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闘争バトルロワイアル【序章】

1 青山 ◆N/GLYlkin2 :2016/11/15(火) 01:50:06 ID:upVUzHQk0

【魔法少女育成計画】○『スノーホワイト』/○『ラ・ピュセル』/○『森の音楽家クラムベリー』/○『ハードゴア・アリス』

【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎/○『DIO』/○吉良吉影/○ブローノ・ブチャラティ/○リンゴォ・ロードアゲイン

【魔法少女まどか☆マギカ】○鹿目まどか/○『暁美ほむら』/○『巴マミ』/○『美樹さやか』/○『佐倉杏子』/○志筑仁美

【ミスミソウ】○野咲春花/○野咲祥子/○小黒妙子/○佐山流美/○相葉晄 /○南京子

【真夏の夜の淫夢派生シリーズ】○『野獣先輩』/○『MUR大先輩』/○『ゆうさく』/○『虐待おじさん』/○『ひで』

【バジリスク〜甲賀忍法帖〜】○甲賀弦之介/ ○朧 /○薬師寺天膳/○陽炎

【とある魔術の禁書目録】○上条当麻/○御坂美琴/○白井黒子/○一方通行

【BLACK LAGOON】○岡島緑郎/○レヴィ/○シェンホア/○バラライカ

【ベルセルク】○ガッツ/○『ロシーヌ』/○『モズグス』/○『ワイアルド』/○『ゾッド』

【彼岸島】○宮本明/○『雅』

【ターミネーター2】○『T-1000』/○『T-800』/○ジョン・コナー

【GANTZ】○玄野計/○加藤勝/○西丈一郎/○岡八郎/○『ぬらりひょん』

【書き手枠】
『○』/『○』/『○』/○/○/○

※『』がついているのは赤い首輪の参加者

【生還条件】
 最後の一人になるまで殺し合うか、赤い首輪の参加者を殺せば、即ゲームクリア。ゲームから解放される。
 ちなみに、自分の意思で残留するかどうかを選ぶこともできる
 その場合は、特典として本人の希望するある程度の要望を叶えてもらえる
 例:参加者の詳細情報、強力な武器や装備の支給など
 
【会場】
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0284.jpg

※NPCが存在し普通に生活していますが、どう扱うかは書き手の自由です

【支給品】
地図:上の地図の印刷された紙
食料:うまい棒が3本と無糖のコーヒー缶だけ。あとは現地調達。
ランダムアイテム:現実出展か参加者の世界のアイテム。1〜2個

925 ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:48:42 ID:iqvGhIUg0
投下します

926 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:49:31 ID:iqvGhIUg0

風が吹き、草木が優しく囁く。
そんな緑溢れる大地をゆったりと散策する少女二人。
一人は、可憐な容姿と纏うバラがファンシーな色気を醸し出しており、もう一人は赤髪に長袖のパーカー、ホットパンツとどこかボーイッシュな雰囲気を醸し出している。
傍目からは、少女二人と自然の調和というひとつの絵でも描きたくなる衝動に駆られるほどに見栄えする光景に見えなくもない。

それに反して会話はひどく物騒なものではあるが。

「佐倉杏子。あなたは北で戦ったと言っていましたがなぜ中央を目指すのですか?」
「あいつもそれなりに怪我をしてたし、あんな派手な騒ぎがあったところに留まるとは思えない。なら、どうせなら他にも人が集まりそうな中央から潰していった方が得ってわけさ」
「なるほど。一理ありますね」

とまあ、こんな具合である。
それもそのはず。なんせ彼女たちはその可憐な容姿とは裏腹に、自分たちよりも非力であろう『人間』を狩りに行こうとしているのだから。
一人は新たなる戦いの為に。一人は生きる為に。少女二人はこれよりその道を朱に染めんと進む。

「ん」

ピクリ、とクラムベリーの耳が動く。
クラムベリーが捉えたのは、足音と話し声。
間違いない。参加者を捕捉したのだ。

「どうやら近くに参加者がいるようですね。こちらに向かっているようです」
「あんたの魔法でわかるんだっけか。このまま歩いてればいいか?」
「ええ。数分もあれば姿が見えると思います」

場所は森。まだ太陽が昇りきっておらず薄暗がりのため中までは認識できないが、距離もさほど遠くはないため来訪者の判明も時間の問題だ。

「何人だ」
「二人...いえ、足音はひとつ...話し声もしているのでこちらに気がついている様子もないのですが...」

足跡が聞こえないとなれば、片方は背負われているのか。
なんにせよ構わない。『人間』であれば狩るだけだ
二人は、速さを抑えることなく堂々と歩む。
片や来訪者に期待を寄せ、片や己の襲撃のパターンを脳裏に張り巡らせ。
ほどなくして、二人は来訪者に遭遇する。

来訪者は、二人の存在を認識したところでようやく止まり、杏子もまたそんな来訪者の正体に小さくため息をついた。

「さ、佐倉杏子...!」
「悪い、クラムベリー。いまは手をださないでくれ。一応あたしの知り合いだ」

来訪者は、杏子もよく知る魔法少女、美樹さやかだった。

927 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:49:54 ID:iqvGhIUg0



「さやか、あのハンペン顔はよかったのか?」
「...仕方ないよ。ああも炎を吐かれたら近づきようがないし」

アリスと別れたさやかは、まどか達の探索に時間を割いていた。
できれば、ワイアルドから助けてくれたモズグスの力になりたいとは思っていたが、炎の勢いが存外強力であり、近づくことすら敵わない状況であったため、断念せざるをえなかった。
それでも、炎の下手人が敵方であるワイアルドなら多少無茶をしてでも加勢したかもしれないが、撒いたのはモズグスその人。
さやか達を近づけまいとしているのか、それほど周りが見えない人なのか...少なくとも、遭遇時に抱いた好印象はかなり薄まっていた。
それも、さやかが加勢を諦めた理由のひとつである。

(とにかく、いまはまどかを探さなきゃ...)

ほどなくして、さやかと隊長は二つの人影を確認。距離が近づくにつれ、その正体も認識する。
一人は知らない女性だったが、もう一人はさやかの知り合い、佐倉杏子だった。


「あんた、その恰好...!」

さやかは、土煙で汚れた杏子の服を見て警戒心を高める。
理由はわからないが、彼女も誰かと交戦したのだと。

「ナリはあんたが言えたことじゃないだろ。あんたこそその様はどうしたんだよ」

かくいうさやか自身も、いや、杏子と比べれば明らかにさやかの方が傷つき薄汚れている。
全身に刻まれた擦り傷、ところどころが破れた衣類、乾いてはいるもののこびり付いている血。
さやかの知り合いでなければ、警戒しない方がおかしいレベルの惨状である。

「待つんじゃ、ワシらは殺し合いには乗っておらん!」

ひょこ、とさやかの背から顔を出し、隊長が制止の声を挙げる。
しかし、さやかはともかく杏子は最初から戦闘の構えとってはいなかった。

「こんな状況だ。戦いのひとつがあってもおかしくないさ。...そんな弱そうな爺さんを連れてるあたり、本当にあんたは殺し合いには乗ってないみたいだな」
「誰が弱そうな爺じゃ!ワシはこう見えても雅様の誇り高きしんえ」
「...乗ってないよ。そういうあんたはどうなのさ」
「遮るな!」
「あたしか?あたしは―――」

『あー、ごきげんようおめーら』

杏子の声をかき消すように、天より声が鳴り響いた。

928 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:50:13 ID:iqvGhIUg0

「な、なによこれ!?」
「おそらく、参加者に現状を報せるための定期的な連絡でしょう」
「なんじゃお前は」
「森の音楽家クラムベリーです。いまは佐倉杏子と行動を共にしています」
「ど、どうも...」

杏子とは対照的に割りと礼儀正しく挨拶をしてきたクラムベリーに思わずあっけにとられながらも、彼女の佇まいから、もしかしたら杏子は杏子で殺し合いを止めるためにクラムベリーと共に行動していたのかなと頭の片隅に思い浮かべる。
が、そんな想いもすぐに塗りつぶされる。


『最後に脱落者だ。これから放送毎に死んだ奴らを読み上げてく』

「――――!」

脱落者。即ち、この約6時間ほどで死んだものたち。
これから呼ばれる一人の親友の名に腹を括り、未だ行方の知れぬ親友たちが呼ばれるかもしれない緊張で、さやかと隊長はごくりと唾を飲み込んだ。
そんな緊張の面持ちの二人とは対照的に、クラムベリーも杏子もさして変わらない佇まいで放送に耳を傾けていた。


『今回の放送までに死んだのは』

ドクン、とさやかの心臓が跳ねる。

『薬師寺天膳、志筑仁美』

呼ばれた。覚悟していたぶんの痛みが、さやかの心臓を締め付けた。

『南京子。一方通行』

呼ばれない。呼ばれない。

『ありくん』

呼ばれない。

『巴マミ』

呼ばれ―――

それ以降の情報は、さやかの耳から全て零れ落ちていった。

気がついたときには、もう放送は終わっていた。

929 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:51:00 ID:iqvGhIUg0

「おい、さやか大丈夫か」
「マミ、さんが」

隊長の呼びかけも耳から通り抜けて行き、ようやく彼女の名前を口に出せたかと思えば、抑えきれない震えがさやかを襲う。

なんで死んだ。なんで死んだ。なんで死んだ。

頭の中はそればかりで、悲しみ悼むべき涙も出やしない。本当に生き返ったのかという疑問も遥か彼方に飛んでいってしまった。

なんで死んだ。誰が殺した。誰が殺した。誰が

「殺したのは『人間』ですよ」

まるでさやかの脳内を読み取ったかのようにポツリと呟いたのはクラムベリー。
今まで微笑を携えていた彼女の顔も、その一瞬だけは確かに険しいものとなっていた。

「あんた、マミさんのことを知ってるの?」
「はい。わずかではあるものの、実に充実した時間を過ごさせていただきました」
「なら、教えて...マミさんになにがあったの!?」
「構いませんよ。ですがその前に...」

クラムベリーはそこで言葉を切り、北―――下北沢近辺の方角に視線を向け静止する。

「また参加者か?」
「ええ。人数は二人、それもかなり無用心に、堂々とこちらに向かってきています」
「さっきの放送を聞いた上でそれなら、よほどの馬鹿か、腕に自信があるのか」

納得しているかのように話す二人にさやかと隊長は困惑する。

「え、えっと...」
「私の能力ですよ。詳しくは教えませんが、歩いてくる者くらいは判別できます」
「なら逃げんのか?お前たちもワシらと同じ赤首輪じゃろう」
「こっちに真っ直ぐ向かってくるならここで待ってればいいだろ。変に隠れる必要もない」

堂々と佇む杏子とクラムベリーに倣い、来訪者の現れるであろう方角に目を凝らすさやかと隊長。
ほどなくして、さやか達の耳にも微かな足音が届き、来訪者の輪郭もおぼろげながら浮かび上がってきた。

そして、その姿が明確になり、さやかの背に凍りつくような怖気が走る。

930 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:51:37 ID:iqvGhIUg0

さやかがその肉眼で捉えたのは二人の異様な男。

一人は一糸纏わぬ、文字通り全裸にランドセルという冒涜的な格好でスキップをする筋肉質な青年。
もう一人は白髪にタキシードの、どこかヴィジュアルバンドのような服装の男。

一目で異物だとわかる前者はともかく、後者は服装だけなら若干時代錯誤を感じる程度のものだろう。

だが、白髪の男がなによりも異様だったのは、口元を覆う赤黒い血液。
なにより、その手に持つだれかの残骸が、男の異様さと異常さを際立たせていた。

白髪の男は、四人のもとへたどり着くなり、ニイと口角を吊り上げた。

「これはこれは大層なお出迎えではないか」

眼前の男の放つ醜悪な気と異様さに、さやかは思わず変身し剣を構える。

「み、雅様!」

そんな彼女の背から隊長の声が響き渡る。
雅。その名は、確かに隊長から聞いていたものだ。

「雅様、ご無事でなによりです」
「ハッ、お前か」

目の前の男の異様さに気がついていないはずがないだろうに、朗らかに話しかける隊長に、さやかは困惑してしまう。

「た、隊長...?」
「よかったなさやか。これでもう安泰だ。こんなに早い段階で雅様と合流できるなど、なんて運がいい」
「いや、それよりも、その...」

隊長が嫌々媚を売ってるとは思えない。
なのに、たとえ信頼のおける者だとしても、眼の前の惨状を見てなぜ平気でいられるのか。
なぜ、いまが彼にとって当然とでもいうかのように平然としていられるのか。
さやかの中では、そんな隊長への複雑な感情が滲み始めていた。

931 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:52:06 ID:iqvGhIUg0

「...何者だ、あんた」

いまの雅の姿を見れば、流石に杏子も警戒心を露にし、いまにも槍を突きつけんばかりに睨みをきかせる。

「ぼくひで」

だが答えたのはひでだった。

「あんたじゃねえよ。いや、あんたもわけがわからねえけどさ。...で、改めて聞かせてもらうけど、あんた何者だ」
「私の名は雅。吸血鬼の王だ」

吸血鬼。その単語に、杏子は思わず鼻で笑ってしまう。
別に彼を馬鹿にしたわけではないのだが、教会の出であるため、吸血鬼のような怪物の創作話はそれなりに馴染みのあるものだった。
雅がそれを名乗ったものだからつい噴出してしまったのだ。

「それで、その吸血鬼様がなんのようだ?」
「なに。血の匂いがしたのでね。どんな輩がきたのか見に来ただけだ」
「そうかい」

パァッ、と光が身体を包み、杏子の服が魔法少女のものに変わる。
その光景に、突きつけられる槍と殺意に雅は一切の動揺もなく笑みを深める。

「早まるな。なにも今すぐ戦りあおうというわけではない。私は珍しいものには目がなくてな。この機会に赤首輪の人外とは話をしてみたいと思っている」
「話、ねえ。どうするクラムベリー」
「構いませんよ。興味があるのは私も同じですから」
「だ、そうだ。あたしも構わないよ」

雅に全く物怖じせずに言葉を交わす杏子とクラムベリー。
そんな二人を見てさやかは戸惑うも、話だけなら、と遅れて了承する。

「おっと、忘れるところだった」

雅はひょいと右手に持った腕の形をした残骸を掲げ、口が耳元まで裂けるほど開き。

ガブッ。

血を撒き散らしながらバリバリと豪快な音を立てて噛み砕いた。

一連の流れとその際のご満悦な表情を見て、ドン引きしつつさやかは思った。

こいつとは絶対に相容れない、と。

932 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:52:31 ID:iqvGhIUg0



数分後。
情報交換の場を設けた5人の赤首輪たちは身を隠すこともなく、その場で輪となって。

「ぽかぽかして気持ちいいのら」

その輪から外れて、ひではひとりご満悦な表情を浮かべつつ日向ぼっこを始め、気持ちよかったのかそのまま寝息を立てて昼寝を始めてしまった。


「雅様。あれは新しい邪鬼ですか?」
「いや、拾っただけだ。私にもよくわからん...さて、ひでのことはともかくだ」

雅はジロリと一同を見回し、笑みを浮かべる。

「揃いも揃って幼い女とは。まさか貴様たち、暁美ほむらと同じ魔法少女ではあるまいな」

"魔法少女"と"暁美ほむら"の単語に、杏子の目つきは鋭くなり、さやかの心臓がドキリと跳ね上がる。

「あんた、あいつと会ったのか」
「つい先ほどまでは共に行動していたのだがな。結局牙を剥いてきたので返り討ちにしてやったよ。その証拠に奴隷の印も刻んでやった。...仲間だったか?」
「別に仲間じゃないさ」

嫌らしく笑みを浮かべる雅に対し、杏子は依然変わらず。
しかし、彼女の醸し出す空気が変わっていたのは誰もが感じ取っていた。

「おっと、恐い恐い。あんまり恐いからつい手を出してしまいそうだ」
「下らない茶番は止めな。殺されたいなら別だけどさ」
「コラッ、雅様になんて大それた口を!さやか、友達ならなんとかいってやれ!」
「ごめん、隊長。あたしから見てもあいつを止める気にはならないよ」

さやかは決してほむらと仲が良いわけではないし、むしろ警戒しているほどだ。
しかし、だからといって痛めつけたことを嬉々として語る男に肩入れをしようとは思わないし、それに苛立つ杏子の方がまともだとも思っている。
だから、ここで杏子が雅を殴り飛ばしたとしても止める言葉は持てないだろう。

933 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:52:50 ID:iqvGhIUg0

「佐倉杏子の言う通りですね。私たちは茶番を楽しむ為に留まっているわけではありません」

そんな空気の中、険悪な空気を醸す二人に割って入ったのはクラムベリーだった。

「私には目的があります。確かに赤首輪の人外には興味がありますが、だからといって無駄なお喋りに時間を費やしたくはありません」
「ほう。そこまで急ぐ目的とはなんだ?」
「この場における、『人間』の排除。その後に赤首輪の参加者だけで闘争を繰り広げ決着をつけることです」

クラムベリーの宣言に、さやかは息を呑む。
『人間』の撲滅。それだけでなく、赤首輪の参加者間で脱出するための協力ではなく、赤首輪同士での戦い。
今まで大人しかった彼女からそんな物騒な言葉を聞かされたのだ。予想外にもほどがあり、驚愕するばかりで怒ることすらできなかった。

「弱者がロクに戦いもせず、疲弊した強者を屠る...これほどつまらないことはないでしょう。あんな不愉快な想いは二度と味わいたくないのですよ」
「奇遇だな。私も人間は嫌いでね。無意味に恐れ、無意味に嫌う。そんな愚かな生き物たちには心底呆れ果ててしまったよ」

クラムベリーだけでなく、雅もまた人間の抹殺を宣言する。

(そんな...こいつらを放っておいたら、まどかが...!)

さやかの背を冷や汗が伝う。
もしもこの二人を放っておき、まどかが遭遇してしまえば。
考えるまでもない。ただでさえ争いを嫌うまどかだ。為すすべもなく殺されてしまう。

(そんなの嫌だ...)


さやかの手に自然と力が込められる。
この二人はここで止めなければまどかが被害を被るかもしれない。
クラムベリーも雅もその実力は未知数だ。おそらく一人で挑んでも勝てはしないだろう。
だが、二人なら。この場にいるもう一人の魔法少女、佐倉杏子と組めば勝機はあるかもしれない。

(杏子...!)

もとは、皆の幸せを願っていた彼女なら。共に、目の前の悪鬼たちと戦ってくれるかもしれない。
さやかは期待と懇願を込めて視線を投げかけた。
その先には

「いいこと言うじゃん、あんた」

かつて戦った時に見せたものよりも邪悪な笑みがそこにあった。

934 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:53:18 ID:iqvGhIUg0


「大した力も信念も無いくせに、自分と違えば足を引っ張ることしか考えない。あたしもそんな奴等は大嫌いさ」
「ハッ。ならば、お前たちの目的は私と同じということか」
「ああ。あんな奴等を護るなんざ死んでもゴメンだね。さっさと殺すなり結界に放り込んで魔女の餌にするなりした方が世のためさ」

言ってのけた。
杏子もまた、嘘偽りなく『人間を狩る』ことを宣言した。

「な、なに言ってるのさ杏子!」

さやかは思わず叫んでしまう。
彼女は確かに利己的な魔法少女だ。
けれど、それにはそう為らざるをえない過去があり、冷徹なだけでもなかった。
実際、彼女は傍にいたまどかを攻撃するような素振りも見せなかったし、直接人間を魔女の結界に放り込んでいたとも聞いていない。
それを杏子は『する』と言ったのだ。さやかが反射的に声をあげても仕方のないことだろう。

「なに言ってるもクソもない。前にも言ったはずだろ、あたしはあたしの為だけに魔法を使うって」
「でも、あんたは...!」
「知ったような口を利いてんじゃねえよ。あんたがあたしのなにを知ってるのさ」

さやかはグッ、と言葉を詰まらせる。
杏子の過去は確かに彼女の一面だが、それが彼女の全てであるはずがないし、この殺し合いが始まってからの彼女のこともまだ知らない。
果たして彼女は、過去の経験から人間を殺すほど嫌いだったのか、それともこの殺し合いで嫌いになってしまったのか。
もしも後者だとしたらそれは何故?

―――殺したのは『人間』ですよ

ふとクラムベリーの言葉が脳裏を過ぎる。
巴マミを殺したのは『人間』だった。
それをクラムベリーが知るのは、マミが殺された場面を彼女が知っているからだ。
そんな彼女と杏子は共に行動していた。

となれば。

(まさか―――)

「青髪の娘。貴様は、『人間』を護るということでいいんだな?」

935 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:53:42 ID:iqvGhIUg0

さやかが解に辿り着くのとほぼ同時、雅の問いかけが被せられ、思考の停止を余儀なくされる。
かつての魔法少女の真実を知る前なら、躊躇わず感情のままに肯定することが出来ただろう。

けれど、さやかもまた知っている。
この世には救いたくない人間なんていくらでもいる。
自分に尽くしてくれる女を消耗品の道具としてしか見ない男や、仁美を殺した少年、そしてあの巴マミを殺した者。
彼らの影が、さやかに躊躇いを喚起させる。

「あ、あたしは...」

言い淀む。
この四面楚歌から逃れるためなら、他の三人と同様に人間の撲滅を宣戦すればいい。
嘘でも真でもそう同意してしまえばそれだけで済む話だ。
けれども、いつも自分を気遣ってくれた親友が、こんな狂宴においても友情に殉じてくれた親友の影が、嘘をつくことすら押し止めてくれる。

「ハッ。まあいいがな」

さやかの返答を待たずして、雅は目を瞑り薄ら笑いを浮かべる。

「貴様が人間を護ろうが狩ろうが、私が楽しめるならば構わない。せっかくの機会だ。明以外にも楽しませてくれる者がいれば歓迎しよう」

雅の意外な言動に、さやかはキョトンとしてしまう。
てっきり、自分に反する者はすべからく排除するつもりだと思っていたが、彼の言動を要約すればそういうつもりでもないらしい。
であれば、最悪三対一の構図になりかねない現状、退くべきかもしれない。

「ただ」

その微かな気の緩みを突いたかのように。

「自衛できるほどの力も持たん輩であれば別だがな」

雅のブーメランはさやか目掛けて投擲された。

「なっ!?」

あまりにも唐突な襲撃に、さやかは反射的に構えていた剣を盾にする。
甲高く鳴り響く金属音。
その衝撃に、踏ん張る為の力すら込められていなかったさやかの足はたたらを踏み数歩の後退と共に勢いよく尻餅をついてしまう。

936 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:54:10 ID:iqvGhIUg0

「くあっ」
「どうした?貴様はそんなものか?」

戻ってきたブーメランをパシ、と掴み、雅はゆったりと歩を進める。

「そうならば貴様は不合格といわざるをえんな。他の参加者に食われる前に私が糧にしてやろう」
「ッ...のぉっ!」

飛び退き体勢を立て直すさやか。
雅は、ブーメランを持つ腕を振り上げ再び投擲し、さやかへの追撃を―――しなかった。
放たれた方向は左。目標は―――クラムベリー。

顔を傾け躱されたブーメランは、空を旋回し再び雅の手元に戻る。

「なんのつもりですか?」
「なに、ただのテストだよ。果たして貴様らが私に従うに値する強さがあるかどうかのな。いまのをかわせたあたり、そこの娘よりは素質がありそうだ」
「わかりやすい解説に感謝します」

上から目線の物言いに対しても、クラムベリーは不快感を顔に出さない。
どころか、浮かべていた微笑は崩れ、凶悪さすら醸し出す笑みへと変わる。

「お返しに私も試させて頂きましょうか。あなたが、巴マミのように私の闘争に足る存在であるかを」

タンッ、と跳躍し、雅との距離を詰めると同時、腹部に放たれるクラムベリーの拳。
雅は躱す素振りすら見せず、防御すらとらず、迫る拳をまともに受け、後方に吹き飛ばされた。

「み、雅様ァァァァ!!」

響く隊長の叫びも空しく、パラパラと砂粒が舞い降りる。

937 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:55:30 ID:iqvGhIUg0

「その程度ですか?あなたこそ、口の割には実力不足の言葉が似合いそうですが」
「これは手厳しい。ならば、貴様の不満を打ち消す程度には頑張らねばな」

立ち上がり、口元を伝う血を拭い、ブーメランで切り掛かる雅。
振り下ろされる凶器に対し、クラムベリーは素手で立ち向かう。
ブーメランと盾のように翳された左腕はカキン、と音を鈍く響かせる。

クラムベリーは、右の拳を固め、雅目掛けて振るおうとするも、その雅の姿は確認できず。

僅かにブーメランへと意識が向いた刹那で何処へ消えたのか。

その解を出す前に、クラムベリーの右拳は、背後にまわっていた雅へと振るわれた。

パァン、と小気味良い音と共に鮮血が舞い、雅の上体がよろめいた。

「ぐがっ」

堪らず呻く雅に放たれるは、クラムベリーの後ろ回し蹴り。
無防備な胸板に振るわれたソレは、再び雅を後方に吹き飛ばし地面を舐めさせる。

「ッ!」

同時、拳に走る痛み。
見れば、叩き込んだ拳の皮が千切られ、中の肉が露出し血が流れ出していた。

「フム。なかなか美味いじゃないか」

もごもごと口を動かす雅を見て、クラムベリーは理解する。
拳を叩き込んだあの瞬間、雅に皮を食い破られたのだと。

(面白い)

クラムベリーの笑みは愉悦に染まる。
やはり戦いは同等の力で行われるのが最良だ。
眼前の男は自分の望む闘争に相応しい存在であるようだ。

もっと味わいたい。もっと拳を重ねあいたい。今すぐにでもあの男を蹂躙したい。

(けれど、私はひとつの闘争で満足はしたくない)

湧き上がる闘争の衝動を抑え、クラムベリーはフゥ、と一息をつく。

938 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:56:01 ID:iqvGhIUg0


(す、すごい...)
「5秒」

眼前の攻防の激しさに呆気にとられていたさやかに、クラムベリーは囁くように語りかける。

「あなたが起き上がるまでにかかった時間です。巴マミは本気でない時でも3秒以内には立ち上がっていましたよ」
「あんた...?」
「巴マミは美しく、気高く、強い魔法少女でした。あなたはまだ未熟です。いま喰らったところで甲斐がない。その実が熟す時を心待ちにしています」

自分の言いたいことを告げるだけ告げると、クラムベリーは駆け出し、雅もまたそれを迎え撃つ。
互いの力量は既に測ったのだ。互いに、ここで仕留めるつもりもないのだが、クラムベリーは巴マミとの、雅はぬらりひょんとの戦いでの消化不良感を満たさずにいられなかった。

「まったく...勝手に盛り上がっちゃってさ」

闘争という名のじゃれあいを遠目で眺めつつ、呆れたようにため息をつく杏子。
杏子にとって闘争など合理的に進め、さっさと片付けるべきものである。
いまの段階で雅にもクラムベリーにも争う理由などないというのに、ああも徒に体力を消耗する気がしれない。

(まあ、あのぶんじゃ気が済んだら終わるだろ)

あほくさ、と杏子は退屈そうに欠伸をする。

939 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:56:19 ID:iqvGhIUg0

「...それで、あんたはどうするのさ」

ジロリ、と視線をさやかに移し、雅に代わり杏子が問いかけなおす。

「あんたの友達が人間で、ここに連れて来られてるのは知ってる。あいつらはどうかは知らないが、あたしはわざわざあいつまで狩るつもりはないよ」
「!」
「なに意外そうな顔してるのさ。あたしは自分のためだけに戦うって言っただろ。あんたの友達なんて殺すつもりも護るつもりもないさ。
それに、クラムベリーはともかく雅はあたしも気に入らない。ここで殺しはしないが、精精、同盟だけ結んで一緒に行動はしないだろうね」

杏子はまどかを殺すつもりがない。
それだけで、さやかの葛藤は薄らいでいく。
そもそもの話、葛藤の大半がまどかの存在なのだ。
彼女の安全が確保されていれば、この会場の『人間』を排除することに反論する意義も薄くなる。

同盟するにしても、雅とクラムベリーはともかく、杏子ならまだ信頼はおける。
ならば、杏子と同盟を組み、『人間』を排除しマミと仁美の仇をとることこそが最善の道なのではないだろうか。

(でも...)

けれど、もしも他の『人間』がもっとまともな者が多かったら。そのまともな者がまどかと親しい関係になっていれば。
自分としてはその人も助けたい。この殺し合いが終わってもまどかと共に一緒にいてほしい。
だが、彼らは違う。たとえ同盟者の友人であっても躊躇いなく殺すだろう。
彼らは良し悪しに関わらず、『人間』が嫌いなのだから。
彼らに同行し、いざというときにだけ止めるという芸当も、実力に差がある自分にはできまい。
唯一自分の味方をしてくれそうな隊長も、雅がいればあちらについてしまうことも考えれば、この選択肢は茨の道となるのは想像に難くない。

(あたしは...どうしたい?あたしは...)

940 人間なんて ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:58:24 ID:iqvGhIUg0

【G-6/一日目/朝】


【ひで@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:疲労(大)、全身打撲(再生中)、出血(極大、再生中)、イカ臭い。お昼ね中。
[装備]:?
[道具]:三叉槍
[思考・行動]
基本方針:虐待してくる相手は殺す
0:雅についていく
1:このおじさんおかしい...(小声)、でも好き



【雅@彼岸島】
[状態]:身体の至る箇所の欠損(再生中)、頭部出血(再生中)、疲労(大)、弾丸が幾つか身体の中に入っている。
[装備]:鉄製ブーメラン
[道具]:不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針:この状況を愉しむ。
0:バトルロワイアルのスリルを愉しむ
1:主催者に興味はあるが、もしも会えたら奴等から主催の権利を奪い殺し合いに放り込んで楽しみたい。
2:明が自分の目の前に現れるまでは脱出(他の赤首輪の参加者の殺害も含む)しない
3:他の赤首輪の参加者に興味。だが、自分が一番上であることは証明しておきたい。
4:あのMURとかいう男はよくわからん。
5:丸太の剣士(ガッツ)、暁美ほむらに期待。楽しませて欲しい。
6:ひとまずクラムベリーとの『テスト』で欲求不満を解消する。

※参戦時期は日本本土出発前です。
※宮本明・空条承太郎の情報を共有しました。
※魔法少女・キュゥべえの情報を共有しました
※首輪が爆発すれば死ぬことを認識しました。
※ぬらりひょんの残骸を捕食しましたが、身体に変化はありません。


【森の音楽家クラムベリー@魔法少女育成計画】
[状態]疲労(中〜大)、全身及び腹部にダメージ(中〜大) 、出血(中)、両掌に水膨れ、静かな怒り、右拳損傷(戦いにあまり支障なし)
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜2 巴マミの赤首輪(使用済み)
[行動方針]
基本方針:赤い首輪持ち以外を一人残らず殺す。
0:ひとまず雅との『テスト』で欲求不満を解消する。
1:杏子と組む。共に行動するかは状況によって考える。
2:一応赤い首輪持ちとの交戦は控える。が、状況によっては容赦なく交戦する。
3:ハードゴア・アリスは惜しかったか…
4:巴マミの顔を忘れない。
5:佐山流美は見つけ次第殺す。




【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(中)、雅への不快感
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1、鮫島精二のホッケーマスク@彼岸島
[思考・行動]
基本方針:どんな手段を使ってでも生き残る。そのためには殺人も厭わない。
0:さやかの返答を聞く。答えにいっては一緒に行動してやるかもしれない。
1:クラムベリーと協定し『人間』を狩る。共に行動するかは状況によって考える。
2:鹿目まどか、暁美ほむらを探すつもりはない。


※TVアニメ7話近辺の参戦。魔法少女の魂がソウルジェムにあることは認識済み。
※魔法少女の魔女化を知りましたが精神的には影響はありません。



【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大)、精神的疲労(絶大)、仁美を喪った悲しみ(絶大)、相場晄への殺意、モズグスへの警戒心(中)
[装備]:ソウルジェム(9割浄化)、ボウガンの矢
[道具]:使用済みのグリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ(仁美の支給品)、不明支給品1〜2
[思考・行動]
基本方針:危険人物を排除する。
1:人間を狩るか、狩らないか...
2:仁美を殺した少年(相場晄)は見つけたら必ず殺す。
3:マミさん...


※参戦時期は本編8話でホスト達の会話を聞いた後。
※スノーホワイトが自分とは別の種の魔法少女であることを聞きました。
※朧・陽炎の名前を聞きました。
※マミが死んだ理由をなんとなく察しました。

【隊長@彼岸島】
[状態]:疲労(大)、出血(小)、全身にダメージ(大)、全身打撲(大)、頭部に火傷
[装備]:
[道具]:基本支給品、仁美の基本支給品、黒塗りの高級車(大破、運転使用不可)@真夏の夜の淫夢
[思考・行動]
基本方針:明か雅様を探す。
0:雅様と会えた!
1:明とも会えたら嬉しい。
2:さやかは悪い奴ではなさそうなので放っておけない。

※参戦時期は最後の47日間14巻付近です。
※朧・陽炎の名前を聞きました。

941 ◆ZbV3TMNKJw :2018/08/15(水) 22:58:50 ID:iqvGhIUg0
投下終了です

942 名無しさん :2018/08/16(木) 00:17:03 ID:B56tUHeE0
投下乙です

さやかちゃんロクな対主催者に会えてなくてかわいそう、かわいそうじゃない?
異物だの邪鬼扱いされるひでに草

943 ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:15:43 ID:dZZyPa0Y0
久しぶりに投下します。

944 I wanna be...(前編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:16:49 ID:dZZyPa0Y0




リンゴォ・ロードアゲインという男にとって、果し合いとは刹那に終わるものである。
短期決戦の方が得意だから、というわけではない。
ただ、相手を殺せる武器を持ち、死を厭わぬ覚悟を有している男同士がぶつかれば、自然と決着は早く着いてしまうの

だ。

それはこの場においても変わらない。
例えあいてが蟲だとしても、彼の戦いは変わらない。

故に。

リンゴォとスズメバチ。
これが果し合いである以上、どちらが勝者にせよ、あと数分の内に屍を晒すことになるだろう。

ザッ。ザッ。

距離を詰めるたびに動悸が増し、手も震え始める。
それらは全て恐怖の表れでもある。
本来ならば、未熟者の証だと恥ずべきことなのだろう。

だが、この場においてはリンゴォはそれでよかった。

もともと、彼は自分が未熟であることを否定はしていない。
未だ自分が未熟者であるからこそ、彼は決闘で生き残り、己を高めていく意味を為せる。

つまり。

この戦いは、今までとなんら変わりない『己を高めるための戦い』であるということだ。


ビンビンビンビンビン

スズメバチにとって、己の命が懸かった戦いなど皆無に等しい。
何故なら、スズメバチとはゆうさくを刺し、注意喚起を促すための存在であり、途中でいくら反抗されても最終的には

ゆうさくを刺し画面から消えるというオチはお約束な展開だった。
だが、このバトルロワイアルではそうはいかない。定番のオチが用意されていない以上、自分が死ねば、そこで全てが

終わり、ゆうさくを刺すこともできなくなる。
そんな窮地にあって、初めてスズメバチは恐怖を抱き、生への執着が芽生えていた。

つまり。

スズメバチは、ここにきて、ようやく初めての闘争に臨むことになるのだ。

945 I wanna be...(前編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:17:25 ID:dZZyPa0Y0

ビンビンビン

ザッ ザッ

近づいていく、互いの射程距離。
先に動いた方が負けなのか、あるいは勝利か。
それすらもわからない中で―――――動いたのは、スズメバチだった。

ブリュッ ボンッ。


ひくついた臀部から発射される毒液は、極小の水滴である。眼前まで来てようやく輪郭がわかる程度の大きさだ。
空気中に撒布されるそれは、決して容易く視認できるものでなければ紙一重で避けられるものでもない。
身体能力的には人間の域を脱していないリンゴォならばなおさらだ。

回避は困難。そして、皮膚が弱いリンゴォであれば飛沫であれど受けたくないものである。それは、リンゴォ自身も理

解している。

だからこそ、彼は敢えて踏み込んだ。

空いている左手で視界は保持したまま顔の前で盾のように構え、顔へのダメージを減らし、踏み込むことで首元を狙っ

たモノを服へとずらしたうえでだ。

驚愕で動きの止まったスズメバチの隙を突き、リンゴォは右手の銃を構え発射する。
その殺気を感じ取り、瞬時に後退するスズメバチ。
いくらゆうさくの顔がついているとはいえ、曲がりなりにもスズメバチだ。弾丸が発射される直前に距離をとることは

容易い。

更に、その離れ際に飛ばされた毒液をかわせるはずもなく。
液は、リンゴォの目、鼻、口元に付着し更なる激痛を齎した。

946 I wanna be...(前編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:17:52 ID:dZZyPa0Y0

その光景を見ていたゆうさくの頬を冷や汗が伝う。

(ま、まずいですよ...)

現状、どう見てもリンゴォに勝ち目はない。
リンゴォの武器は銃であるのに対して、スズメバチはあの一撃必殺の針と毒液。

射程距離自体はリンゴォの銃の方が長いが、実際に有効打となる距離自体はスズメバチの毒液の方が勝っている。
加えて、スズメバチは小柄でスピードもあり、小回りが利くのに対して、リンゴォは細身とはいえそこそこの体格だ。
動き回る小さな的と動きの少ない大きな的では断然後者の方が当てやすい。
あのスズメバチが接近をためらうほどの射撃の腕前は流石というべきだが、それでもスズメバチを捉えるには足りない


だが、リンゴォは退かない。それが彼の流儀であり生き方だから。

ならば、彼を助けるために邪魔をする権利などあるはずもない。
この場は彼に託して去るのが吉だろう。

ゆうさくは、未だうずくまるスノーホワイトへと視線を向ける。

だが、そこにいたのは彼のよく知る純白の少女ではなく、茶髪のごく平凡な少女だった。

「えっ、スノーホワイト?その姿は...」
「へ、あ、あれ?」

ゆうさくに言われて、変身が解除されていたことにようやく気がつく。
魔法少女のスノーホワイトではなく、女子中学生の姫河小雪の姿になっていたことに。

947 I wanna be...(前編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:18:17 ID:dZZyPa0Y0

「お、おかしいな。変身を解いてなんかないのに」

そう。ここで彼女が変身を解くメリットなどどこにもない。
変身さえしてしまえば身体能力は、大幅に増し、多少の刺激にも耐性がつき、疲労も感じにくくなる。
だが、彼女は解いてしまった。
己の意思ではなく、スズメバチにもたらされた死への恐怖が無意識のうちにそうさせた。
変身してしまえば、あのスズメバチに向き合わなければならなくなる。あの"死"により近づいてしまう。

それを本能で察してしまったからこそ、全身が震え、魔法の端末へと伸ばされた指は止まってしまう。

(は、早く、はやく変身しないと)

変身して――――どうする。

リンゴォを護る。どうやって。
彼は自ら望んで戦っている。スズメバチも、自分が生きるために必死になっている。
言葉でどうにかなるものではない。そんな彼らをどう助けろというのか。

...方法は、ある。
リンゴォを殺させず、スズメバチも殺さなくて済む方法が。
けれど、身体が、心が否定する。あんな恐怖を味わいたくないと悲鳴を挙げる。

でも、動かなきゃいけない。清く正しく美しい魔法少女にならなければいけない。

(私が、私は―――)

震える指が液晶にかざされる。

瞬間。

温もりが、彼女の掌を包んだ。

「...恐いときは恐いっていえばいい」
「ゆうさく、さん...」

ゆうさくは、そっと優しく重ねた掌から魔法の端末をそっと掠め取った。

「なにを」
「子供は大人に頼ればいいんだ」

ゆうさくは小雪に微笑みかける。
彼女には、そんな彼の笑顔が太陽よりも眩いものに見えた。

948 I wanna be...(前編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:18:54 ID:dZZyPa0Y0

幾度もの攻防の後。

リンゴォは蹲りもだえ苦しんでいた。
もとより肌の弱い彼にとっては、先の片腕の犠牲だけでも耐え切れるようなものではなかったのだから当然だ。

息を切らしつつ、齎されるであろう毒針へと備える。
ここから相打ちに持ち込むことはできるかもしれない。だが、彼はその結末を認めない。
勝者には糧を。敗者には死を。それが彼にとっての果し合いであり、それは自分も例外ではない。
あのスズメバチは見事に生死の境界線においてリンゴォを下したのだ。

(すまないな...一方通行。せめて横槍の清算はさせておきたかったのだが)

事の発端は、スズメバチが不意打ちで一方通行を殺害したことからだ。
ならばこそ、せめてこのハチを討ち取ることで彼との果し合いの穢れを祓いたかった。

だが、如何な背景を抱いていようとも負ければそれまでだ。

今まで自分が果し合いの果てに命を奪ってきた者たちにどんな背景があるかはわからない。

平凡ながらも温かい家庭があったのかもしれない。
幼い頃から夢見ていた職に手を就けたかもしれない。
多くの部下を抱えた有望な上司だったかもしれない。
幼い頃の虐待を乗り越えてきたかもしれない。
困っている人々の助けに己の全てを費やしてきたかもしれない。


そんな背景があるかもわからない人々をリンゴォは葬ってきた。
そんな自分だけが、己の望みを完遂できるなどとは思っていない。


敗者は勝者の糧になる。
それが彼の定めた果し合いのルールであれば、彼にそれを違う資格はない。

ふと、脳裏に浮かんだスノートワイトの顔と誰かの影をかき消すように、眼を瞑り毒針を受け入れようとした。









そのとき、なにかが変わった。

949 恩人を護るためにスズメバチに刺されるゆうさく ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:19:58 ID:dZZyPa0Y0


リンゴォは、異変を肌で感じ取った。
眼を開ければ、そこにはスズメバチの姿はない。

『あー、ごきげんようおめーら。誰だって顔をしてると思うが、この殺し合いの進行役を勤めてるヤツだってことを認

識してくれればそれでいい』

流れ始めた放送も耳に入らない。

ビンビンビンビンビンビン


背後より、一定のリズムで奏でられる羽音に、リンゴォは思わず振り向いた。

そこには、自分にトドメを刺すことなく通り過ぎていったスズメバチの背中。
そして、その向かう先には、ゆうさくが己の胸元をまさぐり立ち尽くしていた。


馬鹿な、と思う暇すらなくスズメバチはゆうさくへと近づいていく。


「ダメ...」

小雪は必死に声を絞り出す。
ゆうさくがやろうとしていることはわかってしまったから。

「やめて...!」

それは彼女が考えていたことだから。
本来なら、か弱き人々を護る魔法少女の役目だから。

今すぐに駆け出し、ゆうさくを護らなければいけない。
しかし、死への恐怖が彼女の膝を笑わせ、ロクに力をこめることすら出来ず転んでしまう。

950 恩人を護るためにスズメバチに刺されるゆうさく ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:20:29 ID:dZZyPa0Y0


ビンビンビンビンビンビン



そんな彼女に申し訳ないと思いつつ、ゆうさくはスズメバチへと向き合う。

(恐い)

何度経験しても決して慣れぬこの恐怖。
本当なら逃げ出したい。どうにかして生き延びたい。
けれど、そうやって逃げ続ければ、今回のスノーホワイトやリンゴォのように被害は拡大していく。
彼女のような、『普通』の女の子にまで死の恐怖を植えつけてしまう。

(そんなことをして生き残っても、カミさんに顔向けできないもんな)

ならば、『死』の経験者である自分がこうするのがベストだろう。


ビンビンビンビンビンビン


(リンゴォさん。勝手だけど、あの子のことを頼むよ)

スズメバチの向こう側で、なにかを叫ぼうとしているリンゴォに微笑みかける。
お互い、信頼と呼べるものを築くには共に過ごした時間は短すぎる。
しかし、彼ならば、なんだかんだ言っても彼女に救われた恩は返してくれると、先の救援を見て確信していた。
少なくとも、あの仏像のようなヤツと遭遇した時、彼女を護れる可能性があるのは非力な自分ではなく彼だ。



ビンビンビンビンビンビン


ついに目前にまでやってきた。
嫌だ。恐い。やめておけばよかった。
そんな後悔が瞬時に駆け巡り、泣き出しそうになる心を、しかし噛み潰す。

スズメバチの針が乳首に迫る。

951 恩人を護るためにスズメバチに刺されるゆうさく ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:20:59 ID:dZZyPa0Y0

「逃げてゆうさくさん!!!」

喉が潰れんほどの小雪の絶叫を受けた瞬間、フッとゆうさくの身体が軽くなったような気分になる。

(いや、軽くなったのは―――ここrチクッ。

「あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・ああああ↑↑↑」

乳首を刺されたゆうさくは微振動と共に悲鳴が上ずり青ざめていく。

ビンビンビンビンビンビン

もはや自分の仕事はここまでだと言わんばかりに悠々と飛び去っていくスズメバチ。

ゆうさくの脳裏からはもはやスズメバチのことなど消えうせ、代わりに様々な人々の声が飛び交っていた。


『草』
『あーイクッ』
『乳首感じるんでしたよね』
『こいついつも刺されてんな』
『あーねんまつ』
『ウ ン チ ー コ ン グ』

どれもが聞き覚えのある言葉だった。
言葉の主との面識は一切ない。
しかし、彼らは人が死にそうだというのにゆうさくが刺されるといつも嘲笑し、嗤っていた。
最初のうちはなぜ嗤うのかと怒りを抱いたが、死を繰り返すうちに残ったのは、恐怖と傍観だけだった。
例え死への結末が定められていても、誰も助けてなどくれない。彼らは笑うだけだから。
自分の死は彼らにとっての玩具だから。飽きたらその存在すら忘れてしまう程度のものだから。


全身から力が抜ける。何百万と刻まれた、死への虚脱感。

なにも変わらないいつもの最期の光景の中、彼は穏やかに微笑んだ。

なぜなら。

「ゆうさく...さん...!」

笑われるだけだった彼の死を悲しみ嘆く者がいることを知れたから。

涙を流してくれた彼女の存在は、絶望と死の輪廻の中の一筋の『救い』となったから。






「アー逝くッ」

ちーん。




『同作品のジンクスには気をつけよう!』(♪陽気なBGM)



【ゆうさく@真夏の夜の淫夢派生シリーズ 死亡】

952 :I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:22:30 ID:dZZyPa0Y0




暗闇が晴れ、三人に増えたゆうさくも消え、最後の注意喚起が終わった。
少女はただ縋りつき、すすり泣き、倒れた男の名を呼び続けていた。

そんな光景を、リンゴォはただ呆然と眺めていた。

「......」

ゆうさくが刺されたとき、リンゴォは動かなかった――いや、動けなかった。
なにか運命的な力が働いた部分もあるにはあるが、それ以上に、見とれていたのだ。
ゆうさくの端整で誠実な顔立ち―――その背後の輝きに。

(あいつのしたことは...公正なる果し合いへの侮辱だ)

そう。
戦いの横槍はリンゴォの理念に最も反し軽蔑すべき行為だ。
故に、ゆうさくの行いには怒りしか覚えない―――本来の自分ならば。

だが、ゆうさくには嫌悪を感じなかった。
彼がリンゴォとスノーホワイトを救ったのは事実だろう。そのことへの感謝の念があるとでもいうのか?
公正なる果し合いを謡いながら、結局は保身を重んじ我が身が可愛いだけの男に過ぎなかったとでもいうのか?

『ちげぇだろ』
「ッ!?」

振り返る。そこには誰もいない。
辺りをキョロキョロと見回しても、いるのは少女1人と骸だけ。

(幻聴か...?)

『保身ならあのホモかガキを真っ先に殺せば済む話さ。なンでてめえが動けなかったか...そンな真っ当な理由なんか

じゃねェ』
「......」

声は間違いなく、あの男、一方通行のものだ。
彼は死んだ。
これが幻聴であることを認識しつつも、その声から意識を離すことができず聞き入ってしまう。

『もう一度聞いてやるぜ、リンゴォ・ロードアゲイン。テメェは俺を殺してなにになりたかったんだ?』
(俺が、なりたかった、もの...)

あの時の一方通行の言葉が、哀れむような眼が脳内でぐるぐると渦巻く。
公正なる果し合いのもと、男の世界に殉じ生きてきた。その果てに生き残っていれば、確かな『男』として完成される

筈だ。そこには一片の迷いもなく、この道を進んだ後悔もない。

ならばいまの状況はなんだ。ゆうさくに見惚れていた自分はなんだ。
あの男の死は、自分の道とは違う答えを示しているとでもいうのか?

(わからない...俺には...)

953 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:22:59 ID:dZZyPa0Y0

――――ビンビンビンビンビンビンビンビン


「ぇ...」

悪魔の羽音が鳴り響き、小雪の声が小さく漏れる。
顔をあげれば、そこにはゆうさくと同じ顔―――ゆうさくが己の命と引き換えに脱出させた筈のスズメバチが迫ってき

ていた。



ゆうさくを刺したあと、スズメバチは困惑していた。
ゆうさくは刺した。先ほどのSSタイトルのオチとしてゆうさくも注意喚起して散った。
あとはいつものように画面からフェードアウトし、この殺し合いのルールに従えば晴れて生還できるはずだった。
だが、主催からはなんのアクションもない。脱出できる気配など微塵もない。


『赤首輪を殺して安全に脱出するか、命をかけたギャンブルに挑むのか、それは自分で決めるんだな』

少年の声が響き渡る。
そういえばさっきからなにか話していた気がするが、ゆうさくを刺すのに夢中でほとんど聞いていなかった。

『あぁっと、肝心なことを忘れてた。赤首輪の報酬を手に入れる条件だけどな、報酬を受け取る権利が与えられるのは

「一番近くにいた、赤首輪を殺したやつだと認識されたとき」だ』

!?

少年は衝撃の事実を告げた。
赤首輪を殺しただけでは脱出できないというそれを忘れちゃ...駄目だろ!と言いたくなるような新事実だ。
つまり、ゆうさくを刺したあといつも通りに飛び去ってしまった自分には脱出の権利はないということだ。

―――てめえふざけんなよ、こんなポカして主催が勤まると思ってんのかよ

そう非難を浴びせてもどうにもならない。
もはやスズメバチが生還する方法は―――

『もちろん、結果が気に入らなけりゃ認識が完了するまでにその裁定を覆すこともできる。どうやって覆すかは、まあ

オメーらで考えてくれ。それもお楽しみのひとつだからな』

あった。
生き残れる方法は、まだ、すぐ側に。

―――あの時、ゆうさくに最も近い位置にいたのは、小娘だ。ヤツを殺せば、赤首輪の権利は自分のものだ。

スズメバチは急いで引き返し、再び赤首輪である姫河小雪の前に姿を現した。

954 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:23:36 ID:dZZyPa0Y0

そんな事情を知らず、放送をロクに聞けていなかった小雪の腹部から髪先まで怖気が走る。
ゆうさくは命をかけてスズメバチを脱出させ、リンゴォと自分、そしてスズメバチまでも救おうとしてくれた。
けれど、スズメバチが脱出できていないということは、その行為が失敗したということ。

つまり

「―――――!」

ゆうさくの死は、ただの無駄死に―――


ザリッ

泣き喚きかけた小雪の耳に、音が届いた。
西部劇のガンマンが、ここぞとばかりに土を踏みしめるような、どこか頼もしき足音が。

「リンゴォ、さん」
「......」

リンゴォは、小雪に背を見せるようスズメバチに立ちはだかっていた。
小雪には、まるで映画のヒーローのように大きな背中だった。

「駄目、です...リンゴォ、さん」

そんな傷ついた身体で戦ったら殺されちゃう。
そう続けようとした言葉も喉からしゃくりあげる嗚咽が踏み潰す。

止める言葉もないまま、スズメバチが急接近し、再び戦いが始まる。
光景は同じ、されど両者の内面は全く違う。



―――あんな傷ついた雑魚ヒゲには遅れをとるはずもない。少女の方も、腑抜けているいまがチャンスだ。

スズメバチは生きて帰れるという焦燥の元、先ほどまでの冷静さは鳴りを潜めている。

一方でリンゴォもまた、先刻までとはまるで違っていた。

(何度も敗れ、命を救われ、恥知らずにも勝者に銃を向ける...なんて最低な男だ)

自分だけが何度も立ち上がる権利を与えられ、己の課したルールでさえ破っている。
いまの行為は、この戦いはまるで公正ではない。そんな自分を汚らわしく思う。
だというのに、何故いつもの震えがないのか。
何故、こうも肩が軽いのか。
何故、ゆうさくのあの輝きが脳裏にこびりついて離れないのか。

(...知りたい)

いまのリンゴォは、公正なる果し合いのため定めた己のルールさえ護れなかった敗北者だ。
『男の世界』において存在すら許されぬ愚物だ。生きた屍だ。
ならば。
男を捨てれば、男の世界を忘れ去れば。
こんな自分にもなにかが見えるのか。一方通行の問いへの答えは出るのか。

『テメェは俺を殺してなにになりたかったんだ?』

(俺の目指していたものとはなんなのか―――この弾丸で、見極める)

955 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:24:05 ID:dZZyPa0Y0

瞬間。

リンゴォの、スズメバチの視界には全ての光景がスローモーションに映った。
スズメバチの射程距離。
肛門がヒクつき、毒液がまさに発射されんとした瞬間、リンゴォの銃が抜かれ構えられた。
スズメバチもリンゴォ自身も驚愕する。そこはまだ射程距離外だろうに、と。
いま撃てば弾丸は大きく外れ、スズメバチに掠りもしないだろう。

だが、リンゴォは引き金を引いた。
自分でもわからない。だが、奇妙な確信があった。これでいい、と。

放たれた弾丸は、真っ直ぐに飛んでいく。

互いの思考を挟む余地なしに。

スズメバチの肛門がヒクつくももう遅い。

弾丸はスズメバチの首輪に着弾し―――爆ぜた。

その身体が四散した瞬間、スズメバチの肛門からウルトラマンが死ぬときに射精する要領で放たれる。
毒液ではなく、毒針。
その必殺の武器は、リンゴォの乳首に刺さり、ガクリ、と膝を着かせた。

刹那の戦いの果てに、勝者はいなかった。

956 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:25:15 ID:dZZyPa0Y0



リンゴォは自分が死ぬことを自覚する。
これでは相打ちだ。いま、己のスタンド『マンダム』で時を戻せばそんな決着もなかったことになり、勝者であるスズ
メバチに殺され『公正なる果し合い』を完遂できるだろう。

だが、もうそんな気にはなれなかった。
この結末に納得しているかのように、先ほどまでの力が嘘のように消えていく。

「......」

一方通行の問いの答えはまだ出ていない。
あと数秒の命、空虚のまま終えるのも、己の道を、信念を違えた敗北者らしい最期だろう。
脱力感に包まれリンゴォの瞼が閉ざされていく。

「駄目!」

投げかけられた叫びにリンゴォの意識が薄らと向けられる。
その半分ほど閉じられた視界に映るのは、涙を浮かべる少女。

「死なないでリンゴォさん!!」

少女の涙が零れ落ち、リンゴォの鼻筋を通り瞳にまで垂れていく。
その水滴を、温もりを感じた瞬間、リンゴォの脳裏に走馬灯のように光景が流れ出す。

戦場から脱走した父が死に、その煽りを受け裏切り者と蔑まれ、貧困の中、足手まといのはずの自分を連れて共に遠方
へ逃げてくれた母と二人の姉たちとの。
病床に伏せることが多くとも、呆れず多くの病院にあたってくれた母との。
口の中を切り呼吸困難に陥った自分の手を優しく握ってくれた姉たちとの。

そんな光景が、とめどなく流れていき、彼女たちとの過去が、眼前で涙を流す少女やゆうさくと重なっていく。

そして解った気がした。ゆうさくから感じた輝きは、自己犠牲の美などではない。
彼女たちから与えられたような、打算も何もない温もりであることを。
戦いの前にいつも起こる震えは、その一歩を踏み出す度にかつてのソレから遠ざかるのを恐れていたのかもしれないこ
とを。
もしかしたら...公正なる果し合いにおいてわざわざ排除するような自分の能力『マンダム』も、そんな過去を欲する
が故に発現したものなのかもしれないことを。

957 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:26:51 ID:dZZyPa0Y0

「みと...る...もの、か...」

リンゴォの声にならぬ呟きと共に、ツゥ、と涙が頬を伝う。

人としてこの世の糧となるため。
そうして幾つもの屍を築いてきたうえで、自分が欲したものが、『男の世界』などではなくこんな生ぬるいものだった

などと。
自分の信じた道が嘘だったなどと。
ゆうさくを止められなかったのは、彼に見せ付けられた無償の愛情が己の汚れた光輝く道よりも高潔であったからなど

と。
最期の攻防において、自分の為ではなく他者の為に戦ったからこそ、射程距離外からスズメバチに当てる芸当ができた

のだと。
ふざけるな。
そんなもの認めてたまるものか。...なのに、心のどこかで安らいでいくのを感じてしまう。

「ぁ...逝...く...ッ」

閉じられた瞼の裏で浮かび上がった一方通行が、同情や自嘲の混じった複雑で寂しげな笑みを浮かべ、そこでリンゴォ

の意識は闇に落ちた。


...リンゴォ・ロードアゲインが最期に見出したものが、欲したものが真か虚構かはもう誰にもわからない。

彼の頬を伝った涙は、少女が流したものなのか。彼自身のものなのか。それすらも知るものはいない。

解ることはただひとつ。

目の前の現実に対して、少女があまりにも無力だったこと。

男たちが仮に救いを感じていたとしても、それが少女には伝わらなかったこと。

だから、少女はただ泣き喚くことしかできなかった。



【スズメバチ@真夏の夜の淫夢派生シリーズ 死亡】
【リンゴォ・ロード・アゲイン@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】

958 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:27:40 ID:dZZyPa0Y0

【F-3/一日目/朝】

【スノーホワイト(姫河小雪)@魔法少女育成計画】
【状態】死への恐怖(絶大)、ゆうさくやリンゴォを喪った悲しみ(極大)
【道具】基本支給品、ランダム支給品1、発煙弾×1(使用済み)
【行動方針】
基本:殺し合いなんてしたくない…
0:???
1:同じ魔法少女(クラムベリー、ハードゴアリス、ラ・ピュセル)と合流したい
2:そうちゃん…
※参戦時期はアニメ版第8話の後から
※一方通行の声を聴きました。
※死への恐怖を刻まれました。
※変身が解かれている状況です。
※ゆうさくを殺した人物及びスズメバチを殺した人物と認識されました。が、スズメバチは首輪を爆破されて死んだた
めスズメバチの分の権利を行使することは不可能です。

959 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:28:51 ID:dZZyPa0Y0

...

...

...

...

...

...


―――ビンビンビンビンビン

また、この音が聞こえてきた。戻ってきてしまった。

やはり恐い。どうしても慣れることなんてできやしない。

きっと、俺の死を悲しむヤツなんてどこにもいないのかもしれない。

でも、あの時彼女が流してくれた涙は、充分に俺を救ってくれた。

それだけで俺もまだやっていける。

...俺は君を応援してるよ。いつかきみが笑えるようにと。

だから、絶対に死ぬんじゃないぞ、スノーホワイト。

じゃあな!

960 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:29:22 ID:dZZyPa0Y0

...

...

...

...

...

...


あれ?音が、やnnnnnnnnnnn――――A problem has been detected and windows has been shut down
to prevent damage to your computer.

The problem seems to be caused by the following file: setupdd.sys

PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA

If this is the first time you've seen this stop error screen,
restart your computer. If this screen appears again,follow these
steps:

Check to make sure any new hardware or software is properly
installed. If this is a new installation,ask your hardware or
software manufacturer for any windows updates you might need.

If problems continue,disable or remove any newly installed
hardware or software. Disable BIOS memory options such as
caching or shadowing.

If you need to use Safe Mode to remove or disable components,
restart your computer,press F8 select Advanced Startup Options,
and then select Safe Mode.

Technical information :
*** stop;0x00000050(0xFC659060,0x00000000,oxFC659060,0x00000000)
***setupdd.sys -Address F763BB1D base at F76150000, Datestamp 3b7dB507

961 I wanna be...(後編) ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:29:50 ID:dZZyPa0Y0

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―――本日は、御アクセス頂き、まことにありがとうございます。
大変申し訳ありませんがこの動画は××の為、ご覧になることができません。
またの御アクセスをお待ちしております。


【スズメバチに刺されるゆうさく@真夏の夜の淫夢シリーズ 削除】






ずずずっずぞぞぞぞ〜

ぷはー

今日もイイ天気

デュフフフ

962 ◆ZbV3TMNKJw :2018/10/12(金) 00:30:17 ID:dZZyPa0Y0
投下終了です

963 名無しさん :2018/10/12(金) 03:01:09 ID:O2PpUml.0
投下乙です。ゆうさくとスズメバチはどちらもホモガキによる宿命に捕らわれていた被害者だったのかもしれませんね…
リンゴォは男の世界を目指していた自分の方向性に一つの答えを見出だしたようで…これって、勲章ものですよ
スノーホワイトは参戦時期の都合上こうなるのもしょうがないね、でもここから一転攻勢できる素質はあるから魔法少女どうにかしろ(無責任)
ラストの文は巧く説明できないけど背筋がぞわっときた。ヴォイスドラマ企画がこのゲームに関わっている可能性が微粒子レベルで存在する…?

964 名無しさん :2018/10/12(金) 04:42:25 ID:Gn0Yvv/k0
投下乙ナス!
途中のタイトルであっ(察し)となり、その後のゆうさくの死に涙がで、出ますよ…
そんなホモの生き様を見たリンゴォも最期には救われたのだろうか…幻想として登場し答えを示してくれた一方さんのナイスアシストいいゾ〜これ
そしてこのロワの黒幕は某美大落ち姉貴だった…?

965 名無しさん :2018/10/14(日) 14:12:42 ID:fpxjjIbs0
投下乙です。
なんだこの人間賛歌は、たまげたなあ……
ゆうさくをとりまく因縁が収束しここだけで一つの物語の終着点になっているのがいいですね。

966 ◆ZbV3TMNKJw :2018/11/14(水) 23:57:22 ID:kwudH58o0
感想ありがとうございます。
このロワが立てられてからもう2年です。とても早いです。投下します

967 ジレンマ ◆ZbV3TMNKJw :2018/11/14(水) 23:58:03 ID:kwudH58o0

「左衛門さんたちも殺し合いには反対なんだな?」
「ウム。ワシにも仲間がおる。彼奴らを捨て置くことはできんからのう」

SMバー平野の一室で遭遇した当麻とラ・ピュセル、左衛門と吉良の二組は、互いに名乗ったあと、腰を落ち着かせつつ情報交換に勤しんでいた。

「そういう主らも、乗っておらんということは仲間がおるのじゃな?」
「ああ。俺もこいつも探してる奴らがいる」

当麻はさりげなくラ・ピュセルを自分の後ろに置き、己の身体を盾にしつつ話を進める。

「みんなこいつと同じくらいの歳の女の子なんだが、どこかで見てないか?」
「いや、ワシらはくさそうな男と会っただけじゃ」
「くさそうって...臭いが独特とかじゃなくって?」
「うむ。別に匂いが強いわけではないのだが、なぜか『くさそう』と思ってしまう男じゃ」
「言ってることがよくわからないな...吉良さん、あんたから見てどうなんだ?」

当麻がこれまで会話に加わっていなかった吉良に質問をふるも、吉良の返答はない。
ただ呆然と彼方を見つめているだけだ。

「...おーい、吉良さん?」
「......」
「吉良さん」
「ッ...す、すまない。すこしボーっとしてしまっていた。私も殺し合いに賛同するつもりはない。家に戻りたいとは思うが、他の人を殺してまでは」
「その話はもう終わっておる」
「そ、そうか。ええと、なんの話だったかな?」
「吉良さんたちが会った男は『くさい』わけじゃなくて『くさそう』と思う男なのかって話だ」
「ああ。あながち間違っていないんじゃないか?」

明らかに動揺している吉良に、当麻とラ・ピュセル、左衛門までもが訝しげな目を向ける。
その視線を受けた吉良は、ふぅ、と小さく息を吐き、額に手を添えた。

「君達が疑うのも無理はない。ただ、私は見ての通り普通のサラリーマンで、こんな経験は初めてなんだ。恐怖はあるし、緊張もしている。それ故に常に最善を尽くせるわけじゃない。その辺りは理解してもらいたい」

先程とは一転、うって変わって落ち着いたその様子に、当麻もラ・ピュセルも一層不審感を抱く。
が、本当にパニックに陥った一般人の可能性も顧み、二人はひとまずその不信感を頭から振り払った。

「...わかった。悪い、吉良さん」
「いや、この中で年長者は私なんだ。もう少ししっかりしなくちゃあな」

吉良が大きく息を吸い、改めて情報を整理していたその時だった。


『あー、ごきげんようおめーら』


突如、天より響いたその声に、四人は思わず天井を仰ぐ。

968 ジレンマ ◆ZbV3TMNKJw :2018/11/14(水) 23:58:26 ID:kwudH58o0


「な、なんだ?」
「どうやら放送の様だ。何を伝えるかまではわからないが、この殺し合いに関することで間違いないだろう」

吉良の考え通り、声の主は殺し合いについて不足していたヶ所を説明し、ルールとして付け加えた。
その過程で、左衛門が記載漏れされていたことが判明したが、当麻たちがそこにツッコむ暇もなく放送は続けられる。

『今回の禁止エリアはC-2、E-8、J-3だ』
「ふむ。ここからはどこも遠い。煽りを喰らう事も無さそうじゃ」

左衛門がそうぼやけば、次いで知らされるのは死者の名だ。

『薬師寺天膳
志筑仁美
南京子
一方通行』
「!」

一方通行。その名が呼ばれた瞬間、当麻は思わず息を呑んだ。
あの学園都市第一位の男が、死んだ。
その身を持って彼の脅威を体験していた当麻は、衝動のまま壁を殴りつけようとするも、その腕は吉良に掴み止められた。

「それは徒に手を傷付けるだけだ」
「......」

沸騰した当麻の脳内が些か落ち着きを取り戻し、思考もどうにか平静になる。

「...悪い、吉良さん」

そう彼に謝り、ふぅ、とひといきつく。

一方通行。
かつて、御坂美琴の複製(コピー)である妹(シスターズ)を一万人殺した男。
当麻は彼と戦い、勝利を収めたことがある。
が、それは当麻の右手の幻想殺しと御坂たちの協力があってこそだ。
本来ならば、学園都市一位に恥じぬ『最強』を誇った男には間違いない。
その男が、死んだ。おそらくだが、誰かに斃された。
当麻のように幸運が重なったか、あるいはなんらかの不運が重なったか。
一方通行が殺し合いに乗ったのか、あるいは乗った者に狙われたのか。
なにもかもわからないが、いまの当麻が言えることはひとつ。

(どうしてあいつに勝てるくらいの力がありながら、こんな殺し合いを肯定しちまうんだよ!)

969 ジレンマ ◆ZbV3TMNKJw :2018/11/14(水) 23:58:48 ID:kwudH58o0

もし一方通行が殺し合いに乗っていなかった場合、殺した者は殺人肯定者に他ならない。
彼に勝てるほどの力がありながら、殺し合いに乗る―――その力を守るために使えば、犠牲者なくして殺し合いを止めることができるかもしれないのに。
それに、死亡者は一方通行だけではない。
全員を聞き遂げたわけではないが、少なくとも複数人の殺人肯定者がいるはずだ。

(はやくこんなバカげたことは止めねえと)

人を殺す。
如何な事情であれ、それは多くの悲しみを生み出す所業に他ならない。
当麻は決して正義の味方ではないし絶対的なヒーローなんかでもない。
ただ、人が悲しみ傷つくのが嫌なだけの人間だ。
だから、この会場にいる御坂や黒子、ここにいる岸部たちやその仲間が涙を流す前に、殺し合いをぶち壊さなければいけない。
当麻の拳は、無意識のうちに強く握りしめられていた。

そんな彼の背中を見て、ラ・ピュセルは静かに唇をかみしめていた。

(僕は最低だ)

彼が放送を聞いて真っ先に思ったことは、『小雪が無事でいてよかった』だ。
それ自体は悪いことではない。問題は、その後だ。

(きっと、僕は小雪が呼ばれなかったことに安心して、死んだ9人も『思ったよりも少なくてよかった』と思ったに違いない)

本当なら、当麻のように犠牲になった人々を悼むべきなのに。
彼は、おじさんに虐待されたためか、あるいは既に死に瀕した経験があるためか、自分の周りのことしか見れなくなっていた。

(しっかりしろ、岸部颯太!もっと周りを見るんだ!この殺し合いを止めて、皆で笑顔で帰る!それが魔法少女だろう!)

パンパンと、己の頬を叩き、ラ・ピュセルは気を引き締め直した。

970 ジレンマ ◆ZbV3TMNKJw :2018/11/14(水) 23:59:17 ID:kwudH58o0
そんな各々に動揺する当麻とラ・ピュセルを余所に、左衛門は顎に手をやりつつこれからの方針を考えていた。

(薬師寺天膳め。あやつ死におったか)

薬師寺天膳。
この殺し合いに連れてこられる前に豹馬が仕留めていたはずが、何故かこの殺し合いにも連れてこられていた男。
如何な術者かと不気味に思っていたが、まさかこんな短時間で討たれるとは。
あまりにも呆気ないというか、やはり他愛のない男だったのだろうか。

(まあよい。これであやつは確実に死んだ。となれば、伊賀の者は朧のみか)

能力は不明であるが、恐らくは伊賀の忍びの纏め役であった天膳の死亡は大きい。
朧は破幻の瞳にさえ注意しておけばただの小娘、実質的な戦力としては皆無。
それに比べ、こちらはまだ弦之介、陽炎、そして自分が残っている。弦之介も盲目とはいえ、心眼の心得があるため充分に戦力となるため、優勢なのは間違いなく甲賀だ。

(とはいえ、ワシらが帰れなければそれも意味なし...ここでこの小娘を殺して先に脱出することも出来るが...)

現状、赤首輪であるラ・ピュセルもそれを護衛する当麻も気が動転し隙だらけだ。
ここで毒針のひとつでも飛ばせば問題なくラ・ピュセルを殺すことができるだろう。

(ただ、現状では小娘との距離は吉良が一番近い。あの妙な人形を掻い潜り、奴を含めた三人を始末するのは骨が折れる)

吉良がラ・ピュセルの傍にいる以上、脱出の権利は吉良に譲ることになる。
それでは殺す意味がない。
それに、陽炎はともかく弦之介を置いて先に帰還するのは憚られる。
彼の目が視えぬのもそうだが、彼は性分が穏やかすぎるきらいがある。
その性格上、薬師寺天膳のような好戦的な相手ならいざ知らず、ここにいる上条当麻のような者がいればそちらの意見を優先してしまうだろう。

(まあそういう性分だからこそ、朧が伊賀者でなければと思いつつも見届けようとした者がいるのじゃがのう)

無論、弦之介とてただ甘いだけの男ではなく、非情にならなければならない時はしっかりと忍びらしく徹することはできる。
ただ、そこに至るまでの時間が長い懸念は消しきれないため、可能な限り迅速な判断を促すためにも合流してから彼を脱出させてやるべきだろう。

(なんにせよまずは弦之介様と陽炎との合流じゃな)

甲賀者としてにせよ、個人的な感情にせよ、やはり二人を捨てることはできぬ。
左衛門は、ひとまずはラ・ピュセルの首輪は狙うまいと決めた。

そして、吉良は。

「すまない。少し、トイレに行かせてもらえないか。改めて殺し合いだと聞かされると聊か身体が強張ってしまってね」

971 ジレンマ ◆ZbV3TMNKJw :2018/11/15(木) 00:00:05 ID:4lQCR5ME0




ラ・ピュセルに案内されたトイレにて、吉良は欲望を発散していた。

(まったく、上条当麻め。あの右手の価値に気が付いていないのか。危うくあの神のごとく清浄な手が傷つくところだったじゃないか)

ゴシゴシ、と吉良の右手が上下し吉良の息遣いも次第に荒くなっていく。

(ラ・ピュセル...あの可愛らしい手...上条当麻の右手...っく)

吉良の手の速さが増していき、呼吸は喘ぎにも似たものに変わってゆく。

そして。

「うっ!...あふぅ〜」

あっという間に、果てた。

そそりあがった欲望を全て吐きだした吉良は、少しの余韻に浸った後、トイレットペーパーで丁寧に処理をし、既に濡れていた下着を履き替え、手をキチンと洗いトイレを後にする。

「待たせたね。それではこれからの方針を決めることにしよう」

同行者たちの前に姿を現した彼の顔は、既にイチサラリーマンの仮面へと切り替わっていた。

972 ジレンマ ◆ZbV3TMNKJw :2018/11/15(木) 00:00:49 ID:4lQCR5ME0



【E-5/街(下北沢、SMバー平野)/一日目/早朝】

【ラ・ピュセル(岸部颯太)@魔法少女育成計画】
[状態]全身に竹刀と鞭による殴打痕、虐待おじさん及び男性からの肉体的接触への恐怖、同性愛者への生理的嫌悪感(極大)、水で濡れた痕、精神的疲労(大)、上条への好意
[装備]
[道具]基本支給品、だんびら@ベルセルク
[行動方針]
基本方針:スノーホワイトを探す
0:虐待おじさんこわい。
1:これからの方針を決める
2:襲撃者は迎撃する

※虐待おじさんの調教により少し艶かしくなったかもしれません。


【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]:軽度の疲労
[装備]:
[道具]:基本支給品、淫夢くん@真夏の夜の淫夢、不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを止める。
0:これからの方針を決める。
1:御坂、白井と合流できれば合流したい。
2:一方通行を斃した奴には警戒する。
3:他者を殺そうとする者を止めてまわる。

※淫夢くんは周囲1919㎝圏内にいるホモ及びレズの匂いをかぎ取るとガッツポーズを掲げます。以下は淫夢くんの反応のおおまかな基準。
・ガッツポーズ→淫夢勢、白井黒子、暁美ほむら、ハードゴアアリス、佐山流美のような同性への愛情及び執着が強く異性への興味が薄い者。別名淫夢ファミリー(風評被害込み)。
・アイーン→巴マミ、DIO、ロシーヌのような、ガチではないにしろそれっぽい雰囲気のある者たち(風評被害込み)。
・クソザコナメクジ→その他ノンケ共(妻子や彼女持ち込み)。
判定はガバガバです。また、参加者はこの判定を知らされていないため、参加者間ではただの参加者探知機という認識になっています。
※吉良がガッツポーズに分類された可能性があります。




【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、スッキリ、ラ・ピュセルと上条当麻の手に心酔に近い好意、新しいパンツ(白ブリーフ)。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本行動方針:赤い首輪の奴を殺して即脱出...したいが...ここは天国だ...抜け出すべきなのだろうか...?
0:これからの方針を決める。
1:少女(ラ・ピュセル)の手はこの世のものとは思えないほど美しい。上条当麻(少年)の右手は私が触れることすらおこがましく思えるほど神秘的だ。
2:如月左衛門、という奴と同行。秘密を知られたら殺す(最悪、スタンドの存在がバレるのはセーフ)が今は頼れる味方だ。
3:こんなゲームを企画した奴はキラークイーンで始末したい所だ…
4:野獣の扱いは親父に任せる。できればあまり関わりたくない。
5:左衛門の手も結構キレイじゃないか?
6:最優先ではないが、空条承太郎はできれば始末しておきたい。



[備考]
※参戦時期はアニメ31話「1999年7月15日その1」の出勤途中です。
※自分の首輪が赤くない事を知りました。
※絶頂したことで冷静さを取り戻しました。


【如月左衛門@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:特筆点無し
[装備]:甲賀弾正の毒針(30/30)@バジリスク〜甲賀忍法帖〜
[道具]:基本支給品×1、不明支給品×0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:弦之介や陽炎と合流してから赤首輪の参加者を殺して脱出。
0:これからの方針を決める。
1:吉良吉影という男と同行。この男、予想以上に強いのでは…?
2:甲賀弦之介、陽炎と会ったら同行する。
3:野獣先輩からは妙な気配を感じるのであまり関わりたくはない。
4:ラ・ピュセルは現状では狙わない。
[備考]
※参戦時期はアニメ第二十話「仁慈流々」で朱絹を討ち取った直後です。
※今は平常時の格好・姿です。
※自分の首輪が赤くない事を知りました。

973 ◆ZbV3TMNKJw :2018/11/15(木) 00:03:02 ID:4lQCR5ME0
投下終了です。

空条承太郎、野崎春花、朧、西丈一郎、相場晄を予約します

974 名無しさん :2018/11/15(木) 00:20:00 ID:99TIN3e.0
投下乙です
三人がシリアスやってる中でKR兄貴はナニやってんですかね…。こいつ凄ェ変態だぜ?


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