさんで老人の向かいの椅子に腰かけているようだ。

「―――おやおや。これはまた、珍しいお客人ですな。」

「ようこそ、我がベルベットルームへ。私の名はイゴール。お初にお目にかかります。
 ……いつもならばもうひとりここの住人がお客人を出迎えるのですが、今は出払っておりましてな。」

そう、目の前の老人が名乗り始めた。
ベルベットルームとはいったい何だろう。住人?
そもそも、なぜここは公園なのだろうか。……後ろにあるジャングルジムに、嫌でも目が吸い込まれる。

「ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所。」

「この部屋のありようは、お客人の心によって変化します。
 過去にはエレベータールーム、リムジン、珍しい方ですと牢獄という場合もございました。
 私よりも貴女様のほうが、この部屋の様相には心当たりがあるのではないですかな?」

……そう言われると、心当たりしかなかった。
今は自分から言葉を発するよりも、老人の言葉に耳を傾けることにする。

「本来は何かの形で契約を果たされた方のみが訪れる部屋。
 ……とはいえ、貴女様は既に現在進行形で困難な壁とぶつかっておられるようだ。」

「どれ……まずは、お名前をうかがっておくといたしましょうか。」

何を言っているのかは全然よくわからなかったけど、名前を聞かれたので素直に答えた。
浅倉透、と。

「……ふむ。確かに受理しました。
 今宵から貴女は、このベルベットルームのお客人だ。」

名前を名乗っただけで契約したことになるのだろうか。
不思議に思ったので訪ねてみた。

「貴女様はペルソナ能力と“ワイルド”の力にお目覚めになられた。
 必ずや、私の力が必要になりましょう。」

ペルソナ能力、と聞いてハッとする。
先ほどの力とこの部屋には関係があるのだろうか。
……ワイルドの力、というのには聞き覚えがなかったが。

「複数のペルソナを使い分けてゆける力のことです。
 お連れ様も同じ力の素養はお持ちのようですが、まだ目覚めてはおられないようだ。
 ……まずは、これをお持ちなさい。」

老人がそう言うと、何やら頭上から回転しながら一枚のカードが落ちてきた。
タロットカードだろうか。詳しくはわからないが戦車と書かれているように見える。
反射的にそちらに手を伸ばして、それを受け止めた。


469 : Mass Destruction ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:07:01 rfMzx5ds0



―――戦車のペルソナ:ホワイトライダーを入手した。



これは、新しいペルソナ?
理屈はわからないが、それが自分のうちに宿ったであろうことがなんとなくわかる。

「ペルソナ能力は心を御する力。心とは絆によって満ちるもの。
 これは、先ほど共に戦われたお連れ様との間に絆が芽生え始めた証とでも思っていただければ。」

「他者と関わり、絆を育むこと。
 その力こそがペルソナ能力を伸ばしてゆくのです。」

「ペルソナとは、貴女が外側の事物と向き合ったときに表に現れ出る人格。
 様々な困難と相対するために自らを鎧う“覚悟の仮面”とでも申しましょうか。」

「ペルソナ能力を発言した際の貴女方の姿もその一片。
 あれは貴女様の反逆の意思の具現であり、同時に戦うための鎧でもあるのです。」

「その姿も貴女様の心のありようで決まるもの。
 過去のお客人は、怪盗のような出で立ちだったりしましたな。」

つまり私は何かに反逆して戦う時の鎧に、無意識でノクチルの衣装を選んでいるということか。
服装が変わる理由はよくわからなかったが、そう言われると悪い気はしなかった。

―――と、そんな風に話し込んでいるとどこからか声が聞こえてきた。
この声は聞き覚えがある。さっきの優木せつ菜さんだ。
……これは、もしかして私の名前を呼んでいる?

「貴女様はあくまで夢としてこの場所を訪れているにすぎません。
 おそらく現実の貴女様が目覚めかけているのでしょう。」

「心配なさらずとも、貴女様は必ずまたここを訪れます。
 ……では、再び見えます時まで。ごきげんよう―――」

そんな老人の言葉が終わるかどうかというタイミングで私の意識はまた暗闇の中へと落ちていった。





◇◆◇





「―――さん! 透さん!」

そんな悲痛な叫びを聞いて目が覚めた。
周りを見渡してみると先ほどと同じ真紅の空が広がる平安京だった。
上を見ると、せつ菜が今にも泣きそうな顔でこちらをのぞき込んでいる。

「……あー。もしかして、心配かけた?」

「当たり前ですっ!」

そんなやり取りをするが、お互いに相手が無事だとわかってどこか安心した。
しかし、初めてペルソナを使ったことによる精神的消耗はかなり大きいようだ。
まだちょっとふらふらする気がする。透ほどじゃないにしても、せつ菜もそれは同じようだった。

「……じゃあ、一旦そこで休む?
 建物の作りが同じなら、ちょっとくらいは案内できると思う。」

そう言って後ろにそびえ立つ283プロを示す。
このままやみくもに歩き回るよりはそこで休んだほうがいい、とせつ菜も思ったのだろう。
二人のアイドルは、休息のため歪にそびえ立つ283プロの中へと入っていった。


470 : Mass Destruction ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:08:17 rfMzx5ds0



【中川菜々@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康、ペルソナ使用による精神的疲労(中)
[装備]:召喚器@ペルソナ3
[道具]:基本支給品、余りの召喚器ひとつ
[思考・状況]
基本方針:殺し合いなんてしない。
1:まずは透さんと一緒に体力の回復に努めます。
2:ペルソナ、っていったい何なんでしょう?
3:透さんは無茶しすぎです!
[備考]
※参戦時期はアニメ最終回の後です。
※優木せつ菜本来のアルカナは戦車ですが、愚者:高咲侑とのコミュによる絆及び
 目の前でワイルドに覚醒した浅倉の影響で後天的に愚者のペルソナ:イザナギに覚醒しています。
 ワイルドの素養も目覚めかけてますが、まだ覚醒していないため今はイザナギしか使えません。
※高咲侑とのコミュによる絆の影響で、イザナギの力はブーストされています。
※ペルソナを呼び出すと、中川菜々の姿から優木せつ菜としての姿に容姿が変化します。
 (アニメ虹ヶ咲でソロ曲「DIVE!」を歌っているときと同じ姿です。)
 原理はペルソナ5で怪盗団が怪盗服に変化するのと同じ理屈になります。
※本来この場所でのペルソナ召喚に召喚器は不要ですが目覚めたばかりの二人はまだ能力が不安定なため
 召喚のために召喚器が必要になります。
※所持しているペルソナとスキルは以下の通りです
 ・愚者:イザナギ(電撃耐性、疾風弱点、呪怨無効)
  ・ジオダイン
  ・十文字切り
  ・タルカジャ


【浅倉透@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、ペルソナ多用による精神的疲労(大)
[装備]:召喚器@ペルソナ3
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いなんてしない。
1:……疲れた。ちょっと休みたい。
2:ペルソナ、ワイルドって何なんだろう。
3:せつ菜さん、良い人そう。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※ランダム支給品に武器になるものはありません。
※先天的にペルソナ能力とワイルドの才能があります。
※ベルベットルームに客人として招かれています。
※ペルソナを呼び出すと服装がノクチルの衣装であるクリアマリンカームに変化します。
 原理はペルソナ5で怪盗団が怪盗服に変化するのと同じ理屈になります。
※本来この場所でのペルソナ召喚に召喚器は不要ですが目覚めたばかりの二人はまだ能力が不安定なため
 召喚のために召喚器が必要になります。
※所持しているペルソナとスキルは以下の通りです
 ・愚者:オルフェウス(電撃弱点、祝福耐性、呪怨弱点)
  ・アギラオ
  ・タルンダ
  ・ディア
 ・戦車:ホワイトライダー(火炎無効、氷結弱点、祝福無効、呪怨反射)
  ・マハエイガ
  ・マハスクカジャ
  ・トリプルダウン


471 : ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:09:26 rfMzx5ds0
投下を終了します。
被っているのは承知の上ですが、既に半分以上書いていた為そのまま投下しました。
仮面ライダーに変身するアイドルがアリならこれもありでは?と思って書きました。


472 : ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 07:22:56 rfMzx5ds0
>>470
申し訳ありません。
こちら支給品についての記載を忘れていましたので、追記します。

【召喚器@ペルソナ3】
ペルソナ召喚の為のアイテム。拳銃の形をしている。
自分の頭部に向けて引き金を引くことで、現実でもペルソナを発現させることができる。
辺獄でのペルソナ召喚には本来不要だが、ペルソナ召喚が不安定な場合は安定させるのに有効。


473 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:36:47 ykit2tlY0
投下します


474 : 無限回繰り返す箱庭の世界 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:38:15 ykit2tlY0
もう嫌だ。

何度も何度も繰り返し続けて、ようやく惨劇を終えることが出来たのに。

かつての希望の光に殺されて。

尊敬している人に殺されて。

大好きな親友に腹を裂かれて。

どうして私がこんな目に遭わなくちゃならない。

どうしてみんながあんな目に遭わなければならない。

もう嫌だ。これ以上繰り返すのも、これ以上みんなが罪を重ねるのも。

もう、なにもかもが嫌だ。


475 : 無限回繰り返す箱庭の世界 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:39:13 ykit2tlY0







紅い月が私を小馬鹿にするように輝いている。

「...羽入」

名前を呼ぶ。
言い争いはそれなりにしたし、あの惨劇の繰り返しの中で自分は無力だと諦め傍観していたけれど、それでも私を裏切ることはしなかった唯一の存在。
私が全てを打ち明けることのできる唯一の存在。
いつもの雛見沢じゃない、殺し合いを強要される狂った世界。
ここでなら、奇跡のようなイレギュラーが起きて、消えてしまった彼女ともう一度会えるかもしれない。

「...羽入。いないの?」

そんな淡い期待を寄せながら幾度か名前を呼ぶも、返ってくるのは無情な静寂だけ。

「...私にはもう、そんな僅かな奇跡すら許されていないのね」

100年にも渡る繰り返しの末に辿り着いた、祭囃子のように皆で一致団結し掴み取った未来。
あれでもう私の奇跡は使い切ってしまったのだろう。

ならば戻ったところでなんになるのか。
また、あの地獄を繰り返すだけではないのか。

ちょうどいい。

このイレギュラーにもほどがある世界なら、もしかしたら繰り返さなくても済むかもしれない。
仮にまた雛見沢に戻ったとしても、今度こそあの自害用の欠片で首を斬るだけだ。

デイバックを探り、手にした硬い感触のものを取り出す。
出てきたのはライフル銃だった。

銃。今まで使ったことはないけれど、これなら容易く命を断つことができるだろう。

ずるりと尻餅を着く。

もう立っていることすら億劫だ。どうせ死ぬのだから。

銃口を自分の口腔に入れ、引き金に指をかける。

これで全てが終わる。私の惨劇しかなかった人生に幕を引くことが出来る。

『梨花ちゃん』
『梨花!』

共に喜びを交わし、悲しみを共有し、惨劇に挑んだ仲間たち。
彼らの向けてくれた笑顔に微睡むように瞼を閉じ、引き金に力を込める。

さようなら、みんな。

そして。

パン、と乾いた銃声の音が響き、私の意識は途絶えた。


476 : 無限回繰り返す箱庭の世界 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:40:49 ykit2tlY0


銃口から硝煙が昇り、空気に溶けていく。

俺、三島英吾はふう、と息を吐き構えていた銃を下した。

「嫌なもん見せられちまったぜ...」

俺はここに連れて来られる前も殺し合いに巻き込まれている。
シークレットゲーム。どう考えても趣味の悪い金持ち共の道楽だ。
そのゲームで俺は頭を撃ちぬかれて命を落としたはずだった。
それが、気が付けばこの殺し合いに巻き込まれていた。
死んだ先でも殺し合いなんざ勘弁してくれよ、と愚痴りながら森を散策していた時だった。
ぼんやりと虚空を見つめる、長髪の少女を見つけた。
声をかけようと思ったが、ああ見えて貴信のように密かに殺人を重ねようとする輩の可能性もあったので、ひとまずは隠れて様子を覗うことにした。
すると、少女はデイバックからライフル銃を取り出すや否や、自分の口に突っ込み始めた。
こんなの誰が見てもわかる。彼女は自殺しようとしてる。

これでは声をかけたところで無駄だ。最悪、驚いた拍子に手が滑って引き金を引きかねない。
だから俺は撃った。彼女の持つライフル銃を。
少女のか弱い腕力では衝撃に耐えきれなかったのか。
ライフル銃は弾き飛ばされ、少女もまた背後の木に頭部を打ち付けて沈黙。
そのまま動かない少女を見て焦りながらも呼吸を確認。
打ち所が悪く、気絶してしまったらしい。

「悪かったなあ嬢ちゃん。ちゃんと手当はするから勘弁してくれ」

眠る少女を背負い、どこか身を隠せる場所を求めて足を進める。

「......」

誰かを殺してまで生き延びたくない。誰かの殺意に晒されたくない。誰かに殺意を振りまきたくない。
この理不尽で残酷な環境で命を断ち逃げ出すのは、それも尊重すべき一つの選択肢なのかもしれない。
以前の自分ならば、そう割り切って、少女の最期を見届けていたかもしれない。

「...ま、お前が見てるかもって思えば、そんな姿は見せられないわな」

薪岡彰。シークレットゲームで数日間共に行動した、優しく正義感溢れる少年。
その線の細い華奢な容姿とは裏腹に、誰よりも愚直に信頼と優しさを貫いてきた彼の背を思い描けば、目の前で散ろうとする命を見過ごすことなどできなかった。

とはいえ、自分一人でこの少女を護り切るのは難しいだろう。
欲を言えば、彰のような人を癒し、信頼を築きやすい相方が欲しいところだが...

「...泣き言言っても仕方ねえか」

シークレットゲームとはまた勝手の違う、もっと直接的に「殺し合え」と強要されるこの殺し合い。
さて、どう切り崩してやろうかね。


477 : 無限回繰り返す箱庭の世界 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:41:10 ykit2tlY0

【古手梨花@ひぐらしのなく頃に 業】

[状態]気絶、自暴自棄、後頭部にたんこぶ
[装備]いつもの服
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:とてもつらい
0:......
1:しにたい
※参戦時期は16話で沙都子に腹を割かれている最中(完治はしています)


【三島英吾@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]健康
[装備]拳銃@現実、ライフル銃@現実(梨花の支給品)
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:殺し合いを止める。
0:ひとまずこのお嬢ちゃんを手当して話を聞く。
1:協力者を探す。

※参戦時期は死亡後


478 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:41:41 ykit2tlY0
もう一作投下します


479 : 魔将軍シレーヌ ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:43:31 ykit2tlY0

「殺し合い、か」

水色の髪の小柄な美少女、雷沼ツバサ。
彼女の身体を支配し己のものにした悪魔、鳥人族(ハルビュイア)シレーヌは己の首に手をあて、ぽつりとひとりごちる。

首輪を嵌められてのこの殺し合い。数多の殺戮と虐殺を経験してきた彼女にとっても気に入らないものだ。
殺戮そのものではない。そんなものは飽いて捨てるほどにやってきた。
けれど、自分の意思でなく、顔も知らない誰かさんの命令で殺す。そんなもの気分がいい筈がない。
無論、己の命が脅かされるようなら殺し合いに乗ることも辞さない。が、結論を出すにはまだ早い。
なんせ有象無象の悪魔族ならまだしも自分は元老院に肩を並べる魔将軍だ。
こんな真似が出来るのは同じ上級格の悪魔族かデビルマン軍団くらいのものだが、それにしては目的が見えない。

デビルマン軍団からすれば、自分を確保できればわざわざこんな殺し合いを開くまでもなく即座に殺して終わらせるだろう。

では上級悪魔族―――とはいっても、出来得るのが肩を並べるクルールとヴィルフェ、サイコジェニーくらいなものだが―――が背後にいると考えよう。
今の悪魔族は最終戦争に向けて準備を進めている。だが、気を抜けばダンテ率いるデビルマン軍団に殲滅されるほどに綱渡りなのが現状だ。
そんな中で、貴重な一大戦力である自分になんの通達も無しに切り捨てるだろうか。否、奴らも流石にそれほど阿呆ではない。
一番享楽的なのはサイコジェニーだが、こんな悪魔族の自滅行為をすればクルール達に処分されるのは奴自身理解している筈。
そして闘争の勝利を願う二人がこんなことをするはずもなく。
ならば、この殺し合いの裏に潜んでいるのは奴らではない―――のだろうか。

(悪魔族ともデビルマン軍団とも関係ないとなれば、それはそれで問題だな)

もしも第三勢力の介入があったとしたら、主催陣には両軍に匹敵する力があるかもしれないということ。
現状、この首輪以外は悪魔族やデビルマンほどの力は見受けられなかったが、自分のように力を隠しているだけというケースもある。
もしそんな勢力があるのなら、この殺し合いを終えた後で探し出し組織ごと壊滅せねば気が収まらない。

「アモン。貴様が来ているかどうかはわからんが、此処では力だけでは何も守れんぞ」

もしも不動アキラ―――勇者アモンが来ていれば、衝動に任せて後先考えずに暴れまわるのが目に見える。

あの小娘共主催陣を殺すにしても、今回ばかりは一人では不可能だろう。

冷静に、狡猾に、時には熱く、大胆に。状況に応じて臨機応変に立ち回り、自分の勝てる場所を作らなければ何もつかめない。

優勝か、周囲を扇動しての主催の打倒か。

なんにせよ、彼女の方針で確かなものはひとつ。

―――生き残るのは、私だ。

【雷沼ツバサ(シレーヌ)@デビルマンG】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:生き残る。手段は択ばない。主催陣は殺したい。
0:ひとまず雷沼ツバサとして動き情報を集める。
1:殺し合いに乗ってやってもいいが...どうするかな


※参戦時期は18話以降。
※名簿には雷沼ツバサで記載されます。


480 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:43:58 ykit2tlY0
もう一作投下します


481 : 命の火を燃やし尽くせ! ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:44:59 ykit2tlY0
「...これで僕にどうしろと?」


【城咲充@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】

[状態]健康
[装備]メガンテの腕輪@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:殺し合いから脱出する。
0:というか僕、死んだ筈だよね?
1:初音ちゃんがいないか心配。他の皆も巻き込まれてないといいけど...
2:初音ちゃんがいたら護る。
3:脱出の協力者を探す。

※参戦時期はDルート死亡後
※メガンテのうでわの説明書を読みました。

【メガンテのうでわ@ドラゴンクエストシリーズ】
装備者の命が尽きる時に砕け散り、効果を発揮する。
メガンテとは己の命と引き換えに即死級の超強力な爆発を起こす呪文である。食らった相手は死亡・瀕死・ノーダメージのいずれかになるというギャンブル的な呪文。
このロワでは自分が敵と認識している相手に対しての、出鱈目に強い自爆呪文という形で扱われる。逆に言えば味方と認識されているキャラであれば...?


482 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/05(水) 10:45:22 ykit2tlY0
投下終了です


483 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 11:09:19 D8bT9.hg0
投下します。


484 : 化かす狐と人間。そして化かさない鬼 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 11:10:01 D8bT9.hg0
紅き血染めの月が支配する魔都と化した平安京ーーー

「まったく……妙なことに巻き込まれましたね」

ため息をつく男がいた。

男の名はハン・ジュンギ。
といっても、それは男の本名ではないーーー

本当の名前はキム・ヨンス。

韓国マフィア「ジングォン派」のボスであるハン・ジュンギの影武者を務めている。

(殺し合いに乗ったところで、あの双子が約束を守る可能性は限りなく低いとみていいでしょう)
(ですが、この首輪をまずは、どうにかしないと、どうにもなりませんね……)
ハン・ジュンギは首輪を触りながら思考を巡らす。

(乗るか乗らないかは、今のところは保留にしておきましょう……)
「……ところで、物陰に隠れているそこのあなた。いつまでも隠れるつもりなら私の方から出向きますが」
ハン・ジュンギは物陰に隠れている人物に話しかける。

「ふふふ……わしの気配に気付くとはなかなかじゃな」
ハン・ジュンギの言葉に応じると影はバッと飛び出てーーー

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン♪わしは仙狐小牟!(シャオムゥ)ピチピチの765歳じゃ♪」

「仙狐……ですか」
ハイテンションに名乗り出た小牟に反してあくまでも冷静に反応するハン・ジュンギ。

「むぅ、わしの見事な登場にツッコまないとは……で、そなたの名は?」
男の反応に小牟は不満げだーーー

「これは、失礼しました。私はハン・ジュンギと申します」

☆彡 ☆彡 ☆彡


485 : 化かす狐と人間。そして化かさない鬼 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 11:10:18 D8bT9.hg0
ーエージェントとマフィアー

「なるほど、なるほど、するとハン・ジュンギはマフィアの一員なのじゃな」
「ええ。それで小牟さんは特務機関「森羅」のエージェント……ですか」

あれから、ハン・ジュンギと小牟は互いに情報交換したーーー

「……」
(ふぅむ……横浜異人町のう。横浜にそのような場所があったかのう?)

「……」
(特務機関「森羅」……コミジュルの情報網でも聴いたことが一度もありませんね……)

「ふむ、どうやらお互い思うところがあるようじゃが、ひとまずそれは置いておこうか」
「……ええ。私もそれに賛成します」
とりあえず、小牟とハン・ジュンギはお互い感じた違和感を横に置くーーー

「それで、当然じゃが、わしは殺し合いには乗らんが、お主は?」
「ええ、私も今のところは乗るつもりはありません」
小牟の言葉にハン・ジュンギは正直に答える。

「その口ぶりだと、乗る可能性があるみたいじゃな」
「私には、戻らなくてはならない理由がありますので」
そう、キム・ヨンスがハン・ジュンギを名乗り続けるには理由がある。

ーーー国に捨てられた同胞達をコミジュルに集め救うため。

「そうか。まっ、安心せい!わしがいればこんな殺し合いなど、赤子の手をひねるもの!!お主が殺し合いに乗ることはない!!!」
ドンと胸を叩く小牟ーーー

「ふ、その言葉、あなたが言うと、何だか本当にそうだと信じてしまいますね……それと」
小牟の言葉にハン・ジュンギは表情を柔らかくするーーー

「…む!」
『この首輪には盗聴機能が備わっている危険があります。首輪に関する話はこれで行った方が安全と考えますが』
ハン・ジュンギは首輪に盗聴機能があるのではと感じ、小牟に紙で自分の考えを伝えるーーー

「……そうじゃな。メフィスとフェレス、見ておれよ!!覚悟せいやっ!!!!!」
「……大声を出すと、危険ですよ」

人を化かす狐と自分を化かす人間が邂逅したーーーーー

【小牟@PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:この異常の裏の企みを阻止する
1:ハン・ジュンギと行動を共にする
2:零児もいるのか?
[備考]
※参戦時期はED前。
※小牟のメタ的知識の制限は後続の書き手様に委ねます。
※ハン・ジュンギが話した横浜異人町に違和感を感じています。

【ハン・ジュンギ@龍が如く7 】
[状態]:健康 ジョブ:マフィア
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ戻る
1:小牟と行動を共にする
2:最悪の場合は殺し合いに乗る
[備考]
※参戦時期はED後
※小牟が話した「森羅」の存在に疑問を感じています。
※本名である「キム・ヨンス」は小牟に伝えておりません。

☆彡 ☆彡 ☆彡


486 : 化かす狐と人間。そして化かさない鬼 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 11:10:37 D8bT9.hg0
化かすものが邂逅する中、化かす……嘘が嫌いなものがーーー

「ゴクゴクゴク……プハァ〜」

その者は、とある家の屋根に座り込み、酒を煽っていたーーー

鬼の名は伊吹萃香。
幻想郷で「山の四天王」と恐れられる鬼である。

「ふぅ……あの悪魔ども面白いことをするじゃないか」
鬼である萃香は、同じく異形であるメフィスとフェレスが悪魔であることを看過する。

「だけど……鬼をこんなもので束縛しようだなんて悪魔は鬼をわかってないな」
そういいながら萃香は首輪を撫でる。

「くっくっ……まぁ、こんな機会はそうないからねぇ。楽しむとしようか」

太古から続く、人と鬼の関係はここ紅き血染めの平安京でも変わらないーーーーー

【伊吹萃香@東方Project 】
[状態]:健康 
[装備]:伊吹瓢@東方Project
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:鬼としてこの殺し合いを楽しみながらメフィスとフェレスを懲らしめる
1:参加者と勝負を楽しむ
2:首輪の解除できそうな参加者は庇護する
[備考]
※参戦時期は東方萃夢想後

【伊吹瓢@東方Project 】
萃香が携帯する瓢。中には酒虫の体液が塗布されているため酒が無限に沸き出るようになっている。ただし、、一度に出る酒の量は瓢箪の大きさ分のみである。 出てくる酒は鬼専用の酒なので、人間等が飲むと大変な事になるらしい。


487 : 化かす狐と人間。そして化かさない鬼 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 11:10:47 D8bT9.hg0
投下終了します。


488 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 12:29:02 w3m/yE0o0
投下します


489 : 失楽の園に咽び泣け ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 12:29:48 w3m/yE0o0
悪夢でしかなかった。こんなの、夢でだと思いたかった

だって可笑しいんだもん、お姉ちゃんと仲直りして、その途端にこんな事なんて

わからない、わからないけど。それでもお姉ちゃんは恐怖を抑え込んで、私を守ってあげるって




でも―――お姉ちゃんは、お姉ちゃんは黒髪の男を引き連れた金髪の女の人から、私を庇って





お姉ちゃんの最後の言葉を覚えている。「逃げて」って。だから最後まで逃げて逃げて走り続けて

これを現実だなんて思いたくなかった。お姉ちゃんの人生が、輝きに満ちたお姉ちゃんが、あんなにあっさり終わっちゃうなんて現実、受け入れたくないのに、どうしようもなく現実だって




何もかも、受け入れたくないのに、受け入れないといけないこの現実が、泣き叫びたいほどに、嫌だった

そういえば、あの金髪の女の人がなにか言ってたような………


『――アタシの名前はナイトレイドのレオーネ。今からアンタ達はアタシ達に殺されるんだ』


……ナイト、レイド。レオーネ。お姉ちゃんを殺した、女


【近江彼方@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 死亡】

【近江遥@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:ショック(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:死にたくない
1:どう、して
2:ナイト、レイド。レオーネ。お姉ちゃんを殺した、女
[備考]
※参戦時期はアニメ7話後


490 : 失楽の園に咽び泣け ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 12:30:03 w3m/yE0o0
○ ○ ○


「中々にイカした変装だったぜ、オネスト。ソッチの趣味があるなら俺様が付き合ってやってもいいんだがな」

黒髪の男―――堕天司ベリアルは、自らをレオーネと名乗った女に話しかける。『レオーネ』はベリアルの言葉にため息を付いたと思えば、その変装を解き、元の姿に戻っていく
典型的な悪徳大臣というべき外見のこぶとり爺さん。その男こそ、ベリアルのその名を呼ばれた『オネスト大臣』という人物だ

「……何、あくまでこの帝具の効力が素晴らしかっただけの話ですよ」

オネストの手にあるのは化粧箱の帝具。『変身自在/ガイアファンデーション』。使用者をどんな姿にでも変身させることが出来る代物
故にオネストは、その効力を試すついでに一人殺害した。妹の方は取り逃がし、服装は変身してもそのままだったのも含め少々不安であるが、あの少女の動揺を見るに、ナイトレイドのことをすら知らない。故に服装まで気に留めることは無いだろう

「……まあいいさ。彼方ちゃん、だっけ? まあ多少勿体なかっただろうけど」
「仕方ありません。ですが、こうでもしなければあなたは私に興味を持つこともしなかったでしょう?」
「まあ、な。―――たしかにそれと、あんたの事は使えそうだ」

堕天司はオネストを見定め、そして言葉を紡ぐ。オネストとで一度しくじり、死という形で人生を終えた身。いくら便利な帝具があるとはいえ、武具の類をゲットしたわけではない。行動を間違えれば、いともたやすく自分の命はこの男に刈り取られることになりであろう

「いいぜ。寝首掻きたきゃいつでも。が、その時は容赦はしないさ」
「いえいえ、そんな事はまだ考えていませんよ。こちらとて、生き延びたいのですからね」
「……ま、勝手にな。せいぜい、俺に殺されない程度には」

オネストは今度こそ未来を手にする。二度としくじったりはしない。自らが醜悪であることなど承知、故に鍛えることを忘れず、その身を研鑽し続けてきた
この紅夜の殺し合いにおいても、オネストという男の本質は何も変わらない





(しっかしまぁ、面倒なことに巻き込まれたもんだ)

狡知の堕天司は思慮する、自分のような存在すら呼び込んだこの殺し合い。恐らくは対それた力の持ち主か、それに類する組織か、間違いなくあの双子はその手の存在であろう
あの時の自分の状態、そして今の自分の状態。混沌の坩堝とも言うべきこの殺し合いの舞台。首謀者は何を考えているか、今はわからずじまい

(……ハハッ。いいぜ、あんたらの思い通り、乗ってやるよこの乱痴気騒ぎ。さっきまで賢者モードになってたところだ、いまのでイキリ勃ったこの熱さを覚ますのにはもってこいじゃないか)

男は決める、この殺し合いに乗ることを。だが、素直に乗るつもりなんて毛頭ない
必要ならば殺す。必要ならば情報を抜き出す。必要ならば手を組む。そしてもし―――がいるならば

(……さぁ、仕切り直しと行こうじゃないか。俺たちのクライマックスを)

狡知の悪魔が嗤う先に、何が起こるかなど、例え神だろうとわからない


【ベリアル@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:程よく殺し合いに乗りながら情報を集める。場合によっては対主催方針も
1:この男とその持ち物は使えそうだ
[備考]
※『000』どうして空は蒼いのか Part.Ⅲ、ルシファーと共に異次元に呑まれそうになった後からの参戦です

【オネスト@アカメが斬る!】
[状態]:健康
[装備]:変身自在/ガイアファンデーション
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜
[思考・状況]
基本:何が何でも生き残る
1:今はこの男と一緒にいる。今のところは叛逆は考えていない
2:ナイトレイドがいる可能性も踏まえ、この帝具でレオーネに変装しながらナイトレイドの悪評をばらまく
[備考]
※参戦時期は漫画版最終回の死亡後

『支給品紹介』
【変身自在/ガイアファンデーション@アカメが斬る!】
オネスト大臣に支給。元はチェルシーの所持していた帝具
他人や動物等、様々なモノに変身できる能力を持つ。ただし変身しても服装までは再現されず変身前の服装となる。それに戦闘力は変身者の素に依存するため、変身した所で戦闘力が変化するわけではない


491 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 12:30:18 w3m/yE0o0
投下終了します


492 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 13:12:44 YbYxHY.M0
投下します


493 : 口数が少ない二人 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 13:13:16 YbYxHY.M0
「ボ〜...」
「しゃけ...」

【ボーちゃん@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本行動方針:ボ〜...
1:これから、どうしよう...
2:この人と話す
[備考]
※映画の出来事を経験しています

【狗巻棘@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本行動方針:おかか...
1:しゃけ...(困った)
2:ツナマヨ(目の前の少年と話す)
[備考]
※参戦時期は少なくとも花御と戦った後から


494 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 13:13:31 YbYxHY.M0
投下終了します


495 : ◆4kMBNI9QkE :2021/05/05(水) 16:32:47 UxZYjZ8E0
投下させていただきます


496 : 怪獣と人間との関係性 ◆4kMBNI9QkE :2021/05/05(水) 16:33:56 UxZYjZ8E0
かい-じゅう【怪獣】
1:正体の知らない不思議な動物。
2:多く恐竜に模して創作した、巨大な動物。「-映画」

(デジタル大辞泉より抜粋)

☆☆☆

「……ふぅ〜。だいぶ歩いたね」

赤い月に照らされた平安京の片隅。

ブレザーの学生服を着た眉毛の太い少女……南良原ナユナは、
夜空に輝く赤い月を眺めながら額の汗を拭った。

「クゥ〜」

ナユナのすぐ隣には、動物園でも見かけないような不思議な生き物が並んで歩いていた。

その生き物は、外見的には赤毛の類人猿に近い姿をしていたが、尻の辺りから類人猿には無い筈の立派な尻尾を生やしており、その両目は真っ黒に染まり、体の大きさは10歳児並み……。

動物園や動物図鑑を隅々まで探しても、絶対に見つからないであろう珍獣だった。

「クゥ〜」
「あ、ありがとうねガゴンくん」

ナユナから『ガゴンくん』と呼ばれた珍獣は、ナユナの代わりに支給されたデイバックを背負い、ナユナの後について歩いていた。

このガゴンなる生き物……正確にはベビーガゴンという……実はナユナの支給品である。

ナユナがこの平安京に飛ばされて支給品を確認しようとした時、デイバックからいの一番に出てきたのがこのガゴンだった。

最初はナユナもびっくりしたものの、見た目が変わっているわりに大人しい生き物だったのですぐに打ち解け、行動を共にしているのだ。

ナユナの元居た世界には『外来獣』と呼ばれる巨大怪獣が存在している。

ナユナの母・ナズキは、
かつて存在した『本物の竜』を基にしたロボットに乗って外来獣と戦う組織『UBH(不明生物狩猟隊)』所属のハンターであり、

ナユナ自身も、学校では『怪獣撃退部』という部活動に参加し、その過程で魚型外来獣『ウオダゴン』の『ダゴンちゃん』に懐かれるという経験をしている。

そんなナユナにとって、ガゴンは『気味の悪い存在』でも『怖い生き物』などでもなく、その辺の犬やネコのように親しみやすい生き物だったのだ。

「大丈夫?重くないよね?」
「クゥ〜」

まるで姉弟のように赤い月の下を歩むナユナとガゴン……そこに、

「……ん?」
「あ」
「クゥ〜?」

思わぬ相手と遭遇したのだった。


497 : 怪獣と人間との関係性 ◆4kMBNI9QkE :2021/05/05(水) 16:34:47 UxZYjZ8E0
☆☆☆

「くっそぉ!どうしてあんな……」

白い宇宙服のようなスーツを着た黒髪の青年……ハルオ・サカキは、
苛立ちを隠そうともせずに古びた壁に拳を叩きつけた。

ようやく人間の下に地球を取り戻せる……そう思った矢先に彼はこの平安京へと連れてこられた。


ハルオの居た世界は、1999年に初めて怪獣が出現して以来、怪獣と人間との全面戦争が巻き起こった。

そして、怪獣の中でも別格の存在『ゴジラ』によって人類は滅亡の縁に叩き込まれ、
ついに一握りの人間達が、地球を捨てて外宇宙へと逃げ出したのだ。

新天地を求めての25年もの旅の末に移民に失敗した人類が地球に戻ってみれば、
すでに地球では2万年近くの月日が流れており、地球はゴジラとその眷属の支配する惑星へと変貌していた。

ハルオ達は多大な犠牲を出しながらもゴジラを倒す事に成功したものの、
それはかつてのゴジラから生まれた眷属の一体に過ぎず、
オリジナルのゴジラは身長300mを超える成長を遂げていたのだ。

オリジナルのゴジラに敗北したハルオ達は
地下に逃げ延びていた人類種の末裔『フツア』に助けられながら、
かつての対ゴジラ兵器・メカゴジラの残骸から作られた『メカゴジラシティ』を発見……。

改めてゴジラ討伐作戦を計画中に、ハルオは平安京へと連れてこられた、という訳である。

ハルオは許せなかった。
現状でもはや数千人しか残っていない人類に殺し合いを強要するメフィスとフェレスの二人が。

今、ハルオの心の中にはメフィスとフェレスへのどす黒い憎悪が渦巻き、
両目からは滝のように悔し涙が流れ落ちていた。

その時ふと……ハルオの脳裏にメフィスとフェレスの双子とよく似た名前の友人の言葉がよぎった。

『走れ、ハルオ。その魂の赴くままに』

「……」

ハルオは無言のままに立ち上がると、デイバックから取り出した光線銃のような物を手に歩きだした。

メフィスとフェレスを倒し、改めてゴジラを倒すために。


☆☆☆

「……」
「え〜っと……」

偶然にもハルオと遭遇したナユナは、軽く困惑していた。

女子高に通い、普段から同性とばかり過ごしているナユナにとって、
自分より年上の男性に声をかけるのはとても勇気がいる行為だった。

「……」

ハルオもハルオで幼なじみのユウコ・タニよりも年下で、
仲間とはぐれた自分を介抱してくれたミアナというフツア族の少女と同い年くらいの少女にどう声をかけていいか分からなかったが……

「クゥ〜?」
「!!」

……ナユナの隣に佇むガゴンの姿を目にした途端、目の色を変えた。


498 : 怪獣と人間との関係性 ◆4kMBNI9QkE :2021/05/05(水) 16:36:02 UxZYjZ8E0
「そいつから離れろ!」
「えっ?」

ハルオは手に持つ光線銃の銃口をナユナの隣のガゴンへと向け、有無を言わずに引き金を引いた。

「きゃああああ!?」
「キイイ!!」

ナユナは間一髪でガゴンを抱き寄せる。
光線銃から放たれた青白い光弾は後方の松の木に命中し、
松の木は跡形も消滅してしまった。

「あわわわわ……」
「クィ〜?」

光線銃から放たれた光弾の威力にナユナは目を丸くして顔を青くする
一方、ナユナに抱き締められているガゴンは可愛らしく首を傾げていた。

「くそぉ!」

ハルオは改めて光線銃の銃口をガゴンに向ける。
だが……

「ま、待って!待って下さい!」

……ハルオからガゴンを庇うように、ナユナが立ちはだかった。

「そいつから離れろ!そいつは怪獣だ!」
「ま、待って下さい!確かにこの子は怪獣だけど、危険な怪獣じゃないんです!とっても大人しくて……」
「ふざけるな!早くそこをどけ!でないと……」

ハルオは光線銃の銃口をガゴンを庇うナユナに向ける。
ナユナは目尻に涙を貯めて足をガクガクと震わせるが、
決してガゴンを見捨てようとはしなかった。

その時だった。

「やめろぉぉぉ!!」

また新たな人物が乱入してきた。


☆☆☆


「そんな……何で……」

明るい水色のパイロットスーツを着た茶髪の青年……SRC・TEAM EYES隊員の春野ムサシは、さめざめと涙を流していた。

あの開幕の場で、メフィスとフェレスの双子に見せしめとして殺された二人の少女を想い、
彼の両目からは涙が流れていた。

「コスモス……僕はどうしたら……」

ムサシは今はもう居ない憧れの存在へと想いを馳せる……。


ムサシの居た世界では、怪獣は『倒すべき敵』ではなく、『共に地球に住む仲間』として保護される存在であった。

ムサシの現在所属するTEAM EYES、及びその母体であるSRCは怪獣の保護と異星人との友好的コンタクトを目的とす組織である。

宇宙からやってきた怪獣を凶暴化させる光のウィルス『カオスヘッダー』との一年間に渡る戦い……
ムサシは少年時代に出会った光の巨人『ウルトラマンコスモス』と一体化して戦い抜き、
最終的にはカオスヘッダーの心すらも救い、少年時代からの憧れでもあったウルトラマンコスモスから『真の勇者』と認められたのだ。

コスモスとの別れからしばらく経ち、TEAM EYESを退役しようとしていた時にムサシはこの平安京へと連れてこられた。

「……」

今、ムサシの心の中には自身の目の前で無惨に殺された名も知らぬ二人の少女への哀悼と、
目の前で殺人を許した自分自身の不甲斐なさの二つの想いが渦巻き、静かに涙を流していた。

「……」

ムサシは涙で袖で拭いとり、
頬を叩いて自身に渇を入れた。

「……こんな事している場合じゃない。もうこれ以上、あの子達みたいな犠牲を出しちゃいけないんだ」

例えウルトラマンの力は無くとも、救える可能性がある命を救う。
そう決心したムサシはデイバックを手に立ち上がる。

一人でも多くの参加者を助けるために。


499 : 怪獣と人間との関係性 ◆4kMBNI9QkE :2021/05/05(水) 16:37:02 UxZYjZ8E0
☆☆☆

「やめろぉぉぉ!!」

ナユナとガゴンに銃口を向けるハルオの姿を目にした時、
ムサシはほぼ反射的にハルオに飛びかかっていた。

ムサシに飛び付かれた事で、ハルオは手に持っていた光線銃を手放してしまい、
ハルオとムサシは乱闘を始めた。

「な!?何するんだ!?離せ!!」
「離しません!どんな理由があろうと、女の子に銃を向けるなんて、放っておくわけにはいかない!」

ハルオとムサシは地面に倒れこみながら乱闘を続け、ハルオはムサシを殴り付ける。

「俺は怪獣を倒そうとしているだけだ!」
「そんな!怪獣だからって勝手に殺して良い訳がない!怪獣は『人間と共に地球に生きる仲間』なんだ!」
「何を言っているんだ!?怪獣は『人間の敵』だ!共存などあり得ない!!」

互いに互いの世界の常識を叫びあいながら、ハルオはムサシの顔面や体を殴りつけ、
ムサシはそれに抵抗する事なくハルオを押さえ付けようとする。

「あわわわわ……」

ナユナは目の前で繰り広げられる乱闘に顔を青くし、ガゴンの体を抱き締める。

「クゥ〜……」

一方、ガゴンはナユナに抱き締められながらハルオとムサシの乱闘を静かに眺めていたのだった。

「くぉ……のぉぉぉ!!」
「ぐはっ!?」

ハルオは渾身の力を込めてムサシを殴り付け、ムサシはハルオの体から引き離された。

その隙をついて、ハルオは地面に転がる光線銃を拾った……その時だった。

ぎゅっ

「……なっ!?」
「あ」
「えっ?」

「クゥ〜♪」

なんと、ナユナから離れたガゴンがハルオの足に抱きついて、子犬か子猫のように甘えだしたのだ。

「が、ガゴンくん危ないよ!」
「お、おい離れろ!離れろって!?」
「えっと……」
「クゥ〜♪」

ナユナやハルオ、呆然とするムサシをよそに、ガゴンはハルオの体に抱きつくとその顔をペロペロと舐め始める。

「えっと……」
「……ハハハッ!」

その様子はどこか滑稽でいて愛らしく、ナユナは呆然となり、ムサシは思わず笑いを漏らしていた。

「クゥ〜♪」
「ウゥ……」

一方、ガゴンに甘えられるハルオは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべていたのだった。


500 : 怪獣と人間との関係性 ◆4kMBNI9QkE :2021/05/05(水) 16:38:17 UxZYjZ8E0
【南良原ナユナ@怪獣列島少女隊】
[状態]:健康、軽く緊張、困惑
[装備]:無し
[道具]:ベビーガゴン@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜、基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:早く帰りたいけど、人殺しはしたくない
1:ガゴンくんは悪い怪獣じゃないです!
2:ガゴンくん、なんであの人に甘えてるの……?
[備考]
最終話開始前からの参戦。

【ハルオ・サカキ@アニメ版GODZILLA三部作】
[状態]:興奮、困惑
[装備]アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:主催を倒し、今度こそゴジラを倒す
1:怪獣(ベビーガゴン)を倒す
2:……(困惑)
3:怪獣は『人類の敵』だ!
[備考]
『決戦機動増殖都市(第2章)』中盤からの参戦。

【春野ムサシ@ウルトラマンコスモス】
[状態]:軽い疲労、困惑
[装備]:EYESセービングスーツ@ウルトラマンコスモス
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:一人でも多くの参加者を救う
1:宇宙服の人(ハルオ)から女の子(ナユナ)と怪獣の子供(ベビーガゴン)を助ける
2:怪獣だからって殺して良い訳がない!怪獣は『人間と一緒に地球に生きる仲間』なんだ!
3:ハハハッ!
[備考]
テレビシリーズ最終回後〜劇場版第2作開始前からの参戦。
ウルトラマンコスモスとは分離しています。
スーツは支給品ではありません。



【ベビーガゴン@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
第4話・第5話『日本『怪獣』史(前編・後編)』に登場する猿型の小型怪獣。
神化34年に東京を襲った怪獣ギガントゴンの死骸から早川博之少年が発見し、博之少年の『弟』として育てられた。
人によく懐き、大人しい。
何らかの理由でヒトと同程度のサイズで成長が止まっている。
その細胞を『日本怪獣電波社』社長・松本正次に怪獣養殖に利用されてしまう。


【アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース】
『キャプテン・アメリカ:ファースト・アベンジャー』において、レッドスカル率いる秘密結社ヒドラの兵士が使用しているアサルトライフル。
四次元キューブ(スペース・ストーン)のエネルギーを利用したビームパルスガンで、一発で人間一人を跡形もなく消滅させる威力がある。

【EYESセービングスーツ@ウルトラマンコスモス】
薄い青が基本色の特殊繊維製の隊員服で、
耐熱・耐寒性に優れ、防水・防風効果も高い伸縮自在の万能服である。
履いているブーツの踵には特殊プラスチック弾が内蔵されている。
ベルトの左腰にはラウンダーショットのホルスターが携行されているほか、バックルには特殊電波発生装置が内蔵されている。
(以上ウィキペディアより抜粋)


501 : 怪獣と人間との関係性 ◆4kMBNI9QkE :2021/05/05(水) 16:40:05 UxZYjZ8E0
投下終了します


502 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 17:44:08 D8bT9.hg0
投下します。


503 : 自由を愛する者達 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 17:46:49 D8bT9.hg0
赤き紅き血染めの月が照らす平安京ーーー

「ここは……それに私はどうして?」

慣れ親しんだ平安京という場所並びに自分がいることに戸惑いを見せる女性がいたーーー

女性の名は小野於通。
信長に見出され、秀吉に重用され、家康に信頼された才女である。

(私は、たしかに天寿を迎えて、天へ昇ったはず)
(あの、メフィスとフェレスなる童達は死者をも蘇らせる力があるのか!?)
於通はメフィスとフェレスなる童達の底知れぬ力に衝撃を受ける。

そう、於通は天寿を全うして天へ昇ったはずだったのだ。

(天は、まだこの於通に果たすべきことがあるといわれるのか……?)
於通は自らが蘇った意味を悟るーーー

(怪異溢れるこの事象に私ができることは一体……?)
「どちらにせよ、力に屈するわけにはいかぬ」
そう、生前と同じ、メフィスとフェレスがいかに権力を持とうと、於通は従う道を選ばない。

「於通は自由人なのだから」
自由ーーーそれが、於通が求めた道なのだから。

☆彡 ☆彡 ☆彡
ー天眼と英雄ー

(しかし、ぬばたまが居らぬ今、私は無力に等しい……どうするべきか)
於通にはぬばたまという忍者が常に側にいたのだが、当然この平安京には傍にはいない。
いかに、於通が天眼を持つ娘であれ、暴力には無力な一人の民草と変わりはしないーーー

「……ん?」
於通の視線にピョンピョンとジャンプする赤い帽子の人物が近づいてきたーーー

赤い帽子の男の名はマリオ。
幾度となく、冒険を繰り広げてきたキノコ王国の英雄(スーパースター)である。

「私は小野於通と申すが、よければ、そなたの名を聞かせてもらえますか?」
マリオはシュ!シュ!!シュ!!!とファイティングポーズを取りながら自己紹介をする。

「……マリオ」
(なんと、不思議……この方の瞳はまるで、御屋形(信長)様のように意思が固く秀吉様のように皆から愛され、家康公のように長く続く逸話を持たれる御方)
於通は天眼にて、マリオが持つ英雄の一面を見抜いた。

「マリオ殿、良ければ、この於通も一緒に供をしてもよろしいか?マリオ殿の荷物にならぬように働かせてもらう」
於通は天眼が導いたと確信をするーーーゆえに、マリオとの同行を望む。

マリオはピョンとジャンプする。
於通を受け入れる

「かたじけない。……それでは、参りましょう」

自由人の天眼と自由に駆け回るスーパースターの邂逅ーーーーー

【小野於通@イシュタルの娘〜小野於通伝〜 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:天眼として生き返った己の果たすべきことを果たす
1:マリオと行動を共にする
2:首輪の解除方法を探す
[備考]
※参戦時期は16巻 最終話死後

【マリオ@スーパーペーパーマリオ 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:
1:於通と行動を共にする
[備考]
※参戦時期はED前 詳細は後続の書き手様に委ねます。
※今までのマリオシリーズの冒険の経験があります。
※喋るかどうかは後続の書き手様に委ねます。

☆彡 ☆彡 ☆彡


504 : 自由を愛する者達 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 17:47:44 D8bT9.hg0
ー楽園の素敵な巫女ー

自由人の天眼と自由を駆けまわる英雄の邂逅もあれば、楽園の陽気な自由な巫女もいたーーー

「はぁ……やっかいなことに巻き込まれたわね……」

魔都と化した平安京の空を浮遊する巫女ーーー

巫女の名は博麗霊夢。
幻想郷の博麗神社の巫女。

いつものように、幻想郷で起きる異変を解決していた中、霊夢はメフィスとフェレスにより誘われた。

「殺し合い……ね」
霊夢は首に付けられた首輪を触り呟くーーー

多くの人妖を引き付ける霊夢だが、「実は冷たい人間なのかもしれない」とも評されることもある。
仲間すらも平等と見る霊夢なら、幻想郷の秩序を守るためなら殺し合いに乗ってもおかしくはないがーーー

「それでも私は楽園の巫女博麗霊夢である」
これは、「妖怪」が起こした「異変」

「妖怪の甘言に乗る、私じゃない」
巫女は人間側に立つ存在ーーー

「ここが、幻想郷の外であっても」
巫女はケツイを深めるーーー

「人間を軽々しく殺させないわ」

それが、博麗神社の巫女であるーーーーー

【博麗霊夢@東方Project 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:異変解決
1:人間は守る(妖怪などは退治)(また殺し合いに乗る好戦的な人物は別)
2:首輪の解除を考える
[備考]
※参戦時期は東方虹龍洞の異変を解決中


505 : 自由を愛する者達 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 17:47:58 D8bT9.hg0
投下終了します。


506 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 19:15:33 D8bT9.hg0
投下します。


507 : 神と神の化身 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 19:16:06 D8bT9.hg0
紅き血染めの月ーーーそれは、死へと誘う証で平安京を爛々と輝かせる。

「はぁ……月が紅い下での市場は縁起が悪いわ」

神の名は天弓千亦(うちまた)。
無主物の神にして市場のプレゼンター。

月が虹色等、「特別な時」に商売を可能にする神様。
よって「紅い血染めの月」という「特別な時」なため、商売は可能と言えば可能であるのだーーー

(それにしても、あの双子の悪魔共を焚き付けたのは天狗の仕業か?)
千亦は、本来、人の流通の概念が破たんしたせいで、落ちぶれた神となっていた。
しかし、人儲けを企む大天狗の飯綱丸龍との出会いが千亦の運命を変えたーーー

商売を開くにつれ、千亦は神としての力を取り戻してきた。
それは、飯綱丸龍が脅威だと感じるほどまで。

2人のその蜜月な関係も終わりが見えてきていたところに、この殺し合いーーー
千亦が天狗の関与を疑うのも仕方がないーーー

「まぁ、とりあえず、天狗かどうかは保留にしておきましょう」
千亦は一度、天狗の関与かどうかは隅に置く。

「不吉とは言ってられません。急ぎ、市場を開くとしましょうか」
「ふふふ……それにしても、あの悪魔達、首輪と刻印程度で神を飼いならせると思うのかしら?」
商売を繰り返されるたびに千亦の神としての神力は力を増すーーーすなわち、それは神を刻印首輪で従わせるには、限界があるということだ。

「全て無に返そう」

殺し合いの月の下、虹月市場が開かれようとするーーーーー

【天弓千亦@東方Project 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:市場を開き、商売をする
1:市場を開ける場所を探す
2:参加者に売買をさせる(支給品など)(場合によっては自らも売買する)
3:最後は全て無に返す
[備考]
※参戦時期は東方虹龍洞にて、霊夢達(異変解決者)に退治される前
※市場を開き、商売を成立させることで力が増します。
※商売のやり方は主に物々交換で両者が納得することで成立します。

☆彡 ☆彡 ☆彡


508 : 神と神の化身 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 19:17:13 D8bT9.hg0
ー聖女は英雄を探すー

神には様々な神がいる。千亦のように商売の神もいればーーー

「急いで……探さないと!……英雄を!!」
そう、少女は英雄を求める。
世界全体の運命すらも変えてしまうほどの力をーーーその力の源が何なのかを知るために。

「私は……その力を手に入れたい!」
一人でも多くの人を救うためーーー

神を分かつものーーー神の化身もいる。
神の化身の名はリアラ。

英雄を追い求めし聖女ーーーーー

【リアラ@テイルズオブデスティニー2 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:英雄を探し、その力で人々を救う
1:英雄は一体、何処にいるの……?
2:エルレイン……私は
[備考]
※参戦時期はウッドロウと謁見する前。


509 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 19:17:28 D8bT9.hg0
投下終了します。


510 : ◆8eumUP9W6s :2021/05/05(水) 21:58:51 VvYxdLmI0
投下します。
チェンジロワにて投下した作品から一部を流用・修正したものです。


511 : ◆8eumUP9W6s :2021/05/05(水) 22:00:26 VvYxdLmI0
私は、祖国を取り戻したかった。
…国を奪われた人達の為に、意識を失っていたが取り戻した妹の為に、仲間たちの為に…そして───大切な、戦友の為に。

だが…その願いはもう、叶わない。戦友は死んだ。
たとえ祖国を取り戻せたとしても…そこにあいつがいなければ、何の意味も無い。
…無いんだ…あいつを失った以上…叶えるべき願いは意味を無くし、生きる理由さえ…投げ出してしまいたくなっていた。
そんな時だったーー気が付くと赤い空の下、扶桑の建物らしき何かがある会場へと呼ばれたのは。

----

会場に放り出された少女は、当てもなく彷徨っていた。
ローツインの髪型で、幼なげな顔をした少女の名はゲルトルート・バルクホルン。第501統合戦闘航空団の戦闘隊長である。
しかし…今の彼女の目からはハイライトが消えていた。
理由は一つ、彼女は同僚であり…かけがえのない戦友だと思っている相手、エーリカ・ハルトマン中尉が死亡したと勘違いした時から、この殺し合いへと呼ばれたからである。
本来の歴史では勘違いな事に気付く…が、その前に呼ばれてしまった為…彼女は気力を失っていた。
殺し合いに乗る気力すら、今の彼女には存在しなかった。

そのまま当てもなく歩いていた所…突然謎の生物に強襲を受け、顔面に張り付かれてしまう。
普段の彼女なら、事前に察知し対応出来ていただろう。
だが今の彼女には…それは酷な話だった。

「っ…ぁ、ゔぁぁぁ…!!」

咄嗟に抵抗するも、敵わずに謎の生物は口の中へと潜り込んでいき、徐々に彼女の意識は闇の中へと沈み行く。

(クリス…宮藤…ミーナ…シャーリー…すま、ない…。
……エー、リカ……。)

妹や妹分であり命の恩人でもある少女、また同じ祖国奪還を望む上官や、喧嘩にこそ何度もなるも何かと気遣ってくる後任の大尉…そして、大切な戦友の事が、彼女の脳裏にフラッシュバッグする。

(…最後が、お前…なのか……)

そして彼女の意識が闇へと沈む前、最後に浮かんできたのは…元部下であり能力は信頼しているが、反りが合わない相手の姿であった。

----

ゲルトルート・バルクホルンの身体を乗っ取った謎の生物は、身体を試しに動かした後…笑みを浮かべる。

「…ウハハハハ!ハハッ…!ハハハハハハハハ!!!!」

『それ』は、狂ったかのように笑い続けた後…一言呟いた。

「…キエテ、カレカレータ…!!」

この言葉は、地球の言語に直すと、良い気分だと言う意味になる。
生物の名は、寄生生物セレブロ。かつて幾多の星を文明自滅ゲームと名付けた遊びにより破滅させていったものの、最後は地球にて光の巨人の前に敗北した末に、現地の人間に捕獲、解剖されていた…筈のところを主催により助けられる形となったのだ。


【ゲルトルート・バルクホルン@ストライクウィッチーズシリーズ】
[状態]:意識喪失、セレブロに乗っ取られている
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:……。
0:………。
[備考]
※参戦時期は「RtB」ことストライクウィッチーズ ROAD to BERLINの6話「復讐の猟犬」にて、ハルトマンが死亡したと誤解した直後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【寄生生物セレブロ@ウルトラマンZ】
[状態]:良い気分、バルクホルンの肉体を乗っ取っている
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:せっかくだから、このゲームを楽しむ
1:キエテ、カレカレータ…!!!
[備考]
※参戦時期は本編終了後からです。
※乗っ取り先の能力をどれだけ使えるかは不明です。

----

一方、会場のとある場所にて…一人の少女が紅き空を見上げていた。

「血の色のように、空が赤いな…こんな空では、あまり飛びたい気分にはならない」

少女の名はハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。第31統合戦闘飛行隊アフリカ、通称ストームウィッチーズに所属する、カールスラント4強の一角である。

「どうするか…とりあえず殺し合いに乗るつもりはない、が…」

マルセイユの脳裏に浮かぶのは、彼女からすると最大のライバルである…同じカールスラント4強の1人、エーリカ・ハルトマンの姿である。

「あいつが…ハルトマンが居たらその時は…決着を付けるには、ちょうどいいかもな」

そう思いつつマルセイユは、バッグの中身を確認しようとする。
…反りが合わずに犬猿の仲でこそあるものの、生き延び方を教えてくれた事については感謝の念を抱いている上官が…退屈持て余して蔓延る宇宙人(エイリアン)に乗っ取られてしまったという事を…少女はまだ、知らない。


512 : ◆8eumUP9W6s :2021/05/05(水) 22:00:53 VvYxdLmI0
【ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ@ストライクウィッチーズシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:とりあえず殺し合いには乗るつもりはない
0:後ろを振り返るな、前を見て進め
1:殺し合いには乗りたくないね。
2:もしハルトマンがいたら…今度こそ、決着を付けたいと思う自分もいるな。
3:ライーサ達まで巻き込まれていないと、いいんだが…。
[備考]
※参戦時期は「ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow vol.2 エーゲ海の女神」終了後以降からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。


513 : ◆8eumUP9W6s :2021/05/05(水) 22:02:11 VvYxdLmI0
投下終了です。タイトルは「宇宙人(エイリアン)、コンティニューを果たす」です。


514 : ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:03:00 JOq.15bk0
投下します。


515 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 22:03:26 g.asVemw0
投下します


516 : Magical grils and tozi no miko ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:03:47 JOq.15bk0

 古都、平安京の道は格子状に配置されている。
 その中の一本道、長屋が立ち並ぶ区域を一人の少女が歩く。
 金髪碧眼で高校生前後とみられるそのその少女はラフな衣装にそぐわないボディアーマーを身にまとっている。
 その少女、ミア・サイラスは歩く最中、反対方向から歩いてきた赤く長い髪をポニーテールにした少女、佐倉杏子と出会った。
 杏子は緑色のパーカーに短パンを履き、1.5lのコーラをラッパ飲みしている。
「よお、そのコーラ分けてくれないか?」
 ミアは殺し合いの現場とはとても思えない程気楽に話しかけた。当然二人には首輪がはめられている。
「これ炭酸がすっかり抜けたコーラだから、ただの甘い水だぞ」
 杏子もまた初対面の人間相手に対する態度ではない気さくな口調で答えた。
「いいよ。私は甘いものが好きなんだ」
 ミアの言葉に対し、杏子は手にしたコーラを眺め。
「一人だと多いからわけてやろうかと思ったけど、やっぱやめた。私も甘いものが好きなんだ」
 杏子はコーラのキャップを締めた。

「ところで妙なことを聞くけどお前、一度死んでないか?」
 一転して真剣な顔つきになったミアの質問に、杏子もまた真面目になって答えた。
「……ああ、ある相手とバカやって一緒に死んでやった」
「私もだ。一人の蘇った奴の暴挙を止めるため、自分の死と引き換えに殺した」
 杏子は目を見張った。ちょうど自分のことのようだったからだ。
「だからさ、この場には一度死んだ人間しかいないのかなと思って聞いた」
 ミアとその少女は単なる戦友という域を超えた関係だった。それを話すうち思い出しミアは感傷的になり、ふと上を見上げた。
 そのため、偶然にも自分たちを襲撃しようとする者を発見できた。
 その人間は長屋の屋根の上で長物を手にし、杏子に向かい飛び上がった。
 ミアはとっさに杏子を蹴り飛ばし、その反動で自分も後ろへと飛ぶ。
 杏子が驚くとともに好転して立ち上がりミアに文句を言おうとした時、爆音とともに土煙が上がった。
 何者かの襲撃と判断した二人は同時に魔法少女に変身する。
 ミアは手に持つマジカルデリンジャーからの光を全身に包み、アサルトライフルと多数のバックを装備した姿に。

 ――魔法少女・ジャストコーズ☆ミア――

 杏子は白の袖に赤いロングスカート、胸元に赤い宝石――ソウルジェムをつけた姿に。

 ミアがライフルを、杏子が槍を生み出し土煙の中央に向かい構え、相手の出方を待つ。
 煙が収まって襲撃者の姿が見える。
 その襲撃者の女性は短い金髪に女性騎士のようなそのいで立ちにランスを持っている。
 ミアは目を見張り叫んだ。忘れようもないその姿。

「――フランシーヌ⁉」

 それはニューヨークの戦いでミアと戦い相打ちになって死んだ魔法少女、フランシーヌだった。

 十条姫和は焦り、直線の道を走っていた。
『可奈美……お前もここにいるのか?」
 姫和に与えられたバッグ、その中身を見て姫和は驚いた。
 それは御刀『千鳥』だったからだ。
 姫和や可奈美は『ノロ』と呼ばれる怪物と戦う『刀使』と呼ばれる学生の剣士である。
 刀使はそのため『御刀』という特殊な刀に選ばれ、様々な能力を行使できる。
 逆に言えば御刀が無ければ刀使は剣腕に優れていてもただの女学生だ。
 姫和に支給されたのは可奈美の御刀である『千鳥』。
 もう二つはとても姫和には使えそうもない代物だ。
 当然姫和も刀使としての力は行使できないのだが、それ以上に可奈美のことを案じている。
 姫和は可奈美に何度となく助けられた。勝手な暴走をした時も止めてくれた。最後の時まで共にいてくれた。
 だから千鳥がこの手にある以上、今度は自分が可南美を助ける番だ。
 そう焦りながら道を走っていると、曲がり角付近で爆音が響いた。
 姫和が隅から覗くと、そこには三人の武器を持った少女たちがいた。


517 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 22:03:53 g.asVemw0
あ、御先どうぞ


518 : Magical grils and tozi no miko ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:04:40 JOq.15bk0
 ――魔法少女・シュバリエ☆フランシーヌ――
 彼女はミアの世代で最強の魔法少女と呼ばれ、地冥界との戦争で魔法少女たちのリーダーを務めていた。
 だが、ある任務で命を落とした。
 それから3年後、今度はニューヨークの大量虐殺テロでその首魁として現れたのだ。
「お前……本当にフランシーヌなのか?」
 動揺を隠せないミアに対し、フランシーヌは微笑んだ。
「『最後に笑う者が最も良く笑う』。私たちの合言葉、覚えてるだろ?」
ミアは体を一瞬震わせた。
「そう、僕は君と相打ちになって死んだフランシーヌだ」

 その通りだ。私はフランシーヌの突きを腹に受け、そのまま貫通させて一気に懐まで飛び込み心臓にナイフを突き立てたんだ。
 そうして私たちは死んだはずだ。 

「それが何でここにいる? 私も生き返ったのと関係あるのか⁉」
「そう簡単に教えられないね。そうだな、僕に一撃入れるたび質問に一つずつ答えてあげる」
 言い終える前に杏子が飛び上がり、槍をフランシーヌに突いた。
「何二人だけの世界になってんだ!」
 フランシーヌは足を引き、杏子の槍をかわした。
「日本人の魔法少女は確かあすかとくるみとあと一人しかいなかったはずだけど……君は非合法魔法少女なのかな?」
「随分知り合いが少ねえんだな! 私の知り合いだけでも随分といるぜ!」
 繰り出す杏子の槍を手に持つランスで捌くフランシーヌ。
 上段から一気に叩きつける杏子の槍をフランシーヌはランスで受け止める。
 だが、杏子の槍が途中で別れ、フランシーヌの背中を傷つけた。
「マジカル多節棍……いや槍だから多節鎗か。ペイペイの武器に似てるね」
 傷を意に介さず、フランシーヌは相手の武器を分析する。
「説明するよ。僕はとある相手に蘇らせられた上に宿業を植え付けられ、狂わされた者『八将神』の一人だ」
 言いながらフランシーヌは近くにあったミアのバックを石突で担ぎ杏子に叩きつけた。
 その衝撃で中身の一つであった刀が中から飛び出す。
 それは十条姫和の御刀『小烏丸』であった。
 今まで陰から二人の戦いを見ていた姫和は、角から飛び出す。
 ミアが声を上げたが無視して、小烏丸を取り上げ、一気に抜いて突進した。
 フランシーヌが姫和に反応して攻撃してきたが、姫和の学んだ鹿島新當流には、槍や薙刀などの長物を相手とした技が存在する。
 フランシーヌの突き入れた槍を姫和は刀で刷り上げて跳ね上げ、間髪入れず体を左半身に入れ替え刀の峰に手を添え、フランシーヌの腕を斬りつつ喉への突きを放つ。

 ――鹿島新當流 霞の太刀 突留 その変形――

 フランシーヌは首を傾けて突きをかすり傷ですませ、槍を反転させて石突で顎をかちあげようとし、姫和はそれを身を引いてかわした。
「貴様は、いや貴様たちは殺し合いに乗っているな! 答えろ! 『八神将』とはいったい何者だ!」
 正眼に構えた姫和が叫ぶ。
「いいね! 乱入は大歓迎だ。殺すのに探す手間が省ける」
 心底嬉しそうにフランシーヌは顔をほころばせる。
「君は一度に二回傷をつけたから二つ答えよう。『八神将』はただこの場にいる人間を皆殺しにするためだけに用意された枠だよ。
 その為に宿業――元の人間の魂、在り方を歪め、破壊と殺戮だけを行う兵器へと人を変える業を植え付けられた者たちだ」


519 : Magical grils and tozi no miko ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:05:36 JOq.15bk0
(では失礼して。)


 皆殺し。兵器。魂を歪める。
 その言葉に今まで動かなかったミアがフランシーヌに向かう。
 ミアのライフルの銃剣でによる刺突。それをフランシーヌはかわしてゆく。
 紙一重でかわされた瞬間、ミアはフランシーヌの耳元近くで発砲。それにより一瞬フランシーヌの三半規管が揺らされ、体がわずかに踊る。
 その隙を見逃さず、ミアはバックから取り出したパヨネットでフランシーヌの腹を突く。
「腕を上げたね、ミア。僕との最後の戦いで成長したのかな?」
 唇から血を流し、フランシーヌは微笑む。
「お前は悪事だと自覚していたが、社会を良くしたいという思いで戦っていた。それも狂ってしまったのか?」
 まるで自分が傷ついたかのように顔を苦痛に歪めミアは尋ねる。
「そうだよ、ミア。僕も信念を捻じ曲げられた。あすかが言ったマジカルファシズム、あれを実行しようと思う。
 具体的には悪人を魔法少女の力で皆殺しにして見せしめにする。
 道徳のない人間、敵意、悪意ある人間も殺す。
 そうして僕が認めた心正しい人間だけの世界を作る」
「……そんなことしたら、生き残るのはお前とお前の父親だけになるだろ……」
「それしか正しい人間がいないのなら仕方ない。地球に住む人間すべてが罪人で生きるに値しないというだけだ」
「それはファシズムどころかジェノサイドだ……!」
「ジェノサイド……マジカルジェノサイド……いいね、それ」
 ますます感じる苦痛で歯ぎしりするミアに対し、フランシーヌは澄んだ笑顔で答えて見せた。
 あの最後の戦いのとき、自分の罪と理想を語ったそれを彷彿とさせる笑顔で。
 その笑顔を見てミアは、ようやく本当にフランシーヌは狂わされてしまったのだと理解した。
 愕然としたミアを蹴り飛ばし、フランシーヌは三人から同距離の間合いを取る。
 ミア、杏子、姫和、そしてフランシーヌ。
 互いに次の一手を探る中、真っ先に動いたのは姫和だった。


520 : Magical grils and tozi no miko ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:06:00 JOq.15bk0
 こんな危険な人間が、否、化け物が八体もいるのなら可奈美の身が危ない。
 ならばせめて一体だけでもこの場で仕留めておく。

 姫和が今使える最大威力の技。刀使が使う速度を上げる『迅移』を一瞬で三段階まで上げて突く『一の太刀』。
 一息つき姫和がフランシーヌに向けて飛び込む。ミアも杏子も視認できない瞬間加速だ。
 唯一来るとわかっていたフランシーヌは姫和の一撃を感で読みランスで受け止めたが、勢いは殺せず数十m地面を削ってようやく止めた。
「これが君の全力か。これだけの速度を出せるのは魔法少女でもそうはいない」
 フランシーヌと組み合った姫和に、フランシーヌの血が額にかかった。
 受け止めたフランシーヌにミアと杏子はそれぞれ銃弾を頭部に、槍を脇腹に入れていたからだ。
 それでもフランシーヌは平然としていた。
「今二回攻撃を入れたから二つ情報を教えてあげる。
 僕たち八神将は心臓を貫かれない限り、頭を撃たれても死なないしすぐに回復する。
 そして、八神将を殺せば首輪は解除される」
 フランシーヌは一の太刀の反動で動きを止めた姫和にランスの柄を脇腹に叩き込んだ。
 吹き飛んだ姫和を含めた三人がフランシーヌの視界に入った時、フランシーヌは両手の親指と人差し指で枠を作る。
 すると、三人の周囲が青紫色の立方体で囲われた。
「これはあいつの魔法のキューブだ! 早く打ち破らないと三人纏めて30cm3のサイコロまで圧縮されるぞ!」
 この中で魔法の正体を知っているミアが叫ぶ。
「もう少し戦いたかったけどここまでだよ。僕はこの場にいる者全員を殺さなきゃならないんだから、もう君たちにかまっていられない」
 キューブが地面を削り、縮まってゆく。ミアが撃ち、姫和が切りつけ、杏子が突くがまるで効果がない。
「これで生き残れたらまた会おう」
 フランシーヌの傍に光とともにバイクが現れる。これがフランシーヌのマジカルランスと同じ自らの魔力で実体化できるマジックアイテム『マジカルドゥカティ』だ。
「マジカルカロリー・ロールアップ!」
 それは魔法少女が必殺技を撃つ準備が整った合図。
 この空間もろとも吹き飛ばす気だ。三人はそう理解した。
 特にフランシーヌの切り札を知っているミアは戦慄した。この密閉空間の中でマッハ2のランスチャージを使われたら、衝撃波は内部で何倍にも膨れ上がる。
 たとえ命中しなくても衝撃波だけで三人纏めて脳や内臓が破壊される。
 どうするべきか。同じ考えを浮かべたミアと姫和と杏子の一瞬目を合わせたアイコンタクトと小さなうなずき。三人の意志は一つに繋がった。
 自分の持つ最大武器でこの結界を打ち破る!
「マジカルカロリー・ロールアップ!」
 ミアは自分の左側に銃口を向け、魔力を銃に集中させる。
「ジャストコーズ・シージバリスタ!」
 そこから放たれるミアの切り札、戦車砲をはるかに凌ぐ一撃。
「一の太刀!」
 姫和は自分の右側に向かい、一瞬で音速まで加速した飛び込み突きを打つ。
「ぶち抜け!」
 杏子は巨大な穂を持った槍を作りだり、上部に飛び乗り槍を伸ばしてキューブの天井に叩きつける。
 キューブが砕けるのとフランシーヌのチャージが衝突するのはほぼ同時だった。


521 : Magical grils and tozi no miko ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:06:18 JOq.15bk0
「おい……生きてるか?」
 瓦礫になった長屋の屋根を持ち上げ、ミアが他の二人に話しかける。
「なんとかな……ちっ、お前らがいなかったら私だけだと死んでたじゃないか」
 仰向けのまま杏子は実感する。結界を砕いてなおこの衝撃波の威力。内部で増幅されていたら、ソウルジェムごと全身が砕かれていた。
「私も一応は無事だ。しばらく力は使えそうにないがな」
 瓦礫から身を出し声をかける姫和。二度の全力の迅移と肉体のダメージを肩代わりする『写し』を行ったため、精神力を消耗していた。
 三人は周囲を見渡す。直線の道路に並び立っていた長屋が数百mにわたって瓦礫と化していた。
 フランシーヌの一撃により、キューブから脱出したミアと姫和は衝撃波によって長屋に激突。杏子は上空に吹き飛ばされていた。
 フランシーヌの方は本当に去ったらしく、どこにも気配がない。
 
「それで、お前たちはどうする?」
 全身の埃を払い、三人がそれぞれの支給品が入ったバッグを持って集まったところでミアが言った。
「私は勝手に人を生き返らせた挙句、親友を人殺しの兵器に変えた奴らを許せない。お前たちは?」
「私はやりたい事勝手にやって勝手に死んだからな。今更帰る気もないけど死ぬ気もないな」
「私は脱出が優先だ。それに……親友がこの場にいるかもしれない。彼女は私より剣術の腕は上だが、人は殺せない。
 それに能力を使うために必要な御刀がここにある。もしいるなら危険な状態だから早く合流したい」
「私も相打ちになった奴が生き返ってここにいるかもしれない。できれば会いたいな」
「じゃあ決まりだ。私も他の魔法少女がいるか探してみたい。しばらく行動を共にしようか」
「仕方ねーな。とりあえず目的が一致しているのならそうするか」
 杏子はバッグの中に手を突っ込み、バナナを三本出した。
「お前らも食うか?」
 ミアと姫和は互いに顔を見合わせ、ぷっと吹き出し杏子の取り出したバナナを取った。
「そうだ、お前が持っていた御刀のおかげで私は助かった。見たところ銃火器が使えるようだから、私の支給品を持っていけ」
 そういって姫和が取り出したのは、手榴弾のセットだった。説明書がついていて投げ方や中身について書いてある。
「魔法金属入りの手榴弾かよ。刀一本の取引にしては贅沢な代物だな。これだけあれば主力戦車の10台は潰せるぞ」
「構わない。どうせ私には使えそうもないからな」
 受け取ったミアは、一発ずつ姫和と杏子に渡した。
「使えなくても二人ともってけよ。いざという時役に立つだろ」
 ミアは服のバッグに手榴弾をしまい込み、自分の支給品が他に何があるかバッグに手を入れた。
 すると、突然巨大な何かが盛り上がって出てきた。三人はとっさに離れた。
 それは車だった。ただの車ではない。正面がトラックのようで、そのフレームの上に車両を二台重ね合わせた形状をしており、前部と後部のタイヤの大きさが違うから前方に車体が傾斜している。
 二重車体の上部には何やら鯨取りにでも使いそうな槍の大砲や似ただけで火炎放射器とわかる物まで設置してある。
 どこかのいかれた人間がいかれたまま豪快にカスタマイズした車だ。
 この文明崩壊後の世界的なセンスの車には全員があっけにとられた。

「……まあ、これなら八人くらいは乗れるだろ。運転は任せろ」
 とりあえず落ち着いたところで三人は車のドアに手をかけた。
「まだ名前を聞いてなかったな。私は米軍特殊曹長の魔法少女、ミア・サイラスだ」
 バナナを片手に持ちながら車のエンジンをかけるミア。
「アメリカじゃ魔法少女が軍人になるのか? あ、私は佐倉杏子。お前と同じ魔法少女だ」
 食べ終えたバナナをバックにしまい、新しくバナナをむく杏子。
「魔法少女とやらの説明を聞きたいな。私は刀使の十条姫和だ」
 乗り終わった後、バナナの皮をむく姫和。
「なんか魔法少女に関しても私と杏子では違いがあるみたいだ。人探ししながら姫和の刀使も含めて情報交換といこうか」
 フルアクセルでタイヤを焦がし、三人はそれぞれの知己を求め出発した。


522 : Magical grils and tozi no miko ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:06:44 JOq.15bk0

【ミア・サイラス@魔法少女特殊戦あすか】
[状態]:負傷(小)、魔力消費(小)
[装備]:マジカルデリンジャー@魔法少女特殊戦あすか、精霊真鍮手榴弾×28(バッグ付き)@魔法少女特殊戦あすか
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:あの双子を殺し、殺し合いを粉砕する。乗った奴らには容赦しない。
1:フランシーヌ……。
2:あすかたちもここにいるのか?

[備考]
※参戦時期は死亡後です。

【マジカルデリンジャー@魔法少女特殊戦あすか】
 ミアが魔法少女に変身するためのアイテム。変身するとアサルトライフル状に変化する。
 本編で名前を呼ばれる場面はないが、他の魔法少女の変身アイテムもマジカル○○という名前なのでこの名称と思われる。

【精霊真鍮手榴弾@魔法少女特殊戦あすか】
 精霊真鍮(オルカリウム)を微小ベアリング弾にして内部に仕込んだ手榴弾。
 魔力を帯びたこの手榴弾は通常のそれの威力をはるかに凌ぎ、底面からなら戦車も数発で破壊する。

【ギガホース@マッドマックス怒りのデスロード】
 劇中のボス、イモータン・ジョーの愛車。1959年モデルのキャディラック・ドゥヴィルのボディを二重に乗せ、V8エンジンをダブルで搭載した大型トラックのシャーシを使用。
 後部タイヤがさらに大型トラック用のダブルタイヤで車体が前方に傾斜している。捕鯨砲や火炎放射器などの武器も載せている。

【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:負傷(背中の強打による打撲傷・再生中)、ソウルジェム(濁り・小)
[装備]:多節鎗、ソウルジェム、炭酸抜きコーラとバナナとおじやの詰め合わせ@グラップラー刃牙、禍沼アリスのステッキ@魔法少女サイト、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、精霊真鍮手榴弾×1
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:今更生き返って戻る気もないが死ぬ気もない。
1:もしかしてさやかも生き返っているのか?。
2:もしそうだったら会いたいな。

[備考]
※参戦時期は第9話の死亡後です。

【炭酸抜きコーラとバナナとおじやの詰め合わせ@グラップラー刃牙】
 炭酸抜きコーラはエネルギー効率が極めて高く、レース直前に愛飲するマラソンランナーもいるそうだ。
 特大タッパのおじやとバナナも即効性のエネルギー食で、梅干しも添えて栄養バランスもいい。

【禍沼アリスのステッキ@魔法少女サイト】
 ステッキと名はついているが携帯電話型で、1分間だけ時を戻すことによって、一度は死んでしまった者も死ぬ前の時間に戻して復活させることが可能。
 使うたびに寿命が縮む。杏子の場合、ソウルジェムの穢れが溜まる。

【グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ】
 魔力の消費によるソウルジェムの穢れを吸って移し替えることができる。

【十条姫和@刀使ノ巫女】
[状態]:疲労(小)、焦燥
[装備]:小烏丸@刀使ノ巫女、千鳥@刀使ノ巫女、精霊真鍮手榴弾×1
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いの場から脱出する。
1:千鳥がここにあるのなら、可奈美もここにいるのだろうか。
2:もしいるのなら危険だから早く合流しないと。

[備考]
※参戦時期は最終回後です。

【小烏丸@刀使ノ巫女】
 十条姫和の御刀。切先から物打までが両刃になっている。
【千鳥@刀使ノ巫女】
 衛藤可奈美の御刀。雷を斬ったという伝説から『雷切』の異名を持つ。


523 : Magical grils and tozi no miko ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:07:04 JOq.15bk0
 フランシーヌの乗るマジカルドゥカティはすでに60km/s程に速度を落としている。
「いやあ、魔法少女以外にもすごい人間はいるんだね」
 感慨深くフランシーヌはつぶやく。
「あんな人たちがいるなら皆殺しにするのは、他の八神将もちょっと手間がかかるかな?」
 皆殺し。元のフランシーヌは社会システムを憎んでも人間全体を憎むことはしなかった。
 狂わされた信念を抱え、フランシーヌは獲物を求め進む。


【八神将枠】
【フランシーヌ@魔法少女特殊戦あすか】
[状態]:健康、狂化
[装備]:マジカルランス、マジカルドゥカティ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~3
[思考・状況]
基本方針:マジカルジェノサイドの名のもとに、全ての人間を殺す。
1:ミアも来てたんだ……。
2:あの魔法少女は非合法魔法少女なのかな?
3:魔法少女以外にもすごい人間はいるんだ。

[備考]
※参戦時期は死亡後です。

【マジカルランス@魔法少女特殊戦あすか】
 フランシーヌが魔法少女に変身するためのアイテム。

【マジカルドゥカティ@魔法少女特殊戦あすか】
 フランシーヌが魔法少女の時に召喚できるアイテム。マッハ2を叩き出す。
 これとランスを合わせたチャージは戦車砲の数十倍の威力になる。


524 : ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 22:07:52 JOq.15bk0
投下終了です。()内の文はwiki収録の際に消しておきます。


525 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 22:13:50 g.asVemw0
割り込み失礼しました。改めて投下します


526 : 失楽園 ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 22:15:42 g.asVemw0
「出られないようになっているな。」

 舞台となるエリアの隅
 黒に金のラインが目立つ鎧をまとう、
 焦げ茶色の髪の青年が何もない空間に手を伸ばす。
 だがそこには何かがあるのか、途中から先には進まない。
 何かの結界によってそれより先は進むことができず、、
 多少力を使っても血界が壊れるような気配はない。

「少なくとも、奴の仕業ではないと見ていいか。」

 彼、サンダルフォンが思い出すのはあの塔で復活を目論むベルゼバブのことだ。
 天司長を盤上の駒にできると言えば主に浮かぶの三人ではあるが、
 そのうち二人は退場し、残ってるのは再び復活を目論む不滅殺しの翼以外にない。
 だが彼なら障害となる特異点を見せしめにして、そもまだるっこしいことはせず、
 障害となりうる人物……この場合はカリオストロや自分も殺している。
 こうして生きてる以上彼が黒幕の可能性は皆無に等しい。

(まずは特異点がいるかどうかの確認を優先しよう。)

 ベルゼバブが関与してなければ特異点か、
 あの騎空団の関係者も参加者にいる可能性はある。
 カリオストロがいれば頼もしいが、流石にそれは高望みだ。
 首輪をどうこうできる人物を考えなしに参加させるとは思えない。
 寧ろ参加させられていた場合彼女も手玉に取れてると言うと、
 かなり厄介なことにもなるが。

「少なくともこんな端では人は来ないだろう。
 ヘイアンキョウ、といったか……人の居住地は中央か。」

 サンダルフォンんは色鮮やかな六枚の翼を広げて空を飛ぶ。
 移動速度も高度も明らかに落ちていることは、
 この端に移動するまでに既に気付いている。
 所謂強すぎる相手への制限といったところだろう。
 とは言えスペックは落ちてると言えども天司長。
 並の相手には後れを取ることはまずないが。

(ルシフェル様が守ろうとした空を脅かすのであれば、天司長として戦うだけだ。)

 あの二人がどのような目的を持っているのかはいまだ分からない。
 だがこうして天司長を難なく巻き込むことができるその力と殺し合い。
 少なくとも阻止しなければならない相手であることは確実だ。
 空の世界を任された復讐の天司は、血染めの空を舞う。

【サンダルフォン@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスの企みを阻止する。
1:特異点や関係者を探す。
2:奴らは何を考えている?
3:いつもの剣がないのは困る。
[備考]
※参戦時期は少なくとも000エピローグ以降です。
※制限でパラダイス・ロストは使用できません。


527 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 22:16:31 g.asVemw0
投下終了です


528 : ◆5IjCIYVjCc :2021/05/05(水) 22:25:22 X9i.iiTQ0
投下します


529 : 本物 ◆5IjCIYVjCc :2021/05/05(水) 22:26:03 X9i.iiTQ0
平安京のとある場所に二人の男がいた。

その内の片方の男の名は凰蓮・ピエール・アルフォンゾ、本名は凰蓮厳之介という。
本物というものに強いこだわりを持ち、フランス国籍を得るために従軍し、本場で一流パティシエの資格を得た男である
ちなみにオネエでもある。

また、彼は沢芽市という場所で街を守るために戦ったアーマドライダーでもある。
初めは他のアーマドライダーと衝突することもあったが、やがては頼りにされるようにもなった男である。
そして、ヘルヘイムの侵略や黄金の果実を巡る争いを生き残った歴戦の戦士である。

そんな彼が出会った人物とは……


「まさか、本物の織田信長公のお目にかかれるなんて思いませんでしたわ」

「はっはっは、そうであろう」


それは、紛れもなく本物の織田信長であった。

より正確言えば、その男は教科書等に載っている狩野宗秀が描いた長興寺に所蔵されている肖像画の織田信長そのものの姿をしていた。

凰蓮が相手を本物の織田信長と認識したのもこのためであった。


「信長様的にはどうなのかしら?平安京で殺し合いをするってのは」

「ふむ…やはり儂としても京の都での狼藉は見過ごせん。このようなくだらぬ茶番はさっさと潰すに限る」

「なら、ワテクシにもそのお手伝いをさせていただけませんこと?幸いにも、元のように戦うための力がありますの」

「ほう、それは頼もしい。ならばそなたの力、この織田信長の下で最大限に活用してやろう」

「まあ!それは光栄ですわ!」

こうして、本物にこだわる二人の男が殺し合いの打倒のために手を組んだ。


「さあ、待ってなさいなお嬢ちゃん達!ワテクシにベルトを渡したことを後悔させてやりますわ!オーホッホッホ!」

「はははははは!(甲高い声)」


【凰蓮・ピエール・アルフォンゾ@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、ドリアンロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:主催者を打倒する
1:織田信長と一緒に行動する
[備考]
・本編最終回後から参戦です。


【本物信長@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いから京の町を解放する
1:凰蓮・ピエール・アルフォンゾと一緒に行動する
[備考]
・Fate/Grand Order内のイベント、『オール信長総進撃 ぐだぐだファイナル本能寺2019』の記憶があるかどうかは後続の書き手におまかせします。


【量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
仮面ライダー鎧武における変身ベルトの一種。
ロックシードを装填することでアーマドライダーへ変身することができる。
元となった戦極ドライバーはイニシャライズという機能により最初に装着した人物しか使えなかったが、量産型はこの機能が廃されている。

【ドリアンロックシード@仮面ライダー鎧武】
ロックシードの一種。
戦極ドライバーへの装填によりドリアンアームズのアーマドライダーに変身することができる。
凰蓮・ピエール・アルフォンゾがこれと戦極ドライバーを用いて変身した戦士はアーマドライダーブラーボと呼ばれていた。
量産型戦極ドライバーとセットで一つの支給品として扱われる。


530 : ◆5IjCIYVjCc :2021/05/05(水) 22:26:19 X9i.iiTQ0
投下終了です。


531 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 22:39:39 D8bT9.hg0
投下します。


532 : ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ! ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 22:41:48 D8bT9.hg0
紅き血染めの月が「お〜〜〜ほほほほ!!!!」

高笑いするオカマ……異星人がいた。

異星人の名はハイグレ魔王。
地球侵略を目論む異星人。

「それにしても。メフィスとフェレスちゃんたちったら、面白そうなことを企んでいるじゃな〜い♪」
「アタシ、そういうのは好きよ♪」

メフィスとフェレスが開いた殺し合いにハイグレ魔王はご満悦だ。

「そ・れ・に、どうやらこれらの支給品はアタシも知らない魅力に溢れた物ばかりで、どれも魅力的だわ💗」
ハイグレ魔王は自身に支給された未知なる道具にご満悦。

「全てこのアタシ、ハイグレ魔王がいただくわよ〜〜〜〜〜💗」

【ハイグレ魔王@クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王 】
[状態]:健康 
[装備]:ハイグレ光線@ アクション仮面VSハイグレ魔王
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:未知なる支給品を全て頂いて優勝する
1:支給品を集める(使えなさそうな参加者は始末する)
2:逆らうやつはハイグレ光線でハイグレの刑よ💗
[備考]
※参戦時期はしんのすけ、アクション仮面と戦う前

【ハイグレ光線@アクション仮面VSハイグレ魔王】
ハイグレ光線を放つことができる銃。
撃たれた相手の衣服はハイレグレオタード姿に変わり、ハイグレ魔王軍の部下と化してしまう。
それだけでも、屈辱の極みであるが、真に怖ろしいのは「ハイグレハイグレ」の掛け声と共に強制的に卑猥なポーズを取ることである。
つまり、無○だろうがセ○ィロスであろうがこの光線を浴びたら「ハイグレハイグレ」なのだ。
なんと、怖ろしい銃なんだ……
メフィスとフェレスにより制限が加われている。
3時間に一度しか使えない。
また、破壊されると洗脳が解けてしまいます。

☆彡 ☆彡 ☆彡


533 : ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ! ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 22:43:22 D8bT9.hg0
魔王ならぬオカマが高笑いする様子を隠れて見ていた女性がいた。

女性の名は上野まり子。
上新学園の生徒で、この殺し合いとは別の殺し合いに参加させられていた参加者である。

(何よ。あのオカマ……あれは、危険だわ。近づかない方がいいわね)
まり子はハイグレ魔王の様子から、危険人物と判断をして、離れようとする。

(早く、安全な参加者と合流してチームを……)
まり子は他の参加者とチームを組もうとするが、足が止まるーーー

「……」

『別に、どこにも行かねーよ。ここにはいたくねーだけだっつの』
まり子の脳裏に想起されるのは、休憩中での一幕。

チームとして、まり子は食べ物・飲み物の分配を行った。
ある参加者が余った水を他の参加者に差しだしたのを咎めた私だが、その参加者に先の言葉を投げかけられたのであるーーー

「……」

『正義を貫こうとすれば情は通らず、情だけで世界は回らない』
次に想起するのは、つい、ポロリと漏らした言葉に返答してくれた参加者、藤田修平の言葉。

「集団行動は一人が決まりを破ると、一気に成り立たなくなる……私は、間違ってないわ……よね」

上野まり子は己に言い聞かせながら、歩みを再会したーーーーー

【上野まり子@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage 】
[状態]:健康 落ち込み(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:ハイグレ魔王さまの指示を守る
1:他の参加者と合流しなきゃ……
2:私が間違ってるの……?
[備考]
※参戦時期はルートA不都合な真実の中

☆彡 ☆彡 ☆彡


534 : ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ! ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 22:45:21 D8bT9.hg0
「み・つ・け・た・わ・よぉ〜♪」

「え……きゃあああああ!?」
ハイグレ魔王に見つかり、悲鳴を上げるまり子ーーー

「何をぉ〜、いくら何でもそんな悲鳴は傷つくわよ!」
ハイグレ魔王は悲鳴を上げたまり子に苦言を伝える。

「う……五月蠅いわね!そもそも貴方、どうしてそんな恰好をしているの!?」
まり子は狼狽しつつハイグレ魔王の格好にツッコむ。

「あら?だって、アタシは「ハイグレ魔王」なのよ。ハイグレ魔王が、ハイグレの格好をしていて何が悪いの?」
ハイグレ魔王はまり子の指摘にあきれつつ答えるーーー

「はぁ!?それに魔王ですって!?貴方、おかしいんじゃないの!?魔王だなんて……ゲームじゃあるまいし……」
まり子にとって魔王なんてファンタジーの存在。魔王を名乗るハイグレ魔王の存在を認められないのだーーー

「……」
「な、なによ……」
黙り込むハイグレ魔王にまり子は後ずさりするーーー

「はぁ……アンタ、頭が固すぎなのは殺し合いでは致命的よ」
「えっ!?」

ズピューンーーーーーー

「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
なんと、まり子はハイグレ光線を浴びたため、青色のハイレグレオタード姿になってしまったのだ。

「おほほ♪やっぱりぃ〜、スカした奴や真面目ちゃんタイプには、ハイグレ光線は最高に面白い効果を発揮するわぁ〜♪」
堅物の委員長タイプの上野まり子にとって正に屈辱であろうハイグレ姿。
ハイグレ魔王は高笑いする。

「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
ハイグレ魔王の言葉にまり子は「ハイグレ!」で返答する。

「いい?アンタは参加者の情報を集めなさい。そうね……夜にここで待ち合わせをしましょうか」
ハイグレ魔王は地図を広げ、部下となったまり子に夜に指定した場所で合流することを伝えた。

「それと、アンタ、弱っちいから、戦闘はしなくていいわ。あくまでも、情報収集に徹しなさい。いいわね」
ハイグレ魔王はまり子の戦闘能力を察し、念を込めて命令した。

「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!……わかったわ。ハイグレ!」
まり子はハイグレ魔王の部下として行動を開始するーーーーー

【上野まり子@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage 】
[状態]:健康 ハイグレ状態
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:ハイグレ魔王さまの指示を守る
1:参加者の情報を集める(支給品を奪える隙があれば奪う)
[備考]
※参戦時期はルートA不都合な真実の中
※ハイグレ光線でハイグレ魔王の部下となりました。ハイグレ光線が破壊されたら洗脳が解けます。
※参加者に怪しまれないため、参加者と会話する際は普通の口調となります。

【ハイグレ魔王@クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王 】
[状態]:健康 
[装備]:ハイグレ光線@ アクション仮面VSハイグレ魔王
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3 まり子のランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:未知なる支給品を全て頂く
1:使えそうな参加者は部下にしつつ支給品を集める
2:逆らうやつはハイグレ光線でハイグレの刑よ💗
3:部下のまり子からの報告を楽しみにしている
[備考]
※参戦時期はしんのすけ、アクション仮面と戦う前
※上野まり子をハイグレ光線で部下にしました。ハイグレ光線が破壊されたら洗脳が解きます。


535 : ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ! ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 22:45:33 D8bT9.hg0
投下終了します。


536 : ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 22:47:48 xqXDFgt.0
キャラ被りですが投下します


537 : 月と日の相克 ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 22:48:46 xqXDFgt.0

鬼殺隊霞柱、時任無一郎は殺し合いが始まると同時に己の立ち位置を明確にしていた。
即ちメフィスとフェレスなる二人の主催者に対する反抗の構えである。
無一郎自身を含めて不特定多数の人間を無理矢理に拉致して殺し合いを強要し、あまつさえ二人の少女を惨たらしく殺害した外道。
鬼殺隊が戦う鬼と同様、あるいはそれにも劣る字義通りの鬼畜の所業。
そんな悪鬼どもに柱である無一郎が与し、殺し合いの進行を助ける理由など微塵もない。

「僕の日輪刀は……ある。じゃあ何故一度没収したんだ?」

とはいえ非武装の状態で放り出された以上支給された荷物の確認は不可欠だった。
支給された物品の大半は大正時代の、それもお世辞にも十分な学があるとは言えない無一郎にとって理解できないものだった。
しかし使い慣れた愛刀は見間違えるはずもなかった。

「これで人を殺し回れってこと?するはずないだろそんなこと」

岩塊よりも硬い鬼の頸を断ち切る日輪刀も、そのための戦闘技術である呼吸も人喰い鬼を斬るためのものだ。
己の命惜しさに人を斬るようならそもそも無一郎は鬼殺隊になど入っていない。
使い慣れた武器を返したところで自分たちに反逆など出来るはずがないと馬鹿にされているのだ。今にその報いを受けさせてみせる。

(しかしこの首輪をどうしたものか……他の参加者なら外す方法に心当たりがあるかもしれない)

問題は主催者の匙加減一つでいつでも起爆できるであろう首輪だ。
どうにかして主催者を出し抜き首輪を外す必要があるが、思い当たる鬼殺隊の仲間にこの手の技術に長けていそうな者はいない。
というか鬼殺隊の隊士、特に柱はこの場に居ないに越したことはないとさえ思っている。
鬼の首魁である鬼舞辻無惨との決戦が近い中、鬼殺隊の中核である柱が何人も拉致されているなどあってはならないことだ。
故に無一郎は名簿を確認するまでもなく他の参加者との接触を求めて行動を開始しようとしていた。


その時だ、目線の先に一人の鬼を見つけたのは。


その存在を視認した瞬間、知らず身体に怖気が走り震えが止まらなくなった。
腰に差した刀を抜こうとしているのに一向に抜けない。本能が目の前の存在と戦うことを全力で拒否している。
顔中から脂汗が流れる。意識を切り替え呼吸を落ちつけようとしているのに身体が全く言うことを聞かない。

「お前は……そうか……継国の子孫か……」

いつの間にか無一郎の前に立っていた鬼は大正の時代からは外れた古侍の如き出で立ちだった。
紫の着物に歪な形状ながら刀を携えている。
しかし何より特徴的なのは人間には有り得ない六つの眼とその眼から溢れるように流れる血涙、そしてうっすらと見える「上弦 壱」と左右それぞれの眼に刻まれた数字だった。

(上弦の壱…!?それにこいつは今何と言った……!?)

鬼舞辻の配下、十二鬼月でも頂点に立つ鬼が無一郎の眼前に立っている。
威厳すら感じられる重厚な構え、加えて鬼としての気配も以前斃した上弦の伍などとは比べものにならない強大さだ。
逆に何故ここまで接近されるまで気配に気づけなかったのかが不思議なほどだ。
だがそれだけではない。鬼としての強さだけではない、名状しがたい禍々しさは一体何だ。
痣を発現させて動こうとするも、相変わらず一歩たりとも動けない。蛇に睨まれた蛙のようだ。

「痣……なるほど、流石は我が末裔……。
萎縮し身動きが取れぬことを恥じる必要はない……彼我の力量差を正しく理解できるのはお前が強者であることの証だ……」


538 : 月と日の相克 ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 22:49:31 xqXDFgt.0

鬼らしい傲慢な上からの物言いに反論してやりたかった。実際鬼に舌戦でやり込められるような柔い精神力では鬼殺の剣士などやっていられない。
だというのに舌を動かすことさえままならない。心は折れていないのに本能が、魂がどうしようもなく屈服してしまっている。
何をしようとも僅かでも動いた瞬間殺されると本能的に理解できてしまう。この鬼はただそこに在るだけで痣者にして柱たる無一郎の戦意をへし折るほどの領域に立っている。

「だからこそ残念だ……このようになり果てていなければ鬼となり更なる強さを求める道もあったであろうに……。
最早私はあの御方に仕える十二鬼月の黒死牟ではない……ただ一切鏖殺を成す主催の者どもの走狗に過ぎぬ……」
(…来る!動け、動け俺の身体!)

黒死牟を名乗る鬼の気配が変わった。腰に提げた歪な刀に手を掛けた。
それがわかっているのに動けない。魂が無駄な抵抗はやめろと訴えかけてくるかのようだ。

黒死牟の剣閃が振るわれる。
それは無一郎には視認することも敵わぬ、異次元の斬撃であった。
だが無一郎の肉体が両断されることはなかった。代わりに甲高い金属音が鳴り響いた。



気がつけば無一郎と黒死牟の間に一人の剣士が立っていた。
無一郎からは背中しか見えないが相当な上背だ。悲鳴嶼ほどでないにせよ、宇髄に匹敵するだろう。
その剣士は見たところ黒死牟とほぼ同じ髪型で日輪刀と思しき刀を手にしていた。
しかし見たことのない色の日輪刀だ。炎の呼吸の剣士が使う色ともまた異なる赫刀だった。

「お前……は…………!?」

血色に染まった黒死牟の六つの眼が驚愕に見開かれていた。
有り得ないものを、信じられぬものを見たと言わんばかりだ。

「動けるか」

剣士が僅かに顔を無一郎に向けて問うてきた。
その言葉でようやく金縛りに遭ったかのように硬直していた身体に自由が戻る。

(顔に炎のような痣!?じゃあこの剣士も痣を発現させた鬼狩りなのか!?)

剣士は鬼殺隊の隊服を身に着けていない。
黒死牟の紫の着物の色違いのような服装で、とてもではないが鬼殺隊の隊士には見えない。
何よりあの人智を超えた黒死牟の一撃を涼しい顔で止めてみせるなど柱の無一郎からしても信じ難い。

「すぐにこの場から離れろ。それまで私が此処を受け持つ」
「……!」

屈辱だった。柱である自分が鬼を前にして碌に動けず逃げろと言われるなど。
しかし怒りを感じる以上に剣士の言葉が正しいことを確信できてしまう。
この剣士はさながら日輪の具現のようだ。実力も格も鬼殺隊の剣士たちとはまるで次元が違うことが今の攻防だけで感じ取れる。

迷わず無一郎は荷物を拾って走り出した。
この場に留まったところで出来ることはなく、どころか足手まといにしかならないと理解できてしまうが故に。
今の無一郎に出来ることがあるとすれば精々他の参加者の中にあの二人に匹敵する実力者がいると信じて助けを求めるぐらいだ。
先ほどとは別の理由で心が折れそうになる。これまでの鍛錬と鬼との死闘の日々を全て否定されたかのように感じられる。

(僕は霞柱の時任無一郎だぞ!なのに、なのにこんなにも無力なのか、僕は!?)



そうして無一郎が余人には目でも追えぬほどの健脚で離脱したことを確認すると日輪の剣士―――継国縁壱は黒死牟へと向き直った。
変わり果てた兄を見る縁壱の双眸には知らず涙が流れていた。



「―――お労しや、兄上」


539 : 月と日の相克 ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 22:49:59 xqXDFgt.0






○○○






主催者を名乗る娘二人が外法の使い手であることはわかっていた。
そうでなければ無限城にて待機していた自分を何処とも知れぬ奇怪な空間に連れ込み殺し合いを強要するなど出来るはずもない。
まして、主たる鬼舞辻無惨が配下の鬼に掛けた呪いを一方的に消し去り己の心臓を作り替え、別の存在に作り替えるなど!
己の内から溢れ出す殺戮への衝動と未だかつて感じたことのない力の奔流に黒死牟自身が困惑していたほどなのだ。
四百年以上の長きに渡り鬼の力に身を浸し、技を磨き続けた黒死牟だからこそ適応できているが、他の者では容易く吞み込まれていただろう。

だが内心の混乱も収まりきらぬうちに更なる衝撃に襲われた。
己の子孫にあたる鬼狩りの剣士を内から湧き出る衝動に従い切り捨てようと刀を抜いたその瞬間、『奴』は現れたのだ。
四百と六十年以上も前に死んだはずの、黒死牟が人であった頃の肉の片割れ。
黒死牟に何百年と経っても消えない敗北感を刻み続けた弟、縁壱が。



「―――お労しや、兄上」


かつて相対した時と同じ言葉を紡ぎながら。
かつて相対した時と同じように双眸から涙を流しながら。



だが、だからこそだろうか。
四百と六十年前の状況の再現に黒死牟は一つの確信を得た。


「四百と六十年前…私と相対した時もお前は同じことを言ったな……。
その時のお前は命尽きる寸前の老爺であったが……」
「……兄上?」
「思い当たらぬ、か……やはり…そういうことか……」


そもそもが、黒死牟が元いた大正の時代に平安京など残っていない。
血鬼術による異空間構築能力だと仮定してもあまりに高度、かつ緻密に過ぎる。
しかしこの縁壱を見れば謎は解けた。煎じ詰めれば答えは簡単、主催者どもは時を操る術を持っているのだ。
だから生きていた頃の、若かりし日の縁壱を参加者として連れてくることができたのだろう。
それは取りも直さず主催者が縁壱を生け捕りにして殺し合いに参加させるほどの力を有していることの証左でもある。

ふと、とうに死んだはずの縁壱を前にした己がこれほど冷静な思考力を保っている事実に気付き、内心で驚く。
異常事態に次ぐ異常事態に黒死牟の感覚が麻痺したのか、あるいは精神、魂までも弄られた結果かあるいは両方か。
だが―――そんなことは最早どうでも良いことだった。

「いずれにせよ……永遠に得られぬはずの機会を得られたのだ……。
これだけでも私がこの地に招かれた意味はあったというもの……」

鬼狩りと鬼が出会った以上、為すべきことは一つ。
黒死牟が自身の肉から生成した刀に手を掛けると、応ずるように縁壱も構えを取った。
四百と六十年前には、老人の縁壱に対して刀を抜くことすらできず圧倒され、挙句寿命で勝ち逃げを許した。
しかし今黒死牟の眼前に立つ縁壱は真実全盛期の若き姿。如何なる結果に至るにせよ寿命で勝ち逃げという結果だけは起こらない。


540 : 月と日の相克 ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 22:50:40 xqXDFgt.0



「―――参る」



縁壱から放たれる重圧、あるいは剣気とでも呼ぶべきもの。
四百と六十年前に相対した時以上のそれを前にしても黒死牟は取り乱さない。
一度経験しているからか―――それとも黒死牟自身がその重圧を跳ね除ける力を得ているからか。


人間の域を遥かに超えた速度の踏み込み一閃。
継国縁壱に掛かればこれだけで鬼舞辻無惨を除くあらゆる鬼が屠られるであろう、頸狙いの超神速の斬撃。
けれどそれは黒死牟の頸を捉えることはなく、同等の速度で繰り出した斬撃によって相殺される。


日の呼吸 斜陽転身


一流の剣士であれば防がれた時点で距離を取り、仕切り直しを図っただろう。
だが人の域に収まらぬ剣技を持つ縁壱は最初の一撃を弾かれた瞬間自ら空中へ飛び、天地を入れ替えながら放つ日の呼吸の技を繰り出した。
これにも黒死牟は反応し刀で防御するが、縁壱の赫刀とぶつかり合った瞬間刀身の半ばから折れた。
血鬼術で生成された刀と赫刀が衝突したが故の必然。一度目は耐えたが日の呼吸の技を放った二度目には耐えられない。


月の呼吸 伍ノ型 月魄災禍

日の呼吸 幻日虹


宙を舞いながらにして更なる追撃を仕掛けんとした縁壱を襲う十もの斬撃。
縁壱の攻撃を予見していた黒死牟が予め仕掛けていた、刀を振るうことなく生じる月の呼吸の技。
上下左右を隈なく覆う月の呼吸の斬撃を、しかし縁壱は日の呼吸の回避技を使うことで無傷で凌ぎ距離を取った。
赫刀によって付けられた傷は鬼の再生能力では治癒できない。つまり黒死牟の肉から作られた刀は再生しない。
そう考えていた縁壱は次の瞬間、有り得ぬものを見た。鬼舞辻と戦った時以上の死の予感が総身を襲う。


月の呼吸 漆ノ型 厄鏡・月映え


間髪を入れず放たれる七条もの斬撃。
大地を蹂躙しながら進む超広範囲・超神速の技。更に斬撃の周囲に細かな、赤に染まった三日月の刃が付随し隙間を埋める。
咄嗟に全力で攻撃範囲から逃れた縁壱だったが、左の頬から一筋の血が流れていた。
だが縁壱の関心は自身の負傷などではなく、黒死牟の刀に対して向けられていた。


「何故……」
「折られたところですぐに再生する……最早お前の赫刀でも止めることなど出来ぬ……」


黒死牟の刀、虚哭神去は赫刀で折られたにも関わらず既に再生。どころか七支刀にも似た巨大な長刀へと変じていた。
埋め込まれた宿業の影響か、元より禍々しかった刀身は黒みがかった赤色に変貌し、刀全体に付いた無数の目も全て血のように赤く染まっていた。

果たして縁壱の赫刀は黒死牟に通用しなかったのか?答えは否。
縁壱の赫刀は通用していたのだ。縁壱だからこそ一瞬とはいえ黒死牟の刀を折るという事象を引き起こすことに成功していた。
これが大正時代の鬼殺隊の柱たちの赫刀であったならそもそも折ることすら出来ていないだろう。
他の武器で刀を損傷させたとしても、損傷させた瞬間に再生を完了させてしまうだろう。鬼舞辻無惨と同じように。

元より上弦の壱たる鬼として凄まじき再生力を誇っていた黒死牟には宿業が埋め込まれ、八将神の一人と成り果てている。
心臓という弱点部位が増えた代償に宿業による再生能力をも付与されているのだ。
これは厳密には鬼としての再生力を強化しているのではなく、鬼と宿業の二種類の再生能力を兼ね備えた格好となっている。
このため鬼の再生力を封じる赫刀によって刀を折られても宿業による再生能力が働き一瞬のうちに刀を再生してのけたのだ。
今の黒死牟に不治の傷を刻むには縁壱の赫刀を以ってしても足りない。それこそ赫刀と、宿業を断ち切る空に至った剣士の技を同時に重ねない限りは。


541 : 月と日の相克 ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 22:51:12 xqXDFgt.0

強化されたのは再生力だけではない。埋め込まれた疑似心臓が齎す膨大な魔力は黒死牟の鬼としての基本性能を著しく引き上げていた。
身体能力に反応速度、血鬼術の威力・精度が、本来の黒死牟と比較してすら異次元と呼べる域に高められている。
そして疑似心臓は心肺機能の強化をも齎し、副産物として肺活量の大幅な増大という結果をも生んでいた。

呼吸の剣士が扱う全集中の呼吸は心肺を鍛え上げ、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで血管や筋肉を熱化・強化する技法だ。
そうすることで身体能力を大幅に引き上げ、岩塊よりも硬い鬼の頸を斬れるまでに強くなる。
つまり肺活量が増せば増すほどに呼吸の剣士としての地力もまた増していくと言える。
疑似心臓により強化された心肺機能は黒死牟の呼吸の剣士としての地力をも更なる高みへと押し上げていた。

鬼の肉体と血鬼術、呼吸の剣士としての地力。
それら全てが爆発的に向上した黒死牟は今や継国縁壱にも届く戦技と鬼舞辻無惨に匹敵する再生力を併せ持つ無双の戦鬼と化していた。


「漸くだ……人喰い鬼に成り下がり、主催者どもに肉体を弄られ……漸くこの境地に至った……。
あの方でさえ傷つけることが出来なかったお前に、ついに傷をつけるに至った……!
今、俺は確かにお前と同じ地平に立っている…!これに勝る法悦があろうはずもない…!」
「……そうまで成り果てて、たった一人の人間の強さを極めることに何の意味があるのですか」
「私にとってはそれこそが全てだった……。そのためにあらゆるものを捨てた……。あの方への忠義すらももう無い…。
我らを引き合わせ、尋常な果し合いを実現させた主催者どもの異能。それは最早神仏の御業と形容する他ない……」
「このような凄惨な所業を行う者を神と言えるのですか?」
「知らぬ」


縁壱の問いを、黒死牟はあっさりと切り捨てた。
黒死牟にしてみれば、今この瞬間こそが全てであり、主への忠義も殺し合いの趨勢も全てが些事に過ぎないが故に。


「神の真贋など知らぬ。神の正邪など知らぬ。あるのはこの奇跡の如き場を組み上げた者への感謝のみ。
例え殺し合いの終焉を待たずしてこの身と魂が燃え尽きようとも、お前を超えることさえ出来ればそれで構わん……!
そうだ、俺は二度と敗北しない。お前が相手であろうとも……!」
「兄上……」


自分たち兄弟は何処で間違えたのだろうか。縁壱はそう嘆かずにいられなかった。
縁壱にとって個人の武などはさして価値を見出せるものではなかった。どころか暴力を振るうことさえ本心では嫌いだった。
けれど兄はそうではなかったのだろう。思い起こせば幼少の頃、兄の稽古役を務めていた侍を叩きのめして以来兄が心から笑う姿を見たことがない。
剣の秘訣を何度も聞かれた時に気づくべきだったのだ。自分と兄では価値を見出すものがまるで違うことに。
兄は自分へのどす黒い嫉妬の念をずっと押し隠していたに過ぎなかったのだ。
そこに気づけたところで最早全てが遅い。あるいは―――生まれた時からこうなる運命だったのだろうか?



「……参る」


悲壮な内心を押し殺し、再び構える。
今ここで兄を斬らねば、殺し合いに巻き込まれた大勢の人間が犠牲になる。
鬼の首魁を取り逃がした無能者の自分に兄を止める機会が与えられたことをせめてもの幸いとする他ない。


赤い月が、どうしようもなく道を違えた兄弟を照らしていた。


542 : 月と日の相克 ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 22:51:51 xqXDFgt.0


【継国縁壱@鬼滅の刃】
[状態]:左頬に掠り傷、深い悲しみ
[装備]:継国縁壱の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:一人でも多くの者を助ける
1:兄上を斬る
2:逃がした少年(無一郎)が気になる
[備考]
※参戦時期は炭吉に耳飾りを託した後からです。


【時任無一郎@鬼滅の刃】
[状態]:健康、無力感と屈辱
[装備]:時任無一郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:鬼殺隊として主催者を倒す
0:畜生…!
1:あの剣士(縁壱)の助けになれる参加者を探す
2:鬼殺隊の仲間は巻き込まれていないと思いたい
[備考]
※参戦時期は柱稽古〜無限城での決戦開始までの間からです。


【八将神枠】
【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:健康、戦意高揚
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:縁壱を殺す
1:縁壱を殺す
[備考]
※参戦時期は少なくとも無限城決戦開始よりも前です。
※八将神化により身体能力、再生能力、血鬼術、呼吸の精度が大幅に強化されています。


543 : ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 22:52:10 xqXDFgt.0
投下を終了します


544 : ◆ylcjBnZZno :2021/05/05(水) 22:59:51 geZuyGdc0
投下します


545 : 追い詰められれば人は結構なんでもやる ◆ylcjBnZZno :2021/05/05(水) 23:01:00 geZuyGdc0
―――殺さなきゃ……。
―――殺さなけりゃ……俺が殺される……。

少年――旗上忠勝は、うわごとのようにつぶやいて

「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
前方を歩く赤髪の少年にゴルフクラブを振り上げた。





面長で頬の上に少しニキビがある、十人並の顔。
そんな旗上忠勝の顔面は、青痣と腫れで見るも無残な状態になっていた。

「きみさあ、せっかく背後とったのに、大声で自分の居場所知らせちゃったら奇襲の意味ないじゃん」

あおむけに倒れる旗上の顔を覗き込みながら、赤羽業は笑う。

「それじゃ、武器っぽいものは俺が預かるけど、悪く思わないでね。
 また誰かを襲ったりされると寝覚め悪いしさ」

じゃーねー、と暢気な口調で手を振りながら、忠勝を寝かせた物陰から大路へと出ていった。


【赤羽業@暗殺教室】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品6つ
[思考・行動]
基本方針:会場からの脱出
1:まずは知ってる人の捜索かなー。
2:主催した奴らに仕返ししたい気持ちはあるけど、余裕があったらだねー。
[備考]
参戦時期は卒業式以降


546 : 追い詰められれば人は結構なんでもやる ◆ylcjBnZZno :2021/05/05(水) 23:01:41 geZuyGdc0





「う……」

業が立ち去ってから30分ほどしてようやく、旗上忠勝は意識を取り戻した。

最初に目に入ってきた赤い空が、このゲームが夢ではないことを教えてくれる。

「痛ぇ……」
一方的に殴られた顔が痛みを訴える。
気絶するほど殴っておきながら、わざわざ人目につかない裏路地に移動させてくれていることから、先ほどの少年はゲームには乗っていないのだろうと判断し、胸をなでおろす。
あの赤髪がゲームに乗っていたら、もう二度と目を開けることはなかったのだろうから。

とはいえ。
これはおそらく小学生の頃から教わっているあの『プログラム』だ。
しかもどうやら今年は(もしくは今年からは)クラス別ではなく無差別的に、しかも40人そこらの一クラス分の人数ではなくもっと大きな規模で行われているらしい。「陸軍が行う戦闘シミュレーションで、所要時間などの各種統計を重ねることによる防衛上の理由から」という『プログラム』の実施目的からすれば十分にあり得る話だ。
逃れる術など存在しないし、仮に逃げきれたとしてもその後は政府から指名手配され、一生逃亡生活だ。家族や友人たちだって無事ではすむまい。

だから、これに参加させられている以上、生きて帰るには優勝するしかないのだ。


改めて決意し直し、忠勝は裏路地から大路に顔をのぞかせ周囲を探る。
すると、わずか10mほど先に小柄な人影が見える。

今度こそ。今度こそだ。
自らに言い聞かせ、拾った石ころを強く握りしめて駆け出す。
バッターボックスから一塁までにも満たないわずかな距離を駆け抜け、石を振りかぶる。

「うぉおおおおおおおおおおおおお!」

人影が振り返る。

小男だ。

中学生には見えない。

構わない。

近づいて、反抗される前に石を振り下ろせばそれで終わる。

5メートル……4メートル……3メ





「よっ……と」

意識を失って倒れ込む忠勝を抱えてそっと横たえ、彼の意識を刈り取った獲物――剣型の風船――を腰に収める。

「やれやれ。
まあ、子どもがあんなものを見せられればパニックになるのも当然ですね」

そういって忠勝の傍に腰掛ける。

「(それにしてもこの少年の顔の傷……既に誰かに襲われたのでしょうか。
ナイアルラトホテプ絡みの問題が山積みでこんなことにかかずらっている場合ではないのですが。 まあ、巻き込まれた以上は解決に向けて動かなければなりません。
もう少しまともな武器が欲しいですね。 風船でも最低限は戦えますが、さすがに心もとなさすぎる)」


かくして「千人斬れども死に装束、万人斬れどもなお白刃」と称賛されし東の魔王 ジロウ・スズキのバトルロワイアルが始まった。


【旗上忠勝@BATTLE ROYAL】
[状態]:気絶中、顔面に大量の殴打痕、みぞおちに打撲
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・行動]
基本方針:優勝
1:気絶中
[備考]
参戦時期は修学旅行へ行くバスの中で眠らされた直後


【ジロウ・スズキ@魔法少女プリティ☆ベル】
[状態]:健康
[装備]:バルーンアートの風船(剣)
[道具]:基本支給品、不明支給品2つ、バルーンアートの風船(残り9本)
[思考・行動]
基本方針:可能な限り少ない犠牲での事態収拾。
1:この少年が目を覚ますのを待つ。
2:ゲームに乗っている相手とも可能な限り対話し、敵対はしない程度の関係を築く。
3:2ができない場合は殺す。非常時なので仕方ない。
[備考]
参戦時期は原作34話終了後


547 : ◆ylcjBnZZno :2021/05/05(水) 23:02:05 geZuyGdc0
投下終了です


548 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 23:12:23 YbYxHY.M0
投下します


549 : 戦国時代の武士と大正時代の鬼殺隊員 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 23:13:02 YbYxHY.M0
「ここは...?それに拙者は死んだはず...」

赤く染まった空の下で男、井尻又兵衛義俊は困惑していた...又兵衛は元々タイムスリップしてきた野原一家と共に戦に勝利した...しかしその後に流れ弾が飛んできて命を落としていた

「それにこの平安京というところ...俺達の時代よりかなり昔の場所のようだな...」

周りを見渡せば自分がいた時代では見たことない建物ばかりだった、それどころか又兵衛がいた時代よりももっと前にあった場所だった

「しかしあの主催とやら...何を考えているのだ...」

又兵衛は主催に対して怒りを表した、見せしめとして人を殺しさらには殺し合いをしろと言い出した
又兵衛は戦で人を殺したことは何度もある...しかし殺し合いは別だ、殺し合いは仲間だった者を殺さなければいけなくなる...しかし又兵衛は絶対にそんなことはしないと誓った

「ともかく何とかせねば...む?」

周りを見渡すと金髪の少年が座っていた、とりあえずあてもなかったので又兵衛はその少年に声をかけた

「少年、ちょっといいか?」
「え!?誰あんた誰!?もしかして俺殺しに来たの!?俺はまだ死にたくないよ〜〜!!」
「落ち着け!俺は殺し合いに乗ってない!」


◆◆◆


「ほ、本当に殺し合いに乗ってないんだな!?信じていいんだな!?」
「案ずるな...そこまで身構えんでも何もせん」

約10分経ってようやく殺し合いに乗ってないことを理解してもらった(まだ少し疑いあるが)
そして又兵衛は切り出す

「俺の名を言っておこう、武蔵国春日領の領主、井尻又兵衛義俊だ」
「俺は鬼殺隊の我妻善逸です」

互いに自己紹介すると又兵衛が善逸に質問した

「きさつたい...とやらは何なのだ?」
「え?鬼を滅する組織みたいなものですけど...」
「何を言う、鬼など存在しているわけなかろう」
「いやいるんですよそれが、実際にいるから鬼殺隊っていう組織があるんですし、むしろ又兵衛さんの格好の方が昔の戦国時代らへんの侍って感じなんですけど」
「何を言う?拙者は戦国時代の侍だが?」
「...は?」

又兵衛の言葉に善逸は驚いた

「え?戦国時代の侍ってことはタイムスリップしてきたってこと!?」
「う〜む、分からんが可能性はあるかもしれんな、現に拙者の時代に平成時代の者が来たこともあるからな」
「戦国時代はまだしも平成時代って何!?俺達がいた時代は大正時代なんだけど!?」
「大正時代...?聞いたことない時代だな...」
「てことは本当に又兵衛さん戦国時代の侍なのか...」

善逸は戦国時代にいた侍というのは嘘だと思っていたが大正時代のことを知らないと聞き本当に戦国時代の侍なんだと理解した
侍と鬼殺隊員...それぞれ刀を使って戦う二人の行く末は如何に...


550 : 戦国時代の武士と大正時代の鬼殺隊員 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 23:13:25 YbYxHY.M0
【井尻又兵衛義俊@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本行動方針:脱出する方法を探す
1:善逸殿と行動する
2:鬼殺隊...変わった組織もあるのだな
3:大正時代?初めて聞くな...
[備考]
※参戦時期は死亡した後

【我妻善逸@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本行動方針:元の場所に帰りたい!
1:又兵衛さんと行動する
2:マジで戦国時代の侍なのか...
3:平成時代って何!?初めて聞くんだけど!
[備考]
※参戦時期は無限列車編後


551 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 23:13:54 YbYxHY.M0
投下終了します


552 : ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 23:15:40 JOq.15bk0
投下します。


553 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:15:48 w3m/yE0o0
代理投下します


554 : 鬼は種族にあらず ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 23:16:12 JOq.15bk0
 黒ずくめの男だった。かぶった帽子、羽織ったロングコート、上下の服。
「魁𩲃𩵄䰢魓𩳐魒魁𩲃𩵄䰢魓𩳐魒――」
 黒い声、恐らく心も漆黒の意志に満ちていた。
 その男は屋敷の入口前に座り、北斗七星の呪を唱え、机に据えた紙に筆を滑らせて文字を書く。
 男の顔の右には三本線の切り傷があり、瞳は蒼い色だ。右目は青紫水晶を磨いて出来た翠竜晶を填めた義眼である。
「一元真氣入筆――」
 発気とともに書き終えた紙――様々な術で『符』と呼ばれるそれを右脇に置き、新しい紙を机に乗せた。

 男は妖(バケモノ)退治の符咒士。復讐のために自ら名を捨て、使う獲物から『鏢』と名乗る。

 何枚も符を書いているうちに、墨汁が切れたので鏢は硯に水を注いで墨をすり、指を鏢で切って血を墨汁に混ぜ込んだ。
 符は正しい文字と正しいやり方であれば効力を発揮する。別に墨汁に血を混ぜ込む必要などないのだが鏢はあえてそうした。
 あの目の前で殺された少女の復讐を己のものとするために。
 あの少女の囚われの身でなお輝きを失わない強い意志。あれは鏢が出会い、鏢の運命を変えた蒼月潮のそれによく似ていた。だから復讐を誓う気になった。
『妖共。貴様らは子供を殺した。なぜ私を蘇らせたのかは分からないが、こうして生きている以上貴様らには必ず報いを受けさせてやる』
 符を書く腕は滑らかに、されど心は激情のままに。鏢は符を書き留めていく。


555 : ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 23:16:37 JOq.15bk0
すみません。お先に失礼します。


556 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:17:04 w3m/yE0o0
いいえ、構いません


557 : 鬼は種族にあらず ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 23:17:13 JOq.15bk0
「痛ッ」
 何者かが結界に触れて、鏢は一時筆を止めた。
「何だこれは」
 ジャージにTシャツ、デニムパンツにサングラス。顎に髭。鏢が似たところ三十歳前後といったところの男である。
 この男の異様なところはサングラスをかけていても頬まで見えている傷跡。そして手にした刀である。
 男は指で触れ、何か電流を流した壁らしきものを認識していた。
「それは結界だ。私が作った。邪魔をされると困るのでな」
 結界を破れない人間なら用はない。鏢は符に目を移した。
「結界か。修験道では聞いたことあるが本当にこんな物あるとは知らなかったぜ」
 ただの人間なら気にする必要などない。だがなぜか鏢は男を無視できなかった。
「随分と用意周到だが、お前は乗る気なのかよ」
 鏢は柳眉を吊り上げ男をにらみつけた。流石に殺しの準備扱いは心外だ。
「お前こそ殺し合いに乗っているのか」
 そう言うと男の表情が一変、憤怒をあらわにした。
「誰が小娘をなぶり殺す外道共の言いなりになるものか。奴らにはこの世に生まれてきたことを後悔するまで泣き叫ばせてやるぜ」
 男の言葉に、表情に対し鏢は凄まじい気を感じとった。人外の領域へとはみ出した怒気。
 それは自分と同質のものであると鏢は看破した。
 つまり、この男も恐らくは――

「私は鏢。字だ。本名は捨てた」
 故に鏢は己から名乗る気になった。
「俺は護。土方護だ」


558 : 鬼は種族にあらず ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 23:17:40 JOq.15bk0
「しかし、なぜ私に近づこうと思った」
「こんな出鱈目な場所にいきなり飛ばされるようなオカルト現象は俺の手に負えねえ。
 だから知っていそうな人物を探してみようと思ったら、お前が怪しげ声で何やら書いていたからな。試しに話しかけようとした」
「見えるのか?」
「硯で墨をする音、紙の上に筆を走らせる音が聞こえた。ついでに言えばこのサングラスは特別製でな。盲目の俺の網膜に超音波の反響音で解析した映像を見せてくれる」
 護はサングラスのフレームを叩いて言った。
「だから首輪の紋章とやらは見えん。どんな形だ?」
「形状しがたい、私も見たこともない紋だ」
「解けるか?」
「分からん。下手に干渉すれば爆発するかもしれん。師なら解く法を知っているかもしれんが、生憎私が教わったのは妖を滅する術だけだ」
 しばらく二人は黙り込んだが。
「そうか、じゃあそういうことだな」
 護は笑みを浮かべて言った。到底殺し合いに反対などとは思えない殺気に満ちた笑みだ。
「ああ、この殺し合いに乗り気な奴を捕らえて試すしかあるまい」
 鏢もまた同様の笑みを浮かべた。
「そうだ。この場で外道共の言いなりになり、これに乗じて殺人欲を満たそうとする輩など、生きている値打ちなどありはしねぇ」
「私はそれでいい。あの子の復讐のためなら手段は選ばん。だがお前は殺し合いに乗っていないのだろう? それでいいのか」
「勘違いするなよ。殺し合いに乗らないといっても、俺自身の命が脅かされれば敵は殺すし、必要とあらば何人の命も断つ!
 それがこの目と引き換えに得た教訓だ」
 護は鏢に、否、周り全てのものに強烈な殺気を放った。
「……それでも子供には甘いんだな、お前は。私が言えた義理ではないがな」
 殺気を受け止めた鏢の言葉に対し、護はふんと鼻を鳴らした。
「ところでこの場であったのも何かの縁。お前は俺の知らない珍現象を色々知っているようだし、護衛として俺を雇ってみないか?」
「この程度の結界を破れずして、お前はあの妖共をどうにか出来るというのか」
 鏢の言葉に対し、護は唇を吊り上げた。
「お前の術に合わせて、俺も一つ芸を見せてやろう」
 そう言って護は笑みを止め腰を落とし、刀の柄に手を添え鯉口をきった。
 居合腰になったその姿から、人の域を外れた鬼気が護より発せられる。
 一瞬、閃光が走った。
 その光は壁を断ち、鏢の貼った符を両断した。
 鏢は刀が抜かれる瞬間、斬りつける動作がまるで見えず、否、認識できず斬り終え鞘に納める動きしか分からなかった。
 抜きの際に現れる動作の兆し『起こり』を消し去った、物理的速度を超越した神速にして得意精妙なる抜刀術。鏢は思わず見惚れた。


559 : 鬼は種族にあらず ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 23:17:57 JOq.15bk0
「こいつはまあ、曲芸の類だがな。実戦ならもう少しいいところを見せられるつもりだ」
 鏢は唸った。これが曲芸なら世の殆どの武術師は京劇扱いだ。
「腕が達人なら、刀も霊刀、いや妖刀の類か。いずれにしても両者どちらが欠けても符は絶てん」
 鏢は護があの妖共を滅するという自信と実力を認めた。
「実力は分かった。共に動くもいいが、私はもう少し符を書き溜めておきたい。妖や異界に関し私の知る限りを話すから、そこで入り口を見張っていてはくれないか?」
 鏢の言葉を聞いて護は、斬った入口の柱に背を預け腕を組んだ。
「さっきのお前の鬼気、そいつはただ他人の復讐だけで出せるものじゃなかったぜ」
 符を書き続ける鏢に対し、護はからかうように言った。
「お前も先ほどの笑み、あれは人を外れた者だけが浮かべるものだ」
「お互い『鬼』の類ってやつか」
 鏢と護は同時にくつくつと笑った。

 常識の枠を踏み越えた行為を人は時に『狂気』と呼ぶ。その道を進む者を『鬼』と呼ぶ。
 『復讐鬼』と『剣鬼』。二匹の人を外れ、なお人の怒りを持つ鬼達が向かう場所は、屍山血河を踏み越えた先にある。


560 : 鬼は種族にあらず ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 23:18:18 JOq.15bk0
【鏢@うしおととら】
[状態]:健康
[装備]:縄鏢@うしおととら、符
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスという妖を滅する。
1:殺し合いに乗る気はないが、乗った相手には容赦しない。
2:首輪の呪いはともかく、機械はどうしようもないので外せそうな人間を探す。

[備考]
※参戦時期は死亡後です。

【縄鏢@うしおととら】
 縄は女の髪とワイヤーをより合わせた物。それに鏢を取り付けている。

【土方護@死がふたりを分かつまで】
[状態]:健康
[装備]:視覚補助サングラス@死がふたりを分かつまで、明神切村正@英霊剣豪七番勝負
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:この『戦場』と『戦う理由』が存在するなら戦うだけだ。
1:襲い掛かるなら女子供だろうと容赦はしない。最後にはあのメフィスとフェレスという餓鬼を斬る。
2:首輪を何とか外す。
[備考]
※参戦時期は最終回で遥と別れた後です。

【視覚補助サングラス@死がふたりを分かつまで】
 超音波の反響音によって得られた情報をポリゴンフレームの映像に解析し、それを網膜投影することで視覚を獲得している。
 顔の凹凸は近くまで行かないとわからないが、声紋を登録することで個人の判別ができる。

【明神切村正@英霊剣豪七番勝負】
 サーヴァント・千子村正が打った刀。
 鉄だろうが金剛石だろうがたやすく切る切れ味を誇る。 
 その代わり、妖刀まがいの代物になってしまい、並の人間には扱えない。
 護はその剣の執着心によって精神的な変化がない。


561 : ◆Mti19lYchg :2021/05/05(水) 23:18:37 JOq.15bk0
投下終了します。


562 : M・U・Z・A・I、ム、ザ、イ ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:19:39 w3m/yE0o0
「お、お"え"え"え"え"え"」

びちゃびちゃと、吐瀉物が地面に叩きつけられる。
歴史的価値のある平安京をポリ袋替わりにしている少女の名前は出雲崎ねね子。
彼女は完全記憶能力を持ち、どんな光景も忘れることが出来ない。
そのせいで、先ほど少女が爆散した姿が脳裏に残り続けている。

「な、なんでボクばかりこんな目に遭うんだよ、池田ぁ……『全力でお前を守る、命をかける覚悟でだ』って言っただろう……」

かつて相棒が言ったセリフを一字一句間違えず悪態を付く。
以前、探偵助手として協力した離島での事件の際に言われた言葉だ。

「ほ、ホントに池田のやつは役立たずだな。腰抜けゲロカスクソザコヘボ探偵が……恥を知れ、クズ」

もはや悪態通り越して品性の無い暴言へと変わっているが、本心では相棒のことを強く思っている。

「そこの少女!」
「ひっ!」


563 : M・U・Z・A・I、ム、ザ、イ ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:20:13 w3m/yE0o0

〇〇〇


「安心してほしい、オレ達に敵意は無い」

声をかけたのは学生服と赤いハチマキをたなびかせる青年、亜双義一真。
大学生の身で若くして弁護士資格を取り、大日本帝国の司法の将来を担う存在である。
彼は司法留学生として大英帝国に向かう船の中、この殺し合いに招かれた。
そうして、水兵服を着た女学生の姿を見つけ声をかけた。

「あっ……ひっ……ううあ、えっと」
「女学生よ、良ければ話を聞かせて貰えないか?」
「亜双義くん、彼女は怯えています。あまり強く出ない方が宜しいかと」
「……そうか、驚かせてすまなかった」

彼を制した初老の男性は高橋道雄。
奨励会に所属するプロ棋士として活躍している。

「それにしても平安京に招かれるとは……まるで流行りの異世界転生アニメのようですね」
「高橋九段、"あにめ"とは……?」
「あ、あう、あっ……」

ねね子の『アニメ知らないのかよ……』という苦言は震えにより鳴き声と化した。

「亜双義くん、アニメをご存知ない?」
「……恥ずかしながら」
「ふぅむ、見ていないというわけでなく知らないといった様子ですね」

そうして情報交換を行い、亜双義が大正時代に生きる人物であることを知った。

「アニメは良いですよ、私もけいおんに出会って人生変わりましたからね。大正時代にアニメがあったかは私は存じないですが」
「一度拝見して見たいものだな」
「にひ…あく……ひゃ……」

なお、『日本最古の商業アニメーションは1917年の『なまくら刀』だ、そんなことも知らないのか』というねね子の煽りは小声すぎて風にかき消された。
どちらにせよ、19世紀末を生きる亜双義にとってはまだ馴染みが少ないのも無理はないであろう。

「ひ…あ……うう……(平安京に大正時代ってホントにここ現実かよぉ、うう……『この世界は現実でない』……)」

ねね子はかつての事件で仮想世界の中に入ったことがある。
故に、この世界もそういった作られた世界なのではないかと予測した。
現実と区別が付かないほどに成功に作られた世界は、ここが現実でないと認識しない限り出ることは出来なかった。

「ひとまずこの平安京から脱出する方法を探りましょう、この探偵棋士みっちも協力いたします」
「僭越ながら、探偵と棋士はあまり関係ないように思えるのだが」
「棋士の持つ読みと大局観が事件を解決に導くのです」
「そういうものか……」
「ひとまず、この少女は私達で保護しましょう。君もそれで構いませんか」
「い…ひゃあ……い……(池田……いや池田様ぁ早く助けてください……)」

彼女の震えは、恐怖よりもコミュ障部分が大きいのだが、二人はまだ知る由もない。


564 : M・U・Z・A・I、ム、ザ、イ ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:20:27 w3m/yE0o0
【出雲崎ねね子@シロナガス島への帰還】
[状態]:健康、恐怖(大)、嘔吐、吐瀉物と涎と鼻水で汚れている、少し失禁、下着が濡れている、コミュ障(極大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、パーソナルわんわんお@シロナガス島への帰還
[思考・状況]
基本:殺し合いなんてボクに出来る訳ないだろ……
1:池田助けて……いや助けてください……なんでもするから……
[備考]
※参戦時期は本編終了後。EXTRA前。

【高橋道雄九段@千里の棋譜 〜現代将棋ミステリー〜】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗りません
1:目の前の少女に対応
2:探偵棋士みっちとしてこの事件を解決する
[備考]
※参戦時期は第二部終了後です
※このゲームはフィクションです。実在の高橋道雄さんをモデルにした別人です。
※オタク故アニメ出典のキャラは知ってる可能性があります

【亜双義一真@大逆転裁判】
[状態]:健康
[装備]:名刀《狩魔》@大逆転裁判
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らん
1:目の前の少女に対応
[備考]
※参戦時期は『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』2話、英国行きの蒸気船に乗船している途中です。

※『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』PS4/Switch/Steamでは7月26日発売です.
※3DS版のDLCシナリオや貴重なイベント公開映像などが最初から含まれているため、こちらの購入をお勧めします。
※また、予約・早期購入特典として蔵出し設定画・蔵出し楽曲が付いてきます
※GBA三部作『逆転裁判123 成歩堂セレクション』とセットになった『成歩堂レジェンズコレクション』も同日発売です。逆転裁判シリーズ未プレイの方はこちらを推奨します。
※上の4行は次話で消していいです。

【支給品紹介】
【パーソナルわんわんお@シロナガス島への帰還】
出雲崎ねね子に支給。
出雲崎ねね子の相棒PC。正式名称は『Personal-11-O』。
ねね子の手にかかれば色々な解析やハッキング等が出来る。

【名刀《狩魔》@大逆転裁判】
亜双義一真に支給。
亜双義一真の持つ日本刀。
その名をとって名字にした者もいるほどの名刀。


565 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:20:45 w3m/yE0o0
続けて2作代理投下します


566 : 過酷な世界に捧ぐ ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:21:10 w3m/yE0o0
赤い空。月明かりの照らす平安京にて少女が一人佇む。

「また、殺し合いっスか……皆好きっスね」

誰に言うわけででもなく、彼女は呟いた。
長い茶髪をリボンで束ね、制服を着崩したダウナーなギャルの名は萩尾恵澪奈。
日本人にも関わらず、ビッチな母親とクズな父親に『エレナ』などとフザケた名前を付けられた少女。
彼女はかつて参加させられた呪われたゲーム、『プリズナーゲーム』のことを思い出し、自虐的に笑う。

「あっし、わかんねースよ、もう。どうすりゃいいか」

彼女の所属する市立志加多第三高校管弦部の一行で行われたデスゲーム。
呪いと因縁にまみれた11人のトガビト達の1人として少女は親しき者達を手に掛けた。
少女はただ、死にたくなかった。
少女の『勝利条件』はその者達を殺すことであり、生き残るにはそれしかなかった。

だけど、彼女はゲームに勝利できず、失敗する。
少女はそのゲームにおいて殺される運命となった。
自分の大切な人は自らの手で殺してしまい。過ぎ去った時は戻せない。

「殺すのはもう、嫌っスね」

自らの配られたPDAなるものを眺め、呟く。
色々な特殊効果が使えるらしいが、もはやどうだっていい。
願いが叶うと言われても、『殺人鬼』になるのはもう嫌だった。

「ここが地獄なら、せーしろ、いるんスかね……同じ地獄にはいねーだろな」

もはやゲームに乗る気も無く。どうしようもなく。
かつて自らの手で殺してしまった大切な者の名前を、縋るように呟いた。


567 : 過酷な世界に捧ぐ ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:21:25 w3m/yE0o0

〇〇〇


「殺し合い、か」

赤い月に照らされて、初老の男性が1人呟く。

男は何も知らなかった。
男は何も気づかなかった。

―――よく考えてみたまえ、自分が何者かということを。

男は何も理解していなかった。
男は勘違いしていた。

男は理不尽なゲーム『シークレットゲーム』の運営をしていた。
そして気づいた。自分も同じ、モニターの中の見世物であるということに。
自分もまた、参加者の1人であるということに。

過ぎ去りし時はもう戻らない。別の展開を望むことはできない。
運命の分岐点だった前回のゲームは終わってしまった。
だから、もう一度全てをやり直せるなら、どんな結末が訪れようとも構わないと望んだ。

男は忘れてしまった。かつて10年前に自分もゲームの参加者であったことを。
男は忘れてしまった。かつて自分もゲームへの反抗を行ったことを。

世界を違えたこの場所で、かつてのゲームをやり直すように、男は再び理不尽への反抗を選んだ。


○○○


そうして、理不尽なゲームに巻き込まれた少女と、理不尽なゲームを運営した男が出会う。

『俺は、あの少女に……』

 ■『声をかける』 ■『声をかけない』


○○○


【萩尾恵澪奈@トガビトノセンリツ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、三ツ林司のPDA@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage
[思考・状況]
基本:無気力
1:どーすりゃいいっすか、せーしろ……
※参戦時期は死亡後。
※Web小説『MISSING FRAGMENT: ‘ELENA’』の出来事も経験済みです

【運営の男@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:理不尽への反抗
1:目の前の少女に対応
※参戦時期はepisode C終了後

【支給品紹介】
【三ツ林司のPDA@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
萩尾恵澪奈に支給。
かつてのシークレットゲームで三ツ林司に配られたPDA。色々な情報が見れる。
特殊機能として半径6m以内にあるPDAの特殊機能を使用できる。同時に使用できる特殊機能の詳細も確認できる。
しかし、他のPDAが参加者に支給されているかは不明。


568 : 猫mix幻奇譚 ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:21:48 w3m/yE0o0
「猫は好きか?」
「ぽかぽかする」モフモフ

【シピ@グノーシア】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:グノーシアとして人間を消す
1:今は様子見、邪魔者は消す
2:猫のどんなところが好きなんだ?
[備考]
※参戦時期はグノーシアになった後です。

【アヤナミレイ 仮称@Twitter】
[状態]:健康、飲酒、撫でている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、酒類各種
[思考・状況]
基本:ダメ、殺し合いでは生きられない
1:ぽかぽかする
[備考]
※出典が出典なのでNERVの外でも生きられます。
※出典が出典なので参加者の作品も知っている可能性があります。

【ボサツ@吸血鬼すぐ死ぬ】
[状態]:健康、撫でられている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:優勝して全人類をねこだいすきにする
1:……あの男からフクマに近いものを感じますね
[備考]
※参戦時期は少なくても15話でフクマさんに飼われた以降です。


569 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:22:02 w3m/yE0o0
代理投下終了します


570 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 23:30:12 g.asVemw0
投下します


571 : みんなに焼きつけたい ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 23:31:20 g.asVemw0
「此処……隠世じゃない?」

 十代前半の、暗みのかかった黒茶色の制服の少女。
 殺し合いだなんだのに呼ばれるには余り似合わない、
 中学生になるかならないか程度でしかない年頃の子だ。
 桃色のサイドテールを揺らしながら状況に訝っていたが、

「ま、いっか。」

 どうでもいいことなので捨て置いた。
 厳密には、どうでもいいと言うよりも関心がなかった。
 もっと言ってしまえば、そもそも彼女には記憶がないのだ。
 自分の家族も見知った相手のことも分からず、自身の名前すら忘却の彼方に。
 あるとすれば、それはただ強さを証明すると言う目的ただ一つだけ。
 根底に存在するその志だけは、生前からもなお続いていて彼女の唯一の行動理念。
 誰かにその強さを見せつけて覚えてもらう。それさえあれば他は何にもいらない。
 殺し合いに興味はない。だって、殺したら誰も覚えてもらえないのだから。
 特に、この場にいても隠世にいたときと特に変わりはないのもある。
 同じように戦えるのであればどこでも構わない。
 寧ろ強い人を用意したかのような舞台は彼女の理想郷だ。

「私は、最強ってことを証明するだけだよ。」

 誰に言うでもなく、空を見上げながら彼女は呟く。
 本来あるべき回帰を果たすことがなくなった少女は彷徨う。
 ただ、自分の目的の為だけに血染めの月下を歩くその姿は幽鬼の如し。
 燕結芽、折神親衛隊末席にして刹那を生きた刀使。

【燕結芽@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
[状態]:記憶喪失
[装備]:にっかり青江@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:最強の刀使を証明して覚えてもらう。
1:強い人を探して戦う。
[備考]
※参戦時期はゲーム版、隠世にいたころです。
※強さを証明すること以外の記憶がありません。
※体内にノロはなく、病弱でもありません。

【にっかり青江@刀使ノ巫女】
結芽の御刀。珠鋼で作られた特殊な刀で、
御刀の特性上錆びず壊れないと言う驚異の耐久力を持つ。
刀としては先端の半分は両刃、柄に近い方は片刃の鋒両刃造とされる形状の刀剣。
先端は剃りがほぼなく両刃ともあって、刺突に向いた構造にもなっている。
御刀に選ばれた人間は写シを筆頭とした刀使の能力を行使することが可能。


572 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/05(水) 23:31:57 g.asVemw0
投下終了です


573 : ◆ylcjBnZZno :2021/05/05(水) 23:34:03 geZuyGdc0
投下します


574 : 執行人 ◆ylcjBnZZno :2021/05/05(水) 23:37:15 geZuyGdc0

――罰を与えなければ。

この催しに反抗する者に。

黄幡神に逆らう者に。

この物語の破壊を目論む者に。


「烏間先生……どうして……?」


たとえそれが大切な生徒であろうとも。


【八将神枠/歳刑神】
【烏間惟臣@暗殺教室】
[状態]:健康
[装備]:9mm拳銃SFP9
[道具]:基本支給品、不明支給品2つ
[思考・行動]
基本方針:対主催勢力の鏖殺
1:この催しの目的に反する者を殺す。
[備考]
刑罰を司る歳刑神として宿業を埋め込まれているため、ゲームに積極的に乗っている参加者に対しては攻撃を加えません。


【倉橋陽菜乃@暗殺教室 死亡】


【9mm拳銃SFP9】
2020年に陸上自衛隊に導入された拳銃。
装弾数は15発。


575 : ◆ylcjBnZZno :2021/05/05(水) 23:37:35 geZuyGdc0
投下終了です。


576 : ◆8eumUP9W6s :2021/05/05(水) 23:42:54 VvYxdLmI0
投下します。


577 : ◆8eumUP9W6s :2021/05/05(水) 23:43:47 VvYxdLmI0
紅き空の下に存在する平安京。そこにて、2名の参加者が顔を合わせていた。

「まず、最初にお聞きしますが…殺し合いには、乗ってません…よね?
…あ、私は第501統合戦闘航空団所属、服部静夏と言います!」

「あー…乗ってないから安心しろよ。
オレは植木、植木耕助。中学一年生で、『ゴミを木に変える』能力者だ」

自己紹介した通り、2人の名はそれぞれ服部静夏、植木耕助と言う。

「植木さん、では…こういう時はまずお互いの情報を……待ってください、『ゴミを木に変える』能力って…何ですか…?」

「服部こそ、第501統合戦闘航空団…とか言ってたけど、そんな組織聞いた事ねぇぞ?
…後、なんで下パンツだけなんだ?」

「これはズボンで、パンツとやらでは無いです!」

と会話を交わしたところ…2人は互いに認識の齟齬がある事に気付いた。

----

「服部の時代…いや世界か?とにかく、ネウロイなんて化け物がいるのか」

「植木さんの方こそ…能力者に神を決める戦い…私には想像もつきません」

暫く話した末、2人は互いが別の時代、もしくは別の世界からこの平安京に呼ばれたのでは?と仮説を立てていた。
属していた時代もそうだが、戦ってきた相手の違い、また国の名前の違い等差異が大きいから出てきた説である。
頭の固い静夏は、普段なら一蹴しそうな説であったが、今の状況ではそうも言ってられないが故、信じることとしたのである。

「とりあえずそれで…服部はどうすんだ?
会った時の反応的に、殺し合いには乗ってなさそうだけど」

植木はふと聞いてみる。

「私は…殺し合いに乗るつもりは、ありません。
…怖くないって言うと…嘘になります。ここに呼ばれる前、私は…多分一回、死んでますから。何故だかこうしてここにいますけど…やっぱり、死ぬのは怖いです。
でも…宮藤さん…私が憧れてて、尊敬してる先輩のウィッチなんですけど…その人なら、きっと…こんな殺し合い、止めようとする筈…なので!」

そう、静夏は自らの決意を語った。

「そうか。実はオレも…ここに来る前、多分一回死んでる…というか消えてるんだよな。
色々あって…最期の一撃を、あいつに…アノンにぶつけたけど…ほんとはその時にオレ、消えてる筈なんだよ。
…なんか今はこうして…生きてるけど」

「…植木さんも、そうだったんですか…」

驚きつつも静夏は、目の前の少年に対して親近感を覚えた。

「あ、そうだ。服部はバッグの中身って見たか?」

「…いえ、まだ見てないです。…今見て、確認した方が良さそうですね」

「だな。殺し合いに乗ってる奴が来た時丸腰じゃ、どうにもなんねぇ」

こうして2人は、バッグの中身の支給品を探す事とした。

だが…実は2人とも、ある勘違いに気付けていない。
それは…2人揃って、呼ばれた時点では実は死んでいないにも関わらず、自分が死亡した後からこの殺し合いに呼ばれているのだという勘違いをしているのだ───!


【服部静夏@ストライクウィッチーズシリーズ】 [状態]:健康、決意[装備]:なし[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める1:宮藤さんなら…きっとこうします!
2:バッグの中身を確認したいですね。
3:植木さんは…何というか…不思議な人、という感じがします。[備考] ※参戦時期は「RtB」ことストライクウィッチーズ ROAD to BERLINの最終話「それでも私は守りたい」にて、宮藤芳佳にユニットを届けた後意識を失った直後からです。 ※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※「うえきの法則」世界についてある程度の知識を得ました。
※互いが別々の世界もしくは別々の時代から会場に呼ばれたと推測しています。
※自分が死亡後参戦だと勘違いしています。

【植木耕助@うえきの法則】 [状態]:健康[装備]:なし[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3[思考・状況]基本方針:自分の正義を貫く1:森達のところに戻りたい…とは思うけど、殺し合いには乗らねぇ。
2:バッグの中身を見といた方がいいかもな。
3:とりあえず服部と行動した方がいいな。[備考] ※参戦時期は16巻の第153話「最終決戦!!」にて、アノン相手に最後の魔王を撃った直後からです。
※「ワールドウィッチーズ」世界についてある程度の知識を得ました。
※互いが別々の世界もしくは別々の時代から会場に呼ばれたと推測しています。
※自分が死亡後参戦だと勘違いしています。
※神器やゴミを木に変える能力のレベル2にはある程度制限がかけられていますが、どれぐらいの制限がかかっているかは後続にお任せします。


578 : ◆8eumUP9W6s :2021/05/05(水) 23:46:00 VvYxdLmI0
>>577
状態表ミスがあったので修正します。

【服部静夏@ストライクウィッチーズシリーズ】
[状態]:健康、決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める
1:宮藤さんなら…きっとこうします!
2:バッグの中身を確認したいですね。
3:植木さんは…何というか…不思議な人、という感じがします。
[備考]
※参戦時期は「RtB」ことストライクウィッチーズ ROAD to BERLINの最終話「それでも私は守りたい」にて、宮藤芳佳にユニットを届けた後意識を失った直後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※「うえきの法則」世界についてある程度の知識を得ました。
※互いが別々の世界もしくは別々の時代から会場に呼ばれたと推測しています。
※自分が死亡後参戦だと勘違いしています。

【植木耕助@うえきの法則】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:自分の正義を貫く
1:森達のところに戻りたい…とは思うけど、殺し合いには乗らねぇ。
2:バッグの中身を見といた方がいいかもな。
3:とりあえず服部と行動した方がいいな。
[備考]
※参戦時期は16巻の第153話「最終決戦!!」にて、アノン相手に最後の魔王を撃った直後からです。
※「ワールドウィッチーズ」世界についてある程度の知識を得ました。
※互いが別々の世界もしくは別々の時代から会場に呼ばれたと推測しています。
※自分が死亡後参戦だと勘違いしています。
※神器やゴミを木に変える能力のレベル2にはある程度制限がかけられていますが、どれぐらいの制限がかかっているかは後続にお任せします。

そして投下終了します。タイトルは「解けそうにない勘違い」です。


579 : おいたわしや父上 ◆ruUfluZk5M :2021/05/05(水) 23:50:08 5Ny9Lzww0
投下します。


580 : おいたわしや父上 ◆ruUfluZk5M :2021/05/05(水) 23:51:45 5Ny9Lzww0
 ある参加者……いや、八将神のひとりが平安京で暴れ狂っていた。
 姿は眼鏡の奇妙な和服を着た女子高生。だが刀を振るうたびに、周囲の大地は裂け、建物は粉砕される。
 乱雑に刀を振り回すだけで例えビルであろうと紙くずのように裂けるであろう圧倒的な存在。とてつもない破壊の意思。
 容姿こそ一般的な女子のそれだが、中身は違う。
 これぞ八将神としてよばれた暴走する魂。
 その名は……平家の巨人、平清盛。
 奇しくも元の世で宿敵たる源義経が使っていた鞍馬の剣と同じ、豹尾神の名を今や冠している。

 しかし、彼の存在がなぜ女性の姿なのか。
 平清盛は女性だった、などというふざけた事実があるわけではない。
 元の世界で彼は、女子高生の肉体をよりしろとして魂を入れられたのだ。
 そのまま彼は主催の手でさらわれた……
 
 が、ここに誤算があった。


581 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 23:51:46 YbYxHY.M0
投下します


582 : 絶望への反抗 ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 23:52:10 YbYxHY.M0
「生きてる...片腕もある...まさかドラゴンボールか...?」

そう呟く青年、孫悟飯...しかし本来の世界ではなくもう一つの世界、人造人間によって支配されている世界の孫悟飯...彼は二人の人造人間を倒すために彼らに挑んだ...お互い良い勝負をしていたが徐々に押され始め最終的に殺されてしまった
しかしどうだろう、今は身体も自由に動かせることも出来れば戦いの末失くした左腕も元に戻っている...

「いや、それどころじゃないな...主催め...何を考えているんだ...!」

悟飯は主催に対して怒りをあらわにした、突然殺し合いをしろと言い出しそれだけではなく見せしめとして人が殺された...悟飯は許せなかった、何の罪もない人を躊躇なく殺した主催を必ず倒すと心に決めた...その時...

「!!」

灰色のコンニャクのような化け物が突然襲いかかってきた、悟飯は戦いなれているため化け物の攻撃をかわし気弾を放ち跡形もなく消し飛ばした...

【コンニャクローン@クレヨンしんちゃん 死亡】


◆◆◆


「何だったんだ...今の化け物...」

突然襲いかかってきた化け物に悟飯は困惑した...だがそれよりも気になったことがあった

「威力が大幅に落ちている...力を制限させられてるのか...?」

悟飯はいつものパワーが出せなかったことに直ぐ気づいた、これも主催の力によってされているのかと考えた

「とりあえず他に協力してくれる人を探そう...悔しいが今の力じゃ主催に勝てそうもない...」

悟飯は制限されている以上主催を倒すことは難しいと判断しコンニャクローンの支給品を拾い他の参加者を、もとい協力してくれる者を探し始めた
絶望の状況に陥った悟飯、その絶望に反抗することはできるのだろうか...

【孫悟飯@ドラゴンボール】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3、コンニャクローンの支給品1~3
[思考・状況]基本行動方針:主催を倒す
1:協力してくれる人を探す
2:威力が大幅に落ちているな...
[備考]
※参戦時期は「絶望への反抗 残された超戦士 悟飯とトランクス」で死亡した後
※力が大幅に軽減されており消耗が激しいです(力は物を壊せるぐらい)


583 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/05(水) 23:52:30 YbYxHY.M0
投下終了します


584 : おいたわしや父上 ◆ruUfluZk5M :2021/05/05(水) 23:52:44 5Ny9Lzww0
 蘇った平清盛は、その場においても元々暴走状態にあった。
 そのため、実のところ魂を捻じ曲げられようと一切が元と大差ない状態であり、これ幸いとただの参加者ではなく八将神として据えられたのだ。
 そこまでは良い。
 だが、もうひとつ。その暴走状態が曲者だったのだ。つまり……

「めしはまだかいのう?」

 彼の息子平恒盛いわく――
『父上は頭のネジがぶっとんでしまったのだーっ』
 死の直前。牛若丸(源義経)の悪夢をみた清盛は……その魂魄が転身した際、ショックで頭がボケてしまっていたのだ。
 そんな状態で更に魂を捻じ曲げられこの平安京に連れてこられたせいで、完全に清盛はボケ老人状態の「清盛ちゃん」で固定されてしまった……!

「誰がもうろくじじいじゃーっ!」
 誰もそんなことは言っていない。
 だが、元の世界でそうだったように清盛ちゃんはわけがわからぬまま、平家の魂を呼び出した鬼一法眼が用意していた古刀を握り、圧倒的な英霊にふさわしい魂でメチャクチャに振り回す。
「ヨーシコーッ」
 誰だよ。


585 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 23:52:47 D8bT9.hg0
2作続けて投下します


586 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 23:53:24 D8bT9.hg0
すみません、失礼しました。
後程投下します。


587 : おいたわしや父上 ◆ruUfluZk5M :2021/05/05(水) 23:53:42 5Ny9Lzww0
 このまま平安京は一人のボケた英霊の手で早くも灰燼に帰すと思われた……その時。
「スイーツ!」
 ピロリロリッ♪
 気の抜けた音が周囲にしたと思うと、突如清盛ちゃんが破壊活動をやめ、刀をおろして叫ぶ。

「ワシ、甘いものが食べたーいっっ!!!」

「ほーれ柏餅ですよ」
「おおすまんのう」
 どこからともなく出された柏餅を食べ、お茶をすすり始める清盛ちゃん。しばらくすると眠くなってきたのか、すうすうと寝息を立てはじめた。
 瓦礫まみれの中で目の前に寝るきわどい格好の女性を見て、変な金髪をしたホクロの男、魔法使いメレブはどうしようと悩む。
 清盛ちゃんの破壊行動を止められたのはこの男の呪文、甘いものを食べたくなって隙だらけになるという「スイーツ」のせいだった。
 元々メレブの呪文は迂遠だったり奇妙な結果を出す代わりに、人であろうとあるまいと、別の法則(ゲーム)の存在だろうとお構いなしに効果があった。
 魂を捻じ曲げられた存在が相手だろうと例外ではなかったのである。


588 : おいたわしや父上 ◆ruUfluZk5M :2021/05/05(水) 23:54:56 5Ny9Lzww0
 メレブは目の前の眠っている女性に対してどうしたものかと悩む。殺し合いでいきなり最大の爆弾が転がり込んだに等しいのだが、八将神のことを知らないただの参加者であるメレブにとっては同じく巻き込まれた変な暴れる女性に過ぎなかった。
「うーむ見た感じ若年性の認知症だろうか。この分だと平時はさぞ凄腕の剣士だったのだろうがまさかボケてしまうとは不憫な」

 合っているんだか間違ってるんだかわからない変な同情と考察をメレブがしていると、ふと清盛ちゃんが唐突に目覚めメレブを見て一言。
「ヨシオくん、どうした?」
「うむ、ヨシオではない。ヨシオではないからな? ヨシヒコみたいで名前が被るからやめてくれないかな」
 メレブのツッコミを聞いているんだかいないんだかと言った状態で、清盛ちゃんは「メシはまだかいのー!」と叫ぶ。
 刀を地面に杖のように突きさしてカクカクと変な動きでメレブの元に来る清盛ちゃん。
「うーん……これって……その……オレ介護要員?」
 そのようである。

 八神将・清盛ちゃん(ボケ状態)が仲間に加わった!
「なってどうするんだこれ……?」
「あ? あ?」
「耳遠いし……」


589 : おいたわしや父上 ◆ruUfluZk5M :2021/05/05(水) 23:56:07 5Ny9Lzww0
【メレブ@勇者ヨシヒコと導かれし七人】
[状態]健康、困惑
[装備]杖@勇者ヨシヒコと導かれし七人
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜3
[行動方針]
基本方針:殺し合いの打倒
1:とりあえずこの若年性認知症と思われるさすらいの凄腕剣士らしき女子をどうしよう。
2:オレの呪文で誘導するしかないのか……?
[備考]
 参戦時期は魔王ゲルゾーマとの戦いで死ぬ前です。
 基本的に1期〜3期の呪文は大体使える状態。

【八将神枠】
【清盛ちゃん@義経ちゃん剣風帖】
[状態]ボケ老人、徘徊、暴走
[装備]古刀@義経ちゃん剣風帖
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜1
[行動方針]
基本方針:甘いものが食べたいのう
1:ヨシオさん飯はまだかいの?
2:ぐーぐー
[備考]
 改竄によって八将神として魂がねじ曲がったせいで、逆に原作のボケて暴走してる状態に固定されてしまっています。
 このため上手く八将神としても働いていません。
 周囲は破壊活動で瓦礫の山です。


590 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:56:42 w3m/yE0o0
時間が迫ってるので投下させていただきます 割り込み申し訳ございません


591 : ◆0EF5jS/gKA :2021/05/05(水) 23:56:55 1IqouviI0
投下します。


592 : ◆ruUfluZk5M :2021/05/05(水) 23:57:02 5Ny9Lzww0
投下終了です。
こちらこそ重なってしまいすいません。


593 : Revenge of New King ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:57:21 w3m/yE0o0
「――気に食わぬ。何故余がこのような下らぬ催しに巻き込まれなければならぬのだ」

赤に染まる平安京の空の下、黒衣の男が苛立ちの言葉を吐き捨てそこに立っていた
男の名はベルゼバブ。空の世界において、『星の民』と呼ばれた種族の一人

「だが、手段はわからぬがあの封印から余を開放し、ここまで連れてきた連中の力は興味深い」

彼の最後の記憶、それは特異点とその仲間たちとの戦闘中、特異点の仲間の一人である錬金術師カリオストロの策によって星晶獣封じの結界によって次元の狭間に封印された時だ
もっとも、それは狡知の堕天司ベリアルによって仕掛けられた策であり、戦場となっていた実験場にあった資料に細工をし、それを特異点達に気づかせるというなんとも遠回しなやり方であった
だが、仮にも星晶獣を封印出来る結界から、自身に気づかれずにここまで連れ去るなど、余りにも不可解だ

「……狡知とルシファー、特異点どもはおらぬか。いや、もしかすれば余と同じく呼ばれている可能性もあるな」

だが、この考察がもし事実だとすれば、最低でも想定出来る相手は天司長か高位の星晶獣に引けを取らない、もしくはそれすら凌駕した存在だと考えられる
――だが、それがどうした?

逆を言えば、ルシファーや特異点に類する参加者が多数呼ばれている可能性があるかもしれないということだ。ならばベルゼバブにとっては好都合である。その参加者を、あわよくば主催共の力を手に入れ、今度こそ全てを超える存在として世界に君臨することだ

だがその前に最初に邪魔となるのはこの自身に課せられた首輪の存在だ。これがある以上忌まわしいことに反抗は不可能。故に

「まず手始めに羽虫どもの首輪を手に入れたい所か。それに、誰を殺すにしろ、会うやもしれぬ異世界の人間の実力とやらも確かめておくことも、な」

まずは首輪のサンプルだ。解除のためにはまずこれ以外の実物を調べる必要がある。どちらにしろ他の参加者を殺す必要性があるがそれは些細な問題だ
それに、もし仮にルシファーや特異点らがここに来ていると仮定して、やつらもまた同じように首輪を嵌められ、その力を制限させられている可能性がある
特異点はまだしもルシファーの実力はベルゼバブ自身が一番知っている。狡知との激闘の傷が響いていたとはいえ一撃で瀕死に持っていかれた。
もしルシファーがいると仮定し、やつを打ち倒すならば早々に自身の首輪を外し、奴の首輪が外れる前に奴を仕留める他ない。もし奴の首輪がすでに外れているのであれば、その時は力を蓄え、万全の状態を持って挑み仕留めればいい

「待っているが良い、メフィスとフェレスとやら。最後に頂点に立つのは、このベルゼバブなのだからな!」

紅天にて、蝿の王の声が、高らかに鳴り響いた


【ベルゼバブ@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:他の参加者も主催をも打ち倒し、今度こそ全てを超える存在として世界に君臨する
1:まずは首輪のサンプルが欲しいところだ
2:もしルシファーや狡知、特異点等がこの会場にいた場合の対策も取らねばならぬ
[備考]
※参戦時期はカリオストロに封印された後


594 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/05(水) 23:57:35 w3m/yE0o0
投下終了します


595 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 23:57:47 D8bT9.hg0
投下させていただきます。


596 : 神と人 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 23:58:03 D8bT9.hg0
紅き血染めの月の平安京ーーーーー

神が降臨したーーーーー

「なぜです!?人の望みによって生まれた私を…!何故人が否定するのです!?私は人々を幸せに導くための存在!それなのに何故!?私を否定するのですか!?他ならぬ人である貴方達が…!!」

しかし、神は怒っているーーーーー

「やはり…この歴史は破壊すべきです!エルレインが望んだ様に!!」

神は神でも狂った神ーーーーー

【フォルトナ@テイルズオブデスティニー2 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:役割を終えた歴史に幕を下ろす
1:旧き人々を滅する
[備考]
※参戦時期はカイル達に存在を否定され戦闘する前

☆彡 ☆彡 ☆彡


597 : 神と人 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 23:58:17 D8bT9.hg0
「……行きましたか?」

狂った神が向こうへ去ったのを隠れて窺っていた女生徒がいた。

女生徒の名は深見遥 。
エフィカス学園中等部2年A組の中学生。

「ふぅ、どうやら、遥の居る世界とは別の世界があるようですね」
遥は別世界の存在を違和感なく受け入れた。

なぜ、そうしたことができるのかというとーーーーー

(遥を初めとした大人数での殺し合い……それに京の平安京での殺し合いなんて、普通の人物には不可能です)
(この、デイバッグに入っていたタブレット……遥の世界では、見たことがありません!)
遥の世界のパソコンはいわゆるWindows98とかの時代、タブレットなど存在しないーーー
それらのことから、メフィストフェレスによる殺し合いは遥の住む世界では、不可能と断定できるからだ。

(首輪……遥なら、必ず解除することが出来る筈です)
遥には自信がある。
凄いプログラムをたったの1時間で作るほどができるほどの天才的な頭脳の持ち主だからだ。

それを裏付ける証拠に、深見遥は中学生ながらインターネットで個人サイトを運営していたことがあるーーー

しかも、サイトの内容は理数系……それも大学入試の問題を集めた疑似入学試験がウリという本格的なサイトをーーー

「メフィスとフェレスといってました。ドイツのファウスト博士と取引した悪魔の名前ですね……」
(あの彼女らは悪魔なのですか?)
遥はメフィスとフェレスの名前から悪魔メフィストフェレスを連想するーーー

「先輩……遥は必ず、生きて元の世界へ戻ります。待っていてくださいです」
愛する先輩を思い描きーーーーー
小さき天才が悪魔に挑むーーーーー

【深見遥@エフィカス この想いを君に… 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:首輪を解除して元の世界へ戻る
1:首輪の解除方法を探る
2:乗っていない参加者と情報収集をしたい
[備考]
※参戦時期は個別ルート、クリスマスイブ中


598 : リアルデスマッチに愛と正義は ◆0EF5jS/gKA :2021/05/05(水) 23:58:27 1IqouviI0
「どういうことよォォォォォ!!愛の戦士さん!!プァァァァァァァプァァァァァァァァァァァ!!なぁぁああ一にが殺し合いよぉぉ!!いくらなんでもリアルデスマッチはやり過ぎでしょおぉおおおお!!!」
阿修羅地獄に存在する鬼神の如く怒りの雄叫びをあげる魔女がいた。魔女の名はリカ。愛の戦士という人気動画投稿者の彼女にして、パック開封デスマッチという神聖なる競技のいけにえである…しかし。
「そんなに私のことが憎いのォォ!?こんなのはあまりにも分かりやすい犯罪行為よぉ!!」
何が犯罪行為だ。お前もかつて怒りに駆られ、ボーイフレンドのハルト君を殺害して血まみれにしたではないか。…リカは父である音楽家のピエールによって何回もいけにえにされ、幾度となくカビのついた粉まみれにされたり圧縮されたり車に轢かれたり服だけ溶かされたりするなど苦痛と絶望の頂点を極めし罰ゲームすらも経験している。
 そして「自分よりも人気があるものに対しては実の娘であろうが憎悪する」という父のピエールの言葉や愛の戦士の浮気相手のみさきの存在などがトリガーとなり、優しい性格は砕かれ邪悪なる血が覚醒し、かつてのボーイフレンドすら躊躇いなく殺害する、悪魔も凌ぐ残虐な魔女と化したのだ。
「いつもいつもいつもいつもォオ!!!私ばかりこんなことになってぇぇぇ!!!」
 リカの怒りはピークよりもやばい次元に達していた。愛の戦士くんの優しさや慈愛を持ってしても、収まらないほどの憤怒だ。リカは今までに愛の戦士とピエールに(特にピエール)えげつない真似をされてきたので、二人が主催に関係していると思いこんでいるのだ。
「……………………………‥………………‥………………‥………………‥………………‥…」
「わかったわぁ、愛の戦士さん、これは貴方が与えた試練なのね。」魔女は何かを悟りはじめた。
「良いわぁ…確かあのフェレスとメフィスとかいうメスガキが願いが叶うとかほざいていたわね…うひゅふふふふふふふふふふふふふふふふふふ…」
「ならさっさと優勝して叶えようじゃない……愛の戦士さんの愛を絶対に支配して…永遠に…この大宇宙が終焉を迎えたあとすらも…愛の戦士さんは私のおとことして………存在し続けるのよぉぉ……」
自分の欲望のためにゲームに乗る禍々しい決意をした。やはりこの女は真の魔女だ。この邪悪さは彼女の人格や記憶をリセットしない限り消えることはありえない(マジで)
「このぶぅぅきでぇぇぇ……どいつもこいつも地の獄に沈み続けるのよぉぉぉ……!!」リカは支給された武器のロンギヌスの槍(小型化)を装備してしまった。ロンギヌスの真紅の色はまるでこれから血まみれと化す参加者を暗示しているかのようであった。
「待っていてね愛の戦士さん…!!もうすぐ永久なる愛の牢獄に二人っきりになれるのよ………!!」魔女はあまりにも邪悪なる愛のために殺戮の化身となった。「おおあんなところにガキが……!!あんなガキなら問題無く殺れるわ……!!私の愛のいけにえ1号になれる喜びを骨を与えられた犬のように噛み締めるが良いわぁ……!!」
遠目だが参加者が見えたらしい。和服らしき衣服に身につけた儚さを感じさせる少年であった。


599 : 光たもれ〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 23:58:40 D8bT9.hg0
「光たもれ〜〜〜〜〜」

【パジャ麿呂@光るパジャマシリーズ 】
[状態]:健康 
[装備]:黄金の扇子@光るパジャマシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:子供達の笑顔を守る
1:光たもれ〜
[備考]
※参戦時期はCM出演中

【黄金の扇子@光るパジャマシリーズ】
パジャマ麿呂愛用の扇子。
「光たもれ〜」の言葉と同時に扇子を振ることで、子供達のパジャマを光らせることができる。
「さらに、光りたもれ〜〜」と言うと、新しいパジャマが子供たちに装着させられる。
世界が平和になれる支給品NO、1であることは間違いない。


600 : ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 23:58:45 rfMzx5ds0
投下します。


601 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/05(水) 23:59:02 XR.MRxEo0
投下します。


602 : 光たもれ〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/05(水) 23:59:28 D8bT9.hg0
以上で投下を終了します。


603 : リアルデスマッチに愛と正義は ◆0EF5jS/gKA :2021/05/05(水) 23:59:36 1IqouviI0
(僕は何の理由があってこんな場所によばれたのだろう。)
命を奪い合う戦場となった藍色の平安京に召喚された少年が戸惑いに満ちていた。
(僕はどうして普通歩くことができるのだろう。)
 少年は生まれつき病弱であり走ったことが無く歩くことすらも苦しい。
そんな少年は召喚され謎の首輪の効力で歩くことが何の問題もなくできるようになった。
しかし喜びよりもなぜ歩けるのかという疑問の方が勝っていた。
 (いったいどうすればいいのだろう、人を殺めるなんてできるわけがないしして良いはずもない。)
動けぬくらい病弱でも両親の心からの愛情を受けて育った累には道徳も情愛も慈しむ心だってある。ゆえにこんな殺し合いには乗る理由がない。
(母さんと父さんもまさかこの場にいるのだろうか。もしいたとしたら…どうしよう助ける自身が無い)
 累は歩けない状態から首輪の補正でいきなり歩けるようになったが、今まで軽い運動も歩くこともすらもあまりできなかった自分が戦えるはずがない。
 (ぼくは…どうすればいい?)
そのときであった、血のような色に染まった槍を構えた悪鬼のような少女が駆け抜け目の前に現れた。
「うふふ…あなたはたぶんうまれついての幸せ者なのね…」
 累は尋常ではないほどの恐怖を感じた。目の前の女の子は何を言っているのだろう。確かに自分を愛してくれる父と母の子として生まれたのは幸せなことだが、目の前の少女はそのことを踏まえて言ったようには全く思えない。
「あなたはこの私の…栄あふれるいけにえの祝すべき1号なのよぉぉぉ……!」
 今少女が吐き出した言葉を聞いて累は背筋が凍りつき死を嫌でも予感する。
 (そのときであった、ジェットが付いた自転車にのった魔物の子どもが累をつかみ、そのまま勢い良く去っていったのだ。


604 : ◆tAzjJve9.E :2021/05/05(水) 23:59:38 xqXDFgt.0
投下します


605 : ◆1qfrROV/6o :2021/05/05(水) 23:59:45 rfMzx5ds0
すみません言葉足らずでした、ギリギリなので投下の予約だけ宣言します


606 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/06(木) 00:00:18 mRPx6yoA0
すみません自分途中で割り込んでました...本当にすみませんでした...


607 : リアルデスマッチに愛と正義は ◆0EF5jS/gKA :2021/05/06(木) 00:00:29 SqoHlJWs0


ボクさまはランサー、とある場所の新しい王様なのだ!
就任したときにさっそくお仕事として規則を変えたけど
ほかには具体的に何をすれば良いのかわからないから部下に教えて貰いながらお勉強中!
のはずがなんだか平安京?とかいう変な場所にとばされちゃった…

なんかメフィスとフェレスだっけ?
見た目はキュートな女の子だけどあんなことをやっちゃうから今のパパ上みたいなやつなのかな…
殺し合いに勝ち残れば願いをかなえるって言ってたけど
そもそも殺し合いなんて間違ってるし、
そんなやり方で願いをかなえるなんてぜーんぜんだめ!


よーし!楽しみ隊と立派な一員である立派なものとしてこんな殺し合いめちゃんこに台無しにしてやるぞ!
おっ!手始めにあそこでおそわれそうになってるやつを発見!かれいに助けちゃおう!

そうするとボクさまはいつもの自転車に乗ってとびたしたぞ!でも何でこんなに都合よく用意されていたんだろう?ま、いっか!


608 : ◆tAzjJve9.E :2021/05/06(木) 00:00:40 n2Ok4G9E0
同じく投下の予約を宣言します


609 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/06(木) 00:01:07 6hA21O4g0
 平安京の一室に、ひっそりと佇んでいる宝箱。

 富に目を眩ませし者よ。さあ、その深淵に手を伸ばせ。

 その先に見るは死か、それとも財宝か。

 来訪者は、未だ来ず。

【パンドラボックス@ドラゴンクエスト7】
[状態]:宝箱に擬態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3(強力な武具やアイテムです。)
[思考・状況]基本行動方針:参加者を殺す
1:開けられた瞬間に殺そう


610 : リアルデスマッチに愛と正義は ◆0EF5jS/gKA :2021/05/06(木) 00:01:41 SqoHlJWs0

◆ 
殺し合いに乗った女の子に襲われたかと思えば今度は明らかに人ではない奇妙な子どもが知らない乗り物に乗って僕を助けてくれた。この子はいったい誰なのだろう。

「ホッホッホ!おまえ!助けられたな!このボクさまに!」
「う…うん、どうもありが」
「そしてとってもありがとう!」
「……え?どうして君が感謝するの?」
「お前を助けたからボクさまは楽しみ隊の一員としての立派なお仕事をできたからだ!だからボクさまは感謝する!」
僕は助けて貰った側なのにどういう訳なのか感謝されたお礼をいいたいのは同じなんだけど。あと楽しみ隊ってなんだろう。

「あ、あの」
「ん!どうした!まさかキャンディの木の実が食べたいのか!?」
またこの子から知らない言葉が発せられた。たぶん悪い子ではないと思うけどこの子はいったい何者なんだろう。決して悪い子ではないのはわかるけど。
「助けてくれてありがとう。」
「そうか!どういたしましてだ!」
とりあえずお礼は言えた。次は名前を聞いてみよう。
「ねぇ君は誰なの?あと…楽しみ隊って何?」
「おったしかに紹介がまだだったな!ボクさまはランサー!つい最近にやみの世界の王様になったのだ!」
王様?たしかとても偉くて国をまとめる人のことだ。どうして王様なんだろう。
「そして楽しみ隊とは…!!えっと…」
「?」
ランサーは少し考え込んでから言ってくれた。
「そう正義の味方のことだ!」
正義の味方…初対面の僕を迷わず助けてくれたから正義の味方だというのは本当なんだろう。
「次はこっちだね。僕の名前は累。綾木累っていうんだ。よろしくね。」
「そうか累というのか!!ようし累!!お前も今日から楽しみ隊の一員だ!」ということは正義の味方になるの?病弱な僕が一員になっても大丈夫なのだろうか。
「ぼ…僕のみたいな病弱な子供が入っても大丈夫なの…?」
「案ずるな累!体が悪かったりしてもホットなハートがあれば大丈夫だ!」
「ほっとなはぁと?」
「要するに立派な心ということだ!」
心…か。
「よーし!楽しみ隊の活動の一環としてこの殺し合いをめっちゃんこに台無しにしちゃおう!」
「う…うん。わかったよランサー」
こうして楽しみ隊にあらたな仲間が入隊し、作戦である殺し合いめちゃんこ作戦が始まった。病弱な子供と新たなる王は殺し合いの場でどのような行いをしなにをみるのか。それは今はわからない。
【ランサー@DELTARUNE】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをめちゃんこに台無しにする。
1:殺し合いをめちゃんこに台無しにして帰る。
【支給品解説】
[ランサーの自転車@DELTARUNE]
その名の通りランサーの自転車。ジェットが付いているのでスピードは優れている。
[備考]
※参戦時期は 敵を全く倒さなかったルートで王様になった後です。

【綾木累@鬼滅の刃】
[状態]:健康、歩けるようになったことへの困惑
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:ランサーについて行く。
1:ランサーについて行く。
2:父さんと母さんも呼ばれているかもしれない。
[備考]
※参戦時期は無惨と出会い鬼になる前です。


611 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/06(木) 00:02:00 X22N7hAc0
皆様コンペ期間お疲れさまです
とりあえず期限切れ前に予約した方はセーフとしますので投下しても大丈夫です


612 : リアルデスマッチに愛と正義は ◆0EF5jS/gKA :2021/05/06(木) 00:02:20 SqoHlJWs0
「何なのよあんの、クソガキ!愛の戦士さんの愛を支配するための神聖な行い…それをさっそく台無しにしやがってぇぇぇ!!」
 リカは全くしらぬ子どもの魔物に邪魔をされ怒り狂っていた。
「これも愛の戦士さんとプァプァが私にぶつけた試練だというの…?」
「なら良いわ。あらゆる試練を乗り越えて敵を屠り尽くしつづけるわよ!!」
「獲物のみんなぁぁ待ってなさい!この私の愛のいけにえとなることに狂喜するが良いわぁ……!!!」
 狂気に満ちた愛を掲げながらリカは高笑いをしながら歩み始めた。

【リカ@パック開封デスマッチシリーズ】
[状態]:健康、際限なき怒り。
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:真の愛を手に入れるために優勝する。
1:参加者を屠り尽くす。。
2:主催の背後にいるんでしょ…愛の戦士さんとプァプァ!
[備考]
※参戦時期は 「俺の女の電話番号が Twitter でばら撒かれたんだが!?」の直後です。
【支給品解説】
[ロンギヌスの槍@新世紀エヴァンゲリオン]
先端は二股に分かれた螺旋状の真紅の槍。本来は巨大だがロワ向けにするために主催の手によって小さくされた。


613 : ◆2zEnKfaCDc :2021/05/06(木) 00:02:25 6hA21O4g0
タイトル『パンドラの箱』の投下を終了します。


614 : ◆0EF5jS/gKA :2021/05/06(木) 00:02:47 SqoHlJWs0
投下は以上です。ありがとうございました。


615 : ◆ruUfluZk5M :2021/05/06(木) 00:07:59 Nub2oVLc0
すいません『おいたわしや父上』で一つだけ誤字を修正します、>>584において
×彼の息子平恒盛いわく――

〇彼の息子、平知盛いわく――


616 : 怨讐のA/空の偶像とアクセルシンクロ ◆1qfrROV/6o :2021/05/06(木) 00:12:13 y5hyVsZ.0
剣と刀が激しくぶつかり合う金属音が響く。
若干刀のほうが押されているように見えるが、不思議な力で膂力が増して押し戻し、相手を弾き飛ばす。

「―――なんで、こんな殺し合いに賛同するんですかっ!」

そう叫ぶのは、刀というよりも太刀に近い武器を構えた少女。
時々扱いづらそうにしていることから、おそらく彼女の本来の獲物は持っている刀ではないのだろう。
押されているのもそれが一因と思われる。

外見は茶色の長髪を一部サイドポニーにしてまとめており、顔つきは明るくて元気そうな印象を与える。
服装はドレスのような軽装を纏っており、頭には綺麗なティアラを付けている。
彼女の名前は島村卯月。346プロダクション所属の普通のアイドルである。……空の世界から呼ばれていることを除けば。
その表情は悲しみに染まり、何故とまさに今切り結んでいる相手に問いかけている。

「―――俺に、質問をするなッ!!」

そう答えるのは、全身を真っ赤な鎧に包んだとしか表現できない男。
頭部にはアルファベットのAを模したような白い角と、複眼のような青いモノアイが存在している。
腰にはバイクのハンドルを模したドライバーがあり、普通では持ち運ぶのすら困難な重量20kgを超える剣を軽々と振るっている。

彼の名前は照井竜。またの名を仮面ライダーアクセル。
風都の町を守る戦士、仮面ライダーの片割れである。
本来ならばこのような殺し合いに乗る人物では断じてない。

だが今の彼は、主催によって魂を弄られ宿業を埋め込まれてしまっている。
Wのメモリの持ち主と決着をつけるよりも前の時間から呼び出され、復讐という鬼に魂を囚われているのだ。
目的の達成のためならば無関係の参加者も手にかけるような悪鬼に。

何度か切り結んでは弾き飛ばしてを繰り返す。
だが、魔物との戦闘経験があるとはいえ卯月は普通のアイドルに過ぎない。
最後には相手の攻撃の衝撃を受けきれず、後ろに押し倒されて尻もちをついてしまった。

もちろんこんな隙を見逃す照井ではない。
懐から灰色をしたUSBメモリ型のアイテム―――ガイアメモリを取り出す。
目の前の相手の命を奪う、文字通りの必殺技を放つために。
卯月が自分の死を肌で感じた、その時。



どこからか、風を切る音が聞こえてきた。
耳を澄まして確認する。何かが赤い鎧の男の背後から近づいてきてる音だった。
トドメを刺そうとしていた鎧の男も、予定外の乱入に苛立つ仕草と共に背後を確認する。

それは赤いバイクのようなものに乗った男だった。猛スピードのソレを操りながらこちらに近づいてくる。
少し妙だと思った。普通バイクがあれほどのスピードを出しながら走っていれば、排気音やエンジンの駆動音がもっと響いていてもいいはずである。
だが多少の駆動音こそあれ、男の速度に反して音は静かだった。例えるならリニアモーターカーの走行音のような、静かな音。

二人は知る由もないが、男の乗っている物の名はD・ホイール。
内蔵されているモーメントという名の永久機関で駆動する二輪車。
―――そしてその本質は、そこではない。


617 : 怨讐のA/空の偶像とアクセルシンクロ ◆1qfrROV/6o :2021/05/06(木) 00:12:55 y5hyVsZ.0




「―――俺のターン!ドロー!俺は《ジェット・シンクロン》を召喚!」

その本質は、ライディングデュエルを行うためのバイク型のデュエルディスク。
正気か、と見てる二人は内心思った。
あのような猛スピードで走る中でカードゲームを取り出し操るなど、一歩間違えば事故は避けられない。

男がカードを操ると、それに合わせてもう一つ不思議な事象が発生した。
実際に、彼が操っているカードが巨大化して実体化したのだ。
それだけでなく、イラストと全く同じ魔物のようなものが飛び出して自由に動き回っている。
カードを元に魔物を呼び出して、それを操るテイマーのような能力者なのだろうか、という考えもよぎった。

「《ジェット・シンクロン》をリリースして、手札から《スターダスト・シンクロン》を特殊召喚!
 更に、モンスターがリリースされたことで《スターダスト・トレイル》は手札から特殊召喚できる!」

彼が引き続きカードを操り新たなモンスターを呼び出す。
モンスターの数が先ほどよりも着実に増えている。
だが今はまだ小型のドラゴン型ロボットと羽の生えた天使のような女性の2体のみ。
先ほどの赤い鎧の男の力を思えば、あれでは頼りないと思わざるを得なかった。

「レベル4の《スターダスト・トレイル》に、レベル4の《スターダスト・シンクロン》をチューニング!」

直後、2体のモンスターに更なる変化が訪れる。
竜型のロボットが緑色の光輪4つに変化して、トンネルのように直線状に並ぶ。
もう一人のモンスターが、そのトンネルの中心に飛び込んだ。その体が徐々に半透明になる。
そのまま4つの明るい光点へと変わった。それがトンネルの中心で直線状に並ぶ。

「―――集いし願いが新たに輝く星となる。光さす道となれ!」

緑の光輪でできたトンネルの中を、眩いくらいの光が駆け抜ける。
その眩しさに一瞬目をつぶってしまう。何が起きたのかと再度そちらを注視する。





「―――シンクロ召喚!飛翔せよ《スターダスト・ドラゴン》!」

現れたのは、先ほどのモンスターたちとは比べ物にならないサイズのドラゴンだった。
力強く羽ばたくその翼から、まるで宇宙に浮かぶ星の光のような輝きが舞い落ちている。
その威圧感と迫力は相当のものだった。赤い鎧の男も、完全に警戒対象をこのドラゴンへ移している。

「《スターダスト・トレイル》の効果により、スターダスト・トークンを特殊召喚!」

更にもう一体、先ほどの竜を小型化したような竜が現れる。
だがこちらはおまけのようなものだろう、とはなんとなくわかった。

鎧の男が、先ほど卯月にトドメを刺すために取り出したガイアメモリを己の獲物に挿入する。
当然、あのドラゴンを倒すために。ドラゴンも、それを迎え撃つ。



『エンジン! マキシマムドライブ!』

「―――バトル!《スターダスト・ドラゴン》の攻撃!シューティング・ソニック!」



ドラゴンの口から放たれた光線と、鎧の男の獲物から放たれたアルファベットのAを模した衝撃波が激突する。
衝撃の余波が卯月の元まで及ぶ。あまりの衝撃に思わず空いた手で目元をかばう。
その一瞬の拮抗は、ものすごく長い時間に感じられた。だが、それも決壊する時が来る。

押し負けたのは鎧の男だった。相手はデュエルモンスターズでも最上位の精霊だ。
いくらアクセルといえども、卯月との戦闘のダメージが残ったままで相手取るのは分が悪い相手だろう。
そのまま攻撃は男にも直撃し、衝撃でそのまま後ろへ吹っ飛ぶ。
地面の上を横にゴロゴロと転がっていき、卯月のいた場所からもかなり後方まで吹き飛ばされた。
……無事だろうか、と先ほどまで命を狙われていたにも関わらず思ってしまうのは卯月の優しさか、それとも甘さか。


618 : 怨讐のA/空の偶像とアクセルシンクロ ◆1qfrROV/6o :2021/05/06(木) 00:13:28 y5hyVsZ.0



「……攻撃の威力は殺されていた。おそらくまだ生きているだろう。」

いつの間にかバイクに乗った男性が卯月の横まで来ていた。
びっくりして変な声が出てしまう。ちょっと恥ずかしくて顔を背けた。顔も赤くなってるかもしれない。
もしかしたら、卯月の気持ちを察してそんなことを言ってくれたのだろうか。

「―――立てるか?狭いかもしれないが、俺のDホイールの後ろに乗れ。
 アイツが起き上がるより前に、ここを離れよう。」

「……あ、は、はいっ!」

差し伸べられた手を見て、自分がまだ尻餅をついたままだったことに気づいた。
その手を取って立ち上がる。自分の獲物をデイバックにしまい、なんとか後ろに乗り込んだ。
そのまま二人乗りのDホイールは走り出す。





「あの、私、島村卯月です!
 助けてくれてありがとうございました!」

「俺は不動遊星。気にするな、当然のことをしただけだ。」

走りながらお互いの情報を交換する。
遊星さんの言うことは全然聞いたことがない話ばっかりだった。Dホイールやライディングデュエル、デュエルモンスターズのこと。
だが空の世界に飛ばされていた経験から「どこかにはそんな異世界もあるのかもしれない」と受け流すことができた。
……ちょっとずつこういう異常事態への順応性が上がっている気がして、それはそれで複雑だった。

お礼とばかりに卯月の世界やアイドル、そして空の世界について話そうとしたとき。
―――後ろから、何かの走行音が聞こえてきた。




思わず後ろを振り返る。確かに、追いかけてくる影があった。
鎧の色合いや形などから、先ほどの男とおそらく同一人物だろうとは思った。
だが、その形は異様に変形していた。前輪と後輪があり、腰についていたハンドルが男の手元に移動している。
誰がどう見てもその姿は、バイクであった。

「―――遊星さん!あの人、追いかけてきてます!」

「何っ!?」

卯月の言葉に、遊星も一瞬後ろを振り向いて確認する。
その異様な姿に、流石の遊星も絶句していた。
その速度は現状、遊星のDホイールよりも早いように卯月の眼には見えた。

「もしかして、追いつかれちゃうんじゃないですか!?」

「…………Dホイールと合体する奴もいれば、自分自身がDホイールになる奴もいる、ということか。」

「……どういうことですか?」

「いや、なんでもない。こっちの話だ。
 ―――それに、必ず振り切って見せるさ。」

何を言っているんだろう、とは思ったがそこにはこれ以上触れないことにした。
遊星は不敵な笑みを浮かべながら必ず振り切ると宣言すると、再びカードを操り始めた。


619 : 怨讐のA/空の偶像とアクセルシンクロ ◆1qfrROV/6o :2021/05/06(木) 00:14:10 y5hyVsZ.0



「墓地の《ジェット・シンクロン》の効果発動!手札を1枚捨てることで、このカードを墓地から特殊召喚できる!
 レベル1のスターダスト・トークンに、レベル1の《ジェット・シンクロン》をチューニング!」

光輪と光点の数こそ少ないが、再び先ほどと同じ光景が繰り広げられている。
確か「シンクロ召喚」と言っていただろうか。

「集いし願いが新たな速度の地平へ誘う。光さす道となれ!
 シンクロ召喚!希望の力、シンクロチューナー《フォーミュラ・シンクロン》!」

現れたのは小型のF1レーシングカーのようなモンスターだった。
このモンスターで先ほどのように攻撃するのだろうかと最初は思った。だが遊星の様子を見るに違うらしい。
この速度で走っている最中にもかかわらず―――遊星は一度、その瞼を閉じた。

自分の精神を極限まで集中する。
必要なのは明鏡止水の境地。自分自身の心の中の水面に落ちる水の一滴。
それが見えた瞬間―――遊星は己の双眸を見開いた。




「―――クリアマインド!レベル8シンクロモンスター《スターダスト・ドラゴン》に
 レベル2シンクロチューナー《フォーミュラ・シンクロン》をチューニング!」

Dホイールの周りをらせん状の空気の流れが抜けていく。
その流れに乗って、Dホイールが先ほどよりも間違いなく加速しているのが肌で感じられた。
昔、友達と一緒に遊んだカートレースゲームで似たようなものを見た気がする。
確か、スリップストリームと呼ばれていたような。

「集いし夢の結晶が、新たな進化の扉を開く!光さす道となれ!」

そんなことを思っている間に、遊星さんのがピンク色の眩い光で包まれていく。
F1型のモンスターが2つの光輪になるところまでは一緒だったが、そのあとの現象はまるで違っていた。
これも「シンクロ召喚」なのだろうか?





「―――アクセルシンクロオオオオオオオオオ!!」

―――瞬間、すべての景色が後ろへ流れていった。
何が起こったのだろうか。とにかく一瞬、自分が普通の世界の流れから切り離されたような。
そんな感覚が卯月を襲った。だがそれも一瞬。コンマ数行の後に世界が元の景色に戻る。

「―――生来せよ《シューティング・スター・ドラゴン》!!」

そして姿を現したのは、新たなドラゴンだった。
先ほどの竜のような生物的な翼ではなく、まるで飛行機のような翼を携えたドラゴン。
見ようによっては、ジェット機がついているようだと思った。
そんな姿に卯月が圧倒されている間に、遊星はDホイールを停止させた。



「……って、ええ!?止めちゃうんですか!?追いつかれちゃうんじゃ―――」

「いや、もう大丈夫だ。奴は振り切った。」

「……えっ?」

言われてみて周りを見渡してみる。
確かにこの場所は先ほどまでいた場所とは全然違う場所だ。
どういうことだろう。
自分が覚えてる限りの平安京の地図と、現在位置を照らし合わせてみるる。

「……ここ、もしかしてさっきの場所のちょうど対角線上の端っこ?」





不動遊星のアクセルシンクロを見たことのあるものならば。
一瞬彼が消えて、後ろから《シューティング・スター・ドラゴン》と共に現れるのを見たことのある人もいるだろう。
今の平安京でも移動も、これと同じ原理で移動している。

アクセルシンクロの際、遊星のDホイールは一瞬だけ光の速さに達しているのだ。
それがなぜ後ろから現れるのかは、ネオドミノシティのサーキットの形が関係している。
基本的にサーキットではライディングデュエルを続けるため、円形で何週も走れるようになっている。
後ろから遊星が現れる理由は単純明快、光の速さでサーキットを一周して相手を周回遅れにさせているのである。

同じことをこの平安京でやればどうなるか。
平安京の道は当然円形ではない。網の目のように交錯したいくつもの直線でできている。
当然、走れるところまで直線を駆け抜けてから止まるしかない。
今頃アクセルは二人のはるか後方に置いてけぼりにされているのだ。

説明を受けた卯月は、そのあまりにもスケールの大きな話に苦笑するしかなかった。


620 : 怨讐のA/空の偶像とアクセルシンクロ ◆1qfrROV/6o :2021/05/06(木) 00:14:44 y5hyVsZ.0



【島村卯月@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、王家の装備の使用による空腹(中)
[装備]:火車切広光@11eyes -罪と罰と贖いの少女-、王家の装備(ティアラのみ)@プリンセスコネクト!Re:Dive
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:346プロのみんなは、巻き込まれてないといいな……。
2:遊星さんは、不思議な人だけど悪い人じゃなさそうです。
3:さっきの人(アクセル)は、なんで殺し合いなんて……。
[備考]
※空の世界(グランブルーファンタジー)からの参戦のため、細かい設定はそちらに準拠します。
 参戦時期は少なくとも最新のコラボイベント終了後です。
※コラボにおいて空の世界に残存していた描写があるため(最新コラボにて高垣楓と合流した際の描写など)
 もしかしたらグランブルーファンタジー出典のキャラやグラブルとコラボした作品、キャラについて知っているかもしれません。


【不動遊星@遊戯王5D's】
[状態]:健康
[装備]:不動遊星のDホイール@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:まずは卯月を安全な場所へ。
2:この殺し合いを打破する方法を探そう。
[備考]
※参戦時期はTV本編終了後です。
※Dホイールには遊星のデッキも入っています。
 デッキには放映終了後に発売された遊星関連の最新カードも入っています。


【八将神枠】
【照井竜@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:アクセルドライバー+アクセルメモリ+エンジンブレード&エンジンメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:Wのメモリの持ち主に復讐する。
1:目標の為ならどんな犠牲も辞さない。
[備考]
※参戦時期は少なくともWのメモリの本来の持ち主を知る前です。


【火車切広光@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
焔を操る大太刀で、草壁七剣のひとつ。
刀としてはサイズが大きめの為、少し扱いにくい。

【王家の装備(ティアラのみ)@プリンセスコネクト!Re:Dive】
空腹感と引き換えにすさまじい膂力を発揮する装備。
本来はプリンセスソード、肩当て、ティアラの三点セットだが、ティアラだけでも効果は発揮できる。

【不動遊星のDホイール@遊戯王5D's】
不動遊星がチューニングしたDホイール。遊星のデッキもセットで支給されている。
ソリッドビジョンがリアルソリッドビジョンに変更されており、物理的な攻撃力も伴う。

【アクセルドライバー@仮面ライダーW】
仮面ライダーアクセルに変身するためのベルト。

【アクセルメモリ@仮面ライダーW】
仮面ライダーアクセルに変身するためのガイアメモリ。

【エンジンブレード&エンジンメモリ@仮面ライダーW】
仮面ライダーアクセルの基本装備。
メモリとブレードのセットで一つの支給品の扱い。


621 : 怨讐のA/空の偶像とアクセルシンクロ ◆1qfrROV/6o :2021/05/06(木) 00:15:06 y5hyVsZ.0
投下終了します。


622 : ◆tAzjJve9.E :2021/05/06(木) 00:16:28 n2Ok4G9E0
改めて投下します


623 : 同じ時代に今出会えた桜たちよ ◆tAzjJve9.E :2021/05/06(木) 00:17:13 n2Ok4G9E0
赤い月が浮かぶ平安京に建つ武家屋敷。
武家屋敷とは言っても中身は現代のそれであり、内装はごく現代的なものである。
どうやって電気を通しているのかは不明だが少なくとも電気は点く。

そんな武家屋敷のリビングにて、四人の少女、女性が卓を囲んで睨み合っていた。
いや、正確にはその中の一名のみどうしたものかと思案していたのだが。

「…仕方ありませんね、この場は私が司会を務めさせていただいても構いませんか?」
「え〜?ライダーさんは桜Aのサーヴァントなんですから卑怯じゃないです?」
「待ってください!Aって何ですかAって!?」
「何って区別するための記号に決まってるじゃないですか。
アナタとわたしと白いので同じ顔が三人もいるんですから読者の方への配慮とか必要だと思いません?」
「どうしてわたしが白いの呼ばわりなんですか!?今は白衣を着てないのに!
というかBB!貴方どうしてここにいるの!?」

間桐桜のサーヴァント、ライダーはこの状況に頭を痛めていた。
今この空間には三人の桜が居た。

ライダーのマスターである間桐桜。
元・健康管理AIにして今は人間として活動を始めた間桐サクラ。
間桐サクラの同型機であるラスボス系後輩、BB。

髪の長さや服装はそれぞれ大きく異なるので視覚的な区別はしやすい。
……が、各々が喋りだすと誰が喋っているのかわからなくなるほど声も話し方もそっくりだった。
当然出会った時の三人の驚きようは凄かった。ライダーも大そう混乱した。

一体何がどうなっているのか。落ち着いて話をしたいのだが一向にそれは叶わない。
BBとサクラはお互いを知っているようなのだがそのあたりもいい加減話してほしい。
ライダーが話を進めようとしても今のように茶々を入れられる始末。


(士郎、もし此処に呼ばれているのなら今すぐ来てもらえませんか……?)

お茶を啜りながら桜の恋人である青年に助けを求めた。
姦しさと騒々しさに溢れた彼女たちの情報交換は何時始まるのか。


624 : 同じ時代に今出会えた桜たちよ ◆tAzjJve9.E :2021/05/06(木) 00:17:39 n2Ok4G9E0



【間桐桜@Fate/Staynight[Heaven's feel]】
[状態]:健康
[装備]:私服
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:ライダーと一緒に生きて帰る。
0:どうして「わたし」がこんなに!?
1:誰も殺したくはない
[備考]
※劇場版Ⅲ終了後からの参戦です。


【ライダー@Fate/Staynight[Heaven's feel]】
[状態]:健康
[装備]:私服、魔眼殺しの眼鏡@Fate/Staynight
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:桜を守る
1:どうしたものでしょうこの状況……
[備考]
※劇場版Ⅲ終了後からの参戦です。
※スキル、宝具への制限は後の書き手さんにお任せします。


【BB@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:普段の服
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:センパイの仇討ちとかじゃないけどあの二人(メフィスとフェレス)はちょっとムカつきますねえ〜
1:あーもう滅茶苦茶ですよ
2:っていうか何で白いの(サクラ)がいるんです?
3:これはもうBBチャンネルを開くしかないのでは?
[備考]
※スキル、宝具への制限は後の書き手さんにお任せします。


【間桐桜@Fate/EXTRA CCC】
[状態]:健康
[装備]:月海原学園旧校舎の制服
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:誰も殺さずに脱出したい
1:どうしてBBが!?
2:先輩(岸波白野)が巻き込まれていませんように……
[備考]
※ギルガメッシュルート、CCCエンド後からの参戦です。


625 : ◆tAzjJve9.E :2021/05/06(木) 00:18:02 n2Ok4G9E0
投下を終了します


626 : ◆0EF5jS/gKA :2021/05/06(木) 01:18:49 SqoHlJWs0
改めて見たら割り込んで
投下をしていました。
申し訳ありませんでした。


627 : ◆4kMBNI9QkE :2021/05/06(木) 09:39:43 qQp3rQGo0
『怪獣と人間との関係性』の一部を改定しました


628 : 当選作&当選参加者発表 ◆2dNHP51a3Y :2021/05/06(木) 22:00:00 X22N7hAc0
12:剣と魔法のファンタジア:モッコス@ドキュンサーガ

21:──『信頼』『助け合い』そして『仲間』──:野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん、アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのはA's

29:届かぬ星に手を伸ばして:藤田修平@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage、幡田零@CRYSTAR -クライスタ-

31:I need a hero to save me now:堂島正@血と灰の女王、真島彰則@リベリオンズ Secret Game 2nd stage、鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ

44:赤い月と悪魔たち:ギャブロ@大貝獣物語2、間久部緑郎/ロック@バンパイア

54:開幕のあいさつ:柳瀬舞衣@刀使ノ巫女、絶鬼@地獄先生ぬ〜べ〜

57:餓桜伝説:カイン・R・ハインライン@餓狼MARK OF THE WORVES、フェザー@グランブルーファンタジー、衛藤可奈美@刀使ノ巫女

68:赤き夜の支配者(ドミネーター):天王寺璃奈@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、草壁美鈴@11eyes -罪と罰と贖いの少女-、童磨@鬼滅の刃

73:翼は無くとも勇気はある:宮藤芳佳@ストライクウィッチーズシリーズ

76:ハイテンション・エクスプローション:古波蔵エレン@刀使ノ巫女、高咲侑@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、ホワイト@RB餓狼伝説SP DOMINATED MIND、累の父@鬼滅の刃

81:穢され堕ちた薫衣草、涙に濡れる荻草よ:益子薫@刀使ノ巫女、ミスティ@変幻装姫シャインミラージュ、村田勉@サタノファニ、荻原結衣@リベリオンズ Secret Game 2nd stage

82:惡の華:ギース・ハワード@餓狼伝説シリーズ

86:【悲報】ワザップの嘘裏技に騙されたキッズ、殺し合いに参加させられてしまう:ワザップジョルノ@ワザップ!

89:若き餓狼と花のみやこ:ロック・ハワード@餓狼 MARK OF THE WOLVES、有間都古@MELTY BLOODシリーズ

96:はぐれアイドル地獄変:阿刀田初音@リベリオンズ Secret Game 2nd stage、由香(ユカポン)@彼岸島 48日後...、ユカポンファンの吸血鬼@彼岸島 48日後...、(Zルートでソフィアに返り討ちにされた)軍服の男@リベリオンズ Secret Game 2nd stage


629 : 当選作&当選参加者発表 ◆2dNHP51a3Y :2021/05/06(木) 22:00:30 X22N7hAc0
103:紅き帳が降りる頃に:ドミノ・サザーランド@血と灰の女王

108:世界を憂う者:日ノ元士郎@血と灰の女王、オフィエル・ハーバート@ファンタシースターオンライン2

111:空白:マシュ・キリエライト@Fate/Grand Order

114:何か知らないけど大変なことになっているのはわかる:藤丸立香@藤丸立香はわからない

116:夕暮れの島、僕の戦争:赤木みりあ@アイドルマスター・シンデレラガールズ、ベルトルト・フーバー@進撃の巨人

120:母親の暖かさ:野原みさえ@クレヨンしんちゃん、フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは

122:行きつく未来も分からないままで:スキャッター@ニンジャスレイヤー、オフェンダー@ニンジャスレイヤー、ムラクモ@アカツキ電光戦記、十条姫和@刀使ノ巫女(八将神枠)

126:■■願うに、この世界は滅ぶべき:ノワール伯爵@スーパーペーパーマリオ、完全者@エヌアイン完全世界

134:Shape of love:野原ひろし@クレヨンしんちゃん、宮下愛@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、相葉晄@ミスミソウ

136:平安の都のアリス 燈桜絶炎の章:有栖零児@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD、安桜美炎@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火

146:コギトエルゴスム:白井日菜子@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣、糸見沙耶香@刀使ノ巫女、アナムネシス@CRYSTAR -クライスタ-

149:怪物と夜遊び:伊藤大祐@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage、恵羽千@CRYSTAR -クライスタ-、立花特平/トッペイ@バンパイヤ

161:マサオ君が覚醒だゾ?:佐藤マサオ@クレヨンしんちゃん(八将神枠)

156:Designed desires:ナスタシア@スーパーペーパーマリオ、司城来夢@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣

162:凶ゲラレタ夜:アーナス@よるのないくに2 〜新月の花嫁〜(八将神枠)、針目縫@キルラキル、日ノ元明@血と灰の女王

163:彼等双方 暗殺稼業:レオーネ@アカメが斬る!、プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険

171:天外魔京:藤原美奈都@刀使ノ巫女、桐生@ドキュンサーガ

177:「へんなもの」みっけ!:清凄あかり@へんなものみっけ、マネーラ@スーパーペーパーマリオ

182:奈落の花:北条鉄平@ひぐらしのなく頃に 業、佐神善@血と灰の女王、エスデス@アカメが斬る!、北条沙都子@ひぐらしのなく頃に 業

197:待ち人は───:蒔岡彰@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage、ジャギ@北斗の拳、カンフーマン@MUGEN


630 : 当選作&当選参加者発表 ◆2dNHP51a3Y :2021/05/06(木) 22:01:00 X22N7hAc0
229:君と超える明日を選んで:アルーシェ・アナトリア@よるのないくに2 〜新月の花嫁〜、司城夕月@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣

254:私のゆめ、彼女の■■:上原歩夢@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、幡田みらい@CRYSTAR -クライスタ-

255:刻の巫女とJK、そして夢の世界の支配者:リリアーナ・セルフィン@よるのないくに2、広瀬あゆり@東京城址女子高生、ドレミー・スイート@東方project

260:無名の断片/ソラが赤かった場合:城本征史郎@トガビトノセンリツ、細谷はるな@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage

266:LOST GIRL:アニ・レオンハート@進撃の巨人

265:crybaby:木刀政@デビルマン(漫画版)、不動明@デビルマン(漫画版)(八将神枠)、ブサイク大総統@ONEPUNCH・MAN(村田版)、ヒエ@デビルマンcrybaby、バボ@デビルマンcrybaby、ワム@デビルマンcrybaby、ガビ@デビルマンcrybaby、カミソリ鉄@デビルマンG、チェーン万次郎@デビルマンG、ドス六@デビルマン(漫画版)、メリケン錠@デビルマンG

323:『大好き』を追いかけて:優木せつ菜@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、崎村貴真@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage

324:ドドンと甘くて苦い:神戸しお@ハッピーシュガーライフ、ドドンタス@スーパーペーパーマリオ、松坂さとう@ハッピーシュガーライフ、死神@ドラゴンクエストビルダーズ2

325:どんな未来でも受け止める私でいたくて:吹石琴美@リベリオンズ Secret game 2nd Stage、アカメ@アカメが斬る、沙夜@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD、沼の鬼@鬼滅の刃

330:ミドリのアイツと赤いアタシ:ミスターL@スーパーペーパーマリオ、藤堂悠奈@リベリオンズ Secret game 2nd Stage

339:無限回繰り返す箱庭の世界:古手梨花@ひぐらしのなく頃に業、三島英吾@リベリオンズ Secret Game 2nd stage

341:命の火を燃やし尽くせ!:城咲充@リベリオンズ Secret Game 2nd stage

362:解けそうにない勘違い:服部静夏@ストライクウィッチーズシリーズ、植木耕助@うえきの法則

369:パンドラの箱:パンドラボックス@ドラゴンクエスト7

99/120


631 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/06(木) 22:01:32 X22N7hAc0
以上となります
OP2の投下はもう少しお待ちいただければ幸いです


632 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/06(木) 22:36:50 1iJ57Hq60
名簿決定お疲れ様です。
開幕を楽しみにしております。


633 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/16(日) 14:18:51 UGO0epDs0
【謝罪&お知らせ】
謝罪その1:集計結果総合計生存人数が99人ではなく100人でした、申し訳ございません
謝罪その2:余裕の無さ及びこれ以上遅らせるわけには行かないということで、候補作の感想文は無しとなります
今更虫の良いことだとか批判やら文句やらありますでしょうが、自分の不甲斐なさが招いた結果故、申し訳ございませんでした

OP2は15:00からとなります


634 : Here we go , it's the Ultimate Show ◆2dNHP51a3Y :2021/05/16(日) 15:00:00 UGO0epDs0
Onward we go

To the Ultimate Show

The show goes on for the weak and strong

And a perfect world is within my grasp

Now I have the last laugh!


○ ○ ○


「壮観、ええ壮観ですとも、歪みに歪んだ平安の都、悪鬼羅刹縦横する紅き帳。拙僧、このような天空からこの都を見落としたことなどないので。これはこれにていい景色ではありますなぁ」

紅夜に照らされる平安の都。その遙か上空にて鎮座する歯車の塔、その頂上
六芒星が描かれた柵のない大地、周囲を囲む燭台に灯る青白い炎、朱染の平安京が一望できる頂上の中心にて、美しき肉食獣、黄幡神・蘆屋道満は笑いながら見下ろしている

「本来ならば天覧聖杯戦争、若しくは亜種空想樹を以って計画を成就するつもりではありましたが……」

赤く染まった平安京にて、辺獄の管理人とというイレギュラーの一つから発展した新たなる催し。聖杯戦争などという枠に収まらない、老若男女種族を問わない殺戮の宴、バトル・ロワイアル

「いやはや、理念(イデア)と言いましたか。自意識の結晶、魂の因子。なんともはや――ええ、ええ、ええええ! 素晴らしい!」

美しき肉食獣は鮮血の天へ喝采し、嗤う
屍山血河の天幕。悪虐執政の御膝元。平安魔都。そして辺獄

死した魂は、理念としてソラへ汲み上げられる。天上の塔に最上、その天空に座する、黒の虚空
大口開けた虚空は、いつまでも続く飢餓を満たさんとばかりに、空間の軋みを以って、世界に呼応をし続ける

「なんとも素晴らしい贄でありましょう! かつて砕かれた神の写し身、光も闇も混ざりあわんと目指した混沌の器。それを錬成し、蘇らせるための鉱石と言ったところでしょうか!」

そう、虚空の最奥に在りし'モノ'こそ、蘆屋道満が真に神へ成らんが為に必要な最後のピース
砕けし■■の2つの欠片。残骸は残り100の理念を以って錬成され、新生する

虚空は孔、孔は窯。錬成と言う名の昇華により、神の器を得た蘆屋道満さらなる高みへと、真なる神へと至らんとする
もはや聖杯擁した亜種空想樹の開花も必要なし、『異星の神』も必要なし
器は神に、偽は真に、世界は一つの舞台に。百二天の神降臨はいずれ為されるだろう

「ウフフフフ、アハハハハハ、ハハハハハハハハッ!!!!!」

美しき獣は高らかに嗤う。紅幕に響くそれは、まさに道化の一人芝居。然し妨げるには余りにも難しきては


○ ○ ○



「あいも変わらず、リンボ様は楽しそうなことで」

陰陽師の笑騒響き渡る、歯車の塔のとある何処か。大量のモニターが五目並べのように配置された一室。モニターの手前には通信機器や様々なコンソールが散りばめられている。そしててそこに佇む切り紙絵の道化師姿の男はリンボの高笑いを皮肉るように評している
一室、とは言いつつもここは歯車の塔の何処にもない、謂わば別の空間。位置として言えば歯車の塔の近くにあるのではあるが

「……まあ、ボクには関係ないんだけどね」

そう呟きながら、道化は手元の画面に映し出されていた、全参加者の一覧を面白げに眺めていた


635 : Here we go , it's the Ultimate Show ◆2dNHP51a3Y :2021/05/16(日) 15:01:17 UGO0epDs0
12/13【リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
〇藤田修平/〇吹石琴美/〇藤堂悠奈/〇荻原結衣/●伊藤大祐/〇阿刀田初音/〇真島彰則/〇城咲充/〇細谷はるな/〇蒔岡彰/〇三島英吾/〇崎村貴真/〇(Zルートでソフィアに返り討ちにされた)軍服の男
5/7【刀使ノ巫女】
〇衛藤可奈美/〇十条姫和(八将神枠)/●柳瀬舞衣/〇糸見沙耶香/〇益子薫/〇古波蔵エレン/●藤原美奈都
5/5【スーパーペーパーマリオ】
〇ノワール伯爵/〇ナスタシア/〇ドドンタス/〇マネーラ/〇ミスターL
5/5【血と灰の女王】
〇ドミノ・サザーランド/〇佐神善/〇日ノ元明/〇日ノ元士郎/〇堂島正
5/5【ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
〇高咲侑/〇上原歩夢/〇宮下愛/〇優木せつ菜/〇天王寺璃奈
4/4【CRYSTAR -クライスタ-】
〇幡田零/〇幡田みらい/〇恵羽千/〇アナムネシス
4/4【クレヨンしんちゃん】
〇野原しんのすけ/〇野原みさえ/〇野原ひろし/〇佐藤マサオ(八将神枠)
0/4【DEVILMAN crybaby】
●ワム/●ガビ/●バボ/●ヒエ
3/3【アカメが斬る!】
〇アカメ/〇レオーネ/〇エスデス
2/3【鬼滅の刃】
●沼の鬼/〇累の父/〇童磨
2/3【デビルマン(漫画版)】
〇不動明(八将神枠)/〇木刀政/●ドス六
0/3【デビルマンG】
●カミソリ鉄/●メリケン錠/●チェーン万次郎
3/3【ひぐらしのなく頃に 業】
〇北条沙都子/〇古手梨花/〇北条鉄平
3/3【BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣】
〇白井日菜子/〇司城夕月/〇司城来夢
3/3【よるのないくに2 〜新月の花嫁〜】
〇アルーシェ・アナトリア/〇リリアーナ・セルフィン/〇アーナス(八将神枠)
2/2【餓狼 MARK OF THE WOLVES】
〇ロック・ハワード/〇カイン・R・ハインライン
2/2【進撃の巨人】
〇ベルトルト・フーバー/〇アニ・レオンハート
2/2【ストライクウィッチーズシリーズ】
〇宮藤芳佳/〇服部静夏
2/2【ドキュンサーガ】
〇モッコス/〇桐生
0/2【ニンジャスレイヤー】
●オフェンダー/●スキャッター
2/2【ハッピーシュガーライフ】
〇松坂さとう/〇神戸しお
2/2【バンパイア】
〇立花特平(トッペイ)/〇間久部緑郎(ロック)
0/2【彼岸島 48日後...】
●由香(ユカポン)/●ユカポンファンの吸血鬼
2/2【PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD】
〇有栖零児/〇沙夜


636 : Here we go , it's the Ultimate Show ◆2dNHP51a3Y :2021/05/16(日) 15:02:02 UGO0epDs0
1/1【アイドルマスター シンデレラガールズ】
〇赤木みりあ
1/1【アカツキ電光戦記】
〇ムラクモ
1/1【11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
〇草壁美鈴
1/1【うえきの法則】
〇植木耕助
1/1【エヌアイン完全世界】
〇完全者
1/1【餓狼伝説シリーズ】
〇ギース・ハワード
1/1【キルラキル】
〇針目縫
1/1【グランブルーファンタジー】
〇フェザー
0/1【サタノファニ】
●村田勉
1/1【地獄先生ぬ〜べ〜】
〇絶鬼
1/1【ジョジョの奇妙な冒険】
〇プロシュート
1/1【大貝獣物語2】
〇ギャブロ
1/1【東京城址女子高生】
〇広瀬あゆり
1/1【東方project】
〇ドレミー・スイート
1/1【トガビトノセンリツ】
〇城本征史郎
1/1【刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
〇安桜美炎
1/1【ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】
〇パンドラボックス
0/1【ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島】
●しにがみ
1/1【ファンタシースターオンライン2】
〇オフィエル・ハーバート
1/1【Fate/Grand Order】
〇マシュ・キリエライト
1/1【藤丸立香はわからない】
〇藤丸立香
1/1【変幻装姫シャインミラージュ】
〇ミスティ
1/1【へんなものみっけ】
〇清凄あかり
1/1【北斗の拳】
〇ジャギ
1/1【魔法少女まどか☆マギカ】
〇鹿目まどか
1/1【魔法少女リリカルなのは】
〇フェイト・テスタロッサ
1/1【魔法少女リリカルなのはA's】
〇アリサ・バニングス
1/1【ミスミソウ】
〇相葉晄
1/1【MUGEN】
〇カンフーマン
1/1【MELTY BLOODシリーズ】
〇有間都古
1/1【リアルバウト餓狼伝説スペシャル DOMINATED MIND】
〇ホワイト
1/1【ワザップ!】
〇ワザップジョルノ
0/1【ONEPUNCH・MAN(村田雄介版)】
●ブサイク大総統

100/119


637 : Here we go , it's the Ultimate Show ◆2dNHP51a3Y :2021/05/16(日) 15:02:40 UGO0epDs0
「……なるほど、ねぇ。フフッ、中々に面白そうなメンバーになったじゃないか」

名簿を見終わり、ほくそ笑む。
この殺し合いの運営に置いて、道化の役割は2つ。一つは画面を介しての参加者の監視。そしてもう一つ、『最後の将神』の管理である

八将神とは本来、陰陽道における方位の吉凶を司る神々の総称。陰陽の神格八柱

―――黄幡神『蘆屋道満』

―――大将軍『メフィス』

―――太陰神『フェレス』

今舞台における饗宴の主催者達。辺獄の管理者。絶望を齎すヒトでは無いもの


―――豹尾神『十条姫和』

―――歳殺神『デビルマン/不動明』

―――歳刑神『アーナス』

―――歳破神『佐藤マサオ』

参加者には知らされておらぬ、殺戮を齎さんがためにその魂を捻じ曲げられし者達


―――そして、太歳神。メフィスとフェレスが保有する最強の切り札、最凶の虐殺者
一度解き放たれようものなら、眼前に映る全てを殺し尽くすまで止まることのない、会場に参加者として解き放たれている他の四将を遥かに超える化け物
殲光の魔王。漆黒たる純白。何れ冥へ至る者。―――その華奢で小さき身に神の力をねじ込まれ、黒き最後の神と同一の力を得た窮極の殺戮者。

上部のモニターに映る、黒い鎖に雁字搦めに封じられた白き衣の少女。―――邪悪に染まった不屈の心、最後の将神『高町なのは』


「さて、そろそろ時間かな?」

『最後の将神』が映し出されたモニターを切り、道化は手元のマイクに口を近づき、スイッチを入れ、会場に向け声を放つ

『――ボンジュール、みんな〜!』

『あ? ボクが誰だって? ボクの名前はディメーン!このロワで定時放送を担当させてもらってるよ!』

『さて、これから君たちの持っているタブレットに参加者一覧が更新される』

『アイコンの名簿を開いてくれれば、すぐにでも参加者一覧がわかるはずだ』

『さて、君たちの知り合いは参加しているかな? 参加していなくて安堵する人もいるのかな?』

『じゃあ、第一回放送の時にでもまた会おう、ボン・ボヤージュ!』


638 : Here we go , it's the Ultimate Show ◆2dNHP51a3Y :2021/05/16(日) 15:03:20 UGO0epDs0
会場に響く声は止む。道化のいる部屋に静寂が戻る。モニターに映る画面が会場と参加者の姿を映し出す


「――さぁ、サイコーのショータイムといこうか」

故に道化は―――ディメーンは画面に映る参加者達を見下ろし笑う

ここは螺旋禍(ねじまが)った紅き混沌の平安京、屍山血河の辺獄、終焉新生の前の一夜
故に始めよう、故に踊ろう、故に演じよう、この最高(サイアク)の未知なる歌劇を


―――――Here we go , it's the Ultimate Show!


『新たに判明した主催達』
【ディメーン@スーパーペーパーマリオ】
【八将神『太歳神』高町なのは@魔法少女リリカルなのは】


639 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/16(日) 15:07:46 UGO0epDs0
OP2は以上となります

以下、予約に関するルール
基本的に初心者でも熟練者でも誰でも歓迎します。どしどし書いて下さい
予約の有効期限は2週間、延長する場合はその都度延長(+1週間)報告をお願いします
報告無く期限を過ぎた場合は強制的に予約は破棄されます

そして予約は今日から解禁します、皆様お楽しみ下さい


640 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/16(日) 16:17:17 5uPIZV3c0
本編開始待ってました!
野原しんのすけ、アリサ・バニングス、宮藤芳佳で予約します


641 : ◆DS9vBqqvHs :2021/05/16(日) 16:30:17 KGUwhVIA0
三島英吾、古手梨花、ワザップジョルノで予約します


642 : ◆4Bl62HIpdE :2021/05/16(日) 16:49:17 GI1/GAd20
赤城みりあ、ベルトルト・フーバー、松坂さとうで予約します


643 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/16(日) 17:28:42 zlQ1T/AQ0
モッコス、神戸しお、ドドンタス、城咲充で予約します。


644 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/16(日) 20:33:15 9Zp0EqQ60
エレン、侑、ギースで予約します


645 : ◆4Bl62HIpdE :2021/05/16(日) 21:12:07 GI1/GAd20
投下します


646 : 不戦の契り、林檎の種 ◆4Bl62HIpdE :2021/05/16(日) 21:13:23 GI1/GAd20


「……アニ」

ベルトルトは愕然としていた。
名簿を凝視し、目は見開き、隈が映し出されているかのように、虚無にも似た表情をしていた。

参加者名簿の表示は、タブレット機器を知っていたみりあに教えてもらった。問題はない。

だが、そこに表示されていた人の名前は、ベルトルトにとって大切な人の名だった。ただそれだけだ。

「…ベルトルトさん、大丈夫……?」

みりあが不安そうに眺める。

ベルトルトが顔を変えるまでに、数秒の間があった。

「……大丈夫だよ」

彼の顔は明らかに大丈夫ではなかった。
みりあには、それが不安で堪らなかった。

「……知ってる人が、ここにいるの?」

「………あぁ」

まさかとは思うが、想像していなかったのだ。
ここに来るまでに戦っていたパラディ島の兵士やライナー、ジーク戦士長がいるなら兎も角。

ベルトルトが探していた、行方不明になっているアニがここにいることを。

僕はここに居る人間を踏み潰さない限り、始祖奪還は果たせない。
何より、生き残らなければならない。だが、生き残れるのは一人。


女型の巨人はそんなに軟ではない。アニは生き残る可能性が高いだろう。
だが、エレン・イェーガーの奪還という願いを叶えるなら、祖国マーレに帰れるのは一人だ。

参加者を根絶やしにすると決意した時から、まだそんなに経っていないのに、このザマだ。

「……う……」
ベルトルトの中で、決意が揺らぐ。
僕達は始祖を奪還するために戦ってきた。だが、それは大切な仲間を殺してでも、成し遂げることなのか?
僕は今まで何の為に戦って来たんだ!?
そう呟きそうになるところで、みりあが喋った。

「なら、会わなきゃ」
「………あ」


「その人はベルトルトさんの大切な人なんでしょ....?なら早く、会わないと」

「……………そう、だね」
みりあは、緊迫した様子で尋ねていた。
それに対して、ベルトルトは力なくうなだれるのみであった。

「……会いたい人じゃ、ないの?」
「……違うんだ、会いたいよ、すぐにでも」
「………………?」

「……会うのが、苦しいんだ」

会って、女型の巨人と共に参加者を皆殺しにして。
アニも同じ罪を背負って、それでも、最後には、2人で殺し合わないといけないことを。

始祖の巨人の奪還は、責務だ。
どちらかが、願いを叶えないといけない。
でなければ、マーレに帰還したとしても次の戦士に喰われるのみだ。
彼は罪と意志で、雁字搦めになっていた。



「その人は、ベルトルトさんと何かあった人なんですか?」
「……あぁ」

「....こんなに苦しそうな顔をしてるってことは、その人の事は...凄く大切な人?」
「…あぁ……!」

何が言いたいんだ、この子は。
何処か苛ついた表情になってしまった。

…ごめんなさい、とみりあは竦んだ表情で、意志を持って、でも、と伝えた。
「それで、会って気持ちを伝えるべきだと、思うんです。……大切だって、ことを」

さっきの放送を聞いて、みりあは、殺されるかもしれない、もう生きて帰れるか分からないってことが、分かったんです。
それでも叶うのなら、わたしも、お母さんやプロデューサーにもう一度会って、大好きだよって、伝えたいから。

みりあはこう告げ、ベルトルトの返事を待った。


「……僕は」
そんな人間じゃないし、そんなことを、できる保証はない。

そう言おうとした矢先だった。みりあに視線を合わせると、みりあは緊張した面持ちで、全く別の視点を向いているのを気づく。

「……人、だ」
みりあ達が最初に遭遇したのは、ピンク色の長い髪をした、地べたに座り込んでいる女子高生だった。


647 : 不戦の契り、林檎の種 ◆4Bl62HIpdE :2021/05/16(日) 21:15:03 GI1/GAd20




なんで。

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


しおちゃんが、ここにいるの?

わたしはわたしのハッピーシュガーライフにもどれれば、いいんじゃなかったの?
―――しおちゃんを、まもらなきゃ。



騙しても
犯しても
奪っても
殺しても

しおちゃんを、守らないと。
合流しないと、しおちゃんと、早く!!

でも待って。これは殺し合い。いきのこれるのは、一人。
1人。じゃあ、私は―――

あのマンションには、ハッピーシュガーライフには、もどれないの?

足音が聞こえてくる。


"大丈夫か、君は一体...."


あぁ、うる、さい。


ここでいきのこれるのは、しおちゃんだけだ。

他の奴らは、全て敵だ。

――――殺せ。



時が止まる。
さとうの能力がブレードを持つベルトルトの鎖骨を、砕いた。



時は、動き出す。
骨が折れる音が後から付いてきた。

「....うわあぁあああああああああああああ!!」

8mほどの距離をベルトルトが吹き飛ぶ。

「...え?...ぁが」

みりあは、吹き飛ぶ彼を凝視することしか出来なかった。その瞬間に、さとうは詰め寄り、みりあの喉を思い切り掴む。

近くにいた。さとうが、みりあを殺す理由には十分だった。
あとは、握り潰せばそれでこの子は終わりだ。
「....ぁ......ぁ」
「....なんでよ」

やめて、と拒否するように少女はじたばたともがく。
しかしさとうは一切手を緩めなかった。


「ねぇ、貴方には大切な人がいる?――私はその人の為なら、何をしても構わないの」
「だから――ごめんね」
薄れ行く意識の中で、みりあはさとうを凝視した。
少し、安堵した。
「(ああ、この人もただ、大切な"しおちゃん"の為に、戦っているだけなんだ。)」
なぜ安堵したかというと、最期に目に映ったこの人もまた、自身と同じように愛を持つ人だったからだ。

そうして、赤木みりあの喉は砕け、少女はその短い命を散らす――――


648 : 不戦の契り、林檎の種 ◆4Bl62HIpdE :2021/05/16(日) 21:16:17 GI1/GAd20

「え?」

さとうのスタンド、世界(ザ・ワールド)はその手を離した。
何を、と言おうとする前に、後方から左腕でベルトルトの投げたブレードが飛んできたからだ。
ガァン、と音が鳴り、さとうの意思と関係なく、ザ・ワールドのスタンドによってブレードは叩き落とされる。

幽波紋(スタンド)は"そばに立つ者"。空条承太郎が拳銃自殺しようとした時のように、ウェス・ブルーマリンの落下自殺から強風が守ったように。
幽波紋と呼ばれる超能力は、第一に無意識で使用する者を守る習性がある。

さとうは言う程、スタンドを制御出来ていなかった。

「が、あぁっ....!」
みりあは顔を真っ赤にして、息を吹き返そうとする。

その結果だけで、さとうを苛立たせるのには十分だった。
「………何。」

ぐるぐると病んだその眼を、邪魔したベルトルトに向ける。
当のベルトルトは、腕があらぬ方向に捻じれたまま必死の表情でさとうに向かっていた。
さとうとベルトルトの間には、7m程の距離があった。
「.....待て」
「なに。大人しく、殺されてくれない?」

「....話をしよう」


……こいつは、何を言っているんだ?
分からない。こいつから、殺そう。


「..そう。話をしたら、全員、死んでくれる?」
さとうは、世界の拳をベルトルトの頭部を握り潰そうと歩み寄る。
5m。4m。射程距離を知らないさとうは、闇雲に近づく。

しかし、さとうの眼前が、突然真っ赤になり、潰される。

ベルトルトが、付け替えた左腕のブレードで横一文字に手首に切り込みを入れてさとうに血飛沫を向けたからだ。
眼からスカートに渡って女子高生の制服が、血に濡れる。

「....何を」

それでもさとうは、闇雲に殴り掛かろうとする....

「いいのか?.....その恰好のまま"しおちゃん"と再会して.....」

「...え」
さとうは、拳を止めてベルトルトの血に濡れた自分の姿を見る。
スタンドの拳は違う方向だったし、

"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
「合流しないと、しおちゃんと、早く……!!」
「大丈夫か、君は一体……」
""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""

さっきのぶつぶつ呟いていた独り言は、ベルトルト達に聞かれていた。

「.....君の大切な人、"しおちゃん"は、女の子だろ?...君がさっきまで喉を潰していた子と同じ、保護されないと生きていけないような....」

え?、
何を言ってるの、この人は。

「殺し合いに乗ってる奴と一緒なら、"しおちゃん"はもう、殺されてると思うよ」

黙れ。こいつは、敵だ。
佇んでいた世界の拳は、繰り出そうとする前にベルトルトが左腕に持つ硬質化ブレードによって切り付けられた。
そしてそのまま、右拳と刃は拮抗する。
「ぐっ」
「話を、するんだろ?」

スタンドのダメージは、本体へと移る。
さとうの袖から、血が垂れている。

「これで僕達が争った事実は確定だ、生きているのなら....誰か参加者に保護されているであろうしおちゃんはどう思う?」
「……。」


「君はまず、僕らが介入しないとその子を保護している人間には信用されない。人質にされるかもしれない....
 君は、僕らを生かすしかないんだよ」


649 : 不戦の契り、林檎の種 ◆4Bl62HIpdE :2021/05/16(日) 21:19:04 GI1/GAd20



「…立てる?」
「は、はい……」
さとうは、仕方ないと言うように、唇を噛みしめながら息を整え始めたみりあを立ち上がらせた。
内心、どうしようも無さと悔しさを感じながら。

「……あの」
「喋り掛けないで」

「……はい」

それでも、とみりあは、デイバッグから支給されていた包帯を取り出す。

「……ありがとう。」
暗い瞳のまま、さとうは袖を捲り、切り傷を処置していく。

「……まず僕達は徒党を組む」
ベルトルトは右腕のシャツ生地を破き、右手首の切り傷を包帯として止血するために左腕できつく縛った。
感覚が無く、肩が砕けて捻じ曲がった右腕を露わにしながら。

「徒党を組んで、殺し合いに乗る人間がいても防衛できるように。…その方が都合がいいからだ」
君もそれで良いね、とベルトルトはさとうに問う。「…ええ」と返した。
「でもしおちゃんは助けて……お願いだから……」
「あぁ、万一その子が殺されていたら、君は願いを叶えればいい」
「(え…?どういう事……?)」

みりあは、何処となくこの論議に不安を覚える。
徒党を組むと言いつつ、さとうが殺し合いに乗ることをベルトルトは否定していない。
多少考えれば、誰にでも分かる矛盾だ。
だが、それを尋ねるには、ベルトルトの顔は……怖かった。

目を見開き、虚無に似た、何か溝に落ちた鼠でも見るような表情でそれを語っていたからだ。

さとうはあらゆる可能性を考える。
しおが生きている可能性。死んでいる可能性を。
死んでいたらさとうは願いを叶えるためにベルトルトとみりあを殺し、他参加者を全滅させてしおを生き返らて生還しなければならない。
その為、"対主催者で徒党を組む"という方針はかなり不味い。乗らなければいけない以上、人数が増える程、グループを皆殺しにできる可能性は低くなる。
だが、しおが生きていた場合、今奴等を殺せば彼女が対主催者に加わることを証明できる者はいなくなる。

まさしく、不戦の契りだ。
いっその事、あの時何も考えず、殺しておけば後戻りは出来なかったのに。

―――いや、今でも遅くない。
ベルトルトはまだ私が「時を止める」ことに気づいていない。
恐らく、時を止める能力は時間が経過する毎に回復する。もう、時を止められるだろう。

今度は、腹部を貫くか、頭を砕けば即死するだろう。


...殺しておくべきか?念のために。

神戸しおはもうこの世にいないのか、それとも生きているのか。
さとうは、迷っていた。


650 : 不戦の契り、林檎の種 ◆4Bl62HIpdE :2021/05/16(日) 21:20:03 GI1/GAd20


"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
『ベルトルト!話をしよう!!』
『話をしたら!全員死んでくれるか!?』


『それは残念だよ!!アニの悲鳴はもう聞きたくないって言うのに!!』
『大人しくて気の弱いベルトルトなら、言いくるめて隙を付けると思ったか?』

『その内本命はどちらでもない、ただの時間稼ぎだ』
""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""

ベルトルトは、内心安堵していた。

巨人と化し、さとうとみりあを葬るのは簡単だった。
だが、全参加者の位置が分からない中で制限のあるであろう超大型に変貌したとしても、その後再び巨人になれるかは分からない。

多分、この殺し合いで巨人化できるのは一回だけだ。二回目に変化できる前に、殺し合いは終了する。
今は、時期では無い。そう判断し、説得にかけた。

つい先程までのアルミンも、無駄話をしてライナーを殺しに行かせた。あの時の行動を、利用させてもらった。

「(ありがとう。松坂さとう、君のお陰で覚悟が出来たよ)」
殺し合いに参加させられている、神戸しおの事で取り乱している松坂さとうを見て、ベルトルトは吹っ切れた。

もし超大型巨人を至るべき時間と場所に使って、それでも女型――アニが生きているのなら。
どちらかがどちらかを喰い、超大型か女型を継承してマーレに持ち帰ればいい。

それで、使命は全て終わる。
「(待っててくれ、アニ)」
それは、己が好きな人を喰らう覚悟か。それとも、愛する人の為に己を差し出す覚悟か。

巨人を宿す少年の心持は、分からない。
だが、後ろの時さえ制し得る他者への殺意に、気付いてはいないであろうことは―――




【E-4 1日目 未明】
【松坂さとう@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:情緒不安定、精神的疲労、右腕に切り傷(包帯を巻いている、処置済み)
[装備]:ザ・ワールドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:???(しおちゃんが生きている可能性に掛けて対主催者で徒党を組むか、ベルトルトとみりあを殺す)
1:しおちゃん、待ってて。
2:ベルトルトに対する嫌悪。

※参戦時期は1巻で先生を「説得」した後
【赤木みりあ@アイドルマスター・シンデレラガールズ】
[状態]:喉を圧迫された痕、精神的疲労、恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
基本方針:殺し合いを止めたい。
1:自分を殺しかけたさとうと、何か様子がおかしいベルトルトへの恐怖。
2:殺し合いを止められるんだよ、ね……?
[備考]参戦時期(?)は、妹が生まれる前の時間からの参戦です

【ベルトルト・フーバー@進撃の巨人】
[状態]:右鎖骨が砕けている、右手首に切り傷、精神的疲労
[装備]:ブレード、ブレードホルダー&付け替え刃@進撃の巨人
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:参加者の殲滅・優勝。もしアニが生き残っていたら…
1:取り合えず、自身が中心となり対主催者の集団を作る。
2:参加者が最も集まったと思った頃合いを見て超大型巨人になり、エリア一帯を爆破・踏み潰す。
3:定時放送で神戸しおが死んでいた場合、手段は問わずさとうは葬る。
[備考]参戦時期は原作第78話、超大型巨人に変化する直前の参戦です。


651 : 不戦の契り、林檎の種 ◆4Bl62HIpdE :2021/05/16(日) 21:21:11 GI1/GAd20
投下終了です


652 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/16(日) 22:17:17 XNe4Ac420
真島彰則、鹿目まどかを予約します


653 : 名無しさん :2021/05/17(月) 11:24:06 obyCML4w0
>>651
乙です
ベルトルトの軍人としての覚悟と冷徹さ、そして個人としての覚悟が上手く描写されてたと思います
さとうの武器と執念相手に一歩リードした印象
みりあも翻弄されるだけでなく矛盾に気づいたり、気づかえたりと反抗まではできないものの相応の強さが見えました
次のリレーが気になる引きでした


654 : 名無しさん :2021/05/17(月) 18:58:13 cSC8qpm60
>>633-639
乙であります
禍々しくも小気味良い展開……雰囲気出てますね
先の主催の三者が八将神ってだけでも脅威なのにその上に最後の将神が彼女とは、終盤に絶望と悲哀を振り撒くに最適と思える人選ではないかと
そしてそれ以上の得体の知れなさを感じさせるディメーンの描写も浮く事なく精彩を放っていました
頑張って下さいませ


655 : 名無しさん :2021/05/17(月) 21:28:35 a7gyh/wg0
投下乙です
ベルトルトはこういうことやりそう
不穏なチームは次が楽しみになりますね


656 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:07:35 2tu5BPoM0
投下お疲れ様です。

Here we go , it's the Ultimate Show
運営陣も八将神としての枠に「なるほど!」と驚きと共に納得しました。
そして、最後の将神に管理局の彼女とは……これは手ごわい。
道満の目的は明かされつつも、メフィスとフェレスにディメーンと不穏な主催の思惑も見受けられそうで、今後も楽しみです。

不戦の契り、林檎の種
苛立つベルベルトに自分の考えをきちんと伝えるみりあに彼女の強さが垣間見られたと個人的に強く思っています。
「それで、会って気持ちを伝えるべきだと、思うんです。……大切だって、ことを」

さっきの放送を聞いて、みりあは、殺されるかもしれない、もう生きて帰れるか分からないってことが、分かったんです。
それでも叶うのなら、わたしも、お母さんやプロデューサーにもう一度会って、大好きだよって、伝えたいから。
↑読んでいて好きです。

しかし、スタンド能力を得て強化されているさとうに吹き飛ばされながらも対処するベルベルトは流石ですね。
そして、さとうの想いはこのロワでどうなるか……今後も気になる3人組ですね。

投下します。


657 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:09:58 2tu5BPoM0
注意、この投下作品には性的描写があります。
ご承知おきください。


658 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:10:25 2tu5BPoM0
白濁―――――白く濁ること。
デジタル大辞泉より引用。

「ウオオオオ!!!!!ディメーンのヤツは何を企んでいる!!!」

先ほどの放送で名乗ったディメーンは、ドドンタスと同じ【ザ・伯爵ズ】の幹部の1人。
予想外の名に驚くと共に怒りの声を上げるドドンタス。

「伯爵様を裏切ったのか!?必ずドドンとさいばいしてくれるッ!」
「……っ」
ドドンタスの怒声にしおは泣きそうな顔を浮かべる―――

「あ!?。す……すまない💦お……驚かせたつもりはないのだ」
「う…うん」
それに気づいたドドンタスは急いで、しおに謝罪するのだが―――

「おい、そこのモンスター。ガキを放しやがれ」

絆を深めようとする少女と武人の前に勇者と呼ばれる外道が現れた―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


659 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:11:44 2tu5BPoM0
「なッ!?」
「え?」
2人の前に現れたのは裸の男―――

男の名はモッコ「俺様はエドワード・ハインリッヒ。勇者様だ」

―――エドワード・ハインリッヒ。

「?。お風呂でもないのにどうして、裸なの?」
しおは、目の前の男の人が裸であることに首を傾げる。
純粋な疑問を持ちつつも、やはり、知らない男の人の登場にしおの手は無意識にドドンタスの手を握る―――

「……勇者だか風車だか知らんが、まずはドドーンと服を着ろ」
「ああ!?人さらいのモンスターが一丁前に指摘してんじゃねぇぞコラ」
(こっちだって好きで裸でいるわけじゃねぇよ!!糞がッ!!!)

ドドンタスの至極当然の指摘にモッコスはイラつきが増す。

「服の調達に周囲を歩いてみれば、人さらいのモンスターが見えたんでな。しかも連れているのは女のガキ……見過ごせねーな」
そういいつつ、一歩……また一歩と2人に近づく。
「おい、そこのガキ。安心しろ。モンスターは勇者様がパパッと退治(殺害)してやるからな」
モッコスはガキを安心させるためにニヤッと笑顔を見せる。

―――びくっ!
しおはもじゃもじゃさんの笑顔に顔を引きつる―――

「シオ……ちょっと、離れていろ。この変態はオレさまがドドンとさいばいしてやるからな」
「え……でも」
しおは、どうしたらいいかオロオロと戸惑いを見せる。

「どわっはっはっはっは!安心しろ!!オレ様はじしょう最強だからな!!!」
しおの様子に気づいたドドンタスは安心させるために高らかに宣言する。

「う……うん」
しおは、ドドンタスの言葉に従うと、背後にある電信柱の影に潜む。

……ちなみに先ほどから「さいばい」とドドンタスは言っているが、「さいばい」ではなく「せいばい」が正しい。
しかし、この場にいる全員が悲しい事にそれを指摘することができないため、普通に会話として流されるのである。
ツッコミ役がほしいですぞ。

「ドドンタスさん……」
(こわい……さとちゃん……会いたい……)
しおは、ピリピリした空気に体を震わせる―――

「この!さっきから余裕かましてシカトしてんじゃねーぞ!汚物消毒(ファイア—)!!」
己を無視して女の子と会話するモンスターにイラついたモッコスは先制攻撃をした。

手のひらから放たれる業火はドドンタスを焦がす―――

「ヒャッハー!ッ 。バーベキューになっちまいな!!」
(……呪文は普通に出せるみたいだな……これなら大半の雑魚共は対処できるか……)

モッコスは難なく呪文を放つことが出来たことに安堵する―――が。

「この程度の炎、オレ様にはドドンときかーん!」
なんと、身に纏われた灼熱の業火を気迫で消し飛ばした―――

「なッ!?」
まさかの展開にモッコスは驚きを隠せない―――

「……いっくド―ン!」

ーーーーーぶじん ドドンタスーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


660 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:12:12 2tu5BPoM0
「ッ!?」
ゴッ!!!!!

剛腕の一撃はモッコスのガードをもってしても後ずさりせざるえない威力を見せつける。

「ちっ……いってーな。このバカ力野郎が!」
(糞が……ッ!やっぱり細工してやがったか!!あのメスガキ共……ただズタボロに○すだけじゃすまさねーぞ!!)
モッコスは自身の能力の低下に悪態づく。
それも致し方ない。彼自慢の鋼鉄を誇る肉体は、たかだかモンスターに後れをとるはずがないのだ。

「オレさまの理想にささげる、あついおもいをドドド―ンっと味わえ!」
ドドンタスのリーチある腕のパンチの嵐にモッコスは防戦一方。

(なるほど……腕がなげ—分、近づくのが難しいってわけか……)
防御しながらもモッコスは分析する。

「ふん!偉そうなことをいっておきながら、この程度か?ドドーンとその自信をボッコボコのベッコベコのドッカドカにくだいてくれる!」
「ぱわ〜あっぷ!」
勢い優勢のまま、ドドンタスは裸の変態男をKОしようと巨体がさらに大きくなる。

「……はは。感謝するぜ、的が当てやすくなってくれて」
相手のパワーアップにモッコスは感謝するかの如く、嘲笑う。

「……キサマはバカなのか?ぱわ〜あっぷは強くなるって意味だぞ?ドドンと投げ飛ばしてやる!」
モッコスの嘲笑いに怪訝なドドンタスだが、気を取り直すと、モッコスへ先ほどの妖しい全身オレンジお化けと同じように強力な投げ飛ばしを見舞いしようと、走り近づく―――が。

―――――ダダダッ
「……んあ!?」
(なんだ……ドドンと熱い……?)
ドドンタスは衝撃を受けた箇所を触る―――

―――――血。

「がはぁ……一体……なん……だ?」
「あー?……はっ!拳銃(チャカ)を知らねえのか?」
モッコスの手に握られているのは支給品の拳銃。
M93R。
連射性の高い3点バースト機能を備えた、最強の拳銃。

もっとも、モッコスはそんなことは知った上で使用はしていない。
銃は銃。使えりゃいいのだ―――


661 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:12:32 2tu5BPoM0
ダダダッ! ダダダッ!
音と共にドドンタスの壮健な肉体に穴が穿かれる―――

「ひゅ〜。どんなに腕力自慢だろうが、遠距離からの拳銃には手も足もでないようだな」

―――ドドンタスの生命が零れ落ちていく

「お…お前……”ぶじん”としての”せいせいどうどう”はない……の……か」

「モンスターが”ぶじん”を語るんじゃねぇぞ。死ねや」
鉛の弾が次々とドドンタスの体を貫く―――

(やっぱ……り伯爵さまのかんが……えは正しい……)

血へどを吐きながら、ドドンタスの体が元の大きさに戻る―――
「お?これで終わりか?」

「ウオオオオオ!!!!!」
―――このまま終われない。

ぶじんとしての矜持―――ドドンタスは全力の一撃をお見舞いする―――

―――が。

「尾田栄一郎『ラバーメン』」

「ど…どう……し……て!?」
(なんだ!?コイツ……急にゴムみたいにッ!?)

ドドンタスの一撃はモッコスの体に直撃だが―――ゴムのような肉体に威力が殺された。

「何万発殴ろうがムダだぜ。へへへ……」

そう、モッコスは伝えると―――
鳩尾部分に正拳突きをお見舞いし―――
膝をついたドドンタスの顔面にソバット―――

「どっ……ひょー……」
(シオ……逃げろ!!)

ぶじんは地に倒れる―――――

☆彡 ☆彡 ☆彡


662 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:13:30 2tu5BPoM0
「…っ」

血が周囲に飛び散る―――

「…っ」
ズキンッ
―――痛い。
頭が―――

「ふうう」
何で
赤いの見たから?
                     赤

「〜〜〜〜〜っ」
ズキンッ

―――やだ
痛い 怖い やだ

ズキン ズキンッ

「うう」

「やぁ…!」

「やああああああ!!!!!!!」
耐えきれない悲鳴―――

―――救いのヒーローは現れた。

「き…君!早く逃げるよ」
突如、現れた参加者―――城咲充。

☆彡 ☆彡 ☆彡


663 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:14:25 2tu5BPoM0
時間は少し遡る―――

「そんな!?」
ディメーンの放送を終えると、すぐさまタブレットの参加者名簿を確認する充。
そこに書かれている名前に充は驚愕する。

(初音ちゃん……どうして……)
充の想い人である阿刀田初音がそこには記されていた―――

(せっかく……運営から逃げ出そうとしていたのに……)
城咲充はこのバトル・ロワイアルが殺し合う舞台として初めてではない。
この平安京での殺し合いの前に拉致され、とある離島において今回のようなデス・ゲームに無理やり参加させられていた。

―――想い人に殺される
―――想い人を守ろうと麦畑で散る
―――同じ参加者の一人黒河を見捨てられず散る

様々な散り様の可能性をもつ充。

「僕は…あの時、死んだはず……」
ここに誘われた充の理念は囮となりつつもスナイパーから初音を守り、命を落とした散り様―――

「これって……やっぱり、あの双子達の力だよね……」
死んだ記憶はあるのに、生きているのはおそらく、あの双子の力だと充は察する。

「人を生き返らせる相手にどう立ち向かえば……」
あの運営でも不可能な所業をいとも簡単にできる今回の運営の双子に立ち向かうビジョンが見えない。

「それでも……僕はやらなきゃ」
それでも、充は挫けない―――

(初音ちゃん……何度でも僕は君のことを守るよ)
蘇ろうとそれが城咲充という男なのだ。

「……ん?」
充の眼に映ったのは、幼子の苦しんでいる姿―――

(た…助けないと!)
一刻も早く想い人を探したいが、見過ごすことはできない。
充は助けようと行動を開始する。

―――だが、現実は非情であった。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「き…君!早く逃げるよ」
とにかく、充は危険な全裸男から逃がそうと手を掴んだのだが―――

「お♪服get」
モッコスの右ストレートが充の顔面にヒット――――

充の意識は一瞬で闇に堕ち―――――

「〜〜〜♪ん?へへ……指輪か。後で、換金でもすっか」
気絶した充は服を脱がされただけでなく、指にはめられているメガンテの指輪までも没収された―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


664 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:15:18 2tu5BPoM0
ーーー勇者による社会勉強ーーー

女の子って何で出来てる?
女の子って何で出来てる?
お砂糖とスパイスといろんなステキ
女の子って、それらで出来てる。
―――マザーグースより引用。

「……ったく、いい加減に泣くのは止めろ!クソガキッ!!」
(一旦、このメガネの服を着てもいいが、その間に逃げられたらメンどくせーからな……)

軽くモンスターを退治したのはいいが、モッコスは、泣き止まないしおに四苦八苦。

「いや!助けて!!さとちゃん!!!さとちゃぁぁぁん」
しおはモッコスの言葉に耳を貸さず、愛する者の名を呼び続けながら泣く。

「さとちゃん、さとちゃんうるせーな。ん?おい……その”さとちゃん”ってのはガキの家族で女か?」

「……さとちゃんはさとちゃん!」
(え?何……?このもじゃもじゃさん……さとちゃんに何かする気なの!?)
モッコスの『女か』の質問になぜか嫌な汗が流れた―――

「どうやら、家族じゃないけど女のようだな。へへ……分かった。じゃあ、俺がそのさとちゃんってのに会わせてやるよ。だからいい加減に泣き止めろガキ。あー……ブスじゃなきゃ、ついでに愛の言葉でもささやいてやるか」
(ガキと同じ年齢じゃなければその後はもちろん、S○Xだがな)

モッコスなりにしおをなだめようとした発言―――
それが、全ての引き金となる―――

「愛の言葉……もじゃもじゃさんも”ちかいのことば”を知ってるの?」
「あ?」
しおの言葉にモッコスは?を示しながら首を傾ける。

「……大好きってのは”ちかいのことば”」
「なんだそりゃ?……その”ちかいのことば”とやらを聴かせろや」

「……」
しおは、この場にいないさとちゃんを頭に思い浮かべると―――

やめるときも
 すこやかなるときも
  よろこびのときも
   かなしみのときも
    とめるときも
     まずしいときも
      しがふたりをわかつまで
       私はさとちゃんが大好きなことを ちかいます

「そしたら、額にキスをするの……」
しおは、いつも大好きなさとちゃんとの”ちかいのことば”を説明した―――
「……」
モッコスは”ちかいのことば”を聴いてから黙ったまま―――

「―はっ!そのさとちゃんって女はお前を騙してんな。何も知らねぇガキを洗脳してやがる」
(おいおい、そのさとちゃんってメス……結構な悪党じゃねぇか)

「!!??」
モッコスの吐き捨てる言葉はしおに衝撃を与える。

「そんな”やり方”のは大好きなんかじゃねぇよ。それに女同士で愛し合うだなんてレズか?そのさとちゃんってメスは」
「さとちゃんは、家族ではないんだろ?……考えられるのは拉致してテメェ好みに刷り込ませる……はっ!危険なメスだぜ」
しおの”ちかいのことば”とさとちゃんと言われる女の危険性を理解したモッコス。

「うそ!そんなのはうそ!!」

―――さとちゃんとの”ちかいのことば”は騙しでも洗脳でもない

しおはモッコスの言葉を否定すると同時に地面の小石をモッコスに向かって投げてしまう―――

「いっ……てーな。……もう許さねぇぞ”メスガキ”」

―――ブチッ

曲がりなりにもモッコスなりに子供をなだめていたが、ここまでされれば、話しは変わる―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


665 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:19:01 2tu5BPoM0
「おい、メスガキ。本当の大好きってのを教えてやろーか?」
「え?」
グイッ―――
モッコスは、さとの手を掴むと顔を自身の一物の前に近づかせる。

「ひっ」
(何……このお○○○○……臭い……)
禍々しさを放つ”ソレ”にしおは怯える―――

「まぁ、そんなに怯えんなくていいぜ。いいか?社会勉強(性教育)だ」

「よーく、見ておけよ。この俺様の宝剣(ペ○ス)を……な」

―――グググッ
モッコスの言葉に呼応するかの如く宝剣は高く、高く、高さを見せつける。

「なんで、大きく……なる……の―――?」
「いいか、これが勃○だ。”大好き”を伝えるサインだ」

「わかんないよォ」
―――ぶわっ
しおには、”ソレ”はない。
大好きを伝えるサインと言われても理解できない。

「だから、知るんだ」
モッコスは泣くしおに慈悲を見せない。

「よし、握れ。神の右手(手○キ)だ」
「ひっ!」
―――握る?その気持ち悪いお○○○○を!?

「いいか?神の右手はこの太くてカタいのを手で気持ちよく導かなきゃいけねぇ大事な昇天術(ヒーリング)だ」

そういうと、モッコスが小さいしおの手を握らせる―――

「まずは、ゆっくりと撫でるように動かすんだ。あせるんじゃーぞ」
「そーっと、じらさせるのが乙だ」
「手のひらで優しく包み込みながらおっぱいをおしつけると加点だが、まだメスガキじゃ無理だ。だから今回は無しだ」

「……」
―――知らない。そんなこと。

「おらッ!眼をそむけんじゃねー!!社会勉強になんねえだろ!!!」

ビクッ
モッコスの怒声にしおは体を震わせ―――宝剣を見る―――

「手のひらだけじゃなく指先も使うんだ」
「おっと、言葉も大事だ。大きくて素敵……とか、まぁ宝剣を褒めるんだ。それで野郎は気を良くする。……言ってみろ」
「うう……大きくて……素敵……」

「はぁ……心がこもってねーと萎えるぞ?ま……メスガキの今後の課題だな」

「先っぽは敏感だ……だから急に触るのは推奨しねぇ」
「周りからゆっくり……それがポイントだ。やる気のねぇビッチは早く終わらせようと高速で動かすことが多い。それをしたら、まじ糞だ。気を付けろよ」

しおの手指で張りだした部分の下をなぞらせる―――
「ここ……ウラスジは宝剣の部位でも特に敏感な場所だから、指の腹で撫でろよ」
「そして、撫でつつも上下に動かす」
「良し!……少しづつ早くしていくぞ!ちなみにこの動きは”シコシコ”だ。言ってみろ」

「シ……シコシコ」


666 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:19:47 2tu5BPoM0
モッコスは握ったしおの手を早く動かす
「見ろ……固く膨らんでいるだろ?それはメスガキの神の右手が上手いって証拠だ」

「……」
―――知らない。褒められたくない

「よ……し。そろそろ出てくる」
「で……出るって……?」
モッコスの”出る”にしおは怯えつつもモッコスに尋ねる―――

「ああ!?”どくどくどっぴゅん”に決まってんだろ!!」
無理やり社会勉強させている癖に当然のように用語を口に出すモッコス。
教師としては零点センコーモッコス。

「おら!メスガキ!!言葉を忘れてるぞ!!!」

「っ!?……しおは……嬉しいです……シコシコ……どくどくどっぴゅんして……ください」
開きかけた亀○の穴が擦られる―――

「うヴぉッ!!」
ドクッ!ドクク!!ビュッビュッ!!!!!
さとに白濁液が顔やさらさらの髪にかかる。
「え?何……これ……?」

ベトベトして気持ち悪い―――それは、クリームとは程遠い―――液体。

「―――馬鹿野郎!手の動きを止めるな!!男が射○しても根元から絞り出すようにシゴき続けるのが作法だ!!!」
びくっ―――

しおは言われるがまま、宝剣をシコシコと上下に動かす―――

宝剣は撒き散らす―――

白濁液がしおの手を汚す―――

「言葉!!!」
「!?ひっ……もっと……シコシコするのでビュッビュ出して……ください……」

「うヴぉ!!ぉぉぉぉ!!!」
止まらない―――キラキラと輝く恋の液体―――

粘液に塗れた手指―――それでも、しおはシゴき続ける―――これは、社会勉強なのだから。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「これが、天からの宝(〇液)。キラキラしてて―――どんなお菓子よりも甘くて―――いい匂いするだろ?」

「……」
純粋で穢れを知らないであろう大きな瞳は、手指に絡まるドロドロをただ見つめる。

「よし、次は天使のバキューム(○ェラ)いくぞ」
「○ェラ?」

「ああ、じゃあ、宝剣にキスしろ」

「え?」
モッコスの言葉にしおの時が止まる―――

「え?じゃねぇ。この亀○の先っぽにまずキスをして唾液をつけるんだ」

―――キス。
それだけは無理。

「いや、無理……さとちゃぁぁぁん」
しおは涙をぽろぽろと流す―――それはさながら宝石の輝きを見せる。

「なら、○ェラはさとちゃんにしてもらう」
―――モッコスの目はどす黒くしおに宣告する

―――え。

「さっきから社会勉強だって言ってんのに、やる気がねぇんなら、代わりに”さとちゃん”にしてもらうしかないよな?」

―――さとちゃんが宝剣にキス!?
それは、駄目―――

「し…しおがやります」
「やります?やらせてくださいだろ!!メスガキ!!!」

「や…やらせてください……」

「んじゃ、舌をだしてやれ」

―――おそるおそる舌を伸ばす。

「ちゅ……ちゅ…ちゅく……ん」
何度も繰り返されるキスの雨。
むちゅうっとする唇は柔らかい―――

―――さとちゃん。
”ちかいのことば”の最後に額にするキス。

それは宝剣に塗り替わる―――


667 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:21:04 2tu5BPoM0
「亀○に舌で舐めなめしろ」

「ちゅぷく……れろぉ……ちゅぱぁ……れろれろ」
マシュマロのような唇が宝剣を舐める。
ピンク色の舌は亀○の上でうごめく―――

「そ……うだ。丁寧にしっかりと舐めろ……」

「……。れろぉ……んんっ」
(……しょっぱい)

―――甘いのがほしいの…しおちゃん。

いーよ! ちゅー ちゅちゅー

以前、帰宅してきたさとちゃんが泣いていたからしたキス―――

―――でも、それは”間違いのキス”

―――正しいキスは”宝剣”にすること。

「そしたら、次は咥えろッ!!あ、そうそう歯は立てんなよ?それマナーだからな」

―――もう、どうでもいい。

「……あむっ」
宝剣に歯が当たらないよう注意しながら咥えた―――

「舌で全体を舐め舐めだ。緩急をつけろよ。音を立てるのも効果的だ」

「れろっ……れろろっ……ぴちゃぁぁ…じゅぽっ!じゅっぽ!!」

しおの可愛らしい頭が前後に動く―――

―――塩味と苦味
―――全然甘くない

「時折、咥えるのを止めて、赤ちゃんのカプセル(玉○)を吸ったりするのも乙だ」

「ぷはぁ〜……ちゅ〜〜…んぱぁ。ちゅ……ぴちゃ……ちゅぷ」

―――無心で舐めるしお。

「先ほど、教えたウラスジに沿って下から上へれろ〜っと吸い上げろ。これがいがいと興奮を増すテクニックだ」

「れろぉぉぉぉぉ〜〜〜〜んぷぅ……あむっ」

「最後に伝えておくが、男が”イク”と伝えたら、天使のバキュームを止めて神の右手に移るメスがいるが、それに当たったらまじ糞だ。きちんと、口内で受け止めるのが、筋ってもんだからな。覚えておけよ」
勝手な持論を話すモッコス。

「じゅっぽ!ぴちゃ!ぴちゃ!じゅっぽ!!」

「メスガキ!だすぞ!!天からの宝を!!!味わって飲めよ!いくぞっ!」

―――早く、終わって。

「うヴォォォォォ!ごっくんと……の……め」

ビュルッ!ビュルッ!!ビュルル!!!

「んぶぅ!?……うっ!?……んぅぅぅ……ゴク……ゴク」
モッコスはしおの頭を抑え出しきる―――

喉を通り抜け、胃の中へ贈られる天の宝。

―――すべてを飲まされたしおはぺたんと座り込む。

ぷしゃあああああ―――

黄金水が漏れ出すーーー

純白は薄黄色へ染め上がる―――

「お漏らしするほど、気持ちよかったってわけか?へへ、男冥利につくぜ」
―――勘違いモッコス

☆彡 ☆彡 ☆彡


668 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:21:31 2tu5BPoM0
「よし、初めてにしてはまぁまぁだ。忘れんなよ?最後はS○Xだが、教材(メス)がありゃいいんだがな……」
どうしたもんかと、頭を抱えるモッコス。

「げほっ……げほぉぉ……S○X?」
喉が詰まりつつも、虚ろな瞳で聴き返す。

「ああ、宝剣をメスの股にある遥かなる理想の丘(○○○)へズボズボツッコむんだ」

「……”ここ”にツッコむの?」
しおは自身の”ここ”を見つめる―――

「ああ。それが本当の”ちかいのことば”だ」
モッコスはしおにサムズアップした。

「……正しい”ちかいのことば”……」

―――そっか。
さとちゃんとの”ちかいのことば”は違っていたんだ。

―――どうしよう。
さとちゃんに伝えないと。

「あー……メスガキには、まだS○Xは早いからここまでだな」
「いいか?メスガキ。お前の○○○は俺が予約したからな」

流石に幼子とS○Xをするつもりがない健全な勇者エドワード・ハインリッヒことモッコス。

さて、これからどうするか、悩むモッコスに背後から―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


669 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:22:05 2tu5BPoM0
「ウオオオオッッッッッ!!!!!」
「……何ッ!?ファ……グヘェ!?」
先ほどの戦闘で死んだかに見えたドドンタスだが、最後の力を振り絞り、モッコスへ首絞めを行う。

「……う……いた……」
ドドンタスの気迫が通じたのか充も意識を取り戻す。

「え?え?は……裸!?どうしてぇ!!??」
意識を取り戻したのはいいが、自分の姿に驚愕する充。

「そこのメガネ!!!たのむ!!!!さとを!!!!!」
―――息をするにも苦しいはず。
それでも、溢れんばかりの大声でドドンタスは見知らぬ参加者に託す―――

「え?……!!。あ……ああ……さあ、君逃げるよ」
いまだ響く顔面の痛みに苦悶をみせる充。
しかも、今の自分は裸一貫。だが、このままだと、確実にこの裸の男に殺されると感じた充はしおの手を引っ張ると逃げ出す―――

「シオ!!!サト……チャンの下へ連れて……やれなくて……すまない!!」
「あ……ああ……」
―――言葉が出ない。
出会ってそんなに時間がたってないが自分を守ってくれたロボットにお礼の言葉を伝えたいが、先ほどの社会勉強の衝撃に言葉が出てこない―――

「……グッド……ドド……ン……バーイ……」
返事が返されなくてもかまわない―――
笑顔でドドンタスはしおを見送った―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

「う……ぬぬ……う……う」
(コイツだ……けは……のばな……しにで……きない)
モッコスの存在は危険であると判断しているドドンタスは気をゆるまず、締め付けを続ける―――

「ぐ……が……」
(やべぇ!?このままじゃ「死ぬ」ッ!?)
まさかのモンスターの反撃にモッコスの意識が―――いや「死」が―――

「ど……わっはっ……はっ……はっ。は!……オレ様のか……ち……だ」
「ち……くしょ……………!?」
(何だ!?この糞モンスターの締め付けがゆるくなっただと?)

意識が落ちかかる直前、突如首絞めがゆるんできた―――

「ぷはぁ〜〜〜……」
(どうして、締めがゆるくなりやがったんだ?)
首絞めから抜け出せたモッコスは、落ち着かせるために呼吸を吸っては吐くを繰り返すしつつ、ドドンタスに目線を向けると―――

「こ……こいつ……死んでやがる」
誇り高き伯爵ズの一人、ぶじん ドドンタスはその命の灯を消していた―――――

【ドドンタス@スーパーペーパーマリオ 死亡】


670 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:22:37 2tu5BPoM0
☆彡 ☆彡 ☆彡

ーーー裸の男と幼子の確実に警察事案逃避行ーーー

「はぁ…はぁ…はぁ…」
(とにかく……何処でもいいから住宅の中に!!)

逃げるのに成功したはいいことだが、今の自分は裸。
しかも、同行者は幼い女の子。

これは―――不味い。
他の参加者に見られたら確実に誤解を受けてヤバイことになりかねない。

充は焦る―――
しかし、焦れば焦るほど、最悪の結末を迎える危険性もあることにまだ気づいていない―――

「……」
しおの視線は自分の手を引っ張る裸の男の人の”ソレ”

(この人の”小さい”……でも……後で”お礼”をしないと……)

―――無知で純粋の少女は【性】を知った。

女の子って何で出来てる?
女の子って何で出来てる?
手○キとフェ○とS○X
女の子って、それらで出来てる。

それがしおの……ハッピーシュガーライフ💗

【C-6 1日目 未明】

【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:疲労(中) 虚ろな目 顔面・手指・喉に白濁液、不安(大)、男性に恐怖心(大)、 傷心
     絶望 虚無感 
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:何も考えられない―――とりあえず、さとちゃんと会う
1:さとちゃんに会いたい―――そして”ちかいのことば”は間違った大好きだと伝える
2:キスは宝剣……ちかいのアレは……間違いのキス……
3:しおはメスガキ……社会勉強を活かす
4:後で、手を引っ張っている男の人に”お礼”をする
5:もし、S○Xのやり方を知っていたら男の人に教わる
6:他にも社会勉強があるのか質問する
7:もじゃもじゃ―――男の人―――怖い!怖い!!怖い!!!
8:さとちゃんさとちゃんさとちゃん
※参戦時期は1巻でさとうを探して外へ出る前です。
※モッコスの社会勉強で性について知りました。(手○キ、〇ェラは技法マスター。S○Xはやり方のみ)
※タブレットの参加者名簿はまだ確認しておりません。

【城咲充@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:顔面腫れ、全裸
[装備]:なし
[道具]:なし
[行動方針]
基本方針:初音ちゃんと女の子(しお)を殺し合いから脱出させる。
1:しおと呼ばれた女の子を安全な場所へ連れていく
2:服の調達と女の子(しお)をシャワーかなにかで綺麗に洗う
3:初音ちゃんを探し、護る。
4:脱出の協力者を探す。

※参戦時期はDルート死亡後
※メガンテのうでわの説明書を読みました。

☆彡 ☆彡 ☆彡


671 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:23:42 2tu5BPoM0
ーーー勇者サーガーーー モッコス

「糞が!糞が!!糞が!!!」

ダダダッ!ダダダッ!!ダダダッ!!!
怒りに身を任せる俺は糞雑魚(モンスター)の遺体を撃ちまくる。
カチッ、カチッ、カチッ―――

「はぁ…はぁ…はぁ…」
(弾切れか!?糞が!!!)

一瞬、床に叩きつけようかと思ったが、思いとどめた。
いざという時、故障したり弾無しで死亡は阿保―――ちゃんと、補充しておかねーとな。
M93Rに弾の補充をきっちりしておく。

「糞……イラつきが収まらねぇ……とりあえず一発メスでも犯すか」
―――グググッッッ
社会勉強を終えたというのにモッコスの宝剣は雌とのS○Xを高々に要求する―――――

【B-6 1日目 未明】

【モッコス@ドキュンサーガ】
[状態]:疲労(小)、MP消費(小)、イライラ(大)、勃起、全裸
[装備]:M93R@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage 弾薬まだ余裕
メガンテの腕輪@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜8 ドドンタス、神戸しおのランダム支給品込み
[思考・状況]
基本方針:舐め腐ったメスブタども(メフィスとフェレス)をぶち犯してから殺す。そのために使えそうな奴を探す
1:イライラ解消のため、メスブタを一発犯す
2:次会ったらメガネは舎弟、メスガキはペットとする
3:首輪が外せる奴は居ねぇか?
4:……とりあえず、メガネの服を着るか
5:舎弟がほしいな……
[備考]
※参戦時期は1-3話、魔王と戦っている最中から
※タブレットの参加者名簿はまだ確認しておりません。

【メガンテのうでわ@ドラゴンクエストシリーズ】
装備者の命が尽きる時に砕け散り、効果を発揮する。
メガンテとは己の命と引き換えに即死級の超強力な爆発を起こす呪文である。食らった相手は死亡・瀕死・ノーダメージのいずれかになるというギャンブル的な呪文。
このロワでは自分が敵と認識している相手に対しての、出鱈目に強い自爆呪文という形で扱われる。逆に言えば味方と認識されているキャラであれば...?

【M93R@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
拳銃サイズでありながら高い制圧力を兼ね備えた対テロ用マシンピストル 。
連射性の高い3点バースト機能を備えた、最強の拳銃。by三ッ林司


672 : 女の子って何で出来てる? ◆s5tC4j7VZY :2021/05/17(月) 23:24:34 2tu5BPoM0
投下終了します。


673 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/17(月) 23:29:10 C/6siQK.0
皆様投下おつです 私も投下します


674 : 揺るぎない決意 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/17(月) 23:30:08 C/6siQK.0
「......」

鹿目と共に身体を休めていた俺は、主催の言葉に従い名簿を開いた。
知った名前があった。
城崎充と荻原結衣。

前者とは直接的な面識は無いと言ってもいい。黒河から名前だけチラ、と聞かされ、彼を見つけた時には既に息絶えていたからだ。
後者は俺が最期に護った女だ。
どうしてあいつが、と思うのと同時に、彼女だけ呼ばれている理由もなんとなく察する。
ここに連れて来られる前のデスゲーム、シークレットゲーム。参加者十四名の内、その最後の生き残りである俺を含めた五人での戦い。
クリア条件がさほど競合していないこともあり、俺と荻原、黒河と蒔岡玲の四人はチームを組み、俺たちのクリアに必要な端末を全て回収していた粕谷瞳というメイドと戦った。
彼女は常軌を逸して強く、俺と黒河、そして俺たちよりも先頭に長けた蒔岡玲の三人でも互角にすらならなかった。
そんな彼女相手にも殺し合わないよう説得を試みる荻原を庇い、俺は戦闘の途中で命を落とし退場した。
あのまま戦闘が継続していれば、あの戦場に残っていた四人の内、戦う力を持たない荻原は真っ先に脱落するであろう。
他の三人があの状況から戦いを収めるとは思えないが、タイムアップで生還者があの三人になったと考えれば、あの三人が名簿に記載されていないのも頷ける。

...そう。バカげた話だが、俺はこの会場には死んだ者が呼ばれているのではと考えている。
その証人として、俺と荻原と城崎。三名もの参加者が呼ばれているのだから。

(もしも俺の予想が当たっているなら、この『蒔岡彰』も気になる)

蒔岡彰。玲と同じ蒔岡の姓を持つ参加者。
玲はシークレットゲームで弟の仇を探していると言っていたが、もしやこの彰が玲の弟ではないだろうか。
ただの偶然の可能性もあるが、しかし無関係と断じることもできない。
もしも彰が玲の弟であれば、彼女のことについても色々と話してみたいものだ。

さて。俺の参加者はかつて一度死んだ者たちであるという考えを鹿目にも伝えるかどうか。
いや、知る必要はないだろう。
全員が死者だと知ったところで俺たちがやろうとしていることは変わらない。変えたくはない。

誰も死なせず、殺させず殺し合いを止める。
相手が死者であろうがなかろうが変わりはないのだ。ならば徒にやる気を削ぐようなことは言うべきではないだろう。

「真島さんは知ってる人はいましたか?」
「ん?ああ、直接の面識があるのはこの荻原結衣という女だけだ」

俺が荻原の存在を告げると、鹿目は口をつぐみ俯いてしまった。
知り合いが参加させられていることに気を遣ってくれているのだろう。

「心配するな。あいつはこんな状況でも殺し合いには乗らんさ」
「その、荻原さんはどういう人なんですか?」
「俺にもよくわからん。ひたすら朗らかと言うべきか、単に能天気と言うべきか...ただ、お前ならあいつとも仲良くなれると思う」
「そうなんですか?」
「ああ。あいつはお前ほどしっかりしたヤツではないが、底抜けに優しい奴でもあるからな」

荻原結衣の優しさは、時と場所を選ばぬ危険なものでもある。
だからこそ俺はあいつの優しさは忘れてはならない正しいものであると思うし、この身に変えても守りたいとも思っている。
鹿目が見せた優しさもそれだ。自分を傷つけた者にすら差し伸べられる優しさは荻原に通じるものがある。
きっと彼女たちの優しさならばこんな地獄でも救いの手になれるだろう。
だから会わせてやりたいと思う。お前たちの道は決して孤独ではないと証明するためにも。

「...わたしは、そんな立派な人じゃないですよ」

しかし、当の鹿目は沈んだ面持ちでいた。
照れ隠しの謙遜ではなく、自分を罰するような顔だった。

「鹿目?」
「...わたしは何も護れなかった。大好きな親友も、先輩も」

そして鹿目は語り始めた。自分の力とそれを取り巻く環境と、これまでの経緯を。
その悲痛な面持ちのまま語られる彼女の言葉に、俺は黙って耳を傾けた。


675 : 揺るぎない決意 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/17(月) 23:32:56 C/6siQK.0

・・・

名簿を配られた時、真っ先に思ったのが、マミさん達もいるかもしれない、という不安だった。
マミさんたちはわたしの目の前で死んでしまった/わたしが殺してしまった。

絶望して魔女になってしまったさやかちゃん。
魔法少女が魔女になるという真実に絶望して杏子ちゃんを殺し心中を測ろうとしたマミさん。

死んでしまったみんながいるかもしれないと思い至ったのはわたし自身がそうだから。
最強の魔女、ワルプルギスの夜。わたしは最後に残った魔法少女のほむらちゃんと一緒に挑み、相討ちに近い形で撃退した。
なにが護れたのかもわからないまま動かない身体で空を見上げて、最後のグリーフシードをほむらちゃんに託して、魔女になる前に殺してもらって。

だから、わたしがここにいるということはマミさんたちがいてもなにもおかしくはなかった。

けれど、名簿を見た時、自分の名前しかなかったことにホッとしてしまって。
真島さんの知り合いが巻き込まれていると聞かされた時になって、そんな自分が嫌になってしまった。

親しい人がこんなことに巻き込まれなくてよかったと安堵するのは当たり前かもしれない。
本当にそれだけ?
さやかちゃん達を救えなかった己の弱さに。
マミさんを殺してしまった己の罪に。
自分の所業に向き合わずに済んでよかった、ここでなら自分の理想の魔法少女でいられると安堵したのではないか?


そんな考えがぐるぐるとめぐって。
気が付けばわたしは自分のことを打ち明けていた。
自分でもなにを語っているのか曖昧になりながらも口はまわりにまわって。
真島さんはそんなわたしの言葉も黙って聞いてくれていた。

わたしが語り終えると静寂が辺りを包んだ。
こんなことを聞かされた真島さんはどう思ってるんだろう。
傷だらけのわたしを護ろうとしてくれて。
あの強くて怖い人にも立ち向かおうとしてくれた、勇敢なこの人は。

「...やはり、お前は荻原に似ているよ」

やがて返ってきたのは、微笑みだった。
自分の娘か妹を見守るような、不思議な温もりに満ちた眼差しと微笑み。

「あいつも同じだよ。自分の言葉が綺麗ごとでしかないと理解していて、争いを止められない無力さを嘆いて。
それでも合理性の為に優しさを捨てることなんてできなかった。さっきのお前みたいにな」
「え...?」
「合理性だけを考えるならさっきの男を排除しようとするはずだ。だがお前はそういう素振りは見せなかった」
「...荻原さん、も?」
「ああ。あいつも、どんな相手であれ切り捨てることはしなかったよ。...鹿目、失敗してもいい。躓いてもいい。それでも、お前の道は困難ではあっても決して間違いじゃない。お前や荻原に救われる人間も必ずいるんだ...俺のようにな」

真島さんは、ポン、と優しくわたしの頭に手を乗せてくれた。
その温もりが、パパやママに慰められてる時のものに似ていて、さっきまで沈んでいた心がぽかぽかと温かくなった。

もしもお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな、と思うとどこか気恥ずかしくなって、ほんのり頬が紅潮してしまって。
それが伝わってしまったのか。真島さんはコホン、と気まずそうに小さく咳払いをして。
そんな真島さんを見てたら、思わずわたしもクスリと笑みを零してしまった。

「さて。身体は休まったか?」
「はい。もう大丈夫です」

共に立ち上がり、あのわたし達と戦った人が去っていった方角へと目を向ける。
あの人は強い。わたしの知る限りでは万全のマミさんに匹敵するかもしれないくらいに。
突き立てられた剣の痛みを忘れた訳じゃない。
それでも、わたしの道を支えてくれる人がいるからだろうか。
足取りは、不思議なほどに軽かった。


676 : 揺るぎない決意 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/17(月) 23:33:15 C/6siQK.0

【D-7/一日目/深夜】


【真島彰則@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:健康
[装備]:Jのメリケンサック(両拳)@魁!男塾
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:正しき道を歩む。
1:ひとまずまどかを休ませる。その後、共に堂島を追跡する。
2:荻原結衣との合流。
3:蒔岡彰に興味。もしも玲の妹であれば話してみたい。

[備考]
※参戦時期はBルート死亡後より
※魔法少女やまどかについて大雑把に聞きました。

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:腹部にダメージ(大、魔法で治療中)、出血(中〜大、止血済)、魔力消費
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:誰も死なせず殺し合いを止める。
1:堂島を追って止める。
2:荻原結衣という人を探す。
[備考]
※参戦時期は3週目でマミを殺した後。


677 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/17(月) 23:34:32 C/6siQK.0
投下終了です

佐藤マサオ、アカメ、琴美、初音を予約します


678 : ◆2dNHP51a3Y :2021/05/17(月) 23:50:47 HUQVSQfI0
蒔岡彰、ドミノ・サザーランドで予約します


679 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/17(月) 23:54:36 KxdaZo320
>>644
に追加でレオーネ予約します


680 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:18:37 US0TYtLw0
投下します


681 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:19:13 US0TYtLw0
「時代とは常に進歩するものだが、随分と進んだか。」

 誰が参加していようと大して意味はないが、
 タブレットには興味があって試しに使うギース。
 彼の生きた時代的にもタブレットは存在していたが、
 ギースのいた時代からすれば非常に進歩したものだ。

「懐かしい名前があるな。」

 ホワイトとカイン・R・ハインライン。
 前者は武器商人で過去に精神支配を仕掛けられたことがある。
 通用することはなかったので、正直大した敵とは思っていないが、
 この場ではどのような足掻きを見せるかが少しだけ楽しみだ。
 後者は妻であるメアリーの弟、つまるところ義弟になる。
 幼いころからどこかのファミリーに拾われていたとは聞く。
 奴もストリートファイトで腕を鳴らしていた身、
 この場ではそれなりの実力者ではあるだろう。

(だが何故だ?)

 ロック・ハワード。
 息子の名前があるではないか。
 彼の知るロックはまだ七歳の少年。
 ホワイトのような敵対関係を築くこともなければ、
 カインのような期待ができる可能性もないのだ。

(あれから成長したとでもいうのか?)

 死後ロックがどうなったかは知る由もない。
 テリーが引き取った、と考えておくのが妥当か。
 タワーの落下時、自分に手を伸ばそうとした男だ。
 慙愧に堪えなくなって引き取ったとしてもおかしくはない。

(もっとも、此処で生き残れる可能性はないだろうが。)

 此処では理不尽に誰かが死んでいくのが目に見える。
 若造であるロックが生き残れる可能性は恐らく低い。
 ギース亡きサウスタウンでは恐らく牙を抜かれた腑抜け共の巣窟。
 そんな場所で鍛えても、自分はおろかカインにすら勝てやしない。
 餓えた狼と餓えなかった狼では、確実にくぐった修羅場が違うのだ。
 仮に師があのテリーだとしても、復讐を終えた男では強さも違う。
 成長しようとも蹂躙される側の認識しか持てなかった。

「まあいい。弱者は死ぬ……それだけだ。
 違うのであれば、巡り合うだろう。」

 タブレットを閉じてギースは動き出す。
 何処か息子との再会を楽しみにしながら。



 ◇ ◇ ◇



「これはまずいことになりマシタ……」

「まずいって次元じゃあ、ないよね。」

 二人の敵から逃げることに成功したエレンと侑。
 名簿を確認して、顔色が余りよくない状態で互いを見やる。
 誰もいないという考えはなかった。悪辣な催しをしてきた相手が、
 自分たちに影響のない参加者だけに留めるとは思えないぐらいは。
 だがそれでも。一割の参加者が見知った間柄の存在だという事実。
 覚悟していたが、それを上回る嫌がらせな名簿にエレンも衝撃を隠せない。
 自身らを含めスクールアイドル同好会は五人、刀使は七人の大所帯だ。
 (藤原美奈都についてはどこかで聞いたような気はするが、思い出せないので除外)


682 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:20:34 US0TYtLw0
(まずいのはそこだけじゃないんデスよゆんゆん───)

 加えてエレンには一番の問題である十条姫和の存在がある、
 大荒魂と融合したことで彼女は通常の状態とは言えない。
 殺し合いの場で暴走したら、いくら仲間でも擁護しきれるものではない。
 特に、刀使を知らない侑達のことを考えれば、その存在がより危険なものになる。

(とは言え、私が御刀を持ってないように彼女も持ってるかどうか……)

 なんて希望的観測を持ったが、それはそれで自衛手段が危うくなる。
 先ほどの白スーツの男は高性能なこの木刀もあれど、エレンの流派故に成立した。
 御刀なしで相手と戦うのは余りいい状況とは言い難いし、悩みの種筆頭だ。
 自我を保ってても、暴走してても彼女を探さなければならないものの、
 同時に制御できるか怪しい彼女を、侑の傍に置くというのもまた難しい。

(暴走してないことを願うしかありまセンね。)

 広いフィールドで彼女個人を探すのは容易ではないし、
 万が一暴走してた場合に御刀もなしに止めることもまた容易ではない。
 彼女が万全の状態での暴走が起きてれば、刀使を集めたところで勝てるかも怪しかった。
 勝てないと分かってるからこそ、彼女は隠世へ向かおうとしたのだから。
 万全の状態なら、勝てる勝算があるとしても一つだけ。

(可奈美に頼るしかありまセンね。)

 空気も読まず勝負を持ちかけた可奈美ぐらいだ。
 姫和が事実上自殺するつもりだったのに、言うことが御前試合の再戦。
 一体何がしたいのか分からず、今でも不快感の方が上回る。
 可奈美に何か考えがあって言ったのかは未だに分からないが、
 少なくともこの場では彼女も万全かどうかの問題が付きまとう。
 既に前途多難とかで済ませられるような道ではない。

「エレンさん、大丈夫?」

 険しい顔で考え込む彼女に、
 心配そうに侑が顔色を窺う。

「っと、考え事してマシタ。
 まずはゆんゆんの仲間を探しましょう!」

「え、でもエレンさんにも知り合いが……」

「no problem! かなみんや薫達も、きっと大丈夫デース!」

 白スーツのような危険な参加者は他にもいるはず。
 であれば、やはり一般人の保護を優先するべきだ。
 御刀はないにしても、自分のように刀は手にする機会はある。
 刀使の能力は行使できずとも、培った剣術が消えるわけではない。
 先の怪物を考えると過信は禁物だが、刀使が市民を捨て置くことこそ論外だ。
 特に名簿にはしにがみや吸血鬼なんて物騒な名前もあるのでは、
 目の届かない場所へ置いていく方が不安になる。

「刀使と言うのは皆逞しいですから、ゆんゆんは───」

「ほう、では見せてもらおうか。」

「!」

 言葉が耳に届くと同時に、
 曲がり角から地面を裂きながら迫る、文字通りの烈風。
 彼女の持つ黒那岐丸を振るえば、近しい物が飛んでいく。
 互いの攻撃が相殺することで、大事には至らない。

「ゆんゆんは下がって!」

 先程と違って問答無用で攻撃を仕掛ける相手。
 加えて相手からは不気味だった白スーツとは別の威圧感。
 一人だというのに、先の二人よりも厄介に見えてくる。

「ロック・ハワードの名前に覚えはないか?」

「随分な挨拶をしておいて聞くことじゃありまセンね。
 私達が出会ったのは、胡散臭い白スーツの人と怪物だけデスけど。」

 答える理由はなかったが、
 持っていても意味のない情報なので適当に告げる。

「白スーツ……あの男、女子二人に逃げられたのか。哀れだな。」

 他にもいるのかもしれないが、
 彼がその二つのワードで誰かをおおよそ察する。
 見たところ片方は悪くないが片方は論外の存在だ。
 それを逃すようでは、あの男は前と変わらぬ器らしい。
 奴ではたとえ死後でもサウスタウンを支配することはできないと確信を持つ。

「あの人の仲間……?」

「奴は歯牙に欠ける価値もない弱者だ。
 このギース・ハワードと同列に扱うな。」

 同類かどうかと言えば事実だが、
 支配者の器にすらなれない奴と一緒は心外だ。
 天敵たるクラウザーあたりならまだ別だが。

「もっとも、貴様等にとっては敵の一言で済むだろうな。」


683 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:21:23 US0TYtLw0
 エレンは得物を強く握りしめる。
 刀使とは荒魂を祓う巫女の役割を持つ。
 だから、本来人と戦うことはあり得ないことだ。
 刀使同士で争うというのも何度かあって気分はよくないが、
 もはや刀使ですらない相手にその技術を振るう必要がある。
 戦う相手が、紛れもない悪であることが唯一の救いと言うべきか。

「後ろの小娘。」

「え、私?」

「ザコは早々に失せろ。巻き添えになりたければ別だが。」

 気遣いでなければ、フェアに戦いたいわけでもない。
 ただ単に目障りなだけで威圧的な眼差しを向けられ侑は距離を取る。

 単純な怪力を持った怪物とは違う。
 今のような破壊力のある攻撃が飛ぶ戦場。
 多少離れた程度では無事でいられる保障はない。
 だが此処で離れるということは、自分一人で動くことになる。
 参加者の四人(一人は人に入れていいか不明だが)と出会って、
 エレン以外が殺し合いに肯定的な連中で構成された現在。
 離れることができるか不安に思うなという方が無理な話だ。

「ゆんゆん。流石に今回は離れた方がいいデス。」

 見たところ支給品の類は装備していない。
 となれば先の烈風は、生身で行う特殊な力。
 一筋縄ではいかないし流れ弾の危険がより伴う。

「エレンさんも気を付けて!」

 自分がいれば寧ろ彼女は余計に流れ弾を受けてしまう。
 速やかに離れて邪魔をしない方が一番いいことは分かる。

「何かあっても逃げられる場所を確保してくださいネー!」

「……分かった!」

 万が一自分が負けた場合、
 彼女だけでも逃げられるようにしておくことは大事だ。
 返事が返ってくるときに躊躇いがあったのは不安に思うが、
 今は目の前の敵を相手にしなければならない。

「別れの挨拶は済ませたか?」

「ジョークとしてはセンスがないデスね。」

「ジョークに聞こえるか……フッ。DIE YOBBO!(弱者は死ね!)」

 ダッシュからの跳躍。
 素早い身のこなしだが、迅移で見てきたと比べればまだまだ遅い。
 黒那岐丸で迎え撃とうとするが、

「疾風拳!」

「!」

 三発の青い気が放たれ、流星群の如く襲い掛かる。
 相手の姿も見えない状況で防御行動は愚策。
 サイドステップで射線から外れ、

「烈風拳!」

 再び大地を砕く斬撃が襲う。
 同じことをすればいいと思ったがそうはいかない。

(速い!)

 烈風拳は二種類存在している。
 ダブル烈風拳のような派生ではなく、射程を犠牲にした素早い烈風拳が。
 咄嗟の判断で黒那岐丸を地面に突き立てることで射線を両断して直撃は防ぐ。
 だが、いくら優れた武器でも面積の狭さは否めず、少なからず衝撃が襲い軽くのけ反る。

「too easy!(容易いな!)」

 すかさず手に力をためたまま高速で迫るギース。
 彼を知るのであれば、邪影拳の構えであることがわかる。
 このタイミングであれば距離を取る選択肢がほぼ一択だ。
 避けようにも、周囲は烈風拳によって抉れた地面で足場が悪く、
 続けざまの一撃を防ぐことができない可能性の方が高い。

「YES! too easy!(そのとおり! 簡単すぎます!)」

 迫るギースへエレンは距離を取らず、寧ろ蹴りに入る。
 咄嗟にブレーキをかけたが僅かに胴に蹴りを叩き込まれてしまう。


684 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:22:20 US0TYtLw0
「ヌゥ!」

 ブレーキをかけたお陰で威力は多少ましだが、
 少なからず洗練された蹴りにギースでも顔をしかめる。
 怯まず足を掴もうとするも、寸前に足を引っ込めて距離を取る。

「……なるほど。総合格闘術に近しい剣術。
 確か、タイシャリュウと言う名前だったか?」

「随分詳しいみたいデスね。」

 タイ捨流は剣術と同時に、
 暗器、体術、関節技も含めた特殊な剣術。
 最悪得物がなくてもある程度の戦闘は可能だ。

「日本の文化は気に入ってるのでな。
 もっとも、アメリカこそが至上のものだが。」

「同じアメリカ人の血を引く者同士、
 日本について語らいたいのに残念デスね!」

 何とかして武器は回収したい。
 確かにエレンは格闘技にも優れた刀使だ。
 しかし格闘技に関してはギースの方が上手と感じていた。
 別の世界であればルガール・バーンシュタインが真似るように、
 ギースの格闘技のセンスと言うのは、相当なものになる。
 得物もなし優勝を目論む行動からして、
 相当な自信があってのことが伺える。
 同じ土俵で立つには、余りにも危険だ。

「これが必要か?」

 視線に気づき背後の木刀を手に取る。
 軽く一瞥した後、

「欲しければくれてやる。」

 投げ飛ばされてそれを手に取る。
 何の苦労もなく、隙を突かれるわけでもなく。
 ただ先程の状態に戻るだけだ。

「どういうつもりデスか?」

「あろうとなかろうと同じだ。貴様では私を倒せない。」

「油断大敵って言葉が日本にはあるんデスよ!」

 数歩踏み込んでからの袈裟斬り。

「こういうのは余裕と言うものだ!」

 黒那岐丸が振り下ろされたと同時に左腕で受け止める。
 勢いが付く前ではそれほどの威力は持たず多少の打撲程度だ。
 タイ捨流は此処から前蹴りや蹴り上げによる不意打ち、
 足踏みによる妨害などが主で、ギースもそれを熟知しており警戒するが、

「ハッ!」

 次にやったのは蹴り上げでも胴蹴りでもなく、左足からの回し蹴り。
 エレンは琉球空手の使い手でもあり、それが戦術に組み込まれている。
 タイ捨流を知ってれば知っているほどに虚をつくことができる技。
 当然ギースも理解があるがゆえに、予想はしていなかった。

「惰弱!」

 だがその隙を上回る反応速度で足を掴まれる。
 己の身一つを武器にテリー達に立ちはだかった強敵だ。
 これぐらいの超反応があるからこそ恐ろしいのが、
 悪夢として立ちはだかる程の男ギース・ハワード。

「その程度のフェイク、対応できないと『油断』したか?」

「しま───」

 続けざまに右腕も掴まれ、真上へと投げ飛ばされる。

「ハァァァァァ───」

 両手へ気をため込み、青いオーラを纏わせる。
 落下するエレンへ行うのは、ギースの大技が一つ───





「羅 生 門 ! !」


685 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:24:01 US0TYtLw0
 オーラと共に双掌打を叩き込む。

「ガハッ───!!」

 写シがない状態で受けていい攻撃ではない
 生身の人間の掌打とは思えないような威力で、
 大きくエレンは地面を跳ねながら吹き飛ばされる。

(本当に、あれは人間なんデスか!?)

 荒魂や刀使なら分かるが、
 相手は同じ人間であるはず。
 一体どこにこんな力があると言うのか。

「流石に無視できないダメージデスね……」

 咄嗟に黒那岐丸を挟んだお陰で、
 ギリギリ致命傷の回避には成功した。
 それを杖代わりにしながらすぐに立ち上がる。

「雷轟烈風拳!!」

 だが既に追撃が迫っていた。
 遠く離れたところからの電撃を纏った烈風拳。
 今までと段違いの攻撃速度にガードすら間に合わない。

「〜〜〜ッ!!」

 見た目通りの電撃を受けたようなダメージに声も出ない。
 だが見た目よりかは威力はないらしく、何とか立ち上がる。

「すぐに立ち上がれるとは、見上げた精神だな!」

 迫りながらの回し蹴り。
 エレンに対する意趣返しにも感じる蹴りだが、
 先ほどのキレのある蹴りで返す余裕はなく、転がる形で何とかしのぐ。

「見下した表情でよく言いマスね……!」

「疾風拳!」

 再び飛び交う複数の弾丸。
 袈裟斬りでなんとか全弾払うも、
 目の前には両手を掲げながら構えるギースの姿。
 ギース・ハワードの代名詞が一つ、レイジングストームの構え。

「もう一つ貴様の欠点を教えてやろう。
 人殺しを躊躇するヤツに勝ちなどない。それだけだ!」

 先の攻撃を防いだ時のやり取りでギースは察していた。
 木刀の威力は自分が抑えたのもあるが差し引いても威力は低く、
 代わりに蹴りについては非常に洗練されたものだった。
 殺意と言うものが感じられず、それが決定的な差に繋がる。
 当然、唯我独尊なこの男には存在していない。

「Raging───」

 迎撃は間に合わない。
 バックステップで距離を取っても避けきれない。
 せめて急所だけでも防ぐため両腕を顔面にクロスさせつつ距離を取る。





「What?」

 が、何故か攻撃が続かない。
 両腕はそのままにギースを見やると、
 彼は先程の構えを解いて振り返っている。
 エレンには次の一撃を防ぎきれる自信はないし、
 ギースもまた警戒するに値しない場面。
 問題は、彼の背後より漂う殺気の存在。

「ヘー、じゃああたしなら適任ってわけか。」

「……ほう。」 

 背後に立っていた相手の眼差しに笑みを浮かべる。
 少なくとも上っ面だけではない、自分と同じ側にいる類だと。
 同じ土俵の『殺しに慣れた人間』の存在。





 ───時間は遡り。


686 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:24:42 US0TYtLw0
(どうするか考えないと!)

 ある程度離れた場所で、侑は適当な家屋でデイバックを開ける。
 エレンや敵との遭遇に放送と確認する暇がなく、ようやく手を付けた。
 自分には戦える力はない。だが何かしらのサポートは出来る可能性を探す。
 誰かが困ったり悩んだとき、それに寄り添ってサポートする……それが、
 スクールアイドル同好会における高咲侑のポジションになる。
 武器での援護は絶対に無理だが、彼女の為になるものがあると願う。
 デイバックをひっくり返し、中のものを畳の上へと放り出す。

「ってこれ何?」

 基本支給品以外の中で、
 明らかに使用用途が不明に見える謎のアイテム。
 手に収まる程度の小さいサイズの機械に見えなくもない。

(璃奈ちゃんが好きそうなイメージがあるかも。)

 どことなくメカっぽいところは、
 機械に強い彼女が付けてるイメージがある。
 付属の説明書を片手にそれを見やりながら、
 額に装備するものだと分かり試しに装備すると、

「───だー!!」

「!?」

 そう遠くない場所から、誰かの絶叫に強く反応してしまう。





「死んだー!!」

 隠れ家から出てからやってきた放送から、
 タブレットを使って名前を見て叫ぶレオーネ。
 彼女の世界からすれば随分ハイテクなものだが、
 帝具と言うオーバーテクノロジーの影響か、そこまでは困らない。
 とは言え使い慣れてないので、他の人よりは時間がかかっているが。
 だが開いてみればエスデスと言う此処が地獄と確約する四文字の並び。
 こんな場所で同名の人物がいるわけがない。間違いなくあのドS将軍一択。
 何で一番勘弁してほしい奴がこの場にいるのかと思わず叫んでしまう。

「一人だけ最初から帝具あるとかずるじゃん! 出来レース!」

 ライオネルがあったところで勝てないだろうに、
 それすらないとかただの虐殺でしかないではないか。
 制限? あの将軍にそんなものあってないようなものだ。
 たとえデモンズエキスが使えない状態だったとしても乗り越えれる。
 奥の手がなければ自分で作ってしまうような将軍なのだから、
 制限されたところでそれを超越するのが目に見えている。
 ディメーンやメフィス達は出来レースでもしたいとしか思えない。
 これに勝てる参加者が果たしてこの場にどれだけいるのか。
 アカメであってもギリギリ勝てただけで二度目があるかも怪しい。。

「……で、なんでアカメまでいるわけ。」

 先ほどまと変わり、冷酷さを見せる表情に切り替わる。
 死者によるクソみたいな場所と思ってみれば、アカメが居合わせるのはなぜか。
 ナジェンダなら分からなくはない。スサノオの奥の手で余命僅かなのだから。
 だがアカメは奥の手のダメージはあれども、致命的なレベルではないはず。
 易々と死ぬ筈はなく、どうやらこの場は自分が思ってるものとは違うことを察する。、
 死人以外も巻き込まれてると考えた方が自然かもしれない。
 オネストと言った連中がいないのもその裏付けになる。

「まあ元からボコボコにする予定だったけど、
 戦う必要もない親友巻き込んだこと、高くつくの覚悟しときな。」

 冷ややかな目で空へと呟く。
 どうせ何処かで聞いていることはわかる。
 予定変更。ナイトレイド延長戦の開始だ。
 今一度、殺し屋として仕事をするとしよう。
 将軍にだけは会いたくないが、無辜の民を捨て置けば大臣共と同じだ。
 あんな連中と同類になんて文字通り死んでもごめんである。

(で、あいつはどうするんだか。)

 プロシュートの言う身内はいないようだが、どうするのだろうか。
 別段乗り気ではなかったので、協力関係は結べそうではある。
 ただエスデスのことを伝えなかったのは悪かったと思う。
 あんなのに出会えばろくでもない目にしかあわない。

「すみません!」

「ん?」

 声に反応して振り向く。
 息を切らし、壁に手を当てながら侑がそこに立つ。
 行動すべてにおいて、普通の庶民の類だとすぐに察した。
 無警戒に武装もなしに声をかけてくる。どうみても殺し合いの経験がない人物。
 見るからに温室育ちだが、富裕層みたいな薄汚れた雰囲気も感じられない。
 箱入り娘か何かの類と感じる。


687 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:25:32 US0TYtLw0
「助けてもらえませんか! エレンさんが……仲間が戦ってるんです!」

 普通だったら問答無用で助けに行くを選ぶ。
 こういう人の為に戦ってきたのがナイトレイド。
 だが、どうしても気になってしまう。

「切羽詰まってるところ悪いんだけどさ、
 どうしてそんなに無防備でいるわけ?」

「え?」

 いくら武器が使えない人でも自衛のために持つものだ。
 飾りとは言うが、ある程度のけん制と言うのは大事だろう。
 見ればデイバックすら背負ってないのでは、余計に無防備。
 この場で他人を信用するにしたって、何もないのは逆に警戒してしまう。

「あたしが善人に見える?」

 人畜無害を装いながら裏では悪逆の限りを尽くす連中を何人も見てきた。
 タツミを連れ帰った時に出会った一家なんて、まさにそれである。
 温厚そうな家族を装って、一家揃って鬼畜の所業をする畜生の極みだ。

「これの効果でちょっと。」

 申し訳なさそうな表情で額を指す。
 彼女には正直あまり似合うとは言えない、
 緑の宝玉みたいな装飾品がつけられてる。

「これねぇ……ってこれ帝具じゃん!」

 余り見てなかったので気付かなかったが、
 嘗てアカメとタツミの二人が回収した帝具だ。

「確かそれ心も読めるんだっけか。いやーそりゃバレるわ。」

 五視万能スペクテット。
 四十八の帝具が一つで視力に関する能力を持つ。
 洞視で心を読めば敵か味方の判断もつくし、
 助けを呼ぶに値する人材だってこともわかる。
 当然敵ではないと確信すれば無警戒に近づいたって問題がない。

「ごめんなさい。急いでて勝手に読んじゃって。」

「いや、こっちも警戒して悪いって。
 で、時間ないんでしょ。道案内……って無理か。」

 恐らく遠視で自分を探して移動してきたのだろう。
 息を切らしていたということは相当無茶なペースで。
 いくらアイドルとの練習に付き合ってると言えども、
 常人の体力では限界と言うものがある。
 道案内を任せるだけの体力はないだろうし、
 普通に戦地へ彼女を連れ戻すのも酷だ。

「流石にその状態じゃ無防備すぎるし、
 支給品とか置いてきた場所まで連れて行くよ!」

「わ、ちょ!」

 返事を待たず、息を切らす彼女を肩に担いでレオーネは走り出す。
 スラム街で逞しく生きてきた彼女だ。人一人ぐらいは快速で運べる。
 侑が此処までくるよりもずっと速い速度で元居た場所まで戻り、
 即座に救援に向かって、見つけることは容易いことだった。
 派手に戦闘をしているのであれば、常人の耳でも普通に気づく。

「えーっとユウって子に助け求められたけど味方は……決まってるか。」

 レオーネにはわかる。
 エスデス程かどうかは分からないが、
 こいつも相当な人間を殺した箔があるオーラを纏う。
 どちらが彼女の味方かについては、答えるまでもない。

「こっち側の人間だな。」

「ああそうさ。あんたみたいな奴相手に手を汚すのがあたし達の仕事だ。」

 ライオネルは相変わらず見つからないままだが、
 支給品の中に紛れ込んでいた、雷光のような模様の目立つ籠手を装備する。
 格闘技がメインであるレオーネにとって素手で殴るよりも効果的な代物だ。
 籠手をぶつけ合わせ、甲高い音を響かせる。

「そっちのお嬢ちゃん。あの子武器なかったから早めに迎えに行きな。因みにあっちの方角。」

「後は、お任せしマスね……thank you!」

 他人に任せるわけにはいかないと思うも、
 傷の状態を考えればどうあがいても足手まといだ。
 素直に退くことだけを考えてその場を後にする。

「さあて、やってやるとすっか!」

「フン。You can not escape from death(貴様には死あるのみだ。)」

 異種格闘技の次は、
 血にまみれた獣同士の戦いが始まる。


688 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:25:48 US0TYtLw0
【D-3とD-2の境界線/一日目/深夜】

【古波蔵エレン@刀使ノ巫女】
[状態]:ダメージ(大)、手足の痺れ、頭部出血
[装備]:神木・黒那岐丸@Re:CREATORS
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗るつもりはありまセーン。
1:今は退くしかありまセンね……ッ。
2:薫や可奈美達が心配デスが、特に不安なのは姫和デスね。
3:ゆんゆんはどこでショウか。
[備考]
※参戦時期はアニメ版21話、可奈美が融合した十条姫和との戦闘開始直後です
※御刀がないので写シ等の能力は使えません



【D-3 北部/一日目/深夜】

【レオーネ@アカメが斬る!】
[状態]:健康、静かな怒り
[装備]:ホープナックル@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み、ライオネルなし)
[思考・状況]
基本方針:メフィス達、覚悟できてんだろね。
1:民の為にもう一度戦いますかね。まあやることドブさらいだけど。
2:アカメを探……さなくても大丈夫だよね。親友を信じろって。
3:帝具なしでエスデスとかは会いたくねーな! あっても会いたくねーな!
4:優勝するしかなくなったらどうしよ。
[備考]
※参戦時期は死亡後(アニメ版意識ですが漫画版でも問題ないです)
 ただ漫画版であればライオネルと少し融合してるため状態表が変わります。

【ギース・ハワード@餓狼伝説シリーズ】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状態]
基本:殺し合いに乗り優勝する。あわよくば主催すら越えて最強を示す
1:次の相手は『こちら側』の人間か。
2:カインにはそれなりの期待
3:ロックは少し程度は期待。
4:ホワイトはどうでもいい。
[備考]
※参戦時期はリアルバウト餓狼伝説での死亡後です。



【D-2の境界線/一日目/深夜】

【高咲侑@ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:疲労(中)
[装備]:五視万能スペクテッド@アカメが斬る!
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:みんなの事が心配。
1:みんな無事かな……エレンさんやレオーネさんも。
2:今は二人が戻ってくるのを待つ。
3:レオーネさんもエレンさんも、愛さんみたいな……
4:帝具……オーバーテクノロジーすぎない?
[備考]
※参戦時期は少なくともアニメ版五話以降ですが、
 具体的なのは後続の書き手にお任せします。
※デイバックや基本支給品、ランダム支給品(×0〜2)は、
 侑が待機してる屋敷の中に放り出されてる状態です。

【五視万能スペクテッド@アカメが斬る!】
元々は首切りザンクが所持していた帝具。
額に付ける巨大な瞳で、五つの視界に関する能力を有している。
心が読める洞視、霧でも夜でも関係なく遠くにいる相手が見える遠視、
筋肉の動きから動きを見通す未来視、服の上から中を確認できる透視、
唯一相手にかけるタイプとして幻覚を見せる幻視の能力を有している。
帝具には相性がある為相性次第では疲労や使用を受け付けなくするが、
侑は第一印象は悪くなかったので遠視、洞視は使用可能でそれなりの適性がある。
(ブラート曰く帝具とは、第一印象で相性が大体わかる模様)
また帝具は適性があれども精神や体力の摩耗が激し同時に使うのは厳しい。

【ホープナックル@グランブルーファンタジー】
眩き生命の奔流を表したかのように光り輝くその拳は、何度でも果てなき栄光へと挑む運命にある。
何度ままならぬ現実に地を叩くことになったとしても、不屈を貫いた先に使い手は真なる希望を掴むことだろう。
とされる、ゲーム上ではSSRフェザー解放武器の格闘(ゲーム上では主に籠手やかぎ爪に該当)武器。
光属性を強化する天光の攻刃のスキルがあるかどうかは後続の書き手にお任せします。
(第二スキルライト・ブロウについては再現が難しいと思われるので除外してますが、再現可能ならどうぞ)
因みにレオーネはディバインゲートコラボの際光属性にされましたが、
これが適応されるかどうかも後続の書き手にお任せします。


689 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:26:13 US0TYtLw0
以上で『ギースにきんいろ』投下終了です。
時間軸はRB餓狼ですが後発の作品で出た技も使用してるので、
問題があれば修正します


690 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/18(火) 06:27:36 US0TYtLw0
可奈美、フェザーで予約します


691 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/18(火) 19:02:42 vLr7yFY60
投下します


692 : 君の『おたすけ』に救われて ◆.EKyuDaHEo :2021/05/18(火) 19:03:12 vLr7yFY60
「とりあえずこの小屋でいいかしらね」
「ふ〜疲れたゾ〜...」

あれからしんのすけとアリサ(とミライマン)は地図や支給品を確認するためにしばらく歩き、小屋を見つけ休憩もかねてデイパックの中を確認しようとした...その時...

『――ボンジュール、みんな〜!』
「お?何か聞こえるゾ?」
「...放送みたいね」

しんのすけは理解できていないがおそらく主催からの放送だと気づいたアリサは耳を傾けた


◆◆◆


『じゃあ、第一回放送の時にでもまた会おう、ボン・ボヤージュ!』

放送が終わるとしんのすけが口を動かした

「何かえいごとかトイレットとか言ってたゾ、よく分からなかったけど」
「えいごではなく名簿、トイレットではなくタブレットですね、どうやら他の参加者の人達の名前がタブレットで見れるみたいです」
「ほうほう、でもオラタブレットってやつの使い方分からないゾ」
「ならあたしに任せて」

アリサはそう言うとタブレットを手に取りすぐさま名簿を開いた

「おー!アリサちゃん凄いゾ〜!」
「フフン、こんなの朝飯前よ!ところで誰か知り合いはいたの?」
「え〜と...とーちゃんにかーちゃんに、それとマサオくんだゾ」

名簿にはしんのすけの父親の『野原ひろし』、母親の『野原みさえ』、友人の『佐藤マサオ』の名前があった

「ひろしさんとみさえさんも連れてこられていたんですね...」
「三人...まぁまぁいるわね...それとあたしの知り合いは...フェイトが連れてこられているのね...」

そしてアリサの方も友人の『フェイト・テスタロッサ』の名前があった
知り合いがいることに安堵する気持ちと自分と同じく殺し合いの場に連れてこられてしまって最悪の事態になっていたらどうしようというネガティブな気持ちが入り交じっていた

(でもフェイトなら大丈夫...きっと大丈夫...だってフェイトはなのはと同じ魔法少女なんだから...)

自分とすずかはあの時確かに見た、友人のなのはとフェイトが魔法少女となり戦っている姿を...魔法少女のフェイトならきっと大丈夫だと思いたいがどうしても心配になる...その時アリサの表情が暗くなっていたことに気づいたしんのすけが声をかける

「アリサちゃんどうかしたの?」
「ううん...何でもないわよ」
「そう?困ったことがあったらオラがおたすけするからいつでも言っていいゾ!」
「ふふ、期待してるわよ?」
「まっかせなさい!」

しんのすけは任せろといわんばかりに胸を張りアリサはそれを見て微笑み心の中で思った

(あぁ、またしんのすけに『おたすけ』されちゃったな...)

いつの間にかアリサの中にあった不安がまた消えていた、しんのすけがいると元気づけてくれるので正直凄く頼りになっている、しんのすけは気づいていないだろうが彼は何度も自分を救ってくれていた

(考えてみればあたしが6歳のころはすずかのカチューシャとって弄ってたわね...あの頃のあたしは本当に嫌なガキだったわ...そう考えるとしんのすけって結構凄いのよね、5歳なのに周りのことを気にしてくれておたすけしてくれる...あの頃のあたしとは真反対ね...)

暫く考え込んでいたアリサだがここでハッとする

(いけないいけない!ネガティブな考えは捨てなくちゃ!折角しんのすけがまた元気づけてくれたのを無駄にしちゃいけないわよね、よし!頑張るわよ!)

そしてポジティブな考えになったアリサが切り出した

「よし!とりあえず支給品を確認するわよ!」
「ほーい!」

そう言い出して支給品を確認しようとしたその時...


コンコン...


小屋の扉でノック音が聞こえてきた...

「お?誰か来たみたい、ほー...むぐ!」
「しー!静かに!」

アリサがしんのすけの口を塞ぎ守るようにドアを見続ける...するとドアが徐々に開き現れたのは...少女だった...


693 : 君の『おたすけ』に救われて ◆.EKyuDaHEo :2021/05/18(火) 19:04:02 vLr7yFY60
◆◆◆


「そんな...静夏ちゃんまで...」

芳佳は名簿を見てショックを受けた、自分の仲間の一人である服部静夏もこの殺し合いに連れてこられていた

「一刻も早く静夏ちゃんを見つけないと!」

そして周りを見渡すと一つの小屋を見つけた

「とりあえずあそこから確認しよう...」

そして小屋のところまで行き念のため誰かいるかもしれないので扉をノックした
すると声が聞こえた気がし、ゆっくり扉を開けてみると自分よりも幼い少年と少女、そして何か浮遊している怪獣のおもちゃみたいなのがいた
少年の方は特に何の感情もなくこちらを見つめていたが、少女の方は警戒しながらこっちを見ていた...芳佳はすぐさま安心させようとした

「あ、ごめんねいきなり!でも私は殺し合いには乗ってないよ!」
「...ミライマン、どう思う...?」
「彼女から正義感がとてつもなく感じられます、嘘じゃないみたいですね」
「そう...はぁ〜良かったわ〜...」
「ぷはぁ!はぁ〜苦しかったゾ...」

少女は安心したのか溜め息を吐き、少年の方は呼吸を整えていた

(にしても私よりも幼い子が連れてこられているなんて...)

芳佳は自分よりも幼い子供まで連れてこられていたことに驚愕していた
少女の方は小学生ぐらい、少年に至っては幼稚園ぐらいの年齢だろう...
正直今すぐにでも静夏を探しに行きたい芳佳だが、だからといって自分より幼い少年少女を放っておきたくはない...すると少年がこちらに寄ってきた

「ん?どうしたの?」
「あんた誰?」
「あ、自己紹介がまだだったね!私は宮藤芳佳!」
「オラ野原しんのすけ5歳!気軽にしんちゃんって呼んでいいゾ!んでこっちのツンデレっ子がアリサちゃんでこの怪獣はミライマン!」
「誰がツンデレっ子よ!」
「あはは...」

お互いに自己紹介を済ませるとしんのすけが芳佳に質問した

「ねぇねぇ芳佳ちゃん」
「どうしたの?」
「ひょっとして今悩んでる?」
「え?急に何で?」
「ん〜、何だか困ってる顔してたから」
「!!...実は、私の友達に服部静夏ちゃんって人がいるんだ...それでその人もここに連れてこられててひょっとしたら怪我をしてるかもしれないから今すぐにでも会いたいの...でもこの場に連れてこられている人も助けたい...もちろんしんちゃん達も...」

本当はこんなことを自分より幼いしんのすけとアリサに言うのは間違っているのは分かってる...それでも一人で抱えるには荷が重すぎてつい言ってしまった...
しかし言った後に申し訳ない気持ちが出て来はじめ謝ろうとした時にしんのすけが口を開いた

「ならオラ達と一緒にそのお友達探しに行こうよ!」
「え...?」
「オラとしては困ってる芳佳ちゃんをおたすけしたいですし〜、アリサちゃんもいいでしょ?」
「そうね、あたしも助けられる人は助けたいわ」

しんのすけの提案にアリサも賛成した
しかし芳佳は申し訳なさそうに聞く

「でもしんちゃんやアリサちゃんの知り合いもいるんじゃないの...?」
「あたしは友達が一人連れてこられてますね」
「オラはとーちゃんとかーちゃんとマサオくんだゾ」
「ならその人達を探した方が...」

芳佳は分からなかった、何故自分達の知り合いより静夏を探そうとしてくれるのか...しかしその答えはすぐに出た

「大丈夫だゾ!とーちゃん達なら上手くやってると思うゾ!オラはそう信じるゾ!」
「あたしも確かに最初は不安だったけどしんのすけと同じで友達を信じてます」
「それに芳佳ちゃんのお友達は怪我してるかもしれないんでしょ?なら一刻も早くおたすけしたいゾ!」

芳佳は驚いた、この二人は家族や仲間を信じて常にポジティブに事を考えていた...それどころか静夏のことも心配してくれた
自分よりも年下の二人に相談するのは間違いだと思っていた...しかし今は心底感謝していた...二人に相談したことで気持ちが楽になっていた

「おたすけ...か...何だか良い響きだね!ありがとう、私の方が年上なのに助けてもらっちゃって」
「おたすけに年齢は関係ないゾ、困ったことがあったら相談してみんなで解決すればいいゾ!」
「そうですよ、あたしもしんのすけより4つ年上ですけど何度か支えてもらってるんで結構頼りになるかもそれないですよ」
「うん、本当にありがとうね!」
「いや〜それほどでも〜」

芳佳は協力してくれるしんのすけ達にお礼を言った
そしてミライマンが今後のことについて口を開いた

「それでは今から服部静夏さんという人を探しに行くということでいいですね?」
「そうね」
(今思ったけどこのミライマンっていう人...かは分からないけどどうなってるんだろう...魔法力か何かなのかな...って今はそれどころじゃないよね)

方針が決まり三人(と一体)は共に行動することを決めた...その時芳佳は改めて決意を固めていた


694 : 君の『おたすけ』に救われて ◆.EKyuDaHEo :2021/05/18(火) 19:05:51 vLr7yFY60
(しんちゃん達が支えてくれたおかげで私は気持ちを切り替えることができた...二人は絶対に私が守る...!
待っててね静夏ちゃん...すぐに...『おたすけ』するからね...!)
「芳佳ちゃ〜ん!早く〜!」
「あ、うん!今行くよ!」

こうして三人(と一体)は静夏を探し始めた...
人は互いに助け合うことで絆が深まっていく...それが『仲間』の証...


【F-6/一日目/深夜 】
【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃん、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本行動方針:困ってる人をおたすけする
1:アリサちゃん、芳佳ちゃんと一緒に行動する
2:芳佳ちゃんのお友達(服部静夏)を探す
[備考]
※殺し合いについて理解できていません

【アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いは絶対しない
1:しんのすけ、芳佳さんと行動する
2:服部静夏という人を探す
3:いざとなったらしんのすけを守る
4:ネガティブな考えは捨てなくちゃね!
[備考]
※参戦時期はなのは達が魔法少女だと知った後です

【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ】
[健康]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ギャレンラウザー@仮面ライダー剣、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本行動方針:守る為に、私は戦う!
1:しんちゃん、アリサちゃんと行動し二人を守る
2:静夏を探す
3:傷付いた人がいたら助けたい
4:私も二人に負けないように頑張る!
[備考]
※参戦時期は劇場版にて、負傷した静夏を発見する前からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。


695 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/18(火) 19:06:12 vLr7yFY60
投下終了します


696 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/18(火) 21:12:07 jFrlZUm20
投下お疲れ様です。

揺るぎない決意
まどかの悩みを聞き、受け止める真島さん……かっこいいですね〜
「ああ。あいつも、どんな相手であれ切り捨てることはしなかったよ。...鹿目、失敗してもいい。躓いてもいい。それでも、お前の道は困難ではあっても決して間違いじゃない。お前や荻原に救われる人間も必ずいるんだ...俺のようにな」
↑いや〜…好きです。まじ真島さんイケメン。

ギースにきんいろ
迫力ある異種格闘技戦!
読んでいて圧倒されました!
そして、さながらROUND2となる引き、次の展開が非常に気になります。
「同じアメリカ人の血を引く者同士、
 日本について語らいたいのに残念デスね!」
↑日本について語り合うエレンとギース……実現は限りなく低いですが、実現してほしいと思いました。
ギースの息子に対する評価……パロロワだからこそ実現できそうな再会が楽しみです。

君の『おたすけ』に救われて
読んでいて非常にほっこりできました!
「ねぇねぇ芳佳ちゃん」
「どうしたの?」
「ひょっとして今悩んでる?」
「え?急に何で?」
「ん〜、何だか困ってる顔してたから」
↑観察眼がきちっとしてこれは、モテますな。
しんのすけの「おたすけ」の言葉がアリサと芳桂に染み込んでいくのがいいですね。

ミスターL、藤堂悠奈で予約します。


697 : ◆RTn9vPakQY :2021/05/18(火) 23:10:28 qNKGiwes0
皆様投下乙です
絶鬼、ロック・ハワード、有間都古 予約させて頂きます


698 : ◆RTn9vPakQY :2021/05/19(水) 01:50:23 yHSoVXSY0
重ねてご報告いたします。
拙作「開幕のあいさつ」において、柳瀬舞衣の支給品について説明が抜けていたため、wikiにて以下の通り記述を加えました。

【孫六兼元@刀使ノ巫女】
柳瀬舞衣に支給。舞衣の所持する御刀。
珠鋼という特殊な金属で作られており、神性を帯びていることから通常は折れたり錆びたりしないとされる。

【備考】
※柳瀬舞衣の支給品は、孫六兼元@刀使ノ巫女も含めて死体の周辺に放置されています。

以上です。


699 : ◆4Bl62HIpdE :2021/05/19(水) 01:53:34 oqcyEO6o0
マシュ・キリエライト、アニ・レオンハートを予約します


700 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/19(水) 02:11:02 MnNRhLPg0
野原みさえ、フェイト・テスタロッサで予約します


701 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 21:56:41 pF3fagRw0
投下します


702 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 21:57:34 pF3fagRw0
 カインとの戦いの場から離れ、
 適当な屋敷へと可奈美たちは避難する。
 この怪我で動き回るのは負担が大きい。
 せめて王宮手当ぐらいはしておきたかった。

「そっちの支給品で、包帯とかってありますか?」

「いや、まだ確認すらしてないからさっぱりだ!」

(す、凄い元気だこの人。)

 怪我人だよね? とつい聞き返したくなるほどに、
 はっきりとした声で叫ぶフェザー。
 とは言え怪我人であるのを示すかのように、
 明らかに先程よりも声が小さくなっているし息も少し荒い。

「ちょっと漁るね。」

 彼の治療も目的の一つではあるが、
 千鳥があるのではないかと言う希望的観測。
 だがそう都合よくはない。ケーキだったりPDAだったり、
 少なくとも治療に使える代物ではないものが揃っている。

「包帯になりそうなのない……棚にあるかな。」

 見たところ昔のお偉いさんでも住んでいたかのような場所。
 包帯の一つや二つあってもおかしくはないと、高そうな黒い棚を調べていく。
 衣類だったり小物だったりはあるが、めぼしいものは見つからない。
 最悪衣類を切って包帯代わりにするしかないかと思案していると、

「って何してるの!?」

 暢気にフェザーがさっき置いたケーキを口にしている。
 傷の手当よりも食欲なのかと思わず突っ込んでしまう。

「悪い。なんか回復するらしいから食ってみた。」

 口の中のものを飲み込んだ後フェザーは快活に返す。

「ケ、ケーキ食べただけで傷が治るの?」

 ゲームとかじゃないし流石にないのでは。
 そう思っていたが先程よりも元気に見えるし、
 彼女の考えを即座に否定させてくる事実。

「それなんだが、さっきよりずっと安定してるんだよ。」

 見てみれば頭部の傷がいつの間にか治りかけている。
 近くに転がってる説明書を渡されて読めば、
 どうやら食べると自動的に回復する効果があるらしい。
 
「本当にあるんだ……」

 この事実には流石に驚かされる。
 俄かには信じがたいことではあるが、
 治ってるのも事実で、応急手当する手間もない。
 そう考えると一先ずは良しとする。

「改めて、さっきは助かった! 俺はフェザー!
 強くなるためにある団に身を寄せて騎空士をやっている!」

 顔に流れた血はあらぬ誤解を受ける可能性もあり、
 自己紹介を交えながら棚の服をタオル代わりにして血を拭う。
 先ほどから二人は無遠慮に物色しているが、人の気配のなさから参加者以外はいないと確信している。
 なので余り申し訳ないと思うこともない(もっと言えば二人は既に土足で上がっているのだから)。

「私、衛藤可奈美って言います。ところで、キクウシってなんですか?」

「ん、知らないのか?」

「特に心当たりは……」

 フェザーに限らず騎空士は空の世界で日常的な存在。
 余程のことがなければ知らないなんてことはあり得なかった。
 唯一の例外があるとするならば暗黒大陸エスティオスの出身か。
 騎空艇すら知らない程の鎖国を極めていたあの場所なら納得ではある。
 だがエスティオスの人にしては身なりは随分いい雰囲気もあり、
 何よりエスティオスにはフェザーのいる団長達も関わっている。
 今更知らない筈がないし、そんな例外的存在が二つも三つもあるはずもない。

「つまり答えは一つだ!」

 アイドルを職業としている人達。
 スクールアイドルをしている者達。
 鬼を斬り民を守る鬼殺隊の者達。
 空の世界は他にも色んな人達との世界と縁を持っている。
 自分達とは異なる世界の住人との交流は今に始まらない。
 なので一番納得がしやすいものを提示してみる。

「別世界……」


703 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 21:58:24 pF3fagRw0
 ただ向こうはどうだろうか。
 彼女のことは名前しか知らない。
 果たして理解してくれるのか気になるところだ。

「いえ、言われるとなんとなく納得できます。」

「え。」

 思ってる以上にスムーズに理解され、
 フェザーも思わず変な声が出てしまう。

「ちょっと似たようなものがあるので。どんな世界なんですか?」

 あり得た別の世界と違い、彼女は魔法少女や勇者とは出会ってない。
 だがそもそも、隠世と言う一種の別の次元に関わることがあるのが刀使。
 確かにそこからさらに別世界と考えるのは、少々疑問に思うところもある。
 しかし理解することができないような荒唐無稽さは感じられなかった。

「俺たちの世界で驚かれると言えば、やっぱり───」

 フェザーの話を聞けば聞く程壮大な世界だ。
 空に浮かぶ島や星晶獣と言った存在。
 少なくとも可奈美の世界では縁遠いものがそこにある。
 作り話と言うには余りに事細やかに語り、
 元より思うつもりはなかったが嘘とは思えない。

「それにしてもカナミは理解が早いな。
 別世界ってのは、意外と流行りなのか?」

 グランサイファーには刀剣男士や心の怪盗団、
 ハジケた連中と一時的に関わった別の世界の住人も多い。
 此処まで多いと自分たちが関与してないだけで、
 そういうものなのかと疑いたくなる。

「流行りとかどうこうとはちょっと違うような……」

 今回は可奈美が刀使だから理解があっただけで、
 一般人からしたらもっと訳の分からないものは想像に難くない。
 ある意味出会ったのが自分でよかったと思える。

「ところで、この機械は何だ?
 フライデーが持ってたのと似てる気がするが……」

 可奈美が漁ってた時に置かれたタブレットのような機械。
 フライデーが持っていた機械と類似してるようには見えるが、
 形状が違うので何とも言えないところだ。

「あ、これはPDAで……なんて説明すればいいんだろう。」

 話を聞けば随分とファンタジーな世界。
 自分達の基準で説明して理解できるかどうか。

「情報を纏めたり、遠くの人と会話ができます。」

 とりあえず主な用途としての使い道だけでも説明すればいいだろう。
 操作の説明も、ある程度理解してる自分が教えれば特に問題もないはず。

「ロベリアの魔術みたいなものか。
 高度な魔術が普通に使えるんだな。どうやって使うんだ?」

「あ、待って。これ普通のとは違うみたいで───」

『――ボンジュール、みんな〜!』

 遮るように始まる、ディメーンの放送。
 話している場合ではなく、PDAについては後回しで話を聞き届ける。
 とは言うが、特に長々とした話をするわけでもなく、

『じゃあ、第一回放送の時にでもまた会おう、ボン・ボヤージュ!』

 驚くほどあっさりと放送が終わってしまう。
 顔ならぬ、声を出しにきただけとも言うべきか。
 相手は飄々としているけれども何処か不気味さがある雰囲気。
 何処と無くではあるが、フェザーはベリアルの印象を抱いてしまう。
 (まあアレと比べたら大抵の連中はまともに見えてしまうが。)

「定時放送って何をやるんだ?」

「多分ルールで言う禁止エリアのことじゃないかな。」

 基本ルールの確認と共にタブレットの使い方を説明する。
 使い方を教わってすぐに名簿を開いたフェザーだが、
 内容に首をかしげてしまう。

(?)

 ディメーンは知り合いがいるかどうかの話をしていた。
 だからいたとしてもおかしくないことは覚悟してたつもりだ。
 確かにいるにはいる。だが、縁が深いかと言うと余りない人選になる。
 赤城みりあは確かに共に旅をする仲間の一人だしまだ幼い以上探すべきだが、
 フェザーの知り合いと言うと主に団長やアリーザ、ランドルをイメージしていた。
 だがそれらの名前は何処にもなく、少々疑問だ。


704 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 21:59:27 pF3fagRw0
(それに、アニってあのアニだよな?)

 暗黒大陸エスティオスで団長達が戦った巨人になれる人間、アニ。
 確か結晶化して自分から封印される形で決着をつけたと聞く。
 目的は未だ不明だが、危険な参加者になる可能性は高く警戒しておきたい。

「カナミ、そっちに知り合いは───」

「……フェザーさんは此処にいて!」

 彼女はどうかと尋ねると、
 遮るように可奈美は席を立って屋敷を飛び出す。

「カナミ!?」

 突然の行動に驚きつつも、
 支給品を回収してから彼女を追いかける。
 此処にいてと言われても行動が理解できないのでは、
 言うことを聞くわけにはいかない。

「待てカナミ! どうしたんだ!」

 考えなしに動くのはまずい。
 流石にカインとの戦いで多少反省はしている。
 無鉄砲に突っ込んでいては負けではなく死ぬ可能性。
 助けてもらった相手を放っておくことは出来ず、追いついて腕を掴む。

「名簿に、誰かいたのか。」

 先の反応から理由はわかる。
 焦る程に大事な人がいることぐらい。

「探さなくちゃいけない友達がいるの!」

 折神紫と同化した大荒魂を倒そうと一緒に立ち向かった仲間達、
 すでに亡くなってるはずの母に加えて、親友である安桜美炎もいる。
 多くの人物がいる状況で、可奈美は動かないわけにはいかなかった。
 何よりも一番会わなければならない十条姫和の存在がある。
 考えるよりも先に行動に出ても無理からぬことだ。

「だったら俺も行く!」

「でもフェザーさんは怪我が……」

 今の自分では彼を守ることは難しい。
 御刀はなければ、得物も短い小刀一本。
 刀使どころか、剣客と言う立場でも危うい状態だ。

「安心しろ! これぐらいの怪我ならよくあることだ!」

 彼も死線と言うものは何度もくぐってきている。
 星晶獣とも拳で語り合うのを目標としているのだ。
 この程度の傷でへこたれるようでは永遠に届くことはない。

「それに、二人なら探しやすくなるさ。
 一人でいるよりも二人で」

「……分かった。でも無理はしないで。」

 確かにお互いに戦力としては中途半端だ。
 なら、寧ろ二人でいる方が安全だろう。
 それに加えて、御刀もなしに今の姫和に出会えば、
 文字通り瞬殺されてしまうかもしれない危険がある。
 それこそ愚策であり、姫和でなくとも止めに入る行動だ。
 一度立ち止まったことで冷静さを取り戻し
 改めて状況を理解して二人で行動する。

「そうか、仲間が五人もいたのか……」

 移動の途中に先の行動の訳を聞く。
 一人か二人のフェザーと違って可奈美は七人。
 その上全員が関係が深い間柄では動くのは当然だ。

「それに、亡くなってるお母さんまでいるの。
 死んだ人間も生き返らせるなんて出来ないと思うけど……」

「……まさか、アーカーシャか?」

「あーかーしゃ?」

「団長達が戦ったって言う、とんでもない星晶獣だ。」

 星の民が空の民との戦いで用いた兵器『星晶獣』が一体。
 歴史を改竄できるというとてつもない力を宿している究極の星晶獣。
 死者を蘇らせる手段は空の世界は一応多い。団内にもネクロマンサーはいることだ。
 ただ、他の世界へ干渉できる程の力を持ち、その上で死者を蘇らせる。
 そんな無茶苦茶なことができるのは、アーカーシャでもないと不可能に近い。

「と言っても、封印した後は悪用されないように誰かに預けたらしいけどな。」


705 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 22:01:18 pF3fagRw0
 アーカーシャが手中にある、
 と言うのはかなり無茶のある推測だとフェザーも思う。
 アーカーシャを倒した後そのコアの保管場所については、
 自分どころか団員の殆どがその所在を知らないのだから。
 そも、アーカーシャは星の民ですら余りの強さに制御できず封印した。
 設計者が制御できないものを、他人が制御できるとも思えない。
 空の世界や可奈美の世界以外の世界であれば、もしかしたら可能かもしれないが。

「っと、そうだ。」

 先ほど使おうと思ってたPDAのことを思い出してポケットから取り出す。
 使い方の説明を受けてないのでまずは可奈美へと渡しておく。

「確か普通のPDAとは使い方が違うんだよな。」

「うん。できることは三つだけで、その内二つは条件を満たさないといけないみたい。」

「何々……条件を満たすと追加で支給品が合計二回獲得します。
 一、クリア条件を満たしたPDAを三台以上所持する。
 二、クリア条件を満たしたPDAを四台以上所持する……?」

 違いが少し増えただけの普通のクリア条件。
 どちらにしても他のPDAが要求される条件だ。
 どうやらこの舞台には他にもPDAがあるのかもしれない。
 PDAがなかったりクリア条件を満たせないと何ら意味のないことではあるが、
 その場合も別の機能が存在してるので一応無意味なものではなかった。

「カナミの方にこれはあるのか?」

「私の方にはなかったよ。ところでこの特殊機能だけど。」

「『エリア内の死者の場所と名前の表記』か……」

 死者が出てる時点で手遅れの機能に見えるが、
 敵や参加者のいる場所を特定しやすくなることで、
 敵の行動を阻止できる可能性がある、と言う点においては悪くない。

「こっちは二時間に一回回数が増えるから、フェザーさんに任せるね。」

「まずは試してみるのが一番だな!」

 PDAを返された後、フェザーはそのまま特殊機能を使う。
 試してみるというのは空振りだと再度使えるかどうかの方だ。
 空振りであればエリア内の情報が多少は行き渡って役に立つものだが、

「───え?」

「な……」

 可奈美の表情が固まり、
 フェザーは驚きが隠せない。
 空振りではなく、既に死者がこのエリアにいる。
 そして、表記されていた名前に衝撃を隠せない。



『柳瀬舞衣』



 可奈美の親友の名前。
 まだ殺し合いが始まって殆ど時間は経っていない。
 流石に冗談だとフェザーだって疑いたくなる。

「カナミ!」

 先に動いたのは可奈美。
 場所も表示されているので、そこへ行けば答えがある。
 此処に来る前まで一緒だった彼女が、文字だけで死を決めつけられる。
 あるわけがないと信じて向かった先にあるのは───










「舞衣、ちゃん……?」

 彼女だった。
 本当に彼女『だった』ものがそこにある。
 だが、それは人が見るに堪えない光景だ。
 周囲に転がる肉片や指に、開かれている内蔵。
 少なくとも殺すだけならばこんなことにはならない。
 明確な悪意を以ってやったとしか言いようがない地獄絵図。
 その中心たる存在が、自分の親友。

「嘘、だよね?」

 信じられるわけがない。
 ほんの少し前まで一緒だった彼女が。
 誰にでも気遣える親友が、こんな姿になるなんて。
 誰が見ても生きてるわけがないが、理解したくなかった。


706 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 22:02:36 pF3fagRw0
 これが彼女だと理解したくないのに。
 手に触れても人とは思えないほどに冷たく、
 否応なく理解させられてくる視界と異臭。
 それも相まってこみ上げる吐き気に口元に手を当てる。

「カナミ、大丈夫か!?」

 蹲る彼女へ追いつくと心配そうに伺いながら、
 目の前の惨劇にフェザーも顔をしかめる。
 勝負好きなフェザーでも、嫌悪感の方が上回る光景だ。
 まともな感性を持った人ではやれる光景ではない。

(誰がやったか分からないが。
 アニやカインって奴じゃあないことだけか……)

 殺しの手口から二人の仕業ではないのがわかる。
 アニに至っては巨人になればどうあっても目立つ。
 勿論、そう思われないようにこうした可能性もあるが、
 思ってる以上に殺し合いを肯定する側がいるとみていいだろう。

「だい、じょうぶ……だから。」

 込み上げてきた吐き気を抑え、可奈美は立ち上がる。
 大丈夫とは言えない、明らかに疲れ切った表情だ。
 これを前にして何もない、と言う方が無理な話になる。
 フェザーだって舞衣がランドルや団長であったのなら。
 まともな状態ではいられなかっただろう。

「孫六、兼元……」

 舞衣の御刀が血だまりの中に残る。
 つまり舞衣は十全の力があったのに負けたということだ。
 一体どんな相手だったのか。彼女へ視線を向けるが答えなどない。
 分かるのは、表情からすぐに殺さず痛めつけられていたことぐらいしか。

「舞衣ちゃん、少しの間借りるね。
 後で絶対……絶対に返すから……!」

 声を震わせ、涙を流しながら血だまりに沈む刀を手に取る。
 孫六兼元は千鳥より少々長い得物になってしまうが、
 現状持っている短い白楼剣よりも長さは近い。
 折神紫のように二天一流をすることも視野に入れるべきか。
 意表を突く手段としては悪くない。

「フェザーさん。埋める作業を手伝ってもらってもいいですか?」

 余り言いたくはないが埋めるにも体力がいるのではないか。
 今後のことを考えると余り勧められない行為とは思ったが、
 直ぐに済ませられる手段があるとのことで、フェザーも手伝うことにする。
 もっとも、支給品がなかったとしても親友の亡骸を放置するのは酷な話。
 どうあっても彼女の言葉に頷いていただろう。



 近くの屋敷の庭でフェザーがハンマーを振るう。
 ハンマーで地面を掘るというのはシュール極まりない光景ではあるが
 なぜかそれで地面がキレイに惚れるのだから仕方がない。

「一体いくつの世界が関わってるんだろうな。」

 こんな奇怪な能力を持つハンマーは見たことがない。
 封印武器とかでもこんなことはできる気がしないもので、
 別の世界のアイテムだということは理解している。

「さっきのケーキにPDAとか、思ってる以上に多いのかも。」

「別の世界の強い奴との戦い。普段だったらワクワクしてたんだろうが……」

 彼女が入れるだけの墓穴が出来上がり、
 可奈美が舞の遺体をそこへと寝かせる。
 カインの時にワクワクしていた気分は既に消えていた。
 親友を喪ったばかりの彼女の前で、そんなこと言えるわけがない。
 頭が悪いイメージが付きまとうフェザーではあるが、
 この状況で空気も読まずにそういうことを言うことはない。
 ただ、いかんせん普段がこういう状況とは縁がないので、
 そう見えてしまう人は多いのかもしれないが。

 彼女を土に埋めて、少しだけ休憩を取る。
 フェザーは土埃もそうだが、可奈美の場合は彼女の血もある。
 あらぬ誤解を受けないようにしておくのはこの先大事だ。

「……行こう、フェザーさん。」

「もういいのか?」

「うん。私は大丈夫だから。」

 先程よりもずっと明るい表情。
 少し心配そうに見ながらも彼女がそういうならと、
 フェザーもこれ以上は追及はしなかった。

 嘘だ。全く大丈夫ではない。
 悲しくとも、辛くとも明るく振る舞うのが可奈美だ。
 周りが気付くころには限界を迎えてる状態になっている。
 それほどまでに彼女は弱音を吐こうとしない。
 この危うさに気付ける人物はいたが、彼女はもういない。
 フェザーならば戦えば拳できっとそれがわかるだろうが、
 戦うことがない現状、彼女の危うさに気付ける人物は今はいない。


707 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 22:03:36 pF3fagRw0
「よし、行くぜ!」

「うん!」

 二人の求道者は走り出す。
 傷も比較的癒えたのもあって、フェザーも動きが身軽になった。
 さっきまでとは段違いの移動速度で二人は血染め平安京を駆け抜ける。

【G-3/一日目/深夜】

【フェザー@グランブルーファンタジー】
[状態]:ダメージ(中)、主に顔面を中心に火傷、メロメロケーキの効果による回復中
[装備]:少し焼け焦げた普段着(SSR時衣装)、黒河のPDA(機能使用可能回数:0回)@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み、刀ではない)
[思考・状況]
基本方針:強い奴と戦いたい! だがまずは殺し合いを止めるべきだな!
1:あいつ(カイン)とはもう一度戦いたいが、私情を優先してる場合じゃないな。
2:みりあとは合流しておきたい。
3:アニって、あのアニだよな? 気を付けないとまずいな。
4:マイを倒した奴は何者だ?
5:カナミ、大丈夫か……?
6:アーカーシャは……流石にないか。
[備考]
※参戦時期はSSR3アビフェイト後。
※大体のコラボの人物と面識があります。
※殆ど信じてませんがアーカーシャを使ってる推測をしてます。

【衛藤可奈美@刀使ノ巫女】
[状態]:焦燥、やり場のない感情、精神疲労(大)、不安(大)
[装備]:孫六兼元@刀使ノ巫女、白楼剣@東方project
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み、PDAと刀ではない)、舞衣の支給品(基本支給品+ランダム支給品×0〜2)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしない。姫和ちゃんやみんなを探したい。
1:姫和ちゃんや皆を探したいけど、姫和ちゃんは千鳥がないと……
2:舞衣ちゃん……。
3:舞衣ちゃんと戦った人は誰?
[備考]
※参戦時期はアニメ版21話、融合した姫和と戦闘開始直後です。
※孫六兼元で刀使の力が使えるかどうかは後続の書き手にお任せしますが、
 少なくとも彼女は写シができないものと思っています。
※グラブルの世界を大まかに理解しました。

※G-3に柳瀬麻衣の血痕、埋葬された柳瀬麻衣の遺体があります。
 墓標代わりに空のデイバックがおかれてます。

【メロメロケーキ@スーパーペーパーマリオ】
フェザーの支給品。ウラハザマタウンで作ることができる料理。
所謂リジェネ効果で体力を回復するアイテムで、
じわじわキノコカンの複合料理ともあって効果はそこそこ高い。

【黒河のPDA@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
フェザーの支給品。元々は黒河正規の持っていたPDAで、ナンバーは8。
シークレットゲームで主軸となる機械、本ロワでは少し改造されておいる
条件:クリア条件はジョーカーの有無以外は全て同じで、クリアした場合は支給品が貰える
(1st、2ndでそれぞれ一回計二回。クリア条件を満たしたPDAは1st、2ndどちらでも可)
機能:現在位置のエリア内の死亡者の名前と現在位置が閲覧できる。二時間に一度使用回数が一増える
原作と違い所有者がこれを手放しても死ぬことはない。


708 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 22:04:00 pF3fagRw0
【ウォーハンマー@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島】
可奈美の支給品。ビルダーハンマーを除いて一番高性能なハンマー。
ブロック破壊に特化した武器で、とてもかたいものでも破壊できる。
武器として使えなくもないが、見た目ほどの攻撃力は期待できない。
うごくせきぞうと言った硬い相手であれば威力が上がるので別かも?










 未来を切り開く刀使の巫女。
 それは希望に満ち溢れている姿かもしれない。
 ……しかし。

『あはははは!』

 彼女の姿を見ていたら、あの少女達は彼女を笑うだろう。

『ハハハハハ!』

 彼女の姿を見ていたら、あの羅刹王は彼女を嗤うだろう。

『んっふっふ!』

 彼女の姿を見ていたら、あの道化師は彼女を哂うだろう。

 彼女の生き地獄はこの程度で済まないことが。


709 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 22:05:28 pF3fagRw0
以上で『Hell on Earth』投下終了です
いくつかコラボについての言及ですが以下の通りで判断しました
・進撃の巨人
 アニについてはあくまでグラブル世界に存在するアニである為、
 一方的な面識の扱い(大まかな顛末は序盤における女型の巨人の流れとほぼ同様)
 ベルトルトについては超大型巨人の文字すらないため、恐らく存在しないものと判断
 (104期生はエレン、ミカサ、アルミン、アニ、名前だけでサシャの五名のみ判明)
・鬼滅の刃
 鬼や日輪刀についての理解はあるものの、
 上弦の鬼については作中で言及がないため童磨、累の鬼についての知識はなし
・シンデレラガールズ
 みりあはストーリー上夢として空の旅をしていますが(空の世界では実際に起こったこと)、
 原作にて小梅が空の世界の記憶を持っていたことから、みりあ側にも面識はある可能性はある
 ただし話が食い違う可能性もある(フェザー視点でみりあは空の世界に未だいるので)
以上になります ※ラブライブは同好会とはコラボしてないので除外。ただしスクールアイドルはしってる


710 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/19(水) 22:48:04 pF3fagRw0
状態表にミスがあったので修正です

【フェザー@グランブルーファンタジー】
[状態]:ダメージ(中)、主に顔面を中心に火傷、メロメロケーキの効果による回復中
[装備]:少し焼け焦げた普段着(SSR時衣装)、黒河のPDA(機能使用可能回数:0回)@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み、刀ではない)、ウォーハンマー@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島
[思考・状況]
基本方針:強い奴と戦いたい! だがまずは殺し合いを止めるべきだな!
1:あいつ(カイン)とはもう一度戦いたいが、私情を優先してる場合じゃないな。
2:みりあとは合流しておきたい。
3:アニって、あのアニだよな? 気を付けないとまずいな。
4:マイを倒した奴は何者だ?
5:カナミ、大丈夫か……?
6:アーカーシャは……流石にないか。
[備考]
※参戦時期はSSR3アビフェイト後。
※大体のコラボの人物と面識があります。
※殆ど信じてませんがアーカーシャを使ってる推測をしてます。


711 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:13:38 JzepGxSk0
投下お疲れ様です。

Hell on Earth
親友を失った痛みをため込む可奈美がなんとも痛々しい……フェザー!男だろ!早く気づけ!と読んでいて思っちゃいました。
しかも、仲間の内、姫和と薫は……可奈美への序章なんだなと感じさせられました。

投下します。


712 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:15:12 JzepGxSk0
「ディ メ- ンのやろぉぉぉぉぉ!何を企んでやがるんだ!?」
民家の中で怒りの声を再び張り上げるミスターL。

「何が!「第一回放送の時にでもまた会おう、ボン・ボヤージュ!」だ!! ジョーダンは顔だけにしとけ!!!」
まさかの見知った人物が関わっていることにミスターLの顔はゆで上がったタコのように赤く染まる。

(伯爵さまに無断でこんなことをしやがるなんて……!?。もしかして、伯爵さまもいるのか?)
ノワール伯爵の部下である自分を巻き込んだことから、主君もそうなのではないかと考える。

(もし、そうなら……大変だ!急いで伯爵さまの下へはせ参じなくては!!)
ミスターLは、急ぎ方針を定めると―――

「おい!そこの赤髪女!!オレはもう行く……」
ミスターLは女に別れを告げようと振り向くと―――

「!?。オマエ……」

「……」
名簿を確認していた悠奈は一筋の涙を流していた―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……ありがと。ハンカチ貸してくれて」
「ふん!いつまでも泣かれていたら迷惑だからな!」

ミスターLは涙を流す悠奈にハンカチを貸したのだが、お礼の言葉に素直になれず、顔をプイっと後ろに向ける―――

(……彰)
―――蒔岡彰

”1回目の殺し合い”で出会った参加者の一人で……私の想い人。

2人は最後まで運営に抗ったが、最後の一人になるには避けられない状況となり、そして―――

(会いたい……今すぐにでも。でも……私はやることがある)
本当なら、今すぐにでも探し出して抱きしめたい―――そんな想いが悠奈に渦巻くが、それを抑える。

(彰なら、わかるよね)
そう、自分はあの時、ケツイをしたのだ。
彰から命……生き残るはずだった時間をもらったとき―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


713 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:16:21 JzepGxSk0
生者と死者 -藤堂悠奈ー

「……」
(この運営達は死者を蘇らせる力を持っている……)
彰を除いても、私は3……いや4人、既に死んでいる名を知っている。

「……」
―――吹石琴美

”2回目の殺し合い”で出会った参加者の一人。

「今まで……ありがとうね、修ちゃん」
彼女は、想い人を助けるため、PDAに書かれていたルールを破り……首輪が爆発されて死んだ。

(琴美は乗らないわ。それに正直、琴美の存在は助かる。これなら彼……修平を説得できるし、殺し合いに乗るのを思いとどまらせてくれるかもしれない)
(だけど、琴美がまたしても”死んでしまった”場合は最悪ね……想い人を2回も失うこととなったらおそらく、修平はもう……)
願わくば、2人の再開を祈るわ―――

「……」
―――三島英吾

”最初の殺し合い”の参加者の一人。

「いいか、2人とも……俺たちは皆、運営に、はめられたようなもんなんだ……」
英吾の最後の言葉―――

彼は、次の言葉を紡ぐ前に、崎村喜貴真により頭を撃ち抜かれて死んだ。

(蘇った英吾ならおそらく、殺し合いには乗らないと思うわ)
一度は疑ったが、”あのときの真相”を知った今なら信じることが出来る。

「……」
―――崎村貴真

”最初の殺し合い”の参加者の一人で自らの欲望を満たすためだけにゲームに乗った男。

「これでようやく、俺の理不尽は完成する……!」
そう言い残すと恍惚な表情で私たちの前で自殺した。

(アイツはおそらく、変わらないわ……ここでも、同じようにゲームに乗るとみていい)
アイツは狂っている。私は断定する

「……」
―――(Zルートでソフィアに返り討ちにされた)軍服の男

……って、いやいや!?何?その記載の仕方はッ!?
この男だけ、どうして殺害者の名前が記されているの!?それに、Zルートって何よ!?AやBルートがあるみたいな記し方じゃない!?

(……おほん💦。正直、どうして一人だけ、ああいう記し方をされているのかはわからないけど、この軍服の男が本当に”あの時の殺し合いの参加者の一人”なら、殺しに躊躇なく行動を移せるから危険とみていいわね……)

それにしても、この名簿の記し方には今でも納得いかないわ―――


714 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:16:41 JzepGxSk0
(次に……)
私は名簿から”生きている”名前を確認する。

「……」
―――萩原結衣

”2回目の殺し合い”の参加者の一人。真島という男と行動を共にしていたが、私に預けられた子。

「ううん。狭いのは悠奈さんのお尻が大きいから――」

(結衣は……乗らないわね。あの子の明るさは殺し合いという場を和ませる力を持ってるわ……)

あの子の憎まれ口に笑顔……できたら、もう一度聞きたいし、見たいわ―――

「……」
―――伊藤大祐

修平たちとグループを組んでいたみたいだが、まり子と性格が合わなかったみたいで、色々と衝突があったらしい。

(お調子者で、自分に都合のいいように解釈しがちな傾向があるらしい……要注意ね)

そういうタイプは必ず腹に何か一物を抱えているわ―――

「……」
―――阿刀田初音

この子も修平たちとグループを組んでいた子。まり子と大祐が揉めた後、大祐の方についていったらしい……
(話を聞く限りでは、乗る性格ではないみたい……とりあえず、安全と考えておくか……)

「……」
―――真島彰則

”2回目の殺し合い”の参加者の一人で結衣曰く、ぶっきらぼうでボクシングの経験がある男。

(黒河という男と何か因縁があるみたいだけど、彼はこの殺し合いにはいないみたいだから、何とか説得して、仲間に誘えたいわね……)

「……」
―――城咲充

”2回目の殺し合い”の参加者の一人で黒河と行動を共にしていた男。

(まり子を襲っていた黒河を気絶させたとき、落ちていた銃を拾って私たちに構えた……あの時の怯える表情……今回も怯えから乗っている可能性がある……注意しておきましょう……)

怯えの暴発が最悪の事態を巻き起こすこともあるわ―――

「そして……」
―――藤田修平

吹石琴美と行動を共にしていた参加者で、琴美とは互いに両想いの男の子。

(修平……琴美が生きているのよ?だから、お願い……壊れないで)

修平には言いたい事がたくさんあるわ―――

「……」
(後は、名簿の順番から”細谷はるな”って子も1回目か2回目はわからないけど、あの殺し合いに参加させられているはず。……だけど、顔も姿も思い当たらないわ。とりあえず、保留としておきましょう)

(ひとまず、こんなものね……)

☆彡 ☆彡 ☆彡


715 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:17:15 JzepGxSk0
「……おい!!!」
「きゃ!?」
(しまった!考えに時間をかけすぎたわッ)

「さっきから、一人で何、ぼーっとしているんだ!」
緑帽子の男……ミスターLが声をかけてきた。

「え、ええ……このタブレットの名簿に記載されている知り合い達のことを考えていたのよ」
「何!?オマエ!これの操作が分かるのか!?」
悠奈の言葉にミスターLは食いつく。

「私もそんなに詳しくはないけれど、PDAという似たようなのを操作したことがあるから……よければ、見る?」
「ああ!見せてくれ!……!!やっぱり、伯爵様も参加させられている!!ディメーンのやろぉぉぉぉぉ……」

―――!!
(さっき、吠えていた時もそうだったけど、やっぱり、この男は運営の一人と関係があるみたいね……なら!)

「やっぱり、こうしちゃおられん!……おい!赤髪女!!オレはもう行くが、せいぜい死なないようにするんだなッ!!!」
―――行かせないわッ!

「ちょっと、待ちなさい!」
「……何だ?」
悠奈はミスターLを引き留める。
手には銃……コルトパイソンを構えながら。

「ねぇ……ミスターLは殺し合いに参加するの?」
「ふん……冗談じゃない。まず、ディメーン達をボコボコにして伯爵さまを救出する。その後は、赤い空をオレ好みの緑の空に変えさせてやるだけだ」
ミスターLはコルトパイソンにも動じず、自分の目的を話す。

「あっそ……つまんない男ね、あんた」
「なんだと!」
悠奈の言葉にミスターLの目つきが強張る。

「それって、ただ自分の欲に忠実なだけで、悪いけど、はっきり言って狭量よ。男ならヒーローを目指してほしいわね」
そう……彰のような―――

「”ヒーロー”……」
ヒーローという言葉にミスターLの表情が一瞬変わったように見えた。

「そ……それじゃあ、オマエはこの殺し合いで、何を目的に行動するんだッ!」

「私の目的は、誰1人として死者をださないことよ。それ以上でも、それ以下でもないわ」
私ははっきりと伝える―――

「どんな事があったって、私の目的はただ1つ。あくまでプレイヤー全員の生存よ」
その言葉には先ほど涙を流していたような乙女の色など微塵もなかった。

「分かってるのか!?ディメーン達は殺し合いをさせるために、こんなことをしてかしたんだぞ!?」
―――それは、”彰”達の名前が名簿に記されていることから分かる。

「ええ。それでも、私は殺さないし、殺させない」

「はっ!……ばかばかしい一人も死者を出させないなんて”そんなの無理”に決まってる!」
ミスターLは悠奈のケツイを鼻で笑う。

「それでも、私は信念を曲げない」
それが―――彰から受け取ったモノ
彰が生き返ったとしても、私はそれを貫く―――

「ふん!なら、一人でやってろ!後、オレは”赤”が嫌いだ!だから、”赤髪”のオマエとは協力しない!」
ミスターLの言葉に私は覚悟を決める。

「なら、私が”赤髪”じゃなくなれば、いいのね?」
「……は?」
悠奈の言葉にミスターLは固まる。

「いいわ。少しだけ時間がかかるけど、そこで見ていなさい」
そういうと、悠奈は民家の化粧台に椅子を置くと、中身を確認する。

☆彡 ☆彡 ☆彡


716 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:17:40 JzepGxSk0
(……よし、あったわ)
悠奈は確認を終えると―――

箱から”2液”、”1液”、”トリートメント”を取り出す。

―――まずは”調合”

1液を2液のボトルに入れる。
2液のボトルをキャップを閉めたら、1秒間で逆さにするのを5回繰り返す。
そのポンプの先端を2液につけて……両手にゴム手袋を嵌める。

次に髪が絡まらないように事前にブラッシングをする―――
そしたら、髪を半分ぐらいの量で分けてくくる。
「……いくわ」

手に泡を出すと、馴染ませ―――後ろ髪の根元からすりこんでいく。
(てっぺんからやると、濃くなりすぎて”逆プリン”になることが多いから……)

やるからには、丁寧に―――
(これでも私は”女”だから)

左右に分けながらムラなく塗る―――襟足の部分もしっかりと塗る。
耳の裏もしっかりと塗る。

くくった髪をほどき、後ろ髪をざっくりと分けたら、生え際をしっかりと塗り付ける。
(そろそろ、てっぺんを塗ろうかしら……)

穂先にいく前にてっぺんを塗る―――そうそう、前髪を忘れないように。
シャンプー感覚で全体を揉み、泡でたっぷりとコーディングする。

「ねぇ……そこのラップを取ってくれるかしら?」
「!?あ、ああ……」
ミスターLは悠奈に言われた通りにラップを手渡す。

「ほらよ」
「ありがと」

「いっ……一体、さっきから何をしているんだ?」
「いいから黙ってみてなさい」
―――私の”覚悟”を

一枚目は横で囲むように包み―――2枚目は上から包む。
あたま全部を包む。

(ドライヤー……あった」
ドライヤーで温める。
軽い温風でやる―――火傷には注意。

ーーー40分経過ーーー

(仕上げね……)

「じゃ、シャワー浴びてくるから、覗かないでよ」
「!?の……覗くか!!」
(この、赤髪女……何を企んでいるんだ!?)

ーーーシャワー後ーーー

「な…な…」
私の予想通り、ミスターLは口をポカンと開けている。

「これで、私の髪は”赤”から”緑”になったわ」
「!?」

―――私のこの行動……間違ってないわよね?彰。

☆彡 ☆彡 ☆彡


717 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:18:01 JzepGxSk0
「……」
(まさか―――オレを味方にするために”染めた”というのかッ!?)
まさかの悠奈の行動にミスターLの動揺が止まらない。

「よし!きちんと染めれているわね」
悠奈はドライヤーで濡れた髪を乾かしつつ、染上がりを化粧台の鏡で確認している―――

「お前……どうして、”そこまで”するんだ?」
ミスターLは悠奈の行動に疑問をこぼす―――

女にとって髪は命に等しい―――

「……そんなの1つしかないじゃない」
くるっとミスターLの向きにターンをすると―――

「ミスターL、もう一度、言うわ。私に力を貸しなさい!」

悠奈はミスターLの眼を真っすぐに見据えてミスターLに啖呵斬る。

「……髪を染めてまでして、オレを仲間に引き入れるのはどうしてだ」

ミスターLには悠奈の行動が理解できない。
「だれ1人とも殺させない」という目的のために、自分の容姿……髪の色を変えることを厭わない悠奈を―――

「2つあるわ。1つは貴方が運営の一人と関係があること。この殺し合いを強要させる連中は、私が潰そうとしていた連中より化け物じみた力を持っているわ。だからこそ、運営を知る貴方は、必ずこの殺し合いを止めるのに大きな役割を果たすと思うわ」

「……2つ目はなんだ?」

「貴方、私の”ヒーロー”という言葉に反応したわね?ヒーローに魅かれる男の子に悪いのはいないって昔からいうじゃない?できたら……ミスターLには”ヒーロー”になってほしいと思ってるわ」
「!!」
その理由にミスターLは衝撃を受ける。

「……これでも、「現実」から目を背けているわけでもないわ。だからこそ、不意打ちでも、私を拘束し得たあなたの実力を私は買ってるわ!」

「バカバカしい生き方でも、私は貫くし、一緒に貫いてほしい」

言い終えると、悠奈はミスターLに手を差し出す。

「……」
差し出してきた悠奈の手をじっと見つめるミスターL。

「ふん!……この「みどりのいかずち」が力をかすんだ!だから……大船に乗ったつもりでいろ!……ユウナ」

ミスターLは悠奈と固く握手を交わす―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


718 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:19:34 JzepGxSk0
その後、2人は互いのことについて情報交換を交わした―――

「それじゃあ、行きましょうか」
「ああ!」

2人は出発する―――理不尽に抗うために。理不尽に曝されている者を救うために。

【D-2/一日目/深夜】

【ミスターL@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:健康、
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状態]
基本:悠奈のバカバカしい生き方とやらで主催共を叩き潰す
1:悠奈と行動を共にする
2:伯爵サマたちは一体何処にいるんだ?
3:ヒーロー……か
[備考]
※参戦時期は6-2、マリオたちに敗北した直後
※悠奈からリベリオンズの世界について簡単な知識を得ました。
※名簿から伯爵さまたちが参加していることを知りました。
※悠奈から”拳銃”の脅威を知りました。

【藤堂悠奈@リベリオンズ Secret game 2nd Stage】
[状態]:健康 緑髪
[装備]:コルトパイソン@ リベリオンズ Secret game 2nd Stage
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2 予備弾数多め
[思考・状態]
基本:なるべく多くの人を助け、殺し合いを止める
1:ミスターLと行動を共にする
2:彰……私は……
3:殺し合いに乗っていない参加者達を一つにまとめる。乗った参加者は無力化して拘束する
4:もう少し、威力が低い銃もほしいわね……
[備考]
※参戦時期はAルート、セカンドステージ突入語で修平達と別れた後
※緑髪に染めました。
※運営が死者を蘇らせる力を持っていると推測しています。
※ミスターLからスパマリの世界について簡単な知識を得ました。

【コルトパイソン@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
回転式拳銃 。これを使用するからといって、特にモッコリはしません
「ふ、ははは……シビれるな、この感触はよぉ。」by黒河正規


719 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/21(金) 19:19:50 JzepGxSk0
投下終了します。


720 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/21(金) 22:19:36 .er7IGiQ0
投下乙です
悠奈さんどんな時でも自分を貫き通してかっこいい
赤が嫌だってんなら緑にしてやるよって漢気も悠奈さんらしいです
ミスターLもさりげなく気遣ったり「ヒーロー」に感化されてたりと味のあるキャラですね
この緑コンビ、頑張ってもらいたい

投下します


721 : 花は生きることを迷わない ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/21(金) 22:20:11 .er7IGiQ0
「うそ...こんなのって...!」

名簿を見た琴美は恐怖で身体を震わせた。
藤田修平。藤堂悠奈。細谷はるな。荻原結衣。伊藤大祐。阿刀田初音。城崎充。真島彰則。
己の知る名が8つも記載されている。
しかも、その中には、悠奈、大祐、充、真島、結衣、はるなという死んでしまった者たちもいる。
果たしてこれは嘘なのか?それとも、死者すら蘇るという真実か?

「知り合いがいたのか」

そう琴美の様子を覗うのは、黒髪長髪の少女、アカメ。
彼女は沼の鬼から逃げる琴美の事情を聞けば、すんなりと彼女の護衛を買って出た。
アカメは殺し屋集団ナイトレイドに所属する歴戦の殺し屋だ。
帝具という超常現象を引き起こせる個人兵器、それに比類するほどに鍛え上げられた猛者。
そういった超人染みた環境の中で戦ってきた彼女にとって、一般人である琴美が戦力にならないのは百も承知である。
しかし、ナイトレイドの戦いは常に力無き民の為にある。アカメはその理念に共感した為に、帝都から抜け出しナイトレイドに移籍した。
そんな彼女が、救いを求める声に耳を傾けない筈がなかった。それが、アカメが琴美と同行している理由である。

「...はい」

重く、震える声で返事をする琴美の肩に手をかける。

「心配するな。お前の仲間は私が必ず助け出してやる」

琴美を励ます為に、そう力強く宣言するが、しかし現状はそんなに易しいものではない。
アカメは首輪を外せるような技術力を有しておらず、確実に殺し合いに乗る強力な悪の存在もあるからだ。
正直に言えば不安はある。しかし、それを琴美に伝搬させてはならない。
力を持つ者が恐怖を抱けばそこから混乱が起き、人は狂気に陥ることもある。
だからアカメは弱みを見せない。
強がりを強がりと感じさせないほど、自然に、弱者に安心感を与えられる存在であり続けようとする。

「...大丈夫です」

しかし、アカメの予想と反して琴美の震えは止まり、力強い眼差しでアカメを見つめる。

「みんな、この殺し合いなんかに乗らない。こんな理不尽なんかに負けない。例え、命が尽きようとも私たちは抗い続ける」

琴美の脳裏に、かつての光景が過る。
シークレットゲームで主催が干渉してきてまで殺し合わせようとした、あの教室での一幕。
彼がいくら首輪を爆発させると脅しかけても、誰も従おうとしなかった。
死の恐怖に耐えながら、震えながら、それでも誰も頭を垂れず抗い通したあの奇跡。
そして、その奇跡が叶った後の逃避行でもみんなが誰かの為に戦った。
充は初音を護るために、結衣は黒河を護るために、真島はまり子を護るために、はるなは瞳と共に琴美を護るために、悠奈は生き残った皆を護るために。
あれだけ欲望に従い好き勝手に振舞ってきた大祐でさえ、自分が助からない絶望的な状況の中、誰も巻き込むまいと強がり笑顔で散っていった。

だから琴美は信じ続ける。
あの殺し合いの中、互いを信じあい皆で培ってきた戦場の絆を。託し託され続けた揺るぎない決意を。

その強い眼差しを受けたアカメは、彼女の瞳に宿る光に魅入り、やがてふっと頬を緩めた。
強者が弱者を安心させるための作られた笑顔ではなく、心の底からの安堵の笑みを。

「...強いな、お前は」
「ありがとうございます。でも、強いのは私じゃなくて、みんなです」
「そうか。そんなにいい仲間たちなのか。なら、尚のこと生きて帰らねばな」

アカメの言葉に琴美は強く頷く。

その時だった。

ドカン、という音と共に、空気が揺れたのは。


722 : 花は生きることを迷わない ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/21(金) 22:20:36 .er7IGiQ0






「......」

名簿を見つめる初音は絶句し身体を震わせる。
知っている名前があった。
先ほどまで共に行動していた由香。
そして、シークレットゲームで出会った参加者たち。
伊藤大祐、藤田修平、吹石琴美、細谷はるな―――城崎充。

大祐は自分を騙し、凌辱した男だ。けれど、殺してしまったことには罪悪感を抱いているし、あの嫌な感覚は忘れることが出来そうにない。
ただ、彼は人の隙に付け込み懐に入るのが得意な人間だ。きっと、同行者に自分のあることないこと悪評を振りまいているに違いない。

修平と琴美とはるな。
彼らは三人で行動しており、仲違いすることもなく、最期まで互いを想いやって散っていった。
彼らにしても自分への悪評を流すのは確実だろう。
彼らを殺したのは他ならぬ自分と充なのだから。

そして城崎充。
彼はずっと自分を護るために戦ってくれた。
初音が全員を殺さないと生還できない『キラークイーン』だと知っても。
初音が引き金を引いた為に起きたはるなや琴美からの追撃も。
彼はどれだけ心身が傷つき疲弊しても自分を護ろうとしてくれた。
そして、その最期には己の命と引き換えに敵を道連れにして―――逝ってしまった。

死人が生き返る―――そんな超常現象も、由香を襲った吸血鬼の前例から受け入れることができた。
間違いなく、この名簿の5人は自分の知る彼らだろう。

「......」

初音には、もはやあの時のゲームのような生への執着はなかった。
連れて来られる前からも充に全てを背負わせて罪悪感で潰れそうになって。
この場でも由香に助けられてばかりで、その由香も結局最期まで自分を護って死んだ。

こんな、関わる者全てに死を振りまくような存在が生きていてなんになるというのか。
さっさと消えてしまいたい―――それを為すのは簡単なことだ。首に巻かれている首輪を思い切り引っ張ればいい。
けれど、彼女にそんな勇気はなく。ただひたすらにどうしよう、どうしようと戸惑うばかり。

(充...充が危ないのです...!)

まるでとってつけたかのように彼の身を案じる。
彼と合流してどうなるかも決めていないのに。
彼が自分と会えば、また同じことの繰り返しに決まっているのに。
弱い初音には、そこまで考える精神的余裕はありはしなかった。


723 : 花は生きることを迷わない ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/21(金) 22:21:07 .er7IGiQ0

「ドカン!」

横合いからの不意の衝撃。
まるで殴られたかのような一撃に、初音の身体は吹き飛び地面を転がった。

「ハハハハハッ、見たか俺様の力を!!」

くらくらと眩む視界に映るのは、おにぎりのような坊主頭の幼児。
目算で5〜6歳くらいだ。

「こど、も...?」
「オウオウオウ、この佐藤マサオ様を子供扱いするたあ命知らずな姉ちゃんだぜ!」

やけに高いテンションではしゃぐマサオの持つ筒と刀に、初音の喉がひっ、となる。
間違いない。彼は自分を殺すつもりだ。

「ゃ...」
「ドカン!」

再びの衝撃に初音はまたも吹き飛ばされ、ぴくぴくと痙攣したかと思えば、ほどなくして沈黙。
その様を見届けたマサオは天を仰ぎ、その手の筒を振り回した。

「ドカン、ドカン、ドカンン!!」

辺りかまわず放たれる空気の塊が木々を揺らし、壁に放たれ、大気を揺らす。
空気砲の銃口に息をフッ、と吹きかけ、西部劇のガンマンのようなしみったれた表情で感慨にふける。
が、それも長くは続かず。マサオはその大口を開け笑い声をあげる。

「ハハハハハハッ、どうだいきなり殺してやった!いまの俺は無敵だ!参加者?しんちゃん?それがどうした!これであいちゃん、いやあいのお弁当は俺のものだぜぇ〜!」

あのお淑やかな笑顔で手作りのお弁当を食べさせてくれたり。よしよしと頭を撫でてくれたり。徐に手を繋いでくれたり。
そんな、酢乙女あいとの情事をマサオは脳内で思い描く。
これだけカッコイイところを見せれば、気になる彼女のハートも鷲掴みだ。
少なくとも、いまのマサオはそう信じ込んでいる。

「そうれもう一丁アピールタイムだぜ!ド」

カァン、と甲高い音と共にマサオの頭部に痛みが走る。
痛みに頭を押さえながらも、マサオは地に落ちたソレを見る。
灰皿。この日常用品が己の頭部に放たれたのだとマサオは理解する。

「...皆が皆、琴美のようにはいかないか」


724 : 花は生きることを迷わない ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/21(金) 22:21:47 .er7IGiQ0

ガサガサと草を踏みしめ歩み寄ってくるのはアカメ。
その長く黒い髪から覗かせる敵意の視線にも、マサオは怯まない。
普段ならひいいと悲鳴を上げているところだが、魂を主催達に弄られた彼にはこの程度は恐怖でもない。

「ケッ、人が祝砲上げてる時に水差しやがって!お前もぶっ壊してあいちゃんのなでなでの踏み台にしてやる!」

マサオは間髪入れず空気砲を構え、照準を合わせる。

「ドカン!!」

放たれる空気の玉は、それなりの威力を保ちながら、且つ速度があり不可視の弾丸。
たとえプロボクサーのような動体視力に優れフットワークの軽い者でも回避は困難だろう。

だが、アカメの顔面に向けて放たれたソレは、ひょい、と顔を傾けただけで容易く避けられた。

「な、あっ、くそっ!ドカン!ドカン!!」

連続して放たれる空気砲も、アカメには当たらず空を切るだけ。
アカメの生きる世界でも銃は立派な護身武器である。
しかし、それがまともに通用するのはあくまでも一般的な獣や野党くらいなものだ。
その程度の武器ではアカメは止められない。
幾多もの猛者を葬り去った経験を持つアカメにとっては【構えて】【照準を合わせて】【引き金を引く】銃を躱すのも容易い。
ましてや、空気砲は不可視とはいえ「ドカン!」という分かり易い合図がある為、アカメにとって対応不可能なものではなかった。

―――尤も、事前の情報が無ければ流石に初撃は受けていたかもしれないが、マサオの不要なアピールタイムが彼女にとってプラスに働いていたのは言うまでもないだろう。

「ドカン!」

三発目の空気砲を撃ち終えた時には、既にアカメはマサオの懐に入っていた。
マサオがその事実に気が付いた時には既に遅し。
メキリ、と嫌な音と共にアカメの膝蹴りがマサオの腹部に入り、その小さな体が宙を舞う。
吹き飛ばされた勢いのまま草むらへと消えたマサオを追い、アカメは其方へと歩いていく。
アカメは本当ならマサオを斬ることもできたが、ここが殺し合いという異常な状況であること、一般人が武器を持ち一時的に狂気に呑まれただけの可能性もあることを考慮し、加減した一撃で済ませた。
ナイトレイドでは対象を殺す前に念入りな調査を前準備として行う。
もしもマサオが根っからの悪党でなければひとまず拘束して大人しくしてもらう腹積もりだ。


「初音ちゃんっ!」

後方より響いた琴美の悲鳴にアカメの足がピタリと止まる。

「初音ちゃん、しっかりして初音ちゃん!」

あまりに鬼気迫る琴美の声に、アカメの意識は一瞬だがマサオよりもそちらに向けられた。

その刹那。

「ッ!?」

つい先ほどまでそこにあったマサオの気配が『消えた』。
息を潜めているだとか、ピクリとも動かないだとか、そんなレベルではない。
消えたのだ。アカメほどの達人が感じ取れないほどにサッパリと。


725 : 花は生きることを迷わない ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/21(金) 22:22:47 .er7IGiQ0

(これは―――なにかマズイッ!)

マサオを追おうとしていた足は180度方向転換し、琴美たちのもとへと走り寄っていく。

「あ、アカメさん、初音ちゃんが...!」
「琴美、説明は後だ。今はこの場を離れる!」

アカメは初音の呼吸を簡易的に確かめると彼女を抱え、なるべく揺らさないように琴美の速度に合わせて走り去っていく。

その途中でアカメは見た。

胸をボウガンの矢で貫かれ倒れる女と、全身を血に濡らし頭部を破壊された肥満体の男の死体を。

「......」

いったいここでなにがあったのか。
これをあの少年が全部やったのか、それともこの琴美の仲間の少女が...

この初音という少女を介抱し、真実を聞いた時。
犯人がマサオならば。今度会った時も変わらない振舞いをしていれば『悪』と見なして葬る。
犯人が初音ならば。事情次第では、悪と見なして斬ることになるかもしれない。

今すぐにでも真実を確かめたいが、いまはこの場を離れ、あの少年からの不意打ちにより琴美たちが危害を加えられるのを避けるのが優先だ。

二人は、とにかく身を潜められる場所を求めてその足を進めるのだった。


【Fー6/一日目/深夜】

【阿刀田初音@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:精神的疲労(大)、疲労(大)、出血(中)、全身にダメージ、気絶
[装備]:金づち@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:初音にどうしろというのですか...
0:(気絶中)
1:充を探す。
2:修平、琴美、はるな、大祐には要警戒する。
3:ユカポン...


[備考]
※参戦時期はBルート、充の死亡直後より



【吹石琴美@リベリオンズ Secret game 2nd Stage】
[状態]:不安(中)
[装備]:閃光手榴弾@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:悠奈さんのように、このゲームを一人でも多く生きて終わらせる。
0:落ち着ける場所を探して初音の看病をする。
1:同じ考えの人を探す。できればあの人に加勢してくれる人を。
2:仲間たち(修平、はるな、悠奈、真島、結衣、充、大祐)との合流。
[備考]
※参戦時期はDルート、エースに拾われる前です。

【アカメ@アカメが斬る】
[状態]:健康
[装備]:刀の類の支給品、灰皿×2@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:主催を悪と見なして斬る
0:落ち着ける場所で初音を介抱し
1:琴美と共に殺し合い阻止の為の仲間を募る。
2:エスデスを斬る。
3:あのおにぎり頭の少年を探し出し、悪ならば斬る。
4:レオーネと合流する。

【灰皿×2@現実】
喫煙者に必須の一品。
これで頭をカンカン叩くとそれなりに痛い。


726 : 花は生きることを迷わない ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/21(金) 22:23:06 .er7IGiQ0


「うわああああああああん!助けてママ〜〜〜〜!!」

その一方で。マサオは痛むお腹に耐えきれず泣きべそをかきながら現場から逃亡していた。
アカメには到底敵わないと悟った彼は、草むらで姿が隠れたのをいいことに、『八将神』特有の気配遮断スキルを使い、アカメから逃れることが出来たのだ。
メフィス達による魂への干渉でも変わらなかった彼の泣き虫ヘタレな性根はこの時ばかりは幸運だったと言えよう。
意地も誇りもなく躊躇いなく逃げの一手を選べる者ほど殺せない生き物はいないのだから。


【Fー6/一日目/深夜】

【佐藤マサオ(歳破神)@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康、腹部にダメージ(再生中)
[装備]:空気砲@ドラえもん、我妻善逸の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本行動方針:何もかもぶっ壊す
0:ひいいいいいい!!
1:あの黒髪の女の人から逃げる。
[備考]
※映画の出来事などを経験しています


727 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/21(金) 22:23:33 .er7IGiQ0
投下終了です


728 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/22(土) 19:36:50 wm0BDSFw0
投下します


729 : イエスタデイ・ワンスモア ◆.EKyuDaHEo :2021/05/22(土) 19:37:26 wm0BDSFw0
「やっぱり夫もしんのすけも連れてこられてるわね...」
「やっぱり...?」
「私達今までも家族で何度か色んな事件に巻き込まれてたの...だからひょっとしたらと思ってたの...本当は予想外れてほしかったけどね...」

あれからみさえとフェイトはみさえの家族を探し続けていた
そして放送が鳴り始めたので休憩がてら放送を聞いていた、そして放送が終わるとタブレットで名簿が見れると知り名簿を見ると夫の『野原ひろし』と息子の『野原しんのすけ』の名前があった

「後は...マサオ君も!?風間君達はいないみたいだけど...」
「その人達も知り合いなんですか?」
「そうよ、この子達はしんのすけの友達なの、でもなんでマサオ君だけなのかしら...」

みさえはマサオが連れてこられていたのにも驚いていたが何故か風間やネネ、ボーちゃんは連れてこられておらずマサオだけが連れてこられているのに違和感を感じた

「後ひまわりとシロが連れてこられていないみたいね...良かったわ...」

名簿の中にはひまわりとシロの名前は載っていなかった、ひまわりに至ってはまだ赤ん坊なため殺し合いに参加させられていないのを分かるとみさえは安堵した

「フェイトちゃんは誰かいる?」
「私の方はいないですね...」

フェイトの方は知り合いは連れてこられていないようだった
フェイトの暗い顔を見たみさえは知り合いがいないから不安なんだろうと察した...

「大丈夫よ、私がついてるから、心配しないで?」
「はい、ありがとうございます」
「とりあえず支給品を確認しましょ」
「そうですね」

そう言い二人はデイパックの中を漁った、まずみさえの方では赤い棒のような物が出てきた

「何かしらこの棒...?説明の紙があるわね...『この如意棒は所有者が伸びろや縮めと言うと棒がその通りに伸縮する』...如意棒ってあの西遊記のかしら?」
「でもその如意棒っていう物、結構使えそうですね」

みさえの支給品の一つは『如意棒』であった...この如意棒は孫悟空が使用する伸縮が自由自在にできる武器だ

「フェイトちゃんの方はどう?」
「私はこんなものが入ってました」

フェイトがみさえに渡したものは扇のような物だった

「扇...?『このバショー扇はどんな種類の風でもだすことのできる扇。握りの部分のダイヤルで風の吹き続ける時間、扇の振り方で風向きや強さを自在に操ることができる。』...これも中々使えそうね」
(色んな種類の風を出すことができる扇...魔法みたいなものかな...)

フェイトの支給品の一つは猫型ロボットのひみつ道具の一つである『バショー扇』だった

「とりあえず私は如意棒を、フェイトちゃんはこのバショー扇ってのを常に持ち歩くようにしましょう、万が一っていうこともあるからね」
「そうですね、バルディッシュがあればちゃんと戦えるんですが...」
「ばるでぃっしゅ...?」
「私が使用しているデバイスのことです」
「デバイス?装置や機械のことかしら...?」
「私の物だと簡単に言えば魔法アイテムみたいな感じですね」
「魔法?でも魔法なんてあるわけ...」
「信じられないかもしれないですが私こう見えて魔法少女なんですよ」
「え!?そうなの!?」

みさえはフェイトが魔法少女だということに驚いた
最初は疑ったがよくよく考えたら自分達もオカマ魔女や暗黒世界の王など様々な敵と出会ってきたし、フェイトの言うことだから本当なのだろうと思った

「にしても魔法少女ね〜、私も小さい頃とか憧れてたわ〜、私達の世界だと魔法少女はアニメや映画の中だけの存在なのよ、一応変身して戦うみたいなことはしたことはあるけどね」
「そうなんですね、みさえさん達と私がいる世界はそれぞれ違う世界なのかもしれないですね...」
「まぁ私達もパラレルワールドに行ったりもしてるから今回もそんな感じなのかしら...周りの風景は昔の時代みたいな感じだし...空も赤いのもおかしいわね」
「そう考えると今回連れてこられている人達は色んな世界から来てる可能性もありそうですね...」


730 : イエスタデイ・ワンスモア ◆.EKyuDaHEo :2021/05/22(土) 19:37:46 wm0BDSFw0
みさえの世界では魔法少女はアニメや映画の中だけの存在、それを聞いたフェイトはみさえ達と自分のいる世界はそれぞれ違う世界だと思い、この殺し合いの場に連れてこられている他の参加者も例外ではないのかもしれないと考えた

「どんな人達がいるか分からないので注意して行動しましょう」
「そうね...とりあえず夫としんのすけとマサオ君を見つけましょう、特にしんのすけとマサオ君を優先した方がいいわね」
「そうですね」

そう言うと二人は再び歩き出した、歩きながらフェイトはずっと気になっていたことをみさえに聞いた

「そういえばみさえさんの家族って一体どんな人達なんですか?」
「私の家族?そうね〜...」

みさえの家族の名前や見た目などは既に聞いていた...しかしみさえの家族が一体どんな人達なのかフェイトは気になっていた

「夫としんのすけは性格が似てて二人ともお姉さんに目がないのよね〜、ひまわりはまだ赤ちゃんなのに宝石とイケメン好きで、シロは我が家で一番しっかりしてるかもしれないわね」
「大変とか思ったりしないんですか?」
「それはやっぱりあるわね、家事もしなくちゃいけないししんのすけとひまわりの面倒も見なくちゃいけないし夫とも何度も喧嘩することもあったわね...」
「そうなんですね...」

みさえの話を聞いていたフェイトは家族というのも大変なんだと理解した、しかしみさえは明るく口を開いた

「でも私はそんな生活嫌いじゃないの、むしろ好きなくらいね」
「え...?」
「確かに楽しいことばかりじゃないわ、それでも家族といるといつも一面の花が咲いたように賑やかで笑いがあっておバカがあって...私は夫と結婚して...しんのすけとひまわりを産んで...シロと出会えて本当に良かったと思ってるわ...」

みさえは本当に満足してる顔をしてた...それほど家族との生活を大切にしていたのだろう

「でもまさかこんなことになるなんて...しんのすけ達大丈夫かしら...」
「きっと大丈夫ですよ!それに私も全力でお手伝いします!」
「ふふ、ありがとうね」

三人の無事を祈りながら二人は探し続ける...あの頃の...昨日までの日々を取り戻すために...


731 : イエスタデイ・ワンスモア ◆.EKyuDaHEo :2021/05/22(土) 19:37:57 wm0BDSFw0
【D―5/一日目/深夜】
【野原みさえ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、如意棒@ドラゴンボール、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:家族を探す
0:しんのすけ達はどこにいるのかしら...
1:フェイトちゃんと行動する
2:本当に魔法が存在するのね...
3:この世界はパラレルワールドなのかしら...?
【備考】
※映画の出来事を経験しています

【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、バショー扇@ドラえもん、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:みさえさんの家族を探す
0:みさえさんと行動する
1:家族って...良いものなんだね...
2:他の人達もそれぞれ別々の世界からつれてこられてるのかな...
[備考]
※参戦時期は少なくとも第一期のプレシア事件の後です
※デバイスのバルディッシュは装備していません


【支給品】
【如意棒@ドラゴンボール】
主人公の孫悟空の武器の一つで「伸びろ」や「縮め」というと如意棒がその通りに伸縮する物
※伸びる長さは最大25mまで

【バショー扇@ドラえもん】
どんな種類の風でもだすことのできる扇。握りの部分のダイヤルで風の吹き続ける時間、マイクで香りなどの風の種類、扇の振り方で風向きや強さを自在に操ることができる。


732 : ◆.EKyuDaHEo :2021/05/22(土) 19:38:17 wm0BDSFw0
投下終了します


733 : ◆RTn9vPakQY :2021/05/25(火) 22:51:03 OssUioSw0
予約を延長します


734 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/26(水) 14:07:48 chZoqg1k0
投下します


735 : DevilMayCry ◆EPyDv9DKJs :2021/05/26(水) 14:10:47 chZoqg1k0
「名簿は恐らく本物と断定してもよさそうだな。」

 ギャブロをやり過ごした後、
 主催者からのアプローチがあるまで適当に散策していたロック。
 ようやく向こうから提示された新情報に不敵な笑みを浮かべている。
 ご丁寧に自分のあだ名まで入っていて、ギャブロの名前もあれば流石に本物だろう。
 明らかに名前じゃなくてあだ名だけのような人物も何人かいたものの、
 この際それらのことについては放っておくことにする。
 名前すらないような雑兵に対して興味はない。

(だがトッペイもいるとは予想外だな。)

 まさか、自分の計画を阻止した立花特平がいようとは。
 以前は共犯者だからという理由でうまいこと口を塞いだが、
 別の世界もあるとなった今では、そんな脅かしも意味をなさない。
 此方の行動を絶対阻止してくるに違いないし、既に協力者もいるかも。
 少し事を急いてしまったようで、ギャブロは味方につけるべきだったかと少し後悔する。

「……ま、過ぎたことだ。」

 困難な状況からでも策を導き出すその頭脳がロックの強み。
 優秀な下田警部ですら証拠を見つけることに難儀していたのだ。
 一つや二つの障害ぐらいどうということはないし、それを切り抜ける。
 一人ぐらい吹聴する奴が増えてもいい。参加者は総勢にして百十九名。
 百十六人全員に行き渡る確率は皆無。それに此方も味方を付けてしまえばいいだけのこと。
 そうなればいらぬ疑いや争いが発生する。元の世界のような混沌が待ち受けるのだ。
 変装道具がないので大きな混乱を招くことができないのが少し心苦しいが
 ロックが望む世界がそこにあり、楽しみで笑いすらこみあげてくる。

「どういうこと……!?」

(おや?)

 笑いを堪えていると声が聞こえた。
 少なくとも今の声は女性のものだ。
 不用心に思いながら声の方へと向かう。


 ◇ ◇ ◇


「なんで、みらいが……!?」

 修平から逃げるように去った後、
 零は平安京へ入ると共に届いた名簿に困惑してしまう。
 千に加えてアナムネシスもその名を連ねているが、
 はっきり言って彼女達の存在が霞むほどに目立つ妹の名前。
 彼女は殺され───否、自分の手で殺めてしまったはず。
 なのに何故此処にいるのか。ヨミガエリはまだ済ませてない筈。

(落ち着くのよ……こんなの、
 言ってしまえばただの文字の列でしかないわ。)

 提供したのはメフィスとフェレスの二人と同じ運営の一人。
 妹の復活も信じるしかないから信じた程度で、元々二人に信頼などない。
 自分に妹の名前を焚きつけることで動かす可能性はないとは言えなかった。

(でも、もし本当にいるならなぜ私達を放り込むの?)

 自分だけでなくみらいや千を、
 そして小衣や777ではなくアナムネシスが入る理由。
 元々真意などさっぱり分からない相手ではあったが、
 この自分に関係する参加者の人選は余計に分からない。

(ひょっとして、あの時言ってた『遠出』に何か関係が───)

「家族でも探してるのかい?」

「!」

 考え込んでて近づく相手に気づかなかった。
 咄嗟に声を掛けられ、剣を抜きながら距離を取る。
 同じ人間と出会い、妹の名前に動揺して警戒を怠っていたことに気付く。
 此処は衣装を変えれることから辺獄ではあるようだが、今までの辺獄とは違うのだ。
 相手は幽者と違いものを考えて行動してくる人が多いのだから、
 いつも以上に警戒を怠るべきではなかった。

「おいおい構えないでくれ。俺は別に君と敵対するつもりはないさ。」

 そうは言いつつロックは距離を取るとポケットに手を突っ込む。
 ポケットには道中でスタンドによって爆弾化した小石を仕込んでいる。
 近づかれたらスタンドで、離れたままなら小石で戦うだけのこと。
 なので表情とは裏腹に、内心はさほど恐れてるとは言い難い。

「みらいを───妹を探してるんですが知りませんか?
 私と同じ髪の色のツインテールで、赤い瞳なんですけど。」

「いや、他の参加者とは出会ったけど該当しそうなのはいなかったな。」

「そうですか、ありがとうございます。」

 ロックとの話を早々に切り上げて零は踵を返す。
 妹がいるかどうかの確認は、今一番必要なことだ。
 もし本物なら自分と違い、彼女は代行者でも幽鬼でもない。
 守らなければならない存在になる。


736 : DevilMayCry ◆EPyDv9DKJs :2021/05/26(水) 14:12:08 chZoqg1k0
「でも、妹さんを見つけてどうするんだい?
 最後になれば一人しか生き残れないって言うのに。」

 ロックの一言に足を止める。
 当たり前なことを忘れていた。
 優勝するつもりだったから脱出なんて考えもしなかったが、
 出会ってもし本当に自分の知るみらいだとして、そこから自分はどうする?
 首輪をどうこうできる技術なんてないし、脱出する能力だって持ち合わせてない。
 守り続けて、最期は自分かみらいのどちらかのみが生きるという結末を迎えるのか。

(やっぱ、みらいが生き残るよね。)

 できるわけがない。
 既に一度彼女を零は殺した。
 もうあの感覚を味わいたくはないのだ。
 その場面になれば、恐らく彼女は自決を選ぶだろう。

「……確かめたいことがあるんです。協力してもらえますか。」

 あくまで本物であればの話だ。
 人数は百名以上の大人数と言えども舞台は広い。
 自分一人で敵もいるだろう状況で妹を探すのは困難を極める。
 ならどうするか……単純明快、人を頼る。以前の辺獄でもやってきたことだ。
 『協力』と彼女は思ってるかもしれないが、『利用』しようとしているが正しい。
 壊れた精神の彼女ではそれを自覚していないのだが。

「ま、内容次第と行こうか。何も知らないままでOKは無理な話さ。」

「分かりました、ではついてきてください。」

「了解。俺は間久部緑郎、名簿にもあるがロックってあだ名がある。」

「……幡田零です。」

 剣を収めた彼女の肩をポンと叩きながら並行し、
 再び適当な家屋へと足を運んで席について話を聞く。
 今度は主催の二人とも関係のある内容。
 ギャブロに続いて中々に興味深い話だ。

「なるほど。妹が本物かどうかを確かめたいと。」

「はい。信じられないかもしれませんが。」

 辺獄の関係者でもない人間に信じてもらえるか。
 現に今のところ出会った二人は代行者でも何でもない。
 恰好も相まって痛い人に思われるそうなことだが、

「それを嘘だと証明もできないしな。
 ただそれだと、少し怖いことがあるな。」

 バンパイヤにスタンドと出会った手前最早今更だ。
 特に疑うつもりもなく、淡々と話しを進めていく。

「怖いこと、ですか?」

「───君の妹さんが幽鬼と言う可能性が否定できない。」

「それ、は……」

 否定したいが彼の言う通りできなかった。
 南羽に戸増と身近な人物の関係者が幽鬼になった例もある。
 此処にその名前があって、果たしてあのみらいなのかは分からない。
 所詮文字が並んでるだけと彼女は言ったがその通り。情報はその文字だけだ。
 生きてることを信じて向かってみれば幽鬼でした、なんて可能性が無きにしも非ず。
 嫌がらせが得意そうな二人が高みの見物をしてると思うと、あり得ない話でもない。

「実際、俺はそういうのに出会ったからな。」

「そういうのって?」

「俺の知り合いに立花特平って奴がいてさ。元居た世界では一緒につるんでた間柄で、
 此処でもすぐに出会うことができたんだが……あいつは狼になって俺を襲ってきたのさ。」

「それって……!」

「君の言う通りであればあれは奴は幽鬼ってことだ。」

 勿論ロックの言ってることは嘘だ。
 バンパイヤであるトッペイの特性を言ってるだけで、
 此処ではまだトッペイと出会ってすらいない。

「連中は参加者の何人かには細工をした可能性がある。」

 当然これも嘘なのだが、
 八将神と言う存在がいることから、
 あながち間違いではなかったりもする。
 噓から出た実と言うべきか。

「君の言うみらいにも気を付けた方がいいな。
 ひょっとしたら下手な幽鬼よりも狡猾かもしれない。」

「それは───そう、ですよね……」

 初対面の相手で信用度はそこまで高くはない。
 故に彼の意見をすべて肯定するつもりはなかった。
 だが零はなまじ辺獄に対する理解がそれなりにあるし、
 777と言う人並みの知能を持った幽鬼がいる手前これも否定しきれない。
 特に、何度も執行し続けたことで精神的に不安定になってる彼女では。
 もう少し先の未来であれば、話は変わっていたのかもしれないが。


737 : DevilMayCry ◆EPyDv9DKJs :2021/05/26(水) 14:12:58 chZoqg1k0
「ま、妹を探すぐらいなら手伝うさ。」

「ありがとうございます、六郎さん。」

「ただ、保護とかなら期待しない方がいいよ。
 下手に同行させても足手纏いになると困るし、
 それで死なせて責任を押し付けられたら叶わない。」

「そんなつもり……」

 そんなつもりはないと言いたかった。
 言いたかったが、此処へ来る直前の自分はことがうまく運ばず、
 仲間にもかなり辛辣な態度を取っていたのは記憶に新しい。
 完全にそうと言い切れるの自信が今の彼女にはないのだ。

「見つけたら此処に避難するよう言っておく。
 ただそれ以上のことは期待しないでくれ。それでいいかい?」

「それだけでも十分です。」

 自分がロックと立場であれば、
 同じようなことをしていたのは想像に難くない。
 だから責めることはしないし、そこまでの期待もしない。
 出会ったばかりの相手の妹の面倒を見ることができるのは、
 小衣や千のような人柄のいい人物ぐらいなものだ。

「では、私はみらいを探しに行きます。」

 席を立ち、一足先に外へ向かう。
 協力関係を結べたのであれば用はない。

「俺は北を目指すとするよ。君は?」

「東でも調べてみようかと。」

「分かった。とりあえず見つけたら此処を指定しておくぞ。」

「……はい、お願いします。」

 何処か躊躇うかのように、
 返事をしながら千はその家を出ていく。


 ◇ ◇ ◇


(らしくないことをしたな、本当に。)

 年季の入った天井を見上げながらロックは思う。
 殺そうか殺さないかで言えば、最初は零を殺そうと考えていた。
 彼女の話を聞いた時妹の蘇生を目的として『また家族か』と思ったから。
 どいつもこいつも家族家族と、それしか言えないのか。
 肩を叩いた時にさり気なく彼女を爆弾化はさせていたので、
 やろうと思えば本当に、電話のボタンを押すより容易く殺せた。
 だがしなかった。しようとスイッチを押そうとしたその時。

『アナムネシスによって、私はみらいを手にかけさせられたんです。』

 その言葉が、切り捨てようとした彼の考えを留まらせた。
 殺したくなかった相手を自分の手で殺めると言う顛末。
 唯一の親友である西郷風介の姿が脳裏によぎる。

「……お前も同じなのかよ。」

 協力者であるバンパイヤに言われようとも、
 そして彼らを欺いてでも彼には死んでほしくなかった。
 悪魔の申し子と呼ばれる彼が唯一殺しを躊躇い、死に涙を流した相手。
 彼を思い出させる顛末に、僅かばかりだが彼女に対して同情してしまう。
 他人なんてお構いなしだし、ギャブロとの邂逅は事実いつも通りの彼だ。
 だが、殺して間もなく此処にいる彼にはまだ西郷の記憶は鮮明に残っている。
 どこかちらついて殺すのを躊躇ってしまった。

(命拾いしたな。)

 誤爆しないよう小石を爆弾にしてから投げ、爆破する。
 仮にも乗るか乗らないかの境界線に立ってるのは分かる。
 此方としての利用価値は十分にあるので殺す理由もないだろう。
 奇しくも、零が修平にやったことを彼も同じようにして去る。
 あくまで今回だけだ。ある程度参加者が減れば容赦はしない。

 悪魔は唯一泣いた親友のことを思い出しながら、
 今一度悪魔らしく邪悪な目的のために動き出す。


738 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/26(水) 14:15:01 chZoqg1k0
投下終了です


739 : ◆vV5.jnbCYw :2021/05/26(水) 15:58:25 rypoGnpQ0
投下乙です。
自分の当選作品がリレーされてウレシイ……ウレシイ……
原作で西郷がロックに殺される直前に「オヌシは悪魔でも気が狂った人間でもない。ただの気の弱い人間だ」
と言っていましたが、今回のロックはその面が現れていたような気がします。

それと各現在地は何処に当たりますか?


740 : ◆vV5.jnbCYw :2021/05/26(水) 16:29:48 rypoGnpQ0
今発見しました。
他スレの方に間違って投下していたようなので、代理でこちらに貼り付けておきますね。


【E-2 民家/一日目/深夜】

【間久部緑郎/ロック@バンパイア】
[状態]:健康、汚れ、零に対して少しだけ同情
[装備]:キラークイーンのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:秩序なきこの場を楽しむ
1:とりあえず北を散策。殺しを唆すもよし、殺すもよし。
2:トッペイと出会ったときはどうしたものか。
3:アナムネシスとみらいに警戒。ただみらいは利用できるかも。
4:零、千は利用できるか?
5:……西郷……
[備考]
※参戦時期はバンパイア革命に失敗し、西郷を殺害した後。
※クライスタの世界を(零視点から)大まかに把握しています。





(おそらく、あの人も同じで優勝を狙っている。)

 あてもなくみらいを探しながら零は思う。
 ロックも乗っている側の人間だと言うことを。
 いつから疑っていたと言うと、疑念自体は最初からである。
 『殺し合いに乗ってない』ではなく『敵対するつもりはない』と彼は言った。
 これは言葉のあやと言えばそれまでであり、正直小さいものでしかない。
 段々そうと思えたのは単純に、一度も彼が同行を持ちかけてこなかったから。
 殺し合いを否定する側なら戦力を増強するのは一番いいはずだ。
 特にアナムネシスは強敵で零ですら一人でとても相手にできない。
 それを知った上でなおかつ彼が同行しない理由で思いつくのは、
 同行しない方が都合がいい……つまり乗った人間と思っただけだ。

(どちらにしても関係のないことだけど。)

 彼のスタンスがどちらであろうと、利用するのが現状最も得策だ。
 合理的に、冷徹に。己の目的のために他者と協力ではなく利用する。
 参加者を減らすと言うことであれば、寧ろありがたいことこの上ない。
 それもあるが、もう二つ理由があるから。

(千さん……)

 辺獄で同行した恵羽千のことだ。
 彼女は自分の信じた正義に基づいて行動する。
 ならば優勝を考える彼女には必ず障害となる存在だ。
 以前の時と違い彼女の命すら切り捨てる必要があり、
 まだ辛うじて残る良心の呵責が彼女に会わないように、
 ロックになんとかしてもらおうと言う算段も考えていた。

(彼女は例の?)

 もう一つは吹石琴美の名前。
 琴美と言う名前は最初に出会った彼が言っていた名前。
 此処にいると言うことは、ひょっとして当人なのか。
 死んだはずの参加者で、彼女は修平を守るために命を捨てた。
 善良な人間であったことは十分伺える存在で、躊躇いそうになる。

(……何を今更躊躇ってるんだろ、私。)

 幽鬼だって元々は人だ。
 他人の魂を散々狩って言うことではない。
 人でなければいいのか。死んでるならいいのか。
 エゴに塗れた感情に苛まれながら、彼女は走り続けた。
 少女のひび割れた涙を修復するときはまだ来ない。

【E-2 /一日目/深夜】

【幡田零@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康、涙は流れない、精神不安定(大)
[装備]:代行者の衣装と装備
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0〜3
[思考]
基本:妹の優勝、或いは自身が優勝して妹のヨミガエリを果たす。
1:東でみらいを探す。みらいが私の知るみらいなのか不安。
2:千さんとはできれば会いたくない。
3:あの男(修平)とは、次にあった時は殺し合う事になる。
4:吹石琴美って、あの琴美さん?
5:立花特平のような参加者に化けた幽鬼に警戒。
[備考]
※参戦時期は第四章、小衣たちと別れた後です。
※武器は使用できますが、ヘラクレイトスは現在使用できません。
※参加者の一部は主催によって何か細工をされてると思っています。
 ただし半信半疑なので、革新しているわけではありません。


741 : ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/05/26(水) 19:28:54 Utf7m96o0
皆様、投下お疲れ様です。

花は生きることを迷わない
あのゲームを生き抜いたDルートの琴美は精神的に凄く成長して頼もしい。
しかし、ルート分岐があるリベリオンズだからこそ、”B”ルートの初音との邂逅に果たしてどうなるか…次の話が気になります。
アカメは流石の一言。安定の戦闘能力の高さに安心。
「ケッ、人が祝砲上げてる時に水差しやがって!お前もぶっ壊してあいちゃんのなでなでの踏み台にしてやる!」
↑状況的には笑えないのですが、この台詞好きです(笑)
マサオはマサオだったことに安心しちゃいましたが、やはり八神将のスキルはやっかい……しんのすけとも位置が近く、どうなるか……!!
それと、感想ありがとうございます。励みになり、嬉しかったです。

イエスタデイ・ワンスモア
「確かに楽しいことばかりじゃないわ、それでも家族といるといつも一面の花が咲いたように賑やかで笑いがあっておバカがあって...私は夫と結婚して...しんのすけとひまわりを産んで...シロと出会えて本当に良かったと思ってるわ...」
↑みさえの母としての幸せが感じられ、とても好きです。
読んでいてとても温かみが感じられいいお話でした。
しかし、親友が主催者の切り札的存在と化したのを知った時、フェイトは……

DevilMayCry
零の肩にさりげなく手を置き、爆弾にするロックの狡猾さと零の境遇に同情する人
間臭さの両方が卓越した構成で素晴らしかったです。
少女のひび割れた涙を修復するときはまだ来ない。
↑この文……魅かれました。

感想有難うございます。
ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜
悠奈なら、こうするのではと名簿を見たとき、直ぐにおぼろげながらも浮かんできて、こうしました。
悠奈さんらしいです
↑なので、この感想の言葉はとても嬉しいです。
悠奈の想いはパロロワでは、厳しい道のりですが、ぜひ、私もこの緑コンビニは”ヒーロー”を突き進んでほしいと思います。

ジャギ、カンフーマンで予約します。


742 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/26(水) 20:40:28 chZoqg1k0
>>740
あ、しまったやってしまたt……
代理ありがとうございます


743 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/26(水) 22:03:47 ecem7dG20
感想ありがとうございます

藤田修平、木刀政、軍服の男で予約します


744 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 16:35:07 BqHfUTXs0
投下します。


745 : It's like preaching to the wind. ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 16:36:16 BqHfUTXs0
格闘家ーーーーー格闘技を行う選手またはそれで生業としている者、修得している者。
Wiktionary日本語版より引用。

(十年早いだと!?このおれさまを”コケ”にしやがってぇ〜)
カンフーマンの宣言にイラつきを隠せないジャギ。

「死ねや!北斗羅漢撃!!」

ーーー 北斗四兄弟 ジャギ ーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

ブオガガガ!

「ハハハ!みろぉ。このおれさまの速い突きがかわせるかーっ!!」
それは、先ほどの長髪の奴に繰り出した南斗邪狼撃とは違う―――
―――北斗神拳伝承者であり育ての父であるリュウケンから直接教えてもらった”奥義”

「む……」
上下左右と不規則に繰り出される突きを捌きつつなんとか隙を探し―――

「……ここ!」
ようやく隙を見つけ、カンフーマンも突きを返そうとするが―――

「馬鹿め!わざと隙を見せたのよ!!」
―――プッ
口から出た仕込み針がカンフーマンの目に―――

―――刺さらなかった。

ビシィィィィィ!!
片方の手で仕込み針を指と指の間に挟み、防いでいた―――

「な!?」
「いく……ぞ!」
お返しの空中からの飛び膝蹴りに右下蹴り1・2からの左蹴り。

「ぐへぇ!?」
コンボを喰らい、すっころぶジャギ。

「まだいくぞ!」

―――ビュッ!!

「くそが!」
追撃の蹴り攻撃を後転で交わすジャギ。

―――再び距離が開き。

「……」
(馬鹿な〜、そんな馬鹿な〜!?)
―――おれの奥義がそんなふざけた構えをする道着野郎に破られただとぉ〜!?

その現実を直視することができず、再度含み針を数本お見舞いするが―――

ビシィィィィィ!!
もちろん、ただ直線状に飛ぶ針を受け止められぬカンフーマンではない。
落ち着いて処理する。

「く……くそッ……!?」
―――たじろぐジャギ。

「……」
カンフーマンはジャギをはっきりと見据える―――

―――その目
―――気に入らねぇ……あの長髪のガキといい……その目。

―――弟……あのケンシロウ(野郎)を彷彿させる目!!!


746 : It's like preaching to the wind. ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 16:37:15 BqHfUTXs0
「ぬあんだあその目は!北斗千手殺!」
無数の貫き手でカンフーマンの体を突く。
名前の由来通り”千”という程ではないが、嵐のような乱打に流石にカンフーマンも防御に徹する。

「どうしたぁぁぁああ!?大口を叩いていたくせに防御しかしないなんて、それでも男かぁぁあ!?」
煽るジャギ。

「……」
しかし、カンフーマンはそうした煽りにも動じない。

「……高速連打なら、俺もできる……ぞ!」
「……あ?」

カンフーマンはしゃがむと軽くパンチをする。
―――シッ!シッ!シッ!

「なっ!?」

しゃがんでのぱんち―――
ただそれだけなのだが―――
それは、”マシンガン”のような連打。

ジャギの膝にクリーンヒットする。

「ぐ……てめぇ……」

「撃つべし!撃つべし!撃つべし!」
ジャギの膝!膝!!膝!!!
高速のパンチはジャギの膝を的確に攻撃する。

「ぐ……が……げぇ!」
痛みに耐えかね、再び距離を開けようとするが―――

「させん!!」
空中空手チョップ→しゃがみパンチ→下から上への斜め掌底→強空手突き!→掌底!!

先ほどよりも強力なコンボを直に喰らい、ゴロゴロと体を惨めに転がるジャギ。
川の水しぶきがジャギの惨めさを引き立てる―――

「くそ!”秘孔”さえ……秘孔さえ突けば!こんな奴ごときに手こずるはずがねぇ!!」
ジャギは怒りを隠せず、吐き捨てる。

「……なるほど、お前のいう”北斗神拳”とは秘孔を突いて相手を仕留める流派か」
ジャギの言葉からカンフーマンは察した。

「そうだ!北斗神拳は”究極の暗殺拳”てめぇのような三下が破れる拳じゃねぇぇぇえええ!」

「もう一度、北斗千手殺で仕留めてやる!」
再度、ジャギは技を構える―――が。

「……その北斗千手殺とやらは北斗の技ではないな」
「!?」
カンフーマンに言葉にジャギの動作が止まる。

「はぁ!?……てめぇ……何を根拠に……」
―――しかしそれは、僅かながらも動揺が。

「もし、北斗神拳が俺の予想通り、秘孔を突いて殺す暗殺拳なら、先ほどの突きで仕留めることは充分に可能だったはずだ。しかし、今のはただ闇雲に貫き手をしていただけ」

そう、カンフーマンの指摘通り―――
北斗千手殺は本来、北斗神拳にはない技。
これは、ジャギが五年の間に編み出した独自の技。

「お前が勝手に名乗っているだけの名だけの技だ」
カンフーマンは見破ったのだ―――

「が!!??」
指摘が当たったのかジャギは体をプルプルと震わす。
仮面で表情は見えないが、噴火の如く激昂しているのは想像に難しくない―――

―――テメェもあの”ジジイ”のようにほざくか。


747 : It's like preaching to the wind. ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 16:38:08 BqHfUTXs0
そう、リュウケンはジャギが編み出した邪拳を認めなかった。
そして―――リュウケンが次の北斗神拳伝承者として指名したのはよりにもよって末弟のケンシロウ。

「テメェは殺す!徹底的に殺す!!」
―――北斗羅漢撃の構え

「……今度はこちらからいくぞ!」
ジャギに駆け寄るカンフーマン。
距離まで数㎝のところまで迫った瞬間!!!

「死ねぇ!道着野郎!!」

―――言葉と共に繰り出されるのは北斗羅漢撃ではなく。
ジャギの言葉と共に靴からなんと!3本の針が飛び出てきた!!

「しかも、この針は”毒針”だぁぁぁあああ!!!勝った!!!!!!」
勝利を確信するジャギ。

―――しかし。
その足側面への強烈な蹴り。
哀れ毒針はカンフーマンにかすりもしなかった―――

「な!?何だとぉぉぉぉぉおおおおお!?」
―――痛みが全身に駆け巡る。

「……平気で”含み針”を使うお前のことだ。当然、してくると……思ったぞ!!」
そう、カンフーマンは確信していた。
―――この男がそのままなわけがないと。

「ウオォォ・・・! ウォォォ・・・!! ゥォォォ・・・!!!」
―――気合を入れ。

「お前のような格闘家は今まで出会ったことがない!!!」
―――Kung Fu Upper !

―――それは、強烈な必殺のアッパー。
顎にヒットしたジャギは宙に浮かび、落ちるタイミングに合わせてからの―――

「これが、”カンフー流格闘術”だ!!!」

―――三烈カンフー突き手
カンフーマンの超必殺技。

「どぉえへぷ!! 」

ーーーKO---

バシャァァァァン!!!!激しい水音が敗者を物語り―――
ジャギは倒れる―――

―――勝負あり

☆彡 ☆彡 ☆彡


748 : It's like preaching to the wind. ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 16:39:02 BqHfUTXs0
「……」
カンフーマンは倒れたジャギを見つめ―――礼をする。

ジャギはカンフーマンが対戦した格闘家の中でも1・2を争うほど、卑劣なやつだった―――
しかし、カンフーマンは格闘家である。相手がどうであれ、きちんと礼をしたのだ。

(この才能……正しく使えば大成したはず……もったいないぞ)
終始、落ち着いてカンフーマンがジャギを圧倒したかのように思えるが、そうではない。
ジャギの持つ格闘家としてのポテンシャルは正直高かった。
だからこそ、カンフーマンは惜しむ。

その拳を憎しみや妬みではなく愛や哀しみを込めていれば勝負は違っていた……と。
―――その時。

『――ボンジュール、みんな〜!』

丁度、主催陣営からの放送が流れだした。

「む!?……聞き逃すのは危険だな」

ひとまず、放送に耳を傾けるのと、ジャギとの闘いで負った傷を癒そうとカンフーマンは踵を返す―――

【E-7/一日目/深夜】

【カンフーマン@MUGEN】
[状態]:濡れてる ダメージ(中) 疲労(小) 
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:彼女を探しに元の世界へ戻る。ついでで強い相手に挑戦したい。
1:先ほどの少年は無事だろうか……
2:放送を聴きつつ、一旦、体を休ませる。
[備考]
※参戦時期はアーケードモードED後です。





















―――ダァン!!!

☆彡 ☆彡 ☆彡


749 : It's like preaching to the wind. ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 16:41:05 BqHfUTXs0
「がふッ!!??」

胸が熱い―――
銃声の音と同時に突如湧いた痛みが、カンフーマンを膝から崩れ落とす―――

(一体……!?)
なんとか、崩れ落ちる際、体の向きを調整でき、うつ伏せではなく仰向きにできた。
格闘家としてうつ伏せで倒れるわけにはいかない―――
―――カンフーマンの矜持である。

―――ザッ!
仰向けの自分の顔を覗くのは―――

「へへ……やっぱり”銃”(コイツ)は最強だぜぇ〜……」
―――ジャギ。

「残念だっ……たな……おれの最後の支給品をきちん……と確認しな……かったテメェの落ち度が敗因……だ!」

そう、ジャギの最後の支給品は”ショットガン柊樹”(ハリウッド)

五行を司る柊樹の気は木。
そして五行は五常とも通じ、木の性質は”仁”
孔子が最高の道徳と称する”仁”だが、木気が過ぎるとそれは”不仁”へと性質が変化する。
”仁なき男”に支給されたのは有る意味、必然だったのであろう―――

「おま……えは……格闘家とし……ての誇り……が、本当にない……のか?」

カンフーマンは顔を痛みに歪ませながらもジャギに訴える。

「テメェの格闘家観をおれに押し付けるんじゃねぇ」
ジャギは柊樹をカンフーマンの額に押し付ける。

(すまない……どうやら、ここま……でのよう……だ……)

―――カンチョーマン。カラテマン。アーク。トレフ。ガトチュマン。カンフーメン。カンフーラン。笑いカンフー男。ゴッド・カンフーマン。エビルカンフーマン。カンフーマンスペシャル。ミニマムカンフーマン。ミッシングパワーカンフーマン。バカンフーマン。カンフーヘッド。カンフーマン2008。カンフーマン2009。ボーナスカンフーマン。

今際の際に浮かび上がるのは戦友達―――

「おれにとって、格闘家は”強ければいい”だ!どんな手を使おうと勝てばいい!!それが全てだ!!!」

「……ガールフレンド。すまない……君をまた」

―――ダァン!!!

仁なき男の銃は仁ある男の命を刈り取り―――

無限の可能性を秘めた格闘家は沈黙する―――

【カンフーマン@MUGEN 死亡】

☆彡 ☆彡 ☆彡


750 : It's like preaching to the wind. ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 16:42:46 BqHfUTXs0
「……」
沈黙した格闘家を見下した目で見つめる。

―――先ほどの長髪のガキにこの道着野郎は”ガールフレンド”とやらとほざいていた。

ジャギの脳裏におぼろげながら少女の姿が浮かび上がるが―――

―――だが、見ろ?女にうつつを抜かすからこいつはこんな惨めな死を迎えた!
―――正しいのは”おれさま”だ!!!

ジャギはその少女の姿を振り払う―――

「へっ!……くだらねぇ……ぺっ!」

斃れたカンフーマンにツバをかける。

「へへ……それにしてもこの”ショットガン”気に入ったぜ」
自分が愛用していたショットガンに比べ、威力も有り、使いやすく、何よりデザインも好みのようだ。
たっぷりと鑑賞終えると、柊樹を腰に装備し―――嗤う。

「ははははは!おれは強い……おれは北斗神拳の伝承者ジャギさまだ〜!!」

その言葉に答える者はいない―――

【E-7/一日目/深夜】

【ジャギ@北斗の拳】
[状態]:ダメージ(大)、ずぶぬれ、彰に対する苛立ち(中) 顎並びに両膝に痛み 右足腫れ
[装備]:柊樹@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD 間久部緑郎の靴@ バンパイヤ
[道具]:基本支給品、針×8@アカメが斬る! ランダム支給品×0〜3(カンフーマンの)
[思考・状況]
基本方針:優勝して今度こそ返り咲く。
1:まずは休息をとる
2:逃げた奴(彰)も倒す。
3:女……?くだらねぇ……
[備考]
※参戦時期は死亡前、極悪の華も反映されてます。
※カンフーマンを不意打ちで斃したため、ディメーンの放送はきちんと聴いてはいません。

【針×20@アカメが斬る!】
チェルシーが暗殺の際に用いる針のニ十本セット。
女の力でも急所を狙えば殺せる程度には鋭利だが、
帝具でも臣具でもないため本当に普通の代物。
ジャギはこれを含み針として隠し持っている。
なお含み針としてはあまりに長いので、
含み針として使うものは何本か半分に折っている。
そのうち五本は被弾した彰が川の何処かで処分した。
カンフーマンとの死闘で残りは8本。

【柊樹@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD】
有栖 零児が有するショットガン。
陰陽五行を司り柊樹は”木気”の性質を持つ。

【間久部緑郎の靴@バンパイヤ】
間久部緑郎が履いている靴。
靴には三本の毒針が仕込んである。
先が丸い形状の靴な為、毒針をだした状態はまるで、獣の足にも見える。
……バンパイヤというタイトルを考えると、なんとも皮肉になるのかも知れない―――
なお、主催者側の手により、ジャギの足のサイズに調整され模された靴としての支給品の扱いとなっている。参加者の間久部が履いている靴とは別扱い。


751 : It's like preaching to the wind. ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 16:50:09 BqHfUTXs0
投下終了します。

パンドラボックス、藤丸六香、清棲あかり、マネーラ、ギャプロで予約します。


752 : ◆vV5.jnbCYw :2021/05/27(木) 17:02:14 dYb6kSJs0
投下乙です。
ウギャアカンフーマーン!!
凶器に手を付けてまで敵を殺そうとするジャギ……とことん堕ちたな!!
好きな女の子のことを気に掛ける彰やカンフーマンを馬鹿にする発言は胸糞だが、ジャギの過去を知っていると悲しくなるよな。


753 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 17:03:38 BqHfUTXs0
wikiでの参加者名簿並びに作品収録有難うございます。

自作のキャラ名がコンペの段階でミスがあり、間違っておりました。
清棲が正しいとこを清「凄」としておりました。
大変申し訳ございません。
採用された自作と参加者名簿の方を修正したこと報告します。


754 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/27(木) 17:12:48 BqHfUTXs0
感想有難うございます。

It's like preaching to the wind.
ジャギの考えが「勝てばいい」論なので、格闘家としてはカンフーマンが上だけど、殺し合いではジャギが上という構成となりました。
胸糞悪いですよね。自分でも書いてて思いました。
しかし、一方で”こうなってしまった”背景を知っていると悲しいですよね……
一つ確かなことはアンナがこのジャギを見たら、怒りと悲しみが渦巻くかと……。


755 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 21:51:56 i3wLde5g0
投下乙です

ジャギ様は泥に塗れようが相手の隙を突けるなら構わないのがとても「らしい」ですね。
北斗の拳イチゴ味でもそうでしたが、手段を択ばず使えるものは迷いなく使ってくるスタイルは卑怯を通り越してカッコよささえ感じるときがあります。
適切な武器を適切な時に使うのも実力の内ですしね。
カンフーマンはその名の冠する通り格闘家であったが故に負けてしまったのが非情である。

投下します


756 : 白と黒、選ぶべきは黒 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 21:53:54 i3wLde5g0
「...不動」

政は路地裏に身を潜めつつ、名簿を見ながら想いを馳せる。
脳裏に過るのは先の惨劇。
信頼し尊敬する仲間が身内を惨殺するというあってはならない悲劇。

(牧村さんがいねぇのは唯一の救いか)

恐らく自分が殺された後で狂った民衆共に殺されたであろう牧村美樹の名はなかった。
世界は違えど『不動明』に関わる者が一堂に会したことから、他にも呼ばれていると予想していたが、彼と運命を共にする腹積もりだったデビルマン軍団だけであったのは幸運だろう。
明が愛する牧村美樹さえも手にかける。それが政の想定してた最悪のルートなのだから。

「ただ、不動を一番止められるであろう存在もあの人なわけだが...まあ、やるだけやるさ」

元々、政は自分が最期まで生き残れるとは思っていない。
散っていった仲間たちの想いを引き継ぎ、不動を止め結果的に主催を殺せればそれでお役御免だ。

「さぁてと、行くか...」

束の間の休息を切り上げ立ち上がろうとしたその時だった。
彼の耳に足音が届く。一定のものではなく、時々立ち止まりは歩き出し、また立ち止まっては歩き出し。
そんな、素人が見せる精いっぱいの警戒を。

(こっちに近づいてきてやがるな。ちょうどいい、不動を見たか確認してやる)

政は明がどこに飛び立ったかを見ていない。
その為、手がかりは全くないのが現状だ。
いまの明とまともに遭遇していれば間違いなく屍になっているだろうが、彼の飛んでいる姿を見た、というだけならば可能性はある。

5歩。4歩。3歩。

近づいてくる足音に備え、息を止め木刀を握りしめる。

曲がり角から足音の主が姿を見せたその瞬間、政は木刀を突き出した。

「動くな。聞きてえことがある」

政の警告に従い、来訪者は動きを止める。
男は政と同じように学ランを羽織っていた。
見た目の若々しさからも、政と同じく学生であることが伺える。


757 : 白と黒、選ぶべきは黒 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 21:54:54 i3wLde5g0

「おう兄ちゃん、名前はなんだ」
「...藤田修平だ。そういうアンタは?」
「木刀政。オメェに聞きてえのは一つだけだ。デビルマン―――不動明を見てねえか?」
「デビルマン?」
「おいおいしらばっくれんじゃ...っと、そういや悪魔族(デーモン)を知らない世界もあるかもって話だったか。詳しい説明は省くが、名前の通り悪魔見たいな姿をした男だ。
空を見上げてりゃあもしかしたら見かけてるかもしれねえ」
「...そいつは、あんたのなんなんだ?」
「質問してるのは俺だぜ修平クン」

ピタリと喉元に当てられる木刀の冷たさに、修平の額からツゥ、と汗が伝い、緊張からゴクリと唾を飲みこんだ。
下手な答えは寿命を縮めることになる。それを察した修平は嘘偽りなく答えることにした。

「...俺が会ったのは一人の女だけだ。たぶんそいつではないんだろう?」
「チッ、外れか。いいぜ、もうオメエに用はねえ行きな」

スッ、と木刀が喉元から下ろされると、修平はフゥ、と一息をつき呼吸を整える。

「俺からも聞きたいことがある。あんた、女を見なかったか?名前は藤堂悠奈。俺とそう年齢が変わらない赤い長髪が目立つ女だ」
「ワリィが俺はまだ不動以外は見かけちゃいねえ。その女、オメェのコレか?」

政が立てた小指を見せると、修平はフッ、と口元を緩めた。

「こんな状況で男が女を探す理由なんて一つだろう?」
「ヘッ、ちげえねえや」

帽子を被りなおし、口元を歪めると政は路地裏から出て修平へと背を向ける。

「いいさ。その悠奈って女がいたらオメエが探してたこと伝えておいてやるよ」

背を見せたまま、片手を上げひらひらと振り去っていく。

「ああ、ついでに言っておくがよ」

政がピタリ、と足を止め、修平は睨むようにその背を見つめる。

「騙し討ちするなら相手を選ぶべきだったな」

ザンッ


758 : 白と黒、選ぶべきは黒 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 21:55:42 i3wLde5g0

空中から飛来したドスが修平の足元に突き立てられる。
あまりにも予想外の襲撃に、政の背中目掛けて構えられていた銃口はブレ、放たれた弾丸はあらぬ方向へと飛んでいく。

「クッ!」

再度、銃を構えようとする修平だが、しかし狙いを定めた時には既に政が目前にまで肉薄していた。
胸板に突き立てられる木刀の衝撃に、修平は後方へ吹き飛ばされ空気が喉元までこみあげるも、拳銃だけは離さず、再び狙いを定める。

「チッ」

政は舌打ちと共にドスを回収し、修平から距離を取る。

「...いつから気づいていた?」

はあ、はあ、と息を切らしながら修平が政に問いかける。

「お前が女について喋ってた時だ。精一杯取り繕ってたようだが、俺への敵意は隠せてなかったんでな」

普通なら知り合いを探させるつもりなら敵意を抱くはずがない。しかし、修平は軽口を叩きつつもその目からは敵意を失っていなかった。
だから政は路地裏から出る寸前、修平がどくために後退した瞬間、ドスを上空へと投げていた。ちょうど、5秒ほどで地に突き刺さるように計算して。
そして、その予想は的中して。政が完全に背を向けた瞬間、修平の敵意は殺意へと変わるのを肌で感じ取った。
故に、政は修平が敵であると確信したのだ。

「まあ、そこらの奴らならわからなかっただろうが、生憎、人に紛れて襲い掛かる悪魔族(デーモン)に慣れてるんでね」
「...なるほど。まだまだ未熟だな、俺も」

己の敵意を見破られたことにも修平は動揺しない。
自分の真意が知られた以上はこの男を生かして返すわけにはいかない。

(距離はある。俺が外さなければ優位に立っているのは俺だ)

政の獲物はドスと木刀。
対して、修平はコルトM1911A1。
この距離で政が攻撃を届かせようとすればドスか木刀を投げるか距離を詰めるしかなく、修平は距離さえとっていれば優位は揺らがない。
しかし、修平は拳銃に関してはまだ素人も同然だ。近距離なら外さないかもしれないが、遠距離で一度外せば大きな隙が生じてしまう。そうなれば近接に優れる政に勝てる道理はない。
如何に距離を詰め、政の攻撃の届かないギリギリを見定めるか―――それが修平の勝利の鍵だろう。


759 : 白と黒、選ぶべきは黒 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 21:59:05 i3wLde5g0

勝負は一撃。

ジリ、ジリ、と修平と政は互いににじり寄り距離を測る。
ピタリ。両者の足が止まり静寂が訪れる。

駆けた。力強く地を踏み込み、一気に駆け抜ける。
距離を詰めるのは―――政。ドスと木刀を顔の前で盾のように構えながら突貫する!

木刀と刀の盾に阻まれヘッドショットによる一撃を狙うのは困難。
しかし修平は慌てない。彼が狙うのはそんなものではなかったから。

(俺を素人だと思って見誤ったな、政)

もとより修平も的が小さく照準が定め辛い頭部を狙うつもりはなかった。
彼が狙っていたのは腹部。外してもどこかしかに当たりやすい箇所だ。
修平の銃口が政の腹部へと向けられるのと同時、政はドスを投擲する。

(それも予想済みだ!)

殺意を以て降りかかる刃物を躱し様に引き金を引き腹部に銃弾を撃ち込む。

「グッ!」

痛みに顔を歪める政。

「ヘッヘヘ...そう来ると思ってたぜ」

しかし政の顔にはすぐに笑みが戻る。
それを見た修平の脳髄が警鐘を鳴らす。

(防弾チョッキか!)

その予想は当たらずも遠からず。
政の腹部には、修平と出会う前から予め、万次郎のチェーンが巻かれていた。
その為、ノーダメージとはいかないが、銃弾の直撃を避けることができたのだ。

「クソッ!」

焦燥と共に再び引き金を引こうとするも既に遅い。木刀が銃を持つ手を跳ね上げ、銃は宙を舞い、政の蹴りが修平の胸板を叩いた。

「ぐあっ!」

呻きと共に地に尻餅を着く修平は、来るであろう木刀による追撃に備えて頭部を腕で護る。
しかし追撃は来ない。何事かと腕の隙間から様子を覗えば、政が左腕を抑えてよろめいていた。

(どういうことだ?俺は銃弾を撃てなかったはず)

困惑しているのは修平だけではない。政もだ。

(クソッタレ、伏兵を潜ませていたのか!?)

修平に蹴りを当てたのとほぼ同時に飛来した鉄製の矢。
政は肩に刺さった箇所を抑えながらも、それを放った第三者を探す為にキョロキョロと辺りを見回す。

「っと...こいつはやべェ!」

この矢の襲撃が修平の伏兵であってもそうでなくても、このままでは狙われるのは自分だ。
修平が銃を持ち直す前に、次の矢の射撃が来る前に。政はドスを回収しつつ走り去っていった。


760 : 白と黒、選ぶべきは黒 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 22:01:38 i3wLde5g0


「......」

政が去った後、修平は次に向けられるかもしれない弓矢に警戒しすぐに身を隠した。
なんとか銃を拾えたが、襲撃者がどこにいるのかはわからない。
姿の見えぬ暗殺者を不気味に思いながら、神経をすり減らして辺りを警戒する。

「交渉がしたい」

突如、聞こえてきた声。政とは別のものだ。

「お前をこのゲームに乗った人間だと判断した上での交渉だ。応じて貰えると助かる」
「......」

修平は考える。この殺し合いは最後に残れる者は一人だけというルールだ。
そんな中で手を組みたいと考えるのは罠だろうか?それとも本当に殺し合いを有利に進めるためか?

(俺に選択肢なんてないようなものだな)

相手は恐らく政との戦闘の一部始終を観察していたのだろう。
こちらの手の内の大半は割れている上に、場所も漠然とではなくかなり絞り込まれているはず。
もしもあの矢で襲撃されれば溜まったものではない。
それに対してこちらは相手の姿を知らない上に、矢以外になにを持っているかも把握していない。
断れば、この圧倒的に不利な状況から戦う羽目になってしまう。

「...わかった。話を聞かせてもらう」

修平は構えていた武器を下ろし、その身を曝け出す。
それに遅れて、向かい側の建物から姿を現す男が一人。
彼は軍服を纏い、生気の宿らぬ冷たい目で修平と向かい合った。

「あんたがさっきの不良を撃ったんだな」
「ああ」
「人助け...って訳じゃないよな。目的はなんだ?」
「手を組みたい。どんな形にせよ、生還の目途が立つまでの間だ」
(やっぱりか)

男の要求を修平はなんとなく察していた。
修平をゲームに乗ったプレイヤーと見なしてわざわざ助け交渉を持ちかけたのだ。
ならば同盟を組む提案だろうというのは自然と推理できる。
そして、同盟相手を政ではなく自分に選んだ理由も。

(大方、さっきの戦いを見て、いざという時は制圧しやすい俺を選んだんだろうな)

国家間の戦争のような複雑な政治事情が絡む状況ならまだしも、ここでの同盟とは参加者という一人の人間同士の駆け引きだ。
当然、パワーバランスがあまりにも対等であれば裏切られた時のリスクを考えると気が気ではなくなるだろう。
己よりも劣った者であれば、寝首をかかれる心配は少ないしいざという時は強硬手段を取ることが出来る。
黒河正規が城崎充にやっていたことと似たようなものだ。

実際、眼前の男が政と同等かそれ以上だとすれば修平は下手に逆らうことはできずある程度は譲歩して従うしかなくなる。


761 : 白と黒、選ぶべきは黒 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 22:02:20 i3wLde5g0

「ひとつ聞かせてくれ。生還の目途が立つまで、というのはあくまでも優勝も視野に入れているだけで、首輪の解除や殺し合いそのものの放棄が可能であればそちらも検討するということか?」
「...ああ。俺の目的は生きること。特別に叶えたい願いがある訳でもない」
「......」

修平は黙して考える。

名簿から琴美の名前を見つけた時、修平は心臓が飛び出んばかりの衝動に駆られた。
自分が蘇生させようとした彼女が生きている。これが本当ならば今すぐにでも会いたい。
会ってまた言葉を交わし合いたい。身体に触れてあの温もりを感じたい。
けれど、彼女を保護したところでどうなる。
このゲームはシークレットゲームのような禁止行為は少ないが、制限時間は非常に短い。
約3日で果たして首輪を解除し殺し合いから脱出できるのか?リピーターと思しき悠奈がいても尚、首輪の解除による脱出は目途すら立たなかったのに?
希望は薄い。この殺し合いがシークレットゲームのように『複数人の生還』が可能なゲームでない以上、例え琴美を護り切っても結局は全員の首輪が爆破され死に至る。

そんなわかりきった結末など認められない。認めたくない。
しかし、このゲームにはシークレットゲームの参加者の約9倍近く、100人超の参加者が集っているのだ。
参加者同士の接触で、主催の見落としで未知なる解除方法が生まれる可能性も零ではない。
しかし、その微かな可能性に賭けてオールインするほど理想主義ではない。

ならばどうすれば琴美を護れるか?答えは、不要な存在の排除。

前回のゲームでは他人を信用しない黒河の暴走により、犠牲者無しの生還に前向きだったチームは悉くかき乱され琴美も巻き込まれてしまった。
あの時は、死亡者を出さない為に躍起になっていたが、黒河を殺しておける場面で殺しておけば琴美にも別の道があった筈だ。

では邪魔なのは黒河のような存在だけかといえばそうじゃない。藤堂悠奈のような強く頼りがいのある、しかし現実的な脱出方法を持たない者。
彼女が与えてくれた僅かな時間はとても殺し合いの最中とは思えないほどに易しく温かかった。修平自身もこの時が続いてほしいと願うほどに。
だからこそ危うい。琴美のように、関わった者全てを愛せる人間なら猶更に。
きっと琴美は、あの時黒河に殺されそうになったのが悠奈や結衣、まり子でも銃を手に取っただろう。
琴美がいる状況で健全な集団を作るということは、そういった危険を生み出すことだ。
だから、こういった連中も極力排除したい。特に藤堂悠奈。
彼女には好感を抱いているし、恩も感じている。
だがそれでも琴美とどちらかを取れと選択肢を迫られれば迷わず琴美を取る。ただそれだけのことだ。

以上の観点から、修平は殺し合いをある程度肯定することにした。
邪魔な存在は排していき、残る有用な面子で首輪の解除に挑み、それでも駄目なら琴美だけでも生かす。
どっちつかずの蝙蝠と言われればそれまでだが、それでも不殺の縛りがあった前回よりは取れる選択肢は増えている。

政を排除しようとしたのもそれだ。
彼は首輪の情報を求めようともせず、悠奈の名前を出しても反応を示さなかった。
悠奈の名前を出したのは、琴美に直接的に繋がる情報を出したくなかったのもあるが、琴美と出会っていれば必然的に悠奈の名前も出すと予測していたからだ。
結果、琴美とは出会っておらず、首輪を解除する技術も持ち合わせていないことから、政は自分たちには不要な存在として排除しようとした。
悠奈のように白い理想を語っていてはとれない選択肢だ。


762 : 白と黒、選ぶべきは黒 ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 22:02:59 i3wLde5g0

だから修平は決断する。

「...わかった。あんたと手を組ませてもらう」

あくまでもただ生き残る為に戦い、状況によって臨機応変にスタンスを変えられるこの男は組むのに値すると。

「俺は藤田修平だ。あんたは?」
「俺は――――」

ざあっ、と風が吹き男の声はかき消される。
しかし修平は確かに聞いた。第三者は聞き取れなかったその言葉を。眼前の男の名前を。

「...わかった。ただ、名簿に載っていない名前を呼ぶのも面倒だ。あんたのことは軍服って呼ばせてもらう」
「それで構わない。慣れ合う必要性もないからな」

同盟を組んでも悠奈のように懐に受け入れるのではなく、握手の一つもなく常に一定の距離を空けて接する。
やはりこれくらいの距離感がベストだ。決して信頼はせず、裏切り裏切られてもさして精神的影響を受けない。
これならば仮に琴美の前で死にかけても、彼女がその身を捨てて庇うような事態は無くせるはずだ。

かつて同じ理不尽を齎すゲームに運命を翻弄された二人。
時を超えて邂逅した彼らの行く末を暗示するかのように、紅い月光が二人の出会いを祝福していた。






【F-3/一日目/深夜】

【(Zルートでソフィアに返り討ちにされた)軍服の男@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:健康
[装備]:ガッツの義手(ボウガン、大砲付き)、クロスボウ@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:生き残る。
1:参加者を襲撃し装備を増やす。
2:修平と組んで不要な参加者を減らしていく。

[備考]
※参戦時期は死亡後より


【藤田修平@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2、コルトM1911A1@サタノファニ
[思考]
基本:琴美を生還させる。琴美が死んだ場合は優勝して彼女を蘇らせる。
0:琴美の生還に不必要な存在を排除していく。
1:軍服と組んで不要な参加者を減らしていく。
2:一体何だったんだあの女は……
3:木刀政には要注意。
[備考]
エピソードA、琴美死亡後からの参戦です



【F-3/一日目/深夜】

【木刀政@デビルマン(漫画版)】
[状態]左腕に矢傷、疲労(小)
[装備]妖刀『星砕き』@銀魂
[道具]基本支給品、ドス六のドス@デビルマン(ドス六の支給品)、チェーン万次郎のチェーン@デビルマン(万次郎の支給品)、ランダム支給品0〜1
[行動方針]
基本方針:不動を止める。
0:不動に一発お見舞いして目を覚まさせる。
1:修平と見知らぬ襲撃者に警戒する。

※参戦時期は原作死亡後
※仲間の死体から色々と回収しています。


763 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/05/28(金) 22:03:25 i3wLde5g0
投下終了です


764 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:47:23 nbg.bySY0
投下お疲れ様です。

白と黒、選ぶべきは黒
政と修平のバトルは刃物で不利な状況でも、上手く防弾チョッキを活用して修平を制圧しようと試みて、修平も確実に弾を当てるため、腹部を狙うなど、攻防激しい戦闘は読んでいて見ごたえがありました。
ざあっ、と風が吹き男の声はかき消される。
しかし修平は確かに聞いた。第三者は聞き取れなかったその言葉を。眼前の男の名前を。
↑軍服の男の名前の伝え方がとても唸らせるほど匠でお上手でした。

「ワリィが俺はまだ不動以外は見かけちゃいねえ。その女、オメェのコレか?」

政が立てた小指を見せると、修平はフッ、と口元を緩めた。

「こんな状況で男が女を探す理由なんて一つだろう?」
「ヘッ、ちげえねえや」
↑それと、このやり取りが好きですね自分は。
この同盟がどうなるのか、とても楽しみです。

感想有難うございます。
It's like preaching to the wind.
ジャギさまらしさのお言葉書き手冥利に尽きます。ありがとうございます。
カンフーマンも支給品を惜しまず使えばこの勝負変わっていたと思えるような運びを意図して書きました。
しかし、”格闘家”としては負けたジャギ……彼が今後どうなるのか見ものです。

投下します。


765 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:48:37 nbg.bySY0
パンドラの箱ーーーーーゼウスがパンドラに持たせた、あらゆる災いの詰まった箱(本来は壺)。彼女が地上に着いたとき好奇心から開けたところ、すべての災いが地上に飛び出したが、急いでふたをしたので希望だけが残ったという。
goo国語辞書より引用。

「もう、いやだ…つらい!!」
藤丸六香は弱音を吐く。

―――人を探そうと勇んで歩いたが、歩けど歩けど、人には出会えず。
―――腕についている時計型の通信機器による無線通信をノウム・カルデアの回線に乗せてみようと試みたが、できなかった。(霧が原因?)
―――他の支給品を見てみれば、藤丸素材ランキングで触りたくない素材ナンバー1である大量の黒獣脂。

―――藤丸は泣いた。

―――しかし、彼の涙をハンカチで拭いてくれる人はいない。

改めて実感した―――
平安京(ここ)には、いつもなら励ましてくれる仲間は一人もいないのだと―――

『――ボンジュール、みんな〜!』

その後、放送が終わり名簿を確認すると―――

「マシュ!!」

藤丸の顔は、泣き顔から一転、はじけるサンサン笑顔に変わった―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

「うう……マシュ〜〜〜〜〜いないの〜〜〜〜〜?」
仲間の一人であるマシュがいたことに歓喜した藤丸は、あれからマシュの名前を連呼して歩くが、やはり人影すら見えない。
当然、藤丸の叫びに反応なし。
それでもめげずに歩くが、足並みは重くなりつつある。

「……あそこは?」
とある博物館が見えた。
歩いて近づくと、そこには立札が置かれている。

『ボンジュ〜ル♪ここに辿り着いたキミは超ラッキーだよ!んっふっふっ♪
 なぜなら、ここの博物館には宝箱があるからね。探してみてはどうだい?
 それではボン・ボヤ〜ジュ♪』

「ふむふむ!そうなんだ!!宝箱があるんだ!!!それは手に入れなきゃ!!!!」
立札を読んだ藤丸は興奮気味に博物館に入館した―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


766 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:49:31 nbg.bySY0
〜藤丸が博物館に入館する前〜

「伯爵さま!?ディメーンのヤツ!ふざけんじゃないわよ!!ぬいーーーーー!!」
ディメーンによる放送が終わり、名簿を確認したマネーラは、愛する伯爵の名前があること(ついでに他の伯爵ズ)に怒り心頭。

「……」
(私の知り合いは一人もいない。マネーラには悪いけど、安心……」
一方キヨスは、名簿に知り合いが載ってないことに安堵する。

「そうと決まったら!アカリ!!伯爵さまとアタシは合流するわよ!!!」
「うん。約束したからね。伯爵さまと出会うのをサポートするの」

キヨス達は第一の目的を定めた。

「それじゃあ、さっそく行きましょう!!」
マネーラが先頭を歩こうとしたとき―――

「!?待って!……向こうから人影?が見える」
研究者としての勘が働いたのか、キヨスは向こうからの人影?を発見した。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「くそ!ロックのヤツ。一体どこへ行ったんだ!?」
姿を隠したロックを探そうとギャブロは周辺を探し歩いたが、気配はつかめないまま―――

『――ボンジュール、みんな〜!』
―――ディメーンの放送が流れた

「……見失ったか」
残念だが、周辺にロックはいないだろうとギャブロは判断すると、気持ちを切り替えて、放送に耳を傾けた後、名簿を確認する。

「どうやら、知り合いはいないみたいだ……」
(……となると、やはりまず対処するべきはロックだな)
名簿に知り合いがいないことを確認終えるとギャブロは改めてロックを探すことを決める。

(ロックの爆発させる能力……あれは、知らないまま行使されたら正に”必殺の一撃”となる!必ずボクが止めないと!)
ロックの持つ”キラークイーン”なる召喚爆発魔法は危険だと認識しているギャブロは、改めてロックの探索を優先するべきと判断した。

「……ん?あれは……」
キヨスが気づいたのと同時にギャブロも人影に気づいた。

(……人間とモンスターか。……用心しないとな)
先ほどのような、とんだドジはふまない―――

―――ギャブロはケツイしたのだ。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「「「……」」」
3人……正確には2対1だが、沈黙して対峙している―――

「……」
(この人間とモンスターは”信じていいのか”?)
―――ギャブロは先ほどのロックとの邂逅により、慎重になっている。

「……」
そんなギャブロの目を見たキヨスは―――
デイバッグを床に置いた。

「……!?」
「アカリ!?」
キヨスの行動にマネーラは驚き、ギャブロは身構える。

「君のその目……”人間”と何かあったんでしょ」
「!?」
キヨスの指摘にギャブロの体に稲妻が走る。
―――どうして、気づいたのだとキヨスへ目で訴える。

「私は清棲あかり。博物館で研究してるの。……主に鳥類・ほ乳類を観察するのだけど、フィールドワークをする時、気を付けることはまず生き物を刺激しないこと」

「生き物たちはそれぞれ自分のテリトリーで生活をしている。研究をするからといって彼らを無下に扱えば、必ず手痛いしっぺ返しをもらう。君の目は人と争いをして人を信頼できなくなった生き物たちがしている目……だから、代わりにはならないけど、同じ人として謝りたい。―――ごめんね」

キヨスはそう言い終わるとギャブロに頭を下げた。

「……キミは信用していい人間みたいだ。ボクの名前はギャブロ。よろしくね、……アカリ」
ギャブロはキヨスを信頼した。

マネーラは2人の分かりあえた空気に―――
「ちょっと!2人だけの空間にしないでよね!ア…アタシはマネーラよ!!フンッ!!!」
早口で自己紹介した―――

「さっそくだけど、ギャブロ君にお願いがあるの」
「なんだい?”協力”するよ」
キヨスの言葉に気前よく承諾するギャブロ―――

「あーあ。知らないわよ」
マネーラはキヨスの意図を察した。
「一体、なんだ……!?」
ギャブロは首を傾げるが、直ぐに理解する―――

キヨスが目をキラキラしながら、文房具と紙を持って―――

「ちょっと、観察させてね♪」

☆彡 ☆彡 ☆彡


767 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:50:16 nbg.bySY0
キヨスによるギャブロの記録がようやく終わると―――

歩きながら互いに自己紹介をした―――

「へぇ〜、ギャブロ君の世界も興味あるわ」
「アカリはロックと同じ世界の人間に見えるけど”キラークイーン”は出せないのか?」
「私は、そうした魔法らしきものは出せないわ。……マネーラは?」
「アタシも出せないわよ!だけど、目にすれば”なる”ことはできるわ!」

「マネーラは変身できるのか!?」
ギャブロは驚くと―――

「ふふん♪なんてったってアタシは”モノマネ師”といわれているからね」

―――ボォォン!
紫の煙から出てきたのは白いシルクハットを被った生き物。

「これが、アタシが探しているノワール伯爵さまよ♪イケメンでしょ♪」

「イケメンかはボクにはわからないけど、その能力はスゴイな」
ギャブロはマネーラの変身に素直に感心する。

―――ボォォン

「とまぁ、こんなもんよ♪」
マネーラは胸誇らしげに気分を良くする。

「すると、ロックの爆発する”キラークイーン”なる魔法は支給品か…?」
ギャブロは考察しながら首を傾げる。

「もしくは、ロックという男の人は私とは別の世界の住人の可能性もあるよ。そして、その世界の人間はみんな”キラークイーン”のようなのを出せるとか」
他の可能性をキヨスは提示する。
一つの仮説のみで決めつけるのは危険だからだ。

「でも……ギャブロ君の話を聞く限りだと、どちらにせよ、ロックという男の参加者はキケンね……!?あれは……!!」
キヨスはある建物に気づき、走り出す。

「お、おい!?」
「どうしたのよ!?」
ギャブロとマネーラも後を追う―――

「どうして、ここに……!?」
キヨスは驚愕する―――

―――そこにある建物は”かなでの森博物館”

―――キヨスの職場の博物館があったのだ。

「この建物がどうしたの?」
「……ここ、私が働いている博物館なの」

「何だって!?」

「お願い!少し、中を調べさせて!」
両手を合わせ、2人にお願いをキヨスはする。

「ボクは構わないよ」
「早く終わらせなさいよ!伯爵さまを待たせちゃうんだから!!」
2人はキヨスの願いを承諾し―――

―――3人はかなでの森博物館へ入館した。

☆彡 ☆彡 ☆彡


768 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:50:47 nbg.bySY0
「本当に、そのままの内装ね……」
(皆がいるのかとあせっちゃったけど、建物だけのようね)

どうやら、建物だけが平安京にあるようだとキヨスは理解した。

(でも……どうして”平安京”に……)
キヨスは考える。

「へぇ……博物館って保存をする建物なのか……面白いね」
(アカリの話だとここの博物館は本来、別の場所にある建物らしい。ということは、ボクの世界の建物もある可能性は高いかな……)
ギャブロも博物館を珍し気に鑑賞しながら考える。

「ねぇ!アレ宝箱じゃない!?」
マネーラの言葉に振り向き、見ると―――

―――宝箱?が置かれていた。

「本当だ。やるじゃないか」
ギャブロはマネーラを褒める。

「ありがと♪でも、アタシが見つけたから中身はアタシがもらうわよ♪」
マネーラは宝箱を開けようと近づく―――が。

「待って!マネーラ」
キヨスはマネーラの体を掴み、留まらせる。

「アカリ!?ちょっと何するのよ!!」
邪魔されたと思ったマネーラはキヨスに抗議する。

「落ち着いてマネーラ。さっき見た名簿に”ボックス”(箱)の名前が記載されていたの」

―――スチャッ!
そういうといなやキヨスは、ポケモン図鑑を取り出して箱に向ける―――

《パンドラボックス》
―――ポケモン図鑑は宝箱を解析した。

「え!?」
ポケモン図鑑の解析にマネーラは驚く。

「つまり、アレは”参加者”というわけか」
ギャブロはキヨスの行動を理解した。

「うん。下手に刺激するのは危険」
―――真剣な目と表情で伝えるキヨス。

「何よ!喜び損じゃない!!……それじゃあ、アレはほっときましょう!」
マネーラの言葉に従い、3人は別の場所へ移動を開始しようとするその時。

―――純粋な瞳をした少年が歩いてきた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


769 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:51:21 nbg.bySY0
「見ていて、おもしろいな〜」

「あっ!なんかここにありそう」
博物館を物珍し気に鑑賞していた藤丸は宝箱らしきが置いてありそうな一室に辿り着いた。
中を覗くと、そこには立札が示していた宝箱。
他にも参加者らしき人達も居るみたいだが、藤丸の目は宝箱に釘づけ。
彼は歩く。歩く。歩く。

―――スタスタスタ
―――ピタっ!!!

「これ中身は何だろう」
―――ウキウキ。ワクワク。

藤丸は 宝箱を 調べた。

「「「!!!」」」

「ば、ばか!!」
少年の突然の行動に注意するマネーラだが、時遅し―――

「え?どうしたの?」

一同のその声に反応して、首だけを後ろに向ける藤丸―――

グワッ―――

なんと 宝箱は パンドラボックスだった。

ーーー パンドラの箱 パンドラボックス ーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


770 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:52:25 nbg.bySY0
グワッ―――
パンドラボックスは待っていた。
”自分を開く”参加者を―――”瞬間”に殺そうと
そう、彼は決めてた。

それは、死に至る攻撃。

―――ひょい。

「!!!???」
なんなくと自身の噛みつき攻撃を避けられたことに驚愕するパンドラボックス。

―――そうスキル”予測回避”
そのおかげで藤丸の死への道は無事寄り道することができたのだ。

―――と言いたいところだが、予測回避は味方単体に付与するスキル。
―――ぶっちゃけ運がよかっただけ。

「わっ!?危ないなぁ〜……どきどき」
―――正に藤丸。

「!」
出鼻をくじかれたパンドラボックスは戦法を変え、ピンク色の煙を吐く!!
―――あまい息

「あ……何か眠くなっちゃた……」
煙をすうと、そう呟き藤丸は―――

「くーーーzzz」
―――すやすやと眠りについた。
その寝顔は殺し合い中であることを忘れさせるほどの可愛さ。

藤丸は ねむってしまった!

グワッ―――
寝たのを確認したパンドラボックスは今度こそ眠りこけた男の命を刈るべく―――

―――頭から丸かじりしようとするッ!!!

「あぶないっ!」
―――ビュッ!

「!?」
パシュゥゥゥゥウウウ……ポン!

間一髪―――
キヨスが投げたモンスターボールが当たり、パンドラボックスは収納されたのだ。

「今のうちに!直ぐモンスターボールから飛び出してくるから!」
「まったく……迷惑な男だわ!」
キヨスの言葉に呼応したマネーラは怒りながら夢の世界へ落ちた男を引き摺り距離を取る。

―――ドゥドゥ……ドゥドゥ……
パァァァァン!

モンスターボールから飛び出したその瞬間を―――

「バーニングブロー!!」
ギャブロによる強烈な炎の輪を纏ったアッパーをお見舞すると、パンドラボックスは宙へ打ち上がる。

「ラピッドファイア!」
(こいつ……固い!?)

箱ごときそのままブチ壊せると予想していたギャブロだが、それ以上にパンドラボックスは固く、メタルナックルを装備しているが拳を痛めた。
しかしそれでも攻撃の手をゆるまず、追撃の呪文をお見舞いする。

パンドラボックスを炎で包み込む―――

しかし、箱に焦げ付きは見られるが、大きなダメージには至らなかったようだ。

―――ガァァァン!
大きな音を立て、床に着陸するパンドラボックス。


771 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:53:31 nbg.bySY0
「アイスラッシュ!」
(氷の塊はどうだ!?)

続いて氷の塊をぶつけようと考え唱えた。
その瞬間―――

キラキラと青白い光がギャブロを覆い包むと―――

「なっ!?」
(ち……力がでないッ!?)
呪文は途切れ、全力疾走し終えた後のように体に疲労が―――

そう、パンドラボックスも”呪文”が使える。
―――マホトラ。

ギャブロのMPを吸い取り、呪文の行使を強制遮断させたのだ。

「くッ……」
(まずい!ここは一度距離を……!?)
体勢を整えようとする判断は間違いではない。
しかし―――
一歩遅かった。

グワッ―――
鋭い牙が―――
ギャブロの左腕を食い込む

―――痛恨の一撃―――

「グァァァアアアアアア!!??」
激痛に顔を歪ませるギャブロ。
顔には脂汗も吹き出る―――

「ギャブロ君!」
その一部始終を見たキヨスは叫び―――

「こ……の!離れなさいよ!」
マネーラは支給品の”まじんのかなづち”を装備して、噛みついて離れないパンドラボックス目掛けて振り払う!

強烈な一撃はパンドラボックスを弾き飛ばした。

「ぐ……すま……ねぇ。たすかっ……た」
「酷い怪我ね……邪魔だから下がってなさい!」
厳しい言い方だが、マネーラなりの優しさだろう。

「すまない……ホスラム」
後方にさがると魔法を唱える。
光がギャブロを覆い包む―――

「!?」
(回復しきれない!?……あの悪魔達、制限をかけているなッ!)
いつもなら直ぐに全回復するはずのホスラムだが、直りが遅いことに、ギャブロは主催陣営による制限に気づいた。

「いく……わよ!キィィィィィィィィ!!!!!」
マネーラは、かなづちを振り回す。

「……」
威力を知ったのかパンドラボックスも攻撃の手よりも避けることに集中する。

攻撃→避けるの攻防が続く―――

「!!!!!!」
らちが明かないと感じたのか、パンドラボックスは支給品を出した―――

―――壊砲ティシィアを。


772 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:54:22 nbg.bySY0
「なッ!?」

バシュ!バシュ!バシュ!
「キャ!?」
(直撃はキケンだわ!!)

急いで、攻撃を中断し、展示されているショーケースの裏に隠れたため、幸いにも直撃は免れたが、絶え間なく撃たれる紫炎の砲弾はパンドラボックスに近づくことが出来ない。

バシュ!バシュ!バシュ!

ガシャァァァァァン!!!
常設展示のガラスが割れ、標本が傷つく―――

「……ッ!!」
その様子を見て、キヨスは下唇を噛む―――

―――博物館は防虫に一際、対策をきちんとしている。
例えば、”カツオブシムシ”に喰われた標本はボロボロになり、最悪廃棄することになる。
”標本あっての博物館”故にこの愛する博物館での戦闘にキヨスは人一倍心を痛める。

「早く、なんとかしないと……そうだッ!!」
キヨスは一つの考えに辿り着いた。

ここは物が再現して置いてある。
ということは”あれ”もあるはず―――

―――戦闘は膠着を見せる。

「……マネーラ!ごめん!少しだけ時間を稼いで!!私に考えがあるの!!!」
ドリーム中の少年の傍にいるキヨスは打開の策を思いついたようだ。

「―ったく!しょうがないわね!!早くなんとかしなさいよ!!!」
キヨスの申し出にマネーラは承諾する。

「うん。急ぐわ」
キヨスはその場を離れた―――

バシュ!バシュ!バシュ!

「はぁ……でも、これじゃあ、近づくことはできないわね……!!そうだ」
「ギャブロ!耳を貸しなさい!!」
マネーラに近づくギャブロ。

「……わかった」
ギャブロはマネーラの作戦に乗った。

「それじゃあ……行くわよ!!」

バシュ!バシュ!バシュ!
疲れる様子も見せず、パンドラボックスがティシアを扱う中―――

―――ボォォン

マネーラとギャブロは同時に飛びだした。

「!?」
なんと、自分と同じ姿をしたのが現れ、パンドラボックスは驚き、攻撃を中断する。

「今よッ!!」
そう―――マネーラはモノマネでパンドラボックスに変化したのだ!!

「喰らいやがれぇぇぇ!ストームアッパー!!」
竜巻を纏ったブローが見事に”箱”ではなく、”中身”にクリーンヒットした!

―――ボォォン
「やるじゃない♪」
変身を解き、喜ぶマネーラ。
―――しかし。

「いや……見ろ!!!」

「……!……!!」
脆いと踏んだ中身を攻撃しても、残念ながらパンドラボックスを斃しきれていなかった。

「くそっ!仕留めきれなかったか!!」
「〜〜〜!!アカリ〜〜〜まだなの〜〜〜!!!」

「〜〜〜〜〜!!!!!!」
怒りに震えるパンドラボックス。

その怒りに呼応したのか壊砲ティシアの形状が変化する―――

あれはヤバい―――
2人は死を直感するほどの恐怖を感じる―――

キュイィィィィィン―――
―――ビームがはっ……


773 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:55:35 nbg.bySY0

「おまたせ!!」
(お願い―――上手くいって!!)
ようやく戻ってきたキヨス。

「えいッ!!」
キヨスは投げた―――
カモの投げ綱を―――

「!!??」
怒りにより2人に釘づけとなっていたタイミングだったため、投げ綱は見事に成功した。

シュゥゥゥゥン―――
間一髪、攻撃は中断し、さらに―――

「!!!???」
パンドラボックスは投げ綱から抜け出そうと試みるが、もがけばもがくほど絡まる―――

「大丈夫!?ギャブロ君!マネーラ!」
2人に駆け寄るキヨス。

「あ……ああ。あれは……?」
「あれって……?」
間一髪助かった2人は投げた正体を尋ねる。

「あれは、”投げ綱”だよ。本来は鳥のカモを捕まえるために使う道具なんだけど、成功してよかった」
そう、キヨスは自分の研究室へ戻り、いくつかフィールドワーク用の道具を取ってきたのだ。

「zzz 〜は!? あ、おはようございます」
先ほどまで眠りこけていた藤丸が目をこすりながら、さました!

「ええと……!?……それッ!!!」
(うええ、気持ち悪い……手を早く洗いたいな……)

状況を完全には把握できていないが、なんかとりあえず戦っているようなので、敵っぽい宝箱(サーヴァント)に黒獣脂を投げつけた。

パンドラボックス全体に黒獣脂がベットリと覆いかぶさった!

「おい!あれはなんだ!?」
ギャブロは目をさましたアンポンタンに黒いべとっとしたのを訊ねた。

「え?あれは黒獣脂だよ?」
(わぁ……!!ヒーローみたいでかっこいい……)
藤丸は仮面ヒーローらしき生き物に答える。

「脂!?よし!それなら!!ラピッドファイア!!!」
再び繰り出される4連撃の炎の塊。

「♪♪♪」
パンドラボックスはニヤリとする
その呪文の威力は”たかが知れてる”!
多少のダメージは仕方がないが、これで網を燃やしきれると思えば、安いものだと。

それが、パンドラボックスの誤算―――

黒獣脂はただの脂ではない。
魔術資源の素材。

異なる世界の”魔術”と絡み融合した。

パンドラボックスは紅蓮の炎に包まれる!

「!!!???」
同じ呪文とはいえ、明らかに違う威力。
投げ綱は燃え尽きたが、これでは、移動もままならない。

「〜〜〜〜〜」
苦しむパンドラボックス。
ゴロゴロと苦しむ。

「「「……」」」
「焼き芋食べたい……」
それを見つめる3人と腹が空いた1人―――

「〜〜〜〜〜」
火を消そうとゴロゴロと何度も床を擦りつけて動かすが、やがて―――

―――その動きは停止した。


774 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:56:11 nbg.bySY0

パンドラボックスを たおした!

それぞれ3456の経験値を かくとく!
789ゴールドを 手に入れた!

チャチャチャ!チャ!チャ!チャ!チャ〜ン♪

藤丸のレベルが上がった!
藤丸が両手を上げてレベルアップしたと、よくわからないことを一人でなんか喜んでいる中。

「終わったの……?」
「終わったか……」
「……うん。そうだと思う」
3人はパンドラボックスから目を離さなかった。

炎が消え、重厚で漆黒な黒色の箱は消し炭のように焦げている―――

しかし、ここで異変が起きた。

キヨスの機転の行動がミラクルを引き寄せた。

―――それは異世界ながらもモンスターマスターという職業に近い(”生き物の研究者”)のに就いているキヨス故かも知れない。

なんと パンドラボックスは おきあがり
なかまに なりたそうに こちらをみている!

「何よ!?まだやろうってんの!?」
「やるかッ!!」
マネーラとギャブロはファイティングポーズを構える。
しかし―――

「まって!」
キヨスはパンドラボックスの傍に近づく―――

「キヨス!危ないぞ!!」
ギャブロは身を案じて大きな声を上げるが―――

パンドラボックスはその舌でペロペロとキヨスの顔を舐める。
「ふふっ、くすぐったいわ」
―――キヨスはにこやかな表情でパンドラボックスの目を見つめ―――

なかまに してあげますか?

 はい
 いいえ

→はい
  いいえ

「よろしくね♪エルピス♪」

「「エルピス?」」
キヨスの命名に首を傾げるマネーラとギャブロ。

「ギリシャ語で”希望”を意味するの。災いの箱は希望の箱に生まれ変わったという意味。どう?ピッタリじゃない」
そうキヨスは微笑んだ。

「♪♪♪」
エルピスは嬉しそうだ―――

パンドラボックス(エルピス)が仲間にくわわった。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「オレ、書記やるね」
それから、キヨス達は藤丸と互いに情報交換を終え―――

「アタシは伯爵さまの下に早く合流しなきゃ!」
「ボクはロックを探すよ。アイツをそのまま野放しにしていたら危険だからね」
「オレは、マシュを探しにいかなきゃ。それとダウィンチちゃん達と通信できる方法も」

そう、それぞれ探す相手に目的がいるため2手に分かれる運びとなった。

「それじゃあ、ボクは藤丸に付いていくよ!ほっとくとあぶなっかしいから」
―――ギャブロは申し出た。

「そうね。私もその方がいいと思うわ。あかりはどう思う?」
マネーラはその申し出に賛同した。

「……」
キヨスはじっと目を瞑り、考え―――

「……うん。そのほうがいいかも」
エルピスが仲間になったのは、怪我の功名といってもいいが、藤丸君は見ていてあぶなっかしい。
それにマネーラとは約束をしている。彼女が敬愛する伯爵さまに出会わせるという。

―――キヨスも同意した。

「じゃあ、よろしくな!藤丸!!」
決まると分かるとギャブロは藤丸に手を差し出し―――

「うん、よろしくね」
ギャブロの意図に気づいた藤丸は笑顔を見せて握手する。

☆彡 ☆彡 ☆彡


775 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:57:16 nbg.bySY0
博物館を出て―――

「それじゃあ、藤丸君にギャブロ君。気を付けてね」

「ああ、キヨス達も気を付けろよ!」

―――互いに”2日目の昼”またここ(かなでの森博物館)に集合の約束をすると。

「じゃ、行こう!マネーラ、エルピス」
「ええ!」
「♪♪♪」

3人は歩きだす―――

こうして、キヨスは新たに”へんなもの”を仲間に加えた。

【E-3 /一日目/深夜】

【清棲あかり@へんなものみっけ 】
[状態]:健康
[装備]:ポケモン図鑑@ポケットモンスター モンスターボール×8 ひかりのドレス@ドラクエ7
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1 E3かねでの森博物館から持ってきたフィールドワークや解体用の道具(双眼鏡・ハイヒール(大型動物解体・調理用刃物)など)
[思考・状況]
基本方針:参加者たちの生きた証を記しこの殺し合いの出来事を風化させない
1:伯爵さまを探しつつマネーラと行動を共にする※ 南側EFGHを中心に
2:参加者の生きた証を集め、もしもの時は”託す”※作業の中心はポケモン図鑑に登録
3:ロックに注意する
4:二日目の昼にはE3のかなでの森博物館へ戻り、ギャブロ君達と合流して手にした情報を交換する
5首輪の解除方法がないか、探しつつ考える
[備考]
※参戦時期は原作1話 事故死したカモシカを博物館に持って帰ったところ
※ロックの危険性について知りました。
※マネーラ・ギャブロ・藤丸立香の世界について簡単に知りました。
※パンドラボックス(エルピス)に戦闘の指示を出すことが可能となった。

【ポケモン図鑑@ポケットモンスター】
電子式で外見はカントー図鑑。
これを受け取ったポケモントレーナーは完成させることが目的の一つとなる。
あかりに支給された図鑑はなんと、151種類コンプリートしている。
なお、メフィスとフェレスにより、当初言われていた151種類より後の新種ポケモンも登録できる。感謝しろよオーキド博士。
さらに、参加者のデータまで記録できるよう機能が拡張されている。ごめんよオーキド博士。
※現在、清棲あかり、マネーラ、ギャブロ、藤丸立香、パンドラボックスのデータが記録された。
※他にも何か機能が備わってるかもしれません。

【モンスターボール@ポケットモンスター】
ポケモンをゲットできる不思議なボール。
参加者に当てるとボールに入れることはできるが、当たり前のようにポケモンではない生物はゲットすることができず、地面に堕ちてから少し、時間が立つと(2〜3秒)真っ二つに割れて壊れてしまう。
最後に、この言葉を忘れないでほしい……・ひとのものをとったらどろぼう!

【ひかりのドレス@ドラクエ7】
金ぴかのドレス。守備力75、かっこよさ61。
しかも、『呪文反射』を有する。※1/3の確率だが。
元々、ドラクエ7の世界にいたパンドラボックスが持っていた服のため、支給品とは別で所有していた。パンドラボックス(エルピス)から譲られた。


776 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:57:48 nbg.bySY0
【マネーラ@スーパーペーパーマリオ 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:まじんのかなづち@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2 789ゴールド
[思考・状況]
基本方針:ノワール伯爵と合流して生きて帰る
1: 伯爵さまを探しつつアカリと行動を共にする※南側EFGHを中心に
2:とりあえず、あかりの夢に協力する
3:ロックには注意する
4:二日目の昼にはE3のかなでの森博物館へ戻り、ギャブロ達と合流して手にした情報を交換する
[備考]
※参戦時期は6-2ピーチ姫とバトルする前
※ロックの危険性について知りました。
※キヨス・ギャブロ・藤丸立香の世界について簡単に知りました。

【まじんのかなづち@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島】
凄いパワーを秘めた巨大なハンマー。 攻撃力120
「いや〜ん、こんな重いのマネーラ持てないわ〜!」byマネーラ

【パンドラボックス(エルピス)@ドラゴンクエスト7】
[状態]:モンスターマスター(キヨス)に懐いている 健康
[装備]:壊砲ティシア@ファンタシースターオンライン2
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2(強力な武具やアイテムです。)
[思考・状況]基本行動方針:マスターを守る
1:マスター(キヨス)と行動を共にして守る
※参戦時期は宝箱(パンドラボックス)を調べられる前
※キヨスの命名により”エルピス”と名付けられました。なお、名簿の記載に変化は起きません。
使える呪文 ザラキ マホトラ あまい息
※ザラキは参加者が”精神的に不安定” ”体力・気力が果てるような状況”などでないと効果が効きません。

【壊砲ティシア@ファンタシースターオンライン2 】
犠牲の果てに希望を見出した者がその身に宿した破滅で象った大砲。
禍々しい砲弾はどんな希望をも砕く。
形状を変化させると直線状のビームを長時間発射することができる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ほんと、素敵な仲間たちと知り合えて嬉しいな」
始め、一人でトボトボと歩いていたのが嘘かのようにうきうきルンルンとスキップしながら先頭を歩く藤丸。

「喜ぶのはいいけど、むやみにヘンテコリンな行動をとるなよ?」
念押しして藤丸を軽く諫めるギャブロ。

「わかってるよ」
ギャブロの言葉に藤丸はグッとサムズアップして元気に答える。

「おれたちの戦い(バトロワ)はここからだー!!」


777 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:58:11 nbg.bySY0

【E-3 /一日目/深夜】

【ギャブロ@大貝獣物語2】
[状態]:ダメージ(中) 疲労(中) MP消費(小) 左腕噛みつき跡
[装備]:メタルナックル@FINAL FANTASY VII
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:ロックを探す(他の参加者にはロックの危険性を伝える) 北側ABCDを中心に
2:藤丸のおもりをする
3:伯爵さまに出会ったら、E3のかなでの森博物館で合流することを伝える
4:二日目の昼にはE3のかなでの森博物館へ戻り、キヨス達と合流して手にした情報を交換する
[備考]
※参戦時期は暴走するダークを命と引き換えに止めた直後
※ロックの爆発する能力は完全には把握できておりません。
※回復魔法で回復するのに時間がいつもよりもかかることを把握しました。
※キヨス・マネーラ・藤丸の世界について簡単に知りました。
※自分の世界の建物もあるのでは推測しています。

【藤丸立香@藤丸立香はわからない】
[状態]:健康 若干の空腹 おめめスッキリ ウキウキるんるん
[装備]:極地用カルデア制服@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1 黒獣脂(まだまだあるよ)
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いの打破。特異点とかなら修正する。
1:とりあえずギャブロ君と行動を共にする。(特異点か調査)
2:マシュ〜〜〜どこ〜〜〜?
3:カルデアと通信できる方法が他にないか探す
4:お腹がすいた……ここで菜園とかできないかな?
5:二日目の昼にはE3のかなでの森博物館へ戻り、キヨス達と合流して手にした情報を交換する
[備考]
少なくともノウム・カルデアに着いた時よりも後から参戦です。
※ロックの危険性について知りました。
※キヨス・マネーラ・ギャブロの世界について簡単に知りました。
※寝ている間に誰か(ドレミー)と出会ったような記憶があります。

【極地用カルデア制服@Fate/Grand Order】
魔術礼装の一種。
極限環境での活動を想定している。
使用できるスキルとして、浄化回復、幻想強化、予測回避というものがある。

【黒獣脂@Fate/Grand Order】
魂を喰らう獣の体表から採れるドロドロとした脂。
蒸留により生成を幾度も繰り返すことで、上質の魔術資源となる。
「触りたくない素材ナンバーワンだよ!」by藤丸立香


778 : この子はエルピス ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 17:59:06 nbg.bySY0
投下終了します。
なお、予約の際、ギャブロをギャプロと入力していたこと、申し訳ありません。


779 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/29(土) 20:48:18 nbg.bySY0
プロシュート、萩原結衣、ホワイト、累の父、ドレミーで予約します。


780 : ◆DS9vBqqvHs :2021/05/29(土) 22:11:33 tJy3WGG.0
>>641の予約を延長させていただきます


781 : 名無しさん :2021/05/30(日) 11:39:39 kQS4sD/w0
>>778
乙です
読み終えてからドラクエのターンバトルを思わせる文体なのに気づきました
それ程までに自然で綺麗な流れでした
表面上、自分勝手な立香も含め連携が取れていて、その輪にエルピスが溶け込む印象が心地よかったです


782 : 名無しさん :2021/05/31(月) 07:22:32 GQ1VDT.w0
トッペイ、千、姫和、カイン予約します


783 : ◆EPyDv9DKJs :2021/05/31(月) 07:25:34 GQ1VDT.w0
トリップ忘れてました
トッペイ、千、姫和、カイン予約します


784 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:43:09 CiqB9R..0
感想有難うございます。

この子はエルピス
ドラクエのパンドラボックスとのバトルだったので、ターンバトルを意識して書きました。
なので、「自然で綺麗な流れでした」のお言葉は感無量です。
自分で動かしておきながらなんですが、あまり立香に悪感情を向かうのも可哀想なので、立香も連携に含ませました。
始め、立香やパンドラボックスの退場も考えていたのですが、仲間ルートに舵を切ってよかったです。

投下します。


785 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:44:55 CiqB9R..0
注意、この投下作品にはカニバリズム・性的言動などがあります。
それらの表現が苦手な方は読むのは控えていただく共にご承知おきください。


786 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:46:09 CiqB9R..0
因果応報ーーーーー人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということ。 現在では悪いほうに用いられることが多い。
三省堂 新明解四字熟語辞典より引用。

「……」
萩原結衣は、死んだ魚のように虚ろな目をしてトボトボと歩いている。

見知らぬ島に拉致され、訳も分からずゲームに参加させられた。
しかし、その最中に意識が落ちて、気が付けば、謎の双子による殺し合い。

混乱したままのスタート。
初めに出会えたのが益子さん。
一人称がオレだけど、背が小っちゃくて可愛い子。
なんと、薬丸自顕流という剣術ができるそうだ。
”ねね”という名前の話を聞く限りでは、絶対可愛いペットもいるみたい!
早く、こんな殺し合いなんて終わらせて、益子さんと買い物へ行こうと約束した。

そんな私たちの前に新たな参加者が現れた。

鷲鼻の男とミスティと名乗るゴスロリ衣装の女の子。

「うふふ。ねぇ、貴方達にお願いがあるのぉ♪……私の”おチンポミルク奴隷”にならないかしらぁ?」
―――それが”地獄”の始まりだった。

「……」
――死にたくなかったら走れ、そして二度と振り返るな!

逃げる途中、何度も脳に響く言葉。

ミスティ……あの人の皮を被った化け物から私を逃がすため、一人残った益子さん。

「や、やめ……おっほぉぉぉおおおお!?イ゛グゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ 」
背中越しから益子さんの声で聞こえた”ソレ”を私は耳を塞ぎ、ただひたすら遠くへ逃げた。

「―――益子さん」
あれから何度も涙を流すが、また流れる―――

後悔が結衣の心に渦巻く。

「私は……私はどうすればッ」

何度も自問する”ソレ”に答えてくれる人はいない―――

「やあ、何をそんなに悲しんでいるのかな?マドモワゼル?」

―――そして、次の”地獄”が現れた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


787 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:46:47 CiqB9R..0
―――萩原結衣が一人歩いていた頃―――

「……」
ディメーンの放送が終わると、プロシュートは名簿を確認する。

(どうやらオレ以外の暗殺チームはいないようだな……)
名簿にはチームの仲間は誰一人記されていなかった。

(まぁ、いるとしても”あれ”から仲間が死んでなければ、ここにいるのはソルベとジェラートにホルマジオ、イル―ゾォ、それとペッシぐらいだと思うが……)

そう、プロシュートは先ほど貸本屋の地下で出会った同業者の女(レオーネ)との会話で、ここにいるのはロクデナシの”死者”だけだと思っているからだ。

(しかし、一つだけ、気になるのが……この”ジョルノ”という名前……)
―――そう。仲間はいないが”耳にしたことがある名前”は記されていた。

(ブチャラティのチームに新入……”ジョルノ”が入っているそうだが、コイツはそのジョルノなのか?)
名簿には、ボスの娘を護衛していたチームに所属している新入りと同じ名前が記されている。

(どういうことだ?あの後、新入りだけ仲間の誰かに仕留められたってわけか?)
自分とペッシはブチャラティとの死闘で死んでしまったが、同じ志を持つチームの仲間は存命している。

(ありえる話だ。奴らにとって優先するべきは”ボスの娘の身の安全”であって”自分の命”ではないからだ)
そう、新入りとはいえブチャラティのような幹部のチームの一員だ。
ボスの娘を守って死んだとしてもなんら不思議ではない。

しかし、プロシュートはその答えにまだ自信を持てない―――

(しかし……何だ!?”ワザップ”とは!?ジョルノがコイツのファーストネームじゃねぇのか?くそ……きちんとしたフルネームまでは判らねぇ)
だからこそ、確信を持てない―――

(他にも”ブサイク大統領”や”(Zルートでソフィアに返り討ちにされた)軍服の男 ”とかいう明らかにふざけている偽名がある。本当にこの名簿を信じていいのか?)

(ブサイク大統領は100歩譲って渾名と思えばいいが……クソッ!何なんだ!”Zルート”とやらは!?)
―――結論を下すことができないプロシュート。

(とりあえず、今は判断できない……だが、顔さえ見れば判る。何度も写真を穴の開くほどみてきたからな……)
ここで悩んでも仕方がないと判断したプロシュートは念の為、ジョルノの名前を気に留めておくことを決めた。

(後は、レオーネが言っていた”アカメ”と”エスデス”…か)
それは、レオーネの会話に出てきた名前。
アカメは帝国のロクデナシ共を相手に、ナイトレイドなる組織で共に戦った仲間らしい。

(だが、レオーネの話だと死んだとは聞いてはいないが、まぁ、頼まれたからな……会ったらC3の貸本屋のことを伝えるか)
身内がいないとわかったが、頼まれた以上は、アカメという女に出会ったら言伝をしようと、プロシュートはケツイした。

(そして、エスデスという女は注意)
片や、エスデスはレオーネがいうには、帝国の将軍で強いうえに危険らしい。
プロシュートは注意することとする。

こうして、一通りの考えがまとめ終わると―――

―――ガァァアアン!

「何だ!?」
建物が破壊される音が聞こえた。

慎重にその場所へ向かうと―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


788 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:48:33 CiqB9R..0
―――そして場面は結衣が男と出会った所に戻る。

「だ……だれですか」
(この人……何だろう……嫌だな……)
口調こそ、自分を心配するような様子だが、先ほどのミスティのような口には出せない”気持ち悪さ”を感じる―――

「僕の名前はホワイト。可哀想に、怯えるほど、嫌なことがあったんだね」
悲しみを共に分かち合いたいような空気をだすホワイト。

「ところで……見麗しいマドモワゼルの名前を聞かせてもらってもいいかな?」
ねちっこい蛇のような目で結衣を見つめるホワイト―――

「……萩原結衣です」
怯えながらも結衣は自分の名前を伝える。

「ユイ!なんて、素敵な名だ!!……ところでユイ。一つお願いがあるんだがいいかね?」
ホワイトは、結衣に向かってニコッと顔をする―――

「な…なんですか……」

―――私の”おチンポミルク奴隷”にならないかしらぁ?
あのお願いが蘇る―――

―――お願い神様……
結衣は心の中で祈る。
目の前の男の願いが、なんてことない願いだということを―――

「なあに、彼の”餌”になってほしいんだ♪」

―――ここには”神”はいない

ホワイトの言葉が紡がれた瞬間―――

―――ガァァアアン!

建物が破壊するほどのけたたましい音を立て、男が言う”彼”が現れた―――

「あ…ああ……」
結衣の足は動かない。

蜘蛛のような頭をした怪物―――

「う゛まそう゛ダァ……食べていいの゛かァァア゛?」
その怪物は、大きな口から涎が垂れている。

「ああ、いいよ♪ユイは手駒にはなりそうもないからねぇ……骨も残さずお行儀よく食べるんだよ♪」
ホワイトは結衣を”つかえない”と判断した。
その上、先ほどの学園での戦闘においてガキンチョ共(エレンと侑)にしてやられたのが、ストレスと残った。
故に解消の意味も込めて、累の父に許可を出す―――

「わ゛がったアア゛アア!」

―――ズン。ズン。
累の父は結衣を捕食しようと一歩一歩近づく。

「ぎゃははははは♪」
恐怖で佇む結衣を見たホワイトは、腹を抱えて大笑いをしながら地面をバタバタと左右に転がる。

―――ああ。私、ここまでなんだ。

免れない死が近づいているのか、脳裏に浮かぶのはここで出会った”益子さん”そして、島で出会った参加者の1人”黒河さん”。

―――そういえば、黒河さんとは、まだきちんと話ができてなかったな……
黒河とちゃんと向き合えずにここに呼ばれた結衣は心残りがある―――

(駄目……私、まだ死ねないよ)
―――それにここで私が死ねば、あの時、益子さんに逃がせてもらったことが水の泡となるッ

(そうだ!ここで私は死ねない!!益子さんとお買い物をするって約束したんだから!!!)
カッ―――結衣は大きく目を開く。

「誰かぁぁぁぁ!!助けてくださぁぁぁぁい!!!」
―――みっともなくてもいい。
私は私ができることをするだけ―――

「ぎゃはははははは♪いやぁぁぁあ、ユイだっけ?最高だよ♪」
ホワイトはそんな結衣のケツイを嘲笑う。

「お願いします!!!!……誰かぁぁぁ!!!!!)
笑われようと結衣は叫び続ける。

―――そして。

「偉大なる死(グレイトフル・デッド)!!」
突如、現れた目玉がたくさんついている者が化け物になぐりかかり―――
―――紫スーツを着こなす男の人が結衣の前に現れた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


789 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:49:56 CiqB9R..0
「ふぅん……君は誰だい?」
結衣のケツイの行動を嘲笑っていたホワイトは、一転、真剣な顔つきで乱入者に問いかける。

「……」
男は無言を貫く―――

すると―――

「あ゛あああ゛!?」
餌を食べることができず、怒りの声を上げる累の父。

男に向かって握りこぶしで殴り掛かろうとする。
―――が。

ドシュッ!
ズドドドドド!!!!!

目玉のこれまた怪物らしき者が累の父の顔を連打する。

「ぐがああ゛あ゛ああ!」
鋭い連打が目に当たり、後ずさりする累の父。

「……」
(固いな……それにこの化け物に”効く”のか?)
男は優勢とは思わず、相手を分析している。

「やれやれ、無視とは悲しいじゃないか!!」
ホワイトが杖を構え、男に襲い掛かる。

「ひゃははははは!」
ステッキを振り回すホワイト。
男に使役されているらしい目玉の者がその猛打をガードする。

「があ゛あ゛あ゛!」
ホワイトとは別方向からストレートを繰り出す累の父。

「ちっ……」
直撃は受けられない。
男は冷や汗をながしつつも避けることに成功した。

(まずは、男を速攻で片づける!)
標的を男と狙いを定めると―――

「グレイトフル・デッド!」
男の叫びに応じて、ホワイトに目がめて殴り掛かる!
―――が。


790 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:50:10 CiqB9R..0
―――カラカラ。
歯車の音が鳴るや否や両肩をブランと下げるとマリオネットのような動きで、グレイトフル・デッドのパンチを避ける!避ける!!避ける!!!

「ウェェ!イノセントギルティ!!」
フルヒットは避けられたが、強烈な杖の打撃がプロシュートの腹に当たる。

「ぐぅ!?グレイトフル・デッド!!!」
再度、殴り掛かるが―――

―――カラカラ。

グレイトフル・デッドの連打をまたしても奇妙な動きで避けるホワイト。

「くそ!」
(戦闘は素人に見えるが、奇妙な動きが調子を狂わせる)
予想以上の痛みからか、腹に手を抑える男。

傍目から見ると、ホワイトの方が優勢かに見えたが―――

「……」
(どういうことだ?僕の体……?)
ホワイトは体の疲労感が半端ない事に気付いた。

「ねぇ……ボクの体の不調は、そのグレイトフル・デッドとやらの仕業かい?」
「……」
男は答えない。
情報は命に繋がると理解しているからだ。

「また、無視か?……ごほっ」
咳き込み、口を手で押さえるホワイト。

(まさか……!?)

―――白い手袋を脱ぐと、そこにはしわくちゃになってきている自分の手だった。
驚愕するホワイト。

「があ゛ああああ゛あ゛」
片や、累の父はホワイトのような変化が見られず、男を殴り殺そうと、幾度も殴ろうとする。

(……一旦、退くか)
怪物に効いたような様子が見られない以上、1人は”効いている”とはいえ、化け物を含めた2人同時の相手はもうもたないと判断した男は―――

「おい!、にげるぞ!!走れるか!!!」
男は、目の前のやり取りをボーっと見て、ぺたりと座り込んでいる結衣に呼びかける。

「あ、す……すみません。腰が抜けて……立てません」
逃げたくても逃げれない胸を男に伝える結衣。

「……チッ」
男は舌打ちをすると、結衣を―――

「きゃ!?」
「じっとしていろ……」
お姫様だっこしてその場を避難する。

☆彡 ☆彡 ☆彡


791 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:50:46 CiqB9R..0
なんとか逃げ切れた男と結衣は一旦、休息も兼ねて喫茶店へ入った。

カウンター席に横並びで座る男と結衣。

「あっ、あのあたし、萩原結衣って言います」
顔を男の方へ向けると、結衣は自分の名前を伝える。

「……」
男は顔を前を向いたまま―――

「えと、あたしはそのっ、危ないところを助けてもらっちゃいまして……」
「……気にするな。オマエの声が余りにも五月蠅かったから、体が出ちまっただけだ」
結衣の感謝に男はそっけなく答える。

「ハギワラ・ユイか。名前から察すると、お前はgiapponese(日本人)か?」
ようやく、男は結衣の方へ顔を向ける。

「は、はい日本人です」
男の質問に結衣は答える。

「giapponeseはラストネームが先らしいから、ユイがファーストネームか」
男は一人納得する。

「あの〜、貴方のお名前聞かせてもらってもいいですか?」
「……プロシュートだ」
結衣からの質問に男……プロシュートは答える。

「プロシュートさんは外国の人なんですね」
「ああ、イタリアの人間だ」
助けてくれた男の人の名前を知れてほっとした結衣。

「あの、私、ある島にいたんですが、気づいたらあの双子の殺し合いに参加されちゃいまして」
「……」
突然、結衣はプロシュートに語り始めた。

「そこで、出会った益子さん……あ!益子さんはとっても可愛い女の子なんですよ♪」
「……」

「しかも、益子さんは剣も強いら「……無理をするな」」
「え?」
プロシュートの言葉に結衣は口を止める。

「ユイ……お前はどうやら色々と合ったようだな。泣けるときは思いっきり泣け。ここなら邪魔は入らない」
―――そう、プロシュートは気づいた。
結衣がペラペラと喋りはじめたのは、限界に近い心を保つためだと言うことを。

「プ……プロシュートさん……ほ…本当に……ありがとうございます……ッうわわあああああ!!!!」
必死に保っていたが、プロシュートの優しさに結衣は大声を上げて涙を流す―――

「……」
プロシュートは黙って、落ち着くまで待った―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……ミルクでも飲んで、一度落ち着け」
プロシュートは喫茶店の冷蔵庫を開けると、ミルクを取り出し、コップに氷を入れると注ぎ、渡す。

―――グビッ!
結衣は勢いよく冷えたミルクを飲み干した。

「ほお、いい飲みっぷりじゃねぇか。おかわりいるか?」
プロシュートは、結衣の飲み干す姿に関心すると同時におかわりをするのか尋ねた。

「それじゃあ、私もいただきましょう」
突如、見知らぬ声。

よく見ると、結衣が座っている椅子から右一つ分開いた椅子に女が座っていた。

「!?誰だ!!」
―――オレとしたことが油断していた。

プロシュートは支給品の一つであるミネベア M60通称ニューナンブをスーツの上着裏ポケットから取り出すと構える。

「そんな、物騒な物しまってください。私は怪しい者ではありませんよ」
女は銃を前にしても動じない。

「おいおい、充分怪しいから、構えてるんだぜ?」
女の言葉にプロシュートは銃を下さない―――

「プ……プロシュートさん、まずは話だけでも聞きましょうよ〜」
結衣はプロシュートに銃を下げるよう話しかける。

「私の名前はドレミー・スイート。夢の世界の支配者です。以後お見知りおきを」

ドレミーと名乗る女はニタァ〜と口元をニヤける―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


792 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:51:57 CiqB9R..0
「ええ!?それじゃあ、ドレミーさんは”妖怪”なんですかぁ〜!?」
結衣はドレミーが妖怪であることに吃驚仰天。

「妖怪……そんなのが本当にいるのか?」
プロシュートは半信半疑の様子。

「ええ、いますよ。ほらここに」
ドレミーは自分を指さして笑う。

―――喰えない女の妖怪だ。

「それで、妖怪のアンタはどうしてオレ達の前に姿を現した?」

―――話しを聞く限り、ドレミーと名乗る妖怪は空を飛ぶことも可能らしい。今はあの双子により多少制限がかかっているらしいが。
それだとしても、別に見知らぬ参加者の前にホイホイと出る必要はない。

「いえ。私も静観しようとおもっていたのですが、ついノリで出ちゃいました」
あっけらかんと答えるドレミー。

「酔狂な女だな」
「妖怪とはそういう者ですよ。何しろ神社で宴会するのが多いですし」

それから、プロシュートとドレミーは互いの情報を交換している―――

「……」

一人蚊帳の外となった結衣はそのままの姿勢で、命の恩人をじっと観察した。

着ている紫のスーツは、よれよれしたくたびれている量産スーツではない。
むしろ拘りが見えるし、カッコイイ。
静かな佇まいも、とてもスマートに見える。
その顔は、そこそこ男前と言って良さそうだ。
そして、何より―――心が裂けかけていた私に気づいてくれた。

「ん?なんだ?じっとオレの顔を見て……?」
ドレミーとの話途中、結衣の視線に気づいたプロシュートは尋ねる。

すると、結衣はケツイしたのか口を開く―――

「あたし、プロシュートさんのこと気に入っちゃいました!だからあたしを弟分にして下さい」

「なんだと……!?」
「ほほお……」
結衣のケツイに驚愕するプロシュートと目を細めるドレミー。

「あたし、そういうのわかっちゃうんですよ。プロシュートさんは絶対良い兄貴になる人だと」
結衣は理由を話すが―――

「……駄目だ。コイツが何を言ってるのか全然わからねぇ」
結衣の言葉に理解が追いつかないプロシュート。

「どうやら、この子は貴方に懐いたようですよ?まぁ、命が危ないところを助けてくれた貴方は白馬の王子さまに見えるんでしょう」
プロシュートの悩みにドレミーは答える。

「はぁ……ともかく、おめ〜〜〜は一度氷でも抱えて頭を冷やせ」
プロシュートは冷蔵庫で新しく作った氷を結衣に手渡す。

「はぁい」
結衣は手渡された氷で顔を冷やすとデイバッグにしまう。

「それと、おめ〜〜〜も一応持っておけ」
ドレミーにも同じように氷を手渡す。

「あら、口ではそう言いながらもやっぱりお優しいですね。妖怪とはいえ”女性”の私にも”氷”を持ち物に持たせるなんて」
「……やっぱり、気づいてやがるのか」

プロシュートはドレミーの言葉で察する。
偉大なる死(グレイトフル・デッド)の能力の秘密に気づいていることを。

「……」
結衣はもう1度プロシュートの顔を見た。

命の恩人の兄貴。そして、ドレミーさんとあたし―――
益子さんを一人残した後悔は消えはしないけど、ちょっと前まで感じていた心細さは、もうどこかへ消えていた。

「ッ!伏せろ!」
そういうと、プロシュートは結衣を守ろうと胸に抱き寄せてしゃがむ。

「あ、兄貴!?」
―――ドキッと胸の音が高まった気がした。

―――出入り口が破壊される。

「あ゛あ゛あ゛ああ……」
「まったく……探したよ♪」

それは、危険な来訪者―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


793 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:53:15 CiqB9R..0
「……ったく、女の尻を追いかけまわす趣味があるとはな」
プロシュートは抱きしめていた結衣を放すと、カウンターに避難させる。

「ん?僕が興味あるのはキミだよ?」
ホワイトはプロシュートに杖を向ける。

「まさか、野郎の尻に興味があるほうかよ……」
プロシュートはやれやれといった風にホワイトを見つめる。

「ダメですよ!プロシュートさんは、アタシの兄貴なんですから」
結衣は手を腰に当てて胸をはる。

「ユイ。ちょっとだまっていろ」
諫めるプロシュート。

「はぁい……」
叱られ、シュンとする結衣。

「おや?ほんの少しの間に仲が深まったみたいだね?」
ホワイトがプロシュートと結衣のやり取りを見て笑う。
「チッ……見てぇんじゃねぇよ」
(あの鬼野郎は、グレイトフル・デッドの老化が効いているのかよくわからねぇッ!かと言って”直接触れる”のは、無謀だ!!どうする)
タイマンならまだしも、化け物を含めた2人の対処にどうするべきか、頭の回転を働かせるプロシュート。

―――ザッ!

「プロシュートさん。この鬼は私に任せて下さい」
ドレミーは、そういうと累の父の前へ立ちふさがる。

「……まかせるぞ」
プロシュートは鬼の相手をドレミーに任せると、ホワイトの方へ対峙する。

プロシュートが対峙するのを見届けると、ドレミーの視線は鬼に向かう。

「さてさて……それじゃあ、私がお相手しますよ。……”紛い者の鬼”さん」
ドレミーは、累の父の顔に先制攻撃とばかりに中ぐらいの大きさの弾幕をいくつか放つと店外へ飛び出し―――

―――累の父もそれを追いかける。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「まぁ、そんなに邪険にしないでくれよ君……お願いがあるんだ。聞いてくれないかなぁ……というか、だから”ここまで追ってきた”」
「……」
ホワイトの言葉にプロシュートは無言を貫く。

「僕の部下となってほしいんだぁ……いや!僕の部下となるのだ!」
そう言うと、ステッキを振りかざして破壊されていない喫茶店のガラスを叩きわる。

「悪いが、もうオレは”誰かの下”で働く気は毛頭ない。他を当たれ」
―――そう、たとえこの男の部下となってもボスのように体のいいように使われるだけ―――
プロシュートはホワイトからにじみ隠せない邪悪さから断るッ!!

「そう……自分の意志で従わないのなら、僕にマインドコントロールされるしかないんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

―――戦闘の火蓋が幕を上げた。

「グレイトフル・デッド!」
プロシュートの呼びかけに応じ、グレイトフル・デッドが姿を現す。

「ひゃははははは!」
再度、ホワイトの杖の猛ラッシュ。

「馬鹿の一つ覚えか?」
(ふん……時間をかければかけるほど、”老化”が進む。テメェの寿命が縮むだけだ!)
グレイトフル・デッドも負けじと猛ラッシュで防ぐ。

―――そう、プロシュートの偉大なる死(グレイトフル・デッド)は相手を老化させるスタンド!

―――パンチと杖がぶつかり合い、互いの猛攻撃が展開される。

「……」
(おかしい……奴の老化への変化が遅い?)
結衣を守る時の戦闘よりも時間がたっているはずだが、ホワイトの外見に老化の変化が見られない。

「そこぉぉ!」
「しま!?……ぐッ!?」
思考に気をやっていたのか、杖の先端がプロシュートのふとももに殴打された。

「僕に従わないクズがっ!パラリティックナップ」
杖の先端から人の顔のような精神波がプロシュートに襲いかかるッ!

「うごォっ!!!」
ドッゴオオオーン!!!
吹き飛ばされたプロシュートは木製のテーブルを破壊してそれに埋もれる。

「プロシュートさん!!」
結衣の悲痛な叫びが響き渡る。

「さわ……ぐな……!!」
額から血を流しつつもなんとか起き上がるプロシュート。

(やはり、奴の老いの変化が明らかに遅い!……まさか!)
プロシュートはホワイトの老化へのスピードが遅くなっていることに、嫌な予感をする。

「ふふふ……おや?僕の体が老化しないことに戸惑っているのかい?」
嬉しそうにステッキを円に回すホワイト。

「君のそのグレイトフル・デッドによる老化の秘密はずばり……体温だろ?」
「……」


794 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:55:00 CiqB9R..0
プロシュートはホワイトの指摘に顔色を変えない。
しかし―――

「ふふ、白を切っているようだけど、図星のはずだよ?」
「ほお……どうして、そう思う」

「簡単さ!君がそのグレイトフル・デッドなる不思議な怪物を出すたびに、僕は老化する現象に見舞われる。
しかし、累の父(彼)にはそのような変化は、見られない。
おそらく、体の構造が”人”と違うからだろう。
しかし、それだけでは説明がつかない。
あそこで君の勝利を祈っているユイも老化の変化が見られないからね!」
ホワイトは仰々しく語る。

「では、違いは何か―――”性”さ!
男の女の違いは下品に考えると色々あるが、真面目に考えると……”体温の変化”
女性は男性より体温が変化しにくいものらしい。
一説によれば女性の方が寿命が長いのは脂肪が多いから【老い】に強いらしいよ」
そこまで言い終えると、ホワイトは白スーツのズボンのポケットから取り出す―――

「そこで、僕も”氷”を民家から調達しておいたのさぁぁぁぁあ!」
―――氷を。
そう、ホワイトはプロシュートのグレイトフル・デッドの能力の秘密を見破って、対策を用意していたのだ

「これで、君の勝ちはなくなった! パラリティックナップ!!」
再び、精神波がプロシュートに襲い掛かる!

隙もなく繰り出されるパラリティックナップによりプロシュートはホワイトに近づくことが出来ない、

だが、プロシュートは焦らない。
「ふっ……近づけねぇなら、遠くから攻撃すればいいだけのことだろうが!」
プロシュートはニューナンブを取り出して―――

(余裕なのか、よくわからねぇが、一つだけ気づいたことがある。たまたまグレイトフル・デッドのパンチが杖に当たっているから届いてはいないだけで、ヤツは、なぜか”ガード”(防御)をしねぇ。
逆に言えば、守りに無頓着な証拠―――なら、氷を持っていたとしても怖くはねぇ!!
そもそも、この能力は遅かれ早かれバレるのはオレだって承知の上なんだよ!!!)

―――ダァン!

「しまッ!?」
ポケットには大量の氷が入って袋があるため、膨らんでいるから当てるのは容易だ。
氷の袋が撃ち抜かれ、バラバラに砕け散る。

「うおッ!?」
ホワイトとの体に再び老化が進行する。

「ギャアアアアア!死ね!!」
氷を砕かれたホワイトは怒り、突如、膝から崩れ落ちると、その体勢のまま、ステッキを頭上高く上げると―――

ホワイトの周囲を精神波で包み込む―――

―――デモンズジェリー

ホワイトの超必殺技。

しかし―――

「忘れたのかッ!おまえの老化は【未だ進行中】なんだぜ―――ッ!のろいぞ―――!」
プロシュートはその範囲には入っておらず―――

―――ダァン!

銃弾がホワイトのステッキを破壊する。
「なぁ!?」
―――デモンズジェリーが解除される。

―――ダァン!ダァン!

「ぐわぁぁあ!?」
銃弾はホワイトの両太ももを撃ち抜き―――

「これで、貴様は終わりだ」
プロシュートの言葉に応じ、グレイトフル・テッドが―――

「ボ…僕は貴様の老化の謎に辿り着いていたッ!!それなのに……な、なぜだぁぁぁぁぁ!!!!!」
敗北を認められない哀れな叫び―――

ボグォォォオオン
グレイトフル・デッドの左ストレートがホワイトをぶち飛ばすッ!!

ーーーKOーーー

ドサァァァ……

☆彡 ☆彡 ☆彡


795 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:56:43 CiqB9R..0
ホワイトをぶちのめすと―――

「…ふぅ、」
プロシュートは額の血と汗をハンカチでぬぐう。

「あ…兄貴ぃぃ♪やりましたね♪」
結衣はプロシュートに駆け寄ると抱きつく―――

「お、おい。離れろ!」
プロシュートがそういうが―――

「嫌です♪兄貴、とってもかっこよかったです♪」
結衣はニッコリした笑顔で答える。

「終わったようですね」
戦闘が終わったタイミングで、ドレミーはプロシュートに話しかける。

「そっちは終わったのか?」
「ええ。”すやすや”としています」
ドレミーが指さした方向に鬼が眠っている。

「止めはさしてないのか?」
「以外に皮膚が固くて……でも」
ドレミーが笑う。

「そうか……まぁいい。それよりも……」
プロシュートはドレミーの笑みから何となくだが、意図を察し、それ以上は問わなかった。
そして、視線を”アレ”に向ける―――

「……」
―――バッ!
だきついている結衣を振りほどくと歩きだす。

「きゃ!?もう、兄貴は、照れ屋さんなんだからぁ♪」
結衣はほっぺを膨らませる。

「……」
沈黙したまま仰向けに倒れたホワイト。

「……」
プロシュートはホワイトに近づく―――

一歩、また一歩と決められたコースを歩くかのごとく、迷いなく歩く。

そして、もう数歩というとこで―――

―――ガバァァァ!!!
―――突如、ホワイトが体を起こすと、持っている杖から火の弾の飛び道具が出てきた。

そう、”プーピーショット”。

ホワイトの特殊能力。
戦闘でKOされ、後がないとき、それは発動し、ヒットした相手を即死させて勝利する。
正に”ゲス野郎”にお似合いの能力。

(ふふふ……手の老化が元に戻りかけている……グレイトフル・デッドを解除したな!)
そう、気づけば、手の老化が元に戻りかけていた―――
故に、ホワイトは決めた。”プーピーショット”で仕留めると。

(この初見殺しを、今まで”逃れた者はいない”僕……の勝ちだぁぁぁぁぁ!!!!!)
勝ちを確信し、ほくそ笑む口―――

―――しかし。

「な……なんだと!!??」
驚愕するホワイト!

なんと、プロシュートはジャンプして躱したのだ。

「あ……ありえない!この”攻撃”を事前に知らなきゃ、避けられないはず!?」
目の前の結果に狼狽えるホワイト。

「あ?避けられるに決まってるだろ。老化した鈍い攻撃なんて」

プロシュートの言葉に戻ったかのような手が再び、老化を始めていた。

「グレイトフル・デッドをか……解除したんじゃないのかぁああ!?」

「オレ達、暗殺チームは全員、相手を確実に仕留めたと確信するまで、【スタンド】を決して解除したりはしねぇッ!」
―――スッ

グレイトフル・デッドが再び姿を現した。

「キサマの目にはペッシのようなダイヤモンドのように固い決意をもつ《気高さ》が見えなかった。ずっと視えるのは、濁り腐ったドブ川のようなゲス野郎の目だッ!!!」

―――ガシィィィ!!!

ホワイトの手を掴むプロシュート。

「偉大なる死(グレイトフル・デッド)!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
今までとは、比べ物にならないスピードで急激に老いるホワイト。

「【直】は素早いんだぜ、パワー全開だぁ〜〜〜〜〜」
「おおごおおおおおっ」
睫毛のペイントに口紅とメイクが流れ落ちるほど老化する―――


796 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:57:40 CiqB9R..0
「お見事ですね」
パチパチと拍手するドレミー。

「やったぁ♪」
今度こそ勝利だと由依も喜びを隠せない。

―――ドザァァァ……

「こ……ころ……す」
口をパクパクさせるホワイト。

「おい、ゲス野郎。冥土の土産に教えておいてやる。そういう言葉はオレ達の世界にはねーんだぜ…」
―――ジャギ!
プロシュートはニューナンブに弾を装填する。

「……ッ!!」
息を呑む結衣。

―――え?プロシュートさん?

「【ブッ殺す】と心の中で思ったならッ!」
そして、銃口を頭に向ける。

―――駄目!!

「その時スデに行動は終わっているんだッ!」

プロシュートは無慈悲にホワイト(ゲス野郎)の脳天へ鉛玉を―――

「――止めて下さいよ、プロシュートさんっ!」

結衣はそう言いつつ、プロシュートの体に抱きつく―――

「なッ!?」
まさかの結衣の行動に銃のトリガーを引くことができなかったプロシュート。

「おや……」
ドレミーもそれには、驚いた表情を見せる。

「ユイ!?くっ!……放せ!!まだコイツは死んじゃいねーッ!!」
プロシュートは、振りほどこうとするが、結衣は抱きつきをゆるめない―――

「いやです!もう勝負は決しました!!それに、両方の太ももを撃ち抜かれているんですから、この人もう何も悪いことできませんよ!!!だから、もう許してあげましょうよ!!!!」

「……ッ!馬鹿か!!このゲス野郎は”改心”するようなタマじゃねぇ!!!」

―――殺し合っていた相手を”許す”?
Giapponeは平和ボケした金の卵を落とすガチョウだと思っていたが―――
ここまで頭がお花畑だとは!!

―――普通に考えれば、結衣の思考の方が正常だ。
しかし、パッショーネというギャングの暗殺チームの一員だったプロシュートから言わせれば、結衣の思考は到底理解できない。

結衣とプロシュート、互いが住む世界の違いがここに現れる。

「おい!言っておくが、オレは聖人君子なんかじゃねぇ!オレは生前、ギャングの暗殺チームとして、数多くの人間をブッ殺した」
そう、プロシュートは善人ではない。

「……ッ!」

―――やっぱり……
そんな気はしていた。
助けてもらった時から、感じていた。
あの島でのゲームで出会った誰よりもプロシュートさんは”殺し”に抵抗がない人のように感じた。

―――”黒河”さんがよく口に出すブッ殺すとは全然違う。
―――平気で人を撃ち、殺しに躊躇がない危ない人。
―――私の”思い描く兄貴”ではない人だということ。

それでも―――!!

「本当は違うってわかってますけど――でも、あたしの知っているプロシュートさんに戻ってくださいよぅ!」


797 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:58:34 CiqB9R..0
萩原結衣はこの平安京で絶望した。
それは、益子さんとの出会いを一瞬に絶望に変えたミスティの存在。
一人で逃げた先に出会ったのは、鬼の化け物を洗脳したホワイト。
悪意に満ちた参加者達に私は全てを投げ捨てようとした。
でも、やっぱりそれは駄目だと思い直し、恥ずかしげもなく助けを求めた。

そのとき、助けてくれたのが兄貴……・プロシュートさん。

―――そう、あの時、私はプロシュートさんに”黄金の希望”を見出したのだ。

―――だから結衣はしがみ付く。
ここで、ほどいてしまったら二度と自分が大好きな”プロシュートさん”と接することができなくなる。
―――それだけは絶対に”嫌だ”

結衣は目に涙を浮かべる―――

「……本当にお前は、よく泣くな……」
ポツリとプロシュートは呟く。

「だって、そりゃ泣きますよぉ!プロシュートさぁぁ……ん……」
突如、ガクリと結衣の体が崩れる。

「お!?おい!」
結衣が崩れ落ち、プロシュートは焦る。

「私が眠らせました。このままじゃ、埒が明かないので」
ドレミーはそう答える。

「……そうか」

―――そう言うと、プロシュートは結衣を最初に助けたときのようにお姫様だっこをして、踵を返す。

「おや?止めをささないんですか?」
背を向けるプロシュートに問いかけるドレミー。

「ああ……その”必要”がなくなったからな」
「……ああ、”なるほど”」
プロシュートの意図に気づいたドレミーは眉毛を八の字にし、逆三角形の人を小馬鹿にした口をすると、眠っている鬼とホワイトそれぞれに”パチン”と指を鳴らすと、プロシュートの後をついていく。

☆彡 ☆彡 ☆彡


798 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:59:00 CiqB9R..0
「……ふ……ふふ」
(馬鹿がッ!ここで、トドメを指さないなんて、口ではそう言っても甘ちゃんだね……いいさ!ここは一度傷を癒すとするか……ふふふふ、ひゃははははは!)

ホワイトは嗤う。
まだ自分はやれる。
自分は死の武器商人。
サウスタウンの支配者で終わらない―――
―――そう、目指すは”世界”

「あ゛あああ゛……」
鬼はホワイトを見下ろす。

「ああ、目が覚めたんだね……ちょうどいい、ボクを休息できそうな場所まで運べ」
ホワイトはそう累の父に命令する。

―――が。

「……オレの 家族は どこだあ゛ぁァァァ……」
「なッ!?」

累の父はホワイトに出会った時の言葉を吐く。

(まさか……僕のマインドコントロールを解除されている!?)

そう、ドレミーの手により累の父は自我を取り戻した。

「腹へ゛った゛あああ゛……お゛まえ゛お゛い゛しい゛?」
口から、涎が落ちて、ホワイトの顔にかかる―――

「う……うそだ……僕は……サウスタウンの首領、ホワイトだ……ぞ」

―――逃げようとする意思はあるが、両太ももを撃ち抜かれてホワイトは動こうにも羽根を千切られた蝶のようにバタバタとじたばたするだけ。

「や……やめ……ッ!!」

―――かああああああああああ!!!!!!!!!!

「い゛だだぎま゛あ゛あ゛す」

「ぎゃああああああああああ!!!!!!!!!!!」

―――少し距離が開いた場所にいる2人と寝ている1人。

「盛大な”独唱”ですね」
コンサートの観客のように聞き入るドレミー。

「何をやったって、しくじるもんだぜ……ゲス野郎はな」
片やプロシュートはもう興味がないとばかり、歩く―――

【C-4 /一日目/深夜】

【プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:負傷(中) 疲労(中)
[装備]:ニューナンブ@ひぐらしのなく頃に 業
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:?????
1:一旦、別の休息できる場所へ向かう
2:結衣が目を覚ましたら、改めて基本方針を決める
3:ユイ・ハギワラ……兄貴……か
4:レオーネの知り合い(アカメ)を探す。あったら言伝を伝える。※C3の貸本屋のこと
5オレは死んでるのか?それとも、まだ生きているのか?
6:ワザップジョルノ……オメーは一体何者だ……
[備考]
※参戦時期はブチャラティVSペッシを見届けてる最中です。
※此処が死者、特にロクデナシの連中を集めたものだと思っていましたが、結衣の存在やドレミーとの情報交換から今は生者死者入り交えていると推測しています。
また、自分はまだ死んではいないのかとも思い始めています。
※ドレミーとの会話で幻想郷について簡単に知りました。
※ワザップジョルノが護衛チームのジョルノなのか結論を下せず、半信半疑中です。

【ニューナンブ@ひぐらしのなく頃に 業】
雛見沢の謎を追っている刑事大石に支給されている銃。
日本のお巡りさんのほとんどが、この拳銃を携帯している。
「この村のせいじゃぁぁぁ!!」by大石蔵人


799 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 19:59:30 CiqB9R..0
【荻原結衣@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:疲労(小)、後悔、睡眠中、プロシュートに黄金の希望を見出している
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3、氷
[思考・状況]
基本:益子さんのためにもまずは生き延びる(可能なら益子さんとお買い物をしたい)
1:……(プロシュートさん……)
2:益子さん、ごめんなさい……!
3:兄貴にドレミーさんと私……これが続いてほしいな
[備考]
※参戦時期はepisode Cから 小屋の地下で黒河と心が通じ合う前
※プロシュートが裏の世界の人間だと理解はしています。
※スタンドなどはまだきちんと理解できていません。(なんか、よくわからないけど凄い程度)
※ドレミーの世界(幻想郷)について簡単に知りました。
※この殺し合いが終わったら、益子薫と買い物をする約束をしています。

【ドレミー・スイート@東方project 】
[状態]:疲労(極小) 
[装備]:夢日記@ 東方project
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜5 氷
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いと言う酔夢が導く結末を見届ける
1:とりあえず、プロシュートの後をついていく(襲い掛かってきた者には対処する)
2:参加者が寝たとき、夢の世界へ介入する
3:妖怪とは気まぐれな者ですよ
[備考]
※参戦時期は東方紺珠伝ED後
※メフィスとフェレスも管理者であると気付きました(何の管理者かは、まだつかめていません)
※リリア―ナの刻を止める能力を知りました。
※夢日記より、サーヴァント達や第一部での顛末、・鬼滅の刃の鬼の体の構造・リベリオンズの首輪の解除方法、ギース・ハワードを知りました。
※プロシュートとの情報交換でプロシュートの世界について簡単に知りました。(スタンドの存在など)
※プロシュートのグレイトフル・デッドの能力を理解しています。
※累の父から基本・ランダム支給品を奪いました。

【夢日記@東方project】
ドレミーが管理する日記。
その中身は全ての夢が記録される。
何それ……こわ……
※現在、藤丸立香、累の父、萩原結衣、ホワイトの夢が記録されました。

☆彡 ☆彡 ☆彡


800 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 20:00:07 CiqB9R..0
―――客はいなくなった。
されど、ホワイトの独唱は続く―――

―――まずは四肢の骨を砕く。

―――足先、指先からじっくりと咀嚼する。

―――”肉”を一片たりとも残らず、骨ごとかみ砕く。

「あ゛!?あ゛あ゛あ゛!!??一思いに殺し……ぎゃあ゛あ゛」

何か声が聞こえるが、気にしない゛、気にしない゛―――

ホワイトは絶大な痛みにショックで気絶するが、その度に―――

「あら?ダメじゃないですか。私は優しいので意識を戻して差し上げますよ」
脳内?これは夢?あのナイトキャップを被った女が現れ、意識を戻されてからの気絶―――

気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る

―――僕は生きている?死んでいる?どっちだ?

―――”まだ生きていますよ”
―――ドレェ……
―――女は嗤う

気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る

―――ああ、僕もこうして”嗤っていた”のか。

気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る
気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る気絶戻る

正に因果応報か―――

―――ホワイトは惨たらしく平安京を去った。

ホワイトが死んでも”体”はまだ残っている―――

―――鬼は食事を止めない

―――カラン。ホワイトの首輪が地面に落ちた。

「ん゛ん゛!」
―――そうだ夢の中で言われた。
―――”ソレ”を持っておくようにと。
累の父は首輪を無くさないようにしまうと、中断していた食事を再会する。

―――そして、最後は頭丸ごと脳みそ♪。

「ごぢぞう゛さま゛ぁぁぁぁぁ」

傷もすっかり癒えた。

累の父は両手を合わせると感謝の礼をした―――

【ホワイト@リアルバウト餓狼伝説スペシャル DOMINATED MIND  死亡】


801 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 20:01:10 CiqB9R..0
【C-4 /一日目/深夜】

【累の父@鬼滅の刃】
[状態]:満腹
[装備]:ホワイトの首輪
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:家族を探して守る
1:オ゛レの家族はぁぁぁどこだぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛!!!!!
2:出会った者に家族の居場所を尋ねる※知らなければ、殺す 知っていれば、教えてもらった後、殺す
3:あの人間、うまがったあ゛あ゛あ゛
[備考]
※参戦時期は36話伊之助との戦闘中、脱皮する前
※ホワイトの精神操作はドレミーによって解かれました。
※しかし、ドレミーに何か”しこまれている”かもしれません。詳細は後続の書き手様に委ねます。
※ドレミーと夢の世界で出会いました。
※殺し合いのルールを理解できておりません。
※一般・ランダム支給品はドレミーに奪われました。空のデイバッグは捨てられています。
※夢の中での啓示により、ホワイトの首輪を所持しました。


802 : 勝利の影に ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 20:02:32 CiqB9R..0
投下終了します。

また、wikiに作品を載せて下さったり、元ネタを考察して考えてくださり、ありがとうございます。


803 : ◆s5tC4j7VZY :2021/05/31(月) 20:51:20 CiqB9R..0
ミスティ、益子薫、佐神善、エスデスで予約します。


804 : ◆vV5.jnbCYw :2021/05/31(月) 22:19:22 9AnF78JU0
2作品投下乙です。

>この子はエルピス

全く不揃いかと思いましたが、予想外なまでにいいメンバーですね!!
ドラクエの雑魚モンスターの中でも1,2を争う強モンスターの痛恨を食らっても怪我で済むギャブロ。
大貝獣2のバランスブレイカーと呼ばれただけはありますね。
そしてマーダーが強いと言われたこのロワですが、頼れる対主催が追加されましたね!!
あと藤丸君可愛いw

プロシュートとドレミー、それに結衣はいい組み合わせですね!
私はプロシュートは5部では2番目に好きなキャラ(1番はリゾット)なので、カッコいい所が見れて良かったです。
ホワイトはタイトル通り因果応報ですねww
それと細かい指摘点ですが、萩原結衣ではなく荻原(おぎはら)結衣です。

では私もナスタシア、童磨、桐生予約しますね。


805 : ◆2dNHP51a3Y :2021/06/01(火) 21:24:16 BbeJULV.0
期限が切れてしまったので自予約を破棄します


806 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/01(火) 21:29:05 cilWwZBc0
vV5.jnbCYw様
感想並びにご指摘有難うございます。

この子はエルピス
ギャブロかっこいいですよね!戦闘画面見たとき、カッコイイな!と率直に思いました。
何かこう某ライダーのカッコよさを。
マーダーや危険人物の数も多い(+ロックとの因縁)ので、ギャブロには頑張ってもらいたいですね。
藤丸君は、やらかすにしてもなるべく嫌な感じにならず、可愛く感じてもらおうと意識していたので、可愛く感じてもらえて良かったです。

勝利の影に
リゾットの暗殺チームの誇りカッコイイですよね!
今回の名簿の中で、結衣が兄貴と呼びそうなのはやはりプロシュートだろう!と組み合わせました。
ただ、流石にホワイトと累の父同時にはキツイだろうと思い、ドレミーを加えさせてみたんですが、これまた以外にいいなと私も思いました。
プロシュートのカッコよさを自分なりに書いてみたのですが、感じていただけたようで良かったです。

”ホワイト”と遅くなりましたが”しおちゃん”のファンの方にはあのような描写となりましたこと申し訳ありません。
最後に、あやややや!結衣!苗字の間違いごめんね……

結衣の苗字の間違いを指摘してくださりありがとうございます。
wikiの方で修正いたします。
今後もお気づきがありましたら遠慮なく指摘してください。
それと作品を載せてくださった方、ありがとうございました。


807 : ◆4Bl62HIpdE :2021/06/01(火) 21:29:42 Efdr9gKo0
アニ、マシュの予約を延長します


808 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/01(火) 23:19:09 x01trGLU0
投下乙です

プロシュート兄ィ、男前だぜぇ。参加者の中で結衣が兄貴と懐くのはまあこの人ですよね。真島さんは泣いていい。
しかし累の父、一部状態異常無効、高い攻撃力と相手によってはかなり厄介なマーダーですね。話が通じないから交渉も持ちかけられないし個人的ダークホースです。

投下します


809 : 正義の証明 ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/01(火) 23:19:46 x01trGLU0
「なぜ君が連れて来られている...!?」

名簿を確認した堂島は拳を握りしめる。
名簿に連ねられた名前、佐神善。
彼はかつて堂島が医者として救った少年である。

堂島にとって佐神善という少年は特別な存在だった。

最初は彼に対してもなにも感じていなかった。
退院してからも、病弱の幼馴染、糸葱(あさつき)シスカに会いに病院に通っていたのを見かけた時だって、時期に来なくなると思っていた。
けれど、彼は何度も足を運んでいた。毎週必ず、雨の日でも雪の日でも。小学生から中学生に、高校生になってもずっとお見舞いに足を運び続けた。

そんな彼に次第に興味を持った。
どうしてそこまで気を配ってやれるのか、食事でもしながら話を聞いてみたかった。
聞けば、大層な理由もなかった。『シスカに元気になってほしい』。ただそんな優しさだけで彼女のもとへ足を運んでいたと分かった時、堂島は嬉しくなった。
優しさに溢れた命を救うことが出来たんだという、医者の喜びに改めて向き合えた。
シスカに対してもそうだ。
彼女の病気は何度手術をしても治らなかった。堂島自身、先も長くないとどこか諦めていた。今でも完治する確率は低いと見立てている。
けれど、確信していた。
善の優しさがシスカの支えとなっており、ある晴れの日に彼らが手を繋いで退院してくれることを。

医者とは常に成功する業種ではない。
手術に携わる者ならば猶更だ。
同じ病気の手術をしたところで救える命と救えない命の両方のケースがある。
だから彼は割り切っていた。
如何な難病の治療を成功させても失敗させても、そういうものだと感情に栓をした。
その割り切っていたはずの感情が、再び蘇ってきた。
彼のような優しい命を救いたい。その優しさで傍の人を救ってほしい。そんな者がいれば、きっと世の中は綺麗になるんだと。
それが医者である自分の本来の願いだったのだと。

互いに友人であり互いに恩人である。
堂島にとっての佐神善はそういう人間だ。
だから彼が吸血鬼の世界に入ってきた時もどうにか関わるのをやめさせようとした。
幾度、己の正義を邪魔されても、決して死んでほしくないと何度も戦いから降りさせようとした。
彼が決して諦めないのを知った上でだ。


810 : 正義の証明 ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/01(火) 23:20:19 x01trGLU0

その彼が殺し合いに巻き込まれている。
堂島がヒーローになり救いたいと願う優しき命が、この悪魔の所業の贄にされようとしている。
きっと彼はそれでも己の身を粉にして誰かを護るために戦い続けるだろう。
救わなくては。
何者よりも優しい彼を。
帰さなくては。
シスカと共に陽の当たる道へと。


『さっきの子は殺したのに』

脳内に声が響く。いつまでもまとわりつく霧島の声が。

『彼女と佐神くんの違いはなにかしら?ただ顔見知りというだけの差で、彼は正義で彼女は悪だったのかしら』

ケラケラケラ、と堂島をせせら笑う。

『ええ、そうよね。その場その場で悪の基準を都合のいいように改ざんする。その信念を今度こそ彼の前で誇らしげに語ってみなさいな、【ヒーロー】』
「ッ...!」

霧島の声から耳を背けるように目を瞑り、改めてこれからの方針を考える。

善と自分以外に連れて来られているのは三名。ドミノ・サザーランド、日ノ元明―――日ノ元士郎。
自分たち吸血鬼(ヴァンパイア)の頂点に立つ者が二人もこの会場にいる。
非情に悩ましい種だ。この二人に正面から挑んでは勝ち目は間違いなく零なのだから。

(だが、これは考えようによっては最大の好機でもある)

自分が連れて来られる前に受けていたダメージがなくなっていたことから、彼らもまた同じ処置が施されているだろうと予測はつく。
しかし、万全状態とはいえ、あの島での決戦とは違い、盾となり矛となる主力の配下はほとんどおらず、日ノ元に至っては奴一人だけだ。
ドミノと日ノ元、始末すべきなのは間違いなく日ノ元であるため、ドミノと明、そして自分の三人で挑めば勝機を掴めるだろう。
あるいはそう考えるであろうドミノたちを、消耗したところで後ろから刺し彼女の心臓を喰らい日ノ元を討つ。

ああ、そうだ。自分の本来の計画はこの形に一番近いじゃないか。

「...ハッハッハッ」

笑う。まるで強がるように。纏わりつく声を振り払うように。
そうだ。どれだけ綺麗ごとを語っても結果が伴わなければ価値はない。
そんなものいくらでも経験させられた―――医者としても、吸血鬼としても。誰よりもわかっていることだ。


811 : 正義の証明 ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/01(火) 23:20:53 x01trGLU0

ならばもう立ち止まる暇はない。進むしかない。

いまはただ、如何な犠牲を払おうともあの巨悪を討つことだけを考える。

しかしそれでも。

『こんな虐殺をやってそれでも手にしたい願いなんて、僕は絶対に認めないぞ!!』
『だれも...ころさないで...』

彼に、【ヒーロー】にぶつけられた優しい信念が、頭の片隅から消えることはなかった。




【Dー6/一日目/深夜】


【堂島正@血と灰の女王】
[状態]:精神的な疲労(大)、まどかを斬った罪悪感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生き残り正義のヒーローになる。
0:日ノ元士郎を討つ。そのあとは...?
1:善を死なせたくはない

[備考]
※参戦時期は101話より。
※まどかを殺したと思っています。


812 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/01(火) 23:21:47 x01trGLU0
投下終了です


813 : 名無しさん :2021/06/02(水) 18:49:49 WjwVFAXY0
乙です
ここでも死んだ内なるヒーローと霧島さんに翻弄されてますね
弱さから来る邪念を持ちつつも善やまどかから見捨てられないのも説得力ある彼の苦悩と矛盾でした


814 : ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:13:34 3PH9ZTHI0
投下します。


815 : ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:14:26 3PH9ZTHI0

(おのれ……ディメーン!!ワタシだけならまだしも、伯爵さままで巻き込むとは……!!)

眼鏡の奥から怒りの光を滾らせ、ナスタシアはかつての同胞への憎しみを露わにする。
どうして死んだはずのミスターLが参戦したのか分からなかったが、その死亡報告はディメーンによるものだったので、ウソを掴まされたのだと今になって実感した。
元々、彼は自分やノワール伯爵にも隠し事をしているかのような言動を見られた。
だが、その果てにこのようなことをするとは。
すぐにでも伯爵と合流し、裏切り者を粛清して脱出せねばと意気込み走り出す。


そこへ、何度か爆発音が聞こえてきた。
何があったのかとその場所へ向かう。
もしかすると操ることが出来る相手がいるのではないかと言う期待を胸に。

しかし、古都の道を何度か曲がったナスタシアの目に入ったのは、衝撃的な光景だった。





「あの方はいないのか……しかしこれは一体どういうことだ?」
誰が参戦させられていても、自分の目的が変わることは無い。
それは間違いないが、名簿を見て、さしもの童磨も首を傾げざるを得なかった。
確かに凡そ人名を成してないような名前がそこかしこに見られたが、特に気になったのは自分の上にあった名前。

(これ……あの累君のことだよなあ?)
思い出したのは、かつて鬼殺隊の柱に殺された同じ十二鬼月のこと。
童磨は上弦の弐なのに対し、彼は下から数えた方が早い下弦の伍だったが、家族を作るという自身からしてみれば極めて奇妙なことをしていたので、記憶に残っていた。


累の父というのは、その過程で累が無理矢理家族にした鬼のことだと察しはついた。

(だとすると、奴らは鬼を生き返らせる能力もあるのか……。)
死んだ鬼を生き返らせるなど、主である鬼舞辻無惨でさえ不可能な芸当だ。
一体どのような手品を使えばそんなことが出来るのが分からないし、そもそもどうして他の十二鬼月ではなく、そのような者を生き返らせたのか分からないが、未知の技術がこの世界には張り巡らされていることは理解した。

その上にいた『沼の鬼』というのも、自分と同じ鬼にしてもらった誰かなのかもしれないが、考えても仕方がないと判断し、自分の役目を全うするべきと歩き始めた。




ナスタシアとしても予想の範疇に無かった光景が飛び込んできた。

「ドドンタス……!?」
かつて同じノワール伯爵の部下として仕えてきた者が、死んでいた。
体力だけは誰よりもあった彼がこんなことになっているのは俄かに信じがたく、動かなくなった彼を揺さぶる。
残念ながら反応は無く、そして腹部に大量の穴が空いていたことで、もう手遅れだということが嫌でも伝わる。


「こんな所で何をしているのですか!立ちなさい!!立って伯爵サマのために戦うのです!!」
無理だと半ば理解しながらも、いつものように叱咤の声をかける。
だがいつもとは違い、返事は無かった。

(そんな……)

彼女としてはドドンタスの死が悲しいわけではない。
ただ、頭脳はさておき、戦いの経験・実力共に申し分ない彼がこんなにも早く死んでいた事実に驚いただけだ。
制限を課せられたとはいえ催眠術を払われたことといい、この世界の参加者の底の知れなさを改めて感じる。
しかし彼女はすぐに気持ちを切り替え、ミドリのヒゲ男を催眠術で操った時の様に、伯爵ズの穴を埋める者の勧誘も念頭に置く。


816 : 平安とは無縁な者達 ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:15:14 3PH9ZTHI0

「その人、君の仲間だったのかい?」

声をかけられて振り向くと、得体のしれない男が立っていた。
姿こそ多少派手と言うぐらいで、別段異様という訳ではない。
強いて奇妙な点を挙げるとするなら瞳の色が極彩色だというぐらいだ。

だがおかしいのは表情。
心配しているかのような口調で語りかけているのに、このような緊迫した状況なのに、にこやかな表情を浮かべて話しかけて来る。
さしものナスタシアも、違和感を覚えた。

「やあやあ初めまして。俺の名は童磨。いい月夜だねえ。」
「ドドンタスを殺したのはアナタですか?」
挨拶も他所に、単刀直入に聞きたいことを尋ねる。

「ヤダなあ。いくら死体の近くにいたからと言って、疑われるのは心外だよ。そもそも俺がここへ来たのは今さっきのことだしね。
いくら友達が死んで動揺しているからって、他人を疑うのは良くないと思うよ。」

軽薄そうにペラペラと一般論を語る男の意図がつかめず、警戒するナスタシア。

「アナタは何を言いたいのですか?」
「別に大したことじゃないよ。ただ、君みたいな可愛い子が憂いているのが見てられなくてね。万世極楽教の教祖として、是非かわいそうな君を救ってあげないと………」

ナスタシアの眼孔が瞬き、灼色の光線が童磨を包み込む。


「うわ!何だこの感じ!!胸の中がもやもや〜ってして、何だか作り変えられていくみたい!!」
童磨は頭を抑えながらも、どこか楽しそうな表情でサイミン光線を受ける。

「その顔で二度と口を開かないでください。」
不快感を露わにするナスタシアは、光線を更に強める。



ナスタシアにとって、童磨はかつてないほど不快な存在だった。
自分を救うことが出来る相手も、自分が忠誠を誓う相手も、伯爵のみ。
だというのにこの男は平然と個人の領域に土足で踏み込み、救うだの何だのもっともらしいことをあれこれと語りだす。
こんないても鳥肌が立つだけの相手は、操り人形にしてしまうべきだと思い、更に力を強める。


「一つ教えてあげましょう。ワタシを救うなどと、伯爵さま以外は出来ないことです。
もし本当に救いたいと思うなら、ワタシの僕となって、伯爵さまにお仕えなさい。」

「凄いなあ……それが君の想いってやつ?でも誰かに付き従うことでしか自分を示せないなんて、実に哀れだねえ。」
「―――――――ッ!!!」


常に冷静に部下に指示を出す彼女らしくもなく、文字で表せない怒りの言葉を叫び、サイミンジュツを浴びせ続ける。

(消えろ!!消えろ!!消えろ!!)

こいつの不愉快極まりない笑顔と言葉を消し、不浄の魂が消えつくされるまで、心を引っ掻き回す。
既にナスタシアの怒りは頂点に達していた。

自分の力を受けてこれほど長く自我を保っている相手を見たことは無かった。
だが、今度は相手の意思が一片も残らず消え去るまで、この能力を浴びせ続ける。


しかし、童磨は体の動きを制限されながらも、扇を持つ片手を動かす。


――血鬼術 蓮葉氷

(!?)
パキパキ、と空気が凍る音が響き、童磨の腕を振ったベクトルに合わせて氷が生まれる。
距離は離れていたため、その技による被害を受けることは無い。だが、氷は低温と鋭さで相手を傷つける武器以外にも用途がある。


817 : 平安とは無縁な者達 ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:15:36 3PH9ZTHI0

「なっ!?」
光線を跳ね返されるという未知の経験に驚くナスタシア。
宝石のようにキラキラ輝く氷は、光を跳ね返す鏡の盾になる。
催眠術なので跳ね返されて自分に当たっても被害はない。
だが、一番の武器がこのようにして無効化されてしまったことは、極めて深刻な問題だ。


「あれぇ?君の技、跳ね返しちゃった。ごめんね?」
ニィィィィと笑みを浮かべ、何事もなかったかのようなアピールをする。


「でも目から光線を出して心を乱そうとするなんて、面白い技だなあ。
とりあえずその両目、潰しておくか。」
――血鬼術 凍て曇

扇から霧状の氷を散布される。
自分の攻撃のタネがバレてしまったのもあって、明らかにその出所を狙ってきている。
ならば、とナスタシアは妖弦フェイルノートに指をかけ、風を飛ばして凍てつく霧を吹き飛ばす。

「面白い武器だなあ、楽器みたいだ。」
危機は脱した、と思いきや、いつの間にか武器が無くなっていた。


「なるほど、ここを弾くことで、風を出すのか。」
玩具を手にした子供のようにナスタシアの武器を擦ったり、回したりしている。
いつの間にか武器を取ったタネは単純にして明快。
鬼特有の常人離れした運動能力から繰り出される超スピードで、一瞬のうちに武器を奪い去ったのだ。


「ほら、ここに置いておくから取りに来て。」
ご丁寧に地面に置いてから、再び扇を構えて挑発する。
催眠術が効果的じゃないと分かった以上、罠だと分かっていてもそれを取りに行くしかなかった。



――血鬼術 冬ざれ氷柱

妖弦フェイルノートを囲むかのように、空から氷柱が降り注ぐ。
「くっ……」
致命傷は負わなかったが、何本かはナスタシアに刺さった。


「次行くよー。」
何気ない口調で、殺傷力の極めて高い技が出て来る。

――血鬼術 寒烈の白姫
二つの氷の蓮華が空間に咲き始め、満開になると二人の乙女の頭部が現れる。
赤い月を背にした白銀の乙女は、見惚れてしまうほどの美しさだが、並の相手なら瞬時に凍死させてしまう恐ろしい技だ。
乙女らがフウと息を吹き、辺りを超低温にさせる。

(脚が……!?)
今まではどうにか逃げてきたが、ついに下半身が氷に拘束され、動けなくなる。

「武器からどんどん遠ざかっていくねえ。というか、もう歩けないか。」
童磨はゆっくりと近づき、金の扇を振りかざし、とどめに首を刎ねようとする。


818 : 平安とは無縁な者達 ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:16:03 3PH9ZTHI0
☆☆☆


(ボスやみんなは……いないのか。)
ディメーンからの放送を聞き、受け取った名簿を見た桐生が覚えたのは、安堵だった。
もう一度名簿を読み返す。
どこか目を止めたくなるような独特な名前はあるが、知っている名前はない。

彼の尊敬する真央なら、自分にこの殺し合いを止めるように提言するはずだ。
だが、彼女や他の幹部がいない以上は、他者の心配などをせずにやりたいようにやることが出来る。


そう思っていた所で、火薬の爆ぜる音が聞こえた。
彼にとっては懐かしい音だった。
400年以上前に、人間との戦いで嫌と言うほど聞いた、乾いた破裂音。


少し離れてはいるが、人間がいるのかと意気揚々と音の場所へ向かう。


その場所にあったのは、氷を使う男と青い肌に眼鏡の女。
明らかに男の方が有利なのと、人間の姿をしていることから、目標を男の方に定めた。


颯爽と戦場へと駆け、桐生の義手と童磨の鋭い扇がぶつかり、金属の高音を奏でる。
桐生の全身に、長らく味わったことのなかった強い反動が走った。
それだけで、目の前の男は相当な力を持っていることが十二分に伝わった。

「アナタは……」
危機を救われたナスタシアは、声をかけようとするが、全てを話しきる前に地面の氷を砕く。

「どこかへ行け。俺はこの男と戦いたい。」
青い肌をしたナスタシアを異形だと判断した桐生は、片手間に逃げるように言う。
それと共に去るナスタシア。


「わあ、凄い力だね。君は鬼狩りかい?それにしては鬼のような姿をしているけど……。」
強い力同士で拮抗しながらも、童磨はにこやかな笑みを絶やさず桐生に語り掛ける。

「そんなことを話す必要はないだろう。」
余裕か、はったりか、それとも罠か。
戦場に似つかわしくない表情で語り掛ける男を、桐生は警戒する。



――血鬼術 蓮葉氷
まだ片方の腕が自由な童磨は、その手で氷を操る。
ナスタシアの時と異なり、防御ではなく攻撃のための技だ。

すぐさま後方に飛び退くかと思いきや、思いっきり姿勢を低くし、童磨の腹を思いっ切り自由な片腕で打つ。
勢いよく飛んでいく鬼。


「ん?これはどういうことかな?」
立ち上がるも、童磨の腹には大きな穴が空いていた。
殴打の力が強すぎるからではない。
食らった部分がドロリと溶けるという、明らかにそれとは別の空き方をしている。


異能である桐生が持つ、「酸」の力だ。
拳で直に触れたことにより、その力は鬼の肌にまで存分に伝わった。

「あまり戦いに余計な口を挟むな。」
「あ、もしかして戦いにばかりかまけて言葉の交流を忘れちゃった人?いるんだよねえ。俺の親友みたいに戦っても勝ち目ないのに、戦いでしか自分を示せないからって無暗に喧嘩を売る奴等。」
「………。」

人間のような外見だが、人間離れした腕力に異形と大差ない能力。
いよいよ目の前の男の正体が分からなくなってきたが、例え異形だとしてもあまり一緒にいたい相手ではない。
それに久々に経験した互角の戦いを、中途半端に切り上げるのは忍びないので、戦いを続けることにした。


819 : 平安とは無縁な者達 ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:16:19 3PH9ZTHI0


「その不愉快な言葉を、お前の舌ごと溶かしてやろう。」
義手ではない左手から発せられるのは、強酸の霧。

「うわ〜、凄いな、全身が溶けて行くよ。こんな経験初めてだ。」
整った顔がおかしな形になりながらも、童磨は口調を崩さない。

――血鬼術 寒烈の白姫
またも現れる二対一組の乙女の息吹が、酸の霧を吹き飛ばす。
ただそれが守りの為ではなく、攻撃の為にも使ったことはすぐに分かった。

地面が白銀の膜に覆われ、凍り付くのを見ると、すぐに範囲の外まで退く。
続いて桐生は左手を高く掲げる。

童磨の頭上から、大雨が降り注ぐ。


――血鬼術 凍て曇
先程の霧と同じで、ただの水ではないと即座に判断した童磨は、すぐに辺りに絶対零度の霧を振り撒く。
酸性雨は童磨の体に染み込み溶かすことなく、凍り付いた。


「なるほど、その手が何かの力になってるのかな?」

――血鬼術 散り蓮華
今度は長い蔓を持った氷の花を飛ばす。
機械の腕を振り回し、厄介な花を1つ残らず砕く桐生。

そしてしばらくその場から動いてなかった童磨が、地面を蹴って走りだす。
予想外なまでの速さに、桐生は一瞬反応が遅れる。
しかし、強者同士の戦いは、その一瞬が命取りとなる。

「まずはその手、切り落としておくか。」
鋭利な扇は、迷うことなく桐生の生身の左腕へと走る。
その一撃は、僅かな裂傷を与えるだけに終わった。


桐生の腕の強度は人間のそれを上回っているだけが理由ではない。

「もしかして、俺の肌だけじゃなくて、武器もボロボロにすることが出来るのかな?」
「そっちの腕まで落とされちゃ叶わないからな」

酸性の霧や雨は、鬼のみではなく、その武器の鋭さも落としていたのだ。
すかさず全身をコマのように回転させ、がら空きになった敵の足元を払う。
バランスを崩して隙が出来た童磨の顔面を、マークが外れていた機械の腕で思いっ切り打ち抜く。
派手に裏拳がヒットし、吹き飛んだ鬼の、さっきまで顔があった場所には大きな空洞が出来ている。



――血鬼術 散蓮華

しかし顔を失ったまま、鬼は大量のガラスの破片のような氷を纏めて飛ばしてくる。
それに対して桐生は地面を思いっ切り殴りつけ、吹き飛ぶ瓦礫で全てを打ち落とす。


820 : 平安とは無縁な者達 ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:16:35 3PH9ZTHI0

楽しい!楽しい!!楽しい!!!
人間なのか異形なのかもわからない相手との戦いの中で感じたのは、長い間経験していない高揚感。


憎しみの中で戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して勝利して


最後に経験したのは数百年も前だが、それでもこれがあの時感じた喜びだと分かる。
数百年も生きてなお、分からないことが多かったが、これがずっと求めていた感情だということは分かる。


未知の敵と戦える嬉しさのあまり、かつてないほどのアドレナリンが溜まっていた桐生だが、ここでようやく自身の異変に気付いた。

「あー、やっぱり息切れするよね。」
その原因は激しい戦闘によるものでは無い。
かつての桐生ならこれより激しい戦闘を呼吸を乱すことなく切り抜けた。


「何をした……!!」
血の混じった言葉を吐き、治り始めた敵の顔を睨みつける。
興奮状態で忘れていたが、気が付くと胸を裂かれたような激痛が走る。


「どうやら俺の血鬼術吸ったみたいだからねえ。君にも効くようで安心したよ」
童磨の扇は、攻撃のたびに吸うと肺胞が侵される「粉氷」を散布することが出来る。
最初の時は互いに離れて戦っていたのもあったが、戦いのうちに桐生も吸ってしまっていた。


だからといって、彼にとって大した問題ではない。
肺の損傷くらいこの敵を倒した後、使い慣れていないとはいえ情報(コード)で治癒できる。
相手はいくら攻撃しても再生するが、ならば再生できなくなるまで徹底的に攻撃すればいい。

「ええ?まだやるの?」
その意思が現れた表情を、童磨も呆れ気味な顔で見据える。
だが、まだ攻撃を続けるというなら、童磨もトドメを刺そうとする。


「うおおおおおおおお!!」
雄たけびを上げ、猛然と突撃する桐生。


821 : 平安とは無縁な者達 ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:16:54 3PH9ZTHI0
――血鬼術 霧氷 水連菩薩

2人の間に割って入るかのように、菩薩を模した巨大な氷像が現れる。
桐生を包み込んでしまうほどの手が振り下ろされる。
既に酸性雨で脆くなっていた石畳が、大きく砕かれる。
それに対し、桐生も酸性雨を降らせ、敵の顔をグズグズにする。


これで触れさえすれば、相手を何度でもぐちゃぐちゃに出来る。
死闘に燃える異形と、感情の無い異形。
最低限の動作でその攻撃をかわし、菩薩の吐きかける絶対零度の吐息も、半身が凍る覚悟で突っ切る。

酸の力を纏った腕で既に幾分か融解していた扇を更に溶かし、機械の手が童磨の首に走る。

「危ない所だったなあ。」


桐生の鉄の拳は、済んでの所で届かなかった。
鬼としての無限の体力から繰り出される反射神経もあることながら、氷菩薩の吐息により、動きが制限されていた。

そして残りの菩薩の拳で、桐生をはるか遠くに殴り飛ばした。

桐生は建物の屋根で一度バウンドし、そのまま童磨が見えない所へ飛んでいく。


「あらら、どこかへ行っちゃったみたいだね。生きてるのかどうかは分からないけど、また会えたら救ってあげなきゃな。」


全快の状態ならすぐにでも追いかけて死にかけで苦しんでいるはずの相手を救おうとするのが童磨だ。
だが、何度も酸の雨や霧を受けたため、溶けた顔や体を修復したい。
こういう時は自分の分身でもある結晶の御子にさせるのだが、どういう訳かこの技だけは出来なかった。


溶けかけた建物を背にし、ゆっくりと回復に専念する。


【B-6 1日目 黎明】



【童磨@鬼滅の刃】
[状態]:全身融解(再生中)再生の多用による疲労(大)
[装備]:鉄扇×2(片方ほぼ融解)@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2 妖弦フェイルノート@Fate/Grand Order
[思考・状況]
基本方針:帰るために、力を取り戻すために人を喰らう。
1:次会った時こそ美鈴ちゃん達を喰べてあげる。
2:無惨や他の鬼@鬼滅の刃が参戦していた場合は遭遇してから考える。
3:ナスタシアや桐生のような『かわいそう』な相手を『救う』
[備考]
※参戦時期は無限城編よりも前です。
※主催により上弦の弐としての力が抑えられています。少なくとも「結晶の御子」が使えません。
※無惨の呪いの有無については後続の書き手にお任せします。


822 : 平安とは無縁な者達 ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:17:27 3PH9ZTHI0



「アナタは……」
屋根を超えて飛んで来たのは、先程自分を助けた多眼の男だった。
場所は平安京の外れであり、町と山の境目
あの不愉快極まりない男と戦ったからか、全身ボロボロになっており、ひゅうひゅうと呼吸も不安定な状態だ。
幸いなことに、自分は回復道具を支給されている。

「祝福の杖」といって振りかざすと自分や見方を回復出来るらしい。
だが、その前にすることは。



両目が光り、光線が桐生を包み込む。
「お、お前、何を……。」
口から血を零しながら桐生は抵抗するが、そんな相手にナスタシアは催眠光線を浴びせ続ける。

「何もしません。ただアナタを、伯爵さまに仕える新たな僕にするだけです。」

「やめろ……」
この時、ナスタシアは桐生の世界にいた異形という訳ではなく、助けられる対象でさえないのだと気づく。
抵抗するが、既に全身にダメージを受けていた桐生に、逆転の目度はなかった。
桐生にとっての戦いとは、自分の楽しみと復讐のためにあるのであって、誰かのためにするというなら、それはボスのためだ。
決して、伯爵さまとやらに仕えるつもりはない。


「ビ……バ……伯爵!!」
だが、そんな意思はかき消され、攻撃のために振るおうとした手は、忠誠の誓いとしてナスタシアの手を握った。


「アナタはかしこい判断をしました。まずはアナタの傷を回復してあげましょう。」

杖を何度か振り、桐生の傷は癒えていく。
既に彼の意識はなくなっていた。
これは、平穏の世界から逸脱した者達の物語。
平安の都で戦うことになれど、彼等には「平静」も「安穏」もない。


【B-5 1日目 黎明】


【ナスタシア@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:顔にかすり傷、両脚に凍傷(治療中)
[装備]:祝福の杖@ドラゴンクエスト7
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:早急に伯爵様の元へ帰還する
1:伯爵様と合流する
2:桐生はドドンタスの穴を埋める役割を担ってもらう
3:直接戦闘は必要な敵以外は避ける。
4:童磨はまた会ったら殺す
5:ディメーンは裏切り者として生かしておけない
[備考]
※参戦時期は最低でもステージ7以降
※チョーサイミンジュツに制限が課せられています
『以下チョーサイミンジュツの制約についての説明』
 洗脳可能上限は一人まで
 絶対に洗脳できるわけではなく、相手の意志力自体では洗脳を解除されるか不完全な洗脳になる
 何か道具や技があれば、跳ね返すことが出来る



【桐生@ドキュンサーガ】
[状態]:ダメージ(大)消費(中) 催眠状態
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:強い人間と出会い、戦う
1:ナスタシア、ノワール伯爵に仕える
[備考]
※参戦時期は第九話④から
※ナスタシアによって操られています


823 : 平安とは無縁な者達 ◆vV5.jnbCYw :2021/06/03(木) 00:17:38 3PH9ZTHI0
投下終了です


824 : ◆2dNHP51a3Y :2021/06/03(木) 22:43:03 2LFe25KI0
蒔岡彰、日ノ元士郎、オフィエル・ハーバードで予約します


825 : ◆DS9vBqqvHs :2021/06/03(木) 23:47:21 frBXEuGY0
投下します。


826 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/03(木) 23:54:11 frBXEuGY0
死の淵に落ちる感覚。これから数秒後に肉体から意識が抜け出す。
これをもう何度繰り返しただろう? 更に数秒後には前後の記憶が消える実感。
ようやくこの感覚とも無縁になれたはずだったのに。
あらゆる犠牲を払った百年分の苦闘は確かに成果を得た。
その成果である未来に、百年分の幸せを願ったのが罪だと言うのか?
あまりの不条理さに気が狂いそうになるが、恐らくそれもできない。
私、古手梨花は昭和58年の6月に引き戻され、また不毛な生を強要されるのだ。
視界を開くのもバカバカしくて、虚脱したままその時を待つ。

「……?」

だが、いつものあの場所……死した直後にのみ観測できる空間に辿り着けない。
またも観測者に甘んじた神、羽入の声も聞こえない。
耳を澄まして見れば……耳?
疑問と同時に目を開く。私の手がそこにあった。
認知は他の感覚をも刺激して、強い臭気に気付いた。
これは硝煙の臭いだ。流石に銃の引き金を引くのに失敗したわけではなさそうだが……。
自殺もろくにできなくなったか、と奇妙な自嘲が唇を歪めた。
このまま寝転がって誰かに殺されるのを待つのもいいか、と捨て鉢に目を閉じた。


「―――方を○人未―――法違反で―――ます!理△―――論×―――」


827 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/03(木) 23:56:17 frBXEuGY0


死の淵に落ちる感覚。これから数秒後に肉体から意識が抜け出す。
これをもう何度繰り返しただろう? 更に数秒後には前後の記憶が消える実感。
ようやくこの感覚とも無縁になれたはずだったのに。
あらゆる犠牲を払った百年分の苦闘は確かに成果を得た。
その成果である未来に、百年分の幸せを願ったのが罪だと言うのか?
あまりの不条理さに気が狂いそうになるが、恐らくそれもできない。
私、古手梨花は昭和58年の6月に引き戻され、また不毛な生を強要されるのだ。
視界を開くのもバカバカしくて、虚脱したままその時を待つ。

「……?」

だが、いつものあの場所……死した直後にのみ観測できる空間に辿り着けない。
またも観測者に甘んじた神、羽入の声も聞こえない。
耳を澄まして見れば……耳?
疑問と同時に目を開く。私の手がそこにあった。
認知は他の感覚をも刺激して、強い臭気に気付いた。
これは硝煙の臭いだ。流石に銃の引き金を引くのに失敗したわけではなさそうだが……。
自殺もろくにできなくなったか、と奇妙な自嘲が唇を歪めた。
このまま寝転がって誰かに殺されるのを待つのもいいか、と捨て鉢に目を閉じた。

「―――方を○人未―――法違反で―――ます!理△―――論×―――」

声と物音が聞こえた。かなり大きい、近い。
殺し合いをやる場所でこれだけ騒ぐ人間だ、まともではない。
私もようやくこの下らないイレギュラーから開放され―――。


828 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/03(木) 23:57:54 frBXEuGY0

「貴方は現行犯です!貴方は現行犯です!貴方は現行犯です!貴方は現行犯です!」

「ひっ」

目を開けた先にあったのは、予想外に異常な光景だった。
金髪のふざけた髪型の男が、中年の男を組み敷いて殴打している。
それだけならただの殺し合いの一幕だろうが、異常な箇所は主に金髪の男にあった。
まるで遠慮のない殴打は、金髪から繰り出されていない。
金髪の側に浮かび上がる人型の像が、無慈悲な連撃を中年に打ち続けている。
葡萄のように顔を腫れ上がらせた中年は、明らかに意識を失っていた。
ここまで容赦なく暴力を振るう存在は私もそう多くは知らない。
しかもその数名は病気や薬害など何らかの事情でそうなっていた者ばかり。
金髪の能面のような無表情からは、彼らのような狂気は感じられなかった。
それが逆に恐ろしく、私は何故か前回の最期に見た親友・北条沙都子を思い出した。
私の腹を割いたあの子もまた、錯乱や暴走ではなく何か強い意志を持っていたように今気付く。
行動のインパクトにショックを受けていたが……いや今はそれどころではない。
金髪はピタリと暴行を止め、私の方を凝視していた。

「大丈夫ですか?」

「は?」

身を固くした私にかけられた声は酷く平静だった。
金髪は全くの真顔でこちらを見ていた。
害意はないように思えるが、この状況だとそちらの方が怖い。
変に生かされて苦しみを引き伸ばされるのは御免だ。


829 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/03(木) 23:58:54 frBXEuGY0

「君はこの男に銃撃されて気を失っていたんです。恐らく被弾はしていないようですが」

「……成程、その衝撃で転んでこの木に頭をぶつけたみたいね。まったく運が悪いわ」

「運はいいでしょう。死んでいないんですから」

「死んだほうが良かったのよ。あんたも余計なことをしてくれたわ」

あえて憎まれ口を叩いて不興を誘ってみる。
だが金髪は表情を変えず、こちらをじっと見ているだけだ。
……というか、彼は……瞬きさえしていない。
人間味がないを通り越して現実味がない。妖怪じみた恐ろしさを感じ、冷や汗がにじむ。

「余計なこととは?僕は犯罪者に鉄槌を下しただけですが……」

「それ……殺したの?」

「無力化しただけです。この事態が収まるまで拘束し、刑務所にぶち込むまで監視します」

金髪は静かに語った……自分がゲーム情報サイト「ワザップ!」へ投稿された嘘の裏技に騙されたこと。
その経験から民法・刑法問わず法律を破った犯罪者を憎み、容赦なく私刑を下すようになったこと。
話を聞く限り騙される方が悪い嘘もあるだろうとしか思えないし、固有名詞も初耳のものばかりだ。
あまり真面目に聞く必要はないと判断し、会話を続ける。

「そこの男もこんな状況なら殺人を決意するのも無理はないわ。殺されてあげてもよかったのよ」

「というと?」

「私は自殺しようとしていたって事。殺し合いに乗るのも逃げ回るのもバカバカしいもの」

「それは……よくないですね」


830 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:00:24 Lh52J2Y20

予想通り、金髪は私の決意に水をさすつもりのようだ。
この異常者の言動から見るに、こちらから殴りかかったりしても半殺しにされて拘束されるだけ。
このイレギュラーな世界から脱するのは一刻も早いほうがいいのだ。
ひとまず会話を穏便に終わらせ、金髪と別れて他所で死のうと決める。

「自殺を禁じる法律なんてあったかしら。そちらの知識には疎くて……まあ、そこまでいうn」

「法律以前の問題です。このような状況で貴方の自殺体が他人の目に触れることがどういう
 結果をもたらすのか想像できませんか? 心の弱い人は連鎖して自殺を選びかねませんし
 考えの浅い暴力的な犯罪者予備軍はこれ幸いとばかりに殺し合いに参戦するでしょう。
 貴方の死は貴方にとってはただの終わりかもしれませんが、周囲の迷惑も考えてください」

「……うるさいわね! 暴力をふるっておいて正義ヅラしてるような奴が!」

まさかの正論に苛立ちがつのり、つい口答えしてしまう。
まずい、と思った瞬間には、金髪の顔は無表情のまま目だけに殺意が光っていた。

「貴女の発言は侮辱罪に相当します!覚悟の準備をしておいてください!」

「こ、来ないで!」

一瞬の躊躇もない足取りで近づいてくる金髪。
このままでは奴の足元でボコボコの葡萄と化している男と同じ末路になる。
私はせめてもの抵抗としてディパックに手を突っ込み武器を探る。
……木の棒しかない。銃は手元を離れている。


831 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:01:12 Lh52J2Y20
こうなったらヤケクソだ。少しでも金髪が加減を誤って私を殺してしまう事を期待して……。
木の棒で殴りかかるしかない!!!
勢いをつけるために抜き放った木の棒を振り回し、金髪に突進しようと足を……。


ボワンッッッッ!!!!!!!!!!



「な!?」

「これは……!?」

振り回した木の棒から光が放たれ、金髪に直撃した。
もくもくと煙が生じ、視界が完全に遮られる。
この程度の障害、あの怒りようの金髪なら悠々突破してきそうなものだが……。
困惑する声を最後に、白い視界に浮かぶ金髪のシルエットは激しい動きを見せない。
やがて煙が晴れたとき、そこには葡萄男を抱きかかえる金髪の姿があった。



〜〜〜〜♪(ジョルノが無駄無駄する時のBGM。ワザップジョルノの動画でも流れている)



見れば、金髪に抱きかかえられた男の顔からは外傷が消え失せていた。
金髪の顔もまた、自然な爽やかさを備えた精悍なものに変わっているように見える。
その全身から発散されている気品すら感じるオーラは、まさしく黄金の輝き。
自分が半殺しにしたはずの男に対する労りに満ちた所作はあまりにも崇高であった。

「……迷惑をかけてしまいましたね。もう一度お話をしませんか」

「あ、貴方はいったい……?」

「僕の名前はワザップジョルノ。ジョルノ・ジョバーナであってジョルノ・ジョバーナでない者です」


832 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:02:04 Lh52J2Y20

◯数分後。。。

「……というわけで、私は運命の袋小路に再び閉じ込められてしまったのよ」

「大変でしたね」

ワz……いやもうジョルノでいくが、ジョルノは私の荒唐無稽な話をすんなり信じてくれた。
話す気になったのもそれを察したからだが、やはり彼は全てを飲み込む器量のような物を感じさせる。
聞けば彼はギャング組織『パッショーネ』のボスであるジョルノ・ジョバーナに近しい存在らしい。
インターネット上に存在する情報が模った、生物と呼べるかも怪しいミーム存在、それがワザップジョルノ……らしい。
成り立ちこそ違うが、羽入のような超常存在といった所か。第一印象の妖怪はまさに正鵠を射ていたわけか。

「君のおかげでそんな妖怪も少しは人間に近づけたってとこですね」

「どういたしまして……?」

支給品の三本の杖には説明書が付属されており、さきほど振ったのは『封印の杖』というものとの事。
対象の一部特性を封印する効果があるらしく、ジョルノは怒りっぽい性質が封印されたようだ。
スタンドなる異能『ゴールド・エクスペリエンス』は封印されなかった辺り、万能ではなさそうね。
ひとまず冷静な会話が再開できたので、事情を説明して自殺を許可してもらおうというわけだ。

「止めはしませんが、君の話を聞く限りでは死んでもまた雛見沢に戻されるのでは?」

「あっちに戻れれば、繰り返す者を殺す事ができる剣の欠片があるのよ」

「そうなれば君の目的は達成できるでしょうが、本当に雛見沢に戻れるのでしょうか?」

「……今度はこのイレギュラーな世界に閉じ込められるって言いたいの!?冗談じゃない!」

「現に今、これまでの繰り返す世界からここに来ているわけですからね。否定はできないかと」

最悪の想定だが、ない話ではない。理不尽の連続が更に続かないと誰が断定できようか。
そうなれば繰り返しの強制終了という救いさえ奪われてしまう。
頭を抱える私に、ジョルノは励ましの言葉をかける。


833 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:02:49 Lh52J2Y20


「何度も死を繰り返す地獄……辛いでしょうが、一度は抜け出せたのでしょう?」

「百年かけてね!」

「その百年で何も学ばなかったわけじゃあないでしょう」

そんな事は言われなくてもわかっている。
僅かなイレギュラーを積み重ね、諦めないことで奇跡を起こす。
二度目の繰り返しではそれが通用せず心を折られたから死を望んでいた。
しかしこれほどのイレギュラーな世界……もう一度やるだけやってみるのもいいか……?

「やればいいんでしょ、やれば!やってやるわよ!」

「その意気です!実は繰り返す者とやらには僕も少し心当たりがありまして。
 かつて僕が倒した敵なので君とは関係ないでしょうが、君がそのループから
 逃れられたとすると奴もいつか戻ってくる可能性がある。
 その心構えができた感謝の印に、力を貸しますよ」

「それは心強いけど……そこの私を殺そうとした人はどうするの?」

「危険は危険なので拘束は解きません。起きたら説得しようとは思います」

「そ、そう……」

気絶した男を連れ回す変な髪型の男と可愛い少女。
凄まじい絵面だが、まあ贅沢も言えまい。
ジョルノが名簿を取り出して渡してくる。

「この中に知り合いの名前はありますか」

「ん……!? 沙都子!!それに、あの男……鉄平まで!」

「どういった知り合いなんです?」

「沙都子は私の親友……雛見沢症候群にかかっているからこんな所に放り込まれたら
 数時間と持たずにレベル5まで発症してしまうわ!早く探さないと……」


834 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:03:43 Lh52J2Y20

「北条鉄平という人は彼女の親族ですか?」

「沙都子を虐げる悪い叔父よ。……何をしているの?」

ジョルノが身を乗り出し、私の持つ名簿を表示している機械を操作している。
鉄平の名前の横に×を書き込んでいるようだ。
見ると、他にも三島英吾、プロシュートの横にも付けられていた。

「三島というのは君を殺そうとした彼の名前で、プロシュートは僕が元の世界で敵対していた
 暗殺チームのメンバーです。君に杖を振られる前の僕が書き込んだようですね」

「名前を聞き出してからあそこまでボコボコにしたのね……」

処刑リストになるであろう名簿を見てため息を付き、沙都子に思いを馳せる。
前回の繰り返しで私の命を奪った相手ではあるが、彼女に罪はない。
私と同じく繰り返す者となった何者か……黒幕に操られていただけなのだ。

「その黒幕ってこの沙都子ちゃんか鉄平のどちらかではないんですか?」

「は?」

「君と同じ繰り返す者が何らかの目的で君を痛めつける為に黒幕になっているなら、
 君が飛ばされたここにも一緒に来ているんじゃないのかと思いまして。直感ですが」

「そんな安易な……」

沙都子には勿論、鉄平にも私を苦しめる積極的な動機などあるはずがない。
ジョルノの邪推をたしなめ、荷物をまとめる。
とりあえず、沙都子を探して保護する。全てはそれからだ。


私はジョルノを先導し、この殺し合いの闇に歩き始めた。
後戻りはもうできない、私にはもう帰る場所など無いのだから――――――。


835 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:04:44 Lh52J2Y20


○十分後。。。


「貴女を侮辱罪と強要未遂罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?
 あなたが僕をあんな杖で心神喪失させ、連れ回そうとしたからです!
 覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。
 裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!
 貴女は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!」

「な!?」


ジョルノが突然立ち止まったかと思うと、発狂しながら私を指差してきた。
説明書にはなかったが、封印の杖には制限時間があったらしい。
するともう一度杖を振ってワザップ特性を封印しても、15分おきに繰り返しになる。
説明書にない、回数制限などもあるかもしれない。
となると……。

「ふんっ!!!」

ボワンッッッッ!!!!!

「ぬぁぁぁにぃぃぃをぉぉぉ……」

「失礼するわ……まあ、指針をくれた事には感謝するわね……」

『ボミオスの杖』。不思議な杖三本セットのうちの一つで、対象の速度を鈍化させる効果がある。
ジョルノにはできれば力になってほしかったが、ワザップジョルノはただの災害だ。
爆弾を抱えていくにはこのイレギュラーな世界は危険すぎる。

私は奇縁に絡め取られず、決別の駆け足を始める。抜け出してって、抜け出してって。
その先にあるのは眩しい光に包まれた全ての真実か、再び閉ざされたリフレインか……。


836 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:06:00 Lh52J2Y20


【F-5/一日目/深夜】

【古手梨花@ひぐらしのなく頃に 業】
[状態] 精神復調、後頭部にたんこぶ
[装備] いつもの服
[道具] 基本支給品、不思議な杖三本セット(封印の杖[4]、ボミオスの杖[4]、ふきとばしの杖[5])@ドラゴンクエスト外伝 トルネコの大冒険 不思議のダンジョン
     ランダム支給品(0〜1)
[行動方針]
基本方針:繰り返しを脱する手がかりを掴む
0:沙都子を保護する。ジョルノの推察により僅かな疑念
1:ワザップジョルノから離れる

[備考]
※参戦時期は16話で沙都子に腹を割かれている最中(完治はしています)
※ワザップジョルノ、プロシュート、三島英吾を危険人物と認識しています

【支給品解説】
[不思議な杖三本セット@ドラゴンクエスト外伝 トルネコの大冒険 不思議のダンジョン]
降ることで光弾が発射され、様々な効果を当たった相手に与える。
説明書には効果、射程が記載されているが残り回数・効果時間は載っていない。
①封印の杖
  対象の特性・特殊能力を封じる。本来は永続・あらゆる特質の完全封印だが制限されており
  効果時間5ターン(15分)、封印される特質が1つだけ・同一人物に対しては初回使用時に封印された特質に固定される。
  (ワザップジョルノに再度振っても、再び異常に怒りっぽい性質が封印されスタンドが使えなくなる事はない。)

②ボミオスの杖
  対象の速度を減衰させる。効果時間5ターン(15分)、減衰率は時間経過と共に低減していく。

③ふきとばしの杖
  対象を大きく吹き飛ばす。固定ダメージを与える。


837 : 再起 ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:06:47 Lh52J2Y20

【F-5/一日目/深夜】

【ワザップジョルノ@ワザップ!】
[状態]:ボミオス状態(残15分)、主催者への怒り(極大)、三島英吾への怒り(大)、古手梨花への怒り(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3、拳銃@現実、ライフル銃@現実(梨花の支給品)
[行動方針]
基本方針:主催者を訴え、刑務所にぶち込む
0:犯罪者を拘束し、事件解決後に訴える
[備考]
※外見はジョルノ・ジョバァーナ@ジョジョの奇妙な冒険 です。記憶も五部完結まで保持しているようです。
※ゴールド・エクスペリエンスも使えますが、矢をスタンドに刺してもレクイエム化はしないと思われます。
※CVは想像にお任せします。
※古手梨花、北条鉄平、プロシュート、三島英吾を犯罪者と認定しています。
※犯罪者の認定は完全な主観です。罪が重いほど対象に対する怒りは大きくなります。
※犯罪者対応は拘束が目的ですが、対応時に手加減はあまりしないようです。
※ワザップ状態が完全に解けてもジョルノ・ジョバーナ@ジョジョの奇妙な冒険にはならないようです。

【三島英吾@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]気絶、両手両足完全拘束、顔面に激痛(傷はGEにより完治)
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:殺し合いを止める。
0:……
[備考]
※参戦時期は死亡後


838 : ◆DS9vBqqvHs :2021/06/04(金) 00:07:45 Lh52J2Y20
投下終了です。


839 : 名無しさん :2021/06/04(金) 01:11:00 Gc2PwPJU0
初投下お疲れ様です。
なんだこれは……たまげたなあ……
こんなのと一緒に行動することになった梨花も、何も知らずにフルボッコにされた栄吾もドンマイでしかない。
余談だけど封印状態でワザップモードが切れるジョルノをみて、原作トルネコの怒っても封印すれば殴ってこなくなるロサを思い出したw


840 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/04(金) 10:17:33 JZJ2nTps0
投下乙です

童磨と桐生さんの異形異能バトル、どちらも一進一退の攻防で見ごたえがありました。
童磨殿、面白いなあ楽しいなあと言いつつ即座にウィークポイントを潰していこうとするの、ほんと合理性の塊だ。
実質単独参戦でもまだまだ暴れまわりそうです。
そして桐生さん、楽しい戦いを見つけた矢先に洗脳されてしまうとは、南無。
彼がまた満たされるときは来るのだろうか

ちょっとしたことで覚悟の準備をしておいてください!してくるワザップコワイ。
しかし封印状態にされた途端に北条家黒幕説やら確信を突いてくるジョルノになるの、ほんと腹筋に悪い。
なんやかんやで梨花ちゃまが立ち直れたのは幸運なのでしょう、頑張ってワザップから離れろ梨花ちゃま。
栄吾さんはたぶんまたいつもの癖で一言足りなかったのでしょうね。

ドミノ・サザーランド、不動明、充、しおを予約します


841 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:49:30 3UBABPCE0
投下お疲れ様です。
正義の証明
先生ッ!!
苦悩するのは有る意味”ヒーロー”ですが、先生の行動はヒーローとはいえない矛盾の塊。
今後、先生がどうなっていくのか楽しみです。

平安とは無縁な者達
桐生さん、元人間(クソムシ】相手に善戦しますが、やはりそこは上弦の鬼。童磨の桐生さんの能力の把握からの多彩な戦法に切り替えるのは流石ですね。
助けた相手に最後に洗脳されちゃった桐生さんはカワイソスですが、これもロワの醍醐味ですね。

再起
「貴方は現行犯です!貴方は現行犯です!貴方は現行犯です!貴方は現行犯です!」
↑英吾さんには悪いんですが、読んだとき、声に出して笑っちゃいました。(笑っちゃいけないんですが)
ワザップジョルノ……藤丸君系ですが、こりゃあ、関わると色々とめんどくさいですよ。
梨花ちゃん、自殺願望からは立ち直れましたが、犯罪者と認定され、どうなるのか……

感想ありがとうございます。
勝利の影に
真島さんは泣いていい。
↑確かに……ッ!!ですが、まぁ、真島さんはBルートで、結衣はCルートなので……ここでは、P(プロシュート兄貴)ルートということで真島さんには涙を呑んでもらいましょう(ごめんね真島さん)
そうなんですよね。累の父は鬼滅の鬼の特性から言って紛れもない強者だと思います。
ドレミーが仕留める案もあったんですが、結衣がプロシュートさんに殺しをさせないってことから、生かしてこのような流れとしましたが、好評でホッとしました。

投下します。


842 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:51:54 3UBABPCE0
注意 本SSは非常に性的描写に尊厳破壊描写が多いです。
登場人物の内、エスデス、佐神善、益子薫が好きな方は絶対にお読みするのは控えて下さい。


843 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:52:57 3UBABPCE0
ドSーーーーー加虐嗜好が行き過ぎていること、またはそのような言動が日常的に見られる人のこと 。
新語時事用語辞典より引用。

激闘があった。
その影響で年季の入っているであろう校舎はボロボロとなっている―――

しかし、なんとか外観を保つことができている家庭科室があった。

―――椅子に座る女性がいる。
観るものを魅了するであろう碧い長髪にグラマーといってもいいであろうポロモーション。
しかし、胸元は露わに足は大きく股を開き、軍服のスカートは上に捲られショーツが丸見えだ。


そういう格好になるように縛られているためだ。

「ふふふ、拷問が趣味だけあって、声を上げないのは感心するわぁ💗」

―――漆黒のゴスロリ服を纏った少女はそういうと、女のショーツをじっくりと眺めるためにしゃがむ。

「でも〜、いくら貴方の精神が狂人の粋に達したとしても”女”である以上は”おマンコ”は反応するのよぉ💗」
ショーツに染みが全体に広がっている。

―――クンクン。
少女は女性の染みのショーツに鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。

「あら?ションベン臭い匂いだけじゃなく、これは処女の匂い。……もしかして、大事にとってるってわけぇ〜♪」
そういうと、ゴスロリ少女はショーツの上から靴の踵で踏みつける。

―――グリグリ。
「じゃあ、いいわ。私が貴方の処女をぶち破ってあげる殿方を見繕ってあげるから♪」
少女は家庭科室の冷蔵庫を漁ると、女性の前に、何種類かの”野菜”を持ってきた。

「ど・れ・に・しましょうかぁ〜。ま、処女なら気持ちいいのを選んであげるわ♪はい、コレ」
そう言いながら少女が選んだ野菜は”ナス”だった。


844 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:53:31 3UBABPCE0
「ほら、よく見なさい。このナスが貴方が無意味に守っていた処女膜を破ってくれる殿方よぉ♪」
少女は手に取ったナスを女性にこれ見よがしに見せつける。
大きさは中長ナスといったところか。

「弱肉強食が貴方の主義なのよね?なら、これは仕方がないわ♪」
ナスがショーツの上からクリトリスを擦る。

「安心して♪自分の流儀に”酔って”自殺なんて道は選ばせない♪」
女性のアナルに埋め込まれている蟲が自殺を邪魔する。

「それじゃあ……レッツ初体験♪」
そういうと、女性のショーツをずらすと、一気にナスをおマンコにツッコむ―――

―――ブチィ!
女性の処女膜が破れる。
ツーと血が流れだしてきたのが証拠だ。

「処女喪失おめでとう〜💗これで貴方も立派な女性よ♪」
少女は女性を褒めたたえながら、ズゴズゴとナスを前後に動かす。

「ふふ、この子(ナス)太さと長さが優秀だからGスポットと子宮口(ボルチオ)を擦って気持ちいいはずよ」
処女の血と愛液がナスを淫らにコーティングする。

「そのデカ乳もたくさん”ミルク”が出るようになったわねぇ」
なすをもっていない片方の手でギュッ!と乳房を握る―――

ブッッッッッシャァァァァァ〜〜〜〜〜〜

女性はビクンと震えると、乳首から母乳を撒き散らす―――

「あはは、牛ね!まるで!!」
少女は正に愉悦といった表情で女性の破瓜と快楽に悶える顔を覗く―――

「あ、あ、あ、ああ💗」
直ぐ近くでは、男女がまぐわっている。

「あらあら?あっちは盛ってるわねぇ」

パンパンパンパン
リズミカルに腰を前後に動かす男と男の動きに合わせて女は嬌声を響き渡らせる。

「う……くっ……!!!!!?????」
ドピュ!ドピュピュピュ!!!
男の男根がはぜ―――
女の膣内にその白濁液をぶちまける―――

一滴もそれを溢さぬように女の腰を固く掴み、男根を何度も鼓動させる。

「あ💗あ💗あああああッッッッッ💗💗💗」
女も優秀な遺伝子を逃してなるものかと両足で男の腰回りを拘束して、膣をキュッと締める。

男の脳裏に言葉が浮かぶ―――

―――あんたは絶対に一人にならない。
―――いつだって私が隣にいるわ。

―――ドミノ。

―――ごめん。

☆彡 ☆彡 ☆彡


845 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:54:34 3UBABPCE0
――― 地獄が始まる前 ―――

―――ゴッ!!!
拳と拳が激しくぶつかり合うとその衝撃が波となり、荒れ果てた教室はさらに破壊される。

「うおおおおお!!!!!」
「はははははは!!!!!」

拳に意思が乗せられる。
それは、人を簡単に、趣味で傷つけられる相手への怒り。
それは、目の前の男が果たして自分を楽しませてくれるのかと見定める相手への興味。

――― 佐神善とエスデスの闘争 ―――

衝突により互いが後ずさりをしたため、2人の距離が再び開き―――

―――ズッ
バババ。

エスデスが右腕を横に薙ぎはらうと無の状況から鋭い氷片が発生して善に襲い掛かる。

善の体をいくつかの氷片が貫くが無数の氷片を拳で破壊する。

―――シュゥゥゥゥ
穿かれた体が修復される中、先ほどのエスデスの言葉を思い出す。

「あんなこと...ああ、あの男にしていたことか。なに、なんてことはない。ただの趣味だ」

「……ッ!」
―――ギリ。

この女の人はまるで”アイツ”を思い出させる。
自分がこの世界に深くかかわることとなった原因のヴァンパイア。

そのヴァンパイアは人間だった頃の鬱憤を晴らすかのように罪もない猫を虐殺していた。
そして、アイツは親友の”京介”を殺した。

人を傷つける行為を平気な顔をして趣味と言い切る、目の前の女の人は人間の姿をしているけれどアイツと同じに見える―――

「私の氷片はまだまだ出るぞ!」
(その姿に治癒能力……果たして”帝具”なのか?」
善のヴァンパイアとしての姿と治癒能力は帝具によるものかと考えながらもエスデスはさらに無数の氷片を矢のように善へ飛ばす。

「うおおおお!!!!!」
善の出す猛ラッシュが無数の氷片を一瞬に砕け散らす。

しかし―――
「無駄な行動をしているとほら、隙が生じる」

―――スッ。
エスデスは善の側に近寄ると左腕を掴み―――

「はッ!!」
凍らせると粉々にさせる。

「……くッ!」
善は右腕でエスデスの腹を狙うが―――

「ふッ」
錬成された氷壁が盾となり、防がれる。

「来い!!!」
善の呼びかけに粉々に砕かれた左腕が飛翔して元の箇所に戻ると―――

―――修復された。

「まったく、拷問しがいがある体だな。なら!」
エスデスは支給品の”はかぶさのけん”を取り出すと突く。

高速の突きの刺突を善は驚異的な反射神経で避け続ける。

「佐神善!!どうした!?お前も先ほどの”チンピラ”と同じで威勢だけか!!」
(私がこの剣を持ち慣れてないのもあるが、私の刺突を避け続ける反射神経に粉々のなってからの回復力。どうやら帝具の力によるものではなさそうだッ!)

エスデスは攻撃をしながらも佐神善の不思議な回復方法から帝具による力でないと判断する。

「はぁぁああ!」
ザンッ―――
今度は砕け散りはしないが、千切れる左腕―――

「くっ、!!」
(戻れッ!)
腕を修復しようとするが―――

ズドドド!!!
千切れた腕は3本の氷片が突き刺さり、動けない。

「お前の高速再生、損傷が激しい場合は、再生に”元の体”が必要なんだろう?」

(この人……ッ!!)
たった一回の再生で気づいた!?

エスデスは善が見せた一回の回復でその弱点を把握した。
正に天性の才能―――


846 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:54:58 3UBABPCE0
エスデスは左手を床に添えると―――

「グラオホルンル」

「!?」
善の前方斜めの床から氷の氷柱が生え、貫いてきた。
善は両腕を×の字で防ぐが、宙に浮かばされる。

教室の天井を突き破り屋上まで―――

エスデスも屋上に向かうため足元に氷柱を発生させて追いかける―――

「貫け!」
氷の柱から次の氷の柱が生える。生える。生える―――狙う。狙う。狙う。

「ぐッ……!!」
善はマントを翻し、時には盾にしながら体の直撃を避ける。

しかし、エスデスがそれをただ眺めるわけがない―――

なんと!善を狙っている氷柱を登り、上空に浮かぶとクルリと体を一回転させながら善に目掛けて踵落としをする。

屋上の地面に激突した善に向かって―――

「ハーゲルシュプルング」
更に追撃―――

巨大な人間に数十倍はある氷塊を展開させると―――

「押し潰れろ!!」
そのまま、下へ押し潰そうと落下する。

―――ここで、倒れたらこの女の人は他の参加者を襲うだろう。
止めないと。放っといていいはずがない!!!

(負けられないッ!!)
善の脳裏に浮かぶのは、”助けて”と自分に泣いて縋った金髪の女の子の顔―――

―――カチッ!
ここでエスデスを倒す!
改めて善のスイッチが入った。

「エスデス!!!」

渾身のパンチが迫りくるハーゲルシュプルングを粉々に砕け散る。

「はぁ……はぁ……」
(それにしても、強い……!!)

ヴァンパイアでないのにエスデスの強さを身に感じる善。

「ッ……!!」
休む暇ない攻撃。

エスデスのトゥーキックが顎にヒットして、転がる善。

「なぁ、佐神善。私はお前の”体”に興味がある。お前は人間なのか?」

「……」
佐神善は元は普通の人間であった。
しかし、富士山の噴火から出た火山灰に浴びた事により化け物(ヴァンパイア)となった。

「貴方に話す必要は……ないッ!」
「ふむ。まぁ、お前が人間なのかどうかは些細な事だな。ただ弱いのなら私の前に立つな」

鋭い無数の氷片が休むことなく再び善に向かって襲い掛かる。

―――スゥ

善の容姿が変化する。
善の能力は”高速再生”ではない。
”肉体変化”であり”能力の模倣”なのだ。
遺灰物(クレメイン)を食べた相手の体の構造をマネできる能力。

蝙蝠の集合体で出来た分裂体の波が氷片を全て破壊するとエスデスを襲う。

「ははは!本当にお前は私を楽しませてくれるなッ!!佐神善!!!」


847 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:55:28 3UBABPCE0
片や、エスデスも氷の氷壁でその攻撃を防ぐ。

その隙に善は蝙蝠の集合体のようなので構成された影を下の教室へ飛ばすと、置き去りにされている千切れた腕に突き刺さっている氷柱を破壊して、腕を修復させると、支給品の闇征拳アジェルノッカーを拳に装備する。

氷壁が消えると、エスデスは善に向かって歩く―――

「私に傷を負わせる程ではないな」

―――カッ、カッ

悠然と歩いているためか、ハイヒールの音が高々と鳴り響く―――

エスデスは対峙する善の瞳を覗く―――

「……」
―――善の闘争心は、まだ折れない。

ゾク!ゾク!!ゾク!!!

―――素晴らしいぞ!佐神善!!

エスデスは喜ぶ。
(帝具を使わなくてもその異形の姿はパワーもあり、尚且つ、私のデモンズエキスに食らいつく。だが何よりも素晴らしいのは全く衰えない闘争心!!!)

「ふふふ、だんだん私もオマエのことがよくわかってきたぞ?」
エスデスは愉快そうに善に向かい話す―――

「佐神善。お前は感情がよく揺らぐ。自分と違う私の力に汗を流したり、私の拷問の理由が趣味ということに怒りを隠しきれない。それなのに、ものを見るお前の目は、それに一切影響されず、常に曇らず、見逃さず、お前の思考は捨てない」

「ますます私はお前が気に入ったぞ!私の下へつけ!!佐神善!!!」

「コノ……!!!サイコ女!!!」
ドミノとは違う女王気質の女に善は怒る―――

再び、エスデスは手を置くと―――

「グラオホルンル」
再び氷柱を発生させる。

再び、善は容姿を変化させると、翼生やして宙に浮く。

「空を宙くことはできるのは、貴様だけではないぞ!」
それをみた、エスデスは今度は自身の肩や足に氷を纏わせると氷を浮かす要領で体を宙に浮かせる。

はかぶさのけんとアジェルノッカーが互いに激突する。
降下しながら互いに剣と拳がぶつかり合う―――

再び、屋上に降り立つ2人―――

「お前には理性がない」
「……何?」
善の言葉にエスデスは攻撃の手を止める。

「理性がないだと?ああ!私の思想についてか?別に理性を失ったからではなく、これは生まれ持つ性なのだッ!」
エスデスは北の辺境の部族の娘として生まれた。
子供の頃から天才的な狩猟の才があった。
しかし、同時に人としての”何か”がないと父親に心の中で評される。
父親から教わった”弱肉強食”はエスデスの思想として体に根深く染みついている。
父を含めた部族の仲間の死を悲しむこともなく”弱かったから死んだ”と感じる程。

「違う。理性っていうのは”相手の心”を理解して、違う者同士が……同じ世界を生きていく関係を守る……人間らしい心のことだ」
―――善はエスデスの瞳から目を逸らさずに言い放つ。

「お前は心の底から死にたくないと思ったことはないのか?」

「ふっ、あるわけなかろう。この世は弱肉強食だ。そんな泣き言を思う弱者は死んでしかるべき」

ビリィィィィ!!!

エスデスの体に旋律が起きる。
―――それは、明確な”死”のイメージ。

「うおおおお!!!!!」
吼える善。

―――まさか、こんなに早く使う羽目となるとは。

「私の前ではすべてが凍る」

―――摩訶鉢特摩(マカハドマ)


848 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:57:49 3UBABPCE0
善の拳はエスデスの顔面直前で止まる―――

(あと一瞬、遅かったら私の顔はグチャグチャに砕かれていたな……)

エスデスが編み出した奥義。
周囲一帯の空間の時が止まっている。

―――カツ。カツ。カツ。

「褒めてやろう佐神善。私にこれを使わせたのは貴様で3人目だ」

―――さて、どうしてやろうか。
まずは、足を両断して氷壁で回復を阻止する。
次は両腕―――右肩、左肩、腸に内蔵からの肺。

くくく……佐神善の異常な回復量なら、今まで以上の拷問が可能だ。

首を斬ると死ぬのか?それとも心臓か?楽しみだぞ佐神善ッ!!!

エスデスは持ち前の残虐性が高揚する―――

「では、それッ!!!」
止まっている善に向けてはかぶさのけんを両腕に―――

―――スカッ。

はかぶさのけんは善の体をすり抜けた―――

「なッ!?」
(残像だと!?)

「どこだ……ッ!!上か!?」

気づいた刹那―――摩訶鉢特摩が解除される。

上空から素早く善は降りると、アジェルノッカーがエスデスの腹にヒットした!!!

「がはッッッ!!!???」
口から大量の血を吐くエスデス。

ドサッ―――うつ伏せに地に伏すエスデス。
「……」
善は地に伏したエスデスを見下ろす。

「……死の危険を察すれば、必ず時を止めると思いました」
善はそう呟く―――

「私の摩訶鉢特摩をね…狙っていただと!?」
エスデスは己を見上げている善に話しかける。

「ああ……貴方が見ていたのは殺気の塊。戦いを”狩り”と愉しむ貴方の慢心をついた」
そう、佐神善は見抜いた―――

弱者を斬り、平気で棄てられる氷の精神に、技を持つエスデスなら”時”も凍らすことが出来るのではないかと。
だから、”わざと”死を察するほどの殺気の攻撃を仕掛けた―――


エスデスの誤算はただ一つ。
佐神善は”どんな相手に対しても理解を見出そうとする心”を持つ持ち主だったということだ。

故にエスデスは敗れたのだ―――

「う……」
しかし、善も満身創痍。

変身体が解けた―――

なんとか、ふんばったが連戦は不可能。

それは、エスデスは正しく強者であったという証―――

「……なぜ、威力を弱めた?」
エスデスは善に質問する。

「貴様の力で全力で殴れば私の体などグシャっとできたはずだ」
「……」

「まさか、人間は殺せません主義か?貴様は……」
「……僕は”僕に守れる命があるから守りたい”それだけです」
それが、佐神善の信念。

「……佐神善。私に勝利した褒美に一つ良い事を教えてやろう……」
「?」
エスデスはあの時の”真相”を佐神善に伝えようする。

「じつはだな…「はぁ〜い、エスデスちゃん♪に佐神善君♪素敵な戦い楽しませてもらったわぁ〜」

「「!?」」

エスデスの会話を遮る乱入者の声―――
互いに力を出し尽くした2人の前に現れたのは―――

―――益子薫とエスデス。

☆彡 ☆彡 ☆彡


849 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:58:12 3UBABPCE0
「あ……貴方達は一体……?」
(あの女の子の体はッ!?)

善は乱入者の姿に目を見開く。

1人はゴスロリ服を纏った少女。
それはいい。
それよりももう1人の状況だ―――

虚ろな目に髪や所々の衣服に精液がべっとりと栗の匂いを発し―――
さらに衣類が乱れている。
まるで婦女暴行でもあったのではと―――

「それじゃあ、任せたわよ」
「ああ、わかった💗ミスティ様」
ミスティの言葉と同時に薫は善に向かうと―――

「どっせーい💗」
薫は善を組み伏せる。

(この子……力が!?)
善は女の子の力強さに驚くと同時に解くことができない。

―――益子薫は、規格外の大きさの御刀”祢々切丸”を軽々と扱うことができるように外見に似合わずパワータイプである。
エスデスとの闘争でほぼすべての力を出し切った善は薫になすすべなく拘束される。
卓球で軽くリレーしただけでへとへととなる体力もミスティの黒針によりそれは解消されている。

”黒針”それは、ミスティが使う闇のエナジー。
それに刺されたモノは”改造”・”変化”させられてしまう。
単純だがそれ故に多様な応用が利く便利な能力――

ヒーローに憧れ刀使になる道を選ぶ、熱い信念を秘める益子薫の精神が崩壊したのはそれがため。

一方―――

「はぁ〜い、エスデスちゃん。始めまして私の名前はミスティよ」
クチュ……クチュ……

ミスティはエスデスを手マンしながら挨拶する。

「……」
エスデスはミスティをただひたすら睨む―――

「あら怖い顔。……ねぇ。エスデスちゃん、こんな格言を聞いたことはないかしらぁ?」
ミスティは口をニコッと微笑み、答える―――

「気の強い女はアナルが弱い」
ミスティはピタリと閉じているエスデスの菊の穴に遠慮なく電撃蟲を入れこむ。


850 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:59:13 3UBABPCE0
「……ッ」
流石にほぐしてもないアナルに異物を入れられたエスデスは顔を若干歪ませる―――

「ふふ……」
クイッ―――
ミスティが人差し指を曲げると―――

ビリビリビリィ!!!

「―-――ッ!!!???」

エスデスのアナルに入っている電撃蟲が牙を剥く―――
ブシャァァァァ――――

電撃の威力に尿道が耐えきれなかったのだろう―――
エスデスのショーツが尿で濡れる。

エスデスの体がビクビクと痙攣する。

「ふふふ……やっぱり、気の強い女のアナルには責めるロマンがあるわ💗」

「さぁ、電撃蟲ちゃんたち!エスデスちゃんのアナルをこじ開けるわよぉ💗」
メリィィィィ!!! メリメリィィィ!!!
ミスティの言葉に呼応すると電撃蟲はエスデスのケツ穴をこじ開けようとズボズボ電撃を放ちながら蠢く。

「―----ッ!!!???」
なんとか声を上げぬよう耐えるエスデスだが、その尻穴は無残にも拡張されてしまった。

ミスティは黒針をクルクルと指と指の間で回すとエスデスの胸に突きさす―――

すると、ムクムクムク―――軍服からでもはっきりと乳首が勃起していると判るぐらい突起した。

「もう一回アクメしなさい」
クチュッ!!!
ミスティは2本指をクイっと曲げると、エスデスのGスポットを前後に擦る。

「―----!!!???」
エスデスはアクメするが、なんと、乳首から母乳が漏れ出し、胸部分の服をビシャビシャに濡らす。

「まずは、ここまで……それじゃあ、善君と遊んでいるから、とりあえず100回はアナルでアクメしてなさい」
そういうと、ミスティは善の方へ歩き出し、エスデスはその間電撃蟲によるアナルアクメ母乳ブシャァァァを繰り返していた―――

―――ザッ。

「おまかせしたわねぇ」
ミスティは次に佐神善の傍に近寄る。

薫がミスティが来るまで、手コキをしていたため、善のチンポは否応なしに勃起している。

「この子の姿……貴方の仕業……ですか……?」
善はミスティに尋ねる。

「そんなことぉ、貴方が気にすることはないわ♪それよりも善君って童貞かしらぁ?」
ミスティは善の質問に答えない。

こういうタイプは相手の返答に怒り、思いがけない力を出すタイプだと”女の勘”で察したからだ。

「なッ!?」
ミスティの言葉に善は目を見開く―――

「図星のようね……それじゃあ、善君の”童貞おチンポ”は私がいただくわぁ💗」


851 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/04(金) 23:59:34 3UBABPCE0
「や、やめ……」

ミスティは善の同意なくそのいきり立つ男根を咥える―――

「ん!ん!!ジュル、ジュルル、ジュッポジュッポ」
ミスティは美味しそうに顔を上下に動かす。

「ピちゃ!ちゅ、美味しいわよぉ♪善君のおチンポ♪ん、ちゅ」
ミスティはわざと音を立てながら善の一物を褒める。

「や、やめろ……」
拒否したいが、エスデスとの闘争の直後でやはり、体が動かない―――

「あらぁ、口では拒否してるけど、チンポは正直よ?」
ピンと手の爪でソレの亀頭を擦る。

「それに、善君のおチンポはガマン汁がダラダラよ?おマンコがまちどうしいのねぇ」
ミスティは挿入しやすく一物を握りながら上にまたぎ―――

―――ズンッ!

パン!パン!パン!
騎乗位―――
それが佐神善の初体験―――

パン!パン!パン!
「あん、あん、あん……大きい……太いわぁ💗」
ミスティは進んで腰を上下に動かし、淫らな声を出す。

「ペロペロ、チュ💗だしなさぁい、みっともなくおチンポ暴発させてレロォォォオ💗」
制服のシャツのボタンを外すと、乳首を舐める。
善のチンポはもう我慢ができないと主張してくる。

「あ💗膨らんできたわぁ。そろそろなのね?いいわよ、出しなさい!私のおマンコに盛大に射精しなさいッ!!」
パン―――パン―――パン―――

「ほ……本当にやめてくれ」
善の懇願―――

「駄目よぉ、さ!イキなさぁい」
「あッ!?ぐぅぅ!!」
善はミスティの膣内に男の欲望をはぜてしまう―――

「くはぁぁぁああああ!!!……濃くて素敵よ💗……はい、それじゃあ、脱童貞を祝して私からプレゼント♪」
そういうと、ミスティは善の男の象徴に黒針を刺した―――

「!!!!!?????」」
黒針の力により善の陰茎は肥大化した。

「そして……」
黒針が佐神善の額に刺さると―――

―――射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい。
色欲が頭の中を駆け巡り―――

「……」
佐神善の精神は崩壊した。

「薫ちゃん、善とまぐわっていいわよ」
「えッ!?……オレはよりより電撃が」
渋る薫にミスティは―――

「言ったでしょ?名簿に載っていたエレンちゃん達をペットにしたら電撃をしてあげるって。とりあえず善君のおチンポでも味わってなさい!命令よぉ♪」
その命令に―――

「は、はいいいぃぃぃぃぃ💗」
ミスティの命令を受けた薫は巨根となった善と激しくまぐわった―――

「さて……場所をかえましょうかぁ」
捕らえられたエスデスと佐神善は連れられる―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


852 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/05(土) 00:00:22 8J5DAxWY0
――― 場面は冒頭最後に戻り ―――

「はぁ……認めるわ、エスデスちゃんの意地は」
エスデスは処女喪失の後も無様に乳から母乳を撒き散らし、幾度もなくアクメし、アナルも拡張されるだけで終わらずふたなり化まで肉体を改造された。

―――それでもエスデスはミスティが望む嬌声を口に出さない。

「今まで私が出会った雌の中でも、ここまで抵抗するのは初めてよ」
ミスティはエスデスを称賛しながら、支給品を探し―――

「だからぁ〜♪」
―――スチヤッ。

「黒針で貴方の精神を崩壊してもいいけど、もっと屈辱的な方法があるから、そっちにするわね」
ミスティは支給品の”光線銃”を構えると―――

「さよならエスデスちゃん。”おチンポミルク奴隷”は諦めるわ」
放たれた光線はエスデスを覆いつくして―――

「今日から貴方の名前は”ハイグレおチンポミルク奴隷エスデス”よ💗」
視線の先には水色のハイレグカット水着を着たエスデスが―――

「ハイグレ!ハイグレ!ああ!!私の名はハイグレおチンポミルク奴隷エスデスだ」
水着越しでも分かる、勃起しているフタなりおチンポの股間のラインに合わせて両腕をⅤの字に引きながらハイグレハイグレと連呼している。

その光線銃の名は”ハイグレ光線銃”。
その光線を受けた者は”ハイグレ人間”と変えてしまう恐るべき光線銃。

こうして帝国最強の将軍と謳われたエスデスの自我は消滅し、ミスティの下僕となった。
ミスティの調教に嬌声を出さなかったのは己の持つ矜持か―――

「そら、貴方の恋人よぉ。名前をつけてあげたらどうかしらぁ」
ミスティは生まれ変わったエスデスに褒美として恋人のナスをプレゼントする。

「ハイグレ!ハイグレ!ああミスティ様、ありがとうございます♪お前の名前はタツミだ!。お前はもう二度と手放さんからな!早速愛し合おう💗」

エスデスは自分のおマンコに恋人を挿入すると―――

「あああああ〜〜〜〜〜いっくぅぅぅぅぅぅぅ💗💗💗」

ドSはドMに生まれ変わり、幸せそうな表情でアクメする―――

【B-3 /一日目/深夜】


853 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/05(土) 00:00:40 8J5DAxWY0
【エスデス@アカメが斬る!】
[状態]:ハイグレ人間 自我消失 負傷(大) 疲労(大) 内臓損傷 乳首母乳化 アナル拡張済み ふたなり化 処女喪失 自我喪失
[装備]:はかぶさのけん@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島  中長ナス(タツミ)@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:ミスティ様の命令に従う ハイグレ!ハイグレ!
0:ハイグレ!ハイグレ!!ハイグレ!!!
1:私はハイグレおチンポミルク奴隷エスデスだ!
2:タツミ(ナス)もうお前を二度とはなさないぞ!野菜オ○ニーだ
3:タツミ(ナス)もうお前を二度とはなさないぞ!野菜オ○ニーだ
4:タツミ(ナス)もうお前を二度とはなさないぞ!野菜オ○ニーだ
5:タツミ(ナス)もうお前を二度とはなさないぞ!野菜オ○ニーだ
6:タツミ(ナス)もうお前を二度とはなさないぞ!野菜オ○ニーだ
7:タツミ(ナス)もうお前を二度とはなさないぞ!野菜オ○ニーだ
8:タツミ(ナス)もうお前を二度とはなさないぞ!野菜オ○ニーだ
9:タツミ(ナス)もうお前を二度とはなさないぞ!野菜オ○ニーだ
10:弱肉強食、敗者が語る言葉はない。甘んじて受けようではないか
[備考]
※参戦時期は漫画版死亡後より。
※ナスで処女喪失しました。
※ハイグレ光線銃によりハイグレ人間となりました。
※摩訶鉢特摩は使用したため、2日目以降でないと使用できません。
※戦闘は支障なく行えます。

【はかぶさのけん@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島 】
破壊の力が宿ったはやぶさのけん。
闘争を求めるエスデスにふさわしい支給品だったが、ミスティとの出会いにより”自身”をはかいされる結果をもたらすこととなった。
「ハイグレ!ハイグレ!」byハイグレおチンポミルク奴隷エスデス

☆彡 ☆彡 ☆彡


854 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/05(土) 00:01:12 8J5DAxWY0
「さて、次は……」
エスデスを処理したミスティは盛ってる雄と雌の方へ顔を向ける。
ドピュッッ!ドピュピュ!!!

「あ💗あっはぁぁぁぁあああああ!!??」
あれから、止まることなく、善は薫の膣内に何度も―――
何度も射精を繰り返す―――

佐神善はミスティの指示に従うザーメンタンクとなった―――

「うふふ、この善をドミノとかいう女ヴァンパイアとやらにみせつけたいわぁ♪」

【B-3 /一日目/深夜】

【佐神善@血と灰の女王】
[状態]:精神崩壊、負傷(大) 疲労(大) 脱童貞 性欲倍増 陰茎肥大化 
[装備]:闇征拳アジェルノッカー@ファンタシースターオンライン2
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:ミスティ様に従う。
0:ドミノと明を見つけたらミスティ様のペットにしてもらう。そして、ザーメンタンクとして中だしする。
1:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
2:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
3:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
4:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
5:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
6:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
7:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
8:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
9:射精したい射精したい射精したい女性のアソコに射精したい
10:この状況、何とかならないのか!?
[備考]
※参戦時期は燦然党決戦前。
※初めての相手はミスティで脱童貞しました。
※精神崩壊によりミスティのザーメンタンクとなりましたが、闘う闘志は失ってはいません。
※戦闘することはできます。
※名簿によりドミノ達がいることを知りました。

【闇征拳アジェルノッカー@ファンタシースターオンライン2 】
自らの全てを引き換えにしても宇宙を守る決意が込められた鋼拳。
繰り返す苦境に立ち向かい続ける。
それは、善の戦う理由を体現したかのように似合っている武器であろう。

【益子薫@刀使ノ巫女】
[状態]:精神崩壊、性感倍増、白濁液塗れ、衣服の乱れ、ノーパン ふたなり化
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:ミスティ様に従う
1:沙耶香とエレン達を見つけたら自分と同じくミスティ様のペットにしてもらう
2:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
3:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
4:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
5:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
6:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
7:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
8:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
9:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
10:善のザーメンもっと!もっとくれ!!
11:だれかおれをとめてくれ
[備考]
※精神崩壊によりミスティの命令に従うだけの狗と化しています
※御刀がないので写シ等の能力は使えません
※名簿にエレン達、顔なじみの刀使がいることを知りました。
※善のおチンポに夢中になっております。

☆彡 ☆彡 ☆彡


855 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/05(土) 00:04:31 8J5DAxWY0
―――この2人を手駒とできたのは大きい。

強さで言えば、上位の方であることは間違いない。
運よく2人を確保できたが支給品の中身や出会うタイミングがズレていたら、まず手駒とできなかった。

「シャインミラージュがいないのは僥倖ね」
シャインミラージュがいないのであれば自分の”黒針”の存在は知られない。
それはこの殺し合いにおいて大きなアドバンテージとなる。
「ふふふ……さぁ、次は誰が”おチンポミルク奴隷”となるのかしらぁ」

自身の烏の濡れ羽色と称してもおかしくない程の黒髪を掻き揚げる―――

【B-3 /一日目/深夜】

【ミスティ@変幻装姫シャインミラージュ】
[状態]:健康 お肌つやつや
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1、電撃蟲@対魔忍アサギシリーズ ハイグレ光線@クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王
[思考・状況]
基本:殺し合いの状況を見極める(今のところ、反逆・優勝共に半々)
1:手駒集めは順調ねぇ♪
2:糸見沙耶香と古波蔵エレン、その子達も手に入れたい
3:この首輪を何とかしたい所
4:あの双子の関係者と接触したい
5:おチンポミルク奴隷にできなさそうな参加者とは同盟を組む
6:ハイグレ光線は奥の手としましょうか……
[備考]
※参戦時期はノベル版から『ゴスロリ少女の魔の手』終了後より
※シャインミラージュがいないことを名簿で知りました。
※エスデスから帝具やアカメなどについて知りました。
※佐神善からヴァンパイアについて理解しました。(日ノ元士郎、日ノ元明、ドミノ・ザザ―ランドについても)


【電撃蟲@対魔忍アサギシリーズ】
井河アサギの調教のために使われたイモムシ型の淫蟲。攻撃の意思を示すと強烈な電撃を放つ

【ハイグレ光線@クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王 】
ハイグレ魔王軍が私用する光線銃。撃たれた相手の衣服はハイレグレオタード姿に変わり、ハイグレ魔王軍の部下と化してしまう。ハイグレ人間にされた者は「ハイグレハイグレ」の掛け声と共に強制的に卑猥なポーズを取る。
メフィスとフェレスにより、撃たれた相手は所有者の部下となる。
しかし、使えるのは一日2回のみ。
所有者が死亡するとハイグレ人間は所有者を殺した人物の部下となる。
不慮の事故で所有者が死んだ場合は目にした人物の部下となる。


856 : 平安京での狂騒 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/05(土) 00:05:29 8J5DAxWY0
投下終了します。


857 : ◆.EKyuDaHEo :2021/06/05(土) 01:13:38 tAfpwNl60
野原ひろし、宮下愛、相場晄を予約します


858 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:25:10 cphKFwfI0
投下します


859 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:27:09 cphKFwfI0
「これは君が持っておくといい。」

「え、でも千さんの方が……」

「杖だけでは心許ない。
 保険は持っておく方がいいだろう。」

「……分かりました。」

 千とトッペイは支給品の確認を終えた後、家屋を出て辺獄を駆け抜けていた。
 大祐の支給品の中につばの広い帽子があったお陰でそれを被らせて、
 目隠しよりもずっと視野の広い状態で移動することが可能になっている。
 勿論、何かに反射した月とかもあるので気を付けなければならなかったが、
 少なくとも目隠しでいるよりは立ち回りはよくなるだろう。

「どういうことだ?」

 途中で放送に足を止めて二人は名簿を見るも、幡田みらいの名前に訝る千。
 彼女をヨミガエリさせる為に自分を含めて辺獄を走り回ってたはず。
 此処に名前を連ねるのはあり得ないはずだ。

(あの二人が嘘を吐いているという可能性もある、か……)

 ヨミガエリせずとも生きていたのか、
 それともこの名簿そのものが嘘なのか。
 とは言え今は目先の問題としてアナムネシスの存在だ。
 千にとって彼女との面識はさほど多くなくて断片的なものだが、
 強大な敵であるということには間違いなく、警戒は十分に必要だ。

(彼女が動揺していた理由も知れるといいのだが。)

 自分を見た時アナムネシスはかなり動揺していた。
 面識があったとは思えないが、どこか引っかかる。

「トッペイ。アナムネシスと言う幽鬼が参加者にいる。気を付けて───」

「ロック……!?」

 スマホの使い方はどうやら知らないらしく、
 千の名簿を一緒に見ていたトッペイが動揺する。
 海に消えたはずの、あの緑郎の名前が記されていることに。

「知り合いか?」

「僕のいた世界で世界中を混沌にした人です。海に沈んで死んだはずじゃ……」

 バンパイヤは薬によって殆どが本物の動物となり、ロックも海へと消えた。
 全てが終わったはずなのに彼が生きてることに驚くなと言う方が無理だ。

「……そのロックは幽鬼、ということはないだろうか。」

 此処は彼女が知る辺獄ではないが、
 アナムネシスが参加者としているのならば、
 より自由な行動ができる辺獄でなければならない。
 もし此処に死者が参加してるのであれば、幽鬼と思うのが妥当だ。
 特に千は代行者の恰好になっているわけなのだから辺獄とそう変わらない筈。
 おなじ死者であるみらいについても、そういうことと仮定して警戒する。

「それと、もし狼の状態でロックに出会ったら、
 僕はロックの言うとおりにしか動けません。」

「何故だ?」

「狼の時に助けてもらって、夜泣き一族の掟で逆らえないので……」

 掟を守るためと言うよりは、
 自動的に働く呪詛のようなものだ。
 例えどれだけ憎かろうと、恩がある相手を狼の時に攻撃できないし、
 その人の命令通りに動いてしまう問題があった。
 申し訳なさそうにトッペイがそのことを伝える。

「ではロックとやらに出会ったときは私が対応する。
 話を聞く限り狡猾な男だ。何を仕掛けてくるか分からない。」

「はい、その時はお願いします。あ、ハワードの方ではないです。」

「緑郎の方か、気を付けておこう。
 一先ず零かみらいを探そう。みらいは正直謎だが、
 零については私が信頼できる仲間だ。必ず力に───!!」

 会話を遮るような甲高い音が辺獄へと響く。
 咄嗟に千が先行してレイピアで相手の一撃を防がなければ、
 相手が握る刀にトッペイが貫かれていたかもしれない。

「立て続けに敵か!」


860 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:30:41 cphKFwfI0
「立て続けに敵か!」

 すぐさま横薙ぎの一撃を振るわれたがすんでのところで防ぐ。
 恐ろしく早い太刀筋に、かなりのぎりぎりを強いられる。

「■前たち、早く……逃げ、ろ!!」

(なんだ、この異様な気配は?)

 幽鬼の比ではない殺意、禍々しい雰囲気に雷光。
 明らかに常人とはかけ離れた雰囲気を持つ。
 しかしその表情は悲痛とも言うべき感情を露わにしている。
 言動も戦うのを避けるように言っており、明らかな矛盾。
 何もかもがまぜこぜにされた存在、雷光を纏う八将神が一人十条姫和。

「トッペイ、杖を頼む!」

「分かりました!」

 大祐のデイバックから回収した麻痺の杖、
 そしてトッペイ自身の方から別の杖を手に取り、そちらを千へ振るう。
 魔法の弾のようなものが放たれ、彼女に直撃するがダメージはない。

「理由は分からないが、多少の怪我は覚悟してもらうぞ!」

 雷光が周囲に散りながら苦しげな表情も合わせ、
 彼と同様に何かしら制御できないものなのかとなんとなく察する。
 判断を終えれば剣を押し返し脇腹を突き刺す。
 此方も凄まじく速い突きだが、

(な、硬い!)

 人の身体を突いたという感覚がしない。
 と言うよりも体に刺さってすらいない頑丈さ。
 刀使が用いる能力の一つ、硬化を行う金剛身。
 流石に第五段階と言うエレン程の領域ではないが、
 一方で刀使としては龍眼と違いそこまで珍しいものではない。

(反動が……!)

 それは最早鉄を突いたようなものだ。
 反動はかなりのもので、痺れる感覚が返ってくる。
 姫和は当然フリーの状況で、小烏丸が彼女の喉を狙う。

「クッ!」

 だがその反動を無視するかのように、
 凄まじい速度でレイピアを振り上げ刃を逸らす。
 辺獄と言う環境で常人の比ではない動きは出来るが、
 流石にそのままで迅移の移動速度に追いくることはできない。
 これは単にトッペイが使った『ピオリムの杖』に理由がある。
 攻撃速度が飛躍的に向上の効果を与え、疾風のレイピアでさらに上げた。
 その甲斐あって、第二段階の迅移の彼女にもある程度対応ができるようになっている。

(剣道……いや、さっきの突き技から明らかに実戦的な剣術だ!
 あたしとそう年は変わらないだろうに、これほどまでの剣技を───)

 防ぎこそしたものの、立て続けに襲い掛かる小烏丸の刃。
 千も辺獄で十分な実戦で剣術を学んだので、対応ができないわけではない。
 次々と襲い掛かる刃を弾き、甲高い音を奏でていく。
 だが、どうしても覆すことのできない要素。

(速いッ!)

 それは攻めに転じることができない程の彼女の猛攻。
 前後左右、どの方向へも高速移動と共に攻めてくる。
 レイピアと杖の恩恵を以てして、ようやく攻撃速度が追いつく。
 刀使を理解してない彼女からすればこれは驚くほかない。
 辺獄で大分不可思議なものは目にしてきた方だとしてもだ。
 幸い放っている雷光が彼女の移動の軌跡を教えてるため、
 多少の遅れが生じてもギリギリ拮抗できているのが救いか。

(ソクラテスを呼ぶべきか?)

 攻撃そのものは幽鬼程の超自然的なものではない。
 言ってしまえば今の時代では見られないものの、現実の範疇を超えない剣術。
 だが同時にそれだけで、ソクラテスの使用を考えなければならない相手だ。


861 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:31:45 cphKFwfI0
(いや、今は現実に戻って休息の手段はとれない。
 無暗にソクラテスを使って消耗したところを狙われれば対応はできない。)

 此処に漁夫の利を狙う参加者だっているだろう。
 先ほどの軽薄な男のような輩であればそうするはず。
 (まあ彼の場合は軽薄に加えて軽率だったわけだが)
 余程の状況でもない限り使うタイミングを見極める必要がある。

「手を■くな! 私は八将神……■■なければ殺戮が続くぞ!」

 剣劇の途中、姫和が警告する。
 雷光が周囲に発生するせいで完全に聞こえないが、
 何が言いたいかについては伝わっている。

「八将神、確か陰陽道の神だったな。それはどういう意味───」

 質問をした瞬間に背後へと回り込んで膝裏を狙った刺突。
 彼女の姿が消えた瞬間に背後だと察知して跳躍。

「今だ!」

 射線に千がいたのでどうしても撃つのを悩んだトッペイだが、
 宙を舞うことで隙だらけの背中へと麻痺の杖を振るう。

「ッ!」

 千が上空で身を翻し、刀影光背による空から彼女を狙う十本の刀。
 同時に音に反応して振り向くと同時に杖の魔法はサイドステップで回避。
 サイドステップで安全圏へ避けた後は、降り注ぐ刀を相手にする。
 避けたことで襲い掛かる刀は少ないと思っていたが違う。

「な───」

 驚嘆の声は恐らく本人の言葉だろう。
 十本の刀が全て姫和へと刃を向けて飛んでいるからだ。
 刀影光背で出した刀は所謂ホーミング機能が備わっている。
 だから移動したところで狙いは変わることはない。
 人間相手にこれを使うなど恐ろしいものではあったが、
 彼女の洗練された剣技ならば、大半は防ぐだろうと千の見立てだ。
 一本だけでも当たれば、それで十分なレベルだから。
 目論見通りと言うべきか、迫る刀の雨を次々と弾いて行く。
 最終的に、予想の大半どころか全てを弾き飛ばしてしまう。

「ならば十一本目だ!」

 刀を防いでる間に着地し、
 対応している彼女の膝を切るように横薙ぎに振るう。

「■■だ! それは───」

 バチバチと雷光を散らす中、
 咄嗟に警告するが声は届かないし、もう遅い。
 それはありふれた剣技であり簡単に対処可能だ。
 すぐに小烏丸が叩き落すようにレイピアの側面を叩く。
 筋力強化の八幡力によって跳ね上がった威力に、耐え切れず手放してしまう。

「しま……」

 完全に隙ができた。
 命を刈り取るには十分すぎる隙。
 鹿島新當流の洗練された突きが再び喉を狙ってくる。
 勝つではなく殺すと言う最高効率を狙うかのように。

「まだだ!」

 代行者として得た力による刀を出す。
 得物がレイピアだけと思わせるための裏をかいた策。
 少々卑怯かもしれないが、これも立派な戦術だ。
 まだ反動がない左手で握りしめて小烏丸の側面を叩く。

「何!?」

 だがそれすらも上回る。
 普通だったら間違いなく不意打ちの一手だ。
 相手がいきなり刀を出すなんて想像する方がおかしい。
 だと言うのに彼女は刀を払わず、回り込んで次の一手を振るう。
 龍眼の演算を前に、この程度の不意打ちが通用するものではない。
 もっとも、そうだとしてもいきなり刀を出す相手については、
 姫和は心当たりはあって対策されるが。

 もうこれ以上は本当に手の打ちようがない。
 この状況でトッペイの援護を期待するのは余りに無理だ。
 このままでは死ぬ。消耗と死を選ぶならば消耗一択。
 ならば答えは一つ。





「ソク───」

「ヒムリッシュ・アーテム!」


862 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:33:20 cphKFwfI0
 寸前、声が響く。
 不意打ちの一撃で姫和は攻撃をやめて声の方へ視線を向ける。

(何も、ない?)

 だが視線を向けども攻撃が飛んできてるわけではない。
 疑念を抱くと同時に、頭上へと叩き込まれる何か。
 無防備であった頭部へ直撃し、勢いよく大地へと叩きつけられた。
 先程の声が聞こえた近くの家屋の屋根を千も見上げれば、

「勝手ながら、援護に入らせてもらった。」

 白い服装に白い翼。
 赤黒い平安京に似つかわしくはない、
 零のような白を基調とした男が其処に立つ。





 ───少しだけ時間は巻き戻る。

「……驚いたな。」

 名簿を見てカインは僅かに頭を抱えた。
 人数が五十や六十であれば乗ってる人数の想定も併せて、
 自分一人が倒すべき人数はそれほど多くないと予測していた。
 多少の連戦ぐらいは覚悟してたし、問題ないと自負している。
 一方で、よもやこれほどまでの大人数とは想定していない。
 自分一人では荷が重いし、何よりこの人数では徒党を組まれる確率が跳ね上がる。
 先ほどのように二対一ですら消耗を避けてたが、これでは話が別だ。
 この先も徒党を組まれてる相手ばかりと考えた方がいいだろう。
 乗った人数も相対的に多いかもしれないが人数が多いということは、
 帝具のような強力な支給品を持った人物の確率も跳ね上がると言うことだ。
 奪うにしても、消耗の方が上回る可能性方が高くなる。

(この状況で最初から進んで殺しは確実に悪手だ。)

 セカンドサウスの実現に気持ちが焦りすぎたか。
 短絡的な行動に出てしまったことを軽く反省する。
 まだ二人だけだったのを幸いと思うべきだろうか。

(それはそれとして。)

 まさか死んだはずのギースに加え、
 ロック・ハワードまでこの場に居合わせるとは。
 血の因果はこんなところまでも続いているらしい。
 先ほど似た男に出会ったのも、何かの縁だろうか。

「Limbo(辺獄)らしく、死者もいると言うわけか。
 神曲の舞台を題材にしただけかと思ったが、本当の辺獄とは。
 優勝者は願いを叶えるならぬ、ダンテのように天国へ行くと言うわけだな。」

 ダンテが死後の罰を受ける罪人たちの間を遍歴した場所、辺獄。
 ならばいるだろう。十年前に死んだとされる悪の権化たる存在が。
 そして死者ではないが、ホワイトも嘗てサウスタウンで事件を起こした身。
 所詮後釜狙いしかできず、その上でアルフレッドに敗北した負け犬だが、
 催眠術についての能力は評価しており、恐らく殺し合いでも大いに役に立つはず。
 サウスタウンを乗っ取れなかった身だから、今頃躍起になってるだろう。

(できることならロックは生かしたかったが、仕方がないか。)

 姉のことを伝えれば彼は付いてきてくれただろうに。
 この状況ではそれも不可能で、それは諦めることにする。
 こればかりはどうにもならないのだから。

『で、ボクチンについて頭の整理できた?』

「ああ、一先ずできた……いや、これは君に困惑したわけではないがね。」

 近くから声をかける、小さな精霊。
 棘が円形に並び、正面から見れば太陽をデフォルメしたように見えなくもない。
 支給品を確認したときその存在は知っていたが意志があったことと、
 具体的な確認についてもフェザーと出会って中断してたこの存在。
 これまた突拍子もない存在だが、今となっては驚くことでもないだろう。

「……戦闘か。」

 ギースかロックか。
 どちらかの可能性は正直低い。
 金属のぶつかり合う音は大方刃物同士のもの。
 二人とも格闘技がメインである以上あり得ないことだ。
 ギースであれば組織の首領である以上銃ぐらいは使うかもしれないが、
 この音では関係なさそうだ。

(とは言え、確認しておこう。)

 自分が刃物を避けたように、
 別の人物が代わりに戦ってる可能性はある。
 マスティマを羽ばたかせて戦場へ向かってみると、
 その光景を目にしたカインは顔をしかめる。

(む……)


863 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:34:15 cphKFwfI0
 少し離れた家屋の屋根へと飛び降り、
 千と姫和の戦闘をひっそりと眺めていたが、
 二人の戦いの動きの速さは相当なものだ。
 フェザーも十分素早い身のこなしだったが、
 あくまで生身同士のぶつかり合いであれば対等の話。
 刀を持った相手があの速度で迫られては、流石に分が悪い。

(やれやれ。まさか漁夫の利を狙う、
 こそずるい手を使うことになるとは。
 ホワイトを負け犬とは言ったが、少し訂正するべきかもしれないな。)

 手に力を込める。
 狙いは一択、圧倒的優位に立つ十条姫和だ。
 どちらを一人で敵に回しても対処ができるかどうか、
 それを選んだ結果が千だった、ただそれだけである。
 姫和を一対一で相手するのは、流石に不安要素が多い。

「ヒムリッシュ・アーテム!」

 結果、今に至る。

「……すまない、助かった。」

 ひと段落着いた、そう思いながら膝をつこうとする千。
 開始早々疲れる戦いで休みたくて仕方なかったが、

「千さん! 彼女怪我をしていません!」

 トッペイの言葉が踏みとどまらせる。
 倒れた彼女を見やれば、事実傷を負っていない。
 少なくとも転んだはずのダメージだってあるだろうに、
 それすら見受けられない。

「なんだと?」

 ヒムリッシュ・アーテムはヒムリッシュ・ゼーレと並ぶ大技。
 あれを無防備に頭から直撃したから相手は倒れてるはず。
 いくらなんでも無傷と言うことはあり得ない。
 流石のカインも少し驚かされる。

 全員が知るはずがないのだ。
 刀使が写シによってダメージを軽減するのは。
 本来なら大ダメージであろう攻撃は外傷にはならない。
 鈍痛と言ったある程度の痛みになるが、致命的な怪我へ至ることもなく。

「八将神は……奴らに殺し合いを強制的に行わせるように改造させられた、手駒の一つだ。」

 起き上がる前にトッペイが麻痺の杖を使うも、
 即座に避けながら起き上がると同時に写シを張りなおす。
 いや、張りなおさせられたというべきか。

「だから私を───早く殺せッ!!」

 再び雷光が轟く。
 迅移からの八幡力で跳躍。
 屋根にいるカインへと一直線に迫る。
 本来迅移は第一段階、第二段階とギアを上げるように速度を上げていく。
 だが柊の家系である姫和だけは例外で、段階を踏まずに即座に上の段階で動ける。
 先程のニンジャを文字通り瞬殺した高速移動は、その段階を飛ばしたがゆえに。
 だから第一段階の迅移をせずに、第二段階を即座に出すことができる。
 スターと同時に百キロ以上の速度を相手に、千もトッペイも対応できるはずがない。
 ただ一人、最後まで敵への警戒を解かなかったカインだけを除く。

「条件はこうだったか!」

 千手を打って、攻撃を薙ぎ払うような回転をするカイン。
 小烏丸の刃をその手で弾き飛ばすのかと思われたが、
 手は刃を振れることすらないまま空を裂く。
 胴を貫かれ叩き落される。その未来を龍眼で見やるも、

「ッ!?」

 カインの周囲を棘のようなものが飛び回り、
 手に触れた瞬間写シで張ったエネルギー体が削れる。
 さながらチェーンソーのような鋭利なものが回転していく。
 これ以上突っ込めば写シをはがされてしまうと判断。
 触れまいと屋根を踏みブレーキをかけつつ、
 その反動で地面へと着地する形で逃げる。

『言ったでしょ? ボクチン役に立つって!』

「ああ、礼は言わせてもらう。」


864 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:34:37 cphKFwfI0
 カインの傍に漂う、円形を中心に棘が生えた謎の生物。
 攻撃を防げた種の正体は、その精霊のような存在にある。
 かの世界では三千年前に、古代の民の大魔法使いによって生み出された、
 フェアリンと呼ばれる存在が一体、バリアフェアリン『バーリやー』。
 名前の通りバリアを展開できる、攻防一体のフェアリン。

「ソクラテス!!」

 息を吐く暇を与えさせない。
 侍のような鎧をまとい、赤黒い刃を握りしめた異形と共に千が彼女を狙う。
 もう出し惜しみする余裕はない。先の無傷がどういう仕様かは分からないが、
 とにかく彼女を止めるのにソクラテスなしでは不可能だ。

 ソクラテスが先行しその大剣を振るう。
 守護者であるソクラテスもは自身の精神の具象化。
 即ち、ピオリムの杖による速度強化は既に受けた状態。
 ただでさえ早い動きに、さらに加速された一撃をそれでも躱す。
 躱したところを狙っても即座に無駄なく防ぐか避けられる。

(どのような攻撃手段を以てしても対応される。
 よしんば当てたとしてもなぜかダメージがない。
 杖といい今の男の攻撃といい、辺獄以外にも妙な力が多すぎる!)

 思考を巡らせながら、ソクラテスと自身の二人で剣劇を続ける。
 ソクラテスを呼んだことで動きのカバーは先程よりも負担はない。
 二対一のでも冷静に姫和は攻撃をいなし、防ぎ、そして反撃を続ける。

(ダメだ、狙えない!)

 杖で援護をしようとしたトッペイだが、
 ただでさえ二人の戦いの速さについていけないのに、
 そこへさらに巨体のソクラテスの登場で麻痺の杖は使えない。
 杖は確かに強力だが、同時に誤射した時致命的なものになる。
 息をつく暇もない程の目まぐるしく動く戦闘を前に、
 人間の状態でのトッペイでは援護すらままならない。
 たとえ狼だろうと援護は難しいかもしれないが。

「君、少しいいか。」

 カインがトッペイの隣へと降り立つ。
 援護ができないのはカインもまた同じだ。
 あれだけ至近距離では、ゼーレもアーテムも誤射の危険が伴う。
 かといってバーリやー一つで剣劇に混ざるなど自殺行為に等しい。
 先ほど可奈美から逃げたのも、刀相手への対処法が乏しかったのがあるがゆえに。
 (確認した今ならバーリやーがいたので、十分戦えてたのかもしれないが)

「あ、はい。」

「このまま戦っても彼女が勝つのは難しい。
 かといって我々が援護するには間合いが近すぎる。
 君の方の支給品で何か役に立つものはないだろうか。
 生憎と、私の方はこの状況を打開できそうにないのだよ。
 その杖、先程も何かを出していたがそれらの性能は?」

「えっと、こっちがですね……」



「■は龍眼でお■達の動■■予測している!
 大量の可能性を演算させれば、私■動■は止まる!」


865 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:37:52 cphKFwfI0
 どのような攻撃を凌ごうと、
 どのような不意打ちだろうと、
 どのような高速で攻撃しようと、
 全ての攻撃が悉くダメージにできない。
 そのからくりを彼女の口から雷光交じりに告げられたものの、

「随分と難しい要求だ!」

 はっきり言って無茶苦茶な要求だ。
 あらゆる手段を行使して攻撃を防がれてるのに、
 大量の可能性とは一体どうしろと言うのか。
 無茶にもほどがあるとしか言えない。
 寧ろ防戦できてるだけ相当なものだ。

 これの突破方法に姫和一つ心当たりはある。
 龍眼の突破方法は、折神紫との戦いで可奈美が見つけた。
 しかし、無形の位と言うあらゆる状況に対応できる構えだから成立する。
 柳生新陰流である可奈美だからこそ選択肢は千変万化かもしれないが、
 大量の可能性を流し込まなければ龍眼が不具合を起こさないのだ。
 他人がそれを真似をしたとしても、それは千変万化に非ず。
 真似させて失敗では、この場では特に洒落にならない。

「なら、私の動きを止めろ!」

「それも無茶と言うものだ! こうして刃を交えるだけでも手一杯だ!」

 文字通りの電光石火、
 この立ち回りで演算による予測。
 猛攻を耐えるだけで手一杯の奴を止めるなど、
 今の千ではできるものではない。

「そ■と刀使の写シのせいで私■傷を負わない!
 威力■高い一撃を与え■か、刀を取り上げ■ば強制的に解除され■!」

「『高速移動』に『高速演算』に『身代わり』の三重苦か……!」

 対処法を教えられても対処法に全く感じられない。
 もっとも自分を殺す手段を考えなければならないなど、
 普通は考えないので当然と言えば当然なのだが。
 ソクラテスと合わせて倍以上の手数でも刃は届かない。

 そこに乱入するカイン。
 炎を纏いながらの突進だが、

「やはりこの程度ではだめか。」

 千を含めて容易く避けられる。
 最早ただの素通りに等しいものだ。

「剣劇の中に生身で突撃だと、なんて無茶な……」

 敵……と言うには不適切かもしれないが、
 姫和からでさえ今の行動には驚かされてしまう。
 刀使なら迅移でまだ回避もできるからわからなくはないが。

「千さん避けて!!」

 杖の音。何をしたのかはすぐに理解し躱す。
 ステップすればすぐ横を飛び交う魔法の弾。
 カインに続いて立て続けの攻撃だが、凡百な一撃では意味がなく容易に避けられる。
 双方が回避し、もう何十回交えたか分からない剣劇が続く。

「後は……そうだ、私の支給品が───ッ!?」

 突如呂律が上手く回らなくなる。
 剣の動きも、さっきまでと打って変わって遅い。
 例えるならば、電流を浴びたときのような感覚が彼女を襲う。

(写シが剥がされた!?)

 その上写シが強制的に剥がされた。
 異常事態に一瞬だけ元凶となる後方へと視線を向ける。

「数千年前の魔法使いとやらは、どんな技術を持っていたのだろうな。」

 カインが距離を置いた状態で立っているだけだ。
 それだけでは全く状況が理解できない。
 龍眼とは未来予知ではなくあくまで情報による演算。
 『見えてない物に対応する』という行為には対応できない。
 だから先程のアーテムもカインの手ではなく頭上からで対処に失敗した。
 そして今回も、そのカインの行動で攻撃が通る結果となる。

(うまくいった!)

 トッペイが放った一撃は当たるとは思っていなかった。
 即座にその場で対処ができる龍眼の前ではどうしようもない。
 だから、外れてもいいようにカインを先行させていた。
 何もカインは考えなしに突撃したわけではなく、
 バーリやーの特性である『反射』を用いるために背後へと回った。
 彼が攻撃を仕掛けたのは、怪しまれずに背後を取りたかっただけのこと。
 多少の危険はあったが、千の攻撃のスピードは彼女が上でも決して遅いわけではない。
 カインの気配には警戒しつつも、完全な注意を向ける程の余裕はなかった。

「恐らくだが、ウツシとやらは解除できたか!」


866 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:38:55 cphKFwfI0
 ダメージらしい反応と彼女の身体から霧散した何かをみてカインは察する。
 写シはダメージを受けた部分から欠損したり身体機能が低下。
 最終的に限界が来れば強制的に剝がされると言うシステムを持つ。
 しかし麻痺の杖を当てて動きを止めるとトッペイたちは想定しての行動だったが、
 全身が動かなくなるほどの麻痺ならば全身に肉体的なダメージが行き渡ることになる。
 ある意味、刀使に対して有効とも言える武器で攻撃できたということだ。

(まだ言わなければならないと言うのに……!)

 一方で肝心の麻痺は中途半端になる。
 完全な行動不能には至らず、剣劇はそれでもなお続けられる。
 剣技を研鑽してきた刀使だからこそのなせる技巧。
 だが速度は大幅に低下。千も十分な余裕で打ち合えるレベルだ。
 それでも大分マシ、寧ろ優勢とも言うべきぐらいの恩恵になる。
 一撃の重さは未だ向こうが上だが、手数は逆転した。
 ソクラテスの攻撃を避ける際の隙も大分増えている。

「決める!」

 此処で攻めに転じるのが道理だ。
 カインも今なら千の援護から好機と判断し、
 バーリやーの為の回転を終えると同時に肉薄。
 ピオリムの杖はカインにも既にかけた状態だ。
 事実上強化状態で攻撃できる人材が三人を一人で、
 しかも写シもなければ動きが鈍い状態での相手。
 普通に考えて詰みだ。



 はっきり言うと十条姫和は八将神としての役割があるが、
 八将神は勿論のこと、参加者全体で見ても決して上位にいる強さではない。
 確かに刀使としては優れているし、龍眼や迅移など能力はいくつもある。
 しかし基本的な攻撃手段は刀のみ。御刀を取られてしまえば、
 それらも使えなくなって一般人と大差はないのだから。

 何故、そんな話を今するのか。
 彼女は龍眼でこの状況で最適解を導き出した。
 迅移を以てしても勝てるか怪しいと言う状況。
 八幡力で誤魔化せども、それで支えきれない人数差。
 打開するために彼女は何をしたのか。

「よせ! やめ───」










 故に、彼女は───御刀を手放した。










「ッ……!?」


867 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:39:20 cphKFwfI0
 全身激痛の中、トッペイが目を覚ます。
 何故倒れているのか、顔を起こしてみればその光景に言葉を失う。
 大地は砕かれ、周辺の家屋は燃えて火災が起き始めている。
 さながら嵐の爪痕とも言うべき光景へと変わり果てていた。

「千、さ……!!」

 激痛でまともに動けないが、周囲の様子を窺う。
 白い服の人もそうだが、何よりも彼女達二人の安否の問題だ。
 雷の少女はいなかったが、千の姿は少し遠くにだがいた。





 ただし、腕を斬り落とされ既に息絶えた状態で。

【恵羽千@CRYSTAR -クライスタ- 死亡】





(危なかった……あれは逃げなければどうしようもなかった。)

 カインは事が起きる前に逃げた。
 と言うよりも逃げなければ死んでいただろう。
 それだけ彼一人の対処ではどうしようもなかったのだ。

(どうやら、あの三人はまだ伝えてないらしいな。
 我々参加者には開示されていない内容が、他にもあるはずだ。)

 姫和から告げられた八将神の存在。
 考えてみれば、主催者が参加者依存も珍しいことだ。
 全員が停滞しないようにそういう要因を放り込むのは当然である。

(わかるのは、ウツシやトジと言う言葉ぐらいか。)

 拾えた情報は容姿といくつかのワードのみ。
 同じ存在に出会えればいいが、知り合いがいるかもわからない。
 この人数だ。誰とも面識のない参加者がいてもおかしくはないのだから。

(しかし『また』とは……呪いでもかかってるのだろうか。)

 思い出すのは刀と雷光。
 最初の二人の参加者がそれぞれの要素を持っていたが、
 逃げた先で出会った相手が、まさかそのハイブリットとは。
 更に惨劇もサンダー・ブレイクのようなとてつもない雷が降り注いだ。
 ここまでくると、何か因果のようなものを感じてしまう。

(とにかく、今は様子を見るのが最適だ。)

 情報のアドバンテージは大きい。
 あれと類似した存在が他にもいるかもしれない以上は、
 無暗に戦って消耗することは余り賢いとは言えなかった。
 とにかく距離を取る。追ってこないかの細心の注意を払いながら。

【E-5/一日目/黎明】

【カイン・R・ハインライン@餓狼MARK OF THE WOLVES】
[状態]:打撲のダメージ(軽微)、ダメージ(小)、ピオリムの杖の強化(時期解除)
[装備]:万里飛翔『マスティマ』@アカメが斬る!、バーリやー@スーパーペーパーマリオ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:優勝しセカンドサウスの夢を叶える。自由は自分の手で勝ち取るべきものだ。
1:一度優勝を考えるのは待つべきだ。頃合いを見計らわなければ。
2:彼女(姫和)の対策の考案と関係者の捜索。トジのことを知ってる参加者がいればいいが。
3:二人(フェザーと可奈美)を倒し損ねたのは大きな損失かもしれない。
4:雷に引き寄せられてるが、気のせいか?
5:暇があれば帝具をもう少し試す。
[備考]
※参戦時期は少なくとも敗北前です
※マスティマとの相性は高いです。
※八将神の存在を知りました。





 さて、四人に何が起こったのか。
 姫和が御刀をあえて手放して、
 ポケットの物に触れた瞬間それは始まった。

『震えるがいい……魂の奥底まで!!』

 突如、空から響く男性の声。
 端正な顔つきの青年が、突如として空に現れた。
 カエルのような王冠を被り、シタールに似た楽器を構えた謎の男が。
 誰もがその存在に気付き、空を見上げる。

「なんだあれは!?」

(……何かがまずい!!)

 バーリやーの動作を終えて加勢に入ろうと走り出してたが、
 写シは刀がなければ成立しないと彼女は言った。
 今、それを捨ててまで行動に出たということは、
 相応の算段があって動かされたということに他ならない。
 故に我先にカインは踵を返しマスティマで飛翔しながら逃げる。
 万が一に備えて、バーリやーの為の一回転も交えながら。


868 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:41:44 cphKFwfI0
(なんということだ……)

 その一回転の動作中にカインは目にした。
 青年が楽器を奏で周囲にその音色を響かせると、
 槍のようなものが何本も空間を裂いて姿を現す。
 同時に、槍から大地を砕く無数の落雷が降り注ぐ。
 あれは最早災害と呼ぶにふさわしい、天災のような何かだ。
 逃げなければどうなっていたかは容易に想像できてしまう。

 彼女が持っていた支給品である、召喚石から呼び出された星の民の最大戦力の星晶獣、バアル。
 一度奏でれば落雷が降り注ぎ、終われば嵐が過ぎ去るかのような災害に等しい存在。
 無論威力はこの殺し合いに向けて相当抑えてあるが、それでも威力は相当なもの。
 召喚されたと同時に逃げたカインですら、落雷が足を掠めそうになったのだから。

(悪く思うな。)

 見捨てる形になったが、元より優勝する腹積もり。
 出会ったばかりもあって二人に対して慙愧の念は感じることはない。

「ソクラテスッ!!」

「■■だ! 逃■■!!」

 もう自分がどうこうできる領分ではない。
 できることなら、千は彼女を助けたかった。
 彼女は完全には乗っていない、操られた風に見える。
 なんとかして彼女を救おうと思考を巡らせたが、その妥協は限界だ。
 彼女を止めねばこの落雷の雨はトッペイのにも危険が及ぶ。
 すまないと心中で謝罪をしながら、宿善応報で無数の斬/










「え───」

 撃を入れる前に、千のレイピアを握る腕が宙を舞う。
 彼女が刀を拾い上げたところまでは十分に見えた筈。
 なのに姫和は、既に彼女の腕を斬り落として背後に回り込こんでいた。
 さっきまで攻撃速度が麻痺して鈍かったはずの動きが、
 十分な速度で仕掛けられたことで対応が遅れ、唖然とした表情で振り向く。

(何故、此処まで動けるんだ……!?)

 麻痺の杖の効果時間を写シで軽減された、
 それにしたって回復するのが余りにも早い。
 少なくとも、一分程度の余裕はあると思っていた。

 種は単純、バアルを召喚したからだ。
 バアルを召喚すれば『最後に受けたバッドステータスの回復効果』がある。
 完全な回復はこの召喚を終えるころではあるものの、
 ある程度戻るだけでも速度を跳ね上げる迅移は相当だ。
 特に、動きが鈍いと思いこんでた彼女にとっては大打撃となる。

「千さ───」

 トッペイが叫ぶが雷雨に包まれて声は届かなければ
 彼自身もバアルの雷撃を受けて、意識はそこで途絶えてしまう。
 その間も二人は刹那の間、雷雨の中での戦いは続く。

「まだだ、ソクラテスッ!!」

 激痛がジワリと追いかけてきた。
 辺獄では一度も味わうことがなかった欠損の痛み。
 だが痛みでは決して折れない。折れてしまえば、
 自分の正義を貫くと言う彼女の信念に反するから。
 辺獄で鍛えられたとは言え、元はただの高校生が持つには重い信念を胸に、
 もう一度守護者であるソクラテスを向かわせる。

「十字斬衝!」

 片腕を喪ってはまともな接近戦は望めない。
 距離を取りつつソクラテスに近接を任せる。
 斬撃を飛ばして援護をしつつ、

「刀影散華!」

 周囲へと投影した刀を展開しできるだけ防御を固める。


「刀影光背!」

 さらに追加での飛び道具を展開
 できる最大限のことをして迎え撃つ。



 だが、どうにもならない。
 元々手数の問題で拮抗していたのだから、
 その手数が減れば均衡は崩れると言うこと。
 隙などいくらでも増え、ソクラテスの攻撃を避けて接近してしまえば後は一方的だ。
 斬撃は無駄なく避けられ、放った刀も周囲に飛ばした刀も全てが難なく弾かれて。


869 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:42:18 cphKFwfI0
「■■ろ───ッ!!!」

 悲痛の叫びと共に一撃を防ぐ暇もない速度で肉薄され、千の胸を貫かれる。
 痛みを通り越すとはこのことか。確実な致命傷を受けて、痛みを感じない。
 だがわかる。決定的な何かが今喪ったということを。
 滑落事故で生死をさまよっていた時あの時とは違う。

(今度こそ命を落とす、その実感なのだろうか。)

 メフィスとフェレスの契約と言うチャンスもない、
 本当に一度きりの命が散るときが。

「いや……まだ、だ……!」

 千は諦めきれない。
 最初に襲ってきた男と、獣になったトッペイとも違う。
 衝動に任せたわけではない。されど罪を犯すことをメフィス達に強制された彼女。
 本来あるべき姿を捻じ曲げるなど、零や小衣の家族を奪ったアナムネシスと同じだ。
 だから彼女は抗う。最期まで、己の信じる正義のために。

「やれ!! ソクラテスッ!!!」

 小烏丸を引き抜かれる前に、
 彼女の腕を残された腕と力で全力で握りしめる。
 奇しくも、姫和がタギツヒメを討った時と同じ構図。
 体格故に余分に雷撃を受ける中、ソクラテスが突き進む。
 両手の刃を交差させ、彼女の背中へと二振りの刃が襲いかかる───





 ソクラテスの一撃は叩き込まれ、写シは三度剥がれた。
 確かにあの時の構図と同じだが、状況は何もかもが違う。
 上半身と下半身が分離する一撃であろうとも写シで致命傷には足りえず。
 写シである以上死ぬことはなければ、千は此処までで致命傷を負いすぎた。
 彼女を押さえつけるだけの力はなく、続けざまの一撃を入れる前に振りほどかれる。
 ソクラテスの二の太刀は避けられてしまう。

「……すまない。私は君を助けることは、できなかった。」

 振りほどいた瞬間、言葉を紡ぐ。
 自分を殺した相手を。死ぬというこの状況で。
 恨みつらみを言うことなく、自分の無力さを嘆く一言のみ。
 千が最期に見たのは、泣き叫びたいかのような彼女の表情。

『……歪んだ魂の旋律だな。』

 召喚石としての役割を終えて、バアルは姿を消す。
 小さく呟いたそれは誰に言ったのか、ただの独り言か。
 誰に聞かれるでもなく、ただ目を閉じながらそう呟いた。





 雷雨が過ぎた戦場にて、姫和だけが立つ。
 写シを三度も剥がされた。普通だったら暫くは写シを張ることもできないが、
 八将神となったことで遠からず回復するだろう。
 とは言え三度も剥がされ、疲労自体は存在して膝をつく。

「やめろ、やめてくれ……」

 弱弱しい声で呟くが、意志とは無関係に身体は動く。
 物言わぬ躯となった千のデイバックから支給品を抜き取り、
 雷撃を受けて倒れているトッペイの方からも抜き取る。
 当たり所がよかったか、まだトッペイは生きていた。
 だが気絶した彼へと、躊躇なく小烏丸を首へ突き刺す。

「アア……アアアアアアアアアアッ!!」

 淡々と殺す姿は最早心無い機械に等しいが、姫和は泣き叫ぶ。
 また殺した。最初のようなどっちか分からなかった二人ではない。
 今度は間違いなく、殺し合いに乗ろうとしてない人物を手にかけた。
 自我を、思考を捨てたくなる。捨てればどれだけ楽なのだろう。
 この先ずっと人を殺し続ける。死ぬか、その心を捨てるまでずっと。
 だが心は捨てられない。捨てることができない。

(私が折れれば、二十年前以上の災厄が起きる……)

 三人の外道によって魂を弄り回された。
 本来なら十分もせずタギツヒメが復活を遂げる。
 皮肉にもそのおかげで今の肉体は安定してるが、完全に消えたわけではない。
 自意識を捨ててしまえば、すぐにでも内に宿る大荒魂が零れでてくる。
 タギツヒメは荒魂……故に御刀以外で祓うことはできない存在だ。
 この場に刀使がいない、或いは全滅した瞬間タギツヒメは無敵の存在になる。
 首輪が強すぎる者への制限が、参加者ではない奴に適用されるかも不明。
 だから捨てられない。万が一それが起きれば最悪の展開になってしまう。
 刀使の誰がいるかもわからないし、いてもタギツヒメに勝てる刀使などいない。
 荒魂を祓う刀使としての役割が、それだけは避けなければならなかった。
 かと言って、そう割り切って今の状況も耐えられるものではない。

(私は、どうすれば……ッ!!)

 荒魂を祓うのが刀使の務め。
 されど血に汚れた手を祓えるものは非ず。
 穢れを嫌う豹尾神は再び辺獄を駆け抜けていく。
 母から受け継いだ御刀を血に染めながら。


870 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:42:52 cphKFwfI0
【E-5/一日目/深夜】

【十条姫和(豹尾神)@刀使ノ巫女】
[状態]:疲労(大)(再生中)、弱体耐性アップ、混濁した意識、狂気度低下、禍神、龍眼の暴走、精神疲労(絶大)
[装備]:小烏丸@刀使ノ巫女、召喚石バアル@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品(食料と水のみ大祐、千、トッペイの文もあわせ四人分)、ランダム支給品(姫和×0〜1、トッペイ×0〜1、大祐×0〜1、千×0〜2)、麻痺の杖(残り1)@少年ヤンガスと不思議なダンジョン、疾風のレイピア@ドラゴンクエスト8、ピオリムの杖(残り3)@トルネコの大冒険
[思考・状況]
基本方針:殺■/■したくない。
1:■す。■す。■す。■す。■したくない。
2:■でもいい、■を■してくれ───
[備考]
※参戦時期はアニメ版二十一話。タギツヒメと融合直後です。
※魂の状況により意思の疎通については普段と変わりませんが、
 行動すべては八将神としての役割を全うする立場にあります。
 ただ、自意識を保つ為で本来の時ほどまともな会話は望めません。
※タギツヒメと融合した影響により周囲に雷光が勝手に放出されます。
 龍眼も使えるようになってますが暴走状態で、本人の意思とは関係なく行います。
 死亡時、或いは彼女の抑えが限界を迎えた際に、
 タギツヒメが肉体を乗っ取るかどうかは不明です。
 (同時にタギツヒメが八将神を引き継ぐかも不明です。)
※迅移(主に三、四段階)の負担が大幅に減ってます。
 ある程度の時間を置けば動けるレベルに回復できますが、
 デメリットが完全緩和ではないので無暗には使いません。
※名簿は見ていません。



 首を刃で貫かれたはずのトッペイが何故生きているのか。
 それは支給品を確認した時のことだ。

『これは君が持っておく方がいい。』

 効果を理解した後、千はそれを彼へと渡す。

『え、でも千さんの方が……』

 効果自体はいざというとき保険になる。
 狼になって暴れて、無駄に消費する可能性も否定できない。
 そういうところも併せて、彼女が使う方がいいと彼は思っていた。

『杖だけでは心許ない。
 保険は持っておく方がいいだろう。』

 人間の時は決して喧嘩が特別強いわけでもない。
 戦いの際危険にさらしやすい立場になりがちだ。
 だから彼女は持たせた。

『……分かりました。』

 それを受け取り、ポケットへとしまう。
 ポケットにしまった結果、デイバックを漁った姫和にはとられなかった。
 そのお陰で、きんきゅうキノコによる蘇生が成立してギリギリ生き延びている。
 だがきんきゅうの文字通り、瀕死の状態であることに変わらない。
 満足に立ち上がれず、千の所へ駆け寄ることも困難を極める。

「千さん……!!」

 自分があの時強く断ったなら。
 この場で生きていたのは彼女だったはずだ。
 父の死の時と同じように、誰かを犠牲に生き延びてしまった。
 彼女は死んだ。もう後戻りはできない。

(……伝え、ないと。)

 彼女の為にできることは、生きることだけだ。
 願いの為に殺すことを許さなかった千の意志を継いで。
 それが、彼女の厚意に対するトッペイができる最大限の行動あ。
 八将神の存在、そして刀の少女のことを誰かへ伝えなければならない。
 彼女が信頼できる味方と称した、零を筆頭に。



【E-5/一日目/黎明】

【立花特平/トッペイ@バンパイヤ】
[状態]:瀕死、全身激痛、焦げ気味、悲しみ
[装備]:焦げ気味のエマの帽子@ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
[道具]:食料以外の基本支給品、目隠し@現地調達
[思考・状況]
基本方針:千さんの意志を継いで殺し合いを止める
1:千さんの仲間である零、彼女の妹であるみらいを探す。(ただみらいは用心する)
2:ロック、アナムネシスに警戒。
3:八将神のことを誰かへと伝える。
4:千さん……
5:白い服の人(カイン)は無事なのか。
6:あの人(姫和)を止めないと。
[備考]
※参戦時期は第一部終了後。
※八将神の存在を知りました。
※ロックが幽鬼ではないかと推測してます。

※トッペイの周囲に食料が抜かれた基本支給品一式×2(千、大祐)があります。
※バアルの影響で周囲はかなり荒れていて、火災も起きてます。
 バアルのソロモンの慈音の落雷が遠くから見えるかもしれません。


871 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:43:15 cphKFwfI0
【エマの帽子@ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
大祐の支給品。エマ・ヴェルデが虹ヶ咲学園転入時に被っていた、明るめの色合いの中折れ帽。
ただの帽子なので外れアイテムだが、ツバが広い分トッペイには月を見ずに視野を広げてくれる。
ソロモンの慈音で状態は悪いが、まだその役割は保ってる。

【ピオリムの杖@トルネコの大冒険】
トッペイの支給品。振ると魔法の弾が出て、当った相手の速度を上昇させる。
基本的に自分には使えず、一定時間仲間や相手の速度を強化させると言う特殊な杖。
一応水晶みたいな魔法反射ができるアイテムを持っているのであれば、
自分にそれを使うことができる。消耗品で使い切ると補充しない限りただの杖。
ただ魔法は使えるアイテムなので、魔力に関する何かの触媒に使えるかも。

【バーリやー@スーパーペーパーマリオ】
カインの支給品。三千年前の古代の民の大魔法使いに生み出されたフェアリンの一体。
精霊の魂を封じた存在とされるが、情報を纏めるに恐らくは元は人間の魂である。
バーリやーはバリアフェアリンで、文字通りバリアを少しの間自分の周囲に展開する。
バリアにはダメージもある為自分から突撃しながらバリアで攻撃、飛び道具の反射も可能。
発動時は一回転することが要求され、絶え間なく展開はできない。三半規管が弱いと辛い。
所有者の認識できる範囲以上に動けない。所有者が死亡した場合は死体の周辺のみ徘徊可能。
所有者が死亡してる場合出会った参加者に権限が移る。譲渡の場合は所有者の権限か必要。
本人は残り活動時間の千年の暇つぶしとしてるのでカインのやることに口を出すつもりはない。
意志を持ってはいるが、そこまで喋らない。なお思考回路が人とはかなり違う(フェアリン共通事項だが)

【召喚石『バアル』@グランブルーファンタジー】
覇空戦争時代、星の民が用いた最大戦力となる星晶獣、
その内の一体である『バアル』が込められた召喚石。
本来ならばグラン(またはジータ)とルリアがいなければ召喚できないが、此処では誰でも使用可能。
楽器を奏で、マイムールと言う槍を呼び出して落雷を起こし、大地を砕くとされる災害レベルの星晶獣。
召喚時にソロモンの慈音で落雷を降らせ、同時に召喚者のバッドステータスの回復と短時間バッドステータスへの耐性付与。
一応意志持ちではあるが、自由はなく所有権の有無も関係ない。精々召喚時に小言を言うぐらいが関の山。
召喚後は再度召喚までのインターバルが必要。

【きんきゅうキノコ@スーパーペーパーマリオ】
千の支給品。普通に使うと微量の体力回復する回復アイテム。
だが所有者が死亡時、強制的に所有者を瀕死の状態だが蘇生する。
これを譲渡していたことでトッペイは生きながらえた。


872 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 11:43:50 cphKFwfI0
以上で『いっそ無情になれたならよかった』投下終了です


873 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/06(日) 14:32:58 cphKFwfI0
すっかり言いそびれてたのですが
>>709
におけるグラブルにおけるみりあの説明ですが、
イベント内で既に妹がいると言う発言をしているので
本ロワにおけるみりあはフェザーとは完全に面識はありません
誤解を招く情報を発信してしまい申し訳ありませんでした


874 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/06(日) 17:54:34 enP/DJk60
投下お疲れ様です。

いっそ無情になれたならよかった
壮絶な八将神とのバトルはとても読みごたえがありました。
千……戦いの最中、姫和の苦しみを知り、最後の最後まで救おうとする姿に自分は黄金の気高さを見ました。
カインも立ち位置を上手く決め、戦闘では、バーリやーを上手く活用していて凄かったです。
そして、八将神について早く知れたことは大きなアドバンテージになりそうですね。
八将神として意識が残っている姫和の苦悩・悲痛が伝わり、タギツヒメがために心を捨てることすら許されない……これはキツイですね
母から受け継いだ御刀を血に染めながら。 ←この一文がまた何ともいえぬ……
さんきゅうキノコのお陰で何とか生き残ったトッポイですが、状態は余談も許さないですが、千の想いを引き継いで頑張ってほしいですね……

有栖零児、安桜美炎、北条沙都子、北条鉄平、リリアーナ・セルフィン、広瀬あゆりで予約します。

また、平安京での狂騒をお読みになり、気分を害された読み手・書き手の皆様がおりましたら、この場を借りてお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
決して特定のキャラを乏しめる意図で書いたわけではないことだけお伝えさせていただきます。


875 : ◆4Bl62HIpdE :2021/06/06(日) 20:15:36 5F48HwtQ0
投下します


876 : Call your name ◆4Bl62HIpdE :2021/06/06(日) 20:16:13 5F48HwtQ0




『さて、これから君たちの持っているタブレットに参加者一覧が更新される』

『アイコンの名簿を開いてくれれば、すぐにでも参加者一覧がわかるはずだ』

....いや、わかんないよ。
というかそもそも『たぶれっと』についての説明をしてくれ。


「はぁ……」
アニは、そう願ったが空しく放送は終了した。

放送が始まる前にバッグを探ったが、消耗品以外は何も書かれてない紙に黒い板という簡素な物で、地図もコンパスもなかった。現在位置がどこなのかすら分からない。これから、参加者との接触に向けて歩き続けるしかない。

そう思って街中を歩き続ける。――やがて遠方に時代錯誤な大きな盾が見えるのに、二十分とかからなかった。
軍用と思われる無機質な黒い盾を装着した少女は、観測用と思われる目当てを着用している。恐らく、軍人であろう。

「……もしもし?」
アニは硬直したかのように目を見開いた少女に近づき、問いかけた。
マーレに通話機が存在するか定かではなく、本来はhello、という意味だが、こう記す。

特徴的な色の髪をした少女はハッとして、そして―――


問いかけたアニの手を、その盾で切り裂いた。




人類最後のマスターは終焉を迎えた。彼女の色彩に、ぽっかりと空白が出来た。
これは、覆しようのない事実だった。

そして、恐らくこれは何らかの特異点か――聖杯戦争のような、生存戦。

何でも願いを叶える。先輩だったら、勝ち残ったし、その少女にだって、立ち向かうだろう。

いや、違う。立ち向かったから――私の先輩は、殺されたんだ。
なら、私は、生き残らなければならない。

独りで敵を斃し、聖杯によって、先輩、貴方を生き返らせる為に――。

マシュは、虚ろな目をしたまま、アニに攻撃し、立ち塞がった。



「くっ……!」

アニの脳裏に浮かんだのは、最悪。

少女の斬撃に左の手首は吹っ飛ばされた。

当初、アニが声を掛けたのは軍用と思われる盾から、殺し合いから民間人の保護を任せられるかもしれない軍人であるという、見当があったからだ。
だが、やはりそう上手くはいかない。目の前の少女は、自分と同じ、戦士だった。
殺すしかない。

雷が落ち、爆発する。
アニは、女型の巨人に変貌を遂げた。


877 : Call your name ◆4Bl62HIpdE :2021/06/06(日) 20:18:13 5F48HwtQ0

10m級。
女型の巨人は、いささかサイズダウンされていた。
――射程は落ちる。だが、この距離なら問題はない。

マシュの目の前にいたのは、異聞帯で見たものと同じような巨人。
確か、ゲッテルデメルングで見た巨人と同じような敵だ。
斃す。



先手を取ったのはマシュだ。
女型の巨人の足元に瞬間的に移動させる為、ブースターユニットを噴射させる。
一方の女型は、格闘術の構えを取り、脚部分を硬質化させる。

「...ッ!」
女型が瞬きをする間にマシュの姿が、消えた
この感覚は、憶えがある。...立体機動だ。

この桜色の髪の少女は、巨人の対抗手段である立体機動を駆使する狩人である。
そう認識する前に、死角に回り込むかのように、マシュは後方へ迫っていく。

「不味―――」

最速で後ろを振り返った時には、もう遅かった。
まるで、雷槍。

イェーガー派の兵士が持っていたそれと同じように、マシュの盾に仕組まれていた魔術《バンカーボルト》によって、硬質化した足は爆裂した。

女型は防御を取る暇もなく、崩れ落ちる。

アニに敗因があったとするなら、それは話し掛ける相手の実力を見誤っていたこと。
女型の巨人の力を、過信しすぎていたことだった。

落ちる女型の首に回り込み、マシュは、とっさの防御のために硬質化されていた頭から首の付け根にバンカーボルトを当てる。


「――さよなら」
マシュは、その盾で女型の首部を貫いた。
女型の巨人は、何も成し遂げる事なく討伐された。


「戦闘終了です、やりました、先輩……!巨人を斃しました、私は、貴方を、.....」

マシュは理解している。私では、残りの異聞帯を攻略し、汎人類史を復活させることは出来ないだろう。
なら、聖杯に願望を叶えてもらい――先輩に、もう一度会う。

これしか、人類史復活の方法は思いつかなかった。

「必ず、生き返らせますから――先ぱ」
言い終わる前にガシ、と肉体を掴まれた。


878 : Call your name ◆4Bl62HIpdE :2021/06/06(日) 20:19:42 5F48HwtQ0


「!?」

「....やるじゃん」
うなじの部分から、人が出て来る。…さっきの金髪の少女だ。
落とされた巨人の頭部は、有り合わせの皮膚を伸ばされ、神経に接続されていた。

マシュは急いで女型の残骸を見て、ハッとする。何故、気付かなかったのだろう。残された首部からうなじにかけての硬質化が、残ったままであることに。

不味い。やられる。ブースターユニットで脱出しなければ。

「させない」

見ると、足の感覚が無い事に気が付いた。
女型の巨人の掌が、マシュの半身を巻き込み氷色の塊と化していたからだ。

「くっ....!」

「……悪いけど、あんたをこのまま結晶に閉じ込める。」
ビキ、ビキと音を立てながら、硬質化は臍の位置まで侵食していた。


「多分、禁止エリアが来て死ぬか、あんたは殺し合いが終わるまで眠っていてもらう。....言い残すことはある?」



「……」



「何て?」



「………ごめんなさい」
マシュの怯える表情のそれは、

『ごめんなさい……』
アニが巨人に喰われた兵士を初めて目撃したときのそれとよく似ていた。


「……ふざけんな」
「あ、が」
ギリ、と歯を立て、女型はマシュの胴体を握り潰そうと霊基外骨格に圧を掛けていく。
「わたしは……参加者を皆殺しにして、せんぱいを………大切な人を、生き返らせようとしました」
「わたしには、もう生きてる意味はありません……だから、ころして」


「私だって、仲間も、父親も殺されてんだよ‼」

絶望した表情の中で、アニは、客観的に自信を見れていなかった。
何故自分がこんなに激昂するのか、分からなかった。


「それでも、殺し合いを止めようと……!!ああ、くそ....!!」
「……だから?……どうして、あなたは、こんなに怒ってるんですか。」


879 : Call your name ◆4Bl62HIpdE :2021/06/06(日) 20:21:11 5F48HwtQ0

「……私一人じゃ、無理だから....。」
「……無理だと分かって!?なんで止めようとするんですか....!?」

マシュは、虚ろな目の中で、アニに問いかける。
「……私は、沢山の人間を殺したから、それでも、言ってくれた奴がいたんだ....『アニ、世界を救おう』って」

マシュは、アニの目の奥にある、失われた光を視ていた。
「でも……父親が殺されて、私はその役目すら放棄した。…だから、この殺し合いに巻き込まれた」

なんで、この人は私を叱ってくれるんだろう。
「もう代償は十分に払った。後悔は、したくない……力を、貸してほしい」

幾多の世界を敵に回して、その盾を血に染めても。
先輩だけは、私の味方だった。

この人にも、私と同じ、味方だった人がいるの?

――先輩。
いつかのやり取りで、私を叱ってくれた、先輩。
あなたが、死んでもまだ、世界を救う事を望むなら。


「……はい」
――私のマスター、この人の手を取っても、いいですか?



アニは指をギリ、と噛む。
しかし、何も起こらない。巨人化の稲妻が出る気配すらない。

「…殺し合いの首謀者に力を制限されてるみたいだ。……アンタのせいで力を使い果たした。」

「え…」

「……巨人化できるのは当分先だと思う」

「すみません……」

「いいよ、謝って取り返しのつく事じゃない。」

アニとマシュは、互いに情報交換を済ませた後、平安京を歩いていた。

「(エレン・イェーガー....アニさんの世界では、巨人が兵器とされて運用されている....)」
もしかすれば、アニもマシュが伐採しようとしている、空想樹の中の世界なのかもしれない。
それとも、魔法少女のイリヤの時みたいに何らかの並行世界なのか……?それは分からない。

「アニさん、もしかして、その世界には....何か天より大きい、樹のような物質はありますか?」

「? 巨人化したエレンより巨大な物質は、私が知る限りは無いけど....ところで、マシュ....この黒い板の使い方は分かる?」
「あぁ、ディメーンが言っていたタブレットですね...少し待ってください」

その瞳が驚きに見開かれるまで、そう時間はかからなかった。


880 : Call your name ◆4Bl62HIpdE :2021/06/06(日) 20:24:00 5F48HwtQ0



参加者名簿に表示されていた名前は。

藤丸立香。


――ベルトルト・フーバー。


「なんでっ……先輩がっ……!」

「……ベルトルト」

結晶化し眠っている時に、アルミンは、ベルトルトは死んだ、と言っていた。
僕に巨人は継承されて、死んだんだ、と。

――あの情報は嘘だったのか。いや、ありえない。
アルミンが、今の超大型巨人の宿主のはずだ。レベリオでの襲撃の時にはベルトルトは巨人と命を奪われているはずだ。

だが、アニはアルミンが巨人化することをまだ見ていない。
ひょっとして...と思わなくもないが、だが、違う。

大型船に乗り込むとき、アルミンは顎に孔が空いていた。
飛行場に向かう船の中で、軍港での戦闘中にアルミンはサムエルに顎を撃たれたところをコニーに助けられたと言っていた。
そして、孔は塞がっていた。

――つまり、アルミンは巨人化能力者であり、ベルトルト・フーバーは過去の人物、今はもういない人間である。

こう考えるのが妥当だ。だとすれば……
主催が、願いを叶えるというのは本当なのかもしれない....

「……マシュ」
「……あ」

藤丸の方も、生き返らせられたのか?
いや、違う。メフィスは「お主の旅はここで終わりじゃ」と言っていた。
だとすれば、メフィスは藤丸とマシュの旅を「終わらせる」ことが目的だった訳だ。

なら、この平安京にいる「藤丸立香」は、マシュが知りえない限りなく別人の、可能性が高い。
――藤丸とマシュの旅は、もう帰らない確率が高いことも。
アニは、マシュの瞳を見る。絶望と希望が綯い交ぜになった表情だった。

今ここでその確率を言ったら、自分のように確実に折れる。言わない方が、いいのかもしれない。
そう切り替えた。

「……あんたは、先輩がいないと何も出来ないの?」
「……っ、そんなことは……!うっ」


881 : Call your name ◆4Bl62HIpdE :2021/06/06(日) 20:27:01 5F48HwtQ0

そう言いかけて、吐きかけた。
マシュには、まだ首輪を爆発された立香のことが脳裏に焼き付いていた。



「....ごめん....まず、私達はベルトルトと藤丸立香を探す」

「はい……それで、ベルトルトさんの能力というのは」

「この地形の『外』を、あんたは想像できる?」
「え?」

「もし、私の仮説が正しければだけど....殺し合いの首謀者はその気になれば、このエリア一帯を幾千万の超大型巨人で埋め尽くし、踏み潰す事ができるはずだ」
「え...」
「そうなった時に、立ち向かえる奴は一人しかいない。同じ巨人化の能力を持つ、人間だ」

60mの超大型巨人、その脅威は絶大だ。
殺し合いの首謀者に立ち向かう気があるのなら、勝率は上げておきたい。それがアニの主張だった。

「はい……わかりました」

マシュは、その承諾を飲んだ。
アニは、マシュにはベルトルトは軍属で同じ戦士であると伝えていた。

アニは黙っていた。
ベルトルトが、どの過去から出現した存在なのか分からないこと。


エレンの脅威に立ち向かい、壁内人類を殺していた頃なら、参加者に向けて同じ事をしているかもしれないのに。
それでも、ベルトルトに会って協力するよう説得すると、嘘を付いた。


――今はもう居ない、仲間に、会いたかったからなのだろうか。

改めてこの世界は残酷だ、と思った。

【F-7/一日目/黎明】

【マシュ・キリエライト@Fate/Grand Order】
[状態]:喪失感(大)、深い悲しみ、混乱
[装備]:オルテナウス、オルテナウス盾部分
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:生き延びて、先輩と再び逢う。
1:参加者と接触し、先輩の目撃情報を調べる。
2:先輩が見つかるまで、アニさんと行動する。
※参戦時期は少なくとも第二部第二章以降

【アニ・レオンハート@進撃の巨人】
[状態]:マシュに対して不安、眼に巨人化の痕
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:マシュ・キリエライトと共に行動する。
1:参加者と接触し、ベルトルトと立体機動装置を探す。
2:巨人化能力が再び戻るまでは、マシュと行動する。場合によっては再び対峙するかもしれない。

[備考]参戦時期は第132話、ヒィズルの船に乗った直後からの参戦です
※この殺し合いの主催者にエレン・イェーガー、もしくは『始祖の巨人』を所有したエルディア人がいるのではと考えています。
※F-7に女型の巨人の残骸(数十分で蒸発する)が残されています。
※女型の巨人には制限が掛けられています、制限は以下の通りです
・身長は10m級に調整されている
・一度巨人化すると一定時間経過しないと再び発動できない


882 : Call your name ◆4Bl62HIpdE :2021/06/06(日) 20:27:27 5F48HwtQ0
投下終了です


883 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:24:09 MR4ju8AY0
皆様投下乙です!

善とエスデスのバトル、非常に激しく熱いバトルでした。
エスデスが善をめちゃくちゃ気に入るのも、彼らの「理性と死」の問答もめちゃくちゃ解釈一致で何度も頷いていました。こいつらは絶対こうなる。
エスデスの時間停止の破り方も、善がどんな相手も理解しようとする心の持ち主あること、エスデスの漫画版とアニメ版の最後の違いを活かしていてワザマエ!
「あいつなら能力の超解釈で時間を凍らせるとかしてくるんじゃないかな」と考えてた善くんは少し面白いですが。
冒頭と後半はノーコメントで。


八将神役の元の意識をあえて残しておくの、非常に厭らしいのがわかります。
役を与えられた肝心の本人がどんどん曇っていく、この地獄。
しかも姫和さんは下手に自殺すらできないというね。
こんな姫和さん相手でも助けようとするほどにクライスタ勢の唯一の良心と言われた千ちゃんが斃れたいま、頑張るのはきみしかいないぞトッペイ。

見せしめで殺された主人を想いゲームを肯定しようとしたマシュですが、それを止められるのは同じ境遇でないと厳しかったですよね。
にしても巨人とやり合えるマシュ、思ったよりもかなり強い。
そしてアニよ、ベルトルトくんはきみの最悪の予感の通り参加者集まる中で巨人ブッパしようとしてるぞ。
どうしようね、アニ。うまいこと説得できるといいですね、アニ。

投下します


884 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:27:52 MR4ju8AY0

ぴこぴこぴこ。

宙を舞う異形の耳が忙しく動き回る。
吸血鬼の真祖、ドミノ・サザーランドはその能力を用いて周囲の索敵をしていた。

(やっぱり索敵能力が大幅に弱体化してるわね...チッ)

普段ならば、精密さを重視しても1エリアの半分は索敵できるほどにドミノの索敵範囲は広い。
しかし、今は精密さを捨ててようやく1エリアの半分、精密さを重視すれば更に範囲は狭まるという異常事態である。

「とことんイラつかせてくれるわねあいつら」

名簿上、ドミノの知る名は四つ。

佐神善と日ノ元明。
彼ら二人はドミノの可愛い下僕の内の二人だ。
やはりというべきか、推測通りに身内が巻き込まれていた。
善は間違いなくこの場でも誰かを助けようと無茶をするのは目に見えているし、明も殺し合いには乗らなくてもその真っすぐすぎる性根は衝突を引き起こしやすい。
一刻も早く合流し、必ず助ける。それが主としての務めだ。

日ノ元士郎。
明の父で、ドミノと同じ吸血鬼の真祖の一人。
まだあの男の力のほどは見ていないが、真祖である以上は恐らくこの会場内でも実力は折り紙付きのはず。
元々、彼とは軍団を率いての戦争に臨むつもりだった。
本来あり得た諸々の過程を省略し、ここの大将戦で一気にケリを着けるのも悪くない。


堂島正。
善と親しい仲であった医者で、今は敵対しつつも燦然党への内通者として取引している吸血鬼。
ただ、ドミノは堂島に全幅の信頼を置いている訳ではない。
彼が民間人の犠牲を良しとしない男なのは知っている。この殺し合いでも一般人を犠牲にするような真似はしないだろう。
しかし、それはあくまでも一般人に対してだ。
彼は誰かを立てるのではなく自分が頂点に立ち世界を平和にする理想を抱いている。その為ならば自分とて平然と裏切るだろう。
無論、当面の狙いは一般人への犠牲も顧みない士郎の打倒だろうが、それでも迂闊に背中を見せるわけにはいかないだろう。尤も、挑まれたところで返り討ちにするだけだが。

(悩みの種はここの連中だけじゃないわね)

会場に連れて来られていない残る下僕の二人、狩野京児と七原健のことも気になる。
ドミノは士郎率いる燦然党を下す為に、もう一人の真祖、ユーベン率いるゴールデン・パームと同盟を組んでいる。
ここで重要なのはあくまでも同盟という点だ。燦然党を滅したあとは同盟も無くなりゴールデン・パームとも戦うことになる。
そして、同盟の肝心の目標である士郎はここに連れて来られている。
燦然党側もすぐに党首がいないボロを出すことはあるまいが、それが知れ渡れば京児たちは完全に二人で孤立してしまう。
そうなれば敗北は必至。七原はゴールデン・パームの主力の一人、阿久津潤と仲がいいため匿って貰える可能性も高いが、京児は無理だろう。
彼は彼でゴールデン・パームの誰からも実力は認められているが、その残忍な性格をお披露目したばかりで、ハッキリ言ってゴールデン・パーム組員の9割から嫌われている。
京児だけは潰せるなら潰しておきたいというのが大半の党員の意見だろう。

「...うかうかしてらんないわね」

一刻も早くこの殺し合いを終結させ、愛しい下僕たちのもとへ帰らなければ。
ドミノは精密さを捨て、探索範囲をさらに広げる。
その耳が捉えるものは―――いた。

反応は二人。なにやら言い争っているようだ。
ドミノは探知した者たちのもとへと高速で飛んでいく。

降り立ち、その先で見たものは。

「やめてくれえ!僕は初音ちゃん一筋なんだあ!」
「や!私、お兄ちゃんに『お礼』するの!だからさとちゃんのとこつれてって!」

全裸の冴えない青年が、少女に馬乗りにされ襲われているなんとも見苦しい場面だった。


885 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:28:43 MR4ju8AY0



モッコスから逃げ出し休憩と取っていた充としお。
しかし、ようやく一息をつけたと思ったその時、突如しおは豹変し、充の股間に触れようとしてきた。

「なっ、なにをするんだい!?」

咄嗟に飛び退きしおから距離を取る充。
そんな充に、しおは頬を紅潮させ開いた瞳孔で手をワキワキと蠢かせる。

「私、さとちゃんに会いたい...だからおじさんに教わった『お礼』でお兄ちゃんをおもてなしするの!」

自分が気絶している間にあの男にナニを仕込まれたというのか。
しおから漂う漢の臭いになんとなく事情を察した充は背筋に怖気が走る。
あの男はこんな小さな子になんてことをしたんだ!
充はその事実に怒りを抱くも、しかし優先すべきはこの少女を宥めることである。

「僕はそんなの全然嬉しくないよ!だからやめてくれえ!」
「うそ!おとこを満足させるのが社会勉強っておじさん言ってた!さとちゃんに会いたいならやれって!」
「うわーん、なんでそうなるんだよぉ!」

微妙に噛み合わない会話に充は泣きそうになる。
元々、彼は口達者な方ではなく、異性との会話も事務的なこと以外は殆どしたことがない。
そんな彼に、精神を消耗させた少女を慰めるなど無理難題であった。
かといって、今しがた恐い目にあった少女相手に暴力を振るうこともできない。

(よし、今はこの子から離れよう!)

三十六計逃げるに如かず。
いま、しおは酷く混乱している。
ならば一旦身を隠し、服を探してきて、落ち着いた頃を見計らい迎えに来ればいいだろう。

「あれ?」

ガクリ、と膝から力が抜け落ちる。

充は決して身体能力に優れる男ではない。むしろ、勉強はできても身体能力は劣る部類だ。
そんな彼の貧弱な身体を襲ったのが、モッコスの顎へのアッパーカット。
ダメージが回復しないままの逃走、そして体を休めたことでの非常時のアドレナリンの抑制がここにきて響いてきた。

その隙をしおは見逃さない。


886 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:29:18 MR4ju8AY0
「お兄ちゃん、さとちゃんのとこ連れてって」

充の股間へと顔を潜らせ、その手に充のモノを握りしめる。

「ダメだって!僕はそんなの望んでないんだぁ〜!」
「おっきくならない...えと、『おにいさんの、ちいさくてかわいいよ』」

モッコスから仕込まれた誘惑の言葉も充には響かない。充の愛は初音にのみ注がれる。まかり間違ってもこんな幼女には向けられないからだ。
モッコスと違い、小さいままのソレを、しおは無理やり擦ることで大きくしようとする。

「やめてくれえ!僕は初音ちゃん一筋なんだあ!」

しかし、貧弱とはいえ充も曲がりなりにもしおより身体の大きい男。
力が抜けているとはいえ、少女の身体を押せば引き離すことくらいできる。

だがそれが逆に彼女の逆鱗に触れた。

どうしてお兄さんは『お礼』を受け入れてくれないのだろう。
どうしてお兄さんはさとちゃんのとこに連れてってくれないのだろう。

しおは頬を膨らませ、意地でも『お礼』を受け取らせようとする。

「や!私、お兄ちゃんに『お礼』するの!だからさとちゃんのとこつれてって!」

しおは充に負けじと前のめりに身体を摺り寄せようとする。
疲弊し脱力する青年と意地でも身体を預けようとする少女は拮抗し戦況を停滞させる。

その停滞は、来訪者の影によって終戦を迎えられた。

「だっ、誰!?」

充はしおを手で制しながらも、被さる影に慌てて振り返る。

そこにいたのは赤の長髪が特徴的な制服の女子。
その鋭い目つきと凛々しい風貌はどこか仲間である藤堂悠奈を連想させた。

「きっ、きみ!助けてくれぇ!」

情けない声音で咄嗟に懇願する充。
しかし返事はなく。代わりにヒドく冷たく蔑んだ視線が贈られる。

(うわはあああん、やっぱり誤解されてるよおおお!!)

股間を握られかける全裸の男と生臭い臭いを放つ少女。
ここから変態ロリコンクソ眼鏡を連想するなという方が無理なことは充自身が理解している。


887 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:30:07 MR4ju8AY0

充が声をあげたところで、しおも来訪者の存在に気が付き顔を上げる。

「ぁ...」

しおはぽかんと口を開け声を漏らす。

「さとちゃん?」

長くて色のついた髪。
ここに来てから初めての女性の影に、しおは唯一信頼できるさとちゃんの影を重ねる。

「ごめんね、さとちゃんじゃなくて」

しかし、月光に映し出されたその顔はさとちゃんとはまるで別物で。
なのにしおは彼女の姿に魅入るようにジッと見つめていた。

「私はドミノ・サザーランド。あなたは?」

しゃがみ込み、目線を合わせてくれるお姉さんに、しおは先ほどまでの焦燥が嘘のように消え失せ安心感を抱く。

「しっ、しお。私、しお!」
「しおちゃんね。あなたの言う、さとちゃんってどの子のことかな?」

ドミノは名簿を見せしおの反応を覗う。

「んと、さとちゃん...さとちゃん...あれっ?」

名簿を見ながらしおは小首を傾げる。
自分の名前は見つかった。
たくさんあったのでわかりにくかったが、それでも"しお"は一人だけなのでわかった。
けれど、"さとちゃん"はふたつあった。
自分の近くにあった"松坂さとう"と"佐藤マサオ"。
佐藤、という漢字は何度もテレビで読み上げられたのでしおでも読めた。
故に生じる疑問。
"さとちゃん"が本名ではなくあだ名なのはわかる。ならばそこから連想されるのは"さとう"ということも。
じゃあ、どっち?しおの知っているさとちゃんは、どっちなの?

「さとちゃんって、どっちだろう」
「どっち?」
「こっちと、こっち」

しおは『松坂さとう』と『佐藤マサオ』の二つの名を指さして、どちらが"さとちゃん"かをドミノに尋ねる。
ドミノは一瞬だけ呆けた顔をするが、しかしすぐに微笑みを浮かべしおに向き直る。

「そのさとちゃんは女の子?それとも男の子?」
「女の子だよ。とっても可愛いの」
「あなたと同じくらいの歳かしら?」
「ううん。お姉さんと同じくらい」
「...じゃあこっちね。マサオっていうのは男の子が貰う名前だから。まつざかさとう。きっとこれがさとちゃんね」
「まつさかさとうがさとちゃんの名前...えへへ、さとちゃんのことが知れてうれしいな」

ぽわぽわと花でも飛びそうなほど朗らかにしおは笑う。


888 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:30:54 MR4ju8AY0
そんな彼女には微笑みを向けつつも、ドミノは会話を続ける。

「さとちゃんはあなたのお友達かしら?」
「ううん。お友達じゃなくて、世界一大好きな人。お姉さんはそういう人はいる?」
「私?うーん、まだよくわかんないかなあ」
「じゃあおまじないしてあげ...」

突如、表情を暗くし委縮するように縮こまるしおにドミノは首を傾げる。

「...さとちゃんとの誓いの言葉、教えてあげようと思ったんだけど、間違ってるって言われたの」
「誰に?」
「もじゃもじゃのおじさん。おじさんに『そいつは間違ってる』『お前は騙されてる』ってぶたれて、『社会勉強』を教えられて、だからこのお兄ちゃんに『お礼』をしようと思って...」
「...君と会う前に、やけに乱暴な男に襲われてね。僕も服を取られて、この子と一緒にいたらしいモンスターが抑え込んでくれている間に、僕らはどうにか逃げ出したんだ」

乱暴にされた恐怖を思い出し、涙ぐみえづくしおに変わって充が捕捉し説明する。
そしてドミノはなんとなく理解する。
彼女が充の股間に執着する理由、そしてしお自身の背景を。

ドミノは内心でため息を吐く。
こんな時にその男はいったいなにをやっているのか。いや、こんな時だからこそ欲望に負け愚行に走るのだろう。
ドミノからしてみれば、彼らの事情はなんの利にもならない。
善と明、堂島と出会っていればこんな状態の二人を放置するはずはなく、士郎と会っていれば二人の命は既にない。
ドミノの知己と出会っている可能性が零であるなら、構うことなく放置するのが合理的だ。

(仕方ないわ。民のメンタルケアも王の役目よね)

しかしそれが出来ないのがドミノ・サザーランド。
真祖の中でもとりわけ情に厚い王器の持ち主である。


(まずは..そうね)
「しおちゃん。ちょっと気晴らしにお散歩しましょうか」
「えっ?」
「眼鏡、ちょっとこの子を借りるわよ」
「うっ、うん」

ドミノがしおの手をそっと握り、しおは呆然としながらも反射的に握り返す。
すると、ドミノの身を包む学生服が消え去りあっという間に布面積の少ない衣装に変わり、ほぼ剥き出しになった臀部からは尾が、背中には巨大な翼が、頭部には蝙蝠に似た巨大な耳が生えた。

「っ!?」

突然の変貌にしおも充も驚愕し息を呑む。
その驚愕も冷めやらぬうちに、ふわりとしおの身体が浮かび上がる。

「あんたはここで待ってなさい。死にたければ逃げていいけど」

変身。ほぼ全裸。浮かぶしお。
情報の整理が追いつかないままの充は、思考を放棄しコクコクと黙って頷く。
それを見たドミノはしおと手を繋いだまま自身の身体も浮かび上がらせ―――二人は、上空へと飛んだ。


889 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:31:42 MR4ju8AY0

「目を瞑ってちゃ勿体ないわよ、しお。こんな経験そうはできないんだから」

しおはハッとし目を開く。
心地よく身体を撫でる風。手を包む優しい温もり。遠のく地上。不思議な感覚で浮遊する自分。
そんなおとぎ話かなにかのようなこの光景に、悩みも恐怖も不安も。一瞬、しおの頭から消え失せた。

「本当は普通の空だったらもっと良かったんだけど。どうかしら、初めての夜空の散歩は?」

消え失せた心のもやもやの代わりに占めるのは、紅い月に照らされる景色とドミノの姿への感傷。

「...さとちゃん言ってた。お外は危険なものがたくさんあるから出ちゃ駄目だって」

しおは思う。さとちゃんの好きなきらきらしたものとは違うけど。

さとちゃんと一緒に見上げた夜空とは違うけれど。

「私、さとちゃんに教えてあげたい!お外にも綺麗なものは一杯あるんだって!」

それでもこの景色も、違う感じに綺麗だと。

目を輝かせて笑うしおを見ながらドミノは微笑み、その一方、内心で彼女という人間を冷静に分析する。

(この子はひたすらに純粋。与えられるなにもかもを受け入れて、それを疑うことを良しとしない)

ドミノは、"さとちゃん"の本名をしおが知らなかったことから既に松坂さとうに対して疑いの目を向けていた。
決定打となったのは、先ほどのしおの『外は危険なものがたくさんあるから出ちゃ駄目』という言葉だ。
さとうはしおを虐待あるいは誘拐監禁をしている。しおがさとうに対しては微塵も恐怖を抱いていないことから監禁からの洗脳といったところだろう。
別に珍しいことでもない。時代を遡れば、奴隷を似たような形で寵愛する貴族や王もいたのだから。

しおはそれを理解しているのかいないのか、さとうへの好意は隠そうともしていない。

しかしさとうへの全幅の信頼を置いているかと思いきや、自分を襲った者の言葉にまで耳を傾けてそれすらも受け入れている。
彼女は危うい。己で考えることをしないから、ああも容易く他人の意見に従ってしまう。

(ま、人の性根にまで口出しするのは踏み込みすぎよね)

ドミノがその二人は悪党で両者とも信じるなと刷り込ませるのは難しいことじゃない。
しかし、それでは結局しおは流されるだけの木偶になってしまう。

「ねえ、しお。しおはあの眼鏡くんに、恐いおじさんから『お礼』をしろって言われたからしようとしてたのよね。さとちゃんからもそう教わったのかしら」
「ううん。さとちゃんは社会勉強教えてくれなかったよ」
「ならしおは、なんでおじさんの言うことを聞こうとしたのかしら」
「...いう通りにしないと怒られるから」
「そのおじさんはいないのに?」
「えっ?えと、私、えと...」
「...しお。さとちゃんの言ってた『お外には危険なものがたくさんある』、っていうのは間違いじゃないのよ。世の中にはずっと真面目で素直な人がいれば、嘘つきで人に迷惑をかける人もいる。
そうやって白と黒が混じってずっと灰色なのがこの世界なのよ」
「灰色?」
「そう。灰色。私たちはその中で白か黒かを自分で見て決めなくちゃいけないの。しおは白と黒、どっちが好きかしら」
「...白。私、綺麗な白が好き」
「私もよ。...じゃあ、考えないとね。さとちゃんと恐いおじさんは、どっちが白でどっちが黒か」
「白と黒、どっちが正しいの?」
「それもあなたが考えなきゃダメ。人の好き嫌いが正しいかどうかなんて誰かが決めつけるものじゃないから」

だから、ドミノに出来るのは選択する機会を与えるだけ。自分で考え悩み、選んだ道へ進む後押しをするだけだ。


890 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:32:24 MR4ju8AY0

ドミノの耳がピコピコと動き回り―――その往復回数が目に見えて増していく。

「......」

俯き考えるしおの頭にぽんぽんと手を乗せ、地上へと降下していく。

地上に辿り着けば、未だにポカンと口を開け放心している充の姿があった。

「いつまで呆けてるのよ。私の変身体に見惚れてたの?」
「あっ、ああっ、ごめんよ。あんまりにも現実離れしすぎてたからつい。...きみ、何者なんだい?」
「吸血鬼(ヴァンパイア)よ。詳しくはおいおい話してあげるから。ほら、しゃんとしなさい。誰がこの子の面倒見ると思ってるのよ」

ドミノは握っていたしおの手を離し、充へとデイバックごと押し付ける。
充は困惑する。なぜ彼女はデイバックを自分に?
その困惑を他所に、ドミノはしおの頭に手をおき、しゃがみ込み目線を合わせて微笑みかける。

「しお。あなたが答えを出すまで『お礼』は禁止よ。でないとこのお兄ちゃんも困っちゃうから」
「ドミちゃん。その、私が正しくないと思ったらどうすればいいの?」
「そうね...どうするかはあなた次第だけど、私なら捨てちゃうかしらね。こう、くしゃくしゃ、ポイッて」

掌の中でなにかを丸め、捨てるような仕草をするドミノを見て、しおは己の掌を見つめる。
さとちゃんの温かい手に包まれた感触と、モッコスの宝剣を握った感触、両方を経験した手を。

「眼鏡。名前は?」
「えっ、えと、僕は城崎充」
「充。あんたはそのデイバックで粗末なモノを隠して離れなさい。勿論、この子を連れてね」
「え?どういうこと?」
「私は来客の相手をするから」

刹那。

ズン、と地響きと共にドミノの背後から砂塵が舞い上がる。


891 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:33:14 MR4ju8AY0

突然の砂塵に充としおは反射的に目を瞑り、風の勢いで尻餅を着いてしまう。

「ゲホッ、なっ、なに!?何が起きたんだ!?」

眼鏡である充は幸い被害が少なく、しおよりも早く視界を回復させることができた。
砂塵が晴れた時、充の視界に映ったのは未だに目を擦り続けるしお―――その目前にまで伸ばされた黒く太い獣の腕。
下半身が体毛に覆われ、ドミノの二回りは大きな巨体。なにより特徴的なのは口から覗かせる鋭利な牙と黒く巨大な翼。
その姿に充は思う。悪魔だ、と。

「あ、あわわわわ」

あまりの威圧感にガクガクと足が震え腰が砕けそうになる充。

「充、30秒時間を稼いであげるわ。しおを連れて逃げなさい」

ドミノの声に充はハッと我に帰る。
彼女は掌を悪魔に向けて翳していた。しおを浮かばせた時に用いた超能力で悪魔を抑え込んでいるのだろうか。

「早く行くの!!」

先ほどまでとはうってかわり強い語気に、充は弾けるようにしおの手を掴む。

「に、逃げるよ!」
「えっ?えっ?」
「早くっ!」

先ほどドドンタスに背中を押されモッコスから逃げ出した時と同じように、充はしおの手を引き駆け出した。

その背を追おうとする悪魔。しかし、ドミノの超能力がそれを許さない。

「あの子たちもいずれはわたしの下僕になる予定なの。直属は埋まってるから、広義の意味でだけど。そういう訳で、手出しはさせないわよ」

ギリ、ギリ、ギリ、と悪魔の筋肉が軋み拘束から抜け出そうとする。

(...強いわね、やっぱり)

ドミノは拘束どころか身体を潰すつもりで念動力をかけている。しかし、悪魔はそれに筋力のみで対抗している。
しおとの空中散歩の際に察知した時から、この悪魔の異様なプレッシャーには気づいていた。
が、こうして改めて接触すれば嫌でも感じる。間違いなく、こいつは真祖にすら匹敵すると。


ガパリ。

悪魔はドミノへと向けて大口を開ける。

そこから放たれた炎は瞬く間にドミノを包み、地を、大気を灼熱に晒す。
人体であれば容易く溶けるであろうソレを受け、しかしドミノは苦悶の声すら漏らさない。


―――轟ッ!!!


ドミノの翼が羽ばたけば突風が吹き、灼熱の炎が払われる。
ドミノは腕を組みながら鋭い眼光を向け、悪魔は唸り声を漏らし睨みつけている。

「あんた、名前は」
「ヴヴヴヴゥゥゥゥ」

返事はなく、悪魔はカチカチと牙を鳴らしながら低く唸るだけ。

「...そ、答えられないのね」

言葉が通じない以上、もはや問答も必要ない。

「来なさい悪魔。その耳障りな唸り声を止めてあげるわ」
「ヴォオオオオオオォォォ!!!!!!」

ドミノの宣戦に応えるように、悪魔―――デビルマン、不動明の雄たけびが大気を震わせた。


892 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:34:20 MR4ju8AY0




―――30秒―――

ドミノが指を鳴らすと、周囲の木々が浮かび上がり明へと高速で襲い掛かる。
明はそれをその剛腕ではじき粉砕する。

意識が木へと向いたその隙に。10メートルはある巨大なコンクリート片が押しつぶさんと迫る。
明は右拳を固め、振りぬき―――それすらも貫通。どころか、腕を突き刺したまま勢いよく後ろへと引き、強引に建物から念動力を引きはがす。
そのあまりの力技にドミノの目が見開かれる。
明はそんな彼女にお構いなしに、腕にコンクリート片を嵌めたまま拳を振るう。
いとも容易く振るわれるソレを華麗に空を舞い躱す。
一度、二度、三度目ときたところで、ドミノは高速で旋回し明へと向かう。
降下速度の乗った蹴りは明の腹部に突き立てられ、明の顔も痛みに歪む。
が、明は空いている左腕でドミノの足を掴み地面に叩きつける。
沈む地盤、巻きあがる砂塵。しかしドミノの五体は未だ健在。

もう一度、と足を掴んだまま振り上げられ、地面に落とされる直前に、明の腕をドミノが念動力で拘束。
左腕の動きが一旦止まるも、しかし残る部位は健在だ。明の蹴撃が振るわれ、ドミノはそれを腕を交差し防御。
吹き飛ばされるドミノへと、巨大なコンクリート片が振るわれ、地面に叩きつけられる。


――20秒―――

ズン、と地響きと共に崩れ落ちるコンクリート。
その中心を、割って飛び立つ影は―――ドミノ。
額から多少の出血はあれど、怯む様子もなく、今度は頭一つ分にまで粉砕された数多のコンクリート片を能力で浮かせ、一斉に放つ。
先の攻防と同じように拳で弾いていく明。瞬間、彼の腹部に灼熱の痛みが走る。
刺さるのは、槍。巨大さを捨て範囲を絞り、鋭利に削ることで速度と貫通力を上げた、コンクリート片で出来た槍だ。
痛みはある。しかし、明とてこれまで幾多の悪魔族(デーモン)を屠り、且つ今は選ばれた参加者『八将神』の身。
その程度の痛みでは怯まず、どころか未だ降り注ぐ数多の欠片すら意に介さず、ドミノのもとへと飛び立つ。
防御を捨て突っ込んでくる明へと、ドミノは逃げる姿勢を見せることなく、その場で待機し迎え撃つ。
突き出される両者の掌が重なり、互いの爪同士がぶつかり合い火花を散らす。


――10秒―――

ぶつかり合った互いの手から血が滴るも、両者とも意にも介さず。
次なる拳。膝蹴り。頭突き。
全てが同時に放たれ、ぶつかり合い、衝突の余波で周囲が揺れ蠢き、鮮血を散らす。

ガパリ、と明の大口が空き炎が放たれるも、ドミノは顔を傾け寸でのところで回避。
片耳が焼けるのもお構いなしに右のアッパーカットで明の顎を砕く。
いくら異形と言えども通常ならば怯み倒れる一撃。しかし、明は僅かに仰け反っただけで、返す刀で廻し蹴りを放つ。
ベキリ、と嫌な音を立ててドミノの肋骨が折れる。
にも拘わらず、ドミノはその足を抱え込み、高速で降下し地面に叩きつける。
地面にはクレーターが生まれ、再び砂塵が巻きあがる。
そこから背後への小刻みな跳躍を繰り返し、距離をとるドミノ。
翼で砂塵を吹き飛ばし、明が一気にドミノへと肉薄する。
再び交わる拳。その衝撃に、明の腕から血が吹き出し、ドミノの拳は腕ごと吹き飛び鮮血が宙を舞う。
折れた肋骨がドミノの拳の威力を削ぎ、その差が如実に表れたのだ。
ドミノはあまりの衝撃に後方へと吹き飛ばされる。
追撃にと口を開け炎を放とうとする明。その隙間を縫い、槍と化したコンクリートが飛来し、明の口内を貫通し発生を阻害した。

―――0秒―――


893 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:34:51 MR4ju8AY0

「ガヘッ、ガヘッ」
「...フーッ」

口内から槍を抜き咳き込む明と、折れた肋骨に手を当て深呼吸するドミノ。
その僅かな休息の内に、両者の傷は完治し万全な状態に戻る。

「...そろそろね」

先ほどまでとは打って変わり、ドミノは笑みを浮かべる。
諦めでも、しおに向けていたような微笑みでもない。
秘める残虐性を隠さないほど凶悪に吊り上がった、悪魔のような笑み。

「私、手加減が苦手なのよ。あの子たちが離れるまでは...って我慢してたけどもう必要ないわよね」

宣言通りに三十秒は稼いだ。充たちもまだ探知範囲内にいるようだが、これだけ離れていれば巻き添えを食うこともないだろう。

ドミノの身体にパワーが集まり、周囲の地面や瓦礫が音を立て揺れ始める。
それに呼応するように。明の筋肉が膨張し、周囲の地面が圧力で一段陥没する。

「そう。あんたもまだ全力じゃなかったの。ならこれで恨みっこなしね」

両者のパワーが漲るのに合わせて、地震の様に大地は裂け大気が揺れる。
一般人でも視認できるほどに両者の身体に光が纏われる。
ドミノは月のような輝きを、明は暗黒の如き漆黒を。

そして。

ふっ、と揺れは収まり静寂が訪れる。

消えたのではない。全ての力が、両者の身体に収まったのだ。

「フルパワーよ」

その言葉を合図に、両者に溜まったパワーが解放され、最後の激突が始まった。


894 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:36:25 MR4ju8AY0


それはまさに神々の戦いだった。
轟音が響き渡り、地は割れ、暴風が荒れ狂い、雷が降り注ぐ。
巨大なエネルギーの衝突は周囲の存在を許さず、瞬く間に塵と化していく。

その光景を見る者は果たしてなにを抱くのか。

(い、いったい何が起きてるんだ!?本当にこれが現実なのか!?)

恐怖か。

「きれい...」

憧憬か。

(なんて無力なんだ、僕たちは...)

時折、此方まで届いてくる風からしおを護りつつ、充は思う。
こんなもの、僕たち人間にどうこうできるものではない。ちっぽけな人間なんかに何が出来るのかと。

(初音ちゃん...僕はもう...)

いつもなら初音の顔を思い浮かべるだけでも力が湧いてくるのに、今となってはもはやなんの慰めにもならない。
諦め。
己にどうしようもないことに対面した時、人は全てを受け入れることで己を慰める。

しかし。

「頑張れー!!頑張れードミちゃん!!」
「しおちゃん?」

絶望に屈さぬのもまた、人間の性(さが)である。

「頑張れー!頑張れー!!」

しおは一心不乱に応援する。
殺し合いという状況をあまり理解していなくても、もじゃもじゃのおじさんのところに残ったドンくん(ドドンタス)のように、ドミノが自分たちの為に頑張っていることくらいはわかるから。
だからしおは声を張る。
ドンくんに出来なかったことを繰り返さないようにと。

その姿を見た充は、唇を噛み締める。

(そうだ...戦ってるのはドミノさんじゃないか。何もしていない僕が諦めてどうするんだ!)

ドミノが戦っているのはなんのためだ。自分たちを護る為じゃないか。
自分は無力だ。それでも、出来ることはあるはずだ。

「頑張れー!頑張れドミノさーん!!!」

この大轟音だ。きっと彼女に聞こえていないだろう。
それでも充としおは声を張り上げ応援し続ける。
頑張れ、頑張れと。


895 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:38:00 MR4ju8AY0

ドミノと明。互いの身体の一部が吹き飛んでは再生し、削がれてはまた再生し。
互いにぶつかりあう力の余波で破壊と再生を繰り返し消耗していく。

先に限界が達するのは―――ドミノ。
劣勢であるのを隠すこともできないほどに、目は充血し削がれた肉から内部が徐々に露わになっていく。
対する明は、ただでさえデビルマンとしての再生能力を有している上に、八将神の加護により再生力のアドバンテージを有している。
どちらが優勢に立つかは日を見るよりも明らか。
なのに。
明の顔に余裕は見えない。ドミノの笑みは絶えない。

なぜか。

「まったく、バカねあんたら。早く逃げればいいのに」
「......!」

地獄耳の二人には聞こえているからだ。二人の人間の声が。

統べるべき民が望むのならば、王は負けられない。
その想いがドミノの力となり推進力を増していく。

何故だ。なぜ人間が応援などする。あの醜い人間が。
何故、こいつは一歩も退かない!?その動揺が、明の隙を生み出す。

力無き者の救いの声を受け。力なき者の為に力を振るう。

それは誰だ。誰だ。誰だ。

それは誰だ!?

「デビル...マン...!?」

明の白く剝かれていた目に光が宿る。

「ようやく、あんたの顔が見れたわね」

ぶつかり合っていた力が弾け、互いの吐息が交わるほどに顔が近づく。

「ッ...俺は...」
「きっと悪い夢を見ていたのよ」

動揺で呆ける明とは対照的に、慈愛の微笑みを向けるドミノ。

「だからって、加減するほどお人よしじゃないけれど」

その微笑みは凶悪に歪み、鋭い牙を剥き出しにしたままドミノの拳が握り絞められる。

「もしも生きてたら―――また来なさい」

拳が。真祖の残る力を振り絞って放たれる拳が、無防備に立ち尽くす明の頬に突き刺さり、遥か彼方へと吹き飛ばす。
瞬く間に消えていく明。その姿を見届けると―――ドミノもまた、力無く地に墜ちていくのだった。


896 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:38:42 MR4ju8AY0




「はあっ、はあっ...!」

衝突が終わり、静寂が辺りを支配した頃、充としおは急いでドミノの元へと向かっていた。
力の衝突により削られ出来たクレーター。その中心に、ドミノは仰向けに倒れていた。

「ドミノさ...ッ!」

ドミノの姿を見た充は息を呑む。
彼女の身体は傷ついていない箇所などないほどに赤く染まっていた。
裂けて内部が露出する腹部や頬、吹き飛んだ右手。
一見すれば死んでいるとしか思えない惨状。
それでも、まだドミノの呼吸は微かにあった。

(こんなになるまで、どうして...!)

充の顔が今にも泣きそうになるほどにくしゃりと歪む。
あれだけの力を誇る彼女が、どうしてこんなになって自分なんかを護ってくれたのか。

「ドミちゃん、起きてよドミちゃん」

しおは傷つくドミノにも恐れず、その身体に触れて呼びかける。

「私、さとちゃんに会いたいの。会って、ドンくんとドミちゃんと一緒にぽかぽかしたいの。だから...起きて、ドミちゃん」

いや、本当は彼女も恐れている。
"死"というものを理解しきれていなくても、このままドミノやドドンタスが傍からずっと消えてしまうのを。
さとちゃんともこうなってしまうのではないかという不安を。

今にも泣きそうな声色になるしおを見て、充の心臓がドキドキと高鳴り思考が冷静に回る。
もしもこのままドミノが死ねば、果たしてこのまま自分はしおや初音を護り切れるのだろうか。
支給品は奪われ、モッコス相手にも何もできなかった弱い自分が。
あれだけの災害を引き起こせる猛者たち相手になにが出来る?自分は頑張ったと言い聞かせて慰めるか?
あるいは、また出会った強い参加者に荒事を押し付けての逃避行を続けるのか?

(そうだ。いま、必要なのは。この場で最も不要なのは―――)

充は目を瞑り、決意と共に見開く。

「しおちゃん。僕の話を聞いてくれるかい?」

宥めるようにかけられる充の声に、しおは顔を上げ振り返る。


897 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:40:10 MR4ju8AY0

「もしも、もしもだよ。僕がここでうたた寝を始めて起きなかったら、ドミノさんの言うことをちゃんと聞くんだよ。そして初音ちゃんという子を一緒に探してほしい。
ドミノさんがずっと眠っているようだったら、さっきのもじゃもじゃのおじさんに会わないように、とにかく逆の方向に逃げるんだ」

しおは充がなにを言っているかがよくわからなかった。けれど、その自分を見据える真っすぐな眼差しを、しおはなにを言うでもなく見つめ返していた。
きっと、彼の言葉は大切なことなんだろうと、なんとなくだが理解して。

そんなしおを見て、充は微笑む。

そして。拾い上げたそれを、鋭利なコンクリート片を握りしめ―――己の左掌に、全力で突き立てた。

「ぐっ、あああああああ!!」

ぐりぐりとコンクリートを動かす度に肉は裂け、激痛に苛まれ、そのたびに血が溢れ充の悲鳴があがる。

「おにいちゃん!?」
「来ないでくれ!きみはドミノさんに呼びかけ続けるんだ!!」

自傷行為を始める充を止めようとするしおを叫び止める。
出血は人体の30%を超えると命の危険に関わると言われている。
勿論、充はそんなことは知っているし、現状に絶望し考えなしに自決しようとしている訳ではない。
流れ出る血は全て、ぽかりと空いたドミノの口内へと落ちている。

(ドミノさんは吸血鬼だって言ってた。なら、人の血こそが力の源になるんじゃないか)

普段ならばなにかの冗談と流していた言葉も、あの超常現象を目の当たりにすれば真実だと思わざるを得ない。
無論、これは賭けだ。
確実性のない、自分が死に至るかもしれない無謀な賭けだ。
それでも構わない。シークレットゲーム以上に過酷で過激なこの環境、必要とされるのは自分のような弱者ではない。
ドミノのように超常の力を有しながらも人を思い遣る『人間の心』を無くさない強者なのだから。


(彼女の隣にいるのは僕じゃなくてもいい。彼女がまた笑顔で生きれるならそれでいい)

もうどれほど血を流しただろうか。
激痛は未だ止まず、意識は朦朧とし、コンクリート片は既に掌に風穴すら空け血がとめどなく溢れている。
それでも充は逃げ出さない。涙の止まらぬ地獄から目を背けない。
充にとって初音は全てだ。かつて彼女に救われた彼にとって、己の命を賭けるに値する存在(アイドル)だ。

(だから僕は―――初音ちゃんの為なら死ねるんだ)

その思考を最後に、充の意識は途絶える。

「ッ!」

しおの驚愕するような視線を感じながら。

「―――胸を張りなさい。あんたの気高いほどの『献身』は、決して誰にもできることじゃないわ」

かけられた労いの温もりを肌で感じながら。


898 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:41:08 MR4ju8AY0

「ドミちゃん!」

立ち上がり、充を抱き止めたドミノの姿に、しおはぱあっと顔を輝かせる。
傷も、欠けて露出していたものも全て塞がり、五体満足の状態へと戻っていた。


「心配かけたわね、しお」
「ううん、私は平気!」
「そっ、良かったわ」

ドミノは充を横たえると、その左掌に空いた穴にデイバックから取り出した医療道具で止血を施す。

「ドミちゃん、おにいちゃんは...」
「大丈夫。ちょっと疲れて眠ってるだけよ」
「よかったあ」

ホッと胸を撫でおろすしお。
そのしおに微笑みかけ、充の汗ばんだ額をそっと撫でる。

(まったく、私のポリシーまで曲げさせて)

ドミノたち吸血鬼にとって血とは一時的に力を増し気分を高揚させるドーピングのようなものである。
しかし、ドミノを含め、彼女のチームの五人は誰も人間の血を摂取しようとはしない。
それは一般人に吸血鬼同士の戦いに関わらせないという暗黙の了解に似たようなものがある。

(ま、下僕がここまで命を賭けたんだもの。応えるのが王の役目よね)

充が本当に限界寸前まで命を賭けて繋いだのだ。それを責められるはずもない。

(それほど大切なものがあったのね)

まだ会って僅かな時間でここまで尽くせる善人など一人しか知らないしそうそういる筈もない。
充には命を賭しても守りたいものがあり、彼の献身が自分に向けられているものではないのは容易に察せる。

「あんたの覚悟は引き受けたわ。今は安心して休みなさい、『下僕5号』」

ドミノにとっての『下僕』とは使いつぶすためのものではなく、共に戦い護り合う存在である。
吸血鬼の真祖は認めたのだ。城崎充という虚弱な人間を、共に戦う同志だと。

「さて。充を休ませないといけないし、どこか屋根のあるところへ行きましょうか」

彼の股間が背に当たらないように、デイバックを背に挟みつつ彼の身体を背負い、しおの手を引き歩き出す。

「ドミちゃん。さっきの花火すごい綺麗だったよ」
「ありがとうね、しお」

ドミノは笑顔を向けてくるしおに弱みを見せない。
血によるドーピングは一時的なものである。
身体が全快しているように見えるのも、長らく真祖をやってきた者の小技のようなもの。
身綺麗に整えただけであり、実際には戦いに使える代物ではない。
彼女も彼女で休息は必要なのだ。

それでもドミノは、『民』には弱みを見せようとはしなかった。


899 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:42:53 MR4ju8AY0

【C-7/一日目/黎明】

※エリア一帯がかなり荒れ果てました。


【ドミノ・サザーランド@血と灰の女王】
[状態]:全身にダメージ(絶大)、疲労(絶大)、身体を再生中(外面だけは取り繕えています)主催に対する強い怒り
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2、応急手当セット@現実
[思考・状態]
基本方針:メフィスとフェレスとかいうクソ野郎二人は必ず叩き潰す
0:休憩場所及び自分と充を治療できる場所を探す。
1:下僕たち(佐神善、日ノ元明)を探す。
2:首輪及び紋章を何とかするために、あの主催を知ってそうな参加者を探す。いなければ他の方法を探すしか無い
3:充としおを誰か安全な者に預けたい。
4:あの悪魔(不動明)がまた挑んでくるようなら迎え撃つ。
5:日ノ元士郎はここで斃しておきたい。堂島は信用しない。
6:しおが『下僕』になるかは彼女次第
[備考]
※参戦時期は88話から
※真祖の能力に制限が課せられています




【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:疲労(中) 顔面・手指・喉に白濁液、不安(大)、男性に恐怖心(大)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:とりあえず、さとちゃんと会う
0:ひとまずドミちゃんに着いていく。
1:休憩したらドミちゃんと一緒にさとちゃんとドンくんを探しに行く。
2:さとちゃんともじゃもじゃおじさん、どっちがしろくてどっちがくろいかをちゃんと考える。
3:もじゃもじゃ―――男の人―――怖い!怖い!!怖い!!!
4:さとちゃんさとちゃんさとちゃん
※参戦時期は1巻でさとうを探して外へ出る前です。
※モッコスの社会勉強で性について知りました。(手○キ、〇ェラは技法マスター。S○Xはやり方のみ)
※モッコスから教えられた事柄への関心が薄れました。

【城咲充@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:顔面腫れ、全裸、気絶、貧血(傷は止血済み)
[装備]:なし
[道具]:なし
[行動方針]
基本方針:初音ちゃんと女の子(しお)を殺し合いから脱出させる。
0:ドミノさんに初音ちゃんを護ってもらう。
1:しおと呼ばれた女の子を安全な場所へ連れていく
2:服の調達と女の子(しお)をシャワーかなにかで綺麗に洗う
3:初音ちゃんを探し、護る。無論、他の仲間たち(悠奈、修平、琴美、結衣、真島、はるな、大祐)も。
4:脱出の協力者を探す。

※参戦時期はDルート死亡後
※メガンテのうでわの説明書を読みました。


900 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:43:29 MR4ju8AY0


―――バカ野郎、錠!一人でええ恰好しようとしやがって!
―――俺たちだってアニキの友だちだ、こんなになってるアニキを放っておけるわけないだろ...!

声が聞こえる。
朧げな意識の中、それでも脳髄に響く誰かの声が。

―――××、オメーがヒエをぶっ殺したのは許せねえ...けどよ、一つだけ言わせろや
―――オメーになにがあったか知らねえが、××を泣かせるようなことすんじゃねえ...お前を信じたあいつに泥塗るようなことしてんじゃねえ...!

何度も、何度も彼らは自分に呼びかけてくる。

―――あんたの背中、俺たちに預けてくれよ。あんたの心を護らせてくれよ、兄ィ...!

傷つき、苦しみながら、それでも自分を××めさせようと。

―――俺たちを...信じてくれよ、アニキィ!!

どうして。どうしてお前たちはそこまで必死になる。どうして


―――目を覚ませ、明


901 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:44:19 MR4ju8AY0


「ッ!?」

ガバリ、と不動明は目を覚ます。
キョロキョロと周囲に目を配れば、周囲は紅い月に照らされた廃墟。自分が横たわっていたのは巨大なクレーター。
意味が解らないと頭を抱えるも―――思い出す。

「そうだ、俺は...美樹を殺されて俺は...!」

親友だと思っていた飛鳥了の扇動により暴走した人間たちが牧村家を襲い起きた惨劇。
その身体を全て八つ裂きにされ、唯一残った頭部だけを抱きしめ絶望のままに自分は彷徨っていた。

(そこから俺は...)

【突如、謎の空間に集められ、首輪を嵌められ殺し合えと強要された。優勝者は如何な願いも叶えるという条件で】

記憶に従い、慌てて首に触れてみる。この冷たい感触は確かに首輪だ。

【そして会場に支給品や名簿と共に飛ばされた】

(そうだ。この会場に飛ばされ、支給品を確認しようと思ったら、それで...それで...)


......

思い出せない。そこから先の記憶が、すっぽりと抜け落ちている。

「ひとまず支給品とやらを確認してみよう。なにかわかるかもしれん」

傍らに落ちていたデイバックを探り、真っ先に触れたのは名簿だった。

「こいつがそうか...なっ!?」

明の顔が驚愕に染まる。

「政、ロク、錠、万次郎、鉄!なぜあいつらが!?」

木刀政、ドス六、メリケン錠、チェーン万次郎、カミソリ鉄。
彼らはプロレス野球部を自称する腕利きの不良であり、悪魔族から命を救った後、明に協力する立場になった。
だが、ドス六と錠を除く三人は死んだ筈だ。政は美樹を護ろうとして。万次郎と鉄は悪魔特捜隊との戦いで。

(主催には死者を蘇らせる力があるというのか!?だとしたら...!)

脳裏を過るのは、愛しき少女、牧村美樹の蘇生。
護るべき人間たちに裏切られ、彼女がいない今、生きる意味も幸福もなにもありはしない。
牧村美樹と有象無象の人間ども。どちらを取るかは比べるべくもないだろう。

(バカなことを考えるな!それじゃあ政たちはどうなる!?あいつらを手にかけろと言うのか!?そんなこと出来る筈がない!あいつらは、俺の最後の...!)

政たちプロレス野球部は、デビルマンの事情を知りつつ、人間の身でありながら最期まで明を裏切らず、命を賭けて共に戦い続けてきた。
彼らとは兄貴と舎弟の関係だが、了が裏切った今となっては唯一信用できる友人たちのようなものだった。


902 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:45:52 MR4ju8AY0

―――兄ィ!

「うっ!!」

突然、明の記憶にノイズが走り視界が赤く染まる。

―――目を覚ましてくれよ兄貴!

見渡す限りの赤、赤、赤。
その血の池地獄の中で、蠢く影たちは明に縋りつくように声を荒げていた。
その影を。
嗚呼、明はその影を無慈悲にも――――

「うああああっ!!」

拳を全力で地面に叩きこみ、ボコリと土がへこむ。

視界の赤色は消え失せ、また元の地面へと戻った。


(なんだ今の記憶は!?俺にいったいなにが)

謎の記憶に明は困惑する。
だが、幻にしては手に感触が残りすぎている。
それにあの声。聞き間違いでなければあれは―――

「ありえない!俺がロクたちを殺すなど!」

あんなものは幻覚だと己に必死に言い聞かせる。
あいつらだけは他の人間どもとは違う。殺すはずがない。殺せるはずがない。

【死者は放送を待てば呼ばれる】

「そっ、そうだ!放送だ!もしあいつらが死んでいるならば放送で名が呼ばれるはずだ!」

もしもあの幻覚が正しければ、政たち五人の名が連ねられる。
呼ばれなければ、あんなものは美樹の蘇生に眩んだ己の弱さに過ぎない。

(だがもしも呼ばれたら...)

彼らを自分の意志で殺すはずはない。
だが、この会場に呼ばれてから記憶が抜け落ちた間はなにをしていた。
まるで何かに乗っ取られているかのようだ。

(―――まさか)

明はハッとする。
了の父は悪魔に憑りつかれてからは性格が残虐になり、息子すら手にかけようとするほどの狂人になり果てたという。
明も同じだ。
とある悪魔に憑かれており、この身体の中には不動明の代わりにもう一つの精神がある。
その名は勇者アモン。悪魔族の中でも有名で強力な悪魔だ。

(俺は合体した時に奴をのっとったつもりでいた。だが、この異様な環境で再びやつが意識を取り戻したとしたら。俺がアモンを制御しきれなくなって、あいつらを殺したのか!?)

信じられない。信じたくない。
だが、もしも放送で友達が皆呼ばれるようなことになれば。
あの幻覚が真実だと判明すれば。

(俺は...俺は一体―――!?)

紅い月に照らされる廃墟の中、悪魔と化した筈の男の悲痛な叫びが響き渡った。


903 : I feel like a monster ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:48:59 MR4ju8AY0



カメラに映し出されたデビルマンの姿を見て道満は嗤う。
八将神に不動明を選出する際にある男から受けた依頼。

『勇者アモンを疑似生誕させてくれ。ただ魂を弄るのではなく、元の不動明と両者が存在するように』

道満が想定している他の八将神の特性―――元の殺戮を拒絶し人格を保有し他者の情に訴えかける十条姫和、圧倒的な暴で参加者への災害を招くアーナス、平然と逃げ回りひたすらに倒しにくいだけの佐藤マサオ。
彼らの特性を顧みれば、依頼を引き受けない手はなかった。
理由は単純、せっかくの限られた特殊なカードの効果が同じであるのはもったいないからだ。
通常は他者との交流も可能であり、しかし解放されれば多くの参加者への災厄となる。
云わば時限爆弾。殺戮の役を担われた八将神としては最悪と最適、どちらの性質も保有するカード。
それが道満の期待した不動明への役割だった。

切り替わるスイッチは不明だ。今回は、嫌悪を抱いていたはずの『人間』たちが異形を見捨てず、異形も『人間』たちに応える形で力を増すという、かつての不動明が抱いていたデビルマンの姿を見せつけられ精神が動揺をきたしたことから人格が切り替わった。
次はどうなるか―――闘争の気配を感じた時か。放送でドス六たちの死を知り己に絶望した時か。参加者から再びなんらかの刺激を与えられた時か。あるいは前触れ無しに変化するか。
或いは、スイッチが押される前に、他の参加者が彼という導火線を消すことが出来るか。

あの依頼をした男はよほど不動明に恨みがあるのか、或いは歪んだ愛情を向けているのか。
どちらにしても面白いことになりそうだ。
不動明は植え付けた偽の記憶により『最初は自我を保っていた』と勘違いしており、実際に対峙した政やドミノが今の彼を見れば『不動明は精神さえ安定していれば制御できる』と判断するだろう。
実際には制御不能な怪物を宿されたと知った時、彼は、彼らは、或いはまだ出会わぬ参加者たちはどう決断するのか。

その未来は盤面を覗き笑みを浮かべる支配者ですら解らぬことである。


【C-5/一日目/廃墟/黎明】


【不動明@デビルマン(漫画版)/歳殺神】
[状態]『人間』への憎悪、精神不安定
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:仲間たちを探す。
0:政達との合流。最悪、あいつらだけでも逃がしたい。
1:この記憶が本物か確かめるために放送を待つ。
2:襲ってくる者がいたら容赦しない。
3:俺は...不動明なのか!?悪魔族のアモンなのか!?

※参戦時期は牧村美樹死亡後
※八将神としての人格はアモンと統合されています。その為、アモンとしての人格と不動明としての人格が不定期に出たり引っ込んだりします。
※ドス六たちを殺した記憶が朧気ながらフラッシュバックされています。
※自分が八将神だと自覚していません。
※ドミノとの戦いはほとんど覚えていません


904 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/07(月) 17:49:26 MR4ju8AY0
投下終了です


905 : 名無しさん :2021/06/07(月) 18:23:01 GssQdTf20
乙です
不動明も含めみごたえある人間讃歌でした
血と灰の女王はしおちゃんへのケアにはうってつけの人材と思いました


906 : ◆RTn9vPakQY :2021/06/07(月) 20:04:33 YtJWHacs0
皆様投下乙です。期限を超過していますが投下します。


907 : WOLF VS DEMON ◆RTn9vPakQY :2021/06/07(月) 20:05:20 YtJWHacs0
 ロック・ハワードは、有間都古と二人、地図のG-4エリアを北上していた。
 数時間前に二人が出会ったのは、地図の最南端に位置するH-4エリアだった。
 まずは主催者に対抗する仲間を見つけたい。それには参加者が集中するだろう中央に向かうのが適当だと考えて北上を開始した。
 その矢先、主催者による放送が流れた。こちらを挑発するような物言いに苛立ちながらも、参加者の名簿が明かされた事実は聞き逃さない。

「知り合いか……テリーがいれば合流したいけどな」
「テリーって、お兄ちゃんの知り合い?」
「まあ、そんなところだ」

 一言では言えない関係性を深掘りされるのが面倒で、都古の質問を受け流す。
 そうしてロックは、慣れない手つきでタブレットの名簿を開いた。
 ずらりと並んだ名前は、一般的な名前からコードネームのような名前まで多種多様。
まるでKOFの参加者のようだと思いながら、ふと隣の都古に問いかける。

「お前の知り合いはいたか?」
「ううん……」

 もし都古の知り合いがいれば、合流も視野に入れたが、落ち込んだ様子を見るにその必要はないらしい。
 知人が命の危機にさらされていないことは、喜ぶべきことだろう。
とはいえ、頼れる存在に近くにいて欲しいと考えるのも自然なことだ。ロックもテリーの名前を少なからず期待したのだから。

「ん?カイン……まさか」

 ふと、ロックはある名前に目を留めた。
 カイン・R・ハインライン。グラントから聞いた“カイン”という名前と一致する。
 偶然の一致と片づけることもできたが、どこか気にかかるのも事実。可能であれば出会いたい相手だ。
そう結論付けて、その後も名簿を眺めていると、ロックの心臓がどきりと跳ねた。

「ッ、馬鹿な!?」

 見間違いであれと目を閉じる。
しかし、再び目を開けても、その名前ははっきりと記されていた。

「どうしたの?」
「……いや、なんでもない」

 ギース・ハワード。ロックの実父であり、ロックの母親を見捨てた男。
 野心の果てに命を落とした男の名前が、参加者の名簿に記されているのだ。
 同姓同名の人物とは考えにくい。しかし、死者が生き返ることはあり得ない。
 それならば、この名前は一体どういうことなのか。

「ぐっ……」

体内の血が疼く感覚に、ロックは脈打つ腕を抑えた。
ギースについて考えようとするほど、その感覚は強くなる。
横合いから心配そうに覗き込んでくる都古に、かろうじて平気だと返答する。

「クソッ、こんなことをしてる場合じゃ……」
「やあやあ、お二人さん」

 そのとき、軽快な声が響き渡る。
 即座にロックは周囲を見回したが、誰の姿も視認できない。

「どこを見てるんだい?こっちだよ」

 再びかけられた声で、ロックはようやく気付いた。
軽快な声が、上から降ってきたということに。

「なっ……!?」
「と、飛んでるー!?」

 ロックと都古はほぼ同時に驚愕の声を漏らした。
美形の青年が、笑みを湛えて中空に浮遊していた。
 その制服の背中からは、蝙蝠めいた巨大な翼が生えている。
 まるで現実感のないその姿に、ロックは頭がくらくらした。

「仮装……?いや、違う。
なんてこった、コミックの世界に迷い込んじまったのか……?」
「フフ、迷い込んだのは僕のコンサート会場さ」
「コンサート?」
「心地いい悲鳴を聴かせておくれ」

 不敵に笑いながら降りて来た青年に、ロックは嫌な予感を覚えた。
 今の発言から考えて、友好的な手合いではない。殺し合いを是とする者だ。
 傍らの都古にデイパックを渡しながら、青年へとファイティングポーズを取る。

「……俺はロック・ハワード」
「なんだい突然?」
「ストリートファイトをするときは、名乗りをあげるもんさ」
「ああ、そういうこと……冥土の土産、ってやつだね」

 理解できないというように肩をすくめる青年を、ロックは油断なく見据えた。
 巨大な翼が、青年の背中へと吸い込まれるように消えていく。
 そして完全に消えてから、恭しく礼をする青年。


908 : WOLF VS DEMON ◆RTn9vPakQY :2021/06/07(月) 20:06:46 YtJWHacs0
「僕の名前は絶鬼。
 まずは序曲(オーヴァーチュア)……ゆっくりと始めよう」

 丁寧な言動とは裏腹に、青年から鋭利な殺気が放たれているのを感じて、ロックは身震いした。





 まず間合を詰めたのはロック。
 先手必勝とばかりに、左の拳でジャブを打つ。
 放たれた拳は、絶鬼がバックステップをしたために空を切る。
 ロックは二度、三度と続けざまに拳を打つが、紙一重のところで躱される。
 鬼の身体能力は人間の比ではない。単純な攻撃は容易く見切られてしまうのだ。

「はあっ!」

 それでも諦めず突きを繰り出すロック。
 余裕綽々、ついに鼻歌を歌い出す絶鬼。
 しかし次の瞬間には、鼻歌は鈍い音と共に止んだ。
 前進する勢いで放たれたロックのハイキックが、絶鬼の頭部へと直撃していた。

「なっ……!?」
「余裕をかますのはいいけど、油断してると足元すくうぜ?」

 パンチとキックでは、威力はもとよりリーチの差が大きい。
 ロックは絶鬼がギリギリの間合で拳を避けていたことを利用して、リーチの長い蹴りを不意に放った。
 拳を避けるのは簡単だと余裕を見せていた絶鬼の頭部に、蹴りはクリーンヒット。
 その結果が、絶鬼の鼻梁を歪め、そこから一筋の血を垂らさせた。

「フン、なかなかやるじゃないか……っ!?」
「おしゃべりしてる暇はないぜ!」

 鼻血をぐいと拭き取り、余裕を保とうとする絶鬼。
 一方のロックが絶鬼に休む暇を与えることはなかった。
 上段から中段、そして下段と連続的に攻撃を加えることで、相手を翻弄する。
 一撃の重さよりも、多種多様な技を持つ攻め手の豊富さでもって、ロックは優位に立ったといえる。

 この時点で、ロックは相手が格闘においては素人同然だと見抜いていた。
 一対一のストリートファイトをする際に、重要となる要素のひとつが、間合である。
 彼我の技が届く距離と、届くまでにかかる時間。これを勝負の最中に測り続けて、いち早く制した者が勝利する。
 ロックがKOFで手にしてきた勝利は、そうしてもぎ取ってきたものだ。
 ゆえに、間合を全く測らない絶鬼が素人だと看破できた。

「クッ……舐めるなよ!」
「おっと!危ねぇ……」

 無論、格闘の素人がイコール弱いというわけでもない。
 絶鬼が手をかざして繰り出す、妖力波と呼ぶべき攻撃は、石壁にひびを入れるレベルのもの。
 もし生身の状態で受ければ、あばら骨の数本は覚悟しなければならない。
 そしてロックの攻撃も、中途半端なものでは易々と回避されてしまう。
 つまり、この対戦において、ロックは絶鬼の攻撃をできる限り受けずに、かつ的確に攻撃を通さなければならない。
 第三者から見れば攻勢のロックだが、当の本人は冷汗をかいていた。

「そこだっ!」

 間合が離れた瞬間、ロックは烈風拳を放つ。
 地面を這う衝撃波は、絶鬼の妖力波によりかき消される。
 その直後、驚きに目を見開く絶鬼。かき消したはずの衝撃波が眼前に迫っていたのだから無理もない。
 このとき、ロックが一撃目よりわずかに遅れて放っていた、もう一つの烈風拳が、時間差で絶鬼のもとに迫っていたのだ。
 二撃目の烈風拳も即座に相殺されるが、ロックはこれを好機と距離を詰める。
 そして、反応が遅れた絶鬼に対して、左肘でその胸元を打ちつけ、即座に腹部へと右のブローを叩き込む。
 常人ならば、その衝撃に息が一瞬できなくなる一撃。

「なに……!?」

 しかし、ロックは違和感を覚えた。
 KOとまではいかなくとも、ダウンを取る程度のダメージは与えたはずだった。
 それだというのに、絶鬼の身体はその場から微動だにしない。

「こっちが手加減していれば、いい気になりやがってさぁ……」

 これまでの好青年風の声色から一転、ドスの利いた声がロックの耳朶を打つ。
 次の瞬間、ロックは右腕を掴まれ、勢いよく投げ飛ばされていた。

「ぐあぁ……っ!?」

 華奢な立ち姿からは想像できない膂力。
 たっぷり五秒かけて落下したロックは、痛みに耐えきれず声を漏らした。
 落下時に背中をしたたかに打ち付けて、思うように呼吸が整わない。
 それでも若き餓狼は起き上がる。反撃を喰らわせる、その一心で。
 しかし、再び絶鬼と相対したロックの背中に悪寒が走る。

「人間ごときが鬼にかなうと思うな!」

 そう言い放つ絶鬼の姿は、先ほどまでのそれではなかった。
 黒髪は燃えるような紅へ変わり、両腕の筋肉は青くなり、そして肥大化していた。
 空を舞う翼といい、変色する身体といい、いよいよ人間ではないとロックは顔をしかめる。


909 : WOLF VS DEMON ◆RTn9vPakQY :2021/06/07(月) 20:08:19 YtJWHacs0
「お、鬼……?」

 背後の都古が困惑する声を聞いて、ロックは冷静さを取り戻そうと髪をかき上げた。
 そして二、三度ジャンプし、呼吸を整える。ここで気圧されるわけにはいかないのだ。

「いいぜ、鬼だろうが何だろうが……」

 ロックはこの上ない昂りを感じていた。
 KOFの最中にも何度か覚えた、強者との勝負で血が滾る感覚。

「かかってきやがれ!」

 叫ぶように言い放ち、再びファイティングポーズを取る。
 薄く笑う絶鬼を、鋭い眼光で睨みつけながら。





「はっ!」

 ロックは片肘を突き出して突進していく。
 それを寸前で躱され、あわや腕を掴まれそうになるも、全力で間合を離す。
 絶鬼の丸太のごとき腕に掴まれれば、投げ飛ばされるか骨を砕かれるか、いずれにせよダメージは大きい。
 それでも、遠距離での烈風拳と妖力波の撃ち合いでは負けてしまう以上、ロックは近距離に持ち込まざるをえない。
 薄氷を踏むような攻防が、たっぷり五分は続いた。

「はぁ……はぁ……」
「おやおや、スタミナ切れかい?情けないなぁ人間は」

 煽る絶鬼に、ロックは歯噛みした。
 KOFは長期戦になることは滅多にない。互いに全力を賭した戦いであるため、早期決着であることがほとんどだ。
 ただし、それはあくまで人間同士で行う勝負だからこそとも言える。
 人間と鬼のスペックの差が、ここでロックを苦しめる。

「はぁ……はぁ……また軽口か。
 さっきもそれで鼻血を出したのを、もう忘れたのかよ?」
「……気に入らないな、その眼!」

 そんな逆境にあっても、ロックは余裕を崩さない。
 何より、爛爛と光る双眸が、勝負を諦めていない証だ。

「……行くぜっ!」
「はぁ……またそれ?」

 突進してくるロックを見た絶鬼が、呆れた声を漏らす。
 レイジランと名付けた技は、これまでにも何度か使用していた。
 高速でダッシュしながら近づいていき、寸前で相手の背後に移動する技。
 回避やフェイントとしての効果は高いが、次に技が放たれるまでのラグがあるため、見てから対応が可能だ。

「なっ!?」

 ――と、ロックは絶鬼に“そう思わせる”ことに成功した。

「アッパー!」
「がっ……!?」

 振り上げたアッパーカットが、絶鬼の顎に直撃した。
 重量のある体躯が、数十センチは浮かび上がり、そして地面に倒れた。
 完全な不意打ちかつ頭部への強い衝撃で、脳震盪を起こしたらしく起き上がらない。

「はぁ……はぁ……」

 肩で息をしながら、ロックは握りしめた拳を見る。
 この戦闘中、ロックは絶鬼に対して思い込みを誘発していた。
 ダッシュして近づき、背後に移動する。それを何度か繰り返して、ダッシュして近づいてきたら次は背後に移動するものだと思い込ませたのだ。
 そして、相手が油断を見せたときに、強烈な一打を放つ。
 短時間で考えた作戦にしては上出来だ。

「単純なアタマで助かったぜ……」

 ロックにしてみれば、成功するか失敗するかは五分五分であった。
 これまでの絶鬼の言動から、油断しやすく、そこまで頭の回るタイプではないと判断していたが、それでも成功したのは幸運という他ない。

「お兄ちゃん!大丈夫?」
「あぁ……それより、早く離れるぞ」

 心配そうに近寄る都古の手を掴み、ロックは直ぐに離れようとする。
 この場に絶鬼を残していくのはリスクもある。無差別に参加者を襲う手合いであることは明らかだからだ。
 とはいえ、ロックたちに絶鬼を無力化する術がないのも事実だった。
 支給品は確認していたが、役立ちそうなものはなかった。

「いいか、コイツは必ず倒す……だけど、今はできない。
 だから仲間を探す。そして無力化する方法を考えるんだ」
「……うん!」

 ロックはストリートファイトこそ経験を積んできたが、決して異常事態に慣れているわけではない。
 それゆえに、自分自身の決断が正しいのか否か、判断することもできない。
 実際、血の滾りは未だに収まらず、本能はバトルを求めていた。
 その本能を理性で抑えつけて、ロックは走る。


910 : WOLF VS DEMON ◆RTn9vPakQY :2021/06/07(月) 20:08:41 YtJWHacs0
【G-4/一日目/黎明】

【ロック・ハワード@餓狼 MARK OF THE WOLVES】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3(確認済)
[思考・状況]
基本:主催をとっちめて、さっさとここから脱出する
1:他にも仲間がほしい
2:ギース・ハワード、カイン・R・ハインラインの名前が気になる。
3:絶鬼を危険視。無力化する方法を考える。
[備考]
※参戦時期はグラント戦後


【有間都古@MELTY BLOODシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3(確認済)
[思考・状況]
基本:殺し合いなんてしない! 元凶は全員コテンパンに叩きのめしてやる!
1:よろしく、お兄ちゃん!
2:絶鬼を危険視。
[備考]
※身体能力はタタリ影響下の時の状態です


【絶鬼@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:健康、気絶
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず皆殺し。
0:(気絶中)
1:人間の断末魔の叫びを聴きたい。
[備考]
※参戦時期は本編登場前です。

【備考】
※絶鬼がいつ気絶から回復するかは後の書き手さんにお任せします。
※「ロックと都古は支給品を確認しており、中に絶鬼を無力化できる道具はないと判断した」こととします。


911 : ◆RTn9vPakQY :2021/06/07(月) 20:10:12 YtJWHacs0
投下終了です。誤字脱字その他ありましたら、ご指摘いただければと思います。
長期間のキャラ拘束、大変失礼いたしました。


912 : ◆.EKyuDaHEo :2021/06/08(火) 19:30:49 Ih6raFBc0
投下します


913 : 歪んだ愛 ◆.EKyuDaHEo :2021/06/08(火) 19:31:09 Ih6raFBc0
「ちくしょう...しんのすけにみさえ、マサオくんまで連れてこられてやがる...」
「ゆうゆに歩夢、せっつーにりなりーまで...」
「...」

あれから主催からの放送を待っていたひろし、宮下、相場は主催からの放送を聞き、名簿をみていた
ひろしは自分の息子のしんのすけと妻のみさえ、しんのすけの友人のマサオが連れてこられていたことにショックを受けていた
宮下もまた同じで高咲侑、上原歩夢、優木せつ菜、天王寺璃奈の四人もの知り合いが連れてこられていた
ひろしと宮下がショックを受ける中相場だけは表情を一切変えなかった

「みっつーは誰か知り合いはいた?」
「いえ、僕の方は誰も...」

相場の方は知り合い、もとい野崎は連れてこられていなかった

「それよりこれからどうしますか?」
「そうだな...とりあえず俺の知り合いと宮下ちゃんの知り合いを探すっていうのはどうだ?本音を言うとしんのすけ達を一刻も早く探したい」
「それにはアタシも賛成ですね、アタシもゆうゆ達のことが心配だし...」

ひろしと宮下は自分たちの知り合いを探したいという意見を出した、そこに相場がもう一つ意見を出した

「それは全然良いんですが、僕は個人的にこの首輪を何とかしたいですね」

相場はそう呟いた、正直最悪二人を殺すことも考えていた、しかし相場二人を直ぐに殺さなかったことには理由があった、ひろしが銃を持っていて宮下の持っているカードの効果も分かっていたからというのもあったが一番は首輪のことだった
首輪はどう考えても自分一人じゃ外せないのは一目瞭然だった、とりあえず首輪を解除してから始末する、その方が首輪のリスクが失くなると考え相場は二人を利用することにした

「確かに...この首輪は何とかしたいな...無理矢理にでも取れないか...?」
「あんまり力ずくでやるのはやめた方がいいと思いますよ、最悪見せしめで殺された人達みたいなことになるかもしれません」
「そ、それもそうだな...くそ!主催の奴らは一体何を考えてんだ...!」

爆発する首輪まで自分達に取り付け殺し合いをさせる主催にひろしは怒りをあらわにした
何故様々な人達の自由を奪い、幸せを踏みにじるのか理解ができなかった、今まで散々悪者と戦ってきたが死人が出るとまではいかなかった...しかし今回は違う、既に死人が二人も出ている、ひろしは怒りの気持ちとしんのすけ達が無事かどうかの焦りが出ていた

「みんな無事かな...」

しかしそれは宮下の方も同じだった、自分と同じスクールアイドルの4人もの人数がこの場に連れてこられていた事実にかなりのショックを受けていた
無理もないだろう、見せしめを目の当たりしてトラウマになってもおかしくないレベルの状況なのに、自分の知り合いも連れてこられているとなると冷や汗が流れてくる
もしかしたら昨日までの、今までのような生活ができなくなるんじゃないだろうか、例え自分が元の世界に帰れても他の4人の誰かが欠けたらどうしよう...宮下はネガティブな思考になってしまっていた
ひろしと宮下がそれぞれ感情を表してる中相場は溜め息をつきながら言葉を吐いた

「お二人とも、今更考えてもしょうがないですよ、気持ちは分かりますがこうしている間にも知り合いの人達が危険な目に合ってるかもしれませんよ?本当にその人達のことを想っているのなら行動しないと何も変わりません」
「...そうだな、こんなところでめげてちゃいけないよな、一家の大黒柱としてあいつらを守るのが俺の役目だもんな」
「アタシも...」

相場から掛けられた言葉に二人は気持ちを持ち直した

「相場くんありがとう、君のおかげで立ち直ることができたよ」
「みっつー!本当にありがとうね!」
「いえいえ、困った時はお互い様ですから、とりあえずお二人の知り合いを探しつつ首輪の解除の方法を探すっていう感じでいいですか?」
「あぁ、それが一番だな」
「アタシもそれでokだよ!」

相場の出した提案にひろしと宮下は賛成三人は歩き出した


914 : 歪んだ愛 ◆.EKyuDaHEo :2021/06/08(火) 19:31:30 Ih6raFBc0





───





(はぁ...二人にはもっと頑張ってもらいたいんだけどな...)

行動しつつ相場は心の中で思った、本当に手間が掛かるなと

(まぁでも尚更俺のことを信用してくれたみたいだし、まだマシか)

野崎が参加していないことを知った相場は優勝でも脱出でも可能性がある方ならどっちでも良かった、優勝を狙う時のことも考えて信頼を得られたのは良かったと考えよう
今のところまだ方針は決まっていない、それは何故かというとこの首輪が邪魔だからだ

正直首輪があると凄く動きづらい、ルールを見る限り禁止エリアというのもあるぐらいだから尚更だ
それを考えるとまずは首輪を解除する方が先だ、優勝狙いか脱出狙いかは後回し、首輪を解除すれば自由に動けるようになる
そして相場は別のことを考えていた

(...)

───相場くんありがとう、君のおかげで何とか立ち直れたよ───

───みっつー!本当にありがとうね!

それは二人から掛けられた言葉、相場は自分でも何故だか分からないが不思議な感覚だった...かんがえてみれば自分は感謝の言葉など全然言われたことがなかった


...感謝の言葉?野崎以外の?何故野崎以外の人間の言葉に不思議な感覚を覚えているんだ?


(...何考えてんだか俺は、俺には野崎がいる...野崎さえいてくれたら他はどうでもいい)

二人の言葉に不思議な感覚を覚えた自分が馬鹿らしく思えた、ここは殺し合いの場...言葉だけならどうとだって言える...どうせ嘘だろう...
過去に母親を救ったことがある...しかし期待とは裏腹に逆にキレられ死んでくれとまで言われた...
自分の味方は野崎だけ、そもそも知らない者同士で助け合いなどあるわけがない...ここの参加者は殺すか利用するかの二択だ...自分には野崎がいてくれたらそれでいいと相場は思った
そして改めて野崎のことを思い返す

(ごめんな...野崎...直ぐには帰れそうにない...でも待っていてくれ...必ず帰ってずっと一緒にいるからな...)



───お前を救えるんだったら俺は何にでもなる───


915 : 歪んだ愛 ◆.EKyuDaHEo :2021/06/08(火) 19:31:50 Ih6raFBc0


【F―4/深夜/一日目】
【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:ハイドラ@バイオハザードシリーズ
[道具]:基本支給品、予備のショットガンの弾、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしない
1:しんのすけ達を探しつつ首輪も何とかしたい
[備考]
※少なくとも「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」までの映画版での出来事は経験しています。


【宮下愛@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:レッドカード@ポケットモンスターシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:ゆうゆ達を探しつつ首輪も何とかしたい
2:みんな...無事でいてね...
[備考]
※参戦時期はアニメ最終回後。


【相葉晄@ミスミソウ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(カメラ類は無い)
[思考・状況]
基本方針:とりあえず首輪を解除したい
1:優勝するか脱出するかは首輪を解除してから可能性の高い方を選ぶ
2:俺には野崎がいる...それ以外はどうでもいい...
3:あまりにも足手まといな参加者は排除する
4:できれば自分のカメラが欲しい
[備考]
※参戦時期は14話以降〜最終話以前。


916 : ◆.EKyuDaHEo :2021/06/08(火) 19:32:26 Ih6raFBc0
投下終了します


917 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/08(火) 20:18:04 yvwVE5FY0
今更ながら感想を

>Here we go , it's the Ultimate Show
いざ始まりの物語。リンボさん実に楽しそうで何より
伯爵ズで最初に登場しつつも唯一の不採用となった彼、
ある意味ではそのポジションは最適なのかもしれません
最高のショーの再演、果たしてどのような顛末へと至るのか
もしかしたら、意外にも元の顛末通り愛が鍵なのかもしれませんが

>不戦の契り、林檎の種
冷静になりきれないベルトルトの焦燥感がすごく伝わります
意外と忘れられる無意識のスタンド防御と言った細やかな描写、
ベルトルトの策に従わざるを得ないさとうの表情が容易に想像できます
こんな奴らに囲まれたみりあは……一方通行の面識しかないフェザーだけが知り合いなので、
頼れる大人に出会えることを望みたいものです(それがチームの良し悪しになるかは別として)

>女の子って何で出来てる?
一話が水面下はドロドロの状況下であって、
此方は逆に、表立って遠慮なくやってきた……こいつぁとんでもねえですぜ
モッコスの妙に一般的な見解から外れてないまともなセリフが時折飛び交うの、
バカなんだけど決して無能ではない原作のモッコスって感じがします
圧倒的事案の中それでもめげずに抗う充、Dルートの逞しさが際立ちますね
しおちゃんは年頃だけあってなんでも吸収しちゃうのか大変不穏

これは感想とは少々違いますけどハッピーシュガーライフの二連コンボ、
という形でこの一話と二話の流れは色んな意味でぶっ飛んだスタートダッシュな気がします

>揺るぎない決意
悩める少女と頼れる男性と言う構図、そのものが好きな自分にとって、
この二人の距離感が実に気に入ったよと何処からか声が聞こえました
『誰かを救い出すために自分を信じて』歩む二人の物語、
きっと困難でしょうが、どこか希望の光を感じます

>君の『おたすけ』に救われて
誰もが誰かを思いやり、そしてその思いやる人を思いやると言う連鎖
こういう状況でも決して暗くならず明るい雰囲気を出しつつどこか暖かい
クレヨンしんちゃんらしい話、という印象がありました

>ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜
別に悪党とは違う、どこか人のいいミスターLと悠奈の距離感
こういうのいいなぁと思ってたら軍服の男に全て吹き飛ばされました
多分当人ですら困惑してると思うレベルのとんでもねえ名前でしたからな
恐らくこのロワで誰よりも知人が参加している悠奈は結構重要そうです
殺し合いの為であれば女性にとって大事な髪であろうと染め上げる
その覚悟を見せる悠奈の気高さは『ああ、この人は変わらないな』と感じました
何度繰り返そうと理不尽に抗う。その叛逆精神が美しいなって

>花は生きることを迷わない
空気砲だけでアカメに勝てるわけないので予約時点からお察しでしたが、
内容を観たら余計に『でしょうね』ってなってしまいます
琴美や初音が重苦しい中マサオのオラついてる温度差が凄まじい
「ハハハハハハッ、どうだいきなり殺してやった!いまの俺は無敵だ!参加者?しんちゃん?それがどうした!これであいちゃん、いやあいのお弁当は俺のものだぜぇ〜!」
状況には申し訳ないけど此処の調子ぶっこきまくってるところ、滅茶苦茶笑いました
しかし旗色が悪いとすぐに逃げる、ある意味どんなマーダーよりも厄介かもしれません

>イエスタデイ・ワンスモア
タイトル通りのイエスタデイ・ワンスモア
昨日をもう一度取り戻す、その第一歩の物語
デバイスもないし、支給品も決して強くはないものの、
諦めたりはせず立ち向かえる二人の逞しさに安心感があります


918 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/08(火) 20:23:45 yvwVE5FY0
>It's like preaching to the wind.
あ、これただのMUGENだ(誉め言葉)
カンフーマンは原作の性格(元から薄いけど)よりも元ネタとなるバーチャファイターの晶っぽさがあって、
ある意味これもリスペクトって感じがしてフフッてなりました
クソ強いとされる小パン連打再現には『これだよこれ、こういうのがいいのよ』ってつい呟きました
しかしこれは格闘ゲームにあらず。格闘ゲームにおける補正も存在しない
何を使っても勝てばいいジャギとは相性最高の土俵では流石に無理があった
「テメェの格闘家観をおれに押し付けるんじゃねぇ」暗殺拳だし、まったくもっておっしゃるとおりで
彼の価値観なんてタイトル通り、馬の耳に念仏。彼にそんな高潔な考えは響くはずもなく
彼女の声も、届かないと思うと寂しいですが

>白と黒、選ぶべきは黒
面子だけ見ると「何だこれ」と呟きたくなるような面々
しかし内容は実に一般人の範疇における熱い駆け引きがポイント
軍服の男、まさかの名前については特に何一つとして突っ込まないの、
神経が図太いのか軍服通り軍人だったのか、謎と言うところが原作通り「よくわからん奴」って感じがします

>この子はエルピス
こんなでも人理修復してんだからこの男すげーよとなるトラブルメーカー
でもそのおかげで結果的に戦力を得ることになると言う展開に中々驚きました
とは言え伯爵がマーダーである以上は安心とは言い切れないのも少々厄介ですね
ゴールドを使うことが来るのだろうか、地味にちょっと楽しみでもあります

>勝利の影に
裏社会に生きた者同士のまさに殺すための戦い
決着はまさかの自滅。身の丈に合わない獣は飼わないに限る
とは言え、累の父を放置してしまったのはミスになるか否か
そして結衣の存在は現状結構重要なポジションに……

>正義の証明
どこか荒野のように乾いていて寂しい
堂島正はなんだかそんなイメージがあります
その彼の乾いた心を癒やせる人との出会いを願うばかりです

>平安とは無縁な者達
ハイレベル実力者同士の人外魔境
純粋な暴力と暴力のぶつかりあい、これぞロワの醍醐味
しかし一番の勝者はそんな手駒を手に入れたナスタシアでしょうか
ある意味最も屈辱的な戦士としての誇りすら奪われる、桐生さんおいたわしや……
来夢の洗脳は制限の都合解除されましたが、果たして彼女は何をしてるのやら

>再起
数々の敵を再起不能どころか殺してきた彼(の元ネタ)が、
再起不能に陥ってた彼女を再起可能にさせるとはなかなか因果を感じます
まあジョルノじゃないんでまともでもねーんですけどね! 英吾さん只管不憫
犯罪係数超ゆるゆるなのでドミネーター以上に余計なことぶちかましてくれるかもしれません
(そういえばこのロワドミネーターあるな)

>平安京での狂騒
( ゚д゚)どういうことなの……
いやこれはもう唖然というか、とんでもねえもの来ちまったな
頂上決戦その1だヒャッホーイと突っ込んで扉を開けたらこれは脳がバグりました(誉め言葉)
圧倒的漁夫の利ミスティちゃん。色んな人の逆鱗に触れた気がするけど大丈夫かなこの先
正直、ロワでこんな形の尊厳破壊と邂逅することになるとは思わなかった(震え声)

>Call your name
大切な人を喪った者同士、
そんな二人にこのタイトルは中々刺さります
相手が巨人であろうと、数々の特異点を駆けたマシュらしく、
しかし状況の判断についてはアニの方が上回る結果に
一応はチームをくめたものの、ベルトルトとどっこいどっこいの薄氷
すぐにも砕けそうなアンバランス

>I feel like a monster
王と言うよりもお姉ちゃん属性全開なドミノさん
しおちゃんの教育方針、どこへ向かうのか地味に楽しみですが、
やはり此処で語るべきは頂上決戦その2。純粋な暴力と暴力による災害、
少年心をくすぐります

それは誰だ。誰だ。誰だ。
それは誰だ!?
「デビル...マン...!?」

いや此処の流れ完璧すぎるでしょう……最強か?
そして充。またも命の炎を燃やし尽くす
手を叩きつけるシーンはどこぞのコロネ頭を思い出しますね
覚悟が必要ではある行動と同時に覚悟とは犠牲の心ではないと言う、
実に作中の展開とも噛み合ってると言うのベリッシモいいです

元の殺戮を拒絶し人格を保有し他者の情に訴えかける十条姫和、圧倒的な暴で参加者への災害を招くアーナス、平然と逃げ回りひたすらに倒しにくいだけの佐藤マサオ

上と下の温度差酷すぎて悲惨な姫和がいるのに吹かざるを得なかったんですけど!
それと主催陣営追加メンバー発覚。これはまた大変なことになりそうだ


919 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/08(火) 20:24:26 yvwVE5FY0

>WOLF VS DEMON
見事に格闘ゲームとも言うべき差し合い
殺し合い以外にも対戦ゲームの緊張感のようなものが伝わってきます
油断とはいえ鬼を相手に負傷を軽微で済ませられたのは大きいかもしれません
隣のエリアにそっくりさんもいたりと、今後の展開が楽しみでもありますね

>歪んだ愛
不穏ではあるけど一先ず他の不穏チームよりは安全、なのかな?
ひろしと晄だけではより危うかった気がするところを、
愛さんが間にいるお陰でどこか安定してる気がしちゃいます


920 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:42:01 2L1/1MJI0
投下お疲れ様です。

Call your name
マシュはやはりといいますか、先輩を失い、倒すではなく斃すとなっているのが、非常に痛々しいですね。
そして、名簿に記されている先輩はその先輩とは180度違うため、出会った時の化学反応がある意味興味深いと同時に怖いですね。
そして、アニの”改めてこの世界は残酷だ、と思った。”は、正にその通りだなと改めて感じました。

I feel like a monster
予約を見たときから、頂上決戦だ!と思い、読んだら正に神々の戦いと言っても過言ではないバトルで感動しました。
しおに優しく自分で考えられる人間へ導こうとする姿は女神で、充の気概を認め下僕と称する姿は王の風格を感じ、正にドミノさまでした。
そして、一時的に意識を取り戻した明ですが、まったく希望が見えないのはデビルマンの世界観

WOLF VS DEMON
鬼である絶鬼に食らいつくロックの秘める格闘センス見事ですね。
ある意味舐めプからの逆鱗は正に絶鬼らしいなでフフッとなりました。
気絶中の絶鬼ですが、目を覚ました後は、怖くなりますね。

歪んだ愛
やはり、パーティには一人潤滑油的な存在がいると安心しますね。
ひろしは家族に会えるのか……今後が気になるパーティの一つです。

平安京での狂騒
善とエスデスのバトルは一つの頂上決戦だと思っていたので、緊張して書きました。
エスデスは漫画版での死後の参戦なので、同じ戦法は効かないだろうなと、アニメ版の決着を意識しました。
エスデスが善をめちゃくちゃ気に入るのも、彼らの「理性と死」の問答もめちゃくちゃ解釈一致で何度も頷いていました。こいつらは絶対こうなる。
↑2次創作は読み手・書き手の皆さんが読んで感じるズレが大きくないかいつも緊張しているので、このお言葉はホッとすると同時に嬉しいです。

女の子って何で出来てる?
しおちゃん……ごめんよと思いながら書きました。
充は服を奪われた後、殺される案もあったんですが、後のことを思うと、生存ルートにして良かったなと思います。

ボディ・アンド・ヘアー〜英雄の条件〜
名簿の軍服はもうツッコむしかないなと(笑)
その覚悟を見せる悠奈の気高さは『ああ、この人は変わらないな』と感じました
↑そう感じていただきありがとうございます。髪の染め方を知らなかったので、必死に髪を染める動画を見つつ書いた思い出があります(笑)

It's like preaching to the wind.
カンフーマンの小パン連打は絶対に再現しないと!と思いながら書きました。
彼女の声も、届かないと思うと寂しいですが
↑まったく同意です……

この子はエルピス
こんなでも人理修復してんだからこの男すげーよ
↑まったくおっしゃる通りです。
ドラクエ風にゴールドを出しましたが、正直書いているときは後の使い道は考えていなかったので、ゴールドがどうなるのかは、自分もワクワクします。

勝利の影に
そうですね、このトリオは次話で大きくターニングポイントになりそうと思いながら書きました。
結衣の求める”プロシュート兄貴”はいわゆる悠奈さんスタイルなので、兄貴の今までの価値観(仕事)とは180度違いますからね……

平安京での狂騒
書いてて非常に心が痛みました……
ですが、ミスティさんのキャラとしての魅力ならぬ持ち味は自分としては書ききりました。
ミスティの被害者はさらに増えていくのか……とりあえず、他の書き手様に委ねたいと思います。(汗)

投下します。


921 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:42:53 2L1/1MJI0
すれ違いーーーーー時間や位置などがずれて、会えるはずが会えないこと。
デジタル大辞典(小学館)より引用。

「はぁ……はぁ……はぁ……」
一心不乱に走る北条鉄平。

「どこや……どこに行ったんや……・」
強面の外見に似合わない憔悴しきった顔と声―――

しかし、それでも鉄平は走る。走る。走る。

「頼まれたんです。沙都子ちゃんに、あなたを助けてくれって」
TVのヒーローのように、自分を守ってくれた少年が発した言葉。

その言葉は、鉄平の心を何度でも救う。
姪が”ろくでもなかった”自分に心を開いてくれている証拠。

「沙都子―――――!!!」
故に鉄平は探す。

己がしてきていた罪を少しでも償うために。
そして、姪である沙都子を護るために。

紅き月の下を鉄平は走る―――

抜け出ーし鉄平―――抜け出ーし鉄平―――
悲しーすぎる運命から―――
あーなたは奈落の花じゃない―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


922 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:43:39 2L1/1MJI0
『じゃあ、第一回放送の時にでもまた会おう、ボン・ボヤージュ!』

ディメーンによる放送が流れ終わると、零児と美炎は各自名簿をチェックした。

(可奈美に麻衣……それに薫さんにエレンさんに糸見さんまで!?)
美炎は名簿に記されている知り合いの数の多さに顔を強張らせる。

(正直……支給品に”千鳥”がある以上、可奈美はいるのではないかと思っていたけど……)

―――ということは、他の皆の御刀も支給されているのだろうか?

(清光……)
美炎は自分の御刀である清光が悪人の手に渡っていないことを祈る―――

(……可奈美には申し訳ないけど、清香にちぃ姉や隊の皆がいないのは、喜んでいいのかな……)
一方、美炎が所属している赤羽刀調査隊のメンバーが巻き込まれていないことに複雑ながらも美炎はホッとする。

(それと……十条さん……)
―――十条姫和。

可奈美と仲が良い刀使だったがタギツヒメに取り込まれてしまった。

(これ以上、可奈美が悲しむのは、私、見たくない……私が十条さんを救わないと)
美炎はケツイする―――
必ず、自分が救って見せると―――

「零児さん。確認終わりました。零児さんのしり……!?」
確認作業を終えた美炎は、同行者の零児に声をかけるが―――

「……」

―――小夜。

名簿に記されているのは、零児にとって因縁の相手。

(ということは、やはり奴らは”死した魂”を利用することができるということか……)
小夜が蘇っていることから零児は予想した通り、双子並びに背後に居るであろう黒幕は”死した魂”を利用して企んでいるのだと判断する。

(それにしても、こう何度も蘇られると辟易するが……)
―――いいさ、何度でも地獄に送ってやる。

それは、幾度対峙しようとも揺るがない零児のケツイ―――
そのケツイは、零児と小夜の変わらぬ関係を示す―――

(……と言いたいことだが、この異常事態……手を借りなければならないことも考慮しなければならないな)

今は、小夜との因縁よりもこの陰謀を阻止することが第一優先。
改めて小夜を地獄へ送ることをケツイしつつも共闘への可能性も残しておく零児。

「あの……零児さん?」
「!?……・すまない。知り合いはいたのか?」
美炎の呼びかけに零児は意識を前の美炎に戻す―――

「あ、はい」
―――なんだろう。零児さんの顔……殺気?

それは、荒魂を斬り、祓うのとは違う。
明確な他者への殺意―――

美炎は零児の先ほどの様子に少し戸惑いながらも答える。

☆彡 ☆彡 ☆彡


923 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:44:28 2L1/1MJI0
「結構多いな……」
美炎の知り合いが思ったよりも多い事に零児は同情する―――

「いえ、皆、揃って生きて帰ります。……絶対に!!」
「そうか……」

―――おそらく、それは、厳しいだろう。

この殺し合いに呼ばれた参加者は100人を超える大所帯。
中には、殺し合いに乗っているであろう参加者も少なくはないはずだ。
美炎の話を聞く限りでは、彼女達、刀使は多少なりとも荒魂なる異形との戦闘経験はあるようだが、これは”殺し合い”。いざとなるとき、”相手を殺す”覚悟がなければ命を落とす確率はどうしても高くなる。

零児はそう思いつつも口に出すのは抑える―――

「それと、この”フェイト”という名前なんですが……」
「例の勇者に神様に超能力者、魔法に近未来からの転移者 か?」
何度、聞かされても零児の頭を悩ませる異世界案件。

「あ、はい。フェイトちゃんは魔法少女です」
(でも、フェイトちゃんだけなんだ……)
あの時、知り合った魔法少女は他に”なのは”はやて”と2人いたはずだが、どうやら名簿には一人しか記載されていない。
美炎は名簿の名前を挙げつつも疑問を抱いた。

「そいつは重畳だ」
零児はそう答えた。

あの悪魔の名を称する双子並びに黒幕に対処するには、この”首輪”をどうにかしなければ先へ進めない。

残念ながら零児の知り合いでそれらに詳しいと思われる小牟や裏嶋博士が名簿に記されていない。
故に、あらゆる分野のエキスパートを仲間にすることは必須となる。

「それは、この首輪をどうにかするという意味ですか?」
美炎は自分の首につけられた首輪を指さして答える。

「ああ、それと、美炎。首輪に関する話は―――!?誰だッ!!」
首輪には盗聴機能が仕組まれている危険性を考慮している零児は、首輪に関する会話は筆談で行うようにと美炎に伝えようとするとき、気配を感じたため、腰の雪走に手をかけながら振り向く。

「ひッ!?お……お待ちになってくださいませ!私は殺し合いにのっておりませんわ!!」
両手の掌をブンブンと振りながら、曲がり角から出てきた気配の正体である金髪の少女は、そう答える―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

「そっか……そんなに怖い目に合ってたんだね」
美炎は先ほどの金髪の少女……北条沙都子の話を聞くと、安心させようと抱きしめる―――

「ええ……ですが、叔父が助けに現れてくれて……」
沙都子は震えながら話す。

「えっと……鉄平さんという人が沙都子ちゃんの叔父なのね」
「はいですの……」
勿論―――優勝するために自分から罠を仕掛けて待ち構えていたことは伏せている。

「それで、その後、善という少年が助けに向かっていったというわけか……」
「ええ……私の言葉を聞くなり、助けに直行していきましたわ」
そういうと、沙都子はその方角を指さした。

「その男の人の援護に参りましょう!零児さん!!」
「……そうだな。話を聞く限り、エスデスという女は危険だ。早めに対処しなければ被害が増えるだろう」
美炎の提案に零児も同意する。

「ッ!……い」
すると―――

「いや……いやですの!いやぁぁああ!!!」
沙都子は突然叫びだした。

「さ……沙都子ちゃん!どうしたの!?だ……大丈夫だよ!!落ち着いて!!!」
美炎は取り乱す沙都子のギュッと握りしめて力強く答える。

「ごめんなさい!ごめんなさい!にーにー!助けてぇぇぇぇぇえええええ!!!にーにー!!!」
それでも沙都子は絶叫し続ける―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


924 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:46:23 2L1/1MJI0
「……お二人とも、見苦しいのをお見せしてしまい申し訳ありません」
あれから、落ち着きを取り戻した沙都子は2人に頭を下げる。

「う、ううん。こちらこそ、沙都子ちゃんのことを考えずに性急に決めちゃってごめんね」
美炎も沙都子に頭を下げる。

「……」
零児は無言で沙都子を見つめる……

(この北条沙都子という少女……俺達が”B3”に向かおうと方針を決めた瞬間、表情が変わり、”ああ”なった……)
そう―――それは一瞬の出来事だった。

(何故だ?もしかして俺達がそこへ向かうことに不都合なことがあるのか?)
しかし、その一瞬を見過ごさないのが特務機関森羅のエージェント。
零児は、ほんの僅かながら沙都子への疑念が生じた。

(普通に考えれば、エスデスと名乗る女が心的外傷となっていると考えれば、そうおかしくはないが……)
沙都子の話を聞く限り、エスデスなる女は拷問を喜々として行うらしいから危険人物なのは明らか。その人物にいたぶられたのであるならば、先ほどの取り乱した様子はおかしくはない。

(生憎、この特殊な状況での殺し合いだ。小学生だからといって無条件で信用するのは危険だ)
疑心暗鬼や慎重すぎるのは、論外だが一つの判断ミスが命取りとなる。

(今はまだ、様子見だな……)
この段階で沙都子を疑うような余計なことを口にしたらおそらく、美炎は納得できず最悪、俺に対する不信感が生まれる恐れがある。

(しかし、もしもの場合は……)
零児は改めて穢れ役を引き受ける覚悟を強める。

「……どうしますか。零児さん」
美炎がどうしたらいいか悩む瞳で零児を見つめる。

「そうだな……」

零児の脳裏にはいくつかの選択肢が浮かぶ……

①零児(オレ)がB3へ向かい、後に美炎・沙都子と合流
②沙都子をどこか安全な場所へ待機させた後、零児と美炎でB3へ向かい、後に沙都子と合流
③他の参加者に沙都子を託してから零児と美炎でB3へ向かい、後に沙都子達と合流
④B3で沙都子を別の場所へ待機させて、後に沙都子と合流
⑤B3へは向かわず、別の施設を巡る
⑥零児は閃いた―――それは……

―――ここでの判断。
ミスするわけにはいかないな―――

カナカナカナ… ヒグラシの鳴いている声がふと零児の耳に聴こえた―――

【B-4 /一日目/深夜】

【有栖零児@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD】
[状態]:健康
[装備]:雪走@ONE PIECE
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:殺し合いの裏に潜む陰謀を阻止し、元凶を討ち滅ぼす
1:ここの判断は重要だな……どうする※美炎一人で向かわせはしない
2:美炎・沙都子と共に施設を周り、目的に賛同してくれる参加者を探す。
3:沙都子の一瞬見せた表情に疑念。念のため注視することを怠らない。
4:沙夜……これも宿命か。
5:出来れば銃も欲しいが
[備考]
※参戦時期は不明
※刀使や荒魂に関する情報を知りました
※美炎の知り合いを把握しました。
※十条姫和がタギツヒメに取り込まれていることは知りません。
※沙都子に若干の疑念を抱いています。
※小夜と共闘するかはまだ保留中です。
※美炎と沙都子に首輪に関する話は筆談で行うよう伝えました。

【雪走@ONE PIECE】
有栖零児に支給。麦わらの一味の剣士ロロノア・ゾロが所有する愛刀の一本
一般的な刀と比較すると軽くて扱いやすいのが特徴。
それでいて切れ味も鋭く、酒樽くらいなら簡単に輪切りにできる


925 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:47:23 2L1/1MJI0
☆彡 ☆彡 ☆彡

―――ふふ。
まずは、成功しましたわ。

北条沙都子は、胸の内で笑う―――

(零児さんと美炎さん……私の目から見てもお二人の実力は、そう低くありませんわ)
沙都子にとってこの出会いは重畳。

(さて……”ここまで”すれば、おそらくB3へ直ぐに向かいはしないと思いますが、どうしてもの場合は仕方がありませんわね)

沙都子としては、エスデスから離れたいため、わざと”ああ”なった。
零児の判断もあるだろうから多少は時間は稼げるが、それでもB3へ向かうとなったら、諦めることとしよう。

一番の理想は既にエスデス(あの女)が叔父と善という少年によって仕留められていること。

(それにしても零児さんは勘が鋭い御方のようですわ……私の”あれ”を若干怪しんでおられる素振りを見せますわね)
失敗したかと沙都子は後悔したが、気持ちを切り替える。

(ですが、美炎さんは私を信じ切っている。これなら多少怪しまれても問題ありませんことよ)

そう、殺し合うというこの異常な状況。
今まで、赤の他人通しだった者が徒党を組んだ場合、ほんの少しの疑念がその集団を崩壊させるなんてことは、そう珍しくもないし、引き起こすことは可能だ。
今の段階なら、有栖零児は、たとえ自分に対して疑惑を生じていたとしても口に出すことはしないだろう。

―――もっとも、今後の行動には細心の注意を払わなければならないが。

(梨花……願わくば、この異常な体験で考えを改めることを願っておりますわよ……)

”繰り返す者”は悲願達成を諦めない―――

【B-4 /一日目/深夜】

北条沙都子@ひぐらしのなく頃に 業】
[状態]:疲労(中)、精神的疲労(中)、身体にダメージ(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:覚悟を示して願いを叶える。手段は択ばない。
0:とりあえず零児の判断を待つ。エスデスが斃れていることを願う
1:暗躍し、零児と美炎を利用しつくす。
2:梨花……私は掴み取りますわよ。私の望む未来を。
[備考]
※参戦時期はシャンデリアで心中後〜23話の鉄平を知る前。
※名簿に梨花がいることを確認しました。
※零児には注意しながら上手く利用する。
※首輪に関する話は筆談で行います。


926 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:49:25 2L1/1MJI0
☆彡 ☆彡 ☆彡

―――愛宕……貴方は優しすぎる。

そう呟くのは、美炎の中に封じられている大荒魂カナヤマヒメ。

―――だから、魔女の皮を被る幼子の並ならぬケツイに気づけていない。

―――おそらく、このままでは、愛宕は死んでしまうかもしれない。

カナヤマヒメの表情は曇る。

―――今は愛宕の意志を尊重します。

―――ですが、たとえ”優勝”してでも私は貴方を死なせたくない。

―――その選択がカグツチの力で美炎を飲みこむ結果となろうとも

―――愛宕とともにある。それが彼女との約束。


【B-4 /一日目/深夜】

【安桜美炎@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
[状態]:健康
[装備]:千鳥@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
1:零児の判断を待つが、エスデスと闘っているであろう鉄平と善という少年を援護しに向かいたい。
2:沙都子ちゃんを守る
3:今は使うしか無いけど、可奈美に出会えたら千鳥を返さないと
4:みんなの事が心配
5:十条さん……私が救う!
6:清光、どこかなぁ……

[備考]
※参戦時期は第四部第二章終了後〜第四部第三章開始前
※ゆらぎや特務機関森羅、逢魔に関する情報を知りました
※本来は刀使でもその御刀に選ばれないと写シ等はできませんが、この場では御刀を持てば種類を問わずに使用可能です
※大荒魂カナヤマヒメの力は美炎が”力を求めたとき”発動します。
※カナヤマヒメは美炎の生存を第一に考えています。(優勝してでも)
※カナヤマヒメは沙都子の本性に気づいています。
※何度もカナヤマヒメの力が発動または、美炎の身に死の危険が訪れるとカグツチに意識を完全に乗っ取られる可能性があるかも知れません。
※参戦時期の関係から美炎は自分の体内にカナヤマヒメが封じられていることは知りません。また、カナヤマヒメとカグツチとの関係も然りです。
※名簿から巻き込まれている知り合いを確認しました。
※十条姫和はタギツヒメに取り込まれている状態だと思っています。
※零児には、姫和の状況についてはまだ知らせていません。
※首輪に関する話は筆談で行います。
※沙都子からエスデスの危険性を聞きました。

【千鳥@刀使ノ巫女】
安桜美炎に支給。珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀
基本的には錆びず刃こぼれもすることはない
御刀に選ばれた者は刀使として写シなどの能力が使用できる
元は衛藤美奈都の御刀だが、娘の衛藤可奈美が受け継いだ
作中通りアニメ本編でも雷を斬ったこともあるにはあるが、
雷に完全な耐性、メタ性能を持っているわけではない
刀使以外には折れない錆びない剣と、それはそれで強い武器


927 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:50:17 2L1/1MJI0
☆彡 ☆彡 ☆彡

―――一そして、冒頭最後へ場面は戻る。

「はぁ……はぁ……くそッ!!」
鉄平は両手を膝にかけ、深呼吸する―――

「はは……ほんま因果応報ちゅうのかのぉ……」
そう呟くと、鉄平は膝から崩れ落ちる―――

あれから、探し回ったが鉄平はいまだ沙都子を探すことができていない。
これも、今まで自分が行ってきた非合法な行いのツケなのだろうか―――

「沙都子……ッ!」
鉄平の目から涙が零れ落ちる。

「ねぇ……おじさん、どうかしたの?」
「あの……どうなさいましたか?」

頭上から声をかけられ、見上げると―――

鉄平の目に映ったのは、女神とJKだった―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

「それで、おじさん……鉄平さんの知り合いは姪の沙都子ちゃんだけなのね」

「ああ……そのようやのぉ」

あれから、鉄平は女神並びにJKと自己紹介を簡単に交わした。

(園崎家の連中が一枚かんどっちゃると思ったんが……おらんようや)
てっきり、今回の騒動には、自分達を村八分として扱う園崎家が関わっているのではないかと鉄平は疑っていたが、あゆりが見せてくれた名簿を確認する限り参加者にはいないことから、とりあえずこの考えは隅に置く。

「この広い場所を1人で探すのは困難です。私達も協力します」
「そうね。3人寄れば、何とかの知恵っていうしね!」
快く協力を申し出るリリア―ナとあゆり。

「お嬢ちゃん達……すまんのぉ……」
鉄平はリリア―ナとあゆりに頭を下げる。

「いいって、鉄平さん。沙都子ちゃんなら絶対無事だって!」
「そうです、きっと沙都子ちゃんと会えます」
鉄平を励ます2人―――

「あ、ああ……そうやな」

―――なんて、ええ子達や……
ワシのような男に、こんなに親身になってくれるなんて……

鉄平は心の底から彼女達に感謝する。

「そういえば、私の支給品に……あった!」
あゆりはデイバッグから一本の杖を取り出す。

「あゆりちゃん、それは……?」
リリア―ナは首を傾げながらあゆりに尋ねる。

「えっと、【たずね人ステッキ 】っていう杖で探す人を教えてくれるだって!」
そういうと、あゆりはステッキを地面に当てて手を離す。

―――杖は倒れた。

「よし!そっちの方面ね……鉄平さん!!とりあえず行ってみましょう!」

「ほんま……ありがとうなぁ」
あゆりに呼びかけられた鉄平は後をついていく。

それに、この子らがおれば、沙都子も怖がらなくて済むかもしれんなぁ……

さっき、あの場から逃がすとはいえ手を上げてしまった。
おそらく、自分の姿を見たら、恐怖に陥り、護ることもできなくなる恐れがおきるやもしれん。

故に鉄平はリリア―ナ並びにあゆりと行動を共にすることを決めた。

―――まっとれよぉ沙都子。必ずワシがお前のこと守っちゃるね……

だから、頼む沙都子―――

―――ワシを信じて。


928 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:50:38 2L1/1MJI0
【B-4 /一日目/深夜】

【北条鉄平@ひぐらしのなく頃に 業】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(中)、身体にダメージ(中、ヘルズクーポンで治癒中)
[装備]:ヘルズクーポン(半数以上使用及び廃棄)@忍者と極道
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:沙都子を助ける。
0:沙都子と合流する。
1:リリア―ナ・あゆりと協力して沙都子を探す
2:沙都子……ワシを信じて
[備考]
※参戦時期は本編23話より。
※リリア―ナ・あゆりと簡単な自己紹介だけしました。(名前のみ)
※あゆりとの年代の違いはまだ知りません。

【リリア―ナ・セルフィン@よるのないくに2 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ戻り、刻の花嫁として生贄となる……
1:あゆり、鉄平と行動を共にする
2:とりあえず、たずね人ステッキに従って沙都子を探す
3:アル……あなたに会いたい……
4:あゆりの住んでいるトーキョー……少し興味あるな
[備考]
※参戦時期は序章、刻の花嫁に選ばれ、馬車での移動中
※刻を遅らせる能力は連続で使用することができません。また、疲労が蓄積します。
※あゆりの世界について多少、知識を得ました。
※自身が刻の花嫁として選ばれ、月の女王への生贄となることは伝えていません。
※名簿にアルーシェ(アル)がいることを確認しました。
※北条鉄平と簡単な自己紹介を交わしました。

【広瀬あゆり@東京城址女子高生 】
[状態]:健康 
[装備]:たずね人ステッキ@ドラえもん
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰り、打ち上げの続きをする
1:リリア―ナ、鉄平と行動を共にする
2:とりあえず、たずね人ステッキに従って沙都子を探す
3:アル……どんな人かな?
4:私のスマホがない……最悪
[備考]
※参戦時期は原作3巻 文化祭終了後
※よるのないくに2の世界について多少、知識を得ました。
※リリア―ナの刻を止める能力を知りました。
※リリア―ナが刻の花嫁となり、月の女王への生贄となることは知りません。
※北条鉄平と簡単な自己紹介を交わしました。
※鉄平(昭和58年)との年代の違いにはまだ気づいていません。

【たずね人ステッキ@ドラえもん】
広瀬あゆりに支給されたステッキ。
このステッキを床や地面に立てて手を離すと、そのときに捜している人のいる方向へ倒れます。 ”ただし”その的中率は70%。


929 : ひぐらしのなく頃に〜沙都子ワシ編〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/09(水) 21:50:52 2L1/1MJI0
投下終了します。


930 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/12(土) 00:06:42 TJSj8Qjg0
みなさま投下乙です

荻原結衣、プロシュート、ドレミー、佐神善、エスデス、ミスティ、益子薫、累の父、堂島正、鹿目まどか、真島、梨花、三島英吾、ワザップジョルノを予約します


931 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/13(日) 22:04:41 0C7FUwSc0
おお!!
大人数での群集劇!!!連なるメンバーだけに結末が楽しみです。

司城来夢、優木せつ菜、崎村貴真で予約します。


932 : ◆2dNHP51a3Y :2021/06/15(火) 23:27:33 2bIAaMuk0
予約延長します


933 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:31:40 I8oPHtE20
投下します。


934 : 大好きを叫ぶ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:32:26 I8oPHtE20
大好きーーーーー大いに好きな様子を表す言葉。また、相手に好意を伝える言葉。
ウィキペディアより引用。

ビバ、伯爵? 〜司城来夢〜

「はぁ……はぁ……はぁ……」

あれから頭痛が止まらない―――

「早く……ユズやヒナちゃんと合流しなくちゃ」

ああ……それにしても痛い……

「人……?」

もしかして、ユズ!?ヒナちゃん!?

「なんだ……ユズでもヒナちゃんでもないわ」

知らない男女のペア……

「じゃあ、敵ね……■さなきゃ」

リフレクターの指輪がないけど……■る……

―――スチャ。
大きい剣……だけど、扱うには問題なさそう。

「効率的に■るには……」

「?」

ライムに向かって必死に何か呼びかけてるけど……正直、全然響かない。

「五月蠅い……!黙って!!」

耳障りなことを言う女の子の方から始末しよう―――

ブンッ!

女の子に向かって剣を振り下すが、そこは武器を握っているのを知っていたのか、天使のようなイラストが彫られている盾で防いできた。

「ライムはユズとヒナちゃんだけいればいいの!それ以外は……敵よ!!!」

私は剣に付属していた紙に書かれていたのを読み上げる―――


935 : 大好きを叫ぶ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:33:11 I8oPHtE20
護身破敵とともに、禍災を除かむることを請う―――         

神隠す十拳(とつか)の如く火産霊(ほのむす)び、火車来々、焔羅に送られん

呪を唱え終わると、支給品の剣は炎を纏った。

喰らえッ!火天墜衝ッ!

それは抜群の威力を誇り、女の子が構えていた盾は粉々に壊された―――
しかし―――

「う゛ッう゛う゛……」

―――頭痛がやま……ないッ!

ビバ、伯爵 ビバ、伯爵 ビバ、伯爵 ビバ、伯爵 ビバ、伯爵―――――

「ライムはあんたなんか……知らないッ!」

頭にこびりつく不快なワード―――

「……!?」

まだ、あんな目に遭ってもライムに呼びかけるなんて―――

「本当に、ほっといて!!」

頭痛もあり、闇雲に振り回す剣。

ポタ……ポタ……

私の瞳から零れ落ちるのは―――涙。

「きゃ!?」

なんか、よく分からない呪文らしきものを唱えながら、女の子が玉を投げると―――

少し間を置いて、爆発した。

「あ゛う゛!……ごほっ!!ごほっ!!!」

なんとか、直撃は避けられたが、爆発で破壊された地面のコンクリートの破片が体に突き刺さる。
煙が目に染みるが、なんとか標的を見つけることができ―――

ドシュ―――――

よし!腹を貫けた。

「これで……終わり!!」

手間取ったけど、■せるわ―――

「?……大好きな世界?」

突然、そんなことを語り掛けてきた。
私にとって大好きな世界は―――

考えながらも私は確実に仕留めるため剣を引き抜き、首を目掛け―――

「……え?」

突然、しつこかったビバ、伯爵の言葉が頭から消え去り、意識がクリアになると―――

女の子と目が合った。
女の子は私の目を見ると、ホッとした顔を見せて―――

ザシュ―――――

目の前にいた少女の首が刎ねられて転がり、顔や制服に血しぶきがかかる

「嘘……」

―――私は一体何をしたの?

☆彡 ☆彡 ☆彡


936 : 大好きを叫ぶ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:33:41 I8oPHtE20
スクールアイドル 〜優木せつ菜〜

『じゃあ、第一回放送の時にでもまた会おう、ボン・ボヤージュ!』

「……」

―――許せません!殺し合いをショーのように扱うなんて!

「それだけでなく……」

ダブレットの名簿に同じ同好会のメンバーが全員とはいかないが、多く記載されていた。

「……その様子だと、何人もいるみたいだね」

私の表情から察したのか貴真さんは同情してくれた。
話を聞くと、どうやら貴真さんの知り合いも何人かいるみだいだった。

お互い、改めて名簿に記されている人の身体的特徴などの情報を交換し合っていると、前から女の子が歩いてきた。

「貴真さん!参加者が見えました!!声をかけましょう」

仲間が増える。
私はそう思い、嬉しさがこみ上がるが―――

「!?待つんだせつ菜ちゃん!様子がおかしい」

貴真さんの静止と同時に、目の前の女の子は大きな剣をデイバッグから出すと、構えてきた。

「まってください!私たちは敵じゃないわ!」

剣を収めてもらおうと説得するが、声は届かず―――

「五月蠅い……!黙って!!」

剣を振り下げてきた。

「きゃ!!」

なんとか、支給品の『めがみのたて』で防ぐことができた。

「落ち着いてください!彼らの思惑に乗っても誰も喜ばないです!」

襲い掛かってきたということは、殺し合いに乗っている証拠。それでも、私は―――

「さっきから……ライムはユズとヒナちゃんだけいればいいの!それ以外は……敵よ!!!」

護身破敵とともに、禍災を除かむることを請う―――         

神隠す十拳(とつか)の如く火産霊(ほのむす)び、火車来々、焔羅に送られん

ライムと名乗る女の子が、ライトノベルにあるような呪文を唱え始めると、剣に炎が纏い―――

喰らえッ!火天墜衝ッ!

「きゃあああああ!?」

アニメの必殺技のような威力がめがみのたてを粉々に粉砕した。

「大丈夫かい!?せつ菜ちゃん!」

吹き飛ばされた私を貴真さんが受け止めてくれた。

「は、はい……!?」

「ライムはあんたなんか……知らないッ!」

女の子はそう言いながら頭を抑えながら呻く。

「……もしかしたら、あのライムという子は洗脳みたいなのをされているんじゃないかな?」

女の子の異常な様子から貴真さんは呟いた。
―――そんな!?なら、やっぱり彼女……ライムさんを救わなきゃ。

「ライムさん!しっかりしてください!!貴方の大切なユズさんやヒナさんも殺し合いに参加させられているかも知れないんですよ!!!」

「本当に、ほっといて!!」

そういうと、ライムさんは剣を振り回すが、闇雲で、それは幼子が癇癪を起しているかのようだった。

「!?」

ライムさんの瞳から涙が―――

―――絶対に私が助けます!!


937 : 大好きを叫ぶ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:34:24 I8oPHtE20
洗脳と言うことは、自分の好きを自由に言えないこと。
そんなの容認することが出来ない。

だって、”大好き”を世界中に溢れさせちゃうスクールアイドルになる のが私の野望だから。

「せつ菜ちゃん!これを使うんだ!!」

そういうと、貴真さんが花火玉のようなのを渡してきた。

「?これは……」

「『まほうの玉』といって、”相手の精神状態を元に戻す効果”があるみたいだよ」

「本当ですか!?貴真さん!ご協力感謝します!!」

―――これで、彼女を元に戻して見せるッ!

「ライムさん!邪悪なものに憑りつかれているのを私が助けます!」

「せつ菜☆スカーレットストーム!! 」

決め台詞を言って、その玉を投げると―――

―――カッ!!!!!

「ふぅ、今日も世界を救ってしまいました!ってえええ!?」

明らかに穏やかではない爆発―――

「そ、そんな!?」

これじゃあ、まるで”爆弾”!?

「どういうことですか!?貴真……さ……ん!?」

―――いない!?

―――まさか……置いて逃げた!?

ドシュ―――――

「……え?」

彼女の剣が私の腹を貫いて―――

「そ……んな……」

―――このまま私は死ぬの?

駄目……スクールアイドルとして、せめて……ライムさんに伝えたい―――

「思い……出して……貴方の大好きなせか……いを……」

彼女……ライムさんと目が合った。
その目は先ほどまで私を殺そうとする目ではなく、私と変わらない”大好き”をもつ目だった。

―――良かった。大好きを……理念を貫けた。

ザシュ―――――

【優木せつ菜@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会  死亡】

☆彡 ☆彡 ☆彡


938 : 大好きを叫ぶ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:34:57 I8oPHtE20
「……」

目の前にあるのは、転がる首と斃れた身体―――

―――ザッ。

「せつ菜ちゃんは、最後まで君を助けようとしていたよ」

片割れの男の子がいつの間にか現れると、私にそう話しかけてきた。

「それと、せつ菜ちゃんはアイドルをしていたんだけど、もう二度とファンの前で歌えなくなったよ。……君のせいで」

「……私のせい?」

「そう。君の所為だ。ああ、そういえば、せつ菜ちゃんと同じようにこのゲームに参加させられているメンバーがいるみたいなんだけど、高咲侑ちゃん、上原歩夢ちゃん、宮下愛ちゃん、天王寺璃奈ちゃん……はは!いっぱいいるね」

「もう、彼女たちアイドルグループは揃うことがない」

「あ……ああ……」

脳裏に次々と浮かぶのは後悔―――――

「あははははははッ」

男は言いたい事だけ言い終わると―――

走り去っていった。

その速さは、さながら動物のチーターのようだった。

☆彡 ☆彡 ☆彡


939 : 大好きを叫ぶ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:36:25 I8oPHtE20
「ごめん……なさ……い」

少女漫画のようなアニメが好きな来夢。
アニメ・ライトノベル・ゲームが好きなせつ菜。

出会いが違えば、意気投合したであろう両者。

来夢がナスタシアによる洗脳を受けて、意識が混濁していなければ―――
せつ菜が崎村貴真と行動を共にしてなければ―――

2人に襲い掛かった”理不尽”がその可能性を摘み取った―――

2人が交わることはもう2度とない―――――

【C-5 /一日目/黎明】

【司城来夢@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣】
[状態]:疲労(小)負傷(小)頭痛(中) 罪悪感 呆然 絶望
[装備]:火車切広光@11eyes -罪と罰と贖いの少女-
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本:ヒナや私達姉妹の敵は全て■す
1:リフレクターの指輪を探したい
2:せつ菜を殺した事実をユズやヒナに知られたくない
3:ごめん……なさ……い
[備考]
※参戦時期は11章『ある姉妹の始まり Why Do People Believe in Ghosts?』、原種イェソド1戦目終了後から
※チョーサイミンジュツが解けましたが、頭痛は続いています。
※優木せつ菜を殺めたことで精神が不安定になっています。

【火車切広光@11eyes -罪と罰と贖いの少女- 】
司城来夢に支給され分厚い刀身を持つ刀。
呪を唱えることで炎を纏うことができる
なお、付属の紙に呪が記されているため、この殺し合いの舞台のみ使用可能となっている。

☆彡 ☆彡 ☆彡


940 : 大好きを叫ぶ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:37:27 I8oPHtE20
「ああ……やっぱり、たまらなく好きだ」

せつ菜ちゃんのオレがいなくなっていることに気づいた”あの顔”最高だった。
それに、簡単に信じちゃうなんて。

「欲を言うなら、せつ菜ちゃんを同じ同好会のアイドルと合流させてからの顛末も見てみたかったけど」

まぁ仕方がない。この結末も一つの理不尽だ。

「それにしても、まさか彰君と悠奈ちゃん。ついでにおっさんまで参加してるなんて」

死んでもなお、どうやら”あのゲーム”の関係者とは縁が深いらしい。

「さて……次はどんな”理不尽”と出会えるのかな?」

ワクワクが止まらない―――

「ごめんね、せつ菜ちゃん。オレは……理不尽が大好きなんだよ!!!!!」

―――せつ菜ちゃんに黙とうを捧げるため、オレは”大好き”を叫んだ。

【C-5 /一日目/黎明】

【崎村貴真@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康
[装備]: チーターローション残り9/10@ドラえもん コルトポケットもどき@クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝 まほうの玉×9@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島
[道具]:基本支給品一式、優木せつ菜のランダム支給品0〜2
[思考]
基本方針 : この殺し合いにおける『理不尽』を楽しむ
1:とりあえず、この場を離れて別の参加者達と合流する
2:参加者に『理不尽』を振り撒く
3:来夢ちゃん・せつ菜ちゃんの関係者に出会ったら、この顛末を上手く利用して、『理不尽』を振りまく
※Zルート死亡後からの参戦となります

【チーターローション@ドラえもん 】
ローションを足に塗ると、目にも止まらぬ速さで走ることが出来る。
ただし効力は短く、1キロメートルほど走ると効き目が切れる。
足場の悪い曲がりくねった道でも追走・並走ができ、単に脚力のみでなくバランス感覚や判断力、動体視力についても強化する作用がある。
今回支給された液体量は約10回分はある。

【コルトポケットもどき@クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝 】
ブリブリ王室親衛隊少佐ルル・ル・ルルが所持している拳銃。
実銃とは細部が微妙に違っているらしくこのような表記となっている。
「殺す殺すって気安く言わないでよ。子供が見てるでしょうが! 」byルル・ル・ルル

【まほうの玉@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島 】
はじける石の力で大爆発する鉄の玉。
爆発するまで、少し間がある。


941 : 大好きを叫ぶ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:37:48 I8oPHtE20
投下終了します。


942 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/16(水) 21:57:55 I8oPHtE20
アーナス、小夜、アナムネシス、上原歩夢、幡田みらいで予約します。


943 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:46:32 k8SG.yfU0
投下します。


944 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:48:21 k8SG.yfU0
傘下ーーーーー全体を一つの勢力としてまとめる指導的な人物や機関の下で、その統制・支配を受ける立場にあること。
デジタル大辞泉より引用。

「……」

あれから、首と体が離れ朽ち果てた死体達を見つめる沙夜。

(さて、この”刀”が説明書通りなら……)
そう、支給された刀の能力が本当なのかを確かめるために見つめている。

すると―――

―――ギリギリギリ。

「鮮度が落ちるッ!!一刻もあの女(琴美)を食せねば」
「女はぁぁぁぁぁあああああ!!!!!16を過ぎると醜く不味くなるぅぅぅぅぅううううう!!!!!」
「まぁ、落ち着け。とりあえず操られる人形とはいえ、会話ができることを喜ぼう」

先ほどまで、死んでいた沼の鬼達が喋り出した。

「……」
冷ややかにそれを見ると、右手に持つ刀に視線を向ける。

「どうやら、本当のようね」
そう、沙夜に支給された一振りの刀。
帝具の一つ、死者行軍”八房”。
斬り殺した相手を骸人形として操ることができる。

(自我が残るのは、この殺し合いを盛り上げると言った意味合いかしら……趣味が悪いわね)
本来、自我は残らない骸人形らしいが、あの鬼達は自身に殺されるときと同じような台詞を吐いていることから、沙夜はこの刀に細工が仕込まれていると察する。

「それに、坊やの刀が私に支給されるとは……ね」
沙夜に支給されたもう一振りの刀―――それは、有栖零児が所持する刀『炎燐』。
火の力を宿した刀。

―――ふふ。これも縁ね。

―――有栖零児。
逢魔の計画を幾度も阻止した特務機関森羅のエージェントにして沙夜にとって避けられぬ宿命の相手。

(とりあえず、坊やと共闘するか雌雄を決するかは、様子見と行きましょうか……)

沙夜は積極的にこの殺し合いは乗ろうとは考えていない。
このような混沌は、与えられるのではなく与える側だと自負しているからだ。
しかし、蘇った以上はただ死を待つわけにもいかない。
どうしても優勝するしか道はないと判断すれば、優勝の道を選ぶ。

故にまだ情報収集に徹する。
それが、沙夜の導き出した方針。

「それにしても、貴方達、本当に腐った油のような匂いがするわねぇ……」

沙夜は沼の鬼の体臭に鼻をつまむ。

「アマ!?いや……バ……ババア!!」
「16を大幅にこえているぅぅぅぅぅぅうううううう!?鮮度がぁぁぁぁぁああああああ!!」
「しかし、奴ら(鬼滅隊)ではなさそうなのに我らを殺すとはね」

ちなみに、鬼舞辻無惨により鬼にされた者は本来、日の光を浴びるか”日輪刀”で頸を斬るしか殺す手段がないが、ここ平安京では、頸を刎ねられると死ぬ体となっているようだ―――

―――正直、うっとおしく感じるが、戦力が増えることはこの殺し合いにおいて大きなアドバンテージとなる。
当面はこの鬼達を骸人形として操ることと、沙夜は決めた。

「とりあえず、私の指示があるまで沼の中に潜んでおきなさい。それと、私の許可なく口を開かないこと」

「「「……」」」

自我が残っているとはいえ、既に死んだ身で骸人形でしかない。沼の鬼達は沙夜の指示に従い、沼の中で沈黙する。

「ふぅ……あら?」
気を取り直し、今後の方針をどうしようかと悩む中、気づいたら修羅場に紛れ込んでいた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


945 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:49:08 k8SG.yfU0
武器と武器の金属音がぶつかり合う―――

「こんなに早く出会えるとはね。幡田みらい」
「私は、正直会いたくなかったけどー」

両者とも、互いに後ろに下がると―――
アナムネシスは支給品のメガリスロッドを構え、幡田みらいも負けじとエクスタスを構える。

「あ……あの……まずは、一旦落ち着きませんか」
みらいの同行者である歩夢は何がなんだか分からないといった様子だ。

「どうしたの?」
沙夜は、人畜無害に見えた歩夢に話しかける。

「え!?そ……それが、あの紫の髪の人が、いきなり杖みたいな武器で幡田さんに襲い掛かってきたんです。

「幡田みらい。貴方はあの辺獄の管理人から何か聞いていないの?」
「聞いてないよ。……それに正直に言うとわたし、あの二人にはちょっとムカついているんだよね」
その言い合いに小夜の体に電流が走る―――

「!!」
(辺獄の管理人……彼女達、もしかしてあの双子の関係者なのかしら?)

(それなら……)
沙夜は沼の鬼から奪ったランダム支給品の一つ、ジャギのショットガンも装備する。

いざとなったら、自分も乱入してでもその”辺獄の管理人”とやらについて聞きだすために。
しかし、その戦いは中断することとなる。
その理由は―――

「争うのを一度止めろ。貴様達」

4人+3の前に現れたのは―――

―――アーナス。

「貴様ら……人間ではないな?」
アーナスは鋭い眼光でそれぞれを睨みつける。

「……ええ。私は沙夜。逢魔極東本部のエージェントよ♪」
(この娘……強大な妖力を秘めているわね……)

「……」
アナムネシスは沈黙で答える。

「人に尋ねるときは自分から名乗るのがマナーだよ?お姉さん」
みらいはアーナスに対し、興味なさげに答え―――

「え?……え!?わ……私は人間ですが……」
(ていうか、それじゃあ、私以外は”人”じゃないの!?)
ただ、一人”生きている”人間”である上原歩夢はこの状況に頭が混乱している。

アナムネシスと幡田みらいは元々人間だが、現在は辺獄の住人の為、アーナス判定によると人間と見てはいないようだ。

「私は妖魔が長――『夜の君』アーナスだ。 お前達に提案がある」
「私はこれから人間を根絶やしにする。 お前たちは私の傘下に入り、手を貸せ」

アーナスは先ほどの2人に向かって放ったのと一言一句違えず話す。
違うのは、この次の言葉―――

「従わぬのなら、ここで殺す」
先ほどの2人組(針目縫と日ノ元明 )にしてやられた経験から、アーナスは”拒否する場合”を選んだときの自身の行動を先に伝えた。


946 : ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:49:41 k8SG.yfU0
「「「「…・…」」」」
三者三様、その言葉に、思案すると―――

「ええ、いいわ。私はアーナスちゃんの傘下に入るわ」
小夜はあっさりと答えた。

「……ねぇ、お姉さん。一つお願いがあるんだけど……」
幡田みらいはこの状況にも関わらず、物怖じせずアーナスに尋ねる。

「何だ……?」
「殺した人間の”魂”は私にほしいの。どうしても」
その目は受け入れないなら、戦ってもいいよということを伝えている。

「構わん……私は根絶やしにするだけで、人間の魂には興味はない」
「じゃ、私もお姉さんの傘下に入ろっかなー」
みらいは両腕を頭の後ろに組みながら、軽快に答える。

「……」
アナムネシスの心中は穏やかではない。

今、目の前には、”大切な人との絆”を奪った幽鬼の姫がいる。
しかし、この状況は明らかに自分に不利であることは一目瞭然。
小夜と名乗る尻軽そうな女狐は、言動とは裏腹に実力が高いと肌で感じる。
当然、いきなりとんでもないことを言いだしたアーナスと名乗る女も―――

「……本当にあなたは辺獄の管理人から何も聞かされてないのよね?幡田みらい」
アナムネシスは幡田みらいに再確認をする。

「だーかーらー、さっきから聞いてないって言ってんじゃん!」
幡田みらいは頬を膨らませながら答える。

「……いいわ。でも、どうしても殺したい相手がいるの。その時はそちらを優先してもいいかしら?」
「……構わん。好きにしろ」
アーナスは了承し、アナムネシスも傘下に入った。

「ねぇ……それって、まさかお姉ちゃんのことじゃないよね?」
みらいの目が鋭さを増して、アナムネシスに詰問するが―――

「……」
アナムネシスはだんまりを決め込む。

「後は……」

―――スゥ。
アーナスの視線は残りの1人である上原歩夢に向けられる。

「ねぇ、アーナスちゃん。歩夢ちゃんは人間よ。殺すの?」
小夜はアーナスに問いかける。

「当然、人間は根絶やしだ」
アーナスは歩夢に向かって一歩ずつ近づく。

―――それは、処刑人が死刑を粛々と執行するかのようだ。

「ひっ……!?」
歩夢は必死に助けを求めようと周囲を見渡すが―――

「「……」」
小夜にアナムネシスは静観を決め込んでいる。

「あ……ああ……」

―――私、ここで、死んじゃうの?
―――そんな!そんなの嫌!!
―――二度とできなくなるスクールアイドル活動が。
―――ううん。違う……
―――なによりも、侑ちゃんの傍にいられなくなる。

―――ポンッ。

恐怖におののく歩夢の肩に優しく手が置かれた―――


947 : みんなの夢、わたしの夢 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:50:33 k8SG.yfU0
「安心して歩夢ちゃん。わたしが歩夢ちゃんを助けてあげる」
「ほ……本当……!?」

みらいの言葉に歩夢は安堵した表情で振り向くが、みらいの笑顔にぎょっとする。
出会ったときから感じていた、まったく笑っていないその笑みに―――

「えい♪」
「!?!?」

みらいは歩夢の首にアンプルを注入する。
―――ノロが入っているアンプルを。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜〜!?」

―――歩夢はなにを着ても可愛い
―――いつでも私は歩夢の隣にいるよ!
―――歩夢を応援したい
―――あゆぴょん

「あぁあああぁぁ」

―――歩夢今日も可愛いYO!
―――え?なんでせつ菜ちゃんが出てくるの?
―――違うよ。もっと、先の事
―――私ね、夢が……

「あぁあああぁぁあああぁぁぁ」

―――シュゥゥゥゥゥ。

「……」

スクールアイドルが大好きだった瞳は血を求める瞳に
桜に劣らない魅力的なライトピンクの髪が所々白の髪に
ファンの手を優しく握りしめる綺麗な両手は異業が混じったような黒い手に
メンバーやファンに向けるほがらかな笑みは残虐な笑みに

こうして、上原歩夢はノロが入り混じり、生まれ変わった―――

「うん。歩夢ちゃん、とっても素敵になれたね♪素直になりなよ。歩夢ちゃんはどうしたいの?」
みらいの甘美に満ち溢れている悪魔の問いかけに―――

「私……侑ちゃんを私だけのものにしたい……ファンとかよりも私が求めているのは侑ちゃん。侑ちゃんがいなくなるのは……嫌なのッ!!!」
そういうと、歩夢は支給品にあった一振り……安桜美炎の御刀である加州清光を装備する。

確かに歩夢がこの平安京に呼ばれた時期は、自身の変化に揺れ動いている最中だが、本来なら、自身を応援してくれるファンも侑もどちらも受け入れることを選べる強さを持つ女の子である。
しかし、ノロが注入されたことにより本当の想いはねじ曲がってしまった。

「歩夢ちゃんも行きつくところまでいったんだね……あは、なんだか嬉しいな。同じように愛する者をもつ者として」
みらいは歩夢の言葉に満足すると―――

「これなら問題ないでしょ?」
みらいはアーナスへ問いかける。

「……ふん」
アーナスは背を向ける。
ひとまず、歩夢を始末するのは保留としたようだ。


948 : みんなの夢、わたしの夢 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:50:57 k8SG.yfU0
「それでは、人間共を根絶やしにするぞ。ついてこい」
アーナスは傘下を率いて先頭を歩く。

―――人間を根絶やしにするという偽りに塗りつぶされた夢を果たすために。

「了解したわぁ」
―――ふふ、アーナスちゃん。貴方の秘密探らせてもらうわよ。
―――それと、アナムネシスちゃんにみらいちゃんも……ね💗
小夜は変わらぬ笑みを保つ。
生きて帰り、逢魔の宿願を果たす夢の為に。

「お姉ちゃん。待っててね。直ぐにわたしが迎えに行ってあげるから♪」
―――お姉ちゃんの隣は私の特等席なんだから。
幡田みらいは愛の哲学を実現させる夢の為に。

「はぁ……」
―――とりあえず、この奇妙な傘下に身をまかせましょうか。
―――あの咎人に断罪を与えるために。
アナムネシスは、決して許せぬ姉妹を絶望の苦しみに悶えさせてヨミガエリを果たす夢の為に。

「待っててね……侑ちゃん。二度と私の下から離さないから」
歩夢は機たるべき結末を想像してワクワクが収まらない。
愛する親友と永遠に過ごす夢の為に。

(この集団……ババアとガキ……!!)
(だから、鮮度は大切だといってるだろぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!)
(まぁ、一人16歳がいるから良しとしようじゃないか。……私たちが人形でなければ、食べたいものだ)
既にこの殺し合いからは脱落しているが、欲望の夢見る骸人形達。

夢を抱くクインテット(五重奏)ならぬオクテット(八重奏)の夢が重なり合う―――
※正確なら沼の鬼は三人で一人なのでセクステット(六重奏)なのだが。

【G-5 /一日目/深夜】


949 : みんなの夢、わたしの夢 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:51:26 k8SG.yfU0
【八将神枠】
【アーナス@よるのないくに2 〜新月の花嫁〜】
[状態]:魔力消耗(小)、吸血衝動、人間への激しい憎悪
[装備]:魔剣ヨルド
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0〜3
[状態・思考]
基本方針:「夜の君」としての本能に従い、人間を殺していく
1:「人間」を見つけて殺す
2:小夜達(傘下)を利用する
3:「人間」以外の参加者と出会えば、利用できそうなものであれば使役する
[備考]
※参戦時期は暴走状態の頃からとなりますが、主催者からの改竄により、「夜の君」としての理性だけは取り戻しております。
※また主催者の改竄により「大切なもの」を奪いとったものは、「人間」であったと認識させられております。
※人間だった頃の記憶及び半妖だった頃の記憶については、欠落したままの状態です。

【魔剣ヨルド@よるのないくにシリーズ】
アーナスが自らの血を元に形成する長剣。
剣の長さは、アーナスの意識次第で伸縮自在。


【沙夜@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD】
[状態]:健康
[装備]:炎燐@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD 死者行軍"八房 ”@アカメが斬る ジャギのショットガン@北斗の拳
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3(沼の鬼のランダム支給品込み)
[思考]
基本:情報収集。脱出が不可能となったら優勝狙い
1:とりあえず、アーナスちゃんの下で情報収集
2:本調子を出すには、あと刀一振りね……
3:坊やと出会ったら、……
※アーナス・アナムネシス・幡田みらいが双子と関わりがあると睨んでいます。
※名簿を確認して有栖零児がいるのを知りました。
※骸人形と化した沼の鬼達は沼に潜みながら、沙夜の後をついていき、命令があるまで黙って待機しています。

【炎燐@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD】
有栖 零児が所持する刀。
陰陽五行を司り炎燐は”火”の性質を持つ。


950 : みんなの夢、わたしの夢 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:51:45 k8SG.yfU0

【死者行軍"八房 ”@アカメが斬る】
帝都に伝わる帝具の一つで日本刀型の帝具。
鋭い切れ味を誇るが、その真の骨頂はその刀で仕留めた相手を骸人形として操って戦わせることが出来ることである。
本来、骸人形には自我が存在しないのだが、悪辣な悪魔の双子により、自我が残るよう改造されている。
現在は沼の鬼×3(3人合わせて1人)が骸人形として操られている。
本来は8人まで可能となっているが、何人まで可能かは後続の書き手様に委ねます。
ギリギリギリ―――「ババア(アーナス・小夜)とガキ(みらい)ばかりじゃないか……」by沼の鬼
「女の鮮度が落ちるだろうがァ!!」by沼の鬼
「まぁ、まて。あの女(歩夢)は食べごろだ……」by沼の鬼
「はぁ〜い、とりあえずその臭い口を閉じていてねぇ💗」by小夜

【ジャギのショットガン@北斗の拳】
沼の鬼の支給品だったが、沙夜が手に入れた。
ジャギ愛用のショットガン。
当然ながら、威力は抜群である。
「おい!おまえ!おれの名前を言ってみろ!!」byジャギ

【アナムネシス@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康
[装備]:メガリスロッド@ファンタシースターオンライン2
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:優勝して、ヨミガエリを果たす。幡田姉妹に復讐する
1:とりあえず、アーナス達と行動を共にするが幡田みらいには注意する
2:あの女(白井日菜子)は、次会う機会があれば必ず殺す
3:辺獄の管理人、何を考えているのかしら……?
4:幡田零に出会ったら幡田みらいの前で惨たらしく殺す
[備考]
※参戦時期は第五章『コギトエルゴズム』から
※まだ名簿を確認しておりませんが、幡田みらいの様子から姉である幡田零がこの平安京に居ると確信しております。

【メガリスロッド@ファンタシースターオンライン2 】
巨大な体躯でそびえ立つ大型閃機種の武器を模した長杖。
振りかぶるだけで逃れられぬ恐怖が標的を押しつぶす。


951 : みんなの夢、わたしの夢 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:52:00 k8SG.yfU0

【幡田みらい@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康
[装備]:万物両断エクスタス@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜1、
[思考]
基本:管理人の思うようにはなるつもりはない、それはそれとしてヨミガエリの為の魂は集める
1:お姉ちゃん、待っててね♪
2:殺されなくて良かったね!歩夢ちゃん♪
3:とりあえず、アーナス達と行動して”魂”を集める
4:ついでだからゴミ(千)を掃除しておかなくちゃ
[備考]
※参戦時期は六章(二週目) 深間ノ街 萌芽から
※名簿を確認して姉の零並びに千がいることを知りました。

【万物両断エクスタス@アカメが斬る!】
幡田みらいに支給。ナイトレイドの一人シェーレの所持していた巨大なハサミ型の帝具
驚異的な硬度を誇り、この世のどんなものでも両断できるほどの切れ味を持つ。さらにその巨大さと硬度のため盾としても利用可能。ただし切れ味を最大限発揮するためには鋏として利用する必要があり、その巨大さも相まって取り扱いは良いとは言い難い
奥の手は刃から強烈な光を発して相手の目を眩ませる「鋏(エクスタス)」

【上原歩夢@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康(ノロ) 意識混濁 身体能力向上
[装備]:加州清光@ 刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:自分の想いを果たす
1:私だけの侑ちゃんとする。たとえ■してでも
2:アーナスたちと同行する
3:ありがとう……みらいちゃん。貴方のお陰で、私は自分の本当の想いに気づけた
4:同好会の皆に出会ったら……ううん。私は侑ちゃんを選んだ。だから■す
[備考]
※参戦時期は11話〜12話の間
※ノロのアンプルを注入されたため、ノロが体内に入り意識が混濁しています。
※名簿を確認して、侑並びにスクールアイドルの仲間たちがいることを知りました。

【加州清光@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火 】
安桜美炎の御刀。
刀使ではないため、歩夢は写シなどの能力を使用することが本来できないが、ノロを注入されたことにより使用することが可能となった。


952 : みんなの夢、わたしの夢 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 18:53:00 k8SG.yfU0
投下終了します。

元ネタ考察など更新ありがとうございます。
楽しく読ませていただいております。


953 : みんなの夢、わたしの夢 ◆s5tC4j7VZY :2021/06/18(金) 19:07:38 k8SG.yfU0
天王寺璃奈、草壁美鈴、モッコスで予約します。


954 : ◆EPyDv9DKJs :2021/06/20(日) 03:23:22 bpZW8AM.0
日菜子、沙耶香、ムラクモ予約します


955 : 笑顔のカタチ(〃>▿<〃) ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:14:08 PazHG/Cg0
投下します。


956 : 笑顔のカタチ(〃>▿<〃) ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:16:14 PazHG/Cg0
注意 本SSは不快に感じる言動や性的描写があります。
登場人物の内、天王寺璃奈、草壁美鈴が好きな方は絶対にお読みするのは控えて下さい。


957 : 笑顔のカタチ(〃&gt;▿&lt;〃) ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:16:38 PazHG/Cg0
笑顔ーーーーー笑いをふくんだ顔。
Oxford Languagesより引用。

ーーーギィ……バタン。

―――スタスタ。
―――ドサッ……

走り疲れたのか、美鈴と璃奈はお互い黙ったまま、ソファーに座った。

ここは、B-7の一画にある一軒家。一度、休息を兼ねるのもあり、申し訳ない気持ちを抱きつつも2人は家の中へ上がった。

ちょうど、その時―――

『――ボンジュール、みんな〜!』

どうやら、休息はもう少し後になるようだ―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

ディメーンによる放送が終わった後、美鈴と璃奈は互いの知り合いがいないかどうか名簿をチェックしていた。

「……」
(私の知り合いは、いないようだ……)
どうやら、草壁美鈴の知り合いはいないようだ。

しかし―――

「う……うそッ!?」

天王寺璃奈はそうでもなかった―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


958 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:17:31 PazHG/Cg0
―――カチャッ。
美鈴は、璃奈の心を落ち着かせる意味も込めて、テーブルにラベンダー入りのハーブティーを置く。

「……その、何だ。よければこれでも飲んで一旦気持ちを落ち着かせるといい」
美鈴は璃奈に飲むように促すが―――

「……」
璃奈はそれには口をつけず、顔を青ざめている―――

「……」
(侑さん・歩夢さん・愛さん・せつ菜さん……)
同好会全員ではないが、自分を含めて5人もこの殺し合いを強要されている事実に、璃奈は呆然としている。

「……」
(無理もない……か。仕方ない……彼女の気持ちが落ち着くまで、待つとしよう……)
美鈴は璃奈が落ちつくのを待つと決めると、懸念していることについて考えを巡らせる。

(あの外道……たしか名前は……童麿といったな……)
美鈴が懸念していること……先ほど少女(璃奈)を救う際に対峙した外道のことだ―――

「十五雷正法では、奴を完全に祓うことができなかった……」
美鈴は先ほどの戦闘を想起する―――

「あの回復量から、明らかに人外の者であることは一目瞭然。……もしや、あの魔女のように不死なのか?」
美鈴は、あの”赤い夜”……直接的には戦わなかったが、虚無(クリフォト)の魔石の力により不老不死の力を得た魔女リーゼロットを例に挙げるが―――

「しかし、悪霊のような少女たちは、わざわざ首輪を付けてまで私たちに殺し合いを強要している。それならば”不死”はありえんはずだ……」
美鈴はこの殺し合いの参加者には必ず”死”があると推測する。

―――スゥ。

美鈴は自身の首輪を触る。

(首輪……そうか!?もしかして頸を刎ねれば、奴を祓うことができるかも知れない。……ここで、これ以上考えていても埒が明かないな……次に出会った時、試してみるとしよう)
美鈴はここまで考えると、次に対峙した際は実行に移そうとケツイした。

「あ、あの……」
「……ん?」
ちょうど考えが一段落終えた、いいタイミングで璃奈が声をかけてきた。

「……」
しかし、璃奈は言葉を紡ぐことなく黙り込んでしまう―――

―――どうしよう。
―――伝えたいことや話したいことはたくさんあるのに。
―――やっぱり、想いを伝えることって難しい

再び、居間に沈黙に包まれる―――


959 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:17:56 PazHG/Cg0
「……剣を抜いたら必ず相手を殺せ」
「え?」
突如、美鈴は言葉を紡ぐ―――

「迷うな。迷うならば抜くな」
「あ……あの?」
璃奈は美鈴の意図が分からず、困惑する。

「とある大和男に剣の稽古をつけた際、教えた言葉だ」
美鈴は答える。

「おそらく、君はその銃で外道を撃ってしまったことに戸惑っているのだろう?」
「!!」

その指摘に璃奈の体が硬直する―――

先ほどの景色が鮮明に浮かび上がる。
自分が撃った銃により、男の体が爆発四散すると、はじけ飛ぶ返り血が、頬にも跳ね、そこに残るのは―――
―--血だまりの光景。

「ど、どうして……?」
璃奈はどうして自分の戸惑いに気付くことができたのか疑問に感じ、美鈴に質問をする。

「何。簡単なことだ。私が君を助けた際、君はその銃を所持していた。そして、君の頬には血が付着していたが、幸いにも怪我をしたような様子は見られない。なら、その血は銃をくらった外道の血だと辿り着いた」
美鈴は璃奈に答える。

「君の戸惑いは、この殺し合いの中でとても大事なことだよ。そのバランス感覚はここで生き残る上で大切」
美鈴は璃奈の瞳を真っすぐと見つめ―――

「だからこそ……一つだけ覚えておいてほしい。武器とはそれだけの重みがあるということを。その重みを感じた先に君が得るべき力とその力を使う意義がみえてくるのだから……」
璃奈の戸惑いを否定することなく肯定した―――

「……」
―――どうしたの?

「……え?」
璃奈の脳裏にある日の言葉が蘇る。

―――怖くないよ。
―――なんか君、元気なさそうだったからさ!
―――じゃ!一緒に行こっか!

―――それは、愛さんと繋がることができた日。

「……」

次に浮かぶのは―――

―――ありがとう。璃奈ちゃんの気持ち教えてくれて。
―――璃奈さんにはできるところ、たくさんあるのに。
―――頑張り屋さんなところとか。
―――あきらめないところもね。
―――機械に強いし。
―――動物にも優しいですよね。

ライブから逃げ出そうとして、塞ぎこんだ私の想い受け止めつつも一歩踏み出せる切っ掛けを与えてくれた同好会の皆の言葉。

―――そうだ。
―――簡単なことを忘れていた。

「さて、そろそろ私は行こうと思う。殺し合いに乗った外道たちから守らなくちゃならないからな。それで……君はどうする?」
美鈴は立ち上がり―――璃奈に問いかける。

「あの……!!」

―――もう大丈夫。
―――きちんと伝えられる。

―――目の前の女性と心を繋げたい

しかし、璃奈の想いは―――

「お邪魔しゃ―――す!!」
言葉と共に扉が勢いよく蹴飛ばされて、かき消される―――

「ッ!?」
璃奈はビクっと体を強張らせ―――

「ッ!誰だ!!」
美鈴は雷切を構える―――

―――それは神か。悪魔か。

「お!?先客がいたのか……俺様の名前はエドワードハインリッヒ。勇者様だ」

―――勇者の来訪。

☆彡 ☆彡 ☆彡


960 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:18:16 PazHG/Cg0
「あ゛あ゛!?俺様の名前が正しく載ってねーじゃねぇか!!!」
モッコスは怒声を上げながら荒れ狂う。

名前を名乗ったのはいいが、美鈴から「そんな名前は載っていない」と指摘されたモッコスは名簿をチェックすると、そこに書かれているのは彼の言う名前ではなく”モッコス”と書かれていた。

「許さねーぞ!あのメスガキ共!!○○○だけじゃねぇ、アナルも含めてズタボロに犯す!!!」

「「……」」
璃奈はそんなモッコスの様子に体を強張らせ、美鈴は一度、構えを解いたが、いつでも戦闘が開始できるようにしている。

「ん!?……ああ。悪かったな。怖がらせちまったか……」
モッコスは、美鈴と璃奈の態度に一度、落ち着きを取り戻すと―――

「……お前ら”しお”ってガキとメガネのひょろ男を見かけなかったか?」
モッコスは探している2人について尋ねる。

「……いや、私たちが出会ったのは童麿と名乗る外道だけだ」
美鈴は童麿にしか出会っていないことを伝える。

「ちッ……仕方がねーな。んじゃあ、この松坂さとう……ガキから”さとちゃん”って呼ばれている女には気を付けろや。何も知らねーガキを洗脳している疑惑があるからな」
2人を逃がしてしまったことにイラつくモッコスは、床に唾を吐き棄てると、2人に要注意したほうがいい人物を伝える。

「……なるほど。たしかに”誓いの言葉”から、松坂さとうという女は危険なようだな」
モッコスからモンスターを救った顛末を聴いた美鈴はとりあえずモッコスの言う通りに松坂さとうなる女性が危険であることを認識する。

(だが、私から見れば、この勇者と名乗る男の方が遥かに危険にしか見えないがな……)
美鈴はモッコスに気づかれないよう、後ずさりをして距離を取る。

「ところで女2人だと危険だろ?でも、まぁ、もう安心しろや!この勇者様が守ってやるからよ!」
モッコスは2人を守るとサムズアップして言い放つ。

「……その申し出はありがたいが、断らせてもらう」
美鈴はモッコスの申し出を断る。
―――それは女性としての本能か。美鈴の脳裏に警報が鳴り響くからだ。

「あ゛あ゛!?勇者様の誘いを断るってのか!な〜に、お礼に一発ヌイてもらうだけでいいんだからよ」

言葉と同時に―――

―――ググッ

服のズボン越しからでもわかるほど、モッコスの○○○が勃起した。

「きゃ!?」
(え?これ……男の人の……///)
璃奈は恥ずかしさのあまり、両手で顔を隠すが、指と指の間からモッコスの”ソレ”を見つめる。

「なッ!?」
美鈴も同様に顔を赤らめながらも手に握りしめていた雷切の切っ先をモッコスにかざす。

「おいおい、物騒な真似すんじゃねーよ」
モッコスはやれやれといった様子で呆れる―――

「黙れ!破廉恥な行為はゆるさんぞ!」
美鈴はもはや問答無用とばかりに斬りかかる寸前。

「何、処女みてぇなこと、いってやがるんだ。……それにお前、非処女だろ?」
モッコスはデリカシーないことを言い放つ。

「……ッ!―――五雷神君の天心下り、十五」
―――が、次の瞬間。

「んんん!!??い……やっはぁぁあああ!?」
美鈴とモッコスのやり取りを黙って見守っていた璃奈から嬌声が漏れ出し―――

「璃奈!?どうし……たぁぁぁあああ!?!!??」
璃奈の異変に気づいた美鈴も璃奈と同様に嬌声を抑えきれない―――

モッコスはその様子をニヤニヤと眺める。

「き……貴様!!な……何をぉぉぉぉぉ!?」
(ち……乳首が!?くぅ……アソコが……疼く……ほしい……)
美鈴はモッコスの仕業であると直ぐに看過すると問いただす。

「へへへ、知りてぇのか?じゃあ、教えてやるよ……その正体は”これ”さ!」
そういうと、モッコスは水戸のご隠居の印籠のように文字が書かれた”木札”を2人に見せつける―――

その木札に書かれているのは―――


961 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:18:40 PazHG/Cg0
―――牝豚調教の才。

「こいつは、さっき話した軽くブッ殺したモンスター(ドドンタス)から奪いとった支給品でな。元々は【空白の才】って札なんだが、俺様に相応しい才を手に入れたってわけだ!」
モッコスはぶひゃひゃと笑いながら説明をする。

―――空白の才。

とある神は、空白の才をこう評したことがある――――

―――白くも染まれば、黒くも染まると。

たとえば、事故で生涯、車いす生活を余儀なくされたとしても「歩きの才」と書けば、健常者と同じように歩けるようになる。

また、「独裁の才」と書けば、歴史上悪名名高い独裁者と同じ力を得ることができるようになる。

さらに言えば、もし、「解除の才」と書けば、”首輪の解除”はたやすいだろう。
「再会の才」と書けば、この殺し合いを開いた主催者達と”再会”が叶うであろう。

空白の才とは、それほどの力を持つのだ。

なぜ、殺し合いを破綻に繋げかねない空白の才を支給品として紛れ込ませたのか―――

その仕業は―――

―――辺獄を支配する双子の悪魔?
―――神へなろうとする陰陽師?
―――新世界の王を目指す道下師?
―――彼らの協力者の誰か?

とにかく、確かなことは、モンスターとはいえ女性の四天王をレイプして、その後はペットと扱う最悪な男に”ソレ”が手に渡ったということだけだ。

「ククク……どうやら、パチもんじゃねぇみたいだな……」
モッコスは2人が快楽に悶える様子に満足気だ。

「あっ…///ああ」
まだ閉じられている璃奈の秘所から愛液がダラダラと流れ落ちる―――

―――ドサッ
璃奈の悶え乱れる動きにデイバッグがぶつかって落ちると―――

(……!?これって……!!)
璃奈にとって大切なのが支給されていた―――

「それじゃあ、”味見”といこうじゃねぇか。……俺様の〇〇〇はBIGだから安心して感じろや。前の男のことは忘れさせてやるよ」
(先に”ヤル”ならデカ乳の赤髪が先だよな。その後、ピンク髪の処女をいただくとするか……)
モッコスは悶え乱れ色香を放つ美鈴の体に一歩、また一歩と近づく。

―――それは”欲望塗れな笑顔”

「くっ……んんぅぅぅ!?……はぁ……はぁ……///」
(すまない……駆君)

これから行われるであろう行為に美鈴は、愛する者の名前を思い浮かべると一筋の涙を流しながら謝罪する―――


962 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:19:15 PazHG/Cg0
その時―――

―――バッ!!
(`∧´)
スケッチボードに顔が―――

「んな!?」
モッコスは突如、間に割って入ってきたスケッチボードの女に一瞬、気を取られると―――

璃奈のもう片方の手に握りしめられている支給品が効果を発動する。
それは―――次元方陣シャンバラ。

モッコスの立つ床に魔法陣が展開され―――
―――バシュッッッッッ!!!!!

魔法陣が消えるとともに、モッコスの姿は消え去っていた―――

「……良かった。ぶい从||>ᴗ<||从」
璃奈ちゃんボードを構えつつ、璃奈は美鈴に向かってVサインを行う。

その顔は、スクールアイドルを知らない者でも、一瞬でファンになるであろう”見惚れる笑顔”だった―――

それを見た美鈴は―――

「……ふふ」
”穏やかな笑顔”を浮かべた―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

あれから、改めて互いの自己紹介から情報交換を行った後、十分な休息をとった。

「それじゃあ、行くぞ!璃奈君!!」
「……はい!美鈴さん!!」

紅き血染めの月下の殺し合い―――

―――それは、狂気と正気の境界線。

だけど、私は迷わない―――

―――璃奈ちゃんボード「やったるでー!」 (>v<)

【B-7 /一日目/黎明】


963 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:19:50 PazHG/Cg0
【天王寺璃奈@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康、精神的疲労(小)、肉体的疲労(小)
[装備]:ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ シャンバラ@アカメが斬る 璃奈ちゃんボード@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:美鈴さんと行動を共にする
2:愛さんや同好会の友達と合流したい
3::……さっきの人達(童磨・エドワードハインリッヒ)とは、もう会いたくない。
4:力(ドミネーター)を使う意義が来たら撃つ
5:美鈴さん……大人の女性……璃奈ちゃんボード「ドキドキ」(?□!) ///
[備考]
※参戦時期はアニメ最終話の後です。
※ドミネーターはエリミネーター1発分の電力を消費しましたが、充電しました。
 会場のどこかに充電設備が存在するかもしれません。(B-7※他にもあるかもしれません)
※結果的に殺してはいないものの、自分が銃の引き金を引いて血だまりを生み出してしまったことに内心動揺していましたが、美鈴の言葉から落ち着きを取り戻しました。
※モッコスのことを名乗ったエドワードハインリッヒと思っています。
※モッコスから松坂さとうの危険性について聞きました(半信半疑)
※モッコスが空白の才を手にしたことを知りました。
※美鈴から”赤い夜”の出来事について簡単に知りました。
※ドミネーターの使用について理解しました。(使用方法や犯罪係数など)


964 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:21:02 PazHG/Cg0
【ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ】
同作品シリーズにて公安局刑事課の刑事達が使用する銃。
銃口を向けた相手の『犯罪係数』という数値を計測し、規定数値以上の場合はトリガーがアンロックされる。
本来はシュビラシステムと呼ばれる装置と常にリンクしているが、今は主催によりリンクが切られており犯罪係数を測定しているのも主催である。
ユーザー認証は参加者名簿に基づいており、名前が記載されていればだれでも扱うことが可能で、初起動の場合ドミネーターについて詳しく教えてくれる。
また殺し合い促進のために、6時間に一度だけ犯罪係数に関係なくエリミネーターに変形させることができるように改造されている。
現在、B-7の家にて充電したため、エミリネーター形態での残り弾数は4発。

【次元方陣シャンバラ@アカメが斬る】
一定範囲の人間をあらかじめマークした地点へ転送する能力を有する。
ただし一度に転送できるのは数人が限界であり、連発できないなど制限も多い。
奥の手が有り「相手をランダムで世界のどこかに送り飛ばす」というものだが、主催者側の細工により、ここ平安京内の「何れかのエリア」へ飛ばされる。
一度使用すると、次に使用可能になるには通常「4時間」奥の手「6時間」かかる
現在、次に使用可能となるのは黎明から6時間後。
マークしてあるのはB-7の家
一度に転送できる数人の詳細は後続の書き手様に委ねます。

【草壁美鈴@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
[状態]:健康、術の多用による疲労(小)
[装備]:小烏丸天国+雷切+童子切安綱@11eyes -罪と罰と贖いの少女-
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:殺し合いの打破と、草壁七剣の回収。
1:璃奈と行動を共にする
2:この赤い夜もどきは一体何だ?……魔術によるものなのか?
3:次、外道(童麿)と相まみえたら、頸を刎ねることを試す
4:勇者……奴のあの才は危険だ……
[備考]
※参戦時期は本編終了後です。皐月駆と体を重ねています。
※モッコスが名乗るエドワードハインリッヒは偽名だと思っています。
※モッコスから松坂さとうの危険性について聞きました(半信半疑)
※頸を刎ねれば、童麿を祓うことができるのではないかと推測しています。
※璃奈からスクールアイドルについて簡単に知りました。
※モッコスが空白の才を手にしたことを知りました。
※残りの草壁七剣は以下の4本です。
 ・火車切広光
 ・鉋切長光
 ・鬼切(別名:鬼切安綱、髭切など)
 ・蜘蛛切(別名:膝丸、薄緑など)

【小烏丸天国@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
大きな鴉によってもたらされたと言われている妖刀。
刀身の上半分が両刃になった漆黒の直刀で、長い年月をかけて妖力を貯めることができる。
過去の戦いで数千年貯めた妖力を開放したはずだが、何故かそれが元に戻っている。

【雷切@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
立花道雪が雷を斬ったと伝えられる日本刀。別名:千鳥とも呼ばれる。
一見するとシンプルな日本刀だが、刀身の根元部分が不自然に折れ曲がっている。
あえて表現するとしたら「ち」や「さ」の字のような造形をしており、どう見ても普通の鞘には納めることができない。
雷撃を操り、遠距離攻撃や広範囲攻撃、防御と多数の技を持つ汎用性の高い武器。

【童子切安綱@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
天下五剣にも数えられる草壁七剣最強の妖刀。
鍔の部分に不気味な、水疱に似た瘤が複数ついている。酒呑童子が宿るとも言われ、使い手の血肉を喰らい力を発揮する。
力を発揮するほどに柄から所有者の体を侵食し、使いすぎると使い手そのものを喰らってしまう諸刃の剣。
奥義、鬼牙絶刀(きがぜっとう)は巨大な衝撃波を飛ばし、その道中に存在するものを両断する。


965 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:23:53 PazHG/Cg0
【??? /一日目/黎明】

【モッコス@ドキュンサーガ】
[状態]:疲労(小)、MP消費(小)、イライラ(大)、勃起
[装備]:M93R@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage 弾薬まだ余裕
メガンテの腕輪@ドラゴンクエストシリーズ 空白の才@うえきの法則
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜8 ドドンタス、神戸しおのランダム支給品込み
[思考・状況]
基本方針:舐め腐ったメスブタども(メフィスとフェレス)をぶち犯してから殺す。そのために使えそうな奴を探す
1:イライラ解消のため、メスブタを一発犯すか雑魚(男)をブッ殺す
2:次会ったらメガネは舎弟、メスガキはペットとして保護する 
3:次会ったら赤髪とピンク髪の女たちは一発抜いてもらった後、保護する
4:首輪が外せる奴は居ねぇか?
5:舎弟がほしいな……
[備考]
※参戦時期は1-3話、魔王と戦っている最中から
※タブレットの参加者名簿を確認しましたが、本名表記にキレてます。
※城咲充の服を着ています
【メガンテのうでわ@ドラゴンクエストシリーズ】
装備者の命が尽きる時に砕け散り、効果を発揮する。
メガンテとは己の命と引き換えに即死級の超強力な爆発を起こす呪文である。食らった相手は死亡・瀕死・ノーダメージのいずれかになるというギャンブル的な呪文。
このロワでは自分が敵と認識している相手に対しての、出鱈目に強い自爆呪文という形で扱われる。逆に言えば味方と認識されているキャラであれば...?

【M93R@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
拳銃サイズでありながら高い制圧力を兼ね備えた対テロ用マシンピストル 。
連射性の高い3点バースト機能を備えた、最強の拳銃。by三ッ林司

【空白の才@うえきの法則】
ドドンタスから奪った支給品。
書き込むことでどんな"才"でも手に入れることが出来る木札。
モッコスが書きこんだのは「牝豚調教の才」
この力により、モッコスはこの殺し合いの中で女性に絶対的有利と化した存在となった。
モッコスと対峙した女性は否応なしに体が発情して、頭の中が色欲に塗れてしまう。多少は自我を残すことはできるが。抗うことはできない。
また、モッコスに対して攻撃を行うことは不可能となる。(範囲・遠距離からの攻撃も含める)
※ただしモッコスが攻撃と認識してない行動は可能。
それは、”洗脳”状況でも変わらず”八将神”も例外ではない。
何らかな手段により、本来、植木耕助が手にして書き込んだ”再会の才”になるかもしれない……


966 : 笑顔のカタチ ◆s5tC4j7VZY :2021/06/22(火) 18:25:03 PazHG/Cg0
投下終了します。
作品名ですが、笑顔のカタチ(〃>▿<〃)です。


967 : ◆2dNHP51a3Y :2021/06/23(水) 22:06:44 I9UGKMvU0
投下します


968 : 王道を歩む者、正道を歩む者、そして―― ◆2dNHP51a3Y :2021/06/23(水) 22:07:10 I9UGKMvU0
「……はっはっは! よもや貴様も居ようとはな! ドミノ・サザーランド!」

紅天の夜、塔より響いた放送より手持ちのタブレットの名簿を確認し、偉丈夫・日ノ元士郎は大いに笑う

「……私の方の知り合いはなし、と。ですが、そちらの方が貴方と行動を共にするには都合はいいですがね」

それに対し、淡々と状況を理解しているのはオフィエル・ハーバード

「して日ノ元殿、そのドミノ・サザーランドというのは貴方の『敵』で宜しくて」
「ああ、同じく真祖にして、『王』を目指す者の一人、傲慢不遜の女帝。言ってしまえば私の敵対者だ」
「で、他に見知った名前は」
「あとはドミノの配下である佐神善、そして先生ことお前と同じ医者の堂島正。……あとは私の娘、明だ」
「ふむふむ」

ドミノ・サザーランドの次に、日ノ元士郎が知りうる名前は佐神善、堂島正、そして日ノ元明

佐神善とは直接の面識はない、ただし堂島から情報はある程度得ている
堂島に関しては表面上はこちら側、ではあるが実際はドミノ側の間者。自分の邪心を図るために遣わせたという意図があった

「同じ医者として、堂島正という男は一度会ってみたいものですがね」
「まあ機会があれば会うこともあるだろうな。その時はドミノ・サザーランドとの決着をつける時になるやもしれんがな。……この状況だ、もはや同盟のことなど知らんとばかりに私を殺しに来るかもしれん」

だが、問題はない。堂島正という男はもはや自分の理想が叶わないまま終わることを受け入れる結末を絶対に認めない。その為ならば自らの信念すらも捻じ曲げるだろう
そんな男に、この日ノ元士郎が遅れを取るはずなど無い。が、この忌々しい首輪がある以上そうとは言い切れないのが現実

「先生への対策は考えておくとして、出来れであるが、ドミノ・サザーランドはこの私の手で仕留めたいところだ」
「佐神善、そして娘さんの方はいかがされますか?」
「佐神善は能力の程は未知数だ。かつての同胞である加納クレタの分裂能力を持っているらしいが、能力の本質は未だわからん。本格的に種が芽吹く前に仕留めるべきか」
「娘さんの方も同じく?」
「………」
「日ノ元殿?」
「………明は生け捕りにしろ」
「……では、そのように」

日ノ元明の名前が出た時、士郎の表情が少しばかり険しくなっていたのをオフィエルは見逃さなかった

(多少なりとも身内には甘いようですな。ですが、こちらとしては少々好都合です)

オフィエルとて「願いを叶える」というメフィスとフェレスの言葉を鵜呑みにしているわけではない
しかし、もし日ノ元士郎が可能性を示せなければ、別の手段を模索せざる得ないのだ
日ノ元明は、おそらく日ノ元士郎にとっての急所であろう。もし彼よりも日ノ元明を手に入れることが出来れば、ドミノ・サザーランド側や日ノ元士郎に対する交渉材料に成りうるかもしれない

「して、これからの方針はどうされるおつもりで」
「名簿を見た所多勢に無勢とはこの事だ。呼ばれた関係者が悉く敵ばかり。それとなオフィエル、私とてあのメフィスとフェレスを野放しにしておくつもりはない。いずれ輝ける未来の為に奴等もまた倒さねばならぬのだ」
「……ほう」
「まずは仲間を集めることだ。ドミノ達や先生への対策も重要だが、ただの個で出来ることなどたかが知れている。たとえそれが真祖だとしてもだ」
「なるほど、言ってしまえば体よく利用できる手駒ですかね」
「言い方が悪いがそういうことだな。が、ただ使えるだけの駒では足りない。確固たる信念、確固たる意思を持った、飼い犬の手を噛むぐらいはしてきそうなのを仲間に引き入れたいところだ」


969 : 王道を歩む者、正道を歩む者、そして―― ◆2dNHP51a3Y :2021/06/23(水) 22:08:28 I9UGKMvU0
先ずは「同じく主催を打倒せんとする」同士を集めること
ドミノ・サザーランドを討ち果たすにしても他にも仲間は必要だ。いずれにしろ王道を征くには邪魔であるあの双子は倒さなくてはならないのは必然
だが、余りにも綺麗事すぎる者はあまり好まない。いくら言葉で飾ろうともやろうとしていることは「殺し」であるのだから
ある程度の綺麗事を持ち合わせ、尚且残酷な現実も受け入れられる者が相応しい。「体よく利用して使い捨てる」だけならただのゲスでも構わないのであるが
未知の場所、未知の人物、そして自分以外の知人は敵ばかりという状況。だからこそ慎重に動かなければならない
そう日ノ元士郎が考えていれば、正面から近づいてくる人影が一人、こちらへと近づいているのが見える

「……どうされますか? 会話を聞かれてたのであれば面倒になりますが」
「……見た所聞かれたようではない……ならば……」

構えるオフィエルを諭し下がらせる士郎。人影は近づき、その姿を現した


○ ○ ○


「あのー! 僕は怪しいものではありませんー!」

白衣の男の表情に、蒔岡彰が思わず発した言葉がこれである
実際突然刀剣類を持ったままなのだ、多少疑われても仕方のないことだとしてもつい反射的に弁解してしまった

「……らしいですが」

白衣の男はそんな彰を少々睨みつけながら、隣の偉丈夫に判断を問う

「良いでは無いかオフィエル、顔の傷が少々気になるところであるが。少年、運が良かったようだな!こちらとしても 少し事情を聞きたいところであるが良いか?」
「あ、はい……! あ、どうせならこれの使い方、教えてくれませんか?」

彰が取り出したのは使い方がわからなくてしまっておいたタブレット。「この年頃でスマホの使い方を知らないとは……」などという表情をオフィエルが呆れ果てながらも見つめていてたことを、彰は全く気にしていなかった



「いやぁ、蒔岡彰! いい名前ではないか、まさか娘と同じ名前だとはな!」
(すごく……豪快な人だなぁ……。でもなんか、悪い人ではなさそうで良かったです)

初見での印象は兎に角豪快、と言うよりも熱気盛んというか。本人は政治家だというが、田舎暮らしの蒔岡彰にとって政治家の名前など覚えていなかったが、等の日ノ元本人は「流石に忘れられたか!」と気にしていなかった

「だが、この年頃で俗世に疎いとはな! 別にそこを咎めるつもりはないが、少しばかりには触れる事が大切だぞ!」
「あはは、肝に銘じております……」
「……コホン、日ノ元殿。閑話はそれぐらいにするべきかと」
「おお、そうだったな! 改めてだ蒔岡くん! その傷の経緯も含め色々と尋ねたいのだが、いいか?」

オフィエルが咳払いをして本題へと道を戻し、その態度に気づいた彰が改めて事情を説明する
名前もわからぬ男に襲われたこと、そして白い道着の男に助けられて今に至ると

「出来ればその人も助けたいところですけれど……」
「……場所は」
「あっちです」

彰から道着の男が戦っている場所を聞いた日ノ元が、視線をオフィエルに向け

「……人使いの荒いこと。まあ、構いませんが」

それに反応したオフィエルは返答し、青い箱のようなオーラに包まれたと同時に消失

「えっ、ちょっとあの人突然……!」
「何、心配することはない。……まあ、そういう力を持っているという認識で構わん」
「そ、そうなんですか、あはは……」

日ノ元の説明に、オフィエルのことを完全にびっくり人間かなにかかと認識してしまった彰。もとより外に常識に疎かったせいか、「そういう人もいるのか……」などと完全に思い込んでしまったのである


「助けに行きたいのだろ? ……色々聞きたいことはあるだろうが、それは後で構わんか?」
「……すみませんっ!」
「気にすることはない、良き臣民がいるならばそれを助けるのもまた努めだ!」

オフィエルが向かったらしき場所、白道着の男がいる場所へと、二人は駆け出すのであった


970 : 王道を歩む者、正道を歩む者、そして―― ◆2dNHP51a3Y :2021/06/23(水) 22:08:45 I9UGKMvU0
○ 


(蒔岡彰、まっこと強い男だ)

駆ける道中、日ノ元士郎は蒔岡彰を心の内で評価していた
余裕があればもう少し聞き出したかったが、軽く聞いただけでも殺し合いに巻き込まれ、なおかつ同行者を助けんが為に自ら命を落とす覚悟を背負った者
理不尽に抗い、理不尽に晒された者たちを救うため、その剣を振るう。誠に天晴、日本男児の極みであろう

(だが、惜しい)

故に、評価とともに失望もまたある
その善性は余りにも日ノ元士郎からすれば余計なものである。蒔岡彰という青年は、明確な悪でなければ誰であろうと救うであろう、出来る限りの手を尽くし

(……余りにも、惜しい―――惜しい愚民だ)

故に、いずれ切り捨てる事になるであろう。堂島正とは違う、もっと正しい意味での「正義のヒーロー」
だが、それ故に日ノ元士郎とは相容れない。いずれ対立することになる。だが、それまでは

(精々利用させてもらおうか、蒔岡彰)

その思考を、蒔岡彰が知る由など、存在し得なかった


○ ○ ○


(まあ、そういう意図なのはわかっていますよ、日ノ元士郎)

先に転移によって離れた距離に移動し、例の白道着と仮面の男を探すオフィエル
日ノ元士郎は、自分の本性を理解した上であのようなアイコンタクトを取っていたのだろうと思考していた

日ノ元士郎が自身を信頼しきっていないのはわかっている。それを踏まえ、自身の本質を実力を改めて見計らおうと、この一件への干渉を以て試しているのであろう

(そっちがその気なら、こちらも色々と準備をさせてもらいます)

制限されているとはいえ、転移というアドバンテージがある以上、蒔岡彰にも、日ノ元士郎にも気づかれない手種を仕込む事も難しくはない
どちらにしろまだ日ノ元士郎の見定めは終わっていない。蒔岡彰は……最悪、鷲宮コオリの時のように『処置』を施してしまうのも有りだろう

(どちらにしろ、私はこのような場所で死ぬつもりは有りませんのでね)

己が願いのため、使徒は未だ暗躍の影を潜ませたばかり。見極めしが先の先
男の瞳に真に映るのは、己が願いのみ

【E-7/一日目/深夜】


【蒔岡彰@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:顔に含み針の傷(目に支障なし、針は既に捨てた)、攻撃速度強化
[装備]:妖刀村正[改]@御城プロジェクト:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:悠奈さんのところへと戻る。クリアせずともいい脱出方法で。
1:同じ考えの人を探す。
2:悠奈さん、怒ってるだろうなぁ……
3:道着の人の救援に向かう。
[備考]
※参戦時期はZルートラスト、死後に悠奈と再会後です。

【日ノ元士郎@血と灰の女王】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:立ち塞がる主催の面々は打ち倒す
1:「主催を打倒する」という目的を持った者たちを集める
2:出来ればドミノとの決着は己が手でつけたい所。佐神善は出来れば始末
3:日ノ元明は見つけ次第保護する
4:先生には念の為警戒
5:蒔岡彰の言っていた道着の男の元へ向かう
6:蒔岡彰、まっこと素晴らしくも、惜しい愚民だ
[備考]
※参戦時期は最低でもドミノ組との開戦前
※真祖としての力に制限が課せられています


【オフィエル・ハーバート@ファンタシースターオンライン2】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:願望を果たすまで死ぬわけにはいかない。場合によっては主催側へ着くことも検討
1:日ノ元士郎に同行し、彼を見極める
2:念の為に色々と仕込みを済ませておく
3:例の白い道着と仮面の男の元へ向かう
[備考]
※参戦時期はEP4-8「壊れた進化」から
※隔離術式による対象の隔離及び空間接合による転移に制限が課せられています


971 : ◆2dNHP51a3Y :2021/06/23(水) 22:09:00 I9UGKMvU0
投下終了します


972 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:03:16 eAvEQ8Us0

まずは感想を
ロック、格ゲーの経験でうまく立ち回り大物喰いを果たしましたね!
絶鬼は確かにパワーは強いけど蹂躙しかしてこなかったぶん付け入るスキは多かった。
次に目覚めた時に素直に反省するか、それとも反省せずにキレ散らかすのか...後者も十分ありえるやつである。

春花ちゃんがいないのがかえって相場にはいい方向で働いたのか、しばらくは穏健派でいてくれそうですね。
ひろしと愛ちゃんは一般人代表という感じで和みますが果たして彼らはこのサイコ野郎にどれだけの影響を与えられるのか。

まずタイトルがズルイ。タイトルでもう落ちてると言わんばかりに北条一族の回でしたね
鉄平がOPをバックに片目つぶって走るあの絵がイチイチ脳裏を過ってきて笑っちゃう。
沙都子のすべて掌の上と思いきや実は全然制御できてない現状、今度の卒本編でもそうなりそう。
鉄平も優しい女子たちに拾われて一安心、と思いきや最後に差し込まれるワシを信じてが卑怯すぎる

貴真くん君は本当に楽しそうだな。おそらくこのロワで最もロワ充してる参加者の一人だと思う。
せつ菜ちゃんは最期まで大好きを貫いてまぶしいな...不本意ながらも彼女の死を貴真の煽りを背負うことになった来夢の先は何処へ。

歩夢ちゃんはどう散るのかなと予約時点で思ってましたが生き延びてヨカッタネ(白目)
(この集団……ババアとガキ……!!)
沼鬼くん、死んでからも16歳教が治らないなwそれを直接言ったらどうなることやら。


モッコスクソみてェな才能身に着けやがって...と思いきや普通にめちゃくちゃ強い奴やんこれ
こんなんでも一応は対主催側だから困る。
どうしてきみはそんな方向に思い切りがいいの


確実にやられると思いきや一応は穏健派でいてくれたお陰で生き延びた彰くん。
しかし親ばかとはいえ士郎という参加者の中でもトップクラスの実力者とマッチングされそうなジャギの明日は如何に。
とりあえず葛さんがいまの士郎を見たらまた血管がプルプルしちゃいそう

ちょっと長くなりそうなので分割して投下します


973 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:04:33 eAvEQ8Us0
「...さすがに撒けたようね」

梨花は時折後ろを振り返るのを繰り返しながら走り続け、ジョルノたちを振り払ったことを確認するとようやく一息をつくことにした。
非常に疲れたが、あのわけのわからない男、ワザップジョルノはこれくらい引き離しておかないと安心できない。
さてこれからどうしようかと思った矢先のことである。

「きみ、どうしたんだい?」
「っ!?」

不意に横合いから声をかけられ、梨花は反射的に怯む。

「あ、あうぅ...こ、殺さないでほしいのです」

しかしそこは百年の経験が活かされたのか。
梨花は普段やっているように咄嗟に年相応の仮面を被ることができた。

「おっとすまない。驚かせてしまったね。私は堂島というものさ。きみは?」
「僕は古手梨花というのです。雛見沢に住んでいるのです」
「古手くんか。...なにかから逃げていたようだが、よければ話を聞かせてくれるかい?」

しゃがみ込み、目線を合わせて尋ねる堂島に、梨花はおずおずと口を開いた。

「みぃ、逃げていたのではないのです。友達が巻き込まれているので探し回っていただけなのです...」
「お友達?」
「はいなのです。沙都子という僕と同じくらいの女の子なのです」

沙都子の名を口にするのに躊躇いはなかった。
というのも、別に沙都子を蔑ろにしている訳でもジョルノの『梨花を陥れている黒幕が沙都子の可能性がある』という指摘に思うところがあったわけでもない。
梨花は己の非力さを誰よりも知っている。
仮に眼前の男が殺し合いに乗った者であれば、沙都子を天秤にかけるような取引すらなく殺される程度の存在だ。
それは逆のことも言える。この男が沙都子を殺す際にも梨花という人質など必要なく、どう考えてもただの子供二人に対して取引など持ち掛ける意味などない。
なので、梨花は下手に情報を隠すよりは『心配そうに声をかけてきた』という善意に賭ける他なかったというのが実情である。

梨花の触れた『沙都子』という少女の情報と、己が斬った少女の特徴を照らし合わせ、堂島は彼女が『沙都子』ではないと判断する。

「...すまないが、私は見かけていないね」
「みぃ...残念なのです」
「よければ一緒に探そうか?私も探している子がいてね」
「いいのですか?」
「ああ。おっさんもこんなところで一人では寂しくてね」

堂島が見るに、この少女は非常に無力な存在だ。それはヒーローが守るべき者である。
幸いにも、先に遭遇した青年とは変身体でしか邂逅していない。
ならばこうして人間体でいれば余計な諍いも起きないはずだ。

『なら彼と出会い、変身を余儀なくされたらどうするんです?』

またも脳裏に声が響く。纏わりつく死者の声が。

『ええ、言わなくてもわかってますよ。その時は口封じとして彼を、そして目の前の彼女も殺すのでしょう?今まで通り、その場しのぎのお粗末な考えで』
「......」

堂島は、声には応えなかった。
梨花は微かに陰りの見えた堂島の表情に気が付いたが、下手に刺激して離別されても困るため黙っていた。


974 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:05:04 eAvEQ8Us0




堂島と梨花が去ってから幾ばくか経過した頃。
真島とまどかは足跡を辿りここまで訪れていた。

「ボクシング、ですか」
「ああ。昔は俺も姉も虐められていてな。護身用にと始めたんだ」
「なんか、かっこいいです。そういう目標のもとに頑張るって」
「そんなたいそうなものじゃないさ。途中、なにもかもがどうでもよくなってボクシングから離れていたしな。
荻原と出会えていなければまたボクシングに関わろうともしなかったし、お前のことも助けようとすら思えなかったはずだ。所詮、俺はそんな他者に左右される程度の男さ」
「でも、あの人にも怯まず立ち向かったのは今までの真島さんがあるからだと思います。やっぱり真島さんはかっこいいです」
「〜〜〜〜〜お前も荻原も、人が恥ずかしくなることをよく平然と言えるな」

ここが殺し合いだとは思えぬほどに平穏な会話を弾ませる二人だが、彼らは決して目的を見失っていない。
他者に凶行を働きかねない堂島を止めるという目的は。


「〜〜〜〜〜〜〜」
「〜〜〜〜〜〜〜」

ふと、二人の耳に男の声が届く。
数は二人、なにやら言い争っているようにも聞こえる。

身を隠しながら様子を見よう、と真島はまどかに小声で指示を出し、抜き足差し足で徐々に声の出所へと向かっていく。

「だぁかぁらぁ!言ってんだろうが!俺はあの嬢ちゃんの自殺を食い止めただけだってえの!」
「証拠もなしに信じると?自分を知れ...そんなオイシイ話があると思うのか?貴様のような『現行犯』に」
「だったらあの嬢ちゃんともう一度状況を検分させろ!そうすりゃわかる!」
「『貴方が現行犯である』。これ以上に確たる証拠はないでしょう。わかったならさっさと刑務所にぶちこまれる覚悟をしておいてください。いいですねっ!!」

まどかたちが辿り着いた先にあったのは、両手足を拘束された中年を引きずる金色コロネのような奇抜な髪形の少年という珍妙な場面だった。
しばしその様子を伺っていた二人だが、言い争いはずっと同じような意見を繰り返しているばかりで状況は依然変わらず。
痺れを切らした二人は身を隠すのを止め、中年たちの前に姿を現した。

「あの、どうかしたんですか?」
「―――ッ、おいお前たち、こいつから離れろ!俺みたいにわけわからん理由をつけられて拘束されるぞ!」
「あなたを侮辱罪で訴えます!」

まどかたちに嚙みつかんばかりの勢いでまくし立てる中年―――英吾の頭を掴み、少年・ワザップジョルノは地面に組み伏せた。

「おい、少しやりすぎじゃないのか?」

幾度もかわされる問答を伺っていたことから、英吾がここにはいない誰かに攻撃を仕掛け、それを見ていたワザップが現行犯と称して彼を拘束しているという大まかな顛末はわかっている。
しかし、こうも躊躇いなく暴力が振るわれれば、いやでも心証は悪くなってしまう。

「この男は現行犯ですよ。容赦も同情も必要ないでしょう」
「でも、その人は『自殺を止めたかった』って言ってますよね?」
「そんなものは苦し紛れのでっち上げ...ちょっと待ってください。いま、貴女はなんて言いました?。僕らもこの男もまだ貴女たちになにも伝えてませんよね?」
「あっ...さっきまで様子を伺っててそれで聞いてました」

ワザップの問いかけにまどかは素直に答える。
瞬間、ワザップの瞳に殺意が宿る。

「貴女たちを盗聴罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたたちが僕らのプライバシーの侵害したからです!
覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴女たちは犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!」

突如、ワザップは豹変しスタンド『ゴールドエクスペリエンス』を発現させる。


975 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:05:27 eAvEQ8Us0

「なんだこいつは!?」

異端なる存在に驚愕しつつも、真島は咄嗟にボクシング特有のファイティングポーズを取り、それに倣いまどかも魔法少女へと変身する。
そのまどかの変身姿を見ていた英吾もまた驚愕するも、すぐに意識を取り戻しまどかたちへと叫ぶ。

「クッソ、またかよ!おいお前たち、こいつの相手はするな!早く逃げろ!」
「『ゴールドエクスペリエンス』!!」

ワザップのスタンドが拳によるラッシュを仕掛けながら、あっという間に距離を詰め真島のもとへと肉薄する。
迎え撃とうとする真島。しかし、まどかは真島とスタンドの間に割って入り、両手を広げて立ちはだかる。

「鹿目ッ!?」

まどかの急な行動に、真島は目を見開くだけで、彼女を守ろうとするも身体が追い付かない。
スタンドはまどかごと真島を殴りつけるべくそのラッシュを振るう―――が。
まどかの眼前にまで迫ると、拳はピタリと止まった。

「...なぜ、よけようともしないのですか?怖くないのですか?」

そう尋ねるワザップだが、問いかけるまでもなく彼は理解している。
彼女はビビっている。殴られる恐怖に目を瞑りながら、しかしそれでも決して退こうとはしなかった。

「...怖いですよ。でも、誰も傷つけあうのを望んでいないのに、傷つけあうことになるのは、もっと怖かったから...」

まどかはワザップの「この男は現行犯である」という言葉と英吾の「早く逃げろ」という言葉。その両方を聞き逃さなかった。
そして彼女なりに彼らの言葉を刷り合わせれば、彼らは二人とも殺し合いに乗っておらず、なにか悲しい勘違いによるすれ違いが起きているのではないかという推論を導き出すことができた。

ならば、怒っている者―――ワザップの怒りを自分が受け止めれば、彼も落ち着いて話ができるようになるかもしれない。
それで自分が傷つくのは怖いけれど、それでも殺し合いが起きるよりは断然いいと判断し、スタンドの拳を甘んじて受ける決意をした。

「......」

沈黙するジョルノを真島は油断なく見据える。
まどかの言いたいことはわかるが、かといってこのまま彼女が理不尽に殴られるのを黙って見ている訳にもいかない。
もしもこのままジョルノが私刑を続けようとするならば拳を振るう所存だ。

やがてワザップは静かに口を開く。

「とある学者はこの言葉を残しました。『「勇気」とは「怖さ」を知ることである』と。...君の名前は?」
「鹿目まどかです」
「カナメマドカ、君は『恐怖』を抱きながらも『正義』と『信念』に基づき抗った。君の信念に基づいたその行動!僕は敬意を表するッ!!」

突如姿勢を正し、声を張り上げるワザップにまどか達は驚くも、スタンドを収めたことから停戦が相成ったのだと判断する。
緊張の糸が切れ、はあぁ、と息を吐き後ろへと倒れこみそうになるまどかを真島が肩に触れ支える。

「まったく...無茶するやつだよお前は」

しょうがないやつめ、とほほ笑む真島に、まどかもまたティヒヒ、とはにかむのだった。


976 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:06:41 eAvEQ8Us0



父と母。それは外面を取り払えば雄と雌のつがいである。

雄と雌のつがいとなれば、本能のみの存在になれば交わるのはある種必然。

「オ゛レの家族はどこだああああああああ!!!」

そうなれば、その香りを嗅ぎつけた『思考を奪われ本能のみで家族を探し求める者』が惹きつけられるのもなにもおかしなことではない。

「はぁ〜い、こっちよこっちぃ」
「ギ?」

声のした方へと顔を向ける累の父。視線の先にある一室の窓から伸ばされひらひらと振られる掌が一つ。
その手が引っ込むと、累の父はそれにつられて、ズシ、ズシ、とその重厚な足音を響かせ部屋へと向かう。

「ごめんなさいねえ、ちょうどいまこの子のお昼寝タイムなのよぉ」

累の父を部屋に迎え入れたミスティは、床に大の字で寝転がる薫を足元に敷きながら妖艶な笑みを浮かべる。

「家族を探してるんですってぇ?話くらいは聞いてあげてもいいけどぉ」
「オ゛レの家族はどこだああああああああ!!!」
「...あら。思ったよりも話が通じないみたいねぇ」

いま、この瞬間、家族を知らないならば用はないと言わんばかりに拳を握りしめミスティへと襲い掛かる累の父。

「仕方ないわねえ...善くん、おねがぁい」

パチン、と指を鳴らせば、彼女の後ろからのそりと基礎の変身体となった佐神善が現れ、ミスティの代わりに累の父の拳を受け止める為に駆ける。
累の父と、善の拳が衝突―――しかし、拮抗は続かない。
累の父の拳はあっさりと善の拳を弾き飛ばし、そのまま左腕によるボディーブローで善の腹部を打ち、ミスティの方へと飛ばす。

「あらぁ?」

真横を通り過ぎ、後方の壁に叩きつけられた善の姿に、ミスティはキョトンとした表情を浮かべる。

「知らないナラァ...喰わせロ"オオオオォォォ!!!」
(妙ねえ。私の見立てだと、体力の消耗を考慮してもこんなにあっさりトばされるはずがなかったのだけれど)

エスデスとの戦闘と薫とのまぐわいによる消耗はあるとはいえ、休憩がてら支給されていた遺灰物も食わせ、変身体を維持できる程度にはもう体力も回復している。
自分の予想以上に累の父のパワーが強かったのだろうか。


977 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:07:23 eAvEQ8Us0

「まあそれならそれで、エスデスちゃぁん」

累の父の巨大な口腔が眼前にまで迫ろうとも微塵も動揺せず。
その名前を呼べば、たちまちに氷の壁が累の父とミスティの間に割って入った。

「うんうん。あなたはちゃあんと使いモノになるわねえ」

背後から現れ、足元に片膝を着き頭を下げるハイグレ姿のエスデスを見下ろし、うんうんと頷きご満悦な表情を浮かべるミスティ。

「その調子でその子の拘束もおねがぁい」
「かしこまりましたご主人」

エスデスは立ち上がり、さりげない仕草で身体を密着させつつミスティの腹部に手を添える。

「ダメよォ、ご褒美はちゃんとお仕事を片付けてから」

人差し指をエスデスの唇に添え「待った」をかける。
お預けに微かに不満げに頬を膨らませながらも、後の『ご褒美』を期待するかのように目に輝きを取り戻しながら累の父へと向かう。
悠然と歩いてくるエスデス向けて、累の父は咆哮と共に拳を振り下ろす。
エスデスはそれを跳躍で交わし、踵落としをそのまま頭部へと叩き込む。

「ガア"ア"ア"ア"アアア!!」

地面に押し付けられ絶叫を上げる累の父の頭部、両手足を氷で拘束し動きを封じ、エスデスはミスティへと振り返る。
ミスティはにこりと微笑み手招きすればエスデスはまるで子犬のような表情でかけよりミスティの身体にピタリと寄り添った。

「えらいえらい。ご褒美よぉ、好きな時に使いなさい」

ふやけて使えなくなった茄子の代わりの茄子を渡せば、エスデスはそれをいとおしそうに受け取り頬ずりをし始める。

(ずいぶん従順になったわねえ)

ハイレグ光線銃を使うまではずっと敵意を飛ばしていた彼女がこうも順応してしまうとは非常に滑稽な光景だ。
それだけ光線銃の洗脳力が強いのか、あるいはもとより精神的にはマゾヒストのケがあったのか。

「まあちゃんと仲良くなれたのはいいことだわぁ。...それよりも」

振り返り、未だに沈黙する善のもとへと足を運ぶ。

「しっかりなさぁい、善くん。エスデスちゃんと戦ってた時のあなたはこんなものじゃあなかったでしょう」

エスデスとの戦闘で見せた彼の闘争心と殺意は見ているだけのミスティすら肌が泡立つほどのものだった。
それが今やどうだ。確かに従順で戦闘も行うが、あくまで行っている、というだけ。あの時見せた脅威はすっかり形をひそめている。
ただのザーメンタンクならいいが、彼には戦闘も求めている。このままではロクな手ごまにならないだろう。

「そんな調子だとご褒美は遠のくばかりよぉ...ほら、ぴゅー、ぴゅーってまたしたいのでしょう?」

俯く善の顎を持ち上げ、甘い吐息をふぅ、とかける。

「ガ...」

それを吸い込んだ善は小さく呻き声をあげ立ち上がるも、しかしその足元は覚束ない。

(この子の『スイッチ』は性欲にはなりえないのかしら)

生物とは24時間すべてを気を抜かずにいられるものではない。
戦闘に身を置く者には『スイッチ』とでも称するべき気持ちの切り替え機能が備わっている。

相手への敵意を認める。
過去を回顧し怒りで己を高ぶらせる。
人を殺めた時の感触を想起し悲しみを抱く。

人によって千差万別だが、ミスティは善、エスデス、薫の三名の『スイッチ』を黒針で性欲に切り替えた。
徹底的に苛め抜き精神を壊した薫と、もとより嗜虐趣味だったエスデスは性欲のスイッチが上手く切り替わった。
彼女たちはこれからも性欲を満たすためならば如何な戦闘すらもこなすだろう。
が、善にはイマイチ嚙み合っていないようだ。命令はちゃんと聞くし、まぐわえと命令すれば素直にまぐわう。
しかし戦闘だけがかみ合わず、これでは今の薫に刀を持たせた方がマシにすら思える。ならば彼の『スイッチ』とはなんなのか。

(...もう少し様子見ね)

もしも善がこのまま戦闘員になりえないのならば、ザーメンタンクに割り切って運用するべきだ。


978 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:07:56 eAvEQ8Us0
「その保険としてぇ...おまたせしたわねえお父様ぁ?」

拘束した累の父を見下ろし、ミスティは妖艶な笑みを浮かべ累の父の下半身をまさぐる。

「これだけ大きな身体だもの。さぞご立派な...あらぁ?」

ミスティは己の手のひらの感触を不思議に思う。
累の父には男にあるはずのモノがなかった。

これはミスティの知る由もないことだが、累の父―――つまりは『鬼』の元締めである鬼舞辻無惨。
彼は自ら人間を鬼に変えつつも、内心では鬼が増えるのを快く思っていなかった。
鬼を悪戯に増やすということは、それだけ陽の光を克服できていない現実を直視させられるからだ。
そんな彼が、配下の鬼たちが勝手に交尾し数を増やすのを快く思うはずがなく、万が一にも鬼が子孫を増やすかもしれない性器を残しておくはずもない。

そして累の父の製作者である累本人。彼もまた干しがる家族というものは世間一般からはズレていた。
『親が子のためにわが身を投げ出すほどの無償の愛』。それが累の求めていたものだった。
そこに父と母の性行為などあるはずもなく、累も累の父に性器を必要としなかった。

故に父と銘打たれながらも、彼には性器に相当する器官が存在しなかった。

(まあ私の黒針で生やしてあげることもできるけどぉ、善くんの例もあるしここはぁ)

累の父のこめかみに触れ、トン、と黒針を一突き。

「ガ!?」
「お父様ぁ、私たちはここにいるわよぉ?」

累の父の視界が滲み、己を見下ろすエスデスとミスティが別のモノに変貌していく。

「ムス...メ...ツマ...!」

豊満な胸を見せつける累の母と控えめな身体つきの少女、累の姉。
それは彼が求めていた家族そのものだった。

「ええそうよぉ。あなたの娘のミスティと妻のエスデスちゃんよぉ」
「オオ...オオオオオ!!!!」
「お父様ぁ、私たち家族を守ってくれるのよねえ?」
「家族...守る!護る!!護ルウウウウウウウ!!!」

ガシャガシャガシャ、と今にも己を拘束する氷を砕かん勢いで暴れだす累の父。
そんな彼を見てミスティは己の成功を確信する。

彼女の黒針が累の父にもたらした変化は『認識』。
脳を操り視界にも変化を齎したことで、いまの累の父はエスデスを妻、ミスティと薫を娘、善を息子と認識させられている。
本来ならば『息子』である累の指示に従い『妻』を折檻するところだが、いまその命令を下すものはいない。
故に、累の父は本当の意味で家族を守ろうとする習性を得ることができたのだ。

「さあてと、戦闘員の補填が決まったところでぇ」

体力の回復のために仮眠をとっている薫と、息を荒げつつ膝まづく善へと艶めかしい視線を向けながら振り返る。

「よかったわねえ、善くん。これでまたい〜っぱい楽しめるわよぉ」


979 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:08:58 eAvEQ8Us0



「う、うぅん...」
「おはようございます、荻原さん」

ニタァ、と特徴的な笑みを浮かべて覗き込んでくるドレミーの顔が視界いっぱいに映り込み、結衣は思わずうひゃあと素っ頓狂な悲鳴をあげて飛び退く。
一拍おいて、キョロキョロと周囲を見回し、ドレミーの他にもプロシュートがいたことで自分がどうなっていたかを思い返し、新たな殺し合いに巻き込まれていたことを思い出す。
そしてそれは最初に出会った参加者のことを思い出してしまう訳でもある。

「......」
「...どうした、またメソメソと泣くんじゃねえのかマンモーニ」
「マンモ...?あたしは荻原ですよプロシュートさん」
「『ママっ子』、つまりは『甘ったれ』という意味ですね」

ドレミーの補足に結衣は更に表情を曇らせる。
プロシュートの言う通りだ。
薫に助けてもらって何ができたかといえばなにもない。また出会った人たちに助けられてばかりだ。
いくら能天気な彼女でも、自分を客観的に見ればとても褒められたものではないことくらいは理解している。

「...それでお前はどうするつもりだ」
「えっ?」
「もう落ち着く時間は充分に作ってやったんだ。ここから先も同じことを繰り返すのかって聞いてんだ」

心なしか苛立ちが混じっているような声音に結衣は縮こまり言葉を詰まらせる。
当然だ。自分では正しいことをしたとは思っているが、それでもプロシュートなりに決着を着けようとしたのを止められたのだ。
不満が出るのは当然だろう。

「...でも、アタシ、プロシュートさんにも、誰にも殺しなんてしてほしくなくて...」
「俺が聞いてんのはそっちじゃあねえ。今度はお前を無視して引き金を引きゃあいいだけの話だからな」
「だっ、ダメですってばぁ!人殺しなんて...」
「話を逸らすんじゃあねえ。お前、マジでわかってないとは言わねえだろうな」

決して怒鳴り散らさず、しかしドスの効いた低い声音は結衣を委縮させる。

(そっちじゃないって言われてもアタシにはわかりませんよぉ...)

「えーと、プロシュートさん。よければ彼女に説明をしても?」
「...チッ」

ドレミーの申し出にプロシュートは舌打ちをする。
それがドレミーに向けられているのか自分に向けられているのかわからず、結衣は更に委縮する。

「実はですね、あなたの夢を少々拝見させていただきまして。そこで見た内容を彼にお話しさせて頂いたのです」
「あたしの夢、ですか?」
「はい。悪夢でしたね〜、益子さんのことは」
「そんなあっさり言わないでください!...そうです、益子さんがあたしを逃がすために...死」
「いえ。彼女は生きてる可能性の方が高いと思いますよ?」

あっけらかんと言い放たれる希望への言葉に結衣は思わず顔を上げる。

「なにも不思議なことではありません。彼女はあの悲鳴からして、捕らえられ慰み者にされているのでしょう。ならば殺されているよりも生きている可能性の方が高いかと」

慰み者。その意味が解らないほど結衣はお子様ではない。
しかし、生存を諦めていた者が生きているかもしれないという事実は結衣の胸に希望を実らす。

「―――プロシュートさん、ドレミーさん!あたし、益子さんを助けたいです!だからお願いします、あたしと一緒に来てください」

頭を下げて二人に頼み込む結衣。そんな彼女に対しての返答は―――拒絶でもなく肯定でもない沈黙。
プロシュートは銃を己の手の中で弄び、ドレミーはそんな彼と結衣を見ながらにたにたと笑みを浮かべている。


980 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:10:56 eAvEQ8Us0

「つまりはあれだな。オメーは見知らぬ女一人のために、俺たちにもゴスロリのガキ共のペットになれと、そう言いてえわけだな」
「えっ、あたしそんなつもりじゃ...」
「でなけりゃあ、頼み込めば俺たちが無償で動いてくれるとでも思ってんのか、あ?」
「だからぁ、あたしは益子さんを助けたいだけなんですってばぁ!」

数時間前とは違う調子のプロシュートとのやり取りに結衣は困ったように眉をハノ字に曲げる。
どうしてプロシュートさんは益子さんを助けてくれないんだろう。どうしてここまで拒絶するんだろう。
そんな結衣を見かねてプロシュートは「ハァ」と大げさにため息をついて見せた。

「いいかオギワラ。俺はオメーがどこで不殺を貫こうが誰を助けようが知ったことじゃあねえ。俺が気に入らねえのは最初から誰かが助けてくれるだろうってオメーの性根だ」

プロシュートが人差し指を結衣の額にグリグリと押し付ける。

「適材適所っつーのは大事なことだ。向いてないやつができねーことをウダウダやるよりは向いてるやつに任せた方が効率がいいからな。
だがな、思考放棄して自分でやれることすら投げ出して他人におっかぶせるっつーのはワケが違う!そいつはただの甘えだ。オメーはその甘えに益子って女の運命委ねてんだよ!」
「あ、あたしにできること...?」
「さっきも言ったがな。俺はギャングでドレミーは妖怪だ。見知らぬ女一人をタダで助ける義理も情もねえ。だからオメーは俺たちを『納得』させてみせろ」

結衣の額から指を離し、弾丸を一つ取り出すと、その手で銃を弄りシリンダーを廻す。
ピタリ、と回転が止まったところで銃を結衣に差し出した。

「弾は一発。こいつでテメーの頭を撃て。生き残れたらオメーの運と覚悟は認めてやる」
「ええっ!?頭撃ち抜いたらあたし死んじゃいますよ!?」
「いえいえ問題ありません。こちらはロシアン・ルーレットですよ」

ロシアンルーレット―――名前の通り、ロシア発祥とされるギャンブルの一つである!
ルールは簡単!シリンダーの中の6つの穴のうち一発だけ実弾を入れ、あとは引き金を引くだけ!
成功者には覚悟と豪運、敗北者には死と不運、逃亡者にはマンモーニの称号が与えられる命がけのギャンブルだ!

「俺たちに命を張らせてえっつーんだ。ならオメーもそれに釣り合うモノを支払う義務ってモンがあるよなぁ。お前が俺に付きまとうのは勝手だが、少なくとも俺は、後ろにチョロチョロついてくるだけのマンモーニの指図に従うつもりは一切ねえ」
「同感ですねえ。私も多少のお願いならまだしも命を賭けろというのはちょっと...」

結衣はゴクリ、と唾を飲み込み掌に収まる凶器の重さを実感する。
銃を撃てば人は死ぬ。たった一発の弾丸で、命はあっさり掻き消える。それは自分も例外ではない。

「嫌だっつーんなら逃げてもいいんだぜ。幸い、俺は無償で人助けをしてくれるかもしれん女を一人知っている。レオーネって金髪の女...そいつに『プロシュートからの紹介だ』って言えば話は通るだろうよ」
「死のリスクをとるだけが勇気ではありませんからねえ。案外、一歩引いて遠目から見た方が見えるものがあるかも」

提示された逃げ道に結衣の心は傾きそうになる。
プロシュートもドレミーも、逃げ道自体には賛同してくれている。
仮にここで実弾を引いて死んでしまえば薫へと手を差し伸べる者はいなくなってしまう。
それならば安全策としてレオーネという人を頼るのも間違いではない。

(でも、あたしは)

引き金に指をかけ、己のこめかみに突きつける。
動悸は収まっていない。荒ぶる呼吸も整っていない。
緊張で脳髄は委縮しジワジワと熱が発されるように思考が白くなる。
それでも。

(すぐにでも益子さんを助けてあげたいんです!)

目をギュッと瞑り、引き金を強く引いた。


981 : 灰色の世界の下で ーThe Beginningー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:11:23 eAvEQ8Us0

―――ガチン。

弾丸は発射されない。結衣は賭けに勝利した。それはプロシュートたちの目にも明白な事実だった。

なのに。

―――ガチガチガチガチン

「なっ!?」
「ほぉ」

追加で連続して引かれた引き金に、プロシュートもドレミーも顔を強張らせる。

はあ、はあ、はあ、と結衣の荒い呼吸が空気に溶け、やがてゴトリ、とやけに大きな音を立てて銃がテーブルに置かれた。

「プロシュートさん、ドレミーさん...これでわかってくれましたか。アタシが本気で益子さんを助けたいってこと!」

涙目になりながら見上げてくる結衣の目にプロシュートのこめかみから一筋の汗が伝う。
プロシュートは結衣を見誤っていた。荻原結衣という少女の人を慈しむ心の深さを。
彼女の生きた別の時間軸では、己の命をチップにしてでも争いを止めようとしたほどの芯のブレなさを。

そんな彼の様子を見てドレミーはくすくすと笑う。
ただの一般人が期せずして猛者を押しているのが愉快だったのだ。

「どうするんです?彼女は見事に賭けに勝利しましたよ」
「...ここでゴネりゃあ俺の方がマンモーニだな」

ギャングとは面子の生物だ。面子を護るためなら命すら張るときもある。
一般人の少女に、一度ならまだしも五回も引き金を引かせて尻をまくって逃げたとなればそれこそ首を括って死にたくなるだろう。

「案内しなオギワラ。ただし!俺は俺のやり方でやらせてもらう―――わかったな」
「はい!あたしもあたしのやり方でやらせてもらいます兄貴ィ♪」

すっかり元の調子に戻った結衣にプロシュートは内心でため息を吐く。
またホワイトの時のようにトドメを指せる場面で邪魔されないように殺し方を考えておくかと頭の片隅で思いながら。

そんなプロシュートに銃を渡しつつ、ドレミーは結衣に聞こえないように耳元で囁く。

「優しいんですね」
「あ?」
「弾丸、一つも入れてなかったんでしょう?」

手際の良さと場の空気に圧されていた結衣は気づかなかったが、ドレミーは横から見ていたため気づくことができた。
プロシュートが弾を込めるフリをしてポケットに弾丸を隠していたことに。

プロシュートは見当違いな感心を抱くドレミーに対してフン、と鼻を鳴らす。

「アホか。実弾を減らすのが勿体なかっただけだ」


982 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:12:27 eAvEQ8Us0



堂島は梨花と共に学校へ向かっていた。
地図を見たとき、沙都子が寄りそうなめぼしい施設が学校であり、堂島もまた善ならばそういう一般人を保護しに向かってもおかしくないとふんだからだ。

「佐神善、ですか?」
「ああ。私は一応医者の端くれでね。昔、彼の手術を請け負ったんだ」
「堂島はお医者さんなのですか。エライエライのです」
「そんな大層なものじゃないさ。全ての手術を成功させられたわけじゃないしね。もしそれができれば私も胸を張っていられたんだろうがね」
「みぃ...でもそれは仕方のないことなのです。神様でもみんなを救うことはできないのです。堂島は悪くないのです。...僕の住む雛見沢という村は小さな村なのです。そこに来てくれた入江というお医者さんは外から来たけれど、みんな入江のことが大好きなのです。
お医者さんはいてくれるだけでもみんな大助かりなのですよ」
「ははっ、そう言ってもらえると気が楽になるよ。感謝以上に非難されやすい職業なものでね」

道中、堂島は語りかけてくる死者の声から耳を背けるように、梨花となんてことない雑談をしながら歩いていた。

「それで、その佐神くんという子なのだがね。非常に優しい子なんだが融通がきかなくてね。この会場でも無茶してやしないかと心配なんだよ」
「堂島は佐神が大好きなのですね」
「ん?...ハハッ、そうかもしれないね。彼のような子がしっかりと成長していると、救えてよかった、自分が医者なんだと実感できるからね」

梨花との会話、というよりは己が医者であること、そして善のことを話している間は堂島にとって救いであった。
その間だけは自分が数々の命を救った存在であることを疑わずに済んだから。
今まで斬ってきた命も数々も、少しだけ軽くなっている気がしたから。

だが、そんな憩いの時間も終わりが訪れる。

「こいつは...!」

学校にたどり着いた彼らの見た光景は凄惨の一言だった。
ほんの数時間前までは整っていたであろう学び舎は破壊の爪痕が深々と刻まれており、一目で廃墟だとわかる有様だ。
二人は悟る。ここで大規模な戦闘があったのだと。

「古手くん。この辺りでちょっと身を隠していてくれないか」

堂島は梨花に避難を促し、自身は校舎へと足を運んでいく。


983 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:12:53 eAvEQ8Us0

「ッ...!?」

2階に上がったあたりで鼻を衝く匂いに堂島は顔をしかめる。
そして傍の部屋から漏れる喘ぎ声に至っては舌打ちすら漏れた。

(まったくこんな状況でなにをやっているんだ)

強姦か全てを放棄しての交わりか。
なんにせよ堂島の守りたい「善良なる者」の行いには程通い。

梨花を置いてきてよかった。子供である彼女にあの行為やこれより先に起こるであろう正義の執行も悪影響が過ぎる。
堂島は変身し、足音を殺しつつジリ、ジリ、と声のする教室へと距離を詰めていく。

(執行対象を間違えないよう、どういう状況かをこの目で確かめてから執行したい...もう少し近くから...)

「そんなに中を知りたいか?ならば見に行くといい」

背後からの声に、咄嗟に振り返る。
振るわれる蹴撃を剣で防御するも威力を殺しきれず後方―――教室の中へと吹き飛ばされる。

「もっとぉ!もっとくれよぉ!!」
「ウフフ、どんどん手ごま候補ちゃんが集まってくる...やっぱりここにきて正解だわぁ」

吹き飛ばされた先の部屋で堂島は状況を確認する。
こちらに背を向け、男の下半身に馬乗りになり一心不乱に腰を上下させ嬌声を上げる少女と、堂島を見て獲物を見つけた肉食獣のような眼光を光らせる黒ゴスロリの少女。
そして今しがた自分を蹴り飛ばしたハイグレ姿の青髪美女。

(さて。この中で執行対象は誰か...)

まずはまぐわっているあの二人。こちらに顔すら向けないことから自我を失っている可能性がある。
青髪の美女。前者と違い意識はあるようだがハイグレ一枚でしかも立ち止まった際には股間をV字になぞり上下させていることからこちらも正常ではないと思われる。というかアレが正常では困る。
ゴスロリの少女。彼女はこの中で一番異変がなく、むしろこの状況を生み出したような言動をした。

(決まりだな)

狙うはゴスロリの少女。
堂島は剣を構え少女へと横なぎに振るう。

ドンッ

切り裂くはずの斬撃は、しかし横合いからの衝撃で止められた。

「っ...!」

乱入してきた影に堂島は息を呑む。
少女になにかしらの方法で止められる可能性も考慮していなかったわけじゃない。
しかし、妙なのだ。乱入した影はまるで堂島の太刀筋を知っているかのように剣の腹を拳で打ち止めている。

(何者だ)

たなびいていたマントが払われ、堂島と影は対面する。

その顔を見た瞬間、堂島は呆気にとられ仮面の下の口をポカンと開けた。

「佐神...くん...?」


984 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:14:04 eAvEQ8Us0



「日ノ元士郎、日ノ元明、ドミノ・サザーランド...この三人が善くんの知ってる吸血鬼なのねえ」

ミスティ様にそう尋ねられた僕は頷いた。

彼らのことを教えるのにさほど時間はかからなかった。


日ノ元士郎は元々敵同士だし、知ってることもほとんどないため隠す理由もなかった。

明とドミノに関しては―――僕の甘えなのかもしれない。
彼女たちなら今の僕も受け入れてもらえる。そんな心の緩みだったかもしれない。

けれど。

あの人のことだけは教えられなかった。
だって、あの人は、先生は、僕にとって――――




「佐神くん...きみはなにをやっている?」

己の剣を止める善に堂島は思わず問いかける。
彼はこれまで誰かを護るために戦っていたはずだ。
なのに、なぜ彼女を護る?
彼女はどう見たって人を傷つけるやつだろう?きみが一番許せないタイプのやつのはずだ。
なのに―――!

「答えろよ、佐神くん!」
「ア...アァ...」

堂島の恫喝に、善は歯を鳴らし呻き声を上げる。

「ウアアアアアア!!」

慟哭とともに善は堂島の頭部を殴りつけ、ミスティから距離を取らせる。

「あ...待ってくれよぉ善、もっと、もっと欲しいよぉ」
「はいはい、ちょーとお待ちなさい」

ミスティは善に縋りつこうとする薫の臀部に触れ電撃蟲を入れる。

「あひゃあああああああ!これ、これええええ!!」
「うふふ、いま面白そうなことになってるのよぉ。だからお静かにね。エスデスちゃんもよぉ」

人差し指を唇に当てて可愛らしい仕草を見せるも、当の薫は電撃虫に夢中で全く見てもいない。
ミスティは気分を害することもなく、椅子に腰かけ、エスデスを手招きし傍らに膝まつかせる。


985 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:14:29 eAvEQ8Us0

まるで闘技場かなにかのように見物に回るミスティたちに堂島は怒りを抱くがいまはそれどころではない。
振るわれる善の右拳を反射的に剣で防ぎ、その隙を着き左拳で堂島の側頭部を打ち抜く。


ミスティは眼前の戦闘をゲームのように眺め、悪戯めいた笑みを浮かべる。

(なるほどねえ。あの子の『スイッチ』...ようやくわかってきたわあ。どうりで己を満たすための性欲とは相性が悪いわけねえ)

累の父との戦闘とは比べ物にならないほどの猛攻を見せる善にミスティはふむふむと感心する。
堂島の攻撃を防いだ時は、ミスティが命の危険に晒されていた。すなわち、彼は誰かを護ると決意した時こそが『スイッチ』たりえる。
信じられぬことだが、己のためでなく他者のためにしか戦えない人間だということだ。

「それにしてもあの男の狼狽えよう...ふふっ」

ミスティは堂島と善の取っ組み合いを眺め、クスクスと愉快気に笑みをこぼす。



「ッ...佐神、くん...!」

堂島は尻餅を着き、それに馬乗りになり善は堂島へと殴打を続ける。
防御すら取らず拳を受け続ける堂島にも構わず、ひたすら振り下ろされる拳。

(佐神くん...きみは...)

一方的に打ちのめされる肉体。しかし、堂島の脳髄を支配するのは痛みによる危険信号ではなく。

(きみの拳は、こんなにも弱かったか...!?)

拳の威力は堂島の装甲を通じて中にまで響いている筈なのに、痛いと思えない。
ここに連れてこられる直前の戦いでも。
その前の芭藤との戦いの後で受けた拳も。
更にその前、彼が吸血鬼に成りたての、死にかけの身体で放った一撃さえも響いてきたというのに。

今、振るわれ続けている拳はなんだ。まるでそよ風ではないか。

堂島は身体を捩り力づくで善の体勢を崩し、善の背中を蹴り飛ばす。
善の身体は教室から放り出され、堂島はその後を追い教室から飛び出る。

(なんだこの手ごたえのなさは...?)

両手足を地に着け、こちらを見上げる善と目が合う。

(なぜそんな怯えたような眼をしている)

彼がいつも戦うときはどうだった。
たとえ四肢を切り刻まれても、圧倒的な実力差を見せつけても、呆れるほどに強いまなざしをしていたじゃないか。
それがどうして、こんなにも弱弱しい目になっている。
まるで見せたくないものを見せてしまった子供のようではなないか。


986 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:16:34 eAvEQ8Us0

「ど、堂島...!?」

聞こえてきた声に、善と堂島は同時に振り返る。

視線の先にいたのは、梨花。

道中の会話から堂島という人間のことはある程度窺えたものの、それで全幅の信頼を寄せられるわけではない。
自分には魔法の杖のセットが配られている。
もしも校舎内に沙都子がおりなんらかのトラブルに巻き込まれている場合、堂島を頼るよりも自分の手で救った方が確実で手っ取り早い。
そう考え、彼女は堂島から少し遅れて校舎に足を踏み入れていた。

善は彼女の姿を認めるなりそちらへととびかかろうとする。

「くっ!」

堂島は咄嗟に善のマントを掴み、地面に押し倒す。

「逃げろ古手くん!いまの彼は何をするかわからない!」
「その声、やっぱりあなたが堂島なの!?」
「ッ、ああそうだ。詳しい話はあとでする。とにかく今はここから―――」
「ガアアアアア!!」

拘束を解こうとする善を堂島は力づくで抑え込む。

「やめろ佐神くん!」
「佐神...彼があんたの言ってた佐神善なの!?」
「そうだ、だが今の彼は正常じゃないんだ!いいから早くここから逃げるんだ!」

梨花の口調が今までと違うことにすら気づかないほど必死に堂島は善を拘束する。
だが梨花は逃げなかった。

「事情は分からないけれど、今の彼が異常と云うなら...これでどうかしら!?」

梨花は手に持つ杖を振るい善へと魔法をかける。
その光を浴びた善は微かに呻き声を上げたかと思うと、変身体が解け、暴れまわっていたのがウソだったかのように俯き動かなくなる。

「ふういんの杖。ちゃんと彼にも効いたみたいね」

梨花はいまの善の状態をワザップと似たような状態だと判断した。
それは当たらずも遠からず、といったところで、ミスティに額に埋め込まれた黒針がふういんの対象となり、思考の暴走が一時的とはいえ抑え込まれたのだ。

落ち着きを取り戻した善の様子に堂島はホッと胸をなでおろす。

「助かったよ古手くん。その杖はなんなんだい?」
「それよりもあなたたちのことを教えてもらいたいのだけど?」
「ああ、それは...」

「吸血鬼(ヴァンパイア)、よねえ。堂島正さぁん」


987 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:17:17 eAvEQ8Us0

堂島の代わりに、教室から出てきたミスティが答えを告げる。

「まったく善くんてばぁ、一人だけ知り合いを隠してたなんてなかなかの腹黒ねえ。それとも熱い男同士の友情ってやつかしらあ?」
「...彼に何をした?」
「身体に聞いてあげたのよぉ。こことここでたぁくさん咥えこんでねえ」

己の下腹部を弄り唇を舌でペロリと舐めながらミスティは言外に伝える。
彼の身体の純潔を奪ったのだと。

堂島はそんな彼女に殊更に嫌悪を抱くも、しかし思考は冷静に努めて状況を分析する。
こちらはいまの善と梨花の二人を守りながらの戦いを余儀なくされ、一方で相手にはそういう縛りはない。
また、蹴りを受けた時の衝撃から図るにエスデスは恐らく自分と同クラスである上に、未だにミスティの戦闘力も計り知れない。

堂島はミスティたちに聞こえないよう梨花に耳打ちをする。

「...佐神くんの容体が気になる。さっきの杖、もう一度頼めるかい。それともほかに逃走に向いているものがあれば...」
「二つあるわ。一つは相手の速度の遅くする杖。もう一つは相手を一定距離吹き飛ばす杖よ」
「...わかった。ならばそれで―――」

「作戦タイムを許した覚えはないわよぉ?」

ミスティの声が割り込むのと同時、エスデスが床を蹴り瞬く間に距離を詰め、氷で足を包み堂島へと蹴撃をかける。
堂島はその飛び蹴りを刀で受け防御。甲高い音が鳴り響き、周囲に風が吹き荒れる。

「ハハッ、私と力で釣り合うとはな!佐神善といい吸血鬼とやらは私を楽しませてくれる!」
「吸血鬼でもないのにそのパワー、気になるところではあるが」

堂島がエスデスを抑えている隙をつき、梨花がエスデスへと向けて杖を振るう。

「いまは道を開けてもらおうか!」

梨花が振るったのは吹き飛ばしの杖。その効果の前には肉体の強さなど意味を為さず。
エスデスは遥か後方―――ミスティのもとへと吹き飛ばされた。

「あらぁ?」

突如、戻ってきたエスデスに目を瞬かせるミスティ。
その隙を突き、梨花はボミオスの杖をミスティへと振るう。
ミスティは為すすべなくその光を受け、行動がゆっくりになる。

「こおぉぉれええぇぇはあぁぁぁ?」
「なるほど、これは強力だな」
「あまり過信はできないわ。あと何回使えるかもわからないし...私としてはこの隙に逃げたいのだけれど」
「...そうだな」

ミスティを護るように前に進み出るエスデス。
動けないミスティ。
この両者と背後の梨花と善の存在を観て最適解を考える。


988 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:17:47 eAvEQ8Us0

「ほう、そう来るか」

堂島の選択肢を目にしたエスデスは感嘆を漏らす。
彼の選択肢は梨花と善を連れての逃走。


「確かにご主人様がこの有様では私も離れられんし、善の様子を診る以上は私の相手をしないのは得策だな」

仮にエスデスがこの場を離れれば、堂島は梨花を向かわせミスティを殺すこともできる。
堂島たちが手を下さずとも、自分が離れた隙を突き何者かがここに訪れればミスティは殺されるだろう。
となれば、エスデスはここで待機する他ないだろう。

ならば、と息を胸いっぱいに吸い、校舎を出ていく堂島たちの背に向けて声として吐き出す。

「獲物はそっちに逃げたぞ父さん!!」

エスデスの叫びに合わせたかのように、堂島達の眼前に巨大な影が降り立つ。

「俺の家族を困らせるナ"ア"ア"ア"ア"ア"!!」

雄たけびと共に現れた累の父が、砂塵をまき散らし堂島達の元へと姿を現す。

(まだ手駒がいたのか!)

すぐに剣を振り累の父を斬ろうとする堂島だが、その背後から雨あられと氷の粒が降り注ぐ。

「クソッ!」

彼一人であれば、この程度では身を護る装甲を貫けないため無視して累の父に攻撃を仕掛けることができる。
しかし、いまは人間である梨花と衰弱している善を守る立場にある。
故に、堂島は攻撃を中断し二人の防御に回らざるを得なかった。

「ガア"ア"ア"ア"ア"ア"ア!」

累の父は降り注ぐあられにも怯まず堂島へと拳を振り上げる。
鬼である彼はこの程度の傷であればたちまちに自己再生できるため障害になりえないのだ。

拳が堂島へと迫るその瞬間、梨花のふきとばしの杖が光を放ち累の父を後方へと吹き飛ばす。

「堂島!佐神にかけたふういんは長持ちはしないわ!いったん近くへ身を潜めて!」
「近くと言われてもな...クソッ、仕方ない!」

一旦、あられが止んだ隙を突き、キョロキョロと周囲を見回し、舌打ちと共に剣を地面にたたきつけ砂塵を巻き上げる。
再び降り注ぐあられが砂塵をかき消した時にはすでに堂島たちの姿はそこにはなかった。

「どこ行ったア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」
「ふっ、あそこから逃げ延びるか...まあ、手負いの善がいるのだ。そう遠くへは行っておるまい。まったくどこへ身を隠したのやら」

困惑する累の父の叫びを聞いたエスデスは不敵な笑みを浮かべ、周囲の探索を累の父に任せると、自分は動けないミスティを守るべく彼女の傍に立ち股間のラインに合わせてV字に両腕を引きながら周囲を警戒するのだった。


989 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:18:30 eAvEQ8Us0



「...このすぐ上にあいつらがいると思うと生きた心地がしないわね」
「だが彼女も主を護るためにそう下手な動きはとらないだろう。...下手に騒がなければ大丈夫なはずだ」

学校の一階、その一室。
堂島達はあろうことかエスデスたちの真下の部屋に隠れていた。

外は累の父が見回っており、エスデスの氷による追撃もあることを考えれば校内へと逃げるしか選択肢はなかった。

「しかし古手くん。さっきまでとは随分―――」
「堂島。私のことは後で教えてあげる。いまは彼に時間を割きなさい」

堂島はこの校舎に来るまでの年相応の幼さを見せる梨花と目の前にいる梨花がまるで別人のように豹変していることが気にかかった。
しかし、いまは何をおいても善の容体を確認するのが先である。
堂島は、床に座り己の目を抑え俯く善に、片足を地に着けて目線を合わせて呼びかける。

「佐神くん。いったいここでなにがあったんだい?」
「......」

掌を目から離し、顔を上げた善の瞳を見た堂島は息を呑んだ。
彼が10歳のころ、手術の成功率を伝えた時の目に戻っていた。
全てに絶望し、希望を灯さない薄暗い目に。

その痛ましさを表情に浮かべるのを堪え、宥めるように堂島は言い聞かせる。
まるで、医者が子供の患者に言葉を選ぶ時のように。なるべく笑顔で努めて、優しい言葉をかけながら。

「安心しなさい。ここには私たちしかいない。何を聞かされても私は受け止めるから」
「ぁ...」
「私は医者だよ?きみが想像できないほどの経歴の患者を診察したことはいくらでもある。だから隠す必要はないんだよ」

きっと、よく人を観ることができる善には自分の気遣いなど見透かされている。
それを自覚しながらも、堂島は善への接し方を崩さない。
いまの善にはそれがどうしようもなく温かくて、善は子供のように涙を流しながらもこれまでの顛末を語る。

学校から逃げてきた沙都子に、叔父を助けてほしいと頼まれてここまできたこと。
鉄平を助ける為に、エスデスと戦ったこと。
彼女にどうにか勝利を収め、力を使い果たしたところをミスティたちにエスデス共々捕らえられたこと。
そして―――頭部と股間に黒針を撃ち込まれ、洗脳された薫と交わらされたこと。

(あの女―――っ!)

ギリ、と梨花の歯が食いしばられる。
梨花の予想通りに沙都子はこの学校を訪れていた。
その沙都子がまさに命の危機に晒されていたとなれば怒りを抱くのも当然である。
あの鉄平が沙都子を助けていた、沙都子もまた鉄平を助けようとしていたなど意味が解らないところもあったが、目下梨花の怒りはエスデスへと向けられている。
エスデスを洗脳し、あのような醜態を晒させているミスティにはお礼を言いたいくらいだ。
尤も、沙都子を助けてくれた善にまで同じような仕打ちをしている時点で好感はとても抱けないのだが。

「...よく話してくれたね」

善の肩に手を乗せ宥める。

「きみはこのまま隠れていなさい。あとは私がなんとかするから」

善の話を聞いたとき、堂島はほっとしていた。
彼はなにも変わっちゃいなかった。
誰かを護るために戦って。誰かを護るために傷ついて。
ここで行われていた淫行も、洗脳され自意識を奪われていたからにすぎない。
精神分析に則っても法律に則っても、彼が悪いと判断する者はいないだろう。
そんな者がいれば、その者こそが人の痛みが解らぬ悪党だ。

このまま彼が戦いから降りてくれればいいのだが、と内心で思いつつ剣を握りしめ、ミスティたちのもとへと向かおうとする堂島の腕を善は掴む。

瞬間、堂島の背筋に凍りつくような悪寒が走る。


990 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:18:54 eAvEQ8Us0

エスデスによる襲撃ではない。
そんな外的要因ではなく、医者としての経験値が訴える内的要因。

「なにか不安があるかい?大丈夫、私は医者だ。どんな病気だって治してみせるさ」

悪寒から目を背けるように、そんなかつて現実に捨てられた子供じみた理想さえも口を突いて出る。

「困難だったきみの手術を成功させ命を救ったのは私だぞ?今度もきっと上手くいくさ」

かつての功績を引っ張り出す、という普段やらない行為にすら縋るように口を廻す。
それでも悪寒は消えない。和らぐどころか増していく警鐘に、堂島はひたすら綺麗ごとを口にして誤魔化し続ける。

「だから―――」
「先生」

それでも。

「お願いです」

現実は逃がしてくれない。堂島の脳内で「止めろ」「ソレを言うな」といくら訴えかけても、時間が止まる訳でもなければ現実に影響するわけでもない。

「僕を殺してください」

彼の最も恐れていた言葉が、善の口から零れ落ちた。


「―――――ッ」

バカなことを言うな。こんなことで絶望するな。きみには帰るべき場所があるだろう。
そんな子供でも分かる綺麗ごとが口を衝いて出そうになる。
けれど、出かかった言葉は喉元に詰まり出されるのを拒み続ける。

「わかるんです。たぶんあと少しで僕は理性を失い、梨花ちゃんを薫ちゃんのように襲い、ドミノや明、沙都子ちゃんにも同じようなことをしてしまう。ミスティに彼女たちを捧げてしまう...!」

善の瞳は逃がしてくれない。現実を見ろと。

ふういんの杖には使用回数の制限と制限時間があり、いつまでも善に使えるわけではない。
その時間も直ぐそこに迫っている。
果たして、善のこの状態はミスティを脅す、あるいは殺すことで解除できるのか?
或いは、殺し合いが終わるまでに治療することはできるのか?
いくらなんでも可能性が低すぎる。
拘束しようにも、いざとなれば手足を引きちぎって再生できる善には効果が薄い。
そんな微かな希望に縋り、もしも善が梨花やここにいない者たちを手にかければ、最も苦しむのは誰だ?

堂島は歯を食いしばりギュッと目を瞑る。

自分が救った命が誰かを傷つけた経験はある。
救った命がほどなくして不幸な事故で亡くなるなんて猶更だ。
けれど。
自分が救った命を、誰かを助ける為に戦い続ける優しい命をこの手で断った経験などない。あるはずもない。

「先生」

善の縋りつくような目に耐えかねて。やがて堂島は決意と共に剣を強く握りしめ、目を開いた。

「...佐神くん。最後に一つ聞かせてくれ」


991 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:19:42 eAvEQ8Us0



「まったくヒドイ目に遭ったわぁ...ん、ありがと」

身体の自由を取り戻したミスティはエスデスに肩を叩かせながら階段を下りていく。
堂島達が逃げた先は凡そ見当はついていた。それでもエスデスを向かわせなかったのは、エスデスが彼らのもとへ向かった隙を突かれるのを防ぐためである。

「なっ、なあミスティ様。善を見つけたら...」

電撃蟲を取られた薫がもじもじとミスティに窺いを立てる。

「ええ。蟲ちゃんも善くんのオチンポも好きなだけ味合わせてあげる。当然、堂島さんのオチンポもね」
「ほっ、ほんとか!?ミスティ様、俺頑張るよ!」

薫はミスティとの約束を取り付けた途端、一目散に駆けていく。
そんな彼女をミスティは止めなかった。薫は斥候兵の役割も兼ねていたからだ。

「善―――!!どこだ善――――!!」

薫は善たちの潜んでいると思しき教室の扉を次々と開けていく。

ほどなくして目標対象は見つかった。

「ここかあ!善、またザーメンたくさんくれえ!今度はお前も一緒にビリビリやって...」

薫の目に飛び込んできたのは、床や天井の至る箇所を染め上げる赤、赤、赤。
充満する鉄っぽい臭い。飛び散った何かの肉片。
その中で彼は、堂島正は立ち尽くしていた。
その純白だった装甲をどす黒い赤に染め上げて。
下半身を失い、脳髄を露出させ俯く善を見下ろしながら。

「あっ、あっ、お前ぇ!なにしてんだよ!」

薫は殊更に慄き怒号を上げる。
善の下半身がないということはオチンポが存在しないということ。
即ち善のザーメンはもう二度と手に入らないということだ。

「返せよ!善のザーメン返せよぉ!でなけりゃあお前のザーメン寄越せえええええ!!!」

鬼のような形相と共に叫びをあげ堂島へと襲い掛かる薫。
堂島はそんな彼女を羽虫の如く冷めた目で見つめながら、その頭部を剣の柄で殴打し血だまりに沈めた。

「ぎゃぶっ」

奇声を上げ気絶する薫。
ほどなくして遅れてやってきたミスティが惨々たる光景に目を見開く。


992 : 灰色の世界の下で ー命ノゼンマイー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:20:12 eAvEQ8Us0

「酷い有様...残酷なことするわねえ。善くんはあなたの名前を私に教えないほどに慕っていたというのに」
「私もこんな形で切ることになるとは思わなかったよ。だが彼きっての頼みでね。このまま仲間たちを手にかけたくない、正気のうちに殺してくれというね」
「その割には悪趣味な斬り方をするのねえ。それともぉ、そう言って私の油断を誘って、善くんが逃げられる隙を伺ってるのかしらぁ?」

堂島のこめかみが仮面の奥でピクリと動く。

「うふふ。善くんが教えてくれたのよぉ。『遺灰物(クレメイン)』って心臓部分を潰されない限り、吸血鬼は死なないって」
「......」
「図星でしょう?でもね、無駄なの。私の黒針は時間経過なんかで解けはしない。私が改めて改造しなければ善くんは永遠にザーメンタンクのままなのよぉ。残念でしたぁ」

ミスティはクスクスと笑う。そんな彼女に堂島は怒りや焦りを露わにするでもなく。

「ハッハッハッ」

嗤った。仮面の下からでもわかるほどにミスティを虚仮にするように。

「親玉ぶっていても所詮は見た目通りのお子様だな」
「...どういう意味かしらぁ」
「佐神くんはもうすぐ死ぬよ。そうなるように斬ったからね」
「だから、遺灰物が無事な限りは...」
「彼の言葉が吸血鬼の全てだとなぜ解る?」

今度はミスティのこめかみがピクリと動いた。

「情報収集は複数人と照らし合わせなければ正確性は増さない。1人にいくら喋らせたところで情報の真偽を確かめようがないからね」
「...それでも自分が死ぬルールくらいは間違えようがないでしょう」
「遺灰物を壊されたら死ぬ。確かにそれは間違いない。じゃあ他に死ぬルールが無いとでも?彼のような人を甚振るのを嫌う人間が、そもそも吸血鬼としては比較的幼い彼が、人体実験を介したルールまでも把握していると思うのかい?」
「まるで自分が経験のあるような言い方ねぇ。薫ちゃんすら殺さなかった甘い貴方がそんなこと」
「したさ。佐神くんが軽蔑するくらいにはね」

堂島はあっけらかんと言い放つ。

「私は医者だ。その経験を吸血鬼の戦いに活かすためになんでも試したさ。どの程度刻めば再生限界は訪れるのか。
訪れた後どの程度で死ぬのか、死なないのか。遺灰物の破壊以外に殺せる術はないのか。その他にもいくらでもね。
結果、私が見つけたのはここさ」

堂島はトントン、と己の頭部を指でたたく。

「脳を失った哺乳類は例外なく死に至る。それは再生限界が訪れた吸血鬼も同じさ。だから切り刻んだ」
「...それでも、彼を早く楽にしてあげない理由がわからないわ」

話からして堂島は善に恨みつらみがないのはミスティにもわかる。
だからこそ謎だった。
善の命に見切りをつけたなら、わざわざ苦しませるような真似をして、早く楽にしてやらないことが。

「彼の最後の頼みさ。自分が死ぬ前に病巣(きみたち)を切除してほしい、とね」

ぽたり、ぽたり。

剣を握る堂島の掌から血が滴り落ちる。

―――それは、堂島正の『悪』への狂気じみた憎悪の証。

堂島が床を強く踏み込むのと同時、エスデスはミスティを護る騎士のように立ちふさがった。

その背後で。

「残念ね...おとなしくしてたら二人仲良く快楽の奴隷にしてあげたのに」

ミスティは妖艶に笑う。その中指に嵌められた指輪を見せつけながら。


993 : 灰色の世界の下で ーAwake and Aliveー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:22:22 eAvEQ8Us0




「あ〜、エライ目に遭ったぜ...ってて...」

英吾は肩をぐるぐるとまわし、腰をトントンと叩く。

英吾、ワザップ、まどか、真島の四人は『友達を探している梨花は学校に向かうかもしれない』というワザップの推測のもと、地図上に記載されている学校まで向かっていた。


「あなたは経過観察中です。理由はもちろんおわかりですね?」
「わかったわかった。梨花って嬢ちゃんを探して事情を刷り合わしゃあいいんだろ?ったく、殺すつもりだったらもっとまともな場所を狙うっつーの...」

まどかと真島の説得でどうにか拘束の解除までは達成したものの、ワザップは未だに英吾を信頼しきってはいない。
自殺を止めようとするのに武器を狙って撃ち、しかも偶然後ろの木に頭をぶつけて気絶したというのだ。
これを容易く信じろというのも無理な話なのかもしれない。

「ホントに助かったぜ...危うく簀巻きにされたままゲームオーバーになるところだった」
「あんたも災難だったな。しかし、100年間同じ時を繰り返し続けてきた少女、か」

本来ならなにかの妄想かと冗談半分で聞いていただろうが、そもそも魔法少女とスタンド使い兼ネットミームから派生した存在がすぐ隣にいるのだ。
さらに言えば真島も英吾も、もとは死人であるため、猶更信じる土壌は出来上がっていた。

「三島さん、梨花ちゃんの武器を狙って撃ったって言いましたよね?その、どうやればできるか参考に聞きたいんですけど...」
「どう、と言われてもなあ...こればっかりは自分の腕前と相談してあとは命中精度としか言いようがねえな。強いていうなら武器の位置や軌道をちゃんと読むってことくらいか」
「そうですか...」

しゅん、とまどかが縮こまり肩を落とす。
まどかも英吾と似たような状況に陥ったことがある。
先輩であるマミの錯乱によるほむらの射殺未遂。
あの時、まどかはマミのソウルジェムを撃ち抜くことで解決を図ってしまった。
しかし、もしあそこでマミの銃を撃ち落とし拘束できていれば、もしかしたら彼女を説得する余地も生まれたかもしれない。
そう思えば、英吾の射撃スキルは羨ましい限りだった。

そんなわかりやすいほどに落ち込むまどかを見かねて、英吾はまどかの頭に手をのせわしゃわしゃと撫でる。

「ま、コロネを除いた俺たち三人の中じゃあ嬢ちゃんが一番の腕っこきなんだ。頼りにしてるぜ魔法少女」
「なぜ僕を除くんです?」
「おめーは制御不可能だからだよ」

頭を撫でる英吾の掌の逞しさを通じてまどかは思う。
真島も英吾も、こんな状況でも自分の信じるもののために殺し合いに抗っている。
そんな立派な彼らに『頼りにしている』と言われれば、プレッシャーはもちろんあるが、それ以上にやる気と元気が溢れざるをえなかった。

まどかの元気が戻ったのを見ると英吾は掌を放し、タブレットを弄る。

「そういやまだ名簿ってやつを確認してなかったぜ...ええっと、俺の名前は...」

名簿の画像をスクロールしているうちに、英吾の表情がピシリと固まる。

「マジかよ...」
「知り合いがいたのか?」
「ああ。最高に信頼できるやつと最悪なほどに信頼できねえ奴がな」


994 : 灰色の世界の下で ーAwake and Aliveー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:22:54 eAvEQ8Us0

名簿を見せながら英吾は三人に情報を共有する。

「この蒔岡彰。こいつは確実に信頼できるやつだ。実力も保証できる。藤堂悠奈もそうだな。彰に比べりゃあちと頼りないが、それでも殺し合いに乗るやつじゃあねえ。問題はこいつだ」

英吾は記載された名前を指差しながら苦い表情を浮かべる。

「峰村貴真。気のいい兄ちゃんみてえなツラして平然と人を手にかけ陥れるやつだ。実際、俺もコイツにハメられてやられた。あとは知ってるっちゃあ知ってるとも言えなくもないやつはいるんだが...」
「なんですその歯切れの悪い口ぶりは」
「いやな、ソフィアってのはわかるんだ。返り討ちって文面からしても、ソフィアは俺たちのゲームに巻き込まれたあの娘って推測できる。だが返り討ちにされた軍服ってのがよくわからねえな...こいつがゲームに乗ってたのか、ソフィアがクリア条件変わって乗っちまったのか...」
「ん...?三島、いまあんた、クリア条件が変更されたって言わなかったか?」
「ん?おお...ま、隠す必要もねえか。信じられないかもしれねえが、俺はこことは違う殺し合いに巻き込まれてたんだよ。配られたPDAのお題に沿って行動しないと死ぬってふざけたゲームのな」
「あんたもか!」
「あんたも?てことは真島。お前もあのゲームの...!」
「ああ、志半ばで倒れてしまったがな。しかし、そうか。予想通り、蒔岡彰は玲の弟か」
「あの糞ゲームまだ続いてやがるのか...待てよ。だったら...」

英語はデイバックからペンと紙を取り出して次々に単語を書き出していく。

「『鉛』『アルミ』『銅』『グリッドパネル』...なんですかこれ?」
「これは...電波吸収体ですね」
「知ってるのかジョルノ」
「ええ。僕の原型...ジョルノ・ジョバーナが昔読んだ本に書いてありました。しかしなんでこんなものを?」
「あのゲームの首輪とこいつが同じような機能だったらこいつで遮断できるんじゃねえかと思ってな。まあ俺を巻き込んだ以上はそのまんまお出しされるとは思えねえが、集めといて損はねえだろう」


電波吸収体の存在を知ったまどかと真島は共に口元を綻ばせる。

「真島さん!」
「ああ。これであいつを止める材料が一つできた」
「まどか、きみを斬りつけた男だったか...僕としてはさっさとブチのめして刑務所にぶち込むのが最良だと思いますが、しかしなぜそこまで気を遣るんです?」

ワザップの言うことにも一理ある。自分たちよりも強くて、殺し合いに乗ろうとしていて。
そんな彼を気遣う必要はないのかもしれない。ましてや斬りつけられた本人であるまどかが。

「...あの人は、怯えていたんだと思います。ほんとはあんなことがしたいんじゃなくて、でも追い詰められて、ああするしかできなくて...」

あの男の躊躇いを、悲痛な叫びを思い返す。もしも彼がただの殺人犯であればまどかもここまで気を遣っていない。
しかし、この環境は明らかに異常なのだ。その中で必死に生き延びようとする人を見捨てたくない。助けてあげたい。
かつて壊れてしまった仲間たちを救えなかった彼女だからこそ、今度こそは引っ張り出してあげたいという想いが強くなっていた。

「わたし、諦めたくないんです。助けられる人がいるなら助けたい...そう、願っているんです」
「...きみは『善い人』だ。かつてジョルノ・ジョバーナが出会ったコーイチ・ヒロセ以上に。だからこそワザップのガセの裏技に騙されかねない危険性が...いえ、なんでもありません」

なにやら言い淀んだワザップに、まどかは首を傾げる。

どういうことかを尋ねようとするも、答えを聞く暇もなく状況は変化する。


995 : 灰色の世界の下で ーAwake and Aliveー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:23:45 eAvEQ8Us0

ドンッ

轟音が鳴り響き大気を震わす。
何事かと目を遣れば、学校がある方角に巨大な氷山が突き立っていた。
その先端に佇むのは―――

「「あの人(あいつ)は!!」」

まどかと真島の声が重なる。
白い装甲に身を包み巨大な剣を駆る者。
間違いない。ゲーム開始時にまどかと交戦した男だ。

すぐに其方へと向かう一行。

「見ヅゲダゾオ"オ"オ"オ"オ"オ"ォォォ!!」

雄たけびにも似た叫び声が別の方角から響いたかと思えば、遅れて木々を破壊するような音が響き渡る。

「おいおい、どうなってんだよこれはぁ!?」

西にはまどか達が止めようとする男が暴れていて、北からは誰かが襲われているような騒音がして。
どちらも放ってはおけないその躊躇いがまどかたちの足を殺す。

「―――まどか、きみはきみの目的へ迎うんだ!僕は暴れているであろう輩を刑務所にブチこんできます!」

誰よりも早く決断したのはワザップであった。
如何に怒りっぽいとはいえ、腐ってもジョルノ・ジョバーナ。その判断力の速さは確かに受け継がれていた。

「ありがとうございますっ!」

礼を言うや否や、まどかは再び学校へと走り始める。

「俺はまどかの方へと向かう。三島、あんたはどうする!?」
「あのバカ(ワザップ)が暴走するかもしれん。俺は奴の方へと向かう!」

まどか達に遅れて、真島はまどかのもとへ、英吾はワザップの方へとその足を向けた。


996 : 灰色の世界の下で ーAwake and Aliveー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:24:11 eAvEQ8Us0



......

......

......


...なにもみえない。まっくらやみのなか。

ゆらりゆらゆら。なにかにゆられるかんかくとさわがしいあらしのおとだけがぼくのそばでわめきたてる。

......

......

......


...?いま、なにかきこえたかな?


997 : 灰色の世界の下で ーAwake and Aliveー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:24:42 eAvEQ8Us0











「ヴァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!」
「まさかここにきて見つかるなんて...!」

堂島が善を斬った後、梨花は教室の窓から脱出した。
一人残った堂島の心配をしつつも、梨花は沙都子を求めてひたすら走っていた。
外を徘徊しているあの怪物は私を見つけていない。そう思い、それなりに遠くへと離れたと休憩を取ろうとしたのもつかの間。
累の父は巨体に見合わぬ身の軽さで木々を伝い梨花の足跡を辿っていたのだ。

(どうする?ふういんもボミオスもふきとばしもあと何回使えるかわからない。けど私にはこいつを退ける術はこれ以外ない!)

梨花には部活のみんなのような特徴的な長所や武器はない。
彼らならほかにも逃げの手を打てるかもしれないが、自分には無理だ。この杖が使えなくなる時、自分の運命は尽きるだろう。

(それでも)

それでも梨花は諦めるわけにはいかない。こんな狂った世界に閉じ込められるわけにはいかないから。
なによりここには沙都子がいる。彼女を雛見沢でもないこんなイカれた世界に置いてきぼりにするわけにはいかない。

(私は最期まで抗ってやる!)

ふきとばしの杖を構え、振ろうとしたその時だった。

「WRYYYYYYYYY(ウリャアアアアアア)―――――!」

雄たけびと共に金色の像が累の父へとラッシュを放ち怯ませる。
間に入ってきた金髪の男を見た梨花はゲッ、と声を漏らす。

「見つけましたよ古手梨花さん...あなたを詐欺罪でうったえ」
「ふういん!」

ワザップが例の口上を口にする前にふういんの杖をふるいワザップを即座に『ジョルノ・ジョバーナ』にする。

「おや、また会いましたね古手さん...状況を伺っても?」
「ほんとにこっちのあなたは話が分かるわね。とりあえずあいつを倒してもらえると助かるわ」
「わかりました...と言いたいところですが、残念ながら僕のスタンドではパワー不足のようですね」

ゴールドエクスペリエンスのラッシュを受けたにも関わらず、すぐに体勢を立て直し迫りくる累の父。
その勢いはまさに巨大な闘牛!触れたものを打ち砕く破壊の権化!

ジョルノは梨花を抱え飛び退き、累の父の突進を躱す。
すぐに方向を変え追撃しようとする累の父は、しかし眼球に撃ち込まれた弾丸に阻まれる。

「ガアッ!」
「チィッ、たいして効きやしねえ」

銃撃の主、遅れてやってきた英吾は悪態をつきつつ、銃を上空に向け発砲する。

「オラきやがれ!こっちの肉の方が歯ごたえあんぞバケモン!」

英吾は気を引くように声を張り上げ己のもとへくるように誘導する。
果たして、累の父は狙い通りに英吾へと標的を変える。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」

その隙を突き、ジョルノは再び累の父へとラッシュをかける。
まともに受けた累の父は吹き飛ばされるも、やはりすぐに体勢を立て直し襲い掛かってくる。

「ガバア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!」
「ッ...感覚を暴走させているはずなのにこの反応、やはり『人間』には効果的でも『人間を超越した者』には効果が薄いか...!」

ゴールドエクスペリエンスの拳は生命エネルギーを生み出すことができ、そのエネルギーを生物に流し込むと感覚を暴走させ、感覚と肉体の齟齬を引き起こすことができる。
しかしそれは人間の身体では感覚に追いつけないためであり、人間を超越した身体と感覚を既に持つ者であれば難なく対応できる。
それどころか、過剰に流せば短時間ではあるがパワーを増す可能性するある。

「だがこの能力も無い打撃はコイツ相手にはたかが知れている...つまり、こいつには僕のスタンドがあまりにも相性が悪すぎる!」
「オレの家族に手を出すナ"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」

ゴールドエクスペリエンスへと拳を振りかぶる累の父。その頭部へと英吾が銃弾を撃ち込む。

「邪魔するなア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!」

累の父の注意が英吾へと向いたのを確認すると、英吾は顔を引きつらせながらも人差し指をクイクイと動かし挑発し引き付ける。

「あの男、よく見たら私を殺そうとした男じゃない!なんであいつが!?」
「そう思っていましたが、ワザップの時の僕が解放していることから、何かの勘違い且つ味方だったと思っていいでしょう。
彼の覚悟を無為にする訳にはいきません。古手さん、教えてくれませんか、僕らから離れてからなにがあったかを」

英吾への認識を改めつつ、ジョルノは梨花から情報を収集する。

全ては暗闇の荒野を覚悟の光で切り開くために。


998 : 灰色の世界の下で ーAwake and Aliveー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:25:28 eAvEQ8Us0



こえがきこえる。こんなあらしのなかでもきこえるこえが。

だれかはわからないけれどぼくははしった。

ずっとうったえかけてるきがするから。

オレをとめてくれ。あいつらをきずつけさせないでくれ。オレをたすけてくれ。

ずっと、そうなきさけんでいるようにきこえたから。

だからはしった。

ずぶぬれになってもかんけいなしに。

ただずっとこえのするほうへ。


999 : 灰色の世界の下で ーAwake and Aliveー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:26:52 eAvEQ8Us0



校舎を背景に剣が舞い踊り氷が乱舞する。

氷柱が、氷の弾丸が、吹雪が。
エスデスの放つ技はたったひと振りの剣に切り払われていた。

「私の技をこうも容易く切り裂くとはな。それはお前の腕前か?それともそういう能力か?」
「すまないが戦闘中のおしゃべりは好きではないのでね」

一見すれば堂島が有利に見えるが、実際は防御で凌いでいるのが現状である。
エスデスからの攻撃もあるがそれだけではない。

「ほらほらぁ、余所見する余裕があるのかしらぁ?」

地面から立ち上る水流が龍を模して堂島めがけて襲い掛かる。
跳躍し躱す堂島だが、それを読んだエスデスが氷のグローブで固めた拳で顔面を殴打。
地面に叩きつけられた堂島めがけてエスデスの踵落としが迫るも、堂島は横に転がり回避。
その背を水流が打ち堂島を吹き飛ばす。


帝具・ブラックマリン。触れた液体を自在に操る帝具である。
ミスティはエスデスに支給されていたこの道具を使い、地面を通る水道の水を操っていた。

技を切り払われ出来たエスデスの隙をミスティの追撃で埋め、その逆もまた然り。
ミスティに生じた隙をエスデスが埋めて。
また、デモンズエキスとブラックマリンの相性が良く、互いに邪魔しあわないのも働き、攻めに転じるのが一層困難になっていた。

(二人相手は流石に厳しいか)

身体能力は吸血鬼に引けを取らず自在に操る氷が驚異的なエスデスと、己はほとんど動かない代わりに道具の扱いに長けたミスティ。
いくら堂島が真祖を除く吸血鬼の中でも最上位に属しているとはいえ、この両者を退けるのは無理難題だ。

(戦力を削らなければな)

エスデスの接近戦での追撃を捌きつつ、堂島は横目でもう一人の敵、ミスティの居場所を確認する。
そしてエスデスの剣撃と水龍のタイミングが重なったその瞬間。
堂島は腕の装甲でエスデスの剣を受け止め、同時に―――ミスティへと剣を投擲した。

「っ!」

水龍を切り裂き高速で飛来する剣をミスティは顔を傾け、寸でのところで回避。
かすかに触れた頬の皮が切れ、血がにじみ出る。

「剣の性能に任せての奇襲...危ないところだったわねえ」

ただの剣ならば水龍で飲み込めると油断していた。
あと数舜反応が遅れていたらあの剣は眉間を割いていただろう。


1000 : 灰色の世界の下で ーAwake and Aliveー ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/25(金) 23:27:45 eAvEQ8Us0
「けれど、これで彼はもう丸腰ねえ。さあどう搾り取ってあげようかしらあ」

人差し指で己の血を掬い、ペロリと舐める。

(やはりな。彼女は実戦経験が薄い)

そんなミスティを横目で見ながら堂島はそう判断する。
苦し紛れの賭けを躱し、安堵による優越感に浸る。戦いなれている者であれば、まだ気を抜くには早い場面だ。

(つけ入れさせてもらうよ、その隙を)

エスデスの氷の剣の犠牲にした右腕を、残る力を込めて握る。
すると、ミスティの背後に落ちている堂島の剣が、微かに揺れる。
これが堂島の本当の狙い。手元に剣を高速で戻せるという第二射の伏兵。
ミスティが背後からの殺意に振り返り気が付いた時にはもう遅い。
高速で飛来する剣は、ミスティの目前にまで迫り―――

―――カァン

弾かれた。
ミスティにではない。
横合いからの衝撃で剣は軌道を逸らされたのだ。

その下手人を。
あり得ないはずの乱入者に、堂島は仮面の奥で目を見開いた。

(なぜ、きみが生きている...!?)

鹿目まどか。
彼女の放った矢が、堂島の渾身の策を打ち砕いた。


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