したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

Fate/ding epilogue ─結末聖杯─

1 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:39:59 ID:mJgQ.tkw0
 疑いながら試しに右へ曲るのも、信じて断乎として右へ曲るのも、その運命は同じ事です。
 どっちにしたって引き返すことは出来ないんだ。──太宰治

2 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:41:41 ID:mJgQ.tkw0
【はじめに】
・この企画はTYPE-MOON原作の『Fateシリーズ』や仮面ライダーシリーズ『仮面ライダーエグゼイド』などの設定の一部を使用したリレーSS企画です。

・マスターとサーヴァントたちが聖杯を巡って殺し合う感じです。

・コンペの形で主従を募集し、一定期間後に採用する話をイッチの独断と偏見で決定します。

【舞台設定】
・聖杯戦争の舞台となるのは『Fate/EXTRA』に登場する月の聖遺物『ムーンセル』をなんやかんやで掌握したとあるゲームクリエイターによって生み出された『マイティフェイト』というゲームのバーチャル空間。

・『マイティフェイト』の世界は現代日本のとある都市がモチーフになっています。会場の地図は、採用する作品が決まった後で作成します。

・参加者たちは『仮面ライダーエグゼイド』のアイテム『ライダーガシャット』を手にし、この舞台に呼び出されます。

・参加者たちが『ガシャット』を手に入れた経緯に特に決まりごとはありません。謎の人物から郵送されてきたとか、道で偶然拾ったとか、何でもいいです。

・参加者たちは『マイティフェイト』内で『ガシャット』を使用し、一度限りの英霊召喚をおこなえます。これによって、マスターとサーヴァントの契約が結ばれます。

・候補話時点でのいわゆる『ズガン』は無しでお願いします。

【マスターの条件】
・出展作品はなんでもOK。

【サーヴァントの条件】
・出典作品はなんでもOK。

【コンペ期間】
・一ヶ月くらい。場合によって延びたり縮んだり。

【採用主従】
・上記の【舞台設定】が守れている候補話の中から、基本の七クラスにエクストラクラスを加えた八クラスを十四組くらい選びます。場合によって増えたり減ったり。

・誰も投げなかったらイッチがひとりで泣きながら投下する孤独のマラソンが始まります。

3 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:42:14 ID:mJgQ.tkw0
OPを投下します

4 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:43:31 ID:mJgQ.tkw0
0

 生きることは劇的だ。
 もっとも、その劇が悲劇でないとは限らないが。

5 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:44:50 ID:mJgQ.tkw0
1

 ひとりの男がいた。
彼はゲームクリエイターとして多くのゲームを作り上げ、世に売り出してきた。
彼が生み出したゲームはいずれも、沢山の人間を熱中させるほどに面白い作品ばかりだった。
 彼はゲーム作りの天才だったのだ。
 いや、この言い方は不適格だろう。言い直す。
 彼はゲーム作りの天才『過ぎた』のである。
 薬も過ぎれば毒となるように、ゲームクリエイターの才能がありすぎた彼は、ついにゲームを用いて世界に災厄を齎す存在にまでなってしまった。
 ゲームという、本来なら人を楽しませるはずの娯楽で周囲にいくつもの被害を与えてしまったのである。
そんな彼は人々を守るために戦うヒーローである仮面ライダーたちと戦うこととなった。
戦いの中で時に勝利し、時に敗北し、時に囚われ、時に脱走し、時に協力し、時に裏切り。
そんな日々を重ねた末の、ある雨の日。
決定的な敗北を喫した彼はこの世を去った。
 まるで、ゲームのラスボスのように敗れたのである。
 こうして世界を騒がせていた騒動は収まった。
 出過ぎた杭を打つ形で平穏を取り戻せたのである。
 だが。
だがしかし。
これで本当に良かったのだろうか?
 行き過ぎた天才が時代に適合できなかったのではなく、遅れていた時代が天才に適合できなかっただけなのではないのだろうか。
 もしも彼の生まれる時代がもう少し遅かったり、生まれる世界がもう少し彼に相応しいものだったりすれば、そもそも世界に迷惑をかけるような存在になることさえなかったのかもしれない。
 もっとも、そんな『もしも』について考察した所で意味は無いのだが。
 現に彼は消滅したのだから。
 というわけで彼が死んだ今、全ては丸く収まった──はずだった。
 しかし、そうはならなかった。
 彼が死去する際に残した僅かな粒子、あるいはほんの少しの因果、もしくは彼自身が自称していた神性の一滴が世界を渡り、とある悪平等(ノットイコール)と人類最悪のふたりに拾われた所為で、物語は大きく狂ったのである。

「やあ初めまして、檀黎斗くん」

「よう、お初にお目にかかるぜ、天才」

 彼は生まれる時代を間違えた。
どれだけ素晴らしいソフトウェアでも、ハードのスペックが低ければ十全に働けないように。
 もっと相応しい世界だったら、もっと彼にぴったりな社会だったら、もっと彼に似合う環境だったら、より良い結末が待っていただろう。
 だから、異名に同じ『悪』の文字を含むふたりは、彼に最高の環境を用意した。
 その環境の名はムーンセル。
 地球外の存在が産み落としたアーティファクトであり、全長三千キロメートルに及ぶフォトニック純結晶体で構成されたスーパーコンピューターである。
全宇宙を見渡しても、これ以上のハードウェアは中々見つからないだろう。
それは、人類の規模では収まりきらなかった彼の才能をフルに活かすのはこの上なくピッタリな環境だった。
 悪平等と人類最悪はムーンセルを紹介すると、ゲーム制作の依頼を持ちかけてきた。
 ふたりが依頼したゲームの内容は単純だった。
 それは『聖杯戦争』という既存の儀式がベースとなっている。
 マスターと呼ばれるプレイヤーと、サーヴァントという名のキャラクターの組み合わせをいくつか用意し、フィールド内で戦わせるシステムだ。
『複数人を争わせる』というシステム自体は、彼が以前開発していた『仮面ライダークロニクル』というライダー同士の戦いをメインとしたゲームと大して変わらない。
 しかし、用いられるハードウェアが以前とは段違いである今、出来上がるゲームは遥かに上のレベルのものとなるだろう。

「偉人召喚のスキル『故人的な意見(パストインターペンション)』、戦争を起こすスキル『手書きの架空戦記(プロモーションウォーズ)』といった聖杯戦争向きのスキルをざっと10000個は持っている僕でさえ、今の状態ではその舞台を独力で整えることは不可能だからね」

 悪平等は語る。

「だから、黎斗くんの助力が必要不可欠なのさ。素晴らしいゲームの世界を作ってくれることを期待しているぜ」

 もっとも、と。
 見る者をぞっとさせるような冷たい笑みと共に続けた。

「世界なんて、元からゲームみてーな物なんだけどさ」

 こうして最悪のゲームは開催されることとなった。

6 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:46:30 ID:mJgQ.tkw0
2

「マスターの君へ。
「まず初めに、君がマイティフェイトの参加権を獲得したことを祝福しよう。
「神の恵みを受け取り、万能の願望器を手に入れるチャンスを掴むなんて、天文学的な確率なのだから。
「普通の人間では、人生を十回繰り返したところで巡り合えない好機なのだから。
「心から『おめでとう』と言わせてもらおうじゃないか。
「私の名前は檀黎斗。
「いま君がいるマイティフェイトの世界を作り上げた神(ゲームマスター)だ。
「このゲームをジャンルで分類するなら……今のところ不明だ。
「アクションゲームといえるし、ノベルゲームともいえる。
「戦争シミュレーションゲームといえるし、ソーシャルゲームともいえる。
「神である私ですらカテゴリーを断言できないほどの無限の可能性が、このゲームにあるのだと思って頂きたい。
「とはいえ一切合切が不明のままでは、プレイヤーの混乱を招くだけだ。
「なので、まずはこのゲームの内容について説明をさせてもらおうか。
「ゲームに付き物なチュートリアルの開始さ。
「マイティフェイトで君がすべきことは、たったふたつだけ。
「ひとつは『サーヴァント』を召喚し、契約を結ぶこと。
「『サーヴァント』とは歴史において何らかの偉業を成し遂げた人物が英霊となったものだ。
「彼らは基本的には剣士(セイバー)、弓兵(アーチャー)、槍兵(ランサー)、騎兵(ライダー)、魔術師(キャスター)、暗殺者(アサシン)、狂戦士(バーサーカー)の七クラスの中のいずれかの枠に収まった状態で召喚される。
「どんな英霊がどんなクラスで現れるかは召喚するまでのお楽しみだ。
「君の体の何処かに刻まれている三画の文様──『令呪』は『サーヴァント』との契約に欠かせない重要アイテムだ。
「それがあることで君は『聖杯戦争』のマスターとして参加権を得られているし、それを一画消費することで『サーヴァント』に絶対的な命令を下すことができる。
「逆に言えば、『令呪』を全画失えば、サーヴァントの支配権も失ってしまうことになる。
「快適な聖杯戦争ライフを送る上では避けるべき事態だ。気を付けたまえ。
「さて、マイティフェイトで君が目指すべきもうひとつの目標について説明しよう。
「それは『サーヴァント』と一緒に『聖杯戦争』を勝ち抜くことだ。
「その末に得られる万能の願望器、『聖杯』が、二重の意味でトロフィーになるのだと考えてもらって構わない。
「あらゆるゲームに必要不可欠なものといえば、それを遊んでクリアするプレイヤーの存在だが、このマイティフェイトというゲームの場合、プレイヤーは君ひとりだけではない。
「君以外にも複数のプレイヤーが存在する。
「君のように、元居た世界から招来されたプレイヤーがね。
「しかし、『聖杯』に辿り着けるのはただひとりだけだ。
「……ここまで言えば、気が付くだろう?
「そう。
「君はこれから他のプレイヤーと戦い、生き残らなくてはならないのさ。
「その最中には、目を逸らしたくなる困難があるだろう。
「今まで直面したことのない謎だってあるはずだ。
「だが……いや、だからこそ面白い!
「生き残りを賭けた至高にして究ッ極のゲームゥ!
「果たして、最後に『聖杯』を掴むのは誰なのか?
「それはゲームマスターである私ですら予想できない未来だ。
「精々楽しませてもらおうじゃないか。
「もちろん、君がこのゲームを存分に楽しんでくれることも心から願っているよ。
「さあ、チュートリアルはこれで終わりだ。
「この映像が消えた後は、君が手に持つガシャットを使ってサーヴァントを召喚するがいい。
「その時こそ、ゲームの始まりだ!
「動き出す運命(フェイト)! 
「進む物語(シナリオ)!
「それらは誰にも止められない!
「ゲームクリアか?
「それともゲームオーバーか?
「このゲームで君が迎えるエンディングは、はたしてどちらなのかァ!?
「ヴェーハッハッハッハハッハッハァアーッ!」

7 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:53:02 ID:mJgQ.tkw0
OP投下終了です。タイトルは『オワリスタート 〜悪色聖杯と戯遊作り〜』です
次に早速ですが、候補話を投下します。というか、この話は九十九割当選させるつもりなので、実質OPの続きになります。

8再開するFate ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:54:28 ID:mJgQ.tkw0
ガシャットから投射されていた檀黎斗のホログラムが汚い笑い声を残して消えた。
とあるカフェのテラス席、クリーム色をした円形のテーブルに宝生永夢は座っている。
 ここに来るまでの記憶を思い返してみよう。
 永夢の人生に多大な影響を与えた男、檀黎斗が消滅してから三年が経ったある日、研修期間を終えて小児科医とCRの二足の草鞋を履いていた永夢は、いつも通り医局を訪れ、そこに居た貴利矢やポッピー達と何気ない雑談をしていた。
 その時に小包を持った院長が現れたのである。
 院長曰く、その小包は永夢宛てに送られてきたのだそうだ。差出人は記入されていなかった。
 不審に思いながらも、永夢は小包の包装を剥がし、中身を露わにした。
 入っていたのはガシャットだった。
 シングルタイプの透明基盤が光を反射し、ケース部分は虹色で──いや、使われている色の種類は七色よりももっと多い。いわゆるゲーミングカラーか? ──デザインされている。ラベル部分には剣や弓矢といった武器を装備した複数のマイティが描かれていて、『MIGHTY FATE』の文字があった。
 見たことのないガシャットだ。しかし、永夢がそれを奇妙に思う暇はなかった。
なぜなら──取り出したガシャットに触れた次の瞬間、彼はCRからワープし、カフェテラスに座っていたからだ。その手に不明なガシャットを携えて。
 その後、突然ガシャットから檀黎斗のホログラム映像が飛び出し、『マイティフェイト』だの『聖杯戦争』だのについての説明を一方的に聞かされたのである。
 …………思い返してみても、突拍子の無い展開だ。
 夢だと思いそうになる。

「……いや、黎斗さんの言葉を信じるなら、これは夢じゃなくてゲームなのか」

 改めて周囲を見れば、そこには日本の何処かであろう町並みや、行き交う人々が見られる。凄まじい現実感だ。これがゲーム内の光景だなんてとても信じられないが、製作者があの檀黎斗だというのなら納得するしかない。

9再開するFate ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:56:26 ID:mJgQ.tkw0
「現状の確認は終わったかな?」

 と、そこで思考に割り込むようにして、女の声がした。
先ほど永夢がカフェテラスの一席に座っていると描写したが、なにも、そこにいるのは彼ひとりだけではない。叙述トリックではなく、単なる描写の怠慢である。
円形のテーブルには、他にふたりの同席者がいる。
ひとりは巫女が着るような白装束に身を包んだ女。雪のように白い髪を太腿に届きそうな長さまで伸ばしており、前髪にはヘアバンドを着けている。これだけで属性過多と言える特徴を備えているが、それらを抜いて目を引くものが、彼女の胸部にあった。
 それは、螺子。
 一本の巨大な螺子が彼女の右手を貫通し、左胸に深々と突き刺さっている。なんともショッキングな見た目だ。しかし螺子が突き刺さっている柔肌から血は一滴も零れておらず、女の顔には苦悶の表情ひとつ浮かんでいないのだから、実に不思議である。
 一方、もうひとりの同席者はどうかというと、そちらも中々に濃い人物だった。
 座っていてもはっきりと分かるほどに背が高い。二メートルまではいかないかもしれないが、百九十センチは確実に超えている。そんな体で螺子女の髪色と同様に真っ白な和服を着流していた。これだけならまだ、やや古風ではあるもののファッションの範疇として見ることは可能だろう。
 しかし、狐のお面を被ることで、その男は普通とは隔絶した存在となっていた。
 巫女服と和服。
 螺子と狐面。
このように、彼らはふたりとも異様なまでの存在感を放っているのである。
 異様というか、異物というか。
 そこに存在していること自体がおかしいと思わされるほどの存在感。
 明らかに普通ではない。
 まるで他の世界からの来訪者みたいだ──永夢はそんな風に思った。

「ふん。『まるで他の世界からの来訪者みたいだ』」

 狐面の男は言った。その時になって永夢は、自分が先ほど抱いた感想を口から漏らしていた事実に気が付いた。

「中々いい目をしているじゃないか」

 なぜ狐面の男が自分を褒めたのか理解できない。
 いや、理解できないのは、彼の言動だけではない。
 目の前にいるふたりが何者なのかも。
 永夢には全然分からなかった。
 彼らからすれば永夢は目の前に突然現れた異人だろうに、大して慌てていないところから、まず只者ではないと見て間違いあるまい。
 只者ではない狐面の男は、只者ではない雰囲気のまま、只者ではない態度で言った。

「よぉ、挨拶が遅れたが、初めまして」

 次に只者ではない螺子女も、同様に言う。

「初めまして、永夢くん。僕の名前は安心院なじみ。安心院さんと呼んでくれ」

「……初めまして」

 永夢は挨拶を返した。
 彼らのぶっ飛んだ見た目から、永夢は警戒心を引き上げていたが、少なくとも言葉は通じるし、敵対的な雰囲気も見られない。

「ふん。『初めまして』」狐面の男はまた復唱した。どうやら、それが彼の口癖のようだ。「俺の名前は……好きなように呼ぶといい。どうせ名前なんて、何であっても意味はないんだからな」

 名乗りと言い難い名乗りだった。
 とはいえ、そこら辺を深く掘り下げようと思うほど、永夢は狐面の男に興味津々なわけではない。
 それよりも気になることがあるのだから。

「それで、貴方たちは何者なんですか?」

「『マイティフェイト』──『聖杯戦争』の主催者だ」

 螺子女はそう答えた。

「黎斗くんがゲームクリエイターなら、僕たちはその一大プロジェクトに出資したスポンサーみたいなものだね」

 つまり、自分たちは黎斗の計画に深く関わる黒幕だと。
 永夢のみならず、多くの命を巻き込むであろう『マイティフェイト』というゲームを作り上げた一派なのだと。
 彼女は暴露したわけである。
 
「それで」

 狐面の男が受け継ぐように、続けて話した。

「俺たちは主催の一員として、今は『聖杯戦争』の本開催の準備で忙しい黎斗の代わりに、お前の意志を確認しに来てやったのさ……普通は参加者にこんなことはしないんだが、お前はアイツと特別深い仲にあるようだしな」

「意志?」

「ああ、このゲームに対する意志──俺としては、お前ひとりが欠けたところで『聖杯戦争』は普通に進行すると思っている。お前の代わりはいくらでもいるからだ。そして、それはお前と黎斗の間にあるという因果についても同じことが言える」

 他人の領域にずかずかと勝手に這入り込むような話し方で、狐面の男は語る。

10再開するFate ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:58:00 ID:mJgQ.tkw0
「黎斗は因縁深いお前を参加者のひとりに選んだが、仮にお前が参加しなかったところで、いずれどこか別の機会にお前たちの因果には決着が着いていただろう。何故なら、この世界はそういう風に出来ているからだ」

 全ての物事には代理が効く。
 起きることは起こるべくして起こる。
 そんな運命論を信じているかのような言い方だ。

「だが、それでもアイツはお前を唯一無二の『自分の敵』と認識し、このゲームを開いた──この挑戦状を受けて、お前はどうする?」

 その質問への回答など、とっくに決まっている。
 永夢は口を開こうとしたが、その時、全身の細胞が一斉に暴れるような感覚に襲われ、彼の体から大量のバグスターウイルスが放出された。
空気中に飛び出たそれは、やがて人間の形を取る。
永夢の中にいるもうひとりの自分、パラド。
どうやら、見知らぬ街へ転移しても、彼らが一心同体なのは変わらないようだ。
パラドの突然の登場にも螺子女と狐面の男は驚かない。彼らは永夢のことを相当深くまで知っているらしい。

「永夢。挑発に乗るな。やめておけ」

「パラド……危険なのは分かってる。『聖杯戦争』なんてゲームも、絶対に許せない。でも、これは黎斗さんから三年ぶりに来たアプローチなんだ。無視することはできない。もしかしたら、これでずっと分からなかった黎斗さんの心が分かるかもしれないんだから」

 それに。

「マイティフェイトがどんなゲームでもクリアしてみせる──黎斗さんの思惑通りになんて、絶対にさせない」

 永夢は強い意志を込めて言い切った。
 決意と共に、ガシャットの起動スイッチを押す。
 透明基盤が白い光を放ち、内部にあるスピーカーから音声が流れる。

『マイティフェイト!』

 瞬間、ゲームエリアが展開された。
 地面に魔法陣のような紋様が描かれた空間であり、魔術的な雰囲気を感じさせられる。
 紋様の外周に沿うように光が走り、膨大なエネルギーが集中した。
 これぞ英霊召喚。
 電脳世界において疑似的に再現された高位の魔術儀式であり、そして永夢にとっては彼が本格的に『マイティフェイト』に参加した瞬間であった。
 光の柱と共に、その中心に何者かが現れる。
 そこに立っていたのは女性だった。
 燃えるように赤く、鋼鉄のように固い決意を思わせる瞳。
 歴戦の勇士じみた雰囲気を漂わせる軍服。
 彼女の名は──ナイチンゲール。
 言わずと知れた医療と看護の代表者と言える、クリミアの天使である。

「私が来たからにはどうか安心なさい。全ての命を救いましょう。全ての命を奪ってでも、私は必ずそうします」 

召喚されたばかりだというのに、きっぱりとした口調で、まるで自分の目的は最初からそれひとつなのだと言わんばかりに、彼女は告げた。

11再開するFate ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:58:50 ID:mJgQ.tkw0
【クラス】
バーサーカー

【真名】
ナイチンゲール@Fate/Grand Order

【ステータス】
筋力B+ 耐久A+ 敏捷B+ 魔力D+ 幸運A+ 宝具D

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
狂化:EX
 パラメーターをランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。

【保有スキル】
鋼の看護:A
 魔力で形成されたメスや薬品を使用して仲間の治療をおこなう。
 人を救う逸話によって強化されているため、重傷であっても治療可能。

人体理解:A
 治癒系のスキルや魔術の行使にプラス補正。
 相手の急所を極めて正確に狙うことが可能となり、攻撃時のダメージにプラス補正が加えられ、被攻撃時には被ダメージを減少させる。

天使の叫び:EX
 聞く者の魂を奮起させ、生存への本能を著しく上昇させる。

【宝具】
『我はすべて毒あるもの、害あるものを絶つ(ナイチンゲール・プレッジ)』
ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:0〜40 最大捕捉:100
 戦場を駆け、死と立ち向かったナイチンゲールの精神性が昇華され、更には彼女自身の逸話から近現代にかけて成立した『傷病者を助ける白衣の天使』という看護師の概念さえもが結びついたもの。
 範囲内の毒性や攻撃性を無効化し、回復効果も兼ねる。

【武器】
・自身の肉体
・ペーパーボックスピストル
・手榴弾、その他諸々

【人物背景】
言わずと知れたクリミアの天使。

【サーヴァントとしての願い】
彼女の人を救うというスタンスが変わることは絶対にない。

12再開するFate ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:59:35 ID:mJgQ.tkw0
【マスター】
宝生永夢@仮面ライダーエグゼイド

【能力・技能】
・天才ゲーマー
かつては『M』の異名で知られていたほどにゲームが上手い。

・仮面ライダーエグゼイド
ゲーマドライバーを用いて仮面ライダーエグゼイドに変身する。

・パラド
 永夢の体内にいるバグスター、青年の姿を取って外界に現れることも可能。彼の存在により、永夢は仮面ライダーに変身することができる。
 またパラド自身も仮面ライダーパラドクスというライダーとしての力を持つ。

【人物背景】
 聖都大学付属病院の小児科医。参戦時期は『小説 仮面ライダーエグゼイド 〜マイティノベルX〜』開始前より。

【マスターとしての願い】
檀黎斗の野望を阻止する。

13 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/09(火) 18:59:59 ID:mJgQ.tkw0
投下終了です

14 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/13(土) 20:21:22 ID:Sijf1Q9A0
投下します

15太陽と花 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/13(土) 20:22:31 ID:Sijf1Q9A0
『マイティフェイト』の舞台は、電脳空間に再現された日本のとある都市である。
 そこには現代的な街並みが広がっており、多くの人間が生活しているのだ。
 一見すれば、それはどこにでもありそうな日常的な風景である。
 だがゆめゆめ忘れることなかれ、ここが戦争の舞台であることを。
 たとえ表が綺麗に取り繕われようと、その裏には死と暴力と絶望に満ちた悍ましい世界が待っているのだ──ある早朝。
 ひとりの男が路地裏に立っていた。
 彼は黄金のような男だった。外国人であることが一目でわかる髪色はもちろんのこと、気品というか、風格が、黄金じみた高貴な輝きを感じさせる。
 あるいは、太陽のような輝きか。
 男の名前はジョルノ・ジョバァーナ。
 イタリアのギャング組織『パッショーネ』のボスであり、此度の聖杯戦争においてはアーチャークラスで召喚されたサーヴァントだ。
 そんな彼がどうして路地裏に足を運んでいるのかというと、そこに転がっている女が原因だった。
 生命力を司るスタンド『ゴールドエクスペリエンス』を持つジョルノは、生物に触れることでその魂の種類や有無を判別できる。そんな彼が触れずとも、一般人の目で見てもはっきりと分かるくらいに、目の前の女は死んでいた。
 思わず顔に不快感が滲む。
 死体そのものに対してではない。この光景を生んだ下手人に対してだ。
 死体の損壊から見て、人間の犯行ではないだろう。超常の存在であるサーヴァントの手による犯行と見るべきだ。

「……魂喰いか」

 あるいは、快楽じみた欲求による殺人か。
 どちらにせよ、唾棄すべき行いだ。
 『マイティフェイト』に住む人々は正確には人間ではない。データによって再現されたNPCだ。しかし、それが何も知らない一般人に手を掛けても許される道理にはならないだろう。
 ジョルノがとっくに死んでいる彼女にできることは何もない。たとえ『ゴールドエクスペリエンス』の能力で肉体のパーツを作り上げて健康体に戻したところで、失われた命までは戻らないのだから。
 彼女はこの後、NPCの警察官に見つかり、夕方のニュースで話題になるのだろう。そこにジョルノが介入する部分はひとつもない──だが。

「『ゴールドエクスペリエンス』」

 近くに転がっていたゴミに生命を与え、花へと変じさせる。それは、名前も知らない犠牲者へ送る、弔いの花だった。

16太陽と花 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/13(土) 20:25:59 ID:Sijf1Q9A0
『アーチャー』

 突如、ジョルノの脳内に少女の声が響いた。
 これはマスターとサーヴァントのパスを通じられて送られる念話である。
 少女は名を四宮かぐやと言い、『マイティフェイト』の舞台ではとある財閥の御令嬢や学園の生徒会役員のロールを与えられている。
 多忙な日々を過ごしている彼女は、アーチャーひとりを偵察に向かわせていたのだ。

『何か成果はありましたか?』

 かぐやからの問いに、ジョルノは今しがた見た物を報告する。すると、不快げな感情が混ざった沈黙が返ってきた。きっと、先ほどのジョルノと同じ心境なのだろう。
 この聖杯戦争において、四宮かぐやは積極的なマスターではない。いつも通りの生活を送っていたら、いつの間にか聖杯戦争の参加者として『マイティフェイト』の舞台に立っていた巻き込まれタイプのマスターだ。
 檀黎斗を名乗るゲームマスターはホログラム映像で『マイティフェイト』の参加権を得たことを素晴らしい幸福のように語っていたが、それについてかぐやは「ふざけるな」と思った。元の世界で送っていた日常を突然奪われれば、誰だってそう思うだろう。
四宮の娘という立場上、決して安全な生活を送っていたとは言い難いが、それでも彼女なりの日常があった。
 生活が、日々が、青春が、そして大切なひとが、そこにあったのである。
 こんな、どこかも分からない場所で死ぬわけにはいかない。
 故に、かぐやは刻一刻と進む聖杯戦争の惨状を耳にし、決意を改めて固める。
 なんとしてでも生還するのだ──と。
 かぐやとの念話が終わった後、ジョルノは裏路地を出て、他の探索に向かうべく表通りに合流した。
 彼が紛れた雑踏は、やはりどこにでもありそうな風景だ。
 しかしジョルノは、ギャングスターとしての勘、あるいはスタンド使いとしての第六感により、段々と戦場へと変わっていく街の空気を感じるのであった。

17太陽と花 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/13(土) 20:28:03 ID:Sijf1Q9A0
【クラス】
アーチャー

【真名】
ジョルノ・ジョバァーナ@ジョジョの奇妙な冒険

【属性】
中立・善

【ステータス】
筋力D 敏捷E 耐久B 魔力A 幸運A 宝具EX

【クラススキル】
単独行動:D

対魔力:E→EX
ジョルノは現代の英霊である為、彼が有する神秘の格は低く、対魔力のランクも最低となっている。
しかし、後述の第二宝具を発動すると、魔術に限らずあらゆる攻撃がキャンセルされる。

【保有スキル】
黄金の精神:B
『正義』の輝きの中にある精神。
勇猛、戦闘続行を兼ね備えた特殊スキル。

カリスマ:C
 集団を指揮する天性の才能。
ジョルノ・ジョバァーナはイタリアのギャング、パッショーネのボスである。

心眼(偽):B+
直感・第六感による危険回避。
虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。
視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。
スタンド能力が絡む異常事態に、このスキルの効果は倍加される。

【宝具】
『黄金体験(ゴールドエクスペリエンス)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:5 最大捕捉:1

精神のビジョン。スタンド。
ジョルノ・ジョバァーナのそれは、触れた物体に生命エネルギーを注ぎ込み、そこから動物や植物といった生命を生み出す能力を持つ。

『黄金体験・鎮魂歌(ゴールドエクスペリエンス・レクイエム)』
ランク:EX 種別:対人宝具・侵食固有結界 レンジ:? 最大捕捉:?

上記の第一宝具がスタンド使いを生み出す特殊な『矢』に貫かれる事で発動が可能となる。
ゴールドエクスペリエンスよりもステータスや生命創造能力のスペックが著しく上昇しているが、特筆すべきなのは、『動作や意思の力をゼロにする』という能力。
そのため、ジョルノへの干渉はビデオの逆再生の様に戻され無効化される。
また、このスタンドの前に立つ者はどんな能力を持っていようがどこにも向かうことはなく、真実に到達することは決してない。
この力で殴られた者は死んだことさえも『ゼロ』に戻ってしまうため、死ぬという真実にさえ到達できず、何度でも繰り返し永遠に死に続ける。
つまり、この宝具で倒されたサーヴァントの記録は座に還らない。聖杯戦争のルールをぶち壊すような宝具である。
『終わりがないのが終わり』、それがゴールドエクスペリエンス・レクイエム。

この宝具の発動に必要不可欠な物が『矢』であったため、ジョルノはアーチャークラスの資格を獲得した。
勿論、発動の代償として魔力の消費は絶大であり、魔術師でもないマスターに召喚されている身では、そう易々と発動できる代物ではない。

【weapon】
・ゴールドエクスペリエンス

【サーヴァントとしての願い】
特になし。

18太陽と花 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/13(土) 20:28:25 ID:Sijf1Q9A0
【マスター】
四宮かぐや@かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜

【能力・技能】
・天才
 あらゆる分野で優秀な成績を収めている文武両道の天才。

【人物背景】
四宮グループという財閥のお嬢様。

【マスターとしての願い】
聖杯戦争からの生還

19 ◆1dF3VuWmx2:2020/06/13(土) 20:29:17 ID:Sijf1Q9A0
投下終了です。wikiを作り忘れていたことに気付いたので、近い内に作ります。

20 ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/02(木) 21:29:04 ID:m2pv/IyU0
投下させていただきます。

21 神代ユウ&キャスター ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/02(木) 21:30:32 ID:m2pv/IyU0

最初にその映像を見た時、ユウはひどく驚いた。
そのおどおどした青年が、自分と契約したキャスターと同一人物は思えなかったからだ。

「た、確かに…渡したよ。か、必ず読んでね……」

白い学ランの青年――キャスターは、一人の女子生徒にラブレターを渡していた。
手紙を渡された女子生徒に、友達と思しき女子が近づく。

「やったじゃんアキコ!ラブレターなんて、やるぅ!」
「じょうだんじゃないわよ!根暗なハザマの手紙なんて読むわけないじゃない!」

キャスター…ハザマから受け取った手紙に軽蔑と嫌悪を示し、茶かす友達の前で破り捨ててしまった。
友達の女子は避難するが、本気で怒っているわけではない。笑い合う二人の足元に、ハザマの書いた手紙の破片が晒し物になっている。

「…だろ、ハザマってさ」
「なんか気味悪いよな」
「勉強ばっかしてて楽しいかね?」
「つーかさ。何考えてんのかわかんねーよ」

ハザマの生涯には、孤独の色が付きまとっていた。
父と別れ、妹だけを連れて自分の前から去った母親。自分の陰口を叩くクラスメイト。
孤独なハザマの心を支えるものは、憎しみだけだった。安穏たる日常への憎しみは、彼の手元にソロモンの指輪を送り付けた。

――悪魔召喚プログラム。

ハザマはそれを走らせる機械を作成し、ついに魔界に降り立った。力を手に入れるために。

そして狭間偉出夫はハザマはなったのだ。
黒い神のようなものに。悪魔を従える皇に。しかしハザマは完全でなく、魔界の支配者たる皇でしかなかった。
ハザマは自分の中にこびりつく"人間"を捨てるべく、忌まわしき母校にその牙を向けた。

人を慕う心、恨む心。
神たるに能わぬ魔界の皇にして、青春からはじき出された少年。それが聖杯戦争に招かれた神代ユウに宛がわれたサーヴァントであった。



ユウは見知らぬ街の夜を眺めていた。
返り討ちにした街のヤンキーが落としていった珍妙な道具を拾ったことで、ユウは聖杯戦争なる催しに参加する資格を得てしまった。
喧嘩では済まない、命の獲り合いなのだと召喚されたハザマは言った。

歩道橋を上がり、何処かに去る自動車の列を何とはなしに眺める。
ここは下北沢と違い、いかにもガラの悪そうなヤンキーが見当たらない。
もう少し裏通りまで足を延ばせばいるのかもしれないが、それはキャスターに止められていた。

(サーヴァントがいるから)

ここで目立つ振る舞いをした場合、別主従に捕捉される。
本格的な戦闘はまだ経験していないが、悪魔を従えるイデオの力の一端は既に見た。
おそらく自分程度は戦力にもならないのだろう。彼からは目立つ行動を禁ずる事以外、何も言い付けられていない。

《マスター、そろそろ日付が変わる。いい加減に自宅へ戻れ》
《…わかった》

ユウは特に反論することなく、キャスターの念話に従った。
この街において、ユウは普通の高校生だった。イジメや偏見は無い、いいクラスだった――しかし足りない。ここは自分の場所ではない。

《キャスター、一つ思いついたんだけど》

ユウが念話で呼びかける。ハザマは続きを促した。

《魔法で僕を強化する事はできないの?君が出ていきたくないなら、そういう悪魔をつけてくれればいい》
《可能だが、悪魔を従えている私には必要ないな。マスターを危険にさらしてまで戦わせる必要は私には無い。隠密に徹していろ》
《…わかった。今言った事は忘れて》

念話を切ったハザマは、無人の高校で息を吐いた。
魔力供給の乏しいマスターだが、最高ランクの単独行動スキルを持つキャスタークラスであるハザマにとっては大したデメリットではない。
彼は自分だった。内向的な心と、内に秘める破壊願望。マスターは夜のストリートで『不良狩り』となり、自分は魔界で『魔神皇』となった。
愚かな人間の一人だが、そのなかではマシな方だ。

なので、口には出さないがマスター替えは考えていない。
よほど自分と足並みを揃えないつもりならば容赦なく処断するが、そうでないなら生還するべきだと思う。
だから大人しくしていてほしい。神秘が飛び交う戦場において、必殺ストレートなど無用なのだから。

ハザマはサーヴァントとして現界した瞬間、深い憎悪に襲われた。
彼の宝具が悉く「高校」に関連づけられているからだ。ハザマは高校の中と外で、発揮できる能力の差が激しい。
生前の逸話のせいだ。それが虜囚のように感じられて、非常に癇に障る。だから聖杯の力で『座』の記録を魔神皇に相応しい形に書き換えるのだ。

22 神代ユウ&キャスター ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/02(木) 21:31:22 ID:m2pv/IyU0
【クラス】キャスター

【真名】狭間偉出夫

【出典】真・女神転生if…

【性別】男

【ステータス】筋力E 耐久D 敏捷E 魔力A++ 幸運D 宝具EX

 陣地内ステータス 筋力B 耐久A 敏捷B 魔力A++ 幸運D 宝具EX

【属性】
中立・悪

【クラススキル】
陣地作成:EX
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
 宝具により、会場内にある高校を"魔界"に変貌させる事が可能。

道具作成:-
 魔力を帯びた器具を作成できる。下記スキルを得た代償により失われている。

【保有スキル】
悪魔召喚:A+
 神話・伝承に伝わる悪魔を召喚、指示を出す事が可能。
 アジ・ダハーカ、アパオシャなどゾロアスター教に伝わる悪神の分霊を呼び出すことすら可能だが、生前に仲違いしたエジプト神族が彼の呼びかけに応じる事は無い。
 また、ハザマ自身の零落により、主神クラスの悪魔でもなければサーヴァントを単独で相手取ることは難しい。

魔界魔法:A++
 魔界の力を現世に引き込み、一工程で様々な現象を引き起こす魔術体系。
 ハザマは魔界魔法を極めており、攻撃、防御、回復、バフ、デバフ、索敵、バッドステータス付与を独りでこなす事が可能。

カリスマ(偽):C
 魔神皇としての圧倒的実力がもたらす威厳。
 多くの悪魔を惹き付けるが、その人格は軍団統率に向いているとは言い難い。

単独行動:A
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクAならば、マスターを失っても一週間現界可能。

神殺し:A
 神性を持つ相手に対して与えるダメージを増加させる。
 神霊ズルワーンを抹殺し、その力を奪い取った逸話から。

【宝具】
『僕は絶対に負けない(ハイスクール・オブ・ジエンド)』
ランク:EX 種別:対城、対軍宝具 レンジ:高校の敷地により変動 最大捕捉:在校中の人物全員
 ハザマの母校、軽子坂高校を魔界に落とした逸話を再現する宝具。
 会場内の高校で開帳後、敷地全域をハザマの陣地として扱う。基礎ステータス向上に加え、実体化せずとも陣地内の様子を把握、また敷地内の好きな場所に立体映像を描く事が出来るようになる。
 上記の恩恵は高校の内部にいる間限定であり、陣地を一歩でも出た途端に解除されてしまう。

 さらに陣地内でハザマが名乗りを上げる事で、高校が魔界に変貌。
 名乗りを上げて以降、キャスターの指定したとおりに陣地内の空間が歪み、ダメージゾーン、ダークゾーンが指定した場所に設置される。
 陣地内を妖精や幽鬼、魔獣などといった伝承の存在が徘徊し、現界に費やす魔力を求めてハザマとそのマスターを除く侵入者に襲い掛かる。
 ハザマが名乗りを上げるまでは一般的な高校として扱われ、高ランクの気配感知、千里眼など知覚系スキルを持っていない場合、陣地の存在に気づくことはできない。


『魔と神を統べる皇(まじんおう)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
 ゾロアスター教の神霊ズルワーンから奪った力を発揮する。
 白銀の装身具を身に付けた黒い顔の王のごとき姿となり、筋力と魔力に+補正が付与される。さらに物理、魔術によるダメージを無条件で1/2に減衰。
 広範囲の全体攻撃すら防ぐ防御性能に加え、神霊ズルワーンの性質から変身中は宝具ランク以下の時間干渉が全て遮断される。
 ハザマの戦闘力を高める宝具だが陣地内でのみ開帳可能であり、陣地外では発動・維持が出来ない。


【weapon】
多種多彩な魔界魔法。

【人物背景】
軽子坂高校の2年E組。
IQ256という天才的な知能の持ち主だが、コミュニケーションが不得手であり、そこに母親との離別のトラウマが加わって学校では孤立していた。
極めて内向的であった彼は、ある日悪魔召喚プログラムを入手。
彼は持ち前の高い知能によってプログラムの実用化に成功、膨大な魔術の知識を身に付ける。
そして自分を妬み、笑い、阻害する学友達を超える「力」を得るべく、単身魔界に聳える「無限の塔」に乗り込み、ゾロアスター教の神格「ズルワーン」を倒し、持っていた力を奪い取る。

神たらんとしたハザマだったが、人間に未練を残している彼は神にはなれなかった。
魔と神を統べる皇、魔神皇となったのだ。魔界からの帰還後、自分を追い詰めた学校を教師や生徒もろとも自分が支配する魔界に叩き落した。


【聖杯にかける願い】
"高校"に縛られていない、魔神皇に相応しい形に座の記録を書き換える/僕を◆してください。

23 神代ユウ&キャスター ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/02(木) 21:32:31 ID:m2pv/IyU0

【マスター名】神代ユウ

【出典】ホーリーランド

【性別】男

【Weapon】
「拳」
虐げられる者だった頃からユウの傍らにある無二の相棒。聖域を守るための武器。

【能力・技能】
「ヤンキー狩り」
学校にも家庭にも身の置き所が無かった彼が掴んだ居場所。
友達が、気になるあの娘が、好敵手が待つ神代ユウの聖域。
普段は物静かだが、ひとたび喧嘩の場に出ると別人のような集中力と攻撃性を見せ、体に染みついた技で敵を撃退する。
独学のボクシングを基礎として空手の肘やブラジリアンキック、タックルに反応しての膝蹴りなどを身に付けた、打撃系総合のようなファイトスタイル。

【人物背景】
気の弱い内向的な少年。イジメに逢い、不登校のひきこもりになった彼だったが家庭内にも居場所は無かった。
自殺する事もできず、街をふらついていた時に手に取ったボクシング教本に興味を持ち、膨大な時間をワン・ツーストレートの練習で塗りつぶす。
夜の下北沢をうろついていた彼に絡んできた不良を返り討ちにしたことで街のヤンキーたちに目を付けられ、襲い来る彼らを撃退するうち、ユウは「不良狩り」として名を轟かせるようになる。

少なくとも、タカに勝利した後から参戦。

【聖杯にかける願い】
居場所はもう手に入れた。よって下北沢に帰る事がユウの願いである。

24 神代ユウ&キャスター ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/02(木) 21:32:32 ID:m2pv/IyU0

【マスター名】神代ユウ

【出典】ホーリーランド

【性別】男

【Weapon】
「拳」
虐げられる者だった頃からユウの傍らにある無二の相棒。聖域を守るための武器。

【能力・技能】
「ヤンキー狩り」
学校にも家庭にも身の置き所が無かった彼が掴んだ居場所。
友達が、気になるあの娘が、好敵手が待つ神代ユウの聖域。
普段は物静かだが、ひとたび喧嘩の場に出ると別人のような集中力と攻撃性を見せ、体に染みついた技で敵を撃退する。
独学のボクシングを基礎として空手の肘やブラジリアンキック、タックルに反応しての膝蹴りなどを身に付けた、打撃系総合のようなファイトスタイル。

【人物背景】
気の弱い内向的な少年。イジメに逢い、不登校のひきこもりになった彼だったが家庭内にも居場所は無かった。
自殺する事もできず、街をふらついていた時に手に取ったボクシング教本に興味を持ち、膨大な時間をワン・ツーストレートの練習で塗りつぶす。
夜の下北沢をうろついていた彼に絡んできた不良を返り討ちにしたことで街のヤンキーたちに目を付けられ、襲い来る彼らを撃退するうち、ユウは「不良狩り」として名を轟かせるようになる。

少なくとも、タカに勝利した後から参戦。

【聖杯にかける願い】
居場所はもう手に入れた。よって下北沢に帰る事がユウの願いである。

25 ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/02(木) 21:33:23 ID:m2pv/IyU0
投下終了です。

26 ◆DWDMFPPpRw:2020/07/25(土) 17:25:35 ID:x6EQBkDU0
投下します

27鬼舞辻無惨&バーサーカー ◆DWDMFPPpRw:2020/07/25(土) 17:28:32 ID:x6EQBkDU0
この聖杯戦争において、マスターとなった者は仮初の役割が与えられる。
 貿易会社の社長を勤める『月彦』という男もその類いであった。
 本当の名は『鬼舞辻無惨』。千年を生きる鬼の祖である。
 時間帯は深夜。無惨は邸宅の和室にて、偵察に差し向けた己のサーヴァントへ念話を送っていた。

(『ばーさーかー』、他の主従は発見できたか?)

『あのさあ、いきなり念話してきて唐突に結果だけ求めるとか、どういう訳?まずは人として何かしらの労いの言葉を掛けようとか思い浮かばないのかな?いや、僕は労働の対価がほしいとか、そんな強欲な事は主張したくないよ?僕は個で完成されていて満たされている存在だからね、だから誤解しないで欲しいんだけど、こうして言葉で主張するのはマスターのためでもあるんだよ。人というものは言葉を介さなきゃ思いが伝わらない不便な生き物だからね。そもそも元から完璧な人間なんていない。でも、そういう不完全さや自己の欠点を克服する努力をしないというのはまた違った話だよね。世界はそうして弁えた人間が社会を回していて、だからこそ調和が保たれるんだ。そして、僕たちもその役を請け負う責任がある。マスターにも、そういう自覚を少なからず持っていてほしいんだ。せめて、深夜の時間帯に足を運んでいる苦労とか、そういう些細なことを察せられる人間になってほしいね。だからこそ、僕はこうして善意で注意しているんだよ。それがわからない、というのなら、それはまずサーヴァントが最低限求めるマスターの基準すら考慮してくれないって事でしょ?それはもう、僕の数少ない私財の、権利の侵害だとーーー』

 べらべらと脳内を埋め尽くす多弁。その不快かつ中身のない返答に、途端に無惨の眉間に青筋が浮かぶ。
 激情のままに令呪を用いて自害を命じる寸前までいったものの、行使する直前で思い止まる。

(……忌々しいが、奴はまだ必要な手駒。捨てる訳にはいかん。
 しかし……どうして私の『さーヴぁんと』にあのような異常者が……)

 無惨の召喚したサーヴァントは、控えめに言っても異常者であった。
 狂戦士でありながら会話こそできるものの、口から紡がれる言葉は薄っぺらい自己肯定のための戯れ言のみ。ただ自らの欲を正当化するだけに詭弁や正論を塗り固めているだけの底の浅い小物であった。
 性格も言動も何もかも気に入らないが、ただ一点、無惨がバーサーカーに関して認めている事がある。
 自らを『強欲』と名乗った凡庸な見た目をした男は、戦力というただ一点のみは極上の部類であると無惨は評価していた。
 ……が、尚更あの性格が悔やまれる。下手をすれば無惨でさえ奴を殺しきれないが、手駒としても扱いにくいという厄介さだ。
 叶うのなら、すぐにでも自害させて新しいサーヴァントを召喚したいが、そのための手段が無惨には無い。
 聖杯戦争という儀式、加えて大正より先の時代という未知は、沸点の低い無惨の精神をギリギリで保たせていた。
 厄介なことにサーヴァントは同じサーヴァントでしか対処できないらしい。
 非常に不条理、不合理、不愉快ではあるものの、バーサーカーはまだ手元に必要な手駒である。
 そう己を納得させ、無惨は再度バーサーカーへと念話を送る。

(……指示した特徴を持つ『ますたー』は発見できたか?)

28鬼舞辻無惨&バーサーカー ◆DWDMFPPpRw:2020/07/25(土) 17:33:58 ID:x6EQBkDU0

『ーーーーあのさあ、人が気持ちよく念話してる時に勝手に切るとかどういう判断? それって僕の喋る権利の侵害だよね。まあ魔術師でもなく、聖杯戦争の知識も薄い初心者にそれほど高度な事は求めないけどさ、せめて健全な関係性に必要な気遣いくらいは考えてほしいよね。
 ……で、なんだっけ? ああ、わかってるって。耳にハナフダ?みたいな飾りをつけてる人間がいたら率先して殺せって話でしょ? でも、まだそれらしい相手は見つかっていない。しかし、ひとつ理解してほしい点があるんだ。まず、それほど時間が経ってない内から結果だけ急に求められても、いかにこの僕でも成果を出すことは難しいよね。それとも、僕がマスターの指示すら守らない恥知らずなサーヴァントだと疑ってるの?だとしたら心外だよね。いや何も同じ目線で考えようっていう話じゃないんだ。僕はサーヴァントで、君はマスター。僕と君の関係は確かにそうだし、その関係性の重大さを謙虚な僕はしっかりと理解しているし、当然この僕のマスター足り得た君も理解しているだろうけど、またそこから信頼関係を構築するための歩みよりは必要なんだと僕は思うんだよね。というか人と人の関係だとそれはもう常識の範疇だと思うんだ。そもそも成果を早急に求めるって事は僕が簡単な指示すら守れない無能なサーヴァントであると暗に言っている事だよね?それって僕の人格と能力に対する明らかな軽視だし、まず人付き合いの面でやってはならない行為じゃない?いかに無欲な僕でも、最低限その程度の事は理解しておいてほしいと思うんだ。だから、この時点で偵察の成果を提示できないのは単純に僕の能力不足という点が原因じゃなくて、功を焦りすぎるマスターの問題点もあると細やかに指摘させてもらうよ。その点を踏まえて、これからどうするべきか考えていくことが健全で全うな主従の在り方じゃないかと僕は思うんだ。いや、勿論マスターの在り方は当人の自由だし、僕はその権利を否定しない。そうしたお互いの権利への譲歩が世界を調和させるんだからね。でも、聖杯を本気で狙うつもりなら、そうした些細な点からもお互いの考えを交互に提示していた方が良いと思っただけなんだ。僕だけの一方的な要求だと誤解してはいけないよ』

 無惨は現在進行形で、聖杯戦争に参加していることを後悔した。

【クラス】バーサーカー
【真名】レグルス・コルニアス@Re:ゼロから始める異世界生活
【パラメータ】筋力E 耐久E+ 敏捷E 魔力D 幸運B 宝具EX
【属性】混沌・狂
【クラススキル】

狂化:EX
 一応会話は可能。
 ただしレグルスは異常な承認欲求と自己顕示欲の化身であるため、常人には度し難い思考と凶行を実行してしまう。
 状況次第ではマスターすら手を掛ける可能性すらある。

【固有スキル】

自己顕示:A
 相手を確実にねじ伏せ、自分の力を見せつけようとする悪辣な性根。
 視野が狭まり、戦術範囲や大局的な判断力が大幅にダウンする。
 戦闘中に挑発された場合、たとえそれが戦局上どんなに優先度が低い敵であろうと絶対に無視できず、後回しにしたり姿が見えないまま抹殺するという行動が取れない。
 ある意味真っ向勝負以外しないため、歴戦ならば引っかかるはずもない落とし穴のような簡単な罠にすらあっさり引っかかる。つまり、搦め手全般に非常に弱い。

話術:ー
 レグルスの場合、弁舌による理論武装に秀でている。
 ……が、語る言葉は何処までも身勝手で薄っぺらい正論をその時の都合でくどくどと述べているだけであり、交渉時の恩恵は何もない。
 つまり、無駄に話が長い。

求婚:B
 気に入った女性を妻に求める悪癖。
 女性を選ぶ基準は「顔が可愛いかどうか」と「処女であるかどうか」。
 気に入った女性は片っ端から妻にしていき、ハーレムを作ろうとする。
 相手は強い不安や屈辱を感じて逃げ出したくなる。
 しかし、レグルスは相手の感情や意見を一切考慮しないため、デメリットにならない。
 妻にした女性は第二宝具の対象になる。

29鬼舞辻無惨&バーサーカー ◆DWDMFPPpRw:2020/07/25(土) 17:34:40 ID:x6EQBkDU0
【宝具】

『獅子の心臓』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1〜50 最大捕捉:1(自分自身や触れたもの)
 自身や触れたものの時間を停止させる宝具。
 肉体の時間を停止させると、その肉体は空間の歪みそのものとなり、物理世界のあらゆるものから拒絶された存在となる。
 拒絶された肉体には何であろうと一切攻撃が通らない。
 この特性を攻撃に転じると、ただ触れただけですり抜けるように物を破壊できる。
 一瞬しか使えないが肉体の時間を世界から切り離すことで重力からも空気抵抗からも、慣性の法則からも解放させとんでもないスピードで動くこともできる。
 また、自身が触れたものの時間を止めることで武器とすることができる。
 例えばただの砂の時間を止め、相手に投げつければそれはあらゆる物理法則を無視してぶっ飛び、あらゆるものを貫通して破壊する最強の投擲武器と化す。
 彼が腕を振り上げた際に生じた風圧は全てを切断して吹き飛ばす真空波となり、彼が吐いた息は触れただけでその部位が爆砕する設置型爆弾となる。
 このように文字通り攻防ともに「次元の違う」宝具。
 ただし、欠点として行使中は自身の心臓が物理的に止まってしまう。つまりこの宝具は「心臓の時間だけは止められない」という不完全なものであり、永続的に「無敵」になることは不可能。
 またあくまで宝具なので、常時発動していると非常に魔力の燃費が悪く、並のマスターでは維持することは困難。
 サーヴァントの性質上、魔力枯渇による消滅も免れない。
 ただし前者の欠点に関しては、もう一つの宝具によって補うことができる。

『小さな王』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:? 最大捕捉:1〜250
 他人の心臓に小さな自分の「擬似心臓」を寄生させる宝具。
 「心臓の時間だけは止められない」という『獅子の心臓』の欠点を排除することができ、この能力によって『獅子の心臓』を永続的に使用することができる。
 相手に心臓が寄生されている自覚はなく、レグルス本人にも誰の心臓についているか把握はできない。
 またあくまで疑似心臓であるため、潰されてもレグルスが死ぬことはない。また寄生させた人物が殺害されたとしても、自動的に別の人物へ転移させることができる。
 ただし、心臓を寄生できる人間にも条件があり、今回は「聖杯戦争の地で新たに妻にした女性」か、「自身とパスの繋がったマスター」となっている。

【weapon】
『獅子の心臓』による肉弾戦。
 ただし、宝具を抜きにした本人の戦闘能力は素人そのものであり、最弱といえるほど稚拙である。

【人物背景】
 魔女教大罪司教『強欲』担当。
 通称ノミ以下。

【サーヴァントとしての願い】
 自分の権利を侵害したエミリア、スバルの完全な消滅及び自身の復活。

【備考】
 狂戦士のクラスで召喚されたため、福音書や生前に侍らせていた妻たちは所持していない。
 現在『小さな王』はマスターである無惨のみとなっているが、新たな妻を見つければ寄生先を増やすこともできる。

【マスター】鬼舞辻無惨@鬼滅の刃

【能力・技能】

・『鬼の祖』
 自分の血を与えることで人間を鬼に作り変える事ができる。作り出した鬼を感知したり、思念を送ったり、自分の名を口にすると死亡する呪いをかけたりもできる。なお注ぎすぎると相手は死ぬ。
 鬼としての能力は頂点に位置し、全ての面で卓越した怪物そのもの。『完全生物』といっても差し支えない。
 7つの心臓と5つの心臓を保有しており、鬼共通の弱点である日輪刀による頚の切断を克服している。
 ただし、日光に当たると死ぬ。

【人物背景】
 千年以上前、一番最初に鬼になった人喰い鬼の原種にして首魁。主人公の炭治郎にとっては家族を惨殺し、禰豆子を鬼へと変貌させた仇敵。
 別名ブラック上司。

【マスターとしての願い】
 聖杯による太陽の克服

【備考】
 『青い彼岸花』の探索中、偶然入手したガジェットによって参戦。
 参戦時期は、少なくとも下弦の解体前。

30 ◆DWDMFPPpRw:2020/07/25(土) 17:35:07 ID:x6EQBkDU0
投下終了です

31 ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/27(月) 19:41:32 ID:L.3lzCDo0
投下します。

32 ゴトウ&ランサー ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/27(月) 19:42:11 ID:L.3lzCDo0
終末を詠う神話がいくつかある。
カリ・ユガ、最後の審判、ラグナロク……もし、終末が訪れると知った時、貴方はどうするだろう?
泣き暮れるか、愛する人々と一時を共有するか、あるいは自暴自棄になり、凶行に走るのか。彼らはそのどれでもない。
彼らは戦うだろう、心臓が止まるまで戦うだろう。それぞれの理由で。

 夜、駅前から少し離れた位置に建つ剣道場。
門下生はとっくに姿を消しているが、建物の窓からは明かりが漏れていた。
板張りの道場では、一人の男――ゴトウが黙々と素振りを続けている。鋼の如く鍛えた肉体を袴で包み、憂慮に沈んだ表情は仁王のように厳めしい。

――ここ東京に、ICBMが撃ち込まれようとしているのです!

 ゴトウはアメリカ、ひいてはその背後にある神の計画から日本を守らんと決起の準備を進めていた。
武器を準備し、同志を集め、あとはクーデターを起こすのみ…そんな段階でこの場に招かれたのだ。

(あのような道具さえ見つけなければ…)

 聖杯。いかにも信用ならないが、この状況で贅沢は言えない。
当面は勝利を目的とし、使用して問題なさそうならばこれを用い、日本への攻撃を阻止する。
考えは既に纏まっていたが、未だ始まらぬ闘い、自分が消えた後の同志たちを思うと落ち着かない。そのためこの場にいるのだ。

≪おーい。帰ったぞー、マスター≫
≪戻ったか、ランサー。その様子だと駄目だったみたいだな≫

 ゴトウの意識に、年季の入った男の声が響く。
招かれた聖杯戦争なる催しは、サーヴァントとマスターが一組となって進めていく。
彼のもとに召喚されたのは、ゴトウをして大男と呼ぶしかない巨躯の戦士であった。

≪おう、正解だ。やんなるぜ。早く始めてくれねーと干上がっちまうよ≫
≪私もだ≫

 ランサーが姿を現す。
鎖帷子を着込み、鉢巻きを締めた金髪の大男。真名をのっぽのトルケル。
むくれている彼とは今のところ、友好的な関係を築けてはいるが、この状況が続くようでは戦を好む彼がいつ爆発するともしれない。

「早く着替えて、飯にしようや」

 トルケルにあぁ、と返事をして着替えに向かう。
道場を閉めると、2人は私服に着替えてからバイキング形式のレストランに向かった。
トルケルは現世の食事を気に入ったらしく、ゴトウのお相伴にあずかる形で度々、食事を摂っている。
小遣いを渡していたなら、独りで食べに行っていたかもしれない。

「…そういえば、ランサー。私に金をせびろうとは思わないのか?」
「あぁ?なんで?」
「現世を観光して回ろうとは思わなかったのか、とな」

 尋ねられたトルケルは咀嚼していたチキンソテーを飲み下す。

「こっちは遊びに来てんじゃねーんだぞ、どんな野郎が来てるのか知らないのにそんな真似できるか」

 一瞬、衝撃を受けたように目を瞠ったトルケルは、僅かに眉根を寄せた。
彼は叶えたい願いもあったがそれ以上に、強者との戦いを期待して招きに応じたのだ。そしてこれから戦うのは、一薙ぎにしてきた雑魚どもではない。
自分や、トールズに匹敵する猛者ばかり。彼ら相手に油断して不意を突かれるなどあってはならない。戦うからには勝ちたいし、もったいない。

「失言だったか」
「構わねぇよ。そっちこそ、ご自慢の使い魔で敵は探せねぇのか?」

 トルケルに言われずとも、ゴトウ自身、既に使い魔を放って探している。
ゴトウはただの自衛官ではなく、人を超えた超人。英霊と打ち合う事は出来ずとも、魔力、体力は常人を超えており、さらに超常存在たる"悪魔"を従えている。
契約しているのは4体だけだが、本聖杯戦争中も、召喚して使役することができる。悪霊にあちこち探らせているが、それらしい相手は見つけられていない。

「げぇ〜っ、マジかよ。明日こそは見つかるといいなー」

 ゴトウは肯くと、食事を再開した。
ゴトウのいた世界では、彼の奮闘実らずICBMは投下され、東京は廃墟と化す。
トルケル達ヴァイキングは時代が下るにつれ、そのアイデンティティを喪失し、それぞれの土地に住民として根付く形で滅んだ。
しかし、この男達は駆けるだろう。そんな結末など関係ないさ、と嘯いて。

33 ゴトウ&ランサー ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/27(月) 19:42:41 ID:L.3lzCDo0
【クラス】ランサー

【真名】のっぽのトルケル

【出典】ヴィンランド・サガ

【性別】男

【ステータス】筋力A+ 耐久A 敏捷C 魔力E 幸運B 宝具C

【属性】
中立・善

【クラススキル】
対魔力:D
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

【保有スキル】
勇猛:B
 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

戦闘続行:C
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、死の間際まで戦うことを止めない。

天性の肉体:B
 生まれながらに生物として完全な肉体を持つ。
 このスキルの所有者は、常に筋力がランクアップしているものとして扱われる。
 全盛期を過ぎてなお、単独で戦場を揺るがす体力を保っていた逸話から。

反骨の相:C
 戦士としての在り方を重んじ、その為なら主君への裏切りすら畏れぬ気性。
 同ランク以下の「カリスマ」を無効化する。

【宝具】
『至るは神槍の一撃(グングニル・ミズガルズ)』
ランク:E 種別:対軍宝具 レンジ:1〜40 最大捕捉:4人
 魔力で出現させた槍を投擲する。
 投擲(槍)のスキルが宝具に昇華されただけのもので、格は最低クラス。ただし、その分燃費が良く、自前の魔力だけで数十本は放つ事が可能。
 既存の銃火器を上回る威力を持ち、使い勝手は悪くない。


『唸る戦鬼の軍勢(エインヘリャル・フィンブルヴェトル)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大捕捉:1000人
 生前に率いた部下達を、独立サーヴァントとして召喚する。
 聖杯に招かれた英霊ではないためクラスやステータスは持たないが、全員がランクCの単独行動スキル、勇猛スキルを持つ。
 総勢500名存在し、一度に呼び出す数はトルケル側で調整可能。倒された戦士は、本聖杯戦争中に再召喚する事はできない。

 また、展開時の副次効果として、対峙した相手に恐怖を抱かせる効果を持つ。
 効果は呼び出した戦士の数により上昇。4、5名程度では英霊にはまるで効果が無いが、半数以上を現界させれば精神抵抗に失敗した英霊の行動を封じるほどの威力を発揮。
 9割にあたる450名以上を展開すれば、精神耐性を持った英霊にすら重圧を与える。

【weapon】
魔力を費やして出現させる二挺の斧、長槍、丸太。


【人物背景】
ヨーム戦士団首領シグヴァルディの弟。
巨大な体躯を誇るデーン人の武将であり、自身の身体欠損を気にも留めないほどの戦闘狂。
生前、ヴァイキング達の間では気さくな性格と軍神の如き武勇から生きる伝説として扱われていた。
戦場を思うがままに蹂躙していた彼だったが、自分より強いと認めた男との別れがしこりとなっており、後年その男と同じ輝きを見せた王子についていく。


【聖杯にかける願い】
トールズとの再会。言葉を交わすだけでも、決闘でもかまわない。
また、聖杯戦争の催し自体が、夢見たヴァルハラそっくりなのでワクワクしている。

34 ゴトウ&ランサー ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/27(月) 19:43:02 ID:L.3lzCDo0
【マスター名】ゴトウ(五島公夫)

【出典】真・女神転生シリーズ

【性別】男

【Weapon】
「召喚悪魔」
キャスターが従えている悪魔達。
使い魔の如く使用でき、自前の魔力で長時間現界を維持できる。
マスターから見れば脅威だが、サーヴァントなら十分対処可能。
召喚可能悪魔は以下の通り。

妖獣:ヌエ
悪霊:ピシャーチャ
幽鬼:ベイコク
悪霊:シェイド

【能力・技能】
「超人」
限界を突破した人間。
生身で悪魔と斬り合う強者だが、武闘派サーヴァントと打ち合う力はないだろう。

【人物背景】
神の名のもとに千年王国を築こうとするトールマンの計画を察知した陸上自衛隊一等陸佐。
アメリカによるICBM投下を防ぐべく、悪魔との契約により超人となった五島は、神の計画を砕くべく決起の準備を始める。

本名はSS版デビルサマナーを参考にしました。クーデター前から参戦。

【聖杯にかける願い】
アメリカ軍の攻撃を防ぎ、千年王国計画を砕く。

35 ◆0080sQ2ZQQ:2020/07/27(月) 19:44:06 ID:L.3lzCDo0
投下終了です。鱒は別聖杯候補話の流用になります。

36 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 02:35:45 ID:BVKa9D8M0
投下します。

37弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 02:43:53 ID:BVKa9D8M0
 電脳の世界。架空の世界。そんな場所でもこの男、本部以蔵の立場は一切変わらなかった。道場を構える柔術家……
 町並み全体は彼にとって見慣れぬものへと変貌していたが、彼の拠点としては元々の道場と全く同じものが配置されていた。

 静かな、静かな場所に。
 2名の闘士(もののふ)が対峙している。
 気負うでなく。飽きた風でもなく。
 場所は本部流柔術――道場。対峙する2名の片方側、泰然自若としている本部以蔵の本拠たる空間である。無論それは聖杯戦争として存在する仮の場所。複製に限り無く近い。
 だが、既にその空間は本部の玩具箱として隅から隅まで「掌握」されている。
 入口。床。天井、そして刃物や鈍器に暗器などありとあらゆる武器道具が並び、かけられた壁。
 上下左右前後――六方の座標全て満たすに至るまでこの男、本部のホームグラウンド。

 しかし。
 もう片方のにこやかにしている者もまた――己が生家が如くこの空間に馴染み、掌握していると言っても過言ではない。
 その者、本部がふと見つけた……道場の壁にいつの間にかかけられていた「ガシャット」に呼応して襲来せしセイバー。真名をば――新免武蔵守藤原玄信。
 つまりは宮本武蔵。戦国の世において最強の名はここから始まったとも言われる……女である。
 
 そう、女性。
 本来ではありえぬ存在であった。ましてや本部以蔵ならば、その現状のおかしさは理解(わか)り過ぎるほどに理解っている。
 にも関わらず。本部はその女性の存在を疑問に思わず。それどころか敬うような姿勢でさえいた。

38弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 02:46:09 ID:BVKa9D8M0
「女だてらに道場に踏み入るなど――とは忌避(いやがら)ないんだ?」
 対峙の中で疑問を言葉として切り出したのはむしろ、武蔵の方からであった。本部もまた、真摯に返す。
「本部流柔術は老若男女を問うでもなく、広く門戸を開いておりますから」
「ふふっ。イマドキって感じね……でも、ありがたい話」
 ねえ本部さん、と。
 軽やかに美しい女武蔵の声音が、マスターへと呼びかけた。
「今日の実戦稽古はどうするの?」
 稽古。
 そう、この主従は――稽古を重ねていた。
 サーヴァントとマスター。
 人類史の英雄と只人と言う存在の格差を持ちながら。対等の稽古を――為していたのだ。

「さて……やりながら決めますか」
 そう言って無造作に、互いの距離が詰まる。手足が触れられるほど、その制空権まで……
 と、淀みなく武蔵は払い込むように右の平手を突いた。貫手――否。目を擦るように狙うそれは急所狙いの牽制。視力を軽く喪失させるのは序の口。
 しかしそれを全て読んでいたように本部は武蔵の手首を横合いから掴み、ひねり上げる――瞬間、武蔵のもう片方の手元から棒手裏剣が閃くように本部の顔面目がけて飛んだ。
 だが咄嗟に顔を最小限の動きでズラし、これを回避る本部。
 その回避の直後を狙い、武蔵はもう一本の棒手裏剣を掌に握りこんだまま、思いっきり自身の手を掴む本部の手の甲へと突き刺そうとする。すると、武蔵のひねり上げられた手はあっさりと離された。
 別にもう、その手に執着は無いと言いたげに。
 離れてやや距離を取る。武蔵の細くも力強い手首は……おかしな方向へと向いていた。攻防自体はわずか数瞬の――否、瞬きにも満たぬ時間の出来事である。
「へっ。何時の間にやら道場の壁から手裏剣をちょろまかしていたわけだ――」
「わかってた癖に。でも、あの一瞬で手首を外されるなんてね」
 と言いながら、即座に外れた関節を戻す武蔵。明らかに「素手」の領域に関しては本部に分がある事は明白だった。

39弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 02:48:51 ID:BVKa9D8M0
「さて……それじゃあ私も――」
 温まってきた。と、言いたげにそこに刃が出現してくる。それは強力な想像力から来るイメージ上の刀――違う。
 エア刀ではない。
(オイオイ……こいつは武蔵さんが宝具に使う獲物、モノホンの刀じゃねーか)
「待った」
 掌を向け、本部は汗をかきながら。稽古なのに負けず嫌いな人だなぁ〜ッと慌てて静止をかけた。
「二刀を使われちゃあ私に勝ち目は無い。降参です」
「本部さん。貴方と私の間で――「降参」がどれほどの意味を持つっての?」
 やんわりと。武蔵はただ降参だけでは止まらないと、宣言していた。
 確かに本部以蔵もまた「まいった」だけで戦いが終わるとは考えていない。生殺与奪を握り合うもの。実戦とはそういうものである。稽古と言えどもそこは重視すべきである。
「……それじゃまあ、私が動けぬよう縛り上げればよろしい」
「へえ――良いね、うん。じゃ、そうさせてもらいますか」
 その後。帯を取って本部を縛ろうと近づいた矢先、ドロップキックからの不意打ち気味に抵抗する本部によって逆に縛られた武蔵の姿があった。



「あのタイミングで蹴って縛ってくるとは思わなかったわ〜本部流おっそろしいわぁ。合戦思考すぎるわ」
 稽古も一段落して終わり。縛法による捕縛も解かれ、道場で壁の武器を眺めながらくつろぎ始める武蔵と……それをもてなす本部。
「何をおっしゃる。あからさまにこちらの技や虚を突く要を探って自分のモノにする気満々だった癖に」
「あ、バレてた?」
「当然。稽古でなければ幾度こちらが一方的に殺されていたことか」
「あはは」
「ふふふ」
 朗らかながらも聞くに恐ろしい談笑が2人の間であがった。
 ややツボに入った形である。

40弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 02:51:15 ID:BVKa9D8M0
「それにしても武器……暗器もか。いくらか持って行っていいかしら。対サーヴァントでも使えるわよ、これ」
「ふむ。ではこの煙幕などどうです」
「へぇ。あっこれ素焼き? 手作りじゃない。良い造作。致命傷を与えるんじゃなくて意表を突くのに特化してるわね」
「お目が高い、流石は宮本武蔵。ではこれとこれを携帯しますか」
「そうね。えっと後はこっちの手裏剣と鎖も持ち歩いておこうかな――あれ、これなに?」
「ああ、それは硫酸入りのカプセルです……主に口などに仕込んで相手の顔面に吹きかける形で――」
 暗器の会話(トーク)に花が咲く。
 そしてその中で……
 研がれていた。
 研がれていた。
 チームワークが。連携が。どうしようもなく研がれつつあった。
 それはセイバー、宮本武蔵が召喚されたその瞬間から。稽古や会話、或いは雑事。そう言った他愛もないことでさえ高まっていく、一卵性双生児でも及ばぬほどの――阿吽の呼吸。或いはそう、当事者たちでさえもはや止められないであろう次元の……相互作用が起こっていた。
「しっかしなんっていうかなぁ。酷く馴染むのよね、ここ。落ち着くって言うか……まるで慣れ親しんだ自分の家みたい。それでいてワクワクするし」
「ええ、わかりますよ。私もです。道場にはいつ居ても構いません」
 うれしいなあ。と武蔵はコロコロ笑う。だが、本当にいつまでも「ここ」にだけ居る事はできないだろうとは互いに了承していた。
「聖杯戦争だもんね」
「聖杯戦争だもんなァ…」
 しみじみと、2人揃って言葉が重なる。

41弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 02:53:43 ID:BVKa9D8M0
 にしてもさ。武蔵は道場にしかれた座布団に腰を下ろしながら、本部に確認するように問いかけた。
「疑わないの? こんな――見も知らぬ女にさ。私が宮本武蔵だぁ、なんて言われて」
「それはもう……」
 武蔵の言葉を噛みしめるが如く、武蔵のマスター。本部以蔵は、正座で襟を正し言葉を紡ぐ。
「歴史(セカイ)が、理が違っていても理解ります。天下無双。二天一流の宮本武蔵は――宮本武蔵なのだと」
 直線。真っ直ぐに――本部以蔵という男は、武蔵であることを一分の疑いなく断じてのけた。

 武蔵は、やや嬉しそうに頬を掻いた。
「……そっちの「武蔵」はどんな感じだった?」
 話として本部から聞いた際にはこの「セイバー」として顕現した武蔵も驚愕したものだ。複製の肉体(クローン)に魂を降ろす――またなんとも恐ろしげな行為にて降臨したと言う、本部の世界の宮本武蔵。
「失礼ながら、膂力はあちらの「武蔵」の方が上でしたな」
 事実である。本部自身が言ったように腕力はクローン体の武蔵の方が上だろう。
 何せ本部の世界に居た武蔵とは――空に対し素振りをするだけで並の日本刀ならば折れ、青竹は割れ、ささらとなってしまう。果ては恐竜をその五体のみで屠ってきた原人ピクルと手四つをして見せるほどの……そこいらのサーヴァントが裸足で逃げ出すような怪力である。
 そういう意味では、この武蔵はむしろ更に本部に近しいスペックと戦闘スタイルとも言えるだろう。

「後は――貴方よりは現代の世俗に慣れてない感じでしたか。まあ、すれ違いもありましたが。そこはご老公と現代格闘士がちょっかいを出したせいもあるのでしょうが」
「ご老公。徳川の末裔のおジイちゃんかぁ……確かに出世にはちょうどいいかもね」
「でも些か身勝手な方ですよ」
「はは、わかるわかる。こうして話に聞いただけでも大変そう」
 と、歓談をしているとどちらからともなく。ぐぅ……と腹が鳴った。
「もう飯時ですか。昼食にでもしましょうかね」
「それじゃ、うどんでも食べに行きましょうか!」
「好きですなあ」
 本部も手早く道着からジャケットに着替えると、武蔵と共に街へと出かけていく。別段なにを隠すようでなく自然体で……しかし、武装は隠されていた。
 服の下に鎖分銅と手裏剣、煙玉。手槍。ありとあらゆる武装から帷子や刃を通さぬ具足までもが……仕込まれていた。
 本部も武蔵も、その武装に対してなんら特別な反応をしない。自然体での、武装である。


 果たしてこれも主催者の意図的な配置なのか、あるいはただの偶然か。本部の道場及び家屋の近所にあったうどん屋でうどんを美味そうにすする武蔵。
 闘うために呼ばれたサーヴァントとは思えぬ姿だが、本部はどこかそういった武蔵の気安い所作に、既に充分すぎるほど慣れていた。
 今ここに居る「武蔵ちゃん」は本部の印象からしてもどこか――「あちら」の武蔵よりもより人懐っこい部分がある。悪戯っぽいような、取っつきやすいような。
 鮮烈な戦国の武を持ちながらも、現世にさらりと馴染むだろう不思議な感覚。
 それは彼女が「孤独慣れ」しているからだろうか。家族、親戚、恋人、友人――心許せる者が誰一人いない異空間への来訪。
 それを繰り返してきたからこその、順応か。

42弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 02:57:04 ID:BVKa9D8M0
 うどんを食べ茶をすすり、一息ついた武蔵は本部に対して今さらだが、このままで良いの? と聞いた。
「いいの……とは」
「だってさ。こっちとしてはありがたいんだけど、安易にホイホイ外出して大丈夫なの? このまま穴熊決め込むって手もあるのだけれど」
「ええ。場合によっては籠城もアリでしょう。だが今現在において……貴方と私ならば、こちらも固まって動き偵察した方が良い。自然体で居た方が良い。貴方とごく普通に生活し――町を出歩き。寝食を行い、いつものように稽古をする。それで良い」
「それで充分勝てる、と」
 自信と言うよりは、あまり緊張した姿や警戒の挙動は敵に気取られるという事か。なるほど理はあると、武蔵が納得するが。

「勝つと言うより――守護りたい。と言ったところですかな」
 との不可思議な台詞が本部より飛び出した。
「守護……る?」
「そう。戦国の「武」の作法を現代まで伝えられし端くれとして、聖杯戦争に巻き込まれたまだ見ぬ人々――そして貴方を」
 沈黙が、降りた。だが本部は構わず宣言を続ける。
「宮本武蔵。俺が貴方を守護(まも)る。この聖杯戦争から――守護り抜く!」
 その宣言に対し、武蔵は。
 憤怒るでもなく。
 拒絶るでもなく。
「はい? あ、ありがとう……ございます?」
 戸惑った。しかし、戸惑いながらもその中に――喜悦。僅かに悦びのようなものをも見せた。

「いや……でもさ、本部さんが――私からするとマスターじゃない? 優先順位としては、マスターの命や願いが優先なハズで。そりゃあまあ。私を守護ってくれると言うのはありがたいけど……」
 とは言えマスターから守護ると言われ、どこか釈然としないのも事実。
「なるほど、理解しがたい――と」
「まあ……そりゃ……ウン」
「自分より遥かに弱いおっさんが、何をハネッ返っているんだと。私は天下の宮本武蔵だぞ、と。見損なってもらっては困ると」
「いやいやいや。そこまでは……」
 偉く食い下がるなあ。そう武蔵は戸惑いを深めた。
「疑問はもっともです。弱者が強者を守護るのは理に合わない……私より遥かに強い貴方を、なぜ私が守護ろうとするか。決まっている。貴方が、貴方そのものが……武の至宝だからだ」
「…………」
 唐突にして意外なほどの賛辞に、武蔵は思わず固まる。

43弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 02:59:15 ID:BVKa9D8M0
「二天一流、宮本武蔵。性別が違う? 世界が違う? 人類史から追放された? そんなことは関係無い。一目見た時より心奪われました。貴方の武が。貴方自身の輝きこそが失ってはならないかけがえのない『究極の宝』――あくまでいち現代格闘士に過ぎない俺などより遥かに得難い存在である事は見れば理解る」
 一転、熱弁する本部。そこには下心もおべんちゃらも無い全力のリスペクト、称賛がある。思わず――
「えっと、そんなに私……素晴らしい?」
 と確認すると。
「無論」
 迷いなど無い。全力で宮本武蔵の武を。存在を。究極だと――本部以蔵は断言する。
 それに対し武蔵は漸く感情定まったように――

「えへへぇー」
 照れた。
 これは表の史実、その逸話にも記載されている程に有名だが……宮本武蔵とは承認欲求が強い人物であった。仕官を乞い、己が名声をどこまでも欲する。いっそ純粋なまでに「褒められたい」
 それは本部がかつて会いまみえた武蔵も、この女性である武蔵にも強く共通する点だった。
 だが武蔵の「武」とは卑劣にして卑怯。
 明らかな他の武人と比べてもなお天衣無縫にして――凶悪。
 更には彼女は、若くしてあらゆる世界を放浪するハメとなった剪定事象の宮本武蔵である。
 だからこそ――ここまで剛直にして理解ある『褒められ』に対する耐性、免疫が無い。世辞ではなく。歴史に刻まれた「宮本武蔵」という高名(ビッグネーム)にでなく。あるいは容姿や行動力ではなく。
 目の前の武蔵ちゃんと言う存在とその強さ、武の性質を理解してまだ一切迷わず「あなたのそこが凄い。偉い。素晴らしい」と言ってのける存在はそうは居ない。

44弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 03:01:30 ID:BVKa9D8M0
 故に照れる。
 照れて、照れて、照れて――照れまくる。
「いやそんなこと無いわよ! うん! 本部さんも超一流と言っても過言ではないし!(お、おじさんで逆に良かった……本部さんがもっと年若い美少年なら完ッ全に危なかったわ)」
「ご冗談を」
 顔を赤くして身悶えする武蔵に対し、本部は微笑ましいと言いたげに落ち着いた態度を崩さない。
「いやいや。天下無双を譲る気は確かに無いけど。でも本部さん無手の組み技や鎖分銅とかなら私より上じゃない。あそこまでのキレの良さ、元居た時代の武芸者でも見た事無いよ」
「何をおっしゃる。俺が英霊の器に見えますかね。小汚いおっさんだ」
 それはまあ――あながち否定はできなかった。何より武蔵ちゃんからしても好みのタイプとは違う(そういう問題ではない)。
「『英霊』になれる存在とは鬼神の如き暴力を振るうオーガ……範馬勇次郎。あるいは範馬刃牙。合気を完成させた渋川先輩や、空手で言えば独歩辺りが相応しい。俺は……ただ、現在(いま)の世にそぐわない戦国の武を細々と伝えていくだけの中年に過ぎません」

「…………」
 ここまで話が進んで少し、武蔵は憮然とした表情になった。
 マスターとサーヴァントとして道場で寝食を共にし、稽古をしたからこそ言葉にせずとも解った事実。
 本部以蔵とは、武を愛している。武に打ち込み――武を考え――武に生きている。
(つまりその武愛があるからこそ、私の事を理解し、評価してくれてもいる)
 にも拘らず。心底では己を大したものだと見ていない。時代に不適合であると。他の武人たちのような「輝ける側」ではないのだと。傲岸不遜なようでいて、そう言った卑屈さ――良く言えば慎みのようなものがある。
 いや、それは曇り誤った認識ではなく。事実彼は元の世界ではそんな扱いではあったのだろう。本部の居た時代においてはその自己認識こそが正確な真実。

『あの弱い――あの冴えない――あの年老いた――あのよく分からない本部以蔵』

 ある時に徳川光成の下した、そして世の超一流グラップラーたちに共通していたであろう本部以蔵像である(無論凡百の武術家にとっては悪夢のような存在ではあったにせよ)。
 皮肉にも、それは彼の世界においてクローンとして復活せり「宮本武蔵」との戦いである程度ひっくり返された物ではあるのだが――

45弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 03:05:43 ID:BVKa9D8M0
 それが、そのイメージこそが今のセイバー……武蔵ちゃんからすると我慢ならなかった。
 本部が全開にした「武」は武蔵の「武」に非常に酷似している。いや、こうしてすり合わせた今では親族のような物と言っても過言ではないかもしれない。
 シンパシーを、感じていたのだ。個人としても親しみがあった。
 それが何故こうも現代社会とやらにおいては肩身を狭く過ごしている? 何故己をそうも過度に律し、卑下する?
 私のような世界の放浪者でもないのに。時空を追放された宮本武蔵を敬する上として見、己をまるで無価値な存在のように言う本部以蔵に武蔵は不満を覚えた。

 「武」に対する感情はしばしば、男女の色恋。恋愛へと例えられる。
 闘いたいと思う相手に対し――よく知りたい、よく触れ合いたいと思う恋心。また、手に入らぬ高みを見上げ、それでもなお求め追いかけたくなる恋心。
 ならばこれは……既によく見知った相手でありながら、もはや手に入ったも同然と言える程に掌握していながら「焦れる」気持ちは一体――どういった感情に酷似していると言うのか。
 強引、無理に例えるのならそれはまるで――自分だけがその良さ、魅力をハッキリと知っている幼馴染の彼女から「私なんて貴方と比べたらまるで釣り合わない。冴えない娘よ」と言われた時のような。そんな風に自分を卑下しないでくれ、違うだろうと叫びたくなる感覚。

「そう。だからこそ――我が身に変えても、戦国の武をこの身に宿すこの本部には皆を守護る義務が――」
「本部さん。それは認めないわ」
 武蔵は強く……神妙に、本部のその態度を否定する。
「私の武が宝だとしたら――貴方も宝よ。これは慰めじゃない。紛れもない事実。貴方が私を守護ると言うのなら、私だって貴方を守護りたくなる程には……得難い宝よ」
 確かに、才も強さも宮本武蔵の方が上だろう。本部以蔵では空位には達してはいるまい。彼より猛々しく、輝ける武人はサーヴァントの中にも間違いなく存在するだろう。だが。だが――

『本部が強くて何が悪い』

 宮本武蔵の中に、そういった激情のような思考が沸々と湧いていた。
 あるいは……あるいは自身が軽んじられるよりも、強い激情だった。
「武蔵さん――」
 報われた。
 天下無双、宮本武蔵にそう言われる。その時点で――それだけで報われたように、本部はありがとうと一言小声で呟いた。

46弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 03:07:12 ID:BVKa9D8M0
 そして――
 よしっ、と決めたように武蔵は気合を入れ直す。
「この聖杯戦争。悪党の企みがあるのなら叩き潰す。でも、それは貴方と一緒になのよ本部さん。『宮本武蔵と本部以蔵が組む』というその事実の恐ろしさ、見せてやろうじゃない!!」
 そう言って武蔵は、天真爛漫の笑みで本部へと手をさしのべた。
 本部は一瞬あっけにとられたような顔をして――やがて、笑顔を返し力強く手を取った。
「そうですな! 宮本武蔵と本部以蔵……この2人が組んで敵などあろうはずもなし、か! 勝てるぜ――武蔵ちゃん!!」
 一見すると。仲間同士が理想的に一致団結する、美しい光景がそこにあった。
 だがそれは即ち――卑怯卑劣、武芸百般にしてあらゆる戦術を得意とするマスターとサーヴァントが、連携、罠、だまし討ち、逃げetc……その全てを全開して敵に容赦なく襲いかかるという「エゲつない」事実が確定した瞬間の光景でもあった。

47弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 03:20:24 ID:BVKa9D8M0
【クラス】
 セイバー
【真名】
 宮本武蔵@Fate/Grand Order
【パラメータ】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力E 幸運B 宝具A
【属性】
混沌・善
【クラス別スキル】
 対魔力:A
【保有スキル】
 第五勢:A
 天眼:A
 無空:A
 戦闘続行:EX


『六道五輪・倶利伽羅天象(りくどうごりん・くりからてんしょう)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:2〜20 最大捕捉:1人
 剣轟抜刀。二刀流のまま泰然と構え、「小天衝」で相手の気勢を削がんと剣気にて威圧してから、「大天衝」で渾身の一刀を繰り出す武蔵の最終手。
背後に浮かぶ仁王はあくまで剣圧によるもの。武蔵がまだ体得していない『空』の概念、『零』の剣の具現と言える。
対人宝具と言っているが、その本質は対因果宝具。あらゆる非業、宿業、呪い、悲運すら一刀両断する仏の剣。

『二天一流・天下無双』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:??? 最大捕捉:???
 マスターとの並はずれた相性の良さ、そのシナジーにより生まれた「魔剣破り、承る!」の変形変則型宝具。
 「宮本武蔵」とはあらゆる策あらゆる手あらゆる武芸を用い敵を撃滅する存在である、という武の在り様が具現化した物。ありとあらゆる手段が敵の神秘の守り、その種別と無関係な損傷を与え得る。
 それは一掴みの砂や鉛筆などのその場にあるごく普通の器物の使用から間接的なトラップ、帯などを用いた捕縛行為、果てはマスター自身の攻撃も例外ではない。
 即ちマスターとサーヴァントの用いるありとあらゆる攻撃手段が全て神秘に関係なく作用するダメージや束縛と化す。五体すべてが武器を通り越しあらゆる手段が『武器』である。
 またこの宝具はランク以下の宝具を見通す宝具、スキル等をシャットアウトし秘匿する。

【サーヴァントとしての願い】
 悪の企みを打倒する。二天一流・宮本武蔵と本部流・本部以蔵ここにありと証明する。

48弐の武 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 03:22:51 ID:BVKa9D8M0
【マスター】
 本部以蔵@刃牙シリーズ
【願い】
 俺が聖杯戦争に苦しむ皆を――そして武蔵さんを、守護らねばならぬ。
【能力・技能】
 本部流柔術をマスターしている。だが柔術は戦場格闘技とのことからありと剣術槍術から弓術、棒術、薙刀、縄術に馬術、果ては手裏剣や煙玉など忍術から毒物の使用まであらゆる武芸を使いこなす。実質古流武術全てを会得していると言って良い。
 また、経験と技量によって高レベルの直感や予知能力を有する相手に対してすら不意打ちや幻惑、逃走を成功させる事を得意とする。
【weapon】
 日本刀を所有。
 普段着に見せかけた防刃防弾のアラミド繊維のジャケット。下には刃を通さぬ鎖帷子と手足に具足が仕込んである。
 ジャケットの下には手製の煙玉に鎖分銅、手裏剣。折り畳み式の手槍。持っている缶ピースのタバコには安全な自分が吸うものを除いてフグ毒が仕込んである。
 また道場にはあらゆる武器が置いてある。

49 ◆ruUfluZk5M:2020/07/31(金) 03:24:05 ID:BVKa9D8M0
投下終了です。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板