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俺ロワ【魔界の王を決める戦い】(金色のガッシュ! ロワ)

1 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:45:10 ID:m3HLbWng0





私達は君達が好きだ











魔物も人間も

2 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:45:34 ID:m3HLbWng0
【座標A-2】公園――



冷たい風が頬をひやりと撫でた。
その違和感に高嶺清麿は目を覚ました。

――ここは、一体……?

目がチカチカと眩しい――
いつもの古ぼけた天井が無い。柔らかな布団の感覚も。
昨夜読んだ書籍の山も、こもった空気も、机も椅子も。
白っぽさの残る空が視界いっぱいに広がり、背中には乾いた土の触感がある。

「おかしい、何故オレは外で寝ているんだ!?
 昨日は何をしていたんだっけ……!?」
「おおおお……!! お主、目を覚ましたのだな!」
「は……!?」

不意に後ろから幼い子どもの声が聞こえた。
金色の髪、大きな目、背丈は低く6歳くらいだろうか。
小さな身体は黒いマントで覆われている。

「私の名はガッシュ・ベル!
 どうか私と共に戦ってくれないか!?」
「ハ!? ハァ!?」

混乱する清麿を尻目に、ガッシュと名乗った少年は懐から赤い本を取り出した。
さぁ、今すぐ読んでくれ! とばかりに差し出されたそれを、おとなしく受け取る。

奇妙な本だ。
赤一色の派手なカバー、表紙には模様とも記号ともわからないマークが描かれており、
タイトルと思わしき部分は見たことの無い文字が並んでいる。
ふと、ページの隙間から淡い光が溢れ出ている事に気が付いた。

おもむろにそのページを開いてみると……。

見たことの無い、読めるはずのない文字のはずなのに、
不思議な事に色の違う部分だけ、そこに書かれている意味が理解出来たのであった。

3 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:45:48 ID:m3HLbWng0
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

拝啓 人間の貴方へ

突然呼び出した事をお詫び申し上げます
私たちは あなた方の住む世界とは別の世界――

――『魔界』の者です

どうか貴方に 私たちの住む魔界の王様を決めるための
お手伝いをしていただけないでしょうか


この本を持っている子どもは
魔界から選ばれた100人の王様候補生のうちの1人です

あなた以外には読むことの出来ないこの本によって
その子どもは特別な力を発揮する事が出来ます

その力を使ってお互いに戦い合い
最後の一人になるまで勝ち残ったものが次の魔界の王様となります

勝敗は 相手の本を燃やす事です
本を失った時点で その持ち主である魔物と人間は
たちまち元の世界へと返ることになります


もしも最後まで勝ち残る事が出来たなら
人間の貴方にもそのご褒美に どんな願いでも一つ叶える権利を与えましょう

それではどうか よろしくお願いします


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

4 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:46:03 ID:m3HLbWng0
コイツが魔物の子? 魔界の王を決める戦い?
信じがたいことだ。俺は夢でも見ているのだろうか。

「お主、名前は何というのだ?」
「た……高嶺清麿」
「ウヌゥ! 清麿、よろしくなのだ!」
「はぁ……よろしくって……よろしくじゃねェ!」
「ヌ……!?」
「ふざけるな、変なイタズラ仕掛けやがって!
 魔界だかなんだか知らんが、子どもの遊びに付き合ってる暇は」

突如、ガッシュが口をカッと開いたかと思えば、
視界いっぱいを強烈な閃光が包み込んだ。

「ぐああああああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーー!!!」

放出された電撃にふっ飛ばされ、地面に叩きつけられた。

赤い本をめくるとそこには『第一の術 ザケル』と書かれている。
オレが今言い放った「ふ"ざける"な」の言葉に反応したというのか。
馬鹿にしやがって……!

「だ、大丈夫か清麿」
「やかましい! なんでオレがお前を手伝わなきゃいけねーんだ!
 今すぐオレを元の世界に帰らせろ!」
「おおお落ち着くのだ、私にはそんな事出来ぬのだ」
「あーそうかい! だったらこの本に書かれてた通り、この本を燃やせば帰れるんだな」
「ま、待つのだ清麿! 迷惑なのはわかっている。
 でも私は……私は王様にならなければならないのだ! お願いなのだ!
 それに、私が王様になれば、清麿にも“ほうび”があるのでは」
「褒美? 知るか、そんなもん! 興味無いね!」
「待ってくれなのだ!」
「うるせぇ、ついて来るな!」
「清麿ーーー!!」



 ◆



【座標A-3】住宅街――



見覚えのない景色。日本のようでもあり、どこか不自然な町並みに、
ただ、自分の足跡だけがコツコツと響いている。
異世界に一人きり。不意に心細さに襲われた。


……。


「元の日常……か」

一人になると、色々と考えてしまう。

ここ最近、毎日が退屈で、憂鬱だ。
学校にはどれくらい行ってないだろうか。
家に居るとお袋がうるさく喚くが、学校へは行きたくない。
授業は低レベルで、クラスメートも、先公も、関わる価値のないバカばかり。

――オレは今、何のために生きているんだろう。



その少年は、前触れも無く現れた。

5 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:46:25 ID:m3HLbWng0
「叶えたい願いは無いのかい?」

淡々とした声。背丈は高く、簡素な服装、生気を感じさせない瞳。

「あんたは?」
「僕の名はクリア・ノート。
 この戦いの監視を任された者さ」

不気味だ。
クリア・ノートと名乗ったその魔物と対峙すると、何だか命を握られているかのような錯覚が襲う。
清麿は感覚的に、これが『殺気』と言うものだと確信する。

「君の学校のクラスメートが一人、意識不明の重体だそうだな」

何の脈略も無くクリアが口にした言葉に思わず呆気にとられた。

「……!? お前、どうしてそれを」
「それもまた魔物の力だよ。
 水野鈴芽。数週間前、町内の銀行強盗事件に巻き込まれた。
 警察官による流れ弾に当たり、今もまだ病院で生死をさまよっている。
 いじめにあっていたキミに対して、唯一積極的に接してくれていた少女だ」

どうして水野の話をするんだ。
不可解に思うと同時に、蓋をしていた心の奥底から何か仄暗い感情が湧き出るのを感じた。


そう。

あの日の事は鮮明に覚えている。




テレビのニュースが映しだすのは、多数の警察官が取り囲む近所の銀行だった。
銀行強盗事件。その人質の中に、水野の姿があった。

どうすればいいかわからなかった。

ただただ、不愉快な鼓動の音と共に、ブラウン管越しに顛末を見守るしかなかった。
響く発砲音、救急車のサイレン、興奮するリポーターの叫び。
居ても立っても居られない……そんな気持ちだけが先行する。

だが―――

『オレに一体何が出来るっていうんだ?』

――きっと何も出来ない。

ただの中学生のオレに出来る事は、彼女の無事をただ祈るだけだった。
銃を突き付けられ、震える水野の姿がずっと脳内に焼き付いていた。



やがて最悪な想像は現実として突き付けられる。
ざわめきの止まない教室には、水野の姿は無い。



ただ、なるようになっただけ。
そういう運命だった、どうしようもないじゃないか。



全てを察したオレは早退の支度をしていた。
だが、その時に投げつけられたクラスメートの野次が、今もこびり付いて消えてくれない。


『おい、高嶺よぉ』

『お前天才なんだからさ、水野の事治してやれねえの?』


……。



なぁ、天才ってなんだよ?

俺は一体、他のヤツとどう違うって言うんだ!?



二度と、学校には行かない。




「何故今、水野の話をした?」
「魔本が説明してくれただろう。この戦いの先には“どんな願いでも叶える力”がある」
「ハッ、それとこれとに何の関係がある?
 別にオレは、水野と特別な仲があったわけじゃねぇ」
「ふふ……確かにそうだね。キミが何を望もうと自由だ。僕が言及する事じゃない」

6 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:47:17 ID:m3HLbWng0
でも、とクリアは続ける。

「心のどこかで、求めているんじゃないのかな。
 日常を、人生を、世界を変えてしまう、奇跡の力を」

――クソッ、気に食わない。揺さぶりを掛けて来やがって。

しかし、今の清麿には、クリアの言葉に反論の余地が無かった。
少年は無力感に苛まれている。
何かを変えようだなんて、いつの頃か諦めていた。

世界を変えてしまう、奇跡の力。

もしそれが手に入るのであれば。

「……クリア・ノート。お前らの目的は一体なんだ!?」
「ただ、我々の王を決めるために人間の協力が必要なだけさ。
 高嶺清麿、その天才と呼ばれた頭脳を発揮してほしいんだ。
 挑戦する価値はあると思うけどね」

自分の才覚を発揮できる機会――あぁ、どこまでも甘い囁きだった。

「まぁ、まずはガッシュと話をしてみたらどうだい?
 彼がどんな性格なのか、どんな王様になりたいのか。
 そこから考えてみたら良い。……おっと?」

不意に爆発音が響いた。
方角は、先程自分が居た場所……公園の方だ。

「おそらくガッシュと、他の魔物がはちあってしまったようだ」
「何……!?」
「早く行ってあげると良い。機会を失いたくないならば」


……本当に良いのだろうか。
クリアの言う通り、この戦いに身を投じるべきなのか。
わからない。だが、今は――。

「ガッシュ!」

もう少しだけ考える時間が欲しい。ただそれだけだ。




 ◆



路地の影へと消えていく清麿の背中を見送り、クリアは不敵に微笑む。

7 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:47:40 ID:m3HLbWng0
彼がその“事実”に気が付くまでに、そう時間は掛からないだろう。
しかし、気が付いた時にはもう引き返せない。

人間たちも、魔物たちも思い知る。この戦いに仕組まれた、試練を。


――今、この世界から2つの灯火が消えた。





【座標D-5】風力発電所前


「クリア・ノート! 出てこい!!」

アースは空へ向けて激昂する。
この戦いにおける“人間に対する不履行”を目の当たりにしたからだ。
きっと彼の激怒は、当人であるエリーよりも遥かに強かっただろう。

アースの腕の中には、ジェムと名乗った少女の肢体が横たわっている。
開いたままの瞳に光は無い。呼吸も、心音も、体温も。
フランス人形のように変わり果てていた。

「敗北した人間は、元の世界に戻るのでは無かったのか!!?」

吹き付ける海風が唸り続ける草原で、彼の慟哭が響き渡った。









――ここは魔物たちのあるべき儀式から、一歩間違えた世界線

――それでも私達は残された一筋の希望を信じる事しか許されない






《 Welcome to the battlefield of the monsters 》




主催:???
   クリア・ノート&ヴィノー

【ヨポポ&ジェム 脱落】




【A-3/公園付近/夜明け】

【ガッシュ・ベル&高嶺清麿】
[状態]:健康
[所持]:なし
[習得呪文]:1.ザケル
[備考]
・ガッシュが出会った他の魔物については、次の書き手へお任せします。


【D-5/風力発電所前/夜明け】

【アース&エリー】
[状態]:健康。ただしアースは強い怒り、エリーは茫然自失な状態。
[所持]:なし
[習得呪文]:1.ソルド 2.ボルセン
[備考]
・意図せず人を殺してしまった事により、強いショックを受けています。

8 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:48:24 ID:m3HLbWng0
  |⊂⊃⊂⊃| |   ようこそ、パロロワ企画【魔界の王を決める戦い】
  | マTTTT7 | |  
  7二二二二7|  「金色のガッシュ!」の二次創作となります。
  | PROTZ |<\ 
 /| ___ | \\ パロロワのルールを軸に、ガッシュの世界観に近い
//| \⊥/ | | \>
 ̄ |スレ主 | |   アレンジを加えたルールを考案させて頂きました。 
  | 300 | |   
   Τ| ̄Τ| ̄   下記より世界観などを書かせて頂きましたので、
   || ||   
   || ||    ご一読頂いて、是非書き手として参加してくれると嬉しいです。
    ̄   ̄       


※このリレー小説企画は、バトルロワイヤル・パロディとなります。
 残酷な描写や、キャラクターの死など、一切制限しませんので予めご了承下さい。


【企画概要とルール】

◆その一、このゲームのルールについて

・お互いの魔本を燃やし合い、最後の一冊を所有する魔物・人間を決めます。

・最後まで残った魔物は、次の魔界の王となり特権を得られます。
 最後まで残った人間は、どんな願いでも1つだけ叶える力を得られます。


◆その二、戦いのシステムについて

・魔物と魔本はセットとなります。魔本が燃えるor魔物が致命傷を負う事で、
 戦いからドロップアウトされ、魔界へと送還されます。

・魔物&魔本は、特定の人間との組み合わせが決まっております。
 該当する人間が魔本に書かれた呪文を読み上げる事で、魔物が能力・技を発揮します。

・呪文を発動させるためのコストとして、人間の【心の力】と言う概念が存在します。
 怒りや憎しみ、欲望などの感情エネルギーを指します。


◆その三、この世界について

・地図: ttps://w.atwiki.jp/zatchbelbr/?page=%E4%BC%9A%E5%A0%B4%E5%9C%B0%E5%9B%B3

・魔界でも人間界でもありません。
 人間界の建造物や自然を模して作られた、戦いをするための異空間です。

・地図の外へ進むと見えない壁に当たります。その先の空間は存在しません。

・朝、昼、夜など時間の概念があります。

・魔物と人間は比較的近い場所からスタートとなります。

・魔本が燃え尽きた際、魔物は魔界へと強制送還されます。
 また、人間は“魂だけが”元の世界に戻ります。


◆その四、魔物に関する共通認識

・戦いが始まる前に「魔界の王を決める戦い」のルールは説明されています。
 LEVEL.1で魔本が語った内容とほぼ同じです。
 ※ちなみに話数は『第○話』に代わり『LEVEL.○』です。

・選出については本人の意思によるものではないため、王になりたい気持ちは魔物自身の性格に依存します。

・魔物に何らかの心の成長があると、新たな呪文を習得します。

・原作と異なる世界線ですので、必ずしも原作準拠の設定で無くても構いません。
 書き手の裁量で来歴をアレンジ頂いても結構です。

・1000年前の魔物を今回の戦いの参加者として登場させるのをアリとします。
 石版から元に戻すフラグを立てても、ルール的に結局パートナーが居ないからです。

9 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:48:40 ID:m3HLbWng0
◆その五、人間に関する共通認識

・該当する魔物と心の波長が合致する人間が選ばれます。

・日常生活を送っている最中に、突然この世界に送還されました。

・原作とは異なる世界線ですので、来歴については原作準拠である必要はありません。
 書き手の裁量で変えて頂いても結構です。


◆その五、支給品について

・ないです。

・この世界に送還される前に着用していた服装のみ、持ち越されます。

・日常的なものであれば家屋などから調達可能とします。
 (地図やコンパス、水、食料、筆記具、照明、衣類、原始的な武器など)
 (原始的な武器 とは → せめて重火器は控えようぜという意味)
 (重火器はやめてほしいですが、消火器などは現代的に日常的なのでアリです)

・他のパロロワ企画における『ランダム支給品』のようなノリで、
 最初から第2の術、第3の術を習得している場合があるものとします。
 なお、習得順は原作通りでなくても構いません(ガッシュの第2の術はラシルドに限らず、別の呪文でも良い)

・「魔境」「月の石」「千年前の魔物が封印された石版」など、
 原作にある摩訶不思議アイテムの登場は特に制限しません。

・なのでファウードもOKとなります。


◆その六、ロワ運営について

・原作における『魔界の王を決める戦い』と同一の存在が主催しております。

・原作と異なり、クリア・ノート&ヴィノーは主催側の立場にあります。
 戦いが円滑に行われるよう参加者への監視・干渉を行います。


◆その七、書き手について

・参戦魔物の数はクリアを除き50体分と設定します。
 もし足りなそうであれば増枠します。

・書きたいキャラがあればあらかじめ予約ができます。
 執筆期間は以下のように定めます。
  3月20日(金)まで   … 3日間
  4月3日(金)まで    … 7日間
  4月3日(金)以降    … 14日間
 延長申請は、上記執筆期間に対して2倍が期限となります。

・“リレー”企画、ですが、キャラの連続予約はOKです。一向に構いません。ホント。是非。

・登場させる魔物は原作、アニメ、ゲームで登場したものに限ります。
 オリキャラや、ハガキ(魔物デザインコンテスト)の出典は無しです。

・習得呪文については原作で使用されたものが優先ですが、
 場合によってはオリジナルで作って頂いても構いません。

・状態表のテンプレ

【座標*-*/場所/時間帯】

【魔物名&パートナー名】
[状態]:外傷や疲労など身体的な状態、精神的な状態
[所持]:所持している道具など
[習得呪文]:1.(第一の術) 2.(第二の術)3.……
[備考]
・注意点、注目ポイントなどを記載
・原作で未登場の呪文を習得した場合は、備考欄で補足します。
例:第4の呪文『ラージア・フリズド』
  レイコムの口から放つ、広範囲に及ぶ強力な冷凍ビーム。大地もろとも対象を瞬時に凍りつかせます。
  フリガロの同名の呪文とは異なり、周囲一帯ではなくレイコムの向いてる方向のみ。


※ちなみに『1日目』などの経過日数や、『方針』『思考』の項目は削りました。
 本文中や備考欄で補う形にします。



・その他質問がありましたら何なりとどうぞ。

10 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:49:37 ID:m3HLbWng0
続けてゴーム&ミール、フリガロ&ゲルハルトを投下致します。

タイトルは「最強の魔物」です。

11 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:50:02 ID:m3HLbWng0
「ぴえん(TT) 女の子にいきなり戦えだなんてマヂ卍 無理寄りの無理〜〜〜〜〜〜(TT)」

「ゴ……!? ゴーーーーーーーーー(汗」

「……ってのは〜〜〜〜ウソぴょん♡
 こんなチャンスが巡って来るだなんてツイてるわ〜〜〜〜〜〜!!!!」

「ゴーーーーーーーーーーーーーー♡(喜」


この世に奇跡は存在した!
ミールはそう確信せざるを得なかった。

這い出る事の出来ない泥沼の底に深く沈んだ人生に、一筋の糸が垂らされたのだ。
そう、奪われ続けるだけの日々から脱却出来る時をミールはずっと夢見ていた。

これが欲しかったものだ。
刮目せよ、この圧倒的な暴力を!!

「第一の術、ディオボロス!」

魔物の子 ゴームの両手から放たれた漆黒の光線は、コンクリートの建物を容易く破壊せしめた。
人類が生み出したあらゆる文化を、たった一言呪文を唱えるだけで消し去る力を手に入れた。
私が欲した力はそういうスケールのものだ。
ナイフも、ピストルも、所詮は1個体の生物にしか及ばない非力なものでしか無いからだ。

あぁ、興奮が収まらないぜ。

私に従順な異形の怪物。
2メートルを超える巨躯。銃弾を弾くほどの硬度を誇る黒鉄のボディ。
そんな肉体ですら軽々と浮かばせる強靭な羽。

「ゴーーーーーーーーーーーーーー(呼」
「何? 見せたい特技があるって?」

ゴームの力はこれだけにとどまらない。
呪文を唱えずとも、空間に穴を開けてワープをする事が出来たのだ。
薄汚れた廃墟街の景色を円形に切り取ったかのように、
穴の先には風そよぐ草原が広がっている。

「アンタ滅茶苦茶凄いじゃない!」
「ゴーーーーーーーーーーーーーー(誇」
「これは他の魔物には出来ない、自分だけの特技だって?
 ヒェーwwww控えめに言って最高かよwwwwお前間違いなく最強の魔物じゃんwwwwww」


「ラージア・フリズド!!」

突如、周囲一帯を強烈な寒波が包み込んだ。
大爆笑する二人の笑顔そのままに瞬間冷凍。
2つの素敵な氷像の出来上がりです。



  ◆



ゴームたちが異空間をくぐり抜けた先から、数百メートル離れた所。
このタイミングでたまたまゲルハルトはフリガロの呪文を試し打ちしていた。

「うわ〜! 第一の呪文、すごい強いなお前!!
 辺り一帯が全部凍りついちゃったよ! お前間違いなく最強の魔物だな!」
「ウー」


 【D-2/草原→ 雪 原 /朝】

 【ゴーム&ミール】
 【体調】氷像
 【所持】特に無し
 【会得】1:ディオボロス
 ※死んでません


 【フリガロ&ゲルハルト】
 【体調】健康
 【所持】特に無し
 【呪文】1:ラージア・フリズド
 ※ゴーム&ミールの存在には気付いておりません。
 ※ラージア・フリズドは中級呪文のため、最初から覚えているのはおかしいと思う人は多いかと思います。
  しかし『金色のガッシュ・ベル!!︎ザ・カードバトル』にて第一の術と記載されていましたので、第一の術です。

12 ◆5omSWLaE/2:2020/03/05(木) 23:51:53 ID:m3HLbWng0
以上で投下終了です。

ちなみにウィキはこちらになります。これから編集していきます。
ttps://w.atwiki.jp/zatchbelbr/
皆様、何卒よろしくお願い致します。

13 ◆5omSWLaE/2:2020/03/06(金) 07:15:59 ID:AkBBC5ls0
ロブノス、バーゴ、エルジョで予約致します。

14 ◆5omSWLaE/2:2020/03/08(日) 18:06:51 ID:E52c0vZM0
ロブノス&リュック、バーゴ&フリト、
エルジョ&フランソワーズ・カルダンにて投下致します。

タイトルは「光の線を巡って」です。

15 ◆5omSWLaE/2:2020/03/08(日) 18:08:43 ID:E52c0vZM0

【座標C-3】協会 礼拝堂


フランソワーズ・カルダンが目を醒ましたのは礼拝堂の椅子の上だった。

教会の鐘の音がせわしなく鳴り響く。
何かを祝福するかのように。
舞い上がる埃も、ステンドグラス越しの光に彩られ、キラキラと輝いている。

淑女は、夢心地のままに。
誘われるように扉を開けて外へ出る。

灰色の街を朝日が照らす。
せわしなく、うるさいほどに、鐘が鳴り響いている。

協会の屋根の上、鐘を鳴らしているのは誰?


――それは小さな天使。神聖な絵画の世界かのような錯覚を……


……って、うん?

「リンゴンリンゴーン! リンゴンリンゴーン!!
 ……あっ、お前……。見てんじゃねーよ!!」

その神々しさを台無しにする荒っぽい言葉遣い。
この鐘の音は、ただ子どもが闇雲に鳴り響かせる、遊びだった。

ようやくフランソワーズは夢から醒めるに至った。



 ◆


「私は、クラリスを……妹を探してるんです」
「ふーん」

小さな天使 エルジョの手渡す本を受け取り、
そこに記されたこの世界の概略を知る。
意外な程にフランソワーズはそれをあっさりと受け入れた。

この戦いに誘われたのは、きっと運命的なものである――
フランソワーズにはそんな確信があった。

それはここ最近、頻繁に見ていた夢のためである。



彼女にはクラリス・カルダンと言う妹が居た。

今は、居ない。
数年前にぱったりと帰らないまま、それっきり。
当時は酷くショックだったが、1年、2年と過ぎる日々は悲しみを薄めていった。

最近見る夢には、その妹が出てくる。



妹は一人、どこかへと旅立ってく。
夜のうちに、誰も知らない列車に乗って。

 出かけよう。私は、私のために。
 出かけよう。人生を奪われる前に。
 出かけよう。私は救われるために。

――クラリス、どこへ行くの! 一緒に帰ろう!

声は届かない。
列車が遠ざかるにつれ、細い光の線となり、夜の闇へと消えていく。

そんな夢を、何度も見た。


「でも、最後に見た夢は少しだけ違った。
 次の列車が来たの」

うずくまるフランソワーズの耳に、新たな汽笛が響いた。
ランプがオレンジ色に照らす駅のホームに同じ列車が停車し、扉が開く。
降りる人は居ない。他に乗る人も居ない。私を待っているかのようだ。

16 ◆5omSWLaE/2:2020/03/08(日) 18:09:09 ID:E52c0vZM0
それがどこへ向かうのか、どうなってしまうのかわからない。
けれど、その先に妹が居るのであれば、と。
一寸先は闇。今にも消えそうな、か細い光の線を、追いかけると決めた。


そうしてたどり着いた地が、この“どんな願いを叶える”試練だった。


「たまたまじゃねーの?」
「そうかもしれないけど、私にはやっぱり前兆のようにしか思えなくて。
 あなたを王様にすれば願いが叶うと言うのなら……。
 一緒に頑張ろう、エルジョちゃん!」



「いや、オレあんまり王様ってヤツに興味が無くてさー……」



「え……えぇー……」

エルジョはふわりと宙に浮いたまま、ごろんと寝そべるポーズを取る。

「まぁそういうなら、別に協力してやらんこともないぜ」
「まさかの逆パターン?」
「でも、天使様の力を借りたいってなら、……ほれ」
「……その手は?」
「お布施」
「え、お金も取るの!?」
「魔界では傭兵稼業ならぬ、守護天使稼業で食ってるからね。
 それに、これから弱っちい人間を守りながら戦うんだぜ?
 何か見返りが無いとやる気がでないっつ―の」
「そんなぁ」

ころころと鈴を転がしたような声で、エルジョはヘラヘラと笑う。

フランソワーズは小さくため息を付いた。
可愛らしい姿をしているのに、イメージと全然違うなぁ……。

そして、困った。お金を払おうにも、持ち物が何も無い事に気付いたから。

「えー、それじゃあタダ働きじゃんか!」
「そんな事言ったって……」
「はぁ〜、付き合っってられねーな。世の中お金だぜ、ふん」
「待ってエルジョちゃん!」

ふわーっとエルジョは旧市街の方へと飛んでいく。



【座標C-3】旧市街

フランソワーズがエルジョを追いかけた先。
エルジョは八百屋?らしきお店に並ぶカボチャをガリガリとかじっていた。

「ダメだよ、お店のものを勝手に食べちゃ」
「いいんだよ。この世界にはオレ達以外に誰もいないんだぜ。
 つまり、オレ達のために用意された食べ物って事!」
「そうなのかな……? それにしたって……」

確かに町中には人の気配がしない。
外を歩く者は勿論、建物の電気は全て消え、人がいる様子が無い。

「エルジョちゃん、お腹空いてるの?」
「ん。まぁ、な」
「ねぇ、さっきの見返りの話。
 お金の代わりにご飯なんてどうかな?」
「ご飯?」
「私が作るの。カボチャをそのまま食べても美味しくないでしょ。
 スープにした方がもっと美味しいと思うの。ね」
「フランソワーズが作るのか?」

思いもよらなかった提案に、エルジョは呆気に取られた。
そうして、彼の抱きかかえた、重くて、硬いカボチャと、
フランソワーズの顔を交互に見た。

「……しょーがねーな、それで手を打ってやるよ!」

エルジョは初めて、ちょっとだけ嬉しそうな顔を見せた。



 ◆




「クックック、早速獲物を見つけたよ、リュック」
「ふふ。ガキと女の組み合わせか……初戦の相手にはもってこいじゃないか」

17 ◆5omSWLaE/2:2020/03/08(日) 18:09:27 ID:E52c0vZM0
エルジョ達の前に、ザザッと二人の男が登場した。
機械のようにも見える大きなヘルメットを被ったアンドロイド少年と、
分厚いダウンジャケットを着込んだ、胡散臭い巻き髭の男性だ。

「なんだお前らは!」


「我が名はロブノス! 歌が得意な魔物、ロブノスさ!」
「そして私は彫刻家 リュック! ロブノスを王へと導く男 リュックさ!」
「おお……泣かせるではないか、我がパートナーよ!!」

変な連中が来た、と思った。
だが間違いなく彼らには敵意がある。

「エルジョ……」
「ふん、弱っちい人間は本を持って下がってな!
 オレの術は魔界でも貴重な“光属性”の呪文だ!
 こんなアホアホ・クソダサヘルメット・ペッパーくんなんかには負けねーよ!」
「わ、わかった! 私、頑張るね!」

本の輝きに呼応し、エルジョの両手に光がまとわれた。

「だ、誰がペッパーくんだコラァ!!! リュック、アイツ絶対ぶっ殺すぞ!
 このロブノス様 唯一無二の“科学パワー”なら楽勝だぞ!」
「あぁ、行くぞ!」

ロブノスの瞳が発光を始め、右手はエルジョへと照準が合わせられる

――行くぞ!


「第一の術、ビライツ!」
「第一の術、ビライツ!」


――――ちょ、被ってる!!?!??!!?!??!?!?


お互いに放たれた光線と光線はぶつかり合い、相殺した。

「エルジョ!? 今貴重な技って言わなかった!?」「う、うるせェーな!!」
「ロブノス……お前さっき唯一無二って……」「ふ、触れるなー!!!」

「おいおい、面白そうな事やってんじゃねぇか。
 オレも仲間に入れてくれよ」

バッサ、バッサと巨大な羽音を響かせ、建物の屋根の上に巨大な魔物が降り立った。
ドラゴンの魔物だった。彼は空の上から光線の光を見つけ、乱入してきたのだ。

「バーゴ、お前の力を見せてやれ!」
「うん! がんばるよフリト!」
「まずは竜族の秘密兵器 破壊光線から行くぜ!」

男の呼応と共に輝きを放つオレンジ色の魔本。
バーゴと呼ばれたドラゴンの口にエネルギーが込められ――

「ギガノ・ビレイド!」

放たれる、光線。

――お前も光線かよ!!!????!?!???!!!!?!!??!!!


だが、高所からの下方へ向けての攻撃……
その範囲はフィールド(面)に対して、“点”となる。
両者、容易く回避!
バーゴ、失策!



この戦いの展開はいかに。


【座標C-3/旧市街/夜明け】

【エルジョ&フランソワーズ・カルダン】
[状態]:健康
[所持]:食べかけのカボチャ
[習得呪文]:1.ビライツ
[備考]

【ロブノス&リュック】
[状態]:健康
[所持]:無し
[習得呪文]:1.ビライツ 2.レリ・ブルク
[備考]
※レリ・ブルクで分裂している状態です。片割れはどこかに隠れています。

【バーゴ&フリト】
[状態]:健康
[所持]:無し
[習得呪文]:1.フレイド 2.バレイド 3.ギガノ・ビレイド
[備考]
※呪文は一通り試し打ち済みです。
 だからフリトはギガノ・ビレイドを破壊光線だと知っていたのです。

18 ◆5omSWLaE/2:2020/03/08(日) 18:09:51 ID:E52c0vZM0
以上で投下終了です。

19 ◆5omSWLaE/2:2020/03/10(火) 23:23:46 ID:dJglmiIg0
ダニー&ゴルドー、テッド&ジードで予約及び延長します。

20 ◆5omSWLaE/2:2020/03/15(日) 22:34:19 ID:oaZXCdB60

【座標C-4】学校 校門前――


「クソッ」

ダニーは悔しそうに自動販売機を蹴飛ばした。



彼のパートナー ゴルドーの姿はそこには居ない。
端的に言うと、断られたのだ。
『お前のような若造が王になるなど100年早い』と言い放たれた。
腹立たしい。

「構わねぇ、オレは1人でも王になってやる。
 呪文の力なんて無くても腕っぷしにゃ自信があるからな!」

ダニーはそう言って飛び出した。

一見すれば呪文の力抜きで戦うなど、無謀極まりない話だ。
だが、ダニーの場合は別だ。
彼が持つ呪文の特性には、徒手空拳のみで戦い抜く事が前提にある。
ゆえに1人でも十分に強い。
たった今蹴飛ばした自動販売機を見れば、その強さの鱗片がわかるだろう。
蹴った箇所は潰れた空き缶のようにペシャンコに凹み、
取り出し口からは機械内で潰れたジュース達がミックスされた滝となって流れている。
並の魔物ではここまで簡単に出来やしないだろう。

それが実際にどこまで通用するか、ダニーはそこまで深く考えてない。





特に理由もなく、ダニーは学校へと入っていった。
おそらく中学か高校だろう。校庭に遊具などが無かった。

そうして靴も脱がずに昇降口を抜けたところで、偶然にも一体の魔物とはちあう事となった。

「へ……早速お出ましか」

生意気そうなチビ助だ、と言う印象をダニーは受けた。
黒いジャケットをまとった、リーゼントヘアの子ども。
ボーっと外を眺めて黄昏れており、自分に酔っているように見えた。

チビ助はダニーの独り言を聞いて、我に返るようにしてその存在に気が付いた。

「なんだアンタ。1人か? パートナーはどうしたよ」
「フン。てめえみてえな雑魚、オレ1人で十分なんだよ」

挨拶代わりの挑発。チビ助の目の色が変わる。
ここまでオラオラ行く必要も無かったが、何よりパートナーの不在を指摘されてイラついたのである。

「いきなり何だテメェ……喧嘩売ってるのか? あ?」
「ははっ! 文句あるなら掛かって来いや。
 お前のパートナーはどこだ? 呼びにいっても良いんだぜ?」
「ナメてるんじゃねえぞ、ホウキ頭」
「てめえ、ぶっ殺す!!!」

ダニーの怒号にて、戦いが幕を開けた。

先手を切ったのはダニーだった。
大地(タイル)を蹴って高速接近――チビ助へと渾身のキックを叩き込む!
ボールのように宙を舞い、靴箱もろとも吹っ飛ばした!

倒れたチビ助へ追討ちを掛けるべく、さらに距離を詰め、思い切り踵落としを振り下ろす。
踏み抜いた先は――空を切った。
チビ助は間一髪、ローリングで回避。そのままサイドからのカウンターパンチが炸裂。

「ブロォオオオオオオオオ!!!!!」

不覚を取った。顔面へとクリーンヒット!
ダニーの肉体は昇降口の外へ――そのまま教室へシュートされる。
ガラスが盛大に砕け散り、雨のように、室内の机とイスへ降り注ぐ。

21 ◆5omSWLaE/2:2020/03/15(日) 22:34:59 ID:oaZXCdB60
「へっ、甘ちゃんが。相手を見て喧嘩を売れってんだ」

そう言って近づいてきたチビ助の顔面に、学生机を投擲する。
激突!! いい音だ、ザマーみやがれってんだ!!
オマケにもう一発、とダニーはイスを持ち上げ、ぶん投げる。

だが、二度目も命中はしなかった。驚異的な速度でチビ助が迫ってくる。

「チッ」

嵐のようなジャブを、イスを盾にしてガード、そのまま薙ぎ払うように反撃。
だが、この豪快極まりない一撃により、一瞬チビ助の姿を見失う。
その隙にチビ助はがら空きになったダニーの懐へ潜り込み、ボディーブロー!

血反吐が舞った。

まだ、だ!
腹部への一撃は、ダニーを怯ませるには浅い。
倒れ際にチビ助の襟を掴み、バランスを崩させ、そのまま巴投げの要領でぶん投げる。
激突した引き戸は粉砕され、チビ助は廊下へと転がった。

そして起き上がる前に、ダニーはマウントを取り、殴る、殴る、ぶん殴る!!

「ハハッ! どうだクソチビ! オレの方が強ぇな!!」
「……へっ!! まだまだ、この程度、痛くねェな……!!」

「おいテッド、てめえ何やってんだ?」

ふと、第三者の低い声が投げかけられた。
バラの刺繍が施された黒いレザージャケットを着た、大柄な中年の男だ。
このチビ助 テッドのパートナーだろう。

「ジード……保健室で寝てたんじゃねーのか」
「こんだけ騒がしくしやがって、眠れるか!!」
「丁度いい、ジード! 呪文を唱えてくれ! そうすりゃこんな野郎、イチコロで……」

ここからは呪文で来やがるって事か――上等だぜ。





「ったく、お前と言う奴はよ……甘えた事を抜かすんじゃねえぞ」

――何!?


思惑に反して、ジードと呼ばれた男はテッドに一喝した。

「てめえらタイマン張ってんだろ。だったらオレが介入するのは野暮ってもんだ」
「ぐ……けどこれは魔物同士の戦いだ! そんな事を言ってちゃ」
「さっきお前言ってたな。探さなきゃいけねぇ女が居るだのなんだの……。
 オレは余計な面倒は見ねぇ! もしオレに協力して欲しいってんならよォ。
 ちったぁ自分の事は自分でカタを付ける根性を見せてみな!」

ジードの声はどこまでも冷たく、突き放すような、厳しいものだ。

ダニーは感じ取った。
もしかしてこのテッドって奴も、オレと同じなのか、と。
この戦いは前提として、魔物と人間が協力し合う必要がある。
最初の壁であり、それを超えられない落ちこぼれに未来は無い。

わかるか? このやるせなさを。

だが、テッドはニヤリと挑戦的な笑みを浮かべていた。

「へっ、そうかい。ジード、約束だからな!
 俺が1人でコイツをぶっ倒したら協力しろよ!?」
「フン、考えといてやるよ」
「はぐらかしてんじゃねーぞ!」

22 ◆5omSWLaE/2:2020/03/15(日) 22:35:19 ID:oaZXCdB60
テッドは荒々しく血反吐を吐き飛ばし、踏みつけた。
そうしてダニーへと向き直った。

「なぁおい、屋上行こうぜ。決着付けてやるよ、ホウキ頭」
「オレはダニーだ。……いいタマしてんじゃねーか、てめえ。
 だがよ、簡単に勝ちは譲らねえぞ。オレだって命掛かってんだ」


 ◆


学校の屋上で、熾烈な殴り合いが続く。
遮るもののないフィールドは、さながら格闘技のリングのようでもある。

だが、先程とは売って変わり、その展開はダニーが劣勢だった。
何故パンチが当たらない!? 何故奴はこれほど力強い攻撃が出せるんだ!?

「呪文も無しにこの動き、どこに力を隠してやがったんだ!」
「さっきまでのオレとは違うぜ? オレはもう、負けられねぇからなぁ!」

ジャブの猛攻をいなしながら、ダニーは問う。

「お前、パートナーと約束してたよな! それでこんなに変わると言うのか!?」
「いいや、オレが見ているのはその先だ!」
「何ッ……!?」

ダニーの放ったストレートが空を切る。
またしてもテッドの姿が消える。下か!? いや……

「チェリッシュを探すために!!」

――上空から強烈な拳が飛び、ダニーの顔面に炸裂ッ!!

「オレはこんなことで止まってられねェんだ!!!!」
「がぁあああああああああああああああ!!!!!!」

チッ……畜生……!

リングアウト。鉄柵を突き破り、ダニーの身体は屋上の外へ。
……昏倒寸前の意識の中、かろうじて角を掴むものの、
長く耐えられるはずもなく、力尽き、転落――


その右腕を、テッドが掴んだ。

「間一髪だな」

力無くダラリと項垂れた肉体が引き上げられる。

意識を取り戻すまで数分間。
ダニーは目を開けてさほどの間を置かず、フラフラと立ち上がった。

「なぁ……何故オレを助けた?」
「もう勝負は付いてたからな。落ちるのを黙って見過ごせるかよ。
 まぁ単純に、反射的に身体が動いちまったのもあるけど」
「……そうかい……情けねえな、オレ」

「最初にも聞いたが、アンタ、パートナーは居ないのか?」
「……一緒に戦う気は無ぇって言うんで、どっか置いてきちまったよ」
「なぁ、あれ」

最初に気が付いたのはジードだった。
彼が指差す校門の方に、1人の男が立っている。
小柄な老人。ダニーのパートナーであるゴルドーの姿だ。

「ジジイ……あそこで何してんだ」
「とりあえず早く行ってやれよ。……立てるか?」
「いい、オレ1人で行く」

23 ◆5omSWLaE/2:2020/03/15(日) 22:35:31 ID:oaZXCdB60
身体の節々が酷く痛み、フラフラとした足取りでダニーは階段を下る。
校門へ辿り着くまで、それなりに時間を要した。
だが、ダニーが着くまで、ゴルドーはずっとそこに佇んでいた。

「よう、ジジイ……何しに来やがった」
「心配で見に来てやったんじゃ。
 随分と派手に暴れおったな。音が遠くまで響いとったぞ」
「やかましい! なんだ、オレの情けねえ姿を拝みに来たってか?」
「フン、その様子じゃボロボロに負けてきたようじゃのう。
 どうだ、若造よ。何か学ぶものでもあったか?」

ふと、先刻よりもゴルドーの目が優しげなものに感じられた。
――いや、きっと何も変わっていない。ずっとこういう目だったはずだ。
テッドのパートナーの方がずっと荒々しく、厳格そうに見えたからだろうか。
オレが気付かなかっただけだ。

「学ぶもの? さぁな。ただの喧嘩だ。
 正面から殴り合って、最初はオレの方が強かったはずだ。
 けれど……途中から奴の方が強くなって、負けちまった」
「お前の方が強かった……か。では、どうして今回は負けたと思う?」
「……女を探すために、こんなところで止まってられない……って、アイツはそう叫んでたよ」
「そう。つまりお前は相手にとって、目的のための障害物でしか無かったんじゃよ」
「障害物だと……このオレが……!?」

一瞬、頭に血がのぼりかけた。
しかし、悔しいほどにそれが間違いでない事も理解出来てしまった。
テッドは言った。『オレが見ているのはその先だ』と。

「ワシは最初に問うたはずじゃ。お前はどういう魔界を作りたいか、を」
 だがお前は『よくわからない』とぬかした。それじゃあ無理じゃな」
「……強ければ王になれる、そういうルールのはずだ……」
「だからお前は若造なのだと言っておる!
 社会をもっと学べ。魔界をどう変えたいか、考えよ。
 さもなくばお前は信念を持って戦う者の障害物にしかならんわい。
 ワシが手を貸すのも時間の無駄。そうじゃろう?」
「……わ、わかったよジジイ。あんたの言う通りだ。オレが甘かった」
「わかれば良い、ダニーボーイよ。
 自分の浅はかさを自覚したようじゃな」

そう言ってゴルドーは魔本を開き、呪文を読み上げた。

「ジオルク!」

瞬く間にダニーの傷が塞がっていく。
彼が持っている呪文の特性――それは超回復。
どれほど大きなダメージを受けようともたちどころに元に戻る。
彼は無敵の魔物だ。

そしてこの呪文の詠唱を持って、ゴルドーはダニーへの協力を承諾した事も意味している。

「なぁ、ミスターゴルドー。オレはまず何から勉強すりゃ良いよ?」
「社会を学ぶのなら、まずは仕事を経験するべきじゃ」
「仕事か……何かあるのか」
「あぁ、とりあえず葉巻を探してきてくれんか。ダニーボーイ。
 落ち着かなくてな」
「何アンタ都合良くパシろうとしてんだよ!
 そんでボーイは余計だぞ! ジジイ!!」


【座標C-4/学校 校門前/昼頃】

【ダニー&ゴルドー】
[状態]:両者ともに健康
[所持]:無し
[習得呪文]:1.ジオルク


【座標C-4/学校 屋上/昼頃】

【テッド&ジード】
[状態]:テッドは顔や腕などに痣などの外傷
    ジードは健康
[所持]:無し
[習得呪文]:1.ドラグナー・ナグル 2.セカン・ナグル

24 ◆5omSWLaE/2:2020/03/15(日) 22:37:16 ID:oaZXCdB60
投下します、を言い忘れましたが、以上で投下終了です。
タイトルは「その先に見えるもの」です。

25 ◆5omSWLaE/2:2020/03/21(土) 21:47:42 ID:7jqaHnGo0
コルル&しおり、キッド&ナゾナゾ博士、ザルチム&ラウシン・モーで予約致します。

26 ◆5omSWLaE/2:2020/03/24(火) 00:30:08 ID:BRNjoFaI0
投下します。
タイトルは「歪められた真実」です。

27 ◆5omSWLaE/2:2020/03/24(火) 00:30:37 ID:BRNjoFaI0
【座標F-5】町外れの林の中――


どんな願いでも叶う力……その対価を前にして、
一体どれだけの人間が日常を放棄して戦いに乗り出せると言うのだろうか。
いつものように学校へ通い、友達と遊び、家には両親が居て、お気に入りの毛布で眠る、
そんな日々のサイクルから強制的に切り離される事はそれだけで苦痛だ。

加えてこの戦いは、心の準備も許されず、どことも知れない場所へと放り込まれる。
ここで出会う者は皆、敵として立ちふさがる。
パートナーの魔物もおおよそ人間より年齢は下で、
拠り所となるものが無い状態となる。

ましてや、比較的裕福で保護された環境で生きてきた、
今どきの女子高生でしかないしおりにとっては計り知れないストレスとなる。

「イヤ、私やっぱりイヤよ、戦いだなんて……怖い……」
「しおりちゃん……」

しおりを本の持ち主とする、幼い少女の魔物はただただ狼狽していた。
桃色のワンピースに、内側にくるりとカールしたショートヘア。
戦いに臨む魔物……とは到底思えないような、か細く非力な少女そのもの。
その名をコルルと言った。

しおりはさっきからずっと木陰にうずくまり、膝に顔を沈めている。

“願いが叶う力”は多分本当かと思う。
ここまでにいくつか不思議な現象を目にしたから。
ただ、私なんかにそれを勝ち取るような意思があるとは思えない。
……でも、コルルを王様に導くのも自分に与えられた役割だ。
自分だけにしか出来ない事だ。出来れば協力してあげたい。
だけど痛い目に遭うのは嫌だし、ここがどこかわからないのが不安だし、
そんな状況で年下の子を管理するのは荷が重い。
女2人でサバイバルとか無理。

どうしよう……。

「ねぇ、しおりちゃん」

いたたまれない気持ちを破るように、コルルが口を開く。

「元の世界に帰りたい?」
「……うん」
「そしたら私、別に良いよ。私、そんなに王様になりたいと思わないから。
 しおりちゃんも、私も、今まで通りでいよう」

その一言で、しおりの胸からすっと重荷が抜けた気がした。
コルルは別に王様になりたくないと言うのなら。
だったら、こんなにも恐怖を押し殺して、無理をする必要は無いだろう。

「……ごめんね、コルル。私って弱いから……」
「いいの。私も本当は戦うのがイヤだから。
 私の方こそ、こんな事に巻き込んじゃってごめんね」

さぁ、これで彼女たちのお話は終わり。
魔本を燃やして、お互い元の日常に戻るんだ。

そのはずだった。

「ちょっといいかな?」

コンコン、と木の幹がノックされる。
視線の先には微笑をたたえた長身の美少年が立っていた。

「魔本が燃えた場合、人間は『元の世界に帰れる』と最初に伝えられていた。
 だが、それは真実では無い……。もしくは、真実の一部でしかない、と言うべきか。
 キミたちには特別に教えてあげよう。僕についておいで」
「あなたは一体誰……?」
「僕はクリア・ノート。魔本の意思の元、この戦いを見守る立場の者さ」


 ◆

28 ◆5omSWLaE/2:2020/03/24(火) 00:31:18 ID:BRNjoFaI0
【座標F-5】寂れた村落――


太陽は徐々に高度を上げ、空は青さを増していく。
参加者達が目を醒ましてから、幾ばくかの時間が過ぎていた。

前述の通り、誰しもが戦いに乗り気であるとは限らないが、
中には逆に素早く順応できてしまう者もいる。
ザルチムのパートナー ラウシン・モーもその1人だ。

彼は無法の者だ。
ここへ来る直前は、強盗の罪で収監されていた。
それは誘惑に負ける甘さ、自己中心さと、そのために手段を選ばぬ冷徹さから構成される。
彼には守るべき生活も、倫理も、おおよそ持ち合わせていない。
当然ながら“どんな願いも叶える力”のために、躊躇いなく戦いの道を選ぶ事が出来た。

そんな彼らと早々に対面する事となった魔物達はとても運が悪い。
彼らはお互いをキッド、博士と呼び合っているようだが。

「ウワーン、博士! このままじゃ負けちゃうよ――!!」
「クッ……とにかく奴らを近づけさせてはならん!
 ガンズ・ゼガル!!」

腹話術人形のような容姿の魔物 キッドは両腕をガトリングガンに変形させ、
ザルチム達に向けて無数のエネルギー弾を放った。

「盾の呪文だ!」
「ああ、シドナ・シルド!」

ザルチムの呪文は影を具現化させたものだ。
己の目から放たれた光が、手首のリングに遮られ影となる。
身体全体を隠すような大きな影の円盤が盾となり、
ガンズ・ゼガルの銃弾をやすやすと受け止めていく。
跳弾により砂煙が舞い上がる。

「ザルチム、奴ら逃げるぞ。すぐに先回りしろ」
「ヒヒッ、了解」

襲われる側の心理を、ラウシンは見抜いている。
ザルチムは魔物の身体能力からなる俊敏さでキッド達の前に回り込んだ。

「おのれ……っ! ゼガッ……」

博士の呪文詠唱は、後頭部にぶつけられた石によって遮られた。
ラウシンが投げたものだ。彼のポケットに、いくつかの手頃な石が用意されている。

「ラウシン、とどめを刺せ!」
「オルダ・シドナ!!」

ザルチムの右腕のリングから、無数の槍がキッド達に目掛けて放たれた。
もはやこれを防ぐ術は残っていない。

(こんなにもあっという間に……スマナイ、キッド……)

純粋な知力では、博士に並ぶものはどこにも居ない。
世界のあらゆる戦術・戦法、及び人間の心理など、戦いに関する知識は十分に備わっている。
準備さえ整えれば、少々非力なキッドであれど格上の相手と互角に渡り合える。
しかし、彼らは慎重過ぎたのだ。
戦いへの参加を決意した後、彼らはまずこのフィールドに関する情報を集めていた。
民家をあたり、地図や物資を確認し、本棚があれば書籍を探った。

――悪癖だ。

石ころ一つ構えた暴漢がすぐ側まで迫っている可能性を、
どうして予測できなかったのだろうか。

後悔を胸に抱きつつ、本が燃えゆく様を見て、
それを最後にナゾナゾ博士の意識は闇へと沈んでいく。


…………。



そうして、ザルチムもラウシンも呆気に取られていた。

本が塵となると同時に、キッドの姿は消えていった。
だが、人間の方は消えなかった。膝から崩れ落ちたまま、人形のようにピクリとも動かない。

ラウシンが何度か声を掛け、揺り動かし、胸元に耳を当てる。
程なくして彼はため息を吐き出すように呟いた。

「この爺さん、心臓が止まっていやがる……」
「……おかしい、人間の世界に戻るはずだが……?」
「ザルチム、お前にも何が起きたかわからないのか?」
「オレも魔本とほとんど同じような話を聞かされていた。
 死ぬだなんて聞いちゃいねえ」
「魔本がウソをついていた、と言うわけか?」
「そうかもしれん。もしくは、この爺さんの心臓が元から弱かったかだ。
 ……だが、話は後だ。それよりも」

29 ◆5omSWLaE/2:2020/03/24(火) 00:31:39 ID:BRNjoFaI0
ふと、ザルチムは“全ての目”をカッと見開いた。
――彼の容貌は異形そのものだ。
体格やシルエットは人間に限りなく近い。
服装は口元まで覆われた、忍者服にも学ランにも近い黒服。
ただ、彼の頭には……特に額から後頭部にかけていくつもの目玉が付いていた。
ちなみに髪の毛は生えていない。パートナーのラウシンと揃ってスキンヘッドだ。

全ての目玉が一点を見つめている――村を見下ろす高台の林の影。
2体の魔物がこちらの様子を伺っていた。

「オレ達を盗み見している趣味の悪い野郎ども挨拶を教えてきてやる」
「深追いはするなよ。今の戦いでそれなりに疲弊しているんだ」
「おうよ、待ってな」


初めこそ、ザルチムは人間のパートナーに対して期待はしていなかった。
呪文を唱えてくれりゃあそれでいい、と言う程度に。
しかし、いざ始まってみれば、早めに戦いの準備をしてくれるわ、
さっきのように人殺しになっちまっても冷静さを保つわで、
正直なかなか悪くないじゃないか、と思っていた。

盗み見をする魔物にわざわざちょっかいを出しに行くのも、
そうした気持ちから、少し浮足立っている事に起因している。


  ◆


――見てしまった、人が死ぬ瞬間を……。

本を燃やされたら元の世界に帰るって、全部ウソだったの……?

「一体何が起きているの、クリアさん……説明してよ……」
「人間が元の世界に戻るのは、その魂だけだ」
「そんな……そんなの……」

魂だけ、とは。すなわち死を意味しているのか。
身の毛がよだつ思いがした。心臓が痛いほどに脈を打つ。背中に冷たい汗が流れる。

イヤだ。死にたくない。死にたくない。

「ふざけないで……どうして……! 私たちが何をしたの!?」
「し、しおりちゃんっ……騒ぐと気付かれる」
「うるさいっ! もう嫌よ、帰りたい! 帰らせてよ!!」

しおりはへたり込み、頭を抱え、そしてクリア・ノートを睨みつけた。


目と目が合った瞬間。
凄まじい寒気と、直感的な恐怖が湧き上がるのを感じた。
クリア・ノートの瞳は、深淵の闇だ。
今まで以上に強く“死”が意識されて震えが止まらない。

目の前に居るのは死神だった。

「帰れなくて残念だったね」

そう言ってクリアは姿を消した。



「しおりちゃん、逃げて!」

コルルの叫びでしおりははっと我に返った。
先程戦っていた魔物が凄まじい跳躍力で目の前へと迫っていた。

「イヤァアアアアア!!!」
「ヒヒヒヒ……悪趣味じゃねえか! コソコソしてねえで相手してくれよ!
 ラウシン! 短刀の呪文だ!!」
「シドナ・ディップ!」

ザルチムの両腕から黒い刃が伸びていた。
へたり込んだままのしおり目掛けて、その刃が振り下ろされ――

30 ◆5omSWLaE/2:2020/03/24(火) 00:31:54 ID:BRNjoFaI0
――飛び散る血しぶきの生ぬるい感覚が、頬に当たった。
痛みは無い。
聞こえたのはコルルのうめき声だった。

恐る恐る目を開けると、肩口に深々と傷を追ったコルルの姿がった。
小さな身体で、ザルチムの腕に必死に組み付いていた。

「早く逃げて……!」
「で、でも……コルルが……」
「私たちが悪いの……しおりちゃんは関係無いの……
 だから早く逃げて……」
「コルル……」

悲しみが、恐怖が、色々な感情が湧き上がり、とにかく息が苦しかった。
どうしてこんな悲劇が起きなくちゃいけないの。
私たちが辛い想いをする理由は一体どこにあるの?

本当はそのまま逃げたかった。
自分の命が一番大事。所詮コルルとは出会ったばかりだし。

――でも、私はコルルを見殺しに出来ない!

私に出来る事は一つだけだった。
桃色の本を手に取り、叫ぶ。

「ゼルク!!」

まばゆい光と共にコルルの姿が変貌する。
肉体は獣の如く筋肉質に。爪は長く伸びた凶器へ。瞳は血走った狂気を宿し――。
か弱い少女の面影は消失し、それは悪魔と形容するに相応しい。

「キェエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!!」

獰猛な雄叫びと共に、ザルチムの肉体を地面に叩きつける。

そして目にも止まらぬ速度で、爪を振るう。
術の力で強化されたスピードは、ザルチムの身体能力を凌駕する。
凶器だったシドナ・ディップの短刀は、今や連撃を躱すのが精一杯だった。

(分が悪い……! ここは一度引き上げるしかねえ……!)
「ラウシン!」
「シドナ・シルド!」

ザルチムとコルルの間を大型の盾が遮った。
すかさずザルチムは飛び退いて距離を取り、高台を降りて撤退を図った。
コルルは追いかけようとしたが、両手の爪が徐々に縮んでいる事に気が付く。
術の効力が消えかけていた。

「さぁ、もう一度呪文を……! あいつらをぶっ倒してやるの、さぁ……!」

自身の本を持つ少女へと声を掛ける。
しかし、呆然としているようで呪文を唱えなかった。

「どうしたの、このままじゃ元の姿に戻ってしまうわ……」
「……あなた……コルルなの……?」
「そうよ、私はコルル……! あなた、本の持ち主でしょう?
 もっと暴れさせて、もっと戦わせて欲しいの……!!」
「ねぇ、コルル、私を守って……」

すがりつくような声色は、救いを求めているような……
いや、救いを通り越し、完全に頼り切ったような恍惚さすら感じさせた。

コルルの凶暴極まりないこの姿は、しおりには最後の光に見えた。
この世界から生きて帰るための命綱。
自分を守ってくれる唯一の存在――

「クク……そうか、そういう事か……
 いいわ、いつでも私を呼んで……あなたを守ってあげるから……」

不敵な笑みを浮かべながら、その姿は元のか弱い少女のものへと変わっていく。
あたりには静けさが戻る。風の音がはっきりと聞こえるほどに。


元に戻らなかったのは、少女の心だけ。




【キッド&ナゾナゾ博士 脱落】



【座標F-5/村落周辺/昼頃】

【コルル&しおり】
[状態]:コルルの左肩に切り傷
    しおりは精神的に大きなショック
[所持]:無し
[習得呪文]:1.ゼルク 2.ゼルセン


【ザルチム&ラウシン・モー】
[状態]:キッド戦により全身に擦り傷
    心のエネルギーが空
[所持]:投げるのにちょうどいい石
[習得呪文]:1.シドナ・ディップ 2.シドナ・シルド 3.オルダ・シドナ

31 ◆5omSWLaE/2:2020/03/24(火) 00:34:13 ID:BRNjoFaI0
以上で投下終了です。

ちなみに3/20〜4/3までは、予約期間は7日間となります。

32 ◆5omSWLaE/2:2020/03/28(土) 19:48:27 ID:p7ErnLIQ0
ガッシュ&高嶺清麿、マルス&レンブラントで予約です。

33 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:24:41 ID:UwXPyg6M0
投下します。
タイトルは「格下の相手」です。

34 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:25:19 ID:UwXPyg6M0
私はずっと一人だった。

物心付いた時より、私はユノさんと言う女性に育てられた。
元々、母親だとは思えない程、とても厳しい人だった。
ユノさんは食事の支度だったり、掃除だったり、家事は私にやらせていた。
上手く出来なければたたかれた。
失敗せずとも、ユノさんの機嫌によってたたかれる事もあった。

公園で楽しそうに遊んでいる家族たちを見て羨ましく思った。
みんなのお父さんとお母さんは、優しい笑顔を子ども達に向けていた。

けれどユノさんは一度だって遊んでくれた事は無かった。
一度だって、私に優しい笑顔を向けてくれた事は無かった。

あぁ、間違いない、この人は本当の母親では無い。


「僕の本当のお母さんはどこ? お父さんは?」

「そんなもの、お前にはいないよ」

いない?


 ・

 ・

 ・

それから偶然にも私は聞いた。
私には別の家族が居る事を。父は、魔界の王様なのだと。

本当のお父さんと、お母さんが居る。
ずっと欲しかったお兄ちゃんも居るらしい。

嬉しくて、嬉しくて仕方がなかった。

この戦いで私が王様になって帰ってきたら、喜んでくれるかな?
本当の家族と一緒に楽しく暮らす事が出来るのかな?




「そのためにもまずは、清麿と仲直りしなくてはならないのだ!
 さっきは失敗したけど、今度はちゃんと私の話を聞いてもらうのだ!」

拳をぎゅっと握って気合を込めた。
落ち込んでいる場合ではなかった! 早く探しにいかなくては!!

と、そう思った矢先だった。

「ガロン!」

呪文の声。振り返る間もなく、背中に重々しく硬い攻撃が叩き込まれていた。



 ◆



マルスの本の持ち主 レンブラントは、魔本の説明を聞いた後、
二つ返事で戦いに乗る事に決めた。

「“どんな願いでも叶う力”か……。
 それだけのベネフィットなら、仕事を休んででも挑むべきだな……」
「……ベネフィット?」

聞き慣れない単語にマルスは思わず聞き返した。
レンブラントは意に介す様子もなく話を続けた。

「こう見えても私は企業間の戦いを生き抜き、頂点を取った一流ビジネスマンだ。
 お前が王(トップ)に立てるよう、私がメンターになろう」
「メンター?」
「とこでマルス。お前なりのアジェンダはあるか?」
「ア、アジェ……ンダ?」
「戦いのイニシアチブを握るため、何にプライオリティを置くべきか。
 そういった考えはあるのかね」
「ちょ、ちょっと待てレンブラント。ちょっと何言ってるかわからない」
「何がわからないんだ」
「全部だ! 全部!」

35 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:25:38 ID:UwXPyg6M0
上等な白いスーツ。服装越しにもうっすらわかるガッチリとした肉体。
整髪剤でオールバックに固められたブラウンのヘア。
鼻腔を甘く刺激する、オリエンタルな香水。
そんなレンブラントは、一流企業の経営者だ。
一流となると日常的にもビジネス用語がうっかり出てしまうのだ。

ただ、子どもであるマルスには難しすぎて通じない。
レンブラントは反省し、わかりやすい言葉に直して改めて問い直す。

「戦いに勝ち抜くためには何が重要か、考えてみろ」
「うーん……相手より先に攻撃を叩き込む、とか?」
「いいじゃないか。お前は見込みがある。
 だが、もっと大事なのを教えてやろう。
 それは“スピーディに競合よりも優位に立つ事”だ」
「具体的にどうするんだよ」

レンブラントの目が不敵に輝いた。

「格下の相手を狙え」
「……格下、か」
「思い浮かぶ相手はいるか?」

マルスは腕を組み、時々髪の毛を指先で弄びながら考えた。
彼の髪は肩口まで伸びたロングヘアで、所々がぐるぐるとカールしている。
服装はネクタイを締めたワイシャツと、その上に紫色のベストを羽織っている。
レンブラントと並んで二人共正装に近いため、傍から見れば裕福な親子のようだ。

「落ちこぼれな奴や、あとは年下の奴が思い浮かぶな」
「宜しい。そいつらを真っ先に潰しに行くんだ。他の競合よりも、早く。
 確実な勝利経験を多く積み上げ、お前自身の養分とするんだ!」
「なるほどね」

一流ビジネスマンの彼は、世間から羨望の眼差しを受けるのと同時に、
身内の者と、競合の企業の間では黒い噂が耐えなかった。
それは常に他者を蹴落とす事と、弱者を徹底的に潰すスタンスにあった。

狙った獲物を根本まで綺麗に刈り取る様から、地元メディアは彼を“ヒゲソリ”とあだ名している。

「常に己を格上の存在だと誇れ。弱者は徹底的に潰せ。
 これこそが戦いを勝ち抜くためのメソッドだ!」
「メソッド」

話半分に理解したマルスは意気揚々と獲物を探しに向かった。



 ◆



マルスが最初に見つけた相手はまさに絶好の獲物だった。
弱虫ガッシュ。年下であり、落ちこぼれだ。
先手で叩き込んだガロンも面白いようにクリーンヒットした。

「ははっ、ぼーっとしてんじゃねえぜ?」
「グ……貴様、いきなり何をするのだ!
 後ろから不意打ちだなんて、卑怯だぞ!」

ガッシュはヨロヨロと起き上がった。
攻撃の当たった箇所はマントが破れ、血が滲んでいた。
抗議の声をマルスは一笑に付した。

「バーカ、戦いに卑怯も何もあるかよ。
 そんな事より、お前の本の持ち主はどこへ行った?」」
「清麿は……今はここにおらぬ……。
 どこかへ行ってしまった。これから探しにいくところだ!」

マルスは「ぶふぉwww」と思いきり吹き出した。
真面目に答えたガッシュは、その反応に思わず顔を紅潮させた。

「何がおかしい!?」
「聞いたかレンブラント!
 こいつ本の持ち主に見捨てられてやがるぜ!」

マルスは嫌味ったらしく、そしてわざとらしい笑い声を上げた。
あからさまに感情を逆なでする意図が込められていた。
悔しがるガッシュの顔が実に愉快だ。
そのまま地団駄を踏みながら、悔し涙を流すがいい!

だが実際は期待よりも薄い反応だった。
ガッシュはさっさと踵を返し、立ち去ろうとしていた。

「どこへ行くんだよ」
「清麿を探してくる! そこで待っておれ!
 すぐに清麿を見つけ出して、そしたらお前など敵では無いわ!」

36 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:25:58 ID:UwXPyg6M0
マルスはギリリと歯ぎしりをした。
格下が吠えやがって、生意気だ、と思った。

「逃さねぇよ!」

マルスは両掌を前方に構えた。
攻撃が来る……。ガッシュはすぐに公園の外に向かって走りだした。
レンブラントの濃灰色の本が輝いた。

「ガンズ・ガロン!」

次々に投げつけられる無数の鉄球。
ガッシュは身を防ごうと両腕でかばったが、身体ごとふっ飛ばされた。
鉄球の当たった箇所が砕けそうな程に痛い。
それは、命中しなかった鉄球が、アスファルトやコンクリの壁を砕く様を見て明白だろう。

倒れ伏すガッシュに向けてマルスは声を掛ける。

「降参するならこれ以上痛い目に遭わせずに済ませてやろう。
 所詮お前は王になれやしない。落ちこぼれだからな」

だが、ガッシュは両腕を震わせながら立ち上がった。
愉悦に満ちたマルスの顔が、不快感で大きく歪んだ。

「お前、まだ吠える気か」
「落ちこぼれで……何が悪い……!
 落ちこぼれが王になれるなどと、誰が決めた……!
 この程度の痛み如きで……私は絶対に諦めぬ!
 もう一度言ってやる! 清麿さえ見つければ、お前など敵では無いわ!」

大地を揺るがす程に、力強く叫んだ。

一瞬の静寂の後、大きなため息を付いたのはレンブラントだった。
無表情のまま、マルスへと耳打ちした。

「だから言っただろう。格下に容赦をするな、と。
 徹底的に潰せ」
「……オレが間違っていた。こいつは絶対殺す」
「その通りだ」
「行くぜレンブラント」
「ガロン!」



「ザケル!!」



鉄柱と、電撃がぶつかりあった。
相殺した破壊力は小爆発となり、公園内に砂煙を巻き上げた。

「大丈夫か、ガッシュ!」

高嶺清麿の声がした。
まさか清麿の方から戻ってきてくれるとは、と、
ガッシュは高ぶる気持ちを抑えられなかった。

「ウヌ、来てくれて嬉しいぞ!」
「……その、さっきは酷いことを言ってすまなかった。……謝る」
「何を言う! 私の方こそ、清麿の気持ちがわかっていなかった。
 ……さっきは、いきなりすまなかったのだ」

ボロボロのマントと、身体中から滲む血を見て、
ガッシュがどれほど凄惨な目に遭ったかは想像に難くない。
しかしその痛みを忘れているかのように、力強く、誇らしい顔をしていた。
清麿はガッシュの姿に胸を打たれた。

「……一緒に戦ってくれるか、清麿」
「あぁ」

――赤い魔本が力強く輝いた。

「いくぞガッシュ!」
「ウヌ!」

一陣の風と共に晴れた砂煙の先。
怒りを露わにしたマルスに向け、たった今新しく生まれた『2つ目の呪文』を読み上げた。

「第二の術、ジケルド!」
「ガンズ・ガロン!」

フワフワとした遅い光の球が放たれた。

「へっ……なんだよ、そのトロい攻撃は!
 こんなもん簡単に避けられるわ!
 ぎゃぁあああああああああああああああああああああああ!!!」

ガンズ・ガロンが全部戻ってきてマルスの顔に直撃した。




 ◆


一瞬でカタが付いたのは清麿としても想定外だった。

気が付けばレンブラントの姿は無かった。逃げたらしい。
最低だなあの親父。

37 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:26:17 ID:UwXPyg6M0
動かないマルスをどうするかは後で考えよう。
それよりもガッシュの怪我が心配だ。早く手当をした方がいいのでは。

「とりあえず病院へ向かおう」
「ウヌ、わかったのだ!」
「……お前、元気そうだな」
「このくらい大した事無いのだ」

魔物って傷の治りが早いのかもしれない。
この世界はわからない事が多い。
せっかくの機会に、少し調べてみるのも面白いかもしれないな……。


【座標A-3/公園付近/朝】

【ガッシュ・ベル&高嶺清麿】
[状態]:ガッシュは背中と両腕に打撲
[所持]:なし
[習得呪文]:1.ザケル 2.ジケルド
[備考]
※ジケルドの効果について、
 鉄球がマルス目掛けて引き戻される様子は見ていますが、
 それが磁力によるものかはハッキリわかっておりません。


【マルス&レンブラント】
[状態]:マルス、気絶。顔面陥没。
[所持]:なし
[習得呪文]:1.ガロン 2.ガンズ・ガロン
※レンブラントがどこかへ逃げたため、離れ離れになっております

38 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:27:20 ID:UwXPyg6M0
以上で投下終了となります。

続けて、ゾボロン&ヒゲ、ゴフレ&蓮次を投下します。
タイトルは「最弱争い」です。

39 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:27:42 ID:UwXPyg6M0
                  
             ´ ̄ヽv´ ̄ ̄\       ノヘノヘノヘノヘ
             |/ ̄|  丿ヽ  │      <
            八●│ |● │ \      <  死  気
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        /// \    <  ん  を
  ヽ                      │   <  じ  付
   丶、                    │  <  ゃ  け
     ▽ ̄ ̄▽ ̄Γ ̄ ̄ ̄\      │/   う  な
  ∩          \ ___二ゝ   │\   よ  い
.m| |   △_△-──┘           \  <  !!  と
| | |n /                      \ <
.``( | │        ,.-───          ヘノヘノヘノヘノヘ  
/ 丿 \_〟,.-─゙                 
 /     ノ                     ←ゾボロン   
 │   /

40 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:27:55 ID:UwXPyg6M0

             \            /
             │           /     
  失  : お       ∨ヽ       ∧ \   : グ
  敗  : ま      /  │      │ヽ、/   : ワ
   : も え     /  │      │  V   : オ
   :  :       /  ミ\     ∥  ヽ   :
   :  :        ミ /  ミゝ卅卅卅彡   Π   :
  か         ミ /ミミミミ゙ ミミ 彡彡彡 ∥
  ?         ミ彡ミ    ミ   巛  ソソ\
          ミミミ ヽヽ   ゞヾ  川″ ミ \_
          ミミ  彡 / (__) ノ ヽ Ο ミ     フ ∧/
         彡彡彡 =─ミ   ヽミ \ミ ヽミ   |/
\__ _/彡彡    ヾ  ´´  ミ __ ヾミ  〆
     ヽ│ 彡彡 彡          丶・|・/ /ミ
     ミ ミ 彡   彡  Γⅴⅴ丶 `.⊥ノミ
   ミミ ミ  彡    彡 ヽ:.:.:.:.:.:.:.:`vvvⅵ´  ←ゴフレ
ミミミ彡 彡   彡  ヾ ヽ  ヾヘ.:ヘ::从从 /
彡  彡  彡   ヾ `   \三ノソ卅_/
彡彡  彡  ゙゙        川川川彳

41 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:28:13 ID:UwXPyg6M0

  )  \           │ │         へノへノへ
  (    \         丿  /彡  グ   <
  )     ヽ        丿  /   ム    <   ド
 │     │      │   /   グ     <  ル
  \/ヾ :.:.│      │  /ミ  ム      <  ク
     《 :.:.:|      │  /          <  !!
      《:.:.::.:|      /  /           < 
 グ    巛 .::.:.| ●  /  /ミ           へノへノへ
  ム   ミ丶:.::.:.: ||   / │
   グ  彡ヽ:.:..::.∥ ●/ │
    ム  彡ヽ:.:..::.∥/ 彡│       ヾ,,.
        ミ\、:::::/  彡└彡三ミミ  \ ヾ
        ミ   ソ    彡  ヾ ミヾ   ) 彡
        │      ミ     ヾ ミ  ノ  三
         \ヾ      ミ     Ξヽノ  ミ
         彡 ヾ川 ミ       川    ミ
         彡 ミ      ミ ミ   卅卅ヾ
          彡  从   冫卞 ミ /   
          彳巛ミ 乍 ミ   ヽ  /
           │ ミ │ ミ/   ヽ ゝ
           │ミ ヾ  ∥   |│
           │ミ  │ /│  ノ│
           ヽ│  ││┘ 巛》
           ヾ│  ││
          (( ( 丿 ( | |ソ
               `´´

42 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:28:26 ID:UwXPyg6M0

                           へノへノへノ
                          <
          r ̄ヽ´ ̄ヽ          <    は
         │ ∩ ∩ └ヽ       <    は
  r───〜´      ///  ヽ      <   は
 │                   \    <    っ
  丶──v─-v´ ̄ ̄ ̄ ̄\     │  <    !!
                /      │  <
              /        人   へノへノへノ
    ,──^ ̄^ ̄ ̄             ̄ヽ
    ヽ________           ヽ
            /               │
          /                  │



 ―― 死 ま で あ と 3 0 秒  ――


【座標B-3/ショッピングセンター/昼頃】

【ゾボロン&ヒゲ】
[状態]:健康
[所持]:無し
[習得呪文]:1.ドクラケル

※何が「気を付けないと死んじゃうよ」なのかと言うと、
 相手が自分より弱そうなイヌに見えたからです。

【ゴフレ&蓮次】
[状態]:健康
[所持]:無し
[習得呪文]:1.ドルク

※何が「お前も失敗か」なのかと言うと、
 お前はポンコツそうなパートナーに、
 自分は紙過ぎる耐久力に不満がある、
 という意味です。

43 ◆5omSWLaE/2:2020/04/05(日) 22:28:47 ID:UwXPyg6M0
以上で投下終了です。


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