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『魂』バトル・ロワイアル

1♯『魂』バトルロワイアル:2021/02/20(土) 20:17:14 ID:G0TZHsZw0
『魂』バトル・ロワイアル

【参加者名簿】

【進撃の巨人】5/5
〇エレン・イェーガー/〇ミカサ・アッカーマン/〇アルミン/〇ジャン/〇リヴァイ

【Fate/stay night】4/4
〇アルトリア・ペンドラゴン/〇衛宮士郎/〇イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/〇バーサーカー

【ONE PIECE】4/4
〇モンキー・D・ルフィ/〇ロロノア・ゾロ/〇ウソップ/〇ナミ

【機動戦士ガンダムSEED DESTINY】3/3
〇キラ・ヤマト/〇アスラン・ザラ/〇シン・アスカ

【ゴールデン・カムイ】3/3
〇杉本佐一/〇アシリパ/〇白石由竹

【呪術廻戦】3/3
〇虎杖悠仁/〇伏黒恵/〇真人

【トライガン・マキシマム】3/3
〇ヴァッシュ・ザ・スタンピード/〇ニコラス・D・ウルフウッド/〇レガート・ブルーサマーズ

【魔法少女リリカルなのは】3/3
〇高町なのは/〇フェイト・T・ハラオウン/〇八神はやて

【ラブライブ!】3/3
〇高坂穂乃果/〇園田海未/〇南ことり

【カイジシリーズ】2/2
〇伊藤カイジ/〇利根川

【機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】2/2
〇アムロ・レイ/〇シャア・アズナブル

【ご注文はうさぎですか?】2/2
〇チノ/〇ココア

【鋼の錬金術師】2/2
〇エドワード・エルリック/〇アルフォンス・エルリック

【武装錬金】2/2
〇武藤カズキ/〇津村斗貴子

【ヘルシング】2/2
〇アーカード/〇セラス・ヴィクトリア

【魔法少女まどか☆マギカ】2/2
〇鹿目まどか/〇暁美ほむら

45/45


※当ロワは非リレーです。

2♯『魂』バトルロワイアル:2021/02/20(土) 20:18:08 ID:G0TZHsZw0
OP投下します。

3エゴイストの喝采 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/20(土) 20:21:49 ID:G0TZHsZw0

 始まりは喪失だった。
 その日、全てを失った彼女は全てを取り戻すためだけに人生を費やした。
 怨念にも似た執念。
 世界の全てを敵に回してでも全てを取り戻したかった彼女は、とある出会いをした。
 それは、運命の出会い。
 それは、数多の人生を狂わせる事となる出会い。
 しかしそれは、彼女にとっては―――奇跡の出会い。

 出会いから幾ばくかの時が流れ、それは開催される。
 一人のエゴにより始まった、一つの『魂』を巡る殺し合い。
 狂気と狂喜がぶつかり合う、信念と信念がぶつかり合う、エゴとエゴとがぶつかり合う、殺し合い。
 バトル・ロワイアルが、始まる。










 伊藤カイジが目を覚ました時、世界の全てが一変していた。
 黒、黒、黒。
 目蓋を開いたか、開いていないかも分からない程の暗闇に世界は塗りつぶされていた。
 異変に気付いたカイジが身体を動かそうとするも、それは叶わない。
 四肢が椅子に固定されているのだ。渾身の力を籠めるが、金属が腕に食い込むだけでびくともしない。

(な、何がっ……!)

 沸騰した思考で周囲を見渡すが、情報は何も入ってこない。
 最悪の考えが、カイジの頭を過る。
 彼と因縁のある帝愛グループ。
 奴らがまた何かを企み、それに自分を参加させようとしているのではないか。
 帝愛の名のもとで繰り返された残虐非道の数々が思い出される。
 限定じゃんけん、鉄骨渡り、Eカード、そして、あの地獄のような地下労働の日々。
 怖気が走る。
 艱難辛苦の果てにようやく解放されたかと思った矢先に、この状況だ。
 背筋に流れる冷たいものを自覚しながら、カイジは息を荒くした。

(なんだ、何をさせるつもりなんだ……)

 耳をひそめると、周りに何人か人がいるのが分かる。
 自分と同様に息を荒げる者や、恐怖を抑えきれず呻き声を漏らす者が感じられる。
 声のトーンを聞くに、女性も混じっているようであった。

4エゴイストの喝采 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/20(土) 20:22:16 ID:G0TZHsZw0

『さて、全員目が覚めたようだな……』

 不意に、声が響いた。
 スピーカーを通した、機械仕掛けの声。
 同時に正面にあったモニターが灯り、大画面に一人の人物が映し出される。
 暗闇に慣れた瞳には暴力的とすら言えるモニターの光に、カイジは思わず目を逸らしてしまう。
 彼がその人物の姿を両目に捉えたのは、たっぷりと十秒ほどの時間を掛けた後だった。

「うっ……!」

 無意識の内に、声が漏れていた。
 恐怖と嫌悪の入り混じった声。
 モニター越しとは言え、まともに相対するのは、およそ一年ぶりだ。
 最後に見た時の記憶が思い出されると共に、左手が強く疼いた。
 それは、敗北と喪失の痛み。
 あの日の惨劇を、カイジが忘れた事は一日たりとも無い。

「兵藤和尊っ……!」

 悪魔の笑顔が、そこにはあった。
 一年前と何も変わらない、狂喜に満ちた笑顔。
 老人は己の身を包む異質を隠そうともせずに、その場にいる人々へ言葉を投げかけていく。

『さて皆の衆、まずは挨拶といこうかの。儂の名は兵藤和尊……帝愛グループのトップであるっ……!』 

 明かりが灯り分かったことだが、その場には相当な人数の人間がいた。
 10や20ではきかない。
 人種や年齢も多種多様で外国人もいれば、高校のものであろうか制服を着た少女もいる。

『これからお前たちには、とあるゲームに参加してもらう。なに、難しいルールは何もない。至極単純で簡潔明瞭なゲームだっ……!』

 人々はそれぞれの感情で兵藤を見ていた。
 恐怖、驚愕、拒絶、当惑、無心、そして兵藤に劣らずの狂気―――。
 様々な色の灯った瞳を一心に受けながら、兵藤は続けていく。


『ゲームの名は【バトル・ロワイアル】っ……! 最後の一人となるまで他者を殺し尽くしたものだけが生き延びれるデスゲームだっ……!』


 そして、悪魔は核心の言葉を吐いた。
 瞬間、音が消える。
 誰も、何も音を発さない。
 まるで時間が静止したかのように、人々は何もかもを忘れて沈黙をした。

5エゴイストの喝采 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/20(土) 20:22:55 ID:G0TZHsZw0


『隣の者の首元を見てくれたまえ。金属の首輪がついているだろう。それは参加者の全員に装着されている。
 お前たちを縛る枷だ。その首輪には一つ仕掛けがあってな……』


 兵藤だけが音を発する世界に、もう一つの音が現れる。
 ピピピと、耳障りな甲高い電子音が鳴り響く。
 最前列の中央。その場にいる誰しもの目が届く位置に座った男の、首輪が音を鳴らしていた。


「えっ、僕……!?」

 小太りの男。
 男の姿にカイジは見覚えがあった。

(安藤……!?)

 遠い過去。彼が博徒としての道を歩むきっかけとなった、とある船でのギャンブル。
 その中で仲間として手を組み、ともに戦い、勝利し―――最後の最後で、目先の金欲しさにカイジを裏切った男。
 安藤。
 あのギャンブルのあと音沙汰もなかった男が、そこに座っていた。
 不思議なことに、安藤だけは他の人々のように拘束をされていなかった。
 安藤は慌てた様子で首元に手を当て、音の根源である首輪を触れる。
 電子音は段々とテンポを早めていく。
 焦燥をかけたてるように、不安を煽るように、鳴り響く電子音。
 どこか嫌な予感を、人々は感じざるを得なかった。
 それは安藤も同様なのだろう。
 周囲の人間に走り寄り、助けを求める安藤。
 ただ縋りつかれたところで、四肢を拘束されている人々に何かを成す事はできなかった。
 ついには音と音との間すら分からぬ程に電子音は加速する。
 そして、ピーーーーと長い音が鳴った直後に、

「ぷぎゃば」

 安藤の首輪が爆発した。
 同時に生暖かい何かがその場の人々に降りかかる。
 それは元は安藤の体を成していたどこかの部位で、今は細切れとなった肉片の一つだ。
 悲鳴が、怒号が、響き渡る。
 遂に抑えきれなくなった人々の感情が、爆発していた。
 それはカイジであっても同じだ。
 意味にもならない叫びを止めることができない。
 そうでもしてなければ、頭がおかしくなってしまいそうだった。

「くぅくぅくぅ……これで分かったろう……! 死にたくなければ殺しあえ、生き残りたければ殺しあえ……遠慮はいらん……誰も罪には問いなどしない……。
 理性など捨て去り、獣であった頃の本性を思い出せっ……! 貴様らは獣だっ……! 生を求めるだけの獣……! 獣、獣、獣っ……!」


 もはや殆どの人間が兵藤の言葉など聞いてはいない。
 恐慌の世界で、兵藤だけが全てを見て、全てを愉しんでいた。
 涎を垂らし、はしゃぐ子どものように両の手を叩いて、人々の狂気を観賞していた。


「さぁ、始めるぞ……! 恐怖し、錯乱し、忘我の果てに、生を掴めっ……!」


 血走った瞳で、悪魔が宣言する。


「ここに、バトルロワイアルを開催するっ……!」
 

 多くの運命を変える殺し合い。
 その始まりを、高々に叫んだ。




【魂・バトルロワイアル 開催】

【安藤守@カイジシリーズ 死亡】

【残り生存者45名】

6 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/20(土) 20:24:12 ID:G0TZHsZw0
以上で投下終了です。
新ロワ立ち上げさせてもらいました。
細々続けられたらと思いますので、よろしくお願いします

7 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/21(日) 20:12:42 ID:MvtSyI1U0
ジャン・キルシュタイン、チノで投下します。

8凡人が捧げた心臓 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/21(日) 20:16:10 ID:MvtSyI1U0
 ジャン・キルシュタインは茫然とした様子で暗闇の森林に立っていた。
 眠りから覚めたと思いきや、いつの間にか連れられてた殺し合い。
 普段は冷静に物事を見通すことのできる彼であったが、さすがの現状に何がどうなっているのか理解が追い付かなかった。
 そもそも彼は苦悩の狭間にあった。
 エレン・イェーガーが発動した『地ならし』。
 エルディア半島以外の全ての生命は死を決定づけられ、その代わりとして手にすることのできた自由。
 百年もの間続いた、鳥籠のごとく壁内での生活。九年前にあった壁の崩壊と巨人との闘い。
 その闘いの果てにあった、世界の真実。
 何百何千何万もの犠牲があり、そして遂には自分たち以外の世界の全てすら滅亡させることで、ようやく掴んだ自由。
 血塗られた自由。だが確かに、それはそこに在った。
 このまま全てに目を瞑り、耳を塞げば、島のために戦った英雄として孫の代まで悠々自適な生活を送れた筈だ。
 その筈だったのに―――、

「何だってんだよ、ちきしょお……!」

 首元に触れる冷えた金属。
 まるで獣を縛るかの如く首輪が存在感を示す。
 これが爆発すれば、自分は死ぬ。
 あいつの、さっきのヒョウドウとかいう醜い老人の気まぐれ一つで、死ぬ。
 これまで山ほど見てきた死体のように、何も訴えかけることのできない無機物となる。
 生前どれほど優しい人物であろと、どれほど有能な人物であろうと、どれほど強い人物であろうと、死んでしまえばすべて同じだ。
 虚ろな瞳で、無を見つめるだけの物体と化す。

「なんで……なんで、こんな事ばかり……!」

 世界を、運命を、呪わずにはいられなかった。
 どれ程の苦難を乗り越えれば、自由を手にすることができるのか。
 生きるという事は、なぜこんなにも痛みを伴うのか。
 逃げたい。
 何もせず、自分の殻に閉じこもってしまいたい。
 神様というものが存在するのならば、問いただしたくて仕方がなかった。
 なぜ世界はこんなにも残酷なのか、と。

「ううう、ううううぅぅぅ………」

 頭を抱えて、崩れ落ちるジャン。 
 悲痛な呻き声が暗闇の森林に空しく響き渡った。

9凡人が捧げた心臓 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/21(日) 20:16:42 ID:MvtSyI1U0




 そうしてどれ程の時間が経過しただろうか。
 無防備に隙を晒していたジャンであったが、幸か不幸か誰にも発見されることはなかった。
 涙と共に感情を流し尽くした彼は、気だるげな疲労に包まれながら地面に座り込んでいた。
 気力も意欲もない。ただぼんやりと星々のまたたく夜天を見上げる。

(『地ならし』はどうなったんだろうな……)

 世界を終わらせる仕掛けは既に発動してしまっている。
 何千何万からなる超大型の巨人たちが、ただ列を成し歩いていく。
 それだけで地面に這いまわる人間たちに成す術はなく、その殆どが死滅する。
 あの巨人たちの速度がどれ程のものかは分からないが、一週間もあれば事は成し終えるだろう。
 そう、一週間たてば全てが終わる。
 誰にも恨まれず、疎まれず、何にも恐怖をしないで済む。
 そんな『自由』が、そこにはある。

(自由……)

 そう、自由だ。
 彼の同期である一人の人物が告げたように、自分たちは自由となる。
 『地ならし』が完遂され―――この殺し合いを生き延びれば。

(良い家を買って、綺麗な嫁と家庭をもって、朝だろうと昼だろうと上等な酒をかっくらって……)

 自分にはそうする権利がある。
 自分たちが命懸けで戦ったからこそ、エルディア半島は未来を手に入れた。
 何をしたって良い。許されるだけのことをしてきたつもりだ。

「そうさ、そうする権利が俺にはあるんだ……」
 
 死ねない。死ぬわけにはいかない。
 自由を手に入れるまで。これまで苦労が報われるまで。
 死んでなんてやるつもりはない。
 肩に掛けられていたデイバックに手を伸ばす。
 中にあったのは見知らぬ型の拳銃だ。
 これまで見たどんな拳銃よりも大きなものだった。
 まるで大型の獣でも相手どるかのような大口径。
 だが、それは今のこんな状況では何よりも頼もしく見える。

「死んで……死んでたまるか……!」

 両手で拳銃を握りしめ、立ち上がる。
 ジャンは獲物を求めるかのように歩き始めた。
 フラフラと覚束ない足取りで、それでも足掻くように進んでいく。
 数分後、彼は聞いた。
 足音。
 枝や葉を踏みしめる音が、微かではあるが確かに聞こえた。
 心臓が早鐘のように鳴り響くのを自覚する。
 人を撃った事など何度もある。
 未来を手にするために、十や二十できかない程の人数を殺してきた。
 それと同じだ。
 今さら臆することではない。

10凡人が捧げた心臓 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/21(日) 20:17:09 ID:MvtSyI1U0
 息を殺し、慎重に慎重に、音がする方向へ進んでいく。
 足音の主は、直ぐに発見できた。
 銀色の髪の毛。小さな体躯。
 女。それも子どもだ。
 少女は恐怖に体を縮こませ、おどおどと周囲を見回しながら歩いている。
 だが、それは兵士であるジャンから言わせれば隙だらけであり、まるで命を差し出しているようにすら感じた。

(殺せる……)

 簡単だ。
 この場所からでもいい。
 狙いをすまして、引き金を引く。
 それだけだ。
 それであの少女の命は、この世界から消えてなくなる。
 そして、自分は一歩近づく。
 自由に。

(殺せ……殺すんだ……)

 心臓はもはや痛いくらいに内側から体を叩いていた。
 立っているだけなのに、まるで全力疾走をしているかのように息が荒くなる。
 汗が止まらない。体も震えている。
 両手の中の拳銃が星光を反射して光る。

(自由を掴むんだろう、ジャン・キルシュタイン……!)

 拳銃を構え、狙いを定める。
 構えてしまえば、震えは嘘のように収まった。
 殺せると、ようやく確信できた。
 目の前の少女を殺せる。
 俺は、この少女を、殺す。
 自由を手にするために―――殺す。
 冷徹な決意のもと、ジャンは引き金にかかった指に力を籠め、そして、


『―――ジャンは強い人ではないから、弱い人の気持ちがよく理解できる』


 ―――思い出す。
 何度となく思い出してきた、あの時の会話を。


『それでいて現状を正しく認識していることに長けているから―――今何をすべきなのか明確に分かるだろ?』


 呪いのように楔となってきた言葉を。
 同時に思い出される、誰のものかも分からない骨の前で誓った、あの日の決意を。
 思い出す。
 思い出して、しまう。

「ああ……ああ、ああああああああ………」

 思い出せば、もう、ダメだった。
 拳銃を構えていることすらできない。
 殺せない。
 殺せないんだ。
 死んでいった仲間たちが、あの時あの言葉をくれたアイツが、見ている気がしてしまう。
 あいつ等は、あいつは、人類の自由のために戦った。
 閉ざされた世界で自由の翼を背負って、その命が尽きるまで戦い続けた。
 そんな奴等が言う筈がないのだ。
 自分だけが自由を手に入れられればそれで良いなどと、そんなことを言う筈が―――、

11凡人が捧げた心臓 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/21(日) 20:17:30 ID:MvtSyI1U0

 気付けば、少女がこちらを見つめていた。
 思わず漏れ出てしまった声が届いたのだろう。
 膝を付き、倒れ伏すジャンを心配と驚愕と恐怖とをない混ぜにした表情で見る。
 対峙してあらためて分かる。
 少女の姿は、まだ成長期も来ていない小さな子どもだ。
 こんな殺し合いにいて良いような存在ではない。

「俺はジャン……ジャン・キルシュタインだ……殺し合いには……乗ってねえ……」

 拳銃を森林の奥に投げ捨てながら、ジャンは口を開く。
 気力を無くしたかのように座り込みながら、それでもそれだけを零した。
 彼は気付いた。
 少なくとも、自分の自由は、こんな少女の自由を奪った末にあるものではない。
 それは己の在り方を思い出した男の、小さな進撃。
 ジャン・キルシュタインは、万感の決意と失意でもって、少女との対話を始めた。
 

【ジャン・キルシュタイン@進撃の巨人】
[状態]:健康、失意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
0:許してくれねえ……許してくれねえんだ……
1:目の前の少女と対話する
※参戦時期は原作125話の直後です。


【チノ@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康、困惑
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:???
0:ジャンさん……?
1:ジャンに対する不信と困惑と心配
※参戦時期は不明

※二人のすぐ近くに【ヴァッシュの拳銃@トライガン・マキシマム】が落ちています

12 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/21(日) 20:17:50 ID:MvtSyI1U0
以上で投下終了です

13名無しさん:2021/02/21(日) 22:17:26 ID:SiWWOZSk0
新ロワ乙ですー
原作でもロワでも曇らされるジャンかわいそうに…
何とか踏みとどまったのは良いけど、早速チノちゃんに警戒されて前途多難だ

14 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/24(水) 18:17:58 ID:qf/DQwx20
感想ありがとうございます!
ジャンは大好きなキャラなので書いてて楽しかったです(ゲス顔)

では、第二話投下します。
登場キャラは杉本佐一@ゴールデンカムイ、レガート・ブルーサマーズ@トライガン・マキシマムです

15不死身を殺す者。そして ◆YNRwxgN9JE:2021/02/24(水) 18:24:52 ID:qf/DQwx20
 杉本佐一は暗闇の森林で目を覚ました。
 周囲を見回すも人の気配はなく、気候も自分たちがそれまで居た北海道のものとはまるで違う。
 首元を触ると、金属の冷たい感触が確かにあった。

「……夢じゃねえ、か」

 突然の殺し合い。
 正直、何が起きたのか杉本には分からなかった。
 先の兵藤という老人も知らないし、先の場にいた人物たちも彼の見えた範囲では殆ど知らない者ばかりだった。
 自分たちと敵対する鶴見中尉が仕掛けてきたものなのか、それとももう一つの勢力たる土方陣営の画策なのか。
 何も、何も杉本には分からない。
 ただ、彼は一つの事実を確認していた。
 先の場。
 一人の男の死に恐慌吹きすさぶ空間で、確かに自分と同じように拘束されていた少女。
 透き通るような蒼い瞳。普段は山の天気のように様々な感情をころころと映し出す顔が、その時は恐怖と驚愕に染め抜かれていた。
 見間違えるはずがない事は、誰よりも杉本自身が分かっている。
 彼女が、杉本の地雷となりうる少女が、あの場にはいた。

「よくも……よくもアシリパさんを巻き込んだな……!!」

 獣が唸るような声で、杉本は感情を吐き出した。
 純然たる殺意の矛先は、兵藤和尊。
 彼は、その少女を危険に晒す者を決して許しはしない。

「精々ふんぞり返ってろよ、兵藤和尊。絶対に―――ぶっ殺してやる」

 もはや躊躇いもない。
 例え奴にどんな事情があろうとも知ったことではない。
 この光景をどこかで見ているであろう老人に向けて、宣戦を布告した。







 それから少しして、杉本は会場の北部から中央に向けて歩いていた。
 支給品の地図を確認したところ、この殺し合いの会場は円形で、外周沿いは全て森林で覆われているようだった。
 そして、森林に囲まれた中央部には住宅街が建ち並んでいるという。
 人が集まるとしたら、森林よりは市街地だろうと考えて、杉本は会場の中央に向けて歩を進めていた。
 勿論、アシリパが杉本の考えと外れた行動をとる可能性も十分にある。
 森林の方が身を隠すには最適だし、アイヌのとして狩猟を生業とするアシリパなら森林だろうと無理なく何日と過ごせるはずだ。
 ただこの状況でアシリパが黙って森林で隠れ通そうとするようには、杉本には思えなかった。
 彼女ならば命を握られている恐怖にも臆さず、生き延びるための道を己の足で探すはずだ。
 なのでまずは、人の集まりやすいであろう中央部を目指す。
 次いで、もしアシリパが森林に活動拠点を置いた際も考えて、その道中にも、適度に自分のいた痕跡を残していく。
 中央部へ向かうことを、どれも素人には気付けない、だがアシリパや(名簿に載っていた)白石なら気付けるような形で、残していく。

16不死身を殺す者。そして ◆YNRwxgN9JE:2021/02/24(水) 18:25:26 ID:qf/DQwx20

(これで合流できるといいけど……)

 不安は拭えないが、やれることをやるしかない。
 装備も、奇跡的に彼が愛用していた軍用銃が支給されていた。
 食事もとり、身体は気力に満ちている。
 死なない。
 何よりアシリパさんを死なせない。
 その強い意志でもって、杉本は道なき道を進んでいく。

(おっ、森林を抜けたな。これは……住宅街か?)

 森林の先には、民家の建ち並ぶ住宅街があった。
 そこにある民家は割と新しい建築様式のもの。
 大正の時代を生きる杉本は見たことのない種類の民家に目を丸くしていた。

(不思議な民家ばかりだ。やけに色とりどりで目が痛え……。地面もなんだ? 全面がコンクリートで補強されてやがる)

 都会に出てきた田舎もののように周囲を見回しながら、杉本は進んでいく。
 コツコツとアスファルトを叩く軍靴の音が、どこか大きく聞こえる。
 そうして、人気のない住宅街を進んで数分。
 ようやく杉本は、最初の参加者を発見した。

(アイツは……)

 男は街頭の下、ただ佇んでいた。
 空を見上げて、何をするでもなく。
 微動だにすらせず、立っている。
 蒼色の髪。白色の外套。
 その顔は怖気を振るうほどに整っていた。
 杉本も行動を始めてそれなりの時間が経過しているが、その間、男はずっと佇んでいたのか。
 疑問に思いながらも杉本は歩兵銃を構える。
 まずは情報を入手しなければいけない。
 杉本は気味悪く思いながらも、銃口を突きつけながら、男へと声を掛ける。

「おい、あんた手をあげな―――」

 返答は、なかった。
 ただ杉本の方へ視線を向けただけ。
 目と目が、あう。
 瞬間、

(―――!!?)

 今度こそ心底からの怖気が、背筋を走り抜けた。
 男の瞳を言葉にするならば、そう虚無。
 何も映さず、何も捉えていない。
 まるで死人のような―――幾多の死体を見てきた杉本ですらそう思ってしまような―――瞳。
 死体が、動いている。
 そんな考えが一瞬頭を過り、日露戦争を生き延びた杉本さえ怯ませた。

「手をあげ、」

 防衛本能のままに静止を強要……しようとした時には、全てが終わっていた。
 柔道の達人である杉本すら反応できない速度で、間合いを詰める男。
 杉本には突如目の前に壁が現れたかのようにすら見えなかった。
 そして、杉本は何も分からぬままに、命を終える。
 素手で杉本の胸板を貫いた男は、そのまま中にあった心臓を抜き出し、握りつぶした。

17不死身を殺す者。そして ◆YNRwxgN9JE:2021/02/24(水) 18:25:47 ID:qf/DQwx20
 力なく倒れる杉本。
 男は最後まで杉本へ興味を示さず、己が血溜まりに沈む杉本から視線を外して、その場から歩き去ろうとする。
 ただ、ふと男は動きを止めた。
 その瞳がとらえたのは一枚の用紙。
 杉本を貫いた拍子に彼が装備していたデイバックが破れ、中身が散乱したのだ。
 それは、参加者全員に支給されている『参加者名簿』。
 その中にある一つの名前を見て、男は嗤った。

「ヴァッシュ・ザ・スタンピード……!」

 男は、思い返す。
 この殺し合いに連れられる寸前にあった、もう一つの殺し合い。
 人ならざるガンマンとの死闘。
 結末は、男の敗北。
 本気をだしたガンマンに男は手も足も出ずに、身体を銃弾で貫かれ、倒れた。
 倒れ、敗北を悟ったその瞬間に―――男は、あの場所にいた。
 殺し合い。
 バトルロワイアルの場に。

「そうか、君も連れられていたのか……!」

 男の名はレガート・ブルーサマーズ。
 とある騒乱蔓延る砂の惑星に於いて、数多の超人たちから恐れられた、最強にして最凶の人間とされた男。
 男の目的は、ただ一つ。
 ヴァッシュ・ザ・スタンピードの抹殺。
 一度は果たせなかった夢が、我が忠誠を示す機会が、再び目の前に舞い降りていた。
 数分前の、失意に沈んだ生ける屍はもういない。
 ヴァッシュ・ザ・スタンピードを、あの人間台風(ヒューマノイドタイフーン)を、あの方の同類を、今度こそ殺して見せる。
 レガート・ブルーサマーズは狂気と狂喜でもって、歩みを始める。

「……?」

 だが、足は前に出なかった。
 何者かが自分の足を掴んでいるのだ。
 足元に視線を向けるとそこには、先ほどレガートが殺害せしめた者……杉本佐一がレガートの足を掴んでいた。
 心臓を失った身体で、死を免れぬ身体で、それでも僅かに瞳を輝かせて、握る手に力を篭めている。

「おれは……ふじみ、の……すぎ、も……と……」

 もはや死体同然の身体。
 それは燃え尽きる間際の、奇跡にも似た命の瞬き。
 だが、それすらもレガートは虚無でもって見下ろしていた。
 人間如きが見せた小さな奇跡など、興味の範疇にないのだ。
 その手を易々と振りほどき、暗闇の住宅街へ消えていく白衣の死神。
 レガート・ブルーサマーズのバトル・ロワイアルが始まり、杉本佐一のバトル・ロワイアルは終わりを告げた。



【杉本佐一@ゴールデンカムイ 死亡】


【レガート・ブルーサマーズ@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康、血まみれの服装
[装備]:レガートの鋼糸@トライガン・マキシマム
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:ヴァッシュ・ザ・スタンピードの殺害
1:ヴァッシュを殺す

※レガートの鋼糸@トライガン・マキシマムは彼の身体を操作できる分しかありません

18不死身を殺す者。そして ◆YNRwxgN9JE:2021/02/24(水) 18:26:14 ID:qf/DQwx20





『止めて……あの人を、止めて……わたしを、止めて……お願い、だれか……』


 声が、聞こえる。
 誰かの、声が。
 まだ小さい女の子の声。

(誰の……声だ……?)

 声は震えていた。
 聞いてるこちらの胸が引き裂かれそうなほどの、痛ましげな声。
 声の方を見やる。
 誰かが、いる。
 声の通りに小さな女の子が、膝を抱えて泣いている。

(この子は……?)

 見知らぬ少女。
 こんな悲しい声で、こんなにも小さな子が泣いているなど、悲しいことだ。
 どうにかして泣き止んでもらいたい。
 そうして、手を伸ばしたところで、


「あれ、ここは……」


 ―――杉本佐一は、目を覚ました。
 まるで眠りから覚めたように、それが当たり前の如く目を開いた。

「ん、んん……? 夢かぁ……」

 欠伸をしながら上体を起こす杉本。
 右に左に寝ぼけまなこを向け、凝り固まった体を伸ばすと、ボタボタと何か液体の零れる音が聞こえた。

「あれ、酒でも抱えて寝ちゃったかな? こぼちしゃった……」

 音の方を見ると、そこには自分の胸から大量に零れだす赤色の液体があった。
 スプラッターな光景に杉本の動きがフリーズする。
 そして、たっぷりと自分の血が流れる光景を見つめた後で、

「うおおおおおおおおおお!!? 何だああああああ!!??」

 絶叫が木霊する。
 同時にあふれ出した記憶は、全てが夢じゃないと語っていた。
 臓腑を貫かれる鈍い痛み、これまでになく間近に迫った死神の足音、自分を見下ろす虚無の瞳。
 殺し合いも、男との遭遇も、その後の瞬殺劇も。
 全てが全て、現実だ。
 それを実感した杉本は、だからこそ現状をどう受け止めればいいのかが分からなかった。

 事の始まりは、バトル・ロワイアルが始まって直ぐの頃に遡る。
 まだ杉本が森林にいた時のこと。
 彼は支給品や参加者名簿を確認しながら腹ごしらえをしていた。
 食料は保存のきく携帯食料や缶詰、そして見たことのない種類の果物が入っていた。
 まずは生ものからと考えた杉本は、その果物を真っ先に齧った。
 死ぬほどに不味かったそれは、だが不思議と一口で腹を満たしてくれた。
 ―――この果物が、杉本の身に降りそそいた不可思議な現象の原因だった。
 実の名前は『ヨミヨミの実』。
 とある世界に於いて、海の悪魔の化身とされる果実……『悪魔の実』。
 一口でも食べれば、その実に宿された特殊な能力を手にいれる事ができる伝説の果実。
 杉本は最初に支給されていたその果実を、知らぬうちに食していたのだ。
 『悪魔の実』の一種たる『ヨミヨミの実』の能力は、一度だけ黄泉からの蘇りが可能になるというもの。
 つまり杉本佐一は、一度本当に死に、『ヨミヨミの実』の能力で蘇生したのだ。
 ただ一つ注意点をあげるとするならば、『ヨミヨミの実』は蘇生を果たすものの、その肉体は治癒しないということ。
 本来の能力の持ち主なぞは、皮膚も筋肉も内臓も脳味噌もない骸骨の姿で蘇った。
 杉本もまた、同様だ。
 心臓のない身体でありながら蘇り、様々な原理原則を無視して、呼吸をし、身体を動かしている。

「ど、どうなってるんだよ、こいつは!?」

 バトル・ロワイアルという混乱極まる事態の中、黄泉がえるという混乱極まる状況に陥った杉本。
 杉本佐一の―――いや、『不死身の杉本』のバトル・ロワイアルは、こうして再びの始まりを告げた。


【杉本佐一@ゴールデンカムイ 蘇生】

【杉本佐一@ゴールデンカムイ】
[状態]:大混乱、心臓喪失、胸部に穴があいている、ヨミヨミの実の能力者、血濡れの衣服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:アシリパを守る
0:なんだぁ!?!?
1:アシリパさんと合流。ついでに白石も


※三十年式歩兵銃@ゴールデンカムイが杉本の傍に落ちています

19 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/24(水) 18:27:05 ID:qf/DQwx20
以上で投下終了です。
杉本のこのネタを一度はパロロワでやりたかった

20 ◆YNRwxgN9JE:2021/02/24(水) 18:36:47 ID:qf/DQwx20
すみません、上のSSですが杉『本』佐一でなく杉『元』佐一です…。
二次創作でやってはいけないミスををを……申し訳ございません、脳内で訂正のほどよろしくお願いいたします。

21名無しさん:2021/02/24(水) 21:21:31 ID:gPvaREJk0
乙です
人類最強クラスのレガート相手じゃ、杉元でも無理かー…と思いきやヨミヨミは予想外


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