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天気の子バトルロワイアル【2章】

294ラスボス系男子 ◆7PJBZrstcc:2021/08/23(月) 19:01:00 ID:0zrwwjQ.0
『うわぁ……えぇ、本当に……?』

 突如流れ始めた神子柴の放送の後、タブレットを操作してロックされていた名簿を見始める球磨川。
 タブレットは彼の知らないものだが、そこは全ての携帯電話を持つ男。
 大して手間取りもせずタブレットを使いこなしていた。
 しかし、名簿を確認した彼に待ち受けていたものは、彼を知る者ならおおよそ”らしくない”と思わせるほどの困惑があった。
 その理由はこれだ。

 海馬瀬人。

 あの大人気カードゲームバトル漫画、遊戯王の人気ライバルキャラの名前が名簿にある。
 まさか、漫画のキャラクターが同じ殺し合いに参戦しているとは、流石の球磨川禊も思っていなかったのだ。

『いや、いやいや、いやいやいやいやいやいや』

 しかしここで球磨川は、それを否定するために必死に首を振る。

 別に、彼は常識外の事態に怯えているわけでは無い。伊達に箱庭学園の卒業生ではない。
 異常(アブノーマル)に過負荷(マイナス)、悪平等(ノットイコール)。そして言葉使い(スタイル)を知っている彼からすれば、今更何が起ころうが別に気にも留めない。
 そして漫画のキャラが具現化しても同じこと。何の懸念もなければ、殺し合いにケリをつけた後で、サインの一つでも貰いに行こうかと思わなくもない。
 だがそうもいかない事情がある。

 それは、彼のよく知る人外安心院なじみが絡んでくる。
 彼女はつい数ヶ月前までシミュレーション仮説を抱き、世界を週刊少年ジャンプに連載されている漫画だと本気で思っていた。
 それを彼の仲間が諸々やって解消した、とまでは言えなくとも、それによる自殺衝動は止めることができた。
 のだが、ここにきて漫画のキャラの登場だ。

 もし、安心院なじみがこの殺し合いを知り、そのせいでもう一度シミュレーション仮説を抱かれた日には、かつての焼き直しだ。
 正直、同じことの繰り返すとまでは思っていないが、また何か面倒が起きればやってられない、位は思う。
 いくら価値がないから過負荷(マイナス)でも、箱庭学園で過ごしたあの日々は誰にとっても無価値ではないのだから。

『まあ、単に同じ名前なだけの可能性もあるけどね』

 球磨川は、さっきまでのちょっと格好いいモノローグを、一瞬で翻して台無しにした。
 まあ、デスノートが流行った時は子供に月(ライト)と名付けた親が沢山いたらしいので、同じことが起きてもおかしくはない。
 海馬という苗字は現実にある。
 そして瀬人なら、普通の名前なので偶然被る可能性もなくはない、かもしれない。

 だが彼は過負荷(マイナス)の極致、負完全球磨川禊。
 いくら勝利を経験しようとも、本質はどこまでいっても敗者。
 望んでも願いなど叶わず、いつだって彼は不幸だ。
 故に悟っていた。

 海馬瀬人は間違いなく、球磨川禊がかつて読んだ遊戯王の登場人物なのだろう、と。


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