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聖杯四柱黙示録〜PAGE2〜
「更に私は、御座―そこには、四つの生き物がいる―と、長老たちとの間に、屠られたと見える子羊が立っているのを見た。
これに七つの角と七つの目があった。その眼は、全世界に遣わされた神の七つの御霊である。」
〜新約聖書「ヨハネの黙示録」第5章より〜
【ルール】
当企画は「Fateシリーズ」を元にしたリレーSS企画です。
同作中の魔術儀式「聖杯戦争」を元にした、参加者が聖杯を賭けて戦う企画となっております。
「サーヴァント」に関しては、エクストラクラスを割り当てることも出来ます。
オープニングの内容はご自由に、会話でも戦闘でも。
選出する主従は32組(1クラスにつき4組)程の予定です。
予約期間は10日、3回(1回につき3日)の延長も可能です。
締め切りを超えた場合には此方から強制破棄させて頂く場合もございます。
ズガンはNPCのみ可能です。
【設定】
舞台は「Fate/EXTRA」に登場するムーンセルによって形成された電脳空間「SE.RA.PH」
聖杯は4人のルーラーが1つずつ所持しています。
ムーンセルへのアクセスは、他の企画にもあるように
「気が付いたら此処にいた」というパターンになっていますが、
「Fate/EXTRA」の様にムーンセルにハッキングを仕掛けることで自分の意志で
アクセスすることも出来ます。
ルーラーは、4人がそれぞれ別行動を取っていますが、彼らの役割はどちらかと言うと
「監督役」というより「聖杯の管理者」の方に傾いており、そのためかサーヴァントの
行動を察知することが出来なくなっていたりする。ただし、令呪はきちんと持ってきているし、
違反者もきちんと裁いています。
勝ち残ったマスターが7人になった瞬間、4つの聖杯が起動し、4つの聖杯を「柱」とすることで巨大な「大聖杯」が召喚されます。
ただし、その「7人」に恙神涯は含まれていません。
魂食いも出来ます。ただしやり過ぎるとルーラーに睨みつけられます。
NPCの中には参加者の知っている人物もいます。
ルーラーを倒して聖杯を横取りするのもアリです、無茶な話ですがアリです、令呪使われますでしょうがアリです。
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【参加者一覧】
<<剣騎士(セイバー)>>
【網島ケイタ@ケータイ捜査官7 & 剣崎一真@仮面ライダー剣】
【最上リョウマ@デジモンクロスウォーズ 時を駆ける少年ハンターたち & モモン/アインズ・ウール・ゴウン@オーバーロード】
【宜野座伸元@PSYCHO-PASS & 朽木白哉@BLEACH】
【カオスヒーロー@真・女神転生 & ガッツ@ベルセルク】
<<槍騎士(ランサー)>>
【佐藤和真@この素晴らしい世界に祝福を! & 空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
【能美征二@アクセル・ワールド & スカルナイトモン@デジモンクロスウォーズ】
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero & クー・フーリン@Fate/stay night】
【二宮飛鳥@アイドルマスターシンデレラガールズ & 駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
<<弓騎士(アーチャー)>>
【亜門鋼太朗@東京喰種 & X3752ストライカー@翠星のガルガンティア】
【高杉晋助@銀魂 & ガルバトロン@トランスフォーマー・ザ・ムービー】
【アール(レナート・ソッチ)@ヨルムンガンド & 北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00 & ウルトラマンゼロ@ウルトラシリーズ】
<<騎乗兵(ライダー)>>
【桜満集@ギルティクラウン & シモン@天元突破グレンラガン】
【間明蔵人@ケータイ捜査官7 & ミゼル@ダンボール戦機W】
【白菊ほたる@アイドルマスターシンデレラガールズ & パトリック・コーラサワー@機動戦士ガンダム00】
【爾乃美家累@ガッチャマンクラウズ & フル・フロンタル@機動戦士ガンダムUC】
<<魔術師(キャスター)>>
【柊シノア@終わりのセラフ & 布道レオ@牙狼-GARO-〜MAKAISENKI〜】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ & ラゼィル・ラファルガ―@白貌の伝道師】
【橘ありす@アイドルマスターシンデレラガールズ & ナーサリー・ライム@Fate/EXTRA|Fate/Grand Order】
【相川始@仮面ライダー剣 & かずみ@魔法少女かずみ★マギカ】
<<暗殺者(アサシン)>>
【瀬田宗次郎@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- & シルベストリ@からくりサーカス】
【プロデューサー@アイドルマスターシンデレラガールズ(アニメ版)& ファントム・オブ・ジ・オペラ@Fate/Grand Order】
【後藤@寄生獣 & ぬらりひょん@GANTZ】
【ラウ・ル・クルーゼ@機動戦士ガンダムSEED & 大道克己@仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ】
<<狂戦士(バーサーカー)>>
【百夜ミカエラ@終わりのセラフ & 黙示録の獣@.hack//G.U.TRILOGY】
【エレン・イェーガー@進撃の巨人 & シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
【ステラ・ルーシェ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY & 朽木ルキア@劇場版 BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ】
【エルメェス・コステロ@ジョジョの奇妙な冒険 & インターラプター@ニンジャスレイヤー】
<<救世主(セイヴァー)>>
【恙神涯@ギルティクラウン & 刹那・F・セイエイ@劇場版 機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer】
<<盾騎士(シールダー)>>
【加賀美新@仮面ライダーカブト & リディ・マーセナス@機動戦士ガンダムUC】
<<復讐者(アヴェンジャー)>>
【逸見エリカ@ガールズ&パンツァー & エドモン・ダンテス@Fate/Grand Order】
【輿水幸子@アイドルマスターシンデレラガールズ & 輿水幸子@グランブルーファンタジー】
新スレの設立を終了させていただきます。
執筆、及びWiki更新は後程。
投下します。
とある高級マンションの自室にあるリビング。
インテリアな雰囲気を漂わせる広めの部屋には、大きなモニターが搭載され、画面上では青白い球体が様々な数値を出しながら浮かんでいた。
それを見ていた爾乃美家累は、親指の爪を噛みながら苛立った表情を見せていた。
『申し訳ございません、ルイ。』
モニターから音声が発信される。
それは紛れもなく、累の相棒たるAI「総裁X」の声である。
彼がGALAXを立ち上げた時から行動を共にし、
「いや、良いんだX。あれは君のせいじゃない。」
累は顔を上げ、疲れたような笑顔を見せた後、また俯き出し、頭を抱える。
熱心な思想家である彼は、この様に頭を抱える時が非常に多い人間である。
GALAXを作り、CROWDSを広め、更にガッチャマンの一員ともなれば、尚更だ。
そして今また、彼の頭痛の種と成り得る事が起きてしまったのだ。
先程、Xが謎のウイルスプログラムに感染するという未曾有の事態に陥った。
これが未曾有だと言えるのは、Xがそんじょそこらの悪質プログラムで壊せるはずのない代物だからだ。
Xと言うのはネットワークを漂い、GALAXのサーバーを管理する役割を与えられ作られたAI。
謂わばインターネットのスペシャリストに近い存在だ。
幾ら上手な入り方を考えようとも、Xは直ぐにファイアウォールを作成し跳ね返してしまう。
そして同時に検出されたプログラムはデリートされ、例え念入りにログを削除しようとも直ぐにサルベージして対象を特定してしまうだろう。
PCの事を知らない者が聞いても明らかに都合の良すぎる力だ、例え腕利きののハッカーであろうと侵入は困難である。
GALAXのサーバーに侵入者が来られないのは、恐らくこれが理由であろう。
だが今回は話は別だ。
どういう訳か、Xは先程ウィルスに感染してしまったのだった。
まるで瓢箪から駒が出て来るのと対して変わらない程の有り得なさだが、確かに起きたのだ。
Xは「ミゼル」と言う意味不明な言葉を続けて唱えるばかりで、ロクに会話すら出来なかった。
累はこの手の事には専門家も舌を巻くほどには詳しいが、尚も進化し続けているXがウィルス感染してしまうことは想定外にあった。
かのベルク・カッツェは累に化ける事でXを制圧できていたが、コンピュータを使ってXを乗っ取るなど難しすぎる芸当だ。
GALAXの制作に携わったハッカーの面々や鈴木理詰夢、そして勿論累にも。
だがそんな凶悪なウィルスであろうとも、Xのログには手を付けていなかった。
ログには、Xが「GALAX」のXボタンに位置する経路を通じてハッキングされたと言う事が記されていた。
わざとなのか、うっかりしていたからなのかまでは分からないのだが。
対策として累が取ったのは、「X」の全面停止。
皮肉にも、それは嘗てベルク・カッツェが行ったそれと同じであったが。
Xと言う指揮官を失った大衆―GALAXの利用者には、本当に申し訳ないと思う。
Xが失われていないとは言え、何れCROWDSの時以上に危険な事が待ち受けている可能性は十分にある。
これであのウィルスは止めることは出来たが、何時迄もこうしている訳には行かない。
翌日にはXを回復させることも考えているし、有事にはCROWDSの配布もするつもりだ。
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オマケに其の犯人は、今急速に業績を伸ばしている携帯電話専門企業のCEOと来た。
無論其の名は、月に来て間もない累にも良く響いていた。
間明蔵人。
近頃、「イケメン社長」と言う肩書で広告に載っている人間だ。
弱冠30で起業し、此処にまで大きな業績を立てるとなれば、社会が注目しだすのは当然の帰結であろう。
累もGALAXのアドミンストレーターであることが暴露され、ガッチャマンというヒーローの一員となったため、それなりには持て囃されてはいた。
と言っても、それはCROWDSを手に入れた頃よりもずっと後の話では有るが。
只、間明という存在に関しては累も詳しくは知らない。
このロール上では「LORD GALAX」という名を未だに騙っていた累だが、それでもIT関連の情報にはある程度、ではあるが知っている。
しかし間明という男は、その業界ですら謎に包まれた人物である。
そもそも、間明が出勤するのが見かけられたのはは殆ど無い。
一社の舵取りであるのなら、出勤するのは当然のことであるはずだ。
だが彼は姿を全く見せていないのであるという。
それこそ、広告の人間は偽物で、実は間明蔵人と言う人間は存在すらしていないのでは、と言う噂ですら広がっている程にはある。
最も、そんな噂話が浸透しているのはほんの一部ではあるのだが。
また、嘗ては携帯電話会社「ANCHOR」に所属していたとも聞く。
入社して間もなくクビになったとの話だが、その時の噂もまた酷いもので、「勤務中にゲームをしていた」「隠しカメラを仕込んだ」と言った多種多様な説が広がっている。
その間明蔵人が、累の前に顔を見せたのだ。
見せたと言っても、ディスプレイ越しではあったが、Xを掌握した彼は、確かにこう言った。
―もし、君のGALAXが崩壊したら、世界はどうなると思う?―
その言葉は、未だ累の脳内に張り付いている。
爾乃美家累という人間が干渉した影響でSE.RA.PHに浸透したGALAXは、ネットワーク社会に多大なる貢献をしたに違いない。
それは事実だ、だが世界は未だ変わっちゃいない。
間明が見せた、Xを失って混乱している人々が、その証拠だ。
Xという道標を失って迷う人々達。
それは、まるで神を失っているようにすら見えた。
思えばゲルサドラも首相になった時に姿を消したら、こんな事になっていたのだろうか。
とにかく、この世界もまた累に言わせてみれば発展途上だ。
人類の内発性は未だ目覚めてはいない。
個々が自律し合った群は未だ生まれていない。
世界のアップデートは出来ていない。
今己が願う世界の実現の為にも、累は此処から脱出しなければならない。
ならばどうすれば良いのか。
それを累はずっと考えていた。
だが、今聖杯戦争が抜け出そうとしても、出口は全くと言っていいほど見つからない。
無理もない、累が放り込まれたのは月の中のCPU。
簡潔に言うなら魂をデータ化されて宇宙空間に投げられたと言った所だ。
だが今の所聖杯戦争の根幹に至る情報は見つかってはいない。
現状で判明していることで唯一分かることは、「裁定者(ルーラー)」と呼ばれたエクストラクラスのサーヴァントが目を光らせていること、それぐらいであろう。
全部で四体程いる、ということは分かる。
だがルーラーは決して表に姿を表さない。
出てくるのは参加者がルール違反をした時ぐらいだ。
それは嘗て正体を隠してギャラクター達を動かしていた自分のように思えた。
累の手札は、現状ではあまりにも少なすぎる。
別に武器がないわけではない。
寧ろ、GALAXと言う幾重にも張り巡らされている情報網を持ち、「G-NOTE」と言う戦う武器を持っている。
互いの武器が秘匿されている聖杯戦争において重要な情報。
サーヴァントが武器とも言えるマスターには重要な護身用の装備。
この2つの武器を持った累は、寧ろ持ち道具に恵まれているとも言っていい。
これにライダーが加われば、彼らに死角はほぼないと言っていい。
だが、それは累が戦いに「乗った」時の話だ。
まず累は、戦わずして抜け出すことを諦めてはいない。
ライダーの言う通り、己の思想が甘いと言われているのは分かる。
世界のアップデート。
英雄が世界を動かすのではなく、この世に生きる大衆が世の中を動かす。
GALAXを作り、CROWDSを手にした累はこれまで、そんな世界を夢見て戦ってきた。
ライダーの言う事も分かる。
契約を交わした昨夜、彼の過去を見たのが、そんな事を胸を張って言える何よりの証拠だ。
彼の原点、或いは先代とも言える男の戦いを。
彼は憎しみに駆られた。
その憎しみの対象は母を殺した一族から始まり、果ては地球人その物へと変わった。
そして全てを悟った彼は虹色の光を発して消えた。
その男の名を、憎しみを受け継いだのがライダー。
大衆の願いを、そして己を形作った男の憎悪を全て受け止めた器たるライダー。
しかしその男を知る姫君は、ライダーを偽物だと断じた。
それでも彼は止まることを知らずにカラクリのごとく動き続け、儚くも散っていった。
その末路は、ボロボロになったその機械人形でとある少年に立ち向かったとも―巨大な要塞で少年に立ち向かい3つの鳥に魂を救われて消えたとも言えたが。
確かに、ライダーが辿った憎しみの連鎖は肯定せざるを得ない。
だが、それを割り切ってどうする?
世界はこのままで良いのか?
一人の英雄が旗を立てては栄え、その英雄の死と共に退廃していく事を重ねていくと言った連鎖を続けて、本当に良いのか?
―いや、そんなはずはない。
世界は変わっていくべきだ。
氷の粒が雲になるように、星々が銀河を形作るように。
一人が一人と手を繋いでいく事で、人類は、世界は、初めて本当の進歩を遂げるのだ。
その甘い理想論とやらのために累が今迄頑張ってきたのも、また揺るぎない事実なのである。
累が聖杯戦争の記憶を取り戻して早一日が立ち、後3時間で二日目になろうとしている頃だ。
情報操作はXに任せっきり―なのだが、先程の間明の一件で今はワクチンづくりに専念している。
曰く、とても人の産物とは言えない程洗練されたプログラムだったそうで、作成には苦労しているらしい。
今でもこうして、Xはワクチン作りに専念しているのだ。
累が明日には学校に行って、自身も情報を集めようかと考えていた―その時である。
『ルイ君、サーヴァントの気配を感知した。』
偵察を任せていたライダーから、サーヴァントを見つけたと言う声が届いたのだった。
直ぐにライダーとの感覚を共有する。
モニター越しでは有るが、確かにライダーの視覚は共有できた。
モニターに映るは、キラキラと目障りな程に輝く夜の街。
其処の道路で、紺色のジャケットを着た青年と学生服を着た累ぐらいの少年が原付に乗って走っているのが見当たった。
恐らく、その何れかがサーヴァントとなるだろう。
『直感能力が有るとは言え、気配探知は初めてやることだ。
此処まで広範囲だと判別が分からないが、恐らくそのどちらかがサーヴァントであることは明白だな……む?』
「どうしましたか、ライダーさん。」
『……感知したサーヴァントの数が更に増えた。1体……2体程はいるだろうな。』
流石にサーヴァントが誰なのかは距離を縮めなければ分からないが、ライダーの気配探知能力は比較的有る方では有る。
霊的存在を感知したことは「有る時間軸」において一度しか経験しなかったライダー。
だがそれでも、強化人間として得られた直感能力が気配探知能力を後押ししており、ソコソコ気配は感じ取れるのである。
そしてその直感能力で感知できたサーヴァントは―大凡3体。
『さて、君ならどうする?』
「そのまま追跡をお願いします、もしかしたら、現状打破に繋がるのかもしれない。」
『相変わらず理想論ばかりを追いかけているな、君は。
まあ良い、了解した、もしそれが間違いだと気づいた時には、それを認め次の糧とすればいいだけの話だ。』
大衆の願いを叶える存在たるライダーにとって聖杯は重要な存在であり、戦いたくないといえば真っ赤なウソとなる。
しかし重要な魔力源たるマスターがあの性分だ、無暗に戦闘に持ち込めばそれこそ令呪を使われる可能性すらある。
だからこそ、ライダーは当分累に従う方針に決めた。
参戦派であるマスターが、見つかるまで―
◆ ◆ ◆
累とライダーに目をつけられている主従、網島ケイタと剣崎一真は、原付に乗って、GALAXのサーバーを探している最中だ。
昼間に発生した、GALAXサーバーのウィルス感染。
主な被害は、GALAXの最たる特徴であるAI「X」の機能の停止。
Xの存在はアンダーアンカーですら把握はしきれていない。
水戸博士曰く「フォンブレイバーに負けず劣らずのお利口さん」という所ではあるらしい。
しかし今回の件は、IT技術が其処まで高くはない高校生であるケイタにしてみても驚くべき話だ。
そのウィルスの排除を行おうとした所、それらが全て失敗。
何せ水戸博士が一目置くほどのAIが、
美作本部長のバディであるセカンドが、ソリッドを介してアナライザーとメディックをデュアルブースト。
瞬時にワクチンを作成できるメディックに、マニピュレーターとネットワーク機能強化を持ったアナライザー。
以前ゼロワンも使用した経験のある組み合わせだが、相手はフォンブレイバーに匹敵するほどのAIの眼を回させるほどの逸材だ。
奮闘も虚しくセカンドはソリッドから弾かれ、支援AIとしての役割を帯びていた他のフォンブレイバーも同様に目を回す。
そしてケイタとセブンが貧乏くじを引いたというか、白羽の矢が立ったのかGALAXのサーバーに直接乗り込むと言う司令が出された。
GALAXとは、企業が運営しているような組織ではない。
「LORD GALAX」と呼ばれるマスターアカウントとXが共同で運営しているという形で体裁が保たれているのである。
企業ビルにサーバーが置かれているわけもなく、何とかセブンが他のブレイバーと共に位置情報を特定したのが、此処らへんだ。
原付を家出の際に巻き込まれた事件でオシャカにしてしまったケイタ。
そして溜めた給料で買った原付をガスタンクの故障で喪ったケイタ。
そんなケイタは、このロールにおいてはスクーターを手にすることが出来ていた。
それも、ケイタがアンカーに所属する前に愛用していた型に。
これで自転車出動ともおさらばだ、少し寂しいという気持ちもあるが。
だがハンドルを握っているのはケイタのサーヴァント、セイバーだ。
ケイタは後ろで彼の背中にしがみついている様な状態だ。
アンカーのエージェントは皆自動車免許を取得している大人達ばかりなため、ケイタがバイクの運転を任せて二人乗りする機会は全く無かった。
と言っても、その時友人と言える友人はタツローだけで、アンカーにいた頃はそのタツローともあまり顔を合わせる機会は無かったが。
「俺さ。」
ふと、セイバーが声を上げる。
「何だよ。」
「俺さ、こうしてバイクに乗るの、久しぶりなんだ。」
「だから何だよ。」
会話のキャッチボールが、バイクの駆動音と共に流れていく。
しかしその時のセイバーの声は、何処か懐かしさを帯びていた。
まるで、子供の頃に遊んだ玩具を掘り出した時の様な。
「俺さ、昔はバイクに跨って、世界中を旅していたんだ。
ブルースペイダーって言う名前なんだけど、本当に良い相棒だったよ。」
「へー、どれ位?」
ケイタも二度バイクで旅をしようとした経験があったためか、それはとても気になった。
「さあ、10年か20年か、長い間、乗っていた気がするよ。」
―ブルースペイダー。
ライダーシステム2号機「ブレイド」の専用バイクとして、BOARDが開発した高性能マシン。
既にBOARDが完成させているラウズカード専用リーダーも搭載されており、ラウズカードの力を纏った戦い方が可能となった。
セイバーが仮面ライダーとなった頃は、常にこのバイクに乗って現場に駆けつけ、時には武器として使うこともあった。
ジョーカーとなった時にもこのバイクは回収し、常にこのバイクとともに世界中を駆け回っていた。
騙し騙しに手入れを行い、10年経っても跨り続けていた。
―気がついた時には、セイバーの元には無くなっていたが。
地球環境が急激に悪化したときだっただろうか、その時に、ブルースペイダーとは別れ、セイバーは気がついた時には歩いて旅をしていた、と言う事になる。
まあそもそも、気がつけば石油も使い物にならなくなった時代だし、必要は無かったろうが。
きれいな夜の街でバイクを走らせるなど、セイバーに言わせれば久しぶりだ。
だがその時、不意にセイバーから魔力のような何かが感覚を通して伝わってくる。
始や、他の上級アンデッド達も、この様な感覚を常日頃感じながらバトルファイトを繰り広げていたのだろうか。
「ケイタ、サーヴァントの気配だ。」
「え!?うそだろ…!」
セイバーのまずの方針は、マスターの守護だ。
警戒を怠ってはならない。
バイクを止めた剣崎は警戒する。
恐らく、近くにサーヴァントが……
◆ ◆ ◆
百夜ミカエラとバーサーカーが、老人のアサシンと少女のアヴェンジャーと戦って数分も立っていなかった。
あの戦いの後街を彷徨っていたミカは、やや強い苛立ちに苛まれていた。
自分に、魔力回復の術がないこと。
己のバーサーカーは―正体こそ分からないものの―実力は本物だ。
あのままアサシンとアヴェンジャーとの戦いを続けていても、そう苦戦することは無いはずだ。
今のミカは、魔力を回復する術はあまりにも少ないが、魔力の貯蓄は十分すぎるほどにある。
言ってしまえば十分な備蓄を有していながらも補給を絶たれている様な物だ。
百夜ミカエラは吸血鬼である。
それも、第三位始祖の血を受け継ぐ者によって吸血鬼化された存在。
そうともなれば、彼の中に張り巡らされている魔術回路は、極めて膨大な量を誇るであろう。
だが聖杯の知識に曰く、魔術回路という代物は魔力の代償として体力を啜っていくと言う。
つまり―今のミカには魔力回復の術がない。
血さえ有ればどうにかなっただろうが、生憎クルルの血はストック切れ。
聡明なミカにとっては愚かしい話だが、予選の時点で全て血は飲み干してしまった。
代償としてミカの魔力は強固な存在となったが、それを使い果たしてしまっては元も子もない。
無論、一級武装の剣にも血は捧げない。
血を吸わせればサーヴァント相手にも対処できるだろうが、だからといって贅沢はできない。
それにそもそもある程度の神秘はあるだろうから、血がなくとも護身用としては十分な代物だ。
「終わりのセラフ」さえ有れば、もしかしたらとは考えたことも有るが、そんなことは出来ない。
と言うより、今のミカにはそれを使う術が見つからない。
されど、その力の片鱗こそは目撃したことが有る。
再会したばかりの優が、黒い翼のような闇を身に纏い暴れ出した姿は、今も目に焼き付いている。
もしその力に近づけば―ミカの魔力回復の術は埋まるはず。
しかしその力は、曰く日本帝鬼軍が「終わりのセラフ」を何らかの手段で強制的に活性化させた物だとされている。
生憎ミカは、血を奢っては貰っているがそんな処置を受けた覚えはない。
そもそもそんな虫のいい代物が無かったらこんな所で燻っているはずもない。
本戦においてミカが遭遇したサーヴァントは、これまでで2体。
一体は、左手首を引き抜いて刀とする老人のアサシン。
敏捷はバーサーカーよりも上に至る可能性が有るが、パワーは格下、宝具は不明。
そしてエクストラクラス、アヴェンジャーの少女。
黒い大鎌を手に取り、優やフェリドにも負けないほどの明るい笑顔を持った少女、宝具はアサシンと同様不明。
パラメータ自体は至って平凡だが、アサシンよりはバランスが取れている。
(あの二体は火力は至って目立たない様子だけど、宝具がわからない以上用心はしておこう)
そしてビル街を彷徨っていたミカは、第3の獲物を見つけた。
獲物はバイクを歩道に止めてウロチョロしている青年だ。
派手な装備は見当たらないが、クラスはセイバー、そしてパラメータは、最優のクラスには似つかわしくないほどに低かった。
身振り手振りから察するに、気配を感知して警戒をしている可能性もあるが、物陰に隠れているミカは死角に写っている、問題はない。
これならバーサーカーで一捻りだ。
「やれ。」
ミカの命令に応じ、畜生とも人ともとれる姿格好をした赤黒のバーサーカーが実体化する。
「ウォアアアアアアアアアア!!」
バーサーカーの咆哮に応じ、0と1で構成された壁に線状の穴が開く。
穴からは無数の刃が蛇の如き形を作り、ミカが隠れているビルを曲がりくねってセイバー目掛けて疾走る。
セイバー、剣崎はそれに感づいた。
アンデッドとしての本能と、長い戦いで培った直感が、そう察知しているのだ。
「ケイタ、伏せろ!」
「え!?」
ケイタに向かって飛び込んだセイバーが、ケイタを抱えてビルの壁目掛けてゴロゴロと転がって立ち上がったのが一瞬の間。
そのおかげで、バーサーカーの刃の群れはスレスレでセイバーを仕留め切れず、そのままポリゴンの様な何かと変わり消滅した。
「サーヴァントか!其処にいるんだろ!」
そう叫び姿をさらけ出したセイバーの左手にはブレイバックルが、右手にはカテゴリーAのカードが、それぞれ握りしめられている。
自身の宝具の起動の準備が、彼には既に出来ているのだ。
即ち―戦いの準備は出来ていると―セイバーはそう言い表しているのだ。
それに応え物陰からバーサーカーが出現した。
その容貌は実に恐ろしくて、醜かった。
かのヤマタノオロチを思わせる複数の尻尾。
正気を全く感じさせぬ白い目。
人の様な姿をしていながら、畜生の如く手を地面に付かせていると言った格好。
あまりにも刺々しい黒い鎧に、炎を思わせるそのオーラ。
剣崎が何時か見たジョーカー以上に、その凶暴さと畏怖は、セイバーにもひしひしと伝わってきた。
そしてそれを見たセイバーは、表情を引き締め、構える。
「ケイタ、お前は隠れていろ。」
ビルの壁でそれを見つめていたケイタは、コクリと頷き目立たない所まで逃げる。
『頼りないぞ、ケイタ。』
「ほっとけよ、あんなのに俺が太刀打ちできるか?」
セブンに対してそう愚痴を吐きながらもケイタは逃げ、姿を隠した。
それを一瞥したセイバーは、慣れた動作で銀の箱のようなバックルを腰に当て、スロットにトランプのカードを模した札を差し込む。
同時にバックルから出現したオリハルコンエレメントで構成されたカードの如き物質が、セイバーの腰に巻き付く。
待機音が鳴り響き、セイバーがポーズを構える。
「……変身!!」
『Turn Up』
バックルのグリップを引き、スロットが仕舞われスペードのような紋章が露となる。
紋章からは蒼いカードのようなオーラがセイバーの目の前に出現し、じりじりと彼に近づいてくる。
「ウェェェェェェイ!!」
セイバーは長方形のオーラに向かってダッシュし、そこを通り抜ける。
通り抜けたセイバーの姿は銀と紺を併せた鎧戦士へと変わった。
―仮面ライダーブレイド。
BOARDの烏丸所長の提唱から始まり、アンデッドを倒すヒーロー職となり、果てはとある伝記を基にしたテレビ番組ともなった英雄の代名詞。
それが今、300年の時を経て、聖杯の手で蘇ったのだ。
ブレイドとなったセイバーは、そのままバーサーカーに向かって走り出す。
100mを僅か6秒で走破するほどの脚力で、セイバーはバーサーカーの元へと向かう。
しかしバーサーカーとて待ち惚けている訳には行かない。
「ウルァァァァァァァ!!」
バーサーカーもまた、背中から巨大な鎌を取り出し応戦の構えを取る。
―大鎌・首削。
「The World R:2」において新装されたジョブ「錬装士(マルチウェポン)」が「2ndフォーム」へとジョブエクステンドすることにより入手できる大鎌。
それまで双剣での戦いしか許されなかったマルチウェポンが、初めて他の武器を手にとって戦うことが許された証の一つ。
まるで魔物の牙の様な不気味さを催すそれは殊更、死神の如きイメージを与えていた。
最も、「The World R:2」においてPK狩りをしていたバーサーカーにとって、死神程相応しい名はないであろうが。
しかし、セイバーとて負けてはいられない。
セイバーは走りながらも腰にあるラウザーホルスターから、銀色の剣を引き抜く。
そしてそれを、バーサーカーの鎌にぶつける。
「ウェア!」
―醒剣ブレイラウザー。
「運命を絶ち斬る閃光の蒼(ライダーシステム・ブレイド)」の要となるアイテムの一つ。
ブレイドの唯一の武器であり、ラウズカードの力を引き出す機能も搭載されている便利な装備である。
「ウェェェェァァァァァ!」
「ウォァァァァァァァァ!」
数多のアンデッドを斬ったセイバーの剣と、幾多ものPKを狩ったバーサーカーの鎌がぶつかる。
その中でセイバーは、バーサーカーの狂気と憎悪に塗れたその表情、オーラにやや戦慄していた。
それはまるで、本能に飲み込まれた嘗ての親友のそれに良く似ていた。
だがそんな些細な事でセイバーの意志は揺るがない。
バーサーカーの狂気を弾き倒さんと、ブレイラウザーに更に力を入れる。
「ウェイッ!」
力押しの勝負は、セイバーがバーサーカーを弾き飛ばして決まった。
セイバーのスキル「融合係数」。
セイバーの意志に比例してパラメータに補正を掛け、ライダーシステムに更なるパワーを与えるスキル。
特にセイバーの融合係数は、ジョーカーにすら成り得た程の値であり、ジョーカーとなった今となれば融合係数は規格外の数値を叩き出しているはずだ。
「ウゥゥァァァッ……」
セイバーに弾き飛ばされたバーサーカーは、鎌のない左手を地面に置きながら身体を後ろに滑らせる。
「ウガァ……」
そして鎌を消滅させた後、今度は背中から、赤い光とともに大剣を召喚する。
―大剣・大百足。
チェーンソーの様な形状をした特殊な大剣。
バーサーカーがまだハセヲと言う名だった頃から愛用していた代物であり、非常に高い強度を誇る。
キュィィィィィィィィンと、耳をつんざく様な金属音が鳴り響く。
バーサーカーは、スキル「魔力放出」により大百足に炎のようなオーラを加える。
そして危険を察知したセイバーも、ブレイラウザーを逆手持ちにして、武器のない左手の方でラウザーの柄を引っ張る。
出てきたのは、何枚ものカードが入ったホルダー。
それが、宛らカードゲームの手札の様に並べられている。
セイバーはそれを、慣れた手つきで二枚のカードを取り出し、すかさずラウザーのスリット―カードリーダーに読み込ませる。
『SLASH』
『THUNDER』
トカゲの始祖を封じた斬撃のカテゴリー2。
鹿の始祖を封じた電撃のカテゴリー6。
それぞれの力が、ブレイラウザーのパワーで覚醒させられる。
スキャンされたカードからは紋章のエネルギーがそれぞれ出現し、ブレイドの胸に吸収される。
『LIGHTING SLASH』
コンボ技の名が、ラウザーから電子音声に乗って流れ出す。
ラウズカードの力の相互作用によって発せられる「コンボ技」。
今まさにそれが、セイバーによって発動されようとしているのだ。
「SLASH」の斬撃強化能力と、「THUNDER」の電撃能力の複合技、それが「ライトニングスラッシュ」だ。
セイバーが構えたブレイラウザーに、電撃エネルギーが纏わりつく。
丁度その時である。
「ヒヤアアアアアアアアア!!」
セイバーよりも、一先ず先にチャージを完了したバーサーカーが、セイバーに向かって再び走り出す。
炎の竜巻を、そのまま小さくしたかのようなその得物を、セイバー目掛けて振り下ろそうとする。
だがセイバーも、また、雷電の刃と化したブレイラウザーを、バーサーカーに向けて構える。
「ウェェェェェイ!!」
只でさえ全ての物質を輪切りにすると言われたブレイラウザーに、不死生命体の力を加えたセイバーの雷刃。
「The World R:2」にて語り継がれたPKKの武器を、アウラの眷属の力と憎悪で増強させたバーサーカーの炎刃。
雷と炎。
今まさに両者が激突し、広範囲に渡って衝撃波が発生する―
はずだった。
バーサーカーの炎が、セイバーの雷にぶつかろうとした瞬間。
突如、上空から彗星のような光弾が、セイバー、そしてバーサーカーの剣を弾いたのだった。
「うわっ!」
「ウラッ!」
セイバー、バーサーカーの両者は、逆の方向にそれぞれ仰け反り、倒れる。
「うぅっ……。」
「ウルッ……。」
両者が立ち上がった時二人は、サーヴァントの気配を更に感じた。
その気配を追って上空を見上げた両者は、上に、何やら大きな人らしい物を発見した。
しかし幾ら目が良かろうと、両者にはその姿はあまり良く見えなかった。
分かるとすれば、その巨人の全身が赤一色であることぐらいのものだ。
◆ ◆ ◆
「しかし、随分と酷い命令だな……」
ライダーのサーヴァント、フル・フロンタルは上空に浮かぶ己の宝具「可能性を喰らう者(シナンジュ)」のコックピットでそう呟いた。
先程までセイバーとバーサーカーの戦闘を監視していたライダー。
その時に、マスターである累から命令を受けたのだ。
『むざむざ目の前の人が争うのを放っておく訳には行かない、戦いを中止させて下さい』と。
その命令を受け、ライダーはシールドに隠されていたロケットバズーカを取り出し、それをセイバーとバーサーカー双方に向けて発砲した、と言うことだ。
それは聖杯を求めんと画策するライダーにとってはあまりにも不都合な行動であった。
聖杯戦争とは情報が鍵となる。
モビルスーツのカタログスペックが把握しやすく、作戦と士気が戦況を左右する戦争とは大違いだ。
乱暴に言えばユニコーンの様な試作機や専用機が秘匿されている形で四方八方にひそんでいるような物。
ましてやライダーの宝具は、攻撃というよりも技能に特化されている。
自身の宝具「可能性を喰らう者(シナンジュ)」は、あのアクシズ・ショックを発したガンダムが雛形になっていることもあり、その性能は必然的に従来のモビルスーツを凌駕する。
そして、操縦者の思考を感受することが出来る高い追尾性と、デブリの中を通常の3倍の速度で駆け抜けられるほどの機動力をも有している。
成る程、少なくともライダーが生きたU.C.0090年代においては最高レベルと言って過言ではないだろう。
だがそれだけだ、シナンジュには、あまりにも火力が足りなさすぎる。
ネオ・ジオングを駆った世界の己が喚ばれていたのなら、その限りではないだろうが。
そして自身のもう一つの宝具「赤き墜星、再臨の英雄(ローター・ヘルト)」の特徴は、自身にシャア・アズナブルの能力を付与させると言った物。
しかし純粋なスペックが上がろうとも、仮にあのシャア・アズナブルであろうとも勝てると言い切れない者がいたとしたらどうする?
シャアの代役たる自身が、それに勝ちうることは有るのだろうか?
ならば如何にすれば良いのだろうか。
それは相手の手の内を知ることにこそある。
本来、ライダーが聖杯を獲ることを許されているのなら、まずセイバーとバーサーカーの戦いを傍観し、その能力を知ることが大切だ。
火力と奥の手に乏しい自身が序盤から攻撃を仕掛けるなど、愚策極まりない話だ。
まず敵の手の内を知り、それを糧にして勝利への活路を見出していくことこそが、最善の道のはずだ。
おまけに敵が同士討ちしてくれる可能性だってある、むざむざ序盤から突っ込んでいく必要など無いだろう。
「やはり似ているな、彼に」
自身の方針を否定したマスターに、嘗て己に忌まわしき光を見せた少年の姿を思い浮かべながら、ライダーはもう一度呟きかけた。
◆ ◆ ◆
ビルの陰から上空にあるサーヴァントを発見したミカは、内心舌打ちをした。
ステータスは確認できる、クラスはライダー、パラメータは大半がEランクだ。
だがあの宝具がそのパラメータと言う概念を完全に埋めている。
とてもバーサーカーの敵う相手ではない。
撤退を考えようとした、その時である。
「ヴゥォァァァァァァァァァ!!」
立ち上がったバーサーカーが再び動き出し、空間に穴を開けたのだ。
SE.RA.PHに空いた長方形の穴から出たのは、順序よく降り固まった無数の刃。
「またあの攻撃かよ……。」
ケイタはビルの陰から、恐怖で怯えたような甲高い声と唖然とした表情でそれを見つめていた。
幾ら都市伝説と二人歩きしていようが、所詮はネットワーク回線からの逃亡劇ですら怯えるような少年だ。
殺し合いを見て怯えないはずがない。
「ケイタ!お前は下がっていろ!」
直後、ケイタの危機に感づいたセイバーが、再びカードホルダーを展開しカードを引き抜く。
引き抜いたのはカテゴリー7「METAL TRILOBITE」。
硬い甲羅を持った三葉虫の始祖を封じたカードだ。
その能力は「硬質化」。
セイバーも使ったことは無いカードだが、マスターの盾には十分相応しい代物だ。
しかし、セイバーとケイタの感じた危険はすぐに去った。
バーサーカーが召喚した剣の群れは、そのままセイバーに直進するのかと思えば上空に向かって90度旋回。
まるでロケットのように天高く飛んでいった。
「何だよ、あれ……。」
だが、ケイタとセイバーが、ボーゼンとした表情でそれを眺めていた、その時である。
「よう、随分と楽しくやってるじゃねぇか、俺もちょいと混ぜてくれや。」
不意に、軽そうな口調の声が響いた。
「誰だ!」
セイバーが声の主を探そうと辺りを見回した時。
そのサーヴァントは確かにいた。
セイバーとバーサーカーの間の位置にそびえ立つビルの屋上に。
全身を蒼いタイツで纏い、紫色の布で巻かれた槍を持った一人の男が、確かにいたのだ。
其の姿に、セイバーは仮面越しで不安気な表情を浮かべる。
「これで三体目か……。」
『『ケイタ、あのサーヴァントのクラスは?』』
「……ランサーって奴だけど、多分セイバーより強いかも。
ていうか、二人同時に言うなって……」
セイバーとセブンが同時に問うた質問に答えながらも、ケイタは曇った表情を見せる。
多少なりともゲームの心得のあるケイタからしても、あのランサーの戦闘力は一級だ。
今のセイバーとでは数値的に、大きく差が開いている。
+補正が有るだけセイバーには勝つ可能性が無きしもあらずだが。
「どうすりゃ良いんだよ……。」
◆ ◆ ◆
バーサーカーが召喚した刃が、上空へと向かう。
狙うは、上空にいるライダー。
「む!?来たか!」
スキル「強化人間」による卓越した直感が、ライダーに危機を知らせる。
シナンジュの向きを上空へと定め、移動しながら右手に固定されているロケットバズーカを前上へと投げ飛ばす。
そして直ぐにビームシールドでそれをキャッチし、推進力を上昇させる。
シナンジュのスピードは増し、刃の嵐から遠ざかっていく。
だがバーサーカーの刃はシナンジュの下へと方向を変え、其処からライダーの眼の前に向かう様に方向を定めた。
これがまともに当たれば、確実にモビルスーツであろうとも鉄屑へと変えられてしまうであろう。
しかし、ライダーの直感能力と、シナンジュの感応機能がそれを許さなかった。
刃が方向を自身の真上へと変えようとした瞬間。
それにライダーの強化人間としての直感が働いた。
幾ら強化人間であろうが、その力はニュータイプとは大差ない。
類稀なニュータイプとしての力を見せつけた赤い彗星の挿げ替えたるライダーとなれば、尚更だ。
何時も通りに避けようと思えば避けられる。
だが、このまま追いかけっこを続けていれば、何時迄も埒が明かない。
そう考えたライダーは、ビームシールドを構える。
刹那、刃の嵐はビームシールドにぶつかり、ビームシールドに大きな衝撃が働く。
確かにビームシールドの強度でなら、シナンジュにダメージが与えられること自体は防げるであろう。
しかし、衝撃を吸収しきれなかったビームシールドはその場で砕け散り、光の粒子となって消滅する。
だがその御蔭でライダーの組んだ戦術は功をなした。
ビームシールドで弾かれた衝撃で群れを作っていた武器はアチコチに分散した。
剣、槍、鎌、大剣―蛇のような鉄の塊を形作っていた数々の武器が、飛ぶ力を失い上空から落下していく。
地面にすらまだ遠い位置で武器は、形を作っていたポリゴンへと変わり消滅していった。
そうして消滅していった武器を、ライダーは虚しい眼差しで見つめていた。
◆ ◆ ◆
(願い、か……)
セイバー、剣崎一真にも、叶えたい願いがないわけではない。
寧ろ自身と、相川始を人間に変えて、あの頃のような日々を送れると言ったら、どんなに幸せなのかと思う。
あの地獄のような300年を、過ごさなくて良い人生が送れるとしたら、どんな―
だが、それは叶えては行けない。
剣崎には、それが一番良く分かっていた。
己がアンデッドになった事で、皆は平和に過ごせた。
それを他者の生命を糧に叶えることは、剣崎には到底出来っこない。
故に―
「いや、無い、でも俺のマスターは、なるべく元の世界に返してやりたい。」
己には願いがあると、セイバー…剣崎一真は言い切れなかった。
そしてランサーは、セイバーと其のマスターには願いが無いと理解した。
「そうか、だったら話が早ぇ。
おい、バーサーカーのマスター、攻撃はしねぇから返事を―」
とその時、バーサーカーの身体が徐々に光の粒子へと変わっていく。
赤黒いバーサーカーの身体は、徐々に光へと変わり、バーサーカーは霊体化した。
「話には乗らねぇ、ってか。」
つまんなさそうな表情で、ランサーはバーサーカーが立っていた地面を一瞥した。
そしてセイバーへと再び視線を向け、会話を再開する。
「それで、話ってなんだよ。」
まず先に話を切ったのは、セイバー。
「話ってのは、同盟だよ、同盟。」
「同盟?」
「そうさ、俺のマスターは、どうやらこの聖杯戦争の打倒を目論んでいるらしい。
其処で、仲間を集めているって言う訳さ。」
◆ ◆ ◆
人っ子一人いないビル街を、ミカは素早い速度で疾走る。
常人以上の身体能力を持つ吸血鬼とならば、その足の速さは相当な物となるであろう。
あのライダーと戦い続けることは、ミカにしてみれば愚策中の愚策だ。
如何なる宝具であるかは確認できたが、それでも序盤で戦うのは余りにも危険すぎる。
攻撃を止めるよう命令を出しておいて正解だった。
そしてオマケに、同盟を組めなどと抜かすサーヴァントが出たとなれば、ミカが留まる理由など最早無いに等しい。
そう考え、ミカはバーサーカーを霊体化させ離脱したのだ。
だが今の所、ミカの魔力はそう枯渇はしていない。
だが、これ以上戦闘を続ければその限りでは無くなる。
あのセイバーのパラメータはバーサーカーと比べれば下だが、それでも+補正がアチコチについている。
詰まる所バーサーカーを上回る可能性の有るサーヴァントなのである。
これでミカが対峙したサーヴァントは―己のバーサーカーを除けば3体目。
しかし情報は足りない。
おまけにミカの魔力は膨大でこそあれど有限だ。
序盤で湯水の如く使ってしまっては確実にバテてしまう。
(無闇矢鱈と首を突っ込むのは愚策か……!)
先程のアヴェンジャーとアサシンにしてもそうだった。
あの時のアヴェンジャーのパラメータが低かったことに目をつけ不意打ちを食らわしたは良い物の、それは突如現れたアサシンに防がれてしまった。
それにパラメータが殆どEランクだったセイバーですら、パラメータを増強させる宝具を所持していた。
イレギュラーにも程がある、このまま弱そうなサーヴァントに不意打ちを食らわせては、確実に同じ轍を踏んでしまうであろう。
(当分、バーサーカーは出させないようにしよう……)
ミカはそう考えながらも、街を走り続けた。
見つけたサーヴァントは3体、聖杯戦争は始まって間もない。
ならば、こうして身を隠して傍観するのが―やはり得策だ。
【百夜ミカエラ@終わりのセラフ】
[状態] 健康、膨大な魔力
[装備] 「剣」
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生だが孤児院住まいなのでそんなには無いだろう
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。まずはある程度情報を入手してから、
バーサーカーの火力で他の敵を潰していく
消耗は避ける
1.『家族』を巻き込まない様にする
2.慎重に行動する
3.不意打ちは止めておく、当分は偵察のみで。
4.このままSE.RA.PH全域を回っていく。
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました。
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを確認しました。
4.ライダー(フル・フロンタル)を認識、ステータスを把握しました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
6.予選時点でクルル・ツェペシから貰った血を幾らか持ってきていましたが、決戦時点で既に飲み干しています。
クルルの血と吸血鬼が持つ魔術回路のお陰で魔力は大量に有りますが、回復が出来ないので慎重に。
【バーサーカー(黙示録の獣)@.hack//G.U.TRILOGY】
[状態] 健康
[装備] 無し
[道具] 無い
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)、ライダー(フル・フロンタル)を確認。
4.ライダー(フル・フロンタル)に刃の嵐を投げつけました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
◆ ◆ ◆
「同盟、か……。」
物陰からセイバーとランサーの会話を聞いていたケイタは、どうしようか迷っていた。
確かに、今のケイタには聖杯で叶えたい願いはない。
だが、その御蔭で今のケイタは、嘗ての仲間や組織と出会えたのだ。
それが例え偽りの物だとしても、失った物が贋物であろうと、それは確かに嬉しいことではあった。
だが、何時迄もこのままでいようとは思わない。
ケイタには、帰るべき場所が有る。
元の世界という帰るべき場所が。
ケイタがこの世界に来て、概ね一ヶ月は過ぎているであろう。
過去との奇跡的なすれ違いにしては、十分すぎるほどの期間だ。
それに、他者が死んでいくのを放っておく訳には行かない。
それに元の世界にタダで帰られるとなれば、ケイタが取るべき道は決まった。
―とその時である。
ふと、ズボンのケースにぶら下がったセブンから、ピロロロロと聞き慣れた着信音が鳴ったのだ。
ケイタは直ぐにセブンを取り出し、着信相手を確認する。
「え?えーと、何て読むのこれ。」
『学業は相変わらずか。これはにのみや……ウッ……ウォォォォォォ!!』
異変は起こった。
ケイタの掌に収まっていたはずのセブンは、突如彼の手から落ちる。
アクティブフォーム……手足を展開し、フォンブレイバーの機能を最大限活用する形態に変形したセブンは、まるで脳が痺れた様にディスプレイを押さえ込む。
並列分散リンクや宇宙ウイルスを経験したケイタとセブンからすれば、確かに見慣れた光景では有るものの、明らかに異常事態であることは分かりきっていた。
「おい!大丈夫か!セブン!おい!」
ケイタが、慌ててセブンを手で拾い上げる。
セブンが手足をバタバタさせているのは、昔手に取ったハムスターに暴れられている感覚に、良く似ていた。
「ぬあああああああ……やはり、並列分散リンクと同じような感覚だ……容量は圧倒的に小さいが、それでも……このデータには異常が……
ぬぅあああああああああああああ!」
セブンの叫びとともに、ディスプレイから光が発せられる。
「うわっ!」
あまりの眩しさに、ケイタは思わず眼を覆いセブンを落としてしまう。
それは光というよりは、青色の電光と言った表現の方が正しかった。
ディスプレイから電撃が出てくるのもやはり慣れているが―何かが違う。
その電光の様な何かは、突然上空に上がったかと思えば、突然ピカッと更に光を増し、一瞬ケイタの視界は真っ白になった。
その一瞬が終わり、光は収まった。
覆い隠した眼をケイタが開けば其処には、全身が青色の人型の「何か」が、其処にいた。
そしてその何かが、口を開く。
「君が、あのセイバーのマスター、網島ケイタ君だね。」
「へ?何で俺の名前知ってんの……。」
ボーゼンとした表情で見つめるケイタを見て角をカキカキと掻いた様な手つきを見せた累は、ハァっと溜息を付いた。
「……すまない、君を驚かせるつもりはなかったんだ……バードアウト。」
直後、累の上下にそれぞれ、光のリングが出現する。
それは累の身体をすり抜け、光が発した瞬間累は元通りの女装姿を取り戻した。
眼の前にいるケイタは、開いた口が塞がらなさそうな表情のまま頷いた。
「え、アンタセイバーみたいに姿変えられんの?」
「まあ、そんな所かな。」
―ガッチャマン。
正義と平和を護る、テレビのヒーローを具現化させたかのような存在。
累は、そのガッチャマンの資格を持つ人間の一人である。
身体から引き抜いた「G-NOTE」を使用して、ヒーローに変身する力を持つ資格を。
そんな彼の持つ力とは「ネットワーク移動」。
自身の身体をネットワークに移し、端末やアンテナを媒介にして移動行為を行う力。
累はそれを利用して、此処に移動してきたのだ。
本来ならGALAXカーがあれば、それで直ぐに移動できるのだが、生憎時間がなかった。
「ケイタ!大丈夫か!」
眩い光に気づいたセイバーとランサーが駆け寄ってくる。
それに気づいたケイタと累も、直ぐに駆け寄る。
「ありがとなセイバー、大丈夫。」
「ああ、良かったよ、無事で。所で、さっきの光は…」
其処で、累が答える。
「それはボクの仕業です。」
「あ、そういや名前聞いていなかった。」
ケイタが口をはさむ。
「そういや確かにな、まあ聖杯戦争のマスターであることには間違いないと思うけど、君の名前は?」
セイバーの問いに、累が答える。
「爾乃美家累と言います。先程、上空に浮かんでいたライダーのマスターです。」
「ほう、あのデカブツのマスターが嬢ちゃんって訳かい?」
と、ランサーが問いを更に投げつける。
「そういうことに成ります、ライダーさんも、直ぐに此方に来てもらえませんか?」
其の呼びかけに答え、突如強い暴風が周囲に襲い掛かる。
セイバー、ケイタ、累が皆手でその身を覆う中、その男は現れた。
降り立ったのは、一体の紅い巨人だった。
不気味さを漂わせる額の角と、特徴的な一つ目。
背中にはやや大きめの翼が背負われ、胸と袖には華やかな装飾が施してある。
軍服のような装飾の付いた胸が、パカリと開く。
中から出てきたのは、赤い軍服にその身を包んだ、仮面の男。
冷たい表情を浮かべながらもその男は、操縦桿を握りしめ、下にいる4人を見下ろしていた。
「成る程、君もその同盟に入るつもりなのかい?ルイ君。」
「オイオイ嬢ちゃん、もしかしてアンタも俺達と組むつもりなのか?」
ライダーの冷たい口と、ランサーの軽い口が同時に累にかかってくる。
しかし累は落ち着いた顔と強い口で、それに答える。
「はい、そのつもりでいます。
ランサーさん、貴方と出会えたことは、僕にとっては嬉しい話です。
実は僕も、聖杯戦争を脱出する手段について探していた所なんです。
仲間が増えるとなれば心強い話です、手を貸していただけませんでしょうか。」
累はそう言うと、ランサーに手を差し伸べる。
ランサーはそれを見て、一瞬驚いた表情を見せるが、直ぐにフゥっと息をつく。
「あいよ、ま、俺はあくまでもマスターの代理人だから手を握れる立場かどうかは知らねぇがな。」
そう言った後、ランサーは累の手を握る。
ライダーが相変わらず冷めた表情で見つめる中、ケイタとセイバーは、それを心なしか穏やかな表情で眺めていた。
握手を終えたランサーは、今度はケイタとセイバ―の向きへと振り返る。
「んで、お前さんがそのセイバーのマスターなんだよな、坊主。」
ランサーの軽い顔に思わず緊張がほぐされたケイタは、微笑んで答える。
「まあ、そうだけど。」
「お前さん、聖杯にかける願いとかはねぇんだよな。」
「まあ、無いといえば無い……かな。」
「そうかい、じゃあ、明日にはマスターの居場所を俺が案内しておくから此処にまた集まってくれ、集合時間はどうする。」
「僕は残念ながら学校が有るからね、放課後にしておくよ。」
「俺もそんなもん。」
ケイタと累は仮にも学生だ。
例え仮初の生活とは言え、学業ぐらいには専念しておくべきであろう。
ランサーはそれを聞くと、ウンと頷いた。
「んじゃ、俺は他の主従を探しに行って来るわ。続きは明日だ、来るのを楽しみにしているぜ。」
ランサーはそう言うと、ビルというビルを飛び回りながら姿を消して行った。
彼が姿を消した後、累はケイタに顔を向ける。
ケイタは、それを不思議そうに見つめる。
「これからも宜しくね、ケイタ君。」
「ん、まあ、宜しく。」
「所でケイタ君……」
ふと、累が非常に興味深そうな表情で辺りを見回す。
「その、先程の携帯は何処へ行ったのかな?」
「げ、バレた!」
フォンブレイバーの存在は最機密事項だ。
一部の知り合いには普通に見せていたとは言え、これをどう見せるか。
しかし、セブンは何処へ行ってしまったのだろうか。
と、ケイタが考えていた、その時である。
『バディ、携帯は落とすものでもない。』
其の言葉に反応し、ケイタが下に顔を向ける。
見てみれば、イライラとした表情を浮かべながらも、セブンが歩いてきている。
「やべッ……御免な、落としちまって。」
『ケイタ、私はこう見えても人類の科学力の結晶にして限りなく人間に近い思考を持ったメカなのだ。
もう少し気遣いと言うものを覚えてくれ……。』
「分かったよセブン、リトラクトフォーム。」
『ぬぉっ!』
ケイタの命令に反応し、セブンがジャンプ。
空中で回転しながらも素早く両手両足を背中に折りたたみ、セブンの右掌の中に。
その様に、累が驚きを見せていたことは、言うまでもない。
こうして携帯の姿を再び取り戻したセブンをケースに仕舞い、ケイタは累に手を振る。
「んじゃ、また明日……」
『待てバディ。』
「今度は何。」
『任務のことを忘れていたか、我々は此処らにあるGALAXサーバーを探していたはずなのだが。』
忘れていた。
自分は確か、GALAXが置いてあるサーバーを捜索しようとしていて……
と思った所で、累が声を挙げる。
「あ、GALAXのサーバーのことかい?それなら僕が案内するよ。」
「へ?何でアンタGALAXのある場所知ってんすか?」
「何でって……GALAXの運営者、僕だから。」
累がにっこりと微笑む。
昔の自分なら確実に秘匿していたことだろう。
カッツェの一見があったからこそ、こんな事は躊躇なく出来たことだとも思う。
『はああああああああああああああああああああああ!?』
「ええええええええええええええええええええええええええええ!!」
ケイタとセブンの絶叫が、街中にこだます。
こんな子供がアプリケーションを管理していたなど、聞いたこともない話だ。
ワクチン企業の令嬢が会社のサーバーを使っていたと言う前例はあったのだが。
「マジかよ……。」
『ラ、ラッキーじゃないか、ケイタ、ほら、ターゲットが、見、見つかったぞ。』
明らかにセブンまでもが動揺している。
ケイタも、開いた口を塞げることを知らずに答える。
「うん、そうだね。」
「ま、まあ気持ちは……分かる……分かる…んだけどね…。」
一人と一機の動揺には、流石に累も「仕方ない」と苦笑いを浮かべる。
【D-6/ビル街/1日目 夜(21:30)】
【網島ケイタ@ケータイ捜査官7】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] フォンブレイバー7
[所持金] 貧乏(一応エージェントなのでそれなりに貯金は有るはずだが、普段はセブンが口座をハッキングして勝手に使えないようにしている。
[思考・状況]
基本行動方針:SE.RA.PH生活を謳歌する。
1.アンカーのミッションの為、爾乃美家累に同行する。
2. ランサー(クー・フーリン)の同盟話に乗る。
3. 人を殺したり殺すのを見逃したりするのは真っ平御免。
[備考]
・ライダー(フル・フロンタル)を確認、ステータスを把握しました。
・バーサーカー(黙示録の獣)を確認、ステータスを把握しました。
・ランサー(クー・フーリン)を確認、ステータスを把握しました。
【セイバー(剣崎一真)@仮面ライダー剣】
[状態] 健康、ブレイド変身中
[装備] ブレイラウザー
[道具] ブレイバックル、ラウズアブゾーバー、ラウズカード
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。
1. 願いを叶えることについては悩んでいる。
2. ランサー(クー・フーリン)の誘いに乗る。
[備考]
・ライダー(フル・フロンタル)を確認、ステータスを把握しました。
・バーサーカー(黙示録の獣)を確認、ステータスを把握しました。
・ランサー(クー・フーリン)を確認、ステータスを把握しました。
・霊体化は出来ません。
【爾乃美家累@ガッチャマンクラウズ】
[状態]
[令呪]残り3画
[装備] NOTE
[道具]
[所持金] 裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争からの脱出。
1.網島ケイタ君をGALAXサーバーに案内する。
2. Xには申し訳ない。
3. 間明蔵人…一体何者なんだ……
4.ランサー(クー・フーリン)の誘いに乗る。
5.明日朝にはXを解放したい、状況次第ではCROWDSも配布する予定に有る。
[備考]
・バーサーカー(黙示録の獣)を確認、ステータスを把握しました。
・ランサー(クー・フーリン)を確認、ステータスを把握しました。
・セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを把握しました。
・間明蔵人対策の為、現在Xはワクチン制作に励んでいます、それが出来次第GALAXのX機能は解放される予定です。
【ライダー(フル・フロンタル)@機動戦士ガンダムUC】
[状態] 健康
[装備] 「可能性を喰らう者(シナンジュ)」
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を獲得する。
1. 当分は累の方針に従う。
2. 代わりのマスターを探すことも考えておく。
3.累が自滅することを信じて疑わない。
[備考]
・バーサーカー(黙示録の獣)を確認、ステータスを把握しました。
・ランサー(クー・フーリン)を確認、ステータスを把握しました。
・セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを把握しました。
【ランサー(クー・フーリン)@Fate/stay night 】
[状態] 健康
[装備] 刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)、現在はケイネスが用意した宝具の正体を隠すための呪符が巻かれておりそれを外さなければ真名解放は不可能である。
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従う。強者と死力を尽くして戦う。
1. 他の主従を捜す
[備考]
1.同盟の申し出を受けた組には、二日目の(21:30)頃に【D-6/ビル街】に集まる様に伝える。
2.セイバー(剣崎一真)、ライダー(フル・フロンタル)、バーサーカー(黙示録の獣)のステータスを把握しました。
以上で、
網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)
ランサー(クー・フーリン)
爾乃美家累&ライダー(フル・フロンタル)
百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣)
の投下を終了させていただきます。
誤字脱字、話の内容への疑問等が有りましたら教えて下さい。
それと、◆TAEv0TJMEIさんの投下の感想を忘れてしまったので、今此処で書かせていただきます。
ご投下ありがとうございます。
成る程、やはりクロスローダーに反応しちゃいましたか貴族さん。
タイキの様に困っている人を放っておけないハンターとしての意思が生きているリョウマがそれをハントしにやって来る!
それとオバロ世界にまで仮面ライダーが放映されていたとは驚きました、22世紀になっても仮面ライダーは走り続ける。
聖杯戦争の設定にデジモンやオバロの設定が上手く当てはめられていることに感激しました。
ご投下ありがとうございます、感想遅れて申し訳ございません。
それと、
宜野座伸元&セイバー
アール&アーチャー(北岡秀一)
ラウ・ル・クルーゼ&アサシン(大道克己)
の予約を破棄します、長時間のキャラ拘束、申し訳ございませんでした。
やはりミカ&獣の地力が高くても燃費が悪いのと回復出来ない組み合わせじゃ勝ち目は薄いか。
二人とも小技が効かないし
投下します
「結構派手にやったねえ〜」
戦場となった校庭に戻ってきたさやかはしみじみと呟いた。
切断されて倒れた木、粉々になって散らばる立木の残骸、荒れ狂う剣風により抉られた地面と飛び散った砂礫。
こんな戦いに巻き込まれたら流石に死んでいただろう。もう一緒に戦うというのは諦めた方が良いのかも知れない。
「マミさんみたいに銃でも使えたらな」
当たるかどうかは別として、さやかはそう思う。
「この程度の被害で済んで幸いでした」
ラゼィルが本心からの言葉を言う。
校庭にかなりの損害が出て、校舎にも穴が空いたが授業が行われなくなるような損害では無い。
学校が閉鎖されるような事態になることは無く、明日も生命に満ちた学生達で溢れかえるだろう。
“狩場”は贄となる生命で満ちていなければ意味が無い。
ラゼィルは折角整えた“狩場”を使わぬままに終わらせたくはなく、校舎に損害が出なかったことを心から安堵していたのだ。
この校舎から人が絶える時とは、“神楽”の時に他ならない。
龍骸装で斬り裂かれ。我が麗しき神楽の舞い手(バイラリナ)の振るう嘆きの鉈で肉塊へと変えられ。そして凄煉の業火で校舎ごと生きながらに火葬される。
これこそが、此の地に命が満ちる意味。畑一面に実る麦穂の如くに刈り取られよ。
ラゼィルはこの学び舎と、此処に通う生徒達に、“神楽”の贄として以外の終わりを認めない。
その為ならば如何なる敵も打ち倒す。
さやかとは全く異なる動機だが、ラゼィルもまた、この校舎護る決意を持っていた。
「それでさ、さっきランサーが言っていたことなんだれど」
ラゼィルの心中を知らず、さやかがラゼィルに訊ねる。さやかとしては同盟には賛成なのだが、自分よりも経験も思慮もあるこのキャスターの意見の方が、
自分の考えよりも正しいだろう。
そう考えて、ラゼィルに同盟の件について訊いてみたのだ。
「受けるべきでしょうな。あのセイバー紛いの女は、まずこの申し出に乗るでしょうから」
あのセイバー紛いのキャスターとランサーは、確実にこの聖杯戦争に於いて宝具抜きの正面戦闘なら最上位に位置する強者であり、ラゼィルでは正面から戦っては勝ち目が殆ど無い。
ラゼィルはダークエルフ族の英雄譚に語られる大英雄であり、その武勲は闇の世界に於いて比類無いが、それでもあの二人は荷が重い。
その証拠に、キャスターはスキル効果と陣地効果で最大限に強化され、複数の武器を用いて奇襲を掛けたラゼィルを相手に無傷で済ませ、あまつさえラゼィルを負傷させた。
そしてランサーはそのキャスターと真っ向から渡り合って引けを取らない冠絶した武練を持つ。
だが、ランサーにしたところで、あの女が最初から全開だったのならば話は異なる。
ラゼィルに手傷を負わせたあの暴威。ランサーを弾き飛ばしたあの剣威。
要所要所でしか用いなかったが、アレを最初からずっと振るわれていれば、ラゼィルはこの聖杯戦争に於いての隠し札、我が麗しき神楽の舞い手(バイラリナ)の使用に追い込まれていただろう。
キャスターがそうしなかったのは、初日であるということもあるだろうが、膨大な魔力を消費するあの一撃を連発する訳にはいかなかった理由があるに違いなかった。
ラゼィルはその理由をマスターの魔力量が少なく、それを気遣って使用を控えたものだと推測していた。
あのキャスターは絶大な戦闘能力を持つが、それを支える持久力がおそらく欠けている。
ならば敵を減らし、数の利を得るという、キャスターにとっての有益な条件を齎す同盟という申し出を断るわけが無い。
それに呼び掛けたのはあのランサーだ。格好と言動は巫山戯ているが、あれだけの戦士と手を組む機会を棒に振る愚を犯すほど、キャスターは愚かではあるまい。
無論。ランサーが仕掛けた罠という可能性を考慮してはいるだろうが。
こうなるとラゼィルとしては組むより他に手はない。
聖杯戦争に於いての屈指の強者二人が手を組むとなれば、それに乗らなかったラゼィルが袋叩きにされる可能性がある。
一対一でも勝機が薄い者を二人同時には相手にできない。
尤もこれは消極的な理由であって、もっと積極的な理由もある。
─────同盟に乗れば、不意を突き易くなる。
ラゼィルには正々堂々。正面から戦って雌雄を決する。等という思考も思想も存在しない。混沌の民であるダークエルフ族にその様なものは無い。
だが、ただ単に勝てば良かろうというものでは無い。
生前に偉業を成し、死して後に人間共の信仰と憧憬を集めた人間共の祈りの結晶。
そんな極上の贄が此の地には複数存在する。其れ等全てをラゼィルはグルガイアの信徒の務めとして屠り尽くす。
無論只殺すだけでは済まさない。英霊共を汚辱の泥に沈め、悲嘆に慟哭し、憎悪に狂い、怨嗟の呪詛を吐き、
その盛名を自らの行為で穢し尽くす様に殺してこそ、グルガイアへの至高の贄となるだろう。
無論この殺し方ができればl理想だが、英霊共が望む正々堂々の一騎打ち。等をやるつもりは無い。
先刻の戦いにしたところで、真っ当に戦うつもりも無く、さやかがキャスターのマスターを見つければ、それを元にキャスターの動揺を煽り、
キャスターが動揺すれば、隙に乗じて斬り刻んで殺すつもりだったのだ。
キャスターの強さが予想以上だったことと、ランサーという望外の贄の出現で頭に血が上った為に正面から戦ってしまったが。
まあこの事はラゼィルの持つダークエルフ族の性状を偽る上で役に立つだろう。
それにしても今日は危うい処だった。バイラリナをもう少しで使う処だった。
最強の龍骸装である凄煉(セイレン)は、街や森ごと人間共やエルフ共を焼き殺す為に用いる。戦闘で使うのならば巨体を持つ神獣や魔獣を相手にした時位のものだ。
この聖杯戦争の様な超絶の個が集う場所に於いては、発動までに時間が掛かり過ぎる凄煉よりも、小回りが効いて不意打ちが可能なバイラリナの方が有用だ。
バイラリナを使う時は、マスターの暗殺か後ろからの騙し討ち。
そう、方針を決めているラゼィルにとって、先刻の戦闘は基幹となる方針を崩しかねない一戦だった。
─────今後は冷静に立ち回るか。
そんな事を思いつつ。ラゼィルは同盟を組む理由を、ラゼィル自身の思惑を伏せてさやかに説明した。
「成る程。あのサンタにはそんな事情があったんだ」
「あくまでも推測ですが。それと、ランサーがの提案は何らかの策に基づいてのものかもしれません。御注意を」
「了解」
力強く頷いたさやかに、ラゼィルも頷き返す。
「じゃあ、同盟を組むことにするね。キャスターは何かしてこないか警戒をお願い」
「承知しました」
言って,深々と頭を下げるラゼィル。別段マスターへの礼守った訳で無く、吹き出しそうになった顔を隠す為だ。
同盟の呼びかけを聞いた瞬間から裏切る算段をしている自分が、裏切りを警戒しろなどと言われては、笑わずには済ませられない。
「そろそろご帰宅なさるべきかと。私は霊体化して付いております」
そう言ってラゼィルは頭を下げたまま霊体化する事で、邪悪に歪んだ表情をさやかから隠したのだった。
【C-6/学校/1日目 夜(23:50)】
【美樹さやか@魔法少女まどか⭐︎マギカ 】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備] ソウルジェム(濁り無し)
[道具] 姿隠しのマント×2。一枚は効果切れ
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣い程度)
[思考・状況]
基本行動方針:主催者をゆるさない。聖杯を破壊して二度とこんな事が出来ない様にする。恭介やまどかの居る世界に帰還する。
1. ランサーからの同盟の申し出を受ける。
[備考]
1.キャスター(ナーサリー・ライム)を直接、ランサー(クー・フーリン)をラゼィルの目を通して認識。ステータスを確認しました。
2.サーヴァント同士の戦闘がどの様なものかを知りました。
3.現在、帰宅途中です
【キャスター(ラゼィル・ラファルガー)@白貌の伝道師】
[状態] ダメージ(小)
[装備] 龍骸装一式。神の眼。白貌(ホワイトフェイス)
[道具] 姿隠しのマント(効果切れ )
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。 この地に集められたマスターと英霊共を皆グルガイアの供物とする。最後の供物は……
1. あのランサー(クー・フーリン)は絶対にグルガイアの供物とする。
2. サーヴァントもマスターも貶め辱めて殺す。
4.宝具・我が麗しき神楽の舞い手(バイラリナ)は隠し札として伏せておく。
[備考]
1.キャスター(ナーサリー・ライム)、ランサー(クー・フーリン)を認識。ステータスを確認、戦ってある程度手の内を知りました。
2.学校に布陣したことで、敷地内では全ステータスに+が付きます。
3.ランサー(クー・フーリン)から聖杯戦争の主催者に対抗しようとしているマスターの存在を知らされ、同盟の申し出をされました。
※姿隠しのマント
炭で染め抜いた布に黒光りするタール上の粘液で、魔術的な紋様を描いたもの。
闇夜の陰影に身を隠す効果があり、建物の影に寄り添ったり、地面に這いつくばっていると、カンテラの明かりで照らされても気付かない。効果は十五分
呪術的な編み方した縄で括っておくことで、魔力の発散を封じられる。
ラゼィルが道具作成スキルで製作。布は現地調達。塗料は魔力で生成。
投下を終了します
投下乙です。
やはりバイラリナは切り札か、まあラゼィル様が飛び跳ねるほどの活躍していましたしねぇ。
しかし理由はどうあれ学校を守ったラゼィル様はアンチヒーローの鏡やなぁ……
さやかー!兄貴ー!ケイネス同盟ー!後ろ―!後ろ―!
それと、私の投下した「網も丸まれば繭となる」において余分な台詞があったので修正しておきます。
予約を破棄します。
延滞、お詫び申し上げます。
タイトルがひどすぎるwww>目指す理想は
全部持っていきやがったw
百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣、最上リョウマ&セイバー(モモン)、柊シノア&キャスター(布道レオ)、エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ
予約します
ついでに最初から延長申請します
忘れていました
アサシン(大道克己)予約します
おお、初予約ありがとうございます。
予約されたのが、情報集めに徹している克己ちゃんとミカとは……一体どんな戦いが巻き起こるのか、楽しみです!
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト&ランサー(クー・フーリン)
予約します。
先程、「把握資料一覧」の内容を修正させていただきました。
「ギルティクラウン」「ガッチャマンクラウズ」「BLEACH」の内容について追記、修正しました。
投下します。
「ただいま戻ったぜ、マスター。」
聖杯戦争に選ばれたケイネス・エルメロイ・アーチボルトが住む屋敷。
二階に有るは、密閉された様な作りになっている応接間。
今日の偵察を終えたランサーのサーヴァント、クー・フーリンは其処で実体化し、ソファに腰掛けて考え事をしているケイネスに声を掛ける。
「戻ったか、それで、マスターは何人程見つかった?」
やや険しげな表情で、ケイネスはランサーに問う。
聖杯戦争の本戦が始まって間も立っていない頃。
対聖杯を目指すケイネスが序盤に行うのは、まずは同盟相手を見つけること。
現状においてこのSE.RA.PHに残る主従を把握しておく偵察も兼ねて、交渉相手を探す、と言う魂胆だ。
眉間に皺を寄せ不機嫌そうな表情を見せるケイネスに対し、ランサーは相も変わらず軽い態度で、ケイネスの問いに答える。
「今夜発見できたのは5組程だな。」
ランサーは更に詳しく説明する。
何処にでもいそうな平凡な少年と、蒼い甲冑を身に纏って戦うセイバー。
まるで男のように凛々しい少女と、真紅の巨人を操るライダー。
無数の剣を召喚し操るバーサーカー。
漆黒の剣を振るい戦う、かのサンタクロースを模した格好をしたキャスター。
曲刀を振るって戦う、幻想種に近い匂いのする端正な顔立ちを持ったキャスター。
これら五組の特徴を、ランサーは己のマスターに話せる限り話す。
「この内バーサーカーは同盟を拒否した、残りの四組は考えておくと言っはくれたけどな。
残りの四人の内、二組のキャスターは学校に、セイバーとライダーのマスターには彼処のビルに集合するように伝えてある。
集めるのは面倒だが、ま、この方が秘匿するには丁度良いだろう。」
「そうか、良くやった、ランサー。」
己のサーヴァントの報告に、ケイネスはうむ、と頷く。
これで同盟を組めそうな主従は、必要な数は揃った。
パラメータこそは分からないが、それでも興味深い能力を持ったサーヴァントかと思われる。
剣を使うキャスターと言うのは、些か変だとは思うが。
勿論、今後も同盟者を集めていく方針には有る。
だが、数を成すには最低限の主従は揃った。
此処で一息つき、ケイネスは別のことに思考を移す。
(しかし、あの使い魔…一体どの様な仕組みに有ると言うのだ……)
それよりもケイネスが気がかりなのは、先程ランサーが拾った謎の使い魔。
仕組みとしてはゴーレムに近いが、問題は其処ではない。
まず、この使い魔を形作る素材が不明なのだ。
(解剖してみた所幻想種の骸を使ったようでは有るが、しかし私の知るものではない素材だ……)
降霊科の人間とは言え、ケイネスは名の轟いた魔術師だ。
幻想種の種類の一つや二つぐらいなら分かる。
だが、幻想種の骸等、天下の時計塔でさえ持っている数が少なすぎる代物だ。
それを、一体どの様に調達しているというのか。
(或いは、キャスターのサーヴァントか……)
しかし、ケイネスには一つの疑念が浮かぶ。
確かに、「並の」魔術師「でなら」、幻想種を扱った使い魔の作成は困難を極めるかもしれない。
だがしかし、サーヴァントでなら、可能ではないのか。
キャスターにはクラススキル「道具作成」が有る。
魔術師としての逸話によって、英霊の座に昇ったサーヴァントには、必然的に現代では作成が難しい礼装や使い魔の作成が容易に出来る者も時折存在する。
例えば、かの迷宮ラビリンスを生み出したギリシャ最大の建築者ダイダロスの様に。
それにこのランサー、クー・フーリンも、ルーン魔術を扱ったキャスターとしての適性が有るとされている。
(構造自体はゴーレムに近いが、根本的には全くの別物だな)
ゴーレムに関してはある程度齧った程度の知識では有るが、ケイネスにも分からないことはない。
少なくとも、羊皮紙に刻まれたコマンドで動き出す、カバラ系統の魔術で創られた使い魔であるという程度の事ぐらいは。
(しかし、この魔術系統は……)
ケイネスが解析してみた所、この使い魔の素材は、どうやら「生きている」事が判明している。
いや、生きていると一口に言っても、動物を扱った使い魔のように骸をそのまま操っている訳ではない。
この使い魔に使っている素材その物が「生きている」のだ。
(だが、生物を操ると言うのは、とてもカバラでは難しい芸当だ……いや、だがまさか……)
ケイネスは思考する。
確かに、ゴーレムを操る魔術であるカバラには、生きた生物の身体を扱うと言う芸当は難しい。
ネクロマンサーにしてみても、そんなことが出来るとは聞いていない。
ヨーロッパの魔術師であるケイネスにとって、呪術と言うのはあまり馴染みの無い魔術系統だ。
関わった魔術師も、内知っているのは冬木の聖杯戦争の運営者にして参加者であるマキリ。
もう一つは、ケイネスの偽りの記憶に有る時計塔の魔術師。
「柊」と言う日本の名門呪術師だが、其処の若者が、ケイネスの「偽られた」記憶の中で、時計塔の学部で威張り散らしていた記憶を垣間見る。
所詮フェイクの記憶であるため、顔も実力も定かに覚えてはいないが。
(だが、私の知る中でヒイラギと言った魔術師は時計塔には存在しない……まさか聖杯戦争に参加している……等という事は……)
虚構世界、SE.RA.PH。
其処には、ケイネスの知らぬ人間が腐るほど住み着いている。
もしそのヒイラギと言う若い魔術師が、其処にいたとしたら。
(何れは、決闘を申し込むことも、有り得るかもしれんな……)
此処で、思考をその使い魔の件に移す。
更に調べてみた所、この使い魔には、コマンドを打ち込むための「コネクタ」の様な式が組み込まれていたのだ。
ゴーレムで言う所の、コマンドを書き込む為の羊皮紙の様な物だ。
何かしらの礼装を媒介にしてコマンドを打ち込み、操るための物だそうだ。
穴を開けられ機能が停止している以上、動かしようは無いが。
(解析の余地はある、今後も続けるとしよう……)
そう考え、ケイネスはすくっと席を立ち、使い魔の待つ魔術工房の有る部屋に行こうと、部屋のドアノブに足を向かわせる。
窓の外から見える景色を眺めていたランサーは、それに感づき、彼のいる方向に振り向く。
「おい、マスター、戻るのか。」
「工房で調べておきたい物がある、貴様は偵察に戻るが良い。」
冷たい表情で顔を振り返らせたケイネスの答えに、ランサーは、ははん、と納得する。
「まさか、昼間の使い魔の件かい?」
「然り、アレには解析の余地が山程有る、それに他の主従の手先を読む一手にも成りうる可能性が有るからな。
良いかランサー、この件は絶対に漏らすなよ。」
「良いのか?」
「敵に情報が漏れる恐れがある、何より、魔術のいろはも知らぬ者達に何故、それを教える必要がある。」
不機嫌さを顔に浮きぼらせたケイネスの表情にランサーは、おう、と頷いた。
「んじゃ、またサーヴァントが見つかったら声を掛ける、何かあったら令呪で喚べよ。」
「ああ、分かっている。」
そう言った会話を交わした後、ランサーは窓から飛び降り、外から見える屋根と屋根を足場にして飛び去る。
ケイネスはそれを確認し、窓を閉じ、再び魔術工房へと向かう。
本戦が始まって1日目が終わろうとしている。
戦いは、まだまだこれから。
【D-7/高級住宅街/1日目 夜(23:50)】
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備] 月霊髄液(ウォールメン・ハイドラグラム)
[道具]
[所持金] かなり裕福
[思考・状況]
基本行動方針:他の主従と同盟を結び、この聖杯戦争に誅伐を下す。
1. 同盟相手は可能な限り増やす。
2. 自身の手の内は可能な限り秘匿する。
3.何なんだ、この使い魔は
4.昼間になったら、夜になるまで仮眠をとっておく予定に有る。
[備考]
・キャスター(布道レオ)の組み立てた号竜の仕組みを解析しました。
・偽られた記憶においても時計塔にいたそうですが、その時柊暮人と言う生徒が在籍していた、と言う記憶を朧気に持っている。
【ランサー(クー・フーリン)@Fate/stay night】
[状態] 健康
[装備] 刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)、現在はケイネスが用意した宝具の正体を隠すための呪符が巻かれておりそれを外さなければ真名解放は不可能である。
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従う。強者と死力を尽くして戦う。
1. 他の主従を捜す
[備考]
1.同盟を申し立てた相手には、それぞれ出会ってから24時間後に出会った場所に集合するよう伝える。
2.セイバー(剣崎一真)、ライダー(フル・フロンタル)、バーサーカー(黙示録の獣)、キャスター(ラゼィル・ラファルガ―)、キャスター(ナーサリーライム)のステータスをケイネスに報告しました。
投下終了です。
加筆、修正はWiki収録後後程。
すみません、バーサーカー(黙示録の獣)のステータスについて一つ修正。
スキル「錬装士」についてですが、PCデータがバグったと言う意味でランクを「EX」に変更させていただきます。
宜野座伸元&セイバー(朽木白哉)
アール&アーチャー(北岡秀一)
予約します。
カオスヒーロー&セイバー(ガッツ)
刹那・F・セイエイ&アーチャー(ウルトラマンゼロ)
を追加予約します。
予約を延長します
宜野座伸元&セイバー(朽木白哉)
アール&アーチャー(北岡秀一)
投下します。
宜野座伸元とアールが立つ街の道路に、光が指す。
光の正体は、とうとうやって来たタクシーのヘッドライトだった。
やって来たのは、それも二台。
両台のドアがバタリと開く。
宜野座は後方の、アールは前方の車に乗り込もうと足を挙げる。
そしてその直前、アールが口を開く。
「どちらまで向かうんですか?ギノさんは。」
「さて、何処でしょうね。」
気難しそうな顔を作った宜野座はそう返し、車に乗り込む。
アールもそれを確認し、自分の方の車に乗る。
◆ ◆ ◆
「うっ!」
街灯とヘッドライトだけが照らしてくれる夜の街。
其処でタクシーは急に真っ直ぐな公道で曲がりだした。
「どうしたんです?」
ドアにぶつけた頭をなでながらも神妙げな表情で宜野座が、運転手に問う。
「いや、道路にデコボコが有りまして……。」
「……成る程。」
横を見てみれば、辺りのビルが一部ボロボロになっている。
サーヴァント同士の戦いが、此処で繰り広げられていたのだろうか、と独り言ちながら、宜野座は頬杖をついて窓の景色を覗く。
◆ ◆ ◆
「此処で構いません。」
目的地の廃倉庫に到着した所で、宜野座は運転手に合図を掛ける。
そして、財布から千円札を一枚取り出し、運転席と助手席の間の所に手を伸ばし運転手に差し出す。
「ああ、ありがとうございます。しかし、此処は通りが少ないですが、大丈夫でしょうか?」
「いえいえ、少し捜査関係で……ん?」
ふと、前窓に止まっているタクシーが気になる。
アレはアールが乗っている方の車だ。
更に、開いたドアからはアールが出てきている、これは一体……?
(何故彼が此処を…?)
可笑しい。
通報が有るにしても、仮にも日本警察の人間ではないアールに110番が届くはずもない。
況してや彼は協力者だ、そんなことは。
「お客さん、まだ降りないのですか?前にいるご友人さんはもう出ていらっしゃった頃ですけど。」
「わかりました、ありがとうございます、それではこれで。」
ドアが開き、宜野座は其処から出る。
それと同時にタクシーは、既に暗闇の向こうへと走り去っている前方の車両を追うように走り去っていく。
此処で宜野座は、横にあるレンガに身を隠し、アールを見つめる。
幸い、廃倉庫に向かって歩くアールは此方には気づいていない様だ。
スキを見計らって、後で此方も向かおう。
『マスター。』
不意に、隠れているであろうセイバーからの念話が届く。
『どうした。』
『此処らに霊圧を感じる、恐らくはサーヴァントの気配だろう。』
『何!?』
面倒だ。
ともなれば、恐らくは近くに自分やアール、そしてあの死体まみれであろう配倉庫の存在が他のサーヴァントに漏れているということだ。
ニュースで伝えられる前に、直ぐに此方の状況がバレているという事だ。
(だが、俺のセイバーの能力はバレていないはず……)
大丈夫だ。
余程、派手に動くことさえなければ……
そう考えながらも、宜野座はアールを見つめ、物陰でじっと様子を伺う。
◆ ◆ ◆
『サーヴァントがいるみたいだけど、大丈夫なの?』
『何、そのままにしておいてやれよ。』
アーチャーからの念話に軽口で答えたアールは、しかし神妙げに、廃倉庫の中を覗き込む。
中は血塗れ。
其処に有るのは無数の赤い肉片。
職業柄、戦闘沙汰になることがしょっちゅうあるアールだが、しかしこんな無残な光景は久々に見た感覚がする。
お得意の演技力で口は弧を描いているが、決して気分が良いわけではない。
ポケットからスマートフォンを取り出す。
警察に連絡をするためだ。
この組織については概ね把握はできている、後は警察と手を組んで捜査をさせてもらうだけだ。
◆ ◆ ◆
5分後。
夜が更け静まり返っていた此処らの廃倉庫に、喧しい騒音が鳴り響いた。
赤い光がサイレンとともに差し込み、此方にやって来る。
宜野座はその光が指す方向に目をやる。
見れば、やって来るのは数台のパトカー。
(アールが電話を掛けたのか……?)
思い返せば、アールは彼処で携帯電話を耳に当てていた。
まさか、110番通報をした、と言うことなのだろうか。
と考えている内に、パトカーの群れは宜野座の眼の前で停まり、ドアが立て続けに開く。
中からは複数の警官が姿を表していき、即座に現場に向かう。
そして、一人の女性刑事も、中から出てきた。
「どうした宜野座警部補、此処は捜査現場だぞ?」
宜野座はそれに一旦項垂れながらも、表情を立て直して頷く。
「分かっているよ、真戸。」
そう言って宜野座もまた、真戸とともに現場へと走る。
【宜野座伸元@PSYCHO-PASS】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備] ポリスリボルバー
[道具] スマホ、ウォッチ@PSYCHO-PASS、警察手帳
[所持金] 普通
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に帰る。
1. 聖杯戦争に付いて調べる。
2. これから捜査を始める。
[備考]
・寒気と緊張で酔いが醒めました。
【セイバー(朽木白哉)@BLEACH】
[状態] 健康、霊体化
[装備] 斬魄刀
[道具]
[所持金] かなり裕福
[思考・状況]
基本行動方針: マスターを護る。
1. ルキアを止めたい。
2. マスターに居場所を教える。
[備考]
バーサーカー(朽木ルキア)の姿を発見しました、生前に面識はありますが宝具まで知っているかは不明です。
F-2の廃倉庫からルキアの霊圧を感知しています。
アーチャー(北岡秀一)の霊圧を確認しました、ただし、姿は観ていません。
【アール(レナート・ソッチ)@ヨルムンガンド】
[状態] 少し酔っている(強い方)
[令呪]残り3画
[装備] スマホ
[道具] 銃
[所持金] 普通
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に帰る
1. 鬼兵隊について調べる。
2.警察の捜査に協力する。
[備考]
酒は強い方ではありますが一応酔っています。
投下を終了します。
追記、修正はWiki収録後後程。
それと、予約を三回ほど延長させていただきます。
すみません、時間と場所の表記を忘れました。
時刻は
【F-2/廃倉庫/1日目 夜(22:30)】
です。
それと、現在の予約を破棄して、
高杉晋助&アーチャー(ガルバトロン)
間明蔵人&ライダー(ミゼル)
恙神涯&セイヴァー(刹那・F・セイエイ)
を予約します。
投下します。
すみません、誤爆しました。
3度目の予約延長をさせていただきます
投下します
大道克己は霊体化して自然公園の周辺地域を探索していた。
目的は先刻戦う処を見たセイバーの発見である。
別段戦おうとか、マスターを仕留めようなどと思っている訳では無い。探しているのは、クルーゼからの指示で、交渉して手を組む為である。
他のサーヴァントの手の内を探るのは克己の考えであり、クルーゼも反対はしなかったが、『ある条件』を満たすサーヴァントを探す様に、克己に命じたのだ。
そして克己は、今日は既に四体のサーヴァントを確認し、充分な成果を挙げたと認識して、クルーゼの命に従って行動することにしたのだった。
克己の能力を知るクルーゼは、克己に十全の信頼を置いているが過信はしていない。
当人の戦闘能力と多彩な能力を持つガイアメモリ、認識した宝具を任意で使用不能とするエターナルレクイエムは如何なるサーヴァントに対しても優位を取れる。
あくまでも『優位を取れる』のであって『勝てる』という訳ではない。
事前に情報を入手し、下準備をして一対一で戦えばまず勝てる。そう認識している。幾つかの例外は有るが。
刻まれた知識と克己の能力からクルーゼが想定し克己に聞かせた、克己が苦戦を強いられる、或いは敗北する相手は三つ有った。
一つは先刻戦うところを見たランサーの様に、複数の宝具を持つサーヴァント。
エターナルレクイエムによる宝具封じはマスターの魔力に依存する。クルーゼはマスターとしては落第点である為、後から後から宝具を持ち出されてはすぐに魔力が枯渇する。
複数の宝具を一度に封じたとしても同じ事。ましてや高ランク宝具ともなれば、クルーゼは消耗に耐えられまい。
最もあのランサーは克己の敵では無い。仮面ライダーW、風都の守護者達と同じく『変身』する事で戦闘能力を得るランサーは『エターナルレクイエム』の前には無力。
尤もあのランサーは克己の敵では無いというだけで、他の連中にとっては充分に難敵だ。ヤル気満々の様だし、精々他の参加者を相手に暴れて貰おう。
二つ目は先刻戦ったバーサーカーの様に宝具に依らない特異なスキルや能力を有する者。
予め戦う処を見ていて、バーサーカーが手負いだったから圧倒出来たが、あのバーサーカーとは思えぬ瞬間移動を駆使した戦い方は、初見で尚且つバーサーカーが無傷であったなら、相当な苦戦をしただろう。
三つ目はあの巨剣や鎧のセイバー達の様に単純に強い場合。
バーサーカーのトリッキーな戦い方に殆ど対応し、マスターの援護が有ったとはいえ撤退に追い込んだ巨剣のセイバーや、
フォームチェンジを行い、複数の異なる武器を用いたランサーを、宝具も用いず正面から圧倒した鎧のセイバーの戦闘能力は明らかな脅威と言える。
特に、鎧にセイバーの高い水準で纏まったステータス。初見でランサーの多彩な攻撃を防ぎ切った武技。
此の地に顕れたサーヴァントの中でも最上位の強さを持つ事は疑う余地の無い事実。
最大の強みである手数の多さが通じにくい上に、地力で劣るとなっては敗北は濃厚。宝具を封じても克己が優位とは言えない強さでは、魔力を消耗するだけの結果となりかねない。
そしてこの三つのケースの内『単純に強い』というのが重要だった。
クルーゼは克己が苦戦を強いられる相手として、強力かつ多彩な魔術を駆使するキャスター。理性と引き換えに能力を底上げするバーサーカーを上げていた。
どちらも宝具に依らずとも強大な戦闘力を発揮するという点では同じである。キャスターは最弱とされるが、対魔力を持たず、霊格も低い克己では脅威というより他に無い。
そしてクルーゼは、この両者に対抗する為に手を組む相手としてセイバークラスのサーヴァントを挙げていた。
優れた性能と武技を持ち、高い対魔力を有するセイバーは、このキャスターとバーサーカーに対して有効な戦力となり、尚且つ切り札である宝具も分かり易い。
克己の戦力を考えれば手を組む相手としてこのクラス以上のものはない。
そして今日見つけた二人のセイバーの内、鎧のセイバーを味方にすべく、住宅地を探索しているのだった。
此方を探している理由は二つ。
一つは探し易さ。鎧のセイバーのマスターは徒歩で移動していた。つまり自然公園が徒歩の行動範囲に入るエリアに住んでいる。そう考えても良いだろう。
この近辺を探せば多分見つけられる筈だった。
二つ目はマスターが少年であるという事。年端もいかない子供なら、クルーゼの弁舌ならどうとでも丸め込める。サーヴァントが異を唱えてもマスターさえ押さえておけばどうにでもなる。
これがもう一方のセイバーともなると、何処にいるのか判ら無い上に、マスターもサーヴァントもどうにも剣呑な雰囲気で、且つマスターも魔術を使うとあっては始末するにも一苦労だ。
尤も手の組み易さという点で見れば、バーサーカーのマスターに勝る者は無いと言える。何しろ判断力どころか思考すらロクに出来無い死病持ちだ。
クルーゼの地位を利用し、病院に秘密裏に入れてやれば、自陣営に引き入れるのは容易な事だろう。
少女のサーヴァントがバーサーカーで無ければ。近づけば襲ってくるのではどうしようも無い。バーサーカーを殺せばどうにでもなるが、瀕死の子供を抱え込む意味など何処にも無い。
克己にはあの少女の死病を如何にか出来る心当たりは有るが、今の処どうこうしようとは思わない。
結局の処、鎧のセイバーが同盟相手としては最適解と言えた。
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最上リョウマは海岸を目指して夜道を歩いていた。クロスローダーに反応が有ったデジモンとの邂逅を目指し、反応が有った地点を目指しているのだった。
反応が有ってから随分経つ、もうとっくに移動して居くなっているだろうが、痕跡位は見つかるかもしれない。
リョウマはそんな事を思いながら夜道を行く。気持ちは逸るが足取りはむしろ緩やかだ。危急の時では無いし、状況によっては全力で逃亡しなければならないかもしれない。疲労する様な事は避けるべきだった。
【モモンさん、周囲にサーヴァントの気配は?】
全身を甲冑で鎧ったモモンは、目立つのを避ける為に霊体化をしている。声に出して聞くと夜道で独り言を言っている様で、此れまた目立つので念話で問う。
【無い】
周辺のことを聞いてきたリョウマに、モモンも念話で返す。
【アンデッドは?】
【幾つか有る。近い処だと三つ。内一つは家の有る辺りだ】
リョウマが息を飲むのが気配で伝わって来て、モモンは家を離れたのは正解だったかなー。などと思案する。
家の周辺に居るのが何者かは不明だが、味方でも無い者に拠点を知られるというのは得策では無い。ましてや例のアンデッドのアサシンなら尚更だ。
ふう。とモモンはため息を着く。
ナザリックが在り、その守護者達が居れば、拠点がバレる心配などする必要は全くと言って良いほどに無いのだが。
仲間達と共に築き上げ、仲間達の生み出した“子供達”が守るあの墳墓は。サーヴァントが単騎で陥落させるなら、対城宝具を使わなければ不可能だ。
アサシンだろうがなんだろうが、足を踏み入れた瞬間に死の運命が決すると言って良い。
はあ。とモモンはまたため息を着く。
無い物ねだりをしても仕方無い。至高の四十一人の繋がりは課金アイテムだけとなってしまったが、此れだけでも充分過ぎる。ナザリックまで望むのは贅沢というものだろう。
此処でモモンは思考を中断して実体化する。サーヴァントの気配をモモンの感覚が捉えたのだ。それも二体。
戦うわけでは無いが、戦闘になった時の備えをするのは当然だろう。
ついでに己のステータスを見せることにより、抑止効果とすることも出来る。
「マスター、サーヴァントだ。一つ訊きたいが、デジモンは居るかな?」
クロスローダーを見たリョウマから、「居ない」という返答を聞き、モモンは僅かな安堵と失望を抱いた。
安堵は折角興味を抱いたデジモンと戦わずに済んだこと。失望はデジモンと逢うという目的が果たせ無い事だった。
「接触するか迂回するか決めて欲しい」
「手を組めるかもしれない相手です。其れに、反応のあった方から来たからには、デジモンと接触したかも知れません」
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柊シノアとエレン・イェーガーは連れ立って住宅街を目指していた。
お家に帰る訳では無い。シノアの情報を頼りに、仲間を増やしに向かっているのだ。
シノアのサーヴァントは穴の無い能力を持つが突出した処もなく、何より戦闘継続時間が短い。
エレンのサーヴァントは強力だが、バーサーカーである為に取り扱いが難しく、しかも巨体である為に目立ち、狭い場所では運用出来無い。
共にピーキーな性能のサーヴァントを従える者同士、凡用性の高いサーヴァントを従えるマスターと同盟を組みたい。そう思うのは当然の事だった。
「それで、今から逢う奴は信用出来るのか?」
「どうなんでしょうね?マスターとしてはかなり強いという話ですが」
「何だか妙な言い方だな」
「直に会ったことありませんので」
要するに覗き見か……とエレンは思った。
【マスター。サーヴァントが一体。近くに居ます】
二人の会話をキャスターが断ち切った。
【此方に向かって来て居ます。指示を】
「バーサーカーが回復するまで戦いたくありませんが……実体化しておい て下さい」
シノアとエレンはビルに隣接する広い駐車場に入って、シノアが中央に陣取る。
エレンは離れて様子を窺う、こうすることで二人纏めてやられる可能性を減らすのだ。
そして二人の前にそのサーヴァントは姿を現した。
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「セイバーですか……」
シノアの目線の先、20mほど離れた駐車場の入り口に立つのは、二振りの巨大な剣を背中で交差させる様に背負い、鎧で全身を覆った剣士。セイバー。
シノア達が会いに行こうとしていたのはアサシンのマスターだったが、此処でセイバーを仲間に出来れば勝率はグンと高まる。
キャスターが作成した陣地に篭り、セイバーが戦闘をこなし、拠点に篭る敵はバーサーカーの火力で殲滅する。此処に号竜とアサシンを加えれば搦め手を用いて嵌める事も可能。
目的の為にもこんな優良物件を逃す手は無いと、涼しい顔をしながらも、シノアの頭脳はフル回転している。
むう。と、モモンは心中に唸る。荒事になった時の事を考えたのだろうが、誰に狙われているかも知れ無い現状では、遮蔽物の無い場所に出て行くのは避けたい。
鈴木悟という人間が、異世界に死の超越者として転生し、その世界の歴史に“アインズ・ウール・ゴウン”の名を刻む始まりとなったのは、“ユグドラシル”のPvPと言える。
ギルド“アインズ・ウール・ゴウン”とは元が人間種のプレイヤーに虐げられていた異形種のプレイヤー達の互助会に端を発するのだから。
眼前の相手に気を取られて周囲へ気が回ら無い少女に対し、同盟を組むとしても主導権を渡すのは危険だと判断する。
取り敢えず罠だった時の用心に、リョウマにはハムスケをつけて、アサシンなり他のサーヴァントなりが襲ってくれば即座に逃げる様言い含めて、離れた場所に隠れさせておく。
リョウマの安全を一先ずは確保したモモンは、駐車場の入り口付近に陣取った。
【モモンさん。相手のサーヴァントはキャスターです。ステータスは総じて低いですね。一番高い魔力もCですし」
【とすると同盟の申し出の可能性が高いか…。戦うとすれば宝具を使用するか、罠を張っているな】
幾ら何でもキャスタークラスのマスターが自分のステータスとクラスを見て正面から挑んでくる事は無いだろうと判断する。
それでも警戒を怠らない。何しろ本戦まで残ったのだ、とんでも無い隠し札を有しているかも知れ無い。
そしてもう一人の従えるサーヴァントはバーサーカーだろうと見当をつける。
キャスターをセイバークラスの自分の正面に立たせておいて、もう一人はサーヴァントを実体化させずにいるのは、
魔力消費と制御が難しい為に、戦闘時以外は霊体化させておくのが最善のバーサーカーだと考えるのが妥当だった。
「それで、何の用かな」
黙っていても何も進展し無いので、取り敢えず話を切り出すことにした─────その時、凍える様な殺意と共に、暴風が炸裂した。。
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克己がリョウマとモモンを発見出来たのは只の偶然に過ぎなかった。
単純に2人を発見出来なかったので、他の場所を見て廻ろうと思い立ち、『バードメモリ』を用いて飛行中にサーヴァントの気配を感知。手頃なビルの屋上のに移動して探ってみれば、目当ての相手だったというわけである。
克己とクルーゼの方針は、リョウマ達を手駒として使い潰すこと、その為にもリョウマ達には孤立していて─────出来れば複数の敵を抱えていて欲しい所だった。
孤立し、敵に囲まれた状態ならば、こちらの申し出に飛びついてくるだろう。
「取り敢えず何も話さず別れて貰おうか」
『トリガー』『サイクロン』『ヒート』『アイスエイジ』『ウェザー』『ルナ』『メタル』のメモリをスロットに差す。
「派手に踊ってくれよ」
『サイクロン』及び『アイスエイジ』の力を乗せた風雪の弾丸を、シノアとエレンの中間目掛けて放ち、次いで各種様々な弾丸を撃ち放つ。
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「セイバー!!」
モモンは突然の攻撃に此方の身を案じるリョウマに構うことなく、シノア達の方を見る。
この攻撃がシノア達の仕掛けた罠と疑ったからだ。
だが、モモンの視界に映ったのは、シノアとエレンの中間に、白く冷たく輝く弾丸が着弾。暴風を撒き散らして地面を氷結させる処だった。
次いで三人目掛けて飛来する、赫炎、烈風、氷結、稲妻の弾丸を、何時の間にか鎧を纏ったキャスターが刃を以って切り払い、シ『サイクロン』『ヒート』『ノアが何処かからか大鎌を取り出して撃ち払う。
エレンも飛来する弾丸を何とか躱しながら、凍った路面に苦労しながらシノア達との合流を図っていた。
─────アレがキャスターの宝具か。
パーフェクトウォリアーの様な物かと推測する。鎧を纏ったキャスターは、下手な三騎士にも匹敵する剣捌きで、飛来する弾丸を寄せ付け無い。
キャスターの剣技に感心した処で拙い状況になっている事に気付いた。
あの攻撃は“モモンとリョウマには全く向けられていない”。
向こうから見れば、予めモモンの仲間が隠れていて、自分達に攻撃している様に思えるだろう。
流石にランサーと因縁が有るわアサシンに狙われているかも知れないわ、という状態で、これ以上敵を増やすのはゴメンだった。
いま攻撃を加えて来ているのは、例のアサシンでは無くキャスターかアーチャーだろうが狙撃手を確認しない限り断言は出来ない。宝具次第ではアサシンでもこの様な攻撃が可能かも知れないからだ。
それに─────此方にアンデッドの気配が凄まじい速度で近づいて来ている。
例のアサシンだとすればリョウマの身が危ない。
さっさと彼等の誤解を解いて場所を変えて話をしよう。その為にモモンは地を蹴ってシノアとレオの前に立ち、双剣で稲妻と烈風の弾丸を切り払った。
「此処は私に任せて退け」
「待ってたぜ、動くのをよ」
モモンが動くのを見た克己は、口元を笑いの形に吊り上げた。
『サイクロンメモリ』『ヒートメモリ』の力を込めた弾丸に、『ウェザーメモリ』で更に暴風を込めて、モモン目掛けて撃ち放ち、更に『メタルメモリ』で硬度と質量を増した弾丸を、『ルナメモリ』の力を込めて撃つ。
「この攻撃は…貴方の差し金では……」
「生憎と、今の処手を組んでいる相手は居なくてね」
シノアに答えたと同時、モモンは飛来した火球を双剣で切り落とし─────今迄とは桁違いの爆炎が発生した
高熱を含んだ狂風が一瞬で路面の氷を蒸発させ、離れた場所のエレンの皮膚すら焦がす。
「ヌオオオ!」
至近で熱波を浴びたモモンは構わずにシノアの方に目線を向ける。自分やキャスターは鎧に身を守られているが、キャスターのマスターは生身だった。下手をすれば致命傷になりかねない。
結果を言えば、シノアは無傷だった。シノア自身の防御力に加えてキャスターが庇ったらしい。
モモンは息を付くと、次いで飛来した黄色い複数の光弾を撃ち払おうとして─────。
「んな!?」
複雑な軌道を描き、モモンの剣を掻い潜った光弾がキャスターの全身に直撃した。
本来ならばこうまで見事に全弾直撃などしない。モモンが迎撃した火球の爆発と、当のモモンの身体が死角を作った事に依り反応が遅れたのだ。
「キャスター!?」
モモンとしても失態だった。最初からこんな動きをしていたのならともかく、今迄の光弾全てが直線を描く軌道だった為に、まさか此方の迎撃を外すとは予測出来なかったのだ。
さっきの火球といい、モモンの行動が悉く裏目に出ている。此処は離脱して、狙撃手から身を隠すべきだろう。
「いそ─────」
すぐに此処から離れる様に告げようとした瞬間。モモンは強い衝撃を受けて吹き飛ばされていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
百夜ミカエラが三組の主従を発見出来たのは、単に夜空を染める強い光が見えたからやって来た。というだけの事だった。
やって来て見れば何処からか攻撃を受けている鎧を纏ったサーヴァントが二体と、マスターらしい男女の姿。
最初は消耗を避ける為に傍観するつもりだったが、鎧を纏ったキャスターが被弾したのを見て考えを変えた。
すぐに位置を変えて、キャスターとセイバーが直線上に重なる場所に陣取り、バーサーカーに今までの様な刃を飛ばす攻撃では無く、バーサーカー自身を突撃させた。
刃の嵐を放つ攻撃は強力だが、僅かに時間を要する上に魔力を消費する。今は直に突っ込ませた方が、確実だろう。
この位置から突撃すれば、セイバーが回避してもキャスターには直撃する。弱ったキャスターには耐えられまい。
そう考えて放ったバーサーカーは炎の様な魔力を総身に纏い、獣の様に四つ足で標的目掛けて走り出す。
「ルゥオオオオオオオオ!!!」
咆哮し、疾走するその姿は、殺意の塊と形容しても─────殺意そのものと言っても違和感の無いものだった。
そしてミカエラの殺意に駆られた獣は、鎧姿のセイバーに激突。吹き飛ばされたセイバーは、付近のビル壁を突き破り、中へと消えていった。
セイバーに激突した拍子にバーサーカーの突撃の方向がズレなければキャスターは致命傷を負ったはずだが、そこは良しとしよう
「良し」
先程の二回の戦闘ではこうは旨く行かなかった。残るは傷ついたキャスターのみ。此れならばどうにでもなる、狙撃に気を付けていれば、此処で二組を脱落に追い込める。
いざとなれば自分も加われば良い。凡そマスター同士の1対1の戦闘ならば自分に勝てるものはそうっは居ないという自負がミカエラには有る。
だが狙撃手に対し自分の姿を晒すつもりは無い。素性を探られるのは防がなければならないから、ミカエラには決して巻き込みたく無い家族が居るのだから。
その時ミカエラはおそろしく珍妙なシロモノを見つけてしまった。
「何…あれ?」
ミカエラが絶句するのも無理は無い。ヒグマより巨大なジャンガリアンハムスターが少年を乗せて走ってくるのだ。誰だって驚くミカエラだって驚く。
優ちゃんなら喜ぶだろなー。とか呑気な事を思ったのも束の間、あんなシロモノに乗ってるのは聖杯戦争の関係者以外に存在して居るわけが無いだろうから、即座に殺しに掛かる事にする。
剣柄に手を掛け、一気に走り寄る。先ずはハムスターの前脚を斬り飛ばし、落下した少年を仕留める。
最上リョウマは離れた処に隠れて見守って居た処、モモン達がいきなり攻撃を受けたにで、モモンの指示通り離れることにしたのだが、まさかまだ敵が居るとは思ってもいなかった。
「ぬお!?」
硬質な響きと衝撃をリョウマが感じたと同時、ハムスケが頓狂な声を出す。
見れば、ハムスケの前にいきなり現れた金髪の少年が、手にした剣でハムスケの前肢に斬り付けていたのだ。
「中々見事な斬撃でござるが、それがしの毛皮は殿でも斬り裂けぬのでござるぞ」
言いながら少年を飛び越し、少年の頭上と後方から繰り出す硬い鱗に覆われた尻尾の刺突。剣で払ったミカエラが振り向いて追撃しようとした処へ、足元を尻尾で薙ぎ払う。
ミカエラは前方に大きく跳躍し、直接リョウマを狙うも、読んでいたハムスケが尻尾をミカエラの正面から叩きつける。
咄嗟に反応し剣で防ぐが、正面から受け止めてしまい、ミカエラは大きく弾き飛ばされてしまった。
「チィッ」
空中で体勢を立て直したミカエラが追うとした時には既に巨大ジャンガリアンハムスターはかなりの距離を稼いでいた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
シノアが獣─────バーサーカーの攻撃を四鎌童子で受け止められたのは全くの偶然だった。
モモンが攻撃を受けたのが辛うじて見えたので、咄嗟に四鎌童子を振るったら、バーサーカーがシノア目掛けて繰り出した魔力を帯びた拳と四鎌童子が激突。
互いに原型が無くなる程に乗用車同士が激突したかの様な轟音が響くより早く、シノアはモモンが消えたビルの方に飛ばされていた。
「ハァッ!!」
追撃しようとする獣にキャスターが鋭い斬撃を連続で浴びせて退かせると、飛ばされたシノア目掛けて跳躍、空中で抱えてエレンの側に着地する。そこで装着限界を迎えて、鎧が解除されてしまう。
「バーサーカー!!!」
最早戦えるのは己のサーヴァントのみ、エレンは此処で躊躇うこと無くバーサーカーを呼ぶ。目立つ事この上なく、周囲に被害が出やすいが、仲間を失う事とは比べ様が無い。
実体化したバーサーカー─────デスティニーガンダムは、両側頭部の17.5mmCIWSを獣目掛けて発射。回避する獣を追う弾丸が駐車場の地面を砕き破片を散らす。
次いでビームライフルを取り出すと、狙撃手がいると思しき方向に、立て続けに数発撃つ。夜闇を裂いて飛翔した光線が、幾つかのビルの屋上部分を破壊した。
更にCIWSで獣の動きを牽制し続けながら左掌を繰り出しパルマフィオキーナを発射、当たれば獣の五体を粉砕したろうが、この攻撃を獣は跳躍して回避する。
獣はパルマフィオキーナによる爆発により生じた風で加速をつけてデスティニーガンダムに一気に肉薄、空中で取り出した大百足に炎の様な魔力を纏わせ、突撃の勢いと全身の力を乗せた一撃を叩き込む。
これを受け止めたデスティニーガンダムの右掌を大百足が叩き割り、魔力の火花を散らす。夜の空気を激しく震わせる凄絶な響きは、音の域を超えて衝撃波と化して周囲のものを打ち据えた。
右掌を傷つけられたデスティニーガンダムは損傷が拡大することも厭わずパルマフィオキーナを発射、獣は魔力を纏わせた大百足で受けたものの、攻撃の威力に大きく後方に飛ばされ、50m程離れた場所に着地する。
手から離れた大百足が回転しながら飛んで行き、ミカエラの近くの路面に突き立った。
─────バーサーカー!?サーヴァントが他にも居たのか!?
離れた場所に陣取り、戦況を見守っていたミカエラは驚愕した。
今度こそ邪魔が入らないと思ったら、思わぬ伏兵が居た。
自分の運の無さに思わず笑ってしまいそうになるが、呑気に笑っている暇など無い。
このまま見ているか、参戦してさっさと殺すかを、すぐに決めなければいけなかった。
然し、シノア達には継戦の意図は全く無かった。
獣が視界から消えた途端に此の場からの離脱を開始したのだ。
此れはミカエラの戦闘能力とそのサーヴァントを知るシノアの指示で、獣を見た瞬間にミカエラが近くに居ると判断。
キャスターが戦えない状態でミカエラとバーサーカーの相手など出来る訳が無いと撤退することにしたのだ。
最後まで残り、獣目掛けて牽制射撃を行っていたデスティニーガンダムも、シノア達が充分離れたところで霊体化して、此の場を離れて行った。
好機を逃したミカエラは小さく舌打ちをすると、バーサーカーを霊体化させ、セイバーを叩き込んだ穴を一瞥すると、大百足を引き抜いて穴に投げ込んでからその場を離れた。
心中にこんな好機は二度と無い。そう自分に言い聞かせながら。
「はあ…酷い目に遭った」
誰も居なくなった駐車場で、霊体化したモモンは胸中に呟く。
バーサーカーに飛ばされ、ビルの中に消えた時に、追撃を避ける為に霊体化し、駐車場での死闘を傍観していたのだ。
折角、同盟を組めそうな二人とは話も出来なかったし、狙撃してきた相手も不明。
おまけにリョウマは人間とは思えぬ強さのマスターに襲われたらしい。ハムスケが奮闘して事無きを得たが。
「デジモンを見たかったが」
アンデッドのアサシンの件も有る。またの機会にするべきだろう。モモンは霊体化したまま、リョウマと合流すべく移動を開始した。
【D-2/ビル街/1日目 夜(22:40)】
【エレン・イェーガー@進撃の巨人】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備] 無し
[道具] 無し
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣い程度)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り、願いを叶える。
1. シノアと手を組む。
2. 取り敢えず帰宅する。
3.誰が狙撃してきた?
[備考]
キャスター(布道レオ)の宝具を確認しました。
夢の中に出てきた少年がバーサーカー(シン・アスカ)だとは気づいていません。
セイバー(モモン)の姿とステータスを確認しました。
【バーサーカー(シン・アスカ)@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
[状態] 宝具の翼を損傷、宝具の右掌を損傷、魔力消費(中)
[装備] デスティニーガンダム
[道具] デスティニーガンダムの装備一式
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針: ■■■■ー!
1. ステラァァァァァ……
2.
[備考]
翼をランサー(スカルナイトモン)に破壊されました。宝具の特性上修復はされますが、時間はかかります。
右掌をバーサーカー(黙示録の獣)に破壊されました。宝具の特性上修復はされますが、時間はかかります。
柊シノアと同盟を結びました、連絡先の交換は後程行うそうです。
【柊シノア@終わりのセラフ】
[状態] ダメージ(小)
[令呪]残り3画
[装備]四鎌童子
[道具] 呪術関連の道具を幾つか
[所持金] そこそこ裕福
[思考・状況]
基本行動方針: サーヴァントを全て倒し、優勝を目指す。
1. エレンとの同盟の成立が完了!
2. ミカさんに対する警戒、一応仲間の家族なので出来れば和解したい。
3.この勢いでもう一人仲間を増やしたい。出来れば小回りが効くのを。
4.誰が狙撃してきた?
[備考]
エレン・イェーガーと同盟を結びました。
幾つかのマスターの情報を所持していますが、詳細に関しては後続の書き手様にお任せします。
セイバー(モモン)の姿とステータスを確認しました。
バーサーカー(黙示録の獣)の姿とステータスを確認しました。
【キャスター(布道レオ)@牙狼-GARO-〜MAKAISENKI〜】
[状態] ダメージ(中) 魔力消費(小)
[装備] 魔戒剣、魔導衣
[道具] 号竜×3、その他多くの魔導具
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。
1. 取り敢えずは術による偵察と、号竜の作成に専念する。
2. あぁ、号竜で偵察なんてしなきゃ良かった……
[備考]
号竜を3体程連れています。
マスターに提供してもらった柊邸の地下室に、大量の号竜が置かれています。
1体の号竜の残骸がケイネス・エルメロイ・アーチボルトの手に渡っています、号竜の仕組みが流出する危険性も十分にあります。
【D-2/ビルに面した駐車場付近/1日目 夜(22:40)】
【百夜ミカエラ@終わりのセラフ】
[状態] 健康、膨大な魔力
[装備] 「剣」
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生だが孤児院住まいなのでそんなには無いだろう
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。まずはある程度情報を入手してから、
バーサーカーの火力で他の敵を潰していく
消耗は避ける
1.『家族』を巻き込まない様にする
2.慎重に行動する
3.不意打ちは止めておく、当分は偵察のみで。
4.このままSE.RA.PH全域を回っていく。
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました。
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを確認しました。
4.ライダー(フル・フロンタル)を認識、ステータスを把握しました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
6.最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
8.エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
9.予選時点でクルル・ツェペシから貰った血を幾らか持ってきていましたが、決戦時点で既に飲み干しています。
クルルの血と吸血鬼が持つ魔術回路のお陰で魔力は大量に有りますが、回復が出来ないので慎重に。
【バーサーカー(黙示録の獣)@.hack//G.U.TRILOGY】
[状態] 健康
[装備] 無し
[道具] 無い
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)、ライダー(フル・フロンタル)を確認。
4.ライダー(フル・フロンタル)に刃の嵐を投げつけました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
6.最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
8.エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
【E-3路上/1日目 夜(22:40)】
【最上リョウマ@デジモンクロスウォーズ 時を駆ける少年ハンターたち】
[状態] 健康、魔力消費(小) ハムスケに騎乗中
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] クロスローダー
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣いレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:答えを見つけるまで専守防衛
1. クロスローダーに反応のあったデジモンを探す。
2. アサシンらしき存在には最大限警戒
3.現在帰宅中
[備考]
※クロスローダーが、C-1/海岸でのスカルナイトモンの戦いに反応しました。
リョウマの所持デジモンでないこと以外、なんというデジモンかなどは分かっていません。
百夜ミカエラの姿を認識しました。名前は知りません。
【D-2/ビルに面した駐車場/1日目 夜(22:40)】
【セイバー(モモン)@オーバーロード】
[状態] 健康
[装備] 双剣、漆黒の鎧
[道具] その他多数の装備
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターの依頼を引き受ける。聖杯戦争の運営には警戒
1.「アインズ・ウール・ゴウン」の名はなるべく隠しておく。
2.自分の正体がバレてマスターの心の傷を抉らないか心配。
3.切り札である魔法アイテムはなるべく取っておくが、使い時には惜しまない。
4.感知したアンデッドのアサシンらしき存在には注意する。
5.コレクターとしてデジモンに興味
6.あのランサーがたっちさんの憧れた仮面の変身ヒーローなのか?
7.アンデッドばかりなのは気のせいか? 何か意味があるのでは? そもそもこの戦いでのアンデッドの定義は?
[備考]
※ランサー(駆紋戒斗)の宝具「刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)」、「射り撃つ黄金の矢(レモンエナジーアームズ)」を確認しました。
柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
バーサーカー(黙示録の獣)の姿とステータスを確認しました。
※かつての仲間から仮面ライダーシリーズについての熱弁を沢山聞いていますが、殆ど聞き流していたためろくに覚えていません。
※アンデッドへの探知能力はモモンの状態だと遠ければ遠いほどなんかいるなー程度になっています。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【了解。あのロボットマスターの拠点も探っておく】
一面高熱で溶けたビルの上で念話を行う大道克己。
デスティニーガンダムを見た瞬間に、克己と視覚を共有して戦況を見守って居たクルーゼが退避を指示。
即座に『バードメモリ』の力で飛翔、『サイクロンメモリ』の力を併せて用いて高速で離脱したのだ。
そして今ガンダムを知り尽くしているクルーゼの指示を受け、ガンダムを操るサーヴァントのマスターの拠点を探る任務を与えられ、再びビルの屋上から街を見下ろして居るのだった。
「クルーゼの世界にはあんなシロモノが有ったのか」
ガイアメモリを見た時に興味深そうにしていたが、克己に言わせればクルーゼの世界の方が変わっている。
わざわざあんなモノを用いて戦争しているのだ。NEVERなんて間違いなく不用だろう。
克己は自嘲すると、バーサーカーのマスターと思しき男の追跡を開始した。鎧のセイバーは拠点の大まかな位置を掴んでいる。今はバーサーカーを優先すべきだろう。
【D-2/ビル屋上/1日目 夜(22:40)】
【アサシン】(大道克己)@仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ
[状態] 健康・僅かな苛立ち
[装備] ロストドライバー、ナイフ、T2メモリ
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。他マスター達の『解放』
1. 偵察を続ける
2. 鬼兵隊の動向を警戒
3.自分からは当分は仕掛け無
[備考]
1.セイバー(ガッツ)、バーサーカー(朽木ルキア)を認識。ステータスを確認、戦うところを観察しました。
2.カオスヒーローが魔界魔法を使用したのを目撃しました。
3.二ノ宮飛鳥&ランサー(駆紋戒斗)と最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識。ステータスを確認、戦うところを観察しました。
4.ステラ・ルーシェを視認。死期が近いことを知りました
5.バーサーカー(朽木ルキア)とランサー(駆紋戒斗)の宝具を認識しました。
6.最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、キャスターの宝具とステータスを確認しました。
8.エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
9.僅かな苛立ち。
備考
鎧のセイバー(モモン)のマスターとガンダム(シン・アスカ)のマスターの拠点を捜索中です。
鎧のセイバー(モモン)のマスターの拠点が大まかな位置を絞り込みました。
備考
D-2に有る駐車場に壊滅的な破壊が発生し、隣接するビルに大穴が空き、数百m離れた場所に有る複数のビルの屋上が破壊されました。
投下を終了します
投下、乙です!!
将校クルーゼと傭兵克己のコンビは結構上手い感じになっているなぁと思いました。
エレンの鯖を狂戦士だと見抜くモモンの洞察力、スゲェ!流石はユグドラシル歴戦の戦士!
しかし、行く所行く所に敵がやって来るミカは実際不憫、まあ原作でも相当悲惨でしたしね。
それとやっぱりレオとシンじゃぁ心細いかぁ。
ラウ・ル・クルーゼ&アサシン(大道克己)を追加予約します。
それと、すみません、少し指摘させて頂きたいことがございます。
クルーゼは、ステラの衰弱状態について知っているような口振りをしていましたが、
細かく言わせていただくと、ステラ達エクステンデッドが本格的に運用されるのは、クルーゼが死んで凡そ二年後で、
後にその実態は明らかにはされるのですが、これも遅くて。
なので、クルーゼがエクステンデッドについて知っている可能性は、極めて低いように感じられるのです。
ですので、そこら辺を修正できるようでしたら、お願い申し上げます。
>>77
すみません、良く読み直してみたら違いました、ごめんなさい。
ラウ・ル・クルーゼ&アサシン(大道克己)
投下します。
夜。
高級住宅街に有る自室。
椅子に座る仮面の男、ラウ・ル・クルーゼは、携帯電話を切り机に置いた後、ふむ、と一息つく。
先程貰った電話は、例にもよって鬼兵隊のリーダー、高杉晋助からの物であった。
曰く今日、鬼兵隊が今回日本に上陸して初のテロ行為を行うのだそうな。
因みに場所は、現在急速に実績を伸ばしている携帯電話会社「フラネット」の主催するパーティー。
フラネットが急激に業績を伸ばした記念を、様々な人間に祝ってもらいたい、と言う事で祝われている、とか。
しかし、クルーゼには少し引っかかるものが有る。
(しかし、たかが一介のIT企業となれば、パーティーに出席できる人間の数もそう多くは無いだろう……それを何故……?)
本来、パーティーと言えば、政府の要人が出席するほどの大規模の物がテロの餌になる。
人質も取れる上に、犯行声明を出すには絶好の機会であるからだ。
しかし、それなのに何故、政府にも繋がりの無さそうな企業のパーティー等に。
そもそも、このパーティー自体、会社を立てた人間が自分の顔を売り込みにしていることから察するに、単なる自己顕示欲で開いたと考えても可笑しくは無い。
ニュースにデカデカと載るようなテロリストが介入する余地など無いはずだ。
しかしその時、高杉が電話で話した言葉が脳内で反芻する。
【興味深いと思わねぇか、こんなペラペラのメモ帳みてぇなスマホ。】
(確かに……フラネットのスマホには何か秘密が有る、とも思えるのだがな……)
フラネットの新機種「ミゼル・ジーン」の噂は、クルーゼも予予耳にしている。
CPUも、モーターも、電池でさえ、必要とせず、それでいて処理速度は通常以上と言う、まるで魔法のような画期的な携帯電話。
クルーゼが生きたコズミック・イラでさえ、此処まで科学技術は進歩していない。
パーツを必要とせずに動く機械等、怪しすぎるにも程があるだろう。
(……そう考えれば、タカスギが興味を持ちそうな代物では有るな)
鬼兵隊が関わった件といえば、常にニュースで「画期的」と売り込まれている新技術が常に絡んでいる。
時には壊され、時には悪用され、その魔の手には必ず政府の人間がターゲットにされた。
ともなれば、このフラネットのパーティーは、高杉にしてみれば恐らくは絶好の機会なのであろう。
(……さて、アサシンは何をどうしているのか)
思考を聖杯戦争に移す。
先程クルーゼは、偵察を行っているアサシンに撤退命令を出し、あのモビルスーツのサーヴァントのマスターを探している所だ。
(モビルスーツのサーヴァント、か。)
機動兵器、モビルスーツ。
最初のコーディネイター、ジョージ・グレンが作り上げた、人類の進歩の形にして、愚行の象徴。
コズミック・イラが始まってもう幾年が過ぎる。
パイロットの中から、「英霊」に昇華される人間も一人や二人はいるだろう。
(だが……あの機体は……)
しかし、クルーゼがアサシンの眼を介して確認したもの。
それは、自分ですら見たことのない機体であった。
(恐らくあの勲章から察するに、アレがザフトの機体であることに間違いはないだろう……)
しかしあの機体に関して把握できる事実は更に有る。
あの蒼いモビルスーツの左肩に付けられている、白い羽の様なマーク。
それは紛れもなく、嘗てクルーゼも所属していた「FAITH(戦術統合即応本部)」の徽章そのものである。
(もしそれが事実なのなら、相当に厄介な敵と成り得るだろうな……)
FAITHと言えば、ザフトの中でも特に多大な功績を持った人間が所属することが可能な、謂わばエリート集団の様な物だ。
それにあの機体は、クルーゼの知り得るザフト機体であるフリーダムやジャスティスのデザインに良く似ている。
嘗てパトリック・ザラが開発を主導した、「ニュートロンジャマーキャンセラー」搭載機の試作型シリーズ。
ザフトの所有するあのデザインの機体は、地球連合軍から分捕った試作機からデータを採取した影響を受け、クルーゼの乗るプロヴィデンスも例外なくそれを装備付けられた。
(仮にNJキャンセラーが搭載されているとしたら、消耗戦に持ち込むことすら困難になるだろう……)
ニュートロンジャマーキャンセラーとは、核反応を中和してしまう兵器「ニュートロンジャマー」を妨害してしまう為の装置。
謂わば核兵器への妨害に対する防御装置の様な物だ。
そんな物が積んであるとすれば、あの機体の動力源は核だと考えて良いだろう。
宝具に昇華されたモビルスーツが如何にして動くものなのかは不明だが、あの場でアサシンを逃したのは正解だっただろう。
フラガの直感が効いていたお陰で瞬間的に危機が察知できたのだ、アサシンが強化人間の類であったことも救いになっただろう。
今考えてみても、幾らガイアメモリの力が神秘に満ちた物であろうとも、モビルスーツ、それも、搭乗者と機体双方が強い力を持てば、
流石のアサシンとて勝ち目は薄かったろう。
それに、今、自分はアサシンを失うわけには行かない。
何も、生きたい、と言う気持ちは更々無い。
自分は世界から放逐された存在だ、願いはない。
しかし、あのアサシンはどうだろうか。
その眼には何が映る。
このラウ・ル・クルーゼと同じように、虚無を覚え、憎悪に狂ったあの男は、一体どの様に行き着くのか。
それを見届けるのが、このラウ・ル・クルーゼの願いなのだから。
「仮に私の直感が正しければ、あの機体は後々厄介な存在に成り得るぞ。」
そう考え、クルーゼはアサシンにマスターを負わせた。
しかし、クルーゼには、もう一つの狙いがあったのだ。
(あの機体……私には如何なる物かは察せぬが、モビルスーツの運用となれば、私の作戦にも馴染むだろう)
クルーゼは、あのモビルスーツを操るバーサーカーとそのマスターを、取り込める可能性すら示唆しているのだ。
マスターが少年なら、あの甲冑のセイバーと同様に言いくるめることも難しくはない。
仮に組めなかったとしても、
今の所、あの機体の全貌は不明だ、搭載兵器の大半がクルーゼの知るところではない。
況してやクラスがバーサーカーとなれば、兵器の内部を調べることすら困難となるだろう。
何より、あのモビルスーツは非常に興味深い。
監視しておく必要はあるだろう。
◆ ◆ ◆
「なぁ、クルーゼ。」
下が道路で走る車のヘッドライトで照らされている夜のビルの屋上。
そこでエターナルメモリを掌で弄びながら腰掛けていた、アサシンはふと、クルーゼに念話を掛ける。
「あのロボット、お前の世界では普通に暴れているんだな。」
『私の見たところ、あの機体はワンオフ機だがね、だが、あのスケールほどの兵器は、我々の世界における主力兵器だ。』
「俺の世界で言う所の、新型ドライバー専用メモリ、みたいな物か。しっかし、あんなデカブツが戦場で暴れているのか、お前の世界では。
そうなれば、俺達NEVERは不要、か。」
『いや?そうとも限らんぞ。君達の様な存在は、恐らくモビルスーツのパイロットとしての利用価値は有るかもしれんがね。
最も、人間として扱われる保証はゼロだが。』
「……ハッ、それは何処の世界でも一緒って事か。」
何処の世界でも、自分達NEVERの様に扱われる者は存在する。
クルーゼの口振りから察するに、恐らく自分達のように身体を弄られ、兵器として扱われた人間は大勢いるということになるだろう。
「結局、人間皆悪魔って事か。」
『ああ、そういうことになる。』
アサシンとクルーゼは、互いに捻くれながらも、苛立ちを隠した様な言葉をぶつける。
夜風がアサシンの頬を掠る。
そう言えば此処らは港に近い、風から潮の臭いがする。
そんな考えが浮かんだ時、アサシンが持っている虚無に一瞬、色が滲み出てきた気がした。
(綺麗な風だな)
無意識にアサシンはほんの僅かな一瞬ではあるが、そんな風に感じた。
【D-7/高級住宅街/1日目 (23:00)】
【ラウ・ル・クルーゼ@機動戦士ガンダムSEED】
[状態] 老化現象(薬で抑えている)
[令呪]残り3画
[装備] 護身用の拳銃
[道具] 仮面、薬
[所持金] そこそこ裕福
[思考・状況]
基本行動方針:アサシンの行く先を見届ける
1. アサシンには協力するつもりである。
2. モビルスーツのサーヴァント……一体何者なのだ
[備考]
・アサシンから知り得るサーヴァントの情報は把握しきっています。
・高杉晋助が、間明蔵人の開くパーティーでテロを起こすことを聞いています。
・バーサーカー(シン・アスカ)の乗るモビルスーツが、NJキャンセラーを詰んだザフトの専用機なのでは、と推察しています。
【B-7/ビルの屋上/1日目 (23:00)】
【アサシン】(大道克己)@仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ
[状態] 健康・僅かな苛立ち
[装備] ロストドライバー、ナイフ、T2メモリ
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。他マスター達の『解放』
1. 偵察を続ける
2. 鬼兵隊の動向を警戒
3.自分からは当分は仕掛け無
[備考]
1.セイバー(ガッツ)、バーサーカー(朽木ルキア)を認識。ステータスを確認、戦うところを観察しました。
2.カオスヒーローが魔界魔法を使用したのを目撃しました。
3.二ノ宮飛鳥&ランサー(駆紋戒斗)と最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識。ステータスを確認、戦うところを観察しました。
4.ステラ・ルーシェを視認。死期が近いことを知りました
5.バーサーカー(朽木ルキア)とランサー(駆紋戒斗)の宝具を認識しました。
6.最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、キャスターの宝具とステータスを確認しました。
8.エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
9.僅かな苛立ち。
備考
鎧のセイバー(モモン)のマスターとガンダム(シン・アスカ)のマスターの拠点を捜索中です。
鎧のセイバー(モモン)のマスターの拠点が大まかな位置を絞り込みました。
投下を終了します。
すみません、それでは予約を破棄して
カオスヒーロー&セイバー(ガッツ)
刹那・F・セイエイ&アーチャー(ウルトラマンゼロ)
セイバー(朽木白哉)
アール&アーチャー(北岡秀一)
予約します。
すみません、アール&アーチャー(北岡秀一)の予約を破棄させて頂きます。
やっぱり
アーチャー(北岡秀一)を追加予約させていただきます。
間明に迫るテロの魔手。初っ端から大ピンチの間明。乱戦の予感がする
すみません、予約を一旦消します。
代わりに
瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)
輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)
二宮飛鳥&ランサー(駆紋戒斗)
アーチャー(北岡秀一)
加賀美新&シールダー(リディ・マーセナス)
後藤&アサシン(ぬらりひょん)
予約します。
すみません、とても執筆の時間が取れ無さそうなので、予約を破棄します。
瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)
輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)
二宮飛鳥&ランサー(駆紋戒斗)
後藤&アサシン(ぬらりひょん)
加賀美新&シールダー(リディ・マーセナス)
予約します。
延長します。
此れは楽しみ
延長します
投下します。
● ● ●
地球に、一個の黒い球が飛来してきた。
球は囁く、ミッションをクリアしろ、と。
汝らの世界を躙る「星人」を殺せ、と。
● ● ●
この世界にまた、異界の植物が侵食してきた。
植物は囁く、侵略を乗り越えろと。
世界を塗り替えられる「オーバーロード」になれ、と。
● ● ●
灰色だった住宅街も、今では真っ赤に染まりきっている。
コンクリートの壁には返り血が描かれ、肉片が周囲に飛び散る。
しかしランサーのサーヴァント、駆紋戒斗にとっては、既に経験済みな事では有る。
ユグドラシル壊滅後の沢芽市。
その時にアチコチから湧いて来たインベスの軍団と比べてみれば、然程大差はない。
四方八方に塞がるは、何処かで見たような妖怪共。
退路を塞いだアサシンの宝具「百鬼夜行」で召喚された妖怪達に、ランサーは立ち向かう。
時には避け、時には創世弓ソニックアローであしらう。
一息付いた後、ソニックアローを構え直して、目前にいるアサシンと、それに従属する天狗に構える。
「次は貴様らの番だ……。」
「ぬら〜」
「Grrrrrrrr……。」
殆どの妖怪は潰せた。
オーバーロードの力こそ出し切れてはないが、ゲネシスドライバーで立ち回ることは、そう難しくはなかった。。
この手の怪人軍団との戦いを、戒斗は幾度も経験してきた。
その経験が活きてきたのだろう。
最も、あの時はビートライダーズやインベス軍団等の手数があっての事だったとも言えるのだが。
アサシンのパラメータ自体は低い。
後は、あの天狗さえ倒せれば―
だが、ランサーは知らない。
このアサシンが、謎の黒球(ガンツ)が百点をくれてやるほどの大ボスであるという事を。
大当たりをスロットが当ててくれるはずがないように、『百鬼夜行(大阪ミッション)』は、そう安々と潜り抜けられる様な戦いではないのだと。
「Gyasaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
「!?」
声に驚き、後ろを振り向く。
今度は眼の前に、蛇の軍勢が押し寄せてくる。
蛇の群れの最後尾には、髪まで蛇になっている老婆がいた。
その醜く悍ましい姿は、まるでギリシャ神話のゴルゴーンの様にも見える。
大勢の蛇が、此方に迫りくる。
ソニックアローにエネルギーを込める。
黄色い光を放つ刃を、迫り来る蛇達にぶつける。
「ハッ!フッ!」
左から牙が―斬る。
右からも―斬る。
右下からも―斬る。
此処で一旦後ろに飛び、ランサーはソニックアローを構え直す。
『レモンエナジースカッシュ!』
すかさず、ゲネシスドライバーのシーボルコンプレッサーを押し込む。
ロックシードに蓄積されたランサーの魔力が、アームズ全体にチャージされていく。
「Gyasaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
蛇が迫り来る。
「ぎょやぁあぁあぁああぁぁぁぁあああああ!!」
老婆が喘ぐ。
「ハァァァ……。」
ソニックアローを構える。
チャージされたロックシードのエネルギーが、ソニックアローに集中されていく。
「セィィィィィ!!」
ソニックアローから光が走る。
その光は―まるで輪切りにされたレモンの様でもあった。
ソニックアローを振れば振る程、レモンは次々と放たれていく。
そのレモンは、次々と蛇の首を斬り裂いていく。
「Aaaaaaaaaaaaaaa!!」
続いて迫り来るは―本体である老婆。
老婆は憤怒の形相を顔に浮かべ、ランサーと同じくらいの大きさは有るだろうその手を振り翳してくる。
しかしランサーはくるりと横に回転しながら―その手を真っ二つに斬り裂く。
レモンの様なエネルギーが、残像となって老婆を弾き飛ばす。
「トドメだ!」
『ロック・オフ』
ゲネシスコアからロックシードを取り出す。
そしてそれをすかさず―ソニックアローのエナジードライブベイに装填する。
『ロック・オン』
老婆目掛けて弓を引き絞る。
敵は先程のダメージで苦しんでいるが、立ち上がり、斬られていない方の手を振りかざす。
髪の毛となっている蛇が嗤う。
それに向けて、照準を定める。
「ハァァァ……セィィィィィ!!」
弦を放つ。
先端から放たれた光の矢は、老婆の顔目掛けて撃ち放たれる。
『レモンエナジー!』
矢が当たった直後に電子音声が鳴り響く。
老婆が苦しむように呻く。
「A....aaaaaaaaa.....」
内部に籠ったダメージの光が老婆から輝き出す。
光は強くなり、老婆の肉体は爆裂四散してしまう。
「フン……。」
ソニックアローをフッと振るったランサーは、再び後ろを振り向く。
後ろでは、天狗が腕を鳴らし、アサシンが仏頂面を構えたままだった。
「後は貴様らだけだな……。」
「むむむ……うむぅ……。」
アサシンが何を唸っているのか、それはランサーにも分からない。
だが分かるのは唯一つ。
「んむぅ……興味深いぞ……。」
その唸りに、恐怖など何一つ無いという事だけである。
● ● ●
夜の街を、蒼いバイクが疾走する。
バイクに跨る刑事、加賀美新は、同僚達も今向かっている廃工場へと急いでいた。
ガタックエクステンダーのスピードを速めて行く。
『おいマスター。』
脳内に、己のサーヴァント、シールダーの声が響き渡る。
急いでいるのに、と加賀美は顔を苦くする。
「何だよ。」
『この先に、サーヴァントの気配が感じられる。
数は……三体はいる。』
その言葉に、加賀美は顔をより一層引き締める。
仕事も優先だが、今は聖杯戦争を止めることも優先だ。
「やるしかない……って事か?」
そう言った加賀美は、スロットルを握っていない左手でスーツを開き、ライダーベルトを見せつける。
『いや、此処は俺に任せてくれ。』
シールダーの心配そうな、しかし諭すような声が聴こえる。
しかし加賀美は、そんな事出来るか、と言い返してみせる。
『分かっているはずだ、お前のそのスーツじゃ、サーヴァントにはマトモに―』
「だからって見捨てて置けるか!?』
その声と同時に、ガタックエクステンダーに並行して蒼い光が走る。
光の速さで飛ぶは―ガタックゼクター。
加賀美を選んだマスクドライダーシステムにして、「戦いの神」の二つ名を持つゼクター。
ガタックゼクターは、加賀美の腰に巻かれているライダーベルトへと飛ぶ。
ゼクターは、バックルに装填される。
「変身!」
『Henshin』
その言葉と共に、ベルトから出現してくる無数の蒼い六角形が加賀美を包み込む。
六角形はアーマーの形を作り、加賀美を「ガタック」へと変化させた。
戦いの神ことガタック・マスクドフォームとなった加賀美は、エクステンダーの速度を上げていく。
その様にシールダーは、ハァ、と溜息をつくばかりであった。
● ● ●
◆ ◆ ◆
さあよってらっしゃい観てらっしゃい。
本日の見世物は、火除けならぬ剣避け!
所が今回出てくる動物はちょ〜っと変わった趣向でお送りいたします!
それでは、今夜のゲェムプレイヤーはァ!?
◆ ◆ ◆
一方、その先にあった住宅街における戦闘。
自動人形(オートマータ)たるアサシン…シルベストリと、寄生生物(パラサイト)たる後藤の戦い。
それは最早、肉眼では捉えきることさえ困難を極める程の速度にあった。
後藤は、腕を刺々しい刃に変化させ、周りにある家々を飛び回る。
壁を蹴っては屋根に飛び、屋根を蹴っては向かいの壁を蹴り、くるくるりと回るシルベストリを追う。
一方でシルベストリは、刃が仕込まれている左手首を右手で掴みながらも、その素早さで後藤の刃を避ける。
向かい側のコンクリートの塀を寄生生物が蹴る。
それに際してシルベストリも此方側の壁を蹴り、くるくると回転しながら此方に飛ぶ後藤を避ける。
開戦から1分程。
この様な流れが、もう六十回は繰り返されようとしている。
最古の四人を刹那の間に切り捨てたシルベストリ。
こと素早さと間合いに掛けては、他の追随を許さないと言う多少の自負はある。
だが後藤もまた、それ程の速さについてこられる程の敏捷性を持つ。
五つの本能が「コロセ」と囁く。
それらが、まるでブースターの様に、後藤の素早さを上げているようだ。
その速さは、それこそトラックでも無い限り追いつくことは難しいであろう。
―スキが見つかった。
地面に平行になる様な姿勢で空中を飛ぶシルベストリ。
その真上に後藤が―追いついた。
だが、シルベストリの抜刀術に気づけなかったのが後藤の過ちだった。
手首だった物は、既に刃へと変わっていた。
刃は瞬間的に、後藤の胴体に深く切り傷を横に描く。
「!」
衝撃により、後藤は右側へと弾き飛ばされていく。
それに反しシルベストリは、後藤とは真逆の方向へとくるくる回転し、着地する。
しかし、シルベストリにとっての脅威は、此処から始まる。
背後の風を切るは、狗神。
後藤が手繰るアサシンが召喚した妖怪が一体。
並の人間なら容易く真っ二つに出来るほどの手刀が、真上からシルベストリに向かって振り落とされようとする。
シルベストリはそれを横に避け、回転しながらも狗神のいる上空へと飛び上がっていく。
自身の三倍はあるだろう背の高さを誇る狗神の、鼻の所にまで飛び上がる。
そこに狗神の左手が伸ばされる。
まるで、目の前のハエを取り払う様に、白い袖で覆われたの左掌はシルベストリを掴もうと伸びていく。
しかしシルベストリは此処で横回転。
一瞬の間を置いて瞬時にシルベストリは空中で320度程右にくるくるりと回ったシルベストリは、徐々に近づいてくる掌に向かってベーゴマの如く飛びかかる。
狗神は危険を即座に察知、掌を離し、後ろへと飛びながら後退していく。
刹那、シルベストリの姿が狗神の視界から消える。
狗神の長所は、その素早さと見切りの良さからなる回避能力だ。
その巨大な図体を以ってでの素早い攻撃は、正に暴風。
だがしかし、そんな狗神のファンブル力でも躱しきれない物と言うものはある。
暗殺者(アサシン)の気配を捉えきれる程の嗅覚は、この狗神には備わってはいなかった。
瞬く間に、狗神の袖に無数の切り傷が走る。
手首を覆い隠していた白い袖は見事に引き裂かれ、真っ白な毛で包まれた手首が顕になる。
しかしその手首には既に多くの切り傷が刻まれており、毛も幾らかは剥がれている。
直後、線のような切り傷から紅い液体が洪水の様に飛び出していき、狗神の白い腕は真っ赤に染まる。
しかしそれでも天狗は動きを止めず、体液を周囲にぶちまけながらも何処かにいるであろうシルベストリを求めてグルル、と唸り声を挙げる。
数多ものミッションをクリアしてきた人間が束になって掛かろうとも、この狗神の闘争本能を止めることは出来ない。
「Wroooooough!!」
今度は機能している左手が、シルベストリへと掛かる。
シルベストリはそれを即座に上へと飛び回避しながらも、左手首に手を置く。
◆ ◆ ◆
「ほれほれほれほれほれほほほほほほれほれほれほれほれ」
「はやいはやい はやいのうぼくゥ」
能面の阿亀と鬼面の般若の切っ先が宙を切る。
人外となれば、その剣の速さも尋常ならず。
並大抵の敵なら、確実にサイコロステーキにでもされていただろう。
しかし宗次郎は、その華奢な身体で大の大人から逃れられた程の脚力を有している。
それは「縮地」と呼ばれるまでに昇華され、コンマ単位の間を置きながらも宗次郎は妖怪の刀を避けている。
右側にコンクリートの壁があるのなら、其処を蹴って足場とし。
左側に向かって脚を蹴り、振り翳される般若の刃を宙を舞いながらも脇差を抜刀して弾く。
これらの動作を、宗次郎は平然とやってのけた。
「不二さんみたいだな、と期待していたけれど、存外そうでもないかな。
あの人ほど剣気も響いていないしね。」
嘗て十本刀に所属していた、あの化物の如き巨漢を思い返す。
彼と共にいた頃は其処まで感じてはいなかったが、技巧に関して言えば「破軍(乙)」たる彼の方が上だ。
仮にもあの志々雄真実に「俺の次に強くなれるさ」と言わしめた宗次郎の天剣なら、彼らの剣技等造作も無いだろう。
しかし、それは彼らに傷が付けられたら、の話だ。
生憎宗次郎の脇差は、サーヴァント相手に太刀打ちできるような神秘は持ち合わせていない。
(結局、この足が僕の武器か……)
(大丈夫……ですかねぇ……)
(………。)
影では、二人の幸子がひっそりと見守っている。
もう一人の『ボク』の背中で隠れている幸子は尚笑顔を浮かべている。
それが虚勢なのか、本物なのかは、知る由もないが。
一方でアヴェンジャーは、黒い鎌を構えたまま、辺りを跳ねている宗次郎の近くにいる般若に視線を向けている。
その視線は、弧を描いている口ほど甘くは無かった。
只じっと、般若の動きを彼女は見つめたままでいた。
そして―
「此処から先のシーンはR指定ですから、眼を背けててください、『ボク』」
アヴェンジャーは魔力でジェット噴射を行い、宗次郎に匹敵するほどのスピードで阿亀目掛けて飛ぶ。
フルスパーク。
空の彼方にてアヴェンジャーが習得した攻撃技。
肉眼では凝視しきれない程のスピードで移動し、鎌を振り翳したアヴェンジャー。
それによって、阿亀の肉体は上半身と下半身とで真っ二つに別れる。
真っ赤な鮮血を辺りに飛び散らせ、阿亀だった肉片は光の粒子となって消滅する。
「凄いなぁ……。」
即座に後ろへと飛び退避していた宗次郎は、苦笑いを浮かべながらもアヴェンジャーの姿を見ていた。
◆ ◆ ◆
「うぅっ!!」
天狗が両手を握りしめて拳を作り、地面を叩く。
スイカアームズ一体分はあるだろうその巨体から振り落とされるその衝撃。
それは激しい振動となって、ランサーは足元のバランスを崩し、膝をつく。
「っ……。」
「フーッ……フーッ……。」
天狗はしゃがんで鉄槌を下す姿勢を取ったままだった。
息遣いは荒く、まるで威嚇するようにランサーを睨みつけている。
「フン……。」
振動が収まり、ランサーは姿勢を立て直す。
ソニックアローを構え直し、天狗に眼を向ける。
その時である。
背後から光が放たれる。
ランサーは即座に躱すが、しかし天狗はその光に包まれてしまう。
半径20mぐらいの激しい爆発が起こる。
「っ……。」
モクモクと煙が立ち上る。
ランサーもしばらくは仮面を手で覆うが、煙は直ぐに薄れていく。
最初に見えたのは、ボロボロになった天狗の姿。
衣服はボロボロに破け、残った白ズボンにも焦げ目が付いている。
もう一つ見えたのは、禿頭のアサシン。
しかしアサシンは天狗とは対象的に無傷、服にすら全くボロが付いていない。
(どういうことだ……)
マスターによれば、敏捷はEランク程。
自分とは天と地程の差があったはずだ。
しかも、何処から取り出したか煙草を咥えている、何たる余裕だ。
「大丈夫か?」
とその時、ランサーの後ろから声が響く。
振り向けば、其処にいたのは、バイクに乗った謎の鎧戦士。
「アーマードライダー……?」
だがランサーの知るそれと、眼の前の鎧男は全くの別物だった。
バックルは錠前ではなくクワガタムシ。
両肩にはキャノンがのせられており、全身も相当にガッチガチになっている。
そしてその後ろでは、謎の光の線で出来たような物が聳え立っていた。
光の主は―ロボットだった。
色はこの暗い夜に溶け込んでいるほどには黒いが、全身に張り巡らされている黄色いラインが発光し、位置を示している。
大きさはランサーの周りにある住宅の二倍ほどは有り、後ろにいるだろう天狗とは比べ物にならない。
「サーヴァントか。」
「お前らか……此処で戦っているサーヴァントは。」
ランサーは此処で一旦思考する。
今ランサーが戦っているのは、マスターの行く手を阻む三木を倒すため。
(此処で敵を任せるのは性に合わんが……)
―退き時か。
そう考えたランサーは、即座に霊体化する。
「逃げたのか!?」
『オイ馬鹿、まだ彼奴がいるぞ!』
「うぬぬ……う〜むむむむむ……。」
タバコを口から離したぬらりひょんは、加賀美、そしてバンシィを交互に見つめる。
「興味深い……興味深いぞ……。」
ぬらりひょんの身体が畝る。
筋肉が膨張していく。
ガタックの二分の一程度の身長だったぬらりひょんの体は、徐々に徐々に大きくなっていく。
『行くぞ……』
リディはそう言うと、ビームマグナムとアームドアーマーを構え、変態していくぬらりひょんを牽制する様な構えを取る。
加賀美も、ガタックゼクターのゼクターホーンに手を加える。
◆ ◆ ◆
空中を飛ぶシルベストリの左手首たる刃が、目の前を遮った後藤に弾き飛ばされる。
クルクルと宙を舞いながら回転したサーベルは、後ろの道路にグサリと突き刺さる。
後藤の敏捷性は、シルベストリと同等、いや、それ以上の物だ。
ともなれば、彼らの戦いは最早コンマ単位の世界。
少しでも気を抜けば殺られる。
ほんの僅かに剣を鈍らせただけで、命取りになる。
(やるじゃないか)
軽口でさえ発する余裕が無い。
しかしそんな一瞬の中で、シルベストリはすかさずコートの中に手を突っ込む。
引き抜かれたのはサーベル。
そのサーベルを、後藤の腹を横に斬る。
鮮血が飛び散る。
シルベストリは更に、傷に向かって更に左からも斬りつける。
五の肉が構成する細胞の糸に綻びが生じ、傷が紅く滲む。
後藤は一旦後ろへと飛び下がる。
シルベストリも同じく後ろへと飛び下がり、手前に刺さっている片腕を元に戻す。
眼の前の後藤の傷がグニャグニャとうねり出し、即座に修復される。
傷は浅い。
半硬質化したプロテクトが、皮下組織からシルベストリのサーベルを防いでくれたお陰だろう。
それでも不覚を取ったが故に、多少ダメージは入っているだろうが。
「中々やるじゃないか、おれに僅かなスキを与えてくれなかったヤツは数える程しかいないぞ」
「そちらこそ野生動物如きが人形(オートマータ)、ましてやサーヴァント相手に此処まで太刀打ちできるとは。
驚くに越したことはない。」
最古の四人を瞬く間にゲェムの小道具にしてしまったシルベストリの俊敏性。
それは我ながら誇っても良い物だとは、薄々ながらも感じている。
これまで、自分のスピードに付いてこられたのは、あの少年ぐらいの物だった。
後ろに眼を向けてみる。
其処には、先程のランサーのマスターたる少女が、未だに気絶したまま倒れ込んでいた。
―その女の子かランサーさんは、僕と貴方が答えを持っているかもしれない―
体内のスズランが揺れるのを感じる。
フランスにいた時に出会った少女が浮かび上がる。
またスズランが揺れる。
寂しかったと突いた少年の姿が浮かぶ。
(あのような儚き者に、答えが隠れている、と―?)
と考えたその時である。
『レモンエナジー!』
電子音声が鳴り響き、大量の光の矢が上空から降り注ぐ。
シルベストリ、後藤は即座にそれらを避けるが、コンクリートの地面に落ちた矢は爆発を始め、辺りに黒煙と風が巻き起こる。
暫くして、煙は収まるが―
「……逃げられたか。」
「グルル……。」
其処に突っ立っていたのは、後藤と狗神だけだった。
(練習にしては、中々良い腕鳴らしになったじゃないか)
こう言うのを人は「うぉーみんぐあっぷ」とでも言うのか、とでも考えながらも、後藤は全身の関節をポキポキと鳴らしてみる。
(しかし、これが宝具、魔力供給、と言う奴か)
聖杯の知識に曰く、マスターの魔力はマスターの体力を消耗する形で行われる、とか。
五体分の生命が詰め込まれている後藤ともなれば、それなりに高い適性を手にするだろう。
しかし、宝具「百鬼夜行(大阪ミッション)」による魔力消費。
大勢のサーヴァントを召喚する、と言った変わったこの宝具は、先程のぬらりひょんとの手合わせを含めて、後藤の体力を疲労させるには物足りた。
(さて、後何体程の―ようかい―が喚べるのやら)
戦いはまだこれからだ。
今後は、人間達を捕食することも視野に入れておくか。
『撤退するぞ、アサシン』
自身のサーヴァントに念話を送り、後藤は街を歩き出す。
夜(たたかい)はまだ留まり続けている。
◆ ◆ ◆
道角を曲がった所でランサーは、背負い込んでいた飛鳥を下ろし、コンクリートの壁によっかける。
ゲネシスドライバーにくっついている錠前を閉じる。
鎧は光となって消滅し、ランサーは何時もの赤コート姿を取り戻す。
「すみませーん、少し頼み事があるんですけどー。」
「!?」
サーヴァントの気配がする。
後ろを振り向く。
いたのは―和服の少年と帽子の老人と……
「マスターの知り合いか。」
「えぇ?知り合い!?」
ランサーが幸子と飛鳥が良くケーキを食べたり一緒に練習しているのを、彼女は知る由もない。
その為に困惑する幸子に、ランサーは其処でぐったり寝込んでいる飛鳥を見せる。
それを見て、更に幸子が驚いた表情を見せて駆け寄る。
「飛鳥さん!?」
心配げな顔をしてマスターに駆け寄る彼女を一瞥した後、ランサーは宗次郎とシルベストリに眼を向ける。
宗次郎の笑顔と、シルベストリの仏頂面を交互に睨みつけた後、ランサーは暫く黙り込むが―
「所ですみません、ランサーさん。」
「何だ。」
「此処で一つ、取引をしませんか?」
「……何だと?」
ランサーの眉間の皺が濃くなる。
それを見た後宗次郎は、幸子に見つめられながら寝ている飛鳥を一瞥する。
「まずは、彼女を起こしてから、ですけどね。」
【E-4/住宅街/1日目 夜(22:20)】
【瀬田宗次郎@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 】
[状態] 健康
[装備] 無銘の刀
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生相応
[思考・状況]
基本行動方針:答えを探す。答えによっては聖杯を獲るのも吝かではない。
1.二宮飛鳥&ランサー(駆紋戒斗)と交渉する。
[備考]
1.百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣)を認識。ステータスを確認しました。
2.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
3.輿水幸子と行動を共にする事にしました
【シルベストリ@からくりサーカス】
[状態] 健康
[装備] 左手及び、身体に内蔵された剣。
[道具] 無い
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:宗次郎と共に答えを探す。
[備考]
1.百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣)を認識。ステータスを確認しました。
2.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
3.輿水幸子と行動を共にする事にしました。
【輿水幸子@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態] 健康
[装備] 無い
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生だがアイドルなので一般学生よりは多い
[思考・状況]
基本行動方針:答えを探す。『ボク』と共に居る
1.瀬田さん…
[備考]
1.百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました
3.瀬田宗次郎と行動を共にする事にしました
4.ランサー(駆紋戒斗)のステータスを確認しました。
【輿水幸子@グランブルーファンタジー】
[状態] 健康
[装備] 大鎌
[道具] 無い
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:輿水幸子へと帰る。
1.小梅さんの見る映画みたいなスプラッターホラーな展開にはなりませんように。
[備考]
1.百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました
3.瀬田宗次郎と行動を共にする事にしました
4.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)が、人を殺し慣れていることに薄々感付いています
5.ランサー(駆紋戒斗)のステータスを確認しました。
【二宮飛鳥@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態] 魔力消費(大)、腹部にダメージ(大)、意識混濁
[令呪]残り3画
[装備]
[道具]
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣いレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:生きて帰る。
[備考]
1.セイバー(モモン)の宝具は目の当たりにしてますが、宝具だと感づいているかは不明です。
2.予選時にランサーに「覚悟」を見せつけたそうです。
3.アサシン(シルベストリ)を認識。ステータスを確認しました。
4.アサシン(ぬらりひょん)を認識。ステータスを確認しました。
【ランサー(駆紋戒斗)@仮面ライダー鎧武】
[状態] 健康
[装備]
[道具] 戦極ドライバー、ゲネシスドライバー、ロックシード一式
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:願いを叶える
1.アサシンを倒し三木は殺す。
2. セイバー(モモン)に対し(本人は否定しているが)再戦を望んでいる。
[備考]
1. セイバー(モモン)の宝具は目の当たりにしてますが、宝具だと感づいているかは不明です。
2. 「運命超越す緋色の王(ロード・バロン)」を除く全ての宝具を解放しています。
3.アサシン(ぬらりひょん第一形態)のステータスを確認しました。
4.三木が人間でない事に気づきました。
5.輿水幸子&アヴェンジャー、瀬田宗次郎&アサシンを確認。
【加賀美新@仮面ライダーカブト】
[状態] 健康、魔力消費(一割)
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] ライダーベルト、ガタックエクステンダー
[所持金] 何とか食うには困らない程度、それなりの預金は溜め込んである
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを止める
1. 何だったんだ、あのアサシン……
2. これからF-2の廃倉庫に向かう
[備考]
・アサシン(ぬらりひょん)、ランサー(駆紋戒斗)のステータスを視認しました。
・現場に遅れたので多分怒られます
【シールダー(リディ・マーセナス)@機動戦士ガンダムUC】
[状態]健康
[装備] 「漆黒の一角獣(バンシィ・ノルン)」
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る
1. マスターが無茶をしないか心配
2. 何だったんだ、あのアサシン
[備考]
・アサシン(ぬらりひょん)、ランサー(駆紋戒斗)を視認しました。
・ぬらりひょんに若干の恐れ
【後藤@寄生獣】
[状態] 健康、魔力消費(二割程)
[装備] 無し
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金]タクシーに乗って「何がおつりはいいからねだ!」と罵られる程度。
[思考・状況]
基本行動方針:闘う。
1.魔力は多少減ったが、まあ良い、敵が見つかり次第闘うさ。
[備考]
1.アサシン(シルベストリ)を認識。ステータスを確認しました。
【ぬらりひょん@GANTZ】
[状態] 健康
[装備] 無い
[道具] 無い
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:ぬらりひょーん
1.バナナ…興味深いぞ。
[備考]
1.二宮飛鳥&ランサーを確認。ステータスを把握しました
2.加賀美新&シールダー(リディ・マーセナス)を確認、ステータスを把握しました
3.天狗を従えていましたが一旦消滅させました
【阿亀@GANTZ 再召喚不能】
投下を終了します。
疑問点、矛盾点等がございましたらご指摘お願い致します。
追記、修正はWiki収録後行います。
魔力ヤバイ状態で本聖杯トップレベルのマーダーに襲われて生き延びたか。
アーチャー(X3752ストライカー)
刹那・F・セイエイ&アーチャー(ウルトラマンゼロ)
「制」のルーラー(リボンズ・アルマーク)
を予約、3回程延長します。
仕事そっちのけで私怨晴らしそうなルーラーか……
刹那がlウルトラマンになると文字通りのソレスタルビーイングか
投下します。
刹那・F・セイエイがこのSE.RA.PHを周っている時にはもう夜中になっていた。
さて、聖杯戦争の本選が始まって間もない頃なのだが、刹那は未だに本選を突破した主従と出会えていなかった。
出会えたのは精々、昼間のGN-X軍団ぐらいの物だろうか。
勿論、GN-Xの出処も今探している…そちらの手掛かりも今の所見つかっていないのだが。
「全くひでぇ事しやがるぜ、木は折れて焼け焦げ、其処らにクレーターみてぇな穴が空いていて……」
夜の自然公園。
5人程の警察官が懐中電灯を手に周っているのが、入り口に立ってある黄色いプレートとパトカーから確認できる。
刹那は入り口で、灰色の迷彩柄のバンダナを巻いた屈強な男性から事情を聞いていた。
警察の調査を見て、何かがあるかもしれない、と考えてこの男に話を聞いていた。
曰く、この夜自然公園で三度もの轟音と騒音が鳴り響き、今警察が調べている、とのこと。
「……他に分かったことはあるか。」
苦汁を飲んだ様な顔をしている男性に対し、無表情で刹那は質問を続ける。
男はバンダナ越しに頭をポリポリと掻いた後、更に言葉を続ける。
「ハァ……後は、この公園をウロチョロしていたガキ二人を警察がとっちめたぐらいの話だ。
いやらしい事をしていたらしいが、全く、何をどうしたらこんなに地面を歪ませ、木をこんなにボキボキと焼いて折れるんだか。
キャンプファイヤーでもしていたのか……とにかく、自然愛護団体の人間としちゃ、笑って済ませられる話じゃねぇよ。」
「……そうか。」
無表情で返す刹那の顔を、男はマシマシと見つめる。
「しかしお前、見るからに黒人っぽい面構えしてるみてぇだが、随分物好きな―」
「話を聞いてくれて済まない。」
首を傾げた様な表情をした男の言葉を遮って、刹那は自然公園を後にする。
パトカーのサイレンの光が遠のき、再び辺りが暗くなっていく。
『木が折れて、クレーターみたいな穴が空いていた、か』
「やはり、お前も気になるか。」
左手首のブレスレット…アーチャーから念話が響く。
……考えてみれば、確かに変わった話ばかりだった。
木が焼かれ折れ、地面に大量の穴ぼこが出来ていた、と言う証言。
『木を折って焼いたのなら火遊び程度で済ませられるさ。』
「だが、それなら何故地面が歪んでいたのか、か?」
普通なら、「砂遊びでもしていたのでは?道具を叩きつけたのでは?」と言う意見も入ってくるだろう。
だが地球での遊びにあまり馴染みの無いアーチャーと、アーチャー以上に遊びと言う概念を知らぬ刹那には、とてもそのような事は思いつけなかった。
歩きながら、スマートフォンのニュースアプリを起動してみる。
刹那の世界にはこの様な型は無かったので扱い辛かったが、漸く慣れてきた所だ。
以前は「GALAX」を使っていたが、肝心のXとやらはいないしフレンドも禄に登録していないので使っていない。
そんな訳で刹那は
『暴力団大量虐殺 無修正AV拷問器具大量発見』
と言うニュースに目を付ける。
別に、AVがどうとかに興味が湧いた訳ではない。
只、この出来事に、何かが絡んでいる気がするのだ。
「今すぐ、此処に向かいたい。」
「……オイオイ、大丈夫なのか?」
恐らく現場は野次馬で溢れ返っているだろう。
聖杯戦争の存在をNPCに知られたら、益々面倒な事になる。
「……。」
刹那はクールだが、根は無謀に突っ込みたがる性質。
そんな刹那に、ざっと数十万は生きただろうアーチャー(精神年齢は寧ろ下だが)が忠告する。
「……成る程な、だが潜入することぐらいは出来るだろう。」
『出来んのか?』
潜入といえば、刹那も職業柄経験済みな行動だ。
パーティーにティエリア共々任務で潜り込んだ経験もある。
下手に目立つような事はしないだろう。
「出来る限り目立つような事をしなければな……。」
因みに刹那は、そのパーティーでの任務は素性が知れて逃走する羽目になってしまっていた。
逃亡した先に待っていたのが消し炭にされた身体を元に戻してやってきた仇敵なのだから、余計面倒だったのを覚えている。
この潜入で、その二の舞が起こらないとも限らない。
「だが、此処をうろついていても何も変わらない。行くぞ。」
『おい、ちょっと勝手に決めんなって!!』
ブレス内で頭を抱えるアーチャーを尻目に、刹那は歩き出す。
目的地の廃工場は、この自然公園と目と鼻の先にある。
すぐにつけるはずだ。
◆ ◆ ◆
『……』
刹那がこの自然公園を離れ、廃工場へと近いアパート街を走っているその時。
上空から彼を見つめる、一体の巨人が夜に溶け込みながらも彼を見つめていた。
X3752ストライカー。
此度の聖杯戦争において、アーチャーのクラスで召喚されたサーヴァント。
ストライカーはマスターである亜門鋼太朗の指示に従って、周囲を探索していた所だった。
しかし今回はその亜門が此処らに有る廃倉庫に向かっている為、現在ストライカーはその護衛に回っている所だった。
サーヴァントの魔力感知機能からして、この男は―当たりだ。
亜門からは様子を見ろと言う司令を受けていたが、そんな事は気にしていられない。
そんな事を行う理由は極めて不明瞭にして非効率、無価値である。
ストライカーの右手にあるビームガンが、夜の道路に光を放つ。
刹那がそれに感づいたのは、ゼロの咄嗟な警告と、イノベイター特有の直感能力のお陰であった。
『刹那!伏せろ!』
「!!」
爆撃と衝撃が同時に発せられ、刹那は全力で足を蹴って前方へと飛び込む。
ビームは刹那から辛うじて離れ、刹那は爆風で吹き飛ばされる程度で済んだ。
元々の経験と元来の悪運のおかげでもあるのだが。
「ッ……。」
道路にぶつかった頭を抱えながらも、刹那は立ち上がる。
感じた所傷は……浅い。
辛うじてそれによる治癒能力のお陰だろう。
「アーチャー、爆撃は、何処から……。」
『見てみろよ刹那、其奴ならどうも上空から見上げているみたいだぜ。』
「何っ!?」
思わず上を見上げてみる。
其処にいたのは―
「モビルスーツ!?」
爆撃の炎で、紺色のボディが薄っすらと見える。
白い骸骨の顔が特徴的な機体だ、だが……
『知ってんのか!刹那!』
「いや……知らない機体だ……だが、あの巨体は……。」
GN-X以外にもいたという事なのだろうか。
いや、そもそもあの機体が、モビルスーツと言えるかとすら―
と思った時、眼の前に数値と文字が浮かび上がる。
浮かんだのは6つ程のパラメータと、「Archer」と言う文字。
(サーヴァントだったのか、此奴)
道理で上から突然撃ってくる物だ。
『サーヴァントを一体発見。排除する。』
冷徹な機械音と共に、アーチャーの銃口が此方に向けられる。
それに対し、刹那はウルティメイトブレスレットを構える。
しかし刹那は、ジリッとした表情でストライカーに目を向ける。
「どうしても、戦うというのか。」
『貴官が当機の命に従属するのであれば、同盟締結の準備は整われる。』
「戦うのか、聖杯を手に入れるために。」
『貴官の質疑に、当機は肯定の意を示す。当機は、聖杯入手のために、不要な存在を全て廃棄する用意が完了している。』
「……そうか、ならば!!」
刹那とて、本心から戦おうとはしていない。
対話による争いの終結と言う考えに、変わりはない。
だが、どうしても分かり合えないというのなら―
ストライカー目掛けて構えたブレスレットが蒼い光を発する。
光はブレスレットを離れ空を飛び、上空でウルトラゼロアイを形作る。
刹那はそれ目掛けて足を蹴って上空に飛び上がり、ウルトラゼロアイをキャッチする。
右手に取ったウルトラゼロアイをすかさず両目に装着する。
「「ゼロ!!」」
真名開放を兼ねた叫びが木霊す。
瞬間、上空に飛んだ刹那は青い光に包まれる。
プラズマスパークの光はこの夜を明るく包み込み、やがてそれは地に燃えるちっぽけな篝火すら越えた。
「シェェェェェェアァッ!!」
光から飛び出して来たのは、蒼い巨人。
その名はゼロ。
かのウルトラ兄弟の息子にして、数々の強敵を打ち倒してきた伝説の戦士。
最強の強さと最高の優しさを兼ね備えた、若き光の巨人。
青い光から現れ出て、空中へと浮かぶゼロ。
ピグモンと同じくらいの大きさになったりした逸話から「対怪獣」を有しているゼロは、既にストライカーと同じく10m程の大きさへと変化していた。
静寂の夜空にて、ゼロとストライカーは互いに向き合い、目を向ける。
「さあ、勝負と行こうぜ、アーチャー!!」
『排除。』
ゼロの前降りを無視して、アーチャーのビームガンが火を噴く。
「機械みてぇにグチグチ言いやがって……ビートスターを思い出すぜ!」
唇を左親指で拭ったゼロは、その手を額の丸に向ける。
瞬間、額から翡翠色の光線が放たれ、ストライカーのビームにぶつかる。
衝撃により、互いの間に大きな爆発が入る。
エメリウムスラッシュ。
父親のエメリウム光線を受け継いだ、ゼロの多種多様な技の内の一つ。
光の国の戦士の攻撃が、人類の英知の結晶たるストライカーのビームを弾いたというのだ。
だが、まだゼロの攻撃は終わらない。
爆発の中から現れたゼロは、ストライカー目掛けて飛びながらもその右手に炎を宿す。
「これでも喰らえ!!」
ウルトラゼロパンチ。
己の父親の弟子から教わった炎の拳が、ストライカーの顔面に炸裂する。
45度程方向を変えて振り落とされたゼロの鉄拳によって、ストライカーはバランスを崩して落ちようとする。
だがストライカーは地面に仰向けの姿勢で落ちようとする中、背中に積んであるミサイルを此方に向けて発射してくる。
ミサイルは煙をジグザグに描きながらも一つの的に向けて上空へと飛んでいく。
危機を察知したゼロは、右手をブレスレットに掛ける。
蒼き光がブレスレットから発せられ、ゼロと同じトリコロールカラーのステッキが取り出される。
「デヤッ!!」
そしてゼロはそのステッキを横に振る。
赤紫色のバリアが発せられ、ミサイルはバリアを躱しきれずに全て打ち砕かれる。
ミサイルは全弾爆発四散し、再びモクモクと赤黒い煙が発せられる。
そして、その所為でストライカーは気がつくことが出来なかった。
煙の中を潜り抜けて飛んできた、二本のゼロスラッガーに。
フローターの出力を上げたストライカーは、即座に上空へと上がりスラッガーを避けようとする……
だが。
「させるかよ!フッ!」
煙の奥でゼロは、まるで指揮者…或いは術者の如く両手を操る。
それに従い、ゼロスラッガーは上空へと飛び上がり、クルクルと二重螺旋の様な残像を描きながら回り交わってストライカー目掛けて上昇。
ストライカーの両脇腹に当たる部分をスラッガーが斬り裂き、ボンと言う轟音と爆炎が両腹から流れ出る。
見事に傷を負わせてくれた二本のスラッガーは、煙の中へと回転しながら戻っていった。
-全体損傷10%・魔力による修復完了まで後45分-
ストライカーのOSにこの様なメッセージが流れ込む。
サーヴァント化したお陰で、科学の子であるストライカーの鋼鉄の肉体は魔力で復元されていく。
しかし、時間が無い。ましてやストライカーは霊格の低い反英雄であり、神秘の恩恵も他の英雄―少なくとも、あの眼の前の巨人よりは―受けられない。
「へへっ、そんなもんか?大人しく帰った方が身のためだぜ。」
薄れた煙の中から見えたのは、再び指で唇を拭う余裕満々のゼロ。
対するストライカーは両脇腹を破壊され体の中の機器をさらけ出している。
魔力も弾薬も十分残っている、だが果たして、この傷を狙われずして戦えるのだろうか。
ストライカーのパイロット啓発インターフェイスシステムは戦闘経緯を処理する―
その瞬間。
別の方向から三本の赤い光が、ゼロを襲った。
「何だ!?」
『またジンクスか!?』
10時、12時、2時。
見回せば3つの方向からそれぞれ一体ずつ、昼間見掛けたモビルスーツ…GN-XⅡが飛んでいた。
三体のジンクスのGNビームライフルが、ゼロを襲う。
そのスキにストライカーが離脱するのを、ゼロと刹那は見逃さなかった。
『ッ!逃げるのか!!』
「彼奴を気にしている場合じゃねえぞ!シェッ!!」
すかさずゼロは、再びブレスレットからステッキを発生させ、円形状のバリアで自身を囲む。
空色のバリアは果たしてライフルを全て中和させ、相打ちするかのように破壊される。
元々脆いプラズマスパークエネルギーで生み出したのだから、当然の摂理ではあるのだが。
「三機か、上等じゃねぇか!シェアッ!!」
態勢を立て直したゼロは、両手で頭にしまったゼロスラッガーを左右に投擲する。
両手を動かし、スラッガーを操る。
肉眼では凝視出来ないような速度で回転し、光の残像だけが目に残る速度で趨るスラッガーは、ゼロの周りを飛び、それぞれが半円を描く。
2つの半円は合わさって円となり、残像が円を描き終わった頃には、既にゼロスラッガーは三機のGN-Xの太陽炉を斬り付けた頃だった。
エネルギー源と推進源を同時に失った三機は、煙を吹き出しながら真下へと落下していく。
下で轟音が響き、大地が揺れる。
それに反応したゼロは、その無残な光景に頭を抱える。
「……やっちまった。」
『何をだ。』
手を顔に置くゼロに対し、刹那は至って冷静だ。
それもそうだろう、刹那はこの様な危険な行動を平然とやってのけた。
最も、彼の無謀な行動にプトレマイオスのクルー達は其処に痺れはしたが憧れはしていないのだが。
「何をだ……って、これを見れば分かるだろ……。」
下では、撃墜したGN-Xの残骸と思しき物がごうごうと紅くこの夜のアパート街を燃やしてくれていた。
それも、先程のストライカーの銃撃とは比べ物にならない程に真っ赤に、明るく。
近い内に消防車がこちらにやって来るだろうが、これ以上SE.RA.PHを混乱させる訳にも行かんだろう。
『確かに、此奴は飛んでもない事態だな……。』
刹那は無鉄砲だが、冷静さが無いわけではない。
それに、この様に無辜の民に争いの火の粉が降りかかるさまを幾度も見てきた。
これまで見てきたものと比べれば小火程度かもしれないが……
【E-2/アパート群の側の道路/1日目 夜(23:05)】
【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00】
[状態] 健康、ウルトラマンゼロ変身中、魔力消費(2割)
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] ウルティメイトブレスレット
[所持金] 普通
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を止める。
1. 今から燃えているGN-Xの残骸に向かう。
2. 情報を集める。
【アーチャー(ウルトラマンゼロ)@ウルトラシリーズ】
[状態] 変身解除まで残り1分10秒、マスターと融合中
[装備] ゼロスラッガー
[道具] ウルティメイトブレスレット
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を止める。
1. 刹那に従う。
2. 大丈夫かよこんなに燃えて
[共通備考]
・アーチャー(X3752ストライカー)の外見、ステータスを把握しました。
【その他】
アパートの道路に二体のGN-XⅡが落下、ぼうぼうに燃えています。
住民が消防車を呼びました、尚機体はすぐに消滅する模様。
◆ ◆ ◆
退き時と見て、刹那とゼロから逃げ出したストライカー。
明らかにマシンキャリバーのそれとは全く異なる謎の機体。
彼らに助けられたお陰で、辛うじてストライカーはこうして空を飛んでいた。
だが、それを立ち塞がるかのように、数機ものGN-Xがストライカーを取り囲む。
ストライカーは彼らを排除しようと考えるが、しかし彼らは先程ストライカーを助け出している。
それに、先程の蒼い巨人とは異なり、状況次第では此方から籠絡させることも可能だろう。
『貴官との対話を要求する。』
◆ ◆ ◆
(此処までは計算通り、さて、彼をどうやって利用してやろうか……)
市役所の奥にある蒼い空間。
その中で一人、クックッと笑いそうな表情を見せている少年、リボンズ・アルマークは、一体と一機の弓兵の攻防の一部始終をこのヴェーダから覗き込んでいた。
「制」のルーラーとして召喚された彼に与えられた権利とは、SE.RA.PH中にある全ての情報を視認出来る、と言った所である。
最初の七騎の脱落者が置かれるであろう第一の聖杯。
その置き場所こそが、ヴェーダの中にある、リボンズの姿を形作る霊基。
ルーラーのクラスで召喚されたサーヴァントにはそれぞれ聖杯の入れ物と、且つ他の参加者に様々な介入を行える権利が与えられる。
だが生憎、ムーンセルはルーラーにこの聖杯の力を使用する権利までは与えてくれなかった。
上手く立ち回るにしても、他のルーラー達が面倒だ。
「病」は精神が常軌を逸しており、病院には彼女の宝具に感染したNPCが大量に運び込まれているが自身にまで被害が及ぶことはなかろう。
「飢」はまだまだ子供だ、悩んでいる様にも見えるし幾らでも言い包められるだろう。
(しかし問題は、あの黒柱…「争」のルーラー、か)
しかし「争」のルーラーはその限りではない。
彼は人間の姿を持たないばかりか、采配に私情を一切持ち込まずに躊躇無く違反者を裁く、正真正銘冷酷な審判者だ。
しかも彼は、化身たる数多くの不死生命体を創造、召喚する事を可能としており、それを武器として戦うサーヴァントだ。
事実予選では、この不死生命体の大群に貪られた違反マスターが幾らか出ている。
モビルスーツとて万能ではない、現に自分が憎き刹那に送り出したGN-Xは太陽炉を破壊されてあのザマだ。
燃えているだろう機体は消滅しているので、他のルーラーや参加者に見られている心配は無い…と思われる。
(とにかく、僕が姿を他のルーラー共にさらけ出していては、この聖杯を物にする事は出来ない)
そのためには。
まずは暗躍するための手駒が必要だ。
此方から飛び込んできては、他の参加者やルーラーに目を付けられてしまい、王手を取られてしまう。
それを防ぐためには、王将をカバーするための歩兵が必要である。
自身と意識をリンクさせたイノベイドをGN-Xに乗せて、会話用に利用してサーヴァントとマスターを釣らせる。
ルーラーの特権により、此方の持ち札(カード)は幾らでもあるし、アレハンドロを言い包められた自分なら、どの様に説得させることもできよう。
そして、その第一の標的は、刹那と戦ったアーチャーのサーヴァント。
真名は……X3752ストライカー。
(愚かな人形だよ、人間に生み出された身でありながら、人間に反逆し、その上自らが支配者になろうとし、己と同一の存在に倒されるとは)
そのストライカーが、自身の目論見通り、対話に応じてくれた。
後は、此方から何なりと報酬をくれてやれば、後は良いように動いてくれるだろう。
(教えてあげるよ、ストライカー。真に人類を導きし存在という物を、この僕への隷属してもらう形でね!!)
リボンズの翡翠色の目が光る。
それに呼応し、ストライカーを囲むGN-Xに乗るイノベイド達の口が、一斉に開かれる。
【D-2/市役所(ヴェーダ内))/1日目 夜(23:07】
【「制」のルーラー(リボンズ・アルマーク)@機動戦士ガンダム00】
[状態] 健康、ヴェーダアクセス中
[令呪]残り2画(各サーヴァント一騎ずつ)
[装備] GN-XⅡ×2、イノベイド×2
[道具] 「革新の叡智(ヴェーダ)」
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を入手する。
1. 刹那・F・セイエイは殺す、理由やら証拠やらが見つかれば討伐令も出すつもり。
2. アーチャー(X3752ストライカー)との交渉を進める。
3.手駒になりそうな主従を探して交渉する。
[備考]
・D-2の市役所にヴェーダを隠し、其処に隠れています。壁は壊そうとしても直ぐに修復されてしまいます。
【アーチャー(X3752ストライカー)@翠星のガルガンティア】
[状態] 魔力消費(1割)、両肩部に損傷
[装備] ミサイル、ビーム銃、腹のキャノン、
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1. 参戦派の主従とは同盟を組み、上手いこと利用する。
2. マスターの意見は最低限組むつもりではあるが、する時は無視するし代わりが見つかれば速攻で切る。
[備考]
・刹那・F・セイエイ&アーチャー(ウルトラマンゼロ)の外見、ステータスを把握しました。
投下終了です。
追記、修正はWiki収録後行います。
投下乙です
リボンズのストライカー評が、完全にブーメラン
投下乙
鏡見ろよリボンズ
リボンズのルーラー評が面白いけどおまいう
投下乙です。
なあリボンズ、頭にミラクルゼロスラッガー刺さってんぞ?
網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)
爾乃美家累&ライダー(フル・フロンタル)
予約します。
刹那と話してたのはメタルドーパントの人か
投下します。
『ダメだ、見つけようが無い。』
「やはり、難しいかい?」
高級マンションの地下室にあるサーバールーム。
四角く何の飾り気も無く、数台のサーバーコンピュータだけが稼働している部屋で、累、ケイタは立っていた。
ケイタの左掌でアクティブフォームになったセブンが両掌を開いて呆れたのジェスチャーをしており、累がそれに顔を窄ませる。
この内セイバーには外の見張りを頼み、ライダーは霊体化してもらっている、狭いし。
ランサーとの交渉を済ませた後、ケイタは累に案内してもらい、地下に秘密に作られたサーバールームで痕跡を追っていた。
地下に重要な物が置かれている様は、アンダーアンカーの拠点を思わせた物だ。
累の許可を貰い受け、セブンにイニシエイト・クラック・シークエンスをGALAXサーバーに向けてアクセスしたが、今はこのザマだ。
『ご丁寧に痕跡が綺麗サッパリ消されている。立つ前に後を濁して欲しいとはこの事か。』
『やはりダメですか、セブンさん。』
サーバーからXの音声が鳴り響く。
Xとて何度か自身の内部を弄って解析はしてみた。
だが彼でも出来ないとなると―
「それで、この件はどうするんだい?」
「いや、それは勿論アンカーに送るけど……。」
美作さんに怒られるしな、と心内でボソリと言ったケイタは、向き直った累に答える。
セブンにウンと頷くと、セブンは直ぐにメールアプリケーションを起動し、メールを打ち出す。
「しかし驚いたな、まさかXに匹敵するほどの高機能なAIが存在していたなんて。
メールまで独りでに打てるだなんて。」
興味津々な目でケイタを見つめる累。
顔が近い。10センチ近い。
壁に背中をくっつけるような姿勢になったケイタ(と乗っかりながらもメールを打つセブン)に、累は顔をグイグイ近づけていく。
確か此処に来る道中で話していたけど、この人男なんだよなぁ……
いや、何度か任務でこの手の変わり者には幾度か遭遇はしたコトはあるが。
セブンの額に移されていたメールテキストウィンドウが落ちる。
『済まないなぁ爾乃美家累。それは此処に到着するまで、もう三回は聞いたぞ。
ハッハッハ、鼻が高い。』
本当に鼻が高そうなにこやかな笑顔でエッヘンのポーズを決めるセブンに、ケイタは少し呆れた顔を見せる。
『お言葉ですがセブンさん。例えAIであろうと、一個の端末に収まっているような存在が私よりも上だとは到底思えません。
しかしこの総裁X、何時でも、どこでも、数々のギャラクターの悩みを解決し、常に世界のアップデートに貢献―』
『ほう、やるか。良いだろう先程のケンカの続きだぁ!!』
「お前ら止せってもう!!」
ケイタの声で、セブンとXは互いに「フン」と言う電子音を発す。
此処に来る途中、ケイタは様々な事を累から聞いた。
XやGALAXの事を話し、ウイルスの事も話した。
そして―
「それと、さ、累さん。さっきの話の続きなんだけど。」
「ああ、間明蔵人の事?」
ケイタ、そしてセブンにもまた、間明と言う男は因縁深き人物であった。
並列分散リンクを幾度も引き起こそうと計画し、仕舞には世界を破壊しようとまでした狂人。
彼をのさばらして置くわけには行かない。
その気持は、一人と一体にとっても同じだった。
既に累は、間明が言った事をケイタに話している。
それはもう散々な驚きようだった。
やはりとは言っており、多少は気づいていたようだが。
『マジ、なのだな、X。』
『ええ、マジ、です。セブンさん。』
偉そうに腕を組むセブンに対し、変わらず物腰柔らかにXは応答し、更に音声を発す。
『そして、その間明が、本時刻より2時間後に、この様な催しを。』
その言葉と同時に、ピロロロンとセブンから着信音が鳴る。
『―勝手にメールを送るのは少々気持ちが悪い。』
『貴方のメールアドレスを、網島ケイタの予備の端末から取り出しておきました。』
「おい!!そしてセブンお前が言うな!!」
『ん?何のことだ?』
研修生になって間もない頃、何度も何度も勝手に人の電話帳覗き込んで人の携帯にメールを送り付けたことをケイタは忘れない。
「ハハ……安心してくれ。」
「あ、ああ……。」
苦笑いをくすっと浮かべる累に、ケイタも困惑しながらも同調して苦笑いを作る。
「それで、その催しって……。」
「……パーティーだよ。」
「パーティー?」
『どうやらそうらしい。これを見ろ。』
ケイタの問に、累も彼と同じ顰めっ面を無意識に作る。
それと同時に、手の上に立っているセブンがケイタに振り返る。
やはりセブンも、ディスプレイには「不機嫌」を現す表情が出来ており、とてもご機嫌そうには思えない。
『総裁Xから受信したURLにアクセスしてみよう……これだな。』
セブンのディスプレイが、顔からウェブサイトに変わる。
簡易的なサイトに映し出されたのは、夜空に浮かぶ客船の写真と、パーティーの概要。
『日時は先程Xが言ったように、今から2時間後、午後11時半から。
パーティーの名目は……やはり、ミゼル・ジーンとやらの成功記念か。』
ケイタも累も、当然その事は知っていた。
ミゼル・ジーンがバラ撒かれてから、未だにカレンダーは捲られていない。
だが英世一枚足らずで買えるその値段と、中身を積み込まずとも動かせるその画期的な構成から、IT関連の話題を一斉に攫った。
累も、GALAXを通して各ショップに行列が並んでいるのを確認している。
一番前の人は、カップ麺とテントを構えて1ヶ月前から並んでいた。中にはファミコンディスクシステムを買いに来たと言う人もいたらしいが、まあ其処は置いておこう。
「所で網島くん。」
「何だよ。」
「間明…間明蔵人は、こうして自己をアピールするような人間だったかい?」
「いや……流石に彼奴にその様な所は……無かったけど……。」
『見当たらなかったな。確かに間明は狂人だが、少なくともその様な単純な欲望で動く人間では無いだろう。
でなければあんな代物を980円(税込)で売り捌くはずも無い。
ゼロワンが間明と長いことくっついていたのも、恐らくその点が、彼のこれまでの共犯者との決定的な違いの一つであることが関係していただろうしな。』
顎に手を置いて考えるケイタに、セブンも同じジェスチャーで同調する。
それを見た累は、左親指をカリッと齧る。
「成る程。間明があんな物を作り出した理由には、少なくとも金銭的な目的は関与していないと。」
『そう……と言うか、そうとしか思えん。』
「じゃあ、そんな彼が、この様な催しを開くとしたら……。」
『何か考えているのだろうな、最も、彼が何を考えているのかまでは我々の知る範疇ではないが。』
「そうか……。」
(やはり、あの男は……)
【もし…君のGALAXが崩壊したら、世界はどうなると思う?】
昼間の間明の笑い声が反芻する。
あの男は危険だ。
カッツェとはある意味で違うだろうが、彼は間違いなく、このムーンセルを危険に晒す。
そうしたら、世界のアップデートどころの話ではなくなってしまう。
累は一度スマートフォンを取り出す。
起動したGALAXにあるクラウズマークを一瞥する。
(もしもの時は……)
「えっと、累さんどうするつもりなの?」
ケイタの問いに、累は一旦びっくりする動作を現すが直ぐに調子を戻し口を開く。
「……行くつもりさ、と言うより、既に行かされる準備は出来ている。」
「行かされるって……。」
「X。」
『了解しました。』
Xによって累のスマートフォンの画面が変わる。
画面に映ったのは、さながらファストフード店のクーポン券。
映されていたのは、何ともまあ味っ気のないデザインの「招待状」の様な物だった。
「これって……。」
「そう、招待状だよ、間明からのね。」
「はぁ?」
驚くケイタにセブンが振り向く。
ディスプレイには、「パーティーは招待制」と書かれている。
「じゃあ、俺達は……」
「いや、出来ることなら君達にも協力してほしい。」
「へ?良いの?」
驚くケイタに対し、累は不思議そうな口調で答える。
「何を言っているんだ、君達だって、間明を止めに行きたいはずじゃないか。」
「いや、そうじゃなくて……」
招待状が無ければ、船内には入れないはずだろう。
それなのに、どうやって自分達が。
「ハハッ、勿論、直接中に入り込むのは難しいだろうね―でも。」
明るげにそう言った累はG-NOTEを取り出す。
それを縦向きに構え、叫ぶ。
「これならどうかな?BIIIIIIIIIRD――――GO!!」
合図と共に、累の上下に光の輪が出現する。
それは彼女を包み、「ガッチャマン」へと変身させる。
「!!さっきのスーツ……。」
「驚いたかい……トランスポート。」
累の背中にあるX型の円盤が浮かび、転送空間を創り出す。
その様にケイタとセブンは空いた口を塞げなかった。
流石にこれは二回見ても驚く。
そして累は一旦これを仕舞い、Gスーツを着たままケイタとセブンに向き合って頷く。
「それじゃ行こうか、間明の所へ。」
「あ……うん。」
『そ……そうだな……。』
この後、セイバーも呼ばれ、ライダーも霊体化してついていく事となった。
形こそ違えど、目的は同じ。
こうして二人の少年は客船へと向かっていった。
【D-6/ビル街/1日目 夜(21:45)】
【網島ケイタ@ケータイ捜査官7】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] フォンブレイバー7
[所持金] 貧乏(一応エージェントなのでそれなりに貯金は有るはずだが、普段はセブンが口座をハッキングして勝手に使えないようにしている。
[思考・状況]
基本行動方針:SE.RA.PH生活を謳歌する。
1.アンカーのミッションの為、爾乃美家累に同行する。
2. ランサー(クー・フーリン)の同盟話に乗る。
3. 人を殺したり殺すのを見逃したりするのは真っ平御免。
[備考]
ライダー(フル・フロンタル)を確認、ステータスを把握しました。
バーサーカー(黙示録の獣)を確認、ステータスを把握しました。
ランサー(クー・フーリン)を確認、ステータスを把握しました。
【セイバー(剣崎一真)@仮面ライダー剣】
[状態] 健康、ブレイド変身中
[装備] ブレイラウザー
[道具] ブレイバックル、ラウズアブゾーバー、ラウズカード
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。
1. 願いを叶えることについては悩んでいる。
2. ランサー(クー・フーリン)の誘いに乗る。
[備考]
ライダー(フル・フロンタル)を確認、ステータスを把握しました。
バーサーカー(黙示録の獣)を確認、ステータスを把握しました。
ランサー(クー・フーリン)を確認、ステータスを把握しました。
霊体化は出来ません。
【爾乃美家累@ガッチャマンクラウズ】
[状態]
[令呪]残り3画
[装備] NOTE
[道具]
[所持金] 裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争からの脱出。
1.間明の野望を止めに行く。
2. Xには申し訳ない。
3. 間明蔵人……彼は何としても……
4.ランサー(クー・フーリン)の誘いに乗る。
5.明日朝にはXを解放したい、状況次第ではCROWDSも配布する予定に有る。
[備考]
バーサーカー(黙示録の獣)を確認、ステータスを把握しました。
ランサー(クー・フーリン)を確認、ステータスを把握しました。
セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを把握しました。
間明蔵人対策の為、現在Xはワクチン制作に励んでいます、それが出来次第GALAXのX機能は解放される予定です。
網島ケイタから間明について聞きました。
【ライダー(フル・フロンタル)@機動戦士ガンダムUC】
[状態] 健康
[装備] 「可能性を喰らう者(シナンジュ)」
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を獲得する。
1. 当分は累の方針に従う。
2. 代わりのマスターを探すことも考えておく。
3.累が自滅することを信じて疑わない。
[備考]
バーサーカー(黙示録の獣)を確認、ステータスを把握しました。
ランサー(クー・フーリン)を確認、ステータスを把握しました。
セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを把握しました。
投下を終了します。
申し訳ございません。
サブタイトルを「彼奴の船にAccess」に変更させていただきます。
投下乙
鬼兵隊も狙ってるし血の雨は必至やな
エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)
柊シノア&キャスター(布道レオ)
予約します。
予約を破棄します。
白菊ほたる&ライダー(パトリック・コーラサワー)
キャスター(ナーサリィライム)
予約します
予約ありがとうございます。
此方も再予約させていただきます。
3回程延長させていただきます。
予約を三回延長させてください
◆A2923OYYmQさんに通告があります。
申し訳ございません、貴方の予約の期限は昨日までです。
期限超過はこれ以上認める事が出来ず、また今後の立場をはっきりさせるため、翌日に貴方の予約を強制破棄させていただきます。
ご了承ください、お願いします。
ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ありません
昨日のうちに破棄しておくべきでした。すみません
此方も予約を破棄させていただきます。
改めまして
白菊ほたる&ライダー(パトリック・コーラサワー)
ランサー(空条承太郎)予約します
投下します
パトリック・コーラサワーは、一人思案していた。
当人に似合わない事この上ないが、動くこともなくじっと考え続けていた。
上司であり妻であったカティ・マネキンが知れば熱でも出したかと思いそうな光景だが、当人は至って真剣である。
外見や言動の為に誤解されやすいが、パトリック・コーラサワーという男は、極めて優秀なMSパイロットである。
AEUの最上位の10人と認められるパイロットでなければ与えられない、擬似太陽炉搭載型モビルスーツ。GN-Xを受領した10人の内の一人であり、
出る度に撃墜され『不死身のコーラサワー』等と揶揄されても、配置換えを行われる事なく最前線に置かれ続け、
弱卒を連れて行く余裕など微塵も無く、文字通りの最精鋭で当たった対ELS迎撃戦に於いては、一万倍以上の数に加え、ELSが次々と地球の兵器に擬態し、
味方が次々と擬似太陽炉を暴走させての自爆に追い込まれて行く程の劣勢の中で、味方からの援護もないまま最後の局面まで生き残っていた。
同時代に生きた英霊達……ガンダムマイスター達やグラハム・エーカーといった面々と比べれば、
派手さは無いものの生存能力という点では比類無く、高い技量と併さって実に使い易いパイロットだった。
要するに、パトリックコーラサワーという男は“パイロットとしては”極めて優秀ではあった。
パイロットとしては。
では指揮官としては?
失格である。
当人の高いセンスが幸いして小隊長クラスなら勤まるものの、それ以上は危ういものである。
加えて当人が自分で考えないで出来る他人に思考を丸投げする為に、前線の部隊指揮官以上の事が出来無い。
良い指揮官に恵まれれば、その技量と強運をフルに活かせるが、指揮官に恵まれなければそれまででしか無い。
つまりパトリック・コーラサワーというサーヴァントの強さは、良くも悪くも上司────聖杯戦争ではマスター────次第なのである。
ではそのマスターである白菊ほたるは、パトリック・コーラサワーというサーヴァントを充分に活用できるかといえば────全く期待できない。
何しろ荒事とは全く無縁の小娘だ。戦闘において的確に指示を下す事も、今後の身の処し方を考える事もできるはずが無い。
コーラサワーは考えた。どうすれば良いか考えた。
手っ取り早い手段としては、生前のように“信頼できる人物を見つけて丸投げする”というものだが信頼できる人物が見つかるまでどうするのか?
これが問題だった、
出会えることに関しては、コーラサワーは『生きている時に大佐に出逢えたように、今度もまた逢えるだろう』位にしか考えていない。
自身の規格外の強運を全く考慮する事なく、出会えると信じているところは、パトリック・コーラサワーのコーラサワーたる由縁の事だった。
だが、未来の出会いなど、現在のコーラサワーには意味がない話である。
兎に角当座をどう凌ぐか、その事について、コーラサワーはひたづら考えていた。
生きている頃なら知恵熱待った無しだった事だろう。
そうして考えに考え抜いた結果────。
「大佐なら帰る方法と、この戦いを起こした奴を倒す事と、何よりも民間人を守ろうとするだろうな〜、と」
記憶にあるカティ・マネキンの言動を全て掘り起こし、“大佐ならどうするか”を行動の指針とする事に決めたのだった。
そして現在、コーラサワーは蒼穹を飛翔している。
カティ・マネキンなら、この事態にどうするか?この疑問に対してコーラサワーの出した答えは三つ。
ほたるのような民間人を戦闘に巻き込む黒幕の打倒。
民間人に危害を加える輩の殲滅。
ほたるのような、巻き込まれた民間人の保護。
カティ・マネキンのなら、この三つを行動方針とするだろう。
この事をほたるに話して同意を得ると、コーラサワーは早速宝具を使用し、GN-XⅣを駆って飛び立った。
目的は街の地形の把握。及び敵性勢力の釣り出しである。
尤も情報を収集する事を失念していたため、無為に街上空を飛び回るだけだったが。
この場合の情報とは、街に流れる噂を指す。
何処其処で怪しい影を見た。何処其処で人が行方不明になった。
こうした噂を丹念に集めた上で吟味すれば、効率良く目的を達成できたのだろうが。
ましてや、初日に昼間から行動を起こすような者が居るわけもなく、コーラサワーは虚しくほたるの元へと帰投したのだった。
「……………なんだありゃ?」
佐藤和真の家の屋根の上に陣取り、周辺の警戒と索敵に当たっていた空条承太郎は呟いた。
視線の先に有るのは、コーラサワーが駈るGN-X。
「あの高さであの大きさ………やれやれだぜ…面倒な奴が居るもんだ」
百戦錬磨という言葉ですら追いつかぬ戦闘経験を持つ承太郎だが、空を飛び回る相手や、デカブツ相手は殆ど経験がない。ましてや療法を兼ねている相手など絶無。
敵対した場合、どう対処し、どう仕留めるか。
考えている間に、GN-Xは蒼穹の彼方へ消えて行った。
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態] 健康
[装備] 無し
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る
[備考] GN-Xを確認しましたが、大雑把な大きさくらいしか把握していません。
「………居るわけないか」
破壊されつくしたビルの屋上でコーラサワーは呟いた。
夜間になり、合流したほたる共々索敵を続けていたコーラサワーは、センサーにビル群から強力な魔力反応を建築、即座に急行した先で見たものは、
白と青のカラーリング、黄色く光る眼、そして頭部の二本の角。
────ガンダム⁉
あの形状は間違いない。見覚えの無い機体で、尚且つ小さいが、ガンダムタイプのMSは複数存在するし、大きさに関してもコーラサワーの駆るGN–Xも小型化しているのだから、アレはガンダムで間違い無いだろう。
「マスター!アイツのステータスの確認を!!」
「えっ!?は…はいっ!」
高揚する気持ちを抑えて、ほたるにステータスを確認させる。後は交渉に有利な場所に陣取って────。
刹那。ほたるがステータスを確認する間も無く、敵として戦い、アロウズやELSとは共闘した因縁深い存在に気を取られたコーラサワーのGN–Xを、飛来した高エネルギー体か捉えた。
「のわああああああう!?」
「きゃああああああああ!?」
被弾した場所とタイミングが悪く、ほたるとコーラサワーの悲鳴と共に、GN–Xは堕ちていった…。
そして三十分後…再度GN-Xを駆り、苦労して探し当てたビルの屋上に現れた二人は破壊跡しか見つけられなかった。
「ひどい……」
ほたるの呟きも尤もで、上空から見下ろすビル群は、複数のビルの屋上どころか最上部が吹き飛び、高熱で溶けていた。
その威力は最初に戦ったアーチャーの比では無い。
戦闘の痕跡に緊張するほたるを余所に、コーラサワーは腕を組んで思案していた。
────GN-Xを一撃で破壊する威力といい…GN-Xが有るからって油断はできねぇな……。
召喚直後に戦ったアーチャーといい、先程GN-Xを落とした奴といい、相当な火力を持つ者がこの戦いに複数召喚されたらしい。
────やっぱり大佐の真似は疲れるなぁ……。
其処まで考えたところで、コーラサワーは疲れて考えることを止めた。
やはり自分には、考える事よりも行動する方が合っている。
「早く見つかんねーかな。大佐みたいに信頼できる相手」
大佐並なんて存在しないから其処までは期待していないけど。
【D-2/破壊されたビル群の上空1日目 夜(23:05)】
【白菊ほたる@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態] 健康、GN-X搭乗中、魔力消費(小)
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] なし
[所持金] 普通
[思考・状況]
基本行動方針:無し
【ライダー(パトリック・コーラサワー)@機動戦士ガンダム00】
[状態] 健康、GN-X搭乗中
[装備] 拳銃
[道具] 無し
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:
民間人を戦闘に巻き込む黒幕の打倒。
民間人に危害を加える輩の殲滅。
ほたるのような、巻き込まれた民間人の保護。
1. ガンダム!?
2. GN-Xが有るからといって油断は禁物
[共通備考]
一日中飛び回っていたのでランサー(空条承太郎)以外にも見られたかもしれません。
投下を終了します
コーラサワーの行動方針を修正します
基本行動方針:大佐ならどうするか考えて行動する
1.民間人を戦闘に巻き込む黒幕の打倒。民間人に危害を加える輩の殲滅。ほたるのような、巻き込まれた民間人の保護。
2..ガンダム!?
3.GN-Xが有るからといって油断は禁物
SSタイトルは
【思考と反射の融合】です
遅れてしまって申し訳ございません、投下乙です!!
成る程、コーラさんを指揮官としての部分でも考察するとは、うん、そりゃ兵士だもんね。
ガンダムを知る者が別世界のガンダムを発見、これぞクロスオーバーですな。
承太郎さんも相方が捕まっている中偵察頑張っていらっしゃられる様で何よりです。
それと大佐ではない、(ELSと戦う頃には)准将だ!!
最上リョウマ&セイバー(モモン)
加賀美新&シールダー(リディ・マーセナス)
百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣)
ステラ・ルーシェ&バーサーカー(朽木ルキア)
制のルーラー(リボンズ・アルマーク)
予約します。ついでに延期を三回しておきます
ご予約ありがとうございます。
それでは此方も
柊シノア&キャスター(布道レオ)
エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)
ラウ・ル・クルーゼ&アサシン(大道克己)
を予約、再延長させていただきます。
投下します。
「あ……あがが……あがぁああああ…っ……。」
夜、やや狭めな道。
街灯のちっぽけな灯りに照らされながらアスファルトを這い蹲る、一人、いや、一匹の人間がいた。
されど、その一匹の腕は、正しく異形。
人間の皮膚を色褪せず貼り付けているその異形の手は、正に寄生生物『パラサイト』の餌食になった者の証であった。
「がが、がぁ、っ。」
五頭の塊たるパラサイト、後藤が聖杯戦争のマスターとして招かれ、ムーンセルの役割に置かれた影響から、パラサイトも同じくNPCとして再現されていたのだ。
数十体ものパラサイトが、この街を『喰場』と言う縄張りとして位置づけ、こうして人肉を貪っているのであった。
が、悲しいことにこの一匹は、寄生する場所を間違えたのであった。
腹には、大きな赤紫色の水晶の様な物が、尖った柱の様な形を以って、パラサイトの男の腹の服を突き破って伸びていた。
それは秒一秒ごとに伸びていき、少しずつ四肢や背中に向けて面積を増やしていく。
一分が立った時、パラサイトから脚の感覚が無くなっていった。
直ぐ様回復させようとするが、遅かった、さっきまで脚だったものは完全に水晶の山となって、脚の形を取るようにして積もっていた。
二分が立った時、次は右腕にまで水晶がやってきた。
三分が立った時、パラサイトの本体は媒体となった肉体から逃げ出そうとしたが……遅かった。
既に水晶は本体の部分にまで来ていたのだった。
一時間が立った時、いよいよ下半身が完全に失われていった。
そして、白い仮面を纏った、パラサイトとは別の異形に出会った。
「よう、辛いか、ゆっくりとじわじわと、誰の介錯もなしに死んでいくのは。」
異形は答えず、ただ悶え苦しむ。
「そうか、なら喜びな、お前はラッキーだ。何せ地獄への特別特急に漕ぎ着けたんだからな。」
『ファング・マキシマムドライブ』
白の持つ黒いナイフが、『F』のアルファベット文字の様な光を発する。
アサシンのサーヴァント、大道克己は、ナイフから自身の1.2倍はある二本もの白い牙の様なエネルギー波を発し、パラサイトの最後の命の灯火を容赦なく消し去った。
「ぐええええぇぇぇえぇえぇえぇえ!!!」
パラサイトの断末魔が静かな街にこだました後、克己はその死骸に近寄った。
近頃、異形の怪物が街を騒がしているというニュースは、克己もよく聞いている。
この前、ある芸能プロダクションのプロデューサーが殺害され、スケジュールが混乱したという話も出ている。
「空っぽな眼をしているな。」
パラサイトの虫のような目つきを思い返しながらもまるで俺達(NEVER)だ、と克己は口には出さず、そのまま次に気を引かせる下半身の代わりに積もっている水晶に目を向けた。
(アポカリプスウイルス、か)
此度の聖杯戦争の舞台において、多くの犠牲者を出しているとされている未知にして不死の病。
感染したが最後、限られた国のみが保有するワクチンによって抑えることしか延命措置はないとされる病気。
「噂には聞いていたが、まさか化物にもかかっちまうとはなぁ。」
何の感情も見せない仮面の姿で、アサシンはそっと呟く。
<<何を油を売っているのかね?アサシン>>
クルーゼの念話が届く。
言葉とは裏腹に口調は冷静で、からかっているようにすら聞こえる。
<<ああ、分かっているさ、今丁度、そいつらをもう一度発見した所だ。
その寄り道に殺ったんだよ、まだ見失っちゃいない>>
丁度、あの巨大ロボと鎧戦士のマスター同盟の学生二人を、もう一度発見した所だった。
その時、偶々寄りかかった所で這っていたパラサイトが気にかかったので、一旦来てみただけだ。
幸い、ここら
<<ふむぅ、所でそれは、アポカリプスウイルスのキャンサー後かね?>>
<<キャンサー?確か、ウイルスの作用で肉体がこいつみたいな結晶と化していく事だったか?>>
足の形を作ったまま地面に散らばる結晶を一粒拾い、克己は興味深げに見つめる。
◆ ◆ ◆
「恐らくここら辺から〜」
「本当にいるのかよ、彼奴が此処に。」
エレン・イェーガーと柊シノアは、あのバーサーカーから離脱した後、鎧のセイバーを諦めて、また予め情報を入手しておいた別のマスターを探していた。
鎧のセイバーと組む方が都合が良いが、そんな悠長な事を言っていられないと言うのもある。
「本当に、あいつが、マスターなのか。」
訝しむ様な目でエレンはシノアをに問う。
過去に同期が壁を破った犯人だったという過去が彼にあったのをシノアは知らない。
「あーはーはーそんな怖ぁ〜い目で聞かずに。」
「……。」
此処でシノアも表情を一旦引き締める。
「ええ、事実ですよ。
……貴方が予選のロールで仲間だった方……『カオスヒーロー』が、マスターであるというのは。」
「やっぱりか……。」
どうにも気持ちが静まらない。
あの時、勝手に逃避していったライナー達にしてもだが……
「このやり取りを続けて、これで四回目ですよ?」
「……。」
―やっぱり此奴は苦手だ。
そう思いながらも、カオスヒーローについて想起してみる。
カオスヒーローとはチンピラとの下らない喧嘩の最中に良く会った、自分やシノアと同じ年代の少年だった。
最近は逃げてばかりで、あまり会わなくなったが。
キャスターの偵察による調査からすると、カオスヒーローのサーヴァントは恐らくセイバーのクラス。
先程出会った甲冑のセイバーと同じだ。
最も、ステータスのピーキーさにおいてはあのセイバーよりは劣る、が。
―彼が魔力の炎を扱い、予選にてアーチャーのサーヴァントを撃退した姿が確認されていました。
私の呪術としーちゃんじゃ心細いですし〜、キャスターの陣地とバーサーカーの回復時間を稼ぐための騎士(ナイト)としては充分じゃないですかねぇ〜。
というシノアの提案もあり、キャスターが術で彼の痕跡を追いながらそれに付いていく形で動いている。
「見たところ、降り掛かってくる炎を振り払うかの如く戦っている姿が見受けられますね〜炎なだけに。」
「何だよそれ。」
「うわーんエレンさんガールズギャグに碌な反応見せてくれなぁ〜い男としてさいてぇ〜い。」
「……。」
少なくとも、カオスヒーローとセイバーがあちこちで戦っていると言う事は確かな様だ。
そして戦いの後が激しければ激しい程痕跡というものは濃く出る物であり……
キャスターの念話によると、その中でも特に新鮮な痕跡が此処から更に南に有るという。
というわけでエレンとシノアは南へと向かっているのであった。
―のだが。
その刹那。
「シャァッ!!」
凄まじい旋風が一瞬、エレンの右を横切る。
それと同時に、目の前に物体が一つ、出現する。
「ウゥッ……ングゥッ……。」
「あれ……は……。」
その形、その衣、その色、そのどれもは、人間と相違なかった。
――刃を象り、ポタポタと朱い雫を垂らした、異形の左手を除いては。
それはある種、シノアの戦った吸血鬼とも、エレンの戦った巨人とも、全く別の生き物とも言えた。
「うぐぅあああああああああああああああああああああああああ!!」
右腕を抑え、呻くエレンの声が夜にこだます。
彼の腕からは、まるでホースから出された水の様に血液が吹き出す。
「!!エレンさ……ん。」
驚くシノアが次に見るは、目の前にポツンと転がる右腕。
エレンの抑える右腕からは、それがごっそり抉られていた。
<<……キャスターさん、出てきてもらえませんか>>
焦る様な口調で、自身の使い魔に念話を送る。
<<落ち着いてください……どうやらサーヴァントでは、無い様です>>
突然の事態に脳がショートしそうになるシノアを、左横で実体化しかけたキャスター…レオが宥める。
黒衣のキャスターはさながら狩人の様な眼差しとなり、魔戒剣を構え戦闘態勢を取る。
冷や汗と眉間の皺を顔から留めたまま、黒いペンの様な形をした四鎌童子を取り出したシノアは苦笑いを辛うじて浮かべる。
「だから感知出来なかったのですね……あはは……感謝しますよ、シノアちゃんの騎士(ナイト)さん。」
「そういうのには程遠いですが……魔を探知するのは、魔戒騎士の昼間の仕事の一つですから。」
目の前の敵に思考を切り替える。
異形の腕を持つ怪物は、呻きながらもその刃を振るえながら構える。
その様はどこか、隣で同じく苦しんでいるエレンのそれに良く似ていた。
「キャスターさん!あれは!」
怪人の、腕という名の刃にシノアは注目する。
見てみれば、刃から妖しい光を放つ結晶があるではないか。
「……マスター、貴方はエレンさんを護衛してください!この怪物は僕が相手します!!」
「分かりました。」
シノアは直ぐにエレンの元に駆け寄る。
血はもう止まっている、凄まじい治癒能力だが、まずそれは置いておこう。
その代わりに、彼の腕の断面にも結晶が。
「う……ぐ……っ……何だよ……この水晶みたいな奴、は。」
(これって……確か……)
必死に記憶を探る。
確かに、キャスターの使い魔の偵察にも、この様な結晶を発出させていた。
(そう言えば、確か新聞で……)
世界が壊滅したこともあって、テレビには縁のないアナログな生活を続けていたシノアだったが、情報収集も兼ねて新聞には一応目を通していた。
この様な結晶が発生する病気、それが、どうやらここらの区域、つまりSE.RA.PHに広がっているということだそうだ。
(あはー……まさか、こんな所でもウイルスに出くわすだなんて……)
己の世界を八年前に壊滅させた黙示録のウイルスを思い返しながらも、エレンの容態を確認する。
「暫く、横になっていてください。」
「……っざっけんなよ…こんな所で……横に……なれ、とか。」
往生際悪くエレンは、しゃがんだ姿勢になりながらも、安静な状態になるのを拒む。
もうバーサーカーを実体化させる与力もない。
かと言って巨人になる体力もない、それもそうだろう、腕をもがれたのだから。
「あれ、結晶から……何か、粒みたいな物が……。」
シノアが驚いているが、今エレンの腕は己の体力を以って絶賛修復中だ。
あの時巨人の森にいた時の様に、禄にエネルギーの供給が出来ていない状態だ。
―ここでは食事は意味を成さないが、魔力を有する血液が大量に失われた。
燃費の比較的少なめなバーサーカーが動かせず、特殊能力も使えない、回復には大幅な時間が掛かるだろう。
シノアは思い詰めるような表情を一瞬見せる。
(優さんと同じですね……猪突猛進で無茶ばかりして……面白いけど……)
「しーちゃーん、出ておいで〜。」
右手にあるペンが黒い魔力の奔流を帯び、巨大な鎌を形作る。
「おま……え……。」
「けが人は暴れないで下さーい、でないと死神が出ちゃうぞ―夜に出る死神は怖いんだぞ―。」
「……。」
そしていつもの笑顔と軽口を取り戻し、彼を守るように大鎌……四鎌童子を構える。
だがエレンは知っているだろうか、シノアは知っているだろうか。
彼の肉体の結晶化……キャンサー化は、徐々に進行しつつあるということを。
◆ ◆ ◆
「はぁぁぁぁぁ!!」
常人が見たら目を回すような立ち合いが、夜の街で繰り広げられていた。
キャスターのサーヴァント、布道レオは、魔戒剣を手に怪物……パラサイトと渡り合っていた。
壁を蹴り、刃を打ち合い、時には避け、時には返し……
そういったやり取りが、既に十五回は繰り返されていた。
「……こいつ、速い!!」
憑依した人間の殻を被ったホラーと、そう負けずとも劣らない瞬発力を向こうの怪物は持っていた。
それに付け加え、太刀筋は合理的かつ秩序立った物だった。
まるで、生き物ではないかのように。昆虫が武器を振りかざすのが、どの個体でも大抵同じパターンであるかのように。
―なのに、この化物には魔の気配も魔術回路も全然ない。
マスターなのか、サーヴァントなのか、はたまた使い魔なのか。
稀代の天才と謳われたレオは、魔戒騎士としても魔戒法師としても一流の技能を持っていると自負している。
前述した通り、それと同時に魔を探知することにおいても卓越した嗅覚を併せ持っている。
それなのに。
(彼には、全く魔の存在が察知されない!)
召喚時にエルバを持ってきていないせいだろうか。
いや、それでも生前の逸話とサーヴァントとしての力を使えば、なのに。
(こいつ……一体何者なんだ!?)
焦りで一瞬のスキが生まれ、敵の刃がレオの魔導衣を掠る。
レオは直ぐに飛び退き、再び剣を構え直す。
そして両手で剣を構え、鎧召喚の構えを取ろうとする。
<<マスター、再び鎧を纏いますが―>>
鎧の召喚は先程の白仮面と甲冑のセイバーとの戦いで使った、マスターの魔力を温存するためにもそう安々とは使いたくない。
だが、エレンを急いで病院に運び込み、再び作戦を立て直す必要などもある。
それを踏まえれば―――
<<構いません>>
「分かりました!!」
その言葉と同時に、化物が飛びかかる。
直後、レオは両手で剣を振るい、上空に円を描く。
円は光を纏い、一瞬で様々な紫色の鉄鋼を発生させる。
それは彼を包み込み纏わせ、装甲させる。
光が止んだ時、そこに衣を着た青年はいなかった。
代わりにいたのは、狼の頭を持つ甲冑の騎士、閃光騎士狼怒(ロード)だった。
◆ ◆ ◆
<<そうか、あの少年がウイルスに感染したか>>
<<どうやらそうらしい、今はキャスターのマスターが援護に回っている>>
ほんの少し離れた建物の屋根で、気配遮断を使った克己が偵察に回っていた。
クルーゼの命令による、モビルスーツのサーヴァントを操りしマスターの情報収集。
それを遂行するために、克己は彼等を偵察していたのだが……
「どうする?このまま見ておけば目的のマスターは死ぬぞ。」
まさかアポカリプスウイルスが、モビルスーツの子供のマスターにまで回っているとまでは思いもよらなかった。
僅かなスキを見せたがばかりにこのザマだ。
克己自身は彼に殆ど興味を持たないが、このままだと確実に彼はウイルスに侵されるかあの怪物に殺されるかのどちらかの末路が待っている。
それにウイルスがあるとなればキュアがあるクルーゼにとっては大変有利な交渉材料ともなるし、恩を売るのも―
<<いや、このまま偵察を続けたまえアサシン君>>
その言葉に、無意識に克己は苛立ちを見せる。
<<何故だ>>
<<見えるだろう、ウイルスが侵食している彼の腕を>>
NEVERの鋭敏な視覚でそれは見えた。
それはEランクの千里眼スキルにさえ劣る物だったが、彼の腕が徐々に伸びていくのが分かった。
<<大した物だな……>>
<<優れた治癒能力だよ、組織が分断されたはずの腕が元の形を取り戻そうとしている。
細胞分裂さえ自力で出来ない我々とは大違いだ>>
<<だが、幾ら治そうと時間の問題だろう。その治癒能力なら、あのキャスターと戦っている化物だってそうだ。
そしてそいつは俺自身が組織を砕いて殺した。あのガキももうじき死ぬぞ、お前だって解っているはずだ>>
<<解っているさ>>
<<なら何z……>>
<<なら何故……君は直ぐに助けに行きたがるのか>>
<<……何?>>
<<実を言うとね、私はあのマスターとサーヴァントに然程興味は湧いていないのだよ。
ただ単に、私の世界にて英霊になった者がどの様な存在か、ほんのちょっとだけ気になっただけのことなのだよ>>
<<だからどうした。それは俺も……>>
<<だからこそさ。このまま放っておいて、それであの少年と少女が生き延びたのなら偵察を続け給え。
が、負けたらそれまでの話だ帰り給え、下手に魔力を削る必要もない>>
克己の言葉を、飄々とクルーゼは返す。
まるで、彼の反応を面白がっているかのように。
<<そうか、だから奴を死ねないまま苦しませるというのか>>
<<ふむ?何が可笑しいというのかね?>>
<<っ……>>
言い返せない。
大道克己は死ねない。
過去がないまま明日を求めて足掻き続けて、死ねないまま生きつづけることに疲れている。
故に生が苦痛なのなら、それを断ち切ってしまうのが彼の性だった。
だから探偵に殺された仲間を躊躇なく斬った、使い物にならなくなったのもそうなのだが。
しかしそれを知るか知らぬか、己がマスターは言葉をまだ続ける。
<<劇物に苦しむモルモットを観察するのは趣味ではないのかね?死神君>>
<<何?>>
<<その気持ちはどこから来るのか……自分をどこかで見ているような気がするのか或いは……>>
<<……。>>
<<彼等に、情けを掛けているつもり、とでも……>>
<<……ふざけているのか?
<<フフッ、図星かね?>>
<<……判らん>>
<<フッ、まあ良い、さっきのはジョークだよ。どの道彼は無傷で生きられないのは私も解っている>>
<<そうだろうな、手札をお守りの様に取っておくのは、あんたのスタンスとはまるで正反対だからな>>
<<だが、さっきの声は本気のように聞こえていたぞ?>>
<<煩い>>
<<君の好きにすると良い、あの少年を救うのか、それとも、このまま見殺しにするのか>>
その言葉に、仮面で隠された克己の乾いた心はどこかモヤモヤとした感情に支配されゆく。
(何なんだよ……アンタは、一体何をどうするつもりなんだ?)
クルーゼもまた、己と同じく破滅を願った生きる屍なのは、克己が最も理解している。
だが、彼の行動はまるで掴み所がない。財団Xの様におどけているのか……
(今のがジョークなら、京水の方がずっとマシだぜ)
そう考えながらも、克己は彼等の様子を見守っていた。
どこか心の中で、苦痛に呻く少年を哀れに思いながら。
【E-4/住宅街/1日目 夜(23:30)】
【エレン・イェーガー@進撃の巨人】
[状態] アポカリプスウイルス感染(全体の2割)、右腕損失(現在修復中)、及びその修復と出血による魔力消費(8割)
[令呪]残り3画
[装備] 無し
[道具] 無し
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣い程度)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り、願いを叶える。
1. シノアと手を組む。
2. 取り敢えず帰宅する。
3.ウイルスが苦しい。
[備考]
・キャスター(布道レオ)の宝具を確認しました。
・夢の中に出てきた少年がバーサーカー(シン・アスカ)だとは気づいていません。
・セイバー(モモン)の姿とステータスを確認しました。
・アポカリプスウイルスに感染しました。早い内にワクチンを摂取せねばキャンサー化が悪化します。
・血液と共に魔力を大量に失っています、血液も直ぐに調達されるので輸血の必要はないと考えられます。
【バーサーカー(シン・アスカ)@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
[状態] 宝具の翼を損傷、宝具の右掌を損傷、魔力消費(中)
[装備] デスティニーガンダム
[道具] デスティニーガンダムの装備一式
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針: ■■■■ー!
1. ステラァァァァァ……
2.
[備考]
翼をランサー(スカルナイトモン)に破壊されました。宝具の特性上修復はされますが、時間はかかります。
右掌をバーサーカー(黙示録の獣)に破壊されました。宝具の特性上修復はされますが、時間はかかります。
柊シノアと同盟を結びました、連絡先の交換は後程行うそうです。
【柊シノア@終わりのセラフ】
[状態] ダメージ(小)
[令呪]残り3画
[装備]四鎌童子
[道具] 呪術関連の道具を幾つか
[所持金] そこそこ裕福
[思考・状況]
基本行動方針: サーヴァントを全て倒し、優勝を目指す。
1. エレンとの同盟の成立が完了!
2. ミカさんに対する警戒、一応仲間の家族なので出来れば和解したい。
3.この勢いでもう一人仲間を増やしたい。出来れば小回りが効くのを。
4.誰が狙撃してきた?
5.眼の前の怪物(パラサイト)をなんとかして、エレンさんを助ける。
[備考]
エレン・イェーガーと同盟を結びました。
幾つかのマスターの情報を所持していますが、詳細に関しては後続の書き手様にお任せします。
セイバー(モモン)の姿とステータスを確認しました。
バーサーカー(黙示録の獣)の姿とステータスを確認しました。
【キャスター(布道レオ)@牙狼-GARO-〜MAKAISENKI〜】
[状態] ダメージ(中) 魔力消費(小)
[装備] 魔戒剣、魔導衣
[道具] 号竜×3、その他多くの魔導具
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。
1. 取り敢えずは術による偵察と、号竜の作成に専念する。
2. あぁ、号竜で偵察なんてしなきゃ良かった……
[備考]
号竜を3体程連れています。
マスターに提供してもらった柊邸の地下室に、大量の号竜が置かれています。
1体の号竜の残骸がケイネス・エルメロイ・アーチボルトの手に渡っています、号竜の仕組みが流出する危険性も十分にあります。
【アサシン】(大道克己)@仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ
[状態] 健康・僅かな苛立ち
[装備] ロストドライバー、ナイフ、T2メモリ
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。他マスター達の『解放』
1. 偵察を続ける
2. 鬼兵隊の動向を警戒
3.自分からは当分は仕掛け無
4.エレン達を助けるか、それとも―
[備考]
1.セイバー(ガッツ)、バーサーカー(朽木ルキア)を認識。ステータスを確認、戦うところを観察しました。
2.カオスヒーローが魔界魔法を使用したのを目撃しました。
3.二ノ宮飛鳥&ランサー(駆紋戒斗)と最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識。ステータスを確認、戦うところを観察しました。
4.ステラ・ルーシェを視認。死期が近いことを知りました
5.バーサーカー(朽木ルキア)とランサー(駆紋戒斗)の宝具を認識しました。
6.最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、キャスターの宝具とステータスを確認しました。
8.エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
9.僅かな苛立ち。
備考
鎧のセイバー(モモン)のマスターとガンダム(シン・アスカ)のマスターの拠点を捜索中です。
鎧のセイバー(モモン)のマスターの拠点が大まかな位置を絞り込みました。
【D-7/高級住宅街/1日目 (23:30)】
【ラウ・ル・クルーゼ@機動戦士ガンダムSEED】
[状態] 老化現象(薬で抑えている)
[令呪]残り3画
[装備] 護身用の拳銃
[道具] 仮面、薬
[所持金] そこそこ裕福
[思考・状況]
基本行動方針:アサシンの行く先を見届ける
1. アサシンには協力するつもりである。
2. モビルスーツのサーヴァント……一体何者なのだ
[備考]
アサシンから知り得るサーヴァントの情報は把握しきっています。
高杉晋助が、間明蔵人の開くパーティーでテロを起こすことを聞いています。
バーサーカー(シン・アスカ)の乗るモビルスーツが、NJキャンセラーを詰んだザフトの専用機なのでは、と推察しています。
ロール上のコネでアポカリプスウイルスのワクチンをある程度分けてもらっています。
投下終了です。
タイトルは『涎垂らす鎌は直ぐ側に』です。
ツッコミどころとか誤字脱字等があったらWiki収録時に修正いたします。
本編を追記、修正しました。
ttps://www65.atwiki.jp/quatropiliastro/sp/pages/228.html
>>161
↑トリップ忘れましたが私本人です
投下乙
早くくも死が見えたエレン
エルメェス・コステロ&バーサーカー(インターラプター)
相川始&キャスター(かずみ)
ランサー(クー・フーリン)
セイバー(朽木白哉)
予約します。
加賀美新&シールダー(リディ・マーセナス)、制のルーラー(リボンズ・アルマーク)の予約を破棄します
投下します
モモンは霊体化してリョウマの魔力を辿っていた。
ハムスケが付いているとはいえ、サーヴァントに襲われればひとたまりも無い。合流を急くべきだろう。
─────それにしても、ハムスケ相手に引けを取らないマスターか……。
モモンが過去に一蹴して従えた巨大ハムスターとはいえ、人の範疇にいる存在では勝負になる程弱くは無い。
そのハムスケと遜色無い強さを持つマスター。此れは重大な脅威と言えた。
さっき見たキャスターのマスターの強さもまた、人の域を超えているが、流石にハムスケの相手は出来ないだろう。
凡そマスターの相手ならばハムスケで充分。己がサーヴァントに対処すればリョウマの身の安全は確保できる。
サーヴァントが襲ってきても、令呪を使用する時間稼ぎにはなる。
そう考えてリョウマにハムスケを付けたのは、不慮の事態─────主に自分達を付け狙っていると思しきアンデッドのアサシンに備えての措置だったが、こんな形で役に立つとは思わなかった。
─────また面倒な事になった。
あの駐車場で感じていた、近づいてくるアンデッドの気配。
そしてモモンに一撃を加えたバーサーカー。
あのバーサーカーはアンデッドではなかった。ということは、近づいてきたアンデッドが何もしないで立ち去ったわけでもない限り 、
あの時感じていたアンデッドの気配はバーサーカーのマスターのものだろう。
アンデッドのアサシン─────この存在に気を取られすぎたのが、バーサーカーの不意打ちを受けた要因である。
確かにあのバーサーカーは高いステータスと、バーサーカーとは思えない戦技を持っていたが、あの距離で不意打ちを受けるほどモモンの水準は低くはない。
アンデッドがサーヴァントだけだと思っていた為に、アンデッドの気配に惑わされた結果、不意打ちを受ける結果となった。
しかし問題なのはそこではない。
“バーサーカーのマスターが相当な強さを誇り、尚且つバーサーカーはアンデッドではない”。
これが問題の全てだった。
モモンはバーサーカーと正面から殴り合って確実に勝つ自信がなかった。
これが最初に交戦したランサーならば、アンデッドという性質を持つ為、スキルと宝具により優位を取れる。
だが、ランサーと違い、アンデッドでもモンスターでも無いバーサーカーとは、一切の補正の無い真っ向勝負となる。
宝具抜きであれ程の強さを発揮した、あのバーサーカーに、モモンが確実な勝利を期するには、アインズの姿を解放する以外に無い。
アインズとしての姿と力を解放すれば、あのバーサーカーの魔力放出に対して脆くなるが、それでもモモンの姿より勝率は高いだろう。
尤も、アインズの姿となればハムスケが使えなくなる為リョウマが無防備となる。そうなればリョウマはバーサーカーのマスターにたちどころに狩られるだろう。
それに、アインズの姿になれば魔力が自然回復しなくなる。
─────ああ〜。とんでもない縛りプレイじゃ無いか。
キャスタークラスならばナザリック大墳墓とその守護者達が召喚できただろうに。
流石に大墳墓の外に守護者達を出すことは出来ないだろうが、リョウマの守護りとしては充分─────どころか過剰すぎる戦力だ。
─────はぁあ〜〜。
まあ、無い物ねだりをしても仕方がないが。
大体、一対一で当たらなければならないというルールは無いし、あの手の厄介な相手には複数人数による囲い攻めが一番だ。
先刻一緒に攻撃を受けたキャスターとバーサーカーのマスターに同盟を呼びかけてみるのが、目下の処、あの獣に対し取れる最良にして唯一の手段だろう。
その時、ふと思い至った事があった。
─────『変身』か。
果物のランサー。鎧のキャスター。そして自分……は少し違うか。
本戦が始まってから、姿を変えて戦う者が二騎─────自分を含めれば三騎。
─────少し多いような気がするが……偶然か?
そんな事を考えた時、リョウマが自分を呼ぶ声が聞こえた。
「はぁ…はあ……はぁ…はぁ……」
「一体なんだったんだよ……アレ………………」
「知らねーよ!!」
「大声を出すな!」
「近くには居ないみたいだよ…………」
深夜の住宅街の一角で、十代半ばの四人組が荒い息をついていた。
同じ学校に通うこの友人同士の四人。久しぶりに彼ら四人含むクラスメート達でで連れ立って遊びに出かけ、遊び終えてそれぞれの家がある住宅街の一角まで帰って来た時、“それ”と遭遇した。
交差点に差し掛かったその時、右の彼らから見て右側の角から明らかに人ではない影が現れたのだ。
それも複数。
呆気にとられて固まった彼等に、異形の群れが気付き、先頭にいた人間サイズのコアラが一番手塚な場所にいた少年の頭部の上半分を齧りとった。
次いで人間サイズの鳥が、頭部を齧りとられた少年の隣にいた少女の腹に嘴を突っ込んで腸を引き摺り出し、次いで巨猿が少女の頭部を引き抜いた。
更に現れた異形の群れに襲い掛かられ、集団前方にいた少年少女が悉く殺された辺りで、残りが正気に帰り、蜘蛛の子を散らすように逃げ出したのだった。
道路にへたり込んで息を整えるエスタは思う。
一体あれは何だったのか?他の皆はどうなったのか?
散り散りになったクラスメート達が気になるが、今はそれよりも息を整える方が優先だった。
アスファルトの路面にへたり込んで息を整える。乱れきっていた呼吸と脈拍が元に戻っていくのと並行して、思考も落ち着きを取り戻していく。
徐々に周囲の気配が明確に伝わってくる。おかしい、周囲にいるはずの3人の気配がない。
「デニス、トム、マルコ………?」
驚かそうとしているのか?
ひょっとして自分を置き去りにして帰ってしまったのか?
それとも………それとも?
おそるおそる顔を上げる。誰もいない。
人生最高のスピードで首を左右に振る。
右側……居ない。
左側……いた。
「え……………」
そこに居たのは暗い白髪の少女。
「あの………」
3人連れの男の子を見かけませんでしたか?
そう聞こうとした次の瞬間。エスタは遥かに高くなった視界から地上を見下ろして居た。
「あ……」
離れた場所に倒れ臥すデニス、トム、マルコの姿を視界に収めると同時、エスタは意識を失った、永遠に。
「……………………」
骨の砕ける鈍い音を立てて、路面に落ちた少女の頭部に何ら関心を示さず、朽木ルキアは後ろを振り向く。
目線の先にあるのは、マスターであるステラ・ルーシェの姿。
土気色の顔で路面に横たわり、目を閉じている姿はどう見ても死体だ。
胸が僅かに動いていなければ、生きているとは誰も思うまい。
バーサーカーのクラスで召喚され、思考も意識も濁りきった身でも、ステラはもうすぐ死ぬことは理解できる。
消耗した魔力を補うべく、ここいら辺を走り回って居た男女を10人以上喰ったが、黒いセイバーと白いアサシンにやられた傷を癒すには程遠い。
マスターの負担を減らす分にも到底足りぬ。
更に魔力を得るべく、他に獲物が居ないかと周囲を見回すと、陽光を思わせる金髪の少年が、激しい敵意を宿した瞳を此方に向けてルキアを睨みつけていた。
金髪の少年、百夜ミカエラは、巨大ハムスターに跨った少年の姿を求めて、住宅街へとやって来ていた。
あの駐車場でミカエラが目撃したサーヴァントは三騎。内ニ騎はマスターとともに逃げた。となれば、あの少年は残る鎧のセイバーのマスターと考えて良いだろう。
あの鎧のセイバーはミカエラの従えるバーサーカーと比べてもかなりの強敵。加えてマスターに強力な護衛がついている。
バーサーカーにセイバーを抑えさせ、マスターミカエラが仕留める─────という手段があの主従には通用し辛いのだった。
残りの二人、バーサーカーのマスターはミカエラの敵では無い。あの程度ならば容易に始末出来る。
問題なのは、もう一人─────キャスターのマスターの方だった。
あの少女の持っていた大鎌、あれは間違いなく“鬼呪装備”。人が創り出した吸血鬼を滅ぼし得る武器。
身体能力を人間を遥かに超える域に引き上げ、吸血鬼の不死身の肉体を容易く滅ぼせる武器。
キャスターのマスターは容易く倒せるような者ではない。それに、バーサーカーのマスターと同盟を組んでいる以上、此方のバーサーカーを向こうバーサーカーに抑えさせ、
ミカエラに対してはあの三騎士にも匹敵する武練のキャスターも加わると考えて良いだろう。
ギリ……とミカエラは歯を軋らせた。
姿の見えない狙撃手を警戒して、バーサーカーだけを突っ込ませたのは失敗だった。自分も加わっていれば、キャスターの負傷に乗じて、二組を一度期に斃せた筈。
態勢を立て直されれば、二組が組んでいる限り、ミカエラの勝ち目は薄い。
─────過ぎた事は仕方がない。
ミカエラは頭を振って、思考を切り替えた。取り敢えずキャスターマスターについて気付いた事を、脳裏で纏めた。
キャスターのマスターがその“鬼呪装備”を持っていた。という事はあの少女は日本帝鬼軍の者ということになる。
─────益々殺さなければならなくなったな。
百夜優一郎を欺いて、自分達の薄汚い目的の為に利用している輩共の一人などに聖杯は渡せないし、生かしておく理由もない。
とはいえ何処へといったか皆目見当がつかない上に、補足したところで即座に殺すという事も出来ない
一先ず放置しておくことにし、ミカエラは巨大ハムスターに乗って逃げた鎧のセイバーのマスターを追うことにした。
此方はどの方向に去ったかは判るし、おそらく現在はサーヴァントと別行動を取っている筈。バーサーカーと共に襲えば、あの恐るべきセイバーを戦わずして葬れる。
当座の行動を決めると、ミカエラは住宅地へ向かった。
そして住宅地に入る手前で、嗅いだのだった─────血臭を。
吸血鬼であるミカエラは血の匂いには敏感だ。その嗅覚が告げたのだ。多くの人間が死んでいると。
ミカエラはセイバーのマスターと並行して、血臭の原因を探すことにし、血臭を辿ってルキアを発見したのだった
NPCが何人死のうと関心はない……という訳ではない。
聖杯戦争の巻き添えで死ぬ事については最早割り切っているが、進んで殺戮に耽るつもりはない。
現に一度目の遭遇の際などは、アヴェンジャーの主従がいたビルの上層部に人がいれば、刃の嵐で死んでいた去ろう。
しかし、NPCを殺して廻る者には全く容赦をする気はない。
全員殺すというスタンスではあるが、最優先で殺す事に決めていた。
ミカエラの家族、NPCとして再現された、嘗てフェリドに殺された家族達。
彼等が再度殺されるなどという事にミカエラは耐えられない。
予選でもNPCを害していた輩は見つけ次第殺して来た。
唯々偶然、目についたので殺したNPCがミカエラの家族だった。ミカエラを精神的に揺さぶる為に殺した。孤児院には人が多く居たので襲った。
理由はいくらでも考えられるが、どんな理由であれ、家族を害される事は容認できない。
家族を害する可能性が少しでもあるなら潰す。
そうやって、不必要な戦闘までも行って来た。
その為にクルルの血を使い尽くす事となったのだが。
そして ミカエラは、この方針を変えるつもりは全く無い。仮初めとはいえ家族は家族なのだから。
ミカエラは地を蹴って駆け出した。駆ける先に居るのはルキア。ミカエラにはステラはルキアの犠牲者としか映っていない。
もしも、ステラが死期も間近な重篤の病人でなければ、ミカエラはステラをマスターと認識しただろう。
だが、ステラは死者の如き顔色でアスファルトの路面に横たわっている。事情を知らぬミカエラが、ステラをマスターと認識できぬのも無理からぬことだった。
路面に足跡を刻むほどの力で踏み込みを行うミカエラの首を、踏み込みに遅れて振るった鎌で狩りに行くルキア。
10m以上有った距離を秒にも満たぬ間に一足一刀の間合いとする吸血鬼の脚力が超常の域と言うならば、
重傷を負った身であり、尚且つミカエラの踏み込みに後発しながらも、ミカエラが攻撃態勢に入るより速く、首を刎ね飛ばせるルキアの攻撃速度は鬼神の域と言うべきか。
幼い日に人としての生を終わらされた少年と、死神としての在り方を歪められた少女の交差は、一合も交えることなく少年の死を以って終わる。
一対一(タイマン)ならば。
ルキアがミカエラの首を宙に舞わさんと、鎌を振るおうとした、正にその時。
ミカエラの超常の踏み込みが、そぞろ歩きにしか見えぬ程の猛速で、ルキア目掛けて走る赫い影。
人の形を持つが、全身が捩くれて歪んだ印象を持つ獣の様な少年が、その印象に相応しく四つ足で突撃。
超常の域をも遥かに超えた速度は、鬼神も恐慌して三舎を避ける咆哮をすら後方に置き去りにし、 結果として無音のままルキアに迫る。
繰り出される炎を纏った拳。辛うじて反応できたルキアが鎌の柄で受ける。
特大の雷が至近に落ちたかのような轟音。宝具である焔雫が軋む程の暴打。
ルキアの矮躯が音の速度で地面と水平に飛ぶ。宙を飛ぶルキアに魔力放出を用いた跳躍を行った獣が、爆炎を尾と引きながら、音を超える速度で追い縋る。
「ルゥオオオオオオオオ!!!」
轟声と共に振るわれる業火を纏った暴拳。ルキアの身体を貫いて四散させたのみならず、路面を突き穿ち爆散させ、十数mに渡って路面が崩壊した。
周囲100m以上に渡り地面が揺れ、砕けたアスファルトが降り注ぐ。
ガス爆発かと思った周辺住人達は、ある者は外に飛び出し、ある者は警察に通報する。
周囲が騒然としだしたのを把握したミカエラは舌打ちした。
こうなればさっさと立ち去るより他にない。バーサーカーのマスターが未だ何処にいるか不明だが、顔を見られる事は避けねばならない。騒ぎの関係者と思われて、警察に追求されるという事態になれば最悪だ。
素早く周囲を確認し、人気の無い方へ駆け出そうとしたミカエラの吸血鬼としての超感覚が空気の乱れを感知した。
咄嗟に抜いた剣身に重い衝撃。鋼の擦れ合う壮絶な響き。
獣の暴打を瞬間移動で回避したルキアが敵の排除と魔力の補充とを同時に成す為に、再度の転移でミカエラの背後へと出現。背中目掛けて凶刃を振るったのだった。
完全に不意を衝かれたにも関わらず、ミカエラがルキアの攻撃を受け止め、あまつさえ拮抗できているのは、ミカエラの身体能力と技量とが高い水準にある事を示していたが、
それでもルキアが無傷であれば、不意打ちで体勢の崩れたミカエラは押し切られて斬り倒されただろう。そもそもが反応すら出来たかどうか。
防がれたと認識したルキアが、焔雫を縦横に振るい、ミカエラの上下左右から刃を殺到させる。
秒瞬の間に振るわれる鎌の七閃を悉く受け、弾き、捌く合間に送る二剣。
傷ついた身でありながらも、己の反撃を意にも介さず払いのけ、攻撃の手を緩めないルキアに、舌打ちするよりも早く、ルキアの姿が視界から消えた。
変わってミカエラの視界にあるのは、虚空から不意に現れたとしか思えぬ程唐突に出現した黙示録の獣。
音に倍する速度で距離を詰め、音の四倍の速度で振るわれた拳を、辛うじてルキアが瞬間移動で回避した結果のことだった。
獣の移動と振るわれた拳に押し出された空気が乱流と化してミカエラの顔を叩く。
ミカエラが思わず顔を背けたと同時、獣が跳躍、回転しながらの裏拳で、ミカエラの頭上に出現して鎌を振るっている最中のルキアを殴り飛ばす。
弩から放たれた鏃の様に宙を飛んだルキアは、住宅を五軒貫通して、鉄筋コンクリート製のアパートに激突して漸く止まった。
夜空に舞う赫い影。両腕を焔と燃え上がらせ、黙示録の獣がルキアに引導を渡さんと飛翔する。
咆哮とともにルキアが埋まった瓦礫に両腕を叩き込み、アパートごとルキアを消し飛ばそうとした時、鱗に覆われた長大な鞭が獣の身体を捉えた。
強かに打たれて姿勢を崩した獣に鱗の鞭が巻きつき、アスファルトに獣の全身が埋まる勢いで叩きつける。
ハムスケの奮闘で金髪の少年を振り切った最上リョウマは、少年の追撃を避ける為に大回りして住宅地に入り、家へと急いでいた。
その途上で、路面を赤く染めて倒れ臥すNPCの骸を発見。周囲を警戒していたところへ、立て続けに生じた轟音と震動。
その発生源へと赴いた彼等が目にしたものは、ついさっき襲って来た少年が、見るからに凶悪なサーヴァントを従え、サーヴァントの少女を襲っているところだった。
ここで取るべき賢明な選択は、静観する事だった。他のサーヴァントが潰し合い、生き残った方の情報も手に入る。
介入する理由など何処にもない。見ず知らずのサーヴァント同士の交戦だ。弄さずして一騎が消え、残った者の情報も手に入る。
にも関わらず介入したのは“ほうっておけなかった”からだ。
切断されて転がる人体の中にあって、唯一五体満足な姿で路面に横たわる少女を。
土気色をした少女の顔は、リョウマにすら死体と思わせるものだったが、僅かに少女が身じろぎしたのを見てリョウマの腹は決まった。
リョウマが心に抱く英雄の姿。憧れ目指したあの二人ならば、助けに入るだろう。
その思いの元、リョウマはハムスケに獣を制止させ、自身は令呪を使ってセイバーをこの場に召喚した。
「放って置けない…か」
「すいません……」
「マスター。気にしなくても良いさ。それが君の答えに繋がるのなら。それに……困っている人を助けるのは当たり前さ」
リョウマの選択はどう甘く見積もっても愚策でしかない。
高々NPC1人の為に危地に身を投じ、あまつさえ令呪を消費するなど愚行の極み。
それでもモモンはリョウマを責める気にならない。
モモンもまた、リョウマの行動に英雄(ヒーロー)を見ていたから。
たっち・みー。もはや二度と会えぬであろう純銀の聖騎士。彼もまた、この状況では同じ決断を下すだろう。
─────カルネ村の時と同じだなぁ
あの時だってたっち・みーの影を、彼の子であるセバスに見なければ、カルネ村を放置して皆殺しにされるに任せただろう。
リョウマの決断は過去のモモンの下した決断と同じ。だからこそ責める気にならなかった。
─────さて、あの少女を助け出すのは……………無理とは言わないが厳しいな。
リョウマと言葉を交わしている間に、立て直して金髪のマスターの隣でこちらを伺うバーサーカーを見る。
リョウマが救おうとしている少女は、道路に生じた巨大な陥没を挟んで対峙する、バーサーカー及びそのマスターの背後にいる。
どうにかしてあの主従を突破する必要があるが、これが実に難しい。
あの陥没を越える際に、どうしても隙を作ることになるからだ。
戦力では僅かに上回る向こうの組も襲ってこないのは、陥没を越える際の隙を警戒してのことだろう。
ハムスケが自由に動けるのならともかく、リョウマを護りながら…という戦い方では、あのマスターの相手はキツイだろう。
モモンにしても、短期であのバーサーカーを仕留められる見込みは全く無い。
「マスター。此処は奴等を引き付けながら退こう。このまま戦えば、煽りを食って彼女が傷付く」
結局出した結論は、この場から移動して、少女を戦闘から遠ざける事。自分たちがいなくなれば、後は近隣住民なり、救急なりがなんとかするだろう。
そして二人と一匹が動こうとしたその時、モモンの視界を影が過ぎた。
ミカエラは表面上は冷静だったが、内心では激怒していた。
NPCの殺戮に励んでいたサーヴァントをもう少しで仕留められるというところで、何故にこの連中は邪魔をするのか。
マスターだけだったならばバーサーカーの戦力なら即座に殺せるが、サーヴァントを呼んだとなればそうもいかない。
─────人目も有る。そろそろ退くか。
鎧のセイバーは難敵だが、幸いな事に先程バーサーカーが作った陥没が動きを妨げている。
バーサーカーにセイバーを警戒させ、自身は後方へと跳んだその時、ミカエラの視界の端に白い影が見えた。
バーサーカーとして召喚されたルキアの思考は極めて単純化している。
『マスターを護る』たったこれだけ。
その為にステラに害を為す者は斬り殺すし、傷ついてステラ護る事に支障を来たせば、迅速に回復する為に人を喰う。
理性を奪われた頭にあるのは、ただそれだけ。
ガッツ、克己、獣との連戦で傷ついたルキアは、アパートに叩き込まれた事を奇貨とし、アパートの住民悉くを殺して魔力とし、ステラの元に戻って来たのだった。
ミカエラを狙ったのは、単にステラの最も近くにいた上に、ルキアが見たとき丁度ステラの方へと移動した見た為に過ぎない。
途上に有った住宅の住民も、出逢えば行き掛けの駄賃と斬り殺し、ルキアはミカエラに向かって凶刃を振るう。
夜気を引き裂いて響く鋼の激突する音。散った火花が刃を交える2人の顔を照らす。
魔力充溢して膂力も本来のものに戻りつつあるのか先程は互角だったミカエラの体がたった一合で大きく崩れた。
主の危機に獣が援護に入る。ルキアの顔面目掛けて赫焔を纏った拳を繰り出すが、ルキアは顔を振って拳を回避、鎌の柄で獣の�茲を殴り抜いてよろめかせ、続いて刃で胴を刈る。
再度夜気を引き裂いた凄絶な響き、それが相撃つ鋼の響きと誰が知ろう。
獣が取り出した大鎌が、ルキアの振るった鎌と激突し、弾いたのだ。
大きくよろめいて隙を晒したルキアの命を刈り取るべく、獣が大鎌を振るい抜く。
これを瞬間移動でルキアは回避、獣が空振りした隙を逃さず、モモンが右の大剣を振るい、反応した獣が鎌で迎撃する。
今までの音など比較にならぬ轟音と衝撃が周囲を叩く。
両者の力は五分。刃が両者の中間で拮抗して火花を散らし、2人の足元に身体を伝わった剣撃の威力で亀裂が生じた。
ルキアが姿を消し、獣が動きを止めた機を逃さず、ハムスケが地に倒れ伏した少女─────バーサーカーマスターであるステラ─────に向かって駆けるも、
突如眼前に現れたルキアが、ハムスケの背に乗ったリョウマに刃を振るう。
「させぬでござる!!」
これにハムスケが即応。尻尾を真っ向上段から振り下ろし、鎌の柄で受けたルキアを前脚で殴り飛ばす。
そこへミカエラが背後から強襲。リョウマ目掛けて刺突を繰り出すも、蛇がトグロを巻くように、ハムスケの全身を囲んだ尻尾に遮られて失敗に終わった。
ステラを連れて逃走する機を伺うルキア。
同じくステラを連れて撤退する機を伺うリョウマと、リョウマの意を叶えるべく立つモモン。
一刻も早くこの場を離れたいミカエラ。
地に伏したステラの周囲で、5人の思惑が絡まり合う。
D-4(住宅街)2300
【百夜ミカエラ@終わりのセラフ】
[状態] 健康、膨大な魔力
[装備] 「剣」
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生だが孤児院住まいなのでそんなには無いだろう
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。まずはある程度情報を入手してから、
バーサーカーの火力で他の敵を潰していく
消耗は避ける
1.『家族』を巻き込まない様にする
2.慎重に行動する
3.不意打ちは止めておく、当分は偵察のみで。
4.このままSE.RA.PH全域を回っていく。
5.家族に害を為すかもしれないNPCに危害を加える者は最優先で倒す。
6.この場からさっさと撤退したい
7.あの日本帝鬼軍の少女(柊シノア)は絶対殺す
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました。
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを確認しました。
4.ライダー(フル・フロンタル)を認識、ステータスを把握しました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
6.最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
8.エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
9.バーサーカー(朽木ルキア)を認識、ステータスを把握しました。
10.予選時点でクルル・ツェペシから貰った血を幾らか持ってきていましたが、決戦時点で既に飲み干しています。
クルルの血と吸血鬼が持つ魔術回路のお陰で魔力は大量に有りますが、回復が出来ないので慎重に。
【バーサーカー(黙示録の獣)@.hack//G.U.TRILOGY】
[状態] 健康
[装備] 無し
[道具] 無い
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)、ライダー(フル・フロンタル)を確認。
4.ライダー(フル・フロンタル)に刃の嵐を投げつけました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
【最上リョウマ@デジモンクロスウォーズ 時を駆ける少年ハンターたち】
[状態] 健康、魔力消費(小) ハムスケに騎乗中
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] クロスローダー
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣いレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:答えを見つけるまで専守防衛
1. クロスローダーに反応のあったデジモンを探す。
2. アサシンらしき存在には最大限警戒
3.早くあの少女(ステラ・ルーシェ)を助けて離脱する
[備考]
※クロスローダーが、C-1/海岸でのスカルナイトモンの戦いに反応しました。
リョウマの所持デジモンでないこと以外、なんというデジモンかなどは分かっていません。
百夜ミカエラの姿を認識しました。名前は知りませ
【セイバー(モモン)@オーバーロード】
[状態] 健康
[装備] 双剣、漆黒の鎧
[道具] その他多数の装備
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターの依頼を引き受ける。聖杯戦争の運営には警戒
1.「アインズ・ウール・ゴウン」の名はなるべく隠しておく。
2.自分の正体がバレてマスターの心の傷を抉らないか心配。
3.切り札である魔法アイテムはなるべく取っておくが、使い時には惜しまない。
4.感知したアンデッドのアサシンらしき存在には注意する。
5.コレクターとしてデジモンに興味
6.あのランサーがたっちさんの憧れた仮面の変身ヒーローなのか?
7.アンデッドばかりなのは気のせいか? 何か意味があるのでは? そもそもこの戦いでのアンデッドの定義は?
[備考]
※ランサー(駆紋戒斗)の宝具「刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)」、「射り撃つ黄金の矢(レモンエナジーアームズ)」を確認しました。
柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
バーサーカー(黙示録の獣)の姿とステータスを確認しました。
バーサーカー(朽木ルキア)の姿とステータスを確認しました。
※かつての仲間から仮面ライダーシリーズについての熱弁を沢山聞いていますが、殆ど聞き流していたためろくに覚えていません。
※アンデッドへの探知能力はモモンの状態だと遠ければ遠いほどなんかいるなー程度になっています。
【ステラ・ルーシェ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY 】
[状態] 数日経てば死ぬ状態
[装備]無し
[道具] 無し
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:生きたい。
【バーサーカー(朽木ルキア)@劇場版BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ
[状態] ダメージ(大)
[装備] 鎌
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
1. マスターを休ませる
2.マスターを護る
[備考]
1.セイバー(ガッツ)アサシン(大道克己)と交戦。カオスヒーローをセイバー(ガッツ)のマスターと認識しました。
投下を終了します
タイトルはEncount Battleです
投下乙です!
成る程、ミカは孤児院を護る際に魔力を使ってクルルの血を沢山飲んだのか……(あんまそんな事考えていなかった)
そして合流しつつも、この場から離れる事を望む三陣営が交錯。果たしてどうなるのか。
予定が詰まってしまったので予約を破棄させていただきます。
Encount Battleの修正をWikiにて行いました
改めて
カオスヒーロー&セイバー(ガッツ)を予約いたします。
続いて、
最上リョウマ&セイバー(モモン)
百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣)
ステラ・ルーシェ&バーサーカー(朽木ルキア)
セイバー(朽木白哉)
を追加予約させていただきます。
でかい予約になった
>>Encount Battle
投下おつー
モモンは相対した相手のことをモモン視点で分析してくれるから読んでて楽しいな。
ミカエラはお前優勝狙いなのに優しすぎるよ……。そんなことをしてたのか。
そしてNPCが目立つというわけでもないのにまさかの争点になった今回の戦い。
それぞれがそれぞれの所以を知らないがために誤解やすれ違いが起きているのが面白い。
リョウマの理由がほっとけないなの、知らないうちに憧れた相手と同じ行動できてるなー。
セイバー(朽木白哉)の予約を破棄します。
投下します。
―また、俺は夢を見ているのか。
奇妙な夢……正夢の様な気がしてならない夢を見るのは、カオスヒーローにとっては大変慣れた事である。
二人の少年と一人の少女と出会い、虚白に包まれた空間を彷徨う様な夢。
そして目が覚めれば、東京は変わり果て自分はわけの分からない魔法を使えるようになっていた。
まるで現実世界との境目が判らないような、そんな夢を。
が、今見ている夢はいつものとは大分違う。
舞台は白が包んだあの虚無の空間ではなく、緑に塗れた森の中。
現れる人物は少年や少女ではなく、無数のテントの森だった。
カオスヒーローは、夜に震えながら眠る少年兵の姿を見ていた。
先程見上げた物が余程恐ろしかったのだろうか、死骸と恐怖と隣り合わせとなるであろう兵だが、きっとどんな死骸よりも強者よりも恐ろしいものを……
ふと、テントの中に大男が現れる。
大男が囁いた言葉を聞き、少年は絶望に満ちた表情を顔に貼り付ける。
しかし大男はそれだけには留まらず、少年のズボンを破り―
―ワルオちゃん!!
―あ?
大男にガッツが取り押さえられている中、声がどこからしか聞こえてくる。
少なくともこの舞台上の声ではないことは確かだが、一体誰の声なのだろうか。
―そうか、俺は夢を見ているからな。
いつもと同じだ。
よく見るようになった夢は、例え予言であろうと所詮幻でしかない。
そろそろ、目を覚ます時だ。
現実と、顔を合わせなければ―
―瞼を開き、カオスヒーローは現実を目の当たりにした。
そこにいたのは、先程の少年でも大男でもなく―
「おはよう、ワ・ル・オ・ちゃん。」
目の前にいたのは、あの時夢に出た美少女でも何でもなく……
「目、覚ました?疲れは取れた?」
―オカマだった。
夢で見た大男に少し良く似た目と体つきを持った、イイオカマダッタ。
カオスヒーローが突きつけられた現実からここまで遠ざかろうとしたのは、人生でも一度か二度くらいだろう。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
◆ ◆ ◆
千切れてしまいそうな理性を何とか呼び戻したカオスヒーローは、テレビと向い合せになっているソファに座り、分捕った銃火器の手入れを行う。
まず真っ先に手にしたのは、付き合いの長いベレッタのM92F型だった。
予め入っていたマガジンを取り出して一瞥し、内部の弾を確認する。
続いてソファの前に置いてあるテーブルから同型のマガジンを拾い上げ、交互に見つめた後入れ戻す。
そうしてベレッタの世話を終えた後、試しに銃のグリップを握り、試しに構えてみる。
感覚はやはりと言うか元の世界のそれとは違うが、グリップの握り心地は大分懐かしい物だった。
(まさかこんな形で手に入るだなんてな……世話になるぜ。)
銃の横を見つめ一瞬口で弧を描いたカオスヒーローは、セーフティーを入れ直しそのままベレッタと予備のマガジンと置く。
ベレッタの次はテーブルの殆どの横面積を独占しているレミントンM870。
レミントンはベレッタと同様マガジン式のライフルだが、専用のスラグ弾も勿論マガジンに包まれた状態で持ち出してきている。
中身の弾丸を確認し、セットする。
魔界魔法を下手に連発して魔力を消費する事を考えれば、こうした護身用の装備は大変手助けになる。
悪魔とは異なりサーヴァントに神秘のない攻撃は通じず、またカオスヒーローのサーヴァント…セイバーも燃費が安上がりな人物であるのだが。
(セイバー、か)
与えられた知識では、最優のサーヴァントと称される、まず当たりの部類に入るクラス。
英雄の名に恥じぬ卓越した武技と、宝具は大剣にちっこい妖精と燃費が低めな、比較的扱いやすいサーヴァント。
相性も悪くはなく、現状において文句はまったくない、と言うか文句を言っていられる状況ではないのだが。
今セイバーは霊体化し、周囲の状況を探っている最中だ。
カオスヒーローは日本人の名前……と言うか一般人の本名にしてはどう見てもステルス性ゼロなロールに置かれているため、セイバーに偵察させている。
また、彼には魔物の類を引き寄せる力があるため、そう言った属性の英雄―いればの話だが―と対峙した場合、確実にそれを察知して見つけることが出来る。
素性もこの通り滅茶苦茶で、下手に外を出歩こうにも出歩けないこの状況下では、こうした手段が得策だろう。
「プハー!ひっじょ〜にからだにしみますネェ!!」
さっきから元気満々で、ビールをガブガブと飲み込み一息吐くオカマの声が、となりの座布団から響く。
オカマっぽいのにこういうおっさんめいた部分は抜けていないのがなんだか訳がわからない。
寝る前に本人にそれを突っ込んだら「乙女のそう言う所突っついちゃって……ムキー!」ってなったのだが。
このヤクザのオカマに助けられ(と言うか惚れられた?)たカオスヒーローは、姿を隠すためにこの乙女心に覚醒めた男の部屋に匿ってもらっているのだった。
先程、このオカマからある程度の情報は聞いた。
が、何故自分がここにいるのかに限っては、全く思い出せないらしい。本人は気にも留めない様に軽く話したのだが。
記憶を除けばこの通り全く元気そうなのだが、ある程度痣等は見受けられたので、アパートに到着しその手当ても行った後、カオスヒーローは十五分程の仮眠に入ったのだった。
SE.RA.PHでの知識によれば、こうして寝ていると自然と魔力が回復するらしいので、失った魔力を取り戻すには得策だった。
セイバーの燃費の少なさと、先程まで殆ど魔界魔法を扱っていなかったことが幸いし、カオスヒーローには疲れは全く来ていない。
後で食事は取れるらしいので、そちらで魔力を回復する手もあるのだが―
――と考えていたその時、また客が現れた。
<<マスター。>>
偵察を行っているセイバーから念話が届く。
<<どうした?>>
<<目を覚ましていたのか……丁度良い、またサーヴァントが現れた、お前のいる家の直ぐそこにだ>>
<<何!?>>
恐れていた事が起きてしまった。
どうする……このまま身を隠すかそれとも……
◆ ◆ ◆
<<近くにいるかセイバー>>
<<近くにいなきゃ見えねえよ>>
<<なら感覚を共有してくれ、今すぐにだ>>
そこで共有して見たのは、三体のサーヴァントだった。
一人は、甲冑を身に纏った騎士、クラスは恐らくガッツと同じセイバー。
しかしパラメータの総合値はガッツをも上回っている、恐らく相当な実力者だろう。
側にはカオスヒーローと同年代の少年を乗せた巨大なハムスターがいる。
こんなデカいハムスターがいてたまるかと一瞬思ったが……
<<そいつも魔の一種だろうな、こいつに目を向けると烙印が痛みやがる>>
<<……そうなのか>>
悪魔の一種なのだろうか、まあそれは二の次として、問題はサーヴァントの方だ。
二体目の感知されたサーヴァントは、セイバーのそれと比べて朱く黒く禍々しい甲冑を身に纏い、四つん這いの姿勢を取るバーサーカーだった。
やはりと言うかパラメータも高め。
<<どいつもこいつも派手なステータスだな――っっ!?>>
しかし目を特に付けるは、カオスヒーローもセイバーも見覚えのある人物だった。
白い鎌を手に取り、虚ろな目をした、白い死神。
(あの時のバーサーカーか……っ!)
ここまで来たのか、と歯噛みする。
<<で、周囲の状況はどういった所だ>>
<<あちこちに人間の死体が散らばっている、口封じか、或いは魂食い、って奴か。
ここから数百メートル先にある、お前のいる建物に良く似た建造物が朱く染まっている、死体も山程あるぜ>>
(……クソ。)
どの道被害は此方にも及びかねないと言うのだ。
今ここで殺すか、或いは追い出すのかが得策だろう。
他のサーヴァントと同盟を組むと言う手もあるが
魔力はそこそこ蓄えがある……今すぐセイバーを喚ぼうと思えば喚べるだろう。
自身の居場所がバレる危険性も勿論考慮している、そこはガッツだけを呼び込んでおけば―探知能力を奴が持たない限りは―辛うじてステルス性を維持できるだろう。
だが、あの時大鎌のバーサーカーから逃れられたのは、自身の魔界魔法ありきの事だが……
<<ここで被害が及んだら都合が悪い、それに、他のサーヴァントに恩を売れば同盟関係も結びやすい、頼むぞ>>
悪魔や友に代わる新たなる相棒に、カオスヒーローは命令する。
<<良いぜ、了解だ>>
◆ ◆ ◆
「ルゥゥゥウォォォォォ!!」
「………!」
肉眼ではとても捉えきれない様な神速の戦いが、今も尚この夜の道路で繰り広げられていた。
出で立ちから眼差しから虚ろな少女のバーサーカー……ルキアの背後を、身も心も憤怒に焼かれた少年のバーサーカー……獣が襲う。
ルキアの背中めがけて赤い大鎌を振りかざすが、ルキアが姿を消し、果たして鎌は斬ったのは闇に溶けるように暗いアスファルト。
地面に半径5m程のヒビが入った直後、続いて獣の背後にルキアが襲いかかる。
それに対し獣は地面を蹴ったかと思えば、空中で爆転しながらルキアの腹部目掛け、魔力放出で炎を加えた右足で蹴り落とそうとする。
ルキアはさながら野球のバントの様な態勢で鎌の柄を両手で横に構え、獣の蹴りの直撃を防ぐ。
しかし、魔力を込めた一撃を宝具とは言えたかが長柄物の柄如きで相殺しきることは敵わず、ルキアは獣の蹴りによる多大な運動エネルギーに翻弄されるがままに大きく仰け反る。
ショベルカーが瓦礫を持ち上げるよりも数倍激しい衝撃音が響き渡り、コンクリートの壁にスイカ大のヒビを作りながらもルキアは背中からぶつかる。
内蔵が開かれ、血液が食道を通り越してルキアの口から吐き出される。
激突した直後に獣はルキアの柄を蹴り、再び空中で回転したかと思えば前方に着地、今度はチェーンソー付きの大剣…大百足を引き抜く。
ギャリ、ギャリ、ギャリと、耳をつんざく回転音を鳴らしながらも大百足を構える獣。
「ルゥゥゥゥアァァァァァ!!」
ルキアのダメージは霊核には無傷だったとは言え大きい方だったであろう。
が、幸い魔力の蓄えがあったお陰で傷の癒えは早まっており、直ぐに白い死神は鎌を構え直した後即座に回避。
ブレーキの効かぬ獣とそのチェーンソーは大きな穴にぶつかったと思えば、ルキアを仕留めきれなかった代償に上下を辛うじて繋ぐ壁を完全に破壊した。
(まるでイタチごっこだな……)
先程からその戦いを眺めていたモモンは、ふとそんな考えを持った。
あの二体のバーサーカーは、互いにAランクもの高い瞬発力を誇りそれを惜しげなく消費しながら避けあっている。
一方の刃がぶつかる直前にもう一方が回避、そしてそのもう一方が背後に回った所を、一方は即座に回避。
それはつい数時間前、あの果物のランサーと自身が繰り広げていた立ち会いにも良く似ていた……あちらの方がずっと速いが。
その頃、神速のバーサーカーのスキを突いたリョウマは金髪の少女の元へと向かおうとしていた。
ハムスケから腰を下ろし、ステラに近づこうとしたその時―
ルキアが立ち会いから離脱。
(危ない!マスター!!)
直ぐ様ステラに近づくリョウマに刃を向けんと瞬間移動、ハムスケの尻尾も間に合いそうになく、鎌がリョウマに振りかざされ―
―刹那。
ヒュン、ヒュンと風を切る音が二つ聞こえ、肉眼で辛うじて捉えられる様な物体が飛ぶ。
それはルキアの脇の下に一本、右腰にもう一本突き刺さる。
バーサーカーから血が流れ出し、彼女は直ぐ様矢が飛んできた方の方角に目を向ける。
「よう、久しぶりじゃねえか。」
現れたのは、あの鉄塊の如き巨剣を携えた、黒の剣士。
口調こそ軽めだが、口は笑ってはいない。
正直に言えば、ガッツも笑えるような状況ではない。
(あのすばしっこいのにもう一度立ち向かえ、ってか?)
皮肉げに初めて口を歪めたガッツは、背中から巨剣……ドラゴンころしを引き抜き、下に構える。
そしてルキアをまっすぐと、彼女の一手を待つが如く睨み見据える。
案の定、先に動いたのはルキアだった。
彼女は瞬間移動を使い一気に間合いを詰め、即座に刃を振りかざしたのだった。
だが、ガッツが産まれながらにして多くの死地で鍛え上げた無窮の武練は、即座に思考の回転を早め下に構えたドラゴンころしを、最高ランクの腕力で90度横に傾け顎と柄を上げて鎌を防ぐ。
果たして刃は防がれた、だが問題はこれからだ。
例えここで鍔迫り合いで押さえ込もうとも、幾ら筋力のステータスにおいて此方が勝ろうとも、彼女が姿を消す限りそれは通じない。
だがその時である。
「ぐぅえぁぁぁあああああああ!!」
ルキアが叫び声を上げ、口と背中から血を吐き鎌を落とし、下半身を倒す。
「!?」
見れば、彼女の腹部から僅かに剣先が伸びている。
そこからもルキアの魂を吐き出すかのように血が垂れている。
モモンが知るか知らぬかは別だが、現状において、ルキアは暫くの間まともに動くことが出来ない。
原因は勿論、霊核たる心臓に傷が付けられたのもあるが、問題はモモンの投げた剣にある。
この剣は宝具『死を切り裂く双剣(スラッシング・デス) 』として登録され、冒険者として多くの魔物を斬り裂いた逸話から対魔特攻が付いているのだった。
仮にルキアが別のクラス―例えば最も相応しいとされるセイバークラス―で喚ばれていたのならまだしも、彼女は今狂戦士としてここに顕現する。
バーサーカーとしての朽木ルキアは、皮肉にも彼女の敵である悪霊『虚(ホロウ)』と融合した状態にある。
その為、対魔属性の宝具たるモモンの剣をまともに受けたことで、強大なダメージが彼女を襲ってしまったのだ。
(これは……)
「どうやら間に合ったようだな。」
「?」
後ろに目を向けると、其処には剣を投げる姿勢を取った甲冑のセイバーがいた。
側には、金髪の少女……ステラを重そうに抱きかかえ、ハムスケに乗っけたばかりのリョウマが。
「恩に着るぜ。」
「いや、それはまず此方の台詞だ、君が彼女を受け持ってくれなければ、私は離脱するチャンスを与えてもらえなかった。」
「……だったら少し話を聞かせてもらえねぇか、俺のマスターが同盟を求めているみたいなんだが。」
「同盟……か。」
――同盟。
その話も悪くはない。
手を組めば情報面で助かるし、何より仲間が一人増えると言うだけでも心強い。
「分かった、考えておこう、だがその代わり、少し手伝ってほしいことがある、話はその後だ。」
「手伝うって……何をだ?」
「今から戦うもう一体のバーサーカーとの戦闘、そして、アンデッド探しだ。」
(アンデッド、か)
幸い、前者も後者もガッツの十八番だ。
話は直ぐに付く。
そしてモモンは周囲をキョロキョロしてみるが……
(いない……?)
姿を消したのか?と考える。
それに感覚も全くしない。
「そちらはどうだ。」
「ダメだ、見つからない。」
ガッツが首を横に振る。
それに対しモモンははぁ、と溜息をつく。
「それで、これからアンタはどうするつもりなんだ。」
「たった今話したとおり、私はマスターとあのNPCの少女を連れて逃げる所存だ。」
「NPC……奴はマスターじゃないのか?」
「……え?」
兜の下でモモンはあんぐりと口を開く。
ハムスケの近くでそれを聞いていたリョウマは、直ぐ様ステラの手を確認する。
見てみれば、ステラの右手には狼を象った様な朱い紋章…令呪が確かにそこに刻まれていた。
「本当だ……。」
―つまり、この少女があのバーサーカーに魂食いをさせていたと言う寸法になるわけだ。
一見すれば、方針としては聖杯を勝ち取る様にも見えるが―
「俺から警告させてもらうが、その女は聖杯に乗るつもりらしい、そうすれば助けた所でアンタ達が首をかっさらわれに行くだけの話だ。
助けるかどうかはアンタらの勝手だが……どうするつもりなんだ?助けるのか、見捨てるのか。」
「………。」
ガッツの冷たい言葉が、リョウマに突き刺さる。
眉根を引き締めるリョウマを、モモンは見つめる。
「いえ……。」
確かに、アンデッドとしてのアインズ・ウール・ゴウンなら、見捨てていたかもしれない。
「ああ……。」
「敵だとか、そんなことは関係ない……!」
デジモンハンターとして、アスタモンに囁かれるがままに強さを求め続けていた頃のリョウマなら、そう言っていたかもしれない。
「こんなに窶れ細って、何時死ぬか分からない人……そんな人が『ほっとけない』、理由は、それで十分です。」
眠るステラをまっすぐ見据えて、リョウマはそう口に出した。
その言葉は、嘗て彼が憧れたジェネラルの少年なら、迷わずそう言っていたであろう言葉だった。
「……フッ。」
そんな彼に、ガッツは面白そうに笑って応えた。
【最上リョウマ@デジモンクロスウォーズ 時を駆ける少年ハンターたち】
[状態] 健康、魔力消費(小) ハムスケに騎乗中
[令呪]残り2画
[装備]
[道具] クロスローダー
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣いレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:答えを見つけるまで専守防衛
1. クロスローダーに反応のあったデジモンを探す。
2. アサシンらしき存在には最大限警戒
3. この少女(ステラ・ルーシェ)を助ける、理由はほっとけないから、それだけで十分。
[備考]
※クロスローダーが、C-1/海岸でのスカルナイトモンの戦いに反応しました。
リョウマの所持デジモンでないこと以外、なんというデジモンかなどは分かっていません。
百夜ミカエラの姿を認識しました。名前は知りません。
【セイバー(モモン)@オーバーロード】
[状態] 健康
[装備] 双剣、漆黒の鎧
[道具] その他多数の装備
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターの依頼を引き受ける。聖杯戦争の運営には警戒
1.「アインズ・ウール・ゴウン」の名はなるべく隠しておく。
2.自分の正体がバレてマスターの心の傷を抉らないか心配。
3.切り札である魔法アイテムはなるべく取っておくが、使い時には惜しまない。
4.感知したアンデッドのアサシンらしき存在には注意する。
5.コレクターとしてデジモンに興味
6.あのランサーがたっちさんの憧れた仮面の変身ヒーローなのか?
7.アンデッドばかりなのは気のせいか? 何か意味があるのでは? そもそもこの戦いでのアンデッドの定義は?
[備考]
※ランサー(駆紋戒斗)の宝具「刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)」、「射り撃つ黄金の矢(レモンエナジーアームズ)」を確認しました。
柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
バーサーカー(黙示録の獣)の姿とステータスを確認しました。
バーサーカー(朽木ルキア)の姿とステータスを確認しました。
セイバー(ガッツ)の姿とステータスを確認しました。
※かつての仲間から仮面ライダーシリーズについての熱弁を沢山聞いていますが、殆ど聞き流していたためろくに覚えていません。
※アンデッドへの探知能力はモモンの状態だと遠ければ遠いほどなんかいるなー程度になっています。
※剣の内の一本がバーサーカー(朽木ルキア)に刺さっています。
【ステラ・ルーシェ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY 】
[状態] 数日経てば死ぬ状態
[装備]無し
[道具] 無し
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:生きたい。
【バーサーカー(朽木ルキア)@劇場版BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ
[状態] ダメージ(大) 、腹部に
[装備] 鎌
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
1. マスターを休ませる
2.マスターを護る
[備考]
1.セイバー(ガッツ)アサシン(大道克己)と交戦。カオスヒーローをセイバー(ガッツ)のマスターと認識しました。
2.セイバー(モモン)の剣が突き刺さっています。
【備考】
D-4の一角の道路に、十数m程の大きさの陥没が発生。その際、広範囲に音と震動が伝わりました。
三組の交戦場所の周囲にはNPCの死体が複数転がっています
【カオスヒーロー@真・女神転生】
[状態] 魔力消費(小)
[装備] レミントンM870、ベレッタM92F×2、コルトパイソン、鉄パイプ
[道具] 一発弾(スラグ)、357マグナム弾、9mmパラベラム×たくさん(少なくとも各種20発以上)
[所持金] ほぼ無い
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。話ができる奴とは話す。乗った奴や交渉が決裂した奴は殺す。
1. アパートに近づく主従に警戒、様子を見て話を付ける。
2.一旦セイバー(モモン)に協力する。
[備考]
1.バーサーカー(朽木ルキア)を認識。ステータスを確認しました。
2.サーヴァントに魔法を使用し、その耐久性を認識しました。
3.バーサーカーのマスターを『聖杯戦争に乗った』と認識しています。姿は確認していません。
【セイバー(ガッツ)@ベルセルク】
[状態] 魔力消費(小)
[装備] ドラゴン殺し
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従う
1. 一旦セイバー(モモン)に協力する。
[備考]
1.バーサーカー(朽木ルキア)を認識。ステータスを確認し、戦って手の内を知りました。
2.バーサーカーのマスターを『聖杯戦争に乗った』と認識しています。姿は確認していません。
◆ ◆ ◆
(どうやら上手く撒けたな)
次々と建物の屋根を飛び越えながら、ミカエラは走る。
あの時、大剣のセイバーがやってきた事はミカエラにとって不幸中の幸いだった。
甲冑のセイバーが敵のバーサーカーに大きなダメージを与えたことがスキとなり、自身は獣のバーサーカーを霊体化して即座に離脱したのだった。
今ミカエラは、急いで元いた孤児院に向かっているのだった。
家に帰るつもり無論ない、下手に篭り察知されたら仲間達にまで危害が加わってしまう。
ならどうするかと言えば、近くに寄って偵察することだった。
長い時間バーサーカーと感覚を共有するというのは愚策、魔力を余計に減らすわけには行かない。
だからこそ自分で監視しなければならないのだ。彼が来るか、どうかを。、
此処に来るまで、多くのNPCの死体が転がっていた。
そうなれば、恐らくあそこが血塗れになってしまう危険性もゼロではないだろう。
偽りとは言え、嘗ては守りきれなかった仲間を守るために、ミカエラは走る。
【E-5/住宅街/1日目 夜(23:08)】
【百夜ミカエラ@終わりのセラフ】
[状態] 健康、膨大な魔力
[装備] 「剣」
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生だが孤児院住まいなのでそんなには無いだろう
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。まずはある程度情報を入手してから、
バーサーカーの火力で他の敵を潰していく
消耗は避ける
1.『家族』を巻き込まない様にする
2.慎重に行動する
3.不意打ちは止めておく、当分は偵察のみで。
4.このままSE.RA.PH全域を回っていく。
5.家族に害を為す可能性が有る、NPCに危害を加える者は最優先で倒す。
6.NPCの大量殺戮から護る為に孤児院に近づく
7.あの日本帝鬼軍の少女(柊シノア)は絶対殺す
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました。
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを確認しました。
4.ライダー(フル・フロンタル)を認識、ステータスを把握しました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
6.最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
8.エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
9.バーサーカー(朽木ルキア)を認識、ステータスを把握しました。
10.セイバー(ガッツ)を認識、ステータスを把握しました。
11.予選時点でクルル・ツェペシから貰った血を幾らか持ってきていましたが、決戦時点で既に飲み干しています。
クルルの血と吸血鬼が持つ魔術回路のお陰で魔力は大量に有りますが、回復が出来ないので慎重に。
【バーサーカー(黙示録の獣)@.hack//G.U.TRILOGY】
[状態] 健康
[装備] 無し
[道具] 無い
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)、ライダー(フル・フロンタル)を確認。
4.ライダー(フル・フロンタル)に刃の嵐を投げつけました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
投下終了です。
追記、修正はWiki収録後行います。
投下おつー
うまいこと同盟が成りそうか。ガッツ相手だとモモンはますます正体隠し通すべきかもだが
カオヒとリョウマの絡みにも期待
宜野座伸元&セイバー(朽木白哉)
アール(レナート・ソッチ)&アーチャー(北岡秀一)
予約します
予約期限超過している状態ですが延長を三回お願いします
投下します
結論から言えば、捜査は袋小路に入っていた。
事件の概要としては、複数の男が巨大な刃物で斬殺された……というもの。
だが、状況が異常極まりなかった。
死体の倒れ方から、犯人は男達の後から続いて、倉庫の入り口から入って来たのではなく、最初から中に居たとしか思えない事。
男達は銃を発砲して抵抗したにも関わらず、逃げようとする事さえ出来ずに皆殺しにされている事。
床に落ちていた銃弾からは、血液反応が検出されず、銃弾自体何かに当たった形跡が無い事。
頭部から臍の辺りまで斬り裂かれている者、首を斬り落とされているもの達も、鮮やか且つ瞬時に切断されている事。
こんな斬殺死体を作るのは凡そ人間には不可能という事。
何者かが被害者達を殺害するべくこの倉庫の中で予め待ち伏せしていたとして、その犯人は、人間をほぼ両断出来るほどの巨大な刃を持ち込み、銃撃をものともせずに全員を斬殺。
しかも人間の脛骨を瞬時に斬り飛ばし、背骨を縦に切り離すという離れ業を行い、何故か倉庫の床と壁を破壊して、銃器を全て持ち去った……という事になる。
理解出来ない……。という鑑識の一人の呟きが、この事件を表していた
【やっぱりサーヴァント?】
【だろうね、ここで戦ったかどうかは判らないけど】
忙しく動き回る鑑識を横目にアールは北岡と念話を交わす。
宜野座は居ない。警官達も三分の一以下に減っている。
アールが通報して警察が来た直後から、街の方で連続して発生した事件に対応する為に、ここに居た人員を割いたのだ。
駐車場が停めてあった車諸共完全に破壊され、隣接するビルの壁に大穴が穿たれた事件。
自然公園で三度に渡って轟音と震動が断続的に発生し、地面に大穴が穿たれ、複数の木が折れていた事件。
住宅街から化け物が人を襲っているという複数の通報が有った直後、大規模な爆発事故が発生。あるアパートの住民が皆殺しにされていた事件。
アパート街で発生した、何かが墜落したかの様な轟音と震動に続いて発生した火災。
何処ぞの軍隊でもやってきて戦闘が生じていると言われても納得出来るほどの事態が立て続けに生じたのだ。
夜間勤務の者だけでは到底人が足りず、勤務時間外の者を呼び出したり、他の現場から人員を駆り出して向かわせているのだ。
事件の報せにを聞く度に落ち着きを無くしていった宜野座は、住宅街で発生した大量殺人の報せに遂に飛び出していった。
─────どうするかねえ。
すっかり酔いの醒めたアールは胸中に算段する。
宜野座は確実にマスターだ、でなければ此処に宜野座があのタイミングで 表れた経緯が説明つかない。
そして宜野座はアールがマスターであると認識している。少なくとも疑っている。
でなければ、あれだけ動揺しながらも此処に留まり続けた理由が無い。
最後に入った報せに飛び出して行ったのは、前の二件と異なり、事件の内容が大量殺人だったからだろう。
【アーチャー。サーヴァントの気配は】
【消えたよ】
【やっぱりか】
宜野座は黒。マスターであり、サーヴァントは北岡が見たセイバーだろう。
【好都合と言えば好都合だな】
【彼と組むのかい?】
【宜野座は信用できるからな】
宜野座とは短い付き合いだが、聖杯戦争に乗る様には見えない。宜野座はサーヴァントで言うなら〈秩序・善〉に属する人間だ。街を破壊し、NPCを巻き込む聖杯戦争の様な代物は、ハッキリと嫌うだろう。
のっぴきならない事情があって、乗らざるを得ないとしたら、宜野座の性格から考えて、苦悩なり決意なりが顔なり振る舞いなりに表出するだろう。
だが、そういうものは、宜野座には一切見られなかった。宜野座は副芸が得意そうには見えないし、きっとマスターとしての宜野座は、彼本来の性質に沿ったスタンスで聖杯戦争に臨んでいるのだろう。
アールも北岡も聖杯に託す願いを持ってはいるが、これは自分達以外の全てと対立する事を意味しない。
最終的に自分達が勝っていなければならない……という類の願いでは無い。
北岡の願いは少し難しいが、アールの願いに関して言えば、元の世界への帰還である。
要するにアールでなくても勝ち残ったマスターが、聖杯戦争に巻き込まれた者達の帰還を望めば済む。
アールの願い事は他陣営との調整が可能な類のものだった。
宜野座にしたところで、アールが北岡から聞いた朝倉威の様な輩に聖杯が渡るよりも、アールが獲得する方を良しとするだろうし、宜野座自身も帰還を望んでいるだろう。
【それに、彼奴とは妥協点を見出せる】
街を荒しまわる主従を討ち、聖杯戦争の黒幕を打倒して元の世界へ帰還する。
宜野座とはこの条件で妥協が出来る筈。
それに、従えているサーヴァントは、北岡の目撃したセイバー。
アールは正々堂々正面切って闘う……という思考の男では無い。
アールにとって”殺し合う"という状況は下の下を通り越して論外。アールの流儀とは"只々一方的な殺し"。これに尽きる。
宜野座のセイバーが敵を釣り出し、北岡がマスターを仕留める。叶わない時は援護射撃。
このやり方ならば、少なくともアールと北岡は安全圏に居ながら聖杯へと近づく事が出来る。
宜野座にしたところで、北岡に敵サーヴァントと正面切って戦え、などと強いるのでは同盟を組む意味が無いのは説明すれば理解するだろう。
北岡はアーチャークラスでステータスも正面から殴りあうのは不向き。
クラス通りに、セイバーが前衛。アーチャーが後裔。というフォーメーションが妥当なところだ。
【それで異存はないよ】
北岡からの肯定。北岡にしたところで、正面切っての殴り合いは得手としない。アールの言う"一方的な殺し"に賛成だった。
【それでどうする?もうここに居ても意味なさそうだけど】
北岡の問い掛けにアールは思案する。
【気になるのは自然公園で捕まった二人だな】
少年の方は不明だが、少女の方は顔に奇妙な刺青が入っていたそうだから、確実にマスター。
ロールを利用すれば簡単に接触出来るが、少女の方は意識を喪った状態で病院に送られている為、即座に接触出来るのは少年の方になる。
だが ─────。
【会いに行くとするなら男の方だな。だが。一人で会いに行くのは止めといた方が良いだろうな】
【そりゃまたどうして】
【もしマスターだった場合、戦闘になるかも知れない。相手の戦力か不明な状態では危険を冒す様な真似は避けたい…………。それに、宜野座を刺激したくない】
マスターかも知れない相手に、一人で会いに行ったら、宜野座に警戒心を抱かせるだろう。同盟を組む予定の相手に要らざる疑念を抱かせるのは避けるべきだった。
【大丈夫だと思うけどね。大人しく警察に捕まるって事は、まともな人間って事か、少なくとも警察から指名手配されるリスクを考えてられるって事だから。損得勘定が出来るっていう事だ】
【どっちにしろ宜野座を刺激するのは避けたい。ソイツがマスターならまだしも、マスターじゃ無かったら最悪だ】
明らかにサーヴァント同士が激突した公園で身柄を拘束された少年。
サーヴァントに警官を排除させなかったのは、マスターかサーヴァント何方かが良識を弁えている為か、サーヴァントを斃されてしまったか。
少年がマスターでなかった場合、只宜野座の疑念を招くだけという結果に終わる。
【最悪只戦闘に巻き込まれた只のNPCって可能性もある。病院送りになった女の方は、確実にマスターだ。こっちは戦闘になる可能性が有る】
【確かに、どんな相手か判らない以上、用心しておかないとね。けど、ずいぶん彼に気を遣うね】
【当然さ。どんな奴かも判らない相手より、勝手の知れた奴の方がやり易いからな。
それに、この死体を作ったのはアンタだと思われているかも知れない】
【確かにね。俺の武器で斬殺死体は作れないけど、サーヴァントなら出刃庖丁の一つも有れば充分だ】
二人が互いにしか聞こえない声で会話していると。拷問用具や性具を置いてある部屋から鑑識が真戸暁に報告する声が聞こえてきた。
【金髪が見つかった……か。アーチャー、死体の中に居た?金髪】
【居たけど染髪だった。地毛じゃない】
【つまり此処で殺しをやったサーヴァントはデカイ刃物を持っていて、マスターは金髪……と】
【殺しをやったのとは別のサーヴァントのマスターかも知れないけれど、金髪のマスターには気をつけた方が良いだろうね】
【情報は早さが命……か。精々高く宜野座に売ってやるか】
そうと決まれば話は早い。アールは、宜野座の後を追って住宅地へと移動すべく、真戸暁にこの場を離れて住宅地へ向かうべくタクシーを呼ぶ事にした。
【F-2/廃倉庫/1日目 夜(23:15)】
【アール(レナート・ソッチ)@ヨルムンガンド】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備] スマホ
[道具] 銃
[所持金] 普通 ぬ
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に帰る
1. 鬼兵隊について調べる。
2.警察の捜査に協力する。
3.宜野座と接触して同盟を持ちかける。
4.自然公園で捕まった二人と接触する。
[備考]
宜野座がマスターだと確信しました。
D-2ビルに面した駐車場) D-4住宅街) E-2(アパート街の側の道路)E-3(自然公園) F-2/廃倉庫/
で起きた事態を警察に通報された範囲で知りました。
F-2/廃倉庫で起きた大量殺人事件の現場に金髪の人間がいた事を知りました。
【アーチャー(北岡秀一)@仮面ライダー龍騎】
[状態]健康
[装備]
[道具] カードデッキ
[所持金] かなり裕福
[思考・状況]
基本行動方針:第二の生命を手にする
1. 此奴は不味いでしょ
2. マスターは護る
[備考]
* セイバー(朽木白哉)が近くにいることを感知しましたが、誰かは知りません
D-2ビルに面した駐車場) D-4住宅街) E-2(アパート街の側の道路)E-3(自然公園) F-2/廃倉庫/
で起きた事態を警察に通報された範囲で知りました。
F-2/廃倉庫で起きた大量殺人事件の現場に金髪の人間がいた事を知りました。
◆ ◆ ◆
【セイバー、サーヴァントの気配は?】
【無い。あの男を疑っているのか】
【ああ】
宜野座は住宅地にむかうパトカーの中でセイバーと念話を交わす。
宜野座はアールがマスターではないかと疑っていた。サーヴァントからの報せが有ったとしか思えない程に、アールの現れたタイミングはおかしかった。
誰かが報せでもしない限り、あんな辺鄙な所で起きた殺人事件を、あれ程迅速に知るのは不可能。
何かしらの伝手でも有しているのかと思ったが、アールのロールからすると考え辛い。
となると従えるサーヴァントしかないのだった。
【アールのサーヴァントがあの殺人の犯人だと思うか?】
【得物を見ない限りは何とも言えん。あの場でルキアと戦ったのは、巨大な刃を用いるサーヴァントなのは確かだ】
斬殺死体は人間の膂力では到底振るえぬ刃で身体を切断されていたが、サーヴァントならば出刃庖丁の一つも有れば可能だ。白哉にしても、死体はルキアの作ったものかどうかは確信が無い。
だが、床と壁の破壊痕。こればかりは白哉は確信を持って言える。”巨大な刃を用いるサーヴァントの仕業だと“。
姉弟と融合したルキアの用いる武器は長柄の鎌。これではあの超重量による破壊と、刃による斬撃とを両立させた破壊痕は残せない。
あの様な破壊痕を作れるのは、黒崎一護の斬月や、更木剣八の始解''野晒し"の様な巨大な刃を有する刀剣のみ。
尤も斧や薙刀といった可能性も有る為"刀剣"とは断定出来ないが。
【あの男をどうするつもりだ】
白哉が問う。
【取り敢えず話をしてみようと思う。何を願っているのか。何を考えているのか】
【解った。一つ忠告しておく。あの男のサーヴァント、アサシンでは無いが近い能力を持っている。あの場で私は最終、サーヴァントの気配を感じなかった】
気配を感じたのは途中から、それも近付いて来たわけではなく不意に現れたのだ。
【会う時にはセイバーを実体化させておくべきか?】
となれば、人目につかない場所を選ぶ必要がある。
宜野座はシートに体重を預けて、アールと話し合う場所を何処にするか考う出した。
パトカーが現場に着くまであと僅か
【D-2/路上(パトカーの後部座席)/1日目 夜(23:10)】
【宜野座伸元@PSYCHO-PASS】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備] ポリスリボルバー
[道具] スマホ、ウォッチ@PSYCHO-PASS、警察手帳
[所持金] 普通
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に帰る。
1. 聖杯戦争に付いて調べる。
2. 住宅街【D-4(住宅街)】で発生した爆発事故及び大量殺人事件の現場に行く
[備考]
アールがマスターではないかと疑っています。
* 寒気と緊張で酔いが醒めました。
【セイバー(朽木白哉)@BLEACH】
[状態] 健康、霊体化
[装備] 斬魄刀
[道具]
[所持金] かなり裕福
[思考・状況]
基本行動方針: マスターを護る。
1. ルキアを止めたい。
2. マスターに従って住宅街に行く
[備考]
バーサーカー(朽木ルキア)の姿を発見しました、生前に面識はありますが宝具まで知っているかは不明です。
F-2の廃倉庫からルキアの霊圧を感知しています。
アーチャー(北岡秀一)の霊圧を確認しました、ただし、姿は観ていません。
投下を終了します
タイトルは【二人の思惑】でお願いします
投下乙です!!
相変わらずの警察の行動の緻密な描写や登場人物の視点からの深い考察、お見事です!!
アールとギノは共に接触しようとしていますが、果てさてどうなるのやら……
それはそうと、警察の皆さん、いつもお疲れ様です。
いやホンッッットに。
二宮飛鳥&ランサー(駆紋戒斗)
瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)
輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)
予約します。
すみません予約を破棄します。
代わりに
相川始&キャスター(かずみ)
エルメェス・コステロ&バーサーカー(インターラプター)
予約します。
予約を破棄します。
ルーラー(リボンズ)
橘ありす&キャスター(ナーサリィー・ライム)
白菊ほたる&ライダー(コーラ)
予約します
延長します
再度延長します
すみません、再度延長宣言をお願い致します。
1日経っても来なかった場合は申し訳ございませんが予約を強制破棄させていただきます。
>>214
大変申し訳ありません
再々度の延長をお願いします
無灯火の原チャリにカミカゼされて仕上げる余裕が無くなりましたので予約を一旦破棄します
近日中には仕上げて投下したいと思います
分かりました、お大事になさって下さい。
再予約はいつでも可能ですのでお待ちしております。
ルーラー(リボンズ)
橘ありす&キャスター(ナーサリィー・ライム)
白菊ほたる&ライダー(コーラ)
百夜ミカエラ&バーサーカー(黙示録の獣)
予約します
投下します
【ふむ】
遠くから聞こえる喧騒に、小さく頷いたのはナーサリー・ライム。
学校の安全確認に、同盟を結べそうな相手との遭遇。此の聖杯戦争を戦う英霊のレベルの確認と、一度の出撃で多大な戦果を挙げて、次なる場所へと赴く最中である。
向かっている場所で起きている騒ぎは放っておいても問題無さそうではあるが、サーヴァントが関与している可能性が或る以上、放置しては置けなかった。
先ほど聞いた同盟の件は、ありすの判断に従うが、ナーサリー・ライムとしては受けて欲しいところだった。
何しろ主従共に聖杯を望んでいない以上、同盟を組む事に支障無い。
ありすの帰還さえ保障されるなら、最終的に自害する事になってもナーサリー・ライムとしてはなんら構うところは無い。
ましてや戦闘能力はあっても、継戦能力に欠ける身としては、戦闘における負担を減らせる同盟は望むところだった。
【それにしても、どうにも引っかかる】
移動するナーサリー・ライムの脳裏に浮かぶのは、先刻出逢って二人の男。取り分けキャスターの事だった。
あのキャスターは、どうにも気にかかる。マスターは善良そうだったが、あのキャスターからは妙に厭な感じがしてならないのだ。
もう一人の男。ランサーは、あの男は信用できるだろう。
あの槍兵は、疑う余地なく英雄。御伽噺(フェアリーテイル)の登場人物だ。
だが、キャスターの方は、アレは一体何者なのか。
確かに彼もまた、子が母にねだり、母が子に語って聞かせる英雄譚の登場人物であるのだろう。
あの男の武練と帯びる輝きは、確かに正純な英雄の持つに相応しいものだ。
だが、サンタクロースという御伽噺(フェアリーテイル)の姿を取った、誰かの為の物語(ナーサリー・ライム)としての本質が、あの男に影を感じて止まないのだった。
純然たる御伽噺(フェアリーテイル)の住人である蒼い槍兵と同時に邂逅しなければナーサリー・ライムとて分からなかったろう。
あのキャスターの持つ英雄譚(サーガ)の主人公に相応しい輝きと共に在る影。まるで怪談(ウィアードテイル)の怪物であるかの様な、そんな影をあのキャスターから感じたのだった。
そんなことを考えながら移動するナーサリー・ライムの耳に、遠雷の轟きを思わせる音が響いた。
◆
ルーラーとして現界したリボンズ・アルマークは、多忙を極めていた。
本戦が開始されてから6時間も経っていないにも関わらず、街の至る所で死体が量産され、破壊が行われている。
そんな中でも、NPC達の間に恐慌が起きず。夜間に連続して起きた、大規模テロとも言って良い事態に、警察機能が破綻する事なく、何とか対応出来ているのは、偏にリボンズの指導の成果である。
予め街の主だった組織・設備に、情報の収集や操作、裏工作用に配備しておいたイノベイド達を通じて、リボンズが直捨指示を出す事で、市民の動揺を良く抑え、限られた警察機構を最大限の効率で稼働させ、街の治安を表向きには維持しているのだった。
聖杯戦争の舞台の維持に勤めるのもルーラーとしての責務である。
リボンズはルーラーとしての勤めを果たしながら、市役所の奥にある不可侵の一室で静かに策を巡らせていた。
リボンズはルーラーでありながらも聖杯を望んでいる。
本来裁定者であり、聖杯を望まない事が条件であるルーラーでありながらだ。
これは中立公平である事を求められる裁定者(ルーラー)のクラスには極めて不適当と言える。
尤も、リボンズ・アルマークでは無く、もう一人の『変革の叡智(ヴェーダ)』のアヴァターであるティエリア・アーデならば、聖杯戦争そのものを否定するだろうから、結局のところ『変革の叡智(ヴェーダ)』が召喚された時点で、リボンズ以外に適任は居ないと言える。
そんな消去法で選出されたルーラーであるリボンズは、当然の様に聖杯戦争に関与していく方針である。
無論の事、自分の存在は隠匿し、極力表立って動くことはしない腹積もりだが。
滾る野心と複数の策謀を巡らしながら、今現在リボンズがその目を向けているのは、怨敵である刹那・F・セイエイでは無い。
「あの機体…そしてあのマスター……使えるな」
ライダーのクラスを得て現界した英霊、パトリック・コーラサワー。正確にはその宝具であるGN–Ⅳである。
己の手足であるイノベイドが用いるGN–Ⅲの後継機であるあの機体を解析し、量産できたならば、大幅な戦力増強を見込める。
となれば、後は交渉なり強奪なりの手段で、機体を解析できるようにするだけだが。
「あの女…………………」
あの機体の主を見て思い出す一人の女。
ソレスタルビーイングとの決戦で、アロウズに傾いていた趨勢を、覆した女。
あのカティ・マネキンを想起させる、あのライダーは、生かしておくく気にすらなれない。
────コーラサワーをマネキンの元に送ったのはリボンズなのだが、その事は当然の様に棚上げする────。
つまり取る手段は強奪一択。あのライダーを打ちのめし、機体を解析し尽くした後で、マスター共々葬り去る。
「僕の大望を挫いた報い…。ここで受けて貰うよ」
リボンズの瞳に黄金色の妖光が宿っ
◆
白菊ほたるとパトリック・コーラサワーは窮地に立たされていた。
突如として夜の静寂を破った轟音。同時に住宅街で感知した魔力反応目指して飛行していたところ、いきなり攻撃されたのだ。
襲って来たのはコーラサワーも良く知るGN −XⅢ。連係の取れた動きで迫ってくる3つの機影に、コーラサワーが猛々しい笑みを浮かべたのも束の間。不意に下から高エネルギー弾が飛来。
「下から!?」
驚愕しつつも肩のシールドで受け止めて、下から攻撃を行う三機を確認。
最初に出現した三機は、三角形を描く様に展開。コーラサワー機の機動を阻害する様に射撃を繰り返す。
そこからは一方的な展開だった。
下から攻撃する三機は地上の住宅地を背にしてコーラサワーの反撃を封じ。周囲に展開した三機は、コーラサワー機と一定の距離を取りつつ、下方からの攻撃に合わせて、コーラサワー機の動きを封じるかの様に攻撃を行う。
包囲を破ろうとすれば下方からの火線に晒される。
何よりも厄介なのは、下方の三機がコーラサワーの反撃を一切気にしなくて済むというところだろう。
回避機動を取りながらの射撃は、命中精度を大きく下げるが、住宅地を背にした三機は、その事によりコーラサワー機の反撃を封じ、射撃に専念する事で精確な狙撃を行なっていた。
破壊が閃光の形を取って虚空を切り裂き、夜空を駆ける機体に掻き乱された空気が、巨竜の方向の如くに大気を震わせる。
数と地の利を活かした攻撃は、苛烈でありそして精確。穿つ隙どころか乱れすらない整然さを以って戦場を支配する。
たが────。
だが、しかし────。
追い詰められているのは確かにコーラサワーだが、焦りを覚えているのは囲い攻めにしている方だった。
何故ならば────。
「舐めるなって!この程度ELSに比べりゃどうって事ねえ!!」
一方的に攻撃し続けている。コーラサワーは反撃すらままならない。傍目から見れば只の嬲り殺しと見えるだろう。
だが、しかし────。
反撃できぬまま囲い攻めにされても猶、コーラサワーの意気は軒昂。敵の癖を見切ったのか、機体の動きは時を追う毎に冴えていく。
このまま状況が推移すれば、コーラサワーは囲みを突破して脱出するか、人家の無いところまで移動して反撃してくるかのいずれかだ。
どちらにしても襲撃者達の目的は果たせない。このままではコーラサワーが勝ち、襲撃者達は敗北する。
────生憎と、そう簡単には逃がさない。
「増えやがった!?」
レーダーに現れた新たな機影は四つ。
離れて射撃を行う6機と異なり、射撃を行う事無く、四方から真っ直ぐにコーラサワー機に近づいてくる。
「ヤベェ!!」
新たに現れた機影の意図するところを察したコーラサワーの焦燥の声。
四機の意図するところは明快だ。近接戦闘をコーラサワー機に強いる事で、若しくは 組み付く事で、コーラサワー機の動かきを封じるつもりなのだ。
戦況は瞬時にコーラサワーの不利へと傾く。敗北は最早目前。
四つの機影。GN–Ⅲの姿が肉眼でも観える距離まで近づいたその時────コーラサワーがトランザムを使おうと決断した瞬間────。
コーラサワー機の正面の機体が、漆黒の光の帯に、腰のところで両断された。
残りの三機が驚愕し、動きを止めた刹那を見逃さず、コーラサワー機が正面へと全力で突撃。包囲を抜け出し、コーラサワー機に牽制射撃を行っていた一機に摑みかかる。
コーラサワー機を追撃しようとした三機は、再度振るわれた光の帯が、両断された機体を撃ち砕いた事で生じた爆発により、出足を挫かれてしまった。
【D−5/孤児院前1日目 夜(23:55】
【白菊ほたる@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態] 健康、GN-X搭乗中、魔力消費(小)
[令呪]残り3画
[装備]
[道具] なし
[所持金] 普通
[思考・状況]
基本行動方針:無し
【ライダー(パトリック・コーラサワー)@機動戦士ガンダム00】
[状態] 健康、GN-X搭乗中
[装備] 拳銃
[道具] 無し
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:大佐ならどうするか考えて行動する
1.民間人を戦闘に巻き込む黒幕の打倒。民間人に危害を加える輩の殲滅。ほたるのような、巻き込まれた民間人の保護。
2..ガンダム!?
3.GN-Xが有るからといって油断は禁物
4.取り敢えず逃げる
[備考
GN−Ⅲが複数存在し、こちらを攻撃して来る事を認識しました
[共通備考]
一日中飛び回っていたのでランサー(空条承太郎)以外にも見られたかも
◆
「ふむ、次はこちらか」
地上から天を見上げて呟く少女。
その瞳に映るのは、こちらに迫る三つの宙を舞う巨影。
サンタクロース────ただし通常赤い部分がすべて黒いが────の格好に相応しくない、漆黒の長剣を右手に引っ提げて、不敵に笑うのはナーサリー・ライムに他ならない。
パトリック・コーラサワーと襲撃者達の戦い振りを地上から観察していたナーサリー・ライムは、住宅街を背にして戦う襲撃者達と、住宅街を慮って攻撃を控えるコーラサワー機を比較。その上でコーラサワー機に味方する事を決めたのだ。
少なくとも、住宅街を背にして攻撃を封じる悪辣な連中より、不利な状況でも反撃を控えていた方が、信を置けるし好感が持てる。
という訳で、卑王鉄槌(ヴォーティガーン)で新たに現れた四つの巨影の一つを落としたのだが、当然そうなれば巨影は己へと殺到する。
「フン、微に砕けば地に堕ちる事なく消えるか」
その昏い黄金の瞳が写すのは、つい先刻落とした一機。砕かれた残骸が虚空で魔力の粒子と化して散るのを確認した。
「ならば跡形残さず撃ち砕く!!」
切っ先を巨影の一つに向けた剣に破壊的な魔力が篭る!!
「そこだっ!!!」
直感に任せて放つ一閃。
習いをつけた巨影がビームライフルを撃とうとする直前、切っ先から迸った魔力が、無限長の刃と化して巨影を貫き、爆発四散させる!
ナーサリー・ライムは知る由も無いが、魔力の刃はGN−Xの動力炉を貫いていたのだ。
そのまま再度直感に任せて、魔力の刃をわずかに軌道を修正しながら右に振る。動力炉を切断して二度目の爆発。
残った巨影が距離を取ろうとするのも逃さず、両脚を切り飛ばし、バランスを崩した所を、二度の撃墜で場所を覚えた急所(動力炉)
を貫いて四散させた。
「さて、どうするかな」
切り飛ばした両脚も宙で砕いて周囲を見回せば、既に巨影は何処にも居ない。霊体化しながらナーサリー・ライムは思考する。
このまま騒ぎの起きている場所へ向かうが、それともさっき助けた巨影を追うか。
【D−5/孤児院前1日目 夜(23:57】
【キャスター(ナーサリー・ライム)@Fate/EXTRA及びFate/Grand Order
[状態] 魔力消費(中)
[装備] 約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)。ラムレイ二号
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:ありすを護る。子供達を護る。
1. マスターの許へ帰る。
2. 無断出撃の言い訳を考える
3.同盟の件についてマスターの考えを聞く。
4,騒ぎの起きている場所へ向かうが、それともさっき助けた巨影を追うか
[備考]
1.キャスター(ラゼィル・ラファルガー)、ランサー(クー・フーリン)を認識。ステータスを確認、戦ってある程度手の内を知りました。
2.ランサー(クー・フーリン)から聖杯戦争の主催者に対抗しようとしているマスターの存在を知らされ、同盟を呼びかけられました
3.空を飛ぶ巨影を2種類(GN−XⅢとGN−XⅣ)を確認しました。
4.GN−XⅢの急所(動力炉)の位置を覚えました
◆
「何だアレは……?」
孤児院に戻ってきたミカエラは絶句した。
孤児院の前に佇む得体の知れない四脚の機械。
周囲を見回し、マスターかサーヴァントが居ないかと探るミカエラに、四脚の機械が一つ近づいて来た。上に何か記された紙片とスマートフォンが乗っている。
「………ッ!?」
紙片を見たミカエラからギリギリと何かが軋む音がする。
歯だ。ミカエラの食いしばった歯が、立てる音だった。
────幸運に恵まれないながらも奮闘する君に贈り物を進呈する。スマートフォンを起動したまえ。
怒りに震える手で、ミカエラはスマートフォンを手に取り、電源を入れる。
「これは……?」
スマートフォンの画面に映し出されていたのは、爆撃でも有ったかの様に破壊された公園で、顔に刺青が有る少女が、気絶した状態で保護されて病院に搬送され、少年が一人警察に連行された。という内容のメールだった。
「クソッ!」
ミカエラは何者かが自分を利用しようとしている事に気付いて毒づく。
しかし、これは好機でもある。病院に収容された少女はおそらくは魔力切れ。サーヴァントはロクに戦えまい。
警察に連行されたマスターは留置場の中。バーサーカーの宝具なら確実に仕留められる。
スマートフォンを送りつけて来た者が何者かは知らないが、こんな事をする以上は自身の戦力が心許ないのだろう。
聖杯戦争が進めばその内邂逅する事になる。
その時は自分とバーサーカーの戦力で始末すれば良い。
ミカエラはそう考えを纏めると、警察署と病院、何方に向かうか決める事にした
【E−5/孤児院前1日目 夜(23:17】
【百夜ミカエラ@終わりのセラフ】
[状態] 健康、膨大な魔力
[装備] 「剣」
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生だが孤児院住まいなのでそんなには無いだろう
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。まずはある程度情報を入手してから、
バーサーカーの火力で他の敵を潰していく
消耗は避ける
1.『家族』を巻き込まない様にする
2.慎重に行動する
3.不意打ちは止めておく、当分は偵察のみで。
4.このままSE.RA.PH全域を回っていく。
5.家族に害を為す可能性が有る、NPCに危害を加える者は最優先で倒す。
6.NPCの大量殺戮から護る為に孤児院に近づく
7.あの日本帝鬼軍の少女(柊シノア)は絶対殺す
8.誰かが僕を利用しようとしている。
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました。
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)を確認、ステータスを確認しました。
4.ライダー(フル・フロンタル)を認識、ステータスを把握しました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
6.最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
8.エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
9.バーサーカー(朽木ルキア)を認識、ステータスを把握しました。
10.セイバー(ガッツ)を認識、ステータスを把握しました。
11.病院と警察署にマスターが居る事を知りました
12.何者かが自分を利用しようとしている事を知りました。機械が来れば殺すつもりです。
13.予選時点でクルル・ツェペシから貰った血を幾らか持ってきていましたが、決戦時点で既に飲み干しています。
14.クルルの血と吸血鬼が持つ魔術回路のお陰で魔力は大量に有りますが、回復が出来ないので慎重に。
【バーサーカー(黙示録の獣)@.hack//G.U.TRILOGY】
[状態] 健康
[装備] 無し
[道具] 無い
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)、ライダー(フル・フロンタル)を確認。
4.ライダー(フル・フロンタル)に刃の嵐を投げつけました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
◆
「失敗か」
ヴェーダの中でリボンズは思索に耽る。
邪魔が入ったとはいえど、失敗の根本は、パトリック・コーラサワーという男を見くびったという一点に尽きる。
追加投入した四機も最初から投入していれば、最新鋭機とはいえ捕獲出来た筈。
それをしなかったのは、6機もあれば充分だとの思いがあったからだ。
「失敗した事は認めよう。ならば手を変えるだけだ」
幸いコーラサワーの主人は只の小娘。懐柔する事は容易いだろう。ルーラーとしての地位を利用すれば尚更のこと。
「あの機体のことは今は置いておこう。それよりも…」
ヴェーダ内のリボンズは、聖杯戦争の舞台となっている街のほぼ全ての情報を知る事ができる。
街中で立て続けに大量殺人と大規模な破壊行為が有った事も、大量殺人の犯人として『金髪の人物』が挙げられている事も。
先ずは増援という形で、明日には警察関係者の知識と技能を与えたイノベイドを警察に多数送り込み、治安維持機能を掌握する。
そうすればかつてのアロウズと同じ要領で、聖杯戦争を動かせるだろう。
「討伐令は出さないといけないだろうな」
大量殺人を行なったバーサーカーとそのマスターに対しては討伐令を出す必要が有るだろう。というより出さなければ、少なくとも円環の理は納得するまい。
しかし、ステラ・ルーシェと朽木ルキア対する関心はその程度だ。
リボンズの関心は大規模破壊に関与しているマスターである百夜ミカエラにこそ有った。
他者を信じず、只一人孤独に戦い続ける道を選んだミカエラは、リボンズにとっては踊らせやすい駒でしか無い。
精々他の主従を殺して回って貰おう。
討伐令を出す為には、他のルーラーと協議する必要が有る。その前に事を済ませなければならなかった。
「今の君の行動は、僕にとっては好都合だよ。百夜ミカエラ」
【D-2/市役所(ヴェーダ内))/1日目 夜(23:57】
【「制」のルーラー(リボンズ・アルマーク)@機動戦士ガンダム00】
[状態] 健康、ヴェーダアクセス中
[令呪]残り2画(各サーヴァント一騎ずつ)
[装備] GN-XⅡ×2、イノベイド×2
[道具] 「革新の叡智(ヴェーダ)」
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を入手する。
1. 刹那・F・セイエイは殺す、理由やら証拠やらが見つかれば討伐令も出すつもり。
2. アーチャー(X3752ストライカー)との交渉を進める。
3.手駒になりそうな主従を探して交渉する。
4.ライダー(パトリック・コーラサワー)の機体(GN−XⅣ)を解析したい
5.百夜ミカエラを操って聖杯戦争を加速させる
6.ステラ・ルーシェ&バーサーカー(朽木ルキア)への討伐令発布の為に、他のルーラーと協議する。
[備考]
• D-2の市役所にヴェーダを隠し、其処に隠れています。壁は壊そうとしても直ぐに修復されてしまいます。
•翌日に大量のイノベイドを警察への増援として送り込む予定です。
投下を終了します
タイトルは
戦わせて、生き残らせない
です
感想が遅れてしまって申し訳ございません!
対主催組が次々と纏っていってオラワクワクすっぞ
悪巧みしている割にはきちんと仕事しているリボンズさん、お疲れです
踏んだり蹴ったりなミカの明日はどっちだ!?
本スレッドは作品投下が長期間途絶えているため、一時削除対象とさせていただきます。
尚、この措置は企画再開に伴う新スレッドの設立を妨げるものではありません。
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