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闘争バトルロワイアル【序章】

1 青山 ◆N/GLYlkin2 :2016/11/15(火) 01:50:06 ID:upVUzHQk0

【魔法少女育成計画】○『スノーホワイト』/○『ラ・ピュセル』/○『森の音楽家クラムベリー』/○『ハードゴア・アリス』

【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎/○『DIO』/○吉良吉影/○ブローノ・ブチャラティ/○リンゴォ・ロードアゲイン

【魔法少女まどか☆マギカ】○鹿目まどか/○『暁美ほむら』/○『巴マミ』/○『美樹さやか』/○『佐倉杏子』/○志筑仁美

【ミスミソウ】○野咲春花/○野咲祥子/○小黒妙子/○佐山流美/○相葉晄 /○南京子

【真夏の夜の淫夢派生シリーズ】○『野獣先輩』/○『MUR大先輩』/○『ゆうさく』/○『虐待おじさん』/○『ひで』

【バジリスク〜甲賀忍法帖〜】○甲賀弦之介/ ○朧 /○薬師寺天膳/○陽炎

【とある魔術の禁書目録】○上条当麻/○御坂美琴/○白井黒子/○一方通行

【BLACK LAGOON】○岡島緑郎/○レヴィ/○シェンホア/○バラライカ

【ベルセルク】○ガッツ/○『ロシーヌ』/○『モズグス』/○『ワイアルド』/○『ゾッド』

【彼岸島】○宮本明/○『雅』

【ターミネーター2】○『T-1000』/○『T-800』/○ジョン・コナー

【GANTZ】○玄野計/○加藤勝/○西丈一郎/○岡八郎/○『ぬらりひょん』

【書き手枠】
『○』/『○』/『○』/○/○/○

※『』がついているのは赤い首輪の参加者

【生還条件】
 最後の一人になるまで殺し合うか、赤い首輪の参加者を殺せば、即ゲームクリア。ゲームから解放される。
 ちなみに、自分の意思で残留するかどうかを選ぶこともできる
 その場合は、特典として本人の希望するある程度の要望を叶えてもらえる
 例:参加者の詳細情報、強力な武器や装備の支給など
 
【会場】
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0284.jpg

※NPCが存在し普通に生活していますが、どう扱うかは書き手の自由です

【支給品】
地図:上の地図の印刷された紙
食料:うまい棒が3本と無糖のコーヒー缶だけ。あとは現地調達。
ランダムアイテム:現実出展か参加者の世界のアイテム。1〜2個

893 第一回放送 ◆ZbV3TMNKJw :2018/06/11(月) 18:46:58 ID:QP4qjn2s0

(けど、いまはあいつらともよろしくやらねえとな)

人付き合いが上手い方ではないことは自覚している。けれど、俺が生き残るためにはそうする他はない。
いまは少しでも懐に入れるよう立ち回り、情報を手に入れるしかない。

コンコン、とドアを叩く。

特に返事もないので、ドアノブを捻り部屋へと入った。


『ビンビンビンビンビンビンビンビンビンビン、チクッ』

『あ、あ、ア、あ、アあ、あ』

「ハ、ハハハハハハハ!!笑わせてくれるぜあの小僧!なんて死に方してんだ!はぁ〜腹痛ぇ」

笑っていた。
顔の半分に刺青を入れた目つきのヤバイおっさんは、男の顔がついたスズメバチに刺される白い男の映像を見て笑い転げていた。

「おっさん、そろそろ」
「あ?っと、もうこんな時間かよ。つっても、俺がやる意味もなくなっちまったしなぁ...おい、俺の代わりに放送やっとけ」
「...いいのかよ。送られてきた指示書じゃ、あんたの名前が書いてあっただろ」
「いーんだよ。あっちからすりゃ、適当に俺の名前を挙げただけで意味なんざねえ。放送をテメーがやろうが大した違いもねえだろ」
「...まあ、いいけど」

おっさんは満足気で邪悪な笑みを浮かべると、一時停止していたビデオの再生を再開した。

俺はドアを閉じて部屋を後にする。

予想外だが好都合だ。
俺の声を聞けば、あの女の状況は一変するはず。

俺達を殺しておきながら、ぬくぬくと遊んでやがるあの女に村八分の地獄を叩きつけてやるチャンスだ。

放送室。マイクやその他よくわからない機器があるこの部屋が、会場に放送を届ける場所だ。
俺は呼吸を整え、アナウンス用のボタンにスイッチを入れる。
マイクを手に取り、初めての放送を開始した。

894 第一回放送 ◆ZbV3TMNKJw :2018/06/11(月) 18:48:18 ID:QP4qjn2s0



あー、ごきげんようおめーら。
誰だって顔をしてると思うが、この殺し合いの進行役を勤めてるヤツだってことを認識してくれればそれでいい。
まあ、中には俺を知ってる奴らもいるが、別に連れの奴らに教えてもらっても構いやしねえよ。そんなことで首輪の爆破なんてしねえから。

今回は、初めての放送ってことで情報量も多いから、メモなりなんなりしておきな。聞き逃しても繰り返し放送はしねえ。



じゃ、まずは参加者じゃねえ奴らについてだ。
オメーらの中に、名簿に載っていない奴らと遭遇したヤツもいるだろ?
そいつらの多くはNPC...条件付きだが、味方にすることも敵にまわすこともできる、まあ、人型の資源みたいなものだ。好きに扱ってくれ。
ただ、何人か参加者でも名簿に載ってないやつらもいる。ホル・ホース、ありくん、スズメバチ、千手観音、如月左衛門、隊長。
この六人はただの記載漏れで、普通の参加者と同じ扱いになるから気をつけろよ。
ああ、あとついでにだが、NPC、特に首輪がついてる奴らの中にはたまに道具を持ってるヤツも混じってるから、ブッ殺して道具を奪うのもありだ。


次に、地図と禁止エリアについてだ。
今まで、地図には地形だけが書かれてたが、今回の放送でもう少し詳細を加える。たとえば、D-1には村がある。みたいな具合にな。
情報の更新の仕方は簡単だ。デイバックに地図を入れて、触らずに5分放置。そうすりゃ、詳細が書かれた地図ができあがってるはずだ。

禁止エリアってのは、ここに踏み込むと首輪が反応して爆発するってエリアだ。
この殺し合い自体の制限時間だと思ってくれりゃいい。
エリアは地図のマス目に倣って仕切られていて、放送ごとに増えてく寸法だ。増える数はその時々で変わるから注意しろよ。

じゃあ、今回の禁止エリアを発表するぞ。

今回の禁止エリアはC-2、E-8、J-3だ。

もう一度言うぞ。C-2、E-8、J-3だ。覚えたな?
今回は三つだから、放送終了から2時間後にC-2、その2時間後にE-8、更に2時間後にJ-3に禁止エリアとなる。
忘れ物があるやつは早めに済ませておけよ。

895 第一回放送 ◆ZbV3TMNKJw :2018/06/11(月) 18:49:07 ID:QP4qjn2s0

最後に脱落者だ。これから放送毎に死んだ奴らを読み上げてく。
もし知った名前があれば、これから身の振り方を考えるんだな。

今回の放送までに死んだのは

薬師寺天膳
志筑仁美
南京子
一方通行
ありくん
巴マミ
レヴィ
岡八郎
ぬらりひょん

以上の9人だ。

お前ら、いくら強制されてるからってこんな短時間で9人も殺すとか不謹慎すぎるだろ。まだルールもハッキリしてなかったってのにどんだけ欲求不満だよ。
まあでも正しいぜ。殺し合いを手っ取り早く終わらせるなら全部殺すのが一番手っ取り早い。

そんで、最初のセレモニーのときに言い忘れてたんだが、この殺し合いに優勝したときについてだ。
この殺し合いに優勝したヤツには、どんな願いも叶える権利が与えられる。
莫大な金、世界を支配する力、死んだやつの蘇生...叶えられない願いはないと約束してやる。
金ならまだしも死んだやつが生き返るとかありえねーって声もあるだろうが、ソイツは安心しな。
俺を殺したやつが参加者に紛れてるからそいつに聞けばいい。つまり、俺の存在自体がその証拠ってことだ。
ただ、赤首輪の参加者を殺して脱出した場合は、権利の放棄と見なされ願いを叶えることはできねえから注意しな。
あ、NPCにはその権利はねえから。

赤首輪を殺して安全に脱出するか、命をかけたギャンブルに挑むのか、それは自分で決めるんだな。 
...まあ、俺を殺したオメーなら答えはもう出てるんだろうが。オメーのせいで殺し合い巻き込まれた連中の為にも頑張らねえとな。


あぁっと、肝心なことを忘れてた。
赤首輪の報酬を手に入れる条件だけどな、報酬を受け取る権利が与えられるのは『一番近くにいた、赤首輪を殺したやつだと認識されたとき』だ。
なんの苦労もしてないやつが武器も持たずに楽して脱出、なんてつまらねーパターンは認められねえから。
もちろん、結果が気に入らなけりゃ認識が完了するまでにその裁定を覆すこともできる。どうやって覆すかは、まあオメーらで考えてくれ。それもお楽しみのひとつだからな。


今回はここまでだ。この放送は6時間ごとに行う。だから、次に新しい情報を聞けるのは6時間後ってことだ。聞き逃すんじゃねーぞ。じゃあな、オメーら。

精精、頑張るこった。

896 第一回放送 ◆ZbV3TMNKJw :2018/06/11(月) 18:49:58 ID:QP4qjn2s0





プツン、という音と共に放送が終わり静寂が訪れる。

(放送は確か木原とかいう男の担当だったはずだが...まあ、些細なことだな)

私は、チラ、と左腕に嵌めた腕時計を見つめ、秒針を数える。

(私が放った遣いが目標と接触して10分...もしあの行為が違反を犯しているのなら、なんらかのアクションがあるはずだ)

私は、間接的にとはいえ参加者に接触...特定の参加者に肩入れをした。
これは、主催という立場であることを顧みれば、越権行為と見なされ、即時処断されてもなんらおかしくないだろう。
だが、未だになんの動きもなし。
あの程度であれば問題のない範囲なのか、それとも誰も私の行為に気がついていないのか。
あるいは、私に提案を持ちかけたあの女が動いているのか。

(あの女、何者だ?まるで私がどう動くかを知っていたかのように協力を持ちかけてきたが...)

わからないのは協力を持ちかけてきたことだけではない。あの女は、何故か接触する相手までも指定してきたのだ。
その上、指定した参加者の能力は、見事に私の望みを叶えるのに相応しかった。
なぜだ?なぜ、あの女はああもわたしの望みへの最適解を提示できる?

...なんにせよ。
これであの暁美ほむらという少女が空条承太郎を始末ないし疲弊させることが出来れば、それだけDIOの勝率は上がる。
聞けば、暁美ほむらの能力は時間の停止。
時間に干渉できる能力者が何人もいては彼も不愉快に思うだろう。空条承太郎と暁美ほむら。この二人が共倒れになるのが理想的な形だが、そこまで甘い幻想を抱くべきではないだろう。

DIOを倒し、幾多のジョースター家の末裔に影響を与えたあの男さえ消えてしまえば。
呼ばれた彼の手下がホル・ホースなどという金で雇われたチンピラではなくヴァニラ・アイスやペットショップ、ジョンガリAらなどであればもっと円滑に進んだだろうが、それでもだ。
彼は必ず道を切り開き勝利を手にする。

私にできるのは、その時の為に備えることだけだ。

(DIO、私は信じている。きみが全てを乗り越え、打ち砕き、天国へと至ることを)

897 第一回放送 ◆ZbV3TMNKJw :2018/06/11(月) 18:50:29 ID:QP4qjn2s0





薬師寺天膳
志筑仁美
南京子
一方通行
ありくん
巴マミ
レヴィ
岡八郎
ぬらりひょん

脱落者の名前を反芻する。

「あの名が呼ばれた、か」

わしの口角が思わず吊り上る。
如何にして息絶えたかはわからぬが、これでいい。
これでわしも動きやすくなったというもの。

「はてさて。此度の争乱、あやつでも勝ち残るのは容易ではない。この地獄にて如何に立ち回るか、見物じゃなあ」

争忍の乱においては、あやつにも強力な護衛がいた。
じゃが、ここは見知らぬ実力者が溢るる蟲毒の壺。あの時のように易々とは残れまい。
本来ならば、びでおかめらとやらであやつの最期まで見届けたいが、わしにはわしで主催としての任務がある。
おいそれと参加者と接触もできぬため、口惜しいが、やつへの報復をこの手で達することは困難じゃ。

それでも構わぬ。この殺陣を完遂し、全てに決着をつければわしの願いは叶うのだから。

898 ◆ZbV3TMNKJw :2018/06/11(月) 18:51:29 ID:QP4qjn2s0
放送話投下終了です


追加ルールまとめ
①地図が更新される。
②赤首輪の報酬を手に入れることができるのは『赤首輪が死んだ時に一番近くにいた参加者』である。
また、報酬の黒球が出現するまでは、参加者たちの手でその情報を『更新』することは可能である。

つまりどういうこと?こういうこと

赤首輪のゆうさくを、スズメバチが乳首を刺し、バラライカが遠距離から拳銃で殺したとき。

この時、報酬の権利はゆうさくの一番近くにいたスズメバチに渡る。

これに不満を持ったバラライカが、スズメバチがゆうさくの首を切り離し赤首輪の内側のスイッチに触れる前にスズメバチを殺す。

そうなると、ゆうさく撃墜の報酬の権利はバラライカに渡る。


といった具合である。

899 名無しさん :2018/06/11(月) 23:56:52 ID:IaRqRgrk0
投下乙です

明らかになった主催者の面々。どいつもこいつもゲロ以下の臭いがプンプンしやがる外道じゃないか(憤怒)
間宮が生きてるということは春花の今後にどう影響するんだろう…

900 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:13:48 ID:nrruZIWE0
投下します

901 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:14:25 ID:nrruZIWE0
「フフ、ハハハハ...」
「...なにがおかしい、DIO」

くつくつと笑う帝王に、イタリアンギャングは問いかける。
俺たちはただ情報交換をしただけだ。それのなにが可笑しいのだと。

「いや、失礼...こう見えてそれなりに生きているが、ここまで多種多様なモノと触れることになるとは思っていなくてね。
吸血鬼、電撃使い、未来からやってきた殺人サイボーグ、500年以上前のサムライ、妖精。そして...私と同じスタンド使い」
「...確かに、まるで映画のような面子だな」
「だが、それでも私が一番興味があるのはきみだよブローノ・ブチャラティ」
「なに?」

DIOの金髪がざわざわと蠢く。

「ブローノ・ブチャラティ。きみは『引力』を信じるか?」
「引力...?」
「『スタンド使いは引かれ合う』...これだけ多種多様の『異常』が蔓延る中で、私たちスタンド使いが出会えたことにはなにか意味があるのではないだろうか」
「...なにが言いたいんだ」
「きみという人間と仲良くなれる、という確信があるんだ。まだ出会って1時間も経っていないのにな。それは、きみの方も同じじゃあないのか?」

図星だった。
ブチャラティにとって、このDIOは警戒するに値する男だ。
なのに、その一方で、この男ならば共に歩みたい、安心して接することが出来るという奇妙な感情がふつふつと湧き上がっていた。
まるで、既にこの男のことを知っていたかのように。幾多もの死線を乗り越えた仲間のように。
DIOがブチャラティに惹かれているように、ブチャラティもまた、DIOに惹かれつつあったのだ。

なにより、ブチャラティの脳裏に過ぎるのは―――

「DIO...あんたに家族はいないか?例えば、そう、弟や息子なんかは...」
「ほう...やはりきみは興味深い。どうだろう、ここはひとつ私と『友達』にならないか?」

ペロリ、とDIOが上唇を舐めると、ブチャラティの背筋に悪寒が走る。
駄目だ。このままでは、ヤツに飲まれ―――

902 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:14:47 ID:nrruZIWE0

「おっ、待てい」

そんな間伸びた声が、DIOの形成した空気を打ち壊す。

「こんな限られた空間なら似たようなヤツと出会うのは引力だとか運命だとかそんな胡散臭いものじゃなく必然だゾ。近くに配置されてたなら尚更だよなぁ?」
「...いまは、ブチャラティに話しているのだが」
「そんな話よりいまは殺し合いと姫への対策を練るのが先決ゾ」
「......」

DIOの顔に陰りが募っていくのを見た弦之介は、とっさにMURへ言及する。

「みうら殿。何事にも適材適所というものがある。まずは、わしらの技が如何なものかを知らねば策はうてんのじゃ」
「あっ、そっかぁ。DIO、済まなかったゾ。話を続けルるぉ」
「...ああ」

MURは一歩退き、出口の付近に立つも、話に割って入られたこの空気では先ほどまでの雰囲気など保つことなどできない。
いまや、DIOの帝王としての風格は薄れ、ブチャラティを勧誘する空気ではなくなっていた。

この機に、静観していたジョンが会話の主導権を得るために、交換した情報を纏めることにした。

「えーっと、とりあえず危険なヤツらをまとめるとこんな感じかな」

ジョンの名簿に、危険人物と称された『薬師寺天膳』『空条承太郎』『雅』『御坂美琴』『T-1000』の五人の名前に赤の下線が引かれる。

「5人か...思ったよりも少ないや」

「バカ。あたしたち7人の情報だけじゃ参加者の半分も知れてないでしょ」

「それに首輪のこともまだなにも進んでいない。とにかく他の参加者や施設にも立ち寄り情報を集めるべきだ」

「とくれば、この人数で固まっていても仕方ないやもしれぬな」

「じゃーバラけるの?私はもっと遊びたいし一人でも平気だけど」

「ふむ。これだけの戦力がいるならそれでもいいかもしれないな」

「そうだよ(便乗)」

わいのわいのと会話に熱を帯びていき、今後の行動方針が大まかに決まったときだった。


『あー、ごきげんようおめーら』

放送の、鐘が鳴った。

903 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:15:09 ID:nrruZIWE0




「ふむ...9人か」

放送を聞き終えたDIOは、得られた情報を脳内で整理する。
死者数。禁止エリア。新たな参加者と報酬の獲得方法。優勝の特典の明示。
まず、死者だが、彼にとって思い入れのある者は特にいないため、影響はなく。
死者に反応を見せたのは二人。

一人は小黒妙子。
教師である南京子が呼ばれたことに対しては、聞いた当初こそ目が見開かれたものの、特段顔色が悪くなるようなこともなかった。
どうやら彼女にとって南京子はさほど重要な存在ではなかったようだ。

もう一人は甲賀弦之介。
薬師寺天膳という男が殺されたことに多少驚きの表情を浮かべていた。
が、それだけで、天膳の名を口にすることもなく、悲しみの色を浮かべることもなく。
危険人物に挙げるあたりからも、こちらも特に親しい仲ではなかったようだ。
それよりも彼は、新たに判明した『如月左衛門』という名に反応を示していた。だが、それは嫌悪や警戒ではなくむしろ相手への心配にも似たもの。
聞けば、同郷の者ということらしい。腕の立つ者ではあるが、早急に合流したいとのことだった。



次いで禁止エリア。
この制度は、実質的には殺し合いにおける時間制限のようなものだ。
いくら埋まりきるには時間がかかるとはいえ、制限があるのとないとでは参加者の焦りように大きな差が出る。
だから、この制度自体にはさほど異議はない。

(問題はなぜ最初にそのルールを明かさなかったか...だ)

この殺し合いが始まってから既に6時間が経過している。
6時間。もしも、制限時間のことを知らされていれば、この6時間の間に殺し合いに乗る人数は増えていたかもしれない。
よしんぼ増えないとしても、後から提示するメリットはあまりない。
だが、なぜ主催はわざわざ後から追加という形をとったのか。

(まあ、答えはもう出ているようなものだが)

904 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:15:34 ID:nrruZIWE0

「...よし。ではこれからの方針を確認する」
『あの放送でわかったことがある』

ブチャラティが口頭で方針を伝える傍ら、右手でペンをはしらせる。
一同はブチャラティの意図を察し、耳を傾けつつ筆談に意識を裂いた。

「俺たちはこれから3手に別れようと思う」
『おそらくあの少年は殺し合いについて把握しきれていない』

紙に書かれた内容に、DIO以外の面子の頭に疑問符が浮く。
主催なのに殺し合いについて把握しきれていないとはどういうことなのか。

「班のリーダーは、DIO、ゲンノスケ、俺だ。この3人なら大概のことに対処できるからだ」
『最初のセレモニーの男が彼だったのならば、禁止エリアや施設の記載、6人もの参加者の漏れなど、肝心なミスが多すぎる。
わざわざこんな催しを開くほどの熱意があるやつにしては、少し大雑把すぎないか?』
「...班は、どうやって決めるの?」
『確かに。僕だったら、こんな些細なミスは早く直してもっと完全に仕上げてから殺し合いを始めると思う』

ブチャラティに続き、ジョンも筆談に加わる。

「なるべく戦力は均等に分担したい。それは今から話し合うが...」
『それをしなかったのは、あの少年が主催に急遽用意された存在である可能性が高い。彼の裏の何者かが、彼に指示を出している。そう考えるのが妥当だろう』

放送の少年の裏に潜む存在。
その陰謀めいた響きに、ジョンと妙子はゴクリと唾を飲んだ。

905 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:16:10 ID:nrruZIWE0

『ただ、そうであるならばむしろチャンスだ。奴らの連携は決して固くはない。付け入る隙は多大にある』
「だったら...いや、なんでもないわ」
「どうした?」
「なんでもないったら」

真宮をうまく引き込めないか、と妙子は口に出しかけたが、それはナイと自身で否定ししまいこんだ。
真宮は確かに同郷のクラスメイトだ。だが、日ごろからボウガンを携帯し、鴉や猫を撃ち殺しているようなイカレだ。
そんなヤツを引き込めたとしても裏切らない保障はどこにもなく、そもそもあいつなら望んで協力してても不思議じゃない。
なにより、あんなヤツと知り合いだと知られればそれだけで立場が危うくなるかもしれない。
そんなのはゴメンだ。なぜあんなヤツに足を引っ張られなければならないのだ。
だったら、黙っているのが吉。妙子は、真宮のことは口外しないよう決心した。


「ではまずは希望を聞こう。そこから組み分けをしようと思う」
「ポッチャマはブチャラティに着いていきたいゾ」

間髪いれず、MURが希望を述べる。

「ポッチャマは見ての通り、赤首輪でもあまり目立ったところがないゾ。
日光が駄目なDIOは地下に行くが、姫とまた出会えば足手まといにしかならないし、弦之介は技を連発できないから狙われやすいポッチャマといると負担が大きい。
なら、ポッチャマは安定して戦えるブチャラティと行くのが最善だゾ」
「...僕も、姫は相手にできないと思うから、地下以外かな」
「あたしもジョンと同じでいいよ」

MURに続き、ジョンと妙子も便乗するかのように、地下以外を希望する。

「ねー、なんで私はリーダーじゃないの?」
「きみは赤首輪だし、まだ子供だからだ」
「ムー、なんだか舐められてるみたいでヤダ!」

ロシーヌはスネたように頬を膨らませ、羽を広げ飛びあがる。

「じゃあ私がいっぱい集めてやれば負けを認めるよね!」
「待てロシーヌ!」
「ヤダね、妖精は自由なんだい!!」

ブチャラティの制止も聞かず、ロシーヌは飛び去ってしまう。

906 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:16:29 ID:nrruZIWE0

「心配はいらない。ロシーヌは強い子だ。それは弦之介がよくわかっているだろう」
「ウム。あの速さを捕らえられる者はそうはいまい」
「しかし、これで私が一人か。...まあ、特に問題はない。そのまま続けてくれ」

DIOに促されるまま、弦之介は頷き口を開く。

「では、わしが妙子殿とじょん殿を引き受けたい。そなたたちがよければだが」
「いいの?」
「わしより未来を生きているというおぬしたちの話をもっと聞きたいのじゃ」

ジョンがよろしく、と手を差し出し、弦之介もまたそれに応じて手を握り返す。
妙子はそのまま、ジョンに習う形で、弦之介へと着いていくことにした。

かくして、3班と自由行動一人という構図が完成した。

「ではこれより、探索を開始する。第三回放送後にここに集まれ。全員、生きて帰るぞ!!」

ブチャラティの宣戦と共に、探索は始まった。

907 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:17:04 ID:nrruZIWE0



ロシーヌは微かにイラついていた。
ブチャラティにリーダーの資格がないと烙印を押されたこと。子供扱いされたこと。
なにより、誰も自分を追おうとしないこと。

それほどまでに自分の存在はどうでもいいというのか。
妖精はたいしたことのないものだと軽んじられているのか。

「いいもん。わたしだけでもいっぱい人と会ってDIOに褒められて...あれぇ?」

自分で口に出して違和感に気づく。
妖精とは自由な生き物だ。なにかを食べるのも、寝るのも、遊ぶのも、なにもかもに縛られないまさに風のような存在だ。
だというのに、自分はまるでDIOに褒められるために動くと言ったような気がした。
それではまるでDIOに褒められるために飛んでいるようではないか。

果たしてそれが自由なのか。それは縛られているのと同じではないのか。

数秒だけ考えたロシーヌは、まぁいいかと違和感と疑問を脳裏から消した。






「......」
「どうしたたえこ殿」
「ん...なんでもないわ」

妙子は、歩みを進めながらも、DIOが降りていった地下通路を見つめていた。
別れた途端に、彼のことが気になってしまうのだ。
決して弦之介とジョンに不満があるわけじゃない。

ただ、『本当に自分はこちらでいいのか』『本当は彼についていくべきではなかったのか』という不安に駆られているだけだ。

妙子は気づいていない。
春花を襲った悲劇の発端になってしまったという罪悪感。
その罪から逃れたいという微かな『悪』の芽が、DIOに惹かれつつあったことに。

だが、見方を変えれば彼女は幸運だったのかもしれない。
もしも、DIOの興味がブチャラティや弦之介たちではなく、彼女に向けられていたら。
人間のか弱き悪意の芽に気づかれていたら。

彼女は『悪の救世主』に魅了されていたかもしれないのだから。

908 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:17:24 ID:nrruZIWE0




コツ、コツ、コツ。

地下を叩く靴の音が木霊する。

(ブローノ・ブチャラティ。彼はやはり優秀だ)

DIOは、放送についての意見をあえてブチャラティに語らせていた。
理由として、彼という男がどこまでできるのかを知りたかったのが大きい。
結果、ブチャラティはDIOが推測していたことをほぼそのまま語っていた。
あの短い間であそこまで出来れば上出来だ。是非とも部下に引き入れたい人材である。

(怪物のロシーヌ、絶対防御に近い弦之介、そしてブローノ・ブチャラティにホル・ホース...フフフ)

これだけの戦力があれば、ジョースター家はもちろん、主催や雅たちにも引けはとらないだろう。
この結果に、DIOは概ね満足していた。
自分ひとりがこうして行動するハメになったこと以外は。

もちろん、力づくで支配することもできた。
だが、『空条承太郎、御坂美琴、雅は敵である』というせっかく撒いた種を活かすには穏便に済ませておくべきだと判断し、この場では引き下がることにしたのだ。
当然、奴等に勝てる自信がないわけじゃない。あの三人を相手にしても最後まで立つのは自分だ。
だが、それでも主催を支配するには余力を残しておく必要もある。
三人を相手にしたせいで主催に辿りつけなかった、などという展開にでもなれば目も当てられないからだ。

とはいえ、やはり一人で行動するハメになったのは、あの男の存在が大きい。
考えが全く読めない男、MUR。
あの不意に人の調子を狂わせる男と離れられたのは幸運だと捉えてもいいかもしれない。

DIOは独り、地下通路へとその身を沈めていく。






(うまくいったゾ)

ブチャラティと共に行動することになったMURは内心で安堵した。
MURの狙いは、自身の安全を確保すること。
そのために必要なのは、ブチャラティを確保し、それ以外の戦力外とDIOと別行動をとることだ。
最初にDIOと出会ったときから彼の危うげなオーラは感じ取っており、今ですら歴戦の戦士であるブチャラティをも飲み込む勢いだった。
だが、あの男が素直に脱出を望むかと問われれば決してないと言い切れる。
あの男は悪質なホモビの監督以上に、人間を使い捨ての道具にしか捉えていない。そういう目をしている。
おそらく、あの男が飽きれば瞬く間に参加者たちは殺されていくだろう。
だから、DIOを一人にした。これ以上、DIOに飲まれる者が出る前に、多くの参加者と触れ、一刻も早い脱出を成し遂げる為に。

ジョンと妙子が自分たちに同行しなかったのは幸いだ。彼らはブチャラティと違いなんの能力も持たない人間。
そんな人間が赤首輪の参加者と関われば、いつかは殺害による脱出を目論んでしまう。
だからこそ、こうして別れて行動するよう、姫の危険性をさり気なく刷り込み、見事に別行動を成立させたのだ。

ブチャラティに着いていきたいと申し出たのは、DIOと一緒にきた弦之介よりも、全力で皆を逃がそうとしていたブチャラティの方が信頼が出来たからだ。

全ては順調に進んでいる。
この流れに便乗し続けて生きたいとMURは切に願った。

909 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:17:57 ID:nrruZIWE0

【H-6/一日目/朝】

※以下の情報を共有しました。ただし信用度は個人差があります。
・危険人物:雅、空条承太郎、御坂美琴、薬師寺天膳、T-1000
友好:朧、如月左衛門、陽炎、ホル・ホース、T-800、野崎春花
保留:宮本明、相場晄

・第三回〜第四回放送までの間にここに集合する



【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを破壊する。
0:MURと探索する。
1:弱者を保護する。
2:『姫』には要警戒。

※参戦時期はアバッキオ死亡前。
※DIOにジョルノと似た気配を感じています



【MUR大先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:頭にたんこぶ
[装備]:Tシャツ
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・行動]
基本方針: 脱出か優勝の有利な方に便乗する。手段は択ばない。
0;ブチャラティと探索する。
1:野獣先輩と合流できればしたい。
2:とにかく自分の安全第一。
3:『姫』には要警戒。


※宮本明・空条承太郎の情報を共有しました。
※T-1000、T-800の情報を共有しました。
※妙子の知り合いの情報を共有しました。



【小黒妙子@ミスミソウ】
[状態]:疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・行動]
基本方針:とにかく死にたくない。
0:弦之介と探索する。
1:真宮が殺し合いを開いたの?
2:野崎を...助けなくちゃ、ね。
3:『姫』には要警戒。
4:もしかして私が一番足手まとい?

※参戦時期は佐山流美から電話を受けたあと。
※T-1000、T-800の情報を共有しました。
※DIO、雅を危険な人物と認識しました。
※若干DIOに惹かれています。

910 それぞれの分岐点 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:19:26 ID:nrruZIWE0


【ジョン・コナー@ターミネーター2】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・行動]
基本方針: 生き残る。
0:弦之介と探索する。
1:T-800と合流する。
2:T-1000に要警戒。
3:『姫』には要警戒。

※参戦時期はマイルズと知り合う前。
※妙子の知り合いの情報を共有しました。
※DIO、雅を危険な人物と認識しました。




【甲賀弦之介@バジリスク】
[状態]:疲労(大)、右肩に刺し傷。
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針:ゲームから脱出する(ただし赤首輪の殺害を除く)。
0:ジョン、妙子と探索する。
1:陽炎と左衛門と合流する。朧を保護し彼女の真意を確かめる。
2:極力、犠牲者は出したくない。
3:脱出の協力者を探す。
4:“すのぅほわいと”を守る?



【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】 
[状態]:疲労(中)、身体のところどころに電撃による痺れ(我慢してる)
[装備]:
[道具]:基本支給品。DIOのワイン@ジョジョの奇妙な冒険、不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針:生き残る。そのためには手段は択ばない。 
0:地下から新たに記された施設を巡る。
1:主催者は必ず殺す。
2:赤首輪の参加者を殺させ脱出させる実験を可能な限り行いたい。
3:空条承太郎には一応警戒しておく。
4:不要・邪魔な参加者は効率よく殺す。
5:MURめ...
6:弦之介の謎の技に興味。
7:ホル・ホースも来ているのか

※参戦時期は原作27巻でヌケサクを殺した直後。
※DIOの持っているワインは原作26巻でヴァニラが首を刎ねた時にDIOが持っていたワインです。
※宮本明・空条承太郎の情報を共有しました。
※肉の芽を使用できますが、制限により効果にはかなり差異が生じます。
特に赤首輪の参加者、精神が強い者、肉体的に強い者などには効き目が薄いです。



【ロシーヌ@ベルセルク】
[状態]:疲労(小)、額に肉の芽
[装備]:
[道具]: 不明支給品1〜2
[思考・行動]
基本方針: 好きにやる。
0:情報をたくさん手に入れ妖精が優れていることを示す。

※参戦時期は少なくともガッツと面識がある時点です。
※肉の芽が植えつけられていますが、肉の芽自体の効力が制限で弱まっています。
現在は『DIOを傷つけない』程度の忠誠心しかありません。

911 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:20:25 ID:nrruZIWE0
続いて投下します

912 療養提案おじさん ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:21:08 ID:nrruZIWE0
「グーグー...カンノミホ...」
「......」

放送を聞き終えた虐待おじさんは、背負っていた野獣を優しく地に降ろし、石段に腰をあずける。

(9人か...本当にこいつは殺し合いなんだな)

ゲーム開始から6時間。おじさんはそのほとんどを趣味に費やしていたが、まさかこの短時間で9人もの死者が出ているとは思わなかった。

(ラ・ピュセルくんはどうやら無事みたいだな)

数時間前に調教したクッソ可愛い少年、ラ・ピュセルの名前が呼ばれなかったことにホッと胸を撫で下ろす。
彼はとてつもない逸材だ。
幼い顔立ちや声音はもちろん、喘ぎや悲鳴、仕草の一挙動の全てが的確に調教者の股間に響いてくる。
そんな逸材をこんな殺し合いで失うのは非常に惜しい。
元の場所へと連れ帰り、是非とも平野店長やタクヤさんを含むACceed三銃士で調教し直してやりたいところだ。

(そのためには、なによりもまず俺が生きて帰らねえと)

殺し合いにおける、『優勝せずとも生還できる権利』と新たに提示された『禁止エリアという時間制限』。
この二つの要素は、確実に参加者間で焦りと疑念を生じさせ、殺し合いを加速させてしまうだろう。
そうなれば、赤首輪である自分や野獣、ラ・ピュセルはまず間違いなく標的となる。
かといって、自分たちが殺戮者にまわればそれこそ主催の思う壺。
虐待は好きだが殺戮は好まないおじさんは、首輪を外し、主催を倒すというあくまでも王道の脱出を目標としていた。

(そのために必要なのは...)

傍らで安眠する野獣へと視線をチラと移す。
野獣先輩。
ホモビ界の中でもある種の伝説と化した可能性の獣。
主催と対峙した時、必ず必要となるのは未だ未知数であるこの男の力が不可欠だ。
いまは、COATとACceedの垣根を捨て、共に打倒主催者の道を歩むほかないだろう。

「爺さん」
『なんじゃ?』
「オレはこれからコイツを連れて、新しく地図に記された病院に向かうつもりだ。あんたはどうする?」
『ワシは...お前についていこう。その男を放っておくわけにもいかんしな。構わんな?』
「あ、いっスよ」

写真の親父、吉良吉鷹もまたおじさんに賛同する。
愛する息子、吉影の身が心配ではあるものの、その息子に野獣を見張っていてほしいと頼まれたのだ。
当然、彼の頼みを断ることなどできず、野獣の観察を継続することにしたのだ。
それに、いずれは吉影も使うことになるかもしれない病院を先に散策し、安全に使えるようにしておくのも親の役目だ。
おじさんが野獣を病院に連れて行くのは、吉鷹からしても好都合でしかなかったのだ。

休憩を終えたおじさんは、再び野獣を背負い、写真の親父と共に東へと歩き出す。

目指すは病院。その背の『希望』は未だ目を覚まさない。

913 療養提案おじさん ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:21:33 ID:nrruZIWE0


【E-5/住宅街(下北沢)/朝】



【野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:背中の皮膚に少し炎症、疲労(大)、身体の中に矢@ジョジョの奇妙な冒険が入っている。気絶
[装備]:吉良吉廣の写真@ジョジョの奇妙な冒険、
[道具]:基本支給品×1、不明支給品×0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:気の向く(性欲を満たす)ままに動く
1:気絶中
2:吉良と左衛門犯したい...犯したくない?
[備考]
※毒物をぶち込まれると即死性ではないかぎり消化・排出することができる。排出場所は勿論シリ。
※殺し合いを認識しました。
※吉良(川尻の顔)と左衛門の顔をそれぞれKMR、遠野に似てると思い込んでいます。
※吉鷹の持っていた矢@ジョジョの奇妙な冒険が野獣先輩の尻の中へ吸収されました。異変があるかはヨクワカンナイケドネ



【虐待おじさん@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]興奮、頬にダメージ(小) 疲労(小)
[装備]日本刀詰め合わせ@彼岸島
[道具]基本的支給品、鞭と竹刀とその他SMセット(現地調達品)、吉良吉廣の写真@ジョジョの奇妙な冒険。
[思考]
基本:可愛い男の子の悶絶する顔が見たい
0:殺しはしないよ。おじさんは殺人鬼じゃないから。
1:野獣を病院へと運ぶ。殺し合いが進んでいるようなので、なるべく主催を倒すために行動する。
2:また会ったらラ・ピュセルを調教する。 元の世界で平野店長やタクヤさん(KBTIT)と共に調教したい。
3:あのウニ頭の少年(上条)も可愛い顔をしているので調教する。
4:気合を入れ直すためにひでを見つけたらひでを虐待する。
[備考]
※参戦時期はひでを虐待し終わって以降
※ラ・ピュセルを女装した少年だと思っています

914 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/02(月) 23:22:14 ID:nrruZIWE0
投下終了です

915 名無しさん :2018/07/03(火) 07:30:19 ID:eArz7Hjs0
投下乙です

DIOお得意のホモ勧誘を論破するMURは知将だってはっきり分かんだね
居眠りうんこが目覚める時は新たな戦いが起こりそう(こなみ)

916 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/06(金) 00:36:27 ID:gAD.WTdw0
投下します

917 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/06(金) 00:37:20 ID:gAD.WTdw0
トイレの傍の民家で、ハチに襲われた状況を整理していたホル・ホース、宮本明、鹿目まどかの三人。
そんな彼らのもとにも容赦なく放送の声は響き渡った。


「うそ...マミさん...仁美ちゃん...」

巴マミと志筑仁美。
放送で呼ばれたその名前は、まどかの心をひどく動揺させていた。

巴マミ。
まどかが魔法少女を知るキッカケとなった先輩。
彼女の背中は大きく、誰かの為に戦い続ける彼女の存在は、まどかにとっては心底敬愛すべきものに映っていた。
それと同時に、彼女が教えてくれた本当の気持ち。寂しさと戦い続けてきた彼女の本音を聞いたとき、隣で支えてあげたい。共に手をとりあっていきたいと思わずにはいられなかった。
魔女との戦いで命を落としてしまった後も、彼女の存在はずっと色濃く残り続けていた。

志筑仁美。
さやかと同じく、小さい頃からの大切な友達で、いつも三人一緒だった。
登下校も、クラスでも、遊ぶ日も。いつも一緒だった。
上条恭介とのことで彼女とさやかと壁が出来てしまったときは、気まずさから疎遠になりつつあったけれど。
それでも、またいつかもとに戻れると信じていた。

けれど。
二人は放送で呼ばれてしまった。死んだのだと。
嘘だと思いたい。でも、ここで嘘をつく意味なんてないから。

悲しめばいいのか。怒ればいいのか。憎めばいいのか。
もう頭の中がぐちゃぐちゃでどうすることもできなかった。

そんな彼女の意識外で、明はスッ、スッ、と指でジェスチャーをし、それを確認したホル・ホースはコクリと頷き共に部屋をあとにした。

ひとりきりになった部屋で、まどかの目からはようやく水分が滲み出し、頬を伝ってようやく嗚咽が漏れ出した。

そして。
ただ、ただ、泣いた。
なんで死んでしまったのかだとか、誰が殺したのかだとか。怒りとか憎しみとか。
そういったものは全て後回しになって。

大好きな人たちが死んでしまったことが、彼女たちにもう二度と会えないことが。言葉にできないぐしゃぐしゃな感情が。
ただ、ただ、涙となって溢れ出し、止めることすらできやしない。

気がつけば、まどかは子供のように声を挙げて泣き出していた。

918 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/06(金) 00:37:45 ID:gAD.WTdw0



まどかの泣き声が響き渡る。
明は、その声を背に受けながら、入り口に陣取り、ドラゴンころしを携え周囲を警戒していた。
一方、ホル・ホースは物陰に身を潜め、明とは逆の方角の警戒に努めている。

「よかったのかい、旦那。こういう時は慰めの言葉のひとつもかけてやるべきじゃねえのか?」
「...いまはそっとしておいてやれ。感情を誤魔化さない時間も必要だ」

大切な者を失った悲しみ。明はそれを痛いほどわかっている。
だからこそ、死地にあっては彼らの死を乗り越えなければならない。
かといって、下手な慰めの言葉は葛藤を生みかえってまどかの負担になってしまう。
ならば、こうして彼女を一人にして思うがままに感情を発散させてやるべきだ。
その間は、自分たちが護ってやればいい。

「...ま、旦那がそう言うならそれでいいけどよ」

一方のホル・ホースは明の判断に半ば納得はしていなかった。
確かに明の考えも間違いではない。だが、それはあくまで戦士の持論である。
まどかは周囲の環境こそは異常だが、それを除けばただの一般人。
ああいった少女は感情の捌け口を求めるのが常であり、優しい言葉を求めている。
いまの彼女にこそ、このホル・ホースの話術が効果覿面なのだ。
...まあ、そんな己の考えを押し付けてせっかく手に入れられた頼りになる『相棒』と仲違いすることもないので、今回は明に従っているが。

(それよりも問題は俺のほうだぜ...これから先は出会ってきた奴等への対応は慎重にやらねえとなぁ)

シェンホアとの情報交換で、ホル・ホースは他の参加者の名簿に自分は載ってないという希望を見出していた。
もしもその通りであれば、承太郎やDIOは自分についての情報を他の参加者に伝えていないことになる。
つまり、奴等に実際に遭遇する前に、赤首輪の参加者を倒すなりなんなりで脱出してしまえばそれで万歳な結果になるということだ。

しかし、こうして放送で存在を広められてしまえばその手段に縋る難易度は格段に跳ね上がる。
DIOは気が向けばこちらも有利になるよう他の参加者にも好印象な情報を共有してくれる可能性はある。
だが、承太郎はヤバイ。あいつは必ず警戒するよう呼びかける。もしそうなれば、ここにいる明とまどかとの協力体制も危うくなるかもしれない。
そのため、他の参加者に会ったらこれまで以上に懇切丁寧に対応するべきだろう。

数分ほど経過しただろうか。
まどかの泣き声は聞こえなくなり、二人がそっと室内を覗き込めば、スゥスゥと可愛らしい寝息を立てるまどかが横たわっていた。

919 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/06(金) 00:38:15 ID:gAD.WTdw0

「だいぶ疲れちまったようだな。...まあ、吸血鬼に襲われたぶんもあるんだ。仕方ねえェか」
「そういうアンタも奴等に噛まれていただろう」
「俺は男一匹の風来坊なんでね。精神的には嬢ちゃんよりはマシなのさ」

承太郎とDIOについては言及しない。
どういう関係性なのかを問われれば返答に困ること間違いなしだし、DIOに至っては吸血鬼に憎しみを抱いている明に話すのは憚れるからだ。
余計なことは漏らさない、これがホル・ホース流の処世術のひとつだ。

「旦那よ、当然ここから移動するんだろうが、嬢ちゃんは俺が背負ってくぜ」
「いいよ。あんたも疲れてるだろ」
「いや、明の旦那にはいざって時にその剣を振り回してもらわなきゃならねえ。その点、俺は嬢ちゃんを背負ってても『皇帝』ならさっきみてえに旦那をサポートするぶんには大した問題はねえ」
「...わかった。まどかはあんたに任せるよ」

こうして相棒の好感度をさりげなくあげていくのも彼なりの処世術のポイントである。

「それで、旦那よ。これからどこへ向かう?」
「ひとまずは病院に向かおう」
「病院...そいつはまたなんでだ?」
「あそこならそこまで遠くないし、ハチにやられたあんたの腕に効く薬もおいてあるかもしれない」
「確かに、このままじゃチト痒いからな。しかし先に中央付近の町に出なくてよかったのかい?」
「あんたの出会った蜂が邪鬼かもしれないからだ」

邪鬼(オニ)。その効きなれぬ単語にホル・ホースは思わず疑問符をうかべる。

「邪鬼は、人間の血を吸わなかった吸血鬼の慣れの果てだ。異形に姿を変えるだけじゃなく、身体能力が向上したり妙な体質になったりするんだ。
俺の知ってる限りだと、硫酸の母乳を噴出す奴や、腹から自分の顔のついたゴキブリを産み出すやつなんかがいた」
「げ、ゲェ〜ッ。想像しただけで気色悪ィな」
「だから、あんたが受けた毒液も早めに治療してもらった方がいい。もしかしたらマーキングみたいなものかもしれないしな」
「マジかよ...」

ただでさえトレードマークのテンガロンハットを捨ててきてしまったというのに、邪鬼の話を聞き更に萎えてしまったホル・ホース。
まあ、彼としてはまだどこへ向かうべきかが目星がついていないため、病院へ行くのに反対するつもりもなかった。

あのぶっきらぼうな承太郎が怪我人をわざわざ運びそのまま付き添うとは思えず、更に言えば、こんな早い段階であの最強格のスタンド『スタープラチナ』を有してなお病院が必要な事態に陥るとは思えない。
精精、寄ったとしても怪我人を病院へ連れて自分は別行動をとるだろう。

ならばここで明に従い病院へと向かうのは『吉』だ。
ホル・ホースはまどかを背負い、明と共に歩き出す。

だが、彼は知らない。
DIO以外にも空条承太郎を脅かせる者がまだいること。
その怪物に承太郎は重傷を負わされたこと。
そして、ホル・ホースがぶっきらぼうと証した空条承太郎は、弱者の保護と共に未だ病院で療養していたことを。

920 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/06(金) 00:38:52 ID:gAD.WTdw0

【G-2/一日目/朝】

【宮本明@彼岸島】
[状態]:雅への殺意、右頬に傷。
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]: 不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針: 雅を殺す。
0:ホル・ホースとまどかを病院に連れて行く。
1:吸血鬼を根絶やしにする。
2:ホル・ホース及びまどかとしばらく同行する(雅との戦いに巻き込むつもりはない)
3:邪魔をする者には容赦はしない。
4:隊長...まさかな

※参戦時期は47日間13巻付近です。
※シェンホアと情報交換をしました。


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(大)、失禁、疲労による睡眠
[装備]: 女吸血鬼の服@現地調達品、破れかけた見滝原中学の制服
[道具]: 不明支給品0〜1、小黒妙子の写真@ミスミソウ
[思考・行動]
基本方針: みんなと会いたい。
0:ほむらとの合流。さやか、杏子が生きているのを確かめたい。
1:明とホル・ホースと同行する。
2:あの子(ロシーヌ)の雰囲気、どこかで...?
3:マミさん...仁美ちゃん..そんな...!

※参戦時期はTVアニメ本編11話でほむらから時間遡航のことを聞いた後です。
※吸血鬼感染はしませんでした。
※シェンホアと情報交換をしました。

【ホル・ホース@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:疲労 (大)、精神的疲労(大)、失禁、額に軽傷、スズメバチの毒液による腫れ
[装備]:吸血鬼の服@現地調達品、いつもの服、ポッチャマ...のヌイグルミ@真夏の夜の淫夢派生シリーズ、
[道具]:不明支給品0〜1、大きめの葉っぱ×5
[思考・行動]
基本方針: 脱出でも優勝でもいいのでどうにかして生き残る
0:できれば女は殺したくない。
1:しばらく明を『相棒』とする。
2:DIOには絶対に会いたくない。
3:まどかを保護することによっていまの自分が無害であることをアピールする(承太郎対策)。
4:そういやこいつら、スタンドが見えているのか
5:とりあえず病院に向かう。...まあ、流石に承太郎がいることはねえだろう。

※参戦時期はDIOの暗殺失敗後です。
※赤い首輪以外にも危険な奴はいると認識を改めました。
※吸血鬼感染はしませんでした。
※シェンホアと情報交換をしました。

921 ◆ZbV3TMNKJw :2018/07/06(金) 00:39:16 ID:gAD.WTdw0
投下終了です

922 名無しさん :2018/07/06(金) 01:11:23 ID:56qAYPtQ0
投下乙です

このまま病院に行けば承りチームと出会ってしまうのか
吸血鬼と因縁のある対主催屈指の強者の出会いはどんなものになるのだろうか

923 ◆EPxXVXQTnA :2018/07/09(月) 07:23:59 ID:P91obOCg0
野崎春花、空条承太郎、朧、虐待おじさん、野獣先輩 予約します

924 ◆EPxXVXQTnA :2018/07/09(月) 07:42:03 ID:P91obOCg0
すみません諸事情で破棄します

925 ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:48:42 ID:iqvGhIUg0
投下します

926 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:49:31 ID:iqvGhIUg0

風が吹き、草木が優しく囁く。
そんな緑溢れる大地をゆったりと散策する少女二人。
一人は、可憐な容姿と纏うバラがファンシーな色気を醸し出しており、もう一人は赤髪に長袖のパーカー、ホットパンツとどこかボーイッシュな雰囲気を醸し出している。
傍目からは、少女二人と自然の調和というひとつの絵でも描きたくなる衝動に駆られるほどに見栄えする光景に見えなくもない。

それに反して会話はひどく物騒なものではあるが。

「佐倉杏子。あなたは北で戦ったと言っていましたがなぜ中央を目指すのですか?」
「あいつもそれなりに怪我をしてたし、あんな派手な騒ぎがあったところに留まるとは思えない。なら、どうせなら他にも人が集まりそうな中央から潰していった方が得ってわけさ」
「なるほど。一理ありますね」

とまあ、こんな具合である。
それもそのはず。なんせ彼女たちはその可憐な容姿とは裏腹に、自分たちよりも非力であろう『人間』を狩りに行こうとしているのだから。
一人は新たなる戦いの為に。一人は生きる為に。少女二人はこれよりその道を朱に染めんと進む。

「ん」

ピクリ、とクラムベリーの耳が動く。
クラムベリーが捉えたのは、足音と話し声。
間違いない。参加者を捕捉したのだ。

「どうやら近くに参加者がいるようですね。こちらに向かっているようです」
「あんたの魔法でわかるんだっけか。このまま歩いてればいいか?」
「ええ。数分もあれば姿が見えると思います」

場所は森。まだ太陽が昇りきっておらず薄暗がりのため中までは認識できないが、距離もさほど遠くはないため来訪者の判明も時間の問題だ。

「何人だ」
「二人...いえ、足音はひとつ...話し声もしているのでこちらに気がついている様子もないのですが...」

足跡が聞こえないとなれば、片方は背負われているのか。
なんにせよ構わない。『人間』であれば狩るだけだ
二人は、速さを抑えることなく堂々と歩む。
片や来訪者に期待を寄せ、片や己の襲撃のパターンを脳裏に張り巡らせ。
ほどなくして、二人は来訪者に遭遇する。

来訪者は、二人の存在を認識したところでようやく止まり、杏子もまたそんな来訪者の正体に小さくため息をついた。

「さ、佐倉杏子...!」
「悪い、クラムベリー。いまは手をださないでくれ。一応あたしの知り合いだ」

来訪者は、杏子もよく知る魔法少女、美樹さやかだった。

927 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:49:54 ID:iqvGhIUg0



「さやか、あのハンペン顔はよかったのか?」
「...仕方ないよ。ああも炎を吐かれたら近づきようがないし」

アリスと別れたさやかは、まどか達の探索に時間を割いていた。
できれば、ワイアルドから助けてくれたモズグスの力になりたいとは思っていたが、炎の勢いが存外強力であり、近づくことすら敵わない状況であったため、断念せざるをえなかった。
それでも、炎の下手人が敵方であるワイアルドなら多少無茶をしてでも加勢したかもしれないが、撒いたのはモズグスその人。
さやか達を近づけまいとしているのか、それほど周りが見えない人なのか...少なくとも、遭遇時に抱いた好印象はかなり薄まっていた。
それも、さやかが加勢を諦めた理由のひとつである。

(とにかく、いまはまどかを探さなきゃ...)

ほどなくして、さやかと隊長は二つの人影を確認。距離が近づくにつれ、その正体も認識する。
一人は知らない女性だったが、もう一人はさやかの知り合い、佐倉杏子だった。


「あんた、その恰好...!」

さやかは、土煙で汚れた杏子の服を見て警戒心を高める。
理由はわからないが、彼女も誰かと交戦したのだと。

「ナリはあんたが言えたことじゃないだろ。あんたこそその様はどうしたんだよ」

かくいうさやか自身も、いや、杏子と比べれば明らかにさやかの方が傷つき薄汚れている。
全身に刻まれた擦り傷、ところどころが破れた衣類、乾いてはいるもののこびり付いている血。
さやかの知り合いでなければ、警戒しない方がおかしいレベルの惨状である。

「待つんじゃ、ワシらは殺し合いには乗っておらん!」

ひょこ、とさやかの背から顔を出し、隊長が制止の声を挙げる。
しかし、さやかはともかく杏子は最初から戦闘の構えとってはいなかった。

「こんな状況だ。戦いのひとつがあってもおかしくないさ。...そんな弱そうな爺さんを連れてるあたり、本当にあんたは殺し合いには乗ってないみたいだな」
「誰が弱そうな爺じゃ!ワシはこう見えても雅様の誇り高きしんえ」
「...乗ってないよ。そういうあんたはどうなのさ」
「遮るな!」
「あたしか?あたしは―――」

『あー、ごきげんようおめーら』

杏子の声をかき消すように、天より声が鳴り響いた。

928 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:50:13 ID:iqvGhIUg0

「な、なによこれ!?」
「おそらく、参加者に現状を報せるための定期的な連絡でしょう」
「なんじゃお前は」
「森の音楽家クラムベリーです。いまは佐倉杏子と行動を共にしています」
「ど、どうも...」

杏子とは対照的に割りと礼儀正しく挨拶をしてきたクラムベリーに思わずあっけにとられながらも、彼女の佇まいから、もしかしたら杏子は杏子で殺し合いを止めるためにクラムベリーと共に行動していたのかなと頭の片隅に思い浮かべる。
が、そんな想いもすぐに塗りつぶされる。


『最後に脱落者だ。これから放送毎に死んだ奴らを読み上げてく』

「――――!」

脱落者。即ち、この約6時間ほどで死んだものたち。
これから呼ばれる一人の親友の名に腹を括り、未だ行方の知れぬ親友たちが呼ばれるかもしれない緊張で、さやかと隊長はごくりと唾を飲み込んだ。
そんな緊張の面持ちの二人とは対照的に、クラムベリーも杏子もさして変わらない佇まいで放送に耳を傾けていた。


『今回の放送までに死んだのは』

ドクン、とさやかの心臓が跳ねる。

『薬師寺天膳、志筑仁美』

呼ばれた。覚悟していたぶんの痛みが、さやかの心臓を締め付けた。

『南京子。一方通行』

呼ばれない。呼ばれない。

『ありくん』

呼ばれない。

『巴マミ』

呼ばれ―――

それ以降の情報は、さやかの耳から全て零れ落ちていった。

気がついたときには、もう放送は終わっていた。

929 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:51:00 ID:iqvGhIUg0

「おい、さやか大丈夫か」
「マミ、さんが」

隊長の呼びかけも耳から通り抜けて行き、ようやく彼女の名前を口に出せたかと思えば、抑えきれない震えがさやかを襲う。

なんで死んだ。なんで死んだ。なんで死んだ。

頭の中はそればかりで、悲しみ悼むべき涙も出やしない。本当に生き返ったのかという疑問も遥か彼方に飛んでいってしまった。

なんで死んだ。誰が殺した。誰が殺した。誰が

「殺したのは『人間』ですよ」

まるでさやかの脳内を読み取ったかのようにポツリと呟いたのはクラムベリー。
今まで微笑を携えていた彼女の顔も、その一瞬だけは確かに険しいものとなっていた。

「あんた、マミさんのことを知ってるの?」
「はい。わずかではあるものの、実に充実した時間を過ごさせていただきました」
「なら、教えて...マミさんになにがあったの!?」
「構いませんよ。ですがその前に...」

クラムベリーはそこで言葉を切り、北―――下北沢近辺の方角に視線を向け静止する。

「また参加者か?」
「ええ。人数は二人、それもかなり無用心に、堂々とこちらに向かってきています」
「さっきの放送を聞いた上でそれなら、よほどの馬鹿か、腕に自信があるのか」

納得しているかのように話す二人にさやかと隊長は困惑する。

「え、えっと...」
「私の能力ですよ。詳しくは教えませんが、歩いてくる者くらいは判別できます」
「なら逃げんのか?お前たちもワシらと同じ赤首輪じゃろう」
「こっちに真っ直ぐ向かってくるならここで待ってればいいだろ。変に隠れる必要もない」

堂々と佇む杏子とクラムベリーに倣い、来訪者の現れるであろう方角に目を凝らすさやかと隊長。
ほどなくして、さやか達の耳にも微かな足音が届き、来訪者の輪郭もおぼろげながら浮かび上がってきた。

そして、その姿が明確になり、さやかの背に凍りつくような怖気が走る。

930 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:51:37 ID:iqvGhIUg0

さやかがその肉眼で捉えたのは二人の異様な男。

一人は一糸纏わぬ、文字通り全裸にランドセルという冒涜的な格好でスキップをする筋肉質な青年。
もう一人は白髪にタキシードの、どこかヴィジュアルバンドのような服装の男。

一目で異物だとわかる前者はともかく、後者は服装だけなら若干時代錯誤を感じる程度のものだろう。

だが、白髪の男がなによりも異様だったのは、口元を覆う赤黒い血液。
なにより、その手に持つだれかの残骸が、男の異様さと異常さを際立たせていた。

白髪の男は、四人のもとへたどり着くなり、ニイと口角を吊り上げた。

「これはこれは大層なお出迎えではないか」

眼前の男の放つ醜悪な気と異様さに、さやかは思わず変身し剣を構える。

「み、雅様!」

そんな彼女の背から隊長の声が響き渡る。
雅。その名は、確かに隊長から聞いていたものだ。

「雅様、ご無事でなによりです」
「ハッ、お前か」

目の前の男の異様さに気がついていないはずがないだろうに、朗らかに話しかける隊長に、さやかは困惑してしまう。

「た、隊長...?」
「よかったなさやか。これでもう安泰だ。こんなに早い段階で雅様と合流できるなど、なんて運がいい」
「いや、それよりも、その...」

隊長が嫌々媚を売ってるとは思えない。
なのに、たとえ信頼のおける者だとしても、眼の前の惨状を見てなぜ平気でいられるのか。
なぜ、いまが彼にとって当然とでもいうかのように平然としていられるのか。
さやかの中では、そんな隊長への複雑な感情が滲み始めていた。

931 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:52:06 ID:iqvGhIUg0

「...何者だ、あんた」

いまの雅の姿を見れば、流石に杏子も警戒心を露にし、いまにも槍を突きつけんばかりに睨みをきかせる。

「ぼくひで」

だが答えたのはひでだった。

「あんたじゃねえよ。いや、あんたもわけがわからねえけどさ。...で、改めて聞かせてもらうけど、あんた何者だ」
「私の名は雅。吸血鬼の王だ」

吸血鬼。その単語に、杏子は思わず鼻で笑ってしまう。
別に彼を馬鹿にしたわけではないのだが、教会の出であるため、吸血鬼のような怪物の創作話はそれなりに馴染みのあるものだった。
雅がそれを名乗ったものだからつい噴出してしまったのだ。

「それで、その吸血鬼様がなんのようだ?」
「なに。血の匂いがしたのでね。どんな輩がきたのか見に来ただけだ」
「そうかい」

パァッ、と光が身体を包み、杏子の服が魔法少女のものに変わる。
その光景に、突きつけられる槍と殺意に雅は一切の動揺もなく笑みを深める。

「早まるな。なにも今すぐ戦りあおうというわけではない。私は珍しいものには目がなくてな。この機会に赤首輪の人外とは話をしてみたいと思っている」
「話、ねえ。どうするクラムベリー」
「構いませんよ。興味があるのは私も同じですから」
「だ、そうだ。あたしも構わないよ」

雅に全く物怖じせずに言葉を交わす杏子とクラムベリー。
そんな二人を見てさやかは戸惑うも、話だけなら、と遅れて了承する。

「おっと、忘れるところだった」

雅はひょいと右手に持った腕の形をした残骸を掲げ、口が耳元まで裂けるほど開き。

ガブッ。

血を撒き散らしながらバリバリと豪快な音を立てて噛み砕いた。

一連の流れとその際のご満悦な表情を見て、ドン引きしつつさやかは思った。

こいつとは絶対に相容れない、と。

932 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:52:31 ID:iqvGhIUg0



数分後。
情報交換の場を設けた5人の赤首輪たちは身を隠すこともなく、その場で輪となって。

「ぽかぽかして気持ちいいのら」

その輪から外れて、ひではひとりご満悦な表情を浮かべつつ日向ぼっこを始め、気持ちよかったのかそのまま寝息を立てて昼寝を始めてしまった。


「雅様。あれは新しい邪鬼ですか?」
「いや、拾っただけだ。私にもよくわからん...さて、ひでのことはともかくだ」

雅はジロリと一同を見回し、笑みを浮かべる。

「揃いも揃って幼い女とは。まさか貴様たち、暁美ほむらと同じ魔法少女ではあるまいな」

"魔法少女"と"暁美ほむら"の単語に、杏子の目つきは鋭くなり、さやかの心臓がドキリと跳ね上がる。

「あんた、あいつと会ったのか」
「つい先ほどまでは共に行動していたのだがな。結局牙を剥いてきたので返り討ちにしてやったよ。その証拠に奴隷の印も刻んでやった。...仲間だったか?」
「別に仲間じゃないさ」

嫌らしく笑みを浮かべる雅に対し、杏子は依然変わらず。
しかし、彼女の醸し出す空気が変わっていたのは誰もが感じ取っていた。

「おっと、恐い恐い。あんまり恐いからつい手を出してしまいそうだ」
「下らない茶番は止めな。殺されたいなら別だけどさ」
「コラッ、雅様になんて大それた口を!さやか、友達ならなんとかいってやれ!」
「ごめん、隊長。あたしから見てもあいつを止める気にはならないよ」

さやかは決してほむらと仲が良いわけではないし、むしろ警戒しているほどだ。
しかし、だからといって痛めつけたことを嬉々として語る男に肩入れをしようとは思わないし、それに苛立つ杏子の方がまともだとも思っている。
だから、ここで杏子が雅を殴り飛ばしたとしても止める言葉は持てないだろう。

933 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:52:50 ID:iqvGhIUg0

「佐倉杏子の言う通りですね。私たちは茶番を楽しむ為に留まっているわけではありません」

そんな空気の中、険悪な空気を醸す二人に割って入ったのはクラムベリーだった。

「私には目的があります。確かに赤首輪の人外には興味がありますが、だからといって無駄なお喋りに時間を費やしたくはありません」
「ほう。そこまで急ぐ目的とはなんだ?」
「この場における、『人間』の排除。その後に赤首輪の参加者だけで闘争を繰り広げ決着をつけることです」

クラムベリーの宣言に、さやかは息を呑む。
『人間』の撲滅。それだけでなく、赤首輪の参加者間で脱出するための協力ではなく、赤首輪同士での戦い。
今まで大人しかった彼女からそんな物騒な言葉を聞かされたのだ。予想外にもほどがあり、驚愕するばかりで怒ることすらできなかった。

「弱者がロクに戦いもせず、疲弊した強者を屠る...これほどつまらないことはないでしょう。あんな不愉快な想いは二度と味わいたくないのですよ」
「奇遇だな。私も人間は嫌いでね。無意味に恐れ、無意味に嫌う。そんな愚かな生き物たちには心底呆れ果ててしまったよ」

クラムベリーだけでなく、雅もまた人間の抹殺を宣言する。

(そんな...こいつらを放っておいたら、まどかが...!)

さやかの背を冷や汗が伝う。
もしもこの二人を放っておき、まどかが遭遇してしまえば。
考えるまでもない。ただでさえ争いを嫌うまどかだ。為すすべもなく殺されてしまう。

(そんなの嫌だ...)


さやかの手に自然と力が込められる。
この二人はここで止めなければまどかが被害を被るかもしれない。
クラムベリーも雅もその実力は未知数だ。おそらく一人で挑んでも勝てはしないだろう。
だが、二人なら。この場にいるもう一人の魔法少女、佐倉杏子と組めば勝機はあるかもしれない。

(杏子...!)

もとは、皆の幸せを願っていた彼女なら。共に、目の前の悪鬼たちと戦ってくれるかもしれない。
さやかは期待と懇願を込めて視線を投げかけた。
その先には

「いいこと言うじゃん、あんた」

かつて戦った時に見せたものよりも邪悪な笑みがそこにあった。

934 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:53:18 ID:iqvGhIUg0


「大した力も信念も無いくせに、自分と違えば足を引っ張ることしか考えない。あたしもそんな奴等は大嫌いさ」
「ハッ。ならば、お前たちの目的は私と同じということか」
「ああ。あんな奴等を護るなんざ死んでもゴメンだね。さっさと殺すなり結界に放り込んで魔女の餌にするなりした方が世のためさ」

言ってのけた。
杏子もまた、嘘偽りなく『人間を狩る』ことを宣言した。

「な、なに言ってるのさ杏子!」

さやかは思わず叫んでしまう。
彼女は確かに利己的な魔法少女だ。
けれど、それにはそう為らざるをえない過去があり、冷徹なだけでもなかった。
実際、彼女は傍にいたまどかを攻撃するような素振りも見せなかったし、直接人間を魔女の結界に放り込んでいたとも聞いていない。
それを杏子は『する』と言ったのだ。さやかが反射的に声をあげても仕方のないことだろう。

「なに言ってるもクソもない。前にも言ったはずだろ、あたしはあたしの為だけに魔法を使うって」
「でも、あんたは...!」
「知ったような口を利いてんじゃねえよ。あんたがあたしのなにを知ってるのさ」

さやかはグッ、と言葉を詰まらせる。
杏子の過去は確かに彼女の一面だが、それが彼女の全てであるはずがないし、この殺し合いが始まってからの彼女のこともまだ知らない。
果たして彼女は、過去の経験から人間を殺すほど嫌いだったのか、それともこの殺し合いで嫌いになってしまったのか。
もしも後者だとしたらそれは何故?

―――殺したのは『人間』ですよ

ふとクラムベリーの言葉が脳裏を過ぎる。
巴マミを殺したのは『人間』だった。
それをクラムベリーが知るのは、マミが殺された場面を彼女が知っているからだ。
そんな彼女と杏子は共に行動していた。

となれば。

(まさか―――)

「青髪の娘。貴様は、『人間』を護るということでいいんだな?」

935 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:53:42 ID:iqvGhIUg0

さやかが解に辿り着くのとほぼ同時、雅の問いかけが被せられ、思考の停止を余儀なくされる。
かつての魔法少女の真実を知る前なら、躊躇わず感情のままに肯定することが出来ただろう。

けれど、さやかもまた知っている。
この世には救いたくない人間なんていくらでもいる。
自分に尽くしてくれる女を消耗品の道具としてしか見ない男や、仁美を殺した少年、そしてあの巴マミを殺した者。
彼らの影が、さやかに躊躇いを喚起させる。

「あ、あたしは...」

言い淀む。
この四面楚歌から逃れるためなら、他の三人と同様に人間の撲滅を宣戦すればいい。
嘘でも真でもそう同意してしまえばそれだけで済む話だ。
けれども、いつも自分を気遣ってくれた親友が、こんな狂宴においても友情に殉じてくれた親友の影が、嘘をつくことすら押し止めてくれる。

「ハッ。まあいいがな」

さやかの返答を待たずして、雅は目を瞑り薄ら笑いを浮かべる。

「貴様が人間を護ろうが狩ろうが、私が楽しめるならば構わない。せっかくの機会だ。明以外にも楽しませてくれる者がいれば歓迎しよう」

雅の意外な言動に、さやかはキョトンとしてしまう。
てっきり、自分に反する者はすべからく排除するつもりだと思っていたが、彼の言動を要約すればそういうつもりでもないらしい。
であれば、最悪三対一の構図になりかねない現状、退くべきかもしれない。

「ただ」

その微かな気の緩みを突いたかのように。

「自衛できるほどの力も持たん輩であれば別だがな」

雅のブーメランはさやか目掛けて投擲された。

「なっ!?」

あまりにも唐突な襲撃に、さやかは反射的に構えていた剣を盾にする。
甲高く鳴り響く金属音。
その衝撃に、踏ん張る為の力すら込められていなかったさやかの足はたたらを踏み数歩の後退と共に勢いよく尻餅をついてしまう。

936 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:54:10 ID:iqvGhIUg0

「くあっ」
「どうした?貴様はそんなものか?」

戻ってきたブーメランをパシ、と掴み、雅はゆったりと歩を進める。

「そうならば貴様は不合格といわざるをえんな。他の参加者に食われる前に私が糧にしてやろう」
「ッ...のぉっ!」

飛び退き体勢を立て直すさやか。
雅は、ブーメランを持つ腕を振り上げ再び投擲し、さやかへの追撃を―――しなかった。
放たれた方向は左。目標は―――クラムベリー。

顔を傾け躱されたブーメランは、空を旋回し再び雅の手元に戻る。

「なんのつもりですか?」
「なに、ただのテストだよ。果たして貴様らが私に従うに値する強さがあるかどうかのな。いまのをかわせたあたり、そこの娘よりは素質がありそうだ」
「わかりやすい解説に感謝します」

上から目線の物言いに対しても、クラムベリーは不快感を顔に出さない。
どころか、浮かべていた微笑は崩れ、凶悪さすら醸し出す笑みへと変わる。

「お返しに私も試させて頂きましょうか。あなたが、巴マミのように私の闘争に足る存在であるかを」

タンッ、と跳躍し、雅との距離を詰めると同時、腹部に放たれるクラムベリーの拳。
雅は躱す素振りすら見せず、防御すらとらず、迫る拳をまともに受け、後方に吹き飛ばされた。

「み、雅様ァァァァ!!」

響く隊長の叫びも空しく、パラパラと砂粒が舞い降りる。

937 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:55:30 ID:iqvGhIUg0

「その程度ですか?あなたこそ、口の割には実力不足の言葉が似合いそうですが」
「これは手厳しい。ならば、貴様の不満を打ち消す程度には頑張らねばな」

立ち上がり、口元を伝う血を拭い、ブーメランで切り掛かる雅。
振り下ろされる凶器に対し、クラムベリーは素手で立ち向かう。
ブーメランと盾のように翳された左腕はカキン、と音を鈍く響かせる。

クラムベリーは、右の拳を固め、雅目掛けて振るおうとするも、その雅の姿は確認できず。

僅かにブーメランへと意識が向いた刹那で何処へ消えたのか。

その解を出す前に、クラムベリーの右拳は、背後にまわっていた雅へと振るわれた。

パァン、と小気味良い音と共に鮮血が舞い、雅の上体がよろめいた。

「ぐがっ」

堪らず呻く雅に放たれるは、クラムベリーの後ろ回し蹴り。
無防備な胸板に振るわれたソレは、再び雅を後方に吹き飛ばし地面を舐めさせる。

「ッ!」

同時、拳に走る痛み。
見れば、叩き込んだ拳の皮が千切られ、中の肉が露出し血が流れ出していた。

「フム。なかなか美味いじゃないか」

もごもごと口を動かす雅を見て、クラムベリーは理解する。
拳を叩き込んだあの瞬間、雅に皮を食い破られたのだと。

(面白い)

クラムベリーの笑みは愉悦に染まる。
やはり戦いは同等の力で行われるのが最良だ。
眼前の男は自分の望む闘争に相応しい存在であるようだ。

もっと味わいたい。もっと拳を重ねあいたい。今すぐにでもあの男を蹂躙したい。

(けれど、私はひとつの闘争で満足はしたくない)

湧き上がる闘争の衝動を抑え、クラムベリーはフゥ、と一息をつく。

938 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:56:01 ID:iqvGhIUg0


(す、すごい...)
「5秒」

眼前の攻防の激しさに呆気にとられていたさやかに、クラムベリーは囁くように語りかける。

「あなたが起き上がるまでにかかった時間です。巴マミは本気でない時でも3秒以内には立ち上がっていましたよ」
「あんた...?」
「巴マミは美しく、気高く、強い魔法少女でした。あなたはまだ未熟です。いま喰らったところで甲斐がない。その実が熟す時を心待ちにしています」

自分の言いたいことを告げるだけ告げると、クラムベリーは駆け出し、雅もまたそれを迎え撃つ。
互いの力量は既に測ったのだ。互いに、ここで仕留めるつもりもないのだが、クラムベリーは巴マミとの、雅はぬらりひょんとの戦いでの消化不良感を満たさずにいられなかった。

「まったく...勝手に盛り上がっちゃってさ」

闘争という名のじゃれあいを遠目で眺めつつ、呆れたようにため息をつく杏子。
杏子にとって闘争など合理的に進め、さっさと片付けるべきものである。
いまの段階で雅にもクラムベリーにも争う理由などないというのに、ああも徒に体力を消耗する気がしれない。

(まあ、あのぶんじゃ気が済んだら終わるだろ)

あほくさ、と杏子は退屈そうに欠伸をする。

939 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:56:19 ID:iqvGhIUg0

「...それで、あんたはどうするのさ」

ジロリ、と視線をさやかに移し、雅に代わり杏子が問いかけなおす。

「あんたの友達が人間で、ここに連れて来られてるのは知ってる。あいつらはどうかは知らないが、あたしはわざわざあいつまで狩るつもりはないよ」
「!」
「なに意外そうな顔してるのさ。あたしは自分のためだけに戦うって言っただろ。あんたの友達なんて殺すつもりも護るつもりもないさ。
それに、クラムベリーはともかく雅はあたしも気に入らない。ここで殺しはしないが、精精、同盟だけ結んで一緒に行動はしないだろうね」

杏子はまどかを殺すつもりがない。
それだけで、さやかの葛藤は薄らいでいく。
そもそもの話、葛藤の大半がまどかの存在なのだ。
彼女の安全が確保されていれば、この会場の『人間』を排除することに反論する意義も薄くなる。

同盟するにしても、雅とクラムベリーはともかく、杏子ならまだ信頼はおける。
ならば、杏子と同盟を組み、『人間』を排除しマミと仁美の仇をとることこそが最善の道なのではないだろうか。

(でも...)

けれど、もしも他の『人間』がもっとまともな者が多かったら。そのまともな者がまどかと親しい関係になっていれば。
自分としてはその人も助けたい。この殺し合いが終わってもまどかと共に一緒にいてほしい。
だが、彼らは違う。たとえ同盟者の友人であっても躊躇いなく殺すだろう。
彼らは良し悪しに関わらず、『人間』が嫌いなのだから。
彼らに同行し、いざというときにだけ止めるという芸当も、実力に差がある自分にはできまい。
唯一自分の味方をしてくれそうな隊長も、雅がいればあちらについてしまうことも考えれば、この選択肢は茨の道となるのは想像に難くない。

(あたしは...どうしたい?あたしは...)

940 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:58:24 ID:iqvGhIUg0

【G-6/一日目/朝】


【ひで@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:疲労(大)、全身打撲(再生中)、出血(極大、再生中)、イカ臭い。お昼ね中。
[装備]:?
[道具]:三叉槍
[思考・行動]
基本方針:虐待してくる相手は殺す
0:雅についていく
1:このおじさんおかしい...(小声)、でも好き



【雅@彼岸島】
[状態]:身体の至る箇所の欠損(再生中)、頭部出血(再生中)、疲労(大)、弾丸が幾つか身体の中に入っている。
[装備]:鉄製ブーメラン
[道具]:不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針:この状況を愉しむ。
0:バトルロワイアルのスリルを愉しむ
1:主催者に興味はあるが、もしも会えたら奴等から主催の権利を奪い殺し合いに放り込んで楽しみたい。
2:明が自分の目の前に現れるまでは脱出(他の赤首輪の参加者の殺害も含む)しない
3:他の赤首輪の参加者に興味。だが、自分が一番上であることは証明しておきたい。
4:あのMURとかいう男はよくわからん。
5:丸太の剣士(ガッツ)、暁美ほむらに期待。楽しませて欲しい。
6:ひとまずクラムベリーとの『テスト』で欲求不満を解消する。

※参戦時期は日本本土出発前です。
※宮本明・空条承太郎の情報を共有しました。
※魔法少女・キュゥべえの情報を共有しました
※首輪が爆発すれば死ぬことを認識しました。
※ぬらりひょんの残骸を捕食しましたが、身体に変化はありません。


【森の音楽家クラムベリー@魔法少女育成計画】
[状態]疲労(中〜大)、全身及び腹部にダメージ(中〜大) 、出血(中)、両掌に水膨れ、静かな怒り、右拳損傷(戦いにあまり支障なし)
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜2 巴マミの赤首輪(使用済み)
[行動方針]
基本方針:赤い首輪持ち以外を一人残らず殺す。
0:ひとまず雅との『テスト』で欲求不満を解消する。
1:杏子と組む。共に行動するかは状況によって考える。
2:一応赤い首輪持ちとの交戦は控える。が、状況によっては容赦なく交戦する。
3:ハードゴア・アリスは惜しかったか…
4:巴マミの顔を忘れない。
5:佐山流美は見つけ次第殺す。




【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(中)、雅への不快感
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1、鮫島精二のホッケーマスク@彼岸島
[思考・行動]
基本方針:どんな手段を使ってでも生き残る。そのためには殺人も厭わない。
0:さやかの返答を聞く。答えにいっては一緒に行動してやるかもしれない。
1:クラムベリーと協定し『人間』を狩る。共に行動するかは状況によって考える。
2:鹿目まどか、暁美ほむらを探すつもりはない。


※TVアニメ7話近辺の参戦。魔法少女の魂がソウルジェムにあることは認識済み。
※魔法少女の魔女化を知りましたが精神的には影響はありません。



【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大)、精神的疲労(絶大)、仁美を喪った悲しみ(絶大)、相場晄への殺意、モズグスへの警戒心(中)
[装備]:ソウルジェム(9割浄化)、ボウガンの矢
[道具]:使用済みのグリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ(仁美の支給品)、不明支給品1〜2
[思考・行動]
基本方針:危険人物を排除する。
1:人間を狩るか、狩らないか...
2:仁美を殺した少年(相場晄)は見つけたら必ず殺す。
3:マミさん...


※参戦時期は本編8話でホスト達の会話を聞いた後。
※スノーホワイトが自分とは別の種の魔法少女であることを聞きました。
※朧・陽炎の名前を聞きました。
※マミが死んだ理由をなんとなく察しました。

【隊長@彼岸島】
[状態]:疲労(大)、出血(小)、全身にダメージ(大)、全身打撲(大)、頭部に火傷
[装備]:
[道具]:基本支給品、仁美の基本支給品、黒塗りの高級車(大破、運転使用不可)@真夏の夜の淫夢
[思考・行動]
基本方針:明か雅様を探す。
0:雅様と会えた!
1:明とも会えたら嬉しい。
2:さやかは悪い奴ではなさそうなので放っておけない。

※参戦時期は最後の47日間14巻付近です。
※朧・陽炎の名前を聞きました。

941 ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:58:50 ID:iqvGhIUg0
投下終了です

942 名無しさん :2018/08/16(木) 00:17:03 ID:B56tUHeE0
投下乙です

さやかちゃんロクな対主催者に会えてなくてかわいそう、かわいそうじゃない?
異物だの邪鬼扱いされるひでに草


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