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辺獄バトル・ロワイヤル

1 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/12(金) 22:14:28 DtHMtqqo0
―――ソラを見よ、血染めの月が、世界を侵食(おか)す


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2 : 名無しさん :2021/03/12(金) 22:59:30 8GmyHfAw0
ダッサ


3 : Prologue -悪虐執政辺獄 平安京- ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:00:03 vkZg50TA0
誰もが社会の教科書で見たことある光景が広がっていた

上空から見る事ができるならば、それは囲碁盤の如く綺麗に並べられた都市――平安京

そして人々が今いる場所は、平安宮――大内裏。かつて政権が武士ではなく天皇にあった時代の、その宮城の内。朱雀門の内、応天門の前

空はまるで血染めの如く染まっている。月は紅く、眼下の来訪者を嘲笑うがごとく輝いている。禍々しき朱の輝きが、1200年の歴史を紡いできた古都を妖しく映し出す

そして、何よりも―――紅き空を劈きそびえ立つ何かが、内裏に位置する場所を見下ろすが如く、それはあった

歯車――幾重にも重なった歯車で出来た巨大な塔。まるで空想を紡がんと神を撃ち落とし、世界を侵食(おか)さんと育つ樹木の如く。塔の周りには同じく重なり合った歯車のオブジェクト、浮遊する大地

空の禍々しさとは裏腹に、黄昏色に輝く歯車の塔は、余りにも神秘的で、美しくも思える
回る、周る、廻る、マワル――歯車は沈黙すること無く、淡々と、ゆっくりと、回り続ける。時計の如く、ゆっくりと

「――大体の状況は理解してもらえたようじゃな」

歯車の方から声がした。皆が声をした方へと視線を向けると、歯車の塔より『飛んできた』少女が一人。まるで天使のようにも、悪魔のようにも思える少女。眼鏡越しに映る赤い瞳は、何かを見極めるが如くこちらへの方へと近づき、地面に降り立つ

「……自己紹介は、まあいいじゃろ。簡単な説明だけしておくなら……お主らは今から殺し合いをしてもらう為にここに呼び出させてもらった」

少女の言葉に、場がどよめき出す。殺し合い? 突然平安京に呼ばれた挙げ句、わけのわからない状況で殺し合いをしろなどという、余りにも受け入れがたい言葉

「ルールは至極簡単。人間の推定時間で3日間以内に一人になるまで殺し合ってもらう。最後の一人はその功績として『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利を与え、元の世界に返してやろう」

少女は人々の動揺に見向きもせず、淡々と説明する。優勝の果てに授けられるのは『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利。余りにも魅力的であり、余りにも残酷
人々の周りでさらなる動揺が走る。拒絶するもの、心揺れ動くもの、そして今にも殺し合いに乗ることを決意するもの

「それとじゃ。お主ら、首元に首輪が填められているはずじゃから、ちゃんと確認しておいたがほうがいい」

少女の言葉に人々は各々に首元を確認する。人によっては隣人に確認しあって貰っている。少女の言葉通り、首には紋章らしき物が刻まれた黒い、それこそ少女の言っていた『首輪』が填められていた

「それはお主らがわしらに歯向かうような真似が出来ぬように刻ませてもらった首輪じゃ。あまりにも強すぎる力を持つ者へのセーフティロックの役割も兼ねておる。圧倒的な蹂躙も見てる分には楽しいのじゃが、余りに続きすぎると興が削ぎれるからのう。――そして、もし歯向かったようならば……」

少女が何かを言い掛けようとした時、歯車の塔より同じくしてもう一人の少女の姿が見える。先の少女の対象とも言わんばかりの外見。右手には目と口と両手両足をガムテープのようなもので縛られた少女、そして左手には……バチバチと火花を飛び散らせている、女の生首を携えて

「メフィスちゃ〜ん。連れて来たよ〜」
「……と、どうやらちょうど良いタイミングじゃな。フェレス、そこの女はここでいいぞ」
「は〜い」

今のやり取りを見る限り、ルールを説明していた少女の名はメフィス、そしてもう片方はフェレスという名前らしい。フェレスは片手の生首を向こう側へ放り投げ、もう片手に掴んだ少女をメフィスの前に置く
生首が悲しそうな目で少女の方を見つめ、何かを喋っていたような気がするが、それは聞こえることなく露と消える

「―――ッ!! ―――ッ!!」
「まだ諦めぬその心意気だけは褒めてやらんでもないな。じゃが、お主の旅はもう終わりじゃ」

ガムテープ越しに自分を睨んでいるであろう少女の顔を得意げに見下しながら、メフィスは淡々と言葉を告げる。そして、人々の前に顔を向け、改めて笑みを浮かべ

「……さてと。では改めて、わしらに歯向かったのならばどうなるか、この小娘の命を以って教えてやるとしようか」

メフィスが、少女の首筋に触れる。触れた途端、少女の首にも填められていたであろう首輪に刻まれた紋章が紅く輝く
メフィスとフェレスは少女から離れてゆく。首輪の紋章は輝いてゆく。少女は目を隠されているが故にその輝きは見えない
輝きが増す事に、少女は戸惑い、両手両足を縛られたままではただ這いずることしか出来ない、宛ら苦しむナメクジの如く

「あははははっ! 無様、無様だねぇ!」

フェレスはそんな少女の醜態を嘲笑す。メフィスの方はまるで養豚場の豚を見るような目で少女を見つめ、少しばかり吹き出しそうにほくそ笑む。そして―――


4 : Prologue -悪虐執政辺獄 平安京- ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:00:25 vkZg50TA0
光が収まり、少女の首は爆散し、血飛沫を撒き散らした
残ったのは、首の無くなった少女の死体のみ

その光景に、人々の一部は騒ぎ出す。恐怖で逃げ惑うとする者もいる。だがそれに意を介さずメフィスは言葉を続ける

「……よーくわかったじゃろう? お主たちはもうここから逃れる術なぞ存在しない。殺し合い、生き残ることでしか、のう?」

メフィスの視線が恐ろしく冷たく、人々の方を見据える

「最後じゃ、他のルールはデイバッグに入っておる説明書の中に載っておる。ここで説明しなかったルールも載っておるから、忘れずに見返すようにな」

その言葉を最後に、人々が霧に包まれる。人々の中にはメフィスとフェレスを睨みつける視線も見えたが、それも朝露の如く消え去ってゆく

「さぁ、楽しい楽しい殺し合い、みんなみんな殺し合う。あははははっ」
「では始めようかのう……天国でも地獄でもない場所での、生き残りを賭けたゲームを」

二人の悪魔の言葉を最後に―――これてゲームの開催は告げられた


○ ○ ○

「さぁさぁご覧頂くは、歪んだ世界の混沌無形の物語」

歪められた平安の都にて繰り広げられるは、血風荒ぶ凄絶無残の殺し合い

歯車の塔の頂上、混沌紅月の玉座に座して嗤うは、悪意より生まれ落ちし妖術師

「前座と称し邪魔者を始末できたのは中々に僥倖。たとえ抑止の徒が来ようとも敵う道理は非ず」

ソラを見よ、血染めの月が、世界を侵食(おか)す。空想の根は落ちた、ここに混沌は生まれ落ちる

「これより、この黄幡神・蘆屋道満が改めて告げましょう。―――全ては、この身が大いなる神になり得る為の序章の開幕を!!!」

―――さぁ物語を、始めよう

【加藤段蔵@Fate/Grand Order 死亡】
【藤丸立香(ぐだ子)@Fate/Grand Order 死亡】

『主催』
【メフィス@CRYSTAR -クライスタ-】
【フェレス@CRYSTAR -クライスタ-】
【蘆屋道満@Fate/Grand Order】


5 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:01:44 vkZg50TA0
『ロワルール』
※殺し合いの期間は3日間。優勝者には『どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利を与え、元の世界へと返される
※死亡者放送は6時間毎に行われる
※参加者に与えられるのは大概のものが入る不思議デイバック、不明支給品1〜3、水と半日分の食糧、名簿と基本ルールが記載されたファイルが入っているタブレット、名簿と基本ルールが書かれた紙、文房具一式、懐中電灯
※会場は赤い夜に包まれており、朝日が登ることはない

※参加者には首輪が填められており、これが起動し爆発した場合如何なる参加者も死亡する(首輪の爆破タイミングはアラームがなり始めてから10秒後)
首輪の起動条件は以下の通り
1:主催による意思
2:異能等による紋章への干渉
3:会場からの脱出
4:制限を無視した異能の行使
5:禁止エリアに指定されたエリアへの侵入

※放送で主催者が指定したエリアが侵入禁止エリアとなる
放送度に禁止エリアは計3マス指定される
参加者が禁止エリアに入って一定以上の時間が経てば、首輪は爆発する

『書き手ルール』
※登場候補話を募集。条件は特になし。最初から複数人が登場するSSの投下、最初からバトル、最初から退場話、なんでもあり。一話退場した場合も、その参加者は名簿に載る
※そのため支給品も参戦作品関係なく好きなものを持たせても結構です。支給品の説明があると>>1が助かります
※この候補話の中から>>1が選んで参戦キャラを決定。人数は最大でも生存者が100名は超えない程度
※MAPは平安京ではありますが、好きな施設を書き手が自由に配置しても構いません
※コンペの期間は長めに取りますが、より詳しい期日は後日お知らせします

『参加者が知らないルール 八将神枠』
このロワには八将神枠と呼ばれる特殊なマーダー枠を用意されています
キャスター・リンボによって宿業を埋め込まれ、その上でメフィスとフェレスに魂を弄くられた者達の総称です
八将神枠は4名(枠は歳殺神、豹尾神、歳刑神、歳破神)。5名以上ある場合はその内4名を選出
八将神枠が誰も投下しなければこのルールは無くなります。基本的に企画主は八将神枠を投下はしませんが、八将神枠が4名未満1名以上だった場合、その開いた定員を企画主が補填という形となり、その場合の補填要因は名簿公開時に発表となります
八将神枠を倒した参加者に対しての褒美として、その参加者の首輪を解除する

以下、八将神枠の簡単な特徴説明
1:本来の在り方を捻じ曲げられているため、何の躊躇いもなく虐殺を実行する
2:基本的に普通の人間は宿業を埋め込まれても、狂い果てる霊器がないため正気を保つことが出来るが、今回の場合はそれに加え魂を弄くられたことで英霊剣豪同様の狂気に落ちている
3:気配遮断スキルを持ち、異常な再生能力を持ち合わせるが、疑似霊核として用意され変質させられた心臓を破壊されれば死亡する

辺獄ロワwiki→ttps://w.atwiki.jp/hengokurowa/pages/1.html
MAP→ttps://gyazo.com/56c3bec48edbefa5bcbe62f8aacf743a


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6 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:04:53 vkZg50TA0
さっそく投下します


7 : 報われぬ愛の戦士 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:05:14 vkZg50TA0
「――参ったわね」

都を照らす紅き夜空の下にて、真聖教団幹部が一人、元横綱『鬼七瀬』こと七瀬奈津子は目を覚ました

「死んだって思ったら、いきなり殺し合いをしろだなんて」

周囲を見渡す彼女の視線の先には古風な建造物、それに似合わぬ近代的な建物の数々

「しっかしここ、記憶が確かなら平安京よね? なのに時代錯誤な建物が見えるときりゃ、知ってる人は困惑するわよ」

明らかに記憶と違う平安京らしき会場に困惑せざる得ない奈津子。そもそもとして、平安京を殺し合いの舞台にした挙げ句場違いも甚だしい建造物の数々。これは困惑するなと言われても無理がある話だ

「――まあ、いいわ」

だが、今の鬼七瀬にとってはそれはどうでもいい話だ
既にこの身は死した躯。愛に生き、愛に死んだ女の残骸。だけどこうして悪魔による奇跡によって自分は生きている。――だからこそ殺す。殺し尽くした果てに、教団の元へ、愛すべき友坂えりの元へ帰る
しかし、自分以外にも教団関係者がいるとなれば話は別だ。もし居なければ殺し合いに乗ればいいし、いた場合は合流後方針を話し合う。けれど、どちらにせよ七瀬奈津子個人として、愛すべき女の元へ戻ることこそが最優先だ

「……あの子は私のことなんか、もう忘れてるかも知れないけど」

七瀬奈津子は知っている。友坂えりは自分を利用していることも、友坂えりが男が好きな事も
だが、それでも、たとえ一方通行でも、その心に秘めたる思いは誰にも否定させない
たとえ報われぬとわかってていても、その決意のもとに歩むその横綱は、余りにも『鬼』のようであった

【七瀬奈津子@サタノファニ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝して、友坂えりの元へ戻る
1:他の教団メンバーがいた場合は保留
[備考]
※参戦時期は145話から


8 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:05:25 vkZg50TA0
続いて投下します


9 : 呪い呪われ、巡り巡って ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:05:45 vkZg50TA0
『順平って、君が馬鹿にしている人間の、その次位には馬鹿だから』

『―――だから、死ぬんだよ』

僕の人生は、最後まで呪われ続けた運命でしか無かった


○ ○ ○


「なんで、生きてるんだろ」

赤く染まる夜天の空、生気もなく応天門の真下に座り込む青年の名は吉野順平
その言葉にはただただ「何故」という思考で埋め尽くされていた

吉野順平は死んだ。友達の目の前で、最初の友達の手によって
最後の最後まで、彼の思考は「何故」という疑問のままに殺された

「なんで、僕はこんな事に呼び出されたんだろ」

何もかもどうでもよかった、とまでは行かないが、それでも何もする気力もなく座り込んでいたのは事実だ
何故自分なんかが殺し合いに呼ばれたのか、それだけを自問自答していた

「……あの」
「ん……君は、誰……?」

声が聞こえ、顔を上げれば、見知らぬ少女が、順平に声を掛けていた


○ ○ ○


郡千景は勇者であった。孤独だった自分が「勇者」として仲間とともにバーテックスと戦い、大切な友達も出来た
だけど、仲間が死んでいき、自分の身勝手な嫉妬心が自分自身を再び孤独という名の呪いに自らを蝕み、それが結果として自分自身の死を招いた
けれども、最後の最後に自らの過ちを自覚し、結果として友を護り、少しでも救いがあっただけ、自分の人生に価値はあったのだろう

そんな彼女が目覚めればこんな歪な殺し合いに巻き込まれ、赤き夜に包まれた都の中にいた。郡千景としても平安京の事は写真で見たことあるぐらいで、バーテックスによって危機に陥っていた世界ではこうして実物を目の当たりにするような機会など訪れなかった
こんな状況下で無ければその光景に感慨にふけていたのだろうが、赤く照らされた巨大な門は千景の彼岸花色の瞳に妖しく映し出されていた

着ていた衣装は勇者装束のもの。剥奪されたはず勇者としての力も感じる。尚更訳がわからない。大社が絡んでるわけでもなく、勇者の力が戻っている。不思議に思うも、その理由に考え付くまでには至らない
そして、門の前に佇む青年の姿を見かけ、気になって声を掛けてみて、今に至る

「……ああ、ごめん、私は郡千景。……あなたは?」
「順平……吉野順平」

軽い自己紹介の後、千景は順平の隣に座る。千景から見た順平はある意味自らの過去の生き写しに近いものを感じていた。勇者になる前の自分自身と似たような何かを

「……ここに来る直前の事、覚えてる?」
「うん……初めての友人に、……裏切られた」
「……あ」

事情を聞くつもりで尋ねた一言へ返された言葉に、千景は思わず「しまった」と息を漏らす
友達を庇い、命を落とした自分と違い、彼は初めて出来た友達に裏切られて殺されたのだ

「……ごめんなさい」
「いいんだ。もう、過ぎたことだから」
「……でも」
「僕の母さんも、殺されてさ。僕も母さんも、人の呪いに殺されたんだ。……新しい友達もいたんだ、でも――もう僕は、一度死んじゃったから」
「……人の呪いに、殺された……か」

人が人に振りまく呪い。嫉妬、侮蔑――郡千景はその事に心当たりがある。複雑な家庭環境、自分を虐げていたいじめっ子。今まで讃えていたのに負けが続けば掌を返す何も知らない民。そして何より、些細な嫉妬から憎悪を膨れ上がらせ仲間に手をかけようとした自分自身
それもまた、人が人を疑うが故に生まれた呪い。人が人を蔑むが故に生まれた呪いだ。ある意味、郡千景の人生も呪いから始まったとも言うべきか

「……私も、ある意味呪われていたのかな」
「……? それって……?」
「私、家族は荒れてばかりで、学校や地元だといじめられて、そんな私が勇者のお役目を背負うことになって」

順平にそう話しながら思い返すはすべての始まり、勇者となって、周りに称賛されるようになって、勇者という存在価値を得た自分自身。その過程で出来た初めての友達。満足とは言わないものの、苦しくとも十分に楽しかった人生


10 : 呪い呪われ、巡り巡って ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:05:58 vkZg50TA0
「いろんな事もあったし、好きでもない人も居たけど、それでも私にとっては充実した人生だった。だけど……人間は身勝手だよね、誰もかも」

だけど、それも日に日に熾烈さを増す戦いの中で仲間が死んでいって、親友は頑張った代償に面会謝絶、故郷に戻れば父親に罵倒され、死んだ仲間のことは侮辱されて

「限界だった。一時の狂気が私を蝕んでいた時には既に手遅れだったんだ。私は、その身勝手な嫉妬と憎悪にかられて、仲間を手に掛けようとしてしまう所まで」

その果てに、勇者としての力を剥奪された。そんな自分を、仲間だと言って守ってくれる人はいた
嫌いで、同じぐらいに憧れて、好きだった乃木若葉

「私のいた時代は、誰もかも不幸だった。それで割り切れるわけじゃないんだけど、それでも私を大切に思ってくれる人がいた」
「千景さん……」
「……なんで私がこの殺し合いになんで呼ばれたのか、こんな相応しくない自分でも、せめて勇者としてみんなを守ってなんていう神様からの罰だったのかも、ね?」

そう、これは郡千景にとっての罰だ、人の悪意に呪われ、手に入れた絆すら自分から壊そうとして、そんな自分を若葉は仲間だからといって守ってくれた
郡千景のいた時代は誰もが不幸であった。祝福(幸福)も呪い(不幸)も平等に訪れる残酷な世界。そんな世界で勇者たちは各々の理由で抗い、戦い続けた。その結末が悲惨なものだったとしても
だからこそ罰なのだろう、勇者として戦い続けろと、神様が命じた呪い(祝福)として

「順平さんは、これからどうするの?」
「僕は、どうすればいいのか、わからなくて……」
「……そっか。じゃあ私に付き合ってくれる?」
「……え?」
「だって、まずこんな殺し合いなんて乗るつもりもないし、順平さんをこのまま一人で置いておくことなんて出来ないから。それに……」

郡千景は思う。まだ明確なビジョンは見えてはいないし、結局の所手探りでしかない。それでも、もう一度の生を得て、こんな自分でも、誰かも助けてもいいというのなら。私も、あの子のように―――

「……こんな事、場違いだと思うけど……私と友達になってくれる?」
「……考えて、おくよ」

そして、吉野順平は口ではそう言いながらも、差し出された郡千景の手をとった



○ ○ ○

呪い呪われ、祝い祝われ、世界は回る

世界は同仕様も残酷だ、希望も絶望も、巡り巡って世界は進む

人の心に呪われた青年、呪いの果てに救いを得た少女

二人が往く道は、たとえ神様であろうと、見通すことが出来ないだろう


【郡千景@乃木若葉は勇者である】
[状態]:健康
[装備]:勇者装束
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:順平と一緒に行動する
[備考]
※参戦時期は死亡後

【吉野順平@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:これからどうしよう
1:とりあえず千景と一緒に行動する
[備考]
※参戦時期は死亡後


11 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/13(土) 00:06:09 vkZg50TA0
投下終了します


12 : ◆ytUSxp038U :2021/03/13(土) 01:31:42 DVwSXskM0
新ロワ乙です
自分も一つ投下させていただきます


13 : 新たなる絶望 ◆ytUSxp038U :2021/03/13(土) 01:33:15 DVwSXskM0
何も響きはしない。

命をゴミ同然踏みにじった殺し合いの主催者も。
虫けらのように殺された少女も。
血をぶち撒けたような色の空と、見た事の無い街並みも。
これから行われる殺戮の宴さえ。

青年の心には何ら影響を与えなかった。

ただ一つ。
メフィスとやらが口にした、「どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる」という言葉。
それだけが耳にこびりついていた。

彼女らが何か強大な力を秘めているのは間違いないだろう。
自分はこの地に連れて来られる直前、嘗ての師に敗れ溶岩の川に落とされた。
全身が焼け溶かされる激痛はハッキリと覚えている。
だというのに今の自分の体は、あの出来事が夢だったのではと疑ってしまう程に傷一つ無かった。
一体どんな手を使ったのかは知る由も無いが、自分の願いを叶えられるのならば何だって構わない。

「僕が必ず救ってみせる。だから、少しだけ待っていてくれ」

大切な妻を死の運命から救う。
その為なら誰だろうと殺してみせる。
そもそも既に自分の手は血で汚れているのだ。
今更引き返す気などある訳がない。

デイバックから取り出したグリップを握ると、光り輝く十字の刀身が現れる。
自身が使っていた物ではない赤い光剣。
元の持ち主が誰かは不明だが、今の自分にはお似合いの得物に思えた。

「全員、僕の願いの為に死んでもらう」

顔も知らぬ人々を殺し、たった一人を救う為に。
暗黒面(ダークサイド)に堕ちた騎士が動き出した。


【アナキン・スカイウォーカー@STAR WARS】
[状態]:健康
[装備]:カイロ・レンのライトセーバー@STAR WARS
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝しパドメを救う
1:参加者を見つけて殺す
[備考]
※参戦時期はエピソード3でオビ=ワンに敗れた後。
※ムスタファーの戦いで負った傷は完全に回復しています。

【カイロ・レンのライトセーバー@STAR WARS】
ファースト・オーダーに所属するダークサイドの騎士、カイロ・レンのライトセーバー。
クロスガード・ライトセーバーと呼ばれる古代のデザインを参考にレンが作り上げた。
ひび割れたカイバー・クリスタルが使用されており、不安定な余剰エネルギーを左右の鍔から放出する事で十字型のブレードになっている。


14 : ◆ytUSxp038U :2021/03/13(土) 01:34:14 DVwSXskM0
投下終了です


15 : ◆4Bl62HIpdE :2021/03/13(土) 02:56:04 GWQALjhE0
投下します


16 : Ill keep coming ◆/1CRBjbz12 :2021/03/13(土) 02:57:01 GWQALjhE0

一粒の砂に世界を、
一輪の花に天国を見出すには、
君のてのひらで無限を操り、この一瞬のうちに永遠を掴め。

「無垢の予兆」
ウィリアム・ブレイク





ーーーあなたを、ビーチで待っている。


17 : Ill keep coming ◆4Bl62HIpdE :2021/03/13(土) 02:59:04 GWQALjhE0
“サム、来るな!“
瞬間。躰は、宙に浮き上げられた。
これが“伝説の配達人”サム・ポーターブリッジズが記憶した、アメリカ大陸での最後の記憶。
薄々予測はしていた。だが。
「.....またビーチか。しかも殺し合いとはな」
以前、謎の竜巻に巻き込まれたサムは、その先の異空間ーービーチで、白髪の兵士と戦ったことがある。
だが、今回は、どこか違う。
赤い月の下、首輪を付けられた上に殺し合いをしろという。まぁ、手錠端末も元から付けられているから、状況が少しHARD MODEになっただけだが。
恐らく、殺し合いをしろと言った少女の目的は、死人を増やすことによる“対消滅”(ヴォイドアウト)の実行だろう。
だが、どこか妙ではある。
死んだ人間はあの世とこの世の“繋ぎ目”であるビーチを経由して、遺体を焼却せずそのまま残っているならーー亡霊、BTになるはずだ。そこに生者が触れると対消滅が起こり、一帯がクレーターと化す。
だが、この殺し合いの空間がビーチだとするなら、そこから死んだ人間はどうなる?
先程首輪を爆破された少女や、それはあの世からの帰還者であるサムにも言えることで、このビーチで死んだら、自分はどうなるのか?

そう考えたところで....赤ん坊の泣き声が聞こえ、サムは思考を中断した。


18 : Ill keep coming ◆4Bl62HIpdE :2021/03/13(土) 02:59:53 GWQALjhE0

「....ルー!」
首輪を付けられ、泣いている赤ん坊ーーサムがルーと呼んでいるBB-28を彼は抱き抱え、いつもの様子であやし始めた。
「....よしよし、わかったよ。大丈夫だ」
BBは泣き止みこそしたが、きょとん、と指をくわえて彼の方を見つめているようだった。
「そうか....記憶を失っているんだったな」
サムはBBを胸のアタプターに付ける。本来なら接続するところだがーーー
「.....いや、やめておこう」
前述の白髪の兵士のことを思い出し、やめた。
奴は、BBと接続した人間を探知できる。あの嵐の中には必ず奴がいた。今回も嵐に巻き込まれた後の殺し合いだ。この中に奴がいないとも限らない。

「なんでも願いが叶う権利ーーか。対消滅の中で生き残るやつなどいるか」
人を殺せば、死体になる。
死体は放置すればネクローシスを起こし、BTと化す。

ならばサムは、そのBTのこの世の繋がりをコードカッターで断ち切らねば、あるいはその血液であの世に戻さなければならない。

その可能性があるなら、疑うべきだ。

かくして、戦場からの脱出が始まった。

サムはまだ知らない。
恐らく、死者はBTにはならないであろうことを。
そしてーーBBにも、首輪は付けられている。
BBの首輪を解除するにはーー“普通の方法であるならば“、BBをポッドから出さなければならないことを。

【サム・ポーター・ブリッジズ@Death stranding】
【状態】健康
【装備】オドラデク@Death stranding,手錠端末@Death stranding,ストランド@Death stranding
【道具】基本支給品
【思考・状況】基本方針:ルーを連れて戦場から脱出する。
1:オドラデクを使い人を探す。
2:殺し合いの中で生まれるであろうBTに警戒。
3:首輪が爆発したら俺はどうなる?死ぬのか?

【BB-28@Death stranding】
【状態】健康(生まれて来てないのに健康?)
【装備】BBポッド
【道具】基本支給品、ランダム支給品0~2(当然持てるわけないのでサムが所有)
【思考・状況】
1:😶

【備考】
共に参戦時期はエピソード6:デッドマン終了後。


19 : Ill keep coming ◆4Bl62HIpdE :2021/03/13(土) 03:01:55 GWQALjhE0





“何かを忘れてる”




“ーーー思い出せ、思い出せ”





“ーーー俺は■ ■ ■ ■ ■ ■ ■・■ ■ ■ー“








“■■をーーー返してくれ!”



“■■をヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ”

An Access Violation(C0000005h) has occurred in thread ‘Worker2’ at instruction location 000000001417C0806h


エピソード??壹け繝ェ繝輔か繝シ繝

【八将神枠:豹尾神】
【■■■■■ド・アンガー@Death stranding】
【状態】蛛・蠎キ
【装備】グレネードランチャー@Death stranding、アサルトライフル@Death stranding
【道具】
【思考・状況】:BB繧貞叙繧願ソ斐繝サ?檻B?滉ソコ縺ッ菴戊??□?
【能力】
戦場型ビーチ:■■■の周囲(半径600m〜800m程度)に入った人間を銃弾・砲弾が飛び交い地雷が埋め込まれている第二次世界大戦を模した戦場型ビーチに引きずり込む。また■■■はBB-28に接続した者を優先的に排除する。亡霊である特性上、BB-28を接続した者も気配遮断スキルを無視して■■■を探知できる。
骸骨兵:骸骨の形をした傀儡兵を八人程度使役できる。リンボの手によって若干ではあるが数が増えている。


20 : Ill keep coming ◆4Bl62HIpdE :2021/03/13(土) 03:02:37 GWQALjhE0
投下終了です


21 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/13(土) 09:09:39 KMaV.iwU0
天気の子ロワにて投下したものを、一部修正して投下します


22 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/13(土) 09:10:14 KMaV.iwU0
 気持ちが悪いほど真赤な空に、古い建物と新しい建物が混在する歪な世界。
 その一角で俺は決意する。

「殺し合いなんて絶対止めないと……
 とりあえず、まずは他の人を探すか」

 殺し合いという時点でアルティメギルの残党は絡んでいないだろうし、ここが異世界の可能性が高い以上、テイルレッドのことは誰も知らないかもしれない。
 でもとりあえず変身したほうがいいと思った俺は、いつも通りに右拳を胸の前に構えるが――

「テイルブレスが……ない!?」

 テイルレッドに変身するための重要なアイテムが、俺の体から消えていた。
 高校の入学式の日、トゥアールと出会ってからずっと右腕に付けてたのに!
 というか、外れないから落とすとか無くすとかありえないはずだぞ!?

「まさか、盗られたのか!?」

 あのメフィトとフィレスの二人、まさかトゥアールと同じくらいの科学技術があるのか!?
 それでも念のためデイバッグの中を調べると、俺のテイルブレスはあっさり見つかった。

「……なんで一回没収したんだ?」

 疑問に思いながらも、俺はとりあえずテイルブレスを右腕につける。
 そして今度こそ変身しようとしたところで、視界に人が移った。
 ……変身するより先に、他の人と話しておいた方がいいか?
 そう思った俺はその人をを呼び止める。

「おーい!」

 俺が呼び止めると、向こうは特に何かをするわけでもなくこっちへやってきた。
 段々近づいてくると、俺が呼び止めた相手が男なことが分かる。
 この人デカい。身長が190以上あるんじゃないか。
 そしてなぜか上半身裸で、まるで見せつけているかのようなすさまじい筋肉がそこにはあった。

「あの、もし良かったら俺と――」
「俺の名前は東堂葵」

 俺が話しかけようとするが、それより早く目の前の男に自己紹介をされてしまった。
 そして東堂……さんだよな? 年上っぽいし。
 東堂さんはそのまま俺に問いかける。

「お前、どんな女が好み(タイプ)だ?」
「はあ?」
「まあ聞け」

 いきなり女の好みを聞かれて、俺は思わず唖然としてしまう。
 だが東堂さんは俺の答えを予測、というか似たようなことが何度もあったのかよどみなく質問の意図を説明し始めた。

「まず俺は殺し合いに乗つもりはない。しかし初対面のお前を信頼できるかは別だ。
 一般人ならただ守るだけだが、お前は見た限りどうにも違うようだしな。
 こんなデスゲームで絶対の信頼を置けるものなど知人くらいしかいないだろう。
 だからこそ、お前がどういう人間かを知りたいというのが俺の本音だ」

 一方的ではあるが、言いたいことは分かる。
 要するに、俺を信頼できる証拠が欲しいということなんだろう。
 でもそんなの証明する方法が――

「そこで性癖だ」
「何でだよ!?」

 信頼と性癖になんの関係があるんだよ!?

「性癖にはソイツの全てが反映される。
 性癖がつまらない人間は全てがつまらない」

 分かるような分からないような理屈だ。


23 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/13(土) 09:10:39 KMaV.iwU0

「だから問う。お前、どんな女が好み(タイプ)だ? 男でもいいぞ。
 ちなみに俺は、尻(ケツ)と身長(タッパ)がデカい女がタイプです」
「そういうことなら……」

 だが東堂さんの言い分は分かった。それならここは素直に答えよう。
 ……性癖、つまり好きな女の子タイプか。

「東堂さん。あなたを納得させられるかは分かりませんが、俺の答えは決まってます」
「ほう。聞かせてくれ」
「俺の名前は観束総二。そしてツインテールの女の子がタイプです」

 俺はこれまでいろんな性癖の持ち主と出会ってきた。
 巨乳、貧乳、ぬいぐるみ、眼鏡。それ以外にも沢山。
 だが俺の答えはこれしかない。
 俺はツインテールの為なら、どんな困難にだって立ち向かえる。
 異世界の敵と戦うことになったって、五感を消失したって、俺の思いは消えない。
 そう

「俺のツインテールは――――永遠だ!」

 俺は嘘偽りない思いを東堂さんにぶつけた。
 これで拒絶されるなら、もう諦めるしかできない。
 だがその心配は杞憂だった。

「――観束。今日から俺達は、友達だ!」

 なぜなら東堂さんは、涙を流しながら感激してくれているから。
 良かった。これで同行はできそうだ。

「高田ちゃんはツインテールだからな。きっとお前もファンなんだろ?」

 高田ちゃんが誰かは分からないが、どうにもツインテールらしい。
 ツインテールなら俺が知らないわけがないから、やっぱり東堂さんは異世界人とみて間違いないな。

「じゃあ早速行きましょう。東堂さん。
 後俺のことは下の名前で構いませんよ」
「了解した総二。だが俺達はもう友達だ、敬語はいらん。
 俺がお前を舌の名前で呼ぶのなら、お前も下の名前で呼んでくれ」
「……ああ、分かったぜ葵!」
「おう!」

 こうして、俺と葵は行動を共にすることになった。
 まずは俺と葵が異世界人であるということを説明しないといけないけど、信じてもらえるだろうか。


【観束総二@俺、ツインテールになります。】
[状態]:健康
[装備]:テイルブレス@俺、ツインテールになります。
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める
1:葵と行動する
3:葵は異世界の住人なんだな

※参戦時期は5巻終了以降です

【東堂葵@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:呪術師として、殺し合いには乗らない
1:総二と行動する
2:俺と総二は、友達だ!

※参戦時期は虎杖と親友になった以降です


【テイルブレス@俺、ツインテールになります。】
観束総二に支給。
総二がテイルレッドに変身するための道具。
なお、本来なら総二以外には見えないようになっているが、このロワでは参加者なら見えるようになっている。


24 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/13(土) 09:11:36 KMaV.iwU0
投下終了です。
後入れ忘れましたがタイトルは「俺、殺し合いに参加します。」です。


25 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/13(土) 10:05:06 wExJbeKM0
以前、天気の子ロワに投下したものの内容を一部変更した上で投下します。


26 : 今度は自分が助けに行く番 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/13(土) 10:05:51 wExJbeKM0
紅く、暗い空が広がる会場のどこか。
そこでは、一人の男性がこの状況を打開すべくその足を動かしていた。
名前はシードル・レインボウ。
物質プレーン、或いは物質界と呼ばれる世界にある、コヴォマカ大国の魔法学校ウィル・オ・ウィスプの卒業生である“美”の魔法使いであり、芸術家でもある。

彼はゲームには乗らず、他に巻き込まれた参加者達を助ける為に、スタート地点で目覚めるや否や、近くにあった木で手早く支給品の確認を行い、すぐさま動き始めたのであった。

嘗て、雪山で遭難していた所を助けてくれた救助隊の人々や、臨海学校中の事件に巻き込まれていた所を助けてくれたクラスの皆の様に。

◆◆◆

シードルは2歳の頃、母親に見習って絵を描く様になり、10歳の頃に初めての個展を開いた時には神童とも呼ばれる様になっていた。
従妹のスフレにも、絵を教えていた。

しかし、シードルには過去のトラウマもあった。

それは両親と共に、芸術祭の準備ををする為に、パナシェ山に行った時の出来事だった。

母親が氷の彫刻作りに熱中している時、外は吹雪になった。
吹雪は4日間も続き、食糧も底を尽きた。
母親は助けを呼びに行くと言って外へ出たのだが、戻って来なかった。
その次の日に彼と父親は救助隊の人々に助け出されたのだが、母親は二度と戻って来る事は無かった。

臨海学校中の事件の時も、遭難事件の事を思い返して氷山に向かう事を一度は拒否したものの、戻っ


27 : 今度は自分が助けに行く番 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/13(土) 10:06:24 wExJbeKM0
て来なかった、助けられなかった母親が居た、自分の境遇と重ね合わせて、氷山へ単身向かう事を決めた。

氷山の奥地で、ピンチに陥っていたクラスメイト達を自身の魔法で救い、彼等と合流。

その後も、事件に巻き込まれていた残りのクラスメイト達を次々と助け出し、最終的には事件の元凶たる存在を討ち取るまでに至った。

◆◆◆

そして時が経ち、シードル達は魔法学校を卒業した。

卒業後も、シードルは芸術家としての活動を続け、臨海学校での出来事を何枚も絵に描き、世に送り出した。
そして、また臨海学校での出来事を絵に描いている途中にこのゲームに巻き込まれた。

嘗ては他者に助けられていたのだが、今度は自分が助けに行く番。

この場所に一人で投げ出された彼は、この悪趣味な催しを食い止める為に、走り出すのであった。


28 : 今度は自分が助けに行く番 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/13(土) 10:06:53 wExJbeKM0
【シードル・レインボウ@マジカルバケーション】
[状態]:健康、他者を救うという決心
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない、他に巻き込まれている参加者達を助ける。
1:他の参加者を探す。
2:殺し合いに反対の参加者を避難させる事が出来る様な場所の確保もしたい。
[備考]
※本編終了後からの参戦となります。
※制限により、『ダブルパウダー』は使用不可能となっております。
※その他魔法の制限については後続の書き手にお任せします。


29 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/13(土) 10:07:12 wExJbeKM0
投下終了です。


30 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/13(土) 11:43:36 b5ubp8ck0
面白そうなので投下させていただきます。
以前、コンペロワに投下したものを手直ししたものになります。


31 : 怪獣娘と夜の愛し仔と時々オバケ ◆4kMBNI9QkE :2021/03/13(土) 11:45:58 b5ubp8ck0
「……」

血のように赤い月が照らす平安京。
その片隅で、オレンジ色の髪にブレザー姿の寝ぼけ眼の少女がとぼとぼと歩いていた。

「……」

歩き続けた先に、寝ぼけ眼の少女は古ぼけた家屋にたどり着く。
もう人がすまなくなって何年も過ぎたのか、床板はところどころ穴が開いていて屋根は吹きっさらしになっており、庭は雑草だらけに荒れていた。

「!」

家屋に近づいてすぐ、寝ぼけ眼の少女は今にも壊れそうな家屋の縁側に、人が座っているのに気がついた。
赤い髪に左手だけの手袋が印象的な同い年位の少女だ。

「……」
「あ、あの……」
「!?」

突然寝ぼけ眼の少女に話しかけられ、赤い髪の少女は目を丸くする。

「と、隣、良いかな?」
「ど、どうぞ・・・」

赤い髪の少女から許可を貰うと、寝ぼけ眼の少女は赤い髪の少女の隣に腰を下ろした。
ただし、二人の少女の間には一人分のスペースが開けられていたのだった。

「え、えっと……君も参加者、なんだよね?」
「うん……でも、人殺しをする気は無いから、安心して」
「あ、うん……えっと、ボクは宮下アキ。友達からは『アギラ』とか『アギちゃん』って呼ばれてるよ」
「私はチセ、羽鳥智世。よろしくね」

寝ぼけ眼の少女-アキと赤い髪の少女-智世は自己紹介を済ませると、再び口を閉ざして静かに座り始めた。

「「・・・」」

アキも智世も傍目からは冷静沈着に見えたが・・・

((き、気まずい・・・!))

内心ではもの凄く気まずい思いをしていた。

片や智世は、人ならざる存在を惹き付ける『夜の愛し仔(スレイ・ベガ)』にして、イギリス在住の本物の魔法使いの弟子(兼未来の嫁)。
片やアキは、『カプセル怪獣 アギラ』の魂をその身に宿した怪獣娘。

出自も能力もバラバラだったが、共通して『初対面の相手との能動的なコミュニケーション』という物が余り得意な方ではなかったのだ。
しかも今、二人がいるのは殺し合いの場。
初対面の相手と気軽に仲良くなれるような環境ではない。

「「・・・」」

相手とどんな話をすべきなのか分からず、智世もアキも黙りこんだまま縁側に座り込んで数分が過ぎていった・・・。


32 : 怪獣娘と夜の愛し仔と時々オバケ ◆4kMBNI9QkE :2021/03/13(土) 11:46:51 b5ubp8ck0
「もしもーし」
『?』

不意に背後から声をかけられ、二人はつい振り返った。
そこには・・・

「バアッ!!」
『うわああぁぁ!!』

大人の背丈程の巨大な髑髏が血走った目で二人を睨み付けており、二人は思わず悲鳴を上げたのだった。

「・・・へっへっへっへっへっへっ」

髑髏はまるでイタズラが成功した子供のような笑い声をあげると・・・

「・・・よっと!」

・・・一瞬にして繋ぎの服を着た金髪の少年に変化したのだった。

「驚かしてゴメンな。女の子が二人して思い詰めた顔してたから、和ませようと思ってさ」

金髪の少年は屈託の無い笑顔を浮かべていた。
突然の事態に智世もアキも言葉が出ない。
そこへ智世が少年に声をかけた。

「き、君は・・・?」
「オイラは、オバケの風郎太。よろしくな♪」
「お、オバケ・・・?」
「うん、オバケ」

少年-風郎太は満面の笑みを浮かべながら自身を『オバケ』と称した。

魔法使いの弟子(兼未来の嫁)として、普段から妖精や精霊といった『人ならざる存在』と親しくしている智世であったが、
自ら『オバケ』と名乗る者と会うのは初めての事であった。

「・・・でも足あるし、頭に三角形の布も無いよ?」

一方のアキは風郎太を指差しながら、
いささかトンチンカンな発言をしたのだった。

「いや、それは『オバケ』じゃなくって『幽霊』の特徴だから」

アキの発言に風郎太は真顔でツッコミを入れるが、アキはまたも首を傾げた。

「?『オバケ』も『幽霊』も同じじゃないの?」
「いや、全然違うから!」
「あ、あのね宮下さん・・・」
「『アギラ』でいいってば」

その後、アキに向けて風郎太と智世による解説が数十分程行われたのだった。



【羽鳥智世@魔法使いの嫁】
[状態]健康、少し気持ちがほぐれた
[装備]無し
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:人殺しはしたくない
1:宮下さんとどう話せば……
2:オバケ……?
[備考]
原作『学院編』開始直前からの参戦です

【宮下アキ(アギラ)@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
[状態]健康、少し気持ちがほぐれた
[装備]無し
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:人殺しはしたくない
1:智世ちゃんとどう話せば……
2:『オバケ』も『幽霊』も同じじゃないの?
[備考]
アニメ第二期からの参戦です

【風郎太@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:人殺しはしない
1:オバケと幽霊は違うっつーの!
[備考]
第一期終盤(神化43年)から第二期序盤(神化46年)の間からの参戦です


33 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/13(土) 11:49:06 b5ubp8ck0
投下終了します


34 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/13(土) 19:20:15 xFogSxIE0
投下します


35 : 京都輪廻 ◆EPyDv9DKJs :2021/03/13(土) 19:21:01 xFogSxIE0
 奈落の底。
 髑髏ばかりが転がる、
 まさに地獄と呼ぶに相応しい場所。
 そこによく知る二人の姿があった。

「ぐずぐずすんな。さっさと行くぜ。」

「行く? 何処へです?」

「決まってんだろ───」

 死して尚、その業火尽きることなし。
 我々を堕とした冥界の王にも恐れることなく歩むその姿。
 私が付いて行くべき人は、やはり炎を統べる者以外にあり得ない。
 再三確認することができた私は応える。

「ハッ、只今!!」





「閻魔も国盗りを恐れるとは。
 しかし、それ故に程度が知れる。」

 とある民家。
 殺し合いを強要された参加者の一人が憤る。
 緑のスーツに毛皮付きのコートと、舞台の中では浮いた姿だ。
 もっとも、参加者の多くは似たり寄ったりかもしれないが。
 だが不満げな表情と共に紡がれた言葉は、常人の文句とは方向性が違う。

「強者たる閻魔が弱者を恐れて首輪をつけるなど笑止!
 政府の役人と貴様らのやることが同じとは、私に対する皮肉か!」

 閻魔なんて単語一度も言ってなければ、立場も圧倒的に下なのにこの言い草。
 理由はただ一つ、この男───佐渡島方治が死者が故に。
 地獄で志々雄達と共に国盗りを目指していた時のことだ。
 謎の少女達にこの状況へと持ち込まれたことから、
 勝手に思い込んでるだけで、実際の所は全然違う。
 しかし彼からすればそうとしか思えないのも事実か。
 だからこそ憤る。こんな小心者が志々雄様の相手とは。
 こんなのが相手では、国盗りは日本とは比べるまでもないとさえ思う程に。

「願望の成就、よもやその程度の甘言で私が歩みを止めると思うのか!」

 恐らく『百識』の異名を持つが故に、
 此処でもそれを発揮させ見物しようと言う算段か。
 所詮は自分の能力だけしか見ていない政府と同じ。
 ただでさえ悪印象の中、余計に失望すると言うものだ。
 志々雄を崇拝する彼に今更何も通じはしない。
 あるのはただ、志々雄様と共に地獄の閻魔相手に国盗りのみ。

(まずは参加者との接触が必要か。
 銃もあるが、白兵戦を考えると心もとないな。)

 方治の強みはその射撃能力にある。
 接近戦では決して強いとは言えない彼にとって、
 前衛に足りうる人材がまずは必要不可欠だ。
 抜刀斎のような速度で迫られてはかなわない。
 主催の思惑に乗るのは腹立たしいことこの上ないが、
 百識の方治らしく、智慧を以って立ち回る。

【佐渡島方治@るろうに剣心】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3(確認済み、銃器はあるが白兵戦向けのはない)
[思考・状況]
基本方針:どんな形であろうと主催者は始末し、その万能たる力を志々雄様に捧げる。
1:今後の為に必要な人材を探す。
2:紋章とやらの対応も思案する必要ありか。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※主催者が閻魔の関係者だと勝手に思ってます。


36 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/13(土) 19:21:36 xFogSxIE0
投下終了です


37 : ◆.EKyuDaHEo :2021/03/13(土) 19:35:44 RsTmPGI20
投下します


38 : 帝国軍の黒き司令官 ◆.EKyuDaHEo :2021/03/13(土) 19:36:16 RsTmPGI20
「殺し合いで勝利すればどんな願いも叶える...か」


黒尽くめのスーツと仮面を付けた男...彼の名はダース・ベイダー...ではなくアーシク・セイダー...帝国軍の司令官でありニンニク星の『スーパーニンニクエキス』を求めている者
彼もこの殺し合いの場に連れてこられていた


「あいにく私には蘇生させたいものもいなければ世界を征服したいとも考えていない、私はスーパーニンニクエキスさえ手にはいればそれでいいんだ」


『スーパーニンニクエキス』とはニンニク星に伝わる秘宝で飲むと力があふれでてくるといういわゆるドリンク剤みたいな物だ、アーシクセイダーはそれ以外に特に望むものはないと言った


「私がここにいるということはスーパーニンニクエキスはもちろん、セール姫もいるかもしれないな...」


セール姫とは『バーゲンセール姫』ことでありニンニク星の姫だ
彼女がスーパーニンニクエキスを持ち出して逃げだした、そして自分がここにいるということはセール姫もここにいるのではないかと考えるアーシク・セイダー...


「まぁ深く考える必要はないだろう、例えいたとしても捕らえるまでだ...それより新たな軍を作る方が先か...」


元々アーシク・セイダーには軍がいたがこの場に連れてこられてしまった以上、皇帝や提督、その他の軍がどこにいるかも分からない以上作った方が手っ取り早いと考えた


「いざとなればこの『あなただけの物ガス』で強制的に軍の仲間にすればいいのだからな...ふっふっふっ」


アーシク・セイダーは支給されたものを取り出し笑みをこぼす


「さて、とりあえずまずは軍の仲間探しと行くか...」


そういいながらアーシク・セイダーはライトセーバーを手に持ち、歩き始めた


【アーシク・セイダー@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、、ダース・ベイダーのライトセーバー@STAR WARS、あなただけの物ガス@ドラえもん、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:新たな軍を集める
1:軍の仲間になる者を探す、逆らう場合は容赦しない
2:スーパーニンニクエキスを見つける
3:セール姫もいれば捕らえる
[備考]
・クレヨンしんちゃん番外編「クレヨンウォーズ」からの参戦です
・フォースの力を使えるためライトセーバーも扱えます


39 : 帝国軍の黒き司令官 ◆.EKyuDaHEo :2021/03/13(土) 19:36:39 RsTmPGI20
投下終了です


40 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/13(土) 19:45:22 KMaV.iwU0
投下します


41 : ムゲンの戦いが此処に在り ◆7PJBZrstcc :2021/03/13(土) 19:45:51 KMaV.iwU0
 赤く光る歪な夜が彩る平安京のどこか。
 そこには、この町を照らす赤とは違う、別の赤い人影が立っていた。
 いや、そもそもこれは人ではない。
 全身が赤と黄色の、まるで焔のような彩りを持った人間はいないだろう。
 ならば何か、と問われればその答えは誰も知らないが。

 頭には小さな角、胸と背中には大きな尖った何か。
 そして両手の先には剣になる、鋭さを持った手。
 こいつの正体は何なのか、それは誰も知らない。
 ロボットか、精霊か、それとも他の何かか。その答えに意味などない。

 こいつの名前はDragonClaw。
 PC用フリー2D格闘ゲームエンジンで製作されたキャラクターの一つだ。

 そんな彼―そもそも性別があるのかすら不明だが―の目的はただ一つ。
 戦うことのみ。

 格闘ゲームのキャラとして製作された彼ができることなど、戦うしかない。
 意思も示さず、言葉も発さず、ただ戦い続ける彼のやることは変わらない。

 MUGENの2Pは伊達ではないのだから。


【DragonClaw@MUGEN】
[状態]:体力バーMAX、技ゲージ0
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:戦う

[備考]
電池切れの記述は主催者により削除されています。

※電池切れとは
DragonClawに搭載されているAIに記述されている、一種のハンデ。
DragonClawが試合中に著しく有利になるとしゃがんで動かなくなる状態のこと。





 赤い夜の中を迷いなく進むDragonClawを、少し離れたビルの屋上から眺める女がいる。
 彼女は衣服こそシスター服なものの、豊満な胸の谷間が下からさらけ出されている姿は聖職者には到底見えない。
 更には普通の女性には到底持てないであろう巨大な剣と、黒い棺が傍らに浮かんでいる。

 彼女もまたMUGENによって製作されたキャラクター。
 名前を、ナイア・ルラトホテップという。

 彼女のことを詳しく知る者はいない。
 これは彼女自身が意図して定まっていないが故に。

 性格も、強さも、時には声さえも。

 それでも彼女もまたMUGENのキャラクター。
 戦う以外の道など知らぬ、聞こえぬ、興味もない。

「DragonClaw。あなたも楽しめるといいわね。
 あの世界よりも不自由で、されど定まっていない戦いを」

 眼下にいる同類に小さく呟くと、彼女もまた殺し合いへと向かっていく。
 

【ナイア・ルラトホテップ@MUGEN】
[状態]:健康
[装備]:剣と棺@mugen
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:この殺し合いを楽しむ
1:DragonClawとは違う方向へ向かう
2:あの世界(mugen)とは違う戦いは、楽しめるかしらね?
[備考]
自身含むmugenで作成されているキャラクターの知識があります。
どの程度知っているかはこの話が当選した場合、次の人にお任せします。


【剣と棺@mugen】
ナイア・ルラトホテップに支給。
彼女本人が武器として用いているもの。
人が持つには巨大な剣と、持ち主の意志で自在に浮かび、中からあらゆるものが飛び出す棺。
何で出来ているかは誰も知らない。


42 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/13(土) 19:46:16 KMaV.iwU0
投下終了です


43 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/13(土) 20:17:28 RD/KdFxk0
投下させていただきます。
以前、『荒野行動』並びに『コンペロワ』に投下したものを手直しした物になります。


44 : 二人は被造物 ◆4kMBNI9QkE :2021/03/13(土) 20:19:05 RD/KdFxk0
「あ〜ららら……妙な所で会っちゃったねぇ〜、メ・テ・オ・ラ・ちゃん♪」
「……」

血のように赤い月によって照らされる平安京の片隅で……

知人と出会えた黒いセーラー服姿の女……築城院 真鍳は、一周回って気持ちよいくらいに腹の立つ笑みを浮かべる。

一方の白髪の少女……メテオラ・エスターライヒは、無表情のまま笑みを浮かべる真鍳の姿を見つめていた。

「……何故貴女がここに?」
「さぁ〜どうしてだろうねぇ〜?何だか知らないけど、気がついたらなんか『殺し会え』とか何とか言われててさぁ〜。メテオラちゃんもそうでしょう〜?」
「……」

真鍳は相変わらず見ている者が腹を立てそうな物言いをするが、メテオラは一切表情を変えること無くその姿を見ていた。

「イヤァ〜爆弾入りの首輪着けられちゃったのはしゃくに障るけど、自分以外皆殺しにしたらどんな『願い』も叶えてくれるってのはそそられるよねぇ〜……そういう訳でメテオラちゃん、悪いんだけど死んでもらえる?」
「……」

何でもないことのようにさらりととんでもないことを言う真鍳。
しかし、メテオラはそれに対して何のリアクションも起こさず、無表情のまま真鍳を見つめていた。

「あぁ〜あ〜……メテオラちゃんは私の力の事知ってるからつまんないなぁ〜。じゃあね〜♪」

リアクションが全く無いメテオラに肩をすくめた真鍳は、くるりと回れ右して歩き出す。

「……」

するとメテオラは、その真鍳の後を追いかけるように歩き出した。

「……何のつもり〜?」
「貴女はこの殺し合いに乗った危険人物。放っておく訳にはいかない」
「ふぅ〜ん……ま、好きにすればぁ〜?」
「そうさせてもらう」

それを最後に会話は無くなり、二人は平安京を当てもなく歩き始めたのだった。

その姿を、怪しく輝く赤い月だけが見ていた……。

【築城院 真鍳(ちくじょういん まがね)@Re:CREATORS】
[状態]:健康、ちょっと不機嫌
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本方針:自分以外皆殺し♪
1:メテオラちゃんうっとうしいなぁ〜
[備考]
エリミネーション・チェンバー・フェス終了から、最終話までの間からの参戦。

【メテオラ・エスターライヒ@Re:CREATORS】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本方針:会場からの脱出
1:真鍳の動向を監視
[備考]
エリミネーション・チェンバー・フェス終了から最終話までの間から参戦。


45 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/13(土) 20:20:45 RD/KdFxk0
投下終了します


46 : ◆.qYRZrEGoQ :2021/03/14(日) 00:32:20 uXCq5BlQ0
新企画乙です。投下させて頂きます


47 : 剣と魔法のファンタジア ◆.qYRZrEGoQ :2021/03/14(日) 00:33:55 uXCq5BlQ0
「チッ!糞が!」

赤い月夜の平安京。
その一角に、周囲に苛立ちをぶつける一人のチンピラーー『DQN』がいる。
一糸纏わぬ姿、つまり全裸のこの男の名はモッコス。
人類の生存圏で最大の首都ザイダーマを守護する勇者であり、自称エドワード・ハインリッヒでもある。

モッコスは激怒していた。
勇者として、人々を殺し会わせる主催者に義憤を感じている……訳ではない。
この男にはそういった倫理観は欠片もない。殺す・犯す・奪うに一切の躊躇がない最低最悪の腐れ外道だ。
名も知らぬ少女が見せしめに殺された事に思うことがあるわけではなく、多生の哀れみはあれど怒りの大部分は別にある。

(折角魔王(クソガキ)をぶっ殺す手段を思い付いたってのに…横やり入れやがってよぉ)

予期せずこの殺し合いに参加させられる直前、モッコスは人生初の苦戦を強いられていた。否、蹂躙されていた。

いけすかない国王(舎弟)の頼みで引き受けた魔王討伐、想像以上に歯応えのない四天王(クソゴミ)を瞬殺し、挑んだ魔王は本物の化け物だった。

初めてだった。
腕力、呪文、己の手札が意味をなさず、何をしても通じず、文字通り粉砕され続け殺され続ける時間。起死回生の一手も思い浮かばないほどの圧倒的な実力差。

しかし、それがモッコスにとっては楽しい楽しい『喧嘩(パーティー)』だった。
金、名声、女、何もかも簡単に手に入りすぎてつまらない。満たされない。そんな孤独な人生で初めて対峙した強敵に、これまで感じたことのない喜びが、歓喜が、戦いの高揚感が溢れていた。


なのに、邪魔された。
それも、苦戦のなかでようやく勝ちへの一手を見いだした最高の瞬間に。
圧倒的な不完全燃焼だけでも許しがたいが、とどめに家畜のように首輪を嵌められ、殺しを指図される始末。
ザイダーマ最強を自負し、事実歴代勇者を超越した己の実力を誇るモッコスだからこそ、この程度の枷で己を顎で動かせると思われている屈辱に、酷くプライドを傷つけられた。

「メフィスとフェレス…だったか?あのメスブタ二匹はぜってー殺す。ただ殺すだけじゃねぇ。ズタボロにぶち犯してからぶっ殺すっ!」

モッコスの脳内では、既にあの得体の知れない二人組を便器にする目標が確定されていた。
露出した股間のエクスカリバーを天高く怒張させながら、モッコスはこうして反逆の決意を固めたのだった。




(……が、認めるのはシャクだが一筋縄ではいかねぇよな)

首の不愉快な代物、爆弾付きの首輪に忌々しげに触れる。これが有る限り、己の命は性悪のメスブタ共に握られていると言っても過言ではない。

(あの紋章、どういう呪文が組み込まれてるのかは知らねぇが、俺の呪文……『ギャグ補正(リジェネ)』をあのメスブタどもが把握してないとは考えにくい。忌々しいがそこらへんも対策してると思って良いな)


48 : 剣と魔法のファンタジア ◆.qYRZrEGoQ :2021/03/14(日) 00:35:36 uXCq5BlQ0
モッコスのオリジナル呪文の1つ、魔力が尽きぬ限りオートで肉体を再生する『ギャグ補正(リジェネ)』があれば、物理的に首輪を外すことも容易だ。

何せ首を切り落とされようが、全身をミンチにされようが、魔力され残っていれば記憶や人格をそのままに、正に万全の状態にまで再生できるのだ。
首から上を吹っ飛ばした程度でモッコスを殺すことはできない。

加えて、元来鋼鉄を誇るモッコスの肉体にさらに駄目押しの『少年法(プ○テス)』をかければ、あの程度の爆発は無傷で耐えられる自信もある。
しかし、その程度の事は魔王との戦いの最中、モッコスをこうも簡単に拉致した連中が思い付かないとは考えにくい。
そうできないよう細工がされていると考える方が自然だ。

さらに、魔王との戦いで消耗した体力や魔力がご丁寧に回復している。
主催がそうしたのなら、万全の状態でも問題ないと、つまりはモッコスを何ら脅威とは感じていない証拠だった。

「俺なんてその程度の駒ですってか? なめ腐ってやがる……っ!」


ならば、するべき事は二つ。
首輪を外せる手段の確保と、使い物になりそうな駒を集める。
あの場にはかなりの人数が居たし、自分ほどとは言わずとも、それなりに使える参加者も探せば少しは見つかるだろう。
そこそこ使えて骨のある奴なら舎弟にしてやるのも吝かではない。

(下準備やらチマチマしたことは俺の柄じゃねぇけどよ…ただ負けるよりはマシだからな)

兎に角、戦力が必要だった。

(一番あのメスブタ共と接触できる可能性が高いのは参加者皆殺しで優勝だが、ああいう性根が腐ってそうな上から目線の連中にサシで挑むのは分が悪い。ぜってーうざったいハメ技やら何やら仕込んでやがるに決まってる)

モッコスは直感で理解していた。あの女どもは所謂『救えねぇワル』の中でも群を抜いて腐り抜いてるタイプ。敵に回すと厄介な連中だ。加えてどこか魔王と似通った底の知れなさもある。それが二人仲良くつるんでるときてる。

認めるのは屈辱だが、ただ無策で殺しまくっただけではあの連中には届かない。反発はあるが、そう納得はしていた。


49 : 剣と魔法のファンタジア ◆.qYRZrEGoQ :2021/03/14(日) 00:36:28 uXCq5BlQ0

DQNそのものの粗雑な振る舞いや言動で勘違いされやすいが、モッコスは決して腕力だけの馬鹿ではない。
独学による呪文の開発に加え、冷静に戦況を見据えられる観察眼など、こと闘争の場においては純粋かつ有能な男だ。
この得体の知れない場を一人で抜けきれると言えるほど慢心してはいなかった。

……最も、少し前のモッコスなら、策を練らずに愚直に優勝を目指したかもしれない。
己に敵うものなど誰一人出会ったこともない、正しく最強であった頃なら。

モッコスは知った。
この世界には、己より強いものが確かに居るのだと。
初めて対峙した強敵の存在が、慢心と傲慢に溢れた彼の思考を少しだけ成長させていた。

「……兎に角、先ずは服だな」

剣と魔法の伝説(レジェンド)を生きる一人のドキュンは、新たなサーガを起こすために歩みだした。


【モッコス@ドキュンサーガ】
[状態]:健康、全裸
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:舐め腐ったメスブタども(メフィスとフェレス)をぶち犯してから殺す。そのために使えそうな奴を探す
1:首輪が外せる奴は居ねぇか?
2:……拉致んならついでに服は着せろよ
[備考]
※参戦時期は1-3話、魔王と戦っている最中から


50 : ◆.qYRZrEGoQ :2021/03/14(日) 00:36:57 uXCq5BlQ0
投下終了です


51 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 09:52:33 POrD0mSg0
投下します。
天気の子ロワにて投下したものを修正したものです。


52 : 泣き虫な魔女(ウィッチ)と紫紺の戦士(仮面ライダー) ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 09:54:45 POrD0mSg0
私は、仲間を…友達を助けられなかった。

「ジェニファー…!…次はきっと…きっと助けるから!」

……そう言ったのに…そう決めたのにっ…なのに、ジェニファーが乗せられた船は…助けようとした私と、一緒に居た那佳の目の前で…爆発、して……。

……その現実を受け入れられないまま、海で意識を失った私は───気が付くと、昔の扶桑…なのかな?扶桑のっぽい建物が目の前にあって…空は血の色みたいになってて、月は紅色になってた。
そこから訳もわかんないまま、自分が今生きてるのか死んでるのかすら把握出来ないままに私は、殺し合いのルールを説明され、目の前で女の人の首が爆ぜて、胴体だけになる様を見させられた。頬を涙が伝う感覚を感じたけど…身体が動かせなくって…私はそれを拭えなかった。

そのせいで説明内容は殆ど頭の中から吹っ飛んじゃったけど、自分が殺し合いに巻き込まれてしまった事と、最後の一人になれば、願いを一つだけ何でも叶えられる事ぐらいは…私でも理解は出来た。

そして…突然発生した霧…霧なのかな…とにかくそれに包まれた後、気付くと私はここにいた。

もう既に私は死んじゃってるかも知れないけど…それでも私は、死にたくなんてない、まだまだ生きていたい!
…でも、だからって…他の参加者達を殺してまで、生きたいなんてこと、私は思えなくって…。

…最後の一人になれば…ジェニファーを生き返らせれるかも知れない。でもっ…それには、他の参加者達の犠牲が必要不可欠で…ジェニファーは、誰かを犠牲にしてまで生き返りたいなんて思う奴じゃない…それはわかってる。
ジェニファーはゴキブリすら殺せないし、ザリガニ料理を作ろうとしてる途中で、可哀想になってザリガニを逃してしまうような、優しい奴だから。
…だからと言って…自分の命も、友達の、ジェニファーの命も…簡単に諦めるなんて…私には…!それにもし、隊長達や那佳がいたらっ……!

「……格好悪いよなあ……私…どうすりゃいいんだよ…こんなのっ……!」

自然と目から涙が溢れてしまう。私はそれを拭いながら…座り込み途方に暮れていた。

こんな時隊長やマリンコ、那佳やサムなら…きっと……でも、私は…隊長達みたいに強くなんか……ない、ないんだよ……!

----

青年はある夢を見ていた。両親が目の前で焼死するのを、ただ見てる事しか出来なかった過去を…そして、所属していた組織が不死の生物、アンデッドの手により壊滅し、更に尊敬していた先輩が裏切ったと聞かされた上に、当の本人が自分を置いて何処かへと去って行った光景を───

「橘さん!!」
「何故見てるんです!?」
「橘さん!?本当に裏切ったんですか!!」
「あんたと俺はっ、仲間じゃなかったんで…ぐぇっ!?」
「そんな…そんなぁ!!」
「…何故だ!何故だっ!何故だぁっ!」

----

「…夢か」

青年…剣崎一真は目を覚ます。彼は人類基盤史研究所、通称BORDERに所属していた仮面ライダーである。
…最も、組織はアンデッドの手によって壊滅したのだが。
そんな剣崎はある思いを抱いていた。

「…俺は、絶対に殺し合いには乗らない!主催を倒して、人々を守って、脱出手段を見つけてみせる!」

剣崎一真は強い正義感の持ち主である、彼は、見ず知らずの少女を惨殺した主催に対する怒りを胸に抱きながら、そう決意していた。
最も今の剣崎は…同僚の広瀬栞や居候先の白井虎太郎との関わりによってある程度マシになったとはいえ…先輩である橘朔也の裏切りや組織の壊滅によるショックにより、メンタル面ではまだ万全には遠い状態である。

そんな剣崎は、支給品を確認しようとバッグを開けようとしたーーーーその時であった。
彼の耳に、少女の泣く声が届いたのは。
剣崎はバッグを開くのを後回しにして、泣く声が聞こえた方へと走った。

----

「大丈夫か!?」

少女を見つけた剣崎は、彼女に声をかける。

「…誰…?」

涙を零しながら、警戒心を見せつつ振り向いた少女に、剣崎はまず自分の名前と、殺し合いには乗っていない事を示そうと思い、言葉を紡ぐ。

「俺か?俺は剣崎一真。主催を打倒する為に動こうと思ってる。…君は?」
「…カーラ、カーラ・J・ルクシック。
剣崎、さん…ほんとに、殺し合いに乗ってない…んだよね…?
…私っ、どうすれば…。……死にたくなんて、ない、でも…殺したくも、ないよっ…なんで、こんな…!」


少女は…カーラは、剣崎から害意や敵意を感じなかったのもあり、恐る恐る自分も名乗った上で…自らが抱えている悩みを、聞いてもらおうと思った。思った時には既に、彼女の口からは言葉が出ていた。


53 : 泣き虫な魔女(ウィッチ)と紫紺の戦士(仮面ライダー) ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 09:55:07 POrD0mSg0
【カーラ・J・ルクシック@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、迷い、恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうしたらいいんだろ…
0:剣崎さんに、悩みを話してみる。
1:死にたくないよ…でも、殺したくなんて……。
2:…ジェニファー…私…。
[備考]
※参戦時期は原作及び漫画版での3巻にて、ジェニファーが死亡したと誤解して海に溺れた後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1944〜1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【剣崎一真@仮面ライダー剣】
[状態]:健康、決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催を打倒し、人々を守って脱出手段を見つける
0:とりあえずカーラの話を聞こう。
1:カーラの事は放って置けない。
2:…橘さん…。
[備考]
※参戦時期は本編2話よりは後、本編14話よりは前です。詳細な時期は後続の書き手にお任せします。


54 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 09:56:17 POrD0mSg0
投下終了です。


55 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:11:45 ixJaVsc20
投下します


56 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:12:10 ixJaVsc20
「なるほどな」

紅月の夜の下に、白スーツの男、里見義昭は忌々しげに吐き捨てる

「一般人や超人を集めて殺し合い、ということか? 裏の見世物にしてはあまりにも派手すぎる」

だが、里見義昭は自らが置かれた状況に忌々しく思いながらも苛立ちの類は感じてはいない。それ以前に頭に浮かぶのは疑問ばかり

「それに、わざわざ平安京を殺し合いの舞台に選ぶとは」

900年以上の歴史を誇る平安京、この場所を殺し合いの舞台として選択した主催陣。何の意図があってなのか、それとも平安京か当時の天皇に恨みを持ったかの怨霊によるものか、然して考察は出来ど答えにたどり着くにはあまりにも遠すぎた
この里見義昭という男、自分が恨まれるような人間であることも十分承知の上である。彼のいた世界、超人という幻想が跋扈する世界において、それを歪と感じ、己がやり方で超人をただの幻想として消し去ろうとした

「さて、どうすべき、か」

所詮、今の自分はこの歪な催しに巻き込まれた役者の一人にしか過ぎない。人間であろうと超人であろうと、命の価値は千差万別であり正しく平等。進んで殺し合いに乗るつもりもないが、だからといって願いを叶える権利は十分な魅力もある。それにあのメフィスとフェレスなる双子の悪魔、あの二人がそう安々と願いを叶える権利を授けてくれるとは思えない
ならばまずはこの首輪を何とかする他無い。この首輪がある限りその命は主催の掌の上、その気一つで奪われてしまう。殺し合いという体裁の上、無闇な干渉はしてこないであろうが、それでもあの双子には少々の想定外を愉悦として楽しむであろう節は見受けられる
――なれば、首輪解除のための手段を探しながら、利用できる参加者を探す。最悪超人課の連中と出会ったのならなんとか言いくるめられなくも無いだろう。だが人吉爾朗か柴来人、それに準ずる連中がいた場合が一番厄介だ

「……ふむ」

気まぐれに、首輪を指で突く。小さな金属音が静寂の中にか細く鳴る。余りにも小さなその音は里見義昭以外の誰にも聞こえる事はない。願いという餌に惹かれる気持ちはあるものの、彼にはこの殺し合いへの興味は然程もない。だが、それでも必要とならば里見義昭は他の参加者へ容赦なくその牙を向けるであろう

一歩一歩、思考しながら歩く。自分以外に呼ばれた者達はおそらく多種多様だ。自らの犠牲も能わず誰かを救うヒーロー、衝動と欲望のままに暴れる悪役(ヴィラン)、願いを叶えるために悪へと転ずる善人等
誰と出会おうとも、その都度で欺瞞の仮面を被り対応すればいいだけの話だ

数分ほど歩き続けても、景色は変われど赤は延々と続くばかり。古都がこうも良いものだとして、景色が赤染まりばかりでは殺風景でしか無い

「……ぬ?」

更に歩けば、民家らしき建物、その玄関の壁にもたれ掛かながら途方に暮れている少年が一人。超人課に所属する妖怪の少年風郎太の事もあるため、一応の警戒はしておきながらも近づいていく

「……そこの君、そんなところでどうしたのかね?」

そして、その言葉に、少年は初めて出会う人物である里見義昭を認識した


57 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:12:38 ixJaVsc20
○ ○ ○

勇者が、大嫌いだ。――正しくは、勇者なんて言う、誰かを救うためにその命を、お役目なんていう反吐が出る言葉で取り繕って、勝手に崇めて、その人が何を思っていたなんか知らないままに祀り上げられるその概念にだ

姉ちゃんが死んで、心底それを実感した。誰も彼も、両親も親族も「お役目のために死ねたんだから満足」だと勝手に決めつける。神様なら神様らしく姉ちゃんを助けて欲しかった。だけど神様は勝手に姉ちゃんに役目を与えて見殺しにした


「神様なんだったら何で守ってくれなかったんだよ!

姉ちゃんはずっと頑張ってただろ!

それなのに!なんで姉ちゃんなんだよ!」


その叫びも、思いも、憎しみも。神なんていう秩序の元に切り捨てられる。叫んだ自分を抑えようとした周りは、まさに異物を見るような表情で見つめていた
それは単純に「どうして」という疑問に首を傾げていただけかもしれない、だけどそれが気に入らなかった。当たり前じゃない当たり前を押し付けようとする世界が気に入らなかった

だけど、そんな世界でも、みんなを守るために、姉ちゃんが一所懸命に戦った、その意志だけは、否定できなかった。『勇者』という概念を、否定したくても否定できなかった。弟のことも託されていたから

それでも、本当にそれでも――姉ちゃんの死を『名誉』だとか『英霊になった』なんて言葉で片付けてしまう家の連中が、何の躊躇いもなく姉ちゃんを死地に送った連中が、それを強いた神様が、どうしようもなく憎い

「なんだよ、これ」

―――気がつけば、赤い夜空の下にいた。首輪を付けられて、変なやつに殺し合いをしろだなんて言われて、目の前で名も知らない人が爆殺させられて、何も出来ずに怯えていて、そしてまた気を失ったと思ったら別の場所にいて、これが現実だって思い知らされた

「なんなんだよ……これ……」

夜空を照らす赤き月明かりも、和洋折衷往古来今無秩序に散りばめられた建物も、全てが受け入れがたい現実でしかなく

「……どうしろって、いうんだよ……」

少年は―――『英雄・三ノ輪銀』の弟、三ノ輪鉄男はこの受け入れがたい現実を、否応とも直視せざるえないのだ

「……願いを、叶える」

ふと、説明の時の言葉を思い出す。優勝すれば『どんな願いでも一つだけ叶える権利』を与えられた上で帰還させられる事を
だが、その選択は、姉ちゃんの願いを裏切るに等しい行為。もし仮に願いを叶えたとしても、それで姉ちゃんが『勇者』の責務に囚われ続けることに変わりはない
でも、もし願うのなら――自分たちの元に帰ってきて欲しい。それが例え叶わぬものだとしても。そう放心し、途方に暮れていた時に、その男は声を掛けてきた

「……そこの君、そんなところでどうしたのかね?」

白いシルクハットを被り、白いスーツに身を包んだ如何にも礼儀正しい佇まいの男が、自分を見下ろし、言葉を投げ掛けていた


58 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:13:38 ixJaVsc20
○ ○ ○

「――神が人類を滅ぼすために遣わせた怪物バーテックス、それを倒すために神樹に選ばれた『勇者』か」
「……神化なんて年号、あったっけ……それに超人や怪獣や宇宙人が普通にいる世界だなんて、信じられないよ」

三ノ輪鉄男が里見義昭と出会って数分ほど後、二人は近くの建物で改めて自己紹介と情報交換をおこなっていた

「……勇者というのは、私の世界にありふれていた『超人』と対して変わらないかもしれんな。ただ、こちらは善の超人もいれば悪の超人もいるという、その違いがあるぐらいか」

里見義昭の視点からすれば、神樹によって選ばれ力を授けられた勇者は、里見のいた世界における超人と何ら変わりはないという考えであった
超人自体は妖怪のように古代から存在するものもあれば、セイダカアワダチソウの変異種による超人病の発症によって一般人が超人となる場合もある。
対して勇者は、神樹が勇者システムを介して選ばれしものに勇者の力を与える。結局の所、勇者もまた『超人』であることに変わりはない。妖怪も、超人も、そして勇者も、天の采配によって生み出された存在だ

「……超人。力がある人……」

里見の言葉に、三ノ輪鉄男は考え込む。超人もある意味、勇者と変わらない。善と悪に分かれている以外、変わりはしない。いや、ある意味『勇者』の方が過酷なのかも知れない。誰とも知らぬ者達の為に、いつまでも外的と戦い続ける運命、まるで呪いのような宿命。姉が死んで、三ノ輪鉄男は初めてそれを自覚した

「……どうした?」
「……俺の姉ちゃんは、勇者だったんだ。でも、死んじゃった」

鉄男の反応を怪訝に思った里見が問いかける。鉄男から出た言葉は秘めこんだ思いだ

「父ちゃんも母ちゃんも、他の親戚のみんな「名誉なこと」だ、「英霊となった」だ……姉ちゃんがどんな思いで行ったのか、俺でもわかんないのに、勝手に決めつけて……」

鉄男の吐露に、里見はただ黙り込みながら耳を傾ける。「ヒーローとして崇められる」という点では、一部の超人と何ら変わりないとは、等という悪態を心の内で吐き捨てながら

「俺は、勇者っていう概念が憎いって思ってしまったんだ。その人が何を思っているのか知らないで、勝手に崇めて、頼って、死んだら勝手に決めつけて満足して、みんな身勝手だ」
「そういう君もある意味身勝手ではないのかね?」
「そうかもしれない。だって恨んでも仕方ねぇんだよ。姉ちゃんに金太郎のこと頼まれた。それに、俺が憎んでも、何も意味がないって――俺のいた世界は、そうだったんだ。それに――」
「それに?」
「どれだけそんな反吐が出るような勇者を否定したら、死んだ姉ちゃんの事まで、否定しちまうようだった
から。……そんな事、出来るわけが無いだろ」

三ノ輪鉄男は、人を救う為に命を捨てさせるという勇者の概念が大嫌いになった
だけど、それでも、自分の姉ちゃんが自分を含めた、そんな人々を守るために命を散らしたその生き様まで、否定できなかった。否定したくても、ただそれだけは否定できずにいた

「……俺は、姉ちゃんが生きれくれたら、良かったんだ。どうして……どうして……」

そう言葉を零す鉄男の目には、涙が溢れ、まるで血涙の如く月夜に照らされ赤く光り輝いている
どれだけその概念が憎くても、自分たちを守るためにその命を散らした姉を否定してしまう選択を、三ノ輪鉄男は取りたくはなかった。いや、取れなかったのだろう
だから、もし自分が何かの間違いで国を守る立場になったその時、自分が姉が命を懸してでも守ろうとしないと行けないとその根底に根付いてしまうだろう
人はどこまでも愚かだ、姉の死を他人事のように片付けてしまう周りが、勇者の存在が憎く、それでも姉を否定できず、どこまでも中途半端なままな自分も含めて

「……」


59 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:14:02 ixJaVsc20
里見は思考を巡らせる。三ノ輪鉄男のいた世界において『勇者(ちょうじん)』はそこまで隠匿された存在ではない。超人もまた公然の秘密という扱いで隠匿性など形骸化しているようなものではあるが
「お役目」、神樹という神に選定された超人兵士(ゆうしゃ)。国のためにと使われ続け、その果てに力尽きる。
神化の時代にジャングルオペレーションエンフォーサーズ、通称JOEという米軍の特殊部隊が存在した。人権を無視した超人改造手術により隊員全員が強化サイボーグへとなった者達だ
神化40年代前半頃における東南アジア某国周辺の紛争へと介入した米軍が、そこに住み着くゲリラ超人を掃討するためにこの部隊を送り込んだ
だが、無理な改造をした超人たちが戦争後に精神を病まない訳もなく、その部隊のとある曹長が日本において暴走した事件があった
『勇者』が、そうならないとは必ずしも言い切れはしない。里見からすればバーテックスが人類を滅ぼす敵以外の情報はまだ入っていない。人知を超えた化け物と、人知を超えた『勇者』。勇者がどれだけ長生きかは知らないが、それは正しい意味で死ぬまで永遠に戦い続ける無限地獄そのものであろう
故に、三ノ輪鉄男が勇者の在り方を憎いと思ってしまった理由を里見義昭は彼なりに理解できた。『神樹』と、人々の願いという『幻想』を背負わされ、死ぬまで戦い続ける運命。それが『勇者』

「――悍ましいものだな」

里見の口から漏れたのは、素直な感想だった。里見義昭は善人ではない。自らの願望のために超人を自分の世界から一掃しようと考えている人物だ
だが、それ故に、暗躍のために裏を知る者故に、『超人』の存在を不自然だと思う彼にとっては、その世界の正しさは余りにも悍ましいものであった
それと同時に、この三ノ輪鉄男という少年の奥底にある感情は、何かしら使えるとも考えた





「――もしも、その『幻想』を否定できるとしたら、どうする?」
「――え?」


60 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:15:17 ixJaVsc20
「――もしも、その『幻想』を否定できるとしたら、どうする?」
「――え?」

里見の問いかけ。それに対し三ノ輪鉄男は思わず唖然となる。まるで自分の心情を見透かすかのように、自分の中に燻る憎悪を釣り上げようとばかりに

「私は、超人がいる世界にいながら、超人の存在が酷く不自然に思えてしまっていてね」
「……どうして」
「君が疑問に思う理由もわからんでもないさ。ならばまず聞こうか。自分のいた世界の在り方は本当に正しかったのか?」

里見の次の問いは、三ノ輪鉄男を試すかのような言葉。自分の世界が本当に正しいのか、哲学めいた問いかけだ

「そ、れは……」

口籠るはある意味必然だった。いくら姉の死を切欠にその歪みを自覚はしたが、それでも世界そのものを疑うという発想には至らなかったからだ

「――神化20年8月、終戦直前の広島に米軍の爆撃機が新型爆弾を投下した。だが、それによる被害は起きなかった」
「米軍の爆撃機、広島、新型爆弾……原爆?」

広島、米軍の新型爆弾。その単語だけで三ノ輪鉄男としても察するもの。核爆弾。広島と長崎に投下され、甚大な被害を引き起こし、日本が降伏勧告を受け入れるきっかけを作ったもの

「だがね、私は思うのだよ。どこかの歴史で、「新型爆弾」がちゃんと爆発し、広島に被害を与えたという可能性が存在することを」
「……それって」

間違いなく、三ノ輪鉄男のいた世界の、昭和の時代の出来事だ。彼のいた世界の神化は、紛れもなく自分たちのいた世界の過去――昭和の時代の、第二次世界大戦そのものだ

「――じゃあ、超人の存在が酷く不自然っていうのは」
「私のいた世界は、人々の、超人を望む『幻想』によって分岐した歴史だと、私は思っているのだよ。そして私の取っ手の正しい世界の在り方は、超人は存在せず、善も悪も幸福も残酷さも、平等に訪れる世界だと」

それこそが里見義昭の望み。超人という不自然極まりない存在を一掃し、正しい世界を構築する。それが里見義昭の野望。そして世界は何の『異常もなく』都合よく不都合に歴史を刻み続けるだろう

「……あんたは、姉ちゃんのことまで否定したいっていうのかよ」

三ノ輪鉄男は反論する。確かにバーテックスがいなくなれば勇者も大赦も存在価値が無くなり、自然消滅するであろう。だが、そうなれば勇者であった姉の頑張りも無に帰すのかと、思わず怒らずには得なかった


61 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:15:38 ixJaVsc20
「そう焦るな。君の姉を否定するつもりなどない。私が否定したいのは『超人』の概念だよ。「外敵がいるから超人は存在する、悪の超人がいるのだから善の超人は存在する。バーテックスがいるから勇者は存在する。視点を変えれば必然的な因果でしかない」

善があるからこそ悪はある。悪があるからこそ善はある。善人が悪行を為し、悪人が善行を為す。その細部に複雑な構図があろうとも、全体的な面で言えば単純な善悪の対立模様でしかない。そこに暗躍するものが紛れ込む以外は

「君の世界は、そんな世界の幻想に巻き込まれたと、私は思うのだよ。――だからこそ、君の姉のように、世界の生贄にされる。幻想を望む神々の、玩具にされる」

何も言い返せない。その言葉に、三ノ輪鉄男は口を開くことすら出来なかった。

「君は結局、姉を裏切るのが怖いと思いこんでいるだけだろう? 世界がそんな残酷な幻想を望むのであれば、その幻想を、勇者を、超人どもを、その概念を永遠に消し去ってしまえばいいのだ」

心の内の憎しみを見据え、里見義昭は問いかける。憎ければ消してしまえばいい。単純至極な感情の暴露。三ノ輪鉄男がその選択を取らないでいたのは、それでも世界を守ろうとした姉の意志を裏切りたくないからだ。託された弟のことも、三ノ輪家というしがらみも、彼の中で渦巻くものも――全て投げ捨ててしまえばどれだけ楽だっただろう
だけど、そんな事は出来るわけがない。姉ちゃんを裏切るなんて出来るわけがない。それが唯一三ノ輪鉄男を繋ぎ止める唯一の楔だ
だが、里見義昭はその楔を破壊しようと誘惑を続ける。彼の中に燻るそれをうまく解き放ちさえすれば、彼の望む超人のいない世界への階になり得るのだから

「どんなに世界が憎くても、それでも姉が守った世界だから否定できない? そんな幻想は、否定してしまえ。君に足りないのは、全てを裏切っても手に入れるべき願望への渇望だ。いずれ―――君の姉の死の意味すらも、踏み躙られる事になるぞ」
「――――――――あ」

致命的だった。里見義昭の「超人も勇者もあまり変わりはない」。勇者は資格があるものさえあればいくらでも補充できる。ただ崇め奉られるというだけで、ただ重要とされるだけで、補充される兵士でしか無い
人口という意味合いではそれには上限はあるだろう。だが、里見の言葉のせいで、勇者という存在が上によって使い捨てられる兵士という認識を刻まれてしまい、それを払拭できなかった

「君の姉の死の意味すらも、踏み躙られる」。余りにも、余りにも残酷な精神への毒だ。もしバーテックスの戦いが永遠に続くとしたら、今まで死んでいった勇者はその死や思いすらもプロパガンダとして利用されかねない
あくまでそれは神西暦を知らぬ里見視点での考え。だが、今の三ノ輪鉄男にとっては有効で致命的な毒であった


62 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:15:59 ixJaVsc20
『三ノ輪銀様の輝かしい偉業は、とこしえに我々の指針として残ることでしょう。どうか神樹様のもとで安らかに、そして末永く、私共の行く手をお見守り下さい』

『神樹様のお役目で逝かれるとは、大変名誉なことじゃないか』

『銀ちゃんはね、英霊になられたの。羨ましいわ』

『今後三ノ輪家の者は、法外な援助が受けられるんだ。むしも銀も孝行が出来て誇らしいことだろうよ』


もはや今の三ノ輪鉄男に御せる事の出来るものではない。その絶望は、その喪失は、その怒りは、その憎しみは
何が偉業だ、何が名誉だ、何が英霊になれただ―――何が孝行出来て誇らしいだ。姉ちゃんが死にそうになった時に、姉ちゃんが何を思っていたのか知らない癖に。どいつもこいつも他人事みたいに
お前たちにとって俺の姉ちゃんはその程度なのか。何が勇者だ何がお役目だふざけるな他の勇者もそうやって縛り付けて見殺しにするのか巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い


憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い

憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い

憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い

憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い

憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い


憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い


―――俺は、勇者が憎い。どうしようなく憎い。姉ちゃんを勇者にした、世界の幻想が、たまらなく憎い

「では改めて問おうか。己が幻想の為、今在る世界を如何なる犠牲を以ってしても、その願いを叶える覚悟はあるか」


63 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:16:21 ixJaVsc20
「………やる」

それは憎悪だ。憎悪に呑まれた、現実を知るには余りにも幼すぎた一人の少年の憎悪だ

「……なんだって、やってやる」

そしてその憎悪は、狂気となりて、全てを踏み躙ってでも、願望を叶えるエゴへと変わる














「――ならば喜べ少年。君の願いは、いずれ叶う」

幻想の否定者は、それに対し、拍手を贈り、賛辞の言葉とともに、その生誕を祝福する


64 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:16:51 ixJaVsc20
○ ○ ○


「――行ったか」

過ぎゆく少年の姿を、里見義昭は静かに見送る。種は芽吹いた。幻想を憎む事を覚えた少年は、どういう形であろうと自らの目的の足掛かりとなりうる

「選別の品も、与えておいたからな」

三ノ輪鉄男が里見義昭の元を去る前、里見は自らに支給されていた一本の刀を手渡した。それはある意味里見義昭からの祝福として、三ノ輪鉄男はその祝福に何も言わず、立ち去っていった

「さて、と――」

里見義昭としては、三ノ輪鉄男に同行しても良かったとは考えていた。だが参加者の全貌が見えず、尚且超人課もしくは人吉爾朗一派がいる可能性がある以上は不用意な同行はかえって悪手である
何も書かれていない名簿、というのもまた怪しいものであるが、明確にどのような参加者がいるかで、放心もまた変わっていくだろう
そして何より芽生えた種は、恐ろしい存在となりて自らへ立ち塞がる可能性もありうる。方向性は同じであれど、明確な最終目的は完全な別。何れ雌雄を決する時が来るであろう。そしてそれは、彼も分かっているはずだ

空はあいも変わらず紅い月が輝いている。海外において月は古来より狂気を齎す言い伝えが存在する。かの青年もまた、自分と言う名の満月に、この殺し合いという名の狂気に当てられた
超人・里見義昭はほくそ笑む。彼の望みもまた、彼が望んだ幻想であるが故に、その先に纏わる者は、だれも知らないままで

【里見義昭@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:首輪の解除を最優先
1:利用できる人物を探す。同行者は参加者がわかれば検討
2:三ノ輪鉄男とは何れ雌雄を決する事になりそうだ
[備考]
※参戦時期は最低でも第二期以降


65 : A Storm is Coming to Us All ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:17:45 ixJaVsc20
○ ○ ○


「ごめんな、姉ちゃん。約束、守れないや」

その言葉は、狂気の奥底に残った残滓でしかなく

この身は何れ屍山血河を築くか、何も出来ずにただ朽ち果てるか

祝福という名の選別に授けられた刀は、三ノ輪鉄男の行く先を嘲笑うかのように照らしている

「でも、俺は――――」








姉ちゃんに、生きて欲しかったんだ

その思いは、赤き月の廻る世界において、儚く薄れていった












【三ノ輪鉄男@鷲尾須美は勇者である】
[状態]:健康、『勇者』への憎悪
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3、刀の支給品1本(出典は後続の書き手にお任せします)
[思考・状況]
基本方針:『幻想』を滅ぼす。姉ちゃんを生き返らせる
1:ごめんな、姉ちゃん
[備考]
※参戦時期は三ノ輪銀死亡後


66 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/14(日) 12:18:03 ixJaVsc20
投下終了します


67 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/14(日) 12:21:36 c4AjH/IE0
投下させていただきます。
以前、コンペロワに投下したものを手直しした物になります


68 : 日米スピードスター対決! ◆4kMBNI9QkE :2021/03/14(日) 12:22:14 c4AjH/IE0
血のように赤く輝く月に照らされ、そこかしこで血生臭い殺し合いの前哨戦が巻き起こりつつある平安京。
そこに……旋風が巻き起こっていた。

他の参加者の目には止まらぬ程の速さで会場各地を駆け巡る、二つの赤と黄色の旋風。
ビデオカメラで撮影してスロー再生しても、ぼんやりとした赤い影にしか見えないだろう。
それほどのスピードだ。

北へ南へ、東へ西へ。
会場内を一通り一周し終えて……二つの赤い旋風は五条大橋の辺りで動きを止めた。

五条大橋の上、そこには2人の人物が立っていた。
一人は黄色い大きなボタンが着いた赤い服を着て、端が地面につく程長い黄色いマフラーを首に巻いた十代後半程の栗色の短髪の日本人少年。
もう一人は胸元に稲妻のシンボルが着いた赤いジャンプスーツを着用し、顔を口元が露出するタイプのマスクで覆い隠した白人男性だ。

『……』

二人の赤い男は静かに視線を交わす。


69 : 日米スピードスター対決! ◆4kMBNI9QkE :2021/03/14(日) 12:23:08 c4AjH/IE0
「……同着、かな?」
「……そうみたいだね」

二人の赤い男はどちらともなく、笑いだした。
一対一の真剣勝負を終え、相手の力量を確認した戦士がするような笑みだ。

「しかし凄いなぁ、君は。『地上最速の男』である僕と同じ速さで走れる男が、日本にいるなんて……驚きだよ」
「いやぁ〜そんな……」

マスクの男に誉められ、日本人少年は照れ臭そうに頭を掻いた。

「僕は加速装置内蔵式のサイボーグだから……改造されてない生身の体で、あれだけのスピードで走れる君の方が凄いよ」
「そうかい?ハハハ!」

謙遜するような少年の言葉に、今度はマスクの男性が照れ臭そうに笑いだした。

「……そう言えば、まだちゃんと名乗ってなかったね」

マスクの男性はおもむろに自身のマスクを外した。
マスクの下から出てきたのは、20代半ば程の黄金色の髪の白人青年の顔だった。

「僕の名前はバリー・アレン。仲間からは『フラッシュ』って呼ばれてるよ」

自己紹介をしながら、マスクの男性……バリーは右手を差し出した。

「……僕は島村ジョー。仲間からは『009』って呼ばれているよ」

少年……ジョーも差し出された手を握り返し、二人のスピードスターは固く握手を交わしたのだった。

「……『009』?ジェームズ・ボンドみたいだね」
「……『フラッシュ(閃光)』なんて呼び名も安直だと思うけどね」
『ハハハハハハ!!』

既に二人は軽口が叩き合える程仲良くなっていた。
その姿は、さながら長年に渡る親友のようだった。

【島村ジョー(009)@サイボーグ009】
[状態]:健康
[装備]:サイボーグ戦闘服@サイボーグ009
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:参加者を救い、会場から脱出する
1:バリーと協力して仲間を集める
2:他のゼロゼロナンバーサイボーグがいるのなら、合流する
[備考]
平成テレビシリーズからの参戦です。

【バリー・アレン(フラッシュ)@The FLASH/フラッシュ(ドラマ)】
[状態]:健康
[装備]:フラッシュスーツ@The FLASH/フラッシュ
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:ジョーと協力して仲間を集める
2:STARラボの仲間がいるなら合流する
[備考]
ファースト・シーズンからの参戦です。


70 : 日米スピードスター対決! ◆4kMBNI9QkE :2021/03/14(日) 12:24:07 c4AjH/IE0
投下終了します


71 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 13:16:19 1W6rykrU0
投下します。
前置きしておきますと、リトルナイトメア2のネタバレを含みます。


72 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 13:16:34 1W6rykrU0
会場のとある場所。
参加者の一人である、一人の男が辺りの景色を見渡しながら、ゆっくりと歩いている。
赤い空と、其れに照らされ妖しく光る建物や木々。
男─【モノ】がそれらの景色、そして見せしめとして弄ばれ、殺された少女達を見て、ふと思い返すのは嘗て、〖悪夢〗とも形容出来る、時空や人々の姿形、果てまでは人格までもが歪みきった世界を一人の少女─【シックス】と共に旅していた〖あの時〗の記憶だった。

─ある夜、モノはまるで空間が歪んだかの様な廊下を進んでいた。
そして、廊下の奥にあった一つの扉を開けようとした時──
自分は鬱蒼とした森の中に居た。
暫く進んでいると、ボロボロの家屋を発見したので、中を探索する事にした。
─そうして中を見て回っていると、ある部屋からオルゴールの音が聞こえて来たので、そこに繋がる扉を壊して入ってみた。
するとそこには、オルゴールの持ち主である黒髪の少女─シックスが囚われていた。

モノは彼女を連れて、歪んだ世界を進み続けた。

─その道中で、怪電波を放つテレビを何度も見つけ、そこから繋がる異空間に侵入しようと試みた。
初めの頃は例の廊下の扉を開こうとした所でテレビの外の世界に弾き出されてしまったが、繰り返している内に扉が開く事が出来た。
─すると、マゼンタ色に光る部屋に居た、細身の男の姿を見たところでまたはじき出された。
それだけではなかった。
細身の男がテレビの外にまで出現し、


73 : あれからどうなった ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 13:17:10 1W6rykrU0
突然自分とシックスを追いかけ始めた。
道中でシックスは男に連れ去られてしまったが、自分は彼と戦う時が来るまでひたすら逃げ続けた。
その時まで逃げなければ、自分も危険な目に遭っていたかもしれなかった。
あの男に追われる中、自分は街中で見つけた列車に逃げ込んだ。
それでも男は自分を追い続けて来たので、列車自体を切り離し、男よりも遠く離れた場所まで逃げて行った筈だった。
そうしてたどり着いた場所を進み、シックスそっくりの姿をした『何か』に導かれる様にして下水道から地上へと繋がる梯子を登り、路上へと出た。

しかし、男は追跡を諦めていなかった。
これまで頭に被っていた物を捨て、モノの目の前に現れた男と戦うを決意。

新たに覚醒させた能力で、男─怪電波を世界中に放っていた電波塔の支配者を倒し、また自らの力で電波塔を近くまで引き寄せ、囚われたシックスを救出する為そこに入る事にした。

オルゴールの音を手がかりに、塔内を探索してたどり着いた部屋には─
異形と化したシックスの姿があった。
そこでモノはシックスに呼びかけた。
すると彼女は呼びかけに応じてくれて、オルゴールを差し出してくれた。
しかし自分から近寄ろうとすると、何故か振り払われてしまう。

─そこでモノはオルゴールを攻撃した。
するとシックスは怒って暴れ出してしまった。
咄嗟に部屋を出て、別の部屋あった家具に一先ず隠れる。
しかしシックスは家具を乱暴に放り投げ、


74 : あれからどうなった ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 13:17:39 1W6rykrU0
自分を探してまた別の場所に移動し出した。

彼女を追って塔を更に進むと、大切そうにオルゴールを聴いている彼女が居た。
呼びかけても、襲いかかって来る。
そこで、モノはオルゴールを壊すことにした。
オルゴールを壊すと、シックスは元の姿に戻っていた。
しかし、オルゴールを壊した事が引き金になったのか、周辺に目玉の付いた肉塊が現れ出した。
モノ達は、必死に肉塊から逃げる。
逃げていると、出口と思わしきテレビの液晶があった。
だが、足場も崩れていく。
崩れゆく足場を飛び越えよりとしたところでシックスが自分の手を掴んだ。
─のだが、シックスはその手を離してしまい、モノはそのまま落ちてしまった。

落ちた先は蠢く肉塊の上だった。
暫く移動してみると、盛り上がっている所があったので登ってみた。
天辺の方に椅子があったので、その上に乗って立ち、後ろを向いた。
八方から肉塊が迫り、もう逃げ場は無い、と思っていたところで肉塊が全て消え、いつの間にか自分の乗っていた椅子だけの部屋に居た。

彼は椅子にゆっくりと座り込む。
──それから時が経ち何度も同じ椅子に座り込み、モノは大人になった。
彼は黒いスーツに中折れ帽を身につけた、痩せぎすで長身の姿になっていた。

──しかしその姿は嘗て自分が倒した筈である、電波塔の支配者のそれにそっくりであった。

そしていつもの様に椅子に座り込んでいる時に、この殺し合いに呼ばれた。

彼がこの場所で何を


75 : あれからどうなった ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 13:18:32 1W6rykrU0
としているのかは、未だ誰も知らない…。

【モノ@リトルナイトメア2】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み?)
[思考・状況]
基本方針:???
1:もし、シックスに会う様な事があったら…?
[備考]
※本編終了後からの参戦となります。
※制限により、建物等を移動させる能力は使用不可能となっております。
※ノッポ男@リトルナイトメア2の能力を使えるかどうか、又その他能力の制限については後続の書き手にお任せします。


76 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 13:18:55 1W6rykrU0
投下終了です。


77 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 14:16:35 nF81q5UU0
>>75
済みません、
『としているのか』ではなく、『しようとしているのか』となります。


78 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 14:45:38 nF81q5UU0
>>74
済みません、誤字を発見したので修正させていただきます。
『飛び越えより』ではなく『飛び越えよう』となります。


79 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 17:24:02 nF81q5UU0
投下します。


80 : 敬意《リスペクト》 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 17:24:38 nF81q5UU0
──攫ったペラペラのキノピオを利用して、砂漠に眠る遺跡を改造してまで作ったディスコ。
ギラギラに光るミラーボール。
その下で踊るオリガミの兵隊達。
これまた攫ったキノピオに用意させたノリにノれる音楽。
そして遺跡にやって来た侵入者達。
嘗ての主─オリー王から託されたカミテープを護る役目を持ちながらであったがノリノリに踊りながら楽しめた侵入者との戦い。
そしてフィナーレにはダンスホールの皆で迎えた自分へのカウントダウン。

─思えば、あの一時は最高だった。

だがしかし、その後に呼ばれた場所は、それを全て台無しにするかの様な赤黒い空に、ガタガタとただつまらない音を鳴らす歯車が付いた巨塔。
そして自分たちに変な紋章のついた爆弾を取り付け、殺し合いをしろと言い、見知らぬ少女達を弄ぶ様に殺した少女達。
同じブンボー軍団のメンバーであったハサミでも喜んでやりそうな残虐さ。
そんな参加者の一体であるパンチは、主催者達が許せなかった。

(おれっチのディスコを盛り上げてくれた皆、オリガミの嬢ちゃん、そして何よりおれっチに見事勝利出来たペラペラの赤帽子サン、これまでの償いも兼ねて、他に巻き込まれてきたヤツらを…絶対に勝利へ導いてみせるゼ!)

彼は、過去に自分を倒した相手─マリオやその仲間たち…敵であった彼らにさえリスペクトの念を抱いていた。


81 : 敬意《リスペクト》 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 17:25:29 nF81q5UU0
嘗ては自分が所属していた、同じグループのメンバー達に負けず劣らずの残虐非道な悪事を働いていたのだが、それはもう過去の話。

パンチは殺し合いに抗う者達に協力し、尽くす覚悟を決めたのであった──

【パンチ@ペーパーマリオ オリガミキング】
[状態]:健康 覚悟(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに反対の参加者達に協力する。
1:敵対的な相手に関しては、説得出来ない様であれば戦うべき…?
[備考]
※消滅後からの参戦となります。
※デイパックが支給されていない代わりに、パンチ本体の内部に支給品が入っています。
※制限により、空間に穴を開ける能力は使用不可能となっております。
※その他能力の制限については後続の書き手にお任せします。


82 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 17:25:52 nF81q5UU0
投下終了です。


83 : ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 21:00:34 dQeHQn460
投下します


84 : ソレゾレの始まり ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 21:08:20 dQeHQn460
「ひっ、やっ、嫌ぁっ!来ないでよぉっ!!」

久川颯にとって今の状況は悪夢でしかなかった。

気が付いたら気味の悪い場所に拉致された挙句、異様な雰囲気の女の子に殺し合いをしろと命令された。
おまけに逆らったら、拘束されていた少女のように首輪を爆破させられてしまう。
アイドルという一般人とは少し違う世界に生きているとはいえ、こんな異常事態に巻き込まれて平然としているなど不可能だ。

更に颯を絶望させているもの。
それが彼女の目の前に立つ参加者の存在だった。

成人男性よりも一回り巨大な体。
全身を継ぎ接ぎの鉄鎧に覆ったその者は、人間では無かった。
薄汚れた鉄兜の下の顔は人間では有りえない緑の肌をしており、ギラついた瞳で怯える颯を見下ろしている。

殺し合いが始まって直ぐに、颯はこの怪物に遭遇した。
おぞましい気配の怪物に恐怖を感じすぐさま逃げようとしたが、怪物はその巨体とは裏腹の俊敏な動きで颯を壁際まであっという間に追い詰めた。

怪物はまるで颯の反応を楽しむかのように、ゆっくりと距離を詰めていく。
怯えた颯が相手の顔を見ると、その目には自信に対する下卑た欲望が宿っているのが分かる。
怪物はきっと自分をただ殺すのでは無い。
もっと惨い、想像したくもないような事をする気なのだと颯は理解してしまう。

「や、やだっ!あっち行って!」

デイバックに入っていた金属バットを振り回す。
しかし、そんな抵抗も無意味に終わる。
怪物が鬱陶し気に右腕を振るうと、バットはあっさり両断された。
薄汚い見た目に不釣り合いな、華麗な装飾が施された西洋剣。
颯が身を守ろうと振るった武器は、怪物の武器に呆気なく壊されてしまった。

いよいよ後が無くなった颯は目に涙を浮かべながら後ずさる。
逃げようにも背後は行き止まり。
デイバックに入っていた武器らしい道具は今斬られたバットのみ。
自分よりも大きな体を持つ怪物に素手で立ち向かった所で、結果は目に見えている。

(嘘でしょ…こんな奴にはーは……)

獲物がもう何も出来なくなったと分かった怪物が、徐々に近づいてくる。
怪物の歪められた瞳と吐き気のしそうな体臭が、颯の恐怖を大きく煽った。

「やっ、こんなのやだぁっ!なー!Pちゃん!助けて、助けてぇっ!!」

颯の泣き叫ぶ声に怪物は一層笑みを深くし、手を伸ばす。


「変身!!」
――Shot rise


突如として腕を引っ込め後方に飛び退く。
怪物がさっきまで立っていたいた位置を、銃弾が通過したのはほぼ同時だった。

乱入した何者かに向けて怪物は怒りの籠った視線を、颯は未だ涙の流れる瞳で困惑の視線を向ける。
彼らの視線の先には、スーツ姿の男が銃を構えていた。


◆◇◆


85 : ソレゾレの始まり ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 21:09:39 dQeHQn460
「ふざけやがって…!」

不破諫は湧き上がる怒りのままに拳を壁に叩きつけた。
拳から伝わって来る鈍い痛みが、この状況が夢では無いと理解させてくるようだった。

エスとシンクネットの引き起こした事件を解決した矢先に、このクソッタレな事態だ。

自分を含めた大勢の命を握り殺し合いを強要する。
あろうことか笑みを浮かべ人の命を平然と踏みにじる。
メフィスとフェレスの邪悪と言う言葉すら生温い所業に、元々気の長い方では無い不破の怒りは頂点に達していた。

「何の目的か知らねえが、お前らの好きにさせるかよ…!」

この薄気味悪い空が広がる街だろうと、不破のやる事は決まっている。
主催者達を倒し、殺し合いを潰す。
誰の命令だろうと納得できなければ逆らい、自分の敷いたルールのみに従って生きる不破らしいシンプルな方針。
この先何があろうと、不破が己の決意を曲げる事は断じて無いだろう。

とはいえ、自分一人だけではどうにもならないという事も同時に理解している。

参加者たちの命を縛る黒い首輪。
これがある限り何をしたって主催者達への勝ち目は無い。
如何に強力な武器や能力があろうと、連中の意思一つで勝負が決まってしまう。
更に現状では主催者の戦力は未知数だ。
殺し合いを仕組んだ者はメフィスとフェレス以外にも存在するのかも、いったいどんな能力を持っているのかも不明である。
不破本人としては当然負ける気は無いが、敵の情報もマトモに知らず突っ込んで返り討ちに遭いましたとなる訳にもいかない。
首輪を解除できる技術者と、背中を預けられる仲間。
そんな人物も探しておきたい所だ。

(ひょっとしたらあいつらも連れて来られてるかもしれないか…)

思い浮かぶのは飛電或人を始めとする戦友たち。
彼らならば絶対に殺し合いに乗るような真似はせず、主催者を倒す為に戦う道を選ぶはず。
加えて刃唯阿や亡ならば首輪を外せるかもしれない。
支給された名簿には何も記されていなかったので、或人達も参加しているかは不明だが探してみる価値はある。

が、そんな思考は唐突に聞こえた甲高い悲鳴によって中断させられた。
声からすると、少女のようである。

「クソッ!早速誰かおっ始めやがったか!?」

悪態を吐きながら悲鳴が聞こえた方へ走り出す。
誰かは知らないが、グズグズしていたら手遅れになるのは間違いない。
焦る不破の脳裏に思い起こされるのは、最初に殺された少女たちの姿。
これ以上彼女たちのような犠牲を出してたまるかと、脇目も振らずに駆け抜けた。

やがて目に入ったのは、剣を持った異形が少女に襲い掛かろうとしている場面。
異形の醜悪な笑みを見た不破は、躊躇せずこじ開けたプログライズキーを愛銃に叩き込み、引き金を引いた。


◇◆◇


86 : ソレゾレの始まり ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 21:12:00 dQeHQn460
「GORARARA…!!!」

小鬼聖騎士(ゴブリンパラディン)は不機嫌だった。

忌々しい冒険者によって今まで蓄えて来た食料や武器、何より孕み袋にする女共を全て奪われた。
それだけではなく、冒険者が引き起こした雪崩に同胞諸共飲み込まれ呆気なくその生涯を終えてしまった。

そのはずが、何故か自分は生き返っていたのだから最初は困惑したものだ。
だがその困惑は、徐々に自分に首輪を填めた2人の小娘への怒りに変わっていった。

尤も、彼は一般のゴブリンよりも遥かに優れた頭脳を持っている。
故に怒りはあれど、考え無しに動くという事はしない。
今すぐにでも首輪を外し、あの小娘共を嬲ってやりたい所だがそれが不可能である事は理解している。
まずは自分が生き残る事を優先すべきだと、怒りを抑えながら考えた。
生きていれば小娘共への復讐の機会は幾らでも訪れるが、死んでしまえば不可能だ。

その為に小鬼聖騎士がやる事は、四方世界にいた時と全く同じ。
武器も食料も、使える物は全て他者から奪う。
以前に冒険者から奪った銀剣は所持していなかったが、代わりの武器は小娘共から与えられた袋に入っていた。
手にした剣は、銀剣よりも上等な物であると思わせる程の美しさがあった。
馬鹿な同胞とは違う自分に相応しい武器を手に入れ、満足気に歩いていた所で見つけたのは只人の少女。
孕み袋としても、他の冒険者に対する肉の盾としても、何より絶好の玩具としても価値のあるメスを見逃すつもりは無い。
メフィスとフェレスに苛つかされた事へのストレス発散も含めて、わざと少女のの恐怖心を煽るように襲い掛かった。

そうしていざ楽しもうとしたというのに邪魔された。

怒りを籠めて邪魔をした男を睨みつける。
男の服装は見た事がないが軽装であり、冒険者のように鎧は身に着けていない。
しかし手に持った短筒は面倒だ。
ならばこの怯えた少女を盾にでもするかと考えた瞬間、有り得ない事が起こった。
今しがた避けた弾丸が、普通ではあり得ない軌道を描いて男の方に戻って行った。

男が躊躇せずに弾丸へ拳を叩きつけると、拡散した弾丸が全身を覆い出す。
一瞬の内に男は青と白の装甲と、狼にも似た仮面を着けた姿に変わっていた。

――Shooing Wolf
――"The elevation increases as the bullet is fired."

「え、えぇ!?」
「GROABA!?」

いきなり現れたかと思えば、奇妙な姿に変わった男に颯と小鬼聖騎士は素っ頓狂な声を上げる。

「マギアやレイダーじゃ無いようだが、その娘を殺そうってんなら容赦しねえ」

変身した男、不破諫は彼らの困惑を意に介さず怪物を睨みつける。
汚れた鎧を纏った怪物はレイドライザーやゼツメライザーを装着していない。
つまり自分の知らない未知の相手という事になる。
だが、だからといってここで引いてはあの少女を見捨てる事になってしまう。
そんな選択は不破の中に存在しない。

困惑から意識を取り戻し剣を構える小鬼聖騎士へ向けて、不破は臆する事無く駆け出した。


87 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 21:12:01 nF81q5UU0
投下します。


88 : ソレゾレの始まり ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 21:12:42 dQeHQn460
【不破諫@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:健康、バルカンに変身中
[装備]:エイムズショットライザー+シューティングウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをぶっ潰す
1:目の前の怪物を倒して少女を保護する
2:一般人の保護
3:刃達がいるのなら合流したい
[備考]
※参戦時期は劇場版終了後。

【久川颯@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、現状への不安と恐怖
[装備]:金属バット(破損)@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(武器になりそうな物は無い)
[思考・状況]
基本支給品:死にたくない
1:この人は…?
2:緑の怪物が怖い
[備考]
※参戦時期は不明。

【小鬼聖騎士@ゴブリンスレイヤー】
[状態]:健康
[装備]:勝利すべき黄金の剣@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:生き残る
1:目の前の男を殺す
2:他の者から装備や食料を奪う
3:男は餌にする。女は使い道が豊富なので生かして捕えたい
[備考]
※参戦時期は死亡後。

【エイムズショットライザー@仮面ライダーゼロワン】
A.I.M.S.が所有する拳銃型の変身ツール。Z-CONバンドと言うバックルとのセット。
装填したプログライズキーを認証し、トリガーを引く事で仮面ライダーへと変身する。
武器としても使用可能であり、50口径対ヒューマギア徹甲弾を生成し射出する。
変身前でも撃てるが反動は大きい。

【シューティングウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワン】
狼のデータイメージが保存された青いキー。
ショットライザーに装填すれば仮面ライダーバルカンに変身できる。

【金属バット@ひぐらしのなく頃に】
北条悟史が所有していたバット。
叔母を撲殺するのに使った。

【勝利すべき黄金の剣(カリバーン)@Fate/Grand Order】
セイバー・リリィの宝具である王を選定する為の剣。
武器として以上に王権の象徴としての性質が強い。


89 : 生き物 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 21:12:44 nF81q5UU0
(あんな風に人を殺すなんて…ヒドイのら
!)

おかっぱ頭の少年、栗田まことがこの殺し合いについて憤りを感じていた。

しかし、彼は小学生ではあるのだが、自分が生活していた町、童守町(どうもりちょう)を中心に霊や妖怪達の引き起こす事件をクラスメイトや霊能力を持った担任教師─鵺野鳴介達と共に解決してきた。

河童と出会った事で不発弾を発見して生徒達を救ったり、童守町に厄災を引き起こそうとしていた男を阻止したりと…

そんな彼が怯えながら、辺りを見渡していると…。

近くの水場に1羽の鳥が居た。
その鳥には参加者の証である、首輪が取り付けられている。
デイパックも嘴に咥えている。

まことはおそるおそるその鳥に近づいてみる。

すると鳥は飛んで逃げて行ってしまった。

落胆するまこと。

しかし鳥が飛び去ってから少し経つと…

今度は突然、魚が飛んできた。

果たして、彼の運命は─?

【栗田まこと@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:健康、恐怖(中〜大)、飛んできた魚に対する驚き(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしたくない
1:ビックリしたのら!
2:あの鳥さん(鴨)、大丈夫なのら?心配なのら…

【鴨@星の子ポロン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生存優先
[備考]
『狼ハンターの巻』にて、自身と同じ池に居たもう1羽の鴨と共に、自分たちを撃とうとした狼ハンターを空に連れ去り、落とした後からの参戦となります。

【魚@焼肉きんぐCM】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み?)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに優勝して、願いを叶える。
1:あの人間(まこと)を襲う。
[備考]
※殺し合いのルールは把握しております。


90 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 21:13:02 nF81q5UU0
投下終了です。


91 : ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 21:14:16 dQeHQn460
もう一つ投下します


92 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/14(日) 21:14:57 nF81q5UU0
済みません。
鴨の方の備考欄にも、『※殺し合いのルールを理解しております。』を追加します。


93 : Death wish ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 21:15:15 dQeHQn460
忘れはしない。
あの夢のような一夜を。
生涯で最も満足がいった戦争を。

あの燃え盛るロンドンで、全てを出し切って殺し合った。

ありったけのモーゼルM712の銃弾をぶっ放してやった。
自慢の牙で噛み砕いてやった。
鍛え上げた肉体を総動員し、一発一発にありったけの殺意を籠めてやった。

その果てに、自分は彼女に負けた。
女吸血鬼と、彼女が取り込んだ傭兵に敗れた。
もうずっと前、いつかの戦争での強奪品を心臓にブチ込まれて、殺された。

あの時自分が感じたのは、圧倒的な喜び。

何度も何度も勝ち続け、生き延びて来てしまったが、ようやく満足のいく死を迎えられたのだ。
喜ばないはずがあるものか。

けれど、自分はまだ生きている。
厳密に言うと、生き返らされたのかもしれない。
どちらでも良い事だ。
こうして生きているのなら、また死にそびれたのなら仕方ない。

殺し合いがお望みならば、その通りにしてやろう。
男も女も子供も老人も強者も弱者も人間も化物も。
一切合切を殺し尽くしてやろう。

炎に包まれたロンドンではない、血のような色の月が照らすこの場所に、無数の死を与えてやろう。

そして今度こそ、己の命を終わらせよう。


【大尉@HELLSING】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:戦って、死ぬ
1:参加者を探す
[備考]
※参戦時期は死亡後。


94 : ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 21:16:07 dQeHQn460
投下終了です


95 : ◆.EKyuDaHEo :2021/03/14(日) 21:48:09 Wa4gFWDw0
投下します


96 : ──『信頼』『助け合い』そして『仲間』── ◆.EKyuDaHEo :2021/03/14(日) 21:49:10 Wa4gFWDw0
「お?ここ...どこ?それにやたらと空が赤くて暗いゾ?」


彼、野原しんのすけは知らない場所にいた、そしてさっきまでの出来事を思い返す


「えっと確か...目が覚めたら知らないところにいて...変な女の子がよく分からないことを言い出して...あ〜訳が分からないゾ〜!」


しんのすけは情報量の多さに頭を抱えた、超人で知られる彼だがそれでもまだ5歳児だ...分からなくて当然である...すると...


『しんのすけくん...しんのすけくん...』
「お?誰かがオラの名前を呼んでる...バックから聞こえるゾ」


突然しんのすけの名前を呼ぶ声が聞こえ、そしてしんのすけは声がするデイパックを開けると声の主が正体を表した


「お久しぶりですね、しんのすけくん」
「シリマルダシ...?でもこの声どっかで......あ!もしかしてミライマン?」
「はい、時空調整員のミライマンです」


デイパックから出てきた怪獣のぬいぐるみ...に憑依している『ミライマン』。
ミライマンは以前しんのすけや野原一家と怪獣を元の世界に戻すために共に戦ってきた未来の時空調整員。元々は光の球だったがシリマルダシに憑依している


「本当にお久しぶりぶりですな〜」
「えぇ、本当にあの時はありがとうございました」
「いいのいいの〜、困ってる人をお助けするのは正義のヒーローの役目ですからな〜♪」
「しんのすけくんは相変わらず正義に満ち溢れていますね、さすがは共に戦ってくれた英雄です」
「いや〜それほどでも〜」


そんな会話をしていたが、しんのすけがミライマンに質問する


「そういえばミライマン、オラ目が覚めたら全然知らない場所にいたんだけど...一体何が起きてるの?」
「...分かりません...ですが、とんでもないことが起きていることは間違いありません」
「とんでもないこと?」
「しんのすけくん、確かデイパックに紙が入ってませんでしたか?」
「紙?えっと...これのこと?」


しんのすけはミライマンに殺し合いについて書かれた紙を見せた


「...なるほど...」(しかし...これをしんのすけくんに言っても理解できるでしょうか...)
「どうしたのミライマン?」
「あ、いえ......しんのすけくんは...困ってる人がいたらどうしますか?」


ミライマンはこの殺し合いについてしんのすけに教えよか考えたが...しかし、色んな修羅場をくぐり抜けたしんのすけだがそれでもまだ5歳...殺し合いのルールについて理解するのは難しいと思いミライマンはしんのすけに「困ってる人がいたらどうする」という質問をした...そしてしんのすけの答えは...


「困ってる人がいたら?それはもちろんお助けしてあげたいゾ!特に綺麗なお姉さんをお助けしたいゾ〜」
「ハハハ、相変わらずですね、しんのすけくん...」


苦笑いしたミライマンだが、しんのすけの答えは十分な物だった...確かにこの殺し合いのルールを理解してないと厳しい道筋になると思う...だがしんのすけなら何とかしてくれる...その可能性にミライマンは賭けるしかなかった


「とりあえず誰かいるか探しにいこっかな」
「そうですね、とにかく今は少しでも力を貸してくれる人が欲しいですね」
「そうですな〜...お?あそこに誰かいるゾ!行ってみよ〜」
「あ、しんのすけくん!...本当に...大丈夫ですかね...」


しんのすけは周りを見渡すと人影を見つけて一目散にその人影の方へ走っていった
ミライマンも不安を抱きながらしんのすけについていった



◆◆◆


97 : ──『信頼』『助け合い』そして『仲間』── ◆.EKyuDaHEo :2021/03/14(日) 21:50:14 Wa4gFWDw0



「はぁ〜...これからどうしたらいいのよ...」


少女、アリサ・バニングスは今の状況に混乱していた、突然知らない場所に連れてこられ、知らない少女に殺し合いをしろと言われたあげく見に覚えのない場所に転送されていた


「元の場所に帰りたい...」


普段気が強い性格だがそれでもまだ小学3年生...空は赤く薄暗くて知らない場所へ転送されどうしたらいいのか分からず不安がどんどんでかくなっていき涙を浮かべる...その時...


「どうかしたの?」
「!」


突然声が聞こえ驚いて振り向くが自分よりも幼い、5歳ぐらいの男の子がアリサに声をかけていた...


「な、何でもないわよ...ていうかあんた誰?」
「オラ?オラは野原しんのすけ!ふたば幼稚園ひまわり組のちょっとシャイな5歳児だゾ〜」
「...あたしはアリサよ...アリサ・バニングス」
「エルザ・バーニング?」
「アリサ・バニングスよ!!」
「そうともいう〜♪そういえばアリサちゃん何だか声がタミさんに似てるような...ま、いいや」


アリサは怒鳴ってツッコんだ、だが不思議で仕方がなかった...何故こんな状況でものんきでいられるのだろうか...


「それで...あたしに何かよう?」
「お?オラはアリサちゃんをお助けしに来たんだゾ!」
「あたしを助けに...?てか何でちゃん付けなのよ」
「まぁまぁ細かいことは気にしない気にしない」
(...やっぱり変なやつ...でも何だろう...この気持ち...)


アリサはしんのすけのことを変なやつだと思ったが何故か不安な気持ちが薄れていき安心感が強くなっていった


「でも何であたしを助けてくれるのよ...?」
「だってアリサちゃん...泣いてたでしょ?」
「!!そ、そんなわけ...」


しんのすけはアリサが泣いていたのに気づいていた、アリサは誤魔化そうとしたが本当のことだったため誤魔化すことができなかった


「オラ、泣いてる女の子を見捨てるなんてできないゾ...男は女を守るものだってとうちゃんもよく言ってた...それに助け合うのがお仲間だゾ!オラは正義のヒーローだからアリサちゃんをお助けするゾ!」


そう言うとしんのすけは隣で浮遊していた怪獣の人形らしきものを掴んで決めポーズをした


98 : ──『信頼』『助け合い』そして『仲間』── ◆.EKyuDaHEo :2021/03/14(日) 21:51:34 Wa4gFWDw0


(まだ5歳なのに...凄い勇気...それにあの一生懸命でまっすぐな目...なのはと同じだな...)


しんのすけの言葉はアリサの心の奥底まで響いていた、まだ会ったばかりの自分にも手を差し伸べてくれて支えてくれた...そしてしんのすけのまっすぐな目はアリサの友達、なのはと同じだった...アリサはかつてなのはに助けてもらったことがあり、その時も一生懸命でまっすぐな目をしていた...アリサは感謝の言葉を告げようとするが照れてしまってどうしても言い方がきつくなってしまう


「い、一応感謝はしておくわ!///」
「もう素直じゃないですな〜」
「う、うるさいわよ!///ところでその隣で浮遊してる怪獣の人形みたいなのなんなの?」
「これ?これはミライマンだゾ!」
「はじめまして、ミライマンです」
「うわ!?人形が喋った!?」
「あ〜、やっとまともな驚き方をしてもらえました...しんのすけくん達には全然驚かれませんでしたからね...」
「いや〜それほどでも〜♪」
「いやそれ褒められてないでしょ...」


そんな会話をしている時にミライマンがアリサに質問した


「ところでアリサさん、このバトルロワイアルのルールは理解していますか?」
「一応理解はしているわ、でもあたし一人だったからどうしたらいいか分からなかったのよね...」
「そこでカッコいいオラがアリサちゃんをお助けにしに来たわけですな!」
「...言い方ムカつくけど...まぁ、カッコよかったのは少しだけ認めるわ」
「え?...そ、それほどでも〜...///」
(あら?...ふふ、変わったやつだけど幼稚園児らしい反応はするのね、意外と可愛いところもあるじゃない)


てっきりスルーされるのかと思っていたのか、アリサの返ってきた言葉にしんのすけは素直に照れてそれを見たアリサはクスクス笑った、そしてしんのすけが照れてる間にミライマンはアリサに呼び掛けた


「アリサさん、ちょっといいですか?」
「ん?どうかしたの?」
「恐らくしんのすけくんはこの殺し合いについてあまり理解してないんだと思います」
「え!?そうなの?」
「はい...確かにしんのすけくんは様々な修羅場をくぐり抜けた英雄です...しかしそれでも彼はまだ5歳です、このことについて理解するのは中々厳しいと思います...」
「確かに...」


言われてみればしんのすけはまだ5歳、この殺し合いについて理解するのは難しい...さっきまでは何であんなにのんきだったのか不思議だったが彼特有の無邪気さなんだとアリサは思った


「それに、アリサさんからも正義の心が見えます...私を持って変身と唱えるとアリサさんが思い描いた姿に変身することができます...」
「なのは達みたいに変身することができるのね...」


アリサはそう呟くとしんのすけが言った言葉を思い出す


ーーー助け合うのがお仲間だゾ!ーーー


(助け合うのが仲間...ね...)


自分より遥かに幼いしんのすけから言われた言葉はアリサの心を強くしていた


「しんのすけがあんなに頑張ろうとしてるんだもん...あたしもあいつのお姉ちゃんポジションとして頑張らなくちゃ!!」


アリサもしんのすけに負けないぐらい頑張るという気持ちをもって立ち上がった、その時にしんのすけが質問した


「で...これからどうしよう?アリサちゃん何か思い付かない?」
「そうね...とりあえず支給された物を確認したり地図を見ましょ、何かあった時のために備えておいた方がいいわ」
「ほうほう、備えあればうがいなしですな!」
「憂いなしね...ていうか良く知ってるわね...」


そしてしんのすけとアリサは支給品と地図を確認するために安全な場所を探し始めた


「...ありがとう...しんのすけ...」
「お?何か言った?」
「べ、別に何でもないわよ!///」


アリサはしんのすけに聞こえない声で感謝の言葉を言うがハッキリとは聞こえなかったが何か言ったのに気づいたしんのすけは聞き返すがアリサは照れながら誤魔化した
どんな試練が待ち受けるかは分からない...それでも希望を持って少年少女は進んでいく...


99 : ──『信頼』『助け合い』そして『仲間』── ◆.EKyuDaHEo :2021/03/14(日) 21:51:51 Wa4gFWDw0

【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃん伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:困ってる人をお助けする
1.正義のヒーローとしてアリサちゃんをお守りするゾ!
[備考]
・殺し合いについて理解できていません

【アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]
基本行動方針:ひとまず支給品と地図を見るために安全な場所を探す
1.しんのすけに負けないように頑張らなくちゃ!!
2.いざとなれば自分が変身してしんのすけを守る
[備考]
・参戦時期は少なくともなのは達が魔法少女だと知った後です


【支給品】

【シリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんち
野原しんのすけに支給。
見た目は普通の怪獣の人形だが時空調整員のミライマンが人形に憑依している。
シリマルダシを持ち「変身!」と唱えるとミライマンの力を借りて変身することができる
ただし回数は5回まで
(※変身してない時はシリマルダシ(ミライマン)は[道具]表示、変身した場合[装備]表示とします)


100 : ──『信頼』『助け合い』そして『仲間』── ◆.EKyuDaHEo :2021/03/14(日) 21:52:03 Wa4gFWDw0
投下終了します


101 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/14(日) 21:59:16 jK.ognAs0
投下します。


102 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/14(日) 22:01:48 jK.ognAs0
紅い月が平城京を照らしている。

しかし、その男には月の色、空の色を認識することはできない。

「フン……随分と悪趣味じゃねえか」

ポツリとそう呟く。
顔の大部分は仮面に隠されており、その表情を伺うことはできない。
しかし、その声色には隠しきれない怒りが込められていた。



男は名前を捨てる前は弁護士だった。

そして名前を捨てた後、検事となった。

そして最後には殺人者となった。



「アンタだったらこんなときどうするんだ?」

男は愛した女、そして今はいない女のことを思った。


オレは綾里真宵を本当に守りたかったのか?
ただ、自分の決して満たされない復讐心に手を伸ばしたかっただけではないのか?

オレには一生分かることはない。


だが、この場に呼ばれたということは、やはりオレは誰かを守らねばならないということなのだろうか。
こんなふざけたゲームを許しておくほどオレは腐ってはいない。

「アンタだったらこんなことは絶対に許しておかないだろうな」

オレは千尋を守れなかった。
そんな自分が許せなかった。

それならばーーオレはただ自分なりに足掻くだけだ。



【ゴドー@逆転裁判3】
[状態]:健康
{装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:戦えない参加者がいたら保護する。
2:協力者できる者がいたら合流したい。
[備考]
※参戦時期は本編終了後。


103 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/14(日) 22:03:00 jK.ognAs0
投下を終了します。
タイトルは「空と月の色は──」です。


104 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/03/14(日) 22:08:04 j7Sf8bzM0
投下します


105 : 害獣 ◆IOg1FjsOH2 :2021/03/14(日) 22:08:24 j7Sf8bzM0
「ちくしょおぉぉぉぉぉおお!!!!」

怒号の声をあげる少年がいた。
彼の名は小杉太、入江小学校3年4組の男子生徒である。
ここまで怒りを露わにしている原因は悪趣味なデスゲームに巻き込まれたから、ではない。

メフィスとフェレスがルール説明をしている中、小杉はずっと眠っており
この場所でバトルロワイアルが行われている事すらも気付いていなかった。
ならばなぜこの少年は怒っているのか、それは……。

「俺の給食をぉぉぉぉ!!よくもぉぉぉぉ!!」

給食を食べる寸前で連れてこられたからである。
しかも、今日のメニューは焼き豚チャーハンで小杉の大好物であり
今月の献立表を見た時から楽しみに待ち続けていた、というのに
その楽しみを目の前で掻っ攫われてしまったのである。

「うがあぁぁぁあああああ!!ぜっっってぇぇ許せねえ!!
 俺をこんな場所に連れてきた奴!出てこぉいッ!!」

もしメフィスとフェレスがルールを説明している最中で目が覚めたら
間違いなく喚き散らしながら大暴れし
首輪を爆破され命を落としていたのは言うまでもないだろう。
このデブに時と場合を弁える知能なんて持ち合わせて無いのだから。

「ん?なんだこりゃ?」

そこでようやくデイバックの存在に気付いた。
中身を漁ると様々な道具が入っていたのだが

「お、食い物見っけ!いっただきま〜す♪」

このデブの視界には水と携帯食料しか映らなかった。
見つけ次第すぐさま口の中に放り込み、一瞬にして食べ尽くしてしまった。

「ああああああああああ!!足りねぇええええええ!!もっと食わせろォォォォ!!」

焼き豚チャーハンと携帯食料ではあまりにも割りに合わず
とても小杉の食欲を満たすには至らなかった。

「他に食い物は無いのか?だったらこんなものいらねえ!!」

このデブはあろうことか
基本支給品一式やランダム支給品を全てデイバックから放り捨ててしまった。
例え、バトルロワイアルをやらされていることなど知らなかったとしても
どこかも分からない場所に連れてこられたのなら
自衛や探索のために、武器やサバイバルに必要な道具を手放そうとは普通は考えない。

だがこのデブからすれば必要なのは食料のみであり
他の道具は、より多くの食料を詰め込むのに邪魔にしかならないのだ。

「どこだ?他に食い物のある場所は!?」

小杉が周囲をきょろきょろしながら歩き出した、その時――。


106 : 害獣 ◆IOg1FjsOH2 :2021/03/14(日) 22:08:59 j7Sf8bzM0


「てんてんどんどん♪てんどんどん♪ふっくら衣の揚げたてエビ天♪おつゆの染みたご飯がおつザンスゥ〜♪」

バトルロワイアルに参加させられた不安をかき消すように
ノリノリで歌いながら歩く男の名はてんどんまん。
箸で頭のどんぶりを鳴らしながら歩いていると

「食い物ぉぉぉぉぉ!!!!」
「ヒィィィィィィィィッ!!」

恐ろしい形相で突然現れた少年に、てんどんまんは驚いて腰を抜かす。
捕食獣の様に鋭い眼光でてんどんまんを睨みつけ、口からは唾液がドバドバと零れ落ちる。
てんどんまんのどんぷりから漂う天丼の香ばしい匂いに小杉は正気を失っていた。

「君は誰ザンス!?」
「その頭の食い物を寄こせぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「い……嫌アアアアアアアアア!!」

小杉はてんどんまんの体に馬乗りになり
頭のどんぶりを両手で押さえつけると
大口を開けて中の天丼にむさぼり付いた。

「ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ!!!!」
「ぎゃああああああああああああああああ!!!!」

これはもう捕食を通り越して凌辱であった。
てんどんまんは小杉の圧倒的暴力に蹂躙され、為す術も無く食い尽された。

「うう……酷いザンス」
「いや〜美味かった美味かった♪……でもちょっと食い足りないなぁ」

てんどんまんの天丼を全部平らげておいて、このデブはまだ食い足りないという。
何か食い物は、と辺りを見るとてんどんまんのデイバックに目を付けた。

「おい!それを俺に寄こせ」
「あ、ちょっと」

てんどんまんからデイバックをひったくると
中身の携帯食料と水を奪い盗って食べ始めた。

「そ……それはアタシのザンス」
「うるせぇ!!これは俺のだ!!」

ドン!

「あっ」

小杉はデイバックを取り返そうとしたてんどんまんに思いっきり肘打ちすると
てんどんまんの体は大きく突き飛ばされた。

不運は続くものである……。
地面には大きな石が落ちていた。

頭の中身を喰われ、弱っていたてんどんまんは受け身を取る事も出来ず
てんどんまんの後頭部は地面の石に向かって、勢いよく落下し、そして――。

ガシャンッ!!

てんどんまんの頭のどんぶりは粉々に砕け、絶命した。

【てんどんまん@それいけ!アンパンマン 死亡】

「ありゃ?」

どんぶりが割れた音に反応して振り返ると
てんどんまんが首無し死体となっていることに気付く。すると……

「ふん、俺の食事を邪魔するからこうなるんだ」

このデブは全く悪びれなかった。
てんどんまんの携帯食料も食い尽すと自分の時と同じように
デイバックを逆さにして全ての支給品を放り捨てた。

「これで食い物が沢山入れられるぜ」

この常軌を逸したデブの行動、それは平和な日常でも変わらない。
自分の食欲を満たすためならクラスメイトに迷惑をかけ、親を泣かす事も厭わない。
その結果、痛い目に遭うことは一度や二度ならず、何度でもあった。
それでもこのデブは学習せず、目の前の食欲を満たす為なら後先考えずに動く。

もはや言うまでも無いだろう。
このデブは今後、他の参加者達に多大な迷惑をかけ続けるだろう。
こいつは人ではない。
本能のままに動き、人に害を為す獣。
まさに『害獣』である。

【小杉太@ちびまる子ちゃん】
[状態]:健康、腹八分目
[装備]:なし
[道具]:空のデイバック×2
[思考・状況]
基本行動方針:食料を探す。
1.どこかに美味い食い物無いかなぁ。
[備考]
※参戦時期は給食を食べる直前です。
※バトルロワイアルのルールを一切把握していません。


107 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/03/14(日) 22:09:20 j7Sf8bzM0
投下終了です


108 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 22:29:19 POrD0mSg0
投下します。
コンペロワにて投下したものを修正し、またそこに天気の子ロワにて投下したものから一部を流用・修正したものです。


109 : その日、少女は運命に出会う ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 22:33:46 POrD0mSg0
「…なんで…なんであんなっ…ひどいことを…!」

儚げな雰囲気を纏った、銀髪の幼い少女は一人震える声を漏らす。

彼女の名はサーニャ・V・リトヴャク。本名はアレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャクで、第501統合戦闘航空団、通称ストライクウィッチーズに所属し、仲間たちと共に正体不明の敵であるネウロイと戦うナイトウィッチである。

夜間哨戒を終えた後、眠りについたサーニャが次に目覚めたのはこの殺し合いの場であった。
最初は眠っている間に殺し合いに呼ばれたのと、まだ脳が覚醒しきっていなかった為に、彼女はこの恐ろしい現実を夢だと思い込んでいた、いや…思い込もうとしていた。

しかしサーニャはすぐさま現実へと引き戻される。主催により見せしめの首輪が爆発されたのだ。さっきまで確かに生きていた者が、たった一瞬の内に頭部が無くなった肉塊と化す様を目の当たりにする羽目になったのである。

サーニャの意識は覚醒した。いや───否が応でも覚醒せざるを得なかった。目の前の惨状を現実の物だと認識した瞬間、彼女の喉奥から吐き気が迫り上がってくる。必死にそれを堪えたが、涙と恐怖を堪えることは出来なかった。

軍人とはいえ彼女はまだ15歳の少女で、ネウロイと戦った経験こそ多いが、人と殺し合いになるような戦いをした経験も無ければ、先程まで命だったものが目の前で散らばった経験も、この時の彼女には無かったのである。

会場に飛ばされた後には、徐々に落ち着きを取り戻し始めていたものの、今度は先程認識出来ていなかった感情がサーニャの心の中に広がっていく。

「…助けられたかもしれないのに…私…何も…なにも出来なかった…。
…私の…バカ…なんで…動かなかったの……!」

それは罪悪感と、主催や自分自身に対する怒りであった。殺された見せしめは、サーニャにとっては名も知らぬ赤の他人であった。万が一見せしめを助けれたとしても、新たな見せしめに選ばれるのはサーニャ自身だっただろう。しかし…それでも彼女は助けたかった。

知らない人だったとしても、それは決して見捨てる理由にはならないのだと…そう思っていた。だからこそサーニャは怒りを抱く。理不尽に人の命を奪い、殺し合いを強要させる主催に。そしてあの瞬間、恐怖で足が竦んでしまい、助けることが出来たかもしれない相手を見殺しにしてしまった自分自身にも。

「…ごめんなさいっ…助けてあげられなくって……!
……償いになるかなんてわからないけど、せめてあなたの犠牲は…無駄にはしないわ…主催にいる人たちを倒して、こんなふざけた殺し合いなんて止めなくっちゃ……!」

犠牲になった名も知らない相手に謝りながら、サーニャは主催打倒の決意を固める。それが私にできることなのだと、彼女はそう思った。

その後、サーニャは支給されていたバッグの中身を確認する。中に入っていたのはよくわからない機器らしき物、水と半日分の食べ物、ルールが様々な言語で書かれた紙に、何も書かれていない名簿、武器にはなりそうにないアイテムが3つ。彼女が普段使用しているストライカーユニットであるMiG I-225も、強力な武器であり魔法を込めると威力が上がる特性を持つフリーガーハマーも、バッグの中には無かった。

「…そんな…ない…どこにも、ない…このままじゃっ…」

ウィッチの能力や固有魔法を十全に発揮する為には、ストライカーユニットが必要不可欠であった。それが無く、更に武器すら持たない今、彼女には誰かを助ける力はおろか、自らの身を守る力すらなかった。

「…こんな時、エイラや芳佳ちゃんや、みんなが居てくれたら…。
…ううん、そんな弱音を言っちゃダメよ私…少なくともここには、私しか居ないんだから…しっかりしなくちゃ…とりあえず、まずは探しにいかないと…!」

つい弱音を吐きそうになるも抑え込み、ユニットとフリーガーハマーを探す為に、サーニャは行動しようと考える。仲間たちがもし巻き込まれているのなら、合流しなければいけないとも。

だが、この時の彼女は気付いていなかった。既に襲撃者が付近に近付いている事に───。


110 : その日、少女は運命に出会う ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 22:34:18 POrD0mSg0
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衛宮士郎は憤りを感じていた。

「もう少し近ければ、助けられたのに…俺はっ…また…!」

見せしめが殺された際、彼は離れた所にいた。助けようと動いたにも関わらず、間に合わなかったのだ。正義の味方になると決めたにも関わらず、彼は見せしめを救う事が出来なかったのである。

それ故に彼は、殺し合いを強要しようとする主催たちと、届かなかった自分に対しての憤りを抱えていたのであった。

その感情を抱えたまま、士郎はデイバッグの中身を確認しようとする。その時であった。

「…いやっ…だれ、かっ…誰か、助け…てっ…!!」

士郎の耳に、少女の悲痛な叫び声が届く。その声を聞いた瞬間に、士郎の脳裏にある光景が浮かび上がった。目の前で英雄王ギルガメッシュに殺され、心臓を抜き取られたバーサーカーのマスターの少女───イリヤスフィールの姿が。

…あの時も、先程の見せしめにされた少女のように士郎は止める事も、助ける事も出来なかった。だが───今は違う。

「っ…待ってろ!今、助けに行くからな!」

正義の味方として───今度こそ、助けてみせる。そう思いながら士郎は、居てもたってもいられずに、バッグの中身を確認する事をやめて、叫びが聞こえた方向へと走り出して行った。
----

「やっ…こ、来ないでっ…!」

サーニャは両腕に刃物を装備した、ネウロイとは明らかに異なる謎の襲撃者の手により追い詰められていた。この場から移動しようとしたところで、いつのまにか襲われてしまったのである。当然彼女はその場から逃げようとしたが…

「来ないでっ、お願い…来ないでよ……ひゃあっ!?」

涙目になりながら、サーニャは震える声でそう言いこの場から少しでも離れようと走る…も、恐怖故か転けてしまう。ウィッチといえど彼女は15歳の子供、しかもユニットはおろか武器になり得る物をなにも持っていない為…転けなくてもどの道追いつかれていた事には変わりはなかっただろうが。

殺意を纏いながら近づいて来る襲撃者を見て、サーニャは、これから自分がどうなってしまうのかを悟ってしまう。

「…いやっ…だれ、かっ…誰か、助け…てっ……!!」

とうとうサーニャは泣き叫んでしまう。無駄だとわかり切っていても、それでも助けを求めずにはいられなかったのだ。その結果…彼女の助けを呼ぶ声は、無駄にはならなかった。

「───投影(トレース)、開始(オン)!」

襲撃者によって、サーニャがその幼い命を奪われそうになったその時であった。投影魔術の詠唱をし、手に双剣を出現させた青年が、襲撃者の刃物を受け止めたのは。


111 : その日、少女は運命に出会う ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 22:36:06 POrD0mSg0
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「はっ!ふっ!てやぁっ!」
「……」

叫び声を上げながら青年は双剣で、襲撃者と斬り合って行く。彼が不意を突いたのもあって、襲撃者は対応が遅れてしまい、そのまま劣勢へと追い込まれていく…しかし襲撃者は飛び蹴りを行い、青年を吹っ飛ばした。それと同時に、サーニャをこの場で殺してから撤退するか、撤退を最優先にするかを天秤にかけて…その場から撤退する事にした。

その一部始終を見ていたサーニャはというと…武器さえ有れば…と悔しさを感じながらも、助けが来てくれた事をとても嬉しく思っていた。しかし彼女は、ある勘違いをしてしまっていたのである。

(…何もないところから、いきなり剣を…あの人、もしかして…男のウィッチ、なの…?)

ウィッチに志願する前、サーニャはピアノの勉強をする合間に、ウィッチに関する書物を沢山読んでいた。それ故に彼女は、ネウロイが攻めて来た際に、すぐに志願してウィッチになる事が出来たのだが、その書物の中のある本には「ごく稀にだが、男でありながら魔法力を持ちウィッチとして戦っていた人物も存在する」と記述があった。

彼女はそれを覚えていたが為、自分を助けてくれた目の前の青年を男のウィッチだと勘違いしているのである。

そんな事も露知らず、青年は申し訳なさそうな表情をしながら、心配そうにサーニャに声をかける

「…悪い、逃げられた。…それはそうと、大丈夫か!?」

「…は、はい…なんとか…」

そうか、ああ───今度は、間に合ったんだな。士郎はそう思いながらも、目の前にいる儚げな少女に対して、優しげに自己紹介をする。

「俺は衛宮士郎。殺し合いには乗ってない。…君は…」

衛宮士郎…そう名乗った、無愛想に見えるが優しげな青年を、サーニャはあっさり信用する事にした。彼が居なければ、今頃自分はあの恐ろしい襲撃者によって上半身と下半身が泣き別れにされていたかも知れない…というのもあるが、それとは別に、自分の無事を伝えた際に彼が、心底安心したかのように息をつき、安堵の表情を浮かべたところを見たからでもある。

少なくとも彼女には…彼が本心から自分の事を、自分の身を案じてくれたのだという事がわかったのだ。

「…サーニャ、サーニャ・V・リトヴャク…です…。…私も…殺し合いには、乗ってません。…その…サーニャって…呼んでください…」

照れ屋故に少し緊張しながらも、彼女はそう自己紹介を返したのであった。


112 : その日、少女は運命に出会う ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 22:36:59 POrD0mSg0
【サーニャ・V・リトヴャク@ストライクウィッチーズシリーズ】
[状態]:健康、精神的疲労(中)、襲撃者への恐怖、ダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを止める
1:衛宮さんに助けてくれたお礼を言いたい。
2:ユニットとフリーガーハマーを探さないと…。
3:もし、エイラや芳佳ちゃんたちまでこの殺し合いに巻き込まれているのなら…早く合流しなきゃ…。
4:…助けられなくって…ごめんなさい…。
[備考]
※参戦時期は「ストライクウィッチーズ 劇場版」よりも後、「ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」よりも前です。
※士郎の事を男性なのにも関わらず魔法力を持っているウィッチだと勘違いしています。また彼の事を扶桑の人間だと勘違いしています。
※本人はまだ気付いてませんが彼女の固有魔法には制限がかけられています。(感知出来る範囲が大幅に狭まっている)
※ランダム支給品の中には(彼女から見て)武器になりそうな物は無かったようです。
※劇場版時点での作中舞台が1945年なので(現代基準で)それ以降に誕生・及び発展した物や技術についての知識はありません。

【衛宮士郎@Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 】
[状態]:健康、肉体的疲労(小) 、安堵
[装備]:現在はなし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2、烈風丸@ストライクウィッチーズ2
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを打破する
1:正義の味方として、一人でも多くの人を救う。
2:とりあえず情報を交換したい。
3:この子(サーニャ)の声を聞くと、何処となく彼女の───イリヤスフィールの事を思い出す…。
4:…ところで、なんでそんな格好してるんだ…?
5:そういえば、バッグの中身を確認するのを忘れてたな…。
[備考]
※参戦時期は少なくとも16話よりは後で25話よりは前です。
※サーニャの事をロシア系の一般人だと思っています。また彼女が下に履いているのが短めのスカート(ベルト)とタイツ(ズボン)だけな事が気になっている様子です。
※バッグの中には烈風丸が入っていますがまだバッグを開けていません。
※詳しい参戦時期がいつなのかや、投影出来る武器の数や持続時間に制限がかかっているか否か、固有結界が使用可能な場合にどのような制限がかかっているか、などについては後続の書き手に任せます。
※また魔術使いである彼が烈風丸を使用した際にどうなるのか、投影した際に烈風斬や真・烈風斬を使用できるか否かも後続の書き手に任せます。
※干将・莫耶@Fate/stay nightを投影しました。
※作中舞台が2004年なので(現代基準で)それ以降に誕生・および発展した物や技術についての知識はありません。

【干将・莫耶@Fate/stay night】
元は古代中国の呉の国の刀匠干将と妻の莫耶が作った夫婦剣でありアーチャー(エミヤ)のメインウェポン。
互いが互いを磁力のように弾き合う性質を持つ他、二つ揃いで装備した場合対物理と対魔力が上昇する効果がある。
UBWルートにおいては葛木戦にて士郎が不完全な状態ながらも投影に成功、以降この双剣は士郎の投影魔術の主力として使われ続ける事となる。
アーチャーはこの武器を用いる事で鶴翼三連や干将・莫耶オーバーエッジを使用可能だが、前者はこのルートの士郎は使う事が出来ず後者はどのルートでも使用されていない(恐らく不可能)。

【烈風丸@ストライクウィッチーズ2】
ストライクウィッチーズ2にて坂本美緒少佐が自らの魔力を込めて打った扶桑刀
(現実でいう所の日本刀)。
刀身自体がシールドの役割を果たし、ネウロイのビームを切り裂けるほどの力がある。
しかし魔力を保有している者が使った場合、使えば使うほど使用者の魔力を吸い取って行く諸刃の剣である。
坂本少佐はこの刀で烈風斬
(刀の切っ先に魔法力を一極集中させる事によりコアごとネウロイを両断可能な技)
を使用している他、最終回にて宮藤芳佳がこの刀を手にした際には真・烈風斬という技により、それまで攻撃が一切通用していなかったコアが巨大化したネウロイの破壊に成功している。
(ただし使用した芳佳は魔法力(=ウィッチとしての力)
を完全に失った。その後「ストライクウィッチーズ2」最終話の最後のカットで、彼女のストライカーユニットである震電と共に海岸に打ち上げられている姿が映っていたが、震電は劇場版にて魔法力が戻った芳佳の元に戻ったものの、烈風丸がどうなったのかは不明である。
なお原作及びキャラクター原案を担当している島田フミカネ氏は、「ストライクウィッチーズ2」放送当時に、デフォルメされた西沢義子
(リバウの魔王とも呼ばれる扶桑のウィッチ)
が砂浜に漂着していた烈風丸を掲げた落書きを描いていたらしい。)


113 : その日、少女は運命に出会う ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 22:37:40 POrD0mSg0
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一方襲撃者は、次なる標的を探して動いていた。
襲撃者の名は、奇怪宇宙人ツルク星人。地球に来た理由は「地球侵略が目的」とされているが、それらしき行為を一切せず、言葉を介さずに不特定多数の人間を殺傷する通り魔的な犯行を繰り返している凶悪宇宙人である。
彼…或いは彼女にとっては、他の参加者はただ殺す対象でしかなく、願いに対する興味も無かった。
…この殺し合いにおいてのツルク星人の目的はただ一つ、主催も含めた全てを殺し尽くす事である。

【ツルク星人@ウルトラマンレオ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:ただ全てを殺す。理由など無い
0:発見した参加者を殺しにかかる。先程のように防がれて分が悪いようならその場は撤退。しかしいずれは殺す。
1:例えウルトラマンが居ようと関係無し。殺すのみ。
2:巨大な相手や、参加者が複数人纏っている場合には、巨大化を試し出来るようなら纏めて殺す。出来ないのなら1人ずつ殺していく。
3:殺した相手の支給品は貰っておく。意志を持つ類の物は殺すが、後回しの方がいいかもしれない。
4:首輪を解除しようとしてる参加者は殺すのは後回し。解除方法が確立されたら可能な参加者を脅して解除させた後に殺す。
[備考]
※参戦時期は後続にお任せします。
※等身大の状態での参戦です。巨大化形態になれるかどうかは不明です。
※なお、作中ではウルトラマンレオを象った宇宙金属製のレリーフを、通り魔を行った現場にわざと落としたり、ガードレールを飛び越える際に両手の刃物を外していたり、巨大化した際は両腕に手指と刃物が同居している為、ツルク星人の刃物は着脱式か、手先を変化する事が可能なのかのどちらかだと思われます。


114 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/14(日) 22:38:17 POrD0mSg0
投下終了します。


115 : ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 23:30:49 dQeHQn460
投下します


116 : その手に掴むもの ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 23:31:45 dQeHQn460
「どうしてこんな事に…」

紅の月が照らす平安京の一画。
錆びた遊具がポツポツと配置されている公園で、一人の少女が憂鬱気な声を漏らした。

塗装の剥がれ掛かったベンチにちょこんと座る少女の名は酢乙女あい。
ふたば幼稚園に転園して来たお金持ちのお嬢様である。

普段は幼稚園児らしからぬ大人びた一面を多く見せている彼女だが、やはりまだ5歳の女の子。
大の大人であっても震え上がりそうな事態に直面し、動揺を隠せずにいた。

これが悪い夢や悪趣味なドッキリなどなら、どんなに良かっただろうか。
けれど、夢と言うには肌に感じる夜風の冷たさと、自分がいる街から感じる異様な気配はリアリティが有り過ぎる。
ドッキリと言うには、殺された少女のから漂ってきた血の臭いと人々の悲鳴や怒声は、決してお芝居などでは無いように思えた。

「しん様…あい、とっても怖いですわ……」

自身が愛してやまない野原しんのすけなら、こんな状況でもマイペースに、漢らしく行動するのだろう。
叶うならば今すぐ自分の傍に駆け付けて欲しい。
だけど、大好きな彼まで巻き込まれて欲しくはない。
俯くあいの心の中で、二つの反する思いがグルグルと渦巻く。

「ねぇ、大丈夫?」

ふと、誰かが声を掛けて来た。
はっと顔を上げると、目に入ったのはあいよりもずっと年上の人物。
橙色の肌に縞模様のツノが入ったような頭髪。
額と頬に施された白いタトゥーという奇妙な外見の少女だった。

警戒と困惑の混じったあいの視線を受けた少女は、相手を怖がらせないようにか両手を上げ、笑顔で口を開いた。

「あー、突然話しかけてごめんなさい。驚いたわよね。でも、私はあなたを傷つけるつもりなんてないわ」


○●○


悪逆非道な少女達への怒りはあった。
だけど驚きは無かった。
高潔と謳われたジェダイですら時を経てその在り方を歪め、自らの過ちを認められない傲慢な存在に成り下がる。
強さと優しさを兼ね備えた、「フォースにバランスをもたらす者」ですら暗黒面の誘惑には抗えなかった。
だからそう。
殺し合いを開いた彼女達もまた、本当の正しさを見失った者なのだろうと思った。

だからと言って、殺し合いを見過ごせるかどうかは別問題だ。
ジェダイオーダーは滅びたが、それは自分が戦いを放棄する理由にはならない。
殺し合いの目的が何なのかは分からないし、銀河帝国が関係しているかどうか知る由もないけれど。

(アナキン…。それでも私は、私の信じるものの為に戦う。力を持たない人たちが虐げられるなら、私はそれを止めたい)

その信念は今も昔も変わらない。
腰に差した、嘗て誰よりも尊敬した師匠の武器をに一瞬だけ視線を向けると、再度少女へと話しかけた。


【酢乙女あい@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康、不安
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうしましょう…
1:目の前の女の人と話をする?
[備考]
※参戦時期はしんのすけに惚れて以降のどこか。

【アソーカ・タノ@STAR WARS】
[状態]:健康
[装備]:アナキンのライトセーバー@STAR WARS
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:目の前の少女を保護する。その為にまず警戒心を解きたい
[備考]
※参戦時期はクローン・ウォーズ ファイナルシーズン終了後。

【アナキンのライトセーバー@STAR WARS】
アナキン・スカイウォーカーがクローン戦争中に組み立てた二本目のライトセーバー。
青いカイバー・クリスタルを内蔵している。
後に彼の息子であるルーク・スカイウォーカー、そしてパルパティーンの孫であるレイの手に渡った。


117 : ◆ytUSxp038U :2021/03/14(日) 23:32:22 dQeHQn460
投下終了です


118 : ◆NYzTZnBoCI :2021/03/15(月) 11:32:58 9MCY.HTo0
投下します。


119 : 掲げよう勝利のフラッグを ◆NYzTZnBoCI :2021/03/15(月) 11:33:42 9MCY.HTo0

少年、豪炎寺修也は息を飲む。

鬱蒼とした森林の中でも特に背の高い木の上。片手を太枝に添えた状態で下界を見下ろす彼の瞳には一人の青年の後ろ姿が映っていた。
身長は自分よりも十センチほど上だろうか。風に靡く紺色の髪は赤の木漏れ日を帯びて黒に近い紫色となっている。

殺し合いに乗った者か否か。この場での対峙において最も重要な真偽も今の豪炎寺にとっては関係ない。
何故ならば豪炎寺にとって目の前の青年は殺さなければならない相手なのだから。

(……夕香)

彼にはどうしても生きなければならない理由がある。
妹である夕香を救わなければならない。彼女を人質にしたエイリア学園を潰す為にも、自分がこんなところで死ぬわけにはいかないのだ。
だからこそ豪炎寺は葛藤していた。果たしてそれは自分以外の命を奪ってまで成すべき事なのか。人と出会わなければ豪炎寺はずっと悩んだままだっただろう。

だが今、こうして出会ってしまった。
いよいよ覚悟を決めなければならない。いや、正しくは人の命を奪った後にその罪を抱え込む事で無理やり決意を固めようとしているのだ。
友への裏切り、妹へ向けられた監視。およそ中学生の少年が背負うには重すぎる重圧に豪炎寺は追い詰められていた。


120 : 掲げよう勝利のフラッグを ◆NYzTZnBoCI :2021/03/15(月) 11:34:27 9MCY.HTo0

(……すまない)

豪炎寺はポケットへ詰め込んでいた石の一つを手に取る。彼の武器はこれだ。
飛び道具としても一撃で仕留めるには心許ないそれ。しかし信じられぬ事に、彼の手にかかれば必殺の兵器と化す。
それは彼の投擲力が異様に優れている、などという単純な話ではなく。真上に軽く浮かすように投げられたそれへ合わせるように豪炎寺の両足は木を離れ、空中で時計回りに回転を得る。
いつの間にか豪炎寺の身体は炎の渦を纏い、空の色にも負けぬ紅蓮を乗せた左足が石を蹴り抜いた。


「──ファイアトルネードッ!!」


それまでただの石だったものは炎となり、砲弾となる。
残光を引く火球は恐ろしいほど正確に森を歩く青年の後頭部へと向かい、その頭蓋を叩き割らんと迫った。

これこそが豪炎寺の必殺たる理由。
炎のエースストライカーの称号を欲しいままにしてきた彼だからこそ成し得る神業。軽く放ったものでも土手にクレーターを生成するほどの威力を持つそれはキーパーでもないただの人間が受け止めるには過剰な戦力だ。

故に豪炎寺はこの技を放つ事がイコール殺人に繋がると確信していた。
彼の覚悟は石を蹴り飛ばした時点で固められていた。

しかし次の瞬間、一度固められたそれは大きく揺らがざるを得なくなる。


121 : 掲げよう勝利のフラッグを ◆NYzTZnBoCI :2021/03/15(月) 11:35:19 9MCY.HTo0


「────はぁッ!」
「な……っ!?」


それは、ある種の神話のようだった。

射抜かれることを待つだけであった青年は唐突にザックからバットを取り出す──と、次の瞬間には火球は『打ち返されていた』。
放たれた瞬間まで後ろを見ることも無く、無防備な後ろ姿から振り返りざまに一振。ただのそれだけで豪炎寺の渾身のシュートは威力と速度をそのままに大木の一部をへし折る。
戻るべき足場を失った豪炎寺は完全に予想を裏切られたとばかりに口を開け、即座に思考が着地へシフトする。それは非現実的な光景から目を逸らす為の手段だった。

「……ッ、…………」

空中で身を捻り華麗な着地を決めながら豪炎寺は改めて目の前の青年へと向かい合う。
青年はどこまでも冷静で、それでいて見る者を圧倒する覇気を兼ね備えている。ビリビリと肌を打つ痺れのようなものを豪炎寺は気合いで搔き消した。

「君、サッカープレイヤーかい?」
「……だったらなんだ」
「大した事じゃない」

今まさに命を狙われたというのに青年は穏和な声色で問う。豪炎寺はその間、逃走や戦闘という選択肢の一切を奪われ応答を迫られた。
満足のいく答えだったのか、バットを握り直した青年は軽く二、三度素振りをしてみせる。凄まじいスイング力に圧巻されると同時に野球の知識に特別秀でていない豪炎寺でも違和感を抱く。
彼の素振りはバッターのそれではない。右手で握られたバットを斜め下から振り上げるような仕草は酷く洗練されていた。

違う、これは野球の構えではない。
己の知るスポーツの中で当てはめるのならば、これはまるで────




「サッカー選手と試合をするのは初めてだからね」




────テニスじゃないか。


122 : 掲げよう勝利のフラッグを ◆NYzTZnBoCI :2021/03/15(月) 11:36:55 9MCY.HTo0


青年、幸村精市は笑う。
目の前の少年は未知数だ。サッカーという一生関わることの無かったであろうフィールドと対峙する時が来るとは、この殺し合いも含めて人生とは分からないものだ。
だからこそ面白い。自分の力は果たしてどこまで通用するのか。己の限界は一体どこにあるのか────テニスという世界では味わえなかった力との対面は幸村の成長へと繋ぐ架け橋となる。

「さぁ、来るといい坊や。君の力はまだまだそんなものじゃないんだろう?」
「──……っ!」

安い挑発に乗った訳ではない。
豪炎寺も同じなのだ。今この瞬間、幸村というサッカー選手でない強敵との邂逅は決して無駄にすべきではない。
この男を乗り越える事で力を付けられるかもしれない。それこそ、雷門の力を借りずともエイリア学園から夕香を救い出せるほどに。

ポケットから取り出した石を宙に放つ。
言葉は無くともそれが試合開始の合図だと理解した幸村は静かに構えを落とす。豪炎寺は飛び立つ石を追うように地から足を離し、鳥の如く空を駆けた。

スポーツとは気高いもの。
スポーツとは美しいもの。
スポーツとは平和なもの。

一般的な常識で語られるそれらも殺し合いという状況下では全くの別物となる。
実戦向けの剣道や柔道が競技のものとはまるで別物のように。彼らで言うテニスとサッカーは常識で語れるものではない。

いうなればそれは、そう────超次元スポーツ。
常識の垣根を遥かに超えた領域に辿り着き、全く別の世界を生きてきた者同士が競い合う異種格闘技戦。
彼らの想い、葛藤、期待、情熱──それらは全てたった一つの石に込められる。

戦え少年達よ。
高め合い、競い合え。
誰もが一度は描いた夢──それを叶える資格は彼らの手にあるのだから。


【豪炎寺修也@イナズマイレブン】
[状態]:健康、葛藤
[装備]:石(ポケット一杯)@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本方針:夕香を助けるために生き残る。
1:目の前の敵を破る。

※エイリア学園編、雷門から離脱している最中からの参戦です。

【幸村精市@テニスの王子様】
[状態]:健康
[装備]:クロえもんのバット@ドラベース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(0〜2)
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いで自分の力を試す。
1:目の前の敵を破る。

※少なくとも全国大会決勝、越前との戦いを経た後からの参戦です。

【支給品紹介】
【クロえもんのバット@ドラベース】
ドラベースの主人公、クロえもんが愛用する金属バット。
クロえもんが右利きなため右利き用のグリップとなっている。


123 : ◆NYzTZnBoCI :2021/03/15(月) 11:37:37 9MCY.HTo0
投下終了です


124 : ──『信頼』『助け合い』そして『仲間』── ◆.EKyuDaHEo :2021/03/15(月) 11:49:58 T9T1N9vg0
ミスっている部分があったので修正します
・しんのすけの状態表の道具にシリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃん伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃と記載してますがシリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃんに変更します
後ミライマンの説明欄をちゃんと記載できてなかったので修正します
【シリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃん】
野原しんのすけに支給。
見た目は普通の怪獣の人形だが時空調整員のミライマンが人形に憑依している。
シリマルダシを持ち「変身!」と唱えるとミライマンの力を借りて変身することができる
ただし回数は5回まで
(※変身してない時はシリマルダシ(ミライマン)は[道具]表示、変身した場合[装備]表示とします)

以上で修正終わります


125 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/15(月) 17:06:58 lYKunIdE0
投下します


126 : 怪獣娘危し!炎のミュートスサイボーグ!! ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/15(月) 17:08:10 lYKunIdE0
「ハァ、ハァ…」

天上に登りし血の如き赤い月に照らされし平安京。

その中心を走る朱雀大路の道で、一人のうら若き少女が息を切らしながら逃げ回っていた。

「ハァハァ……!」

銀色の髪を三つ編みでまとめ、眼鏡とブレザーの学生服をまとった10代後半の少女……
『カプセル怪獣 ウインダム』の魂をその身に宿らせし怪獣娘・白銀レイカは、
息を荒くしながら朱雀大路のど真ん中を疾走していた……。
しかし……

「あっ!?」

突如、一条のレーザー光線がレイカの右足を射抜き、レイカの体は地面に大きく転がってしまったのだ。

「う、ウゥゥ……」

レイカは脚の痛みに歯を食いしばりながら耐えつつ、立ち上がろうとする……
だが、レーザー光線に射抜かれた傷跡は血こそ出てはいなかったが、
まるでその部分だけ焼けた火箸で刺されたのかと錯覚するほどに痛々しい火傷を負っており、
いかにレイカが怪獣娘とは言っても、
到底10代の少女では耐えることもできないほどの激痛がレイカを襲っていた。

あまりの激痛にレイカの顔は歪み、両の瞳からは涙が零れていた。

「フン……テコズラセオッテ」
「!?」

突如聞こえてきた声にレイカは顔を青ざめる。
レイカと同年代か、1つ2つ年上くらいの若い男の声だ。

恐る恐るレイカが顔を後ろに向けると……
そこには、一人の少年が立っていた。

年齢は10代後半くらい。
顔立ちはまるでモデルかアイドルのように整っており、
古代ギリシャの人々が着ていたような白いローブのような服とマントを身に着けている。
その頭髪は、まるで燃える炎のように赤く揺らめき、
その整った顔と服装と合わせて、まるで神話の世界から抜け出した本物の神のような印象を与えていた。

だが、その神々しさすら感じさせる顔や姿に反してその少年の両目は黒く濁っており、
口元には禍々しさすら感じる怪しい笑みを浮かべていたのだ。

「あ、あ……」

少年に追いつかれた事に気づき、レイカの顔は絶望に沈んだかのように暗くなり、
両目から涙が流れた。

「……今、楽ニシテヤロウ」

少年は地面に転んだまま動けないレイカに向けて右手の掌を向ける。
すると、少年の掌に赤い炎が灯り……その炎はレイカに向かって飛んで行ったのだ。

「い、イヤアアアアアアアア!!!!」

レイカは死を覚悟し、自身の頭を抱えて悲鳴を上げた。





(……?)


しかし、いつまでたってもその瞬間は訪れず、レイカは恐る恐る目を開けた。

すると……

「……大丈夫かい?」


127 : 怪獣娘危し!炎のミュートスサイボーグ!! ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/15(月) 17:08:38 lYKunIdE0
レイカと少年の間にまた別の人物が立っていた。

顔を銀色の鉄仮面で隠し、首元に黒マフラーを巻いた人物。
その手には両端に赤いグリップのついた長い棒を持ち、その長い棒を少年からレイカを庇うように構えていた。

「……キサマ、何者ダ?」

少年からの問いかけに対し、仮面の人物は自身の持つ棒のグリップのボタンを操作する。
すると、長い棒はその形状が変化し、フェンシングなどで使われるような細身の剣へと変わると、
仮面の人物は手に持った細身の剣で空中に『X』と書いて、高らかに名乗りを上げた。



「仮面ライダー、X!!」



「か、仮面……ライダー?」
「ホォ……」

仮面の人物……仮面ライダーXの名乗りにレイカは脚の激痛も忘れて呆気にとられ、
少年もまた興味深そうな笑みを浮かべた。

そこで少年は仮面ライダーXに向けて掌からの炎を浴びせかけた……が、

「ライドル風車!!」

仮面ライダーXは手に持った剣のグリップのボタンを操作して、細身の剣を長い棒へと変えると、
その中央部を握ってプロペラ状に高速回転させて、炎を弾き飛ばしたのだ!

「チィッ!」

少年が自らに飛んできた炎を紙一重で避ける……
次の瞬間、少年の前から仮面ライダーXとレイカの姿は消えていたのだった。

「チッ……逃シタカ」


せっかくの獲物に逃げられて少年は悔しそうに舌打ちを打つが、
すぐに踵を返して、また新たな獲物を求めてそこから去っていった……。

【八神将枠:歳殺神】
【アポロン@サイボーグ009】
[状態]健康、狂気で目が黒く濁っている
[装備]無し
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
誰でもいいから殺したい
[備考]
平成アニメシリーズからの参戦


128 : 怪獣娘危し!炎のミュートスサイボーグ!! ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/15(月) 17:09:02 lYKunIdE0
一方その頃‐

「ふぅ〜……とりあえず、ここなら大丈夫だろ」
「……」

少年……アポロンから逃れた仮面ライダーXとレイカの二人は神泉苑に隠れていた。
仮面ライダーXはすでに変身を解いており、サラっとした黒髪を肩で切りそろえた青年……
本来の神敬介の姿へと戻っていた。

「……///」

一方、レイカは顔を赤く染めていた。
というのも……
今、
レイカは敬介に、
いわゆる『お姫様抱っこ』をされていたからだ。

「ん?どうかしたのかい?顔が赤くなっているけど?」
「い、いえいえいえいえいえ!!な、何でもないです!!!はい!!!」

心配そうに問いかける敬介に、レイカはテンパりながら大丈夫だと伝えたが……
内心では心臓がバクバク言っていた。

所謂『腐女子』であり、怪獣娘として同性の友人とばかり付き合っているレイカにとって、
年上の、それも白馬の王子のように自分の命を助けてくれた男性にお姫様抱っこしてもらう
というのは、あまりに刺激が強すぎる経験だった。

そこへ、敬介はレイカの額に自身の掌を当てた。

「!?」
「う〜ん……少し熱があるなぁ。とりあえず、脚の怪我の手当もしとかないと……」
「あ、あの、その、あの……」

もはやレイカは限界だった。

「」ボフンッ!

とうとうレイカの精神はオーバーヒートを起こし、
顔を熟れたリンゴのように真っ赤に染めて気を失ってしまった。

「あ!お、おい!!」

敬介は慌てて気を失ったレイカの体を揺するが、レイカは全く起きる気配がない。

しかし……

「え、えへ。えへへへ……」

レイカの顔には幸せそうな笑みが浮かんでおり、
口と鼻からはよだれと鼻血が漏れていたのだった。



【神敬介(仮面ライダーX)@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]健康、困惑
[装備]ライドル@仮面ライダーSPIRITS
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人々を助け、会場から脱出する
1:少女(レイカ)の手当てをする
2:なんでこの子、気絶したんだ?
3:他の仮面ライダーやSPIRITSの隊員がいるなら合流する
[備考]
無印単行本15巻付近からの参戦。

【白銀レイカ(ウインダム)@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
[状態]気絶、右脚負傷
[装備]無し
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人殺しはしない
1:気絶中…
2:エヘヘ…
[備考]
アニメ第二期からの参戦。


129 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/15(月) 17:09:30 lYKunIdE0
投下終了します


130 : ◆ytUSxp038U :2021/03/15(月) 17:37:31 dAhDAzwg0
投下します


131 : 赤い月夜に見た悪夢 ◆ytUSxp038U :2021/03/15(月) 17:39:13 dAhDAzwg0
『剣の話をするよりも俺は、兄上と双六や凧揚げがしたいです』

お前にとって剣の道は童遊び以下でしかないのだな

『いただいたこの笛を兄上だと思い、どれだけ離れていても挫けず、日々精進いたします』

そんなガラクタ、何がそれ程嬉しいと言うのか

『いつか、これから生まれてくる子どもたちが、私たちを超えてさらなる高みへと、登りつめてゆくんだ』

何が面白いというのだ。そんな未来など、想像しただけで吐き気がする

『お労しや、兄上』

何故だ。何故いつも、お前だけが特別なのだ

『俺も兄上のようになりたいです。この国で二番目に強い侍になります』

もうやめろ。私はお前が嫌いだ。



縁壱、私は……


○○○


132 : 赤い月夜に見た悪夢 ◆ytUSxp038U :2021/03/15(月) 17:40:52 dAhDAzwg0
「わーお。何だか凄いことになっちゃったぞ」

気味が悪い程に赤く染まった空の下、少女の口からそんな言葉が出た。
言葉だけ見たら呑気なことこの上ないが、彼女の様子からは現状に対する不安が見て取れた。

少女の名は久川凪。
346プロダクションに所属する双子アイドルの姉の方である。

「うーむ、新手のドッキリですか?ならばもっとキレの良いリアクションが求められてたり?でも初めてのドッキリが殺し合いだなんて、ブルッちまうぜ」

寮の自室にあるベッドに潜り、目を閉じた瞬間何故か殺し合いに参加していた。
当初は夢でも見ているのだと目を擦りながら考えていたが、拘束された少女の頭部が吹き飛んだ途端、凪の眠気も吹き飛んだ。
何が何だか分からず、オロオロしてたら何時の間にか街中にポツンと佇んでいたのだ。

「ハッ、もしかして、はーちゃんもここに来ているのでは?はーちゃんのエッチなハプニングがお茶の間に放送されるかもしれないなんて、凪ショック」

いったい何が起きているのかを自分なりに考えてみた。
まず夢ではない。
念の為に頬をつねってみたら普通に痛かったし、何より少女が殺された時の瞬間は、寝ぼけ半分だったにも関わらずハッキリと目に焼き付いている。
続いて考えたのは、これは番組か何かの企画ではないかと言うもの。
殺し合いなどと言う物騒な企画からして、深夜放送か何かかもしれない。
プロデューサーからは何も聞いていないが、事前に説明を受けていたらドッキリとは言わないだろう。

「それならまずははーちゃんを探しましょう。はーちゃんとのラッキースケベを味わうのは他でもない、この凪だ!」

しかし、本当にドッキリなのだろうか。

「…………」

メフィスとフェレスと名乗った2人の少女。
彼女達から感じられた、怖気の走るような笑みは、決してお芝居とは思えなかった。
寝ぼけていたとはいえ、頭部だけの女性が見せた悲しみの表情は、決して偽物とは思えなかった。
平安京の街に広がる、肌にねっとり纏わりつくような雰囲気は、明らかに異常だとしか思えなかった。

「はーちゃん……」

ドッキリでは無いのならば。
これが正真正銘、本当の殺し合いだと言うのなら。
そして何より、自分だけでなく妹まで参加させられているのなら。

颯は今もどこかで恐怖を味わっている。
悪意を持った参加者に襲われ、命の危機に陥っている。

そんな光景が思い浮かんだ瞬間、凪は走り出した。
その顔には、普段の彼女からは想像できないような、明確な焦りと不安が表れていた。
一刻も早く大切な妹を見つけなければ、という思いに突き動かされて、支給品の確認もせずに足を動かす。


133 : 赤い月夜に見た悪夢 ◆ytUSxp038U :2021/03/15(月) 17:41:53 dAhDAzwg0
久川凪が『彼』に出会ったのはその時だった。



道の真ん中に、一人の男が立っている。
男の格好は、凪から見ると酷く時代錯誤なものだった。

時代劇でしかお目にかかった事の無い着物。
腰に差した一本の刀。

現代の街中を歩いていれば、何かの撮影か、はたまたコスプレイヤーと思われそうな姿。
何とも奇妙な男を前にし凪は、――凍り付いたように動かなくなった。

男から感じられるのは、圧倒的な威圧感。
まるで首に抜き身の刃を当てられているような、感覚が凪に襲い掛かる。

「ぇ…ぁ…」

何かを言おうとするが上手く行かない。
後ずさろうとしても、何故か体が動かない。
果たして彼女は自分の全身が震え、歯がカチカチと鳴っているのに気付けただろうか。

男がゆっくりと歩み寄って来る。
その度に、札のような耳飾りが揺れている。
月の光に照らされて目にした男の顔には、炎のような痣が浮かんでいた。

男と凪の目が合う。
凪はそれだけで気絶しそうになった。
男が凪に向ける視線はどこまでも冷たい。
まるで彼女を人どころか物としてすら見ていないような視線であった。

「……」

男は何も言わない。
視線を凪に向けたまま、腰の刀を引き抜く。
ギラリと光る刀身に凪の全身が更に強張るが、男の様子に何ら変化は無い。

まるで道端の石ころを蹴とばすように、邪魔な羽虫を叩き落とすかのように。
何でもないことのように、凪の命を刈り取らんとする。

その瞬間、男目掛けて刃が奔った。


―――月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮


無数の目に見えぬ刃を纏った、神速の一撃。
如何なる達人であろうと回避は困難に思える攻撃。
だが男は顔色一つ変えずに、一撃を躱し、不可視の刃を己の刀で持って防いだ。

何が起こったのか分からず困惑する凪だが、眼前に立つ紫色の着物の男。
彼に助けられたのだと何とか理解して視線を上げ、再度凍り付いた。

男の顔は人間ではあり得ない、六つの眼が存在した。

六眼の男は凪には目もくれず、自身の攻撃を難なく防いだ男を凝視する。

「何故だ……お前は……」

男の事など何一つとして知らない凪にも、六眼の男が激しく動揺している事が分かる程に、男の声は震えていた。
必死に絞り出したであろう声は、まるで悲鳴のようにも聞こえた。

「お前は……一体何をしている……縁壱……!!」


134 : 赤い月夜に見た悪夢 ◆ytUSxp038U :2021/03/15(月) 17:52:25 dAhDAzwg0
●●●



私はただ、縁壱、お前になりたかったのだ



●●●


これは自分への罰なのだろうか。

上弦の壱・黒死牟にはそうとしか思えなかった。

無限城での戦いに敗れ、目覚めた先は赤い空に覆われた平安京。
ここが死者の行き着く場所、地獄なのかと思ったがどうも違うらしい。
だがどうでもいいことだ。
どんなろくでもない場所だろうと、今の自分にはお似合いだろう。

家を、妻子を、人間の身を、侍である事をも捨て去り。
結局何も得ることなく死んだ、惨めな敗北者らしい末路だ。
死んだ後地獄に落ちることすら許されず、こうして生を受けてしまった。
何と無様な姿か。

一度死んだ身だからだろうか、主の声は聞こえない。
とはいえ、今更ノコノコ顔を出しに行ったとして、主が再度自分を部下として迎え入れるかは不明だが。


当ても無くぼんやりしながら歩いた先で、信じられないものを見た。


双子の弟、継国縁壱。
四百年前の赤い月の夜。
自身の眼前で絶命したはずの弟がいた。
姿は最後に見た時の、枯れ木のような老人のものではない。
全盛期である青年の姿だった。

六つの眼を見開く黒死牟の視線の先で、縁壱は刀を抜いた。
傍にいるのは一人の少女。
誰がどう見ても、縁壱が少女を殺そうとしているのは明らかだった。

黒死牟にはその光景が信じられなかった。
少女が鬼だと言うのなら驚きはしない。
子どもの姿をしていようと、人を喰う化け物相手に今更躊躇はしないだろう。
しかし少女はただの人間だ。
それも鬼殺隊の剣士とは違い、戦う術を持たない無力な人間。
非の打ち所がない人格者である縁壱が、そんな少女を手にかけようとするなど、現実とは思えなかった。

気が付くと黒死牟は刀を抜いていた。

助けた形となった少女には目もくれず、黒死牟は弟に問いかける。

「兄上」

月の呼吸をあっさり防いだ縁壱は、薄っすらと笑みを浮かべた。

「我らがいるのは殺し合いの場。ならば、それに従う。ただそれだけではありませんか?」

何でもないような答えに、黒死牟は思わず刀を落としそうになった。

この男は本当に縁壱なのか?
縁壱は間違ってもそのような事を口にする男ではなかった。
だが今の動きは間違いなく縁壱の……。

黙りこくった兄を見て、縁壱は申し訳なさそうに言う。

「兄上との再会は喜ばしいですが、今はまだ兄上と剣を交える気はありません」
「なに……?」
「鬼である兄上は人を喰らう度に強くなるのでしょう?ならば、この地にいる人を喰らって更に強くなってください。
 私もその間、他の有象無象を排除しています。そうして最後の二人になった所で、存分に斬り合いましょう」

今度こそ、黒死牟は何も言えなかった。
縁壱は鬼である自分が人を喰うことを肯定し、あっさりと参加者を殺すと宣言してきた。
兄の反応を気にする事無く背を向けて、僅かに振り返る。

「そこの童女は兄上に差し上げます。喰らうも利用するも、兄上のご自由に」

それだけを告げ縁壱は離れていく。
視線を受けて震える凪と、呆然とする黒死亡はただその背を見送っていた。
姿が見えなくなるまで、縁壱が振り向く事は無かった。


135 : 赤い月夜に見た悪夢 ◆ytUSxp038U :2021/03/15(月) 17:53:59 dAhDAzwg0
【久川凪@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、精神疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:はーちゃんに会いたい
1:どうしよう…
[備考]
※参戦時期は不明。

【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:健康、激しい精神的ショック
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:?????
1:?????
[備考]
※参戦時期は死亡後。

【虚哭神去@鬼滅の刃】
黒死牟の体内で生み出された刀。
無数の目が浮き出ており、刀身には血管のような筋が走っている。
破損しても瞬時に再生できる他、複数の刃を生やすことも可能。


○●○


日の呼吸の剣士が、平安京を一人歩く。

死を振り撒く為に歩いて行く。

そこに嘗ての面影は無い。

辺獄の管理人と、悪しき陰陽師によって歪められた魂が戻る事は無い。

闇を払う日輪はもういない。


【八将神枠:歳刑神】
【継国縁壱@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:縁壱の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:全てを斬り、最後に兄上と殺し合う
1:兄上以外の参加者を殺す
[備考]
※鬼殺隊に所属していた頃の姿になっています。

【縁壱の日輪刀@鬼滅の刃】
太陽に一番近く、一年中陽の射すという陽光山で採れる猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石から打たれた日本刀。
継国縁壱は生涯に渡り振るい続けた。


136 : ◆ytUSxp038U :2021/03/15(月) 17:54:44 dAhDAzwg0
投下終了です


137 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/15(月) 18:21:07 gfkCC/QE0
投下します
コンペロワの候補作で投下したものを追記修正したものです


138 : 届かぬ星に手を伸ばして ◆2dNHP51a3Y :2021/03/15(月) 18:21:37 gfkCC/QE0
願いを求めてただ足掻く

それでも果てなく届かない

零れ落ちた未来を求めても

手を伸ばしても未だ届かぬ彼方の星


◯ ◯ ◯


「―――」

「―――」


大江山、月夜の代わりに赤き輝きが照らす茂みの中、沈黙の中で睨み合うは二人の男女

ただ一つ共通点があるとすれば……両者ともその瞳は濁っていることぐらいだ

「一つ聞かせてくれませんか……どうして貴方はこの殺し合いに乗ったのか」

最初に沈黙を破ったのは女の言葉だった

「随分余裕そうだな……どうしてそんな事を聞く?」
「いいえ、ただの興味本位ですよ。知らないで公開するよりも、知って後悔するほうがまだ楽だと思っただけです」
「……随分と変わった奴だな、服装含めて」
「……服装は余計です」

男の言葉に、女は淡々と応える。事実、男からすれば女の格好はだいぶ変わったものである
蒼の装飾が施された白いドレス、スカートの後ろ部分には天使を思わせるような小さな翼。まるで天からの御遣いを思わせるような美しい姿だ

「……幼馴染が居たんだ」
「……幼馴染?」
「ああ、ガキの頃荒れてばかりだった俺の唯一の心の拠り所だった。……シークレッドゲームって知ってるか?……まあPDAや個人ごとの首輪の爆破条件が定められている以外はこの殺し合いとあまり変わらない、これと同じ様なくそったれなゲームだ」
「……」

男は淡々と語る。男は、その幼馴染を通してでしか世界を愛せなかった。自分と違って、誰にでも優しく接する人物であった。それは、シークレッドゲームなる催しに巻き込まれた時も変わらなかった

「その時に色々あったが、大雑把な所は割愛させてもらう。……でだ、そのゲームの最中、色々あって俺が殺されそうになった時にな……その幼馴染は、……琴美は、俺を守るために」
「まさか、貴方を守るためにその人は」
「……琴美の首輪爆破条件は『自分を中心とした5つ並びのナンバーのプレイヤーに危害を加えない』。俺を襲っていた男のナンバーは8。……あとはもう分かるだろ?」

その幼馴染――吹石琴美は、男を守るために、結果としてその条件を満たしてしまった。そして死んだ。男にとって、彼女は必要な存在であったのだから、故に

「琴美を失った後に、意識が戻ればまた別の……本当の殺し合いだ。滑稽すぎて笑えるだろ?」
「……そうでしょうか、私は笑えませんよ、残酷すぎて」

女は理解した。男は、恐らく一番の拠り所であった少女を失って、壊れたのだろうと

「……その、琴美さんって人が死んだ時、あなたは泣きましたか?」
「――? ……泣いたさ、そりゃな」
「……羨ましいですね、泣ける貴方は。――私は泣くことが出来ないんです。とうに流す涙なんて枯れ果ててしまって」

女の返答に、少しだけ首を傾げながらも男は答える。その答えに、女は目を細めて呟いた。呟きの後、女は構えた剣を何故か鞘に収めた

「……なんの真似だ?」
「気が変わりました。今は殺さないであげます。――もし殺し合うのだったら、また出会ったその時に、なるんでしょうね」

女のその言葉と同時に一陣の風が吹き荒れる。吹き荒れた風は木の葉を撒き散らし男の視界を一時的に遮る。風が収まった時、女の姿はどこにもなかった

「……何だったんだ?」

再び静寂が戻った森の中、男はただ呆れ果てたように呟き、歩き始める
全ては大切な幼馴染を取り戻す、そのためだけに。
戦う理由があるのだから、世界を敵に回したっていい
願いが叶うのならば、この手で彼女をまた抱きしめたい

そのためだけに、男はこの殺し合いに乗ったのだから


139 : 届かぬ星に手を伸ばして ◆2dNHP51a3Y :2021/03/15(月) 18:22:00 gfkCC/QE0
◯ ◯ ◯


「――なんだ……私と、ほとんど同じじゃないですか」

少し離れた場所で 赤き夜に照らされ女は呟く
女にも、取り戻したい人がいる。ヨミガエリをさせたい家族が、妹がいる

女は、自分の妹を、或る女の奸計によって自ら殺してしまった
故に彼女は、妹のヨミガエリを望み、ここにいる

自分に関わってくれる仲間たちもいたが、既に彼女たちとは決別した
心の拠り所だった愛犬がいた、だけどもう死んでしまった

辺獄の管理人たるあの双子がどうしてこんな催しを開いたのか
そんな事は今更どうでもいい

今の彼女には、妹以外になにもないのだから

「……」

月光の輝きの下で、女は沈黙とともに歩き続ける。その道行きが、破滅であろうとも



届かぬ星に手を伸ばして

届かぬ願いに手を伸ばして

終わりなき深淵へ堕ちてゆく


男の名前は藤田修平

女の名前は幡田零


両者とも、取り戻したいモノの為、二人は血に塗れた道程を征く


【藤田修平@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜3
[思考]
基本:優勝して琴美を蘇らせる。邪魔をするやつは容赦はしない
1:一体何だったんだあの女は……
[備考]
エピソードA、琴美死亡後からの参戦です

【幡田零@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康、涙は流れない
[服装]:代行者の服装
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜3
[思考]
基本:優勝して、妹のヨミガエリを果たす
1:あの男とは、次にあった時は殺し合う事になる
[備考]
第四章、小衣たちと別れた後からの参戦です


140 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/15(月) 18:22:11 gfkCC/QE0
投下終了します


141 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/15(月) 18:55:16 fiN2R0/Y0
投下します


142 : 殺し合いをぶっ潰せ! ◆7PJBZrstcc :2021/03/15(月) 18:56:23 fiN2R0/Y0
「ジュラル星人め! 今度という今度は許さないぞ!」

 殺し合いの会場のどこかで、少年の叫び声が響く。
 彼の名前は泉研。2074年の未来で、ジュラル星人から地球を守るために戦うヒーローだ。

 ジュラル星人とは、地球征服を企む悪の宇宙人である。
 彼らは地球より500年進んだ文明を持っているが、故郷は滅亡の危機に瀕していた。
 そこで彼らは地球を侵略し、ここを新たなる居住星にしようと考えたのだ。

 そのジュラル星人に立ち向かうのが、泉研である。
 彼はチャージマン研というヒーローに変装し、ジュラル星人と戦っているのだ。

 そんな彼は、この殺し合いをジュラル星人が起こしたものだと断定していた。
 彼の周りで起こるトラブルや不思議な現象は大体ジュラルのせいの為、あながち間違いとも言い切れない。
 なので今回も、彼らが研の殺害の為に殺し合いを開いたと考えたのだ。

 ここで「ん?」疑問を持つ方もいるかもしれないが、ジュラル星人の作戦は基本的ななぜか回りくどい。
 もっと直接的にやれば殺せるのでは、という疑問を抱くことも多いくらいだ。

 なので「研を殺す気なら最初の見せしめに選ぶのでは?」や「そもそも攫えるなら殺す方法はいくらでもあるのでは?」というツッコミは研には通用しない。
 彼の中では殺し合いの主催者はジュラル星人、もしくはその仲間だと勝手に決めつけている。

「僕の装備を一部だけ奪うなんて、余裕のつもりなのか……?」

 そんな研でも、流石に疑問を覚えることもある。
 彼が不思議に思ったのは、彼が普段使う装備の一部だけが残っていることだ。その代わりにランダム支給品はなくなっていたが。

 研はチャージマン研として戦う際、四つの装備を使っている。
 変装するのに必要なスーツ、スペクトルアロー。
 ジュラルなら一撃で殺傷し、場合によっては催眠銃に切り替えることもできる光線銃、アルファーガン。
 光線の放射や竜巻を起こせるベルト、ビジュームベルト。
 ジェット噴射により空を飛べる靴、ガトロシューズ。
 このうち、今研が持っているのはスペクトルアローとアルファーガンだけである。

 なぜ全部奪わないのか。なぜ一部だけ奪ったのか。
 その答えは今の研には分からない。だがどんな理由があろうとも――

「ジュラル星人。僕が必ず、お前達を滅ぼしてやる!!」

 やたらと物騒な言葉と共に、研は殺し合いに抗う仲間を探すべく出発した。
 


【泉研@チャージマン研!】
[状態]:健康
[装備]:スペクトルアロー@チャージマン研!、アルファーガン@チャージマン研!
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:ジュラル星人(主催者)を全滅してやるぞ!
1:殺し合いに抗う仲間を探す
2:ジュラル星人は殺す
[備考]
主催者をジュラル星人、もしくはその仲間だと思っています。
ランダム支給品が支給されていない代わりに、研の装備を一部没収していません。


【スペクトルアロー@チャージマン研!】
泉研がチャージマン研に変装するために必要なスーツ。
変装の為には光が必要だが、火花程度の光でも変装可能。

【アルファーガン@チャージマン研!】
泉研がチャージマン研として主に使う武器。
黄色い光線を発射した際は、対象を一撃で破壊・殺傷する程に強力。
赤い光線に切り替えることで、麻酔銃として使用の可能。
本来なら変装後にのみ使用可能だが、このロワでは変装前で使用可能となっている。


143 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/15(月) 18:56:47 fiN2R0/Y0
投下終了です


144 : 名無しさん :2021/03/15(月) 19:41:32 .6.frBLE0
すみません、企画主様に質問があります。
八将神枠は4つありますが、この4つに名称以外の違いは存在するのでしょうか。
また八将神枠として投下する場合、既に投下された二人の方の作品のようにどの枠かも指定する必要はあるのでしょうか


145 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/15(月) 19:46:25 gfkCC/QE0
>>144
名称以外に明確な違いは存在しません
基本的に枠の指定は強制しませんのでご自由に
(もし指定されていない将神枠が当選した場合はこちら側で枠の当てはめを行います)


146 : 名無しさん :2021/03/15(月) 19:55:37 .6.frBLE0
>>145
迅速なご回答ありがとうございます。
本企画の益々の盛り上がりをお祈り申し上げます。


147 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:41:19 18g8Q6LE0
投下します


148 : I need a hero to save me now ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:43:52 18g8Q6LE0
ヒーローなんてどこにもいない。

どれだけ善良な者でも、どれだけ己に潜む悪に抗っていてもそんなものは関係ない。

正義に寄ろうが悪に寄ろうが、大きな力の前では等しく殺される程度の存在でしかないのだから。

それが現実。大人になればわかってしまう世界の真実だ。

―――嫌だ。そんな世界、認められない。

世界を変える力が手に入るなら必ず手に入れる。

己の手がどれだけ血に塗れようが周りにどれだけ害をまこうが、より善き世界の為ならなんだってしてみせる。

矛盾している。そんなことわかっている。

それでも必要なのだ。この救われるべき者が救われぬ悲しい世界にいなければならない。

ヒーローが。どんな悪にもどんな力にも絶対に屈しない全能の存在が。

だから。誰もいないなら―――私がヒーローになってやる。


149 : I need a hero to save me now ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:44:44 18g8Q6LE0




「ハァッ、ハァッ」

特撮ヒーローのような装甲に身を包んだ男―――堂島正は、息を切らしながら横たわるソレを見下ろしていた。
桃色の頭髪に、ふりふりとした衣装に身を包んだ少女。堂島は今しがた、彼女と戦い、討ち下したのだ。

堂島はこの会場に連れて来られる前、ある少年と戦っていた。
佐神善。かつて堂島が医者として命を救い、以降、親しい仲にあった少年である。
彼は言った。虐殺の果てに叶える望みなど認めない―――堂島の正義を認めないと。
堂島とてわかっていた。こんな形で望みを叶えたかったわけじゃない。
善人の被害を最小限に、ではない。善人の誰もが傷つくことなく願いを叶えたいと。
だが、そんな甘い幻想は通じない。どれだけ綺麗ごとを吐いても、大きな力の前では無意味に潰されるだけだ。
だから手段を選んでいる余裕などなかった。
そうしなければ自分が死んでいたから。死んでしまったら、『ヒーロー』がいなくなってしまうから。

だから―――堂島はこの殺し合いに巻き込まれても同じ道を選択した。
この殺し合いは先の戦い以上に残忍で残酷だ。
時間は三日間。逃げることは許されず、戦うことを強要され。
善でも悪でも最後まで殺し尽くした者だけが日の目を浴びることを許される。
堂島はそのルールに従う他なかった。
己の願いを果たし本当のヒーローになる為に。その為に、どんな者が立ち塞がろうとも斬らなければならない。
だから、彼は出会い頭に少女へと斬りかかった。
しかし、ただの一般市民と思えた彼女は、瞬く間にその姿を変え、堂島の剣に弓矢で対抗した。
普通の弓矢とは違う、どちらかと言えば衝撃波のような奇妙な矢。
堂島の有するヴァンパイアの力に酷似していたが、しかし彼に少女の力への興味はなかった―――否。
興味を持つ暇が無かった。
少しでもこの手の剣を、排除するという敵意を止めてしまえば、先ほどの決意が壊れてしまいそうだったから。
だから、今の自分が冷静さを失い、心に身体が追いついていないとわかっていながらも、彼は戦いを止めることが出来なかった。
振るう剣はあまりにも力任せ。あまりにも大雑把。今の堂島の戦い方は、普段からは考えられないような、ただ闇雲に剣を振るう、乱雑に操られた哀れなマリオネットのようなもの。
しかし、それでも素の身体スペックとその天性の戦闘センスだけで彼は少女を上回っていた。
少女は必死に抵抗していたが、しかし、均衡は長くは続かず―――堂島の剣が少女の腹を突くことで勝敗は決した。

「...すまないね。私は死ぬ訳にはいかないんだ」

呟き、剣を握る力を籠めなおす。
少女もまだ即死では無かったようで、その身体を血だまりに沈めながらも、荒く苦し気な呼吸が耳に届いている。
堂島は少女についてなにも知らない。しかし、せめて苦しみから解放してやろうと剣を振りかぶる。


150 : I need a hero to save me now ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:46:24 18g8Q6LE0

「...で」

声が届いた。絶え絶えの呼吸の合間から、必死に絞り出された声が。

「ろさ...ないで...」

きっと命乞いだろうと堂島は判断する。
それを非難するつもりはない。
誰だって死にたくはない。そこに善も悪もありはしない。
けれど、少女は放っておけば臓器の損傷か出血多量で死んでしまうだろう。
その間はただ苦しむだけだ。だから、こうしてしまった責任を取る為にも、恨まれるのは覚悟のうえで介錯する。

「だれも...ころさないで...」

振り下ろそうとした剣は止まってしまった。
少女は今にも命が尽きそうな中で、己の身よりも見知らぬ誰かの為に懇願していた。
その姿は、まるで―――

「そこのお前!」

呼びかけられる声に、堂島はハッと我に返る。
声の方へと顔を向ければ、いつの間にいたのか、紺色の学生服に身を包んだ青年が立っていた。

「事情はわからないが、もう勝負は着いているだろう。それ以上その娘に手を出すつもりなら見過ごせん」

青年は堂島の異形にも血まみれの現場にも怯むことなく、堂々と言ってのける。

「話があるなら聞こう。だが、どうしてもトドメを刺したいというなら俺が相手になってやる」

青年は両の拳を握りしめボクサーのように構える。
手にはメリケンサックが着けられているが、まさか剣相手に拳で挑もうというのか。
彼はそれほどまでに己の実力に自信があるというのだろうか。

(いや、違う。彼は実力差を感じ取っている)

青年の頬を伝う冷や汗は緊張と恐怖から来るものだ。
医者である堂島は、その経験から触れずともそれくらいのことは解っていた。
しかし、それでも戦おうとするその姿は。
堂島を止めようとするその姿は。
傷つき倒れた者を助けようとするその姿はまさに―――

「う、うわあああああああああ!!!」

いまこの場で最も強い力を持った者とは思えない程に、情けない悲鳴があがる。
突然の豹変に驚く青年にも構わず、まるで目の前の現実を拒絶するかのように、堂島の剣は縦に振り下ろされた。


151 : I need a hero to save me now ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:47:43 18g8Q6LE0



「ハァッ、ハァッ」

勝者とは思えないほどの苦し気な表情で、堂島は現場を後にする。
かつてないほどに息が苦しい。
心臓がキリキリと締め上げられる。
悪じゃない者を切ったのは初めてじゃない。霧島槙尾。燦然党への内通者として一時的に協力していた彼女も、これから先は不必要と判断して切り捨てた。
彼女は悪人ではなかったが、しかし、吸血鬼の戦いに参加している以上、覚悟はしていたからだろうか、心が痛むことは無かった。

だが、先ほどの少女と青年については何も知らない。
力を持っていても、命がけの戦いに加わっていない素人だから、こんなに気が重たいのだろうか。

『理由なんてわかっているでしょう?』

背後から声が聞こえた。
霧島槙尾。既に死んでいる筈の彼女の声が。

振り返る。誰もいない。なのに声だけが脳に響いている。

『怖くなったんでしょう。彼らの姿に、自分を否定されているようで』
「うるさい...」
『言ってやればよかったじゃないですか。死の間際でも他人を思いやる彼女に、不利な状況でも死地に踏み込んでまで誰かを助けようとする彼に。私こそがヒーローだって!』
「うるさいっ!!」

纏わりつく幻影をかき消すように、思わず背後に腕を振るう。
振るわれた腕はなにを捉えることもなく、ただ壁へと打ち付けられた。

(わかっているさ!私が矛盾していることくらい!!)

彼らが堂島の目指したヒーローの姿であることくらいわかっている。
けれど、彼らでは―――自分にすら勝てない彼らでは、巨悪を、日ノ元士郎を討つことはできない。
だから堂島は止まれない。築き上げてきた屍の上に立つ以上、ヒーローになるしか道が無いのだから。
そう決意する堂島の背中は、しかし想いに反して酷く揺らいでいた。


【堂島正@血と灰の女王】
[状態]:精神的な疲労(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生き残り正義のヒーローになる。
1:手段は択ばない...
[備考]
※参戦時期は101話より。


152 : I need a hero to save me now ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:48:12 18g8Q6LE0




強くなりたいと願った。
誰も傷つけない為に。大切な人を護る為に。

かつて抱いた願いを死の間際に思い出し、そしてまた強くなりたいと思い眠りについた。

だから俺のやることは変わらない。

今一度、強くなるために、正しき道を護るために俺はこの拳を振るおう。

終了のゴングが鳴るその時まで―――。




憧れた理想があった。

みんなの夢と希望を叶える存在でありたかった。

けれど、告げられた真実はあまりにも残酷で。仲間たちはみんな疲れて、傷つけあって、絶望してしまって...

みんなを否定する訳じゃない。それでも、わたしは前を向き続けたい。理想をずっと追い求めていたい。

皆の祈りが、希望が、間違いだなんて思いたくなかったから。

だからわたしは―――戦い続ける


153 : I need a hero to save me now ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:49:50 18g8Q6LE0






「...行ったか」

青年、真島彰則は敵の気配が消えたのを確認すると構えを解いた。
結局、堂島の剣は誰を斬ることもなく、ただ地面を叩き砂塵を巻き上げるだけだった。
そのまま去ったということは、殺し合いに乗った訳ではないと見てもいいのだろうか。それでは倒れる少女の説明がつかないが...
しかし考え込んでいる場合ではない。彼のことはさておき、倒れ伏す少女を容態を見る為に駆け寄る。

(ッ...これは...!)

夥しい血の量に思わず顔をしかめる。
即死には至らなかったようだが、これでは時間の問題だろう。

「待ってろすぐに病院を探してやる!」

己が血に濡れるのも構わず、真島は少女を抱き上げる。
以前までの真島ならとうに少女の命を諦めていただろう。
しかし、ここに連れて来られる前の経験が、血で血を洗う殺し合いの中で築かれた、一人の少女との縁が彼を変えた。
深い男女関係にあった訳ではない。今でも、彼女のことを不可解な女だと思っている。
けれど、彼女―――荻原結衣の『誰も殺さない』という鋼の意思に、優しさで彩られた正しき道に真島は救われ、護りたいと思った。
その為に命を投げ出した。己の死も恐くなかった。そしてかつての『誰も傷つけない為に強くなりたい』という願いを思い出した。
だから真島は投げ出さなかった。可能性が零だとしても目の前の命を諦めたくなかった。
地図を見て、限られた情報の中で病院のありそうな場所を推理する。その眼前に、少女の掌が伸ばされた。

「だ、大丈夫...です...から」
「大丈夫って、その傷は...っ!?」

再び少女の傷へと目をやった真島は驚愕する。
それなりに深かった傷は、既に塞がっており出血も止まっていた。
真島はまだ布すら巻いていなかったのになぜか。
その答えを知る前に、少女は真島の腕から降りてペコリと頭を下げる。

「あの、ありがとうございました。これ、わたしの配られた支給品です。どうか使ってください」
「いや、使ってくれと言われてもな...」

差し出された支給品に真島は戸惑う。
物的な礼を想定していなかったのもそうだが、何もしていない自分が貰うというのも気が引けたからだ。

「...ごめんなさい。わたし、行きますね」
「待て。何をするつもりだ」

背を向け駆け出そうとする少女の腕を真島は慌てて掴む。
彼女が向かおうとしている方角は、堂島が去っていった方角。
今は見逃されたが、もう一度彼と出会えばどうなるかわからない。そんな自殺行為を見過ごすわけにはいかなかった。


154 : I need a hero to save me now ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:50:28 18g8Q6LE0

「止めなくちゃいけないんです...あの人を...!」
「無茶を言うな。実力の差はわかってるんだろう」
「勝てるかとかじゃない。わたしは、あの人に誰も殺してほしくないんです」
「...知り合いか?」
「違います」
「ならなんでそこまで気を遣る必要がある。あいつは殺し合いに乗ったかもしれないんだろう?」
「たぶん、迷ってるからです。誰かを傷つける前に、説得できれば殺し合わなくてすむかもしれないから...だから...!」

尚も行こうとする少女に、真島は小さくため息を吐く。
圧倒的に実力の差があって。精神が不安定で。自分を傷つけた相手だというのに、ここまで気遣って。
殺し合いどころか、普段の日常でも憎んでしかるべき相手だ。それをこの少女は救おうとしている。
この少女は優しいのを通り越して愚かだと言いたくなる。

だからこそ、彼は少女を見捨てる気にはなれなかった。
その愚かさは、きっと、結衣が歩んできたあの正しき道程と同じだから。

「...わかった。そこまで言うなら止めはしない。俺も及ばずながら手を貸そう」

真島の申し出に、少女はきょとんとしてしまう。
誰かを助けたいと願う癖に、協力されるのは想定外だったのかと思うと、可笑しくて思わず真島の口元が緩んでしまった。

「ただし、奴を追うのは身体を休めてからだ。今の有様で行っても今度こそ殺されるだけだからな」
「...はい」
「俺の名は真島彰則だ。お前は?」
「鹿目まどかです。あの、よろしくお願いします」
「ああ」

まどかに差し出された掌に、真島は微笑み握手で返す。
最後まで正しくあるために。この道を終わらせない為に。
正しき道へと憧れた二人は悲劇の戦場へと臨む。






【真島彰則@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:健康
[装備]:Jのメリケンサック(両拳)@魁!男塾
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:正しき道を歩む。
1:ひとまずまどかを休ませる。その後、共に堂島を追跡する。

[備考]
※参戦時期はBルート死亡後より


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:腹部にダメージ(大、魔法で治療中)、出血(中〜大、止血済)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:誰も死なせず殺し合いを止める。
1:休憩した後、堂島を追って止める。

[備考]
※参戦時期は3週目でマミを殺した後。


155 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 20:51:04 18g8Q6LE0
投下終了です


156 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 20:56:58 lYKunIdE0
投下させていただきます。
コンペロワに投下したものを加筆修正したものになります。


157 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 20:57:50 lYKunIdE0
「クソッ!どうしてあんな……」

フクロウをモチーフにしたコスチュームを纏い、仮面とゴーグルで顔を隠した男……ナイトオウル2世ことダニエル・ドライバーグは、古ぼけた壁に拳を叩きつけながら主催者への怒りと憎悪を滾らせていた。

その見た目からもわかる通り、ナイトオウルことダニエルはヒーローである。
ヒーローの活動を禁じる法律『キーン条例』の制定によってやむなく引退したが……つい先日、とある理由から活動を再開。
不当に逮捕されたヒーロー時代の相棒・ロールシャッハの脱獄計画を実行しようとした矢先に、この殺し合いに参加させられたのだ。
しかも、ヒーロースーツ姿で。

ダニエルにはこれが、『主催者からの挑戦状』に思えてならなかった。
『お前が本当にヒーローだと言うのなら、ヒーローの姿でこの殺し合いを止めてみせろ』。
そう言われているように思えてならなかったのだ。

ダニエルは……いや、ナイトオウルは仲間のヒーロー達と比べると『平凡』な部類に入る人物である。
超人であるDr.マンハッタンのように超能力があるわけではない。
出世頭であるオジマンディアスのように『世界一』と評されるような財力と頭脳と肉体があるわけでもない。
盟友であるロールシャッハのような自分の信念に決して妥協を許さない狂気的な精神も、
大先輩であるコメディアンのような暴力行為を心から楽しむような衝動も、
紅一点のシルクスペクターのようなセックスシンボル的な魅力も持っていない。

あるのは、
銀行家だった亡き父が残したある程度は働かなくても生活していけるだけの財産、
ハーバード大学で手に入れた機械工学と動物学の博士号、
その博士号を活かして作り出した様々な秘密兵器、
その秘密兵器群を自力で作成できるだけの発明の才能、
一般人よりは鍛えられた肉体……
そして、少年のようなヒーローへの純粋な憧れと正義感だけである。

「……やってやろうじゃないか」

ナイトオウルは支給されたデイバッグを担いで動き出した。

ヒーローとして、ナイトオウルとして、一人でも多くの人を助ける為に。
それが彼なりの、主催者への反抗だった。

しばらく歩いて……とある家屋の庭から声が聞こえてきた。
若い女性の叫び声だ。

「……!?」

まさか襲われているのでは?
ナイトオウルは駆け出した。

「大丈夫ですか!?」

そして声の主の下へと駆けつけて……

「……えっ?」

……呆然となった。


158 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 20:58:46 lYKunIdE0
☆☆☆

少し前……

「……へっきし!まったくぅ〜」

グラビアモデルも裸足で逃げ出しそうなグラマーな美女……怪盗『ルパン三世』一味の紅一点・峰不二子は主催者に不満を募らせていた。
それもそのはず。

「なんで『こんな格好』で、殺し合いなんかさせようとするのよ〜!?」

現在、不二子は『裸』だったのだ。
豊満すぎる胸はピンク色の先端もむき出しになっており、括れたウエストや安産型のヒップも丸出し。
唯一身に付けている衣類は股間を隠しているショーツだけで、両腕は後ろ手にロープで縛られているときた……。
第三者から見たら、『恥女』扱いされても仕方のない姿だが……これには理由があった。

この殺し合いに呼ばれる直前……不二子を初めとするルパン一味は、とある少数民族が残した財宝を目当てにモロッコにいた。
不二子はそこで、同じく財宝を狙う『結社』に潜入したのだが捕らえられてしまい、結社に雇われていたオカマの殺し屋に拷問にかけられ、パンツ一丁の姿で天井からつるし上げられ……その時に、この殺し合いに呼ばれたのである。

「もう……冗談じゃないわ!」

こんな姿では他の参加者から『変態』扱いされてしまうし、最悪『性的な意味で』襲われてしまう。
不二子は何とかロープを外そうと悪戦苦闘するが、中々きつく結ばれていて一向にほどける気配はなかった。

その時である。

「……大丈夫ですか!?」

☆☆☆

「……えっ?」
「……あっ」

突然の事態に二人は固まってしまった。

ヒーロー仲間の紅一点であるシルクスペクター以上のグラマーな美女が、裸で緊迫されているという状況にナイトオウルは唖然となり、
不二子もまさかヒーローみたいなコスチュームを着た人物が突然現れるとは思っていなかったので、呆然となったのだ

「……」

ナイトオウルはマスクから覗く口元を茹で上がったタコのように赤くし……

「し、失礼しました!」

……少々声を裏返させながら、回れ右して立ち去ろとしたのだった。

「……ち、ちょっと待ちなさいよ!」

立ち去ろうとするナイトオウルを不二子は呼び止めた。

「は、はい!な、なんでしょうか!?」
「なんで立ち去ろうとするのよ!?ロープ外してよ!!」
「は、はい!ちょっと待って下さい!今、目隠しを……」
「バカ!見たって良いから、早くロープを外してよ!!」

不二子に急かされるまま、ナイトオウルは不二子を縛るロープに手をかける。
その時である。

「……どうしたんですか!?」


159 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 20:59:30 lYKunIdE0
☆☆☆

「そんな……どうしてあんな事を……」

緑色の髪に蛙と蛇を模した髪飾りを付け、青を基調にした巫女服を着た少女……幻想郷は妖怪の山、守矢神社の風祝である東風谷早苗は、主催者によって見せしめとして殺された同い年くらいの少女を思い、さめざめと涙を流していた。

早苗とて、幻想郷で妖怪退治を行う者。
これまで幻想郷で巻き起こってきた、様々な異変の解決に尽力してきた。

だが、幻想郷の異変はあくまでも『お遊び』の範疇で済む物であり、死人はおろか重傷者が出る事も一度としてなかった。

だが、この『殺し合い』はそんな生ぬるい『異変』とは全く違う。
文字通り命懸けの戦いなのだ。

いかに守矢の風祝とはいえ、早苗は年端も行かない少女……生き残れる可能性は限りなく低かった。

「……」

さめざめと泣いていた早苗は、急に涙を袖で拭い取り、頬を叩いて自身に活を入れた。

「いけない……こんな時こそ頑張らないと。こんな姿、神奈子様や諏訪子様に笑われちゃう」

そう……自身の敬愛する祭神達ならば、きっとこの殺し合いを打破する為に動く筈。
そう考えた早苗は支給されたデイバッグを手に立ち上がった。

「神奈子様、諏訪子様……私、やります!」

あの主催者を退治し、参加者達を救う。
そう決意した早苗は移動を開始したのだった。


歩き始めてしばらくした頃……どこかからか年上の男女の諍いの声が聞こえてきた。

「!?」

早速誰かが襲われている。
そう確信した早苗は声のする方に駆け出した。

「……どうしたんですか!?」


160 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 21:00:16 lYKunIdE0
☆☆☆

「……えっ?」
『……えっ?』

突然の早苗の乱入にナイトオウルと不二子はまたも固まってしまった。
しかし、それは早苗も同じだった。

映画に出てくるヒーローのような格好をした男性が、裸の女性を縄で縛っている姿を目にし、早苗の頭は一瞬真っ白になった。
(本当は縄を『ほどこうと』していたのだが、早苗には『縛っている』ように見えた。)

「あ、あの……」

早苗の顔は瞬時に熟れたリンゴのように真っ赤になり……

「しししししし失礼しましたぁぁ!!」

……顔を両手で覆って一目散に来た道をUターンしたのだった。

『ちょっと待ってぇぇぇ!!!』

猛スピードで来た道をUターンしようとする早苗を、ナイトオウルと不二子は慌てて引き留める。

「は、はははははいっ!な、なななんでしょうか!?」
「あ、あの違うんだよ!これは『人助け』であって、決してイヤらしいプレイとかじゃないんだよ!」
「そうよ!私達別に、恋人でも何でもない赤の他人同士だし……」
「あ、赤の他人同士でこんな……まさか貴方がた、イメクラ嬢とそのお客さんなんですか……?」
『ちっがーう!!!!』

斜め上な解釈をする早苗の誤解を解こうと、ナイトオウルと不二子は必死に説明したが……

「えっ!?何?どうしたの!?」


161 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 21:01:15 lYKunIdE0
☆☆☆

「う〜ん……ドッキリ、とかじゃないよね?」

青い髪を腰まで伸ばし、ピンク色のセーラー服を着た小柄な少女……ある業界では『伝説の少女A』と呼ばれているオタク少女、泉こなたは空に輝く赤い月を眺めながら呟いた。

最初にあの双子の少女から説明を受けた時は『あれ?何かのイベント?』と思ったが、見せしめとして少女の首輪が爆発したのを見て、冷や汗が流れた。

こなたはオタクであることを除けば、どこにでもいる平凡な女子高生。
合気道を嗜んではいるが、それが殺しあいにおいて有利に働くかどうかは微妙だった。

「全く……ただのイベントに興味ありません、なんてレベルじゃないよ」

どっかで聞いたようなセリフを口にしながら、こなたはとぼとぼと歩き続ける……その時だった。

どこかから人の叫び声のようなものが聞こえてきた。

「!?」

まさか、本当に殺しあいをしているのか?
いてもたってもいられず、こなたは叫び声が聞こえてきた方に走った。

「えっ!?何?どうしたの!?」


162 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 21:02:10 lYKunIdE0
☆☆☆

「えっ?」
『えっ?』

こなたという新たな乱入者の出現に、ナイトオウルと不二子のみならず、早苗もまた固まってしまった。
それはこなたも同じだった。

アメコミに出てくるヒーローのコスプレをした男性が
裸の女性を縄で縛り、
その横で巫女服らしきコスプレをした少女が顔を赤くしているという、『どんなエロゲだよ』とツッコミたくなる光景に目を丸くしたのだ。

「……」

こなたは真顔に戻ると……

「すいません、お邪魔しました」

……何事もなかったように去っていった。

『ちょっと待ってぇぇぇぇぇ!!!!』


そのあまりにもくそみそ過ぎる光景に、空に輝く赤い月も苦笑いを浮かべたのだった。
まる


163 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 21:03:11 lYKunIdE0
【ダニエル・ドライバーグ(ナイトオウル2世)@ウォッチメン】
[状態]:健康、動揺、困惑
[装備]:ナイトオウルのコスチューム@ウォッチメン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ヒーローとして、参加者を助ける
1:この女性(不二子)の縄をほどく
2:少女(早苗)の誤解を解く
3:なんで彼女(不二子)は、こんな状況でSMプレイしているんだ?
[備考]
ロールシャッハを脱獄させる直前からの参戦。
コスチュームは支給品ではありません。

【峰不二子@ルパン三世】
[状態]:健康、裸にパンツ一丁で縛られている、困惑
[装備]:無し(裸)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:とりあえず服を着たい
1:なんで裸なのよ〜!?
2:コスプレ男(ダニエル)にロープを外してもらう
[備考]
テレビスペシャル『トワイライト☆ジェミニの秘密』で、貞千代に拷問されて五ェ門に助けられる直前からの参戦。

【東風谷早苗@東方project】
[状態]:健康、困惑、動揺
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:主催者を退治し、参加者を救う
1:は、ハレンチな……!///
2:なんでこの人達(ダニエルと不二子)、こんな状況でイメクラみたいな事してるの?
[備考]
『東方鬼形獣』までの経験あり。

【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:健康、困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺されたくはないけど、人殺しもしたくない
1:これなんてエロゲ?
[備考]
高校3年時からの参戦


164 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/15(月) 21:04:21 lYKunIdE0
投下終了します
タイトルは『誤解は更なる誤解を呼ぶ』です


165 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/15(月) 21:55:54 i6.TaYrU0
投下します。


166 : 人類よ、争う事なかれ ◆bLcnJe0wGs :2021/03/15(月) 21:57:13 i6.TaYrU0
昔から当たり前の様に見てきた、血の海の様な紅い空。

その下を、耳にかけたもみあげの部分のみが長く、そこ以外はショートカットとしての特徴を持った髪型の青年─ブロートが歩いていた。

彼のいた世界にも、争いがあふれていた。
誰もが欲望の為に他者を襲い奪っていた。

彼は、昔から人と人、国と国が争う姿をずっと目の当たりにして育ってきた。

─だがある日、洪水や地震といった天変地異が起こった時、人々は争いを止め、助け合う姿を見た。

そこでブロートは思った。
平和な世界が争いを生んでいるのだと。

彼はこれに気づいた時に悟った。
『己のやらねばならぬ使命』がある事を─

それは、『人は強大な何かに対峙した時、争いを止め協力できる。
ならば、その敵を自分が用意しなければならない』という事であった。

──だが、彼がどの時間軸からこの催しに招かれたのか、また彼がここでどう動こうと思考しているのか、今は未だ定かではない。

この物語の続きを書くののであれば、今、ここを読んでいる君たちの自由だ。

君たちはこの物語の続きを書いてもいいし、書かなくてもいい。
【ブロート(弟)@世界樹の迷宮X】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:???
1:兄も巻き込まれていないだろうか?
[備考]
※参戦時期やスキルの制限については、後続の書き手にお任せします。


167 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/15(月) 21:57:36 i6.TaYrU0
投下終了です。


168 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/15(月) 21:59:17 qwgb2nIE0
投下します。
天気の子ロワにて投下したものから一部を流用・及び修正したものです。


169 : 既に乗り越えた者、乗り越えるべき者、折れてしまった者 ◆8eumUP9W6s :2021/03/15(月) 22:00:46 qwgb2nIE0
血の色に染まった空に、紅い月が浮かぶ中、青年と少女、黒髪の二人は邂逅を果たす。
青年の名は冨岡義勇。人を喰らう鬼を狩る為の組織である鬼殺隊に所属する隊士であり、隊士の中でも最高位に立つ九人の剣士である柱の一人、水柱である。
そして少女の名はジーナ・プレディ。ネウロイと呼ばれる怪異と戦うウィッチであり、第506戦闘航空団ことノーブルウィッチーズのB部隊の隊長、階級は中佐である。
そんな二人は、互いに警戒をしながら向き合う。
…暫し後、先に口を開いたのはジーナの方であった。

「…率直に答えて貰おう、貴方はこの殺し合いに乗っているのか?」
「…俺は、俺は乗っていない、乗る気もない」

支給されていた銃を手に持ちながら、そう問いかけたところ、少し間が空いてから返事が返される。
内心ではホッとしながらも、相手が刀をこちらに向けている以上、表情はそのままの状態で、ジーナは言葉を紡ぐ。

「そうか…ということは、信用していい…と、そう取っていいんだな?」
「…それで構わない」

返事を聞いたジーナは、持っていた銃をバッグの中へと仕舞う。
それを見たと同時に、冨岡も刀を鞘に収めた。

「……」
「……」

その後、また暫しの間その場は沈黙する。
そして…先に口を開いたのは、今度もジーナからであった。

「…私は第506戦闘航空団…ノーブルウィッチーズのB部隊隊長。ジーナ・プレディ中佐だ。
宜しければ…だが、貴方の名を教えて欲しい」

そうジーナは名乗る。殺し合いには乗ってないとはいえ、とりあえず相手の出方を伺おうと彼女は思っていた…が、いつまで経っても相手が名乗らない為、自分から先に名乗る事にしたのだ。

「……冨岡義勇。鬼殺隊の隊士だ」
「…わかった。では冨岡さん…二つ程聞きたいことがある。いいだろうか?」
「いい」

暫くして、返事が返って来る。鬼殺隊という単語に疑問を抱きながらもジーナは、それを一旦は仕舞い込み、先に一つ聞くことにした。

「…これも、貴方が宜しければの話だが…私と同行して貰えないだろうか?」
「何故だ」
「私は、主催達を打倒してこの殺し合いを止めようと思っている。しかし私単体ではおそらく不可能だ。また、部下達がこの殺し合いに巻き込まれていたら…その時は合流したいとも考えている。
どちらにせよ、他に誰が参加していて、誰が殺し合いに乗っているのかわからない今のこの状況では、人手が必要なんだ。…そちらが知り合いを探したいと言うのなら、私も…協力は惜しまないよ」

ジーナは冨岡に頼んでみる。それから暫く後、冨岡は口を開いた。

「…構わない。柱や隊士が居たら、合流した方がいいとは思っていた」

想定していたよりもあっさりと、同行を快諾されたジーナは、内心では少し困惑しながらも、相変わらず表情を変えぬまま話す。

「そうか、ありがとう冨岡さん。
…もう一つの聞きたいことだが、冨岡さんは、ウィッチの事を知っているか?
…私は、鬼殺隊という単語自体を今日初めて聞いた。扶桑にそのような組織があるとは知らなかったんだ」
「知らない、なんだそれは。
…そもそも扶桑ではない。日本だ」
「日本…??」

ここで両者は、互いの話が食い違っている事に気付く。

「…互いに知っていることを話して、整理しよう。どうやら私達は、とても大きな勘違いに気付けたのかも知れない」

バッグから筆記用具を取り出すと、彼女はそう提案した。


170 : 既に乗り越えた者、乗り越えるべき者、折れてしまった者 ◆8eumUP9W6s :2021/03/15(月) 22:01:47 qwgb2nIE0
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「情報を纏めると…私と冨岡さんは、互いに別の世界からこの場所に呼ばれたことになるな」
「…年代が離れていて、国の名前が違う、その上俺はネウロイとやらもウィッチも知らない」
「そして私は、人を喰う鬼とやらも、鬼殺隊の事も知らない…ここまで乖離している以上、同じ世界だが違う時間…というわけではなさそうだ」

互いに情報を交換した末に、二人は共通の認識を共有する事が出来た。
最も、口下手な冨岡から情報を引き出すのにジーナは苦労したが。話の途中で
「あれは2年前…」
と冨岡が言い出した際には、思わず
「いや今はそこを聞いているんじゃ…」
と口に出してしまい、思わず頭を抱えたくなってしまったり等。

「…それで、そちらの方針は…人を喰う鬼の滅殺。及び鬼の始祖である鬼舞辻無惨の殺害の為に、元の世界への帰還と、主催の打倒。そして他の鬼殺隊隊士がいるのなら、合流を目指す…で合っているか?」
「…ああ、合っている。だが鬼がこの会場に存在しているのなら、隊士としてこの場で滅殺する」
「了解した。とりあえずは、周辺に敵が居ないのかを確認するよ。…『ホークアイ』」

魔法力を発現させたジーナは、自らの固有魔法である『ホークアイ』を使う。
ホークアイとは、元々視力が高い傾向にある
(ストライクウィッチーズ2の最終話の描写より推定)
ウィッチよりも更に遠距離を見通し、更に自らの動体視力も向上させる、魔眼と呼称される物である。
しかし首輪の制限によるものか、見通せる距離が短くなっている事に、彼女は気付いた。

「…見える距離が、明らかに短くなっているな」
「…首輪か?」
「あり得るとすれば、おそらくは首輪の影響だろう。ここで気付けたのは運が良かった……」

そう言っている最中であった、彼女が自分達に近付いてきている参加者を発見したのは。

「…参加者だ。剣を持ってこちらに向かって来ている…距離は250〜300m程か。どうする冨岡さん。相手は殺し合いに乗っているようだが…」
「…鬼ではないんだな?」
「ああ。鬼ではなく人だよ…姿を偽装でもしていない限りは」
「…ここで迎え撃とう」
「わかった」

冨岡は刀を鞘から抜き、ジーナはバッグの中から銃を取り出して、襲撃へと備えた。

【冨岡義勇@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:対主催。主催者を打倒し、元の世界へ帰還する。
0:俺は水柱じゃない。
1:プレディと共に襲撃者に対応。
2:鬼が居たら鬼殺隊の隊士として斬る。
3:他の鬼殺隊の隊士と合流出来れば。
4:プレディは…口下手なのかと思っていたが、違うようだ。
5:もし居るのならだが、プレディの部下達とも合流出来た方がいいだろう。
[備考]
※参戦時期は少なくとも最初の柱合会議以降、柱稽古にて炭治郎に過去を話す前からです。
※作中にて舞台になっている年代が大正時代な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※ジーナとの会話で、ウィッチやネウロイ等に関する知識を手に入れました。
※自分達がそれぞれ別の世界から会場に呼ばれたと推測しています。


【ジーナ・プレディ@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、決意
[装備]:ノースリベリオン P-51D(44-14906号機)@ノーブルウィッチーズ、ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:対主催。主催者の打倒。
0:信じるものを手放さず、なすべきことを手放さず、自分の進むべき道を手放さない。
1:冨岡さんと共に襲撃者に対応する。
2:脱出手段を探しておきたい。
3:他の506のメンバーが居たら合流しておきたいところだ。
4:他の鬼殺隊の隊士とも合流しておきたい。
5:首輪の解除も必要になってくるだろうな。
6:冨岡さんには偶に…昔の…師匠を目の前で亡くした頃の私が重なって見える時がある。心配だ。
[備考]
※参戦時期は原作終了後からです。漫画版は全3巻、原作である小説版は全8巻です。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※冨岡との会話で、鬼殺隊や鬼等に関する知識を手に入れました。
※自分達がそれぞれ別の世界から会場に呼ばれたと推測しています。


171 : 既に乗り越えた者、乗り越えるべき者、折れてしまった者 ◆8eumUP9W6s :2021/03/15(月) 22:03:23 qwgb2nIE0
【冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃】
色が深い水色で、鍔が亀甲を思わせる六角形になっている日輪刀。冨岡の水の呼吸へ対する高い適性を、この日輪刀は表している。
日輪刀とは、太陽に一番近い、一年中陽が射しているという陽光山で採れる猩々緋砂鉄と、猩々緋鉱石と云う、日光を吸収した特殊な鉄を使って打たれた日本刀である。その性質故か、鬼の頸をこの刀で斬れば基本的に不死身な鬼を殺す事ができる。

【ノースリベリオン P-51D@ノーブルウィッチーズ】
ジーナのストライカーユニット。
ノースリベリオン P-51の決定版であるD型。
それまでのノースリベリオン P-51とは異なり魔力配分を効率的に出来るようになっており、更にマッピングの変更を容易にする改良が施されている為、戦場での使用目的に適時合わせたセットアップを、その場で行う事が可能である。
また形状も変更が行われている。

【ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス】
極秘裏にスペースビースト(わかりやすく言うとネクサスでの怪獣)を殲滅する事が任務である実働攻撃部隊ナイトレイダーの隊員が携行している、対スペースビースト用の大型銃の武装。
通常はビーム砲の形態だが、グリップとトリガーの部分を取り外す事でビームハンドガン形態のディバイトシューターに。
本体を変形させることで、ビームサブマシンガン形態のディバイトガンナーにも出来る。
ちなみに今ロワでは、本来指紋認証によって管理されている為に、隊員やナイトレイダーの母体組織であるTLT関係者以外には使用不可能な特性があるのだが…それが無くなっている。
シューター形態は威力こそ低いが取り回しに優れており、ガンナー形態は連射力が優れている。ランチャー形態は威力に優れており、小型(2〜10m程)のスペースビースト程度なら殲滅可能な威力がある他、52m程のスペースビーストを怯ませる事も可能。また強化装甲弾やナパーム弾を装填する事も出来る。
ただし威力が高い分反動も大きい。
(威力については、主催により制限がかけられている可能性があります)

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西洋剣を手に持った黒髪の青年は、殺意を纏ったまま、二人が居る地点へと進んでいた。
青年の名はキリト。彼が元居た世界では後に、デスゲームであるSAOをクリアに導いた英雄・黒の剣士として名を馳せる男で「あった」。
しかし彼は、最悪のタイミングでこの殺し合いに招かれてしまったのである。
…偶然の出会いがきっかけで居場所を見つけてしまい、しかし自分のエゴを捨てれぬまま嘘をつき続け、仲間の一人であるサチという少女と傷の舐め合いを続けた果てに、彼は最悪の事態を招いてしまい、仲間も居場所も、サチも喪った。
その後彼は、死ぬ為だけにフィールドに出続け戦っていたものの、蘇生アイテムの存在を知り、それを手に入れようとした。全ては…サチが最期に遺した言葉が何だったのかを、知る為に。

紆余曲折の末に、蘇生アイテムは手に入った。
───しかし、そのアイテムの効果が発揮されるのは、死亡後10秒後までであった。

彼は錯乱し泣き喚きながら、何の役にも立たないアイテムを、不可能だとわかっていても破壊しようとそれを地面に叩きつけ、踏み付け続けていた。

…正史ではこの後、サチが事前に生前に遺していたメッセージを聞けた事により、キリトはどうにか立ち直る…が、その前に彼は、この殺し合いへと招かれてしまった。

…これだけなら、出会い次第なら殺し合いの中で立ち直り、成長する道もあったかもしれない。
しかしここで、もう一つの不運が彼に襲いかかる。

茫然自失状態になりながらも、バッグの中身を確認していたキリトはある剣を見つけてしまい、そしてそれを手に取ってしまった。
…剣の名はザンバットソード。ファンガイアの王の為に作られた剣であり、剣自身が所有者を認めなかった場合は、持ち主を制御不能の暴走状態にさせてしまう危険な剣であった。
…とはいえ、本来はファンガイアの王として認められない限り、持ち主を問答無用で暴走させる剣ではある…が、主催の手によって、ファンガイアで無くとも、剣の力に飲まれなければ振るえるようにされていた。もしキリトがこの殺し合いに巻き込まれたのがもっと後であったなら、苦心しつつも剣に飲まれずに済んでいただろう。

…不運が重なった結果彼は、殺し合いへと乗ってしまった。
彼の目的であり願いはたった一つ。

(…絶対に…生き返らせるから…な、サチ…!)

参加者を皆殺しにして、サチを生き返らせる事だ。


172 : 既に乗り越えた者、乗り越えるべき者、折れてしまった者 ◆8eumUP9W6s :2021/03/15(月) 22:03:44 qwgb2nIE0
【キリト@ソードアート・オンライン】
[状態]:暴走、自暴自棄
[装備]:ザンバットソード@仮面ライダーキバ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:サチを生き返らせる。
0:……
1:参加者を殺す。
[備考]
※参戦時期は、「ソードアート・オンライン2 アインクラッド」に収録された「赤鼻のトナカイ」にて、蘇生アイテムである環魂の聖晶石の効果を知った後からです。
※ザンバットソードにより暴走状態です。
※本人はまだ知りませんが、桐ヶ谷和人としての肉体は主催側に確保されています。アバターのHPがゼロになるorアバターの首輪が爆発すると同時に、桐ヶ谷和人としての肉体も死を迎えます。

【ザンバットソード@仮面ライダーキバ】
ファンガイアの王の為に製作された、最強の魔皇剣(わかりやすく言うと魔剣)。
ライフエナジー(魂または生命力の事)を持つ者相手に対して過剰に反応する性質があり、またそのライフエナジーを吸い尽くそうとする特性がある。
他にも、この剣自身が持ち主をファンガイアの王として認めない場合、制御不能状態に陥り持ち主は暴走してしまう特性も持ち合わせている、強力だが危険な剣。
今ロワでは主催の手によって、ファンガイアで無くとも、精神を強く保ち、剣の力に飲まれなければ振るえるようにされている。(ただし威力に制限がかかっている可能性あり。これについては後続にお任せします)
また直接斬りつける以外にも、斬撃波を飛ばす事も可能。


173 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/15(月) 22:04:14 qwgb2nIE0
投下終了です。
キリトの扱いについてはアニロワIFを参考にさせて貰いました。


174 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 23:57:40 18g8Q6LE0
投下します


175 : 地獄の底でもお前のことを ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 23:58:12 18g8Q6LE0
―――その神父は悲痛な面持ちで壁に爪を突き立てていた。
己の爪が剥がれるのも厭わず、血が滴り落ちようとも構わず。
ただただ感情のままに掻きむしっていた。


教団の教義から外れたことを説き追放され。
家族を貧困に追い込んでしまい、私の娘は悪魔に魂を売ることで私の願いを現実では無力だと否定し。
私は絶望して命を断った。
杏子はもう悪魔に魅入られ手遅れだった為に、娘と妻だけは逃がそうと思い共に死んだ。

その果てがこれか。この悪魔の所業が、杏子からの餞別だというのか。

許せない。杏子をかどわかし、ここまでやらせるなどと。
一刻も早く杏子を殺し魂を解放してやらねば。

その為にはこの地獄に招かれた者たちを皆殺さなくてはならない。
構わない。
所詮悪魔に魅入られた魂だ。元より殺して魂を解放してやらねばならないだろう。

「待っていろ杏子...私もお前と同じ罪を背負い共に地獄に落ちてやるからな...」



―――かつての心優しき神父の面影は何処に非ず。
今の彼の顔を見た者は、口を揃えて悪魔だと断ずるだろう。




【佐倉杏子の父@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、狂気
[装備]:
[道具]:基本支給品、ヘルズクーポン@忍者と極道、ドーピングコンソメスープ@魔人探偵脳噛ネウロ、「H173」@ひぐらしのなく頃に
[思考・状況]
基本方針:全員を救う(殺して魂を解放させる)
1:杏子を殺し悪魔から解放する。
2:魔女(魔法少女)は必ず殺す。

[備考]
※参戦時期は自殺後、ここを地獄だと思っています。


【ヘルズクーポン@忍者と極道】
凄い麻薬。吸うとあらゆる身体能力が上がり超人的になれるが、当然副作用もある為、少しずつキめていこう。

【ドーピングコンソメスープ@魔人探偵脳噛ネウロ】
凄い料理。なんかムキムキになれる。副作用がすごい。

【「H173」@ひぐらしのなく頃に】
雛見沢症候群を急性発症させる薬


176 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/15(月) 23:58:52 18g8Q6LE0
投下終了です


177 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/15(月) 23:59:41 qwgb2nIE0
拙作である「既に乗り越えた者、乗り越えるべき者、折れてしまった者」に誤字があったので修正します。

第506戦闘航空団→ 第506統合戦闘航空団


178 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 03:46:08 M9/53HYw0
投下します。


179 : 紅き月、裁きの前 ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 03:48:34 M9/53HYw0


紅い月は、巨大な三角形状の兜を照らしていた。

すっぽりと頭部を兜で覆ったその異形の者。

血と錆で汚れた、馬鹿でかい鉈をずるずると引きずっている。

そしてガサガサという生理的嫌悪感を募らせるような音が辺りに響く。


——————————————————————————————————

曰く。巨大な兜はその匿名性を守るため。
それならば———私たちは彼、もしくは彼女なのだろうか?

曰く。刑罰は正義のもとに執行されている。
それならば———私たちは何を恐れることがあろうか?

曰く。白い衣装は神の従者への敬意を表している。
それならば———私たちは救われることがあるのだろうか?

異形の者よ。私のような弱い人間を罰してほしい。

弱い人間よ。立ち向かうべきなのは自分の弱さだ。

私に言えることはこれだけだ。

From S.J.

————————————————————————————————————

紅い月は、異形の者を照らしていた。

紅い光は、この地に呼ばれし者たちの罪をも照らすのだろうか?

そして、その者たちは罪を重ね、あるいは罪を生み出すのだろうか?

———誰も答える者はいない。



【レッドピラミッドシング@SILENT HILLシリーズ】
[状態]:無傷
[装備]:大鉈@SILENT HILLシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1、槍@SILENT HILLシリーズ
[思考・状況]
基本方針:闇を抱えた参加者を裁く。
1:???
2:???
3:???

[備考]
※姿は映画版第1作に準拠。
※クリーパーを引き連れています。

【大鉈@SILENT HILLシリーズ】
子供の背丈ほどもある巨大な鉈。
レッドピラミッドシングはこれを片手で軽々と振り回す。

【槍@SILENT HILLシリーズ】
かつてサイレントヒルにおいて死刑執行人が使用していた槍。


180 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 03:49:11 M9/53HYw0
投下を終了します。


181 : ◆1qfrROV/6o :2021/03/16(火) 04:50:43 EPnAAqrM0
投下します。


182 : 辺獄氷夜 ◆1qfrROV/6o :2021/03/16(火) 04:52:47 EPnAAqrM0
常に空が真っ赤で日が昇ることのない平安京の世界と、常に島が空の上に浮いている世界。
どちらのほうが可笑しな世界なのだろう。
渋谷凛は、そんなことを思った。

「……私が聞いたことのある平安京と、全然違う。」

空の世界と比べれば元の世界に近いかもしれない。
でも、これで元の世界に返ってきたとはとても言えないだろう。
訳もわからぬまま、しばらくその場で茫然自失となっていた。

しかしずっとそのままでいるわけにもいかない。
自分がこうしている間に、殺し合いに乗った者が自分の首を狙いに来るかもしれないのだ。
殺し合いに乗る気はないが、かといって死にたくもない。
まだ自分はトップアイドルになっていないのだ。夢半ばでこんなところで終わるなんて馬鹿げている。

「……卯月と未央、巻き込まれていないといいな。
 あと、団長さんたちも。」

ニュージェネレーションズの二人のことを思い浮かべる。
もし二人が一緒なら百人力だと心のどこかでは思っているものの、それよりもこんな最低の出来事に巻き込まれていてほしくないと強く思った。
団長さんたちも心配だが、騎空団のメンバーなら巻き込まれていてもすぐに命を落とすことはないだろう。
むしろその前に先ほどの少女たちに対して憤り、こんなイベントを許しはしないと積極的に動くのではないかと思った。

団長さんの顔を思い浮かべて安心したからか、少し動く気力が湧いてきた。
身を守れる物でも入っていないか、と支給されたデイバックの中を漁ってみる。
本当に何でも入るようで、手のをばして中を漁ってみるとどう見てもデイバックより大きなものが出てきた。

「……これ、日本刀?
 本当にどうやって入ってたんだろう。」

正確に言えば、普通の日本刀ではない。
鍔のデザインが柄からみてYの字の形になっており、どう見ても機械的な造りになっている。
まるで刀身が鞘から抜けなくする為にロックしているようだった。

最も特徴的なのはその冷気だ。
自分も空の世界で氷を扱っていたからわかる。鞘越しでも感じるその冷気から、氷を操る力があることは間違いないだろう。
もしかしたら先ほどの特徴的な鍔も、これを抑え込むリミッターだったりするのかもしれない。

「ふーん、氷の剣か。悪くないかも。」

自分が振るっていた剣は日本刀ではなくどちらかというと西洋風の剣だが、それでも氷を扱うという点では共通している。
護身用の武器としては良いかもしれない。
そんな考えから凛は手を伸ばして柄を握り、その剣を手に取った。
―――手に取ってしまった。





瞬間、頭に浮かんでくる感情。

―――殺さなければ。

何を?

―――『敵』を殺さなければ。

誰を?

―――『黒き獣』を、殺さなければ……!





ハッとして顔をあげる。
額には嫌な汗が浮かび、呼吸はいつの間にか乱れていた。

「―――私、今何を……?」

一瞬感じた違和感の正体を掴もうと、自分の思考の中を探る。
だがモヤモヤとしたそれが実態を結ぶことはなく、そのまま雲散霧消してしまった。
後に残ったのは謎の不快感と、不自然に高鳴る自分の鼓動の音だけだった。

落ち着いて深呼吸する。鼓動が落ち着いてきたので、改めて行動指針を考える。
まず、殺し合いには乗らない。卯月や未央など、知り合いがもしも巻き込まれてしまっていたら合流する。
一人であの少女たちを相手とることは不可能だ。同じ方針の仲間がいたら心強い。
もし団長さんたちがいたら、率先して反旗を翻していることだろう。

そして―――もし『敵』を見つけたら、殺さなくては。
特に『黒き獣』がいたら、率先して。



行動指針をまとめた少女は氷剣を携えて歩き出す。
―――己の中の思考の矛盾には、一切気づかないまま。


183 : 辺獄氷夜 ◆1qfrROV/6o :2021/03/16(火) 04:54:22 EPnAAqrM0
【渋谷凛@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、ユキアネサによる精神汚染(中)
[装備]:氷剣・ユキアネサ@BLAZBLUEシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。『敵』がいたら殺す。
1:『黒き獣』がいたら最優先で斬る。
2:本人は殺し合いには乗っていないつもりでいる。
3:卯月や未央、団長さんたちにはできれば巻き込まれていてほしくない。
[備考]
※空の世界(グランブルーファンタジー)からの参戦のため、細かい設定はそちらに準拠します。
 参戦時期は少なくとも最新のコラボイベント終了後です。
※氷剣・ユキアネサによる精神汚染のため『敵』だと判断した相手に容赦なく斬りかかります。
 本人は操られている自覚がないため、自分の意志で「相手を殺さなければ」と思っていると錯覚しています。
※今回のロワでは「最初にユキアネサの柄を手で握った時」に所有者として認定され、精神汚染が開始されます。


【氷剣(ひょうけん)・ユキアネサ@BLAZBLUEシリーズ】
事象兵器(アークエネミー)と呼ばれる武器の一つ。溶けない氷でできた刃を持つ。
氷の術式を操る力があり、大気中の水分を結晶化して武器にしたり、そのまま凍らせたりできる。

意思を持っており『黒き獣』や『敵』に対して強い殺意を抱いている。
自分が「使われる」相手を自分で選んで守ろうとするが、同時に所有者の精神を強く汚染する。
精神汚染の影響から脱するためには「相応の精神力を持つ」「何かしらの力で抑え込む」などが必要となる。

また、ただ精神汚染を跳ね除けただけでは今度はユキアネサを抜刀することができなくなってしまう。
正気を保ったままユキアネサを抜刀するためには、跳ね除けるよりも更に強い意志や力が必要となる。


184 : ◆1qfrROV/6o :2021/03/16(火) 04:54:46 EPnAAqrM0
投下を終了します。


185 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 07:13:51 M9/53HYw0
投下します。


186 : 武士(もののふ) ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 07:14:44 M9/53HYw0

平安京。古くから帝が鎮座する地である。
それゆえ史書には数多くの政争や内乱が勃発したと記されている。
もっとも、この紅く染まった平安京では、また違った争いが生じるのであろうが———


かつてそのお方はお父様から「叔父子」と呼ばれ忌み嫌われておりました。
帝の祖父である法皇は帝の皇后を寵愛されていたのです。
法皇もそのお方が自分の子であることを知っておりました。
帝を強引に退位させ、幼いそのお方を即位させ、権力を奮い続けなさいました。

しかし、それも長くは続きませんでした。
法皇が崩御されたのです。

上皇の復讐が始まります。
上皇は巧みにそのお方の弟に譲位なさるように仕向けなさりました。
そのお方は父親から自分に向けられた大きすぎる悪意にじっと耐えておりました。

病弱だった弟の帝は17歳という若さで崩御されました。
そのお方はご自分の子を即位させることをお望みになります。
しかし上皇はお許しにならず、そのお方の弟を即位させてしまいました。

そのお方は最後に父親を見舞いたいと訪れなさいますが、叶いませんでした。
上皇はご遺体をそのお方に決して見せないようにと言い残しておられたのです。

即位された弟の帝はそのお方をしきりに挑発なさいました。
そしてそれに乗ってしまわれましたが、結果そのお方は敗れ、遠方に配流されました。
そのお方は二度と平安京に入られることはありませんでした。

流されたそのお方は五部大乗経の写本作りに専念なさいました。
戦死者の供養と反省の証にと、完成した写本を京の寺に収めてほしいと朝廷に差し出しましたが、
呪詛が込められているとこれを突き返しました。

そのお方はついにお怒りになりました。
高貴な生まれにもかかわらず忌み嫌われ続け、肉親に裏切られ続け、
最後の最後まで自らを外道扱いするこの世の全てを怨まれたのです。


187 : 武士(もののふ) ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 07:15:26 M9/53HYw0

かつてそのお方がおられた鳥羽田中殿に、その巨大な男はおりました。
身の丈は七尺ほどあり、目つきは鋭く、手には大きな弓を持っております。
その男はかつてあのお方が挙兵なされたときに味方となりました。
名を鎮西八郎為朝、いわゆる源為朝といいます。
奮戦虚しく、為朝は敗れ、伊豆に流されました。
そこでも暴れまわり、ついには追討を受け自害しました。

為朝はあのお方を可哀想に思いました。
自由闊達に暴れ回る自分に比べると、あのお方はあまりにも色々なものに縛られ過ぎていたからです。
自分を重用してくださったあのお方のご恩に報いたい。
その願いは儚くも散ってしまいました。

この紅い月が照らす平安京、為朝の知っている平安京ではないのでしょうが、
ここに呼ばれたのも何かの因果でしょうか。


今、彼はあのお方と同じように、全てを憎んでおります。
あのお方を迫害し、忌み嫌い、唾を吐きかけたこの世の全てを。


【八将神枠】
【源為朝@保元物語】
[状態]:健康
[装備]:雷上動@源平盛衰記
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:優勝し、陛下の御威光を天の下に知らせる。
1:参加者を殺す。

【雷上動(らいしょうどう)@源平盛衰記】
源三位頼政が妖怪「鵺」を射落とすのに用いた弓。

[備考]
※口調、一人称等は後続の方にお任せします。


188 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 07:15:47 M9/53HYw0
投下を終了します。


189 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 12:55:47 wzZjzOWk0
投下させていただきます。
以前、コンペロワに投下したものを手直しした物になります。


190 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 12:56:55 wzZjzOWk0
赤い月に照らされ、謎の主催者による『殺し合い』という血生臭いイベントの会場となっているかつての日本の首都・平安京……。

その片隅に佇むとある寺の境内で、二人の男が対峙していた……。


一人は、まだ『少年』と呼べる程に若い、軽装の鎧にウサギを思わせる白髪赤目の男……迷宮都市『オラリオ』で最近知名度を上げつつある『ヘスティア・ファミリア』の眷属、ベル・クラネル。

もう一人は、アメリカの国旗を思わせる青を基調としたコスチュームを着用した筋骨たくましいベル・クラネルよりも年上の男……世界の平和を守るスーパーヒーローチーム『アベンジャーズ』のメンバー、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース。

「ハァアア!」
「フンッ!」

二人は互いに徒手空拳の状態で戦いあっていた。
いや……それは『戦い』というより、格闘技道場などで行われる『組み手』のようだった。

「ハァッ!」

ベルは見ている方にも必死さが伝わるような表情を浮かべながら、
スティーブに向けて拳や蹴りを繰り出していく。

「……フンッ!」

しかし、一方のスティーブは汗一つ無い涼しい顔を浮かべながら、ベルの繰り出す拳や蹴りを軽々といなしていく……といっても、『全くの余裕』という訳ではない。
普通、超人兵士であるスティーブがベルと同い年くらいの少年と戦ったとして……
例え相手がなにかしらの格闘技を習得していたとしても、スティーブの体にはかすりもしないだろう。

「ヤアァァッ!」
「……ムッ!」

しかし、ベルの繰り出す拳や蹴りは的確な速度と威力でスティーブの体を狙い、スティーブはそれらを『両手』を使って防いでいたのだ。

ベルの知り合いがこの光景を見たならば、『ベル君、おしい!』と純粋な感想を述べるだろうが、
スティーブの知り合いがこの光景を見たならば、『信じられない』『あの少年は何者だ?』と驚愕するだろう。

「ハァアア!!」

ベルはスティーブの腹部に向けて回し蹴りを食らわそうとした。
しかし……

「フッ!」

スティーブはベルの渾身の蹴りを受け止め……

「ハァアア!!」

柔道で言う『巴投げ』によく似た態勢でベルの体を地面に叩きつけたのだ。

「グワッ!?」

硬い地面に叩きつけられ、ベルの体には目立つ傷こそできなかったが、地面に叩きつけられた衝撃は軽いものではなかった。

「ハァ……ハァ……」

ベルが地面に大の字で横たわり、荒い息を漏らしていると、
スティーブがベルに右手を差し出してきた。

「……少し休憩しようか?」
「……はい」

スティーブからの言葉に、ベルは差し出された右手を掴みながら答えたのだった。



『・・・』ゴクゴク・・・

ベルとスティーブは寺の片隅に腰を下ろし、水分補給を行っていた。

組み手によって失われた水分が体に吸収されていくと、少しずつではあるが体力も回復していくような感じがしてくる。

「……ベルって言ったっけ?君は中々見所があるよ。最初、『訓練してくれ』って頼まれた時は少し困ったけど……」
「ハァ……そうですか」

スティーブからの称賛の言葉に、ベルは曖昧な返事を返した。
普段の彼を知る者が見たならば、困惑するような姿である。

「……」

スティーブもスティーブで、あったばかりの少年に困惑していた。
何か上手い言葉を話そうとは思うが、ティーンエイジャーの少年にどんな言葉を掛ければ良いのか分からない。
こういう時ばかりは、トニーの軽口やロキの口八丁が羨ましいと内心で思っていた。
しかし、自分はトニーともロキとも違う。
なので、自分なりの問いかけをする事にした。


191 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 12:57:42 wzZjzOWk0
「なぁ、ベル……君はどうして、僕に組み手を頼んだんだい?」

スティーブが一番気になっていた事がこれ。
この平安京で知り合ってすぐ、ベルはスティーブが『歴戦の戦士』である事を知ると、即座に『自分と組み手をして欲しい』と頼んだのだ。
それも、土下座までして。
その事が、スティーブの心に引っ掛かっていたのだ。

「それは……強くなりたくて……」
「本当にそれだけかい?だとしても、どうして今すぐ強くなりたいんだい?」
「……」

スティーブからの問いかけに、ベルは一瞬うつむき……
そして、静かに語りだした。

「……許せないんです」
「『許せない』?あの主催者の少女達がかい?」
「いえ・・・確かに殺し合いなんて開くあの子達のことも許せないですけど……」

「一番許せないのは……自分自身なんです」

そう語るベルの瞳には、怒りと悲しみと、深い罪悪感が宿っていた。

「……僕は、あの時……見せしめに殺された女の子の、すぐ近くにいました。なのに……僕はあの人の首輪が爆発するのを、見ている事しかできなかった……もし僕が動けていたら、助けられたかもしれないのに!」

ベルは手に持つ水の入ったペットボトルを握り締める。
あまりの力に、ペットボトルはグシャグシャに潰れてしまった。

「……それは僕も同じ気持ちだ。だが、もし君が見せしめにされた彼女を助けたとしても……その時は、代わりに君が殺されていただろう」
「……だとしても!」

ベルはスティーブに向けてやるせない気持ちを叫ぶ。

「僕は、あの時……恐怖で動く事すらできなかったんです……あの人を、助けられたかもしれないのに……」

動こうとしなかった自分への『怒り』、
目の前でむざむざと人殺しを許してしまった『罪悪感』、
そして、名も知らぬ少女が死んだ事への『悲しみ』……
それらがない交ぜになって、ベルの両目からは一筋の涙が流れていた。

「……僕は物心ついた時から、おじいちゃんに英雄譚を聞かされて育ちました。もしも……もしも、物語に出てくるような英雄があそこにいたなら……きっと自分の命を犠牲にしてでも・・・あの場であの二人を倒して、あの子だけじゃなくて、みんなを助けてくれた……そう思うんです。だから!」

不意にベルは顔を上げる。

「僕が代わりに!『英雄』になれないとしても『英雄の代わり』として!この殺し合いから、みんなを救いたい!だから、少しでも強くなりたいんです!」

自身の気持ちを語るベルの顔は、先ほどまで泣いていた少年と同一人物とは思えない、覚悟を決めた男の顔をしていた。

「……」


192 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 12:58:37 wzZjzOWk0
『英雄の代わりとして、みんなを救いたい』。
そう語るベルの姿に、スティーブはかつての自分……
超人兵士となる前、『戦争を早く終わらせたい』と強く思いながらも、
病弱な体が足枷となって何度も徴兵検査に落ちていた頃の自分……の姿が重なって見えた。

「『英雄の代わり』としてか……立派な志だ」

スティーブはベルを称賛しながらも、「……だけど」と付け加えた。

「『現実』は『物語』とは違うんだ。誰もが幸せになる『ハッピーエンド』が、必ず来るとは限らない。時には強大過ぎる力の前に敗北する事もあるし、大勢の人間を救う為に犠牲を出さなければいけない事だってあるんだ」

かつてのレッドスカル率いるヒドラとの戦い。
スティーブはワルキューレ爆撃機を北極海に沈め、
ニューヨークとそこに住む何十万もの人々を救ったのと引き換えに、70年もの間氷付けで眠り続ける事になった。

サノスとのインフィニティストーン争奪戦。
スティーブを初めとするヒーロー達は、あと1歩というところでサノスによる『デシメーション』を許してしまい、
全宇宙の生命の半分が消滅する事になった。

それから5年後のサノスとの最終決戦(エンドゲーム)。
スティーブの盟友だったアイアンマンことトニー・スタークは、自らの命と引き換えにサノスとその軍勢を消滅させ、地球を救ったのだ。

「……ベル、君が進もうとしているのは終わりの見えない茨の道だ。一度進み始めたら、もう後戻りは出来ない。時には自分が無力に思えて、心が折れそうになる事もある筈だ」

スティーブはベルの肩にそっと手を置いた。

「ベル、君にその道を進む覚悟はあるかい?」

それは『ヒーロー』として、
『男』として、
何より『一人の大人』として、
スティーブの心からの問いかけだった。
だが……

「……えぇ、もちろんです」

ベルの心は変わらなかった。

「これくらいで諦めていたら……仲間や神様、憧れの人に愛想をつかれちゃいますから」

そう断言するベルの瞳には、迷いやためらいは一切無かった。

「……そうか」

ベルの返答に満足したのか、スティーブも覚悟を決めたような表情を浮かべ、デイバッグを担いで立ち上がった。

「……なら、いつまでものんびりしている訳には行かないな。一人でも多く、巻き込まれた人を助けに行こう!」

スティーブに続いてベルもデイバッグを片手に持って立ち上がった。

「はい!よろしくお願いします、スティーブさん!」

元気の良い返事をするベルだったが、スティーブは首を横に振った。

「……いいや、ベル。僕の事はこう呼んでくれ」




「……キャプテン・アメリカ」

後に、ベルはこう語る。
『この時のキャプテンは、まるで物語から抜け出した本物の英雄のようだった』、と。


193 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 12:59:14 wzZjzOWk0
【ベル・クラネル@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】
[状態]:健康、若干の疲労、覚悟完了
[装備]:兎鎧@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:『英雄の代わり』として、参加者達を助ける
1:キャプテン(スティーブ)と共に行動する
2:キャプテン・アメリカ?スティーブさんの二つ名?
3:ファミリアの仲間がいるなら合流する
[備考]
アポロン・ファミリアとの戦争遊戯終了後からの参戦。
兎鎧は支給品ではありません。
スティーブを『オラリオから遠く離れた国出身の戦士』と思っています。


【スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康、体が程よくほぐれている
[装備]:キャプテン・アメリカのコスチューム@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:ベルと共に一人でも多くの参加者を救う
2:アベンジャーズの仲間がいるなら合流する
[備考]
『エンドゲーム』のトニーの葬儀後〜インフィニティストーンを元の時代に返却しに行くの間の時間軸からの参戦。
ベルを『ソーやロキのような、地球の神話のモデルとなった地球外惑星の出身』だと考えています。


【兎鎧@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】
ベル・クラネルの仲間である鍛冶士ヴェルフ・クロッゾ製作の軽装防具。
こう書いて『ピョンキチ』と読む。


194 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 12:59:52 wzZjzOWk0
投下終了します


195 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/16(火) 15:22:24 q0ZmHtSI0
投下させていただきます。
ずいぶん前に『サマナーロワ』に投下した物を加筆修正したものになります


196 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/16(火) 15:23:26 q0ZmHtSI0
「はぁ……はぁ……!」

柊つかさは走っていた。

体育祭の時でもこんなに全力疾走したことが無いと言い切れるほどに。
脚の筋肉が悲鳴を挙げるほどに。
額から滝のように汗を流しながら、彼女は走っていた。

その顔に浮かんでいるのは、ただ一つ……『恐怖』だ。
一瞬でも立ち止まれば、その時点で自身の命は無い……本能的にそう察したからこその全力疾走だった。

「ハァ……ハァ……」

走って走って走って走って走って走って……
それでも背後からの気配は消えず、距離も縮まらない。
それが一層『恐怖』として彼女に走る力を与えていた。

「ハァ……ハァ……」

少しでも相手を撒こうと、つかさは路地の曲がり角に潜り込んだが……

「!?」

そこは石でできた壁で行き止まりとなっていた。

「そ……そんな……」

その絶望的状況に、つかさは膝をついた。
走り続けて彼女の足は限界を迎えてしまい、もはや自身の体を支えることもできなくなっていた。

「……ゴクッ」

つかさは唾を飲み込むと、恐る恐る後ろを振り返った。そこには……

『ダッダァー』

シマウマを思わせる白と黒の縞模様の浮かんだ体とおかっぱ頭のような頭部が特徴的な
どこか鉱物的な無機質さを感じさせる人型の怪物……
パワードダダが、不気味な声を挙げて立っていた。

「あ、あぁ……」

つかさは恐怖で顔を強張らせ、何とかパワードダダと距離を取ろうと四つん這いで逃げていくが、石の壁に阻まれてしまう。

『ダッダァー』

パワードダダはそんなつかさをあざ笑うかのように不気味な声を挙げると、
黄色い目を輝かせながら、つかさに近寄っていく。


197 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/16(火) 15:23:57 q0ZmHtSI0
「こ、こないで!」

つかさは支給されたバックパックの中の食料や飲料水をパワードダダに投げつけるが、
パワードダダはそんな物を意にも介さずに、つかさに近づいていった。

「あ……あぁ……」

つかさはタレている眼を涙で潤わせ、空っぽになったデイバッグの紐を握りしめる。

『ダッダァー。ダッダァー』

つかさの抵抗が終わったことを感じたらしいパワードダダは、その両手をつかさに向けて、
アームレーザー発射の態勢を取る。
その滑稽的でいて恐ろしい姿に、つかさの恐怖はついに限界を迎えた。

「だ……誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

つかさは叫んだ。
何処の誰でも良い。悪魔でも天使でもどっちでも構わない。
誰か助けて。そう強く願った。


その願いを聞き届けたのは神か魔王か。
突如として、つかさとパワードダダの間に真っ赤に燃える炎が吹き上がった。

「きゃっ!!」
『ダッダァー!?』

あまりに激しい炎に、つかさのみならず、パワードダダまで怯ませた。

そして炎が晴れると・・・つかさの正面に、一人の男が立っていた。

黒い服と赤いマフラーを身に着けたピンク色の短髪の男性……。

そんな人物がパワードダダと向き合う形で、つかさの正面に立っていたのだ。

「「……」」

突然の第三者の出現に、つかさもパワードダダも凍りついたかのように固まっていた。

『……ダッダァー!!』

先に動いたのはパワードダダだった。
パワードダダは両手から光線を発射して、男性を攻撃した。

それに対し、男性は包帯で覆われている左手をパワードダダに向けた。
すると、男性の左腕から竜のような形の真紅の炎が放たれ……
パワードダダの体を包み込んだ。

『ダッダァァァァァァァァァ・・・・・・・』

炎に包まれたパワードダダは人間の物よりも甲高い苦痛の叫びを響き渡らせながら……
後には白い砂のようなものとだけが残されていた。

「……」

その光景に、つかさはあんぐりと口を開けて呆然としていた。

パワードダダの姿が消えると、男性はつかさの方に振り返った。
その男性は整った顔立ちをしていて、ピンク色の前髪で左目が隠れていた。


198 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/16(火) 15:24:26 q0ZmHtSI0
「……」

男性はつかさに近寄ると、つかさに向けて右腕を伸ばした。

「……!」

思わずつかさは目をぎゅっと瞑ったのだが・・・

ポフッ

男性はつかさの頭に手を置き、ワシワシと撫でた。

(えっ……?)

恐る恐るつかさが目を開けると……

「大丈夫だ。俺は……」


「俺は味方だ」


その瞳は晴れの日の空のように澄み切っていた。

「う……ウワアアアアアアアアア!!!!」

つかさはそれまでの我慢が限界に達し、男性の体に抱き着いて赤子のように泣き出した。

男性は最初こそつかさの様子に面食らったものの……
すぐに気を取り直して、幼子をあやすようにつかさの背中を擦りだしたのだった。





【柊つかさ@らき☆すた】
[状態]:極度の疲労とストレス
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:死にたくない
1:ウワァァァァン!!
[備考]
高校3年時からの参戦。
周りに支給品が散らばっています。


【人吉爾朗@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康、少し困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:『超人』として、人を助ける
1:目の前の少女(つかさ)が泣き止むまで待つ
[備考]
アニメ第2期最終回で肉体が消滅した後からの参戦。







そこから少し離れた草原‐

「……ダァダァー」

……パワードダダは無傷でそこに立っていた。
先ほど、男性……人吉爾朗に焼き尽くされそうになった瞬間に、テレポートで脱出していたのだ。

「ダッダァー」

今すぐに戻って、不意打ちをかけても良かったが、パワードダダはそのまま別の獲物を求めて移動を開始した。

別に爾朗に対して恐怖を抱いたから、ではない。
なんの攻撃手段も持たない相手を襲うよりも、抵抗が強い分非効率だと判断したのだ

「ダッダァー」

不気味な声を上げながら、パワードダダは赤い月の下を歩いていく。
その先に何が待つのか……今は誰にも分らない。

「ダッダァー」




【パワードダダ@ウルトラマンパワード】
[状態]健康、ダメージ小
[装備]無し
[道具]無し
[思考・状況]
基本:自分以外全員殺す
1:ダッダァー
[備考]
制限により、巨大化・体の密度変化・体の電気信号への変換は不可能、
テレポートの最大飛距離は3エリアまで、となっている。


199 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆j1W0m6Dvxw :2021/03/16(火) 15:24:50 q0ZmHtSI0
投下終了いたします


200 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 17:50:38 M9/53HYw0
投下します。


201 : Vicious Pain ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 17:52:04 M9/53HYw0
アイテム番号:SCP-2599

オブジェクトクラス:Keter

説明:SCP-2599は以前ジーナ・チョウとして知られていた14歳の朝鮮系の女性です。

SCP-2599の通常の異常特性は2つ、自傷、他者への暴力、その他好ましくない行動等を含めたあらゆる直接的命令の遵守、
加えて、与えられた命令の完全な遂行の不能性です。

SCP-2599は現在精神汚染を受けており、特に他者への加害行為に対する心理的障壁が通常よりも著しく低くなっています。

それに加え、SCP-2599は気配の遮断により他者にその存在を察知されることが難しくなっています。
肉体的損傷は直ちに再生しますが心臓が破壊されれば活動を停止します。

SCP-2599の1つ目の異常特性、直接的命令の遵守については現在SCP-2599が精神汚染を受けているため、無効化されています。
後述の理由からSCP-2599は他者の殺害を最優先に位置付けており、直接的命令によりその目標を放棄することはありません。

SCP-2599の2つ目の異常特性、与えられた命令の完全な遂行の不能性について無効化されていないものの、一部変化が見られます。
SCP-2599は精神汚染により、他者の殺害を擬似的な命令として与えられています。
そのためSCP-2599が行う他者の殺害行為は直接的には完全に遂行されません。
また、この擬似的命令には本ゲームでの優勝は含まれていません。



【八将神枠】
【SCP-2599@SCP Foundation】
[状態]:健康
[装備]:包丁@彼岸島 48日後…
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:参加者を殺す。
1:…………

【包丁@彼岸島 48日後…】
ユカポンがファンの吸血鬼を滅多刺しにして殺害する際に使用した包丁。


202 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/16(火) 17:52:05 LoIURPbk0
自作の文章を一部修正させていただきました。


203 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 17:52:36 M9/53HYw0
投下を終了します。


204 : ◆.EKyuDaHEo :2021/03/16(火) 19:48:17 g62KLUYk0
投下します


205 : 恐怖の雪だるま ◆.EKyuDaHEo :2021/03/16(火) 19:48:39 g62KLUYk0
「何が起きてやがるんだ...?」

黒い隊服を着た男が今の状況を見て呟いた、彼の名前は...分からない、だがみんなからはサイコロステーキ先輩と呼ばれている
以前彼は鬼の頸を切ろうとしてあっけなく殺され命を絶った...しかしどうだろう、自分は意識もあり身体も動かせる...

「原理は分からねぇが折角生き返ったんだ、殺し合いだか何だか知らねぇが俺は安全に出世したいからな...鬼の頸を切れればそれでいい」

彼は生き返れたことを幸運に思い出世したいから鬼の頸を切る、そう思い鬼を探しに歩を進めようとすると...

「よ!そこのあんちゃん!」
「!?」

咄嗟に声が聞こえ念のため身構えるがそこにいたのはただの雪だるまだった

「何だよ、ただの雪の塊じゃねぇか」
「あはは、雪の塊だなんてあんちゃん口悪いね〜、せめて雪だるまと言ってほしいな〜」

雪だるまは明るく彼に振る舞う、そして彼にとある提案をする

「ところであんちゃん、俺と手を組まねぇか?」
「何?」
「人数は一人でも多い方が良いって言うだろ〜?それにあんちゃんのためなら俺は何でもするぜ!」

雪だるまは自分と同行しないかと誘う...だが...

「断る」
「おいおい〜、あんちゃん断るなんて水くさいぜ〜」
「お前みたいな雪の塊に何ができるんだよ、同行したところで足手まといにしかならないのは目に見えてんだよ、俺は安全に出世したいんだ、分かったらとっとと失せろ」

サイコロステーキ先輩はそう捨て台詞を吐き再び歩を進めようとする...しかし...

「そうかい...それじゃあ...あの世に行ってもらうしかねぇな...ス・ノーマン!」
「!?」

雪だるまが呪文らしきものを唱えるとサイコロステーキ先輩の身体が足から徐々に上に上がって凍っていく

「な、何しやがったてめぇ!」
「あんちゃんが悪いんだぜ?大人しく俺の言うことを聞いてれば痛い目に遭わずに済んだのによ...」
「く、くそ......が......」

サイコロステーキ先輩の身体はどんどん凍っていき、遺言を話す暇もなく身体全体が凍っていしまった...
そして最後に雪だるまはその凍ったサイコロステーキ先輩に向かってパンチをお見舞いし、サイコロステーキ先輩の身体はバラバラになり2度目の生涯を終えた...

【サイコロステーキ先輩@鬼滅の刃 死亡】


◆◆◆


206 : 恐怖の雪だるま ◆.EKyuDaHEo :2021/03/16(火) 19:48:51 g62KLUYk0


「全く、生意気なガキだったぜ...」

一体この雪だるまは何者なのか...
名前はス・ノーマン・パー...彼が先ほど見せていた明るく優しい姿、ほとんどの者はこの明るさや優しさを見て善良な雪だるまだと思うだろう...しかしそれは全て演技...本当の正体は冷酷かつ残忍な性格...

「主催者も主催者だな、俺様をこんなところに連れてきやがって...ま、どうやら日が昇ることはないみたいで溶ける心配はしなくていいからまだマシだけどな」

ス・ノーマンの唯一の弱点は熱、所詮彼も雪だるまであるため熱を浴びればだんだん溶ける...
しかしこの場では日が昇ることはないのでス・ノーマンにとっては幸運であった

「それにあの『小僧』を始末する前のパーティーって考えたら中々楽しめそうだな、もしあの小僧もここにいるのならここで始末するまでだけどな...」

小僧とは自分が追いかけ回している少年『野原しんのすけ』のことだ、彼がスゲーナスゴイデスのトランプを持ってるためス・ノーマンは彼を始末しようとしている、自分がここにいるということは彼がここにいてもおかしくはないとス・ノーマンは考える

「とりあえず折角パーティーにご招待されたんだから楽しませてもらうぜ!あっはっはっはっは!!」

ス・ノーマンはそういいながら足裏からローラーブレードのような車輪を出し高速移動で他の参加者を探し始めた...

【ス・ノーマン・パー@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]
基本行動方針:折角だからこのパーティーを楽しむ
1:利用できるやつは利用する
2:もしあの『小僧』(しんのすけ)もいるのなら始末する
[備考]
※映画「ヘンダーランドの大冒険」からの参戦です


207 : 恐怖の雪だるま ◆.EKyuDaHEo :2021/03/16(火) 19:49:04 g62KLUYk0
投下終了します


208 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/16(火) 20:17:54 J5uqrKa60
投下します。


209 : 恨みは時を越えて ◆bLcnJe0wGs :2021/03/16(火) 20:19:25 J5uqrKa60
◇A.D.600年──

■ある大陸では、ガルディア王国の人間と、魔王軍の魔物達が戦っていました。

■魔王軍の魔物達は、人間に変身する能力を持っていました。

■その魔王軍の一員には、『ヤクラ』という魔物がいました。

■彼も又、人間に化ける事が出来ました。

■彼は、ガルディア王国を治める、王様の傍で仕える大臣に化けて、本物の大臣を宝箱に閉じ込めて何処かに隠してしまいました。

■彼は、王妃も攫って抹殺する事を目論みました。

■しかし、王様と王妃に仕える勇者と、400年先の未来からやって来た少年達に悪事を見破られて、倒されてしまいました。

■捕らわれていた、王妃と大臣達も無事に救出されました。

◆◆◆

■しかし、ヤクラの恨みは子孫達にも受け継がれました。

◆◆◆

◇それから400年後、A.D.1000年──

■そんな子孫の一体であるヤクラ13世は、先祖がやった事と同じ様に、この時代の大臣に化けて、宝箱に閉じ込めてしまいました。

■そしてヤクラ13世は、城の人間達を巧みに操って、この時代に戻って来た、先祖の仇の一人である、赤髪の少年を死刑にする事を目論みました。

■しかし、それも少年の仲間達の介入によって、失敗に終わりました。

■─その次は、ガルディア王を抹殺する事を目論みましたが、そこに駆けつけて来た、先祖の仇を討つ機会が訪れました。

■彼は、その機会を逃さんとばかりに彼らに襲い掛かりましたが、逆に敗れてしまいました。

◆◆◆

■だがしかし、その後に意識を取り戻すと、知らない人々から殺し合いを命じられて、最後の一人になれば願いを叶えてあげると言われました。

■そして、彼は先祖の無念を晴らす為に、殺し合いに乗る事を決めました。

【ヤクラ13世@クロノ・トリガー】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗って、先祖の無念を晴らす。
1:利用できる様な者は、その限り利用する。
[備考]
※能力の制限については、後続の書き手にお任せします。


210 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/16(火) 20:19:41 J5uqrKa60
投下終了です。


211 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 20:57:26 q0ZmHtSI0
投下させていただきます。
コンペロワに投下したものを手直しした物になります


212 : 鬼畜戦士は微熱の魔法使いとお外でギシギシアンアンする ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 20:58:47 q0ZmHtSI0
「もぅ!何なのよこれは!?」

燃えるような赤毛と健康的な褐色の肌、メリハリの効いたグラマラスボディが印象的なエキゾチックな美少女……トリステイン魔法学院の生徒である『微熱のキュルケ』ことキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは憤慨していた。

この殺し合いを開いた双子の主催者達に怒りを抱いたのだ。

彼女は貴族の例に漏れず、プライドが高い少女である。
爆弾入りの首輪を付けられて『殺し合え』などと言われて、
『はいそうですか』と大人しく従うような性格はしていない。

むしろ、このような蛮行を行う主催者に対して、
マグマのように熱い怒りを燃やしていたのだ。

確かに、魔法を使う為の媒介である杖を取り上げられた今の自分は無力かもしれない。

だが、だからといって理由も無く他人を殺し、自分だけ生き残ろうなどと考える程、キュルケは短絡的な女ではなかった。

ひとまずは信頼できる仲間を探し、ここから脱出しよう。
行動方針を決めると、キュルケは自分の支給品の確認を始めた。

☆☆☆

同じ頃……

「くそー!!アイツらー!!」

鎧を纏った冒険者の青年……『鬼畜戦士』として名高いランスも、双子の主催者への怒りを燃やしていた。
と言っても、彼の場合は少々毛色が違っていた。

「何でわざわざ俺様のお楽しみを邪魔するんだー!?」

彼はここに来る直前、欲求不満が貯まってきたので奴隷のシィルで発散しようとしていた。

そしてシィルをベッドへ押し倒そうとした瞬間……この殺し合いに参加させられた、という訳である。

「くそぉ〜。どうせ呼ぶなら、俺様がスッキリしてからにしろというのだ!」

彼は殺し合いに対して忌避感などはない。

基本的に美女に目がなく、自分以外の男は不要と思うような鬼畜戦士なのだ。

今、彼の頭の中にあるのはただ一つ。
『おあずけ』を食らって暴発寸前な股間の『ハイパー兵器』をどうやって静めるか、という事であった。

「どこかに美女はいないかぁ〜?この際、多少貧乳でも良いぞ〜?」

最低な事を考えながら、最低な事を口走るランス。
宛もなくさ迷っていると……

「……うん?」
「……あら?」


213 : 鬼畜戦士は微熱の魔法使いとお外でギシギシアンアンする ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 20:59:39 q0ZmHtSI0

支給品の確認を行っていたキュルケと鉢合わせした。

「ウオオオオオ!美女、発見!!」
「えっ?ち、ちょっと?何?」
「もう辛抱たまらん!!ウオオオオオ!!」
「キャアアアッ!!」

そのままランスはキュルケを押し倒してしまった。

☆☆☆

しばらくお待ちください……

☆☆☆

それからしばらくして……

ランスとキュルケの二人は、一糸纏わぬ姿で原っぱに寝そべっていた。

「zzz〜」

欲求不満が解消されたランスは憑き物が落ちたような穏やかな表情を浮かべながら大いびきで眠っており、

「……///」

キュルケは強姦まがい……というか、強姦されたというのに、
顔を赤らめて、満更でもなさそうな表情を浮かべながら、
まるで恋人のように愛おしげにランスに抱きついていたのだった。



【ランス@Ranceシリーズ】
[状態]:健康、全裸、超スッキリ、睡眠中
[装備]:無し(全裸)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:美女は助ける、男はほっとく
1:zzz〜・・・
[備考]
参戦時期は『戦国ランス』期です。
周りに二人の衣服と支給品と体液が散らばっています。

【キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー@ゼロの使い魔】
[状態]:健康、全裸、脱力感
[装備]:無し(全裸)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:会場からの脱出
1:・・・///
[備考]
参戦時期はアニメ第一期頃。
周りに二人の衣服と支給品と体液が散らばっています。


214 : 鬼畜戦士は微熱の魔法使いとお外でギシギシアンアンする ◆4kMBNI9QkE :2021/03/16(火) 21:00:40 q0ZmHtSI0
投下終了します


215 : ◆vV5.jnbCYw :2021/03/16(火) 21:24:31 jwQjF/zo0
投下します


216 : 赤い月と悪魔たち ◆vV5.jnbCYw :2021/03/16(火) 21:25:34 jwQjF/zo0
(どうして、ボクはこんなところにいるんだ?)
赤光が満ちる平安京の街路に立っていたのは、虫と人が合わさったかのような生き物。
一見仮面をつけたヒーローにも見える。
では正義の味方かと言われれば、所属は別。
彼、ギャブロは魔王ギャブ・ファーの卵から生まれ、邪悪な魔導士ダークの下で暗躍していた六魔将の一人だった。
だがそれも昔の話。
ひょんなことから勇者の友達であるロボットや、世話係のはずのソニアとの触れ合いを経て、悪を滅せんとする正義の側に付いた。


やがて冒険の果てに、暗黒の力を持って暴走するダークを止めようとして、命を落としたはずだった。
来世は平和になった世界で、家族と楽しく過ごす、それだけを願って、終わりを迎えた所、訳の分からない場所に呼ばれていた。


(そうか……いいだろう、このボクをふざけた殺しあいに呼んだことを、後悔させてやるよ。)
ザックから金属の小手を取り出し、右手に装着する。
魔王の力を受け継いでいる以上、魔法とシンプルな格闘術が中心の彼にとって、シンプルなデザインの武器はこの上なく適合していた。

(きっとこの世界でも、誰かの親や誰かの子が無理やり参戦させられているはずだ。)


家族がいない腹いせに、近辺の村や町から子供を攫っていた、昔の自分を思い出す。
もう二度とあんなことはしないと、家族同士を離れ離れにさせないと心に決め、少年は歩き出した。


「君、ちょっといいかな?」
歩き出して、最初の角を曲がった先にいるのは、
スーツを丁寧に着込み、髪型をポマードで整えた、サングラスをかけた少年だった。

「ぼくは間久部緑郎、気さくにロックとでも呼んでいいよ。」
「オマエ、ボクが怖くないのか?」
人間の町を勇者と共に歩いた時、町の人々でさえも怪しんだ目で見てきた。
だがこの少年は、そのような目で自分を見てこず、進んで話しかけてきた。

「いいんだよ別に、こう見えてぼくは、獣に変身する人間とか、色々見てきているからね。」
獣に変身する人間、と聞いて、仲間である獣人バルテスを思い出した。
彼の世界でもまた、人間の改造をした奴がいたのだろうか。


「ぼくとしては、君がどんなことを経験してきたのか聞きたいんだ。丁度そこのチンケな建物に入って、教えて欲しい。」

このような状況で開口一番に聞いてくるのは、「殺し合いに乗っているか」であるはずだが、少年が聞いてきたのは、自分の世界や経歴だった。
好奇心旺盛なだけではなく、物怖じしない性格だということは、ギャブロにも伝わった。
味方にすれば頼れることこの上なさそうだが、一体正体は何だと怪しみながら、少年の後についていく。


217 : 赤い月と悪魔たち ◆vV5.jnbCYw :2021/03/16(火) 21:25:51 jwQjF/zo0
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「面白いな……貝の勇者、魔導士ダーク、天空世界に地下世界、それに君自身の出生も。」
スーツとサングラスの少年、間久部緑郎は丸机を中心に向かい合って椅子に座り、ギャブロの一言一言を、じつに興味深そうに聞いていた。

「何より面白いのが、それがフィクションじゃないってことだ。もしかしたらその貝の勇者とやらは、ぼくの世界から呼ばれた人間なのかもしれないな。」

「もしかすると、勇者の世界とボクたちの世界で、アイツらを倒せるかもしれない。協力してくれ、ロック。」


ロックにとっては、どこまでも現実から離れていた。
何かのトリガーによって獣へと姿を変える人間という、現実離れした種族と付き合ってきた彼でさえ、受け入れることにはひと手間かかった。
こうした殺し合いに、赤い月という非現実な緩衝材がなければ、信用できていなかったはずである。


「もう一つだけ聞かせて欲しいことがある。君はどうして、この殺し合いを止めようと思っているんだい?」
ロックはようやく、互いの世界のことではなく、殺し合いのことに切り込んだ。


「皆、家族がいるからだ。」
ギャブロはウソ偽りなく、理由を話した。
「きっと、誰かが殺したり、殺されたりしたら、そいつらのパパやママは悲しむ。そんなのをボクは見たくないんだ。」

「ごめんね、もういいや。」

そうするとロックのサングラス越しの瞳は、好奇心を滾らせた光を失った。

「いや、別にいいけど……」
どこか気分を害したかのように見えたロックに対し、ギャブロは謝罪の言葉を告げる。

「ううん、もういいってのは、こういう事さ。
キラークイーン。」


突然ロックの背後から現れた、猫頭で筋肉質な人間の拳が、ギャブロに座っていた椅子を粉砕した。
それは確かに殺意のこもった一撃だった。
人間をはるかに超える力を持った生物の遺伝子を持ったギャブロだからこそ躱せたが、ただの人間なら死んでいた。


「オマエ、嫌な予感はしていたが、殺し合いに乗っていたんだな。」
後ろに飛びのくことで、事なきを得たギャブロは、ロックを睨みつける。
「ふん、少なくとも、君みたいなマヌケな考えの持ち主と、組むつもりはないね。」

サングラス越しから見える瞳や口元は、侮蔑の歪みを帯びていた。
まるでそれはリアリストの大人が、スーパーマンになりたいと言っていた子供を見るような顔だ。


「マヌケな考え?殺しあった結果、家族が悲しむって話が、間違っているとでもいうのか?」
ギャブロはロックに対し、必死で反論する。


「その考えがムカつくんだよ。おまえは、家族さえいれば何でもいいと思っているクチだろ?
言っておくがおれはこの戦いに来るまでに、何百人も殺した。それでもおれの両親は悲しんじゃくれないぜ。おれを捨てたんだからな。」

光に満ちていたロックの瞳が、今度は闇で濁る。
奴がどんな過去を送って来たのかギャブロには分からないが、それでも分かったことがあった。
この男を倒さないと、確実に犠牲者が出る。


218 : 赤い月と悪魔たち ◆vV5.jnbCYw :2021/03/16(火) 21:26:06 jwQjF/zo0

「こいつを食らえ!!マッドハリケーン!!」
ギャブロは全身に風の力を纏い、ロック目掛けて突撃しようとした。
人間には捕らえられない超スピードの技。

だが、ロック目掛けての一撃を遮断するものがあった。

「足元に気を付けなよ。」
「―――――ッ!!」
キラークイーンによって、粉砕された椅子だ。それがあろうことか、爆発したのだ。
彼が身に着けたスタンドは、単純な攻撃力もさることながら、指先に触れた物を何でも爆発させることが出来る。
何とか上空にとび上がり、直撃こそは避けるが、烈風纏いしダッシュは止めざるを得なかった。

「素晴らしい力を得ながら、なぜその力を自分のために使わない?」
「そんなことをしても、何も手に入らないってことを、ソニアが教えてくれたんだ!!」


爆風に飛ばされてしまうが、上空でなおもギャブロは攻撃を続ける。

「コールドフィスト!!」
今度は腕に貯めた氷魔術で作った氷塊を、紙飛行機のように飛ばす。

「おっと、危ない危ない。」
しかしキラークイーンの拳が、氷をキャッチしてしまった。
そして、忘れてはならないことは、それの人差し指が触れたものは、何でも爆弾に変えてしまう。


「また爆発か!!」
氷塊は爆発し、辺りに透明な刃を散らした。
それに巻き込まれないように、炎をエネルギーを貯めて全身を守っていたが、それが無くなった後に、ロックの姿は消えていた。


「くそ……奴を追いかけないと……!!」
ギャブロは慌てて、見失ったロックを探して走り出した。
赤い月だけが、残酷に彼を照らしていた。


【ギャブロ@大貝獣物語2】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:メタルナックル@FINAL FANTASY VII
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:ロックを追いかける
2:知り合いが参戦させられていたら探す
[備考]
※参戦時期は暴走するダークを命と引き換えに止めた直後


219 : 赤い月と悪魔たち ◆vV5.jnbCYw :2021/03/16(火) 21:26:22 jwQjF/zo0

(バカな奴だ。ぼくがこっちにいると考えず、外に出ていきやがった。)

ロックは氷塊を爆発させた直後、キラークイーンで家の床下に穴を掘り、そこを散乱した家具で隠し、その下に隠れていた。

彼は、殺し合いに乗る前から、宇宙人のように頭が良く、猫のように執念深く、ヘビのように残忍な性格の持ち主だった。


そして彼はバンパイアと協力し、計画の果てに人の作りし法や道徳やきまりを粉砕しようと考えていた。
だが、その計画はバンパイアの少年トッペイと漫画家手塚治虫、そして私立探偵伴俊作の手により、完全に破綻した。


(しかし、殺し合いを強制したのは気に食わないが、中々いい物をくれたじゃないか。
前に花火工場で作らせた丸薬より、面白いな。
帰ったらバンパイア革命をもう一度やり直すのも悪くない。)


(とりあえずあのギャブロとかいう奴が、家族何てくだらないってことを、分かってくれたらいいな。)
だが、彼はこの場に呼ばれ殺し合いという、秩序なき場所を楽しむ。
それが、間久部緑郎という、人間なのだから。
血のように赤い月のみが、彼という残酷な悪魔を照らしていた。



【間久部緑郎/ロック@バンパイア】
[状態]:健康 汚れ
[装備]:キラークイーンのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:秩序なきこの場を楽しむ
1:とりあえず辺りを散策。殺しを唆すもよし、殺すもよし
[備考]
※参戦時期はバンパイア革命に失敗し、西郷を殺害した後

[支給品紹介]
[メタルナックル@FINAL FANTASY VII]
ギャブロに支給されたグローブ。
腕にはめて使えば、物理攻撃力が上がる。頑丈だが、特にこれと言った性能はない。

[キラークイーンのDISC@ジョジョの奇妙な冒険]
ロックに支給されたスタンドDISC。頭に挿入すると、このスタンドが使える
スタンドパラメータ
 破壊力:A
 スピード:B
 射程距離:D
 持続力:B
 精密動作性:B
 成長性:A
能力:触れたものを爆弾に変える

※このスタンドは原作と異なり、非スタンド使いでも見えます。
また、シアーハートアタック、バイツァ・ダストは使えません。


220 : 赤い月と悪魔たち ◆vV5.jnbCYw :2021/03/16(火) 21:26:35 jwQjF/zo0
投下終了です


221 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/03/16(火) 22:59:43 M9/53HYw0
すみません、>>201は破棄させてください。


222 : 恐怖の雪だるま ◆.EKyuDaHEo :2021/03/17(水) 00:16:40 KH2pElfg0
すみません、名前をサイコロステーキ先輩にしてましたが「累に刻まれた剣士」に変更します


223 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/17(水) 03:05:03 41cqIhzE0
拙作の誤字脱字など、細かいところを修正しました。


224 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 09:23:24 iUI5m30I0
投下させていただきます。
コンペロワに投下したものを手直しした物になります


225 : 乙女の危機!変態魔剣カオス! ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 09:24:24 iUI5m30I0
「うわぁ〜!スッゴ〜い!」

和服姿の少女……新生・帝国華撃団花組の隊員である天宮さくらは、
目の前に広がる雅な平安京の光景を眺めながら思わずそんな感想を口にした。

とはいえ、ここは観光地でもリゾートでもなく、殺し合いの場。
景色に見とれている場合ではない。
ボヤボヤしてると後ろからバッサリなのだ。

「誠十郎さん……は、いないか」

周囲にはさくらが思いを寄せる隊長や信頼する花組の仲間達の姿は無い。
参加させられたのはさくらだけなのか?
それとも会場のどこかにいるのか?
今の段階では見当もつかなかった。

ここは自分で何とかするしかない。
そう思ってさくらは支給品を確認した。

「……これは」

デイバッグから出てきたのは、黒を基調にグロテスクな装飾が施されたゴツい西洋式の大剣だった。

「西洋の剣か……できれば日本刀の方が良かったかな?」

多少の文句を言いつつも、さくらはその剣を手にして型通りに降ってみた。
愛刀である天宮國定に比べて少々重かったが、振るえない程ではない。
当面はこれで我慢するしかなさそうだった。

支給品の確認を終えると、さくらはいつもは天宮國定を下げている左脇に大剣を下げ、デイバッグを担いだ。

「よし!」

準備を終え、さくらが歩きだそうとした……その時だった。

「……きゃあっ!」

突然、尻を撫でられるような感覚がさくらを襲ったのだ。

「だ、誰かいるんですか!?」

慌て周囲を見渡すさくらだったが、先程確認した通り、周囲にさくら以外の人影は一つも無かった。

「……?」

気のせいだったのかな?
そう思ってさくらは再び歩きだした……が、

「キャアアア!!」

今度は胸を触られる……どころか、両乳房をグワシっ!と鷲掴みにされるような感覚に襲われ、さくらは胸を押さえて屈み込んだのだった。

「だ、誰!?誰なんですか!?」

さくらはまた周囲を見渡したが、やはり人影らしき物は全く見えなかった。

「???」

何が何だか分からず、さくらは少し泣きそうになりながらも、とぼとぼと歩きだしたのだった。

(ぐふふふふ……)

さくらの左腰で、ぶら下がる剣がほくそ笑んだ。
よく見れば、その剣の鯉口には顔のような物が見てとれるだろう。

(やーっと、やぁーっと、ピチピチギャル(死語)の使い手じゃ。いやぁ〜長かったのぉ〜)

この剣の名は『魔剣カオス』。
ルドラサウムというクジラみたいな超越存在が産み出したとある大陸において、
『最強』を誇る『魔人』と呼ばれる存在を傷つけられる意思を持つ伝説の剣の一振りである。

ただし、その中身はとんでもないスケベ親父。

長い剣としての一生で、
男ばかりに使われてきた鬱憤を、
この場で晴らす気満々であった。

(むふ〜。えぇの〜えぇの〜。ピッチピチのムチムチじゃわい。ではもう一回……)

カオスの刀身から目に見えないオーラが触手のように伸びていく。
その先端はワキワキと卑猥な動きをして、さくらの柔らかな太ももを撫でようと……した所で空を切った。

(あれ……?)


226 : 乙女の危機!変態魔剣カオス! ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 09:25:55 iUI5m30I0

もう一度オーラを伸ばしてみるも、やはりさくらの太ももにはたどり着かない。
というか、左腰にぶら下がっていたはずなのに、
何だか目線が高くなっていた。

(えぇっと……)

そこでカオスは自身の頭の上、すなわち柄の部分を掴まれている事に気がついた。
そして前を見ると……さくらの顔があった。

「へぇ〜……貴方の仕業だったんですか」

口調こそ穏やかだったが、さくらはまるで汚い物を見るような、軽蔑するような視線をカオスに向けており、
眉毛の端はピクピクと痙攣して、額にはうっすら青筋が浮かんでいたのだった。

「いや……あの……」
「あっ、喋れるんですか?喋る剣なんて初めて見ましたけど、あれだけやったんだから覚悟はできてますよねぇ〜?」

それだけ言うと、さくらはカオスの柄から手を離した。
カオスの刀身は重力に従って地面に落ち、
カキーンという金属音を響かせた。

「な、何を!?」

さくらはカオスの言葉に耳を貸すこと無く……
カオスの刀身を踏みつけ始めた。

「ちょっ!ちょっと待て嬢ちゃん!止めるんじゃ!」

カオスが止めるように懇願しても、さくらはカオスを何度も踏みつける。
何度も、何度も。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……。

「ちょっ!本当、待ってくれ!!ワシが悪かった!ワシが悪かったから!!」

カオスが謝罪の言葉を口にしても、さくらの踏みつけは止まらないどころか段々威力が上がっていくようだった。
その姿はまるで、怒り狂う鬼神のようであった。

さくらがカオスを足蹴にし始めて10分程経った時である。

「ちょ、ちょっと貴女!何してるの!」

別の参加者がそこに通りがかり、カオスを踏みつけにし続けるさくらを見て唖然となった。
赤いビスチェと剣闘士の鎧を組み合わせたようなコスチュームを着た、さくらよりも年上の女性だ。
コスチューム姿の女性はさくらを羽交い締めにし、カオスに対する折檻を止めさせたのだった。

「ちょっと!何があったか知らないけど、落ち着きなさい!」
「離して!離して下さい!女の敵に誅伐を!」
「おぉ!お姉ちゃん頼む!助けてくれ!!この嬢ちゃん、話聞いてくれんのじゃ!」

喋る剣に折檻を行う和装の少女、そしてその和装の少女を羽交い締めにする鎧姿の女性……なんともカオスな光景であった。


227 : 乙女の危機!変態魔剣カオス! ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 09:27:10 iUI5m30I0

☆☆☆

それから15分後……

「ふぅ〜ん……なるほど。話は分かったわ」

ようやく落ち着いたさくらとカオス双方から話を聞いたコスチューム姿の女性……ダイアナと名乗った……はさくらと共に腕組みをして、地面に横たわるカオスに向けて軽蔑するような視線を送っていた。

「……私も意思を持つ剣なんて初めて見たけど……ここまでスケベな剣があったとは驚きだわ」
「全くですよ!」
「なんじゃいなんじゃい!ワシばっかり悪者扱いしおって!」

女性2名から蔑まれ、カオスは不機嫌そうにカタカタと刀身を振るわせた。

「ワシは魔人も切れる伝説の魔剣じゃぞ!良いではないか!ちょっと胸や尻、お触りするくらい!減るもんじゃなし……」
「……こいつ、叩き折りましょうか?」
「手緩いです!ドロドロに溶かしちゃいましょう!!」
「……すいません。調子乗りました。命だけはご勘弁を」

その後、カオスは『今後決してセクハラ行為を行わない』という条件を泣く泣く受け入れ、何とか助命されたのだった。

「良いですか!?今度またあんな事したら、重りをつけて井戸の中に沈めますからね!?」
「は、はい……」

さくらの左腰にぶら下がりながら、カオスは情けない返事をしたのだった。
その様子を眺めながら、ダイアナは肩を竦めたのだった。
まる

【天宮さくら@新サクラ大戦】
[状態]:健康、不機嫌
[装備]:魔剣カオス@Ranceシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:この剣サイテー!!
2:花組の仲間がいるなら合流する
[備考]
アニメ版からの参戦

【ダイアナ(ワンダーウーマン)@DCエクステンデッド・ユニバース】
[状態]:健康、呆れ
[装備]:ワンダーウーマンのコスチューム@DCエクステンデッド・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:こんなエッチな剣があるとは・・・
[備考]
『ジャスティスリーグ』後からの参戦

【魔剣カオス@Ranceシリーズ】
老舗アダルトゲームメーカー『アリスソフト』製作の人気作『Ranceシリーズ』に登場する伝説の魔剣。
主に主人公であるランスが所持・使用し、ランスの事を『心の友』と呼ぶ。
作中世界において『無敵結界』を持つ『魔人』を切る事ができる意思を持つ剣だが、その中身はとんでもなく下品なスケベ親父。
本来は適合しない者が使用すると最終的に自我崩壊を起こすのだが、このロワにおいて誰でも使用できるように調整されている。
かつては『シーフ・カオス』という人間だったのだが、『魔人や魔王を倒せる力』を願った結果、現在の姿となった。
その他詳細はwikiを参照のこと。


228 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 09:28:26 iUI5m30I0
投下終了します


229 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/17(水) 13:01:21 41cqIhzE0
投下します。
天気の子ロワにて投下した作品を修正したものです。


230 : 黒と黒 ◆8eumUP9W6s :2021/03/17(水) 13:02:42 41cqIhzE0
「先に逝く、せいぜい頑張れ」

出血が止まらない感覚を感じ、自分の死を確信しながら、目の前の敵にそう言い放ったと同時に、俺の意識は途切れた。
他にできる事が無かったとはいえ、俺の人生はそこで───悔いを抱いたまま、終わる筈だった。

----

「…ここ、は…」

意識を失っていた青年、伏黒恵は目を覚ます。

(俺は…魔虚羅を呼んで、それから…待てよ、今俺が生きてるって事は…あのクソ野郎が魔虚羅を倒したって事なのか…!?
つーか何処だよここ…俺はさっきまで渋谷にいた筈…)

纏まらない思考をなんとか纏めようとするも、纏めれずに混乱していると、ふと、こちらを心配そうな顔で見つめていた少女と目が合う。

「…あ、起きたんですねっ!良かった…」
「アンタは…?」

ホッとした様子を見せる少女に、怪訝な表情を浮かべつつも、伏黒は問いかけてみる。

「私ですか?私、黒田那佳って言いますっ!」

人懐こい笑みを浮かべながら、少女…黒田那佳は、躊躇うこと無く自分の名を名乗った。

(コイツが俺を殺そうとしてたなら、チャンスは十分あった筈だ。わざわざ俺が起きるまで待つ必要なんてどこにもない。こっちに害意があるようにも思えない。
…服装が時代錯誤っつーか…結構際どい気もするがそれは今考えない事にする。
まったく現状が把握できてねぇ以上は、何がどうなってんのか、まずは把握しておかねぇと。)

少々考え込んだ後伏黒は、名乗り返す事を決める。

「…伏黒。呪術高専の伏黒恵だ。さっきまで意識が無かったせいで、今どういう状況なのか俺はわかっていない。…説明できるか?黒田」

「呪術、高専…?
…説明ですねっ、わかりました、伏黒さん!」

一瞬キョトンとした顔を浮かべた黒田だったが、すぐに了承し、自分たちが殺し合いに巻き込まれた事を、伏黒へと話す事にしたのであった。

----

「…という訳で、見せしめとして二人の女の人が殺されちゃった後…霧みたいな何かに包まれて、気付いたらこの会場内に居たんですよ…」
「…この平安京にか」
「はいっ。…どう見ても昔の時代ですよね…ここって」
「にしては、時代錯誤にも程がある建物がちらほら目に入るけどな」
「なんでですかね…?うーん…」

那佳により説明され、現状をなんとか理解した伏黒は、悩む那佳を尻目に思考する。

(この場所は、十中八九平安京だろう。…時代にそぐわない建物があるのが不安だがな。
…どうする、コイツを置いて行くか…それとも…)
「伏黒さん、伏黒さん!」
「…うるせえ、今考えてる最中だ」
「……すみません。…そうだ、伏黒さんはこれからどうするつもりですか?
私は、この殺し合いを止めるつもりですよ!」

少ししょんぼりしながらも、真剣な表情になり、那佳は伏黒を見つめている。

(コイツ…もし仮に、俺が殺し合いに乗ってたら…とか全く考えてねえ顔だ。信じ切ってやがる)

そんな那佳に対して伏黒は、自らの考えを告げる。

「俺は、俺自身の良心に従って人を助ける。
この殺し合いをぶっ潰そうと考えてる善人を、俺は助けたい」

そう伏黒が告げると、那佳は目を輝かせ、人懐っこい笑みを浮かべながら

「つまり、殺し合いを止める手伝いをしたい…ってことですよね?なら私にも、伏黒さんの手伝いを…させて下さい!」

と言い放つ。

「…黒田。お前は、自分が助けた相手が殺し合いに乗っていて、その相手が他の参加者を殺したらどうする?」
「…そんなこと、させる前に止めるよ。
でも…だからって見捨てたくもない。
……やっぱり、人が死ぬのは嫌なんですよ、私。それに…助けれた筈なのに、助けなかったら、一生後悔するから」

伏黒の問いに那佳は、何処か悲しそうな表情を浮かべながらそう答えた。

「…なら好きにしろ」
「わかりました、じゃあこれから…よろしくお願いしますね、伏黒さん!
…あ"っー!!」
「…いきなりどうした黒田」

突然素っ頓狂な叫び声をあげた那佳に、伏黒は怪訝な視線を向ける。

「…バッグの中身…見るの忘れてた…」
「…お前…」

呆れた表情を浮かべながらも、伏黒は自分のバッグの中身を確認する事にした。


231 : 黒と黒 ◆8eumUP9W6s :2021/03/17(水) 13:03:08 41cqIhzE0
【伏黒恵@呪術廻戦】
[状態]:健康、困惑
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:自分の良心に従って、人を助けたい
0:俺はどうして生きているんだ…?
1:まずはバッグの中を見て、何が支給されてるのかの確認をしておこう。
2:コイツ(黒田)はバカだ。それも、虎杖に近いタイプの。
3:虎杖達がどうなったのかが気がかり。
[備考]
※渋谷事変にて、宿儺が魔虚羅を撃破した後からの参戦です。調伏の儀が中断された後なので、仮死状態ではなくなり気絶していた時からの参戦になると思われます。
※制限により八握剣異戒神将魔虚羅は呼べないor呼べても弱体化しています。どちらなのかは後続にお任せします。
※気絶していたのでルールを把握出来てませんでしたが、那佳の説明で把握しました。

【黒田那佳@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める、出来る限り誰も死なせたく無い
1:とりあえずバッグの中身を確認!
2:伏黒さんと一緒に行動しよう。
3:もしハインリーケさん達も巻き込まれてたなら、その時は早いうちに合流したいなあ。
4:呪術高専…???
5:…聞き忘れてたけど、伏黒さんは私より年上…でいいのかな?後で聞いてみよう。
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。


232 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/17(水) 13:03:25 41cqIhzE0
投下終了です。


233 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 16:57:35 AQ2B6ebA0
投下します


234 : 未だ知らぬ道の始まり ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 16:59:26 AQ2B6ebA0
「気に入らないですわね」

赤き月の夜の下、元折神家親衛隊第二席こと此花寿々花は苛立ちの言葉が漏れ出していた

「ただでさえ、こちらは切羽詰まっていたというですのに」

タギツヒメの完全復活という緊急事態の真っ只中、そんな自分たちの世界に危機とも言うべき最悪のタイミングにこんな趣味の悪い催しに巻き込まれた
もしかすれば真希や他の皆まで巻き込まれ、あの場はすっからかんという最悪の可能性もあり得る

「……本当に、最悪のタイミングで呼び出されたわけですの」

そんな苛立ちを口にしながらも此花寿々花は冷静である。まずはこの場所、空の色と並び立つ建造物がおかしい以外はまさに古都平安京
あの双子の悪魔とも言うべき主催者二人の思惑はわからないままであるが、如何せん行動しない事には何も始まらない

(……それで、早速他の方と遭遇できたのは幸運なのか、はたまた不運なのか)

まずは他の参加者探しにと足を進めようすれば目の前にいたのは一人の女性の後姿。まずは挨拶代わりにと声をかけようとすれば

「………で、後ろのあなた? そちらがそのつもりならいつでもいいわよ。今、私これでもすんごい腹が立ってるから、殺される程度に八つ当たりされても文句は受け付けないわよ」
「……!」

その女からの、返事が隼のごとく突き抜けていた


235 : 未だ知らぬ道の始まり ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 17:01:19 AQ2B6ebA0
○ ○ ○

虚空を斬るが我がさだめ、その存在を燃やし尽くした一撃を以って虚空を切り裂いた

数多の世界を渡り歩く放浪者、剪定された世界より流れ落ちた迷い子

己が為すべき事を果たした無空の剣士、その存在は記録諸共跡形無く消失した

―――はずであった



「……うん、仕方ないよね。いつか、こういうことがあり得るかもしれないって」

あっけからんとした言葉、でもその口元は震えていて

「こんなお別れも、あり得たって」

拳を握りしめる力が、一段と強くなる。彼女の中に渦巻いているのは悲しみと悔しさと、そして怒りと

「―――」

沈黙。それは彼女に捧げた黙祷。剣士の運命に色彩を与えた、過酷な運命という名の逆光へ立ち向かった少女への

だが、その少女は既に居ない。かの妖術師にも似た双子の悪魔によって見せしめとして殺された
人はいつか死ぬ、それは彼女自身が一番分かっていたことだ。命のやり取りを繰り返し、数多の死線をくぐり抜けてきた彼女であるからこそ。だが、それでもあの少女の旅が、こんな下劣畜生共の饗宴なんぞに終わらせられたという事実そのものが彼女の怒りであり、悔しさであった
乾いた顔を拭い、女剣士―――は背後の気配に声を掛ける

「………で、後ろのあなた? そちらがそのつもりならいつでもいいわよ。今、私これでもすんごい腹が立ってるから、殺される程度に八つ当たりされても文句は受け付けないから」
「……!」

此花寿々花は、自分に顔を向けたその女剣士の視線に思わず固まってしまう。返答一つ間違えれば間違いなく斬られる。その確信のもと、次にどういう対応をするべきか
ほぼすぐ遭遇という状況があまりにも悪すぎる。武器をデイバッグから取り出そうにも、おそらく相手が武器を取り出す方が先であろう

「……何者ですの、あなたは」
「武蔵。新免武蔵守藤原玄信……はまあ長ったるいと思うから宮本武蔵で!」
「宮本、武蔵……ですって!?」

女剣士の名乗りに寿々花は驚愕の表情を浮かべる。刀使として、剣士として宮本武蔵の名前はビッグバリューの一角。その名を「自分です」と言わんばかりの表情で断言したこの見え麗しの少女が宮本武蔵などと

「……宮本武蔵は男のはずでは」
「……うん。まあ、そう言われるなんて思ってた。まあ私は私だということには変わりないのです」
「まるで他人事のように言いますのね。ならば何故宮本武蔵の名前を」
「まあ、私や宮本武蔵だから。あなたの世界だと別だけど」
「……頭が痛くなりそうですわ」

話してみればますます分からなくなる。宮本武蔵を名乗ったくせに、その宮本武蔵を自分でありながら、宮本武蔵を他人事のように。いや実際宮本武蔵の名を名乗っている以上彼女もまた宮本武蔵なのか、もしくはその名を騙った別の誰かか






「――それで? さっきも言ったけど、そっちがその気なら……」
「……ッ」

閑話休題は終わりを告げ、武蔵を名乗る女の視線が鋭いものへと変わる。ここからが正念場、生と死の狭間。応答を間違えれば終わる。そんな緊張感漂う状況の中――

ギュルルルルルルルルルゥゥゥ

「―――は?」

誰かの腹の音がなった。元凶は目の前にいる宮本武蔵。緊張を切り裂くその甲高い音に、寿々花は思わず情けない声を挙げた

「……ねぇあなた、食べ物とかない? うどんとか」
「……あなたにも食料品の類は支給されているはずでは?」
「いやたしかにそうだけど、出来ればうどん食べたいなって」
「…………」

緊張感が欠片ごと粉微塵に粉砕された此の状況下、ほっと胸をなでおろした寿々花は、近くにあった建物に武蔵を連れ込み、一旦の食事にもつれ込む形で会話に持っていく流れへと至ったのであった



【此花寿々花@刀使ノ巫女】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗るつもりはない
1:もしかしたら巻き込まれているかも知れない真希たちの事が心配
2:目の前の武蔵を名乗る彼女、どうしましょうか……
[備考]
※参戦時期は21話から

【新免武蔵守藤原玄信@Fate/Grand Order】
[状態]:健康、空腹、主催に対する怒り
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:あの下衆二人(メフィスとフェレス)は斬る
1:お腹へった。出来ればうどん食べたいな
[備考]
※参戦時期は星間都市山脈オリュンポス22節から


236 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 17:01:43 AQ2B6ebA0
投下終了します


237 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 17:45:46 iUI5m30I0
投下させていただきます


238 : 殺しあいにおける正しい友達の作り方 ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 17:46:44 iUI5m30I0
禍々しき赤い月に照らされし平安京の片隅。

牛若丸と天狗の伝説で名高い鞍馬山。

その山中に、まるで爆心地か工事現場を思わせる轟音が響き渡っていた。

「うぅおりゃあぁぁぁ!!」

鞍馬山の森の中、
褐色の肌に露出の多いネイティブアメリカンのような姿をした少女……
『カプセル怪獣 ミクラス』の魂を宿した怪獣娘・牛丸ミクが、自身の体よりも2周りは大きな岩をある場所に運んでいた。

しばらくすると、ミクラスは森の中の開けた場所に到着した。
そこには今、ミクラスが運んできたものと同じくらいの大きな岩が何十個も積み上げられ、ちょっとした岩山ができていた。

「……ドッセーイ!!」

ミクラスは自らが運んできた岩を岩山に向けて放り投げる。
岩は岩山の頂に積み上がり、ミクラスは額の汗を拭った。

「ふぅ〜……ま、こんなモンかな?」

ミクラスは独り言を漏らすと、自分が積み上げた岩山の隅に支給品の水をかけて拝むような姿勢をとった。

「なぁ、何してるんだ?」
「……えっ?」

不意に誰かがミクラスに声をかけた。

振り替えると……そこにはいつの間にか迷彩色のベストと腰簑、顔のような形をしたベルトと腕輪を身に付けたミクラスよりも年上の男性が立っていた。

男性はミクラスが積み上げた岩山を物珍しそうに眺めていた。


239 : 殺しあいにおける正しい友達の作り方 ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 17:47:49 iUI5m30I0
「えっと……誰?」
「オレ、アマゾン」

頭上に大量の?を浮かべるミクラスに答えるように
男性……アマゾンは自己紹介をする。

「あ、うん。アタシは牛丸ミク。みんなからは、『ミクラス』とか『ミクちゃん』って呼ばれてるよ」
「おぅ!よろしく、ミクラス!」


ミクラスからの自己紹介を受けて、アマゾンは屈託のない笑みを浮かべる。

「これ、ミクラスが作ったのか?なんだ、これ?」

アマゾンはミクラスが積み上げた岩山を物珍しそうに眺めながら疑問を口にする。

「あぁこれ?お墓だよ。お・は・か」
「『オハカ』?誰のだ?」
「……あの見せしめにされた女の子達の、だよ」

ミクラスは自身が積み上げた岩山を眺めながら、
彼女には似つかわしくない悲しげな表情を浮かべた。

「なんていうかさ……アタシ、ここに着いてから、あの見せしめの子達の事が頭から離れなくてさぁ……何か、死んじゃったあの子達のためにできないかなって考えたら……せめてお墓作ってあげようかなって」

そこまで語って、ミクラスは照れ臭そうな笑みを浮かべた。

「はははっ!まぁ、結局はアタシの自己満足なんだけどね!アタシ、そんなに頭良くないから、こんな事くらいしかできないし……」
「ミクラス」

アマゾンはミクラスの照れ笑いを遮ると、また屈託のない笑みを浮かべた。

「……お前、良い奴!」

「そ、そうかなぁ〜?あっはっはっはっ!」

アマゾンに誉められてミクラスは頬を赤く染め、照れ笑いをしたのだった。



その後、ミクラスの作った岩山のような墓には、アマゾンが摘んできた花が手向けられ、二人はそれに黙祷を捧げると一路町を目指して去っていったのだった。


240 : 殺しあいにおける正しい友達の作り方 ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 17:50:06 iUI5m30I0

☆☆☆

「う〜ん……」

墓を去ってからしばらくして……
アマゾンとミクラスは意外な『強敵』に遭遇してしまった。

ミクラスもアマゾンも、その『強敵』相手にどうすれば良いか分からず、
膠着状態が10分は続いていた。

その『強敵』とは……

「……」

北海道に住むアイヌの人々が着るような服を着て、犬のような耳と尻尾を生やした幼い少女だった。

「……」

犬耳少女はミクラスとアマゾンから距離を取りながら木の影に隠れ、
アマゾンとミクラスをじっと見つめていた。

「ほ、ほ〜ら。怖くないよ〜。おいで〜」
「……」

ミクラスは犬耳少女の警戒心を解こうと必死に呼び掛けるが、
犬耳少女はただ無表情のまま、ミクラスとアマゾンをじっと見つめているばかりだった。

「ん〜……」

一方、アマゾンはミクラスの苦労を知ってか知らずか、
自身の支給品を漁っていた。
すると……

「……あった!」
「えっ?」
「?」

突然アマゾンが嬉しそうな声をあげ、
ミクラスのみならず犬耳少女もアマゾンに目を向ける。

「♪」

アマゾンの手には鳥の形をしたクッキー……
鎌倉名物で名高い鳩サブレーが握られていた。

アマゾンは5枚ある鳩サブレーの一枚を袋から出すと、
その端を口に含み咀嚼する。

「……ウン、ウマイ!」

「え、え〜っと……」
「……」

アマゾンの行動が理解できず、ミクラスも犬耳少女も固まっていた。

アマゾンは自分が口にした鳩サブレーを2つに割ると、
自分がかじっていない方を犬耳少女に向けた。

「これ、やる」
「ん……」
「やる。スゴいウマイ!」
「……」

犬耳少女は木の影から出て、アマゾンから鳩サブレーの片割れを受け取った。

「んふ〜♪」

犬耳少女はその鳩サブレーの片割れを口にすると、
犬のような尻尾をブンブンと振って、幸せそうな笑みを浮かべたのだった。

「オレ、アマゾン。お前は?」
「……アルルゥ!」

幸せそうな笑み浮かべて鳩サブレーを食べながら、犬耳少女……アルルゥは自身の名を告げた。

「アルルゥ……じゃあアルちゃんだね!アタシはミクラス!よろしくね!」
「ん。ミクラスおねえちゃん。」


241 : 殺しあいにおける正しい友達の作り方 ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 17:52:07 iUI5m30I0
先ほどまでの膠着状態が嘘のように、アルルゥはアマゾンやミクラスとすっかり打ち解けていた。

「アルルゥ、ミクラス」
「「?」」

アマゾンは二人に呼び掛けると……両手を組んで不思議な形を作った。
まるで手話か何かのサインのようだった。

「?」
「えっと……何それ?」

そのサインの意味が分からず、ミクラスもアルルゥも頭を傾げるが、アマゾンはすぐにその意味を教えた。

「これ、『トモダチ』という意味。ミクラス、知らない相手のために墓を作ってあげる優しい奴。アルルゥ、オレのお菓子食べて喜んだ。二人とも、オレの大切なトモダチ」
『……』

いきなり『大切なトモダチ』と言われて二人は面食らうものの……

「こう?こうだっけ?」
「ん〜」

……すぐにアマゾンと同じトモダチサインを真似し始めたのだった。

「よし!できた!」
「アマゾン、トモダチ!」
「うん!お前ら、トモダチ!!」



赤い月の照らされた殺しあいの場だというのに……
そこだけは暖かい優しさが満ちていたのだった。


【牛丸ミク(ミクラス)@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
[状態]:健康、怪獣娘に変身中
[装備]:無し
[道具]:ソウルライザー@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜、基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人殺しはしない
1:トモダチできた!
[備考]
アニメ第二期からの参戦。

【山本大介(仮面ライダーアマゾン)@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康
[装備]:ギギの腕輪@仮面ライダーSPIRITS、コンドラー@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2、鳩サブレー@現実(残り4) 
[思考・状況]
基本:トモダチを守る
1:ミクラス、アルルゥ、トモダチ!
2:他の仮面ライダーがいるなら合流する
[備考]
沖縄でのガランダー帝国戦終了後からの参戦。
ギギの腕輪とコンドラーは支給品ではありません。

【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:健康、幸せ
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:帰りたい
1:トモダチできた!
2:んふ〜♪
[備考]
『散りゆく者への子守歌』からの参戦。
殺しあいについてよく理解していません。


【ギギの腕輪@仮面ライダーSPIRITS】
アマゾンこと山本大介の左上腕に装着されている腕輪。
古代インカに伝わる秘宝で、仮面ライダーアマゾンのエネルギー源。
対となる『ガガの腕輪』と一つになる事で超エネルギーを生み出す。
アマゾンの体と融合しており、これが外れるとアマゾンは死ぬ事になる。

【コンドラー@仮面ライダーSPIRITS】
アマゾンこと山本大介の腰に装着されているベルト。
他の仮面ライダーのベルトと違い、変身アイテムではない。
必要に応じて万能ロープやノコギリに変形できるほかに薬草を調合する際の薬研としても使用されるなど、サバイバルのための小道具的装備品。

【ソウルライザー@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
GIRLSに所属する怪獣娘が所持するスマホ型変身アイテム。怪獣だった時の本能「カイジューソウル」を実感することで変身できる。変身の掛け声は「ソウルライド」。なお、紛失した際の再発行には24,800円の手数料がかかる。
(以上、ウィキペディアより抜粋)

【鳩サブレー@現実】
鳩の形をしたお菓子。
鎌倉名物として有名。


242 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 17:54:09 iUI5m30I0
投下終了します。


243 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/17(水) 18:39:18 iUI5m30I0
すいません、牛丸ミク(ミクラス)の状態表の一部を変更します

[道具]:ソウルライザー@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜、基本支給品一式、ランダム支給品1〜3

[道具]:ソウルライザー@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜、基本支給品一式、ランダム支給品1〜2


244 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 19:26:05 yUVFUzyU0
投下します。


245 : 大海賊と出会った少年 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 19:26:43 yUVFUzyU0
(殺し合いなんて嫌だよ…)

会場内のとある場所。

そこでは、長めの紫髪をした少年が壁にもたれ掛かり、顔を真っ青にしながらガクガクと怯えて震えていた。

少年の名前は真ヶ土 翔太(まがつち しょうた)。

魔法使いの家系に生まれ、一人前に成る為日々鍛練を重ねていた。

そんなある日、一人前に成る事を急ぐ余り、悪魔召喚の儀式を行ってしまった。

─しかし、そこでハプニングが起きた。

それはなんと、彼が居た世界とは別の世界に住んでいた、ケツァルコアトルという、人型の女性に変身出来るドラゴンが本来召喚されようしていた悪魔の代わりに応じて、彼の元にやってきたのであった。

それから、彼女との波瀾万丈(?)な生活を送る事になったのである…。

─だが、彼女らドラゴン達との新しくなった日常を送っている最中でこの催しに招かれてしまった。

「ん?」

─そんな彼が恐怖に包まれ、うずくまっていると、近くから誰かの声が聞こえた。

(…!?)

翔太が驚いて上を見ると、目の前に海賊帽を被り、顔に大きな傷を持った、4本腕の参加者が居た。

「少年(チビッコ)、顔色悪いぞ?」

目の前の参加者がそう語りかける。

「う、うぅ…」

翔太から見ると、かなり異様な容姿を持った相手に、思わず言葉を詰まらせる。

(やっぱり、ケッコー怯えているな)

そうして少年を見つめているのは《コルテス》。

翔太とも彼の知るドラゴン達とも異なる世界で暴れ回っている、海賊団の船長である。

罪も無


246 : 大海賊と出会った少年 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 19:27:09 yUVFUzyU0
い人々から財宝を奪い取っては、自分の船長室にどんどん放り込んでいった。

しかし、そんな彼も部下からの裏切りを受けた。

その部下は、自分の持つ船『ブラック・スカル号』の動力となる宝石『ドクロジュエル』を盗んで逃げ出してしまった。

動力を失った船は、動かす事が出来なくなり、座礁した。

それから時が経って、残った部下達と共に刻々と死を迎えようとしていた時に、彼もこの催しに招かれた。

そんな唐突な出会いを果たした、彼らを待ち受ける運命とは───?


247 : 大海賊と出会った少年 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 19:27:34 yUVFUzyU0
【真ヶ土翔太@小林さんちのメイドラゴン】
[状態]:健康、恐怖(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしたくないし、死にたくない。
1:(思考停止中)
[備考]
※少なくとも、ケツァルコアトルと同居する事になって以降からの参戦となります。

【コルテス@ペーパーマリオRPG】
[状態]:右下の手の部分に欠損
[装備]:コルテスクロウ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いか、どうしようかな…?
1:少年(真ヶ土翔太)の様子を見る。
2:もし、自分を裏切った部下(マルコの先祖にあたる人物)が居たら…
[備考]
※参戦時期は元部下(マルコの先祖にあたる人物)に裏切られてドクロジュエルを盗み出された後〜死亡するより前。
※コルテスクロウ(フックの義手)は没収されていません。
※死亡すると亡霊化するかもしれませんが、その際には能力に大幅な制限がかかります。


248 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 19:27:51 yUVFUzyU0
投下終了です。


249 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/17(水) 19:51:04 8E8dhFyU0
投下します
今回、金田一少年の事件簿の『異人館村殺人事件』と『学園七不思議殺人事件』のネタバレがありますので、一応ご注意ください


250 : 黄泉天輪 ◆7PJBZrstcc :2021/03/17(水) 19:53:12 8E8dhFyU0
 血生臭い殺し合いの会場と化した平安京のどこかで、参加者の一人である、スーツを纏い、頭に白髪を生やした初老近い男性が怯えている。
 前触れもなくいきなり死の恐怖に曝されればある種当然だろう。
 だがこの怯え方は尋常ではない。

「嫌だ……死ぬのは嫌だ……」

 先ほどからこれと同じようなことをブツブツと呟き、支給されていたサブマシンガンを構え、落ち着きなく辺りを見回し続けている。
 なぜ見回すのかと問われたら、参加者が目に入った瞬間に引き金を引くつもりだからだ。
 相手が殺し合いに乗っていようが乗っていまいが知ったことではない。
 そんなことは見ただけでは分からないのだから。殺してしまえば絶対に安心だ。

 これほどの恐怖を抱きながら、彼は警戒を続けていた。

「もう二度と……あんな思いは……」

 彼の尋常ではない恐怖の原因は、死という物に対しての認識にある。
 彼は一度死を体験している。
 それも死に瀕したが奇跡の生還劇を演じたのではなく、実際に一度死亡し、その後に殺し合いに参加させられているのだ。
 故に二度目の死に怯え、己にできる全霊を掛けて警戒しているのだ。

 そんな彼の名は的場勇一郎。殺し合いに来る前までは不動高校というところで物理教えていた、もうすぐ定年になる冴えない教師だ。
 ここからは、彼がなぜ一度死んだかを簡単に解説しよう。
 それにはまず、不動高校の成り立ちから説明しなければならない。

 不動高校はそもそも、かつて社屋を置いていた高畑製薬という会社が建物を寄付したところから開校している。
 だが、実は高畑製薬は金で人を釣って新薬の人体実験を行った過去がある。
 しかもその実験は失敗し、被験者は全員死亡。この事態を隠蔽するために、会社は被験者の死体を建物やその周りに隠して寄付したのだ。
 学校になればそう簡単に建物を壊さないだろう、推測していたらしい。

 的場はその死体が生徒に見つからないようにするために寝ずの番として高畑製薬から送り込まれ、教師をしていたのだ。
 彼は学園六不思議として死体のある場所にちなんだ怪談を流し、生徒を近づけないようにしていた。
 その後しばらくは平穏に教師として過ごし、かつて寄付した校舎が旧校舎となり、いつしか使命すら忘れかけていたが十年前、推理小説部の女子生徒、青山ちひろがこの怪談に興味を持つ。
 彼女の調査の末、結果として真相を知り、的場に対しこの件を警察に通報すると通告。
 的場はなんとか止めようとしてもみ合った結果、青山は階段から転落し事故死してしまう。
 彼に殺意はなかったが、これがきっかけで過去が芋づる式に明かされることを恐れ、後に引けなくなった彼は旧校舎の楽器室に青山の死体を隠し、表向きには行方不明ということにした。
 そして不思議を一つ増やし、学園七不思議として呪われた音楽室の怪談を流した。

 それからしばらくして、推理小説部改めミステリー研が過去の楽器室を部室としたため顧問をかって出た。
 しかし旧校舎も流石に古くなり、取り壊しの案が出始めたので彼は脅迫文を学校に送り付ける。
 それと同時にミステリー研の部員の一人が、壁に埋められ、骨となった青山を発見。
 その場に居合わせた的場は咄嗟に部員を殺害。これを自身が流した怪談と合わせて見立て殺人とした。

 それを重く見られ、旧校舎の解体はなくなったが、その後骨を別の部員にまたも見られそうになり再び殺害。
 そして三度目、別の部員にまたも見られそうになったので殺害しようとするも失敗。

 最後には骨のことも彼が起こした連続殺人のことも、不動高校の生徒金田一一に調べられ、的場は全てを自供。
 すると、実はその場にいた、青山ちひろの失踪の真相を調べていた彼女の父が的場を殺害。
 彼は死の恐怖に怯えながら、自らの因果を払ってこの世を去った。

 はずだが、気づけばこの殺し合いに巻き込まれていた。
 最初は何が起こったのか分からなかったが、少女二人の首が爆破で吹き飛んだ時、彼は現状を理解し、二度目の死に怯えたのだ。

 ガシャン

「!?」

 いきなり謎の金属音が聞こえ、的場は迷うことなく銃を音のする方へ向ける。
 すると、人影が見えたのでそのまま発砲。銃声が辺りにこだまする。

 しかし、銃弾が命中したにもかかわらず人影は倒れるどころか怯みもせず、何事もなかったかのように的場の元へ近づいていく。

「う、うわあああああああああ!!」


251 : 黄泉天輪 ◆7PJBZrstcc :2021/03/17(水) 19:54:42 8E8dhFyU0

 銃で撃たれても死なない相手に完全な恐慌状態に陥った的場は、ただひたすらにサブマシンガンの引き金を引き続けた。
 バチバチと火花が起き続けるが、それでも人影は意にも介さず的場に向かって進み続ける。

 カチッカチッ

 とうとう的場のサブマシンガンの弾が切れ、弾幕が止んだ時火花もまた止み、その姿を見せた。
 それは、とても奇妙な姿だった。
 戦国時代の鎧をオレンジで模したものをあしらいつつも、全身を紺色のスーツを纏い、右手には刀を模したおもちゃの様な剣、左手にはオレンジを模した特徴的な剣を手に持っている。

 そしてこの姿を知る者が見ればこう言うだろう。アーマードライダー鎧武、または仮面ライダー鎧武と。
 ちなみに右手の剣は無双セイバー。左手の剣は大橙丸という。

 しかしそんなことは知らない的場からすれば、謎のスーツを身に纏った誰かが銃弾も意に介さず自分に向かってくる恐怖の光景でしかない。

「や、やめてくれ!!」

 今まで引き金を引き続けていたがついに弾切れに気付いた的場は、サブマシンガンを捨て逃げ出そうとする。
 しかし初老の男性でしかない的場と、アーマードライダーの走力を比べれば一目瞭然。
 あっという間に的場は追いつかれ、地面に蹴り倒された。
 そして鎧武は容赦なく大橙丸を振りかぶる。

「い、嫌だ……二度も死ぬなんて嫌だ……!」

 涙を流しながら、的場は懸命に命乞いの叫びをあげる。
 しかし鎧武は聞き届けることなく、無言で剣を的場の体に突き刺した。

「た、助け……」

 少しづつ命が消えていく感覚に怯え、地を這いながら助けを乞う的場。
 しかしその声に答える者はいない。

 やがて動かなくなり、彼の二度目の生涯はここで幕を閉じた。

【的場勇一郎@金田一少年の事件簿 死亡】





 鎧武は変身を解くと、中から20代後半くらいの青年が現れた。
 彼の名前は六星竜一。先ほど彼が殺した的場と同じく、不動高校の教師だった男だ。
 そんな六星が気になったのは、的場の最期の言葉だ。

「二度も死ぬなんて嫌だ、か」

 まがりなりにもかつての同僚が、一体なぜそんな言葉を残したのか。
 一度目は一体なぜ死んだのかについては、六星は気にしていなかったが、二度目という部分は引っかかった。
 しかし引っかかりはしたが、疑ってはいなかった。
 それもその筈。なぜなら――

「俺は別に構わないけどな」

 彼もまた、一度死んだ身だからだ。
 なぜ六星竜一は一度死んだのか。的場について話した以上、六星についても簡単に説明しよう。
 そのためには話は27年前にまで遡る。

 27年前、青森県の六角村にてある惨劇が起こった。
 そもそも六角村の山には野生の大麻が繁殖しており、それを栽培し村の上役が密売することで成り立った村である。
 このことを知る者は少なかったが27年前、そのことに異を唱えた六角村の牧師夫妻が村の上役たちに殺害される。
 さらに教会に放火し、牧師夫妻の養女七人を焼き殺して完全にこのことを隠滅しようともくろんだ。
 しかし実際は一人、養女である詩織が、彼女と愛し合っていた村の上役一人にこっそり助けられ、彼女は村から離れ、表向き死んだことにしながら生活する。
 その詩織の息子が六星竜一である。

 詩織は息子である六星にあらゆることを叩き込んだ。
 殺人術、格闘術、ナイフ、銃、演技力、さらには高校で教師ができる程度の学力を。
 それもこれもすべては自身の恨みを晴らすため。
 彼女は常日頃、竜一にこう言っていた。


252 : 黄泉天輪 ◆7PJBZrstcc :2021/03/17(水) 19:55:24 8E8dhFyU0

『お前は母さんの代わりにあの連中に復讐するんだよ……
 お前はあいつらを皆殺しにするために生まれてきたんだから!』

 詩織が表向き死んでいるせいで戸籍を持てないため、彼らは極貧の中を生き延びた。
 全ては復讐する為。それだけを糧に毎日を生きてきた。

 そして時は流れ、村の上役の一つである時田家の娘、時田若葉が不動高校に入学した。
 そこで彼女と接点を持つために、六星は不動高校に赴任してくるはずだった小田切進という男を殺害。
 六星が小田切に成り代わり、不動高校で教師を務めながら若葉と恋仲になることで、彼女が卒業と同時に村に帰り、家が決めた婚約者と結婚パーティをする場で、彼は復讐計画を実行する時を待つことにした。

 途中、予定外のトラブルで結婚が早まったり、若葉の同級生である金田一一と七瀬美雪が結婚式についてくることになるが、問題ないと六星は判断していた。
 しかし現実には、復讐対象最後の一人を残した状態で金田一が真相を暴き、六星はやもなく追い詰められる。
 だが六星は最後の一人をどさくさで殺害し、最後の締めとして大麻の畑を燃やそうとした。
 しかし若葉の婚約者だった男や金田一が、様々な理由で彼を阻もうと立ちふさがる。

 それでも畑を燃やそうとするが、直前で六星の父である村の上役に彼は殺害され、さらに父と母の真相を知り、驚愕の中命を落とした。

 はずだが、彼もまたこうして殺し合いの場に立っている。
 なぜ生き返ったのか、と考える気はなかった。
 そして生き返ったとはいえ、何かやりたいこともなかった。

 六星からすれば人生を賭した復讐も終わり、予定外や予想外は多々あれどやりたいことは全て完遂したと言っていい。
 そんな状況で殺し合いに勝ち残ってまでしたいことなどないし、かと言って殺し合いに反逆し主催と戦うと考える人間でもなかった。
 だが自殺する気も起きなかったので、とりあえず支給されたデイパックを漁り、出てきた変なベルトと付属されていたロックシードというものを、試しに使ってみることにした。
 彼の人生にはほぼ無縁だった、好奇心というものである。

『オレンジ!』

 付属されていた説明書きに従い、まずベルトを腰につけ、そしてロックシードをつけて、カッティングブレードを下ろす。
 するといきなりベルトが音声を発し、さらには上から巨大なオレンジが被さる。

『ロック・オン!』

 更に、被さったオレンジが軽妙な音楽と共に変形し、鎧と変わる。

『オレンジアームズ! 花道、オンステージ!!』
「うるせえベルトだな……」

 そして変身終了。
 ベルトが出す音声のやかましさに多少辟易しつつ、六星はとりあえず辺りを歩いてみることにした。

 しばらくするとサブマシンガンを撃ってくる人影と遭遇。
 別段自身の生に執着がないので、特に抵抗もせず弾を受けるが何のダメージもなければ行動に支障もない。
 銃弾をものともしないスーツと、発砲者が同じ高校の教師で顔見知りだったことに驚きつつ、ある考えに思い至る。

 それは、復讐の為に利用した若葉のことだった。
 彼女は利用されているなど知らず六星を愛していたが、彼は若葉を復讐の道具に利用した。
 その過程で若葉をそそのかして復讐相手を殺害させ、その直後に六星は彼女を殺害した。彼女もまた母の仇の娘であったがゆえに。

 だが六星は若葉を愛していた。彼女も殺害対象だったにも拘らず。
 だからこう思う。

 人殺しに天国はありえない。
 だがこんな殺し合いを開き、死者すらも自在に蘇生できる力の持ち主なら、地獄に落ちた女一人を天国に移住させるくらいはできるかもしれない。

 この考えに至った瞬間、六星は殺し合いに乗った。
 そして弾切れと同時に逃げ出そうとした的場を殺害し、今に至る。

「はっ」

 曲がりなりにも顔見知りだった相手を殺しても、六星の心には小波すら立たない。
 代わりに彼の頭を支配しているのは別のことだ。

「そこにいる奴、出て来いよ」

 六星は家の陰に隠れている人間の気配を感じ取り、呼びかける。
 すると意外にも素直に隠れていた人間が現れた。
 整った顔立ちをした、六星よりも年は下であろう青年が姿を見せる。彼の真っ黒なスーツを身に纏うさまはさながら喪服だ。
 彼は六星に怒りの視線を向けていた。それは人殺し、ひいては悪を許さぬ正義の意志だろうか。
 それを感じ取った六星は、可笑しくてたまらなかった。


253 : 黄泉天輪 ◆7PJBZrstcc :2021/03/17(水) 19:56:14 8E8dhFyU0

 なぜなら視線の男は、六星が的場を殺すより前から視線を向けていたからである。
 彼がもし殺し合いに反対するなら、六星の恐慌を止めようとするのが普通だ。
 恐怖にかられたのなら、逃げるのが当然だ。

 だが現実には、恐怖するわけでもなく殺しを止める訳でもなく、的場が死んでから現れたのだ。
 これはもう六星と同じく殺し合いに乗っているとしか思えない。

「そんな怖い顔すんなよ。俺もお前も所詮同じムジナって奴なんだからよ」
「……っ! 話があります」
「ほう?」

 六星の言葉に苦虫を嚙み潰したような顔を見せつつも、男は話を持ち掛けた。
 それに六星はどうしようかと思ったが、その前に男が移動を提案した。
 理由はすぐに分かる。何せさっきまで銃声がずっと響いていたのだ、そんなところで話し込むなど間抜けもいい所だろう。

 ということで彼ら二人は平安京にある、先ほどまでいた地点から少し離れた家の中に移動し、中にあったちゃぶ台を挟んで座っていた。
 家に入った二人の内、まずは六星が自己紹介を要求する。
 これから話す相手の名前も知らないなど、話しにくくて仕方ないからだ。

「俺の名前は小田切――いや六星竜一だ」
「僕は夜神月。月と書いてライトだ」

 変な名前だな、と六星は端的に思ったが、それは口にださず、代わりにさっき言っていた提案とは何かを問う。
 月からもたらされた回答は、簡単に言うなら不戦協定だ。

 参加者が何人いるか知らないが、最低でも数十人以上はいるであろうこの殺し合い。
 この大人数で行われるゲームを、単独で勝ち抜くのは不可能だろう。
 だからこそ、自身で何人か殺すとしても他に殺し合いに乗っている相手に殺してもらうのは必然だ。

「なので参加者が、そうだな……二十人を切るくらいまでは互いに不干渉。そしてお互いのことを話さない、というのはどうだ?」
「まあそりゃ構わねえが、一つ条件がある」
「条件?」

 六星の言葉に月は訝し気になるが、六星にとっては大切なことだ。
 そもそも、月は不可思議なスーツを身に纏い銃弾をはねのける様を見せている。
 にも関わらず彼は一切怯んでいない。ということは、このスーツに対抗できる何かを持っているに違いない。

「そいつを見せろ」
「……断ると言ったら?」

 月の挑発的な言葉と同時に背中から気配を感じた六星は、咄嗟に飛びのく。
 するとさっきまでいたところには一本の矢が刺さっていた。

 慌てて矢を撃った主を探し、そいつはすぐに見つかった。
 何せ、窓の外にいたのだから。

 矢の主は大きさこそ人間大だが、外見は人間と大きく異なっていた。
 どう見ても機械の体に、右手には剣。左手にはクロスポウを構えた怪物が、そこに立っている。

「成程な。そいつがそうか」
「キラーマシン、というらしい」
「キラーマシン……ね」

 かつて殺人マシンを名乗ったことのある六星は、多少の運命みたいなものを感じたが、それだけだ。
 殺されかけたことは別に気にしていない。
 あれで殺されていれば油断している大間抜けで、殺されなければ合格。そんなところだろう。
 結果的に六星の要求にもこたえた以上、提案を受けることにした。

「まあ提案は受けてやってもいいが、仲良しこよしをするつもりもねえ。別行動させてもらうぜ」
「僕も仲良くする気はないが、少し待て」

 家を出ていこうとした六星を引き留める月。
 理由を問う六星だが、答えは簡単だった。

「今はないが、おそらく殺し合いの参加者の名前を載せた名簿みたいなものが配られるはずだ。
 もし知っている名前があったら教えあおう。二手に分かれるのはそれからにしてくれ」
「あいよ」

 月の言葉に納得した六星は、その場に腰を下ろす。
 そして待つのは良いが無為に過ごす気はないとばかりに、二人は情報交換を開始した。


254 : 黄泉天輪 ◆7PJBZrstcc :2021/03/17(水) 19:56:58 8E8dhFyU0





 六星と情報交換をしていく中、月は驚くべき事実がいくつも発覚した。
 なんと、月にとって今は2010年だが、六星にとっては90年代の初頭だというのだ。
 おまけに六星は死んだが蘇ったというのだ。

「ビックリしたか?」

 せせら笑う六星だが、月は本当に驚愕しかできない。
 なぜなら彼もまた、死人だからだ。

 ここで夜神月がなぜ死んだか簡単に解説しよう。
 三度目の長話になるが、付き合ってほしい。

 夜神月は元々、警察官の父に優しい母、そして可愛い妹を持った高校生だった。
 おまけに頭脳明晰でスポーツ万能、おまけにルックスよく正義感も強いと、まさに完璧超人だった。

 しかしある日、空から落ちてきたノートを拾ったときに彼の運命は一変する。
 そのノートは死神のもので、それは名前を書かれると死ぬというのだ。
 最初はジョークだと思い、試しにテレビに出ていた犯罪者の名前を書くと、そいつは死んだ。
 偶然かと思い、今度は町でたまたま見かけたタチの悪いナンパ男の名前書くと、そいつも死んだ。

 このことにショックを受けた彼は、逃げるように世界の悪を裁くことを決意。
 手始めに犯罪者の名前を書き続け、気づけば彼は悪を裁く神『キラ』としてもてはやされ始めていた。

 しかし、そこにLという名探偵が待ったをかけ、キラは悪だと断言。
 こうして月とLの頭脳戦が始まった。

 その壮絶な頭脳戦を制したのは、月だった。
 こうして敵を打ち倒し、彼は世界の主張をキラが正義の方向に傾けていく。

 しかし、しばらくすると今度はLの後継者を名乗るものが月の名前に立ちふさがった。
 再び起こる頭脳戦だが、結果的に今度はLの後継者が勝利した。
 それでもなんとか生き残ろうとするも、最期には月にノートを落とした死神に殺され彼の生涯は幕を下ろす。

 はずだったが、彼はこうして生きている。
 死神の力すら覆す主催者の力には驚嘆しかないが、この機を逃す手はない。

 もう一度現世へと帰還し、願いの力で再び新世界の神となるのだ。
 罪もない少女二人を殺しあざ笑う邪悪に組みするのは屈辱だが、今はそれを飲み込む。だが最終的には始末してやる。
 そう決意を固める月だが、ふいにある仮説が浮かんだ。

(もしやこの殺し合いは、死者しか参加していないのか……?)

 自分、六星、そして六星に殺されたあの男。
 この三人は死んだ後から呼び出されたのは間違いない。
 そこで考えたのは、この殺し合いが死者しかいない可能性だ。

 かのカンダタみたく、地の底から地上に這い上がる最後の機会。
 元の話では譲り合わないが故に皆死んだが、ここは譲り合っては生きていけない地獄変。

(いや、まだ断定するには早いな)

 しかし月はこの可能性を一旦捨てた。
 おそらく数十人以上いるうち、まだ三人しか死者はいないのだ。

(それに懐のこれもある)

 月は六星に分からないように懐にあるものをいじる。
 彼の懐にあるもの、それはキラーマシンを従える魔法の筒だった。
 この魔法の筒にキラーマシンが入っており、彼はそこから出してやることで外に解き放つことができる。

 本来、この魔法の筒にモンスターを従える効果などないのだが、参加者でもない怪物が好きに暴れることを主催者が嫌ったのか、制限が加えられているのだ。
 魔法の筒から出した参加者に、中のモンスターが従うようになる制限を。

(こんな怪物を僕は知らない。
 となれば、ここは僕の常識が全く通用しない世界。だからこそ情報が重要だ)

 そう頭の中で結論を定めた月は、大人しく参加者名簿を待つことにした。


 二人の死者の生者を追い落とす殺し合いは、もう始まっている。


255 : 黄泉天輪 ◆7PJBZrstcc :2021/03/17(水) 19:57:20 8E8dhFyU0


【六星竜一@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、オレンジロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、的場のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0〜2、H&K MP5(弾切れ)@現実)
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。若葉が地獄に落ちていたら、天国へ連れてってやる
1:参加者名簿が出てくるまで月と待つ
2:キラーマシン、か……
[備考]
参戦時期は死亡後です。

【夜神月@DEATH NOTE】
[状態]:健康
[装備]:魔法の筒@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。現世へ帰還し、今度こそ神となる。
1:参加者名簿が出てくるまで六星と待つ
2:もしやこの殺し合いは、死者しか参加していない……?
3:いずれは主催も始末する
[備考]
参戦時期は死亡後です。
魔法の筒@ドラゴンクエスト ダイの大冒険 に入っているモンスターはキラーマシン@ドラゴンクストシリーズ です。
この殺し合いは死人しか参加していない可能性を考えていますが、半信半疑です。


※六星と月がいる家の外に、キラーマシン@ドラゴンクエストシリーズ が控えています。


【H&K MP5@現実】
的場勇一郎に支給。
ドイツのヘッケラー&コッホ社が設計したサブマシンガン。
命中精度の高さから、日本のSATなどの対テロ作戦部隊では標準的な装備となっている。

【量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
六星竜一に支給。
仮面ライダー鎧武における変身ベルト。
ロックシードと合わせて使うことで変身可能。
量産型とついているのは、このタイプだと所有者認定など無く、誰でも使用可能となる為。

【オレンジロックシード@仮面ライダー鎧武】
六星竜一に支給。
エナジーロックシードの一種。
戦極ドライバーに装填し、使用することでオレンジアームズへと変身可能となる。
上記の量産型戦極ドライバーと合わせて一つの支給品として扱われる。

【魔法の筒@ドラゴンクエスト ダイの大冒険】
夜神月に支給。
中にモンスターを一体封じ込められる魔法の筒。
「デルデル」と唱えることで筒から出し、「イルイル」と唱えることで筒へと戻すことができる。
更にこのロワのみ、魔法の筒の所有者に出したモンスターが従うようになっている。
裏を返せば、筒を奪われたり、所有者が死亡し別の参加者が新たに筒を手に入れた場合、モンスターが従う対象も新たな筒の所持者となる。

【キラーマシン@ドラゴンクエストシリーズ】
夜神月に支給された魔法の筒に入っているモンスター。
名前の通り、所持している剣や弓矢、内蔵されているビームを放ち人間を殺す機械のモンスター。
シリーズの扱いはまちまちだが、おおむね終盤の強力なモンスターとして扱われる。初期にはキラーマシーンと表記されていたことも。


256 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/17(水) 19:57:45 8E8dhFyU0
投下終了です


257 : ◆ytUSxp038U :2021/03/17(水) 20:46:47 OfeifYoE0
拙作の誤字脱字などを修正しました
ついでに投下します


258 : 憤怒&戦慄 ◆ytUSxp038U :2021/03/17(水) 20:53:43 OfeifYoE0
コンビニエンスストア。
歴史ある平安京にはミスマッチな施設に、一人の男がいた。
男は店内にある商品を片っ端から開封すると、次々に口へ放り込んでいく。
弁当だろうがパンだろうが菓子だろうが見境なしだった。
やがて満足したのか、ミネラルウォーターをがぶ飲みしてようやく一息ついた。

「はーっ、生き返った……」

男の姿はみずぼらしかった。
髪は乱れ服もボロボロ、頬は痩せこけているが目の下には隈が浮いている。
そこいらの浮浪者よりも酷い恰好の男だが、本来の身分はホームレスなどとは程遠いものだ。

彼の名は中川圭一。
中川コンツェルンの御曹司にして、亀有公園前の派出所に勤務する現役の警察官である。
空腹と飢えを凌げた中川はとりあえず一安心、とはいかない。
何故なら今彼がいるのは、殺し合いという凄惨極まりない催しの会場。
夢なら覚めて欲しいが、外に広がる不気味な街は間違いなく現実のものだった。

「あぁ…何でこんな事になったんだ……」

超が5つは付く程の大金持ちである中川が、何故こんな悲惨な目に遭っているのか。
その原因は彼の先輩である警察官、両津勘吉にある。

夏真っ盛りの季節。
働き過ぎの中川を見兼ねた両津は、彼を強引に連れ出して南の島へ海外旅行に出かけた。
しかし、旅行先でも中川はスマートフォンやパソコンをチェックして仕事モードが抜け切れない
すると今度は中川を無人島に連れて行き、身ぐるみも剥いでしまう。
そして一度食料の調達の為に両津だけ島を離れたのだが、そこで問題が起きてしまった。
何と両津は限定物の超合金の発売日が近かった事を思い出し、慌てて日本に帰国。
その後何やかんやですっかり中川を忘れてしまう。
一方無人島に置き去りにされた中川は哀れなものだった。
台風が直撃し、住居にしていた小屋も吹き飛ばされる。
せめてサバイバル能力のある両津が一緒なら話は別だったろうが、現実は非情であった。

「そうだ……先輩のせいで…あの角刈りのせいでこんな目に……」

フツフツと両津への怒りが湧いてきたのか、顔に青筋が浮かび上がる。
いつもの爽やかイケメンとは程遠い修羅の形相となった中川は、勢いよく立ち上がり両津への恨み言を吐き出した。

「人をあんな所に置き去りにしやがって!しかも今度は殺し合いだなんて、ふざけるな角刈り!!
 こんな訳の分からない場所で死んでたまるか!待ってろ角刈りィ!!」

デイバックから2丁の拳銃を取り出すと、血走った目でコンビニの外へ飛び出した。

普段の中川圭一ならば、こんなトチ狂った行動はしない。
殺し合いという異常事態に動揺こそあれど、警察官として一般市民の保護に動いたはずである。
だが、あまりにも連れて来られた時期が悪過ぎた。
今の中川は、冷静さを欠き暴走する危険人物でしかなかった。


【中川圭一@こちら葛飾区亀有公園前派出所】
[状態]:精神暴走気味、両津への怒り(大)、満腹
[装備]:ハインケルの二丁拳銃@HELLSING
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、予備マガジン
[思考・状況]
基本方針:何が何でも生き延びる
[備考]
※原作195巻、「男二人の夏休みの巻」で救出される前からの参戦。

【ハインケルの二丁拳銃@HELLSING】
イスカリオテ機関の神父、ハインケル・ウーフーが使う2丁の自動拳銃。


中川が飛び出して行き、静けさを取り戻した店内。
その奥にあるトイレから、恐る恐る顔を覗かせる者が現れた。

「も、もう大丈夫かな…?」

震えながら店内の様子を窺う者の名は骨川スネ夫。
中川程ではないがお金持ちの小学生である。
口を開けば自慢やらイヤミやらが絶えないが、本質的には臆病なスネ夫は殺し合いが始まってすぐ、スタート地点のコンビニで震えていた。
暫くして誰かが近づいてくるのが見えたので慌ててトイレに駆け込み、息を殺して隠れていたのだった。

(さっきの人、銃を振り回してた…。大人の男の人でもおかしくなっちゃうんだ。僕なんかすぐに殺されるに決まってるよ!)

これまでも大事件に巻き込まれる事は多々あったが、あんな間近で人が死ぬのは初めてだった。
自分にはドラえもんのようなひみつ道具や未来の知識も、
のび太のような射撃の腕といざという時の勇気も、
ジャイアンのような仲間の為に体を張る漢気も、
しずかのような悪人にさえ手を差し伸べる優しさも無い。
さっきの男が居なくなって尚も、怖くてここから動けずにいる。

(誰か、誰でも良いから助けてよ……)

怯える少年に手を差し伸べる者は現れるのか。
それは誰にも分からない。


【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:健康、強い恐怖
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくない、帰りたい
[備考]
※大長編の出来事を経験していますが、明確な参戦時期は不明。


259 : ◆ytUSxp038U :2021/03/17(水) 20:54:40 OfeifYoE0
投下終了です


260 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 21:28:47 AQ2B6ebA0
投下します


261 : 結ンデ開イテ刀使ト骸 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 21:29:34 AQ2B6ebA0


全ては移ろうので御座います。



今こうしている間にも、様々なものが。



○ ○ ○

昏き赤の月陽の下、散らす刃鳴りの音は如何ほどか

平安の世にて、鬼が住まうとされた羅城門の下、刃金と刃金を斬り結ぶは二人の剣士

片や、フードを被り、その隙間より中性的な顔立ちを見せる女剣士――神道無念流、獅童真希

片や、氷にして鋼鉄、その心は不動とばかりに相手の太刀筋を受け流す男――柳生新陰流、柳生但馬守宗矩。否、『一切両断』セイバー・エンピレオ


「……ふむ、ここまでに食らいつこうとは。少しばかり甘く見ていたか」

「お生憎、柳生新陰流の使い手が知り合いには居てね。僕はその子と直接手合わせしたことは無いけれど」

「……ほう。異界の剣士、侮ったつもりは無いのだがな」



事の始まりは半々刻前。獅童真希と柳生但馬守宗矩。両者は同じ場所、同じく羅城門の元にて飛ばされ、出会った

柳生宗矩……いや、英霊剣豪の骸の残骸は、生前最後の戦いの感触を忘れずにあった。新免武蔵との戦いを経て剣客としての業を自覚した
もとより剣の道とは殺人の道。そこに特別な意味など無いと断じた人生。然してかの剣豪との邂逅はその業を目覚めさせるのに十分であった
外道へ堕ちた果て、武蔵に敗れ、潔くその生に幕を下ろしたはずのその骸は、何の因果かこの歪んだ平安の都に蘇り堕ちた
然して既に魔縁に堕ちた身。悪鬼羅刹が宿業を持ちしこの骸、殺戮の魔宴に呼び込まれたのならば為すは2つ、宿業のままに屍山血河を築こうぞ、未だ見ぬ強者との立ち会いを臨もうぞ

それに待ったを掛けたは獅童真希。と言いつつも、彼女は寸前まで迷いの縁にいた。地獄のような宴の舞台、悪魔から提示された甘美な誘惑。もしかすれば失った仲間を――燕結芽を取り戻せるかも知れないと
皮肉にも彼女の天秤の傾きを戻したのは悪鬼羅刹たるセイバー・エンピレオの存在。
元の世界にて彼女が追いかけていた大荒魂タギツヒメ。それに匹敵する禍津の瘴気を漂わせるそれを、獅童真希は放ってなどおけなかった。この男を放置しておけば不要な犠牲が出ることになる、と。

発端の前に多少の会話こそあったも意味はない。至高天に堕ちた剣士はもとより殺戮を是とする一介の剣鬼に成り果てている。だが、柳生宗矩には得物があれど当時の獅童真希には得物は無く。見かねた宗矩が己が支給品にあった一本の刀―――獅童真希の御刀である薄緑こと吼丸を投げ与えた

強き者との死合いを望む剣鬼にとって、相手が手持ち無沙汰の剣士というのは目覚めが悪い。故に投げ与えたが、まさかその相手が元の持ち主というのは些か予想外ではあったようだ
あと薄緑に付いていたねこストラップを剣鬼は完全にスルーした模様、閑話休題


262 : 結ンデ開イテ刀使ト骸 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 21:30:23 AQ2B6ebA0
○ ○ ○

(神道無念流、はるか未来にこの様な使い手が生まれようとはな)

真希の剣技を捌きながら、宗矩は冷静ながら真希の実力に心の内で感嘆する

(だが、まだ若い―――)

獅童真希の一撃が迫る。刀を逆手に地面に刺す。残る空き手で剣を掴む

「……!」
「ふんっ……!」

掴み、刺した刀を地面ごと切り上げる。真希に迫った斬撃は当たる直前に幽体離脱のような何かに阻まれる。そして後退。再び攻める。剣鬼は再び捌き、躱す

(――原理はわからぬが、厄介だな)

写シ――刀使の基本的な特殊能力の一つ。体をエネルギー体に作り変えて身体能力を強化すると共に、物理的ダメージを無効化するもの。柳生宗矩は刀使を知らず、当然として写シを知らない

(……やはり、強い!)

獅童真希もまた、柳生宗矩の強さに焦りと関心を同時に抱いていた。剣聖、そして剣術無双。初陣にて武者七名を瞬時に切り捨てたという逸話は事実だと言わんばかりの、その圧倒的実力

柳生新陰流には「水月」という概念が存在する。相手に場を取らせることを先行させ、自分は何もせずに相手が焦って場所を取ったと同時に自分の位置を計算し素早く決める。これによって、敵の有利は微妙に変化し、勝負の半分はそこで付く

焦らず、然し確実に追い込まんが為に攻める。自分の場を安定させず、流動させる。決まった場は作らない。焦ればそこで相手の『場』が決まる
相手はどうしようもなく格上。それこそ折神紫と同等か、それ以上の。故に一瞬の勝機を見いだせなければ――終わる

「――む」

打ち合いの中、剣鬼の刀は折れた。元より鈍らの刀であったのか、偶然の産物であったのか定かではない。だが、これが獅童真希にとっての唯一の勝機

「――やぁっ!!」

迅移――刀使の攻撃術の一つ。単純な説明をしてしまえば瞬間的な高速移動。一瞬の、格上の剣鬼が見せた唯一の隙間。唯一見いだせた勝機。確信と共にその速度のままに目の前の剣鬼に斬りかかる




「――そうか」





そして刃鳴りは散らされた、昏き紅月の元に








○ ○ ○

「―――あ、れ―――」

獅童真希は、その身に何が起こったのかわからなかった

相手の刀は折れた、迅移を使った。二度目の写シは張っている――なの、に―――






「これで、終いだ。神道無念流の若き使い手よ」






斬られていたのは、獅童真希の身体の方なのだ。写シごと、斬られていた


柳生但馬守宗矩。至高天の名を関する英霊剣豪セイバー・エンピレオ
その身に宿りし宿業は『一切両断』。何もかもを両断するその宿業による力は、獅童真希を写シ諸共切り裂いた
獅童真希には柳生宗矩のこの一撃が見えなかった。あまりにも早すぎた。獅童真希は自分よりも上の段階の写シを使う刀使を知っている。だが今の柳生宗矩の剣戟は明らかに――早すぎた
その余りにも早すぎる一撃に獅童真希は切り裂かれた。しかも折れた刀によって

あの時、宗矩は自らの刀が折られたあの時に『水月』は完成していた。一瞬の勝機に見えたそれは、紛れもなく獅童真希にとっての『場』と同義
故にその余りにも隙を晒したその姿こそ、『水月』である。ならば後は相手の動きを見抜いて斬ればいい。それだけの話。それだけの事、ただそれだけである

「――中々に、愉しめたぞ」


263 : 結ンデ開イテ刀使ト骸 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 21:30:38 AQ2B6ebA0
○ ○ ○

「――ふふっ」

思わず、笑みが浮かぶ。あっけない幕切れではあったが、やはり命と命のやり取りは愉しいものだと

「――さて、これからは如何様とするか」

柳生但馬守宗矩自身は殺し合いの賞品に何ら興味はない。家光公への忠義も、守るべき民衆も、江戸柳生もどうでもいい。剣鬼が望むはただ強者との死合いと、屍山血河を築き上げること

「……この剣は、もらっておくぞ」

死した骸の手に握られた薄緑を拾い上げ、振るい血飛沫を飛ばす。先に使っていた鈍らが折れてしまった以上、仕方のないこと

「では、征こうか」

剣鬼は征く。その身が通るは屍山血河を築かんがため。その心は強者との死合いを求めんがため。そして――

(新免武蔵よ。もし、貴様もまたこの場にいるのならば)

――再び、死合うてみたいものよ


【セイバー・エンピレオ(柳生但馬守宗矩)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康、高揚
[装備]:薄緑@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:強者と死合う。屍山血河を築く
1:新免武蔵よ、もし貴様がいるんらば再び相まみえたいものよ
[備考]
※参戦時期は死亡後

【薄緑@刀使ノ巫女】
獅童真希の御刀。真希自身は吼丸という名称で呼んでいる












○ ○ ○


流れ出てゆく血が余りにも冷たく感じる。その手に薄緑はなく、剣鬼は既に立ち去った

「僕、は……」

余りにも情けなくて、涙が溢れ出る。贖罪のため、元より刺し違える覚悟でタギツヒメを追っていた。だが結局の所自分が何をした?ただ状況を混乱させただけだ
そして殺し合いに巻き込まれ、剣鬼に敗れ去り命を落とそうとしている

「すまない……すまない、夜見、結芽、寿々花……」

世界は広く、自分という存在は余りにもちっぽけで

「僕は、何、も―――」

結局、自分は何も、為せなかった。そんな後悔が、彼女の意識を永遠の黒へと埋め尽くす

(もし、僕に、もっと、力が―――)

その思考にいたろうとして、彼女の心臓に何かが突き刺されたのは、その直後であった


【獅童真希@刀使ノ巫女 死亡】


264 : 結ンデ開イテ刀使ト骸 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 21:32:04 AQ2B6ebA0


「はい、これで骸人形一人完成。かな?」

折り紙を繋ぎ合わせたようなヒトガタの道化が、日本刀を携えて嗤う。嗤った後に『獅童真希』の骸は立ち上がり、道化を一瞥する

「……説明書には操れる死体は2体まで、だっけ?」

道化の持つ日本刀の名は『死者行軍・八房』。この刀で切り殺した相手を骸人形として操ることの出来る、帝具と呼ばれる武器の一つ。本来の八房で操れる骸人形は9体までだが、この舞台では二人までとなっている

「でも、まあ使わせてもらう分には、十分強力かな?」

道化が望み目指すは新世界の神。あの時はしくじったが、今度こそはそうは問屋が卸さない。忌々しい首輪を外し、利用できるものは骨の髄まで利用し、主催すらも出し抜く
今や邪魔なヒゲヒゲやその仲間はいない。もしやいるかもしれないが、その時の対策も何れ取る必要がある

魅惑の道化師は嗤う。彼にとっての最高のショーは、ここから仕切り直し

道化の名はディメーン。新たなる黒き予言の実行者

【ディメーン@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:健康
[装備]:死者行軍・八房@アカメが斬る
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2、躯人形・獅童真希@刀使ノ巫女
[思考・状況]
基本方針:新世界の神になるため、主催すら出し抜く算段を考える
1:この武器(八房)は使えそうだ
2:首輪はさっさと解除した
3:利用できるやつはとことん利用する
[備考]
※参戦時期は死亡後
※死者行軍八房の使い手になりました
※骸人形・獅童真希の損壊程度は弱。着ている服に大きく切り裂かれた後が残っています

【死者行軍・八房@アカメが斬る!】
クロメの所持する帝具。斬り殺した相手を骸人形として操ることが出来き、骸人形は生前と変わらない能力を持つ
※死者行軍八房の制限は以下の通り
『操れる死者は2人まで』
『呪いを解いて地下に戻し、損壊を全修復させることができない』
『死者は帝具の主から300m離れると一時活動不能になる』




はて、何の話をしていたかな?



まあ、そんな与太話は終わりにしましょう。



さあ、お手を拝借。   一つ二つ三つで、また明日


265 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 21:32:48 yUVFUzyU0
投下します。
重複していた場合には、失礼いたします。


266 : 赤い空とゾンビ ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 21:33:53 yUVFUzyU0
緑色の体に、赤い斑模様を持った生物が会場内を彷徨い歩いている。
名前はシロモ。元々は名前の通り白い体毛を持っていたが、ある出来事によって現在の様な姿に変わってしまったのだ。

その姿は、シルエットだけを見ればごくありふれた乗用車にも見えなくはないだろう。

そう。彼はとある世界で人間と共に生活していた、『モルカー』と呼ばれる種族である。

モルモットが車の様な形態に進化した生物、それがモルカーである。

しかし、そんな彼もこのゲームの参加者としてこの場所に召喚されてしまったのである。

─そこで、何故彼がこの会場に居るのか、ここに転送される直前まで遡ってみよう。

◆◆◆


シロモ達が元々住んでいた所は、既に荒廃していた。

辺りは砂漠化し、道路の脇には傾いた信号機等が点在していた。
腕の無いモルカーでも開けられる車庫もあったが、内部にはモルカーでも装備出来る武装が置いてある程。

更には、ゾンビ化した人間達が蔓延し、彼らモルカー達も襲撃を受ける対象となってしまっていた。

シロモ達もそうだった。
一緒にいた同種族のテディと共にゾンビの群れから必死に逃げていた。

逃げている最中に発見した車庫に一先ずは避難し、テディと共に装備を調達する。
元より豪快で暴走しがちだが、面倒見の良かったテディが武装して前線に出て、ゾンビ達を追いかえしてくれた。

─しかし、道路を歩いていた他のモルカーに気づけずに彼の周りでもゾンビ達を


267 : 赤い空とゾンビ ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 21:34:23 yUVFUzyU0
追いかけ続けてしまっていた。
そうした結果、そのモルカーが目を回してバランスを崩し、背中に載せていたハンバーガーを落としてしまう。

落ちたハンバーガーを食べようとしたところで、目を回していたモルカー・バーガーモルカーが立ち直り、介入する。

バーガーモルカーの機転によって、自分とテディは野菜、人間のゾンビ達はパテ(肉)、そして残ったバンズは飛んで来た鳥達でそれぞれの物を食べる事になったのだが…。

しかし肉に齧り付いていた1人のゾンビが、誤ってシロモの耳にも齧り付いてしまう。
すると、シロモもゾンビ化し、それを目にした2匹のモルカーはこれまで食べていた野菜を咥えたまま逃げ出してしまった。
取り残された彼は、これまた人間のゾンビ達が食べていたパテを取り上げ、逃げた2匹を追いかけ出す。

後ろからは人間のゾンビ達が迫って来たが、それでも走り続ける。

─だが、その最中で突然視界が暗転した。

ふと気付くと、元世界よりも赤い空の広がるこの会場に居た。

それだけではない。
突然、『肉を食べたい』という衝動がシロモの中で溢れ出した。

「プイっ…プイっ…ププププイ!」

─そして彼は、衝動に駆られるままに、走り出すのであった。


268 : 赤い空とゾンビ ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 21:34:50 yUVFUzyU0
【八将神枠】
【シロモ@PUI PUI モルカー】
[状態]:ゾンビ化、食肉衝動
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ニクガタベタイ
※参戦時期は第6話において、人間のゾンビに噛まれてゾンビ化した後、自分を見て逃げ出したテディとバーガーモルカーを追いかけている最中。
※彼から何らかの要因でゾンビ化物質を伝播された参加者は、時間経過で死滅します。
 ・尚、ゾンビ化物質は他の八将神枠の参加者には無効となります。


269 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/17(水) 21:35:13 yUVFUzyU0
投下終了です。


270 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/17(水) 21:38:47 AQ2B6ebA0
投下終了宣言を忘れてました 申し訳ございませんでした


271 : ◆RTn9vPakQY :2021/03/18(木) 00:23:10 ZgiR94QM0
皆様投下乙です。自分も投下します


272 : 開幕のあいさつ ◆RTn9vPakQY :2021/03/18(木) 00:25:03 ZgiR94QM0
 平安京の街角で、柳瀬舞衣は建物の壁を背に座り込んでいた。
 突如として告げられた殺し合い。眼前で無惨にも奪われた命。
 荒魂(あらだま)と呼ばれる異形との交戦経験があるとはいえ、まだ中学生の少女が順応できるはずもなかった。

(可奈美ちゃんがいなくなって、今度は殺し合い……)

 折神家御前試合の決勝戦で、突如として折神紫に剣を向けた十条姫和と、その十条姫和を庇い逃走を助けた衛藤可奈美。
 同じ美濃関学院で親しくしていた可奈美の行動を、舞衣は理解できず困惑していた。
 一夜明けても状況は変わらず、その矢先に殺し合いに巻き込まれたのだ。
 学院では優等生と評される舞衣でも、即座に答えは出せない。

「いったい、どうしたら……」
「やあ。いい天気だね」

 いきなり声をかけられて、びくりと肩を震わせる。
 顔を上げると、舞衣から一メートルほど離れたところに、少年が佇んでいた。
 紅い空に照らされて浮かび上がるのは、華奢なシルエットに清潔な白の制服。
 美少年と呼んで差し支えない風貌だ。

「えぇっと……そう、ですね?」

 このような異常な空間で、やけに落ち着いた少年を不審に思いながら、それでも舞衣は律儀に返答した。
 しかし、その直後に明確な恐怖を抱くこととなる。

「それじゃあ、少し遊ぼうか」

 少年の右手首から先が、仄青い細身の剣へと変化していたのだ。
 同時に舞衣は気づく。少年の纏う威圧感が、荒魂と遜色ないほど異質であることに。

「あなた、いったい……ッ!」

 誰何の声は最後まで紡がれない。
 なぜなら少年は、変形していない側の手で舞衣の喉に触れていたからである。
 しなやかで冷たい指先が、ゆっくりと喉元を撫でる。
 舞衣の喉が反射的にゴクリと鳴った。

「うん。良い声だ……ぜひ心地いいメロディーを奏でて欲しいね」

 自分のことを、まるで楽器か何かのように扱う少年。
 外見は美しくとも、内面の異常性は火を見るよりも明らかだ。

「っ……離れて!」

 少年を押しのけて距離を取り、支給されたデイパックから刀らしきものを掴み出す。
 取り出したのは孫六兼元。舞衣の所持する御刀である。
 やはり、と舞衣は少しばかりの安堵を得た。
 刀を掴んだ瞬間、直感的に慣れ親しんだ自身の刀だと理解したのだ。

「おや、まさか僕と真剣勝負でもするのかい?」

 刀を正眼に構えた舞衣を見て、嘲る少年。
 それに対して、舞衣は油断することなく気合を張り続けた。
 少年の口調は軽薄だが、その殺意は確実に高まりを見せていたからだ。

(まずは相手の出方を見る――!)

 舞衣は「写シ」により身体を霊体へと変質させた。
 これにより、わずかな痛みと精神的ダメージを代償に、肉体へのダメージを肩代わりできる。
 そして少年を観察する。右手首の剣をもう片方の手で弄ぶ姿は、剣術的には隙だらけだ。
 それでも不用意に斬り込めないのは、ひとえに少年の威圧感が常人離れしているため。
 そんな舞衣の様子をしばらく眺めた少年は、やがてため息をついた。

「それじゃあ、聴かせておくれ……」

 少年は左の掌を舞衣へとかざした。
 悪寒が走る。直感的に、舞衣は回避行動を取ろうとした。

「断末魔の叫びを!」


273 : 開幕のあいさつ ◆RTn9vPakQY :2021/03/18(木) 00:26:30 ZgiR94QM0
 しかし直後、舞衣の身体は中空へと吹き飛ばされ、背中から壁に激突していた。
 妖力派の衝撃に、写シは解除され、呼吸が大きく乱れる。受け身も取れずに、地面に膝をついた。
 いったい何をされたのか、全く分からなかった。

「あぁ、その状態じゃ声が出せないか」

 息を整えようとして、勢いよく咳き込む。
 骨が折れていないことを幸運に感じつつ、御刀を支柱にして立ち上がる。
 しかし、幸運は続かない。舞衣が顔を上げたとき、その胸元には剣先が突き付けられていた。
 そして、すでに間合に入り込んでいた少年が、まるで指揮棒を振るように、右手の剣を揺らした。

「ああああぁっ!」

 顔面に、胴体に、脚部に。
 舞衣の身体に数多の傷が付けられていく。
 痛みに耐えられず、舞衣は思わず目を閉じた。
 じわじわと制服に血が染みて、まだらな模様を描く。

「すばらしい」

 自分の喉から、自分のものとは思えない声が出続けている。
 頬が削げて、指が千切れて、内臓がはみ出ても、絶え間なく少年は指揮を振る。
 そうして、舞衣の喉元で剣筋が閃くまで、演奏は続いた。

「素敵な調べをありがとう。それじゃあ、これで終わりだ」

 舞衣は再び膝から頽れて、壁に背中を預ける形となっていた。
 もはや声はおろか息も満足に出せず、ただ喉からひゅうひゅうと音が出ていた。
 最初から迅移や金剛身のような戦闘術を行使していれば、結果は異なっていたかもしれない。
 相手の行動を見極めるだけでなく、回避にも意識を割いておくべきだった。
 ぼんやりとした頭で、そんなことを考える。

(……あぁ、それにしても)

 ここで死ぬということは、もう誰とも会えないということだ。
 そのことに気づいて、自然と脳裏に浮かぶのは、親友の姿。

(可奈美ちゃん、どうか、無事で……)



【柳瀬舞衣@刀使ノ巫女 死亡】



 物言わぬ骸と化した少女から、ゆっくりと剣を引き抜いて、絶鬼はくつくつと笑う。
 人間は脆弱な生き物だが、苦痛を与えるとこの上なく心地いい音色を響かせてくれる。
 突如としてゲームに巻き込まれて憤慨していたが、なかなかどうして愉快なことになりそうだ。

「もしかしたら、兄さんも来ているかもしれない」

 絶鬼は紅く染まる空を見上げた。
 その禍々しい紅色は、どこか絶鬼の住処である焦熱地獄を思わせた。
 そして、この会場全体に、妖気にも似た空気が渦巻いているのも、肌で感じていた。
 地獄に近い会場だ。兄である覇鬼がいても、何ら不思議ではない。
 とはいえそれは期待半分。方針は既に決定している。

「ま、とりあえず皆殺しかな」

 それは開幕のあいさつ。
 上機嫌な指揮者は、鼻歌まじりに歩き出す。
 これから披露される舞台の演目は、阿鼻叫喚の惨劇に違いない。


【絶鬼@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず皆殺し。
1:人間の断末魔の叫びを聴きたい。
[備考]
※参戦時期は本編登場前です。


274 : ◆RTn9vPakQY :2021/03/18(木) 00:26:57 ZgiR94QM0
投下終了です。


275 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/18(木) 00:32:59 tyNeHjEY0
投下します。


276 : 呪いまた呪われ ◆8eumUP9W6s :2021/03/18(木) 00:36:31 tyNeHjEY0
私には、優れた所がありませんでした。
私は隊長のような英雄ではないし、マリアンのような努力家でもない、カーラみたいに、みんなを陽気に元気付ける事もできません。それに、B部隊のみんなとは違って…私には固有魔法が…。
…自分の殻を破る為に、海兵隊に志願したにも関わらず…まわりは自分よりもすごい人ばかりで、ずっと、自分が必要な人間なのかどうかが分からないまま、必死にウィッチとして戦ってきました。
…カーラは私を優しいって、そう言ってくれて、キーラさんは私を選んだ理由を「優しいからお人形さんとして操りやすい」…って、そう言っていたけど…どちらも違う。私の心の中にはずっと、ずーっと…不安と嫉妬が渦巻いていたから…自分がどれだけ醜い人間なのかは、嫌と言うほどわかっていたから。
だから───キーラさんが私を選んだ時、内心、ホッとしてしまった自分が居たんです。
だって私は…506の中で一番、必要のないウィッチだったから。
…でも、同時に…みんなを、506のみんなを信じたい…とも思う自分が居て…。
申し訳なさと悔しさ、そしてほんの少しの安堵を抱きながら私が、キーラさんに脅されるがまま連れられようとした次の瞬間───
ふと気がつくと私は、昔の扶桑の建物らしき物があり、血の色のような空に紅き月が浮かんでいる場所に居ました。

----

そこで私は、他の参加者の人たちと一緒にルールの説明を受け、そして…女の人が二人、目の前で殺される様も見せられました。
身体は動かず、声も出ず、ただ喉奥から胃液が逆流してくる感覚に耐えていると…霧に包まれて、そして───気が付くと、いつのまにか会場の中に居たんです。

…殺し合いに乗る気はありませんでした。でも…死にたくないとも、そう思って…それに、もし506のみんなまで巻き込まれていたら…殺されてしまったら…と考えてしまい、恐怖からどうする事も出来ずに居ました。
───そんな時です。

「やあ、君一人なのかい?」

継ぎ接ぎだらけな男の人が、私に優しそうな声色で、話しかけてきたのは。

----

「順平はさ、まあ、頭いいんだろうね。
でも…熟慮は時に、短慮以上の愚行を招くものさ。
君ってその典型。順平って、君が馬鹿にしている人間の、その次ぐらいには馬鹿だから。
───だから、死ぬんだよ」

そう告げながら、玩具に…吉野順平に手を触れた後、自らの術式により、宿儺の器たる虎杖悠仁の目の前で変形させようとしたその瞬間に…継ぎ接ぎの青年の形をした特級呪霊真人は、この殺し合いに招かれた。

----

「…いいところだったのに、勿体ないなあ…不完全燃焼って感じだ」

会場に飛ばされた後真人は、残念そうに呟く。

「…ま、いいか。今はこの殺し合いを楽しんで…あの玩具に代わる、新しい人間を見つけよう。
…さて、今度も狡猾に行こう。呪いらしく。人間らしく…ね」

しかしすぐさま彼は切り替え、新たな玩具を探す事にする…前に、支給品に自分が事前に作っていた改造人間のストックがあるのを発見した。そして改めて散策をしようとする…その矢先に彼は見つけた。少女が一人、無警戒に突っ立っていた姿を。

(…お、早速玩具候補を発見。情報も収集出来るかもしれないから話しかけてみよう)

そう思いながら真人は、優しげな声で少女に話しかけてみる。

「やあ、君一人なのかい?」


277 : 呪いまた呪われ ◆8eumUP9W6s :2021/03/18(木) 00:37:05 tyNeHjEY0
----

「…あなたはいったい…誰です…?」
「俺は真人。君と一緒で…この殺し合いに巻き込まれた参加者さ。
もしよければ、君と少し話をしたいんだけど…いいかな?いやあ、一人じゃ心細くてね」
「…私なんかでいいのなら…構いませんよ」

馴れ馴れしい様子ながらも、ホッとした表情を見せる真人に対してジェニファーは…警戒せず、承諾してしまう。
本来の彼女なら彼の外見を見た時点で内心では警戒をし、迂闊に話には乗ろうとしなかっただろう。
しかし今の彼女のメンタルは不安定であり、不安を抱えていた。それ故…初対面ながらも馴れ馴れしく、かつ表面上は優しく振る舞う真人に警戒心が薄れてしまったのである。
───最も。ジェニファーのメンタルが安定した時期から呼ばれていた場合は、ここで彼女が真人の術式である「無為転変」の犠牲になっていた可能性が高いのだが。

「じゃあ話そっか」
「…はい、真人さん」

こうして、ウィッチと呪霊の、情報交換を兼ねた話し合いが始まった。

----

(へえ…俺の知らない単語がどんどん出て来る。狡猾に動く事にして正解だったなあ)

話し合いの中真人は、ジェニファーから様々な情報を手に入れる事に成功していた。

(話してみると案外聡いタイプみたいだ、だから…ジェニファーが今の状態で助かったよ。
こっちの情報開示を最小限に留めながら、ジェニファーの持ってる情報を聞き出せたんだから)

その中で真人は、ジェニファーを新たな玩具兼実験台にする事を決めた。
それに気付いていないジェニファーは、ふと不安そうに尋ねる。

「…真人さんはこれから…どうするんです?
…その、もし良ければ、ご一緒させてもらえると…」

(やっぱり不安なんだね、けどこっちとしては好都合だ。)
「うーん…とりあえずはジェニファーについて行くつもり。安心してよ、こう見えて俺…強いから」

そう、微笑んで優しく振る舞いながらも真人は…まずは試しに実験を行う為に、ジェニファーの頭に触れた。

【真人@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:改造人間のストック@呪術廻戦
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:せっかくだからこの殺し合いを楽しもう
0:今はこの新しい玩具(ジェニファー)でどう楽しむかを考える。
1:まずはあの玩具(順平)の時みたいに、脳をそれらしい形に整えてみよう。固有魔法なる物が使えるようになるかもしれないからね、実験にはちょうどいいや。
2:使い魔、かあ…精霊の類、花御の親戚みたいなものなのかな?
3:あの玩具の時とは違って、今は正体を言わない方がいいかもね。
4:魔法力…呪力とはまた違った物みたいだ。
5:怪異がネウロイと呼ばれるのなら、もしジェニファーが居た世界に俺が生まれていたら、ネウロイ扱いされてたのかもな。
6:あの呪術師(七海建人の事)や宿儺の器(虎杖悠仁の事)、後ジェニファーの知り合いが居たら…その時はジェニファーに色々吹き込んだ上でぶつけてみるのも、悪くないね。
[備考]
※参戦時期は27話「もしも」にて吉野順平を殺害する直前からです。
※ジェニファーとの会話で、使い魔やウィッチ、固有魔法にネウロイ等の知識を知りました。また、彼女が居た世界と自分が居た世界が別の世界だという推測を立てています。

【ジェニファー・J・デ・フランク@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、不安定
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくない、でも…
1:今は真人さんと一緒に行動する。
2:もし506のみんなが巻き込まれてたら…どうすれば…。
3:呪詛師…同じ人間を呪うなんて、そんな…。
4:呪力…負の感情から引き出す、魔法力のような物…でしょうか…?
[備考]
※参戦時期は原作及び漫画版3巻にてキーラに拉致され、506の基地内にまだ内通者が潜んでいる事を彼女の口から聞かされた後からです。
※真人との会話で、呪詛師や呪力についての知識を知りました。
※作中にて舞台になっている年代が1944〜1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【改造人間のストック@呪術廻戦】
真人が自らの術式「無為転変」にて人間の魂ごと形を怪物・異形の類に改造されて、彼に操られる犠牲者達のストック。
一度魂を弄られてしまった人間は元に戻ることができず、また改造されてしまうと短時間でショック死してしまう。
犠牲者達は脳幹を弄られてる都合上自我のないまま襲いかかり殺戮を繰り広げる。
しかもこの状態でも犠牲者達の自我は僅かばかり残っていて、助けや死による救いを求めてくる事が多い。
また真人の意思次第で、剣や射出武器としても扱う事も可能である。


278 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/18(木) 00:37:42 tyNeHjEY0
投下終了です。


279 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/18(木) 10:30:56 edUta5aU0
投下させていただきます
コンペロワに投下したものを手直ししたものになります


280 : Re:CREATORS外史 颯太、恋姫に出会うのこと ◆4kMBNI9QkE :2021/03/18(木) 10:31:55 edUta5aU0
「そんな……どうして、あんな……うっ!うげっ!!」

赤い月に照らされた平安京の片隅で……

眼鏡をかけたブレザーの学生服姿の少年……水篠颯太はついさっき起こった双子の主催者による『殺し合いの開催宣言』と、
見せしめとして無惨に殺された二人の少女の姿を思いだし、
胃袋の内容物を何度も地面に吐き下していた。

突然『物語のキャラクター』が現実に出てくるという異常事態に巻き込まれてしばらく経つが、
本来の颯太は投稿サイトにイラストの投稿を行っている事を除けば、
どこにでもいる平凡なオタク少年。
こんな何年か前に、
藤原竜也主演で映画化された高見広春の小説みたいなイベントに強制参加されて平常心を保てる程、
図太い精神など持ってはいないのである。

「ハァ……ハァ……」

胃の内容物を粗方吐き終え、颯太は荒い息を漏らしながら口を拭った。
とりあえずは、他の参加者に会う前にどこかに隠れなければ……。
とりあえずの方針を決めると、颯太は自身に支給品がされたデイバッグに手を伸ばし……その動きを止めた。
いや、『止められた』というべきか。

突如、颯太の首筋に冷たく硬い物が押し当てられ、颯太の動きは封じられてしまったのだ。

「動くな。動かなければ悪いようにはしない」

背後から若い女性の声が聞こえ、颯太は冷や汗を流しながら大きく唾を飲み込んだ。

「お前はこの殺し合いに……」
「の、乗ってないです……」

背後からの問いかけに、颯太は少々早口になりながら即答する。
しばしの沈黙の後……颯太の首筋から冷たい感触が消えた。

「……ハァ〜」

なんとか納得してもらえたらしく、颯太は安堵のため息を漏らした。

「驚かして申し訳ない。私も、無闇に人の命を奪うような真似をするつもりはない」
「い、いえ……こんな状況ですし……」

仕方ない、と続けようとして背後を振り返り……颯太は目を丸くした。

そこには緑を基調としたチャイナドレスのような服を着用し、長く美しい黒髪をサイドポニーテールでまとめた美少女が、包丁を手にして立っていた。
持っている武器こそ違うが……颯太はその美少女を知っていた。


281 : Re:CREATORS外史 颯太、恋姫に出会うのこと ◆4kMBNI9QkE :2021/03/18(木) 10:32:55 edUta5aU0

「か、関羽雲長……愛紗?」

そう……今颯太の目の前にいるのは、
『三国志』をモチーフとしたアダルトゲームを原作とするメディアミックス作品『恋姫†無双』シリーズに登場するヒロインの一人、『関羽』こと『愛紗』だったのだ。

「!」

颯太の呟きを耳にすると、愛紗は目の色を変えて颯太に飛びかかり、
颯太の体を地面に押さえつけた。

「うわあぁぁ!?」

情けない事に、颯太はろくに抵抗らしい抵抗もできずに 大して歳の変わらない少女に地面に押さえつけられてしまい、
その喉元に包丁を突きつけられたのだった。

「貴様……何故、私の『真名』を知っている!?」

愛紗は今にも颯太の喉に包丁を突き刺さんとするかのような剣幕で、怒りを露にしていた。
『真名』とは、『恋姫†無双』シリーズの大半のキャラクターに設定されている『モデルとなった三国志の人物のものとは違う、もう一つの名前』で、
今颯太の目の前にいる蜀の武将『関羽雲長』がモデルの少女の『愛紗』という呼び名もその一つである。
この『真名』は『本人が心を許した証として呼ぶことを許した名前』であり、
これを本人の承諾無しに呼ぶ事は、問答無用で切り殺されても文句が言えない程失礼な行為なのである。

「あ、あの……愛……」
「貴様に真名を許した覚えはない!」
「は、はい!ごめんなさい関羽さん!!」

とても自分と大して歳の変わらない少女とは思えない剣幕を見せる愛紗に、
颯太は反論する事もできなかった。

「貴様、何故私の名を……真名までも知っている!?貴様はあの双子の仲間なのか!?」
「いや……その……」
「貴様は何者だ!?」
「は、はい!み、水篠、水篠颯太!です……」

颯太は内心、『セレジアさんと最初に会った時みたいだなぁ……』などと現実逃避的な感想を抱きながらも、何とかこの場を切り抜けようとしていた。

「か、関羽さん!僕はあの女の子達とは全然関係無いんです!僕も貴女と同じで、無理矢理連れて来られて……」
「……」

颯太は必死に弁解するが、愛紗は颯太の喉元から包丁を離そうとはせず、
颯太に疑いの眼差しを向けていた。

「あ、あの!原作のゲームはやった事無いけど、ノベライズとコミカライズは読みましたし、アニメ版は全部見ました!『桃園の誓い』のシーンは凄くて……」
「原作?アニメ?何を言って……」

途中から弁解ではなく、『恋姫†無双』シリーズの感想を述べ始める颯太に、愛紗は首を傾げるが……

「!」

颯太の口にしたある言葉に気づいて目を丸くした。

「『桃園の誓い』だと!?姉上と義姉妹の誓いをたてた時の事か!?」

『桃園(とうえん)の誓い』とは、
三国志演義の序盤において、後に『蜀』を建国する事になる劉備、関羽、張飛の三人が
義兄弟の契りを結ぶシーンの事であり、
三国志をモチーフとする恋姫†無双シリーズにおいてはアニメ版第二期のオープニングテーマのタイトルのモチーフとなっているのだ。

「どういう事だ!?あの時、あそこにはお主のような者の姿はいなかった!どうしてお主が知っているのだ!?」
「そ、それは……」

颯太は恐る恐る語り始めた。
何故自分が愛紗の真名や義姉妹との誓いを知っているのかを、
そして『恋姫†無双』という物語についてを……。
ちなみに、念のため原作の主人公である『北郷一刀』を知っているか聞き、愛紗が『知らない』と答えたので、アニメ版を中心に話している。


282 : Re:CREATORS外史 颯太、恋姫に出会うのこと ◆4kMBNI9QkE :2021/03/18(木) 10:33:37 edUta5aU0

☆☆☆

「……という訳なんです」
「……」

颯太が話終えると、愛紗は豊満な胸の前で腕組みをしながら神妙な表情を浮かべていた。
ちなみに現在、颯太は拘束を解かれて、
愛紗と向かい合う形で共に地面に正座していた。

「つまり……私はお主の世界で造られた『物語の登場人物』だと、そういうのだな?」
「は、はい……いきなり信じられないかもしれませんけど……」
「……当たり前だ!!」

愛紗は地面に拳を叩きつけながら激昂し、颯太はビクリッ!と震え上がった。

「私のいた場所が、私の仲間や義姉妹が、私自身やその人生が……『娯楽』の為に造られた『絵空事』だと!?そんな世迷い言、信じられる訳ないだろう!!」
「いや、あの、僕に言われても!?」

いかに大して歳の変わらない少女とはいえ、相手は百戦錬磨の武将。
ただのオタク高校生に過ぎない颯太は、その剣幕に涙目を浮かべながら震え上がるしかなかった。

「……あぁ、いや……すまん」

激昂した後、愛紗は頭を抱えながらため息を漏らした。

「……正直信じられないのは本当だが、嘘をつくならばもう少し本当らしい嘘をつくだろうし、私や義姉妹達についてあそこまで詳しいとなると……信じざるえないようだ」
「そ、そうですか……ハァ〜」

愛紗がとりあえずではあるが納得してくれたので、
颯太は再び安堵のため息を漏らした。

「……それで、話は分かったが……お主、これからどうするのだ?」
「えっ?そ、そうですねぇ……」

愛紗に今後の方針を問われ、颯太は黙りこんでしまった。

先ほどから何度も書いているが、颯太は平々凡々としたオタク少年。
友人であるセレジアやメテオラを初めとする『被造物』達と違い、戦う力など持っていない。
しかも、目の前にいる愛紗の存在から考えるに、
この殺し合いにはあの『軍服の姫君』……『アルタイル』が一枚噛んでいる可能性と、
他の『被造物』が参加している可能性も考えられる。
よくよく考えてみれば、あの双子の主催者や見せしめに殺された少女達も、そしてこの赤い月に照らされた平安京も……どこかで見たような気がしてならない。
ますます颯太にはどうにも出来そうには思えなかった……。

「……」

颯太の頭の中は堂々巡りの考えばかりが過り、半ば思考停止状態に陥ってしまっていた。

「……ハァ、仕方ない」

黙りこんだままの颯太の姿に愛紗はため息を漏らすと、颯太の手を掴んで立ち上がった。

「な、何を!?」
「いつまでもこうしている訳にもいかんだろう。とりあえず場所を変えるぞ」

颯太は愛紗に引っ張られるまま、歩いていった



はたして、この殺し合いにおける彼らの『物語』はどのような結末を迎えるのか……
それはまだ誰にも分からないのだ。


【水篠颯太@Re:CREATORS】
[状態]:若干情緒不安定、
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺されたくはない
1:・・・(思考停止状態)
2:他にも被造物が?
[備考]
アニメ第12話辺りからの参戦。
版権キャラやその出典作品に関する知識を持っています。
どの程度の知識があるかは、後の書き手さんに任せます。
少なくとも、『CRYSTAR -クライスタ-』と『Fate/Grand Order』に関する知識は主催によって封印されているようですが、時間経過または何らかのショックによって思い出すかもしれません。
この殺し合いに『軍服の姫君』ことアルタイル@Re:CREATORSが関わっているのでは?と考えています。

【関羽(愛紗)@アニメ版恋姫†無双シリーズ】
[状態]:健康、動揺(中)
[装備]:包丁@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:殺し合いはしない
1:彼(颯太)と行動する
2:まさか自分が『物語の登場人物』だったとは・・・
[備考]
アニメ版第三期『真・恋姫†無双 〜乙女大乱〜』最終話後からの参戦です。
颯太の話を聞き、自分が『物語の登場人物』である事を知りました。


【包丁@現実】
どこの家庭にも一本はある、ごく普通のステンレス製包丁。


283 : Re:CREATORS外史 颯太、恋姫に出会うのこと ◆4kMBNI9QkE :2021/03/18(木) 10:35:21 edUta5aU0
投下終了します。


284 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/18(木) 16:11:41 RUlKCrU60
投下します


285 : 餓桜伝説 ◆EPyDv9DKJs :2021/03/18(木) 16:12:56 RUlKCrU60
 舞台となる、血塗られた月下の平安京。
 行われるのは殺し合いである以上、
 好戦的なものと邂逅すれば戦闘は必然。
 ……なのだが───

「伝わるぜ! あんたも疼いてるってことがッ!!」

 互いに距離を取り、構えながら片方の青年が叫ぶ。
 赤いジャケットを羽織った、金髪の青年の表情は実に爽やかだ。
 自身は少なからず、衣服を焼き焦がすほどの火傷を受けている状態で
 一方相手の方はダメージがあるにしても、此方より深刻さがない。
 にも拘わらず笑みを浮かべているのはなぜか。
 単純明快。彼はこの戦いを楽しんでいるからに尽きる。

「疼いている、か……」

 勘違いしないでほしいが、
 殺し合いではなくこの戦いを楽しんでるだけのこと。
 そもそもこの戦いは相手の白服の男性からであって、
 彼、フェザーとしては殺し合いに発展するほどの戦いは望まない。
 相手と分かり合うための手段が拳だけだし、
 戦いを望まない相手にも無理強いはしない。

「ある意味飢えてはいると言えばそうか。」

「やっぱりそうなんだな!!」

 フェザーの言葉に軽く笑みを浮かべる。
 あながち間違ってはいない。フェザーの戦い方は、
 温い世界では到底仕上げられない生きるための技術。
 自分が嫌う、惰性に生きた街の連中よりも認めたい存在だ。

「だからこそ惜しい。」

 生き残れる枠は僅か一名。
 自分が此処にいる時点で元の場所でKOFは頓挫してるだろう。
 悲願たるセカンドサウスは絶望的だ。再度到達するまでにどれだけ時間がいるか。
 なれば、此処で優勝する以外に悲願の達成はありえない。
 戦わずして朽ち果てたくない……いつか盟友のアベルにもそう言った。
 だからこそ彼、カイン・R・ハインラインは優勝を目指す一人に至る。
 元より生とは日々戦いの中で勝ち取るものと言う心情がある彼には、
 今日を生き残れなければ明日はない弱肉強食の理論を持っている。
 例えKOFが頓挫しているいない関係なしに、彼は乗っていたはずだ。
 生き残った者が勝者、明日を生きる資格があるのだと。

「だったらあんたに響かせてやる! 俺の魂をッ!!」

「やってみるといい。」

 休憩は終わりと言わんばかりの、
 手に紫の炎を纏わせてからの肉薄。
 何度も受けて火力は嫌でも理解させられた。
 最小限の回避もその焔が許さず、大ぶりな回避をせざるを得ない。

「ウオオオオッ!!」

 目にもとまらぬ拳の乱打。
 常人であれば一発殴っただけなのに、
 何度も殴られたと認識しかねない攻撃をカインは一発一発を防ぎ、いなす。
 全てを完璧に防げてるわけではない。何発か合間に防げずに受けている。
 互いに実力の差は致命的なレベルには到達していない。
 決してフェザーには勝ち目のない相手ではないが、それでもだ。

「シュワルツランツェ!」

 相手の方がまだ上手だと。
 凌ぎきったあと飛び上がりと同時に炎を纏った回し蹴り。
 頬に焼けるような痛みと、生半可な実力ではなせない蹴りの威力。
 蹴り飛ばされ、近くの家屋の戸をぶち破りながら突っ込む。

「……仕留め損ねたか。」

 フェザーの持つ雷の力のせいで、
 防いだと言えども多少のしびれがあった。
 だから顔面を砕いた、或いは顔面の皮膚が焼けただれた一撃は、
 思いのほか仕留めきれない一撃へと偶然にも変えさせられた。

(雷光とは、忌々しい。)

 サンダーブレイク。
 姉を奪った怨敵ギース・ハワードの大技。
 よもやあれと同じ雷でとどめが刺せなかったのは不愉快だ。

(たかが似てるだけで、無縁だろうに。)

 正直遭遇した時は少し驚かされた。
 多少の差異はあれど、概ねの外見はギースの息子にそっくりだ。
 性格ははっきり言って似ても似つかないものだが、
 そんな彼がギースと同じ雷の力で一命をとりとめたこと。
 余計に疎ましく感じてくる。

「まだだッまだ俺は戦えるぜ!!」

 素早く身を起こしながら、拳に雷光を蓄えてからのストレート。
 電光石火とも言える機敏な一撃だったが、やはり負傷の差は大きい。
 先ほどより余裕があるとは言えないが、それでも避けられてしまう。
 振り向けば、口から血を流し頬も火傷が目立つ状態で、
 ダメージの深さを物語っている。

「やめておけ。無駄に苦しいだけだ。」


286 : 餓桜伝説 ◆EPyDv9DKJs :2021/03/18(木) 16:14:33 RUlKCrU60
「いいや、あんたとはちゃんと魂をぶつけて分かり合いたい!!
 こんな殺し合いの場ではなく、正々堂々とした場所でだッ!!」

 瀕死なのにこの声量。
 一体どこからそんな気力が出てくるのか。
 半分呆れ、半分評価すらしたくなってしまう。

「残念だがそれは無理だな。
 惰性を貪る弱者に、明日など訪れはしないさ。
 戦わずして餓死する負け犬になるつもりはない。
 たとえこの場でなくとも、私と君は敵となるだろう。」

「……確かに、何もしなければ腕は鈍っちまう。
 あんたの言ってることは、恐らく間違っていない。
 だが、だからと言って此処にいるかもしれない仲間を、
 あんたが狙うとなったら、俺はそれを止めないわけにはいかないッ!!」

 フェザーと言う人物は物分かりは良いが、諦めが非常に悪い。
 何をおかしなことを言ってるんだと思うが、全て事実である。
 人の話は聞くがしつこい。嫌悪感を感じさせにくいしつこさ。
 それが真っすぐに突き進むフェザーと言う人物像である。

「だったら止めてみせろ。君の言うその拳で。」

 ため息混じりに手に力を集約させる。
 放つは敵を逃さぬヒムリッシュ・ゼーレ。
 瀕死の相手ではこれを受けきる余裕はない。
 よしんば防げてもカインは自由に動ける。
 事実上の二対一をあの負傷ではとても対応しきれない。

「分かっている!! 俺の拳は魂に響くぜッ!!」

 フェザーも両手に雷光を奔らせ、空高く掲げる。
 放つは大地へその力を叩きこみ、衝撃を飛ばすアニムス・ブロー。
 今のダメージで受けきるのも、避けるのも難しい現状を考えれば、
 相手を迎撃するに向いてるこの技で行くしかない。

「ヒムリッシュ───」

「アニムス───」





「ちょっと待った!!」

 少女の静止の声が響く。
 双方とも技を中断し、声の主の方へと視線を向ける。
 白と赤を基調とした制服の少女が、
 小刀を構えてカインへと向ける姿がある。

「そっちがそれ以上攻撃するつもりなら、私が戦うよ。」

 相手は十代中頃の子供。
 殺し合いと言う場には二人以上に似合わないが、
 人を殺せる小刀を握っている手は震えてはいない。
 スキのないか前から、恐らくはかなり使い慣れてる。
 経験自体は確実に豊富で、かなりの場数を踏んでいる様子。
 このまま攻撃すれば、躊躇はしてこない可能性はある。
 カインに対してのみの物言いなのは、単純にフェザーの声の大きさの問題だった。
 振り返ってもらおう。彼が紡いだ言葉のほぼ全てが、叫んでるに等しい。
 だから彼女からすれば、殺し合いに乗っていないことはすでに分かっている。
 互いに乗ってなければ此処までの交戦なんてしない。故にカインが敵なことは明確だ。

「……君も同類か。」

「え?」

 予期せぬ言葉に少女は困惑してしまう。
 彼女はカインの人となりを知らなければ、
 二人がどのような会話をしていたかはフェザーの言葉の一方のみ。
 それだけで理解すると言うのは、到底無理と言うものだ。

「焦燥に駆られている……顔にそう書いてあるぞ。」

「ええ!?」

 確かに経験豊富な構え方や立ち居振る舞いだ。
 一方で何かを焦っているかのような、同時に怒りや悲しみ交じりの感情。
 言葉では自分を止めようと言う意思はちゃんと感じられるものの、
 根底には別のものが存在している。

 この推測についてはあたりだ。
 カインは特技に他人の感情を目で理解できる。
 だからわかる。感情を極限にまで殺せる盟友でもない限り。

「確かに、そうだけど……」

 何でもかんでも一人で抱え込んで、
 勝手に一人で終わらせようと決意した友達がいた。
 もし暴走しても、自分が止められると証明したいから。
 友達に消えてほしくなんかないから。戦うように仕向けた。
 一方で、そんな彼女に対して少女は一番キレた瞬間でもある。
 半分背負うからと言ったのに、彼女はそれを良しとしなかった。
 信頼されてないと同じであり、頼られてないことへの悲しみ。
 複雑な感情が入り乱れながらも、十条姫和を隠世へ送らないために彼女、
 衛藤可奈美は戦ったと言うのに、その結末に至らずに此処にいる。


287 : 餓桜伝説 ◆EPyDv9DKJs :2021/03/18(木) 16:15:20 RUlKCrU60
 故にあの状態のまま此処に来てしまった焦りが大きく、
 同時に感情をぶつけられないでいる状態でいるわけだ。
 勿論彼女は表面上にそれが出てくることはない。
 何でも抱え込む姫和に対してキレた彼女ではあるが、
 実のところ彼女も一人で抱え込んでしまうとこもある。
 しかしカインにその表面上だけ隠せどもそれは気づかれた。
 重要な何かを置いてきてしまったかのような、その瞳に。

「……二対一、小刀とは言えリーチの差も大きい。素直に撤退させてもらう。」

「あ、ちょっと───」

 逃げられたら別の被害の恐れがある。
 阻止しようと動くも、カインはまさかの飛んだ。
 白い翼を広げ、上空へ……即ち刀の間合いの外に逃げられた。
 整った顔立ちや白いスーツも相まって、天使か何かと見まがう姿だ。
 炎と言う特異な力を持つ彼でも、本来空を自在に舞うなどできはしない。
 とある世界で驚異の技術をもって製作された帝具が一つ、万里飛翔『マスティマ』。
 彼にはそれが支給され、本来の持ち主に近い実力を発揮させていた。
 相手が空にいては対処のしようがない。長時間の飛行はできないと仮定しても、
 追いかければ必然的に傍の青年から離れなければならない。
 この状況で置いていくわけにもいかず、逃がす他なかった。



(帝具……私の知らない技術もあるようだ。
 仕留め損ねたのはかなりの損失になるかもしれない。)

 カインのいた世界でも大分不可思議なものは存在しているが、
 身につければ翼が一体化して、空を飛べるというのはかなりのオーバーテクノロジーだ。
 だから彼の負傷も、何かしらの手段ですぐに戻ってしまう可能性は否定できない。
 傷を治す帝具や、あるいは自分にも理解の及ばないとんでもない代物が。

(いや、どちらかと言えば単に見たかったのかもしれないな。)

 あれだけの負傷でも一歩も退こうとしない真っすぐさ。
 雷光の力は不愉快だが、ああ言うタイプは評価するに値する人物だ。
 だからこそ決着を付けたかったが、あくまで此処はKOFではなく殺し合い。
 余り勝負にはこだわらず、目的のためにその翼をはためかせる。

【カイン・R・ハインライン@餓狼MARK OF THE WOLVES】
[状態]:打撲のダメージ(軽微)、雷光に対する嫌悪感
[装備]:万里飛翔『マスティマ』@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:優勝しセカンドサウスの夢を叶える。自由は自分の手で勝ち取るべきものだ。
1:彼(フェザー)を倒し損ねたのは大きな損失かもしれない。
2:彼女(可奈美)も似たようなものか。
3:雷光……不愉快だ。
4:暇があれば帝具をもう少し試す。
[備考]
※参戦時期は少なくとも死亡前です
※マスティマとの相性はそれなりに高いです。





「悪い、助かった……」

 カインが遠のくと、膝をつくフェザー。
 いくら十全の威力ではなかったとはいえ、
 受けたダメージは割と無視できるものではなかった。
 戦っていれば敗色濃厚であったのは確実だ。
 諦めが悪いが、敵の力量を理解できない男ではない。

「無理して喋らないで! とりあえず手当てしないと!」

 フェザーの声はかなり大きい。
 場合によっては参加者が集まるかもしれないが、
 敵だって集まる可能性は否定できない。
 何よりも、可奈美の御刀『千鳥』が手元にないのだ。
 この状態では写シによるダメージの軽減すらできない。
 速度を上げる迅移も、八幡力で強化したジャンプも無理で、
 それ故にカインを見逃すしかなかった理由の一つでもある。
 加えて刀の扱いには慣れてると言えども小刀なので千鳥よりも短く、
 間合いの取り方を見誤りかねない状況でもある。

(姫和ちゃん……)

 隠世へ行くのを止めるための戦い。
 それができなければ彼女は行ってしまう。
 今こうしてる間にも事が進んでるかもしれない。

 できることなら早く元の場所へ戻りたい。
 戦いたいのもちょっぴりあるが、友達が消えるなんて絶対に嫌だ。
 何より彼女に言いたい自分の本音が、何一つ言えてないのだから。
 だからと言って、怪我人を放っておくことなどできないし、
 逃げて行った彼だってできることなら殺さず穏便に済ませたい。
 いかに強い相手と戦うのが好きな彼女と言えども、生死が関わる場合は話は別だ。
 試合は好きだが死合うことはしたくなく、当然殺し合いで優勝なんて道も論外になる。


288 : 餓桜伝説 ◆EPyDv9DKJs :2021/03/18(木) 16:15:48 RUlKCrU60
(……)

 一瞬、なんとなく思ってしまった。
 もしかしたら強い剣術の人も此処にいるのではと。
 強くなりすぎたが故の孤独の境地にいた彼女にとって、
 少しだけ期待してしまう。

(いやいや! そんなこと言ってる場合じゃないよ!)

 首をぶんぶん振って、煩悩のような何かを振り払った。
 今の状況でそんな私欲にまみれたことを考えてる場合ではない。
 気持ちを切り替えて、フェザーに肩を貸しながら二人でその場を後にする。

 最強の刀使は迷いを絶つ刀を持てども、
 いくつもの迷いは絶つことはできないままだ。

【フェザー@グランブルーファンタジー】
[状態]:ダメージ(大)、流血、主に顔面を中心に火傷
[装備]:焼け焦げた普段着(SSR時の衣装)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3(未確認)
[思考・状況]
基本方針:強い奴と戦いたい! だがその前に殺し合いを止めるべきだな!
1:少し休む。
2:あいつ(カイン)とはもう一度戦いたい。
[備考]
※参戦時期はSSR3アビフェイト後。

【衛藤可奈美@刀使ノ巫女】
[状態]:焦燥、ぶつけられなかったやり場のない感情
[装備]:白楼剣@東方project
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしないけど……
1:あの人(カイン)を止めないといけないけど、彼(フェザー)の手当てが優先。
2:……強い剣術の人って、いるのかな。
3:千鳥がないって、どうしよう。
[備考]
※参戦時期はアニメ版21話、融合した姫和と戦闘開始直後です。
※御刀がないので写シ等の能力は使えません

【万里飛翔『マスティマ』@アカメが斬る!】
カインの支給品。
始皇帝の命により製造された失われた技術で作られた帝具が一つ。
空を自在に舞えて、羽を弾丸のように飛ばすバランスの取れた帝具。
羽の弾丸は集中させれば強い威力となり、攻撃力も十分。
ただし長時間の飛行は体力を大きく消耗する。
奥の手は光の翼を形成する『神の羽根』。大概の攻撃を跳ね返せる。

【白楼剣@東方project】
可奈美の支給品。
魂魄妖夢が用いる刀のうち、短刀の方。
魂魄家の家宝で、人の迷いを断ち切る刀とされる。
幽霊に対して使えば天界へと成仏させることが出来るとのこと。
当然だが、御刀ではないのでこのままでは彼女は写シもできない。


289 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/18(木) 16:16:11 RUlKCrU60
投下終了です


290 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/03/18(木) 19:06:06 EG.2gSLc0
投下します


291 : バランスのいいコンビ ◆IOg1FjsOH2 :2021/03/18(木) 19:06:37 EG.2gSLc0
赤い月が照らす平安京に連れてこられ、有無を言わさず殺し合いを強要される理不尽極まりない暴挙。
普通の人間ならば嘆き、狼狽え、絶望しているだろう。

だがこの男は違った。
バランスのいい思考力で冷静に自分の置かれた立場を理解し
すぐさま最善の行動を取っていた。

彼の名は山本 稔。
シュート・レスリングの選手であり
身長184cm、体重102kgとバランスのいい肉体を維持した
バランスのいい格闘家である。

「それでさぁ、『プログラム』というゲームもよく似たルールでさ……」

現在、山本稔の傍で情報を提供している学生服の男の名は新井田 和志。
山本のバランスよく鍛え抜かれた肉体を見て勝ち目が無いと悟った新井田は
すぐさま降伏し、命惜しさに彼の持つ情報を洗いざらい聞き出していた。

「……という訳で、脱出は無理だと思うぜ」

バトルロワイアルが新井田の言うプログラムと酷似していることを具体的に話し続けた。
新井田の言葉から出てきた『プログラム』『大東亜共和国』
自分の知らない国や制度の名が出てきた事で一つの仮説が生まれた。

「きっと俺やお前は異なる世界からこの場所に連れてこられたのかもしれない」
「へっ?マジで?うーん……でもそれはありそうだな」

バランスのいい情報収集によってバランスのいい考察をした結果、導き出された結論である。
あまりにも非科学的な話に新井田は呆気に取られるも現状況を考えて納得してきた。

「なぁそれより、あんたの言う通り俺は全部話したぜ。だからさ、俺の命は助けてくれよ、なっなっなっ」
「そうだな……」
「優勝狙いなら俺も協力するからさ。一人より二人の方が可能性あるだろ?なあっ」

殺されたくない一心で新井田は山本に命乞いを続ける。
この男にプライドは無い。
助かる為なら相手の靴さえ舐めそうなへりくだりっぷりである。

「いいだろう。俺はお前と手を組もうじゃないか。共に優勝を狙おう」
「マジか!へへっ、ありがてぇ!」

バランスのいい観察眼を持つ山本は新井田をこう判断する。
こいつは自分が助かる為なら他者の命を奪う事も厭わない性根を持ち
殺し合いに対する躊躇を持っていない。

それに加え、小心者であり
俺を裏切る度胸も無いだろう。

殺し合いに躊躇が無く、裏切る可能性も少ない。
とても制御のしやすい人物であり。
山本にとってバランスのいい共闘相手なのだ

「そうと決まったら行くか」
「よっしゃあ!皆ぶっ殺してやるぜぇ!」
「フッ、そう気負うな」

ボーガンを掲げてテンションを上げる新井田を諫める山本

「完成された殺し合いを見せるだけのことだ」

山本の格闘技に死角は無い。
誰が相手でもバランスよく勝てるだろう。

バランスのいい山本稔のバトルロワイアルがこうして始まるのだった。

【新井田和志@バトル・ロワイアル(漫画版)】
[状態]:健康
[装備]:ボーガン@現実
[道具]:基本支給品一式、ボーガンの矢20本@現実、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:優勝する。
1:山本稔と手を組んで生き残る。
[備考]
※死亡後からの参戦です。

【山本稔@グラップラー刃牙】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:完成された格闘技を駆使して優勝する。
1:バランスのいい戦いをする。
2:新井田和志をバランスよく利用する。
[備考]
※天内悠に惨敗する前からの参戦です。
※参加者達が異なる世界から集められていると考察しています。


292 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/03/18(木) 19:06:58 EG.2gSLc0
投下終了です


293 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/18(木) 21:56:58 vGTzKtfY0
投下します。


294 : 暴食の大罪人 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/18(木) 21:57:37 vGTzKtfY0
駄目だ。 お腹が空く。

■■■

会場内のとある場所。
そこには、黄色いレインコートを纏った痩せっぽちな少女が、支給品のパンを完食し、ペットボトルの水をがぶがぶと飲んでいた。

名前はシックス。
ある時から、治まる事のない飢餓感に苛まれ続けている少女だ。

■■■

─この催しに招かれるより少し前。

シックスは、とある巨大船舶『モウ』の奥深くに居た。

この時から空腹感はあった。

彼女は船舶内を進んで行き、道中に現れる化け物や、自分を食べ物と見なして襲いかかって来る乗客達を切り抜け、モウの従業員達も掻い潜ってきた。

しかし、空腹に限界を感じ、歩く事すらままならなくなる事も何度かあった。

そうした時に彼女は、近くにある食べられる様な物を食べた。

始めの時はパン等生きていない物を食べていたのだが、厨房の近くで空腹の限界が近づいてきたときは、生きていたネズミを食べた。

それが引き金となったのか、その後も動かない食べ物ではなく、生きた人間を食い殺す程に、食欲にも異常な変化を起こす様になってしまった。

やがてはモウの主までも食い殺し、彼女の持っていた、他者の生命を吸い取る能力まで手に入れた。

その力を使い、乗客達から命を吸い尽くし、モウの外へと繋がる扉を開いた。

しかし外に出ると、周りは海に囲まれていて、上陸出来る様な陸地も無かった。

そうして辺りを眺めていたところで、この殺し合いに招かれた。

■■■

既に方針は


295 : 暴食の大罪人 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/18(木) 21:58:31 vGTzKtfY0
定まっている。

殺し合いに勝ち残り、己の願いを叶えることを。

その願いは、永く続く飢餓感から解放させてもらうのか、それともまた別の願いか──

その内容は彼女の溝知る。
【シックス@リトルナイトメア】
[状態]:不治の飢餓感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(食料全て消費、水一本消費中)、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:優勝を狙う。
1:空腹を出来る限り凌ぐ。
※無印終了後からの参戦となります。
※他者の生命力を吸収する能力で直接他の参加者を殺す事は不可能となっております。
 ・この制限は、首輪が解除された場合も継続されます。


296 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/18(木) 21:58:50 vGTzKtfY0
投下終了です。


297 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/18(木) 23:10:46 tyNeHjEY0
投下します。


298 : 狩る者 ◆8eumUP9W6s :2021/03/18(木) 23:14:59 tyNeHjEY0
紅き月の下、学生服を着ている黒色長髪の少女が歩いている。

その少女は英雄だった。
西暦2020年に外宇宙から地球へと飛来し、一夜にして都市を蹂躙、地球の殆どを支配した生命体であるドラゴンやマモノ達と、東京にて戦いを繰り広げた組織ムラクモ機関。その13班に少女は所属していた。
少女には生まれてきたその時から才能があった。ドラゴンへと対抗出来る力を星の意思により与えられた、星が生み出した自己防衛システムの一種である狩る者としての才能が。
故に彼女は仲間や協力者と共に戦った。多くの死を目にし、裏切られ、また多大な犠牲を払いながらも───帝竜と呼ばれる、ドラゴン達を統括する7体の竜を撃破し、その元締めであった第3真竜ニアラをも、後遺症を負いつつもなんとか撃退した。

しかし世界がドラゴンの被害から復興しようとしているその最中…西暦2021年。第4真竜フォーマルハウトが襲来、再び世界は、そして東京はドラゴンに蹂躙された。
少女達13班は後遺症が癒えず、また1年のブランクもあって本来の力を発揮できないまま、再び帝竜と、そしてフォーマルハウトの戦いに挑んでいく。
少女達は戦いの中で本来の力を取り戻し、また新たな仲間や協力者を得てドラゴンやマモノを狩り、そして7体の帝竜を撃破、フォーマルハウトをも討伐してみせた。

だが…またしても犠牲は大きかった。
少女は二度の戦いの中で、助けられなかった命をたくさん見て来た。その度に少女は心をすり減らし、自分を責めた。
少女には確かに才能があった。だが少女の心は…その才能によって、押し潰される一歩手前にまで陥っていた。
故に───主催にとっては都合が良く、弄り易かった。

----

主催者達の手により、英雄であった少女は魂を、在り方を歪められ、貶められた。
今の少女には、目的も願いも無い。
あるのはただ───目に映る全ての生命を、殺すという衝動のみ。
こうして英雄は、殺戮者へと成り果てた。

【八将神枠】
【カタナコ(スチューデントスタイル♀)@セブンスドラゴン2020-Ⅱ】
[状態]:健康、狂気
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:衝動のままに殺す。
0:……。
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※職業や性格、一人称等については後続にお任せします。
※カタナコという名前は、2020及び2020ーⅡの開発中の画面にて、スチューデントスタイル♀の名前として付けられていたところから来ています。
(またフィギュア展開では刀子名義になっている)


299 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/18(木) 23:15:24 tyNeHjEY0
投下終了です。


300 : ◆ytUSxp038U :2021/03/19(金) 00:50:26 Orcynf2Q0
投下します


301 : ソンナ世界はうんざりだから ◆ytUSxp038U :2021/03/19(金) 00:55:37 Orcynf2Q0
「小娘にしては面白い事を考えたな」

男が赤い月を眺めながら、不敵な笑みを浮かべ呟いた。

屈強な肉体とオールバックの金髪が特徴の男。
ジャック・クラウザーにとって、殺すか殺されるかの状況など日常茶飯事だ。
特殊部隊時代から常に死と隣り合わせの人生を送って来た。
今更殺し合えと言われたくらいで恐れるなどあり得ない。

「最後に残った勝者だけが力を手にする。分かりやすいじゃないか」

方法は不明だが、メフィスとフェレスは一度死んだ身である自分を蘇生している。
そして殺し合いに優勝すれば、彼女たちのような強大な力を我が物に出来る。
一方的に首輪を付けたのは気に入らないが、このチャンスを逃すつもりはない。

(そうだ。力、力が無くては何も為せない…!)

数々の苦い記憶が思い起こされる。
力が無かったから、合衆国政府は自分を都合の良い駒としか見なかった。
力が無かったから、片腕を負傷し満足に戦えなかった。
力が無かったから、地位も志も能力もレオンに劣っていた。
力が無かったから、最後までレオンに勝てなかった。
故にクラウザーは力を求める。
プラーガよりももっと強力な力を。
合衆国政府やウェスカーの飼い犬ではない、世界を支配する王へと成り上がる為の力を。

忌々しい敗北の瞬間を思い出したせいか、掌に力が籠る。
右手に握られた支給品の銃が軋む音がした。

「待っていろレオン…。俺は今度こそ、この下らない世界のバランスを変えてみせる。その時こそ、お前との因縁も終わりだ」

ここにはいない宿敵への恨みを吐きながら、支配者となるべくクラウザーは動く。


【ジャック・クラウザー@バイオハザードシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:MP-AF@バイオハザードシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、予備マガジン
[思考・状況]
基本方針:優勝して力を手に入れる
1:参加者を探して殺す
[備考]
※参戦時期はバイオハザード4で死亡後。

【MP-AF@バイオハザードシリーズ】
バイオハザード6に登場したピアーズ・ニヴァンスの初期装備であるマシンピストル。
フルオートとセミオートの射撃モードの切り替えが可能。


302 : ソンナ世界はうんざりだから ◆ytUSxp038U :2021/03/19(金) 00:56:32 Orcynf2Q0
「……」

迷わず優勝を目指す者がいれば、迷いを抱え動けずにいる者も存在する。
民家のソファーに座り込み俯く女、刃唯阿がそうだった。

殺し合いが始まった直後、何とか動揺を抑えつつ近くの家に移動。
無人である事を確かめるとリビングに腰を下ろし、支給品の確認をした。
食料や水以外にリュックから出て来たのは、自分の知らないライダーシステム。
普段使っているショットライザーやレイドライザーは没収されたのか見つからなかったものの、身を守る武器は手に入れた。
こんな状況でなければ、プログライズキーを介さず変身する未知のシステムに興味が惹かれたかもしれないが、そんな気は起きない。
唯阿が考えている事は一つ。
自分はこの地でどう動けばいいのか、という事だった。

当然ながら人殺しを進んでしたいとは思わないが、首輪がある以上メフィスとフェレスには逆らえない。
何とか殺し合いを止めて、元いた場所へ帰るのがベストだが

「帰った所で、何の意味があるんだろうな……」

元の居場所に戻ったとしても、待っているのは天津垓の道具という立場のみ。
どうせあの上司の事だ。
殺し合いの事を話しても口先だけの労りで済まし、後は以前と同じくヒューマギアの破棄を命令してくるに違いない。
この場所では首輪によって反抗を封じられ、元の場所では脳内チップによって反抗を封じられている。

「はは…何だ…場所が違うだけで、結局私の立場は一緒じゃないか……」

自分の境遇に乾いた笑いが漏れる。
何時だったか、嘗ての同僚に自分の意思でZAIAに従っていると言い切った事があった。
それはただの強がりだ。
本当は自分が都合の良い道具と化している現実を認めたくなくて、強がりを言ったに過ぎない。
今にして思えば、酷く惨めなものだ。

『ヒューマギアだって夢を見ていいんだよ!』

『いつか見つけやるよ。俺が俺である為に…俺の夢を!!』

ふと、二人の男の姿が思い出す。
ヒューマギアと自らの夢の為に、どれだけ傷ついても決して諦めず戦い続ける男。
他人の道具としてじゃない、己のルールのみに従って生きる、自分とは正反対の男。
彼らやヒューマギアですら自分の夢を追いかけている様を見せられると、余計に自分が惨めに思えてきた。

「私は……そんな風には生きられないんだ……」

チップに逆らう度胸も、今の自分を変える勇気も無い。
そんな弱い奴だから、殺し合いでの方針もまともに決められないのだと、自虐的な考えばかりが浮かんでくる。
せめて力があれば。
大きな力があれば、何かを変えられるのかもしれない。
今はただ、根拠も無い希望的観測に縋るので精一杯だった。

俯き迷う唯阿を見つめる視線が一つ。
それは口の開いたリュックの中、とある支給品から向けられている。
支給品の名はレンゲルバックル。
不死の生物、アンデットと仮面ライダーが戦う世界で作られたライダーシステムである。
他のライダーシステムよりも高い性能を持つ反面、このバックルにはある欠点が存在する。
その欠点とはレンゲルへの変身に使用する、スパイダーアンデットを封じ込めたラウズカード。
レンゲルの変身者にはスパイダーアンデットの邪悪な意思が強い影響を与えてしまい、肉体を完全に乗っ取られてしまう。
そうなってしまえば変身者の自我は消え失せ、スパイダーアンデットの操り人形と化すのである。
それは殺し合いの会場でも同じ。
精神の未熟な者・弱り切った者がレンゲルに変身したなら、その意識は瞬く間にスパイダーアンデットに奪われるだろう。

今の弱り切った彼女ならば、操るのは容易いとスパイダーアンデットは考える。
いずれ唯阿もレンゲルに変身し、戦わなければならない時が来るはずだ。
その機会を、邪悪な蜘蛛は今か今かと待ち続けていた。


【刃唯阿@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ランダム支給品0〜2(ゼロワン出典の物は無い)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする気は無いが、どうすれば……
[備考]
※参戦時期は31話終了後〜33話で天津垓に反逆する前。
※A以外のラウズカードの枚数は次の書き手にお任せします。

【レンゲルバックル@仮面ライダー剣】
仮面ライダーレンゲルの変身時に装着するバックル。
BOARDで開発されたライダーシステムと違い、ピーコックアンデットの伊坂が烏丸所長を始めとする研究者を拉致・洗脳して作らせた。
変身時にはレンゲルラウザーという錫杖型の専用武器を振るい戦う。
変身者の精神にはAカードに封印されたスパイダーアンデットの邪悪な意思が強い影響を与え、心が未熟であれば肉体を完全に乗っ取られ、変身した瞬間に自我を失い操り人形と化す。
やがてそれは変身前の姿にも影響を与えていき、常人離れした運動能力を発揮するだけでなく、心が荒み粗暴な振る舞いをするようになる。


303 : ◆ytUSxp038U :2021/03/19(金) 00:57:44 Orcynf2Q0
投下終了です


304 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/19(金) 17:54:09 S.NMvMu.0
投下します


305 : 神浜聖女のウワサ ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/19(金) 17:54:57 S.NMvMu.0
「ギャハハハハハアハハハア!!!!!」

狂った笑い声が夜に響く。
男は血に飢えていた。その身体は血に満ちていた。
出会い頭に少女の腹部へと爪を突き立て、身体を引きちぎり、浴びた血と臓物の温もりに快感を得ていた。

男は世間的に言えば、異常者だった。
猫を捕まえては解体し、芸術のように活け造りにして人目の着く場所に飾り。
そんなことを繰り返している内に、彼はヴァンパイアと呼ばれる存在に"なった"。
彼は確信した。自分は特別な存在なのだと。
だから簡単に人を殺せる力を手に入れられたのだと。

(だが俺も馬鹿じゃあねえ...遊ぶ順番は考えないとなあ)

彼は一度敗北していた。
楽しもうとするのに夢中になってる隙を突かれて殺された。
だから、今度は間違えなかった。
人間、身体を両断されてもすぐには死なない。だから、言葉を交わすのはバラしてからにした。
楽しめる時間は短くなるが、そのぶん濃厚な時を過ごせればいい。

「なぁ、なあナァナァ!?聞かせてくれよお嬢ちゃんよぉ!?」

男は少女の顔を覗き込みながら下卑た笑みを浮かべる。
この少女はどんな絶望の顔を見せてくれるだろうと胸を高鳴らせながら。

「最期に会いたい奴はいるかぁ!?残したい言葉はあるかァ!?最後の最後に見るのが俺のツラなのはどんな気分だァ!?」
「最悪よ。『私たち』があなたみたいなやつに消費されてたなんて思うとね」

酷く冷めた声だった。
絶望でも悲しみでもなく。込められるのはただただ純粋なる嫌悪感のみ。

「あ?」

男の目が見開かれる。なぜ、この少女は身体を両断されたというのに、こうも淀みなく言葉を発せるのか。
何故、死が近いというのに絶望を微塵も感じさせないのか。

その答えは、一発の銃弾を持って思い知らされる。

「!?」

肩にはしる激痛に男は動きを止める。
銃弾が飛んできたであろう方角へと顔を向ける。そこには宙に浮いたマスケット銃があった。
それだけではない。
瞬きする間もなく、マスケット銃が増殖していくではないか。

「な、ぁっ」

男が驚愕する暇もなく、マスケットの撃鉄が叩かれ一斉射撃が始まる。
視界を埋め尽くす弾丸の雨あられに抵抗する術はない。
ただヴァンパイアの身体能力に賭けて耐えるのみだ。

「ッ、ソッガァ!」

もたらされる一撃一撃は確実に男の身体を削り取っていく。
その度に男の心は焦燥に包まれていく。
あり得ない。ヴァンパイアと化したこの俺がこんな一方的に甚振られるなどと。
いや、それ以上に。これがあの小娘の仕業なら、なぜ奴は生きている!?

その問いに答える者はいない。

なぜなら。

「ティロ・フィナーレ―――ホーリーナイト」

その掛け声とともに現れた巨大な砲弾で男の存在は消されてしまうのだから。


【猫殺し(猫を虐殺していた吸血鬼)@血と灰の女王 死亡】


306 : 神浜聖女のウワサ ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/19(金) 17:55:25 S.NMvMu.0

「......」

少女―――巴マミは、砲弾で削れた地を冷めた目で見つめていた。
裂かれた身体や内臓は元に戻り、出血も既に治まっている。
何故か―――彼女が、力と引き換えに魂を抜かれた身体である魔法少女だからだ。
だから、身体を治す魔力さえあればどんな怪我も簡単に治り、魂であるソウルジェムさえ砕かれなければ滅多に死ぬことは無い。

「...初めて魔女以外を殺したけれど、こんなものなのね」

男は明らかな異形だったが、意思はハッキリとしていたし、少なくとも魔女でないのは確かだった。
それでも、精神的な動揺や殺害への嫌悪感は一切感じていない。
元来は誰かを助ける為に培ってきた力の筈なのに、それを破壊へと向けることにもなんら躊躇いを抱けなかった。
元来の彼女であればありえないことだ。しかしいまの彼女は正常ではない。
『神浜聖女のウワサ』に呑まれた巴マミ―――通称、『ホーリーマミ』である。

「こんな争い、一刻も早く終わらせないと...!」

彼女の目的は殺し合いを止めることではない。この地に呼ばれた参加者を始末し優勝することである。
本来ならば選ばない選択肢も、いまの彼女なら躊躇いなく選んでしまう。
巴マミならば優先すべきは力無き者の保護だが、ホーリーマミにとって救済すべきは魔法少女である。
それが彼女の属する『マギウスの翼』の方針。故に彼女はそれに従う。

「私はこんなところで死ぬ訳に行かない...全ての魔法少女の救済を成し遂げる為にも!」

決意と共に聖女は征く。
例え己が蛇蝎の如く嫌われようとも―――救うべきものを救う為に。



【巴マミ(ホーリーマミ)@マギアレコード】
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:神浜聖女のウワサ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜5(猫殺しのものを含む)、猫殺しの首輪
[思考・状況]
基本方針:生き残る。
1:現状は優勝狙い
2:マギウスの翼の面子がいればそちらの生存を最優先させる。
3:鹿目さん達がいたら...

[備考]
※参戦時期は不明(少なくともゲーム本編でやちよと和解する前。その為、ゲーム版でもアニメ版でもどちらでも可)。


307 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/19(金) 17:55:49 S.NMvMu.0
もう一作投下します


308 : 裏切りの牙 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/19(金) 17:56:50 S.NMvMu.0
「ククッ、中々イカれたゲームじゃねェの」

厳つい顔をした大男が歯を剝き出しにした厭らしい笑みをうかべながら独り言ちた。
彼の名は弓ヶ浜ヒカル。
かつては裏の格闘技団体『拳願会』の闘技者の頂点『滅堂の牙』にして、現在は別の格闘技団体『煉獄』に所属する上位層の拳士である。

「まあいいさ。お望み通り、俺様が優勝してやろうじゃねーの」

彼にこの殺し合いへの恐怖は無かった。
相手の殺害が敗北に繋がる煉獄では滅多にお目にかからないが、相手の死に重いペナルティのない拳願試合では特別なことではなく、彼自身も殺人を経験している。
その為、彼にとっての殺し合いなど所詮は試合の延長戦...つまりは主催へのパフォーマンスを兼ねたショーでしかない。

「精々盛り上げてくれよ俺様の踏み台諸君。気が向いたら優勝金で簡単な墓でも建ててやるからよ♪」

彼にとって他の人間など踏み台か利用価値のある金ヅルでしかない。
その傍若無人な振舞いが許されるほどに、彼には才能と実力があった。

(そうさ。あの時はルールのせいで不覚を取ったが今度はそうはいかねえ。ルール無用の殺し合いでこそ、俺の武芸百般は真価を発揮する!)

ここに連れて来られる前の戦いを思い返す。
現・滅堂の牙こと『三朝』との対抗戦試合。この試合は通常の『場外あり・殺害禁止』の煉獄ルールに加えて、時間が経過する毎に動ける範囲が狭まっていくという極めて特殊なルールだった。
体格に優れるヒカルは、このルールを利用され本来の実力を発揮する前に敗北を喫した。
この殺し合いには試合のような制限はない。
審判もいなければ反則行為も一切ない。
思う存分にその体格を活かせ、全身を武器の如く駆使できるヒカルの本領を発揮できる。

(待ってろやボケ老人共、ノミムシ。搾取する側は俺だってことを思い知らせてやるからよぉッ!)

幾度も裏切り住処を変え、その代償を支払わされて尚、弓ヶ浜ヒカルの欲望と自負は損なわれることはなかった。






【弓ヶ浜ヒカル@ケンガンオメガ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝する。
1:片っ端から潰して回る。この条件で俺が敗けるはずがねえだろボケがぁっ!
2:三朝がいたら殺す。試合に勝った程度で調子こくんじゃねえぞノミ野郎!
3:主催からの待遇が煉獄より良ければ奴らの護衛者として移籍してやってもいい。

[備考]
※参戦時期は三朝に敗北後。


309 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/19(金) 17:57:13 S.NMvMu.0
投下終了です


310 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/19(金) 18:23:02 5EyX98h.0
投下します


311 : 負けて死ね ◆7PJBZrstcc :2021/03/19(金) 18:23:31 5EyX98h.0
 紅い月が夜を包む歪な会場を、一人の男が刀を手に歩いている。

 男は剣士である。
 その男は戦国末期に生まれ、剣の道を歩むべくさる剣豪の道場へ通っていた。
 その道場で男はお荷物と呼ばれ、剣の才がないと思われていた。
 道場に通う同門生も、道場の師範代もそう思っていた。

 だがそれは違った。
 男は道場ではなく、自然に師を求めた。
 己が負けた相手に次は勝つため、下半身を鍛えるべく兎や蛙の真似をし、獣の肉を喰らう。
 野生の獣から戦の呼吸を学ぶ、それが男の修行。
 敗北する度勝利の術を追求し、一人学び続ける。これが男の強さだった。

 やがて男は通っていた道場の師すら超えた。
 幾度も負け続けたが、それを覆すために勝つ方法を追求し続けた結果だ。

 そして男は旅に出た。
 より強い相手と出会い、負け、勝ち方を追求することでさらに強さを得るために。
 その時の記録は残っていない。敗者のことなど、誰もわざわざ書き留めたりはしないからだ。
 最期にはある剣豪と決闘し、敗れて命を落とした。

 しかし男の肉体は死してもなお、魂はさらなる鍛錬を望んだ。
 剣士としての本能が、より強くなりたいと叫んだ。

 その結果、男は死んだにもかかわらず体が老い、気づけば老齢と言っても差し支えない年齢になっていた。
 髪は白く染まり、顔はしわだらけ。
 されど鍛えた体も、覚えた技も何一つ衰えず。むしろ洗練されていると言ってもいい。

 そんな男には、ある願いがあった。
 それは勝つことだ。

 負け続けの生涯にも、記録に残らない鍛錬の歴史にも悔いは何一つない。
 だが、一度くらい勝ってみたいとは思っていた。

 そこを主催者に突かれた。
 魂を徹底的に陵辱され、かつて己を負かした剣士への敬意も、強さを追い求める剣士としても思いも、すべて奪われた。
 残ったものは勝利への渇望のみ。
 こうなった男が殺し合いに放りこまれれば、殺し合いに勝ち残るためにどんな相手でも血祭りにあげる非道の剣士の出来上がり。
 かくして、男の紡ぐ惨劇は幕を開ける。


 そんな男の名前は佐々木小次郎。
 殺し合いの参加者に選ばれなかった違う未来では、地上最強の敗者(ルーザー)と呼ばれた男である。


【八将神枠】
【佐々木小次郎@終末のワルキューレ】
[状態]:健康
[装備]:物干し竿@Fateシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:勝ちたい
1:参加者を殺す
[備考]
参戦時期は本編登場前です。

【物干し竿@Fateシリーズ】
佐々木小次郎に支給。
長さが五尺余り(150cm以上)の長刀。
業物ではあるもののそれだけで、特別な何かはない。


312 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/19(金) 18:23:54 5EyX98h.0
投下終了です


313 : ◆.EKyuDaHEo :2021/03/19(金) 19:11:12 XVGkxr/w0
投下します


314 : 赤月空の下【殺戮者と化したヒーロー】 ◆.EKyuDaHEo :2021/03/19(金) 19:11:31 XVGkxr/w0
「......」

赤い月と空の下...一人の男が立っていた...
彼の名はアクション仮面、ヒーローとして悪を倒す正義の味方...

しかし、もはや今はその面影すらもない

遡ること数時間前...


◆◆◆


『な、何だここは...?』

アクション仮面はある場所で目が覚めた...辺りを見渡せば全く知らない風景が広がっていた...すると...

『やぁ、お目覚めかな?』

突然現れた謎の男と少女二人...

『な、何だお前達は!?』
『君にも協力してもらうよ、アクション仮面...』
『何故私の名を!?やめろ!ぐわあああああああ!!!』

謎の3人によって宿業を埋め込まれ魂を弄られるアクション仮面...

(博士...ミミ子くん...しん...のすけ...くん...)

そんな彼が最後に思い出したのは、かつて一緒に戦ってくれた戦友達だった...そこでアクション仮面の意識は途絶えた


◆◆◆


そして今に至る...
彼は今まで数々の敵と戦い、世の中の平和を守ってきた
子供なら誰もが憧れる正義のヒーローとして子供だけでなく大人からと人気があったアクション仮面...ピンチの時に駆け付けてくれたら彼を知る者なら誰もが安心するだろう...

だが、宿業を埋め込まれ魂を弄られてしまった今の彼を見たら誰しもが驚くであろう...今まで人々を助けるために悪と戦ってきた彼が今では殺戮者と化している...

「......」

そして彼は歩き出す...『悪』だけでなく『正義』も何もかも滅ぼすため...今の彼には『正義』の心が欠片もな...あるのはただ黒く染まった『悪』のみだった...


【八将神枠:歳破神】
【アクション仮面@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:『悪』も『正義』も全て滅ぼす
1:......
2:参加者を殺す
[備考]
※ビームなどの技を出せます
※記憶はありますがほとんど曖昧です


315 : 赤月空の下【殺戮者と化したヒーロー】 ◆.EKyuDaHEo :2021/03/19(金) 19:11:48 XVGkxr/w0
投下終了します


316 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/19(金) 20:28:21 Umaif4PQ0
投下します。


317 : 創造神現る…? ◆bLcnJe0wGs :2021/03/19(金) 20:30:09 Umaif4PQ0
(殺し合いなんて、そんなの反対に決まっるでしょ!!)

長いツインテールの少女、稲葉郷子はこの殺し合いに対しては、真っ向から否定的だった。

ましてや彼女は、小学生でありながら、霊能力者の担任教師や、クラスメート達と共に霊や妖怪に纏わった、数多の事件を解決してきた身だ。

そんな彼女は、殺し合いを破綻させてやろうと、自身に支給された物品を探り始めた。

すると、一枚の円盤が出てきた。
説明書きを確認してみると、この円盤を頭に『入れた』状態で、他の人間に使うと、対象の体のパーツを取り替える上に、運勢を変える能力もあるようだ。

(ちょっと…人の体のパーツを取り替えられるって!? シャレにならないよ!)

しかし、説明書きを読み進めていると、パーツを取り替えてから10分経過すると、能力が自動的に解除されると書かれていた。

説明書を読み終えて、円盤を仕舞おうとしていると…

「お嬢さん、いきなり声をかけちゃってごめんね。 それで…、僕の話を聞いてもらえないかな?」

唐突に誰かから声を掛けられた。

(!?)

すると、派手な衣装を身に纏った、黒髪の男が現れた。

突如現れた謎の男に驚きを隠せない郷子。

ここは大人しく話を聞くべきか、逃げるべきか、それとも──

彼女の決断や如何に。
【稲葉郷子@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シンデレラのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには絶対乗らない
1:目の前の男性(荒木飛呂彦(仮))の話を聞く?又は逃げる?それとも…??
2:首輪の解除方法も探したいところ
[備考]
※少なくとも、鵺野鳴介の転任を見送って以降からの参戦となります。


318 : 創造神現る…? ◆bLcnJe0wGs :2021/03/19(金) 20:31:10 Umaif4PQ0
◆◆◆

男─荒木飛呂彦(仮)は、自分の支給品を確認してみたのだが、一部の基本支給品とそれ以外のランダム支給品には全て説明書が付いていた。

それに、殺し合いだというのだから、他の参加者達にも、危険な物品が多数支給されている可能性も極めて高い。

それを懸念しながら移動していると、円盤状の道具─スタンドのDISCらしき物品と説明書らしき紙に書かれたものを読んでいる少女の姿が見えた。

荒木(仮)は、本物の荒木飛呂彦とは同じ様で全く異なる存在。

本物の荒木が描いた作品の情報も、こちらの彼にはしっかり反映される。

荒木(仮)は自身の知識(データベース)から、その円盤をスタンドのDISCではないかと考え、郷子と話し合い、互いにDISCの内容を確認した上で、郷子に装備させるか、又は荒木(仮)自身で、殺し合いが終わるまで預かろうとする旨を伝えようとしているのである。

【荒木飛呂彦(仮)@─パッショーネ24時─】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを破綻させ、巻き込まれている参加者達を解放させる。
1:郷子と話し合う。
2:危険な支給品があるなら回収したいところ。
[備考]


319 : 創造神現る…? ◆bLcnJe0wGs :2021/03/19(金) 20:31:47 Umaif4PQ0
シンデレラのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険

稲葉郷子に支給。

破壊力-D スピード-C 射程距離-C 持続力-C 精密動作性-A 成長性-C。

本来は辻彩のスタンド。
人間の体のパーツを取り替え、“肉体のイメージを変換する”事によって対象の運勢を操作する能力を持つ。
本来は使用してから30分経つ事で能力は解除されるが、本ロワでは10分に短縮されている。
また、制限時間が過ぎていなくても、術者が任意で解除する事も可能。


320 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/19(金) 20:32:05 Umaif4PQ0
投下終了です。


321 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 00:38:56 lwNWWlJw0
投下します。


322 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 00:42:36 lwNWWlJw0
血色の空、紅き月が参加者達を見下ろすその中に…一体の異形と、一人の異星人が戦闘を繰り広げていた。

猿に近い形をした異形…怪獣の名はメタモルガ。
宇宙から飛来した細胞である「エボリュウ細胞」。その細胞は、かつてネオリゾートにて起こったある事件により危険性が周知され、全てのサンプルが破棄された筈だった。
だが実際は、エボリュウ細胞を使った実験は秘密裏に行われ続けていた。その実験体にされていた1匹の猿が突然的な変異を起こし、怪獣と化した存在がこのメタモルガである。

変異により進化し、人に近い心を得たメタモルガは…エボリュウ細胞の憎しみの心を増幅させる性質も合わさって、自分達を実験動物として弄んだ人間に対する深き憎悪を抱くに至った。
そしてメタモルガは生きる為に必要なエネルギーを吸収する為、また人々を襲う為に暴れたものの…紆余曲折を経て最期は、何故か身動きが取れなくなったところを突いた「ティガ」と呼称されていた巨人により、全身を凍りつけにされ、宇宙まで運び去られた後爆発させられて討たれた。

しかし───どういうわけかメタモルガはこの殺し合いに招かれたのである。自分が何故生きているのか、大きさが縮小されているのか…と疑問こそ抱いたものの、蘇った以上は、今度こそ己の目的を…人間の抹殺を果たそうとする事とした。
その対象には勿論、主催者達も入っている。憎しみを増幅させられているメタモルガにとっては、人の形を取っているだけでも、憎くて憎くて仕方がないからだ。
またメタモルガは、あの巨人のように、人で無くとも自らを止めようとする者にも容赦はしないと決めた。

----

そしてメタモルガと戦っている、人型の青き戦士の名はウルトラマントレギア。
ウルトラマンタロウの親友にして、科学技術局の一員である。彼はかつて、タロウと共に宇宙警備隊に入隊する事を目指し、適正の無さ、体力の足りなさを承知の上でそれでも血の滲むような特訓をしていたものの…戦闘力が足りず、彼はギリギリ入隊出来なかった。

その件で落ち込み、劣等感や敗北感に苛まれていた彼だったが、当時の技術局長官の励ましの言葉に救われ、以降は研究者として活躍。親友であったタロウの協力もあり、アストラル粒子転化システムを開発する事によって、異星人とウルトラ一族が一体化して共に活動を行える技術を確立した。
その際彼はタロウの提案で、その技術を使用した装置を「タイガスパーク」という名前にし、完成品をタロウへプレゼントする事に決めていた。
トレギアは何度も思い悩みながらも、タロウや長官との仲は良好であった…そんな時であった。突然長官が失踪を遂げたという情報が、彼の元へと入ったのは。

トレギアは惑星アーブに赴いて、そこに向かったと思われる長官を光の国へと連れ戻そうとしていた…その矢先、この殺し合いに巻き込まれてしまったのである。

(戦闘力は足りなかったとはいえ、私もウルトラ族の一人だ。このような催しは絶対に止めるべきだろう。タロウなら…間違いなくそうする。
だが私にはその為の力が無い…せめてタイガスパークが完成していれば或いは…いや、他の生命体なら兎も角…人間は愚かだ。
タロウは人間達の素晴らしさを私に何度も説いて来たが、人間は戦争や犯罪などの過ちを何度も繰り返す…仮に完成していた所で、そんな生き物に頼るのは危険だ。
…だがしかし、私は一刻も早く長官の元へと向かわねば…長官…何故…)

そうトレギアが一人考え、悩んでいる中…突如としてメタモルガが襲撃を仕掛け、結果としてトレギアのバッグは離れた場所へと飛び落ちる。
メタモルガが人ではないトレギアに襲撃を仕掛けた理由は一つ。細部や色に差異は多くあるものの、かつて自らを倒した巨人にどこか似ていた為、ここで潰した方が良いと判断したからだ。

そして場面は現在へと戻る


323 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 00:43:25 lwNWWlJw0
----

…先程は戦いを繰り広げていると書いたが、実際のところトレギアは相手の攻撃を避ける事で手一杯、それも全て避け切れてはおらず、着々とダメージをその身に蓄積させていた。

「ぐ、っ…!お前は、乗っているのか!?この殺し合いに…!」

メタモルガのタックルを避け損ね吹き飛ばされたトレギアは、ふと尋ねる。
するとそれまで唸り声しか発していなかったメタモルガが、明確に言葉を話した。

「人間ハ…人間ハ消ス!消エロ…!消エチマエ!邪魔ヲスルヤツモ消ス!」

その瞳は、人に対する憎悪以外の何物も写していなかった。
メタモルガの打撃やチョップ、飛びかかりやキック、体当たりにより、トレギアのダメージは更に蓄積されていき…とうとうカラータイマーが赤色に点滅し始めた。
それには構わずメタモルガは、一方的にトレギアを攻撃し続ける。

(…固形化された命が無い以上…私は…。
…こんな所で…終わるのか…。
…本当に、人間は愚かだ…こいつのような、憎悪の化身を産み出して…。
…長官……タロウ。私は───)

薄れゆく意識の中で、トレギアはここに居るかどうかもわからない上官や友の名前を心の中で呼び、何かを思おうとした…その時であった。

何処かへと落ちた筈の自分のバッグを拾った地球人らしき、リスの耳と尻尾を生やし脚部に機械を履いた少女が、加速しながらメタモルガに向かって実弾の銃撃を数発放ったのは。

----

少女は生まれつき、魔法力の絶対量が少なかった。それ故彼女は、ウィッチとしては大きなハンデを抱えていた。
それでも少女は諦めず…英雄と呼ばれた姉に、少しでも近づく為に訓練をし続け並外れた体力を身に付けた。
そして少女は、非凡なスタミナと、土壇場で発揮した高いパフォーマンス力、さらに様々な偶然が重なった結果、意識不明になった姉の代わりに、第502統合戦闘航空団、ブレイブウィッチーズの一員となった。

だが訓練生上がりである少女にとって、対ネウロイでの最前線であった502について行くのは、とてもじゃないが無理があった。認めないとも、扶桑に帰るようにとも…何度も言われた。
しかし少女は、持ち前のスタミナと精神力、そしてひたむきさと努力により受け入れられていき、また技量や魔法力の低さを補う戦い方を身に付けていった。
魔眼に目覚めるも対象へと接触しない限り使えない為使用を禁じられたが、相棒と呼べる存在が出来てからはコンビでの戦法が編み出され、魔眼持ちウィッチとして活躍したり、意識を取り戻したものの少女が最前線で飛んでいる事を不安に思った姉と一悶着あり502を去る事になったが、その姉の身を案じて戻った結果、紆余曲折を経て相棒と共に、ネウロイの巣を攻略する決め手となったり等。
そんな様々な事を経験した少女は、晴れて502へと正式に着任。ウィッチとして新たなる戦いへと身を投じていた…そんな時に、彼女は殺し合いへと身を投じる羽目になってしまったのである。

「…止めないと…こんな殺し合い、止めなくちゃ!」

見知らぬ相手とはいえ、二人も目の前で見せしめにした主催に対する怒りを抱きつつも、少女は殺し合いを止める決心をする。
その後少女はバッグの中を確認し、自身のユニットを装備。そこから手甲型のアイテム、それに見慣れない銃を手に取ってから…付近を散策していたところ…誰かの物と思われるバッグを発見。更に近くから点滅音らしき何かの音が聞こえた事により、少女は中身を確認するか否かで悩む。

(…多分向こうで戦いが起こってるんだ、なら…迷ってる時間なんてない、だから…元の持ち主の人、ごめんなさい!)

一瞬考えた後、少女は元の持ち主に心の中で謝りつつ、バッグの中身を確認。それを終えると点滅音が聞こえた場所へと近付いた。

───少女が向かった先には、人型で青色の何かを、猿のような何かが一方的に痛めつけている光景が広がっていた。
その光景を見て、また鳴り響いていた点滅音を改めて聞いた瞬間、彼女の身体は考えるよりも早く動いていた。
もし両方とも殺し合いに乗ってたら…とか、そんな考えは、少女の思考にはなかった。
…少女は俗に言う「お人好し」の類であったからだ。

(間に合わないかも知れない…でも、やってみなくちゃ、わからないから!)


324 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 00:44:00 lwNWWlJw0
----

少女が放った銃撃は、一発を除いて全て外れた。
しかし、メタモルガの気を引くにはその一発で十分であった。

「人間メ…!!消エロ消エチマエ!!」

飛びかかってくるメタモルガを、紙一重で回避しながら少女は、トレギアの元へと辿り着く。

「…何故、だ…何故…私を…?」
「そんな事より、逃げますよ!私に触れててください!」

問いかけを無視して少女は、もう片方のバッグからアイテムを取り出す。
メタモルガが迫る中、それを使用した次の瞬間───少女と、一瞬の躊躇の末少女に触れたトレギアは、その場から姿を消していた。

その場に残される形になったメタモルガは、逃げられた事に対する苛立ちと憎しみを抱きながらも、次なる標的を探す事とした。

【メタモルガ@ウルトラマンティガ】
[状態]:健康、人に対する憎しみ(極大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:今度こそ人間へ復讐する。邪魔をする相手にも容赦しない
1:人間メ…消エロ、消エチマエ!!
2:アノ女ノ人間ハ、次見ツケタラ今度コソ消ス!!
[備考]
※死亡後からの参戦です。
※主催の手により、10m〜等身大までの間のいずれかのサイズに縮小されています。具体的にどれ程のサイズになっているのかは後続にお任せします。
※本人はまだ知りませんが、主催によりエネルギー吸収能力にはある程度まで制限がかけられています。その為エネルギーを制御出来ない状態にはならず、またエネルギーを摂取出来なくても餓死はしません。制限がどの程度かかっているかは後続にお任せします。

----

「…近くには…誰も居ないみたい、良かったぁ…」
飛ばされた先で、少女はため息を付く。

「…先程は、何故…私を助けた…?殺し合いに乗っている可能性を、考えなかったのか…??」
一方トレギアは、自分の命が消えそうになる感覚を感じつつも…どうしても気になって、少女に尋ねる。
何故少女が自分を助けたのかが…理解出来なかったからだ。

「…だって、あなたが…あのお猿さんに、ボロボロにされてて…それを見て、居ても立っても居られなくって…正直に言うと、そんな事、考える余裕も無かったですよ」

そう言う少女に対して、トレギアは思わず呆れる。

「……馬鹿なのか、君は」
「でもそうしたから、私はあなたを助けれた…それで馬鹿になるならっ、私は馬鹿でいいです」
「…だが、私はもう長くは…っ、それは!?」
「…どうしたんです?」
「…タイガスパーク…何故、それを君が…!?」
「鞄の中に入ってたから、付けてたんですけど…何かこれについて知ってるんですか?」
「知っているとも…それを作っていたのは私だ」
「ええ!?」

少女の右手にタイガスパークが付けられているのに気付いたトレギアは、驚く彼女にタイガスパークについての説明を手短に行い、同時にこれを用いて、彼女と一体化する事を選んだ。
彼には、自分がこの殺し合いの中でどうするべきかはまだわからなかった…が、完成させてない筈のタイガスパークがこの場にあるのもあって、ここで何も成せないままに終わる事は避けた方が良いかも知れないと、そう思ったからである。

----

そして少女は、迷う事なくトレギアと一体化する事を選んだ。

⦅随分と思い切りが良いんだな、君は⦆
「だって、こうすればあなたは消えずに済むんですよね?なら迷う事なんて無いです。
…ところで、まだ名前を言ってませんでしたよね?
私、雁淵ひかりって言います!あなたは?」

少女は…ひかりはそう名乗る。

(ひかり…光、か…)
⦅私か、私の名はトレギア。ウルトラマントレギアだ⦆

一瞬考え込むも、トレギアは自らの名前を告げた。


325 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 00:44:12 lwNWWlJw0
----

こうしてこのトレギアは、正史にて邪神に飲まれ、全てが虚無だと断じた果てに邪神諸共消滅したトレギアとも、また究極生命体アブソリューティアンの戦士であるアブソリュートタルタロスの勧誘に乗り、並行同位体と化したトレギアとも違う…別の道を行く事となった。

彼の行く末は───まだ誰も知らず、誰も分からない。

【ウルトラマントレギア(アーリースタイル)@ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀】
[状態]:ダメージ(大)、困惑、ひかりと一体化状態
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:未定。とりあえず今は、一体化状態のまま傷を癒す
1:…長官…何故、あなたほどの科学者が失踪など…。
2:この少女(ひかり)は馬鹿なのか?
3:まさか私が、タロウのように地球人と一体化する日が来るとは…。
[備考]
※Episode 5にて、ウルトラマンヒカリの失踪を知った後、惑星アーブに赴く前からの参戦です。
※主催の手により、10m〜等身大までの間のいずれかのサイズに縮小されています。具体的にどれ程のサイズになっているのかは後続にお任せします。
※タイガスパークにより雁淵ひかりと一体化状態です。傷が治る前に一体化を解除すると消滅します。
※彼の過去については、ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀とトレギア物語/青い影の双方の描写を使用しています。

【雁淵ひかり@ブレイブウィッチーズ】
[状態]:疲労(極小)、トレギアと一体化状態
[装備]:タイガスパーク@ウルトラマンタイガ、試製紫電改二(チドリ仕様)@ブレイブウィッチーズ
[道具]:基本支給品、ZATガン@ウルトラマンタロウ、トレギアに支給されていた基本支給品とランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止めなきゃ!
0:やってみなくちゃわからない!
1:とりあえずトレギアさんと話をしたい。
2:あのお猿さん(メタモルガ)はいったい…。
3:お姉ちゃん達が巻き込まれてなきゃいいけど…。
[備考]
※本編終了後以降からの参戦です、詳細な時期は後続にお任せします。
※タイガスパークによりトレギアと一体化状態です。ちなみに一体化した為トレギアの基本支給品とランダム支給品は彼女が持つ事になります。

【脱出キット@セブンスドラゴン2020】
出典元では使用すると、どんな所でも自分を含めたパーティメンバーを拠点である都庁へと転移させる事が可能なアイテム。
今ロワでは使用者と、使用者に接触していた参加者2名までを、会場のどこかへとランダムに転送する効果となっている。
ちなみに使い切り。またこれはトレギアに支給されていた物。

【タイガスパーク@ウルトラマンタイガ】
トレギアが開発した、ウルトラマンが地球人を含めた異星人と現地で一体化して、共に活動する事を可能とする、アストラル粒子転化システムを使用した変身アイテム。
装着者がウルトラマンと一体化した際には、対応したウルトラマンのキーホルダーを精製し、装着者がウルトラマンへと変身する際に使われる。

【試製紫電改二(チドリ仕様)@ブレイブウィッチーズ】
ひかりのストライカーユニット。
扶桑皇国海軍が開発した零式に代わる、新世代のストライカーユニットの一つ…の試作テスト型。
元は彼女の姉である雁淵孝美のユニットだったが、彼女が意識不明になった際に、ひかりが装備。それ以降孝美が復帰するまではひかりが使用していたものの、孝美復帰時に彼女に返却。
その後、フレイヤー作戦にて孝美が絶対魔眼の使用後行動不能になった際、追いかけて来たひかりに孝美が再び預けている。
502のキャラが本編終了後から参戦しているソーシャルゲーム「ワールドウィッチーズ UNITED FRONT」での装備から考えるに、本編以降もこのチドリ仕様はひかりのユニットになっている模様。

【ZATガン@ウルトラマンタロウ】
防衛チームZATのメンバーが共通装備として所持している拳銃。
エネルギータンクが大容量化していて、継戦能力や攻撃の持続力がアップしたものの代わりに銃身の重さが増加している。
カートリッジを交換する事で実弾やレーザー、信号弾や煙幕などを切り替える事が可能。
威力は怪獣に多少のダメージを与えれ牽制にはなる程度。
ちなみにこのZATガンに入っているカートリッジは実弾による物。弾数がどうなっているのかは後続にお任せします。


326 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 00:44:51 lwNWWlJw0
投下終了です。
タイトルは
「ヒカリを見失い、ひかりと出逢った」
です。


327 : ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:08:51 YLrJgr220
投下します。


328 : 赤き夜の支配者(ドミネーター) ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:09:37 YLrJgr220
『犯罪係数、オーバー300。執行対象です。
 現在の執行モードは、リーサル・エリミネーター。
 慎重に照準を定め、対象を排除して下さい。』

「へえ、不思議な銃だね。変形する銃なんて初めて見たよ。
 どうする?それで俺を撃ってみる?」

「……こっちに、こないで。」

天王寺璃奈は謎の男に襲われていた。
スクールアイドルフェスティバルを成功させて、同好会もこれからだという時にこの殺し合いに巻き込まれたのだ。
アイドルである前に普通の女子高生である璃奈にとって、殺し合いという言葉は恐怖でしかなかった。
怯えながら会場に投げ出されて、最初に遭遇したのが鉄でできた扇を二つ持つ奇妙な男だったのだ。
開口一番に「君のことをきれいに喰べてあげる」などと言われ訳も分からないまま、やみくもにデイバッグを漁り、出てきた支給品の銃を相手に向けている。

正確に言えば男は人間ではなかった。
人の血肉を喰らう人食い鬼、その中でも特に強い力を持つ十二鬼月の上弦。
上弦の弐、童磨。それが男の名前だ。その証に左の瞳に上弦、右の瞳に弐と文字が刻まれている。

璃奈が構えた銃は、相手の犯罪係数という数値を計測して相手が犯罪を犯す可能性を図るらしい。
構えた瞬間、頭の中に響く謎の声が頼んでもいないのに説明してくれた。
童磨が反応していないことから、おそらくこの声は璃奈にしか聞こえていないのだろう。
オーバー300と言っていたが……璃奈の目に映る相手の犯罪係数は、300どころの数値ではなかった。
相手は本当にヤバい奴だとこの銃は言っている。璃奈も、それが間違いではないだろうと直感した。

「……なんで、殺し合いに賛同するの?」

「なんでって、そうしろってさっきの子たちに言われたでしょ?
 そうしないと出られないんだから。それ以上の理由が必要かな。

 それに……君、この状況に怯えてるでしょ?
 言わなくてもわかるよ、その表情を見れば。」

璃奈はあまり自分の感情が表情に出ない。
それを何とか改善したいと思い、自分のキモチをちゃんと伝えられるようにと思ってスクールアイドルになった。
それがちゃんとファンのみんなや愛さん、同好会のみんなに伝わった時は本当に嬉しかった。
でも、こんな状況で……それも自分を殺そうとしている相手に気持ちが伝わっても、なにも嬉しくない。

そもそもとして、もしこれが仮に殺し合いでなかったとしても童磨は璃奈を襲うだろう。
だって彼は人を喰らう鬼なのだから。人間が生きるために食事をするのと同じように、鬼は人間を喰らう。

「俺は"万世極楽教"の教祖なんだ。信者のみんなと幸せになるのが俺の務め。
 だから君のことも喰べてあげる。
 そうすればもう君は苦しくないし、つらくもないし、怯えることもない。
 俺の血肉となって、共に永遠の時を生きていくんだ。」

「わけが、わからない……。」

そんな話をしながらも、童磨は一歩ずつゆっくり璃奈のほうへ近づいてくる。
もし童磨が本気を出せば、一瞬で距離を詰めて瞬く間に璃奈の命を奪えただろう。
だがそうしない。自分を倒すことなどできないとわかっているからだ。
だからあえてゆっくりと近づく。怯える相手の表情を楽しむように。
最も、童磨にはそれを楽しいと感じるような感情は存在していないが。

目の前にある死の恐怖。それが少しずつ近づいてくる。
震える手で銃口を向けても、相手はそれを意に介していない。
近づかれたら終わりだ、と悟った璃奈は―――逡巡の後にトリガーを引いた。





―――瞬間、爆ぜる。
銃口から一瞬だけ光の線が伸びた。直後に光の着弾点を中心として童磨の体が爆発四散する。
はじけ飛ぶ返り血が、少しだけ璃奈の頬にも跳ねた。そこに残るのは、腰から下の体と血だまりのみ。

「―――あ……。」

自分が生んだ惨状を前に、先ほどの何倍も手が震える。
命の危機だったとはいえ、自分の引いた引き金が起こした事象に怯えているのだ。
当然だろう。自分の行動が、目の前の血の海を作り出したのだから。


329 : 赤き夜の支配者(ドミネーター) ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:10:33 YLrJgr220





「―――へえ。ただの銃だとは思ってなかったけど、まさか一撃で体が吹き飛ぶ威力とはね。」

―――にもかかわらず。童磨はまだ生きていた。
璃奈は知る由もないが、鬼は日輪刀で首を斬るか太陽の光を浴びせるか。
どちらかでしか滅することができないのだ。

四散したはずの童磨の体が徐々に再生する。
十秒もしないうちに元通りになっていた。これが上弦の弐の再生力。

「さて、これで元通り。
 どうする?無駄だとわかってても、もう一度撃つ?」

これで状況は振出しに逆戻り。
否、トリガーを引いても無意味と判明した分、璃奈から見れば悪化している。
後ずさりしながら童磨と距離をとるも、腰が抜けてしまいその場に倒れこむ。
打つ手がない。璃奈にはもう、ただただ怯えて後ずさることしかできない。





―――北帝勅吾。千鳥や千鳥、伊勢の赤松を忘れたか。





どこからか、そんな呪文らしきものが聞こえてきた。
呼応して、璃奈の後方から複数の何かが飛来する。
早すぎて璃奈の目では視認できなかったが、その何かが童磨に向かって突撃していくのはかろうじて分かった。

童磨の対応は早かった。
即座に一歩後ろへ飛びのいて初撃を躱し、続く二度目の突撃は鉄扇で全て弾く。
弾かれて落下したところで、璃奈はそれが文字の書かれた護符のようなものであることに気づいた。
鉄扇の攻撃を受けて落下した護符は、半分に切り裂かれて所々が凍り付いていた。

「血鬼術、じゃなさそうか。鬼殺隊が使う呼吸ってわけでもない。
 俺の知らない技だ。興味あるなあ。ぜひとも教えてほしいところだけど。」

「―――悪いが、外道に語る言葉は持ち合わせていない。」

そして今の一瞬の攻防の間に、璃奈と童磨の間に割り込んできた人物がいた。
赤紫色の長髪をした、凛々しい女性だった。
璃奈とスタイルを比べるまでもなく大きい。おそらく璃奈よりは年上だが、年代は高校生くらいだろう。
手元には地面に落ちているのと同じ札を持っている。

「……動けるか?
 動けるなら後ろに下がって地面に伏せているんだ。
 私が呼ぶまで、決して立ち上がろうとするな。」

視線を童磨のほうに向けたまま、女性は璃奈に向けてそう呟く。
ハッとその言葉で我に返った璃奈は、指示通りに女性の後ろに下がって頭から伏せた。



◇◆◇


330 : 赤き夜の支配者(ドミネーター) ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:11:17 YLrJgr220



「……まるで、あの赤い夜と同じではないか。」

日の昇らぬ血のように赤い空を見て、草壁美鈴は呟く。
それは自分たちが以前、戦いに巻き込まれた赤い夜とよく似ていた。
だが、リーゼロッテ・ヴェルクマイスターを皐月駆が倒したことであの戦いは終わったはずだ。

あの時との相違点は、あの時は地形が基本的に現実と同じだったのに対して時代錯誤の平安京に変わっている点。
肉眼でも確認できる巨大な歯車の塔がある点。そして、空に浮かんでいた黒い満月が紅く禍々しい物に変わっている点だろう。
軽く探索してみたところ、どうやら赤い夜とは違って施設の類は機能しているらしい。

黒騎士や闇精霊(ラルヴァ)たちと戦わされていた前回に対し、今回は巻き込まれた者同士での殺し合いを強要されている。
状況の劣悪さで言えば、今回のほうが何倍もひどい。
当然、美鈴がこんな殺し合いに乗る訳もない。

「赤い夜に酷似した殺し合いも問題だが。
 ……なぜ今、この刀がここにある?」

そう言って美鈴が示したのは、自分の支給品としてデイバッグに入っていた三振りの刀。
見間違えようはずもない。それは草壁の家に伝わる五宝……ではなく七つの宝剣、草壁七剣のうちの三振り。

烏の濡れ羽のように漆黒の直刀で、刀身の上半分が両刃になっており突きに秀でた小烏丸天国。
雷をその刀身に宿し、雷撃を放つことも可能な雷切。
そして所有者の血肉を糧にし力を発揮する草壁七剣で最強の妖刀―――真打・童子切安綱。

「たしかに草壁の刀は返却したはずだ。
 ……まさか、先ほどのメフィスとフェレスという少女たちに奪われたのか?」

だとすればこの会場にあるのがこの三振りだけという保証はどこにもない。
他の草壁七剣も、誰かが持っているかもしれない。
殺し合いに賛同しない者が持っているのならばまだいい。だが、積極的に殺す者が草壁七剣を持っていた場合非常に危険だ。

「殺し合いに反対するものを探すと同時に、他の剣を回収しなければなるまい。
 悪意あるものにアレが渡るのは危険すぎる。」

自らの爪に韻を刻み、呪を唱えて三振りの宝剣を封印して納刀する。パッと見では刀が消えたように見えるだろう。
納刀を終え、白い手袋を着用する。
目指すは殺し合いの打破と草壁七剣の回収。美鈴は行動方針を固めた。



その直後―――何かがはじけ飛ぶような音がした。
まるで、人の肉が弾け飛ぶような嫌な音。

「もう誰かが殺し合いを始めたのか!」

止めなければ―――と考えるよりも前に、美鈴の足はそちらへ駆け出していた。



◇◆◇


331 : 赤き夜の支配者(ドミネーター) ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:12:14 YLrJgr220



「やあやあ。俺は上弦の弐、童磨。
 良かったら君の名前を聞かせてほしいなあ。」

「……草壁美鈴だ。」

(上弦の弐、という言葉に何の反応もなし。
 おそらく彼女は『鬼』という存在を知らない、ってことだろうね。)

一見すると先ほどと同じ恐怖を煽るような会話。
その間に童磨は相手のことを観察する。
この極限の状況に置かれても冷静さを失わず、立ち振る舞いにも隙は見られない。
鬼を知らない年端も行かぬ少女だが、戦い慣れした手練れだろうと推測した。

「今日はいい夜だなぁ。
 こんな上等な御馳走がやってくるなんて。」

「さっきも言ったが―――外道に語る言葉は持ちあわせていない!」

美鈴は問答無用で会話を打ち切り、先ほどと同じ呪文を唱える。周囲を舞う護符―――式神の数は、初撃よりも増えていた。
おしゃべり好きな童磨としてはもう少し話していたかったけどしょうがない。

「―――火焔呪、急々如律令!」

追加の呪文に伴い、周りを舞う式神が炎を纏う。
まるで動く火の玉のように、童磨の元へ押し寄せる。
先ほどの攻撃で童磨の技が冷気を伴うことを見抜いたのだろう。故に炎の術。戦い慣れしているだけでなく、観察眼もあり機転も効くようだ。

「だけど残念。それじゃあ俺は殺せないよ?」

童磨はあえてその攻撃を受ける。初撃は未知の攻撃だから対処したが、二撃目は避けない。
鬼の再生力を見せつけるために。その攻撃が無駄であると相手に理解させるために。
鬼にとってはこの程度の炎と爆風によるやけどはかすり傷。再生にかかる時間は、四散したときよりもずっと短い。
だが―――美鈴にとってはそのわずかなスキが作れれば十分だった。





「牡籥(かぎ)かけ闔(とざ)す総光の門―――」

それは、封印された刀を開放する祝詞。
手の甲を相手に向けた状態で指を広げ、それを顔の前で交差させる。
着けていた純白の手袋は、いつの間にか消失していた。
指の爪の、刀に対応する韻が発光する。

「七惑七星が招きたる、由来艸阜(ゆらいそうふう)の勢―――」

交差させた手を解き、左手の掌のみを横向きにして顔の前に構える。
そして左手の掌の上に生じる空間の歪み。

「文曲(もんごく)零零、急ぎて律令の如く成せ―――!」

歪みから伸び出てきたのは、日本刀の柄。
それを空いている右手で握り、刀を抜刀する。

攻撃が突きに特化した小烏丸天国では、冷気と氷による範囲攻撃には対応できない。
氷に対して最も有効であろう、炎を操る火車切広光は今美鈴の手元にない。
己の血肉と引き換えに童子切安綱の必殺の一閃を浴びせても、童磨にはすぐ再生されてしまうだろう。
ならば、今呼び出す刀はひとつ―――



「―――千歳の儔(ともがら)、雷切!!!」

それは一見すると普通の日本刀に見える。だが、その刀身は根元が不自然に曲がっていた。
なによりもその刀は―――刀身に、稲妻が走っていた。


332 : 赤き夜の支配者(ドミネーター) ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:14:56 YLrJgr220



「なるほどね。そっちが本命、って訳だ。」

鬼と敵対する鬼殺隊の剣士には、雷の呼吸という技法を扱う者がいる。
しかし、それは実際に雷を放つ技ではない。
神速の踏み込みによって、ややもすれば瞬間移動と錯覚するほどの速さで敵を切る術である。
つまり雷の呼吸の「雷」はあくまで比喩であり、たとえ話なのだ。だが、目の前の刀は違う。
間違いなく本物の稲妻が刀身に宿っている。

「可笑しな刀だね。その根元の曲がり方じゃ普通の鞘には入らない。
 もしかして、今の術は納刀できない刀を持ち運ぶためのものかな?」

―――『血鬼術・蓮葉氷』

考察を口にしながら、初めて童磨が自分から攻撃を放つ。
自らの凍てついた血液で蓮の花を作り出し、その際に発生する霧状の粉塵と冷気を鉄扇で散布し相手へ送り込む。
振れれば一瞬で凍り付き、吸い込めば肺胞が壊死する必殺の技。小手調べのつもりだが、まともに喰らえば死は免れない。





「―――五雷神君の天心下り、十五雷の正法を生ず。」

冷気が到達するより前に、美鈴も行動を起こす。
新たな祝詞に合わせ、召喚した刀を―――あろうことかそのまま、目の前の地面に突き刺した。

「―――天地万物の理をもちて、如何なる外法もここに堰く。」

刀身の稲妻が輝きと勢いを増す。
まるでそこに雷が落ちてきたような眩しさに、後ろで伏せていた璃奈は思わず目を瞑る。

「十五雷正法、ニ直―――禁!」

―――直後に発生したのは、雷切から放たれる扇状の雷撃の障壁。
童磨が生み出した蓮の花も、散布した霧も冷気も、すべてが扇状に広がる雷撃に阻まれ向こう側へ届かない。

「やるねえ、綺麗だねえ!」

―――『血鬼術・枯園垂り』

追撃とばかりに鉄扇から攻撃を送り込む。
童磨が鉄扇を扇ぐたび、それに合わせて氷の柱が立ち上って襲いかかる。
だがそれも、同じように雷撃の障壁に阻まれた。
攻撃の頭数が増えたことで完全に氷を砕ききることはできないまでも、残りの攻撃はすべて冷気と共に受け流されていく。

怒涛のように押し寄せる血鬼術の攻撃が、たった一本の刀から生じるエネルギーで弾かれ受け流されているのだ。
そのあまりの激しさに、もし背後の璃奈が伏せていなかったら雷撃の余波が直撃していてもおかしくなかった。





「五雷神君奉勅―――邪怪禁呪、悪業を成す精魅、天地万物の理をもちて微塵と成す!」

連続する技の中で童磨の攻撃に隙ができたその時、今まで防御に回っていた雷撃が攻撃に転じる。
既に激しかった雷撃の勢いがさらに増し、扇状の雷撃が童磨のほうへ向けてその範囲を少しずつ狭めていく。

「十五雷正法―――十二散、禁!」

そして、ついにそれが童磨の元へと収束する。血鬼術の氷をすべて砕きながら。
肉が焼けこげる匂いと音が一体に響く。普通の人間ならば即死だろう。
だが童磨は上弦の鬼。体が焼けるたびにすぐさま再生していく。
ここまでくると根気比べだ。雷撃のエネルギーが尽きるのが先か、再生が追い付かなくなるのが先か。

―――今回、先に根負けしたのは童磨だった。
何せすでに一度爆散した体を再生し、その後の戦闘でも一度体を再生しているのだ。
再生の速度が追い付かず、一時的に黒焦げになり戦闘が継続できなくなった。
もちろんこれは一時の猶予に過ぎず、数分あればまた童磨の体は元通りに再生するだろう。


333 : 赤き夜の支配者(ドミネーター) ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:16:21 YLrJgr220



「―――立てるか?今のうちに引くぞ!」

「あ……。う、うん。」

あまりの光景に目を背けていた璃奈は、美鈴の言葉と差し出す手を見てハッとした。
美鈴の手を取って立ち上がり、共に走り出す。
できるだけ遠くへ、また童磨と再会することがないようにと祈りながら。



【天王寺璃奈@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康、精神的疲労(中)、肉体的疲労(中)
[装備]:ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:この人(美鈴)は誰……?
2:……さっきの人(童磨)とは、もう会いたくない。
3:私……人を、撃っちゃった……。
[備考]
※参戦時期はアニメ最終話の後です。
※ドミネーターはエリミネーター1発分の電力を消費しています。
 会場のどこかに充電設備が存在するかもしれません。
※結果的に殺してはいないものの、自分が銃の引き金を引いて血だまりを生み出してしまったことに内心動揺しています。


【草壁美鈴@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
[状態]:健康、術の多用による疲労(中)
[装備]:小烏丸天国+雷切+童子切安綱@11eyes -罪と罰と贖いの少女-
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:殺し合いの打破と、草壁七剣の回収。
1:まずはこの子(璃奈)を安全な場所へ。
2:この赤い夜もどきは一体何だ?
3:……さっきの化け物のような男、どうすれば倒せる?
[備考]
※参戦時期は本編終了後です。
※残りの草壁七剣は以下の4本です。
 ・火車切広光
 ・鉋切長光
 ・鬼切(別名:鬼切安綱、髭切など)
 ・蜘蛛切(別名:膝丸、薄緑など)


【ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ】
同作品シリーズにて公安局刑事課の刑事達が使用する銃。
銃口を向けた相手の『犯罪係数』という数値を計測し、規定数値以上の場合はトリガーがアンロックされる。
本来はシュビラシステムと呼ばれる装置と常にリンクしているが、今は主催によりリンクが切られており犯罪係数を測定しているのも主催である。
ユーザー認証は参加者名簿に基づいており、名前が記載されていればだれでも扱うことが可能で、初起動の場合ドミネーターについて詳しく教えてくれる。
また殺し合い促進のために、6時間に一度だけ犯罪係数に関係なくエリミネーターに変形させることができるように改造されている。

【小烏丸天国@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
大きな鴉によってもたらされたと言われている妖刀。
刀身の上半分が両刃になった漆黒の直刀で、長い年月をかけて妖力を貯めることができる。
過去の戦いで数千年貯めた妖力を開放したはずだが、何故かそれが元に戻っている。

【雷切@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
立花道雪が雷を斬ったと伝えられる日本刀。別名:千鳥とも呼ばれる。
一見するとシンプルな日本刀だが、刀身の根元部分が不自然に折れ曲がっている。
あえて表現するとしたら「ち」や「さ」の字ような造形をしており、どう見ても普通の鞘には納めることができない。
雷撃を操り、遠距離攻撃や広範囲攻撃、防御と多数の技を持つ汎用性の高い武器。

【童子切安綱@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
天下五剣にも数えられる草壁七剣最強の妖刀。
鍔の部分に不気味な、水疱に似た瘤が複数ついている。酒呑童子が宿るとも言われ、使い手の血肉を喰らい力を発揮する。
力を発揮するほどに柄から所有者の体を侵食し、使いすぎると使い手そのものを喰らってしまう諸刃の剣。
奥義、鬼牙絶刀(きがぜっとう)は巨大な衝撃波を飛ばし、その道中に存在するものを両断する。


◇◆◇


334 : 赤き夜の支配者(ドミネーター) ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:17:25 YLrJgr220



「ざーんねん。逃げられちゃった。」

数分後。
再生が完了した童磨は、状況を見て独り言ちた。

「でも、この平安京からは逃げられないでしょ。
 次会ったときこそ喰べてあげる。」

それに、今の戦いは童磨にとっても無駄ではなかった。
実際に戦ってみてはっきりとわかる。自分は今、万全の状態ではないと。
どのような方法かはわからないが、自分の力は今何かで抑え込まれている。
傷の再生が雷撃に根負けしたのもこれが一因だろう。万全の状態ならば、あの雷壁の防御も隙間くらいは突破できていたかもしれない。

「怪しいのはやっぱりこの首輪かなあ。
 メフィスちゃんとフェレスちゃんだっけ?ひどいことするなぁ。」

自分のことを棚に上げて主催の二人を糾弾する。
とにもかくにも力を取り戻さなくては。
直接二人から力を取り戻す方法も考えたが、首輪を爆破されるリスクも考えて童磨は別の方法をとった。

―――より多くの人を喰らい、万全な時と同等の力を取り戻す。
行動の方針を決めた童磨は、新たに人を喰らう為に動き出した。



【童磨@鬼滅の刃】
[状態]:健康、再生の多用による疲労(極小)
[装備]:鉄扇×2@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:帰るために、力を取り戻すために人を喰らう。
1:次会った時こそ美鈴ちゃん達を喰べてあげる。
2:無惨や他の鬼@鬼滅の刃が参戦していた場合は遭遇してから考える。
[備考]
※参戦時期は無限城編よりも前です。
※主催により上弦の弐としての力が抑えられています。
※無惨の呪いの有無については後続の書き手にお任せします。

【鉄扇×2@鬼滅の刃】
童磨が武器として愛用する対の鉄扇。
物理的に攻撃したり、自分が血鬼術で生み出した冷気と毒を送り出したりする。


335 : ◆1qfrROV/6o :2021/03/20(土) 07:18:55 YLrJgr220
投下を終了します。


336 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/20(土) 08:11:34 SRFGUAoU0
新ロワ開催おめでとうございます。

投下させていただきます。


337 : 血染めの月だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/03/20(土) 08:14:30 SRFGUAoU0
かつて日の本の政治(まつり事)の中心であった都…平安京。

しかし、現在、その都で行われるのは、政治ではなく、生き残りをかけた殺し合いーーーーー

血染めの赤き月が照らす夜空の下、少女は歩いている。

「殺し合いってどういうこと!?」

少女の名は関織子。旅館「春の屋」で若おかみとして働いている。

若おかみとして自分の過去と向き合い、前へ向かうことができた織子。
春に行われる梅の香神社の神楽を直前に控えたときに、この混沌無形の物語に選ばれた。

「月が赤いし、首輪…やっぱり、夢じゃないんだ。でも、私、人殺しなんかできないわ……」
首元に嵌められた首をを触り、現実であると再認識した織子は「人殺し」をしなければ、生き残れないことに絶望の顔になる……
もし、これがとある男の子を特定の場所へ行かせないルールの殺し合いならば、生き残る可能性は多いにあるが、これは「最後の一人」になるまでと明言された殺し合い。
戦う術を持たない小学生の関織子にとってこれは非常に厳しい状況であるーーーーー

「きゃ!?……あ!ネコだ♪」
自分の前にスタッと降りたった一匹の猫に織子は今自分が置かれている状況を吹き飛ばして顔をほころばせる。

「もし、そこの少女。少しよろしいかな?」
「え!?ネ…ネコが喋った!?」
なんと!猫が人間の言葉を喋った!!

「や、失礼。小生、麻倉家に仕える事約1000年ーーーーーねこまたのマタムネと申す。好きなものはマタタビ」

☆彡 ☆彡 ☆彡


338 : 血染めの月だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/03/20(土) 08:15:38 SRFGUAoU0
「へぇ…ネコマタさんは精霊なんだ…」
「さよう。……織子さんはあまり驚かれないようですね」

「あ、うん。ウリ坊や美代ちゃん。それに鈴鬼くんと普段から一緒だったから」
幽霊であるウリ坊や美代ちゃん。そして、魔物である鈴鬼くんと日常を過ごしている織子にとって、精霊マタムネの存在を問題なく受け入れる。

「……」
(ふむ…この少女から、膨大な生命力を感じる…だからか、霊や悪霊といった存在を受け入れられるわけは…)
マタムネは織子から感じる人間離れした生命力が人ならざる者との接触を可能にしていると推測する。

「ねぇ、マタムネさん。私、どうしたらいいのかな?」
織子は殺し合いの魔都と変わったここ京都においてどうすればいのかマタムネに相談する。

「…自分の進むべき道は心で決めなさい」
「!?」

「この殺し合いはお前さんにとって過酷なものとなる。こう言っては織子さんには申し訳ないが、強さはおそらく参加者の中では下から数えた方が早いでしょう……ですが、織子さんは、小生と違って「人間」。心で決めた「ケツイ」は人ならざる者より遥か上でしょう」

「マタムネさん……」
「これも、一つの戦争ーーーーー500年前のS.F.(シャーマンファイト)に参加した者よりの心からのアドバイスです」
マタムネは織子に自分の考えを織子に贈る。

「私、…決めた!絶対に春の屋の皆の元に帰るわ!だって…私は春の屋の若おかみだから。この殺し合いから生きて帰るために進むわ!マタムネさん!お願いします!私に力を貸してください!!」

織子は自分のケツイを語ると頭を下げるーーーーー

「もちろんですとも」

織子の言葉にマタムネはニコッと微笑む。

若おかみは進む。心が命じるままにーーーーー


【関織子@若おかみは小学生(映画)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて春の屋へ帰る
1:マタムネさんとこの殺し合いを心が命じるままに進む
[備考]
※参戦時期は春の神楽を踊る直前。

【マタムネ@シャーマンキング】
[状態]:健康
[装備]:熊の爪(媒体)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:織子を守りつつ、殺し合いの首謀者を探る
1:織子を守る
2:京都…。あのお方と出会った京都と同じなのか…?
[備考]
※参戦時期は恐山で成仏した後。


339 : 血染めの月だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/03/20(土) 08:15:52 SRFGUAoU0
投下終了します。


340 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/20(土) 11:22:58 lrxMZvB20
投下します


341 : 過ぎ去りし時は二度と ◆2dNHP51a3Y :2021/03/20(土) 11:23:40 lrxMZvB20
「だから言ったのに…全体の後始末なんて押し付けられたら、最期には必ず燃え尽きるんだって。でもそれが、あの英霊が目指した理想の姿なんでしょうね」

―――ある女神の言葉より、引用


○ ○ ○

紅蓮の夜空、血染めの月に照らされる古都

そこにいたのは、錆びた鉄の如き男。錆びついた黒肌は過去との決別の証、忘れ去られた残滓

「――またしても、面倒なことに巻き込まれたものだ」

男にとってはいつものことだ。無名の執行者。正義を為すために虐殺をも為すモノ。錆びた鉄心、腐り果てた硝子。ただ与えられた事柄をこなし、実行する

「―――」

執行者の記憶に残っているのは、最後のセラフィックス職員を『処理』し、天体室の破棄に向かおうとした事
直後、飛ばされた先には赤い夜に染まった平安京、殺されたのはカルデアのマスターとその付き添いのサーヴァント一体

「……俺には関係ないことか」

だが、それが支障となることはない。これが殺し合いだというのなら止めるだけのこと
そこに何があり、何が行われようとも錆び付いた執行者にはなんら関係のない話でしか無い

「こいつは使えそうだ」

無造作にデイバッグの中身を漁り、見つけた武器の一つを取り出す
ベレッタM93R。4977年当時のイタリアで要人警護等の用途で使われることが多かった自動拳銃
服の下に隠せるサイズでかつ高い制圧力を持ち、シンプルだが効率良く作業できるという点では執行者には都合のいい武器であった

最低限の武器を確保した。次に手に入れるべきは情報。この赤い夜は何のためか、何のために平安京が選ばれたのか、首輪の情報、手に入れるべき情報は多数ある

「………」
「っ!?」

人の気配を感じた。曲がり角に隠れているが、その気配は何かに震えている。察するに銃を取り出した所を見られ、勘違いされたか

「――出てこい。でなければ―――」

警告の言葉。その手にベレッタを持つ。相手が殺し合いに乗っている訳で無ければ積極的な殺害をするつもりはない。何より弾の無駄遣いだ

「……!」

動揺か、それとも恐怖か、相手側が近づいてくる気配はない。ならば仕方がないと、曲がり角へ向かい、気配の主に銃口を向ける

銃口の先には、膝を地に付けた一人の年端も行かない少女の姿があった


342 : 過ぎ去りし時は二度と ◆2dNHP51a3Y :2021/03/20(土) 11:23:55 lrxMZvB20
○ ○ ○


「大丈夫、後は私が何とかする」


それが、私が覚えている唯一の記憶


「私は乃木園子。あなたは鷲尾須美。あの子は三ノ輪銀」


それは、私が覚えていた唯一の言葉


「三人は友達だよ。ズッ友だよ」


それは、私が唯一覚えていた、たった一つの大切なものだ


「私は死なないから。後でまた会えるから」


その光景は、まるで桜のように輝かしくて、暖かくて


「ちょっと、行ってくるね」


それだけは、忘れたくなかった


343 : 過ぎ去りし時は二度と ◆2dNHP51a3Y :2021/03/20(土) 11:24:10 lrxMZvB20


「誰だ、貴様?」
「あ……」

執行者は、目の前にいる名の知らぬ少女に問いかける。足の様子を見るに、何かしらの障害で歩けないらしいと見受けられる。少女の顔には、恐怖の表情以上に戸惑いの感情が大きく感じられる

「私、わたしは……だ、れ……?」

少女は言ってしまえば、記憶喪失であった。しかも、自分の名前すらもわからない程に。それに加え両足不随と来た

「……」

呆れ、向けた銃を降ろして腰に仕舞う。執行者もまた、過去の記憶をほとんど思い出せぬ程に摩耗している
同族嫌悪、とまでは行かないがそれでも執行者が呆れる理由としては十分だ

「……でも、死にたくなんて、ない」
「――何故だ?」

執行者は氷の如く冷たい声で記憶喪失の少女に問いかける

「約束、してくれたから。あの子―――」

その言葉は、身体を震えながらも振り絞って出た言葉は、紛れもない真っ直ぐな言葉
あの時自分を助け、どこかへ行ってしまった■■■■(名前も知らないあの子)との、約束

「―――そうか」

無名の執行者は、その一言と共に沈黙する。生存欲求こそあれど、この時点ではまだグレーとしか言いようがない

(さて、どうするか)

執行者は思考する、目の前の少女をどうするか。彼女の命の灯がどうなるか、嗤う鉄心に委ねられた


344 : 過ぎ去りし時は二度と ◆2dNHP51a3Y :2021/03/20(土) 11:24:30 lrxMZvB20
○ ○ ○

過ぎ去りし時を求めて、二度とそれは戻らない

犯した罪も後悔も、描いた理想も、望んだ願いも全ては満開の花の如く散華して

忘却の彼方に、彼女は辿り着いた。その蕾、枯れ散るか、咲き乱れるか

無名の鉄心は、新たなる戦場に辿り着いた。その果て、何を知るか


【エミヤ〔オルタ〕@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM93R@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:殺し合いの主催者を処理し、殺し合いを止める
1:まずは情報がほしい
2:この娘をどうするか……?
[備考]
※参戦時期はコラボイベント『深海電脳楽土SE.RA.PH』第四幕『沈める森の美女』でマーブル・マッキントッシュを殺害した後

【■■■■■(鷲尾須美)@鷲尾須美は勇者である】
[状態]:両足不随、記憶喪失、困惑
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ここは、どこ……? わたしは、だれ……?
1:……死にたくない
[備考]
※参戦時期は『鷲尾須美は勇者である(アニメ版)』から、乃木園子と別れた直後


345 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/20(土) 11:24:40 lrxMZvB20
投下終了します


346 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/20(土) 13:18:29 lrxMZvB20
ちょっと抜けていたところがあるから修正

※参戦時期は『鷲尾須美は勇者である(アニメ版)』から、乃木園子と別れた直後

※参戦時期は『鷲尾須美は勇者である(アニメ版)』6話から、記憶を失い乃木園子と別れた直後


347 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 15:03:09 lwNWWlJw0
自作の状態表の修正を行いました。


348 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/20(土) 16:38:14 2wfmnJdk0
投下させていただきます。
コンペロワに投下したものを手直ししたものになります。


349 : 涼宮ハルヒの歓喜、モグラ獣人の苦悩、ロックジョーの??? ◆4kMBNI9QkE :2021/03/20(土) 16:39:07 2wfmnJdk0
赤い月に照らされし平安京に佇む一軒の寺……。
突然その境内の地面の一部が盛り上がったかと思うと……

「チュチューン!」

……人間の大人程の大きさがある巨大モグラが顔を出したのだった。

体色は明るいオレンジ。
鼻先は花のようになっており、
肩の部分には鉤爪状の部位が、
スコップ状の手には人間のような指があるなど、
明らかに普通のモグラではなかった。

彼の名は、モグラ獣人。
ただの巨大モグラではなく、動植物に人間並みの知能を移植する事によって生み出される『獣人』というカテゴリーの怪人である。
彼はかつて、世界征服を企む秘密結社の一つ『ゲドン』に所属していたのだが、任務に失敗して処刑されかかったところをゲドンと敵対する『仮面ライダーアマゾン』によって助けられた事で、アマゾンの『トモダチ』となったのである。

「はぁ〜……よっこいせ、と」

モグラ獣人は地面から這い出ると、頭上の空で静かに輝く赤い月を眺めだした。

「……なんで俺、生きてんだろうなぁ?」

赤い月を眺めながら、モグラ獣人はふと先程から頭によぎる疑問をポツリと呟いた。

記憶が正しければ、自分はガランダー帝国のキノコ獣人の殺人カビで死んだ筈なのだ。
だというのに、五体満足の状態で『殺し合い』の会場にいる。
それがモグラ獣人には不思議でならなかった。

死んだと思ったのは自分の気のせいで、アマゾンが殺人カビの解毒剤を飲ませてくれたのか?
いや、あの体から『命』が抜け出していくような感覚は、絶対に気のせいなんかではない。
ならば何故、自分は無事なのか?
そして何故、『殺し合い』に参加させられているのか?

ひょっとしたら、ここは悪いことをした人間が死んだ後に行くという『地獄』と呼ばれる場所かもしれない。

自分はアマゾンの『トモダチ』だったけど、ゲドンの一員として散々悪いことをしてきたから『地獄』に落とされたのかも……。

「う〜ん……」

夜空に輝く赤い月を眺めながらモグラ獣人は考えを巡らせるが、情報が少ない現状では答えなど思い付くはずも無く……

「……はぁ〜」

モグラ獣人は深いため息を漏らしたのだった。
その時……

「も……モグラ怪獣!?」
「……チュチューン?」

人間の声が聞こえた。
若い女の声だ。

振り向くと、いつの間にかモグラ獣人の背後に水色を基調にしたセーラー服を着た高校生くらいの少女が佇んでいた。
その少女はモグラ獣人を見ながら驚いていると共に、好奇心旺盛な幼い子供のように目を輝かせていた。

「えっ!?嘘!?本物!?本物の怪獣!?」

少女はいかにも興奮している様子でモグラ獣人に抱きつき、モグラ獣人の体をあちこち触り始めたのだ。

「チュチューン!?」
「凄い!着ぐるみじゃないわ!!本当に生きてる!!」
「チュチューン!!」
「肌は結構すべすべしてるわね……鼻が花の形って洒落か何か?」
「チュチューン!お、おい!止めてくれよ〜!!」
「……喋ったぁぁぁ!!?」

その後、少女が落ち着くまでの30分間……モグラ獣人は少女に身体中をまさぐられたのだった。


350 : 涼宮ハルヒの歓喜、モグラ獣人の苦悩、ロックジョーの??? ◆4kMBNI9QkE :2021/03/20(土) 16:40:29 2wfmnJdk0
☆☆☆

「チュチューン……」

少女に身体中を触られて、モグラ獣人はぐったりとしていたが、当の少女の方は何故だか元気になっていた。

「いやぁ〜ゴメンね!まさかこんな所で本物の怪獣に会えるなんて思ってなくて、つい興奮しちゃって……あ、私はSOS団団長の涼宮ハルヒよ!アンタはなんて言うの?」

少女……ハルヒは全く悪びれる様子を見せずに自己紹介すると、モグラ獣人にも自己紹介を促した。

「……俺はモグラ獣人だ。というか、俺は『怪獣』じゃなくて『獣人』って言う『怪人』なんだけど……」
「『怪獣』も『怪人』も大して変わらないわよ。ようは体の大きさがビル並みか人間並みかの違いじゃない。それより、聞きたい事があるんだけど……」

モグラ獣人の意見を一蹴りして、ハルヒは強引に情報交換を始めた。

ハルヒの話す『SOS団』なるグループとその仲間達との他愛ない日々の話を聞きながら、モグラ獣人は自然に『楽しいそうだな……』と思った。

次に、モグラ獣人がアマゾンやゲドン、そしてガランダー帝国の話をすると、ハルヒは『世界征服を企む悪の組織にそれと戦うヒーロー!?まるでテレビの特撮番組みたいじゃない!!』と、目を輝かせながら興奮していた。

しかし、モグラ獣人が自身の生死やそれに関するこの場での憶測を語ると……流石のハルヒも神妙な表情を浮かべたのだった。

「えっと……もしかして不味い事聞いちゃったかしら?」
「……いや、大丈夫だよ。本当のところは俺にもよくわからないから」

『自分は地獄に落ちたのかもしれない』と語るモグラ獣人の姿は、なんだかとても悲しそうで……ハルヒは胸が締め付けられるような感覚を覚えた。

「あぁもう……そんな辛気臭い顔しないの!断言しても良いけど、ここは『地獄』でも『死後の世界』なんかでもないわ!」
「……なんでそう言い切れるんだ?」
「だって私、まだ死んでないし」

あっけらかんと告げるハルヒにモグラ獣人は呆れそうになるが、ハルヒはモグラ獣人と目と目を合わせて「……それに」と続けた。

「……アンタはアマゾンって人の仲間……『トモダチ』だったんでしょ?昔はどうだったか知らないけど、正義のヒーローの『トモダチ』が死んだ後に地獄に落ちる訳ないじゃない!そんなの、閻魔様が許してもこの私が許さないわ!!ヒーローの『トモダチ』なら、死んだ後に行くべきなのは『天国』のはずだもの!!」
「……」

何の根拠も、確証も無い言葉。
だがモグラ獣人には、何よりの救いの言葉だった。
そうだ、自分は悪者から世界を守るアマゾンライダーの『トモダチ』だ。
死んだ後に行くべきなのは『地獄』ではなく、『天国』の筈だ。
そう思うと……モグラ獣人の青い目からは自然と涙が流れ出していた。

「……ありがとう。お前、本当は良い奴なんだな」
「……『本当は』は余計でしょ!」

モグラ獣人の言葉にハルヒは頬を膨らませてそっぽを向くが、不思議と悪い気はしなかった。

「ほら!正義のヒーローの仲間が、そんなに簡単に泣いたりしないの!」
「チュチューン……」

ハルヒはスカートのポケットからハンカチを取り出すと、モグラ獣人の目から流れ出る涙を拭き取る。
その姿はまるで、幼子を慰める母親のようだった。

「……誰が『母親』よ!?せめて、『姉』って言いなさいよ!!」
「……チュチューン?」

地の文にツッコミを入れるハルヒの姿に、モグラ獣人は首をかしげたのだった。

その時である。
近くの草むらから、がさごそと何かが動くような音が聞こえてきた。

「えっ?な、何?」
「チュチューン!」

突然の物音にハルヒは固まり、モグラ獣人はハルヒを庇うように身構える。
そして、草むらの方からは……

「ワフゥ〜」

二人の思いもよらない者が姿を現したのだ。


351 : 涼宮ハルヒの歓喜、モグラ獣人の苦悩、ロックジョーの??? ◆4kMBNI9QkE :2021/03/20(土) 16:42:01 2wfmnJdk0
「チュチューン!?」
「こ、今度はブルドック怪獣!?」

そこにいたのは、一匹のブルドックだった。
だが、ただのブルドックではない。

「ワフゥ〜」

それは額からフォークを思わせる触覚を生やし、牛かサイに匹敵する巨体を持つ巨大ブルドックだったのだ。
その首にはハルヒやモグラ獣人と同じく、金属製の無骨な首輪が嵌められている。
どうやらこのブルドックはハルヒやモグラ獣人同様、この『殺しあい』の参加者のようだった。

「凄い!スゴいわ!モグラ怪獣を見つけたと思ったら、今度はブルドック怪獣に会えるなんて!!」
「いや、だから俺はモグラ『獣人』なんだけど……」

モグラ獣人の抗議がハルヒの耳に入る事はなかった。
ハルヒは巨大ブルドックに駆け寄ると、その大きな体に抱きついた。

「きゃあっ!スッゴいモフモフだわぁ〜♪ぬいぐるみみたい!」
「ワフゥ〜♪」

ハルヒにギュッと抱き締められて、巨大ブルドックは嬉しそうに鳴いていた。
一方、モグラ獣人は巨大ブルドックに対してビビりまくっていた。

「チュチューン……おいやめろよ。食われたらどうすんだよ?」
「フッフッフッ……本物の怪獣に食べられるなら本望よ!」
「チュチューン……」

ハルヒの様子にモグラ獣人は困惑するしかなかった。

「……ん?」

そこでモグラ獣人はある事に気がついた。

「おい、そいつ首になんか書いてあるぞ?」
「えっ?」

巨大ブルドックの首には『こんにちは、ボクの名前はロックジョー。ハグが大好きです』と英語で書かれたプラカードがぶら下がっていたのだった。

「へぇ〜、アナタ『ロックジョー』って言うのね?カッコいいじゃない!」
「ワフゥ〜♪」

巨大ブルドック……ロックジョーは、自身の体をなで回すハルヒの顔を体と同じくらい大きな舌でなめたのだった。

「きゃあ!くすぐった〜い♪」
「ワフゥ〜」

ハルヒとロックジョーは楽しそうにじゃれあっていたが……

「チュチューン……」

……それを眺めるモグラ獣人は困惑するばかりであった。


【モグラ獣人@仮面ライダーアマゾン】
[状態]:健康、困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:アマゾン達に会いたい
1:ハルヒの様子に困惑
2:なんで俺、生きてるんだ?
3:俺は『怪獣』じゃなくて『獣人』なんだけど……
[備考]
キノコ獣人に殺された直後からの参戦。
殺し合い会場は地獄なのでは?と考えています。

【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康、歓喜、興奮
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:生きて帰りたいけど、人殺しはしたくない
1:本物の怪獣がこんなに!!スゴ〜い!!
[備考]
『射手座の日』以降、『消失』以前の時間からの参戦。

【ロックジョー@マーベル・コミックス】
[状態]:健康
[装備]:自己紹介カード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:早く帰りたい
1:ワフゥ〜♪
[備考]
『Ms.マーベル』誌でMs.マーベルことカマラ・カーンと行動していた頃からの参戦。
テレポート能力を持っていますが、制限により一度に移動できる最大距離は3エリアまで、です。


352 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/20(土) 16:43:01 2wfmnJdk0
投下終了します


353 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 21:25:43 lwNWWlJw0
投下します。
コンペロワにて投下した作品を修正し、またそこに天気の子ロワにて投下した作品から一部を流用・修正したものです。


354 : 危険人物が2名 ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 21:27:51 lwNWWlJw0
ウルトラマン。それは光の国から初めて地球にやって来たヒーローである。
彼は護送中に逃亡した怪獣、ベムラーを追って地球にやって来たのだが、その際たまたま現場に居合わせた地球人のハヤタとウルトラ業務上過失致死…もとい衝突事故を起こして死なせてしまう。

その償いの為ウルトラマンはハヤタと一体化する形で彼の命を繋ぎ、地球を守る事にし、そして最期に敗れこそしたものの、結果見事に地球を守り切り光の国へと帰還して、ジャック以降のウルトラ兄弟達が地球に来るきっかけをセブンと共に作ったのだ。

そんな彼は今、主催に対してとてつもない怒りをぶつけていた。

「レオ!俺たちは!!主催と主催に居るであろうアストラを!!!殺す!!!!」

勿論、二人の少女を見せしめとして残虐に殺した主催に対する怒りはあった…が、今の彼はそれ以上に、居るかどうかもわからないウルトラマンレオの弟アストラへと怒りをぶつけていた。

…何故こうなったかというと、アストラが光の国がある惑星ウルトラの星の軌道などを、コントロールする為に必要なウルトラキーを盗んだ事が原因なのだ。
ウルトラキーを盗まれた事により軌道が狂ったウルトラの星は、このままでは地球と衝突してしまう危機的状況に陥っていたのである。
ウルトラマンはその件で焦燥しながらもアストラからウルトラキーを取り返そうと動いている時に、この殺し合いに呼ばれてしまった。

しかも焦りによる勘違いで、彼は殺し合いの主催にアストラが居ると思い込んでしまっていたのであった。
もしこの場にウルトラマンレオが居たら

「待ってくれ!人質にされてるだけかもしれないしそもそも勘違いじゃないのか!?」

などと言っていたかもしれない。

それはともかく、われらのウルトラマンはこの会場を行く。主催を打倒する為、そして地球と光の国を救う為にアストラを殺すという目的を果たす為に…。

【ウルトラマン@ウルトラマンレオ】
[状態]:健康、主催及びアストラに対する強い怒りと殺意、焦燥
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:俺は!!主催者と共にいるだろうアストラを殺す!!!!
1:殺し合いに乗った参加者は殺す!!!
2:他のウルトラマンが居るなら協力を呼びかける 。
[備考]
※参戦時期はレオの第38話「決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟」にて「アストラを殺す!!!」する前からです。
※主催の手により、10m〜等身大までの間のいずれかのサイズに縮小されています。具体的にどれ程のサイズになっているのかは後続にお任せします。
※テレポーテーションは制限により使用不能です。他の技に制限がかかっているかどうかは後続の書き手にお任せします。
※主催陣営にアストラが居ると勘違いをしています。
※ウルトラキーを盗んだアストラは実はババルウ星人が変装した姿ですが、参戦時期の都合上その事を知りません。


355 : 危険人物が2名 ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 21:28:39 lwNWWlJw0
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(何だあの異星人は…)

一方、そんなウルトラマンを遠くから見つめながらも困惑していた男が居た。
彼の名はリュウヤ、時間保護局のレンジャー隊。その隊長を勤めている男だ。

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(私は、確かに30世紀に帰還した筈…あの少女達は何者なんだ…?)

この殺し合いに招かれる前彼は、西暦2000年に赴き、時間保護局が開発したは良いが時間移動実験に失敗、行方不明になった後現代で暴走していた生体戦闘ロボットGゾードの破壊任務を紆余曲折の末に達成。
タイムファイヤーへの変身アイテムであるブイコマンダーを滝沢直人が所有している事を確認したのち、部下達よりも一足早く30世紀に帰還した…筈であった。

(30世紀に居た私をこの平安京へと、私が気付かない内に移動させたであろうあの少女達がやっている事は、間違いなく時間保護法に対しての違反行為に当たる。
時間保護局の人間としては、奴等を時間保護法違反で逮捕すべきだ。
だが…奴等の技術力が…この私を、30世紀からこの世界にまで移動させれる程の技術力があれば…運命を変える事が出来るやも知れない…)

リュウヤは時間保護局としての使命感自体は持ち合わせている。しかし…彼は自分の運命を…ブイコマンダーを所有した上で2000年に派遣された自分が、現地で殉職する運命を、6年前のGゾードの時間移動実験の際に見てしまっていた。
死の運命を目の当たりにしてしまった彼は、それを回避するために…本来の歴史を改変する道を選んだ。30世紀さえ残っていれば、例え他の全てを犠牲にしようとも…他ならぬ自分が、時間保護法に対して違反していようとも、自分が生き延びる事さえ出来ればそれでいいのだと。

その為にリュウヤは、自分とは無関係な存在である滝沢直人にブイコマンダーが渡るように仕組み、彼を自らの身代わりに仕立て上げようとしていたのだ。
彼にとっては滝沢直人も、この殺し合いに巻き込まれている他の参加者も、この殺し合いの主催者ですら…自身が生き延びる為に利用出来そうな存在でしか無い。
極論自分が生きて帰れて、30世紀が存続するのなら、他の何がどうなろうとリュウヤにとってはどうでも良かったし、知った事でも無いのだ。

(私を連れて来れる以上、主催陣は出来れば逮捕しておくべきだ。放置すれば間違いなく厄介な事になる。
殺し合いに乗った所で、奴等が願いを本当に叶える保証などどこにもないのだ。そんな物に縋るよりかは、脱出手段や首輪の解除手段を探した方がいいだろう。
それらを確保できたとして、可能ならだが…主催の技術を手に入れる事を狙う。それさえ手に入れば、わざわざ滝沢直人を身代わりにする必要も無く、計画を大幅にスキップ出来る。
…が無理はしない、何よりもまず優先するべき事は、私が生きて30世紀に帰還する事だ)

こうして自らの方針を定めたリュウヤだったが、遠目から他の参加者を見つけた為、咄嗟に支給されていた石ころぼうしなる帽子を着用した。
そしてその参加者をやり過ごした上で、今に至る。

----

(さてはロンダーズ…?いや、あのような囚人が収監されていた記録は無い…。
…ならば私のように、この時代とは別の時代から呼ばれた者か。あの様子では会話は可能でも対話・交渉の類の成立は不可能…と考えた方が良さそうだな
…迎撃した方が良かったのかも知れないが、これが後でどう響くか…)

異星人…ウルトラマンをやり過ごしたリュウヤは、石ころぼうしを脱いだ後、ウルトラマンとは反対の方向へと進んで行った。
…左腕に、タイムレッドに変身する為の装備であるクロノチェンジャーを着けて。

【リュウヤ隊長@未来戦隊タイムレンジャー】
[状態]:健康
[装備]:クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:基本支給品、石ころぼうし@ドラえもん、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:自身の生存が最優先、出来ればだが、主催達をどうにかしておきたいところ
1:脱出手段や首輪の解除手段の捜索が必要だ。
2:殺し合いには乗らない、が…必要なら幾らでも手は汚す。
3:我々の時代へ干渉出来るであろう主催の技術力を、手に入れる事が出来るのならあるいは…。
[備考]
※参戦時期はCase File 44「時への反逆」終了後からです。
※異星人(ウルトラマン)が自分とは異なる時間から連れて来られた可能性を考えています。


356 : 危険人物が2名 ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 21:28:52 lwNWWlJw0
【石ころぼうし@ドラえもん】
22世紀の未来にて作られた未来の道具である「ひみつ道具」の一種。
被ると他者から存在を認識されなくなる効果がある、石を模した表面を持っている半球型の帽子。
原理は、ぼうしに内蔵されている無視催眠波発生ペーストなる物から放出される催眠波から来る物。
催眠波は生物以外の機械にも通じる。
今ロワでは、装着している時間が一定時間(どれぐらいなのかは後続にお任せします)を超えると、エネルギー切れにより強制的に効果が解除され、なんらかの手段でエネルギーを回復させない限りは永続的に使用不能となる。

【クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー】
タイムレンジャーに変身する為に必要な装備。今回リュウヤに支給されたのは彼の先祖である浅見竜也が使用している物であり、彼自身も使用した事がある物である。
収納機能があり、長剣のスパークベクターと短剣のアローベクターからなる双剣、ダブルベクターや、ボルユニットを取り出す事が可能。
ただし今ロワではレッド用のボルユニットである「ボルブラスター」は取り出す事が出来なくなっている。他の参加者に単体で支給されている可能性あり。
なお、初回起動時には時間保護局の1チームの規定人数である5人がいないと起動できないようになっているが、一度起動すると、以降は単独でも起動できる為問題は無い。


357 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 21:29:43 lwNWWlJw0
投下終了です。石ころぼうしの効果については表裏ロワを参考にさせて貰いました。
そして続いてもう一つ投下します。


358 : 翼は無くとも勇気はある ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 21:30:55 lwNWWlJw0
少女にはかつて翼があった。
それを動かす為の力も、また他者を癒す為の力もあった。
しかし───戦いの中、怪異に取り込まれた大切な上官であり恩人を助ける為に、少女は持てる力を全て使い果たした。
結果、少女は力を失い…飛ぶ事も出来なくなり治癒も出来なくなった。
少女は、その結末には後悔していなかった。

----

その後少女は、医学校に入る為の勉強に努めていた所を、かつての恩人の命を受けた恩人の教え子と共に欧州へと留学する。
その過程で、図らずも恩人の教え子と対立、距離が生まれてしまったり、かつての仲間と再会を果たしたり、崖崩れによって住人が大勢怪我を負った村に直接治療しに行ったりと、少女は色々な出来事に遭遇した。

そんな中少女は、先刻立ち寄った村を襲撃する怪異を発見する。
恩人の教え子は、無線が使えない状況もあり自分たちの避難を訴えるも、少女は村に戻る事を決め、同時に恩人の教え子へ怪異の足止めを頼む。
彼女が足止めをしている中、少女は村人達を防空壕まで避難させた。そして恩人の教え子の元へと向かっている最中に…少女はこの殺し合いへと招かれてしまった。

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目の前で女の人二人が殺された時、私は何もできなかった。
あの戦いで魔法力を失ってしまった事を後悔しちゃうぐらいには、自分が嫌になった。
もし魔法力が有れば…って、そう思って、でもそれだと坂本少佐を助ける事は出来なかった筈で…。
思考が回らないまま、膝をつき、目から涙を溢しながら座り込んでしまった私は、そのまま霧みたいな何かに飲まれて…気付くと会場にいた。

不安だった。ネウロイの足止めを静夏ちゃんに頼んだけど…私が早く戻らないと、静夏ちゃん一人で頑張るしか無くなっちゃうから。
…でも、あの双子に見えた二人の女の子の話が本当なら、戻る為には他の人を全員殺さないと行けないらしくて…だから私は、それだけはしたくないって、そう決めた。
…魔法力は無くなっちゃったけど、私はウィッチだったから。私は人を殺すために、ウィッチになった訳じゃない。守る為に…ウィッチとして戦う事を選んだんだ!

そう思うと、私の中から迷いや焦りは無くなっていた。
…例え魔法力が無くたって、翼が無くたって…私には…勇気がある。
なら後は…私にできることを、ひとつずつ叶えるだけ!

バッグの中にあった、見た事の無い銃を手に取りながら私は、決意を固めた。

【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズシリーズ】
[状態]:健康、決意
[装備]:ギャレンラウザー@仮面ライダー剣
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:守る為に、私は戦う!
0:できることをひとつずつ叶えたい!
1:傷付いた人がいたら助けたい。
2:この殺し合いを止める手伝いをしたい。
3:どうか静夏ちゃんやみんなが、この殺し合いに巻き込まれていませんように…!
[備考]
※参戦時期は劇場版にて、負傷した静夏を発見する前からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【ギャレンラウザー@仮面ライダー剣】
仮面ライダーギャレンが使用する銃型の武器。
本来はギャレンへと変身した際に出現する物だが、今ロワでは単体で存在、支給されている。
アンデッドが封じられたラウズカードを使う事によって、使用したラウズカードに封印されたアンデッドの能力を使う事が出来る機能が備わっている…が、ラウザー単体のみが支給されている為今のところこの機能は役には立たない。
また内部に蓄積されているエネルギーを変換して光弾を発射可能で、単発で発射するシングルモードと連射するバーストモードを状況に合わせて使い分ける事も出来る。
作中での描写からして、距離が近ければ近くなる程光弾の威力は増し、ゼロ距離でバーストモードにして連射した場合は、上級アンデッドであるギラファアンデッドを撃破できる程の威力となる。


359 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/20(土) 21:31:25 lwNWWlJw0
投下終了です。


360 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/21(日) 14:46:18 f9w/czHU0
投下します。


361 : 奇蹟 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/21(日) 14:46:36 f9w/czHU0
─あの伸びる腕と立体的な構造になった手で、体のテープを芯だけになるまでベリベリ剥がされた時の激痛。

その痛みに悶えるままに、只管のたうち回って迎えた凄惨な幕引き。



そして意識を取り戻したら殺し合えと言われ、見せしめとして惨たらしく殺された見知らぬ人間達を見た時の恐怖と怒りの感情。

─そういった惨事を続け様に経験してきたセロハンテープは、既に精神をすり減らしていた。

(あの連中はオリーさまの手下…なんかじゃないよな?)

彼は、主催者達については、自分が仕えていた主・オリー王と同じ手下である可能性も考えていた。

(といっても、オリーさまの紋章が付いた物も身に付けて無かったし…)

しかし、彼女たちの身につけていた物に、オリー王の紋章が付いているものを見受けられなかった点を考慮すると、そこにも疑問が残る所だ。

─そうして今の状況に恐怖を抱きながら、移動していると、足元(?)に気づけず水場に落ちてしまいそうになる。

(いっ、いけない! 色々考え事をしてて周りをよく見ていなかった─!)

その時の事であった。

「プイ!ププイ!」

突然、金細工の翼の様な物を体の左右に浮かばせた生物が飛んで来て、セロハンテープを抱えてくれた。

「へ!?」

この出来事には、彼も驚いた。

あわや水に落ちそうになっていたセロハンテープを助けたのは、モルカーのアビー。

彼もこの殺し合いに巻き込まれた参加者の一匹である。

彼はそんなものには乗らないと既


362 : 奇蹟 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/21(日) 14:47:00 f9w/czHU0
に決めており、他に巻き込まれた参加者達と助けようと動いていた。

そこで見つけたのがセロハンテープであった。



アビーはこの催しに招かれるより少し前、初心者マークが外れてヒーローになる事を夢見て、日々鍛錬を重ねていた。

そして鍛錬の成果が出て、初心者マークが外れたその日、飼い主からメイクを施してもらえる事になった。

理想のヒーローの様なデザインにしてもらえると、心躍らせてメイクが終わるのを待っていたのだが…

─なんと、メイクが終わったその姿は、理想のヒーローではなく、体毛の一部をピンクに染められ、体の随所にハートやグリッターの装飾、更には変身ヒロイン『魔法天使もるみ』のプリントを施された、所謂『痛車』であった。

当然アビーの理想とはかけ離れたデザインであり、しかもそのままの姿で飼い主と外出する事にまでなってしまった。

周囲からの視線も怖くなり、飼い主が買い物をしている間に、路地裏に逃げてしまった。

そんな彼が怯えて隠れていると、表の方から騒ぎ声が聞こえてきた。

ふとそちらに視線を向けると木に登ったまま降りられなくなっていた猫が居た。

─すると、自身の体に刷られていたもるみのプリントが意志を持ち、アビーに力を与えてくれた。

アビーの体が当然浮き上がり、そのまま猫の所まで飛んで行く。

落ちそうになっていた猫を空中でキャッチした事で、周囲の人々やモルカー達が彼を称えてくれた。

◆◆◆

見ず知らずの


363 : 奇蹟 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/21(日) 14:47:51 f9w/czHU0
誰かを助けようとする志はここでも変わらない。

─だがしかし、そんな彼らにも残酷な運命が待ち受けていることをまだ1匹と1体はまだ知らない…。
【セロハンテープ@ペーパーマリオ オリガミキング】
[状態]:健康 死への恐怖(極大) 精神摩耗(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくない
1:あ、ありがとう、動物さん(アビー)
2:オリガミのカワイコちゃん(オリビア)は大丈夫かな…?
3:オリーさま、許してくれないよな…
[備考]
※消滅後からの参戦となります。

【アビー@PUI PUI モルカー】
[状態]:健康 体毛の一部に染色 体の随所に装飾や『魔法天使もるみ』のプリント 『魔法天使もるみ』の奇蹟
[装備]:『魔法天使もるみ』の額飾り
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:セロハンテープを守る。
2:参加者達の救助をする。
[備考]
※第10話終了時点より参戦となります。


364 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/21(日) 14:48:13 f9w/czHU0
投下終了です。


365 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/21(日) 16:18:26 HhMdsicM0
投下します


366 : 科学と魔法が交差するとき、物語は始まる ◆7PJBZrstcc :2021/03/21(日) 16:19:04 HhMdsicM0
 殺し合いの会場と化した平安京のとある建物の一室。
 そこで、二人の男女が相対していた。

 男の名前はアルバート・W・ワイリー。
 白髭と白衣が特徴的な、とある世界で世界征服を企む悪の科学者だ。
 彼に相対する女の名前はパチュリー・ノーレッジ。
 隔離された世界、幻想郷にある吸血鬼の館、紅魔館の大図書館の主である魔法使いだ。

 二人が最初出会ったのは現在地である建物のすぐそばの道だった。
 最初は二人とも警戒していたものの、互いに殺し合いに乗っていないと分かったので、とりあえず近くの建物で情報交換することにした。
 そして今に至る。

「異世界。それに魔法か……」
「今更信じないつもり?」
「いいや、信じるとも」

 そこからもたらされた情報は、互いにとって未知である事柄が多かったものの、反応は大きく異なった。
 パチュリーからすれば、幻想郷の外には外の世界が広がっていることは百も承知で、魔法が廃れていることもよく分かっている。
 だが外の世界がどういうものかについてはそこまで詳しくない。
 故に彼女はワイリーの話を聞いてなお、彼は外の世界の住人だと理解するだけだ。
 もっとも、彼が世界征服を企んでいると聞いた時は驚いたが。
 主に、よくそんな面倒なことやろうと思ったな、という意味で。

 一方、ワイリーからすればパチュリーの話は驚愕に満ちていた。
 妖怪、妖精、魔法など。現世にて忘れられたあらゆるオカルトが集う幻想の為の郷。
 最初はさすがの彼も信じなかったが、パチュリーが宙を自在に舞うところを披露したり、簡単な魔法を見せるなどをすれば真実だと認めざるを得ない。
 そして真実だと理解した途端、彼は前触れもなく笑い出した。
 その様子を見て訝し気にパチュリーは問う。

「いきなり笑い出してどうしたのよ」
「何、納得しただけじゃ。
 それより小娘。一応確認じゃが、この首輪には魔法の力が使われているか?」
「小娘ってあなたね……」

 ワイリーの発言に呆れ嘆息するパチュリー。
 確かに外見からして老人であるワイリーと違って、パチュリーの外見は十代前半の少女である。
 だが実際の所は、彼女が魔法使いになった時の姿で成長が止まっているだけで、実年齢はワイリーよりも年上だ。
 なので彼に小娘呼ばわりされる筋合いはないのだが、同時に彼女は確信していた。

 この手のタイプは人の言い分を聞かない、と。

 それが分かっている以上いくら抗議しても無駄なので、パチュリーは軽く文句を言うだけにして、ワイリーの質問に対し首を縦に振った。
 首輪に刻まれた紋章は、間違いなく魔法の区分だと。

「やはりな」

 すると、ワイリーは得心したとばかりに頷いた。
 その理由が気になるパチュリーは尋ねる。

「何一人で納得しているのよ。説明をしなさい」
「ふん、この首輪は科学のものだが、実際は魔法の力も加えて作られている。なぜだと思う?」
「知らないわよ」

 パチュリーの問いに答えず、逆に今度はワイリーが質問を振ってきた。
 振られた方はそげなく流すが、ワイリーは気に留めることなく話し始める。

「魔法で首輪を作ればワシには解除できん。そして科学で首輪を作ればキサマが解除できん。
 ここまではいいな?」
「ええ」
「つまりじゃ」


367 : 科学と魔法が交差するとき、物語は始まる ◆7PJBZrstcc :2021/03/21(日) 16:19:26 HhMdsicM0

 ここでワイリーは一度発言を止め、息をゆっくり吸う。
 そして彼は叫んだ。

「あの忌々しい殺し合いの主催者共は科学力のみで言うなら、ワシを下回っておるということじゃ!!」

 なんだか話の方向が怪しくなってきた、とパチュリーは感じた。
 しかしワイリーの叫びは続く。

「まあワシの技術力を上回れる者など、三千世界を探してもトーマス・ライト以外ありえん!!
 じゃから魔法でその差を埋めにかかったというわけじゃ。全く、健気なことじゃな」
「…………」

 ワイリーの叫びに、パチュリーは最早言葉も出なかった。
 確かに彼の言う通り、首輪が元々は科学の産物で、そこに紋章という魔法の力を加えたものならその言い分は通る。
 だが実際の所、首輪も魔法の産物だとするなら前提が覆り、彼の叫びはただの妄言となり下がってしまう。

 という可能性も思い浮かんだが、確証がない今では水掛け論にしかならないので、パチュリーは黙っていることにした。
 そんなことは露知らず、ワイリーは一人立ち上がり、部屋の外へと歩き始める。

「まずは適当な参加者から首輪を手に入れて、それを基にサクッと外してやろう。
 そして最後には主催者共が持つ力を奪い取り元の世界に帰って、それを礎に最強のロボットを作り、今度こそ世界征服じゃあ――――っ!!
「元気ねこの人間……」

 どこまでもバイタリティ溢れるワイリーに対し、それについていけないのでテンションが低いパチュリー。
 しかし現状は彼について行くのが一番だと判断しているので、彼女は大人しくそれについて行くことにした。


【アルバート・W・ワイリー@ロックマンシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:こんな殺し合いはとっとと抜け出して、主催者が持つ力を手に入れ、その力で今度こそ世界征服できるロボットを作り上げる。
1:首輪を解除するために、首輪のサンプルを手に入れる
2:戦闘力のある、主催に抗う参加者と合流したい
3:魔法が手に入るなら欲しい
[備考]
幻想郷について把握しました。

【パチュリー・ノーレッジ@東方project】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:さっさと殺し合いから脱出し、紅魔館へ帰る
1:ワイリーと行動する
2:首輪解除の為にワイリーに知恵を貸す
[備考]
ロックマンシリーズの世界観を把握しました。
ワイリーを外の世界の住人だと思っています。


368 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/21(日) 16:19:49 HhMdsicM0
投下終了です


369 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 18:01:29 VLkQZmcc0
投下します


370 : ハイテンション・エクスプローション ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 18:03:36 VLkQZmcc0
○ ○ ○


空を覆うは紅き天幕、空に浮かぶは緑光の光り輝く歯車の大地
ガチガチ、ガチガチの鋼鉄の歯軋り音を奏でながら、歯車は回り続ける
紅幕の真下、広がるは夜空の色に染まる平安の都

然して今の都は混沌に溢れている。立ち並ぶは古都に似合わぬ建造物が立ち並び、謂わば無秩序の五目並べ――その一角、ガラス張りのトラスが張り巡らされた、古都には似合わぬ文明的な建物。中央に配置された時計はその場違いに気を止めず只々時を刻み続ける





「虹ヶ咲学園だ……」
「場違いにしたって程が過ぎてデース」

エントランス前に立つのは二人の少女
一人は、毛先をネギ色に染めた黒髪を2つに纏めた、制服を纏った小柄な少女
もう一人は同じく制服を纏いながらも、隣の少女よりも一回り背の大きい金髪少女。因みにその胸は豊満である

黒髪少女の名は高咲侑、この虹ヶ咲学園所属の普通科2年
そして金髪少女の名は古波蔵エレン。長船女学園高等部1年生。―――人々を荒魂から守る、刀使の一人

「うん、場違いって言うよりも、なんであるかって疑問の方が大きいっていうか……」
「そりゃ自分が通ってる学園がこんな所にあったらだれでも驚きマスよね……」

二人の出会いは数十分前。森の中にいたはずである古波蔵エレンは気が付くとこの血色の空に染まった平安京に居た
大荒魂タギツヒメと融合した十条姫和。そんな彼女と唐突に戦いたいと言い始めた衛藤可奈美。衛藤可奈美の戦闘狂っぷりはエレンも理解ていたが、状況が状況な為思わず怒りの言葉が飛び出してしまった
タギツヒメが何かを仕掛けたと思っていたが、メフィスとフェレスなる荒魂ではない邪悪な何かが元凶であり、もしかすればタギツヒメ毎巻き込まれてここにいるなどという最悪の想定がエレンの脳裏にも過ぎっていた
当然のごとくこんな殺し合いに乗るつもりもないと意気込んだ反面、自身の御刀・越前康継は没収され手元になく、代わりに申し訳程度と言わんばかりの木刀『神木・黒那岐丸』
ただし問題はそういう事ではなく、御刀が奪われているという事自体が刀使にとっての大問題である。刀使は御刀を介して隠世から超常の力を引き出す。写シや迅移、エレンの得意とする金剛身等はこれによるものだ。しかし御刀が無ければそういう類のものは一切使えないのだ
けれどもそんなことで文句は言っていられない。靴底に仕込んでいた万能鍵もご丁寧に奪われている以上首輪の解除もままならない。最も、あったとしても解除できるとは思えないのではあるが
離れ離れになった可奈美達を探すために足を進めた最中に出会ったのが高咲侑。軽い自己紹介はしたが落ち着いた場所で改めて情報交換という所でたどり着いた先が、よりにもよって虹ヶ咲学園なのであった


371 : ハイテンション・エクスプローション ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 18:03:55 VLkQZmcc0


エントランス前に配置された白いテーブルと椅子。これもまた平安京に似合わない異質な異物。テーブルを介して高咲侑と古波蔵エレンは話し合っていた

「う〜ん、すみませ〜ン。スクールアイドルなんて聞いたことないですネ。そっちも刀使や荒魂の事を知らないようですし、そこはもうおあいこデース」
「ご、ごめんなさい……でも、本当に刀使とかなんて単語すら聞いた事も無いからさ」
「気にしないでくだサーイ! ゆんゆんも私も会って間もないですし、これから仲良くなってけばいいだけデース!」
「……ゆんゆん?」

どこぞの中二病一族唯一の常識人みたいなあだ名に、侑は思わずお間抜けな返事が出てしまう。この古波蔵エレンという人物、生粋のムードメーカー気質である。侑からすれば同じスクールフェス同好会の宮下愛を彷彿とさせる……その明るい性格もそうだが、胸の大きさの方も

「まあ、細かい事は一旦置いといテー、ゆんゆんはこれからどうするつもりだったんデスかー?」
「……まずは、同好会のみんなを探しに行こうと思ったんだけど。……ううん、本当は少し、怖い、かな」
「それは仕方のないことデスよ。こんな状況、私だって不安になってしまいマス。意外そうって顔してマスねゆんゆん?」
「いや、何ていうか、こんな状況で全然動じてないように見えたから……」
「こんな時こそ周りを見るのが一番大事なのデス! 私だって、薫や、可奈美たちの事が心配デスから」

気丈に振る舞っていて、その内心には確かな不安と寂しさを持ち合わせている。知り合いを探すことに精一杯だった自分とは違い、彼女はそんな思いを抱きながらも見ず知らずの自分を励ましてくれる
物理的な背の高さの違いもあった、それとは別に高咲侑は古波蔵エレンが高く感じた。実際住んでいる世界の違いが、事実的にも精神的にも明らかであった

「それに、ゆんゆんの事は私がお守りしマース! なのでゆんゆんは安心して下サイ!」
「あ、あはは……ありがとう。エレンさん」
「刀使として、至極当たり前の立ち振舞というだけデー………」

そんなエレンの、太鼓判を押すかのごとく宣言に、多少苦笑いしながらも信頼の思いを込めて侑はお礼を言った。それに当然のことと言わんばかりに言い返すエレンであったが、突如言葉を切り止め、空気が変わる

「―――」
「……エレンさん?」
「ゆんゆんは私の後ろに」

さっきとは全然違うエレンの言葉に、思わず侑は指示に従い後ろへ下がる。その直後、それは姿を現した―――


372 : ハイテンション・エクスプローション ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 18:05:17 VLkQZmcc0
○ ○ ○

その男、この場に似合わぬ『白』の不気味さそのものであった

赤い空と反目するかの如く、その男の身嗜みは白い帽子と白いスーツ、目玉の付いたステッキ

男の背後には明らかに異形としか言いようのない怪物が一体、男に付き従っている

それは男よりも一回り大きな肉体を持ち、その蜘蛛のような顔に備えた複眼は赤く輝いている

「はぁ〜い? マドモワゼル? 今晩はいい月だね?」

異質、その一言。女に対しての常套文句を口ずさみ、不気味に微笑むその男。背後の佇む蜘蛛顔の怪物
その男の不気味さと怪物の無機質さ両者の視線に高咲侑は内心怯え、エレンはそんな二人に啖呵を切る

「残念デスけど、私は男なんかに靡くような軽い女じゃ無いデース!」
「これでも顔には自信はあるんだけれどね。まあいいさ、別に僕は君たちと争いたくて来たわけじゃない」
「どういうことデスカ?」

男の言葉にエレンも、背後の侑も思わず眉を顰める

「僕と手を組まないかい? 見目麗しきお嬢さん方?」

男から発せられたのはあからさまに怪しすぎる提案

「お断りデス。断っても無理やり従わせる魂胆が丸見えデショウ」
「……へぇ」

勿論のことエレンは即答で否定。侑も一瞬「本当に協力しに来たのかな」とは思ったが男の視線があからさま過ぎたためエレンと同意見

「……それに、その言葉に嘘偽りはなくとも――殺し合いに乗るつもりデスネ?」
「分かってるじゃないか、お嬢さん」

エレンの言葉に、男は少しばかり薄ら笑いを浮かべながらも言い返す。ステッキをクルクルと片手で回しながら、その瞳は真っ直ぐとエレンを見据えている

「いいさ。間抜けどもなら言葉巧みに言い包めれたら楽だとは思っていたが、世の中そう簡単には行かないようだ」
「だったらもう一度現実の厳しさってのをその頭に叩き込んであげマース!」

抜刀――黒那岐丸を構えるエレン。それに対して目の前の白装束の男は「ふふふ」と笑い、回していたステッキを止め、地面に付ける

「現実の厳しさを知るのはどちらかな、お嬢さん? ―――痛めつけろ、但し殺すなよ」

男の言葉と共に指パッチンが鳴り響き、背後にいた怪物が猛ダッシュで迫る。その豪腕を二人に向けて振り翳す
その豪腕を侑を庇うように木刀一本で防ぐ。防いだ際の衝撃波が周囲に迸り、周りにあった他の椅子やテーブルを飛び散る鳩の如く吹き飛ばされる
真近くにいた侑はその衝撃か、目の前で繰り広げられる戦いに震えてか、それとも戦場特有の気配に気圧されてか、動きたくとも指一つ動かせずにいた

(思った以上にこの木刀頑丈デース。でもそれ以上に―――)

エレンは心の内で木刀の耐久度に感心しながらも、目の前の蜘蛛顔の怪力や頑丈さを冷静に見極めていた。男の指示で動いていた所を見るにこの怪物は何かしらの手段で操られている。それでもその狂戦士じみた暴力的な責めを受け続ければ流石にこちらのスタミナが持たない

(だったら――)

鍔迫合う木刀と豪腕。痺れを切らした怪物が残った片腕を振るう。だがその間隙に木刀を滑らすようにして豪腕を地面に誘導。クレーターと共に地面に突き刺さった豪腕をジャンプ台代わりに利用、跳躍。そのまま怪物の片足に向けて振り下ろす

「せりゃあ!」

木刀は直撃、怪物の片足はバランスを崩し、倒れる。勿論すぐに起き上がるだろうから目的は撃破ではなく、いつの間にか姿をくらました白装束の男の行方。先の攻防で少許侑から目を離していたのを男が見逃すはずもない

一瞬の思索、その直後に侑の背後に男の姿。古波蔵エレンはそれを見逃さない

「そこデス!」
「ぬぅ……っ!」

姿が見えた時点で男に向けて突きを繰り出す。男はステッキの柄で防ぐ。だがエレンはそれを見逃さず、杖を掴み男の行動を制限。さらに追撃として男の腹に右足からのキックを炸裂

「ぐげぇぇぇっ!?」

蹴り飛ばされた男は窓ガラスを突き破り、向こう側へ吹き飛ばされる。横目を向ければ先程の怪物は既に起き上がっている。怪物への先の足への一撃、思いっきり切り裂くつもりで振るってはいたが、木刀とはいえその尋常ではない耐久力に阻まれた。相手のタフネスと男の能力がわからない以上長期戦に持ち込まれればこちらが不利。――なのでこの場で取る行動は一つ

「戦略的撤退デス! ゆんゆん、付いてきてくだサイ!」
「は、はい!」

立ち上がれた侑の手を取り、エレンはこの場から退散。御刀無しでかつ侑という一般人を連れている以上、あの怪物相手はあまりにも手厳しい。それ故の撤退であった


373 : ハイテンション・エクスプローション ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 18:05:50 VLkQZmcc0
【古波蔵エレン@刀使ノ巫女】
[状態]:健康
[装備]:神木・黒那岐丸@Re:CREATORS
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗るつもりはありまセーン
1:ゆんゆんの事は私がお守りしマース
2:薫や可奈美達が心配デス
3:今は戦略的撤退デス!
[備考]
※参戦時期はアニメ版21話、可奈美が融合した十条姫和との戦闘開始直後です
※御刀がないので写シ等の能力は使えません

【高咲侑@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:みんなの事が心配
1:エレンさん、まるで愛さんみたいです……
[備考]
※参戦時期はアニメ版ですが後続の書き手にお任せします






○ ○ ○


「ハナからまともに戦うつもりは無かったってわけだ。殊勝な判断だ」

ガラス破片に塗れた床から、ホワイトが起き上がり、一張羅に付いた破片を振り払う。怪物もまた二人の姿を見失った後、沈黙していた

「……やってくれたなガキどもが」

苛立ちの言葉が零れ出る。あの時もそうだ、自分が持ちうる超能力、それを以ってギース・ハワード無きサウスタウンを支配した。だがその栄華もアルフレッドとかいうガキンチョにぶち壊れた
目を覚めれば妙ちくりんな連中が開いた殺し合い。会場に飛ばされた矢先にいたのはでかい蜘蛛顔の化け物。だがそいつはビリー・カーンの時みたいにマインドコントロールしてやった

「――まあいい。使えるやつはまた探せばいいからな」

冷静さを取り戻し、怪物を連れ次なる場所へ向かう。男の名はホワイト、マインドコントロールに長け、超能力を操る死の商人
そしてそれに付き従う化け物はホワイトに操られた傀儡。偽りの絆によって自我を奪われた鬼の一体でしかない

「精々指を加えて見ていることだなメフィス、フェレス。最後に全てを支配するのはこの僕なんだからな!」




【ホワイト@RB餓狼伝説SP DOMINATED MIND】
[状態]:ダメージ(小)、エレンに対する苛立ち(小)
[装備]:ホワイトのステッキ@RB餓狼伝説SP DOMINATED MIND
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:いずれ主催すら出し抜いて全てを支配する
1:あのガキども(古波蔵エレンと高咲侑)は次出逢ったら容赦はしない
2:手駒に出来る奴を探す
[備考]
※参戦時期はアルフレッドに倒された後

【累の父@鬼滅の刃】
[状態]:ホワイトによる精神操作、足へのダメージ(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:ホワイトの命令に従う
1:―――
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします
※ホワイトの精神操作によってホワイトの命令に従っています


374 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 18:06:04 VLkQZmcc0
投下しました


375 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 18:18:41 VLkQZmcc0
皆様投下ありがとうございます!

>新たなる希望
愛する人を救わんがために闇に落ちし戦士
どちらにしろ過酷な道を辿ることには変わりなさそう

>Ill keep coming
BBさんの首輪解除手順面倒くさい感じでなんか草
そして初の将神枠はまるでヤンデレだぁ

>俺、殺し合いに参加します。
お前はほんまブレねぇなぁマイブラザーw
とりあえずツインテール同士が出来たようで何よりです

>今度は自分が助けに行く番
頑張る心意気は見事だけどあの下衆双子+クソワラビはそうそう許してはくれないんだよなぁ

>怪獣娘と夜の愛し仔と時々オバケ
ぶっちゃけこっちもオバケと幽霊は似たようなものだと思ってます(小並感)

>京都輪廻
まさかの方治単体とは珍しい所

>帝国軍の黒き司令官
セイダーさん中々の野心持ちだけどまあ頑張れっていうか

>ムゲンの戦いが此処に在り
まさかのMUGEN勢からの参戦! というかナイアさんがどう動くか見もの

>二人は被造物
原作だとそこまで絡みがなかった感ある二人。危険故にほっとけなかったメテオラさんですが利用されないか心配な所

>剣と魔王のファンタジア
ドキュンサーガ勢だぁ! 一度敗れた経験から油断しなくなった勇者エドワード・ハインリッヒくんに期待

>泣き虫な魔女(ウィッチ)と紫紺の戦士(仮面ライダー)
なんというかどっちもメンタルが豆腐というか、うん。頑張れ

>日米スピードスター対決!
お互い速さに自身があるが故に仲良くなるのも早かったってか

感想が苦手故このような感じになってしまって申し訳ございません
ちなみにコンペ期限は5/5までとなっていますので今後ともこの企画をよろしくおねがいします
意見等があればどしどしどうぞ


376 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 23:35:08 VLkQZmcc0
投下します


377 : 復讐の前に我はあり ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 23:35:31 VLkQZmcc0
「――どういうことだ」

赤に染まった夜の中、キノコの笠のような被り物を頭に被った、筋肉モリモリマッチョマンの男が首を傾げていた

信じられないと思うが、彼はキノピオである。明らかに筋肉隆々の超兄貴なのだが紛れもなくキノピオである

このキノピオは正史の存在ではない。英雄から鬼畜王と化し、キノコ王国の新王として暴虐の限りを尽くし、挙句の果てキノコ王国を滅びに追いやったマリオへの復讐を誓ったキノピオだ。
だが、力及ばず彼はマリオに敗れた。―――そのはずの自分が、こんな辺鄙な場所にいた

「何故、俺はこんな所に」

だが、いくら復讐に身を落とそうともキノピオはキノピオ。マリオを炙り出すために共犯であるヨッシーの村を焼き討ちはするが、無関係な人間を巻き込むほど外道には堕ちてはない

「……何者かは知らないが、ふざけたことをしてくれた!」

それは、紛れもない主催への怒り。無残に殺された少女たちの無念を晴らすため、復讐者は戦士として立ち上がる

「マリオへ復讐する前に、このキノピオ様がピーチ様にかわっておしおきよ!」



【キノピオ@鬼畜王マリオ】
[状態]:健康、主催への怒り
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:無辜の少女を無惨に殺す主催どもめ! このキノピオ様がピーチ様にかわっておしおきよ!
[備考]
※参戦時期はマリオに倒された後


378 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/21(日) 23:35:42 VLkQZmcc0
投下終了します


379 : ◆OmtW54r7Tc :2021/03/22(月) 09:59:56 WLCbMtSQ0
投下します


380 : 父親、そして運命 ◆OmtW54r7Tc :2021/03/22(月) 10:00:53 WLCbMtSQ0
「じゃあ俺たち、どっちも死人…幽霊なんですかね」
「さあ…どうだろうな。バン王のように、死人を蘇らせられる願いすら叶える神様もいるくらいだ」

二人の男が、話をしていた。
一人は、スタン・エルロン。
かつて世界を救い、四英雄と呼ばれた男であり、父親である。
もう一人は、バーグ。
伝説のバンカーと呼ばれた男であり、父親である。
二人の父親はこの殺し合いの場にて出会い、そして情報交換を行った結果、どちらもここに連れてこられる直前、殺された記憶があるというのだ。

「ルーティにロニ、孤児院のみんな、そしてカイル…みんな無事だといいんだけど」
「ああ、俺も息子…コロッケがあの黒マントに殺されてないか心配だ」

自身が殺されたというのに、殺し合いという場に呼ばれたというのに、二人が心配するのはやはり残された大切な家族の安否だった。
一度死んで自分の生に無頓着になった…などというわけではない。
それは、殺される以前からの、彼らの性(さが)であった。

「俺たちが生きてるのか死んでるのか、どういう存在なのかは分からないけど…やることは一つですよね、バーグさん」
「ああ、この悪趣味な催しをぶっ潰して、家族のもとに帰る!」
「幽霊だったら、帰れないんじゃないですか?」
「おいおい無粋なこと言うなよ、スタン。それならそれで、あいつらのこと見守ってやればいいさ」

それに、と言ってバーグは言葉を続ける。

「これは予感なんだがな…もし俺が死んでも、息子が…コロッケが、願いを叶えて俺を生き返らせてくれそうな気がするんだよな」
「…奇遇ですね。俺の世界には、バーグさんの言うバン王みたいな神様はいないけど…何故だか俺も、カイルの奴が俺の運命を救ってくれそうな予感がしてるんです」
「はは、お互い親バカだな」

そういってバーグが笑うと、つられるようにスタンも笑った。
そうしてひとしきり笑った後、スタンがバーグに尋ねた。

「そういえばバーグさん、剣とか支給されてないですか?俺の支給品にはなくて…」
「剣…そういやあったな。俺には不要なものだし、お前にやるよ」

そういって渡された剣を受け取るスタン。
そしてその剣を見た瞬間、目を丸くする。

「嘘…だろ?」
『お前…スタンか!?我の知るスタンより、いくらか老けて見えるが…』
「ディムロス!」

こうして運命の物語は、再び動き始める…


381 : 父親、そして運命 ◆OmtW54r7Tc :2021/03/22(月) 10:01:59 WLCbMtSQ0
【スタン・エルロン@テイルズオブデスティニー2】
[状態]:健康
[装備]:ディムロス@テイルズオブデスティニー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止め、家族のもとに帰る
1:ディムロス!?
2:バーグと行動する
[備考]
※参戦時期はバルバトスに殺された後

【バーグ@コロッケ!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止め、家族のもとに帰る
1:スタンと行動する
[備考]
※参戦時期は死亡後

【ディムロス@テイルズオブデスティニー】
千年前の天地戦争時代に作られた意思を持つ剣型兵器、ソーディアンの一つ。
炎の力を操ることができる。
剣自体の攻撃力も高く、白兵戦向きの性能をしている。


382 : ◆OmtW54r7Tc :2021/03/22(月) 10:02:30 WLCbMtSQ0
投下終了です


383 : ◆2zEnKfaCDc :2021/03/22(月) 13:51:00 j0zqAwvU0
投下します。


384 : ◆2zEnKfaCDc :2021/03/22(月) 13:51:12 j0zqAwvU0
「みんなを殺人者の彼女にさせるわけにはいかない!」

ㅤ殺し合いという地において、愛城恋太郎が真っ先に心配したのは、自分の命などではない。この殺し合いに優勝した場合であっても、多くの人を殺したであろう自分と付き合っている彼女たちが社会から後ろ指を指されることである。恋愛モンスターもここまでくるともはや怖いね。

ㅤしかし、当然自分が死ぬのも嫌だ。大好きな彼女たちと二度と会えなくなるのは死ぬより辛いし、彼女たちが悲しむことになるのはもっと辛い。死ぬなんて、死んでもお断りだ。

ㅤ優勝するのはダメ。かといって死ぬのもイヤ。恋太郎は完全に詰んでいた。

「優勝するのはダメ。かといって死ぬのもイヤ。俺は完全に詰んでいるなぁ……。」

ㅤ展開の都合上、地の文でも言っていたことをわざわざ声に出し直していた恋太郎。

「――諦めるのはまだ早いぜ。」

ㅤそんな彼の独り言を聴いていた者から、救いの手が差し伸べられる。

「き、君は――!」

ㅤ恋太郎の前に、突如として意味深に現れたキャラクター。経験則上、目と目が会った瞬間にビビーンと衝撃が迸り、そして恋が始まる予感だ。

「……がいこつ?」

ㅤある意味で、衝撃だった。目の前の人物には、皮膚と呼ぶべきものがない。人間の子供のような体格で、ちゃんと服を着て、動いて喋ってはいるものの、見た目という、五感で知覚できるものの中でもとりわけ重要な部分が文字通り人間離れしていた。それを目の当たりにして、恋太郎は思う。


385 : ◆2zEnKfaCDc :2021/03/22(月) 13:51:40 j0zqAwvU0
(とうとう出ちゃったよ……!)

(これまでも人智を超えた動きはあったけど、ちゃんと人間の域は出ていなかったのに……!)

(人外……!ㅤそれも馬の擬人化とかそういう系じゃない、グロめのモンスター的なやつ……!)

(いいのか!?ㅤこれを恋太郎ファミリーに加えて、本当にいいのか……!?ㅤ人気落ちて打ち切りとかになったりしないか……?)

(読者の皆様、もしかしたら作者は迷走しているかもしれませんが……)

(それでもどうか、これからも君のことが大大大大大好きな100人の彼女を、何卒よろしくお願いします……!)

「待て待て、オイラをヒロインにするな。」

「あ、はい。あと目が無いから目が合うことがそもそもないですね。」

ㅤそしてがいこつ、もといスケルトンは、自身の名を『サンズ』と告げた。銀色に輝くホネ身は紅い月に照らされてどす黒く染まり、観測する者の恐怖を駆り立てる。

「えっと……諦めるなと言うけど……一体俺はどうすれば?」

「ふっふっふ……このSSのタイトルを見てみな。」

「ハッ……殺し合わずに生還するたったひとつの冴えたやり方!ㅤ……って、そんなものがあるんですか?」

ㅤ恋太郎としては飛びつかずにはいられない。何かを失うことも、何かが変わることもなく、平穏に今までの日常が帰ってくるのならそれに超したことなどない。

「とても簡単さ。」

「勿体ぶらずに教えてください!」

「まあ落ち着こうぜ。シュレディンガーのホネって知ってるか?」

「知りません。」

「要は体の中のホネはスケルトンになるまで折れてるか折れてないか分からないってことさ。」

「つまりどういうことですか?」


386 : 殺し合わずに生還するたったひとつの冴えたやり方 ◆2zEnKfaCDc :2021/03/22(月) 13:52:51 j0zqAwvU0
「つまり――この話がコンペで選ばれなければいい。そうしたら優勝するなんて有り得ないし、もちろん死ぬこともない。舞台裏で元の日常にしれっと帰してもらうのも自由ってわけだ。」

「な、なるほど!ㅤ具体的には何をすれば?」

「現地点で結構選ばれにくい発言はしてるはずだけどな……悪いけどアンタ、個性は強いからそこそこ選ぶのにオイシイキャラなんだぜ。これだけじゃあ、足りないかもしれねえ。」

「オイシイキャラといえばあなたもだとは思いますけどね。」

「まあまあ、この話の内に選ばれない努力を最大限やってみようぜ。」

「一体何をすれば?」

「それはな……ごにょごにょ」

ㅤサンズは恋太郎に何かを耳打ちする。すると恋太郎はなるほど、と頷き、そして口を開く。

「宣言します!」

ㅤビシッと右手を上げる恋太郎。

「俺、愛城恋太郎は、これから先に出会う相手がどんな人であっても、原作がハーレムを許容するのをいいことにクロスオーバー先の相手と恋人関係になることなど、決して致しません!ㅤ俺の恋人は原作で登場済み・登場予定の100人が上限です!」

ㅤそう、展開のネタとなりうるものを先に潰したのだ。リレーのハードルを無意味に引き上げる謎の所業。こんなものがコンペで通ることなど到底有り得ないだろう。

ㅤしかしそれだけでは終わらない。あの怠け者サンズが、努力をするとまで言ったのだ。宣言ひとつで終わるはずがない。

ㅤサンズは手のひらを恋太郎に伸ばす。

「あれ?ㅤ急に景色が変わった……?」

「オイラのしわざさ。オイラ近道知ってんだ。」

ㅤ文章媒体なので伝わりにくいかもしれないが、恋太郎たちはどこか違う場所に瞬間移動していた。そう、ホネのずいまでなまけものを謳われる男サンズは、時に歩く描写すら省略してしまう。

ㅤ瞬間移動で展開を壊すかもしれない彼を、本当に参戦させていいんですか……?


387 : 殺し合わずに生還するたったひとつの冴えたやり方 ◆2zEnKfaCDc :2021/03/22(月) 13:54:26 j0zqAwvU0
「そして、次だ。」







































「ムダに改行しまくってみたぜ。」









「なるほど、



こんな

謎改行で



読みにく


い作品なんて


388 : 殺し合わずに生還するたったひとつの冴えたやり方 ◆2zEnKfaCDc :2021/03/22(月) 13:54:52 j0zqAwvU0




まあ選




びたくなんかないで


















すよね。」

「おう、その意気だ。そして次が最後だ。ごにょごにょ」

ㅤサンズは再度、恋太郎に耳打ちをする。それから、2人は続きを書きたくない状態表になるように各々の状態に細工をし始めた。システムメッセージにまで干渉する問題児など、二度とこのロワでお目にかかることはないだろう。

「これでバッチリだ。さあ、これがこのロワで見る俺の最後の台詞だろうぜ。」

「ありがとうございました!」

ㅤさてさて、果たして彼らは、このロワ参戦を回避することができるのか?ㅤその答えは、神と主催者のみぞ知る……。

【愛城恋太郎@君のことが大大大大大好きな100人の彼女】
[状態]:全裸、ハゲ化
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうせ続きは書かれまい。

【サンズ@UNDERTALE】
[状態]:死にかけの重体(自称)
[装備]:無いぜ。
[道具]:重かったから全部捨てたぜ。
[思考・状況]
基本方針:殺し合わなくてもクリアできるのがウチの醍醐味だぜ。


389 : ◆2zEnKfaCDc :2021/03/22(月) 13:55:14 j0zqAwvU0
投下終了しました。


390 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/22(月) 14:49:49 E1ltaG0k0
投下させていただきます。
コンペロワに投下したものを修正したものになります


391 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/03/22(月) 14:51:30 E1ltaG0k0
暗闇の中に、『スパイダーマン:スパイダーバース』のBlu-ray&DVDセットのケースが置かれた。

☆☆☆

OK!じゃあもう一度だけ説明するね。
僕はマイルス・モラレス。
放射性の蜘蛛に噛まれてから、今まで数ヶ月間、この世にたった一人の『スパイダーマン』だ!
後は知ってるよね?
僕は他の次元からやって来た『スパイダーマン』達と一緒にキングピンの野望を打ち砕いて、
僕の世界の初代スパイダーマン『ピーター・パーカー』の代わりに、街とそこに住む人達を救う毎日を送っていたんだ。
そしたらある日……突然妙な事が起きたんだ。

本当に妙な事が。

どういう訳だか……僕は爆弾入りの首輪を付けられて、『殺し合い』に強制参加させられてしまったんだ!
まるで『ハンガーゲーム』みたいだよ!
説明の場所には、僕以外にも何十人もの人達が集められていた・・・何の罪も無い人達を誘拐して、殺し合いをさせるなんて許さない!
僕は絶対に、この『殺し合い』を止めてみせる!

☆☆☆

会場についてすぐ、僕は古めかしい街の中をスイングしながら移動してた。
幸か不幸か、僕のスパイダーマンコスチュームのウェブシューターは取り上げられなかったんだ。
僕が会場に送られた時、周りには他の参加者達の姿はなかった。
一刻も早く巻き込まれた人を助けないと!

僕は赤い月に照らされた昔のアジア風の街を急いで移動していく。
それにしても、この街は前に社会の教科書で見た千年前の日本の首都『ヘイアンキョウ』にそっくりだ。

こんな凝った会場を殺しあいのために用意するなんて、お金かけてるなぁ……なぁ〜んて僕が考えていた時だった。

突然、目の前の空中に、背中から天使みたいな翼を生やした黒い服の女の子が現れたんだ。
しかも僕がスイングで移動しようとしていた場所に!

「うわぁっ!どいてぇー!!」
「……えっ?」

僕は女の子に向かって叫んだけど、少し遅かったみたいだ。
僕は天使みたいな翼のある女の子に、空中で正面衝突しちゃったんだ!

「うわあぁぁ!?」
「きゃあああ!?」

女の子の方も受け身が取れなかったみたいで、僕達二人はとあるお寺の中に墜落しちゃったんだ。

「イタタタ……」
「うーん……」

幸い、お寺に生えていた木の小枝や落ち葉がクッションになったおかげで、
僕も女の子にも目立つケガはついていなかった。
僕はぶつかってしまった女の子に覆い被さっている態勢になってて、女の子の方は地面に仰向けに倒れてた。

それにしても、改めて見てみるとキレイな娘だなぁ……。
歳はだいたい僕より少し上くらい。
銀色の髪を肩に付くか付かないかくらいに切り揃えていて、下手なアイドルやセレブ歌手以上に整った顔をしている。
背中から黒い羽根の翼が生えてる事と合わせて、なんだか教会の絵から抜け出したみたいな神々しさすら感じてしまう程の美少女だ。
グウェンやペニーとどっちが可愛いかなぁ〜……って、何を考えているんだ僕は。

「……大丈夫!?ケガしてない!?」
「う、うん……平気」
「ゴメンね!いきなりぶつかったりして……」
「私こそ、よそ見しててゴメンね」

女の子が僕に謝りながら起き上がろうとした時だった。

ふにょん!

「きゃっ!」
「……えっ?」

僕の手が、なんだかものすごく大きくて柔らかくて手触りの良い感触を感じ、女の子が小さな悲鳴を上げた。
ま、まさか……。
僕は恐る恐る視線を女の子の顔から下げる……そうしたら……。
僕の右手は、
目の前の女の子の、
スパイダー仲間のグウェンやペニーよりも三回りは大きな胸を、
鷲掴みにしていたんだ。

「うわあぁぁ!ご、ゴメン!!」

僕は慌てて、女の子の胸から手を離したけど……これが余計に不味かった。

ビリリッ!

『……えっ?』

僕はあまりに慌て過ぎていて、パワーの制御ができていなかったらしい。
僕の右手のひらは女の子の服にくっついていて……
僕が手を離そうと瞬間、女の子の服の胸元の辺りの布が一緒に破けて……
女の子の、
僕の数少ない女子友達であるグウェンやペニーよりも遥かに大きな胸が、
剥き出しになってしまったんだ!

「……キャアアアアアアア!!!」
「うわあぁぁ!?ごごごごゴメン!!」


392 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/03/22(月) 14:52:25 E1ltaG0k0
女の子は剥き出しになった胸を両手で隠しながら悲鳴を上げ、
僕も慌てて女の子から顔を背けた。
クソっ!何やっているんだ僕は!?
いくらわざとじゃないからって、これじゃあ『痴漢』と変わらないじゃないか!?
僕が自己嫌悪と罪悪感に震えていると……。

「……どうした!?大丈夫か!?」

……僕と女の子の前に、また別の参加者らしき人が現れた。
紫色の背広を着て眼鏡をかけた緑色の髪の男の人だ。
ペニーに似ている顔つきからして、アジア系……それも中国か韓国か日本辺りの人だ。

「……えっ?」

突然現れた男の人は、固まってしまっていた。
それはまあそうだろうな……。
何せ今、僕は全身タイツにマスク姿という格好で歳の近い女の子に覆い被さっていて、その女の子は服が破かれて胸が丸出しの状態なんだから。
うわぁ〜……自分の事だけど、凄い犯罪チックな光景じゃないか。

「あ〜……」

男の人は僕達を眺めながら顔を赤くして、頬を指で掻きながら所在なさげにしていた。
そして……

「……す、すまない。邪魔をしたな。ちゃんと避妊するんだぞ」

……おもむろにそう言うと、僕達から背を向けて歩きだして……

「いや待って!ちょっと待って!!」

ここで変な勘違いされたまま立ち去られると、不味いんだけど!
僕、レイプ犯扱いされちゃうよ!!
僕は必死に男の人を呼び止めた。


393 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/03/22(月) 14:53:08 E1ltaG0k0
☆☆☆

暗闇に置かれた『スパイダーマン:スパイダーバース』のBlu-ray&DVDセットのケースの両脇に、
テレビアニメ版『うたわれるもの』のDVDボックスと
『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』のBlu-rayボックスが置かれた。

☆☆☆

「ハァァァァ……」

僕はお寺の片隅で体育座りをしながら、深〜〜いため息をついていた。
後ろからはごそごそと衣擦れの音がしているけど、僕はまっすぐ正面を向いていた。
そこに、あの背広の男の人が僕の背中にポンっ!と手を置いた。

「まぁ、その……悪かったな。色々勘違いして……」
「いや……元はと言えば僕が悪いから……」

背広の男の人から背中を擦られながら、何だか自分が無性に情けなく思えてきた。
『参加者を救う』とか息巻いてたのに、見ず知らずの女の子に、不可抗力とはいえ痴漢まがいのことをするなんて……大したヒーローだよ、僕は。
これじゃあ、ピーターやグウェンに笑われちゃうなぁ……。

「えっと……もう良いよ」

背後の衣擦れの音が止んで、あの黒い翼の生えた女の子の声がした。
どうやら支度が終わったみたいだ。
振り替えると、さっき僕がセクハラを働いてしまった翼の生えた銀髪の女の子が、お寺の本堂にちょこんと座っていた。
さっき僕が破いてしまった服の上から、僕の隣にいる男の人が着ていたジャケットを羽織って、むき出しになってしまった胸元を隠していた。
まぁ、よく見るとだいぶ胸の谷間が見えるし、背中の翼が窮屈そうだったけど……丸出しよりはまだましな格好だ。

「……本当にゴメン!!わざとじゃないとはいえ、女の子にあんな真似しちゃって……本当にゴメン!!」
「もう……別にもう気にしてないって言ったじゃない。あれは事故!もう忘れようよ?ね?」

とんでもないセクハラをしてしまった僕を、女の子は軽く許してくれた。
優しい子だな……。
もし学校のクラスメートに同じ事したら、例えわざとじゃなくても一生口聞いてくれなくなっちゃうのに……。

「……あ」

そこで僕はまだ自己紹介をしていない事に気づいて、マスクを外した。
ピーターには『誰にも正体を明かすな』って言われたけど、あんな真似を働いちゃった相手なんだからしっかり顔を見せて挨拶しないと。

「えっと……遅くなったけど、僕はマイルス」

僕は女の子に右手を差し出した。

「……私はカミュ。よろしくねマイルス君」

女の子……カミュはニッコリ笑いながら僕の手を握り返し、僕らは握手を交わした。
散々な出会いだったけど、思えばグウェンの時も似た感じだったんだ。
きっとカミュとも友達になれる。
確証はなかったけど、僕にはそう思えた。

「……僕もまだ名乗ってなかったな」

それまで黙っていた背広の男の人が、僕とカミュの手の上に自分の手を置いた。

「……警視庁の柴来人(しば らいと)だ。よろしくな」

男の人・・・柴さんの顔には、優しげな微笑みが浮かんでいた。
シバライト。
やっぱり日本人なんだ。
『ケイシチョウ』って、確か日本の警察の一番偉い部署……だっけ。お巡りさんだったんだ。

「うん!よろしくね、ライトおじ様!」

柴さんに向けてカミュは笑顔を向けていたけど、
それに対して柴さんはなんだか複雑そうな表情を浮かべていた。

「お、『おじ様』……俺はまだ20代なんだが……」

あぁ〜。
柴さんの呟きを聞いて、僕は柴さんの気持ちを理解してしまった。
確かに……20代の人が若い女の子から『おじ様』と呼ばれるのは色々複雑な気持ちだろう。
というか、『おじ様』というのは、単に『おじさん』と呼ばれるよりも老けているイメージがある呼び方だ。
僕の知り合いだと、ノワール辺りにピッタリなイメージがある。
まぁ……ノワールも若い女の子から『おじ様』なんて呼ばれたら、複雑な気持ちになりそうだけど。

「あっ!ゴメンね、ライト『お兄様』!」
「いや……その呼び方もちょっと……」
「……ハハハ」

カミュとコントみたいな掛け合いをする柴さんの姿が滑稽に思えて、僕は笑いを漏らしたのだった。


394 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/03/22(月) 14:53:58 E1ltaG0k0
【マイルス・モラレス(スパイダーマン)@スパイダーマン:スパイダーバース】
[状態]:健康、罪悪感と自己嫌悪
[装備]:スパイダーマンのコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバース、ウェブシューター@スパイダーマン:スパイダーバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:カミュと柴来人と行動する
2:僕はなんて事を!
3:カミュの胸……柔らかかったな
4:スパイダー仲間がいるなら、合流する
[備考]
本編終了から数ヶ月後の時間軸からの参戦。
ウェブシューターはコスチュームの付属品です。

【カミュ@うたわれるもの】
[状態]:健康、服損傷
[装備]:柴来人の上着@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人殺しはしない
1:マイルスや柴来人と行動する
2:知り合いがいるなら合流する
[備考]
『散りゆく者への子守歌』〜『偽りの仮面』の間のどこかから参戦。
服の胸元が破けており、柴来人の背広の上着を羽織っています。

【柴来人@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康、少し精神的ショック
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:マイルス、カミュと行動する
2:『おじ様』と呼ばれてショック
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
第1期の中盤から参戦。
まだ『おじ様』と呼ばれるような年齢ではありません。
カミュに背広の上着を貸しています。


395 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/22(月) 14:54:59 E1ltaG0k0
投下終了します


396 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/22(月) 20:12:28 KIBNIpFg0
投下します


397 : 穢され堕ちた薫衣草、涙に濡れる荻草よ ◆2dNHP51a3Y :2021/03/22(月) 20:12:59 KIBNIpFg0
……ん、ああ。そっか。オレはもう……

これはオレの独り言だ、まあ誰にも聞こえないし聞いて欲しいなんて思ってもいないがな
どうせこれは心の中の愚痴なんだから

まあ、あれだ……オレは無様に負けちまった

仕方ねぇか、祢々切丸もねねもいねぇし、相手は手種もわかんねぇ相手。それでいて一般人付き添ってて……そいつを逃せただけ万々歳か

そんで、だ。オレは兎に角そいつに犯されちまった。最初は抵抗してたんだけどよ、気持ちいいのがドバドバって押し寄せてきて、結局耐えられなかった
悔しさとか、逃したあいつが無事だとか、仲間のことだとか、全部全部気持ちいい事に呑み込まれちまうんだ。まるでカラフルな壁が白いペンキで塗り潰されちまう感じで

一番キツかったのはケツに蟲を突っ込まれちまった時か。虫に電撃流された時の俺は、壊れちまうって泣き叫んで懇願しちまった。あれのせいで頭ん中何回真っ白になって気を失ったか。でもそれを気持ちいいって思っちまったオレはもう刀使としても人としても終わっちまってるか

心の中だからこうやって冷静に話せてるわけだが、現実じゃあ俺は無様な変顔晒して絶頂してるんだろうな





……ああ、畜生。こんな事になるんだったら休暇たんまり取っときゃよかった
でもよ、それ以上に怖いのが、変わっちまった俺があいつらと出逢っちまう事だ。変わっちまった俺はあいつらを何の躊躇もなくあのクソ女に捧げるんだろうな、畜生。……畜生……畜生ッ!!

――誰でもいい。誰でも良いから、オレの事を止めてくれ。俺はもう駄目だ。だから……

頼むから、俺に、あいつらを手に掛けさせないで、くれ――――



「イ゛グゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!!!」


398 : 穢され堕ちた薫衣草、涙に濡れる荻草よ ◆2dNHP51a3Y :2021/03/22(月) 20:15:04 KIBNIpFg0
○ ○ ○


紅く染まる平安京。その一角、赤に照らされた黒のゴスロリ服を身に纏う少女が一人
そしてその隣には――見るも無惨に白濁の液体に塗れ、光を燈さぬ虚ろな目で笑顔を浮かべ倒れている少女――長船女学園の刀使こと益子薫。そして精を全て吐き出し、満足そうに息絶えた下半身を晒した男の姿だ

【村田勉@サタノファニ 死亡】

「下品な男だったけれど、良い捨て駒にはなったわ。ご褒美に一発ぐらいヤラせて挙げても良かったかしら」

他人事のように口ずさみ、男の死体を軽く蹴り飛ばす黒ゴスロリ衣装の少女――ダーククライム幹部が一人ミスティ
蹴り飛ばした後、もはや男に興味はないと言わんばかりに目を背け、朧げに嗚咽を溢す薫の顔に目を向ける

「……ぁ」
「おはよう可愛子ちゃん?」

まるで御主人様の帰還を待ちわびた犬のように、正気を無くした顔で満面の笑みを浮かべる薫。既に彼女の心は壊されつくされていた

事の始まりは数十分前。この殺し合いに呼ばれた益子薫はとある一般人と出会い彼女の保護の傍ら仲間の創作を行っていた。が、そこに遭遇したのはこのミスティと今は死んでいる村田勉

御刀祢々切丸もなく、そしてねねもいない。仲間もいない。この最悪な状況でなんとか抵抗し、最低限同行者を逃がすことには成功した。が、その後の彼女を襲ったのは村田のでかいイチモツによる容赦ないレイプであった
ミスティがしたことは村田勉の精力増強。及び益子薫への性感帯の強化と電撃蟲によるアナル調教。村田のイチモツのデカさは一般人ながら同じダーククライム幹部であるドルコスに引けを取らない
元々村田の性格上ミスティは彼を使い捨てることしか考えておらず、せっかくだから一発ヤラせて幸せの内に息絶えて貰った。こいつに限っては生かしておいてもこの先変な障害になり得ないからだ

「……ミスティ、さま。これから薫はどうすればいいでしょうか?」

最早ミスティの飼い犬へと穢れ落ちた益子薫は、ミスティを御主人様と慕う程に快楽を刻み込まれた。その様子に満足したミスティは妖しい笑みを浮かべながらも満足そうな表情を浮かべる
ミスティとしても村田とは別の手駒が欲しいのでこういう手段を取ったわけではあるが、時間と道具不足もあり多少強引に進めた結果だ。壊れ方が程よい感じだったのが幸いだ

「そうねぇ。私はあいつみたいにこんな意味不明な所で欲望優先するほど間抜けじゃないわ。シャインミラージュがいれば話は別だったかもだけど」
「……では」
「この首輪も邪魔ったらありゃしないし。だからと行ってあの二人がバカ正直に願いを叶えてくれるとも考えにくい。――先のことも考えてもうちょっと手駒がほしいかしら」

益子薫という手駒が手に入った。村田勉もあの節操なしの欲望をなんとかすればもうちょっと生かしてあげてもよかった所。主催の目的が何なのかわからない以上、下手な真似は危険。反逆するにしても優勝を狙うにしても―――

「ミスティさま。手駒になる者なら心当たりが」
「あら? これに巻き込まれてるのか知らないけれど、言ってみなさい」
「糸見沙耶香と……古波蔵エレン」
「……へぇ?」

多少沈黙が入ったのが気に障るが、糸見沙耶香と古波蔵エレン。中々に興味深いとミスティは感じていた。

「じゃあ、探しましょうか――その二人を。もし見つけられたら、ご褒美にまたビリビリしてあげる」
「は、はぁい……!」

最早刀使してのプライドも、仲間との絆も投げ捨てて、益子薫はミスティの走狗へと成り下がった。ミスティはそんな彼女を連れて赤き夜へと紛れて行く

――益子薫の瞳から、涙が一粒こぼれていたことに、誰も気付かぬまま


399 : 穢され堕ちた薫衣草、涙に濡れる荻草よ ◆2dNHP51a3Y :2021/03/22(月) 20:16:51 KIBNIpFg0
【益子薫@刀使ノ巫女】
[状態]:精神崩壊、性感倍増、白濁液塗れ、衣服の乱れ、ノーパン
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:ミスティ様に従う
1:沙耶香とエレンを見つけたら自分と同じくミスティ様のペットにしてもらう
2:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
3:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
4:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
5:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
6:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
7:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
8:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
9:あのビリビリ気持ちよかった、もう一度味わいたい
10:だれかおれをとめてくれ
[備考]
※精神崩壊によりミスティの命令に従うだけの狗と化しています
※御刀がないので写シ等の能力は使えません


【ミスティ@変幻装姫シャインミラージュ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2、電撃蟲@対魔忍アサギシリーズ
[思考・状況]
基本:殺し合いの状況を見極める
1:もうちょっと使える手駒を集めたい
2:糸見沙耶香と古波蔵エレン、その子達も手に入れたい
3:この首輪を何とかしたい所
4:シャインミラージュもいるのかしら?
[備考]
※参戦時期はノベル版から『ゴスロリ少女の魔の手』終了後より

【電撃蟲@対魔忍アサギシリーズ】
井河アサギの調教のために使われたイモムシ型の淫蟲。攻撃の意思を示すと強烈な電撃を放つ





○ ○ ○

――死にたくなかったら走れ、そして二度と振り返るな!

走りながらも今でも思い出すのはあの子の暴風雨みたいな切羽詰まった言葉。その言葉に威圧され、少女は走り続ける、あの人の皮を被った怪物から逃げ続ける

「――益子、さん……!」

本当は一人になんてしておけなかった、だけど自分をおいて逃げろと彼女は言った。その気迫に圧され、言葉通り逃げるしか無かった

「ごめんなさいっ……ごめんなさいっ……!」

後悔と共に、涙がぽろぽろと溢れる。やっぱり一人にするんじゃなかったと。自分には何も出来はしないと突き付けられたのに?

「……私は、私はどうすればよかったんですか……!」


――――少女は、荻原結衣、この場においてどうしようもなく無力だった


【荻原結衣@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:健康、後悔
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:???
1:今はただ逃げる
2:益子さん、ごめんなさい……!
[備考]
※参戦時期はepisode Cから


400 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/22(月) 20:17:04 KIBNIpFg0
投下終了します


401 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/22(月) 20:34:55 KIBNIpFg0
投下します。コンペからの自作の流用です


402 : 惡の華 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/22(月) 20:36:46 KIBNIpFg0
「殺し合い、なるほどな……。奴ら、中々に面白い催しを考えたものだ」

紅き夜の色に染まる平安京のとある屋敷に佇むは、白い道着と真っ赤な袴を身に着けた金髪オールバックの男
かつてサウスタウンの支配者とも呼ばれた悪のカリスマ、ギース・ハワードはこの異様な状況に対し、興味津々と言わんばかりに笑みを浮かべ言葉を呟いていた

「まさか死人すらも蘇らせ、呼び出すのだからな……」

ギースの最後の記憶、ギースタワーの頂上にて自らが殺したジェフの仇を取りに来たテリー・ボガードと、その弟アンディ・ボガードとの戦いに敗れ、タワーの頂上から落下した事だ
あの高さだ、明らかに自分は死んだだろう。だがこうして生きている。恐らく主催が持ちわせているであろう死者を蘇らせる力、そして優勝時に得られる何でも願いを一つだけ叶える権利

「その力、実に興味深い―――ならば」

『殺し合いに乗り優勝し、あわよくば主催すら越えて自らが最強であることを示す』
ギースの望みはこの言葉に尽きる。元々格闘大会を開いていたギースにとってこの様な催しに巻き込まれる事自体が新鮮な体験だ。だからこそ燃える、滾る、昂ぶる

「では、このひと度の悪夢、存分に堪能しようではないか!」

『悪のカリスマ』ギース・ハワード。男が魅せる悪夢は、どの様な道を示すのか、今の彼にも、誰にも、その先はわからない

【ギース・ハワード@餓狼伝説シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状態]
基本:殺し合いに乗り優勝する。あわよくば主催すら越えて最強を示す
[備考]
※ギースタワーでの決戦で頂上から落下して死亡した後からの参戦です


403 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/22(月) 20:36:56 KIBNIpFg0
投下終了します


404 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/22(月) 23:44:29 SCU7QzZE0
投下します。


405 : 正体不明のサッカーボール ◆s5tC4j7VZY :2021/03/22(月) 23:46:01 SCU7QzZE0
赤より紅い月が照らす平安京の空を浮かぶのは…なんとUFO!

「794(なくよ)ウグイス平安京……っと」

・・・ではなく、妖怪。

「まさか、またここに降り立つ日がくるとは、思わなかったわ」

その妖怪は、猿の顔、狸の胴体、虎の手足を持ち、尾は蛇の外見をしている…かもしれない。
はたまた、胴体は狸ではなく、虎!…かもしれない。
それとも、頭が猫で胴は鶏だった!!…かもしれない。
なぜ、…かもしれないかというと、それは、正体不明だからだ。

「紅い月に平安京…こりゃ、アイツら(陰陽師)が関わっているわね。おそらく」

ただ、一つ確かなのは、鳴き声はトラツグミのような大変に気味が悪い鳴き声だそうだ。

「平安京といったら、この私(ぬえ)だものねぇ。味なことをしてくれるじゃない」
ぬえはそう呟くとクククと笑う。

平安京の民を恐怖を植え付けた妖怪。
妖怪の名は鵺ーーーーー幻想郷では、封獣ぬえという名で活動している。

「博麗大結界で覆われた幻想郷にいる私を蠱毒のような催しに参加させる陰陽師といえば…安倍晴明もしくは、蘆屋道満が裏にいるはず……」
ぬえは、殺し合いの舞台が「平安京」であること。平安京と言えば、月と密接に関わる占術…「陰陽道」の観点からこの紅き月の下の殺し合いの裏には陰陽師がいると推測する。

「…ふん!……悪いけど、「人間」の思惑には乗るつもりはないわ。むしろ……」
そういうと、ぬえは正体不明の種を自身に纏わせる。

「この殺し合いを利用してこの平安京を判らないことだらけに染めてやるわ」

「この正体不明の妖怪(ぬえ)が!」

妖怪らしく行動を起こそうとぬえは紅き空を飛翔する。

【封獣ぬえ@東方project 】
[状態]:健康
[装備]:正体不明の種
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:判らないものだらけに染め上げて主催者たちの鼻を明かす
1:殺し合いには乗らないが、妖怪として行動する
2:おそらく、陰陽師が関わっているわね…それも晴明か道満……
[備考]
※参戦時期は鈴奈庵26話後

☆彡 ☆彡 ☆彡


406 : 正体不明のサッカーボール ◆s5tC4j7VZY :2021/03/22(月) 23:47:06 SCU7QzZE0

一方、妖怪ぬえが行動指針を定めたときの地上ではーーーー
ゴゴゴゴゴ!体からオーラが出している少女がいた。
「ああっ!?」

その少女は怒りに燃えていたーーーーー
少女の名前は恩田希。

埼玉県蕨市の蕨青南高校の女子サッカー部に所属している。
ポジションはミッドフィルダー。背番号は8。

「殺し合いって何!?私、次の試合を控えているんだけど!?」
選手権埼玉予選、予選リーグ第2戦を新生ワラビーズ初勝利で終え帰宅していたはずが、気が付けば殺し合いの平安京へ誘われていた。

「ん?」
ふと、空を見上げると……

「あれは…サッカーボール!?」

無論、サッカーボールなわけがなく、ゆえである。
しかし、恩田は空に浮かぶぬえをサッカーボールと認識しているのだ。

「とりあえずーーーーーフットボールがしたい!」

恩田は走る。フットボールをするために。

【恩田希@さよなら私のクラマー 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:早く帰って、皆とフットボールしたい
1:空飛ぶサッカーボールを追いかける
2:殺し合いよりフットボールがしたい
[備考]
※参戦時期は51話後


407 : 正体不明のサッカーボール ◆s5tC4j7VZY :2021/03/22(月) 23:47:20 SCU7QzZE0
投下終了します。


408 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/23(火) 00:01:44 9RiuG/K.0
投下させていただきます。初めての投下ですのでミスや不自然な点がたくさんあるかもしれません。


409 : うろ覚えな帝王 ◆0EF5jS/gKA :2021/03/23(火) 00:04:35 9RiuG/K.0
「あれ、あの〜、……ん?ちょっとなんだかやばい催しに巻き込まれたんですかね…」
この男の名はDIO、1世紀の長き時間にわたって宿敵のジョースター一族に影響を与え、そして討ち滅ぼさんとする支配欲に満ちた吸血鬼にして、生まれついての邪悪である。
しかし…


「こんな非生産的な催しに巻き込まれたこのDIO」


なぜか自信ありげにドヤ顔を決めるが次の瞬間には


「帰りたいです…」


姿勢はうなだれ表情はげっそりとしていた。


このDIOは正史のDIOとは異なり、たぶん善良で優しい個性的な面白い男である、嫌なことがあってそれが理由でなんやかんやで石仮面を付けたことによって悪に目覚めた結果、世界征服の野望に目覚めたお気の毒な男である。


「ど〜すんだよこれ… こんなとこでぐたぐだしてたら、家にジョースターどもがお邪魔しちゃうじゃん」


DIOがいた元の世界では宿敵のジョースター一行のひとり(一匹)であるイギーがペットショップを倒したため、館の場所がばれるのは時間の問題。にも関わらずこんな殺し合いをやらせようとするとは、あの主催者たちはこちらの都合などお構いなしというわけである。

「ワールドはだせるかな… 出してみるか… ザ・ワールド!」

「お!でた!……ん…まぁ、そりゃお前も不安になるよな」


ザ・ワールドは確かに問題なく出すことができたが、不安そうに周りを見渡し、少し怯えた表情をしていた。スタンドは本体の精神を具現化した存在であり、本体の影響を強く受ける。DIOをが不安を抱えたままであるため、その影響をザ・ワールドは強く受けてしまっているのだ。


「さっさと帰りたいな…他に知ってるやついれば良いけどな…」


不安と殺し合いに対する嫌悪を抱えたまま、吸血鬼の帝王は歩み出すのであった。


【DIO@うろ覚えで振り返る承太郎の奇妙な冒険】
[状態]:殺し合いへの不安、嫌悪
[装備]:通常の服装
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・行動]
基本方針:帰りたい。
1:帰りたい。
2:俺の知ってるやつはいるかな?
※その他、備考
特になし基本支給品、ランダム支給品0~3


410 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/23(火) 00:05:18 9RiuG/K.0
以上で投下を終了します


411 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/23(火) 03:46:24 unYKSZSY0
投下します


412 : 黄金のW/嵐を巻き起こせ ◆EPyDv9DKJs :2021/03/23(火) 03:47:38 unYKSZSY0
 平安京には余りにミスマッチなビリヤード場。
 どこか年季が入っていて趣はあるかもしれないが、
 流石にこの場では余りにも場違い極まりない。
 そこの上の階にある探偵事務所に居合わせる、二人の男性。

「嗅覚、視覚、触覚……どれにしても慣れたものだ。」

 探偵事務所の物をいくつか物色する緑髪の青年。
 此処は彼、フィリップが寝食をしていた帰るべき鳴海探偵事務所。
 当然こんなところにあるはずもないが、その再現度については興味がある。
 もっとも、地盤の違いもあるのでそのまま持って来ることは不可能。
 此処が偽物であることぐらいはすぐに気づいている。

「フィリップ、僕達は余り悠長にしてる暇はありません。
 早速ですが、地球の本棚と言うのを試してもらえますか。」

 感心してるフィリップを玄関口にいる少年が宥める。
 三つのカールを巻いた前髪が特徴的な少年で、フィリップよりも若い。
 しかしその目つきは修羅場をくぐったかのような、威圧的なまなざし。
 当然と言えば当然だ。彼、ジョルノ・ジョバァーナはイタリアのギャング、
 パッショーネの一人にしてスタンド使いだったのだから。
 今は裏切ったため、厳密には組織の一員ではないが。

 こんなところに見知った場所があることと、
 落ち着いて目的の為に行動したかったフィリップだが、
 そこでジョルノと出会ったというわけだ。
 自衛の手段がなくて身構えたものの、
 敵意がないことがわかり上の事務所へと案内して今に至る

「分かってる。その為に此処に来たんだ。」

 普段フィリップが過ごしている地下ガレージ。
 リボルギャリーはないが、ホワイトボードはちゃんとある。
 窓もないため敵に遭うとするならリボルギャリーが街道に出るための通路ぐらい。
 此処ではどこに繋がってるかは不明ではあるものの、
 ようするに敵との遭遇は極めて低い状況であると言うこと。
 他の人がいないことを確認すると、フィリップが目を閉じる。

「さあ、検索を始めよう。」

 目を閉じれば白い空間に、無数の本棚が並ぶ空間にフィリップは一人で立つ。
 地球(ほし)の本棚。フィリップが持つ一種の能力だ。
 彼は簡潔に言ってしまえば地球のデータが全て脳に入っている。
 地球とは言うが個人のデータはもちろん、現在進行形のものすらあるほどだ。

「まずは、機能するかどうかで行きましょう。
 最終的に出てきた結果を教えてもらえますか。」

 しかし万能な能力ではない。
 膨大なデータを有してるからと言って、
 イコール膨大なデータを網羅してるには非ず。
 膨大すぎるし、一般的な常識なものすらフィリップには理解がないこともある。
 故に使う際にはある程度のキーワードを使うことによって必要な情報を減らしていく。

「一つ目に『風都』、二つ目に『かもめビリヤード場』、三つ目に『探偵』でお願いします。」

 あくまで機能するかどうかのテスト。
 日本とイタリアでは齟齬が出る可能性もあり、
 二人が現状把握してて必ず一件に絞られるものを選ぶ
 本棚が無数に動き、次々と姿を消していく。
 やがて目の前に残された一冊の本を手にとれば、

「『鳴海探偵事務所』……どうやら最低限は備わってそうだ。」

 彼が一番知っている場所のことが書かれている。
 鳴海荘吉が設立させ、それを相棒の左翔太郎が引き継いだこと。
 今になって調べるほどのことでもない、よく知った場所。

「貴方の地球の本棚、個人までは調べられますか?」

 メフィスとフェレスの情報が得られる可能性だが、
 正直これについてはジョルノからすればだめもとだ。
 こんなもの向こうが放っておくわけがない。

「残念だが、期待に沿える程の情報はないと思った方がいい。
 僕の地球の本棚では、個人のデータは大雑把しか確認することはできないからね。
 それに彼女達のキーワードが少なすぎる。あるとしても見つけられるかは怪しいさ。」

 もっと絞れて初めて機能するのが地球の本棚。
 だからこそ情報収集を左翔太郎が行って、
 それをもとにフィリップが推理していく。
 と言うのがこの探偵事務所の一連の流れだ。


413 : 黄金のW/嵐を巻き起こせ ◆EPyDv9DKJs :2021/03/23(火) 03:49:09 unYKSZSY0

「あの二人はそれを見越したうえで、貴方を招き入れた可能性もあるでしょうね。」

 フィリップの能力を考えれば何が起きるか分からないし、
 同時に対策する為には余りに膨大な時間を要求するであろう代物。
 地球の本棚に手を付けられてないのは単純にその面倒さからなのか、
 あったところでどうにかなる問題ではない、と言う可能性。

「制限してるのではなくあえて残すことで、
 ひょっとしたら助かるんじゃあないのかと言う希望的観測。
 彼女達はそれを望んで、あえて残しているのかもしれません。」

 あの二人の性格の悪さは、
 最初のやり取りで分かり切っている。
 例えるならば核心となる部分は閲覧できない制限が仕掛けられてる。
 勝利を確信した奴を叩き落とし、その時に生じる絶望を楽しむ。
 彼女達ならやりかねないだろうと言うのが感じられるものだ。

「或いは解除に関するワードを検索すると、
 向こうの判断で爆破される可能性があるかもしれません。
 一先ず検索は保留として、他の参加者を探しに行きましょう。
 時間が経てば経つほど、我々にとって不利になる可能性が高いです。」

『裏を返せば地球の本棚で何を検索しても問題はないので、
 条件が揃い次第首輪の解除手段を調べてみるのもいいかもしれません。』

 盗聴の恐れがあるので、
 本当に大事なことは紙に記しておく。
 向こうの判断で爆破なんて、手の込んだことをしてまでやるのは余りにも『無駄』だ。
 間抜けな死に方を望むとも思えないし、相手からすれば興ざめもいい所である。
 なので地球の本棚によってフィリップが爆破される可能性限りなく低い。
 だからこそ付け入る隙があるとも言える。勝ち誇った相手は隙があるのだから。
 その結果勝利へと持ち込んだ戦いを、少なからず彼は経験していた。

 同時に言葉は真実だ。
 敵を野放しにするのは危険であり、
 同時に味方になりうる人物と早めに合流しなければ、
 最悪信用を得られない可能性だってありうる。 

「そうだね。しかし僕は丸腰だ。
 此処にいた方が安全とも言えるが。付いて行くべきかい?」

 いま手元にはガイアメモリもドライバーもない状況。
 このまま同行しても多少身のこなしがいいだけの一般人と変わりはしない。
 無意味に同行する理由が彼にはなかった。

「当然です。余り隠すと後が面倒なので今説明しますが……」

 まだ説明していなかったことに気付き、
 ジョルノは自分のスタンド、ゴールド・エクスペリエンスを出す。
 さながら幸運の象徴かのような、眩い黄金色の像が彼の傍に立つ。

「僕はスタンドと呼ばれる精神の具現化された像(ビジョン)を持ってます。」

「精神の具現化か、実に興味深い。」

「名前はゴールド・エクスペリエンス。無機物に生命を与えたり、
 そこから体のパーツを作って身体を治すことができます。」

「……なるほど。近くにいれば負傷しても治せると。」

 これならそばにいる方がまだ安心だ。
 遠くにいては助けようがないものの、
 近くにいれば死ぬまでの間に強引に生きながらえることができる。

「もっとも、麻酔なしの移植手術と同じなので痛みは酷いですが。」

「どちらにせよ、僕が付いて行っても問題がないなら同行しよう。」

 話を済ませると 別の参加者との接触を図るジョルノとフィリップ。
 この殺し合いの平安京に、黄金の風が吹き荒れるかどうか。
 二つの風が入り乱れ、嵐が巻き起こるかもしれない。





 端から見れば、非常に頼もしいタッグに見えるだろう。
 どちらも博識で、何があってもその信念は変えないと言う意味では。
 しかし忘れてはいけない。フィリップの地球の本棚は確かに役立つが、
 別の世界の知識……言うなればスタンドや理念(イデア)まであるかどうかは別だ。
 勿論、工学的なものに関することなら常識的なものは調べられるかもしれないが、
 互いに別の世界の人間と言うことについては、未だ気付いてなかったりする。


414 : 黄金のW/嵐を巻き起こせ ◆EPyDv9DKJs :2021/03/23(火) 03:49:21 unYKSZSY0
【フィリップ@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3(確認済み。ドライバー、ガイアメモリはなし)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いの破綻。
1:ジョルノと行動する。
2:メモリとドライバーが何処かにあることを願いたい。
[備考]
※参戦時期はテレビ本編終了以降です。
 風都探偵でも問題ありません。
※ジョルノと別の世界であることの認識はありません。
※地球の本棚は特に制限されていませんが、
 他の世界の知識やリアルタイムで参加者の情報を得ると言ったものはできません。
※スタンドについて多少の知識を得ました。

【ジョルノ・ジョバァーナ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いの破綻
1:フィリップと行動する
2:イタリアもだけど、康一君のいる日本も大概だな。
[備考]
※参戦時期はチョコラータ戦後。
※フィリップと別の世界であることの認識はありません。
※フィリップが関与するある程度の世界観を把握してます。
 ガイアメモリ以外にもスイッチやメダルの知識もあるかも?


415 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/23(火) 03:49:50 unYKSZSY0
投下終了です


416 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/23(火) 18:31:53 sT9C2IMA0
投下します


417 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/23(火) 18:32:48 sT9C2IMA0
「あなたたちを殺人と誘拐罪で訴えます! 理由はもちろん、お分かりですね?」

 平安京のどこかで、一人の少年が怒りの声を上げる。
 彼の外見は、金髪で頭がまるでコロネの様に渦巻いていることが特徴的で、例えるならジョジョの奇妙な冒険第5部『黄金の風』の主人公、ジョルノ・ジョバァーナによく似ている。
 否、よく似ているを通り越して外見はジョルノそのままである。
 しかし彼はジョルノではない。ならば何者か。

 彼は、攻略サイトワザップ! にてあるコメントを書き込んだ誰か、がミーム化した存在である。

 そもそもの発端は、ワザップに投稿されたポケットモンスターオメガルビーのある裏技がきっかけだった。
 その裏技を実行すれば伝説のポケモン、ボルケニオンの色違いが手に入るというものだ。
 しかし、投稿された裏技は嘘であった。
 冷静に見ればすぐに嘘だと分かるものだったが、騙された人もいた。
 騙された人々がウソ技の記事に怒りのコメントを残す中、一つのコメントがジョルノっぽいという理由でネタにされた。
 一時期はニコニコにこのコメントをジョルノっぽく読み上げる動画や、その動画を素材にした音MADが大流行。
 コメントは明らかにネットのおもちゃと化してしまった。
 だがしかし――

「あなたたちが皆をこんな殺し合いに呼びつけ、人を二人殺したからです!」

 コメントを書き込んだ彼、あるいは彼女の怒りは本物だった。
 その心はネタにされ、ジョルノという皮を被せられた今となっても変わることはない。

「覚悟の準備をしておいてください。ちかいうちに訴えます」

 色違いボルケニオンという甘い餌で人を釣り、大切なセーブデータを消すよう誘導し、嘆き悲しむ様を楽しむウソ技を投稿した者。
 人の大切な命を奪い去り、願いが叶うという甘い餌で殺しを誘導し、怯え竦む様を楽しむ殺し合いの主催者。

 彼、あるいは彼女にとって、どちらも吐き気を催す邪悪であることに、何一つ変わりはしない。
 ならばこそ――

「裁判もおこします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!」

 彼、あるいは彼女は、殺し合いの主催者と戦う覚悟はできているッ!

「貴方達は犯罪者です! 刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!」

 さあ、立ち向かえ。

「いいですね!」

 決して許せぬ悪と戦ってみせろ。ジョルノと扱われたどこかの誰かよ。
 

【ワザップジョルノ@ワザップ!】
[状態]:健康、怒り(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:主催者を訴え、刑務所にぶち込む

[備考]
外見はジョルノ・ジョバァーナ@ジョジョの奇妙な冒険 です。
ゴールド・エクスペリエンスも使えますが、矢をスタンドに刺してもレクイエム化はしないと思われます。
CVは想像にお任せします。


418 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/23(火) 18:33:59 sT9C2IMA0
投下します。

なお、タイトルは長すぎて名前欄に入りませんでしたが、
『【悲報】ワザップの嘘裏技に騙されたキッズ、殺し合いに参加させられてしまう』です。


419 : 恥を知れパープルヘイズ ◆0EF5jS/gKA :2021/03/23(火) 20:18:44 9RiuG/K.0
あちこちに穴が開いた奇抜なスーツを着用し、右前髪以外がオールバックヘアーの少年が困惑していた。少年の名はパンナコッタ・フーゴ。ある重大な選択を仲間とともに迫られ、その仲間とは異なる選択をしたためにチームから離反した少年である…が。 


「なんだこれ…まぁ確かに俺は少しだけゲスいかもしれない、こんなゲスなら殺し合いにも乗ってくれるだろみたいな理由で呼ばれたのかもしれない。仲間についていけず挙句のはてに俺が主役の小説版の宣伝までしたからな…」 

 
このフーゴは本来のパンナコッタ・フーゴとは異なる性格である。仲間にはついていけないためミンナノッタボートに乗らず、画面が自分一人なったタイミングで開き直り、笑いながら自分が主役の小説を宣伝し、その小説で自分が仲間のもとに復帰することを平然とネタバレする黄金の精神からはかなり遠い少年である。恥を知れパープルヘイズ。 

 
 「けどな、なぁ! こんなのに乗るくらいゲスなわけじゃねーぞ!宣伝の反省はしないけど。」  


しかし彼は、本来の性格とは大きく異なるがあのブチャラティの部下だった少年である。少女の命を一切のためらいなく奪うようなゲスどもの命令など聞くはずがない。こんな殺し合いなど打破するのみだ。 

 
「そんじゃ、この殺し合いをちょっくら台無しにしようかな!台無しにしたらたくさんの読み手が俺のファンになって、最悪俺が死んでもインパクトがあれば『フーゴ素敵ィ〜!!恥知らずのパープルヘイズ買って読みますゥゥゥ』みたいになって売り上げも伸びるからな!」 

 
本命は自分が主役小説の売り上げである。殺し合い止めるのも目的とは言え小説の売り上げも忘れない 
 

「じゃあ俺の小説のためにいっちょやるか! 他に協力できそうや奴いればいいけどな〜!!上手くいけたら協力者にも買わせてやろうかな!!」 


協力できるような者たちを探すためにフーゴは駆け出した。しかし小説の売り上げが伸びるかどうかまでは誰にもわからない。こんな下心見え見えの男に小説を買うよう言われても買う気になる者などいるのか。本気で買わせたいなら少なくとも猫を被りながら本の宣伝をすることを意識すべきではないだろうか。 


【パンナコッタ・フーゴ@寝起き一発目で振り返った ジョルノの奇妙な冒険】 

[状態]: 健康 

[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3 

[思考・行動]  

基本方針: 殺し合いを台無しにしてファンをたくさん作り、恥知らずのパープルヘイズの売り上げを上げたい。 

1:協力者を探す 

2:協力者に恥知らずのパープルヘイズを買わせる。 

※その他、備考 

スタンドのパープルヘイズは問題なく使えます。 

参戦時期はブチャラティたちと別れて開き直り宣伝をした直後です。


420 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/23(火) 20:20:18 9RiuG/K.0
投下宣言を行わずいきなり投下してしまいごめんなさい。
投下は以上です。


421 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/23(火) 20:51:21 DQBL6fPI0
投下します。


422 : 非情な召喚 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/23(火) 20:51:53 DQBL6fPI0
「プイィ… プイィ…」
(ごめんなさい、シロモちゃん、バーガーモルカーさん、私が不甲斐なかったせいで…)

街外れの森林地帯。

そこでは、茶色い体毛を持った大きな生物が、元世界に居た同種族の仲間達の事を想いながら、移動していた。

名前はテディ。ある世界で、モルカーと呼ばれている生物である。



テディの居た世界には、ゾンビが蔓延っていた。

彼女も、同種族のシロモを連れて、ゾンビ達から逃げていた。

─逃げている最中に発見した、車庫で調達した武装をして、一度はゾンビ達を逆に追い返したのだが、その途中で無関係のバーガーモルカーと遭遇し、周りをグルグル回って目を回させ、バランスを崩させてしまった。

バーガーモルカーが背中に載せていたハンバーガーが地面に落ちた所で腹の音が鳴り、ゾンビ達とハンバーガーの争奪になろうとしていたが、バーガーモルカーが立ち直り、指揮をしてゾンビ達とゾンビ化していないモルカー達の好物を食べる様に動いてくれた。

しかし、食事をしていて、周りをよく見ていなかった為に、シロモが人間のゾンビに噛まれてしまっていた。

シロモもゾンビになってしまい、自分とバーガーモルカーは野菜を咥えて逃げ出してしまった。

すると、背後からシロモや人間のゾンビが追いかけてきた。

そうして逃げている最中に、足を躓かせて転びそうになったところで、意識を失った。



そして、気がつくと元世界のものよりも赤い空が広がる


423 : 非情な召喚 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/23(火) 20:52:48 DQBL6fPI0
場所で殺し合えと言われた。

そしてまた意識が途絶え、また見知らぬ場所に転移させられてしまった。



─ごめんなさい、助けられなくて、ごめんなさい。

もしかしたら、シロモだけでなく、バーガーモルカーもゾンビ達にやられてしまったのかもしれない。

こうして彼女は、『彼らを救えなかった』という自責の念を抱く様になってしまった。

─しかし、この殺し合いで最後の一人、或いは一匹になればどんな願いも叶えてやろうと主催者達は言っていた。

─もし、それが本当だというのならば、ゾンビの溢れた元世界を、ゾンビパンデミックが起こる前の、平和だったあの頃の状態に戻す事が出来るという事であろうか?
ゾンビになった人々やモルカーも元通りになるのだろうか?

テディの中で、揺らぎが生じ始めた。

【テディ@PUI PUI モルカー】
[状態]:健康 罪悪感(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗ろうか悩む。優勝して、ゾンビが溢れた世界を元通りにして貰おうか?
1:まずは移動する。
2:シロモちゃん、バーガーモルカーさん、人間の皆さん、助けられなくてごめんなさい…
[備考]
※参戦時期は第6話終了直後。


424 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/23(火) 20:53:06 DQBL6fPI0
投下終了です。


425 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/23(火) 23:10:09 WIAXB3Og0
投下します


426 : 若き餓狼と花のみやこ ◆2dNHP51a3Y :2021/03/23(火) 23:10:29 WIAXB3Og0
「……どうなってやがる?」

紅き空に照らされる京の都にて、ロック・ハワードの脳内は困惑の思考に埋め尽くされていた
母の秘密を求め格闘大会KOFに参戦、参加者を打ち倒して行き、黒幕らしきグラントなる男を倒し、グラントからその先にいるであろうカインという名の男の元へ向かおうとした途端にこれである

「……くそっ!」

やり場のない感情が込み上がる。後もう少しでたどり着いたというのに、最悪なタイミングで呼び出された苛立ちが思わず声に出る
目の前で見せられたあの惨劇も去ることながら、前述のもどかしさも噛み合い彼の心情は穏やかなものでは決して無かった

「……だけど、こんな所で立ち止まってる時間はねぇ」

気持ちを切り替え、これからの方針を決める。まずこんな変な場所からさっさと戻る為に主催の二人をとっ捕まえるのは確定だ

「誰でも良いから、協力してくれるやつがいてくれたら心強いんだがな」

だが、ロック一人でこれをどうにか出来るかなんて驕りは持っていない。出来ればこの殺し合いに同じく反逆しようと考えている他の参加者と出会いたい。……かと言って見目麗しの女性と出会うのはちょっと困るのであるが、対応的な意味で
等と思っていればロックの目の前に現れたのは、サイズの合わない真っ赤な華人服を着込んだ可愛らしい少女。……が、何故かこちら側に近づいてきて……

「どりゃぁー!」
「ぐぼあああああああっっ!?」

背丈に似合わぬ強烈な拳が腹にぶっ刺さり、ロックはそのまま気を失ったのだ


○ ○ ○


「ご、ごめんなさぁ〜い! てっきり悪い人が近づいてきたって思っちゃって〜!」
「あ、ああ……俺は気にしてないからな、うん」

意識を取り戻した後、例の少女こと有間都古の謝罪を受けながらもロックは彼女から事情の説明を受けていた。バカネコ追っかけて変な所に来ていただとかどこの国民的アニメ何だよなどと心の内で突っ込みながら
だが、話を聞く限り彼女も殺し合いなんかに屈するつもりもなく、逆に「コテンパンに叩きのめしてやる」なんて意気込んでいた模様
不本意ながら第二のお兄ちゃんとしてされることになったのはご愛嬌

「じゃあ行こうお兄ちゃん! 殺し合いなんて私達の手でぶっ壊してやるんだから!」
「……元気は良いけど、無理だけはすんなよ」

そんな元気ハツラツな都古を横目に、ロックはこれから苦労が増えそうな予感に思わず肩を竦めるのであった






―――世界には、無限の可能性が秘められている。この出会いもまた一つの可能性


【ロック・ハワード@餓狼 MARK OF THE WOLVES】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:主催をとっちめて、さっさとここから脱出する
1:他にも仲間がほしい
[備考]
※参戦時期はグランド戦後

【有間都古@MELTY BLOODシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いなんてしない! 元凶は全員コテンパンに叩きのめしてやる!
1:よろしく、お兄ちゃん!
[備考]
※身体能力はタタリ影響下の時の状態です


427 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/23(火) 23:10:40 WIAXB3Og0
投下終了します


428 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/23(火) 23:24:18 9RiuG/K.0
投下します。


429 : 憤怒の霊帝 ◆0EF5jS/gKA :2021/03/23(火) 23:32:00 9RiuG/K.0
羊のような頭部に竜の姿、体表は緑の甲殻に覆われ蝙蝠のような骨だけの翼が生えている異形の存在が宙に浮き佇んでいた。異形の名は憤怒の霊帝アドラメレク。 
 

イヴァリースと呼ばれる地域の古代にて、神々により異界で暴れる魔物を統治するために創られた。だが強大な力と恐ろしい風貌が仇となり魔物たちの心を惹きつけてしまった。 

 
やがてアドラメレクは神に背き異界の頂点に君臨した頃より憤怒の霊帝と呼称されるようになり、惹きつけた魔物たちを伴いに神々に戦いを挑んだが返り討ちにされた。 


そして敗れた神に魂と肉体を獣印へと封じられ自由を奪われたアドラメレクは召喚者のしもべとして生きるという定めを受けた。 

 
そんなアドラメレクがこの殺し合いの場にて何を行うのか。古代にて神に魔物たちを伴い反旗を翻した行動を見るに少なくとも、自分以外の存在に対して極めて攻撃的になりやすいこと、従うものに対しては恐らくアドラメレクが上の上下の関係ではあるが協力関係を結べることもあるかもしれない。 
 

アドラメレクは首輪をつけられた挙句、殺し合いを命じた者たちに己を封じた神々を彷彿とさせる傲慢さを感じたのか激しく憤怒し、佇むのをやめ、命令した傲慢なるものどもを叩きのめすべく、特にあてがわけでもないが、激しく羽ばたき移動をはじめた。 
 

【憤怒の霊帝アドラメレク@ファイナルファンタジー12】 
[状態]: 健康、主催に対する憤怒。 
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3 
[思考・行動]  
基本方針:殺し合いを命じた主催どもを叩きのめす。 
1:激しく羽ばたき移動中。 
2:歯向かうものには容赦しない 
3:従うものは上下の協力関係を結ぶかもしれない。 
※その他、備考 
参戦時期は少なくともヴァン一行に倒され召喚獣として使われるされる前です。 
他の参加者に撃破された場合は撃破した参加者の召喚獣になるかもしれません。


430 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/23(火) 23:32:57 9RiuG/K.0
投下を終了します


431 : ◆ytUSxp038U :2021/03/23(火) 23:45:59 LUBfaJVo0
投下します
以前別の企画で投下し、修正したものです


432 : 紅緑!復活の強敵! ◆ytUSxp038U :2021/03/23(火) 23:47:23 LUBfaJVo0
「オノレオノレオノレェェェェェエエエエエッ!!!」

とある屋敷。
雅な装飾や調度品で彩られたその場所で、紅い異形が暴れ回っていた。
まるで子どもが癇癪を起したかのように叫びながら、手に持った大剣を振り回す。
その度に壁や床が切り刻まれボロボロになっていく。

「チョット…いい加減にシておくれヨ。喧しいっタらありゃしナイ」

興奮している紅の異形へ、もう一体の緑の異形がうんざりしたように言う。
スタート地点からそう遠くない位置にあった屋敷から物音がしたので寄ってみると、同胞である紅の異形が八つ当たりのように暴れている場面に出くわしたのだ。
当初は相手も同胞と再会した事で多少は落ち着いたが、直ぐに怒りがぶり返したのか結局こうなってしまった。

「コレが黙っていラれるモノカ!我らフェムシンムを駒のようニ扱うナド、生かしテおけヌ!!」

緑の異形『レデュエ』に向けて、紅の異形『デェムシュ』が激情を剥き出しにして叫んだ。
弱肉強食の世界を生き延び人間を遥かに超越した自分たちフェムシンムがまるで飼い犬の様に首輪を付けられ、どこの馬の骨とも知れぬ輩に殺し合えと命令された。
これではフェムシンムの中でも特にプライドの高いデェムシュが激怒するのも無理のないことだった。

「オノレ忌々しイ…!アノ下等な猿とイイ、ドコまで俺をコケにする気ダ…!」
「…マァ、あの坊やを殺したイって気持ちハ、私にも分かるけドネ」

思い出すのは一人の男。
自分たちを倒したアーマードライダー、葛葉紘汰。
人間でありながら自らオーバーロードへと至った怨敵への殺意を内心で滾らせながら、レデュエはデェムシュに問う。

「ソレより、アンタの能力なラこの首輪ヲ外せるんジャないのかイ?」

デェムシュの持つ能力の一つに『自分の体を霧のように変化させる』というものがある。
それを使えば首輪など簡単に外せるはずだが。

「デキるならバとっくにそうしてイル!ダが肉体ヲ変化させても外れんのダ!」
「ソうかい。敵もソコまでバカじゃあないってことだネ」

自分から聞いたものの大して期待していなかったのか、レデュエの返事はあっさりしたものだった。
そもそもこうして蘇生して参加させているならば、当然その能力も把握しているだろう。
ならば何らかの対策をしても不思議ではないと納得する。

一人で勝手に納得する同胞を尻目に、デェムシュは壁に空いた大穴から外へ出ようとした。

「オヤ、ドコに行く気だイ?」
「決まッテいルだろウ!この地にハ下等ナ猿どもモいルのダ!マズは連中を全テ始末しテやル!!」

最初に集められた奇妙な場所で、人間たちが大勢いることは分かった。
退化するだけの下等生物と見下している人間たちもまた、デェムシュにとっては生かしておける存在ではない。
まずは目障りな人間を残らず殺してやると息巻き、屋敷を出て行こうとする。
そんなデェムシュを見てレデュエは、彼がデイバックを背負っていない事に気付いた。
辺りを見回すと、隅の方に置き捨てられてあった。

「アレはアンタのだろウ?忘れモノだヨ」
「フン!あのよウな者カラの施しなド必要なイ!」

苛立ちの声を返すと、デェムシュはそのまま外へと出て行った。


433 : 紅緑!復活の強敵! ◆ytUSxp038U :2021/03/23(火) 23:50:14 LUBfaJVo0
「ヤレヤレ…一度死んダ程度じゃあ、アノ馬鹿さハ治らなイようだネ」

同胞への呆れを呟きながら、残していったデイバックを回収する。
静けさを取り戻した屋敷でレデュエは考える。

(こうしテ生き返らセタってことは、黄金の果実かそレと同等の力を持ってルと見テ間違いないダろうネ…)

死者の蘇生が可能な力など、自分の知る限りではあの黄金の果実くらいのものだ。
王であるロシュオがどこかに隠していたのを、メフィスとフェレスは密かに回収したのだろうか。
それとも黄金の果実とは別の強力な力を保有している可能性もある。

(「何でも願いが叶う」カ。一体どんナ方法で叶エル気なんだろうネェ…)

主催者の小娘が強大な力を有しているのは分かった。だがその力の正体が分からない。
黄金の果実なのか。
主催者自身の能力なのか。
はたまた何らかの装置によるものなのか。
或いは小娘二人は傀儡に過ぎず、背後に存在する何者かが強大な能力の持ち主なのか。
レデュエ自身としては是非とも主催者の持つ力を根こそぎ自分のものにしたいと思う。
たった一度願いを叶える程度では足りない、人間世界を永久に自分のオモチャに出来るだけの力が欲しいのだ。
そのためには主催者自身を殺す必要があるが、首輪がある以上それは難しい。

(トなると、やっぱり他の参加者ノ力が必要にナるカ)

沢芽市の人間たちが使っていた戦極ドライバーやゲネシスドライバーを開発した者のような技術力の持ち主。
首輪に刻まれた紋章を無効化する方法。
それらが揃えば、首輪も何とか外せるかもしれない。
デェムシュと違いレデュエは必要ならば人間とも手を組む。
以前呉島光実と密かに協力し合ったように、人間だろうと使えるものは全て利用する。
この地でもその考えは変わらなかった。

(けど確実に解除できる保証ハなイ…。その時は優勝しかなイだろうネ)

首輪が外せない時は素直に優勝を目指すのが手っ取り早いだろう。
何ならその後で、主催者の部下にしてくれと取り入ってみる手もある。
ロシュオの時と同じだ。近くで力を奪う機会をじっくりと待てば良い。

「まァ、ついでにオモチャとして楽しませテくれル事にも期待してるヨ」

デェムシュのように人間全てを殺すなど勿体ない。
何せ彼らは遊び甲斐のあるオモチャなのだから。
そう思うレデュエの口から低く不気味な笑い声が漏れる。

「さテ、あの馬鹿が騒いダせいで他の参加者ガ集まって来るかもしれないネ。どうしようカ…」


【デェムシュ@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康、苛立ち(大)
[装備]:シュイム@仮面ライダー鎧武
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:皆殺し
1:人間どもを殺す
2:殺し合いを命じた小娘どもも殺す
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※体を霧状に変化させても首輪は外れないようです。

【レデュエ@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康
[装備]:ダウ@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品2〜6
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の持つ力を手に入れる
1:参加者が来るのを待つか、それとも移動しようか…
2:首輪を外せる技能を持った者、紋章を無効化する方法を探す
3:2が不可能なら優勝に切り替える
4:主催者の持つ力の正体を確かめたい
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※デェムシュのデイバックを回収しました。

【シュイム@仮面ライダー鎧武】
デェムシュが使う両手剣。
自在に出現させられるので支給品ではない。

【ダウ@仮面ライダー鎧武】
レデュエが使う戟。
自在に出現させられるので支給品ではない。


434 : ◆ytUSxp038U :2021/03/23(火) 23:50:58 LUBfaJVo0
もう一つ投下します


435 : Kill or be killed ◆ytUSxp038U :2021/03/23(火) 23:55:38 LUBfaJVo0
「チッ、くだらねえ真似しやがって……」

スーツを着た強面の男、久瀬大作は酒焼けした声で吐き捨てる。
桐生一馬との5度目の戦いに敗れた直後に、この気味の悪い地に拉致された。
半人前のガキであった桐生が本物の極道へと目覚めようとする姿を満足気に見送ったというのに、水を差されたような気分だ。

「クソガキどもが、俺がテメェらの飼い犬になるとでも思ってんのか?」

命の取り合いに抵抗がある訳ではない。
もしもこれが堂島組長の命令であったなら、久瀬は反抗せず従っただろう。
親の命令は絶対。それが極道というものだ。
しかし今回命令してきたのは、どこの誰かも知らない二人の子ども。
そんな連中が一方的に上から目線で殺し合いを強要した挙句、犬のように首輪まで着けて来た。
明らかに自分を舐めているとしか思えぬ所業に、元々強面である久瀬の表情は怒りで更に迫力を増していた。
せめて一服してストレスを抜いておこうかと考えたが、懐からもデイバックからも煙草は見つからない。
余計に苛立ちが募るだけだった。

舌打ちしながら、適当な店か自販機を見つけようと移動すること数分。
ニコチンの香りが鼻孔をくすぐり、目を細める。
匂いの発生源へ足を進めると、壁に寄り掛かった一人の男が煙草を吸っているのが見えた。
男の方も近づいて来る久瀬に気付き視線を向ける。

「よう、お互い面倒くせえ事に巻き込まれたな」

軽薄な笑みを浮かべながら男が言う。
だがその目は全く笑っていない。

「いきなりこんな所に連れて来た挙句に殺し合えなんざ、ふざけたガキどもだ」
「……」
「おまけに何でも願いを叶えるだとよ。胡散臭いにも程があるぜ。それなら死んだ人間も生き返らせられるってか?くだらねえな」

一瞬、男の顔が曇るのを久瀬は見逃さなかった。
男にとって大事な人間の死でも思い出したのだろうか。
久瀬にはどうでもいい事だが。

「おい」

久瀬にとって重要な事は一つ。
この男が自分の敵か否か。

「いつまでくっちゃべってんだ?要するにテメェは、あの小便臭えガキどもの言い成りになって俺を殺す気なんだろ?」
「…どうしてそう思うんだ?」
「その貼り付けたみてえな笑いで騙される訳ねえだろ。それに、テメェみたいな奴はこれまで腐る程見て来てんだよ。気に喰わない奴を殺す為に、自分の命も投げ出そうとする野郎の顔だ」

久瀬の言葉に男は笑みを消す。
殺意の宿った右目と、琥珀色の左目が久瀬を射抜いた。


436 : Kill or be killed ◆ytUSxp038U :2021/03/23(火) 23:58:28 LUBfaJVo0
「…ああ、そうだ。俺にはまだ生きてやらなきゃならねえ事があるんだよ」

男が構える。
武闘派として極道社会をのし上がって来た久瀬から見ても、隙の無い構えだ。
神室町で頻繁に見かけるようなチンピラとは大違いである。

「へっ。テメェが何考えて殺し合いに乗ったかなんざどうでもいいが、喧嘩を売ろうってんなら話は早え」

口の端を吊り上げながら久瀬も構える。
立ち塞がる全てを己の両拳で叩き潰して来た、ボクサー時代から変わらぬ久瀬のファイトスタイル。
メフィスとフェレスのせいで蓄積していたストレスを発散するのにも丁度良い。

「いくぜ、ガキがぁっ!!!」


【久瀬大作@龍が如く0 誓いの場所】
[状態]:健康、イライラ
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:進んで殺し合いをする気は無いが、襲って来るなら潰す
1:目の前の男をぶちのめす
2:タバコが欲しい
[備考]
※参戦時期は『最終章 白と黒』で桐生に敗北した後。


自分を睨みつける猛獣の如き眼光。
全身から発せられる、息が詰まるような威圧感。
相手がただのオヤジで無い事は確かだと、十分に言える説得力があった。

恐らくは極道。
それも末端の雑魚などではない、かなりの大物。
所謂ヤクザと呼ばれる人間には良い思い出がない、むしろ殺してやりたい程憎んでいる。
相手が忌々しいあの組織に所属する人間なのかは分からない。
だがどうだっていいことだ。
どうせ全員殺すのだから。

メフィスとフェレスと名乗った2人のガキが言った、「どんな願いでも叶えられる」なんて信じちゃいない。
死んだ人間が生き返る事はない。
何をどうしたって、アイツは帰って来ない。
こんな茶番に付き合ってなどいられないが、首輪がある以上は逆らえない。
自分にはまだやらなければいけない事が残っている。
友を奪った組織を完膚なきまでに潰してやらなければ、死んでも死にきれない。
手っ取り早く帰還するには優勝しか道は無いのだろう。
だから殺し合いに乗った。

全ては憎いあいつらをぶっ潰して、それから自分のロクでもない命を終わらせる為だ。


【琥珀@HiGH&LOW】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、煙草一箱&ライター@現実、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:急ぎSWORDに帰る為に優勝する。
1:目の前の男を殺す
2:願いを叶えるという言葉は信じてない
[備考]
※参戦時期はTHE MOVIE、湾岸地区での決戦前。


437 : ◆ytUSxp038U :2021/03/23(火) 23:59:11 LUBfaJVo0
投下終了です


438 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/24(水) 23:56:21 s85HMKGE0
投下します


439 : 鶴はその身を血に染めて ◆8eumUP9W6s :2021/03/24(水) 23:58:33 s85HMKGE0
「あいつが……孝美が飛ぶのは優雅なんだ。オレなんか、ただ荒っぽいだけだが…孝美のは、空に乗ってるってのがぴったりくる。
なのに空戦じゃ、後ろに引くってことを知らねぇ。
あんなに綺麗で、かっこいい飛び方をするやつは…他に知らねえよ」

とは、あるウィッチの弁である。

----

紅き空の元…脚部に機械を装着して、頭に鶴の耳を、腰に尻尾を生やし、髪と目の色を赤に染めた少女は飛ぶ。

少女の名は雁淵孝美。佐世保の英雄とも呼ばれる、高い能力を持つウィッチである。
彼女は"本来は"どのような苦境であろうとも笑顔を絶やさずに、誰とでも仲良くなれる性格である。

だが、今の孝美の飛び方は───優雅さとは無縁の物であった。
何故なのか…それは彼女の魂は主催の手により弄られて、汚されてしまったからだ。
魂を、そして尊厳を凌辱された結果、今の孝美は目的を…「最愛の妹である雁淵ひかり」の元へと戻る為に、他の全ての参加者を殺すという目的を果たす事に固定化されている。
その為なら彼女は…微笑みを浮かべながら平然と、大量虐殺を行うだろう。
今の雁淵孝美にとっては、妹の元へと戻る事が全てなのだから。

そのまま飛ぶ孝美であったが、突如口から血を吐く。
理由は、彼女の覚醒魔法である「絶対魔眼」にあった。
絶対魔眼を使うと、通常の魔眼では一つずつしか捕捉・探知が不可能なネウロイのコアの同時探知や捕捉を可能にするのと引き換えに、肉体的・精神的な負荷が生じて消耗が激しくなり、肉体自身の防御力もシールドの防御力も大幅に低下してしまうという状況に陥る。
それが理由で、長時間の使用には絶対魔眼は"本来"致命的に向いていないのだ。

しかし今の孝美の肉体は、負荷を受け傷ついた側から再生をしていく。
精神の方も、魂を弄られて目的を固定化されたのが理由か、消耗しない。
いくら肉体が再生するとはいえ、痛み自体はなかった事にはならず、絶対魔眼を持続させるたびに内臓に負荷が向かい、口から血が流れる…が、彼女は痛みに耐え抜いていた。

(…なんてことない…これぐらい、私は耐えれる…待っててねひかり、お姉ちゃんは絶対…ここから生きて、ひかりの元に戻ってみせるから…!)

───全ては、妹の元へと戻る為。歪められた思いを胸に、彼女は参加者を探しだし、殺戮を繰り広げようとしていた。

しかし彼女はある一点を考慮していない。
…妹である雁淵ひかりが、自分と同じように殺し合いに巻き込まれている可能性について、全く考えもしていないのである。
思い付いていないのか、はたまた主催が思い付かないようにしているのか…そして、仮に遭遇した際、八将神である彼女が妹にどのような対応を取るのか…それらの結末はまだ、誰にも預かり知らぬ事である。

【八将神枠】
【雁淵孝美@ブレイブウィッチーズ】
[状態]:絶対魔眼発動状態、口元が血に濡れている、狂気
[装備]:紫電二一型@ワールドウィッチーズ UNITED FRONT
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:妹の…ひかりの元に絶対に帰る
1:ひかりの元に帰るために他の参加者を全員殺す。
[備考]
※本編である第2話「羽ばたけチドリ」にて負傷により意識を失った後、第9話「ブレイクウィッチーズ」ラストにて宮藤芳佳の治癒によって目を覚ます前からの参戦です。
※作中にて舞台になっている年代が1944年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【紫電二一型@ワールドウィッチーズ UNITED FRONT】
出典元であるゲーム内にて、雁淵孝美が履いているストライカーユニット。
「ブレイブウィッチーズ」本編にて彼女が履いていた試製紫電改二(チドリ仕様)同様、扶桑皇国海軍が開発した零式に代わる、新世代のストライカーユニットの一つである。
紫電系列の性能はというと、零式と比較すると旋回力は落ちるものの、上昇力や降下性能は大きく上昇。
特に速度は零式よりも遥かに早く、坂本美緒少佐が行った実験では最高速度が高度3000メートルの時でも、毎時350ノット以上を叩き出せるほどである。


440 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/24(水) 23:59:05 s85HMKGE0
投下終了します。


441 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:33:49 h6NfSaUQ0
投下します。


442 : 疑う相手、疑われる相手 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:34:55 h6NfSaUQ0
(殺し合いをしろなんて、ホントにヒドイヌ〜…)

会場内のとある場所。
そこでは参加者の一人、カベルネ・チープトリックがこの状況を嘆いていた。

彼も、重く辛い過去を持っているのだが、それでも殺し合いに乗り、生き残って願いを叶えようとは全く思わなかった。

◆◆◆

ある日、父親が一匹のカエルを連れて来た。

父親は、『このカエルは魔法のカエルだと言い、師匠にすればスゴイ魔法使いになれる』と言って、自分にカエルを渡したのであった。
(しかし、当の父親は「(その時は)酔っ払らっていたから覚えていない」等と言っていた模様。)

そして魔法使いになるべく、魔法学校ウィル・オ・ウィスプに入学した。



しかし、カエルを貰ってから2年後、同じ学校に通っていた闇の魔法使い・ヴァニラが、ヴァレンシア海岸でのキャンプから帰って来て間もない頃に、学校をやめて、行方を眩ませてしまった。

その後も彼女は何度か学校に訪れて来たが、キャンプ前からは様子がおかしくなっていた。

その時は自分と兄のシャルドネも教室におり、兄も「みんな心配していた」という事を話していた。

しかしヴァニラは、自分が闇の魔法使いであることから、忌み嫌われていたと話していた。

シャルドネも彼女を説得しようとしたが、ヴァニラは「心配は無用よ。私は私のやり方を見つけたの」と振り切り、自分とシャルドネに別れを告げて去って行っしまった。


443 : 疑う相手、疑われる相手 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:35:24 h6NfSaUQ0


その後、自分の住んでいた国・コヴォマカ大国で、大戦争が勃発した。

剣聖や魔道士と呼ばれた多くの者が命を落とした。

その戦争には、兵士をやっていたシャルドネも参加しており、彼も戦死した。

─シャルドネは最期に、自分をシブスト城の見える場所に埋めて欲しいと言って息を引き取った。

戦争にはヴァニラが関わっており、彼女はその罪でシブスト城に幽閉された事を知った。

しかし、この戦争に関する情報の多くは隠匿されてしまい、世間には殆ど知られていない様な状態であった。



それから時が経ち、自分や一部のクラスメート達も、臨海学校という名目でヴァレンシア海岸に行く事になった。

─しかしその夜、別世界からやって来た『エニグマ』と呼ばれる種族の者達によって他のクラスメート達や担任の教師共々、その別世界に攫われてしまう。

だがそこで、学校側の意図、そして世界の真意を知り、エニグマと戦って、クラスメート達や担任教師と共に生還した。



その後は、ヴァニラの弟であり、臨海学校の参加者の一人でもあったガナッシュが、エニグマと融合していた魔法使い達をまとめ上げていった。

その話はヴァニラを幽閉していた看守達にも伝わり、ガナッシュが面会にやって来た事によってヴァニラも救済、釈放された。



カベルネはというと、カエルの師匠の国を尋ね、様々な珍しい魔法を教わり、やがてはカエルの国の守護者となったのである。


444 : 疑う相手、疑われる相手 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:36:04 h6NfSaUQ0
◆◆◆

そしてこの催しに招かれ、会場に飛ばされた現在、彼は殺し合いを打破しようと動こうとしていた時だった…のだが。

「ハァ、ハァ、ハァ…」

どこからか、荒い呼吸の音が聞こえた。

カベルネが、音のする辺りを見回すと、黒髪の少年が視線に入った。

「…ッ!!」

しかし、少年はカベルネに驚いて直ぐさま逃げて行ってしまった。

「ちょっと待つヌ〜!オレは殺し合いには乗っていないヌ〜!」

そうしてカベルネは、逃げて行った少年を追いかけるのであった…。

【カベルネ・チープトリック@マジカルバケーション】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:黒髪の少年(ランナウェイ・キッド)を追いかける。
2:出来るなら彼を説得する。
3:知り合いが巻き込まれていないか心配。
[備考]
※本編終了後からの参戦となります。
※魔法の制限については後続の書き手にお任せします。

◆◆◆

あの人形はまだ追いかけて来る。

声を掛けてはくれたが、まだ信用出来ない。

─なぜ彼がカベルネを信用出来ずにいるのか。

それはこの殺し合いに呼ばれる直前の事にある。

◆◆◆

嘗て、自分が囚われていた『モウ』という施設から脱出しようと探索している最中に偶然、モウの女主人〖レディ〗の暮らしているスペースに行き着いた。

彼女の生活しているその場所で、少年は鏡を見ていたレディの姿を見てしまった。


445 : 疑う相手、疑われる相手 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:36:29 h6NfSaUQ0
それに気づかれて、少年は小人の姿に変えられてしまった。

その後、少年はモウにやって来る客人達をもてなす為の場所にさまよい込んだ。

しばらくさまよっている内に、一つの部屋で一本のソーセージを見つけた。

─それから間もない頃に、お腹を空かせた様子の子供が部屋にやって来た。

子供は黄色いレインコートを纏っていた。

その子供にソーセージを差し出そうとした時───、

なんとレインコートの子供は、ソーセージではなく、自分に喰らいついた。

少年はそのまま死んでしまった。

◆◆◆

それから少年には、他者への警戒心がより高くなってしまった。

もしかしたらあの人形も、そういった嘘を吐き、自分を利用、或いは隙を見て殺そうとしているのではないかと疑ってしまう位に。

だから逃げ出した。


446 : 疑う相手、疑われる相手 ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:36:54 h6NfSaUQ0
【ランナウェイ・キッド@リトルナイトメア】
[状態]:健康 カベルネへの警戒心(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この会場から脱出する方法を探す。
1:動いて喋る人形(カベルネ)からは一先ず逃げる。
2:隠れられる場所を見つけられたら隠れ、しばらく彼の様子を見る。
3:首輪の解除方法も探したいところ。
[備考]
※死亡後からの参戦となります。
※ノーム化は解除されております。


447 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:37:23 h6NfSaUQ0
投下終了です。


448 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:51:02 h6NfSaUQ0
>>442
すみません。脱字を発見しましたので、報告させていただきます。

『別れを告げて去って行っしまった。』を


449 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/25(木) 16:52:12 h6NfSaUQ0
『別れを告げて去って行ってしまった。』
に修正させていただきます。

誤送信も失礼致しました。


450 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/25(木) 22:11:05 wb25i0eI0
投下します


451 : たった一つの、思い貫く ◆2dNHP51a3Y :2021/03/25(木) 22:11:49 wb25i0eI0
「……あの時以来、と言うべきか?」
「……ええ」

この紅く狂った平安京には、本来在るはずのない建物が存在する。この場所もその一つ、本来ならば名古屋に存在するはずのポートビル。本来ならばこのポートビルの展望台からは地平線が見える鮮やかな海景色が見られるはず、だがそこから見えるのは紅く染まった歪められし平安の都、悍ましき鮮血の満月
この場所で、とある男女が対峙し、睨み合っている。宛らそれは蛇と鼠

「こんな所で会うとは思わなかったぞ。鬼ヶ原小夜子」
「それはこっちの台詞ね。――甘城道隆」

男の名前は甘城道隆。女の名前は鬼ヶ原小夜子。奇しくも二人には共通点がある。
それは、とある少女を―――甘城千歌を愛しているという事実

「お互い、とんでもないことに巻き込まれたようだ。それで―――殺すのか? 俺の事を」
「勝手に決めつけないで欲しいね。殺人鬼(わたしたち)は自分たちの意思で殺す相手を決める」

鬼ヶ原小夜子はその脳内に殺人鬼の人格を埋め込まれている。ベースはナチス・ドイツにおいて人体実験を繰り返してきた『死の天使』ヨーゼフ・メンゲレ
鬼ヶ原小夜子は甘城道隆と一応の面識はある。あの時は単純に殺しの獲物としての認識であった。一応愛しの千歌の兄という事も知ってはいるが
甘城道隆は殺人鬼の人格を埋め込まれた彼女たちの恐ろしさを知っている。虫一匹すら殺せないような優しい性格だった甘城千歌がまるで死刑囚の如く底なし沼のような伽藍堂の瞳で、自分を殺すことを躊躇しなくなった事を。結局の所、その千歌に助けられたお陰で今も生きているわけであるのだが

「それに。今あなたを殺しても何の特にもならないからね。表の千歌が悲しむだけだ」
「……表? 元の人格、ということでいいのか?」
「そう思ってくれればいい。最も、昼の人格(わたし)も、夜の人格(わたし)も既に混ざっているのだけれどね。他のみんなと同じく」

何度も行われた殺人実験や天童組との抗争を得て、小夜子たちメデューサ症候群の少女たちは昼と夜の人格が交互に影響を与えるようになった

「――それは、千歌もか」
「……」

小夜子の沈黙は、道隆にとっては肯定の答えと同義であった

「……千歌から話は聞いているよ。メデューサを一人助けたって」
「……知っているのか」
「誰を救ったかまでは知らないがね」

甘城道隆は、メデューサ症候群の裏に潜む五菱の闇を暴き、千歌の無罪を勝ち取る為に行動している。その過程でメデューサ候補であった少女、西園寺玲音が殺人鬼の人格を結びつく前に助けている

「それで、私達も救おうっていうのかな、君は?」
「――俺はそこまでお人好しじゃない。だが、千歌を助ける為に必要ならばそうするだけだ」

甘城道隆の行動原理は千歌を救うという一心のみにある。それでいて他人を見捨てるような冷徹漢というわけではない。西園寺玲音の時のように、結果として他人を助けることもあり得るのだから

「一つ聞きたい。君は千歌を愛しているのかい?」
「当たり前だ! この世の誰よりも千歌の事を愛していると断言できる程にな!」

甘城道隆は極度のシスコンである。それは、態々危険を犯してまで羽黒刑務所に乗り込んで調査をしに行く程に
千歌を愛する気持ちなら誰であろうと負けはしない、その自信あり過ぎる言い方に、小夜子は眉を顰め、口を開く


452 : たった一つの、思い貫く ◆2dNHP51a3Y :2021/03/25(木) 22:12:11 wb25i0eI0
「―――君は甘城千歌をメデューサから救うつもりでいるのか? もう一人の千歌を否定してでもか?」
「それは、もちろ―――!」

「勿論のことだ」と言いかけた所で、道隆の口が止まる。冷静に思い返すならば、メデューサ症候群を何とかするということは、殺人鬼としての人格を完全に消し去る事である。それに気づき口を止めた、それ以上に、小夜子の自分を見る目が殺意そのものに変わりかけていたからだ

「……肯定していたのなら今ここで殺していたぞ。甘城道隆」
「……ッ!」

殺意の籠もった無感情な言葉に、思わず道隆の肌に冷や汗が流れる

「私達は殺人鬼だ。例えそれが強制されたものでも、誰かの思惑の下であったとしても、殺したという事実は変わらないし、今や殺人鬼の人格と昼の人格は融合しつつある」

本来の人格と殺人鬼としての人格。いずれ2つの人格は溶け合い、一つとなる。そうなった時、その人物がどうなるか等予想がつかないだろう

「私は千歌の事が大好きだ。その完璧な黄金比の顔立ちだけでもない。その性格にも私は惹かれた。昼の人格だけでもない、もう一人の『千歌』も私は大好きだ」

鬼ヶ原小夜子は甘城千歌の事が好きだ。千歌が入所して間もない時点で彼女のことを気に入っていた。そして殺人鬼としての千歌の人格に馴染まれて、救命ボートにてお互いに混じり合うに至ったほどにその仲は進展していった
小夜子はどちらの千歌の事も愛している。だからこそ、許せないのだ。どちらも好きだから、その片方を無碍にするような道隆の行為を

「千歌を救うと言ったか甘城道隆。だが、お前がやろうとしていることはもう一人の千歌の否定に過ぎないんだ」
「……!」
「容易く「救う」なんて言葉で、『千歌』を否定するな!! 例え仕組まれだものだったとしても、どれだけ残酷なものだろうと、それも含めて私達だ!」

メデューサ症候群の少女たちは、本来なら普通の少女たちだった。だが、幾重の殺人と戦いを得て、夜の人格を、殺人鬼としての人格を受け入れ、そして融合しつつある。
結果として、それらもまた『彼女たち』だ。忌避すべき殺人鬼、それによって齎される殺人衝動。
だが、数多の困難を乗り越え、関係なかったはずの彼女たちに絆は芽生えた。それは、脱獄し自由を望む二人の少女を逃げる事の手助けをする程に

それ以上に――その絆の上で、鬼ヶ原小夜子は両方の甘城千歌を受け入れる。その覚悟は、千歌の実の家族に負けないぐらいに


453 : たった一つの、思い貫く ◆2dNHP51a3Y :2021/03/25(木) 22:12:32 wb25i0eI0
「……そうか」
「わかったかい? だったらもう、千歌を救うなんて世迷い言を――」
「感謝するよ、俺はある思い違いをしていたらしい」

だが、甘城道隆の覚悟はそれでも変わらない

「……俺を舐めるな鬼ヶ原小夜子。俺はあいつがどれだけ罪を犯そうと、俺に牙を剥こうと、それでも愛し続け、守ろうという気概ぐらいはある」

元より修羅の道であることは承知の上。大企業五菱のに潜む闇に真っ向から歯向かうと言わんばかりの所業。羽黒が、五菱が何を考えているかなんで未だわからない

「そうだな。君の言う通りだ。俺の知っている千歌も、殺人鬼の千歌も。俺の妹であることに変わりなんて無いんだ。例えその手がどれだけ血に塗れようと」

だけれど。例えどれだけ変わろうとも千歌が千歌であることに、甘城道隆の妹であることに、何ら変わりはない

「俺は、俺の知ってる優しい千歌が血も涙もない殺人鬼になってしまうのが許せなかった。だが、話を聞いて分かった気がする。殺人鬼でも、千歌の優しさは変わらない事に。……千歌を支えてくれたんだな、小夜子」

それは、何の隠し事もない感謝の言葉。どこかで殺人鬼の人格を自覚したその日、甘城千歌の心は一度崩れかけた。それを立ち直らせたのは道隆の手紙。だが、それまで支えたのは鬼ヶ原小夜子の献身

「――」
「お前の言いたいことも分かる。もし救い出せた所で、遺族がそれを許さない、なんて事もな。それでも守ってやると誓った。俺以外の家族からの見捨てられた千歌を支える、唯一の家族として――例え世界中を敵に回そうとも、千歌の為ならなんだってやってやる。五菱が何を企んでるのかは知らないが、お前たちに千歌を思い通りにはさせない」

その覚悟は、鋼の如く不動なる決意。もし世界が千歌を許さないと言うならば、喜んで世界の敵になろう。そして千歌を絶望の淵から救い出す。たったそれだけの、それだけの事だ

「……はぁ。表の千歌のシスコンっぷりは私も知ってはいたが。兄がこれなら妹もあれということだな」

呆れ果てたが風に、溜息をつく小夜子。だが、少しだけ不敵に笑った後、手を差し出し

「けれど、千歌を大切に思うその気持ちだけは、悔しいけれど認めるしかないな」
「……当たり前だ。俺は甘城千歌のお兄ちゃんだからな」

――二人は、握手した


【甘城道隆@サタノファニ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:?????
1:?????
[備考]
※参戦時期は神無村に向かう前

【鬼ヶ原小夜子@サタノファニ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:主催陣営は気に入らない
1:悔しいが、こいつの千歌への愛情は認めざる得ない
[備考]
参戦時期は最低でも甲州九龍城突入前


454 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/25(木) 22:12:43 wb25i0eI0
投下終了します


455 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:34:43 LB6ZXVxo0
皆様投下乙です
自分も投下します


456 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:35:45 LB6ZXVxo0
ハァ、ハァ。

細やかな息遣いで、草むらに姿を潜める少女が一人。
彼女の名は阿刀田初音。現役の高校生アイドルである。

彼女はここに連れて来られる前も殺し合いに参加させられていた。
そのゲームの名は"シークレットゲーム"。
与えられたお題を達成するために他者を蹴落とし生き残らなければならない悪魔のゲームである。
その過程で、信用していた男に裏切られ辱めを受け、無意識のうちにその彼を殺してしまい。
全員を殺せという条件に切り替わった折に、それに従い暗躍するも失敗。
物の弾みで藤田修平を集団の目前で殺害してしまい、行き場を完全に失ったが、しかしそれでも彼女を護ろうとしてくれた男がいた。
城咲充。初音のファンクラブ番号38番の青年である。
彼は涙を流しながら言った。『君が手を汚す必要などない。誰かを殺さなければ生き残れないというなら、僕が代わりに手を汚す』と。
初音の条件を満たすためには最終的には己が死ななければならないのを承知の上で引き受けてくれたのだ。
彼はその言葉通りに、細谷はるなと吹石琴美の二人を手にかけた。
初音がそんな彼に抱いたのは感謝以上に心苦しさだった。
自分を絶対に裏切らない、必ず護ると言ってくれたのは嬉しい。けれど、彼が手を汚していくのは悲しく、しかし弱い初音には彼の想いを裏切ることも止めることもできなかった。
やがて。充の怪我が悪化したのを見計らっていたかのように三ツ林司と粕谷瞳の二人が襲撃に来て―――そこで、充は己の命を完全に捨ててしまった。
何度銃に撃たれても構わず、襲い来る痛みにも耐えて、我武者羅にその足を進めて。初音を護るというその一心のみで、司を道連れに―――彼は死んでしまった。
黄金色のライ麦畑の下で、満足気な顔で息絶える彼を見た時―――世界は暗転し、気づけばここに連れて来られていた。

充の死を悼む暇も悲しむ暇もなく、今の彼女はただひたすらに困惑と恐怖に苛まれていた。

(充...充ぅ...!)

何度も胸の中で彼の名を呼ぶ。
いないのはわかっているのに。彼がもう来れないのはわかっているのに。
こんな状況でも未だに彼に縋ろうとする己の醜さと弱さに嫌悪感を抱いてしまう。
その弱さゆえか。身を隠していながらも、震える身体は草を揺らし音を鳴らしてしまっていた。

「あの、誰かいるの?」
「ッ!」

自分の失態に気づいた時には既に遅く、近くに来ていた他の参加者に気配を悟られてしまった。
逃げなくては、と急いで立ち上がろうとするも、草に足をとられてあえなく転倒。
それでも冷静に草を外せれば良かったのだが、パニックに陥った初音は我武者羅にもがき、逆に草は絡みついてしまう。

「あなた大丈夫?」
「ひっ」
「安心して。私は殺し合いに乗るつもりなんかないから」


457 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:36:23 LB6ZXVxo0

言いながら、現れた少女は絡まる草を解いていく。

「うんしょっと...はい、取れたよ」

あまりにも無警戒に草を解いた少女に、初音は目を丸くする。
ここは殺し合いの場だ。なのに、武器も構えず手助けまでして。
ただ、少なくとも今はこちらに害を加える気が無いのは確かなようだ。

「私、由香。呼び捨てでいいよ」
「あ...私は初音なのです」

相手につられて初音も名前を名乗り返し、二人は草むらを抜け、近くにあった小屋で情報の共有に取り掛かることにした。

「初音は、その...一応アイドルをやってるのです」
「えっ、初音ちゃんも?」
「『も』って...」
「うん。私も前はアイドルだったの。ユカポンって名前でね」

初音もゆかも衝撃で目が見開かれる。
まさかこの異常事態で、最初に出くわすのが同じアイドルだとは思っていなかった。

「えへへ、すごい偶然だね。私以外にもアイドルの子が連れて来られてたなんて」
「...そうですね」

偶然の一致に喜ぶ由香とは対照的に、初音の顔は淀んでいた。
アイドルは常に他者との競り合いのもとにある。
人気が取れなければお呼びがかからずやがて忘れられてゆき、更には年齢という壁の立ち塞がる活動期間が短い職業だ。
他のアイドルよりも輝く為に無茶をする、グループ内でも優劣をハッキリつける為に相手を引きずり下ろす、仕事を貰うために表に出せないことをする...
幸い、初音はまだそういう縁に縋るほど危機には陥っていなかったが、それでもお笑い芸人がやるような身体を張る仕事も増えてきている。
その為、自分以外のアイドルという存在に対してはあまり快く思えないのだ。

「初音ちゃん大丈夫?さっき転んだところが痛むの?」

そんな初音の様子に気が付いた由香は心配げな表情を浮かべて初音の顔を覗き込む。

「だ、大丈夫なのです。ちょっと不安になってるだけなのです」

悟られてはならない、と初音は慌てて取り繕う。


458 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:37:00 LB6ZXVxo0

「ならよかった。なにか力になれることがあったら遠慮なく言ってね」

初音を元気づけるように向けられる由香の笑顔。しかし、かえってそれが初音の癪に触っていた。

―――疎ましい。

初音の胸の内に黒いモノが蠢き始める。

―――どうして同じアイドルで、殺し合いに巻き込まれてるのに、彼女はこんなに綺麗な笑顔が出来るのか。

修平に人殺しをしてほしくない、彼にそんなことをさせてまで生き残りたくないと懇願する琴美とはるなの姿を見せられた時と似たような感情が渦巻く。

―――私だってそうありたかった。どれだけ大変でも笑顔でみんなを元気づけられる光り輝くアイドルでいたかった。

自分はずっと頑張ってきた。へたっぴだった歌もCDを出せるくらいには上達したし、演技力も磨いてきた。
人気が落ち目になっても、身体を張ってでもアイドルに食らいついてきた。
なのに、理不尽なゲームに横やりを入れられて、そこで頑張って抗ってもなんの縁も無かった人に邪魔され、穢されて。
そこから抜け出したと思ったら更に理不尽な要求を強制されて。
どうして自分だけこんな目にばかり遭う。どうして目の前の子とこんなにも差が出来る。
なんてことはない。ただの運だ。ちょっと違えば初音がそちら側で、由香がこっちの側だった。
それが初音には酷く疎ましく、憎たらしかった。

だから、そっとバックから取り出した金づちを握る感触にもなんら抵抗は無かった。

殺し合いには乗らない。自分には危害を加えない?
そんなこと知ったことではない。どのみち最後の一人にならなければ生き残れないのだ。
だったらここでやってやる。目障りな光を消して、闇の中でも突き進んでやる。
そうでもしなければ、こんな自分を生かそうとしてくれた充に申し訳が立たない。

「さっ、行こう初音ちゃん」
「はいなのです」

ハンマーは後ろ手に隠しているため、由香には見えていない。彼女もすっかり気を許している。
この距離なら間違いなく殺れる。
由香が後ろを向いた隙に、金づちを握る手に力を込め―――


459 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:37:33 LB6ZXVxo0
「ユカポン!ユカポンじゃないか!!」

決意は、戸が開くのと同時に野太い声に遮られた。

「ユカポンもここに来てたんだね!やっぱり僕らの相性は最高だったみたいだ!!」
「あ...ぁ...」

由香の全身が震えあがるのを見て、初音は彼女の背後からそっと前方を覗き込む。
立っていたのは、肥満体で黒ぶち眼鏡と口から覗かせる鋭い犬歯が特徴的な男だった。

「知り合いなのですか?」

初音が小声で問いかけるも、由香は身体を振るわせるのみでなにも答えない。ひたすらに眼前の男に怯え続けるだけだ。

「ユカポンの友達かい?いやあ可愛いなあ。きみも制服が似合うねえ」

男がにきびをふんだんに浮かびあがらせた顔で口角を厭らしく吊り上がらせると、粘ついた涎が滴り落ちる。
その不潔さに初音の喉がひっ、と鳴り、思わず後ずさってしまう。

「せっかく会えたんだし一緒に行こうよ。大丈夫、僕は君を殺さないから」
「嫌ァァァァ!!!」

伸ばされた男の腕を由香が絶叫と共に払う。
だが、男はそんな由香に怒りを抱くこともなく、むしろ笑みを深めていた。

「前もそうやって僕の手を払ったよね。あの時はつい怒っちゃったけど、僕も心を入れ替えたんだよ」
「え...?」
「ほら見てみなよ僕のズボン」

男の誘導通りに、由香と初音の目線が男のズボンへと移っていく。
そこには小高い山ができていた。今にもチャックがはち切れそうなほどにナニかが盛り上がっていた。

「ひ、ひぃっ!」
「ユカポンに頭を刺されてから新しい悦びが増えちゃったみたいでね。ユカポンに攻撃されるとギンギンになっちゃうんだ。
たっぷり愛し合ったアイドルから痛みという愛を受けるなんてファン冥利に尽きるんだって気づけた証だよ。
そしてそれはユカポンも同じ。君から受けた痛みを返してあげると君も喜ぶ。そうやって新しい愛を育んでいくのもアイドルとファンの特権だよね」

自らの性癖を自慢げに語る男に初音は嫌悪を抱く。
アイドルをやっていればたまに現れるのだ。こういう度を過ぎたファン―――もとい、厄介者が。


460 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:38:13 LB6ZXVxo0

「さあ、いつもみたいにアナルセックスしよう。見せてやろうぜその子に僕らの愛を」

唐突にズボンと服を脱ぎ始める男に、またしても初音の喉がひぃっ、と鳴る。

『ほら初音ちゃんってば、ちゃんとご主人様の言うこと聞きなって』

そして嫌でも思い出してしまう。
ここに連れて来られる前、信じていた男、伊藤大祐にペットと称され凌辱された時のことを。

「――――あああああああああ!!!」

叫びと共に由香がデイバックから黒光りしたモノを取り出す。
サブマシンガン。一度の引き金で大量の弾を吐き出す兵器が男目掛けて火を噴いた。

「ハガ、アアアアアアアアア!!」

銃弾を受けた男は悲鳴と共に血だまりに沈み、ゴロゴロと地面をのたうちまわる。

ハァ、ハァ、と頬に涙を伝わせながら、由香は息を吐く。

「ゆ、ユカポン...」

その修羅の如き形相に、銃をいともたやすく扱うその手腕に初音は息を呑む。
本当にこれが、先ほどまで笑顔だった少女の姿か?自分のような不幸な目に遭わなかった者の姿か?

「い、いてえ...けど、へへへ、気持ちいいよユカポン」
「!!」

ゆらりと立ち上がる男目掛けて、再びサブマシンガンが掃射される。
再び被弾と共に血を舞い上がらせ、踊るように男の身体がくるくると回転し続ける。

「ガッ!グヘッ!」

だがそれでも死なない。人間なら当に致命傷な筈の銃創と出血を経ても、男は未だに余裕の笑みを浮かべている。

カチ、カチ

「うそっ、弾切れ!」
「スリリングでたまらなかったよユカポン。これはもうアナルで癒してもらわないと」

夥しく流れる血にも関わらず、男は被弾する前と変わらぬ態度で由香へと歩み寄ってくる。

「ひっ、ヒイイイイ!!!!」

ジョー ドボドボ

武器を失った由香は、先ほどまでの蛮勇が嘘であるかのように腰が砕け、股座から小便を漏らし始めた。


461 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:38:55 LB6ZXVxo0

「ごめんなさい!ごめんなさいいいい!!」

彼に対してよほどトラウマがあるのだろう。
由香は子供のように泣きじゃくり、ひたすらに謝り続けていた。

「だから大丈夫だって。この痛みも愛の証。僕は最後までユカポンを殺さないよ。さっ、お尻をこっちに向けて。それともおっぱいからがいいかな?」
「あ...ぁ...」
「どうしたんだいそんなに見つめて。ああそうか、君も僕たちの愛に加わりたいのか。よしならこうしよう。ユカポンは今から先輩としてこの娘のアナルをほぐしてあげる。
僕はきみとお互いの性器を舐め合いっこして前を開発してあげる。そうして仲良く3Pだ」

ニタリと男が笑みを初音へと向ける。
これほどまでに甚振られてもなお恍惚の笑みを絶やさない男の変態性、大祐に甚振られていた時以上の恐怖に、初音は圧倒され動けなくなっていた。

(充...!)

また、彼の名を心中で呼んでしまう。彼を呼ぶということは、この凌辱現場に巻き込むということなのに。
それでも縋るしかない。非力な自分では誰かに頼るしか現状を打開できない。

「ガアアアアアアア!!」

雄たけびと共に、由香が男へと身体をぶつけ、初音と男の間に割り込む。

「逃げて初音ちゃん!私が抑えてる内に早く!」

流れる涙も拭わず、由香は男を止めようと必死に縋りつく。
邪魔されているにも関わらず、由香に抱き着かれている感触を楽しんでいるのか、怒ることもなくニヤニヤと彼女を眺めている。

「早く!」
「――――ッ!!」

由香の強い言葉に押され、初音の足は飛び跳ねるように動き出していた。
男の横を通り過ぎ、そのまま戸の外へと駆け出し。
振り返ると、男の背中越しに、首筋を噛まれ涎と涙を流しだらしなく開口する由香と視線があった。
そして。
そんな中でも、由香は初音を心配させまいと、無理やり笑顔を作っていた。

彼女の姿に息を呑み、踵を返し小屋から遠ざかっていく。
由香は初音の思った通りに、能天気に生きてきた訳ではなかった。
彼女もまた、あの男に凌辱され穢されていた。
その上で、彼女は自分を不安にさせないために笑顔で振舞ってきた。
今も尚、逃がす為に戦ってくれている。

自分とは違う。
追い込まれれば自分の身しか考えられず、充に頼らなければなにもできず。
こうして逃げているだけでも恐怖の震えは止まらない。
強い彼女に比べて、あまりにも弱く醜い自分が嫌になる。
それでも足は止まらない。
初音はぐっ、と目を瞑り、その頬には涙が伝っていた。


462 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:39:38 LB6ZXVxo0



「いやあ、相変わらずユカポンの血は美味いなあ」
「......」

力なく壁に寄りかかり、ピクピクと痙攣する由香。
床を濡らすアンモニアの臭い。
それと交わる己の血のむせかえる臭い。

それらすべてのシチュエーションが男を興奮させ、股座がはち切れんほどに筋が走る。

「ぃ...ゃ...」

由香の力無き抵抗も虚しく、男は由香の服を脱がし、下着の脱がしてから胸と秘部を弄り始める。

「へへへ、相変わらず最高だよユカポン。見てよもうこんなにぐしょぐしょだ」
「...ぁ...」
「よし、このままアナルセックスをしよう」

由香をうつ伏せに寝かせ、性器を臀部へとあてがう。

「こういう態勢でやるのは初めてかもね。それじゃいくよ」

つぷぷ、と男の性器が由香の校門へと侵入を開始する。

「よし、入り口発見。さあ、また愛を語り合って」



ゴ ン ッ

男の台詞は途中で遮られた。






「ハァッ、ハァッ」

引き返してきた、初音による頭部への金づちによって。


463 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:40:30 LB6ZXVxo0

「ガッ、テメッ!」
「アアアアアアッッ!!」

ゴンッ、ゴンッ

絶えず、初音の金づちが頭部へと振り下ろされる。
金づちが頭蓋を殴りつける度に血が噴き出るが、しかし男はそれでも死なない。
吸血鬼は、この程度では殺せない。

痛みに耐えながらも初音の腕を掴み、乱暴に腕を振りぬけば、彼女の身体は宙を舞い、凄まじい勢いで小屋の外へと投げ出される。
背中を強く打ち付けた初音は痛みで空気を吐き出し、眩暈に襲われる。
ふらふらと立ち上がる初音の頬へと、走り寄ってきた男の平手が振るわれ地面に倒される。

「ユカポンからの痛みは愛っていったけどね。君からの痛みはただ痛いだけなんだよ。ユカポンの友達だから殺しはしないけど、お仕置きは必要だよね」

男は倒れる初音に馬乗りになり、首を絞め始める。
吸血鬼は人間の数倍は力が強い。
苦しさに耐え兼ね男の腕を掻きむしるが、微塵も力は揺るがない。
息苦しさに眼球がぐるりと上を向き、口端から泡が溢れ始める。

「ガアアアアアアアア!!」

ザンッ

男の頭部に包丁が突き立てられる。
息を切らしながらも復帰した由香が、小屋に置いてあった包丁で刺したのだ。

「ハガッ、ユカポ」

ゴンッ

刺された頭を押さえようと両腕を離した隙を突き、初音が金づちで再び頭部を殴りつけた。
男がそれに怯む間もなく、由香が空になったサブマシンガンで殴りつけ。
さしもの、今までの銃弾や打撃のダメージが積み重なった男の身体からは力が抜け、仰向けに倒れ込む。

「ユカポ...愛して...」

ピクピクと痙攣しながらうわ言を呟く男へと由香はとどめを刺さんとサブマシンガンを振り上げる。
が、その前に、初音が包丁の上から金づちを叩きつけ、やがて男は動かなくなった。


464 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:41:21 LB6ZXVxo0

「初音ちゃん...」

ハァ、ハァ、と二人の呼吸が空中で交わされる。

「...初音は、人殺しなのです」

初音は血に濡れたその姿を隠すこともなく由香に問いかける。

「ここに連れて来られる前も、人を殺したのです。自分を護るために。自分のちっぽけな心を護るために。生きる為に、人の善意に甘えて罪を押し付けたりもしたのです」

今の初音の姿は、シークレットゲームで犯した"業"そのものだ。己の為に人を傷つけ続けた悪鬼そのものだ。

「初音は薄汚くて弱っちい人殺しなのです。それでも」

ぐっ、と唇を噛み締める。
由香の強さを見せつけられて、改めて思った。
もう、自分の為に誰かが傷つくのが嫌だ。
異様な状況でもなお他人を思える充や由香のような強い人間になりたい。
かつて憧れていた光【ほんとうのアイドル】になりたいと。

「それでも...初音は一緒にいてもいいですか」

血に塗れ、涙に沈む初音を、由香は息を切らしながらもジッと見つめる。
初音に対しての恐怖は抱かなかった。
だって、由香の目には、彼女は薄汚くなんて映らず、ただ必死に生きようとしている人間にしか見えなかったから。

「...初音ちゃん、私だって強い訳じゃないんだよ」
「?」
「私はただあの人たちの真似をしただけ。本当の強さを知ってる人たちがいてくれたから、私も頑張れただけなの」

由香の脳裏に過るのは、不愛想ながらも常に他者を気遣う剣豪、その体躯が表すように大らかな心を持つ大男、小さな身体でも決して消えない不屈の炎を心に宿す小学生、普段は卑屈で卑怯でもいつも自分を気にかけてくれる繊細な男。
みんなの背中を追ってきたから、彼らに恥じぬようにと頑張れただけだ。

「だから、一緒に強くなろう初音ちゃん」
「―――ハイ、なのです」

どろどろに汚れた身体同士で抱きしめ合う。
ここにいるのは共に穢され汚れたアイドルだ。
それでも、彼女たちから再び輝こうとする意志を奪う権利は誰にもない。

初音が由香に肩を貸して立ち上がらせる。
禍々しい月にも怖気づくことなく、二人のアイドルは歩き始めた。



【ユカポンファンの吸血鬼@彼岸島48日後... 死亡】


【阿刀田初音@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:精神的疲労(大)、疲労(中)
[装備]:金づち@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:強くなる。
1:ユカポンと共に行動する。

[備考]
※参戦時期はBルート、充の死亡直後より

ヒュンッ

【由香(ユカポン)@彼岸島 48日後...】
[状態]:精神的疲労(大)、疲労(大)、背中に矢(臓器損傷)
[装備]:サブマシンガン(弾切れ)@現実、ルーラ草@トルネコの大冒険3
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:強くなる。
0:ガッ
1:初音と行動する。
2:仲間たちも連れて来られていたら合流する。

[備考]
※参戦時期は蟲の王撃破後


465 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:41:53 LB6ZXVxo0

ぐらり、と由香の身体がずり落ちていく。
ドサリ、と二人纏めて倒れ込み、初音は慌ててユカポンの容態を確認する。

「えっ...なんなのです、コレ...」

初音は己の目を疑った。
由香の背に、先ほどまでは無かった矢が突き立てられていたからだ。

ヒュンッ

風を切る音と共に初音の肩に激痛が走り、鮮血が舞う。
痛みの走った箇所へと手をやれば、そこには由香と同じ矢が生えていた。
矢で撃たれたのだと認識すると、激痛が肩のみにならず全身にまで侵食する。

「ひ、い、ああああああ」

悲鳴と共に転がる初音。
それを追うように、ガサガサと草を掻き分ける音がする。
草木の影から現れたのは、軍服を着た男だった。
男は能面のように無表情で、初音を見下ろしていた。

彼の冷めた視線を受けた初音は己の心臓が急速に冷えていくのを自覚した。
ボウガンを向けられても、ああ、ここで死ぬんだなと、他人事のようにしか思えなかった。

命乞いも抵抗もなく。
全てを投げ出すかのように、初音は目を瞑り頭を垂れた。

「......」

「......」

だが、いくら待てども来るであろう痛みはこなかった。
恐る恐る目を開ければ、そこには既に男の姿はなく。
倒れ伏す由香の姿しかなかった。

なにが起きたかはわからないが、それだけで察してしまった。
自分が諦めている間にも由香は必死に足掻いていたこと。
―――また、自分が助けられてしまったということ。

「ユカポン...」

初音は痛みに耐えつつ、よろよろと歩み寄る。
由香の出血は未だに止まらない。運悪く致命傷だったようだ。

「ユカポン...ユカポン...ッ!」
「...つね...ちゃ...」

由香は力を振り絞り、縋りつき涙を流す初音の頬に手を添える。
そして、ニコリと微笑みを向け、その手はコトリと力をなくし地に落ちた。
初音に残されたその微笑みは、血に濡れながらもアイドルとしての輝きは損なっていなかった。


466 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:42:20 LB6ZXVxo0



「しくじったか...」

男はクロスボウの手入れをしながらそう独り言ちた。
喧噪につられて現場へと赴き、初音にトドメを刺そうとした時。彼の背後で由香は力を振り絞り、支給品の一つであるルーラ草を男に投げつけた。
その結果、男は別エリアに飛ばされてしまったのだ。

「まあいい。残りは手負いの小娘一人だ。大した脅威にはならない」

それよりも、と男は思考を切り替える。
由香の放ったルーラ草はこの身で体験した通り、超能力としか思えない道具だった。
もしかしたら他の参加者もあのような道具を持っているかもしれない。
それらを手に入れれば自分の生存力はかなり高まるはずだ。
そうすれば、かつての不覚―――ここに連れて来られる前の殺し合いでの敗北のような目には遭わなくなるだろう。

(生き残ってやる...今度こそ...!)

クロスボウの手入れを終えると、軍服の男は周囲に警戒しつつ、その足を進めるのだった。

【(Zルートでソフィアに返り討ちにされた)軍服の男@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:健康
[装備]:ガッツの義手(ボウガン、大砲付き)、クロスボウ@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:生き残る。
1:参加者を襲撃し装備を増やす。

[備考]
※参戦時期は死亡後より


467 : はぐれアイドル地獄変 ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:42:40 LB6ZXVxo0

こと切れた由香の手を握り絞め、初音は泣きじゃくる。
まただ。また守られてしまった。
充に護られ。由香に護られ。そうしてまた自分が生き残ってしまった。

「初音はもう死にたいのです...」

初音はずっと頑張ってきた。
アイドルになる前も、なってからも、どれだけ苦境に立たされても、人気に影が落ちてきても。
その結果が、周囲を巻き込む疫病神でしかないというなら、もう消えてしまった方が楽になれるだろう。
けれど、その選択をすれば充の、由香の死が無駄になってしまう。
駄目だ。そんなこと許される筈がない。

「初音は...初音は...」

縋れる相手はもうどこにもいない。
これから先、どうするかは己で決めるしかない。

―――例え、どの道を選んでも地獄しかないとしても







【由香(ユカポン)@彼岸島 48日後... 死亡】
※サブマシンガン(弾切れ)@現実、基本支給品、ランダム支給品が傍に落ちています。

【阿刀田初音@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:精神的疲労(大)、疲労(大)、出血(中)、肩にダメージ
[装備]:金づち@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:???
1:ユカポン...

[備考]
※参戦時期はBルート、充の死亡直後より


468 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/03/25(木) 22:43:06 LB6ZXVxo0
投下終了です


469 : ◆vElBpa3BmY :2021/03/25(木) 23:07:33 5m3EZxU60
投下します


470 : まちかどヤクザ ◆vElBpa3BmY :2021/03/25(木) 23:08:16 5m3EZxU60
「おのれメデューサ……」

丸ハゲの筋肉モリモリの巨大な体躯の男、水野智己は打ちひしがれていた。

殺し合いに呼ばれる以前、最後に覚えていたのは怨敵たる甘城千歌に己の両足を払われ、ポールへ肛門を直通される屈辱的な敗北の姿だ。
おそらくは死んだのだろう。
身体を鉄の棒で貫かれたのだ。流石に生きてはいられまい。

「しかし、己(おれ)は生きている。あの世……? いや」

もしここがあの世であれば、同じくメデューサ達に殲滅させられた天童組の幹部達もいるのだろうか。現状では確認のしようもないが。

「皆、すまぬ……己が不甲斐ないばかりに」

それは水野智己という男を知る者からすればありえない姿だった。
数多の極道を統べる天童組の組長であり、武闘派でもある彼はまさに唯我独尊といってもいい猛者だ。
ツキノワグマ程度なら、軽く首を圧し折れるこの男が不甲斐ない等と己を貶すなど考えられない。

しかし、甘城千歌との戦いに敗れたことでその強さに裏付けされた自信は木端微塵に打ち砕かれ、
挙句に水野が最も頼みを置く、尻穴(アス)が処女であるが故に最後の追撃を防ぎきれなかった敗因。

結果として家族と言っても差し支えない組員達の仇も討てず、無様に死んだ己に水野は強い怒りすらあった。

「主催(やつら)の妄言を聞くのは癪に障るが……良かろう。この殺し合い乗ってくれる」

ここがあの世であるのなら、殺し合いを生き延び現世に生還しメデューサ共を皆殺しにする。
そうでなくともここから早急に帰還し、奴らを殺さねば皆の弔いにはならない。

「そうと決まれば……先ずは最大の敗因たる……アスを鍛えねば」

昨日までの己を超える。限界を超える事で新たな強さを手に入れねばならない。
それほどまでの強敵であると、水野は甘城千歌のアスを認めていた。
だからこそ、一切の慢心も遊びもなく万全の態勢でこそ挑む。


471 : まちかどヤクザ ◆vElBpa3BmY :2021/03/25(木) 23:08:54 5m3EZxU60

「丁度いいバイブもある」

落ちていたハニワみたいな間抜けな面をしたバイブを拾い、水野は己のズボンを下ろし下半身を露出すると、潤滑剤もなくそれをアスへとぶち込んだ!!!

メリィッ

「お”ッお”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”んッ!!
 ……耐えるのだ。この程度、あの船のポールの比ではない」

挿入(はい)ってくるッ。


「はぐ!?」


―――この角がいかんッ!?


『船とファックしな』


心が折れそうになった時、あの打倒せねばならぬ宿敵の姿を思い浮かべる。


「甘城……千歌……! なんのこれしきッ……!!」



『シャミ子ぉー……シャミ子やー』


水野のアスの肛奥にて、バイブが誰にも聞こえない声で、この場には居ない子孫に助けを求める。
正確にはそれはバイブではなく、邪神像である。これには永遠の闇を司る魔女たるリリスが封印されていた。
しかも彼女は暗所恐怖症でもある。

要するに最悪の状況だ。

しかしそんなこと露知らず、水野智己、たった一人の孤独な戦いが今幕を開けた。



【水野智己@サタノファニ】
[状態]:アスにダメージ(大)、肛門にリリスをリリース
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗り、早急に帰還する
1:メデューサ達は皆殺し(特に甘城千歌)
[備考]
※参戦時期は死亡後です。


【リリス@まちカドまぞく】
[状態]:邪神像に封印、精神的ダメージ(極大)、汚物塗れ
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:……。
1:くちゃいくちゃい……。
[備考]
※水野の肛奥(なか)に挿入(はいって)ます。


472 : abddefge :2021/03/25(木) 23:09:02 y5wix/Gg0
投下します


473 : ◆vElBpa3BmY :2021/03/25(木) 23:09:36 5m3EZxU60
投下終わります


474 : 閃光の星々が地上に流れて ◆/plsGuy7sM :2021/03/25(木) 23:10:11 y5wix/Gg0
血色で染め上がった空に物静かな平安京。
街中に颯爽と駆け抜ける人影。その者は白の仮面を被り、肌色すら伺えない黒衣を纏う。外見上、得体の知れない怪人だと彷彿させる。何処かの世界で彼は契約者と呼ばれていた。コードネームはBK201、又は黒の死神。
見慣れない二本の剣を死神が握り締め、胴体の左右にぶら下がる刃の箱を小刻みに揺らしていく。コートの裏にはガスボンベとワイヤーの巻き取り装置が腰に取り付けられていた。地面に引っ張られる重装を身に付けても尚、疾走の速度を落とす様子も無い。
何故なら死神は追われている身だ。走り続ける彼の背後に、巨大な火球が射線を焼き尽くしながら迫ってくる。
死神の腰からアンカーの付いた二本のワイヤーが飛び出し、壁面に深く突き刺さると彼は剣のレバーとトリガーを同時に引いて、ボンベのガス噴射と共に飛んだ。いくつもの障壁を飛び越え、広間の地面に接地し転げ回り、すかさず受け身を取る。

「くっ……!」

それでも衝撃が全身に打ち付けられ、痛みが広がっていく。
死神の後に続き、もう一人の異形が地響きを起こしながら着地した。全身に隈なく巻き付かれた拘束具、背中には大型の燃料タンク、両手で構えるのはタンクに繋がれた発射機、素顔を仮面で覆い隠した死神とは一線を画す風貌だ。
巨体は黙々と死神に向かって歩み出し、発射機の矛先を向け始める。痛覚が未だに残っている中で死神は思考した。逃走していく内にボンベのガスが残り僅かとなっている。このまま逃げ続けるのも難しいだろう。ならばここで――、
決着を付けよう。
怪物が発射機で狙いを定めると、その射出口から炎が噴き出る。火炙りにされかねない炎の手が届こうとした途端、死神が片手の剣を掲げ――思いっ切り振り下ろす。
すると刃が回転し怪物の目の前に迫る。元々、ブレードは折れた刀身を交換する為に着脱式になっていた。それを利用した死神は予備動作の反動に加えて刃を投擲したのだ。
死神の反撃に対し怪物が炎の射出を一時中断させ、発射機で大きく振り払うが、自身の体に劈くような感触を覚える。
ふと目を遣ると二本のワイヤーの先端が拘束具越しに肉壁を突き刺していた。気付いた時には遅く、死神が両手の刃先を怪物の上体に向けて驀進する。それぞれの胸に刃がワイヤーのアンカーよりも深く突き立てられる。悲鳴を上げた怪物が何とか抵抗しようと両手が塞がった発射機を捨て、死神に掴みかかろうとした。その握力は常人の頭すら卵の殻の如く捻り潰せる。懐に飛び込んだ死神に危機が迫っていく。


475 : 閃光の星々が地上に流れて ◆/plsGuy7sM :2021/03/25(木) 23:11:25 y5wix/Gg0
「終わりだ」

死神が冷たく告げると怪物に電撃が走る。発電力となる彼の全身から剣を伝って、体内に行き渡らせる。ここで確実に仕留めると言わんばかりに。
絶え間なく浴びせられた挙句の果てに意識を失った怪物は、両膝を地面に突いて倒れようとしていた。死神がブレードの刀身を即座に外して、その場から離れる。そして土煙が舞い上がった時には怪物が地に伏していた。

契約者にしては奇形だ。
横たわる怪物を死神が軽く蹴って生死を確かめる。何の反応も示さない。それもそうだ、この電撃で数多くの契約者を感電死させてきた。生きている方が尚更、おかしいだろう。
しかし怪物は死神より上回る体格、それに見合わない素早い動き回りで彼を圧倒してきた。それに対価を以て能力を行使する契約者の様な仕草は無かった。
場合よっては契約者じゃあないのかもしれない。

「派手にやり過ぎたな……ここから離れ――」

戦場に嗅ぎ付けた参加者を危惧して死神が立ち去ろうとする。だが声が詰まると同時に痛みを感じた。まるで小銃弾より極太な弾で臓器を一瞬で抉り取られたかのような感覚だ。
目線を落とすと自分の腹に一本の触手が飛び出している。

「なっ……」

死神が振り向いた先に――死んだ筈の怪物が起き上がろうとしている。それも手首から彼を突き刺した触手を伸ばしながら。生々しい触手が蠢く度に死神の臓器が掻き回される。

「がぁっ……! はぁ、はぁ」

死神がこれまでにない憔悴を見せる。彼の体ごと触手の伸縮で手繰り寄せる怪物は咆哮を上げていく。声量が死神の鼓膜を響きかせ、彼の荒々しい呼吸音を掻き消す。

俺はここで死ぬのか?
怪物の顔を背けるように死神が空へと見上げる。偽物の星空とは違う本物の星々だ。空色が真っ赤に染め上げてなければ美しい景色だったのかもしれない。
メフィスやフェレスと云った主催者に呼び出される前、自分は数多くの契約者を葬ってきた。彼らは合理性を求めるが故に人とはかけ離れた分類だろう。しかし元々は普通の人間で血生臭とは無縁の生活を送ってきた。それを知りながら血に染め上げてきた自分に相応しい光景だと死神は自嘲する。痛みに支配された手足を力無く垂れ、死を受け入れる体勢に入った。

皮肉なものだな、最後には契約者らしい判断をするとは。
諦めていた死神の脳裏に銀(イン)の姿が過る。黒が組織に追われながらも必死に彼女を守ってきた。もし自分が死ねば彼女は独りになってしまう。言葉に出来ない気持ちが死神を駆り立てさせ、彼は触手の表面に切れ込みを入れようと小刻みに手を動かす。だがどう足掻いても戦況は最悪と言ってもいい。何しろ自分の命が怪物の手に委ねられているようなものだ。
だからといって死神は死ぬ訳にもいかないと抵抗し続ける。そんな彼に止めを刺さんと怪物が黒に向かって拳を振り上げていく。
突如、朱い空から白い星々が怪物達の周囲に落ちていき、

「喝っ!」


476 : 閃光の星々が地上に流れて ◆/plsGuy7sM :2021/03/25(木) 23:12:15 y5wix/Gg0
死神や怪物でもない第三者の大声と共に星達が煌めき出した。一瞬の閃光に伴い、壁面に亀裂を走らせる爆発が起きてしまう。火中から怪物の唸り声が高らかに響く。

彼らに鉄槌を下したのは上空に飛び交う梟――ではなく鳥の背中に乗っている金髪の男性だ。片目にはスコープ、赤い雲の模様で描かれた装束を纏っている。

「開幕早々の爆発はどうだ……うん」

死神が予見した通り、参加者が駆け付けて来た。彼の名はデイダラ、別世界では岩隠れの抜け忍で暁のメンバーの一員として活動していた。
デイダラの両手には歯の揃った口が開き、粘土をクチャクチャとガムのように噛み続ける。これは自身のチャクラを粘土に練り込ませて『起爆粘土』を作り上げる工程だ。

「もうちょい、ここら一帯を吹き飛ばしたいが、起爆粘土の量からしても足りねぇな……うん」

デイダラが起爆粘土を捏ね繰り回して創り出すのは先程の梟、蜘蛛などの芸術作品だ。しかしながら使い様によってはタチの悪い空爆に様変わり。
死神達が居た所は黒煙で立ち昇り、二人の影すらも見受けられない。だがデイダラにとって仕留められたかどうかの確認は二の次だ。

「もっともっと広めるぞ、オイラの芸術は無限大だ……うん!」

次の獲物を求めてデイダラを乗せた梟が何処かへ飛び去っていく。

爆発した跡地からかなり離れた場所。かつて庶民が住んでいただろう長屋に、火傷を負った男性が千鳥足で入ってくる。黒衣が所々に破け、そこから覗く皮膚が赤く変色していた。無機質な死神の仮面すら無く、端正とした顔立ちが曝け出される。
彼はネメシスと命懸けで戦ってきた黒の死神こと黒(ヘイ)だ。デイダラの奇襲でネメシスの注意が逸れた途端、黒はブレードで触手を切断し、立体起動装置の残りガスをふんだんに使って爆風に呑まれながらも逃走した。その代償に立体起動装置は使い物にならなくなってしまう。厳密にはガス欠で本来の推進力を失ってしまったという方が正しい。つまり使える様にするにはガスを補給しなければならないという事だ。
ネメシスに開けられた傷痕は、幸いにも焼かれて出血が止まっている。だが重傷なのは変わりないだろう。心臓や肝臓と云った臓器は無事だが、未だに鈍い痛みが黒の体に訴えかける。おまけに呼吸をする度に苦しみが襲う。恐らく爆発の最中に吸った熱気が気道を焼いてしまったのだ。

「なん、としてでも、帰るぞ……」

声が掠れそうになりながらも黒は決意する。

一方、クレータと化した爆心地では怪物が熱さに動じず歩いている。一部の拘束具が捲れ、素顔が露わとなる。鼻が横に歪み、剥き出しとなった歯茎、更には右目が潰れていた。デイダラのC1をもろに直撃したとはいえ、軽度の火傷で済ませられる程の頑丈さだ。

「S.T.A.R.S.……!」

目標を忌々しそうに呟く怪物の正体はアンブレラ社が生み出した生物兵器、通称B.O.W。名はネメシス、彼は標的のS.T.A.R.S.を抹殺する為にラクーンシティへと送り込まれた――筈だった。
メフィスやフェレスによって本来ならば交わる筈も無い世界にネメシスは降臨した。

【ネメシス@バイオハザードRE:3】
[状態]:全身火傷、刺し傷(再生中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:皆殺し。
1:参加者達を殺害又は寄生体の植え付け。
2:S.T.A.R.S.隊員がいれば優先的に抹殺。
[備考]
※参戦時期はジルと邂逅する前から。

【黒@DARKER THAN BLACK -黒の契約者-】
[状態]:疲労(大)、全身に火傷(中)、気道熱傷(小)、胴体に大きな傷跡。
[装備]:立体起動装置@進撃の巨人(ガス欠、予備のブレードが三本消費)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本方針: 銀と合流する為にも此処から脱出する。
1:暫くは治療に専念する。
2:治療の間にバックの中身を確認する。
3:あの飛行物体やネメシスに警戒。
[備考]
※参戦時期は黒の契約者終了後です。

【デイダラ@NARUTO】
[状態]:健康
[装備]:起爆粘土
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(未確認)
[思考・状況]
基本方針:オイラの爆発で他の参加者達を一網打尽にして優勝する。
1:この場所で芸術(爆発)を広める。
2:起爆粘土の備蓄が……面倒だが何処かで調達しなきゃなぁ。
3:あの二人を仕留められたのか……まぁ、生きていればいつかは会うだろう。
[備考]
※参戦時期はうちはサスケとの決着後。


477 : 閃光の星々が地上に流れて ◆/plsGuy7sM :2021/03/25(木) 23:12:44 y5wix/Gg0
【煉獄招致『ルビカンテ』@アカメが斬る!】
ネメシスの支給品。
火炎放射器型の帝具。高火力の炎を放射し、その炎は一度引火すると水を被っても消えることはない。
奥の手は球状に固めた炎を長距離まで飛ばす「岩漿錬成(マグマドライブ)」。

【立体起動装置@進撃の巨人】
黒の支給品。
アンカーが付いたワイヤーの射出装置が腰ベルトの左右に付けられ、操作装置を兼用する剣の柄部分と繋がっている。このワイヤーを打ち出してアンカーを壁や巨人の体に突き立て、ワイヤーを高速で巻き取ることによって素早い空中移動を可能とした。
また、剣の予備の刃を複数収めた箱型の鞘を腰の両側に提げる。この鞘の上部にはカードリッジ式のガスボンベが付属しており、ボンベに充填したガスの噴射によってワイヤーアクションや移動の加速を可能にしている。

【仮面@DARKER THAN BLACK -黒の契約者-】
黒の支給品。
開始早々に割れてしまった。

【起爆粘土@NARUTO】
起爆粘土は暁の一員であるデイダラの使用する術。両掌にある口で粘土を食べて自身のチャクラと混ぜることにより爆発性のある物質を作り出す禁術。起爆粘土はデイダラの印に反応して起爆するようになっており、チャクラで遠隔操作することもできる。また作り上げた物質は何らかの動物を模したような形をしており、鳥やドラゴンなどを模して作った起爆粘土に乗って空を飛ぶこともできる。また、敵を追尾するタイプもあり、大きさもナノサイズから超大型まで様々なものがある。


478 : ◆/plsGuy7sM :2021/03/25(木) 23:13:06 y5wix/Gg0
投下終了します。


479 : ◆/plsGuy7sM :2021/03/25(木) 23:25:52 y5wix/Gg0
誤字訂正
デイダラのC1をもろに直撃したとはいえ→デイダラのC1がもろに直撃したとはいえ


480 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/25(木) 23:54:29 zMTw9nIw0
投下します。


481 : 背負うリ・スタート・ライフ ◆8eumUP9W6s :2021/03/25(木) 23:56:07 zMTw9nIw0
まともな人間になりたかった。
物心ついた頃からずっと、何もかもがくだらなく思えて…どいつもこいつも馬鹿にしか思えなかった。
…異常なのは世界の方ではなく、自分の方だって事はわかってた。そんな事は…母親に身代わりにされて、俺の存在自体を否定された時に、否が応でも理解せざるを得なかったからな。
それでも俺は…まともになる為に、世界を歪んでいると断じて、在るべき正しい世界へと変革させようとした。他にまともになる方法は存在しないって…そう信じて、母親の事は伏せたまま、唯一残った家族の妹と袂を分かって、沢山の罪を重ねて、悪党に成り下がって、徒党を組んで…。

…だが、そこまでして…あと少しのところで俺は、ある男と、その仲間達の手により計画のカナメだった相手を奪い返され、直接対決でもその男に俺は負けた。
目論みを打ち砕かれた俺は…それでもみっともなく足掻こうとしていた協力者だった男を見て、全ての間違いを悟った。
…自分が、あのキモい男の同類だった事に気付かされた。最も…気付くにはあまりに遅過ぎたんだがな。
だから俺は…ムカつくあの男に、最後に一発入れてやろうとと思って…それで、逆上したあの男の攻撃を受けて…。
そのまま一人で終わる筈だった俺は、たった一人残った家族に看取られて終わった。
…妹が泣いている事に気付いた俺は…思っていたよりずっと、心にこたえるものがあった。こんな…俺の為に泣くなんて…思いもしなかったから。
…死ぬ前に俺は、俺を打倒し、計画をぶち壊した相手にふと尋ねた。
「違う形で出会えていたら、友達のようなものに…なれたと思うか?」
と。相手は…その男は、
「仮定の話をしても仕方ない」
と、可愛げのない答えを返した。
…それでも俺は…嬉しかったんだ。仮定の話はしない…そう答えたという事は───。
……サガラ。俺にも、お前みたいなガッツが有れば…な。

その思考を最後に、限界を迎えた乗機が爆発するところが…俺がこの殺し合いに巻き込まれる前の最期の記憶だ。

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終わる筈だった俺は、どういうわけか平安時代の京都に居た。
そこで双子の姉妹にルールを説明されて、見せしめが殺される様を見せられた後、気づくと会場の一角に放り出されていた訳だ。

…あの場で負けを認めた以上、今更世界をどうこうする為に動くつもりは無かった。
そもそも殺し合いに勝ち残ったとして、あの双子が大人しく世界の変革を認めるだろうか?答えは否だろう。
そもそも負けを認めた上に、あの場で終わった命の筈な俺をわざわざ叩き起こしておいて、首輪を付けて殺し合いに参加させようとしている時点で…あの双子は相当性格が悪い。ベクトルこそ違うがあのムカつくキモ男…エンブリヲのように。…これは俺が言えた話では無いだろうがな。
よしんば叶ったとしても、奴らの都合の良い世界になっている可能性が高い筈だ。

勿論、俺には元の世界に戻るつもりも無かった。
サガラ達ならば…俺の残したデータを参考にして、世界の融合を止め、世界自体を救ってみせているだろうという確信があった。

サガラなら…このような殺し合いに巻き込まれても、殺し合い自体を破綻させて、ぶっ壊そうと動くだろう。
…俺には、サガラのようなガッツは無い。死ぬ間際に過ちに気付けたとはいえ、気付くには遅過ぎた上、一度死んで生き返った程度で俺の犯した罪は消えるはずが無い。
それでも…このふざけた殺し合いをぶっ壊す為に俺は、終わった筈の命を使って、罪を背負い、なけなしのガッツで、主催や殺し合いに乗った相手に立ち向かう事を決めた。
あいつのようには行かなくても…それでもやってみたいと、そう思ったんだ。

そして、決意を固めた俺は、アラストルでも入っていれば助かるんだが…と思いながら、支給されていたバッグの中身を確認する事にした。

【レナード・テスタロッサ@スーパーロボット大戦V】
[状態]:健康、決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針: この殺し合いを破綻させる
1:まずはバッグの中身を確認する。
2:首輪の解析を行いたい。
[備考]
※参戦時期は困難ルート50話「決戦の青き星々」にて死亡後からです。
※彼の過去については出典元である「フルメタル・パニック!」の描写も使用しています。


482 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/25(木) 23:56:30 zMTw9nIw0
投下終了です。


483 : ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:29:29 e7YptBGI0
投下します


484 : …is God ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:31:36 e7YptBGI0

鬱蒼とした森。
木々の間から差し込む赤い光で照らされた場所。
そこに一人の少女が地面に横たわっていた。

10代半ば程の年齢だろうか。
平時であれば愛らしさを感じられる幼い顔立ち。
それが今は苦痛と恐怖で歪み、ポロポロと涙を流している。
何の前触れもなく不気味な場所に拉致された挙句、首輪を填められ殺し合いを強要されたのだ。
恐怖するのも無理は無いだろう。

だが、少女、山川美千子が恐れているのはそれだけではない。

「うぅ……痛いよぉ……」

剥き出しになった太もも。
シミ一つ無い白い素肌が、今は真っ赤に染まっている。
平安京を照らす月によるものではない。
ほっそりとした脚からドクドクと溢れ出す、美千子自身の血によるもだった。

メフィスとフェレスによるルール説明の直後、美千子は森の中で目を覚ました。
夢なら醒めて欲しいと必死に願ったが何の意味もなく、どれだけ目を擦っても映る景色は変わらなかった。

殺し合いなんてしたくない。
だけど誰かを殺さなければ、自分が殺される。
メフィス達に逆らえば首輪を爆破させられてしまう。
どうすればいいのか分からない。
最悪の状況に膝を抱えて泣き出してしまった。

幼馴染の宮藤芳佳ならば、恐怖を振り切り殺し合いを止める為に奔走しただろう。
だけど自分は無理だ。
ウィッチの力も無く、芳佳のような勇気と優しさの無い自分は、こうして怯えて蹲る事しかできない。
自分でも嫌になる情けなさ、それを自覚して尚動けずにいる恐怖に圧し潰されそうになったその時。
森に銃声が響いた。

「い゛っ、ぁっ…!」

銃声と脚への激痛。
認識したのはほぼ同時であった。
視線を向けると右脚の肉が抉られ、出血しているのが見える。
今が殺し合いだとはいえ、こんなに早く誰かに襲われるとは思っていなかった。
このままでは殺されてしまうが、逃げようにも痛みのせいで立ち上がれない。
倒れた姿勢のまま這って進もうとした時、茂みの奥からこちらに向かって来る足音が聞こえた。

銃を撃った者がトドメを刺しに来る。
青褪めながら必死に逃れようとするが、足音の主はあっという間に美千子の目の前まで到達した。


485 : …is God ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:33:35 e7YptBGI0
「チッ、やっぱ一発じゃ仕留められなかったな」

そう吐き捨てたのは、中学生程の目つきの悪い少年。
手には回収した美千子のデイバックが、もう片方の手には黒光りする拳銃が握られている。
自身を傷つけた凶器を前にし、美千子は震え上がった。
少しでも少年から離れようと体を動かす。

「おい、逃げてんじゃねーよ」
「あぶっ!?」

だが少年がそれを見逃すはずもなく、即座に妨害された。
美千子の顔面に蹴りが飛び、つま先がぶち当たる。
衝撃で鼻がへし折れ血が飛び散り、歯も何本か欠ける。
少年の暴力はそれだけでは終わらず、続けて数回体を蹴られた。

「うぁ、いだぁ……」

鈍い痛みが脳に伝わって来る。
自分が今どんな顔になっているのか、鏡が無いので分からないが、きっと酷い顔に違いない。

(芳佳ちゃん……助けて……)

心中で助けを求めるが、この場にいるのは自分と少年の2人のみ。
幼馴染の姿は影も形も見当たらない。

「はは、ひっでー顔」

蹴られた顔で涙を流す美千子を嘲笑う少年。
その表情からは罪悪感などこれっぽっちも感じられ無かった。
尤も彼、真宮裕明にそんな感情を求めた所で無駄だろう。
日頃から小動物を殺して鬱憤を晴らし、転校して来た少女へクラスメイトと共に度が過ぎたイジメを繰り返し、挙句の果てに少女の家族を死に追いやっても一切悪びれる事の無かったような人間だ。
そんな人間だからこそ、殺し合いに乗るのにも抵抗は無かった。
見せしめとして少女が殺された時こそ流石に動揺したものの、人殺しへの葛藤など微塵もない。
むしろ初めての殺人に期待で胸が高鳴った程だ。

そんな真宮へ支給されたのは拳銃。
改造したエアガンなどではない、正真正銘の凶器。
普段使っているボウガンで無いのには少々落胆したが、これはこれで楽しめそうだと歪んだ笑みを浮かべた。
本物の銃を撃てる機会など、故郷の村にいた頃には考えられなかったのだ。
そう考えると、殺し合いに参加させてくれたメフィス達には感謝してやってもいいくらいだと思いながら森の中を歩き、そこで視界に映ったのは蹲る少女。
茂みに潜んだ真宮は、早速発見した獲物へ照準を合わせ試し撃ちとばかりに引き金を引いた。
弾丸は見事美千子を貫いたが、思ったよりも反動が大きかった為か、狙いがズレて頭部ではなく脚へ当たった。
一発で殺せなかった事に不満を抱きつつも、真宮は切り替える。

(上手く当てるには少し練習しといた方が良いかな。予備の弾も結構あるし)

この先参加者を確実に殺していくには、銃に慣れておく必要があると考える。
丁度目の前には絶好の的がころがっているのだし、こいつで練習しておくのも悪くないかもしれない。

(けど銃声を聞いて他の奴が来るかもしれねえんだよな……)

銃という武器があるとはいえ、真宮は自分の力を過信してはいない。
こうして自分に銃が支給されたのならば、他の参加者、たとえば体格で大きく自分に勝る屈強な大人に、拳銃よりも強力な武器が渡っている可能性だって十分あり得る。
そんな相手と真正面からかち合えば、幾らなんでも分が悪過ぎる。
さてどうするかと暫し思考し、結論を出した。

(銃よりもやべェ武器持ってる奴に出くわすのは流石にな…。ここはさっさと殺して引いとくか)

既に支給品は奪ってあるのだし、余計なリスクを背負う事も無い。
故に手早く仕留めてこの場を去る。
そう決めた真宮は美千子の頭部に銃を当てた。


486 : …is God ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:34:51 e7YptBGI0
美千子は最早呻き声を出す気力も失っていた。
痛めつけられた体は満足に動かせず、更に真宮が強く踏みつけている為逃げ出せない。
支給品も奪われ無手の自分に対し、相手は銃を持っている。
躊躇せず暴力を振るった相手に命乞いも無意味だろう。
今の自分に出来る事は、ただ黙って殺される瞬間を待つ事のみ。
絶望が美千子の心に広がって行く。

(どうしてこうなちゃったんだろう……)

自分が何か悪いことでもしたのだろうか。
だからこんな、殺し合いなんかに巻き込まれたのだろうか。
自分にはこれからの人生を生きる価値が無いと見なされたのだろうか。
だからこうして殺されようとしているのだろうか。
考えても、理不尽な現実に対する答えは出なかった。

(芳佳ちゃん……)

ただそれでも。
もう二度と大切な幼馴染に、大好きな親友に会えないのだと思うと。
自然と涙が零れだした。

そして、真宮が引き金に掛けた指へ力を込める。




















「どーも、こんちゃーっす」


『!!!?!』

唐突に聞こえて来た声。
驚いた真宮が振り向くと、そこには男が立っていた。


487 : …is God ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:36:54 e7YptBGI0
日焼けした肌に、茶髪のロン毛。
所謂イケメンと言った顔立ちの、何となくチャラい雰囲気をした男だ。
真宮が住んでいる田舎では見た事の無いタイプの人間だった。
同じく美千子も、こういった異性とは初めて接する。
とはいえ相手は何の変哲もない、能天気そうな男。

そのはず、だというのに。

「凄ぇ事になってんゾ〜。っていうか君さ、男の子が女の子に乱暴なんてしちゃ駄目だってそれ一番言われてるから」

ゾクリ、と真宮は全身が粟立つ感覚に襲われた。

(はっ…?何だこれ…何でこんな奴にビビって……)

ここにいるのはTDN空気の読めてない男に過ぎない。
男の外見に取り立てて特別な点は存在しない。
だと言うのに、男が放っているのは尋常でない程の存在感。
この赤い月に照らされた空間に居てなお、月光をも掻き消さんばかりの眩い輝きが発せられているように感じ、思わず眩暈がした。

「クソッ、近付くんじゃねえ!」

自身の動揺を振り払うかのように、真宮は男へ銃を向ける。
幸い男とはそれ程離れていない。
これなら当てられると自分を奮い立たせる。
誰がどう見ても絶対絶命のピンチな状況。

「ふーん(SBRN)、今度は俺を撃とうってんだ。いやー、最近の子どもは恐いねほんと」

なのに男の口から出たのは、どこまでも呑気な言葉。
緊張感の欠片も無い態度に、真宮は苛立ちで顔を歪める。

「ぁ…逃、げて……」

一方で美千子は男へ逃げるよう促した。
彼女もまた男の異質さに気付いている。
しかし、生来の優しさ故か、こんなクッソ怪しい男でも殺されて欲しくはないと、何とか声を出した。

「大丈夫だって、安心しろよ〜。ヘーキヘーキ、平気だから」

対する男の返答は酷くあっけらかんとしたもの。
どこまでも自分を舐めているとしか思えぬ言動に、真宮の中で男への恐怖より怒りが勝った。

もういい。
こいつが何なのかなんてどうでもいい。
二度とそのウザったいニヤけ面をできなくしてやる。
この手でブッ殺してやる!

溢れる殺意に身を任せ真宮は引き金を引いた。
放たれた弾丸は真っ直ぐに男の胴体を貫く。

そのはずだった。


「は……?」

ポカンと口を開ける真宮の視線の先には、五体満足で立っている男がいた。
確かに男へ向けて引き金を引いた。
そのはずなのに、男には傷一つ見当たらない。


488 : …is God ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:37:55 e7YptBGI0
「もう終わりかな?」

男がニヤけ面で問いかけてくる。
慌てて照準を合わせ引き金を引く。
だが当たらない。
弾は発射されたのは間違いない。
なのに男は生きている。

「な、なんで……クソッ!ふざけんなよ!!」

得体の知れない男への恐怖が再度湧き上がる。
それを誤魔化すように、何度も引き金を引く。
そこでようやく真宮は気付いた。
弾丸は確かに発射された。
しかし男に当たる直前、見えない壁のようなものに弾かれている。
陳腐な喩えだが、バリアを張っているかのようだった。
だがそれに気づいた時はもう遅い。
構えた銃からはガチリ、という音がするだけで弾は出なくなった。

(たっ、弾切れ!?)

我武者羅に男へ発砲し、残弾数を気に掛けなかったからだ。
予備の弾はデイバックの中。
焦りながら手を伸ばす。

「大人しくしろぉ!バラ撒くぞこの野郎!(警告)」

だが、男が手をかざした途端、体が動かなくなった。
見ると光る輪のようなもので拘束されている。
ここに来てようやく理解した。
この男はマトモに戦って勝てる相手ではない。
否、そもそも手を出すこと自体が大間違いであったのだと。

気付いたとしても既に手遅れであるが。

「さーてそれじゃ、罪を犯したんだからキッチリ罰も受けなきゃね」

男が真宮にかざす掌が輝き出す。
具体的に何をするつもりなのかは分からないが、きっと自分はタダでは済まない。
助かりたい、死にたくないという一心で真宮は許しを請うべく口を開き、


「神の裁き、よーく味わっとけよ?」


炎に包まれた。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

服が、肌が、髪が、全身が焼ける。
体中を駆け巡る激痛に獣染みた絶叫が漏れる。
しかし、どれだけ叫んでも炎の勢いが弱まる事はない。
拘束されているせいでのたうち回ることもできない。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

真宮は今自分が何を叫んでいるかも分からなかった。
ただ叫ばずにはいられない。
生きたまま燃やされる苦痛に、じっと耐えるなどできはしなかった。

「アー…アー…」

炎が激しさを増すのとは反対に、真宮の命の灯は弱まる。
やがて叫ぶ気力も無くなり、徐々に痛みも感じなくなっていく。
頃合いを見計らった男がかざしていた手を下げると、あっという間に炎は消滅した。
不思議な事に、あれだけ激しく燃えていたというのに、周りの木は一本残らず無事だった。

男が見下ろす先にあるのは真宮“だった”モノ。
辛うじて人の形を保っている黒焦げの死体。

その姿は彼らに焼き殺された、野咲春花の家族そっくりだった。


【真宮裕明@ミスミソウ 死亡】


489 : …is God ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:39:14 e7YptBGI0
「ヨシッ、終わりっ!」

男は一仕事終えたかのような爽やかな笑顔で真宮を一瞥し、美千子へ近づく。
人一人を殺したばかりとは思えぬ異様な態度に、美千子の全身が震えだす。

「ヒッ……」

真宮も常人とはかけ離れた異常者だったが、このロン毛男はそれ以上だ。
このままでは自分も燃やされると怯える美千子に構わず、男は手をかざす。

「大丈夫大丈夫。パパパッってやって、終わりっ」

美千子の体が光に包まれた。
そこで感じたのは全身を焼かれる苦痛、ではなく、ポカポカとした心地の良い暖かさだった。
予想していた灼熱が襲って来ず戸惑う美千子だが、そこである事に気付く。
ずっと感じていた痛みが薄れているのだ。

「嘘……」

驚き右脚を見ると、何と銃創が瞬く間に塞がっているではないか。
もしやと思い顔に触れてみたが痛みは無い。
どうやら蹴られた時の傷も綺麗さっぱり治ってしまったようであった。

「うし、こんなとこかな。んー、いつもなら一瞬で治るはずなんだけど、やっぱり弱くなっちゃってるね、俺。ちょっと疲れちゃってるし」

男はどこか不満気に自身の掌を眺め呟く。
その言葉に嘘は無い。
本来であれば美千子が負っていた傷など、瞬きの間に治療する事が可能である。
しかし、現在男の力は強く制限されている。

「あ、あなたはいったい……」

呆然とする美千子へ、男は笑みを向ける。
それは好印象を与える人懐っこいものであり、同時に神々しい印象を抱かせるものだった。

「んー、まぁ一応神様かな?」

男は元々変哲の無いホモビ男優だった。
だがいつからか、インターネット上で多くの信者…淫夢厨と呼ばれる集団によって神として祭り上げられた。
多くのホモガキによる信仰を集め続けた結果、彼は本当に神にも等しい力を得てしまった。

平安京にて神は力及ばず命を落とすのか。
それとも新たな神話を築き上げるのか。
それは誰にも分からない。


【山川美千子@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康、精神疲労(中)、困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくないけど、誰かを殺す事もしたくない
1:神様…?
[備考]
※参戦時期は不明。

【GO@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:疲労(小)、神
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうしよっかな〜
1:とりあえずこの娘と話してみるか?
[備考]
※バトル淫夢みたいな能力が有りますねぇ!(治癒能力とかも)ありますあります。
※(制限されてるからロワを破綻させる程の力は)ないです。

※付近に真宮のデイバック(基本支給品、予備弾丸、ランダム支給品0〜2)が落ちています。H&K USP@現実(残弾0)は焼かれました。


490 : ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:39:53 e7YptBGI0
投下終了です


491 : ◆ytUSxp038U :2021/03/26(金) 03:51:48 e7YptBGI0
>>487をちょっと修正

×真宮が住んでいる田舎では見た事の無いタイプの人間だった。
○真宮が住んでいる田舎では見た事の無いタイプの大人だった。


492 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/26(金) 19:10:27 zG0Rp5gQ0
投下します


493 : しかし、誰もが何かを成せるのか? ◆7PJBZrstcc :2021/03/26(金) 19:11:03 zG0Rp5gQ0
 過去と未来が混ざり合い、紅い月が明けることなく空にあり続ける歪んだ平安京。
 その一角に、現代においては少々古めかしいが、平安京には合っている和服の少女が一人、勃然と佇んでいた。
 少女の名前は斑目るり。金沢にある名家、班目家の三女である。
 そんな彼女はただ、現状に当惑していた。

「ここ、どこ……?」

 るりは殺し合いに来る前、班目家に送られた死の予告に怯えていた。
 しかし、自分が一度危なかった時に、客人として来ていた金田一に助けられ、るりは彼に懐く。
 そしてその夜、るりは父親への嫌悪からか他の何かか知らないが金田一の部屋に行き、様々な感情が混ざり合って泣き出してしまう。
 それを金田一は必死に慰め、明日になったら一緒に遊ぶと約束してるりは自分の部屋に帰っていく――

『……お主らは今から殺し合いをしてもらう為にここに呼び出させてもらった』

 最中で殺し合いに呼ばれてしまった。
 現状を何も吞み込めない中、るりより年上の少女二人が殺され、当惑のまま平安京に放り出される。
 とにかく何かしないと、と思いこそこそと建物の陰に隠れる彼女。

 とりあえずデイパックに入っている物を調べよう、としたところでるりの傍に別の人影が現れた。
 彼女が人影の方へ視線を向けると、そこに男が立っていた。
 男の外見は金髪碧眼の外国人で、るりからすれば大柄の男であり、彼女が怯えるには十分だ。
 しかし、彼女が男に怯えたのはそれだけではない。

 るりは、男の瞳が恐ろしかった。
 恐ろしく冷たい視線。自分のことを何とも思っていない視線。
 父が自分や母、姉達を見ている時と同じものを彼女は感じていた。

「ひっ!?」

 るりは咄嗟に男から逃げ出そうとするが、なぜか体が急に動かなくなってしまう。
 彼女は必死に動こうとするが何もできず、男はただ悠然と近づいてくる。

 そして男はるりの首に腕を回す。

「安心しろ。せめて痛みは一瞬だけで済ませてやる」

 そう言って、男はるりの首をあっさりとへし折った。
 こうしてとある12歳の少女、班目るりの生涯は幕を下ろす。

 殺し合いに呼ばれなかった別の未来では、血を分けた実の兄に殺されていた彼女。
 果たして今の死に様と本来の死に様、どちらがマシだったのだろうか。

 ただ一つ言えることは、どちらであってもるりは決して幸せではなかった。
 それだけが、確かなことである。

【斑目るり@金田一少年の事件簿 死亡】


494 : しかし、誰もが何かを成せるのか? ◆7PJBZrstcc :2021/03/26(金) 19:11:38 zG0Rp5gQ0





 班目るりを手に掛けた男、ヘクソンは淡々と彼女のデイパックを回収しようとしていた。

 彼は殺し合いに呼ばれる前、ある野望の為に動いていた。
 千年前に封印された魔人、ジャークを蘇らせ世界の支配を企んでいた。
 その過程でたまよみ族と組み、たまゆら族や埼玉のとある一家と小競り合いもあったが最終的にジャークは復活。

 しかし当のジャークは千年の間に力を失った挙句ただのオカマとなっていた。
 野望の失敗を悟ったヘクソンはせめてその場から逃げ出そうとするが、足を撃ち抜かれそれもできない。
 結局、彼は警察に捕まった。

 はずだが、気づけばこうして殺し合いに巻き込まれていた。
 ヘクソンは考える。

 どうやったかは分からないが、とにかく自分を警察から連れ出し、足を治してまで殺しあわせようとする二人の少女。
 それがどんな意味を持つのかは、ヘクソンには分からない。
 心を読むなどの超能力を持ち、実際に主催者二人の心を読もうとしたがそれはかなわなかった。
 何も考えていなければ何も読み取れないこともあるが、あの場合は明らかに違った。
 恐らく、何らかの方法で心に鍵をかけて対策しているのだろう。たまよみ族の首領も似たようなことをしていた。

 そしてヘクソンは殺し合いに乗った。
 利用し、利用されるなどよくあること。こうして命を握られている以上、逆らうのは得策ではないだろう。
 優勝してなおいいように使われない保証もないが、その時はその時だ。
 それにもし、主催者の言うこと全てが本当ならば、ジャークを超える力を身に着け、今一度世界征服を狙うのも悪くない。

 こうしてヘクソンは殺し合いの場に降り立ち、早速一人目を殺害した。
 彼は殺してもいい場面でも殺さないことも多いが、だからといって殺せない人間でもない。
 なので少女の死体を見ても特に感慨にふけることもなく、デイパックだけ回収しようとしたのだが、その前に懸念が発生。

「誰だ」

 建物の陰に問うヘクソン。
 気配こそ消えているもの、心が読める彼はそこに誰かがいることは丸わかりだった。

「……お前がその少女を殺したのか?」

 隠れていても無駄と察したのか、男が一人素直に出てくる。
 男の風体は異様だった。
 トレンチコートにソフト帽。それだけなら古臭いですむが、コートからは洗っていないのか異臭を発している。
 そして何より、彼の顔が不気味だ。
 人間が持つものではなく、白と黒が互いに蠢き、されど決して交わることのないままに動き続けている覆面を被っていた。
 あの覆面は一体何で作られているのだろうか。ヘクソンは少しだけ気にかかった。
 しかし、目の前の男はヘクソンの内心など分かる筈もなく、再び問いかけてくる。

「お前がその少女を殺したんだな」
「そうだ、ウォルター・コバックス。私が殺した」
「俺はロールシャッハだ」

 そう言うと、ロールシャッハはデイパックから金属バットを取り出し、ヘクソンに殴りかかる。
 名乗っていない名前を当てられても、ヘクソンが人を殺したと言っても何一つ動揺などしない。
 ただ人殺しという悪を許さない、という強い意志を携えてヘクソンに向かっていく。
 しかし――

「当たらんな」

 ロールシャッハの攻撃は、ヘクソンにはかすりもしない。
 よく鍛えられていると言ってもいいロールシャッハだが、ヘクソンには通じない。

 ヒマヤラで獣同然の生活をすることで超人的な身体能力と超能力を手に入れた彼にとって、ロールシャッハは常人の範疇でしかない。
 故に攻撃など当たらず、逆に腹に拳を叩き込んで反撃。
 ロールシャッハはその程度では怯まず、今度は蹴りを叩き込んで来ようとする。
 それをヘクソンは足払いでバランスを崩すことで攻撃を止めた後、ロールシャッハの背後に周り首に腕を回す。
 これでるりと同じく彼の首もへし折ろうとするが、次の瞬間、ヘクソンはロールシャッハから飛びのいた。

 その直後、ヘクソンの顔がさっきまであった場所にフックが先についたワイヤーが発射される。
 これはロールシャッハに支給された、彼愛用のワイヤーガンだ。

 そんなものを自分に向けて撃つなど、さっきまでロールシャッハの心にはなかったはず。
 ということは、首に腕を回された瞬間に思いついたということだ。
 驚くべき発想力。恐るべき判断力と言わざるを得ない、とヘクソンは感じた。
 そしてワイヤーを外してなお、ロールシャッハは再びヘクソンへと金属バットを携えて走って来る。


495 : しかし、誰もが何かを成せるのか? ◆7PJBZrstcc :2021/03/26(金) 19:12:01 zG0Rp5gQ0

「付き合いきれんな」

 まだ殺し合いは始まったばかり。
 にも関わらずこれ以上戦うのは下策と判断したヘクソンは、懐から一枚のカードを取り出し、即座に使用した。

 そのカードの名前はぶっとびカード。
 桃太郎電鉄シリーズに登場し、使用すると自身をランダムで移動させるカードだ。
 ヘクソンは支給されていたこのカードを使い、離脱を選んだ。

「さらばだコバックス。二度と会うこともあるまい」
「ふざけるな」

 決して逃がさないとばかりにロールシャッハはバットをヘクソンに投げつけるが、彼はバットが当たるより先に転移した。



 そして平安京のさっきまでとは違う場所のどこか。
 少なくともロールシャッハから離れた場所に転移したヘクソンは、とりあえず近くの建物に入る。
 そして――

「ハァ……ハァ……」

 ロールシャッハの前では余裕ぶっていたが、実際は少々疲労していた。
 とはいっても、この疲労は戦い疲れではない。あの程度ならヘクソンは息一つ乱すことはない。
 ならばなぜ疲れているのか。

「何だあの男は……? 本当に人間か……?」

 ヘクソンはロールシャッハの思考の読みすぎで疲弊していた。

 ヘクソンは人の心を読む能力があるが、それ故の弱点も存在する。
 例えば心で何も考えず、歌いながら敵が向かってきた場合、平時なら思考など関係なく振り払える攻撃を成すすべなく喰らうことがある。
 また逆に、あまりにも雑然、混沌としすぎた思考を読んだ場合、脳にダメージを負うこともある。

 だがロールシャッハの思考はどちらでもない。
 何も考えていないわけでもなく、雑然としすぎていたわけでもない。
 いかにこちらを殺すかのみに特化した思考だった。
 だが――

 セックスに囚われた娼婦。
 少女の骨を貪る犬。
 ただ漠然と毎日を生きる大衆。
 白紙にぶちまけられた黒のインクが作り出す、何の意味も持たない模様。

 そして、自身が原子一粒残さず消滅する最期。

 ヘクソンから見て、ロールシャッハという男は異常だった。
 今まで見てきた誰よりも人の闇を知り、誰よりも狂っていた。

「化け物め……」

 毒づきながらもヘクソンは体を休めることを選ぶ。
 まだ殺し合いは始まったばかり。未だ見ぬ強敵もいる筈なのだから。

【ヘクソン@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康、精神的疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、斑目るりのデイパック(基本支給品、ランダム支給品0〜3)
[思考・状況]基本方針:優勝し、ジャークを超える力を手に入れる
1:まずは少し休息する
2:あのロールシャッハという男、本当に人間なのか……?
[備考]
参戦時期はクレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡終了後です。
足を撃ち抜かれていましたが、治療されています。


496 : しかし、誰もが何かを成せるのか? ◆7PJBZrstcc :2021/03/26(金) 19:12:22 zG0Rp5gQ0





「逃がしたか……」

 消えた男、ヘクソンを追ってロールシャッハは辺りを探すが、一向に見つからない。
 そもそもこの辺りにヘクソンはいないのだが、それを知る術はロールシャッハにはなかった。

 とりあえず投げたバットとワイヤーを回収し、ロールシャッハは出発する。
 彼はヘクソンのことを諦めるつもりもなく、また他にもいるであろう殺し合いに乗った参加者を許すつもりもなかった。

 そして、自分を生き返らせた主催者も。

 殺し合いに呼ばれる直前、ロールシャッハは南極に居た。
 世界一頭のいい男が考えた最悪のジョーク。
 冷戦を引き起こさせないためにニューヨークにいる数百万の住人を殺し、いないはずの宇宙人が攻めてきたというでっちあげを作り、人々を団結させるという作戦。
 ロールシャッハは友人であるダニエルと共にそれを止めようとしたが、失敗。
 結局、ジョークは真実となった。
 それでもロールシャッハは真実をぶちまけようとするが、それを世界にただ一人の超人であるDr.マンハッタンが阻む。

 彼は抵抗しなかった。
 ロールシャッハの顔と言って憚らないマスクを取り、ただのウォルターとして死んだ。

 だが彼は再び蘇る。ロールシャッハの顔を携えて。
 『なぜ』だとか『どうやって』だとか、そんなことに興味はない。
 ただ確かなのは、ロールシャッハに対し少女の皮を被ったあの糞共は、殺しという悪を強要している。
 ロールシャッハは殺し合いの主催者を許す気はない。なぜなら彼はヒーローだからだ。
 それは殺し合いに乗った者も同様である。

 生き返らせてやれば犬の様に従うとでも思ったか?
 命を盾に取れば跪くとでも思ったか?

 笑わせるな。そして教えてやる。
 俺はお前らが主催する殺し合いに巻き込まれたんじゃない。
 お前らが、俺との殺し合いを始めたんだ。
 だからそこで、俺に殺されるのを待っていろ。

 そうだとも――

「俺は絶対に妥協はしない」


【ロールシャッハ(ウォルター・コバックス)@ウォッチメン】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:剣義鷹のバット@クーロンズ・ボール・パレード、ワイヤーガン@ウォッチメン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:主催者を打破し、悪を裁く
1:さっきの男(ヘクソン)を探し、殺す
2:その他殺し合いに乗っている者も容赦するつもりはない
[備考]
参戦時期は死亡後です。


【ぶっとびカード@桃太郎電鉄シリーズ】
ヘクソンに支給。
使用することで自身をランダムな場所に転移させることができるカード。
使い捨てなので、一度使うとなくなる。

【剣義鷹のバット@クーロンズ・ボール・パレード】
ロールシャッハに支給。
剣義鷹が持つ金属バット。

【ワイヤーガン@ウォッチメン】
ロールシャッハに支給。
撃つとフックのついたワイヤーが飛び出す銃。
ロールシャッハは人に向けて撃つこともある。


497 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/26(金) 19:12:46 zG0Rp5gQ0
投下終了です


498 : ◆4Bl62HIpdE :2021/03/26(金) 22:03:50 kS2FuNGU0
投下します


499 : ◆4Bl62HIpdE :2021/03/26(金) 22:04:46 kS2FuNGU0


癖毛、いやパーマの男は、「へいあんきょう」とルビを振られた看板を見る。
「ヘイアンキョか、また妙なアリーナに巻き込まれちまったな〜ァ、俺様って奴は」
確かオリンパスにも似たような場所があったか。彼の名はミラージュ。
APEXゲームと呼ばれるバトルロワイアルの参加者であり、常連(レジェンド)だ。
「ま、何でもいいか。首輪が爆発しちまった女の子はかわいそうだったが....為政者がアリーナを支配するってのはよくあることだろ?丁度今のシーズンも....ま、兎に角だ、俺は同じことをすればいい。そうだろ?」
彼がこの殺し合いにおいてもやることは同じ。戦闘をこなし、優勝(チャンピオン)を取る。それだけだ。

「で、確か今回はロードアウトが最初から支給されてるんだったか....ついでにリングもない。二世紀前の殺し合いみたいだな。プログラムとか呼んでそうな」

ミラージュはバックパック...もといデイバッグを確認する。

そしてピンを刺し(?)、高らかに宣言した。

「武器を発見!モザンビークだ!」

勿論急降下で叩きつけた。

【エリオット・ウィット@APEX LEGENDS】
[状態]:健康
[装備]:モザンビークショットガン@APEX LEGENDS
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:上手く漁夫を狙い優勝する。
1:ドンパチをやってる所へハイドしながら行かないとな。
2:そして俺様が登場、華麗に決めるぜ!...モザンビークで。


おいこれで終わりか?
もうちょっと何か考える事とかあるんじゃないの?
例えばだ。この殺し合いはリングがない。
ついでに、最初からチームは組まない。
つまり、「参加者との接触を図ってくれ」って言ってるようなものだ。そうだろ?
更に言うと、俺はソロで出撃する恐怖をよく知っているってもんだよな?
分かりやすく言えば、むやみに飛び出れば鉢の巣にされる。あれは恐ろしいぜ。
なら、こうだ。...こうすればいい。

「さて...吉と出るか、凶と出るか」
彼はデコイを尖兵として行かせる。足音を立てて、偶像は平安京の町中をジグザグと進んでいく。
そうして、彼は木造住宅の建物へ隠れ、時には建物の屋根へ移動する。上からの射線というのはいいものだ。
まずは徒党を組む。交渉ができる相手なら、交渉をデコイに任せればいい。相手が攻撃してくれば、攻撃の度合いによってデコイエスケープを使って逃げるか、別の射線に移動して、狙い撃つこともできる。

「クリプちゃんやブラッドハウンド辺りならすぐにばれる手だが....大丈夫だろうな、ソロの恐怖ったらねぇ。いきなり後ろから撃たれたりしてな」

曲りなりにも彼は殺し合いを経験し、世界線(プレイヤー)次第では優勝した経緯すらある。一人では生き残れない。そう踏むのが手だ。

ならば...殺し合いに乗るにしても、乗らない、あるいは乗らないふりをして人数が減った時点で優勝を目指すとしても....とにかく、徒党を組まないといけない。

正しさとは都合だ。都合によって戦況は転々と変わっていく。ホログラムの道化師はそれを一番良く理解していた。ついでに少しは生き残る術も。
殺し合いに参加したてのnoobなら兎も角....彼は上級者のフリをして、いや本当は間抜けかもしれないが...どこかの情報操作野郎みたいに、戦況を見るということを考えようとしていた。
....止めを刺そうとしたら爆撃に巻き込まれたことだってあったしな。

【エリオット・ウィット@APEX LEGENDS】
[状態]:健康
[装備]:モザンビークショットガン@APEX LEGENDS
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:上手く漁夫を狙い優勝する。→その時の"都合"に任せる。臨機応変に対応。
1:心許ないな。デコイに任せてアイテムを漁りたいところだが…
2:ま、優勝(チャンピョン)を狙うハングリーさは持っておかないとな。俺は味方で敵、敵で味方にならないとな。


500 : mozanbeek here ◆4Bl62HIpdE :2021/03/26(金) 22:05:56 kS2FuNGU0
投下終了です。
タイトルは「mozanbeek here」です。


501 : mozanbeek here ◆4Bl62HIpdE :2021/03/26(金) 22:07:15 kS2FuNGU0
修正します。
そうして、彼は木造住宅の建物へ隠れ、時には建物の屋根へ移動する。上からの射線というのはいいものだ。
→そうして、本体である彼は木造住宅の建物へ隠れ、時には建物の屋根へ移動する。上からの射線というのはいいものだ。


502 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/26(金) 23:50:04 LkT4snuI0
投下します


503 : 紅き帳が降りる頃に ◆2dNHP51a3Y :2021/03/26(金) 23:50:21 LkT4snuI0
「気に入らない」

染紅に照らされる平安の都古。まるで血の晩餐の如く世界は赤に染まり続ける、さながら時の止まった空間のように
人影が一つ。紅夜に屈さないとの意思表明とも取れる燦然と輝く赤い髪を靡かせて、全てを見下さんと宙に浮かぶ歯車の塔を睨みつける少女の人影

ドミノ・サザーランド―――吸血鬼。その中で頂点に立ちうる四人の『真祖』が一人。その翠眼が見据えるは双子の悪魔が座するであろう歯車の塔

「メフィスとフェレス、だっけ? よくもまあこの私をこんな辺鄙な所に誘拐してくれたわね」

燦然党との決戦は近く、同盟を組んだゴールデン・パームの面々と対抗するための策を練っていたドミノとその下僕たち。だが目覚めた先には平安京と殺し合いを開いたメフィスとフェレスと名乗る二人の少女
ただでさえ決戦間近に呼ばれた上に愛しの下僕たちと引き離され、挙げ句殺し合いをしてもらう?

「……ふざけんじゃ無いわよあいつら」

ドミノは、ヴァンパイアの王となろうとする自身の行いを正しい等とは思っていない。目的のために無関係な他人の命を犠牲にする蛮行など以ての外。その真っ直ぐさこそ彼女にとっての王道
吸血鬼は基本的に自らの欲に従い他者の命を奪う。だが、この催しは最早邪悪の極みなど遥かに超えた悪辣な饗宴だ。かつ真祖である自分を、気付かれず更には忌々しい首輪まで付けた上でこの会場に連れ去っている
――相手の力量は埒外。それは、同じく真祖である燦然党の日ノ元士郎や、ゴールデン・パームのユーベン・ペンバートンを遥か上の

「待ってなさい。いつかその捻くれた顔叩き潰してやるんだから」

だが、そんな程度で真祖ドミノのプライドが揺らぐことはない。大胆不敵で傲岸不遜。自らの力に絶対の自信を持った吸血鬼の女王、ドミノ・サザーランドなのだから

「その前に、やることは山ほどあるんだけど」

だが、メフィスとフェレスを倒す前にやることは多い。下僕たちの捜索、首輪の解除等。真祖としての力に制限を掛けているのはこの首輪に刻まれた紋章だろう。原理は不明、となればいるかどうかもわからないがあの忌々しい双子に詳しい参加者を探し出す必要もある
が、何はともあれ最優先は下僕たち……佐神善、狩野京児、七原健、日ノ元明の四人。次に同盟相手であるゴールデン・パームの面々。そもそも巻き込まれていないのが一番安心ではあるのだが、あの悪趣味な連中の事だから知り合いの一人か二人巻き込まれていてもおかしくはない

「……無事でいてよね」

思わず零したその言葉は、超越者(ヴァンパイア)の一人ではなく、仲間を思う一人の少女としての、ささやかな願いであった




【ドミノ・サザーランド@血と灰の女王】
[状態]:健康、主催に対する強い怒り
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状態]
基本方針:メフィスとフェレスとかいうクソ野郎二人は必ず叩き潰す
1:下僕たちを探す。巻き込まれていなければそれに越したことはないけれど
2:首輪及び紋章を何とかするために、あの主催を知ってそうな参加者を探す。いなければ他の方法を探すしか無い
[備考]
※参戦時期は88話から
※真祖の能力に制限が課せられています


504 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/26(金) 23:50:32 LkT4snuI0
投下終了します


505 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 00:17:23 k2nXGG3E0
投下します。


506 : 間に合わなかった者と守れなかった者 ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 00:18:53 k2nXGG3E0
川に落ちていくトレーラーを見て僕は、運転席を目指して…一直線に飛び込む。
客観的に見たら、多分…誰がどう見ても「間に合わない」って、そう判断しただろうけど…それでも、諦めたくなかった。見捨てたく無かった。わずかな可能性に縋りたかった。死ぬ事よりも…卑怯者って罵られる事の方が怖かったから。それ以上に…助けたかったから。
運転席から彼が、恐怖に歪んだ顔を浮かべながらも僕に手を伸ばす姿が見えた。
僕もそっちに手を伸ばした…次の瞬間、トレーラーのタンクが崖にぶつかって、閃光が迸って───
僕の身体は木の葉のように飛ばされ舞って、そのまま意識を失う。

暫くして意識を取り戻した僕は、彼の同業者に彼がどうなったのかを聞いた。
…返ってきたのは、無言のまま首を横に振る反応。
思わず僕は、亡骸を探そうと考えた…けど、彼と、彼が乗っていたトレーラーが存在していたであろう地点である橋があった場所に、クレーターみたいに抉れた地面があったのが目に入った。探そうとしても無駄でしかないってことを…僕は悟ってしまった。間に合わなかったんだってことも。

…その直後に、ジョークとするにはあまりにもキツすぎる催しに巻き込まれたせいか…僕は、見せしめで殺された二人を見て…まだ辛うじて遺体や残骸が残ってるだけ、まだマシじゃないか。って…心の片隅に、そんな考えが浮かんできてしまった。

その後、会場に飛ばされた僕は…一人考え込んだ。
…殺し合いに乗れば、ひょっとしたら───。
…でも、そんな事はできない。殺し合いに乗って、優勝して生還できても…生き残る為に人を殺した臆病者だって事実を一生抱え込む事になるから。それなら…最期までウィッチとして戦って、殺し合いを打破する為に死んだ方がよっぽどマシだよ。
……死ぬことよりも、蔑まれる事の方がよっぽど怖いし、蔑まれるような事を抱えて生き続けるのも…怖いから。
…なら、主催を打倒した上で、主催の技術を使うか奪えば───そう考えが纏まりそうになったその時に僕は、自分よりも年下の、扶桑人の女の子に声をかけられた。

----

タマには、守りたかった大切な相手がいた。
…でも、守れなかった。タマはあいつを…あんずを守れなかったんだ。あんずを守ることが、タマの使命なんだって…そう、決めてたのに。タマは…あんずの盾になれなかった。

だから、せめて…次に、次に生まれてくる時は…その時は、あんずと一緒にいたいって…本当の姉妹になりたい…なれたらいい…って、思って───。

…けど、気がつくとタマは、平安時代…だったっけ?兎に角、その時代の京都っぽいところにいて…何故か服装は勇者装束になってて、混乱してるうちにあの双子が出てきてそれで…。
……女の人がふたり、殺された。タマはまた、なにもできなくて…悔しくて、カっとなってムカついて…だからタマは、勇者として、この殺し合いを止めるって…そう決めた!

その後タマは、まずは他の参加者を探すことにした。
なんでか勇者装束になってるけど、だとしてもタマひとりで止めれるとは思わなかったから…死んだはずのタマが居るのなら、もしかしたら───って期待も、正直タマにはあるけどな。

…あの双子が言ってたのがほんとなら、優勝すればあんずを生き返らせれるかもしれない。でも…あんずは、そのためにタマが人殺しになることなんて望まないし望むわけない。だからタマは…勇者として、戦う。

そんな中タマは、なんか思いつめてる感じがする、ぱっと見じゃ男か女かわからん外人を見つけて…話しかけてみることにした。
どうなるかとかはわからんけど…万一があっても、勇者装束がある以上はどうにかなるって思って、明るく振る舞うことにした。

----

「なんか悩んでる…って顔だけど、どうしたんだ?」

「…君は?」

怪訝な表情を見せる相手に、球子は自らの名を告げる。

「土居球子、タマって呼んでくれタマえ!」

そう名乗る相手に、イザベルは警戒心を見せながら問う。

「……殺し合いには」

「乗ってないぞ!」

(…黒田さんなら、こういう時あっさり信じるんだろうね)

間髪入れずに答えが返ってきたことに一瞬面喰らうも、暫しこの少女を信用するかしないかについて思考した末…イザベルは信用することに決め自らの名を名乗る。

「……。
……わかったよ、タマ。とりあえず…信じてみることにする。
僕はイザベル、イザベル・デュ・モンソオ・ド・バーガンデール。アイザックって…そう呼んでね」

「よろしくな、アイザック!」

「こちらこそよろしく、タマ。
…そうだね…まずは、情報交換でもしようか」


507 : 間に合わなかった者と守れなかった者 ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 00:19:12 k2nXGG3E0
----

こうして、ウィッチと勇者、決して交わる筈のない二人は…この紅き空の下の平安京にて邂逅を果たしたのであった。

【イザベル・デュ・モンソオ・ド・バーガンデール@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、迷い
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず殺し合いには乗らず、主催を打倒したい
1:まずはタマと情報を交換、できれば一緒に行動できればいいんだけど。
2:主催を打倒した後に、技術を使うなり奪うなりすれば、もしかしたら…。
3:黒田さん達が巻き込まれてたら…その時は合流したい。
[備考]
※参戦時期は原作の5巻にて、フォルコの死を悟った直後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【土居球子@乃木若葉は勇者である】
[状態]:健康、決意
[装備]:勇者装束
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:勇者として殺し合いを止める!
1:まずはアイザックと情報を交換しとこう。
2:若葉たちが居たら合流したいな。
3:もし、あんずが居たら…今度こそ守り切りたい。
[備考]
※参戦時期は死亡後からです。


508 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 00:19:31 k2nXGG3E0
投下終了です。


509 : ◆ytUSxp038U :2021/03/27(土) 03:27:15 MWdILGtE0
wikiにて自作の誤字脱字を修正しました
投下します


510 : 地獄の同胞 ◆ytUSxp038U :2021/03/27(土) 03:28:49 MWdILGtE0
赤く染まった空の下、古風な都には不釣り合いな建造物が一つ。
主に日用雑貨や住宅設備の商品販売を行う場所、ホームセンターがあった。
本来そこにいるはずの店員や買い物客は皆無であり、代わりにいるのは殺し合いの参加者。
その者は異様な姿をしていた。

筋骨隆々の全身を覆う紫のボディスーツと黒い装甲。
引き摺る程に長い漆黒のマント。
何より特徴的な、巨大なレンズを貼り付けたような仮面。
仮装か何かのような格好の男は、殺し合いに対しさしたる動揺も無く思考している。

「成程、確かに力が制限されているか」

己の掌を眺めながら呟く。
自分の力が普段よりも弱くなっていると感覚で理解する。
メフィスが言った通り、ワンサイドゲームは彼女たちの望む所では無いのだろう。

「首輪がある限りたとえ不死の者だろうと、逃れられぬ死が与えられる」

本来ならば、首輪を爆破されようと男が死ぬことは無い。
何故なら男は不老不死。
とある魔女との契約で得た力を持ってすれば、首輪の爆破程度恐れるに足らない。
しかし肝心の力が抑えられているならば、今の自分は決して死なない存在では無くなっている。

(恐らくギアスを使ったとしても首輪は無効化できない。或いは無効化する前に爆発する可能性が高いだろうな)

自分の持つ能力を行使すれば紋章を打ち消し、首輪の機能を停止させられる。
だが当然そんな事はメフィスとフェレスも把握済みだろう。
故に制限された状態では紋章を消す程の出力は出せない、或いは消す前に首輪を爆破されると推測する。
これに関しては実際に首輪を使って実験しておきたい所だ。
その為に他の参加者から首輪を奪う必要があると、今後の方針に付け加えた。

「さて、お前の処遇を決めるとしよう」

一旦思考を打ち切り、視線を動かす。
視線の先にいるのも男と同じ、殺し合いの参加者。
中学生程の少女が拘束されて横たわっていた。


511 : 地獄の同胞 ◆ytUSxp038U :2021/03/27(土) 03:30:22 MWdILGtE0
「……」

少女は口を一文字に結び、男をじっと睨みつけている。

殺し合いが始まった直後、少女はホームセンター内にて支給品の確認を行っていた。
彼女に与えられたのは、説明書通りならば間違いなく殺し合いを有利に進められる、『カードデッキ』なる物。
試しに鏡にかざし、出現したバックルに装填してみると、少女の姿は一変していた。
ボディスーツの上から鎧を纏い、顔を仮面で隠した騎士。
明るいメタリックグリーンの、どこかカメレオンに似た姿。
まるで特撮番組のキャラクターと化した己の姿に仮面の下で思わず驚きの表情を作った時、自動ドアの開く音が聞こえて来た。
商品棚の陰に身を潜めつつ、来訪者の姿をそっと確認する。

目に飛び込んだのは、整った顔立ちをした黒髪の男。
恐らくは高校生くらいの年齢であろう男をどうするか考えた。
相手はまだこちらに気付いている様子は無く、武器も持っていない。
殺すなら今がチャンス。
見ず知らずの相手を殺す事への罪悪感を抑え込み、優勝し願いを叶えるという目的の為に男を仕留めに掛かった。

結果は散々なものだった。

変身した姿で手早く殺そうと奇襲を掛けると、相手は驚きもせず冷静にこちらを見つめた。
相手の様子に僅かな疑問を抱いた瞬間、一瞬で姿が黒尽くめの怪人に変わったのだ。
そこから先はカードを使う間もなく一方的に叩きのめされ、変身解除まで追い込まれた。
外れたデッキを拾おうとしたが、それより早く相手のマントが生き物のように動き拘束され今に至る。
男は何かを考え込んでいるようだったが、それも終わりトドメを刺す気になったのだろう。
身動きは封じられ、支給品にも手が届かない。
どう考えても詰みだ。
優勝を決意した矢先にこんな呆気なく死んでしまう己の無力さを恨み、それでもせめてもの抵抗として男を睨み続ける。

「私への殺意は緩めないか。そうだな……」

何かを呟き、再度考え込む姿勢を見せる。
ややあって放たれた言葉は、少女にとって予想外のものだった。

「私と手を組む気は無いか?」

思わぬ提案に少女はポカンとした表情になる。
つい今しがた殺そうとした相手に共闘を持ち掛けてきたのだ。
男がいったい何を考えてそんな事を言うのか、少女には理解できなかった。
本気で自分と組みたいのか、殺す前に揶揄うつもりでいるのかは、無機質な仮面からは判断がつかない。
困惑する少女に構わず男は続ける。

「願いを叶える為か、それとも死にたくないからかは知らないが、殺し合いに乗っているのならば話は早い。
 私も全ての参加者を殺すつもりでいる。ならば手を組んで損はあるまい」

淡々と紡がれる言葉から、男の感情は読み取れない。
男の強さならばわざわざ自分と組む必要は無いのではと思う。
だが一方で、提案を魅力的に感じている自分がいるのも事実。
この男のような参加者が他にも大勢いるのだとしたら、カードデッキの力があったとしても自分に勝ち目は薄い。
無論、だからといって優勝を諦める気は無いが、自分一人で戦い続けるのはやはり厳しい。

「別に仲良くやろうと言っている訳じゃない。ただ、お互いの目的の為に利用し合う。
 そして機会が来たらお前が死ぬか、或いは私が死ぬか。それだけの関係だ」

それに今の状況は圧倒的に自分が不利だ。
ここで断れば男は躊躇せず自分を殺すだろう。
どの道、自分に与えられた選択肢は他にない。
まだ死ぬ訳にはいかないのだから。
不気味に輝くレンズを真っ直ぐに見据え、答えを返す。


512 : 地獄の同胞 ◆ytUSxp038U :2021/03/27(土) 03:34:00 MWdILGtE0
「…分かった。あなたと手を組む」

男に協力し、共に参加者を排除する。
返答を受けた男がどんな顔しているかは知る由も無いが、少なくとも自分を馬鹿にするつもりで共闘を持ち掛けたのではないらしい。
拘束していたマントが解かれ、自由を取り戻す。
体の痛みに少々顔を顰めるが、行動に支障はない。

「賢い判断だ」

言葉を受けながら、カードデッキとデイバックを回収する。
デッキに傷が付いてない事を確かめると、懐にしまった。
力を得られるのは確かだが、今のままでは宝の持ち腐れでしかない。
変身した姿での戦いに慣れておく必要があると考えながら、男に向き直る。
友情やら信頼などとは無縁の、利用し利用されるだけの同盟。
いつ裏切られるかも分からない危うさだが、少女はそれで良いと思った。
人殺しの自分が今更優しくされたって、ただ辛いだけ。
なら、こういう関係の方が心をかき乱されずに済むのだからマシなはずだ。

「そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」

男が思い出したように言う。
別段細かく自己紹介する必要も無いだろうが、互いの名前くらいは知っておいて不便は無い。
そう言う同盟者へ少女は己の名を告げた。

「…野咲春花」
「そうか。私はC.…いや、ゼロだ。ではいずれ殺し合うその時まで、精々利用し合うとしよう」
「うん……」


◆◇


少年は自分と妹を捨て、親友の元から引き離した祖国を憎んだ。
少女は自分の家族を焼き殺し、罪から逃れようと自殺を強要したクラスメイトを憎んだ。
少年は不死の魔女と契約し、魔王となり祖国への反逆を行った。
少女は迷いと葛藤を抱きながらも、家族を奪った者達を次々と殺していった。
全ての戦いを終えた少年は魔王の使命を果たす為に、最愛の妹の元を旅立った。
愛した少年に裏切られた末に復讐を終えた少女は、吹雪の中へと消えていった。
少年は平安京でも己の役割を果たそうと、全てを殺し混沌を引き起こす道を選んだ。
少女は家族が殺された現実を変える為に、勝ち残り願いを叶える道を選んだ。

異なる世界に生きた2人は、使命/願いの為に共闘と言う選択を取った。
その先にどんな結末が待ち受けているかは、誰にも分からない。


【野咲春花@ミスミソウ】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)
[装備]:ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝し願いを叶える
1:今はゼロと組む
2:デッキの力に慣れておきたい
[備考]
※参戦時期は死亡後。

【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:全参加者・主催者を殺す
1:春花と組むが、いずれは殺す
2:首輪を解除する方法を探す
3:他の参加者の首輪を手に入れ、ギアスが有効か、どれくらい制限されているかを確認したい
[備考]
※参戦時期は本編終了後。
※能力全般に制限が掛けられています。
※ザ・ゼロのギアスでも紋章は無効化できない、若しくは無効化する前に首輪が爆破すると推測しています。

【ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎】
カメレオン型モンスター「バイオグリーザ」と契約した証のカードデッキ。
鏡面にかざすと出現するバックルに装填し、仮面ライダーに変身する。
デッキが破壊されると契約も解除され、ミラーモンスターは野良の怪物として無差別に参加者を襲う。


513 : ◆ytUSxp038U :2021/03/27(土) 03:34:53 MWdILGtE0
投下終了です


514 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/27(土) 07:39:26 xA0cbgqg0
投下します。


515 : クイーンとうさぎだゾ ◆s5tC4j7VZY :2021/03/27(土) 07:40:57 xA0cbgqg0
紅い紅い月にそれは動きだすと言うーーーーー

それは桜田家が所有するうさぎのぬいぐるみ。
嵐を呼ぶ幼稚園児の友達である桜田ネネならびにその母、もえ子の怒りが頂点に達した時、ぬいぐるみの役目がやってくるーーーーー

ブンッ!ブンッ!!ブンッ!!!
「ふーん、けっこう、使い心地いいわー」
なぐられうさぎは支給品のスレッジハンマーを何回かスイングをする。

「それじゃー、優勝しようかなー」
なぐられうさぎには、夢がある。

「優勝すればー、ネネちゃんを…へへー」

お客さんがしあわせになるように」
そう込められた願い通りのとおり、本来「しあわせウサギ」の名だったぬいぐるみは、「自分がしあわせ」になるために殺戮の道へ突き進むーーーーー

【なぐられうさぎ@クレヨンしんちゃん 】
[状態]:健康 よく見ると殴られた跡、多数
[装備]:スレッジハンマー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝してネネちゃんを自分自身のものにして乗っ取る事…ヘヘー
1:これでなぐるよー
2:パシリがほしいわー
[備考]
※参戦時期はなぐられウサギ(醒)だゾ後

☆彡 ☆彡 ☆彡


516 : クイーンとうさぎだゾ ◆s5tC4j7VZY :2021/03/27(土) 07:43:03 xA0cbgqg0
なぐられうさぎが立ち去るのを確認すると、人影はホッとため息をつく……

「まさか、人ん言葉を喋るうさぎがおるなんて、驚おいやした…」
人影の正体は大岡紅葉。

関西でトップクラスの財力を有する大岡家の令嬢にして競技かるた「百人一首」のチャンピオン。

「スマホがあれば、すぐさま伊織に連絡しはることが出来るはるんに……」
紅葉は自分に仕える執事と連絡を取れないことを残念がる。

「旦那さん…ウチのこと守っておくれやすね……」

紅葉は愛する男を頭に思い浮かべると、生きて帰るために行動を開始する。

【大岡紅葉@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて未来の旦那さんの元へ帰る
1:まずは、協力でける他ん参加モンと合はしりたい
2:あのうさぎは危険やわ……
[備考]
※参戦時期は映画から紅の恋歌後


517 : クイーンとうさぎだゾ ◆s5tC4j7VZY :2021/03/27(土) 07:44:08 xA0cbgqg0
投下終了します。

それとスミマセン!
タイトルですが、
未来のクイーンとうさぎだゾ に変更でお願いします。


518 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/27(土) 11:37:13 8AfDas5U0
投下をします。


519 : 肩星人バトルロワイアルに現る!withザシアン ◆0EF5jS/gKA :2021/03/27(土) 11:48:23 8AfDas5U0
肩星人はなんだかよくわからない 
意味不明の催しに参加させられ怯えていた! 
女の子を迷いなく殺ってしまう主催者に、 
どんながいるのかわかったもんじゃない殺し合いの場に、 

いかに肩星人といえど 
こんな状況に置かれたら怯えるのである! 

 
怯えによる精神的疲労が原因なのか肩が崩れ、 
途方に暮れる肩星人!今回もまた文明の利器に頼り、 
そしてこの邪悪な催しを阻止せんとする 
ほかの参加者たちの力を借りるほかはなかった。  
ちなみに肩星人は理系だった! 
 

肩星人は協力者を求めさまよった。 
そこで見つけたのがあのなんだかやたら 
剣を口にくわえ威厳と品格に満ちている大きめの犬。 
あの犬は見たところ悪者にも邪悪な怪物にも
殺し合いに乗っているようにも見えない。 
そう思った肩星人は協力を求むために 
片手を振りながら勢いよく駆け出した。  
 

ザシアンは困惑した。
この殺し合いに呼ばれたこともそうだが 
今困惑している理由は 
全身緑でたらこ唇かつ人型の謎の生物が 
手を振って駆け出してきたのだ。  
 

謎の生物は目前まで来ると立ち止まり 
「そこの犬さんこの殺し合いは危ないから 
一緒に協力してなんとかしよう」と言った。  

 
この態度から察するに殺し合いに乗るつもりはなく 
むしろ殺し合いを止めたいようだ。 
止めたいと思うならばともに行くのみだ。 
ザシアンは承諾し首を縦に振った。  

 
「協力してくれるんだねありがとう。 
でもちょっと肩が崩れて苦しいんだ 
きみなんか肩を治せるような 
道具とか持っていない?」 
  

彼の肩を見るとなにやら折れたような跡がある 
ザシアンはデイパックの中にある 
マゴのみを取り出して渡した。  
 

「これを食べればなおるの?」  

 
マゴのみの回復効果を考慮すると、 
完全に治るとまでは言えないが 
食べれば肩は今よりはマシになるだろう。  

 
「じゃあいただきます。」  

 
肩星人はマゴのみを口にした。  

 
「ん甘い、マンゴーみてーな味…おお!」  
 

素晴らしい!とてもおいしくて甘い
マゴのみの回復効果で 
リフレッシュし肩が30%くらい治った! 
3分の一ほどしか治ってないが嬉しく思わず 
腕を振り回しながらザシアンの周りを 
ぐるぐると勢いよく走る肩星人!


520 : 肩星人バトルロワイアルに現る!withザシアン ◆0EF5jS/gKA :2021/03/27(土) 11:48:46 8AfDas5U0
そんな肩星人を見てザシアンはこう思った。
この生物は何なんだ? 
今のところ明確な加害行為は、 
自分が見る限り誰にもしていないようだが 
なんだか行動も奇妙でなんとなく
少し不安になってきた。  

 
「治りがちょっと中途半端だけど良いや、ありがとね」  
 

いきなりザシアンの目の前で走りを止め
お礼を言う肩星人 、 
ザシアンはただなんだこいつと
言わんばかりに困惑していた。 
ムゲンダイナのような
すさまじいエネルギーを持つ強大なポケモンや 
自分を捕まえたポケモントレーナーなど 
善良かつ優れた人物も多くみてきた。 

 
しかし目の前にいる生物については
全く見たことがない。 

こんなヘンテコにして
規則性が見えない生物は見たことがない。 
食生活は?習性は?実力は?
本当になにもかも不明だ。 
今はまだ迷惑になる行動もしてないから 
大丈夫ではあると思うが
少しの不安を隠しきれなかった。 
 

【肩星人@肩星人現る!】  
[状態]: 健康、殺し合いに対する恐怖(小)肩の崩れ(3分の2くらい) 
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3  
[思考・行動]  
基本方針:死にたくない 、殺し合いを阻止したい。
1:この犬さんとともに殺し合いを阻止する。 
※その他、備考  
特になし。 

 
【ザシアン@ポケットモンスターソード】  
[状態]: 健康、剣の王、肩星人への不安(小) 
[装備]:くちたけん 
[道具]:基本支給品、 
くちたけん@ポケットモンスターソード、 
マゴのみ(消費済み)@ポケットモンスターソード 
ランダム支給品0~1  
[思考・行動]  
基本方針:殺し合いを阻止する。 
1:この謎の生物とともに殺し合いを阻止する。 
2:謎の生物は何なのだろうか? 
※その他、備考  
ザシアンの参戦時期は少なくともソードの主人公の
手持ちになった後です、

【くちたけん@ポケットモンスターソード】 
はるか昔のガラル地方で英雄が災厄を打ち払ったと伝えられている剣。 
ザシアンに持たせることで剣の王の姿になる。 
ザシアンからくちたけんを奪うのは 
トリックやすりかえなどの技でも不可能である。 

 
【マゴのみ(消費済み)@ポケットモンスターソード】 
食べさせると体力が全体の3分の一回復する木の実だが 
甘い味が嫌いだと食べたら混乱してしまう。


521 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/27(土) 11:49:14 8AfDas5U0
投下を終了します


522 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/27(土) 18:21:14 qkHWQhkQ0
投下します


523 : 世界を憂う者 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/27(土) 18:21:34 qkHWQhkQ0
――その眼で世界を視てきた

だが、いくら世界が変わろうと人の本質は変わらない

富士山の大噴火、未曾有の大災害により多くの人々は死んだ。だが、その『程度』の犠牲では世界は変わらない

人は何処までも愚かだ。すぐに忘れ、学ばず、何が起きても国が「なんとかしてくれると」思っている

愚民が臣民の光を翳らせる。それが続く限り、世界は腐り続けるだろう


―――その翳を打ち払い、世界に燦然たる天照の輝きを齎せるのは我らしかいない

世界に平等を、公正明大な世を、全ての民にふさわしい光を

○ ○ ○

「……ほう、制限されているとは言え私の一撃を防ぐか、天晴な男だ」

その触発とも言うべき邂逅は一瞬の内に終えた

黒肌の偉丈夫が、見るからに好漢とも言うべき黒スーツの男が眼前の相手を視る

「……私の専門はあくまで裏方です」

偉丈夫とは対象的に、白衣に身を包んだ男は同じく偉丈夫を見据る。その首元に冷や汗を流しながら


最初の邂逅、もとい触発は一瞬であった。偉丈夫は決戦の日を待つ存在であり、その刻が近づいた
だが、来たのは決戦の日ではなく理想もなにもないただの殺し合い

偉丈夫の方も気配に敏感だったのだろう。故に放った牽制の一撃。そしてそれを既の所で『隔離』し、いなした白衣の男
だが、牽制だとしても偉丈夫は真祖が一人。ただの人間や並の異能者は即死する。だが白衣の男は偉丈夫の知らぬ力を以ってその攻撃に対応した。さらに言えばそれに興味を持った

「だが、素晴らしいものだぞ、その力は。吸血鬼の力とも別種。しかも私の攻撃を防いでみせた。その力、確かなものだぞ!」
「……吸血鬼?」
「いや失敬。未知の力を前に思わず口を漏らしてしまった。その事は後にしよう。それと警戒していたとは言え否があったのは此方側だ。せっかく出会ったのだ。そちら側から聞きたいことはあるかね?」

未知への探究心が先走り、白衣の男に困惑の一言を漏らさしてしまった。先の牽制の謝罪も口にし、その対価も与える
白衣の男は、偉丈夫の言葉に少しばかり意外そうな顔をしながら、相手の真意を探るのを兼ねて言葉を発する

「……では一つ。あなたは、今の世界の在り方をどうお思いでしょうか?」

白衣の男が、問いかけるが如く偉丈夫に言葉を紡ぐ

「愚か。その一言に尽きる。世界は何もしない愚民どもで溢れ返り、臣民はその翳に覆われ、衆愚政治は続いてゆく。だからこそ、我らはこの世界を変えようと立ち上がったのだ」
「世界を変えんが為に、と?」
「そう受け取ってもらっても構わん。が、私が本当に望むのは、誰もが相応しい光に照らされる、公正明大な世――陰無き世界だ!」

公正明大。光。偉丈夫の根幹に刻まれた柵。悪く言ってしまえば実力主義である。が、それ故に平等。力があるからこそ誰もが高みへと上り詰める機会は平等。そこに弱者強者という差による柵は存在しない

「――貴様はどうだ?」

太陽の輝きの如く神々しくその理想を言い切り、改めて白衣の男の理想を問いただす


524 : 世界を憂う者 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/27(土) 18:21:50 qkHWQhkQ0
「――私は、医者です。医者は人を救う者。命の価値は千差万別無く平等に」

白衣の男は医者だ。その生命に善惡の区別なく。ただ命を救うもの

「だけど、私は愛想が尽きたのです。一人の命を救うたびに、世界では何万人のも命が失われる事に」

だが世界とはあまりにも残酷だ。誰かが救われると同時に、それ以上に誰かが死ぬ。戦争、飢餓、その他諸々の理由で。救える命など世界という視点で見れば砂漠に広がる砂をほんのひとすくいぐらいだ

「私はこの世から権力闘争を無くしたいのですよ。地球の資源とは無限大ではない。愚民どもの下らぬ争いが資源を食い尽くし、何処かで犠牲を生む。それが永遠に続く」

白衣の男はその現実を前に無力感を覚えた。救っても救っても救い続けても人災によって死者は増え続ける。全ては救いきれない。救った所で犠牲は増え続ける

「同じ権力であろうと闘争は止められない。戦争が止むことはない。それは人という種に課せられた原罪そのもの。人の手で争いを止めることが出来ぬのならば―――」

人と人が争う。それはアダムとイヴが知恵の実を食べた結果。知恵を得て、欲を得て、戦う力を得て、欲と欲がぶつかり合い、その果てに戦いが起き、戦争が起きた
人の世から戦争という災害を無くさんが為には

「それこそ、世界の再編が必要なのだ」

白衣の男は知っている。それほどの力を持った存在を。人を幻創へと進化させる神の子の存在を
それを知っているからこそ、本来ならば届かぬ理想に手が届く。伸ばすことが出来る。人知を超えた、神の領域を知っているからこそ

偉丈夫から見た白衣の男の瞳は、余りにも蒼く、そして黒かった
同じ医者でも、あの男と、正義のヒーローを名乗るあの吸血鬼とは全く別種の。その眼は、世界を知らなければ出来ない眼。自分と同じ、その眼で世界の愚かさを目の当たりにしてきた者だけが出来る、絶望の瞳であった

「貴様は医師ではなく、理想家になるべきだったな」

偉丈夫は、そんな思いのまま言葉を掛けた。その男は医師として、余りにも世界を知りすぎた。特に命に関わる存在として、その事実に耐えられなかったか、それ故に理想に順ずる程に狂ってしまったか

「かつての仲間に似たようなことを言われましたよ」

白衣の男は、まるで気にしないかのように言い返す。偉丈夫は少しだけ考え込んだ後に

「そうか。では一つ提案だ。私と手を組まないか?」
「……構いませんよ、こちらとしては」

白衣の男に提案。それに対しほぼ瞬時に言い返していた。元より白衣の男はあの一瞬で偉丈夫の実力を感じ取った。ある意味妥当な判断だ

「あっはっは!! 決断が早いのは感心するぞ!」
「元よりそれしか選択肢は無かったでしょうに」

だが、それを含めてもこの白衣の男は有能かつ活用できる。自分の攻撃を『隔離』した能力は未知数だ。それはこちらが情報を提供する際に聞き出すとして
白衣の男からすれば選択肢は無かった。実力差を理解していたが故に

「名乗りがまだだったな。私は日ノ元士郎。……燦然党が首魁。吸血鬼の『真祖』だ。一時とは言えこれからは仲間だ、よろしく頼むぞ!」
「マザー・クラスタ『水の使徒』、そしてアースガイド北米支部長。オフィエル・ハーバート。以後お見知り置きを」

お互いに世界をその眼で視て、知り、絶望と諦めの果てに理想へとひた走った二人
それは、余りにも世界にとっての災厄であることに変わりはなかった


525 : 世界を憂う者 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/27(土) 18:22:03 qkHWQhkQ0
○ ○ ○

(……日ノ元士郎。なるほど)

オフィエル・ハーバート。マザー・クラスタ『水の使徒』。アースガイド北米支部長。行き詰まった地球(ほし)を救い、世界の再編を望むもの
どのような最新技術があろうとも、救える命には限度があり、その限度を超える犠牲が世界各地で勃発している。それを無くさんがため、彼は世界の再編を望んだ

(アーデム卿よりも人間味はあるということか)

サー・アーデム・セークリッド。アースガイドの長。進化を以って世界を変えようとした者。人の形をした神の子。己が部下にすら何の感傷も持たず幻創種への進化のために結果として奪う人とは違う生き物。その奥底の本心は、自分では考えの及ばぬ御使い

(……日ノ元士郎。もしあなたがマザーやアーデム卿以上の可能性を示すのであれば、私はあなたに忠誠を誓いましょう)

オフィエルがマザーやアーデムに仕えたのは己が理想の為。そのためならば他者を切り捨てることすら厭わない。それが単純無比な虐殺であろうと
日ノ元士郎。彼の理想はオフィエルからしてもお世辞とは言え素晴らしいと思えるものだ。公正明大、そして光。それが日ノ元士郎の根幹にあるもの
これはオフィエルの個人的な妄想であるが、彼は日陰たる立場、その存在故に光を求めたであろう。故に、そんな翳の住人すらも平等に光を浴びることの出来る世界を望んだのかも知れない。いや、おそらく本当に光を望んでいるのは彼自信か―――

(―――ですが、もしそうでなければ)

だが、残酷にも世界には適正というものが存在する。幻創種への進化の適正の有無のように
日ノ元士郎。もし彼が『可能性』にたり得ないならば―――

(今はまだ、時期尚早ですが)

だが、この男は自分よりもよっぽど格上だ。単純な実力ならばマザー・クラスタ最強の使徒やアーデム卿に匹敵する程に。故に見極めなければならない。この、日ノ元士郎という男を



【日ノ元士郎@血と灰の女王】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:??????
1:??????
[備考]
※参戦時期は最低でもドミノ組との開戦前
※真祖としての力に制限が課せられています

【オフィエル・ハーバート@ファンタシースターオンライン2】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:日ノ元士郎に同行し、彼を見極める
1:??????
[備考]
※参戦時期はEP4-8「壊れた進化」から
※隔離術式による対象の隔離及び空間接合による転移に制限が課せられています


526 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/27(土) 18:22:14 qkHWQhkQ0
投下終了します


527 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 20:02:24 k2nXGG3E0
投下します。
一部分を天気の子ロワにて投下した作品から流用しています。


528 : ただ、祖国を取り戻す為に ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 20:05:03 k2nXGG3E0
「…あの野郎!援軍のフリして俺達を騙しやがって…!!」

紅き空と月に曝された平安京にて、一人の男は怒りを見せる。
彼の名はミハエル・トリニティ。ソレスタルビーイングのセカンドチームであるチームトリニティの一員であり、ガンダムマイスターである。
この会場に来る前彼は、援軍のフリをして自分達を抹殺しに来たアリー・アル・サーシェスの手により騙し討ちされる形で射殺された。
しかしどういうわけか彼は蘇生され、殺し合いのルールを説明され、そして見せしめが死ぬところを見せられた後に会場の一画へと投げ込まれたのである。

「殺し合いか…まあいいさ、兄貴やネーナまであの野郎にやられてるかも知れねえ以上は…優勝して戻らなきゃいけねぇんだよ」

ミハエルは兄であるヨハンと妹であるネーナに対して以外は誰が相手でも粗暴で短気な性格をしている。
ここに来る前の自分たちが、世界に追い詰められていたという状況も併せて、殺し合いに乗る事への躊躇は無かった。
バッグの中に自分の得物である電磁ナイフを発見したミハエルは、そのまま他の参加者を見つけ出し襲撃する事を試みようとする。
…暫くして彼は、金髪で碧眼の少女を発見し、奇襲を仕掛けることとした。

----

「ぐぬぬぅ…銃はおろかユニットすら入ってないとは…」

バッグの中身を確認した少女は途方に暮れる。
少女の名はハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン。第506統合戦闘航空団、通称ノーブルウィッチーズのA部隊の戦闘隊長であり、夜間哨戒を得意とするナイトウィッチでもある。

殺し合いに巻き込まれた彼女は、何もできぬままむざむざと二人の女性が見せしめにされた所を見ている事しか出来なかったという事実に怒りを覚えた。このようなふざけた催しを開いた主催者達に…そして、何も出来なかった自分自身に対しても。
そしてハインリーケは、この殺し合いを止める為に動く事を自らに定めた。
その為にも、まずは何が支給されていたのかを確認しようとバッグの中身を見た…のだが、バッグの中には自らが使い慣れた銃であるMG151/20はおろか、自らのストライカーユニットであるユングフラウ Ju88C-6(C9+DE号機)すら入っていなかった。

代わりに入っていたのは、聖剣だと説明に書かれていた両手剣のみ。

「…サーベルならば兎も角、このような剣を振るった経験は、わらわには無い…不安になってくるが、やるしかあるまい」

不安を抱えながらもハインリーケは、バッグから聖剣…エクスカリバーを取り出そうとする。
…その瞬間、背後からの襲撃を彼女は───自らの魔導針により察知。バッグを手放しながらも寸前のところで振り下ろされたナイフの一撃をエクスカリバーにより受け止めて見せた。

----

「ちぇ、気付かれてたのかよっ…!」
「魔導針が無ければ、危うく気付けぬところだったわ…そなた、殺し合いに乗っているのじゃな?」
「そういうこったよ!他の参加者共全員切り刻んで、破壊して蹂躙して、殲滅して優勝してやる!そうしなきゃ俺達に未来なんてねえんだ!」
「…そなたに何があったかをわらわは知らぬ。だがそなたが優勝を目論むのなら…事情がなんであれ、わらわの手で止める!」
「やれるもんならやってみやがれ!」

会話を交わした後、ミハエルとハインリーケは再び戦闘に入る。
ナイフの一撃を剣によりなんとか防ぐハインリーケであったが…エクスカリバーを使い慣れてないのもあり、ミハエルに攻撃を当てれずにいた。
一方のミハエルも、剣に防がれてハインリーケに攻撃を当てれず…両者は膠着状態に陥る。
このまま膠着状態が続くかと思われた───その時、何処からか飛んできた戦輪が、ナイフを振るおうとしていたミハエルの頭を瞬時に真っ二つに切断した。
目の前の敵に集中し過ぎていたが故に彼は、生前に続き二度目の、断末魔すらあげれずに死ぬ末路を迎えたのであった。

【ミハエル・トリニティ@機動戦士ガンダム00 死亡】

残されたハインリーケは、目の前に居た男が突然惨殺された事もあって動揺する。

「───っ!?
……誰が…誰がこのような…!?」

思わず魔導針を使う事を忘れてハインリーケが動揺している内に、戦輪を放った相手が姿を現した。

「危うい所だったな、姫様」

「…ヴィスコンティ、大尉……なのか…?」

ハインリーケの前に現れたのは、彼女と同じ506のA部隊に所属しているウィッチであるアドリアーナ・ヴィスコンティ大尉だ。
ハインリーケからすれば彼女は…反りは合わないものの、優秀な仲間であり部下である。
───しかしハインリーケは、アドリアーナに対して警戒を見せる。


529 : ただ、祖国を取り戻す為に ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 20:05:29 k2nXGG3E0
(…わらわを助けるだけなら、あの男をわざわざ殺す必要は無かった筈…頭を狙わずに足でも狙えば、無力化は出来た筈じゃ。それなのに、頭を狙って…それに、わらわが知っている奴ならば…あのような惨状を見て平然としていれる筈も無い。
───なにより、今のヴィスコンティ大尉からは、殺意を感じる…だが何故…!?)

警戒をしつつも混乱もしているハインリーケを尻目にアドリアーナは言葉を紡ぐ。

「…私がそれ以外の何に見える?ずいぶんおかしなことを言うんだな」
「本当に…そなたはヴィスコンティ大尉なのか?」
「本物だとも」
「…ならば、その纏ってる殺気はどう言い訳する?」

そうハインリーケは、目の前に立つ仲間であり部下に言い放つ。
すると…その問いを聞いたアドリアーナは…

「…全ては祖国を…ロマーニャを取り戻す為だ。その為なら私は、他の全てを捨ててでも───!」

手に取っていた戦輪をハインリーケに向けて投擲した。

----

「…何を、何を言っておるのだヴィスコンティ大尉!?
オペレーション・マルスは成功し、既にロマーニャは奪還されておるぞ!?」
「その言葉、そっくりそのままお返しするぞ姫様。
まだ実行もされてないのに、何故そんなトチ狂った事を言う??狂ったのか?」

エクスカリバーを振るい戦輪を弾き飛ばすハインリーケだったが、その隙を突いたアドリアーナの接近を許してしまい…

「こうして戦るのは久々だな、姫様っ!」
「───なっ…ぁ、ごふっ…!?」

1発打撃を入れられてエクスカリバーを手放してしまう。そこから間髪入れずにアドリアーナはハインリーケを殴打し、また蹴りを入れる。

「っゔ、ぁ…が、ふぅっ…は…っ…」
「その程度か姫様?カール大尉とやり合えるのなら、これぐらいなら捌けると思ってたが…見当外れだった様だな!」

ことごとく殴られ蹴られたハインリーケは、立つのもやっとな有り様となっていた。
殴り返すチャンスを掴めないままだったのもある、が…それ以上に、アドリアーナが何故殺し合いに乗ったのか、何故このような行動に出てしまったのかを理解出来ず対応が遅れていたのも、またバッグを回収する暇も無かったのも理由である。

「今の姫様を殺しても…つまらないな。
…昔の仲間のよしみだ、今回は見逃す。だが次はない」
「…ま、てっ…まつ、のじゃ…!」

つまらなさそうに肩をすくめて何処かへ去ろうとするアドリアーナを、身体に鞭を打ち必死に呼び止めようとするハインリーケ。

「…何故じゃ…何故そなたはっ……ひとりで背負おうとするのだ…わらわには、仲間に頼れと…そう言っておいて何故…!!
……それほどわらわを…わらわ達を、信頼できなかったのか…?」

まるで縋るかのように問いかけるハインリーケに対して…アドリアーナは答えを告げた後、ハインリーケのバッグやエクスカリバーには目もくれずに、ミハエルのバッグのみを回収してその場を去る。

「…信頼はしていたぞ。506は…A部隊は…間違いなく、私の居場所だったよ。
ただ…今は他の何事よりも、祖国の奪還が最優先なだけだ」


530 : ただ、祖国を取り戻す為に ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 20:05:48 k2nXGG3E0
----

(…残り二つの支給品の内、一つはこの場では問題にならないとはいえ…優勝した先の事を考えると控えたい。だがいずれは使う必要がある。
…使い所を見極めないとな)

そう思考を回しながら、かつての仲間に背を向け立ち去ったアドリアーナ・ヴィスコンティは、優勝して祖国ロマーニャを奪還する為に参加者を皆殺しにする道を行く。
それ以外に手段は無いと断じて…それが主催者によって歪められた思考だとも気付かずに。

【八将神枠】
【アドリアーナ・ヴィスコンティ@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、殺意
[装備]:アクセルギア@セブンスドラゴン2020
[道具]:基本支給品、鬼舞辻無惨の血@鬼滅の刃、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:祖国奪還を果たす
1:優勝して祖国ロマーニャを奪還する。
2:残りの支給品の使い所は見極めたい。
3:先程は姫様を見逃したが、次は無い。誰が相手だろうと容赦はしない。
[備考]
※参戦時期は原作5巻にて、オペレーション・マルスが決行される事を知り祖父の手紙を読んだ直後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【アクセルギア@セブンスドラゴン2020】
戦輪(チャクラムとも)と呼ばれる武器。説明文では円を描くように滑空する輪とされている。
核攻撃が有効打にならない人竜ミズチにダメージを与えれる威力を持つ…が、主催により威力は制限されて低下している。

【鬼舞辻無惨の血@鬼滅の刃】
鬼の始祖たる鬼舞辻無惨の血。
これを体内に入れられると、鬼と化し高い身体能力や身体を変形させる能力、強力な再生能力が手に入るが、人間以外を食べれなくなり、人を喰らえば喰らうほど人間だった頃の記憶や人格が歪み消えて行く。
また太陽の光に晒されると塵になり消滅してしまう他、血に適用出来なかった場合は鬼になれず死に至る。
今ロワでは血液パックに入れられて支給されている。

----

「……何故じゃ。….そなたは…そなたはこのような…くだらぬ催しに…殺し合いに乗るような…人間では無いだろう…なのに、何故…何故…!」

何度考えても、頭は回らず、理解も出来なかった。
わらわにとってあやつは…ヴィスコンティ大尉は、反りは合わず、黒田が来る前は何度も揉めていた相手ではあった。だが…それでもあやつは優秀な部下であり…頼れる仲間だと…その筈であった。

「…部下の一人も止めれないというのに…何が戦闘隊長じゃ…わらわは…わらわはっ…!!」

いつのまにか、頬を涙が伝っている。
ただわらわは…凶行に走った仲間を、部下を止める事が出来なかったという事実に打ちひしがれ、不甲斐ない自分自身に失望しきる事しか、出来ずにいた。

【ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:打撲によるダメージ(中)、混乱、自身に対する失望
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、約束された勝利の剣(エクスカリバー)@Fateシリーズ、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:このくだらぬ催しを止める
1:ヴィスコンティ大尉……何故じゃ…何故っ…。
2:己の不甲斐なさに愛想が尽き果てるわ。
3:黒田達が居たら…わらわは、何と伝えればよいのだ…!
4:戦闘隊長失格では無いか、これでは…。
5:…ロマーニャは奪還された筈、だというのに何故…??
[備考]
※参戦時期は原作の5巻終了後から原作7巻にて階級が少佐になる前のどこかです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※ミハエルの電磁ナイフ@機動戦士ガンダム00がミハエルの遺体と共に放置されています。

【約束された勝利の剣(エクスカリバー)@Fateシリーズ】
セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)が使う剣の宝具にして神造兵装。所有者の魔力を光に変換後、収束・加速させて運動量を増大させ、神霊レベルの魔術行使を可能とし、放った斬撃は光を帯びたビームとなり、熱量によって相手にダメージを与える事が可能となる。
しかし今回のロワでは主催側の手により、持てさえすれば誰でも使用可能になっている代わりに威力が低下している模様。


531 : ◆8eumUP9W6s :2021/03/27(土) 20:06:38 k2nXGG3E0
投下終了します。


532 : ◆vV5.jnbCYw :2021/03/27(土) 20:54:38 loRKkzrU0
投下します


533 : What’s name/長けりゃいいってものじゃない ◆vV5.jnbCYw :2021/03/27(土) 20:55:04 loRKkzrU0
「絶対に許せんのじゃい……」
茶色のお洒落とは言えないが、高級そうなスーツを着て、ドリルよろしく尖った頭とそこから伸びてる巻き毛、そして口元から伸びてる、これまた印象的なドジョウひげが印象的な男が、憤っていた。


憤っている理由は何でしょう?と聞かれると、恐らく大方の人間は勝手に殺し合いなど、人権も自由もあったもんじゃないゲームに巻き込まれてしまったからだと回答するだろう。

だが、この男の怒りの要因は、そんな凡百の人間でも思いつきそうなことではなかった。
最も、間違えたからと言って、クイズゲームよろしく罰ゲームとかしないから安心していただきたい。


「ワガハイは、誰が何と言おうと、校長なのじゃい……。」
話の発端は、この殺し合いに呼ばれる、1か月前のことだ。
単行本で言うと、大体14巻ぐらい。


ライバルであった彼の知り合いであるじーさんが、ひょんなことから生徒に対する情熱や愛を語った。
それに感動した校長は、ライバルとは言えど学校で一番偉い立場を上げようとした。
『ありがたく受け取るのじゃ』か、『お断りするのじゃ』が返ってくると思っていた校長(前者2:後者8ぐらい)に突き付けられたのは、笑劇にして衝撃の言葉だった。


「じゃあ「校長」はクビだな♨️」

うっかりで済まされそうにないが、うっかり彼はライバルに、自分の立場を明け渡してしまった。
その時点で彼は名前が無くなってしまい、勢い余って彼のことを知っている者達に名前を決めてもらったのである。


とはいえ、彼は自分のファンが地球上にざっと70億いると信じて疑っていなかった。
この時代はまだ人口が60億だったが、さぞかしかっこいい名前を授けてくれると思っていたのだ。


だが、結果は大きく違っていた。




「ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンに決定──────っっっ!!!」
「ひでぶ〜〜〜〜っっ!!」




ただ、長いのが取り柄の名前を付けられ、そのまま胴上げされている中、この殺し合いに呼ばれた。
だが、彼としては人の命など心底どうでも良かった(あっ、それは読者も同じか)。
何としてでも生還し、再び校長の座へ返り咲かねば、自分のプライドが許さなかった。


とはいえ、どうするべきか分からない以上は、まずは熟考しなければならない。


(う〜ん、どうするのじゃい。)
自分は今首輪を掛けられていて、脱出するにも出口が分からない。
ここは確かに、学校の教科書にも載っていた平安京だ。
曲がりなりにも、教育者である自分が言っているのだから間違いない。
社会見学(そんな描写漫画になかったけど)でも、平安京の模型が展示されている博物館には何度も率先して出向いた。


一応日本のはずだが、ここから出るのは難しそうだ。

「よしっ、決めたのじゃい!!」
だが、ついにどうするべきか決めることにした。


「ワガハイが優勝して、校長になるのじゃい!!」
お前は大長編で何を学んで来たんだ、というツッコミを入れる間もなく、そうと決まると、ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンは、支給品袋に手を入れ、武器を出した。


そこから、巨大なハンマーが出てきた。
かつて自分を追い越したジジイと孫を、叩き潰した思い出が蘇る。
少し重いが、扱うのに難儀するというほどではない。


そこへ、自分がいた空き家の扉が開く、木のきしむ音が響いた。


534 : What’s name/長けりゃいいってものじゃない ◆vV5.jnbCYw :2021/03/27(土) 20:55:31 loRKkzrU0

さっそくカモがやってきたと思って、戸口に近づく。
「あの……誰か……。」

しかも運のよい事に、素手でも倒せそうな、自分が学校で良く見ている生徒ぐらいの年齢の男の子だ。

「チャーンス!!さっそくカモがやってきたのじゃーい!!」
「うわあああああ!!」

時代が違うとはいえ、どこか平安京の背景に似合ったような、和風がかった少年は悲鳴と共に、持っていた竹筒についてあった紐を引っ張る。
ポン、と軽い音がすると思うと、白い網が部屋中に広がり、ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンに絡まった。


少年が持っていたネットガンが、ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンをいとも簡単に拘束する。

「くそ……だがこんなものでワガハイの動きは、止められないのじゃい……。」
なんとミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンは頭を回転させ、ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシン目掛けて放たれた網を破ろうとする。
廊下を走っていた生徒に度々食らわせていた秘技、校長ドリルだ。
校長の名前がミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンに代わっても、ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンドリルではなく、校長ドリルだ。
その威力は同誌のハンバーグーや不滅ボールをも上回るとか下回るとか。
体罰が話題になり始め、漫画とはいえ使うのが難しくなってきたが、こんなアングラな場所なら使っても大丈夫だろという余裕をもって、発動する。


「あぎゃーーーーーーーーーーーーーっ!!」
しかし、校長ドリルを使って回転したことで、網を千切るどころか、逆に絡まっていく。


「あの……おじさん、大丈夫?」
見かねた少年が、気遣いの言葉をかける。

「おい、ワガハイを出しやがれ!!ワガハイの漫画は今年連載20周年だぞ!!(参戦時期から考えるとまだ10年もないけど曽〇先生おめでとうございます)」

そんなことを言っても分かってもらえるわけもなく、それ以前に少年の物語は20年よりはるかに昔から語られてきている以上、頼みを受け入れられるわけもなかった。

「……………た……助けて欲しいのじゃい……。」
最初は元校長としてのプライドが許さなかったが、5秒でそのプライドは潰えた。


「いいけど、おじさん何で僕を殴ろうとしたの?」
「おじさんじゃない!!ワガハイはお兄さんじゃい!!」
「じゃあお兄さんは何で僕を殴ろうとしたの?」

ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンに対して、至極まっとうな疑問を投げかける少年。

「この戦いに優勝して、名前を戻してもらうためじゃい。」
「名前?」

名前を戻してもらう、と聞いて、少年の心にも引っかかるものがあった。
それは、少年の父親にあるものだった。
彼の父親は、息子の長生きを願った。
恐らくそれを願う父親は多いはずだが、彼の父親は少し他の者と違っていた。
それは、名前の付け方にある。


お寺の物知りな和尚さんに、様々な長命を司る言葉を教えてもらったが、父親があろうことかその名前を、全部息子に付けてしまったのである。

「そうなのじゃい。ワガハイは今の名前がイヤなのじゃい。所でオマエは何という名前なのだ。」
「僕は寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲行末風来末食う寝る所に住む所ヤブラコウジのブラコウジパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助だよって言うんだ」

「ど、どーいう理由があって、そんな名前になったんじゃい。」
「お父さんが僕に、長生きしてほしいから寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲行末風来末食う寝る所に住む所ヤブラコウジのブラコウジパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助って名前を付けちゃったんだ。」

「は?」
あまりに長い名前に、ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンも面食らってしまった。

「だから、寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲行末風来末食う寝る所に住む所ヤブラコウジのブラコウジパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助って名前を付けちゃったんだ。」


535 : What’s name/長けりゃいいってものじゃない ◆vV5.jnbCYw :2021/03/27(土) 20:56:06 loRKkzrU0
「え…えーと、寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲行末風来末食う寝る所に住む所ヤブラコウジのブラコウジパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助、だったか?
オマエはこの戦いで優勝して、名前を変えてもらおうとか考えなかったのか?」
「確かにこの名前だったら、馬鹿にされたし、朝に名前を呼ばれてたら、学校に遅刻しそうになったこともあったけど、優勝する気はなかったなあ。あと良く名前覚えられたね。」

学業に携わる者の力を発揮し、たった3度で少年の名前を暗記したミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンだが、意見は一致しなかった。
まあ自業自得で名前をミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンにすることになったどっかのバカより、少年の方がマシな人格だったということである。


「うーん、ワガハイも最初は優勝しようと思っていたけど、オマエみたいな同じ悩みを持ったガキを殺すのはイヤなのじゃい。
きっと読者は喜んでくれないと思うのじゃい。」
「あんまりメタな話はしない方がいいと思うよ。」

反省したかのように見えたミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンだが、とりあえずこの網から出してもらおうと企んでいた。
寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲行末風来末食う寝る所に住む所ヤブラコウジのブラコウジパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助を殺そうとは思わなかったが、とりあえずここから逃げ出したかった。


過去に縛っていたジジイに、『この縄を解いてくれたら100億円やるぞ』と言われて解いたらフルボッコにされたので、言ってしまえばその時の真似事である。


「いいからこの網を解くのじゃい!!出してくれたら支給品を全部やるぞ!!」
「どうしようかなあ……。」

二人の低次元な心理戦が繰り広げられていない中、再び新たな人影が現れた。

「ぬ!!キサマは誰なのじゃい!!」
良く見ると、胸の部分に「龍」の文字が書かれた緑の道着を着た、精悍な顔立ちと、全く余分な脂肪がない筋肉質な身体が印象的な男性だ。

「名前……言わなきゃダメか?俺は殺し合いに乗ってないし、旅の武闘家とかで良くないか?」
少し嫌な顔をされたが、ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンも、寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲行末風来末食う寝る所に住む所ヤブラコウジのブラコウジパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助も、その名前を気になる。


536 : What’s name/長けりゃいいってものじゃない ◆vV5.jnbCYw :2021/03/27(土) 20:56:30 loRKkzrU0

2016年ぐらいに公開された有名映画じゃないが、やはり相手の名前というのは大事なものだ。



「もりそば……。」
2人の間に、何とも言えない空気が広がった。
名前というのは、今日日のラノベ見たく、長すぎるのも困りものだが、短いからと言っていい名前ではない。


おあとがよろしいようで。



【ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシン(元・校長)@絶体絶命でんぢゃらすじーさん】
[状態]:健康
[装備]:ドラえもんがたまに出すハンマー@ドラえもんシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝し、校長の座に返り咲く
1:とりあえずこの場から逃げる

※参戦時期は、第2弾のテーマ「どっちの名前がいい?校長名前人気投票!!」の結果発表直後


【寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲行末風来末食う寝る所に住む所ヤブラコウジのブラコウジパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助@寿限無】
[状態]:健康、困惑
[装備]:ネットガン×4@逃走中
[道具]:基本支給品ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:帰りたい
※参戦時期は、小学校に入ってからです


【もりそば@ドラゴンクエスト4コマ漫画シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:???
1. 殺し合いには乗らない

※参戦時期は、うおのめと共に、宿屋で呼ばれた時です。


【支給品紹介】

【ドラえもんがたまに出すハンマー@ドラえもんシリーズ】
ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシンに支給された大きなハンマー
ドラえもんがミスをして、「壊れてお詫びする!!」って言う際に出すやつ。
木槌だったり金づちだったりするが、支給されているのは金づち

【ネットガン×4@逃走中】
寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲行末風来末食う寝る所に住む所ヤブラコウジのブラコウジパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助に支給された武器。
筒についてあるひもを引っ張ると、網が弾き出され、相手をしばらくの間拘束する。
1度使うともう使えない。


537 : What’s name/長けりゃいいってものじゃない ◆vV5.jnbCYw :2021/03/28(日) 00:45:22 ijAdphhE0
投下終了宣言忘れてました。すいません。


538 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 11:34:04 Ay/8Ji6Q0
投下します


539 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 11:34:38 Ay/8Ji6Q0
投下します


540 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 11:35:33 Ay/8Ji6Q0
投下します


541 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 11:38:42 Ay/8Ji6Q0
投下します


542 : 空白 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 11:39:05 Ay/8Ji6Q0
16度目の誕生日の朝、無垢な少女は運命に出逢った

無色だった彼女の色彩に彩りを与えた少女。ただ生きるために藻掻き、足掻き続け、魔神王に打ち勝った人類最後のマスター

そんな少女とともに彼女は旅を続け、青空を見て、楽しいことも苦しいことも一杯で。彼女のカンパスには様々な色が彩られて

人理凍結、異聞帯という新たな脅威と苦難に迷い苦しみながらも、歩みを止めることもなく




しかし、ここに人類最後のマスターは終演を迎えた

彼女の色彩に、ぽっかりと空白が出来た



○ ○ ○

「せん、ぱい」

虚ろだった。心にぽっかりと吹き抜けた空白、取り返しのつかない、溢れたもの

藤丸立香。人類最後のマスター、そして彼女にとっての掛け替えのない先輩

時に支え、時に支えられ、今まで旅を続けてきた

人理凍結、異星の神、新たな敵や新たな脅威でも、その雪花白亜の心は揺らぎはせずとも砕けることはなく

だがしかし―――今の彼女は余りにも脆く、無垢であり




―――ただ咽び泣くだけで、無力でしか無かった




【マシュ・キリエライト@Fate/Grand Order】
[状態]:喪失感(大)、深い悲しみ
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:―――せん、ぱい
1:??????
[備考]
※参戦時期は少なくとも第二部以降


543 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 11:39:40 Ay/8Ji6Q0
投下しました 通信障害で連投みたいなことになってしまい申し訳ございませんでした


544 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 12:12:23 uYk31Ue20
投下します。


545 : 命を乗せて ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 12:12:50 uYk31Ue20
会場のとある場所。

参加者の一人である女性、ブルーベリー・レイクサイドは、この殺し合いに大きく心を痛めていた。

◆◆◆

レイクサイド家は、王室付きの魔法使いを次々と輩出してきた家柄。

そんなブルーベリーも、『世界を変える様な大魔法使いになる』と予言されて生まれた人間である。

しかし彼女は、生まれつき体が弱かった。

レイクサイド家の人間は、文武両道でなければ王室に仕えることができないというしきたりがあり、王室努めは諦めるしかなかった。

魔法学校に入った際も、体質故に体を動かす授業を欠席しなければならない等、コンプレックスを抱いて過ごしてきた。

─だがそんなある日、一部のクラスメート達と共に臨海学校に行く事になった。

臨海学校の日の夜、突如キャンプ場を襲撃してきたエニグマ達によって、光のプレーンへと転移させられてしまった。



ブルーベリーは、光のプレーンで、同じく転移させられてきたクラスメートのペシュ、レモンと一度は合流したのだが、そこでエニグマ達が襲来し、レモンがその一体を引きつける為の囮になると言って離脱してしまった。

その際、ブルーベリー達はとある宮殿の地下で待ち合わせをしていたのだが、レモンが戻って来ず、ブルーベリー自身も体調を崩してしまった為に、ペシュが残りのクラスメート達を探す事になった。



そうしてペシュが合流出来たクラスメート達を連れて来た時に、エニグマ達がやって来てしまっ


546 : 命を乗せて ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 12:13:13 uYk31Ue20
た。

そんな中、ペシュが連れて来たクラスメート達と知り合ったという、愛の大使達も加勢して、一度は彼らを倒したと思っていた。

─この時点ではまだ彼らを倒しきれていなかった事は知る由もなかった。



宮殿を出た後も、合流した仲間達についていきたいと言ったのだが、そこで再び体調を崩してしまう。

それでも他のクラスメート達ついて行けなくなるから、と強情を張ってしまった。

それを皆に注意され、無茶はしない様にと注意された上で同行を許可してもらったのである。



─その後、クラスメートのカフェオレを助ける為に訪れた、ドワーフ達の働く塔で倒した筈のエニグマと再会してしまった。

今度こそは彼を倒す事が出来たのだが、そこで魔法学校の卒業生の5人内の1が、エニグマと融合しているということを聞かされた。



それからも彼女達は、世界を救う為に進む事を決めた。



やがてエニグマの王が倒され、ブルーベリー達も魔法学校に戻って来た。



学校を卒業した後、ブルーベリーは水の魔法を研究する為に水のプレーンへと渡り、ウォーターピープル達と親交を深めていった。

◆◆◆

そんな彼女も、この催しに巻き込まれてしまった。

もとより体の弱いブルーベリーにとって、この状況は過酷そのもの。

それでも他に多くの生命が巻き込まれているのだから、彼ら彼女らも死なせたくない。

(けれど、ここには助けてくれる相手もいない… だから何とか助けないと!)




547 : 命を乗せて ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 12:13:35 uYk31Ue20
そう思っていた時だった。

「プイー!プイプイ!」

どこからか、動物の鳴き声が聞こえた。

「プイプイプイプイ…」

すると、大きなモルモットの様な生物がこちらにやって来た。

モルモットの様な生物は、ブルーベリーの前まで来ると、そこで立ち(?)止まる。

「プイ!」

……どうやら、彼はブルーベリーを乗せてくれる様だ。

そうして彼女も、この会場で最初に出会った不思議な生き物に乗る事にしたのであった…。


548 : 命を乗せて ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 12:14:02 uYk31Ue20
【ブルーベリー・レイクサイド@マジカルバケーション】
[状態]:病弱体質
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしなくないけれど、だからといって何も出来ずにいるのは絶対にイヤだ。
1:今はこの子(ポテト)に乗っている。
2:他の参加者の助けたい。けれど無理なんかしたら…。
3:家族や知り合い(特にレモン)が巻き込まれていないか心配。
[備考]
※本編終了後からの参戦となります。
※水の魔法は全体的に、効果範囲が狭まっております。
※光のプレーンから一度魔法学校ウィル・オ・ウィスプに戻って来て、そのまま闇のプレーンに同行したかどうかは後続の書き手にお任せします。

【ポテト@PUI PUI モルカー】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:人間の女性(ブルーベリー)は絶対に守る。
2:他の参加者を見つけたら助ける。
3:飼い主や知り合いが巻き込まれていないか心配。
[備考]
※少なくとも、第1話終了後からの参戦となります。


549 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 12:14:21 uYk31Ue20
投下終了です。


550 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 12:17:48 uYk31Ue20
>>546
すみません。
『それを皆に注意され、無茶はしない様にと注意された上で同行を許可してもらったのである。』を
『それを皆に注意され、無茶はしない様にと言われた上で同行を許可してもらったのである。』に修正させていただきます。


551 : ◆5IjCIYVjCc :2021/03/28(日) 13:11:53 pdTacDSU0
投下します。天気の子ロワに投下したものを流用しています。


552 : ◆5IjCIYVjCc :2021/03/28(日) 13:12:33 pdTacDSU0
平安京のとある場所で金髪の女と大きな口を持つ花のような怪物が対峙していた。

女の腰には特殊な形状をしたバックルのベルト――変身ベルトが巻かれていた。
その変身ベルトの名は戦極ドライバーといった。

「変身」

『リンゴォ!』

女は手に変身のためのアイテムである禁断のリンゴロックシードを持ちこれを開錠する。

『ロックオン カモン!』

ロックシードはベルトの中央にセットされカッティングプレートを押し下げらることで開かれる。
女の頭上に時空の裂け目であるクラックが開き、そこから先ほどのロックシードに対応するアームズが出現する。

『リンゴアームズ!デザイア フォビドゥン フルーツ♪』

リンゴアームズは女の頭から被さり鎧として展開する。
女はアーマドライダーイドゥン、もしくは仮面ライダーイドゥンと呼ばれる戦士へとその姿を変えた。

イドゥンの手元にはアームズウェポンであるアップルリフレクターという盾が出現する。
そのアップルリフレクターからもう一つのウェポンであるソードブリンガーという剣を引き抜き、構える。

「ハアアアアア!!」

イドゥンは剣を持ちながら怪物へ向かって突進する。
そして勢いをつけたまま怪物に向かって剣を横向きに一閃する。

だがその攻撃はあっさりとジャンプで躱された。

「ぐうっ!」

怪物はジャンプ後、空中でイドゥンの頭上をそのまま通り、ついでと言わんばかりに自らが生えている植木鉢を頭に叩きつける。

「せいっ!やあっ!たあっ!」

イドゥンは後ろに回り込んだ怪物の方へすぐさま振り向き、連続して攻撃を行った。
だが、それらの攻撃も相手に当たることはなかった。
むしろ攻撃しようとするたびに隙を狙われて反撃をくらう。

イドゥンがどんな攻撃を仕掛けようとしてもヒットすることは一切なかった。
対して怪物はその赤と白の水玉模様の頭のような花、牙の生えた大口、手のように扱う葉、その他様々な彼?にできる手段によって攻めていった。
戦いはイドゥンが劣勢のまま続いていった。

◆◆◆

「ハア…ハア…」

戦いが始まってから5分は経過しただろうか。
その間、イドゥンから怪物に向けての攻撃が届いたことは一度もなかった。
それに対し、怪物の方は…

口から毒ガスを吐いてみたり、
とげ付き鉄球を出してぶつけてみたり、
ちょっと火を噴いてみたりと、
もはや自分に可能な攻撃はほぼ全て行えたと言ってもいいほど戦いは常に優勢であった。
止めを刺すつもりで強烈な攻撃もくらわせた。

だが、どれだけダメージを与えてもイドゥンはまだそこに立っていた。
この攻勢の最中で変身解除されることもなかった。

「ふっ、ふふふ、どうしたモンスター、その程度か?」

少なくないダメージが蓄積され、体をよろめかせながらも彼女はまだ戦いを続けるつもりでいる。
これで相手が人間だったのならイドゥンのその諦めていないような姿に困惑することがあるかもしれない
が、怪物の表情に変化はなくどんな気持ちで彼女を見ているのかは分からない。

「次はその茎を伸ばして私の体に巻き付くつもりか?それともその大口で私を丸呑みにするつもりか!?」

イドゥンは突如、興奮しながら声を上げた。

「あの口の中に入ったら私はどうなってしまうのだろうか…きっと粘液まみれのぐちょぐちょな状態に…フ、フフフ、フフフフフ!」

自分が追い詰められている戦いの中、イドゥンの笑い声には明らかに喜びの感情が含まれていた。
本来、このライダーに変身した時に起こる副作用について知っている者がこの光景を見たら何かの異常事態が起きていると思うだろうか。

だが、こうなるのはある意味必然なことである。
この場でイドゥンに変身している女の名はダクネス、アクセルの街で随一のドMクルセイダーである。


553 : 対決! P・フラワー VS M・ナイト! ◆5IjCIYVjCc :2021/03/28(日) 13:15:24 pdTacDSU0
◆◆◆

ダクネスはこの殺し合いには騎士として乗るつもりはなかった。
最初はただ殺し合いを打破するための仲間を探すために動いていたダクネスだったが移動する途中で先ほどの怪物を見つけてしまった。
これをダクネスは冒険者として退治しようとしたのだ。

…いや、彼女には自分がその怪物を倒せないことには初めから気付いていた。
自分の不器用さにより攻撃が全く当たらないことは彼女自身がよく分かっている。
この場には頼れる仲間であるカズマ、めぐみん、アクアもいない。
それでも立ち向かったのはその初めて見る怪物がどんな攻撃をしてくるか、そういったことに興味をひかれたからだ。
なぜなら、先ほども述べたようにダクネスはドMだから。
それはもう、自分を冒険パーティに入れてもらうようにするためのアピールの際に遠慮なく盾にしてくれと言ってしまうほどである。
彼女による変態発言は他にも存在するがここでは割愛する。

もちろん人を襲いそうな怪物を倒すという意思もある。
それはそれとして相手がどんな攻めをしてくるのか興味がある。
だから彼女は自分が攻撃されることを想定して戦いを挑んだ。

そんな彼女に支給されたアイテムが禁断のリンゴロックシードであった。
禁断のリンゴロックシードは通常のロックシードよりも危険なアイテムである。
これをアーマドライダーへの変身のために使用すると肉体を蝕まれていくのである。
使い方や危険性については説明書に書かれていた。
このことを知った時、ダクネスはこう思った。

(これを使ってしまったら私は一体どうなってしまうんだ!?)、と。

彼女は変身による負荷というものに興味を持ってしまった。

こうしてダクネスは現在、唯一彼女が持つ戦うための手段であるイドゥンの力で怪物退治に乗り出したのだった。
そして目論見通り、彼女は変身の副作用で体を痛めつけられながら、手も足も出ずに追い詰められていった。
盾は一応持ってはいたが普段彼女が扱うのは両手剣だからなのかあまり使いこなせていないしそもそも体を守るために使おうとしない。
仮面の下で見えることはなかったが、戦っている間ダクネスは痛みにより常に恍惚の表情を浮かべていた。
この戦いでダクネスは十分に喜び…否、悦びを得ることができたのであった。

◆◆◆

ここで一旦、視点を怪物の方へと変える。

タイトルと特徴から察することもできるだろうが、ダクネスと戦っていた怪物の正体はパックンフラワーである。
それもただのパックンフラワーではない。
大乱闘スマッシュブラザーズに参戦するための特別なパックンフラワーなのである。

そんなパックンフラワーはこのバトルロワイアルのことをあまりよく理解できていない。
彼はスマブラのためのパックンフラワー…大乱闘に勝利することが存在意義となる。
そのため彼の目的はただひたすら自分の敵を倒すこととなっていた。

大乱闘においては敵を場外まで吹っ飛ばすことが撃破することとイコールとなる。
このバトルロワイアルにおける場外がどこからで誰が自分の敵なのかは分からないが、とにかく出会った者を片っ端から吹っ飛ばすつもりであった。
そんな折に自分に挑んできたのがダクネスであった。
当然、彼女は吹っ飛ばすための対象となった。

戦いが始まった後、これまでに述べたようにパックンフラワーの方が常に優勢にあった。
だが状況は彼が望むものにはなかなかならなかった。

ライダーに変身したダクネスにどれだけ攻撃を浴びせても彼女が大きく怯むことはなかった。
通常必殺技のシューリンガンをぶつけてみても、スマッシュ攻撃をしてみても、変身解除させることもできず、大きく吹っ飛ばすこともできなかった。
これはきっと変身によるスペック向上だけでなくダクネス自身が元々持つ力も相乗されているのだろう。
パックンフラワー単体での攻撃はまだしばらく耐えることができるのだろうか。

それと同時にパックンフラワーは相手が攻撃を全く当てられないことにもさすがに気付いていた。
そして攻撃するたびに喜んでいることにもうすうす感づいていた。
これらのことからパックンフラワーはこのグダグダな戦いを終わらせるためのある手段をとることにした。


554 : 対決! P・フラワー VS M・ナイト! ◆5IjCIYVjCc :2021/03/28(日) 13:16:36 pdTacDSU0
「そ、それはなんだ!?」

パックンフラワーがデイパックから取り出したものを見てダクネスは思わず声を上げる。
それは野球のバットであった。

「その黒く長く太く硬そうなもので私をどうす『カキーン!!』

ダクネスが何かを言う前にパックンフラワーは近づき、その隙に思いっきりバットを振りぬいた。
バットに打たれた瞬間、ダクネスにはこれまで味わったことのない感じの衝撃が走る。
これまでそれ自体の性能とダクネスの精神力により攻撃を耐えてきたアーマドライダーの装甲もついに限界が来て変身解除されてしまった。
そして彼女の体は凄まじい勢いをつけ、そのまま空の彼方へと吹っ飛んで行った。

パックンフラワーが使用したアイテムはスマブラでもおなじみのホームランバットである。
表情は仮面によりよく見えなかったが、こちらが攻撃するたびにする相手の反応にパックンフラワーはあるキャラクターを思い出した。
それはバットと同じくスマブラアイテムのサンドバッグくんである。

サンドバッグくんは先ほどまで戦っていた相手と同じく、攻撃するたびに喜ぶような反応をする。
特に彼を吹っ飛ばし役として用いるホームランコンテストでは吹っ飛ばされた後、頬を赤く染める。
だからどんな攻撃にも耐えて見せたダクネスも彼と同じようにホームランバットで吹っ飛ばしてやることにしたのだ。

とにかく、こうしてパックンフラワーは強敵というよりはうっとおしいという感じの敵を撃退することができた。
次の獲物を探すためにパックンフラワーはその場をあとにした。

◆◆◆

だが、パックンフラワーは1つだけ気付いていないことがある。
広大な会場を持つバトルロワイアルにおいて場外負けがルールとして設定されることは基本的にないのだ。
生か死か、それがバトルロワイアルでの勝者と敗者の違いとなる。
そのため、先ほど吹っ飛ばしたダクネスもまだ生きているため敗北したとは言えない。

彼のようなスマブラファイターは基本的にダメージ蓄積により吹っ飛びやすくなるのだが、この場でそのシステムは採用されていない。
普通の生物のように、物理的な攻撃でその体は傷つくようになっている。
さすがに実際にダメージを受ければそのことに気付くだろうが、先の戦いでそういったことは起きなかった。

この勘違いに気付かぬ限り、きっと彼の優勝は遠くなるだろう。

【パックンフラワー@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL】
[状態]:健康
[装備]:ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:敵を倒して優勝する
1:とにかく敵を吹っ飛ばす
[備考]
※戦いのシステムをスマブラにおける大乱闘と同じものだと勘違いしています。

【ダクネス@この素晴らしい世界に祝福を!】
[状態]:ダメージ蓄積(大)、興奮(大)
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、禁断のリンゴロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:騎士として殺し合いには乗らない
1:すごい、衝撃、だった…(気絶中)
[備考]
※参戦時期は少なくともカズマのパーティに入ったよりは後。
※どこまで吹っ飛ばされるかは分かりません。


【禁断のリンゴロックシード@仮面ライダー鎧武】
ロックシードの一種。
戦極ドライバーへの装填により、リンゴアームズを呼び出す。
使用者の肉体を蝕むという副作用を持つ。
これによって変身したアーマードライダーイドゥンは限定的なクラック操作能力を持ち、ヘルヘイムの植物を操ることができる。
クラック操作能力によりヘルヘイムの森へ行く場合、そこにいられる時間は最大15秒に制限される。

【アップルリフレクター@仮面ライダー鎧武】
ゴールデンアームズまたはリンゴアームズのアーマドライダーが召喚、使用するアームズウェポン。
変身すれば召喚できるので支給品ではない。

【ソードブリンガー@仮面ライダー鎧武】
ゴールデンアームズまたはリンゴアームズのアーマドライダーが召喚、使用するアームズウェポン。
変身すれば召喚できるので支給品ではない。

【ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL】
スマブラシリーズ全てに登場する打撃アイテム。
このアイテムによるスマッシュ攻撃は隙が大きいが極大なふっとばし力を持つ。


555 : ◆5IjCIYVjCc :2021/03/28(日) 13:17:57 pdTacDSU0
投下終了です。
もう一つ投下します。


556 : 何か知らないけど大変なことになっているのはわかる ◆5IjCIYVjCc :2021/03/28(日) 13:20:12 pdTacDSU0
あらすじ

突然始まった殺し合い!!
舞台は平安京!!
主催はメフィスとフェレスという名の2人の少女。
見せしめとして人類最後のマスターとそのサーヴァントが殺害された。

◆◆◆

(何が起きてるのか全然わからない…)


そんな思考をするのは見せしめとして殺された少女と同じくカルデアの制服を着た少年であった。

少年の名は藤丸立香、この殺し合いで見せしめとなった少女と同じ名を持っていた。
そして彼もまた、人類最後のマスターであった。
ただし、彼は見せしめとなった藤丸立香とは別のカルデアのマスターであった。


(さっき殺された女の子…カルデアの制服っぽいのを着てたけど、どういうことなんだろ?)

(段蔵ちゃんもいたよね…)

(ん?メフィスとフェレスって名前、繋げたらメフィストフェレスになるじゃん!)

(もしかしてメッフィーが黒幕?でも平安京のイメージ無いな…)


彼は、あらゆる藤丸立香の可能性の中で最も素直すぎる存在であった。
そのためか、この状況になっても彼はただ素朴な疑問を浮かべていた。

(…うん、とりあえず誰か探そう!)

そんな彼でも自分が特異点のような何らかの異常に巻き込まれているということはわかる。
ならばやることはそう難しく考えることではない。
現地で協力者を見つけ、共に現状の問題を解決するために動けばいい。

マシュやダヴィンチちゃんといった頼れる仲間がいない分、苦労することは多くなるかもしれない。
それでも彼だって人類最後のマスターだ。
こんな殺し合いの状況にあっても自分にできることをやるしかないのだ。


【藤丸立香@藤丸立香はわからない】
[状態]:健康
[装備]:極地用カルデア制服@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いの打破。特異点とかなら修正する。
1:とりあえず仲間になってくれる誰かを探す。
2:カルデアと通信できるならしておきたい。
[備考]
少なくともノウム・カルデアに着いた時よりも後から参戦です。

【極地用カルデア制服@Fate/Grand Order】
魔術礼装の一種。
極限環境での活動を想定している。
使用できるスキルとして、浄化回復、幻想強化、予測回避というものがある。


557 : 何か知らないけど大変なことになっているのはわかる ◆5IjCIYVjCc :2021/03/28(日) 13:20:25 pdTacDSU0
投下終了です。


558 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 14:26:52 uYk31Ue20
>>548
誤字を発見したので修正させていただきます。
『他の参加者の助けたい。』ではなく、『他の参加者を助けたい。』となります。


559 : ◆OmtW54r7Tc :2021/03/28(日) 14:48:58 /kCjL6iw0
投下します


560 : おとぎ話異聞記 ◆OmtW54r7Tc :2021/03/28(日) 14:50:15 /kCjL6iw0
「鬼め!覚悟しろ!」

一人の男が、一人の鬼に向けて剣を向ける。
彼の名は桃太郎。
犬、猿、雉というお供たちと共に鬼退治へ鬼ヶ島へ向かっていた彼はその旅の途中、殺し合いに巻き込まれた。

「やめて!」

そしてそんな鬼を庇うのは一人の少女。
彼女の名はドロシー。
カンザスという町に住んでいたが、竜巻により愛犬のトトと共にオズという国に飛ばされた。
そして、元の世界に帰るため道中出会ったカカシ、ブリキの木こり、ライオンと共にエメラルドの都を目指す旅の途中、殺し合いに巻き込まれた。

「お願い、話を聞いて!この人は、悪い人じゃないの!」

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

昔あるところに、人間と友達になりたいという、変わり者の赤鬼がいた。

赤鬼は人間を自分の家に招いたが、人間は赤鬼を疑い、家にやってくるものはいなかった。

そんな時、赤鬼の親友である青鬼が、一つの策を考えた。

『自分が人間の村で暴れるから、お前はそれを止めるんだ。そうすれば、お前が優しい鬼だと、人間も分かってくれる』

赤鬼は青鬼に申し訳ないと思いながらも、青鬼に促されるまま作戦を実行した。

そして青鬼の目論見通り、赤鬼は人間と友達になることができた。

しかし、しばらく経って赤鬼が青鬼の家を訪ねると、青鬼はいなくなっていた。

彼は、自分がいると赤鬼が人間と仲良くできないと考え、何も言わずに赤鬼のもとを去ったのだ。

青鬼の置手紙を読んだ赤鬼は、その場で涙を流すのだった。


561 : おとぎ話異聞記 ◆OmtW54r7Tc :2021/03/28(日) 14:50:51 /kCjL6iw0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「…これが、この赤鬼さんから聞いた話よ」
「そんな…バカな」

ドロシーから赤鬼の話を聞かされた桃太郎は、目を丸くする。
彼女から聞かされた赤鬼の過去は、自分が知る鬼とはまるで異なるものだった。
なるほど確かに、その話が本当ならこの赤鬼は無害なのかもしれない。
しかし…

「駄目だ。その話が本当だとしても…鬼は倒さないといけない」
「どうしてよ!」
「鬼は人々を襲う悪い種族…だからだ」

彼、桃太郎は人々を襲う鬼を倒すという決意を胸に、旅に出た。
ここで鬼に仏心を出せば、その決意が鈍ってしまうかもしれない。
鬼は悪い種族。
例外なく倒さないといけない。
自分自身にそう、言い聞かせる。

「だから何よ!」

しかし、そんな桃太郎に対しドロシーは食ってかかる。

「人にだっていい人や悪い人がいるわ!あなたの言う鬼にだって、いい鬼と悪い鬼がいるのよ!」

ドロシーが旅をしていたオズの国には、魔法使いがいた。
そしてその魔法使いにも、いい魔法使いと悪い魔法使いがいた。
それにドロシーの旅の仲間であるライオン。
ライオンは凶暴で獰猛な生き物だと聞いていたが、彼女と旅をしていたライオンは臆病で、だけども優しい性格をしていた。
種族や立場、見た目がその生き物の性質を決めるとは限らない。
それをドロシーは、旅の中で学んでいた。

「もういいよ、ドロシーちゃん」

それまで黙っていた赤鬼は、諭すようにドロシーにそういうと、庇うように立っていたドロシーの前に出る。

「桃太郎さんと言ったか。遠慮なく、俺のことを倒してくれ」

「なっ…」
「なに言ってるのよ、赤鬼さん!」

赤鬼の言葉に、ドロシーだけでなく桃太郎も戸惑う。
そんな二人をよそに、赤鬼は語る。

「罰が当たったんだ。親友を悪役にしてまで、人間と仲良くしようとした。だからこんな殺し合いに巻き込まれた」

「俺は鬼。桃太郎さんの言うように、人間とは相容れない存在。そう、諦めてればよかったんだ」

「優勝すれば青鬼を取り戻せるかもって、ちょっとだけ思った。だけど、その為に人間を殺すなんて、俺にはできない。だから、殺してくれ」

桃太郎の方へ歩み、その身を捧げようとする。
そんな赤鬼にしがみつき、ドロシーは止めようとする。

「駄目よ…そんなの、駄目よ。それじゃあ、青鬼さんのしたことが、無駄になっちゃう。赤鬼さんは、それでいいの!?」
「それは…」
「あなたはライオンさんみたいに見た目は怖いけど、だけど優しい人…ううん、優しい鬼よ。そんなあなたを、私は死なせなくたい」
「俺は優しくなんかない。親友を利用した…卑怯者だ」
「優しいわよ!青鬼さんの為に涙を流せるあなたが、優しくないわけない!」
「ドロシーちゃん…」
「殺し合いをしなくても、元の世界に戻る方法は、きっとあるわ!だから赤鬼さんも、諦めちゃだめよ!」


562 : おとぎ話異聞記 ◆OmtW54r7Tc :2021/03/28(日) 14:52:25 /kCjL6iw0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「…盛り上がってるとこ悪いけど、二人とも俺のこと忘れてない?」

桃太郎の言葉に、ハッとして赤鬼とドロシーは彼の方へ向いた。
桃太郎はそんな二人に呆れた様子を見せており、先ほどまでの敵意は感じられなかった。

「全く、これじゃこっちが鬼みたいじゃないか」
「…お願い、赤鬼さんを見逃してあげて」
「…分かったよ」

渋々といった様子で、桃太郎はこちらに近づく。

「その代わり、俺も君達と一緒に行く。この鬼が、心変わりしないとも限らないしな」
「もう、まだそんなこと言って!」
「恩に着る」

こうして、少年と少女と鬼という、奇妙なトリオが結成されることとなったのだった。

「ドロシーちゃん、こんな俺のことを庇ってくれて…ありがとう」
「当然よ!だって私たち…友達でしょ?」
「!…ああ!」

ドロシーの言葉に、赤鬼は涙を流すのだった。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

(心を許しちゃだめだ…悪い奴じゃなくても、あいつは鬼なんだから)

仲睦まじい赤鬼とドロシーの様子を複雑そうに見つめる桃太郎。
彼にはあの輪に入ることは、許されなかった。
あの赤鬼が悪い奴でないことは、分かっていた。
だからといって心を許せば、鬼ヶ島への鬼退治に、支障が出るかもしれない。
剣に、迷いが出るかもしれない。
そうなれば自分は鬼を倒せず、鬼たちは村を襲うかもしれない。
自分を育ててくれたおじいさんやおばあさんが殺されてしまうかもしれない。
そんなことは…絶対に許されない。

「鬼は敵…鬼は悪…鬼は倒されなければいけない」

自分自身に言い聞かせながら、桃太郎はドロシーと赤鬼についていくのであった。

【桃太郎@桃太郎】
[状態]健康
[装備]天叢雲剣@日本神話
[道具]基本支給品、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いには乗らないが鬼は倒す
1:赤鬼とドロシーと行動する
2:鬼は悪、だけど赤鬼は…
[備考]
参戦時期は犬、猿、雉をお供にして鬼が島に向かっている途中です

【ドロシー@オズの魔法使い】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いをせずにカンザスへ帰る
1:桃太郎、赤鬼と行動する
[備考]
参戦時期はエメラルドの都に到着するよりは前です

【赤鬼@泣いた赤鬼】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いをせずに元の世界に戻る
1:ドロシー、桃太郎と行動する
[備考]
参戦時期は青鬼の置手紙を見た後です


【天叢雲剣@日本神話】
別名、草薙剣。三種の神器の一つ。
スサノオが出雲国でヤマタノオロチを退治した時に、大蛇の体内から見つかったと言われている。


563 : ◆OmtW54r7Tc :2021/03/28(日) 14:52:54 /kCjL6iw0
投下終了です


564 : ◆4Bl62HIpdE :2021/03/28(日) 17:00:03 pEVuJrI20
投下します


565 : 夕暮れの島、僕の戦争 ◆4Bl62HIpdE :2021/03/28(日) 17:01:18 pEVuJrI20

「怖いよ…お姉ちゃん、……プロデューサー……」

寺の階段の陰に少女はいた。彼女の名は赤城みりあ。
アイドルになってまだ数ヶ月程度の、どこにでもいる少女だった。

「みりあに何ができるの…?帰りたい、帰りたいよ…」
みりあは恐怖していた。先程、首輪が爆発した少女の光景がフラッシュバックしていたからだ。
そして、先程の独り言を聞き向かってくる、ザッ、ザッと砂利を踏む足音にも、気づいていなかった。
「あの」
ひっ、とぐるぐると暗やんだ瞳を、近づいてきた青年に向ける。

「こっ…殺さないでください!」
「あの…大丈夫かい?」
そこにいたのは、扱いに困ったかのように頬を指で掻いている青年の姿だった。


「じゃあ、ベルトルトさんはアイドルを知らないんですか?」
「あぁ…僕の国では聞いたこともないな、そんな職業は」
赤い月が出ている闇の最中。
神社の階段に腰掛けてみりあは話しかけてきた青年……ベルトルト・フーバーと話をしていた。

「アイドルはね、歌を歌って、ダンスを踊って……みんなを楽しませるお仕事なんです」
「ふーん…君みたいな子が踊り子、かぁ……」

ベルトルトは立ち上がり、みりあにこう告げた。
「さてと。そろそろ移動しないと」
「えっ?どこへ……行くんですか?」

「まずは参加者と会ってみる。全員が全員、殺し合いに乗っているわけじゃないだろ?
 生き残るためには協力してくれる人を、探さないといけない」
「…はい…」

「怖いの?」
「…怖くなんかない、もん……」
はは、とベルトルトは笑って、話し出した。
「心配しなくていい、僕は兵士だ。多少の相手ならなんとかなる…と信じたいけど」

苦笑いするベルトルトの笑顔は、どこにでもいる普通の青年のそれであった。
「でも、どうにもならないこともある。僕が戦い始めたら、一目散に逃げてくれ。」
「…そんなこと、できないよ……。」
「僕なら、大丈夫だ。兵士は一人でも多くの人間を守るのが義務だからね」
「…じゃあ、その時まで……みりあもなにか、できることをしないと」
ん?とベルトルトはみりあを見る。
みりあはどこか、覚悟した表情をしていた。

「もう、あんな思いをする人を見るのは、嫌だから、少しでも痛い思いをする人を、減らせればいいなって……」

その言葉を聞いた、ベルトルトはフッ、と笑ってみりあを見つめた。
「そうか。じゃあ僕との約束だ。生きることを諦めないでくれ。」
「兵士は、沢山の人間を守らなければならない。守るためには、戦わなければならないんだ。
 戦場から生き延びるためには、”どんな事があっても生き残る――”この思いが必要なんだ」

「...私ね、もうすぐお姉ちゃんになるの。
 妹が生まれて、それで、もっとしっかりしなきゃって思って――」

だからね、生きなきゃいけないの、もう一度会うために、とみりあはベルトルトを見つめる。


首輪を爆破される前に見た、少女の目を思い出す。
"最後まで諦めない"という目をしていた。


「みりあも、逃げない。みりあもベルトルトさんを応援して、指示されたことをするよ。
 みりあも――ベルトルトさんと、一緒に戦うから!」

赤城みりあは、この殺し合いで、初めて笑顔を向けることができた。
「―――ありがとう。よろしくね、赤城みりあ」
「分かった!うん!よろしくね、ベルトルトさん!」


566 : 夕暮れの島、僕の戦争 ◆4Bl62HIpdE :2021/03/28(日) 17:02:02 pEVuJrI20



“そうだな。この少女は僕を頼ってくれている。彼女は何も悪くない。
 だから、ちゃんと殺そうと思っているよ。”

いずれこの少女を骨の欠けらも残さずに自分の爆発で燃やし尽くすであろうことに、この青年は罪悪感を覚えなかった。
否、戸惑いはもう無かった。

ベルトルトは祖国に帰らなければならない。この状況に偽りはない。
だが、百十人程度を踏み潰し、願いを叶えて始祖を奪還できるなら、それがベルトルトの戦いであることを理解した。
"戦士"として、もう少しで始祖の巨人を奪還する戦いを終わらせられたはずなのに。彼は殺し合いへと移送させられた。

つまり、"この平安京に集まった人間を踏みつぶせ""始祖の巨人を、奪還させてやるから"それが、主催者から科せられた条件と見返りであることに気付いたからだ。
彼はこの殺し合いに、乗っていた。あとたったそれだけ、殺せばいい。殺し合いを制する"だけ"でいい。

"長かった"――彼はこの五年を思い返し、そう思った。
もう彼は、疲れていた。
彼は終わらせたかった。闘いを。

参加者には制限が科せられていると言っていた。
恐らく超大型巨人にも、何らかの制限があるのだろう。
ならば――変貌時の爆発で、如何に人数を減らせるかが鍵だ。

“そうだよな、ライナー。やるならもっと集まってからだ”

ちょうど赤城みりあという協力者もいる。
まずはやってきた事と同じように、徒党を組めばいい。

徒党を組んでいれば、いずれは殺し合いに乗る者たちと乗らない者たちの間で、争いが起きるからだ。
規模が大きくなればなるほどいい。連中が集まってきたと確信すれば――超大型巨人の力を使い、爆発させる。

始祖の巨人を奪還すれば、自分はパラディ島侵略作戦の戦力として、壁内人類を最後の一人になるまで踏みつぶさなければならないのだろう。
これはその、予行に過ぎなかった。

ベルトルトはみりあをじっと見つめる。
「?どうしたんですか、ベルトルトさん?」

何も分からない瞳を向けてくるみりあを見て、思った。

"だって―――この世界はこんなにも残酷じゃないか"

彼の願いはただ一つ。
始祖の巨人、エレン・イェーガーのマーレへの献上。その願いを叶えるためだけに、進み続ける。

【赤木みりあ@アイドルマスター・シンデレラガールズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
基本方針:殺し合いを止めたい。
1:ベルトルトさんと殺し合いを止める。
2:みんなで、止めれば怖くないよね....?
[備考]参戦時期(?)は、妹が生まれる前の時間からの参戦です

【ベルトルト・フーバー@進撃の巨人】
[状態]:健康
[装備]:ブレード、ブレードホルダー&付け替え刃@進撃の巨人
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本行動方針:参加者の殲滅・優勝。
1:みりあと共に殺し合いに乗らない参加者を装う。
2:徒党を組み、殺し合いの乗った連中との争いを適当にこなす
3:参加者が最も集まったと思った頃合いを見て超大型巨人になり、エリア一帯を爆破・踏み潰す。
[備考]参戦時期は原作第78話、超大型巨人に変化する直前の参戦です。


567 : 夕暮れの島、僕の戦争 ◆4Bl62HIpdE :2021/03/28(日) 17:03:18 pEVuJrI20
投下終了です


568 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 17:03:59 QlYcubC20
投下します。


569 : 血を吸う吸血鬼 ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 17:07:41 QlYcubC20
平安京ーーーーーそれは、1000年に及ぶ時代の中心であった都。
現在は、煌びやかな都の上空には紅き血染めの月が浮かんでいる……

「まったく、不快ったらありゃしないわね…こんなに紅い月だというのに…」

不満げに呟く少女ーーーーー

レミリア・スカーレット。
永遠に紅い幼き月の2つ名を持つ吸血鬼。

「この私(吸血鬼)を狗のように首輪で飼いならそうとすることがまず気に食わない」
レミリアは自らの首元に嵌められた首輪をさすると怒りを露わにする。

「それには、同感だ」
レミリアの横に蝙蝠が集まると人型になる。

「あら?名を名乗らないなんてレディーに失礼じゃない?」

「これは、失礼した。我が名はデミトリ―――「デミトリ・マキシモフ」
男は自らの名を明かす。

デミトリ・マキシモフ。
魔界の名家「マキシモフ家」の当主であり、闇の貴公子 の2つ名を持つ吸血鬼。

「そう…あなたも吸血鬼なのね」
デミトリの放つ魔力から同族であることを理解するレミリア。

「誇り高き我ら(吸血鬼)をこのような下劣な催しに参加させたこと後悔させねばな」

「そうね。餓鬼の夜遊びにしては度が過ぎてるわ」

「いくか」
「いきましょう」

バサササササッッッッッ!!!!!

吸血鬼らしい吸血鬼のコンビが平安京の紅き空を羽ばたくーーーーー

【レミリア・スカーレット@東方project 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:あの双子をとっちめる
1:デミトリと行動を共にする
[備考]
※参戦時期はグリモワールオブウサミ後

【デミトリ・マキシモフ@VAMPIRE 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:この戯けた催しを破壊する
1:レミリアと行動を共にする
2:ふむ…様々な世界の者を呼び寄せているのか…?
[備考]
※参戦時期はPROJECT X ZONE 2 後
※PROJECT X ZONE 2の関係で異世界の存在についてある程度知っております。


570 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 17:08:41 QlYcubC20
投下終了します。
続けて別作品を投下します。


571 : 血を吸わない吸血鬼 ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 17:11:31 QlYcubC20
紅き血染めの月が照らす平安京に佇む男……

「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!「おれは、職場での仕事を終えてパチンコをしていたと思ったら、いつのまにか殺し合いに参加させられていた」
な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえもっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

男の名はDIO。
種族は吸血鬼なのだが、血が嫌いという一風変わった家長。

「ん?何故血を吸わないのかって?…そりゃあ、アルクの飯が旨いからだ」

素敵な理由だが、吸血鬼ー血=ちょっと強い人ということだ。

「あなた!」
「おお!アルク!」

DIOをあなたと呼ぶ女……
女の名はアルクェイド・ブリュンスタッド。
夫であるDIOと同様、種族は吸血鬼。

「あなたも参加させられたのね……」
「お前もか……ゆるせんな」

愛する妻まで参加させられていることに怒りを見せるDIO。

「これから、どうしようかしら……」
「ふん!決まっているさっさとこのような悪趣味を終わらせてわが家へ帰る。それだけだ」

「……優勝は目指さないの?」
「当然だ。我が妻を殺すなんて考えは1mmもない!それに…」

DIOはコホンと咳ばらいをして……

「ふん、俺にとっての癒しは「妻の手料理を食べること」と「娘たちの顔を見ること」と「妻と娘たちがいる家へ帰ること」だ」

「あなた…」

夫(DIO)の言葉にアルクは心をうたれる……

「あ、ちなみに俺にとってパチンコも、もちろん癒しだから。あれがないと生きていられん」
「い、いかん!むちゃくちゃパチンコしたくなってきたじゃないかぁぁぁ!ああああ!?」

「あなたぁ〜!」

アルクは夫の息子を握りねじる!!

「やめて!俺の息子がぁ!!息子が切れちゃうよ〜〜〜!!!このままじゃ、DI男からDI女になってしまう〜〜〜」

「ちょっと、見直したらと思ったら!もういいわ……朝ごはんぬき!!!」

「ごめんなさい」


およそ吸血鬼らしくない夫婦が、平安京の紅き空を羽ばたくーーーーー

【DIO@血が嫌いな吸血鬼 MUGENストーリー 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:妻(アルク)と共に日常へ帰り、パチンコをする
1:妻を守る
2:いかん!パチンコがしたWRYYY
[備考]
※参戦時期は13話後
※ここに登場するDIOは小物です。

【アルクェイド@血が嫌いな吸血鬼 MUGENストーリー 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:夫(DIO)と共に子供達がいる我が家へ帰りたい
1:夫を守る
2:まずは、協力できそうな参加者と情報収集
3:あの子たち(子供)、大丈夫かしら……
[備考]
※参戦時期は13話後
家族構成
家長 DIO
妻  アルクェイド
長女 レミリア
長男 デミトリ
次女 モーラ


572 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 17:11:45 QlYcubC20
投下終了します。


573 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 18:08:07 QlYcubC20
先ほど、投稿した「血を吸わない吸血鬼」ですが、取り下げでお願いします。
投稿しておいてなんですが、私自身の認識の甘さがありました。
大変、ご迷惑をおかけしました。


574 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 18:13:48 Ay/8Ji6Q0
皆様投下ありがとうございます

>あれからどうなった
彼が救うべき相手は既にいなくなった。いや、元よりそれは傲慢故だったか、それとも

>敬意《リスペクト》
マリオたちとの戦いの輝きが刻みつけられたが故に対主催を決意したパンチくんの今後にご期待

>ソレゾレの始まり
はーちゃん同人誌みたいなことにならなくてよかったですね(小並感)
そしてゴブリンくんはブレなさすぎるので一度ゴリラにぶん殴られようか

>生き物
なんだこの生き物引率状況!?

>Death With
うっはぁ、死の感触が忘れられないが故に虐殺を望むか

>――『信頼』『助け合い』そして『仲間』――
今までいろんな冒険を繰り広げてきたしんのすけは伊達ではない
というかアリサちゃんミライマン次第では炎髪灼眼や虚無使いに慣れる可能性が微レ存……?

>空と月の色は――
逆裁ラスボス組だと一番同情の余地があるこの人。まあ彼の後遺症からしたら赤い空も今までの視界と何ら変わりなさそう

>害獣
こいつマジクソだな(素の感想)

>その日、少女は運命に出会う
声的にイリヤをフラッシュバックしての駆けつけ士郎くんだけど二人は何だかんだでいいコンビになりそう


>その手に掴むもの
アソーカさんあいつら根っからの下衆どもです
何はともあれその決意を貫ければいいですね

>掲げよう勝利のフラッグを
お前らやってることスポーツじゃねぇ!
どっちも超次元すぎてこいつらスポーツものじゃなくてバトルモノの登場人物に思えてくる

>怪獣娘危し!炎のミュートスサイボーグ!!
怪獣娘把握してないけど、腐女子からしたらイケメンに抱かれたら鼻血も出したくなるよねって

>赤い月夜に見た悪夢
無惨様が宇宙猫顔になりそう(小並感)
それはそうとして、マジでお労しや案件ですわ兄上。そりゃ聖人みたいな弟がこうなったら混乱しますわな

>殺し合いをぶっ潰せ!
よくもこんなキチガイ参加者を!

>I need a tero to save me now
霧島槙尾を自分の正義(エゴ)で殺った時点でもはや後にも先にも戻れない立場。日ノ元士郎が言った通り自分の願望が叶わないという現実を受け入れられないから、信念を曲げてでも突き進むしかないですね
そしてまどかの決意に結衣思い出していた真島さんはよかったです。あとメリケンサックは草


575 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/28(日) 18:47:00 uYk31Ue20
自作『人類よ、争う事なかれ』の文章を修正させて頂いております。


576 : ◆1qfrROV/6o :2021/03/28(日) 19:53:46 SfAhbcNI0
投下します。


577 : この舞台においてカルデアは一つではない――。 ◆1qfrROV/6o :2021/03/28(日) 19:55:32 SfAhbcNI0
「二人はこの状況、どう思う?」

己のサーヴァントにそう問いかける。
今現在、明確にパスが繋がっていると認識できるのは近くにいる二人だけだった。
この会場の何処かに他のサーヴァントがいる可能性はあるが、それも今はわからない。

「……先程見せしめとして殺された少女、手の甲には確かに令呪があった。
 身につけていた礼装も、カルデアのもので間違いないだろう。」

そう答えるのは赤い外套のアーチャー。
メフィスとフェレスという二人に殺された少女について苦虫を噛み潰したような表情で語る。

「回りくどいわね。もっとハッキリ言いなさいよ。
 さっき殺されたのは『カルデアのマスター』で間違いないって。」

そう悪態をつくのは華奢で可憐な、完全流体で加虐体質のプリマドンナ。
しかしそう返す本人も、その声色には何処か困惑が混じっているように感じる。
ちなみに彼女は合流直後「サーヴァントの人選に悪意があるのではなくて?」とアーチャーを見ながら言ってきた。
だが今は超弩級の緊急事態なのでどうしようもない。諦めてほしい。

「……やっぱりそうか。」

二人の返答を聞いて、藤丸立香は顎に手を当てて考え込む。
彼女は自分と同じカルデアのマスターで、人類最後のマスターだった。
そう思えば思うほど、メフィスという少女が最後に彼女に言い放った「お主の旅はもう終わりじゃ」という言葉に対して他人事ではない怒りを感じる。
だが今必要なのは怒り狂うことではない。
彼女の無念を晴らすためにも、この殺し合いを打破する方法を見つけなくては。

「おそらく彼女は編纂事象、どこか別の並行世界のカルデアのマスターなのだろう。
 我々よりも先にこの異常事態に気づき、レイシフトによる介入を行っていたと考える。
 ―――故に、脅威と判定されて命を奪われた。」

並行世界のカルデアのマスター、という話であればひとつ前例がある。
ポール・バニヤンの時の名も無きマスターの存在だ。彼女は人間性に多大な問題があったが。
彼女の前例があるからこそ藤丸は今回、並行世界のカルデアのマスターの存在をすんなりと受け入れられた。

「でもそれなら、なんで俺はまだ生きてるんだろう。」

敵にとってカルデアのマスターは脅威だからこそ殺された。
ならば、同じ存在である自分は何故まだ生きているのだろう。
既に首輪は嵌められているというのに。

「我々がここにいることに気づいていない、という可能性はどうだ。
 支給品の中にある基本ルールとやらを読んだが、本来は配られるはずの名簿がデイバッグに入っていない。
 おそらく連中は殺し合いのために人を無作為に呼んでいる。
 だから、向こうもまだ参加者を全員は把握していないのかもしれない。」

だからこそまだ名簿がなく、参加者を向こうが把握してからそれが配られるのではないか。
彼はそう言いたいらしい。

「流石に楽観が過ぎるわよ。
 単純に、未然に事態を防ごうとしたもう一人のマスターと巻き込まれて呼ばれた私たちじゃ脅威度が違うだけじゃない?
 同じカルデアのマスターとサーヴァントって縁で呼ばれただけでしょ、私たちって。」

事前にレイシフトによる介入を試みていたもう一人のマスター。
それに対して自分たちは他の参加者と同じように強制的に巻き込まれ連れてこられただけ。
しかも殺し合いの舞台は既に整ってしまっている。
ならば急いで殺すまでもない、ということか。

「……仮に気づかれてないんだとしたら、見つかった瞬間に殺されると思う?」

もしそうならば一刻の猶予もない。
気づかれる前に行動を起こして状況を打破しなければいけなくなるからだ。

「それは無いんじゃないかしら。
 連中の目的はこの殺し合いの場を作って、参加者に殺し合わせること。
 誰かを殺すことじゃなくて、参加者同士に殺し合いをさせることが目的なのよ。
 なのに主催が自分で手を下したら、せっかくのお膳立てが無駄になるわ。」

似たような事象にひとつ心当たりがあった。
海洋油田基地セラフィックスでの、ビーストⅢ/Rの案件だ。
あの事件の首謀者はセラフィックスのとある機構を利用し、128人のサーヴァントを呼び出して聖杯戦争という名の殺し合いを何度も繰り返していた。
電脳化したSE.RA.PHで自分がビーストとして羽化するエネルギーを確保するために。
今回も同じように、参加者に殺し合わせることで主催に何かメリットが発生する可能性がある。


578 : この舞台においてカルデアは一つではない――。 ◆1qfrROV/6o :2021/03/28(日) 19:57:12 SfAhbcNI0

「じゃあこれって、もしかしてビースト案件?」

「どうかしらね。人類悪って、本を正せば人類愛なんでしょ?
 今回の件の裏に人類愛があるとはとても思えないのだけれど。」

メルトリリスの言には同感だった。
人類を自分一人と定義していたビーストⅢ/Rならいざ知らず。
殺し合いの裏に人類愛があるとは藤丸にも思えない。

「なんにしても情報が少なすぎる。だがこの場に留まっていても事態は好転しない。
 殺し合わせること自体が目的ならば、当面は参加者の殺し合いを止めつつ情報収集というのが妥当な線だろう。」

エミヤの言う通り、なんにしても今の自分たちには手掛かりがなさすぎる。
情報を集めるためにも、まずは他の参加者と接触しなければならないだろう。
それにもし他にも殺し合いの打破を望むものが見つかれば、協力できるかもしれない。

「あのメフィスとフェレスという二人の少女。おそらく我々の世界とは異なる法則の世界の存在だ。
 剪定事象ですらない異世界、ならば我々の常識は通用しない可能性がある。
 同じような場所から連れてこられた参加者もいるかもしれない。接触には細心の注意を払え、マスター。」

こくり、と頷いて藤丸は行動を開始する。二人のサーヴァントと共に。
目指すは殺し合いの打破。そして、もう一人のカルデアのマスターの無念を晴らすこと。
その思いを胸に秘めて、真紅に染まる平安京へと一歩その足を踏み出した。




【藤丸立香(男)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:魔術礼装・カルデア@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:エミヤ、メルトリリスと共に殺し合いを止める
1:まずは二人と共に情報収集。
2:もう一人のカルデアのマスターの無念を晴らしたい。
[備考]
※参戦時期は少なくともノウム・カルデア到着後です。


【エミヤ@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:マスター、メルトリリスと共に殺し合いを止める
1:まずは手掛かりを得るために情報収集。
2:異世界の参加者がいる可能性を警戒中。
[備考]
※参戦時期はノウム・カルデアにて再召喚された後です。
※投影魔術による武器や防具の投影は可能ですが固有結界を展開するには現状魔力が足りません。


【メルトリリス@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:仕方がないのでマスター、エミヤと共に殺し合いを止める
1:マスターの護衛が最優先。
2:なんでよりによってアイツ(エミヤ)と一緒なのよ。
[備考]
※参戦時期はノウム・カルデアにて再召喚された後です。
※宝具についてはFGO世界なので単体への攻撃宝具になっています。魔力を消費するので多用はできません。


【魔術礼装・カルデア@Fate/Grand Order】
カルデアのマスター用に作られた、簡易的な魔術礼装。
サーヴァントの回復、強化、回避の補助など簡単なサポートは一通りこなすことができる。
しかし一度に一人しか強化することができないので注意が必要。


579 : ◆1qfrROV/6o :2021/03/28(日) 19:58:23 SfAhbcNI0
投下を終了します。


580 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 20:12:41 QlYcubC20
先ほどの作品では、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

投下します。


581 : 月光 ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 20:13:40 QlYcubC20
血染めの月が照らす平安京ーーーーー

平安京が輝いた平安時代には魑魅魍魎が跋扈したとまことしやかに噂されるがーーーーー


怪獣がいたというのは流石に眉唾であろうーーーーー

「ドューキューーーー!!」

紅き月の下で月光怪獣が吠えるーーーーー

【再生エレキング@ウルトラマンタロウ 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:本能のままに暴れる
1:ドューキュー―――(暴れる)
[備考]
※参戦時期は28話中


582 : 月光 ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 20:15:27 QlYcubC20
☆彡 ☆彡 ☆彡

「はぁ…はぁ…はぁ…」

昔から存在する平安京の武家屋敷の塀に潜む呼吸音……

「一体、あの怪獣は何なん!?」
怪獣の存在に驚きを隠せない少女ーーーー

少女の名は遠山和葉。
大阪在住で私立改方学園高等部2年 。

「平次……」
和葉は幼馴染の西の高校生探偵の名前を呟くと両目の眼に涙を浮かべる……
パァァァン!

和葉は両手で己のを頬を叩くーーーーー

「アカンよ!ここで諦めたら、一生平次に再会することができひん。絶対に生きて帰るんやから……!」

和葉はそういうと立ち上がり……

「平安京の街並みは大阪ほどやないけど、アタシの頭の中に入っとる!」

紅き月夜に包まれた平安京を走る。走る。走るーーーーー

【遠山和葉@名探偵コナン 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて平治のいる大阪に戻る
1:平安京の街並みを隠れながら他の参加者と合流する
2:あの怪獣は何なん!?
[備考]
※参戦時期はから紅の恋歌後


583 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/28(日) 20:15:49 QlYcubC20
投下終了します。


584 : ◆.EKyuDaHEo :2021/03/28(日) 20:30:13 50ryo12c0
投下します


585 : 母親の暖かさ ◆.EKyuDaHEo :2021/03/28(日) 20:30:39 50ryo12c0
「ここは一体どこなのかしら...?」

一人の女性が今の状況に困惑していた
彼女の名前は野原みさえ、冴えない夫と二人の子供と一匹の飼い犬がいる専業主婦、彼女は殺し合いの場に呼ばれ会場にいた

「そういえば私の他にも色んな人がいたような...」

最初に目が覚めた時、辺りを見渡すと暗くてよく見えなかったが少なくとも大人や子供はいたと思われる

「私がいるってことはひょっとしてしんのすけ達もいるのかしら...」

今まで一家みんなで色んな出来事に巻き込まれてきたことが何度もあったため今回も家族もこの場に連れてこられているのではないかとみさえは考える

「だとしたら早く探さないと...ひろしならともかくしんのすけやひまわりはまだ5歳と0歳なのよ...」

困惑と同時に焦りが出始めみさえは探しに行こうとするが...

「!誰かいるわ...女の子...?」

視線の先にはしんのすけより少し年上の金髪のツインテールの少女がいた


◆◆◆


──どうしたらいいのかわからない──

金髪のツインテールの少女、フェイト・テスタロッサはそう思った
母親から「いらない子」と言われ傷ついていた自分に使い魔のアルフ、デバイスのバルディッシュ、そして自分を助けてくれたなのはは支えてくれた、そして決意を決め新たな道を進むことができた

しかし、今はその支えてくれた存在はいない

いきなり呼ばれた殺し合い、そして見せしめで殺されてしまった人...フェイトはそれに怯えていた...バルディッシュもアルフも、そしてなのはもいない今自分を救ってくれる人がいない...自分はこのまま殺されてしまうのだろうかと絶望していたその時...

「大丈夫?」
「ひっ...」

優しく問いかける声が聞こえた、突然の事だったためフェイトは驚いた

「あ、驚かせてごめんね?でも私はあなたを襲うつもりはないから安心して?」
「は、はい...」
「私はみさえ、野原みさえよ、あなたの名前は?」
「フェイトです...フェイト・テスタロッサ...」
「フェイトちゃんね?いいお名前ね」

そしてみさえはフェイトにとある提案を出す

「良かったら一緒に行動しない?」
「え?良いんですか...?」
「もちろんよ!子供だけだったら危ないし人数は多い方がいいもの!」
「あ、ありがとうございます...」

フェイトは不思議で仕方がなかった...何故見ず知らずの自分に声を掛けて助けてくれるのか...

「あ、あの...」
「ん?どうしたの?」
「な、何で見ず知らずの私を助けてくれるんですか...?」

フェイトがそう聞くとみさえはしゃがんでフェイトの頬に手を合わせ答えた

「子を持つ親として困ってる子供を見捨てることなんてできないわ...例えそれが見ず知らずの子でもよ...子供を支えてあげるのも守るのも親として当然よ」

みさえの言葉はフェイトに深く響いていた...今までは母親に虐待されたりひどい仕打ちを受けたりしていた、最悪なことにいらない子とまで言われて親の暖かさを知らなかった...
しかし、みさえの親としての心はとても優しく、明るく、そして暖かかった...フェイトは初めて『本当の親』という存在を知った...気づけばフェイトは涙を流しみさえに抱き付いていた...

「ありがとうございます...本当にありがとうございます...!」

そしてみさえはそんなフェイトに抱き返したのだった...そしてしばらく抱き合うとみさえが切り出す

「みさえさんありがとうございます!おかげでまた立ち直ることができました!」
「良かったわ!ところでフェイトちゃん、実はひょっとしたら私の家族が巻き込まれてるかもしれないの...良かったら一緒に探してくれる?」
「はい!もちろんです!」
「ふふ、ありがとう」

こうして二人は歩き始めた...


586 : 母親の暖かさ ◆.EKyuDaHEo :2021/03/28(日) 20:30:55 50ryo12c0
【野原みさえ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:家族を探す
1:しんのすけ達はどこにいるのかしら...
2:フェイトちゃんと行動する

【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]
基本行動方針:みさえさんの家族を探す
1:みさえさんと行動する
[備考]
※参戦時期は少なくとも第一期のプレシア事件の後です
※デバイスのバルディッシュは装備していません


587 : 母親の暖かさ ◆.EKyuDaHEo :2021/03/28(日) 20:31:07 50ryo12c0
投下終了します


588 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 20:38:57 Ay/8Ji6Q0
投下します


589 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 20:39:10 Ay/8Ji6Q0
投下します


590 : どうあがいても絶望 ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 20:39:38 Ay/8Ji6Q0
「いや、うそでしょ〜〜〜〜〜〜〜?」

山下一夫56歳。真面目一徹、妻子持ち。飲む打つ買うとは無縁の壮年の男

その彼が今、この鮮血に染まりし空の下、殺し合いに巻き込まれた!

「いやいや待ってください待ってください!? 会長に呼び出されたと思いきや呼んできたのは殺し合いの方!?」

山下一夫には、余りにも見に覚えがなさ過ぎた! うだつの上がらない一社員に過ぎない自分が、何故か自社グループの会長に呼び出され、気づけば平安京での殺し合い
子供の頃、おそらく一度は行ったことであろう平安京。それが今、赤き天幕に包まれ殺し合いの舞台と化しているのだ!

「なんで!? 何か私罰当たりな事しました!?」

困惑! 山下一夫の脳内の思考キャパシティは明らかに許容量を凌駕し、混乱している!

「いやいやいやどうすればいいのこれ!? 無理ですって!? ……まずい、人生詰んだ」

山下一夫、絶望! この年で若輩者のような運動神経を働かすことも出来はしない! まさに崖っぷち! 往くも逃げるも地獄! どうあがいても絶望!

だが、今の彼に、この殺し合いから逃れる術、無し!



【山下一夫@ケンガンアシュラ】
[状態]:健康、絶望
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どーすればいいんですか、私
1:終わった……私の人生終わった……
[備考]
※参戦時期は乃木会長に会う直前


591 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/28(日) 20:39:50 Ay/8Ji6Q0
投下終了します


592 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/28(日) 21:12:55 DkuOptq.0
投下します


593 : 行きつく未来も分からないままで ◆EPyDv9DKJs :2021/03/28(日) 21:13:35 DkuOptq.0
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 ニンジャが日本を支配し、キョート平安文明が花開いた神話的な時代。
 ……とは実際無関係と思われる、奥ゆかしいアトモスフィアを放つ暗黒平安京。
 赤き月下の中で行われるのはアビ・インフェルノ・ジゴクなことは、
 この場所の意味を理解してる読者諸氏には、最早語る必要もないことだ。
 平安京の街並みに入る前の道。黒い外套を羽織った軍服の男が一人歩く。
 老いさらばえたかのような光沢のない白髪だが、顔は渋みのある顔ではない。
 寧ろ若々しい顔つきであり、男の異質さを物語っていた。

「見ィ〜つけたァ♪」

 平安京へと到着する向かう直前、
 下卑た笑みを浮かべて背後から歩み寄る一人の影。
 白いニンジャ装束に、猿のようなメンポで顔を覆う男だった。

「お前が最初だとよ、こっちを見ろ!」

 歓喜の声と下卑た笑みと共に、磨き抜かれたナイフを取り出し、
 軍服の男を強引に此方へと振り向かせながらナイフを眼前に見せる。

「地獄にようこそ♪ これからお前の顔の皮を剥ぐんだ。いいだろぉ?」

「何をしているオフェンダー=サン。」

「あん?」

 オフェンダーと呼ばれた男の背後には、更なる人物の影がある。
 円柱形の奇妙なフルフェイス・ヘルムを被る、紫のニンジャ装束の男の姿だ。
 彼の本来の身の丈を上回るのではないかと見まがうほどに長い。
 表面のスリットには内側から漏れ出た緑のUNIX光が脈打ち、
 手にはビデオカメラを構えながらその光景を撮影していた。

「さっさとやれと言ってるのだ。早く皮を剥がせ。」

「ヘヘヘ、もうちょっと楽しもうぜ? スキャッター=サンよぉ。こいつが最初なんだろ?」

「生体反応はそいつが最初だ。俺達を除けばな。」

 スキャッターは生体レーダー機能を備えたヘルムにより、
 探知能力を強化している。実際その機能の正確さは優れている。
 彼にとって周囲に居合わせているのは自分達を含めた三人だけ。
 邪魔をする敵は近くにはいないと言うことを証明している。

「こうも周りに参加者が少ねえとフラストレーションがたまっちまう。」

「フィールドの広さの時点であらかたばらけるだろうからな。」

「メフィスとフェレスも盛り上げ方がわからねえなぁ。」

 二人の姿からお気づきの読者の方々もおられるだろう。
 そう、彼らはニンジャである。平安時代に存在したニンジャである。
 (ニンジャが半神的存在については実際古事記にも書かれている)
 彼らはサディストであり、此処へ来る以前も抗争の後始末で、
 一人の男を無惨にも殺そうとしていた、残虐非道なニンジャである!

「ヒヒヒ、生死の瀬戸際だぞ喚け!」

 ナイフを改めて向けて威嚇するオフェンダー。
 しかし大した反応はなく、スキャッターは訝しんだ。
 モータルがニンジャを前にして何も動じないと言うことに。
 本来ならばNRS(ニンジャリアリティ・ショック)を引き起こすはず。
 ないということは相手はニンジャなのでは? と言う可能性だが無に等しい、
 スキャッターにはニンジャ反応も感知できるが、彼からそれらも感じず。
 単純に耄碌して動けないと言うことと断言してその光景を撮影していく。
 ブッダが寝ているように、彼もDNAに刻まれたそれが寝ているのだろう。

「……こ……か。」

 此処で初めて相手側から反応があった。
 少し俯きながら小声で距離も少しあるため、
 相手が何を言っているのかは聞き取れない。

「殺されてえのか!」



「殺すべき人類も、それなりに選定しなければいけないか。」


594 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/28(日) 21:15:21 DkuOptq.0
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 ニンジャが日本を支配し、キョート平安文明が花開いた神話的な時代。
 ……とは実際無関係と思われる、奥ゆかしいアトモスフィアを放つ暗黒平安京。
 赤き月下の中で行われるのはアビ・インフェルノ・ジゴクなことは、
 この場所の意味を理解してる読者諸氏には、最早語る必要もないことだ。
 平安京の街並みに入る前の道。黒い外套を羽織った軍服の男が一人歩く。
 老いさらばえたかのような光沢のない白髪だが、顔は渋みのある顔ではない。
 寧ろ若々しい顔つきであり、男の異質さを物語っていた。

「見ィ〜つけたァ♪」

 平安京へと到着する向かう直前、
 下卑た笑みを浮かべて背後から歩み寄る一人の影。
 白いニンジャ装束に、猿のようなメンポで顔を覆う男だった。

「お前が最初だとよ、こっちを見ろ!」

 歓喜の声と下卑た笑みと共に、磨き抜かれたナイフを取り出し、
 軍服の男を強引に此方へと振り向かせながらナイフを眼前に見せる。

「地獄にようこそ♪ これからお前の顔の皮を剥ぐんだ。いいだろぉ?」

「何をしているオフェンダー=サン。」

「あん?」

 オフェンダーと呼ばれた男の背後には、更なる人物の影がある。
 円柱形の奇妙なフルフェイス・ヘルムを被る、紫のニンジャ装束の男の姿だ。
 彼の本来の身の丈を上回るのではないかと見まがうほどに長い。
 表面のスリットには内側から漏れ出た緑のUNIX光が脈打ち、
 手にはビデオカメラを構えながらその光景を撮影していた。

「さっさとやれと言ってるのだ。早く皮を剥がせ。」

「ヘヘヘ、もうちょっと楽しもうぜ? スキャッター=サンよぉ。こいつが最初なんだろ?」

「生体反応はそいつが最初だ。俺達を除けばな。」

 スキャッターは生体レーダー機能を備えたヘルムにより、
 探知能力を強化している。実際その機能の正確さは優れている。
 彼にとって周囲に居合わせているのは自分達を含めた三人だけ。
 邪魔をする敵は近くにはいないと言うことを証明している。

「こうも周りに参加者が少ねえとフラストレーションがたまっちまう。」

「フィールドの広さの時点であらかたばらけるだろうからな。」

「メフィスとフェレスも盛り上げ方がわからねえなぁ。」

 二人の姿からお気づきの読者の方々もおられるだろう。
 そう、彼らはニンジャである。平安時代に存在したニンジャである。
 (ニンジャが半神的存在については実際古事記にも書かれている)
 彼らはサディストであり、此処へ来る以前も抗争の後始末で、
 一人の男を無惨にも殺そうとしていた、残虐非道なニンジャである!

「ヒヒヒ、生死の瀬戸際だぞ喚け!」

 ナイフを改めて向けて威嚇するオフェンダー。
 しかし大した反応はなく、スキャッターは訝しんだ。
 モータルがニンジャを前にして何も動じないと言うことに。
 本来ならばNRS(ニンジャリアリティ・ショック)を引き起こすはず。
 ないということは相手はニンジャなのでは? と言う可能性だが無に等しい、
 スキャッターにはニンジャ反応も感知できるが、彼からそれらも感じず。
 単純に耄碌して動けないと言うことと断言してその光景を撮影していく。
 ブッダが寝ているように、彼もDNAに刻まれたそれが寝ているのだろう。

「……こ……か。」

 此処で初めて相手側から反応があった。
 少し俯きながら小声で距離も少しあるため、
 相手が何を言っているのかは聞き取れない。

「殺されてえのか!」



「殺すべき人類も、それなりに選定しなければいけないか。」


595 : 行きつく未来も分からないままで ◆EPyDv9DKJs :2021/03/28(日) 21:16:40 DkuOptq.0
「え?」




















「グワー!」

 男の言葉をオフェンダーが理解した瞬間、
 突如背後のスキャッターの悲鳴が上がる。
 読者諸氏の中にニンジャ動体視力をお持ちなら、
 この男が何をしたのかその光景を目にすることができただろうが、
 そもそもこの状況については、この男も何も関与していない!

(何?)

 軍服の男も予期せぬ事態。それは、
 突然現れた人物のエントリーと同時のアンブッシュ。
 それによりスキャッターのビデオカメラを握っていた腕はケジメされたのだ!
 ケジメされた腕は血潮をばらまきながら、ビデオカメラが地面にてブロークンする。

 このサツバツとした光景の元凶を築いた殺戮者。
 黒く長い髪をなびかせ、緑の制服に身を包む相手は少女である。
 その胸は平坦であり、彼女の手には特殊な構造の刀を握っていた。
 先端から半分のみが両刃、柄から半分が片刃と言う構造は、
 刀に詳しければこれは『鋒両刃造』と呼ばれるものだと理解できる。

「俺はニン───グワー!」

 言葉を紡ぐ前にイアイドめいた斬撃!
 二の腕もケジメ!

「俺はニン───グワー!」

 言葉を紡ぐ前にイアイドめいた斬撃!
 更に残っていた腕もケジメ!

「俺はニン───グワー!」

 言葉を紡ぐ前にイアイドめいた斬撃!
 最後に残された二の腕もケジメ!

「■■ろ───!」

「グワー!」

 少女の全身から放出される稲妻めいた雷光。
 悲鳴とも受け取れるような叫びと共に、
 少女はスキャッターの首をも斬り飛ばす。

「サヨナラ!!」

 いかにニンジャソウルを宿したニンジャと言えども、
 これだけの致命傷を受ければ大抵のニンジャは助からない。
 ソウカイヤのサンシタでしかない彼の身体が耐えきれることもなく、
 あるべき未来と同じように、彼の身体はしめやかに爆発四散した。


【スキャッター@ニンジャスレイヤー 爆発四散】


「な、何なんだよ……」

 何たる凄惨な光景だろうか。
 多量の血痕は死体がなくともそこに何があったかを物語る。
 そして、その死体があった場所に立つ返り血を浴びた少女の姿。
 最早この光景こそがアビ・インフェルノとも言うべき無慈悲な光景。
 既に彼は蹂躙できる立場ではなく、逆に恐怖のどん底に叩きつけられて蹂躙される側だ。

「こんな話、運営から聞いてない!!」

 ジリジリと距離を置くオフェンダー。
 逃がさんと言わんばかりに、彼へと刀が向けられる。


596 : 行きつく未来も分からないままで ◆EPyDv9DKJs :2021/03/28(日) 21:18:06 DkuOptq.0
「貴様も■げ■!」

 バチバチと放出する雷光で、
 言葉を聞き取るのは僅かに困難だ。
 状況と断片的に得た言葉を理解するしかない。

「ナンデ!?」

 殺すと解釈しての質問。
 此処までされる謂れはあることは、
 彼の行動を振り返ればインガオホーである。
 一歩踏み出す少女に後ずさりを続けるも、

「ヤメロォー!」

 ヤバレカバレにそのナイフを振るう。
 元々ダガーナイフを使っていたからか、
 動きについては常人の三倍は優れていたかもしれない。
 だが彼のカラテもソウカイヤの末端。サンシタ程度のもの。
 刃が振れるよりも先に圧倒的な速度で刀による突きで身体を貫かれる。

「グワー!!」

 根本まで刺さり切ると同時に余りの衝撃により、
 自ら刀から抜けるように衝撃音と同時に吹き飛ぶ。
 ダンプカーに轢かれたかのような衝撃と痛みがオフェンダーを襲う。
 瞬く間に距離を取ることになったが、逃がさないと言わんばかりの高速移動。
 ゴウランガ! その速度は最早車のアクセルを踏み切った車の動きに匹敵する!

「嫌だ! 死にたくない!!」

 悲痛な叫びをあげるも、
 相手の動きの前では彼はジョルリ人形と何も変わらない。
 ブッダは寝ている。起きることは全くないまま彼の首をはねた。
 スキャッターと同じように。あるべき未来の結末へと辿り着く。
 そしてしめやかに爆発四散。

「サヨナラ!!」


【オフェンダー@ニンジャスレイヤー 死亡】


「……」

 爆発が収束し訪れる静寂。
 少女は振り向いて、残っていた男を見やる。
 だがいつの間にか、軍服の男は姿を消していた。
 逃げられたことが分かれば此処にいる意味はない。
 支給品も爆発に巻き込まれて消滅したので、彼女は先程と同じように高速で去っていった。





(少々危なかったな。)

 少女が去った後、軍服の男───ムラクモは姿を現した。
 逃げたのではなく、電光機関で透明になってやり過ごせただけだ。
 いかに彼と言えども彼女と正面からの戦闘はとてもやれるものではないし、
 逃げるにしても透明化なしでの逃走は、困難を極めることだろう。
 電光機関を以ってすれば倒せたかもしれないが、それは諸刃の剣。
 使い続ければあっという間に寿命を消耗しきって死んでしまう。

(私が転生の法を持っていると分かって参加させたならば、
 恐らくそれを封じる手段を持っているということか、運営は。)

 普段ならば寿命など転生の法により死を乗り越えられたものの、
 それができない可能性がある今無暗に電光機関は使えない。
 正面から事を起こしての戦闘はなるべく避けていくべきだ。

(もっとも、この刀があれば大概は困らないか。)

 腰に携えた日本刀を見やる。
 自分が知らない技術で製造された、帝具と呼ばれる武器『村雨』。
 相手が生物であれば当てれば問答無用で殺せると言う極悪な攻撃力を持つ。
 ある程度の各上でも、十分に勝てる見込みがあるはずだ。
 格上で心臓がない相手であれば、どうしようもないが。

「ついでだ。貰っていこうか。」

 下賤な輩が持っていたシンプルな短剣。
 吹き飛ばされた際に手放して爆発から逃れたらしい。
 村雨があれば事足りるが、万が一に取っておくのもいいだろう。

「……人類救済の手間は省けるな。」


597 : 行きつく未来も分からないままで ◆EPyDv9DKJs :2021/03/28(日) 21:19:14 DkuOptq.0
 願いを叶えるとは随分大きく出たものだ。
 自分が望む人類の救済も叶えてくれるとでもいうのか。
 だがあの二人の性格からどんでん返しをされる可能性もある。
 その力を奪う方がよほど効率がいいし、下賤な奴の手にも渡らない。

「いいだろう。しかし私なりの考えで行かせてもらおうか。」

 それを悟らせるのは賢くない。
 二人、或いは上の存在を殺せるだけの手段を確立する。
 となれば一人で挑むのもまた、賢くない選択だ。
 仮にもゲゼルシャフトの総帥。科学的知識は多く、
 同時に転生の法と言った魔術的要素にも理解はある。
 この首輪がどのような仕様かはまだ見当もつかないが、
 自分の知識が対抗する側にとって有用なポジションは揺るがない。
 多少の立場の不利すらも覆せるだろう。

「私が現人神となるのを待つといい。かのドイツの悪魔達。
 私は国籍や肌の色、老若男女貴賎、そして人種も区別しない。故に───」





「平等に殺して差し上げる。」

【ムラクモ@アカツキ電光戦記】
[状態]:健康
[装備]:ブラッディピアース@グランブルーファンタジー、一斬必殺村雨@アカメが斬る! 六〇式電光被服+六〇式電光機関@アカツキ電光戦記
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:人類の救済。しかしメフィス達も始末して願いの力を手にし、悪用を避ける。
1:電光機関の無駄遣いは避けなければならない。
2:まずは人を集める。あの女と言った存在を殺せるだけの人材が。
3:アカツキがいた場合必ず始末する。
[備考]
※参戦時期は不明。
※六〇式電光機関をそのままにする代わりに支給品の枠を使ってます



「いない、か……」

 ムラクモを見失った少女は平安京の街中を歩いていた。
 彼女、十条姫和は通常の参加者とは違う立場にある。
 本来あるべきモノを歪められた、八将神の一つを担う存在。
 先程突然の行動に相手が対応しきれなかったのは、
 気配遮断により存在が認知されなかったが故である。
 レーダーの探知にも引っかからなかったのは、
 単純に射程外の場所から奇襲をかけただけだ。
 三段階目の迅移をもってすれば弾丸に匹敵する速度。
 気づくころには腕が斬り落とされてることになるし、
 負担も八将神の役割にあるおかげでかなり緩和されている。

「■まれ、■■ろ……!」

 顔に手を当てながら姫和は片膝をつく。
 本来ならば狂気に満ち溢れるはずの八将神が一人。
 だが余りにも元の意識を保ちすぎている状態。
 これは、元の彼女の状態が余りにも特殊すぎるが故に。
 タギツヒメ、イチキシマヒメ、タキリヒメ……三体の大荒魂。
 それらと融合した状態の彼女は、そもそも普通の状態ではない。
 タギツヒメに他の二体が吸収されたことで余りに特殊ではないものの、
 正常な状態とは言い難い彼女に対して更にいじくり回した結果がこれだ。

(やめてくれ。こんなことはもうしたくない……!!)

 目的通り誰だろうと殺す。相手が知人でも、一般人でも、仲間でも。
 行為に躊躇はないことは、先程亡くなった男が身をもって物語っている。
 しかしその精神は複数あったため、僅かながら不安定なものになってしまった。
 彼女からすれば、中途半端に自我が残ってるのは寧ろ生き地獄でしかないが。
 身体は誰であろうと龍眼による未来予知であらゆる殺しの展開を構築していく。
 八将神としての役割である虐殺を、意思とは一切関係なくシュミレートして実行する。
 そして殺す。自分は死ぬことも隠世と言う結末を迎えずにこれからも何人もの参加者を、
 虐殺するイメージを脳内に浮かび続けながら、眼前と言う特等席で見せられ続ける。
 気が狂わない方が無理だ。一人相手に何パターンも殺すビジョンが出つづけるなど。
 元は彼女の目的は母の仇討ち。邪魔する敵はおろか、時には民間人すら見捨てるつもりだった。
 だが逃避行の片棒を担いだ衛藤可奈美により絆されつつあった今の彼女にとって、
 無数の、誰とも知らない奴の殺し方を無数に見せられて既に限界を迎えつつある。
 殺した奴らが、殺される謂れのある非道な相手であろうとも。



 しかしそれだけだ。
 彼女に出来ることは相手へ声をかけることしかない。
 口以外の全てはこの舞台の為に用意された悪魔の手駒。
 三段階目の迅移の消耗も回復しきり、立ち上がって動き出す。

 止まることなどできない雷光。
 降り注ぐ虐殺を止めるのは誰か。


598 : 行きつく未来も分からないままで ◆EPyDv9DKJs :2021/03/28(日) 21:21:07 DkuOptq.0
【八将神枠】
【十条姫和@刀使ノ巫女】
[状態]:混濁した意識、狂気度低下、雷神、龍眼の暴走、タギツヒメと融合、精神疲労(絶大)
[装備]:小烏丸@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺■/■したくない
1:■す。■す。■す。■す。■したくない。
2:■か■を■めてくれ───
[備考]
※参戦時期はアニメ版二十一話。タギツヒメと融合直後です。
※魂の状況により意思の疎通については普段と変わりありませんが、
 行動すべては八将神としての役割を全うする立場にあります。
※タギツヒメと融合した影響により雷が勝手に出ます。
 また、未来予知の龍眼も使えるようになってますが暴走状態で、
 本人との意思とは一切関係なくあらゆる演算を行います。
 死亡時、或いは彼女の抑えが限界を迎えた際に、
 タギツヒメが肉体を乗っ取るかどうかは不明です。
 (同時にタギツヒメが八将神を引き継ぐかも不明です。)
※三段階迅移動の負担が大幅に減ってます
 連続使用はできないもののある程度の時間を置けば即座にできます。

※オフェンダー、スキャッターのデイバックは爆発四散に巻き込まれて消滅しました。

【ブラッディ・ピアース@グランブルーファンタジー】
オフェンダーの支給品。
Rターニャの解放武器。ターニャの父の形見であるナイフ。
シンプルなものだが丁寧に磨き上げられており、優れた切れ味を持つ。
闇属性の体力を少しばかりだが強化できる。実際一撃堪えたのは実はこれのお陰

【ビデオカメラ@ジョジョの奇妙な冒険】
スキャッターの支給品。チョコラータが録画する時に使っていた物。
五部の舞台が00年代もあわせサイバーパンクな世界の彼にとっては、
確実に古いタイプの物だったことは予想できる。
爆発に巻き込まれて消滅した。

【六〇式電光被服+六〇式電光機関@アカツキ電光戦記】
ムラクモの支給品、と言うよりもデフォルト装備。
(支給品の枠をこれらに割いてるため支給品として扱う)
ナチスドイツの研究機関「アーネンエルベ」(のちのゲゼルシャフト)によって、
チベットで発掘された古代文明アガルタの超科学技術を元に開発された物。
電光被服に電光機関を埋め込むことで対象の身体能力を大幅に強化。
電力を操る力、磁気を帯びてレーダーを無効、電力で敵の装甲を溶かす、
等と言った超人的な能力を得られるが、使用者に多大な消耗を強いる。
生物であればだれもが持つATPを消耗するが、
これにて規制があるのはアガルタの末裔以外におらず、
当然ムラクモはその末裔ではないため過剰に使い続ければ命を落とす。
またムラクモの電光機関は多様性に秀でており火力は試作型より低下するが、
短時間の透明化、分身による攪乱などと言った敵を翻弄することも可能。

【一斬必殺『村雨』@アカメが斬る!】
ムラクモの支給品。始皇帝の命により作られた驚異の技術力で製造された帝具の一つ。
かすり傷でも斬られれば呪毒が心臓に到達して死に至る、まさに一斬必殺の刀。
ただし本人も例外ではないため手入れや奪われるとかなり危険。
呪毒が通じるのは生物のみ。心臓がないゾンビや機械などには通用しない。
呪毒が回る前に該当部位を斬り落とす、複数の魂ならば大きい方を犠牲にする等で回避ができる。
アニメと漫画でそれぞれ違う奥の手を持つ。
・漫画では村雨に認められるほどに敵を斬ることで、
 全身激痛の後遺症を対価に身体能力を底上げさせる『役小角』。
・アニメは一定の人数を斬った状態で自分の身体を村雨で斬り、
 大量に溢れ出る瘴気を体内に取り込むことで身体能力を劇的に強化する。
 此方は先に激痛を得るが代わりに後遺症はない。
何方なのかは採用され次第後続の書き手にお任せします

【小烏丸@刀使ノ巫女】
姫和の御刀。珠鋼で作られた特殊な刀で、
御刀の特性上錆びず壊れないと言う驚異の耐久力を持つ。
刀としては先端の半分は両刃、柄に近い方は片刃の鋒両刃造とされる形状の刀剣。
先端は剃りがほぼなく両刃ともあって、刺突に向いた構造にもなっている。
御刀に選ばれた人間は写シを筆頭とした刀使の能力を行使することが可能。


599 : ◆EPyDv9DKJs :2021/03/28(日) 21:22:53 DkuOptq.0
異常で投下終了です
ちょっとバグってやらかしましたすみません


600 : ◆ytUSxp038U :2021/03/28(日) 22:25:48 Czv1cmK.0
投下します


601 : Justice again ◆ytUSxp038U :2021/03/28(日) 22:29:01 Czv1cmK.0

「ロビンフッド!」

静まり返った墓地。
周囲に人の気配が無い事を確認すると、自らのペルソナを呼び出す。
瞬時に出現したのは、見慣れた姿の異形。
黄金の翼のような弓を手にした白い巨漢。
自分の格好が豪奢な怪盗服である時点で薄々予想はしていたが、やはりペルソナも使えるようだ。

最初に目覚めた時は、てっきり地獄に落ちたのだと思った。
認知世界を利用して散々罪を犯してきたのだ。
その報いを受ける時が来たのだろうと。
しかし、ここは確かに地獄のような場所ではあるが、自身に裁きを下す為の場所では無いようである。
そもそも罰を与えるだけなら、わざわざペルソナを使えるようにする必要は無い。

ではここはいったいどこなのか。
一番可能性が高いのは認知の世界、パレスだ。
それならば怪盗服姿となっているのも納得がいく。

(って事は、あのメフィスとフェレスとかって奴らがここの主か?)

自分も人の事は言えないが、パレスの主というのはどいつもこいつも捻じ曲がった心の持ち主である。
明らかに自分の知識とは違う平安京は、メフィスとフェレスのどちらか、或いは両名が作り出したパレスなのかもしれない。
一つのパレスに二人の主がいるなど聞いた事は無いが。

(ここが本当にパレスなら、連中が根城にしてる場所にあるオタカラを奪えばそれで終わりか…)

天高くそびえ立つ、悪趣味な歯車の塔。
オタカラは塔の最奥に保管されている可能性が高い。
それを奪ってしまえば瞬く間に改心し、殺し合いも解決となる。
だが一方で、そう単純な話ではないようにも感じている。
死んだはずの自分を生き返らせた事からも、あの少女達がただの悪党とは一線を画す力を持っているのは間違いない。
であるならば、この平安京はパレスとは違う、もっと得体の知れない地である可能性とて有り得る。
いずれにせよパレスであると断定して行動するのは避けた方が良さそうだった。

「……願いが叶う、ね…」

ふと、メフィスの言葉が頭によぎる。
鵜呑みにしている訳ではないが、何らかの強大な力を持っているのは間違い。
そんな相手に逆らった所で、無駄に命を散らすだけかもしれない。
そもそも最初に殺された少女たちなど、名前も知らない赤の他人だ。
無念を晴らしてやる義理など自分には微塵も存在しない。
だから、冷静に考えれば無駄な抵抗などせず、殺し合いに乗るのが一番賢い選択であるのだろう。

だけど。
あの男なら。
心の怪盗団のリーダー、ジョーカーなら。
こんな状況でも、自分の命が握られていたとしても、殺し合いを潰す為に戦うのだろう。
あいつはそういう男だ。
怪盗団を陥れ、命を狙った自分にまで救いの手を伸ばす、呆れるような馬鹿共の甘ちゃんリーダーなのだ。
そしてそんな連中を助ける為に命を散らした自分も、馬鹿な奴なのかもしれない。

「なら、馬鹿な奴らしくやってみるさ」

メフィス達が殺し合いという理不尽を押し付けて来るのなら、自分はそれに反逆する。
塔の上からこちらを見下ろしている連中に向けて、そう宣言してやった。


【明智吾郎@ペルソナ5】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める
1:参加者を探し情報を集める
2:ここは認知の世界なのか…?
[備考]
※参戦時期はシドウパレスで死亡後。
※殺し合いの会場はメフィスとフェレスのどちらか、若しくは両名が作り上げたパレスであると考えています。
ただし、自身の考えが外れている可能性も考慮しているので、この考えを鵜呑みにする気はありません。


602 : ◆ytUSxp038U :2021/03/28(日) 22:29:53 Czv1cmK.0
投下終了です


603 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/28(日) 23:10:44 lhEiJp4g0
投下をします。


604 : ヒヒュドラード ◆0EF5jS/gKA :2021/03/28(日) 23:13:37 lhEiJp4g0
白い毛並みに背中から龍のしっぽにも見える黒い触手を六本生やし、 

中途半端に開いた口に瞳からは理性と知能どころか狂気と邪悪だけを感じさせる、 

常に黒い電気を放ち痙攣する四つん這い姿のヒヒの怪物が 

赤き月照らす平安京に召喚された。

その怪物の名はヒヒュドラード。 

元はヒヒュルデという猿の魔物がとある聖地の力を吸収することで他を圧倒する力を得た魔物であった。 

そのヒヒュルデが吸収した力をさらに解き放つことで 

ヒヒュドラードに進化したのだ。 

だがあまりにも強い力への代償ゆえか 

小賢しいほどの知能は消えうせ、完全なる魔獣と化した。 

赤き平安京でもこの魔獣はただひたすら暴れ 

目の前の敵を完膚なきまでに滅ぼし尽くす、それだけである。 

【ドラゴンクエストモンスターズジョーカー2@ヒヒュドラード】 

[状態]: 健康、常にマホカンタ、理性崩壊 
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3 
[思考・行動] 
基本方針:目に映るものを破壊し、ひたすら敵を滅ぼす。 
1:ひたすら暴れる。 
※その他、備考 
マホカンタが常にかかっている状態ですので 
血鬼術@鬼滅の刃による攻撃や 
白魔法、黒魔法@ファイナルファンタジーシリーズなどの 
魔法や魔術による攻撃は基本反射します。 
この効果は凍てつく波動などの能力解除やデバフの技をくらっても解除されることは基本的にありません。


605 : ヒヒュドラード ◆0EF5jS/gKA :2021/03/28(日) 23:15:35 lhEiJp4g0
すいません、誤字を修正させていただきます。
【ドラゴンクエストモンスターズジョーカー2@ヒヒュドラード】 ⇒【ドラゴンクエストモンスターズジョーカー2プロフェッショナル@ヒヒュドラード】


606 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/28(日) 23:16:05 lhEiJp4g0
投下は以上です。


607 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/28(日) 23:47:30 lhEiJp4g0
何回もすいません、修正させていただきます。
【ドラゴンクエストモンスターズジョーカー2プロフェッショナル@ヒヒュドラード】⇒【ヒヒュドラード@ドラゴンクエストモンスターズジョーカー2プロフェッショナル】
名前と出展作品が逆になってしまいました。
申し訳ございませんでした。


608 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/29(月) 11:49:32 2VOhpkhA0
投下をします


609 : 照らす者・照らされる者 ◆0EF5jS/gKA :2021/03/29(月) 11:53:14 2VOhpkhA0
「ど、どうなってんだ…意味が分からない…」
彼の名は釜鵺、人を喰らう鬼という種族であり、
鬼舞辻無惨という鬼の首領が構成した
十二鬼月の1人である下弦の陸である。
しかし下弦の肩書きが付く鬼たちは
下弦の伍である累という鬼が討伐されたことをきっかけに
無価値と判断されある一匹を除いて
無惨に粛清されてしまった。
釜鵺はただ疑問に思った。
確かに自分は鬼舞辻無惨の制裁を受け死んだはず、
あの「めふぃす」と「ふぇれす」とかいう
妙な首輪をつけて殺し合いを命令した小娘どもはいったい何者なのか、
死者をよみがえらせる当たり自分の想像を絶する力を
持っていることだけは間違いないだろう。
それほどの力を持っているからおそらく打ち倒すことはほぼ不可能。
だからといって殺し合いに勝ち残ろうにも
十二鬼月の中で最弱の自分はそれすらも厳しいだろう。
力を持たぬ凡人ならまだしも、自分以外の参加者の中に
鬼狩りの柱や上弦の鬼のような猛者がいても不思議ではない。
いくら考えても希望どころか絶望的な展開しか見えてこない。
「どうしようも無いだろ…」
心底絶望し、己の死を嫌でも想像する釜鵺。


その時ある光が彼を照らした。鬼にとっては死の要因となるあの光が。
本来ならばこの平安京を照らすのは
深紅の月のみでありその光が射すことはない。


だが釜鵺の近くに現れたその物体はあの光を放っていた。


釜鵺はなぜその光が唐突に射したなどといった疑問を感じる暇すらもなく
「ギャ」
「ギャアアアア」
「ア…」
日の光により二回目の死を迎えた。

【釜鵺@鬼滅の刃 死亡】



釜鵺の死の原因となった存在は中に浮いていた、
それはこの世に生を受けた者ならほとんどが見たことがある太陽であった。
しかしこの太陽は宇宙に浮かぶ太陽とは異なり、
いかつい表情とはっきりとした自我がある。
この太陽がやることはいかなる状況でも変わることはない。
それはマリオという赤いオーバーオールの
髭男を見つけ次第突進し、妨害し、
やっつけることである。
おれの使命はどこへ行こうが変わらん。
さぁにっくきマリオをやっつけるのだ。
改めて心にそのような誓いを立て、
太陽はマリオを倒すために探しに行くのであった。


それはそれとして太陽は自分の近くにいた少年が
なぜか消滅したことに疑問を感じたのであった。


【太陽@スーパーマリオブラザーズ3】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:マリオを見つけ次第やっつける。
1.マリオはどこだ。
2.あの少年は何で消滅したんだ?
[備考]
仮にも太陽ですので常に太陽光を放っています。
そのため鬼@鬼滅の刃、吸血鬼@ジョジョの奇妙な冒険など
太陽光を弱点とするキャラクターは基本的に太陽に接近した場合死にます。


610 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/29(月) 12:00:20 2VOhpkhA0
投下は以上です。


611 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/29(月) 17:27:22 YQXLt5mQ0
投下します


612 : ■■願うに、この世界は滅ぶべき ◆2dNHP51a3Y :2021/03/29(月) 17:28:34 YQXLt5mQ0
「ダレだかしらぬが、余計なマネしてくれたでワ〜ル」

紅く染まる平安京、赤き混沌の中に佇む者

全身を白のジェントルメンスタイルで身に纏った男、その服装色とは裏腹にモノクルの奥に潜むのは深き絶望の闇そのもの

かの者の名はノワール伯爵。ヤミの一族が末裔。世界を滅びへと導く「黒のヨゲン書」最後の持ち主。滅びのヨゲン執行人

「……コントンのラブパワーも出力が落ちているワルか」

その身で、自らの力が下がっていることを感じる。ノワール伯爵の力の源、コントンのラブパワー。本来なら相容れぬ者同士が結ばれることで得られる力
だが、その力が弱体化していることがはっきりと分かる。メフィスとフェレス。あの殺し合いの主催である二人はコントンのラブパワーをも制する力を持っている

「……願いを叶える権利」

思い返すは、メフィスとフェレスが提示した優勝の代価。願いを叶える権利。その力があればヨゲンに拘らずとも世界を滅ぼすことは出来る。しかし

「願いを、叶える―――」

ノワール伯爵の脳裏に過ぎったのは、世界の滅亡とは別の『奇跡』

「……何を、バカなことを。今更後戻りなど」

ふと思い至った邪念を否定する。今更何を思う? 『彼女』を否定した世界に、『彼女』を蘇らせた所で
余計な思いは不要だ、自分は世界を滅亡させるために今まで生きていたのだ、何故迷う必要がある
先ず奴らの話が仮に本当だとして、最後の最後にどんでん返しを食らわされる可能性もあるのだ

幸いにもディメーンの働きにより四人の勇者は既に死亡。ピュアハートも6つ目が完全に力を失っているという話だ。猶予としては十分
ならば考えるべきはこの殺し合いをいかにくぐり抜けるか。後々目の上のたんこぶと成りうるメフィス、フェレスの両者は始末せねばならないことは確定。あわよくば考慮の憂いを断つために奴らの力を奪いのも方針に入れておくか

「何が目的かは知らんが、世界の滅亡はダレにも邪魔はさせないでワ〜ル!」

心機一転とばかりに高らかに宣言する。簡単な所萎えた気持ちの切り替えでしか無い
だからどうした、元より世界を滅ぼし、『彼女』のために全てを捧げる事こそが全てだ
それはダレにも邪魔はさせない。誰であろうと―――


「……ほう? 興味深いことを聞いたぞ、―――貴様。世界を滅ぼすと、な?」

刹那、女の声が聞こえた。すぐさま振り向き、声の方を向けば、そこには予想通り一人の女
白の軍服をを着込んだ銀髪赤眼の少女。氷の如く冷ややかで、魔女の如く不気味で、現人神の如く荘厳

「――何者でワ〜ルか」

交戦体勢へと入り、眼前の少女への警戒を止めない。ノワール伯爵とて相応の実力であることは自負している。だが、眼前の少女は強さとは別の何か。まるで、中身が別の何か、とも表現できるような、そのような違和感を抱いていた
それを見た少女は態とらしくため息をつき、ノワール伯爵に話しかける

「待て。私は別に貴様と争いたい訳ではないぞ」

自分と争いたい訳ではない。だがノワール伯爵は警戒は止めない。まずこの女が何を考えているかわからない以上。しかし彼女は『世界を滅ぼす』という自分の目的に興味を示していた

「どういう意味でワ〜ル?」

警戒心を保ったまま、女に問いかける

「そうだな、私もある意味今の世界を滅ぼしてやりたいとは思っている。最も、正しい言い方で表すならば――今在る、旧人類の殲滅という所か」

女の答えはある意味予想通りであった。だが旧き人類の殲滅という所がわからない。古代の民の末裔のことだろうか? いやそれならば仮にもヤミの一族の末裔である自分も狙われる可能性がある。今は素性を隠しておくべきか

「随分含みのある言い方でワ〜ルな」
「説明しても分かりづらいだろうからな、要点だけを言わせてもらった」

やはり本心は見えないか、と、ノワール伯爵は心の奥底で訝しむ。だが、逆にこの女は使えるかもしれない。仮にも世界を滅ぼす事に興味をいだき、剰え結果として同じ目的を望んでいるとするならば


613 : ■■願うに、この世界は滅ぶべき ◆2dNHP51a3Y :2021/03/29(月) 17:28:59 YQXLt5mQ0
「ダレだかしらぬが、余計なマネしてくれたでワ〜ル」

紅く染まる平安京、赤き混沌の中に佇む者

全身を白のジェントルメンスタイルで身に纏った男、その服装色とは裏腹にモノクルの奥に潜むのは深き絶望の闇そのもの

かの者の名はノワール伯爵。ヤミの一族が末裔。世界を滅びへと導く「黒のヨゲン書」最後の持ち主。滅びのヨゲン執行人

「……コントンのラブパワーも出力が落ちているワルか」

その身で、自らの力が下がっていることを感じる。ノワール伯爵の力の源、コントンのラブパワー。本来なら相容れぬ者同士が結ばれることで得られる力
だが、その力が弱体化していることがはっきりと分かる。メフィスとフェレス。あの殺し合いの主催である二人はコントンのラブパワーをも制する力を持っている

「……願いを叶える権利」

思い返すは、メフィスとフェレスが提示した優勝の代価。願いを叶える権利。その力があればヨゲンに拘らずとも世界を滅ぼすことは出来る。しかし

「願いを、叶える―――」

ノワール伯爵の脳裏に過ぎったのは、世界の滅亡とは別の『奇跡』

「……何を、バカなことを。今更後戻りなど」

ふと思い至った邪念を否定する。今更何を思う? 『彼女』を否定した世界に、『彼女』を蘇らせた所で
余計な思いは不要だ、自分は世界を滅亡させるために今まで生きていたのだ、何故迷う必要がある
先ず奴らの話が仮に本当だとして、最後の最後にどんでん返しを食らわされる可能性もあるのだ

幸いにもディメーンの働きにより四人の勇者は既に死亡。ピュアハートも6つ目が完全に力を失っているという話だ。猶予としては十分
ならば考えるべきはこの殺し合いをいかにくぐり抜けるか。後々目の上のたんこぶと成りうるメフィス、フェレスの両者は始末せねばならないことは確定。あわよくば考慮の憂いを断つために奴らの力を奪いのも方針に入れておくか

「何が目的かは知らんが、世界の滅亡はダレにも邪魔はさせないでワ〜ル!」

心機一転とばかりに高らかに宣言する。簡単な所萎えた気持ちの切り替えでしか無い
だからどうした、元より世界を滅ぼし、『彼女』のために全てを捧げる事こそが全てだ
それはダレにも邪魔はさせない。誰であろうと―――


「……ほう? 興味深いことを聞いたぞ、―――貴様。世界を滅ぼすと、な?」

刹那、女の声が聞こえた。すぐさま振り向き、声の方を向けば、そこには予想通り一人の女
白の軍服をを着込んだ銀髪赤眼の少女。氷の如く冷ややかで、魔女の如く不気味で、現人神の如く荘厳

「――何者でワ〜ルか」

交戦体勢へと入り、眼前の少女への警戒を止めない。ノワール伯爵とて相応の実力であることは自負している。だが、眼前の少女は強さとは別の何か。まるで、中身が別の何か、とも表現できるような、そのような違和感を抱いていた
それを見た少女は態とらしくため息をつき、ノワール伯爵に話しかける

「待て。私は別に貴様と争いたい訳ではないぞ」

自分と争いたい訳ではない。だがノワール伯爵は警戒は止めない。まずこの女が何を考えているかわからない以上。しかし彼女は『世界を滅ぼす』という自分の目的に興味を示していた

「どういう意味でワ〜ル?」

警戒心を保ったまま、女に問いかける

「そうだな、私もある意味今の世界を滅ぼしてやりたいとは思っている。最も、正しい言い方で表すならば――今在る、旧人類の殲滅という所か」

女の答えはある意味予想通りであった。だが旧き人類の殲滅という所がわからない。古代の民の末裔のことだろうか? いやそれならば仮にもヤミの一族の末裔である自分も狙われる可能性がある。今は素性を隠しておくべきか

「随分含みのある言い方でワ〜ルな」
「説明しても分かりづらいだろうからな、要点だけを言わせてもらった」

やはり本心は見えないか、と、ノワール伯爵は心の奥底で訝しむ。だが、逆にこの女は使えるかもしれない。仮にも世界を滅ぼす事に興味をいだき、剰え結果として同じ目的を望んでいるとするならば


614 : ■■願うに、この世界は滅ぶべき ◆2dNHP51a3Y :2021/03/29(月) 17:29:17 YQXLt5mQ0
「……手を結べ、と言いたいのでワ〜ルか?」
「御名答。話が早くて助かる」

やはり、女の目的は協力者を結ぶこと。旧人類を滅ぼす、という思惑はわからないが、ある意味『世界を滅ぼす』という点では合致しているのであろう
ならば敢えて女の思惑に乗ることにしよう。幸いにも他の伯爵ズの行方がわからない事もあり、協力者を作ることはこちらとしても吝かではない

「では承諾の証として名を教えておこう。我が名はペルフェクティ、いずれ神の真理に至るものだ。世話になるぞ、黒き伯爵よ」
「……余はノワール伯爵。滅びのヨゲンの執行者でワ〜ル」

女――ペルフェクティの紹介にこちらも礼儀として名を教える。滅びを望むにしても、おそらく方向性が違う。何れ裏切る可能性はあちらも考えていることだろう
だからこれは、どちらが先にボロを出すかの、心理戦となるだろう




○ ○ ○

(……存外あっさりと了承したものだな。いや、考えていることはあの黒の伯爵も同じか)

ペルフェクティは知っている。ノワール伯爵が自身と同じく利用するだけ利用して切り捨てる事を、自分と同じように裏切り算段も画策している事も

(だが、世界を滅ぼすという言葉は、別段嘘ではないぞ)

世界を滅ぼす――ペルフェクティのその言葉はある意味事実だ。人類の肉体的滅亡による霊的救済、プネウマ計画第一段階。旧き人類の殲滅という点では旧世界の滅亡と言っても差し支えはないだろう
だが、その先にあるものが違う。全てが滅び、新しく生まれた世界(ノイラント)にて新しき人類を導くため。元の世界にて神の現実態(エヌアイン)、新世界にて新人類を導くための、神の器を手に入れんと画策していた

(……おそらく転生の法は封じられていると考えたほうがいいか)

元来ペルフェクティはその肉体が死んでも別の者の肉体に魂を移し替える『転生の法』を持ち合わせている。それがあってこそ彼女は魔女としての不死を持ちうる存在だ
が、そんなことはあのドイツの悪魔の名を関する双子どもは百も承知だろう

(が、これさえ解除できれば、これはいい機会ではあるな)

だが、逆にこれはチャンスでも在る。首輪を解除し、この会場でエヌアイン以上の器に適した者がいれば、それこそ神の器ではなく、真に神へ至る事も出来る

(「我は闘争を支配し、神へ至らん! 」……あの男の言葉だったか。まさかその通りの流れとなるとはな)

思い出すのは、かつて手を組み、かつての器を殺したゲゼルシャフトの総帥の男。やつもここに呼ばれているのか? もしそうならば殺しておくべきか、同じ盤上ならば奴も転生の法は使えんだろうからな
結果として、奴の台詞の通りに成りうるとは、永きに渡り生きてきた彼女にとっては予想も知り得ないことであった

(そして全てを勝ち抜いた先にこそ、神の時代は始まるのだ。クハハッ! アハハハハッ!)

故に完全者は心の内で笑うだろう。然して彼女もまた他と変わらぬ参加者の一人、ここで命を落とせば全ては台無しであることを、彼女もまた自覚しているだろう


【ノワール伯爵@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本情報:世界を滅ぼす。考慮の憂いを断つためにメフィスとフェレスは始末しその力を手に入れる
1:ペルフェクティとは手を組むことにはしたが、先にどちらが出し抜くかの戦いになりそうだ
2:伯爵ズの面々とはいれば合流したい所
3:首輪の解除手段を模索
[備考]
※参戦時期は最低でもマリオ達がディメーンに殺された後
※コントンのラブパワーに制限が課せられています。最低でも無敵バリアは貼れません

【完全者@エヌアイン完全世界】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本情報:プネウマ計画の邪魔はさせん。メフィスとフェレスの扱いは対策が出来上がるまで保留
1:ノワール伯爵とは何れ水面下の出し抜き合いに成りうる。他に利用できる連中を手に入れておくか
2:エヌアイン以上に適した器の捜索
3:首輪の解除手段の模索
4:もしやつ(ムラクモ)がいるなら首輪を解除される始末しておくべきか
[備考]
※参戦時期は不明


615 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/29(月) 17:29:41 YQXLt5mQ0
投下終了します バグって変なことになってすみません


616 : ■■願うに、この世界は滅ぶべき ◆2dNHP51a3Y :2021/03/29(月) 17:30:15 YQXLt5mQ0
「ダレだかしらぬが、余計なマネしてくれたでワ〜ル」

紅く染まる平安京、赤き混沌の中に佇む者

全身を白のジェントルメンスタイルで身に纏った男、その服装色とは裏腹にモノクルの奥に潜むのは深き絶望の闇そのもの

かの者の名はノワール伯爵。ヤミの一族が末裔。世界を滅びへと導く「黒のヨゲン書」最後の持ち主。滅びのヨゲン執行人

「……コントンのラブパワーも出力が落ちているワルか」

その身で、自らの力が下がっていることを感じる。ノワール伯爵の力の源、コントンのラブパワー。本来なら相容れぬ者同士が結ばれることで得られる力
だが、その力が弱体化していることがはっきりと分かる。メフィスとフェレス。あの殺し合いの主催である二人はコントンのラブパワーをも制する力を持っている

「……願いを叶える権利」

思い返すは、メフィスとフェレスが提示した優勝の代価。願いを叶える権利。その力があればヨゲンに拘らずとも世界を滅ぼすことは出来る。しかし

「願いを、叶える―――」

ノワール伯爵の脳裏に過ぎったのは、世界の滅亡とは別の『奇跡』

「……何を、バカなことを。今更後戻りなど」

ふと思い至った邪念を否定する。今更何を思う? 『彼女』を否定した世界に、『彼女』を蘇らせた所で
余計な思いは不要だ、自分は世界を滅亡させるために今まで生きていたのだ、何故迷う必要がある
先ず奴らの話が仮に本当だとして、最後の最後にどんでん返しを食らわされる可能性もあるのだ

幸いにもディメーンの働きにより四人の勇者は既に死亡。ピュアハートも6つ目が完全に力を失っているという話だ。猶予としては十分
ならば考えるべきはこの殺し合いをいかにくぐり抜けるか。後々目の上のたんこぶと成りうるメフィス、フェレスの両者は始末せねばならないことは確定。あわよくば考慮の憂いを断つために奴らの力を奪いのも方針に入れておくか

「何が目的かは知らんが、世界の滅亡はダレにも邪魔はさせないでワ〜ル!」

心機一転とばかりに高らかに宣言する。簡単な所萎えた気持ちの切り替えでしか無い
だからどうした、元より世界を滅ぼし、『彼女』のために全てを捧げる事こそが全てだ
それはダレにも邪魔はさせない。誰であろうと―――


「……ほう? 興味深いことを聞いたぞ、―――貴様。世界を滅ぼすと、な?」

刹那、女の声が聞こえた。すぐさま振り向き、声の方を向けば、そこには予想通り一人の女
白の軍服をを着込んだ銀髪赤眼の少女。氷の如く冷ややかで、魔女の如く不気味で、現人神の如く荘厳

「――何者でワ〜ルか」

交戦体勢へと入り、眼前の少女への警戒を止めない。ノワール伯爵とて相応の実力であることは自負している。だが、眼前の少女は強さとは別の何か。まるで、中身が別の何か、とも表現できるような、そのような違和感を抱いていた
それを見た少女は態とらしくため息をつき、ノワール伯爵に話しかける

「待て。私は別に貴様と争いたい訳ではないぞ」

自分と争いたい訳ではない。だがノワール伯爵は警戒は止めない。まずこの女が何を考えているかわからない以上。しかし彼女は『世界を滅ぼす』という自分の目的に興味を示していた

「どういう意味でワ〜ル?」

警戒心を保ったまま、女に問いかける

「そうだな、私もある意味今の世界を滅ぼしてやりたいとは思っている。最も、正しい言い方で表すならば――今在る、旧人類の殲滅という所か」

女の答えはある意味予想通りであった。だが旧き人類の殲滅という所がわからない。古代の民の末裔のことだろうか? いやそれならば仮にもヤミの一族の末裔である自分も狙われる可能性がある。今は素性を隠しておくべきか

「随分含みのある言い方でワ〜ルな」
「説明しても分かりづらいだろうからな、要点だけを言わせてもらった」

やはり本心は見えないか、と、ノワール伯爵は心の奥底で訝しむ。だが、逆にこの女は使えるかもしれない。仮にも世界を滅ぼす事に興味をいだき、剰え結果として同じ目的を望んでいるとするならば


617 : ◆2dNHP51a3Y :2021/03/29(月) 17:30:34 YQXLt5mQ0
投下終了します バグって変なことになってすみません


618 : ◆ytUSxp038U :2021/03/29(月) 18:30:55 DP/BxAoM0
wikiで拙作の誤字脱字などを修正しました


619 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 06:35:30 tDunB8Kk0
投下します。


620 : 月の模様(南アメリカ) ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 06:37:51 tDunB8Kk0
うさぎ うさぎ なに見て はねる
十五夜 お月様
見て はねる
作詞・作曲者不詳 うさぎ(童謡)より

日の本で伝わる有名な童謡。
血染めの月が浮かぶ平安京の舞台日本では月の模様がお餅をついているうさぎに見える。
しかし、国によっては違う、そう南アメリカではーーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

血染めの月が浮かぶ平安京。

「…ちっ。全身を砂にしても首輪は外れねぇか……」
そう呟くのは、顔面に横断する傷痕に左手では義手のフックに分厚いロングコートを羽織る男。

男の名はサー・クロコダイル。
王下七武海に属する海賊。

悪魔の実自然系「スナスナの実」を食した悪魔の実の能力者で手に入れし力は砂の力。


「まぁいい。;作戦;とはあらゆるアクシデントを想定し実行すべきだ」
クロコダイルは本来の作戦;ユートピア:を実行していたが、軌道修正する。

「クハハハハ!首輪も見たこともない道具も全てを手に入れようじゃねぇえか!」

そう、海賊がやることはただ一つーーーーー「略奪」

【サー・クロコダイル@ONE PIECE 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:全てを奪い帰還し;ユートピア;を完遂する
1:他の参加者の支給品を奪う
2:使えそうな手駒がいれば利用する
[備考]
※参戦時期はアラバスタ編
※スナスナの実で首輪を外すことはできません。


621 : 月の模様(南アメリカ) ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 06:38:06 tDunB8Kk0
投下終了します。


622 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 06:44:09 tDunB8Kk0
続けてとなりますが投下します。


623 : 月の模様(南ヨーロッパ) ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 06:45:52 tDunB8Kk0
うさぎ うさぎ なに見て はねる
十五夜 お月様
見て はねる
作詞・作曲者不詳 うさぎ(童謡)より

日の本で伝わる有名な童謡。
血染めの月が浮かぶ平安京の舞台日本では月の模様がお餅をついているうさぎに見える。
しかし、国によっては違う、そう南ヨーロッパではーーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡
血染めの月が浮かぶ平安京。

「ここは…?」
そう呟くのは、肌は青く、腰に鷲のベルトを巻く人間ならぬ怪人ーーーーー

怪人の名はシオマネキング。
シオマネキの能力を持つ改造人間。

口から発火性の溶解液を吐き、左腕のハサミは電磁の武器となる。

「俺はライダーから逃げていたはずだが…?」
シオマネキングは紀伊半島にショッカーの海底基地を建設するために海洋学者の坂井博士を脅迫するために妻子を襲ったが、ショッカー因縁の相手駆け付けた仮面ライダー達に阻止され一時逃亡をしていた最中であった。

「ふん!ショッカーの怪人である俺様を殺し合わせるとは愚かな人間だ」
シオマネキングは悪魔であるメフィスとフェレスを人間と誤解している……

「この、見たこともない支給品に爆弾首輪を持ち帰ることが出来れば、ショッカーの戦力は大幅に強化される」
シオマネキングは先ほどの双子によるデモンストレーション並びに支給品を見て思考する……

「アビー、アビアビアビー!」

そう、ショッカー怪人がやることはただ一つーーーーー「世界征服」

【シオマネキング@仮面ライダー 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:全てを奪い帰還して、ショッカーによる世界征服を完遂する
1:他の参加者の支給品を奪い、ショッカーの役に立てなそうなら殺す
2:強い参加者はショッカーに勧誘する。拒否されたら殺す
[備考]
※参戦時期は本編73話中


624 : 月の模様(南ヨーロッパ) ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 06:46:29 tDunB8Kk0
投下終了します。


625 : 母親の暖かさ ◆.EKyuDaHEo :2021/03/30(火) 14:23:27 8OqDzdLI0
ミスを発見したので修正します
誤:そしてしばらく抱き合うとみさえが切り出す
正:そしてしばらく抱き合うとフェイトが再びみさえにお礼を言う


626 : ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 15:39:18 tDunB8Kk0
投下します。


627 : 月の模様(南ヨーロッパ) ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 15:39:56 tDunB8Kk0
うさぎ うさぎ なに見て はねる
十五夜 お月様
見て はねる
作詞・作曲者不詳 うさぎ(童謡)より

日の本で伝わる有名な童謡。
日本では月の模様がお餅をついているうさぎに見える。
しかし、国によっては違う、そうアラビアではーーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡
血染めの月が浮かぶ平安京。

「ウォーーーーー!…やっぱり首輪は外れないか……」
そう呟くのは、背中まで届く長いウェーブ髪をアップ髪にして黄色いリボンで留めている少女。

血染めの月が浮かぶ平安京ーーーーーなんと、少女は開幕、いきなり首輪をつかむと外すことができないか引っ張り始めたのだ!!

少女の名は立神あおい。
立神コンツェルンの令嬢で勇敢で気が強いところは「ライオン」のよう。しかし、少女には別の一面がある。

「はぁ〜。アタシ達を殺し合わせるつもりなんだから、簡単に外れるわけないよなぁ〜」
首輪を外せることができず落胆するあおいだが、スカートのポッケから支給品を取り出す。

「スイーツパクトが支給されたのはラッキー…なのか?」
そう、彼女は伝説の戦士プリキュアなのだ。

「う〜〜〜〜ん……」
(なんか〜……できすぎてるよな?はっきりいってアタシはプリキュアに変身できなければ普通の中学生だし……)
あおいは支給品が自分に与えられたことを訝しむ……

「考えても仕方がない……か!」
あおいは思考を一時中断すると……
「よしっ!気を引き締めていこう!!よ〜し!!!走るぞぉぉぉおおお!!!!!」
立神あおいは走るーーーーー走るーーーーー走るーーーーー

そう、プリキュアがやることはただ一つーーーーー「困難に対しても凛々しく自立すること」

【立神あおい@キラキラ☆プリキュアアラモード 】
[状態]:健康
[装備]:スイーツパクト
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:あの双子の企みを阻止する
1:アタシは殺し合いなんて絶対にしないからな!
2:うぉぉぉぉおおお!!!いいアイデア浮かべ〜〜〜〜〜!
[備考]
※参戦時期は42話後


628 : 月の模様(南ヨーロッパ) ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 15:41:05 tDunB8Kk0
投下終了します。


629 : 月の模様(アラビア) ◆s5tC4j7VZY :2021/03/30(火) 15:43:18 tDunB8Kk0
すみません…先ほどの投下作品ですが、
タイトルは 月の模様(アラビア)でお願いします……

失礼しました……


630 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/30(火) 19:06:07 qSxTmcoc0
投下します。以前絶望鬼ごっこパロディに投下したものを修正したものです。


631 : 普通の人間 ◆7PJBZrstcc :2021/03/30(火) 19:06:34 qSxTmcoc0
「何だよ殺し合いって!? ふざけんな!」

 殺し合いの会場にある病院の中で、佐山流美は叫ぶ。
 彼女は同級生の野崎春花を殺そうと病院で待ち構えていたのだが、気付けば見知らぬ場所に居て、知らない女が人を二人爆殺し、殺し合いの開始を宣言していた。

 そもそもなぜ同級生を殺そうとしていたのかというと、時は少々遡る。
 流美の通っていた中学校は、田舎なこともあってか彼女達の卒業で廃校になるくらい過疎だったが、故にどこか絆があった。
 流美はその中ではいじめられていたが、それでも目立った出来事が無ければ特に変化なく卒業できただろう。
 そこに、東京から転校生がやってきた。転校生の名前は野崎春花。

 その転校生を、流美達はイジメた。理由など『よそ者』だからで十分だ。
 もっとも、更に遡ればきっかけみたいなものもあるのだが、流美はそれを知らない。

 そしてイジメが行き過ぎた結果、春花の家を流美達は燃やし、春花の両親は死亡。彼女の妹も重症となる。
 流美自身は灯油と火種は持って行ったものの、本気で燃やすつもりはなかったのだが、とにかく放火した。

 それから少しして、春花の家の放火に関わったクラスメイト達が少しずつ行方をくらませていく。
 確証はないが皆分かっていた。春花の仕業だと。
 彼女の手はいずれ自分にも迫ると、流美は確信していた。
 だからこそ、彼女は先に殺してやると決意する。

 しかし現実として、佐山流美は野崎春花を殺すどころではない。

「私は、野崎を殺さなきゃいけないのに!!」

 そうじゃなきゃ私が殺される、怯えか狂気か流美は叫ぶ。
 もしこんな叫びを他の誰かが聞いていれば、きっと彼女を危険人物だと思うだろうに。
 彼女はそれに気付かない。もし自分の行いが周りに与える影響という物をちゃんと理解できれば、彼女はいじめられることも殺される恐怖におびえることも無かっただろう。

「それになんだよこれ」

 流美はいつの間にか背負っていたデイバックの中にあるものを一つ手に取りと、それの説明書きを見る。
 そこにはこう書いてあった。

『シザーズのデッキ。
 鏡面に移すことで使用可能。腰にバックルが出現し、デッキを装着することでライダー変身できる。
 また、シザーズは空腹になるとデッキの所持者を襲うので、参加者を殺すなどして食料を調達すべし』

「何だよこれ……!」

 あまりにも非現実的なアイテムに流美は困惑を隠せない。
 だが少なくとも単なるジョークではないと理解できる。
 それに

「私は、小黒妙子だって殺せたんだ! 野崎だろうと他の誰であろうと――」

 流美は己に自信を持とうとしている。
 殺されるかもしれないという恐怖が彼女を狂気に追い込み、己の人生を狂わせたと称して彼女は自分が慕っていた相手を殺した。
 そんな己なら、どんな相手であろうときっとこうできると思っている。

 上等だ。シザーズめ、そんなに殺したきゃいくらでも殺せ。
 言われなくてもそのつもりだ。

「殺される前に殺してやる」

 人間は他人を犠牲にする。そうしないと自分が他人に犠牲にされるから。
 だから私は他人を犠牲に生きてやる、クラスメイトであろうとも。見も知らぬ他人であろうとも。


【佐山流美@ミスミソウ】
[状態]:健康
[装備]:シザーズのデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・行動]
基本方針:殺される前に殺してやる
1:ひょっとして野崎もいるのか?
[備考]
参戦時期は第18話開始直後。


【シザーズのデッキ@仮面ライダー龍騎】
蟹型ミラーモンスター、ボルキャンサーと契約したデッキ。
鏡面に移すことで使用可能。腰にバックルが出現し、デッキを装着することでライダー変身できる。


632 : ◆7PJBZrstcc :2021/03/30(火) 19:06:56 qSxTmcoc0
投下終了です


633 : ◆4kMBNI9QkE :2021/03/30(火) 20:47:48 pce/xEO.0
投下させていただきます


634 : 普通『じゃない』人はひかれあう ◆4kMBNI9QkE :2021/03/30(火) 20:48:52 pce/xEO.0
赤い月に照らされし平安京……
その片隅に佇む一軒の宿屋。

幕末と呼ばれる江戸時代の末期、
京の都を不平分子より守った剣客集団『新撰組』の名を一躍広めた『池田屋事件』の舞台……『池田屋』である。

☆☆☆

「……」

その池田屋内部のとある一室。
病的なまでに青白い……を通り越して、モノクロ映画から抜け出してきたのかと錯覚するほどに真っ白な肌をした少女の姿があった。

少女はその白い肌とは対称的に真っ黒な髪を三つ編みにし、同じく喪服のように真っ黒なワンピースを着用しており、ますますモノクロ映画から抜け出してきたような錯覚を感じさせた。

「……」

モノクロな少女は支給されたデイバックから一本のロープを取り出すと、
その先端に輪を作り、部屋の梁にロープをかける。

そして、部屋に置かれた木製の机に乗るとロープの輪に自身の首を通し、机から静かに足を……

「……!!」
「!?」

……少女が首をつろうとした瞬間、真っ黒な毛並みの大型犬が部屋に侵入し、少女の首に巻かれたロープを引きちぎったのだ。

少女は畳の床に転がり、自身に巻かれたロープを引きちぎった黒い大型犬の姿を眺める。

少女のロープを引きちぎった黒い大型犬は、引きちぎったロープを口から離すと……

「……何考えてるんだ、一体!?」

…‥流暢に人間の言葉を話すと、その姿をモノクロな少女より少し年上くらいの少年に変えたのだった。

「……」

少女は首にロープの切れ端をぶら下げながら、
顔色一つ変えずに少年の姿になった大型犬を見ていた。

「……おいどうした!?」
「なんか大きな音がしましたけど!?」

そこへ、また新しい来客がやってきた。

黄金色に輝く魚鱗柄の鎧を纏い、髭と髪を伸ばした筋骨隆々とした威丈夫と、
紫色の髪を腰まで伸ばし、青いワンピースを着た20代程の女性だ。

「……」

モノクロな少女はただ静かにそれを眺めていた。


635 : 普通『じゃない』人はひかれあう ◆4kMBNI9QkE :2021/03/30(火) 20:49:45 pce/xEO.0

☆☆☆

30分後-
モノクロな少女を含めて4人の人物が池田屋の一室に集まっていた。

『………』

4人は一言も発することなく、部屋の真ん中で円を作るように座り込んでいた。

「え〜っと……」

その空気に耐えきれなくなったのか、ワンピースの女性が口を開いた。

「とりあえず……自己紹介しますね。私の名前は星野輝子です。皆さんは?」
「俺は、ルツだ」

女性……輝子に促されて黒い大型犬が変身した少年……ルツが名乗る。

「俺はアーサー・カリー。人呼んで『アクアマン』だ」

続いて髭面の威丈夫……アクアマンが名乗る。

「……貴女は?」
「……ウェンズデー。ウェンズデー・アダムス」

最後にモノクロな少女……ウェンズデーが輝子に促されながら名前を名乗った。

「それでえ〜っと……ウェンズデーちゃんは、どうして首をつろうなんてしたの?」

真剣な目をして問いかける輝子にウェンズデーは即答した。

「人を殺すのも、殺されるのも嫌だったから」





「いやおい!ちょっと待て!」

ウェンズデーの答えに輝子は目を丸くし、
アクアマンも信じられないような視線をウェンズデーに送り、
ルツに至っては真っ先にツッコミを入れた。

「なんでそれで真っ先に自殺しようとするんだ!?」
「……?」

ルツからのツッコミにウェンズデーは不思議そうに首をかしげた。

「……だって、先に自殺したら誰も殺さなくて済むし、誰からも殺されないでしょ?」
『……』

斜め上なウェンズデーからの答えに、他の3人は目を丸くした。

「……いやいやいやいやダメでしょウェンズデーちゃん!命は大切にしないと!?」
「そうだぞ!せっかく親からもらった命なんだぞ!?」
「くそっ……チセより酷いな……」

あまりに後ろ向き過ぎるウェンズデーに輝子もアクアマンも顔を青くし、ルツに至っては頭を抱え始めた。

「……あ、そういえば貴方達も参加者よね?」

慌てふためく3人をよそに、ウェンズデーは何を思ったのか、畳の上に大の字で横になる。

「……さぁ、一思いに殺って。できれば痛みは少なくね」
『だからダメー!!!』
「あらそう?ならやっぱり自分で……」
「め、メテオテール!」

ウェンズデーが再び自殺を試みようとした時、輝子はどこからかきらびやかでファンシーなデザインのステッキを取り出して呪文を唱えた。

するとどうだろう。

先ほどルツによって引きちぎられたロープが独りでに動き出し、ウェンズデーの体を拘束したのだ。

『!?』

突然物理法則に反する事象が起こった事で、
アクアマンやルツのみならず先ほどからずっと無表情だったウェンズデーまで目を丸くした。

「ゴメンね。できればこんな事したくないんだけど、緊急事態だから……」

一方、輝子はファンシーなデザインのステッキを握りしめながら済まなさそうな視線をウェンズデーに向けていた。

「あ、あれお前がやったのか?」
「な、なんなんだあんた?」
「え〜っと……」

アクアマンとルツからの問いかけに輝子ははにかみながら答える。

「私は『魔女』なんです」


636 : 普通『じゃない』人はひかれあう ◆4kMBNI9QkE :2021/03/30(火) 20:50:49 pce/xEO.0
「……嘘つき」
「いやいやいやいや!嘘じゃないです!私は魔女なんです!!」

ウェンズデーから嘘つき呼ばわりされ、輝子は慌ててふためく。

「……いい?『魔女』というのは真っ黒なローブと尖った帽子を着て、月夜に箒に跨がって空を飛び、笑いながら薬草の入った大鍋を煮込むお婆さんなの。貴女みたいな若くて派手な服を着た女性が魔女な訳がないわ」
「……なんだよ、そのステレオタイプな魔女のイメージは?」

ウェンズデーの語る魔女のイメージにアクアマンはツッコミを入れた。

「よ、よーし!なら、これでどうです?魔女力チャンネルセット!メテオテール!!」

輝子が再び呪文を唱えながらきらびやかなデザインのステッキを振るうと、
輝子の体はこれまたファンシーな光に包まれる。

そして光が晴れると……

輝子の髪は明るいすみれ色に変化し、服装も肩と胸元を露出させてマントを羽織ったファンシーなデザインのドレスのような物に変わっていた。

「さぁ、これならどうです!?」

輝子は自信満々に豊満な胸をはる。
しかし……

「……ますますあり得ないわね。そんな派手で露出の多い服を着た魔女なんて」
「というか、何でわざわざそんな派手な服に着替えたんだ?」
「あ、これ知ってるぞ。日本の『プリキュア』ってアニメに出てくる奴だ」
「えぇー!!?」

ウェンズデーのみならず、ルツやアクアマンからも微妙な反応をされて、輝子は少なからずショックを受けた。

「まぁ……魔女かどうかはともかく、魔法が使えるのは分かった」
「?なんかあっさりした反応だな?」

ルツが輝子の魔法をあっさり信じた事にアクアマンは首をかしげる。

「まぁ……これでも妖精なんでな」

ルツは恥ずかしげに頬を掻きながらそう答えた。

「はぁ?お前のどこが妖精なんだよ?『妖精』っつーのは手のひらに乗るくらい小さくて、背中から虫みたいな羽生やしたカワイコちゃんって相場が決まってるだろうが?」
「いや……確かにそういう妖精もいるけど……」

アクアマンのあんまり過ぎる反応にルツは目頭を押さえて頭を振った。

「よし、ならこれならどうだ?」

言うやいなや、ルツの姿は再びあの真っ黒な大型犬の姿へと変化した。
が……

「おいおい、犬に変身したぐらいで妖精って、安易すぎるだろ?」
「……どっちかって言ったら、狼男に近いわね」
「あ、なんか風郎太みたい」
「」ガンッ!

周囲からのあんまり過ぎる反応にルツは少なからずショックを受けた。

「……それにしてもアクアマン、さん?でしたっけ?さっきからあんまり驚いてないみたいですけど、どうしてですか?」
「あん?あれくらいで驚くかよ……」

アクアマンはそのたくましい胸板をはりながら答える。

「……俺はアトランティスの王様だからな!」

『………………』

アクアマンの発言を受け、3人(2人と1匹?)は可哀想な人を憐れむような視線をアクアマンに向けた。

「……おい止めろ。そんな目で見るな。傷つくだろうが」
「……そうは言われても、あんた全然王様には見えないぞ?」
「……そもそも『アトランティス』なんて国、聞いた事ないんですけど?」
「そりゃあそうだろう。アトランティスは海の底にある国だからな」
『……』
「だからそんな目で人を見るな!」

コントのような掛け合いをする3人を見ながら、ウェンズデーは小さくため息をついた。

「……全く、変人だらけね」
『お前(ウェンズデーちゃん)が言うな(言わないで)!!』


637 : 普通『じゃない』人はひかれあう ◆4kMBNI9QkE :2021/03/30(火) 20:52:36 pce/xEO.0
【ウェンズデー・アダムス@アダムス・ファミリー】
[状態]:健康、拘束されている
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ロープ@現実、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:人殺しはしたくないし、殺されたくもない。だから自殺しよう
1:変人だらけだわ……
2:殺るならさっさと殺って
[備考]
2019年に公開された長編劇場アニメ版からの参戦。

【ルツ@魔法使いの嫁】
[状態]:健康、黒妖犬の姿、ちょっとショック
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:早くチセの下に戻る
1:こいつ(ウェンズデー)、何考えてるんだ?
2:こいつら(輝子とアクアマン)なんなんだ?
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
原作『学院編』中盤からの参戦。
妖精である事を明かしましたが、信じられていません。
ブラックドックの姿から人間の姿になっても首輪は外れません。

【星野輝子@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康、魔女っ娘姿、少しショック
[装備]:魔法の杖メテオテール@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:『超人』として参加者を助ける
1:私は本当に魔女なんです!!( ;∀;)
2:ウェンズデーを思いとどまらせる
3:知り合いがいるなら合流したい
[思考・状況]
アニメ第二期(THE LAST SONG)中盤からの参戦。
魔女である事を明かしましたが、信じられていません。
神化40年代(現実における昭和40年代に相当)の人物なので、それ以降の時代(現実における平成・令和)に生まれた言葉や品物に関する知識はありません。
メテオテールは支給品ではありません。
魔法で首輪を外す事は不可能です。

【アーサー・カリー(アクアマン)@DCエクステンデッド・ユニバース】
[状態]:健康、だいぶショック
[装備]:アトラン王の鎧@DCエクステンデッド・ユニバース
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:ウェンズデーを思いとどまらせる
2:こいつ(ウェンズデー)、後ろ向き過ぎるだろ……
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
単独主演映画『アクアマン』後からの参戦。
アトランティスの王であることを明かしましたが、信じられていません。
アトラン王の鎧は支給品ではない。


【ロープ@現実】
ホームセンターや登山用品店とかで売っているような普通のロープ。

【メテオテール@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
星野輝子が魔法を行使する際に使用する魔法の杖。
きらびやかでファンシーなデザインのステッキで、これを振りながら『メテオテール』と呪文を唱えることにより、魔法が発動する。
基本的に輝子は、いつもどこからともなくこのステッキを取り出している。

【アトラン王の鎧@DCエクステンデッド・ユニバース】
アトランティス初代国王・アトランが着ていた鎧。
黄金色に輝く魚鱗柄の上半身と緑色の下半身で構成されている。
単独映画『アクアマン』で、アクアマンがアトラン王のトライデントを手にした時に同時に入手したもので、原作コミックスのアクアマンのコスチュームに似ている。


638 : 普通『じゃない』人はひかれあう ◆4kMBNI9QkE :2021/03/30(火) 20:53:12 pce/xEO.0
【ウェンズデー・アダムス@アダムス・ファミリー】
[状態]:健康、拘束されている
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ロープ@現実、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:人殺しはしたくないし、殺されたくもない。だから自殺しよう
1:変人だらけだわ……
2:殺るならさっさと殺って
[備考]
2019年に公開された長編劇場アニメ版からの参戦。

【ルツ@魔法使いの嫁】
[状態]:健康、黒妖犬の姿、ちょっとショック
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:早くチセの下に戻る
1:こいつ(ウェンズデー)、何考えてるんだ?
2:こいつら(輝子とアクアマン)なんなんだ?
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
原作『学院編』中盤からの参戦。
妖精である事を明かしましたが、信じられていません。
ブラックドックの姿から人間の姿になっても首輪は外れません。

【星野輝子@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康、魔女っ娘姿、少しショック
[装備]:魔法の杖メテオテール@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:『超人』として参加者を助ける
1:私は本当に魔女なんです!!( ;∀;)
2:ウェンズデーを思いとどまらせる
3:知り合いがいるなら合流したい
[思考・状況]
アニメ第二期(THE LAST SONG)中盤からの参戦。
魔女である事を明かしましたが、信じられていません。
神化40年代(現実における昭和40年代に相当)の人物なので、それ以降の時代(現実における平成・令和)に生まれた言葉や品物に関する知識はありません。
メテオテールは支給品ではありません。
魔法で首輪を外す事は不可能です。

【アーサー・カリー(アクアマン)@DCエクステンデッド・ユニバース】
[状態]:健康、だいぶショック
[装備]:アトラン王の鎧@DCエクステンデッド・ユニバース
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:ウェンズデーを思いとどまらせる
2:こいつ(ウェンズデー)、後ろ向き過ぎるだろ……
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
単独主演映画『アクアマン』後からの参戦。
アトランティスの王であることを明かしましたが、信じられていません。
アトラン王の鎧は支給品ではない。


【ロープ@現実】
ホームセンターや登山用品店とかで売っているような普通のロープ。

【メテオテール@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
星野輝子が魔法を行使する際に使用する魔法の杖。
きらびやかでファンシーなデザインのステッキで、これを振りながら『メテオテール』と呪文を唱えることにより、魔法が発動する。
基本的に輝子は、いつもどこからともなくこのステッキを取り出している。

【アトラン王の鎧@DCエクステンデッド・ユニバース】
アトランティス初代国王・アトランが着ていた鎧。
黄金色に輝く魚鱗柄の上半身と緑色の下半身で構成されている。
単独映画『アクアマン』で、アクアマンがアトラン王のトライデントを手にした時に同時に入手したもので、原作コミックスのアクアマンのコスチュームに似ている。


639 : 普通『じゃない』人はひかれあう ◆4kMBNI9QkE :2021/03/30(火) 20:54:50 pce/xEO.0
投下終了します。
最後、二重投下になってしまい申し訳ありません。


640 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/30(火) 21:31:49 e2g3wMpA0
投下します。


641 : 女泥棒は疾走する ◆bLcnJe0wGs :2021/03/30(火) 21:32:24 e2g3wMpA0
会場のとある場所。

そこでは、青い長髪を括った少女が平安京を疾走していた。

彼女はとある世界で、『パティ』として名を馳せていた女泥棒だった。

◆◆◆

彼女の本名は『ユア』。

はるか昔、悪しき女神が倒される際に遺した『種』─【デスエバン】を封印し続けていた、【竜の一族】の一人である。

竜の一族は、地下世界に住む人種であった。

ユアが誕生するより前、一族の一人であり、後に彼女と兄の母親となる人物・バレリーが地上を調査する為に故郷を出た。

バレリーは地上で見つけた、エバの神を崇める宗教団体、エバ教の教会でガナーと出会い、後に結ばれた。

ユアはそんな夫婦の長女として生まれた。

しかしある日、彼女達の住んでいた村に魔物達が襲いかかって来た。

彼女の前にも、記憶を操る能力を持った花の魔物が現れたが、すんでの所で父親が駆けつけ、自分を逃がしてくれた。

─その後、村の人々は自分や家族に関する記憶を消され、父親も連れ去られてしまった。

実はエバ教は、デスエバンを活性化させる為に地上の人々を利用して、エネルギーを送らせ続けていた、という集団であった。



それからのユアは、悪人が手に入れた物を取り返しに行く義賊・《パティ》として活動する様になり、エバ教に反目する集団・レジスタンスのスポンサーとしても協力していった。


642 : 女泥棒は疾走する ◆bLcnJe0wGs :2021/03/30(火) 21:33:10 e2g3wMpA0

そんなある日、悪党のトラウトからある物品を取り返しに行った時に、生き別れとなっていた兄と再会し、その仲間達とも出会う事になった。

その後も父親がデスエバンを活性化させる為の機械に繋がれたものの、兄達によって救出された…
のだが、彼は長年魔力をデスエバンに送られ続けた事によって失明してしまった事を知った。

更には自身もデスエバンを目覚めさせる為の生贄にされかけたが、兄とその仲間達が生贄にしようとしていた魔物を倒し、竜に変身し、封印の扉を護り続けていた母が己を犠牲にした事でユアは命を救われた。

■■■

やがて、兄達がデスエバンを一度倒す事に成功し他のだが、彼は完全には滅ぼす事が出来ないという。

そこで今度は、父親が己の命を懸けて封印を護ってくれることになった。

◆◆◆

そして今、この催しに招かれた彼女は殺し合いにには乗らず、最後まで反目することを心に決めていた。

【パティ@ブレス オブ ファイアⅡ 使命の子】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み?)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:出来るなら殺し合いに反目の参加者を手助けする。
2:家族や知り合いが巻き込まれていないか心配。
[備考]
※参戦時期はベストエンディング後。


643 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/30(火) 21:33:28 e2g3wMpA0
投下終了です。


644 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/31(水) 03:51:30 ZkYaBsjU0
投下をします


645 : 激情に駆られる制御されし悪魔 ◆0EF5jS/gKA :2021/03/31(水) 03:59:41 ZkYaBsjU0
「ヌウ…」

首輪を付けられ筋骨隆々で胸に大きな傷跡がある青年は
限度なきある怒りと憎悪をある者に感じている。

その対象とは少女の命をゴミのように奪う
主催者ではない。
カカロットという男に対してである。

殺し合いに召喚された男の名はブロリー
元にいた世界では破壊と殺戮の限りを尽くし、
制御をされない限り際限なく暴走し
伝説の超サイヤ人と呼ばれ悪魔と名乗る男である。

ブロリーは憎きカカロットに倒され死にかけたが、
カカロットへのおぞましい怒りと執念故か、
崩壊する惑星からポッドという
一人用の宇宙船に乗り込み脱出した。

宿敵カカロットがいるはずの地球へ
ポッドが辿り着く直前に
ブロリーは殺し合いの場に召喚されたのだ。

せっかく宿敵のもとに行けたと思えば
意味の分からぬ殺し合いに 召喚された事実が
ブロリーの怒りをさらに増幅させる。

せっかく父親につけられた忌々しい
制御装置から外れたというのに
その制御装置を想起させる首輪を付けられた事実もまた
怒りを際限なく増幅させる。

ブロリーの目的は破壊と殺戮とカカロットを倒すこと。
悪魔は収まらぬ怒りとともに絶叫をしながら疾走した。
「カカロットォォォォォーーーー!!!!」



惑星すらもたやすく破壊する悪魔のブロリー
その気になれば参加者も主催者も一瞬で滅ぼし
殺し合いを完全破綻させることも‟本来の力”をもってすれば
たやすいことであるはずだ。

しかしそのように行くことは間違いなく無い。
なぜなら絶大なる力は首輪の力で制御され
弱体化し本来の実力とは天と地以上の差が
開いてしまったからだ。



ブロリーはある異星人を絶望の底に叩き落すために
帰れると良いなと言っておきながら消滅させるだましを
できることから少なくとも決して知性は悪くないため
気づくのもそう遅くはないのかもしれない。



【ブロリー@ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない】

[状態]:見た目は通常、制限による超弱体化、疾走中。
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本行動方針:破壊と殺戮の限りを尽くす。
カカロットは見つけ次第優先して攻撃する。
1:カカロットはどこだ。
2:破壊と皆殺し。
[備考]
参戦時期は地球につく直前ですが
胸以外の傷は回復しています。
制限により身体能力の超弱体化、
超サイヤ人と伝説の超サイヤ人への変身不可、
飛行不可となっています。
しかしそれでも片手で約60mの建物を
たやすく破壊できるくらいの実力はあります。
カカロットという絶叫が
他の参加者に聞こえた可能性があります。


646 : ◆0EF5jS/gKA :2021/03/31(水) 04:03:59 ZkYaBsjU0
投下は以上です。


647 : ◆ytUSxp038U :2021/03/31(水) 12:22:01 SEeL2Ux60
投下します


648 : ◆ytUSxp038U :2021/03/31(水) 12:23:06 SEeL2Ux60
投下します


649 : Shape of love ◆ytUSxp038U :2021/03/31(水) 12:24:50 SEeL2Ux60
「嘘だろ……」

紅く染まった空の下、呆然と呟く男。
汗ばむ両手で握り締めるのは、一丁の銃。
ズッシリと重く、冷たい金属の塊の存在に眩暈がしそうだった。

「何なんだよ…どうなってんだよ!クソッ!」

答えが帰って来るはずは無いと分かっていても、野原ひろしは叫ばずにはいられない。
自分は仕事を終えて、家路についていたはず。
今日の夕飯は鍋にするとみさえが言っていたのを思い出し、帰って一杯やるのが待ちきれずつい早足になった。
だが待っていたのは家族と囲む暖かい食卓ではなく、少女2人が無惨に殺される瞬間だった。
思わず悲鳴を上げ後ずさり、気が付けばこうして気味の悪い場所に放り出されていたのだ
狂っているとしか思えない光景にヒリヒリと喉が痛み、混乱しながらも水を出そうとデイバックを漁ったら、この銃が出て来た。

「これで、誰かを殺せって言うのか…?」

メフィスと名乗った少女は、最後の一人を帰すと言っていた。
当然自分はこんな所で死にたくなどない。
叶うならば今すぐにでも、家族が待っている春日部の我が家に帰りたい。
だがその為には他の者を殺し、勝ち残らなければならない。

「殺さないと、俺は帰れない……」

家族の事を考えてみた。
野原家の稼ぎ頭である自分が消えたら、一家は路頭に迷うのではないか?
しんのすけが小学校に入学する姿も、ひまわりが立って話す姿も見れなくなる。
いつか子ども達が成人して独り立ちするのを見送り、みさえと共に年を取る事だってできない。
いや、ひょっとしたらしんのすけ達もここにいる可能性だってゼロではないのだ。
しんのすけは我が子ながら幼稚園児とは思えない能力があるし、みさえだって自分はいつも頭が上がらない。
だが、こんな状況で絶対に無事と言える保証がどこにあるのか。
シロだって悪意のある人間相手では危険だろうし、ひまわりに至っては赤ん坊だ。襲われたらどうにもできない。
銃を握る手が自然と強くなる。
首輪がある限り、メフィス達には逆らえない。
ならば、殺し合いに乗る以外に選択肢は無いのではないか?
こうして武器も手に入ったのだし、何を迷う必要がある?
帰る為には、家族を守る為には相手が誰だろうと引き金を引かなくては――

「…って、馬鹿かよ俺は!」

脳裏に浮かんだ考えを必死に振り払う。
確かに、優勝しなければ帰れないのかもしれない。家族を守る為には他者を殺さなければならないのかもしれない。
だが仮に自分が手を汚したとして、それからどうなる?
どんな理由があれ人を殺しておいて、家族に顔向けなどできるはずがない。
自分の夫が、父親が人殺しになってしまったと知れば、きっと家族は心に一生消えない傷を抱える事になるだろう。
そんなもの望んでいない。
殺し合いの空気に呑まれ、危うく道を踏み外す所だった。

「しっかりしろ野原ひろし…!お前は二児の父親だろうが…!!」

自分にそう言い聞かせ喝を入れる。
首輪を填められている以上、逃げられないのは確かだが、本当にどうしようもないと決まった訳ではない。
もしかしたら、誰かを殺さずにここから脱出する方法だってあるかもしれないのだ。
だから早まった真似はするなと自分を戒めた。
先ほどよりも多少は落ち着いてくると、そこで喉の渇きに意識が向いた。
そういや水が欲しかったんだとデイバックに手を入れ、お目当ての物を取り出し口に付ける。
喉を潤したひろしは、改めて周囲を見回した。
いったいここはどこなのか、首を捻る。


650 : Shape of love ◆ytUSxp038U :2021/03/31(水) 12:31:55 SEeL2Ux60
(もしかして、また違う時代にでも来ちまったのか?)

野原一家は以前に、戦国時代の日本にタイムスリップした事が二度もある。
だから今回も過去の時代に来たのかと思いかけるが、明らかに近代的な建造物が存在するのを見て違うと判断した。
こんな意味不明な会場を生み出す少女たちは何者なのか。
怪しげな組織だのオカマの魔女だの、今まで戦って来た悪党の顔がポンポン思い浮かぶ。
主催者の正体に頭を悩ませるが結局答えは出ない。

その時、背後から物音が聞こえた。

「だ、誰かいるのか!?」

咄嗟に銃を構えながら振り向く。
姿は見えないが、建物の陰から息を呑む気配があった。
もしも相手が殺し合いに乗っていたら、と考えが緊張で鼓動が早まる。
大丈夫、こっちには銃があると自分に言い聞かせながら、ひろしは何者かに向けて口を開いた。

「俺は…殺し合いなんかに乗ってない!銃は自衛の為だ!誰かを傷つけようなんて思っちゃいねえ!もしそっちも同じなら、出てきて話さないか!?」

向こうが殺し合いに反対する者ならば、協力できる。
そう思っての言葉だった。
すると、建物の陰からは話し声が聞こえて来た。
小声の為何を言っているかまでは分からなかったが、どうやら相手は2人らしい。
暫く待ってみると、相手からの返答があった。

「わ、分かった。出て行くけど、やっぱり気が変わったとか言って撃つのは無しだからね…?」

そう言って意を決したように出て来たのは、高校生程の少女だった。
見た所武器らしい物は持っていない。
少女はひろしの構える銃を目にし、表情を強張らせている。
どうやら大丈夫そうだと判断したひろしは、ゆっくりと銃を下ろした。
少女の方もひろしが危害を加える人物でないと分かったのか、ホッとしたような顔になった。

「良かったぁ…。撃たれたらどうしようってヒヤヒヤしたよ…」
「あっ、悪い……。銃なんて向けて恐がらせちまったな……」
「や、こんな状況だしおじさんが警戒するのも仕方ないって」

相手の正体が分からないとはいえ、恐がらせてしまった事に罪悪感を感じるひろし。
少女の方はサバサバした性格なのか、気にしていない事をひろしに伝える。
と、そこで危険が無いのが分かった少女は、自身の同行者に声をかけた。

「もう出て来ても大丈夫だよ、みっつん」

少女の声を受けて、もう一人の参加者がひろしの前に現れる。
それは少女よりも年下と思われる年齢の少年だった。

「愛さん…そんな無防備に出て行って、本当に撃たれたらどうするんですか……」
「んー、でも殺し合いに乗ってない人を無視するのも悪いかなぁって。それにさ、ちゃんと備えもしてたし」
「まぁそうですけど…」

少女との会話にため息を吐きつつ、少年はひろしに顔を向け、人畜無害そうな笑みを見せた。

「初めまして。相葉晄って言います」


◇◆◇


651 : Shape of love ◆ytUSxp038U :2021/03/31(水) 12:33:12 SEeL2Ux60
ひろしと少年少女…相葉晄と宮下愛の三人は近くの民家へ場所を移し、情報交換をしていた。
相場は田舎の学校に通うごく普通の中学生であり、何故こんな悪趣味な催しに巻き込まれたのかまるで見当が付かないとのこと。
愛は東京の学校でスクールアイドルをしていると自己紹介し、相場と同じく今の状況に心当たりは全く無い。
歯車の塔から平安京に落とされてすぐ二人は遭遇し、互いに敵意が無い事を確認、揃って移動していた先でひろしを見つけたのだと言う。
銃を持ってる相手の前に出て行く事に相場は渋ったが、いざとなれば自分の支給品で何とかすると言い、愛が先にひろしの前に姿を見せたのだった。

互いの自己紹介が済むと、三人はこれからどう動くのかを話し合う。
ひろしと愛はそれぞれの家族や友人が連れて来られてる可能性を考え、直ぐにでも探しに行こうとしたのだが、そこへ相場が待ったをかける。
もしかしたら参加者の名簿に関して、メフィス達から何らかの情報が与えられる可能性も有り得る。
だから少し待ってみて、もし何も連絡などが無ければ改めて出発しようとの提案をした。
相場の言う事には一理あった。
ここで焦って行動しては危険なのは確かだし、何よりひろしは先ほど冷静さを失いそうになったのだ。
故にここは相場の提案を受け入れた。

(みさえ、しんのすけ、ひまわり、シロ。頼むから、お前らは無事でいてくれよ……)

願わくば、こんな悪夢のような事態に家族は巻き込まれていないでくれとひろしは強く思う。
今まで命懸けの冒険やら何やらを経験してきたが、今回のは明らかに異質だ。
ひょっとしたら生きては帰れないのかもしれないと思わせる、この狂気に満ちた場所に家族が不在である事を、ただひたすらに祈った。

(お願いだから、みんなは巻き込まれないでいてよね…。愛さんだって心細いけど、みんなに何かあったら……)

愛もまた、平安京に家族やスクールアイドル同好会の仲間がいない事を願った。
ひろしと相場の前では活発に振舞っているが、内心はやはり現状への恐怖が渦巻いている。
自分も最初に殺された少女達のように、無惨な死を迎えるのではないか。
そう考えると震えが止まらない。
それに自分と同じく、同好会の大切な友だちが巻き込まれているかもしれない事へも不安が募る。
璃奈達の命が奪われて良い理由なんて一つもない。
こんな場所で皆の夢が潰れていい訳がない。
故に愛は、祈り続ける。
どうかこんな恐ろしい事態に、誰よりもキラキラしている仲間たちがいない事を。

ひろしと愛が大切な人々の無事を願う一方で、相場もまた考えていた。
彼が思いを向ける相手はただ一人、愛する野咲春花だけだ。
ハッキリ言って相場は自分と春花以外の誰が死のうと、どうだっていいと思っている。
殺し合いなんて自分と春花が関わらない所で、好きなだけやればいい。
だから自分が巻き込まれた事に関しては強い憤りを感じている。
こんな場所にいては春花を守れない。
一刻も早く春花の元へ帰らなければならない。
その為には優勝だろうと脱出だろうと、可能性が高いならば何だって良かった。

だが、ここで問題が一つある。
それは、野咲春花も殺し合いに参加している可能性もあるということ。
もしも春花が参加しているなら、優勝という選択肢は有り得ない。
当然だ。
愛する春花を殺すなど、あってはならないのだから。
春花がここにいるのならば、二人揃って生還する方法を見つける。
きっと殺し合いの中で彼女を守れば、春花は自分への愛をより深めるに違いない。
万が一方法が見つからなければ、その時は春花を優勝させる道を選ぶ。
心優しい彼女は自分の死に深く悲しむだろうし、自分だって彼女と死に別れるのは辛い。
だけどその代わり、春花の心には自分への愛が永遠に刻まれる事だろう。

相場は主催者からのアクションを暫し待つ。
春花がいるかいないか。
それによって自分が取る方針も変わってくるからだ。
ひろしと愛は自分をまるで警戒していない。
なら精々利用させてもらう。


652 : Shape of love ◆ytUSxp038U :2021/03/31(水) 12:34:27 SEeL2Ux60
(大丈夫だ野咲。俺はお前を一人になんかさせないから……)

家族を想う父。
友を想う少女。
愛する者を想う少年。
互いの心情を知る由も無く、今はただ主催者の動きを待っていた。


【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:ハイドラ@バイオハザードシリーズ
[道具]:基本支給品、予備のショットガンの弾、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしない
1:今は主催者からの連絡を待ち、家族が参加させられているかいないかを確かめる
[備考]
※少なくとも「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」までの映画版での出来事は経験しています。

【宮下愛@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:レッドカード@ポケットモンスターシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:今は主催者からの連絡を待ち、知ってる人が参加させられているかいないかを確かめる
[備考]
※参戦時期はアニメ最終回後。

【相葉晄@ミスミソウ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(カメラ類は無い)
[思考・状況]
基本方針:野咲が参加していないならどんな手を使ってでも帰還する。野咲が参加しているなら二人揃って生還する何としても方法を見つける
1:今は主催者からの連絡を待ち、野咲が参加させられていないかを確かめる
2:自分と野咲の障害になる者は排除する
3:もしも二人揃っての生還が不可能ならば、野咲を優勝させる
4:できれば自分のカメラが欲しい
[備考]
※参戦時期は14話以降〜最終話以前。

【ハイドラ@バイオハザードシリーズ】
バレルを三つ取り付けたソードオフタイプのショットガン。
威力・連射性能共に高い。

【レッドカード@ポケットモンスターシリーズ】
ポケモンに持たせると、攻撃技を当てた相手を強制的に交代させるアイテム。
ポケモンに発動した場合の効果はゲーム準拠。
参加者に発動した場合は戦闘可能範囲外まで強制移動させられる。
一度使用すると消滅する。


653 : ◆ytUSxp038U :2021/03/31(水) 12:35:16 SEeL2Ux60
投下終了です


654 : ◆bLcnJe0wGs :2021/03/31(水) 18:52:40 u4rOkf/c0
>>642
誤字を発見したので修正させて頂きます。
『やがて、兄達がデスエバンを一度倒す事に成功し他のだが』ではなく、『やがて、兄達がデスエバンを一度倒す事に成功したのだが』となります。


655 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 03:47:57 tO18iJew0
投下します。


656 : 悪魔 ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 03:49:49 tO18iJew0
紅き月夜に照らされた平安京に、一人の男が居た。

男はかつて、自分を勇敢な兵士だと…そう信じて、組織へと入団し外敵と戦う道を選んだ。
しかし…入って早々参加する事になった大きな作戦で、彼は自分が勇敢ではないことを、勇敢な兵士として死ぬことがいかに無意味なことかを思い知らされた。
新兵は彼以外は皆投石で死に、彼だけが生き残った…いや、生き残ってしまった。
他の皆が作戦を実行した結果バラバラに砕けて、誇りを感じる間も無く死んで行った中…自分だけがのうのうと生き残ってしまった男は、まだ息のある作戦を指示した男を見つけて、トドメをさそうと思った。
しかし彼は…男にはまだ地獄が必要なのだとも思い…彼を…外敵に勝つ為に必要な悪魔だと言い、甦らせようとした。それが…生き残って「しまった」自分の使命なのだと、そう決めて。
だが───彼の願いは叶わず、男は死を遂げた。
彼はその事に納得出来なかったものの…その後島を取り巻く情勢が明らかになると共に覚悟を決め…値踏みし、元同期の男を外敵を皆殺しにし島を守れる悪魔であり、希望だと定めた。
そして彼は…島を、そこに住む人類を守る為に計画を練り、男を支援する事とする。
その為の一派を作り上げ指導者として振る舞った彼は、必要以上に冷酷に振る舞い、反対する者を殺めながらもひたすらに島を守る事を選んだ。計画を実行する以外に島が生き残れる現実的な手段がなかったのも理由ではあったが。

だが彼は最終的に、道を違えたかつての同期の手により一生を終える事となる。
最期の最期まで彼は信念を貫いた。俺たちの悪魔だけが、最期の希望なんだ…と、そう懇願しながら。

しかし───今度こそ終わった筈の彼の命は、どういうわけか主催の手により拾われた。

----

(…何故かはわからない、が…生き返ったのなら、俺のやるべきことは何も変わらない…島を、壁内人類の勝利のためなら俺は…!)

男は覚悟を決めていた。
そもそもウォール・マリア奪還作戦の際、一度死ぬ筈が不運にも生き残ってしまった時に…既に自分は一度死んだも同然だったと認識していたからだ。
生き返った事自体には困惑するが…それでも彼のやる事には何の影響も与えない。

(主催の女二人は、優勝すれば願いが叶えられる権利がある…と言っていたが…どこまで信用できるんだろうな)

彼は主催の双子に疑念を持ち、今は殺し合いには乗らない事とした。

その後バッグの中身を確認した彼は…中に入っていたDISCの説明を読んだ後…躊躇わずに自分の頭の中に刺した。

…男の名はフロック・フォルスター。かつて悪魔(希望)と定めた男エレン・イェーガーの元にイェーガー派を率いた男である彼が、どのような道を辿るのかは…彼が使用可能になったスタンドでも、まだ分からず、また確定もしていない。

【フロック・フォルスター@進撃の巨人】
[状態]:健康
[装備]:キング・クリムゾンのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:未定
1:どんな手段を使ってでもパラディ島を…同胞達を守る方向に動く。
2:主催側に本当に願いを叶えさせる気があるかどうかがわからない以上、殺し合いに乗るか否かはとりあえずは保留。
3:エレン・イェーガーがこの場所に呼ばれているのなら、どんな形であれ生還させる為に全力を尽くす。
[備考]
※参戦時期は死亡後からです。


【キング・クリムゾンのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険】
フロックに支給されたスタンドDISC。このDISCを頭の中に挿入すると、キング・クリムゾンのスタンドを使う事ができるようになる。
ステータスは以下の通り。

破壊力:A
スピード:A
射程距離:E
持続力:E
精密動作性:?
成長性:?

キング・クリムゾンは本来はギャング組織「パッショーネ」のボスであるディアボロのスタンド。
時間を数十秒までの任意の秒数を消し去る事で相手の動きを見切ったり攻撃の回避や相手への接近を行える能力と、数十秒から十数秒のどちらかの範囲内の未来を予知する「エピタフ」の二つの能力を持っている。
本来「エピタフ」によって予知した未来は絶対であり、多少の誤差こそあれど覆る事は起こり得ない…が、今ロワでは主催の手により予知した未来が変動し得るようになっている。
※なお原作とは異なり、非スタンド使い相手にもスタンドは視認可能です。またエピタフの解釈は後続の書き手にお任せします。


657 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 03:51:20 tO18iJew0
投下終了します。


658 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/01(木) 17:04:29 F5g2dyao0
投下します


659 : 平安の都のアリス 燈桜絶炎の章 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/01(木) 17:04:50 F5g2dyao0
「また、か」

男は、この異常な状況をまるで日常茶飯事とも表すかのように感じ、一言呟く
いや、男にとってある意味これは日常の一つだ。「巻き込まれる」ことには慣れてしまったのだから

「ゆらぎ」と呼ばれる時空の歪曲現象。それによって別世界に飛ばされ、様々な出来事に巻き込まれる。
男、有栖零児にとってはある意味慣れてしまった出来事だ

そして、今回巻き込まれたのはバトル・ロワイアルなる悪趣味な催し物だ。数多の世界から参加者をかき集め、このような首輪を付けさせられ、殺し合いをさせられる

「……全く、今回もまた面倒なことに巻き込まれたものだ」

非日常も慣れてしまえば日常となりうる。だが、これはこれで異常というものでもある。首輪をつけられ、殺し合えなどと

「何をするにしろ。この首輪をなんとかしない事には、どうにもならないか」

有栖零児にはこんな殺し合いに乗る気などまったくない
ただし、勿論のこと殺し合いに乗り、それでいて対話の余地なしな相手には容赦をするつもりもない

だが、主催への反逆に一番の壁となるのがこの首輪だ。起爆条件は何ともシンプルなものであるが、紋章という付加要素が関わってくるだけで解除への道が格段に遠のく
そもそもの話、一部参加者が首輪をどうにかして外す、という前提の上での『何か』を仕掛けている可能性すらもあり得る
それ以前に、有栖零児が知りうる物質界、幻想界、魍魎界、魔界、神界。更に他の平行世界や並列世界まで引っくるめて参加者となる人物たちを集めた主催の規模こそ真に警戒するべき事実だ

「……メフィスとフェレス。おそらくは俺たちが知っている伝説とはまた別の存在か?」

メフィストフェレスという悪魔がいる。ファウスト伝説に登場し、ファウストの夢を叶えると同時に彼を巧みに誘導し魂を手に入れようとした悪魔
その結末は伝記毎に異なるが、どちらにしろ碌でもない存在であるというのは確か。「メフィス」と「フェレス」からかの悪魔を連想したのはあくまで言葉遊びに過ぎない

『蠱毒』という言葉がある。壺の中に毒蛇、毒蟲を入れ蓋をする。壺の中の蛇や蟲はそのうち食い合いをはじめ、最後まで生き残ったモノは『最も強い呪いの力』を得るという
日本においては魘魅と並び、最も恐れられた呪法の一つとして有名である。これを人間同士で行った逸話としては有名なものは両面宿儺だ
だが、この場合。主催が重要視するのはどちらか、である。唯一生き残ったモノが重要なのか。
それとも死骸の方が重要なのか。後者の場合であれば、『死した魂』が何かしらに関わってくる可能性がある

はたしてこの殺し合いを開いた連中は、この平安京という名の壺を用意し、参加者という名の蟲を放り込み、真に何を企んでいるのか
ただ殺し合いを見たいだけなのか、はたまた死した魂を以ってして何かを為そうとするのか、それとも優勝者を何かに利用するか―――もしくは、この殺し合いの催し自体が、『囮』にして『時間稼ぎ』でしかないのか
なにせ舞台は宮中で策謀溢れた平安の都。妖や鬼、陰陽師が跋扈した神秘の時代が舞台だ。平安京にドイツの悪魔など時代錯誤にも程がある


660 : 平安の都のアリス 燈桜絶炎の章 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/01(木) 17:05:09 F5g2dyao0
「………深く考えすぎるのも、難儀なものだな」

数多の次元を渡り、5度も世界を救う結果となった有栖零児からすれば、思い当たる節がありすぎて、いざ考えれば深く入り込んでしまう

「……何にせよ、一人で出来ることなどたかが知れている。誰でもいいとは言わんが、協力者が欲しい所か」

まずは焦らず、人探しの方針だ。小牟か裏嶋博士がいる可能性にかけるのが一番であるが、最悪逢魔の連中……もしかすればこの殺し合いのためだけに沙夜が蘇らせられている可能性まである
『誰がいるのかわからない』という情報面での不足も、壁の一つとして立ちふさがる

協力者、と言ってもなるべくは殺し合いに乗らない人物と出会えるのが一番であるのだが
殺し合いには乗らずとも多少危険な人物とも出会う可能性はあるため、ある程度のリスクを覚悟しなければならない

「……流石にこれだけでは心もとないが、文句はいってられんな」

そう呟きながら、鞘に仕舞っておいた刀剣を取り出し、それを眺める。支給品の一つ、雪走(ゆばしり)。大海賊時代の世界において50本しかない“良業物”の一つ。切れ味や単純な使い勝手も含めれば刀剣としては十分当たり。然し零児の戦闘スタイルは刀と銃の両方を扱う、所謂ガン・カタだ。故に刀一本だけでは本領を発揮できないというもの

刀を仕舞い、零児は今一度この紅く染まった平安京を進むのであった



○ 



平安京に似合わぬ建造物が並ぶ景色が続く。だが零児としてはゆらぎによって他の世界の一部が融合したことによる混沌とした景色を見慣れているので、そこまで感傷に残るものではない。それでも明らかに洋風の建物が並んでいる事に関しては思うところはなくもないのだが

そんな町並みを歩いていく中、有栖零児は一人の少女と出会う。赤いグラデーションがかかった髪が特徴的な、一見学生にも見える少女
念の為とは言え刀を構え警戒するも、出会い頭でいきなり頭からずっこけ涙目。しかも彼女の発言を見るに地図を逆に見て迷子になっていたいう
その光景に呆れ果て、お相手の少女も殺し合いに乗っていないことを表明した為、零児の方も刀を納め、話し合うことにした。少女は名を安桜美炎と言った。

「俺は有栖零児。特務機関森羅のものだ。美炎とと言ったか。お前はこの殺し合い、どう見る?」
「どう見るって……こんなの許せるわけ無いですよ! あんな簡単に人を殺して、それでみんなで殺し合いしろだなんて……!」
「……言いたいことは分かるが、俺が訪ねたいのはそういうことじゃないぞ」

先の問いに、意図を一切わかっていないのか美炎という少女はその瞳に怒りと決意、少しばかりの寂しさ、そして焦りと憂いを浮かばせている。信頼に値するという意味ではその瞳だけでも十分だ

「それってどういう……?」
「じゃあ聞くが、お前はこの殺し合い、開いた連中をなんとかすれば解決だとは思っていないか?」
「……ハイ。思って、ました」
「……まあいい」

なのだが、どうにも少々頭が足りないと言うか、その点が心配ではある。まあ世の中そういう子もいるだろう


661 : 平安の都のアリス 燈桜絶炎の章 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/01(木) 17:05:24 F5g2dyao0
「この殺し合い、平安京という舞台に似合わぬ建造物の数々、関わっているのは光に愛されざる悪魔の名を持つ少女二人。やつらの本命は参加者同士の殺し合いではなく、それに関与した何かの可能性が高い」
「……それって、どういう」
「つまりだ。分かりやすく言うなら、この殺し合いそのものが奴らにとっての時間稼ぎという事になる」
「……!」

自分の説明にやっと理解したのか、ハッとした表情で思い浮かぶ美炎

「だったら尚更……!」
「落ち着け。元凶を討ち滅ぼした所で目的を止められなければ意味が無い。だがすぐさま行動に移る事は出来ない。こういう事は、一歩一歩地道に事を進めていくのが大切だ」

重要なのは積み重ね。相手はこれまで出会った敵とは違う意味で異質で強大だ。首輪もある以上、真っ向から戦っても勝ち目はない。考えを同じとする仲間を集め、首輪を解除し、攻め込む算段が立って初めて必勝たる軌跡は見えるのだ

「それとだ、何を焦っているのかは知らないが、少しは落ち着け。あまり好ましくないかもしれんが、お前の知り合いもこの殺し合いに呼ばれている可能性もありえる」
「それ、は……ううん、ごめん。心配させちゃった」

その発言に口籠るも、何かに気がついたかのように声色も変わる美炎

「……そうだよね。焦ってても何も解決しないなんて分かってるのに。だから、こんな所で立ち止まっていられないよ!」
「それがお前の一番の武器、とも言うべきか、美炎」
「はい!「思い立ったら猪突猛進」が私のモットーです!」



通りの内にある、平安京に似合わぬ西洋風の喫茶店の中にて情報交換は流れよく行われた
有栖零児は安桜美炎から刀使や荒魂に関する情報を、安桜美炎は有栖零児からゆらぎ、そして森羅と逢魔の長きにわたる戦いのことを
零児として意外だったのは安桜美炎やその仲間たちがゆらぎに近い事象と関わりがあったということだ

「……勇者に神様に超能力者、魔法に近未来からの転移者。普通なら頭を痛ませる話だぞ」

森羅が関わる事変に負けず劣らずの異世界案件に関わっている事に思わず頭を押さえる。神樹を守る勇者、ヘスティア神やレールガンを撃ち出す女子高生とその一行、挙げ句小学生の魔法少女とやら
有栖零児もまた幻想界や魔界、無限の開拓地エンドレスフロンティアなどの異世界に行ったことがあるが、あちらはあちらで異世界に飛ばされたり異世界から人がやってきたりと、こちらとあまり変わらないようである

「いや、でもそっちみたいに頻発しているわけじゃないから……」
「そりゃそうだ。閉鎖指定都市でも無いのにそう簡単にゆらぎが頻発されてたまるか。あちらのお役所仕事は相応に骨が折れると見た」

有栖零児のいた世界において、ゆらぎの発生率は比較的高い。特に閉鎖指定都市となっている場所は尚更だ。もしあちらでゆらぎと似たような現象が何度も起きているというのならば隠蔽対策などでお役所の役人は右往左往していることだろう
方針、というよりも次の目的地も決まっている。施設を虱潰しに捜索していき、こちらと目的を同じとする参加者は協力を取り付け、殺し合いに積極的ならば打ち倒していく
それと同時進行で首輪を解除するための手段も捜索していけばいい。出来ることならメフィスとフェレスの事を知っている参加者を見つけられればいいのだが

「……それと、刀使は身にあった御刀ではないと神力をうまく引き出せないようだが、大丈夫なのか? その御刀、お前のものではなく……」
「大丈夫です。確かにこの千鳥は私じゃなくて、可奈美の御刀。普通だったら私になんて使いこなせなんて……いや、それでも使ってみせる。いるかもしれないけど、これは可奈美に返さないといけないから。勿論、清光も見つけないといけないけど」

安桜美炎に支給された武器の一つ。御刀・千鳥。衛藤可奈美が所有する御刀。刀使はその身に合った御刀でないと神力を効率よく引き出せないと聞いた。だが、何の因果か美炎が再戦を誓った相手である衛藤可奈美の御刀が安桜美炎に支給されているのだ、まさに因果というべきか

店を出る前に有栖零児は安桜美炎に一つ訪ねた。最低限の人死が出るという事を。理由はどうであれ、相手を殺してしまわないといけないという可能性がある
刀使の話を聞く限り荒魂との戦いでも人死が出ることはある。が、これは人と怪物の戦いではなく、人と人による血みどろの殺し合いだ。安桜美歩は正しく純粋な人間だ
だが、彼女には「殺したくない」と共に「それでも諦めたくない」という強い決意があった。この残酷な世界で誰も殺さないという理想は文字通り理想でしか無い。彼女とて理解はしているだろう。だが、それでも彼女は諦めないと言い切ったのだ
だが、どうにもならなくなった時は、その時こそ有栖零児は穢れ役ぐらいは務めるつもりであった


662 : 平安の都のアリス 燈桜絶炎の章 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/01(木) 17:06:44 F5g2dyao0
【有栖零児@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD】
[状態]:健康
[装備]:雪走@ONE PIECE
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:殺し合いの裏に潜む陰謀を阻止し、元凶を討ち滅ぼす
1:美炎と共に施設を周り、目的に賛同してくれる参加者を探す。
2:もしかすれば小牟か沙夜がいるのか……?
3:出来れば銃も欲しいが
[備考]
※参戦時期は不明
※刀使や荒魂に関する情報を知りました

【安桜美炎@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
[状態]:健康
[装備]:千鳥@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
1:零児さんと共に施設を周り、目的に賛同してくれる参加者を探す
2:今は使うしか無いけど、可奈美がいたら千鳥を返さないと
3:みんなの事が心配
4:清光、どこかなぁ……
[備考]
※参戦時期は第四部第二章終了後〜第四部第三章開始前
※ゆらぎや特務機関森羅、逢魔に関する情報を知りました
※本来は刀使でもその御刀に選ばれないと写シ等はできませんが、この場では御刀を持てば種類を問わずに使用可能です
※大荒魂カナヤマヒメの力に関しては後続の書き手にお任せします

【雪走@ONE PIECE】
有栖零児に支給。麦わらの一味の剣士ロロノア・ゾロが所有する愛刀の一本
一般的な刀と比較すると軽くて扱いやすいのが特徴。
それでいて切れ味も鋭く、酒樽くらいなら簡単に輪切りにできる

【千鳥@刀使ノ巫女】
安桜美炎に支給。珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀
基本的には錆びず刃こぼれもすることはない
御刀に選ばれた者は刀使として写シなどの能力が使用できる
元は衛藤美奈都の御刀だが、娘の衛藤可奈美が受け継いだ
作中通りアニメ本編でも雷を斬ったこともあるにはあるが、
雷に完全な耐性、メタ性能を持っているわけではない
刀使以外には折れない錆びない剣と、それはそれで強い武器


663 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/01(木) 17:07:39 F5g2dyao0
投下終了します コンペロワで投下した候補作を一部流用しました


664 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 18:38:08 tO18iJew0
投下します。


665 : 変われる力恐れない ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 18:41:36 tO18iJew0
「…クソっ…なんで…なんでこんなっ…!」

紅き月の下、バッグを片手に一人の少年は必死に走っていた。
少年の名前はシン・アスカ。本来の歴史ではザフト軍のエースパイロットになる筈だった彼は…その2年前である14歳の時にこの殺し合いに巻き込まれてしまった。
ここで時を少々戻そう。

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シンがこの場に巻き込まれてしまったのはよりにもよって、MS同士の戦いの余波の爆風によって自分以外の家族が死に、妹の携帯を拾いに行った自分だけが生き残ってしまった直後からであった。
見せしめが殺された時、シン・アスカは思わず父の、母の、そして妹マユの亡骸を脳内にフラッシュバックさせてしまい…声にもならない嗚咽と慟哭を響かせ吐き気を催した。
それになんとか耐えながらも…死への恐怖と、自分だけが生き残ってしまった事への主催に対する怒りで感情がぐちゃぐちゃになり危うく発狂してもおかしくなかった所を…自分より年上であろう軍服を着た少女に保護された。

少女は口数こそ少なかったが…不器用ながらも優しく努めて、落ち着かせるように彼女がシンを励ました事によりなんとかシンは落ち着いた。
なおこの時、そんな余裕が全くなかったのもあって…彼女が下にパンツ…もといズボンしか履いてなかったことと、脚部に機械を装着していたことにシンは気付いていないのであった。

そしてその流れで少女が、自らの名前をシンに紹介しようとしたその時───襲撃者は現れた。

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襲撃者はヒトの形をしながらも全身に蔦のような植物がまとわりついており、右腕からは植物状の触手を、肩には棘が生えた伸縮する蔓を生やしていた。
襲撃者が二人を発見できたのは、地中に根を生やして感知したからである。

「危ないっ…!!っ!?」

襲撃者が触手でシンを襲おうとしたところを、すんでで反応が間に合った少女が魔法陣のような何かを展開させて触手を防ぐ。
そのまま拳銃を取り出し相手を撃とうとする少女であった…が、発砲しようとした瞬間、突然まるで何かが脳裏に映ったかのように彼女の手は震え息は荒くなり、狙いは定まる様子がなかった。

一瞬の躊躇の後、その少女はシンに向かって叫ぶ。

「私が抑えてる内に、きみは逃げろ!!」
「…に、逃げろったって!あんたを放って行けっていうのかよ!?」

突然そんなことを言われたシンは思わず反発するも…彼女は先程展開した魔法陣のようなもので相手の触手を防ぎつつなお叫ぶ

「私なら…大丈夫だから…!…頼むっ…やらせて、くれ…今度、こそっ…今度こそ、守りたいんだ!!」
「…っ…わかった…死ぬなよ!」

少女の気迫に押されたシンは、躊躇を見せながらも逃げる事を選んだ。
去り際に、少女が一人溢した言葉に不安を抱きながらも…。

「…さて、おまえにも付き合ってもらうぞ……私の、罪滅ぼしに!!」

----

そして時は現在へと戻る。
シンは少女に言われるがまま…襲撃者から一目散に逃げていた。
…が、彼はふと足を止める。

(…いいのかよ…あの人を見捨てて、僕だけが逃げてていいのかよっ!?)

シンの足を止めさせたのは、突如脳裏に浮かんだ家族達の凄惨な最期。

(っ…このままじゃ、あの時と…何も変わらないじゃないか!また僕だけが…僕一人だけが、のうのうと生き残るのか!?
……嫌だ…こんなところで…こんなところで僕は…俺はっ…あの人を見捨てるなんて…ふざけるなぁっ!!)

吐き気に耐えつつ一瞬の躊躇の後、シンはバッグの中身を見る。バッグの中に入っていた剣を手に取り説明書を読んだ後…少年は反対側の方向へと、一目散に走り出した。

そして剣は、姿を変えて行く───


666 : 変われる力恐れない ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 18:42:28 tO18iJew0
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一方シンを逃した少女は、魔法陣のようなもの…シールドを駆使して、なんとか相手の攻撃を防いでいた。
しかし今の彼女には、左手や背中から放たれる蔓の一撃や右手から振われる触手の一撃を防ぎ続ける事しか出来ず…また銃を撃とうにも撃てない状況にあった。

(くっ…なぜだ…銃の引き鉄を…引かなければ…だというのに…!!)

少女の名前はアンジェラ・サラス・ララサーバル。
第504統合戦闘航空団、通称アルターウィッチーズに所属しているウィッチである。
そんな彼女はなお相手に発砲しようとする…が、引き鉄を引く寸前に、脳裏にこの殺し合いに呼ばれる前の出来事がまた映り込む。

かつてララサーバルは、ベルリンでの戦いにて住民達を守ることが出来ずに撤退せざるを得なかったことがあった。
その時のことがずっと心の片隅から消えずに残っているが故に、彼女は守ることに拘っている。
理由はどうであれ…住民達を見捨てて逃げた形になったという事実を悔やみ、また引き摺っていて…それを自らの罪だと背負い込んでいるのだ。

そんな中、504に所属したララサーバルはある時ネウロイと対話を試みるトラヤヌス作戦に参加する…も、作戦は失敗、多数のネウロイが現れる中彼女は肩に負傷を負ってしまう。
それでも彼女は、殿を務めてネウロイ相手に戦い…重傷を負いながらもなんとか持ち堪えて見せた。
───だが、問題はそこから復帰した後だ。

傷が癒えた彼女は、隊の仲間と模擬戦を行なったのだが…そこでペイント弾を発砲しようとした際、負傷した際の記憶が脳裏に再生されて…結果なかなか発砲できず、発砲したはいいが、射線が乱れたのか初撃を当てれなかったりと不調が発生していた。
違和感を感じたララサーバルは…重要な作戦であるオペレーション・マルスの目前なのもあって、誰にもこの事を告げない事にした。彼女は一人で思い悩み、抱え込みがちな性格であった。
そして作戦が決行される直前───彼女はこの殺し合いに放り出されていた。

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再び時は今へと戻る。

発砲が出来ない現状では、ララサーバルの固有魔法である「魔法炸裂弾」は何の役にも立たない。
よって今の彼女には、シールドを使って防ぐか…シールドを使わずに攻撃を回避するかしか手段はない。
だが相手は避けさせる間も与えずに攻撃を重ね、更にララサーバル自身もフラッシュバックが理由で不調から脱せずにいた。

そんな状況が暫し続いた後、相手はララサーバルに背中の蔓の一撃を当てようとし…それとは時間差で右腕の触手を使い、不意を突き彼女を吹っ飛ばした。

「っぅ!?しまっ…ぁ、うぁぁ!!」

相手はララサーバルに立て直す時間を与えずに、背中の蔓で全身を絡め取ってしまう。
そのまま相手は彼女の体液を養分として啜り出そうとし、またそれを効率良く行う為か右手の触手を使い、力任せに彼女の首を締めていく。

「ぁっ…!?ぁぐ、は…っ、ぅぁあ…!!」

悲鳴をあげながら、自分の命の終わりが近付いている事を感じているララサーバルは一人思考する。

(…ここで私は、終わるのか…。
…報いなんだろうな、あの時…守れなかった罪の…。
…隊長、シュレーア大尉…シェイド中尉…すまない。私は…もう…戻れないようだ…。
…あの少年を逃がせたことが、せめてもの救いか……こうなることがわかっていれば、美味い飯を食べてから…死にたかった、な……っ!?)

無理矢理自分を納得させ意識を闇に落とそうとしていた彼女はある光景を目に映し、混乱する。

それは…先程逃した筈の少年が、扶桑刀に近いが違う、まるで龍の尾のような三日月型の刃が鎖によって柄尻に繋がれている刀を持ちながらこちらに向かってきている姿であった。

(…な、んで…きたんだ…逃げろ…私なんて、見捨てて…きみだけでも逃げて…くれ…)


667 : 変われる力恐れない ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 18:42:56 tO18iJew0
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ララサーバルの命が消える一歩手前で、少年は───シン・アスカは間に合った。


(…死なせない、あんたを…死なせるもんか!!)

そのまま彼は、彼女を…ララサーバルを救う為に刀の能力を使う。
…しかし、説明を読んだとはいえ、扱うのは初めてであるシンには、ララサーバルの身体に絡まっている蔓のみを攻撃することは不可能…な筈だった。
だが彼は…彼女を救う為にひたすらに集中し、その結果───種が弾けるような感覚と共に、シンの目からハイライトが消え、更に集中力が研ぎ澄まされた。

相手は少女の体液を啜り首を折ろうとする事に集中していて、シンの接近には気付かなかった。そのままシンは刀の…氷輪丸の始解により発動可能な技である「群鳥氷柱」を使う。
射出された紫色の氷柱は…シンの驚異的なコントロール力によりララサーバルを傷付けず周りの蔓のみを切り裂いていった。

この一撃によりララサーバルは命を拾い、咄嗟に距離を取れた…が、相手は今度はシンに向かって触手を伸ばそうとする。

(…ここで、ここで撃たなければあの少年は…!!)

再び銃を構えようとするララサーバルであった…が、過去の記憶が再び呼び起こされ手は震え息が荒くなってしまう。

(…引き鉄を引け私っ…!!頼む!!このままでは…また私は、守れずに…あの時に、ベルリンで敗走した時に決めただろう!?
今度こそ守ると…あんな、たった一度の負傷で…負けてられない…だからっ…!!)

いつの間にか、震えは止まり息も落ち着いていた。
そしてララサーバルは…数発発砲。着弾と同時にそれらを、自らの固有魔法で炸裂させた。
結果───相手は、不死の怪物は首輪の制限もあり、そのまま緑色の血を流して倒れ込みあり得ぬ筈の死を迎えた。
怪物の敗因は、己の不死性を過信し銃弾を回避せずに受け止めようとした事と、目先の獲物に注意をし過ぎた事である。

【プラントアンデッド@仮面ライダー剣 死亡】
※死亡後にラウズカード(アンデッドを封じる為のトランプ型に近いカード)になるか否かは後続の書き手にお任せします。


668 : 変われる力恐れない ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 18:43:41 tO18iJew0
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「…倒せた、のか…?」
「おそらく…な」
「…良かった…間に合って…なんとかあんたを助けられた…」

ため息を吐くシンに対しララサーバルが抱く感情は二つある。
一つは、何故自分を見捨ててそのまま逃げてくれなかったのかという思い。
そしてもう一つは───

「…感謝する。私を…救援に来てくれて…」
「…俺はただ、自分だけのうのうと生き残るのは…もう嫌だったから。無我夢中でやったら…いつのまにか出来てたんだよ」
「……そうか」

ララサーバルは彼の過去を知らない。だが…自分だけがのうのうと生き残るのはもう嫌だと、そう寂しそうに言った彼の表情に、親近感のような何かを感じた。

「しかしそれでもだ。きみがいなければ私は、間違いなくあの化け物の餌だっただろう。
…名前、言い忘れてたな。
私はアンジェラ・サラス・ララサーバル。アンジー…と、そう呼ばれることも多い」
「…シン。シン・アスカ」
「…よろしく頼む、アスカ」
「こちらこそ…よろしくな、アンジ…うわあっ!?」

握手を求めたアンジーにシンが応えようとした…その時であった。先の戦いでの消耗もあって身体をふらつかせてしまったアンジーが、シンを押し倒す形で勢いのまま倒れ込んでしまったのは。
いくらコーディネイターとはいえ、彼もまた先の戦いの際の消耗により注意力が散漫となっていた。
しかも運が良いのか悪いのか、シンの手の先には───

「はぅ、ぁ…んぅ…っ…!?」
「へ?…あぁっ!?ごめんっ…!!」

軍服越しとはいえ、アンジーの豊満な胸が鷲掴み状態となっていた。
シンは顔を赤くしながら年相当に慌てて、アンジーはみるみる内にこの紅き空の如く顔を紅く染めて行った。

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こうしてアンジェラ・サラス・ララサーバルは、本来オペレーション・マルス時に克服する筈だったPTSDらしき症状をそれより前に克服し、またシン・アスカに至っては、本来の歴史ならば2年後、MSのパイロットとして戦う最中に発現する筈であったSEED能力をそれより前に発現させ、トラウマを振り切る事を選んだ。
二人は過去に囚われながらも、なんとか未来を殺さないように足掻いてみせた。
───だが…全てがプラスに働くわけではない。

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殺し合いに巻き込まれてからずっと、心の片隅で考えていた。どうして父さんや母さんやマユが死んで…俺だけが生き残ってしまったんだろう…って。

でも、あの人に助けられて…何となく、理由がわかった気がした。

…ごめん、父さん、母さん。…マユ。俺はまだそっちには逝けないや。
俺は…偶然拾った命を使って、あの人を…年上なのに危なっかしくて、放っておけないあの人を…守るから。

…多分それが…俺にとっての、一人だけ生き残った俺の、罪滅ぼしなんだ。


669 : 変われる力恐れない ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 18:44:48 tO18iJew0
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【アンジェラ・サラス・ララサーバル@ストライクウィッチーズシリーズ】
[状態]:ダメージ(中)、恥じらい
[装備]:ファロット G55Sストレーガ@ストライクウィッチーズシリーズ
[道具]:基本支給品、グロック26@フルメタル・パニック!、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いの打破
1:今はアスカと共に行動。
2:できればアスカを信頼のおける誰かに預けたい…が、当人が拒否しそうな気もする。
3:シェイド中尉達が巻き込まれていない事を願う。
4:……隊長…ドッリオ少佐に揉まれた時…以来だな……。
5:今度こそ守り切りたい。
[備考]
※参戦時期は「ストライクウィッチーズ 紅の魔女たち」の3巻、オペレーション・マルスの実行前日からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
[状態]:健康、主催への怒り、決意、疲労(中)
[装備]:氷輪丸@劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:主催を許すつもりはない
1:アンジーを守る。
2:あんな事をする奴ら(メフィスとフェレス)…許すものかぁっ!!
3:…まだ俺は、マユ達の所には逝けない。
[備考]
※参戦時期は家族の遺体を発見した直後からです。
※SEED能力が発現しましたが、まだ自由には発動させる事はできません。

※プラントアンデッドの死体の近くに支給品一式が入ったバッグが落ちています。

【ファロット G55Sストレーガ@ストライクウィッチーズシリーズ】
大型のネウロイ戦を想定し、DB605DCMエンジンというリベリオンの高品位な燃料に対応したエンジンを搭載する事で攻撃力を強化したユニット。
しかし肝心のエンジンの数が少なかった為に、ごく少数のみがエース用として配備された。

【グロック26@フルメタル・パニック!】
同作の主人公である相良宗介が「フルメタル・パニック!The Second Raid」までのアニメ版にて携帯している拳銃。
サイズが小さい為日常的に隠して携帯し易く、またサイズの割には装弾数が多めなのも特徴。

【氷輪丸@劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸】
斬魄刀の一つ。日番谷冬獅郎の斬魄刀…ではなく、こちらは彼のかつての親友である草冠宗次郎が所有していた方。日番谷の氷輪丸とは鍔の形状に差異があり、また日番谷の氷輪丸とは違い発生させた氷が紫色になっている。
能力は日番谷冬獅郎の物と同一で、大気中の水分を凍らせたり、刀に触れた物を凍らせたり、水と氷で竜を造り出したり出来る。
しかし日番谷とは違い、草冠は卍解へと至っていない。
なお今ロワでは、主催の手により始解と始解で放つ技は持ちさえすれば誰でも使用可能。
ただし卍解に辿り着くことは不可能となっている。


670 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/01(木) 18:45:02 tO18iJew0
投下終了です。


671 : ◆ytUSxp038U :2021/04/02(金) 01:06:58 K9hlBgIk0
投下します


672 : Gathering sword ◆ytUSxp038U :2021/04/02(金) 01:11:05 K9hlBgIk0
「殺し合い、か……」

紅く染まる平安京。
その地で最も目立つ歯車の塔を睨みつける男が一人。
麦わらの一味の剣士、ロロノア・ゾロはこれまでの光景を思い出していた。

海賊として常に気は張っていたつもりだ。
海軍や同業の連中にいつ襲われてもおかしくないよう、警戒は怠った事は一度も無い。
だというのに気が付いたら、本当に何の前触れもなくあの塔に集められていた。
一体全体どんな手を使ったのかは不明だが、メフィス達がただの子どもという事は有り得ないだろう。

気に入らない、とゾロは思う。
まともに身動きの取れない少女を嗤いながら殺し、こんな首輪を填めて自分を飼いならしたつもりでいるあの二人が。
別に正義の味方を気取るつもりは無いし、仲間のコックのような騎士道精神に溢れている訳でもない。
ただ連中への強い不快感は隠せない。
可能ならばさっさと二人纏めて斬りたい所である。
とはいえ首輪があるのにそんな真似をしたらどうなるか、それは見せしめにされた少女が身をもって証明している。
早まった真似はできない。

だが同時に、殺し合いに対して興味を抱いている自分もいる。
メフィスが言った、「あまりにも強すぎる力を持つ者へのセーフティロック」という首輪の効果。
それはつまり、わざわざ力を制御しなくてはならない程の存在がいるということ。
元の力があれば、主催者達ですら手に余るような強者が参加している。
その事実に口の端が吊り上がる。
強者との斬り合いはむしろ望む所だ。
まだ見ぬ強者だろうと乗り越えるくらいの事をしなくては、世界一の大剣豪など夢のまた夢で終わってしまうのだから。

「…で、あのガキども、俺の刀をどこにやった?」

一転して顔を顰めながら自身の腰に視線を向ける。
本来ならばそこにあるはずの三本の刀は、影も形も無い。
十中八九メフィスとフェレスに盗まれたのだろう。
己の命を預ける刀があんなふざけた連中に取られた事に、舌打ちをする。
これでまた一つ、メフィス達をぶった斬る理由ができた。
とにかくまずは武器の確保が最優先である。
流石のゾロとて、無手のままで戦い続けるのには限界がある。
使い慣れた刀、自身の愛刀3本ならば尚良し。
一抹の望みと共にデイバックへ手を突っ込むと、その感触に手応えを感じ引っこ抜く。

「こいつは…」

出て来たのは黒い鞘に納められた一本の刀。
金色の鍔と黄色の下緒は自身の刀には無かった物。
愛刀では無いとはいえ刀が手に入ったゾロだが、顔には喜びでなく驚きの表情が浮かんでいる。
これはただの刀ではない。
直感的にそう思わせるだけの、強大な力を感じたからだ。
鞘から引き抜き露わになった刀身を見やる。
刃こぼれ一つ無い、美しさすら感じさせるが、同時に刀が放つ力もより強くなったように感じた。
大業物にも引けを取らない、下手をすれば凌駕しかねない程の妖刀。
そんな印象をゾロは抱いた。
柄にもなく一筋の汗が流れる。だが

「面白ぇじゃねえか」

刀の異様な圧力を叩きつけられて尚も、笑って見せる。
確かにこれは危険な代物だ。
生半可な力しか持たない者では、逆に刀に呑まれるのだろう。
しかし、それを本能で理解しても刀を手放す気などゾロには無い。
この刀が自分を喰らおうとするのならば、ねじ伏せ己の糧にするのみ。
出来なければ、自分はその程度の男だったというだけの事だ。

刀を鞘に納め腰に差す。
三刀流の異名通り、三本揃ってこそ本領発揮できるゾロとしては、後二本無くてはどうにもしっくり来なかった。
だがデイバックから他に刀が見つからなかった以上は仕方ない。
準備が整ったゾロは、適当に歩いて他の参加者を探すことにした。
気掛かりと言えばこの場に仲間たちが連れて来られている可能性だが、それ程心配はしていない。
今更そんじょそこらの雑魚にやられるようなヘマはしないはずだ。

恐れなど微塵も無い、堂々とした足取りで平安京を歩き出した。


○○○


673 : Gathering sword ◆ytUSxp038U :2021/04/02(金) 01:12:40 K9hlBgIk0
数十分後、大層な手間と金を掛けたであろう屋敷の前で、ゾロは参加者と遭遇した。
それは一人の女。
蝶の髪飾りと羽織が特徴的な、色恋沙汰に関心の無いゾロから見ても美人と言える顔立ち。
だがゾロは、彼女が誰かに守られるようなか弱い存在ではないと見抜く。
こうして立っているだけでも、隙が一切感じられ無い。
妙な動きを見せれば即座に、女は腰に差した剣を抜き放つだろう。
早速面白い相手が出て来たかと笑みを浮かべるゾロに、女は柔和な笑みを向ける。

「突然ですみませんが、あなたもこの催しの参加者ですか?」

口調はとても優し気だ。
しかしその目は笑っていない。

「まぁな。あんたも同じクチか?」
「ええまぁ。ああ、名乗らないのは失礼ですね。私は胡蝶しのぶと申します」
「ロロノア・ゾロだ。聞きたいのはそれだけか?」

いえいえとしのぶは笑みを崩さず続ける。

「めふぃすとふぇれす、彼女たちの口車に乗ったのか否か。それをお聞かせいただけませんか?」
「ハッ、あんな連中に従う気は無えよ」
「あら、それでは…」
「だが殺し合えってんなら話は早え。この首輪は鬱陶しいけどな」

しのぶが目を細めゾロを見据える。
周りの温度が下がったような寒気が、ゾロの肌を叩く。
やはり普通の女ではなかったらしい。

「それはつまり、殺し合いに乗ったと言う事でしょうか?」
「別に誰彼構わず殺して回るつもりはねえよ。だが、強い奴と殺り合うってんなら話は別だ。アンタはどうだ?」
「…ふぅ。野蛮な方、ですね」

ゾロが挑発的な笑みを浮かべるのに釣られてか、しのぶも冷たく笑う。
別段ゾロとしては、何もしのぶを殺そうという気は無い。
相手が殺し合いに乗っているならまだしも、最初にあんな質問をしたという事は違うのだろう。
しかし、それはそれとして彼女の実力には興味がある。
刀に手を掛けると、しのぶも同じく柄を握り締める。
二人の剣士の間で一気に空気が張り詰め、得物を抜くのも時間の問題と思われた。
が、そんな空気は一瞬にして消し去られた。

「二人ともそこまでだ!!」

凛とした声が響く。
互いに集中していたゾロとしのぶは、虚を突かれたように声の主を見た。
彼らの視線を受けるのは、これまた刀を手にした女だった。
2人を真っ直ぐと見据える瞳には、強靭が宿っているように見えた。

「そちらの事情は知らないが、この場での争いを見過ごす訳にはいかん!安易に殺し合いに乗ってしまっては、彼女達の思う壺だぞ!」

どうしても聞き入れないのなら、力づくも辞さない。
そんな空気を女からは感じた。
更なる強者の出現にゾロは高揚を覚えながらも、少々混乱してきた場にさてどうするかと考える。
この状況にしのぶはどう出るのかと横目で見やると、思いっきり引き攣った笑みになっていた。
首を傾げるゾロを無視して、しのぶは女に話しかける。

「あの……」
「む、どうした?敵意を抑えてくれる気になったか?」
「いえ私は最初から殺し合う気は無くて、適当に動けなくするつもりだったんですが…。それより、その服は……」
「うん?服がどうかしたのか?」

何かを言い辛そうにするしのぶに対し、女は不思議そうな顔をする。
しのぶが顔を引き攣らせる理由は、女の恰好にあった。
右目を覆う眼帯と白い軍服はまだ良い。
問題は下半身。
下着らしきものだけを着用し、健康的な白い太ももが付け根からほぼ剥き出しになっている。
これではただの痴女にしか見えない。
何故彼女はこんなあられもない恰好をしておきながら、こんな堂々としているのか。


674 : Gathering sword ◆ytUSxp038U :2021/04/02(金) 01:15:47 K9hlBgIk0
(甘露寺さんのように騙されているのでしょうか…?)

下心丸出しの輩に言いくるめられて、このような破廉恥な姿をしているのかもしれない。
そんな事をしのぶが考える一方で、ゾロもこの場が既に斬り合うような空気で無くなった事を察する。
先ほどまでの一触即発な雰囲気はどこへやら、少々肩透かしを食らいつつ女に話しかけた。

「あー、お前も殺し合いには乗ってないのか?」
「勿論だとも。あのような非道を働く者は、たとえ少女だろうと許してはおけないからな。それで、そちらが剣を納める気が無いのなら…」
「アンタの実力にも興味はあるが、もう戦り合う気はねえよ」
「おおそうか!それなら何よりだ!はっはっはっはっ!!」

豪快に笑う姿に、何とも掴みどころのない女だと思った。

「ところでその刀は…」
「ん?ああ、鞄を開けたら入ってたんだよ。知ってるのか?」
「いや、こんな禍々しい魔力を放つ刀は初めて見るな…」
「マリョク?」

言葉の意味は分からないが、どうやらこの刀が持つ力について何か知っているらしい。
気になったゾロが詳しく聞こうとするが、割って入ったしのぶに遮られた。

「……いえ待ってください。どうしてそんな平然としているんですかあなたは」
「あぁ?こりゃもう剣を抜くような空気じゃねえだろ」
「そうではなくてですね、彼女の恰好を見て疑問に思ったりは……」
「すまない、何が問題なのか私には分かりかねる」

本気で分からないといった様子のゾロと女に、しのぶはつい眉間を押さえる。
ゾロからすれば女の恰好に不審な点は無いように思えた。
彼のいた海では珍妙な姿の海賊など珍しくもない。
故にこの程度の露出など騒ぐ程のことではないのだが、そうとは知らぬしのぶは頭が痛くなった。
最初に会った参加者が、血の気盛んな上に鈍い男と、豪胆だが露出癖のある女だとは。
何だか緩い空気になってしまった気がするが、とにかく今は殺し合いの真っ只中。
気を引き締めねばと頭を切り替える。

「…とりあえず、今は腰を落ち着けて情報交換といきませんか?幾つか聞いておきたい事もありますし」
「俺は良いが、お前はどうする?」
「うむ、私も異論はない。っと、すまない、名乗るのが遅れたな。私は坂本美緒と言う」

後の詳しい話は中に入ってからと、三人は目の前の屋敷に入って行く。

海賊、鬼狩り、ウィッチ。
異なる世界から集められた剣士達は、こうして邂逅を果たした。


【ロロノア・ゾロ@ONE PIECE】
[状態]:健康
[装備]:闇魔刀@Devil May Cryシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(刀剣類は無い)
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスを斬る。強い奴がいたら戦いたい
1:今は二人と情報交換する
2:ルフィ達もいるのか気になるが、それ程心配はしていない
3:自分の刀を取り戻す
[備考]
※参戦時期はドレスローザ編以降のどこか。

【胡蝶しのぶ@鬼滅の刃】
[状態]:健康、精神疲労(微小)
[装備]:インテグラの剣@HELLSING
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める
1:今は二人と情報交換する
2:自分以外にも鬼殺隊の者がいるのか気になる。
3:自分の日輪刀が欲しい
4:どうしてあんな恰好をしてるんでしょうか……
[備考]
※参戦時期は煉獄死亡後のどこか。

【坂本美緒@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:桐一文字@アカメが斬る!零
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(ストライクウィッチーズ及び派生作品出典の物は無い)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める
1:今は二人と情報交換する
2:501部隊の者がいるのか気掛かり
3:ユニット等自分の装備を取り戻したい
[備考]
※参戦時期は一期終了後〜完全に魔力を失う前のどこか

【闇魔刀@Devil May Cryシリーズ】
伝説の魔剣士スパーダの形見の一つ。
日本刀型の魔具であり、非常に強い魔力を持つ。
「人と魔を分かつ剣」とも言われており、人間界と魔界の境界を断ち切る力がある。
スパーダと彼の息子達は、離れた相手を次元を超えて斬り裂く「次元斬」という技を使っている。

【インテグラの剣@HELLSING】
HELLSING機関の長官、インテグラが愛用する西洋剣。
アンデルセンの一撃を防ぎ、吸血鬼の首を落とすなど切れ味と硬度に優れる。

【桐一文字@アカメが斬る!零】
暗殺部隊時代のアカメが使用していた日本刀型の臣具。
切った傷口が治癒不能になる効果がある。


675 : ◆ytUSxp038U :2021/04/02(金) 01:18:23 K9hlBgIk0
投下終了です


676 : ◆ytUSxp038U :2021/04/02(金) 01:18:36 K9hlBgIk0
投下終了です


677 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/02(金) 02:19:58 hSpdHfH20
投下します


678 : 影と影 ◆EPyDv9DKJs :2021/04/02(金) 02:22:18 hSpdHfH20
 平安京の街並みより少し離れた自然の混ざった林道。
 西洋の騎士を彷彿とさせる装束に身を包む、前髪が瞳を覆う一人の青年。
 禍々しいオーラを醸しだす姿は、不気味さ漂う平安京では一際目立つ。
 名前はダーク王子。名前ではないのではないかと思うが本当にそういう名前だ。
 魔王軍幹部が一人、異界召喚士によって造られた王子を模した存在になる。

「ハイドース……の仕業ではなさそうだな。」

 冥界の亜神と呼ばれる存在の介入により、
 眠っていた彼は封印状態から目覚めざるを得なくなった。
 魔王ガリウスの影も倒し、落ち着いたところでこの状況。
 戻る世界を間違えたのではないかと思えて来るほどだ。

 あの場には生みの親たる異界召喚士もいた。
 数多くの異世界に理解のある彼が二度目の死に際に、
 何かやらかした末の状況、と考えてもおかしくはない。
 この手の事故はよくあることだ。『オリジナルの方では』と注釈が付くが。
 あくまで風の噂でしか聞いたことはないがその旅路は波乱万丈なのはわかる。
 色んな世界とも通じた経験があるのならば、自分もその経験の一つもするだろう。

「気に入らんな。」

 ダーク王子は言うなれば魔王軍の尖兵の類に過ぎなかった。
 だが王子を模したからか、具体的な理由は不明だが魔界にも叛逆し、
 一度はあり得ない奇跡を起こし、オリジナルを下し勝利をもぎ取った存在だ。
 だから彼は言いなりにはならない。自分の道は自分で往く。それが王なのだから。

「さて、隠れてるのも程々に出てきてもらおうか。
 不意打ちを好むなら別に構わないぞ。王を闇討ちするのは至極まっとうだ。」

「ウ……」

 図星と言わんばかりの声と共に、
 木陰から姿を見せる、子供に近い背丈の存在。
 相手は一般的な見識を持つ人間からすれば、
 所謂ロボットと言う認識が一番近い姿だろう。
 十字傷が刻まれた橙色の桃形兜を被る、というよりは融合した状態で、
 人型に近い所謂機械人形。傀儡使いの人形を彷彿とさせる。
 (彼のいた世界における傀儡使いは基本的に機械人形と戦う者を指す。) 

(臣下が言ってたカブトに似てなくはないな。)

 ハイドースを追う行軍中、
 臣下達に眠ってる間世界のことをいくつか聞いた。
 天界での戦い、亜神との邂逅と言った相も変らぬ千年戦争を超えた戦い。
 オリジナルは自分を飽きさせることはない大きな戦いばかりに首を突っ込む。
 だからこそ好敵手に相応しい。『戦友』と呼ぶには足りえないが。
 その話の中で、異界の九尾がやってきたという話も聞いた。
 九尾が連れてきた軍勢には、このような兜の軍勢もいたとか。
 無論、また聞きなので具体的な姿については知らない。

(マ、マズイ。コノ男ハ強イ。殿ニ匹敵スルカ?)

 この謎の存在、その世界では彼らは『兜』と呼ばれる。
 彼が聞いた九尾のいた世界に蔓延る、人類の敵たる兜の一体。
 兜にも様々な個体が存在するがこの兜は所謂『桃形兜』。
 場合によっては村人でも処理できる程度の強さしかない。
 言ってしまえば足軽、雑兵……そんな程度の強さだ。
 数だけは無数にいるため、よく見かける存在になる。
 勝ち目は万に一つもないと思うべきだろう。

(ケドコンナトコロデ怯エル奴ガ、殿ヲ倒セルワケガナイ!)

 だがそれで諦めるわけにはいかない理由がある。
 この桃形兜は前田利家の魂が宿った大型兜に仕えた兜。
 前田利家に槍を託され、今も生きながらえてる存在。
 仇敵たる殿を討つまでは死ぬつもりなく、得物を構える。
 誰がどう見ても青い物干しざおで利家の槍どころか、
 自分が捨てた槍にも劣るナマクラ以前の知りものだ。
 それでも、槍を受け継いだだけあって槍術は磨いている。

「瞳こそ見えないが強い意志を感じるな。
 此処で死合うには惜しい。俺と来る気はないか?」

「エ?」

 ダーク王子の提案に桃形は戸惑いを隠せない。
 自分が勝てないと分かってる。ならば相手も分かっている。
 此処でやり合わずに引き入れるメリットがなかった。

「僕ガ仕エルノハ亡キ利家様ダケダ! 断ジテお前ジャナイ!」

 命拾いなどと思うことはなかった。
 他にも多くの大型兜がいるというのに、
 彼は武田にも上杉にも、豊臣にすら仕えずに生きている。
 仇を討つために誰に仕えもせずに生き抜いてきた。
 故に新たな主君などもってのほかだ。

「死んだ、か。仕える主を生き返らせるための戦いか?」


679 : 影と影 ◆EPyDv9DKJs :2021/04/02(金) 02:22:45 hSpdHfH20
「違ウ! 『僕』ハ利家様ノ仇タル殿ヲ討ツ!
 アノ人ハ『俺』ナラヤレル言ッテクレタ!
 ナラ俺ガヤルノハ殿ヲ討ツコト、ソレ一ツダケダ!
 ソノ為ニ帰ルダケデ、アイツラノ願イニモ興味ナンカナイ!」

 ほう……と少し関心を抱く。
 甘言は二の次で帰還を目指そうとは。
 主を復活させることすら可能だというのに。
 お世辞にも強いとは言い難いその実力で、
 これほどまでの啖呵を切ってなお自分に立ち向かおうとする。

「勇ましいな。ならば俺もその心構えに敬意を払おう。
 俺の軍門に下れとは言わん。勝手について来る気はないか?」

「……? ソモソモソッチハ何ガシタインダ?」

「俺はあの悪魔を、その先にいる奴を討つ。
 ただの殺し合いよりも遥かに過酷な道のりだ。
 だが、俺がオリジナル……王子の上を行くならそうする。
 お前もトノと言う奴を超えるなら、そいつができることを成し遂げろ。
 奴に成せることを自分ができないと思うな。超えるとはそういうことだ。」

「殿ガヤルト思ウコト……」

 この場に殿がいたらどうするか。
 決まっている。あらゆる城娘に手を差し伸べる人物で、
 民草の脅威となる自分達兜を倒し続ける男が乗るはずがない。
 殿ならば仲間を率いて殺し合いそのものを否定するはず。
 きっとそれは単に殺し合うよりもはるかに難しいだろう。
 倒すだけではだめだ。敵か味方かを見極めたうえで、
 自分たちを集めるだけの力を持った連中と戦う。
 簡単と言えるわけがない。

「改めてお前に問おう。俺と同盟になる気はないか?
 殺し合いを破綻させる。見返りは元の世界への帰還。それだけだ。」

 安い見返りと普通は思うだろうが、この場合は違う。
 それ以外何も施さない。それ以上与えられることは、
 自分の力で殿を討つ彼の心意気を否定することに他ならない。
 故にそれだけだ。最低限の気遣いだけをさせる。
 後は彼が進むべき道だ。

「……友軍、ナラ受ケ入レル。
 ケド、友軍デモ配下デモナイカラナ!
 ツイデニ信用デキナイト判断シタトキモ分カッテルナ!」

「分かっている。俺が友軍とするならばあいつだけだ。
 同じ世界を愛した、あの男以外に友軍がつとまるはずがない。
 だがお前は俺を裏切らない。俺が築いてやるさ。この殺し合いを終わる道を。」

 彼らは元の世界では言うなれば敵だ。
 物質界を自分の物だと称し覇道を歩んだダーク王子。
 人類の脅威に対抗する殿と仇討ちを目論む桃形兜。
 どちらも決して味方に足りえる存在ではない。
 (ダーク王子については少々語弊もあるのだが。)
 二人は敵……しかしこの場で抱いた目的は意外にも、光だ。

【ダーク王子@千年戦争アイギス】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3(未確認)
[思考・状況]
基本方針:物質界は俺の物だ。それを邪魔するのであれば容赦はしない。
1:桃形兜は同盟だ。友軍でも配下でもない、対等の存在だ。
2:ついてくる気がある奴を連れて行く。障害は排除する。
[備考]
※参戦時期は2021年エイプリルフール企画、
 千年戦争アイギスダークネスReturn終了後です。
※暗黒の波動は使えますが何のバックアップもなしで使えば一度きりの能力です。

【桃形兜@御城プロジェクト:Re】
[状態]:決意
[装備]:物干しざお@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:帰還シ殿ヲ討ツ。
1:ダーク王子ノ同盟トシテ行動。同名ノ意味ガナイト判断シタラ破棄スル。
2:コノ男ノ軍門ニハ下ラナイ。アクマデ対等ダ。
3:利家様ノ槍、何処カニアルダロウカ。
[備考]
※個体は『武神降臨! 前田利家』で槍を受け継いだ桃形兜で、
 参戦時期は2021年エイプリルフール後です。

【物干しざお@現実】
ベランダに置いてある長いアレ。
特筆すべき要素はないが、棒なので突かれるとかなり痛い。
間違ってもどこぞの侍の刀ではない。


680 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/02(金) 02:24:53 hSpdHfH20
投下終了です


681 : ◆4kMBNI9QkE :2021/04/02(金) 08:29:12 QifQ6WTI0
投下させていただきます


682 : 雷神の戦斧!マイティ初穂誕生! ◆4kMBNI9QkE :2021/04/02(金) 08:30:36 QifQ6WTI0
「くっそ!気に食わねぇな〜!」

朱色の髪をサイドポニーテールでまとめた巫女装束姿の少女・・・新生帝国華激団・花組隊員の東雲初穂は、
左掌に右拳を叩きつけながら今自分の置かれた状況に苛立ちを見せていた。

帝都に住む人々の平和を守る事を使命とする自分を拉致し、殺し合いを強要する・・・
本来の華激団の敵である『降魔』達の行う悪行に、勝るとも劣らぬ残虐な行為だ。
かような場所に放り出されれば、恐怖のあまりに逃げ回るか、自分の命惜しさに殺し合いに乗るのだろうが・・・

「・・・へっ、この初穂ちゃんを舐めるなよ」

・・・初穂はそのどちらでもない道、すなわち『主催者への反抗』を決意していた。
例え腐っても、初穂は帝国華激団の一員。
人々の平和を守る事が使命なのだ。
確かに武器を取り上げられ、隊長である神山を初めとする花組の仲間達からも引き離されてはいるが・・・そのくらいで諦めるような初穂ではなかった。

「見てろよてめぇら!絶対吠え面かかせてやるからな!」

初穂はどこかで見ているであろうメフィスとフェレスに向けて堂々と反抗を宣言し、デイバッグを開いて支給品の確認を始めた。
いかに帝国華激団の隊員とは言え、丸腰では戦えない。
反抗を決意した相手から渡された物を使うのは癪にさわるが、
贅沢は言ってられないのだ。

「こいつは・・・斧か?」

デイバッグから最初に出てきたのは、大型の斧だった。
木製の柄だけでも初穂の足から肩までの長さがあり、初穂の肩幅程もある大きな刃のある戦斧だ。

「『斧』かよ・・・せめて、木槌か金槌渡してくれよぉ〜」

多少の文句を口にしつつ、初穂はその斧を手にし・・・
柄の先端を地面に勢いよくつけた。


とたんに、初穂の全身が光に包まれた。

「な、なんだ!?」

突然の事に初穂は思わず目を閉じた。
そして光が晴れて、初穂が目を開けると・・・

「な、ななななんじゃこりゃあ!!?」

なんと、初穂の衣装は紅白の巫女装束から、北欧神話の神々が纏うような甲冑へと変化し、背中には真紅のマントまで付けられていたのだ!

「ど、どうなってんだ、こりゃあ!?」

突然の事態に初穂の頭は混乱していた。

その手に捕まれた戦斧から……絶えず小さな稲光が発せられている事に気がつかない程に……。


【東雲初穂@新サクラ大戦】
[状態]:健康、甲冑姿、混乱
[装備]:ストームブレイカー@マーベル・シネマティック・ユニバース、マイティソーの甲冑とマント@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:主催者を倒して参加者を救う
1:なんじゃこりゃあ!?どうなってんだ!?
2:花組の仲間がいるなら、合流する
[備考]
アニメ版からの参戦。

【ストームブレイカー@マーベル・シネマティック・ユニバース】
『マイティ・ソー バトルロイヤル』で破壊されたムジョルニアに代わるマイティ・ソーの新たなる武器として、『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』から登場した戦斧。
ドワーフの職人・エイトリが作成し、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートが自分の腕を柄にして完成した。
『王の武器』・『アスガルドの歴史上最強の武器』と称され、
ムジョルニアと同等の機能(飛行能力、投げても戻ってくる、ソーの持つ雷や天候操作の能力の補助、等々・・・)の他、ビフレスト(アスガルドの宇宙体系に属する惑星に移動する為のワームホール。別名『虹の橋』)を発生させる能力を持つ。
『斧』としても、マーベル・シネマティック・ユニバースにおけるラスボスであるサノスの強靭な肉体を
一撃で切断できるだけの破壊力を持つ。
ただしムジョルニアと違い、『相応しい者だけが持ち上げられる』機能はなく、その気になれば誰でも使用可能。


683 : 雷神の戦斧!マイティ初穂誕生! ◆4kMBNI9QkE :2021/04/02(金) 08:32:13 QifQ6WTI0
投下終了します。
以前コンペロワに投下したものに一部修正を加えたものです。


684 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/02(金) 17:11:08 tdGwddAU0
投下させていただきます。
以前コンペロワに投下したものを修正したものになります


685 : 偽りの王VS鏡の巨人faetクリプトン人 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/02(金) 17:12:03 tdGwddAU0

「あ、あれは……!?」

青年‐鏡京太郎は自身の目の前に立つ『もの』を見て、絶句した。


『グギャアァァァァァァァァァァァ!!!』

『それ』は……黄金色に輝く高層ビルよりも巨大な体、その体よりも更に巨大な蝙蝠の如き一対の翼、
そして、伝説に伝わる『竜(ドラゴン)』を思わせる3本の首を備えた巨大怪獣だった。
3本ある首の根本には金属で出来た武骨な首輪が各々3個ずつ巻かれており、
この怪獣が京太郎と同じく、この殺し合いの参加者である事を物語っていた。

京太郎はこれまで、地球を狙う暗黒惑星のインベーダーやそのインベーダーの操る様々な怪獣達と
幾度も激闘を繰り広げてきた。
だが今、京太郎の目の前にいる怪獣は、これまでインベーダーが操ってきたどんな怪獣よりも巨大であり、
まるで悪魔か邪神のような禍々しさと恐ろしさを全身から漂わせていた。

『!』

怪獣の3本ある首の向かって右側の首が足元の京太郎に気が付き、他の2本の首に伝えて
3本同時に京太郎を見下ろした。

「……あ」

怪獣の真ん中の首と京太郎の視線が合わさる。
その目にはインベーダーの怪獣達には無い強い意志と悪辣さが宿っているように感じられた。

怪獣と京太郎はしばしの間相対し……

突如怪獣のうなじが光りだしたかと思うと、3つある怪獣の口全てから金色に輝く稲妻状の光線が
京太郎に向かって吐き出されたのだ。

「うわあぁっ!!!」

寸でのところで京太郎は怪獣の光線から逃れるが、
光線の命中した場所はまるで大量のダイナマイトが爆砕したようになっていた。

『グギャアアアアアアア!!!』

怪獣は京太郎が自身の光線から逃れたのを見ると、再び京太郎に向けて光線を発射していった。

「うわぁ!く、くそっ!」

京太郎は怪獣の光線を回避すると、そのまま怪獣から背を向けて逃げ出していった。

『グギャアアアアア!!!』

京太郎が逃げていくと、怪獣はその巨大な翼を前脚の代わりにして京太郎を追いかけていく。
怪獣からすればアリンコ程の大きさの京太郎など、そのまま踏みつぶしてしまえば良いというのに、だ。
まるで小さな虫をイジメて楽しむ悪ガキのようだった。


686 : 偽りの王VS鏡の巨人faetクリプトン人 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/02(金) 17:12:35 tdGwddAU0
☆☆☆

「ハァッ……ハァッ……」
『グギャアアアアア!!グギャアアアアアアア!!!』

巨大怪獣の歩幅は人間の何倍も大きく、
とうとう京太郎はとある神社の境内へとおいつめられてしまった。

「く、クソゥッ!!!」
『グギャアアアア!!』

悔しそうに顔を歪ませる京太郎を嘲笑うように、怪獣は翼を広げて雄叫びをあげる。
まさに万事休す……その時だった。

「!」

神社の柱に飾られていた鐘が赤い月の光を反射して淡く輝くのを京太郎は見逃さなかった。
京太郎はすぐさま両腕を広げてミラー・アクションを取った。

「ミラー・スパーク!!!」

叫びとともに京太郎の体は光へと変化し、鐘へと飛び込んだ。
そして次の瞬間・・・

「デアッ!」

鐘の表面から銀色を基調に緑と黄色のアクセントを施した巨人が飛び出してきた。
これこそ、二次元人と地球人のハーフである鏡京太郎のもう一つの姿、『ミラーマン』である!

「デアッ!」
『グギャアアアアアア!!』

しばしにらみ合うミラーマンと三つ首の怪獣。
ミラーマンの身長は最大40メートル。
対する三つ首の怪獣の身長は158.8メートル。
人間で言えば子供と大人……どころか、赤ん坊と大人程の身長差だ。
だが……ミラーマンは怯みも恐れもせず、怪獣に向かっていった。

「ミラーナイフ!」

先手を打ったのはミラーマンだ。
怪獣に向けて伸ばした手刀の先から、白く光る楔型の光線が発射され、
怪獣の胸部に命中すると同時に怪獣の体に爆発が起こった。

『グギャアアアアア!!!』

怪獣は怯むことなく、口から光線を吐き出した。

「ディフェンス・ミラー!」

すかさずミラーマンは空中をなぞるように手を振って透明な光の壁を出現させ、
怪獣の光線を反射させる。
続けざまに空中高くジャンプすると……

「ミラクル・キック!」

足先を赤く発光させながら怪獣めがけてキックを放ち、
3つある怪獣の首の内、右端の首をちぎり飛ばしたのだ。

『グギャアアアアア!!!』

首の一つを千切られ、怪獣は悲痛な叫びをあげた
ミラーマンはその隙を逃さず、額と腰のバックルに手を添える。

「シルバークロ……」

ミラーマン最大の大技が繰り出されようとした時……怪獣が反撃に出た。

『グギャアアアアア!!!」

怪獣の左端の首がその大きな口でミラーマンの体を咥え込んだのだ。

「デア!?」

突如怪獣に犬用カミカミ棒のように咥えられて、ミラーマンはつい態勢を解いてしまった。

『グギャアアアアア!!!グギャアアアアア!!!』

怪獣は大きく首を振って、それまでのお返しのように何度もミラーマンの体を地面に叩きつけた。

「で、デア!?デア!?」

ミラーマンの体が叩きつけられる度に地面には巨大な砂ぼこりと土煙が舞い上がり、
怪獣を始点に半径50メートルのあちこちに40メートル大の人型のクレーターが作られていった。
怪獣は最後に一際勢いよくミラーマンの体を地面に叩きつけると、ミラーマンの体を口から離し……

『グギャアアアアアアアアア!!!!』

その141056トンもある巨体を支える脚で、ミラーマンの体を踏み付けたのだ。

「で、デアァ!デアァァァァァ……」

怪獣に踏み付けられてミラーマンは悲痛な叫びをあげて身動ぎをする。
その姿は人間によって踏み付けられた小さなネズミのようだった。
そして、ミラーマンの腰のバックルに装着されているカラータイマーが
ブザー音を響かせながら点滅を始め、怪獣は再び光線のチャージを開始した。


怪獣の稲妻のような光線がミラーマンの体を丸焼きにしようとした……
その時である。


687 : 偽りの王VS鏡の巨人faetクリプトン人 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/02(金) 17:14:00 tdGwddAU0
ドゴオォォォォォォォォン!!!

突如青色の弾丸のような物が目にも止まらない程のスピードで飛来し
怪獣にぶつかってきたのだ。

『グギャアアアアア!!!???』

怪獣は先ほどミラーマンに首の一つを引き千切られた時とは比べようもない程の苦悶の鳴き声を上げ、
そのビルよりも巨大な体をよろめかせ、地響きを立てながら地面に横倒しとなったのだ。

「!?」

怪獣の足から解放されたミラーマンは一体何が起こったのか分からず、周囲を見渡した。
すると……空中に何かが浮かんでいるのが見えた。

『それ』は胸に大きく『S』と書かれた青いコスチュームと赤いマントを身に着けた
『普通の人間サイズ』の白人男性だったのだ。

『グギャアアアアアア!!!」

マントの男に倒された怪獣は、なんとか翼を腕代わりにして起き上がると、
空中に浮かぶマントの男に向かって光線を放った。
光線はマントの男を包み込んだ……が、光線に当てられているというのに、
男の体にはダメージらしいダメージは見当たらず、着ているコスチュームにもコゲ一つ付いてはいなかった。

「……!」

怪獣の攻撃が止むと、今度はマントの男の番だ。
男の目が赤く輝きだしたかと思うと、その両目からは真っ赤な光線が発射され、
怪獣の左端の首の目を焼いたのだ。

『グギャアアア!?グギャアアア!?』

目を潰されてしまい、怪獣はまたも悲痛な叫びを上げた。
3本あった首の内、一つは千切り落され、一つは失明し、唯一無事だった真ん中の首は
ミラーマンとマントの男に憎々しい視線を向ける。そして……

『グギャアアア!!』

翼を羽ばたかせて天高く飛び上がり、その場から逃げ去っていったのだった。


後にはミラーマンとマントの男だけが残された。

「「……」」

ミラーマンとマントの男はしばし視線を交わす。そして……

「え〜っと……大丈夫かい?」

マントの男は横たわるミラーマンに手を差し出したのだった。


【鏡京太郎@ミラーマン】
[状態]ミラーマンに変身中、ダメージ大
[装備]無し
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:会場からの脱出
1:この男(スーパーマン)は一体・・・?
2:あの怪獣(キングギドラ)はどこへ?
[備考]
制限により、ミラーマンに変身して10分以上経過すると変身が強制解除され、
以後1時間は変身不可能になります。

【スーパーマン(クラーク・ケント/カル・エル)@DCエクステンデッドユニバース】
[状態]健康、疲労・中
[装備]スーパーマンのコスチューム@DCエクステンデッドユニバース
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:人を助ける
1:巨人(ミラーマン)と対話する
[備考]
『ジャスティスリーグ』後からの参戦です。
制限により、能力を使用するとかなりの疲労を感じてしまいます


688 : 偽りの王VS鏡の巨人faetクリプトン人 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/02(金) 17:14:26 tdGwddAU0
☆☆☆

『グギャアアアアア!!!』

その頃、逃亡した三つ首の怪獣……ギドラは
腹立ちまぎれに自身の周囲に光線を吐き散らしながら
体を再生させていた。
千切られた右の首も、潰された左の首の目玉も、
まるでトカゲの尻尾のように再生されていく。
しかし、その再生スピードは通常時よりもゆっくりとしたもので、
まるでビデオのコマ送りのようだった。

『グルルル・・・』

唯一無傷だった真ん中の首の目には、
自分をコケにした銀色の巨人と青い人間への憎悪の炎が燃え上がっていたのだった・・・。

【キングギドラ(モンスーバース版)@ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ】
[状態]ダメージ・中、再生中
[装備]無し
[道具]無し
[思考]
基本:自分以外全員殺す
1:巨人(ミラーマン)と人間(スーパーマン)は殺す
[備考]
制限により、肉体の再生スピードが落ちています
大体首一つの再生に1時間かかります。


689 : 偽りの王VS鏡の巨人faetクリプトン人 ◆j1W0m6Dvxw :2021/04/02(金) 17:14:52 tdGwddAU0
投下終了します。


690 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/02(金) 19:23:16 YnacN3yI0
投下します


691 : 悪魔を哭かせ、悪魔を殺せ ◆7PJBZrstcc :2021/04/02(金) 19:24:01 YnacN3yI0
「許さぬ。決して許さぬぞ小娘共」

 過去と未来が入り混じる歪な平安京の一角で、一人の老人が怒り狂う。
 目は見開き、顔には青筋。そして辺りに充満する異様な殺気。
 もし何も知らぬ凡人が近寄れば、気絶はおろか生を諦めかねないほどの怒気が老人から発せられていた。
 彼の名前は上泉信綱。
 塚原卜伝と並んで戦国時代最強の剣豪とされ、剣聖と称えられ、日本の剣術において比類なき影響を与えた人物である。
 これほどの人がなぜ、これほどまでに怒り狂うのか。
 その理由を説明するには、少し遡らねばならない。

 信綱は元々武士であった。
 己の命の守り、家名を守るための力を求めるただの武士であった。
 しかし、小史は省くが、彼は最終的に士官することなく死んだ。
 何者にも、例え人ではない鬼が相手でも負けることのない力の為に、武士にとっての栄誉である子孫も名誉も猿神(かみ)に捧げたのだ。
 そして彼は”時淀み”という技を手に入れた。

 時淀みとは、信綱が得た不思議な力である。
 彼に近づくと時が淀み、あらゆるものの動きが遅くなるのだ。
 銃で撃たれても弾は余裕をもって躱せる速度になり、武者に囲まれ槍で突かれようとも、槍の方が止まるほどに遅くなる。
 この力は紛れもなく強力だ。桃太郎卿率いる鬼から民草を守る組織、鬼哭隊に入れるほどに。

 だがこの力で信綱は命よりも大切な物、慈しみを失った。
 赤子を抱けば、時淀みに堪えられず赤子の心臓は止まる。
 誰かに酌をさせる訳にもいかず一人で呑み、己自身の時も淀むため、室町の時代から徳川の世まで生きていた。

 そんな折、信綱は鬼となった真田の忍者と戦う。
 そして真田忍者は時淀みを破った。
 淀んでなお信綱を貫ける早さをもって、雷となって彼を倒したのだ。
 それで彼は終わった。楽になったのだ。

 しかし信綱はここにいる。メフィトとフェレスが開いた殺し合いの為に。
 彼は許せなかった。あの至上の終わりを汚されたようで。
 あんな良い目をする男に倒されたにもかかわらず、それを覆されたのだ。

「必ず殺す」

 故に信綱は決意する。
 例え主催者達を殺し、元の世界に帰っても彼の居場所はないだろう。
 鬼哭隊にも関わらず、鬼に負けたのだから。
 だがそんなことはどうでもいい。己がいい目をしていると称したあの真田忍者の様に、目の前だけを見つめて突き進もうではないか。

「猪突猛進! 猪突猛進!」

 すると、どこからか奇怪な叫びをあげて走る、獣の頭を被った子供が信綱に向かってきた。
 声から察するに男だと分かるが、獣の皮をわざわざ被る子供には、流石の信綱も少々戸惑う。
 しかし、剣の勝負ならいざ知らず、この爆発する首輪をどうにかしないことには、この殺し合いはどうにもならない。
 故に他の参加者と接触することを考えていた信綱にとっては、向こうから参加者がやってくるのは渡りに船。
 もし目の前の子供が自分を殺しにかかるのなら、我が剣をもって対処するまで。
 その為の刀は、主催者から支給されていた。


692 : 悪魔を哭かせ、悪魔を殺せ ◆7PJBZrstcc :2021/04/02(金) 19:24:34 YnacN3yI0





 獣の皮を被り、刃が抉れた刀を二本差す彼の名前は嘴平伊之助。
 鬼舞辻無惨率いる鬼を倒すための組織、鬼殺隊の一員だ。
 彼はこの殺し合いを、鬼によるものだと考えていた。

 伊之助からすれば、いつの間にか全然違う場所に人を呼び出せる存在など、血鬼術を使った鬼しかいない。
 そして相手が鬼ならば、倒すのは自分の役目だ。
 しかし、この首輪をどうにかしないと問答無用で死ぬ、ということも理解していた。

「猪突猛進! 猪突猛進!」

 なので、伊之助はとりあえず他の鬼殺隊の面々を探すことにした。
 この殺し合いに来る前、彼は鬼殺隊主導の稽古に参加している。
 そしてあの稽古には、実力の頂点である柱を筆頭に数多の鬼殺隊がいた。
 その中にはこの首輪をどうにかできる奴もいるんじゃねえか、と考えた。

 そうして走っていると、目の前に老人が現れた。
 若者が多い鬼殺隊ではないことは一目瞭然だったが、同時に伊之助は理解した。
 目の前の老人、上泉信綱が自身より遥か格上の実力者だということを。

 伊之助には学がない。識字率98%の大正時代において字が読めないほどだ。
 故に剣聖上泉信綱の名前など知るわけもない。
 しかし頭が悪いわけでは無く、勘も良い。
 故に、目の前の相手が鬼でないことも、実力者であることも理解している。

 その上で、伊之助がとった行動とは――


【上泉信綱@衛府の七忍】
[状態]:健康
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世(アニメ版)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:小娘共(メフィトとフェレス)を殺す
1:目の前の子供(伊之助)と話す
2:首輪を外す為、他の参加者を探す
[備考]
参戦時期は死亡後です。

【嘴平伊之助@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:あの鬼(メフィトとフェレス)を倒す
1:この爺さん(信綱)、とんでもなく強え……
2:他の鬼殺隊の面々を探す
[備考]
参戦時期は柱稽古に参加している期間のどこかです。
主催者は鬼で、この殺し合いは血鬼術で起こしたと思っています。


【斬鉄剣@ルパン三世(アニメ版)】
上泉信綱に支給。
白鞘に納められた日本刀であり、切れないものはないとされる業物だが、実は作中において結構いろんなものが切れなかったりする。

【嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃】
嘴平伊之助に支給。
伊之助が普段使いしている日輪刀。二本で一セット。
刀鍛冶が打った刀を、伊之助が石で刃を尖らせている。


693 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/02(金) 19:25:12 YnacN3yI0
投下終了です。
続けてもう一本投下します


694 : この世界がゲームではないと彼だけが知らない ◆7PJBZrstcc :2021/04/02(金) 19:25:48 YnacN3yI0
「OK。まずは状況を整理しよう」

 俺は男子高校生の陽務楽郎。
 趣味はゲーム。ゲーム内のHNは本名をもじったサンラクで統一するタイプ。
 主にクソゲーが好みだ。TVでやるコンシューマゲームが過去となり、VRゲームが主流となった今は結構なクソゲーが豊富である。
 いや、コンシューマ時代にクソゲーが無かったとは思ってないが、そのあたりの時代のことはほぼ知らないんだよ俺。昔のことだし。

 それはともかく俺は数時間前、『フェアリア・クロニクル・オンライン』通称フェアクソと呼ばれるゲームをクリアした。
 盛りだくさんのバグに理不尽な敵の攻撃、ポンコツすぎる味方AIに腹立たしさしか生まないヒロインと、とんでもないクソゲーだった。
 あまりにクソ極まりなさ過ぎて、クソゲーハンターを自称する俺でも燃え尽き症候群にかかり、次やるゲームが思いつかないほどに。

 という話を行きつけのゲーム屋の店主さんにしたら、いっそ逆の神ゲーをやったらどうかと勧められた。
 それに乗って購入したのが『シャングリラ・フロンティア』だ。通称シャンフロという、世間で大流行の神ゲーだ。

 とりあえず起動し、クソゲーに毒されすぎてるのかキャラメイクで一々感動してしまいつつも、気合入れてキャラメイク開始。
 その結果、半裸に鳥頭の覆面を被った二刀流の剣士が出来上がったのだが……まあいいや。
 そしていよいよゲームスタート! といったところで

『お主らは今から殺し合いをしてもらう為にここに呼び出させてもらった』

 いきなり変な少女が殺し合いを命じてきた。
 あれ? シャンフロってそんなゲームだっけ? と思っているといきなり別の女二人が首輪で殺された。
 俺はまあいいけど、コンプライアンスとか大丈夫なのか? と疑問視しているうちに俺は平安京に転移していた。

「やっべ、全然状況分かんね」

 俺も詳しく調べたわけじゃないけど、シャンフロって確か、SF要素もある剣と魔法のファンタジーなVRMMORPGだったはず。
 決してPvPがメインの幕末や鯖癌みたいなのではない。いや、あの二つみたいなゲームが神ゲーと称される訳ないか。

「しかもメニュー画面でないし」

 様子がおかしいから、始めたばっかりだけど一旦ログアウトしようと思ってすらそれもできない。
 仕方ないのでとりあえず支給されたデイバックを調べると、中には一応武器はあった。
 のはいいけどこれ――

「ハリセンじゃねえか……」

 しかも妙にステが強い。いや、ネタ武器が強いのは割とよくあることだけども。
 問題は、どう考えても初心者がログボで手に入れていい代物じゃないということだ。

「しょうがない、とりあえず他の人探して聞くか」

 シャンフロは神ゲーだ。便秘と違って過疎ってることはまずないだろ。
 こうして、俺は他のプレイヤーを探すことにした。


 ……大丈夫だよな? いきなり「天誅!」とかされないよな?


【サンラク@シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜(漫画版)】
[状態]:シャンフロアバター、戸惑い(大)
[装備]:ハリセン@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:現状を知りたい
1:とりあえず他のプレイヤーを探す
[備考]
参戦時期は1話にて、シャングリラ・フロンティアにログインした直後です。
この殺し合いをシャングリラ・フロンティアのイベントか何かだと思っています。
アバターのHPが0になるか首輪が爆発すると、主催者に確保されている陽務楽郎本体も死亡します。

【ハリセン@テイルズオブシンフォニア】
サンラクに支給。
装備すると斬り攻撃力850、突き攻撃力750、命中30、幸運20上がる双剣。
外見はふざけているが、シナリオ終盤のイベントで手に入る武器とタメを張れるレベルに強い。


695 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/02(金) 19:26:25 YnacN3yI0
投下終了です。
サンラクの扱いは◆8eumUP9W6s氏の「既に乗り越えた者、乗り越えるべき者、折れてしまった者」内のキリトを参考にさせていただきました。


696 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/04/03(土) 02:06:55 dRBBYh.o0
投下します


697 : サードステージ ◆IOg1FjsOH2 :2021/04/03(土) 02:08:43 dRBBYh.o0
「一体、何がどうなってやがるんだぁ?クソがッ!」

突然、こんな場所に連れて来られ殺し合いを強要されたこの状況に
タンクトップ姿の金髪の男、黒河正規は怒りを露わにする。

訳の分からない状況と言えば、それだけじゃない。
黒河はこの場所に連れて来られる以前にも似たような殺し合いに参加させられていた。
『シークレットゲーム』という名の理不尽な殺人ゲーム。
そこで黒河は反抗的な態度を取って逆らう生意気な『奴隷』を始末した。
その時に飛び出してきた『誰か』が奴隷の傍にすがり付き涙を流していた。
『誰か』の存在に黒河が疑問を抱いた直後、特殊機能によって首輪が爆発し死んだ筈だった。

「あれは幻じゃねぇ……俺はあの時にくたばったはずだ。どうなってやがる……」

なぜ首輪が爆発したのかも疑問だが
死んだ筈の自分が生きているのも不思議だった。

「……まぁいいか。せっかく拾った命だ。せいぜい足掻いてやるぜ」

あの女共に指図されていいように使われるのは気に食わねえが
そのおかげで今、生きていられると考えれば
少しは従ってやってもいいとさえ思えてきた。

特殊機能だの解除条件だの面倒くさいルールも無く
戦って最後に生き残った奴が勝利する。
勝つのに必要なのは圧倒的な暴力、分かりやすくていいじゃないか。

「このゲームは差し詰め、俺にとってセカンドステージ……いやサードステージといった所だなァ」

シークレットゲームではセカンドステージに進んだ所で死亡した。
ならばこのゲームはサードステージということになる。

ゴソッ

その時、物音と共に人影の姿が見えた。
人影は黒河の存在に気付くと走って逃げだした。

「おいっ!待てやコラァ!」

黒河は人影に向かって追いかけた。
追いかけっこの末、黒河は逃げだした人物の首根っこを掴んで捕まえた。

「ヒイイイイイイッ!!」
「てめえっ、何逃げてんだァ、おい!」

逃げた人物はビクビクと怯えており、如何にもひ弱そうな男だった。
どことなく、あの充を思い出させる風貌だ。

「ご、ご、ごめんなさい!怖くてつい……」
「そうかよ。まぁ、とりあえず……てめえの持ってる武器と食料、全部寄こせや」
「え?そんなことしたら俺はどうやって生きて……」
「んなことは知るかよ。嫌ならおめえをここでぶっ殺してから」
「分かりました!全部渡しますから命ばかりはお助けをぉぉぉぉ!!」
「それでいい。物わかりのいい奴は嫌いじゃないぜェ」



臆病者の男、ネズミは黒河に従い、全ての支給品を取り出した。
その支給品の一つを見て黒河は不敵な笑みを浮かべた。

「くっくっく……いい物を持ってるじゃねえかよ、コイツはよぉ」

それはコルト・パイソンと呼ばれる拳銃だった。
ネズミから銃を奪い取ると黒河は満足気に拳銃を握りしめた。
前回のシークレットゲームでも使用したこの武器は扱い慣れている。

「またコイツに出会えるとはなァ、今日の俺はツイてるぜぇ」
「へへへ、喜んでもらえたようで何よりで……」
「だけどよぉ〜」

銃は非常に使える武器だが、問題は他の支給品だった。
残り二つの支給品の内、一つは紙切れだった。

「こんな物でどう戦えって言うんだぁ?」
「さぁ、俺に聞かれても」

【スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券】
どう考えても殺し合いに役に立たないハズレ支給品である。
そしてもう一つの支給品は……

「なんだコレ?」
「……食料でしょうかねぇ?」

大きなウェディングケーキだった。
こんなものどうやってディバックに収まっていたのか。

「ま、どうでもいいか」
「へっ?」

銃口をネズミの額へと向ける。
ネズミは信じられないという表情で黒河を見つめた。


698 : サードステージ ◆IOg1FjsOH2 :2021/04/03(土) 02:09:27 dRBBYh.o0
「もうお前に用は無くなったからな、これ以上は生かしててもしょうがねえだろ?」
「ヒィィィィッ!!何でも言う事聞きます!だから殺さないでェェェェ!!」

ネズミは涙と鼻水とションベンを垂れ流しながら必死に命乞いをする。
あまりにも惨め過ぎるその哀れな姿に黒河は呆れ、ため息を付く。

「何でも言う事を聞くってことはよぉ、それは俺の奴隷になりてぇってことか?」
「はい!奴隷でもしもべでも何でもやりますから命だけは奪わないでくださいいぃぃぃぃ!!」
「しょうがねぇな。まぁ、俺も別に鬼じゃねぇ。お前がどうしても俺の奴隷になりたいって言うなら特別に奴隷にしてやってもいいぜぇ」
「なりたいです!黒河くんの奴隷になりたいです!!」
「なら決まりだな。奴隷になったからには俺に逆らうなよ。もし裏切ったらわかってるんだろうなァ?」
「はい!絶対に黒河くんを裏切りません!」

こうして黒河は一人の参加者を奴隷に加えた。
他の参加者をぶっ殺すべく歩き出そうとしたその時――

「ヒィィィィ!!黒河くん!黒河くん!」
「どうしたぁネズミ?」
「動いた……今、ケーキが動いたんだ!」

血相を変えて黒河の傍に引っ付くネズミの怯えように
気になった黒河がウェディングケーキに近づいて観察してみるが
ケーキはうんともすんとも反応が無い。

「おいおいおいおいおい、ネズミサンよぉ……何が動いたってぇ?」
「アレ、おかしいなぁ……」
「ビクビクしてるから幻でも見たんだろ。もっと堂々としろ」
「確かにさっき動いたはずなんだけどな」
「気のせいだろ。さっさと付いてこい」

ウェディングケーキの上段部分の模様が顔に見えることもあって
不安のあまりネズミが見間違えたのだ。
そんな物に気を取られている時間が惜しい。
そう考えた黒河はネズミと共に先を急いだ。
全ての参加者を始末し、この理不尽なゲームを生き残るために。


【黒河正規@シークレットゲーム COOE:Revise】
[状態]:健康
[装備]:コルト・パイソン(6/6)@現実
[道具]:基本支給品、予備弾数(18/18)、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:このゲームで優勝して生き残る。
1:他の参加者を殺す、奴隷になるなら生かしてもいい。
2:ネズミは奴隷として利用する。
[備考]
※参戦時期はREBELルート死亡後。

【ネズミ@彼岸島 48日後...】
[状態]:精神的疲労(中)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券
[思考・状況]
基本方針:死にたくない。
1:黒河くんに従って行動する。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。

【スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券@現実】
ネズミの支給品。
スーパーファミコンを4000円安く購入できるクーポンである。
2003年9月30日にスーパーファミコンは生産を終了
2007年2月28日にニンテンドウパワーサービスを終了
同年10月31日にスーパーファミコンの修理受付終了
今では何の価値も無い券である。


ずり……ずり……

ケーキが動いたのは見間違えでは無かった。
ストロベリー&ラズベリーと呼ばれる、このウェディングケーキは
自立して行動し、周囲の人間達に危害を加える化け物だ。
なぜケーキが動き出した経緯は作ったノコック達すら分からない。
ただ一つ、分かっているのは……味は美味である。それだけだ。

【ストロベリー&ラズベリー@スーパーマリオRPG】
ネズミの支給品。
コックたちが作った2段のウェディングケーキのモンスターで
上の段がストロベリー、下の段がラズベリー。
ケーキが意志を持って動いたことについては、このケーキを作ったノコックたちも驚いており
何故怪物化したのかは不明。
技はストロベリーが「さぶざむ」、「しょうげきは」、「ダイヤモンドカッター」、「スイートソング」
ラズベリーが「すなあらし」と「かんけつせん」を使用してくる。


699 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/04/03(土) 02:10:14 dRBBYh.o0
投下終了です


700 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/03(土) 09:24:30 goR2f9DI0
Wikiの反映を行うと共に拙作の文章の修正・追記を行いました。


701 : ◆4kMBNI9QkE :2021/04/03(土) 10:30:00 lmySCK.M0
投下させていただきます
以前、コンペロワに投下したものを一部修正したものになります


702 : エピックonバトロワ 狂気のタイタン人! ◆4kMBNI9QkE :2021/04/03(土) 10:31:04 lmySCK.M0
「……」

赤い月に照らされた平安京の片隅。
一人の大柄な人物が、あてもなく平安京をさ迷っていた。

紫色の肌。
深い縦皺が複数刻まれた顎。
ゴリラを思わせる筋肉質で大柄な体格。
左手に嵌められた黄金色の籠手……。
もうお分かりだろう。

彼の名はサノス。
『宇宙の全生命の半分を消滅させる事で、残ったもう半分を生かす』という狂気の思想に取り憑かれ、
何年もの間、宇宙各地で残虐な大量殺戮行為を繰り広げ、
文字通り『数え切れない程の人間』から恐れられ、憎まれ、恨まれ、そして嫌われている男である。

「……」

今、サノスの顔には地獄の鬼神のような……いや、地獄の鬼神も泣きわめきながら逃げ出してしまいそうな程恐ろしい『憤怒』の表情が宿っていた。
サノスは長年の宿願である『全宇宙の生命の半分を消滅させる』ために、宇宙誕生以前に存在していた6つの特異点の残骸『インフィニティ・ストーン』の収集を開始。
インフィニティ・ストーンの絶大なエネルギーと力を制御するために作られた籠手『インフィニティ・ガントレット』を自ら装備し、宇宙各地に散らばる6つのインフィニティ・ストーンを探しだし、ようやく6つ全てが揃おうとした時……この『殺し合い』に参加させられたのだ。

幸いにも、インフィニティ・ガントレットは支給品としてサノスの手元にあったのだが、
『パワーストーン』以外の既に入手していた4つのストーンは外されており、本来想定していた力の6分の1しか発揮する事が出来なくなっていたのだ。

「……」

サノスは怒っていた。
自身の大望成就を邪魔し、犬猫のように首輪を嵌めて『殺し合い』を強要するメフィスとフェレスの2人に。
そして、自身よりも遥かに幼い少女達にあっさりと浚われて、爆弾入りの首輪を嵌められた自分自身に。

「・・・」

サノスはあてもなく平安京を移動していく。
途中、他の参加者と度々遭遇し、襲われたが……全て返り討ちにした。
『ストーンの力』を使わずに、『己の力』のみで。
それすらもサノスからしたら、八つ当たりにもならない些末な行為だ。
サノスの通り過ぎた後には、まるでその人生の縮図のように死体の山が出来上がっていたのだった。

「……」

ふとサノスは立ち止まり、自身の背後を振り返る、

「……いつまでコソコソついてくるつもりだ?姿を見せろ」
「……フッフッフッ。気づかれていましたか」

サノスの背後の木の影から、何者かが姿を現した。

青い体に蜘蛛の巣模様。
胸部には黄金色に煌めく円形の装飾がなされ、
頭はまるで僧侶の宝冠に羽根をあしらったような見た目をしている……。
紫色の肌をしたサノスに、勝るとも劣らない、まるで『堕天使』を思わせる異形の怪人だった。

「……貴様、何者だ?」
「お初にお目にかかります。私はブラジラ。『救星主のブラジラ』と申します」

サノスからの問いかけに、怪人……ブラジラはうやうやしく一礼をしながら自己紹介をした。

救星主。
すなわち『星を救う者』。
その意味を理解すると、サノスは鼻をならした。

「フン……ずいぶんと御大層な二つ名だな」
「恐れ入ります」

サノスからの皮肉混じりの感想を受けても、ブラジラは顔色一つ変えなかった。


703 : エピックonバトロワ 狂気のタイタン人! ◆4kMBNI9QkE :2021/04/03(土) 10:32:51 lmySCK.M0
「……まあいい。私の名はサノス。『タイタンのサノス』だ。ブラジラとやら、先程から私の後をつけていたようだが、私に何の用がある?」
「では……単刀直入に言わせていただきましょう」

ブラジラは一旦言葉を切ってから本題に入った。

「……サノス殿、私と『同盟』を結んでいただきたい」
「……何?」

ブラジラからの唐突な『同盟』の申し入れに、サノスは眉の端をピクリと動かした。

「あなたの力は、じっくりと拝見させていただきました。あの双子によって力を封じられていながら、他の参加者では足元にも及ばぬ強大な力……あなたと私が組めば、優勝はおろかあの双子を打倒する事も不可能ではないでしょう」
「フン……笑わせるな」

ブラジラからの誘いをサノスは鼻で笑った。

「この『殺し合い』に優勝する……つまり『生き残れる』のは一人だけだ。言い換えるならば、『自分以外は全員敵』という事になる。そのような状況で徒党を組んだところで何になる?自分以外の参加者が一人でも残っていれば、待つのは『自身の死』だけだぞ?」
「……まぁ、確かにその通り、『生き残れるのは一人だけ』ですな」

ブラジラはサノスの意見を肯定しながらも、「……ですが」と付け加えた。

「……いかに強大な力や強力な支給品を持っていたとしても、たった一人で行動するよりも同等の力や武器を持った者達と行動した方が生存率も殺害数も高くなるでしょう?最終的に我々以外の参加者が全て死んだならば、その時に改めて我々が殺し合えば問題はありません」
「フム……なるほど」

ブラジラの一々相手を小馬鹿にするような話し方は気に入らなかったが、確かに一理あるとサノスは思った。
いかにたった一つだけで星を容易く破壊できるエネルギーを秘めたインフィニティ・ストーンを持っていたとしても、サノス一人だけでこの会場にいる参加者全てを殺すのは容易な事ではない。
一応『会場そのものをまるごと破壊する』という手段もあるが、サノス自身も巻き添えになりそうなので進んで行う気にはなれない。
それにサノスにはある懸念があった。
先にも書いたように、サノスが装備しているインフィニティ・ガントレットからは『パワーストーン』以外の4つのインフィニティ・ストーンが外されていた。
という事は、『他のインフィニティ・ストーンはサノス以外の参加者に支給されている』可能性が考えられるのだ。
サノス一人で全ての参加者の所持品を一つ一つ調べるよりも、複数人で探しあった方が効率が良いというものだ。

「……良いだろう。お前の提案を受け入れよう。ただし、条件がいくつかある」

そう言うとサノスはブラジラに向けて指を3本立てた。

「一つ、私とお前は『主従』でも『仲間』でも『同志』でもない。あくまで単なる『同盟相手』だ。お前が死にそうになっても私は助けないし、『足手まとい』だと判断すればその場で切り捨てる。二つ、私はこのガントレットに嵌められている物と同じ石を4つ探している。探すのを手伝え。三つ、例えどちらかが裏切ったとしても恨みっこ無しだ。以上だ」
「……えぇ、それで構いませんよ。ではこちらからも二つ。私は『オーブ』という物を探しております。そのガントレットの石の片割れを探すのと引き換えに、私の『オーブ』を探していただきます。それと、もしこの場で『護星天使』を名乗る者がいたならば、手出しは無用。私だけで戦います。よろしいですか?」
「フン、良かろう」

かくして、サノスとブラジラは互いの出した条件を飲み、同盟を結んだのだった。


704 : エピックonバトロワ 狂気のタイタン人! ◆4kMBNI9QkE :2021/04/03(土) 10:33:35 lmySCK.M0
☆☆☆

(フフフ……まずは一歩といったところか)

ブラジラは心の中でほくそ笑んでいた。

自分は忌々しい見習い護星天使どもに『地球救星』を邪魔されて死んだはずだったが、何故か生きてこの場にいる。
あの双子の少女達がどんな手段を使ったのかブラジラには分からなかったが、この『死者蘇生』の事実から考えて、少女達の『優勝者にはどんな願いでも叶える権利が与えられる』という言葉は事実の可能性が高いとブラジラは考えたのだ。

ブラジラの願いは決まっていた。
自分の計画を最後まで邪魔をし続けた『見習い護星天使達への復讐』と『地球救星計画の完全遂行』だ。
ブラジラは殺し合いに乗る事にした。

天装術発動の媒体である『オーブ』が没収されている為に『ブレドラン』の姿にはなれないが、それならそれで『ブラジラ』として暗躍すれば良いだけの話。
方針を決めたブラジラは手駒になりそうな参加者を探して……サノスを見つけたのだ。

サノスの力や左手に嵌められたガントレット……正確にはガントレットに嵌められているインフィニティ・ストーンから感じられるエネルギーは、
かつて『彗星のブレドラン』として仕えた『宇宙逆滅軍団ウォースター』の首領『惑星のモンス・ドレイク』を彷彿とさせた。
そして、サノスの動向を観察した末にその実力はモンス・ドレイクはおろか、これまでブラジラが『ブレドラン』として渡り歩いたどの組織の者と比べても並外れていると確信し、同盟を持ちかけたのだ。

もちろん、ブラジラにはサノスと仲良し子吉するつもりなどはない。
ある程度参加者の数が減ったら、隙を見て騙し討ちにするつもりなのである。

(フフフ……護星天使見習いども、首を洗って待っているが良い!)

ブラジラの脳内では、優勝した自分が見習い護星天使達をコテンパンにする姿がイメージされていたのだった。



【サノス@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康、主催者への怒り
[装備]:インフィニティ・ガントレット@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:宇宙の生命を半分にする為に、生きて帰還する
1:ブラジラと行動する
2:インフィニティ・ストーンを探す
[備考]
『インフィニティ・ウォー』でインフィニティ・ストーンを6つ全て揃える直前からの参戦。
制限によりパワーと耐久力がいくらか弱体化しています。
ガントレットにはまっているのは『パワーストーン』一つだけです。
他のインフィニティ・ストーンは他の参加者に支給されているかもしれないし、会場内に隠されているかもしれません。詳しくは他の書き手さんに任せます。

【救星主のブラジラ@天装戦隊ゴセイジャー】
[状態]:健康、ブラジラとしての姿
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:優勝し、見習い護星天使に復讐する
1:サノスと行動を共にし、手駒を増やす
2:オーブを探す
3:この場に護星天使がいるなら復讐する
[備考]
最終回でゴセイジャーに倒された直前からの参戦。
オーブが没収されており、天装術は使用不可能ですが、ダークサーベルの召喚は可能です。


【インフィニティ・ガントレット@マーベル・シネマティック・ユニバース】
インフィニティ・ストーンの力を最大限に発揮できる左手用の金色のグローブ。サノスの依頼を受けた惑星“ニダベリア”の“ドワーフ”たちが作成したもので、材質は“アスガルド”の武器にも使われている金属“ウル”であり、非常に強靭なものに作られている。全体的にドワーフ族風の分割模様の装飾が刻まれ、各指の付け根部分と手の甲に6つのストーンを収容する穴があり、ガントレットをはめた左手を閉じることでそれぞれのストーンの力を自在に使用できる。また、ストーンが発する強大なパワーを制御するため、ガントレット自体もストーンを埋め込むと、その直後にストーンの力が装着者に流れ込み、常人ではその衝撃に耐えるのは困難である。6つ全てのストーンを埋め込むと、ガントレットをはめた指を鳴らすだけで全てのストーンの力を同時に発動させ、全宇宙の半分の生命を消すことができる。
(以上、ウィキペディアより抜粋)


705 : エピックonバトロワ 狂気のタイタン人! ◆4kMBNI9QkE :2021/04/03(土) 10:34:36 lmySCK.M0
投下終了します。


706 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:26:09 XAvsNkRk0
投下します


707 : コギトエルゴスム ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:26:28 XAvsNkRk0
鮮血に彩られし天幕に覆われた古都・平安京。その通りの一つ。吹き荒れる刃風の波濤は、壁や地面に傷痕を残す
もしここに誰かしらの目撃者がいるならば見えるであろう。一陣の風の如く、誰かと誰かがぶつかり合い、刃鳴散らしている事を

波濤は一時止み、高速での攻防を繰り広げていた「誰か」と「誰か」の姿は露わとなった

「で、この程度かしら?」

余裕な態度を振りまきながら、その×印の黒紫の布で目元を覆った女性。闇紫に染まるその長い髪とドレスは、宛ら異界から来たる魔女を彷彿とさせる。隠れた瞳は目が見えないのか、はたまたそこに何か闇を隠しているか

「………!」

それに対し、冷静に刀を構えるも、その表情に多少の疲れが見える白い髪の少女。ぱっと身、不純物が混じっていない水晶の如き無垢な顔立ちではあるが、その紫水晶色の瞳にはれっきとした魂が、そしてその内には立派な心が宿っている





708 : コギトエルゴスム ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:28:52 XAvsNkRk0
(また面倒なマネをしてくれたわね、辺獄の管理者)

紫髪の女性、幽鬼アナムネシスはこの異常な場所、異常な状況に思考巡らせていた
平安京を舞台とした殺し合い、その運営として姿を現した辺獄の管理人たる悪魔メフィスとフェレス
あの二人が何を考えているのかわからないのはいつものことだが、今回の一件は輪にかけて異常だ、余りにも大掛かりすぎる。何かしらの儀式だと仮定しても、この方法を何度も繰り返すとなれば手間の面倒臭さの方が目立つ。いくら管理人であろうと早々と出来ることではないだろう

(……それにこの首輪の紋章)

ここが辺獄の一部かどうかは不明ではある。だがそれでもこのように紋章を刻むということは表面上は悪魔たちと契約させられた、ということになる

(忌々しいわ。全員纏めて飼い犬扱いってことかしら?)

紋章――契約の文言が刻まれている限り自分たちの魂は文字通りあの管理者たちの思うがまま。首輪という体裁を取ったのは参加者に対してわかりやすく説明するためだろう

(けれど、これは逆に都合がいいわね)

だが、これが単純な殺し合いであるならば好都合。参加者を狩り、魂を集め、復讐を果たし、ヨミガエリを果たすという目的は変わりない。少々順序が変わるかも知れないが、あの女がもし参加させられているのならば好都合。いなければ素直に勝ち抜くことに集中すればいい

(まあ今は―――)

意識を切り替え、目の前の相手に集中する。代行者や幽鬼でない、白髪の少女剣士に。魂を喰らうために手始めとして襲ってみたは良いが意外に手強い
手始めに一撃は入れてみたものの白いオーラのようなものが身代わりとなった。しかも再展開可能
少なくともただの人間とは到底思えぬ身体能力、身代わりにも似た白いオーラ、何より特筆すべきはその速度。連続で瞬発的な高速移動でこちら側を翻弄している。自分を格上だと認識した上でのヒットアンドアウェイの戦い方なのだろう。確実にこちらの体力を削り、確実な一撃を狙っている

「―――ッ!」

迫る少女の白刃。それを右手に魔力を纏わせ、打ち払う。少女は息も吐かせぬ勢いで攻め立てる


709 : コギトエルゴスム ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:29:16 XAvsNkRk0
「……!」
「させないわ」

中振りながらも隙の少ない一撃、敢えて防御させ体勢を崩させるつもりだがそうは行かない。周囲に魔力を展開し対応する。だが、既に少女は正面におらず―――

「……そこっ!!」

既の所で障壁を展開、弾き飛ばされるも壁を利用し一度空へ飛ぶ。滞空時間中を利用し両腕に魔力を込め、落下と共に少女へと斬りかかるも、少女は瞬間的な加速により回避。魔力の斬撃が直撃した大地はひび割れ、破片が浮かび上がる

「じゃあこれはどうかしら」

破片を球に見立て、ビリヤードのキューで突くように射出。破片同士が弾け、不規則な軌道が少女を襲う

「……っ」

最小限の動きだけでは避けきれないと察した少女が、即座に加速。アナムネシスへと迫る。だが、足を地面に踏み込んだ途端に、足がひび割れた地面と共に沈み込む

「運が悪かったわね、足元注意よ」
「しまっ……!」

バランスを崩した隙をアナムネシスは見逃さない。すかさず懐に潜り込む。相手の少女もアナムネシスに反応しすかさず刀を振り下ろす。目的はカウンターではなくアナムネシスの攻撃を弾く事。が、咄嗟の判断故精細さに欠けたその行為は既の所で回避され、アナムネシスの魔力が少女の体に刺さる
再び人型のオーラが弾け、少女は後方に飛ばされるも、なんとか受け身を取り、再び立ち上がる。だがその息は荒く、アナムネシスから見ても消耗は明らかであった

「そう何度も使える代物じゃないようね。見積もって残り1回かしら?」
「うぅ……っ」

予想した通り、その身代わりのような力は何度も使えるものではない。骨の数本をへし折るつもりで仕掛けたが、察知がよく自ら背後へ飛ぶことで勢いを抑えたらしい

「その年で戦いなれていることは称賛に値するわ」
「……ッ!」

一切の皮肉もない評価。代行者でもないに関わらず並の幽鬼ならば容易く刈り取れる実力。強敵ではあるが、勝てない相手ではない。一瞬の思考、その瞬く間にアナムネシスの視界から消え去っている

「……でもね」

その腕に魔力を纏わせ、虚空を掴まんとするように手を伸ばし、一陣の風を捉える。掴んだのは少女の腕。

「それ、動きが単調なのよ」
「……!!!」

少女の瞬間加速、その速度は驚異的ではあるが、瞬間故に単純な動きにならざる得ない。故に、軌道さえある程度読めれば、捕捉は容易い。見た当初こそは驚いたが――タネさえ分かれば、どうということもない
魔力を込めた、手刀の斬撃が少女の体を――その分け身を砕く

「これで、もう後はな、い……? ――!」

しかし、少女は諦めてなどいない。アナムネシスが少女の手に刀がない事に気づく。上を見上げれば落下してきたのは刀。落下速度からして少女の息の根を止める前にこちら側の腕が切断される
仕方なく少女から腕を放し、少しばかり離れる。その隙間を見逃さず少女は刀を再び手にし、加速

「やぁぁぁっ!!」

これにはアナムネシスも慌てて、腕に魔力を纏わせ手刀で防御するしか無い。だがその防御と少女の刀が打ち合った瞬間、手刀が弾かれ、軌道はそのままに少女の一撃が迫り―――


710 : コギトエルゴスム ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:30:01 XAvsNkRk0
「……今のは流石に焦ったわよ」
「か、はっ……っ」

少女の動きは止まり、赤黒い吐瀉物が口元から溢れ、零れ落ちる。少女の着ている制服はその柔肌諸共血に染まっている、まるで何かに貫かれたかのように

(あの時点で仕込んでおいて正解だったわね)

時を戻せば、アナムネシスが魔力の斬撃で地面を割った時。少しばかり魔力を地面に紛れさせた
少女に察せられない、地面からの不意打ち。だが、アナムネシスとしてもそれが無ければ危なかったというのは確か

(………さて)

崩れ落ちる少女に向けて放たれるのはアナムネシスが魔力で生成した小型の槍。射出されたそれは少女の華奢な体を貫き、壁へと突き刺さる。そして傷を負おうと手放さなかった刀を、ついに落としてしまった
槍が霧散し、少女の体は地面血溜まりを作り倒れ伏す。アナムネシスは、ただその光景を何の感慨も持たずに見つめて、少女に止めを刺さんと近づいていた



○ ○ ○


『ヒナちゃん』
「……!」

少女、白井日菜子は紅に包まれた夜空の下、その頭の中に聞こえた声と共に意識を取り戻した

「……今の、声。それに、ここって……」

数刻前、彼女は何もかも忘れていた。
『原種』と呼ばれる世界を滅ぼす存在を打ち倒せる『リフレクター』と呼ばれる存在として原種と戦った記憶。
全ての原種を、そして最後に現れたダアトをもみんなの力を借りて打ち倒し、大切な二人の友人と永遠の別れをした時の記憶。

……忘れていたはずの記憶が、思い出せていた。辛いことも、苦しいことも、楽しいことも、悲しいことも、嬉しいことも、何もかも



「……覚えてるんだ、私」

今、自分がどのような状況にいるのか一時忘れるほどに、瞳から雫が零れ落ちる
ぽろぽろ、ぽろぽろと
あの時唯一望んだ願いが、叶ってくれたんだと
ユズとライムの事を、忘れないでいた事を

「あはは……。良かった、良かった……思い出せた……覚えていた……!」

嬉しかった。大切な記憶を、忘れないでいた事が
彼女は泣いた。一時我を忘れ、ひと目を気にせず、泣いた


「……うん。泣いてばかりも、いられないよね」

涙を拭い、気持ちを落ち着かせ、さっきまでの状況を思い出す。悍ましい殺し合いの舞台、装着者を爆殺させる首輪
自分が生き残るためだけに誰かを殺すなんて絶対に嫌、じゃあこのまま死ぬか殺されるかなんてまっぴら御免。せっかく新しい一歩踏み出せたというのに、こんな事に巻き込まれるなんて思わなかった

「……」

デイバッグを確認し、中にあった指輪を見つける。何かを確信しその指輪を指に嵌め、ある事を試すために目を閉じて念じてみる。すると、光りに包まれた彼女の姿は蒼とピンクを基調としたチュチュのような衣装姿へと変身。髪色は黒から金へと変貌し、目は水色と金のオッドアイに

「……リフレクターの力が、使える?」

自らの姿を再確認し、困惑。この衣装はかつてリフレクターとして戦っていた時の衣装そのものだ
原種との戦いの時か、コモン世界での活動時のみでの姿だったのだが、何故か今この姿に変身できている
あの二人が、殺し合いのためだけに変身できるようにしたというのなら、なんとも複雑な気分だ

「でも、これなら」

戦える。無力な一般人としてただただ怯えるよりは数段マシ。心配なのは対人戦なんて、リフレクターの時には経験しなかった事を最悪否応なしにしなければならないかもしれない、ということだ
そんな事を思っていたら、向こう側から激しい物音が

「……もう!?」

もう誰かが殺し合いっている!? 物音が聞こえた方向はそう遠くはない。事実を確かめるため、殺し合いを止めんがため、エトワールは戦場へと駆け出す


711 : コギトエルゴスム ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:30:20 XAvsNkRk0
○ ○ ○

痛い、痛い、痛い。こんな所で立ち止まっていられないのに、立ち上がれない

与えられた任務をこなすことは簡単だった。自分は強いと思っていた

でも、上には上がいた。感情に乏しい私でも、嫉妬してしまうぐらいに強い人が

だから、もっと強くなりたかった。強くなって、誰かを守ることの出来る強さが


「ここまで梃子摺るなんて思わなかったわよ」


女の声が聞こえる。痛みと一緒に、反響する。地面に転がる妙法村正に手を伸ばそうとしても届いてくれない

「でも、もうおしまい。復讐の相手でもないのに、長く苦しませる趣味は持ち合わせていないわ」

何処までも冷たい、女の声。復讐がどうとか、私にはわからない

―――私はここで、終わる?

「……じゃあ、永遠に」

そっか、私、終わるんだ。ここで

……今まで任務の事ばかりで、空っぽだった私は死ぬなんて事を他人事みたいに思ってて

舞衣や可奈美、薫やみんなと出会えて、空っぽだ私の心が、ポカポカして

―――でも、終わっちゃう。私という人間の人生が

嫌だ、死にたくない。こんな訳もわからない所で

でも、その手は届かなくて、どうしようもなくて


(ごめん、みん、な―――)

「――さようなら」


でも、最後ぐらい、みんなと――――





「――させない」

少女、糸見沙耶香にはその光景をハッキリと見えていた。その声はハッキリと聞こえていた

声と共に、沙耶香とアナムネシスの間に割り込んだ衝撃波。その一撃は沙耶香とアナムネシスの距離を大きく引き離し、乱入者の介入を許すこととなる
それは、一筋の流れ星。奇跡の介さぬ赤き混沌の舞台にて舞い降りた、この逆境を、この理不尽を尽く切り抜けるもの
数多の絶望を、理不尽を、その身その力を以て、弾き返す者(リフレクター)

「……誰?」

距離を離さざる得なかったアナムネシス、警戒と共に不意を突く魔力の槍の投擲
だがその少女は大きく身を翻し、その手に持った剣で『跳ね返す』。跳ね返された槍をアナムネシスは目の鼻の先寸前で掴み、槍は霧散。アナムネシスは新たなる未知の相手という苛立ちに小さく舌を打った

「だ、れ……」

糸見沙耶香は乱入者に思わず見入っていた。そのオッドアイの瞳が、この紅月の空に負けない美しさを放っている。透明の剣はまるで青空だ。透き通ったそれは赤光に、殺し合いに屈しないという乱入者の意志を示すかのように、赤い空でもそれは青く美しく煌めき輝いている

糸見沙耶香にとって、白井日菜子という名のエトワールの第一印象は、ガラス細工のように綺麗で、暖かい人であった


712 : コギトエルゴスム ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:31:38 XAvsNkRk0
○ ○ ○

「大丈夫!?」
「……なん、とか……ゴホッ!」

間に合った――白井日菜子は心の中で安堵しながらも、背後にいる少女の様態が不安で仕方がなかった
体中の傷から血が溢れ出している、着ていた制服はもはや見る形もなく血染まりの海だ。呼びかけてみれば言葉を返してくれるも無理が祟り咳と共に血が吐き出る有様

「……無理しないで。……これを」
「ん……?」

痛々しい姿に見てられなくなり、デイバッグから何か治癒に役立てるものを手探る。見つけ出したのは如何にも携帯飲料と言わん形をした緑のラベルが目立つ袋。袋のキャップを外し少女に飲ませてみれば、出血は収まっていく

「………っ」

呼吸は落ち着いたが、それでもまだ出血は止まったわけじゃない。今彼女がこんな満身創痍で敵にでも襲われたらひとたまりもない状態は続いてる。――目の前の彼女をなんとかしない限りは、危機一髪なことには変わりない

「……無駄話は済んだのかしら?」
「あなたが、この子を」
「ええ。そうだと言ったら?」

そう、少女をここまで追い詰めたらしい、魔女(カラボス)をなんとかしなければ
決意とともに、白井日菜子はアナムネシスを見据える。アナムネシスの瞳に白井日菜子がどう映ってるのかはわからない。だが、白井日菜子はまるで蛇に睨まれた蛙のような感覚に陥っている
―――目の前の女性は、強い。一人じゃどうにもならない程に。でも、あの少女を見捨てるなんて出来ない

「どうして、そんな簡単に人を傷つけられるんですか」

時間稼ぎという目論見もあったが、目の前の女性がどうしてこの少女に対してこんな事ができるのか、どうしてそこまで残酷になれるのか、白井日菜子は問いかけたくなった

「私の願いのためよ」

返ってきたのは、余りにも無機質で、当たり前だと言わんばかりの言葉

「そう、これは私の復讐の再生の物語。ハッピーエンドに辿り着くための。そのためならどれだけ魂を食い潰そうとも、他人が不幸になろうとも知ったこっちゃないわ」

白井日菜子が感じたのは恐怖だ。まるで自分以外、自分が望む結末以外には何ら興味がないと言わんばかりの冷たさ。人として、何かが欠損している。人として大切な何かが喪失している
過去からの歪みから悪意が生じた蜷川麻央とは全く違うもの、凝り固まったエゴが人の形を成したもの。少なくとも、今の白井日菜子にはそう見えた
剣を構えるその手は震えている、でも挫けたくなんてない。今あの子を守れるのは、自分だけだから、そんな白井日菜子を姿に、くだらないと言わんばかりにため息を付いたアナムネシスは一言告げる

「……白けたわね。今回は引き下がってあげる」
「え……?」

殺意すら消え失せたその言葉に、思わず日菜子は呆気となる

「無理に戦うつもりなんて無いということよ、その子は殺すつもりで襲ったけれど。それに、魂を集めるだけなら他にも、いるわよ」
「ッ……!」

まるで「お前にだけかまっている必要はない」と言わんばかりに吐き捨てる。明確な殺し合いに乗るというアナムネシスの方針を理解した日菜子は思わず苦い顔。だが、まともに戦えば傷ついた少女を抱えた此方側が不利だというのは日菜子が一番わかっていた

「だから――次会ったら、その時は容赦なく殺してあげるわ」
「待っ――!」

その言葉と共に、魔力の奔流がアナムネシスを包み込む。奔流による暴風に日菜子が一瞬目を逸せば、既にアナムネシスの姿は消え去っていた

「………」

魔女という嵐が過ぎ去り、白井日菜子は立ち尽くす。気まぐれで見逃された形だった。もしその気であれば、自分たちなんて歯牙にもかけない程の実力者
けれど、彼女を放置しておけば確実に犠牲者が増える。死ななくてもいい人達が殺され続ける。欲望と復讐のままに振る舞うあの魔女を止めないといけない

「……あなたが何を考えているなんて、私にはわからない。でも……止めてみせる。いつか必ず」


713 : コギトエルゴスム ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:31:54 XAvsNkRk0



とある民家の一角。白井日菜子と糸見沙耶香はあの後ここに移動していた
目的は未だ出血が止まらぬ糸見沙耶香の止血と治療。少々申し訳ないと思いながらもタンスに入っていた褶を取り出し、軽く切断して沙耶香の止血に使用
それとまだストックの残っていた回復用の携帯飲料モノメイトを飲ませる。処置の甲斐あって出血は止まる。沙耶香が危機を乗り越えた事に白井日菜子は二度目の安堵の表情を浮かべるのであった

「あり、がとう……」
「無理はしないでね。傷口が開いちゃうかもしれないから……」

沙耶香のその言葉に、日菜子は思わず緊張が解れながらも沙耶香の身を案じる。こうやって落ち着いてみれば小動物みたいな小柄な顔立ちだけど、穢れのない水晶のような美しさを感じる
沙耶香の手に届く場所には、アナムネシスが去った後に回収した妙法村正が置かれている。律儀というか、真面目というか、何とも言えない気持ちを日菜子は抱いていた

「自己紹介、まだだったね。私は白井日菜子。気にせずヒナでいいから」
「……糸見沙耶香。よろしく、ヒナ」

切り替わりが早くて忘れそうになっていた自己紹介。少しばかり微笑ましい雰囲気が流れる。氷細工の様な沙耶香の表情が少し緩んだように日菜子は見えた。感情表現が苦手と言えば日菜子からすれば齋木有理を思い浮かべる。
だが、齋木有理が自分たちと触れ合っていく中で、伽藍堂な気持ちから自分にも感情があることを理解できたように、この糸見沙耶香という少女も誰かと触れ合って人並みに心の温もりを理解したのであろうと感じる

「………」
「沙耶香ちゃん?」

知らず識らずの内に眠ってしまったようだ。寝顔に沙耶香にタンスから取り出した着物の類を布団代わりに被せ、日菜子もまた同じく彼女の隣に座り、おもむろに空いていた手を繋ぐ

一時の静寂の中、日菜子は思う。こんな殺し合いを許してなんて置けない。この子にも帰るべき場所が、会いたい人だっているのだ、そんな当たり前の事をこんなことで奪われてたまるかと
だけど、自分の記憶が戻ったという奇跡の傍ら、その代償にもしかしたら紗更や有理たちが、もしかしたら……

(ユズとライムも……)

原種との最終決戦の後、使命を終え帰るべき場所へ帰ったはずユズとライムも、この殺し合いに巻き込まれているかもしれない
また出会えるという期待と、こんな所に巻き込まれているのかという不安が、今の白井日菜子の心に周り巡っていた

【白井日菜子@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣】
[状態]:健康
[装備]:リフレクターの指輪@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣
[道具]:基本支給品一式、モノメイト(3/5)@ファンタシースターオンライン2、ランダム支給品0〜1
[思考]
基本:殺し合いになんて乗らない。こんなふざけた事は止めてみせる
1:あの人(アナムネシス)は止めないと
2:今はこの子(沙耶香)の事が心配
3:もしかしたら、ユズやライムも、巻き込まてている
[備考]
※参戦時期は第12章「最後の一歩 the First Step」で、ユズとライムとの最後の別れをしてリフレクター絡みの記憶を全て忘れた後から
※忘れていた記憶は思い出しました


【糸見沙耶香@刀使ノ巫女】
[状態]:睡眠中、ダメージ(大・止血済み)、疲労(大)
[装備]:妙法村正@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:みんなの事が心配
2:今はこの子(日菜子)と一緒にいる
3:もっと、強くなりたい
[備考]
※参戦時期は21話から


【リフレクターの指輪@BLUE REFLECTION 〜幻に舞う少女の剣〜】
白井日菜子に支給。リフレクターへの変身のために必要な指輪
白井日菜子の場合、指輪を嵌める手でフラグメントに触れることで、指輪を通じてフラグメントから伝わる人間の気持ちや思いを理解することが出来る
そうしてフラグメントの形を整え、破壊されないよう補強する「固定化」を行うことで、そのフラグメントの持ち主である人間を守ることができ、同時に力を手に入れることもできる
本来ならばリフレクターへの変身はコモン内か原種出現時にしか出来ないが、この会場においては変身可能。もし素質があるならば他の参加者でもリフレクターになれる可能性が……?

【モノメイト@ファンタシースターオンライン2】
白井日菜子に支給。アークスにおける御用達回復アイテムの一つ。使用することでライフ30%を回復する
余談であるが現実ではモノメイトをモチーフとしたグリーンソーダ味のドリンクが発売されていたり
味の有無は後続の書き手におまかせします

【妙法村正@刀使ノ巫女】
糸見沙耶香に支給。糸見沙耶香の御刀。元は佐賀藩初代藩主、鍋島勝茂の愛刀


714 : コギトエルゴスム ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:32:10 XAvsNkRk0
○ ○ ○


「楽に勝ち抜けるとなんて思ってはなかったけど、あんなのばかりだと少々骨が折れるわ」

紅月の空、別の場所、幽鬼アナムネシスは理解する
瞬間加速の少女剣士、そして攻撃を弾き返してきた乱入者と良い、未知の力溢れたこの殺し合いは一筋縄では行かないと
元々代行者が参戦している可能性を考慮していたアナムネシスにとってはその点に関して、危機も警戒もしていたのではあるが

「……少しばかり、身の振り方を考えたほうがよさそうね」

アナムネシスは思考する。この殺し合い、ただの辺獄の管理人のきまぐれとは思わない。確実に裏がある。例え非効率とは言えあの享楽と愉悦と悲劇を好む二人ならしでかすだろう、だが生者を辺獄に呼び込むという点ではあの二人だけでない、別の誰が関与する可能性があり得る
どちらにしろ、勝ち抜くことには変わらない。辺獄の管理人の目論見は優勝した時にでも聞き出すとしてだ
故に、幽鬼アナムネシスは新たなる魂を求め赤き都を彷徨う。己に欠けた大切なモノを取り戻すため、大切なモノを奪った『幽鬼の姫』に復讐せんがために

【アナムネシス@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:優勝して、ヨミガエリを果たす。もし幡田姉妹がいるならば復讐する
1:身の振り方を少しばかり考えたほうがよさそうね
2:あの女(白井日菜子)は、次会う機会があれば必ず殺す
3:辺獄の管理人、何を考えているのかしら……?
[備考]
※参戦時期は第五章『コギトエルゴズム』から


715 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 13:32:21 XAvsNkRk0
投下終了します


716 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 15:43:45 XAvsNkRk0
投下します


717 : 残酷な夢に眠らず ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 15:44:10 XAvsNkRk0
不謹慎ではあるが、ある意味私はこの殺し合いに呼び込まれてよかったのだと思う

いや、私には殺人衝動がありましたとかではなくて、こんな危機的状況だからこそ、為すべき事や、気付かなかったことに気づくことが出来たのだから

私は、強くなりたかった。強くなって、あの人の隣に立ちたかった。でも、私にはある部分が足りなかった

それは『魂』。御刀に込めた思い、覚悟、心の熱さ。糸見沙耶香に敗れて、やっと気づけた



相手に向き合わないで、ただ強くなりたいだけでは何も生まれない。その思いは、強くなるだけなんかよりもよっぽど大切なもの

まだ正しく答えは掴めていないのかも知れないけれど、それでも少しずつ歩んでいくことも大切なのだろう





紅月の輝きに包まれた平安の京で、この私、内里歩は思う

刀使として、荒魂から人々を守る立場として、こんな殺し合いなんて認めるわけは行かない

今のこの手に御刀は無いけれど、それでも諦めたくなんてない。ならば少しずつ信じられる参加者を探していくしかない

それはとても遠い道のりだけど、その先に輝ける結末を迎えられると信じて

だから、無事でいて下さい衛藤さん、糸見さん。私は、いつか『答え』にたどり着いてみせます。そしていつの日か、衛藤さんと―――



【内里歩@刀使ノ巫女】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:こんな殺し合いは認められない
1:刀使として出来る限り人々を守る
2:信じられる参加者を探す
[備考]
※参戦時期は22話、糸見沙耶香に敗れて気を失った直後


718 : 残酷な夢に眠らず ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 15:44:22 XAvsNkRk0
投下終了します


719 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 16:29:33 XAvsNkRk0
投下します


720 : Re:ろくでなしBLUES ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 16:29:48 XAvsNkRk0
「いいじゃねぇかいいじゃねぇか、サイッコーじゃねぇか!」

紅く染まる旧き京の都の一角にて、男は高らかに、邪悪に笑う
男の名は北ノ城篤(きたのじょう あつし)。燦然党に所属する吸血鬼の一人である

「マジで人生詰んだと思りゃ、無理やり呼ばれて殺し合いだぁ!?」

彼の最後に記憶は、それこそ死の直前の記憶。だが、しくじったと本気で思い込んだ矢先にこの殺し合いだ
メフィスとフェレスとかいう、くそったれ二人に命じられるというのは気に入らない、だが

「あいつらは気に入らねぇが、こいつは最高のチャンスじゃねぇか!」

そう、最高にして最大のチャンス。勿論自分なんかよりも格上は呼ばれているであろう、最悪ドミノやユーベン、日ノ元士郎などの真祖すらも
だが、そんな奴ら相手にまともに面向かってやり合うつもりなど毛頭ない

集団戦ではなく殺し合い、ならば自分の能力も活かせられる。適当なカモにガスを仕込んで、狙った所でぶち撒けられれば有象無象の大体は死ぬ。上位の吸血鬼には通用しないという欠点はありしても、一般人も容赦なく巻き込まれている今回ならば話は別だ

「……へへっ、待ってろよメフィスとフェレスとかいうクソ共。優勝するのは俺様なんだからなぁ!」

強者という名の掃き溜めを漂っていた黒蠅は、二度目のチャンスを手に入れた
到底かなわない奴らは、他のゴミどもを利用して、あわよくば始末できればいい
そして優勝の暁、もう誰も自分を見下すやつがいなくなるぐらいの強さを手に入れてやる

男は、その身の桁に合わぬ野望を背負い高らかに笑うのであった

【北ノ城篤@血と灰の女王】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:優勝して、誰にも見下されない強さを手に入れる
1:毒ガスばら撒き用のデクを探す
2:真祖のような強者相手との真っ向からのガチンコは避ける
3:もしクソ狼とクソカラスがいたら苦しめた上でぶち殺す
[備考]
※参戦時期10巻、死亡後から


721 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/03(土) 16:30:02 XAvsNkRk0
投下終了します


722 : 怪物と夜遊び ◆vV5.jnbCYw :2021/04/03(土) 21:02:09 iE/LUNNA0
油断した。
気付かぬ内に殺し合いに巻き込まれ、この世界で最初に恵羽千が頭の中で発した言葉はそれだった。
彼女は仲間と「辺獄」を冒険していた途中、突然更なる異世界へ飛ばされ、気付いたら良く知っている双子に殺し合いを命じられていた。


「中々いい道具を貰ったぜ〜。」
スーツに緑のネクタイをした、軽薄そうな男が不愉快にニヤつきながら、千を舐めまわすように眺める。
男の右手には光る杖。
下肢に不自由がある人のための道具ではなく、魔法の力を秘めた道具だ。


「おっとっと、動くんじゃね〜ぞ〜。」
緑ネクタイの整った顔が、嗜虐で歪む。
そう言われなくても、千は瞬き一つできない。
男、伊藤大祐が後生大事に持っているのは、「マヒの杖」。
神経を痺れさせることで、身動きを封じることの出来る魔法を飛ばせる道具だ。


大祐は挙動からして、戦いをほとんど経験していないはずの素人。
もし悪人だとしても、襲ってくれば瞬時に支給品の剣で串刺しにできる。
そう思っていた千だが、災難は大祐が彼女の見知らぬ道具を持っていたことだ。


「そう嫌な顔するなよな。つーか、右肩に変な刺青彫ってるし、
肩やら副乳やら簡単に見える服着てるってことは、誘ってたんじゃねーの?」

表情一つ動かせない千とは対照的に、大祐の表情はコロコロ変える。
とはいえ、どの表情も人の神経を逆なでしそうなものだが。

「知らない場所に呼ばれたと思ったら、これまた別の知らない場所で殺し合いしろと言われたけど、こんないい道具と、いいオンナを手に入れたなんて大ラッキーだぜ!!」
なおも千の体は動かない。
そうこうしているうちに大祐はパーソナル・スペースまで距離を詰めて来る。
この場所からなら、身体を少し動かすだけで相手をめった刺しに出来る。
だが、運動神経は愚か、詠唱のための舌まで軒並み痺れている状況で、剣を振るうことは叶わない。


完全に予想外の危機を、如何にして逃れようかとしていた所、室内の木製の天井が破れた。


「「!!?」」
天井を突き破って入ってきたのは、人間ではなく、狼だった。

「この……犬っころの分際で!!俺のお楽しみを邪魔すんじゃねええええ!!」

妄想が現実になる瞬間を邪魔され、麻痺の杖を狼目掛けて振りかざす大祐。
当たれば、人だろうが、狼だろうが動けなくなることは間違いない。


「うげえええ!?何しやがんだ!!」
しかし魔法弾が放たれる前に、狼は大祐の腕を鋭く引っ掻く。
痛みのあまり、大事な杖を落としてしまう大祐。

なおも狼は大祐を睨み続ける。
「や、やだなあ。ちょっとした冗談だよ。俺たち3人、殺し合いに巻き込まれた者同士……ぎあーーっ!!」

大祐が言いたいことを全部言う前に狼は大祐の喉笛に噛みついた。
どくどく流れる血を止めることは出来ず、ドサリと地面に倒れこむ。



【伊藤大祐@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage 死亡】


723 : 怪物と夜遊び ◆vV5.jnbCYw :2021/04/03(土) 21:02:24 iE/LUNNA0
すいません。投下宣言忘れていました


724 : 怪物と夜遊び ◆vV5.jnbCYw :2021/04/03(土) 21:02:52 iE/LUNNA0
「ウウウウ……」

続いて狼は千にも襲い掛かるかと思いきや、急に何か起こったかのように苦しみ始める。
みるみるうちに狼は、人間の姿になった。


「あ……」
ようやく痺れが引いていき、言葉を発せるようになる。
「オオカミ……男!?」
「そうよばれるんなら……そうなんです。」


狼から人間に戻った少年は、少し前にやらかしたことは全く知らないかのように、気さくに話しかけた。
「そうなんですどころじゃないだろう。」

千は自らの視線を、動かなくなった男の方に流した。」
「やっぱり……ぼくがやったんですね。」
少年は千の反応を見て、項垂れてしまった。


「狼になると、人間の記憶も人格も無くなるのか?」
千がかつて辺獄へ来る前に読んだ本に出ていた狼男も、変身すると見境なく襲っていた。
「まあ……そんな所ですね……。オオカミになると、憎んだ相手をかみ殺してしまうのです。」

平然と恐ろしいことを述べる少年だが、千もまた辺獄という未知の世界での経験を積み重ねている。
いきなり狼男を目にしたことは驚いたが、冷静に言葉を返す。
「そうか……何にせよ助かった。ありがとう。」
「いえ、お礼を言われることではありません。正義とか……誰かのためにやったことではないです。」


変に真面目な所があるな、と思った千を前にして、少年は話を続ける。
だがそれ以上に彼女が不思議に感じたのは、少年が正義という言葉を口にしたからだ。
正義を生きる基盤してきた千には、自らの正義を否定したのは奇妙に思えた。
「空の月を見てオオカミになって、すぐ近くから耳に障る声が聞こえてきて、衝動的にやったことです。」



千には知る由もないが、少年、トッペイが狼になるトリガーは2つ。
1つは月を見た時、もう1つは怒りや憎しみに駆られた時。
「そんな所まで狼男そっくりだな……まあそんなことはどうでもいい。お前が言ったことが本当ならば、なぜあたしまで殺さなかった。」
千は申し訳なさそうにしている少年に対し、新たな質問を投げる。

「なぜって……。あなたがぼくを嫌な気持ちにさせなかったからじゃないですか?」
「だとするなら、それもまた正義じゃないのか?」


―――もし、なにか事件が起こって、あたしが犯人だって証拠が見つかったら、父さんはどうするの?
―――法に従い、罰を求刑するだろうな。それが、自分の信じた正義だからだ。


検事であった、亡き父が口にした言葉。
千は父との思い出の奥底にもあった、正義を重んずる。
それが自分にとって不利を被るものであっても。
そして、この世界はかつて千がいた世界の法は存在しない。
ならば、自らで正義を定義し、それを歪めることなく生き続けることが正しいのではないか。

「動機がどうであれ、自分の信念に従って殺すか否かを決めた。ただあたしとの正義の定義が異なるだけだ。」
「あなたは面白い人ですね。」
「あたしは自分の正義に従ってお前を評価しただけなのに、そう言われるとは心外だな。」

トッペイの表情には、僅かながら緩みが生まれた。
この少年は漫画家になりたいがために故郷を一人で出るほど、好奇心旺盛な性格である。


725 : 怪物と夜遊び ◆vV5.jnbCYw :2021/04/03(土) 21:03:13 iE/LUNNA0
「お前に話しても良さそうだ。信じられないかもしれないが、あたしはあの双子に会ったことがある。」
「最初の場所にいた、あいつらのことですか?」


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


恵羽千は、かつて冒険していた辺獄で起こったことを話した。
ヨミガエリのことや幽鬼のこと、あの双子は辺獄の管理人であったこと。
自分は仲間と共にメフィスとフェレスに示された指標に従い、仲間の妹がいるはずの辺獄の最奥を目指していたこと。


「東京に来てから色んな経験をしたぼくでも、信じられない話ですね……。」
「だろうな。でもこれを見れば、嫌でも分かるはずだ。」

千は支給品袋から剣を取り出し、振りかざした。
その程度ならありふれた人間でも出来るが、驚きなことはそれからだった。

「刀影直射!!」
背後から光る剣が現れ、地面に突き刺さった。」

「今のは……」
まるで僕の先生が書いた漫画見たいですね、と言い損ねてしまった。

「辺獄では、こういった特別な力が使えたんだ。この格好も、辺獄に入った時の衣装だ。」
まさか力のみならず衣装まで変わるとは、狼に姿を変えられるトッペイも開いた口が塞がらなかった。

「じゃあここは千さんが言っている「辺獄」ということですか?」
トッペイとしては、風景からしてここは自分が本で読んだことのある「京の町」だと思っていた。

「いや、その辺獄とも少し雰囲気が違う。おまけにあの双子は殺し合いをしろなんて言ってこなかった。」
「そうなんですか?」
幾分かイメージの違うメフィスとフェレスのことを聞き、驚くトッペイ。

「あいつらは嫌な態度を取りながらも、あたしたちに辺獄で何をすればいいか教えてくれた。
でも願いのために人を殺すなんて、あたしの正義が許さない。協力して欲しい、トッペイ。」

「僕でよろしければ……と、その前に待って下さい。」
トッペイは破れた大祐の服の布地を使い、即興で目隠しを作る。
「僕は月を見ると狼になってしまうので、その対処です。」
「え……それは見えないんじゃないのか?」
「大丈夫です。こういうのに慣れているので。」


事実、トッペイは東京で漫画家手塚治虫のアシスタントとして働いていた時、夜はいつも目隠しをして外を歩いていた。
確かにこの場は、赤い月が空に昇っている。
月を見ると狼になって我を忘れてしまうのなら、確かに重要な道具だ。
しかしそれが分かっていても、目隠しをしながら歩くのはどうにもシュールに見える。



(バンパイヤのトッペイ……か。)
千は頭の中を回す。
最初に私を襲ってきた男と、獣になった時のトッペイと、どこが違うのだろうと。
衝動に任せて罪を犯したというのなら、男もトッペイも同じではないかと。
先程それは違うということを話したが、そんな違いはトッペイという都合の良い人物に助けてもらった自分への正当化ではないかと。


これは千が知る由もないことだが、トッペイがいた世界でこのような仮説を立てた学者がいた。

獣には規則やエチケットや正義、そういった人の行動を縛るものが無いから、獣になることを望む人間、そして本当に獣になるミュータントが生まれるはずである。
そうした人間を、私はバンパイヤと呼ぶ。


正義の代行者と、自由を求めるバンパイヤの同盟は、まだ始まったばかり。


726 : 怪物と夜遊び ◆vV5.jnbCYw :2021/04/03(土) 21:03:58 iE/LUNNA0

【恵羽千@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康 自分への疑問
[服装]:代行者の服装
[装備]:疾風のレイピア@ドラゴンクエスト8
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2 麻痺の杖4@少年ヤンガスと不思議なダンジョン、伊藤大祐の不明支給品0〜2
[思考]
基本:自分の正義を貫く
1:トッペイと共に殺し合いを止める。
2:仲間(零、小衣、777)がいるか探す。
[備考]
第五章、愚問愚塔クリア後の参戦です。
※ソクラテスを出せるかどうかは、お任せします。



【立花特平/トッペイ@バンパイヤ】
[状態]:健康 
[装備]:目隠し@現地調達
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:恵羽千とともに、殺し合いを止める
1:まずは千に付いていき、その仲間を探す。
[備考]
※参戦時期は第一部終了後

[支給品紹介]

【疾風のレイピア@ドラゴンクエスト8】
恵羽千に支給された武器。
細身の剣で、敵を刺すのに特化している。
また、装備すると攻撃力だけでなく、スピードも上がる。

【マヒの杖@少年ヤンガスと不思議なダンジョン】
伊東大祐に支給された杖。振ると魔法弾を飛ばすことが出来て、相手を一定時間動けなくさせることが出来る。
使い切ると魔法弾を出せなくなるが、相手に投げることでもう1度だけ使うことが出来る。
投げたそれを外すのはご愛敬。


727 : 怪物と夜遊び ◆vV5.jnbCYw :2021/04/03(土) 21:04:11 iE/LUNNA0
投下終了です


728 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/03(土) 21:21:47 I1dW4rVY0
投下します。


729 : 月の模様(日本) ◆s5tC4j7VZY :2021/04/03(土) 21:24:44 I1dW4rVY0
うさぎ うさぎ なに見て はねる
十五夜 お月様
見て はねる
作詞・作曲者不詳 うさぎ(童謡)より

日の本で伝わる有名な童謡。
血染めの月が浮かぶ平安京の舞台日本では月の模様がお餅をついているうさぎに見える。

☆彡 ☆彡 ☆彡
血染めの月が浮かぶ平安京。

「メーデーメーデー!異常事態に遭遇した!応答せよ!メーデーメーデー!異常事態に……」
歴史ある雅な都で独り言のように発している兎。

兎の名は清蘭。
ウサギはウサギだが玉兎と呼ばれる月のウサギである。

「……駄目ね。テレパシーが使えないようだわ」
清蘭はイーグルラヴィと呼ばれる地上の調査部隊に所属し、幻想郷の調査を開始するはずだった。
しかし、幻想郷に潜入したと思った矢先にこの殺し合いの舞台となった平安京へ誘われたのだ。

「もう……やだー。どうして通信が出来ないのよー!これだから今の兎は命令を守らない屑だって言われるのよー」
調査を命じた月の都と通信ができないことに不満を述べる清蘭。

「だけど、この杵?のようなのはすごいわー!」
支給品のハンマー……ニューデデデハンマーに驚く清蘭。
「この、見たこともない支給品を持ち帰ることが出来れば、豊姫様に依姫も大喜びだわーきっと」
清蘭は支給品を見ながら思考する……

「うんうん。何よりこの杵にウサギマークがついているのは特に嬉しいわー」
支給品のニューデデデハンマーの表面のマークに満足する清蘭。ちなみにそれはウサギのマークではなくピースのマークである。

「見てなさいよー地上人!この月のウサギが全てを頂くわー」

そう、清蘭がやることはただ一つーーーーー「調査」

【清蘭@東方紺珠伝 】
[状態]:健康
[装備]:ニューデデデハンマー@星のカービィウルトラスーパーデラックス
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:平安京を調査しながら様々な使えそうな支給品を手に入れて帰還する
1:調査しながら帰還する方法を探す(この際、地上人との共闘も視野に入れる)
2:支給品集めもしたいわー
[備考]
※参戦時期は紺珠伝1ステージ中(霊夢達に撃破される前)

【ニューデデデハンマー@星のカービィウルトラスーパーデラックス】
清蘭に支給されたハンマー。
機械仕掛けのハンマーで、表面を開くとなんとミサイルや炎を放つことができる。さらに帯電している最中に地面を叩くと電気の衝撃波を放つこともできる。……ハンマーなのか?
表面にはピースマークが描かれているが、清蘭はピースマークをウサギのマークだと勘違いしている。


730 : 月の模様(日本) ◆s5tC4j7VZY :2021/04/03(土) 21:24:55 I1dW4rVY0
投下終了します。


731 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/04(日) 07:13:21 tZlmu4dw0
投下します。


732 : 想いを重ねて!闇を照らす希望の月☆ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/04(日) 07:17:00 tZlmu4dw0
キラやば〜っな月はそこになく、あるのは紅より紅き血染めの月ーーーーー

「……」
そんな月が浮かぶ平安京の大地に足をつける少女は沈黙を貫く……

少女の名は香久矢まどか。
観星中学校の3年生にして生徒会長を務めている。

弓道やピアノ、茶道や華道をこなし、学業もトップで在校生たちから【観星中の月】 と呼ばれ数多の後輩たちに慕われている。

「……」
勿論、沈黙には理由があり、まどかは黙って自分の支給品を見つめるーーーーー

(わたくしの支給品に都合よくスターカラーペンダントとペンがある時点で、あのメフィスとフェレスはプリキュアとしてのわたくしの行動を気にもかけていない証拠……)
そう、支給品から施行をしていたのだ。なぜなら香久矢まどかにはもう一つ別の顔がある……

キュアセレーネーーーーープリキュアの戦士と言う顔。

しかし、それは特定の変身アイテムがなければならない。
スタート段階で支給されたということはプリキュアになって殺し合いに従わなくても別に構わないというメフィスとフェレスの余裕の表れでしか他ならない。

(この状況は圧倒的にこちらの不利……ですが)
まどかは想起する。幼き頃、連れられたオークションで戦う父の姿を。

「勝利の法則それは…逆境の時にこそ! 」
次に脳裏に浮かぶのはメフィス・フェレスによる身勝手な行為によって殺された首だけの少女と首輪を爆破された少女ーーーーー

「わたくしは、このような催しを認めません。必ずあなたがたの企みを阻止します!」
ゆえにその光景をただ眺めるだけしかできなかった自分を恥じるーーーーー

「わたくしはそう……決めました!」
香久矢まどかは行動を起こすーーーーープリキュアとして人々のキラやば〜っを守るために。

紅き血染めの月は【月】のプリキュアに希望を与えるのかーーーーー

【香久矢まどか@スター☆トゥインクルプリキュア 】
[状態]:健康
[装備]:変身スターカラーペン・スターカラーペンダント
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:プリキュアとして人々のキラやば〜っを守る
1:参加者のキラやば〜っを守る
2:首輪の解除方法を探す
[備考]
※参戦時期は本編42話後


733 : 想いを重ねて!闇を照らす希望の月☆ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/04(日) 07:17:13 tZlmu4dw0
投下終了します。


734 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/04(日) 08:51:39 SKMsVP2w0
自作『生き物』の内容を一部修正させていただきました。


735 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/04(日) 11:05:23 tZlmu4dw0
投下します。


736 : やってくる!海の妖精くるるん!・・・あれ? ◆s5tC4j7VZY :2021/04/04(日) 11:09:09 tZlmu4dw0
私!夏海まなつ!!トロピカることが大好きな中学1年生!
念願だった部活も無事「トロピカる部」に決まりこれからの毎日を楽しむぞ〜と思っていたら、メフィスとフェレスと名乗る2人の子から殺し合いを命じられちゃたんだ!……って、え〜〜〜〜〜!?

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……あった!トロピカルパクトにハートクルリング!!よ〜し!!!これでプリキュアに変身することが出来るぞ〜♪」
部活が承認され喜びの乾杯をしている最中、訳も分からず殺し合う平安京に誘われたまなつは支給品にプリキュアに変身できるアイテムが支給されていることに喜ぶ。

「これなら殺し合いを阻止することができる!私の運勢トロピカッテる〜♪」
普通ならあまりにできすぎていることに疑問を抱いてもおかしくはないが、まなつは気にもかけていないようだ。そもそも、殺し合いに誘われた時点でトロピカッテるわけはないのだが……そこは明るさ全開のまなつである。

「それにローラと約束したんだ!部活とプリキュア両方頑張るって!!」
だからこそ、まなつはここで立ち止まることはできないーーーーー

「私は今、一番大事なことをやる!」
真夏のケツイが定まる!!!
殺し合いを阻止して皆のいるあおぞら市へ戻ることーーーーー

まなつの夏の太陽のような性格が紅き血染めの月に支配された平安京に仕掛けられた殺し合いを阻止することができるのかーーーーー

「私のやる気はムテキなの!」

常夏のプリキュアが殺し合いの阻止へ全速前進!!!

【夏海まなつ@トロピカル〜ジュ!プリキュア】
[状態]:健康
[装備]:トロピカルパクト ハートクルリング
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを阻止して皆の下へ戻る
1:今、一番大事なことをやる!
2:殺し合いに乗った人から他の参加者を守る
[備考]
※参戦時期は本編6話後


737 : やってくる!海の妖精くるるん!・・・あれ? ◆s5tC4j7VZY :2021/04/04(日) 11:10:24 tZlmu4dw0
☆彡 ☆彡 ☆彡

まなつがはじける明るさで殺し合いの平安京を全速前進している最中、もう一人の参加者が近くにいたーーーーー

「……」
しかし、少女のその表情はまなつとは対照的に暗いーーーーー

少女の名は森川更紗。
星ノ宮高校の特待科の一年生。
白井日菜子としのぎを競い合っていたバレエダンサー。

(日菜子がバレエをやめる……)
まなつの明るさの太陽と対照的に暗き月のような表情を見せる更紗……

《ひざを痛めたんだ。》
それは、屋上で聞かされた惨酷な通告。

《私だって諦めたくなかった!ずっとバレエを踊りたかった!》
日菜子の本音ーーーーー

(そんなの絶対に認めない……!!)
あんなに踊れるのに……日菜子がバレエをやめるなんて世界が滅んでもありえないわよ!……いやあってはならない!

《私の足は、もう……》
悔しい……足さえ元通りになれば、日菜子はすぐにでもバレエに復帰できるのに……

(私の目標が……いえ。日菜子……あなたは私のエトワールなのよ!?)
殺し合いという恐怖とは別に更紗の胸の中に【優勝】という2文字がじわりじわりと浮かび上がる。

(はっ!?そういえば……)
メフィスとフェレスと名乗る2人が言っていた……殺し合いに優勝すれば、【どんな願いでも一つだけ何でも叶えられる』権利を与え、元の世界に返してやろう】と……

(でも……殺し合いなんて……私には無理……だけど……死にたくない……怖い……誰か私を助けて……)
先ほど見せつけられた首が吹き飛ぶ場面に少女の生首が脳裏に浮かぶため更紗は憔悴しきっている。
普通の少女なら当然だ。

プリキュアのような力を持たない少女は殺し合いの平安京の袋小路に迷うーーーーー

【森川更紗@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣 】
[状態]:健康 憔悴(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺したくはない……だけど、願いを叶える権利はほしいわ……
1:私は……怖い……死にたくない……誰か助けて……
2:優勝すれば……日菜子が再びバレエをやれるようになる……?
[備考]
※参戦時期は第3章屋上で日菜子からバレエをやめたことを聞いて感情が暴走する直前
※殺し合いには乗ってはいませんが、優勝者への権利に後ろ髪を引かれています


738 : やってくる!海の妖精くるるん!・・・あれ? ◆s5tC4j7VZY :2021/04/04(日) 11:10:35 tZlmu4dw0
投下終了します。


739 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/04(日) 18:30:24 s66MNkwc0
投下します。
天気の子ロワにて投下した作品を流用及び修正したものです。


740 : 憎悪〜にくしみ〜 ◆8eumUP9W6s :2021/04/04(日) 18:31:39 s66MNkwc0
君は知るだろう。

憎しみは止まらず、それを割り切ることや捨て去ること、そして乗り越えることは難しいのだということを。

それが彼を…殺し合いへと駆り立てた。

----

紅き月が参加者たちを見上げる中、1人の青年が立っていた。

「…我々との意思の共有が行われない。
だがいい、私は理解した。あの女が抱いた憎しみという感情を、あの少女達が話したルールを…私は、我々の意思を代行する」

淡々とした声色のまま、青年は1人言葉を溢す。
彼には名前が無い。彼はフェストゥムと呼ばれている、身体の99%が珪素で構成されているシリコン生命体。それらを束ねるべき存在であるミールの意思の代行者、マスター型と呼称される個体であった。
最も、彼等フェストゥムは「この段階では」一部の個体を除き、個という概念が確立していないのだが。
故に彼には名乗る名前も、呼ばれる名も無い。なので此処では、便宜上彼を「イドゥン」と呼称する。

この殺し合いに呼ばれる前のイドゥンは、「情報」という概念を理解した上で、自分達フェストゥムを滅ぼし得る新型ファフナーの情報収集を行っていた。
その過程で彼は、新型ファフナーの一機「マークニヒト」と、それに搭乗していたパイロットの狩谷由紀恵を同化し…そして、彼女が抱いていた「憎しみ」という感情を理解した。その直後にイドゥンは、この殺し合いに招かれたのである。

ミールとの意識の共有が切れている事に僅かばかりの困惑を抱くが、それに自分では気付かないまま、彼は目的を定める。
この殺し合いでのイドゥンの目的は二つ。
一つは、理解した憎しみのままに、この場にいる人類を全て殺し尽くす事。
もう一つは、人類以外のこの場にいる者に対して、同化と言う名の祝福を与える事である。それらの対象には勿論、主催者であるメフィスとフェレスも入っている。

だがイドゥンは気付いていない。
ここに来る前、同じマスター型でありながら人類を同化する対象か殲滅する対象としてしか見ていなかったイドゥンとは違い、人類との共存の道を探そうとし、意見を違えたミョルニル(こちらも便宜上の呼称)相手に、言葉を使った「対話」による意思疎通を行なってしまっているという事実に。
既に自らが、「個」や「存在」という概念を理解しつつあるという事に。

本来の歴史ではイドゥンは、人類軍と竜宮島部隊との総力戦の果てに、北極のミールを破壊され、そこから切り離された末に「個」を確立してしまい、最終的には「痛み」と「消滅」への恐怖を抱きながら同化された。
しかしこのイドゥンがどのような道を辿り、どのような結末を迎えるのかは…誰も知らない。

【イドゥン@蒼穹のファフナー Dead Aggressor】
[状態]:健康、人類に対する強い憎しみ、無意識の内に抱いた困惑(微小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この憎しみのままにこの場の人類を皆殺しにする、そうでない者は同化(祝福)する 、主催者だろうと例外はない
1:私は私によって、この殺し合いのルールを理解した。
2:マークニヒトの捜索。
[備考]
※第23話『劫掠〜おとり〜』にて、狩谷由紀恵を同化し憎しみの感情を学んだ後からの参戦です。
※フェストゥム形態への変化は可能ですが、主催の手により、10m〜等身大までの間のいずれかのサイズに縮小されています。具体的にどれ程のサイズになっているのかは後続にお任せします。
※名簿上でもおそらくはイドゥン表記になると思われます。
※フェストゥムとしての能力(読心やワームスフィアー現象、同化)が制限されているか、されているとしてどれほど制限されているかは後続にお任せします。


741 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/04(日) 18:32:53 s66MNkwc0
投下終了です。
続いてもう一作投下します。
天気の子ロワにて投下した作品から一部を流用・修正したものです。


742 : 狂った物、迷う者 ◆8eumUP9W6s :2021/04/04(日) 18:34:15 s66MNkwc0
「あの罪深き女共め…!!!!」

ここは紅き空と月がある平安京、その一角にて怒りを見せていたのは…液体で溢れたコックピットブロックの内部に四肢と胸から下を切断された状態で埋め込まれている青年…いや、これ自体の口は動いてない為、もはや青年「だった」物だろう。それが操っている機械越しに声をスピーカーによって響かせているのだ。
彼の名はアイン・ダルトン三尉。自らの身を犠牲にして二人目の恩人であり上官である男を守った結果…男の親友「だった」男の策謀により人である事を捨て、記憶の混濁を起こし錯乱した果てに、悪魔の名を冠する機動兵器によって化け物として討たれた男である。

アインは死んだ筈の自分が生き返らせられている事に疑問を抱きながらも、それ以上に二つの怒りを抱いていた。

一つは、見ず知らずとはいえ少女二人を残虐に殺した主催者達への怒り。
記憶の混濁があり、また独善的な性質もあるとはいえ…彼は強い正義感の持ち主であり、また軍人でもあった。

そしてもう一つは…最初の恩人であり上官であったクランク・ゼント二尉を手にかけた罪深き子供へ対する怒りである。

「見ていてくださいクランク二尉!!!!そしてボードウィン特務三佐!!!!
俺は!!!!あのメフィスとフェレスという薄汚れた罪深き女二人を殺し!!!!
そして今度こそはあの!!!!ネズミどもを…罪深き子供どもを一掃して見せます!!!!」

彼は一人決意する。殺してもいい…と、そう判断した相手を一掃すると。
…最も、記憶の混濁が治っていない現状では、人違いで平然と誤殺を行いそれに気付かない可能性も十分あり得るほどに、彼は不安定なのだが。

【グレイズ・アイン(アイン・ダルトン)@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ】
[状態]:健康、怒り、錯乱、記憶混濁
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あの女達(メフィスとフェレス)のような薄汚れた輩を一掃する!!!!
1:罪深き子供(三日月・オーガス)は今度こそこの手で…!!!!
2:俺はクランク二尉の命令に従いクーデリア・藍那・バーンスタインを捕獲しなければならなかった!!!!
3:罪のある子供なら手に掛けてもいい…そうですよね!!!!クランク二尉!!!!
[備考]
※参戦時期は死亡後からです。
※記憶が混濁しています。状況次第だと人違いをするかも知れません。
※主催の手により、10m〜等身大までの間のいずれかのサイズに縮小されています。具体的にどれ程のサイズになっているのかは後続にお任せします。

----

「…ここは、平安京…なのか?」

一方、アインから少し離れた場所では、ある男が一人これからどうするべきかを悩んでいた。
男の名は枢木スザク。日本最後の首相の息子であり、内部からブリタニア軍を変える為に名誉ブリタニア人となって戦うことを選んだ人間であり騎士である。

普段のスザクなら、このような殺し合いには乗らない事を迷うことなく選択するだろう。実際彼は、見せしめとして二人の少女が殺された事に、主催に対する憤りを抱いていた。

だが───この殺し合いに巻き込まれる前彼は、仕えていた主であるユーフェミア・リ・ブリタニアの突然の狂乱を止めれず、また彼女の命を目前で奪われてしまい、死にゆく彼女に嘘をついてしまった。
本来の歴史ならばこの後スザクは突如現れた謎の青年「V.V.」によって、主の狂乱の真相と、「ギアス」という能力の存在を知る事となるのだが…彼はそれを知る前に、この殺し合いに巻き込まれる羽目になってしまったのだ。

(…あの二人の女の子は、優勝すればどんな願いも叶う…って、そう言っていた。でも…そんな、他の誰かを殺して得た、間違った過程で手に入れた結果に価値なんて無い!
……なのに、わかっているのに…僕は…!!
…ユフィ…僕は…どうすれば…。
…どうして、君は…あんな事を…)

迷いを抱え、どうするべきか悩んでいたスザクであったが、丁度そのタイミングで声が耳に届く。
どのような内容かまではわからなかったものの…スザクは考えるより先に、まず声が聞こえた方へと向かってみることとした。
彼は、いざという時は考えるより先に行動するタイプの人間なのである。

どうするべきか悩みを抱えた枢木スザクであったが、一つだけ既に決まっている事がある。
それは───狂乱していたとはいえ、主を自分の目の前で撃った、男か女かかすらわからない仮面の人物「ゼロ」がこの会場に居たら…自らの手で捕縛し、正体を白日の下に晒す事だ。


743 : 狂った物、迷う者 ◆8eumUP9W6s :2021/04/04(日) 18:34:25 s66MNkwc0
【枢木スザク@コードギアスシリーズ】
[状態]:健康、主催に対する憤り、困惑、迷い、ゼロに対する憎しみ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:僕は…どうすれば…
1:ユフィ…僕は…。
2:今は声の聞こえた方向へと向かう。
3:ゼロがもしここに呼ばれているのなら…捕縛して正体を明らかにする。その後は…。
4:もしあるのならランスロットを探しておきたい。
[備考]
※参戦時期は「コードギアス 反逆のルルーシュ」のSTAGE-23 「せめて哀しみとともに」にて、V.V.と遭遇する前からです。
※「生きろ」のギアスの呪縛がかかっていますが、参戦時期もあり本人はまだ気付いていません。


744 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/04(日) 18:34:53 s66MNkwc0
投下終了です。


745 : ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:24:21 PzU0KMNI0
投下します


746 : 何かが枯れて、誰かが嗤う ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:25:54 PzU0KMNI0
『我々の手で魔王を生み出すのだ』

この記憶はなんだ?

『目覚めよ。実験体C.C.―102』

俺は何を見ている?

『我が忠実なる剣となるべし』

こんなものが、俺の本当の姿だというのか?

なら、俺は――





『本当に気味が悪い子…。まるで人形みたいだわ……』

そうだ

『ってかさ、あいつマジで人形なんじゃね?』

私は人形

『学生の頃、何て渾名付けられてたか知ってるか?人形、だってよ』

人の心が存在しない

だから、それを知りたかった


◆◇◆


747 : 何かが枯れて、誰かが嗤う ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:27:33 PzU0KMNI0
「クソッ!どうなってるんだ…!?」

家々が立ち並ぶ区画より離れた森の中。
苛立たし気にしている男がいた。
もじゃもじゃした前髪とバンダナが特徴的な彼の名は扇要。
日本解放を掲げる組織、黒の騎士団の幹部だった男である。

ブリタニアの新皇帝ルルーシュの独裁政治を阻止するべく、シュナイゼルと協力しての決戦。
全力を尽くし戦ったが、シュナイゼルが敗れた事で自分達も捕まってしまい、処刑を待つだけの身となってしまった。
しかし気付けばこうして殺し合いの参加者として、この地に集められていたのだ。
まだ日本がエリア11という屈辱的な名前で呼ばれるよりも、遥か昔の街が再現されている。
所々に近代的な建造物も見られるので本物の平安京では無いのだろうが、ここが具体的にどこなのかはさっぱり分からない。

(まさか、これもルルーシュの仕業なのか…?)

自分に逆らった者達をこうして集め、見世物のように扱う。
ただ見せしめに処刑するだけでは飽き足らず、こうして徹底的に尊厳を踏みにり玩具にする。
あのルルーシュならば、有り得ない話ではない。
そうなるとメフィスとフェレスと名乗る少女達はルルーシュの仲間なのかもしれない。
悪逆皇帝に相応しいお仲間だと、扇は顔を顰め吐き捨てた。

仮にも以前の仲間に対して偏り過ぎた考えだが、扇にとってルルーシュはギアスを使い自分達を操っていた極悪人。
余程の事でも起きない限り、ルルーシュへの悪感情が消え去る事は無いのだろう。

「ルルーシュ、お前はどこまで俺たちを弄べば気が済むんだ!!」

今もメフィス達と共に高みの見物をしているだろうルルーシュへの怒りを吐き出す。
だがここで恨みを口にした所で状況は何も変わらない。
とにかくまずは他の参加者を探すべきだと考える。
自分だけではなく、他の騎士団のメンバー、そして愛する千草もここにいる可能性が高い。
特に千草は元ブリタニア軍人とはいえ、ルルーシュが用意した会場ではどんな危険な目に遭ってもおかしくはないのだ。
必ず守ってやらねばと、扇は決意した。

(千草、カレン、皆…どうか無事でいてくれ…!)

銃を装備し、扇は慎重に草を踏みしめ進んでいった。


○○○


それから数十分後、人影を目にした扇は咄嗟に木の影に隠れた。
できれば友好的な参加者である事を願い、そっと顔を出し相手の姿を確認する。
その瞬間、扇は驚愕に目を見開いた。

(なっ…あれは、ルルーシュ!?)

紅い月の光に照らされた、眉目秀麗という言葉が相応しい黒髪の青年。
見間違えるはずも無い、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの姿がそこにあった。

(なんでルルーシュが……)

扇の考えでは、この殺し合いはルルーシュが裏で糸を引いているもの。
大方今頃は歯車の塔の中で、参加者の狼狽える様を眺めているのだと予想していたのだ。
なのにルルーシュは今こうして、自分のすぐそこにいる。
しかも首には自分達と同じ、黒い首輪が填められているではないか。
つまりルルーシュは黒幕でも何でもなく、一参加者に過ぎないということになる。

「そんな…」

自分の考えがまるっきり見当違いだった事に動揺した扇は、つい呟きを漏らしてしまう。
しまった、と慌てて口を押えても既に手遅れである
当然それは相手の耳にも入った。

「誰だ?」

警戒心を露わにした声が、隠れた扇に向けられる。
自身の迂闊さを呪うが、今更どうしようもない。
こうなっては仕方ないと腹を括った扇は、銃を構えて飛び出した。


748 : 何かが枯れて、誰かが嗤う ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:29:29 PzU0KMNI0
「お前は……」

訝しげな顔をする相手を油断なく睨みつける。
見た目も声も正真正銘のルルーシュにしか見えない。
これを偽物というには無理がある。

(やっぱりルルーシュなのか…!!)

ルルーシュまでもが参加させられている事には驚いているが、それ以上に怒りが再燃する。
こいつをここで逃がせば、きっと多くの者が苦しめられ、命を落とす事になるのは間違いない。
放っておけば、騎士団の仲間や千草がギアスで操り人形にされてしまう。
そうはさせるかと、扇は今この場でルルーシュを撃つ事を決めた。
幸いこの距離なら絶対に外さない。
相手がギアスを使ったり、武器を取り出す前に仕留められる。

「終わりだルルーシュ!」

ここでケリを着けてやると引き金に力を込める。


「…………はは」

相手の顔が歪んだ。
迫る死の恐怖に怯えているのでも、殺そうとする者へ怒りを感じているのでもない。

「はははははは」

笑っている。
頬を吊り上げ、目を細め。
整った顔立ちが台無しになるくらいに、醜悪に歪め、笑いだす。


「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


気が狂ったかのように笑う。
その異様な様に扇は引き金を引く事を忘れて、呆気に取られた。
もしや自身の現状を受け入れられなくて、気が触れてしまったのではないか。
確かに皇帝から一転、こんな奴隷のような立場に突き落とされては、流石のルルーシュとて堪えたのかもしれない。
相手の姿に扇はそんな事を考えた。
だからといって許すつもりは微塵も無いが。

「ハハハハハハハハハハハハ!!……はぁ。そうかそうか、私がルルーシュに見えたのか」

ひとしきり笑い終えると、途端に真顔となる。
そうしてゆったりとした足取りで、扇の方へ近づいて来た。
扇はハッとして銃を構え直す。
狂っていようがいまいが相手は宿敵のルルーシュなのだ。
相手のペースに乗せられた自分を叱咤し、再び睨みつける。

「そこで止まれ!今度は本当にお前を





「不愉快極まりない」





撃――は?」


おかしい。
ルルーシュが何時の間にかこんな近くにいる。
おまけに手も変だ。
銃を強く握り締めていたのに、その感覚がスッと消え失せてしまった。
訳が分からず両手を見て、気付いた。

手首から先が綺麗に消失している。

「なっ、あっ、ひっ、ぎゃぁあああああああああああああああああああああっ!!?!」

途端に焼けるような痛みが扇を襲う。
否、よく見ると傷口は本当に焼け焦げている。。
両手を失ったにも関わらず血の一滴も流れていないのは、出血する間もなく高温で瞬時に止血されたからなのだろう。
扇にとっては何の慰めにもならないが。
痛みに後ずさろうとしたが、何故か足が動かない。
混乱しながら見てみれば、何と両脚が凍り付いていた。


749 : 何かが枯れて、誰かが嗤う ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:31:19 PzU0KMNI0
「ほう、悪くない武器だなこれは」

感心したような言葉と共に、扇へ向けて腕が振るわれる。
その手には赤い光刃を放つグリップが握られていた。
それが自分の両手を斬り落とした正体だと気付くよりも先に、両脚が斬り落とされる。
獣の咆哮にも似た絶叫を上げ痛みを訴えるが、光刃を振るう腕は止まらない。
鼻と片耳もついでと言わんばかりに切断し、そこでようやく気が済んだのか動きを止めた。
見下ろす先には達磨と化し、白目を剥いて痙攣している扇の姿があった。

「ひ…ぐ……ひゃ……」

こうなっては生かす方が残酷であろう。
自分でやった事ながら憐れんだのか、それとも単に興も失せたのか。
扇に相手の考えを知る術も余裕も無く、呆気なく首を落とされた。


【扇要@コードギアス 反逆のルルーシュR2 死亡】


死体には目もくれず淡々と支給品を回収する。
最初から相手を殺すつもりだったが、自分をルルーシュと間違えた事に怒りが湧き、つい嬲ってしまった。
それさえなければさっさと首を刎ねられて終わっていたというのに、あの男も運が悪い。

そう考えるこの男の名はロロ・ヴィ・ブリタニア。
エデンバイタル教団の異端審問官である。
扇が彼をルルーシュと間違えたのも無理はない。
何故ならロロの外見はまさしくルルーシュと瓜二つ。
声ですら妹のナナリーが兄と勘違いする程に似通っている。いや、全く同じと言っていい程だ。
ロロはルルーシュの双子の弟として生を受けた。
だが、双子の皇子は世に戦乱をもたらす不吉なものとして扱われ、生後間もなく母親から引き離された挙句、皇位継承権を剥奪されてしまった。
エデンバイタル教団で日陰暮らしを強いられたロロは、皇族として何不自由なく幸せな生活を謳歌する兄と妹を憎み続けた。
そして17歳となった時、ロロはルルーシュとナナリーの力を奪い、完全なる魔王となる為に動き出した。

だが、戦いの中でロロは自身も知らなかったある事実を知ってしまう。
ロロはルルーシュの双子の弟などでは無い。そもそも人間ですらない。
シャルル皇帝と、その妻マリアンヌの受精卵にC.C.細胞を直接注入して生まれた人造ワイアード。
偽りの記憶を植え付けられた、皇帝の駒でしかなかったのだ。
アリスとの一騎打ちに敗れ、生まれた瞬間の記憶が蘇った直後、平安京へと招かれた。
この場でのロロの目的は一つ、優勝して力をてにいれること。
方法は不明だが、メフィス達は反作用により崩壊しかけていた自分の肉体を万全な状態に治している。
「何でも」とは少々大きく出過ぎな気もするが、賭けてみる価値はある。
首輪を填めたことは気に入らないが、今は彼女達への不快感よりも皇帝への憎悪の方が遥かに大きい。
許せないのは皇帝だけではない。自身に仕えるフリをしながらずっと嘲笑っていたアーニャ。
あの女もこの手で八つ裂きにしてやらなければ気が済まない。
憎い二人の顔を思い浮かべ歯ぎしりをする。その時だった。

「いやー、早速殺し合いに乗った人間に会えるとはねぇ!」

背後から聞こえる声。
ロロは焦らず振り返り、相手の姿を見やる。

「凄い声が聞こえたから何事かと思って見に来たら…うーん、惨いことするね、君」

白衣を着たイレブン…日本人の女。
扇の死体を前にわざとらしく驚いた顔をしている。
仮にも人が殺されたばかりだというのに、異様な態度だった。

「何だ貴様は」
「ああ、ごめんごめん。別に君を殺しに来たって訳じゃないんだ。ただちょっと話をしたくてね」
「話だと?」

ケラケラと笑う女にロロは顔を顰める。
この状況で緊張感の欠片も無い態度、何か力を隠し持ってるからこその余裕なのか。
それともただの馬鹿なのか。
どちらかは分からないが、妙な動きを見せたら殺せば良いだけ。
手元のグリップを操作し、刃を出現させ――

「ほっほーう。成程、これでそこの彼を殺したのかぁ」

手からグリップの感触が消えた。
ハッと気が付いたように視線を落としても、握り締めていたはずの得物はどこにも見当たらない。
ではどこに消えたのか?その答えは直ぐに分かった。
女が出現させた光刃を興味深そうに眺めている。
その手にはロロの支給品であるグリップがあった。

(何をされた…?)

気が付いたら既に武器が奪われていた。
この奇妙な現象に、ロロは一つ心当たりがある。
アリスのような超スピードや、マオのような幻覚ではない。
恐らくは自分のギアスと同じ…


750 : 何かが枯れて、誰かが嗤う ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:33:19 PzU0KMNI0
「うんうん、やっぱり驚いてるみたいだねぇ。それじゃあちょっと種明かしをしてあげよう」

女がパチンと指を鳴らす。
するとその背後に、怪人のような姿の男が現れた。
三角形のマスクを着けたしなやかな肉体美の男は、腕を組み堂々とした様子でロロを睥睨している。
女の仲間かと身構えたが、すぐに違うと理解する。
男の首には参加者の証である首輪が無い。

「君からコレを拝借できたのは、このマッチョ君のお陰さ。“スタンド”って言うらしいんだけどね」

ギアスではなく、スタンド。
聞いたことの無い名前だった。
未知の能力を持つ女への警戒心が高まるが、相手はお構いなしに喋り続ける。

「スタンドに関する私なりの所見やら考察やらを話したい所だけど、それをやるとどうしても長くなっちゃうからねぇ。
 いやぁ、ついつい話を脱線させちゃうのは私の悪い癖だよ。自分でも直そうとは思ってるんだが、これが中々上手くいかなくてさ。
 っとごめんごめん、まーたやっちゃったね。うん、これ以上長くすると君の機嫌も悪くなりそうだし、単刀直入に言うとしよう。
 君、私と協力してみないかい?」
「なに?」

訝しげな視線に対し、女はどこか胡散臭い笑みを返す。

「この場所に色々と興味は惹かれるけどさ、流石に死ぬのは御免だからね。さっさと帰りたいんだけど、私一人で生き抜くのはちょっと厳しそうでねぇ」
「だから私と手を組みたいと?」
「そうそう、その通り!お姉さんも出来る限り協力してあげるからさ」

どうかな、とウインクする女を前に、ロロは考える。
メフィス曰く、参加者に填められた首輪には強すぎる力を抑え込む機能があるとのこと。
先程ギアスを発動し扇を殺した際に、メフィスの言葉は事実であると理解した。
ロロのギアス、ジ・アイスは領域内の運動を凍結させる能力である。
扇が訳も分からず斬られたのは、ギアスにより時間をも凍結されたからだ。
だがギアスを使った時、ロロは今までならば感じる事の無かった疲労が蓄積するのを確かに感じた。
恐らくは首輪の効果により、ギアスの力が制限されている。
更に問題は疲労が襲い掛かる事だけではない。

(認めたくはないが、恐らくは紛い物のギアスユーザー同様、私にも反作用が起こるだろうな)

ギアスを使えば使う程肉体はC.C.細胞に蝕まれ、最後には崩壊する。
散々見下していた紛い物のギアスユーザーと同じ末路を防ぐ為には、なるべくギアスの無駄な使用は控えるべきである。
デイバックには抑制剤が数本入っていた。
ある程度は反作用を抑えられるだろうが、参加者を皆殺しにするとあっては少々心許ない数である。

そしてギアスが制限されているという事は、ヴィンセントにも手を加えられている可能性が非常に高い。
愛機であるKMFを召喚し、片っ端から蹴散らしていけば楽だろうが、見世物として殺し合いを楽しんでいそうな主催者達がそんなつまらない真似を許すとは思えない。
スペックの低下か、一定時間以上の稼働が不可能なのか、それとも召喚自体を封じられているのか。
どのような制限を受けているのかは早めに確かめておきたい。

このように万全とは言えない身であるロロとしては、使える駒が増えるのは悪くない。
いずれは殺し合うとしても、スタンドという未知の戦力が加わるのは魅力的だ。
もしもゼロやナナリー、アリスも参加しているのなら、その力を奪って反作用を克服できるかもしれない。
その為にも、自身の味方は多い方が良い。
答えは決まった。

「良いだろう。私も丁度協力でそうな相手が欲しかった所だ。殺し合いの最中ずっと、とはいかんが、君と手を組もうじゃないか」
「本当かい?いやー、話の分かる相手で良かった良かった!断られたらどうしようって、内心ヒヤヒヤしてたからさー。
 あっ、自己紹介がまだだったね。私は一ノ瀬久音。好きに呼んで構わないよ」
「私はロロ・ヴィ・ブリタニアだ。では暫くの間、仲良くやろう」

貼り付けたような笑みで手を差し出すと、相手も同じような笑みで手を握り返す。
何とも歪な同盟だった。

「あっそうだ。もう少しだけこの光る剣を借りてもいいかな?」
「何故だ?武器が支給されていなかったのか?」
「違う違う。そこに転がってる彼の首輪が欲しくてさ。色々役に立ちそうだし、回収しておいて損はないはずだろ?」





751 : 何かが枯れて、誰かが嗤う ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:36:43 PzU0KMNI0
(どうやら上手くいったみたいだねぇ)

頭部を斬り落とした死体から首輪を回収し、一ノ瀬は胸中で安堵していた。
交渉決裂の可能性も視野に入れていたが、こうして同盟成立となったなら一先ず良いスタートになったのかもしれない。

プログラムに逆らい自ら奈落の底に落ちたソフィアと、強制的に追い出された怪盗団を見送った直後、何故かいきなり殺し合いに参加していた。
一ノ瀬にとっては迷惑な事この上ない。
最初は怪盗団の策か何かだと思ったが、少女が殺されたのを見て即座に違うと分かった。
現代の義賊とも言うべき彼らはこんな真似はしないだろう。

(メフィスちゃんにフェレスちゃんだっけ。凄い力を持ってる割には頭が悪い娘達だねぇ。自分から救われる道を捨てるなんてさ)

もうすぐ世界はEMMAによる『改心』を受け、救われるというのに。
誰もが先の見えない未来への恐怖から解放される。
自分自身で考え、答えを見つけなくてはならない苦痛とは無縁の生活になる。
そんな新世界の誕生を、こんな下らないお遊戯染みた催しで妨害するとは、愚かとしか言いようが無かった。

(EMMAなら多分大丈夫だとは思うけど、万が一って事が無いとも限らないしなぁ)

既に自分の手を大きく離れているEMMAなら、自分が不在だろうと怪盗団を余裕で返り討ちにできるはず。
だが相手はジェイルの王達を悉く倒して来た集団。
絶対に問題は起きないとも言い切れない。
スマートフォンは没収されたのか見当たらず、これではEMMAと連絡も取れない。
この平安京を模した地がジェイルなのかどうかは気になるが、もうすぐ始まるEMMAによる『改心』に比べたらどうでもいいことだ。
なのでさっさとEMMAの元に帰りたいし、その為なら優勝だろうと脱出だろうとどちらでもいい。
幸運な事にスタンドDISCという物を頭に入れ、最低限身を守る為の力は手に入れた。
説明書に記されていた通り、僅かな間だが時を止めるという強力な人型のビジョンは心強いが、一ノ瀬はこれだけで生き延びられるとは思っていない。
怪盗団のような場慣れした者達と違い、一ノ瀬は元々争い事とは無縁の研究肌の人間である。
相手が特別な力の無いただの人間ならまだしも、怪盗団のような実戦経験のある特殊な力を持った参加者が複数で襲って来ては、たとえスタンドがあったとしても勝てる見込みは薄いと分析している。
故に少しでも自分が生き残る確率を上げる為には、他の参加者を利用するのが手っ取り早い。
ついでにもしも怪盗団のメンバーが参加していたら、この機会に排除しておくのが良いだろう。
特にソフィア。こちらの命令に素直に従うのなら壊れるまで使ってやるが、懲りずに楯突くのなら今度は確実に処分する。

(そういう訳だから、しっかり働いてもらうよ、ロロ君?)

全てはEMMAによる改心のため。
ロロにグリップを返す笑顔の裏に、そんな冷たい真意を隠していた。


【ロロ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ドゥークーのライトセーバー@STAR WARS、ブリタニア軍の拳銃@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(扇の分も含む)、C.C.細胞抑制剤×数本@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー
[思考・状況]
基本方針:優勝して力を手に入れ、皇帝とアーニャに復讐する
1:一ノ瀬と組む
2:利用できそうな参加者を引き入れ、戦力を整える
3:ナナリー、ゼロ、アリスがいたら殺して力を奪う
4:ヴィンセントの制限の具合を確かめておきたい
[備考]
※参戦時期はCODE22でアーニャに掴みかかる直前。
※ジ・アイスに制限。使用時に疲労が蓄積し、連続使用や広範囲の凍結で更に疲労が増加します。
※ヴィンセントの召喚に制限。召喚時間が制限されているのか、召喚自体が不可能なのかは後続の書き手に任せます。

【一ノ瀬久音@ペルソナ5スクランブル ザ・ファントム・ストライカーズ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:THE WORLDのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、扇の首輪
[思考・状況]
基本方針:EMMAの元へ帰る。
1:まずは自分の安全を優先。その為にロロと組む
2:怪盗団のメンバーが参加していたら排除しておく。ソフィアは命令に従うのなら利用、逆らうのならば処分する
3:余裕があれば首輪を調べたい
[備考]
※参戦時期は深淵のジェイルで怪盗団と一度目の対峙後。


752 : 何かが枯れて、誰かが嗤う ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:37:53 PzU0KMNI0
【ドゥークーのライトセーバー@STAR WARS】
シスの暗黒卿、ドゥークー伯爵のライトセーバー。
カーブド=ヒルト・ライトセーバーと言う種類であり、握り部分が湾曲している。

【ブリタニア軍の拳銃@コードギアス 反逆のルルーシュ】
ブリタニア軍で正式に支給されている拳銃。
5.7mmアーマーピアシング弾を発射する電動式拳銃。

【C.C.細胞抑制剤@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
特殊名誉外国人部隊(イレギュラーズ)に支給される薬。
人造ギアスユーザーは抑制剤を定期的に注入しなくては、反作用により肉体が崩壊する。

【THE・WORLDのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険】
破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - B / 成長性 - B
平行世界のディエゴ・ブランドーが持つスタンド。
外見は3部に登場したDIOのザ・ワールドと似ているが、細部に幾つか違いがある。
「自分以外の時間を5秒間止める」能力を持つ。


753 : ◆ytUSxp038U :2021/04/04(日) 23:38:52 PzU0KMNI0
投下終了です


754 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/05(月) 00:03:20 aHuuWIVI0
投下します


755 : Designed desires ◆2dNHP51a3Y :2021/04/05(月) 00:03:42 aHuuWIVI0
「つまる所、ワタクシはこの殺し合いに乗るつもりはないのです」

真紅の空、血染めの月に朱影を落とす平安京、そこに誰かが誰かに語りかける

声の主はお団子ヘアに眼鏡を掛けた、秘書と言い表すのが正しい小柄な何か。しかしその風貌は、まるで切り紙を引っ付けて作られた人の形にも見える

「……それで?」

その相手は、その異形にも等しい彼女を訝しむように見つめながら、疑いの視線を隠さずに言葉を返す

「やはり、そう簡単には信じてはもらえませんか」
「当たり前でしょ」

秘書姿の女性は、さも当たり前の結論とばかりに納得し、その相手である少女もまた同意するかのように呟く。二人の出会いはほんの数分前。女性の名前はナスタシア、少女の名前は司城来夢。両者同じく、大切な人の為にその身を尽くす覚悟を持ちうる、二人

「ライムにはわかるよ。その目、如何にも隙を狙っているって感じ。それにあなたの言葉に嘘はないけれど、本当のことも言ってない」
「……ええ、そうですね」

来夢のその言葉に、ナスタシアは否定することも言い逃れするのでもなく、ただ事実を認めるだけ
だが、来夢は確信していた。目の前の女がなにか仕掛けてくる事を

司城来夢には帰らないといけない理由があった。原種を倒すという使命の元に、死より蘇ったこの身、期限付きの命。そんな命であろうといつか見た一番星に惹かれた
故に彼女たちは、その一番星、白井日菜子を選んだ。世界を救うために

彼女には辛い使命を背負わせてしまった。真実をひた隠していたせいで心が折れてしまった
そんな彼女を少しでも励まそうと妹の司城夕月と、白井日菜子を刺そうとした途端にこの殺し合いだ

司城来夢は比較的自分本位の人間だ。だが、例え他人を傷つけようが妹と、何より白井日菜子の事は誰よりも思っている。それだけは誰にも否定させない

(……逃げ道は、3つ)

司城来夢がいる場所は十字路の中心、逃げ道は4つ。目の前の女が仕掛けた隙に逃げるしか無い。リフレクターの指輪がない以上。……そも、ここはコモンの中ではないのだから

「……本当に、残念ですよ」

瞬間、眼鏡をクイッと少しだけずらしたアナスタシアの、その眼光が赤く灯る。同時に、司城来夢の体は金縛りにあったかの如く身動きが取れなくなる

「しまっ……!」
「警戒していたようですが、ワタクシはあなたをどうこうするなんて容易いのですよ」
「……く……う……!」

頭の中がチカチカする感覚に襲われ、苦しそうな呻き声を上げる来夢
アナスタシアの異能「チョーサイミンジュツ」。如何なる相手であろうとその瞳の光を浴びれば関係ない

「一つだけ訂正しておきましょう。ワタクシは殺し合いには乗りません。ですが、どうせ滅ぼす世界に、命の価値なんてないのですよ」
「う……っ……!」
「ご安心下さい。世界が終わる時まであなたは洗脳された自覚すらしないから。さぁ、その命、伯爵さまに捧げなさい」
「ちが、らい、む、は……ビ、バ……」

来夢の頭の中が別のなにかに埋め尽くされていく。大切な記憶も、何もかもが染まっていく。ナスタシアは感情無く事実のみを告げる。そして来夢の思考が埋め尽くされ、伯爵への忠誠の言葉を紡ごうとした、その時であった

「……ち、がう」
「……!?」
「ライムが、やら、ないと……私が……!」

苦しげながらも意志の籠もったライムの言葉に、ナスタシアは思わず驚愕の表情を浮かべる。チョーサイミンジュツを自分の意志だけで乗り切ったなど聞いたこともない。まずい、明らかにまずい状況だ

「お別れ、には、まだ、はやい……!」
「……だったら、もう一度!」

焦りから、ナスタシアは再び催眠光線を放とうと眼鏡をズラす、だが既に手遅れ。苦しみながらも、その手で拾っていた小石をナスタシアの目に目掛けて投げつける

「……!」
「その、時、まで……ユズ、を……ヒナを……悲しませたく、ないっっっ!」

ナスタシアは既の所で避けるも、避けきれず頬に擦り傷を残す結果となり、その間に来夢は根気を振り絞り、その場から逃走したのであった


756 : Designed desires ◆2dNHP51a3Y :2021/04/05(月) 00:04:06 aHuuWIVI0



「……まさか、こんな事が」

傷口に触れながら、唖然と暮れるナスタシア。文字通り自分のチョーサイミンジュツを打ち破った少女

「ですが、完全には解けていない、ようですが」

意志力だけで乗り切ったようではあるが、ナスタシアは来夢の瞳が赤く染まっていたことを見逃さなかった。だが、中途半端に効いたのは少々厄介だ。催眠によって多少捻じ曲げられた意志は、思わぬ狂気へとひた走るきっかけとなる

「……多少傷物にしても捕まえるべきでしたか」

能力に過信しすぎた代償、として割り切るしかなかった。今回は取り出さなかったが、支給品には『妖弦フェイルノート』という名称の弓。弓と言うよりもただの竪琴のように見えるが、使えるものは使えばよかったと後悔

「……まあ良いでしょう」

恐らく、チョーサイミンジュツが振り払われた理由の一つは、この首輪。首輪によってチョーサイミンジュツに制約が課せられたとしか思えない
そも、自分が戦闘要員ではなく、チョーサイミンジュツも制限があるとすれば尚更直接的な戦闘はせなければならない

思考を切り替え、ナスタシアは古都の中を歩き始める。全ては伯爵さまの為、伯爵の望む「世界の滅び」の為、そのためならば、誰がどのようになろうと、関係ない


【ナスタシア@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:顔にかすり傷、健康
[装備]:妖弦フェイルノート@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:早急に伯爵様の元へ帰還する
1:伯爵様か他の面々がいればそちらへの合流を最優先
2:武器があるとは言え、直接戦闘はできるだけ避ける
3:チョーサイミンジュツを振り払った少女が気掛かり
[備考]
※参戦時期は最低でもステージ7以降
※チョーサイミンジュツに制限が課せられています
『以下チョーサイミンジュツの制約についての説明』
・洗脳可能上限は一人まで
・絶対に洗脳できるわけではなく、相手の意志力自体では洗脳を解除されるか不完全な洗脳になる

【妖弦フェイルノート@Fate/Grand Order】
ナスタシアに支給。円卓の騎士の所持する武器。その本質は彼が愛用する竪琴であり、弦を爪弾くことで真空波を発生させる。琴という特性上、音さえ鳴らせれば例え小指一本でも攻撃が可能





○ ○ ○

「はぁ……はぁ……はぁ……」

頭痛が鳴り止まない。頭の中がガンガンする。チカチカする。思考が纏まらない

ライムは何を言おうとしたのか、「ビバ、伯爵」なんて柄にもないことを

でも、やることなんて決まっている。こんな所にいつまでもいてられない

だから、ライムは戻らないといけない


ユズは、大切な姉妹で。ヒナは、大切な友達で

そのため、だったら、ライムは




―――誰だって■してやる

【司城来夢@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣】
[状態]:催眠暗示(小)、頭痛(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:ヒナや私達姉妹の敵は全て■す
1:リフレクターの指輪、もしくは武器の類を探したい
[備考]
※チョーサイミンジュツが不完全に掛かった影響で意識が混濁しています


757 : Designed desires ◆2dNHP51a3Y :2021/04/05(月) 00:06:00 aHuuWIVI0
少女たちは修羅なる行路へ進む

一人は、世界を滅ぼすと分かっていても、自らを救ってくれてくれた、恋する伯爵のために

一人は、自らが消えると分かっていても、その心に輝ける星という思い出を残してくれた、大切な友達のために

だが、彼女たちの行く先を案じ、一つだけ言っておこう







―――だが、その選択は薦めない。何れ後悔する事になるからな


758 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/05(月) 00:06:20 aHuuWIVI0
投下終了します


759 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/05(月) 00:14:13 aHuuWIVI0
来夢の状態表に書き忘れがあったので追記しておきます

【司城来夢@BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣】
[状態]:催眠暗示(小)、頭痛(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:ヒナや私達姉妹の敵は全て■す
1:リフレクターの指輪、もしくは武器の類を探したい
[備考]
※参戦時期は11章『ある姉妹の始まり Why Do People Believe in Ghosts?』、原種イェソド1戦目終了後から
※チョーサイミンジュツが不完全に掛かった影響で意識が混濁しています


760 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/05(月) 05:14:10 xrR28bVs0
投下をします


761 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/05(月) 05:15:38 xrR28bVs0
投下をします。


762 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/05(月) 05:16:46 xrR28bVs0
大きな両腕にはマグマを思わせる傷跡と大悪魔のような翼
屈強な肉体を持つ二足歩行の禍々しい巨竜が現れた。
その名もしん・りゅうおう。
本来いた世界では狭間の闇の王という
巨悪の配下にして滅びの使者である。

しん・りゅうおうは殺し合いの場に召喚されすぐに気づいた。
あらゆる攻撃を無効とする闇の衣がかき消されていることを。
これはどういうことだ。あの小童どもはいったい何をしたのか。
そしてこの首輪、いったいいつどのように付けた。

意味不明の首輪を付け殺し合いを命じ、その上闇の衣をかき消す。
こんなことをやるあたりただものではないことは確かだ。
よかろう、その殺し合いとやらに乗り、元の場所に返してもらおう。
本来このような場所には一秒でも長くとどまるわけにはいかない。
なぜならミラクレアとその仲間のモンスターマスターを打ち倒し、
滅びの使者として狭間の闇の王に勝利をもたらせなくてはならないからだ。


帰還のためには全ての参加者を滅ぼすのが手っ取り早いようだが
仮に優勝してもあの主催者が願いを本当に叶えてくれるたり
元の世界に帰してくれるのだろうか?
反故にして嘲笑いながら殺しにかかることは十分あり得るだろう
だがそうなろうとも真正面からたたきふせれば済むだけのこと。
邪悪なる巨竜はあらゆる参加者を滅ぼすため歩みだした。

【しん・りゅうおう@ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議な鍵SP】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針: 帰還優先
1.参加者を全員倒し、帰還する。
2.主催者が優勝を取り消したりした場合は叩きのめす。
[備考]
参戦時期は少なくともルカ(イル)に
倒される前です。
闇の衣は制限により無効化されています。
敵の属性耐性と異常耐性を低下させる
全ガードブレイクの制限については
採用された場合ですが
後続の書き手様にお任せします。



巨竜の歩みをみていた一人の男がいた。
「面白い催しだ、あんな馬鹿でかい大怪獣すらも参加させるとは」
殺し合いをする場所に無理やり召喚されたのにもかかわらず、
ほぼ全く動揺せず余裕しゃくしゃくであり、
黄色の目に青い肌、黄色を基調とした怪しげな服にマントを身につけた男がいた。

男はZ団という犯罪組織の団長である。
元の世界では国際博物館にある名画モナリザの微笑みを
総理に変装して部下とともに盗み、
団長を捕まえようとする青年探偵のアキラに狙われている人物である。

「なかなか良い催しだ、おまけにこんな美術品まで
渡してくれるとはな、しかもこれは真珠の耳飾りの少女ではないか」
男は醜悪なる催しに嫌悪するどころか支給品に
自分好みの美術品を支給されたことによる満足感と高揚感を感じていた。

普通であれば殺し合いには役に立たない名画を支給されても
無意味と嘆くか苛立ちを覚えるのが普通であるが
美術作品を好む彼にとっては殺し合いには使えなくとも
大変うれしく思える支給品であった。

「こんなゲームに呼ばれたからには楽しまなくては損だ、
ようし遊ばせてもらうぞ、私という一人の参加者に美術品が
支給される当たり他の名画や美術品も誰かに支給されているかもしれん
私好みの芸術品はこの場にどれくらいあるかな?
どんな手段を使っても手に入れてやるわ!」
犯罪組織の団長はさらなる美術作品を求め歩み始めた。


【Z団団長@透明少年探偵アキラ】
[状態]:健康、殺し合いへのワクワク感、芸術品が欲しい。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、真珠の耳飾りの少女@現実、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針: 芸術品入手優先。
1. 他の芸術品を入手する、強奪もいとわない。
[備考]
参戦時期はモナリザを盗んでから
部下に「透明人間が現れました」と
報告を受ける前です。

[支給品解説]
【真珠の耳飾りの少女】
1665年か1666年にヨハネス・フェルメールによって
制作された名画。もしも現在取引きされるなら、
その価格は100億円とも150億円とも言われる(Wikipediaより引用)


763 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/05(月) 05:17:33 xrR28bVs0
投下は以上です。


764 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/05(月) 05:18:36 xrR28bVs0
すいません、タイトルをつけ忘れました
タイトルは「悪しき巨竜と悪しき団長」です。


765 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 08:27:57 fcU3nmH.0
投下します。


766 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 08:32:08 fcU3nmH.0
もしも…この空にまでツギハギが見えるようになってしまったら、僕は…

☆彡 ☆彡 ☆彡

幼き頃のきおくを思い出したのか紅き血染めの月に向かって腕を伸ばしている少年ーーーーー

少年の名は遠野志貴。
大財閥である遠野家の長男。
とある理由で親戚の有間家に預けられていたが妹の遠野秋葉からの要請により遠野家へと戻ってきた。
ーーーーーもっとも、本名・経歴は別なのだが、ここで語るのは長くなるため割愛させてもらう。

「…大丈夫?遠野君?」
志貴を心配そうに見つめる女性ーーーーー

女性の名は川越渚。
地方にある県立坂上町高等学校の教師。
顧問は剣道部で二度にわたる全日本女子剣道選手権大会の優勝者で4段の腕前を持つ。
部員が小段試験を受けるので、自身も五段に挑戦し、見事合格した。
とある事情で試験に臨んだため合格後、疲れ果ててベンチで眠って最中、渚は映画館に呼び寄せられた。

「—―ええ。大丈夫です。渚教諭」
志貴は心配している渚先生に笑顔で返答する。

「……本当に?」
「—―本当ですよ」
まだ、疑っている渚教諭に志貴は改めて返答する。

「……」
しかし、渚教諭はむーとほっぺを膨らませるとーーーーー

「もう!【教諭】は間違ってはいないけれど、できたら【先生】の方が嬉しいんだけどなー」
敬称が【先生】ではなく【教諭】なことに不満がある渚先生。

「…すみません。先生と呼ぶのは一人と決めているので」

志貴が先生と敬称をつけるのは世界でただ一人ーーーー蒼崎青子のみ。
遠野志貴にはある力があるーーーーーそれはモノの「死」を視ることのできる「直死の魔眼」
幼き頃の臨死体験から手に入れた力。

そんな力に苦しんだ志貴を救ってくれたのは青子ーーーーーそれ以来、志貴は彼女(蒼崎青子)のみ【先生】と敬称を呼ぶーーーーー

「……そっか、遠野君は素敵な恩師に出会っているんだね」
「え?」
先生呼びに固執するのではと身構えていた志貴は渚先生の言葉に一瞬、呆気にとられる。

「学校生活で恩師と呼べる先生は一生に一度出会えるかは分からない……下手をしたら一生そうした先生とは出会えない……」
「……」

「遠野君が先生と呼べるその先生はとても立派な先生だわ!私もそうした先生を目指したい!」
渚先生は顔も知らないが志貴に先生と敬称をつけられている青子に尊敬の念を持つ。

「……渚教諭」
まさか、自分が青子さんのみ先生と呼ぶのを肯定する教諭がいるとは思わなかったため、渚先生の言葉は志貴の胸に響くーーーーー


767 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 08:32:20 fcU3nmH.0

「だけど……」
渚先生はコホンと咳ばらいをして……
「軽率な行動は禁止!……志貴君は私の勤務する学校の生徒とは違うけど、私にとっては大切な生徒!だから……先生と約束しなさい」
渚先生なりのケツイの表れなのか呼び名も「遠野君」から「志貴君」に変わっていた。

「……わかりました。渚教諭」
ふっと笑顔を浮かべると志貴は渚教諭と約束する。

「よし♪えらい、えらい♪」
(う〜ん。やっぱり【教諭】か〜……ま、仕方がないか〜……それに口ではそう言ってはいるけど、何か隠している様子があるわね…目を離せないな……)
教師としての勘が働いたのか渚は志貴が隠している力を感じ取った。

「それじゃ、行きましょう!先生が守るから安心してね!志貴君」
「分かりました。よろしくお願いします。渚教諭」

「……それじゃあ、ポッケのナイフは私が預かるわ♪」
「……はい」

教師としての洞察力に志貴は汗を流しておとなしくポッケに潜ませていた支給品のナイフを渡す……
それが吉となるか、凶となるかは、まだ分からないーーーーー

【遠野志貴@MELTY BLOOD Actress Again Current Code 】
[状態]:健康
[装備]:魔眼殺しの眼鏡
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いという事態の打開
1:首輪の対処並びに渚教諭の保護
2:アルクェイドもいるのか…?
3:ナイフ……どうしようか(正直、手痛い)
[備考]
参戦時期は遠野志貴ルート午前零時の逢引の直前。

【川越渚@妹先生渚】
[状態]:健康
[装備]:木刀(材質は本赤樫 ) ナイフ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:教師として遠野を守りつつ、事態の打開
1:教師として志貴君を守る
2:教諭…か……私もまだまだだな
3:もう!抜け目ないんだから……(志貴のナイフを没収)
[備考]
参戦時期は昇段試験に合格後。

【支給品紹介】

【木刀(本赤樫)@現実】
日本刀を模した木製品。
本赤樫は木刀に使われる樫の中では一番強く、打ち合いにも素振りにも向いている 。

【ナイフ@現実】
刃を折畳める式。
志貴の戦闘スタイルにピッタリな支給品だが、今は渚先生に没収されている。
先生という立場上、見過ごせるわけにはいかないだろうが、志貴にとっては手痛い。


768 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 08:32:45 fcU3nmH.0
投下終了します。


769 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 08:51:19 fcU3nmH.0
天気の子ロワにて投下した作品を流用及び修正したものとなりますが投下します。


770 : 平安京のアダムとイヴ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 08:52:28 fcU3nmH.0
「……794(鳴くよ)ウグイス平安京…か、ククク……」
「へ?」

紅より紅き血染めの月が浮かぶ平安京ーーーーー

歴史ある雅な都市には観光目的の店も多くある。
そんなとある和菓子店。
和傘が備え付けられている店外の席に腰を下ろした少年は月を見ながら呟く。

「いや、この都の覚え方だよ」
「へー……」
向かい合わせに座っている少女は少年の呟きにキョトンとした顔だ。

「こうした覚え方は他にもあってな710(なんと)見事な平城京!……とかもあるぜ」
「?なんか、平城京と平安京って名前が似てるね」

少女は少年が発した「平城京」と「平安京」の語句が似ていることを指摘する。

「ああ、名前は似ているが簡単に言うと場所が違うんだ。平城京は奈良の首都。ここ平安京は京の首都」

「ふ〜ん。……なんだか数字もそうだけど似た言葉がごちゃごちゃして頭が回りそう」
少女は少年の言葉に耳を傾けながら団子を口に運ぶ。

「それには同意するぜ。社会科の歴史学習が人気ねえのはそれも要因だからな」
「え?そうなの?」
「ああ。先ほどの指摘のように「平城京」と「平安京」のような似ている語句の多さに暗鬼作業としての数字の無理やり読みがかったりぃと感じる奴が多い……ククク。まぁどのクラスにもたいてい一人は歴史好きはいるがな」
(歴史の覚え方で有名な794(なくよ)を知らない…どうやら、このファラの話は真実(マジ)のようだな…)

「へー……そうなんだ」
(千空って物知りなんだね…う〜ん、男の子にしては細い体…キールみたいだわ)

少年の名は石神千空。
科学部部長の根っからの科学オタク。
ある日、地球上の人間が石化してしまった石の世界(ストーンワールド)にて文明を復活させようと科学王国を建立させた。
ついに、石化の爆心地に辿り着いた千空はこの悪趣味な催しに巻き込まれた。

少女の名はファラ・エルステッド。
インフェリアのラシュアン村の前村長ノリスの娘。
幼馴染のリッドと暮らしている日々に少女…メルディと出会った物語は二つの世界全体を巻き込む大問題に発展し、最後は【神】ネレイドを討った。
その後、インフェリアへ戻ったファラは仲間と離れ離れになったキール・メルディに会うために船で移動する直前、お土産を残して千空同様巻き込まれた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


771 : 平安京のアダムとイヴ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 08:53:07 fcU3nmH.0
「それしても、千空のいた世界…全人類が石になるなんて、驚きだよ」
「こっちも、二つの世界が平行に向かい合っている世界に晶霊術…聞いただけで唆るぜ」

メフィスとフェレスにより会場へ移動された2人は目に留まった和菓子店で自己紹介も兼ねて情報を交換していた。

「あの、メフィスとフェレス……だっけ。2人は一体何者なのかしら?」
「ククク…悪魔かもな」
「え?」

ファラの疑問に千空は答える

「俺らの世界に「メフィストフェレス」という悪魔の話がある。本人か、はたまたその名を利用しているか…どちらかはわからねぇがな」
(もしあの2人が本物ならファンタジーが相手かこれは唆るぜ。ククク…)

「悪魔……」
「ま、悪魔だったとしても西洋の概念の悪魔が東アジア…小さな島国の過去の都を舞台とするバトルロワイアルを始めるなんて死ぬほど合理的じゃねぇ」
「必ず、 アイツらには別の狙いがあるはずだ」
(平安京……イメージだけなら陰陽道がチラつく。陰陽と言ったらあの2人だよな」

千空の脳裏に浮かび上がる名は「安倍晴明」と「蘆屋道満」

「……」
千空の言葉に黙って耳を傾けるファラ。

「それに、死者を蘇らせるなんて悪魔らしい【ファンタジー】を披露した癖に俺らを脅すのは爆弾首輪という【科学】これには必ず意図がある」

「首輪も悪魔どもの力も科学的に突き止めてやるよ」
「……それは、悪魔と戦うことになっても?」
かつて【神】を討った一人は千空の覚悟を試す。

「安心しろ、科学はホモサピエンスを地球最強生物へと君臨させた神と悪魔の発明品(ピストル)を開発した。悪魔は実験の道具の一部にすぎねぇ」

「……」

「千空は覚悟ができているんだね。……うん。決めた!」
「あ……?」
千空の言葉を聞き、確信したファラは椅子から立ち上がると!

「頭を使うのは千空にまかせるよ!体を使うことは私にまかせてね!」

ファラの言葉は、親友がかつて口に出した言葉ーーーーー

「……充分だ。ファラ、お前の武力は期待100億%だ」

「うん♪私たちならイケる、イケる!」
ファラの言葉に千空は笑みを浮かべーーーーー

「この紅き月の平安京のアダムとイヴになってやる!唆るぜこれは!」

これは、悪魔の力に挑む科学の物語ーーーーー

【石神千空@Dr.STONE】
[状態]:健康
[装備]:石化装置
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:科学の力で悪魔の力(メフィスとフェレス )に勝つ
1:まずは、首輪の対処を講じる。(試して試して試しまくる)
2:平安京内の店などで材料確保
[備考]
参戦時期は180話からです。
※ファラとの会話でインフェリア(エターニア)の知識を得ました
※首輪には盗聴器が仕掛けられていると想定し、大事な会話は紙とペンで行います。
※メフィスとフェレスの背後には「安倍晴明」もしくは「蘆屋道満」がいるのではと推測しています。

千空の首輪解除仮説
①石化装置及び石化復活薬を使っての首輪解除
かつて司による死を乗り越えた方法。
まずは石化復活液(硝酸とエタノール)の入手。
しかし、失敗は死。身長に試す。最悪、死体を利用する……

②分解
電気回路をいじる。まずは、工具の入手

③液体窒素
爆弾ごと凍らせる。凍傷を防ぐ手段がないと不可

④ファンタジーと科学の融合
ファンタジーと科学を融合させる。…ま、あまりこの手段は使いたくはねえな。

いずれもまずは試す。科学はそういうものだ。

【支給品紹介】

【石化装置@Dr.STONE】
複数の輪が重なり合ったような不可思議な形状をした人工物。
至近距離で石化の範囲及び石化するまでの残り時間を武器に向かって唱えることで効果が発動する。なお、石化した部分を引き千切れば石化の連鎖が止まるといった特徴がある。
残りエネルギーが少なくなると指定した範囲よりも狭い範囲しか石化できなくなり、やがて使用不能になる。

【ファラ・エルステッド@テイルズ オブ エターニア 】
[状態]:健康  称号アイアンフィスト
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:千空のサポート・ 皆を守りたい
1:千空を守る(第一優先)
2:他の参加者も出会ったら守る
[備考]
参戦時期はED後
※治療功 解毒功 は制限により効果減少 回生功は使用不可


772 : 平安京のアダムとイヴ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 08:54:51 fcU3nmH.0
投下終了します。
それと、一つ前の投下作品ですが、作品名をつけ忘れていました。申し訳ございません。

「魔眼殺しの生徒と熱血教師」でお願いします。


773 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 14:01:19 fcU3nmH.0
投下します。


774 : 月ではなく太陽を欲する者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 14:02:43 fcU3nmH.0
「ふむ…紅き血染めの月……か」

平安京上空に浮かぶ紅き紅き血染めの月を眺める老人ーーーーー

「悪くはないが、余が求めるのは、「月」ではなく「太陽」」

老人の名はバーン。魔界の頂点に立つ大魔王。
太陽の恵みを魔界に降り注がせようと地上制服と言う表向きの名目で魔王軍を率いた。

(余はダイに敗れて死を迎えたはず……)

しかし、バーンは勇者ダイとの死闘の果て、敗死したーーーーー

(あの、メフィスとフェレスなる悪魔どもの力か・・・・・?)
自らの体は石化して太陽に飲み込まれた以上、バーンが知りうる限りの方法では復活は敵わぬ身。
そのことからバーンは自らの復活に2人の悪魔が関わっていると推測する。

「この首輪…先ほど申していた通り余の魔力を制限しておるだな……」
(加えて、余の若き肉体が存在しない以上、元の姿に戻ることは敵わず。ダイやバランのように接近戦の格闘主体の輩には明らかに不利となろう……)
首輪から感じる魔力めいた力にバーンはこの殺し合いが決して戯れに終わらせることが出来ないことを感じ取る。

「力ある者が蹂躙する様を楽しむことが出来ぬとは……」
メフィスとフェレスとは真逆の考えであるバーンにとって力を制御されたこの状況は面白くないのも当然である。

「ふ…まぁ、よかろう。多少のハンデはくれてやる」
「しかし、優勝するのは余だ。その時は願いを叶えてもらうぞ?」
たとえ、参加者の身に堕ちても大魔王としての矜持は失わない。

「太陽を……我が手に!」

敗者となった大魔王は勝者へ返り咲くために動きだす。

【大魔王バーン@ダイの大冒険】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:優勝して「太陽」を手に入れる
1:とりあえず、首輪の対処を考えながら行動する
2:力なき者や刃向かってくる輩は始末する
2:有能そうな参加者は配下としてスカウトする
[備考]
参戦時期は原作死後。
※首輪の効果で魔力が制限されていることを理解しました。


775 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/05(月) 14:02:57 fcU3nmH.0
投下終了します。


776 : ◆.EKyuDaHEo :2021/04/05(月) 15:43:39 igY8PTmM0
投下します


777 : マサオ君が覚醒だゾ? ◆.EKyuDaHEo :2021/04/05(月) 15:44:09 igY8PTmM0
赤い空の平安京の場、そこに一人の少年がいた。
彼の名は佐藤マサオ、普通の幼稚園児で泣き虫なおにぎりだ...


──しかし──


「ははは!もう誰もこの俺を止めることはできないぜ!」

今の彼に今までの面影はなかった...
それもそのはず、彼は主催の手によって宿業を埋め込まれ魂を弄られてしまった...
そして彼は自分に力が加えられたことを知るとその力に溺れてしまった...

「今までの俺は泣き虫でいじめられてばかりいた、だけど今の俺は今までとは違う!今の俺は強いんだ!」

完全に力に溺れてしまった彼はそう独り言を呟いた

「何もかもぶっ壊してやるぜ〜!」

そして八将神となった一人の少年は片手に空気砲、もう片手に刀のようなものを装備し、何もかも壊すため動き出した


【八将神枠】
【佐藤マサオ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:空気砲@ドラえもん、我妻善逸の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本行動方針:何もかもぶっ壊す
1:今の俺は強いんだ!
[備考]
※映画の出来事などを経験しています


【支給品】

【空気砲@ドラえもん】
佐藤マサオに支給。
空気砲を片手に装備して、「ドカン」というと空気の砲弾を発射する

【我妻善逸の日輪刀@鬼滅の刃】
佐藤マサオに支給。
我妻善逸が扱う日輪刀であり、刀には雷のような模様が入っている


778 : マサオ君が覚醒だゾ? ◆.EKyuDaHEo :2021/04/05(月) 15:44:21 igY8PTmM0
投下終了します


779 : ◆qvpO8h8YTg :2021/04/06(火) 00:17:31 jFXq./is0
投下します


780 : ◆qvpO8h8YTg :2021/04/06(火) 00:19:06 jFXq./is0
「何が殺し合いだっ! 全くもって忌々しい…!」


複数の世界より幾多の参加者が召喚された、常闇の戦場――平安京。
夜空に煌く紅色の月の下、声を荒げながらズカズカとフィールドを闊歩する影が一つ。

「メフィスとフェレスと言ったか……。 公人として、貴様らの蛮行は決して許しはせん!」


短髪の黒髪と褐色の肌――それに健康的に引き締まった身体を、月明りに晒しているその少女の名は日ノ元明。
憤怒と苛立ちをその凛とした瞳に宿して、天上の主催者達へと反逆の意思を示す。

明はまず、彼女と同じくこの殺し合いの地に放り込まれた他の参加者がいないか捜索をしている。

明は力あるもの--吸血鬼である。
故に自分の身は自分で守ることは出来る。
しかし、最初の会場から察するに、「殺し合い」と称されたこの不愉快極まりない催しには、自衛もままならない一般人が多数参加しているように見て取れる。
公人としてこういった無力な参加者を捨て置くことなどできない--早急な保護が必要である。

そういった義憤に駆られて、明は戦場を彷徨い、参加者の探索を行なっていた。



「やぁやぁ☆ キミぃそんなに急いでどこに行くつもりぃ?」


殺し合いの場であることを忘却させるような素っ頓狂な掛け声が耳に入り、明は足を止めた。
明が声の方向に振り返ると、ロリータドレスを身に纏った小柄な少女が、路上の長椅子にちょこんと座り込んでいた。


「――何者だ……」


明は訝し気に少女を凝視する。
小柄な少女は頭部には大きめなピンクのリボン、左目には紫陽花色の眼帯を装着しており、まるでメルヘンの世界から飛び出してきたようなーーなんとも可愛らしい出で立ちをしていた。

「--っと、いけない! まずはご挨拶しないとね! ボクの名前は針目縫! 良ければキミの名前も教えて欲しいなぁ!」

「日ノ本明だ」

人によってはその無邪気で人懐っこい姿に気を緩めてしまうことがあるかもしれない。
しかし、自らを針目縫と名乗った少女に視線を向ける明の表情は未だ険しいままだ。


「へぇ〜明ちゃんて言うのかぁ。宜しくねー!」

「……。」

「しっかし、どうしちゃったの明ちゃん? そんな怖い顔しちゃってさぁ。 もーっと、リラックスしようよ、リラックス☆」

ニコニコとーー殺し合いの場に似つかわしくもない、愛らしい笑顔を浮かべて明へと近づいてくる少女。
一見害意がないようにも見えるが、それが逆に明の警戒心を高めていく。

そしてーー。

轟ッ!という風の音に続き、ガキンというド派手な衝突音が周囲に木霊した。

「――貴様ッ……!」

「うわぁ、何その変身〜? 極制服とかじゃないよねぇ?」


眼帯の少女が勢いよく振り下ろした凶刃を遮ったのはーー白の大槍。
二人の少女は、互いの獲物を握り締めて鍔迫り合いの様相を呈している。
大槍の担い手たる明の外見は先程までとは一変――褐色の全身は白の外殻に覆われている。
大槍も、鎧もーー吸血鬼たる明の能力によって発現された代物である。
整った美しい顔立ちも、骸骨のような兜によって覆われて、その表情を窺うことは知れない。
しかし、兜の奥底より覗かせるその瞳には灼熱の闘志と怒りを宿していた。

「貴様は、この下らない殺し合いに乗っている……。そう解釈して問題ないな?」

「うん♪ そうだよ!」

重々しく言葉を紡いでいく明を茶化すかのように、即答する少女。
尚もニコニコと笑顔を崩さず、その細腕に握る大太刀に力を込めてくる。

「そうか……ならばーー」


明は一瞬だけ間をおいてーー。


「貴様は私の敵だぁッ!!!」


殺意を剥き出しにして、渾身の力で大太刀ごと眼帯少女の身体を薙ぎ払う。
鬼神の如き怪力に圧された少女は、「うわー」と何ともわざとらしい悲鳴を上げながら、まるで紙切れのように吹き飛ばされる


781 : ◆qvpO8h8YTg :2021/04/06(火) 00:23:23 jFXq./is0

吸血鬼の勢いは止まらない。
あれよあれよと宙を舞う少女を目掛けて、明は地を蹴り上げ突貫し、追撃の槍を振るう。

「うわーっとっとぉ!」

大げさな悲鳴とは裏腹に、縫い目の少女はひらりとこれを躱す。
空を切った槍の矛先はコンクリートの壁に激突し、粉砕音と共に粉塵が生じる。

「えーい☆」

明の背後に迫る少女の影。
白の外殻に覆われたその背中に太刀を振りかざす。
明は振り向けざまに遠心力とともに槍を薙ぎ払い、これを妨げる。


「あっははははは、明ちゃんたら怖い〜♪」
「……!」

二合、三合、四合と…。
刃と矛は激しくぶつかり合う。

縫い目の少女は愉快に言の葉とともに、
吸血鬼の少女は静かな怒りを槍先に乗せて、
眼前の敵を葬らんと、戦場に斬り合いの音を奏でていく。

一見すると、互角の様相を呈しているように見える。
だがその実――。

「あれれっー? 明ちゃん、大分元気がなくなってきたけど、大丈夫〜?」
「くっ……!」

眼帯の少女が繰り出す斬撃はより速く、苛烈なものとなっていき--明はというと、襲いかかる刃を喰い止めるのに精一杯となっていた。
怒濤の勢いで攻め立てる少女は、相も変わらず笑みを浮かべており、まだまだ余力を残しているようにも見てとれる。
まるで肉食獣が捕食の前の遊戯として、獲物を嬲るように--少女は愉しみながら徐々に明を追い詰めようとする算段なのだろうか。


「――舐めるなぁッッッ!!」

自分が格下と見做され--且つ弄ばれていると悟った明は、その屈辱に感情を爆発。
限界を超越した速度で攻勢に乗り出し、眼帯の少女を圧し始める。

太刀と槍が奏でるワルツは第二幕へと突入する。
戦場に鳴り響く金属の衝突音はより一層激しさを増していくのだが――。

「そうそう! 折角のパーティなんだし、もっとボクを楽しませてよね――って何あれぇー?」
「……っ!?」

最初に異変を察知したのは縫い目の少女。
数コンマ秒置いてから明も“それ”に気付く。

「――蝶…?」

思わず攻撃の手を止めて立ち尽くす少女達。
彼女達の眼前で漂うは無数の蒼い蝶。
妖しく発光するその蝶の群れは、側からみればどこか神々しさすら感じさせるほど幻想的で美しいものであった。

戦場に似つかわしくない摩訶不思議な光景を目の当たりにして――明はおろか、先程まで笑顔を張り付かせていた眼帯の少女もただポカンと口を開けて呆然としている。

やがて、蝶たちの群れの中心に眩い光が放たれていき、

「お前達……人間ではないな」

光の中から銀色の髪の女性が姿を現した。
天に煌めく紅い月と対をなすような、蒼い装束を身に纏うその女性は、只ならぬ威厳と重々しい空気を漂わせている。

予期せぬ第三者の登場に、一瞬だけ面食らった様子の針目縫。
だが直ぐに笑顔を浮かべ、会話に応じる。

「うん、一応そうだけどぉ☆ そういうキミの方も人間じゃないよね?」
「私は妖魔が長――『夜の君』アーナスだ。 お前達に提案がある」
「ん〜? 何、何ぃ〜?」
「……。」

明は二人の会話に割り込むことなく、押し黙ったまま耳を傾けている。
勿論、針目にもアーナスと名乗る女に対する警戒を解いていない。

「私はこれから人間を根絶やしにする。 お前たちは私の傘下に入り、手を貸せ」
「なっ…!?」
「へぇ〜」

思いがけないアーナスの提案に驚愕する明。
それに対して、針目は感嘆の声を上げて、目を細める。

「巫山戯るなっ! そのような非道の行い、公人として断じて見過ごすわけにはいかない!」

の矛先をアーナスへと向けて、激高する明。
それに呼応するように針目も、またその太刀をアーナスへと突きつける。

「う〜ん、ボクもパス☆ なかなか面白そうなお誘いなんだけど、対等なお友達としてならまだしも、上下関係はちょっとなぁ〜。 ボクには既に羅暁様という主君がいるしね〜。 『忠臣は二君に仕えず』ってやつだよ〜」

二人の人外に矛先を向けられたアーナス。
蒼の麗人は、冷ややかにその拒絶の姿勢を視界に収めーー。


「ならば、死ね」


782 : ◆qvpO8h8YTg :2021/04/06(火) 00:24:36 jFXq./is0

瞬間、その手に禍々しい黒の大剣を顕現させて、対峙する二人の少女目掛けて、大地を蹴り上げた。
アーナスは、二人の少女の懐へと一気に間合いを詰めて、その胴を分断せんと大剣を振るう。

その軌道上、大剣が最初に捉えるは、手前にいる針目縫。

「アハッ☆」

針目は口角を吊り上げ、ひょいっと身を屈めて、器用に躱す。

最初の獲物に逃げられた大剣の次なる行き先は、明。
明は自身の槍を振るい、大剣の進行を阻む。
その刹那、雷鳴のような轟音ともに大剣と槍が衝突する。

(ぐっ……、重いっ!)


明は全身全霊を以て大剣の斬撃を阻むことには成功したが、アーナスの斬撃の重さに身体が仰け反りそうになる。
結果として、アーナスと明は鍔迫り合いをするような形で対峙しているのであったが…。

「アハハハハハっ、背中ががら空きだよ! アーナスちゃん☆」

これは三つ巴の戦いーー。
針目は、その隙にアーナスの背後へと回り込み、嬌声と共にその無防備な背中へと刃を振り下ろさんとする。

だが。


「――ヨルドッ……!」

アーナスは背後をチラリと一瞥すると特に焦る様子もなく、ただポツリと”何か”を呟いた。
途端に彼女が掲げている黒の大剣は伸長し、瞬く間にその剣先が背後にいる針目へと差し迫る。

「えっ!? ちょっとちょっと〜!」

まさか剣が伸びてくるとは思っていなかったのか、針目は目を見開いて、慌てて剣先を回避――事なきを得たように見えた。
しかし、伸縮自在の大剣の脅威は止まらず…。
獲物を喰らうこと叶わなかった剣先は、まるで生き物のように蠢き、高速に軌道を変えてーー再び針目の身体へと突貫する。
針目は「うわっ」と悲鳴を上げて、素早く身体を逸らして、これを避けようとするが、差し迫る剣の方が速かった。


「あ痛たたたたたたっ!!?」

疾風の如き速度で針目の身体を切り刻んでいく。
針目は懸命に回避を試みようとするが、剣先は執拗に彼女を追い続けては--まるで線香花火のように彼女の身体の至るところから鮮血を噴き上げさせている。

針目縫とアーナス。
傍目から見れば、両者の戦いは一方的なワンサイドゲームになりつつあったが……。

「はあああああああああッッッ!!!」

繰り返しになるが、これは三つ巴の戦いである。
針目への攻撃に意識を集中させているアーナスの側面より、今度は明がその胸元を穿つべく槍を突き出さんとする。

しかし、アーナスはこれにも一切慌てた様子もなく、無表情をその整った顔立ちに張り付けたまま--迫りくる明へと振り向いた。

「――っ!?」

明の目に飛び込んできたのはアーナスの身体を取り巻く複数の光の塊。
思わず目を塞いでしまうほどの眩いものであったが、

次の瞬間――。
アーナス周囲に点在していたその光は解き放たれた。
明の身体を包み込み――果ては延長線上にある諸々の建造物を飲み込んでいったのであった。


783 : ◆qvpO8h8YTg :2021/04/06(火) 00:25:10 jFXq./is0



眼前に拡がる瓦礫の前に、「夜の君」アーナスは踵を返す。

大槍の少女は消し去った。
縫い目の少女は既にこの場にはいない--さきの魔力を解放した光撃の隙に、戦線を離脱したのだろうか。
だがそれらの顛末に一切の興味はない。

「許しはしない……! 人間どもめ…必ず殺す!」



無限に沸き上がるは『人間』への怒りーー。

彼女は忘却したままである。
自分が、かつて人間の少女であったことを。
蒼い血を浴びて半妖となった後、教皇庁の騎士として世界を救ったことを。
命を賭して守ろうとした最愛の少女がいたということを。

そして彼女は改竄されてしまっている。
彼女が最も大切にしていた「何か」は、人間達の悪意によって奪われてしまった、という歪められた記憶を植え付けられて。

蒼い血による本能と果てしない憎悪によって、「夜の君」は人間を蹂躙せんと常夜の戦場を動き出すのであった。




【八将神枠】
【アーナス@よるのないくに2 〜新月の花嫁〜】
[状態]:魔力消耗(小)、吸血衝動、人間への激しい憎悪
[装備]:魔剣ヨルド
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0〜3
[状態・思考]
基本方針:「夜の君」としての本能に従い、人間を殺していく
1:「人間」を見つけて殺す
2:「人間」以外の参加者と出会えば、利用できそうなものであれば使役する
[備考]
※参戦時期は暴走状態の頃からとなりますが、主催者からの改竄により、「夜の君」としての理性だけは取り戻しております。
※また主催者の改竄により「大切なもの」を奪いとったものは、「人間」であったと認識させられております。
※人間だった頃の記憶及び半妖だった頃の記憶については、欠落したままの状態です。


【魔剣ヨルド@よるのないくにシリーズ】
アーナスが自らの血を元に形成する長剣。
剣の長さは、アーナスの意識次第で伸縮自在。


784 : ◆qvpO8h8YTg :2021/04/06(火) 00:25:41 jFXq./is0



「流石にアレは反則だよ〜、ズルすぎるよぉ」

遠目で視認できる崩落した市街地。
アーナスが繰り出した光線の出鱈目な火力に、頬を膨らめてプンプンと抗議の声を上げる短髪褐色の少女が一人。
それは先のアーナスの攻撃によって光の中に消えていった日ノ元明――――ではない。

「あんなムチャクチャする子が参加してるんだったらーーボクが直接戦うよりも、まずは他の参加者と潰し合わせて消耗させてから美味しく頂いた方が良いよね、うんっ! アハッ☆ ボクってば冴えてる〜」


その正体は先の戦場から離脱を果たした針目縫。
アーナスの魔力放出を目の当たりにした針目は、このまま戦闘を続行するのは骨が折れる相手と判断して、いち早く離脱を決行した。
そして今はこうして日ノ元明の姿に変身して、先程の怪物アーナスを如何に始末するか策謀を巡らしていた。


針目のこのゲームにおける最終目標は優勝である。
そこに揺らぎはない。

しかし、このゲームに先のアーナスという難敵が参加していると判明した現状、ただ闇雲に片太刀バサミを振り回して殺し回るのも得策ではない。
今後アーナスのような強敵と出くわすことを想定して、肉壁となるような参加者を探して、利用していく方がより効率的に優勝に近づくことができるだろう。

しかし、多人数の人間が参加しているであろうこの殺人ゲーム。
己が敵対する本能寺学園、皐月陣営の関係者が混ざっていたとしても不思議ではない。
故に、針目は自らの姿を、先の戦闘でアーナスによって葬られた少女へと造り変えた。

こうしていれば、針目の容姿や悪評を知りうる参加者間にも潜り込むことができる。



「さーて、それでは気を取り直して出発進行〜☆」


本物の日ノ元明であれば発することはないだろう軽やかな号令を紡いで、針目はその歩を進めていくのであった。



【針目縫@キルラキル】
[状態]:全身に切り傷(再生中)、日ノ本明の姿に変身中
[装備]:片太刀バサミ@キルラキル
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0〜2
[状態・思考]
基本方針:優勝して元の世界に帰還する
1:とりあえず明の姿で他参加者に接触していく
2:利用できそうな参加者は利用する。そうでない参加者については殺していく。
3 : アーナスちゃんに関しては要注意だね☆
※参戦時期は少なくとも鬼龍院皐月と敵対した後からとなります。







二人の怪物が去った戦場の跡に残るは、崩壊した幾多の建造物。
その瓦礫の山の中で蠢くものが一つーー。

「ハァハァ……まだだ……。私はまだッ……!」


満身創痍の日ノ元明は地を這いずり、瓦礫から抜け出す。
消え去った右半身の再生は始まってはいるが、完全に治りきるまでにはまだまだ時間が掛かりそうだ。

――ここで死ぬわけにはいかない。

全てはーー元の世界へと帰還し、「あの男」を討ち取るという宿命のため……。

明は歯を食いしばり、その生を繋いでいくのであった。



【日ノ元明@血と灰の女王】
[状態]:吸血鬼状態、全身にダメージ(極大・再生中)、右半身消失(再生中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0〜3
[状態・思考]
基本方針:公人として殺し合いに乗るつもりはない。主催を打倒する。
1:ひとまずは身体の回復を……。
2:針目縫とアーナスを警戒
※燦然党との決戦前からの参戦となります。


785 : ◆qvpO8h8YTg :2021/04/06(火) 00:26:41 jFXq./is0
投下終了となります。
タイトルは「凶ゲラレタ夜」となります。


786 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/06(火) 03:24:58 VGO.8TYE0
投下します


787 : 彼等双方 暗殺稼業 ◆EPyDv9DKJs :2021/04/06(火) 03:28:47 VGO.8TYE0
「いやーお互い同業者って奇遇だね。」

「そういうあんたは、同業者に見えねえけどな。」

 紅い月の光すらも遮る、窓一つすらない何処かの地下室。
 蠟燭の明かりが灯された薄暗い部屋に、二人の男女が寛いで雑談をしていた。
 片方は露出度の高い、金髪のセミロングをした女性はかなり気さくな態度だ。
 いかつい顔餅の相手でも、物おじせずに話しかけているのだから。

 彼女は見覚えのある貸本屋に足を運べば、自分の知る場所に瓜二つ。
 調べてみれば地下への入り口もそのまま。再現度の高さに驚きながら降りてみれば、
 此処が始まりだったのか、向かいに座る蜘蛛の糸のようなラインが施された、
 紫のスーツを着こなすいかにもステレオタイプなギャングがいたというわけだ。
 互いに身構えこそしたが大した敵意もなく同業者の雰囲気もあって、
 こうして二人は会話をするに至っている。

「ついでに言えば、こっちは金目当てと復讐の叛逆だ。
 そっちみてーな高尚な連中の考えなんぞ欠片もねえさ。」

「おかしなこと言うねぇ。高尚な理由なんて並べたところで、
 あたしたちがやってるのは同じで、何一つ変わっちゃいないよ。」

 野獣の如き眼光。
 男は気さくな態度とその恰好で同業者に訝っていたが、
 秘めながらも殺意の向け方が並々ならぬと理解するには十分だ。
 これを隠せるのならば、一流なのは間違いない。

「第一、あたしがそこにいた理由は気に入らない奴をぶちめせるからさ。
 国の為ってのは確かにあるけど、これのどこに高尚さとか高潔さあるわけ?」

「おいおいおいおい。おめーそれ本当に殺し屋か?」

「気に入らない奴、って言っても腐った悪党ばかりだけどね。
 クズのバーゲンセールさ。子供を馬で踏み殺すクズ。自分の罪を他人に擦り付けるクズ。
 どいつもこいつもクズばかりの連中。そして殺すあたしもクズ。ドブさらいに向いてるっしょ?」

 気さくな態度でありながらも、
 内容は物騒極まりない会話を続ける。
 レオーネとプロシュート。互いに暗殺を生業とした組織の人間だ。
 お互い別の組織の殺し屋なのにそんな情報をペラペラと喋っていいのだろうか。
 普通に考えればそう思うだろうが、二人にとってはある意味それはどうでもいい。
 なぜなら二人はとっくに死んでいる。死んだ人間が死後の世界でも秘密主義を通すか。
 少なくともプロシュートにはそんな守秘義務を守るなんて義理はあの組織にあるはずがなく。
 レオーネの場合は……単純に駄弁りたかっただけかもしれない。
 表舞台から退場した手前、楽な気分でいたかったとも言うべきか。
 もっとも、余り込み入った部分は話してはいないが。

「上の連中はロクデナシは、何処の国も一緒か。」

 安い報酬を受け取って生活し、仲間も惨たらしく殺される。
 逆らうことはできず、犬コロ同然のように恐怖の首輪をつけられた。
 パッショーネに限らず、テイトと言う場所も相当なものだと溜息をつく。

「で、そっちはどうするわけ?」

 いい加減こんな話に付き合うのもうんざりでしょ。
 とでも言わんばかりに、話切り上げて再び目つきが変わるレオーネ。
 口下手ではないが、タツミたちのようにフランクなわけでもない様子。
 これ以上付き合わせるのも悪いと思って話を進めることにした。

 どうする、というのは単純な話。殺し合いに乗るかどうかだ。
 お互い死んだ人間。此処にいるのはどうせ悪逆非道のクズばかり。
 別に殺したって問題ない連中ならば、少し楽しむのも悪くはない。
 もっとも、レオーネからすればあの二人もそのクズに分類するので殴り倒したいが。

「互いに身内がいる可能性で気乗りしねえってのも、同じか?」

 ロクデナシと言うことは自分の組織のメンバーも十分にいるだろう。
 お互い殺し屋と言う汚れ仕事。こんな地獄みたいな場所にいてもおかしくない。
 そして殺し合いだからと言ってそうですかと仲間を殺せるほど不仲でもなく。


788 : 彼等双方 暗殺稼業 ◆EPyDv9DKJs :2021/04/06(火) 03:29:12 VGO.8TYE0
「そだねー。シェーレやチェルシーとも戦いたくないし、
 ブラートなんて正面から戦ったら勝ち目なんかないって。」

 身内と戦うのをイメージしてないないと手を振る。
 帝具なしだとそこまでの相手ならレオーネは鍛え方が違う。
 一方で、素の戦闘力が別格のタイプでは流石に話が変わってくる。
 敵だが、その筆頭のエスデスがいたらと思うと乾いた笑いが出てしまう。
 なんせ強すぎる奴には制限、なんて恐ろしいことを言ってしまってるのだから、
 エスデスでなくともそれに匹敵するやばいのがいるのかもしれない。

「同感だ。」

 スタンドにも相性云々は存在しているが、
 ある意味どうしようもない詰みの組み合わせは存在する。
 老化を無力化できるイルーゾォがいれば確実に不利だろうし、
 死人ではないがギアッチョと戦うことになったら確実に詰む。
 互いに、なんの偶然か氷使いを想像しながら相手の言葉を理解し頷く。

「正直なところ、優勝してどうするっつー話だ。」

 後のことはペッシ達四人に託した。
 自分はブチャラティとの戦いを見届ける前に力尽きてしまったようだ。
 だが薄れゆく意識の中で見たあの様子なら全滅は難しくとも、
 相応の痛手を与えることができたことは想像に難くない。
 優勝しても死人。元の世界へ戻ることはできるはずもないし、
 かといって生き返ったり仲間を復活させるというのもしたくはない。
 全員死を覚悟して組織にいた。それはソルベとジェラートも同じはず。
 生き返らせるとは、覚悟を否定することに繋がって納得ができなかった。
 敵の覚悟にだって敬意を表する彼が、人の覚悟を否定する真似などできるはずがない。

「あ、わかるそれ。生き返ってもしゃーなしって感じ。」

 大臣は死に、帝都は安寧を得た。
 殺し屋ができることはすでにない。
 死んでも仕方ないロクデナシである以上、
 今更生き返ったところで殺し屋に居場所なんてない。
 死者の復活なんてどんな帝具だろうと存在しないのだから、
 メフィスとフェレスがそれを叶えるとも余り思えなかった。

「でも優勝したいとは違うけど、変わらずドブさらいも悪くないかも。」

 拳と手に合わせ指を鳴らしながら笑みを浮かべる。
 此処が死人揃いなら大臣と言った腐った連中も多い。
 そういう奴らが優勝なんてしたらろくなことにならない。
 だったら全員ぶちのめしてやればいい、というだけのこと。
 クズ共の願いは叶わないし、自分の気分も晴れるというもの。
 メフィスとフェレスを殴るにはどうすればいいかも考えたいところだ。

「いかれてやがるな。」

 ホルマジオの暗殺に巻き添えとなった女性に対して、
 苦言を漏らした彼にとっては無駄な殺しは好きではない。
 もっとも、あくまでそれは無関係な人間を巻き添えにしたくないというよりは、
 暗殺者の腕に関わることであって、決して善よりの思考ではないが。
、事実、切羽詰まってたとは言え無関係な人間を巻き添えに惨事を起こしてる。
 ナイトレイドが知れば、暗殺対象になってもおかしくないぐらいだ。
 一方で今は余程切羽詰まってるわけでもなく、進んで人を殺しはしない。
 よくて火の粉を払う程度のものだ。

「汚れ仕事請け負う奴がまともだと、本気で思うわけ?」

「……確かにそうか。」

 叛逆の理由も金と仇討ちと、
 かなり俗な理由でパッショーネを敵にした。
 勝ち目があるかと言われたらかなり厳しい戦いだ。
 勝ち目が薄くとも、何人死ぬか分からないとしても。
 それでもなおチームがボスの玉座を掴もうと選んだのは、
 十分まともな思考とは言い難いだろう。

「じゃあ、俺は行くぜ。邪魔したな。」

 乗るつもりはないが身内ぐらいは探そう。
 あいつらがどうしたいかを聞いてから、
 自分の目的を考えても悪くはないはずだ。
 そう思って席を立ち、足元に気を付ける。

「邪魔したのはあたしじゃないの?」

「薄暗い中足元も気を付けずに歩いたなら、
 そっちにとって慣れた場所って思っただけだ。」

「見てるねぇ。まあこんな場所にはないし、
 多分そこを模しただけで偽物だよ此処は……あ、
 ついでだし身内に会ったら此処に来るよう伝えてくれる?」

「引き受ける代わりに、逆に俺の方も頼んだぜ。」

 特にイルーゾォとホルマジオ、
 下手をすれば見つけるのが困難な能力の二人だ。
 目視で見つけるよりも人に頼るほうが楽かもしれない。

「りょーかい。あたしもちょっと休んだら此処でるわ。」

 互いに言伝を終えると、
 プロシュートは今度こそ部屋を出る。
 一人になった後、レオーネは椅子にもたれながら天井を見上げた。
 薄暗く照らされた煉瓦の天井を眺めなら彼女は思う。

(いやはや、死んでもドブさらいかぁ。終わってるねホント。)


789 : 彼等双方 暗殺稼業 ◆EPyDv9DKJs :2021/04/06(火) 03:30:19 VGO.8TYE0
 生き返らなくて正解かも。
 なんて思えてしまう程の腐った性根。
 薄暗い天井がお似合いとも言うべきか。
 マッサージ師でやってくことは無理そうで、
 乾いた笑いと共に軽く自己嫌悪する。



 外へと続く本棚を抜けて、
 そのまま外へと出るプロシュート。
 ルナ・ロッサ(赤い月)は地のような光を大地へと与える。

(死んでも仲間、仲間、か。俺も人のことは言えねえな。)

 迷いに迷ってるとは少し違う。
 何も決められずにいるわけではないが、
 心のどこかで死んだ仲間に会いたくて仕方ないのか。
 暫くは通信でペッシ以外とはあってすらいないのもある、
 と言うのもあるかもしれないがどちらでも同じことだ。
 自分もマンモーミみたいなもので、軽く嫌気がさす。



 その命尽きようとも使命を全うせんとした二人の暗殺者。
 辺獄へ招かれようとも、その志は変えることはない。

【レオーネ@アカメが斬る!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3(確認済み・ライオネルなし)
[思考・状況]
基本方針:いつも通り腐った連中を叩き潰す。勿論メフィスとフェレスも!
1:ナイトレイドもいるなら探してみよっかなぁ
2:ついでにプロシュートの知り合いも探す。
3:イェーガーズとか帝都の連中がいたときは遠慮なくぶちのめそっかな。
4:あ、でも帝具なしでエスデスとかはあいたくねーな!
5:優勝するしかなくなったらどうしよ。
[備考]
※参戦時期は死亡後(アニメ版意識ですが漫画版でも問題ないです)
 ただ漫画版であればライオネルと少し融合してるため状態表がかわります。
※此処が死者、特にロクデナシの連中を集めたものだと思ってます。

【プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3
[思考・状況]
基本方針:願いには興味がないが死ぬつもりもない……が、どうしたものか。
1:身内でも探しておく。
2:レオーネの知り合いも探す。
3:ブチャラティ達がいた場合は警戒しておく。
[備考]
※参戦時期はブチャラティVSペッシを見届けてる最中です。
※此処が死者、特にロクデナシの連中を集めたものだと思ってます。
 また、自分が死んだものだと勘違いしてます。


790 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/06(火) 03:31:10 VGO.8TYE0
投下終了です


791 : ◆ytUSxp038U :2021/04/06(火) 11:02:49 nIR5Af2A0
投下します


792 : 抱いて抱いて、息もできぬほど ◆ytUSxp038U :2021/04/06(火) 11:05:41 nIR5Af2A0
殺し合いなんてしなくていいから(良心)


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紅い月が照らす平安京。
古き建造物が立ち並ぶ中に、近代的な白い家があった。
その家の名は野獣邸。
数多のホモガキに愛され、今も尚聖地として人気のスポットである。
本来であれば下北沢に存在する野獣邸も、今は主催者が用意した一施設として平安京に存在している。
そんな野獣邸の寝室にて、一人の参加者が目を覚ました。

「ぬわあああああああああああん。良く寝たもおおおおおおおおおおおおおおん」

馬鹿みたいな声と共に起きた男。
ボクサー型のブリーフ一枚だけを身に着け、ガッチリとした浅黒い肌の肉体を晒している。
見た目はTDNクッソ汚いおっさんだが、こいつは決してそこいらの一般人などでは無い(断言)

千の異名を持つ男、とも言われる通り無数の名が男には存在する。
今回はその中でも最も多くの者に親しまれた名前、『野獣先輩』と記させてもらおう。

野獣先輩は立ち上がって軽くストレッチをし寝起きの体をほぐすと、早速デイバックの中身を確かめる(支給品の確認を怠らない参加者の鑑)
水や食料などを基本的な物を取り出し、更に奥へと手を突っ込む。
そうして取り出した物を見てクッソゲスいしたり顔を浮かべた。

「良いねぇ〜!Foo〜↑」

それは一本の日本刀だった。
鞘から抜いてみると、自身の肌よりも黒い刃が露わになる。
当たりの支給品を手に入れた野獣先輩は、早くもテンションが上がりだした。

「これなら余裕で皆殺しに出来るってハッキリ分かんだね」

ここで読者兄貴たちは疑問に思うかもしれない。
人間の鑑である野獣先輩が何故こんな物騒な事を言うのかと。
こいつは人間の屑なんだからマーダーになるに決まってるだろ!いい加減にしろ!とお怒りの兄貴たちもいるだろうが、まま、そう焦んないでよ(神のお言葉)
野獣先輩が殺し合いにのった理由、それは彼が主催者によって用意された殺し合いを円滑に進める為の駒、八将神の一人であるからだ。
ここにいるのは後輩を日焼けに誘う優しい先輩でも無ければ、大先輩をラーメン屋の屋台に誘う気さくな後輩でもない。
野獣の如き眼光で参加者を狙い、容赦せず殺しに掛かる危険人物なのである。

こんな汚物ステハゲにわざわざ宿業を植え付ける道満はホモ(直球)
ついでにこんなおはぎうんこの魂を弄るメフィスとフェレスもレズ=ホモなのでホモ(暴論)
Q.E.D.証明終了。

「邪剣・夜、逝きましょうね〜(殺害宣言)」

勝手に名前を付けた刀を片手に、ホモビに出ただけで八将神になった男が平安京を駆け抜ける。
愛する後輩との幸せなキスの思いでも、今は夢のようにあやふやな記憶と化してしまった。

それは夢なのか、現実なのか……。
暑い魔夏の夜、過熱した欲望は、遂に危険な領域へと突入する。


【八将神枠】
【野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:秋水@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺りますねぇ!(溢れ出る殺意)
1:参加者を探す
[備考]
※多分バトル淫夢みたいな戦闘力があると思うんですけど(名推理)
※具体的な制限に関してはKEN、何とかしろ(他人任せ)

【秋水@ONE PIECE】
ロロノア・ゾロが所有する大業物の一本
一般的な刀よりも非常に重いが、その分頑丈であり破壊力に優れる。


793 : ◆ytUSxp038U :2021/04/06(火) 11:06:37 nIR5Af2A0
投下終了です


794 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 14:11:01 wRm02Qtw0
投下します。


795 : 乃木若葉は将軍と出会う ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 14:12:40 wRm02Qtw0
紅より紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

「……」
紅き血染めの月を睨む少女ーーーーー

少女の名は乃木若葉
四国にある良家「乃木家」の出身で居合道を得意とする中学2年生。
しかし、若葉にはある「力」がある。

「メフィスとフェレス…私は貴様らを許さない。必ず殺した少女の報いを受けさせる」
ー恩義や情けには報いを。攻撃されたら報復をー

乃木若葉の旨。
ゆえに若葉は罪なき少女を殺めたメフィスとフェレスを許さないーーーーー

「勇者の名にかけて」
そう乃木若葉は「勇者」であるーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「これは…一体……?」
平安京に誘われ、戸惑いを隠せない着物女性。

着物女性の名は徳川家茂。
江戸幕府第14代将軍ーーーーー

紀州徳川家の娘で本来の名は福子。
なぜ、女性である福子が徳川家康が開いた江戸幕府の将軍となったのかというとーーーーー

それは3代将軍家光の御世の頃であった。奇病、赤面疱瘡により日の本の男子が一時絶滅寸前にまで陥ったことがある。
ほとんどが男子にかかると言う恐ろしい赤面疱瘡はなんと、家光公の命まで刈り取ってしまう……
そこで春日局は家光公の落胤の少女に目をむけ、世継ぎを儲けさせようと企む。春日局の死後。その少女は将軍につきそれ以来、代々女性の徳川将軍が生まれた。
原因となった赤面疱瘡は家斉の時代に開発されたワクチンの強制接種により撲滅に成功したが、13代将軍家定の死去した後、大老井伊直弼による推薦もあり女性であるが14代将軍の座についた。

(いけない…早く江戸に戻らねば大問題となる!)
家茂は今の状況に焦る。
ただでさえ、攘夷を叫ぶ薩摩や公家たちの声が大きくなっているなか、将軍である自分がいなくなれば、幕府の権威が完全に失墜する。
なにより、帝に直接、言上した「お守り」するとの約束が果たせなくなる。

(まずは、殺し合いに乗っていない他の参加者と合流をしたい…)
生きて帰るためにも家茂はめふぃすとふぇれすが申した殺し合いに乗らない参加者を探すべく歩く。

「あれは……南蛮風の女子(おなご)?」
家茂は見かけた女子に声をかけるーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


796 : 乃木若葉は将軍と出会う ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 14:17:54 wRm02Qtw0
「……」
若葉は手を顎に当てながら思考する。
(徳川家茂?…おかしい。家茂は男性ではないの…?)
若葉は話しかけてきた目の前の着物女性の名に考え込んでいる……

(でも、この女性が嘘をついているようにも見えない……とりあえず、様子を見てみるか)
若葉は女性を家茂として接することに決めた。

「?いかがした。私の名前に何か疑問でも?」
(私を将軍か疑っている?…もしや、服装と言いこの女子は南蛮の者?いや…それにしては発する言葉は流暢……ふむ)
家茂は黙っている女子の容姿を見つつ、考え込む……

「いえ。将軍家茂公とは知らずこのような無礼な振る舞い申し訳ございません」
若葉はとりあえず目の前の女性を徳川家茂として認識する。

「いえ。構いません。将軍とはいえ、ここではその地位は何も意味をなさぬ。それで、そなたの名は?」
(おいおい信頼を結んでいけば分かることか…)
とりあえず、家茂も疑問を横に置き、若葉と会話を続ける。

「私の名前は乃木若葉です。ご安心ください。その御身は私が守ります」
勇者として人々を守る。たとえ、歴史上の人物でもそれは変わらないーーーーー

「それは、たのもしい。頼りにするぞ若葉殿」
家茂は若葉の申し出に朗らかな笑みを浮かべる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

(さて、家茂公に伝えるべきか……どうする?)
若葉は家茂が生きていた時代より150年も未来を生きている人間である。
当然ながら徳川の時代は終わっている。

(歴史上の人物に未来を教えても大丈夫なのか?…たしか、タイムパラドックスとか聞いたことがあるが……)

乃木若葉は悩むーーーーー

【乃木若葉@乃木若葉は勇者である】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを打破し、メフィスとフェレスに報いを受けさせる
1:家茂や他の参加者を守る
2:ひなたは巻き込まれていないことを願う……
[備考]
※参戦時期は丸亀城の戦いの後

☆彡 ☆彡 ☆彡

(若葉と名乗る女子…並々ならぬ決意を秘めておるようだ)
家茂は若葉の揺るぎない目から感じ取った。

(新しき世を迎えようとする今、流れに倣いたい。私は若葉なる女子から新しき風を学びたい)
家茂は単なるお飾りの将軍ではない。
思慮深く聡明な女性。

未来人かつ戦う力を持つ若葉と出会えたこと徳川家茂は幸甚である。

【徳川家茂@大奥 (漫画) 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る
1:若葉と行動をともにする
2:若葉と申す女子に興味が湧いた
[備考]
※参戦時期は17巻、一度目の上洛を終えて江戸に戻った直後


797 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 14:18:06 wRm02Qtw0
投下終了します。


798 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 17:08:45 wRm02Qtw0
投下します。


799 : バンパイア ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 17:11:02 wRm02Qtw0
「私は自らの力で蘇るのではない。欲深な人間共によって蘇るのだ。力が唯一の正義なのだからな」

【ドラキュラ伯爵@悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスを眷属とし世界を支配する
1:腰を据える居城の代わりを探す
2:これ(殺し合い)を利用して眷属を増やす
[備考]
※参戦時期は本編死後


800 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 17:11:23 wRm02Qtw0
投下終了します。
また、続けて投下します。


801 : 勇者とよさこい少女とアイドル ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 17:15:42 wRm02Qtw0
「…一体、どうなってやがるんだ!?」

紅き紅き血染めの月が照らす平安京に困惑の色を隠せない男…

「たしか、俺はうみねこ坐で映画を観ていたはずだったよな…?」

男の名は春日一番。
元東城会直系荒川組若頭。

「眠気に負け、途中寝ちまって…んで、目が覚めたら別の映画が上映されて…」
自分の所属していた組の息子荒川真斗の目を覚まさせるために拳を交え一連の騒動に決着をつけた一番は異人町に留まることを選択した。
ある日、馴染みのあるうみねこ坐の支配人にお勧めされた映画を観ていた一番は睡魔に負けて寝てしまった。
目が覚めるが、メフィスとフェレスなる2人のガキンチョが現れて現在に至るーーーーー

「…っといけねぇ。とりあえず、一服できそうな場所を探さねーと…」
とりあえず、思考を深めるためにも手ごろな休憩場所を探す春日。
「おっと!行き止まりか…」
走っていると目の前に行き止まりを示す塀に辿り着き、肩を落とす春日。
「…ん?なんだ?この音」
武家屋敷の塀の向こうから地面を蹴る音が聞こえーーーーー

「ッ!?わわわ、どいてくださーいッ!!」

「おわっ!」

春日の目の前にある塀からなんと、女の子が跳び越えてきたーーーーー

☆ ☆ ☆ アダッ!!?? ☆ ☆ ☆

☆彡 ☆彡 ☆彡

一番と激突した少女はとりあえず、古民家の中で互いに自己紹介を交わしたーーーーー

「へぇ…するとハナちゃんはアメリカから日本へ来たのか?」
「そうデス!それに憧れの日本で【よさこい】を踊るのは、私の夢なんデス♪」
少女の名はハナ・N・フォンテーンスタンド。
ハナは自身の夢を一番に語る。

「…夢…か」
(親っさん…若…)
ふと、春日の脳裏に敬愛する2人の姿がよぎるーーーーー
(あの、メフィスとフェレスとかいうガキンチョ共は「どんな願いでも一つ叶える」と言っていた。けど、それで2人が蘇っても、筋が通るわけねぇよな…)
メフィスとフェレスが放った優勝の権利に一瞬、夢の日々を連想したが、すぐさま否定した。

「ところで、一番さんはJapaneseYAKUZAデスか?」
「ん…ああ、元、だけどな」
所属していた荒川組からは破門され、さらに大元である東城会は近江連合と共に警察に解散届を提出し東西の2大極道組織は消滅したーーーーー

「色々あってな…今は一番ホールディングスの社長ってわけだ!」
「OH!元YAKUZAでシャチョーさんデスか!?すごいデスね♪」

「いや、従業員の皆のおかげさ!それにハナちゃんも「よさこい」って踊りを踊るのが夢だなんてスゲェじゃねぇか!」

「ふふん♪それほどデモです!…一番さんも私と踊りませんか?」
ハナの提案。
「いや、俺はよしとくよ。踊りなんて修学旅行のフォークダンス以来だからな…」
(流石に喧嘩で使用しているダンスはまずいよな……)
口ではそういうが、先の騒動では、ダンススタイルで戦ったことがある一番だが、踊りを純粋に楽しむハナを見て申し訳なさそうに断るがーーーーー

「大丈夫!ただクルクルクルクル楽しく回っていればいいんです!だから、ほら!」
「お…おい」
そういうと、ハナは一番の手を掴み畳の上で周囲を周る。

「〜〜〜〜〜♪」
「……」

(素敵な笑顔、長いまつ毛、大きな瞳、小さい身体に高くてきれいな声だ…)

一番はハナの顔を見つめる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「…ふぅ。…どうでしたか?」
「…悪くねぇ。最高だったぜ」
笑顔でハナに答える一番。

「よかったデス♪…ところで一番さんは、どうしますか?メフィスとフェレスさんたちの言っていた通りに優勝を目指すんデスか?」
「…そうだな。二人に逆らえば、この爆弾首輪で首をドッカーンと刎ねられて死んじまう。正直、死にたくねぇな…・」
「……」
ハナは一番の言葉を黙って聞いているーーーーー

「けどよ、あのガキンチョ共の言う通りにしちゃあ男がすたるってもんだ!あのメフィスとフェレスは魔王よりも外道だッ!!…なら勇者が退治しねぇとな?」
一番はハナに自身の答えを伝える。

「一番さんはJapaneseサムライデス♪ カッコイイです♪」
一番の答えにハナは笑顔を見せる。

「おうよ!春日一番という人間は荒川の親っさんから教わった度胸とドラクエの勇者から教わった勇気から出来てるんだからなッ!」

そう。それが春日一番という男だ。

「私も死にたくはないデス…でも、殺し合いに乗ったらもう二度とよさこいを踊ることはできないと思うんデス!だから私も抗います!」
ハナも自らのケツイを一番に語るーーーーー

「そんじゃあ、ガキンチョ共の企み、一緒に阻止すんぞッ!ハナちゃん!」
「はいデス!アニキ!」

「…ハナちゃん…兄貴はよしてくれ……」

☆彡 ☆彡 ☆彡


802 : 勇者とよさこい少女とアイドル ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 17:16:28 wRm02Qtw0
ガラガラッ!戸を開けて出発をしようとする2人にーーーーー

「あ、あの!」
「ん?」「ハイです?」

さっそく、村人Aならぬ参加者と遭遇するーーーーー

【春日一番@龍が如く7】
[状態]:健康 ジョブ:フリーター
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスの野望を阻止する。
1:この子は…村人A?…なわきゃないか
2:ハナちゃんと共にメフィスとフェレスの目論みを打開する

※最終章クリア後
※デリバリーヘルプは使用不可能です。
※会社経営で株価1位になり、サブストーリーをクリアしています。
※取得しているジョブのスキルや他のサブストーリーの進行度などは後続の書き手様にお任せします。

【ハナ・N・フォンテーンスタンド @ハナヤマタ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰るためにアニキと行動を共にする。
1:え〜と…ダレですか?
2:えー…いいじゃないデスか♪アニキって響き私はスキです♪

※参戦時期はアニメ最終回後

☆彡 ☆彡 ☆彡


803 : 勇者とよさこい少女とアイドル ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 17:18:00 wRm02Qtw0
「ぬぬぬぬぬ……」
トボトボと歩いていた少女はキッ!と血染めの月を睨むとーーーーー
「絶対にかすみんは殺し合いませんよッ!」
それはメフィスとフェレスへの宣戦布告。

首が吹き飛ぶ本物の「死」を見たにもかかわらず、そう啖呵をきった少女ーーーーー
少女の名は中須かすみ。
スクールアイドル同好会のメンバーでかわいいものが大好きな虹ヶ咲学園の一年生。

「かすみんは、断固として殺し合いに参加なんてしませんよぉ〜!」
かすみんは怒っている。
こんな催しに無理やり参加させられたことに。
かすみんがしたいのは「殺し合い」ではなく「全国ライブ」。
殺し合いというアイドルとかけ離れたことをするはずがないッ!!

「とにかく!かすみんと同じ志をもつ参加者と出会わなくては!」
行動指針を定めるとかすみは行動に移そうとしたその時!

「あ…あれは!?」

丁度、古民家に入ろうとする男性と自分と同い年に近いであろう制服の少女。

(えっ?えっ?何!?)
どう見ても、かすみの目から見てもあきらかに30代後半…いや、もしかすると40代かも知れないオジサンに女子高生の組み合わせに一瞬パニックに陥る。

「あ……」
あれこれ考えているうちにオジサンとその少女は古民家の中へ入ってしまった。

(もし、いかがわしいことがおきていたら、かすみんどうしましょ〜…)
最悪の事態を想定しつつ、古民家の庭からそ〜っと部屋の中をのぞくと……

(…っ!!??)
楽しそうにクルクルと周りをまわっているオジサンと少女だったーーーーー

(凄い…ただ、周囲をまわっているだけなのに、目をそらすことができません)
かすみは到底踊りとはいえない動きに目を奪われたのだーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


804 : 勇者とよさこい少女とアイドル ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 17:18:22 wRm02Qtw0
(よし、話しかけてますよ〜)
かすみはとりあえず、オジサンが悪い人には見えないと判断したため、話しかけることをケツイした。

(かすみん、勇気を出しますよ〜……)
かすみは両手をギュッと握りしめてケツイを深めるッ!!

ガラガラッ!戸を開けられた音がした。

(よしっ!行きますッ!!)
少女は一歩踏み出してーーーーー

「あ、あの!」

アイドルは勇者とよさこい少女に話しかけるーーーーー

【中須かすみ@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:かすみんは殺し合いには絶対に参加しない!そして元の世界へ帰る
1:あ、あの!
2:他のみんなは参加していないよね…?
[備考]
※参戦時期は2話以降


805 : 勇者とよさこい少女とアイドル ◆s5tC4j7VZY :2021/04/06(火) 17:18:52 wRm02Qtw0
投下終了します。
天気の子ロワに投稿した作品を土台としました。


806 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/06(火) 18:42:54 5K9YAXvA0
投下します。


807 : ある隊長の憂鬱 ◆8eumUP9W6s :2021/04/06(火) 18:44:19 5K9YAXvA0
「…はぁ、既にもう胃が痛いわ…」

紅き平安京の元、金髪の少女は一人頭を抱える。
彼女の名はロザリー・ド・エムリコート・ド・グリュンネ少佐。第506統合戦闘航空団のA部隊の元名誉隊長であり、遠い血縁でこそあるがブリタニアの王位継承権も有する貴族である。

この殺し合いに巻き込まれる前、A部隊が活動停止状態になったのもあって名誉隊長職を退いた彼女はほぼ2年ぶりとなる休暇を取り、3日の間パリの散策とショッピングで羽根を伸ばしていたところだった。
…よりにもよってその3日目、せっかくの自由を満喫している最中にロザリーはこの殺し合いに巻き込まれる羽目になってしまったのである。

「…巻き込むにしても、せめてセダンに戻ってからにして欲しかったわ…こんなふざけた催しを開くだけあって、性格が悪いわねあの双子…」

はぁ…とまたため息を吐くロザリーであったが、胃の痛みを感じながらもある決心をする。

「今こそ、高貴なる義務を果たす時…そうよね」

ロザリーは主催の双子…メフィスとフェレスに対して憤りを感じていた。
無論、せっかくの休暇を満喫していたところを強制招集された事への怒りも十分ある…が、それ以上に彼女は、名も知らない少女二人が目の前で凄惨な死を遂げた事へと怒っていた。
普段の彼女は、会って好印象を抱かずにいられる者はいないと称される程には温和で、落ち着いた人間である。
しかし彼女も506の一員。目の前でむざむざと民間人を殺されて怒りを抱かぬような人間ではないのだ。

「…助けられなくてごめんなさい。でもせめて…貴女たちの無念は、晴らしてみせるわ」

こうしてロザリーは、主催へと抗う道を選択したのであった。

----

その後ロザリーは、自らに支給されたバッグの中身を確認することとした。
最もその中身には…自らのストライカーユニットも、使い慣れた武器もなく、全て見慣れない物だったのだが。

「…はあ、ユニットも使い慣れた武器も無いとはね…」

そうため息をまた吐きながら、彼女はバッグの中身に入っていた見知らぬ大型銃を手に取る。
付属していた説明には、この銃はボルパルサーと呼称されており、30世紀の技術で作られた物だという事と、その銃の説明が書かれていた。

「30世紀、つまり…3000年…ということね。
…そんな時代になってもまだ、人とネウロイとの戦いは続いているのかしら…この銃自体は、犯罪者相手を想定しているみたいだけど…」

自分が元いた1945年の、ずっと先の未来にふと想いを馳せながらも…ロザリーは二つ目の支給品を確認。そして三つ目の支給品を確認しようとした…が。

「…これは、なに…??」

思わずポカンとした表情を浮かべてしまう。そこにあったのは…ある世界にて、奇跡を可能にする人物とされるゼロという存在が、自らの正体を隠すために被っていたボイスチェンジャー付きのフルフェイスヘルメットと、衣服のセットであった。

【ロザリー・ド・エムリコート・ド・グリュンネ@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、主催への憤り、決心、困惑、胃痛(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ボルパルサー@未来戦隊タイムレンジャー、ゼロの仮面と衣装@コードギアスシリーズ、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いに抗う
0:高貴なる義務を果たす。
1:困ったわ…この仮面と衣装…どう使えばいいのかしら…?
2:30世紀…途方も付かないぐらいに遠い未来ね…。
3:せめて彼女達(見せしめにされた二人)の無念は…この手で晴らしたい。
4:この状況だとストライカーが欲しいわ…。
5:胃薬も欲しくなってくるわね…。
[備考]
※参戦時期は原作5巻にて、休暇を取りパリで過ごしている最中からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※自分達の世界から30世紀へと繋がると勘違いをしています。


808 : ある隊長の憂鬱 ◆8eumUP9W6s :2021/04/06(火) 18:44:31 5K9YAXvA0
【ボルパルサー@未来戦隊タイムレンジャー】
ボルユニットと呼ばれる、タイムレンジャー達の専用武器。ボルパルサーはタイムグリーンことシオンの物。
本来はクロノチェンジャーから取り出されるが、今回のロワでは単独で支給されている。
ボルユニットは状況に応じて出力を調整でき、劇中では巨大な敵相手への攻撃手段としても用いられた事もあった。
なおボルユニットは5つを合体させるとボルテックバズーカとなり、プレスリフレイザーを使う事で圧縮冷凍が可能となる。
ボルパルサーは2連装マシンガンタイプのボルユニット。
1秒間に連続パルスビームを10発も放つことが出来、通常出力だと50cmの厚さの鉄板を撃ち抜ける威力があるほか、本編内にて改良の結果、ドーム状の不可視な反射バリアを発生させることが可能となった。
(ただしクロノスーツのゴーグルからなら視認可能、またバリアは安定するまでに使用から30秒かかってしまう)

【ゼロの仮面と衣装@コードギアスシリーズ】
「コードギアス 反逆のルルーシュ」及びその続編である「コードギアス 反逆のルルーシュR2」の主人公であるルルーシュ・ランペルージが、自らの正体を隠し、黒の騎士団の活動する際に使用するヘルメットと衣装のセット。
ヘルメットはフルフェイス型で、内部にはボイスチェンジャーが付けられている。
また、左目の周辺には開閉機能が付けられている。


809 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/06(火) 18:44:49 5K9YAXvA0
投下を終了します。


810 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/06(火) 19:11:15 ySVbBvzU0
投下をします。


811 : 悪い人間はやっけろ! ◆0EF5jS/gKA :2021/04/06(火) 19:17:47 ySVbBvzU0
「ここはどこだよ〜研坊もいるのかな。」
丸い胴体から小さな頭が生えたロボットが
殺し合いの場に呼ばれ怯えていた。
名前はバリカン。2074年の時代で泉家に暮らす
おじいさんロボットである。
「あの子たちふつうじゃないよぉ、
あんなひどいことを平然とやるなんて」
バリカンは少女の命を全くためらわず踏みにじり、
殺し合うことを強いる主催者に激しい恐怖を感じた。
「誰か知ってる人はいないかな、
ゲームに乗っている人にあったらどうしよう、
オイラ戦える気がしないよ!」

「キャロンちゃんやパパとママが
いてもおかしくないなぁ…ん、あれは!」
「あの背丈に金髪に赤いふく!
間違いないキャロンちゃんだ!」
「おーいキャロンちゃーん!」
キャロンを目がけて一目散に駆け出した、
一人である不安を家族と合流する事で
少しでも紛らわして安心したかったのだ。
「ああよかった!知ってる人に会えて良かった!」
「あらバリカンじゃない!」
「キャロンちゃ〜ん、オイラ怖いよ〜!
こんなところ早く抜け出したいよ!」
そのキャロンは緑の腕輪を身につけ
どういうわけか小型の剣のような武器を持っていた。
「ん!?キャロンちゃん、そんな怖い刃物と
緑の腕輪はどうしたの?」
「まさか…」
キャロンは以前ジュラル星人という
敵の宇宙人に操られ兄の泉研を
殺害しようとしたことがある
。まさかあの時のように
操られているのではとバリカンは考えた。
「この刃物と腕輪は支給品みたいよ?」
「えっ!!腕輪はともかく女の子のキャロンちゃんに
そんな物騒な刃物を支給するなんて、
あの子たち絶対怖い子だよ!
というかキャロンちゃんなんで
そんなの取り出して持ち歩いてんの!?」
「ん、バリカン、怖い子ってだぁれ?
まさか私のことじゃないでしょうね。」
「いやいや違うよ!怖いのはあのメフィスとフェレ…?えっ」
「え…なんで…キャロンちゃ…」
「いけないわ、メフィス様とフェレス様に
向かってそんなことを言うのは」
バリカンはたった今起きたことを
信じることができないほどの衝撃と激しい痛みを感じた。
キャロンが持っていた紫色のナイフで
凄まじい速度で頭を突き刺されたのだ。
やはりまた操られていたというのか。
「うぇ…げびっ」
バリカンの意識は苦痛と絶滅とともに
永遠の虚無へと沈んだ。

【バリカン@チャージマン研! 死亡】

「バリカンのデイパックは…これ、果物?」
キャロンはたった今殺害したバリカンから
デイパックを回収した。中身は果物ばかりであった。
「ふふ…メフィスちゃんとフェレスちゃんが
教えてくれたわ…ここにいる人たちは
ジュラル星人みたいなわるーい人だって…」
「悪い人間は私がなんとかしないとね。」
泉キャロンは宿業を埋め込まれたことで
魂を完全に汚染され元の性格では
決して実行しない非道な殺戮を
善行と認識し、元にいた世界で
暴れ回るジュラル星人すらも
凌ぐ残虐非道の権化となったのだ。
「悪い人間はやっつけてやるー」
彼女の汚れきった魂を元に戻す手段はない。
殺戮者となった少女は醜悪な笑みを浮かべつつ走り始めた。

【八将神枠】
【泉キャロン@チャージマン研!】 
[状態]: 健康、悪い人間への殺意 
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1 
[装備]ほしふるうでわ@ドラゴンクエスト9、シカリのナガサF@ファイナルファンタジーXII THEZODIAC AGE
[思考・行動]  
基本方針:悪い人間をやっつける 
1:悪い人間を探して移動中。 
※その他、備考 
参戦時期は少なくとも45話以降です。
バリカンのデイパックを回収しました、バリカンのデイパックの中身は基本支給品とりんご@現実とグレープフルーツ@現実とみかん@現実です。
【支給品解説】
ほしふるうでわ@ドラゴンクエスト9
装備すると素早さが100あがる腕輪。

シカリのナガサF@ファイナルファンタジーXII THEZODIAC AGE
装備すると攻撃力が大きく上昇し、回避率と連続攻撃率と技や攻撃の発動の時間が短くなるCTも上昇する優れた性能を持つ短剣、この短剣で攻撃すると敵を七割の確率で即死させる。

バリカンに支給された果物の解説は省きます。


812 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/06(火) 19:18:31 ySVbBvzU0
以上で投下を終了します。


813 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/06(火) 20:10:40 4OzF.QPo0
投下します。以前虚無聖杯に投下したものを一部流用し、修正したものです。


814 : どうあがいても絶望 ◆7PJBZrstcc :2021/04/06(火) 20:11:13 4OzF.QPo0
 少し昔、アリアハンというところにオルテガという勇者がおりました。
 勇者オルテガは悪しき魔王バラモスを倒すため妻を置いて旅に出ました。
 しかしその旅の途中オルテガは火口に落ちて行方不明となりました。
 アリアハンの人々は、オルテガは死んでしまったと思い悲しみました。

 それから16年後。オルテガの遺志を継ぐ者が現れました。オルテガの娘です。
 オルテガの娘は女の子ながら、勇者となるため男の子のように育てられました。
 オルテガの娘が旅立つ時、アリアハンの人々は心から応援しました。
 それからオルテガの子供は仲間を連れ、様々な苦難に立ち向かいました。
 海を越え、山を越え、最後には空を飛び魔王バラモスと対峙します。

 激戦の末魔王バラモスは倒れましたが、世界は完全な平和を取り戻していませんでした。
 なぜなら魔王バラモスのさらに上、大魔王ゾーマが居たからです。
 大魔王ゾーマはオルテガの娘たちが今までいた世界の下の層にある別の世界に居ました。
 オルテガの娘たちは今までいた世界にある大きな穴に飛び込み、下の世界に向かいます。

 さまざまな困難を越え、オルテガの娘たちは大魔王ゾーマの城に到着します。
 そして城の奥に入ると、そこにはなんと死んだと思われていたオルテガが居ました。
 しかしオルテガは大魔王ゾーマの手下と戦い娘の目の前で命を落としてしまいした。
 それでも娘は悲しみを乗り越え、父の仇、かつて倒したバラモスの弟、ゾンビとして甦ったバラモスと戦い打ち勝ちます。

 そしていよいよ大魔王ゾーマとの決戦。それは魔王バラモスとの戦いをはるかに超えるほどの辛い戦いとなりました。
 ですが、オルテガの娘たちは大魔王ゾーマを倒し世界は平和となりました。
 こうして、オルテガの娘は勇者ロトの称号を得たのです。

 しかし、大魔王ゾーマを倒したと同時に勇者ロトたちが通ってきた穴は塞がってしましました。
 このため、故郷のアリアハンに帰る事が出来ません。
 勇者ロトの仲間は何とかこの事実を受け入れ、今いるこの世界を新たな故郷にしようと考えましたが、勇者ロトは受け入れられませんでした。
 その時の姿はまるでただの少女です。
 このため勇者ロトは仲間と別れ、一人で旅に出ました。故郷に帰る方法を探すためです。

 そこで巻き込まれたのが、別の世界で悪魔達が引き起こした殺し合い。
 勇者ロトもまた殺し合いに参加させられます。
 それも、主催者達に魂を陵辱された状態で。

 これにより彼女の勇者としての心は全て消え去り、故郷に帰るために人を殺す怪物ができあがります。
 その証拠にほら――

【吉良の同僚@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】

 ただ現状に動揺していただけの、何の罪もない男性の首を刎ね、殺してしまったのだから。


 もう彼女は勇者に戻れない。
 ここにいるのはただの怪物でしかない。

 これは、救われない少女のお話。


【八将神枠】
【勇者ロト(女勇者)@ドラゴンクエストIII そして伝説へ…】
[状態]:健康
[装備]:きせきのつるぎ@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:故郷へ帰る
1:参加者を殺す
[備考]
参戦時期はエンディング後です。


※会場のどこかに吉良の同僚の死体と、彼のデイバック(基本支給品、ランダム支給品1〜3)が放置されています。

【きせきのつるぎ@ドラゴンクエストシリーズ】
勇者ロト(女勇者)に支給。
相手にダメージを与えると、その四分の一体力が回復する不思議な剣。
シリーズによって攻撃力は異なる。


815 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/06(火) 20:11:37 4OzF.QPo0
投下終了です


816 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/06(火) 20:50:56 eLWJT6eY0
投下します


817 : 天外魔京 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/06(火) 20:51:38 eLWJT6eY0
紅天の夜、辰砂色に染まる平安の都
映り輝く建造物は皆、黒と赤のコントラストに彩られ、妖しき沈黙を保つ
1200年の歴史を積み上げたこの遺産も、今や殺し合いの舞台に過ぎない

故に告げる。既に、人を超えし魔境に至った者達の戦場は始まっているのだ





それは、言うなれば天外魔境。周囲の壁は泥の如く溶け落ち、かつての無機質な美しさは見るも無惨。
驚くべきは、それを実現したのはたった一人の'異形'である

それは、その額に3つ目の『瞳』を持った異形。右腕は黒く、鋼鉄の義手。生身たる左腕を振り翳せば、たちまち古都の建造物は溶け落ちる
が、異形がただ闇雲に破壊のためだけに、この力を奮っているわけではない、異形には、戦う相手がいる

(ちょこまかと)

ある意味、異形にとっては信じられない相手であった。災害とも称すべき腐敗の異能を、その身一つで避けきっている一人の女性
判別の証は発動時の煙。だが無味無臭目視不可能、その気になれば強酸の豪雨を降らせられる異形の、その理不尽に等しい能力を、天性の才能とも言わんばかりの直感で避け続ける
腐敗の異能が場を支配する中、ただ一本溶けず錆びずの刀を携え、紫のショートポニーを風に泳がせ縦横無尽、天衣無縫に立ち振る舞うその姿はまさに戦乙女、女牛若

「どうしたの? 能力にかまけてばっかじゃ、あたしは殺せないよ!」
「……調子に乗るな」

異形は、女の挑発に苛つきながらも、内心楽しさの感情が湧いていた。なぜなら、異形にとって久しぶりの『戦い』だったからだ




訳がわからない、それと同時に期待感が生まれていた

今まで人間どもを殺して殺して殺して殺して殺し続けて、地下シェルターで130年も眠り続け、ようやく外に出て、人間たちと戦えると思っていればこの有様だ

人間は弱くなりすぎた、中世レベルまで落ちぶれた。遺伝子改造までして生き延びたそれは、最早自分が追い求めてた戦いの相手ではなかった

だが、ここは何だ? あのメフィスとフェレスとか言った異形は殺し合えと言った? 説明での周囲には人間が居た、同じ異形も居た。ならば、ここは……

「ねぇ、そこのあんた? 出会いがてらごめんだけど、ここ平安京であってる?」

気がづけば目の前に女が居た。……まるで21世紀の人間の出で立ち

「……貴様は、強いのか?」
「強い? んー、まあ、うーん……。自分が言うのも何だと思うけどさ? 強いよ、私」

その言葉を聞いた瞬間――――俺の中の期待感が、爆発した




(ってまあ、ほんと無茶苦茶なやつ! 大荒魂でもこんなたいそれたこと出来るのはタギツヒメぐらいだっての!)

藤原美奈都は心の内で目の前の異形との戦いのなか、愚痴という名の思考を張り巡らせる
自分なんかを隠世から呼び出して、剰えみんなで殺し合え等という馬鹿げた宣言。娘とは本当の意味で最後のお別れをしたから今更二度目のせいにそこまで興味はないとは言え、殺し合いなんて催しは元刀使としては見過ごせない

だが、最初に出会ったのがとにかく悪すぎた。いきなり強いかどうか尋ねられて反射的に答えたのが運の尽き。目の前の異形が全力で殺しにかかってきた
戦うことは嫌いではないが、殺し合いなんて以ての外だ。だが、直感で理解できた。
―――目の前の異形は、とてつもなーく強い、と

(腐食の力に、生身での戦闘も手慣れてるって、手強すぎるっての!)

距離を離せば何もかもを溶かす不可視の腐敗、距離を詰めれば壁を一斉に崩壊させるその拳。そして何よりその立ち回りだ。一体どれだけの年月を費やし鍛え、蓄えたのかわからない程に
さっき挑発したのがまずかったのか、能力頼りから、近距離を交えたオールラウンダーの戦い方


818 : 天外魔京 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/06(火) 20:51:56 eLWJT6eY0
「どうした人間、さっきのは威勢だけか?」
「どうだかねぇ? でも、おねーさんとしてはどうして殺しにかかってきたのか、解んないんだけど」
「貴様らには関係のない話だ。人間どもは殺す、殺し尽くす。ただそれだけの話だ。貴様は自分のことを強いと言ったが―――失望させるなよ」

その目は明らかに殺意の籠もった、それと同時に何かを期待してる目だ。だが、どちらかと言えば期待はほとんどしていないという目、人間への失望と憎悪が入り混じった、どす黒い瞳
美奈都の全身から汗が吹き出している。今まで出会ったことのない強敵への期待に。殺し合いの場だと言うのに不謹慎ではあるが、ある意味美奈都はこの状況を楽しんではいる

(……せめてこの手に千鳥があればよかったんだけど)

今の藤原美奈都の手元にあるのは、使い慣れた千鳥ではなく、明神切村正という大業物。だが、こう戦いながら分かるのは、この刀はずっしりと重い。純粋な重量ではなく、刀に込められた神力が。まるで持ち主の魂を食らう妖刀と言わんばかりに。だが―――

「ねぇ、あんた。もしこの殺し合いから出れたら、どうするの?」
「貴様に何の関係がある? さっき言ったはずだぞ、人間どもは殺すと。他に人間がいるなら、尚更な」
「……あっそ」

それを言われては、覚悟を決める他ない。ここでこの異形はぶっ倒す他なし。未だ生きている娘と、友人の娘の未来のためにも

「……本気か」
「ええ。本気ったら本気。だから、死んでも恨まないでよ」

刹那交錯。美奈都の動きはまさに神速の動きであった

「……!」

腐食の煙、強酸性の水弾、美奈都が刹那で避けた場所は既に死地。死地を避け続ける、そして隙間となりうる一彗の光明を見いださんと
異形の目は失望から喜びへと僅かに変化していた。それは、まるで待ち望んでいた相手と戦えたプロボクサーのように

「舐めるなよ、人間っっっ!!!」

降り注ぐは異形を中心とした広範囲の酸性雨。最後のチャンス。藤原美奈都は突貫する。
溶けていく、刀が錆びていく、腐っていく。彼女の体も、肌も―――全身が高熱で劈かれるような激痛に顔を歪ませながら。それでもただ一刀の内に

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!」
「あの雨の中で突貫してくるか……!」

異形は美奈都の意志に目を輝かせている。強さは兎も角、その意志は確実に今まで戦ってきた人間の中で、最高だと

「だが、無謀だったな!!」

待ち構えてたばかりと、拳を振り上げる準備を異形は出来ている。が、異形の顔面に飛んできたのは、藤原美奈都の右腕

「な、にぃっ!?」
「右腕ぐらい、くれてやるよっっっ!」

咄嗟に振り払えば、今にも折れそうな明神切村正を構え、左手一本で、体中が腐る激痛に身を耐えながら、自らに近づいていく藤原美奈都の姿

「ああああああああああああっっっっっっ!!!」
「まず、い……!」

咄嗟の判断のせいで、タイミングがずれた。恐らく、自分が距離を調整して拳を放つよりも、目の前の女が刀を振り下ろす方が早いと
異形は悟った、自分がここで負けるのか、と。だが、それもまた良かったのかも知れないと悟る。最後の最後で、強敵と戦えた事に、だが――――


「……?」


逸した目を、瞑った目を開けば。何も来なかった。いや、そこには倒れ伏した女が居た。酸性雨は止んでいた。女の手には、ぽっきり錆付き折れて、原型を留めていなかった刀が一本

「……そうか」

異形は悟った。女は既に死んでいた事に。限界を越えて酸性雨を浴びたその身でまともな生命活動など出来るはずもない。だが、もし

「……もし、この刀が錆びていなければ」

自分も、死んでいたのだろうと、異形は――桐生は悟ったのだ


【藤原美奈都@刀使ノ巫女 死亡】


819 : 天外魔京 ◆2dNHP51a3Y :2021/04/06(火) 20:52:13 eLWJT6eY0



「どうやら、退屈はだけはしなさそうか」

人間は、落ちぶれたものだと思っていた。かつて強敵として相まみえた米兵は既におらず、いたのは退化した文明の人間ども
だが、この殺し合いは違う。あのように強さを秘めた人間ばかりであるなら、酒浸りに堕ちていた自分の人生に太陽の輝きが照らされたも同然
嬉しかった、人間殲滅よりも、強い人間と戦える機会が訪れたことに

「……ボスやみんなも、巻き込まれているのか?」

ふと過るのは、真央ら『異形』としての仲間たち。彼女たちも巻き込まれているのだろうか?
桐生は真央たちの強さを理解している。だからこそ早々簡単に人間どもに殺されないだろうという信頼感もあったが、先の女性との戦いもある、もしいるならば早急に合流しなければならない

「……ふふっ」

思わず、笑みが溢れる。枯れかけの花に、水が注がれて元気になったような感覚。強者との戦い……
桐生にとって、それが一番、嬉しいことだった


【桐生@ドキュンサーガ】
[状態]:健康、消費(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:強い人間と出会い、戦う
1:ボスやみんなもいるのだろうか?
[備考]
※参戦時期は第九話④から


820 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/06(火) 20:52:23 eLWJT6eY0
投下終了します


821 : ◆ytUSxp038U :2021/04/06(火) 23:23:41 nIR5Af2A0
投下します


822 : INSIDE-OUT ◆ytUSxp038U :2021/04/06(火) 23:26:19 nIR5Af2A0
血の色に染まった月。
過去と現代の建造物が混ざり合った歪な世界。
眼前に広がる光景を写真に収めようとして、ふと、自分がカメラなど持っていない事に気付く。

はて、と首を傾げる。
何故自分はカメラも無いのに写真の事など考えたのだろうか。
ひょっとしたら自分の職業はカメラマンだったのかもしれない。
記憶を失っても、染み付いた動作を無意識に行ったのだろう。

「まぁ、どうでもいいな」

自分がどこで生まれ、何をしてきたのか。
気が付いた時には、既にそれらの記憶は綺麗さっぱり失っていた。
だが些細なことだと思う。
覚えているのは自分の名前、戦い方、そして一つの使命のみ。
それだけ覚えていれば十分だ。後の余計な記憶は必要ない。

首をなぞると冷たい金属の感触が伝わってくる。
無理に外そうとすれば、あのどこの誰かも知らない少女と同じ末路を迎えるのだろう。
彼女の死に思う所は特に無い。
強いて言えば、ああいう死に方は御免だな、と感じたくらいか。
少女を手にかけた者達は殺し合いがお望みらしい。
ならば、話は早い。

「破壊者らしく全員破壊しろってことか」

白い箱のような物を掲げ、歯車の塔から見下ろしているだろう二人へ告げた。
“コレ”の使い方はハッキリと頭に刻み込まれている。
多分ずっと前から“コレ”を使って戦ってきたのだろう。具体的に何と戦って来たのかは思い出せないが。

「さっさと全部壊して、終わらせるか」

殺し合いの目的だとか、誰が参加しているのかなんで全てどうでもいい。
自分は世界の破壊者。
ただ目に入るもの全てを壊すだけ。


『もう!士くんはいっつもそんな事ばっかり言って!』

『待てよ士!俺も一緒に戦う!』

『精々僕以外に盗られないようにしておきたまえ、士』


不意に誰かの声が聞こえたような気がして足を止める。
だがすぐに気のせいと判断し歩き出した。
今度はもう声は聞こえてこなかった。



――世界の破壊者、ディケイド。
――幾つもの世界を巡り、その瞳は何を見る。


【八将神枠】
【門矢士@仮面ライダーディケイド】
[状態]:健康
[装備]:ディケイドライバー&ライドブッカー@仮面ライダーディケイド
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:自身の使命に従い、全てを破壊する
1:参加者を探す
[備考]
※参戦時期はTVシリーズ以降のどこか。
※クウガ〜キバ、ディケイド関連のライダーカードが全て支給される代わりに、ランダム支給品は与えられていません。
※自分の名前、ディケイドとしての戦い方、『世界の破壊者』という役割以外の記憶を失っています。今後、断片的に思い出すかもしれません。
※変身後の姿は激情態となっています。

【ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド】
大ショッカーによって開発された仮面ライダーディケイドへの変身ベルト。
ライダーカードを読み込ませる事で力を開放し、変身者の姿を仮面ライダーへと変化させる。

【ライドブッカー@仮面ライダーディケイド】
大ショッカーによって開発されたディケイド専用の万能ツール。
通常時はライダーカードを収納するブックモードとして、ディケイドライバーの左腰に装着されている。
戦闘時には近距離戦用のソードモード、遠距離戦用のガンモードにそれぞれ変形が可能。
また、アタックライドのカードを使用する事で切れ味や連射性能を強化できる。


823 : ◆ytUSxp038U :2021/04/06(火) 23:27:24 nIR5Af2A0
投下終了です


824 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/07(水) 01:51:05 xXVyIwgU0
>>811
済みません、誤字を発見したので修正させていただきます。
『紫色のナイフ』ではなく『短剣』


825 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/07(水) 01:51:37 xXVyIwgU0
修正は以上です。


826 : 名無しさん :2021/04/07(水) 10:33:48 2VqyLAVU0
wiki収録してるんですけど、>>590>>814でタイトル被っちゃっててどうすればいいかな


827 : ◆7PJBZrstcc :2021/04/07(水) 12:24:46 .kxmtFdk0
>>826さんへ
どうも、>>814の書き手です。被ったことに全く気付いていませんでした。
なのでこっちがタイトルを「勇者ロトの消失-どうあがいても絶望-」に変更します。


828 : 名無しさん :2021/04/07(水) 16:15:06 2VqyLAVU0
>>827
返答ありがとうございます。収録しました


829 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/07(水) 21:16:36 Dbtj/OAE0
投下します。


830 : ある〜日、森の中♪ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/07(水) 21:18:20 Dbtj/OAE0
満月、半月、三日月、新月ーーーーー月にはその時々によって様々な名称がある。

また、月の名前の動物も存在するーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「フボ―ッ!ガハァー!!!!」

高らかに吠えられる声ーーーーーそれは、明らかに人間ではない。

そう【熊】

熊と言っても月の名前が入る【ツキノワグマ】でもなくハチミツが大好きな熊ではない。
体長10m。頭部から背中にかけて赤毛で覆われ、右目を失った熊

名は赤カブト。 
別名【鬼首】

二子峠を支配していた【魔王】であるーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

メフィスとフェレスなる人間に命令されたことに赤カブトは怒り狂い、周囲の木材の母屋をあらかた一掃すると冷静さを取り戻した。

「忌々しい老いぼれと犬どもにより、俺は、死んだはず…あの人間のガキどもが蘇らせたのか?」
宿敵、竹田のじっ様の銃弾により右目を失い、脳を損傷した巨熊は止まることない成長と高い知性を得たため、この状況をすんなりと受け入れた。

「まぁいい…蘇ったのであれば、やるべき事は復讐…待っていろ銀!」
赤カブトは元の世界に戻るために参加者の皆殺しを決意する。

「グフフフ!バオーーーーッ!!!!」

二子峠の魔王は平安京の魔王へと変貌するッ!!!

【赤カブト@銀牙 -流れ星 銀- 】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:優勝して元の世界へ戻る
1:バオ――――ッ!!!!(参加者を殺す)
[備考]
参戦時期は銀による絶・天狼抜刀牙で絶命後
※メフィスとフェレスにより、参加者は赤カブトの言葉を理解できる


831 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/07(水) 21:18:55 Dbtj/OAE0
投下終了しますが、続けて投下します。


832 : 宇宙の帝王 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/07(水) 21:20:12 Dbtj/OAE0
「メフィスさんとフェレスさんといいましたかね。たしか……」

紅き血染めの月が輝く平安京ーーーーー
落ち着いた口調で主催者の名前を確認した人ーーーではなく宇宙人ーーーーー

宇宙人の名はフリーザ。
宇宙の帝王ーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「後少しでドラゴンボールが揃い、永遠の命を手に入れようとしているというときにやってくれましたね……」
そう、フリーザは永遠の命を手に入れるため、ナメック星に住むナメック人のみにその利用が許された「ドラゴンボール」を集めている最中であったのだーーーーー

「ですが、こうした催しは素晴らしい!!ぜひとも、元の世界へ戻ったら、今度は私が主催で行いましょう!!!」
フリーザはこの爆弾首輪を使った殺し合いをお気に召したようだ。

「さて、優勝すれば「どんな願いでも一つ叶えられる」と言っていましたね」
(ふふふ、この私を参加させるんです。一つとはいわず、いくつも叶えてもらいましょうか……)
「一つ」ーーーーーフリーザが満足するはずがない。

「ほう、見たこともない道具がありますね。…いいでしょう、このさい、こうした不思議な道具も全て頂くとしましょうか……)
フリーザは支給品の道具を見て口をニヤける。

「願いを叶えるのはこのフリーザ様だ!貴様ら下等生物なんかではない!」

宇宙の帝王、バトルロワイアルに参戦ーーーーー

【フリーザ@DRAGON BALL 】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:優勝して永遠の命を手に入れる
1:使えない参加者を殺しながら支給品を手に入れる
2:有能そうな参加者は勧誘する(優勝後、メフィスとフェレスの力で蘇らせる)
3:メフィスさんとフェレスさん……フリーザ軍に勧誘しましょうか
[備考]
参戦時期はメディカルマシーンによりベジータの回復を待っている最中
※現在、第一形態。変身できるかは後続の書き手様にお任せします。


833 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/07(水) 21:20:26 Dbtj/OAE0
投下終了します。


834 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/07(水) 21:56:01 A8/QwbLg0
投下します


835 : 食いちぎれ、その目を見開いて ◆2dNHP51a3Y :2021/04/07(水) 21:56:49 A8/QwbLg0
―――これは証明だ

例えこの身が別のものになろうと、彼女を生かしてみせるという、証明だ


○ ○ ○

「あーはっはっはっはっはっ!!!」

紅の空に、狂った男の笑い声が響き渡る
如何にも人当たりの良さそうな男、だがその瞳は泥岩の如くどす黒く染まってる

「そうだった、やはりそうだった! 私はあんな所で倒されるはずの人間ではないのだっ!!」

男は欲望に貪欲で忠実である。自分の死の原因すら忘却せんとばかりに高笑うそれは、まさに悪魔
――故に、その男の運命はあっさりと決まった

「――あ?」

一撃、その内に男の心臓は貫かれた

「……いったい、なに、が」

背後にいたのは、自身を貫いたのは、一見全く冴えない、眼鏡を掛けた青年の姿。それが、男の死の間際の光景であった


【キノコヴァンパイア@血と灰の女王 死亡】





「……どうやら、今の僕と同類だったみたいだね」

灰に溶け消えた男の残骸、遺灰物(クレイメン)に手を取り、それの飲み干した後
ついさっき支給品の力を以て吸血鬼となった青年、城崎充は赤く染まった満月を見上げる

彼の脳内に巡る思考はただ一つ、あの状況下で一人残してしまった想い人、阿刀田初音の事
城崎充は人殺しになった。過酷な環境下でその手を血に染め、後戻りできなくなった彼女のために。アイドル、阿刀田初音のファン、城崎充として、全てを彼女に捧げると決めたのだから

意識が覚めたと同時に確認したのは支給品。そしてその中に入っていたのは富士山の火山灰。説明書を読んで、少し迷った後、―――浴びた

そしてついさっきの男、名前はわからなかったけど吸血鬼だったのだろう。そいつを殺した。見るからして殺し合いに乗ってそうだったから殺した

人間だった頃よりも、殺しに抵抗がなくなっている。いや、吸血鬼に、人間じゃなくなったからか

「……もしも、今の姿、初音ちゃんに見られたら、流石に嫌われそうかな」

自嘲気味に、自らの影姿を見て、笑う。まさに化け物だ。こんな姿、愛しの彼女に見せられないや、と。でも

「でも、仕方ないよね。だって僕は、もう一度初音ちゃんと会いたいから」

吸血鬼となった青年は、紅の夜に紛れ消える。彼が望むはたった一人の少女の輝き。彼女の人生。今の彼は、自らの欲望のためなら、何ら躊躇いもなく他者を蹂躙するだろう


【城崎充@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康、高揚、吸血鬼化
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:殺して、生き残って、初音ちゃんの元へ
1:今の僕の姿、初音ちゃんが見たら怖がるだろうなぁ
[備考]
※参戦時期はエピソードB死亡後
※吸血鬼になりました。固有能力は後続の書き手におまかせします

【富士山の火山灰@血と灰の女王】
城崎充に支給。富士山の大噴火によって噴出した火山灰。原因は不明であるが、この灰を浴びた者は人智を超えた力の持ち主――ヴァンパイアへと成る事ができる


836 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/07(水) 21:57:08 A8/QwbLg0
投下終了します


837 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:13:39 sBaxBdcA0
投下します。


838 : 強慾に囚われし人間 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:15:56 sBaxBdcA0
子供の頃からそうだったーーーーー

   欲しい食べ物が欲しい女が欲しい金が欲しい家が欲しい絵画がほしい

    何かが手に入れば次の物次の物

     永遠(とわ)に尽きない欲望

      そして考える  どれだけ金を集めても宝石を集めても

       死んだら意味を為さない

        永遠の命が欲しい

☆彡 ☆彡 ☆彡

はぁ…はぁ…はぁ…
血染めの月に支配される平安京。
走りつかれたのか息を整えようとする中年男性ーーーーー

その中年男性の名は森光蘭。
COCOM財団の総帥で、募金活動をするなど慈善事業家。……というのは表向きの顔。
実体は裏の社会の首領で、性格は極悪非道かつ、鬼畜そのものの男。

「の…喉が渇いたッ!み…水!!水はあるのか!?」
光蘭は渇きを癒すためにデイバックの中身をかきわけ、ペットボトルを見つけると……

ごくっ!ごくっ!!ごくっ!!!

「プファ―――!!はぁ…生き返った……」

(くそっ!天堂地獄まであと一歩だったというのに、なぜ私がこんな目に合わなきゃならないんだ!)
森光蘭はイラつきながら壁を蹴る。
そう、森光蘭は、現在の欲望を叶えられる究極の魔導具「天堂地獄」を手に入れようとしていた。
目の前の扉の先に天堂地獄があるという矢先にここ平安京へ誘われたのだーーーー

(くそっ!、紅麗のような力を持たない私が、優勝できる可能性は低い……ッ!ここは、力ある参加者の庇護下に入るのがベスト!!)
森光蘭は自らの実力を弁えている。
だからこそ、生き残る手段を選ばないッ!!

(しかし、あの餓鬼共が言っていた「願いを何でも一つ叶える」は、何とも魅力的だ……欲しい)
森光蘭の欲望は尽きない。だからこそ、メフィスとフェレスの力も欲しいのだ。

「あ…あの…」
「ん?……」
(しまった!?考えすぎていたため、気づかなかったッ!?)
思考を張り巡らせていたためか、話しかけられるまで人の気配を察することが出来なかった己を恥じる森光蘭だがーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


839 : 強慾に囚われし人間 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:21:50 sBaxBdcA0
「ほぉ…君は学生でありながらアイドルなのかね」
「は…はい。スクールアイドルをしています。スクールアイドル、ご存じありませんか?」
少女は自身の紹介を行い、スクールアイドルについて質問をした。

「う〜む、申し訳ないが初めて聞いたな、いや私もまだまだ世間知らずというわけか」

はっはっはっと人の良さそうに笑う森光蘭。
しかしーーーーー

(ふむ…健康的なふとももに瑞瑞しい唇。胸のサイズはBカップといったところか……鷲掴みしたくなる尻に舐め尽したいうなじ……雄を知らない雌の匂い……)

光蘭にその体をまじまじと脂っこい視線で見られている少女ーーーーー
少女の名は桜坂しずく。
スクールアイドル同好会のメンバー 。
演劇部との掛け持ちでスクールアイドル活動をしている。

「いえ。スクールアイドル活動と言っても、スクールアイドルフェスティバルに向けて練習を重ねているので私たちはまだまだなので……」
(なんだろう。森さんの視線……何だかちょっと嫌な感じがするな……)
アイドル活動をする以上、ファンから見られることは当たり前だが、どうやら森光蘭はいままで出会ったファンの人とは違った視線を感じるしずくーーーーー

「そ、そうだ!森さんは、総帥なんですか!?」
「ん?…ああ。COCOM財団……聞いたことないかな?」

「す、すみません。」
(う〜ん。聞いたことないなぁ)
しずくは知らないことを森光蘭に謝る……

「いやいや、気にすることはないよ。しかし、わが財団もまだまだだな」
( COCOM財団を知らないとは……世間知らずの牝だな)

☆彡 ☆彡 ☆彡

「私もしずくちゃんも一般人だ。おそらくは、メフィスとフェレスに対抗できる強い力の参加者も参加しているはずだ。まずは、そうした参加者と合流しよう」
森光蘭は行動指針をしずくに提案する。

「はい!私もそのほうが良いと思います!よろしくお願いします森さん!」
「光蘭でかまわないよ」

親しみを深めようと下の名前で呼ぶように伝える光蘭。

「は、はい。光蘭さん」

人は初めの出会いが肝心ともいう。

桜坂しずくが殺し合いを強要される平安京で初めて出会った参加者が森光蘭。

それが何を意味するのかーーーーー神の悪戯か否かまだ誰にも分からない……

【森光蘭@烈火の炎】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくない!永遠(とわ)の命が欲しい!!
1:とにかく、死なずに自分の世界へ帰りたい(方法は何でも構わない)
2:桜坂しずくが欲しい
[備考]
※参戦時期は天堂地獄と融合する前

【桜坂しずく@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 】
[状態]:健康 葛藤
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて元の世界へ帰る
1:光蘭さんと行動を共にする
2:光蘭さん…いい人だよね?(若干、自分を見つける視線が怖い)
3:自分をさらけ出すなんて…無理だよ…私には
[備考]
※参戦時期は8話中
※再オーデションについて悩み、葛藤中


840 : 強慾に囚われし人間 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:22:19 sBaxBdcA0
☆彡 ☆彡 ☆彡

森光蘭と桜坂しずくが会話しているのをひっそりと伺う影ーーーーー

(あの、森光蘭とかいうオッサン……ありゃ、裏社会にどっぷりと浸かっている目だね……)

影の正体は趙天佑。
伊勢佐木異人町の異人三の一つ横浜流氓(ハンピンリュウマン)の元若き総帥。

(とりあえず、あのオッサンと少女だけにするのは危険なのは確かだ)
裏社会を生きている趙だからこそ、森光蘭の放つ異質なオーラを感じ取る!!

「春日君との冒険が終わったと思ったら……真是悲哀(やれやれ)」

【趙天佑@龍が如く7 】
[状態]:健康 ジョブ:マフィア
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて元の世界へ帰る
1:とりあえず、森光蘭に注意
2:話しかけるべきか、様子を窺うべきか……悩むねぇ〜
[備考]
※参戦時期は最終章後
※取得しているジョブのスキルや他のサブストーリーの進行度などは後続の書き手様にお任せします。


841 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:22:39 sBaxBdcA0
投下終了しますが、続けて投下します。


842 : 「へんなもの」みっけ! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:24:08 sBaxBdcA0
紅き紅き血染めの月が頭上高く浮かぶ平安京。

「キイイイイイイイイイイイイイイイイイっ!!」
金切り声が響き渡る……

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ポケモン……凄い、他の世界にはそんな生物がいるのね……」
支給品の図鑑を読みこんでいる女性。

女性の名は清凄あかり。
かなでの森博物館の鳥類・ほ乳類担当の研究者。

「う〜ん、一度でこの眼で見て記録に残したいわ」
研究者であるがゆえに「ポケモン」の存在から自分とは違う世界があることを理解しすんなりと受け入れる。
また、あかりには夢がある。それは、ここでは割愛するがーーーーー

丁度、その時、「キイイイイイイイイイイイイイイイイイっ!!」と金切り声が響いたのを耳にする。

☆彡 ☆彡 ☆彡

(あそこから聞こえたわ。気づかれないように……)
声の正体をつかもうとそーっと覗くあかり……

(え!?もしかして、あれがポケモン!?よ〜し……)
研究者にとって未知なる生物との出会いは嬉しいものだ。あかりは目を輝かせながら観察している。

シャッ!シャッ!!シャッ!!!
(ふんふん…一見、ツインテールをしている少女に見えるわ……)
あかりはデイバックに入っていた文房具とルールの紙の裏にそのポケモン?をスケッチする。

(そうだ!このモンスターボールとかいうので捕まえられれば、もっとじっくりと観察することが出きるわ♪)
あかりは名案を思い付いたといわんばかりにポンと手を合わせるとーーーーー
なんと!あかりはポケモンらしき生物に支給品のモンスターボールを投げるッ!!

「え!?」
コツ〜ン!ポンッ!

ポケモンらしき生物はモンスターボールに吸い込まれたッ!!

「よし!」
あかりは嬉しそうに両手をパンッ!と重ねるが……

ドゥドゥ……ドゥドゥ……ポーンッ!!!!!

「えっ!?」
残念ながらモンスターボールは真っ二つに割れてしまった!!

「な…何をするのよッ!」
モンスターボールから出たポケモン?は怒り出す!

「えっ!?喋った!?」

☆彡 ☆彡 ☆彡


843 : 「へんなもの」みっけ! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:25:07 sBaxBdcA0
「ふ〜ん、じゃあ、あなたはポケモンではないのね……」
「そうよ!そもそもポケモンって何!?」
ソニアはポケモンらしき生物と会話を交わす。

ソニアにポケモンと勘違いされたのはマネーラ。
ノワール伯爵の部下「ザ・伯爵ズ」の一人。

「いや、実は私もポケモンを知らないの」
「分かることと言えばこの、ポケモン図鑑に書かれている生物のことらしいんだけど……」

あかりはそういうと、もう一つの支給品であるポケモン図鑑をマネーラに見せた。
「ふ〜ん、ノコノコみたいなのがいるわね……」
マネーラは亀らしきポケモンのイラストを見て呟くーーーーー

「ノコノコ?」
見知らぬ生物の名前にあかりは首を傾げる。

「これよ」
なんと、マネーラはノコノコに変身したのだッ!

「どう?凄いでしょ?」
「す…」

「す?」
「凄いわッ!!!!!」

あかりは興奮してノコノコになったマネーラを記録に残す!!!!!
「ちょ…ちょっと!!きゃああああああああ!!!!!」

☆彡 ☆彡 ☆彡

「さっきもそうだけど!!いきなり何するねん!!!」
「ご…ごめん。ごめん……てか関西弁?」
マネーラは感情が高ぶるとガラが悪い関西弁になる。

「私には夢があるの…」
「夢?」
あかりの夢に興奮が収まり、今度はマネーラが首を傾げる。


844 : 「へんなもの」みっけ! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:26:34 sBaxBdcA0
「ねぇ、マネーラは殺し合いに乗るの?」
「まさか!たしかに私には夢があるけど、殺し合いを強要する輩がそんな簡単に叶えるとは到底思えないわッ!」

マネーラには夢がある。
「イケメンハーレムでリッチでウハウハ」な世界を作るという。
しかし、それは伯爵様とすること。決してメフィス・フェレスとかいう輩の力を借りることではないッ!

「じゃあ、私と行動を共にしない?」
「え?」
あかりの提案にマネーラは目を丸くする。

「私の仕事は、100年後の未来に届けること」
あかりには夢がある。
ヴンダーカンマー…昔、ヨーロッパで珍しいものを集めて作った部屋のこと。そして、それは後の博物館に繋がる。

「なら、私はこの殺し合いに集められた人達の生きた証を集める」
この殺し合いが行われたことをなかったことにしないために。
ヴンダ―カンマーを作成することに決めた!!!

「だから、変身能力があるマネーラ。あなたがいれば、心強いわ」
あかりはスッと手を差し出す。

「それが、アカリの夢なのね……」
マネーラが腕組みをして考えるーーーーーー

「いいけど、もし、伯爵様が参加させられていたら、私はそちらに向かうわよ?」
そう、マネーラの伯爵への忠誠は本物。

「いいわ。その時は伯爵と出会うのを協力するわ」
あかりはグッとサムズアップして笑顔を見せる。

「伯爵じゃないわ!伯爵様と呼びなさいッ!!」
マネーラはあかりの拍車への呼び方を注意する。

「わかったわ。伯爵様……これでいい?」
「いいわ!……よろしくアカリ」
マネーラはあかりが差し出した手を握る。

こうして、あかりは「へんなもの」と行動を共にする!!

【清凄あかり@へんなものみっけ 】
[状態]:健康
[装備]:ポケモン図鑑@ポケットモンスター モンスターボール×9
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:参加者たちの生きた証を記しこの殺し合いの出来事を風化させない
1:マネーラと行動を共にする
2:参加者の生きた証を集める
3:伯爵様がいるなら、マネーラが出会えるよう協力する
[備考]
※参戦時期は原作1話 事故死したカモシカを博物館に持って帰ったところ

【ポケモン図鑑@ポケットモンスター】
電子式で外見はカントー図鑑。
これを受け取ったポケモントレーナーは完成させることが目的の一つとなる。
あかりに支給された図鑑はなんと、151種類コンプリートしている。
なお、メフィスとフェレスにより、当初言われていた151種類より後の新種ポケモンも登録できる。感謝しろよオーキド博士。
さらに、参加者のデータまで記録できるよう機能が拡張されている。ごめんよオーキド博士。

【モンスターボール@ポケットモンスター】
ポケモンをゲットできる不思議なボール。
参加者に当てるとボールに入れることはできるが、当たり前のようにポケモンではない生物はゲットすることができず、地面に堕ちてから少し、時間が立つと(2〜3秒)真っ二つに割れて壊れてしまう。
最後に、この言葉を忘れないでほしい……・ひとのものをとったらどろぼう!

【マネーラ@スーパーペーパーマリオ 】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きてノワール伯爵の下へ帰る
1:あかりと行動を共にする
2:ノワール伯爵がいるなら、そちらと合流する
3:とりあえず、あかりの夢に協力する
[備考]
※参戦時期は6-2ピーチ姫とバトルする前


845 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/08(木) 10:26:52 sBaxBdcA0
投下終了します。


846 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/09(金) 17:42:56 F6X2rL6w0
投下します。


847 : たいやい ◆s5tC4j7VZY :2021/04/09(金) 17:44:34 F6X2rL6w0
見るものを恐怖や狂気に陥らせても不思議ではない紅き血染めの月が浮かぶ平安京。

「てててててて!!!!!!」
そんなこと、おかまいなしに全速前進にハイハイする赤ん坊ーーーーー

赤ん坊の名は野原ひまわり。
嵐を呼ぶ幼稚園児の妹ーーーーーー

【野原ひまわり@クレヨンしんちゃん 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:我進む、我思うがままに
1:にーにー(お兄ちゃんどこ?)
[備考]
※参戦時期は映画激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者までは冒険済み
※殺し合いについて理解できていません
※ひまわりの言葉を参加者はわかりません。(赤ちゃん言葉としか理解できない)


☆彡 ☆彡 ☆彡

「めちょっく!……なんて言ってられない!」
お馴染みの口癖を放ったかと思えば、紅き血染めの月を睨む少女ーーーーー

少女の名は野乃はな。
「超イケてる大人のお姉さん」を夢見る中学2年生。

支給品のミライクリスタルとプリハートを持ちながら、はなは体を震わせるーーーー
「こんなの絶対、間違っている……」
それは、恐怖ゆえの震えではもちろんなく……

「殺し合って優勝して願いを叶えてもらう……そんなの私がなりたい野乃はなじゃないッ!!!」

ケツイの震えである!!!!!

「元気のプリキュアとして人々の元気を奪うあなたたちの思い通りにはさせないッ!」
プリキュアの1人としてメフィスとフェレスに宣戦布告するーーーーー

「てててててて!!!!!!」

「あれは!?」
はなが目撃したのはハイハイで全力で歩いている赤ちゃん。

「大変!」
(こんな危ないところを一人にはさせられないッ!!)

赤ん坊を全力で追いかけるはな。

絶対に巻き込ませるわけにはいかないーーーーー
プリキュアとして、はぐたんを世話する一人の母としてーーーーー

【野乃はな@HUGっと!プリキュア 】
[状態]:健康 
[装備]:ミライクリスタル プリハート
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:私がなりたい野乃はなとして行動する
1:あの赤ちゃんを保護しなきゃ!
[備考]
※参戦時期は37話後

【プリハート@HUGっと!プリキュア】
楕円形でスマートフォンの形状をした通話機能をもつ変身用アイテム。ミライクリスタルをセットし、本体下部をスライド回転させるとハート型モードに変形し、ハートの部分を手で温めるつつ「は〜ぎゅ〜」「ぎゅ〜」と言うことでプリキュアへと変身する。
「くぎゅうううう 」ではないので要注意。
ちなみに変身時の掛け声は「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」。
なお、メフィスとフェレスにより電話機能は使用できない。

【ミライクリスタル@HUGっと!プリキュア】
ハート型のクリスタルで世界に溢れている明日を創る希望の力アスパワワが結晶となったもの。これを用いることでプリキュアに変身することができる。


848 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/09(金) 17:44:57 F6X2rL6w0
投下終了しますが続けて投下します。


849 : 神の降臨 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/09(金) 17:46:50 F6X2rL6w0
「悲しいな……」

冥界の神はそう嘆きながら血染めの月が浮かぶ平安京へ降臨したーーーーー

【冥王ハーデス@聖闘士星矢 】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰りグレイテストエクリップスを遂行する
1:全ての参加者に「死」を与える
[備考]
※エリシオンでの最終決戦、真の肉体で降臨した直後


850 : 神の降臨 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/09(金) 17:47:03 F6X2rL6w0
投下終了します。


851 : ◆vV5.jnbCYw :2021/04/09(金) 18:07:15 E2hxdSyw0
投下します


852 : 紅月抱かれ 愛し合おうぜ ◆vV5.jnbCYw :2021/04/09(金) 18:07:50 E2hxdSyw0

(ラム……ここに連れて来られているのか?)
赤い光に照らされた京の町の街道を一人疾走する青年がいる。
彼の名前は、諸星あたる。
ガールハントを趣味とする友引高校のごく一般的な学生である。
強いて違う所を挙げるとするなら、世の不幸を一身に集めてしまう体質の持ち主である。
この殺し合いに呼ばれたのも、彼特有の不幸体質だからであろうか。
そんな彼だが、知り合いが殺し合いに呼ばれていないか不安に思っていた。


(ラム……しのぶ……ランちゃん……弁天様……サクラさん……おユキさん……無事でいてくれ……)


頭に今までナンパした女性のことを考えながら、街を駆け回る。
そうしていると、奇妙な赤い格好をしており、どういうわけか道端に蹲っている参加者があたるの目に入った。
赤い月に照らされているからではなく、全身に赤い装甲を纏っている。
どちらかというと、人間よりロボットに近い姿だ。



「どうしてだよお……。」
蹲っている男は、涙ながらに何か呟いていた。

「おい、あんたどうしたんだ。」
基本的に男には冷たいあたるだが、その姿にどうにも無視することが出来ず話しかける。
「僕にさ、好きな人がいたんだ。その人に告白するあと一歩って所で、この戦いに呼ばれたんだ。」


近くで見ると、腕の先はドリルになっているし、ロボットにしか見えないが、言葉は人間そのものだった。
「そりゃ災難だな。気持ちは分かるぜ。」
自分もガールハントする前にこんな所に呼ばれれば、同じ気持ちになるだろうと考え、ロボットに同情する。

「そうか……あんたいい男だな。」
ロボットはあたるの顔を見て、少し嬉しそうな顔をする。
「へ?俺は男にいい奴呼ばわりされても嬉しくないんだがな。」
この時点で、彼は気づいておくべきだった。
あたるの言う「いい奴」とロボットの「いい男」の意味が違うことに。


そのあとロボットはあたるを見つめ、先程までの表情が嘘のような真顔でこう言った。


「や   ら   な   い   か」
何処から出したのか分からない、ピッピーという音と共に、顔を寄せて来る。


「ふざけんなあああああああ!!!」
あたるは手を振りほどき、矢も楯もたまらず、全速力で逃げ出す。
彼は美人からの告白は24時間年中無休で受け付けているが、男性からの告白はオフリミットだ。


「そう拒絶するなよ、君のおかげで元気が出たよ。二人だけのパラダイスを作ろうぜ。」
「俺にとっては地獄じゃねえかあああああ!!!」


殺し合いなんてどうでもいいとばかりに叫びながら走る。


853 : 紅月抱かれ 愛し合おうぜ ◆vV5.jnbCYw :2021/04/09(金) 18:08:07 E2hxdSyw0
ロボットの名前はクラッシュマン。
Dr.ワイリーに作られたごく一般的なロボット。
強いて違う所を挙げるとするなら、男に興味があるってことだ。
敵であるはずのロックマンのそのつぶらな瞳を見て恋をし、自分が管理する基地で告白する時を待っていたのだ。
ロックマンが来る直前に、この殺し合いに呼ばれ、その願いは叶わなかったが、代わりにあたるの意図してない優しさに癒され、惚れてしまったのだ。


Crash!! やろうぜ ウキウキMaking love!!


【諸星あたる@うる星やつら 】
[状態]:健康 恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:知り合いの女性を探す。男はどうでもいい。
1:逃げる

[備考]
※参戦時期は不明です。少なくともクラマ姫に会った後。


【クラッシュマン@クラッシュマンで、やらないか】
[状態]:健康 興奮
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:諸星あたると一戦(意味深)交える
1: ロボットが至高だと思ってたが、人間もいいな。
2:ロックマンがいたらどうしようかな。
[備考]
※参戦時期はロックマンと戦う前


854 : 紅月抱かれ 愛し合おうぜ ◆vV5.jnbCYw :2021/04/09(金) 18:08:19 E2hxdSyw0
投下終了です


855 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/09(金) 23:07:59 F6X2rL6w0
投下します。


856 : 冥王の降臨 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/09(金) 23:11:43 F6X2rL6w0
「我を蘇らせるとは……」

紅き血染めの月を見つめ呟くフードを被った男ーーーーー

男の名前は冥王グランドマスター。

「褒めてやろうといいたいところだが、我に対してこのような家畜の如く首輪を嵌めさせるとは…」
冥王は怒りのオーラを纏うーーーーー

「まぁ、よかろう。復活したのであれば、今度こそ「至福千年紀(ミレニアム)」を実現させるだけよ」
そう冥王は自ら創り出した生命のみが生きる地球を実現するために熱核兵器で地球を無差別攻撃するサードムーン計画 という恐るべき企みを抱いている。

「死ね!神の子どもらよ」

冥王降臨ーーーーー

【冥王グランドマスター@ストライダー飛竜 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝し創り出した生命で地球を満たし創造主として君臨する
1:参加者全ての生命を焼き尽くす(最終的にメフィスとフェレスも)
2:飛竜が参戦していたら優先的に焼き尽くす
[備考]
※外見はストライダー飛竜2の冥王グランドマスター
※参戦時期はナムコクロスカプコン第44話貴様らにそんな玩具は必要ないでの死後


857 : 冥王の降臨 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/09(金) 23:11:54 F6X2rL6w0
投下終了します。


858 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:38:17 q6ib0fFc0
投下します


859 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:38:49 q6ib0fFc0
「両目という器官は状況把握において非常に優れた代物だ。身体が対処に追いつくかどうかは別としても、見えている限りは情報を収集できるわけだからな」

荒れ果てた教室の中、腰元まで伸びた、蒼い髪が特徴の女は、荒れた部屋で悠然と語る。
見る者すべてが美しいと称するような整った顔立ち、抜群のプロポーションに透き通るような青い肌。
この美女の名はエスデスという。

「両目を失い視界を失えばどうなるかわかるか?まず、何も見えない恐怖に苛まれ精神をやられる。慣れるまでには相応の時間を必要とするだろう」

彼女の語りを冷や汗混じりに聞くのは、氷の十字架に括りつけられた金髪の小柄な少女。
彼女の名は北条沙都子。雛見沢という村に住む小学生である。

「ならば最初から目を瞑り暗闇に慣れておけばいい...という考えも無駄だな。『その気になれば見える』のと『どうあがいても見えない』のでは精神的な疲労は比べ物にならない。その為、拷問の際に最初から目を潰す方法もあるにはある」
「......」
「だが私は最後まで目を潰すことはせん。何故だかわかるか?」
「......?」
「目を潰せば恐怖の効率は断然いいが、それでは過程が楽しめない。自分がどうやって、なにをされているかをその目で見せた時の反応が見れなくなってしまう。
両手足の爪を一枚一枚剥がした時の苦痛を。尻から耳まで男の精を注がれた時の屈辱を。身体の皮膚を少しずつ、少しずつめくっていって、内臓が露わになっても死ねない時の絶望を味わった時の表情がな」
「ッ!!」

これから私は宣言通りにお前を甚振る。
そんな、エスデスの宣告に沙都子はなにも答えない。否、答えられないのだ。
彼女の口は猿轡で塞がれているからだ。

「当然、拷問の際には自殺する権利も没収する。相手の都合で終わられては困るからな。さて、貴様はどんな顔を見せてくれるかな?」

妖艶さすら感じる美しい微笑みでそっと沙都子の頬に手を添える。
沙都子は何もできない。
目を閉じれば、気を失ってしまえば己の末路を知らなくて済むかもしれないのにそれすらも許されない。
拘束されているのを除いても、エスデスの醸し出す空気に圧倒されているのだ。

「最初はそうだな...軽めのやつからにしよう」

つぅ、とエスデスの指が沙都子の頬から頸をなぞり、ほのかに膨らんだ胸をなぞり、腹部に辿り着いたところでピタリと止まる。
トンッ、と軽くエスデスの指が沙都子の腹を押す。
触れたかどうかも怪しいほどの優しさでだ。


860 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:39:08 q6ib0fFc0

「〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!」

だが、それだけで沙都子の腹部に激痛が走り、身体が震えガシャリと氷の十字架を鳴らし、両目は見開かれ、轡を噛まされた口からは涎が滲み出る。
苦痛にもがく沙都子を見ながらエスデスは口端を吊り上げた。

「肝臓を押した。軽い力でも正確に突けばそれなりの痛みを与えることが出来るのだ」

息を切らしながら俯く沙都子の髪を掴み、ぐいと持ち上げる。

「次はどうしてやろうか。爪をはぐか、耳を削ぐか。片目だけ抉るのも面白そうだ」

笑みと共に齎される提案に、沙都子の目から涙が滲み、轡を噛む歯がキリキリと音を鳴らす。
己の末路が嫌でも脳裏を過り脳髄は恐怖に支配される。

(助けて)

自然と、心の中で助けを求めていた。
そんな都合のいいことなんてないのはわかっている。それでも縋らずにはいられない。

(助けてにーにー!!)

涙が頬を伝い、地面に落ちて跳ねる。

「沙都子ォ!」

それに応えるかのように第三者の声が響く。
己の名を呼ぶ叫びに希望を抱き、顔を上げ、その表情はそのまま停止した。

現れた男は金髪の髪に厳つい顔、アロハシャツというチンピラじみた中年オヤジ。
それは沙都子のよく知る顔だった。

「このクソ女がァ、前歯へし折ってやろかいぃ!!」

男の名は北条鉄平。沙都子の最も会いたくない男だった。


861 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:39:41 q6ib0fFc0



「なんねこれは...」

北条鉄平は転送された平屋の中、壁に背を預け虚空を見つめ黄昏ていた。
ここに連れて来られる前のことを思い出す。
日々、孤独死やヤクザによる粛正という末路を悪夢という形で見せられ続けていた彼は、己の人生の虚しさから心身を摩耗していき、ふと姪である沙都子に会いに雛見沢へ足を運んだ。
それからは沙都子を気に掛けるようになり、パチンコで手に入れたお菓子をあげ、更には不良に絡まれた彼女を助けたりもした。
そして、二人きりで歩く夕暮れの歩道で、少しの時間だけだがお喋りをして、彼女から「虫がいい」「都合のいい看護役が欲しかっただけではないのか」と厳しい指摘はあったものの、どこか和やかな雰囲気で会話をし、また今日のようにお喋りでもしたいと思いながら孤独なアパートの部屋への帰宅途中だった。
気が付けばあの惨状を見せられ、この小屋に送られていた。

(いつものワシなら、迷うこと無かった筈やろ)

鉄平は自分が禄でもない人間であることを自覚している。
金を稼ぐために人を騙し、傷つけ、言うことを聞かなければ暴力で従わせて。
それらの行為になんら疑問を抱かず、むしろ楽しんでいた節もある。
だから、こんな状況であれば率先して他人を切り捨て己の保身に走ったことだろう。
配られた支給品も、優勝を目指すにはおあつらえ向きのものだった。
だが、己のことばかり優先した末の結末を知ってからは、どうにもそういう気分になれない。
他者を切り捨ててまであのアパートに戻ったところでどうなるというのか。

(...帰ったところで、なんもないねんなあ)

元々、今までの罪に見合うよう苦しみぬいて誰にも迷惑をかけず死ぬつもりだった。
己の行いでできた沙都子との溝は埋められないことも理解させられた。沙都子が苦しむくらいなら、もう会わない方がいいとまで思っている。
だというのに、元の生活に戻るために他人を犠牲にしてしまえば本末転倒だ。
ただ、自殺ができるほど勇気も無いため、流れに身を任せるしかないというのが彼の出した結論だった。

あのアパートを思い出すボロ小屋を後にし、鉄平は充てもなく歩き続けた。
やがて見つけたのがそこそこ年季が入った校舎。
沙都子は普段はこういう学校に通ってるのだろうかとなんとなく足を踏み入れ散策をしていた時だった。
ガシャン、ドン、となにかが壊れるような音が上階から響いた。

誰かが上の階にいる。
そう確信した鉄平は逃げようとしたが、しかし今さら警戒して延命したところでどうにもなるまいと、半ば失意のもと、音の主と接触する為に足を運んだ。
やがて辿り着いた先にあったのは割れたガラス窓に、床に散らばる包丁やバット、針などのたくさんの凶器の類。
部屋の中の役者は、透き通るような水色の髪の女と、氷の十字架に張り付けられ苦しみえづく金髪の少女。

その少女を。北条沙都子を見た瞬間、鉄平は弾けるように駆け出し、掌の中のソレを口の中に含んだ。

「このクソ女がァ、前歯へし折ってやろかいぃ!!」

拳を握りしめ迫る鉄平にも、女―――エスデスはなんら怯むことなく、むしろ邪悪な笑みを浮かべたまま待ち受ける。
それに構わず鉄平は拳を振るった。エスデスにではなく、沙都子を拘束している氷の十字架目掛けて。
ガシャン、と派手な音と共に氷が砕け、沙都子の拘束もまた解ける。


862 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:40:03 q6ib0fFc0

ほう、とエスデスが感嘆の声を漏らすのも束の間、すぐに鉄平へと右脚での蹴りが放たれる。
鉄平はそれを左腕で防御するも、しかし蹴りの衝撃は殺しきれず地から足が離れてしまう。
このままでは吹き飛ばされると判断した鉄平は、咄嗟に沙都子の服を掴み、共に吹き飛ばされることでエスデスとの距離を空けた。

「沙都子!大丈夫か沙都子!?」

衝撃と痛みに耐えつつ、鉄平は沙都子の猿轡を外し、頭に手を添えながら呼びかける。

「―――ぃやああああああああ!!!」

しかし、沙都子は絶叫と共に鉄平の腕を振り払った。

「さとっ...!」
「ぁ...あぁ...!」

この異常事態においても怯え震える沙都子に鉄平は息を呑む。
原因は解っている。
かつて、沙都子の兄、悟史がいた頃から二人に振るっていた暴力。
自分と妻から刷り込まれた恐怖の記憶が、沙都子の心には根付いているのだ。

「なんだ、親子かなにかと思えばそういう関係か」

己を助けた鉄平に感謝することもなくひたすら拒絶する沙都子の様子を見て、彼らの関係を察したエスデスは愉快気に嗤う。
そんな彼女の邪悪に歪んだ笑みに鉄平の背筋には悪寒が走り、確信する。

鉄平は曲がりなりにも裏社会を垣間見ている。
その為、気性は横暴でも辺りかまわず噛みつくのではなく、園崎家のような本物の極道や、警察や児童相談所などの公的機関などの手を出してはいけない領域は弁えている。
そんな経験で培われた生存本能は確かに告げていたのだ。この女には絶対に関わってはいけない。二人纏めて殺されると。

(...すまんなあ、沙都子)

心の中で彼女に詫びる。
このまま沙都子を連れて二人で逃げるのは無理だ。一人で逃げ出したところで逃げ出せるかもわからない。
どう転んでもこちらが損をするしかない最低最悪の賭けだ。

「このクソガキが!いつまでもガタガタとうざったいんや!」

だから、鉄平は己の命を諦めた。沙都子が逃げられる万に一つの可能性に賭けて。

恫喝と共にパァン、と小気味のいい平手打ちの音が鳴り響く。

「おうガキ、ワシはなあ、この別嬪な姉ちゃんと大人の話すんねや。お前みたいなガキいるだけでも邪魔になんね。わかったらとっとと去ねやこのダラズ!!」

虐待をしていた時を思い出し、同じように唾を吐き捨て、罵声を浴びせ手を挙げる。
その一連の流れをその身で受けた沙都子は、怯えた顔のままわたわたと鉄平の言葉に従い立ち上がる。
振り返ることもせず、エスデスとも鉄平とも目すら合わせず、沙都子は去っていく。
背中越しに消えていく気配を感じながら鉄平は彼女へと想いを馳せる。

(もう叩かんッて約束、破っちまったなあ)

沙都子を逃がす為とはいえ、別れ際に交わした約束を反故にした後ろめたさに気が重くなり、そんな善良ぶる自分に、今さらなにを虫のいいことをと自嘲する。

(せめてもの詫びじゃ。こんなもんで今までの行いを無くせるなんて思っとらんが...)

再び掌で口元を隠し、その裏で仕込まれた支給品を舌に乗せる。

(こいつはワシが食い止める!)

鉄平が取り込むのは、ヘルズ・クーポンと呼ばれる身体能力を増強させる麻薬。
極道が人外の忍者に対抗する為に生み出された地獄への回数券。

鉄平の決意に満ちた眼差しを受け止めるエスデスは、闘争への愉悦に心を躍らせた。


863 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:40:32 q6ib0fFc0



はあ、はあ、と息を切らしながら沙都子は走る。
覚束ない足取りで、ただただ我武者羅に逃げ続ける。

(どうして)

ぶたれた頬の熱さに困惑する。

(どうしてあの人が)

沙都子にとって北条鉄平は災害のようなものだ。
彼との思い出の中に、安らぎや喜びは一切なく、あるのは心身に刻まれた恐怖と痛みだけだ。

なのに、確かに彼は自分をエスデスから護る為に殿を引き受けてくれた。
自分を逃がす為に、憎まれ口をたたいて、後くされが無いように送り出してくれた。
不器用ながらも、彼が自分を想ってやってくれたことくらいはわかる。

だからこそわからない。あの理不尽で横暴な男が、自分を庇うこと自体が。

(っ...か、関係ありませんわ)

それでも忘れた訳ではない。
彼から受けた恐怖を。痛みを。屈辱を。
大好きな兄・悟史の失踪を。
あんな気まぐれ一つで全てを許せるはずもない。

だから沙都子は止まらなかった。
一度も振り返らず、鉄平のこともエスデスのことも振り払うように一心不乱に走り続けた。

「きみ、どうしたの?」

かけられた声に、思わず身体が震え足が止まる。

「ひっ」
「ご、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど」

震え、喉を鳴らした沙都子に、声をかけてきた青年は汗をかきながら慌てて弁明する。
その優し気な声音に、躊躇いつつも、少なくともいまここで害を為そうというわけでは無いと判断。

震える身体で、勇気を振り絞り沙都子は叫んだ。

助けて、と。


864 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:41:27 q6ib0fFc0



散弾銃のように降り注ぐ氷の粒を、鉄平は必死に身を捩り、机や椅子を盾にし、ダメージを避け続ける。
本来ならば当に地に伏せている鉄平の身体能力はヘルズクーポンで底上げされている。
その為、常人ならばとうに捕まっている勢いのエスデスの攻撃を視て辛うじて対処することが出来ている。
だからこそ鉄平は焦っていた。
ヘルズクーポンの効果がいつ切れるかわからないのもあるが、なによりエスデスがこれほどの猛攻においても息も切らさず余裕の笑みすら浮かべているからだ。

「こんのクソ女がぁ...!」

毒づく鉄平だが、しかしこれは逆に好機ととらえる。
相手がこちらをなめているのならそれだけ時間を稼ぎやすく、自分も下手に倒そうとせずに防御に専念できる。
時間をかければかけるだけ沙都子を逃がせるならば、この勝負は鉄平に有利であるのは間違いない。

「どうやらそれで手詰まりのようだな」

エスデスが状況の膠着を許せばの話だが。

それは突然だった。

エスデスの放つ氷弾が威力と速度を増し鉄平へと降り注ぐ。
これは避けきれないと即座に判断した鉄平は、両腕で頭を抱え込むようにして防御の構えを取る。
その為に、防御に回した腕と目が一瞬だけ重なったその瞬間。
エスデスは瞬く間に鉄平との距離を詰め、顔面を掴み地面に叩きつけた。
背中から身体中を走り回る衝撃に鉄平がくぐもった悲鳴を上げるが、そんなことはお構いなしと言わんばかりに鉄平の四肢が氷で拘束され床に縫いつけられる。

時間稼ぎしか考えない敵などエスデスにとっては闘争相手に成りえない。
故に、ここからは戦闘狂としてではなく、彼女のもう一つの顔―――拷問狂としてのお楽しみの時間だ。

「んぎっ!」
「ふふっ、醜くくぐもったいい鳴き声だ」

鉄平の肩に氷の剣が突き立てられる。
エスデスは鉄平の両手足を拘束し拷問を兼ねた実験にとりかかっていた。

「なるほど。これが貴様が飲んだ薬の効果か」

鉄平の肩口に刻まれた傷口が再生していく様を観察し感心する。
エスデスの生きた世界にも薬で身体能力を異常に強化する術があったため、鉄平の再生の種をすぐに見破ることが出来た。

エスデスが鉄平の懐から取り出したヘルズクーポンを指で摘まみピラピラと振り検める。

「どれ」

連なるシートの内、一枚を口に含む。しかし身体にはなんら変化が生じず、ただエスデスの舌で麻薬が転がされるだけだ。

「ふむ。どうやらこの薬は身体能力の劣る者が強者に追い縋る為のものらしいな。私に効かぬのも無理はない」


865 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:41:51 q6ib0fFc0

興味を無くしたエスデスはヘルズクーポンを破り、再び鉄平の身体に剣を突き立て始める。
その度にあがる悲鳴に、エスデスの笑みはより深まり妖艶さも増していく。

再生と破壊が繰り返される鉄平の身体だが、しかし心まではそうはいかない。

―――もうやめてくれ。沙都子の逃げる時間は稼いだのだ。もう終わらせてくれ

絶え間なく与えられる激痛と齎される恐怖に、鉄平の脳裏にはそんな弱い考えが満ちつつあった。
どんどん恐怖と焦燥が表情に表れていく鉄平を見ながら、エスデスは嗤う。
こんな楽しいことを終わらせる訳がないだろうと。

(沙都子...)

切り刻まれ痛めつけられ続けられながら、鉄平は朦朧とした頭で考えるのは沙都子のことだった。
彼女は目の前に迫る死の脅威よりも自分を恐れていた。
あの光景に改めて己の所業の愚かさを思い知らされ、こんな自分が彼女を心配するなど滑稽なものだと自嘲する。
それでも祈らずにはいられない。せめて最期くらいは伯父らしくありたい。

(...この期に及んで自分のことばっかやんなあ)

結局のところ、沙都子に指摘された通り、自分が寂しくなって都合のいい相手を求めただけなのだろう。
だからこんな最期を迎える。自業自得とはこのことだ。

(ほんま、くだらん男やなあ)

もう飽きたと言わんばかりに眼前に突き付けられる氷の剣にも抵抗する気力はない。
剣が眼球を貫く瞬間を見るのも恐いため、鉄平は諦めるように己の瞼を閉じた。

「......」

だが、来ると思っていた痛みが来ない。疑問のままに鉄平は瞼をあげる。
氷の剣は、鉄平の眼球を貫く寸前で黒い影に纏わりつかれ止められていた。

遅れて、エスデスと鉄平に覆いかぶさるように影が躍り出る。
エスデスが飛び退き影の襲撃を躱すと、代わりに鉄平が影に包まれる。
影は鉄平を中心に渦巻くように蠢き壁を作る。

「な、なんねこれは」
「間に合った」

パチクリと目を瞬かせる鉄平の眼前に、一人の男の背中が現れる。

ヒーロー。
氷の女帝を前にしても臆さぬ凛としたその背中に、鉄平はその文字を見ずにはいられなかった。


866 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:42:16 q6ib0fFc0



許せない。

佐神善は胸中で怒りを燃やしていた。

彼は吸血鬼(ヴァンパイア)だ。殺し合いの経験は何度もある。
だが、慣れているからといって生物の殺害になんの躊躇いもないわけではない。

そもそも彼は戦いなんて嫌いだ。吸血鬼と戦うのも己の力を誇示する為でなく、親友が殺され悲しみを知り、もう二度と失わないと決意したからである。
故に善は誰も彼もに殺人を強要するこの殺し合いに、主催の子供たちに憤慨していたのだ。

(いけない...冷静さだけは失うな)

深呼吸と共に、熱くなる思考を落ち着ける。
クリアになったその頭でまずするべきことを考える。
まずあの子供たちとの戦力差。
自分をこうも容易く拘束しここまで連れて来たのだ。
恐らく、いや、確実に自分一人でどうこうなる相手ではないだろう。
だからといって素直に従う訳にもいかない。
つまり、必要なのは協力者。それも、他の参加者と殺し合うのを良しとしない実力者というあまりにも都合のいい存在だ。

それでも成し遂げなければならない。誰かの命を護るために戦う。それが佐神善の信念だから。

周囲の探索を始めてほどなくして、校舎のある方角から金髪の少女が駆けてきた。
まだこちらに気が付いていないようだったので、声をかけると少女は怯えるように身体を震わせた。
脅かすつもりではなかったと口ごもりながら弁明する善。
それが功を為し、少女は意を決したかのように叫んだ。

助けて。叔父が私を逃がす為に校舎で戦っている―――と。

(そんな、もう戦いが始まっているなんて!)

善は少女から、名前と事情をかいつまんで聞くと、すぐに校舎へと駆け出した。
争いを止める為に、命を救う為に。

校舎に近づけば、なるほど確かに何者かが争う物音が聞こえる。
善はすぐに吸血鬼(ヴァンパイア)の姿に変身し、棟内には入らず翼を生やし外から観察する。

(見つけた)

一部が倒壊し凍てついている棟内で、女に押し倒されている男を見つけた。
彼が少女、沙都子の言った叔父だろう。
善は迷うことなく、己の能力である"影"を分裂させ、女と叔父の間に壁を作り分断、救助した。


867 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:42:41 q6ib0fFc0

「なんねこれは...」

呆ける鉄平をチラ、と横目で見ながら観察する。

エスデスから付けられていた傷は見る見るうちに再生している。常人なら既に動けないほどの深さのものもだ。
鉄平も自分と同じヴァンパイアなのだろうか。

(いや、そんなのは関係ない)

鉄平の正体がどうであれ、彼を助けることには変わりない。

「沙都子ちゃんの叔父さんですね。あなたを助けに来ました」
「ど、どういう...」
「頼まれたんです。沙都子ちゃんに、あなたを助けてくれって」
「......!」

善の言葉に、鉄平は己の服の裾を掴みながら唇を噛み締める。
あれほど恐れていた自分を助けようとしてくれた。
あの夕暮れ時の歩道で諦めかけていた想いへと沙都子が歩み寄ってくれたのだと思うと、嬉しく思うのと同時にこれまでの非道が胸に重くのしかかってくる。


その様子から、沙都子と鉄平の間には並々ならぬ事情があるのだろうと善は察する。
それを解決するには恐らく一朝一夕で済まされないのだろう。

それでも。

「ここは僕に任せて行ってください。沙都子ちゃんが待ってます!」

善は信じる。
真っ先に彼を助けてくれといった沙都子を。沙都子を護るために己の命すら賭けていた鉄平を。

「...すまんなあ、兄ちゃん」

しわがれた、普段の彼からは想像もつかないほどに掠れた声で、感謝を兼ねた謝罪と共に鉄平は駆け出し戦場から去っていく。

過去の後悔を胸に。護るべきものを護る為に。もう二度と過ちを繰り返さない為に。
鉄平は、刻まれた痛みすら凌駕し走り続ける。



【北条鉄平@ひぐらしのなく頃に 業】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(中)、身体にダメージ(大、ヘルズクーポンで治癒中)
[装備]:ヘルズクーポン(半数以上使用及び廃棄)@忍者と極道
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:沙都子を助ける。
0:沙都子と合流する。
1:園崎家の面々がいれば注意する。
[備考]
※参戦時期は本編23話より。


868 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:43:58 q6ib0fFc0

鉄平が去ってからほどなくして、氷柱が影の壁を突き破り善に迫る。
その速度に驚愕し目を見開くも、顔を傾けて辛うじて回避する。

「私の名はエスデス。お前の名前を聞かせてもらおうか」

影が霧散し、改めて対峙することになる二人。
エスデスは愉快気に口角を吊り上げ、そんな彼女に善は険しい表情で返す。

「佐神善だ」
「その顔、なにか言いたいことがあるようだな」
「なんであんなことをしていた」

善の言うあんなこと、とは、鉄平にしていた拷問まがいのことだ。
万が一正当防衛だとしても、悪戯に甚振るあのやり方は悪意を持っていなければ起こることはありえない。

「あんなこと...ああ、あの男にしていたことか。なに、なんてことはない。ただの趣味だ」

ピクリ、と善のこめかみが動く。

「威勢よく啖呵を切ってきたのでどの程度やれるか期待していたのだがな。私から逃げるばかりで大して面白くもなかった。だからせめて甚振ることで発散したかったのだ」
「そんなことで...」

いっそ朗らかにさえ見えるほどの調子で語るエスデスに、善の声に怒気が孕まされていく。
こんな異常事態なのだ。己が生きる為に戦い殺してしまったというだけならば、まだ理解はできるし、どうにか説得したいとも思う。
だが、エスデスは違う。明確な愉悦の欲求を満たす為だけに鉄平や沙都子を痛めつけていた。

仲間である狩野京児も似たようなことはやっているが、少なくとも彼は何の罪もない人々を傷つける真似はしない。
言い方は悪いが、しっかりと相手を選んでやっている。それを好ましく思う訳ではないしむしろその部分だけは相も変わらず嫌悪しているが。

ともかく。エスデスも京児と同じ残虐非道の拷問狂ではあるが、彼のように人を思いやる心が無く、周囲に災害を撒き続けるというならば許せない。許せるはずもない。
だから善は叫ぶ。己の怒りを訴え、覚悟を示す為に。

「そんなことでお前は人を傷つけるのか!!」

激昂し放たれる敵意と殺意を身に受けたエスデスの背筋にゾクゾクと寒気が走る。

(おお、これだ...この緊張感こそが戦いだ!!)

エスデスはここに連れて来られる前―――生前のことを思い出す。
生きていた頃はその実力を以て己の欲するままに世界を蹂躙していた。
部隊の将として戦に勝利し。欲望を発散する為に戦闘と拷問に興じ。気に入った者を武力で手に入れた権力で引き抜いたりもした。
その中で、唯一成就しなかったのが想い人、タツミへの愛。
彼は異形と化しても尚、エスデスの美貌にも強さにも屈服することなく抗い続けた。
きっと、マインという恋人がいなくとも自分の想いが叶うことはなかっただろう。
しかしそれで諦められるエスデスではない。
己の死という形で一度は敗北で終わってしまった恋だが、だからこそチャンスがあればそれを掴む。
イェーガーズ屈指の愛妻家且つ円満家族であるボルスですら、二度もフラれて尚機会を見つけてはアタックを繰り返し恋を成就させた。
ならば自分にもその権利はまだあるはずだ。
この殺し合いを制し、再び生の権利を手に入れ帰還し、タツミのハートを掴むためにアプローチをかける。
優勝の褒美でタツミを歪めるのではない。生還し、己の力でタツミを射止めるのだ。

かといって、それまでの過程で合理的に物事へと取り掛かり、エスデス自身を曲げられるのも癪に障る。
だからこの殺し合いを思う存分満喫する。
血を。死を。戦闘を。拷問を。己の欲するままに振りまいてこそ『エスデス』だ。

(佐神善。単純な戦闘力では負ける気はせんが、しかしその威圧感、非常に興味深いぞ!!)

人の為に戦う者でありながらエスデスの本能にすら響くほどの殺意を放てる者などそうはいない。
信念のもとに鍛え上げられたのか、なにか秘めているものがあるのかはわからないが、これほどまでに戦闘意欲を掻き立てられるのは久々だった。

わざわざ鉄平を見逃しただけのことはあった。
もはやこの戦いに雑音は不要。

「さあ楽しませてもらうぞ佐神善!」
「うおおおおおおおお!!」

両者の叫びと共に、互いに駆け出し、氷のグローブに纏われた拳とヴァンパイアの拳が衝突し―――闘争は始まった。


【校舎】

【佐神善@血と灰の女王】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止めて主催を倒す。
0:エスデスに対処する。
1:犠牲者は出したくない。
[備考]
※参戦時期は燦然党決戦前。


【エスデス@アカメが斬る!】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この催しを楽しむ。
0:佐神善で遊ぶ
1:気が向いたら鉄平と沙都子を追う
[備考]
※参戦時期は漫画版死亡後より。


869 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:44:27 q6ib0fFc0


ああ、そうだ。


佐神善。
私を満足させてくれたら褒美として教えてやろう。

お前があの小娘にどう吹き込まれたかはわからん。

だが、最初に罠で攻撃を仕掛けてきたのは。

明確な殺意を込めて私を殺そうとしたのは―――あの小娘だ。


870 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:45:32 q6ib0fFc0




パチン。

指を鳴らすその動作は、かつての時間を再びやり直す合図。

パチン。パチン。パチン。

どれほどの回数指を鳴らし続けてきただろう。どれほどの惨劇を目の当たりにしてきただろう。

そんな経験を経た沙都子ですら、首輪を着けての殺し合いという状況は初めての経験だった。
この世界は失敗だ。そう判断し己の命を断とうとして、ふと手を止める。
スタート地点が雛見沢でなく。見る景色が全て初めてのもので。なにより傍に古手梨花がいない。
この異様すぎる世界で、果たして自分の魔法は適用されるのか?もしかして、万が一死んでしまえば、梨花と会うことすらできなくなってしまうのではないか?
ではこの状況はなんなのか。繰り返す力を使った弊害かバグなのか。それとも...

(...とにかく今は生き残るしかありませんわね)

ここで死ぬのは安直にすぎる。ひとまずはルールに則り優勝を目指すべきだ。
沙都子はさっそく、飛ばされた校舎で道具を集め、己の潜伏する校舎の一室に罠を張り巡らせた。
敵を殺せる鉄パイプや包丁等も用いての本気の罠だ。
しかし、その罠も最初に表れたエスデスに容易く破壊された上に、沙都子自身も捕まってしまった。
嬉々として甚振ってくる彼女に耐えている時に現れたのが鉄平だった。

普段の彼ならば平然と沙都子を差し出し己の保身を測るだろう。しかし、今回の鉄平は常に沙都子を護るために行動している。明かなイレギュラーだ。
そして逃がされた先に出会ったのが佐神善だった。彼は会ったばかりの沙都子の頼みを引き受け、現場に向かってくれている。
過程はどうあれ、今の彼らを見れば彼らを邪悪に分類する者はいないだろう。
しかし、優勝しか手段ないというなら彼らもまた犠牲にしなければならない。


『うまい話がタダであろうはずもない。だがそなたは対価を払うことを意識する必要はない。繰り返す者として...時の渦を巡ることそのものが、我が鑑賞に値すれば。それで対価には十分だからな』

力を与えたあの女は確かにこう言った。
ならばこれはあの女からの試練なのか?如何な犠牲を払ってでも願いを達成するという覚悟を試しているのか?

「梨花...」

震える己の掌を見つめる。
梨花を取るか、多数の善なる命を取るか。
かつて梨花に投げかけたものに似た選択肢を突きつけられる。
ちがうのは、梨花が受験を受けてもその手を汚すことはないが、自分の場合は間接的にせよ直接的にせよ善なる者すら排除することになる。
別の世界のカケラで見た部活メンバーたちのように、互いを信じあい奇跡を起こすこともできなくなるだろう。


871 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:46:01 q6ib0fFc0
(それでも私は)

それでも、雛見沢で向けてくれた梨花の笑顔が。共に紡いできた絆が。あの輝かしかった日々が忘れられない。
あの日々を取り戻す為にあんな力にまで手を染めたのだ。
だからもう引き返せない。
例えどれだけ手を汚そうとも。
自分を救おうとしてくれる者がいても。
鉄平のような歪みによって生じた善性でさえ。

世界も可能性も。

摘んで。

摘んで。


872 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:47:44 q6ib0fFc0
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで
摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで摘んで


その果てに理想(あのこ)を掴み取る。


873 : 奈落の花 ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:48:11 q6ib0fFc0

それこそが己が目指す未来。つまりは約束された絶対の未来。

(待っていてくださいませ梨花。大好きな梨花。二人の幸せな世界を掴むまで、私は諦めませんわ)

先ほどまでの困惑が嘘だったかのように、クスクスと笑い嗤う。

紅い月に照らされたその笑みは。
三日月状に歪んだその口角は。

誰が見ても魔女そのものだった。


【校舎近辺】


【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に 業】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(中)、身体にダメージ(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:覚悟を示して願いを叶える。手段は択ばない。
0:エスデスから離れる。鉄平や善が消耗させてくれるのを願う。
1:暗躍し、鉄平や善のような味方をしてくれる者を利用しつくす。
[備考]
※参戦時期はシャンデリアで心中後〜23話の鉄平を知る前。


874 : ◆ZbV3TMNKJw :2021/04/09(金) 23:48:35 q6ib0fFc0
投下終了です


875 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 07:20:04 W11yzKqk0
投下します。


876 : かつて人間だった者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 07:20:53 W11yzKqk0
ある人間がいたーーーーー

その人間の心は邪悪に満ちていたーーーーー

人間という殻を破り究極の進化を求めたーーーーー

だが、その代償は高くその男はついに神の怒りを買い魔界へ封印されたーーーーー

「私は運命に選ばれた者」

封印こそされたが男は魔王に進化したーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「メフィスとフェレスなる悪魔どもよ、私が魔界の王たる所以を見せてやろう」

「この魔界の王にして王の中の王ミルドラースが!!!」

紅き血染めの平安京に魔王、降臨する。

【魔王ミルドラース@ドラゴンクエスト5 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:王の中の王としての力をメフィスとフェレスに見せつける
1:参加者は殺す(最終的にメフィスとフェレスも)
[備考]
※参戦時期は魔界に封印されている時期(Ⅴの主人公に敗れる前)
※メフィスとフェレスにより制限を受けてはいるが、第2形態に進化することは可能


877 : かつて人間だった者 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 07:21:17 W11yzKqk0
投下終了します。


878 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 10:21:43 W11yzKqk0
投下します。


879 : バトロワというナゾ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 10:22:44 W11yzKqk0
紅き紅き血染めの月が浮かぶ平安京。
一人のうら若き女性は顎に手をあて、考えながら歩いているーーーーー

女性の名はカトリ―エイル・レイトン。
かの有名なレイトン教授の愛娘。

「殺し合いをさせる…どうしてあの双子はこのような酷いことを強要させるのかしら……?」
「それに、この場所は……?」

ナゾ001 殺し合いの場所
このナゾのひらめき指数は25ピカラット

「これだけの大人数を殺し合わせるには、大きな街が必要だけど、現実的に考えてそれは不可能だわ。国が関わっているなら別だけど」
殺された少女は見たところ、自分の国…英国人ではなさそうだった。このとこから、多くの国の人が集められている……流石に国が関わることはないだろう。

「この観光チラシを見ると、どうやら、ここは日本の「平安京」という場所みたい
カトリーは街の観光案内所に置かれていた観光チラシを拡げている。

「メフィストとフェレス……文献で呼んだドイツのファウスト博士が呼びだした悪魔の名前に似ているわ……」
悪魔メフィスとフェレス。

「悪魔は取引する魔の者……すると、双子の二人と取引をしている人物がいる?」

「そうか!悪魔との取引には色々と手順が必要な場合も有るッ!!」
カトリーの頭脳に稲妻が走る。

「つまり、その手順の一環として悪魔との取引者は自分と縁が深い「平安京」を選んだということだわッ!!」

「これでどうかしら……?」
トゥトゥットゥトゥトゥトゥ♪

「私には全てお眼通しよ!!」

ナゾ解明!

ひらめき指数のトータル 25ピカラット

☆彡 ☆彡 ☆彡


880 : バトロワというナゾ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 10:23:08 W11yzKqk0
「ふふん♪私にかかればざっとこんなもんよ」
少々強引な推理のような気がするが、カトリ―は自身満々そうに納得をしている。

ーーーーーメフィスとフェレスーーーーー
正しい位置にピースをはめ込もう。
とぅるるとぅるるとぅるるとぅ……

ーーーーーーひらめきピースを手に入れた。

【殺し合いの場所】
「う〜ん。殺し合いの場所が「平安京」にした理由はわかったけど、黒幕の名前やこの首輪などまだまだメフィスとフェレスの双子にはナゾが数多くあるわ……」
一つのナゾは解けたが、まだまだナゾが数多に残っているーーーーー

「ですが、謎は解けるからナゾなんです!」
カトリ―はそういうと、紅き血染めの月に向かって指さしをしてーーーーー

「見ていなさい!あなたたちの謎、私が解き明かしてみます」

ーーーーーエピソード13 辺獄バトル・ロワイヤルーーーーー

「現実はいつも稀有なものなのです」

【カトリ―エイル・レイトン@レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いのナゾをとく
1:まずは、この街を散策して情報を集める
2:協力できそうな参加者には協力要請をする
[備考]
※参戦時期は富豪王アリアドネの陰謀をクリア後
※アニメ版の出来事もある(file48大富豪アリアドネの陰謀(後編)まで

ひらめきピース1 殺し合いの場所
【平安京】を選んだ理由は儀式を行う場所だからだ。


881 : バトロワというナゾ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 10:23:30 W11yzKqk0
投下終了しますが、続けて投下します。


882 : 復活の魔王 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 10:24:45 W11yzKqk0
魔王ーーーーーそれは、多くの生命ある者に畏怖される存在。

ある魔王は世界をこの手にするために侵略を行うーーーーー

また、ある魔王は太陽を欲し、神々の判断を断罪するーーーーー

思想・行動から「魔王」という称号を手にする。または呼ばれる者もいるーーーーー

では、この「魔王」はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「我は、再び復活した」

「世界は一度無に還す日がきている……」

「我はこの殺し合いを利用して世界を砕く。そして、その残骸と共にゼロへと還る」

自らを含めてあらゆるものをゼロに還そうとする。

【魔王ゾウナ@ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝後、世界を砕きゼロへと還る
1:参加者の魂を手にする(最終的にメフィスとフェレスも)
2:利用できそうな参加者は魂集めに協力させる
2:ワルキューレが参戦していたら、今度こそゼロへ還す
[備考]
※参戦時期はナムコクロスカプコン第43話もう一度、時の鍵伝説で、時の狭間へ封印後


883 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 10:25:01 W11yzKqk0
投下終了します。


884 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 11:10:45 WGK34DGw0
投下します 以下キャラ創作者から注釈を入れるようにと言われているので入れさせてもらいます

なお、本作の執筆に当たり、一次創作者キャラである黒巻氏から各種設定を拝借しており、
設定展開等に関し左右者による改変を含めております。以上ご了承の上、ご拝読下さい。


885 : Lightning Knuckler ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 11:11:22 WGK34DGw0
死の満月は都を赤く照らし、影は黒く、世界は沈黙す

「全く、忌々しいわね」

沈黙の都に、そう苛立ちを隠さずに台詞を吐き捨てる少女が一人
靡くロングテールは宛ら雷光の如く金色に煌めき、エメラルドグリーンの瞳は諸悪の根源たる天空に座す塔、そこにいる悪魔たちを見据えている

無限の可能性、数多に在る平行世界の街の一つ、明魔街。異能者たちが集う学園、そこで生徒会副会長を担う雷閃鉄華の拳闘士、名は織坂(おりさか) 雷華(らいか)

「……よくもまあ、あんな真似を」

雷華の心の内に燻るのは殺された少女の無念と、メフィスとフェレス二人の悪魔に対する怒り
彼女とて隠れた戦闘好きではあり、特に殴り合いのインファイトを好む質の人物だ。学園では清廉潔白のイメージが先行しがちではあるが、それは生徒会副会長としての立場もあってだ
だが、これは違う、爽快な殴り合いとは違う、血腥い残酷な殺し合い。副会長という立場の使命感もあってだが、こんな事は到底許せるはずも無いのだ

「……許せない。けれど」

怒りにて握り込む拳、だが自分がやれることなどたかが知れているのは彼女とて承知だ。時には相手を文字通り病院送りにした経験もある。その手の荒事には慣れているとはいえ、「人を殺す」という事、彼女はそれに手を出したことは未だ無い

「ええ。ええ分かっているわ織坂雷華。ここが今までの戦いとは違う事なんて」

自分に言い聞かせるように、目を瞑る。悪鬼悪辣、如何にも悍ましき屍山血河の舞台。ただの人なら恐怖のあまり身を竦むだろう
が、彼女は異能が日常である世界の、無限の可能性から生れ出た者。これくらいので怯んでどうする?

「……やってやろうじゃないの」

目を見開き、覚悟を決める
雷(いかづち)の華は、雨ニモマケズ、風ニモマケズ、殺し合いになど負けない。何れその手を本当に意味で血で穢れたとしても
進むは修羅の道、可能性の断崖。最果ての地、天国でも地獄でもない場所にて、その意志も決意もまた、華の如く、雷のごとく


【織坂雷華@MUGEN】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
1:思いを同じとする参加者を探す
2:とりわけ一般人の保護を最優先
3:殺し合いに乗る連中はなるべく無力化


886 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 11:11:32 WGK34DGw0
投下終了します


887 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 11:20:19 WGK34DGw0
修正

雷閃鉄華の拳闘士→雷拳舞踏の乙女


888 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 16:52:23 W11yzKqk0
投下します。


889 : 悪魔 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 16:53:28 W11yzKqk0
悪魔ーーーーーそれは、人を堕落させし者。

悪魔ーーーーーそれは、神に反逆する者。

悪魔ーーーーーバトルロワイアルの開催者。

この悪魔はーーーーー

「悪魔の企みは我を復活させたか……」
8本の腕に4本足、全身緑の鱗に覆われている。

「まぁ、よい。この戯れに協力してやるとするか……」
(もちろん、最後に笑うのは我だがなッ!!)

悪魔の名はドルアーガ。

【悪魔ドルアーガ@ドルアーガの塔 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:この戯れにとりあえず、参加する(最終的にメフィスとフェレスを従わせる)
1:刃向かう参加者は始末する
2:配下にできそうな参加者は勧誘する
[備考]
※参戦時期はナムコクロスカプコン第43話もう一度、時の鍵伝説で、敗死後


890 : 悪魔 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 16:53:40 W11yzKqk0
投下終了します。


891 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 19:49:30 W11yzKqk0
投下します。


892 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 19:51:48 W11yzKqk0
王ーーーーー耳がロバの王

王ーーーーー魔王討伐を勇者に求める王

王ーーーーー選定のやり直しを求める王

この王はーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おのれぇぇぇえええ!!!」
血染めの月が浮かぶ平安京。
怒りの怒声を上げる王。

「この私を家畜のような首輪をつけるとは一体、どういうことだぁぁぁあああ!!」
その王は薄汚い地上を嫌ったーーーーー

「やはり、私の天上都市計画は間違ってはいなかった!!!」
その王は強い選民思想を持ち、自らが選んだ民のみを天空に築いた都市の上に人類を移住させようとしたーーーーー

「一刻も早く、このような下らぬ催しを終わらせ、メフィスとフェレスを含めた地上人の虫けらどもを殺さなければ」
緑あふれ、陽光きらめく美しき世界を実現させるためにーーーーー

「真の繁栄は至高の存在に統制されてこそもたされる物なのだ!」
その王とはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「天上王」ーーーーー自称ではあるが……

【天上王ミクトラン@テイルズオブデスティニー 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝し、メフィスとフェレスを断罪後、天上都市に王として君臨する
1:参加者共を殺す
[備考]
※参戦時期は最終決戦前


893 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 19:51:58 W11yzKqk0
投下終了します。


894 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 20:52:46 W11yzKqk0
投下します。


895 : 犯罪者の男は王に舞い戻る ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 20:53:55 W11yzKqk0
「くそぉぉおおお!!後、一歩のところでぇぇええ……」

☆彡 ☆彡 ☆彡

グオン…グオン……グオン………

とあるタイムパトロール艦隊の牢獄ーーーーー

(おのれ!私の計画は完璧だった!!)
男は王で神だったーーーーー

(現にこやつ等は亜空間破壊装置で創り出す時空乱流とプラズマボールの力で私のアジトを掴むことができていなかった!!)
王は無知な原始人を従え、愚かな未来を消し去ろうとしていたーーーーー

(これも全て子守りロボットのドらゾンビ及びあのガキ共のせいでぇぇぇええ!!!)
しかし、王は王位から転げ落ち時空犯罪者の烙印を押された。

突如、犯罪者の未来人の男に光が纏うッ!!!!!

「大変です!奴の姿が消えましたッ!」
「なんですって!?」

☆彡 ☆彡 ☆彡

男は牢獄から紅き血染めの月の平安京に降り立った
「ふふふふふ…やはり、私は王……いや神となるべき存在なのだッ!!」
王から犯罪者へ堕ちた男は再び王となる

そうーーーー精霊王ギガゾンビ

【精霊王ギガゾンビ@ドラえもんのび太の新日本誕生 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝し、自分が望む理想の歴史を創る神となる
1:部下として利用できそうな参加者を従えて、優勝を目指す
2:ドらゾンビ及びその仲間が参加していたら恨みはらす
[備考]
※参戦時期はタイムパトロールに逮捕された後


896 : 犯罪者の男は王に舞い戻る ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 20:54:10 W11yzKqk0
投下終了します。


897 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 23:23:29 W11yzKqk0
投下します。


898 : 平安京に響く歓喜の音色 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 23:24:16 W11yzKqk0
名色ーーーーーそれは、時に感情を込められた音の色となる。

紅き血染めの月の平安京に音色が響く……

それは、復活を喜ぶ音色ーーーーー

「人々に忘れ去られたものたちが生まれ続けるかぎり、私は不死身だ 」

その音色を響かせる楽器ーーーーー

クラリネットは優勝に向けて行動を開始するッ!!!!!

【クラリネット@映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝後、未来の時間を焼き尽くす
1:優勝を目指して行動する
2:利用できそうな参加者は利用する
[備考]
※参戦時期はキュアハートにより浄化された後


899 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 23:24:35 W11yzKqk0
投下終了します。


900 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 23:27:18 WGK34DGw0
代理投下となります


901 : 時計の針を進め、未来を選び取るため ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 23:27:44 WGK34DGw0
時計の針は、チクタク進む。
時計の歯車、カタカタ回る。
時計の振り子、右へ左へ。
鐘の音、鳴るよ。
ポーン、ポーン


――――時計は淡々と時を刻み続ける。


〇〇〇


「メフィスとフェレスなる者達の討伐ですか……ええ、協力いたします」

テーブルの向かい、漆黒のローブを身に纏った男がにこやかにそう呟いた。

「……それは、本当ですか?」

返答するのは、セミロングの髪と中性的な顔をした少年。
ユグノア王国の勇者、イレブン。
かつてロトゼタシアと呼ばれる地を救った英雄である。

「その言葉、ウソでは……ないですよね?」
「ええ、本当ですとも」

かつて、人々にウソをつかれる呪いにしばられていたイレブンは人一倍疑わしかった。
それもあるが、目の前の男は何処か妖艶な雰囲気を放っており、どこまでが本心なのか掴みづらかった。

「ご安心を、このクロムに二言はございません」

イレブンの目の前に居る男は、名前をクロム・レムという。
このヘイアンキョウなる町において、イレブンが初めて出会ったのが彼であった。
互いに自己紹介を終わらせ、クロムに敵意が無いことが分かったイレブンはこの殺し合いの打破を切り出した。

「紅茶のお替りをお持ちします、『イレブン皇子』」
「あ、ありがとうございます」

緊張から、どもりながらお礼を言い、いつの間にか中身を飲み干していたティーカップをトレイに載せる。
かつて、急に恥ずかしくなる呪いにしばられていた頃の癖が抜けきれていなかった。

「それにしても、異世界の皇子様とは……」

ティーポットに湯を注ぎ、茶葉が蒸れるのを待ちながら、クロムが小さく呟いた。
情報交換の最中、互いの常識に差異があることに気づいた二人は、この地が自分達の住む世界ではないことに気が付いた。
ヘイアンキョウなる聞き覚えの無い名前。そして『冒険の書の世界』を旅したイレブン、別の世界への召喚経験経験のあるクロムは、互いに異なる世界から呼ばれたのだろうと思い当たった。

「……これも因果でしょうか」
「クロム……さん?」
「いえ、何でもございません」
「……がっ、うぐっ」
「もう、時間のようですしね」

協力すると言った言葉はウソであった。
イレブンの血圧が上がり、呼吸が上手くいかなくなり、身体が震えて動けなくなる。
毒だ。冒険の最中、何度も味わった感覚。
同じものを飲んでいたのに何故自分だけ?そんな疑問がイレブンの頭の中に浮かぶ。
答えを言ってしまえば、毒が仕込まれていたのは飲み物の中でなく、グラスの口部分。
種を明かしてしまえば古典的なトリックである。

「うっ……あ”」

嘔吐感が襲い、筋肉が緩み、呼吸すら満足にいかなくなる。
座っていることも出来ずに椅子から転げ落ちる。

「……ぐっ、待って」

瀕死であれど、勇者は諦めない。
勇者は再び立ち上がらんとする。

「おっと、手が滑りました」

ヒュン。

鞭がイレブンの身体を蛇のように這いずり回る。
勇者といえど、鈍った身体では避けることは出来ない。一瞬で亀甲縛りの体制となる。
本来、亀甲縛りに拘束力は無いが、身動きが取れぬように研究された彼のムチ捌きは、手足も動かすことも許さない。

「……貴方の恨みはお受けします。さようなら『イレブン皇子』」

勇者は苦しみに耐え、ただ見ていることしか出来なかった。


902 : 時計の針を進め、未来を選び取るため ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 23:28:09 WGK34DGw0
〇〇〇


一族を救った。
ただ一人は救えなかった。


〇〇〇


決して人に弱さを向けず。
一族の為に自分を犠牲にする。
クロム・レムとはそんな男であった。

「これは私に与えられた咎、なのでしょう」

それは幼き日、犯した罪。
少年は一族に囚われていた巫女姫を逃した。
それは姉同然に慕っていた彼女の頼みであり、彼女の為に行った選択だった。
幼かった彼は、その行為が何を意味するかを知らなかった。

やったことはそれだけで。
目が覚めると全てが終わっていて。
家族と幼馴染を失っていて。
その行為が多くの者を絶望させることを知らなかった。

少年は咎人となった。
少年は救いを求めた。
褒めるものなどおらず、疎まれ続ける日々。
それでも弱音は吐かず、一族の再興の為に奔走する日々。

少年は大人になった。
それでも、迫害は続く。
決して、許されることはない。
いつか、救われる日を望んで。
強がって。

そうしてある日、かつて逃がした巫女姫の血を受け継ぐ少女が見つかった。
彼女は強い人間だった。
だから、彼女が巫女姫となる運命を受け入れば、すぐに順応すると思った。
それで上手く行くと思っていた。
だけど、クロムは見誤った。再び間違えた。
彼女は耐えられなかった。

彼は咎人では無くなった。
巫女姫を取り戻した一族は再び活気を取り戻す。
だけど、対比するように彼と彼女の絆は壊れてしまった。
そうしてしまったのは、自分だ。
愛しく思う者の心が壊れていくのを見ていることしか出来ない日々。

――――ああそうか、私は貴方を愛していたのですね

ずっと押し殺してきた自分の本心に気づいたのは、全てが終わった後だった。

「……相変わらず、不味い」

ティーポットに残る紅茶を別のグラスに注ぎ、飲み込む。
相変わらず、何一つ味は分からなかった。


903 : 時計の針を進め、未来を選び取るため ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 23:28:40 WGK34DGw0
〇〇〇


世界を救った。
ただ一人は救えなかった。


〇〇〇


「ベ……ベホイム」

クロムにはひとつ誤算がある。それは回復呪文の存在を知らなかったこと。
回復呪文を受けようと状態異常は完治しない。
厳重に縛られたその体は身動き一つ取れず、僅かに余命が伸びるだけにすぎない。
それでも、この状況下において命を繋げられることは幸運に変わりない。
この世界は回復呪文の効きが悪いようで、何回も重ねることでなんとか意識を繋ぎ止めた。

「あの人を、止めないと」

イレブンは勇者である。
弱きを助け、悪を打ち。 
誰かの為に剣を取り、誰かの為に盾になる。
そんな、始まりの英雄譚の主人公。

イレブンは人を恨まない。
それが自分を騙し、殺そうとした相手だろうと。
故郷を焼かれ、『悪魔の子』と呼ばれようとも。
それが祖父の教えであり、勇者とはそういうものであり、イレブンはそんな人間であった。

クエストを通じ、多くの人を助けてきた。色々な人間を見てきた。
民と父の為に虚勢を張り続けた王子。
孤児院の為に魔物の力を手にした格闘家。
劣等心から魔軍司令と堕ちた、かつての将軍。
ある人物は自らの行いを恥じ、ある人物は後悔した。
罪を犯しても、そこからやり直しは出来る。
だけど、そのやり直し方法が間違っているならば止めなくてはいけない。

「やり直し、か」

脳裏に浮かぶのはあの日のこと。
魔王を倒し、平和を取り戻した世界。
そんな中、目の前に与えられたやり直しのチャンス。

――――それでもお前は過去に戻るって言うのかよ

勇者とは勇気ある者。
勇者とは決して諦めない者。
どれだけ危険だろうと、目の前に多くの人々を救える機会があるなら向かうべきだ。
これまでも、ずっと、そうしてきた。
勇者とはそんな存在だから。

――――『いいえ』

だから、あの選択はただの我儘でしかない。
これは勇者である自分にしか出来ない使命。
そんなことは、わかっているのに。
それでも、躊躇してしまった。
自分を止める仲間達の顔を見てしまってから。
もう十分頑張っただろうと、切に願う言葉を聞いてしまってから。

――――だろ?だったらこの話は終わりだ。

あの時の仲間達の顔は、相棒の顔は、なんだったのか。
何処にも行かないことに安堵した顔で。
本当にそれでいいのかと言いたげな顔で。
あの選択が正しいのか、自分自身にもまだ分からない。
16歳の身体にその選択肢は重すぎて、未だ答えが出せずにいる。

「ベロニカ……僕は……」

自分をしばり付ける鞭を眺めながら、かつて失った仲間のことを想起した。


904 : 時計の針を進め、未来を選び取るため ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 23:28:58 WGK34DGw0

〇〇〇


数を数えよ。
いっち、にぃ、さん。
時計は時を刻みます。
時計は貴方の時を刻みます


――――過ぎ去りし時は、未だ戻らぬ。


【クロム・レム@DAME×PRINCE】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:イレブンの基本支給品とランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:あの日の選択をやり直す
1:如何なる手段を使ってでも優勝する
[備考]
※参戦時期はクロム編DAME END後です。
※支給品はイレブン殺害の証拠隠滅の為、全て破棄しました。
※イレブンが死亡したと思っています。

【イレブン@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S】
[状態]:もうどく、MP消費(小〜中)、いばらのムチで全身拘束されて動けない
[装備]:いばらのムチ@DQ11S
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:勇者としてこの殺し合いを打破する
1:メフィスとフェレスを倒す
2:クロムを止める
3:誰か拘束解いてくれないかなぁ……
[備考]
※参戦時期は初回エンディング後。忘れられた塔でのカミュの問いに「いいえ」と答えた後、再度話しかけて「はい」と答えるまでの間です。
※毒状態です。このまま解毒せず、回復するMPが尽きたら死亡します。

【支給品紹介】
【アトロキニーネ@逆転裁判4】
クロム・レムに支給。
現実世界に存在しない逆転裁判オリジナル毒。
致死量0.002ミリグラムの経口毒。毒性は非常に高いが、体内吸収が非常に遅い。
服毒から15分ほどで呼吸器に影響が現れ死亡する。

【ぎんのティーセット@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
クロム・レムに支給。
レヌール王家が使っていた銀製のティーセット。
イベントでレヌールの王冠という防具と交換出来る。

【いばらのムチ@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S】
クロム・レムに支給。
名前の通りいばらで作ったムチ。
ベロニカがイレブンと出会うまで使っていたもの。


905 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/10(土) 23:29:21 WGK34DGw0
代理投下終了します


906 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 23:51:36 W11yzKqk0
投下します。


907 : 最も尊く最も価値があるものが弟子を狂わせた ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 23:54:04 W11yzKqk0
これはとある超魔導士の物語ですーーーーー

超魔導士ノアは弟子であるドーガ、ウネ、ザンデにそれぞれプレゼントを贈りました。

ドーガには自身の魔力。
ウネには夢の世界。
ザンデには人としての寿命を。

めでたし、めでたし、まる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

しかし、弟子の一人はそれに不満を持ち、狂気に走りました。

その弟子の名はザンデ。

ザンデは世界を無に帰そうと自ら「魔王」を名乗りクリスタルタワーに籠りました。

大地を震わせ世界を闇に飲み込ませるためーーーーー

「この私をこのような催しに参加させるとは……ファファファ」

魔王は独特の笑い声を発しながら平安京を独歩するーーーーー

【まおうザンデ@FINAL FANTASY III 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝後、世界を闇に飲み込ませる
1:とりあえず、この場所を探索する
2:優勝するのに始末できる参加者は利用する(人間は殺す)
[備考]
※参戦時期はクリスタルタワーでの最終決戦前


908 : 最も尊く最も価値があるものが弟子を狂わせた ◆s5tC4j7VZY :2021/04/10(土) 23:54:22 W11yzKqk0
投下終了します。


909 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/11(日) 00:52:37 VhqXCJ4k0
投下します。
一部分をコンペロワでの拙作から流用しています。


910 : 名無しさん :2021/04/11(日) 00:54:55 9kSKmwpM0
投下します。


911 : ◆sWoy5nlLqs :2021/04/11(日) 00:55:14 VhqXCJ4k0
この紅き空と月に照らされた会場の一角、そこでは…青年と少女が、剣呑な雰囲気で睨み合う形で対峙していた。

「…おい。そこのあんた。殺し合いに乗ってるのか?」
「乗っている…と俺が言ったらどうする?」
「その時はあんたを止める」
「その格好で言われても、いまいち締まらないな」
「…誰が好き好んでこんな格好…!!」
「それと、お前が持ってるその銃は元々俺の物だ。
とっとと返して貰えると有難いんだがな」

----

顔を赤くし怒りを見せながら、青年に銃を向けている少女の名はマリアン・E・カール。
第506統合戦闘航空団、通称ノーブルウィッチーズのB部隊に所属しているウィッチで階級は大尉。
彼女はこの会場に呼ばれる前に、新型のストライカーユニットのテスト飛行に参加したのだが…その際紆余曲折があり水着(試作飛行服、速度抵抗を減らす為…と、マリアン本人が希望したと同僚であるカーラが伝えた結果である)を着る羽目になってしまっていて、更に秘密裏に行われる筈だったテスト飛行の情報がどこからかマスコミに漏れていた結果、マスコミに水着を晒す羽目になってしまう。
そんな中、ユニットの運用中にネウロイが出現。
マリアンはこれを撃退する…も、戦闘の中で下の水着がズレ落ち、あわやマスコミの前で腎部(ヒップ)を晒す手前になってしまっていた。
(咄嗟にジェニファーがマリアンの身体を隠すように動き、またB部隊隊長であるジーナが部下である身の回りの世話などを任せているクハネック軍曹にフィルムの回収を指示した為に、マリアンの霰もない姿は紙面には掲載されずには済んだが。
なお翌日の紙面は、その際彼女が発した罵倒である「◎△♪◇野郎!」発言で飾られていた。)
そんな中、マリアンはこの殺し合いへと放り込まれてしまった。
…水着姿のままで。

(ふざけんなあの○×=☆野郎共!!絶対*+○☆♪にしてやるからな!!)

何の罪もないだろう少女二人を殺しこのような催しを開き、しかもよりにもよって水着姿のまま自分を巻き込んだ主催に対してマリアンはキレていた。「◎△♪◇野郎!」の時もそうだが、彼女は口が悪くとても文字には出来ない罵倒を言いがちなのである。

その後バッグの中身を確認し、着替えれる物が無かったことに落胆していたマリアンであったが、他の参加者を発見。
自分の格好を理由に躊躇するも…警戒しているという意思表示も兼ねて、支給されていた剣と銃を切り替え可能な武器を構えながら、話しかける事とした。


912 : ◆sWoy5nlLqs :2021/04/11(日) 00:55:54 VhqXCJ4k0
----

そして苦笑を浮かべながらも、左手に装着したブレスレットでいつでも姿を変えれるようにしている青年の名は滝沢直人。
浅見グループの社長である浅見渡が、政府や内務庁の治安維持局と共同で組織した民間警備企業「シティガーディアンズ」の隊長。
彼はこの会場に呼ばれる前、同じ時間を何度も繰り返す現象から脱することに成功した数日後に、タイムレンジャーや、彼等と偶然遭遇したゴーゴーファイブが時空の歪みによって過去へと飛ばされてしまった事態の収拾に当たっていて、漸く事態の収拾に成功したところであった。

(ここは…平安京か。
おそらくは先日の浅見達の時のように、時間の歪みが影響していて…今回はあの双子の女がそれを利用して俺や他の参加者を連れて来た…ってところだろう。
…時間のループの次は、過去へのタイムスリップ…か)

そう思考を回しながら直人は支給されたバッグの中身を見る。
中には、彼の姿をタイムファイヤーへと変えるブレスレットであるブイコマンダーに、実弾の銃。そして…。

「…」

無言で沈黙する直人。
彼に支給された最後のランダム支給品は…下がスカートのような何かとパンツのようななにかのみな、折り畳まれた軍服一式であった。

(……あの双子は何を考えて、これを俺の支給品に…??)

思わず困惑しながらも、直人はそれをバッグの中へとしまう。あらぬ誤解を受けては今後の他参加者との交渉等がやり難くなるからだ。
彼はこの殺し合いに乗るつもりはなく、またこの会場からの帰還及び脱出を目論んでいた。
しかし…同時に彼は、力を手に入れる事もまた目論んでいるのである。

バッグの中身を確認し終えた直人は、警戒をしながら周囲の散策を行おうとしていた…ちょうどその時に、彼は少女に声をかけられた。

「…おい。そこのあんた。殺し合いに乗ってるのか?」

----

「今あんたに銃を渡したら、私は丸腰になる。渡すわけにはいかない」

そう警戒を解かぬまま言い放つマリアンに対し直人は思案する。

(…こういう時、あいつみたいな馬鹿で能天気なお人好しなら話は早いんだろうが…俺には俺のやり方がある)

「それならば取引だ。
お前がこちらにその銃を渡すのなら、交換条件としてこの二つを渡す。
…見たところ、着る服にも困ってそうだしな」
(放っておいてもいいが、使い慣れた武器の方が使い易い上、ここで恩を売っておくのも悪くないだろう。情報を得れる可能性もある)

直人は淡々と告げながら、銃と軍服をバッグから取り出す。

「……ちょっと待て!?どうしてあんたが私の服持ってるんだ!?」
「バッグに入ってたんだが…お前の服だったのか。それは良かったな」
「良くない!!
……わかった。渡すから先にそれを渡せ…渡してくれ!!早く!!」

こうして二人は、互いに支給されてた物を交換する事となった。


913 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/11(日) 00:58:39 VhqXCJ4k0
トリップをミスしたので一旦確認させて貰います。
迷惑をかけてしまい申し訳ありません。


914 : ◆sWoy5nlLqs :2021/04/11(日) 01:01:02 VhqXCJ4k0
【マリアン・E・カール@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、水着、怒り、恥ずかしさ
[装備]:DVディフェンダー@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:主催者は絶対*+○☆♪にしてやる!!
1:早く服を渡してくれ…!!
2:隊長や……後黒田達が居るなら、とっとと合流したい。
[備考]
※参戦時期は原作5巻にて、テスト飛行が終了してからです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※残りの支給品には、武器になりそうな物は有りませんでした。

【滝沢直人@未来戦隊タイムレンジャー】
[状態]:健康
[装備]:ブイコマンダー@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:基本支給品、マリアンの軍服一式@ノーブルウィッチーズ、M1918BAR自動小銃@ストライクウィッチーズ
[思考・状況]
基本方針:とりあえず生還を優先
0:力を手に入れれるようなら手に入れる。
1:まずはこいつに恩を売っておこう。
2:もしタイムレンジャーや…浅見がここに居るのなら、その時はその時だ。
[備考]
※参戦時期はCase File35「明日が来ない」及び「未来戦隊タイムレンジャーVS救急戦隊ゴーゴーファイブ」終了後からです。

【DVディフェンダー@未来戦隊タイムレンジャー】
剣と銃双方に変形可能な、タイムファイヤーの武器。
「DVチェンジ!」と叫びながら、スイッチを押す事で、ディフェンダーガンとディフェンダーソードに変形可能。
通常時でもガンは5mの岩を粉砕できる威力があるビームを発射可能で、ソードは直径50cmの鉄柱を輪切りにできる威力がある。
またガンはバルカンモードを発動させる事で光弾を連射する「DVバルカン」を使用可能で、ソードはファイナルモードを発動させる事により「DVリフレイザー」を使用可能。
DVリフレイザーは単体で対象を圧縮冷凍(対象の肉体を特殊な冷凍ガスにより縮小させること、なお圧縮冷凍されても意識自体は残っている)可能だが、今ロワではおそらく制限されています。どのように制限されているかは後続にお任せします。

【ブイコマンダー@未来戦隊タイムレンジャー】
タイムファイヤーへと変身する為の、ブレスレット型の機器。Vコマンダーとも。
ブイレックスと呼ばれる生体兵器を音声コントロールする為の制御装置でもある。
音声認識機能が使われていて、最初に音声登録をした者の声によってのみ運用が可能である。
変身時はタイムファイヤーと叫ぶことで、時間にして0.1秒でクロノスーツを装着し変身させれる。
なお英語の音声による、ナビゲーションシステムも搭載されている。
本来はリュウヤ隊長が使用する物だったのだが、彼のある思惑により滝沢直人の手へと渡った。
またこのロワではおそらく、ブイレックスの召喚は不可能or制限がかけられています。どちらなのかは後続にお任せします。

【マリアンの軍服一式@ノーブルウィッチーズ】
マリアン・E・カール大尉が普段着ている軍服一式。
何故か折り畳まれた状態で直人のバッグに入れられていた。

【M1918BAR自動小銃@ストライクウィッチーズ】
シャーリーことシャーロット・E・イェーガー大尉が対ネウロイ戦で主に使っている銃。
丈夫で頑丈なので、少々乱暴に振り回しても使える利点があるが、それほど連続射撃が出来ないとはいえ弾数が40発しか無く、銃身が固定されているせいで加熱しても交換できない欠点もある。


915 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/11(日) 01:02:37 VhqXCJ4k0
----

一方、二人から少し離れた場所では…一人の青年が、復讐を遂げる為にこの殺し合いに乗る事を決意していた。

(お前さえ居なければ、あのバス事故は起こらなかったんだ…待っていろ、常磐ソウゴ…!!)

青年の名は加古川飛流。本来の歴史…常磐ソウゴがオーマジオウにならなかった未来では、真相を知らぬままに憎悪と逆恨みのみの独力でアナザーオーマジオウへと至る男だが、この時点ではまだ…常磐ソウゴとは数度しか交差していないのもあり、逆恨みとも知らずに恨みを蓄積させている道化ではあるが───まだ後戻り出来る段階である。
また…彼も恵まれない過去の持ち主であった。

【加古川飛流@仮面ライダージオウ】
[状態]:健康、常磐ソウゴへの復讐心
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、アナザージオウウォッチとベルト@仮面ライダージオウ、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:常磐ソウゴへの復讐を果たす
1:常磐ソウゴは俺の手で倒す。
2:常磐ソウゴさえいなければ…!!
[備考]
※参戦時期はEP25「アナザージオウ2019」にて、常磐ソウゴと遭遇する前からです。

【アナザージオウウォッチとベルト@仮面ライダージオウ】
仮面ライダーの力を持っている怪人、アナザーライダーの一種であるアナザージオウ。
そのアナザージオウへと変身する為に使うアナザーライドウォッチと、それを装填するジクウドライバーを模した黒いベルトである。
作中では一度ジオウの力により破壊されたものの、原理こそ不明だが一瞬で再生されている。
アナザージオウの能力としては、アナザーライドウォッチの使用をする事により、その力を使用しまた該当するアナザーライダーへと変身する事が可能である。
他、数秒先の未来を読み取り対応する事も可能。
変身時は時計の長針と短針を模したと思わしき2本の剣を所持し、二刀流で戦闘を行う。
また発展型であるアナザージオウⅡウォッチは、変身者の自我を歪ませる副作用のようなものがあるが、アナザージオウウォッチにもそれがあるかどうかは不明。今ロワでどうなのかは後続にお任せします。


916 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/11(日) 01:04:38 VhqXCJ4k0
投下終了です。
トリップが変わってしまっていたのは恐らく、トリップキーの後ろに一つ空けてタイトル名を置いてたのが理由で、他意はありません。今後から気をつけます、申し訳ありませんでした。
またタイトル名は
激突への秒読み(カウントダウン)
です。


917 : 名無しさん :2021/04/11(日) 01:06:47 9kSKmwpM0
投下します。


918 : 修羅の京へようこそ ◆RzgssxN6bQ :2021/04/11(日) 01:11:11 9kSKmwpM0
「クソッ………一体何がどうなってやがる!」

紅に染まった夜空の下、一人の人間ーーー否、怪人が辺りをしきりに見回しながら愚痴っていた。
夜間でも目立つ紫色の瞳を光らせるその怪人の名は、ヤバイ仮面。
日本の福岡県に実在する企業『株式会社悪の秘密結社』の代表取締役社長を務める人物であり、同時に日本一借金が多い怪人でもある。

「ていうか何、あのガキンチョ共? 人様をいきなり拉致してきたと思ったら勝手に首輪付けて『最後の一人になるまで殺し合いをしてもらいます』とか、お前何年前の映画だよ? もう古いわ!」

福岡県志賀島にて発掘され日本の国宝にも指定された漢委奴国王金印の力を手に入れ、一時は福岡制圧に成功したというのに、結託した福岡ローカルヒーロー達「ドゲンジャーズ」により野望を挫かれ、監視の名目で自社の事務所は薬剤戦師オーガマンが社長を務める大賀薬局の本社ビルへと移転させられる羽目になったばかりで今度はこの状況である。
踏んだり蹴ったりというレベルではなかった。

「………それにしてもアイツら、こんな得体の知れない場所に俺達を連れてきて何を企んでいやがる?」

周囲の民家に蹴りを入れて一頻りキレ散らかして数秒後、落ち着きを取り戻したヤバイ仮面は赤い夜空に照らされた平安京の様子を見つつ自身を拐った二人ーーーメフィスとフェレスの姿を思い返していた。
彼女達が明らかにただの人間ではないのは普段から人外の怪人やヒーローを見慣れている事からすぐに判断できた。
あえて纏う空気から例えれば、自身の会社に所属する数世紀の長きを生きる不死身の忍者・修羅王丸に似ているだろうか。
だがそれは今はどうでもいい。


919 : 修羅の京へようこそ ◆RzgssxN6bQ :2021/04/11(日) 01:13:00 9kSKmwpM0

「………アイツらの雰囲気で大体わかる。この手の殺し合い系ではお約束でもあるが、必ずあのガキ二人の後ろには黒幕がいる。それもかなりヤバいレベルの奴がな」

結社創業から五年、悪役専門の社長として正義と悪を見る目は確かだと自負している。
故にヤバイ仮面は理解していた。
願いを叶えてくれるなどただのブラフであろう。
この殺し合いを企画立案した黒幕は間違いなく特大の『悪』の側の存在である、と。
そして自分一人では手に負えない相手であることも言うまでもなかった。

「ったく、こんな状況だってのに、我が社の優秀な戦闘社員達は誰もいないとかどういう事だよ? 社長一人にこんなハードワークさせないでくれるかなぁマジで!?」

ヤバイ仮面は自身の会社に所属する怪人達の事を思い出しつつ改めて周囲を見渡すが、誰の気配も感じない。
メイド執事。
修羅王丸。
ネクタリス。
ウザギ。
シャベリーマン。
ガルフとガリアの魔狼兄弟。
戦闘社員カラミー達の姿すらない。
もしかしたら彼らもこの場に呼ばれている可能性もあるが、だとしても無事に合流できる保証もない。

「仕方がない、とりあえずはこの会場に集められた連中を臨時採用枠として雇うとするか。でもいつもそういう事すると邪魔してくる奴らが必ずいるんだよなぁ〜」

悪ある所必ず正義がいる。
誰もが誰かのヒーローなのだ。
正義感に駆られて愚直に戦いを止めようとする者達は少なくないはずだ。
あらゆるヒーローと戦い続けたヤバイ仮面にはその確信があった。
無論状況が状況故に、そういった面々との共闘も視野には入れてある。
だがもし自分の邪魔をするようならその時はーーーーーー


920 : 修羅の京へようこそ ◆RzgssxN6bQ :2021/04/11(日) 01:20:02 9kSKmwpM0


【ヤバイ仮面@ドゲンジャーズ】
[状態]:健康 
[装備]:銀ダラブレード@ドゲンジャーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
基本方針:主催者達に反逆し、帰還する
1:まずは外回り(情報収集する)
2:有能な人材がいたら自社に勧誘する、社員達がいるなら合流したい
3:自分の邪魔をする者は蹴散らす(ヒーローと判断したなら最優先)
[備考]
※シーズン1終了後からの参戦です。
※サービス残業モードや分身能力は問題なく使えますが、普段より体力を消耗します。

【銀ダラブレード@ドゲンジャーズ】
ヤバイ仮面が愛用する長剣。
重さはおよそ100kg。
名前の由来は見た目が銀ダラに似ていたから。
刃先から紫色の光弾を発射する事も可能。


921 : ◆RzgssxN6bQ :2021/04/11(日) 01:20:46 9kSKmwpM0
投下終了です。


922 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/11(日) 01:27:46 FIdqnkOo0
投下をします。


923 : モンスターになろうよ!にゃはははは! ◆0EF5jS/gKA :2021/04/11(日) 01:40:57 FIdqnkOo0
芋虫のような体から巨大な右手が生えた肉塊のような見た目をした
あまりにも醜悪な魔物が疑問を覚えていた。
「あれれ、僕はなーんでこんなところにいるのかな?」
その魔物の名はガルマッゾ、マ素という人間にとって本来不要な道具を利用する事で
全人類をモンスターと化そうとした魔物である。
「ホント不思議だなぁ確かにあの時神獣くんたちに負けちゃってぼくは死んじゃったのに」
ガルマッゾは元はカルマッソという人間である。
彼は野望もしくは独善的なエゴによって
魔界の門を開き世界を魔界というモンスターの楽園にしようとしたが、
ほぼ事故によって大量のマ素を浴びてしまいガルマッゾという魔物になった。
魔物という異形と化したことに嘆くどころがむしろ
「だいすきな モンスターになれて うれしいよ! にゃはははは!」と
狂喜したのである。このようにマ素を人に浴びせれば
魔物となることを知ったガルマッゾは全人類を
”善意”でマ素を使い魔物に変えようとしたが、
神獣とその仲間であるモンスターマスターによって打ち滅ぼされた。
「生き返らせてくれたあのメフィスとフェレスって子たちだね。とりあえず生き返らせてくれたのは感謝しなくちゃね。」
「やっぱりみんなをモンスターにしてあげて幸せにさせたいところだけどマ素はあるのかな?」
ガルマッゾはいかなる場所にいようがどのような存在になろうが
モンスターへの歪なほどの愛と目的は変わらない。
モンスターの楽園を創造するために魔界の門を開き、
そしてあらゆる人間をモンスターにするという願いと目的は変わらない。
「ん、これはデイパック?何が入ってるかな?」
ガルマッゾは支給されたデイパックを調べた。
「いろいろ入ってるな…お!これは!魔砲珠!三つもあるし、しかも全部にすごい量のマ素が溜まってる!やったぞ!これくらいの量があればたくさんの人がモンスターになれるよ!にゃはははははははははははは!」
「よーし!殺し合いなんて、みーんなモンスターにさせてあげて台無しにしちゃおう!ケンカはよくないからね!みんな仲良くモンスターになって幸せになるのが一番なんだよ!にゃはははははは!」
醜悪の極みに達する魔物は全ての参加者を魔物とするために行動を始めた。


924 : モンスターになろうよ!にゃはははは! ◆0EF5jS/gKA :2021/04/11(日) 01:42:27 FIdqnkOo0

「いったい何が起きているの…?」
殺し合いの場に呼ばれた一人の女性が困惑していた。
彼女の名前は胡蝶カナエ。鬼殺隊という組織の最高階級である
柱の地位を持つ剣士の1人である。
彼女は上弦の鬼である童磨という鬼に致命傷を負わされ確かに死んだはずである。
それなのに五体満足で生きている。いったい何が起こっているというのか。
そして殺し合いの宣言を行ったあの「めふぃす」と「ふぇれす」はいったい何者か。
常識をいつした真似を平然と行える当たり
普通の人間であることはほぼありえないだろう。
あの少女たちの正体は鬼であり、この殺し合いの場も血鬼術で作られたのか。
とにかく不明点が多い。考えても正確な答えは出そうにない。
カナエはデイパックの中身を確認した。
中は食料や武器や赤いボタンがついた小さな機械が入っている。
支給品を確認した後は周囲を見回した。
あたり一面は深紅の月によって赤く照らされなんとも不気味であり、
ここが普通の場所ではないことが嫌でもわかる。
ここは殺し合いを行う場所であるため普通であるわけがないのだが。
そのときであった。背後に醜悪な肉塊が不気味な笑いとともに現れたのだ。
「いったい何者ですか!…!?」
カナエは鬼殺隊の一員として人々を守り抜くために多くの鬼を討伐してきた。
彼女が倒した鬼の中には元が人とは思えぬくらい醜い見た目をした鬼もいた。
しかし今現れた化け物はカナエが今まで見てきた
鬼を遥かにしのぐほど醜く、柱として数々の修羅場を潜り抜けたが
目の前の化け物のあまりの醜悪さに動揺を隠すことができないほどであった。
この化け物も鬼舞辻の血を注ぎ込まれた鬼なのか?
「にゃはははは!君は誰?見た目からして人間だってことくらいだけはわかるけど。」
「あ、あなたは…鬼なの…?」
「鬼ぃ?何言ってるの?僕はギガンテスでもアトラスでもおにこんぼうでもないよ?そう言う君こそ誰なの?」
「鬼殺隊の花柱、胡蝶カナエです!」
「鬼殺隊…?そんな組織聞いたことないな、でも殺なんて文字が入っているくらいだから穏やかな組織ではないだろうね。」
「いったいあなたは何者ですか!」
「あ、僕?ごめんごめん自己紹介が遅くなっちゃった。僕はガルマッゾだよ、マ素をじゃんじゃん浴びて念願のモンスターになれた幸せ者さ!」
カナエはたった今聞いた言葉を信じることができなかった。
あのような醜い生き物となりなぜ幸せなのだろうか?
そもそもマ素とはいったいどのような物なのか?
少なくともろくでもないものであることはほぼはっきりしている。
「あっ!そうそう早速だけど君もマ素を浴びてモンスターになろうよ!」
「今はねぇ、マ素をたっーぷり浴びてモンスターになって戦うのがトレンドなんだよぉ!」「絶対にお断りします!あなたのいうもんすたぁにはなるわけにはいきません!」
「ど〜してそんなことを言うのかな?モンスターになれば今より優れた肉体が手に入るのに、これは君のためでもあるんだよ?」
「ま、いいやこの魔砲珠から出されるマ素をあびれば誰でもインスタント食品を作るかのような手軽さでモンスターにされるからね!えいっ!」
ガルマッゾのデイパックから魔砲珠が現れ、
カナエ目掛けて紫の煙が勢いよく発射された。
咄嗟に回避しつつデイパックの中にあった武器の
こくようのけんを装備し近づいて反撃する。

花の呼吸 肆ノ型 紅花衣

円を大きく描くようにガルマッゾの巨体を斬りつけた、しかし、
「にゃはははくすぐったいよ、そんな無意味なことしないで早くモンスターになるべきだよ!」
化け物への効果はかなり薄かった。
「ん〜ちょっと動かないようにする必要があるかなぁ、ドルマドン!」
化け物がその言葉を発した瞬間、カナエの目の前に黒い巨大な電撃が現れ
勢いよく電撃を叩きつけられた。
「がはっ…!」電撃のすさまじい威力で後方に吹っ飛ばされてしまった。
「よしおとなしくなったね、それじゃマ素をあびさせてあげるからね。にゃははは、同族ができるって良いなぁ」化け物が笑いながら近づいてくる。
(うう、このままでは…)このままでは化け物に変異させられてしまう。
それは死よりも恐ろしいことだ。何かできることはないか。
(そうだ一か八か…どうなるかわからないけど…)
カナエはデイパックの中にある小さな機械についた赤いボタンを押した。
するとカナエのは上空にものすごい勢いで飛んで行き姿はすぐに見えなくなった。
「あれ、どこいくの!?マ素はちゃんと浴びなきゃだめでしょ!」
「ど〜してあびたくないのかな〜、お風呂ギライな子供みたいなもんなのかな?まぁいいや。」
「他の参加者はたぶんわかってくれるかもしれないからね、モンスターになることの素晴らしさが…!」「それじゃさっさとだれか見つけなきゃね!にゃははははは!」
ガルマッゾはマ素で魔物に変異させるためだけに人を探し始めた。


925 : モンスターになろうよ!にゃはははは! ◆0EF5jS/gKA :2021/04/11(日) 01:43:18 FIdqnkOo0

【ガルマッゾ@ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー】
[状態]健康、
[装備]無し
[道具]基本支給品、魔砲珠(三個)@ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー
[思考]
基本:みんなでマ素を浴びてモンスターになろうよ!
1:誰かいないかな!マ素をあびさせてあげたいな!
2:メフィスとフェレスって子もモンスターにしてあげたいなぁ。
[備考]
死亡後参戦です。

【支給品解説】
魔砲珠@ドラゴンクエストモンスターズジョーカー
カルマッソがマデュライトを使用して作った物体。マ素の塊であり使用すると濃度の高いマ素を対象に浴びせることができる。モンスターに浴びせると凶暴化する。人間が大量に浴びた場合はモンスターになってしまう。




「うう…なんてこと…」
どこかの場所に飛ばされたカナエが倒れていた。
「他の参加者に伝えなきゃ…」
カナエはこのように考えていた。あの化け物はあまりにも危険だ。
あれを放っておいたら多くの者たちが化け物に変異させられてしまう。
「仲間を見つけなくては…他の参加者に鬼殺隊の隊員がいても不思議ではないわ…」
カナエは殺し合いを打破するために、
仲間を見つけるために、そしてあの化け物の野望を阻止ために、
ダメージによってよろめきつつ歩き始めた。

【胡蝶カナエ@鬼滅の刃】
[状態]大ダメージ
[装備]こくようのけん
[道具]基本支給品、@ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー
[思考]
基本:殺し合いを打破する。
1:殺し合いを打破する仲間や鬼殺隊員を探す。
2:あの化け物(ガルマッゾ)の野望を阻止する。
[備考]
死亡後参戦です。

【支給品解説】
だっしゅつボタン@ポケットモンスターシリーズ
持っている状態で技を受けると戦闘から脱出して控えのポケモンに交代する効果だが、今回のロワでは改造され、自分からボタンを押すとその場から勢いくよく吹き飛んで、逃走することができる効果に変わっている。

こくようのけん@ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー
黒曜石を使って作られた剣。装備すると攻撃力が48上がる。


926 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/11(日) 01:43:50 FIdqnkOo0
投下は以上です。


927 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/11(日) 08:12:26 FIdqnkOo0
すいません、修正をします。
[道具]基本支給品、@ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー⇒[道具]基本支給品、こくようのけん@ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー、だっしゅつボタン@ポケットモンスターシリーズ、ランダム支給品0〜1
修正は以上です。


928 : ◆4kMBNI9QkE :2021/04/11(日) 16:59:11 TWB9vVSc0
投下させていただきます


929 : 『ヒト』であって『ヒト』でない者達 ◆4kMBNI9QkE :2021/04/11(日) 16:59:50 TWB9vVSc0
赤い月に照らされた平安京……

「ウガアアアアアア!!」

その片隅で激しい戦いが起きていた。

☆☆☆

「うわっ!?」

まるでゴリラのような筋肉質で毛むくじゃらな上半身を持った男……スーパーヒーローチーム『アンブレラ・アカデミー』のNo.1ことルーサー・ハーグリーブズは、
野球ボールのように壁に叩きつけられた。

ルーサーの体が叩きつけられた壁は粉々に砕け散り、ルーサーは砕かれた壁の下敷きとなった。

「ウガアアアアアア!!」

ルーサーの体を壁に叩きつけたのは身長3m以上はある緑色の大男……インクレディブル・ハルクだった。

ハルクは瓦礫の下敷きになったルーサーの姿を一瞥すると、
まるで勝利の雄叫びを上げるように鼻息を荒くした。

「う、うぅ……」

ルーサーは瓦礫から抜け出しながら立ち上がる。
瓦礫の下敷きとなったというのに、ルーサーのゴリラのような筋肉質で毛むくじゃらな体には、
かすり傷一つ付いていなかった。

「ウガアアアアアア!!!!」

ハルクはその巨木のように太い腕を振り回しながら、ルーサーへと突進していく。

「!!」

ルーサーは突進してくるハルクに身構えるが……誰が見てもルーサーが不利としか思えないだろう。

その時だった。

「……ライダァァァァ!キィィィック!!」
『!?』

ハルクの体をルーサー以外の何者かが吹き飛ばしたのだ。

ハルクの巨体はまるでサッカーボールのように地面を転がり、突然の事態にルーサーは目を白黒させた。

「ウググゥゥ……」

地面に転がったハルクが体を起こすと……ハルクとルーサーの間に新たな乱入者が立ちふさがっていた。

飛蝗を思わせる緑色の仮面、
首に巻かれた赤いマフラー、
大きな風車が回転している腰のベルト、
銀色に輝くグローブとブーツ………

ゴリラのような上半身のルーサーや緑色のハルクに勝るとも劣らない、異形の戦士だった。


930 : 『ヒト』であって『ヒト』でない者達 ◆4kMBNI9QkE :2021/04/11(日) 17:00:49 TWB9vVSc0
「……大丈夫か?」
「あ、あぁ……」

仮面の男からの問いかけに、ルーサーは困惑気味に答える。

「俺は仮面ライダー一号。お前は?」
「……ルーサー、ルーサー・ハーグリーブズ。アンブレラ・アカデミーのNo.1だ」

仮面の男……仮面ライダー一号と自己紹介をしながら、ルーサーは仮面ライダー一号の隣に並び、ファイティングポーズをとる。

「ウガアアアアアア!!!!」

一方、一号によって地面に転がっていたハルクも起き上がり、一号とルーサーを睨み付けた。

「……敵は強大だな、ルーサー。いや、大したことはないか」
「?」

一号の呟きにルーサーは首を傾げる。
しかし……

「……今は俺とお前で、一号(No.1)が二人いるんだからな」
「!」

……一号の言葉に驚きつつ、ルーサーは嬉しげな笑みを浮かべる。

「ウガアアアアアア!!!!」

怒り狂うハルクはまるで興奮した象……いや、怪獣のように向かっていく。

『うおぉぉぉぉぉ!!』

二人の一号は恐れる事なく立ち向かっていったのだった。


【八神将枠】
【ブルース・バナー(ハルク)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:ハルク化、怒りMAX
[装備]:ハルクパンツ@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:無し
[思考・状況]
基本:目につく奴、全員ぶっ潰す
1:目の前の二人、(一号とルーサー)殺す
[備考]
『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』終了直後からの参戦。
ハルク状態からブルース・バナーに戻る事はありません。
万が一戻ろうとすると、首輪が爆発します。

【ルーサー・ハーグリーブズ(No.1)@アンブレラ・アカデミー】
[状態]ダメージ・低、上半身裸
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:仮面ライダー一号と協力して怪物(ハルク)を倒す
2:アカデミーの兄弟達がいるなら合流する
[備考]
Netflixドラマ版シーズン1中盤からの参戦

【本郷猛(仮面ライダー一号)@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]健康、仮面ライダー(新一号)に変身中
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、参加者を救う
1:ルーサーと協力して怪人(ハルク)を倒す
2:他の仮面ライダーや知り合いがいるなら合流する
[備考]
『新仮面ライダーSPIRITS』での地獄大使との決戦直前からの参戦


931 : 『ヒト』であって『ヒト』でない者達 ◆4kMBNI9QkE :2021/04/11(日) 17:02:30 TWB9vVSc0
さて、そこから少し離れた草むら……

(仮面ライダー……それに、アンブレラ・アカデミーか……)

そこに小さな人影があった。

黄色の大きなボタンのついた赤い服を着用し、
首に自身の身長よりも長い黄色いマフラーを巻き、
口におしゃぶりを咥えた銀髪の赤ん坊だ。

彼の名はイワン・ウィスキー。
またの名をサイボーグ001。

外見こそ幼い赤ん坊だが、『電子頭脳』とあだ名される程の天才的知能とテレパシーや念動力を始めとする強力な超能力を持ったサイボーグである。

(それに、あの緑色の怪物……)

彼は先ほどから、ハルクと仮面ライダー一号とルーサー・ハーグリーブズの戦いを静かに眺めていた。

まるで研究室の科学者が、モルモットやマウスを観察するように。

(彼らもブラックゴーストのサイボーグ?それにこの会場は……)

イワンは並みの大人よりも賢い頭脳をフル回転させて考えを巡らせるが……
今の段階では答えを見いだすことはできなかった。

(……)

イワンは静かに三人の戦いを観察し続けるのであった。


【イワン・ウィスキー(001)@サイボーグ009】
[状態]:健康
[装備]:サイボーグ戦闘服@サイボーグ009
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:彼ら(ハルク、仮面ライダー、ルーサー・ハーグリーブズ)もブラックゴーストのサイボーグなのかな?
[備考]
平成アニメシリーズからの参戦。


932 : 『ヒト』であって『ヒト』でない者達 ◆4kMBNI9QkE :2021/04/11(日) 17:04:04 TWB9vVSc0
投下終了します


933 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/11(日) 22:02:17 9Nvk0ppM0
投下します


934 : 待ち人は─── ◆EPyDv9DKJs :2021/04/11(日) 22:05:32 9Nvk0ppM0
 石が無数に転がり、人が通れる道が用意されてない川沿いの道。
 平安京からは少し離れてしまっていて、まず道を探すのも一苦労な場所。
 建造物が並ぶ場所から離れた此処に佇む、紫がかかった黒髪を束ねる青年。
 柔和な顔つき、女性のような細身の体ではあるが、学ランから男性と言うことが伺える。
 殺し合いの舞台と言う割には『困った』とでも言いたげな何とも言えない表情。
 見てる側の緊張感を削がれるか、或いは苛立たせるのは想像に難くない。

(物凄い速度で約束を破ってしまった。)

 彼、蒔岡彰が最初に思ったのは此処に来る前に再会した藤堂悠奈のこと。
 一年の時を経て、死後の世界で再会した彼女と約束した。
 今度はずっとそばにいるからと、そう約束したと言うのに。
 よもや死んでも殺し合いに巻き込まれるとは思いもしなかった。
 事故と言う形だが、今度こそ許されないだろうなぁと苦笑を浮かべる。

(しかも首輪付きの殺し合いって、恐ろしく運がないんですね僕は。)

 この手の類とは二度目の関係だ。
 最初は人の仲を深め、そこから叩き落す悪魔のような殺し合いのゲーム。
 過酷な戦いの末に自分の死を、藤堂悠奈の生を選ぶことにした脱落者。
 死んでまた、しかも今度は仲を深めるファースト抜きでのセカンドステージ。
 二度も同じことをさせられる人間は、そうはいないのではないかと思えてくる。

(ひょっとして、死後の世界でもこういうのが流行ってるんでしょうか。)

 意外と死者の世界ではメジャーな遊びなのか。
 なんて彼女が聞けば突っ込まれそうな間抜けなことを考える。
 状況を分かってないかのようにも見えるが、ちゃんと理解してるほうだ。

「とにかく、あの時みたいに探しましょう。」

 現代では存在意義を失った実戦向けの剣術、蒔岡流剣術。
 確かにいつか使う時を想定して、自分の強さをずっと磨き続けてきた。
 だが殺し合いの為に使うつもりはない。使うならやはり人を守るときだ。

『アンタはアンタの想いを貫きなさい。それがきっと、ヒーローになるってことなんだから。』

 皆全員が死んでいる人間だとしても、そこだけは譲ることはできない。
 あの時みたいに理不尽に抗い誰かを助ける。最悪、自分が死ぬとしても。
 死んでる身で言うのもおかしな話だと苦笑を浮かべつつ彰は歩きだす。
 きっと、強さを磨き続けてきた意味がこれなのだと思いながら。

「あ、そういえば……」

 またPDAみたいなものがあって扱えなければ、
 此処にいないとしてもきっと悠奈にどやされてしまう。
 そう思ってデイバックを調べてみれば、案の定それはあったが……

(PDAじゃ……ない。)

 更にボタンなどが減ったタブレット。
 より洗練され平べったいそれに表情が固まる。
 彼の環境では携帯電話でさえ触れることがない。

「えっと電源ボタン……電源ボタンは何処ですか? と言うよりボタンは?」

 故に当然、タブレットはもっと分からないものだ。
 何処に電源ボタンがあるのか分からず、いろんな角度から眺める。
 使い方を知ってる人から見たら、変な人としか思えないような行動もする。

(うん。一度放っておきましょう。)

 少し時間が経ち、タブレットについてはあの時みたいに詳しい人に頼ろう。
 一旦見なかったことにして、爽やかな表情で赤い月を眺めて次の行動に移す。
 とりあえず今は殺し合い。特に今度は最初から仲間と言ったブレーキはなく、
 ソフィア以上にブレーキがない相手の可能性を考え、自衛手段だけでも確保したい。
 先ほどタブレットを出す際に武器らしいものも見つけたので、それを取り出す。

(これ、かなりの業物ですね。)

 禍々しいオーラを放っている、
 見るからに妖刀ですと言わんばかりの業物。
 幻覚と思って手をかざしたりすればそのオーラは本物だ。
 もし姉、蒔岡玲がこれを観たら妖刀村正と名付けそうだな。
 なんて考えながら付属の説明書があるので見てみると、

「って、本当に妖刀村正!?」

 この刀の名前が妖刀村正であることに驚かされる。
 名前だけ借りたとも思うがその場合オーラの説明をどうするべきか。
 どんな特殊な加工をしたって、こんな状態にはできないだろう。
 使って大丈夫なのかと思うが 殺し合いをさせるなら躊躇わせる意味はない。
 と言うよりも取り出すときに一度握ってしまったし、その時も別段悪い感じはなかった。
 今更疑うことでもないのと、彰にとっては刀が最も扱いやすい武器。
 一先ずこれを頼りに、今度こそ歩き出す。

(英吾さん達もいるんでしょうか。)


935 : 待ち人は─── ◆EPyDv9DKJs :2021/04/11(日) 22:06:21 9Nvk0ppM0
 死後の世界となれば生前ゲームを共にした英吾やソフィア、
 最悪のことを考えればあの貴信の存在もありうるだろう。
 特に貴信は危険だ。生死に拘らずただ誰かを理不尽に叩き落とす。
 そのためであれば自分の命ですら捨てられる、まさに生粋の狂人。
 表向きは乗らず、あの時みたいに集団に紛れ込んでる可能性もある。
 余り相手にしたくないので、いないことを願っておきたい。

「っと!」

 人が通る道に仕上がってるわけではない石だらけの道。
 大きめの石に足を引っかけて躓くのも無理もないことだ。
 怪我をしないよう咄嗟に左手を先に伸ばしてダメージを防ぐ。

「え?」

 同時に、転ぶ寸前の彼の位置を狙ったような貫手をする男が視線の隅に映る。
 かなりのスピードなので見間違いとも思ったが、水をバシャバシャと踏む音。
 姿勢を戻しながら刀を抜きつつ振り向けば、紛れもなく攻撃を仕掛けていた相手がいる。
 上はジャケットだけを羽織り、その下から生傷の目立つ鍛えられた筋肉が非常に目立つ。
 顔はヘルメットでよく見えないが、堅気の顔とは呼ぶには流石に無理のある風貌だ。
 肩の棘付きのパッドがより凶悪に相手を見せてくる。

「チッ、足場の所為で一瞬遅れたか。」

「……質問させてもらいます。今、殺そうと狙っていましたか。」

 向けられてる感情は何か分かっている。
 あの死線を生き抜いた彼には何か知っていた。
 これは軍服の男やソフィアも放っていた『殺意』や『殺気』だと。
 質問する意味は、はっきり言ってないに等しい。

「あ? 何を言ってるんだテメエは。
 殺し合って願い叶える以外にねえだろうが。」

 清々しい程に殺し合いに乗っている宣言。
 視線をくぐったからこそわかる。彼は絶対にこちら側にならない。
 貴信のように考えを改めることはない。撃たれてもその意思は揺るがない。
 当然だ。この男は悪行を重ね続けた伝承者争いに負けた男、ジャギなのだから。
 今更人を殺す行為に躊躇などないし、殺し合いの強要がなくてもする極悪の男だ。

 問答無用で殺しに来る。そう感じて僅かに距離を取りつつ構える。
 確かに素早い動きだ。優れた腕を持った人物でもなければたどり着けない領域。
 だが彰も、クロスボウを木の棒で払うことができるだけの反応速度を持つ。
 だから決して見切れない速度ではなく、彼を野放しにするわけにもいかない。

(でも、何故逃げない……?)

 迎え撃つことを考えるが、この状況で不審に思う。
 相手は素手でこちらは刀。明らかに間合いに有利不利が出ている。
 最初の攻撃は刀が見えてなかったから、と言えば襲うのもわかることだ。
 だがこうして真剣を抜いた。これが本物だということは分かってるはず。
 それでも逃げる気配がない。一体どういうことなのか。
 殺し合いは始まったばかりを考えれば負傷は避けたいはず。
 訝っているとジャギがすぐさま飛びかかる。

(な、空中に!)

 身動きが制限される場所に自ら飛び込む。
 余計に彼の行動が分からずにいると、

「北斗千手殺!!」

 無数の手刀が残像を残しながら迫りくる。
 ギリギリ目で追える、対処は可能……しかし、
 突きの隙間から飛んでくる数本の針。

(含み針!)

 武器を持ってるように見受けられず、少し油断していた。
 素手で挑んでくる違和感があったが、その正体はこれだ。
 反応が遅れて針は被弾するも、顔を逸らして瞼の下に刺さる。

「クッ!」

「っと。」


936 : 待ち人は─── ◆EPyDv9DKJs :2021/04/11(日) 22:07:03 9Nvk0ppM0
 失明は避けながら村正を振るう。
 子供が振るう速度とは思えず、思わず手を引っ込める。
 刀は彼の手袋をかすめはしたものの、ダメージには程遠い。
 この村正は攻撃速度を強化できる補正がある為、
 ただでさえクロスボウに対応できる速度に更に上乗せされた一撃。
 北斗の当て馬となった男でもある程度の見極めは出来る。

「チッ、あの状況で目を閉じず刀を振ってきやがるとはな。」

 普通眼を閉じてパニックになるだろうが。
 楽には仕留められずに舌打ちをする。

(目はやられてない、まだ大丈夫。
 でもいまのは運がよかっただけ。次は……)

 理不尽に抗う。その為に生前刃を振るった。
 だがこの状況は余り言いと言えるものではない。
 暗器を仕込んだということは、他に手の内があるのではと言う疑心暗鬼。
 どの立ち回りが最適なのか、動きを鈍らせてくるものだ。
 致命的ではないにせよお世辞にも頭がいいとは言えない彼では、
 打開する策をこの場で用意はできない。

「……ムカつく目をしやがって。」

 女みたいな華奢な身体の割に顔つきは男そのもの。
 力強く相手を見る眼差しは弟、ケンシロウに似ている。
 顔の傷が疼きだしよりケンシロウを、その眼をする彰に憎悪を募らせていく。

「とっとと───イテッ。」

 とどめを刺しに次の攻撃をしようとしたジャギに、
 背後から投擲された石がヘルメットにぶつかり間抜けな声を出す。
 他に参加者がいたのかと思って振り向けば、別の意味で思いもしない相手に言葉が出ない。

「……」

 ケンシロウか、トキか。
 なんて思いながら見れば、初見の感想は『地味』だ。
 立っていたのは、青い帯を額に巻いた道着姿の男性。
 逆立つ黒髪に笑みとは違う細目は確かに特徴的だが、全体的に地味な姿だ。
 振り向くような端正な顔立ちでも、一度見たら忘れないようなインパクトもなく。
 ある意味で究極の平凡とも言うべき、武道家らしい恰好をした存在がそこにいる。

「なんだぁ? テメエは。」

 返事の代わりに、彼の構えなのか。
 突き立てた人差し指と中指を自分の方へクイッと曲げる。
 言葉にするならば『かかってこい』とも言うべきサイン。

「だったらまずはテメーからだ! 貴様にこの南斗聖拳が見切れるかぁ!!」

 攻撃対象を変える寸前、
 踏み込みと同時に後方へ、彰へと小石を飛ばす。
 今度は十分な余裕があるので刀で難なく払うが、
 スキを突かれて貫手の突進を道着姿の男に行う。
 先ほどと同じように貫手、付け焼刃の南斗邪狼撃。
 いかに高速で対応ができる彰でも今からでは追いつけない。

「な!?」

 対する男は余りにも静かに。
 貫手が当たるギリギリで回避。
 ほぼ無駄のない流水のような動きで避けつつ、
 同時に派手さが欠片もないシンプルな掌底を、
 ジャギの露わになってる鳩尾へと叩き込む。

「ガッ!」

 一度にはとどまらず追加の掌底、

「バッ!」

 更に追加、三度目の掌底。

「バワッ!」

 三連打の掌底でジャギは大きく吹き飛び、派手な水音と共に川へと倒れる。
 川は浅く、少なくとも溺れるようなことはないだろう。
 倒れたジャギを尻目に道着の男は彰へと近づく。
 此処まで彼はまともな言葉を発しておらず、
 完全に味方なのかどうかも分からない状況。

「ありがとうございます!」

 助けてくれたのでいい人。短絡的な思考で礼を言う。
 彰とはこういう人物だ。素直で人を疑うことを基本的にしない。
 面食らったのかは分からないが、お礼の一言に相手は足を止める。

「礼は良い。早く逃げろ。」

「え?」


937 : 待ち人は─── ◆EPyDv9DKJs :2021/04/11(日) 22:10:19 9Nvk0ppM0
「手応えはあったが気絶はしてない。守りながら戦うのはできないぞ。」

 一人で戦う分には十分すぎる腕前はある。
 剣技はともかく格闘技に素人な彰から見てもわかるレベルだ。
 一方で範囲は狭く、誰かを庇いながら戦うには向いていない。
 自分と言う足枷があっては、かえって足手まといだろう。
 数の有利と言えど、軍服の男や貴信のときと状況が違っている。
 英吾によって銃の扱いを覚えた悠奈だから任せられただけで、
 お互いに近接、しかも此方だけ刀では連携を取るのは難しい。
 ましてや道着の男とは初対面。より難しいものとなる。

「お断りします。連携が無理でも、二対一は成立します。」

 次々と参加者の命が散って行き、最後は悠奈と二人になってしまった生前。
 彼は言う程ネガティブ思考ではないが、多くの人の死を見てきた。
 だから少し思ってしまう。彼と別れて、また会えるのかと言う不安。
 助けてくれた、名前も知らないこの人を置いて逃げていいのかと。

 それに数の利とは、何も積極的に戦うことが全てでもない。
 二人いるとき相手が警戒せざるを得ないプレッシャーは、
 決して捨て置けぬアドバンテージになるだろう。
 いつ割って入ってくるかの注意による精神的摩耗は、
 腕のある者同士ならより重要になる。

「悪いが俺は強い奴と戦いたいのもある。だから気にするな。」

「ですが……」

「それに待っているんだろ。ガールフレンド。」

「え?」

 突然の一言に間抜けな声が出てしまう。
 自分の素性をろくに話してないのに、なぜわかるのか。

「あの、何故それを?」

「俺も同じだからだ。ガールフレンドを待たせている。」

 見抜いたのは洞察力と言ったものでも、
 特殊な超能力と言うわけでもない。ただのシンパシー。
 彼は大切な人の為に戦った人だから分かったと言うだけのもの。

「だが、探しても彼女は未だに見つけられない。」

 ガールフレンドが悪者に攫われた。
 彼女を助けるために隠れ家へ辿り着くも姿はない。
 何処に行ったかは未だ分からず、彼はその子を探してる途中。
 彰に同じようにガールフレンドがいるというのであれば、
 自分のようにいつまでも相手を待たせたくなかった。

「お前はそうなるな。だから行け。」

 行けと言うのは単純な逃げろだけではない。
 この殺し合いのルールを破綻させて、彼女の所へ戻れ。
 そういう意味を含む言葉と共に、起き上がるジャギの方へと視線を向ける。
 細身のある身体はお世辞にも頼りがいがある姿とは言えない。
 だが何処か、共に行動しつづけた悠奈のような安心感がある。

「……わかりました! 武運を祈ります!」

 人を見つけ、あの時のようにゲームをクリアせずに生還する。
 彰はその場を全力で離れ、平安京の町の方へと向かう。
 人の心がないゲームを、今度こそ破綻させるために。

【蒔岡彰@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:顔に含み針の傷(目に支障なし、針は既に捨てた)、攻撃速度強化
[装備]:妖刀村正[改]@御城プロジェクト:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:悠奈さんのところへと戻る。クリアせずともいい脱出方法で。
1:同じ考えの人を探す。
2:悠奈さん、怒ってるだろうなぁ……
3:道着の人の救援もできればしたい。
[備考]
※参戦時期はZルートラスト、死後に悠奈と再会後です。





「やりやがったな……だが北斗神拳は二千年の歴史!
 テメエごときにこのジャギ様の北斗神拳は見切れまい!」

 掌を突き出し、親指だけを曲げた構え。
 ある意味ジャギの一番の技とも言うべき、北斗羅漢撃の構えだ。
 伝承者争いの時代とは言えラオウも一時は唸らせた技。
 どこの誰とも分からぬような奴に見切れるものではない。

「俺にはガールフレンドが、彼にも誰かがいる。だから負けるつもりはないぞ。」

 彰を少し見届けた後、先程と同じ地味な構えに入る道着の男。
 まだ見ぬ強い奴との戦いに燃える、どこかジャンキーな側面。
 そのビジュアルからは、少し想像しがたいようなものを秘める。


938 : 待ち人は─── ◆EPyDv9DKJs :2021/04/11(日) 22:11:11 9Nvk0ppM0
「ほざきやがれぇ〜〜〜!!」

 ジャギにはそんなものは既にない。
 北斗の当て馬とされ、全てが空回りした人生だ。
 いたといえばいたが、もはやそれはただの幻影にすぎない。
 もう彼を心から認めてくれた彼女はもういないのだから。

「二千年の歴史、確かに凄いが───」

 彼は平凡でありふれた物語かもしれない。
 見知った女の子が悪者に攫われただけの、よくある話。

「それでも、お前が勝つのは十年早いんだぞ。」

 だが、彼は無限の可能性を秘めている。
 あらゆる存在の原初となる、父にして母なる存在。
 人は彼をこう呼ぶ───










 ───カンフーマンと。

【ジャギ@北斗の拳】
[状態]:ダメージ(中)、ずぶぬれ、彰に対する苛立ち(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)、針×15@アカメが斬る!
[思考・状況]
基本方針:優勝して今度こそ返り咲く。
1:奴(カンフーマン)を倒す。
2:逃げた奴(彰)も倒す。
[備考]
※参戦時期は死亡前、極悪の華も反映されてます。

【カンフーマン@MUGEN】
[状態]:濡れてる
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:彼女を探しに元の世界へ戻る。ついでで強い相手に挑戦したい。
1:目の前の相手と勝負。
[備考]
※参戦時期はアーケードモードED後です。



【妖刀村正[改]@御城project:Re】
数多くの逸話を残す呪われし刀。その斬撃は、宛ら災禍の魔笛。
と説明には書かれているが、デメリットは全くもって存在しない。
攻撃速度の強化、僅かだが相手の防御力を下げる効果を持つ。
紫色のオーラが出ているが別に使用に関して問題がない。
なお、速度の強化だけで隙は短縮されないことには注意が必要。

【針×20@アカメが斬る!】
チェルシーが暗殺の際に用いる針のニ十本セット。
女の力でも急所を狙えば殺せる程度には鋭利だが、
帝具でも臣具でもないため本当に普通の代物。
ジャギはこれを含み針として隠し持っている。
そのうち五本は被弾した彰が川の何処かで処分した。


939 : ◆EPyDv9DKJs :2021/04/11(日) 22:11:42 9Nvk0ppM0
投下終了です


940 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/11(日) 22:36:01 snScIMrk0
投下します。


941 : 光と☆の邂逅 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/11(日) 22:38:10 snScIMrk0
5・4・3・2・1みんなのココロに〜♪

「ゆめアール♪」

☆彡 ☆彡 ☆彡

「へ?」
「のどかっち?あれれ?」

「ちゆちー?アスミン?」

「てか、さっきのマジ?」
マジであるーーーーー

「ちょちょちょ、殺し合いなんて私にできるわけないじゃん!」

まさかの展開にパニックになっている少女。
少女の名は平光ひなた。
気さくで明るい性格で誰とでもフレンドリーに接することができる中学二年生。

東京駅で行われているイベント「ゆめアール」を体験している最中に、急遽殺し合いという血みどろのイベントに参加させられたのだーーーーー

「そ…そうだ!このデイバッグに支給品があるって言ってたよね?」
ひなたは双子の言葉を思い出すと、せわしない様子でデイバッグの中身を調べる。
するとーーーーー

「あった!ヒーリングステッキにエレメントボトル!!これでプリキュアに変身することができる!!」
そう、平光ひなたは伝説の戦士プリキュアの力を持つ戦士の一人である。
しかし、その安堵は直ぐに消えることとなるーーーーー

「ニャトランハシキュウヒン」
「へ?」
ひなたの時が一瞬止まる。

「ニャトラン?またまた〜、ニャトランハシキュウヒンって機械みたいな喋り方しちゃって〜」
ひなたは冗談だと感じ、ヒーリングステッキに組み込まれているニャトランに話しかけるがーーーーー

「ニャトランハシキュウヒン」
「ニャ…ニャトラン?」
そんなーーーニャトラン……はッ!?

「ニャトランハシキュウヒン」
「嘘だよね?ニャトラン?」
もしかして……

「ニャトランハシキュウヒン」
「…」
流石にひなたも状況を理解する。惨酷な状況をーーーー

「許せない……ニャトランをこんな風にするなんて……めっちゃ許せないッ!!」
ひなたは肩を震わせるーーーーー

大切なパートナーをこのようにされて黙っていられるひなたではないーーーーー

「絶対にあんたたちを懲らしめてニャトランを元に戻してもらうんだからッ!!」
それは、ひなたのメフィスとフェレスに対する宣戦布告ーーーーー

「HEY!そこのJapanesegirl?ちょっといいかい?」

「へ?」

【平光ひなた@ヒーリングっど♥プリキュア 】
[状態]:健康
[装備]:ヒーリングステッキ・エレメントボトル
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:ニャトランを元に戻す!メフィスとフェレスを許さない!
1:え〜と、どちらさま?
2:ニャトラン……私が必ず元に戻すから!
[備考]
※参戦時期は映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!での出来事中
※ニャトランはヒーリングステッキに最初から埋め込まれておる

【ヒーリングステッキ@ヒーリングっど♥プリキュア】
プリキュアに変身する際に使用するステッキ型のアイテム。
真ん中のハート部分にパートナーのヒーリングアニマルが装着された後、エレメントボトルをはめることで変身したり、武器としてエレメント技を使用し、光線や光弾を放つことが可能。
今回はメフィスとフェレスにより、パートナーのニャトランが初めから装着されている。
なお、ニャトランの意識は双子により封印されており、機械音のようにしか喋れない。……おのれ!メフィスとフェレス!!

【エレメントボトル@ヒーリングっど♥プリキュア】
エレメントさんの力が宿ったボトル型のアイテム。ヒーリングステッキ等にはめることで変身したりエレメント技を使うことが可能。
支給されたのは「光」のエレメントボトル。


942 : 光と☆の邂逅 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/11(日) 22:39:09 snScIMrk0
☆彡 ☆彡 ☆彡

「おいおい…悪夢か」
紅き血染めの月を眺める金髪の長髪を一本にまとめた男ーーーーー

男の名はテリー・ボガード。
世界中を旅するフリーターだが、格闘家の顔を持っているーーーーー

テリーは義父のジェフの命を奪ったサウスタウンの支配者ギースにより殺害され、そのツケを払わせるためにギースの主催するキングオブファイターズ に殴り込みをした。

激闘の果てにテリーは因縁のギースに勝利することができ、ギースが高層ビルに落ちていったのを見届けた瞬間、テリーはメフィスとフェレスなる双子に誘われたのだ。

「大方、殺し合いで金儲けを企んでいるゲス野郎達の企みなんだろーな」
闘いを賭けにする闇のギャンブルはそう珍しくもない。
メフィスとフェレスはそんな連中なのだろうとテリーは推測する。

「あんな、少女をぶっ殺して強要するような奴らは絶対にゆるせねぇ」
テリーの瞳に怒りの炎が灯るーーーーーすると。

「絶対にあんたたちを懲らしめてニャトランを元に戻してもらうんだからッ!!」
声が聞こえたーーーーー

「お?あれは…Japanesegirl?」
テリーの耳に聞こえた声の正体は日本の女学生のようだ。

(へぇ……根性あるな……)
殺し合いをさせられる状況において泣き騒ぐじゃなく自分と同じように反発の言葉ーーーテリーはその少女に好感を持ったーーーーー

「とりあえず、情報交換をするか……」
テリーはその女学生に近づくとーーーーー

「HEY!そこのJapanesegirl?ちょっといいかい?」

「へ?」

輝く☆のマークを背負う男は光のプリキュアと邂逅するーーーーー

【テリー・ボガード@餓狼伝説 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスにツケを支払わせる
1:目の前のJapanesegirlと情報交換をする
2:首輪をどうにかして外す方法を考える
[備考]
※参戦時期はギースに勝利した直後


943 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/11(日) 22:39:31 snScIMrk0
投下終了しますが続けて投下します。


944 : ケーッケッケッ! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/11(日) 22:40:04 snScIMrk0
「ケーッケッケッ! 」

【カルラ@新桃太郎伝説 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:表向きは殺し合いの打倒。真の目的は優勝
1:参加者と協力する(最後は始末して優勝)
2:始末できるときは始末する。
[備考]
※参戦時期はアジャセ王子の血を飲む前


945 : ケーッケッケッ! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/11(日) 22:40:20 snScIMrk0
投下終了します。


946 : 名無しさん :2021/04/12(月) 00:33:58 pvnMtkB20
不幸・・・!!圧倒的不幸・・・!!

今、ある男はカジノ経営所の前に来ている

その男はグラサンをしていて貧相な茶色の羽織を着ているいかにも貧乏そうな男だった。
そう、身体の説明書にもそう書かれていた。

とても不幸な貧乏人で日々を段ボールで過ごしている。まるでダメな男、略してマダオと呼ばれていると、

・・・読んでいる男はとても共感していた。涙まで流している。理由はシンプルである。

(この人も・・・俺と同じ苦しみを味わってきたんだなぁ・・・!!)

そう、今中にある魂は伊藤開司、マダオと同じく生粋のお人好しなダメ男である。
彼もまた碌に働けないギャンブル中毒者である。

(・・・いや、同情して泣いている場合じゃねぇ、このままだと俺とこの長谷川さんも二人そろってお陀仏だ・・・!!俺が生き延びなくちゃな!!)

カイジは改めて誰も殺さずに生き残るのを誓う。主催者へこの殺し合いにより命を弄ぼうとしている事に対して怒りを抱きながら

(にしても開始地点がギャンブル場ってそれぞれの人に関係するところへワープさせているのか?・・・ん?)

足音が聞こえた、その足音に反応して振り返って見ると・・・

巨乳・・・!!圧倒的巨乳・・・!!

すらりとくびれたウエスト、オレンジ色の長いウェーブの髪、美しい顔、そして何より隠さずに堂々とビキニで包みながらも揺れている乳・・・!!

カイジは慌てて己の息子を鎮める事に全力を出していると・・・声をかけられた

「・・・お前、誰アルか?」



「やっぱりマダオの中にはマダオが入る運命だったってことアルな、プッ、笑えてくるアル」

「・・・神楽だっけ?俺凄く傷つくからそういうのやめてくれ・・・!!」
話しかけてきた女の名前は神楽、身体は麦わら一味のナミという女だったらしい

「いや、良かったアルなお前は、私なんかひ弱なボディでその癖にこんなにデカすぎる胸を背負わされてしまったアル。ペッタンは嫌だったけど流石にこれはデカすぎアル、ツッキーの気持ちが分かる気がするアル」
確かにデカい、ここまで大きいのは生では一度も見たことがない

「オマケにこんな棍棒を持たされてしまったネ、凄い脆そうな棍棒を」

武器として支給されていたのは魔法の天候棒、本来使いこなす人によっては魔法のように魔法を操れるが・・・使用者は天気についてはド素人の神楽である為碌に使えそうにない

「アンタはこれからどうするつもりだ?」
「・・・こんな殺し合い、許す訳にはいかないアル、絶対止めてみせるつもりネ

神楽は強く断言する。夜兎の血による殺人衝動にも抗った少女だ、この殺し合いにも当然抗うつもりだ、だが・・・

「そのための戦いにこの体が持ちこたえられるのか凄く不安アル・・・」
「・・・そうか、だったらこれやるよ」
「え?」

神楽に投げ渡された武器、それはモナドと言われる大きな剣だった

「何でもその剣は自分の身体能力を自在に変えれるらしい、今のお前には最も必要なもんだろ」
「・・・本当に良いアルか?」
「ああ、お前は信頼できる気がする、お前と話していると俺の仲間を思い出すしな」

カイジの今の仲間の一人にマリオという人間がいた。彼と今話している女の口癖はとても似ていた。それもまた親近感を抱かしていた。
「・・・お人好しなところまでそっくりアルな」
「言われ慣れてるよ、お人好しの言葉はな」

神楽は微笑みながら受け取りながらも悪い気持ちはしなかった。

「じゃあそろそろ」

ドスン

ふと気が付くととてつもない足音が聞こえた

その足音はだんだんと近づいてくる。そして後ろを振り向いてその足音の正体を見た。その時に出た感想は・・・

巨大・・・!!圧倒的巨大・・・!!

見た二人は唖然とせざる終えなかった。長髪の巨人が今こっちを向いて走ってきているのだ。
たまらず二人は猛ダッシュで逃げだすがそれを後ろから呼び止めてくる男がいた。

「その子を止めて!!早く!!」

「「え?」」

筋肉・・・!!圧倒的筋肉・・・!!

10tと書かれたハンマーを持ちながら呼びかけてきた男、いやセーラー服を着ているから女なのか・・・?を見た感想で即座に浮かんだものだった

「自己紹介遅れたわね!!私の名前はニコ・ロビン、身体は大神さくら、私も一瞬信じられなかったけど女なのよこの身体!!そして彼は広瀬康一、身体はエレンイェーガー!!身体が傷つくと巨人化する能力を持っているのよ!!情報交換中に検証をしてみたら制御できなくなってしまったのよ!!お願い、止めるのに協力して!!」

「「えええええええええ!?」」

果たして三人は本当に巨人を止める事が出来るのか?


947 : pvnMtkB20 :2021/04/12(月) 00:34:42 pvnMtkB20
【伊東開司@賭博堕天録カイジ】
[身体]:長谷川泰三@銀魂
[状態]:健康
[装備]:何かの銃、種類は後続に任せます
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、サイコロ六つ
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らず生き残る
1:無理だろっ・・・!!今の装備では・・・!!
2:他に戻す方法載ってないのかよ!?
3:というか巨人!?ありえないだろそんな存在普通!?

時系列は24億手に入れてキャンピングカー手に入れてそこで寝ている時です


【神楽@銀魂】
[身体]:ナミ@ONEPIECE
[状態]:健康
[装備]:魔法の天候棒、モナド(スマブラバージョン)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:殺し合いなんてぶっ壊してみせるネ
1:元の体だったら楽だったのかもしれないけど・・・!!いや、やるしかないアルな!!
2:とりあえず止めたら何か食べたいアル、お腹すいたネ
3:銀ちゃん、新八、姉御、来ていないでいて欲しいアル・・・

時系列は将軍暗殺編直前です

【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険、ダイヤモンドは砕けない】
[身体]:エレンイェーガー@進撃の巨人
[状態]:健康
[装備]:今は持っていない
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3←全部ロビンが回収しています
[思考・状況]基本方針:こんな殺し合い認めない←現在暴走中
1:うがああああああああああああああああ!!

時系列は第4部完結後です。故に霊波紋エコーズはAct1、2、3、全て自由に切り替え出来ます。

【ニコ・ロビン@ONEPIECE】
[身体]:大神さくら@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生
[状態]:健康
[装備]:10tと書かれた巨大なハリボテハンマー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いなんて許さない!!
1:早く康一君を止めなくては・・・!!
2:ナミの身体・・・誰が入ってるのかしら?一人で行動していない人だからいい人だと思うけど・・・
3:このハリボテ脅すつもりで持ってたけどやっぱり邪魔ね
4:こんなに動きやすいのはオハラにいたころぐらいかしら?体が軽い

時系列はちょうど二年後に麦わら一味に合流した後です。

服装は全員普段着です。悪魔の実は肉体依存なのでロビンは能力が使えませんが康一の霊波紋は精神依存なので使えます


948 : pvnMtkB20 :2021/04/12(月) 00:35:28 pvnMtkB20
・・・ごめんなさい、チェンジと投下間違えました、なかった事にしてください


949 : 名無しさん :2021/04/12(月) 10:02:45 GAL/VCQM0
wiki収録してたら>>889>>656とタイトル被ってるのに気付いたので、可能でしたらタイトル変更お願いします


950 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/12(月) 10:19:36 rfDVAdbY0
見落としていました……
申し訳ございません。
タイトルを889の「悪魔」を「悪魔は何度も蘇る」に変更いたします。
ご指摘ありがとうございます。


951 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/12(月) 15:47:36 rfDVAdbY0
投下します。


952 : 青春ラブストーリーはバトロワへ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/12(月) 15:48:35 rfDVAdbY0
「転勤?海外?なんだよ。なんだよ!それっ!!」

走るーーー走るーーー走る。

「ほんとにそれでいのかよ」

少年は走るーーーーー

「毎朝1番にきて、誰よりも練習してあんなに悔しいって感情も持っているのに」

伝えるためにーーーーー

「その気持ちも今までの努力も目標もチームメイトも全部、全部ーーここに置いていけんのかよ」

好きな人にインターハイを目指してほしいとーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……は?」
唖然とした表情で平安京に佇む少年。

少年の名は猪股大喜。
バトミントン部所属の中学3年生。

彼は、好きである、鹿野千夏先輩に転勤してほしくない一心で、練習しているであろう体育館へ突っ走っていたはずだった。

「殺し合い?嘘だろ?ここで死んだら、俺は先輩に……」
メフィスとフェレスなる双子が宣言した殺し合い。
TVのドッキリに巻き込まれた?と思うが、周囲は明らかに自分の住む地域ではないことに大喜は気づく。

「ふざけんなよ!俺は先輩に伝えなきゃいけないことがあるんだ」
大気に沸き上がる感情は恐怖や怒りよりも焦りーーーーー

「先輩ッ!!!」
紅き血染めの月の平安京を大喜は突っ走るーーー

心弾み、気持ち跳ねる青春部活ラブストーリーはーーー

「さぁ、楽しい楽しい殺し合い、みんなみんな殺し合う。あははははっ」
「では始めようかのう……天国でも地獄でもない場所での、生き残りを賭けたゲームを」

バトルロワイアルへと変貌するーーーーー

【猪股大喜@アオのハコ 】
[状態]:健康 焦り
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:先輩の下へ帰る
1:とにかく、他の参加者と接触するため突っ走る
2:千夏先輩につたえたいことがあるんだ!
[備考]
※参戦時期は1話千夏の転勤を知り、体育館へ向かって走っている最中

☆彡 ☆彡 ☆彡


953 : 青春ラブストーリーはバトロワへ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/12(月) 15:48:55 rfDVAdbY0
「どういうこと……?」
(私、体育館で一人バスケの練習をしていたはず……)

(殺し合い?…嘘だよね!?)
少女の想いとは裏腹に紅き血染めの月が肯定するかの如く紅く紅く闇を輝かしている。

「とにかく……誰か他の参加者と接触してみなきゃ」

少女は大喜とは別の方向へ走るーーーーー

そう「青春ラブストーリー」には「相手」が必要ーーーーー

「青春ラブストーリー」は「殺し合う」の中、どう結末を迎えるのかーーーーー

【鹿野千夏@アオのハコ 】
[状態]:健康  
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰る
1:他の参加者と接触して情報交換をする
[備考]
※参戦時期は1話転勤が決まり、体育館で一人練習している最中


954 : 青春ラブストーリーはバトロワへ ◆s5tC4j7VZY :2021/04/12(月) 15:49:08 rfDVAdbY0
投下終了します。


955 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/13(火) 00:07:17 kp1LFyvQ0
代理投下します


956 : 剣に生き剣に死す ◆2dNHP51a3Y :2021/04/13(火) 00:07:39 kp1LFyvQ0
一方的に勝ってきた。
骸骨の騎士にとって、それは自負だ。
右手に携えた大剣は幾多の魔獣を斬ってきた。
左手に携えた鉄球は幾多の機械を潰してきた。

つまらない。
骸骨の騎士にとって、その言葉は賞賛だ。
幾多の戦場で一方的な戦果を上げ、死を司る覇王より受けた言葉。
如何なる戦場であれ、出るだけで勝利が決まる『つまらんやつ』。
王からは、いつしかそう呼ばれるようになった。
蔑称だとは思わない。これは勲章だ。
全ては王の為に。その為に剣を振るえるならば、なんと言われようと構わない。

いつの日か、この言葉は呪いに変わった。
騎士はいつの間にか、戦いを面白いと思わなくなった。
どれだけ王の為に勝利を捧げても、胸にあるのは空虚感。
自分に勝てる相手が居ない。騎士は満たされない。
戦いとはつまらんもの。いつしかそう思うようになった。

突如として放り出された、この地においても骸骨騎士がやることは変わらない。
殺し合いも普段の戦場と一緒だ、一方的に勝つに決まっている。
優勝して叶えたい願いは無い、強いて言えば強者との戦い。
望むものは本気の決闘<デュエル>。ただそれだけ。

その願いはすぐに叶えられることになる。


957 : 剣に生き剣に死す ◆2dNHP51a3Y :2021/04/13(火) 00:07:56 kp1LFyvQ0
○○○


「……参る」

一歩。
剣を構える。
乾いた音が響く。
それが決闘の始まり。

十数メートルもある騎士の巨体から見れば、相手の剣豪は蟻も同然である。
普通に考えて勝負自体が成立しない大きさ。余りにハンデが有り過ぎる。
にもかかわらず、目の前の男はむしろ上等とばかりにグッグッと笑っている。

蛙のような目をギョロリと向け、真っ直ぐに騎士を見据える。
良き目であった。かつて騎士が戦場を共にした呪縛の剣豪と同じ目をしていた。
幾多の修羅場を抜けた者の目をしている。彼ならばこの胸の渇きを癒せるかもしれない。
激しい戦闘の最中、それを願った。

「……貴様が剣を振るう理由は、何だ」
「あァ?楽しいからに決まってンだろ」
「……面白い」

その感情は久しぶりだった。
ずっと、つまらないと思っていた行為に光が指した。
冷めきった心に淡い期待が湧き上がる。
この男ならば、と。

「そんなモンじゃねェだろデカブツ、本気で来い。手ェ抜いてんじゃねえ」
「……承った」
「ウィ」

騎士は最高の相手に、最大の礼儀で、最強の技で答える。
それは、今まで殺してきた二十の命を剣に宿し相手を打ち滅ぼす秘技。
呪縛が羽の形を得て、騎士の巨体が宙に浮く。
恐怖を与える姿に、神々しさすら感じるその姿はまるで悪魔。
いや、『悪魔神』と呼ぶべきか。

真っ赤なソラが黒く染まった。
空が割れる。炎が舞う。
風が鳴る。雷鳴が轟く。大地が壊れる。
災害と言っても過言では無い。
構えるだけで災厄を引き起こすだけのエネルギー。

それだけの力は、ただ目の前の男を倒すためのもの。
抑えられぬ剣気は稲妻として地を駆け巡り、平安京の町並みを更地へと変える。
これまでその斬撃を受けて生き残った者は居ない。
もはや戦いとも呼べぬ、一方的な蹂躙。

それを放てば、後には何も残らない。
残るものは空しい勝利。それだけだった。
――――そうなるはずだった。

「“無刀取り”」

如何なる技といえど、当たらねばその身は安泰である。
技が放たれんといったその瞬間に、剣豪が選択したのは、跳躍。
宙を舞う瓦礫を飛び石の如く渡っていき、最後に弾丸のように、跳ねた。

「見えたぜ、オメェの命」

刹那。今まさに斬撃が放たれるその瞬間。
剣豪は敵の懐に入り込み。その目は致死の急所を捉える。
四本の脚で支えねばならぬ程に巨大な骸骨騎士の身体。
背骨に切れ込みを入れれば、その巨体はそのまま負荷となる。
そして、高威力の技は放つ側にも反動の大きいもの。
振りかざさんとしていた斬撃の瞬間を狙うことで、カウンターとなりその効果は増した。
剣豪の一撃は、容易く騎士の身体を両断した。

果たして、このような芸当が人の身で可能であろうか?
出来る、出来るのだ。
伝説を単なる事実へと落とす逸脱者なら。
あまりに規格外故に世界を追い出された、地球最後の柳生なら。
彼方より来た客人。柳の剣のソウジロウならば。

騎士にとって初めての敗北であった。
しかし、胸にあるものは高揚感。
全てを出し尽くした上での敗北。飢えは満たされた。
見事だ。もう満足だ。自らを下した者は何を言うだろう。
薄れゆく意識の中、それだけは聞き逃さんとした。


「……"面白かった"ぜ」


【暗黒の騎士ザガーン@デュエル・マスターズ 死亡】


958 : 剣に生き剣に死す ◆2dNHP51a3Y :2021/04/13(火) 00:08:24 kp1LFyvQ0
【柳の剣のソウジロウ@異修羅】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:青銅の剣@ファイアーエムブレム 覚醒
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:殺し合い?強い奴が居るなら何でもいい
1:次はもっと面白い相手だ
[備考]
※参戦時期は少なくても第二部開始以降です。

※近くに基本支給品、ランダム支給品0〜2、暗黒の騎士ザガーンの大剣@デュエル・マスターズが落ちています
※戦闘の余波でソウジロウ達の居たエリアが壊滅しました。

【支給品紹介】
【青銅の剣@ファイアーエムブレム 覚醒】
柳の剣のソウジロウに支給。
店売りの武器の中で最も安価な剣。
威力は低く、木の枝を振り回すより少し上な程度。
そのぶん、命中率と耐久性が優れており、状況次第では活用出来る。
スマブラで武器の使用回数が切れたルフレが使う剣でお馴染み。

【暗黒の騎士ザガーンの大剣@デュエル・マスターズ】
暗黒の騎士ザガーンに支給。
イラストでザガーン様が持ってるめっちゃ大きい剣。


959 : ◆2dNHP51a3Y :2021/04/13(火) 00:08:37 kp1LFyvQ0
代理投下しました


960 : ◆4kMBNI9QkE :2021/04/13(火) 15:32:49 Kr5kfkVQ0
投下させていただきます。
以前、コンペロワに投下したものを一部修正したものになります。


961 : 勧誘のしつこいセールスマン ◆4kMBNI9QkE :2021/04/13(火) 15:34:30 Kr5kfkVQ0
「ねぇ君達、僕と契約して魔法少女になってよ!」
「……興味ない」
「……同じく」

デイバックの中から突然現れたネコとウサギを合わせたようなファンシーな見た目をした白い生き物からの誘いを、
黄色い大きなボタンの付いた赤い服を着た銀髪の白人男性・・・ゼロゼロナンバーサイボーグの『004』ことアルベルト・ハインリッヒと
赤と青の2色で彩色されたクモの巣模様の全身タイツ姿をした中年白人男性・・・スパイダーマンことピーター・B・パーカーの二人は即座に拒否した。

「というか……そもそも俺達は『男』だし、『大人』だぞ?」
「そうそう。『大人の男』じゃ『魔法使い』にはなれても、『魔法少女』にはなれないだろうが?」
「……まぁ、確かに『いつもなら』そうなんだけどね」

ハインリッヒとピーターからの真っ当な意見に、『キュゥべぇ』と名乗る白いファンシーな生き物も一度は同意するが、気にせずに話を続けていった。

「でも、この『催し』の主催者の協力で、この会場内に限り、性別や年齢に関係無く誰とでも魔法少女の契約ができるようになっているのさ。そういう訳だから、僕と契約して魔法少女になってよ!」
「……だから、興味ないって言ってるだろうが」
「もう行こうぜ。付き合ってられねぇーよ」

ピーターとハインリッヒはキュゥべぇの言葉にあきれ果て、支給されたデイバッグを担いで移動を開始した……が、キュゥべぇもその後をとことこと付いていった。

「まぁ待ってよ。魔法少女になれば普通の人間以上の力が手に入るんだ。ここは『殺し合いの場』だろう?他の参加者よりも優位に立てると思うよ」
「間に合ってるよ。俺はサイボーグなんでね」
「俺なんか、放射性の蜘蛛に噛まれてから、20年もスーパーヒーローやってんだぜ?」
「魔法少女の契約を結ぶと、どんな『願い』でも叶える事ができるんだ。あ、でも『殺し合いを無かった事にしたい』とか『会場から脱出したい』っていう願いはダメだよ。主催者側との契約で、その手の願いは叶えられない事になっているんだよ」
『それじゃ意味無いだろうが……』
「まあまあそう言わず、僕と契約して魔法少女になってよ!」
『……』

しつこく魔法少女になるよう勧誘してくるキュゥべぇに、ハインリッヒもピーターもだんだんイライラしていった。
しばらくして、ハインリッヒとピーターは足を止めた。

「……なぁ」
「あ、契約する気になったのかい?」

……ピーターはキュゥべぇに向けて手首から一筋の蜘蛛糸を発射し、キュゥべぇの足を地面に接着したのだった。

「あ」
「……それじゃあな」
「糸は2時間で消えるからなぁ〜」

身動きのとれなくなったキュゥべぇを残し、二人は去っていったのだった。

「……わけがわからないよ。どうして『殺し合い』に勝つ為のパワーアップを拒否するんだい?」

ハインリッヒとピーターの行動が理解できず、キュゥべぇは首を傾げた。


そうしてしばらくじっとしていると……また別の参加者が通りがかったのでキュゥべぇは営業スマイルを浮かべる。

「やぁ、僕はキュゥべぇ。早速で悪いけど、僕と契約して魔法少女になってよ!」


962 : 勧誘のしつこいセールスマン ◆4kMBNI9QkE :2021/04/13(火) 15:35:47 Kr5kfkVQ0
【アルベルト・ハインリッヒ(004)@サイボーグ009】
[状態]:健康、少し苛立ち
[装備]:サイボーグ戦闘服@サイボーグ009
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:魔法少女?ヤダよ
2:ピーターと共に仲間を集める
3:ゼロゼロナンバーサイボーグの仲間がいるなら合流する
[備考]
平成テレビシリーズからの参戦。
キュゥべぇ@魔法少女まどか☆マギカシリーズは彼の支給品です。

【ピーター・B・パーカー(スパイダーマン)@スパイダーマン:スパイダーバース】
[状態]:健康、少し苛立ち
[装備]:スパイダーマンのコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバース、ウェブシューター@スパイダーマン:スパイダーバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:魔法少女?ざけんな
2:ハインリッヒと共に仲間を集める
3:他のスパイダーマンがいるなら合流する
[備考]
本編終了後からの参戦。
ウェブシューターはコスチュームの付属品です。

【キュゥべぇ@魔法少女まどか☆マギカシリーズ】
アルベルト・ハインリヒ(004)に支給。
言わずと知れたインキュベーター。
このロワにおいては年齢・性別・種族を問わず『参加者』であれば誰でも視認でき、才能があると判断すれば男性であっても魔法少女の契約を結ぼうとしてくる。
キュゥべぇと魔法少女の契約を結ぶと、魔法少女になれるだけでなく『願い』を一つ叶えられるのだが、このロワ中は『殺し合いの打破』、『会場からの脱出』などのロワの根幹に関わるような願いは叶えられない。
そして、魔法少女となった者が最終的にどうなるかは・・・ウィキペディアを参照のこと。

現在、会場内のどこかで身動き不可能になっている。


963 : ◆4kMBNI9QkE :2021/04/13(火) 15:36:40 Kr5kfkVQ0
投下終了します。


964 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/13(火) 22:15:05 1i/En7UA0
投下をします。


965 : 恐怖!赤い平安京に呼ばれた魔王! ◆0EF5jS/gKA :2021/04/13(火) 22:18:21 1i/En7UA0
「どうしたことか!いったい何の理由があってこんな催しに呼ばれてしまったのか!」
催しに驚愕している宇宙人がいた。
宇宙人はジュラル星人という地球外生命体にして
そのジュラル星人の長である魔王と呼称される者である。
「あの小娘たちはなんの目的があってこんなことを…意図がわからん。うーむ、あるとすれば殺し合いの中でもがく者たちを見て優越感に浸ることぐらいか…?」
魔王は主催の小娘たちの目的を考察したが全く分からない。
いったい奴らは何のメリットがあって殺し合いの主催者となったのか?
もがく者たちを見て楽しむぐらいしかないだろうと思ったようだ。
「優勝者にはどんな願いも叶うとは言ったが…」
どんな願いも叶えるとは言っていたもののかなり怪しい、
まず主催者が優勝者の願いをかなえる方法は何か、
おいしいものをたらふく食べたいやお金持ちになりたいなどといった願いのような
比較的シンプルかつ簡単なのはたやすく叶えられると思うが、
ジュラル星人の最大目標である地球制服などの壮大な目的を
たかが小娘ごときが叶えられるとはとてもではないが思えなかった。
本当にどんな願いでも叶えられるとすれば
あの主催者はまさか文字通りあらゆる願いをかなえるほどの超越的な技術力、
ましてや我らジュラル星人すらも圧倒するほどの技術力を備えているというのか。
「悩ましいものだ、あの義理人情の欠片もなさそうな者が約束を守るとは思えん…ようし!」
魔王は悩んだ、優勝することで本当に願いが叶うのならば
悲願である地球征服を願うところだが…
「やることは決まった!殺し合いを打破し、少しでも早く元の世界に戻らねばならん!」
魔王は決意した、仮に優勝しても反故にされ命を奪われることを考えると
殺し合いを崩壊させてこの赤き平安京から脱出した方がましであると考えたのだ。
「そうと決まればいってみよう!憎きチャージマン研も、もしいれば協力してもらうとしよう!」
ジュラル星人たちは以前に侵略対象の地球を
アイアン星という小惑星から守護するためにチャージマン研と協力したことがある。
その時のようにチャージマン研と協力できれば
宿敵とはいえ頼もしい味方に一時的になると踏んだのだ。

地球侵略を企てる異星人の長の殺し合い崩壊作戦が今始まった。

【ジュラルの魔王@チャージマン研!】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:帰還優先の対主催。
1:殺し合いを崩壊させ脱出する。
2:共に戦える協力者を探す。
[備考]
※参戦時期は少なくとも11話の「地球を守れ!」の後です。


966 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/13(火) 22:20:07 1i/En7UA0
投下は以上です。
今回のssは妄想ロワの変身する女性・少女ロワの
ジュラルの魔王を参考にして書かせていただきました。


967 : 名無しさん :2021/04/13(火) 22:55:58 M/BFucPs0
外部に妄想ロワの話を出すのは控えた方が良いですよ


968 : ◆0EF5jS/gKA :2021/04/13(火) 23:08:14 1i/En7UA0
わかりました、以後気をつけます。
申し訳ありませんでした。


969 : ◆4kMBNI9QkE :2021/04/14(水) 08:54:35 4eH5jpnU0
投下させていただきます。
以前、コンペロワに投下した作品を一部修正し、タイトルを変更したものになります


970 : ヒーローはピンチの時に駆けつける ◆4kMBNI9QkE :2021/04/14(水) 08:55:22 4eH5jpnU0
「ハァ……ハァ……」
「フフフ……どうした少年?君の力はその程度か?」

薄暗い森の中、民族衣装的な服を着た黄土色の髪の少年……ユーノ・スクライアは、
黒いドクロを思わせる仮面にマントを装着した野太い声の人物……スカールと対峙していた。

ユーノの体には数えきれない程の傷が刻まれており、左手で押さえている右上腕からは赤い血が流れ出している。
一方、スカールは全くの無傷であり、満身創痍なユーノを嘲笑うかのように両腕を広げて大げさな笑い声を放っていた。

「……」

ユーノは自身の背後に視線を向ける。

「あ……あ……」

そこには左右の髪に×形の髪飾りを着けた制服姿の少女……ゆのが、涙目を浮かべながら地面にヘタリ込んでいたのだった。

☆☆☆

キッカケは些細なことだった。
『殺し合い』の会場である平安京に送られてすぐに、ユーノとゆのは出会った。
最初はお互い警戒していたものの、相手が殺し合いに乗るつもりがない事を知ると、互いの名前が似ていた事も合わさってすぐに打ち解けあった。
そして、詳しい情報交換を行うとした所に……スカールが現れたのだ。

スカールは二人との対話を行う事無く、問答無用で攻撃を開始した。
最初こそ、ユーノの使う防御魔法や拘束魔法によってスカールの攻撃を防いだ二人だったが、スカールはユーノが魔法を使う事を知ると二人の目には止まらぬ程の超スピードでユーノを翻弄し、まるでサンドバッグを殴るようにユーノに攻撃を加えていったのだ。

そして話は冒頭に戻る。


971 : ヒーローはピンチの時に駆けつける ◆4kMBNI9QkE :2021/04/14(水) 08:56:19 4eH5jpnU0
☆☆☆

「ハァ……ハァ……」

ユーノは口から荒い息を漏らしながら、背後にいるゆのを守るようにスカールに向かい合っていた。

「……チェーン・バインド!」

ユーノの叫びと共に空中から緑色に光る魔力の鎖が出現し、スカールに向かっていく。

「……ふん」

しかし、鎖が届こうとした瞬間にスカールの姿は煙のように消え……

「……遅いな」
「!?」

……まるで瞬間移動したかのようにユーノの眼前に姿を現し、ユーノの腹部に膝蹴りを叩き込んだのだ!

「ぐあっ!?」

ユーノの体はまるでサッカーボールのように吹き飛ばされ、地面に転がった。

「・・・ユーノ君!」

慌てゆのは、地面にうずくまっているユーノに駆け寄った。

「ハァ……ハァ……」

ユーノは膝蹴りを叩き込まれた腹部に左手を当て、荒い息を漏らしていた。

ユーノの目はもはや焦点も定まっておらず、右上腕の出血と合わさって誰が見ても限界だった。

「ゆ、ゆのさん……逃げ、て……」

自身がもう限界だというのに、ユーノは自分ではなく知り合ったばかりのゆのの安否を気にしていた。
しかし……

「そんなの……そんなの出来ないよ!」

ゆのには己の身も省みずに自分を守ろうとしている少年を見捨てる事など出来ず……服が血で汚れる事も気にせずに、傷だらけのユーノを抱き締めた。

「ハハハ!美しい友情だな」

その様子を見ていたスカールは、ゆのとユーノを小馬鹿にするように呟くと、
自身のデイバッグに手を入れた。
デイバッグから出てきたスカールの手には、まるでSF映画に出てくる光線銃をライフルにしたような物が握られていた。
太く銀色の銃身が月の光に照らされて、怪しく輝いていた。

「さて……ではトドメといくか」

スカールはその手に握る光線銃の銃口をユーノとゆのに向ける。

「!」

ゆのはせめてもの抵抗とばかりにスカールを睨むが、スカールにとっては痛くも痒くもなかった。

引き金が引かれ、青白い光弾が放たれる。
ゆのはユーノを抱き締めながら目を瞑り、死を覚悟した。



(・・・?)


972 : ヒーローはピンチの時に駆けつける ◆4kMBNI9QkE :2021/04/14(水) 08:58:37 4eH5jpnU0
しかし、どれだけ待ってもその瞬間は訪れない。
恐る恐る目を開けると……

「……大丈夫かい?」

スカールとユーノを抱いたゆのの間に、黒づくめのコスチュームを纏った人物が立っていた。
その人物は、頭のてっぺんから爪先まで全身を黒と紫のコスチュームで包み、顔を豹を思わせる仮面で隠していた。

突然現れた謎の人物にユーノもゆのも呆気に取られてしまった。

「ほう……今の一撃を受けて無傷か。面白い」

一方のスカールは、手にした光線銃の銃口を黒づくめの人物に向け、再び引き金を引こうとした。
しかし……

「……御免!」
「!?」

スカールの背後からまた別の人物が現れた。
青い繋ぎのような服の上から薄水色の裾長の上着を羽織り、
長い黒髪を後頭部で纏めた鋭い目付きの男性だ。

その男性は、抜き身の刀を手にしてスカールを背後から切りつけてきた。
スカールは左腕で男性の刀を受け止めるが……

「ぐわぁ!?」

……スカールの左腕の肘から先は、見事に切り落とされてしまった。

切断面からは機械類が覗き、火花が飛び、血なのかオイルなのか判別しずらい液体が漏れだしていた。

「フフフ……二対一とは少し少し卑怯ではないか?」

スカールは切断された左腕を光線銃を持った右腕で抑えながらも、余裕のある振る舞いを見せる。

「黙れ!幼い子供を嬲りものにするような奴に、卑怯だなんだと言われる筋合いはねぇ!!」
「……同感だな」

しかし、コートの男性はそれに怯む事無くスカールに手にした刀の切っ先を向け、黒づくめの人物も指先から鋭い爪を出して今にも飛びかからんとしていた。

「フフフ……仕方ない。ここは引かせてもらおう」

言うが早いか、スカールの姿は一瞬にして消えた。

「何!?」
「消えた!?」

スカールの姿が消えると同時に、コートの男性と黒づくめの人物は周囲に警戒を向けるが……スカールが再び姿を現す事はなかった。

「ちっ……逃がしたか」

コートの男性は刀を白木の鞘に納め、黒づくめの人物も指先の鋭い爪を収納した。
そして……二人は傷だらけのユーノとユーノの体を抱いているゆのに視線を向けた。

「!」

二人の人物に視線を向けられて、ゆのはユーノの体を強く抱き締めながら身構える。

「……心配しなくて良い。私たちは君達を傷つけるつもりはない」
「……本当、ですか?」


973 : ヒーローはピンチの時に駆けつける ◆4kMBNI9QkE :2021/04/14(水) 09:16:15 4eH5jpnU0
スカールの件もあり、ゆのは黒づくめの男性の言葉をすぐには信用できなかった。

「ああ、もちろんだ」

ゆのに語りかけながら、黒づくめの人物は顔を覆い隠す黒豹を思わせる仮面を外す。

「……約束しよう」

仮面の下から出てきたのは、口髭を生やしたユーノやゆのよりも年配のアフリカ系男性の顔だった。

その風貌は日本人とはかけ離れた威圧感があったが、
その瞳には弱者を思いやる優しさが込もっているように
ゆのには感じられた。

「……自己紹介が遅れたな。私はティ・チャラという」

黒人男性……ティ・チャラは微笑みを浮かべながら自己紹介した。

「俺は銀河烈風隊副長のシュテッケン・ラドクリフだ」

続いて、コートの男性……シュテッケンが名乗ったので、ゆのも名乗ることにした。

「は、はい。私の名前はゆのです。こっちはユーノ・スクライア君です」
「……うぅ」

その時、ゆのに抱かれていたユーノがうめき声を漏らした。

「!ユーノ君、大丈夫!?」

ゆのは苦悶の表情を浮かべるユーノに声をかける。
次の瞬間……ユーノの体は緑色の光に包まれた。

「……えっ?」
「こ、これは?」

突然の事態に、ゆののみならずティ・チャラやシュテッケンも困惑する。

光が晴れると……先程までユーノが抱かれていたゆのの手の中には、
傷だらけの黄土色のフェレットが横たわっていた。

「ゆ、ユーノ君が動物に!?」
「そんな!信じられねぇ!?」

突然人間が動物に変わるという異常事態に、ゆのは目を白黒させ、シュテッケンも呆気に取られた。

「……ちょっと良いかな?」

そんな中で、ティ・チャラは冷静にゆのに近づくと、ユーノが変化したらしいフェレットの小さな体の脈を測った。

「……よし、微弱だが心臓は動いている。早く手当てすれば、助かるかもしれない!」
「!お、お願いします!ユーノ君を助けて下さい!」

ゆのは涙を流しながら、自分を守るために傷ついた少年を救う事を願ったのだった。


974 : ヒーローはピンチの時に駆けつける ◆4kMBNI9QkE :2021/04/14(水) 09:23:11 4eH5jpnU0
【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:フェレット形態、気絶、ダメージ(大)
[装備]:無し(フェレット形態)、バリアジャケット@魔法少女リリカルなのは(人間形態)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:巻き込まれた人を助ける
1:……(気絶中)
2:ゆのを守る
3:なのはやフェイトがいるなら、合流する
[備考]
無印最終話からA's第一話までの間から参戦。
はやてやヴォルケンリッターとはまだ面識がありません。
バリアジャケットは支給品ではありません。
フェレットの姿になっても、首輪は外れません。
ゆのを『自分やなのはと同い年か一つ上くらいの年齢』だと思っています。

【ゆの@ひだまりスケッチ】
[状態]:緊張、精神的ダメージ(中)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人殺しはしたくないけど、殺されたくもない
1:ティ・チャラ、シュテッケンについていく
2:ユーノ君が動物になった!?
3:今度は私がユーノ君を助けなくちゃ!
4:宮ちゃんや紗英さんもいるのかな?
[備考]
2年生の中盤付近からの参戦。
ユーノを『自分と同い年くらいの少年』だと思っています

【ティ・チャラ(ブラックパンサー)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康、少し動揺
[装備]:ブラックパンサースーツ(アップグレード版)@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:シュテッケンと行動する
2:ユーノの手当てをする
3:人が動物になるとは……
4:知り合いがいるなら合流する
[備考]
『アベンジャーズ:エンドゲーム』終了後〜ディズニープラス配信ドラマ『ファルコン&ウインターソルジャー』開始前の時間軸から参戦。
ゆのを『小学生』だと思っています。

【シュテッケン・ラドクリフ(諸刃のシュテッケン)@銀河烈風バクシンガー】
[状態]:健康、困惑
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[装備]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:殺しあいだと?ふざけるな!
1:ティ・チャラと行動する
2:ゆのとユーノを助ける
3:人が動物に!?どうなってんだ!?
4:銀河烈風の仲間がいるなら合流する
[備考]
銀河烈風が正式にキョーラーク星警備隊となった辺りから参戦。
ゆのを『ジャッキーやファンファンと同い年くらいの少女』だと思っています。



さて、その頃スカールはというと……

「むぅ〜ん……」

手近な民家の中で、切り落とされた左腕の応急修理を行っていたのだった。

【スカール@サイボーグ009】
[状態]:ダメージ(小)、左腕欠損、修理中
[装備]:アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:総統の下に帰還する
1:帰還の為に自分以外全員殺す
[備考]
『地下帝国ヨミ編』での009との決戦直前からの参戦。



【バリアジャケット@魔法少女リリカルなのは】
「魔力」によって構成される一種の防護服。
これも一種の魔法であり、大気や温度等の劣悪な環境だけでなく、
「魔法」や物理的な衝撃などからも着用者を保護する。
そのデザインは着用者のイメージによって決定されるが、着用者以外によるデザインの調整も可能。
(以上、ウィキペディアより抜粋)
ユーノ・スクライアの物は民族衣裳的な外見をしているのが特徴。

【ブラックパンサースーツ(アップグレード版)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
『ブラックパンサー』において、ティ・チャラの妹である『シュリ』が製造した新型ブラックパンサースーツ。
旧来のスーツ同様ヴィブラニウム製だが、通常時はナノサイズに分解されて豹の爪を模したネックレスの内部に収納されており、使用者の意思によってスーツが形成・装着される。
衝撃を受けるとそのエネルギーを吸収・蓄積し、任意のタイミングで蓄積したエネルギーを周囲に放出する機能がある。

【斬鉄剣@ルパン三世】
言わずと知れたルパン一味の一人『石川五ェ門』の愛刀。
文字通り何でも切れる刀だが、コンニャクを初め切れない物も一部存在する。

【アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース】
『キャプテン・アメリカ:ファースト・アベンジャー』において、レッドスカル率いる秘密結社ヒドラの兵士が使用しているアサルトライフル。
四次元キューブ(スペース・ストーン)のエネルギーを利用したビームパルスガンで、一発で人間一人を跡形もなく消滅させる威力がある。


975 : ヒーローはピンチの時に駆けつける ◆4kMBNI9QkE :2021/04/14(水) 09:24:53 4eH5jpnU0
投下終了します
通信状態が悪くて投下に間が開いてしまった事、お詫び申し上げますm(_ _)m


976 : 名無しさん :2021/04/14(水) 22:39:12 .CkdV7kk0
>>2
つまんねー人


977 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/14(水) 22:50:46 q6FZlc720
投下します。


978 : 泣かない悪魔 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/14(水) 22:51:28 q6FZlc720
「ふむ……」
瞑想をしているかのように静かに佇みながら紅き血染めの月の平安京存在する魔物ーーーーー

魔物の名はジェダ・ドーマ。
魔界三大貴族、ドーマ家の当主であり、冥王と呼ばれるS級魔物。

「興味深い……手段と目的はよく混同するが、はたしてこれは一つにまとめているのかな?」

メフィスとフェレスなる悪魔のバトルロワイアルに彼は興味をひかれたーーーーー

「ぜひとも、教えてほしいものだ。ここで死んだ魂が向かう場所を……ね」

たとえ、ここでも冥王の目的と手段はただ一つーーーーー

魂の救済だ。

【冥王ジェダ・ドーマ@ヴァンパイア セイヴァー 】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝し、魂を救済する
1:詩人の憂いは永久の闇との邂逅つまりは、そういうことだ
[備考]
※参戦時期はPROJECT X ZONE第39話悪魔は、泣かない死後


979 : 泣かない悪魔 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/14(水) 22:51:38 q6FZlc720
投下終了します。


980 : ◆bLcnJe0wGs :2021/04/16(金) 19:50:41 yPRfZxXU0
失礼致します。

自作『暴食の大罪人』の状態表に変更を行わせていただきます。

『・この制限は、首輪が解除された場合も継続されます。』の部分を『他の参加者とは異なり、八将神枠の参加者を倒しても首輪が解除される事はありません。』に変更させていただきます。


981 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/18(日) 22:28:27 Q5bUb82o0
投下します。


982 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/18(日) 22:29:43 Q5bUb82o0
月に照らされた会場の一角に、一人の青年が居た。
彼の名前はアスラン・ザラ。
遺伝子を人工的に操作して生まれてきたコーディネイターにしてプラントの議長であったパトリック・ザラの息子であり、MSを駆ってC.E.世界を二度も救った紛れもない英雄である。

そんな彼は今、怒っていた。

「議長は俺たちに殺し合いをさせようとしている…!!!!つまり議長は俺を殺そうとしている!!!!」

怒っているというよりはキレ散らかしてると言った方が正確であり、また怒る対象がおかしいのだが、とにかく彼は主催への怒りを抱いていた。
…正確に言うと、彼は「本来の」アスラン・ザラではない。
彼は「本来の」アスラン・ザラから派生した様々なネットミームが入り混じり、元となったアスラン・ザラから剥離した一面。言ってしまえば無辜の怪物である。
それ故に、彼は主催にギルバート・デュランダル議長が与していると勝手に決め付け怒りを向け、また怒りのあまり顔を真っ赤にしていた。

だが、ミームにより捻じ曲げられていても、彼の本質である「自分の為よりも他人の為に行動できる善人」である部分は変わらないことが多い。
最も、だからこそ厄介で迷惑な部分もある上に、「オリジナル」のアスラン・ザラはやかましくない代わりに口下手な為、人間関係や話が拗れやすいところもあるのだが。
ともかく、彼は主催に抗い、殺し合いには乗らないと方針を定めた。

「まずはジャスティスを捜索しゆくゆくは主催本拠地でジャスティスを核爆発させる!!!!」

なお、ネットミームの融合体のような事となっている彼だが、スペック自体は「元となった」アスラン・ザラと同様である。
その為彼は、MSの操縦は勿論、高い身体能力と戦士としての才能を持ち生身でも対人戦をこなせる他、頭も良く、トリィや大量のハロを作成出来る様に機械工学にも強い。
…ただし、言動も行動も錯乱していて理解不能な事が多く、控えめに言ってやかましい他、テンションの落差が激く思い込み易く、疑心暗鬼になりがちかつ一人で抱え込みがちな為に意思疎通や交渉には強い根気が必要とされる。
また「元となった」アスラン・ザラからしてそうだが、一度迷いを抱くと弱体化しがちで、覚悟が決まってる時は決まってる時で人の話を聞かずに突っ走りがちな欠点もある為、あまり当てにはしづらいのが悲しいところである。

【アスラン・ザラ@ネットミーム】
[状態]:健康、怒り、錯乱、怒りからくる顔真っ赤っか
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催者の本拠地でジャスティスを核爆発させる!!!!
0:殺し合いはヒーローごっこじゃない!!!!
1:まずはジャスティスを捜索する。
2:議長は俺を殺そうとしている!!!!
3:俺の命も他人の命もおもちゃじゃないんだぞ!!!!この馬鹿野郎!!!!
4:シン!!!!殺し合いに乗ってるようなら殴りに行くぞシン!!!!
5:名前にシンが入ってるだけで十分だ!!!!このシン野郎!!!!
6:名前の響きがシンに似ている!!!!シン野郎!!!!
7:主催者が二人を!!!!二人を殺したぁぁぁぁ!!!!
8:主催者が二人とニコルを!!!!みんなを殺したぁぁぁぁ!!!!
9:主催者がニコルを!!!!ニコルを殺したぁぁぁぁ!!!!
10:わかった…。
11:俺は有害じゃない!!!!
12:キラァァァァ!!!!
13:殺し合いに乗ってるのなら!!!!倒すしか無いじゃないか!!!!何故わからない!!!!
14:何が願いが叶うだ馬鹿馬鹿しい!!!!
15:トゥ!ヘァー!
[備考]
※メタ知識の有無や、あるとしてどれぐらい保有しているのかは後続にお任せします。
※ギルバート・デュランダル@機動戦士ガンダムSEED DESTINYが主催の背後にいると思い込んでいます。

----

「…あれは…アスラン・ザラ、なのか…?」

一方、キレ散らかしているアスランを遠目から見つめて、困惑を浮かべつつもどうするべきかと思案している少年がいた。
彼の名前はレイ・ザ・バレル。ザフトのエースパイロットの一人であり、「元となった」アスラン・ザラは彼からすれば元上官にして自らが慕うギルバート・デュランダル議長ことギルに叛く裏切り者だ。

彼の最優先は、ギルの元へと帰還する事である。
その為には元の世界にて邪魔者であったアスランをここで始末するか、それともこの場では利用するかで悩んでいるのであった。
そこに居るアスラン・ザラが自分の知っているアスラン・ザラではない事には、彼はまだ気付いていない。
ましてやこの殺し合いにギルが関わっているなんて事は、彼は全く思っていない。


983 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/18(日) 22:30:07 Q5bUb82o0
【レイ・ザ・バレル@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
[状態]:健康、困惑
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ギルの元へと帰る
1:アスランをどうするか…。
2:キラ・ヤマトが居た場合は…。
3:シンやルナマリアが居るのなら合流したい。
[備考]
※参戦時期は少なくともPHASE-36「アスラン脱走」終了後以降、PHASE-47「ミーア」よりは前です。


984 : ◆8eumUP9W6s :2021/04/18(日) 22:31:08 Q5bUb82o0
投下終了します。
タイトルは「錯乱は既に少しアスランしている!」です。


985 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 14:03:43 4.JSsMwU0
投下します。


986 : 転生するエニグマの王 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 14:04:16 4.JSsMwU0
血染めの月が浮かぶ平安京にとても似合っている異形の怪物が浮かんでいる。

異形の怪物の名はケルレンドゥ。
エニグマの王。

「オレは完全なる死を迎えたはず……?」

ケルレンドゥはエニグマの特製を生かして死のプレートで転生を目論んでいた。
なぜなら、転生を繰り返すたびに強くなれるからだ。

しかし、ケルレンドゥの企みは無と消えた。

死のプレーンでの死は完全なる【死】。
魂が無に帰ってしまうからだ。
ケルレンドゥは死んだのだ。
魔法学校の生徒たちとの闘いに敗れーーー

「何かをやりとげるには意志と力の2つが必要……」
それはケルレンドゥの信念。

「復活を果たせたのであれば、それはそれでいい!オレは殺し合いに乗る!!!」

エニグマにとって【力】こそが全てである。

「この殺し合いを経て、オレは最強の王となり物質プレートに侵攻してやるわ!!」

ケルレンドゥは再び【王】となるべく血染めに塗れた空を飛翔する。

【ケルレンドゥ@マジカルバケーション 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:最強の王となり物質のプレートに侵攻する
1:参加者達を殺す
[備考]
※参戦時期は最終決戦にて死後


987 : 転生するエニグマの王 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 14:04:40 4.JSsMwU0
投下終了します。
また、続けて投下します。


988 : 斧一本で立ち向かう漢 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 14:05:35 4.JSsMwU0
生贄……人間は神という存在に人柱として捧げていた歴史がある。
これは、とある村の話ーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

男は憤慨している。
修行から帰ってきたら幼馴染のフレイアが生贄に選ばれたことに。

男は困惑している、幼馴染を救出しに向かったはずが、別の少女が生贄として首を刎ねられ、見たこともない街に立ち、あまつさえ殺し合いを命じられたことに。

男の名はゴーガン。
ミノフ村の青年。

ゴーガンは支給品を漁る。
武器がないかを確認するため。

武器はあった。伝説の斧「スティング」村長から託された伝説の斧。

ゴーガンは立ち向かう。殺し合いを命ずるメフィスとフェレスなる悪魔のような童を討つべく。

ゴーガンは走る!走る!!走る!!!

【ゴーガン@魔境伝説 】
[状態]:健康 
[装備]:スティング@ 魔境伝説
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスを討つ
1:共に立ち向かう仲間を探す
[備考]
※参戦時期はステージ1開始時

【スティング@魔境伝説】
村に伝わる伝説の斧。
アイテム「パワーサプライ」を取得する事で 威力が増していく。
ゴーガンはこの斧一本で幼馴染のフレイアを救うために魔境に赴く。
その姿は正に漢である。


989 : 斧一本で立ち向かう漢 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 14:05:47 4.JSsMwU0
投下終了します。


990 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 14:31:15 4.JSsMwU0
投下します。


991 : このマシンガンが目に入らぬか! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 14:32:31 4.JSsMwU0
江戸時代ーーー徳川幕府による治世は太平の世を築いていた。
しかし、悪事というものはなくならない……民が苦しむのを見過ごせず、旅をしている隠居した老人が立ち上がったーーーーー

「きゅうけつき ドラキュラ! そちの悪事、この光圀が裁いてやろう」

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ここは…もしや帝が住まう京!?」

紅き血染めの月が浮かぶ平安京に一人の老人が佇むーーー

老人の名は水戸光圀。
先の副将軍にて現在は隠居をし、諸国漫遊の旅を行っている。
旅をする中、悪事を働く諸藩の家老や越後屋の悪事を裁くことも時たまある。

ある時、水戸藩家老安藤の悪事を裁いたが、安藤は国外へ逃亡。
黄門様一行は安藤を追うために日本を出国したのだ。

ドイツにてドラキュラ伯爵の悪事を裁いた黄門様は次なる異国イタリアへ向かう最中、メフィスとフェレスによる殺し合いに誘われた。

なお鎖国はどうした!?などという無粋なツッコミはしないでもらいたい。
また、ドラキュラはドイツではなくルーマニアでは?というのも同様です。

「助さん・格さんがいない、この状況……印籠だけではなんとも厳しい限りじゃ」
いつもの頼もしいお供がいないため、流石の黄門様も渋いご様子。

「さて、童らはこの妙な風呂敷に支給品なるものがあると申しておったが、どれ……む!?」

「おお!これは、マシンガン!!なんとも頼もしいかぎりじゃ」
黄門様は支給品の一つにマシンガンがあることに喜ぶ。

そう、このマシンガンはアメリカにてバッファロー・ジャンゴこと安藤の悪事を裁いた道具なのだから。

「メフィスとフェレスなる童よ!そちたちの悪事 この光圀が裁いてやろうぞ!!」

三つ葉葵の印籠とマシンガンを装備した黄門様がバトルロワイアルを世直しするッ!!!

【徳川光圀@水戸黄門II 世界漫遊記 】
[状態]:健康 
[装備]:印籠 マシンガン@ 水戸黄門II 世界漫遊記 マシンガンの弾薬セット
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスの悪事を裁く
1:メフィスとフェレスに対抗する仲間を集める
2:もしや、背後にいるのは安藤か!?
[備考]
※参戦時期はドイツにてきゅうけつきドラキュラの悪事を裁いた後
※外見は発売した時期のドラマの黄門様(2代目)
【印籠@水戸黄門】
大体8時43分頃に出てくるチートアイテム。
これをかざされたら大抵の人物は平伏するより他に無し。その理不尽さは天竜人に匹敵する。
なお、本来の用途は薬などを入れる小さな容器で決して人に向けてかざす物ではない。

【マシンガン@水戸黄門II 世界漫遊記】
弾薬を自動的に装填しながら連続発射する銃である。
Wikipediaより引用
なお、黄門様はアメリカにおいてバッファロージャンゴこと安藤を裁くさい、マシンガンを突き付けることで事件を一件落着させた。ご、ご隠居!?


992 : このマシンガンが目に入らぬか! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 14:32:45 4.JSsMwU0
投下終了します。


993 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 17:52:02 4.JSsMwU0
投下します。


994 : 乗る魔女・乗らない魔女・様子見の魔女 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 17:54:28 4.JSsMwU0
魔法

魔法には無限の可能性がある。
だからこそーーー

「人をダメにする可能性もある」

その魔法使いはーーー

「だから、私は優勝をして魔法を封印する」

人の底なしの欲を産まないためにーーーーー

【ダーニャ@魔女になる。 】
[状態]:健康 
[装備]:マホイタ@ 魔女になる。 箒
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:優勝して魔法を封印する
1:優勝するため参加者の命を……奪う
[備考]
※参戦時期は第13話 ほんとうに強いまほうの前

【マホイタ@魔女になる。】
魔女になる。の世界において魔法を使うための板。
この板に魔法のシンボル(魔法陣)を描くことで魔法を使うことが出来る。

☆彡 ☆彡 ☆彡
紅き血染めの月が爛々とする中、この魔女の証であるブローチを付け、灰色の髪をなびかせて、その美しさと才能の輝きに、太陽さえも思わず目を細めてしまうほどの美女は、誰でしょうか? 
そう、私です

「はぁ……何だか面倒なことに巻き込まれました」

その魔法使いはーーー

「とりあえず様子見ですかね。……この出来事、小説に……いえ、やめておきましょう。また床をのたうち回ることになるだけになりそうですので」

魔女であり旅人だからーーーーー

【イレイナ@魔女の旅々 】
[状態]:健康 
[装備]:マホイタ@ 魔女になる。 箒
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:とりあえず様子見
1:様子見、乗るか乗らないは後で決める
[備考]
※参戦時期は第12話 あなたの願いを叶える国 を終えた後

【杖@魔女の旅々】
魔女の旅々の世界において魔法を使うための杖。
杖がないイレイナはただの美女である。

☆彡 ☆彡 ☆彡
「とにかく、まずは仲間を集めることと首輪の対処ね」

その魔法使いはーーー

「絶対にあの双子の言いなりになってたまるもんですか!」

勇気の証、グリフィンドールの一人としてーーーーー

【ハーマイオニー・グレンジャー@ハリーポッターと秘密の部屋 】
[状態]:健康 
[装備]:自分の杖@ ハリーポッターシリーズ 
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスの言いなりにはならない
1:仲間を集める
2:首輪の対処を考える
[備考]
※参戦時期はバジリスクによって石にされる前

【杖@ハリーポッターシリーズ】
ハリーポッターシリーズの世界において魔法を使うための杖。
ちなみにハーマイオニーの杖は木がブドウで芯はドラゴンの心臓の琴線でできている。


995 : 乗る魔女・乗らない魔女・様子見の魔女 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 17:54:41 4.JSsMwU0
投下終了します。


996 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 19:58:43 4.JSsMwU0
2作続けて投下します。


997 : 押忍!押忍!!押忍!!! ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 19:59:50 4.JSsMwU0
紅き血染めの月が爛々とする平安京。

一つの声が熱く響き渡るーーーーー

「押忍!」
男はひたすらその言葉を口にするーーーーー

「押忍!」

男ができるのはただ一つ殺し合いに対抗する人物への応援、ただそれだけだ。

【一本木龍太@押忍!闘え!応援団 】
[状態]:健康 
[装備]:笛 太鼓 鉢巻セット
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:対主催の応援
1:殺し合いに立ち向かう参加者の応援
2:自分と同じ闘う力がないが抵抗する他の参加者も誘い、応援団を結成する
[備考]
※参戦時期は隕石が迫る地球を応援成功後


998 : バトロワの狼 ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 20:00:49 4.JSsMwU0
紅き血染めの月ーーーそれにむかって硝煙が舞い弾が落ちる。

「さぁ、楽しい楽しい殺し合い、みんなみんな殺し合う。あははははっ」
「では始めようかのう……天国でも地獄でもない場所での、生き残りを賭けたゲームを」

それは男の脳裏からこびりついて離れない言葉ーーー

「ふざけんじゃねぇぞ……ガキ共がッ!!!」

もう一度、男の握りしめている拳銃から銃声が鳴り響くーーー

「俺が…法律だ!」

新宿の狼は何人たりとも縛り付けることはできないーーーーー

【三上英二@新宿の狼 】
[状態]:健康 
[装備]:マグナムM44@新宿の狼 弾丸セット
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:ガキ共をぶちのめして豚箱へ送る
1:俺が…法律だ!
[備考]
※参戦時期はED後

【マグナムM44@新宿の狼】
現実の銃の名前を使えなかったのかオリジナルの名前の銃だが、おそらく元ネタは44マグナム弾からなのでS&W M29だろう。


999 : ◆s5tC4j7VZY :2021/04/19(月) 20:01:04 4.JSsMwU0
投下終了します。


1000 : 名無しさん :2021/05/06(木) 21:42:23 94qkV9Vk0
1000なら辺獄ロワ大盛況


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