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サマナーズ・バトルロワイアル

1 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:12:36 Ht5dJSVQ0
 
――――を殺して平気なの?

【まとめwiki】ttp://seesaawiki.jp/summoner-br/
【基本ルール】ttp://seesaawiki.jp/summoner-br/d/%b4%f0%cb%dc%a5%eb%a1%bc%a5%eb
【地図】ttp://seesaawiki.jp/summoner-br/d/%c3%cf%bf%de
【現在位置CGI】ttp://r0109.sitemix.jp/summoner/


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2 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:12:57 Ht5dJSVQ0
OP投下します。


3 : if... ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:13:31 Ht5dJSVQ0

「おはよう、諸君」


 暗い、暗い部屋の中。
 ふと、そんな声で目が覚めた。
 ゆっくりと起きあがり、目を擦りながらあたりを見渡す。
 一番初めに見つけたのは、真っ白な学生服に身を包んだ、一人の少年だった。
 それに気がついたのと同時に、ふわりと辺りが明るくなっていく。
 再び辺りを見渡すと、ここが体育館のような場所なのだと察することができた。
 そのほかには、先ほどの自分と同じように、眠りに就いている者達が何人もいることも分かった。
 一人、また一人と彼らは次々に起きあがり、自分と同じように困惑の表情を浮かべていく。

「今回集まって貰ったのは、他でもない。君たちに、最後の一人になるまで殺し合いをして貰うためだ」

 大半の人間が事態を飲み込めないまま、学生服の少年は衝撃的な言葉を平然と放った。
 殺し合い、聞き間違えでなければ、確かにそう言っていた。

「生き残った者には、この魔神皇の片腕として働く権利と、願いを一つなんでも叶えてやることにしよう」

 余りに突拍子もない話に、思わず息を飲み込んでしまう。
 だが、少年の表情は真剣そのものだ。
 彼は、本気で自分たちに"殺し合い"を強いているのだと、分かる。

「ふざけんな!!」

 そんな中、一人の少年が立ち上がる。
 青いブレザーに、青と緑のチェックのズボンの制服に身を包んだ、一人の少年だった。
 彼は、怒りを露わにしながら、白服の少年へと食ってかかる。

「何のつもりかは知らねえが、殺し合いなんて――――」

 だが、その言葉は最後まで紡がれることはなかった。
 白服の少年の手から放たれた紫色の光が、彼を一瞬で焼き尽くしたからだ。
 一瞬の出来事を、不幸にも理解してしまった一部から、怯えるような声が漏れる。

「誰に口を利いていると思っている」

 そう告げる少年には、わずかに怒りが浮かんでいた。
 だが、それは即座に怪しげな笑顔へと切り替えられる。

「ああ、今の光景を見てもなお逆らおうとする者の為に、一つ良いものを見せてやろう」

 そう言った後、白服の少年が指を鳴らすと同時に、警告のようなブザー音が鳴り響いた。

「えっ」

 それは、一人の少女の首から、鳴り響いていた。
 そして、彼女がそれを理解するよりも早く、警告音は加速していき、やがて。

「やだ――――」

 ぼんっ、という軽い音と共に爆発が起こり。
 一つの首が宙へと舞い、一部で再び悲鳴が漏れた。

「君たちの首に付けられた首輪、それは私の意志一つで爆発し、君たちの命を奪う。
 詳しいことは、後でCOMPでも見ると良い。それに全てを記しておいたからな」

 少年の言葉の後に、ゆっくりと首元に手を当てる。
 触れたのは、ひんやりとした感触。
 今し方一人の少女の命を奪ったのと、同じ物がそこにあるという証拠だった。

「そうだ、一つ教えておこう。
 細やかながらCOMPには君たちの"友"となりうる悪魔を封じ込めておいた。
 それをどう使うかは、君たち次第だ」

 友、という言葉も、悪魔という言葉も引っかかる。
 いったい、それは何を指しているのだろうか。
 そんなことを考え始めた、矢先であった。

「では、幸運を祈るよ」

 少年が指を鳴らすと同時に、体が不安定になる。
 次は一体なんだ、と理解すると同時に、自分の体はどこかへと飛んでいった。

「ハハハ、ハハハハハ、ハァーッハッハッハッハ!!」

 少年の笑い声を聞きながら、彼らは向かう。
 これから始まる、殺し合いの地へと。

【リュウイチ@真・女神転生if... 死亡】
【アキコ@真・女神転生if... 死亡】
【バトルロワイアル 開始】

主催者
【ハザマ@真・女神転生if...】


4 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:13:51 Ht5dJSVQ0
続けて「登場話候補作」を投下します。


5 : 風鳴 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:15:04 Ht5dJSVQ0
 朝日が昇り始める都会のビルの中で、男は空を睨んでいた。
「……殺し合い、か」
 男の名は、リック・ストラウド。アメリカの地を駆ける、一人のボクサーだ。
 クルーザー級の現チャンピオンに、今最も近い男とも言われていた。
 だが、彼はある日を境に、表舞台から忽然と姿を消していた。
 誰かが俺を呼んでいる、彼をよく知る友人は、最後にそう言っていたことを、証言していた。
 そんな彼も、狭間の手によって殺し合いの地に招かれた、被害者の一人だ。
「聞こえない、何も……」
 いつもは聞こえていたはずの自然の声は、何も聞こえない。
 風も、太陽も、木も、彼に何かを語ることはない。
 都会の独特の冷たさが、彼の心に重くのしかかる。

 頭の中で繰り返すのは、短い言葉。
 殺し合い、殺し合い、殺し合い。
 言葉も、意味も、理解できている。
 そして、それが自分に課せられていることも、理解している。
 だから、こそ。
「ノーだな、そんなこと、できるわけがない」
 彼は、それに反旗を翻す。
 謎の人間に唆され、はい、そうですかと言われて動くほど、安っぽい人間ではないのだから。

 そう決めたところで、彼は支給された道具を確認する。
 この拳がある限りは、武器には困らない。
 だがそれとは別に、彼には引っかかっていることがあった。
「悪魔……か」
 そう、悪魔。
 狭間が全ての人間に配布したCOMPの中に封ぜられているという、存在だ。
 神話や御伽話上の存在が、本当に存在するのだろうか。
 興味がない、と言えば嘘になる。
 だから、リックは慣れない手つきでスマートフォン型のCOMPを、マニュアル通りに操作していく。

 DEVIL SUMMON .........

 表示された英文、徐々に増えていくピリオド。
 それが20個ほど並んだその時。

 READY.

 短い単語が表示された後、端末がまばゆい光を放った。


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6 : 風鳴 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:15:15 Ht5dJSVQ0
 


 思わず目をその向けてから、少しした後。
 光は消え失せ、視界は元に戻りつつあった。
 何も、なかった? やはり、悪魔など存在しないということか。
 そんなことを思いながら、目線を前に戻した、その時だ。
「我は戦士 エレン。今後とも、よろしく」
 その言葉とともに現れたのは、少し緑がかった茶のポニーテールの、一人の女性だった。
「悪魔……? てっきり、怪物か何かが出てくると思っていたのだが」
 思った通りの言葉を、リックは正直に吐く。
 目の前の女性は、悪魔というワードから想像できる姿から、あまりにもかけ離れていたからだ。
 その言葉を聞いた女性は、腰に手を当てて何かを察したようにリックへと語る。
「ああ、初めて召喚士になるのね? 
 悪魔ってのはあくまで総称で、世界を救ったりだとか、人々を混乱に陥れたりだとかしてる奴も含まれるわ。
 ま、私も妹を助けるついでに世界を破壊するものを破壊したりしちゃったから、こうやって呼ばれることが多々あるんだけど」
 世界を救う、人々を混乱に招く、あまり耳なじみのない言葉に、リックは頭を悩ませる。
 よく分からないが、人々の悪夢として蘇った、なんて噂されているギース・ハワードのようなものなのだろう。
 そう考えることで、余計なことまで考えないように、頭を切り替えていく。
「ところで、名前聞いてもいい?」
「リック。リック・ストラウドだ」
 女性からのふとした問いかけに、リックは落ち着いて答える。
 こうしてやり取りをしていると、普通の人間となんら大差はないと思える。
「そう、改めてよろしくねリック。私、あなたとなら上手くやれそうな気がするわ」
 差し出された手を、握り返す。
 触れた感覚も、人間と何ら変わりはない。
「……俺は、殺し合いなんてしたくないと思ってる。
 だから、その為の力を、ハザマを倒す力を、俺に貸してくれないか」
 リックは続けて、エレンへと自分の気持ちを告げる。
 殺し合いへ、狭間への反逆、それが、今の自分のすべきことだから。
「了解よ、仰せのままにね」
 自信たっぷりに、エレンも笑う。
 ああ、なんて頼もしい女性なのだろう。
 そんなことを考えながら、リックは再び空を睨んだ。

【?????/1日目/朝】
【リック・ストラウド@リアルバウト餓狼伝説2】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、確認済み支給品(1)
[思考・状況]
基本:殺し合いに反逆する
[COMP]
1:エレン・カーソン@ロマンシング サ・ガ3
[状態]:健康


7 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:18:31 Ht5dJSVQ0
以上で投下終了+これより登場話「候補作」の募集を開始します。
>>1の基本ルールにも同様の文を掲載しておりますので、こちらでもご確認いただけます。

【書き手参加を考えている方へ】
・ざっくり言うと、女神転生シリーズの設定を使った、聖杯風味のパロロワです。

・これより登場話コンペを行います。(本日〜5/7まで)
 2話目時点で位置を決定させるので、登場話時点では「現在位置」は不明にしておいてください。

・登場話候補作のエントリーは本スレ投下の後、ご自分でWikiに収録された時点で完了となります。
 本スレ投下のみではエントリーになりませんので、ご了承ください。

・登場話募集期間終了後、>>1選出枠をN組選出してから、5/8に投票を開始。
 投票で上位N組選出し、残りN組を書き手枠とします。
(選出組数は登場話候補の数によって前後させる予定です)

・書き手枠は書かれた登場話候補作から漏れてしまった話から早い者勝ちとさせていただきます。(得票数制限は敷くかも)

・登場話はサンプルのように基本的に道具の確認、悪魔の確認のみとしてください。

・サマナーには極力、「現代をテーマにした作品」であるキャラクターを選出してください。
 ・ざっくり言うと、ソウルハッカーズやペルソナと世界観を共有しても問題ないキャラクター
 ・ファンタジー系のキャラは基本的にNG
 ・時間軸ズレ程度なら、すりあわせてもOK(例:ブラックラグーンを現代設定に持ってくる)
 ・微妙そうなら>>1に判断を仰いでください
 ・世界観共有はアリとします。

・支給悪魔は、特に制限ナシ。
 ・人間、怪獣、魔物、ある程度なら何を支給してもOK
 ・原作にない種族名とかもでっちあげてOK
 ・ただし、あくまで"分霊"なので、スペック通りの力が出せるとは限りません

>・作中で合体させられても泣かない(最重要項目)<

・初心者から経験者まで、誰でも歓迎!
・上記の通り異色ロワなので、ルールにはちゃんと目を通してください。
・予約期間は5日、延長ナシを予定しています。

では、みなさんお気軽にご質問、ご投下をしていただけるとありがたいです!
私も書け次第、投下しようと思います。


8 : 名無しさん :2016/04/25(月) 12:25:57 mXNFofXU0
アトラスシリーズに詳しくない初心者でも大丈夫でしょうか…


9 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:27:23 Ht5dJSVQ0
>>8
必要最低限の知識として
「COMP越しに悪魔を使役して、共に戦うことができる」
「悪魔は合体とかされるて、新しい悪魔になったりする」
くらいの、シリーズ共通の部分の認識があれば大丈夫です!


10 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:29:17 Ht5dJSVQ0
>>7
さっそくで申し訳ないのですが、登場話コンペの期限を、

5/21 23:59:59 までに投稿完了(Wiki収録まで)された作品

とさせていただきます。


11 : 名無しさん :2016/04/25(月) 12:39:24 /zKsAMgo0
>・支給悪魔は、特に制限ナシ。
> ・人間、怪獣、魔物、ある程度なら何を支給してもOK

これ、たとえばクー・フーリンならFateのクー・フーリンだったりしてもいいんですか?
あと合体ありってことですが、原作にない組み合わせで合体させた場合それは何ができるか自由に考えてもOK?


12 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:41:12 Ht5dJSVQ0
>>11
媒体はお任せします。
合体に関してはその通りです。何が起こっても泣かない精神で行きましょう。


13 : 名無しさん :2016/04/25(月) 12:44:00 /zKsAMgo0
あ、すみませんもう一つ質問です
登場話で出していい悪魔の数と、一台のCOMPで保有できる悪魔の数に制限はあるのでしょうか


14 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:46:35 Ht5dJSVQ0
>>13
初期悪魔は一人一体でお願いします。
保有数は一人6くらいを想定していますが、ここらへんは本編開始時にまた出します。


15 : 名無しさん :2016/04/25(月) 12:47:46 9jdN6weQO
おお、これは面白そうな企画だ!
質問なのですが、これは殺し合いの参加者として呼ばれたキャラは現代を舞台にした作品のキャラのみ、悪魔として呼び出せるキャラは特に作品制限なし(異世界ファンタジーから近未来SFまでなんでもあり)、ということでいいのでしょうか?


16 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 12:54:27 Ht5dJSVQ0
>>15
その認識で大丈夫です。
怪しいかな? って思ったらその都度聞いていただければOKです。

現代のラインとしては、
「デュラララ!!」「THE KING OF FIGHTERS」あたりはOKですが、
「AKIRA」「スクライド」とかは、選出されたらあとから世界観をすり合わせるのでオッケーです。
まあ、なんし「現代」にすり合わせられそうなラインで行こうかな、と思っています。


17 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 13:05:18 Ht5dJSVQ0
あ、投票開始時間ですが。
5/22 01:00〜を予定しています。
なお、別のしたらばにて実施いたしますので、その時にまたURL貼ります。


18 : 名無しさん :2016/04/25(月) 13:25:30 fziblqJ60
手持ちの悪魔に制限は無いのでしょうか?
例えばいきなり七英雄が入っているとか


19 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 13:27:44 Ht5dJSVQ0
>>18
一人一体であれば、投下される方の裁量にお任せいたします。
能力制限等々は、ルールに記載していること以外は、おいおい決めていこうかと。


20 : 名無しさん :2016/04/25(月) 13:35:41 QfzH5kLk0
そういえばOPで狭間は名乗っていませんが
なぜリック・ストラウドは狭間の名前を知っているのでしょうか?


21 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 13:42:14 DH5vquFo0
>>20
すみません、置換忘れです……
後で修正しておきますので、魔神皇に置き換えお願いします……


22 : ◆MWFdcUN/3c :2016/04/25(月) 13:47:07 /zKsAMgo0
候補作投下します


23 : 名無しさん :2016/04/25(月) 13:47:07 j4wFUs620
おお、面白そうな企画が
1つ質問なのですが、コンペにて召喚される悪魔のメガテン風ステータスを記載しても大丈夫でしょうか?
(例:◯◯に弱い、アギ・突撃所持)
それともそこまでメガテン要素は必要ない感じでしょうか


24 : ◆MWFdcUN/3c :2016/04/25(月) 13:49:01 /zKsAMgo0

少年は掌をかざす。
いつもなら、そうすれば呼吸するよりも自然に鼓動を感じ取れる。
が、目の前の物体からは何の反応も感じない。

「参ったな……まさかこんなことに巻き込まれるなんて……」

ぼやき、とりあえず外部と連絡を、と懐から通信機を取り出そうとして。

「まあ、取り上げられてるよな……」

彼にまったく気付かせずこの場所に拉致したのだ。
当然身体検査、手荷物の没収くらいはしているだろう。
うーむ、とうなる。どうやらこれはかなりやばい事態に巻き込まれたようだ。

「統和機構の新しい実験、って感じじゃなさそうだが」

少年の名は、ピート・ビート。
世界を裏から統べるシステム「統和機構」のエージェント、合成人間である。
今となってはその経歴も、元、がつくが。
ビートは現在、統和機構から追われる身だ。
原因は、彼に変な仕事を振った同僚――「最強」の異名を取る戦闘狂――のせいだが。
その仕事を初めて以来、面倒事に巻き込まれっぱなしのビートだが、今回のこれは輪をかけてひどい。
それこそ統和機構が彼を捕獲してなにかろくでもない実験に放り込んだと思うのが一番自然で、楽ではあるのだが。
だが、あの白服の少年。彼は間違いなく強力なMPLSだ。
あれほど強力な能力を使う奴が統和機構にいたのなら、「最強」と同様に何らかの形でビートにも覚えがあるはず。
そしてビートは彼を知らない。統和機構も存在を感知していないMPLS。
統和機構はシステムに所属しないMPLSを決して許容しない。
つまり、この悪趣味な催しは統和機構の知るところではない、というのがビートの所感だった。

「やれやれ。で、こいつが俺の悪魔ね……」

ビートは改めて、目の前の物体を見やる。
空気振動、さらには生体の鼓動を感知する彼の能力「NSU」を以ってしても、何の分析も成せない異形。
呼び出しては見たものの、そいつは一向に喋る気配がない。
とりあえず襲ってくる様子もないので、ビートはまず会話を試みることにした。


25 : ◆MWFdcUN/3c :2016/04/25(月) 13:49:40 /zKsAMgo0

「なあ、お前……名前は何てんだ?」
「当機 ノ 認識コード ハ ゲシュペンスト・ハーケン デス」
「認識コード……ああ、まあ、どう見てもロボットだもんな……」

見上げるほどに巨大な、亡霊を思わせる漆黒のメタルボディ。全身に散りばめられた物騒な武器の数々。
間違いなく戦闘用の兵器だ。

「悪魔には見えないよなぁ。ええと、ゲシュペンストでいいのか?」
「肯定 デス」

COMPとかいう機械を見ると、そこにはちゃんとゲシュペンスト・ハーケンという表示がある。
なりは機械でもきちんと悪魔として扱われているらしい。

「やれやれ。まあとりあえず、身を守る役には立ちそうだ。よろしく頼むぜ、ゲシュペンスト」
「指令 ヲ 受諾。コンゴ トモ ヨロシク」


こうして、ビートのディシプリン(厳しい試練)が始まった。




【?????/1日目/朝】

【ピート・ビート@ビートのディシプリン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:
[COMP]
1:ゲシュペンスト・ハーケン@無限のフロンティア スーパーロボット大戦OG
[種族]:マシン
[状態]:健康


26 : ◆MWFdcUN/3c :2016/04/25(月) 13:51:40 /zKsAMgo0
終了です
思考欄に抜けがあったのでwikiの方で追加しておきます


27 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 14:01:50 Ht5dJSVQ0
>>23
キャラクター把握後でも押さえておきたい特記事項としてあれば、書き手の方にお任せします。

>>26
投下乙です! 合成人間とマシン、面白い組み合わせですね……
細かい点で申し訳ないのですが、Wiki収録時に所持品欄にCOMPの追加と、
COMPの外見を記載して頂けるとありがたいです!


28 : ◆wKs3a28q6Q :2016/04/25(月) 15:50:35 ppYXDeuk0
面白そうな企画ですね
私も透華させて頂きます


29 : 開幕ベル ◆wKs3a28q6Q :2016/04/25(月) 15:52:11 ppYXDeuk0

瑞原はやりは、ただの小学生だった。
ちょっと麻雀が強く、牌のおねえさんに憧れるだけの、どこにでもいる小学生。

決して魔法少女でなければ、少年探偵でもない。
間違っても戦闘力など有していないし、『殺し合い』なんていう単語に全く相応しくなかった。

カチカチと歯がぶつかる。
両手で体を抱きしめてみても、震えは一向に収まらない。
それほどまでに、先程見た光景は、恐怖を覚えるものだった。

――死にたくない。

それが、はやりの率直な想い。
極々普通で当たり前な、今のはやりの頭を支配する感情。

(そう、いえば……)

普通なら、きっとこのまま怯えるだけで、COMPの確認まで気が回らなかっただろう。
動かず、闘わず、ただ座って泣いてるだけで、そして助かることなどなく頭でも砕かれていただろう。

(何か、配られたんだっけ……)

けれどもはやりは、顔を上げた。
自分のように死への恐怖を持っていた人を思い出したから。
心から尊敬するその人は、恐怖を覚えながらも、牌のおねえさんとして人を笑顔にしていたことを思い出したから。
そして――自分はそんな風になりたかったことを、思い出したから。

(悪魔……って、言ってたよね……)

恐怖が消えたわけではない。
震えが収まったわけでもない。

けれども、はやりは、“牌のおねえさん”のようになると心に誓っていたから。
あの日、病に侵された“おねえさん”に誓ったから。

「これ……」

そこにあるのは、アイドルが身に付けるような、可愛らしいアクセサリー。
少し大きめで、魔法少女が身に付けるような、アイコンになりうるものだった。
触れてみると、どうやら電子機器のようである。

「魔法少女みたい……」

それは、小学生特有の希望。
憧れの“牌のおねえさん”が身につけていてもおかしくないアクセサリー。
それだけで、少し、前向きな力が宿る。

それは、子供の持つ、力強い一面であった。
瑞原はやりは、ただの小学生である。
だからこそ――小さな希望があるだけで、そこに在り続けているはずの絶望を、頭から追いやる事ができるのだ。

(怖い、けど――)

子供にとって、“悪魔”なんていうのは、恐怖の象徴でしかない。
間違っても、召喚しようなんてホイホイ思えないようなものだ。

だけど――だけどはやりは、“おねえさん”に憧れたから。
ただの小学生だけど、“春日井真深”に憧れて、彼女のようになると固く誓っていたから。

(私も、真深さんのように――――!)

喧嘩している怖い人達を、二人共笑顔に変えてしまった“おねえさん”のように。
落ち込んで泣きそうな自分を、笑顔に変えてくれた“まふふ”のように。
自分も――喧嘩している怖い人を笑顔に変える“おねえさん”に、落ち込んでる人を笑顔に変える“はやりん”に、なりたかったから。
はやりは、震える手で、悪魔を目の前に呼び出した。


30 : 開幕ベル ◆wKs3a28q6Q :2016/04/25(月) 15:53:35 ppYXDeuk0






 ☆  ★  ☆  ★  ☆






悪魔が召喚された時、目の前には、怯える少女の姿があった。
恐怖のあまり声を出さぬよう、顔を強張らせているのがよく分かる。
自分の見た目に萎縮しているのか、ぺたりと座り込んだまま、少しでも遠ざかるように上半身を反っていた。

「悪魔、さん……?」

とりあえず友好的であると示そうとした矢先、少女の方から口を開いた。
ごくり、と息を飲んでいる。

「ああ。悪魔さ」

少女が恐怖に駆られてしまい、逃げてしまうのは本意ではない。
しかし――怯えているはずなのに、その少女は逃げないだろうと謎の確信があった。
きっと少女の瞳に、怯え以外の別の何かが見えたからだろう。
決意のような、強く気高い別の何か。

そして、今度は身を乗り出すようにして、少女が言葉を投げてきた。

「あ、あの、力を貸してもらえませんか!」

言われずとも、そうするつもりではあった。
それでも、即答することが出来なかった。

呆気にとられてしまった。
少女の目は、いつしか怯えの色を決意の色が塗り潰している。
怖くないはずがないのに、それを上回る固い決意が、少女の目には宿っていた。

「……何に、だ?」

問う。
悪魔である自分に、一体何を協力させようというのか。

「何に、力を貸してほしいんだ?」

怯えのあまり皆殺しを目論んでいた場合、手など貸したくはなかった。
侮蔑の感情はない。子供なのだ、そう思っても責められまい。
ただ、こんな少女がそんなことを考えたという事実に、心が痛まないわけがなかった。
守ってやるつもりはあるが、それでも、これ以上少女にそんなことを考えさせたくはなかった。

死にたくないから守ってほしいと言うのなら、言われずとも手を貸すつもりであった。
未来ある子供が、こんなところで、理不尽に死んでいいはずなどない。
己の命に変えても、絶対に守るつもりであった。


31 : 開幕ベル ◆wKs3a28q6Q :2016/04/25(月) 15:59:17 ppYXDeuk0

「……私、牌のおねえさんに、なりたいんです」

しかし、返ってきた言葉は、悪魔の知らぬ単語であった。
恐怖を追い出すように、一言一言絞り出すように、少女が言葉を紡いでいく。

「喧嘩をとめて、皆を笑顔にできるような、そんな――!」

悪魔は目を丸くした。
少女は――殺し合いなんて似つかわしくない少女は、殺し合いなんて場に似つかわしくないことを考えていた。

きっとここに冷血優男がいたら、非現実的な妄言だと嘲笑ったろう。
現実主義のクソ眼鏡がいたら、子供の戯言だと切って捨てていただろう。

それでも悪魔は、少女の言葉を真っ直ぐに受け止めた。
一人の人間の言葉として。

そして、ふと思った。
その真っ直ぐな瞳に似た目を、消えてしまった記憶の日々で、見たことがあったかもしれない、と。

「ああ、そうだな……」

有り体に言うと、少女の瞳に動かされた。
元より、悪魔の思考も少女のソレに近くはあったが、それでも悪魔は、今の自分を動かしたのは少女の決意だと思った。

「みんな――笑顔の方が、いいに決まってるもんな」

一体、どのくらいぶりだろうか。
自然と、口元が緩んでいるのを感じた。


32 : 開幕ベル ◆wKs3a28q6Q :2016/04/25(月) 16:00:12 ppYXDeuk0

「ありがとうございます!」

少女の顔が明るくなる。
まるで、全てを照らす太陽のように。
そして、馬鹿丁寧にお辞儀をしてきた。

「えっと、私、瑞原はやりっていいます」

全く出来た子供だ。
自分が小学生の頃、ここまで礼儀正しかったか思い返すと、なんだか恥ずかしくなってくる。

「よろしくな」

きっと、かつての自分とは違い、打ち解けるのも得意なのだろう。
いつしかその表情からは怯えの色がすっかり消え、親しい友人に向けるようなものとなっていた。
この切替の速さは、子供の美徳の1つだろう。

「ええと、おじ……お兄さんは?」

本当に、よく出来た子だ。
それゆえに、多分本音ではおじさんだと思ってることにちょっと傷つく。
悪魔だって、老け顔扱いにヘコまないわけではないのだ。

「その、お名前とか、あるんですよね、サタンとかデーモンとか……」

恐らく、聞きかじりの単語だろう。
男子小学生が持ってるカードゲームあたりの知識かもしれない。

とにかく少女が名前を聞いてきたのは分かった。
確かに参加者全員が悪魔を所持しているのなら、『悪魔』という呼称は紛らわしいことこのうえない。
呼び名があるに越したことはないだろう。

「笑顔の素敵な悪魔さん、っていうの、ちょっと長いし……」

笑顔が素敵。
そんなこと、もうずっと言われていない。
笑った記憶も、しばらくなかった。

だから――そんな渾名を貰うわけにはいかない。
自分は、へらへら笑ってはいけないのだ。
多くの仲間の屍の上に立つ悪魔は、彼らを忘れて幸せになるわけにはいかないから。

「俺は、そんな素敵な名前じゃねえよ」

本当なら、“しろがね”を名乗るべきなのだろう。
屍の上に立ち、ただ未来の笑顔のために人形を破壊する存在。
悪魔としての自分は、まさに“しろがね”そのものだった。

「――ナルミってーんだ」

それでも、悪魔は自らの名を名乗った。
目の前の、純粋で力強い目で理想を語る少女に、“しろがね”なんて単語を口にしたくはなかった。
そうすると、過酷な運命にすら巻き込んでしまいそうで。

「よろしくお願いします、ナルミお兄さん」

ただでさえ、別の過酷な運命に、少女は巻き込まれているというのに。

「ああ――よろしくな、はやり」

どこかで開幕ベルが鳴る。
笑顔を奪う狂気の宴のはじまりはじまり。

誰かの笑顔のために笑顔を振りまく少女と、誰かの笑顔のために笑顔を捨て去り絶望を振りまいた悪魔の、一世一代の舞台の幕が、今――ゆっくりと上がった。



【?????/1日目/朝】

【瑞原はやり@シノハユ the dawn of age】
[状態]:健康
[装備]:COMP(アクセサリー型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:喧嘩を止め、皆を笑顔にする
[COMP]
1:加藤鳴海@からくりサーカス
[状態]:健康


33 : 開幕ベル ◆wKs3a28q6Q :2016/04/25(月) 16:00:23 ppYXDeuk0
投下終了です


34 : 渇望するは力【イノリ】 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/25(月) 16:02:15 E5qWPknA0
投下お疲れ様です!自分も投下します


35 : 渇望するは力【イノリ】 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/25(月) 16:02:35 E5qWPknA0



我が名を 称えよ

我が 栄光に満ちた ならぶ者無き

名を 称えよ


36 : 渇望するは力【イノリ】 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/25(月) 16:02:45 E5qWPknA0


頭痛に苛まれて、橘千晶は思わずその場に蹲った。
殺し合いを強制された上に目の前で死体を創りだされたが故のストレスだろうか、否。
殺し合いも死体も――千晶にとっては、何故か見慣れたようなものとしか思えなかった。
橘千晶は成績優秀であることを除けば、平凡な女子高生である。
猟奇的な趣味は持っていないし、ましてや実行に移したことなど虫を殺したことぐらいだ。

だが――どうしても、目の前で繰り広げられた光景は正しいものであるとしか思えなかった。

それよりも問題は頭痛である。
今、千晶の頭の中には音楽が鳴り響いていた。
それは何時かどこかで聞いたことのある賛美歌のようであり、
音が質量を持って身体から溢れ出さんとしているかのように、あるいは音の姿をした獣が身体中を食い破らんとしているかのように、
千晶の中は神聖かつ暴力的な音で満ちていた。

――立ち上がらなければ。

殺し合いの最中に道路のど真ん中で蹲っているなど正気の沙汰ではない。
立ち上がれと身体に訴えかける――だが、どうしても頭が痛い。

――これでは、あの無力な泥人形と変わらない。

不意に千晶の脳裏にとある情景が過ぎった。
それは虐殺の光景だった。
無力な人間たちが、圧倒的な強者達に虫けらのように蹂躙されていく様子。

だが、それは学校の授業で教えられるようなものとは違い――誰一人として銃火器を持っていなかった。
虐殺を行っているのは知性を持った怪物達だった。

だが、幻視した光景はパニック映画のそれとは違い、圧倒的にリアルだった。
豚のような悲鳴、藁のように吹き飛ぶ肉体、そしてとめどなく溢れるマガツヒ。
虐殺の中心で弱者を蹂躙する歓喜の中にいたのは自分だった。

――マガツヒって何?

虐殺の中、蹂躙される人間はその体内から光のようなものを放出していた。
あまりにも非科学的だが、それは魂のようなものだったのかもしれない――だが、千晶はそれをマガツヒと呼ばれるものであることを知っていた。

歌が聞こえる。
歓喜の歌が聞こえる。

力を賛美する歌が身体中に響き渡る。

――五月蠅い!

歌を捻じ伏せて、千晶は立ち上がった。
自分の身体を完全に支配しなければならない――自身が弱者ではないことを証明しなければならない。
あの泥人形と同じであることなど、許されない。

千晶は、まるで自分の中に二人の人間がいるように感じた。
その中の一人は自分――成績優秀な女子高生である、いつも通りの橘千晶。
そしてもう一人は――何か恐ろしく、そして美しい者。

千晶は、自分の中にいる何かを不気味に思えども、不思議と恐怖は感じなかった。
ただ、そういうこともあるだろうと――そのような心持ちであった。

頭痛に耐えながら、近くの雑居ビルへと向かい、周辺に誰も居ないことを確認して内部へと入り込んだ。
当然のことであるが電気は付いていない、案内によると3階が漫画喫茶であるらしいので、非常階段を昇る。
当然ながらカウンターには誰もいない、少しよろめくように歩きながら、リクライニングチェアへと座り込む。

玉座というには、あまりにも貧弱であるが――今は許す。
良質の椅子に座りたいわけではない、ただ身体を休め――そして再び、ヨスガのコトワリへと至るのだ。

自分の思考ではない、熱に浮かされているかのように乱雑な思考が浮かび上がってきている。
やはり、橘千晶の中には誰かがいるのだろうと思った。

そして、その思考を懐かしく思う自分がいた。


37 : 渇望するは力【イノリ】 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/25(月) 16:02:57 E5qWPknA0


支給品を確認し、その中にある携帯電話型COMPを起動した。
武器よりも携帯電話の方が未だ馴染みがある。

画面には地図機能。名簿。メモ帳。悪魔辞典。悪魔召喚プログラムのアイコンが表示されている。
画面右上の時計が示す時刻は朝だった。

少し逡巡した後、悪魔召喚プログラムを起動する。
登録悪魔は一体。
もしもコマンドを起動して何も出なければ、つまりは悪魔の存在が冗談であり――そして殺し合いだけが真実であれば、
自身は為す術もなく殺されてしまうのだろうか、と一瞬考える。
己に支給された武器は赤いスカーフをあしらった、小枝を模したような柄と刀身を持った――なんだか冗談みたいなナイフだった。
人を殺すことについて、何故だか自分は冷徹だった。
だが、人を殺すには――この武器と今の自分はあまりにも貧弱であった。

頭の中で音楽が鳴っている。
純粋なる力への賛美が歌われている。

力へと手を伸ばすように、千晶はその指を起動ボタンへと沿わせ。

祈るように、千晶は悪魔召喚プログラムを起動した。








『魔神 YHVHを召喚します』


38 : 渇望するは力【イノリ】 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/25(月) 16:03:07 E5qWPknA0


千晶の目の前には神々しい輝きを放つ顔があった。
胴体はついていない、だがその顔だけでも千晶の胴体よりも大きい。
顔だけがあれば全て叶うかのように、ただ重力に反してその顔は地を這うこともなく浮遊していた。

「あなたの名は?」
『……我が名は     』

それはまさしく神の言葉だった。
目の前の悪魔の言葉は天から降り注ぎ、直接心の中に染み入ってくる預言のように聞こえた。
だが、その名を千晶は聞き取ることが出来なかった。
しかし、目の前にいる者が純然たる力そのものであることは十分に理解できた。
そして、千晶にはその姿に何故か既視感を感じた。

――カグツチ

知らないはずの言葉が、やはり知っているかのように心の奥深くより浮かび上がった。

『全知全能にして唯一の神であった我が身は、一神族の主神へと貶められた』
「どういうこと……?」

だが、悪魔は千晶の問いには答えず、彼女の顔をじっと見据えて言った。

『見える――汝の中にコトワリが。

一度死したる魂が再世に伴って、残滓ながら汝の中に残っているか。

おお――転生者よ、大天使を従えし者よ。

そのコトワリを以て――再び創世を行うが良い。

汝を導こう――我が再び、天の玉座へと還らんために』

目の前の悪魔の言葉を、千晶は何一つとして理解は出来なかった。
だが、不思議と――身体が熱くなるのを感じた。

目の前の悪魔との縁【ヨスガ】が、己を何かへと導くだろう。

本来辿り着くはずだった世界へと。

【?????/1日目/朝】
【橘千晶@真・女神転生Ⅲ】
[状態]:頭痛
[装備]:ピクシーナイフ
[道具]:基本支給品、携帯電話型COMP
[思考・状況]
基本:???
[備考]
※真・女神転生Ⅲ 人修羅が元の世界を再び望んだエンディングからの参戦です。
※真・女神転生Ⅲで死亡した千晶の転生体である千晶であり、そのために記憶や力が蘇る可能性があります

[COMP]
1:魔神 YHVH@真・女神転生シリーズ
[状態]:健康
※神霊ではなく魔神です
※普通に戦えるぐらいには弱体化されています


39 : 渇望するは力【イノリ】 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/25(月) 16:03:24 E5qWPknA0
投下終了します


40 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 16:08:38 Ht5dJSVQ0
お二人とも投下乙です。
なるほど、デモンと悪魔……そこからつなげてくるのは予想外でしたね。
方や、なんかヤバい悪魔引いてるんですけど……狭間はどうやって封じ込めたんでしょうねえ……

さて、こちらにも明記しておきますが。
Wiki収録に関しては、投下後即で行っていただいて構いません。
内容に不備がある場合などは、投下後に指摘させていただきますので、
Wiki側を直していただければありがたいです!

極力没は無くして、修正でなんとかしていこうと思っていますので、よろしくお願いします!


41 : ◆FMZxVK6B7c :2016/04/25(月) 16:44:18 fWIR/PJA0
皆さん投下お疲れ様でした。自分も投下します。


42 : ふたりぼっち ◆FMZxVK6B7c :2016/04/25(月) 16:45:27 fWIR/PJA0
 少女は蹲っていた。
 小さな体を余計に縮こまらせて、地に屈み込んでいた。
 目は大きく見開かれ、吐く息は過呼吸を引き起こしたかのように捷く、荒い。
 額や首筋を伝っていく脂汗の不快感には覚えがあった。
 そうだ――"わたしはこれを知っている"。

「はっ……は……ぁっ…………ぅぐ……え……ッ」

 最初は、何を言っているのかわからなかった。
 目覚めたらその場所はいつもの学校ではなく、たくさんの人達が同じように困惑を露わにしていた。
 殺し合いだとか、魔神皇だとか、よくわからない単語を口にしている男の子。
 学生服を着ていたし、多分同年代か年下だと思う。
 けれど、そいつは普通なんかじゃなかった。

 彼は、殺したのだ。
 自分に楯突いたというそれだけの理由で、二人の命を奪った。
 おぞましい光景が、瞼の裏をスクリーンにして再生される。

 最初の一人は、焼かれて死んだ。
 少年の片手から放たれた光の前に、あっけなく。
 それはあまりにも現実感のない光景で、理解に窮している間に、次の凶行が行われた。
 鳴り響く警告音。だんだん早くなっていく不快な音、その末に。

 ぼんっ。

 人の命を奪うにしては、あまりにも陳腐な軽い音。
 打ち上げ花火の音にさえ敵わないような、ほんの小さな爆発音。
 それを合図に、首が飛んだ。
 少女の首が宙を舞って、ごとんという音を鳴らして床に転がった。
 あるべき場所から離れ、地面からこちらを見上げるその瞳は、虚ろだった。
 
 知ってる。
 わたしは、これを。
 この目を、知ってる。

 記憶の洪水。
 認識の暴力。
 あの日の記憶が雪崩れ込む。
 嘔吐すらしながら、丈槍由紀は思い出す。
 本当の世界と、本当の現実を。
 知っている、知っているのだ。
 丈槍由紀は、知っている。
 
 誰かがもう二度と戻らないものになってしまう恐怖を、知っている。


43 : ふたりぼっち ◆FMZxVK6B7c :2016/04/25(月) 16:46:05 fWIR/PJA0
「――みーくん!」

 叫んだ。
 いつもなら、すぐに心配そうな顔をして飛んできてくれる可愛い後輩。
 いない。どこにもいない。
 
「くるみちゃん! りーさん!」

 汗と唾を飛ばして呼んだ。
 学園生活部の頼れる仲間達。
 武闘派の彼女と、皆のまとめ役の彼女。
 どんなに辛くても苦しくても、みんなといれば大丈夫だから。
 みんなで方法を考えよう。
 そう思って振り返った。
 いない。誰もいない。
 助けてくれる人は、どこにも。

 ゆきにとっての世界は、学園生活部と過ごす日常だ。
 朝起きて、夜眠り、また一日が始まる夢の城で。
 心地よい永遠の中で、微睡むように毎日を過ごす。
 それだけが、彼女の世界。
 

 今。
 少女は世界に一人きりだった。
 それでも、彼女は決して神様などではなかった。
 あまりにも弱く、ちっぽけな、一人ぼっちの子どもでしかなかった。
 

 彼女が愛した友達は、ここにはいない。
 彼女を脅かす"かれら"も、ここにはいない。
 神様なんてものがいるわけもなく、それでも、彼女は独りぼっちではなかった。
 一人ではあったが、独りではなかった。


44 : ふたりぼっち ◆FMZxVK6B7c :2016/04/25(月) 16:46:48 fWIR/PJA0


「大丈夫」


 力を込めれば折れてしまいそうな、年不相応な痩身をぎゅっと抱き締める女がいる。

 悪魔。
 丈槍由紀の友人となる、存在。
 魔神皇はそう言ったが、彼女に限ってだけは、それは間違いだ。
 どんなに親しくても、近い間柄になっても、きっと未来永劫、彼女と彼女が友達になることはない。
 
「大丈夫だからね、ゆきちゃん」
「……あ……」

 
 ――だって。


「先生が、いるからね」


 彼女はゆきにとって、世界最後の『先生』だから。



【?????/1日目/朝】

【丈槍由紀@がっこうぐらし!】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:ひとりはいや
[COMP]
1:佐倉慈(めぐねえ)@がっこうぐらし!
[状態]:健康


45 : ◆FMZxVK6B7c :2016/04/25(月) 16:46:59 fWIR/PJA0
投下終了です


46 : 名無しさん :2016/04/25(月) 17:04:43 sPqPHOnk0
素晴らしく面白そうな新企画立て乙です!
1つ質問なのですが、原作では人語を話せないキャラ(ポケモン等)はメガテン悪魔のように話せるようになっても良いでしょうか?


47 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 17:06:07 Ht5dJSVQ0
>>45
投下乙です! 予想外の方面からどんどん「悪魔」で絡められてて驚いてます……
さて、使用されているトリップなのですが、検索でキーが引っかかってしまうため、
別トリップに変えていただいてもよろしいでしょうか?


48 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 17:07:15 Ht5dJSVQ0
>>46
基本的にアリです。理由が必要そうなら、そちらも描写して頂ければなお良しです。


49 : ◆LCh27RSp5E :2016/04/25(月) 17:43:29 fWIR/PJA0
>>47
失礼しました。ではトリップはこちらに変更します


50 : 名無しさん :2016/04/25(月) 19:52:36 fziblqJ60
投下します


51 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/25(月) 19:53:10 fziblqJ60
私はその“悪魔”とやらを見たときフリーズした。
ピコ秒にも及ばぬ時間を感知し、人類の最新コンピュータが及びもつかない演算速度を誇るこの私の思考が停止したのだ。
ソイツは…その悪魔はそれ程までに衝撃的だった。


◆ウチの姉貴がこんな女な訳が無い◆


“予想はしていたが、外部との連絡は取れないか”

道に端っこに転がって私は思考する。
外部との連絡――――繋がるわけが無い。
どうやって此処に連れて来られたのか――――不明。

“要するに何も判らないということだけが判ったよ”

周りには人どころか生物の気配も無い。尤も巻き込まれた人間がいたところで私に気付くとも思えんが。

“ふうぅ〜〜”

溜息をついてから、私は悪魔とやらを召喚することにした。
しかし感慨深いものがある。何しろ私も人間からすれば『悪魔』と呼ばれるに相応しいものだか。

私は私そのものとも言うべき「コア』にインストールされていたプログラムを起動する。
中々の容量だ。六体も入れれば艦体をフルに使った戦闘行動時並みに演算能力を使うことになるぞ……。
『コア』の持つ演算能力をフルスペックに近い状態で発揮できていた筈だが、ここまで容量を食うものなのか?

そして私の身体全体が光を放ち……私に宛てがわれた悪魔が姿を現す。


「英国で生まれた帰国子女の金剛デース。ヨロシクオネガイシマース!!……?クマさん?」

「…………………………………………」

「この金剛に任せておけば安心ネー!期待してネ!」

「………………………………………………」

「クマさ〜ん?不安なのは判りますけど。超弩級戦艦として建造技術導入を兼ねて英国ヴィッカース社で建造された、金剛を信じてください!!太平洋戦域でも持前の高速力を活かして、大活躍したんデース!!期待してネ!」

「……………………………………………………………………………………………」

「どうして何も言ってくれないんですカーーーー!!?」

「……………………………………………………………………………………………」

「クマさ〜〜〜ん!!何してるデース!!!!」

「……………………………………………………………………………………………」

「クマさ〜ん?」

「……………はあああああああああああああああああああああああ!!!!?」

「ひゃいやああああああああああああああああああああああああああ!!!?」

「お前がコンゴウなわけあるかああああああああああああああああ!!!!!」

「嘘じゃ無いデース!!比叡、榛名、霧島を妹に持つ、金剛型一番艦金剛デーーーーーーーーーース!!!!」







これが私、“霧の艦隊”に属する大戦艦”キリシマ”のメンタルモデルが一時身をやつす熊のぬいぐるみと、金剛という艦娘なる存在の出会いであった。




【?????/1日目/朝】
【キリシマ@蒼き鋼のアルペジオ】
[状態]:損傷無し
[装備]:COMP(体内のコアに直接インストール済み)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品(1) ちっちゃいキリシマのメンタルモデルが被ってる熊の縫いぐるみ
[思考・状況]
基本:取り敢えず帰還する

[COMP]
1:金剛@艦隊これくしょん〜艦これ〜
[種族]:艦娘
[状態]:健康


52 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/25(月) 19:54:07 fziblqJ60
投下を終了します


53 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/25(月) 21:14:35 hoYVUU520
企画主様、スレ立て乙です。
また投下された皆様も投下乙です。

私も投下させていただきます


54 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/25(月) 21:14:57 hoYVUU520



これは、歪んだ物語。



☆   ☆   ☆   



――おいおい……マジかよ。
 
茶色に染めた髪の毛を軽く掻きつつ少年――紀田正臣は溜息を漏らす。
 染髪に加えて耳朶には朝の光を反射してさり気なく、しかしてたしかに存在を主張するピアス。周囲に爽やかな印象を伝える白を基調にしつつ黄色のバンダナを首に巻いた、いかにも『いまどきの若者』といった洋服の袖口から伸びる腕には銀色のブレスレットに同色の指輪。軽く見られがちな出で立ちとはアンバランスにどこか幼さの残る容姿は、今は苦々しい色を浮かべていた。
 それは当然と言えば当然な話だ。
 ほんの数分前に正臣の目の前に飛び込んできた光景は、決して小さくはない修羅場を潜ってきた彼をしても到底素直に飲み込めるものではなかった。

「殺し合い、ころしあい、コロシアイ。……どーう考えてもラヴでピースかつハートフルな展開にはなりそうもねえよなあ。どっちかと言うとエロエロでヴァイオレンスなR18モノの匂いがプンプンだし。いや、エロエロなだけだったら最高に俺好みで大歓迎なんだけど。っつーか、いきなり『これから殺し合いをしてもらう』なんて言われてハートフルな展開を思い浮かべるなんざ、頭がお花畑か、それこそモノホンのジャンキーとか頭のイカれたイカしたお兄さんって事になっちまいそうだけどよ」

じゃり、とコンクリが擦れる音を尻目に、所狭しと立ち並ぶビル群の一つの壁を背凭れにして体重を預けつつ彼らしい軽口を並べる。
朝日を見上げ眩しそうに眼を眇めながら漏れ出す言葉は普段とは違い、どこか虚勢を張るような色は否めなかったがそれでも脳内でセクシーな女性が乱舞している様を思い浮かべる事で少しは強張った感情が解れたのか、改めて先ほどの光景を脳内で再現する。

白服の男から伸びる、CGかと見紛う紫色の光。
それに焼き尽くされる少年の姿。
本能的に警戒心を煽るようなブザー音
軽い音と共に、宙に舞う少女の首。

彼の住む町を自由に闊歩する首なしライダーや彼、或いは彼女が手足の様に自由自在に扱う影。大鎌や宙を走る道へと変化するその姿を実際や、動画越しにその目で見た事があり、この世界には空想と現実の境目が確かに存在する事を知っている正臣ではあったが、それでも尚、現実離れし過ぎだと思わされる光景。
最初は映画撮影か何かに巻き込まれたのではないかと考えた。
今自分たちの世代を中心に徐々にではあるが流行し始めているデスゲーム、と呼ばれるジャンルの作品。


55 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/25(月) 21:15:27 hoYVUU520
流行りつつあるとは言っても正臣自身が見た事が有るわけではないが、知人でその手の作品に詳しい男女が熱く語り合っていたのを横目で眺めていた記憶がある。
曰く、ゲームに失敗したら殺されるような理不尽な環境に閉じ込められる少年少女。死んでいく仲間の屍を超えて成長した彼らが必死に足掻き、理不尽へと対抗し、徐々に姿を現す黒幕を打倒していく作品らしい。
あらすじを思い返してみれば中々どうして、この状況と似通っているものがあった。

「だけど、そうじゃねえ……そうじゃねえんだよな」

しかし、彼の首に嵌められた首輪がそうではないと即座に訴える。
じわじわと真綿で締めるような不安を与えてくる無機質で冷たい感触は、ただの映画に使う小道具なんかでは説明がつかない圧迫感を正臣に与えていた。
カラーギャングの頭として過ごしていた正臣だからこそわかる。ある種の経験からくる、漠然とした不安。
彼が忌み嫌う情報屋と邂逅する時のような重苦しい不安感ではなく、それこそ彼が身を置いたカラーギャング同士の抗争において感じる身を焼くような不安でもなく。例えるなら一つ何かを間違えれば取り返しがつかなくなる。大口を開けた肉食獣と同じ檻に閉じ込められた様な――平和島静雄に喧嘩を売るような。冷たさと熱さを兼ね備えた、死と隣り合わせである不安感。
映画撮影だと楽観するには、余りにもリアル過ぎた。
そもそも、映画の撮影であるならこんな手段をとらずともオーディションなりスカウトなりの正式な手段で集めれば良いのだし、よしんば何も知らず巻き込まれた人間のリアルな心情を描きたかったにしても些か手法が強引過ぎる。

「首なしライダーってんならともかく、手品とかトリックだとかであの演出はちょっと厳しい、よなあ。体、焼かれちまってるし」

 加えて、首を飛ばされた少女と紫色の光に包まれて焼きつくされた少年の存在。
彼の知る首なしライダーであれば、あの爆発も何と言う事は無いのだろう――そもそも飛ばされる首がないのだから。
だが、正臣の目の前で首を飛ばされた少女は違う。白服の男が指を鳴らす寸前まで確かに首と胴が繋がっている普通の、どこにでもいる女の子だった筈だ。
 こんな状況でさえなければ――自分のホームグラウンドで遭遇していれば間違いなく声をかけていたであろう少女。はっきりとその細部まで視認出来たわけではないが、自分とさして変わらないであろう年齢の少女の首が宙に舞う光景を改めて思い返すと、急速に嗚咽感が込み上げてくる。
ひりひりと焼けつく感覚と共に臓腑からせり上がるソレを必死で堪えつつ正臣の頭に過るのは『これが本物の殺し合いだとして、じゃあどうすれば良い?』という感情だった。
無論、これが本物の殺し合いだと完全に信じたわけではないし、殺し合えと言われたから殺し合う程倫理観を捨て去ってもいない。
だが、現実問題として今こうして場所もわからぬ此処へと連れて来られている。

このまま現実から目を逸らし続ける弱さも、現実と向き合う強さも今の正臣には、ない。

 今ここにいるのが折原臨也だったなら、嬉々としてお得意の人間観察を満喫していただろう。
 或いは、平和島静雄であれば怒りに任せて周りを薙ぎ払い、あの白服の男も殴り倒して悠々と元の街へと帰って行く事であろう。
 
 だが、正臣に彼らの様な精神も、力もない。
 ほんの少し、表の人間より暴力に近い世界にいるというだけで、何の変哲もないただの少年に過ぎないのだ。こんな事に巻き込まれて怖い。何もかも忘れて彼女の待つ家に帰りたい。街に繰り出して、片言の日本語を話す友人の元に寿司を食べに行きたい。だから、だからこそ――

 「動くしか、ねえだろ! 怖くて脅えてたって、誰かが都合良く助けてくれるわけでもねえ。こうしてる間にもあの女の子みたいに殺されちまう奴が出てくるかもしれねえ。過去が寂しがり屋ってんなら――明るい未来だって寂しがってるかもしれないよなぁ!」

――少年は、前へと進む。
過去は寂しがり屋で、決して逃げられない。いつぞや言われた言葉を思い出す。


56 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/25(月) 21:15:50 hoYVUU520
癪な事に、それはその通りで正臣は痛い目にあったのだが。……だからこそ、と正臣は思う。
過去と同じように、未来ってヤツも寂しがり屋なんじゃないかと。誰かがその手で掴み取ってくれるのを待っているのではないかと。

「なんて、狩沢さん達のがうつっちまったかな」

自分自身、無謀な考えだと理解はしていた。
恐怖に足は竦むし、気付けば歯がカチカチと震えている。
冷や汗で気に入っていた服は気持ち悪く滲んでいて、時折風に吹かれて砂埃が舞う音にも一々体が硬直してしまう。
それを乗り越える為に、強い言葉で意思を束ねていた。

 「そういや、限定100名様に友達をプレゼント!仲良くしてねー!みたいな友情パワーのゆの字も知らないようなデンジャラスでリスキーな事言ってやがったけど、コレの事か……?」
 
 何はともあれ歩かなければどうしようもない、と考えた正臣だが不意に白服の言っていた事を思い出す。そして自分の傍には見覚えのないバッグの姿。
 怪しさ満点ではあったが取りあえず確認だけでもとその中身を漁る正臣の手に持ち慣れた四角い物体が握られる。
 今の若者にとっては必需品とも思えるツールであるスマートフォン。当然、正臣の使っている機種とは違うソレは既に電源が入っており画面に何かのマニュアルが開かれていた。

 「おいおいおいおい! 幾ら俺が孤高のロンリーウルフだからってコレはあんまりだろ! 携帯電話に友情芽生える程心の隙間は広がってないっつーの! 寧ろ杏里のおっぱいで夢がいっぱいなんだけどなー!」

 冗談交じりの口調の中に微かな不信感を混ぜつつマニュアルに目を通す。
 本来であれば即座に警察や知り合いの番号にかけたいところではあったがCOMPと言うアプリを一度起動しないことには他の機能は使えないらしい。
 幸いな事に、この手の機械には慣れ親しんでいる正臣にとってその工程はさして労を要するものではなく、手早くアプリを起動する。
 数秒の後、画面に一つのメッセージが現れる。
 それを確認しようとする刹那の間に、正臣の目の前に人影が文字通り現れた。
 


 「やあ、はじめまして。ボクは市丸ギン――今後とも、よろしゅう」

 
白装束に包まれた男に見詰められた瞬間、蛇に睨まれた蛙の様に硬直してしまう。
爬虫類の様に細い目と歪んだ笑顔、欠片も感情が籠っていない挨拶に思わず頬を掻きながら内心で叫びだす。

――ああ糞、最悪だ。なんだって俺の周りにはこんな奴が寄ってくるんだよ!

己の不運を嘆くところから、彼の一歩は始まった。


【?????/1日目/朝】
【紀田正臣@デュラララ!!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品、携帯電話型COMP
[思考・状況]
基本:取り敢えず前へ進む。誰かを殺すつもりはない。
[備考]
映画撮影なのか本当の殺し合いなのか揺れています。

[COMP]
1:市丸ギン@BLEACH
[状態]:健康


57 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/25(月) 21:16:10 hoYVUU520
投下終了します


58 : ◆BLAZExujxM :2016/04/25(月) 21:20:34 PbbPJwvQ0
投下します


59 : Gluttony Fang  ◆BLAZExujxM :2016/04/25(月) 21:21:18 PbbPJwvQ0

「おやおや、これは一体、どういうことなんでしょうかね〜?」

 黒の帽子に黒のコートに緑の髪の男。
 男の名は『ハザマ』。
 職業は諜報部所属の軍人。階級は大尉。
 柔和な笑みを浮かべつつも、困惑する。
 優雅にゆで卵を食べながらも今の状況を確認する。
 愛用のバタフライナイフも鎖(ウロボロス)もない。

「確か『魔神皇』でしたか……。
 全く大層な肩書きですね……。
 本当に偉そうで……………。
 本っ当に………………。

 ……ふざけんなよ、クソガキが……!」

 適当に周囲の物を蹴り飛ばす。
 ハザマは激昂する、この自分が置かれた状況に。 
 それを発散するかのように辺り散らす。
 
「人を犬畜生みてぇな扱いしやがって、クソがッ!」
 
 ハザマに蹴られたテーブルや椅子が見るも無残な姿に変わっていく。
 もうテーブルや椅子としては機能できないほど無残なほどに。
 
 とりあえず、首輪をどうにかして外す。
 だがしかし、その方法は今は分からない。
 
 ―――ならば、今だけは従ってやろう。

 ―――『今だけは』。

「いいぜ……やってんやんよォ! テメェが望む『殺し合い』って奴をよォッ!!」
 
 自分の邪魔する奴は殺す。
 利用できそうな奴は利用できる限り利用し尽くして殺す。 
 使えない奴、役に立たない奴は勿論、殺す。


「ただし! テメェも絶対ぶっ殺すッッ!!」


 無論、あの魔神皇とやらも最終的には殺す。
 方針はあの魔神皇を名乗るクソガキ含め皆殺し。
 そう、決断するのに時間は掛からなかった。

 周囲に辺り散して、少しはストレスは発散できた。
 冷静さを少しは取り戻せた。
 再び柔和そうな胡散臭い笑みを浮かべながらハザマは支給されたスマートフォン型のCOMPを使ってみる。
 かなり癪だが支給されたスマートフォン型のCOMPを使ってみる。
 そして、ハザマは悪魔召喚プログラムを起動する。


60 : Gluttony Fang  ◆BLAZExujxM :2016/04/25(月) 21:22:13 PbbPJwvQ0

 すると、その悪魔がハザマの目の前に召喚された。

「砂……?」

「グォッ〜フォフォフォ〜!」

「な、なんですか? 貴方は……」

「オレかぁ? オレは悪魔超人『サンシャイン』だ」

 砂の巨人。
 そう呼ぶに相応しい悪魔がハザマの前に現れた。

「悪魔超人……ですか? 随分と物騒な肩書ですね〜」
「グォッフォフォフォ〜! 貴様がオレを召喚した人間か〜?」
「え、ええ……」

 3mほどの砂で出来た巨体。
 胸のあたりには太陽のようなマーク。

「ほう……随分と優男だな〜〜お前は〜」

 にやりと笑いながら見下すような視線をハザマに向ける。
 まるで『自分は人間程度には負けることはない』ような視線を。
 一先ず、ハザマは話しかけてみる。

「それでサンシャインさんは私に協力してくれるんですか?」
「はぁ? 生憎オレは貴様のような人間に全く使われる気はないぜ〜」
「はい? あのう、サンシャインさん……一体何を言っているんですかね?」
「オレが忠誠を誓うのはこの世でただ一人『悪魔将軍様』だけだ!」
「…………やれやれですね、これはとんだハズレ悪魔ですね…………」

 ハザマは思う。

 ―――やはり、あのクソガキは徹底的にぶっ殺すしかない。

 今は耐える。
 そのためにこの砂のデカブツをなんとかする。
 
「グォッ〜フォフォフォ〜!」

 悪魔の笑い声が響く中。
 ハザマは全てものに対する殺意だけを募らせていく。


61 : Gluttony Fang  ◆BLAZExujxM :2016/04/25(月) 21:22:35 PbbPJwvQ0

【?????/1日目/朝】

【ハザマ@BLAZBLUE】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇含めて皆殺し
[備考]
※『碧の魔導書(ブレイブルー)』及び『術式』全ては使用不可。

[COMP]
1:サンシャイン@キン肉マン
[状態]:健康


62 : ◆BLAZExujxM :2016/04/25(月) 21:23:02 PbbPJwvQ0
投下終了です。


63 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 21:42:13 1eu7X10Q0
お三方とも投下乙です!

>>52
”同じ”なんだけど違う、故にすれ違う……テンションの落差に笑ってしまうw

>>57
映画の撮影では無いけど、映画っぽく見えるのも仕方がない……
そしてここでは、まともな人を探す方が難しいかと……

>>62
そりゃキレるよなあ……同じハザマとは、知らないのだろうけど。
……と、お話は大変面白く読ませていただいたのですが、
基本ルールにもあります通り、サマナーのキャラクターには「現代」をテーマにした作品のキャラクターでお願いしております。
話の根幹を変えてしまう要求で、大変心苦しいのですが、
BLAZEBLUEだと少し「現代」には無理があるのでサマナーの変更、あるいは同作品が「現代」である描写の追加をお願いできますか?


64 : ◆BLAZExujxM :2016/04/25(月) 21:46:08 PbbPJwvQ0
>>63
了解しました、Wiki内で修正いたします


65 : ◆7PJBZrstcc :2016/04/25(月) 22:12:52 CwMuxbic0
投下します


66 : 消えることのない怒りの業火 ◆7PJBZrstcc :2016/04/25(月) 22:13:58 CwMuxbic0
殺し合いの会場の中に、1人の男が佇んでいた。
 その男に殺し合いへの恐れはない、あるのは怒りだけ。
 そんな彼の名は海馬瀬人、最強の決闘者にして海馬コーポレーション社長を務める男だ。

「魔神皇? 願いを叶える? ふざけた事を」

 確かにあの男は未知の力を持っている。
 いつの間にか自分をあの場所に呼び寄せ、そしてまた別の場所に転送するという現代科学では考えられない力。
 なるほど、確かに強いのだろう。あれほど驕り高ぶるのも分からないではない。


 だからと言って海馬瀬人は従いなどしない。


 願いは己の手で掴む。
 俺は人生のあらゆる苦難を己の手で乗り越え、そして栄光を掴みとってきたのだ。
 物乞いのように誰かに恵んでもらおうとは思わん。

 そして魔神皇の片腕だと?
 徒に力を振りかざし、悦楽に浸るような下衆の片腕として働けだと?
 例え百億積んで頼んできたとしてもお断りだ、笑わせるな。

 それだけでも腹立たしいのに、よりにもよって俺のデッキを奪った。
 この殺し合いに招かれる直前まで持っていたのだから魔神皇、貴様が持っているのだろう。

「おのれぇぇ!」

 己の魂と言っても差し支えのない物を奪われ怒りを再び燃やす海馬。
 だがそれを無理やり抑え込み、彼は一つの物に注目する。

「COMP、とか言ったな」

 COMP、あの忌々しい魔神皇が得意げに説明していた物だ。
 そこには悪魔が封じ込められているという。
 悪魔、オカルト嫌いの海馬からすれば受け入れがたい。
 だが居るのだろう、あれほど自身満々に言っていたのだから。
 そしてもう一つ、魔神皇はこうも言っていた。

「友だったか、下らん」

 俺には生涯必要の無い物だ、そう思いながら海馬はCOMPを起動する。
 デュエルで出てくる悪魔族モンスターのような存在なのか、それともまるで違う存在なのか神ならぬ海馬には想像できない。
 そしてCOMPに封じ込められている悪魔が現れ姿を見せた。
 その瞬間、海馬は驚愕する。

「な、何ィ!?」


67 : 消えることのない怒りの業火 ◆7PJBZrstcc :2016/04/25(月) 22:14:32 CwMuxbic0

 現れた悪魔は海馬の知っている存在だった。だからこそ驚愕する。
 確かに、この悪魔ならば友など必要ないと言ったばかりの海馬でも、「友」と呼ぶことに抵抗はない。

 蒼き瞳に白き体。
 雄々しくも美しいドラゴン。
 間違いない、その名は。

「青眼の白龍……!!」

 そう、支給された悪魔として現れたのは海馬が最も信頼するモンスター、青眼の白龍だった。
 海馬にとってこれほど心強い味方は居ない。
 青眼が共にいるのなら、どのような敵であろうと恐れはしない。
 だからこそ。

「ふざけるなぁ!!!」

 海馬は怒り狂う。
 己を殺し合いに巻き込んだことよりも、己のデッキを奪ったことよりも腹立たしい。

「あの男! どれだけ俺を愚弄すれば気が済むのだ!!
 よりにもよって青眼をこんな下らぬ殺し合いの駒にするとは!!」

 いくら叫んでも海馬の怒りは収まらない。

「聞いているのだろう魔神皇。俺は必ず貴様を倒しこの殺し合いを粉砕する!
 首を洗って待っていろ!!」

 そこで海馬は青眼に向かって。

「行くぞ青眼、全速前進だ!」

 青眼はその叫びに答えるかのように、雄々しく咆哮した。
 
 
【?????/1日目/朝】

【海馬瀬人@遊☆戯☆王】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を倒し、殺し合いを粉砕する。
[COMP]
1:青眼の白龍@遊☆戯☆王
[種族]:聖獣
[状態]:健康


68 : ◆7PJBZrstcc :2016/04/25(月) 22:15:03 CwMuxbic0
投下終了します


69 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 22:28:20 1eu7X10Q0
>>68
投下乙です! 社長、相変わらずで何より……
珍しく青眼と行動を共にできるので、期待ですね!

あと、一点告知なのですが、
サマナー、悪魔両方に関しまして「楽曲モチーフのキャラクター」を許可します。
例えば、「太陽掴んでしまった男」とか、「Holy ”K”Night」とかが該当します。
どう書くかはみなさん次第です。


70 : ◆BLAZExujxM :2016/04/25(月) 22:44:47 PbbPJwvQ0
>>69
Wiki内にて自作の修正を行いました。
お手数ですが、確認お願いします。


71 : ◆TE.qT1WkJA :2016/04/25(月) 22:51:51 zXVLXTVk0
新企画スレ立て乙です。私も登場話を投下します


72 : 覚醒 -Again- ◆TE.qT1WkJA :2016/04/25(月) 22:53:01 zXVLXTVk0

角ばった埋立地の港に、男が立っていた。
視野に映るのは一面の海。水平線から昇ってくる太陽が神々しい。
自分の置かれた状況が殺し合いの最中でなければなんとすがすがしい気分に浸れたことか。

だが、男が他の参加者に遭遇した時にはコスプレでもしているのかと聞かれるのは間違いないであろう。
なぜならその服装は、時代錯誤もいいところな旧帝国海軍の二種軍衣をモチーフにした軍服だったのだから。
実際に、男は旧帝国軍に所属していた者であった。そんな人間がどうしてこの現代に生きているのであろうか。

タイムスリップでもしてきたのだろうか?
その答えはあながち間違ってはいないだろう。

男の名はアカツキ。
旧帝国軍の高級技官を務め、同盟国ドイツからの新兵器輸送中に北極海で沈んだとされていた男だ。
しかし当のアカツキは積荷の冬眠制御装置で難を逃れ、半世紀の時を経て現代に帰還したというわけだ。

「殺し合いだと?馬鹿げたことを…」

アカツキはここに飛ばされる前に起きたことを思い返す。
抵抗したことで殺された少年に、そして気まぐれで首輪を爆発させられた少女…。
特に、首輪の爆発を参加者に見せるためだけに死んでいった少女は、アカツキといえど見ていて気分のいいものではなかった。

そして、魔神皇と名乗る首謀者と思われる少年。
自身を魔神皇と名乗っていたが、この殺し合いは奴の目的も関わっているのではないか、とアカツキは思案する。
本当に魔神となり、神にも等しい力を手にするつもり、もしくは既にしているならば奴は倒さねばならない存在だ。
強大な力は、いつの時代も人の手に余る。たとえ力を手に入れたとしても、それはどんな形であれ破滅を招くであろう。
人は、神でも機械でもないのだ。

「自分には果たさねばならぬ任務がある。このような場所で道草を食っている暇はない」

アカツキには、北極海で沈む前に与えられた任務がある。
「任務ニ失敗セシ時は全テノ電光機関を破壊セヨ」という命令の完遂だけが、アカツキの現代を生きる理由である。

現代に覚醒した時には戦争は終結し、自身もまた死亡したことになっていた。
もはやこの世界に自身の居場所も、存在理由もない。旧帝国陸軍高級技官アカツキは世界にとって過去の遺物なのだ。
そんな彼に残されていたのは、「任務ニ失敗セシ時は全テノ電光機関を破壊セヨ」という任務のみ。
それを完遂することだけを胸に、潜水艦とともに北極海に浮上したアカツキは行動を開始した。
それを成し遂げるまで、アカツキは負けるわけにはいかない。

どちらにしろ、この殺し合いから抜け出さなければならないのは事実だ。
アカツキはすぐに支給された品々を確認する。

「これは――!」

すぐに出てきたそれを見て、アカツキは目を見開く。
アカツキの手にあるのは軸が8本ある車輪状のもの。電光機関のそれを同じ形状をしていた。
しかし、アカツキは目の前にある破壊対象には全く手を加えず、任務通り破壊する様子はない。
それは同封されていたマニュアルに原因があった。

「これが"こんぷ"なるものか?見たところ電光機関にしか見えんが…」

しかし、確かにマニュアルには確かに電光機関型COMPと書いてある。
よくよく見れば通常の電光機関とは少々仕様が違うことが見て取れた。
サイズが少々大きめで中央の部分にはモニターがついており、そこに情報が映し出されるようになっている。

「あの少年によれば悪魔を封じ込めているらしいが…致し方ない」

魔神皇は"友"となりうると言っていたが、悪魔という存在が人間の手に負えるとは到底思えない。
奴の言っていたことを逆手にとれば、"友"になれずに殺される可能性もないわけではないということだ。
この悪魔を誰にでも召喚できるようになるというCOMPが出回れば、いずれ世界は破滅に向かうだろう、とアカツキは思った。
しかし、現状では首輪のこともあり戦力が増えるのは大いに助かる。
抵抗もあったが、アカツキは意を決して電光機関型COMPを装着し、起動する。

「電光機関、解放!!」


73 : 覚醒 -Again- ◆TE.qT1WkJA :2016/04/25(月) 22:53:31 zXVLXTVk0







しばらくの後、眩い光と共にそれは現れた。

「暁よ。一人前のレディーとして扱ってよね!」
「…ただの小童ではないか」
「ちっがーう!暁はレディーなんだから!」

こんな少女が悪魔なのか?とアカツキは困惑を隠せない。
現れた悪魔は召喚されるなり子ども扱いされたことに腹を立てており、自分がレディーであることを誇示しようと様々なポーズをとっている。
身長はアカツキの6、7割くらいしかなく、内面外面共に完全な子供だ。
ただ一つだけ人間と違ったところは、背中に大きな金属製の装備を背負っていることくらいだろうか。

「お前が自分の仲間…になるのか?悪魔とは聞いたがとてもそうとは思えぬ」
「あら、悪魔を召喚するのは初めて?じゃあ、暁が教えてあげるからちゃんと聞いておくことね」

そして暁はアカツキを前に悪魔について説明していった。
彼女によると、悪魔は一般的にイメージされるものだけではなく、人間だったモノや果てには神様に相当する存在も含まれるようだ。
ちなみに彼女の種族は艦娘という実在した艦船をモデルにした悪魔らしい。

「お兄さんの服装ってどこかで見たことあるわ。まるで本物の司令官みたいね」
「これか。確かに自分は旧帝国軍の人間だったからな。お前がその時代の記憶を引き継いでいるならばそう見えるのも無理はない。
お前は艦娘というが、その服装からして暁部隊の艦ではあるまい。帝国海軍の所属か?」

それに暁はえっへんと胸を張りながら肯定する。
どうやら彼女は特III型駆逐艦1番艦の方の暁らしい。
まさかこのような場所で同じ時代にいた者と行動を共にするなど、アカツキは予想だにしなかった。

「せっかく暁を召喚したんだから、殿方らしくしっかりとエスカレートしてよね、司令官!」
「…それを言うならば、異国の言葉でいう"えすこーと"ではないのか?」

想像以上に内面がお子様だった暁にアカツキは戸惑いながらも、同じ名前の人間と悪魔(?)はこうして共同戦線を組むこととなった。
なお、目の前にいる男が自身と同じ名前であることに仰天して暁が声を荒げるのはもう少し先のこととなる。


【?????/1日目/朝】
【アカツキ@アカツキ電光戦記】
[状態]:健康
[装備]:試作型電光機関、電光被服
[道具]:基本支給品、不明支給品、電光機関型COMP
[思考・状況]
基本:魔神皇を倒し、この殺し合いから脱出して任務に戻る。
[COMP]
1:暁@艦隊これくしょん
[種族]:艦娘
[状態]:健康


74 : ◆TE.qT1WkJA :2016/04/25(月) 22:53:46 zXVLXTVk0
投下を終了します


75 : ◆.wDX6sjxsc :2016/04/25(月) 22:54:59 5MoKdkN.0
皆様投下乙です
自分も投下したいと思います


76 : 名無しさん :2016/04/25(月) 22:56:01 lcQ9.x/U0
聖杯とロワを混ぜて敷居低くしてテンポ重視した感じか


77 : ――最弱の魔物が、一体出た!―― ◆.wDX6sjxsc :2016/04/25(月) 22:56:41 5MoKdkN.0

「畜生…!どうなってんだ」

白のベストと黒のスラックスに身を包んだ少年、高嶺清麿は久方ぶりに狼狽していた。
あまりにも唐突に消された二つの命。
魔神皇を自称する少年。
殺し合い。

「ハハ…魔界の王を決める闘いが終わったと思ったらこれか。
 どうやら、俺はこういうことに縁があるみたいだな」

感情の一切こもっていない乾いた笑いを漏らした。
だが、その瞳はまだ強い輝きを保っている。
清麿は、魔神皇に嵌められたと思われる冷ややかな感触の首輪に手を触れた。

「だけど、俺を呼んだのは失敗だったな魔神皇。まずこの首輪を外した後、
お前の居場所を割り出して、皆を集めてぶっとばしてやる…!」

そう言って、清麿は精神を集中させる。
二度、三度の深呼吸後、清麿の瞳が螺旋の波紋を刻んだ。

―――『答えを出すもの(アンサートーカー)』

あらゆる問いに一瞬で答えを出す彼だけの異能である。
清麿の予想では、この力を使えば首輪の解除方法も、『魔神皇』の居場所も掴めるはずだった。
だが、



「―――アンサートーカーが、発動しない…!?」


78 : ――最弱の魔物が、一体出た!―― ◆.wDX6sjxsc :2016/04/25(月) 22:57:27 5MoKdkN.0

じわと、清麿の顔に焦燥の色が広がった。
デュフォーに教わった呼吸法を繰り返しても、うんともすんとも、
全ての智を齎すはずの力は黙して語らない。

「グ…くそったれ。こっちの事はあらかじめリサーチして対策済みってわけか
俺とそう変わらないなりで、アンサトーカーまで封じてるなんて」

痛む頭に手をあてながら、気持ちを必死に落ち着かせる。
頼みの綱のアンサートーカーは使用不可能だ。
少し前とは違う、ガッシュも居ない。
どうする……!

「となると。後頼りになりそうな物はこれだけか」

清麿はあの魔神皇に支給されたCOMPを見つめた。
あの男の力を借りるようで癪だが、背に腹は代えられない。
だが、魔神皇はこの中に悪魔が入っていると言っていた。
その悪魔とやらが魔界の子ども達の様な協力を結べる、ガッシュの様な信頼を置ける存在ならいい。
だが伝承通りの存在なら…
あの魔神皇の罠の可能性も十分にあり得る。

「……でも、やるしかないな」

どのみち手掛かりはこれしかない。
虎穴に入らずんばなんとやら、だ。
携帯電話を操作し、指示通りの操作を行っていく。

「―――来い!」

言葉の直後、端末から刺すような光が迸った。
思わず、目を閉じる。

そして、


「ピキーーー!!!」

それは彼の世界とも、彼の盟友たるやさしき王が収める世界とも違う。
別世界での最弱にして始まりの魔物の象徴。


79 : ――最弱の魔物が、一体出た!―― ◆.wDX6sjxsc :2016/04/25(月) 22:58:21 5MoKdkN.0
丸く、先が尖がった蒼いぷるぷるの林檎三つ分くらいの大きさのボディ。
とある第三の女が腐った魚の様だと揶揄したまん丸の眼。
にっこりと能天気に笑う口元。

「オイラ、スラリン!種族は妖精。瞑想で体治したり、灼熱の炎を吐けるよ!」

ぴょこぴょこと跳ねながら、スラリンと名乗る喋るゼリーの様な妖精…妖精?は清麿の肩に飛び乗った。
そして、じいっと清麿のディパックを見つめる。

(何かこいつの気を引く物があったのか…?)

そう言えばCOMPに固執するあまり他の支給品を確認していなかった。
武器などは望めないかもしれないが、探せば何かあるかもしれないと清麿はディパックを漁る。

(これは…)

そうする内に直ぐにスラリンが心魅かれた物に行きついた。
お菓子の箱に、適当に糊付けされた箸がくっついた鉄人。
魔界の優しい王様の友達。

「ホラ、スラリン。お前の友達のバルカン300だ」
「ピキキー!!バルカン!年はいくつ?」
「五分だ」
「凄い!ありがとう…えっと「清麿だ」清麿!」

受け取ったバルカンをぽよん、ぽよんと弾ませながらはしゃぐスラリン。
そこには邪気など欠片も無かった。
強さとはおおよそ無縁そうな外見だが、信頼はできるかもしれない。

「なぁ…スラリン。俺はさ、この殺し合いを潰してやりたい。
魔神皇の奴をぶっ飛ばして、今は、遠くにいる友達とまた会った時に心の底から笑えるように」
「うんっ、オイラ、清麿に協力するよ!」
「そうか…」

か細くとも、光明が見えてきたかもしれない。
スラリンをひとなですると、清麿はそのまま肩に乗せた。
そして、魔神皇の威容を思い返す。

(アイツが圧倒的な力を持ってるのは確かだ。
でも…アイツの眼は少し前までの俺とそっくりだった。ガッシュと会うまでの俺と…)

荒みきり、自分以外の全てを見下し憎んでいた孤独なかつての自分。
魔神皇の目はあの時の自分とそっくりだった。

「なら負けるか…負けるものかよ、なぁ、スラリン」
「うん、オイラ頑張るよ!今後ともよろしく!」

必ず魔神皇の元まで駆け上がる。
強靭な誓いと、金色の少年と積み上げた心の財産を剣に変え、見習い召喚士と一匹の魔物は悪辣な殺戮劇に挑む。


【高嶺清麿@金色のガッシュ!】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、バルカン300
[思考・状況]
基本:魔神皇を倒し、殺し合いを打倒する。
[COMP]
1:スラリン (スライム)@ドラゴンクエストⅤ(ゲーム版)
[種族]:妖精
[状態]:健康


80 : ◆.wDX6sjxsc :2016/04/25(月) 22:58:59 5MoKdkN.0
投下終了です


81 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/25(月) 23:18:46 rudhTz220
皆さま投下乙です。
自分も投下したいと思います。


82 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/25(月) 23:20:03 rudhTz220



俺は彼女のそばにいるだけでいい。

たとえ、あの『悲恋湖伝説』の二人のように、決して結ばれない運命だとしても。

俺は彼女を愛していたんだ...








「......」

一人の青年が立ち尽くしている。
特別心地よくもない風が、彼の頬を撫でる。
彼―――遠野英治は、ただ呆然と夜空を見上げていた。

「ククッ。あんたが俺のマスターか」

遠野が説明書通りにCOMPを弄り、召喚したのは、一人の黒人男性。
男が身の纏っていたのは、海パン一枚のみだった。
その屈強な身体を惜しげも無く見せびらかしており、全身に彫られた刺青は、見る者によっては悪魔を連想させるほどに禍々しかった。

「...そういうことになるかな」


83 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/25(月) 23:20:45 rudhTz220


だが、そんな彼の姿を見ても遠野は怯まなかった。
ただ、譲り受けた『力』を正面から見据えていた。

「......」

気が付けば、彼は暗い部屋へと連れ込まれていた。
首輪を嵌められ、奇妙な少年に命を握られていた。
少年は言った。
最後の一人になるまで殺し合えと。
そして。

―――生き残った者には、この魔神皇の片腕として働く権利と、願いを一つなんでも叶えてやることにしよう

確かにそう口にした。

その言葉を聞いた瞬間に、彼の方針は定まっていた。

「あんた、名前は?」
「ムテバ・ギゼンガ。傭兵をやっている」
「傭兵...つまり、『殺し』は得意なんだな?」
「得意なんてもんじゃない。狩りこそが我が人生だ」

ムテバの言葉に遠野は笑みを浮かべる。
間違いない。これは、最大のチャンスだ。


「ムテバさん。俺に力を貸してくれ」
「?」
「この会場の全ての人間を殺すんだ」

これは試練であり好機だ。
遠野の目的は、かつて愛した彼女―――螢子を殺した者への復讐だ。

(俺は許さない。螢子を殺した奴を、絶対に...!)

なにが『カルネアデスの板』だ。
そんなモノで、螢子を殺した罪から逃れられるとでも思っていたのか。

俺は忘れない。

螢子がくれたあの温もりを。

最初で最後の、冷たい「死」の口付けの味を。

それでも法律は螢子を殺した奴を許すのだろう。
螢子を殺したのは、身を護るために仕方のないことだというのだろう。

だったら―――俺がこの手で裁いてやる。

そのためなら、悪魔にだって魂を売り渡してやる。


84 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/25(月) 23:21:45 rudhTz220


「ククッ、呼吸が荒くなったぞ。興奮してるのか?」

ムテバの言葉に、遠野は我を取り戻す。
興奮するのも無理はないな、と自嘲する。
なんせ、ここまで螢子を殺した者の足取りは一切掴めなかった。
螢子の遺した『S・K』のイニシャルが刻まれたキーホールダーから、容疑者は9人まで絞り込めたが、それが誰かはどうしてもわからなかった。
散々悩んだ挙句、その9人全員を殺せばいいと思いついた途端にこれだ。
全員を殺せば願いを叶えられるという、またとない好機。
優勝すれば、螢子を殺した奴の正体を突き止め、仇をとることができるのだ。
魔人がどうとかよくわからないことを言っていたが、それはともあれ、あの光景を見る限り、遠野の望みを叶えることくらいは容易いはずだ。
だからこそ、遠野英治は殺し合いに乗ることにした。
その過程で、この殺し合いに巻き込まれた者たちは全員死ぬことになるが、まあ仕方ないだろう。
彼にとって、螢子の命は、この会場中、いや、世界中の人間の命よりもずっと大切なのだから。
...もしも、万が一、あの少年が「わからない」などと言い出せば、邪魔をしたあの少年も殺し、本来の計画通りにことにあたるだけだ。


「虐殺は大いに結構。だが、報酬はちゃんと払えるのか?」
「なに?」
「さっきも言ったが、俺は傭兵でな。タダ働きは御免だぜ」
「...優勝すれば、殺し合いの主催が雇ってくれると言っていた。あれだけの人数を集めてこんなゲームを開くんだ。報酬は期待できると思う」
「そいつに紹介する、か。まあ、悪くはない」

一瞬だけ、金銭面で拗れるかと心配したが、杞憂で済んだようだ。


「契約は成立だ。コンゴトモヨロシク、だな」
「ああ。...いくぞ、ムテバさん」



こうして、近い未来に、殺人鬼"ジェイソン"の仮面を被る筈だった青年と、伝説の殺戮傭兵は歩き出す。

これから行われるのは、試合や戦いなどではない。
怪人達による一方的な人間狩り(マンハント)だ。

月光が二人を照らす中、ククッ、とムテバの笑みが微かに零れた。


 
【?????/1日目/朝】

【遠野英治@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:優勝し、螢子を殺した奴を探し出してもらう。できなければあの主催の少年も殺す。
1:『S・K』のイニシャルの者はできればこの手で殺したい。

[COMP]
1:ムテバ・ギゼンガ@ケンガンアシュラ
[状態]:健康


85 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/25(月) 23:23:40 rudhTz220
投下終了です。タイトルは『恋に落ちて謎の中』です。


86 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 23:41:23 1eu7X10Q0
皆様投下、修正乙です。

>>70
なるほど現代軍人なら、確かに居そうですね。
これなら大丈夫です、お手数をおかけしました、ありがとうございます。

>>74
アカツキと暁……名前ネタが続きますねえ。
しかし妙に凸凹してていいコンビだ……

>>80
清麿はブレないなあ、でも過去の自分に重ねてるあたり、ちょっと似たもののオーラを感じているのかも……
しかし、五分は笑うw

>>85
ガッツリ系マーダー来た!
報酬のために戦う傭兵と、復讐に動く男……重そうな二人に期待ですな!


87 : ◇UaISKmt3yO :2016/04/25(月) 23:44:15 W1LBpAvY0
皆さま投下乙です。
自分も投下したいと思います。


88 : それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?◇UaISKmt3yO :2016/04/25(月) 23:45:16 W1LBpAvY0
前略、おふくろ様

私、神山はなぜか、殺し合いという舞台へと連れ去られてしまいました。

「参ったな…何でこんなことに巻き込まれてしまったんだろう?」

とりあえず私はぼやきながら、さっきのことについて考えていました。

どうにもさっき起こったことで、気になることがあったからです。

それは…
「あの魔神皇って人の服…北斗君のにそっくりだったな…もしかして知り合いだったのかな?」

そう、さっき魔神皇と名乗っていた人の服が、友達の北斗君のにそっくりだったことです!


89 : それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?◇UaISKmt3yO :2016/04/25(月) 23:45:56 W1LBpAvY0
「もしそうだったとしたら、まさか彼は、世界征服を狙っている北斗君のお父さんの手下なのかな?
 だったら彼を倒して、僕と同じように連れ去られた人たちも助けないと!」

もし本当にそうだったとしたら、私と同じように連れ去られた人たちも助けないといけない!
そう思った私は、支給品を確認し、めぼしいものがないかを確認しました。

そしてその中で、武器と思われるものと、よくわからないものがありました。

「これは…木刀?それと…これは、筆箱?」

私はとりあえず木刀を持ったまま、筆箱と思われるものを開けてみました。
すると、何やらPCの画面のようなものがありました。

「もしかしてこれは、さっき言っていたCOMPというものなのか?」

そう思った私は、それを起動し、悪魔を呼び出してみました。

木刀だけでは身を守ることは難しいと思い、また悪魔といっても、
悪いやつばかりではないと思ったからです。

実際、フレディやゴリラも見た目は怖いが、結構いい人(?)でしたので。

そして、私は悪魔を召喚することに成功しました。

その姿は、確かに悪魔のようでした。

なぜなら、ねじれた角にとがった尻尾と、悪魔らしい要素を持っていたからです。

しかし、問題が一つ…


90 : それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?◇UaISKmt3yO :2016/04/25(月) 23:47:23 W1LBpAvY0
「あなたが私を召喚したの?私はアイドル魔王、リンダ!よろしくお願いしまーす!」

私が召喚した悪魔は、それ以外の要素が全く悪魔らしくなかったのです。

具体的にいうと、ゆるくウェーブのかかった鮮やかなオレンジ色の髪、

透き通ったエメラルドグリーンの瞳と白い肌、たくさんのフリルのついた

ピンク色の衣装、黄緑・紫・水色など様々な色が使われた縞模様のニーソックス、

そんな恰好をした女の子が、マイクを持ちながら召喚されたのです。

はっきり言いますと、どう見てもそういうコスプレをした女の子にしか見えません。

そして、彼女が言った「アイドル魔王」という言葉についてもいろいろと言いたいことが
ありますが、それらを総合して私はこう思いました。

(それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?)

…私の地球防衛活動は前途多難です。


【?????/1日目/朝】

【神山高志@魁!!クロマティ高校】
[状態]:健康
[装備]:市販の木刀
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、筆箱型COMP
[思考・状況]
基本:殺し合いを、どんな手を使っても(乗ってしまった人をぶちのめしてでも)止める。
[備考]
※実写版の出来事(地球防衛したいがために宇宙人を呼び寄せて学校を大混乱の渦に巻き込んだ)も経験している。
 あと、クラスメイト兼友達の北斗武士のウソ(実の父が世界征服を狙っていて、自分はそれと戦っている)を
 完全に信じている。
[COMP]
1:リンダ@ボクと魔王
[状態]:健康


91 : ◇UaISKmt3yO :2016/04/25(月) 23:48:13 W1LBpAvY0
投下終了です。


92 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/25(月) 23:53:55 1eu7X10Q0
>>91
投下乙です! すごく……クロ高です……
カオスな二人、狭間はいったい何を考えて……

あと、トリップの付け方なのですが、◆を直接コピーして書き込むのではなく、
名前欄に半角シャープ( # ←これ)に続けて、任意の文字列を書き込むことで、
自動的に生成される文字列となってます。
詳しくは下記URLなんかが参考になると思いますので、本日中にトリップ決めて、また書き込んで頂ければ幸いです!
ttp://seesaawiki.jp/dqbr2/lite/d/%cd%bd%cc%f3%a1%c1%c5%ea%b2%bc%a4%ce%bc%ea%b0%fa%a4%ad


93 : ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/25(月) 23:56:32 W1LBpAvY0
わかりました、ご厚意、ありがとうございます。

それでは、再度投下いたします。


94 : それはひょっとしてギャグで言ってるのか!? :2016/04/25(月) 23:58:21 W1LBpAvY0
前略、おふくろ様

私、神山はなぜか、殺し合いという舞台へと連れ去られてしまいました。

「参ったな…何でこんなことに巻き込まれてしまったんだろう?」

とりあえず私はぼやきながら、さっきのことについて考えていました。

どうにもさっき起こったことで、気になることがあったからです。

それは…
「あの魔神皇って人の服…北斗君のにそっくりだったな…もしかして知り合いだったのかな?」

そう、さっき魔神皇と名乗っていた人の服が、友達の北斗君のにそっくりだったことです!


95 : それはひょっとしてギャグで言ってるのか!? ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/25(月) 23:59:39 W1LBpAvY0
「もしそうだったとしたら、まさか彼は、世界征服を狙っている北斗君のお父さんの手下なのかな?
 だったら彼を倒して、僕と同じように連れ去られた人たちも助けないと!」

もし本当にそうだったとしたら、私と同じように連れ去られた人たちも助けないといけない!
そう思った私は、支給品を確認し、めぼしいものがないかを確認しました。

そしてその中で、武器と思われるものと、よくわからないものがありました。

「これは…木刀?それと…これは、筆箱?」

私はとりあえず木刀を持ったまま、筆箱と思われるものを開けてみました。
すると、何やらPCの画面のようなものがありました。

「もしかしてこれは、さっき言っていたCOMPというものなのか?」

そう思った私は、それを起動し、悪魔を呼び出してみました。

木刀だけでは身を守ることは難しいと思い、また悪魔といっても、
悪いやつばかりではないと思ったからです。

実際、フレディやゴリラも見た目は怖いが、結構いい人(?)でしたので。

そして、私は悪魔を召喚することに成功しました。

その姿は、確かに悪魔のようでした。

なぜなら、ねじれた角にとがった尻尾と、悪魔らしい要素を持っていたからです。

しかし、問題が一つ…


96 : それはひょっとしてギャグで言ってるのか!? ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/26(火) 00:00:25 .JzvDMpY0
「あなたが私を召喚したの?私はアイドル魔王、リンダ!よろしくお願いしまーす!」

私が召喚した悪魔は、それ以外の要素が全く悪魔らしくなかったのです。

具体的にいうと、ゆるくウェーブのかかった鮮やかなオレンジ色の髪、

透き通ったエメラルドグリーンの瞳と白い肌、たくさんのフリルのついた

ピンク色の衣装、黄緑・紫・水色など様々な色が使われた縞模様のニーソックス、

そんな恰好をした女の子が、マイクを持ちながら召喚されたのです。

はっきり言いますと、どう見てもそういうコスプレをした女の子にしか見えません。

そして、彼女が言った「アイドル魔王」という言葉についてもいろいろと言いたいことが
ありますが、それらを総合して私はこう思いました。

(それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?)

…私の地球防衛活動は前途多難です。


【?????/1日目/朝】

【神山高志@魁!!クロマティ高校】
[状態]:健康
[装備]:市販の木刀
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、筆箱型COMP
[思考・状況]
基本:殺し合いを、どんな手を使っても(乗ってしまった人をぶちのめしてでも)止める。
[備考]
※実写版の出来事(地球防衛したいがために宇宙人を呼び寄せて学校を大混乱の渦に巻き込んだ)も経験している。
 あと、クラスメイト兼友達の北斗武士のウソ(実の父が世界征服を狙っていて、自分はそれと戦っている)を
 完全に信じている。
[COMP]
1:リンダ@ボクと魔王
[状態]:健康


97 : それはひょっとしてギャグで言ってるのか!? ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/26(火) 00:01:47 .JzvDMpY0
投下終了します、また、途中トリップ付け忘れてしまい、
誠に申し訳ございません。

以後、気を付けます。


98 : ◆GOn9rNo1ts :2016/04/26(火) 00:02:07 VcSJ.NvM0
投下します


99 : No Brake Devils ◆GOn9rNo1ts :2016/04/26(火) 00:02:37 VcSJ.NvM0


泉井蘭。

「ひゃ」

水面に浮かぶ鮮やかな花を思わせる名前に全く似つかわず――その男に優しさ、柔らかさ、ましてや可憐さなどという要素はひとかけらも存在しなかった。

「ひゃっははっはははっははっはははは!」

容姿。
いかにもワルですよといった安っぽいサングラス。
青のバンダナを流すように首にかけ、口からは頭の悪い笑いを垂れ流している。
とりわけ、男を悪目立ちさせているのは、顔の半分を覆う醜い火傷痕だった。
蘭、なんて女の子と間違えかねない名前とはどうしようもなく不釣り合いな姿である。
巷を騒がす連続殺人犯、などというお触書で写真が公開されれば、それが真実でなくとも100人中100人が「なるほどそういう顔をしている」と、言葉には出さずとも思ってしまうような、凶悪な顔だ。

「殺し合い、殺し合いころしあいコロシアイねえ……」

そして問題は。

「おもしれえじゃねえか。
ワックワクでドッキドキでグッチャグチャにおもしれえじゃねえか、なあ狭間君よお。
サイッコーにクソクソクソクソクソクおもっしれーじゃねーか」

この泉井蘭という男は実際に「巷を騒がす連続殺人犯」にもなりかねない、
いや、下手をすればもっとタチの悪いことまでしでかしかねない男である、ということであった。

「さて、問題でぇす」

経歴。
泉井蘭は悪党だ。
学生時代にブルースクエアなるカラーギャングのボスになり街を荒らし続け。
敵対するチームは数の力で、武器で、騙し打ちで、どんな手段を使っても徹底的に潰し。
自身の部下でさえも常に暴力的に、恐怖によって縛り続け、その果てに一部メンバーによる反乱に遭い。
最終的に、顔への大火傷と少年院行きという因果応報のしっぺ返しを食らうことになった。


「第一問、こんなクソッタレなもんに巻き込まれた俺は、これからどうするでしょうかぁ?」


正確に言えば。
泉井蘭は、小悪党だ。


100 : No Brake Devils ◆GOn9rNo1ts :2016/04/26(火) 00:02:53 VcSJ.NvM0


カラーギャングのボスになれたのは彼の弟、黒沼青葉が裏から手を回して「操りやすい駒」として泉井を仕立て上げたからだし。
数に頼るのは、彼自身がそこまで強くはないからだ。泉井とて複数人に寄ってたかられてはひとたまりもないくらいには弱い。
武器を使うのも同じ理由だ。弱いから武器を使う。素手では勝てない相手が大勢いるから武器を使う。
騙し打ちなんて、それこそ「勝てれば良い」からすることであって、彼自身にメンツだとかプライドだとかは一切ない。
恐怖により部下を縛ることなど、それこそ彼自身が「やらなければやられるのは自分だ」という恐怖を人一倍持っていたからに他ならない。

やられたくないからやる。

やりかえされないように徹底的にやる。

誰に対しても恐怖を与え、その一方で恐怖に脅え、暴力により恐怖を払拭しようともがき続ける哀れなピエロ。
その暴力が、恐怖が、最終的に自分に返って来ることなど分かり切っていたはずなのに、最後まで止まることが出来なかった馬鹿な男だ。


「はい、第二問!」


だが。


「俺はどうしてこんなに上機嫌なんでしょうかぁ?」


泉井蘭は、ただの小悪党では終わらなかった。


少年院に入り、己の無力を知り、彼は変わった。
いや、変わらなかった。正確には『進化』したのだ。
自身の行いを反省せず、捻くれ曲がった性根を矯正せず、ドス黒い内面に白が混ざることは一切なかった。
自分以外の何物をも憎み、捻くれ曲がった性根を更にひん曲げ、ドス黒い内面に更に『ヤクザ』という黒を漬け込み。


泉井蘭は、小悪党から悪党に成った。


少年院内で紹介された青崎というヤクザの使い走りとして悪事を行い。
性懲りもなく、ありとあらゆる手段を用いて他者に暴力を、恐怖を擦り付け。
そして、彼の持っていたなけなしの特性を。

人間としては失格としか言いようがない


「何かを壊すことに対して躊躇しない」


という特性を伸ばし。

彼は、自分の身体が壊れようとも、相手の身体が死体になろうとも、欲望のままに破壊を行う。
再び刑務所に入ろうとも、いや、死刑になろうとも、そんなことよりも気に喰わないものを壊すことを優先する。


101 : No Brake Devils ◆GOn9rNo1ts :2016/04/26(火) 00:03:32 VcSJ.NvM0
容赦がない。
ブレーキがない。
彼の辞書に、やりすぎという言葉はない。
劣等感を剥き出しにして、ムカつくやつは全員壊す。


「最後に、第三問!」


だからこそ、彼が取る道は決まっている。


「テメエみてえなクッソ強そうなドラゴン?
まあそんなのを引き当てた俺の今の心境を一言で述べよ!」



「――――■■■■■■!!!!!!」



轟音が、泉井への答えとなった。
泉井の目の前で、彼の『悪魔』である一匹の竜が咆哮を挙げていた。

「うるせえよカス」

あの『黄巾族』を思わせる黄色の外殻には苛立ちが募り、思いっきり蹴りつける。
全くびくともしない竜の身体にちょいとビビりながらも、こんなつえーやつが俺に逆らえないという優越感が恐怖を上塗りしていく。
身体の端々に存在する青々の縞模様を見てかつての『ブルースクエア』を思い出し、楽しくもなって来た。
そうだ、俺は力を手に入れた。
人一人殺すのにもちょいと工夫がいるハンマーとは違う、圧倒的な力。
いや、それどころか拳銃、グレネードを持ってしてもこいつには敵うまい。
人間だろうと他のナニカだろうとぶっ潰せる巨体。
ナイフなんざ目じゃないくらいぶっとく鋭い爪に牙。
おまけにでっけえ声で周りのもんを吹っ飛ばせると来た。正直、さっきはちょっと危なかった。


「はい答え合わせ!」


意外だと思われるかもしれないが。
泉井蘭は、本当に強いやつには敬意を払う。
例えば、平和島静雄なる人間を超えた只の人間。
例えば、青崎という『組織の力』を持つヤクザ。
例えば、トラウゴットと呼ばれる総合格闘技無差別級チャンピオン。


では。


この場において一番強いやつとはだれか?


102 : No Brake Devils ◆GOn9rNo1ts :2016/04/26(火) 00:03:47 VcSJ.NvM0


当然、逆立ちしても、どう考えても、泉井の頭でさえも考えるまでもなく。




参加者全員を拉致し、首輪をつけ、殺し合いを強要しているあのガキに決まってる!




あいつが強者。
他は全員弱者だ。
強者たる狭間には敬意を払う。
あのスカした態度は気に喰わねえが、しかしそれが出来るのが強者の特権だ。
本当に強いやつとは、腕力が強い者でも、驚くべき技術を持っているものでもない。
どんな手段を使ってでも、ありとあらゆるものに勝つものが強いのだ。
だから、この場の誰でも一瞬で殺せる狭間は強い。泉井に言わせれば誰よりも強い。
どれだけ力が強かろうが。
どれだけ偉い権力を持っていようが。
どれだけご立派なお心がけをしていようが。


あいつにここに連れて来られた時点で、お前ら(参加者)は俺と同じ、弱者だ。


「全部同じ答えだよ!ばーか!」


だから、弱者は弱者らしく。


「楽しい楽しい皆殺しの時間だよ!クソッタレども!」


強者に敬意を払って、強者の御望みどおりに死んでやれ。


【?????/1日目/朝】
【泉井蘭@デュラララ!!】
[状態]:健康
[装備]:硬質ゴムハンマー
[道具]:基本支給品, 携帯電話型COMP
[思考・状況]
基本:糞雑魚どもを皆殺し。女は殺す前に『楽しむ』のも良い。
[COMP]
1:轟竜 ティガレックス@モンスターハンターシリーズ
[状態]:健康


103 : ◆GOn9rNo1ts :2016/04/26(火) 00:03:58 VcSJ.NvM0
投下を終了します


104 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 00:08:18 FLwey2FM0
>>97
お手数をおかけいたしました!
ありがとうございます!

>>103
投下乙です!
ヤバそうな人来ましたね……しかもティガレックス使役はかなりヤバい……
あと、僕もやらかしておきながら指摘するの非常に心苦しいんですが、OPで狭間は魔神皇としか名乗ってないので、
そこだけWikiで修正お願いします。


105 : ◆GOn9rNo1ts :2016/04/26(火) 00:17:39 VcSJ.NvM0
承知いたしました。読み込み不足申し訳ないです。


106 : ◆lb.YEGOV.. :2016/04/26(火) 00:23:11 mILgjdWk0
皆さま投下お疲れ様です。
投下させていただきます。


107 : Night Mare ◆lb.YEGOV.. :2016/04/26(火) 00:25:23 mILgjdWk0
何故、どうして、こうなった。
俺は少し前まで自分の高校にいた筈だった。
次の学級新聞で怪談話の特集をするという名目の下、俺の主宰する"殺人クラブ"の仲間が、可愛い後輩である坂上の奴の相手をしている間に、ゲームをする準備を整えておく手筈だったというのに。
気づけば知らない場所にいて、そして白ランの学生から『殺し合え』との命令。
カップルが死んだ時に鼻についた嗅ぎなれた鉄錆の臭いが、これは現実であることを嫌でも突きつけてくれた。

怪談話の加害者になるなら大歓迎だが、被害者になるなんて真っ平だ。
この俺をこんな場所に誘拐したあの白学ランに殺意が沸く。
何よりも生殺与奪の権利を一方的にあいつに握られたことが気にくわない。
殺人クラブのリーダーとして、これ以上の屈辱はないだろう。今ここで受けている多大なストレスをあいつの死で償わせる為にも、どうにかしてここから脱出しなければならない。
俺たちと同年代に見えたあの白学ランに食って掛かり見せしめになった学生たち、あれは確か軽子坂高校の制服だった。他の高校の生徒だけじゃない、大人も何人かいた記憶はある。
もしかしたら殺人クラブのメンバーや坂上の奴も来ているかもしれない。が、はっきりいってこの殺しあいの場で役に立つかと問われれば難しい。
俺も含めて単なる一介の高校生なんだ。こんな首輪を外せる技術の持ち主には心当たりはない。
戦力としてなら新堂、知識面なら荒井がいればそれなりには頼りになりそうだが、他はまあ無理だろう。

そういえばCOMPとやらに悪魔が封じ込められているとか言ってたな。
デイパックに入っていたのは腕に装着するタイプのコンピューター。
……なかなか格好いいじゃないか。
気を取り直して腕に着け、説明書を見ながら弄ってみる。
表示されている液晶には、確かに1体それらしいものが表示されていた。
夜魔、字面から見れば夜に活動する悪魔という事だろうか。
名前はフレディとだけ表示されている。
有名な洋楽グループの歌手のような名前をしているが、生憎と見知らぬ名前だ。こういったオカルトに詳しそうな荒井の奴ならばどんな悪魔かわかるのだろうか。
物は試しと召喚してみる事にする。



――SUMON OK?


→YES NO


108 : Night Mare ◆lb.YEGOV.. :2016/04/26(火) 00:25:59 mILgjdWk0

電子音と共に俺の目の前に人型の何かが実体化してくる。
それは、まさに悪魔といった風貌をしていた。
赤と緑の横縞のセーターに茶色の帽子、右手に装着された金属製の鋭い鉤爪、そしてケロイドまみれの醜悪な顔。
悪魔が高笑いをあげるのと、俺がひきつった悲鳴をあげるのは同時だった。

「あぁ、いい恐怖だ」

心地良さそうに目を細めながら、悪魔が俺を見て口を歪める。
カッチ、カッチ、と鉤爪を上下に動かす度になる金属音がリズミカルに響く。
こいつはヤバイ、と本能的に感じとる。

「そんなに怖がるもんじゃないさ、あんたが俺のサマナーって事はよぉく分かってるつもりだからな」

嗜虐的な笑みを浮かべた悪魔が、鉤爪のついた人差し指で俺を指差しながら語りかけてくる。
恐怖で硬直した俺の周りをゆっくりと、まるで獲物を狙う肉食動物のように徘徊する。

「契約なんてのは知った事じゃあないが、そうしなきゃこうやって出てこれないっていうんなら従ってやるくらいには物分かりはいいつもりさ。
大事なことはお前が俺に楽しみを提供してくれるかどうかだ」
「た、楽しみだって?」
「ああ、小さい子供とおままごとに鬼ごっこ、隠れんぼも大好きだ。だけど一番好きなのは……」

不意に俺の目の前に鉤爪の光る右掌が突きつけられた。
心臓が恐怖で跳ね上がり、ヒィッというみっともない叫びが漏れる。

「恐怖に怯えるガキどもの悲鳴と断末魔の叫び声を聞くことさ」

耳元に響くねっとりとした囁きで全身に鳥肌が立つ。
じゅるりと舌が虚空を舐める音が生理的な嫌悪感を呼び起こす。
くぐもった笑いと共に鉤爪は引き戻されたけれど、まだ心臓はバクバクと強く鳴っている。正直生きた心地がしない。

「どうせ生き残るのは一人だけ。お前さんだって覚悟は決まっているだろう?」

その言葉には無言で頷く。
こんなところで俺は死なない、いや死んでいい筈がない。
できればこんな殺しあいからは抜け出したいところだが、無理と分かれば全員を殺して最後の一人になるだけだ。
躊躇なく頷く俺を見た悪魔、感心した様な笑みを見せた。

「ほおー、平和ボケしたジャパニーズのガキかと思ったがそれなりに見所はあるようだ。
なら、1ついい事を教えてやる。もしも寝てる奴がいたなら俺を召喚してみな。そいつの夢に入り込んで確実に殺してやろうじゃないか。
夢の中なら俺はどんな殺し方だってできるし、オーダーさえもらえば証拠を残さず殺る事もできる。まあどう活用するかはお前次第だがな」

眠った人間を好きなように殺せる。
状況は限定的だが確かに便利だ。
足手まといを怪しまれず処分する事もできるだろうし、組めた他の参加者を裏切る時も十分役に立つだろう。
殺人クラブのリーダーを務めてきた俺の頭脳とこいつの力をもってすれば、優勝は不可能じゃない筈だ。
自然と笑みが浮かぶ。
それが目に止まったのか、悪魔は愉快げに口角を釣り上げた

「何にしろ見込みがありそうなサマナーで安心したよ。まあ何はともあれ今後ともヨロシク頼むぜ」

悪魔が笑う。そこに恐怖と悍ましさを感じると同時にどこか頼もしさを感じる自分がいた。
どこかで子供たちの小さな歌声が聞こえた気がした。


1、2、フレディが来る……

3、4、ドアに鍵かけて……

5、6、十字架握りしめて……

7、8、しっかり目を覚まして……

9、10、眠りに落ちないように……


HA―HAHOHOHOHO!!


【?????/1日目/朝】
【日野貞夫@学校であった怖い話】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品, ハンドヘルドコンピューター型COMP
[思考・状況]
基本:生き残り優先。脱出が第一目標だがストレスの元になりそうな存在は優先的に殺す。
[COMP]
1:夜魔フレディ(フレッド・クルーガー)@エルム街の悪夢シリーズ
[状態]:健康

【備考】
夜魔フレディは以下の特徴があります
1.火炎に弱い:生前に炎にまかれて死んだ事から炎による被ダメージが増加します
2.永眠の誘い;眠っている相手の夢に入り込み対象を一方的に殺害します。襲撃中に対象が目を覚ました場合は殺害がキャンセルされます


109 : ◆lb.YEGOV.. :2016/04/26(火) 00:26:33 mILgjdWk0
以上で投下終了いたします


110 : ◆lPwuvrl9Hg :2016/04/26(火) 00:55:07 UVgiLEHA0
投下してみます


111 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/26(火) 00:57:17 VPzTEsRM0
投下します

某聖杯スレに投下した主従の使い回しですが


112 : 絶対絶望傭兵 ―1999からもう17年―  ◆lPwuvrl9Hg :2016/04/26(火) 00:58:22 UVgiLEHA0
一人の男の話をしよう。

"彼"は極寒の辺境にある小さな村で生まれ育った。
晴天の青、地上を覆う白銀、宵の黒、そして昼夜の境と情熱を表す赤。
幼少の"彼"にとってその四色が世界であり、両親をはじめとする同郷の人々だけが『人間』であった。

だが、ある日のことだ。
一人の若者が外界から迷い込んできた。
栗色の髪と緑の眼、村人と比べれば凍てつく冷気の中でもなお幾分かピンクがかった肌を持つ若者は、
人懐っこい笑顔を浮かべながら自らをジャーナリストと称した。
若者は、村人とはかけ離れた容姿を持ちながら――つまり彼にとっては村人こそが異形の群れであったろうに――、
何にも臆する事なく村のルーツや生活を聞き出そうとし、逆に村の外の世界がどうなっているのかを滔々と語った。

そして"彼"は知った。
自らの一族が"悪魔"と呼ばれる存在と人間の混血であり、それ故に外界との関わりを持たず辺境の地に閉じこもっていた事。
本来の人間は誰もが青年のような容姿をしており、巨大な手もぶよぶよした外皮も持ち合わせてはいないこと。
本来の人間はどれほど老いさらばえたとしても赤毛の獣に姿を変えたりはしないこと。
そして何よりも外の世界は広大で、夢も希望も絶望さえもが満ち溢れているということ。

"彼"は青年に憧れ、それ以上に人間に憧れた。
青年から他の人里への生き方を聞いた彼は、異形を隠すに足るだけの衣類と細工道具を持って村を飛び出した。
無才か不運であったならば、いつどこでのたれ死んでもおかしくない人生を賭けた挑戦である。
だが残念なことに、彼は商才にも人運にも恵まれた。
一年もしないうちに細工師としてまとまった財産を築き、二年経つ頃には現場を離れ一角の相場師として生きていけるようになった。
三年目には中堅企業を片手間に買収できるほどの財力を得たし、五年後にはどこぞの財閥をも脅かすほどとなった。
私以外の万人が羨む成功者となった彼は、しかし――心の底から絶望していた。

(足りない……刺激が足りない、娯楽が足りない!
 もっと、もっと金を! もっと娯楽を! 人生全て費やしてなお味わい尽くせぬ刺激を!)

そんな"彼"の妄執と妄念が運命をも捻じ曲げたのだろうか。
1999年、時は正に世紀末で核の炎が包み込んでもいい年に奇跡は起きた。

FINAL FANTASY 8。

極東で開発された定価7800円のPSゲームソフト。
"彼"ほどの富豪からしてみれば子供だましにすぎないはずの遊戯。
だが、"彼"にとってそれは正しく天啓であった。
見えざる神の手で引かれたレールの上をそれと知らぬままに走り続ける傭兵<ヒーロー>。
記憶を対価に力を得た若者たちが魔女を倒す、英雄劇という名の悲劇。
そして――"彼"と彼の故郷をモデルにしたとしか思えないような、とある人物の設定。

(ああ、なんて素晴らしいんだ!
 この物語を再現したい!
 いくら金をつぎ込んでも構わない! 私の夢に相応しい、私の手による英雄譚!
 私の私による私のための――超世界級のロール・プレイング!!!)

金などちょっと本気で稼げばいくらでも手に入る。
主人公そっくりな子供がいる孤児院と舞台に使う島を丸ごと買収し、傭兵学校を設立し、
裏世界に生きる悪魔召喚士を雇い"記憶を対価に人間に協力する召喚獣"を用意する。
馬鹿馬鹿しいスケールで行うマッチポンプのファンタジー。
だがそれこそが人生と金を費やすに足る究極の幻想というものだろう。
運命の邂逅から十数年の歳月を経て、"彼"の空想・夢想・妄想はついに……
……。


………飽きた。


だいたい、こんなヤツの話どうでも良くないですか……?
いくら目の前にいる残念そうなIKEMENの人生と繋がってるとはいえ、
所詮は私様の視界に入ることもない成金モブAとかBとかNとかそんなのですし、時間の無駄です……
カットしますよ……するする……


113 : 絶対絶望傭兵 ―1999からもう17年―  ◆lPwuvrl9Hg :2016/04/26(火) 01:00:02 UVgiLEHA0
「キスティス! いないのか?!
 くそっ、……………、何が起きてるんだ?」

隠せぬ焦りを滲ませた残念なIKEMENの声がCOMPの向こうで響いている。
彼の名はスコール=レオンハート。
ハッキングしたデータによると、とある島国の傭兵学校『バラムガーデン』で寄宿生活を送っている17歳の学生だ。
日本の基準に合わせるなら立派な高校生――つまり超高校級の傭兵ってワケだな。
この時点でとてつもない残念さが漂っている。だって肩書が肩書だし。
それに少年兵って彼に限らず現代社会の常識が1ミリも常識として通用しないような教育をされてるしねー。
家族や仲間を殺し合わせて殺人機械になるまで思考能力を摩耗させるのがデフォルトで、
追加でリーダーを神や英雄に例えたデタラメ暗黒創作神話を擦りこむ残念なパターンが多いって残念なお姉ちゃんが言ってた。
それに比べれば、ゲーム世界を現実と教え込まれて育つ方が人道的にはマシでしょう。
魔法で生き返るから人が死んでも平気! だから敵はジャンジャンバリバリ殺しちゃおうってね!
ついでに大人は全員魔物だと洗脳もとい教え込んで以下略!

はい! 白状します! 私様も似たようなアイデア持ってました!!
ここまで絶望的に残念な理由じゃなかったし、ここまで本格的に再現にはこだわらなかったけどね!
だって絶対途中で飽きるし!

――閑話休題。

目の前のスコールちゃん、額の傷はまだ真新しい。
この様子だと超高校級の風紀破る委員長に絡まれたのは昨日か今日か。
なら、きっと教師と一緒に特殊工作員SeeDの実地試験を受けにいくところだったのだろう。
要するに"ゲーム開始直後の初期レベルキャラクター"というわけだ。
おまけに、仲間どころか肉盾ことG.F.すら近くにいない。
得物である頭のわるい高周波ブレードことガンブレードも手元にない。
丸裸同然で見知らぬ場所に放り出されるなどというわけのわからない状況で殺し合いを命じられれば、
いかに冷静な彼であろうと、俗世から隔離されて育成された傭兵だろうと、そりゃ取り乱すだろうよ。

OPからEDまで、全て決まっていたはずのトゥルーマン・ショー。
魔に非ず人に非ず、何にもなれない存在が作り上げた幻想が崩れていく。
その介入を成し遂げたのが、人を超え魔を超えようとしても神にすら至れなかった超絶望的な高校生だなんて――

いいですね!
実に皮肉めいていて私様好みです!
データ化されたドキドキがムネムネと高鳴るのを感じますね!
この哀れなレールプレイングゲームの主人公が、生還しようが力尽きようがどう足掻いても絶望な状況ということも知らずに、
必死こいて頑張っちゃう様を最前席で見続けるためにも、そろそろファーストコンタクトを取って進ぜよう!


114 : 絶対絶望傭兵 ―1999からもう17年―  ◆lPwuvrl9Hg :2016/04/26(火) 01:02:04 UVgiLEHA0
「こんにちは、スコールくん」

COMP越しに話しかけると、青年は素早く振り向き周囲を警戒する仕草を取った。
けれど、さすがに『ファンタジー映画の主演』に選ばれるだけの素質はあるようだ。
すぐに声の発信源に気付いたようで、COMPを手に取って覗き込んできた。
どういう形状かは私からは見えないけど、ハッキングして得たデータによればスマホ型らしい。
絶望的なまでに普通だ。私様はモノクマ型COMPを応援しています。

「誰だ、あんた」

電脳空間内のモニターに、怪訝な表情がドアップで映し出される。
このスコール君、ハッキングしたデータが正しければFF8再現に必要な常識しか教えられていないはずだ。
つまり私様がばらまいた絶望も絶望的事件も知らなけりゃ、当然私様の名前なんざ知ったこっちゃねーわけですね。
うーん、絶望的です。

「私? 私は……そうね、リノアと名乗っておこうかな」
「そうか。名乗りたいなら勝手にしろ」
せっかくだからネタを合わせてみようとしたけど、そこはまだゲーム開始前の一般学生スコール君。
ヒロインの名前も知ったこっちゃないのでした。ちゃんちゃん。

「ごめん、ウソウソ。今のウソだからぁ〜! ノーカンでお願い〜」
ぶりっこポーズをしながら頼んでみると、スコール君はため息をつきながらこめかみを抑えます。
頭痛かな? KONOZAMAでバファリン注文しとこうか。
あっ間違えてパキシル頼んじゃった。うーん、うっかり☆

「じゃあ誰だあんた。悪魔とやらか?」
「え〜、そんな単純な言葉で表現するのはどうかと思うの。
 これだから超高校級の傭兵というのはダメっていうか〜。
 絶望的に暗い、絶望的にダサイ、絶望的に厨二臭い!」
「……」
「ノーリアクションですか。
 いいですね、放置プレイ味を感じます。
 ですがここはこのCOMPごとゴミ箱にポイして、かのギガゾンビの逆襲を上回る高速ED直行というのも絶望的で宜しいかと。
 まあそれでも悪魔城とかポケモンあたりのバグ有りTASには最早追いつけないのですがね。絶望的です」
「……何なんだ、あんた」
何故かはわかりますが、さすがの彼も精神的に疲れ出したようですね。
腐川を見る時の噛ませメガネみたいな表情になってきています。
これ以上引き延ばしても絶望的に話が進まなくて飽きるだけですし、真面目に名乗りましょうか。

「フッ……私様の名を問うか。
 良かろう。我が名は江ノ島盾子。
 超高校級のギャルにして、超高校級の絶望さ!」
 

【?????/1日目/朝】

【『スコール=レオンハート』@FF8】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマホ型)、
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:早く帰りたい(真顔)
[備考]
※特殊技は使えません。物理的に。

[COMP]
1:電霊エノシマジュンコ@ダンガンロンパ
[状態]:健康
※電霊的な手段で参加者及び悪魔の基礎データ(ライブラや悪魔全書で見れる程度の設定文含む)をアナライズできます。
 会話とアナライズ以外に何が出来るかは不明です。


115 : ◆lPwuvrl9Hg :2016/04/26(火) 01:02:46 UVgiLEHA0
すみません、投下終了しました。


116 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/26(火) 01:06:35 VPzTEsRM0
エノシマって魔神皇よりシステム上上位そうなのが


では投下します


117 : Fate Stay Magus :2016/04/26(火) 01:09:58 VPzTEsRM0
ああ…御主人様………お許し下さい。貴方様以外の者に、首輪を嵌められるなどという醜態を晒したこの私を」

廃墟の中に響く少女の声。幼さを感じさせるが、低く、落ち着いた声音で『御主人様』なる者に謝罪の言葉を述べている。
いかがわしい行為に耽る男女だか女二人だかを連想してしまいそうだが、この廃墟にいるのはたったの一人だ。

「ですが御主人様、貴方のクラウディアを信じていてください。貴方様からお教え頂いた魔術の業(わざ)を以って、必ずやこの恥辱を晴らしてみせます」

あの魔神皇という男、御主人様以外の男には触れることさえ許していない私の躰に触れ、御主人様でも無いのに首輪を嵌めた、あの男。
最早万死に値するというのに“片腕にしてやる”とは何事か。

「私は私の主と前世から魂で結ばれている……!」

そうして少女は支給品にあった、魔道書(グリモワール)型のPCを起動させた。
何が出るかは完全に不明。出てきた悪魔にむーしゃむーしゃされるかもしれない。薄い本が分厚くなる行為を延々とされるかもしれない。
しか少女には怯えた様子は微塵も無く、傲然とと胸を張り光を見据える。

「御主人様は偉大な魔術師だった…その薫陶を受けたわたしが、高々あの様な輩に用意できる悪魔を使えないわけが無い」

そうして光が収まったとき…そこに立っていたのは、金髪金眼の青年だった。
その余りにも美しい容貌は、この青年が人の形をした人外の徒である事を、一目で認識させるに十分過ぎた。

「はじめまして…余はマスターテリオン。短い付き合いになるだろうが、今後ともよろしく」

「お待ち申し上げておりました!!御主人様!!!」

「………は?」

「私です!共に世界を旅したクラウディアをお忘れですか!!!」

(ドクターの同類か……?)

「ああ…御主人様程のお方をこの様な目に……いいえ!御主人様が負けるはずなど御座いません!きっと何か卑劣な手を……。は!?まさか囚われた私をお気遣いになられて……」

(なんだか面白いからこのまま見ていよう)

その後延々と続く少女の一人芝居を、黙って見ていることにした大導師だった。


【?????/1日目/朝】
【栗浜亜魅@レッスルエンジェルス サバイバー2
[状態]:健康
[装備]:COMP:魔道書(グリモワール)型
[道具]:基本支給品、確認済み支給
[思考・状況]
基本:魔神皇を誅殺する

[COMP]
1:マスターテリオン@デモンベインシリーズ
[種族]:魔人
[状態]:健康


118 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/26(火) 01:10:56 VPzTEsRM0
投下を終了します


119 : ◆1eZNmJGbgM :2016/04/26(火) 02:36:41 bXIk46nQ0
候補作投下致します。


120 : MASTER ◆1eZNmJGbgM :2016/04/26(火) 02:37:52 bXIk46nQ0
「一体何がどうなっているんだ……」

そう言いながら男は白髪が目立ち始めた頭を掻きながら、
周囲の安全を確認した後に改めて先程の出来事を思いだす。

学校の体育館のような謎の空間。
恐らく自分と同様に拉致されたと思われる数十人の男女。
集団から少し離れた所にいる一人の少年。
少年が発した、お前達で殺し合いをしろという宣言。
当然のように反抗した別の少年が謎の炎で消し炭になり。
続いて見せしめの一環としてか、とある少女に付けられている首輪が爆発。
首なし死体と化した彼女と、白い学生服の少年の高笑い。
そして再び意識が薄れ、現在に至る。

まるで趣味の悪い小説や歌劇のようだが、彼の首にある首輪の冷たさがそれを否定する。
これは現実なのだと。夢や幻覚の類ではないのだと。
もっとも、これが思春期真っ盛りで多感な時期の子供ならまだしも
彼のような中年男性が見た妄想だとしたらそれはそれで問題なのだが。

自分の娘よりも若い、高校生ぐらいの子供が実際に死んでいる。
人の親としてこれを看過できるほど、彼は不人情でも冷酷でもない。
例え自分の命が脅かされようとも、あのような命令に従うことなどあり得ないのだ。

「で、これがCOMPか……こんなデジタル機器に悪魔が封じてあるとは、どうにも21世紀だね」

オックスフォードで考古学を学び、世界各国の遺跡や伝承に触れた事のある身としては
彼にもいささか思う所があるようだが、生来の好奇心には逆らえず液晶画面をなぞり操作していく。

そしてタブレット大の端末から強烈な光が生じ、思わず目を背けたしばらく後にそこに立っていたのは
凶暴な魔獣でもなく、伝承にある怪物でもなければおどろおどろしい怨霊でもない、一人の若い女だった。


121 : MASTER ◆1eZNmJGbgM :2016/04/26(火) 02:38:37 bXIk46nQ0
「どーも!私、セラス・ヴィクトリアと言います、よろしくお願いします!」
「ああ、よろしく……君が悪魔なのかい?」

彼の目の前にいるのは悪魔などではなく、どう見てもアングロサクソン系の五体満足な若い女性にしか見えない。
服装も軽装ではあるが現代的な意匠、それも軍服に近いものだ。
そんな彼の疑問を察したのか、彼女――セラス――が口を開く。

「いえ、悪魔ではないんですが人間でもないというか……ぶっちゃけ、吸血鬼です」

そう言ってセラスは自分の首元を見せる。その病的にまで白い肌には、2箇所の穴が空いていた。
まるで、誰かに噛みつかれて出来たかのような間隔で空いている穴が。

「今の私が吸血鬼らしくないというのは自覚があるんですけど……
あ、でもむやみやたらに襲いかかって血を吸うわけじゃないんですよ!?」

輸血パックでも問題無いですし!と言いながら両手を顔の前で振り弁明をするセラス。
そんな様子がおかしかったのか、この場に来てから初めて彼の顔に笑顔が浮かぶ。

「いや、君が信用出来る相手なのは理解したよ。これからよろしく、セラス嬢」
「そんな、セラスと呼び捨てで良いですよ!こちらこそよろしくお願いします、マスター(ご主人)!」

セラスがそう言うと、今度は彼が何とも言えぬ微妙な表情になる。

「マスター(修士)、ね……私の事も名前で読んでくれて構わないよ」

そう言って彼は自分の名を名乗った。
キートン。平賀=キートン・太一と。

【?????/1日目/朝】
【平賀=キートン・太一@MASTERキートンReマスター】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、未確認支給品:1、タブレット型COMP
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない。
[COMP]
1:セラス・ヴィクトリア@HELLSING
[状態]:健康


122 : MASTER ◆1eZNmJGbgM :2016/04/26(火) 02:39:11 bXIk46nQ0
以上で投下終了です。


123 : ◆n........U :2016/04/26(火) 05:12:36 AkWLsW5w0
投下します


124 : アクマダイレクト ◆n........U :2016/04/26(火) 05:13:08 AkWLsW5w0
「まいったな…… こんな所で……」

 俳優、堤真一。
 数多くの映像作品に出演し、表彰も幾度と無くされたことがある名優である。
 そんな彼は理不尽に巻き込まれた、魔神皇と名乗った少年によって。

 殺し合い。
 なんてふざけたことだ。
 現代日本においてそんなことが許されるはずがない。
 確かに人生とは戦いだ、役者という職業でさえもそうだ。
 それでもこんな非人道的で悪意に満ちたことではない。
 それも、自分のような初老の人間だけではなく無垢な子供達までも巻き込んで。
 
 堤真一は決意した。
 絶対にこの殺し合いを打破してみせる。
 あの少年が一体何をしてここに自分を呼び寄せたのかはわからない。
 しかし少年にだって知らない事が山程あるであろう、なぜならば少年なのだから。
 その力を利用すれば首輪や殺し合いを破壊できるかもしれない。

 ならば大人として自分が行動すべきこととはなにか。
 まずこの殺し合いに乗れない人を保護し共に行動する。
 次に乗ってしまった者を説得して思いとどまらせ仲間にする。
 最後に絶対に説得できない奴を倒す。
 恐らくかなり厳しい現実であろうが、やるしかない。
 その不可能に近い壁も越えていかなければ、殺し合いの打破など不可能だ。

 行動方針を手早く決めた堤真一。
 だがここで彼にとってはとてもついていない不運が襲う。
 それは彼の現在地だ。

 辺り一面一軒家、挙句畑もチラホラと見える、人が集うとは到底思えない。
 ならばここから人がいそうな場所に移動しよう。
 だがその前にとCOMPと呼んでいたタブレットを起動する。
 地図アプリかここがどこか確認できるかもしれないと

 堤真一は愕然とした。
 地図は東京都23区であったのもそうだが、何よりも自分の現在地だ。
 あまりにも中心部、山手線沿線とはかけ離れていた。
 これでは不味い、徒歩で行動したのならば午後になってしまうであろう。
 ならば移動手段を先に探そう。
 辺りは一軒家が多い、そこから車を拝借させてもらおうか。
 この非常事態だ、窃盗やら軽犯罪などを考える必要もない。
 幸運にも一軒目の家屋で車は調達出来た、エンジンを吹かしてアクセルを踏む。
 ガソリンは少し物足りないが、往路分は余裕にある。
 一般道でも一時間はかからないが高速道路を使えば30分ほどで着けるであろう。
 少し回り道になるが結果的に早くつくのならばとそちらのルートで行くことに決めた。

 しかし高速道路に入り数分後悲劇が襲う。
 別に余所見運転していたわけではない。
 ただもしかしたら人がいるかもしれないと周囲に気にかけた分、運転自体は散漫になっていたかもしれない。
 とにかく事故は起きた。

 突如止まるエンジン。
 段々と遅まり、完全停止には一分かからなかった。
 動け動けと念じながら何回もキーを回すも反応はなし。
 ボンネットから煙が上がっていた、爆発したら不味いと堤真一は車から降りる。

 一体何が起こったのか、堤真一は一応は考えてみる。
 もしかしたら最初から故障中だったのかもしれない、だから鍵が挿しっぱなしだったんであろうか。
 と、考えていても車は蘇らない、殺し合いは続く。
 高速道路を選んでしまったことによって更なる車の調達も難しい。
 さらにここは一般道に戻るにも先に進むのも元に戻るのにも時間が掛かりそうな位置。
 溜息を吐く、こんな所で足止めを食らっていたはいけないのに。
 天を見上げ思わず大声を上げてしまう。


125 : アクマダイレクト ◆n........U :2016/04/26(火) 05:13:46 AkWLsW5w0
=|AA|

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||=

☆ ☆ ☆

「あ、そうだ」
 
 大声を上げた堤真一は思い出す。
 そう言えばあの少年は私達に『COMP』と呼ばれるものに『悪魔』を封じ込めていたと言ってた。
 あいつの言う通りに行動するのも癪に触るが、早急に山手線沿線に行くためには致し方ない。
 羽が生えた悪魔が現れたら少なくとも高速道路の柵を越えて一般道へ降りられる。
 藁にも縋る思いでCOMPを取り出し悪魔召喚プログラムを起動する。
 
 そうして現れた『悪魔』は堤真一が想定した『悪魔』とはかけ離れていた。
 それはタイヤだった。 誰がどう見てもタイヤと呼ばれるものが出てきた。
 だがホイールの両面に大きな目玉がついていた。
 そして上部にはバイクに付いている座面とハンドル、後方部らしき所にはマフラーが付いている。
 これが自分に渡された悪魔であろうか? 。
 困惑した様子の彼を見て、タイヤの悪魔の目が光ったよう煌めいて目線で告げてくる。

 乗りなよ、居心地いいぜ?

 無論喋ったわけではない。
 だが堤真一はただ長年役者をやっていたわけではない。
 目と雰囲気でそれくらいは当り前に察せた。
 
 タイヤはエンジン音を立てる。
 それを合図に堤真一はタイヤの座面に跨る。。
 なるほど、確かに悪くはない、まるでSFの世界の住人になったかのようだ。
 ハンドルを握りアクセルを全開にする。
 殺し合い最中にここまで爽やかな風を浴びて良いものかというくらい快適だった。
 これならば事故を起こすこともない。
 
 タイヤの悪魔、ウィリーを操り高速道路をひた走る堤真一。
 ここからは大人として、一人の男として、この殺し合いを打破しなければならない。
 
 彼はこれからも誰かに頼る人間のままなのか、
 それとも誰かに頼られる人間になるのか。
 そればかりは今は誰もわからない。
 
【?????/1日目/朝】

【堤真一@現実】
[状態]:健康 ウィリーに乗車中
[装備]:タブレット型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破するために同じ志を持つ誰かと合流する

[COMP]
1:ウィリー@星のカービィシリーズ
[状態]:健康


126 : ◆n........U :2016/04/26(火) 05:14:15 AkWLsW5w0
投下終了です


127 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 09:34:55 GSagP29.0
みなさま投下乙です。
あと、一部の投下作がWikiに収録されていないようですが、
当企画の登場話コンペは、基本的に投下者本人がWikiに収録し、
候補話一覧に追加して初めてエントリー完了となっております。
(候補話一覧を編集してほしい旨は記載していませんでした、追記しておきます)

何作か、投下されただけの作品がございますが、投下だけではエントリー完了とならないことをご了承ください。

>>109
フレディはめっちゃ強そう……疲労がたまるバトロワにおいて、睡眠が敵になるのは恐ろしいですね……

>>115
金持ちってすげぇ! そんなことができる大金を手にしてみたいものですね……
あとメタ視点、笑うw

>>117
悪魔側が困惑してるw マイワールドに入ってますな……

>>122
なるほどマスターつながり! セラスは来ると思ってましたが、この組み合わせはありそうでなかった!

>>126
くっそwwwwwww くっそwwwwwwwwww
こんなん笑うに決まってんだろwwwwwwwwwwwwww
シリアスなのにCM再現のAA一つでwwwwwwwww ヤバいwwwwwwwww

さて、自分も投下します。


128 : 破壊人 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 09:35:11 GSagP29.0
「……フフ、殺し合いですって」
 都会のビルの群の中、彼女は怪しげに笑う。
 血のように真っ赤なジャケットに、黄金に輝く髪を持つ彼女の名は、マリー・ライアン。
 コードネームとしては、ブルー・マリーと呼ぶのが正しいか。
「誰も彼も皆破壊して、楽しんだ末に願いまで叶えてくれるのだから、これほど素晴らしいことは無いわね」
 再び、笑う。
 魔神皇に突きつけられた、自分たちへの命題。
 それは、自分にとっては願ってもいない好機であった。
 人を殺し……いや、"壊して"回ることが、良しとされる空間。
 そして、たどり着いた先に、願いまで叶えられるのだとすれば、これ以上幸運なことはない。
 今から考えただけでも、ゾクゾクする。
 一体、ここにいる強者たちは、どんな声を上げるのだろうか、と。
「……でも、捨てがたい物が一つあるわ」
 そこまで考えて、ふとマリーは我に返る。
 たった一つ、全てを破壊して、願いを叶えて貰うとしても、手に入れられない物がある、それは。
「あの子の苦しむ声を、聞きたいわ」
 そう、魔神皇を破壊できないことだ。
 なんでも願いを叶えてもらえることは、確かに魅力的だ。
 だが、それを上回るほどの魅力。
 これほどまでの舞台を造る圧倒的な力の持ち主に、地を舐めさせ、苦悶の声を上げさせる。
 ああ、それはきっと、とてつもなく素晴らしいことだろう。
 想像しただけでも、頬が歪む。

「さて、私のペットちゃんは……」
 今後の方針が一段落したところで、彼女は道具を確認する。
 自分に配られたのは、どうやらベルト型のCOMPらしい。
 手際よく着けていたベルトと交換し、そそくさと操作を進めると、一瞬の光の後、それは現れた。
「あら、かわいいじゃない」
 そこに立っていたのは、黄色いワンピースに身を包んだ、青い帽子の少女だ。
 悪魔と言う単語から連想される姿からはかけ離れているが、ギースの例もある、そういうモノなのだろう。
 見た目の元気そうな姿の裏にある、王族のような高貴さは、しっかりと伝わってくる。
「貴方が、サマナー? 私は導者、アリーナ。よろしくね」
 輝くような笑顔で、彼女はマリーへと手を差し出す。
「そう、よろしく」
 それに応じるように、マリーも笑顔で手を差しだし。
「なッ」
 アリーナの差し出した手を一気に引き、そのまま絡みつくように肩の関節を一気に極める。
 ぎし、ぎしぎしと骨のきしむ音が、彼女の体から鳴り響く。
 ああ、何度聞いてもたまらない音だ、と思いながら、マリーは彼女に語りかける。
「甘い、甘いわよアリーナちゃん。ここは殺し合い、今みたいにボサっとしてたら殺されちゃうわ」
 そうだ、この場は殺し合い。
 いつ誰がどこでどう襲ってくるかなんて、分かりやしない。
 ここは死と隣り合わせ、だから、甘えは捨て去っていく必要がある。
「本当はこのまま骨を折ってあげたいけど、貴方はアタシのペットなの」
 後少し、力を込めれば骨が折れるのは分かっている。
 だが、何が悲しくて自分の牙を折らなくてはならないのか。
 楽しむのは自分だが、万が一の時に彼女が役立たずでは困る。
 だから。
「何を――――」
 素早くポジションを変え、アリーナの首を絞めながら、マリーは側に置いていた酒の瓶を取り、強引に彼女の口へと流し込んでいく。
 ごく、ごく、ごく、と彼女が酒を飲み込む音を堪能した後、マリーはゆっくりと彼女から離れた。
「熱い、体が……血、力……」
 アリーナは頭を抱え、目を見開いていく。
 血が湧き、肉が躍る、胸の高鳴りを、押さえきることができない。
 そして、一発。
 地面を強く踏みしめてから、大きく息を吐いた。
「"悪魔"の性格を変化させる銘酒、ねぇ……まさかそんな物があるとは思っていなかったけど」
 空となった空き瓶を眺め、マリーは笑う。
 酒を飲むと人が変わる、というのは聞いたことがあるが、まさか"悪魔の心を変えてしまう酒"があるとは、思いもしなかった。
 半信半疑で試してはみたが、効果は予想以上だ。
 今のアリーナが纏う気、それは、血と力を求める、獰猛な獣のそれと同じであった。
「フフ、良い目つきよ。さあ、行きましょう」
 そんな彼女の目を見て、マリーは笑いながら、足を進める。
 向かう先は、破壊と愉悦の楽園。

【?????/1日目/朝】
【EXブルー・マリー@リアルバウト餓狼伝説スペシャル】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ベルト型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:全てを破壊し、魔神皇を破壊する。
[COMP]
1:アリーナ@ドラゴンクエスト4
[種族]:導者
[状態]:性格変化(獰猛)


129 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 09:35:25 GSagP29.0
投下終了です


130 : ◆wKs3a28q6Q :2016/04/26(火) 13:53:55 BXXchtEQ0
皆様投下乙です
再度投下させて頂きます


131 : killy killy JOKER  ◆wKs3a28q6Q :2016/04/26(火) 13:54:56 BXXchtEQ0

率直に言って不満だった。

殺し合いを強要されたことが、ではない。
むしろそれは少年の望むところであった。
実際、殺し合いに興味を抱くあまり、少年は自ら志願し殺し合いの輪に飛び込んでいた。

ゆえに、不満の原因はそこではない。
むしろ折角殺し合いが始まったのに、悪魔などという非現実めいた単語が飛び出してきたことが不満なのだ。

折角、銃をぶっ放して人を殺せると思ったのに。
ナイフや爆弾で、殺戮の限りを尽くせると思ったのに。

「……」

しかし、ただ不満を抱えていても仕方がない。
すでに殺し合いの火蓋が切って落とされた以上、現実を受け入れねばならない。
少年は狂気に染まっていたし、好奇心だけで動いている節はあるが、しかしながら冷静な思考が出来ないわけではなかった。

悪魔という“武器”は、確かに直接殺している感が薄くて楽しみは半減するだろう。
それでも、それ特有の快楽があるかもしれない。
ならば、悪魔を使って楽しめそうな方法を考えるのみだ。

薄く不気味な笑みを浮かべ、少年は支給されたCOMPを確かめる。
ハリセン型COMP。
一見ふざけているようだが、何重にも折りたたまれたクッション部分のおかげで、これで殴っても本体の衝撃が分散しCOMPは壊れないらしい。
科学の力ってすげーーーーーっ! いいもん貰ったなァ、おい!!!

スパーーーーン!!

気持ちのいいくらい大きな音を立て、ハリセンが地面へと叩きつけられた。
よりにもよって、ディスプレイを下にして。
しかし、その衝撃と地面への接触で、悪魔召喚は成された。
どうやら殴ってもちゃんと起動するらしい。ハイテク。


132 : killy killy JOKER  ◆wKs3a28q6Q :2016/04/26(火) 13:59:22 BXXchtEQ0

「……」

召喚されるは、やはり少年。
漆黒の髪を後ろへと流し、その髪色よりも黒い瞳はどこか虚空を見ている。

「俺は――どっちでもよかったんだ」

端正な、端正すぎて人間味の薄い顔をした悪魔の少年が、ゆっくりと口を開く。
その言葉はどこか他人事で、この場には似つかわしくないように思えた。

「だから俺は、コインを投げることにした」

言いながら、どこから取り出したのか、悪魔は親指でコインを弾く。
空高く舞い上がったコインを浮かべ、召喚士は笑みを浮かべる。
面白い。実に理解不能で、それ故に面白かった。

「表が出れば、召喚者の指示に従う」

遥か上空でコインが動きを停止して、地面へと向かい下降を始める。
再びその身をクルクルと回しながら。

「裏が出れば――――」

しかし、悪魔の言葉は途中で遮られる。
召喚士の少年が、落下するコインを途中で握りしめたから。

それからにやりと笑って、召喚士の少年は悪魔の少年の手首を掴んだ。
悪魔の少年は、僅かに首を傾げるだけで、別段抵抗をしない。
その掌に、召喚士の少年がコインを叩きつけた。
狂気に染まった薄ら笑いを浮かべながら。

「……」

叩きつけられたコインは、表を向いている。
故に悪魔は、言葉の続きを飲み込んだ。
結果が出た以上、出なかった目を語る必要なんてない。

「いいだろう」

そして悪魔は道具と成る。
サブマシンガンをも超える、相手の技術を全てコピーする殺戮機械(キリングマシーン)へと。

「俺は、お前の道具だ」

悪魔の名は、桐山和雄。
感情を表に出すことはない。それどころか、感情そのものがない。
級友をして悪魔と呼ばれる所以は、その圧倒的身体能力。
好奇心が旺盛で、すぐに飽きるというのに、吸収力は人一倍。
嗤わぬ悪魔は、ただ静かに、この“バトル・ロワイアル”においても人殺しとして舞台に立った。

召喚士の名は、桐山和雄。
感情を表に出すことはあまりない。だが、時折、狂気に染まった笑みを浮かべる。主に、殺戮を行なう時に。
級友をして悪魔と呼ばれる所以は、その圧倒的残虐性。
中学生にしては優れた身体能力を、躊躇なく人を殺すために用いれる。
そのうえ自ら殺し合いに志願し、殺戮の際に相手を甚振る等、狂気方面の好奇心が旺盛なうえに積極的。
嗤う悪魔は、ただ静かに、この“バトル・ロワイアル”においても人殺しとして舞台に立った。

桐山和雄と桐山和雄。
嗤う悪魔と嗤わぬ悪魔。
同質にして異質な2人の“バトル・ロワイアル”の幕が上がる。
彼らの知らぬ未来のように“大量殺戮”を成せるのか、それはまだ、コインにすら分からない。



【?????/1日目/朝】

【桐山和雄@バトル・ロワイアル(映画版)】
[状態]:健康
[装備]:COMP(いいもん貰ったなァおい型ことハリセン型)
[道具]:基本支給品、これから確認する支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いエンジョイ勢
[COMP]
1:桐山和雄@バトル・ロワイアル(漫画版)
[状態]:健康


133 : ◆wKs3a28q6Q :2016/04/26(火) 13:59:42 BXXchtEQ0
投下終了です


134 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 14:13:01 GSagP29.0
>>133
投下乙です!
桐山に桐山が来るというのもありそうでなかったんですが、何よりCOMPの型よ……w


135 : ◆BLAZExujxM :2016/04/26(火) 15:11:46 LM29g3KI0
投下します


136 : プラチナスターズ  ◆BLAZExujxM :2016/04/26(火) 15:12:45 LM29g3KI0

「………私はどうしたらいいんでしょうか」
 
 都内のビル街にある大き目な事務所。
 その事務所内にあるカフェのテーブルに一角でタブレット型のCOMPをじっと見つめる。
 蛍光グリーンの事務服を着こなしたその女――千川ちひろはそこにいた。
 
 ちひろは置かれた状況を冷静に考える。
 まずは聞きなれない言葉『悪魔』。
 『小悪魔系アイドル』ならば聞いたことはある。
 しかし、本物の『悪魔』など見たことはない。
 普通の感性を持つちひろにとってのイメージは『怖い』としかなかった。

 次にこの首輪について考える。
 無理矢理外そうとすれば爆発する。
 あの場のあの少女のように……。
 ちひろは震える手で自身の首元を触る。
 冷たい感覚が手から全身へと伝わる。
 
 残念なことに外す方法は今の自身には思いつかない。
 こういう科学的なことや機械的なことにはあまり明るくはない。
 そういうことが好きなアイドルもいるが、ちひろ自身にはそういう知識はあまりない。  

 最後に……一番重要なことだが……。
 生憎だが、あの少年の片腕として働く気は全くない。
 自分が一緒に仕事するのはあの人……『プロデューサーさん』だけなのだから。


「……ここにいないといいのですが……」


 思い浮かべるのはいつも一緒にいる人。
 いつも誰よりも仕事熱心で……。
 いつも朝五時には職場にいて……。


137 : プラチナスターズ  ◆BLAZExujxM :2016/04/26(火) 15:13:17 LM29g3KI0

 いつも…………。
 








『Sレアアイドルをゲットするならガチャが一番!』










 そんな言葉が不意に脳内に響いた。
 それはいつもプロデューサーさんにほぼ毎日のように投げかけている言葉だった。

「……何か似ていますね」

 まるでプロデューサーさんが回すガチャとこの悪魔召喚はどことなく似ている気がした。
 初回無料で次回以降は有料なところや色々。

「―――やってみますか」

 ちひろは意を決して悪魔召喚をすること決めた。

「どうやらアンインストールは出来ない仕様ですね」

 残念だが、当然である。リセットなどは出来ない。
 時計アプリを起動し、オカルトじみた乱数調整をしようとしたがそれもできそうにない。
 一先ず、時計アプリを閉じる。

「果たして、何が出ますか……」
 

 そして、その悪魔はちひろの前に召喚されたッ! 


「……………………」
「これが……『悪魔』……?」


 見た目は長髪で、筋肉質の人型で屈強な戦士の姿をしているッ!
 プロデューサーさんと同じかそれよりも少し高いくらいの背丈ッ!
 それは『悪魔』というよりも『悪霊(スタンド)』ッ!!
 
 しかしッ! ちひろには不思議とそうは思わなかったッ!

「あのう……私に協力してもらえませんか?」
「……………………」

 その『悪霊(スタンド)』。否、『星の白銀(スタープラチナ)』は喋らない。
 しかし、その目はどこか優しく強くちひろを見つめる。
 「安心しろ」そう言わんがばかりに強い視線をッ!
 そして、『星の白銀(スタープラチナ)』は軽く頭を下げた。 

「…………良かった」

 天使のように微笑むちひろに。
 「やれやれだ」と言わんばかりにスタープラチナは背中を向ける。

 こうして彼女の奇妙な物語は動き始めた。

【?????/1日目/朝】
【千川ちひろ@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(タブレット型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:あの人の所に帰りたい
[COMP]
1:スタープラチナ@ジョジョの奇妙な冒険
[状態]:健康


138 : ◆BLAZExujxM :2016/04/26(火) 15:13:49 LM29g3KI0
投下終了です


139 : 電光戦鬼 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/26(火) 15:19:44 EEfu8tRA0
投下します


140 : 電光戦鬼 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/26(火) 15:19:54 EEfu8tRA0

殺し合いの舞台となったレプリカの東京――本来ならば数えきれぬほどの車が通っていたであろうその道路の中心を、一台の重車両が駆けていた。
その近くにいる者ならば、耳を澄まさずとも無限軌道のきゅるきゅるという音が聞こえるであろう。
その車両は戦車であったし、戦車というにはあまりにも歪であった。

まず戦車というには、否――乗用車と呼ぶのも不可能だっただろう。
その戦車には車長席に当たる部分が存在せず、また操縦手席に当たるであろう部分は人を入れるにはあまりにも小さかった。
そして、何よりも目を引くのは髑髏だった。
本来車長席に当たるであろう部位の代わりにはクレーンが備えられており、その先端にはまるで悪夢の象徴であるかのように髑髏を模した機器が備え付けられていた。

電光戦車――その名を呼べる者は世界にそう多くはない。

さて、何故――その電光戦車が操縦手席も、車長席も必要としないのか。
本来の電光戦車であれば――人間は操縦に必要であった。
それは魔王モロクに捧げられる生け贄の様であったし、生命を燃やし尽くすことで駆動させる決戦兵器であり、
棺桶のような、あるいは集団墓地のような人間を収容する部位は必要であった。

だが、最早この電光戦車にそれは必要ない。

この電光戦車は参加者であり、支給品であり、そして――COMPである。


本来ならば電光機関――人間から電気エネルギーを取り出す恐るべき機関によって作動している。

だが、この殺し合いにおいて――この電光戦車は、電光戦車内部に召喚した悪魔よりエネルギーを吸い上げることによって駆動する、
外見、性能共に電光戦車ながら――全く別のテクノロジーで動く恐るべき電子的魔術兵器なのである。

偶然にも電光戦車を発見し、改造した魔神皇はこの恐るべき兵器を鬼札【ジョーカー】として殺し合いの場へと放ったのだ。

「……クク」

電光戦車内部で燃料と化した悪魔は嗤う。
自嘲の笑みか――否、己の生命を削ることで人間を滅殺出来ることが喜ばしくて堪らないのだ。

「人間共ド許さぬ!全て滅してくれよう!!」

その悪魔の名はライチュウ――荒れ狂う暴政のもとに、恋人であるライチュウ♀との仲を引き裂かれた怨念によって、
彼はポケモンをやめ、悪霊と化し、そして最終的に色々あって悪魔になったのだ。

魔獣ライチュウは電光戦車にて駆ける。
全ては人間を滅殺するために、なるほど頑張ってほしいものだ。

【?????/1日目/朝】
【電光戦車@アカツキ電光戦記】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品、電光戦車型COMP
[思考・状況]
基本:参加者を殺す
[COMP]
1:荒れ狂う暴政のもとに、恋人であるライチュウ♀との仲を引き裂かれた怨念によって、魔獣と化した恐るべき哀れな悪魔ライチュウ@ポケットモンスターシリーズ
[種族]:魔獣
[状態]:人間への憎悪


141 : 電光戦鬼 ◆3g7ttdMh3Q :2016/04/26(火) 15:20:05 EEfu8tRA0
投下終了します


142 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 15:30:42 GSagP29.0
お二人とも投下乙です。

>>138
意外! それはスタンド単独!!
召喚 is ガチャ的なところは確かにあるのかも……?

>>141
電光戦車型COMPだし、中になんかいるーっ!?
いろいろあり過ぎじゃないですかね……


143 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 16:00:12 GSagP29.0
質問を受けたので。
COMPの形態は今までの投下の通り、特に問わないのですが、
剣やハンマーなど、武器としても使えるCOMPで支給の際には、
ランダム支給品は、極力なしでお願いいたします。


144 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:14:12 fC2CxXnE0
皆さま投下乙です。

>>143
了解しました。

私も投下します。


145 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:16:23 fC2CxXnE0
―――とある男の肖像―――

その赤ん坊が生まれた時、父親はごくありふれた病院の新生児室にその子を入れた。

世界一の死の商人であり大富豪の彼であれば...いくらでも良い環境におけたのに。

...何故?

確かめたかったのだ。



消灯前、彼は息子の手にそっと何かを握らせた。

確かめたかったのだ。受け継がれる遺伝子の才能を。



赤ん坊の腕力は、実はとても強い。1人でも母親の腕にぶら下がれるほどに。

―――例えば。

カッコウの親は、他の鳥の巣に卵を産んで育てさせる。
そのヒナは生まれてすぐ、本来の巣の主の卵を残らず落としてしまう。

ある種のクモにとって母親とは単なる食糧だ。
卵から孵った子供たちは...さっきまで自分を護ってくれていた母親の腹を食い破ることを躊躇しない。

つまり。

彼は確かめたかったのだ。本能に眠る『悪意』を。


力が同じ動物同士なら、『悪意』が強い方が勝つ。
迷いなき『悪意』で、敵の弱点を見つけ、えぐり、つけこむ。
そのためにはいかなる研鑚も厭わない。

それが出来る者だけが家督を継ぎ...さらに悪意の強い子孫を残す。

そうやって...彼の一族は先祖代々争いに勝って栄えてきたのだ。


146 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:16:52 fC2CxXnE0

―――翌朝。

予想以上の結果に父親は満足した。
その赤子が示したのは、高い運動能力、高い知能...そして、強すぎる『悪意』。

彼は見たのだ。


自分のベッドですやすやと眠る我が子を。

持たせておいたカミソリの刃で。

他の新生児の頸動脈を...全て掻き切った後で!!



見た目は同じでも、『その悪意』は人間とはまるで異なる生物。


そう、別種。



父親やその先祖と比べても...格段に!!


その子の母親は、赤ん坊が2歳の時、自宅テラスから謎の転落死を遂げ。

一族に受け継がれた知能と肉体に絶対の自信があった父親も...その子が5歳の時、自宅書斎で『箱』詰め死体で発見された。


悪意に愛された―――とある男の肖像。


147 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:17:44 fC2CxXnE0



―――とある柔道家の肖像―――


目黒道場館長、目黒広樹。
かつて『鬼の目黒』と呼ばれた猛者である。

彼の道場には猛者が集っていた。
日本代表に三名も選ばれる程にだ。

特に目を引いたのが、国内優勝を狙える逸材、石田。
そして...目黒広樹の息子、目黒正樹。

目黒正樹が柔道を始めたのは7歳の時。それから6年...13歳にして大人と互角に戦えるまでに成長した。
今では道場で相手が務まるのは、館長の広樹と日本代表に選ばれた3人だけ。

中でも、一番歳の近い石田は特に正樹を可愛がっていた。
正樹も石田を実の兄のように慕っているようだった。


―――しかし。


とある雨の日だった。

その石田が、他殺体で発見されたのは。

広樹含む発見者は、みな一様に言葉を失った。

特に、広樹はショックも大きかったが、同時に疑問に思っていた。
石田の遺体は、袖が破られ、首は叩きつけられたかのように折られていた。
広樹は確信した。
石田は投げ殺されたのだと。
だが、柔道日本代表選手を一方的になげ殺せる人間など―――存在するのだろうか?



その二日後。

日本代表に選ばれていた弟子、棟光もまた、路傍で投げ殺されていた。

この時、広樹の疑念が、ある確信に変わった。
柔道日本代表選手を投げ殺せる者など限られてくる。
柔道に精通し、且つ彼らと渡り合える者。

信じたくはない。だが、それ以外に考えられるはずもない。


148 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:18:22 fC2CxXnE0


その二日後。

深夜遅くになって、道場へと足を踏み入れる者がいた。
その正体は、広樹の息子、正樹。フードを深く被り、リュックを背負って外出していたようだ。
この時点で、広樹は正樹を疑っていた。
石田と棟光。二人を殺したのは、この正樹なのではないかと。

「どこに行っていた、正樹」
「どうしたんです?今日のお父さん、変ですよ?」
「...石田が死んだ時、お前はどこへ行っていた?」
「...?石田...?ああ、いましたね、そんな人。すみませんお父さん、だいぶ前なので忘れちゃいました」
「...ならば二日前はどうだ?棟光が死んだ日、お前はどこで何をしていた!?」
「ムネミツ...?誰ですっけ...?」
「―――とぼけるな貴様ァ!!」

のらりくらりとはぐらかし続ける息子に対し、ついに広樹の怒りは爆発する。

「棟光の遺体を見た時に確信した!!あの投げ方は、紛れも無くお前の仕業だ!」

「何故だ...何故お前があの二人を殺す必要があったんだ?答えろ正樹ィッッ!!!」

そんな父の怒りにも、正樹はなんの反応も示さない。
フードもとらず、ただ聞き流しているだけだ。

「...丁度いいや。お父さんに聞きたいことがあったんです」

やがて、正樹は背負っていたリュックを床に下ろし、ごそごそと中身を漁りはじめる。

「...お父さん」

そして、正樹が取り出したモノを見て。

「誰でしたっけ...コレ?」

その手に掴まれた弟子の生首を見て。


「気が違ったか貴様ァァァァァ!!!」


広樹の息子への怒りは、殺意へと変貌した。

雄叫びと共に、正樹が反応する間もなく懐に入り込む。
胸元と襟を掴み、脳天からかち割るための殺す投げを行使しようとする。


149 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:19:05 fC2CxXnE0


―――が。


(う...動かない...!?)


達人の、それも日本代表選手に匹敵する広樹の投げを。
正樹は捕まれた腕を掴み返すだけで平然と耐えていた。

あり得ない。そんな驚愕の表情を浮かべる広樹。

「...お父さん」

父親に、一流の柔道家に胸元を掴まれて尚、いつもと変わらぬ声色で言う。

「だって...仕方ないじゃないですか?」

正樹のフードがズレ落ちる。

「13年間我慢したんです...もう無理ですよ」

正樹の血走った眼ととめどなく流れる血涙を見た瞬間、広樹は悟った。
正樹は狂乱したのではない。

正樹は―――自分の息子は、最初から人ではなかったのだ。
コイツは、『目黒正樹』という『人間』を、13年間演じ続けていたのだと。


そして、広樹の身体は宙に浮き、頭部に走る強い衝撃と共に―――彼の意識は、二度と戻ることは無かった。



狂気に愛された―――とある柔道家の肖像。


150 : 悪意【びょうき】 ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:21:11 fC2CxXnE0




「やれやれ、殺し合いか...」

そんな言葉をポツリと呟く。

彼はちょっぴり苛立っていた。

本来ならば、こういった催しでは支配する立場の人間だ。
参加者たちの悩み、苦しみ、悶える姿を見て、彼の脳髄は飢えを満たす。
だが、あの魔人皇は、あろうことかあの忌まわしき『魔人』の皇を名乗る少年は、彼を参加者として殺し合いに巻き込んだ。
どころか、優勝すればあの少年の片腕となる権利を与えるなどとほざいた。
この『新しい血族』の長である自分に対してだ。
同意も無しにこの自分を他の人間と同じ土俵に立たせ、あまつさえ首輪を付けて支配する。
この事実は彼にとって屈辱以外の何者でもなかった。

だから、彼はごく自然に方針を決めていた。
この殺し合いを優勝し、あの少年を最も嫌がる方法で処刑しようと。
その途中で何度か愉しみに興じることもあるだろうが、まあそれはそれだ。
他の参加者の、あの少年の阿鼻叫喚な図を思い浮かべると、彼の口元は思わず三日月の形に歪んでしまう。
この生まれついての性分は、この状況においても揺らぐことはないらしい。

「さてと」

ひとまず、彼は支給されたCOMPを確認する。
6面体にそれぞれバラバラな色を彩色された小さな正方形。
どうやらこれが自分のCOMPのようだ。

「くだらない」

そう呟きつつ、彼は手元のCOMPをガチャガチャと弄りはじめる。
製作者の解かせてたまるかという『悪意』の込められ、ディスプレイさえ存在しないこのルービックキューブも、『悪意』の集大成である彼にかかればなんということもない。
まるで飲料水を飲むかのごとく、滑らかに、自然にルービックキューブはその色を揃えられてしまった。

そして、召喚されたのは一人の男。

「...ねえ、おじさん」

召喚された男は、一目で見て"異常"だった。
鍛え上げられた巨躯に、千切られた両袖やぼさぼさの頭髪はともかくとして。
常に絶やさない笑みや、荒い呼吸、だらしなく出された舌も異様ではある。
だが、ひとえに異常なのはその目だった。
その血走り見開かれた双眸は、異常としか言いようのないものだった。


151 : 悪意【びょうき】 ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:21:47 fC2CxXnE0


「俺は、いつまで我慢し続ければいいの?」

そんな男を見て、彼は愉快気に笑みを浮かべた。
使える。この子なら、私の脳髄の渇きを埋めるための駒に成り得る、と。

「もう少しの辛抱だよ。他の人と出会えたら...きみの好きにしていい」
「本当に?いっぱい壊してもいいの?」
「勿論さ。好きなだけ遊びなさい。そして、私を楽しませてくれ」

男の笑みは更に深まり、呼吸は一段と荒くなる。
面白い駒を見つけた、と彼の笑みもまた一段と深まる。



とある犯罪者はこう語る。

真の『悪』とは、特殊な細胞やパワーなんぞで決まるモンじゃない。
『悪』は頭の中にある。
磨かれた吐き気を催す思考回路。
揺るぎない黒い脳細胞を持つ者こそが、選ばれた『絶対悪』だと。


彼の名は『シックス』。
全ての人間のsick(病気)となる男。



 
【?????/1日目/朝】

【シックス@魔人探偵脳噛ネウロ】
[状態]:健康
[装備]:ルービックキューブ型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを勝ち残り、あの主催の少年を彼の最も嫌がる方法で処刑する。

※目黒の名前は、COMPの説明書に書いてあるので認識済みです。

[COMP]
1:目黒正樹@ケンガンアシュラ
[状態]:健康、興奮


152 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/26(火) 16:22:15 fC2CxXnE0
投下終了です。


153 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 16:41:45 GSagP29.0
>>152
投下乙です。
病気の名を持つ男ですら、異常だと思わせる男……これまた、恐ろしい組み合わせが来ましたね


154 : 在り得たかも知れぬ未来 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/26(火) 17:21:11 VPzTEsRM0
投下します


155 : 在り得たかも知れぬ未来 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/26(火) 17:21:45 VPzTEsRM0
「殺し合い……ね」

転移先のビルの屋上から周囲を見渡して少女は呟く。

人を殺す。人に殺される。そういった環境から漸く抜け出せたかと思ったら、また殺し合いの渦中に投げ出された。

「結局…抜けられないのね」

殺戮機械の亡霊(ファントム)から生者へとなれたのに、少女は再び殺人を強いられる。
あの魔神皇と名乗る少年が語っていたことで、少女にわかるのは『首輪が爆発する』ということだけだ。
あの時……見せしめに一人殺された時、嗅ぎ慣れた血の匂いがした。

「…………………」

陰鬱な表情で考える。“彼”ならどうするか。
思考は即座に打ち切られた。考えるまでも無く、この殺し合いを止めようとするだろう。
ならば自分もそうするのみ。乗った者を撃ち倒し、巻き込まれた者達を護るだけ。


方針を決めたら取り敢えず支給品を確認する、こういう時に装備を確認するのは、昔の経験が培った習性だ。

「…………………」

支給されていたのはスペツナズナイフと銃の形をしたCOMP

「銃からは、逃げられないのね」

哀切な口調で呟き、GUMPを起動させる。悪魔だって装備の一つ、いざ実戦になって取り出して、「使えませんでした」では相手に笑い話のネタを提供する役にしか立ちはしない。

眩い光に目を細める。夜間や室内で使用する際には気をつけよう……そんな事を考えていると、光りが収束し、彼女に与えられた悪魔がその姿を現した。

「私は踊り子(バイラリナ)……アナタガ…私のご主人様……」

現れたのは、同じくらいか、わずかに年下の少女。自分の全身を隠せる程の巨大な鉈を持っている。
その黒瞳は、澄んでいる…というよりも、空虚で冷たい夜の虚空の様だった。

――――まるで昔の私の様。

そんな思いを抱きつつ、少女は自分に宛がわれた悪魔、バイラリナに話しかける。

「バイラリナ?それが貴女の名前?」

無言で頷くバイラリナ。

「そう…バイラリナ、貴女は私の指示に従って、良いわね」

再度無言で頷くバイラリナ。

――――取り敢えず従ってくれるわけね。

再度少女は屋上から周囲を見渡して、人影が無いことを確認する。

「移動する、ついてきて」

「はい、ご主人様」

屋上からビルの内部へ入る扉のドアノブに手を掛け、少女は忘れていたことに気づいて振り返る。

「私は江漣…エレンと呼んで」

「はい、エレン」

エレンは知らない、バイラリナが己の名すら無くした殺戮の亡霊であることを。
バイラリナは知ることが出来ない、エレンがかつて名を持たぬ殺戮の亡霊であったことを。

互いに在り得たかも知れぬ姿をそれと知らず瞳に写し、少女達は戦場へと歩き出す。


【?????/1日目/朝】
【江漣(エレン)@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
[状態]:健康
[装備]:COMP:銃型COMP(GUMP)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品。スペツナズナイフ
[思考・状況]
基本:
1.争いを止める
2.殺し合いに乗った者を倒す。

[COMP]
1:バイラリナ@白貌の伝道師
[種族]:屍鬼
[状態]:健康


156 : 在り得たかも知れぬ未来 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/26(火) 17:26:26 VPzTEsRM0
投下を終了します


157 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/26(火) 17:44:33 YsktzAVw0
では続けて投下します。


158 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/26(火) 17:46:04 YsktzAVw0
199X年、世界は核の炎に包まれた!
海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。
だが、人類は死滅していなかった!

……これが〝南斗孤鷲拳〟伝承者シンの知る世界の知識であり、常識である。

そう……金や宝よりも、水や食料、武器などが必需品とされる狂った環境。
力こそ正義であり、弱きものはのたれ死んでいく……それこそが、シンの生きてきた世界。
だというのに、だ。

「これは……どうしたことだ……!?」

とある小高い山から見下ろす景色からは、そんな常識が一切合切敗訴されていた。
海は枯れていないし、地も裂けていない。建物も崩壊しておらず、遠くでは高層ビルが建ち並んでいる場所もある。
しかも耳を澄ませば小鳥のさえずりが聞こえ、穏やかな風によって枝葉の息づかいまでもが聞こえるではないか。

……そう言えば、あの不気味なリングを吊り下げていた少年は、舞台の生成と管理も自分の仕事と言っていた。
その結果が、この世紀末を全く彷彿とさせない世界だと言うことか……。
シンはあの学生服の少年の実力に嘆息すると、

「ふん。こんぷという言葉こそ聞き慣れんが、相当の力は持っているということだな」

ある高層ビルに目をやり、強敵ケンシロウに敗れた瞬間のことを思い出した。
そして少しだけ感傷的になった彼の長髪――美しい金色だ――が、風によって揺らされる。
シンは思う。己が愛した女、ユリアは無事だろうかと。果たしてどのような運命を辿ったのだろうか、と。

「確かめたい……そして、そのためには……」

静かに拳を握り、やがてそれを手刀へと変えた彼は、ケンシロウとユリアを想いながら決意した。
この世界から脱出し、今度こそ正当な方法でユリアを振り向かせてみせると。

そこでシンが手に取ったのは、彼の白い服と同じ色をした……たま○っちであった。
否、これはた○ごっちであってたまご○ちではない。立派な悪魔召喚プログラム内蔵型のたまごっ○なのである。
ちなみに「○まごっち」とは……90年代、世界が核の炎に包まれる前に流行っていた生物育成ゲームである。
ついでに言うと、白色はレアだった。長嶋監督が持っていたと話題になったこともある(はず)。


159 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/26(火) 17:47:03 YsktzAVw0
「世界があのようになる前には、ユリアもこれを手に入れようと必死だったな……フフ」

生物を成長させるゲームに悪魔を召喚するプログラムを入れるとはまた粋なことをしてくれる。
そんなことを考えながら、シンは魔神皇への怒りを握力へと変換し、三つある内のボタンを一つ押した。
すると、

「俺は物真似師ゴゴ。今まで物真似をして生きてきた」

目元しか見せぬ覆面をかぶり、色とりどりの衣を重ね着することによって全身を隠した、謎の存在が現れた。
声や体躯からは性別を推察することが出来ず、そもそも全身を衣で纏っているため、人なのか物の怪の類いなのかすらもわからない。
もしかすると、本当に悪魔という存在なのだろうか? いや、だがこの悪魔は物真似師と名乗っていた。果たして何者なのだ……シンは迷いに迷う。
しかし彼は出現したゴゴに人差し指を向けると、そのまま「もう一度、名乗ってみろ」と命じた。

「俺は物真似師ゴゴ。今まで物真似を……」
「待て、そこで止まれ」

しかしシンは、自分で命令しておいてその自己紹介を中断させた。
まるで「それはないだろう」とでも言いたげな視線がグッサグサ突き刺さるが、シンは怯まず尋ねる。
「物真似師とは何だ?」と。
すると、帰ってきた言葉はごく単純な物だった。

「物真似をする者だ」

シンは片手で両眼を伏せながら、大きく溜息をついた。
そして「つまりあれか……貴様は、その、芸人の類いということか」と呟くと、がっくりと膝を折る。
ダメだ。ただ物真似をするだけのよく分からない存在が相棒になっても勝てるとは思えない。
シンは遂に地に膝を突くと、再び大きな溜息をついた。

「芸人ではない。物真似師だ」

すると、不意にこんな言葉が耳朶を叩いた。しかも〝シン自身と寸分違わぬ声色〟で。
その言葉に思わず釣られたシンは、伏せていた顔をすぐに上げる。
するとゴゴは「見せてやろう」とシンの声で呟くと「その神髄を、見せよう」と宣言して行動に移った。

「な……っ!?」

まずゴゴは片手で両眼を伏せながら、大きく溜息をついた。
そしてシンの声を真似て「つまりあれか……貴様は、その、芸人の類いということか」と呟くと、がっくりと膝を折る。
最後にゴゴは地に膝を突くと、再び大きな溜息をついた。

「……なん、だと!?」

シンは即座に立ち上がると、全身に震えが起こるのを感じた。鳥肌すら立っていた。
そう、何せゴゴの一連の行動は先程シンががっかりした際に起こした無意識の行動そのままだったのだ。
しかもその動きには一子の乱れがない。両眼を伏せる片手や折れる膝の角度、そして膝を地に着けるタイミングなども完璧だった。
これが、これが……物真似だというのかっ!? シンは一瞬だけ恐怖したが、すぐにニヤリと口角をつり上げた。


160 : ゴ5様 ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/26(火) 17:48:59 YsktzAVw0
「面白い、面白いぞゴゴ! なるほど、確かに物真似師というだけのことはある!」

そして彼は南斗孤鷲拳の構えを取ると、

「では試してみよう! ゴゴよ、貴様は俺の技を真似ることが出来るかな!?」
「見せてみろ」
「言わずとも!」

シンはその場で高く跳躍すると、誰もおらぬ空に向かって鋭い蹴撃を放った!

「南斗獄屠拳!」

そう。これはシンが会得している南斗孤鷲拳の奥義である。
そして更に、地面へと華麗に着地したシンは、続けざまに絶技を放つ!

「南斗雷震掌!」

その技は非常に奇妙かつ苛烈であった。
なんと天へと掲げた片腕を地面へと突き刺すことで、火柱のような闘気を噴出するという恐ろしい技なのだ。
そんな絶技を披露しても汗一つかかずにいたシンは、背中越しに「貴様にこの技が真似できるかな?」と問う。
そしてゆっくりと振り向くとゴゴを試すように睨み付けてやろうかとでも思っていたのだが……。

「む?」

振り向いた先に、ゴゴの姿はなかった。まさかと思いたま○っちの画面を見るが、そこにもゴゴの姿はない。
シンは「どこに消えた!? 物怖じして逃げたか!?」と挑発しつつ、視線を左右に向けながらゴゴを探す。

すると天から、〝シンの声が聞こえた〟。

「南斗獄屠拳!」

気付けばシンは「な、何ィ〜!?」と声をあげ、上空へと顔を上げていた。
視線の先では、ゴゴが完璧な高さとフォームで蹴り技を……否、まさしく南斗獄屠拳〝そのもの〟を披露している!
そして更に、地面へと華麗に着地したゴゴは、続けざまに絶技を放つ! その技は……もちろんこれだ!

「南斗雷震掌!」

天へと掲げた片腕を地面へと突き刺すことで、火柱のような闘気が噴出される。
掲げた腕の角度、地に刺すタイミング、そして闘気の量も完璧だった。完璧にシンの技を模倣している。
そして「どうだ」と地声で呟いたゴゴは、棒立ちになって再び自己紹介を始めた。

「俺は物真似師ゴゴ。今まで物真似をして生きてきた。何故ならば、それしか能が無いからだ」
「それしか、だと!? ふざけるな! この俺が苦労して会得した奥義を模倣しておいて、そんな謙遜を……!」
「本当のことだから仕方がない」

そこまで言うと、ゴゴは言葉を切ってシンに人差し指を突きつけた。

「三回目だがもう一度言う。俺は物真似師ゴゴ。今まで物真似をして生きてきた」

そして、問う。

「お前は今、何をしているのだ?」

ここでシンは、自身の目的をようやく思い出した。
そうだ。この世界から脱出し、今度こそ正当な方法でユリアを振り向かせてみせる。それが自分の目的だったではないか。
だというのに、たった一人の相棒に対して何を偉そうに奥義を放ち、勝手に矜持をボロボロにされるとは、一生の不覚である。
そもそもよく考えてみれば、これほど完璧な物真似が出来るということは、自分がもう一人いることとほぼ同じことではないか。
シンは両腕を軽く広げて高笑いをすると、再び口角を上げてゴゴに手を差し出した。握手を求めているのだ。

「名乗っていなかったな。俺はシン。南斗孤鷲拳という拳法を会得し、かつて強敵(とも)に敗北した者だ」

するとゴゴは、シンと全く同じ動きで手を差し伸べ、がっちりと固い握手を交わすのであった。


161 : ゴ5様 ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/26(火) 17:50:02 YsktzAVw0
【?????/1日目/朝】

【シン@北斗の拳】
[状態]:健康
[装備]:た○ごっち型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:この世界から脱出し、今度こそ正当な方法でユリアを振り向かせてみせる。
[COMP]
1:ゴゴ@ファイナルファンタジー6
[種族]:物真似師
[状態]:健康


162 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/26(火) 17:50:27 YsktzAVw0
投下終了です。
途中までタイトルを付け忘れてました。失礼しました。


163 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/26(火) 17:53:56 YsktzAVw0
すみません、文中の

>……そう言えば、あの不気味なリングを吊り下げていた少年は、舞台の生成と管理も自分の仕事と言っていた。
>その結果が、この世紀末を全く彷彿とさせない世界だと言うことか……。

これはなかったことにして下さい。
理由は聞かないで下さい。辛いです……。


164 : 名無しさん :2016/04/26(火) 18:03:32 VPzTEsRM0
候補作一覧の枠の中に入れられないんです。助けて下さい。お願いします


165 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 18:08:44 GSagP29.0
おふた方とも投下乙です。

>>155
再び殺し合いに放り込まれる少女、少し影がある感じで魅力的ですね。
悪魔として使わされた踊り子も、不思議な感じ……

>>162
たまごっちで遊ぼうとしたら召喚されて奥義まで真似されるのなかなか無いでしょ……
しかし、真っ当な対主催になる……のか?

>>164
候補作一覧ページのテンプレートをそのままコピーしてください。
(編集画面ではなく、一覧画面の時にコピーしてください。)
そんで、コピーした奴を最新投下の一番下にくっつけるイメージです。

例を出すと
〜〜〜〜〜〜〜〜
|C-000|[[あっちょんぶりけ]]|ピノコ(オムカエデゴンス)|◆SAMPLE!!|

まで追加されてる時に、

|C-000|[[あっちょんぶりけ]]|ピノコ(オムカエデゴンス)|◆SAMPLE!!|
|C-XXX|[[タイトル]]|キャラ名(悪魔名)|◆トリップ|

このようにテンプレートを貼り付け、該当項目を書き換える感じです!

さて、自分も投下しますね。


166 : 宣告 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 18:09:31 GSagP29.0
 登り始める太陽が、全てを照らしている。
 その光を睨む、赤毛のリーゼントの男。
 名を、八神庵と言う。
「……くだらん」
 吐き捨てた言葉の向き先は、殺し合いというこの場。
 邪魔をするのであれば話は別だが、手当たり次第に人を殺すつもりはない。
 だからといって、誰かに飼われる趣味もない。
 いずれ彼の元へたどり着き、この下らない遊技に巻き込んだことを後悔させながら、殺す。
 ただ、それだけの話だ。
 誰かの協力など、必要ない。
 この足で、この手で、この力で。
 魔神皇を、殺す。

 ふと、そこで気がつく。
 この殺し合いを開くにあたって、魔神皇とやらに異能があるのは確定的だ。
 現に、自分はその力でここに呼び寄せられた。
 もし、その力が任意の他人を呼び寄せることができる力だとすれば。
「……あの小僧を喚ばせることも、できるだろう」
 たどり着いた答えに、庵は口元を大きく歪めて笑う。
 片手で頭を押さえ、段々と、声を上げながら笑う。
 そう、庵の"炎"を奪った、一人の少年。
 あの少年を今すぐにでも殺して、力を奪い返せるかもしれない。
「感謝するぞ、魔神皇。貴様の力で、俺は俺に戻れるのだからな」
 再び、空を睨む。
 どこにいるのかは分からなくても、自分を見ていることは、分かるから。
「月を眺めて、待っていろ!!」
 そして庵は、空へと叫んだ。

「あのぉー、もしもーし」
 その時、誰かが庵に呼びかけた。
「呼んでおいて放置ってのも、酷いと思うなぁ……」
 それは、黒のゴシックの服に赤いマントを羽織った一人の少女だった。
 そう、彼女は庵が気まぐれに触ったCOMPから呼ばれた者、言わば"悪魔"だ。
「せっかく呼んだんだし、自己紹介ぐらいしない?」
 しかし、彼女を呼んだことに気付いているのかいないのか、庵は自分一人の世界を進めるだけだ。
 少女はありとあらゆる角度から庵のことを見つめるが、庵は依然として反応を示さない。
 そんな庵をよそに、少女はどんどん言葉を続けていく。
「あたしは、戦士ルビー。ホントはルビー・ローズって名前なんだけど、みんながルビーって呼ぶから、私もそうしてる。
 この子はクレセント・ローズ。あたしが作ったんだよ、それでね」
 ルビーが腰に下げていた銃をおろし、それを鎌に変形させた時、ぽつぽつ、と庵が歩き出した。
 話を聞いていたのか、聞いていなかったのか、いや、そのどちらでもなく、興味がなかっただけなのか。
「ちょ、ちょっと!」
 少女、ルビーは庵を再び呼び止める。
 すると、庵はゆっくりと振り返り、一言だけ彼女に告げた。
「俺の邪魔をするなら容赦はせんぞ」
 手短にそう告げるだけ告げ、庵はルビーに背を向けて再び歩き始める。
 我関せず、そんな言葉が本当によく似合っていた。
「頑固な人、どっかの誰かみたい」
 その姿に、ルビーは誰かの姿を重ねながら、庵の後ろを付いて歩いた。

【?????/1日目/朝】
【八神庵@THE KING OF FIGHTERSシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇の元へたどり着き、あの少年(アッシュ)を呼ばせて、殺す。邪魔するものも殺す。
[備考]
※XIのエンディングにて炎を奪われた時点での参戦です
[COMP]
1:ルビー・ローズ@RWBY
[種族]:戦士
[状態]:健康


167 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/26(火) 18:09:44 GSagP29.0
投下終了です。


168 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/26(火) 18:39:24 VPzTEsRM0
>>165
教えて頂き有難う御座います


169 : 機械メソロギヰ ◆DwmIeQytxU :2016/04/26(火) 21:36:48 qTdn1lSE0
投下します


170 : 機械メソロギヰ ◆DwmIeQytxU :2016/04/26(火) 21:37:06 qTdn1lSE0
「どうしてこうなっちゃたんだよお…」
廃ビルと思わしき部屋の隅で頭を抱えるニット帽を被った少年、天野雪輝は震える声でそう言った。
時空王に選ばれた12人の未来を記す日記ーー未来日記の所有者同士のサバイバルゲームの真っ最中、
突然、魔神皇を名乗る少年にこの場に連れてこられて殺し合いを宣告された、正直頭を抱えている。
オマケに携帯型のCOMPから出てきた悪魔はーーー

「まあそう気を落とすな雪輝、そのうちきっといいことがあるのじゃ」
携帯型COMPから勝手に出てきたこの見覚えのある白髪、褐色の肌の少女、食べている餅
一度召喚した時は幻覚だと思い、すぐにCOMPに戻したがやはりそうではなかったのだ。

「なんでお前がここにいるんだよムルムル!!」
「ふっふっふ、雪輝、おぬし勘違いをしているようじゃな、儂はムルムルでは無いのじゃ」
「え?」
「儂はムルムルであってムルムルでない分け身、さし詰めムルムル2号なのじゃ!」
「なんだよそれ…」
再び頭を抱える、餅を食いながらドヤ顔で言ってるのに腹が立つ。

「ところでこの状況ってなんなんだよ!日記所有者のサバイバルゲームの方はどうなったのさ!」
「知らないのじゃ、本体から切り離されて召喚されたら訳の分からないうちに、あの魔神皇と言う男にここに封じられて、ワシにも何がなんだかわからないのじゃ」
「じゃあムルムルはなんにも知らないのか…」
ため息を付きながら携帯型COMPを弄る、やはり携帯が違う以上未来日記機能はなく、何ら情報を得ることは出来なかった。


171 : 機械メソロギヰ ◆DwmIeQytxU :2016/04/26(火) 21:37:19 qTdn1lSE0

「まあ案ずるな雪輝!この機械を通して、おぬしとの契約が結ばれている以上、当然ワシがガンガン戦っておぬしを優勝に導くのじゃ!」
「優勝してどうするんだよ…第一ムルムルじゃあ頼りないや」
「友達を信じるのじゃ雪輝!」
「友達、かぁ…」
友達、そう、忘れかけていたが、ムルムルと僕はあの空想の世界で友達だったのだ。
たとえ頼りなく感じても、恐ろしい悪魔ではなく既知の仲であるムルムルが封じられていたのは運が良かったのかもしれない。

「うむ、それにあのサバイバルゲームのように、どうせ乗っても乗らなくても戦いは起こるじゃろう、
 確かに乗るメリットがない今、できるだけ参加者との戦闘を避けて、共に脱出を望むものと同盟を組むのも悪くないかもしれんの」
あの来栖が、一周目で長生き出来た最大の理由は、未来日記所有者4人による同盟の力も大きかったからの、という言葉は飲み込んでおく。
「ムルムル…そこまで考えてたなんて驚いたよ」
「それに、どっちにしろ結構面白そうじゃからの!
 今までのゲームでは見られなかったようなイベントがたくさん見られそうじゃし、楽しもうぞ雪輝!」
「やっぱムルムルはムルムルだなあ…」
大きくため息をつきながら、一人の人間と一人の悪魔は外への一歩を歩み始めた。

【?????/1日目/朝】

【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:できるだけ争いは避け、舞台から脱出する。
[COMP]
1:ムルムル@未来日記
[状態]:健康


172 : ◆DwmIeQytxU :2016/04/26(火) 21:37:37 qTdn1lSE0
投下終了します


173 : ◆NIKUcB1AGw :2016/04/26(火) 22:23:57 HxNq4XQM0
投下させていただきます


174 : 俺様街道一直線 ◆NIKUcB1AGw :2016/04/26(火) 22:24:55 HxNq4XQM0
とある公園のベンチに、一人の中年男性が座っていた。

「やれやれ、なんだかめんどくせえことに巻き込まれちまったな」

顔をしかめてそう呟く男の名は、ハーレム。
世界一の殺し屋集団と謳われるガンマ団の総帥・マジックの弟であり、自らも特戦部隊の隊長を務める猛者だ。

「あんなガキの言うことを聞くのは、ちょいと癪だが……。
 まあ仕事の依頼と思えばどうってことねえか。
 とっとと全員ぶっ殺して帰るかね。当然、報酬はた〜っぷりともらうがな♪」

ハーレムの言動に、殺人への忌避感は欠片もない。何せ彼は殺し屋なのだから。
特に彼が率いる特戦部隊は、「攻撃目標全破壊」を基本とする過激派集団なのである。

「ああ、そういや悪魔がどうこうとか言ってたっけ?
 俺一人でも楽勝だろうが、代わりに戦ってくれるやつがいるならそっちの方が楽でいいか」

鼻歌交じりにハーレムはCOMPを操作し、自分に与えられた悪魔を呼び出す。

「ガッハッハッハッハ!」

その瞬間、周囲に不敵な笑い声が響く。
そして、ハーレムの巨体をさらに上回る大きさの怪物が姿を現した。

「なんだぁ、このクソでかい亀は! ガ○ラか!?」
「我が輩のような強力無比の悪魔を引き当てるとは運がよかったな、人間!
 我が輩は魔王 クッパ! 共に暴れ回ろうではないか!」

最悪の壊し屋と不屈の魔王が、今ここに出会った。


【?????/1日目/朝】
【ハーレム@南国少年パプワくん】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ガラケー型)
[道具]:基本支給品、未確認支給品(1)
[思考・状況]
基本:皆殺し
[COMP]
1:クッパ@スーパーマリオシリーズ
[種族]:魔王
[状態]:健康


175 : ◆NIKUcB1AGw :2016/04/26(火) 22:25:24 HxNq4XQM0
投下終了です


176 : ◆lb.YEGOV.. :2016/04/27(水) 01:03:29 clBPvB420
投下いたします


177 : ◆lb.YEGOV.. :2016/04/27(水) 01:04:22 clBPvB420

「ムーン、これは困った困った」

発言に比べて、あまり困っているようには感じられない飄々とした呟きが静まり返った空間に響いた。
無人の民家に男が一人。
男を一言で言い表すならば異形という単語が相応しいだろう。
長身痩躯に黒いスーツ、黄色い肌と黒目のない瞳、そして極めつけは三日月を連想させる奇怪な頭部。
男の名はムーンフェイス。
ロシアの宇宙飛行士、ルナール・ニコラエフの成れの果て。
ホムンクルスと呼ばれる錬金術によって産み出された食人の化け物。

「まさか武装戦団に拘束されていたと思ったらこんな事になるとはね」

彼の所属していたホムンクルスとその信奉者による集団、LXE(超常選民同盟)は錬金戦団の戦士達に敗れた。
そして自らも戦団に捕縛され再起の機会を狙い雌伏の時を過ごしてからどれだけの時間が経っただろうか。
よもやこのような形で首枷つきとはいえある程度自由に動ける時がくるなどとは、彼自身予想だにしていなかった事だった。

「まったく、殺し合えっていうのなら没収された僕の核鉄くらい渡してくれればいいのにさ、その方がやりやすくなるってものだよ」

さらりと、物騒な事を言ってのける。
ムーンフェイスは既にこの殺し合いに乗ると決めていた。
他の参加者から奇異の目で見られ、その気がなくとも怪しまれるという事もある。
専門的な機械工学の知識のない彼自身に首輪を外す宛がないという事もある。
身体スペックの差からただの人間にはそうそう遅れをとる事もないという自負もあった。
だが何よりも、魔神皇のいう願いを何でも叶えるといった言葉。
無論、眉唾物ではある。その気にさせるだけの甘言の可能性も高い。
それでも、勝ち残ることでホムンクルスになってなお執着する、あの月に手を伸ばせるのならば。
焦がれた夢にムーンフェイスは己と、ここに呼び出された哀れな犠牲者達の魂を賭ける腹積もりであった。


178 : アルケミック・モンスターズ ◆lb.YEGOV.. :2016/04/27(水) 01:05:25 clBPvB420

「ま、ないものねだりをしたって仕方がない。確かこのタブレットに僕の悪魔君がいるんだったかな?」

支給されたタブレットに搭載された悪魔召喚アプリを起動する。
目映い光に包まれて出てきたのは道化の様な姿をした長身の男だった。

「お呼びにあずかり恐悦至極! 私ぃ、妖魔はメフィストフェレス。サマナー様の命により只今まかり越してございまぁす!」

ハイテンションな声と共にメフィストフェレスと名乗った悪魔が恭しくお辞儀をする。
その体勢を維持したまま、顔だけがグイン、と起き上がり、ムーンフェイスへと向けられた。
感情の読めない二つの視線が重なりあう。

「ムーン、中々にハイセンスな格好の悪魔君だ」
「おお、この悪魔的ファッションに理解がおありとは、服飾センスに関する慧眼をお持ちのご様子。
見ればサマナー様もかなりエキセントリックかつスタイリッシュかつクールなご格好。何かのコスプレで?」
「生憎と普段着だし顔も自前だよ、お洒落な悪魔君。確かメフィストフェレスだっけ? 戯曲にも語られる高名な悪魔の力を借りられるとはね
僕はムーンフェイスっていうんだ。よろしく」

表面的には友好的な言葉を交わすが、ムーンフェイスは信愛の証として手を差し出すまではしなかった。
メフィストフェレス。錬金術師ヨハン・ゲオルク・ファウストが召喚したというこの悪魔については錬金術に携わってきたムーンフェイスも多少なりともその正体を知っている。
ファウストとの契約を遵守し忠実に振る舞う傍らで巧みな弁舌を用いて召喚主たるファウストを操作しようとした、その奸智に長けた悪魔的とも言える本性。
心を許せば、破滅の底にまんまと叩き落とされてしまう事だろう。
ポーカーフェイス染みたムーンフェイスの笑顔の裏の警戒心を知ってか知らずか、メフィストフェレスはにんまりとした笑みを浮かべる。

「ええ! ええ! よろしくお願い致しますとも! ここより先、長い仲か短い仲かも定かではありませんが、契約悪魔たる本分をもって炊事洗濯料理に掃除はもちろん戦闘まで、サマナー様に誠心誠意尽くさせて頂く所存でございます! ウフッ、ウフフフフフ!」

何が可笑しいのか甲高い笑い声を響かせながらメフィストフェレスが漸くお辞儀の体勢を解く。
互いに笑顔を張り付かせたまま、決してその本心は明かさない。
クスクス、フフフと、二人だけの民家に笑い声が響く。
それがパートーナーとまだ見ぬ犠牲者、そのどちらに向けての笑みなのかは今はまだ知る由はない。


【?????/1日目/朝】
【ムーンフェイス@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:COMP(タブレット型)
[道具]:基本支給品、未確認支給品(1)
[思考・状況]
基本:殺し合いに優勝する
[COMP]
1:メフィストフェレス@Fate/GrandOrder
[種族]:妖魔
[状態]:健康


179 : ◆lb.YEGOV.. :2016/04/27(水) 01:07:24 clBPvB420
以上で投下終了します


180 : ◆7ediZa7/Ag :2016/04/27(水) 03:10:16 .Zq4FJbA0
投下します。


181 : Vs Imaginator ◆7ediZa7/Ag :2016/04/27(水) 03:11:09 .Zq4FJbA0




“生きているということ、生命というものがこの世にあること、それ自体がひとつの奇蹟だからだよ”









……私の周りには、昔からそれは溢れていました。

倒れたお兄ちゃんを見た時、私はまだその意味を分かっていませんでした。
まだ子どもの頃、この世界のことを何も知らず、何も恐れていなかった私は、なんで動かないんだろう? と首が変な方向にねじまがったその身体を見て思ったものです。
だからお兄ちゃんが結局起き上がらなくて、それ以来顔を見せなくなっても、悲しみよりも疑問が強まるだけでした。

でも、昨日まで元気に笑っていた弟が、冷たいモノと化して出てきた時、私はおぼろげながらもそれが“終わり”だと悟った気がします。
あの子がもう二度と動かないように、お兄ちゃんももう二度と帰ってこないのだと、その時、ようやく分かったんです。
それでも、私はまだ理解はしていませんでした。“終わり”だと理屈では分かっていても、感覚が追いついていなかったのでしょう。
“終わり”は“始まり”でもあって、天国とか地獄とか、そういうものが待っているのだと勝手に解釈していたのかもしれません。

敏い子だったらそれの正体に気づいたのかもしれませんけど、私は、昔からどこか抜けていた子でしたから。

それでも――母が目の前で赤い血を撒き散らした時、流石の私も気づきました。
その時、母は私をかばい、その身で私を抱きしめていました。

どくどくと流れる赤い血。胸から伝わる鼓動は何時もよりずっと強く聞こえる。
その身体はかつてないほど熱くなっていて、でも、猛烈な勢いで冷えて行ってしまっている。
熱くて冷たい、なんて不思議なことを思った気がします。

――ちくしょう、でもママはやられちゃった……ごめんね、晴

母はそう言って、死んでいきました。
その時、私はその身体から何かがこぼれ落ちているように見えました。
まるで水槽に穴を空けた時のように、母の身体から何かが抜けていっている。空けられた穴はあまり大きくて、もう塞ぐことはでいない。
これが完全に抜けてしまった時、“終わり”がやってくるんだ、と私は確信しました。

……それは“死”と呼ばれるもので、私の周りに溢れていたものの正体でした。

『ふうん、アンタも大変だったんだなぁ』

私の話を聞いて、現れた“悪魔”さんはそう言ってくれました。

『そんな風に子どもの頃から襲われて、奪われて、傷だらけになって、それでしまいにゃこんな訳分かんねえ催しに加えられたって訳だ。
 救えない話だ。流石の俺も同情するぜ』

“悪魔”さんはそんな風に言ってくれるけど、口調は乱暴と言うか、どこか適当な感じで、今一つ本気で言ってくれる気がしません。
でも、“悪魔”に同情されちゃったと思うと何だかおかしくて、私は「あはは」と笑います。すると“悪魔”さんの方も「にひひ」と笑ってくれました。
この“悪魔”さん、適当だけども意外と調子が良くて、何かを話すと結構合わせてくれるんです。
その辺り、何となく悪い“悪魔”じゃないのかな? と私は思います。何だか、変な字面ですけど……

『それにしても悪魔ねぇ……勝手にニセモノの生命こしらえてそんな風に呼ぶっつうのも都合の良い話だよな?
 ま、元々悪魔っつうのは神サマのちょうどいい引き立て役な訳だから、言い得て妙なものなのかもしれないがなぁ』

“悪魔”さんはどこか自虐的に言います。
ちなみに、“悪魔”さんの姿は見えません。
昔流行っていたらしいタマゴ型のゲーム機から出てきたのは、この変てこな“悪魔”さんは姿カタチも何もなくて、ただ声だけが頭に響いてくるのです。

『で、だ。アンタ……ええと、なんだっけ?』
「晴です。一之瀬、晴」
『そうか、晴はどうすんだよ。不幸続きの果てに殺し合いに巻き込まれてよ。
 思うに――アンタはそろそろ死にたくなってきてる頃だと思うんだが、そこで一つ提案が……』
「違いますよ」
『地獄への道連れとして俺を殺して――て、ん?』

“悪魔”さんはそこで首を傾げます。いや、姿は見えないので私の勝手な想像なのですけど。

「“悪魔”さん、晴はね。絶対に死にません。
 殺されずにここから、生きてここから出ていきます」

不思議がっているであろう“悪魔”さんに対し、私ははっきりとそう言いました。
殺し合い。閉じ込められて、“悪魔”を与えられて、最後の一人になるまで戦う。
そんな状況に至っても、私は生きることだけは諦める気はありませんでした。


182 : Vs Imaginator ◆7ediZa7/Ag :2016/04/27(水) 03:12:30 .Zq4FJbA0

『ふうん……何でかよく分からねえなぁ。
 そんなどうしようもない過去があったら、生きることに飽き飽きしそうなもんだがなぁ』

私の言葉に対し“悪魔”さんはそう言いました。
やはり変な“悪魔”だと思います。“悪魔”だというのに、私を誘惑する訳でも邪魔する訳でもなく、ただしみじみと驚くだけなんて。

――どくん。

それは心臓の音ではありませんでした。
胸だけでなく全身に蓄えられたエネルギーが、スイッチがONになったことで一斉に流れ出したような、不思議な感覚です。
何かが目覚める。何かが切り替わる。何かを“突破”する。

――殻を破る

そして、私はそれが見えるようになりました。

「え、これは……」

私は思わず声を漏らします。
私の手、私の身体を渦巻くようにして、黒い霧のような何かが見えたからです。

『……おい、そいつはまさか』

困惑する私を余所に、“悪魔”さんは驚いたように声を上げました。

『お前、一体何者だ?
 まさか、こんな特別製だとはな……とんでもない大当たりかよ』
「えと、これは……」
『“生命”が見えてそれをどうにかできる能力、ということか、こんなMPLSが存在するとはな――』

えと、あの……と私は戸惑うばかりです。
MPLSだとか、“生命”を操るだとか、聞こえてきた言葉はどれも意味の分からないものでしたから。
けれども――その中で特別性という単語だけは心当たりがありました。
そう、お兄ちゃんも弟もお母さんも、私を守るために……

『人は“自分の中の可能性と格闘するために生きている”少なくとも、オレを造った奴はそう思っていたらしい。
 オレはニセモノの悪魔、造魔として虚心を与えられ“人から眠れる才能を引き出すため”に造られた』

“悪魔”さんは説明してくれました。
でも、その言葉の意味も、私にはうまく掴めずにただぼんやりとタマゴの“悪魔”さんの話を聞きます。

『その能力の余波を受け、お前は“突破”したんだ。内なる才能が殻を破って表出した。
 それがその、“生命”を見る能力って訳だ』
「“生命”を視る……」

私は思わず、自分の手を見ました。
変わらず霧のような何かが渦巻いています。それは――確かにあの時、お母さんが死んだ時に視たもののように思います。
生命のヴィジョン。命が命としてあるためのエネルギー。そういうものであるように、それは視えました。

けれども……違う。

私は直感していました。その本質は“生命”ではないのだと。
寧ろ逆の……この世のものが“終っていく”ことがどうしようもなく運命づけられていることを視ているのだという、奇妙な確信がありました。

――“死”を視る能力。

私は、“悪魔”さんから与えられた能力を、そういうものであるように感じていたのです……








とあるところに、一人の少女がいた。
少女は人の“死”が視えた。当たり前のように、当然のように、“死”は彼女の世界に満ちていた。
そんな奇妙な日々<ストレンジ・デイズ>を過ごしている内に、彼女は気づいた。
“生”とは“死”の途中でしかなく、“死”という絶対条件の前提、影響でしかないのだ、と。


……その少女は、結局世界の敵になり、墜ちて、死んだ。



<Vs Imaginator Part.X Opened>



【?????/1日目/朝】
【一ノ瀬晴@悪魔のリドル】
[状態]:健康、『ストレンジ・デイズ』に酷似したMPLS能力
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、未確認支給品(1)
[思考・状況]
基本:私は……
[COMP]
1:造魔 エンブリオ@ブギ―ポップシリーズ
[状態]:健康
※COMPの形状はタマゴ型ゲーム機


183 : ◆7ediZa7/Ag :2016/04/27(水) 03:12:48 .Zq4FJbA0
投下終了です


184 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 09:27:11 n5M6Ia0U0
皆様投下乙です!

>>172
原作コンビ再現! いいですね。
ムルムル側はノリノリのようですが……はたして。

あと、検索でトリップキーが余裕で引っかかるので、トリップの変更をお願いいたします。

>>175
クッパ様をガメラ扱いは流石に草www
しかし魔王様は結構乗り気……?

>>179
デジャブを感じる悪魔きたーっ!?
あれ、でもあっちはマスターが尽くす方か、ならいいのか?
ムーンは完全に乗り気ですね、核鉄はないとはいえ、恐ろしいかも。

>>183
能力覚醒、いいですね! 死を見る能力、バトロワでどう映えるか……
あと、細かいことで大変申し訳ないのですが、
Wiki収録時にCOMPの形式を他作品と合わせておいて頂けると助かります!

さて、自分も投下します。


185 : 記号 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 09:27:32 n5M6Ia0U0

 きぃ、と金属の軋む音が響く。
 滅んだはずの東京の一角にある、小さな公園のブランコに、一人の男は腰かけていた。
 男の名は、名は、名は。

 名は、無い。あるのはただ、"英雄"という称号だけ。
 
 数多もの悪魔を殺し、かつては共に歩いた友を殺し、そして、神をも殺した一人の男。
 誰も、誰も彼の名前を呼ぶことはなく、ただ、"英雄"という称号だけで、人々は彼を呼んだ。
 いや、彼の名前など、彼自身ですら、もう覚えていなかったのかもしれない。
 
 きぃ、と金属の軋む音が響く。
 殺し合い、あの少年はそんなことを言っていた。
 正直に言えば、どうでもいい。

 たどり着く先に待っている未来なんて、どうせ――――

 そんなことを思いながら、手際よく配られた物資を確認する。
 真っ先に飛び出したのは、一本のナイフ。
 それは、いつか手にした力の欠片。

 少年が、"英雄"へと変わっていく、切っ掛けだった。

 ふ、と笑ってから、ナイフを懐にしまい、残りの物資を確認する。
 次に出てきたのは、COMPだ。
 ご丁寧なことに、それは自分が扱いなれていたアームターミナル型。

 これもまた、"英雄"に必要なモノだった。

 どこまで、自分のことを知っているのだろうか。
 悪魔について言及していたことも含め、あの少年は"知っている"のかもしれない。
 誰しもが出会う可能性のあった、日常と隣り合わせの、"現実"に。

 ――――どうでもいい。

 そう思いながらも、彼はCOMPを操作する。
 一体だけ登録された悪魔を、慣れた手つきで呼び出す。
 単なる戯れ、そのつもりだった。

 そして、彼女は光を纏って現れた。

 ふわりとした髪、金の髪飾り、水色の服に、紫のマント。
 手には、透き通るような輝きを持つ剣と、青く光る盾。
 年は、自分と同じぐらいだろうか。

「私は、勇者……」

 彼女は、そこで言葉を詰まらせた。

「勇者、ロトよ」

 そして、名前を名乗りなおした。
 それだけで、十分だった。
 彼には、全て分かってしまったのだ。

「君も、か」

 彼女もまた、"称号"を持つものなのだと。
 何の因果か気まぐれか、はたまたあの少年の嫌がらせか。
 ともかく、二人は出会ってしまった。

「話を、しよう」

 "勇者"を前に、"英雄"の口が自然と開く。

 どこかに置き忘れたはずの言葉達は、止まることを知らなかった。

【?????/1日目/朝】
【ザ・ヒーロー@真・女神転生】
[状態]:健康
[装備]:COMP(アームターミナル型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:"勇者"と話す。
[COMP]
1:"ロト"(女勇者)@ドラゴンクエスト3
[種族]:勇者
[状態]:健康


186 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 09:27:46 n5M6Ia0U0
以上で投下終了です。


187 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 10:04:15 n5M6Ia0U0
備考欄忘れてたんで、一応こちらにも。

[備考]
※真・女神転生if...における魔人 ザ・ヒーローが、何らかの手段によって人間として参戦しています。


188 : 名無しさん :2016/04/27(水) 10:16:58 Vy/exVzw0
質問なのですが、やられ役として作中ですぐに死ぬ名無しキャラを出すのは禁止でしょうか?


189 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 10:26:03 n5M6Ia0U0
>>188
会場に悪魔がうろついているので、基本それで代用をお願いします。


190 : 名無しさん :2016/04/27(水) 10:29:58 Vy/exVzw0
>>189
素早いご対応、ありがとうございます!


191 : ◆7PJBZrstcc :2016/04/27(水) 16:09:36 MvN8p1lc0
投下します


192 : 愛した者を殺した男たち ◆7PJBZrstcc :2016/04/27(水) 16:10:26 MvN8p1lc0
「殺し合い、ねぇ……」

 ビルの屋上に一人の男が佇んでいる。
 男の名は六星竜一、人を虫を殺すのと同じように殺すことができる殺人鬼である。
 六星の目には生気がなかった。もしも何も知らない人間が彼を見たらこの場から飛び降りるのではないかと思うほどに。

「お前は変わった男だな」

 そんな六星に別の男が話しかけた。
 オールバックの髪型でタンクトップのような服を着た男。
 この男が六星に支給された悪魔、名はサウザーである。
 サウザーに対して六星はだるそうに答える。

「何がだ?」
「そうだろう、貴様はこの殺し合いに対して何も思っていない。
 俺の知っている人間なら怒り、恐怖、あるいは喜び、何かしら思うだろうからな」
「なら俺は例外なんだろ。何せ俺は殺人マシンだからな」
「この聖帝サウザーを引き当てて置いてその体たらくは気に入らんな」
「んな事言われてもよ……」

 そんな事言われても困る、これは六星の本心だった。
 そもそも六星には生き残りたいと思うほどの気力がない。
 己の生涯を賭した復讐も終わり、目的や願いなんてものは……。

「……っ!」

 願いを考え、六星は一人の少女を思い出す。
 それは、己の恋人。
 それは、己の復讐のために人殺しをそそのかしその後に殺した少女。

 あいつは俺を愛していた。
 あの忌々しい名探偵の孫の言うとおり、あいつは何も知らず俺を愛していただけだった。
 こんなろくでもない男を。

 六星はサウザーに問う。

「なあサウザー、天国ってあると思うか?」
「知らん。だが何故そんな事を俺に聞く」
「いや、悪魔とかいうからそういう事に詳しいのかと思っただけだ」
「……フハハハハハ!! まさかと思うが貴様行きたいのか!?
 あるかも分からぬ天国に! そんな血に濡れておいて!?」
「別にそんなんじゃねえよ。ただ」

 そこで六星は自重するかのように小さな声でこう言った。

「俺が殺した恋人に、恨みがあるかどうか聞いてみようと思っただけだ」
 

【?????/1日目/朝】

【六星竜一@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、槍型COMP
[思考・状況]
基本:優勝狙い
[備考]
※参戦時期は死亡後です
[COMP]
1:サウザー@北斗の拳
[種族]:拳士
[状態]:健康


193 : ◆7PJBZrstcc :2016/04/27(水) 16:10:53 MvN8p1lc0
投下終了です


194 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/27(水) 16:17:22 Vy/exVzw0
投下します。


195 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/27(水) 16:18:38 Vy/exVzw0
 闇の書の主、八神はやての命を救うため、奔走していたヴィータ。
 彼女があの体育館の如き建物へと召喚されたのは、闇の書の防衛システム〝ナハトヴァール〟によって、自身の存在を消失させられた瞬間だった。


■ ■ ■


 そしてヴィータが飛ばされたのは、吹き抜け構造の巨大ショッピングモールの中であった。
 あまりにも広く、天井の高いその施設は、さながらゾンビ映画に出てきそうなそれである。

「あの学生服のヤロー……はやてにはもう時間がねーってのに……」

 そんな建物の中で、ヴィータは眉間に皺を寄せながらこう呟いていた。
 そう。闇の書という謂わば魔法のアイテムと呼ぶべきものを持っているせいで、八神はやての命は残り少なくなっている。
 だというのに、こんな殺し合いの場に呼ばれ、時間を浪費することになったのが、とても許せなかったのだ。
 しかも支給品を確認してみれば、中に入っていたのは赤いピコピコハンマー一つだけ。ふざけていやがる。

「教えてやる……本当のハンマーってのは、こういうもんだ! 行くぞ、グラーフアイゼン!」
「Jawohl(了解)」

 そのことにますます怒りを覚えたヴィータは、まず戦闘形態をとることにした。
 まず彼女の衣服が、少女趣味のドレスを思わせる真っ赤な戦闘服――主、八神はやてのセンスだ――へと変わる。
 そして次に、彼女が首に提げていたペンダントが、喋る長柄のハンマーへと姿を変え、ヴィータの両手に収まる。
 そう、彼女は魔法少女……否、魔道師と呼ばれる存在だったのである!
 といっても、彼女は人間ではないのだが……それはまた別のお話だ。

「さて、あのヤローの言うことをきくのは癪だけど……悪魔ってのを召喚すればいいんだっけ?」

 そんなヴィータが手に取ったのは、腕時計型の悪魔召喚機だった。
 彼女はそれを片腕に巻き、腕を前方へとまっすぐ構えると、その装置に魔力を込める。

「出てこい……悪魔とやら……っ!」

 すると、

「よぉ! この次代の炎を呼び寄せたのは、お前だな!」

 現れたのは、紅白を基調とした衣服と逆立った黒髪が特徴的な若者だった。ついでにいうと、なんとなく声がレヴァンティンに似ている。
 悪魔だと言うからには何か名状しがたい魔物が現れるのかと思っていたが、まさか相棒が人間とは思わなかった。しかも年上の若い青年とは。

「なるほど。お前が俺の相棒というわけだな……って、いや、逆か。へぇ、なるほどなるほど……」

 そんな彼は、ヴィータのもとへと近付いたと思えば、姿勢を低くして彼女の衣服を舐めるように眺めはじめた。
 まさかロリコンという人種なのだろうか? ヴィータは警戒を強める。

「な、何じろじろ見てんだよ! 見せもんじゃねーぞ! これははやてが作ってくれた大事な……」
「いや、気にするな! 何を隠そう、俺はお前のことが一目で気に入ったんだ! 特にその赤い服、暗い世を打ち消す炎のように美しくて……ああ、最高だ!」
「なっ!? お、お前……これの良さが、分かるのか?」
「当然だ! 呉ではまず見ない方法で作られてるみたいだが、作り手の愛が感じられる! とてもいいな!」

 が、どうやら服装に興味を示していただけだったらしい。
 ほっとしたヴィータは安堵の溜息をつき、はやてがデザインしてくれた騎士装束が褒められたことに気をよくした。

「そっかそっか。お前はよく分かってるな! ところでさ、お前の名前……何だ?」
「ああ、俺か? 俺は朱然・義封! 孫呉の次代を照らす炎となる男だ! 親しみを込めて〝朱義封〟と呼んでくれ!」
「ああ、わかった。よろしく、しゅぎほー。ほら、アイゼンも挨拶しな」
『よろしくお願いいたします』
「なっ!? その槌、喋るのか!? 凄い、凄すぎる……!」

 こうして意気投合した二人は、近くあった柔らかいソファーに腰を落ち着け、自分達がどのような運命を辿ったのかを明らかにした。


196 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/27(水) 16:19:28 Vy/exVzw0
「なるほど……しゅぎほーは、国の未来が危ないと思ったから、それをどーにかしたい一心で動いてたのか……そっちはそっちで、大変なんだな」
「大変なのはそっちもだろ? そのはやてという女の子のために必死に頑張った結果がそれだなんて……ああ、悲しすぎる……っ!」
「しゅぎほー……お前、なんか感受性すげーな……さっきの、アイゼンへの反応といい……」

 テンションまでレヴァンティンそっくりかよ……という言葉を呑み込んだヴィータは〝目の前の男にとって自分の来歴はあまりにもショッキングなものだったのかもしれない〟と反省すると、目を伏せて微かに震える彼をなだめようとした。
 が、ヴィータの心配は杞憂に終わる。何故なら両眼に浮かべた涙を腕でごしごしと拭き取った彼は、椅子を吹き飛ばす勢いで立ち上がると「決めたぞ!」と拳を握り、

「ヴィータ! お前の熱い思いは、この朱義封がしっかりと受け取った! 俺は孫呉のためだけじゃない。お前の優しい主、八神はやてのためにも戦うと誓おう!」

 と、高らかに宣言したからだ。

「お、おい。別にアタシは、同情されたくて話したわけじゃ……」
「いいや! 何を隠そう、俺はお前が持つ熱い親愛の情を気に入った! どうか、お前の心に宿る炎を大きくさせる手伝いをさせてくれ!」
「分かった! 分かったから声が大きい!」

 そんな彼を別の意味でなだめ、落ち着かせようとするヴィータ。
 そう、ここは戦場。いつ敵が現れるか分からないのだ。
 故にヴィータは、朱然に自重を促したのだが……一手、遅かった。
 どこからか、二体分の獰猛な唸り声が聞こえてきたのである。

「しゅぎほー、聞こえたか」
「ああ、バッチリだ。嫌な予感がするな!」

 現れたのは、チーターを彷彿とさせる一角獣と、燃えるたてがみを優雅になびかせるライオンだった。
 野良の悪魔か! ヴィータは直感で悟る。一方の朱然も悟ったのか「なるほど。どうやら誰にも使役されていない悪魔も放たれているってことか!」と、口に出していた。
 どうやらこの朱然という悪魔、頭に浮かんだことは口にしないと気が済まないらしい。

「げっ!」

と、そんなことを考えていると、チーター型悪魔(以下、チーター)がヴィータの元へと迫ってきた。
どうやらその自慢の角で眉間を貫こうという魂胆らしい。おそらくこのまま呑気に構えていたら、チーターの速度についていけず、脳みそをぐさりとやられるだろう。

「うおおぉっ!」

ならば、とヴィータは獣のような叫び声を上げながら、グラーフアイゼンの打点でそれを受け止めた。
思わず怯んだチーターは、体勢を立て直すためか、その脚力でもって一気に距離を離す。
だが、しかし!

「アイゼン! ラケーテンフォーム!」
『Jawohl!』

 ヴィータはそれだけで満足せず、宙を飛んで数十歩分は後退すると、

「ラケーテン・ハンマー!」

 グラーフアイゼンのフォルムをより攻撃的な――片側がスパイク、反対側が三機の推進ユニットという異常な形である――ものに変え、その推進力でもって一瞬でチーターに肉薄。
 スパイク状になった打点を相手の腹に打ち込んで吹き飛ばすと、そのまま一瞬で消滅させた。すると後ろから「ヴィータ! お前、なかなかやるな! あぁ、凄すぎる!」と朱然が声をあげる。
 その褒め言葉に気をよくしたヴィータは、鼻の下を指でこすりながら「よせよ」と照れの入った言葉を呟く。そして、次は炎のライオン型悪魔(以下ライオン)を倒そうと、相手が立っていた場所へと目を向けた。

「……ん?」

 だが、そこにはライオンの影も形もなかった。さながら幽霊のように消え失せたかのようだ。
 もしやこの吹き抜け構造を使い、どこかに潜んだのではないだろうか? ヴィータは上下左右東西南北へとぐるぐる視線を移す。
 すると……見つけた! しかもなんとあのライオンと来たら、朱然が立っている位置の斜め上で姿勢を低くし、今にも彼へと襲いかかろうとしているではないか!


197 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/27(水) 16:22:00 Vy/exVzw0
「しゅぎほー! 後ろ! 斜め上だー!」

 このヴィータの叫びに対し、朱然の取った行動は二つ。
 まず彼は不敵な笑みを浮かべ、ヴィータに「ああ、大丈夫だ」とウィンクをする。
 そして跳躍したライオンへと振り向き、相手が大きく口を開いたのを確認すると、後方宙返りをしながら自身の特殊な弓で火矢を一本放った。

「なっ!?」

 だがその火矢はあっさりと外れ、恐ろしいことにヴィータの元へと向かってきてしまった!
 これはまずい。ヴィータは守りを固めるため、自身の周囲にバリアを張ろうと魔力を練る。
 だが火矢の速度が速すぎて追いつかない。まさか、こんな間抜けな同士討ちで終わってしまうのか……!?
 ヴィータは目を見開き、思わず涙を浮かべかけた。

「……え?」

 するとその瞬間、驚くべき現象が起きた。
 なんと火矢がミサイルの様に弧を描きながら反転し、ライオンの背中へと突き刺さったのである!

「着火完了!」

 思わずポカンとした表情を浮かべたヴィータは、その場で固まったまま「え?」と呟いた。
 目の前では、背中からの痛みにもだえ苦しんでいるらしいライオンが牙を剥きながら呻き声を上げている。
 そして朱然はそのライオンを掴み、ほぼ真上に放ると、

「灰になれ! 転瞬葬焔閃!」

 燃えさかる火矢を連続で撃ち込み、やがては高い高い天井にまで吹き飛ばしてしまった。
 その後全身大火傷になってしまったライオンは、地面に追突する前に消滅。無事に討伐を完了させた。

「悪い! 驚かせたな、ヴィータ!」
「驚いたどころじゃねーよ! 死ぬかと思ったぞ!」
「あっはっは! 何を隠そう、俺の能力は今見せたとおりでな。火矢の軌道を自由に操れるんだ! どうだ、凄いだろう!?」
「凄いっちゃすごいけどよ……先に言ってからやれよ!」
「あっはっは! 確かにそうだな!」

 目尻に涙を浮かべるヴィータに対し、朱然は呑気に笑うばかり。
 こうしてまるで兄妹にも見えなくもない凸凹コンビは、力を合わせて敵を排除したのだった。

「さて、と……しゅぎほー。一つ、アタシは宣言する」

 と、ここでようやく落ち着きを取り戻したヴィータが、グラーフアイゼンを天に掲げて口を開く。

「殺しははやての未来に傷を付ける……だからあのいけ好かない学生服ヤローの言うことはきかねーし、絶対に力を合わせて脱出してやる!」

 彼女が放ったのは、あの学生服の少年に対する叛逆を示す言葉であった。
 それを聞いた朱然は「……ああ、最高だ! この状況でこんなことを言えるなんて……ヴィータ! お前は凄い、凄すぎる!」と、感嘆の声をあげた。

「だから……アタシはお前と力を合わせて頑張るよ。いいよな? しゅぎほー?」
「ああ、当然だ! 今後ともよろしくな、ヴィータ!」

 そして二人は誓いを立て、ショッピングモールを並んで歩き始めた。
 果たして両者の熱烈な思いは成就するのか……それはまた、別の語り手に委ねるとしよう。



【?????/1日目/朝】
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's】
[状態]:健康
[装備]:COMP(腕時計型)
[道具]:基本支給品、ピコピコハンマー
[思考・状況]
基本:人殺しをせずに脱出する。
[COMP]
1:朱然@真・三國無双7 猛将伝
[種族]:武将
[状態]:健康


198 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/27(水) 16:23:07 Vy/exVzw0
投下終了です。
野良悪魔の見た目を勝手に決めてしまったのですが、大丈夫でしょうか?
投下しておいてからアレですが、ちょっと不安でございます。


199 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 16:25:56 n5M6Ia0U0
>>193
投下乙です。
殺した恋人に、その気持ちを問いたいと思うのは特殊ですね……
あと、細かい点で申し訳ないのですが、槍型COMPとありますが、COMPが武器としても使える場合は、
>>143にて明記させていただいておりますよう、ランダム支給品枠なしでお願いします。

>>162
投下完了後で大変申し訳ないのですが「北斗の拳」は、舞台設定が、
一度文明崩壊が起こった近未来、が舞台となっております。
本編にて共通世界を予定しておりますので、他作品との舞台設定のすり合わせが
困難となってしまいますので、大変申し訳ないのですが、
「シンが現代の人間である」という描写を作中に明記して頂けないでしょうか?
一日経っての指摘で、大変申し訳ないのですが、ご協力の方お願いいたします。


200 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/27(水) 16:30:34 Vy/exVzw0
>>199
かしこまりました。なんとか考えてみます。


201 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 16:37:36 n5M6Ia0U0
書き込んだら新作が来ていた、投下乙です!

>>198
これはアツいコンビ! 正統派対主催としてかなり期待できますね!
立て続けに指摘になって大変申し訳ないのですが、一点だけ。
ヴィータがグラーフアイゼンを使用していますが、
サマナーの武装は基本的に全没収の形を取らせておりますので、
支給品をそちらに変更して頂けないでしょうか。よろしくお願いいたします。


202 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 16:38:19 n5M6Ia0U0
あと、野良悪魔はゆるく行こうと思ってるので、見た目くらいなら大丈夫です。


203 : ◆7PJBZrstcc :2016/04/27(水) 16:38:32 MvN8p1lc0
>>199
wikiにて修正しました。


204 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 16:39:13 n5M6Ia0U0
>>203
ご対応ありがとうございます。


205 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 16:49:15 n5M6Ia0U0
再掲しておきますが、サマナーには極力「現代設定」のキャラでお願いします。
(真・女神転生if....やデビルサマナー ソウルハッカーズと世界観共有をしても問題ないレベル)

局所的に異変が起きている(AKIRA、スクライドなど)はなんとかなりますが、
世界的に異変が起きている(北斗の拳、ニンジャスレイヤー)などは、
世界的な異変が起きていない、などの明記を本文中でしていただく必要があります。

また、ファンタジーキャラクターを出典とする場合も、何かしら
「現代のキャラである」という明記を行ってください。

よろしくお願いいたします。


206 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/27(水) 16:51:22 Vy/exVzw0
>>201
投下作を両方ともwikiにて修正しました。
もしもまだ不備があれば、そのときはごめんなさい。


207 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 17:02:52 n5M6Ia0U0
>>206
ご対応ありがとうございます。


208 : 名無しさん :2016/04/27(水) 17:40:45 j32EweIA0
ざっと見た感じですとキリシマ&金剛とスコール&江ノ島も参戦基準に引っかかりますね


209 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 17:48:10 n5M6Ia0U0
>>208
基準のラインは「文明崩壊」なので、その二組に関しては問題ないかな、という認識です。
アルペジオは年代シフト、ダンガンロンパは「そういう事件があった」くらいで流せるかなーとは思っています。

正直投下作品を全部把握しているわけではないので、判定がかなりあいまいになってしまうところはありますが、
その点はご了承いただけると幸いです……


210 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/27(水) 18:04:42 j32EweIA0
>>209

つまりアトラス主人公で例えると
フツオ…可
アレフ…不可
人修羅…可
ネコミミ…可
ライドウ…不可

となるのでしょうか


211 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 18:13:05 n5M6Ia0U0
>>210
おおよそはそんな感じなんですが、主人公というより時期による感じですね。
真3だと、人修羅が元の世界を再び望んだエンディングに限定される感じです。
(東京受胎真っ最中はアウト)

ライドウはさすがに現代には無理があるので……っていう感じですね。
あいまいな回答で申し訳ない。


212 : ◆jpyJgxV.6A :2016/04/27(水) 18:31:46 CnZeCE6w0
投下します


213 : あかいあくまと緋き悪魔 ◆jpyJgxV.6A :2016/04/27(水) 18:32:49 CnZeCE6w0

「………まったく、どうしろっていうのよ」

遠坂凛は狼狽していた。
殺し合い。簡潔な言葉ながらしかし、近い将来凛が参戦するはずだったそれとはまったくもって実態の異なるモノ。
もちろん来たるべき日に向け、それなりの覚悟はしてきたつもりだった。
それでも名も知らぬ少年と少女の死は凛にとってあまりにも突然で、残酷なまでに間近すぎた。

「………殺し合い、か………」

殺す?彼らを?自分が?
代理戦争でもない。魔術師だけの神秘に秘匿された戦争でもない。
自らの手を血で染め、年端もいかぬ子どもさえ踏み台にしなければいけないのだ。
それでも、凛にだって生きて帰らなければならない理由があった。
遠坂の、ひいては尊敬する父の悲願のためにも、聖杯を巡る争いに勝たねばならないという使命が。

しかしそれは、果たして他者の命を蹴落としてまで叶えるべきなのだろうか。
無論、と“魔術師”としての凛は囁く。
“人”としての凛はそうではないと叫ぶ。
これじゃあ魔術師失格だ。小さくため息をついて空を仰いだ。

薄っすらと分かってはいた。
殺し合いもせず、かといってやられるのを待つわけでもない方法があるということを。
だがそれは、果たして自分で成し遂げられるものなのだろうか?
先の一方的な殺戮。首に触れようとすればひやりと隔てる冷たい感触。
あまりにも、それこそ幼少から天才と謳われた凛でも認めざるをえない力の差。
それこそが、凛に決断を簡単に許してくれない理由であった。

判然としない葛藤に思わず両手を胸の前で握りしめる。
不安も逡巡も押し潰してしまうように強く、強く。
そうして初めて、凛は自分が何か硬い物をずっと持っていたことに気がついた。


214 : あかいあくまと緋き悪魔 ◆jpyJgxV.6A :2016/04/27(水) 18:33:34 CnZeCE6w0
「これ……確かあいつが言ってた……」

普通にしては大きい、吸い込まれるような蒼氷の宝石のペンダント。
父から譲り受けたものと似ているのが憎らしく、それでいて少しだけ安心する。
少しいじって分かったことだが、これがCOMPとやららしい。
液晶パネルのようになっているのかは分からないが、触れるだけで操作できるのはありがたかった。

さすがに純粋な宝石ではないからだろう、魔力は一切感じられない。
生憎と凛の得意とする宝石魔術に必須な宝石もすべて取り上げられている。
これでは自衛も儘ならない。ガンドこそあれど、備えは常に万全にしておきたいのが人の心情だ。

だからこそ、召喚しないという選択肢は凛に存在しなかった。
あの少年の言葉を思い出す。悪魔、確かに彼はそう言っていた。
おそらくは凛がいつか参加するであろう戦争の、その代理者とはまた根幹から異なるモノ。
過去を生きた英霊とも違う。そもそも人と限らないかもしれない。
それでも、今は何かを行動に移さずにはいられなかった。

「こうしていても、仕方がないしね……」

慣れない手つきで指を滑らせ、浮かび上がる文字に目を走らせる。
緊張をほぐすために小さく息を吐く。心を落ち着かせるために瞳を閉じる。
不安、葛藤、恐怖、全てを今だけ忘れられるように。
そうして刹那の間、意を決して凛は込められた封印を解いた。

「さあ来なさい、私の《悪魔》(サーヴァント)!!」


215 : あかいあくまと緋き悪魔 ◆jpyJgxV.6A :2016/04/27(水) 18:34:25 CnZeCE6w0
最初に現れたのは焔。
久方ぶりの現世に歓喜するかのように、解放の緋は踊り狂う。
やがて焔は一つに集約していき、徐々に人の形を成していく。
そうして降り立った影は、まさしく《悪魔》と呼ぶに相応しい容貌だった。

「あ………」

思わず言葉を失う。
一対の角に?少し見上げるくらいの長躯に?禍々しい翼に?燃えるような紅い瞳に?
否、それだけの人外要素があろうと断じて違うと言い切れる。
ただこちらが泣きたくなるほどに哀しげな眼差しに、凛は動くことすらできなかった。
恐怖とも違う、心さえ穿つような緋色の哀哭に。
沈黙を破ったのは、およそ人とは思えない白い肌の悪魔からだ。

「………君ハ、此ノ戦争ニ何ヲ望ム?」

「え………?」

喋れるのか、などと感心する余裕もなく、困惑に思わず聞き返してしまう。
問いの意味は理解できる。良い主従関係を築くために不可欠なものだというのも分かる。
ただ目の前の悪魔があまりにも真剣な面持ちで返答を待っているから。
そして自分でもその答えが見つかっていないからこそ、凛は出かかった言葉を飲み込むしかなかった。
そんな凛を見かねたのか、悪魔は淡々と続ける。

「願イノ為ニ他ノ参加者ヲ滅ボスカ?
 生キル為ニ襲イ来ル者ヲ退ケルカ?

 君ガ憎むムノハ、其レトモ―――」

最後の言葉に凛は思わず目を瞠る。まさか、彼の口から聞けるとは思ってもいなかった。
配られたという悪魔も、あの少年に完全服従しているというわけではないのだろうか。

「もしそうだと言ったら、あんたはどうするつもりなのよ」

「今ノ我ハ君ノ僕ダ。君ガ何ヲ選ボウト、我ハ其レに従ウ。ダカラ君ニ今、敢エテ問オウ――」

少しずつ、胸の重石が軽くなる。そうだ、きっと凛はこれを求めていたのだ。
随分と遠まわしとはいえ、肯定されるというのはこんなにも安心するものだったか。
まっすぐと、悪魔の双眸を見据える。もう惑いも迷いもない。
何をうじうじと悩む必要があっただろうか、ついていけない事態に自分らしさを失っていたようだ。
まずは動く。できるかできないかなど、そこから決めればいい。

「私はあのムカつく奴をぶっ飛ばす。だからあんたも手を貸しなさい」

悪魔は応えない。代わりに小さく微笑んで右手を差し出した。
異形の手に臆することなく、その手を握り返して不敵に笑う。
かくして予期しない戦争に巻き込まれた少女は、争いそれ自体を憎むことを選び取った。


216 : あかいあくまと緋き悪魔 ◆jpyJgxV.6A :2016/04/27(水) 18:35:46 CnZeCE6w0







似てる、と思った。
どれだけ昔のことだったか、同じように自分を古い戒めから解き放った解放者に。
争いに翻弄され数奇な運命を辿り、憎むものすらも見えなくなった哀れな少女に。
生死の淵に立とうとも凛として怯えず、毅然として自身と対峙した強き契約者に。
聖戦を否定し、全ての負の連鎖を終わらせようとした儚くも《美しき夜の娘》に。
だから同じ道標を与えた。
そして選んだものは―――否、これ以上彼女と比較するのは双方に失礼だろう。

「そういえば、ええと……そう、なんて呼べばいいのかしら?」

ふと振り返った主が問いかける。
そういえばあの時は、彼女にちゃんと聞き取ってもらえなかった。
とはいえ、その後に呼ばれ続けた名の方が、摩耗した記憶に残る本当の名より馴染み深い。
だから今は、こう名乗ろうと決めていた。

「Shayt&acirc;n……シャイターンデイイ」

“―――其レトモ『殺シ合イ』(アラソイ)其レ自体カ?”



【?????/1日目/朝】
【遠坂凛@Fate/staynight】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ネックレス型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
 基本:魔神皇を倒して争いを終わらせる。殺し合いには乗らない。
[COMP]
1:シャイターン@聖戦のイベリア
 [状態]:健康


217 : ◆jpyJgxV.6A :2016/04/27(水) 18:36:30 CnZeCE6w0
投下終了します


218 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 19:19:42 PHHmFPLw0
>>217
投下乙です!
これまた熱いコンビ! どことなく分かっちゃ居るけど屈するわけにはいかないと決める凛はかっこいいですね。
相方も頼りになりそうだし、これは期待ですね!


219 : 名無しさん :2016/04/27(水) 20:59:09 uwyo10020
以前悪魔召喚バトルロワイアルという企画が頓挫してたけど復活したのか
是非参加してみたいとは思うけど質問がいくつか

・手持ちアクマは増えるのか? 誰かから委譲、もしくは勧誘など
・アクマ合体はあるのか?
・アクマが変異するのはあるのか? イヌガミ→マカミなど


220 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 21:09:57 YJTS11qI0
>>219
回答しますが、下記は現段階の予定となります。開始時に再度アナウンスさせていただきます。

・手持ちアクマは増えるのか? 誰かから委譲、もしくは勧誘など
会場の悪魔の勧誘、サマナー間の譲渡、死亡したサマナーのCOMPからの強奪を可とする。
ただし、一度死亡した悪魔の蘇生は禁止する。
・アクマ合体はあるのか?
あります。合体結果として誕生する悪魔は、理由付けがされてあればある程度は幅を持たせようと思っています。
・アクマが変異するのはあるのか? イヌガミ→マカミなど
完全変異(例:トルネコ→平和島静雄とか)は基本的に要相談ですが、デジモンやポケモンで言う進化レベルのものなら基本的にOKです。

事のついでであれなんですが、COMPは支給者のみ使用可能とします。(複数持ちを禁止)
ここらへんはまた、開始前にアナウンスします。


221 : 名無しさん :2016/04/27(水) 21:16:14 uwyo10020
回答ありがとう
ちょっくら話考えてきますわ


222 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/27(水) 21:25:53 j32EweIA0
>>211
有難うございます
まあその辺の判断はお任せします

投下します


223 : 君臨蹂躙斬るKILL ◆T3rvSA.jcs :2016/04/27(水) 21:27:03 j32EweIA0
腰まで伸びた黒髪を靡かせ、豊かな胸を傲然と反らし、少女は周囲を睥睨する。
転移した先は、何故か長脇差を持ったヤクザが大量にたむろしていた。
巻き込まれた人間かどうかは知らない、魔神皇とやらが何らかの意図を持って配した存在かもしれない。

――――だからどうしたというのだ。

どの道全員殺して、あの魔神皇とやらも殺して、全ての上に君臨する。
それ以外に我が道は存在しない。
そうして少女――――天羽斬々(あもうきるきる)はヤクザ達との戦闘に突入した。

無手の少女と、長脇差を持ったヤクザの群。勝敗は火を見るよりも明らかだ。少女は斬り刻まれ、無惨な死体と成り果てる。

――――天羽斬々が常の少女であったならば。

振り下ろされる刀身を、刃となるまで鍛え上げた身体で止め、攻撃の最中という絶対の隙に、反射運動と化した貫手を撃ち込む。
琉球空手の絶技、化身刀(タケミカヅチ)と自動反撃(オートカウンター)。素手で刀に対抗するという常軌を逸した発想を、常軌を逸した鍛錬によって獲得した少女は、
二つの絶技による完全なる矛と盾で、群がるヤクザを駆逐していく。

戦闘は実にあっけなく終わりを迎えた。

「下らん相手だ。君臨する価値も無い」

吐き捨てた斬々は、改めて周囲を無渡してみた。先ずは今置かれている状況の確認。そしてボロボロになった服の交換をしたかった。

周囲を見回すと、どうやら高級住宅街に飛ばされたらしく、道の左右には広壮な邸宅が並んでいた。
その中の適当な一件に侵入し、体に会う服を見繕うことにする。

「無い……」

次から次へと家捜しをし、五軒目で漸く代わりの服が見つかった

――――殺す。

改めて魔神皇なる輩への殺意を確認すると、リビングのソファーに足組んで座って、頬杖をついて一息つく。
やることも特に無いので支給品とやらを漁ってみると。

――――断じて殺す。

先刻の戦闘でボロボロになった制服の新品が綺麗に折りたたまれて入っていた。それも五着。
フツフツと沸き上がる怒りを堪えて、自分に振られた悪魔とやらを召喚してみる為にCOMPを取り出す。

――――絶対殺す。断じて殺す。

出てきたのは、空手の試し割の定番、屋根瓦の形をしたCOMP。斬々が修めた技が空手だからというのだろうか?それは魔神皇にしか分からない事柄だろうが、斬々の殺意に油を注ぐには充分だった。

「下らん悪魔なら断じて殺す」

決意を胸にCOMPを起動。眩い光に目を細める。

――――断じて殺す。注意書きに載せておけ。

最早あらゆる事象に対して魔神皇への殺意を募らせる様になった斬々に、対象を灼き尽くすかの様な視線を向けられている光が収束し、COMPに入っていた悪魔が出現する。


224 : 君臨蹂躙斬るKILL ◆T3rvSA.jcs :2016/04/27(水) 21:27:36 j32EweIA0
「随分と可愛らしい主だな」

別段にねじくれた一対の角を生やし、牙の生えた口から硫黄の息を吐く。
そんな存在をイメージしていた訳では無かったが、その姿はあまりにも意外だった。
腰まで伸びた青い髪が印象的な、豊かな胸とくびれた腰と突き出た尻の美女、軍服の様な服を纏い、サーベルを帯びている。

「貴様に言われたくは無い」

仁王立ちで、常人なら底冷えのする様な視線を送ってくる女に、斬々もソファーに踏ん反り返ったまま、冷然とした視線で答える。

「「………………………」」

睨み合う事暫し、酷薄な笑みを浮かべ、凍てつく様な眼差しを互いに向ける美女と美少女。第三者がいれば重圧で気死しかね無い威圧に満ちた均衡は、一方が不意に動いた事で崩壊した。

動いたのは青髪の美女。人の動体視力の限界を超えた速さで間合いを詰め、黒髪の美少女の喉笛目掛けて、右の五指を揃えた貫手を撃ち込む。

驚愕に目を見開く斬々と、感心したかのように微笑む美女。

「本気では無いとはいえ、貫けないとはな。どういう鍛え方をした?それに……見えてもいないのに反撃してくるとはな」

美女の右手は斬々の喉に触れたところで止まり、斬々が放った自動反撃(オートカウンター)は美女の左手に捕らえられていた。

「ぐ……お」

掴まれた右手から伝わる痛み――――手を握り潰される――――に斬々が苦鳴を洩らすと、圧搾は不意に消え、右手が解放される。

「合格だ」

冷然とした笑みのまま美女は言った


225 : 君臨蹂躙斬るKILL ◆T3rvSA.jcs :2016/04/27(水) 21:28:10 j32EweIA0
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


そうして2人はソファーに座って向かい合う。

「時にマスターよ。お前はこの戦いにどう臨む」

聞かれた斬々は迷い無く即答する。

「決まっている。悉く撃ち斃して屈服させて君臨するのみだ」

お前はどうなんだ?と視線で問いかけると、こちらも即答した。

「蹂躙し屈服させる。それだけだ」

2人は互いに視線を交わす。互いを己の同類、支配欲と征服欲の違いこそあれ、他者をねじ伏せる事で満足する人種だと認識する。

「私は天羽斬々。蹂躙しがいのある敵に恵まれるが良い」

「私はエスデス。君臨しがいのある敵に恵まれると良いな」


互いに名乗りを済ませた2人は、敵を求めて立ち上がった。



【?????/1日目/朝】
【天羽斬々@武装少女マキャベリズム
[状態]:健康
[装備]:COMP:屋根瓦型
[道具]:基本支給品、確認済み支給品。
[思考・状況]
基本:
1.皆殺し
2.魔神皇を殺す

[COMP]
1:エスデス@アカメが斬る!
[種族]:超人
[状態]:健康


226 : 名無しさん :2016/04/27(水) 21:28:34 j32EweIA0
投下を終了します


227 : 君臨蹂躙斬るKILL ◆T3rvSA.jcs :2016/04/27(水) 21:51:10 j32EweIA0
ちょっとヘマをしたんでトリップを変えます


228 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/27(水) 22:22:33 tiHvE8UA0
投下します


229 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/27(水) 22:22:46 tiHvE8UA0

 「また環先輩達の悪ふざけ、じゃ……ない、よね」

 小さな体から溢れ出す不安と反比例するかのように、徐々に小さくなっていく声音は電灯から漏れる淡い光に溶けて、消えた。
 ふわふわと揺れながらもボーイッシュに整えられたショートヘアーに凹凸の少ないスタイル、ソレを隠すような野暮ったい制服姿。可愛らしさと凛々しさの狭間に位置する様な中性的な容姿と言うのも合わさり『美少年』と言う表現がぴったりではあるのだが――れっきとした女性である、少女――藤岡ハルヒは誰にともなく、口を開く。

 「唐突……なのはいつも通りだけど、いくらなんでも悪趣味過ぎるし全然、笑えない。環先輩なら――ううん、悪趣味全開で人をからかうのが大好きな光と馨だって、こんな趣味の悪い事はしない。絶対、しない」
 
 いつも唐突で、騒々しくて。自分の想像を十歩も百歩も超えた事ばかり起こしてくれる……そして、それに必ずと言っていい程自分を巻き込んでくれる、先輩達。
 目が覚めるなりまず考えついたのはいつもの悪ふざけの一環である可能性ではあったが、即座に頭を振って否定する。
 彼らの起こす思い付きの数々に巻き込まれては文句を溢していたハルヒではあるが、少なくとも、彼らが行うのは誰かを笑顔にする行為だ。自分達であったりホスト部を訪れるお客さんであったり。彼らのおふざけの後にはいつだって、誰かの笑顔があった。
 
 「人の命をそんな風に、見世物にするような人達じゃないんだ」

 言葉に合わせてギシリ、と軋む音が聞こえる。
 今ハルヒが体を預けていたのはハート形のベッドの上。スプリングが強過ぎるのか少し身動ぎをする度にギシ、ギシと体が揺れるのが不可解ではあったが、肌に触れるシーツの感触は滑らかで、寝転ぶ頭を支えてくれている枕も包み込まれるような柔らかさであり、結局目を覚ましてからずっとその体勢で過ごしていた。
 変な形だな、と思いはするがベッドとしての機能に問題が有るワケではなく、寧ろ普段眠る時よりも心地良い感触ですらあったので、深くは考えず身を預けている。
 自分の体温と混じり合った布生地が何とも眠気を誘ってきており、このまま何も考えずに睡魔へと溺れたい欲求がふつふつと湧き上がるが、そんな事をしている場合ではないと理性が訴えかける。

 「そもそも、アレが本物とは限らないんだから」
もう一度、頭の中を整理するように目を瞑る。

 ――皆で、ご飯を食べてた筈なんだけどなあ。

 昨晩、いきなり電話がかかってきたと思ったら環先輩と鏡夜先輩からご飯に誘われて。
 もう晩御飯の支度は済んでるから無理だと、断りをいれたらその三十分後にはホスト部の面々がうちに集まっていた。


230 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/27(水) 22:23:08 tiHvE8UA0
 当然、用意していた分の食材だけじゃ全員分賄える筈もなく。鏡夜先輩がお金を出すからと財布を渡されて、仕方なく自分が買い物に行こうとしたら……目を輝かせた環先輩が着いて来ようとして。その所為で芋蔓式に皆着いて来ようとするし。ジャンケンで一人だけ着いて来れると決めたら勝ち残った環先輩が皆からボロクソに言われて拗ね始めるし。結局全員で買い物に行く羽目になって面倒を見るのに追われるし――兎に角、いつも通り巻き込まれていた筈である。
 解散したのは、今日になるかならないかギリギリの時間。
 疲れていたから直ぐに布団に入って――気が付いたら、知らない場所に集められてた。

 「いやいや、どう考えてもおかしいでしょコレ」

 あまりにも、唐突過ぎる。
 ご飯を食べて、気持ち良く眠っていたら拉致されましたなんて。今時小説の世界だってそうそうは見ない気がする。

 「いくら眠ってても、知らない場所に連れて行かれそうになったら気付く筈だし。そもそもあんな壁の薄いアパートで誰かが入ってきたらそれだけで目を覚ます筈」

 住んでいるアパートの壁は薄く、誰かが近付いて来れば気付かない筈がない。
眠っている体を抱き上げられて、気付かない筈がない。
頭に浮かぶ違和感の根拠を次々と並べていくものの、焦燥感にも似た不安感が拭い去れないのか言葉尻がどうしても曖昧なモノになってしまう。
 起きる筈、気付く筈――なら、どうしてこんな見ず知らずの場所に連れて来られてしまっているのか。
 
 「薬で深く眠らされて、とか……? いやでも、もし仮にそうだったとして誰が何の為に自分をこんな場所に……?」

 殺し合い。
 白い服を着た男に人が言っていた単語が頭の中で跳ね回る。
 普段であれば悪趣味だと一蹴する言葉だが、鼓膜を震わす言葉と同時に視界に飛び込んできた光景を思い返し、反射的にせり上がる嘔吐感を抑え込む。
首を飛ばされた少女。比較的彼女の近くで起こった現実離れしたその姿は、冗談やトリックだと言い切れない妙な生々しさを彼女に伝えていた。
刹那、心臓の鼓動が早くなるのを感じる。バクバクバクバクと、痛い程鳴らされる早鐘が頭の中に鳴り響き、痛む下腹を抑えようと意識した掌は、気付けば固く握り閉められた拳に汗が滲んでいた。

 「まさか、ね。流石にそんなワケ……無いよね」

 力無く漏らした声が虚しく空気に溶けて消える。
 いきなり殺し合えと言われて素直に従う程、彼女の倫理観は欠落していない。
 そもそも自分自身の巻き込まれた状況を十全に理解しておらず――理解していたとしても、それだけは絶対にないと断言できる。


231 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/27(水) 22:23:31 tiHvE8UA0
 
 だが――
 
 「っ、あれ……なん、で?」

 ほほをつたう、暖かい液体に気付き困惑の声をあげる。
 
 「おかしいな……えと、ふ、ぇ……」

 藤岡ハルヒは、自他共に認めるドライな人間である。情や義理などを捨て去っているわけでは勿論ないが、天秤にかけた場合には大多数の場合で実利をとってしまうタイプではあった。
 故に、日常生活を送るうえで涙を流す事は殆どないのだが。

 「こわい、怖いよ……っ」

 自身の常識を超えた場所に拉致されて、殺し合いを強要されて、矢継ぎ早に突き付けられる現実を受け止めきれる程強いワケではなく。
 怖くて、涙を溢してしまう一人の少女に過ぎなかった。
 拭い切れない涙が柔らかな生地に吸い込まれる。

 「助けて――環先輩」

 その声が届く事は――



☆   ☆   ☆   



「コレの事だよね、あの人が言ってたの」
 
 ひとしきり涙を流した後、腫れぼったい目元を押さえながら何はともあれこれからどうするかを考える。
 白服の男が言っていた事を信じるにしても信じないにしても、今自分に与えられた情報を確認していく事は大事だろうと枕元に置かれた鞄を開き始める。
 
 「普通の携帯電話にしか見えないけど……」

 どこからどう見ても一般的な携帯電話にしか見えなかったが、付随している説明書に目を通してみればこの中に入っている機能を使うと中から悪魔が飛び出してくるらしい。

 「拉致されて、殺し合いで、最後は悪魔か。……最後だけなら、鏡夜先輩が好きそうだなぁこういうの」

 普段であれば絶対に信じない言葉ではあったが、今置かれている現状を鑑みると冗談だと捨て置く事は出来なかった。
 半信半疑ながらもたどたどしい手付きで携帯電話を操作し指定の機能を起動する。
 
 そして――

 「俺が、魔王ハドラーだッ!!!」

 どう見てもCGとしか思えない姿をした存在が現れる。
 豪、と吹き荒あれる風と目の前の相手から放たれる威圧感はハルヒの意識を刈り取るには十分で。

 ――ああ、そういえば環先輩も自分の事キングって言ってたなあ……。

 薄れゆく意識の中、そんな事を思った。

【?????/1日目/朝】

【藤岡ハルヒ@桜蘭高校ホスト部】
[状態]:気絶
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、携帯電話型COMP
[思考・状況]
基本:???
[COMP]
1:ハドラー@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-
[種族]:魔王
[状態]:健康


232 : ◆b2iYqpIDTI :2016/04/27(水) 22:23:46 tiHvE8UA0
投下終了します


233 : ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/27(水) 22:26:43 efWfFDxg0
投下、お疲れ様です。

私も投下します


234 : 「もうこいつだけでいいんじゃないかな」 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/27(水) 22:27:37 efWfFDxg0
会場の、とある場所で

「ゴルゴムの仕業か! 許さん!!」


一人の男の声が響いていた。

秘密結社ゴルゴムによって次期創世王候補として世紀王“ブラックサン”に改造された後に脱走し、彼らと闘う事を決めた男は怒りに震えていた。
その男こそ南光太郎、ブラックサンという名ではなく“仮面ライダーBLACK”という名を名乗り、この場に集められるまでも闘い続けていた戦士。
突如として魔神皇を名乗る少年が殺し合いをしろと言った時の衝撃は今でも記憶に新しい。
そして、その時光太郎は全てを理解した。
そう。見たことのない姿だが魔神皇はゴルゴムの一味であり、これはゴルゴムの仕業によるという事。
理由は単純明快、ゴルゴム以外にこんな芸当を行えるわけがない。
実際、今まで光太郎の身の回りで起きた不審な出来事はほぼゴルゴムの仕業だったという実体験がその自信を裏付けた。

真相はわからないが許しておけない事に変わりはない。
ブラックサンではない、仮面ライダーBLACKとしてこの場で闘う事を光太郎は改めて固く心に誓った。
目的は一つ、ゴルゴムが新しく始めたこの殺し合いの打倒。
そして罪なき人々を守る事も忘れてはならない。


235 : 「もうこいつだけでいいんじゃないかな」 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/27(水) 22:28:31 efWfFDxg0

――この地球はゴルゴムだけのものではなく、生きるもの全てのためにある。


決意に揺らぎなどありはしない。
そのため助けを求める者、もしくはゴルゴムと闘う意思を秘めた未だ見ぬ仲間を求めて光太郎は走ろうとした。

しかし彼はふと思い立った。

彼の言っていた「悪魔召喚プログラム」という言葉がどこか心に引っかかっていたのだ。

悪の組織に立ち向かった、正しい心を持った怪人などがいるかもしれないと思ったからである。

そう、彼の先輩にあたる、仮面ライダーたちと同じように!

そう思った光太郎の行動は早かった。
支給品を確認し、それらしいものがないか確認したのである。

そしてその中で、自分が今身に着けているベルトが普段のものとは違うことに気が付いた。

「そうか、これだ!」

そう叫ぶと光太郎は、ベルトの前に両手を出し、ひし形の形を作った。

そう、キングストーンフラッシュのポーズをとったのである。


236 : 「もうこいつだけでいいんじゃないかな」 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/27(水) 22:29:50 efWfFDxg0

そうするとあたりが光に包まれ、光太郎の目の前に奇妙な男が現れた!

その男は、三又の矛や弓矢を持った6本の腕と青い肌、
3つある首のすべてに第3の目を持っていた。

その異様な姿に光太郎は最初面食らったが、ひとまず彼に話しかけてみることにした。
「俺は南光太郎。あなたは、なんていう名前ですか?」

光太郎が訪ねてみると、青い肌の男はこう答えた。

「貴方が私を召喚したのですか?私は破壊神マハデーヴァ。まぁ、今後ともよろしくお願いしますよ。」

光太郎は彼が言った「破壊神」というフレーズに反応し、思わず臨戦態勢を取ってしまった。

それだけでない、彼から発せられる圧倒的なオーラにも反応していた。

するとそれを見た彼が口を開いた。

「まあそう警戒しないで下さいよ。召喚された以上、貴方の意思に従うつもりですよ。
 それに、仲間と戦うというのはあまり好きじゃありませんからね。」

光太郎は、彼のその言葉で戦う意思がないことを感じ取り、臨戦態勢を解き、
自分が何をするつもりかを話した。

「俺は、俺と同じように巻き込まれた人々を救い、そしてゴルゴムの野望を阻止したい!そのために力を貸してくれないか?」

彼はそれに対し、こう答えた。
「貴方の言うゴルゴムが何かはわかりませんが、それがあなたの望みならそれに従い、共に戦いましょう。
 昔、似たようなこともしていましたからね。」

それを聞いた光太郎は、彼もまた人々を救うために戦った戦士であることを知り、

強く握手を交わしました。


237 : 「もうこいつだけでいいんじゃないかな」 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/27(水) 22:32:49 efWfFDxg0


-------------------------------------------------------------------------------------------------

ところで、君たちはマハデーヴァの姿を見て、何か気付いたことはないだろうか?

無数の腕と青い肌、第3の目と三又の矛…

そう、マハデーヴァとは!

インド神話のシヴァ神、その別名なのである!

そんな彼を引き当てた南光太郎は、今後どのような道を辿っていく事になるのだろうか…?

【?????/1日目/朝】

【南光太郎@仮面ライダーBLCK(実写)】
[状態]:健康
[装備]:ベルト型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:力なき人々を救い、そしてゴルゴムの野望を阻止する。
[備考]
※魔神皇はゴルゴムの幹部の一人であり、この殺し合いはゴルゴムの仕業だと思っています。
※ゴルゴムがらみの事件はすべて、何らかの手段によって一般には知らされていない状態です。
[COMP]
1:破壊神マハデーヴァ@モンスター列伝 オレカバトル
[種族]:魔神
[状態]:健康
[備考]:ザン系、ブフ系に弱い。
※彼は、"破壊神マハデーヴァ"で一つの名前となっています。
※"セタンダ"と"クーフーリン"のように、
 彼とシヴァはあくまで別の悪魔として扱われます。


238 : 「もうこいつだけでいいんじゃないかな」 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/27(水) 22:34:02 efWfFDxg0
投下終了です。

また、途中PCがフリーズしてしまい、送信が遅れたこと、誠に申し訳ありません。


239 : >>172です  ◆VJq6ZENwx6 :2016/04/27(水) 22:37:52 iIJQICmM0
失礼しました、こちらのトリップでよろしいでしょうか?


240 : ◆lPwuvrl9Hg :2016/04/27(水) 23:06:50 AkvGyjwA0
>>208-209
江ノ島とダンロン設定の補足をwikiにて加筆修正しました。
あと状態表の備考欄を少し書き足しました。


241 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/27(水) 23:12:57 mX0CtU7A0
皆様投下乙です。

>>225
斬る、斬る、斬る。いいですね、シンプルですね。そういうキャラ好きです……

>>232
そうだよなあ……ハルヒないし一般人からしたら怖いもんなあ……
一般人離れした人が続いてたので、新鮮でした!

>>237
来るとは思っていた……! とりあえずビール的なゴルゴムに笑うw
ところで、種族が魔神になってるのは意図的でしょうか?

>>239
ありがとうございます。Wikiのトリップも修正お願いします!

>>240
確認しました、修正ありがとうございました。


242 : ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/27(水) 23:26:09 efWfFDxg0
>>241

すみませんでした、変換ミスしたものがそのままになっていたようです。

wikiの方、修正してきます。

失礼しました。


243 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/28(木) 11:15:35 qm5EoEXw0
投下します


244 : 躍者 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/28(木) 11:15:54 qm5EoEXw0
「……回りくどい」

純白の軍服、少し赤みのかかった白の長髪。
幼さがどこか残る外見の彼女は、今の状況をそう語った。
そう、彼女からしてみれば、回りくどいのだ。
他人の自由を奪い、このような催しを強制させるだけの力があるのならば。
初めから"救済"してやれば良かっただけの話だというのに。

「まあ、いい。いずれは訪れる運命が早まっただけだ」

魔神皇の目的には、それほど興味はないし、興味を持つつもりもない。
だが、なぜ自分が呼ばれたのかは、少し興味がある。
おそらく、旧人類に絶望しているであろう彼が、なぜ、わざわざ。

ふと、短く言葉をつぶやく。
いつも通り現れるのは、全を滅ぼす魔剣と、全を能する玉座。
そこで、彼女は全てを察する。

「ククク……なるほど、だから我を呼んだか」

あの男、魔神皇は旧人類を滅ぼさせるために、自分を呼んだのだ。
全く、本当に回りくどい。
そのようなことをせずとも、近いうちにすべての人類を滅ぼすための布石を打っていたというのに。

「よかろう、魔神皇。貴様に躍らされてやろう」

にいっ、と怪しく笑いながら、彼女は空を見て笑う。
望み通り、この場にいる全ての旧人類に救済を齎してやろう、と。
但し……貴様も例外ではない、と。

ふと、その時に思い出す。
配られた袋の中に入っていた、一つの懐中時計。
それが、魔神皇の言っていた"COMP"なのだろう。

「どうせ躍らされるなら、最後まで躍らされてやろう」

そういいながら、彼女は端末の操作を進める。
とん、とんとん、と何度か懐中時計の画面を叩いた後、視界が一瞬だけ光に包まれる。
そして、その光が晴れた先、彼女はいた。

「フッ……どこまでも、冗談の上手い奴だ」

それは、青い甲冑、薄紫の長髪。彼女であって彼女でない、戦乙女……もとい、女神 ヴァルキリーだった。

【?????/1日目/朝】
【完全者@アカツキ電光戦記】
[状態]:健康
[装備]:魔剣ダインスレイヴ@エヌアイン完全世界、COMP(懐中時計型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を含め、旧人類の抹殺
[備考]
※ED前、プネウマ計画発動前です。
※ミュカレとしての能力が使用できるかは不明です
[COMP]
1:レナス・ヴァルキュリア@ヴァルキリープロファイル
[種族]:女神
[状態]:健康


245 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/28(木) 11:16:10 qm5EoEXw0
投下終了です。


246 : 名無しさん :2016/04/28(木) 13:39:46 nB3EDXOc0
キリシマの設定を現在に合わせましたが、あれでよろしいでしょうか


247 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/28(木) 13:42:56 qm5EoEXw0
>>246
ご丁寧にありがとうございます!
書き込みにトリップ抜けてるんで、トリ付で書き込んでいただければ幸いです!


248 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/28(木) 14:15:41 meVYrFOI0
投下します。


249 : ガールズ&ドラゴン ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/28(木) 14:17:02 meVYrFOI0
 どうもこんにちは。わたし、秋山優花里と申します。
 大洗女子で戦車道を専攻している、ごく普通の女の子です。
 人とちょっと違うのは、この横に広がった天然パーマでしょうか……まぁ、コンプレックスなんですけど。
 そんなわたしは今、薄気味悪い廃病院のベッドに寝転がり、哀れにも涙を流している最中です。

「西住殿ぉ……皆さぁん……どこかにいるのですかぁ……? わたしは、一体どうすればぁ……」

 ええ、どうぞ。笑って下さいませ。
 大洗女子の装填手たろう者がこのザマとは情けない、と嘲笑して下さいませ。
 でも、いきなり体育館みたいなところに呼び出された挙句に、人を殺せと言われても、怖くて何も出来ないのです。
 この廃病院に飛ばされてからというもの、膝はガクガクと笑いっぱなしで、指先一つまともに動かすことが出来ません。
 今は戦車に乗っているときに感じる高揚感なんてあるはずもなく、殺したくないという想いと殺されるかもしれないという恐怖が頭の中を渦巻くばかり。
 そんなわけで、わたしは今、現実逃避をしている真っ最中……というわけなのです。

「誰か……誰か助けて下さい……っ!」

 そしてわたしは、枕で声を殺しながら何度も叫びました。助けて、助けて、助けて、と。

「お願い……誰か、誰かぁっ!」

 すると、突如わたしが着ている大洗女子のセーラー服が少しだけ白く輝き始めました。
 そしてそこで思い出したのです。確か我々には、こんぷとかいう、悪魔を召喚するものが支給されていると!
 恐怖ですっかり忘れておりましたが……ま、まさか……この制服が……この大洗女子のセーラー服が、こんぷだというのですか!?
 と、そんなことを考えている内に、白い光は幽霊の様にセーラー服から離れ、段々と背の高い人の様な形へと変わってゆきました。
 そしてその光が一層眩く輝いた瞬間! 目の前には……黒い和服を着こなした男の人が立っておりました。
 しかも、この和服に書かれている家紋らしきマーク……どこかで見たような……。

「あ、あのっ!」
「ああ、安心しいや。わしがおまんの悪魔じゃ。名前は坂本龍馬……それにしても、おまんは妙な服を着ちゅうにゃあ」
「え、ええええええええええ!? 坂本龍馬殿ですかああああああああああ!?」
「ん? なんなえ。おまん、わしのことを知っちゅうがか?」

 そうです! 思い出しました! この家紋は、あの坂本龍馬の家紋なのでした!
 え? 何故知ってるかですって? そりゃ〝おりょう〟殿から聞いたからですよ!
 それにしても、まさか自分の悪魔殿が坂本龍馬殿とは……おりょう殿に紹介して差し上げたいですなぁ……っ!

「あ、あのっ、わたしは秋山優花里と申します!」
「ほう。秋山優花里。おっしゃ、覚えた。で、その服ながやけんど……さては、西洋からの舶来品じゃな?」
「はくらいひん?」
「知らんがか! 世界には色々なもんがあってにゃあ! わしはそれらを集めて商売して、世界に対抗しようとしゆうがちや!」
「ああ、貿易の品ということですか……そういえば史実の坂本龍馬殿は、海援隊という組織を作ってたんでしたね……」
「おまん……ほんまによう知っちゅうにゃあ。どういてじゃ。まさかわしらの仲間の、娘さんか何かかえ?」

 と、ここでわたしは答えに困りました。
 そうです。この坂本殿は幕末に暗殺されてしまったお方なのです。つまり……つまりは過去のお人!
 そしてこのわたし秋山優花里は、坂本殿から見てみれば、立派な未来人なのです!
 うーむ、この時代の齟齬をどう説明するべきか……考えている内に涙が止まったのはいいのですが、いやはやどうしたものか……非常に困りました。

「あー、えっと、ですね」

 仕方がありません。こうなったら、正直に全てをお話致しましょう。
 何せ坂本殿は私の命を預けるお方。いざというときに関係に亀裂が走っては、それこそ文字通りの命取りでございましょう。
 というわけでわたしは、自分の住む世界の常識と、わたし自身の来歴を放すことにしたのでありました。


 そして、どれくらいの時間が過ぎた頃でしょうか。


 坂本殿に全てをお話ししたわたしが彼の様子を見ていると……坂本殿は、全身を震わせはじめました。
 そして両手に握り拳を作ったかと思うと、何やらぶつぶつと呟くのです。まさかカルチャーショックで頭がパンクしてしまったのでしょうか?
 心配になったわたしは、ここでようやく硬いベッドから這い出て、坂本殿の顔を覗き込んだのですが……その心配は、杞憂だったようです。


250 : ガールズ&ドラゴン ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/28(木) 14:19:31 meVYrFOI0
「凄いっ! す、凄すぎる! どういたことじゃ!」
「え、え? 凄い、ですか?」
「凄いにきまっちゅうろうが! 寺子屋と街が平ぺったい黒船の上に乗っかっちょって、しかもそこでは大砲が乗った車が走りゆうときた! これが凄くて他に何が凄いがじゃ!? わしは死ぬ直前には、日本の未来はどうなることやらと思いよったけんど、まさかここまで進化するとは思っちゃあせんかったわ! 特に、その空母とかいう黒船と、戦車とやらが気に入った! これがあったら立派に諸外国と対等に渡り歩いていけるやんかえ! まさにこれは、わしが夢に見ちょった計画、プランとそう違いがない……ほんまもんの正統進化じゃ! くううう〜〜〜! 日本は洗濯出来たがじゃな! 日本は見事に夜明けを見たがじゃなあああああ! 誰もが自由を勝ち取れる、亜米利加のような日本になったがじゃな! うおおおおおおおおお! やったぞ、わしはやったぞ! お龍おおおおおおおお!」

 なんと坂本殿はわたしの話を真っ直ぐに受け入れたばかりか、興奮状態で大きな叫び声まで上げ始めたのです。
 ああ、でも無理もないでしょう。おりょう殿から聞いたことがあります。坂本殿は日本を理不尽な階級のない国にしようと、そして諸外国と対等に渡り合える国にしようと奔走していたと。
 その夢が、坂本殿から見れば叶ったも同然なのです。これが吠えられずにいられましょうか。

「ヒヤッホォォォウ! 最高ぜよぉぉぉぉ!!」

 そんな坂本殿の様子を、わたしはまるで小さな子どもを見るような視線で眺めておりました。
 馬鹿にしているわけではありません。わたしの言葉を真っ直ぐ受け取って信用し、喜ぶべきことを身体全身で喜ぶその姿を見ると、元気が沸いてくるからです。
 この人と一緒なら、あの学生服のお方の言うことに従わなくてもいいかもしれない。わたしは、そうまで思えはじめてきておりました。
 ですが、そんな風に呑気していたとき……不穏な空気が流れ始めました。なんと坂本殿の声に混じって、赤ん坊の声が聞こえてきたのです。
 そして声のした方――窓の外です――へと視線を向けると……!

「さ、坂本殿! 坂本殿! あれ、あれを見て下さい!」
「え? う、うおおおお!? なんじゃあ!? 物の怪の類いかえ!?」

 なんと、右目がぽろりとこぼれ落ちそうになっている巨大な赤ん坊の化け物が、窓越しに我々を見ていたのです!
 しかもなんとその片腕でガラス窓を粉砕すると、我々に手を伸ばしてくるではありませんか! きっと捕まれたら……一巻の終わりです!
 これは誰かが使役する悪魔なのでしょうか? それともいわゆる〝野良〟というやつなのでしょうか!?
 ……いえ、そんなことはどうでもいいでしょう! 今分かること……それは、我々がいわゆる大ピンチな状況にあるということだけです!
 ああ、一体どうすれば……ああ、わたしはここで終わってしまうのでしょうか? せっかく、せっかく大洗女子の存続が決定したというのにぃ……!
 わたしは思わず、嘆きの声を上げかけました。

「泣きなや。可愛い顔が勿体ないき」

 するとそのときです。坂本殿がわたしの目尻を指でそっと拭ったかと思えば、腰に帯びていた刀を握りました。
 そして抜いた刀を正眼に構えた坂本殿は、蝋燭の火の如く刀身をゆらゆらと揺らし……そのまま赤ん坊の腕を肘の先から真っ二つにしてしまいました!
 そうです! これこそおりょう殿から話に聞いていた、北辰一刀流! 忘れておりました! 坂本殿は、その流派の免許皆伝書を取得していたのです!
 赤ん坊はそんなことも知るはずはないでしょう! 腕を切られたショックからか大きな声で泣き叫ぶと、窓から離れていきました!
 いけません! どうやら逃げるようです!


251 : ガールズ&ドラゴン ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/28(木) 14:20:44 meVYrFOI0
「坂本殿、このままでは、別の方々に被害が……!」
「分かっちゅう」

 ですが坂本殿は落ち着いておりました。
 そして彼は刀を鞘へと収めるやいなや、今度は胸元へと片手を伸ばします。そして、そこから出てきたのは……なんと、とても古いデザインの拳銃でした!
 そういえばこれもおりょう殿が言っておりました! 坂本殿は妻のお龍殿と共に、この銃で鳥を撃つ狩りを楽しんでいたことがあると!

「バン」

 慌てて逃げようとする赤ん坊の化け物に向けて、坂本殿はお茶目に呟きます。
 そしてしっかりとハンマーを持ち上げ、引き金を引くと……赤ん坊の眉間に風穴を開けました。
 更に坂本殿は何度も何度も赤ん坊を撃ちまくります! やがて動かなくなった赤ん坊は、煙のように消えていってしまいました。
 こ、これは……これはもしや……。

「もしや……これは、我々の、いや、坂本殿の勝利ということですか……?」
「まぁ、消えたがやき、そうやろうにゃあ」

 その言葉を聞いて、わたしは思わず坂本殿を抱きしめてしまいました。

「す、凄い! 凄いです! 流石はおりょう殿が尊敬するだけのことはあります!」
「なんなえ。おまん、わしの妻のことも知っちゅうがか?」
「あ、いえ。実はおりょう殿というあだ名の友達がおりまして……」
「ほーん。そりゃあきっと、まことに面白き女ながじゃろうなぁ」

 そして我に返ったわたしは坂本殿から離れ、彼が銃をしまう所作を見守ると、深々とお辞儀をして言いました。

「あの、坂本殿! このわたし、秋山優花里は……あの学生服の人のいうことは聞きたくありません!」
「ほう」
「ですから、その……どうか、この街から逃げるお手伝いをしてくれませんか!?」

 内心どきどきしながら、わたしは頭を下げ続けます。戦車と組員がいなければふぬけも同然のわたしのために、坂本殿が動いてくれるか、少しだけ不安だったのです。
 すると、わたしのコンプレックスであるふわふわ天然パーマが、大きな手によって撫でられました。

「顔を上げや」
「え? あ、はい」

 更に、言われたとおりに顔を上げると……そこには満面の笑みを浮かべる坂本殿が立っておりました。

「その案、わしは乗ったぞ!」
「本当ですか!?」
「本当じゃ! ほやけど、その代わり……」
「その代わり……?」
「その〝おおあらいじょし〟いう所に、わしも連れてってくれ。平ぺったい黒船と、戦車道の試合が見てみたいんじゃ」
「……は、はい! そんなことならいくらでも!」
「よっしゃ! 決まりじゃな!」

 そしてわたしが坂本殿の願いを叶えると約束すると、彼の笑顔は新しいオモチャを待つ子どものようなそれに変わります。
 いやはや、本当に面白いお方ですね。帰ったらまずは一番に、おりょう殿を紹介して差し上げましょう!

「そ、それでは坂本殿! 共に参りましょう! いざ、パンツァー・フォー!」
「ん? なんじゃ? パンが阿呆?」
「パンツァー・フォー! です! えいえいおー、みたいなものです!」
「おお、そらすまんかった。じゃあ折角やき、一緒に言おうか!」
「いいんですか!?」
「どうせ外国語ながやろ? わしも混ぜてや! 混ーぜーてーやー!」

 あはは……まったく、どちらが子どもなのやら。
 では喜んで。行きますよ、坂本殿! ……せーの!

「「パンツァー・フォー!」」


【?????/1日目/朝】
【秋山優花里@ガールズ&パンツァー(TVアニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:大洗女子の制服型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:この街から逃げる。人殺しは御法度。
※本編終了後です。
[COMP]
1:坂本龍馬@史実
[種族]:偉人
[状態]:健康
※暗殺後です。


252 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/28(木) 14:21:02 meVYrFOI0
投下を終了します。


253 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/28(木) 14:58:55 qm5EoEXw0
>>252
投下乙です!
マジもん来た……! 確かに、史実の人からしたら戦車なんてすげえモンだよなあ……


254 : 名無しさん :2016/04/28(木) 16:55:43 4jQD3SiI0
悪魔は特に制限が無いとの事ですが、二次創作(他パロロワ等)からは大丈夫ですか?


255 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/28(木) 17:02:55 qm5EoEXw0
>>254
パロロワに限らず、同人誌出典など
原作把握に+で他企画の把握が必要となる場合は、申し訳ないのですがご遠慮いただけると幸いです。
また、他企画無名キャラを引っ張ってくる場合は、極力「原作」での参加にご協力お願いいたします。

ですが、下記ケースであれば、ご相談いただければ許可できるかもしれません。

・原作からかけ離れており、それ単体での把握が可能であるもの。
(例:ユリウス・ベルモンドゥエ@悪魔城TASなど)
・他企画が初出のキャラクター
(例:オリロワ系列のキャラクターなど)

お気軽に相談いただければと思います。


256 : 名無しさん :2016/04/28(木) 17:14:20 XqrN8kik0
会場には悪魔がうろついてるとのことですが
聖杯企画で言うNPC、普通の人間もいるのでしょうか?


257 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/28(木) 17:18:21 qm5EoEXw0
>>256
聖杯企画に詳しくないので、どういった感じなのかはわかりませんが、会場には参加者以外だと、悪魔しか存在しません。
野良悪魔に関しては現時点では女神転生シリーズの悪魔で極力登場させるようにお願いしております。

なので、後々またアナウンスしますが、基本的には施設を含め「普通の人間」は居ない予定です。
どうしても人間のモブとか出したい、という場合は女神転生シリーズの悪魔で代用願いますよう、ご協力ください。


258 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/28(木) 19:18:00 qm5EoEXw0
現時点で回答させていただいていることを、ひとまず基本ルールにまとめました。
また随時更新していくので、ご一読頂けるとありがたいです


259 : ◆NIKUcB1AGw :2016/04/28(木) 23:11:40 HCKfVzWM0
投下します


260 : 若いたぬきとミドルのきつね ◆NIKUcB1AGw :2016/04/28(木) 23:12:48 HCKfVzWM0
とある病院の一室で、八神はやては途方に暮れていた。

「はあ……。どうすればいいんやろ、私」

はやては、特に際立った力など持たない小学生である。それどころか、足に障害を抱えていて歩くことすらできない。
幸い車いすは「車いす型COMP」という形で支給されているので、移動することはできる。
だがそれでも、一般人と比べれば移動速度は劣ることになる。
こんな無力な少女を殺し合いに放り込んで、どう生き残れというのか。

「せめてシグナムやヴィータがおれば……。いや、あかん。
 あの子たちには、こんなことに巻き込まれてほしくない」

はやての脳裏に浮かぶのは、自分の「家族」であるヴォルケンリッターの4人。
戦う術を持つ彼女達がいれば、はやてが生き残れる確率はグッと上がるだろう。
だがそれは、彼女達もこの地獄に巻き込まれるということだ。
そんなことは断じてあってはならない。

「でも……その可能性もあるんよな」

はやては、右腕の肘掛けと一体化したCOMPの本体部分に目を遣る。
ヴォルケンリッターは「闇の書」の防衛プログラムが実体化した存在であり、人間ではない。
「悪魔」と見なされ、このCOMPに収納されている可能性も充分にある。
はやては知っている名前が出てこないことを祈りながら、おそるおそるCOMPを操作する。
その結果、モニターに表示されたのは彼女の知らない名前だった。
いや、厳密に言えば身内ではないが、聞いたことはある名前だった。


261 : 若いたぬきとミドルのきつね ◆NIKUcB1AGw :2016/04/28(木) 23:13:29 HCKfVzWM0

「コックリさん……?」

コックリさんといえば質問すれば指が勝手にその答を示してくれるという、オカルトじみた遊びのことだったはずだ。
それが悪魔としてCOMPに入っているとは、どういうことなのか?

「たしかコックリさんは、狐の霊が取り憑くってことになってたよな……。
 ということは、狐さんが出てくるんか?」

疑問を解決すべく、はやては決定キーを押す。
その瞬間、COMPから光が飛び出す。
そしてそれは、はやての前で一つの形を取った。

そこにいたのは、和服を着た銀髪の美男子だった。
だが頭から生えた狐の耳と背後に見えるしっぽが、彼が人外の者であることを示している。

「おお……」
「あんたが俺の主人……って、おい! こんな小さい子供まで参加させられてるのかよ!」

感嘆するはやてに対し当初はキザな笑みを浮かべていたコックリさんであったが、自らの主人が子供であることに気づくと表情を一変させる。

「あの陰険野郎、俺をこんな悪趣味なイベントに参加させただけじゃなく、子供まで……!
 絶対に許さん! 末代まで祟ってやる!」
「あ、あの……」
「おっと、すまん。つい熱くなってしまった」

一人でまくし立てていたコックリさんだったが、はやてに話しかけられたことで我に返った。

「俺はコックリさん。人間の質問に答えるのが本業だが、バトルもできないことはない。
 そこら辺の雑魚悪魔程度には負けないから、安心してくれ」
「はあ……」
「安心しろ、おまえは俺が守る。お前みたいな小さい子供を、こんなくだらないイベントで死なせるわけにはいかないからな」
「はい……。それじゃあ、その言葉に甘えさせてもらいます。
 よろしくお願いしますね、コックリさん」

コックリさんの心強い言葉に、はやてはこの場で初めての笑顔を見せた。

「うんうん、子供は素直が一番だ。こひなも、このくらい素直なら……」
「こひな?」
「んー、まあ、知り合いの子供だ。そのうちゆっくり話すさ」
「じゃあ、楽しみにしてますね」

そういって、はやてはまた笑う。
その素敵な表情に、コックリさんは彼女を守ることをさらに固く誓うのであった。

「あっ、言っておくけど俺はロリコンじゃないからな!」
「コックリさん、誰に向かって話してはるんです……?」


【?????/1日目/朝】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's】
[状態]:健康
[装備]:車いす型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品(1)
[思考・状況]
基本:まだどうすればいいかわからないが、とりあえず生き残る。
[COMP]
1:コックリさん@繰繰れ!コックリさん
[種族]:神獣
[状態]:健康


262 : ◆NIKUcB1AGw :2016/04/28(木) 23:14:21 HCKfVzWM0
投下終了です


263 : ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/29(金) 00:19:38 nMkO6H360
投下、お疲れ様です。

私も投下いたします。


264 : 腹黒スケベ城 〜始まりのはじまり〜 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/29(金) 00:20:58 nMkO6H360
「何でじゃー!なんでいつもこんな目に合うんじゃー!」

そう叫ぶこのハゲ親父の名は腹黒主水之介助兵衛(はらぐろもんどのすけすけべえ)。

悪役専門の俳優として、特撮や時代劇で引っ張りダコのおっさんである。

そんな彼がなぜ叫んでいるかというと、無論この殺し合いに巻き込まれた不満からである。

「なんでいつもこんな目に合うんじゃ…、飛行機に乗れば力士が大量に一方向に集まったせいであわや墜落の危機、
 エジプトに観光に行けばなぜかミイラに呪われ…挙句の果てにこんな殺し合い…なんでいつもいつもこうなるんじゃ…」

とうとう今までの不幸話も交えて愚痴りだしてしまった。

しかし、そう嘆いてもいられないと思ったのか、彼は愚痴りつつも自分の支給品を調べ始めた。

とりあえず今は自分の身を守れる何かが必要と考えたからである。

そして彼は、とんでもないものを見つけてしまった!


265 : 腹黒スケベ城 〜始まりのはじまり〜 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/29(金) 00:21:54 nMkO6H360

「こっこれは…ライ(自主規制)バー!」

そう、いろいろと著作権が厳しそうな、光輝く剣である。

それを起動させようとしたところ、刀身が出たがなぜか持つ部分まで光りだしてしまった!

まさか不良品、又はバッタモンをつかまされたかと思った矢先、彼の目の前に一人の少女が現れた。

その少女は、短くまとめられた頭に背中の大きく開いた青い服、そしてその背中には血を受ける杯を思わせる刺青が施されていた。

「貴方が私を呼んだの…?私は魔人、ミレニア…よろしくお願いします…。」


266 : 腹黒スケベ城 〜始まりのはじまり〜 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/29(金) 00:22:39 nMkO6H360

彼はその姿を見て、なんか弱そうだなと思ってしまった。

無理もない、背中の奇妙な刺青を除けばただの無口な少女にしか見えないのだから。

しかしまずは彼女が何ができるのか確認することにした。

「えっと…すまんがお前さんは何ができるのじゃ?」

「私の能力は様々な罠を作ること…さっそくそれを見せる…。」

そういうと彼女は、ちょうど近くにいた野良悪魔に右手を向けた。

するとその悪魔の足元から突如として三角木馬が現れて、その悪魔の股間を直撃した!

そして倒れこみ、しばらく身動きの取れなくなった悪魔の背後の壁から、一本の矢が発射された!

悪魔は矢が刺さった痛みによって立ち上がったが、その直後彼の目の前に振り子刃が襲い掛かり、彼の頭は真っ二つになってしまった。

「こんな感じ…どう?」

彼女が感想を聞くが、そんなこと助兵衛には届いてなかった。

彼女が表情一つ崩さず、それをやってのけたことに驚いていたのである。

少しした後、正気に戻った彼は彼女にこう言った。

「ワシはまず戦うよりも生き延びたいんじゃ、じゃからその罠でワシを守ってくれんか?まぁ、そのためにまず拠点を探す必要もあるんじゃが…。」

「分かった、それではまず拠点を探すことを優先する…。」

そうして彼らは使えそうな施設がないか探すことにしました。


267 : 腹黒スケベ城 〜始まりのはじまり〜 ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/29(金) 00:23:13 nMkO6H360

がんばれ助兵衛!負けるな助兵衛!君の頭上には、いつもあの星が輝いているぞ!

北斗七星8番目の星が君を見つめているぞ!がんばれ!


【腹黒主水之介助兵衛@悪代官 (ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:理力の剣(ライ○セ○バー)型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:生き延びたい。できれば家に帰りたい。
[備考]
※"腹黒"が苗字、"主水之介"がミドルネーム、"助兵衛"が名前です。
※彼は高血圧の上に痔持ちのため、あまり激しい運動ができません。
[COMP]
1:ミレニア@影牢 〜刻命館 真章〜
[種族]:魔人
[状態]:健康


268 : ◆OW5ZCNLz4U :2016/04/29(金) 00:23:57 nMkO6H360
投下終了です。ありがとうございました。


269 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/29(金) 02:24:08 QvjOjxVk0
皆さま投下乙です。私も投下します。


270 : TOLOVEるテクニック ダークネス ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/29(金) 02:25:44 QvjOjxVk0



「まったく、とんでもないことに巻き込んでくれたじゃないの」

青いツナギを着たいい男、もとい自動車修理工、阿部高和は公衆トイレでポツリと呟いた。
偶然出会った青年、道下正樹と行為に及び、共に新たな境地を見出していた時にこれだ。
受けた側からすれば溜まったもんじゃない。

「魔人皇だかなんだか知らないが、ちょいと火遊びがすぎるんじゃないか?」

『男は度胸、なんでもやってみるものだ』

それが彼の信条ではあるが、決して他者に強要などしない。
行為に及ぶ際も、ちゃんと相手に確認をとり、受け入れられれば何者であろうと拒まないし、断られればそのまま帰す。
その線引きを見失えば、それは身体を通じて心をぶつけ合う愛情行為ではなくただの強姦と化す。
あの少年がやっているのはそれだ。
見ず知らずの他者を無理に拘束し、殺人を強要する。まさに強姦魔と同じだ。
そんなワルガキには、いくら温厚な彼でもキツイお仕置きをしてやりたくなる。

「さて。俺はこれからどうするべきかね」

首に嵌められた首輪を指でなぞりながら、これからの方針を考える。
この首輪がある限り、馬鹿正直に歯向かえば見せしめとなった彼らと同じように殺される。
となれば、当面はこの首輪をどうにかするのが目標だが、それまではどうしようか。
気が進まないが、彼の言葉に従い参加者を殺してまわるか。
それとも、微かな希望にかけて他の参加者と協力しあいこのゲームを脱出するか。
個人的に選びたいのは後者だが、果たしてそううまくいくものだろうか。


「ま、ともかくは支給品とかいうやつを確認してみるか」

どう行動するにせよ、いまは生き延びることが最優先だ。
支給品によって行動を考える必要性がある。

「悪魔が封じ込められているとか言ってたが...ひょっとしてコレのことか?」

阿部が手にとったのは、腕時計の形をしたCOMP。
説明書も付属されており、指示通りに弄れば悪魔を召還できるらしい。

「オカルト系を信じてるわけじゃあないが...やるだけやってみるか」

阿部自身、主催の少年が妙な光を発射したのを見ている。
そもそも、行為に及んでいる最中に連れてくる時点で普通じゃないのだ。
ならば、悪魔が封じ込められているというのも―――あながち嘘ではないかもしれない。


271 : TOLOVEるテクニック ダークネス ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/29(金) 02:26:41 QvjOjxVk0

「さて。鬼が出るか邪がでるか」

どちらが出ようが、受け入れるだけだ。
自分を求める者ならば、ノンケだろうがなんだろうが愛を持ってぶつかり合う。
それが阿部高和という男だ。

そして、指示通りにCOMPを操作し...悪魔は、現れた。

「こいつはまた、可愛い小悪魔じゃないの」

現れたのは、少年だった。
まだ幼さの影が残る童顔で、人なんざ殺したこともないほどキレイな眼をしている。
少年は、キョロキョロとしきりに辺りを見回し、状況を確認している。
明らかに動揺している点から、この少年もまた、巻き込まれた被害者であることを察する。

「え、えと...」
「戸惑っているところ悪いが、少し話をさせてくれないか。俺の名前は阿部高和。きみは?」
「ゆ、結城梨斗です」
「結城梨斗。いい名前じゃないの」

軽い自己紹介を終えたところで、阿部は梨斗を床(なぜか徹底的に掃除されていたためか、とても綺麗だった)に座らせ、これまでの経緯を説明する。

「こ、殺し合いだって!?」
「ああ。なんでも、俺たちはそれに勝ち残らなきゃ生きて帰れないらしい」
「なんでそんなことを...!」
「さあな。ただわかるのは、あの魔人皇とか名乗った坊やはタダモノじゃないってことだけさ」

梨斗の横顔を阿部はジッと見つめる。
殺し合いへの恐怖や混乱の色もあるが、その中でもブレない確かな想いがある。
それを確認するため、阿部は選択肢を突き付ける。


272 : TOLOVEるテクニック ダークネス ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/29(金) 02:27:54 QvjOjxVk0
「...リト。お前さん、これからどうするつもりだい」
「え?」
「さっきも言ったが、ここを脱出するなら生き残る以外に道は無い。ならばどうするか、選択肢は二つだ」

阿部は、己の眼前に握った拳を持っていき、人差し指を立てる。

「選択肢①。魔人皇のルールに従い、他の参加者を殺して生還する」
「ッ」
「選択肢②」

次いで、人差し指はそのままで中指を立てる。

「僅かな希望に掛けて、脱出の道を探る」
「...!」
「さあ、お前はどちらを選ぶ」

梨斗の目が揺らぎ、阿部から視線を逸らす。
傍からみれば、後ろめたいことを考えていると思われることだろう。
だが、阿部は違う。彼にはわかる。
梨斗の目が揺らいだのは、決して迷っているからではない。

「オレは...誰も殺したくありません」

弱者である彼が、覚悟を決めるためのものだ。

「いいのかい。脱出を目指すってことは、それだけ生存率も下がるってことだぜ」
「オレだって、死にたくなんかありません。だけど、もしかしたらオレの知り合いもいるかもしれないし、何より死にたくないのはみんな同じはずです」
「......」
「それに、巻き込まれている人を、助けを求めてる人を見殺しになんかしたら...この手で殺したら、オレは妹にも両親にも顔向けできない...それだけです」

梨斗の言葉に、阿部はフッと笑みを零す。
思った通りだ。
彼は、結城梨斗は、この状況でも優しさを失わない『いい男』だ。
ならば、阿部のこれからの方針も決まったようなものだ。

「気に入った。それじゃあ、お前さんの意見にいっちょノらせてもらうとするか」
「いいんですか?」
「男は度胸、なんでもやってみるものさ。困難だと思う事なら尚更な」
「ありがとうございます!」

パァッ、と明るくなる梨斗の顔につられて、阿部の顔も自然と綻ぶ。

(まったく、どこが悪魔なんだか)

彼の無垢な笑顔を見ると、ここが殺し合いの場なんて忘れそうだ。
だからこそ、護り甲斐があるというものだ。

「さて。いつまでもここに留まってても仕方ない。そろそろ動こうか」
「はい!」

二人は落ち着けていた腰をあげ、他の参加者へと接触するため歩き出そうとする。


273 : TOLOVEるテクニック ダークネス ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/29(金) 02:28:57 QvjOjxVk0
しかしその時!

「うわっ!」

ツルッ、と軽快な擬音が見えそうなほどに、足を滑らせた梨斗の身体が、阿部へと倒れ込む。
阿部は、咄嗟にその丈夫な胸板で優しく受け止めてやろうとするが、しかしそれより早く梨斗の右手が奔り、ツナギのホックが限界にまで引き下ろされる。
と、同時に。
梨斗の左手は阿部の胸板の先端を摘み上げ、顔をへその部分に埋めてしまう。

「んっ...」

胸への刺激と、微かにへそをなぞる舌遣いにより、阿部の身体に甘い感覚が走り、思わず甘い声が漏れてしまう。
そして、不覚にも身体の一部は素直に反応してしまい...

「...可愛い顔して、ずいぶんテクニシャンなんだな」
「う、うわわっ、ご、ごめんなさい!」

激しく怒張する阿部の一物を感じ取ったのか、梨斗は顔を真っ赤にして慌てて飛び退く。

「ハハッ、どんまいどんまい!」

未だに顔を赤くし、申し訳なさそうな顔をしている梨斗に、阿部は下ろされたホックを戻しつつ、豪快に笑い飛ばしてこの一件を不問とした。
その阿部の態度にいくらか罪悪感が払拭できたのか、梨斗の顔の赤みも徐々に引き始めた。

「それじゃ、改めて行こうか」
「は、はい」

こうして、いい男と少年は、ようやく公衆トイレから動き出すことになる。


(...それにしても)

阿部は、チラリ、と己の胸板と腹部を見る。

(凄まじいテクだったな。転んだだけとは思えないほどに正確な急所攻め、そして愛撫...)

阿部自身、様々なアブノーマルなプレイは経験はある。
性技に関しては百戦錬磨だ。
しかし、そんな阿部でさえ、梨斗の手つきには堕とされかけた。
あともう一捻りされれば、思わずイッてしまったかもしれない。
こんな経験は初めてだ。

(全く、とんでもない素質を持った悪魔を呼んじまったもんだぜ)

きっと彼は大物になるだろう。
それこそ、女の子どころか、男や動物でさえ骨抜きにしちまうほどの阿部と同等、いやそれ以上のテクニシャンだ。
その証拠に、もう一度あの快楽を味わいたいと阿部の身体が疼きで訴えている。

―――この殺し合いが終わったら、ひとつ誘ってみようか。

そんなことを考えつつ、阿部高和はいい男としてこの殺し合いに臨むのだった。





【?????/1日目/朝】

【阿部高和@くそみそテクニック】
[状態]:健康、身体の疼き
[装備]:腕時計型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出。
0:強姦ダメ、絶対

[COMP]
1:結城梨斗@TOLOVEる-とらぶる-ダークネス
[状態]:健康

※自分が悪魔という自覚は一切なく、なぜ自分が悪魔として召喚されたのかもわかっていません。


274 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/04/29(金) 02:29:35 QvjOjxVk0
投下終了です


275 : 名無しさん :2016/04/29(金) 09:13:39 vXx6Pl/Y0


嫉妬よね……

あれだけの実力と才能があって…… しかも努力家で性格もいいなんて…… 更に私と同い歳なのよ……

年上なら年の功よねって許せるし…… 年下なら才能の違いだって認めてあげられるけれど……

あの子は私と同じ時間を生きて来た 時間を平等に与えられてあの場所にあの子は居る

それってまるで 私が怠けて時間を無駄にしてた気がして我慢ならないの





「……」

学生服の女が一人で立ち尽くしている。いまいる交差点に人影はなく周囲からは物音一つしない。
身の丈は並の男を見下ろせるほど高く、顔立ちは整っているが目元には怒りをたたえている。
その目は前方に注がれていたが、此処ではないどこかを見ていた。

少し前まで自分――石堂夏央は空手部の沢村先輩と歩いていた。
バレー部員の自分が、道場破りみたいに空手部の黒帯を組手で倒したから。

――これから、一生懸命頑張って、たくさん努力するはずだったんだけどなぁ。

石段を上る直前で記憶が途切れ、次の記憶はこの場所で目覚めたところから始まっている。
そして魔神皇とか名乗っていた少年に殺し合いを強制された。
直ぐ近くにいたであろう沢村先輩の前から、意識の無い自分を拉致する非常識っぷりから考えて冗談やドッキリではあるまい。
それに。

――首輪。

あの首を飛ばされた少女についていた物。首元には不気味な圧迫感があり、触ると手から冷たい感覚が伝わる。
外す方法は思いつかない。そして帰る方法もわからない。
あれから時間が経っているとすると警察沙汰になってるかな。沢村先輩も巻き込まれただろうか。
魔神皇の言う通りに殺しあいに乗る気もなく、夏央はぼんやりと景色を眺めていた。





行く当てはないが、とりあえず支給品は確認しておくことにした。
「COMP、って言ってたっけ」
魔神皇が言っていた通りなら、悪魔が一体封じられている筈。
いかにも胡散臭いが、この状況だ。何かあるだろうし、何が出てくるか興味もある。
期待や不安で胸をざわつかせながら、携帯電話型COMPの起動ボタンに手をかける。


276 : 名無しさん :2016/04/29(金) 09:14:38 vXx6Pl/Y0

画面に幾つかのメッセージが流れたのち、目の前に人影が姿を現す。
大きな女だ。身の丈は夏央と同等なほど高いが、体操着を思わせる上着からのぞく腕や首は夏央のそれよりも逞しい。
そして顔立ちが整っている。太陽の如く輝く金髪に、野性と優美さを併せ持った美形。
けれど。頭部から突き出た一本角が、人外であることを主張していた。

「おぉ…」

しばし言葉を失う。如何にも化け物然とした悪魔が出てくると思っていたら、歴戦の女子格闘家を思わせる容姿だったからだ。
しかし今まであった誰よりも美しく、迫力があり、向かい合っているだけで金縛りにあったように身体が動かない。

「随分でかい主人に呼び出されたねぇ」
「そっちだって…大して変わらないじゃないですか」
「あっはっはっはっ!たしかにそうだ!」

唾を呑むのも忘れていたほどだが、声をかけられたことで少しばかり調子が戻った。

「それで、あーっと…」
「あっ、石堂夏央といいます」
「ふむ、私は星熊勇儀だ。ではナツオ。あんたは、この戦いでどう動くつもりだ?これから組になるんだからね。
ぜひ聞かしておくれよ」

態度こそ柔らかかったが、一切の嘘は許さぬと眼光が告げている。
その質問の答えは勇儀を召喚するまでずっと考えていた。だから逡巡することなく答える。

「潰したい子がいるんです。まだ全然かなわないけど……これから努力するんです。だから死んでなんかいられない。魔神皇の力は借りません」
「ふぅん?面白い。本当なら殺し合いにくれてやる時間なんてないわけだ。」

退屈だったのだ。物心ついた時から『なんでもできた』。ほぼ初心者からバレー部レギュラーの昇りつめるのも苦にならなかった。
これは「努力ができる人間」には決してわからない寂しさだ。
ようやく楽しくなりそうなのだ。ここで倒れる気はない。なんとしても生きて帰って、馬渡ゆず子の…大っ嫌いなアイツの笑顔を潰しにいこう。
まだ笑いが抜けない勇儀をよそに夏央は歩き出した。勇儀もそれに付き合って歩きはじめる。

「善悪は置いといて、明確な目標があるのはいいもんだ」
「別に…そんなんじゃないです」

勇儀は上機嫌で言い放つ。その顔には、これから遊園地に向かう子供のような笑顔があった。

「どっちにいきますか」
「あんたにまかせる。そのうち誰か行きあうだろうさ。それよりあんたの話がもっと聞きたいね」
「ええと……」

幻想に生きる鬼と、現世に生きる少女が手を取り合う。
二人は全身全霊を出せる瞬間を求めている。



【石堂夏央@鉄風】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:馬渡ゆず子の笑顔を潰す。そのためにも生きて脱出する。
[COMP]
1:星熊勇儀@東方PROJECT
[種族]:妖鬼
[状態]:健康


277 : 名無しさん :2016/04/29(金) 09:16:22 vXx6Pl/Y0
すいません。投下宣言忘れました。
投下終了です。

タイトルはアマゾネスでお願いします。


278 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 10:24:37 q0IZxaoo0
皆様投下乙です!
当企画はご自身でのWiki収録を経て、エントリー完了となっておりますので、ご留意ください。

>>262
アツい感じのこっくりさんだ……車椅子COMP、どこかで……プロフェッサー……うっ

>>268
ある意味同業者コンビ来たw
クラウドやエアリスとも渡り合ったおっさんが、本職と組んでどこまで行けるか……

>>274
男まで例外ではないとは、確かに悪魔のように恐ろしい……w
阿部さんのいい男っぷりもさることながら、悪魔として自覚してないケースは珍しいですね!

>>277
うーん、デカいコンビ。個人的復讐とかの為に生き残るってスタンスはやはり映えますね。
豪快な彼女もそれをどこまでサポートするのか……


279 : 名無しさん :2016/04/29(金) 17:30:20 H3TeS55Q0
ファンタジー作品についての質問です。
基本的に要相談ということでしたが、例えば「そのキャラクターが住んでいる国が現実に存在している」ことにするのは問題ないでしょうか?
例えば「DQ2のローレシア王国が地球のどこかに存在する」という具合に捏造するですとか、そういう意味です。


280 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 17:57:00 JyMl/Jds0
>>279
女神転生世界の設定を上手く使って、文中で落とし込んで頂ければ大丈夫です。
例えばこれまでの投下だとC-016の作品は参考になるかもしれません。


281 : 名無しさん :2016/04/29(金) 18:08:42 H3TeS55Q0
>>280
解答ありがとうございます。
ただ、当の女神転生世界の設定を知らないので、危ない橋は渡らないようにしておきます……w


282 : ◆KV7BL7iLes :2016/04/29(金) 18:11:35 oQXPBbfw0
投下します。


283 : MERMAID HARP ◆KV7BL7iLes :2016/04/29(金) 18:12:55 oQXPBbfw0



琴岡みかげには好きな人がいる。
星のように輝く、素敵な人だ。
いつも明るく、快活な姿は子供っぽさをまだ大分残している。
勉強をあまりしないから成績は良くないけれど、気遣いは出来る優しい人だ。
サッカー部でもかなりの活躍を見せ、夕暮れの校庭を走る姿は教室からだって良く分かる程にキラキラしている。
そして、何よりその笑顔を見ると、心臓が言うことを聞かずに飛び上がる。

浮かべてみればどれも少女漫画に良くある形容ばかりで、しかし恋する少女がするには確かに的を射た表現だった。

鷲尾撫子というもう一人の友人と、出会ってからずっと三人で共に時を過ごし。
ちょっとした喧嘩なども無いわけじゃないけど、いつも最後には仲直り出来る。

そんな親友の一人に、彼女は出会った時から目を奪われていた。
何の事はない、漫画に良くある一目惚れが実在したというだけだ。
中学生としての一歩を歩み始めたその日に、とある事情から感謝をされた。
たったそれだけの事なのに、気付けばいつでも目で追ってしまう程に虜になっていた。




けれど。




それは、叶う事の無い恋だった。
どんな事があっても、実る筈がない想いだった。
幾らその想いが強くても、それを封じ込めなければいけない、そんな報われない感情だった。


その、理由は。


相手に好きな人がいる。
確かにそうだ。
自分が恋している相手は、三人組のもう一人、鷲尾撫子に想いを寄せている。
ずっと私が見ていたその人は、私と同じように目線の先にいつも彼女を捉えていた。


今の三人の関係を壊したくない。
確かにそうだ。
今の三人の関係だって、とてもとても居心地が良い。
三人でまだ楽しい思い出をいっぱい作りたいし、三人でずっと一緒にいたい。




けれど、違う。



そんなことよりも、もっと大きな理由が、一つある。




琴岡みかげの恋が、成就しようがない理由は。





琴岡みかげが恋い焦がれる白鳥司は、彼女と同じ「少女」であるからだった。


284 : MERMAID HARP ◆KV7BL7iLes :2016/04/29(金) 18:13:36 oQXPBbfw0



☆☆☆


殺し合い。
その言葉を思い出して、琴岡みかげは憂鬱そうに溜息を吐いた。
改めて考えても、現実感が無いだとか、そういうレベルでは最早無かった。
そういえば、何番目かの彼氏がそんな内容の本を読んでいた事もあったっけ─────そんな意味の無い事が何故か矢鱈と浮かんで来る。
それが現実逃避だと気付くのに、かかる時間はそう長くなかった。


殺し合い。
あの魔神皇と名乗る、自分とそう歳が離れていなさそうな青年は、そう言った。
生き残れるのは、最後の一人だけだと。
生き残れば、彼の元で働く権利と、たった一つだけ願いを叶える権利を得るのだと。
無茶苦茶な話だ。
現実感が無いとかそういう問題ですらない。何の脈絡も無く巻き込まれた事態は、自分が傍から話を聞いたとするなら馬鹿馬鹿しいと一蹴できてしまうようなものだ。

けれど。
初めて見た真っ赤な血は、初めて見た「死」は、それまで血生臭い現実に触れる事が無かった彼女にすら、その現実感をありありと伝えてきた。

殺し合い。
殺さなければ死ぬ、そんな場所。
死にたいか、と言われて頷く程に参ってはいないが、しかし己の為に自分の手を穢せるかと言われれば─────そんな選択を迫られた事がない彼女に、簡単に決断は下せない。


「願いを、一つ叶える………」


反対に、かろうじて理解が出来るものに関しては、比較的簡単に考えを浮かばせる事が出来た。
願いを叶える。
ごくごく単純にして、しかし絶対的に力を持つ言葉。
あまりに非現実的な言葉でもあり、しかし誰もが現実に夢想する、そんな願い。
明言こそしていなかったが、異能の力を初めて目の前で見せつけられた彼女には、どんな願いでも叶えられるのではないか、と思わせるには十分だった。


(それなら、私は)


意味の無い妄想が、どうしようもない現実から目を背けるべく溢れ出す。

もし。
もしも。
流れ星に祈った願いが叶うような、そんな御伽噺のようなことが本当にあるなら。
そして、もしも─────万が一にでも、自分が、その願いを叶える権利を得たとするなら。
私は、何を願うのだろうか。


私は。
司と─────?


「………今、そんな事考えてる場合じゃないでしょ」

首を振って追い出そうとしても、最低の考えは消えてくれない。
頭に浮かんだその妄想は、中々振り払えず―――――


「――――――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」


と、そこで。
彼女のいる、とあるコンサートホールで流れていた演奏が終わり、奇妙な歓声が響き渡る。

―――――演奏の主は、彼女が呼び出した「悪魔」だった。



悪魔の召喚。
この会場に送られて、彼女が最初に選択した行動はそれだった。
COMPを握りしめていた
もしもそれを握りしめていなかったなら、彼女が悪魔の召喚に踏み切るにはもっと時間を要しただろう。
その間に襲われている可能性もあった、という事を考えれば、彼女にとっては少なくない幸運だったと言ってもいい。



演奏は、正確には、「悪魔」が更に召喚した―――――いわば「使い魔」だろうか―――――存在によるもの。
彼女は指揮者のようにその手に握ったサーベルを振り、演奏が終わった今はそれを褒め称えるように歓喜の声を上げていた。
オーケストラではなく、バイオリンのみの伴奏。
如何にも悲哀の旋律といった曲調だったが、どこか聞き惚れてしまうような音色でもあった。
ホールの椅子の一つに腰かけていた彼女は、改めて自らの「悪魔」の姿を見るために、下げていた視線を向け直した。


285 : MERMAID HARP ◆KV7BL7iLes :2016/04/29(金) 18:14:46 oQXPBbfw0



彼女が座るホールの檀上にいたのは、まさに悪魔と形容するのが正しい化け物。
何時かの恋心に囚われて、永遠の演奏会に万雷の拍手を送り続けるだけの憐れな人魚姫。
嘗て美樹さやかと呼ばれた筈の少女が、絶望に打ちのめされた成れの果て。

『人魚の魔女』Oktavia von Seckendorff。
それが、彼女に与えられた悪魔の名だった。



手に握っていたキーホルダーを、もう一度眺める。
司の誕生日に撫子と買った、三人お揃いの星屑のキーホルダー。
誕生月の星座─────天秤座が中で輝く。
COMPと言われる機械がコレだ、と説明書の紙面で言われた時は驚きを通り越して何だそれは、呆気に取られたし、実際にそこから人魚が出てきた時はその見た目も合わさって腰を抜かしてしまった。
─────何故だか、蒼い宝石から出てきたという点だけは、とても似合っていると思ってしまったが。

(もうちょっとこれが濁ってたら、すごく似合ってたかもね)

ふと頭に浮かんだそんな言葉を、慌てて頭から消し去る。
これはあの日三人でお揃いにした、とても大切な思い出の結晶。
それを濁らせる、だなんて、三人の関係そのものに泥を塗るに等しいのだから。

─────いや。
その方が、良いのかもしれない。
綺麗なままの星空を、そのままにするよりも、─────

(─────そんな事、今はどうでもいいでしょ、私)

そこまで溢れ出しそうになった思考を、すっぱりと切り捨てる。
これ以上「そっち」に感情を割くのは、少なくともこんな時にする事じゃない。

振り返って、今度は魔女そのものの姿を眺める。
今はまだ、彼女の演奏は始まらない。
しかし、琴岡が彼女に頼めば、何時でも演奏を始めるだろう。
そして、演奏を望まぬ者、演奏を望む己が主に危害を与えようとする者には、きっと怒りを以て魔女は剣を振り上げる筈だ。
それらの情報は、このキーホルダーから浮かび上がるホログラムから与えられたもの。
まるでSFのような近未来的な光景の非現実さは、しかしそもそも非現実的なこの場所では妙なリアリティがあった。


(殺し合い、…………)


―――――そして、それを始点に再び思考は収束する。
目の前に確固として存在している、逃げようのない事実へと。

結局のところ、どうするかなんてまだ決まるはずがない。
今の彼女にあるのはただ一つ、まだ死にたくはないというたったそれだけの単純なことだ。
平凡な少女である彼女が抱くそれは、同情こそあれど詰られるべきものではない。
だから、それを抱いて歩き始める、ただそれだけのことならきっと彼女にも出来ただろう。

けれど、彼女はそれでも迷ってしまう。
彼女は未だに、自らの思考に自信を持って進み始めることが出来ないでいる。
この殺し合いで、初めてこの悪魔を見た時、思い浮かんでしまった『それ』が、どうしても消えてくれない為に。

「―――――分かってる、けど」

苦々しく、呟いて。
そうして、琴岡みかげは改めて直面する。
彼女が脳裏に浮かべてしまい、そして今なおこびり付いて離れない思考の澱に。



琴岡みかげは、その秘めた感情以外は至って普通の少女にすぎない。
だから、人を殺す覚悟なんて、彼女には全く備わっていない。

きっと、もしここで共に在ったのが鋭いナイフに過ぎなければ、それを扱う事が出来ないと諦めていただろう。
一挺の銃器であっても、ただの少女には実際の重さ以上にずっしりと重く感じられただろう。
いや、例えどんな武器があったとしても─────それを自発的に使うという事が、彼女に出来たかと言えばそうではなかったはず。
初めての殺人をする覚悟を簡単に決められるほど、彼女はドライでも好戦的でもない。

或いは、同じ悪魔でも。
ヒトの形をして、彼女を共に支えてくれるような存在なら。
そうでなくても、彼女の精神をほんの少しでも和らげてくれる存在であったなら。
きっと彼女は、殺し合いに対して純粋に異を唱える事が出来ただろう。
二十一世紀の日本に住むただの少女が持つ殺人への忌避感を失う事なく、迷うこと無き一歩を踏み出すことを決断できただろう。

けれど。

彼女に与えられたのは、これでもかという程に「化け物」だという事が強調された悪魔。
武力として与えられたという事実が、一目見ただけで理解出来てしまう存在。

そして、そんな悪魔が彼女に植え付けたのは。
義憤でも、忌避でもない、純粋な生存と自己保身を強調する。
彼女のような一般人ならほんの少しは考えてしまうだろう、起こり得るイフに押し潰されない為の卑怯な免罪符。


286 : MERMAID HARP ◆KV7BL7iLes :2016/04/29(金) 18:15:36 oQXPBbfw0



―――――もしも、この先。

殺し合いというこの場所で、「戦って生き残る」事が。

「相手を殺して生き延びる」事が、どうしても必要になった時。

そうしなければ、自分が死んでしまう、という時。





─────それでも、殺すのは「私」じゃなくて。

─────この「化け物」がやった事だ、と。





そんな訳が無いなんて、理屈ではちゃんと分かっている。
自分が思うままに動き、自分が思うままに殺せる、それは自分が操る人形と同じだ。
だから、これが人を殺せば、それは自分の罪だと─────頭の中では、そう理解している。



けれど。
もし実際にそうなったなら、自分はそうやって現実から逃げずにいられるのか。



司への感情と、同じように。
自分の恋心から目を背けるように、罪悪感すらも見ないふりをしてしまうのではないのか、と。



その瞬間、人魚が一際大きく鳴き声を上げた。
虚を突かれた琴岡はそれに大きく肩を震わせ、その後音の出所に気付いて一安心する。
いきなり誰かに襲われた、なんて事になったら、それこそパニックになりかねない。
ここに留まるか移動するのか、どちらにしろ何かし始めないといけないかも、なんて思いつつ。

それにしても、今の声は。
彼女がその一声から感じ取ったのは、何故か「共感」の響きだった。
何に共感されたかは分からないが、それでも少しだけ彼女は思う。
二人の秘密を知っていて、それで友達なんて言っていた自分を、そう評したあの時を思い出して。



多分この悪魔も、元はちょっとバカだったんじゃないかなあ、と。




☆☆☆

そうして。
水面に映ったアステリズムの一欠片は─────人魚の琴(マーメイドハープ)の音色に、魅入られた。




【?????/1日目/朝】
【琴岡みかげ@ななしのアステリズム】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、未確認支給品、キーホルダー型COMP
[思考・状況]
基本:
[COMP]
1:Oktavia von Seckendorff@魔法少女まどか☆マギカ
[状態]:健康
[備考]:キーホルダー型COMPのデザインは『ななしのアステリズム』本編7話で登場したものです。


287 : ◆KV7BL7iLes :2016/04/29(金) 18:16:14 oQXPBbfw0
投下を終了します。


288 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 18:41:11 Tq9NR2jE0
>>287
投下乙です! 一般人ならではの葛藤と、悪魔と。
先に進む道をどう選ぶか、期待ですね。
あと、思考欄が抜けてますので、演出でなければwiki収録の際に追加していただければ!

>>281
例えばファンタジー的な魔法がある→メガテンでも魔法があるから割とok
とかだったり、ぶっちゃけて言えばあまりにも時代離れした感じとか、エルフとかオークが出てこなきゃ大丈夫な感じです!
ホンマにあかんかったら、投下後に指摘、修正案の提案も出せます。
すり合わせは選出後に行いますので、是非お気軽に!


289 : ◆Hc1VAagKMg :2016/04/29(金) 18:55:49 3dsqnALI0
投下します


290 : ちょっとコンビニ行ってくる ◆Hc1VAagKMg :2016/04/29(金) 18:56:20 3dsqnALI0
「……まあ、アレだ。俺様も召喚術に自信はなかったワケだが、いくら何でもコイツはねえだろ」
「呼び出しておいていきなり文句か」

 2人の男が向かい合う。
 1人はビジネススーツの上にくたびれたベージュのコートを羽織った中年男性。右手に銃の様な形をした物を持っている。
 もう1人は黒いスーツをビシッと着こなす切れ長の目をした若い男。近寄り難い、異常な威圧感の様なものを身に纏っている。
 状況としては、この殺し合いに強制参加させられたのが前者の中年男性。
 その男に悪魔として召喚されたのが後者の若い男である。

「まあいい。悪魔と期待して出てきた者が俺ではな。確かに俺も悪魔と呼ばれた事はあったが……」
「いや、お前さんの姿に文句はねえよ。これでも人間の姿をした悪魔を見るのは初めてじゃないんでね」

 一旦言葉を止めると、中年男性が若い男に向ける視線の中に敵意の様なものが混じる。
 しかし向けられた方は気づいているのかいないのか、特に動じる様子は見られない。

「俺様が言いたいのはな、刑事の俺様に宛てがわれた相棒がよりによって何でマフィアなんだって事だよ」
「……」
「一目見りゃ誰だって解るぜ、お前さんがそういう世界で生きてる奴だって事はな」
「一つ訂正させてもらおう」
「あん?」
「俺はマフィアじゃない。カモッラだ」

 それらに大した違いはないだろというツッコミが耳に入るが無視をして、悪魔の男は話を続ける。

「それに、だから何だと言うんだ。ここは前たち刑事が仕える国ではないし、俺たちギャングを裁く法もない。あるのは殺し合い、それだけだ」
「まあ、そりゃそうなんだけどよ……何と言うか、気分的にだな……」
「まあいい、こうしてわざわざ呼び出されたんだ、互いの立場など気にせず俺はお前に従ってやるつもりだ。
 本来なら『知識』を授けるのが俺の仕事なのだが……まあいい、特殊な状況だからな、交渉や殺しの手伝いも出来る範囲でしてやろう」
「殺しの手伝いってお前なぁ、俺様これでも刑事だぞ? 殺し合いをしろと言われて、はいそうですかって簡単に従うとでも思うか?
 とは言え、奴さん俺様をこんな所に連れてこれたんだ。願いを叶える、『帰る』チャンスである事には違いないってのがアレだけどよ」

 実の所この中年刑事が置かれていた状況は、殺し合いに巻き込まれる以前から普通ではなかった。
 突然異世界に召喚され、元の世界に帰る手段を失い、旅をしながら外道や悪魔と戦う。
 どこの漫画や小説、はたまたテレビゲームだと言いたくなる日々を送っていたのである。
 そんな中、彼はここに連れてこられた。世界の壁を越えてだ。
 つまりそれは元の世界へ、ステイツのロスに帰るのに必要な力を奴は持っているのと同義。
 だから悩む、この状況でどう動くかが最善であるかを。

 そんな思考の最中に刑事は無意識にある物を求めて胸ポケットに手を入れ、そこで初めて気づく。
 常に持ち歩いていた筈の、周囲から嫌がられようが彼に取っては無くてはならない物が没収されていた事に。
 その事により彼は大きなため息をついた後、先程のとは全く違う思考を開始する。

「テイク・イット・イージー……。まあ、あれこれ考える前に取り敢えず必要な事を済ませるとするか」

 続きを促す悪魔の視線を受けると、刑事は支給されたCOMP――銃の形をしたそれを展開し操作をしながら応える。

「煙草だ煙草。ここならちょっと探せば直ぐ見つかるだろ。あれは俺様の生命維持装置なんでな……と、地図はこれか?
 それとコーラだ。あのチープな味をまた堪能出来るかもしれないと思えば、この状況も少しだけ感謝してやってもいいかもな」

 地図機能を起動させたCOMPを眺めながら刑事は悪魔の居る方向へ歩き出し、そのまま通り過ぎる。
 今は会話や悩む事よりも目的の品を探す方が重要だと態度で示すかのように。

(『気楽にいこうぜ』か……まあいい)

 悪魔は実は持っていた煙草を取り出し咥えると、背を向け歩く刑事に気づかれない様に火を着け肺に煙を送り込む。
 と、そこで思い出す。そういえばまだ挨拶をしていなかったな、と。

「俺の手を借りたくなったら何時でも呼ぶといい。コンゴトモヨロシク、レナード刑事」

 振り返った刑事の視線の先、悪魔――ロニー・スキアートの姿は既に消えていた。



【?????/1日目/朝】
【レナード@サモンナイト2】
[状態]:健康
[装備]:銃型COMP(GUMP)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:本来の自分の世界へ帰りたい
[COMP]
1:ロニー・スキアート@バッカーノ!
[種族]:魔人
[状態]:健康


291 : ◆Hc1VAagKMg :2016/04/29(金) 18:56:44 3dsqnALI0
投下終了です


292 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 19:11:21 Tq9NR2jE0
>>291
投下乙です!
刑事と”悪魔”、渋めで、すごく魅力的なコンビですね……
あと、当ロワのサマナーは現代のキャラクターに限らせていただいております。
わかりにくい表記で、大変申し訳ないのですが、「異次元から飛んできた」の下りを、何かしらの方法で現代に戻ってきていた、など、
現代で生活していた下りに、wikiで修正していただけると幸いです。


293 : 名無しさん :2016/04/29(金) 19:54:53 3dsqnALI0
>>292
申し訳ありません、何の能力も無い現在人なら大丈夫かなっと思ったがやっぱり駄目でしたか
wikiの方で無難な感じに修正させていただきました


294 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 20:05:25 Tq9NR2jE0
>>293
ご対応ありがとうございます! お手数をおかけして大変申し訳ない。


295 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/29(金) 20:49:54 H3TeS55Q0
投下します。


296 : パーク ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/29(金) 20:50:38 H3TeS55Q0
 アメリカはニューオーリンズ。そこではある闇の組織が暗躍していた。
 組織の名は〝サファリ〟。軍歴のあるホームレスを〝獲物〟に仕立て、ブルジョア客に残虐な殺人ゲームを斡旋する「人間狩り」の組織である。
 エミール・フーションという男が率いるその組織は、警察の目をかいくぐり、ホームレスを残酷な方法で殺害しては街を移るという行動を繰り返していた。
 そして今日も人間狩りが終わり、朝を迎えたと思ったときである。
 いつの間にやらフーションは体育館のような施設におり、やがては高層ビルの建ち並ぶ街へと〝飛ばされて〟いた。
 これが、彼の経緯である。

「あの小僧……俺の楽しいビジネスの時間を奪いやがって」

 支給品が愛用のコンテンダーだったことだけは感謝してやるが……そう思いながら、フーションは苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべて呟いた。
 そう。何しろ今日は今までの中でもトップクラスのセレブが客として来てくれるはずだったのだ。
 だというのに、その素晴らしい機会を謎の学生服の少年が奪い取ってしまったのである。怒りを覚えるのも当然といったところだろう。

「大体、悪魔だ? そんなものが本当にいるというのか……?」

 そして同時に、悪魔が召喚されるという説明を訝しむフーション。
 既に片腕にはアームターミナル型COMPを付けてはいる。
 だが真剣に捉えるのも馬鹿馬鹿しいとそろそろ外そうとも思いはじめていた。
 しかし、コトがコトである。事実、今の自分はあんな少年如きに悩まされているのだから……ひょっとすると。

「ええい、ままよ!」

 いつもの冷静さは何処へやら。
 彼はやけくそ気味に「出てこい、悪魔とやら! 出てこなかったらこの装置をぶち壊すぞ!」と叫んだ。
 すると、その瞬間である。

「あら、なかなか渋いおじさまだこと。あなたが、私を呼んだのね?」
「な……っ?」

 信じられぬことに、目の前にとんでもない美女が現れた。
 白い陶器のような肌に、宝石の如き紫色の瞳。ウェーブのかかった黒髪がとても印象的だ。
 纏っている黒いドレスも……そして、胸元にある〝ウロボロスの入れ墨〟も彼女にはとても似合っていた。
 フーションはコンテンダーをしまい、美女に名を尋ねる。すると相手は「ラスト。お父様によって作られた、色欲のホムンクルスよ」と、名乗った。
 ホムンクルス。聞いたことがある。確か中世の時代に流行った〝錬金術〟とやらで作る、人間のような何かの総称だ。
 フーションは一瞬〝馬鹿馬鹿しい〟と吐き捨てかけたが、すぐに冷静になってその言葉を呑み込んだ。
 そう。さっきも考えたが、今はコトがコトなのである。それに実際に悪魔が呼ばれたのだ。その悪魔が人造人間だとしても、もはや驚くほどではない。
 そんな考えに至ったフーションは、やっと完全に落ち着きを取り戻すと、ラストに問うた。

「なるほど、ホムンクルスか。だがそれよりもまず、悪魔なのだろう?」
「ええ、今はそういうことになっているわ」
「だったら何か、悪魔らしい力を持っているんじゃないのか? どうなんだ? ええ?」
「そうね……それなら」

 するとラストはそう言うやいなや、すっと右手を真横へと差し出した。
 そしてなんと指先の爪を真っ直ぐな刃へと変え、遥か遠くまで伸ばしたではないか!
 その様子に目を見張ったフーション。すると彼は、遠くから何かの呻き声が聞こえたことに気付く。
 声がした方へと視線を向けると、その先では巨大な真っ黒い象――当然ながら悪魔である――が倒れ伏し、痙攣を起こしていた。
 そして象の横っ腹から爪を抜いたラストは、そのまま介錯だとでもいうように、象の首をあっさりと切断してしまった。

「これが私の能力。どう? 気に入ってくれたかしら?」
「……素晴らしい」

 その一部始終を眺めたフーションは思った。
 この女がいれば、こんな街から脱出することなど容易いのではないかと。
 安心して全員を殺しきり、あの人を舐め腐った学生服の小僧を狩れるのではないかと。
 フーションは口角の端をにやりとつり上げて歩き出し、呟くように言った。

「ラスト。行くぞ……〝狩り〟の時間だ」

 ラストは拒否を意を示さず、その後ろを着いていく。

「ええ。よろしく……ところで、あなたの名前は?」
「フーション、エミール・フーションだ」

 こうしてこの悪鬼溢れる街に、もう一つの〝サファリ〟が結成されたのだった。


297 : パーク ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/29(金) 20:51:07 H3TeS55Q0
【?????/1日目/朝】
【エミール・フーション@ハード・ターゲット】
[状態]:健康
[装備]:アームターミナル型COMP、トンプソン コンテンダー、銃弾
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:人間や悪魔を狩り尽くし、魔神皇を殺害する。
[COMP]
1:ラスト@鋼の錬金術師
[状態]:健康


298 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/29(金) 20:51:23 H3TeS55Q0
投下終了です。


299 : グリーンアイドモンスター ◆T3rvSA.jcs :2016/04/29(金) 22:02:04 swfegx1E0
投下します


300 : グリーンアイドモンスター ◆T3rvSA.jcs :2016/04/29(金) 22:03:55 swfegx1E0
水橋パルスィは眼前の光景を呆然と見つめていた。

「WWWWWWRRRRYYYYYYYYYYY!!!!!」

空中に打ち上げた悪魔にジャンプして追いつき、凄まじい勢いで空中コンボを決める真っ赤なパンツとリングシューズの屈強な肉体の覆面男。
手にしたスレッジハンマー型COMPで、鋼で出来た悪魔の肉体を凄まじい勢いで変形させて行く。


当然の事ながらパルスィは魔神皇が集めた者達では無い。スレッジハンマー型COMPに入っていた悪魔である。
だが、尖ったエルフ耳を除けば人間と変わらぬ外見の為、比べれば召喚主の方が悪魔に見える。


ここはビル街の中にある公園。そこでパルスィはある男に召喚されたのだが、その男はパルスィと目を合わせた刹那、覆面レスラーの様な格好になり、たまたま通りかかった女型の悪魔2体と行動を共にしていた悪魔に襲いかかったのだ!!

「HYAAAAAAAAAAAAAHAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」

女型悪魔は当に逃げ出し、取り残された悪魔を空中で粉微塵に砕き尽くす男を見て、パルスィはしみじみと思った。

ーーーーあの男が相手なら、勇儀も盃を放すかも……。

そんなことを思った拍子に、呑気に笑っている鬼の顔を思い出した。

「妬ましい……」

呟いて天を見上げるパルスィの眼に曙光にも負けぬ輝きの星が映った。

しっとにくるた男と地殻の下の嫉妬心を、しっとの星は今日も優しく見守っていた。



【?????/1日目/朝】
【宮本幸弘@突撃!パッパラ隊
[状態]:健康
[装備]:COMP:スレッジハンマー型
[道具]:基本支給品、確認済み支給品。マスク×10
[思考・状況]
基本:
1.アベック(古い…)は皆殺し、悪魔も人間も問わない
2.しっとにくるている
[COMP]
1:水橋パルスィ@東方Project
[種族]:精霊
[状態]:健康


301 : グリーンアイドモンスター ◆T3rvSA.jcs :2016/04/29(金) 22:04:58 swfegx1E0
投下終了します


302 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 22:33:02 vGb5ZKLw0
投下乙です!

>>298
狩人は獲物を探し、殺し合いの会場を動く……ガッツリ狩り系の二人、期待ですね。

>>301
ヤバい(確信) これはヤバいですよ!
あと、COMPが武器型なので、未確認支給品はナシでおねがいします!

では、私も二作続けて投下します。


303 : 野心 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 22:33:31 vGb5ZKLw0
「殺し合いなど……ド許せぬ……」

 東京の一角、特徴的なツインテールの少女は怒りに震えていた。
 名はポプ子、ふざけているようだが、本名だ。
 詳しくは「ポプテピピック」で検索してほしい。

 とにかく、ポプ子は怒りに震えていた。
 怒りの矛先は言うまでもなく、殺し合いを開いた魔神皇だ。
 小さな体には不釣り合いな、巨大な腕に怒りを浮かべながら、ポプ子は空へと吠える。

「おのれ竹書房……そのような卑劣な手を使ってまで、私という存在を消しにかかるか!!」

 怒りの言葉を、魔神n――――あれ? えっ!?
 ど、どうやら、彼女は魔神皇のことを竹書房の人間だと勘違いしているようだ。
 要するに彼女は、竹書房の人間が自分を消す為にこの殺し合いを開いたと思っているらしい。
 いつも通りと言えば、いつも通りの思考回路のおかしさだろうか。

「待てよ、竹書房? つまり、竹書房プレゼンツ、バトル・ロワイアル in TOKYO!?」

 その時、ポプ子は何かに気がつく。
 すっごく嫌な予感がするが、彼女が気がついてしまったのだから仕方がない。
 怒りは消え、変わりに現れたのは満面の笑顔。
 まさに狂人のそれを浮かべながら、ポプ子は笑う。

「ククク……ならば、言うことを聞いてやろう。全てを滅ぼし、泥水を啜ってでも這い上がり、そして……」

 そう、これが竹書房の仕業なのだとすれば。
 ここで活躍すれば、竹書房の人間に気に入ってもらえる。
 竹書房の人間に気に入られるということは――――

「生き残った暁には、ポプテピピックを再び連載して貰う!!」

 そう言うことだ!!



 ってな感じで、行動方針も決まったところで、もしもしポリスメンして呼び出したマシンとともに、ポプ子は東京の地を駆けだした。

【?????/1日目/朝】
【ポプ子@ポプテピピック】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを勝ち抜いて、ポプテピピックを復活させる
[備考]
※ファーストシーズン終了時点での参加です
※魔神皇を竹書房の人間だと思っています
[COMP]
1:オメガ@FINAL FANTASY5
[種族]:マシン
[状態]:正常


304 : 冷静 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 22:34:15 vGb5ZKLw0
「病気じゃん?」

 東京の一角、少し青みの掛かった長髪の少女は呆れていた。
 名はピピ美、ふざけているようだが、本名だ。
 重ね重ね言うが、詳しくは「ポプテピピック」で検索してほしい。

 とにかく、ピピ美は呆れていた。
 何に対してかは言うまでもなく、殺し合いを開いた魔神皇だ。
 ふぅ、とため息をついてから、近くにあった椅子に腰掛ける。

「竹書房も人気取りに必死ねー」

 そう、魔神n――――っておい!!
 お前もか! お前もそう勘違いしてんのか!
 しかしピピ美、どこかの怒りに身を任せて動く類人猿とは違い、冷静に物事を判断していきます。

「ま、差し詰め、これからの出来事を書籍化して全米お涙頂戴ヨヨイノヨイって感じじゃん?」

 そう、これは竹書房の仕組んだ出来事。
 なれば、これから起こる出来事は、ほぼほぼ紙媒体に落とし込まれると考えてもいい。
 そして大々的に宣伝を打ち、全国に向けて出版される……とすれば。

「なら、面白くなるように動いておけば、アタシ達の人気も急上昇、果てはポプテピピックを超えて……」

 誰しもの記憶に残る、名演技を打っておけば、自分の人気に直結する。
 そして行く末は漫画を超えて、ハリウッド、いや全世界をも掌握することだって夢ではない。
 ああ、これは竹書房から差し出された、チャンスなのだ。

「じゃ、名演してくれる助演俳優でも呼びますか」

 そうと決まれば善は急げ、さっさと力になる奴を呼び寄せるのみ。
 ぱっぱと手際よくいじった携帯電話から、光が放たれ――――

「うわ、きっつ」

 現れたのは、銀と青に輝く大きな人型。
 のっぺらぼうと、胸元のロゴが目立つ、そいつは。
 "ペプシマン"だった。

【?????/1日目/朝】
【ピピ美@ポプテピピック】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:物語が面白くなるように動く。
[備考]
※ファーストシーズン終了時点での参加です
※魔神皇を竹書房の人間だと思っています。
[COMP]
1:ペプシマン@ペプシマン
[種族]:魔人
[状態]:健康


305 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/29(金) 22:34:33 vGb5ZKLw0
以上で投下終了です。


306 : 名無しさん :2016/04/29(金) 22:52:52 vTUFDQzA0
竹書房ヴァー!www


307 : 名無しさん :2016/04/29(金) 22:54:53 H3TeS55Q0
投下乙です。
こんなん笑うしかないでしょ。もしもし、ペプシメン?


308 : 名無しさん :2016/04/29(金) 23:06:32 JtuCyxc20
投下乙です
ラスボスってこうやって生まれるんだなー(呑気)


309 : ◆NIKUcB1AGw :2016/04/29(金) 23:06:43 25PZaRWE0
衝撃作の後ですが、投下させていただきます


310 : ゲームの達人 ◆NIKUcB1AGw :2016/04/29(金) 23:07:40 25PZaRWE0
「はあ、はあ……」

息を切らしながら、武藤遊戯は無人のビル街を走り続けていた。
別に彼は、何かに追われているわけではない。
彼が逃げているのは、現実からだ。

気が付けば見知らぬ場所にいて、殺し合いを強制された。
そして実際に、二人の人間が殺された。
それは遊戯の心には、すぐには受け入れられない非常事態だった。
ゆえにパニックに陥った遊戯は、意味も無く走り続けていたのだ。

しかし、それがいつまでも続くわけではない。
やがて体力が切れた遊戯は、力なく路上に倒れ込んだ。

「まさか、こんなことになるなんて……。どうしよう、もう一人の僕……って、あれ?」

そこで遊戯は、ようやく大事な物がなくなっていることに気づく。
祖父・双六からの贈り物であり、遊戯の大切な「相棒」の魂が宿る古代エジプトの秘宝、「千年パズル」。
いつも肌身離さず身につけていたはずのそれが、消えているのだ。

「ど、どうしよう! 取られちゃったの?」

ただでさえ命の危機に立たされているのに、その上相棒まで失ってしまってはとても平静ではいられない。
しばらくうろたえていた遊戯であったが、やがていつの間にか背負っていた荷物の存在を思い出す。

「そうだ、この中に入ってるかも!」

かすかな望みにかけ、遊戯は荷物を漁る。
程なくして、彼の表情に光が宿った。

「あったー!」

彼の手に掴まれていたのは、ピラミッドを上下逆にしたような四角錐の物体。
それぞまぎれもなく、千年パズルであった。
遊戯は急いで、パズル上部の穴に通されたチェーンを首にかける。
次の瞬間、パズルが輝く。
そして、遊戯の表情が一変した。
優しそうな面影は消え失せ、目つきの鋭い勝負師の顔となる。
遊戯の体の主導権が、本来の彼から千年パズルに宿る「名も無きファラオ」に移った瞬間であった。

「大変なことになったようだな、相棒」
『そうなんだよ……。というか、もう一人の僕も事情を把握してるんだ』
「ああ、俺も魔神皇とやらの話は聞いていた。
 罪もない人たちに殺し合いを強制するなんて、許せないぜ!
 あいつは俺たちの手で倒すぞ、相棒!」
『僕も同じ気持ちだよ、もう一人の僕。
 けど、この殺し合いを切り抜けてあいつのところまで行くのは、すごく大変そうだよ』
「たしかにな……。味方になってくれる人間を探すべきか……。
 そうだ、味方といえば」
『どうしたの?』
「たしかあいつは、COMPとやらに味方になり得る悪魔を入れておいたとか言っていた。
 確認しておこう」

そういうと、遊戯は今一度荷物を漁りはじめる。
すぐに彼は、見慣れた物体を発見した。


311 : ゲームの達人 ◆NIKUcB1AGw :2016/04/29(金) 23:08:29 25PZaRWE0

『それは……デュエルディスク!?』
「いや、形は似せてあるが別物だ。これがCOMPだろう。
 俺たちが使いやすいように、こんな形にしたのかもな」

遊戯はデュエルディスク型COMPを腕に装着し、展開。
操作を始める。

(マジック&ウィザーズでいうなら、ブラックマジシャンやバスターブレイダー……。
 そのくらいのランクのやつが入っていれば、これからの行動が楽になるんだが)

そんなことを考えながら、遊戯はモニターに悪魔の名前を表示させる。
だがそこに映し出されたのは、あまりにも意外な名前であった。

「これは……!?」
『この人が悪魔だって!?』

それは、ある有名人の名前だった。
厳密に言えば、その有名人がある番組で使っている名前だ。
双六がその番組のファンで、よく観ていた。
遊戯もDVDを借りて、その番組を観たことがある。

正確には、COMPに入っているのはその有名人そのものではない。
番組を通して形作られたその人物のイメージが、別個の存在として具現化したものだ。
いわばその人物の一部分だけを誇張した分身である。

「強力……とは言わないが、面白い札を回してきたものだな、魔神皇。
 たしかにこの悪魔を使いこなせるのは、俺以外にはほとんどいないだろう」

悪魔になったとはいえ、その人物に戦闘力が備わったわけではない。
やれることといえば、ゲームだけだ。
だが「闇のゲーム」を行うことができる遊戯であれば、その能力を戦闘に活かすこともできる。

「俺はこの悪魔を召喚するぜ!」

そう宣言し、遊戯は決定キーを押す。
次の瞬間、彼の前に作業着を着た中年男性が出現する。
数々の奇跡を起こしてきた歴戦の勇士は、笑顔で口を開いた。

「どうもー! ゲームセンターCX、課長の有野です!」


【?????/1日目/朝】
【武藤遊戯@遊戯王】
[状態]:闇遊戯、疲労(中)
[装備]:デュエルディスク型COMP、千年パズル@遊戯王
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を倒す
[備考]:デュエルシティ編と王の記憶編の間からの参戦
[COMP]
1:有野課長@ゲームセンターCX
[種族]:電霊
[状態]:健康


312 : ◆NIKUcB1AGw :2016/04/29(金) 23:09:15 25PZaRWE0
投下終了です


313 : グリーンアイドモンスター ◆T3rvSA.jcs :2016/04/29(金) 23:15:49 swfegx1E0
>>302

修正しました


314 : ◆n........U :2016/04/30(土) 00:32:39 kAnzptME0
投下します


315 : ノープレッシャー・ノーライフ ◆n........U :2016/04/30(土) 00:33:29 kAnzptME0
「うむ…… 悪くない……」

 大関稀勢の里は早速COMPを起動する。
 彼の目前に現れたのは途轍もないオーラを醸し出す男。
 これが悪魔か。 
 その悪魔から放たれる威圧感は、まるで白鵬と相対しているかのようだ。

「……よろしく頼む」

 稀勢の里が悪魔に向かって片手を差し出す。
 この時の稀勢の里の両瞼は瞬きを繰り返していた。
 それを見て悪魔も理解しているのか、それに応えて片手を差し出す。
 交わされる二人の手。

「……!?」
 
 悪魔の手を握ったその時、稀勢の里の瞬きが更に多くなる。
 触った瞬間にフロア中に響き渡る振動、これが悪魔の力か。

「……これからよろしく頼む」

 握手を終えた稀勢の里は再度悪魔に声をかける。
 自分は生き残らなければならない。
 何故ならこの殺し合いを優勝し、白鵬を打倒して賜杯を獲得しなければならないのだから。

☆ ☆ ☆sq

 一方の召喚された悪魔、キングは焦っていた。

(やっべ…… でけえ…… こええ…… てかなんで俺こんな扱いされてるんだよ……)

 何故かは知らないがいつの間にか悪魔と呼ばれる存在になっていた。
 ヒーローになった時もそうだが、いつも自分が知らない間に色々起きすぎている。

(だけど…… この人は強い……)

 しかし少しだけ安堵する。
 自分は力はないが、この人は途轍もなく強そうだ。
 ならばこの人には悪いが戦いを任せてしまおう。
 と言うかそうしないと生き残れない。

 キングの心臓はいつも通りに途轍もない鼓動音を響き渡せていた。

【稀勢の里@現実】
[状態]:お目目パチパチ
[装備]:懸賞型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:超凶悪な悪魔と共に優勝する

[COMP]
1:キング@ワンパンマン
[状態]:心臓バクバク


316 : ◆n........U :2016/04/30(土) 00:33:52 kAnzptME0
投下終了です


317 : ◆nucQuP5m3Y :2016/04/30(土) 01:46:51 W/JVrlRQ0
投下させていただきます。
2作連続です。


318 : ◆nucQuP5m3Y :2016/04/30(土) 01:48:25 W/JVrlRQ0
「先生……」
街の片隅で震えた声で呟いているのは、色素の薄い髪を頭の上で2つに結び、小さなツインテールのようにした中性的な顔立ちの人物。
名を潮田渚と言う。
事あるごとに女装に身を包み、故あるごとに友人に性転換を勧められるがれっきとした中学生男子である。
「ふぅ……ふぅ……うん……いや……先生の助けは期待できない……はずだ」
数度の深呼吸で自身の拍動を見事なまでに鎮めた後、彼は先刻の自分の呼ばわった相手の存在を否定する。
彼が所属する椚ヶ丘中学校3年E組は通称「暗殺教室」
地球破壊を目論む謎の超生物を担任に持ち、その超生物「殺せんせー」を暗殺することを課せられた「普通の中学生(アサシンチーム)」のクラスだった。
その超生物は何故か彼の教え子に対して過剰なまでに教育的で、献身的で、そして保護的だった。それ故、これほどの異常事態であれば間違いなく最高速度マッハ20のその早さで何らかの助けを寄越していなければおかしいのだ。
それが成されていないということはつまり、この場所、この状況は「殺せんせー」をもってしても感知または到達出来ないお膳立てが成されているということに違いない。
クラスの中でも観察眼に状況把握、それともう一つに秀でた渚少年は今の自分の立場をはっきりと自覚し、支給された荷物に手を伸ばした。
「スマホ……まあ外へはつながらないんだろうけど……あーでも、律が入ってたりしないかな……」
律というのは彼のクラスメイトの人工知能である。自律思考固定砲台というのがフルネームだが、親しいクラスメイトの「一人」である彼女をそんな名前で呼ぶものは現在ではいはしなかった。彼女は簡易的なアプリとしてクラスメイトの携帯に常駐することも可能であり、渚はその可能性に淡い期待を抱いていたのだ。
「まあ、そりゃないか……」
表示された画面には殺風景な壁紙と、やけに目立つように配置された「悪魔召喚プログラム」というアプリ。こんな状況でなければソシャゲだと信じて疑わなかっただろう。
「第二の刃……」
殺せんせーの教えである「暗殺者は暗殺能力の他に必ず第二の刃を持て」と言う言葉が渚の脳裏に蘇る。それは主には勉学や知識など、暗殺以外の物事も修めよという意味合いではあったが、今はこの「悪魔」を使役することがその刃のように思えた。
「あー、ゴツいのが出てきませんように!」
クラスでも結構なビビリに分類される渚は祈るようにそのアイコンをタップする。
少しの文字列が流れ、アプリが起動すると、スマホの機能では実現し得ない強烈な光が画面から立ち上り、渚の目を眩ませて一瞬で消えた。
眩む目を押さえながらなんとか瞼を開けた渚の目の前に居たのは、巨大なデーモンでも醜悪なモンスターでも怖気のするゴーストでもない、細身で長身のただの男性だった。
「ほぅ、こうやって召喚されるのですねぇ」
男性は柔らかい口調でひとりごちてから、渚に向かってニッコリと微笑んだ。
「やあ、貴方が召喚師殿ですか。いや随分と小柄な……」
「こ、小柄!?」
中学に上がっても全然伸びない身長を気にしていた渚は出会い頭の評価に一瞬ムッとした表情になり、すぐにどんよりとした空気を纏わせて落ち込む。
「あー失礼。訂正させていただきますよ、随分と伸びしろがありそうな方だ」
「あー、どうもすいません、なんか気を使っていただいて」
「いえいえ」
男性は再びにっこりと微笑む。その笑顔は相手の疑念や猜疑心を溶かして、心の距離をスッと近づけるかのようだった。
「あ、僕は潮田渚です。ええと、貴方が……悪魔?」
「ええ、私はレイム・メルギトス。一応、悪魔王を名乗っています」
「魔王!?」


319 : ◆nucQuP5m3Y :2016/04/30(土) 01:50:08 W/JVrlRQ0
その肩書の大仰さに渚の表情が強張る。
しかしそれを察してすぐにレイムは柔和にそれをほぐしていく。
「いえいえ、王といっても唯一無二ではなくてですね、まあ一定以上の魔力があれば皆名乗るみたいな奴です。私、ご覧のとおり魔王の中ではかなりの穏健派で通っていますので」
「そう……なんですか?」
「ええ」
渚は恐る恐る尋ねるが、返ってくる笑みにほだされて少しずつその距離を縮めていく。異常な状況ではあったが、彼の日常もまた、異常極まりないわけで、目の前の優男が魔王というのと、あのタコみたいなのが先生だというのは、異常さではまあ似たようなものかと思ってしまいそうだった。

「で、召喚師殿は、何が出来ますか?この、殺し合いの場で」
「……あの」
「はい?」
「出来ることなら、誰も殺したくないです」
「ふむ……」
「本当に殺したい相手は、ここには居ないので」
「……ほう!」
ぐっと噛み締めた唇から漏れるように出た言葉に、レイムは心底感心した様子で頷いた。

「なれば、召喚師殿……ああ、渚さんとお呼びしても?」
「あ、はい、どうぞ」
「渚さんは何が出来ますか?ご意思は立派です、私も使役される立場として最大限それを尊重したい。ですが、ご覧のとおり非力な魔王の私です。貴方の意志を尊重するあまり殺されてしまう事も、その逆にこの魔力で貴方の意志にそぐわぬ殺しを行ってしまう可能性もある。そこで貴方です。もちろん悪魔相手に大立ち回りをして欲しいとは言いません。せめて人間同士、相手を無力化するか、安全に逃げまわるか、その荷物の中身にある何かを使っていただいても構いません。それが出来なければ貴方のご意向を尊重できるとは……申し訳ありませんが保証しかねます」
一息にそう言うと、レイムは期待するように胸の前で手を合わせて渚を見つめた。
「あの、魔王……相手に出来るかわからないんですけど……」
「はい?」

レイムはそう言った渚から目を離しはしなかった。
だが

笑顔。

歩行。

視界からの消失。

「え?」

背後に気配。

「渚さ……」

膝が折れる。

首筋に感触。

「これが、僕の才能です……」

小動物のようなその少年が、悪魔王を自称する男の首筋に、ナイフを模した指をぴたりと当てている。それは蛇が獲物に絡みつき、今にも喉を食い破らんとするかのような、完全な捕食者の姿。
「なんという……」
暗殺教室で開花し、その枝葉を全力で伸ばしている渚の能力。
それはまさに「暗殺の才能」だった。
人の意識をかいくぐり、人を殺す。普通の中学生が持ち得ない、持っていても気づけないその才能を、渚は持ち、自覚し、行使することが出来る。
もちろん実際に人を殺すわけではないが、武器によっては相手を無力化することは一般人よりもはるかに容易い。
「あの……レイムさん?」
「素晴らしい……!!」
感動を隠す様子も無く、レイムは背中から降りた渚の両手を取り。ブンブンと上下に振っている。
「十分、いや、予想以上です!悪魔王レイム・メルギトス、全力で潮田渚に使えることを誓いましょう!」
「ありがとうございます」
少し照れくさそうに笑う渚と、それを嬉しそうに見つめるレイム。

だが渚は知らない。
その男、レイム・メルギトスは確かに魔王だ。
だが彼が操るのは強大な魔力だけではない事を。

彼の魔王としての二つ名が

『虚言と奸計の悪魔王』

であることを。

【?????/1日目/朝】
【潮田渚@暗殺教室】
[状態]:健康
[装備]:スマホ型COMP
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:
1.脱出して、殺せんせーを殺す
2.誰も殺さない
[COMP]
1:レイム・メルギトス@サモンナイトシリーズ
[種族]:魔王
[状態]:健康


320 : ◆nucQuP5m3Y :2016/04/30(土) 01:51:33 W/JVrlRQ0
最初のレスで改行がアレで申し訳ありません。
wiki収録時に直しておきます。

それとタイトル抜けてました
「期待すべき才能」でお願いします。

で、続いてもう一作です。


321 : セミタコ ◆nucQuP5m3Y :2016/04/30(土) 01:53:29 W/JVrlRQ0
「ったく、どうなってやがんだ!!」
殺し合いを宣言された場だというのに、あたりかまわず蹴飛ばしながら怒鳴っているのは、パーカーを着た若い男性だった。

「殺し合い!?バカじゃねーの!?なんで殺し合うんだよ!?ターゲットを殺すのが仕事だろうが!そりゃ反撃されることはあっても、殺す側と殺される側ははっきりしてんだろうが!殺し合いってのは、あの、あれだろ!俺もターゲットだってことだろ?じゃあ依頼人は誰だよ?クソッ!!」
そう、彼は殺し屋だった。名前は「蝉」もちろん本名ではない。コードネームというか、アダ名のようなものだ。

「岩西の奴の差金……なら絶対連絡あるよな……どっかの依頼人とトラブってイカれた連中の見世物に放り込まれた……いやそれにしちゃあ……あーーーーもうわっかんねぇ!!!」
ひとしきり手近な場所を蹴り終えると、ひとりでがなるのに飽きたのか彼はポケットに入れていた携帯をいじり始める。
何度見ても彼の上司である岩西からの着信はない。
その携帯はこの会場で支給されたものではあったが、彼が普段岩西からの連絡に使っているものと同機種であった。
何度か落とした時についた傷がないのと、電話帳がスッカラカンなのでおそらく別の新しい本体だろうが、大きさや重さは手に馴染んだ。
とは言え着信もなければ岩西の電話番号を覚えているわけもない彼にとっては、ただの持ちなれた文鎮のようなものでしか無い。
仕方なく適当にいじっていると、どこをどう押したのか着信はもとよりメール音でもアラームでも聞き慣れない音が携帯から響き始める。
低い唸りのようなそれは少しずつ大きくなり、ブツッと通話が切れるような音の直後、画面から跳ね出すように光の粒子が広がっていく。

「おい、なんだよこれ!誰か説明しろよクソッ!おい岩西チクショー!」
連絡の取れない上司の名を忌々しげに叫んでいる間に、飛び出した粒子は蝉の目の前で徐々に集まっていき、奇妙なシルエットを形作るとパッと光って飛び散った。
飛び散ったその後にその場に居たのは、蝉が見たこともない生き物だった。


322 : セミタコ ◆nucQuP5m3Y :2016/04/30(土) 01:53:58 W/JVrlRQ0
「おやおや……随分と騒がしい生徒ですね」
「あぁ!?セートってなんだよこのタコ!」
「ヌルフフフフ、タコではありません。私は教師です」
「キョーシ……って先生か、聞いたことねぇよタコの先生なんて」
そう言って蝉の視線は目の前の教師を名乗るタコを上から下までぐるりと一周りした。まんまるで黄色い顔に、偉そうなハカセみたいな黒い服から、何本もの触手が伸びて蠢いている。
「まあまあ、とりあえずは自己紹介といきましょう。私のことは殺せんせーと読んで下さい」
「殺せん……あーもうワケわかんねえよ!」
忌々しげに足元にあった尖った石を黄色いタコに向けて投げつける蝉。
殺し屋としての彼の得意はナイフによる直接攻撃だ。もちろん投擲の技術は獲物を問わず百発百中である。
未知の生物であっても、頭を貫けば、と思ってか思わずか脊髄反射で投げた石の切っ先はタコの眉間に吸い込まれるように直進する。
「おっと」
パシっと、まるで空中に舞っている埃をつかむように無造作に、殺せんせーを名乗るタコはその石を顔の前数センチで掴んで捨てる。
「その所作、貴方……殺し屋ですね」
「……だったらなんだよ」
渾身では無いにせよ訳の分からない生き物に攻撃を防がれて、ふてくされたように認める蝉。

「いえ、殺し屋相手となると、先生……張り切るクセみたいなものがあるので……まぁいいでしょう、そのへんは追々ということで。とりあえず、よろしくお願いしますね、蝉君」
「なっ!?なんで俺の名前を」
「ヌルフフフ、上司の岩西氏とは連絡が付きましたか?無理でしょう、もし携帯がまともに使えてもこの場所からの通信は全て不可能になっているはずです」
「岩西……そうかテメェ岩西の知り合いか!」
「岩西氏が私を知っているかは、知りませんがね」
「ハグラカスんじゃねモガッ!?」
蝉が名前の由来の通りにヒステリックに叫ぼうとする口に、何かが押し込まれた。

「気が短いのはもちろん性分もあるでしょうが、空腹時によくあることです。まずは食べて落ち着きましょう!」
いつの間にか蝉の荷物から取り出したらしい携帯食料を、丁寧に一口分に分けて、喉に詰まらないよう少量の水で流し込むように入れてくる殺せんせーに、目を白黒させながらようやく飲み込んだ蝉が、本当に食べて落ち着いたわけでも無いだろうが声のトーンを落として問いかける。
「先生ってのはこんなことまですんのかよ」
「ええ、生徒のケアは先生の仕事ですから」
「……俺の知ってる先生ってのとは違うな」
「教師と言っても人間です、当たり外れというのは失礼な話ですが、生徒の個性によっては合う合わないはどうしたってあるものです。その点、岩西氏は貴方の良い教師だと言えるかも知れません。岩西氏に付く前の貴方の評判は決して……おっと、少しお喋りが過ぎましたね」

わざとらしく触手で口を押さえる殺せんせーに、不思議そうな眼差しを向ける蝉。
いつになくその様子は神妙で、夏を謳歌するかのように歌う虫は土の下に戻ったかのようだった。
「そんなことまで知ってんのかよ、先生ってのは」
「ええ、ですからなんでも聞いて下さい」
「じゃあ、じゃあよ……俺はこれからどうしたら……」
上司であり、保護者であり、後見人であり、相棒であり、拠り所だった岩西との連絡を絶たれた蝉にとって、目の前の異形は、自分と岩西を知るというそのバケモノは今現在唯一すがれる相手だった。
「貴方がどうしたいかです」
「俺が?」
「ええ、昔のように手当たり次第殺すのか、仕事と割りきって必要な相手だけを殺すのか、それとも……殺さないのか」
「……わっかんねえよ」

「では、一旦は保留としましょう。大丈夫、貴方と私の能力なら、しばらくは問題なく生き延びられるはずです。答えは、急がなくてもいい」
殺せんせーは口を三日月のように歪ませて笑うと、触手でぽんぽんと蝉の背中を叩いた。
「ですが二つ覚えておいて下さい」
「二つ?」
「一つは、いずれ、間違いなく決めなければならない時が来ること。もう一つは先生は、今の問いにすぐさま殺すと答えなかった貴方を、信じてみたいということ。そして、先生は貴方を生徒とみなし、決して裏切らないということを」
「……わかんねえ、わかんねえけど、わかった」
「ありがとう、ではまずは生き残るのに有利な場所を探しましょう」
「ああ……」
おかしな超生物に引率されるように、蝉が歩き出す。
そのしおらしさを見れば、上司の岩西なら「ジャック・クリスピン曰く、歌わない奴を歌手だと見分ける方法はない」などと言ってバカにするに違いなかった。
とはいえ
「あーっ!さっき二つ覚えろって言って三つ言ったじゃねーか!」
「ヌルフフフフ、注意力が足りませんよ蝉君、もう少し頑張りましょう」
その静けさなど、長く保ちはしないのだが。


323 : セミタコ ◆nucQuP5m3Y :2016/04/30(土) 01:54:13 W/JVrlRQ0

【?????/1日目/朝】

【蝉@魔王JUVENILE REMIX】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:保留、殺せんせーと生き延びながら考える
[COMP]
殺せんせー@暗殺教室
[種族]:改造教師
[状態]:健康


324 : ◆nucQuP5m3Y :2016/04/30(土) 01:55:06 W/JVrlRQ0
以上で投下終了です。
登場作品の都合上ワンセットみたいになってますがもちろん別々の話として片方が通っても構いません。


325 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 07:53:43 t.uIC66Q0
>>1さんの言葉で勇気がわいてきたので、少し危ない橋を渡らせて頂きます。


326 : 男子はつらいよ ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 07:56:31 t.uIC66Q0
 ヨーロッパ圏の某所にある深い森の中に、古くからの伝統を頑なに守り続けてきた強固な国があるのはご存じだろうか?
 国家の名は、グランバニア王国。とある強大な魔物という名の悪魔を倒す運命にあった青年が統治する国である。
 そんな大悪魔を見事倒した後、グランバニア王国の王子レックスは、国を挙げての大宴会の疲れから、妹のタバサと共にベッドに倒れ込むとすぐに眠りに就いた。
 故に、ふと目覚めて見たら何かのホールのような場所に立っていて、突如殺し合いを強要されたかと思えば、屋外へとワープさせられたのも夢なのだと思った。
 だが何度頬をつねっても痛いばかりであるし、支給された包丁――刃が錆びきっている――の感触も、現実のそれと全く変わりない。

「嘘じゃないんだ……本当なんだ、夢じゃないんだ……!」

 そういうわけで、レックスはようやくこの状況を現実であると認め、それ故に愕然とし、絶望していた。

「どうして! どうして! やっと、やっと終わったのに! お父さんとお母さんも見つけたのに! 全部終わったのに!」

 白い文字で大きく〝止まれ〟と書かれた硬い地面を拳で叩く度、溢れ出した涙が幾度となくこぼれ落ち、跡を作る。
 街の中には不自然な程人がいないせいで、レックスが嘆く声は徐々に大きくなっていく。

「やっと、何も心配せずに……いっぱいいっぱい、家族らしいことが出来るって思ったのにぃ!」

 そして遂に彼は、その場で泣き崩れてしまった。
 だが無理もあるまい。レックスとその妹タバサは、この世に生を受けたその日に両親と生き別れ、8年もの間父と母を知らずにいた。
 そして父と再会したとき、彼は魔を断つ宿命のもとに生まれたことを知り、その重責を小さな両肩に背負って戦うこととなった。
 更には母ビアンカとの再会にも2年ほどの歳月を要し、祖母を失いながらも、世界中の誰もが怖れる悪魔の一派と決戦を繰り広げた。
 そうして長い長い戦いは遂に終わり……ようやく、ようやく何にも怯えることなく、何を背負うこともなく、家族で平和に暮らせると思っていたのだ。
 だが、その矢先に〝これ〟である。もはやレックスの心は限界を迎えていたのである。

「死にたぐ、ないっ! 帰りだいよぅっ!」

 大きくしゃくり上げながら、レックスは天に向かって叫び、懐から取り出した懐中時計をぎゅうっと握る。
 すると、いつの間にやら目の前に背が高い金髪の女性が現れていたことに気付いた。
 何せあれだけ泣き叫んだのだ。きっと殺人鬼が現れたのだろう。レックスはそう確信し、恐慌状態に陥ってしまった。
 レックスは錆びた包丁を構えようとするが、動きがおぼつかないせいで上手く構えることが出来ない。

「い、嫌だ……来ないでぇっ!」

 逃げようとするものの、意志に反して腰が立たない。脚も震えて上手く動かせない。
 後ろに下がることもままならないことに気付いてしまった彼は、気付けば遂に「殺ざないで! なんでも、なんでもするがらぁっ!」と生を懇願していた。
 だが、そんなレックスに近付いてきた褐色肌の女性は、口元から胸の上部までを隠した上着越しに中性的な声で、

「少年。安心しろ」

 と呟くと、レックスの頭を優しく撫でた。その意外な行動に、レックスは呆然とする。

「大丈夫だ。私はお前のための悪魔だ。お前に危害を加えるようなことなど、絶対にしない」
「こ、こ……殺さない、の……?」
「お前の悪魔だからな」
「よかっ、た……」

 その言葉でようやく救われたレックスの両眼からは、いつの間にか涙が引っ込んでいた。
 そしてようやく冷静さを取り戻した彼は、女性に自身の名を告げ、こう問う。

「お姉さんって……もしかして、魔物?」
「魔物、とは随分な言われようだが……間違ってはいないか。確かに私は悪魔である以前に人間ではない。何故気付いた?」
「なんとなく、だよ。僕、今までたくさんの魔物と戦ってきたし、それと同じくらい、仲間の魔物と接してきたから。ねぇ、お姉さんは何者なの?」
「私はティア・ハリベル。虚(ホロウ)……その中でも強大な力を手にした十刃(エスパーダ)と呼ばれていた者だ。かつての話だがな」
「ハリベル、お姉さん……」

 するとここで、レックスは顔ごと視線を横に移した。
 その突然の行動に対し、ハリベルは「……怖いか?」と優しい声で尋ねる。
 だがレックスは首を横に振って否定すると、ちらちらと彼女へと視線を向けながら逆に尋ねた。


327 : 男子はつらいよ ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 07:58:08 t.uIC66Q0
「あの、さ……その服って……お姉さんの、趣味なの?」
「その服、とは?」
「今着てるそれだよっ」

 そう、レックスは別に恐怖心を覚えて顔を逸らした訳ではない。
 ただ単純に、ハリベルの姿を見ているとなんだか恥ずかしいやら申し訳ないやらで、困ってしまったからだ。
 ハリベルのまとっている衣服は、とてつもなく大胆だった。何せ、まず口元まで覆っている上着はとてつもなく丈が短く、大きな乳房の下部分が丸見えなのである。
 そして下半身は丈の長いズボンのような何かを纏っているものの、腰の部分は大胆に露出されており、更には穿くと言うより〝ベルトで吊っている〟という表現が正しい。
 こんな衣服で戦っていたら、間違いなく見てはいけないものが見えてしまうに違いないだろう。
 レックスは顔を真っ赤にし、見ないように見ないようにと自分に言い聞かせる。
 だが悲しいかな過酷な旅で早熟に育った彼は、その欲望をどうしても振り払うことが出来ない。
 その結果、彼の視線は自然と胸から腰にかけて露出されている部分へと向いてしまう。彼の顔色は、すっかりトマトのようになってしまっていた。
 そんなレックスの姿に、ハリベルは首を傾げる。そして「まぁいい」と言いながら立ち上がると、彼女は「まずは仲間を募るのが先決だ。行くぞ」と声をかけた。

するとその刹那、上空からウェディングドレス姿のマネキンが剣を構え、レックスへと突貫してきた。

「レックス!」

 今まで穏やかだったハリベルが声を荒げる。
 だが結論から言えば、レックスは無事だった。今度はきちんと包丁を構え、相手を突き刺したのである。
 代わりにその包丁は、根元近くからぽっきりと折れてしまったのだが。

「む、この奇襲を躱すとは……子どもと見て慢心してしまったか」

 すると今度は、白いスーツを着たマネキン型悪魔――以下、スーツ悪魔と呼ぶ――が、大勢のウェディングドレス型のマネキン悪魔を伴って、ふわりと近くに降りてきた。
 そんなレックスを守るように、ハリベルは悪魔の前に立ちはだかると、太く短く、かつ刀身の内側がくりぬかれた不思議なデザインの剣を背中から抜き、そのまま脅しをかける。
 するとレックスは念のためにハリベルへと「この悪魔、ちょっと強いよ」と呟き、ハリベルは自身の持つ技を披露することで応対した。

「波蒼砲(オーラ・アズール)」

 彼女が持つ剣の空洞部分に黄色い光が充填されていく。
 恐らくは魔力か何かか。レックスが冷静に分析していると、遂にその刀身から弾丸のように光が打ち出された。
 光の弾丸はいくつかのマネキンを貫通し、的の数を次々と減らしていく。だが遂にスーツ悪魔の眼前に迫った、というところで……弾丸は消失してしまった。

「危ない危ない。だが、なるほど。これが貴女の力か……存外、期待外れだったか?」

それを見たスーツ悪魔は、まるで大げさな劇団員のように大きな身振り手振りを交えながら話した。
するとハリベルは服の中心に手をやり、低い声で「期待外れだと……?」と言うやいなや、

「私の力の底など、まだ貴様に見せた覚えは無いぞ」

 服の前を、思い切りはだけさせた。

「わーっ!」

 その瞬間、レックスが大声を上げる。

「ハリベルお姉さん! 何やってるの!?」
「何って、動きやすくしただけだが」

 そしてレックスの問いに答えたハリベルが振り向くと、レックスの顔は再びリンゴかトマトを思わせるほど真っ赤になり、そのまま鼻血を吹き出して倒れてしまった。


328 : 男子はつらいよ ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 07:59:01 t.uIC66Q0
「な、なんて格好……してるの……」

 ハリベルの格好、それはレックスの目には毒でしかなかった。
 何せ口近くから両肩辺りまでは、骨を思わせる丈夫そうな鎧が着けられているというのに、その大きな褐色の胸だけは殆どさらけ出されていたのである。
 下乳だけでも恥ずかしがっていたレックスにとって、これはもう色々と駄目だった。限界だったのだ。

「大丈夫か?」
「げ、限界、れす……」

 固い地面に倒れたままのレックスは、真っ赤な顔のままでハリベルの問いに答える。
 するとハリベルは「ならば仕方がない。一人でやろう」と呟くと……〝その場から消え失せた〟。

「……え?」

 いや、その表現は間違っていた。
 なんと彼女は、ウェディングドレスの悪魔の背後に回り込み、一体一体を一撃で片付けていたのだ。
 そうしていると遂にスーツ悪魔が焦ったかの様に「馬鹿な!?」と声を上げた。
 すると、その瞬間である。ハリベルは「お喋りで慢心過ぎる貴様には特別だ……見せてやろう」と言うと、

「討て、皇鮫后(ティブロン)」

 まるで何者かに宣言するかのように、こう呟いた。
 すると、なんということであろうか。彼女は水の渦に包まれたかと思うと、更にその姿を変えたのである。
 口元から胸元を隠していた仮面は消失し、ズボンはミニスカート状のものへと変化。
 乳房を思い切り見せるスタイルは健在で、片手には鮫を模した大剣――レックスには〝ドラゴンキラー〟という剣に見えた――を持っている。
 要するに、思い切り露出が増えたのである。

「断瀑(カスケーダ)」

 そしてハリベルは、それを見せびらかす暇もなく大技を披露する。
 なんと彼女は、スーツ悪魔の真上から高水圧の大瀑布を生みだし、そのまま叩きつけたのである。
 当然、そんなものを受けてはひとたまりも無い。スーツ悪魔の身体はボロボロになり、遂には圧に耐えきれず爆散してしまった。
 ハリベルはそんなスーツ悪魔の最期を見取ると、哀れむように「力の底を見せた覚えはないと、私は言ったはずだぞ?」と呟く。
 そしてやっとこさ、地面に倒れたままのレックスのもとへと近付いてきてくれたのだが……。

「ハリベルお姉さん……」
「どうした?」
「もう……ダメ……」

 いよいよ性的な意味で限界点を超えてしまったレックスは、更に鼻血を出しながら気絶してしまうのだった。



【?????/1日目/朝】
【レックス(主人公の息子)@ドラゴンクエスト5】
[状態]:気絶中
[装備]:懐中時計型COMP、錆びた包丁(折れている)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:帰りたい。
[COMP]
1:ティア・ハリベル@BLEACH
[状態]:健康


329 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 08:05:21 t.uIC66Q0
投下終了です。
なお、文中で「世界中」という言葉を使ってしまっていたので、Wikiで修正しました。


330 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 11:08:23 M6XW5gMA0
皆様投下乙です!

>>312
果たして課長は闇のゲームさえも渡れるのか……舞台自体が闇のゲームの中、どんな闇のゲームが始まるのか……

>>313
対応ありがとうございます!

>>316
互いになんか思惑がすれ違ってるぞ!? 大丈夫かな?

>>320
暗殺能力があっても、誰も殺さないという強い意志、いいですね。
その分パートナーが不穏な感じですが……

>>324
ひとまず保留、いいですね。決断を迷えるのは、ある種の強さだと思います。
パートナーは上手くサポートしてくれそうですし、これは期待……!

>>329
やっぱり一人の少年には荷が重いよね……そんな子に頼れるお姉さんが現れた訳なんだが、いかんせんカッコが……
現代寄せはそんな感じで大丈夫です! ありがとうございます!


331 : イレギュラー都市東京  ◆VJq6ZENwx6 :2016/04/30(土) 11:45:03 RfPLehh.0

この仮想東京に安全な場所は存在しない。

青い畳の床、黒い台の上に置かれたテレビ、テレビの前に置かれたちゃぶ台と座布団、縁側を仕切る障子、

何処にでもありそうな平凡な和室に、しかし廊下から非日常的な大きい足音を鳴らし、和室のフスマに背を屈めながら部屋に立ち入った悪魔がいた。

まずフスマに覗いたのは剥き出しの鋭い牙を持つ口、イヌの形をした頭、茶色の毛に覆われた肌、汚れた胸当てを身にまとい、その手には黒く塗装された木製の棍棒。

この異形の獣人の名はコボルト、ドイツの地から生まれた地霊であり、人間の家に現れ、穀物などを要求する悪魔である。

コボルトは贈り物が貰えなければイタズラをすると言われるが、わざわざ大きな足音を踏み鳴らしているのは

そのイタズラ心ゆえか、それとも住民の気配どころか、どこを見ても生活の形跡すら無いこの新居のような家にとまどいや苛立ちを感じているのか、

それは定かではないが、この和室に入ったコボルトは部屋の中を一瞥し、目当ての食料や台所も無いことを確認すると、腹いせにちゃぶ台を蹴り倒す。

「チッ」

舌打ちをして獣人が廊下に戻ろうと振り返った所、彼は目を見開いた、さっきまではこの部屋にいなかった異物を見つけたからだ。

「さとりは〜、化け物って呼ばれたし〜、さっき変なポリゴンとかも見たけど〜」

首を傾げるたびに揺れるくせ毛を、頭頂部に載せた腰まで掛かる長い緑髪、細い腰には桃色の数珠が二重に巻き付けられていて、フワフワとさまよう両手、そして視点を虚空に漂わせている両目をはめた美しい顔。

「本物の化け物らしいのに会うのは初めてかな〜?」

一瞬コボルトが同類の妖鬼かと思うほどの、怪しさを伴う独特の雰囲気と、心がここに無いような目。

一見して年端もいかぬ程度の、制服姿の人間の少女一人がコボルトの背後に存在していた。


332 : イレギュラー都市東京  ◆VJq6ZENwx6 :2016/04/30(土) 11:45:44 RfPLehh.0


コボルトは一瞬驚愕したがすぐにその顔は歓喜に歪む、この家の食料を漁るまでもない、このひ弱そうな少女を襲い、肉を貪れば良いのだ。

わざわざ獲物が歩いてくれるとはなんという幸運、彼は夜とイヌの女神、ボルボ=ヘカーテの導きに感謝していた。

「でも〜本物の化け物にであった時って〜、どういう顔をすれば良いのわからないな〜」

少女がコボルトに歩み寄りながら思案するように視線を斜め上に向ける。

その機を見逃さずコボルトは手に持つ棍棒で少女の胴をなぎ払う。

その瞬間、少女は一気に踏み込み、両の手で棍棒の手元を掴み棍棒を止めると、

振り返り、全身の柔を使いコボルトの体ごと棍棒を振り下ろす。

「ぐわっ!」

当然棍棒を持つコボルトは投げられ、棍棒を手放してしまった。

床が柔らかい畳故ダメージは少ない、這々の体で立ち上がろうとした所、奪い取られた棍棒で顔面を殴られる。

「ひぎい!」

鋭く、力のこもった一撃に悲鳴を上げる、頭をかばうべく両腕で頭を覆うがその上からもう一撃、

かばった腕に衝撃が響く。

コボルトは思い返す、この少女は何の前触れもなく現れていた、

つまり気配を消して背後から迫っていたのだ、そして逃げるどころかわざわざ姿を表したということは

ーーー自分が獲物だと認識されていたのだ。

「ま、まいった!!許してください!!なんでもしますから!」

気が付かなかった自分の愚かしさに後悔しつつ、必死に服従の意を表す。

「この木の棒さ〜、あんまり大したことないね〜」

「え?」

「悪魔が使う武器だからさ〜、すごい魔法とか込められてるのかと思ったけど〜、ただの硬い木の棒で拍子抜け〜」

少女は棍棒の背に手のひらを乗せ、振りぬく動作で空を切った。

あの動き、刀でも使うのか?

いや、そんなことよりも会話が噛み合わない、それどころか恐ろしい事実にコボルトは行き着いた。

この少女の狙いは自分ではなく、あの棍棒だったのではないか?

今までの攻撃は、自分を傷めつけるつもりではなく、単にあの棍棒の試し振りだったのではないか?

コボルトは恐怖に固まった、この少女に死ぬまでなぶられてしまうのか、逃げようにも逃げられるのか

「でもね〜、どうしても助かりたいなら〜考えてあげないわけでも〜」

少女が口を開いたその時、突然テレビから大音量のノイズが流れた。

少女の目がそちらに向く。

「ひいー!!」

その瞬間、コボルトは必死の体で障子に身を投げ、縁側を抜け庭の地面に落ちる。

少女が縁側に身を出した時、土より生まれた地霊、コボルトは既に首まで土に帰り、やがて頭まで土に帰っていった。


333 : イレギュラー都市東京  ◆VJq6ZENwx6 :2016/04/30(土) 11:46:02 RfPLehh.0


少女ーー私立愛地強制学園の天下五剣の一人、眠目(たまめ)さとりはため息を付いた。

この殺し合いの場に呼ばれ、スマホ型のCOMPで悪魔とやらを確認した後、

自らの武器、刀を奪われていた彼女は、物音がするこの家をに入り込み、天神真楊流・柄取を用いあの悪魔から武器を奪った。

しかしそれは仕方ないとはいえ望んでいた刀ではなく、どの程度の打ち合いにも耐えられるかわからない木の棍棒である。

それにあの変わった獣人をCOMPの説明書に書かれていた仲間ーーいや、仲魔とやらにしてみようかと思った所で思わぬ邪魔が入った。

棍棒を腰のアクセサリーに挿し、ノイズを垂れ流すテレビに向かい言った。

「さとりの邪魔をするなんて〜、君はどういうつもりなのかな〜?」

その時、テレビの画面に輪郭が淡く発光するグリーンの線で縁どられた男の頭部のポリゴンが映るーーいや、なんとテレビから男の頭を模したポリゴンが飛び出してきたのだ。

「人間なんぞにやられるあの獣が不憫でな」

「仲魔っていうのはサマナ〜の言うことに従うんじゃないの〜?」

悪魔の確認の際、この悪魔を召喚した後、しまわずに音の確認に来たがまさか邪魔をされるとは、夢にも思っていなかった。

「契約の義務はあれど、ワシに人間なんぞに従う義理はないわ」

「それはこまったな〜」

さとりは気の抜けた表情でそう言いつつも、内心では喜んでいた。

人並み外れた眼力、観察能力を備え、他人とあまりに異なり、観察しても観察しても人との共通点を見いだせなかった彼女は、

この場で、悪魔という人と異なりきった存在と出会い、自分が人間であるという自負を感じ、

さらにこの個性豊かな悪魔という存在を観察することも出来る。

逆らわれることもまんざら悪い気持ちではない、人間に憎悪を持っているらしきこの悪魔も、裏を返せば人間扱いしてくれているのだ。

「でもここって殺し合いの場だって言われたし〜あんまり逆らうようだと〜わたしも身が大事だから〜すぐにデリートしちゃうよ〜?シグマちゃ〜ん」

異端の主であり、異端を生み出す悪魔、【ウィルス】シグマはまるで不快げに人間で言う目に当たる部分を赤く輝かせると、Returnコマンドを実行したさとりによりCOMPに戻された。

「さあ次は〜どんなのと出会うのかな〜?」




【?????/1日目/朝】
【眠目さとり@武装少女マキャヴェリズム】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、コボルトの棍棒
[思考・状況]
基本:悪魔って面白いな〜。
[COMP]
1:シグマ@ロックマンXシリーズ
[種族]:ウィルス
[状態]:健康






【コボルト@真・女神転生 東京黙示録】
[思考・状況]
基本:もう嫌だ…。
[種族]:地霊
[状態]:腕と頭部にダメージ


334 : イレギュラー都市東京  ◆VJq6ZENwx6 :2016/04/30(土) 11:46:42 RfPLehh.0
すみません、投下宣言を忘れていました。

投下終了します


335 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 11:52:27 t.uIC66Q0
投下します。


336 : タイプ:でんき・あく ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 11:53:56 t.uIC66Q0
 秘密結社ゲゼルシャフト総統。そして元帝国所属の駐独陸軍武官という経歴を持つ白髪の男、ムラクモ。
 彼はがらんどうのオフィスビル……その一室で「生ぬるい」と呟いていた。
 何が生ぬるいというのか。それは当然、あの学生服の少年魔神皇のやりかたである。
 ムラクモは、膨れあがった全世界に戦争を挑むことで人口を調節し、母なる惑星地球を守らんと画策していたのだ。
 故に、こんな手間をかけて殺し合いごっことは本当に生ぬるい話である……と、ムラクモは考えたのである。

「しかし、してやられたな」

 とはいえ、そんな彼にも困ったことが一つある。
 そう。武器がないのだ。支給品に最新式電光被服である「六〇式電光被服」が支給されていたが、生憎と武器の類いは一切無し。
 愛用の日本刀も、そして頼りの電光地雷も支給されていない、非常に心許なく手持ちぶさたな状況だったのだ。

「悪魔とやらが持っていてくれればいいのだがな」

 余裕を見せたいのか、ピンク色のポケベル型をしたCOMPをいじりながらムラクモは考える。
 すると、そんな彼が佇んでいる一室に、丁度日本刀を持った落ち武者の如き悪魔がやってきた。
 しかも、二体もである。

「むっ」

 これはいかん、とムラクモは思った。
 そう、ムラクモほどの実力ともなれば、このままだと長期戦になってしまうと分かってしまうのである。
 こうなったら仕方があるまい。ムラクモは必死にポケベルを操作し、自身に支給された悪魔を呼び出した。
 そして現れたのは、なんと……!

「か、完全者!?」

 なんと! 赤みがかった銀髪と赤い目が特徴的な少女が現れたのである。
 その見た目は、彼の敵対者である完全者という少女に酷似していた。
 ただ、何故か黒い軍服ではなく真っ白いネグリジェを着ているのが気になるが……。

「完全者! まさか、貴様が……」
「完全者? 誰のことですかい?」

 そうやってムラクモが狼狽していると、少女は少女らしくないドスの聞いた声で話しかけてきた。
 そしてネグリジェをバッと脱ぎ捨てると……銀髪赤目の少女はどこへやら。
 気付けばそこに立っていたのは、渋い和服を着てニヒルな笑みを浮かべる男であった。


337 : タイプ:でんき・あく ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 11:55:07 t.uIC66Q0
「何者だ!?」
「あっしですかい? あっしは変装と盗みの達人、人呼んで〝スリの銀次〟でございやす」
「……なんだ、ただの薄汚い小悪党か」

 ムラクモは気落ちし、項垂れた。
そして、自らの身体と六〇式電光被服の能力で戦おうと仕方なく前に出たのだが、

「おっと、その言葉は訂正してほしいですなぁ」
「なんだ?」
「スリの道を甘く見ちゃいけませんぜ、軍人さん」

 それを遮るように、銀次はムラクモと落ち武者の間に立った。
 このままでは銀次は落ち武者にやられることは必至である。
 とはいえ、まぁ別にいいか……とムラクモは考えていたのだが。
 しかし次の瞬間、そんなムラクモは恐ろしい絶技を、目撃することとなる。

「ほい、旦那。こいつをお渡ししますぜ」
「な、何っ!?」

 なんと銀次は、上段構えで振り下ろしてきた落ち武者の刀を一瞬でスり、ムラクモに投げ渡したのである。
 目の前の落ち武者共々、ムラクモは混乱するばかりだ。だがすぐに落ち着きを取り戻すと、ムラクモは丸腰になった侍の眉間を見事に突いてみせた。
 すると突かれた落ち武者は大きな悲鳴を上げながらぼろぼろに崩れ去り、ムラクモが持つ刀と共に消えてしまった。
 刀が消えてしまったのは、それが元々相手の持ち物であったせいだろう。

「おい、銀次」
「わかってますって。ほらよっと」

 それを見届けたムラクモは、再び銀次にスリを頼む。そうすると銀次は、あっという間にさっきと寸分違わぬ技を見せてくれた。
 そしてムラクモがその刀で落ち武者を刺すと以下略。何もかもが嘘だったかのように、落ち武者共はいなくなってしまった。

「どうですかい? スリというのもなかなか面白いものでございやしょう?」
「……そうだな。薄汚い小悪党という総評は訂正するとしよう。すまなかった」
「いえいえ。さて、軍人の旦那……アンタはこれから、どうするおつもりなんですかい?」

 銀次に尋ねられたムラクモは、さも当然の様に答えた。

「どうするつもりだと? 無論、全ての人間と悪魔、そしてあの魔神皇を殺し、世界に最終戦争を起こす!」

 その言葉に、銀次は口笛を吹いて「でっかい、でっかいですねぇ旦那」と呟くのであった。


【?????/1日目/朝】
【ムラクモ@アカツキ電光戦記】
[状態]:気絶中
[装備]:ポケベル型COMP(ピンク色)、六〇式電光被服
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇も含めて皆殺し。
[COMP]
1:スリの銀次@桃太郎電鉄シリーズ
[状態]:健康


338 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 11:55:33 t.uIC66Q0
投下終了です。


339 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 12:04:24 t.uIC66Q0
ついでに、自作で[種族]の欄を書き忘れていたものがいくつかありましたので、Wikiで追記しておきました。


340 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 12:06:44 M6XW5gMA0
お二人とも投下乙です!

>>334
不思議な感じの子だ……そして悪魔を最速リターンとは、余裕が見える……
あと、野良悪魔は状態表いらないんで、Wikiで削っておいてください!

>>338
意外な選出来た!? なるほどスリの力は確かに強力かも……


341 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 12:07:16 t.uIC66Q0
連投すみません……ムラクモの状態表を

[状態]:気絶中

[状態]:健康

に修正しました。本当すみません……。


342 : 名無しさん :2016/04/30(土) 13:47:46 TPf.JTr2O
複数質問ですが

・魔晶変化や剣合体
・悪魔がサマナーに憑依する
・マッカやマグネタイト
・店で買ったり悪魔との交渉によるアイテムや装備の入手


343 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 13:53:08 M6XW5gMA0
>>342
・魔晶変化や剣合体
共にありとします。ただし、生存中の悪魔に限ります。

・悪魔がサマナーに憑依する
ソウルハッカーズのスプーキー的なのであれば構いません。
ガーディアン的なのを想定されているなら、死亡以外でなんし理由付けてもらえれば。

・マッカやマグネタイト
マッカは初期支給の3万マッカ以降、増加しないのを想定しています。
マグネタイトは全悪魔が必要としないため、存在しない扱いでお願いします。

・店で買ったり悪魔との交渉によるアイテムや装備の入手
お任せします。消費はきっちり明記してください。(特にマッカ
投票完了後に、確定した登場話にはこちら側で、所持金欄をつけようと思っています。


344 : 名無しさん :2016/04/30(土) 14:37:24 TPf.JTr2O
返答ありがとうございます!


345 : 名無しさん :2016/04/30(土) 17:18:05 h8liEQ6w0
こちらからも質問です
ズガンは会場にいる悪魔のみOKとのことですが、
COMPから召喚された悪魔がモブサマナーを殺して解き放たれるという展開の登場話は大丈夫ですか?


346 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 17:28:40 FZrK3p0I0
>>345
召喚した悪魔がモブのサマナーを殺し、そのモブのサマナーのCOMPから呼び出される、ということでしょうか?
何にせよ、モブサマナーの登場を有りにしてしまうと、いろいろと際限なくなるので、
どうしてもというケース出ない限り、ご遠慮いただけると幸いです。

さて、投下します。
五作ほど続きますが、よろしくお願いします。


347 : 筋肉 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 17:30:26 FZrK3p0I0
「殺し合い、だと……」

 頭にバンダナを巻いた青年、高原日勝は、力強く拳を握りながら、静かに怒りを表す。
 殺し合い、あの少年は確かにそう言った。
 それを証明するかのように、若い男女の命が、さも当然かのように奪われた。
 とても横暴で、残酷な現実。そう、現実。
 それが現実だとわかっているからこそ、高原は怒りを抑えきれなかった。

「あいつは、あいつは何にも分かっちゃいねえッ、こんなことしたって……!」

 だが、高原はある青年の姿を、彼に重ねていた。
 いつだったか、全てに絶望し、人を憎む感情の名を背負い、ありとあらゆる世界を滅ぼしにかかった男。
 あの青年と、彼は同じような目をしていた。
 そう、それは何かに絶望しきったかのような、光のない目。
 帯びていた禍々しい気、何もかもが、彼と同じだった。

「止めるぜ、何としても」

 だから、最強のハートを持つ男として、こんなことは止めなければいけない。
 そして、彼のもとに辿り着いたら、彼と話をする。
 いつか、彼を止めた時と同じように。

「しかし、感じるぜ……強い奴の、気を……」

 話は変わるが、同時に高原はあることを感じ取っていた。
 この場に居る、姿も名も知らぬ、強者の気配。
 四方八方から突き刺さるそれを、高原はしっかりと肌で感じ取っていた。
 機会があれば、強いやつには手合わせしてもらおうのもいいかもしれない。
 そう思いながら、高原は荷物を探る。

 そして、真っ先に飛び出してきた携帯電話、もといCOMPを手に取る。
 あまりこういう機械の類は得意ではないが、入っていた説明書とにらめっこしながら、高原はCOMPを操作する。
 ぽち、ぽち、とボタンを数回押した後、携帯電話の液晶部が、淡く光を放つ。
 そして、その光は空へと登り――――

「ドゥエ」

 その光が天に差しかからんとした時、高原の耳には確かにそんな声が聞こえた。
 いや、聞こえたと同時に、高原は頭を踏みつけられていた。
 何を言っているのか分からないと思うが、確かに高原は頭を踏みつけられていた。
 痛む頭を抑えながら、高原は現れた何かの方へと振り向く。

「ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥエ」

 そこには、一人の中年男性が立っていた。いや、跳ねていた。
 ショートジャンプから、筋肉を用いた空中での急降下、それの繰り返しを行っているのだ。
 マグロのように跳ねるその様は、紛うこと無く変態のそれであった。
 だが、この悪魔を引き当てた男、高原日勝もまた――――

「そうか!」

 ある意味では、変態であった。

「ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥエ」
「デデデデデデデデデデデデデデデデデデデデデヤァッ!」

 こうして、ユリウス・ベルモンドゥエの急降下キックを習得した高原は、彼と共に超高速移動で、東京の地を変態のように駆け始めた。

【?????/1日目/朝】
【高原日勝@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、だが強い奴とは戦いたい。
[備考]
※急降下キックを修得しました
[COMP]
1:ユリウス・ベルモンドゥエ@ニコニコ動画(TAS)
[種族]:変態
[状態]:健康
[備考]
※当然ですがユリウス・ベルモンドとはなんの関係もありません


348 : 忍道 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 17:30:53 FZrK3p0I0
「ふむ、これまた面妖な出来事に巻き込まれたものだ……」

 風になびく紫の髪、そしていわゆる忍装束に身を包んだ、一人の男。
 朧流忍術……それははるか昔、幕末の時代より続く由緒正しい忍術の一つだ。
 そして彼はその継承者、第XX代目の"おぼろ丸"だ。
 彼もまた、この殺し合いに巻き込まれた被害者の一人だ。
 ご丁寧に"仕事着"で連れ去られたのは、何かしらの狙いがあってのことなのだろうか。
 しかし、先代より伝わる刀は手元にはない。恐らくは魔神皇が奪い去ったのだろう。
 仕方なく、袋に入っていた一本の刀を代わりに使うことにし、腰に携える。

「こんぷ、か……」

 そして、もうひとつ。
 魔神皇が言っていた、悪魔を使役するための機械。
 あてつけなのだろうか、それは巻物の形をしていた。
 紐を解いてするすると開き、広がっていた画面に触れて、操作を進める。

「魔が出るか、怪が出るか……」

 そして、最後の選択肢を肯定した時、巻物が淡い光を放つ。
 ぶわっと広がったそれは、ゆっくりと収束し、消えていく。
 その先に立っていたのは、黒の長髪と赤いスーツ、何より手に刻まれた無数の模様が目立つ、一人の女だった。

「まさか、"呼ばれる側"になるとはね……」

 ふう、とため息を付いて、女は悲しそうな目でどこかを見つめる。
 悪魔、という字面からは少し似つかぬ美麗な姿に、おぼろ丸は思わず息を呑む。
 少しの間を置いて、おぼろ丸に気がついた彼女は、腰に手をかけながら、おぼろ丸へと話しかける。

「貴方がサマナーね? 私は……そうね、魔人 ナオミとでも名乗っておこうかしら」

 サマナーという単語が飛び出したことと、初めの言葉。
 推察できるのは、彼女が悪魔についてかなり長けている様子であること。
 なんにせよ、それは少し助かる。
 自分も全くの無知というわけではないが、詳しい所までは知らない。
 そう、魔は全て断ち切ってきた。過去に斬り捨てた者など、いちいち覚えては居ないからだ。

「それで、どうするのかしら。見たところ、貴方もただの人ではなさそうだけれども」

 その時、悪魔は自分に問いかけてきた。
 どうするのか、つまり今後の方針についてだ。
 少し押し黙った後、おぼろ丸は懐から一枚の金貨を取り出す。

「……全てを滅するか、全てを救うか」

 意味ありげな言葉を呟きながら、彼は指で金貨を弾く。

「"仕事"をする時はこれで決める。先代から伝わる流儀だ」

 そして、くるくると宙を舞っていた金貨を握りしめ、ナオミを見つめる。
 ある時は、生きる者全てを斬り伏せる、百人斬りの忍として。
 ある時は、生きる者全てに手を出さぬ、零人斬りの忍として。
 彼の一族は、そうして"仕事"をこなしてきた。
 それは、彼も例外ではない。

 おぼろ丸は、ゆっくりと握り拳を開く。そこには――――

【?????/1日目/朝】
【おぼろ丸@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:塵地螺鈿飾剣、COMP(巻物型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:百人斬りか、零人斬りか。
[備考]
※現代に生息する第XX代目朧流忍術継承者です。
[COMP]
1:ナオミ@デビルサマナー ソウルハッカーズ
[種族]:魔人
[状態]:健康


349 : 忍道 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 17:31:30 FZrK3p0I0
「殺し合い、かあ」

 白のワンピースと、腰まで差し掛かる三つ編みで出来たツインテール。
 そんな少し柔らかな印象を受ける少女、フェリスは数刻前に告げられた言葉を呟いていた。
 意味は理解できても、いまいち受け止められない。
 先ほど起こったことが現実であることも、自分が立たされている状況も、分かっている。
 けれどどうしてか、いまいちピンと来ないのだ。
 ああでもない、こうでもない、と悩んでいても仕方がないのだが、かといって何か行動を起こすわけにも行かない。
 どうしたものか、と思いながら、仕方がなく配られた袋の中身を確かめることにした。

「これが、COMPかな?」

 初めに手にとったのは、手袋だった。
 いや、只の手袋ではなく、手袋の上に古めかしいゲームのコントローラーがついた、変な手袋だった。
 物珍しげにそれを眺めた後、少し上機嫌でそれを右手に嵌め、一度、二度と握りこぶしを作って開く。
 少し操作しづらいな、と思いながら、なんとか操作を進めていく。
 すると、手の甲の液晶部から、ゆっくりと光が放たれ始めた。
 突如、COMPから鳴り響く、軽快な音楽。
 思わず踊りだしてしまいそうなそれと共に、彼女の目の前に現れた、一つの影――――

「クラッシュ!! バン! ディクーッ!! クラッシュ!! バン! ディクーッ!!
 クラッシュクラッシュバンディクーッ!!」

 突如として歌い始めたCOMPに合わせながら、一匹の獣が踊り狂っている。
 獣、いや確かに獣なのだが、青パンを穿いている。
 そんな見るからにアホそうな外見の彼は、一心不乱に踊っている。

「へぇ、悪魔かぁ……」

 そんな姿を少し見て、特に興味も持たず、次の物資を確認しようとした、その時だった。
 一匹の悪魔がこちらに向かってきていることがわかった。
 悪魔の正体は、学生服に身を包んだ不死者。
 フェリスのことを食料だと認識しているのか、不死者はゆっくりと、しかし確実に彼女へと近づいていく。
 対するフェリスは、そんな状況だというのに、怯える表情一つ浮かべず、襲いかかろうとしている不死者を見つめていた。

 不思議な話だが、彼女には「現世に生を受ける前」の記憶がある。
 いくつもの世界へと飛び込み、人形……もとい仲間たちと共に、"アーク"を求めて旅をする。
 そんなファンタジーめいた記憶が、彼女の頭の中にはある程度はっきりと残っているのだ。
 故に、その時の記憶で見たであろう不死者の姿に、怯えること無く構えていられるのだ。
 しかし、怯えていないとは言え、焦っていないわけではない。
 手元に武器の一つもなく、満足に戦えるわけではない。
 今から武器を探そうとすれば、それこそ"仲間入り"をして終わりだろう。
 何か手はないのか、と思ったその時だった。
 ぶうん、という音が聞こえた後、不死者の胸元に赤いマーカーが現れる。
 何だ、と思った瞬間、背後から高速で飛び出したリンゴが、不死者の頭を正確に撃ちぬいたのだ。
 振り向けば、奇っ怪なバズーカを構えていた、先ほどの獣が、いかにも嬉しそうな顔でこちらを見ていた。
 助けられた、ということか。
 だが、戦いはまだ終わったわけではない。
 幸い、今の一撃で不死者は少し弱っている。
 カタをつけるなら、今しかない。


350 : 収集 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 17:31:57 FZrK3p0I0
 
 ぐっ、と握り拳を作り、彼女は祈るように不死者へと向ける。

 生を受ける前の記憶、そこで自分が使っていた不思議な力。
 生きるものを人形に変えてしまう、摩訶不思議な異能。
 今まで数えるぐらいしか使ったことのないそれを、意を決して不死者へと放つ。
 彼女が念じるのと同時に、一枚の木の板が不死者の目の前に現れる。
 ぐるぐると回るその板は、やがて高速で回転し、不死者へと突き進んでいく。
 それを認識できていなかった不死者は、抵抗すること無く木の板へと飲み込まれた。

 その後、音もなく転がっていたのは、一体の人形だった。

「上手く行った……」

 ほっ、と一息ついて、戦いが終わったことを確認する。
 生まれついての不思議な力、それを使うのは久々だったが、上手く行って何よりだ。

「ありがとう」

 それからくるりと振り向いて、彼女は獣へと感謝を述べる。
 獣はそれを理解しているのか、それとも理解していないのか、ともかく一人で嬉しそうにその場で跳ねまわっている。
 おかしな姿に思わず笑ったあと、彼女は状況を整理する。
 置かれているのは、殺し合いの場。
 そして、ここに居るのは無数の悪魔。
 恐らく、この場に"アーク"は存在しない。
 ならば、今度は自分一人で戦わなくてはならないのだ。
 正直、少し不安はある。
 だが、どこかで頼れる仲間を見つけられる、そんな確信が心のどこかに生まれていた。

「ひとまず、フィギュアを集めよう」

 故に、いずれ来るときに備えて、彼女は一つ決意をする。
 生まれる前の記憶、そこで"自分"が魔物を人形に変えては、力にしていたことを思い出す。
 人を殺す、殺さないなんて、自分には判断できない。
 だから、その判断が必要となる時までは、悪魔を人形に変えておこう。
 この場で同じことができるかどうかはわからないが、集めておいて損はないだろう。

 進む先がどうなっているのか、それはわからないけれど。
 不思議な旅が、また始まる気がしていた。

【?????/1日目/朝】
【フェリス(女主人公)@ミスティックアーク】
[状態]:健康
[装備]:COMP(パワーグローブ型)
[道具]:基本支給品、不明支給品、ゾンビちゃんのフィギュア
[思考・状況]
基本:ひとまず、フィギュアを集める。
[備考]
※クリア後からの参戦です
※弱った悪魔をフィギュアに出来ます。フィギュア単体では、特に効果を持ちません。
[COMP]
1:クラッシュ・バンディクー@クラッシュ・バンディクー3 〜ブッ飛び! 世界一周〜
[種族]:魔獣
[状態]:健康


351 : 飛沫 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 17:32:16 FZrK3p0I0
 久しぶりの都会だ。
 男が真っ先に感じたのは、それだった。
 来る日も来る日も砂漠に向かい、錆びついたシャベルを片手に、砂を掘り続ける。
 日が沈んでも、日が昇っても、手を止めること無く、ただ、ひたすらに砂を掘る。
 そんな生活が続いて、もうどれくらいになるだろうか。
 すっかり伸びきった髭と髪、一張羅はボロボロになり、体は痩せ細ってしまった。
 それでも男は、来る日も来る日も、砂を掘っていた。
 そしてある日、男はふと気がついた。

「俺の夢って、何だったっけ」

 何かがあって、来る日も来る日も必死に砂を掘っていた。
 けれど、その何かが何だったのかが、思い出せなくなっていた。
 夢を求めて砂を掘り続けていたのは、はっきりと覚えている。
 けれど、その夢が何だったのかが、わからない。
 一体、何のために、砂漠で砂を掘っていたんだろう――――

 ここに招かれたのは、そんなことをふと思った日の、翌日だった。
 答えは出ない、いや、持っているはずの答えが、見つからない。
 疑問は堂々めぐりする、殺し合いをしている場合ではない、やるべきことはわかっている。
 けれど、何故それをしなくてはならないのか、それが思い出せない。
 どれだけ考えこんでも、一番大事な答えが、思い出せない。

「願いを一つなんでも叶えてやることにしよう」

 ふと、あの少年が言っていた言葉を思い出す。
 それは、喉から手が出るほど、欲していたはずの言葉。
 この身を粉にしても、叶えたかった願い。
 すごく大事で、かけがえのない何か。
 それを待たせていたような、そんな気すらするけれど、思い出せない。

「……悪魔、か」

 ぼんやりとした意識で、男はシャベルに手を伸ばす。
 そうだ、砂を掘らなきゃいけないんだ。
 思い出せなかったとしても、それが自分のやるべき事なのだから。
 ぐっ、と持ち手をつかむ。
 その時、シャベルが淡く光を帯びた気がした。
 眩しいな、と思いながらも目を背けず、スコップを持ったままその場で立ち尽くしていた時。
 そいつは、突然現れた。

「俺はラフ・メイカー! アンタに笑顔を持ってきた!!」

【?????/1日目/朝】
【Ever lasting lie@BUMP OF CHICKEN】
[状態]:健康
[装備]:COMP(シャベル型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:夢を思い出す
[COMP]
1:ラフ・メイカー@BUMP OF CHICKEN
[種族]:超人
[状態]:健康


352 : 決意 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 17:32:34 FZrK3p0I0
「怪奇現象の次は、殺し合いか……」

 ふう、とため息をついて、呼吸を落ち着ける。
 少し古めの道着にオレンジ色のバンダナ、何より目立つ右足の、金属で出来た義足の男。
 名を、韓大韓といい、ノースタントで自身が全て演技することで有名な、アクション俳優である。
 彼が言っている怪奇現象とは、中東での映画撮影中に、彼が出くわした黒い靄のような闇のことだ。
 逃げ遅れてしまった彼は、その黒い靄に右足を飲み込まれ、義足での生活を余儀なくされていた。
 しかし、右足を失った今もなお、彼の中には右足の"生身"の感覚がしっかりと残っている。
 その謎が伝説の古代遺跡の謎と繋がっていることを知った彼は、世界最強を決める大会「THE EHRGEIZ」へ参加を決めていた。
 この殺し合いに彼が招かれたのは、そんな矢先の話だ。
 無論、他人を積極的に殺して回る殺人鬼になるつもりはない。
 だが、今の自分は、あの魔神皇と名乗るあの少年に飼われているのも同然だ。
 どう動くのが、最善なのか。

「ん……?」

 その時、彼は一つの違和感を感じ取る。
 もう、長い付き合いとなる右足の義足が、何か違うと感じた。
 ふくらはぎにセットされている、六発のミサイルはしっかりと装填されている。
 膝にある射出口も、特に問題はない。
 そうやって視線をどんどん下げていく内に、ようやく韓は気がついた。
 向う脛のあたり、そこに見慣れないタッチパネルが増えていることに。
 どうやら、愛用の義足は魔神皇の手によって改造が施されているようだ。
 少し怒りを覚えながらも、韓はタッチパネル越しに操作を進めていく。
 表示された一つの名前、それに触れたと同時に、膝の射出口からミサイルのように光が射出された。

「呼ばれて飛び出てじゃっじゃじゃ〜〜ん!! 伝説の大忍者、イヅナちゃんの登場だよッ!!」

 桃色のショートヘア、猫の耳のように見立てた鉢金、黄色いマフラーに赤い忍装束。
 少し幼さが残る顔に似つかぬ豊満な体を持つ彼女は、イヅナと名乗った。
 悪魔、という言葉からは想像できなかった姿に、韓は思わず疑いの目を向けてしまう。

「あ、こらッ!! 信用してないでしょ!?」

 それを見た彼女に、韓は少し詰られてしまう。
 やれやれ、騒がしい女の子だ、と思いながら、韓はひとまず今後のことを考えることにした。
 彼の側に居る少女が、神とも対等に渡り合う忍であるなんて、知りもしないで。

【?????/1日目/朝】
【韓大韓@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:特製義足(兼COMP、コリア1号残弾 6/6)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、情報収集。
[COMP]
1:イヅナ@降魔霊符伝イヅナ
[種族]:忍者
[状態]:健康


353 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 17:32:52 FZrK3p0I0
以上で投下終了です。


354 : ◆Vj6e1anjAc :2016/04/30(土) 18:35:26 LRCMZ63k0
皆様投下お疲れ様です
自分も投下させていただきます


355 : 宿命 ◆Vj6e1anjAc :2016/04/30(土) 18:36:33 LRCMZ63k0
 戦いとは果たして何ぞやと、その男は世界に問う。

 有史以来人々は、戦いを捨てることなく生き続けてきた。
 ある時は己を守るために。
 ある時は財を守るために。
 ある時は愛を守るために。
 それを喪うことへの恐れを、必死に断ち切らんとするために、人々は武器を取り戦場に立った。
 守るべきものを害する敵を、退け打ち倒さんために、人々は戦い続けてきた。
 
 敵とは何だ。略奪者とは誰だ。
 守るべき者を害する者は、果たしてどこから現れる。
 己の敵は肉親か。
 己の敵は他の者か。
 己の敵は他の国か。

 かつて男にとっての敵とは、憎しみ渦巻く過去であった。
 男は己の過去を消し去り、未来に向かって突き進むために、ひたすらに修羅道を歩み続けた。
 しかし、いかに憎悪を束ねたとしても、腐りかけた屍肉の鎖は、醜く歪で、そして脆い。
 故に男は戦いの果てで、鎖を砕かれ敗北した。
 断ち切るべきは過去ではなく、それを憎む心であると、間違いを突きつけられたのだ。
 過去には忌むべきものだけではなく、未来を歩む支えとなる、輝かしい記憶も記されているのだから。

 男は憎しみを断ち切った。
 であれば、今の男の戦いは何だ。
 憎しみを捨てた今の男が、対峙する敵に向けるものは――


356 : 宿命 ◆Vj6e1anjAc :2016/04/30(土) 18:38:13 LRCMZ63k0


 扉を蹴破る音がする。
 闇の扉が開かれる。
 人界と魔界の境を跨ぎ、彼方から此方へと至るもの。
 時に人の心を欺き、時に人の身を脅かし、人の魂を咀嚼するもの。
 妖。
 禍霊。
 あるいは邪神。
 それらを括って悪魔と呼ぶ。
 悪しき魔性と人は称する。

「グルルルル……」

 それは人ならぬ獣の唸り。
 それは獣ですらないおぞましき姿。
 肥大化した筋肉を覆う皮膚は、鋼のごとき光沢を放ち、ぎらぎらと周囲を威嚇している。
 頭頂部から伸びた角。身の丈をも凌ぐ巨大な翼。爛々と輝く金の双眸。
 有翼魔神・ガーゴイル。
 人の倍はあろうかという巨躯は、およそこの世のものとは思えぬ、漆黒のオーラに満ち満ちていた。

「――人ならぬ魔物を従え操り、奇跡を奪い合う殺し合いか」

 しかし、その先に何者かがいる。
 邪悪な向かい風に晒され、不浄の魔力を叩きつけられ、それでも怯まぬ白い影がある。

「馬鹿げた三文芝居ではあるが、知らぬ存ぜぬと目を背けては、生きて帰ることも叶わぬらしい」

 純白のコートを棚引かせ、ふんと鼻を鳴らすのは、背の高い一人の男だった。
 顔立ちは若い。恐らく10代の終わり頃――未だ少年と呼ぶべき歳だろう。
 しかし男の視線には、見る者全てを射竦める、鋭い光が煌めいていた。
 曇りも容赦もない眼光が、男が市井の小僧達とは、次元の異なる猛者であると、何より雄弁に物語っていた。

「ならば、この俺のしもべに足る力――その手にあるか示してみせろ! 我が魔物(モンスター)よ!」

 男の左手が光輝く。
 その手に物々しく装着された、青き装甲が光を放つ。
 それはCOMPだ。電子の器だ。
 情報化した魔性の力を、デジタルデータへと変換し、その内へ宿すパンドラボックスだ。
 モニターされた像は一つ。選ぶべきしもべはただ一つ。
 未知のテクノロジーであろうと、男の動作に迷いはない。空間に投影された映像を、男の指が激しく叩く。

「――はっ!」

 男の前に弾けたものは、眩い黄金の光だ。
 金色の彼方から現れたのは、物々しい魔の二つ名に似合わぬ、うら若き少女の姿だった。
 まるでテレビ画面から飛び出したような、ファンシーに飾られた装束。
 綺羅びやかな金色の髪に、丸みを帯びたボディライン。
 されどそれが悪魔であるなら、その姿もまたまやかしでしかない。
 可憐な姿の奥底には、只人を遥かに凌駕した、奇跡の力が宿されている。
 召喚者(サモナー)、海馬瀬人。
 魔女(ピュエラ・マギ)、巴マミ。
 それがこの場に並び立った、男と少女の名前だった。


357 : 宿命 ◆Vj6e1anjAc :2016/04/30(土) 18:38:59 LRCMZ63k0


「認めねばならんようだ。貴様と奴の持つ力が、常識を凌駕したものであると……その一点に関してはな」

 憮然とした表情を浮かべながら、手にしたボトルを口へと運ぶ。
 きらきらと光るガラスの器から、飲料が口へと流れこみ、喉の渇きを満たしていく。
 ガーゴイルを危なげなく撃退し、町並みへ戻ってしばし後。
 瓶ジュースを飲む海馬の姿を、彼の召喚した悪魔――巴マミはじっと見ていた。

「受け入れがたいかもしれないけれど、私もあの魔神皇も、正真正銘魔の住人……
 奇跡の力をその身に宿し、戦いに身を投じる者達よ」
「今更目を背けるつもりはない。単に気に食わんだけのことだ」

 腕を組むように構えて、海馬はマミの言葉に応じる。
 最新鋭テクノロジーを駆使し、超ハイテクゲーム機器開発に身を捧げる、海馬コーポレーションの総帥。
 齢17歳にして、巨大企業を率いる彼が、何より嫌っていたものの一つが、科学にて立証できないオカルトだ。
 特に古代エジプト絡みには、ここ1年か2年ほどの間に、随分と振り回されてきた。
 ようやく落ち着いたかと思いきや、今度は悪魔崇拝に付き合わされたとなれば、腹も立つというものだろう。

「それで、マスター。貴方はこの戦いの果てに、魔神皇に何を願うの?」

 戦うことを決めたからには、見返りも求めるべきでしょうと。
 やや背の低い悪魔のマミが、背の高い人間の海馬を、見上げるようにして問いかけた。
 一瞬、海馬は沈黙する。
 くだらん――と一笑されるかとも思ったが、やはり願いを叶えるという誘惑には、抗いがたい魅力があるらしい。

「……一つ聞かせろ。貴様らの持つ奇跡の技とは、冥府に堕ちた魂を、呼び戻すことも可能とするのか?」

 彼岸と此岸の境界を跨ぐ。
 冥界の扉を開け放ち、現世へと魂を連れ戻す。
 要するに死者をあの世から、蘇らせることができるのか。それが海馬の問いかけだった。

「不可能とは、言えないでしょうね。死者を蘇らせる魔法も、存在しないとは言い切れないわ」

 言葉を濁しながらも、マミは肯定する。
 奇跡にも段階があるということか。海馬はそのように受け取った。
 それは巴マミには不可能であっても、たとえばあの魔神皇のような、より強い力の持ち主であれば、可能かもしれないということだろう。

「でも、それが正しいとは私には言えない。人の天命に反して、無理やりに生き返らせた魂が、幸せに生きられるとは限らないのよ」
「随分と知ったような口を聞くな」
「……ええ、そう。知っているの。私はそういう存在だったから」

 電子の魔と化した巴マミは、いずこかの次元に存在していた、本物の人間の映し身である。
 マミは海馬にそう語り、自身の本体の境遇を、つらつらと言葉にし綴り始めた。
 魔法の力を使う戦士・魔法少女である巴マミは、戦いの運命を受け入れる対価として、己が願いを叶える権利を得た。
 その超常の奇跡に対して、彼女が願い求めたものは、消えゆく自分の命だった。
 しかし強引に命を繋ぎ、生き返った彼女を待っていたのは、熾烈な戦いの運命だった。
 戦い続ける恐怖感は、時には、死んだ方がマシだったと、思わせるほどでもあったという。
 だからこそ、いかな奇跡であっても、それを死者の蘇生に使うことは、歓迎できないと言うのだ。


358 : 宿命 ◆Vj6e1anjAc :2016/04/30(土) 18:39:57 LRCMZ63k0
「要らぬ世話だ。俺とて過去の亡霊を、いつまでも縛りつけるつもりはない」

 しかし、海馬は気にも留めない。
 ふんと鼻を鳴らしながら、マミの言葉を切り捨てる。

「俺が望むのは、ただ一度の再戦……記憶の彼方へと消え去り、未来永劫に喪われた、一度きりの決着を果たすこと」

 そもそも海馬の願いとは、死者の蘇生そのものではない。
 自分の手で葬りたかった宿敵を、一度だけ現世に呼び戻し、この手で送り返すということだ。
 名も無きファラオ。三千年の番人。
 幾度となく死闘を繰り広げた、世界一のゲームチャンプ。
 決闘王(デュエルキング)・武藤遊戯――その身から今や喪われた、もう一つの魂・アテムとの決着。
 それがいずれ再戦を果たすと、心に固く決めながら、機を逃した海馬の願いだった。

「それを果たすことさえできれば、その人を再び眠らせると?」
「言うなれば、俺の手で奴を殺す。再び葬り去るのであれば、何も問題はなかろう」
「それだけのために、他の人達を殺し、この戦いに勝利すると――」
「――腑抜けたことを抜かすなァッ!!」

 瞬間、激昂。
 一瞬にして臨界点を超え、怒髪天を衝いた海馬瀬人が、突然声を張り上げ吼える。
 右手を振る動作に合わせ、ジュース瓶が放り投げられ、ばりんと鋭い音が響いた。
 びくり――と、マミの肩が震える。
 魔の申し子であるマミよりも、遥かに弱いはずの海馬の剣幕に、一瞬とはいえ、気圧される。
 睨みつける海馬の瞳は、刻まれたオリジナルの記憶に宿る、魔物に勝るとも劣らぬほどの、苛烈な覇気を宿していた。

「俺に……この俺に頭を垂れろと言うのか。奴めの下劣な戯れ言に乗り、道化を演じろとほざくのか!」

 アテムを殺すとは言ったが、それはあくまでも比喩の話だ。
 海馬瀬人という男は、醜い殺し合いという行為を、心の底から嫌悪している。
 独裁者の見本市のような、傲岸不遜なこの男は、その実踏みにじられた子供達に、笑顔を届けることを願っていたのだ。
 その主義を、あらゆる意味で虫の好かない、あんな男のために曲げられるものか。
 冗談というにもタチが悪い。言葉にしただけでも許されない。
 握った拳を震わせる海馬の身から、怒気が蒸気のごとく立ち上る。

「でも……それなら、どうやってその願いを?」
「見くびるなよ、小娘風情が。俺の悲願を叶えるために、他者に阿る必要などない。
 俺を縛るというのなら、戒めを奴の身ごと砕き――奴めが握った奇跡とやらを、この手に奪い取るだけのこと!」

 己のプライドを切り捨て、賞品を求めて戦うのではない。
 悲願の機会を切り捨てて、ただ主催者に歯向かうのでもない。
 賞品も手にする。面目も保つ。
 真正面から勝負を挑み、あの魔神皇の持つ全てを、直接簒奪しこの手に掴む。
 それが海馬瀬人が描く、己の行動指針だった。


359 : 宿命 ◆Vj6e1anjAc :2016/04/30(土) 18:40:29 LRCMZ63k0
「そんな! あれだけの力、人間の貴方には……!」

 どこまで傲慢な男なのだ。驚愕にマミは声を上げる。
 魔女や魔法少女の力を、人間が取り込み制御した話など、彼女は聞いたこともない。
 どころか、魔神皇の持つ力は、彼女が知るどの存在よりも、遥かに強大なものだろう。
 触らぬ神に祟りなしだ。人の身に余る力は、彼の身を容易に滅ぼすはずだ。

「クク……それこそ要らぬ心配というもの。
 いかな超常の力であろうと、我が海馬コーポレーションの力の下に、暴き立て白日に晒してくれるわ」

 そんなマミの忠告すらも、海馬の耳には届かない。
 不敵に笑む顔に浮かぶのは、絶対にしくじらないという大いなる自信か。
 否、絶対にしくじってはならないという、強固にして危険な覚悟の色だ。
 それがどれほどの禁忌であるのか。どれほどのリスクを孕んでいるのか。
 経営者としても、ゲーマーとしても、一流の勝負師である海馬瀬人が、直感していないはずもない。

(それが刹那の光明であろうと、俺は必ず光を掴む!
 見果てぬ闇だというのなら、その闇にすらも染まろう!)

 それでも、そんなもしもの可能性ごときに、足を止めているわけにはいかないのだ。
 一度は叶わぬと諦め、みっともない執着だと目を逸し、未来へ歩むことを決めた。
 しかし今はその可能性が、あり得ないはずの好機が、すぐ目と鼻の先にある。
 であれば、手を伸ばさずにいられるものか。
 かつての己が恥じて嫌った、過ぎ去った記憶への執着にも、すがりつかずにいられようか。
 そこに奇跡があるのなら、必ず我が物としてみせよう。
 今こそこの道を進めと、運命が命じているのなら、その天啓にこそ従おう。
 この宿命に決着をつけ、今度こそ未来栄光のロードを、前を向き踏みしめるために。

「ワハハハハハハ!!」

 破顔一笑。高らかに笑った。
 不愉快な檻の中にありながら、しかし今この瞬間の海馬の心は、歓喜の光で満たされていた。


【?????/1日目/朝】
【海馬瀬人@遊戯王(原作漫画版)】
[状態]:健康
[装備]:COMP(腕部装着型コンピューター。デザインは劇場版「THE DARK SIDE OF DIMENTIONS」のものに似る)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品(1)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない。魔神皇を倒し、死者蘇生の秘法を奪い取る
[COMP]
1:巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ
[種族]:魔女
[状態]:健康


360 : ◆Vj6e1anjAc :2016/04/30(土) 18:40:46 LRCMZ63k0
投下は以上です


361 : ◆BLAZExujxM :2016/04/30(土) 19:30:06 4J7f.Rqo0
投下します


362 : ハッスルマッスル  ◆BLAZExujxM :2016/04/30(土) 19:31:20 4J7f.Rqo0

 筋肉モリモリマッチョマンの男がいる。
 190㎝ほどの長身に茶發の男。
 その身体はかなり鍛え抜かれた。
 そして、いくつもの死線を潜り抜けたであろうその眼光。
 しかし、その奥底には父親として暖かさがあった。

「ジェニーはいないといいが……」

 娘がこの場にいないことだけを願う。
 
 男は魔神皇と名乗った少年に怒りを覚えた。
 だが、彼はこの場ですべきことは分かっている。
 この首輪を外して、この見知らぬ土地からの脱出だ。

 男の名は『ジョン・メイトリックス』。
 元コマンドー部隊隊長だ。
 現役を退いて、しばらく経った彼だったが……
 此間バル・ベルデ共和国で色々あったが、また娘と平穏な日々を送っていた。

 一先ず、状況を確認する。
 周囲に誰かいないをかを認する。
 手持ちの所持品を確認する。
 その際、自身に支給されたCOMPとはどのようなものかを確認したのだが……。

「まさか、『これ』が、か…?」

 彼に支給されたCOMPは彼にとっても馴染みあるものであった。
 まずは『それ』についていた説明書を熟読する。
 馴染みがあるものであっても説明書を読んでおけば、何かあった際に役に立つ。

「どうみても『ロケットランチャー』なんだがな」

 軍にいた時に使っていたが、こんな機能(悪魔召喚システム等)は付いていなかった。
 もしかしたらこれは軍が極秘裏に開発していたのかもしれない。
 しばらく説明書を読み進めていくメイトリックス。


363 : ハッスルマッスル  ◆BLAZExujxM :2016/04/30(土) 19:31:43 4J7f.Rqo0
 
 その際に一つの考えを導き出す。
 『出てきた悪魔に魔神皇の情報を聞き出す』。
 そういう、考えに至った。

 メイトリックスはロケットランチャー(型のCOMP)を構える。
 周囲に誰かいないかを再度確認して、ロケットランチャー(型のCOMP)のトリガーを引く。

 
 



「これが悪魔か……?」
「……………」

 そのロケットランチャー(型のCOMP)から出てきた悪魔は……
 まるで人間のようだった。
 人間のような格好で……。
 人間のような筋肉をしていて……。
 まるで……

 まるで…………。

「……俺じゃないか……」

 その悪魔が自分自身にそっくりだった。
 そのことに驚きを隠せないメイトリックス。

「違うぞ」

 その悪魔―――T-800は静かにメイトリックスに告げた。
 

【?????/1日目/朝】
【ジョン・メイトリックス@コマンドー】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ロケットランチャー型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
[COMP]
1:T-800@ターミネーター2
[状態]:健康


364 : ◆BLAZExujxM :2016/04/30(土) 19:32:14 4J7f.Rqo0
投下終了です。


365 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 19:36:48 t.uIC66Q0
投下します。


366 : Domesticate ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 19:38:37 t.uIC66Q0
「チッ、あの野郎! 血なまぐせぇ戦いは大歓迎だが、このオレ様を駒にするとは許せねぇ!」

 誰もいない街の中。大きな交差点の真ん中で、そう呟く少年が一人いた。
 黒いロングコートを着こなし、棘突きの奇妙なリングを首から提げた彼の名は、獏良了。
 否、今はバクラと呼ぶべきだろう。何せこの身体の持ち主は今、リングに宿った闇の人格に支配されているのだから。
 そんな彼は、長く伸ばされた銀髪を乱暴に掻きながら、不平不満を漏らしていた。

「大体こういうのは、オレ様がゲームマスターになるべきなんだ……それをあの野郎……」

 だが、そんなことをしていても非生産的であることはバクラ本人も理解していた。
 故に彼は、支給されたダイス型のCOMPをじっと見つめ、

「……まぁいい。要は全員殺しちまえばいいんだ」

 意を決して、踊らされることを選んだ。
 そして彼は跪くように片肘をつくと、舌打ちをしながらなんとなくダイスを地面に転がす。
 すると突如ダイスが光り始め、学生服の少年が言う〝悪魔〟が姿を現した!

「こんにちは! 軍神の娘、関銀屏です! 非力ですが、力いっぱい頑張ります!」

 現れたのは、柄の両端に巨大な丸い物体をぶら下げた何かを持った、線の細い少女だった。
 顔は美しく……というより可愛らしく整っており、長い黒髪は太陽の光のおかげでとても輝いて見えた。
 更にはその緑色を基調とした服も、赤いミニスカートも見事に似合っており、彼女の可愛らしさを演出することに成功している。

「あァ……?」

 が、そんなことはバクラにはどうでもよかった。今のバクラにとって、悪魔の善し悪しの基準は〝強いかどうか〟だけなのである。
 見たところ、彼女からはバクラが気に入るような強さは見当たらない。それどころか彼女自身が自分を〝非力〟と称しているのも気に入らなかった。
 実際、目を細めて睨み付けるだけで、この関銀屏と名乗った少女は「な、なんですか……?」と一歩退くという愚行を犯している。
 ファンブル(外れ)か。バクラは大きく舌打ちしながら、心の中でそう呟いた。
 すると、そのときである。

「あ、あの! えっと……あなた、誰ですか!?」
「あァ!? バクラだよ、バ・ク・ラ!」
「ではバクラさん! 後ろから、何か巨大なものが迫ってきてますよ!」
「何だと!?」

 立ち上がったバクラの背後から、巨大なダンプカーが迫ってきた!
 運転席に目をやると、そこは無人。だが明らかにアクセルをベタ踏みしているかの如く、速度を上げてきている。

「わ、私、分かります! あれ、多分野良の悪魔さんです! 私自身が悪魔だからでしょうか!? 分かるんです!」
「ンだとォ!? 宿主は生身なんだぞ! あんなのありか!」

 銀屏の言葉に、バクラは当たり散らすように愚痴を飛ばし、逃げようとする。
 しかし彼としたことが、うっかりミスを犯してしまった。なんと手に持っていたダイスを落としてしまったのである。
 このダイスは形こそオモチャだが中身は立派なCOMPである。挽き潰されてお釈迦になるのはまずい!
 バクラは「クソッ!」と呟くと、ダイス型COMPを拾った。しかし既に目の前にはダンプカーが迫っており……もはや一巻の終わりかと思われた。
 だが、そのバクラの予想は大きく外れることとなる。


367 : Domesticate ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 19:39:46 t.uIC66Q0
「バクラさん! 早く安全なところに隠れて下さい!」
「な、何だと!?」

 なんとバクラの前に立った銀屏が、その細い両手でダンプカーを正面から受け止めたのである。
 ダンプカーの巨大なタイヤはその場で空回りし、アスファルトと摩擦を起こして奇妙な音を発している。

「こいつ……何者だ……?」

 何が何だか分からない。だが今分かることはただ一つ。
 バクラは今、この関銀屏という少女のおかげで助かっているということだけだ。
 仕方なくバクラは路地裏に身を隠すと、そこから顔を覗かせて銀屏の様子を眺めることにした。
 すると、信じられない出来事が起きる。

「よぉい……っしょおっ!」

 なんと銀屏は運転席側を持ち上げるやいなや、そのままダンプカーを上下逆さまにひっくり返してしまったのだ!
 そしてそれだけに終わらず、彼女は例の不思議な長柄の武器らしきものを持ち、丸い物体を「行きますよー!」と言いながら地面に叩きつける。
 すると叩きつけられたアスファルトには、まるで蜘蛛の巣のようなひびが入った。
 それを見たバクラはようやく気付く。あの棒についている丸い物が、巨大な重りであったことを!

「滅茶苦茶だぜ……だが、面白い……クク……」

 なんということだ。自分はファンブルではない。スーパークリティカルを引き当てたのだ。
 バクラはその事実に気付くやいなや、銀屏をどう利用してやろうかと考えながら邪悪な笑みを浮かべる。
 するとその間に、銀屏は重りの着いた棒――実は双頭錘(そうとうすい)という名が付いている――を振りかぶり、ダンプカーを上空に吹き飛ばしてしまった。
 きっとあのダンプカー型の悪魔は一連の攻撃に耐えられなかったのだろう。相手は地面に着く前にひび割れだし、やがて空中で爆発四散したのだった。

「バクラさん! もう、出てきても大丈夫ですよ!」
「あァ、そうさせてもらうぜ」

 その様子を見届けたバクラは路地裏から抜け出し、銀屏が待つ交差点へと再び立った。
 念のため確認するが、野良の悪魔らしきものはおらず、バクラは無意識に安堵の溜息をついていた。

「いやしかし、驚いたぜ。あの力、半端じゃねぇな。礼を言うぜ……クク」
「いえ、そんな。まだまだ力不足です……早く父上や兄上達に追いつかないと!」

 一方の銀屏は、バクラの言葉に気をよくしたのか、双頭錘を軽々と持ち上げながらにっこりと笑った。
 しかしその無垢な表情は、バクラの次の一言で驚愕のそれに変わる。

「テメェの力がありゃ、この街に巻き込まれた奴らを皆殺しに出来るに違いねぇ……クックククク……! さぁ、力を貸しな!」
「……え? それって、どういう……」
「意味が分からなかったか? テメェはこれから、このオレ様が優勝するための駒として働くんだってことだよ!」
「み、皆殺しって……戦う意志が無い人も、ですか?」
「あァ!? 決まってるだろうが! そうじゃなきゃ生きては帰れねぇのが、この殺人遊戯の規則なんだからよ!」
「そ、そんな……そんなこと、出来ません!」
「……ほう?」

 そして銀屏は、バクラの命令に背いた。彼の考えを、真っ向から否定したのである。
 使役されている悪魔のくせに、である。


368 : Domesticate ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 19:41:16 t.uIC66Q0
「へぇ、そうかい。そんなに嫌か」
「はい、嫌です!」
「……それなら、一つ考えがある。これからちょっとした遊びをしようぜ」

 何を言っているのか分からない、とでも言いたげな銀屏を無視したバクラは、ダイス型COMPを握り締める。
 そして邪悪な表情を浮かべ、更に口角を上げると銀屏にこう告げた。

「今からオレ様とテメェで、ダイスを一回だけ振る。そして出目が低い方が勝ちだ」
「……私が勝ったら、どうなるんですか?」
「テメェの言うことを聞いて、皆殺しはやめてやるよ。どうする? 戦るか?」
「や、やります! 私、あなたに勝って見せます!」

 その言葉を聞いて「クク……」と含み笑いをしたバクラは、まずは銀屏にダイスを手渡し「先に振らせてやるよ」と言った。
 銀屏は「ありがとうございます……!」と厳しい表情で礼を言い、しばしの間ダイスをじいっと眺め続ける。
 そして、決心がついたのだろう。子どもの様にしゃがみ込んだ彼女は、遂に地面へとダイスを転がした。
 すると、なんとその結果は……2! 勝利に最も近い出目、2の数字が出たのであった!

「や、やった……! 見ましたかバクラさん!」
「あァ、見たぜ。じゃ、こっちも振るとするか」
「……え? 驚かないんですか?」

 だがバクラは動じない。それどころか彼はダイスを拾い上げると、何の躊躇も怯えもなくダイスを地面に落としたのである!

「ほら、1。オレ様の勝ちだ」
「……う、嘘……!?」

 しかも結果は1! 銀屏は身体を震わせて歯をかちかちと鳴らし始めた。おそらくは、バクラがあっさりと奇跡を起こしたのだと錯覚しているのだろう。
 だが、真相は違う。実はバクラには〝物体に魂の一部を移す〟という能力を持っており、事前にその能力をダイスへと施していたのである!
 これにより、ダイスの目はバクラの思うがまま! こうして彼は、銀屏を天国寸前の場所から一気に地獄へと叩き落としたのだ!

「さぁて、それじゃ皆殺しのショーを始めるとするか! クッククククク……ハーッハッハハハハハハハァ!」
「ま、待って! 待って下さい!」
「あァ……?」

 だが銀屏の心はまだ折れてはいなかったらしい。

「やっぱり、私、出来ません……そんな、皆殺しだなんて、誰かが悲しむだけです!」
「知ってるぜ、そんなことはよ」
「襲ってくる人には容赦しません! あなたの為に戦います! それだけじゃ、ダメなんですか!?」
「ダメだね。考えてもみろ。テメェは敗北したんだ。このオレ様にな。ならばやるべきことはただ一つ……皆殺し、だよなァ?」

 バクラの再三の言葉に、彼女は首を横に振る。よほど今の勝負をなかったことにしたいらしい。
 駒如きが偉そうに……バクラは眉間に深い皺を作り、目を見開いて銀屏を指さした。

「見苦しいぜ、関銀屏! テメェの負けは確定したんだ!」
「でも……」
「……それでも従えないというなら、テメェには罰ゲームを与えてやるぜ!」
「ば、ばつ、げーむ……?」

 そして叫ぶ。


369 : Domesticate ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 19:42:34 t.uIC66Q0
「そうだ! 受け取りな! クッククク! 闇の扉が開かれる……運命の罰ゲーム!」

 その瞬間、銀屏の身体に異常が起こった。
 なんと彼女の身体が急激に小さくなり、自由に動くことの出来ない人形と化してしまったのだ!

「い、嫌ぁあぁあぁあぁあああぁあっ!」
「ヒャーッハッハッハッハッハッハ!」

 絹を裂くような悲鳴と邪悪な哄笑が交差点に響き渡る。
 そして気が済んだバクラは人形となった銀屏を持ち上げ、演説を始める。

「いいか! オレ様はここからさっさと抜け出して、千年アイテムを全て集めなきゃあいけねぇ!」
「嫌、やだ! 助けて……父上、兄上、小兄上ぇっ!」
「黙れ! だからここにいるであろう連中を皆殺しにする必要があるんだ! その為に、テメェは呼び出されたんだよ!」
「むぐっ! う、ううーっ!」

 そして親指で彼女の口を塞ぐと、バクラは最悪の二択を突きつけた。

「今から選ばせてやる! 一つは、てめぇを戻して駒とする代わりに、命だけは助けてやること!」
「うっ、うぐ……!」
「そしてもう一つは……使えねぇテメェをこのまま踏みにじって、ぶっ壊してやることだ!」
「むぐぅぅううぅうっ!?」
「答えは一度きりだ……指を放してやるから、すぐに答えろ」
「ぷはっ! は、はあっ! はあっ! わ、分かりました! 殺します! 私、殺します! 皆殺しにしますっ!」

 銀屏の答えに満足したバクラは「それでいい」と笑みを浮かべると、銀屏の身体を人形から元の姿へと戻してやった。
 すると余程の恐怖を味わったのか、銀屏は双頭錘を抱きかかえながらさめざめと泣き始める。
 それを鬱陶しく思ったバクラは、彼女の胸ぐらをぐっと掴んだ。すると銀屏の涙は引っ込み、青ざめた顔をバクラに向けて「……ごめんなさい」と呟いた。

「さて、と。じゃあこれから被害者を捜しに行くとするか。着いてこい、銀屏」
「は、はい……」

 こうして千年アイテムの邪悪な意志、バクラは……強力な悪魔をねじ伏せて使役させることに成功したのであった。


【?????/1日目/朝】
【バクラ@遊☆戯☆王】
[状態]:健康
[装備]:ダイス型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:全員を皆殺しにして脱出する。
[COMP]
1:関銀屏@真・三國無双7シリーズ
[種族]:武将
[状態]:恐怖、不本意


370 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 19:43:00 t.uIC66Q0
投下を終了します。


371 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/04/30(土) 22:06:30 t.uIC66Q0
事後報告になりますが、自作の一部キャラの種族を変更しました。


372 : ◆hJ.1Kil1Og :2016/04/30(土) 22:39:14 2dzMmVQ.0
投下します


373 : 勇者と化け物 ◆hJ.1Kil1Og :2016/04/30(土) 22:40:24 2dzMmVQ.0
日暮静秋は吸血鬼である。
とは言っても、マントを羽織り棺桶で寝起きし十字架が大の弱点……なんて物語でよく見るようなステレオタイプの吸血鬼とは少し違う。
血を吸われた相手が吸血鬼になることもないし、吸血で命を奪うことも滅多に無い。
日光にはあまり強くはないが、灰にはならないし、何より、彼は高校二年生。つまり、普通に人間の通う学校にも通っている。
自分は吸血鬼です、なんて主張するようなマネも極力しない。
日暮静秋は現代の吸血鬼である。

人気のない路地裏、ビルの壁にもたれて手に持った機械を眺める。
黒い箱は、全身黒ずくめの――黒の長袖シャツにズボン、ウォーキングシューズまでも黒だ――日暮によく似合っている。見たところ、携帯電話のような、いや、携帯電話そのものだ。COMPだとかいっただろうか。この中に悪魔がいる、らしい。
その名称を聞いても、日暮はそこまで驚かなかった。人食い鬼だとか黒魔術師だとか同族のやつらとか、そういった所謂――現代日本ではイレギュラーな存在とも戦って、勝ってきた。
――悪魔ははじめてだったかな。まあ、さして、問題ではないだろう。今更、何を驚くことがあるだろう?オレも、そんなもんじゃないか。

長い黒髪をゆらりとなびかせ、日暮は自嘲のような笑みを浮かべる。もしくは、それは、自分が人間とは違う、闇の住人であることへの、満足の笑みだったのかもしれない。
ただ、その笑顔の真意は、日暮にしかわからない。


374 : 勇者と化け物 ◆hJ.1Kil1Og :2016/04/30(土) 22:40:45 2dzMmVQ.0
日暮静秋は吸血鬼である。
とは言っても、マントを羽織り棺桶で寝起きし十字架が大の弱点……なんて物語でよく見るようなステレオタイプの吸血鬼とは少し違う。
血を吸われた相手が吸血鬼になることもないし、吸血で命を奪うことも滅多に無い。
日光にはあまり強くはないが、灰にはならないし、何より、彼は高校二年生。つまり、普通に人間の通う学校にも通っている。
自分は吸血鬼です、なんて主張するようなマネも極力しない。
日暮静秋は現代の吸血鬼である。

人気のない路地裏、ビルの壁にもたれて手に持った機械を眺める。
黒い箱は、全身黒ずくめの――黒の長袖シャツにズボン、ウォーキングシューズまでも黒だ――日暮によく似合っている。見たところ、携帯電話のような、いや、携帯電話そのものだ。COMPだとかいっただろうか。この中に悪魔がいる、らしい。
その名称を聞いても、日暮はそこまで驚かなかった。人食い鬼だとか黒魔術師だとか同族のやつらとか、そういった所謂――現代日本ではイレギュラーな存在とも戦って、勝ってきた。
――悪魔ははじめてだったかな。まあ、さして、問題ではないだろう。今更、何を驚くことがあるだろう?オレも、そんなもんじゃないか。

長い黒髪をゆらりとなびかせ、日暮は自嘲のような笑みを浮かべる。もしくは、それは、自分が人間とは違う、闇の住人であることへの、満足の笑みだったのかもしれない。
ただ、その笑顔の真意は、日暮にしかわからない。

問題なのは、自分が置かれている状況だ。殺し合い。最後の一人になるまで。あの少年は確かに、そう言ったはずだ。
相手を殺すことに、引け目を感じているわけではない。必要ならば殺る、それくらいは当たり前のことでもある。ただ、非好戦的な相手を殺すというのにはいささか気が向かないなあと日暮はため息をついた。

一人の少女の笑顔を思い浮かべる。
茶髪のソバージュに、整った顔の同い年――南城優子。
彼女がこの殺し合いに呼ばれていなければいいと、日暮は苦々しい気持ちで思った。
腕っぷしが強いとはいえ、優子は普通の人間だ。彼女がこんな目にあっている所は想像したくもないし、無事であってほしいと思う。
日暮の顔面にも容赦無くグーを叩き込むし、これでも一応恋人だというのに未だキスまでしかさせてくれないし(血も吸わせてもらえない)、それでも、優子が日暮にとって重要な存在であるのは確かだった。
しかし、確認する手段を持たない以上、今は優子の安全を祈ることしかできない。もどかしかった。
食いしばった歯、鋭く尖った犬歯がギラリと光った。


しかし、こうなってしまった以上、ただ悲観しているだけという訳にはいかない。日暮は改めて握りしめた機械に目をやった。
悪魔、がどのようなものかは知らない。もしかすると、自分一人でいる方がずっと戦いやすいかもしれない。
賭けだった。
当たりを引くか、外れを引くか、試してみるのも悪くはないと思った。
マニュアル通りの操作、日暮のすらりとした指が最後のボタンを押した。


375 : 勇者と化け物 ◆hJ.1Kil1Og :2016/04/30(土) 22:41:31 2dzMmVQ.0
――結果は、当たりといえば、当たりだったのかもしれない。
ただ、悪魔、という言葉から日暮が想像していたものとはかけ離れた存在だった――彼女は。

「どーも。私は勇者。魔王だろうが何だろうがぶっ殺してきた私が悪魔だとかいう名称で呼び出されるのは納得いかないけど」

機械――COMPから溢れ出した光。思わず顔をしかめ目を背けた日暮が視線を前に戻すと立っていたのは一人の少女。
少女は勇者と名乗った。それにしては、貧相な装備だった。
飾り気のない布の服に、その辺りにでも落ちていそうな何の変哲もない木の棒。とても魔王をぶっ殺してきたようには見えない。
ただ、威勢はいい奴だなと日暮は頭の隅で考えた。頭の大部分はまだぼんやりと現実に追いついていない。

「へ、え……勇者、勇者か。まるでそんな風には見えないけどな」
「ああ、だるい。面倒くさい。なんで私が誰かに従えられないといけないの?勇者ってのはパーティを率いるモンでしょうが。何より――」

勇者の顔がすぐそばまで迫る。殺気を感知し素早く飛び退いた日暮のそば、である。尋常ではないスピードだった。吸血鬼の背中を、冷たい汗が滑り落ちた。
鋭い目をさらに鋭くして、短髪の少女は日暮に告げた。

「アンタ、人間じゃないでしょ」
「……ッ」
「臭うのよ。血に飢えた、我慢ならない魔物の臭い」

刺すような殺気が痛い。
冷笑を浮かべ、殺気を纏う勇者は、それでも、まだ手を挙げない。


376 : 勇者と化け物 ◆hJ.1Kil1Og :2016/04/30(土) 22:42:04 2dzMmVQ.0
「――でもまあ、一応、よろしくお願いしといてあげるわ」
「は」

予想外の言葉に、日暮は思わず気の抜けた声を出した。勇者は吐き捨てるように言う。

「アンタは、召喚者。私は、喚ばれた。だから、仕方が無い。クソが付くくらい意味わかんないけど、仕方が無い」
「……仲間になるって言いたいのか、オレは君の言う通り人ならざる者だ」
「わかってるわよ吸血鬼。私は勇者。私は魔物を殲滅する者。この場所には、アンタだけじゃない、魔物の臭いがプンプンする。そいつらを片付ける方が楽そうってだけ」

にまりと笑う黒髪の少女は続ける。

「でもまあ、それも終わったら次はアンタの番かもね」
「ありがたくない話だな……」

私は楽しそうだと思うわ、と笑う少女は日暮に名乗りを求めた。日暮静秋、と名乗る。

「ヒグレね。さっきも言ったけど、私は勇者。それ以上でもそれ以下でもない」

攻撃的な笑顔の勇者を見ながら、これなら友人である殺人鬼が召喚された方がどれだけ良かっただろうかと、日暮静秋は引きつった笑みを浮かべた。


377 : 勇者と化け物 ◆hJ.1Kil1Og :2016/04/30(土) 22:42:23 2dzMmVQ.0
【?????/1日目/朝】
【日暮静秋@陰を往く人】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:状況に応じて戦う
[COMP]
1:勇者@勇者、或いは化け物と呼ばれた少女
[状態]:健康


378 : ◆hJ.1Kil1Og :2016/04/30(土) 22:43:55 2dzMmVQ.0
投下終了です、重複してしまったので>>373はスルーして下さい…


379 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 23:45:45 z/5JFkhw0
皆様投下乙です!

>>360
海馬社長二人目! しかしこっちの社長はなんていうか、目的がはっきりしてるというか、先を見据えてますな……

>>364
ええーっ!? シュワちゃんがシュワちゃんとコンビ!?
ここでしかできそうにない同一コンビ、期待ですね!

>>370
闇のゲーム炸裂だ……! 恐るべし。そして不本意ながらも人を殺すことを命じられた彼女は……どうなるんでしょうか。

>>378
討つものを引いた、勇者とだけ名乗る存在……なかなか興味深いですね。
そして吸血鬼君は、いざとあらばという感じですし……

さて、私も二作投下します。


380 : 解者 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 23:47:02 kyCyCOt.0

 焼かれた少年、爆発する首輪、頂点に立つもの・魔神皇。
 命令、殺し合い、殺人、生き残れるのは、ただ一人のみ。
 握られた命、用意された武器、悪魔という"力"。

 必要なピースをそれぞれ並べながら、黒い帽子の少女、クレア・アンドリュースは思考する。
 齢16にして飛び級で大学に入学し、考古学を通じて様々な謎や怪奇現象に向き合ってきた。
 そんな彼女でも、このパターンは流石に初めてだ。

「古代遺跡から戻ってきたら、これか……」

 考えても仕方がないところに辿り着いたところで、ため息混じりに腰を下ろす。
 最低限の自衛ができる程度に、腕には自信がある。
 しかし、恐怖に煽られた人々が、いかなる手段を用いてくるかは、予想不能だ。
 今でこそ落ち着いていられるが、今ここで脳天を撃ちぬかれたとしても、何ら不思議な話ではない。
 ましてや"悪魔"なんているのだから、意志の弱い人間がそそのかされてもおかしくはない。

 生きることは難しいことだとはよく言うけれど、この場においては別の意味を持つだろう。

 ともかく、自分がするべきことはある程度固まっている。
 自分の命を握っている首輪、"作られた東京"、そして、魔神皇の目的。
 その全ての謎を解明し、この殺し合いを脱出することだ。
 敬愛する教授は側に居ないが、一人でもやれるところまではやるべきだ。
 そこまで考えが辿り着いたところで、一つ深呼吸を挟んで、頬をばちばちと叩く。

「ま、気張りすぎても仕方がないよね。気楽に行こう」

 緊張をほぐしながら、体をぐるぐると動かす。
 そうさ、悩んで立ち止まるなんて、自分らしくないのだから。
 動いて動いて、ぶつかった時にまた悩めばいい。
 今までだって、そうしてきたんだから。
 そうと決めてからの行動は早く、配られた物資の確認を進める。
 食料は長く見積もって3日分、栄養バランスは少し偏ってしまうが、細かいことを言っている場合ではない。
 武器らしきものを探すと、自分の得物である1セットのヒートソードが入っていた。
 ツイている、と素直に喜ぶべきか、それとも殺しを迫られていると、怒るべきか。
 ともかく、そのヒートソードを腰に携えようとした時、ふと気がつく。
 それは只のヒートソードではなく、魔神皇が言っていたCOMPを兼ねていた。
 刀身のところにうっすらと映る画面を見ながら、持ち手のところで操作を進めていく。
 淡々と操作を進めていくと、ふわっとした光が刀身から漏れだし、一点に集まって、何かをかたどっていく。
 悪魔、それを使役する召喚士の存在は、噂には聞いていたが、現物を見るのは初めてだ。
 よもや自分がその召喚士になるとは思いもしなかったが。
 そんなことを思いながら、彼女は光の中から現れる者を待った。

「貴方が召喚士? 私は忍者、シノよ。よろしくね」

 現れたのは、すらっとした長身、真っ赤な目、白のマフラーと紫の忍装束。
 そして、黒の長い髪で結われたポニーテールが特徴的な、一人の少女だった。
 ほっ、と安心する。
 とても意思疎通の図れそうのない魔物――――例えばタコとか、そういうのが出てきたらどうしようかと思っていた。
 人型の、しかも自分とそう年の変わらなさそうな存在が出てきたのは、ありがたい話だ。

「私、クレア・アンドリュースよ。よろしくね、忍者さん」
「ふふっ、元気が良くて助かるわ」 

 笑顔で差し出した手に答えるように、シノも笑顔で応えて手を握り返す。
 これから先、どうなるかはわからないが、ひとまず安心できそうで何よりだ。

「しかし、世界は残酷ね……」

 握手の後、ふとシノがそうつぶやく。
 意味がよく分からなかったので、クレアはそれを問い詰めることをしなかった。
 その答えはシノの目線、それがクレアの豊満な胸に向いていたことを告げれば、理解してもらえるだろうか。

【?????/1日目/朝】
【クレア・アンドリュース@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ヒートソード型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:謎を解明しつつ、殺し合いからの脱出
[COMP]
1:シノ@降魔霊符伝イヅナ
[種族]:忍者
[状態]:健康


381 : 触合 ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 23:48:38 kyCyCOt.0

 時は2X世紀、地球という舞台には、様々な国がある。
 例えば、いわゆる"日本"のように平和な国がある一方で、四六時中銃声と悲鳴が響き渡る国もある。
 今、横断歩道のどまんなかで立ち尽くしている、古ぼけたコートに身を包んだ、燃え上がるような赤い髪の男の国は、後者に分類される。
 男の名は、ドラムカン・スミス。まあ、これは彼が勝手に名乗っている仮名でしか無いのだが。
 なぜ、仮名を名乗っているのかというと、彼には"記憶"が無いからだ。
 よくある「ここはどこ」「私は誰」というやつで、自分にまつわることはおろか、生まれた境遇すら、覚えていないのだ。
 そんな状態で、戦火の炎が来る日も巻き起こる国で、暮らしていける訳もなかったのだが、それを可能にするだけの力が、彼にはあった。
 常人離れした体力と、怪力と呼ぶにふさわしい筋力。それを生み出しているのは、彼の肉体に埋め込まれた、力だ。
 その力の出処、その理由、それを求めて、彼は国中を旅していた。
 暴徒との抗争、来る日も続く戦いの日々、その先に待っていた真実のかけら。

 それをつかもうとしていた矢先に、彼はこの場に呼び寄せられてしまったのだ。

「ったく、魔神皇だかJINJIN脳だかしらねーが、いい迷惑だぜ」

 悪態をつきながら、彼は支給された袋に入っている道具を確認する。
 相棒とも呼べるバイクも、愛用の武器たちも、何一つとして今は手元にない。
 最悪、素手でも戦うことはできるが、できれば使い慣れた武器が欲しい。
 手当たりしだいに殺して回るわけではないので、今すぐに使うわけではない。
 しかし、ゆくゆくは魔神皇とも戦うことになるかもしれないのだから、早めに確保しておきたいのが本音だ。
 そんなことを思いながら袋に手を突っ込むと、触り慣れた冷たい金属の感触が肌に伝わる。
 掴んで引きずりだしたのは、きらきらと黄金に輝く一丁の銃だった。
 ハリボテか、と銃の作りを確かめるが、一般品、もしくはそれ以上の威力を誇りそうな、れっきとした拳銃だった。
 当たりだ、と喜んだところで、道具の確認を進める。
 次に飛び出したのは、人工衛星から様々なデータを受け取り、処理することができるBSコントローラーだった。
 しかし、そのBSコントローラーに書き込まれていたプログラムはたった一つ、悪魔召喚プログラムのみであった。
 なるほど、これが魔神皇の言っていたCOMPか、と一人納得しながら、彼はピコピコとコントローラーを操作していく。
 機械の扱いには手馴れているのか、特に問題なく召喚まで進むことが出来た。
 一瞬の光の後、彼の目の前に現れたのは、なんとも現世には似合わぬハイレグアーマーの、金髪の少女だった。

「貴方がサマナーね? 私は戦士 フェイよ。よろしくね」

 現れた少女は、得に臆すること無く、ドラムカンへと一礼をする。
 それに合わせてドラムカンも一礼を返した後、彼女の姿をまじまじと見つめていく。

「どうしたの? 悪魔がそんなに珍しい?」

 問いかけた言葉が耳に入っているのかいないのか、ドラムカンはまだフェイの体を舐め回すように見つめている。
 なんだか気持ち悪いな、とフェイが正直に思った時のことだった。

「ふむ……コーラよりデカイな」
「なッ……!?」

 それは、起きてしまった。
 ドラムカンの常人離れした俊敏性、それによる瞬速の動作。
 たった一瞬の間に、ドラムカンはフェイの胸へと、手を伸ばしていたのだ。

 ガキン、と強めに頭を殴る音が、横断歩道のどまんなかに鳴り響く。

「あーっ!! 絶望的よ!! こんな変態野郎がサマナーだなんて!!」

 怒りと共に、がっくりと肩を落とすフェイ。
 それに対し、特に懲りた様子を見せないドラムカン。
 しばらくは前途多難の日々が続きそうだな、と呼び出された身ながら、フェイは心にそう思っていた。

【?????/1日目/朝】
【ドラムカン・スミス@メタルマックス3】
[状態]:HP99/100
[装備]:黄金銃(神経弾・残弾100%)、COMP(BSコントローラー型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺しをするつもりはない、いずれは魔神皇を討つ。
[COMP]
1:フェイ@FINAL FANTASY USA -MYSTIC QUEST-
[種族]:戦士
[状態]:怒りと呆れ


382 : ◆jBbT8DDI4U :2016/04/30(土) 23:48:58 z/5JFkhw0
以上で終了です。


383 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/01(日) 10:37:04 sbe6ssig0
投下します


384 : 吸血鬼の従者と従者の吸血鬼 ◆7PJBZrstcc :2016/05/01(日) 10:37:52 sbe6ssig0
「ド畜生がァ――――ッ!!」

 とある地下鉄の駅ホーム、そこで一人の男が怒り狂っていた。
 男の名はヴァニラ・アイス。DIOという吸血鬼に仕えるスタンド使いだ。
 男は怒りの余り周りの物に当たり散らす。
 椅子は壊れ、柱の一部は欠け、電光掲示板は地上に落ちていた。

「あの小僧……、ふざけた事を……」

 流石にこれ以上暴れるのは得策ではないと思い、落ち着こうとするもののヴァニラの心は未だ荒れ狂っていた。
 ヴァニラ・アイスはとにかく腹立たしかった。
 別に人殺しを強要されることについてではない。そもそもヴァニラにとって人殺しなどどうという事もない。
 彼に殺せない存在など主のDIO位のものだ。
 彼が怒る理由は。

「なんてタイミングの悪い小僧だ、私はDIO様に生き血を捧げようとしていたというのに」

 呼び出されたタイミングが致命的に悪かったのだ。
 彼は主のDIOの為に自らの首をはね、生き血を捧げようとする直前にあの体育館のような場所に呼ばれたのだ。
 もし後一瞬でも遅かったら彼はあの体育館で自殺することになっていただろう。

 死ぬのは良い。DIO様の為に死ぬのならむしろ望むところだ。
 だが無為に死ぬのは嫌だ。DIO様のお役にたてないのは嫌だ。
 しかもそれがまるで無関係の小僧によって引き起こされたとなれば怒りが向くのは必然だ。
 そうでも無ければ、たとえ怒り狂っていたとしてもここまで物に当たり散らすことは無かっただろう。

「随分と騒がしい召喚士だな」

 そんな事を考えていたヴァニラは前触れもなく後ろから声を掛けられた。
 ヴァニラが振り返ると、そこには紅い帽子被り紅いコートを着た青年が居た。
 さっきまで人の気配など無かったにも拘わらず居る青年に警戒しつつ、ヴァニラは問いかける。

「何だ貴様は」
「お前に支給された悪魔だ。最初にあの忌々しい魔神皇が説明していただろう」
「ああ、そういえばそうだったな」

 ヴァニラは魔神皇の説明を話半分にしか聞いていなかった。
 率直に言えばどうでも良かったからだ。
 悪魔だろうと何だろうとDIOの元に帰る邪魔をするのならば殺すのみだから。

「ふん、何でもいいがこのヴァニラ・アイスの邪魔だけはするなよ」
「邪魔をするつもりはないが、お前がどうしたいかによるな」

 そう言えばこちらの意志を示していなかった。
 別にわざわざ話す義理は無いが、DIO様の元へ帰る手伝いをしてくれるやもしれん存在を手放す道理はない。
 よってヴァニラは自分の意志を嘘偽りなく話す事にした。

「あの魔神皇を殺す。その為に必要なら他の参加者全てを殺してもだ」
「……ほう?」


385 : 吸血鬼の従者と従者の吸血鬼 ◆7PJBZrstcc :2016/05/01(日) 10:38:31 sbe6ssig0

 ヴァニラの発言に興味を示す悪魔。
 それに気づかずヴァニラの話は続く。

「奴に叶えてほしい願いなど無い。そして私が忠誠を誓うのはDIO様だけだ
 断じてあんな小僧ではない。DIO様がそう命じるのであれば別だがな」
「同感だ」
「そして何より、奴は私をこの場に無理やり連れてきた。これから主の敵を葬らなければならないのにだ。
 こんな所で手をこまねいていたらDIO様のお手を煩わせることになってしまう」
「大した忠誠心だ」

 感心したように頷く悪魔。
 ヴァニラはそんな悪魔に対してこう問いかける。

「それでお前はどうするのだ? まさか殺し合いの為に支給された化物が戦えないというつもりはないだろう」
「そうだ、私は悪魔で化物だ。そしてここは闘争の場だ。ならば戦わないなどという事はありえん。
 あの人間をやめた小僧の思うままに行くのは癪だがな。私を打ち滅ぼすのは人間でなければならない、悪魔では駄目だ」

 悪魔の言い分に疑問を覚えるヴァニラ。
 人間でなければならないとはどういう意味なのか。
 そう悪魔に聞く。

「簡単だ。私のように人間でいられなかったか弱い化物は人間に倒されなければならない。この場に居る悪魔と化した紛い物ではなく人間でなれけばならない」
「……気に入らんな」

 悪魔の言い分がヴァニラにとっては気に食わない。
 人間を侮るつもりはない。ジョースター一行を低く見るという事は、それを倒すべき敵だというDIOを低く見る事と同義になってしまう。
 だが人間をやめた存在を弱いとという言い分は、ヴァニラにとって理解しがたい。
 ヌケサクのような存在を知っているから、人間をやめればそれだけで強くなるとは思っていないが。
 
「それは人間を越え、吸血鬼となった我が主への侮辱だ。取り消せ!」

 だからこそ、この発言はヴァニラにとっての必然だ。
 ヴァニラは主を、DIOを侮辱するような物言いは許さない。
 だがそんな思いは悪魔には届かない。
 悪魔はまるで失望したかのようにこう言った。

「貴様もか」
「何?」
「貴様も永遠が欲しいのか。吸血鬼に忠誠を誓い、不老不死を望むのか。
 あの薄汚い狗の餌と同じ願いを持つのか。
 永遠などこの世には存在しないというのに」
「見くびるな」

 それは侮辱だ。
 ヴァニラ・アイスという己の全てを主に捧げてきた人間への侮辱だ。
 だがさっきとは違い主に対する侮辱ではない。
 だからこそヴァニラはさっきよりは冷静に返答する。


386 : 吸血鬼の従者と従者の吸血鬼 ◆7PJBZrstcc :2016/05/01(日) 10:39:08 sbe6ssig0

「DIO様が私を不老不死の吸血鬼にして下さるというのであれば喜んで受け取ろう。
 だがもし人間のままでいろとDIO様がおっしゃるのであれば私は一向に構わん。
 命を捧げろと言うのであれば喜んで捧げよう。
 死など私にとって恐れるに足りん。
 恐ろしいのはDIO様に見捨てられることだけだ」
「……まるでアンデルセンだな、お前は」
「誰だ?」
「私の愛しい宿敵さ。そして訂正しよう、お前は素晴らしい人間だ。
 吸血鬼を主にしているところだけは気に入らんが、お前は気に入った。
 私に命じろ召喚士。お前の殺意で私に敵を滅ぼせと宣言しろ」
「いいだろう悪魔。ならば命じる、私がDIO様の元へ帰還する障害となるものはすべて打ち滅ぼせ」
「了解した、マスター。それと」

 そこで悪魔はヴァニラにへ向かいこう告げる。

「私の名はアーカードだ、いつまでも悪魔では呼び辛いだろう」
「……さっさと行け」


【?????/1日目/朝】

【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、棺桶型COMP
[思考・状況]
基本:魔神皇を含め皆殺し
[備考]
※参戦時期は「お受け取りください!」と言って自ら首を刎ねようとする直前
[COMP]
1:アーカード@HELLSING
[種族]:吸血鬼
[状態]:健康


387 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/01(日) 10:39:47 sbe6ssig0
投下終了です


388 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/01(日) 11:35:40 .bd15MCI0
投下します。


389 : 漆黒の狙撃手 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/01(日) 11:36:34 .bd15MCI0
 本来の名も目的も判明していない謎の組織がある。
 それは通称〝黒の組織〟。彼らによって子どもの姿にされた名探偵や、FBIの精鋭達でも捕まえることの出来ない、黒煙のような存在だ。
 そしてその中核を担う男〝ジン〟は、いつもの黒ずくめの姿で高層ビルの屋上に立っていた。
 激しい風が彼の銀髪を揺らし、コートの裾を激しくはためかせる。そんな中でも彼は落ち着き払い、今の状況を整理していた。

「……確か俺は、毛利小五郎という探偵に無線で通信を行っていたはずだ」

 そう。自分は同じ組織のスナイパー達を伴い、毛利小五郎を追い詰めていたはずである。
 だというのに、いつの間にやら自分は漆黒の闇の中にいて、気付けば魔神皇とやらの力でこのビルの屋上に立っていたのである。
 不可解、不可思議。さながら非科学的なオカルト現象である。
 しかし、こうなってしまったものは仕方がない。ジンは素直に現実を認め、支給されたものへと視線を移した。
 まず一つは漫画本。表紙には〝ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン〟と書かれている。
 そしてもう一つは武器。これは旧共産圏の代表的狙撃銃〝ドラグノフ式狙撃銃〟である。
 狙撃のスキルがあるジンにとって、これは有り難かった。何せジンは全ての人間を皆殺しにし、魔神皇に一泡吹かせたいと考えているのだ。
 いくら悪魔がいると言えど、武器がなければ何も始まらない。そう、まずはここからだ。ジンはドラグノフを構えると、満足げに小さく笑みを浮かべた。

「さて……後は、悪魔の方か。まさかこの本が、COMPとやらということか……?」

 構えていたドラグノフを横たえさせたジンは、煩わしい横風を無視しながら本のページを開く。
 するとジンの推理は当たり、とあるページから凧やクラゲを思わせる謎の物体が出現し、空中を漂い始めた。
 あれが俺の悪魔か! そう確信したジンは、あの謎の物体が現れたページをよく読み込んだ。

「マンハッタン、トランスファー……?」

 漫画が示すには、あの物体はマンハッタン・トランスファーという名の〝スタンド〟であるらしい。
 スタンドという単語自体は意味不明なので棚上げしておくとして、注目すべきはその能力だった。
 なんとこのスタンドとやらは、弾丸が当たるとそれを反射し、狙撃者の思う場所へと弾丸を運ぶという〝狙撃衛星〟だというのだ!
 そしてスタンド自体は攻撃も何も仕掛けないが、代わりにあらゆる攻撃を回避するという。
 スプリンクラーから落ちる水すらも、全て避けて移動するというが……この記述が真実ならば、この悪魔も当たりであると言っても過言ではないだろう。

「やってみるか」

 試しにジンは再びドラグノフを構え、強風の中で狙撃を試みた。
 まずは一発。弾丸は強い風で逸れ、マンハッタン・トランスファーに掠りもせずに終わる。
 だが今のは試し打ちなので問題は無い。先程の一発は、銃弾がどこまで逸れるかを確認するためのものだったのだ。
 再びジンはドラグノフのスコープ越しに景色をじっと見つめる。そして〝正面のビルの真下にあるコンビニの自動ドア、その中心に当てろ〟と心の中で命じながら発砲した。
 すると、なんということだろう! マンハッタン・トランスファーに見事命中した弾丸は、強風をものともせずにジンの念じた場所へと送り届けられたではないか!
 この現象には思わずジンも目を見張った。そしてすぐに「クックククク」と笑みを浮かべると、心中で「幸運の女神は、俺に着いてきてくれたようだ」と呟く。

 そして彼は漫画本型COMPを懐にしまうと、ドラグノフを持ったまま屋上から去って行くのであった。


【?????/1日目/朝】
【ジン@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:ドラグノフ式狙撃銃
[道具]:基本支給品、漫画本(ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン)型COMP
[思考・状況]
基本:魔神皇込みで皆殺しにする。
[COMP]
1:マンハッタン・トランスファー
[種族]:スタンド
[状態]:健康


390 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/01(日) 11:37:01 .bd15MCI0
投下終了です。


391 : ◆fpjLzaFwzY :2016/05/01(日) 14:11:09 Pngv9VAE0
投下します


392 : 悪魔たちの禊 ◆fpjLzaFwzY :2016/05/01(日) 14:13:49 Pngv9VAE0

人が悪魔を喚び、悪魔が人を死に堕とす。
死合いの遊戯盤と化したこの街で、“その戯れ”は恙無く始まった。
それはまるで皮膚が凍裂する程の氷の温度を纏った、死の風であり。
神々の怒りが天罰となって人間を下す災害現象。吹き荒ぶ冷風であり。
常人がこの空間に居たのなら、それだけで心が凍りつくだろう。

そんな、得も言われぬ狂気の錯覚。

だがこの場に座る彼ら二人はただしく人間であり、悪魔だ。
今、部屋の気温を著しく落としている彼らは、天罰を起こす神々などではない。
他の参加者と同じくしてこのゲームに呼ばれたサマナー……『人間』であり。
他の参加者と同じような過程でサマナーに喚ばれた『悪魔』なのだ。

その“悪魔”を喚び出した白スーツの男は、悪魔の如き薄ら笑む“人間”には間違いなく。
その“人間”に喚び出された紫スーツの男は、人間の如き仄かに笑む“悪魔”に間違いない。

人間と悪魔。その肩書きは彼らを形容するのに些かの誤認も無い。
だというのに、悪魔のように笑う人間と、人間のように笑う悪魔という光景が。
見る者の心を極寒の死へと誘うように、狂気の螺旋に満ち満ちていたのだ。



「ねえ。折角だからさ、ちょっとしたゲーム……『ギャンブル』でもやろうよ」



“その戯れ”は、眼帯白スーツの男が余興のように放ったこの言葉がキッカケだった。
相方からの脈絡の無い提案。悪魔として喚び出された紫スーツの男―――『ジオット・セヴェルス』は、まずは訝しんでみせた。

「ギャンブルかい? 嫌いじゃあないけど僕と君は建前上、主従の関係であって、娯楽に勤しめるような友達同士じゃあない」

「ツレないねぇ〜〜ジオットさん。でもアンタは『悪魔』だ。だったら契りには『禊』ってモンが必要でしょ?」

ハハ、とジオットは浅く笑う。
悪魔……なるほど確かに自分は悪魔だ。かつてはひとりの少女に『人の皮を被った悪魔』とまで罵倒を受けたこともある。
自覚はあったし、この悪趣味なゲームに悪魔として選ばれた理由も得心がいく。
ジオット・セヴェルスという男がこれまでの人生でやってきた行為は、この上なく残虐非道な支配だったのだから。

「悪魔、ねぇ……。僕から見れば君の方こそ破滅を撒き散らすような『悪魔』に見えるんだけどなぁ」

ジオットの前に佇む青年は、まだ若い。三十をとうに越えたジオットからすればまだまだ年端もいかぬ青二才だともいえる。
だがこの場に喚ばれ、マスターである彼を一目見てすぐに分かった。

この男は自分と同じに、ネジが飛んだ歪みの悪魔……頭のイカレた喰奴だということが。

「俺が悪魔って……初対面で非道いこと言うねぇ〜。ちょっとギャンブル好きを拗らせただけのこの俺にさぁ」

ヘラヘラと笑うだけの男の真意は、苛酷な環境で生き抜いてきたジオットですら読めずにいる。

だからこそ、面白い。
仮にもこの自分の主人となる男だ。上司だろうが部下だろうが、傍に置くのならどこかネジが外れている方がこちらとしても楽しい。


「ま、いいよ別に。やろうじゃないか、君の言う『ギャンブル』って奴を。え〜〜と、通称『嘘喰い君』?」


こうしてジオットは『嘘喰い』と呼ばれた白スーツの男―――斑目 貘とのゲームを受けた。
二人にとっては余興であり、戯れであり、禊でしかない儀式。
今はただ、目の前の男が『駒』として有望かどうか。互いが互いに、そんな邪を張り巡らせていた。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


393 : 悪魔たちの禊 ◆fpjLzaFwzY :2016/05/01(日) 14:14:39 Pngv9VAE0

斑目貘は、類稀なる生粋のギャンブラーだった。
天性の先見と悪魔の頭脳。その奇なる才を纏い、これまでの勝負に勝ち続けてきた。
果ての見えないイカレた天才勝負師。彼を知る者はその本質を悟り評して……敗北していったという。

そんな貘が最後に目指す地点。それは世界に根を張り、裏で暗躍する賭博大組織……倶楽部『賭郎』の玉座だった。
玉座を獲る条件は、組織の頂点である賭郎の当代『お屋形様』と、財・権・そして命をも含め、全てを賭けて戦う勝負『屋形越え』にて勝つこと。
屋形越えを達成する為だけにあらゆる手段を尽くし、計画を進めてきた貘。その過程で、何度も何度も命を賭けた勝負に身を投じてきた。

いよいよ屋形越えを目前にした、最後の大勝負であり大博打。
相手は世界を股に掛けるテロ組織『アイデアル』を牛耳る大ボス“ビンセント・ラロ”。
最後にこの男に勝つことが出来れば、貘は屋形越えの条件を晴れて満たすことが出来る。

その勝負内容は賭郎史上最高難度であるギャンブル『エア・ポーカー』。
水で満たした水槽の中で、相手とチップ代わりの『空気』を賭けて奪い合う変則ポーカーというとんでもないゲームだった。
ゲーム最中、第二回戦で勝利の法則を掴んだにもかかわらず、ラロの一手により『溺死』してしまった貘。
肺の中が水で満たされ、意識を喪失。その様はまるでゆらゆら揺らめく生ける屍。

深い闇の中に溺れ、多くの“死”が彼の中を過ぎった。
そしてとうとう自分の番が来たかと思われたその瞬間―――



「―――イイ空気だ。やっぱり『外』は良いね」



突如、見知らぬ土地で蘇った。

水の冷たさや血中の二酸化炭素濃度の上昇から解き放たれた彼はまず、精一杯の空気を吸って生き心地を味わう。
転移されたこの場所はどこか大学施設の屋上らしく、夜空には満天の星々が光り輝くカーテンを広げている。
窒息するほどの地獄を経て蘇った彼が次に立たされた勝負盤は、更なる地獄。
嘘喰いの頭脳をして、全く理解不能な人智の極致。これが無呼吸地獄の果てに見た悪夢の続きとでも言うのか。

「まっ、これが悪夢だとしても自分では気付きようがないか。それこそ目覚めるまでは、ね」

今いる現実が夢かどうかなんてどうだっていい。目覚めたその瞬間から、彼を待つのはどちらにしろ悪夢の地続きでしかないのだから。
魔神皇と名乗った、あの若干自分と服装が被った白ガクランマンの操る暴と権は未知数だ。
しかしことゲームにおいて、自分が遅れをとることはない。暴力という点ではこの嘘喰い、ヒョロヒョロの蚊トンボのような存在だが、知略謀略では悪魔の如き冴えを発する。
問題なのはこのゲーム、どうやら『暴力アリ』らしい。とすれば嘘喰いにとってまず必要なのは……

「暴力用の手駒が必要だな……あの妙な白ガクランマンはCOMPとか言ってたっけ」

己の生命線ともなる唯一の手札……『悪魔』とは一体?
例えばこれまで貘の命を幾度も守ってきた仲間の『マルコ』もとい『廃ビルの悪魔ロデム』のような強力な暴力が欲しい。
手渡されたCOMPは『眼帯型』。いつの間にか左目に着けていたかり梅眼帯がコレと入れ替えられていた。
眼帯の裏にあらゆる文字情報が映りこみ、他人に気取られずに機器を操作出来るタイプ。彼にはおあつらえ向きだ。


「じゃ、いっちょ悪魔とやらとご対面してみますか〜……っと」


一寸の躊躇無く、悪魔は悪魔を召喚した。



「やあ、こんばんは。僕はジオット・セヴェルス。なんというか……今はまあ、悪魔やってるよ」



光の中から現れた高級ジャケットの男は、朗らかに笑って嘘喰いと対面する。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


394 : 悪魔たちの禊 ◆fpjLzaFwzY :2016/05/01(日) 14:16:21 Pngv9VAE0

二人の悪魔が邂逅を終え、場面は転換する。
ここは大学施設の薬学部。辺りはいっそう暗く、アルコールランプで灯された僅かな灯りが両者の表情を如実に歪ませて照らしていた。
貘から提案された『ちょっとしたゲーム』には、まずこの舞台が必要であった。
黒塗りの硬質なテーブルに対座し、二人の手元には『試験管』が五本ずつ試験管立てに収まっている。
中身は水。しかし五本の中に一つだけ無色無臭の『有機化酸化物』が入っているという、狂気を宿した茶会。
嘘喰いはこの施設に偶然揃っていた道具や薬物を使い、即興でギャンブルゲームを組み立てた。

「ルールをもう一回説明するよ。さっき互いが相手の試験管の内一本に『毒』を紛れ込ませたよね。
 これからどちらかがチョンボをかます度に、自分の試験管から一本選び、飲み干すんだ」

「外れなら乾いた喉が潤いリフレッシュ。もし5分の1の『当たり』を引いたならその時点で喉が焼け爛れて死ぬ、ってことだね」

「そういうこと。自分の試験管のどれに当たりが入っているかは相手しか知らない。
 そしてとっても大事な『チョンボ』の内容って言うのが……」

「……言うのが?」

ここで貘は焦らすように間を置き、ジオットの興味を誘った。
たっぷり五秒は溜めた後、ゲームの内容が悪魔の口から漏らされる。


「これからの互いの会話で『嘘』を見破られた方が試験管を選んで飲む」


これでゲームの全容は終わりですよと示したように、貘は着席した。
対してジオットはというと、若干呆気にとられてはいたが動じぬ面持ちで苦笑する。

「それだけ? 流石にゲームとして成立しないでしょそれは。
 相手の言うことが嘘かどうかなんて本人の自己申告でしか知り得ないし、そもそもそんな状況でわざわざ嘘を吐く人間が居るかい?」

「ま、そん時はそん時だよ。嘘を見破られたら正直に挙手すればいいし、なんならやっぱ辞めるかい?」


―――怖い……のか?


白く牙を光らせながら、白髪の男は無言の挑発を表情に浮かばせジオットを睨む。
そんな相方の煽るような視線に、ジオットは内心彼を評価した。
なるほど、つまりはこの嘘喰いは自分を『試している』というワケだ。
ここで臆して退くような男なら、端から駒としては役立たず。
口三味線を巧みに扱う技術、相手の偽りを読み解く才能、己の心臓を卓に置ける度胸……
一点でも欠けていたなら、目の前の男は躊躇無く自分を切り捨て、とっとと『悪魔合体』の材料にでも混ぜる腹だろう。


(クックク……! 面白い! この僕と度胸試しかい、嘘喰い君!)


その人を見下した態度、すっごく嫌いだ! ……だから君にも少し渡ってもらうよ。
命の綱を。


「いいね。やろうよ……命を賭けた禊を。僕だって無能の弱者の下に就くつもりはない。
 君が役立たずの口先マスターだと分かったら、すぐにも謀反を起こさせてもらうからね」

「アンタも結構好き者だね〜。じゃあまずはさ、この殺し合いをどう動いていくか決めちゃおうよ」

「ああ、それは最も重要だ。僕は肩書きこそ悪魔ではあるけど、持ち合わせの暴力は精々が自衛の為の護身術くらいさ。嘘喰い君は?」

「俺? まあ俺も頭脳労働がメインで、戦闘能力は精々が『北斗神拳』を使えるってことくらいかなぁ」


冗句のように笑い飛ばす貘の声だけが、室内を支配した。
シーン…という、漫画みたいな擬音がこれほど耳を錯覚させてくることもあまり無い。
ジオットは呆れたように息を吐き出すと、苦笑しながらもゲームの義務を行使した。

「……指摘するのも馬鹿馬鹿しいけど、今のでチョンボ一回ってとこかな」

「ありゃ、よく分かったね? 俺が北斗神拳使えるって嘘を見破ったのはアンタが初めてだよ」

再びシーン…。
“今ので”更にプラス1の洗礼が追加されてしまった。全く、この男はふざけているのか。
否、それは大きな間違いだ。コイツはジオットの一歩先を歩いて見せたに過ぎない。
子供騙しにもならない『嘘』を敢えて吐き、ひとりで勝手に無駄とも言える綱渡りを見せ付けてきた。


この、“悪のカリスマ”ジオット・セヴェルス相手に!


395 : 悪魔たちの禊 ◆fpjLzaFwzY :2016/05/01(日) 14:18:50 Pngv9VAE0


「……壊れてるねェ〜、君も。……恐ろしいくらいに」


心からそう思う。彼は命を失うことに全く恐怖していないワケではない。
生き死にの境界線。その細い鉄骨を渡り歩くギリギリの執着心、恐怖心を糧にして楽しんでいる。
その逸脱した破滅心が“生”への実感となり、彼をここまで生き永らえさせる『逆境の人生』を喚び込んでいた。

今、嘘喰いとジオットが行っているギャンブルの本質とは、そういったギリギリの隙間を相手に見せ付けることを意義するゲームだった。

(つまり僕は、彼に先手を取られた……。死のバトンを渡されたってことだ)

その本意が見えれば、ここでジオットが安全策に回ったところで、嘘喰いからは『失望』されるだけだ。
それだけは―――凄くムカつく。“遊び”は大好きだが、舐められるのは虫唾が走る。


「早くもこれで『ミス二回』かぁ〜。まっ、いいよいいよ! これくらいじゃあまだ当たんないでしょ」


おどけて男は、何の躊躇いなく試験管の内二本を選んで飲み干した。


「言っとくけど、そこで『…………うっ!』なんて猿芝居は止めてくれよ。
 そこまで露骨に連続でクジを引かれちゃあ、僕の立つ瀬も無くなるからね」

「…………あは、バレてた?」

既に腹を押さえる演技に入ったモーションを遮られ、貘は意地悪く頬を吊り上げる。
そうあっさり当たりを引かれても生き残ったジオットが呆然とするだけだが、これで貘の試験管は残り三本。

「で、話は戻るけど……嘘喰い君はこれから何を為す? 持ち前の北斗神拳で優勝狙っていくかい?」

「……ギャンブルは苦難の道であるほど、味わえるリターンの果実は美味しく熟する。俺の持論さ」

「その心は?」


「あの白ガクランマンを玉座から蹴り落とす。……優勝なんてクソ喰らえさ」


嘘ではない。ジオットには直感で、この言葉に虚が混じっていないことが理解できた。
ジオットは自分が自他共に認める悪人と理解しているし、嘘喰い……彼がとても善人とは言えないことも分かる。

しかし、かといって悪人とも言えなかった。
人の心を持った悪魔は、心まで悪に染まっているワケではなかった。


―――少し、彼の本質の裏に備わった『根っこ』が見えた気がする。


396 : 悪魔たちの禊 ◆fpjLzaFwzY :2016/05/01(日) 14:19:28 Pngv9VAE0


「何かを得たいなら何かを賭けなきゃダメさ。俺が大事な物を失う時は……勝負を諦めた時だけだ」


闘志とは火である。
火と同様に欠くことは出来ない。
―――が、火と同様に危険である。


ジオットは嘘喰いの瞳に宿った闘志のような狂気を、同時に身を滅ぼす諸刃でもあると結論した。


「強者の理屈だねえ。それは選択肢がある者の場合を言うんだ。
 矛を掲げる力すら無い子供は、強者の前に全てを踏み躙られるんだよ。初めから何も持っていない人間だって居る」

「持たざる者なんてこの世には居ないよ。人には最後にたった一つ、『あるモノ』を賭けて這い上がれるチャンスが残されている」

「命、かい?」

「そ。人は敗北した時に初めて何かを失う。俺はまだ……何も失っていない。……アンタと違って」


最後に向けられた言葉にジオットの肩は一瞬ピクリと反応するが、それも僅かな挙動に終わる。
やはりこの男は危険だ。人の本質や人間性を見抜く狡知に長け過ぎている。

だが。


「…………色々なモノを生贄にしてきて、僕は今まで生きてきたよ」


観念したようにポツリと漏らしたジオットは、どこか遠くを見ているようで。
嘘喰いとジオット。なにか似ていて、しかし根本は決定的に違う二人は、そのまま少しの沈黙を貫いた。


「……よし分かった! だったら僕は今から君の為に死力を尽くして協力しよう!
 幸い僕には『かめはめ波』という最終手段があるからね。君の北斗神拳と合わさればあの白ガクランマンだって倒せるだろうさ!」

己の中で何かを決断したジオットは、勢いよく立ち上がって声を大きくする。
彼が今どさくさに紛れて放ったあからさまな『嘘』は、そのまま彼の決断を示すようにハッキリと言い切られた。


「アンタも少年漫画好きなんだねー」

「男の心はいつだって少年のままだろう?」


そうしてこの戯れの中、男たちの快活な笑い声が響き渡る。
いつだって彼らは危険を傍に置くことで、自身の中の焔を高め上げてきたのだ。
大笑いしながらジオットは自分の試験管の一本を迷わず手に取り、盃でも交わすようにそれを飲み干したのだった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


397 : 悪魔たちの禊 ◆fpjLzaFwzY :2016/05/01(日) 14:20:17 Pngv9VAE0







「ところでジオットさん。アンタ、さっきかめはめ波の他にもう“一個”……さり気なく嘘を混ぜてたよね?」

「……へえ」

「『今から君の為に死力を尽くして協力しよう』だって……? ウソウソ、そんなのはお為ごかし。
 アンタは“いざとなったら”全てを犠牲にしてでも、生き延びの道を迷わず選べる厄介な男さ。
 他人の為の行動なんて絶対にやらないやらない。だからこそアンタは恐ろしい奴だ。歩く時は俺の後ろじゃなく横に並んでもらいたいね」

「……君は本当に面白い男だよ、嘘喰い」

「どういたしまして」

「だったら僕からもう一つ」

「ん?」

「君は最初に『お互いが相手の試験管の内一本に毒を紛れ込ませている』とルール説明したね。
 でも君は実は、僕の試験管には最初から毒なんて入れてないんだろう?」

「……なんでそう思うの?」

「この『禊』はあくまで互いの人間性を測るゲーム。協力者である僕が本当に死にかねない運ゲーなんてやらないやらない」

「……お見事だよ、ジオットさん。その通り……アンタの試験管に毒なんて最初から入れちゃいない」

「それなのに自分の試験管だけはしっかり堂々と飲んでみせた……全く、本当にイカレてるよ君は。
 僕に安全な鉄橋を渡らせておいて、自分は勝手にボロボロの吊り橋を渡って行くんだからね」

「命なら腐るほど賭けてきた。ゲームはまだまだこれからってことさ」

「これで君はまたプラス1のチョンボだ。言っとくけど僕はルール通り君の試験管の“ひとつ”にしっかり毒を混ぜておいたからね」



「……ジオットさん。アンタ、『嘘つき』だね」





最後にもう一度笑って、嘘喰いは三本残った試験管の一本を無作為に手に取り―――仰いだ。

何事もなかったかのように男は立ち上がり、どこから取り出したのか支給品の『かり梅』を口に放り込んで部屋を後にする。

結局嘘喰いは最後まで『毒』を避わし続けた。己の器に眠る『猛毒』が、死神を寄せなかったのだ。

部屋に一人残ったジオットは無表情で、残った嘘喰いの二本の試験管を一瞥する。

嘘喰いの『最後の台詞』……恐らく彼は気付いていたのだろう。


―――ジオットが毒を入れ込んだ試験管は一本ではなく、『二本』あったことに。


ジオットにしてみればただの“戯れ”。奇なるギャンブラー嘘喰いにどれほどの価値があるか見定める面接に過ぎない。

3分の2での『死』を敢えて受けた嘘喰いの狂気に、ジオットは背筋が凍る。

同時にそれは、遥かなる興趣を彼に抱いた証でもあった。

禊は終い。薄ら寒く笑みながら、ジオットはこの凍りついた部屋を後にしたのだった。


【?????/1日目/朝】
【斑目貘@嘘喰い】
[状態]:軽い高揚
[装備]:COMP(眼帯型)
[道具]:かり梅、基本支給品
[思考・状況]
基本:謀略にて魔神皇を倒す。
[COMP]
1:ジオット・セヴェルス@パワプロクンポケット14
[状態]:健康


398 : ◆fpjLzaFwzY :2016/05/01(日) 14:22:13 Pngv9VAE0
投下終了です


399 : ◆TIENe3Twtg :2016/05/01(日) 15:17:56 T1/2Vt4M0
投下します。


400 : 名無しさん :2016/05/01(日) 15:18:16 T1/2Vt4M0

何かが始まれば、終わりはいつか来る。
しかし、それはいったい『いつ』なのだろうか。


401 : 名無しさん :2016/05/01(日) 15:18:45 T1/2Vt4M0


「もう終わりでいい、って思ってたんだけどなぁ……」

右目欠損、顔面右半分表皮剥離、左半分裂傷、etc……
皮は破け、骨は砕け、生きているのが、動いているのが不思議な惨状。
至る所に傷が付き、ただ左腕に付いた鬼の右腕のみが無傷だ。
その姿を見れば、既に殺し合いは始まっているのだと確信しただろう。
実際のところは、傷はこの場に訪れる以前よりのモノで、殺し合いどころか、彼女はまだ誰にも遭遇していないのだが。


小さな体に溢れんばかりの痛みを堪えて、それでもその声は微塵も震えていなかった。
終わりは近い。

殺し合いなんて関係なしに、この命に時間はあまり残っていない。

だからやれる事は、どうしてもしたいことはみんなやって、
やれなかったことの幾らかを先生に放り投げて。

……全てを頼む、なんて。
あんな頼み方、好きじゃないのはわかっていたのだけれども。
それでも、頼むことはできた。
それでも、うなずいてくれた。
だから、私はいなくても大丈夫。
そう安心できた。
なんの根拠もないけれども、それでも納得できて。

だけど、最後にやることが出来てしまった。
片倉優樹はヒーローなんかではない。
全てを救えるなんて自惚れも、関わり抜く覚悟もない。
あの魔神皇に対する憤りはあるけれど、成敗してやる、なんて強い意思は無いし、何よりも寿命が足りない。

「あと少しだけ、頑張ろう」

懐から銀色のスキットルを取り出す。
奇妙な形だが、これがCOMPらしい、説明書片手に操作する。
スキットルの中身を口に含む。
アルコールの香りと感触が口内に広がる。
安酒の味だ。それでも構わない。
今この一時をごまかすための手慰み。

魔神皇は言った。

「友となりうる悪魔を封じ込めておいた。」

悪魔という単語も、封じ込めるという言葉の意味もわからない。
ただ、思いだす。
某教団の過激派集団、聖堂騎士団の人間から、吸血鬼のアヤカシであるフレッドさんは悪魔と呼ばれていたことを。
そして私自身、バケモノやなんやと言われることは珍しいという程の事ではない。
ならば、悪魔というのは特異遺伝因子保持生物/アヤカシを示すのかもしれない。

アヤカシの同族意識、というものがある。
種としての絶対数が少ないからか、アヤカシという種は同種を仲間と認識し、基本的に好意的に接する。
人の様に同種同士で殺し合いに発展するようなことは、滅多なことでは成立しない。

「これくらいやらないとね」

片倉優樹はヒーローなんかではない。
全てを救えるなんて自惚れも、関わり抜く覚悟もない。
だけど、自分の身内や、手に届く範囲の平穏を守るため。
そんな理由で戦うことが出来た。

だからこれはいつも通り。

ぼんやりとした頭で、震える手で手の中のスキットルを弄り、
「悪魔」と魔神皇に呼ばれたものを解き放つ。
後の事は「悪魔」とやらに任せよう。

光が、空間を走り、「悪魔」が姿を現した。


402 : 名無しさん :2016/05/01(日) 15:20:21 T1/2Vt4M0


知的生命体にとって、殺すことは罪ではない。
生き物とは何かを破壊しながら生きていると言っても過言ではなく、
生き物が他の生き物を殺すことは自然の営み、日常の風景の一つでしかない。

同種殺しは罪である。
それを嫌悪することは本能から裏打ちされた前提条件。
しかし、それは大義名分によって装飾され、健全化されうるものであり、
被害者の関係者であればともかくとして、そうでないもの全てに無条件で排斥される程の、
受け入れられない禁忌ではない。

禁忌とは、同種喰いである。
普通であれば理由を考え、理屈付けすることも嫌悪し、忌避する行為。
だからこそ、それはごく限られた状況下で、特別に甘美に映る。

そう、普通であれば選択肢に挙がりすらしないそれであるが、強い誘惑となる条件がある。
それは空腹であることと、対象がエサと同種との"雑種"であることだ。
半分は同種である、しかし半分はエサである。
それは禁忌を弱め、選択肢として計上するに足り得る条件。

かつて、フレデリック・アシュトン・クロフォードがダンピールである友人に、二重雑種である片倉優樹に抱いた苦悩。

咎めるモノはなにもない、朝の静けさの中で、「悪魔」は……

【?????/1日目/朝】

【片倉優樹@ダブルブリッド】
[状態]:全身負傷、右目欠損、寿命
[装備]:COMP(スキットル型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
少しだけ「悪魔」と話をして、一人になれるところを探す。

[COMP]
1:カネキ@東京喰種
[状態]:???


403 : 名無しさん :2016/05/01(日) 15:21:15 T1/2Vt4M0
投下終了です。


404 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 18:25:56 fw1sXfB20
皆様投下乙です。

>>387
ある意味ナイスタイミング? で呼ばれてしまったヴァニラさん。キレッキレですね。
相方の吸血鬼さんは滅茶苦茶強いわけですが……

>>390
流石ジンの兄貴だ、銃弾だって外しやしねえぜ。
鬼に金棒とはこのことかもしれませんね。

>>398
息を呑むような騙し合い……互いが互いを飲み込もうとする様は圧巻ですね。

>>403
不運にも? 少し命が続いてしまったが故に、少しだけ願うことがある。
しかしそんなタイミングで呼び出すとはハザマもなかなか鬼畜ですね……


405 : ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/01(日) 18:55:48 4jkyikIs0
投下します


406 : Elysion, who ah... ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/01(日) 18:56:34 4jkyikIs0

あるときは、冥府へと渡ろうとした男の。
あるときは、悪魔に魂を売り渡すかのように、天秤に踊らされる男の。

楽園と奈落を巡り、彼女は笑う。






(Come Down to The Elysion)




――らららららららんらん。
歌う少女が一人。
ベンチに腰掛け、足をゆらしながら、楽しそうに歌っている。
整った顔立ち。西洋の方の血だろうか。
銀色の髪に、緋色の瞳……雪のように白い肌。
先天性白皮症――アルビノ。

――らららららららんらんらん。
歌いながら、少女は咳込んだ。
痩せた膝、細い手足。
少女は生まれつき身体が弱かった。
父は病院に連れていってくれたけれど、お医者さまがくれる薬はとても――とても法外な値段で。
しかし、薬が途切れることはなかった。それがなくなると、少女は死んでしまうから。
そんな大金を、父がどうして手に入れているかなんてことは少女は知らない。
ただ、父が家にいる時間はとても短くて――少女は学校にも行っていないし、他に知り合いもいないから――少女はいつも一人ぼっちだった。
それでも、少女は幸せだった――隔離された現実、幽幻な夢想――それでも、お父様【パパ】がいたから。


407 : Elysion, who ah... ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/01(日) 18:57:12 4jkyikIs0
――本当はね……知っているの……。
歌をやめ、少女は少し俯いて黙り込む。
その膝の上には1冊の絵本。……これが、少女のCOMPのようだ。
ベンチの後ろ、ひっそりと佇み、少女の歌を聴いていた青年が口を開く。

「マスター、いかがなさいました」
「ううん、へいきよ、いつもの咳だわ……」

分厚いコートの青年に少女は笑って答える。諦めと寂しさが混ざったような、そんな笑顔だった。
平気ならば良いのですが、と言いつつも青年は少女から目を離さない。それは保護者というよりも……病と戦うもの、医師のような目だった。

「ころしあいをね、するんですって……ねえ、平和は……幸福は、ここには、ここにも、ないのね」
「……」
「ここが楽園なら、どんなに素敵かしら」
「はい?」

うふふと笑って少女が言う。青年は少し首を傾げる。

「楽園……創世記の?」
「どうかしら……でもね、楽園には、悲しみも苦しみもないの。幸せが満ち溢れる世界」
「……」
「誰も泣くことはないわ……だって、楽園なんだもの」

楽しげに語る少女。青年はひっそりと笑った。

「それは……素敵な世界だ」

青年の脳裏によぎるのは、彼の人生。
混乱、反乱、時代の転換期。
死をもって罪を裁く、幾度も血に塗れたこの手。
あるときは、慕ったあのひとの首もこの手が――いや。これ以上は……やめておこう。


408 : Elysion, who ah... ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/01(日) 18:57:53 4jkyikIs0
「平和、幸福、慈愛……これらを嫌いな方がいるのでしょうか……貴女がいう楽園は、とても、とても理想的な場所ですね。まるで、夢のように……」

目を伏せがちに呟く青年の頬に冷たい手が触れた。驚いて見ると、いつの間にかベンチの上に立ち上がった少女が青年と同じ目線で微笑んでいる。

「お兄さん……あなたも……楽園へ、」

薔薇のように紅いルビーの瞳が、青年の深いサファイアの瞳を覗き込む。
その瞳は、とても近いところにあるのにも関わらず――僕でない人と目を合わせているみたいだ……青年はぼんやりと思う。

「還りましょう」

うっとりと目を細める少女。青年は答えない――まるで言葉を奪われたかのよう。
青年の頬から小さな掌を離し、少女は絵本を拾い上げた。
お兄様【フラーテル】だなんて、箱舟【Ark】の物語みたいだわ……楽しそうな少女はにっこりと笑う。

「物語が、お好きですか」
「ええ!お父様【パパ】が、絵本をくれたの……そう、ちょうど、この絵本みたいな……いくつもお話が入っていてね、私が一番好きだったのは――パレードのお話。苦しむ人達を楽園へと導いてくれる、仮面の笛吹き男のお話……」

夢見る瞳の少女が嬉嬉として話す姿に、思わず青年も笑みをこぼす。

「マスター……貴女が正しい道を進むのならば――僕はどこまででも、従いましょう……」

うれしいわ、と少女が青年の手を握る。青年はそっと握り返した。
ゆっくりと見つめ合う。交わる、緋と蒼の瞳。


409 : Elysion, who ah... ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/01(日) 19:00:06 4jkyikIs0
「マスター」――と、青年【シャルル=アンリ・サンソン】。
「ええ」――と、少女【エル】。

二つの唇が、同一の言葉を紡ぐ。



「「さあ……楽園へ、還りましょう」」



―――そして...幾度目かの楽園の扉が開かれる…



【?????/1日目/朝】
【エル@Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜】
[状態]:健康
[装備]:大型絵本型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:楽園へ還る
[COMP]
1シャルル=アンリ・サンソン:@Fate/GrandOrder
[状態]:健康


410 : ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/01(日) 19:00:29 4jkyikIs0
投下終了です


411 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 19:22:59 fw1sXfB20
>>410
投下乙です!
なるほど、楽曲モチーフをそう当ててくるのは予想外でした……
彼女の指す楽園はここにあるのか……

さて、自分も投下します。


412 : 賭人 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 19:23:22 FrONTKa.0

 大空を舞い、世界を自由に飛び回る黒き翼、ブラックジャック。
 人々が"飛空艇"と呼ぶそれの持ち主は、伝説のギャンブラー。
 ギャンブル一つで巨万の富を築き、その全てを翼に費やしたとされている男。
 その名を、セッツァー・ギャッビアーニという。
 そんな彼に訪れた"不運"が、今回の殺し合いだ。

「全く、ツイてないな……」

 身近な場所にあった、無人のスーパーから拝借した煙草に火を付け、セッツァーは一人ごちる。
 命を賭け金とした、地獄のようなゲーム。
 勝利条件はただ一つ、最後の一人になること。
 配当は、何でも一つ願いを叶えられること。
 改めて状況を整理しても、馬鹿馬鹿しいとは思う話だ。
 だが、ギャンブルとしては成立している。
 魔神皇と名乗る少年は、いわばディーラーだ。
 命というチップを集め、それに応じただけの配当を配る。
 こちらの意志が無視されているということだけを除けば、確かにギャンブルとしては成立している。
 ならば、ギャンブラーとしての自分が取るべき行動は何か?
 賭け金、つまり命を失わないように立ち回るべきか。
 それとも、配当を享受するために、他のギャンブラーを蹴落とすべきか。
 あるいは――――

「ふっ、俺の勘も鈍ったか」

 そこまで考えて、セッツァーはふと笑う。
 いつかの大勝負、それから賭け事はご無沙汰だったからか、どうやら鈍っているようだ。
 まだ、賭けが始まったわけではない。
 この賭けを、降りることだって可能なわけだ。
 あるいは、賭けが行われているテーブルごとひっくり返す事も、きっと不可能ではない。
 大事なのは、いつだって一つ。

「それを賭けるに値するか、だな」

 そう、自分の何かを賭けるに値するか否か。
 ディーラーやマシンを選ぶ自由は、ギャンブラー側にある。
 何も、ディーラーはあの少年だけではない。
 同じようにこの場に招かれた者達、その者達の中に己の命を賭けるに値する者がいるかもしれないというのに。
 もう一度、笑う。こんな簡単なことに気づくのに、随分と時間がかかりすぎた自分に向けて。

「……見極めさせて貰うか、俺の命を賭けるに値するのが、一体誰なのか」

 そう言って、セッツァーは空にめがけてトランプを放り投げる。
 ばらばら、とトランプが四方八方へと舞い散っていく。
 その中心に立ちながら、セッツァーは目を瞑ってその中の一枚を取る。

「前言撤回、どうやら俺はツイてるようだ」

 彼がそれを手にした瞬間、トランプが光を帯びる。
 そこから現れたのは、一匹の魔物。
 この世のありとあらゆる遺伝子を持ち、ありとあらゆる存在と同一である、幻の魔物。
 引き当てた"ジョーカー"のようなそれを、人々は"ミュウ"と呼んでいた。

【?????/1日目/朝】
【セッツァー・ギャッビアーニ@FINAL FANTASY6】
[状態]:健康
[装備]:COMP(トランプ型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:命を賭けるに値する者を探す。
[COMP]
1:ミュウ@ポケットモンスター
[種族]:幻獣
[状態]:健康


413 : 悪態 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 19:24:06 FrONTKa.0
「ったく、何だってこんなことに巻き込まれなきゃならねぇんだ」

 青いバンダナの壮年の男、バドラックは悪態をつきながら、自動販売機に蹴りを入れる。
 一度ならず二度、三度と蹴りを入れたところで、自動販売機から吐き出された煙草を拾う。
 ふんっ、と怒りを交えたため息をついた後、手に入れた煙草に火を付けて、状況を振り返る。
 天罰、だとしたらなんて横暴な神なのだろうか。
 確かに、自分は悪党だ。
 治安の悪いあの国では、盗みに誘拐なんて日常茶飯事、それで手にした金で酒と女に溺れる。
 そんな毎日を送っていたとは言え、突然命を握られて、殺しあえというのはあんまりではないか。

「いや、あんな青臭いガキが神な訳がねぇ」

 そこまで考えて、ふと我に返る。
 魔神皇だかなんだか知らないが、あの子供はそう名乗っていた。
 ぱっと見は只の子供だ、まかり間違ってもありがたそうな存在には見えない。
 大人数の誘拐なんて、何ら不可能な話ではない。
 人一人の首を吹き飛ばすだけの首輪型爆弾なんて、このご時世珍しくも無いだろう。
 だが一つだけ、たった一つだけ、信じられない出来事があった。
 それは、あの少年から放たれた紫色の炎だ。
 よく出来た作り物、だと思えればどんなに楽だっただろうか。
 あれに包まれた一人の子供が炭になっていく途中、そこで嗅ぎつけたのは、確かに"人の肉が焼ける匂い"だった。
 噂には聞いていたが、流石に本物の"魔法"を見るのは初めてだった。

「クソ……何が魔神皇だ」

 気に食わないが、今はあの少年に命を握られている。
 あれの機嫌を損なえばどうなるかは、もう十二分に見せつけられている。
 ならば、手当たりしだいに殺して回るのか?
 答えはノー、長年の経験があるとは言え、多くの人間を相手に正面からやり合えるほど、もう若くもない。
 ならば、誰かとつるんで反旗を翻す? いや、冗談じゃない。
 誰が好き好んで、他人と手をつないで仲良くやらなくてはならないのか。
 ならば、ならば、ならば。

「……死んでたまるかってんだ」

 ぼそりと呟いた本音が、コンクリートに吸い込まれていく。
 命あっての物種、なんて言葉を聞いたことがある。
 そうだ、死んでしまっては、元も子もない。
 今大事なのは、カッコつけることでも、頭をイカれさせることでもない、生き残ることだ。
 じゃあ、具体的にどうするかと言われれば、それはそれで困るのだが。

「クソったれ……」

 再度悪態をつきながら、配られた袋から電子機器を取り出す。
 魔神皇曰く、この機械で悪魔を呼び出せるらしい。
 なんとも眉唾な話だ、と思いながら、あまり馴染みのない電子機器を、おぼつかない手で操作していく。

「さあ出てきやがれ、俺様を助けてくれるような、うんと強ぇ奴!!」

 願わくば、全てを掌握せんとする力を。
 そんなことを願いながら、彼は光を見つめ。

「なッ……」

 そして、驚愕する。

「やっほー! おじさんがお友達? あたし、ちょこだよ!」

 現れたのは、可愛らしい服に身を包み、黄色いリボンでツインテールを結った、年端も行かない少女であった。

「ガ、ガキじゃねぇか……」

 バドラックは、見たままの正直の感想を告げる。
 しかし、彼は気づいていない。
 自分の願いが叶ったこと……そう、目の前の少女が"力"を持つものであるということに。

【?????/1日目/朝】
【バドラック@ヴァルキリープロファイル】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:とにかく死なない、生き残る。
[COMP]
1:ちょこ@アーク・ザ・ラッド2
[種族]:人間……?
[状態]:健康


414 : 反逆 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 19:24:24 FrONTKa.0
 四方八方、ビルが立ち並ぶ街、東京。
 見慣れたその光景の中で、一人震える少年が居た。
 青い学生服に身を包み、頭には白の鉢巻を巻いている彼の名は、矢吹真吾。
 かのTHE KING OF FIGHTERSにも何度も出場した、今では立派な格闘家の一人だ。
 憧れの人を追う内に謎の組織と戦いを繰り広げたり、三神器の力を狙う妙な連中に巻き込まれたり。
 挙句の果てに暴走しかけた怖い男に殺されかけたりもしたことがある。
 しかし、そんな幾多もの格闘経験がある彼ですら、怖くて仕方がなかった。
 そう、"誰かを殺せ"と命じられることなんて、今まで一度たりともなかったのだから。
 無理もない、彼だって元々はどこにでもいる高校生の一人だ。
 誰かの命を奪わなければ、生き残れない。
 そうでなければ、今度こそ自分は死んでしまう。
 やらなければ、やられる。
 そんな状況に、ただの高校生が追い詰められて、どうして怯えずに居られようか?

「草薙さん……」

 憧れの人の名前を、ぼそりとつぶやく。
 けれど、その人は今の自分を助けてくれるわけではない。
 いや、ひょっとしたら彼も巻き込まれているのかもしれない。
 今まで経験してきたことを考えれば、それは十分に考えられることだった。
 自分の身は、自分でなんとかするしか無い。
 単純なこと、それは分かりきっているけれど。
 誰かの命を奪ってしまう、ただそれだけが、どうしても怖くて、動けない。

「俺、俺……」

 ふと気がつけば、袋から端末を取り出していた。
 それは、魔神皇の手によって配られた、一つの力。
 俗に"悪魔"と呼ばれる存在を、呼び出せるたったひとつの手段。
 この状況を、少しでも変えてくれるだろうか。
 そう頭によぎってからは、行動は驚くほど早かった。

「うわっ!?」

 突然光を放った端末を、思わず放り投げてしまう。
 誰しもに馴染みがあるわけではない、悪魔召喚。
 音はなく、ただ光だけがそれを成している。
 そんなことを知ることもなく、彼はずっと目をそむけ続けていた。
 そして、少しの時間が経った時。

「お前が、サマナーか?」

 ふと、彼に呼びかけるのは、一つの声。
 恐る恐る目を開くと、そこには一人の男が立っていた。
 いや、確かにそれは男だったのだが、ただの男ではなかった。
 橙色に輝く、大きな両腕。刺々しく伸びる羽のような赤い何か、そして、仮面を被っているかのような顔。
 たしかにそれは、"悪魔"と呼ぶにふさわしかった。

「えっ、あ、はい、そうです、俺、真吾って言います。矢吹真吾」
「そうかい真吾、俺から問うのは一つ。テメェは、これからどうするつもりだ」

 驚きが続き、もはや何がなんだか分かっていない真吾に対し、現れた男は一つの問いかけを投げる。
 質問を投げられたことに気づかなかったのか、少し遅れて、真吾は悩み始める。
 問いかけに対する答え、それは先程からずっと悩んでいる事。

「分からないんです……俺、怖くて。誰かを殺すなんて、絶対に出来っこないから。
 でも、死にたくないんです。けれど、俺は今……」

 だから、今の気持ちをそのまま伝える。
 自分がどうすべきかなんて、自分が分かっていないのだから。

「はっ、それがお前の"弱い考え"か」

 そんな真吾の答えを、悪魔は笑い飛ばした。
 えっ、と思わず言葉を漏らす真吾に対し、悪魔は話を続ける。

「いいか真吾、反逆しろ。お前のその弱い考えにな」
「反……逆?」
「そうだ」

 続いたのは、思ってもいない言葉だった。

「お前があの魔神皇より弱いなんて、誰が決めた? やりもしないうちから、そうだと決めてるだけじゃないのか?
 まずはやってみせろ、アイツより弱いと思ってる、お前自身に反逆すんだよッ!!」

 とても乱暴で、ガサツで、身も蓋もない言葉。
 けれど、真吾はその男の姿に、自分の憧れの人の姿を見た気がした。
 ああきっと、あの人でも同じようなことを言うのだろう。

「……分かりました、俺、どこまでやれるかわかんないけど、やってみます!」
「ああ、そう来なくっちゃなァ! 行こうぜ真吾、俺達の反逆の始まりだ!!」

 ひとまずの迷いは消えた。進むべき道も決まった。自分のやれること、それをやりつくすだけだ。

 そうして真吾は、反逆の一歩を踏み出した。

【?????/1日目/朝】
【矢吹真吾@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:
[COMP]
1:蒼乃カズマ@スクライド(漫画版)
[種族]:反逆者
[状態]:健康


415 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 19:28:32 fw1sXfB20
投下終了です。


416 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 23:48:38 nEdXJjis0
投下します。


417 : 願望 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 23:48:58 nEdXJjis0
「……随分と嬉しそうだな」

 思わず、そんな言葉が零れた。
 悪魔として召喚されるのは初めてではないが、満面の笑みで出迎えられることは、そう多くはない。
 ましてや、それが"獲物"を狩る笑みだとすれば、なおさらだ。

「悪魔も入り乱れる殺戮ショー、それを楽しむなって言われても、そりゃ無理ってもんさ」

 大胆なスリットを入れた、赤と黒のドレスに身を纏った、ベリーショートの女はそう言った。
 ああ、やはりその笑い方は、"狩る"者の笑い方だ。

「その様子なら、今後の方針は聞くまでもないか」

 ぼそり、と返事代わりにそう呟く。
 握り拳を作り、一度、二度と風を切るように振るう。
 上々の手応えを掴んだ所で、女へと向き直る。

「おっと、勘違いしてもらっちゃ困るよ。何も手当たり次第にぶっ殺して、気持よくなろうだなんて考えちゃいないさ」

 すると、予想もしていなかった言葉が、俺の耳に飛び込んできた。
 嘘にしては、あまりにも雑な嘘すぎる。
 そう思いながら、続く言葉を待つことにした。

「アタシの目的は、アタシを完膚なきまでに殺してくれる奴に出会うことだよ」

 続いたのは、やはり予想もしていなかった言葉。
 なるほど、死ねない自殺願望者、といったところか。
 故に戦いに身を置き、いつの日か訪れる死を待っているのだろう。

「いい加減、この世界に戻ってくるのも飽きた頃だからね。この世に未練なく、さっさとオサラバしたいのさ」

 そう言って、女は笑う。
 その顔に、ほんの少しだけ影を落として。

「ほう、そんな身なりでも、世界に絶望するのか」

 再び、思わず言葉が漏れる。
 人生を謳歌しているような身なりと言動には似合わぬ、絶望の一言。
 全く、不思議な女だ。

「まあいい、この俺……サラマンダーの力は、好きに使え……」

 名前を名乗り、俺は女へと一礼する。
 この先どうなるかなんて、全く興味はない。
 だが、この女の願いが叶うところだけは、見てみたい。

 そう思いながら、俺は彼女と並んで歩き出した。

【?????/1日目/朝】
【バイス@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ブレスレット型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:全力で戦い、殺される。
[COMP]
1:サラマンダー@FINAL FANTASY9
[種族]:超人
[状態]:健康


418 : 願望 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/01(日) 23:49:22 nEdXJjis0
投下終了です。


419 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/02(月) 17:13:33 AcfTeQ9.0
投下します


420 : 似た者同士 ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/02(月) 17:15:09 AcfTeQ9.0

「くく、く……」

微かな音が響いている。

「あはは……」

ソレは一人笑い続けていた。
まず目に付くのは、黒と赤。そして金色。
細い身体の輪郭を踝まで包んでいる、皮製の黒いスカート。 同様に厚い皮で繕われた、上半身を覆う鮮血色のジャンパー
そして、右手にはナイフ型のCOMPを握りしめていた

「やっと見つけた」

 白純里緒という名の青年は笑うのを止めて呟いた

 その視線の先には、今しがた仕留めたばかりの悪魔を貪り喰らう男がいた
 まるでスナック菓子のように、野良悪魔の腕をかじりつつも、白純の悪魔はちらりと、彼を一瞥する

 常に笑っているような同時に怯えているような目が、白純の目と合った。
 その瞳孔は、完全に散大していた。

 年齢は50代ほどか、色褪せて破れの目立つ迷彩服を着た男性だ。髪は初老のように真っ白で、しかし肌は小麦色に焼けていた
 右手の古い自動小銃はM16と思われ、弾倉が挿さっていない代わりに銃剣が装着されている。今しがた悪魔の肉を切り裂き、血に濡れたその刃は、使い込まれ、砥ぎ減りしていた

 数瞬、二人は見つめ合っていた。やがて片手を上げて白純は彼の悪魔に挨拶した

「よぉ。お前が俺の召喚した悪魔ってヤツだよな?」
「イエスマイマスター。アイアムモンスター」

 そう言って『忘れられたハリー』ハリー・ザ・フォーガトンは、10年来の友人に会ったような笑みを見せた。或いはそれは痴呆老人の虚ろな笑みに似ていたかも知れない

「ディスイズフォーユー」

 続けてハリーが差し出した人間に似た悪魔の腕を、白純は笑みを浮かべて受け取った

「ありがとよ」
「ユアウェルカム」

 自らの悪魔からの贈り物、もといお裾分けに豪快にかぶり付くマスターにやや驚きつつ、嬉しそうにハリーは笑い、そして食事に戻る
 白純は味わったことのない悪魔の肉の味に少々の感動のようなものを覚えながらも、奇妙な充実感を覚えていた。
 
 それは『自分は一人ではない』という、満たされた感覚だった

 『食べる』という起源をもつ起源覚醒者、もとい最早人間というよりは複数の獣の集合体といっていいものに成り下がった白純が求めていたものに、彼はこうして出会ったのだった


【?????/1日目/朝】
【白純里緒@空の境界】
[状態]:健康
[装備]:ナイフ型のCOMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:優勝
[COMP]
1:ハリー・ザ・フォーガトン@殺人鬼探偵II
[状態]:健康


421 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/02(月) 17:16:16 AcfTeQ9.0
投下終了です


422 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/02(月) 17:46:01 L3mhI5no0
>>421
投下乙です!
食事、それは生き物の礎であり本能……そうして似たものに出会えたのは、大きいですね。

さて、自分も投下します。


423 : 迷子 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/02(月) 17:46:38 L3mhI5no0
「随分と憂鬱そうだな」

 開口一番、飛び出した言葉はそれだ。
 目の前の召喚士の女は、自分の姿を見るや否や、わざとらしくため息を付いた。
 悪魔、その言葉から魔物が飛び出すことでも期待していたのか。
 どちらにせよ、あまり気分のいい出迎えではなかった。

「そうね……やっぱり分かるかしら」
「ああ、顔に書いてある」

 悩ましげに頭を押さえながら、召喚士の女はひとりごちる。
 不平不満があるのならば、ぶつければいい。
 こちらにできることならば、対応もやぶさかではない。
 そう思っていた時、艶めいた女の口から、再びため息が漏れる。
 喧嘩を売っているのだろうか、と思いながらも、続く言葉を待つ。

「誰も彼も切り刻み、この身に血を浴びて、一思いに殺し続けること。
 それをすべきなのは分かっているのだけれど。どうしてかしらね、その気になれないのよ」

 続いたのは、単純な悩みだった。
 無理もない、どこともわからない場所に拉致され、即座に殺しあえと言われても、普通の人間は対応できない。
 だが、目の前の女は違う。
 戦いに身を置いた経験、さらに言うと人殺しの経験がある気配をまとっていた。
 そんな女が、殺し合いという場で人を殺すことを躊躇っているというのだ。

「お前は、何を成したい」

 まったく、不思議な話だ。
 そう思いながら、単純な問いかけを投げる。
 人を殺したくないのならば、何をしたいのか。
 魔神皇への謀反、殺し合いという舞台から降りる、選択肢はまだたくさんある。

「……わからないわ、少なくとも、今は」

 だが、彼女の答えはどれでもなかった。
 いや、初めから決まっていなかったのだろう。
 この俺を呼びだす前から、ずっと。
 つくづく、わからない女だ。

「ねえ、あなた。そういえば名前を聞いてないわね」
「……カイン、カイン・ハイウインドだ」
「そう。ねえカイン、少し付き合ってくれるかしら」

 すっかり忘れていた名乗りの後、彼女は無人のカフェへと入り、カウンターの中へと進む。
 手ごろな紅茶を二人分、随分と慣れた手つきで作り終えた後、近くのテーブルへと腰かけていく。

「話がしたいの、今は……ね」

 そう言って、彼女の少し長い話は始まった。

【?????/1日目/朝】
【マチュア@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:不明、ひとまずカインと話す。
[COMP]
1:カイン・ハイウインド@FINAL FANTASY4
[種族]:竜騎士
[状態]:健康


424 : 暴走 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/02(月) 17:47:10 L3mhI5no0
 殺し合いの地に立つ、一匹の猿。
 この場にいる人間は猿と同じだという、魔神皇のメッセージなのか。
 只の猿であれば、確かにそうともとれたかもしれない。

 だが、この猿は違う。
 タキシードを着こなし、シルクハットを被る。
 まるで人間のようにふるまう、一匹の猿の名は、ドゥイーブ。

 知る人ぞ知る、バナナのために人を殺す猿だ。

「ウキャーッ!!!」

 歯を剥き出しにし、どこかへ向けて怒りの叫びをあげる。
 金を数えることもできる彼(便宜上こう呼ばせて頂く)は、人の言葉もある程度は理解できる。
 故に、今置かれている状況を理解しているのだ。
 だが、魔神皇の「なんでも願いをかなえる」という言葉を思い出したのか、浮かべていた怒りの表情はすぐに消える。
 そう、人を殺して回れば、一生分のバナナを手にすることだってできるのだ。
 それに気が付いたのか、彼はそそくさと袋の中身を漁り始める。

「ウキャーッ!!!」

 間もなくして、彼は再び怒りを表す。
 真っ先に手にしたのが、よりにもよってバナナの皮だったからだ。
 バカにされていると感じたのか、彼は怒りながらバナナの皮を乱暴に袋に戻した。



 それがCOMPだとも知らずに。



「ゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウオオオオオオオオゥ!!」

 奇跡的に召喚コマンドが実行されたバナナの皮(を模したCOMP)から、一人の男が呼び出される。
 いや、一人の男というよりは、一人の男のかつての姿というべきか。
 自らに流れる地球意志の血、それに抗えなくなり、理性を失った男の姿。
 その破壊と殺戮は、悪魔としての姿を生み出すには、十分すぎた。
 そして今、一匹の猿の手によって、それは再び生まれた。
 あの時と違うのは、悪魔としての姿を保つ故に、"正気に戻ることはない"ということ。
 故に、男の暴走は、死ぬまで止められない。

 猿が笑う。
 本能からか、現れた男を自分の武器だと理解しているようだった。
 そして、丁度よく手にした一丁のマシンガンと共に、東京の街を練り歩き始めた。

 山ほどのバナナ、それを手にするために。

【?????/1日目/朝】
【ドゥイーブ@アウトフォクシーズ】
[状態]:健康
[装備]:マシンガン
[道具]:基本支給品、COMP(バナナの皮型)
[思考・状況]
基本:バナナのために人を殺す
[COMP]
1:ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ@THE KING OF FIGHTERS
[種族]:超人
[状態]:健康


425 : 暴走 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/02(月) 17:47:21 L3mhI5no0
以上で投下終了です。


426 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/02(月) 19:29:56 AcfTeQ9.0
投下します


427 : 食べたいものたち ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/02(月) 19:32:05 AcfTeQ9.0

「おお、おおおおお!! なんてことだ!!」 
 その男は衝動のままに叫び、憤っていた
 彼の名は月山習、この殺し合いの一参加者であり、月山財閥の御曹司でもある
 彼の怒りはどこからくるのか? 
 殺し合いなどという鬼畜の行為を強制させていることか? 
 それとも無惨に殺された少年への情からだろうか。

 そのどれでもない

「折角舞台を整えてーーカネキくんを食べるはずだったのに!!!」

 食べ損ねた。それが月山の憤りの根本的な理由である 
 彼は人間ではなく、喰種。人の肉のみをくらい生きる存在であり、富裕層に属する変わり種である。
 人間の食べ方にもこだわりや趣味嗜好が強く、ただ殺して食うのではなく、狙った人間を生かしたまま目玉だけをくりぬいて持ち去ったり、わざわざ専門の高級料理店で人体を調理させて食べるなどの工夫を凝らす
 そうした様から、喰種対策局には「美食家(グルメ)」と呼称されていた

 そんな月山は、最近とある理由で隻眼の喰種となった金木研という人物に執着していた
 様々な人間を試行錯誤を繰り返して食してきた月山でも食したことのない珍味。それをより深く味わうために、月山は誘拐という回りくどい手段までとっていたというのに……

「だがこうなってはしかないーーちょっとした間食として、あの男も食べようかな」

 『人を食べるカネキくんを僕が食べる』という計画は白紙に戻ったが、それはまたの機会に取っておこう。
 魔神皇とやらからも嗅いだことのない香りがした。美食家として是非とも食してみたい
 そうして月山の興味は魔神皇が言っていた『悪魔』なるものに移っていた

「これが僕のCOMPかな? 悪魔を召喚する……なんてオカルトな道具としては随分と現代的だね」

 ディバックから取り出した月山のCOMPは、携帯電話(スマホ)型であった。
 軽くチェックしてみると、『悪魔召喚プログラム』と言う名前のアプリが一つだけ入っている。それをタッチしさらに操作を進めると、液晶にそれらしきものが表示された

悪魔『ダンシング・マン・イーター』を召喚しますか?
→はい いいえ

「……『踊る人食い』、か」

アタリかハズレか、なんとも形容しがたい
その横に悪魔の名前だろうか、ドリトス、とだけ表示されていた。
 この情報だけではどういった悪魔なのか想像がつかないが、物は試しと召喚を承諾する

 そうして、月山の悪魔が召喚された


428 : 食べたいものたち ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/02(月) 19:32:51 AcfTeQ9.0

 その悪魔はショッキング・ピンクのスーツを着た黒人で、髪は右半分が長いドレッド・ヘアーだが左半分は綺麗に剃り上げている。
 唇は厚く、細い眉はへの字型に曲がっている。濃いサングラスのため目元は隠れていた



「お腹が空きました。なにか食べ物はありませんか?」



「……奇遇だね。僕もご馳走を取り上げられて最高に空腹なのさ」

 月山の皮肉にも反応せず、悪魔はきょろきょろと周囲を見渡し、ふと月山の足元に置いてあったディバックに目を止めた
 そして止める間もなくそれをひったくると、あんぐりと口を開けて飲み込んでしまった!!

「あーー!! 何をするんだ君は!!」

 予想外すぎる行動にさすがにギョっとする月山。いかに空腹とはいえまさか鞄を丸飲みするとは……いや、もしかしたら悪魔にとってはそれが普通なのかもしれない

「あまり美味しくないです。他に食べ物はありませんか?」

 そうしてディバックごと支給品をぺろりと平らげた悪魔は、呆然とする月山に食事を要求する
 サングラスに隠された表情からは悪意などは片時も感じ取れない。

「待ってくれ。君は僕が召喚した悪魔なのだよね?」

 当然と言えば当然の疑問だが、あえて月山はこの悪魔の真意を測るためにそう問いかけた

「そうです。
 ただ、私はお腹が空いています。
 今回は好きなだけ食べていいと言われて、ここにやって来ました。次の食べ物はまだですか?」

 その言葉に何ら裏表のないことは、月山でなくてもすぐに察することができただろう。それほどまでにこの悪魔には、悪意といったものが感じられない。あるとしたら、食欲だけか

「ふむ。残念ながらもう君が気に入りそうなものは持っていないよ」
「では探しに行きましょう。お腹が空きました」

 そう言って、悪魔はマイペースに歩き出す

「Oh……まってくれたまえよ。Mr.ドリトス」

 慌てて月山はそのあとについていった


【?????/1日目/朝】
【月山習@東京喰種】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:COMP(スマホ型)
[思考・状況]
基本:脱出優先。魔神皇を食べたい
[COMP]
1:ダンシング・マン・イーター(ミスター・ドリトス)@殺人鬼探偵V
[状態]:食べたい、でも痩せたい


429 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/02(月) 19:34:08 AcfTeQ9.0
投下終了です


430 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/02(月) 21:09:05 rtostZOA0
投下します。


431 : 可能性の獣達 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/02(月) 21:10:12 rtostZOA0
 長野県にある清澄高校の麻雀部に所属するショートカットの少女、宮永咲。
 彼女は魔神皇によってこの殺し合いの舞台へとワープさせられ、気付けば雑居ビルの前に立っていた。

「どうしよう……私、どうしたら……」

 突然の出来事に対応しきれなかった彼女の目尻には大粒の涙が浮かんでおり、今にも頬を流れそうだ。
 しかし仕方のない話であろう。彼女は未だ16歳の少女なのである。
 しかも長野県での麻雀地方戦に勝利したという天国のような状況から、こんな地獄に突き落とされたのだ。
 故に彼女が涙を見せるのは仕方がないことなのだ。特にこの宮永咲という少女は、非常に気弱な性格なのだから。

「怖いよ……皆のところに、戻りたいよぉ……」

 咲は叶わないであろうと思いつつも、小さな声で正直な願望を口にする。
 するとそのときだ。咲の耳に、ずるずると何かが近付いてくるような音が聞こえたのは。
 音のした方向に振り向くと、そこにいたのはなんと……非常に大きな白いナメクジ。
 咲には知るよしもないが、街に放たれている野良の悪魔の一匹であった。

「ひ……っ!?」

 生理的な嫌悪感と、殺されるかもしれないという恐怖からか、咲は反射的に雑居ビルの外階段へと脚をかけ、そのまま昇り始めた。
 殺されたくない。殺されたくない。殺されたくない。殺されたくない。そう、何度も何度も何度も何度も心の中で呟きながら。
 しかし咲が屋上へと辿り着くと……驚くべき状況に陥ることとなった。
 なんとナメクジ型の悪魔は既に屋上へと到着し、まるで咲の抵抗を嘲笑うかのようにその身をぷるぷると震わせていたのだ。
 その様子を見た咲は絹を裂くような悲鳴を上げ、膝から崩れ落ちながら理解する。
 恐らくこのナメクジ型悪魔は、とんでもない速度で雑居ビルの壁を這い上がってきたのだろうと。
 そして何が何でも私のことを襲いたいのだ……それがどのような方法なのかはわかりはしないが、とにかくそういうことなのだろう。
 そう理解した咲の身体は、もはや思うように動かなかった。再び外階段を降りたところで、無駄な抵抗だろうと分かっていたから。
 もうダメだ。そう感じた咲は、何故かポケットに入っていた一つの麻雀牌を両手でしっかりと握って「みんな、ごめんね……」と小さく呟いた。

 すると、そのときだった。咲の謝罪に、この麻雀牌型COMPが反応したのは。

 まず現れたのは、まるでナメクジ型悪魔の目を眩ますかのような白い光だった。
 次にその中から、その光の色とは真逆の黒いシルエットが浮かび上がる。
 そして最後に光が消え去ると、咲の目の前にはトゲトゲとした印象を与える漆黒のドラゴンが立っていた。
 更に言えばその瞳は、赤ドラよりも更に濃い、真紅色であった。

「真紅色の眼の……黒い、竜……」

 宮永咲は知るよしもない。
 このモンスターの名が〝真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)〟であることを。
 そして勝利をもたらす白き竜とは違い……宮永咲と同じ〝可能性をもたらす〟モノであるということを!


432 : 可能性の獣達 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/02(月) 21:10:56 rtostZOA0
「綺麗……」

 先程まで絶望の淵にいたにもかかわらず、咲はその姿を眺めて正直な気持ちを口にした。
 するとレッドアイズは気をよくしたのか、自身の首を曲げて背中へと視線を移す。

「乗れ、ってこと?」

 レッドアイズの小さなうなずきを確認した咲は「じゃあ、失礼します……」と背中に乗る。
 するとレッドアイズは豪快な鳴き声を辺りに轟かせ、黒い両翼で勢いよく青空へと上昇した。
 そしてそれを眺めるナメクジ型悪魔を紅い眼で睨み付けると、大きく口を開き……球状の黒い炎、黒炎弾を放つ!
 ナメクジ型悪魔は急いでこの場を去ろうとしたようだがもう遅い。
 漆黒の炎は既にその巨大な身体を覆い尽くし、一撃で真っ黒焦げにしてしまった。
 やがてナメクジ型悪魔が灰になって消え去ると、レッドアイズは屋上へと舞い降り、満足げに咆哮を上げる。
 勝利。完全なる勝利であった。咲とレッドアイズは圧倒的勝利という〝可能性〟を掴んだのだ!

「あ、ありがとう……ドラゴンさん」

 咲の礼に対し、レッドアイズはまるで〝それほどでもない〟とでも言うように首を横に振る。
 それがなんだか面白くて、咲は思わずくすくすと笑みを浮かべた。
 するとそんな咲の様子を喜ばしく思ったのか、レッドアイズは緩やかに尻尾を振る。

「悪いドラゴンさんじゃないんだね……?」

 咲の問いにレッドアイズの起こした行動は、小さく頷くというものであった。
 それを見た咲の眼に、小さな覚悟の灯が点る。

「じゃあ、ドラゴンさん……もし良かったら、だけど」

 咲はレッドアイズの首を優しく撫でながら、ごくりと唾を飲み込む。
 そして恐る恐る「この街から脱出するのを、手伝ってくれる? 人を、殺さずに」と尋ねた。
 すると、レッドアイズは……大きな咆哮を上げ、両翼を思い切り広げて応える。
 咲には分かった。きっとこれは、自分の願いを叶えようと言ってくれたのだと。

「よかった……それじゃあ、お願いします! ドラゴンさん!」

 こうして頼もしい味方をつけた宮永咲は、嬉し涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらレッドアイズの硬い首を抱きしめるのであった。


【?????/1日目/朝】
【宮永咲@咲 -Saki-】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、麻雀牌型COMP、未確認支給品
[思考・状況]
基本:人を殺さずに脱出する。
[COMP]
1:真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)@遊☆戯☆王
[種族]:龍族
[状態]:健康


433 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/02(月) 21:11:19 rtostZOA0
投下終了です。


434 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/02(月) 21:33:04 90AKJKA20
2本続けて投下させていただきます


435 : とびっきりの最強対最弱 ◆NIKUcB1AGw :2016/05/02(月) 21:34:28 90AKJKA20
「困ったなあ……。どうすればいいんだろう……」

とある小学校の廊下を歩きながら、その少女は力なく呟いた。
彼女の名は、椎名桜子。
異常にギャンブルが強かったりするが、基本的には普通の女子中学生だ。
そんな彼女が、何の因果かこのバトルロワイアルの参加者に選ばれてしまった。
彼女の幸運も、ついに陰りが見えたということか。
いや、幸運の女神はまだ、完全に彼女を見放したわけではなかった。

「とりあえず……COMPって、これのことだよね?」

桜子が手にしているのは、無骨なデザインの携帯電話だ。
彼女が普段使っている物とはまったく異なる外見であり、魔神皇とやらが用意した代物であることは明白である。

「悪魔……かあ……。どんな怖いのが出てくるのか不安だけど……。
 どうせ私一人じゃたいしたことはできないし……。えーい、いっちゃえ!」

覚悟を決めて、桜子はボタンを押す。
その瞬間、彼女の視界は光に包まれた。

「……ほえ?」

光が消えた時、桜子は思わず間の抜けた声を漏らしていた。
そこに立っていたのは、彼女が想像したような恐ろしい存在ではなかった。
むしろ見惚れてしまうような、ナイスバディーの美女であった。

「忍者 綱手、召喚に応じ参上した。よろしく頼む」
「え、えっと……。忍者? え?」

思わぬ事態にうろたえる桜子に対し、綱手はフレンドリーに話しかける。

「おやおや、ずいぶんかわいらしい主だね。まあいいさ。
 ここにいる間は、あんたが私の主君だ。好きに使っておくれ」
「はあ……」

その態度に気を許したのか、桜子の方も徐々に落ち着きを取り戻す。

「えーと……綱手さんでしたっけ。綱手さんは忍者なんですよね?
 忍術とか使えるんですか?」
「ああ、力量を見ておかないと不安か。いいだろう、見せてあげるよ」

そう言うと、綱手は壁際まで歩いて壁に軽くデコピンを放つ。
その瞬間、その場に轟音が響いた。
目を丸くしながら桜子が確認すると、壁は爆薬でも仕込まれていたかのように木っ端微塵になっていた。

「…………」
「どうだい?」
「す、すごい! ぶっちゃけ忍術でもなんでもないけどすごいですよ、綱手さん!
 ぜひ、この力を私に貸してください!」
「もちろんだよ。言っただろ? 今の私の主はあんたなんだから。
 それに、戦う覚悟のない人間を戦場で死なせるのは気分が悪いしね」

笑顔で返すと、綱手は桜子の頭を優しく撫でた。


ちなみにこの綱手、強大な力を持つ忍者であると同時に、ギャンブルにめっぽう弱い「伝説のカモ」でもある。
そういう意味では、対照的な二人なのであった。


【?????/1日目/朝】
【椎名桜子@魔法先生ネギま!】
[状態]:健康
[装備]:ガラケー型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:生き延びる
[COMP]
1:綱手@NARUTO
[種族]:忍者
[状態]:健康


436 : 危険なふたり!超少女はねむれない ◆NIKUcB1AGw :2016/05/02(月) 21:35:50 90AKJKA20
「いやはや、これは大変なことになりましたなあ」

広い運動場の真ん中に立つ少女は、そう呟きながら満面の笑みを浮かべた。
少女の名はグゥ。便宜上「少女」とは言ったが、人間かどうかも謎の不思議な存在である。
殺し合いの舞台に立たされたというのに、グゥは実に楽しそうだった。
好き放題やらかす気満々である。
とはいえ、今の彼女は持てる力を全て発揮できる状態ではなかった。

「むう、どうやらこの空間ではグゥの力はある程度制限されるようだな……。
 魔神皇とやら、なかなかやりおる」

一転して渋面を作るグゥだったが、さほど動揺してはいない。
全力で好き勝手やるのもいいが、縛りプレイもたまになら悪くない。

「こういうときこそ、仲間との助け合いが必要だな。
 それじゃあ……悪魔さん、いらっしゃーい」

グゥの手には、いつの間にか血のついたバットが握られていた。
それを素振りすると、光に包まれて悪魔が出現する。

毒々しいオレンジの髪に、虚無をたたえる大きな瞳。
見る者に安らぎなど与えない笑みを浮かべた少女が、そこにいた。
カルディアの最終兵器・ぐだ子。ここに降臨。

「やー、よろしく」
「こちらこそよろしく」

グゥに歩み寄ったぐだ子は、彼女とハイタッチを交わす。
それだけで、二人は理解した。こいつは自分と同類だ、と。

「じゃあ、力を合わせてがんばりますか」
「オッケー。早く終わらせて、アイドルとシャンシャンするよー」

こうして、危険人物二人が野に放たれたのであった。


【?????/1日目/朝】
【グゥ@ジャングルはいつもハレのちグゥ】
[状態]:健康
[装備]:ちんちくりんステッキ型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:混乱を巻き起こす
[備考]:魔神皇ががんばったので、理不尽パワーはだいぶ制限されています。
[COMP]
1:ぐだ子@マンガでわかる!FGO
[種族]:狂人
[状態]:健康


437 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/02(月) 21:36:45 90AKJKA20
投下終了です


438 : 奇縁 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/02(月) 22:30:20 T76ougnM0
投下します


439 : 奇縁 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/02(月) 22:31:07 T76ougnM0
住宅街を疾走する一人の男。後ろに続くは世のイメージを覆す、爆走するゾンビの群れ。
捕まれば食われる。傍目から見ればそうとしか思えないが、正面から男の顔を見ればまた別の結果を思い浮かべるだろう。
身に纏った黒いスーツよりもなお黒い黒髪を風に靡かせ、夜闇を思わせる深い黒瞳は、全力疾走の中にあっても必死さというものを感じさせない。
驚くべきなのはかなりの距離を走り抜いて、曙光の中にあっても自ら光を放つかの様な美貌にわずかな汗も浮かんでいないことだろう。
男の身体能力は常人と比してかなり高いものらしかった。

かなりの健脚でゾンビとの距離を保ち続ける男だが、こののままでは捕まるのは時間の問題であった。
相手は死体、疲労を知らぬのだ。このままではやがて男は心身共に疲労し、動きが鈍り、捕まることだろう。

「全く…針の一本も無いとはね。風早君と違って素手では如何ともし難いのだが」

走りながら呟くと、支給品のCOMPを取り出す。アームターミナル型のそれを走りながら左腕に装着し、マニュアルを読むと、右の人差し指で、ポチポチと打ち込み出した。

むう。と唸りながら打ち込む姿に先程までの余裕は無い。

「これで良し」

自信満々で最後の一押し……何も起こらない。

「は……?」

どうやら打ち間違えたらしい事に気付き、再チャレンジ。

「出来た」

眩い光がアームターミナルから放たれる。中に入っている悪魔を確認する余裕など無かったが、この事態をどうにか出来そうな悪魔で有って欲しい。

「友か……」

魔神皇とやらの言葉を思い出す。友などと呼べる魔性など生憎と知らない、敵になりそうなのは掃いて捨てるほどいるが。

「紅虫なんぞが出て来たら面倒なことになりそうだ」

蜘蛛の化身である平安貴族を思い出し、嫌そうな顔になった。
戦力という点では申し分無いが、あの男は面倒臭いのだ。
そんな事を考えながら走っていたせいか、気がつけば三方を壁に囲まれた行き止まりになっていた。

「これはいかんな」

すぐ後ろにはゾンビの群れ、逃げ道を無くした男が呑み込まれるのは時間の問題かと思われたその時。

「伏せといた方が良いよ」

頭上からの声に僅かに遅れて紅蓮の炎がゾンビ達を焼き払った。

「大したものだ」

「どういたしまして」

低い、落ち着いた声は、まだ十代と思しき少女のものだった。

「君が私に宛てがわれた悪魔かな」

緩やかな動きで頭上を仰ぎ見る。
そこにいたのは白いカッターシャツに赤い袴をサスペンダーで吊った、腰まで伸びた銀髪と、白地に赤いラインの入ったリボンが特徴的な少女だった。

「悪魔ねえ…わたしは竹林に住む人間なんだけどね」


440 : 奇縁 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/02(月) 22:32:20 T76ougnM0
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


手近な公園のベンチに座って、休憩がてら自己紹介をしあう。

「私は大摩という。鍼鍼師をやっている者だ。肩こりから内蔵疾患まで、大抵の症状は治せるが。尤も今は針が無いから診るだけしかできんが」

「私は藤原妹紅。健康マニアの焼き鳥屋だ。まあ、アンタの世話になることは無いだろうけれど」

「藤原…?」

「何か?」

怪訝な顔をする妹紅、どうやら笑ってしまったらしい。

「いやなに、同じ藤原性の男を知っていてね」

「どんな人?」

「腐れ縁という奴さ、顔を合わせれば殺し合う仲だよ」

「……………………」

「どうしたのかね」

どんな気難しい患者にも心を開かせて来た微笑を浮かべて、むっつりと押し黙った妹紅に尋ねてみる。
神域の才を持つ画家が描いた天使の如き笑顔に、妹紅の頬が赤く染まり、たちまち不機嫌な顔になった。

「アンタみたいな見た目の女を知っていてね」

「私の様な外見と言うなら、きっと良いお人柄なのだろうな」

発言者を知っている者が聞けば仰け反りそうな事を平喘と言い放った。

「腐れ縁さ、顔を合わせれば殺し合う仲だよ」

「………………………それはまた奇縁だな」




【?????/1日目/朝】
【大摩@魔殺ノート 退魔針】
[状態]:健康
[装備]:COMP:アームターミナル型
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]
基本:
1.殺し合いからの脱出後
[COMP]
1:藤原妹紅@東方Project
[種族]:幻魔
[状態]:健康


441 : 奇縁 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/02(月) 22:33:28 T76ougnM0
投下を終了します


442 : ◆T3rvSA.jcs :2016/05/02(月) 22:34:58 T76ougnM0
質問ですが

・地名を出しても良いでしょうか
・サモナーが悪魔を殺しても召喚した良いでしょうか


443 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/02(月) 23:18:13 AZ.fWJPE0
皆様投下乙です。

>>428
爆食悪食なヤツが来た……前述の「食べる」行為を悦とする二人とはまた違って、
「食べる」に重点が置かれてるのがいいですね!

>>433
これはいいツモ! 果たして咲さんの願いは叶えられるのか……

>>435
続く咲キャラ、豪運の女に、ツイていない忍者……凹凸のあるコンビはいいですね。

>>436
ヤバい(確信) 何か、とんでもないことが始まる気がする……

>>441
名前つながりネタは面白いですね。微妙なすれ違いだったり、共通点が生まれますしね……

>>442
地名はOKです(そういう地があることにしてしまいましょう)
後者はどういうことでしょうか? サマナーが召喚した悪魔を殺してもいい、ということでしょうか?
であれば、物語上必要であれば可能とします。
ただし、殺してしまったから別の悪魔を支給する、は認められません。ご了承ください。

さて、私も投下します。


444 : 金稼 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/02(月) 23:18:44 AZ.fWJPE0
「……ちっ、なんでまたこんなことに」

 黒のドレスに身を包み、片手にウージーを持つ緑髪の女は、忌々しげにそう呟く。
 彼女、ルーシーは、わかりやすい言い方をすれば"賞金稼ぎ"を生業としている。
 世界的に指名手配されている者を追い詰め、そして生け捕り、時にはその命を奪うスペシャリストだ。
 彼女は総じて、指名手配犯のことを"獲物"と呼ぶ。
 そして、彼女がずっと追い求めていた"獲物"の情報を手にし、明日には追い詰めれる……と、言った所でこのザマだ。

「殺し合い、か。よく言ってくれたもんさ」

 いとも簡単に二人の少年少女の命を奪った、あの白い学生服の少年はそう言った。
 確か、魔神皇だったか、そんな名前を名乗っていた。
 殺し合い、他人の命を奪い、ただ一人生き残る、悪魔の遊戯。
 無論、腕に自信がないわけではない。生き残る技術なら、いくらでも身につけてきた。
 運がいいのか悪いのか、得意としているウージーを手にすることも出来た。
 手札はほぼ万全、ならば他人を殺して回るのが、この場所において正解なのだろうか。

「はっ、馬鹿馬鹿しい」

 答えは、ノーだ。
 一銭の得にもならない殺しなんて、リスクの塊のようなものだ。
 報酬など存在しない、仕事ですら無いことを請け負うほど、彼女もバカではなかった。
 だったら、どうすべきか。

「ひとまずは、雇い主でも探すかねぇ」

 そう、一銭でも"得"になる方に動けばいいのだ。
 言ってしまえば傭兵業、そう動くのが最善だと考えたのだ。
 それまでは、適当にぶらぶらと歩くしかないだろう。

「しかしまあ、悪魔なんてのが実在するたぁ……ね」

 方針を決めた所で、彼女は側に立つ悪魔――――鉄人を眺める。
 この世界には悪魔が居る、そんな噂は聞いていたが、正直言って半信半疑だった。
 だが、実際に目にした以上、その存在は認めざるを得ない。

「……役に立つのかね、ほんとに」

 呼び出してから、まだ微動だにしないそれを見て、ルーシーは思わずそんな言葉をこぼす。
 意外と悪魔なんて、怖くないのかもしれないな、などと考えながら、ゆっくりと立ち上がり、どこかへと歩き出していく。
 足を進める彼女の後ろをついていくように、かしゃん、かしゃんと鳴る金属音。

「ハリボテじゃあ、なかったみたいだね」

 どうしても頭にあった不安が、それだけで晴れる。
 使えるかどうかは、これから判断すればいい。
 最悪、弾除けくらいにはなるだろう。

 そんな考えが、大きく変わるであろうことに、まだ彼女は気づいていなかった。

【?????/1日目/朝】
【ルーシー@メタルマックス3】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)、ウージー(残弾100%)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:雇い主を探す。
[備考]
※メタルマックス3作中で言う改造する前です。
[COMP]
1:ラックス@ミスティックアーク
[種族]:鉄人
[状態]:健康


445 : 動物 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/02(月) 23:19:16 AZ.fWJPE0
「喧嘩が強い上に、オトコマエ」

 誰が見ているわけでもない、青空の下。
 ビシッと決めポーズを取って、格好つけている一人の男。
 白の短髪が特徴的な彼の名は、七枷社。
 かつて日本の地に暮らしていた、しがないバンドマンだ。
 しばらく格好つけたポーズを繰り返した後、頭を掻きながら一人呟く。

「……間違いなく、俺だな」

 当たり前のことを、口に出して確認する。
 いや、彼にとってそれは驚くべきことだった。
 自分はあの時、命を"捧げた"はずなのだから。
 ここにいる事どころか、生を謳歌できていることが、そもそもの疑問なのだ。
 魔神皇に死人を蘇らせる力がある? それとも主――――オロチのことを探っていた組織の仕業?
 可能性はいくらでも考えられるが、今の段階では答えを見つけることは出来ない。

「……ま、とにかくだ。蘇った以上はそれなりに楽しませてもらわなくっちゃな」

 無駄な時間を過ごすのは好きじゃない、そう言わんばかりに彼はゆっくりと歩き出す。
 殺し合いの地とは言え、せっかく蘇ったのだから、もう一度"命"を堪能すべきだ。
 本題については、他人同士で勝手にやっていればいい。
 襲われたらその時だが、何も自分から襲いかかる必要はない。
 オロチ復活のための生贄ならば話は別だが、こんな所で捧げた所で、何の意味もないだろう。
 だから、今は作られた世界の上とは言え、生きることを楽しむのが、一番だと思った。

 ふと、その時に思い出す。
 そう言えばCOMPがどうのこうのと魔神皇が言っていたことを。
 袋を漁ってみると、一台の携帯電話が飛び出してきた。
 あまりこういうのは得意ではないのだが、と思いながらも、ぽちぽちと操作を進めていく。
 そして、召喚するか否かの選択肢の前で、一つだけ深呼吸をする。

「出てこい、俺のオトモダチ……っと」

 決定キーを深く押しこむと共に、一筋の光が走る。
 悪魔、その存在におそれを成しているわけではない。
 寧ろ、自分たちの存在も、半分は"悪魔"と呼ぶにふさわしいかもしれないくらいだ。
 だから、これから現れるものは、魔神皇の言うとおり"友"となりうる存在だろう。
 同じ"悪魔"同士、仲良くしよう。そんなことを思っていた時だった。

「ぞ、象……?」

 浮かび上がったシルエットが、明らかにおかしいことに気がついた。
 二足歩行、二本の腕、人間のそれと同じ体の作り。
 だが、それは圧倒的なまでに"太かった"。
 何より、一番理解が出来なかったのは。
 人間で言う顔が人間のものでなく、長い鼻を持った"ぞう"の姿だったことだ。

「うん、まあ驚くのも仕方がないとは思うね。
 僕はぞう、ホントは名前があるけど、長いし面倒だから、ぞうでいいよ」

 あんぐり、と口を開けている社に対し、現れた"ぞう"は淡々と自己紹介をする。
 一度、二度と瞬きをしてから、ようやく言葉を理解した社は、差し出された少し丸い手を握り返す。

「お、おう。よろしくな……」

 ここが地獄だとすれば、随分と陽気なものだ。
 そんなことを思いながら、社は目の前の彼とどうコミュニケーションを取るべきかを、考えていた。

【?????/1日目/朝】
【七枷社@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:ひとまず生を謳歌する。
[COMP]
1:ぞう@ロマンシング サ・ガ3
[種族]:獣人
[状態]:健康


446 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/02(月) 23:19:31 AZ.fWJPE0
投下終了です。


447 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 01:39:54 mYoFsD9M0
投下します。


448 : ダブルangel ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 01:41:34 mYoFsD9M0
 
 天使ヶ原桜はごく普通の中学2年生の少女である。
 特異な能力など無く、喧嘩をすれば同学年の男子どころか女子にだって負けてしまうだろう。
 しかし、この異常な状況下での冷静さで言えば、大人と比べても抜きん出た物があった。
 その理由としては、彼女の元来持ち合わせている精神力ももちろんあるだろうが、なにより彼女は“こういった事”に慣れていた。
 より具体的に言えば、悪魔や理不尽な展開に対する経験値が非常に高いのだ。
 普段から悪魔使いとその悪魔達にいびられている彼女にとって、この状況は『異常』ではなく『日常の延長線上』であった。

(あの白ランの男の子、絶対左門くんの関係者だよね……変な人っぽいし)

 桜は自分を破滅させるために悪魔をけしかけてくる少年を思い浮かべ、先程の体育館の様な場所であった出来事を思い出していた。
 白ランの少年が言った、殺し合いと願いを叶えるという言葉。
 あの場にいた沢山の人間たちはその言葉に何を考えただろうか。
 願いを叶えるなんて本当かわからないが、今この会場には乗り気な人も大勢いるかもしれない。
 なぜなら、彼の言葉に反発した少年と隣にいた少女を――殺したのだから。
 絶対的な力、悪魔の力、どちらも桜は身を持って知っている。

(左門くんはなんだかんだ嫌がらせ異常の事はしないし、ネビロスさんだって優しいから勘違いしてたけど……悪魔って本来はああいうものなのかな)

 首輪はオカルトでは無さそうだが、少年が一瞬で焼き尽くされたのは間違いなく悪魔の力だろう。
 桜に向けられることは無いだろうが、“佐門召介”も“地獄の総監督官少将ネビロス”も同じことをやろうと思えば簡単に出来てしまうのだろう。
 左門召介は最悪なその性格から悪魔に狙われることが多く、桜も巻き込まれる事が多い。
 その中でも、今回は左門曰く「ヤバイし死ねる系」の悪魔なのだろうと推測を立てた。

(それにしたって殺し合いだなんて……まさかあの場の全員左門くん関係の人だったりしないよね……?)

 桜は嫌な予想に震えながらも、白ランの少年の言葉を再度思い出してみる。
 ――COMPには君たちの"友"となりうる悪魔を封じ込めておいた――確かそんな事を言っていたなと、桜は思い出した。
 いつの間にか背負っていたリュックサックを下ろし、中身を確認する。

「COMPってこれかな?」

 桜が手に取ったのは簡易型の血圧計の様な道具。
 伸縮性のある腕輪のような布地の上にタブレッドに似たモニターが付いている。
 桜がなんの警戒もせず腕にはめると、COMPは自動的にピッタリと締り付いた。
 試しにブンブンと腕を振ってみても外れる様子はない、その上圧迫感もなく快適なつけ心地だった。


449 : ダブルangel ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 01:42:49 mYoFsD9M0
 桜がタブレッドの様な画面に触れると、画面が光り文字を浮かび上がらせる。
 出てきたのは『悪魔召喚プログラム』と『バトルロワイヤルメニュー』の二つ。

「これを押すだけで私でも召喚できちゃうのかな?」

 このような機械を使った魔術の近代化は、桜も覚えがある。

(確か左門くんもコピー機で魔法陣量産してたけど……あっちは私じゃ使えないからまた違うのかな?)

 桜はとりあえず悪魔召喚プログラムを作動させることにした。
 “友”とまで言うのだから害のある悪魔は出てこないだろう。

(ネビロスさんとかアンリさんとかだったらいいなぁ)

 桜が願った悪魔はわりと危険な部類の悪魔達なのだが、桜には知る由もない。
 直接的に関わっているのに悪魔の知識は皆無に等しいのだ。
 やがてCOMPの光が強くなり、桜の視界が白く染まる。

「私はエンジェル。今後とも、どうぞよろしくお願いします」

 現れたのは胸や腰が最低限隠せる極端に布地の少ない衣装を纏い、目隠しをした金髪の女性。
 名前はエンジェル――つまりは天使だが、あまりにもイメージからはかけ離れた見た目の為に一瞬桜の思考はフリーズしてしまった。
 桜にとって天使といえば全裸の赤ん坊――つまりサイゼ○アの壁の絵くらいの印象である。
 一見するとどこか“そういうお店”のプレイにしか見えないが、背中に生えた純白の羽が言い逃れできない程の説得力を持たせている。

「……いや」

 かろうじてフリーズ状態から回復した桜は、小さく言葉を吐き出す。
 その言葉にエンジェルは一瞬拒絶されたのかと考えたが、次の瞬間にはそれは杞憂だったと理解できた。

「いや天使がその格好はエロすぎるだろ!」

 桜が召喚した悪魔を見た初のリアクションは――イメージとの矛盾に対するツッコミだった。
 この先どれほどのツッコミどころが待ち受けているのか、桜はまだ知らない。



【?????/1日目/朝】
【天使ヶ原桜@左門くんはサモナー】
[状態]:健康
[装備]:COMP(腕輪型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:困っている人を助けつつ、白ランの少年を説得する方法を探す。
[COMP]
1:エンジェル@女神転生Ⅲ
[種族]:天使
[状態]:健康


450 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 01:43:27 mYoFsD9M0
投下終了です。


451 : 名無しさん :2016/05/03(火) 02:06:13 mYoFsD9M0
現代というとやっぱり宇宙世紀のガンダムキャラはダメですかね?


452 : ◆lPwuvrl9Hg :2016/05/03(火) 03:28:10 9c5rYvGo0
投下します。


453 : IDORA@VANIA 運命の即興曲  ◆lPwuvrl9Hg :2016/05/03(火) 03:30:18 9c5rYvGo0
「で、出れた?
 アタシ外に出れたの?」

目の前で珍妙な衣装を着た少女がキョロキョロと周囲を見回している。
何が起きたのかわからないといった風情だが、私にも何が起きたのか理解しがたい。
何せこちらは支給武装らしきメリケンサックの使い勝手を試すべく、少しばかり素振りをしただけなのだ。
魔界兵を呼び出す"召喚剣"ならば知っているが、"召喚メリケンサック"など誰が想像できようか。

「その恰好……そう、あんたが今回の召喚者ね!
 見た目といい衣装といい、完璧なプロデューサーっぷりじゃない!
 バッチグー! 文句なしに合格よ!! 絆とか好感度とか色々すっ飛ばして臨時Pとして認めてアゲル!」

少女は青い瞳を輝かせながら勝手に納得した様子である。
竜と思わしき角や尾を備えているあたり、彼女こそが魔神皇と名乗る少年が言っていた"友となりうる悪魔"なのだろうか。
確かに悪意や敵意は感じないが、それにしても――この血の臭いが気にかかる。

「なによその表情。
 ……ああ、アタシの才能を見定めようってのね?」

怪訝にこそ思えど、眉一つ動かした覚えはないのだが。
恐らく諸人が評するところの"無愛想"な私の表情を、自分に都合よく解釈したのだろう。

「ふっふっふ……いいわ!
 アイドルに相応しいこの歌声、存分に聞かせてあげる!」

少女はそう言い放つと、携えていた槍を何故かマイクのように構え、大声で歌いだした。
――いや、それは本当に"歌"だったのだろうか?

「恋する乙女はドラゴンスケイル♪ 迂闊に触れたら一発アウト♪
 ブラッド・バスに溺れるみたいに♪ 貴方と一緒に夜間飛行♪
 邪魔するブタは串刺しよ♪ 誰にも邪魔はさせないわ♪
 さあ今宵は二人のための♪ 素敵な拷問ショータイム♪」

音程に喧嘩を売る怒鳴り声。狂った竜の悲鳴。
むしろ竜が悲鳴を上げて逃げ出すような名状しがたい何か。
ああ、遥か昔に数度だけ聞いたことがある。
これはそう、眠りにつこうとした私を追ってきた少女が何かの弾みで聞かせた『聖歌』に似た――
だがそれよりはるかに酷い、命を削り取る域に達した圧倒的な音痴。

「どうかしら? アタシの歌!
 とっておきのナンバーよ!」
「マリアの方がマシだ。せめてもっと練習してから歌え」

よほど自分に過剰な自信を抱いていたのだろう。
私の素直な感想に、少女は地団太を踏みながら喚き散らす。

「キーッ! マリアってマリーのこと!?
 アタシがあのロイヤル王妃に劣るっていうの!?
 そりゃあっちは天然でキラキラ輝いてるブリリアント系アイドルだけど!
 アタシだって磨けばもう目も当てられないぐらいペカーって光るわよ! ペカーって!」
「……」
「溜息つかないでよ! あんたそれでもアタシのプロデューサー!?
 もっとこう、褒めて! 称えて! 種火とお金をつぎ込んで! アタシのレベルをどんどん伸ばすとか!!
 営業ジャンジャンバリバリ取ってくるとか!! ハロウィンな聖杯取ってくるとか!!
 伝説のトレーナーを呼んできてスペシャルレッスン始めるとか!! しないの!!?」

話が通じる気がしなくなってきた。
少女が悪魔だというなら、このメリケンサック、恐らくCOMPとやらであるはずだ。
不特定多数が殺し合いを命じられているこの状況で、これ以上下手に騒がれても困るし……

「どれもそんな余裕はない。
 無駄に大声を張り上げるならこのCOMPとやらに戻すぞ」

少しは静かになるかという淡い期待を込めて言ったのだが。
彼女の反応は、私の想像を大きく上回った。
 
「えっ……止めて、止めてよ!!
 あんな狭くて暗いところ嫌!」

今までの余裕はどこへやら、彼女は眼に涙を浮かべながら、うずくまって怯え出す。
演技とも思えない極端な態度の変化に、何故かこちらの罪悪感が刺激される。
そこまで脅す気などなかった私は、額に手を当てながら極力優しい声音を心がけて話しかけた。


454 : IDORA@VANIA 運命の即興曲  ◆lPwuvrl9Hg :2016/05/03(火) 03:32:41 9c5rYvGo0
「嫌なら少しは大人しくしろ。
 喋るなとは言わないが、今はあまり他人に見つかりたくない状況だ」
「……大人しくしてたら戻さない?」
「時と場合による。
 戻るのが嫌なら外に出しておくが、外にいる方が危険だと判断すれば戻すこともある」

本音を言えば一人でいる方がマシだという気持ちもあるが、さすがにこうまで怯えている相手に無理強いする気はない。
それ以前にCOMPへの戻し方も良くわからない。
荷物を漁れば説明書が出てくるのかもしれないが、そういうことはもっと安全な場所でやるべきだろう。

「危険な状況ならなおさらアタシが戦う方がいいじゃない。
 なんで戻す必要があるのよ」

悪魔としての矜持だろうか。
少女は槍を武器のように構え直し、威勢よく振ってみせた。
その動きだけなら一流の槍兵に見えなくもない、が……

「女子供を盾にするなど、人として忌むべき行為だろう。
 お前が女子供に化けて背後から襲ってくる下種な魔族だというなら話は別だがな」

私は、人としての心と母の言葉を捨てた覚えはない。
悪魔であろうと死霊であろうと、道具のように使い捨てていいものではない。
腕の中に収まるような小さな蝙蝠や妖精にもそれぞれ魂があり、心がある。
それら尊ぶべきものを踏みにじるのは――そう、人ではない"魔王"の所業だ。

「えっと……あんた何か勘違いしてない?
 アタシはサーヴァントよ?
 アイドルとしては永遠の14歳だけど、生まれてから死ぬまでの54年間は全部覚えてるのよ?」
「そうか。
 私も600年ほど生きているが、人間として抱くべき矜持を忘れた事は無い」

正確な生まれ年などもう覚えていないし、目覚めていた時期も断片的で実際には数十年ほどの記憶しかないが。
少なくともラルフの時代が500年以上前だということはユリウスに教えてもらっている。

「ろ、ろっぴゃく? ……臨時Pって、PはPでもパラケルスス系のP?」

目を瞬かせながら少女が呟いた。
意味がわからない。
日本語だからだろうか?
これでも二十年近く勉強し続けて、日本政府の調査機関で問題なく働ける程度には流暢になったと思っていたのだが。

「日本語が無理ならルーマ……いや、英語かフランス語で話せ」

私としてはルーマニア語が一番なじみ深いが、それは無理な相談だろう。
そう思って他の言語を薦めたのだが。

「失礼ね! 今のアタシはサーヴァントなんだから完璧な日本語喋れるわよ!
 そりゃ一番得意なのはハンガリー語だけど、日本人には馴染み薄いでしょ?」
「ハンガリー?」

この奇妙極まりない少女のどこにハンガリーの要素があるというのか。
妖精の書があれば彼女の正体に繋がるヒントぐらい得たかもしれないが、魔導器の類は一切手元にない。
だが、……女で、ハンガリーで、54歳で、竜に関わりがある、この血の臭いを纏う存在。
これらと合致する人物、一人心当たりがある。
あるのだが――

「そうよ! もしかしてアタシの真名に気がついた?
 まっトーゼンよね! アタシは世界に名を刻んじゃった反英雄系アイドル!
 スーパーでドラゴンでファンタジーでロマンシングな公式認定ゴールドヒロインだもの!」

……………。


455 : IDORA@VANIA 運命の即興曲  ◆lPwuvrl9Hg :2016/05/03(火) 03:33:47 9c5rYvGo0
「……勘違いか」

どうやら私もこの状況に混乱し始めているらしい。
一旦安全な場所を確保して、COMPの使い方や自らの現状を整理した方が良さそうだ。
適当に、人の気配がしない方向へ歩き出す。

「ちょ、ちょっと! 待って!
 勘違いじゃないかもしれないし言ってみてよ!
 正解してたらサイン上げるから! ほら!」

少女は喚きながらも私の後をついてくる。
一応、最初よりは声量を抑えているあたり、最低限こちらの言う事を聞く気はあるらしい。

「要らん。サイン入り下敷きなら二百年前に拾ったものが残っている」
「物持ち良すぎでしょ臨時P!?
 だいたいそれ99%アタシ関係じゃなくない!?」

1%も可能性が残っているのだろうか。
そんなことを考えながら、私は仮初の名を口にした。

「有角だ」
「え?」
「有角幻也、それが私の今の名だ。
 臨時Pなどという妙な呼び方は止めろ」

本名を教える気になれなかったのは、脳裏に浮かんだ可能性を切り捨てられなかったからだ。
闇に堕ちた我が父が、私と母の代わりと言わんばかりに寵愛した女吸血鬼。
悪魔崇拝者達を束ね、百年の眠りから父を魔王として甦らせた忌まわしきハンガリーの血の侯爵夫人。
あのエリザベート=バートリーと、この少女が、同一人物かもしれないと――

「ま、待ってってばー!
 置いてかないでよ、有角Pー!」

………。

………やはり考えすぎ……か?



【?????/1日目/朝】
【有角幻也(アルカード)@悪魔城ドラキュラシリーズ】
[状態]:HP3/4
[装備]:COMP(メリケンサック型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:悪魔を含め、敵対者以外は殺さない。
現状方針:安全な場所を探す
[備考]
*キャッスルバニア暁月の円舞曲(2035年)から十数年前の、『現代』の時間軸から参戦しています。
1999年よりは後なのでユリウス・ベルモンドとは面識があります。

[COMP]
1:エリザベート=バートリー(槍)@Fate/GrandOrder
[種族]:邪竜
[状態]:健康
[備考]
*FGO出典のため、反英霊ですが少しだけ改心済みです。


456 : ◆lPwuvrl9Hg :2016/05/03(火) 03:34:15 9c5rYvGo0
投下終了しました。


457 : 機神再動  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/03(火) 04:51:40 P16Zi8kw0
投下します


458 : 機神再動  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/03(火) 04:51:55 P16Zi8kw0
では一つ――お伽話をしよう。

かつて、光と闇の戦いがありました。

何年も何千年も何万年も、時には歴史さえも改変して続いた戦いは遂に終焉を迎えました。

人々は剣を置き、“彼”もまた眠りについたのです。

“彼”は機神。最強の機神。人間のための機神。

彼の者の名は――。




魂に焼き付いて離れない魔神皇の嬌笑はどこまでも人間のそれだった。
人間の倫理がなく、人間の常識に縛られず、なのに否応もなく人間を感じさせる愉悦の声。
人が人を憎み、人が人を恨み、人が人を呪うそんな声。
冗談ではない。
神の如き力を振るい、魔の如き暴虐を成した魔神皇を人間であるなどと思いたくはなかった。
そもそも奴が人間だったとして、ただの落ちこぼれ探偵である俺、大十字九朗に何ができるっていうんだ。
ミスカトニックの地で学んでいたことはあるとはいえ、魔術を恐れ、逃げた自分が悪魔を封じ込めるような魔神皇相手にいったいなにが。

「そ、そうだ、悪魔……っ!」

ふと魔神皇の言葉を思い出し、支給されていたCOMPに目を向ける。
COMPなどというがどう見ても二丁拳銃にしか見えない。
けどもしも本当に悪魔が封じられているというのなら、安易に起動させていいものか。
魔神皇は“友”などと言っていたが、あんな奴の言うことを、いや、そもそも怪異たる悪魔を信じられようか。
COMPを握る手に汗がにじむ。このまま捨ててしまった方が良いのではないかという考えも浮かぶ。
しかしあの強大な魔神皇に対抗しようと言うのなら――いやまて対抗するって正気か?
あんな化物みたいな奴に俺は抗おうと言うのか。
そんなの無理に決まってる。
こんな俺なんかよりももっと他の奴らが、もっとつええ奴らがなんとかしてくれるんじゃねえのか?
でもそれなら、強ささえあれば俺はあいつを、あいつを、どうしたい?

「えええい! ままよ!」

銃型COMPの引き金を引く。
それは果たして強い悪魔が召喚されることで逃げ道がなくなることを期待してか。
或いは弱い悪魔を目にして逃げることをよしとするためのものだったのか。
自分でも分からない。
分かってたかもだが、忘れちまった。


459 : 機神再動  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/03(火) 04:52:28 P16Zi8kw0

「……ピ……ガガガガガ……」

いや、だって、その、さ。
覚悟を決めてというか、決めるためにというかで悪魔を召喚したっつうのに。
出てきたのはドラム缶に手足が付いたような風貌のロボ一体。
目があったり鼻があったり茶色かったり小型だったり三角錐型な頭部だったりと多少の差異はあれど

「これどう見ても破壊ロボじゃねえかあああ!?」

あんの超弩級変態科学者、破壊ロボで街を壊すに飽きたらず、ついに悪魔まで作って殺し合いに加担でもしやがったのか!?

「否。我は破壊ロボにあらず。
 我は七勇者の護衛をつとめし機神 ヂークベック」
「う、おおお!? は、破壊ロボが喋った―!?」

突如喋り出す破壊ロボ改ヂークベックに度肝を抜かれるも、これはまさか本当に破壊ロボじゃない!?

「え、えーっと、ヂークベック……さんは悪魔、なんですよ、ね?」

恐る恐る思わず敬語で話しかけてみるも、返ってきたのは肯定であり、否定でもあった。
悪魔と言ってもつまり、神や悪魔、英雄と言った神話や伝説、物語、歴史的偉人の総称であるみたいだ。

「確かに我は今、悪魔として扱われている。だが我は悪魔である以前に機神なり。
 我がこうして覚醒め、表に出たということは再び世界のバランスが崩れたということ。
 人間よ、もしもお前がこの世界の希望足りえるというのなら。
 最強の機神たる我をお前の意思に委ねよう」

つまりこれ、案外いけるんじゃねえか!?
最強の機神というからには見かけによらず超強いんじゃね!?
なんでかしらねえが機神という言葉に安心する俺がいる。
もしかしたらもしかするとそれもこいつの力の大きさ故かもしれない。
これは藁にもすがるしかない!
正直希望がどうとか無理難題だが、とりあえず今は頭を下げてでも契約確定だ!


460 : 機神再動  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/03(火) 04:52:55 P16Zi8kw0

「おっしゃ、そういうことなら俺は大十字九朗、よろしく頼むぜ、ヂークベック!」
「待て、まだ我はお前のことを認めたわけデハ……ピピ……ガガ、ム、い……カン……!」

って、なんか急に全身をビクビク痙攣させながらピーガガピーガガ言い出しやがった!?

「お、おい! 大丈夫か、ヂークベック! てか俺との契約も大丈夫なのかああああー!?」
「ま、まさカ分霊の身デまデ機能……破損ガ……」

いやちょっと機能の破損ってなんかすげえ物騒なこと言ってるけどもしもーっし!?
ついにうんともすんとも言わなくなるヂークベック。
最初の時とは別の意味で、恐る恐ると話しかけた。

「あ、あのー、ヂークベック、さん?」
「??? ナニか、あったんカ?
 ナンやそのたまシイのぬケたカオ。わシをバカにしトルんか?」





あ、ダメだこりゃ。






【?????/1日目/朝】

【大十字九朗@デモンベインシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(二丁拳銃型。イタクアクトゥグアというよりもデビライザー、キングライザー)
[道具]:基本支給品、未確認支給品(1)
[思考・状況]
基本:魔神皇は認めたくねえ。けどまだ踏ん切りが付かない
※瑠璃ハッピーエンド後のようななんらかのリセットエンド後か、それともメガテンにも縁のあるナイアさんのいたずらか。
 西博士が暴れたりはしてるも、ブラックロッジの存在しない世界から参戦。
 技量や精神性は機神咆吼序盤に近い
[COMP]
1:ヂークベック@アークザラッドシリーズ
[状態]:健康(ピーガガピーガガ)


461 : 機神再動  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/03(火) 04:53:08 P16Zi8kw0
投下終了


462 : ◆BLAZExujxM :2016/05/03(火) 09:45:23 3W/5YFUQ0
投下します。


463 : Little Soldier  ◆BLAZExujxM :2016/05/03(火) 09:45:52 3W/5YFUQ0

「殺し合いでやんすか……」

 ユニフォーム姿のメガネの男がバット(型のCOMP)を片手に空を眺める。
 アニメや漫画、ゲームでしか聞いたことないようなことが目の前で起こっていた。
 その男、チャンスに弱い外野手、矢部明雄。

「正直、帰りたいでやんすね……」

 分厚いメガネの下で涙を流す。
 自分はただの野球選手だ。
 殺し合いなどしたくない。 
 
 ただ野球がしたかった。
 野球をして、お給料をもらって老後に備えたかった。
 野球をして、女の子にモテたかった。

 少々邪な思いを馳せつつ、矢部は悪魔を召喚する。
 帰って野球をする、そのために。
 矢部がバットを強振するとその悪魔は召喚された。

「うーん、これじゃあ『悪魔』じゃなくて『クマ』でやんすね……」
「やあ、僕バンジョー、見てのとおり……うん、クマだよ」
「それは見れば分かるでやんす」
 
 『あ、クマだ』と矢部は言おうとしたがギリギリで止めた。
 一先ず、目の前のバンジョーを名乗るクマだか悪魔と会話する。
 動物と会話できる時点でなにかおかしい気もするが会話する。

「それでバンジョーくんは何か特殊能力があるでやんすか?」
「うーん、カズーイがいないからね。
 ツメツメアタックとローリングアタックくらいしかできないよ」
「他には?」
「あとはリュックがあるからいろいろできるよ」
「そうでやんすか」

 せめてクマだったらパワーSとパワーヒッターと威圧感くらいは欲しかった。
 しかし、バンジョーが友好的なのは矢部にとっては重畳であった。

「それで矢部君はどうしたいんだい?」
「オイラ、帰りたいでやんす……」
「そっか、だったら帰ろう、僕も少しは協力するよ」
「ほ、本当でやんすか!」

 互いにいつもの相棒はいない。
 しかし、それでも寄り添い歩いて行く。

【?????/1日目/朝】
【矢部明雄@パワプロシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(バット型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:脱出するでやんす。
[COMP]
1:バンジョー@バンジョーとカズーイの大冒険
[状態]:健康


464 : ◆BLAZExujxM :2016/05/03(火) 09:46:15 3W/5YFUQ0
投下終了です。


465 : ◆TPKO6O3QOM :2016/05/03(火) 09:51:51 o3RmpBCU0
投下します


466 : ◆TPKO6O3QOM :2016/05/03(火) 09:55:30 o3RmpBCU0

 都内某所――雑然と資材が積み上がった狭い事務所の中で、3人の男女が小さなテレビに視線を注いでいた。
 テレビ画面の中では、高校生と思わしき少女が二人、ニヤニヤとした笑みを刻んでいる。場所は学校の体育館の裏のようだ。まだ強い夏の日差しに照らされ、地面からは陽炎が上っている。少女たちの明るい金髪と茶髪も玉のように輝いていた。
 携帯電話のカメラを使っているのだろう。少女たちがフレームアウトし、体育館に隣接した自転車置き場を映し出した。
 奥まで長く伸びるトタン屋根の間に、眼鏡を掛けた黒髪の少女が一人佇んでいる。遠目で表情までは分からないが、苛立っているのがその動作から見て取れた。 
 
『これから、JOKER様にハルミを殺して貰おうと思いまーす』

 含み笑いをしながら、金髪の少女がポケットから携帯電話を取り出した。
 JOKER様とは高校生たちの間で流行っている噂だ。
 自分の携帯電話を使って自分の番号に電話をかけ、出た相手に名前を告げる。するとJOKER様がその名前の人間を殺してくれる――。
 番号を入力し、受話口に耳をそばだてる。と、少女の表情が凍りついた。

『うそ……誰か出たんだけど……どうして? なんで?』
『マジで!? じゃあ、名前! ほら!!』
『え、でも……』
『はやくっ!!』
『キ、キリュウハルミ……』
 
 急かされた少女が名前――自転車置き場にいる少女のものだろう――を告げた途端、離れた場所から短い悲鳴が上がった。
 カメラが自転車置き場へと向けられる。ハルミと呼ばれた少女とは別に、もう一人、影が増えていた。黒っぽいトレンチコートを纏い、頭に紙袋を被った長身の男。手には大振りの包丁が握られていた。
 狼狽えるハルミの首を、男が無造作に掴みあげる。間髪入れず、彼女の腹部に刃が突き立てられた。何度も何度も――偏執的なまでに刃がハルミの身体を抉っていく。その度に血飛沫が舞い、陽光の中で煌いた。
 物言わぬの肉塊となったハルミを男が無造作に放り捨てる。隠し撮りしている少女たちが引き攣った声を上げた。
 その声に反応し、男が少女たちの方を見た。慌てて逃げ出す少女たち。急激な動きについていけずに画面がクラッシュし、そこで映像は終わっていた。
 リモコンを片手に、工藤仁は満足気な笑みを浮かべて二人を見やった。

「どうだ? すっげえだろ? すっごいのが来ちゃっただろう? つーわけで、今回は取り上げるのはこの"JOKER様"だ。これは売れるぞぉ」

 工藤は小さな映像会社でディレクターを務めている。商品としているのは、日常に潜む怪異を取り扱った衝撃的な映像の数々だ。
 特に最近は、口裂け女、廃墟の亡霊、河童と他に類を見ない怪奇現象をカメラに収めてきた。
 その切っ掛けとなったのは、視聴者からの投稿映像だ。今回送られてきたものは、その中でも群を抜いている。
 そんな素晴らしい投稿映像を見たにも関わらず、アシスタント・ディレクターの市川実穂はなぜか半眼で、カメラマンの田代正嗣は憮然とした面持ちで工藤を見つめ返してきている。
 市川はその細い双眸に憐れむような光を湛えて、ぼそりと告げた。


467 : ◆TPKO6O3QOM :2016/05/03(火) 09:56:27 o3RmpBCU0
 
「……いや、どう見てもやらせですよ工藤さん」
「はあ!? どこがやらせだよ。おまえ、もう一回見るか? あぁん!? 俺はな、興奮しすぎてもう20回見てるよ! さっきのうんこの前にも見たよ! 手を洗うのも忘れちまったぐらいだ。つまりアレか? 俺の眼が節穴だって言いてえのか!?」
「手はちゃんと洗ってくださいよ……。大体、学校でこんな殺人があったらとっくに報道されて――」

 ぶつくさと続けようとした市川の頬を張り飛ばし、工藤は田代へと顔を向けた。眼鏡の奥の小さな目が、びくりとしばたく。

「うっせえんだよぐちぐちぐちぐちぐちよー! このブス! おい、田代。おまえは良いと思うよな? 河童の次はコレしかねえよな!?」
「ええと、どうなんでしょう。このビデオが本当なら、むしろ警察に届けた方がいいんじゃないかなあって……」

 工藤の拳がデスクに勢いよく叩きつけられ、田代は口を噤んだ。田代と、念入りに頬をハンカチで拭う市川を睨み、工藤は鼻を鳴らした。

「ああ、そうかい。役に立たねえおまえらなんていらねえよ!」

 怒号と共に大量の唾液がデスクに撒き散らされる。唾を避けようと身を仰け反らした市川を殴りつけてから、工藤は椅子を蹴飛ばして立ち上がった。
 ハンディカムと呪いの髪の毛飾りを手に取り、出口へと向かう。

「今回は俺だけでやってやるよ! 売り上げは全部俺のだ! てめえらの給料はなしだ。ざまあみやが――なに労働基準の本なんて取り出してんだ市川ぁ!」

 市川の手から本を奪って念入りに引き裂いてから、工藤は事務所を飛び出した――。
 そして――今、工藤はビル街の真っただ中にいた。電信柱の影にしゃがみ込み、辺りを伺う。
 大路に人影はなく、街路樹が風に触られてその梢をさらさらと揺らしている。少しばかり冷えた朝の空気は、どこか無機的だ。
 どうしてこんなことになってしまったか。工藤は一向に思い出すことが出来ずにいた。
 事務所を一歩出た途端、眩暈のようなものに襲われたのだ。
 気が付けば、あの大層な演説の真っ最中であった。
 あの少年が発した"殺し合い"――現代の日本においてこれほど現実味のない言葉はない。しかし、あの場に漂った肉と血が焼け焦げる臭いが未だに鼻腔に残っている。
 嘘ではない。己の首に巻き付いた首輪の冷たい感触がじわりと全身に広がっていく。
 あの少年と少女は、本当に殺されたのだ。そして、それは自分自身にも起こりうる――これは最後の一人まで続けられるらしいのだから。
 血の海に蹲る両親と、ナイフを持った顔に傷のある男の影が記憶の奥底から湧き上がって来る。自身が初めて目にした人の死と、喪失感。
 工藤は電信柱に拳を叩きつけた。

「くそ、なんでカメラがねえんだよ!! 大スクープじゃねえか!」

 思わず叫び、慌てて口を押えた。誰が聞いているか分からないのだ。
 しかし、JOKER様なんてものよりも金になるのは確かだ。なのに、ハンディカムはおろか、携帯電話すらなくなっている。
 とりあえず、工藤はバットの形をした端末に指を滑らせた。
 あの少年はこの中に悪魔がいると言っていた。
 バット全体が淡く光を帯び、紋様が浮かび上がる。
 そこから影があふれ出していく。
 工藤はバットを正眼に構えた。

「出てきてみろや、悪魔っ! もし逆らうつもりなら、この工藤仁がボッコボッコにし――」

 溢れる影は止まらず、見上げるようなサイズにまで膨れ上がっていた。
 やがて影は収束、煙のように掻き消えていく。その下から現れたのは、斧を携えた肉食恐竜のような生き物――。
 血のように赤い瞳が工藤を見下ろしている。


468 : ◆TPKO6O3QOM :2016/05/03(火) 09:56:47 o3RmpBCU0

「ギルルルン……私、ドランゴ……ヒゲ……おまえが、ボッコボコ?」
「ちがうちがう! 勘違いだから、それ。俺と――ええとドランゴさん? つまり俺たちにな、逆らう奴らを、このバットでボコボコにしてやるぞってな。そういう意味だよ。言葉のあやだ。あや」

 鼻息荒く斧を握り直す恐竜――ドランゴを、工藤は慌てて制止する。

「とりあえず、3千円やるから。な? 仲良くしよう」

 工藤は懐から三千マッカを紙幣で取り出す。ドランゴは興味深そうに鼻を近づけて匂いを嗅ぐも、ぷいと顔を背けた。

「ギルルル……おまえ……手、あらってない……おんなのこに……失礼」
「お、おん――? そ、そう、だな、いやあ、悪かった。ほんと、悪かった。洗う暇がなかったんだよ。目の前で子供殺されたりされちゃな、義憤のあまりに俺の侍魂が爆発しそうになるってもんだろ? 手なんて洗ってられねえよ」
「……ヒゲ、せいぎの味方……。正しいことに……おかね……いらない。私も……おかね……いらない……ギルルルン」

 喉を鳴らしながら嬉しそうに頬を摺り寄せてくるドランゴを押し退けながら、一先ず工藤は安堵の吐息を吐いた。

「確かに、正義の味方が買収されちゃ恰好がつかねえよな。じゃ、猫缶だ。猫缶。コンビニで買ってやっから。意外と美味いぞぉ、あれ」
 
 適当に調子を合わせる。
 まずはカメラを手に入れよう。
 これから起こることを記録に収めたら、とてつもない金が舞い込むに違いない。


【?????/1日目/朝】
【工藤仁@戦慄怪奇ファイル コワすぎ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(バット型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:カメラを手に入れ、金になる映像を収める。
[COMP]
1:ドランゴ@ドラゴンクエストⅥ-幻の大地-
[種族]:龍王
[状態]:健康


469 : 魔獣咆哮!契りの対価  ◆TPKO6O3QOM :2016/05/03(火) 09:57:48 o3RmpBCU0
タイトル忘れた。投下終了です。


470 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 10:23:39 4PjentlM0
皆様投下乙です!

>>450
メガテン悪魔なんて突っ込み所しかないぞ、大丈夫かな?
ありとあらゆる事に突っ込んでくれそうで、楽しそうですね。

>>451
近未来〜未来くらいのキャラは「現代に生きてる」って描写とかがあれば基本的にはOKです。
似たような描写のある投下もございますので、そちらをご参考にしていただければ。

>>456
幻ちゃん! 隣、隣!! 合ってるよ!
でもまさかそんな事考えられないよね……w

>>461
あっ(察し) 使える奴だと思ったらこれだよ!!
しかし平常運転でもあるので、安心はできるw

>>464
バンジョーって言われてから脳内で「ヌァハ ナハナハナハナハッ」って聞こえる……w
野球は果たして出来るのか……

>>469
この状況でも金を考えて動けるのは、商魂逞しいというか……なんというか……
そういえばドランゴは女の子でしたね、カワイイ。


471 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/03(火) 14:59:31 tVZLTidk0
投下します


472 : 正義が不滅ならば、悪もまた不滅である ◆NIKUcB1AGw :2016/05/03(火) 15:00:22 tVZLTidk0
埃だらけの廃工場に、その老人はいた。

「みすぼらしいところに飛ばしおって、あの若造が……。
 まあ今のわしには、こんな場所がお似合いか……」

黒いマントに身を包んだ老人の名は、死神博士。
かつて人間だった頃は別の名があったが、今はこれが彼の名前だ。
彼は世界征服を企む秘密組織・ショッカーの幹部であった。
その悪魔のごとき頭脳で数々の怪人を生み出した博士であったが、彼の作品はことごとく憎き裏切り者・仮面ライダーに倒された。
そして最後には、自らも怪人イカデビルとしてライダーとの戦いに挑み、敗死した。

だがその後も、博士は幾度となく蘇った。
ある時はショッカーの意志を継いだ組織の秘術によって。
ある時は宇宙犯罪組織の魔法によって。
本人が蘇ったわけではないが、彼の人格を宿したアイテムがある老人の体を乗っ取って活動したこともある。

だがそのいずれの機会でも、彼は仮面ライダーの名を継ぐ者たちに敗れ去った。
それでもなお、博士の魂は滅びない。
ショッカーによる世界の支配という野望を達成するまでは、彼は何度でも蘇るのだ。

そしてこの度も、いかなる手段を使ってか彼は復活した。
だがその直後に、博士はこのバトルロワイアルに参加させられてしまった。
彼は怒っていた。彼に命令を下していいのは、偉大なるショッカーの首領だけだからだ。
だが同時に、喜びもあった。
さすがに、なんでも願いを叶えるという言葉を鵜呑みにしてはいない。
しかし、これだけのことができるのだ。魔神皇が強大な力を持っているのは事実だろう。
奪い取れば必ずや打倒仮面ライダー、ひいては世界征服に役立つはずだ。
他の参加者を皆殺しにし、その後に魔神皇も殺して力を奪い取る。
それが博士の行動指針だった。

「では、そろそろ始めるとするか」

博士は手にした杖につけられたスイッチを押し、自らに支給された悪魔を召喚する。
直後に博士の傍らに現れたのは、巨体を誇る人型の悪魔であった。
それは「ショッカー」の名を冠する、機械仕掛けの巨人。
グロテスクな外見はあまり博士の趣味には合わないが、最初の手駒としては悪くない。

「ゆけ、サイコショッカーよ! 破壊の限りを尽くすのだ!」
「マッ!」

博士の命令に、しもべは奇声を上げて応えた。


【?????/1日目/朝】
【死神博士@仮面ライダー】
[状態]:健康
[装備]:杖型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:参加者は殺す、魔神皇も殺す
[COMP]
1:人造人間サイコショッカー@遊戯王
[種族]:造魔
[状態]:正常


473 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/03(火) 15:01:28 tVZLTidk0
投下終了です


474 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 18:04:29 BZ38x5Mg0
投下します。


475 : 私のハートは真っ赤に燃える ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 18:06:18 BZ38x5Mg0

 346プロダクション所属のアイドル――日野茜は初めて感じた“ドス黒い悪意”というものに怯えていた。
 元気印のパッションアイドルで売出中の彼女であるが、実のところたった17年生きただけの少女である。
 性格故か彼女の周囲には女性特有のドロドロした陰湿な悪意を持つ者も寄らず、アイドルの皆は純粋で心の優しい人間ばかりだった。
 そんな彼女に唐突に訪れた、体育館の様な場所でのできごと。
 普通に生きていれば人の死を目の前でみることも稀であるというのに、いざ「殺し合いをしろ」だなどと言われても、理解が追いつくわけもない。

 ――怖い。
 とどのつまり、茜の心は恐怖の一色に塗りつぶされてしまっていた。
 自分のように殺し合いなどしたくない人もいるだろうが、逆に少なからずこの話に乗る者もいるだろう。
 何処かへ移動するのも怖い、かといってこの場で呆けているのもまた怖い。
 茜の思考は八方塞がりで進展を見出すことが出来なかった。

(そういえば、荷物があったっけ)

 茜は目覚めた時より脇に置いてあった、可愛げのない機能的なボンサックに手を伸ばす。
 白ランの少年の言葉によると、中には悪魔が封じられているCOMPというものが入っているらしい。
 オカルト的ではあるが、あの光景を見た今“悪魔”という存在はもう信じられないものではない。
 なにか行動していなくては恐怖に押しつぶされそうな茜は、中身を次々に引っ張りだした。
 ペットボトルにパンやカロリーメイト等の携帯食料、いくつかの用途不明の石が入った袋――表には「マハラギの石」と書かれている――そして、ガラケー。
 他にもまだいろいろ入っていたが、二つ折りの携帯電話に挟まれていた紙に『携帯電話型COMP』と書かれていたため茜は荷物の確認を一時中断した。

「これに、悪魔が?」

 COMPという物は初めて触るが、そこは花の女子高生、慣れた手つきで悪魔召喚へはスムーズに移行することができた。
 辺りを光が包み、茜は思わず腕で視界を遮る。
 視界が開けるよりも先に、茜の五感が真っ先に掴んだ情報は“熱い”であった。
 茜が恐る恐る目を開くと――そこには見上げるほどの大きさの溶岩石が立ちはだかっていた。

 ――否、よく見ると頭部や羽などが動いており、アニメやゲームに出てくる“竜”に酷似した姿であるとわかった。
 茶色くゴツゴツした肌に加え、心臓部や角、爪などが赤熱化していてまさに溶岩のようである。
 茜はしばしその姿に圧倒され、同時に見入ってしまった。
 竜の体温は非常に高く、ジリジリと表皮を焦がされるような感覚を茜は覚える。
 しかし、それはまるで真夏の太陽の様で、嫌いじゃない。
 むしろ心を蝕む恐怖さえ少しずつ焼かれていくようで、茜の冷えきった心に段々と血が通い始める。
 少しずついつもの自分が帰ってくる――茜はそんな感覚に喜びを覚え、今はただ何をするでもなくその熱を感じていたかった。
 
 一体どれだけそうしていただろうか、全く動きのない両者の膠着状態を崩したのは竜であった。
 召喚したのに何のリアクションも取らない茜に痺れを切らしたのか、“竜”は天高く咆哮を響かせる。
 その姿は第三者から見れば少女が襲われているようにしか見えないが、茜にはその咆哮が自分を励ます鼓舞に聞こえてならなかった。

「そう、だよね。こんなの私らしくない。……よしっ!!!」


476 : 私のハートは真っ赤に燃える ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 18:07:12 BZ38x5Mg0
 茜は両頬を強く張り、気合を入れる。
 もう茜の瞳に恐怖の色はなく、まるで希望の炎が灯っているかの様だった。
 
 果たしてあの咆哮が本当に鼓舞であったのかは、竜が人語を介さぬ故に知ることはできない。
 竜は世間に自分のテリトリーを犯すものには容赦はせず、逆に手出しをしなければ脅威ではない存在として知られていた。
 竜は茜の存在を自分のテリトリーだと認めたのだろうか、それはまだわからない。
 ただ気性の荒いはずの竜が、茜の眼前では静かに佇んでいるという事実は判断材料になりえるだろう。
 彼らは話すことはできなくとも、人語を理解することはできるのだから。
 
 茜は前に進む為に歩き出す、目下の目標はやはり殺し合いの阻止だ。
 白ランの少年の考えていることなど茜にはわからない。
 しかし、一度も対面せずに知らない人をこんなことに巻き込むなんて間違っていると思った。
 アイドルにだって面接は大事なのだ、茜は白ランの少年としっかり話をしたかった。 
 
 名簿や地図などを確認するために、茜は再びCOMPに視線を落とす。
 今はまだ悪魔召喚プログラムの画面が開かれたままになっている。
 そこには目前にいる竜の立ち姿とパラメータ、そして名前らしき『マグマハート』という文字が書かれていた。
 一度画面から視線を上げ、茜はマグマハートを見上げる。

「こんな所でウジウジしてはいられません!!! マグマハートさん、あの少年に一刻も早くこんな事をやめるように説得しに行きましょうっ!!!!!」

 普段から非常に声の大きい彼女だが、今はいつも以上に声を張り上げた。
 それは自分を高ぶらせる鼓舞なのか、ただ今まで気持ちが沈んでいた反動なのか。
 茜に共鳴するように、マグマハートも長い首を空へと向ける。

「うううう〜〜〜、ボンバーーーーーーーーーーっ!!!!!」
「グオォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!」

 1人と1匹の気合の雄叫びは、夜明けを告げる鶏の鳴き声よりも良く響いた。
 どこまでも、どこまでも、遠くまで。


【?????/1日目/朝】
【日野茜@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ガラパゴス携帯型)
[道具]:基本支給品、マハラギの石×?個(数は確認していません)
[思考・状況]
基本:どうにかして殺し合いを止める。
[COMP]
1:マグマハート@モンスターファーム2
[種族]:ドラゴン
[状態]:健康


477 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 18:07:36 BZ38x5Mg0
投下終了です。


478 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/03(火) 18:29:47 BZ38x5Mg0
早速なのですが、Wikiにて>>476の状態表を一部改訂しました。


479 : 東京幻魔 ◆TG0iuqWuQw :2016/05/03(火) 20:55:33 uctf63zA0
投下します。


480 : 東京幻魔 ◆TG0iuqWuQw :2016/05/03(火) 20:56:18 uctf63zA0
都内の住宅街の一角にある高校の校舎。
眼鏡をかけて、二つ結びにしたロングヘアを左右に流し、セーラー服を着た少女――大島田満子は2階の空き教室で支給品の確認を行っていた。
たしかに満子は金に困っている。ぜひ欲しい。しかし、殺人なんて言う犯罪者まがいの真似をしてまで得ようとは思っていない。魔神皇の態度も癇に障る。

とはいえ死ぬつもりはないので、歩いてすぐ見つけた校舎に入り込んで支給品の確認を済ませておくことにした。
確認した支給品の中から、鞘に収まった日本刀を入手。愛用の「鬼切丸」に比べれば格は劣るだろうが、上等な部類だろう。
日本刀を机に立てかけ、携帯ゲーム機を思わせる形状のCOMPを起動。メッセージが流れた事を確認したのと同時に、耳障りな轟音を彼女の耳が捉えた。

まず満子がイメージしたのはサイレン。校舎全体を震わせるような大音響は不吉なイメージを帯びている。加えて音の中に金属がこすれるようなノイズが混じっているのが聞き手を一層、不快にさせる。
そして満子が日本刀を持ち、支給品一式をすばやくまとめた時点で大砲を撃ちこまれたような破壊音が校舎内に轟いた。
確認する気はない。今の自分が持ちうる戦力では、これほどの轟音をもたらす相手に太刀打ちできないのはわかっていたので速やかに教室を出る。
廊下に達した時点で背後から、状況がより一層不穏な方向へ推移した事を告げる爆発音が聞こえたので、満子は思わず振り返った。

頭だ。風景に墨をぶちまけたような光沢の無い黒から黄色い嘴が突き出ている。
しかし嘴にはナイフのような歯が等間隔に並び、血が通っているとは到底思えない不健康な色の長い舌が伸びている。
満子の知る限りではカラスのイメージに近いが、頭部が自動車並みに大きい。
カラスを車両並みに拡大させて悪魔的アレンジを加えた漆黒の妖獣が壁面から頭部を突っ込み、満子がいた教室の窓際に並ぶ生徒机の群れを蹴散らして、身をよじりながらあの雑音交じりの耳障りな音色を奏でていた。

「(まだ来ないか…)」

先ほど確かにCOMPを起動させたが、悪魔はまだ現れない。
ここで待っている余裕もないので、満子は階段に向かって疾走する。

「(もし強い悪魔なら、あのカラスを何とかしてくれる!)」

弱い悪魔でも時間稼ぎにはなるだろう。
そんなことを考えながら隣の教室を半ばまで通り過ぎた際に、これまでとは違う調子の咆哮と破壊音が聞こえてきた。
すぐ後に何かが墜落する音。


481 : 東京幻魔 ◆TG0iuqWuQw :2016/05/03(火) 20:56:46 uctf63zA0
「(来たのか…)」

抜き放った日本刀を構えながら、ゆっくりと元いた教室を目指す。
その時、教室の扉が開き、人影が廊下に姿を現した。
全体的な印象は灰色。鎧に身を包んだ剣士といった風体だが、肌さえも白く、顎から首にかけて赤く染まっている。頭は白髪が反り返り、笠のように広がっている。
異形の剣士は満子を認めると、軽やかに一跳躍。満子の前にやってきた。

「緊急の様でしたので、こちらで判断したうえで、対応致しました。 御怪我はありませんか?」
「ああ……ああ」

灰白色の剣士は恭しく満子に一礼して、そう言った。彼に意識を向けつつ、壁に空いた穴に向かっていく。満子の身の丈ほどの穴から下をそっと覗くと、黒い塊が2つ見える。
剣士は満子が隣教室に達するまでのわずかな時間で召喚され、巨大カラスを撃破したらしい。そして満子の前で見せた身のこなし。おまけに人語を操る程度の知能まで持っている。

「…助かったよ。ありがとう」
「いえ、礼には及びません。かよわい乙女を危機から救う。男児の務めです」

振り返って礼を述べたが、剣士は受け取らない。
ただ、その言動がいちいち大仰で芝居がかっている。話している最中に緩急をつけながら立つ位置を変え、今はなにも無い方向に身体を向けている。

「いろいろ話したいこともあるが、ここは不味い。一旦場所を移すぞ」
「承知しました」

失礼しますと剣士は言って、満子の両足に片手を回し、空いたもう片方の手で上半身を受けとめ、抱え上げる。

「何すんだ…!」
「急ぐのでは?」
「……あぁ」

満子に凄まれるも、どこ吹く風。彼女が荷物を持ったことを確認すると、剣士は満子を抱えたまま壁の大穴から身を躍らせた。


482 : 東京幻魔 ◆TG0iuqWuQw :2016/05/03(火) 20:57:20 uctf63zA0
剣士はビルの壁面や、電柱で加速をつけながら滑空する。まもなく満子の指示で二人はとあるマンションの屋上に降りることにした。
満子が見た限り、これより高い建物は周囲に存在しない。

「助かったよ」
「いえ、軽いものです」
「都市伝説研究会の大島田満子だ。あんたは?」

満子は名乗り、手を差し出す。
これまでの行動を観察して、自分を害する意図はないらしいと満子は判断していた。
実力と性格含めて、彼は当たりの悪魔であると確信する。彼と円滑なコミュニケーションを取るべく、まずは自己紹介から始める。

「よくぞ聞いてくれました!」

問われた剣士は喜色満面で言い放ち、今しがた立っていた位置から2歩ほど下がる。

――名前を聞かれたのがそんなに嬉しいのか?

地雷を踏んだのではないと思うのだが……満子が困惑しつつ手を引っ込めると

「拙者の名前はァ…」

剣を持った右腕をだらりと下げ、左腕を胸に当てる。

「…ゴーガン、ダンテス!」

ダンテスは左脚を後ろに下げ、半身の姿勢をとる。右手の剣は中段に構え、剣先を満子の頭上に向ける。

「幻魔界最高のォ…」

手首のスナップだけでXの字を描き、剣を水平に振るいつつ、右回りに回転する。

「剣士ィ!」

最後に伸びた足を引き、ぴしりと背筋を伸ばして立つ。剣を垂直に立てて左手側に寄せ、左手は腰に添えられている。
ダンテスの顔に視線を向けると口元に薄く笑みを浮かべてはいるが、冗談の気配はない。
彼の名乗り口上を聞いた満子はというと

「(お、おおお?)」

糸が切れた。
首輪をつけられての殺し合いという異常な状況下でも冷静に思考しつづけた彼女だったが、ダンテスの個性的な名乗り口上により、緊張の糸が切れてしまった。
リアクションが無いことを訝ったダンテスから、声を掛けられるまで満子は呆けたように立ち尽くしていた。

【大島田満子@東京カラス】
[状態]:健康
[装備]:日本刀
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、携帯ゲーム機型COMP
[思考・状況]
基本:生き残る。
[COMP]
1:ゴーガンダンテス@鬼武者2
[種族]:幻魔
[状態]:健康


483 : 東京幻魔 ◆TG0iuqWuQw :2016/05/03(火) 20:57:48 uctf63zA0
投下終了です。


484 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 21:27:24 0rSIjbDM0
皆様投下乙です。

>>473
悪魔はうろついてるし悪の秘密結社はいるしで世界がヤバイですね……
そんでもって、ショッカーはショッカーだけど、ちょっと違うw

>>477
モンスターらしいモンスター来た!
元気のいいアイドルさんで何よりですが、果たして……

>>483
テンション差と温度差が激しいぞォ……?
まあ、殺し合いの場じゃあ緊張しますもんね……
あと、Wikiのページのタイトルにトリップキーが含まれていましたので、
こちらで該当ページを削除、新規ページを作成しなおしておきました。
しかし、候補話一覧の編集履歴からトリップが参照できてしまうので、
お手数ですがトリップの変更をお願いいたします。

さて、私も三作ほど投下します。


485 : 困惑 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 21:27:47 0rSIjbDM0
「あの、えっと、あの……」

 街角にある、小さなコンビニエンスストア。
 おどおどとした様子で、店内をうろついている、一人の少女。
 特徴的なのはストレートに伸びる、ロングヘアーの金髪。
 後ろに比べれば短いが、普通よりも少し長い前髪は、彼女の瞳をすっぽりと隠している。
 そして、明るい紫を基調としたメイド服に、奇っ怪な二本のアンテナを生やしている。
 名はティセ・ロンブーゾ、職業はメイドの、11歳の少女。いや、ただの少女と呼ぶには、少し語弊があるか。
 外見から察しが付いているかもしれないが、彼女はロンブーゾ博士の手によって作られた、所謂"自動人形"だ。
 内気で引っ込み思案だけれど、思いやりは人一倍ある。
 そんな優しい彼女が、不運にも魔神皇の手によってこの地へと呼ばれてしまった。

「うんと、その……」

 殺し合いという、とても暴力的な言葉。
 間近で見せつけられた、人が死んでいく光景。
 そして、自分の命を握っている、冷たい首輪。
 何もかも、何もかもが日常とかけ離れすぎていて、理解が追いつかない。
 これから何をすべきなのか、どう動くのか正解なのか。

「えっと……」

 考えようとすれば考えようとするほど、考えられない。
 側には誰も居ない、自分一人だけ。
 何をすればいいのか、わからない、わからない。
 軽いパニックを引き起こしながら、思考が連鎖して彼女の心を狂わせようとしていた時。

「あ、そうだ……」

 ふと、思い出した何かに突き動かされるように、ティセは袋へと手を入れる。
 取り出したのは、使われた形跡があまりない、一本のホウキだった。
 まじまじと見つめてはみるが、やはり何の変哲も無いホウキだ。

「うーん……?」

 握りしめる感覚も、使い慣れたホウキのそれと変わらない。
 いや、いつも使っているホウキと変わらないことが、今の彼女には有りがたかった。
 暴力的な世界の中で、ホウキを握っている自分だけは、今までと変わりのない、自分が知っている世界だから。
 それに安心したのか、ほっと一息ついた後、試しに一掃きしてみる。
 すると、電子音のような音が響き、同時にホウキがわずかに光を帯び始めた。
 彼女が驚く間もなく、光がホウキから放たれ、彼女の目の前に一つの影を作る。
 うっすらと現れていく輪郭は、"誰か"がそこに居ることを告げていた。

「ふう、次はここか……」

 いや、"誰か"というのは合っているのだが、間違っている。
 現れた影は、人なのだが、人ではなかった。
 くすんだ緑ののマントを羽織り、騎士風の鎧を身につけ、手に大きな両手剣を持つ者、それは――――

「…………か、カエルさん?」

【?????/1日目/朝】
【ティセ・ロンブーゾ@わくわく7】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ホウキ型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:どうしよう……
[COMP]
1:カエル@クロノ・トリガー
[種族]:英雄
[状態]:健康


486 : 隠者 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 21:28:23 0rSIjbDM0
「ない、ない、ない、あれもない、これもない、何一つない」

 少し明るめの茶色のバンダナ、大きな両耳のイヤリングに、ショートの金髪の、小柄な少女。
 名前は、ひとまず"まりん"とでも紹介しておこうか。
 彼女は今、人生最大のピンチに襲われている。
 もちろん、それはこの殺し合いに巻き込まれたことが起因しているのだが……。

「ちくしょー! あのイカれスカポンタン!! あたしの武器全部ボッシュートしやがって!
 こんなかわいいまりんちゃんに、素手で戦えっていうの!? 許すまじ!!」

 そう、彼女がいつの日も愛用している数々の暗器が、一つ残らず没収されているのだ。
 殺し合いという状況はそこまで恐ろしくはない、というかそれくらい恐ろしい状況はある程度やり過ごしてきた。
 だが、その状況をやり過ごせたのは、愛する暗器があったからだ。
 ナイフの一本すら無い丸腰の状況では、そこらの女子高生と何ら変わりはない。
 そんな状況で殺し合いに放り込まれるというのは、足をもがれたガゼルがライオンの檻に放り込まれるようなものだ。
 考えれば考えるほど、怒りはふつふつと湧いてくる。
 しかし、いくら怒りを募らせた所で、武器が空から降ってくるわけではないし、正義の味方が助けてくれるわけではない。
 ましてや、怒りに任せて叫んだとすれば、既に"やる気"の人間に見つかるかもしれないのだ。

「……しょうがない、切り替えよっか」

 募る怒りをなんとか抑え、ひとまず人通りの少なそうな裏路地へと駆け込んでいく。
 そして、あの憎き魔神皇の言葉をゆっくりと思い出していく。
 そういえば、この袋には道具が入っているんだったか。
 それを思い出した所で、袋の中に手を突っ込んでいく。

「お、ラッキーッ、スタンガンじゃん」

 手にしたのは、彼女が使い慣れた武器の一つ。
 いつも使っているやつほど出力は出ないかもしれないが、それでもないよりはマシだ。
 手際よく各部の確認を済ませた後、試しに一度放電を行おうとボタンを押す。
 ばち、ばちばち、っと、いつも使っているのと似たような音がする。
 威力はお墨付き、下手に使えばどうなることやら、と思っていた時だった。

「え? ええ? ええええっ?」

 一度押しただけだというのに、スタンガンの放電が止まらないのだ。
 ばち、ばちばち、ばちばちばちばちばちと次々にスパークし、光を生み出していく。
 何事かと、驚いた目で見つめている間に、それはあっという間に四方へと広がったのだ。

「お、おぉ〜〜……」

 過ぎてみれば一瞬の出来事だった。
 誤動作だろうかとは思ったが、その考えは一瞬で払拭される。
 目の前に映ったとんでもないものを見たのと、魔神皇が言っていたCOMPの話を思い出したからだ。

「これが、悪魔……?」

 そう、彼女の目の前に現れたのは。
 彼女と似たようなカラーリングの、一台の戦車だったからだ。

【?????/1日目/朝】
【まりん@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スタンガン型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:あのトンチキ(魔神皇)をシメる。
[COMP]
1:ロンメルゴースト@メタルマックス
[種族]:戦車
[状態]:健康


487 : 狩人 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 21:28:57 0rSIjbDM0
 緑のゴーグルキャップ、赤いシャツに青いネクタイ。
 顔にはまだ幼さが残る少年の名は、はんた。
 人一倍戦車のことが好きで、いつかは戦車乗りになることを夢見ていた、どこにでも居る普通の少年だ。
 だが、彼は今、魔神皇の手によって殺し合いという現場に放り込まれている。
 正直、未だに受け入れられない。
 人が二人死んだこと、これから殺し合いをしなくてはならないこと、自分が命を握られていること。
 理解しようにも理解できなかったし、理解したくなかった。
 いやな夢だと、思えることなら思い込んでしまいたかった。
 けれど、それは出来ない。
 首元から伝わる、確かな冷たい感触。
 あの少女の命を奪った首輪と、同じものが着けられているという、確信。
 それは、一連の出来事が全て"現実"であるという、十分すぎる証拠であった。
 どくん、どくん、どくんと、心臓の音が次第に大きくなる。
 すぐ側にある死の恐怖は、彼にとってはあまりにも重すぎて。
 これから起こりうるであろう可能性が、頭の中を渦巻く。

「……落ち着け、俺」

 ばしん、と強めに頬を叩いて、我に返る。
 それから、ゆっくりと二回深呼吸をして、呼吸を落ち着ける。
 冷静になる術はそれぐらいしか知らなかったが、十分役に立った。
 心音と呼吸のリズムがいつもどおりにになった所で、今の自分の状況を改めて確認する。
 持たされた、というより気がついたら隣にあったのは、一つの袋。
 魔神皇が手配したものであることは、容易に想像がつく。
 であれば、彼の言っていたCOMPもそれに入っているのだろう。
 そう思って、彼は少し大きめの袋の中に手を入れる。

「ん、これは……?」

 現れたのは、ドラム缶だ。
 まさかな、とは思ったが、見紛うことなく、ドラム缶だった。
 本当にこれがCOMPなのだろうか? にわかには信じがたいことだ。
 試しに触れてみると、首輪とはまた違うひんやりとした感覚が伝わる。
 流石に、これがCOMPなわけがないか、と思った瞬間、赤錆びたドラム缶がキラリと輝いた。
 見間違いか、と手を離して目を擦る。
 けれど、そこには赤錆びたドラム缶が鎮座しているだけ。
 やはり気のせいか、と思ったその時だった。

「なんだ、子供じゃないか」

 突然の誰かの声に驚きながら、はんたは声の方へ振り向く。
 少し古ぼけた革のジャケット、深い蒼の髪と、くすんだゴーグル。
 そんな外見の、剣を持った一人の男が立っていた。

「俺は……俺は、ソード。しがない賞金稼ぎさ……」

【?????/1日目/朝】
【はんた@メタルマックスリターンズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ドラム缶型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:協力者を募る
[COMP]
1:ソード@バウンティソード
[種族]:英雄
[状態]:健康


488 : 狩人 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 21:30:15 0rSIjbDM0
投下終了です。
また、皆様のご投下のおかげで、登場候補話が100にさしかかって参りました。
少し早めですが、候補話のページをもうひとつ作りましたので、
101話以降の方は、そちらにタイトルを追記していただけると幸いです。


489 : ◆T3rvSA.jcs :2016/05/03(火) 21:36:47 9mxvr2Os0
二つ続けて投下します


490 : 構造上の欠陥は中の人が補います ◆T3rvSA.jcs :2016/05/03(火) 21:38:01 9mxvr2Os0
GYAAAAAAAAAAHAAAAAAAAA!!!」

吼える悪魔。その足元に転がるのは金髪碧眼に白皙の肌の眼鏡の少女、あり得ない方向に捻じ曲がった四肢と首が、受けた暴力を物語る。





「はあ…困りましたねえ…」

ショッピングモールの中を歩く一人の眼鏡の少女。金髪碧眼に白皙の肌だが、当人は日本人である。ハーフだが。

「武器になるものが無いんですよねえ。ナイフとは言いませんが」

適当に物色してみるが、手頃な獲物が無い。ついでに周囲には人の気配も何も無い。

「赤い夜みたいですねえ。あんなに気味悪くも無いですし、闇精霊(ラルヴァ)も襲って来ませんけど。代わりに悪魔が来ますけど」

先刻襲われた時は武器が無い為に抗する術が無くやられてしまった。生まれついての超再生能力でで死ぬことは無いがアレはアレで痛いのだ。
はああ…と溜息をついて喫茶店に入り、椅子にかけるとCOMPを取り出した。

「支給品は私の服が五着、しかも下着付き……一体いつの間に私のスリーサイズを!?まさかあの人は私の魅力にメロメロになったストーカー!?」

静寂。

「誰も突っ込んでくれないというのは寂しいです」

手にしたCOMPはアームターミナル型。腕に装着し、操作を開始する。

「え〜と、FullMetalJustice MASAMUNE……?何でしょうかね?」

召喚、眩い光に目を細め、待つ事暫し。

「DAAAAAAAAIAHHHHHHHHH!!!」

「ウヒャア!?」

出て来たのは2mほどの巨大な金属製の天牛虫(カミキリムシ)

「えーと?どなた様ですか?」

「相州五郎入道正宗!この世に正義を為すために罷りこした!!」

「正義…ですか?」

暫し見つめ合う両者。

雪子の脳裏に子供の頃の光景が去来する。内戦の為に兵士として駆り出され、死んでいった仲間達の姿が。
戦う事を強要されているのは、あの時と同じ。強要する者に抱く敵意もまた同じ。

「正宗さんは、魔神皇をどう思います?」

「フン、そこいら中から人間を集めて来て殺しあわせるなど、悪鬼の所業!許されぬ!!」

「私もです!一緒にに戦いましょう!!」

このカミキリムシの致命的な欠点に雪子が気づくのはもう少し後のことであった。





【?????/1日目/朝】
【広原雪子@11eyes -罪と罰と贖いの少女-
[状態]:健康
[装備]:COMP:アームターミナル型
[道具]:基本支給品、私服×5
[思考・状況]
基本:
1.殺し合いを止める
2.魔人皇の打倒
[COMP]
1:相州五郎入道正宗
[種族]:劔冑
[状態]:損傷無し


491 : 裏ボス爆誕 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/03(火) 21:39:02 9mxvr2Os0
東京都庁周辺は破壊の限りを尽くされていた。
新宿中央公園で召喚を行った赤いタキシードの男が、COMPより召喚した赤い鬼人と戦い出してから一時間。中央公園には深い破壊の後が刻まれ、舞台を都庁前に移した鬼人と魔人の死闘は、より激しさを増していた。

拳と拳が激突する度に、周囲を暴風が荒れ狂い。踏み込む足は文字通り大地を揺らし。激突する闘気の渦は周辺の物を宙に舞いあげ、微塵と砕いて行く。

「むうん!」

鬼人の放った灼熱の波動を魔人はサイドステップで回避し、滑る様な動きで一気に間合いを詰める。後方の車を波動が直撃し爆発。周囲の車も次々に燃え上がるが、最早現在の惨状においては僅かな被害の上乗せに過ぎない。
人の域を超えた速度で猛然と近づいてくる魔人に対し、鬼人は拳を天に突き上げる。

そして――――

鬼人が拳を地面に叩きつけるた瞬間。鬼人を中心に直径三十mに渡って路面が陥没し、魔人のバランスを崩し、その動きを止める。

「かあっ!」

魔人が立て直す刹那の隙に、跳躍して放った足刀。生じる炸裂音は音の壁を鬼人が越えた証。鋼すら砕く足刀が魔人の喉を捉え、遥か上空に吹き飛ばした。
間髪入れず放たれる滅殺の波動豪弾。未だ宙にある魔人は空を翔ける事は出来ず、故に直撃は免れ得ぬ――――が、道理の外を行くが故に魔人。飛ばされながらも両腕を広げ、左右の手に破滅的な闘気を収束していた。

飛ばされた勢いを利用し、身を捻りつつ空中で半回転、空中で倒立した姿で鬼人を睨み据える。

「跡形も無く散れい!!!」

放たれるる破壊の乱流。一撃一撃が戦車すら打ち砕くエネルギーの壁を十二発立て続けに撃ち放つ。
鬼人の放った波動豪弾は二つまでは突破したものの三つ目と相殺し、残り九撃が鬼人に降り注ぐ。

至近に落ちた雷すら遥かに凌ぐ轟音が九度。路面に大穴が空き、鬼人はその中に消えていた。

鬼人の消失を確認した魔人の爪先が地に触れると同時、路面が爆発し拳を天に向けた鬼人が地下より飛び出して来る。
完全に不意を突かれた魔人の顎を拳が捉え、鬼人の跳躍に合わせて魔人の身体を天へと運ぶ、

「「オオオオオオオオオオッッッ!!!」」

咆哮する鬼人と魔人。鬼人の波動弾と魔人が腕を振り上げて発生させた衝撃波が互いを捉え、蓄積されたダメージに新たな痛みを上乗せする。
しかし両者は怯むこと無く拳脚を相手に叩き込む。一撃一撃が絶技にして生物の域を超えた暴威を持つ攻撃を応酬し、決定打を得られぬまま地に降りるなり飛び離れた。

路面が二箇所、同時に爆発した、轟く轟音は二つの筈が、完全に同時に発生した為に一つの轟音としか聞こえない。互いの間の距離を秒にも満たぬ時間でゼロにすると、鬼人と魔人は“これが最後になる”と、互いに理解している激突を開始した。

鬼人が放つ至極の拳技、一瞬千撃の拳の嵐が魔人の身体を捉え、撃ち、砕き、破壊する。この技を受ければ為す術は無い。一瞬に繰り出される無数の拳撃に滅びるのみ。


492 : 裏ボス爆誕 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/03(火) 21:41:41 9mxvr2Os0
しかし――――

如何に一瞬千撃の至極の拳技といえども、一撃一撃は今までに鬼人の放って来た拳技。
故に魔人は、吹き荒れる暴威をある程度は受け、捌き、流し、避けることに成功していた。
そしてその最中で鬼人の攻撃を更に見切り回避して行く。攻撃の嵐の中で、常人なら絶命する一撃を無数に受けながら。

そして、ほんの一瞬だが両者にとっては永遠とも言うべき刻が過ぎ去り。
鬼人の千撃は魔人を斃す事は能わず。
鬼人の動きが止まった刹那に魔人は動く。孤を描く様に脚を振り上げ鬼人のの身体を斬り裂く。
深々と身体を斬り裂かれ、鮮血を迸らせる鬼人の頸を鷲掴むと凄まじい速度で走り、都庁に鬼人の身体を叩きつける。
髑髏の浮かぶ光の柱が立ち上り、都庁のガラスが全て微塵に砕け散る。
完全に動きの止まった鬼人の心臓に貫手を刺し込み、そのエネルギーを吸収して行く。
鬼人の眼から光が完全に失われた時、そこには魔王とも称すべき存在がいた。




【東京都庁/1日目/朝】
【ゴッド・ルガール@CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001 】
[状態]:健康
[装備]:COMP:タブレット型
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]
基本:
1.闘う
2.魔人皇の殺害、その力を奪う。
3.新宿中央公園から都庁にかけてかなりの破壊が発生して今す
4.都庁の前には大穴が空いています
[COMP]
1:真・豪鬼@ストリートファイターシリーズ
[種族]:鬼人
[状態]:死亡


493 : ◆T3rvSA.jcs :2016/05/03(火) 21:44:59 9mxvr2Os0
投下を終了します

>>490
出展名を話忘れていました
相州五郎入道正宗@装甲悪鬼村正

>>443
ありがとうぎざいます


494 : 東京幻魔 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/03(火) 21:49:14 uctf63zA0
>>483

確認しました。
ありがとうございます。


495 : 名無しさん :2016/05/03(火) 23:04:17 5BEiwIL.0
人型多いね
モンスター系が少ないのは何故だろう


496 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/03(火) 23:13:39 tVZLTidk0
2本投下します


497 : でもこの風、少し泣いています ◆NIKUcB1AGw :2016/05/03(火) 23:14:35 tVZLTidk0
セーラー服を着たその少女は、河原に座り込んでいた。
彼女はこの状況に恐怖すると同時に、わずかながら不謹慎とも取れるときめきを感じていた。
少女はたいていのクラスメイトと友好的な関係を築いている社交的な人物であったが、同時にかなり痛々しい中二病だった。
つまり、この非現実的な状況にワクワクしてしまっているのだ。

(これが……COMP……)

手にしたタブレットを見つめながら、少女は心中で呟く。
その頬は、興奮で赤く染まっていた。

(これを使えば、悪魔が……。いったいどんなのが出てくるんだろう。
 風使いとかだったら……ふふ……)

自分の書いている小説の主人公のような好みドストライクの悪魔が出てくることを期待しつつ、少女は操作を続ける。
やがて、COMPに収められた悪魔の名前が表示された。

「…………」

少女のテンションが、目に見えて下がった。
表示された名前が、あまりかっこよくなかったからだ。
それでも一縷の希望を胸に、少女は召喚の操作を行う。


「俺はエアーマン。この俺を従えられることを、光栄に思うがいい」


現れたロボットを見る少女の表情は、それはそれは微妙なものであった。


【?????/1日目/朝】
【文学少女(やっさん)@男子高校生の日常】
[状態]:健康
[装備]:タブレット型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:困惑中
[COMP]
1:エアーマン@エアーマンが倒せない
[種族]:マシン
[状態]:正常


498 : 走る男、飛ぶ女 ◆NIKUcB1AGw :2016/05/03(火) 23:15:30 tVZLTidk0
走る。走る。
サングラスをかけたその男は、ひたすら走り続けていた。
どこを目指しているのかは、誰にもわからない。
ひょっとしたら、本人もわからないのかもしれない。

「ギャオオオオ!」

彼の進行方向に、犬のような姿をした1匹の悪魔が現れる。
だが男はまったく意に介さず、一定のペースで走り続けていた。
近づいてくる男に、悪魔は牙を突き立てるべく突進する。
だが次の瞬間、空から現れた何かが悪魔と交錯した。

「ゴ……ギャ……」

あまりの速さに状況を理解できぬまま、首を切断された悪魔は息絶える。
そして首をはねた張本人は、男の前に降り立った。

「まったく、危機感がないにも程があるわよ! 何やってるの!」

それは、細身の女性だった。
だが普通の人間とは違い、腕が鳥の翼のように変形している。
またそれとは別に、背中には金属の翼を背負っていた。

空中最速の生物・ハリオアマツバメ。
未来の科学力によりその特性を与えられた人間こそが彼女……三条加奈子であった。

「ちょっとは殺し合いの場にいるって自覚を持って……って、おーい!」

自らを召喚した男に対し説教を続けようとした加奈子であったが、その間にも男は走って行ってしまっていた。

「いいかげんにしなさい! どこ行くつもりよ、あんた!」
「ここがどんな場所であろうと、俺は走り続けるだけだ。
 俺にできるのはそれだけだからな」

こめかみに血管を浮かべる加奈子にそう答えると、男はなおも走り続けた。


【?????/1日目/朝】
【ランナー@Runner】
[状態]:健康
[装備]:サングラス型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:いつかたどり着いたら、君に打ち明ける
[COMP]
1:三条加奈子@テラフォーマーズ
[種族]:鳥人
[状態]:健康


499 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/03(火) 23:16:08 tVZLTidk0
投下終了です


500 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 23:22:54 NT3jQkmM0
お二人共投下乙です。

>>490
ハザマくんはちょっとメンヘラみたいなところあるから、下着のサイズくらいバレてても仕方ない(確信
しかしテンションが高いもの同士、どうなるやら

>>492
あっ、ふーん……やっぱりな(レ)
なるほどゴッドルガール、その考えはなかったです。
それと、悪魔が死亡した際は、キャラクターの死亡と同じ感じで死亡表記を付けていただけると幸いです。
ルガールのCOMP欄は「悪魔なし」とでも明記していただければ!

>>497
めっちゃドヤってるけどテンション下がってるーー!?
しかしロックマン出典ではなく、歌出典となると、また強敵そうですね……

>>498
話を聞かないオッサンきた! どうみてもアレ! 何とは言わないけど!
厄介な人を引いてしまう悪魔さんサイドにも問題が……

さて、立て続けになりますが自分もさくっと三作投下します。


501 : 挑戦 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 23:23:16 NT3jQkmM0
「マンマミーア」

 開口一番、男はそう呟いた。
 女性を攫うゴリラの捕獲や、新種ウィルスの撲滅、ビルの解体業など様々な経験を積んできた。
 だが、本業はしがない配管工である自分が、まさか殺し合えと命じられることになるとは、考えもしなかった。
 嘘だ、と思えたならば、どれだけ楽だっただろうか。
 しかし、耳には少年少女の悲痛な声が残っているし、首には自分の命を握っている首輪がある。
 極めつけに、手袋を嵌めた時に出てきた顔だけの"悪魔"が、今自分の目の前にいる。
 これだけ揃えば、今起こっていることを流石に認めざるを得ない。

「オキドキ……」

 困惑する。
 人を殺さなければ生き残れない、けれど誰かを殺したくはない。
 かといって、誰かに殺されるわけにもいかない。
 考えても考えても、答えは出ない。
 そして、思考がループに陥りかけた時。

「イヤッフゥ!!」

 彼は、吹っ切れた。
 そうだ、今までだってやってきたじゃないか。
 女性を攫うゴリラの捕獲なんて、やったことはなかったけれど、気合と根性でなんとかした。
 薬学の知識なんて忘れかけていたけど、新種ウィルスの撲滅は成功した。
 古ぼけたビルも、ハンマー一つでぶち壊してきた。
 ボクシングの審判も、テニスの審判も、なんとかやってきた。
 だから、同じようにやってみればいい。

 殺し合いを止める、という事も。

「ヒィウィゴォゥォ〜〜!!」

 もう迷わない。

 やるべきことは、決まったのだから。

【?????/1日目/朝】
【マリオ@マリオブラザーズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(手袋型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める、やってみる。
[備考]
※単なる配管工です、キノコ食って巨大化とかしません
[COMP]
1:川島隆太教授@脳を鍛える大人のDSトレーニング
[種族]:電霊
[状態]:健康


502 : 空気 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 23:23:31 NT3jQkmM0
―――――――― 風 雲 拳 ――――――――

 それは実戦空手道とブーメランを組み合わせたまったく新しい格闘技である。

 そしてこの若者の名はハヤテ、風雲拳の奥義を極めた男だ

 今、最強の魔神皇に挑む!
            
「うおぉぉぉぉぉおおおおおーーーー!!」

【?????/1日目/朝】
【赤座あかり@ゆるゆり】
[状態]:健康
[装備]:COMP(酸素ボンベ型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:絶対に生きる。
[備考]
※本当はいろいろ問答とかあったんですけど、影が薄くて呼び出したハヤテの勢いに飲み込まれてしまいました。
[COMP]
1:ショー・疾風@風雲黙示録(THE KING OF FIGHTERS)
[種族]:狂人
[状態]:うおぉぉぉぉぉおおおおおーーーー!!


503 : 適当 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 23:23:47 NT3jQkmM0
「うへぇゲロゲロ、なんだかメンドーなことになっちゃったよん」

 特大のため息をつきながら、気だるそうな言葉を吐いている、一人の少女。
 殺し合いを命じられたというのに、特に慌てる様子は見えない。
 寧ろ、おちゃらけた言葉を並べられるほどには、落ち着いている。
 それもそのはず、銀髪のショートヘアの彼女、アンヘルの正体は、秘密結社ネスツの一員。
 人を殺す、殺さないを通り越した、非人道的な行為すら行っている組織に与する者だ。
 だから、殺し合いを命じられた程度では動じない。
 しかし、それとは別に彼女を悩ませる種があったのだ。

「べっつにぃ、こんな殺し合い、アンヘル様一人で十分だ! なんてどっかのグラサンみたいな事も言えるけれど。
 魔神皇くん、だったけ。あ〜んなガキんちょの言いなりってのもムカつくしぃ〜〜〜〜」

 そう、殺し合いを円滑に進める、つまり他人を殺して回るということは、魔神皇の言いなりになるということ。
 それが可能なだけの力と技術はあるが、最後の一点だけはどうしても気に食わない。
 あんな外の光をろくに浴びたこともなさそうな根暗モヤシの人形になるくらいなら、死んだほうがマシだ。
 だから、少なくとも今のところは積極的に人殺しを行うつもりはない。
 今までどおりテキトーに動いて、メンドーな戦いは避けて、テキトーに生き延びていけばいいのだ。
 まあ、向こうから喧嘩を売った奴や、1mmでもムカツクことを言った奴、そんでもってこの状況を作った魔神皇は、例外なく死刑なのだが。

「そう言えば悪魔がどっちゃら言ってたねぇ〜、これかな〜?」

 その時、ふと魔神皇の言葉を思い出した彼女は、袋からあるものを取り出す。
 それは、くりくりとした目玉がちょっとコワイ、一匹の寸胴な人形。
 どうやら、これが"COMP"らしい。
 どうやって扱うのかは、検討もつかない。

「てなわけで! 一人も寂しいし、アタシと遊んでくれる"悪魔"くん! カモン!!」

 とりあえず、適当にカッコつけながら、空に人形をかざしていく。
 すると、目を見開いた人形の口がゆっくりと開き、そこから光を吐き出しはじめた。
 成功か、と喜んだのも束の間、現れた者の姿は、なんとも意外性のない正体だった。

「ええ……いくらなんでも過ぎない?」

 彼女の目の前、光を纏って現れたのは、一匹の鶏だった。
 話し相手どころか、意思疎通すら図れそうにない相手の出現に、さすがのアンヘルも落胆の色を隠し切れない。
 だが、彼女は気づいていない、いや、気づくわけがない。

 その鶏が、最も恐ろしい"復讐者"であることを。

【?????/1日目/朝】
【アンヘル@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ファービー型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:テキトーに生き残る、メンドーは避ける、ムカツク奴は殺す。
[COMP]
1:コッコ@ゼルダの伝説
[種族]:凶鳥
[状態]:健康


504 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/03(火) 23:24:02 NT3jQkmM0
以上で投下終了です。


505 : ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 04:14:39 cgAdBRo.0
投下します


506 : サイ ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 04:16:11 cgAdBRo.0
「殺し合い…か」

黒髪に、前髪だけを金髪という少し変わった配色の髪をした少年――進藤ヒカルの表情は、暗い。
しかしその表情の理由は、この理不尽な場所に呼び出されたからではない。

「願いをなんでも叶えるって…本当なのかな」

魔神皇と称していた少年の言葉に、心が揺れる。
願いを叶える。
もしも、それが本当なら…

「佐為に…もう一度会えるのか?」

今から2年半ほど前のこと。
小学6年生だったヒカルは、祖父の家の蔵の中にて、血のシミがついた碁盤を発見した。
そして、そこでとある霊に取り憑かれることとなったのだ。
藤原佐為という、平安時代の天才棋士に。

佐為と出会ったヒカルは、徐々に囲碁の面白さに惹かれていき、やがてプロにまでなった。
だが、プロになって間もないある日、いつものように佐為と対局中、彼は突然消えた。
ヒカルは佐為を探し回り、広島にまで足を伸ばすも見つからず、そうして絶望に陥った。
プロの棋戦をサボり、碁を打つこともなく毎日佐為が戻ってくるのを願い続けていた。
この殺し合いに呼ばれたのは、そんな最中のことである。

「佐為……俺は…俺は……!」

進藤ヒカルは、囲碁の腕以外、どこにでもいるただの中学生だ。
当然、人殺しなどしたことがない。
だから怖い。そう思うのは当然だ。
それに、一度殺してしまったら、もうあの日々には戻れないかもしれない。
仲間やライバル達と切磋琢磨しながら強くなっていった、あの日々には。

それでも。


「お前に、もう一度会いたいんだ…!」


それでも、彼は決意した。
決意してしまった。
どんなことをしてでも、たとえ悪魔に魂を売ってでも、佐為を取り戻すのだと。


「俺は打てなくたっていい!
 お前ともっと、話したいんだ!
 お前の碁を、もっと見たいんだ!」


藤原佐為は、天才棋士だ。
自分では到底及ばないほどの。
本因坊秀作は、そんな佐為の凄さを知っていたからこそ彼に打たせたのだ。
だが、自分はそんなこと知らなくて。
強くなってそれを知った後も、自分の事ばかり優先して。
あいつに、ろくに打たせてやれなかった。

だから、佐為が戻ってきたらめいいっぱい打たせてやろう。
俺は打たなくていいんだ。
俺なんかより、あいつの方が…神の一手を目指すべきなのだから。


507 : サイ ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 04:17:23 cgAdBRo.0
●〇  ●〇   ●〇   ●〇   ●〇   ●〇   ●〇   ●〇   ●〇


「これがCOMPってやつか…」


『細やかながらCOMPには君たちの"友"となりうる悪魔を封じ込めておいた。』


ふと、魔神皇の言葉を思い出す。
友、か。
あいつが出てきてくれたら、嬉しいんだけどな。
そんなことを考えながら、ヒカルは悪魔を呼び出した。
出てきたのは。

「サイ…?」

なるほど、確かにそれは"サイ"だった。
ただし、サイはサイでも…


「ギャオース!」


…サイドンだった。


【?????/1日目/朝】

【進藤ヒカル@ヒカルの碁】
[状態]:健康
[装備]:COMP(モンスターボール型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:優勝して、佐為を取り戻す
[COMP]
1:サイドン@ポケットモンスター
[状態]:健康


508 : ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 04:17:58 cgAdBRo.0
投下終了です


509 : ◆Hc1VAagKMg :2016/05/04(水) 04:47:33 OtfeM/U.0
投下します


510 : 神々 ◆Hc1VAagKMg :2016/05/04(水) 04:48:30 OtfeM/U.0
 パチパチパチパチパチパチパチパチ
 拍手の音が響き渡る。
 音の出処、紫色のスーツを着こなした遊び人風の男が楽しそうに、本当に楽しそうに笑いながら手を叩く。

(イッツ・ワンダフル! いやー、本当に君は最高だよ魔神皇君。
 よくこんな素晴らしいショーを開いてくれたよ。それによくボクを参加させてくれた。心の底から感謝してあげるよ)

 一頻り手を叩いた後、満足した男はその行為を止めて今度は荷物を漁りだす。
 顔は笑顔のまま変わることはなく。

(それにしても彼、ちゃんとボクの事は解っていて連れて来たのかねぇ? それとも……)

 男が取り出したのは2つ折りに出来る画面を2つ持つ携帯ゲーム機。これが彼に支給されたCOMPであった。
 COMPを起動し、手慣れた手つきで操作していく男。
 その画面上に表示された自分に与えられた悪魔の名前。それを見た一瞬の間だけ男の顔から笑顔が消える。

(おやおや、ナオヤ君製の改造COMPにこの悪魔……こんな嫌がらせまでしちゃって。ちゃんとボクの事知っていたみたいで嬉しいよ)
「まあ、せっかく貰ったんだから使ってやろうじゃないか。出ておいで『オーディン』」

 決定ボタンが押される事で、この場に魔神『オーディン』が姿を表わす。
 鍛え上げられた肉体。頭の左右に伸びる大きな角。手に持つ見事な槍。
 そして長く伸ばされた立派な白髭を蓄えた、人間によく似た老人の姿が。

「……あれ?」
「ふむ、お主がサマナーか。ワシの名はオーディン!……どうした? 鳩が豆鉄砲を食ったような顔などして?」

 予想とは違った悪魔が出てきた事でフリーズを起こしていた遊び人風の男は、オーディンに心配される事でようやく再起動する。

「えーと、あなたがオーディン…さん? じゃあ手にしたそれはグングニル?」
「如何にもそうであるが」
「ボクの知ってるオーディンと違うんだけど……どゆこと?」
「お主何を言っておるのだ?」
「………………まあ、いいや」

 暫くの間無言で向かい合った後、結局考える事を止める遊び人風の男であった。

「それでオーディンさんはこうして何もしてこないって事はさ、ボクに従ってくれる意思があるって事でいいのかい?」
「ふっ、そうだな、ワシは既に望みを叶え終わった身。お主がワシどう使おうが一向に構わん」
「へぇ、そいつは好都合」

 ニヤリと人の悪い笑顔を浮かべる。

「ボクはね、このショーに参加した人間達がどんな運命を辿るのか見て回るつもりなのさ。
 だから極力戦うつもりはないんでね、オーディンさんが戦いを望む悪魔だったらどうしようかと思ったよ」

 殺し合いをショーと評した事にオーディンは僅かに不愉快そうな顔をするが、遊び人風の男はそれに気づいていながら気にも留めない。
 それどころかオーディンの肩を親しげにポンポンと叩きながら言葉を続ける。

「戦うつもりはないと言っても当然降り掛かる火の粉は払うからさ、その時はお願いしますよ」
「……まあ好きにするといい」
「ええ、好きにさせて貰いますとも。じゃあ必要になるまでCOMPの中に引っ込んでてくださいねー」

 オーディンを引っ込め遊び人風の男は歩き出す。
 その顔に既に困惑の色などなく、初めと同じ様に本当に楽しそうな笑みを浮かべて。
 ククククク……と笑い声を漏らして。

(あの『オーディン』は予想外だったけど、むしろ都合が良くて助かったなぁ。
 これはショーが終わった後はちゃんと魔神皇君にお礼を伝えてやるべきだな。
 ああ、それにしても楽しみだ。人間達はここでどんな姿を見せてくれるのかな)



【?????/1日目/朝】
【遊び人風の男(ロキ)@女神異聞録 デビルサバイバー】
[状態]:健康
[装備]:携帯ゲーム機型COMP(任天堂DSのような見た目)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:大いに楽しむ
[COMP]
1:オーディン@Sa・Ga2 秘宝伝説
[種族]:魔神
[状態]:健康


511 : ◆Hc1VAagKMg :2016/05/04(水) 04:49:06 OtfeM/U.0
投下終了です


512 : ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 09:49:33 cgAdBRo.0
投下します


513 : 「100万Gの男」「2000万ガルドの男」 ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 09:51:49 cgAdBRo.0
破界事変。再世戦争。
それらの戦いにて仲間達と共に戦い、二度にわたり次元将ガイオウを倒したクロウ・ブルースト。
戦いが終わり、またいつもの借金返済の生活に戻る…はずだった。





「…金が無い…」


ポツリと、つぶやくクロウ。
この場に連れてこられる前、こつこつと貯めていたはずの金が、どこにもないのだ。
一応マッカとかいう金貨はあったのだが、どうみても別世界の代物で、クロウの世界の金ではなかった。

「あの野郎、俺の金を奪いやがったな!」

魔神皇に対し、怒りを募らせる。
実際に本当にあの少年が金を奪ったのかどうかは知らない。
ただ、どちらにしてもクロウはこんなふざけた催しに乗ってやる気などないし、元凶である彼をぶちのめすつもりだ。
借金は返したいが、その為に人殺しなんてものをやるのは主義じゃない。

「騒いでもしかたない、か…」

とりあえず失った金についてはひとまず忘れて、クロウはタブレット型のCOMPを取り出した。
あの魔神皇の話によれば、これに悪魔とやらがいるらしいが。

「どうするかな…」

召喚するべきか、悩む。
どうやら悪魔を召喚する為には先ほど見かけた金貨、マッカを払う必要があるらしい。
一応初回は無料らしいが、借金返済の為に倹約にいそしむクロウとしては、無駄遣いはあまりしたくない。
異世界の通貨とはいえ金は金であり、この世界における生命線だ。

「背に腹は代えられねえ、か…」

とはいえ、戦力を確認しないのもまた愚の骨頂。
今の自分には頼れる愛機、ブラスタはないのだ。
ジークンドーの心得はあるとはいえ、それだけで身を守れるなどと思っていない。
まあ、タダより安いものはないというし、ここは出し惜しみする場面ではないだろう。
覚悟を決め、クロウは悪魔を召喚した。


514 : 「100万Gの男」「2000万ガルドの男」 ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 09:52:30 cgAdBRo.0
出てきたのは、自分と同じか少し下くらいの年齢と思われる青年だった。
どこにでもいそうな人のよさそうな普通の青年に見えるし、とても悪魔などという代物には見えない。

(こいつ…)

しかしクロウは、感じ取っていた。
この青年の雰囲気や所作から、あることを。
この青年、一見普通の人間に見えるが…


(こいつ…俺と同じ匂いがするぜ!)


そう、クロウは感じ取っていた。
目の前の青年から、自分と同種のなにかを。
それは、友人であるデュオや青山に感じる「貧乏くじ」というシンパシーに似ている。
しかし彼からは、貧乏くじ同盟のメンバー以上に、自分に似たものを感じるのだ。

「ああ…俺はクロウ・ブルーストだ」
「俺はルドガー・ウィル・クルスニク。よろしくな」

ひとまず自己紹介をするが、やはり気になる。
思い切って、クロウは聞いてみた。

「ルドガーか…一つ聞いていいか?」
「?ああ…」
「お前…借金してないか?」

クロウの問いに、ルドガーは驚いた表情を見せる。
そして、やがてコクリと頷いた。
思った通りだ。


「…いくらだ?」
「…2000万」
「にせんまんんんんんっ!」


あまりの額に、クロウは驚きの叫び声を上げてしまった。
なんてこった。
世の中にはこれほどの借金を背負った奴がいるのか。
「100万Gの男」なんて、まだ可愛げがあるじゃあねえか。

「……………」
「……………」
「…まあ、強く生きろよ」
「…ああ」

それだけしか、かける言葉が見つからなかった。


【?????/1日目/朝】

【クロウ・ブルースト@第二次スーパーロボット大戦Z】
[状態]:健康
[装備]:COMP(タブレット型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇をぶちのめし、金を取り返す
[COMP]
1:ルドガー・ウィル・クルスニク@テイルズオブエクシリア2
[状態]:健康


515 : ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 09:53:01 cgAdBRo.0
投下終了です


516 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/04(水) 12:27:03 7BMWEnsc0
投下します


517 : この悪魔と共に殺し合いを! ◆7PJBZrstcc :2016/05/04(水) 12:27:53 7BMWEnsc0
 学校。
 それは学生たちが勉学に励み、友達と何気ない日常を過ごすそんな場所。
 そして俺がずっと来なかった場所。
 そんな場所で俺、佐藤和真は。

「どうしてこうなった……」

 教室で頭を抱えていた。
 抱えている理由は魔神皇が言った殺し合いだ。

 俺は確か、今日発売の人気ネットゲームの初回限定版を手に入れて家に帰る途中だった。
 そこまでは覚えてる。
 だが気付いたらいきなり体育館らしい所に居て、殺し合いを強いられた。
 訳わかんねえ。

「大体何だよ悪魔って」

 居るわけねえだろ、って言いたいけど今の現状を見ると居ないと思うのも間違ってるような気がする。
 しょうがないので支給された者を確認することにした。
 最初に出てきたのはスマホだった。

「これがCOMPか?」

 そんな事を言いながら俺はスマホをいじる。
 少しくスマホをいじっていると、『悪魔召喚プログラム』と書かれたアプリが出てきたので俺はそれを起動する。
 すると目の前に、人型だけどどうみても人間に見えない奴が現れた。
 イメージとは何か違うけど、確かに悪魔だと言われたら信じそうな外見だ。

「えーと、お前が悪魔か?」
「……」

 どうしよう、何にも言ってくれない。
 これじゃコイツが強いのか弱いのかすら分からない。
 え、何? 喋れないとかそう言う感じ?

「どうするんだコレ……」

 強いのならいい。
 弱くても何とかやりようはあると思う。
 だけど自分に与えられた戦力が分からないのは超困る。

「クソ、説明書ないのか説明書!」

 1から10まで説明してくれるとは思ってないけど、流石に0は酷いだろ0は!
 いや殺し合いに巻き込む時点で酷いけど。
 そんな思いが通じたのか、次に出てきた支給品は1枚の紙だった。
 そこには『クラフト・ワーク説明書』と書かれていた。
 俺はそれを読み始める。

『君に支給された悪魔は喋る事が出来ない上に意思がないので、こうして特別に説明書を支給しておくホ』

 何だよこの文章、絶対あの魔神皇が書いた奴じゃないだろ。
 そんな事を思いながら、俺は説明を読み進める。
 要約するとこう書いてあった。

 この悪魔はスタンドと呼ばれる超能力が具現化したものの一種で、名前はクラフト・ワーク。
 破壊力はスタンドの中でも最上級で、触れた物体を好きな場所に固定できる能力がある。
 その気になれば、相手の心臓すら固定できるらしい。
 そして銃弾すら跳ね返せるほどの力があるとか。
 ただし、召喚したマスターからあまり離れられず、固定化も離れると解除されるとの事。

 なるほど、強い。
 何か想像してたのと違うし、色々と欠点はあるけど能力的には強い。
 それはいい、だけど最後にこう書いてあったのが問題だ。

『PS.この説明書で支給品枠を使っちゃったので武器は特にないホー。まあその悪魔は強いから問題ないホ』
「ふざけんな!」

 俺は思わず説明書を地面に叩きつける。
 強いのは認めるけど、遠距離から狙い撃ちされたら対処しようがねえだろ!
 銃弾を跳ね返せると言ったって、銃弾以上の攻撃が飛んでこない保障なんかないし。

「畜生おおおおおおお!!」

 こうして俺は、遠距離に対応するための武器を探しに行くことになった。
  

【?????/1日目/朝】

【佐藤和真@この素晴らしい世界に祝福を!】
[状態]:健康
[装備]:スマホ型COMP
[道具]:基本支給品、クラフト・ワーク説明書@オリジナル
[思考・状況]
基本:死にたくない
[備考]
※参戦時期は本編開始前です。
[COMP]
1:クラフト・ワーク@ジョジョの奇妙な冒険
[種族]:スタンド
[状態]:健康


518 : この悪魔と共に殺し合いを! ◆7PJBZrstcc :2016/05/04(水) 12:28:17 7BMWEnsc0
投下終了です


519 : 名無しさん :2016/05/04(水) 12:47:32 cgAdBRo.0
投下乙だけど、悪魔の説明ってCOMP内の悪魔辞典に記載されないの?


520 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 13:57:06 fvuxb4ZQ0
皆様投下乙です

>>508
まさかのマーダー、しかし引いたのはそうじゃないサイ……
あたりといえば、あたりなんですけどね。

>>511
名前ネタここでも! 確かにオーディンって名前の人、たくさん居ますからね。
傍観者の立場になる人って、大概ヤバイことに巻き込まれるんだけど、果たして……

>>515
お金はちゃんと返そう(正論) しかし額面はすごくとも通貨単位は違うからまだわかんない……?
あと、今までの投下でもあったんですが、異世界設定、現代からかけ離れた世界観からの参戦は基本的にNGですので、
過去の投下を参考にサマナーの設定を現代に寄せるなどの描写を追加してください。

>>518
ジョジョ屈指のイカレスタンド! めちゃくちゃあたりなんだけど、使いどころは確かに難しい!
意志がないというのもまた珍しい形ですね。

>>519
本文中に「特別に」っていう表記もありますし、魔神皇サイドの嫌がらせのようなものだと捉えています。
他登場話でデビルアナライズについて描写するのは構いません。


521 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 14:08:52 fvuxb4ZQ0
忘れてました、投下します。


522 : 嫌悪 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 14:10:03 fvuxb4ZQ0
 ベージュの軍服を着こなす、茶髪の少女が商店街を歩く。
 コードネーム"サリー"……いや、今は"ウィップ"だったか。
 見ての通り軍人だが、嘗ては秘密結社ネスツの一員だった、改造人間だ。

「超常現象は慣れっこだと思っていたけど……世の中は広いわ」

 ため息混じりに、彼女はそう語る。
 手から炎が出るだとか、地球に意志がある、ないしそれにまつわる超常現象に数多く出くわしてきた。
 紫の炎を放った少年、魔神皇の存在に親しい者も、何人かは見てきた。
 だが、流石に殺し合いを命じられるのは、初めての事だった。
 人を超える異能を持つもの、どうして彼らはこのような奇行に走るのか。

「考えても仕方がない、か」

 変なことを考えそうになった所で、頭を切り替える。
 ともかく、人が人を殺す地獄に落とされた以上、自衛の手段は確保する必要がある。
 当然のように武器は没収されていたが、側にあった袋に愛鞭、ウッドドゥが入っていたのは幸運だった。
 違う、使い慣れた武器が入っているということは、それを使って人を殺せというメッセージなのかもしれない。
 全く、そんな周りくどいことをするのならば、正面から人類を駆逐すれば良いというのに。
 そんなことを考えつつ、ウィップはいつものように持ち手を握り、軽く腕を振るう。
 ぱちん、と空気が破裂する音を確かめた所で、鞭を丸めて腰に携える。
 ひとまず、戦いになったとしても安心か、と思った所で、道具の確認を進める。
 次に袋から取り出したのは、奇妙な形をした一台の銃だった。
 いや、それを銃と呼ぶのは間違っているか。
 銃弾を射出するところはおろか、装填するところすらないのだから。

「COMP、いや、GUMP、そして悪魔召喚プログラム。まさかこんな形で出会うとはね」

 魔神皇の言葉と、いつか聞いた話から、ウィップはそれが何かを理解していく。
 銃型のCOMP、通称GUMP。ある都市ではこれを手にした少年が仮想都市を巡った事件を解決したという。
 そして、その少年も使っていたとされるプログラムこそが、悪魔召喚プログラムだ。
 悪魔、出くわしたことはないが、確かにこの地球上にいるとされている存在。
 それを使役することが出来るという、それこそ悪魔のような開発品だ。
 確か、開発者はSTEVENと名乗っていたか。軍のPCにもメールが投げられていたのを、はっきり覚えている。
 まあ、今は関係のない話かと思い、ウィップはGUMPのトリガーを引き込む。
 折りたたみナイフのように前へと踊りだした銃身が、ゆっくりと両隣へと開いていく。
 なるほど、片側は画面で、片側は操作系統のボタンということか。
 よく出来た仕組みに感心しながら、ウィップはGUMPの操作を進めていく。
 ぱっと見でもわかりやすいインターフェースに感心しながら、召喚一歩手前まで操作を進めた。
 しかし、彼女はふとそこで手を止める。
 目線は、画面に映る悪魔の名前から離れない。
 全く、あの魔神皇という少年は、どこまでも嫌がらせが好きらしい。
 そんな怒りを覚えつつ、ウィップは最後のボタンをゆっくりと押す。

「……人の子よ、大天使たる私を呼ぶか」

 一瞬の光の後、現れたのは彼女の背丈よりも大きい、一人の男だった。
 いや、ただの男ではない。
 古めかしい甲冑、血のように赤い肌と、純白の巨大な翼。
 男が名乗る通り、彼は"天使"そのものであった。

「どうした、私では不満だというのか?」

 現れた天使は、自分を呼び出した少女の不機嫌そうな顔に気がつく。
 天使の中でも最上位たる自分を呼び出しておきながら、不満を表すとは何事か。
 天使もまた、不満を表しながら、少女を見つめる。


523 : 嫌悪 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 14:10:23 fvuxb4ZQ0
 
「キライなのよ」

 不満そうな表情を崩さず、天使を睨みながら、ウィップは平然とそう言ってのける。

「天使、救いを齎す者。私はその存在がキライなの」

 徐々に怒りを帯びながら、ウィップは言葉を続ける。
 そう、天使なんて当てにならない。
 救いを齎す者が本当に居るのだったら――――

「ふん、人の身の分際で随分と語るではないか」

 ウィップが何かを思い出そうとした時、天使が口を開く。
 まるで、雲の上から見下ろすかのような眼差しに、静かに怒りを覚えながらウィップは口を開く。

「……その傲慢な態度、天使というのは礼儀の欠片も無いのかしら」
「下賎な種と接するのに礼儀が必要だと思うか?
 今でこそ貴様の下に居るが、何も人間に忠誠を誓ったわけではない」

 ああ、忌々しい。
 まさか本当に天使という種族が、ここまで人間を下に見ているとは、思ってもいなかった。
 売り言葉に買い言葉、つい熱くなってしまったウィップは、天使へとある言葉を投げる。

「人間の魔神皇に閉じ込められたくせに?」

 瞬間、通り抜ける風。
 ウィップの顔の横、現れたのは一本の槍。
 そして、憤怒の表情を浮かべる、天使。

「……あら失礼、プライドを傷つけたかしら」

 頬をなでた風は、彼女の頬をしっかりと裂いていた。
 つつ、と血が流れ出し始めるが、彼女はそれでも動じず、天使を睨み続けた。
 そして、しばらく経った後、ウィップが小さくため息を吐いてから、怒りの表情を消して天使へと語る。

「まあ、いいわ。今後ともよろしく、だったかしら?」

 返事はないが、代わりに槍が引かれる。
 それでいい、それで構わない。
 また何かをべらべらと語られるのも、面倒だから。

 人間と天使が、東京の街を歩く。
 天使は人間を見下し、人間は天使を見下している。
 先に喉を食い破られるのは、どちらなのか。

 それを知っているのは、きっと魔神皇ただ一人なのだろう。

【?????/1日目/朝】
【ウィップ@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:頬に傷
[装備]:ウッドドゥ、COMP(GUMP型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇の打倒
[COMP]
1:ミカエル@真・女神転生
[種族]:大天使
[状態]:健康


524 : 正義 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 14:10:48 fvuxb4ZQ0
 赤いマフラーを靡かせて、空に向かって指を指す、一人の少女がいた。
 頭にメガネを差し、カエルがプリントされた紺色のシャツを着る、どこかで見たような姿。
 そんな彼女の名は、メイ・リー。あのテコンドーの達人、キム・カッファンの弟子の一人だ。

「おのれ! 悪の怪人め、許すまじ!!」

 声高々に、魔神皇へ向けて宣言をする。
 罪もない人々を殺し合いなどという非人道的な行為に巻き込む。
 これを悪とせずに、何を悪とするのか。
 師匠の教え、そして憧れのヒーローたちの姿から受けた、自分の中の正義の心が燃えていく。
 あの巨悪を許してはいけないと、心がそう叫んでいる。
 だから自分は屈しない、相手がどれだけ巨悪であろうと、立ち向かってみせると。

「でも、一人か……」

 だが、不安がないわけではない。
 かつて悪の親玉と向き合った時は、師匠を初めとした心強い仲間が一緒だった。
 しかし、今回は自分一人だ。
 テコンドーもまだまだ未熟、正直、あの時も危ない場面が何度かあった。
 そんな自分が、果たして巨悪を討つことなど出来るのだろうか。

「……やってみないとわかんない、よね」

 けれど、足を止めてしまえばそこまでだ。
 出来るかどうかなんて分からなくても、やらなければ何も起こらない。
 きっと、自分と同じように悪を憎む者もいる。
 そんな者と出会う為にも、自分から動かなくてはいけないのだ。
 ぱしん、と頬を叩き、肩を震わせ、よし、と気合を入れなおす。
 方針は決まった、ならば行動に移すのみ。
 そう思って歩き出そうとした矢先、ふとあることを思い出す。

「そういえば、悪魔がどうのこうの言ってたよね」

 体育館のような場所で、魔神皇が言っていた言葉。
 各々に配られたCOMP、それに悪魔を封じ込めていると言っていた。
 袋から取り出した、一本のベルト。
 正義の味方が着けているようなこれが、恐らくはCOMPと呼ばれるものなのだろう。

「"悪魔"……か」

 悪魔、人に害を成す存在、その総称。
 悪を憎む正義の味方が、果たしてそんな存在と行動を共にしていいのだろうか。
 少し悩み始めた時、あることを思い出す。
 それは、同門の仲間、チャン・コーハンとチョイ・ボンゲの事。
 かつては凶悪な犯罪者だった二人は、キム師範の指導のおかげで、今は真っ当な人間として生きている。
 それどころか、悪を討つ正義の味方と呼んでも差支えはないほど、今の彼らは清らかであった。
 そこで、疑問と答えが一本の線で結びつく。
 出てきた"悪魔"が本当に悪魔ならば、自分の手で"指導"すればいい。
 そして、自分と共に正義の味方として、戦ってくれる仲間にしてしまえばいいのだ。
 そうと決めてからは早く、ベルト型のCOMPを腰に巻き、そそくさと操作を進めていった。
 ほんの一瞬だけ溢れだした光、それが何かを象っていく。
 本当に悪魔を呼び出せるのだな、と感心していく内に、それはゆっくりと姿を表した。

 現れたのは、現代からはかけ離れた衣服に身を包み、少しうつろな目をしている、一人の男だった。
 思わず、唾を飲み込んでしまう。
 想像していた絵面や、頭の中で考えていたことなど、全て吹き飛んでしまう。
 彼女一人なら優に飲み込んでしまえるほどの、圧倒的な気。
 生まれて初めて味わう感覚に、心音が上がっていくのが分かる。
 どうしようか、どうすべきなのだろうか、と彼女が迷っている内に、男はあたりをぐるりと見渡してから、小さく呟いた。


525 : 正義 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 14:11:13 fvuxb4ZQ0
 
「……アレフ、だ」

 それは、自分の名前。
 彼女が男をなんと呼ぶべきか迷っていることを、察していたのだろう。
 それを好機と見たのか、アレフは立て続けに彼女へと問いかける。

「一つ、教えろ。これから、お前はどうするんだ」
「もちろん、正義の味方としてあの魔神皇を倒します!!」

 即答。
 今の今まで緊張で息の上がっていた人間とは、とても思えないほどの早さだった。
 ならば、と続けてアレフは質問をする。

「正義とは、何だ」

 たったそれだけの、短い言葉。
 もちろん、それにも彼女は即答するつもりだった。
 悪を討ち、人々を助けることが正義だと、そう答えるつもりだった。
 けれどその言葉は、声として外に出ることはなかった。
 アレフの放つ気、それから感じ取れる何かが、彼女の言葉をせき止めた。

 しばらく、沈黙が続く。
 すっかり沈んでしまった少女に対し、アレフは片手を差し出していく。

「……悪いな、無駄話が過ぎた。ともかくお前の望むことは分かった、俺も協力しよう。今後とも、よろしく……」

 差し出された手を握り返し、少女は笑う。
 けれど、心に引っかかり続ける、男の言葉は残ったまま。

 正義とは、何か。

 目を背けていたかもしれない、その言葉の意味を考えながら、彼女は彼と共に歩き出した。

【?????/1日目/朝】
【メイ・リー@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:悪(魔神皇)を討つ、正義の意味を考える
[COMP]
1:アレフ@真・女神転生2
[種族]:魔人
[状態]:健康


526 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 14:13:11 fvuxb4ZQ0
投下終了です。


527 : ◆OmtW54r7Tc :2016/05/04(水) 15:08:42 cgAdBRo.0
>>520
>>515のクロウの話、ウィキ内にて修正しました
確認お願いします


528 : 須田恭也 仮想東京「初日/33時33分33秒」 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/04(水) 15:13:40 kpaIE3/g0
投下します。


529 : 須田恭也 仮想東京「初日/33時33分33秒」 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/04(水) 15:14:14 kpaIE3/g0
須田恭也は、視界を塞いだまま地下鉄のホーム内に座り込んでいた。
事の始まりは夏休みを利用して、掲示板で話題になっていた羽生蛇村を訪れたこと。
ちょっと行って帰ってくるつもりだったのに、そこでわけのわからない儀式を見た。
その後、警官に自分の胸を撃たれて死んだと思えば女の人に助けてもらえて、二人で教会に行ったんだ。

着いてすぐに外から悲鳴が聞こえてきて、そこで俺は美耶子に出会ったんだ。

「(…それで、)」
「(撃たれた…)」

二人で村の中を逃げているときに美耶子の兄貴に撃たれた。
滑り落ちた先の川辺で気を失って…で、気付いたらここにいた。

「ってかここ…どこ?訳わかんね…」

山奥の村から整備の行き届いた駅にやって来ちゃって、なんだかいろんな悪夢の中をぐるぐると廻っているみたいだ。
無人の駅はこれから起こる惨劇に息を潜めているように静まり返っているが、異界と化した羽生蛇村の雰囲気に慣れたせいか、この空間にもあまり違和感を感じない。

――おかしくなってんな…俺…。

2日 あの村を彷徨っただけなのに、まともな空間から随分離れている気がする。

「(幻視は…ここでも使える)」

目を閉じて意識を集中させる。視界が闇から砂嵐に移り、ぼんやりと景色が浮かんでゆく…。それにしたがって脳内に流れるノイズもはっきりとした物音に変化する。
さらに集中するとその映像と音のピントがぴったりとあった。

<キィイキキィィィ……> <ウォオオォォ……>

近くをうろついているのは2体。
前者は地下街にいるようだが視界がおかしい…いや、壁面を走っている!しかも俊敏だ。恭也の警戒心がぐっと引き上げられる。
後者は闇の中を進んでおり視界に何も映らないが、鳴き声らしき音や粘着質な音がクリアに聞こえてくる。
一応この2体以外にも存在を感知できるが砂嵐やノイズが強すぎるため、この時点では気にしなくてもよさそうだ。

恭也は一旦幻視を切ると、安全地帯を探して地上に向かった。


530 : 須田恭也 仮想東京「初日/33時33分33秒」 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/04(水) 15:14:44 kpaIE3/g0




恭也は駅から無事に脱出。
街を彷徨う途中で見つけた神社の拝殿前にある石段に、腰を下ろしていた。

「(美耶子…) 」

ここにはいない少女の事を考える。
口調もぞんざいで文句ばかり言っている変な奴。

「(約束…したもんな)」

二人で無事に村から出る。

怯えていた彼女をそう励まして、それっきりだ。
魔神皇とか名乗った少年は殺し合いをするように言っていたが、参加している暇はない。
一刻も早く村に帰って、美耶子を助けに行かなければ。

「(いい悪魔来い…!)」

支給品の中から見慣れない人形を見つけた。
恐らくこれがCOMPなのだろうと恭也は見当をつけ、ボタンを探してこれを起動させる。
強くて話が出来る悪魔でありますように。脱出に協力的な悪魔が現れる事を祈って、恭也はその瞬間を待つ。




「う、うおあぁぁああ!」

まず見えたのは壁。熱を感じさせる真紅の岩肌。
恭也は忘我の中で叫びながら拝殿の扉まで後退する。必死で足を動かすが、水を掻き分けているようにしか感じない。
そうやって距離をとると真紅の壁の全体像が見えてくる。


531 : 須田恭也 仮想東京「初日/33時33分33秒」 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/04(水) 15:15:13 kpaIE3/g0

新幹線のように巨大な尾、背後には視界いっぱいに広がった真紅の翼。
尾が弧を描いて天に向かうと、そこに巨大な爬虫類の面貌があらわれ、恭也を見据えていた。

――ドラゴン。おおよそ知らぬ者はいない幻獣の頂点。ファンタジーの象徴。

村で見た儀式は気味が悪かった。お巡りさんに撃たれたのは怖かった。眼から赤い涙を流す村人たちも怖かった。
だが対峙するだけで心臓が止まり、一秒も抗えないで叩き潰されそうな程の重圧感を感じたことはなかった。
燃えるように赤い頭部からは黄金の角が生え、その逞しい顎を開けば恭也を一呑みに出来ることは想像に難くない。

『我を召喚したのは…お主だな?』
「うわぁ、あっと、おれ…」

唐突に声なき声が響いた。恭也は肯定さえすればよいのだが、思考がまとまらない。順序立てて話すことが出来ない。
さながら、満員の舞台上で台詞が飛んだ主演俳優のようだった。

『怯えさせてしまったかな?』
『場所を移そう。…ここはちと狭い故な…。』

赤い竜は翼を折り畳み、体勢を変え、長い首を恭也の方に向ける。

『何をしている?』

乗れ、と言う事らしい。恭也はそろりそろりと真紅の竜に近づいていくが、やはり恐ろしい。
足は鉛が入ったように重く、近づくたびに冷や汗が噴き出る。

「(恭也、ありがとう…)」

――ッ覚悟を決めろ!

美耶子はまだあの村にいる。幸いこの竜は知性的だし、話せば力になってくれるかもしれない。

――後は俺の問題だ。

恭也は息を大きく吐くと、意を決して竜の首に飛び乗った。
紅い翼竜は恭也がしっかりと掴まったのを確認すると、境内を翼の質量と羽ばたきが起こす暴風によって破壊しながら、大空に去って行った。


【須田恭也@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品, 遮光器土偶型COMP
[思考・状況]
基本:生き残り、村に帰還する。
※参戦時期は「2日:11時〜12時」のどこか。赤い水の力、美耶子との契約により不老不死を得ていますが、首輪により制限あるいは無効化されています。
※幻視の感知領域が制限により狭まっています。

[COMP]
1:レッドドラゴン(アンヘル)@ドラッグオンドラグーン
[種族]:龍王
[状態]:健康


532 : 須田恭也 仮想東京「初日/33時33分33秒」 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/04(水) 15:15:42 kpaIE3/g0
投下終了します。


533 : 悪魔ハンターと地獄の補佐官  ◆TPKO6O3QOM :2016/05/04(水) 15:57:43 Pm42oDr.0
投下します


534 : 悪魔ハンターと地獄の補佐官  ◆TPKO6O3QOM :2016/05/04(水) 15:58:16 Pm42oDr.0

 ディーン・ウィンチェスターの左手に握られた銃型のCOMP――その液晶画面に魔方陣が浮かび上がり、青白い光が迸っていた。
 あの少年の言うことが真実ならば、この中に悪魔が一体封じられている。
 ディーンはハンターである。ハンターとは社会に隠れて人に害をなす怪物や悪魔たちを狩って生きる人間のことだ。
 物心がついた頃から、ディーンは父親に連れられて各地で怪物を仕留めてきた。
 そう、ずっと敵だ。
 母を殺し、父の魂を奪い――また多くの命が弄ばれていくのを見てきた。
 悪魔と手を組むなど考えられない。
 だが、利用はする。殺す手段さえ知っていれば、彼らは貴重な情報源だ。
 聖水も聖書もEMF探知機も銀の銃弾も塩もない――アキハバラで手に入れた日本の芸術的なポルノアニメのソフトすら消えている。
 地面には、ディーン自身の血で悪魔封じの――ソロモンの輪が描かれている。この輪に入った悪魔は、それがどんな大物であっても動くことが出来なくなる。
 COMPからの光は思惑通り、輪の中に収束していく。光の中から現れたのは、黒い和服に身を包み、額から一本角を生やした細身の男だ。
 召喚された悪魔の切れ長の双眸はディーンに向けられている。

「よぉ、悪魔。まず、俺とおまえのルールを決めよう。おまえは今動けない。遊んでやれないのが残念だが、俺は福音を唱えることは出来る。おまえたちが大嫌いな、長ったらしいラテン語を延々と聞かせてやる。なんならツェッペリンのカシミール風に歌ってやってもいい。それが嫌なら、知ってることを俺に話せ。そうすれば楽にしてやる。何か質問は?」

 悪魔の眼を真っ直ぐに睨み返し、ディーンは不敵な笑みを浮かべた。無論、楽になんてしてやる気はない。
 悪魔は逡巡するかのように瞳を動かすと、控えめに手を上げた。

「じゃひとつ。座っても宜しいですか? というか、座りますね」
「あん?」

 言うが早いか、悪魔は金棒をアスファルトに突き刺して、よっこいせという掛け声とともに腰を下ろした。

「こっちは閻魔アホ大王が仕事全部投げてくるせいで徹夜なんですよ。ご容赦願いたい」

 自分で肩を揉みほぐしながら、悪魔は大欠伸をした。
 ディーンは無意識に後ろに後ずさった。

「おまえ、悪魔封じが効いてねえってのか!?」

 悪魔――いや、鬼が胡乱げに紋様を見て、首を振った。

「ああ、これ? 私悪魔じゃなくて鬼ですから。というか、勝手に呼び出しておいて指さすのやめてください。お母さんに、人様を指さしてはいけませんって教わらなかったんですか?」


535 : 悪魔ハンターと地獄の補佐官  ◆TPKO6O3QOM :2016/05/04(水) 15:59:03 Pm42oDr.0
 あの少年は悪魔と言っていたが、怪物を含んだ表現だったのだ。
 ディーンは舌打ちした。
 鬼――ウェンディゴには炎、ラクシャサには真鍮のナイフだが、今はどれも持っていない。そもそも、この鬼の正体が分からない。間違った対処法は意味をなさず、己を危険に追いやるだけだ。
 逃げた方がいい。と、無感情にこちらを見上げる鬼がやれやれといった具合に小さく嘆息するのが見えた。
 ディーンの頭に一気に血がのぼる――。

「お袋はガキのときに殺されたよっ! おまえらにな!」

 握り込んだ拳を叩きこむべく、大きくディーンは踏み込んだ。が、その足を金棒で払われ、ディーンは転倒した。骨は折れていないようだが、激痛が頭頂まで突き抜けた。
 悲鳴を噛み殺し、すぐさま受け身を取って立ち上がろうとする。だが、起き上がりかけた上半身はとてつもない力で抑え付けられ、地面に引き戻される。
 肩と足を完全に抑えられ、軽々と握られた金棒を突き付けられた。

「暴力で解決させていいなら、私もその方が楽なんですよ。なにせ鬼ですから。とはいえ、現世には息抜きで大変お世話になってますし、警察の方にご迷惑をかけたくありません」

 抵抗を試みるが、まったく身体を動かすことができない。

「あ、悪魔が――バケモノが偉そうに!」

 口角に泡をためながらも、ディーンは鬼に向かって吐き捨てた。

「悪魔、ねえ。そりゃ、貴方がたキリスト教圏の地獄は自由奔放、地獄の王もメイド喫茶建て放題の無法地帯でしょうが、日本の地獄はあくまで生前に罪を犯した亡者たちの厚生施設です。そこに勤める我々獄卒は公務員みたいなものですし、一方的に悪党呼ばわりされるのは不本意です」
「そうかい。悪魔の公務員ね。俺、公務員大っ嫌い」
「最後の嫌われ役なのは現世も地獄も変わりませんよ。だから、スキャンダルは避けたいんです。記者の口を封じる手間が面倒ですから」

 こちらの頭が冷えてきたのが分かったのか、鬼は身体をどけた。
 ディーンは呼吸を整えながら、ゆっくりと立ち上がった。
 鬼はしゅっと衿を正し、ディーンを見やる。

「私は鬼灯、日本の地獄で大王の補佐官をしております。あなた、アメリカ人ですね? アメリカに例えれば、副大統領って所でしょうか」
「よく黒幕になってる、あの副大統領ね」
「ええ。ばれても大統領を返り討ちにしますけどね。大統領がビル・プルマンであっても」

 その涼しげな顔に一発お見舞いしてやることを心に決めながら、ディーンは肩を竦めた。



【?????/1日目/朝】
【ディーン・ウィンチェスター@スーパーナチュラル】
[状態]:健康
[装備]:COMP(銃型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:状況を見定める
[備考]
※悪魔封じの紋様は、いわゆる“悪魔”にしか効きません
[COMP]
1:鬼灯@鬼灯の冷徹
[種族]:鬼神
[状態]:徹夜明け


536 : 悪魔ハンターと地獄の補佐官  ◆TPKO6O3QOM :2016/05/04(水) 15:59:17 Pm42oDr.0
投下終了です


537 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 18:24:06 q17iGz160
皆様様投下乙です。

>>527
ありがとうございます。
細かい所で申し訳ないのですが、あとは通貨単位が「100万G」となっているところを変えていただければ大丈夫です。

>>532
SDKきた! でもまだSDK一歩手前の段階か。
ドラゴンは屍人とはまた違った威圧があるでしょうなあ……

>>536
所謂ハンターと、地獄で働く鬼。
世界は変われど公務員は嫌われ役というのは、涙を誘いますね……

さて、私もどんどん投下させていただきます。


538 : 輪廻 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 18:24:27 q17iGz160
 猪場は激怒した。
 必ず、かの邪智暴虐の魔神皇を除かなければならぬと決意した。
 猪場にはCOMPがわからぬ。
 猪場は、プロレスラーである。
 技を受け、ヒールと闘って暮して来た。
 けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 故に、彼は腕輪を付けて拳を掲げる。
 魔神皇には屈しないという強い意志を、その手に込めて。
 プロレスラーとは、子供の夢であるべき存在だというのに、どうして人殺しに走れようか。
 だから、彼は魔神皇に抗うと決めたのだ。

 ふと振り返ると、先ほどまで何もなかったはずの場所に、一台の屋台が現れていた。
 古めかしいチャルメラの音が、どこか懐かしく感じられる。
 その時、待ってましたと言わんばかりに、腹がぐうと音を立てる。

「腹が減っては戦は出来ぬ……か」

 古くより伝わる言葉を口にしながら、猪場は屋台ののれんを潜る。
 椅子につくと、優しそうな顔をした一人の中年が、猪場を見て微笑む。
 そして、差し出される一杯のラーメン。
 琥珀色に輝くスープの海を泳ぐのは、黄金に輝くつややかな麺達。
 見た目はシンプルなそれを前に、再び猪場の腹が鳴る。
 うかうかしていると、麺が伸びてしまう。
 少し慌てながら、猪場は割り箸を割り、ラーメンの海の中へと突っ込んでいく。
 ワンストローク、ほぼ全ての面を持ち上げた腕が、そのまま猪場の口の中へと突っ込まれていく。
 噛めば噛むほど広がる小麦の風味を味わった後、器ごと持ち上げ、スープを一気にすすっていく。

「あ"ぁ〜〜い」

 完食。
 それは、ものの数秒で行われた。
 するとどうだ、その食べっぷりに当てられたのか、屋台の主人は無言でもう一杯差し出したのだ。
 再び、ワンストローク、そして一気飲み、完食。

「あ"ぁ〜〜い」

 無言で差し出される、ラーメン。
 ワンストローク、一気飲み、完食。

「あ"ぁ〜〜い」

 無言で差し出される、ラーメン。
 ワンストローク、一気飲み……

 腹ごしらえは、まだまだ続きそうだった。

【?????/1日目/朝】
【ダッシャー猪場@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(腕輪型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を倒す。
1:ラーメンを食べる
[COMP]
1:チャルメラおじさん@明星食品
[種族]:料理人
[状態]:健康


539 : 快打 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 18:24:48 q17iGz160
 しゅっ、しゅっ、と、短く呼吸する音が、一人の男の口から漏れる。
 特徴的な髪型の、半裸の男の名はナジーム。
 かつてキックボクシング界で「プリンス」と呼ばれ、頂点に君臨していた男だ。
 だが、その力があまりにも圧倒的すぎた故に、誰も彼に太刀打ちできなくなってしまった。
 追われる緊迫感、それを失ってしまった彼は、キックボクシング界に飽きを覚え始めていた。
 そんな時に訪れたのが、この殺し合いだ。
 天が与えた、チャンスだと思った。
 スポーツという枠組みを外れ、命と命のやりとりをする、まさに"戦い"の空間。
 忘れかけていた感覚が、じわじわと蘇ってくる。
 どんな戦いが待っているのか、考えただけでもゾクゾクする。
 この手、この足、この体、全てに刻まれた力を、存分に発揮できる舞台が来た。
 だから、道具など必要ない。
 そのあたりに、放っておけばいいだろうと、袋ごと掴み、あたりへとばら撒いていく。
 すると、突然目の前に一つのサンドバッグが現れたのだ。
 真ん中のあたりには、つぶらな瞳が付いている。
 なるほど、これが"悪魔"か、と納得した後、ぎりり、と拳を握り直した。
 挨拶代わりのストレート、そこからフックへと派生し、ローキックを仕掛ける。
 休む間もなく繰り出したジャブ2発から、鬼のような猛打を叩き込む。
 怒涛のラッシュの後、少し溜めて繰り出された、地面を刈り取るローキック。
 それを叩きこまれたサンドバッグは、ふわりと宙を舞い、男はニヤリと笑う。

「ッッッッシャアッ!!」

 伏せた姿勢からの、突き上げるようなアッパーカット。
 どすん、という重い音が響き、サンドバッグはくの字に折れた後、そのまま彼方へと吹き飛んでいった。
 そのサンドバッグを見送った後、ナジームはゆっくりと息を整える。
 拳に鈍りはない、日々進化し続ける自分の拳は、今最高潮を迎えていると言っても過言ではないだろう。
 そう思いながら、男は未だ見ぬ強者の姿を今か今かと待ちながら、ゆっくりと歩き出した。

【サンドバッグくん@大乱闘スマッシュブラザーズ 消失】

【?????/1日目/朝】
【ナジーム@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:強者と戦う
[COMP]
1:EMPTY


540 : 不屈 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 18:25:18 q17iGz160
   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

 世界のどこかにあるとされる、不思議な不思議な森。
 俗に"魔法の森"と呼ばれているそこは、足を踏み入れれば体の調子を崩したり、幻を見たり。
 とかく、いいことが起こらないと、忌み嫌われている森である。
 まともな人間ならば好き好んで入ることはないそんな森には、一つの噂があった。
 それは、森の奥深くには一件の店があって、そこには魔女が住んでいるという噂だった。
 まあ、噂は噂でしか無く、誰も入ろうとはしないが故に、その噂の真偽が確かめられることはなかったのだが。

   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆

「しかしまあ、またエラいことに巻き込まれたもんだ」

 所変わって"東京"の一角、黒を基調とした服と三角帽子に、純白のエプロン。
 人々が思い浮かべる、所謂"魔法使い"の格好をした少女は、何をするでもなく、ぼうっと空を見上げていた。

「殺し合い、ねぇ……」

 特に興味はない、と書かれているような顔で、少女はぼりぼりと頭を掻く。
 そう、殺し合いには興味はないし、そういう趣味もない。
 生憎と、血を啜らなければ生きていけない、というわけでもない。
 けれど、彼女には一つだけ見過ごせない事があった。

「あの魔法、ただの炎じゃない。紫の炎……裁き(メギド)の力……」

 先ほどの場所で、魔神皇と名乗る少年が見せびらかすように放った炎。
 彼女の記憶が正しければ、神が罪人を裁く時に用いるとされるそれに、酷似していた。
 まさか、あの少年が"神"だとでも言うのだろうか?
 それとも、その領域に辿り着いた"魔法使い"だと言うのだろうか。

「……気に食わねえな、あのモヤシ野郎」

 気に入らない。
 世界で唯一の"普通の魔法使い"として、気に入らない。
 ご丁寧に首輪まで付けて、他の者を下に見ているその態度も含めて、気に入らない。

 だから、引きずり下ろす。
 そして、高い場所から腕でも組んで眺めているつもりになっているであろう奴の鼻っ柱を折る。

 まともに戦って勝機があるかどうかはわからない。
 正直、現状を鑑みれば、一度は敗北しているのと同義だ。
 だが、だからといって屈することだけは、受け入れられないし、してはいけない。
 それをしてしまえば、自分の"今まで"が、無に帰してしまうから。
 だから、自分が今やるべきことは、ヤツへの"反抗"なのだ。

「そうと決まれば、早速行動……っと?」

 意を決した所で、行動を開始しようとするが、そこでようやく違和感に気がつく。
 そう、いつも肌身離さず持っている、ミニ八卦炉が見当たらないのだ。
 考えられる可能性は、一つしか無い。

「人のものを強奪するとは、随分と姑息な事してくれるじゃねーか」

 魔神皇への怒りをより一層募らせたところで、仕方なく側にあった袋へと手を伸ばす。
 何か代わりに役立つものがあるといいのだが、と思っていた時だった。
 なくした、いや、奪われたと思っていたミニ八卦炉と、あっさりと再会を果たすことになった。

「自信があるんだか無いんだか、わかんねえな」

 一度は奪ったものを、丁寧に渡してくるとは、予想外だった。
 いや、ひょっとするとこれは、登って来いという挑戦状なのかもしれない。
 随分とナメられているようだ、と、彼女は更に怒りを募らせながら、ミニ八卦炉に異常がないかを確かめていく。


541 : 不屈 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 18:25:43 q17iGz160
 
「ん? なんだこれ……?」

 ふと気がついたのは、かすかな違和感。
 外見こそ変わらないが、愛用している彼女だからこそ気付ける、些細な違いがあった。
 その違和感をたぐり寄せるように、彼女はミニ八卦炉へと手をかざしていく。
 そして、撫でるようにかざした手のひらを動かした時、その中心から突然光が溢れだした。

「んにゃろ、私の大事なモノになんてことをッ!」

 目の前で起きている異常をそっちのけで、所持物に勝手に手を加えられたという事実に怒りを表す。
 そういえば魔神皇は、COMPがどうのとか悪魔がどうのとか言っていた。
 まさか、自分の持ち物がそれに該当するとは思ってもいなかったが。
 ともかく、勝手に付け加えられた機能によって、彼女の目の前に"それ"は現れた。

「あ、どうも。貴方が召喚士さんですか?」

 法衣らしき赤い服、所謂自然派と呼ぶべきであろう茶髪。
 そして、一本のスプーンと、ひと振りの剣を背負う少年。
 現れた"悪魔"は、そんな姿だった。

「あ? ああ、まあ、そうだな、そういうことになるな」
「はじめまして、剣神 チャッピーって言います。今後とも宜しくおねがいしますね」
「はあ、随分と可愛らしい名前なことで」
「よく言われます」

 取ってつけた答え、そして少年の名乗りから始まった軽い問答をこなし、ひとまず落ち着きを取り戻す。
 剣神、とは名乗っているが、ぱっとみはそんなに強そうに見えない。
 まあ、立派な剣は持っているから、そこそこ腕は立つのだろう。

「あの」
「何だ?」

 姿を見つつ実力を推し量っている内に、少年が彼女へと声をかけてきた。

「名前、教えてもらえませんか? 召喚士さんじゃあ、いつまでも呼びにくいので」

 ああ、そういえば名乗っていなかった。
 そう思い、特に理由はないのだが、帽子を深くかぶり直し、不敵に笑って、彼女は名乗った。

「魔理沙、霧雨魔理沙。魔神皇を超える"普通の魔法使い"だ」

【?????/1日目/朝】
【霧雨魔理沙@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:COMP(改造ミニ八卦炉)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:ナメられっぱなしは気に食わないので、魔神皇と"格付け"を完了する。
[備考]
※現代に生息する同姓同名の似たような性格の魔法使いのため、幻想郷の妖怪達の知識はありません。
※現代に生息している(と描写のあった)東方キャラとは面識があるかもしれません。
[COMP]
1:チャッピー(主人公)@ドラゴンクエストソード
[種族]:剣神
[状態]:健康


542 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 18:26:06 q17iGz160
以上で投下終了です。


543 : 光り輝け正義の心 ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/04(水) 19:59:46 hvPf11ns0
投下します


544 : 光り輝け正義の心 ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/04(水) 20:02:22 hvPf11ns0
 少女は震えていた。
 突然の意識消失からの急な覚醒。突然の人の死。一方的に告げられた殺し合いの布告。
 会場となる場所に投げ出され、たった1人で放置され、突然の事態の連続に呆然としていた頭が、次第に状況を整理し、飲み込み、理解して……
 あまりの理不尽さに、そしていろいろな恐怖に、少女は涙を堪え、声を押し殺し、小さく蹲って震えた。
 少女はヒーローに憧れていた。常日頃からその憧れを公言して、それに見劣りしない人間足らんと、日々の努力を怠らず、何より正義を重んじる心を大切にしていた。
 どのような理不尽や邪悪と対峙することになろうとも、決して屈せず、立ち向かおうと心に誓っていた。
 だが、しかし、まるで全然、それを行うには程遠かった。
 大勢の人間を浚い、一つ所の部屋に押し込め、見せしめに――まるで虫けらを潰すように――易々と人を殺しておいて、同じように死にたくなければ殺し合え、などと強要する。
 まるでお手本のような、これが特撮やアニメなら清々しいぐらいの巨悪だ。
 なのに、立ち向かえない。怖くて、怖くて、おそろしくて、立ち上がることはおろか、ヒーローの登場を切望することすらできない。
 恐怖で頭も、心も埋め尽くされ、どうすることもできない。あまりに震えが大きいものだから、支給された携帯電話型のCOMPが地面に落ちてしまった。
 その拍子に、悪魔召喚プログラムが作動し、少女が気付かぬ内に封じられていた悪魔が姿を現す。
 人の顔貌とは似ても似つかぬ、東洋の武人を思わせる鎧を纏った異形の悪魔が召喚され、恐怖に震える少女を見遣る。
 悪魔は少女を見るや、戸惑うこともせず手を伸ばし、抱きしめた。
「っ――!?」
 突然のことに、少女はびくりと体を震わせるが、悲鳴は上げない。いや、声が上手く出せず、異常な呼吸音が口から出るのみ。
 他方、悪魔は何も言わず、恐怖に怯え惑い、震えるばかりの少女を抱きしめた。
 顔が当たっている鎧は元より、頭や背に当てられている指先すらも固い。しかし、そこからは確かな温もりが感じられた。その悪魔の――否、侠の持つ優しさが、伝わってくるようで。
 抱き留められた懐は、深く、広く、ただただ大きい。
 まるで海に身を委ねたゆとうような――不思議な安心感があり、荒れていた心が自然と凪いでいく。


545 : 光り輝け正義の心 ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/04(水) 20:02:50 hvPf11ns0
「ありがとう。お蔭で、ちょっと元気出たよ」
 5分ほどして、落ち着きを取り戻した少女は悪魔へと声を掛ける。これを聞いた悪魔はすぐに腕を解き、少女が自らの足で立ち、僅かに後ろへと離れるのを見守ってから、優しい声で返事をした。
「無理からぬことだ。こんな、異常な殺し合いなどに巻き込まれたとあっては……」
 少女を抱きしめていた悪魔は、手足に胴体に頭を有し、基本的な体のパーツこそ人間と同じだが、その外見は異形そのものだった。
全体的に鋭角的で、なんと目さえも尖って角ばっている。顎の先には赤い突起があって、人間の口に当たる部分には「へ」の字のような穴?が縦に2つ並んでいる。
 明らかに人間ではないが、その一方で、どことなく少年漫画に出て来るロボットのような雰囲気があり、それらにも慣れ親しんでいる少女は、幸いにして悪魔の外見に悪印象を持たなかった。
「えーっと……あんたは悪魔、なんだよな?」
「アクマというのは、あくまで大雑把な総称だ。俺は姓を劉、名を備、字を玄徳という」
「りゅう、び、げんとく? ……えっ、あの三国志の!?」
 悪魔の自己紹介を聞いて、少女は思わず聞き返した。勉強の得意でない少女でも知っている、中国の歴史上の偉人と同じ名前だったのだ。もしもその当人となると、人類史が根底から覆されることになる。
「三国志……? 機賀、轟、翔の三国が林立したことと関係があるのか?」
 無論、そんなことは無く、劉備は三国志とは異なる国々の名を口にした。
「あれ? そんな名前の国だったっけ? それに、そもそも見た目からして全然違うし……」
「それはお互いさまさ。ところで、君の名は?」
「おっと、名乗りが遅れちゃったね。アタシは南条光! ヒーローが大好きで、夢はヒーロー番組の主題歌を歌うこと! そんな正義のアイドルなんだ!」
「正義、か。俺も同じく、正義を志す者だ。君のような主と巡り会えてよかったよ」
 少女――光の名乗りを聞いて、劉備は笑顔を浮かべた(変わったのは目の瞳部分だけだが)。
 しかし、光はたった今、自分で口にした“正義”という言葉に疑問と躊躇いを感じていた。
「……けど、口先ばっかだよ。あんな悪い奴がいるのに、アタシは……立ち向かおうとすることさえできなくて……! アタシは……アタシの正義は、無力なんだ……」
 テレビに映し出された、悪と戦うヒーローたちの姿に、幼い頃から憧れていた。それがドラマのような作られた番組だったと分かっても、それによって伝えられ育まれた自分の正義は本物だと、信じて疑わなかった。
 けれど、本物の大悪党が目の前に現れて、その脅威に晒されて、自分は動くことも、声を上げることもできなかった。
 現実は、正義を容易く蹂躙し、呑み込んでしまった。
 光が憧れたヒーローたちも、所詮は虚構の存在であり、作り物だったからこそ成立していた御伽噺のようなものでしかない。
 そう思うと、今度は恐怖とは違う無力感と虚無感が、光を襲った。
 その襲撃は、今度は早々に祓われた。少女の手を握る、固くとも温かい手から伝わるものが、それを成した。
「ならば、俺が力となろう。君の、正義の力に」
「アタシの、正義の……?」
「正義を志せども、力及ばず巨悪に嘆く者達の為に、俺はこの力を揮う。それこそが、我が正義の力」
 気付かぬ内に涙を浮かべていた光の目を、劉備の真っ直ぐで力強い目が射貫く。
 射貫かれたのは心、奮い立つのは正義。
 湧き上がる心は勇気、それをくれたのは劉備!
「ありがとう、劉備。お蔭で、アタシの正義は百人力さ!」
 光は漸く、名前に見合う持ち前の明るさを取り戻し、ちょっと乱暴だが劉備の手を振りほどいてから、がっちりと自分から握手をした。
「今後とも宜しく、光」
「うん! よろしくな、劉備!」
 正義のアイドルと、正義の龍帝。
 光り輝くまことの心の持ち主が出会い、歪な形ながらも、手を取り合った瞬間であった。

【?????/1日目/朝】
【南条光@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ファイズフォン似の折り畳み式携帯電話)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:正義を信じて、悪を倒す
[備考]
[COMP]
1:劉備ガンダム@BB戦士三国伝
[種族]:人間(ガンダム族)
[状態]:健康


546 : ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/04(水) 20:03:48 hvPf11ns0
以上で投下終了です。
問題点などありましたら修正・破棄しますので、よろしくお願いいたします。


547 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 23:16:15 EyY9eqQg0
>>546
投下乙です!
正義として戦うことを決めた少女、その少女支えることを決めた武将。
抱く正義の心は共に同じ、どうなるかが楽しみですね。

さて、自分も投下します。


548 : 欲望 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 23:16:38 EyY9eqQg0
 奇妙なことに巻き込まれた。
 真っ先に浮かんだのは、正直な感想だった。
 不老不死の謎が秘められた古代遺跡についての調査していたと思えば、このザマだ。
 どうやら古城跡から見つかった剣、エアガイツが鍵だということまで、分かっていたというのに。
 だが、何も悪いことばかりではない。
 あの魔神皇と名乗る少年は、先ほどの場所で確かにこう言い放った。

「願いを一つなんでも叶えてやることにしよう」

 そう、"何でも"願いを叶えると言った。
 それが本当ならば、不老不死の謎を追うより、もっと大きな"ビジネス"が出来る。
 仮に眉唾だったとしても、この殺し合いを生き残れれば十分だ。
 あの魔神皇に"ビジネス"を仕掛けるのもいいだろう。
 何れにせよ、それらは最後の一人として生き残った時に手に出来るチャンス。
 手にするには、この殺し合いを生き残るという道を通り抜けなければいけない。
 まあ、それは不可能ではない。
 鍛えてきた肉体と武術、そしてこのアームガンがあれば、ある程度の人間とは渡り合える。
 あとは、最後の一人になるまでどうやり過ごすか、それが一番重要なのである。
 果たして、どう出るのが最善か。
 それを考えながら、男は支給されたタブレットを操作し、魔神皇の言っていた"悪魔"を呼び出していた。

 そして、光と共に現れたのは、一台の巨大なマシンだった。

 刺々しいフォルムと、四門の砲台、そして重々しい中央の扉。
 いかにもなそのマシンは「最終防衛システム」と呼ばれるらしい。
 こんな大掛かりな機械で防衛しなければならないものとは、一体何なのだろうか。
 ふと、興味がそちらに移りそうになるが、今はそこを考えている場合ではない。
 己の肉体、そしてこのマシンを用い、ここに居るであろう全ての者を討ち。
 唯一にして頂点、たった一人の生存者となる事が、先決。
 血も、涙も、慈悲も必要ない。
 ただ、上を見据える欲望だけ、あればいいのだ。

 そうして、白髪の男――――三島拳は、全てを滅ぼすために歩き出した。

【?????/1日目/朝】
【三島拳@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)、義手(アームガン、残弾100%)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:優勝を狙う
[備考]
※義手を没収されなかった代わりに支給品なしです
[COMP]
1:最終防衛システム@Sa・Ga2 秘宝伝説
[種族]:マシン
[状態]:健康


549 : 曲芸師 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 23:16:56 EyY9eqQg0
「許せない」

 気がつけば、そう口にしていた。
 背中に大きくICPOと刻まれた機動服に身を包んだ少女、鬼子母神陽子は怒っていた。
 無論、それは先ほどの"魔神皇"の言動だ。
 罪もない人々を拉致し、殺し合いを命じるだけでなく、二人の少年少女の命を奪った。
 重罪に重罪を重ね続けたあの少年は、もはや情状酌量の余地など無い。
 国際的に見ても重すぎる罪を、看過することなど出来るはずもなかった。
 いずれは無力化、無いし逮捕を経て、彼にその罪を償わせる。
 その為にこの殺し合いを根本から破壊しなくてはならないし、やることはいくらでもある。
 だが、まずは自分の状況を確認するのが最優先だ。
 こう見えても武術には自信があるので戦闘に困ることはないのだが、自分が今、何を持っているのかは把握しておく必要がある。
 そう思って確認していた袋の中からは、一つのヨーヨーが出てきた。
 いつも自分が使っているヨーヨーと酷似した、戦闘で使うことを考慮された武器。
 当てつけか、それとも偶然か。
 何にせよ、いつもの状況とほぼ変わらない状態であるのは好ましいことだった。

 ふう、と一息つき、いつの間にか伝っていた汗を拭う。
 ひとまず、現状は確認し終え、自分に戦闘出来るだけの力が十分あると確認した所で、ヨーヨーの使い勝手を確認するために、試しに一投してみる。
 その時、不思議なことにヨーヨーが発光を始めたのだ。
 まさか、このヨーヨーが彼の言っていたCOMPだというのか。
 その予測は、すぐに的中することに鳴る。

「よっ、と。さて、今回は一体どこなんでしょうか」

 突如として聞こえたのは、少し間の抜けた声。
 陽子のほぼ目の前に現れたのは、青い頭巾をかぶった一人の少女だった。

「貴方がサマナーさんですね、ウチ、ブリジットって言います。よろしくおねがいしますね」

 陽子の姿を確認した悪魔は、小さく一礼をしながらそう名乗りを上げた。
 なんとも可愛らしい悪魔だ、と思っていた時、ブリジットは陽子の持っているものに気がついた。

「あ、サマナーさんもウチと同じヨーヨー使いなんですね。なんだか親近感湧きます」

 そう、陽子とスタイルは異なれど、ブリジットもまたヨーヨーを扱う賞金稼ぎだ。
 偶然なのか、それとも意図的なのか、そんな共通点を持った二人は出会った。
 何にせよ、話の通じる相手でよかったと、陽子は胸を撫で下ろす。

 しかし、彼女は一つだけ、勘違いをしていた。
 いや、気づけ無いのも無理はない。見た目だけで見れば、どこをどう見ても"少女"なのだから。
 そんなブリジットが"少年"であることなど、気づける訳もなかったのだ。

【?????/1日目/朝】
【鬼子母神陽子@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ヨーヨー型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇の逮捕
[COMP]
1:ブリジット@ギルティギア
[種族]:人間
[状態]:健康


550 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/04(水) 23:17:11 EyY9eqQg0
以上で投下終了です。


551 : 名無しさん :2016/05/05(木) 03:27:28 TX.0t1OE0
原作で凄まじく巨大なキャラクターは悪魔として召喚される際どの程度の大きさで出現可能でしょうか?


552 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/05(木) 04:39:49 0IoMUm2c0
>>551
出来ればサマナーの視界に全身が入る程度でお願いします。
過去の投下で言うと、モンハンのティガレックスくらいまでなら大丈夫です。


553 : ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:43:08 z2dyu0gY0
投下します


554 : 皇都にて魔女達は燃ゆ  ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:43:37 z2dyu0gY0


那須島隆志は、いわゆる小市民だった。
小市民の悪いところを体現したような男だった。

「よ、良くないなあ、君」

どこにでもいる、駄目人間。

例えば、闇金から借りた金を持ち逃げしようとして、哀れにも即座に捕まったり。
綺麗な金融に対しては、闇金から借りた金を盾に「自分にはヤクザが付いている」とホラを吹いて借りた金を踏み倒そうとする、クズであり。

「こう見えて私は教師をやっていてね……だからほら、駄目だろう、こういう悪ふざけは、なあ」

教師であることを笠に着て、生徒に威張り倒したり、生徒に色目を使ったり。
酷い時には生徒に『関係』を何度も何人にも迫ったりする、おおよそ聖職者たるべき教師として見ても、カスであり。

「マジンコー君……だったか?分かる、気持ちは分かるぞお。
ちょっとお金を持っているから遊んでみたくなったんだろう?
お父さんに何か不幸があって、遺産をまるまるもらうことになったとか、ねえ、そうだろう。
そのお金でちょっとばかし大掛かりなドッキリでも仕掛けてやろう、とでも考えたのかな?」

こういう状況においてもすぐには現実を呑み込めず、いや理解したくもないといった様子で必死に「どこかに設置されていると那須島が思い込んでいる監視カメラ」に語りかける姿は、無様としか言いようがなく。
まずこの異常事態を受け入れる、というステップさえロクに踏めない、人間としても小物でしかない。

「だけどね、お金は時に人を増長させる。お金は魔物だ。
君は今、お金があれば自分はなんでも出来るなんて思いこんでしまっているかもしれないが、そんなことはないんだ。
友情とか、愛だとか、お金で買えないものなんていくらでもあるんだ、分かるかあ?」

だから彼は、薄っぺらい言葉しか吐けない。

「それに、こういう悪ふざけにお金を使うのは感心しないなあ。何か嫌なことがあったのかい?
先生でよければ相談に乗ろう。きっと君の力になれると思うぞお。何せ私は学校の先生だからな。
先生は何時だって、君の味方だ。一緒に謝ろう。今ならみんな許してくれるよ、先生を信じよう?なあ?」

どこかのテレビドラマで熱血教師が叫んでいるような、ありきたりな、自分の言葉では断じてない言葉でしか、彼は教師としての自分を表現できない。

「いや、怒らないでくれ?これは説教じゃなくてだね、ええと、ほら、実体験に基づくというかなんというか……。
決して、君を否定するつもりなんてなくてだね、ははは」

もしも、彼について特筆すべきことがあれば。
無理やりにでも、彼の長所として挙げることが出来る要素があるならば。


「とりあえず、私だけでもここから出してもらえないかなあ」


那須島隆志は、どんな時でも自身のことだけを考える、ということだろうか。


555 : 皇都にて魔女達は燃ゆ  ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:43:55 z2dyu0gY0

他人のことなど、どうでも良く。
生徒はもちろん、同じ教師であっても自分より下のものとしか見ておらず。
友情も、愛情も、自分のためなら当たり前のように投げ捨て、切り捨て。
ひと時の快楽のために、どんな馬鹿でも出来る。
その上、失敗に気付くまでは自分の考えは完璧であるという無根拠な自信を持っており。
失敗してからは、あいつが悪い、こいつのせいだと他人に責任をおっかぶせることしか考えない。

小市民に相応しい。
小物に似つかわしい。
格好良い言葉で、彼を飾りたてるならば。


エゴイスト。


だが、そんな言葉で表現しようとも、彼はどこまでも小物でしかない。
悪党は愚か、小悪党にもなれない男である。

「い、良いのかな。無視しても?
俺の、大人である俺の、教師である俺の説得に耳を貸さなくても、い、良いのかな?」

何故ならば、彼は馬鹿であるからだ。

「悪ふざけもいい加減にしておかないと、ほら、マジンコー君、君は酷い目を見ることになるよ?」

那須島隆志は愚か者であるからだ。

悪党は。
善人を食い物にする人種は。
ある程度は、頭が良くなければ、なれない。


「俺には携帯電話があるんだぞ!」


馬鹿なガキめ!身体検査もしなかったな!
すぐにでも110番に電話して助けを求めてやる!

那須島はビクビクと、こちらを監視しているであろうビックリ企画のスタッフがこれを取り上げに来ないか周りを窺いながら、あくまでも自分に都合の良いように考えていた。

先ほどから彼が体験しているこの非日常極まりない状況は、全て金持ちの道楽によるドッキリであり。
人が死んだのも、この場に瞬間移動したのも、全て手品か何かであり。
この首輪も、こちらをビビらせてあたふたさせるためのフェイクであり。
今、自分の手に携帯電話があるのは、このバカげた催しの主催者であるマジンコー君が外部に助けを求められることさえ想定できてない大馬鹿だからだろう、と。

非現実めいた現実を受け入れられない那須島は、そう都合よく解釈していた。

誰も自分を止めてこないことを壁にぴしっと張り付いて確認した那須島は、自信満々に110を押す。
どんな金持ちだろうが警察には敵うまい。これであの偉ぶったガキもおしまいだ。
ここがどこだかは知らないが、警察には逆探知があるとテレビか何かで見た気がするし、すぐにでも俺を助けに来てくれるだろう。。
というか、こういう時のために高い税金を払ってやっているのだ。早く俺を助けに来い。それが警察の義務だろう!


556 : 皇都にて魔女達は燃ゆ  ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:44:15 z2dyu0gY0
プルプルプルプル――――


待つ。


プルプルプルプル――――


待ち続ける。


プルプルプルプル――――


何分経っただろうか。


プルプルプルプル――――


待って、待って、待って。


プルプルプルプル――――プツンッ。


だけど、どれだけ待っても、那須島を助けてくれる正義の番人の元へと携帯が繋がることはなかった。

「…………クソッ!」

これだから警察は!
肝心な時には役に立たない、税金泥棒め!

自分の考えがいかに浅はかであったか、ということは全く考えずに、心の中で罵倒を繰り返す。
そもそも、ここまで大掛かりな舞台を用意したマジンコーが今更一参加者の携帯を見逃すわけがない。
誰かがやってくる気配も全くない時点で、那須島の行動など主催者にとっては至極どうでも良いことである。
しかし、そういうことは、那須島は考えない。あくまでも、周りのやつらが間違っていて、周りのやつらが失敗しているのだ。
だが、いくらそうやって自分を正当化していても、事態は一向に進展しない。
いくら愚鈍である那須島であっても「無能共のせいで」自分は軟禁されたままだ、ということは流石に自覚し、冷汗が噴出し始めた。
先ほどは警察が何とかしてくれると思い込んでいたため、少し大きな口を叩いてしまった。
理不尽にギャクギレしたマジンコーが何かしてこないか、これから自分はどうなってしまうのか、心配で心配でたまらない。

「な、何かないか」

110をもう一度押す。やはり繋がらない。
119も同じく。他にいくつか思い出せる番号も、自棄になってめちゃくちゃな番号を押しても、どこにも繋がらない。
なんだこれは。俺を馬鹿にしているのか。この!俺を!
んぐぐぐぐぐと癇癪を起こしかけながら、那須島はめちゃくちゃにボタンを押しまくる。
だからこそ、召喚は偶然だった。
全くの偶然で、彼は悪魔を召喚した。
いきなり携帯が光り「うわあ!」と大声をあげてそれを取り落す。
顔を庇い、目を閉じ、情けない声を挙げる。
なんだ、不具合か?
変なボタンでも押してしまったのか?
いや、こんなちょっとした操作で光り始めるなんて携帯会社はどんなものを作って……と、どこまでも他人へと責任転嫁をし始めそうになった那須島が、目を開けると。
目の前に、地面に落ちた携帯の前に、少女がいた。


557 : 皇都にて魔女達は燃ゆ  ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:44:30 z2dyu0gY0
「…………」

口をあんぐりと開ける。
何が起こった?
これも手品か?
マジンコーの差し金か?
いや、しかし。

美少女だった。

「き、君、ちょっといいかな……」

那須島なりに気を払い、しかし傍から見れば『馴れ馴れしい』としか思えない軽薄さで、少女へと声をかける。
きっと自分が携帯の光に驚いている間にこちらへ歩いてきたのだろう。
もしかしたら、今の光でこちらに気付いたのかもしれない。
そうだとすれば、俺の行動は正しかったということだ。
そんな、どこまでも自分に都合の良いように考えながら、携帯を拾う動作のまま無遠慮に少女の肩を掴む。

「もしかして、君もマジンコー君に連れて来られたクチかい?
いやあ困ったものだね。特に君のような女の子が、こんな夜遅くに一人でいるのはとても危ない」

調子の良いことを言いながらじろじろと女の身体を見渡す。
整った顔に乗ったくすんだ金髪に、こちらも金の瞳、外国人のようだった。
言葉が通じるか少々気になったが、まあ通じなかったらその時はその時だ。
それよりも特筆すべきは、彼女の格好だ。
昔の騎士だか戦士だかが着こんでいたような黒い鎧に漆黒の兜。
那須島からすれば邪魔な、身体を包むようなマントもこれまた黒。
無骨な鎧の隙間から太ももが見えているところはなかなかにポイントが高い。
俗に言うコスプレとしか言いようがない風体であったが、そこは美少女、何を着ても様になっている。

「どうだ、良かったら俺が君を守ってあげよう。まずはあそこに見える店に入って話でもどうかな」

こんなアニメのような格好をしているとは少し頭が残念なのかもしれない、などと、とあるダラーズの武闘派に聞かれれば拷問されるようなことを考えながら。
それはそれで好都合だとも、下卑た考えを思いめぐらせて。
こんなひどい目にあっているのだ、俺だって少しは良い目を見ても良いだろう、と『いつもの』調子を取り戻し。
那須島は、少女の肩をねっとりとした手つきで抱いたまま、手頃な店へとリードしようと歩き出し。


少女の肩を掴んでいた彼の手が、本来曲がってはいけない方向に曲がった。


「ぐ、ああああああああああああぁぁぁ!??!?」


突如那須島の前に現れた少女は、これまた那須島から見れば突如、としかいいようがないほど素早い手さばきで、少女の肩にかけた那須島の手を片手で捻っていた。
加えて、粘着してしまったゴミを取り除くように、もう片方の手で肩を払う。
そして、痛い、痛い、と喚く那須島をぽい、と払いのけ、何事もなかったかのように口を開く。


「あら、申し訳ございません。見境のない発情犬かと思えば、我が主でしたか。
思わず去勢……いえ、焼却してしまうところでした」

「な……なんだ、なんなんだお前は!大人に逆らってどうなるか分かって……」

「悪魔です。悪魔召喚プログタムに応じ、参上いたしました」

「あ、あくま……?」


558 : 皇都にて魔女達は燃ゆ  ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:44:48 z2dyu0gY0

大人として高圧的な態度を取ろうとするも、どこかズレた受け答えを返され唖然となる那須島。
相手が日本語をしゃべれる、なんて些細なことは、悪魔という単語の衝撃にかき消された。

――あくま?あくまって、あの悪魔か?

しかし、悪魔というのはもっとこう、けむくらじゃだったり角があったりするもんじゃないのか?
いや、そもそも悪魔なんて、そんな非現実的な。
もしかして馬鹿にされている?なんて那須島の想いを嘲うかのように、少女は何事か唱えながら、無造作に手を振る。

「お、おおあ!?」

すると、それに呼応するようにして、近くのゴミ箱がいきなり炎に包まれた。

「ええ、悪魔です。魔人皇の話を聞いていたでしょう。貴方がこの場で使役する道具。
私ならば、今ご覧いただいたように炎を操り、相手を焼くことが出来ます。もちろんそれ以外にも、いろいろと。
もっとも……先ほどのようなオイタを望まれるようならば、こちらにも考えがありますが?」

那須島はぶるり、とあまりにも分かりやすく身を震わせた。
今しがた目の前の少女が放った魔法(?)で焼かれたゴミ箱は、もはや灰になっていた。
ああはなりたくない。絶対に。
彼はある程度下半身に忠実な男ではあったが、そのために身を滅ぼせるほどの度胸もない。
それに、ここに来て流石の那須島も、今までの一連の体験が全てヤラセだとは思えなくなりつつあった。
今までは彼に直接被害が及ばなかったので、いくらでも自分の好き勝手に妄想することも出来たが。
那須島を腕一本で抑えつけ、ゴミ箱を焼却せしめた黒い少女の登場により、事態は一変した。
現実逃避などしていては、この少女に何をされるか分からない。
だから、目の前の少女は魔法を操る悪魔であると認識し。
自分は一種の超常体験に巻き込まれたらしいとも、ようやくもって実感する。
いや、そう思っておいた方が『自分に害は及ばない』という、結局はどこまでも見下げ果てた判断でしかないのだが。

「さあ、それでは始めましょうか」

そんな風に脅える那須島を軽く無視して、少女は歩き出す。
歩き出し、数歩歩いて、追従する足音が全く聞こえないことに怪訝な顔をして少女が振り向くと。
那須島は、よろよろ、という形容詞が似合う情けない有様のまま、近くの建物へと歩を進めていた。

「なんだか分からんが、やるなら勝手にしててくれ……俺は何もしないぞ……警察が来るまでどこかに隠れて……」

「阿呆ですか、貴方は」

つかつか、と速足で彼に追いつき、そのままの勢いで壁に叩きつける。
ごは、っと息を詰まらせ、ひゅうひゅうと息を吐いて、ようやく少し落ち着いた那須島はバタバタと手足を動かし逃れようとする。
が、彼を壁に縫い付けた少女の腕が外れる気配はまるでない。

「いい加減理解なさい。この場に貴方が求めるケーサツとやらは絶対に現れません。
貴方は自分自身で、自身の身の振り方を決めなければならない」

「な、なにをすればいいのかなんて……俺は……」

大人としてのプライドなどかなぐり捨てて涙目になる那須島に、侮蔑の視線が突き刺さる。
教師たる彼が、本来教えるべき年齢であろう少女に気圧され、もごもごと口を詰まらせた。

「決まっているでしょう?本当は理解しているのでしょう?
悪魔を理解し、状況を理解したならば、そのほかのことも全て理解できたはずでしょう?
貴方が見たものは全て真実。貴方は魔神皇の暇つぶしの奴隷です。
奴隷は皇に媚び諂うのがお好きでしょう?ならば彼の思う通りに踊ってやらねば」

そしてあなたは、どんな踊りを望まれているかも既に分かっているはず。


559 : 皇都にて魔女達は燃ゆ  ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:45:05 z2dyu0gY0
「ここは殺し合いの場。悪魔以外に友はなく、塵殺以外に道はない。
ならば、ならばこそ、貴方がするべきことなど決まり切っている」

もっとも、私は発情期の獣と友になる気など一切有りませんが、と吐き捨てて。

「破壊と殺戮、それが貴方から私に下すべきオーダー(尊命)です」

黒き少女は、サディスティックな笑みを浮かべて男へ道を指し示す。殺人者としての道を。
彼女のオリジナルたる聖女が右も左も分からぬ無垢な群衆を救い導き、その果てに救い導いた人々に裏切られ、殺されたように。
少女は悪魔として、この右も左も分からぬ愚鈍な群衆の見本たる男を堕とし惑わせ、その果てにこの男を裏切らず殺さず、生きたまま地獄を歩ませる。

「お、俺は、しかし、誰かを殺すなんて……法律的にも……」

それでも未だに愚図っている大の大人に、はあ、と溜息をつく。
未だに、倫理観だとか法律だとか、そういう下らないものに縛られているのか。
こんな無法地帯で、問答無用な世界で。
何をしても許される、こんなに愉しい法(ルール)の下で。
未だに、世俗のしがらみにとらわれているのか。

……いや、違うか。この男はきっと、自分のことしか考えていない。

理由を作ってやらねば、悪道も歩けぬ三下か。
ただ、自分のちっぽけな心を守るために、自分では何も出来ないだけか。
罪悪感に押しつぶされるのが嫌で、かといって勇気を出すことも出来ずに、ヒトから案山子に成り下がっているのか。
なんて、愚か。
なんて、間抜け。

「……ああ、そうでした。貴方のような民草は、こういう言葉が欲しいのでしたね」

そうだった。
いつだって衆愚は自分自身では行動を起こせない。
神に頼り、神の言葉を聞く少女に頼り。

「貴方は悪くない。貴方は悪魔に従っただけ。悪魔の甘言に乗っただけ。悪魔が勝手に殺しただけ。
貴方は悪くありません。仕方なかったのです。悪いのはすべて悪魔」

都合が悪くなれば今までの盲目的な信頼を責任へと変換し、聖女を異端として、悪魔として無遠慮に神に捧げる。

そも、悪魔とはそう言う存在だ。
神と表裏一体なる存在。
都合が良いことは神のおかげ。
都合が悪いことは悪魔の仕業。
ならばこそ、私は悪魔。私こそが悪魔。
もしくは。

「もしくは、魔女」

少女――魔女はひたり、と小さく歩を進め、男の近くに寄る。
地獄の炎を侍らせて、竜が描かれた旗を掲げ、堂々と。
ひっ、と尻もちをつき、無様な姿で後ずさりしようとした男だったが、背後は壁。
逃げ場はない。馬鹿な男。逃げる必要などないというのに。
しゃがみこみ、鼻水を垂らす男へと言葉を落とす。
もう後戻りはできないのですよ、と教えてあげる。

「そういえば、自己紹介がまだでしたね」

「私はジャンヌ」

彼女こそ、魔女に貶められた聖女にして、神の御使いから悪魔へと落とされた聖人――の裏面。
聖人であれど、悪(人間)であれかし、と。
聖女であれど、魔(少女)であれかし、と。
狂人に願われ、聖なる杯に創られ、破壊と殺戮を行った贋作物。
神の名のもと、民により殺された、ただの少女。


560 : 皇都にて魔女達は燃ゆ  ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:45:29 z2dyu0gY0
「魔女 ジャンヌ・オルタ」

一度存在した以上、彼女が如何に偽物なれど、創造物なれど、世界には刻まれる。
ならば、悪魔として呼ばれたからには、オリジナル(ジャンヌ・ダルク)ではなく彼女が召喚される方が妥当だろう。
屈折した手段で創造され、狂信者以外の誰にも存在を望まれず、しかし聖女の『可能性』として無理やりにでも地獄から這い出る復讐者は。


「では改めて、殺しに行きましょうか――人も悪魔も」


これより、民を従え、戦争を起こす。
これより、黒の炎で、街を焼き尽す。
これより、竜の力で、人を滅し殺す。


「もしもこの場に存在するのならば……愛すべき、唾棄すべき、神すらも」


これより、魔女の憎悪が、神をも殺す。


「……ああ、そう言えば、こういう時の常套句を忘れていました」


これより、人魔争乱皇都【人と悪魔が争い乱れる皇の都】 東京にて、魔女の狩りが始まる。


「今後とも宜しくお願いしますわ、燃えるゴミ(マスター)」


【?????/1日目/朝】
【那須島隆志@デュラララ!!】
[状態]:片腕負傷
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:死にたくない。死にたくないから……魔女に殺させる。俺は悪くない。
[COMP]
1:ジャンヌ・オルタ@ Fate/Grand Order
[種族]:魔女
[状態]:健康


561 : ◆GOn9rNo1ts :2016/05/05(木) 14:45:45 z2dyu0gY0
投下終了です


562 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 14:50:48 0bxVkn0o0
投下します。


563 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 14:51:27 0bxVkn0o0


「ええと……」

そう呟く声は“私”のものでした。
目の前には朝の町の風景が映し出されています。
なんの変哲もないと、そうとしか言いようのない私の記憶にはない町の風景です。

「ええと……」

もう一度、私は呟きました。
私にはわからないのです。どうしてこんなところにいるのか、どんな理由や目的があったのか。
なにより――“私”は一体、“誰”なのか?

目の前のお店の大きな窓に一人の女性、つまり私の姿が映っています。
少し明るい色の長い髪の毛。ぱっちりとした瞳。キュートなお鼻とプリティな唇。
おっぱいは大きく、ウェストは引き締まって、むっちりとした太もも。
茶色の学生服はひどく地味なデザインでしたけど、スカートはパンツが見えるぎりぎりまで短くされていました。
化粧っ気も控えめですが、唯一、首に銀のチョーカーというアクセをつけています。
私自身のことなのでひどく恐縮するのですが、すごくエロカワイイと思いました。
こんな美人が自分だなんてラッキーというやつです。

「いえーい☆」

なんとなくポーズをとってみたりして。

「いやいやそうじゃなくて……」

それどころではないはずなのです。何故かはわかりませんが、気づいた時からずっと胸がざわざわとしているのです。
まるで、なにか自分がとてつもなく取り返しのつかない状況に陥っているんじゃないかって胸騒ぎです。

「そうだ……荷物を調べれば」

常識的な提案が私の脳内から発せられました。
泣いてる迷子の子供や、酔っ払って前後不覚のおじさんの身元を確かめる時、どうするかという発想です。
その発想はひどくスムーズに私に私の正体と現状を教えてくれました。そう、それは絶望的なまでに。





.


564 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 14:51:54 0bxVkn0o0


「……私の名前は“音無涼子”」

私の名前はそんな名前でした。しっくりと違和感を覚えない、ああこれが私の名前なんだなと思える名前でした。
その名前は一冊のノートに書かれていたのです。表紙に大きく、これみよがしに『音無涼子の記憶ノート』と。

「これってつまり……」

そのノートにはそのタイトル通りの内容が記されていました。
ノートを開くとまず、私自身が記憶喪失状態でありかつ今の記憶も長く保持できないことが私に向けて書かれています。
どうしてそうなったかはわかりません。ともかく、私は私の過去を知らず、それどころか今すらも覚えていられないのです。
そして、そんな私はこの『記憶ノート』に自分の記憶を書き込み続けている――ということでした。

詳細に、びっくりするほどに詳細に、文字だけではなく時には図やイラストも交えて私のついさっきまでが認められています。
ある時期以前の情報はなくノートにナンバーが振ってあることから私は記憶を書き溜めているらしいこともわかります。
気づけば私はペンを取ってすらすらと新しいページに今見える町並みや自分の感情を綴っていました。

さて、一番大事なのは今の少し前です。私がどうしてこんな人気のない町中にぽつんと佇んでいるのか。
それは私が新しく記憶を書き足した最新のページを過去に向かってぺらりとめくれば判明します。
ひどく、恐ろしいまでにひどくそれは気の進まない行為だったのですけど、私はページをめくりました。
そして――“絶望”しました。

「これって……“コロシアイ”!?」

私の“記憶”にはそう書かれています。
気づいた時にはすでに目の前に『マジンノウ』と名乗る白ランの青年がいて、私たちに“コロシアイ”をしろと言ったこと。
そしてその青年は手から光線を放ち人を焼き殺し、逆らう者には死あるのみだと宣言した……と。
最悪なことに銀のチョーカーはおしゃれでもなんでもありませんでした。爆弾入りの首輪だったのです。

「……どうしよう」

気持ちがずーんと沈みます。このまま身体から垂れ落ちて、地面にべっとりと広がりそうなくらいにです。
まったくの想定外。あまりにも不条理な物語の始まり……衝突とも言えるものです。
記憶を失って気づけば、魔法を使う王様に命じられてコロシアイを強要される……あまりに陳腐で、なぜかそわそわします。

「とりあえず、“悪魔”を召喚しよう」

意外なことに私はこんな荒唐無稽な事態にひどく前向きでした。
記憶がないからこその性質なのかもしれません。なにせ、私にはしがみついたり振り返る為の過去がないのですから。
ただただ、新しいページに今から先の未来を記し続けることしかできないのですから。

「ここから悪魔が出てくる?」

手のひらには少し大きめの卵が乗っています。真ん中から左右にシロ・クロと塗り分けられたイースターエッグ。
指先で突くと表面に[COMP]と文字が浮かび上がりました。
そして、何度か突いて、最後に[SUMMON]という表示を突いた時、そこに、“私”にとっての“悪魔”が姿を現したのです。





.


565 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 14:52:22 0bxVkn0o0


「呼ばれて飛び出てジャジャジャ、ジャーン!」

あーっはっはっはと、まるで王様のように魔神のように高笑いをしながら登場したのは、一人の少女でした。
背格好は私と変わりません。プロポーションも変わらないかもしれません。年齢も同じくらいに見えます。
けど、その有様が全くの別でした。
地味で控えめでいてそれでいて時には積極的でエロい身体を制服の下に隠し持つ幼馴染系ヒロインっぽい私ですが、
目の前の彼女は、金髪でシロとクロと赤にド派手に彩られ、アイラインもびっちりないかにもといったギャルだったのです。
これが漫画なら後ろに「ぎゃるる〜ん♪」と書き文字がつきそうなくらいに突き抜けた“ギャル”でした。

「あー、それでなにからかな? まずは自己紹介? アタシは外道、ドッペルゲンガー。コンゴトモ、ヨロシク☆」

ドッペルゲンガー……記憶のない私ですが、知識はありました。ドッペルゲンガー。それはそっくりさんという意味。
けれど、目の前に立つギャルな彼女は私とは――……

「私とは似ても似つかない……って思ってる?」

えっ、と声をあげると彼女はにんまりと笑いました。に〜〜〜んまりと、です。

「あーいやいや、こんなの人心分析の初歩じゃん? 驚くことないって。
 それよりか、大事なことは――アタシはアンタ。つまり、アンタを写し取ったドッペルゲンガーだってのは事実だってこと」

たじろぐ私に彼女はそう言いきりました。
言われて、冷静に観察してみればそうなのかもしれないと思えてきます。
ド派手なメイクに覆われた顔も、窓に映った自分のものと比べるとまるで双子のように瓜二つだし。
髪の色こそ違っても、体つきや、そう、短いスカートから覗くむちむちのふとももとはやはりこれもそっくりなのです。

「じゃあ、どうしてこんなに違うのか――って、それは“キャラ”じゃない?
 まーアタシってば飽きっぽい。あっ、今は忘れっぽいか。だったら、その時その時で全然キャラが違うってのもアリだろ?」

それはどうでしょうか。ひどく説得力がありません。あまりにもキャラの触れ幅がありすぎです。
それよりかは、ドッペンゲルガーの性質としてその姿は本性、あるいは願望を写し取る……そんな謂れのほうがありえそうです。

「まっ、アタシはあくまでアンタ自身ではなくドッペンゲルガーって悪魔だからね。今は深く考えなくていいよ。
 こちらとしては色々と助けてあげたいけど……主導権はそちらにあるわけだしね。とりあえずは、コロシアイ、だっけ?」

はい? と、物騒な言葉に私は素っ頓狂な声をあげてしまいました。

「だーかーらー、悪魔を交えたサイコなコロシアイバトルロワイアルが今ここに始まったってシーンなわけでしょ今は」

悪魔……って、天使と悪魔のあの悪魔……?

「アンタ、それマジ……?」



それから、改めて『音無涼子の記憶ノート』を読み返し、私が現状を把握しなおしたのはこれから5分後のことでした。






【?????/1日目/朝】

【音無涼子@ダンガンロンパ・ゼロ】
[状態]:健康
[装備]:卵型COMP、音無涼子の記憶ノート@ダンガンロンパ・ゼロ
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:?????
[COMP]
1:ドッペルゲンガー@女神転生シリーズ
[種族]:外道
[状態]:健康

 ※ドッペルゲンガーは現在、江ノ島盾子(=音無涼子)の姿を取っています。
 ※ドッペルゲンガーは“物理反射”を持ちます。

.


566 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 14:53:38 0bxVkn0o0
投下終了します。

タイトルは「人を殺したかしら?」になります。


567 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/05(木) 15:30:14 8HDvZ.Fc0
投下します


568 : おねショタは素晴らしい ◆NIKUcB1AGw :2016/05/05(木) 15:31:14 8HDvZ.Fc0
(なんや、おかしなことに巻き込まれましたなあ……)

高級ホテルの最上階から下界を見下ろしつつ、天ヶ崎千草はそんなことを考えていた。

(まあどうせあのままやったら人生お先真っ暗やったし、どんな形であれチャンスをもらったと考えるべきかもしれませんなあ)

裏社会を生きる魔術師だった彼女は、西日本を取り仕切る組織の支配を目論み、失敗した。
捕らえられた彼女は、そのままさらなる闇の中で余生を過ごすはずだった。
だが千草は今、この場に招かれている。
失敗すれば待っているのは死だが、勝ち残れば再起のチャンスが巡ってくる。
どうせもう失うものはないのだから、乗らない理由がない。

(で、これがCOMPか……。アヤカシを科学の力で制御する研究の噂は聞いとったけど、実用化されてたとはなあ)

手にしたCOMPを見つめる千草。だが、いつまでもそうしていたところで始まらない。
意を決して、千草は悪魔の召喚を行う。

(聞いたことのない名前やけど……。戦力になるアヤカシであることを祈るで!)

そんな期待を抱く千草。しかし現れた悪魔は彼女の想定から大きく外れたものだった。

「ヤッホー! 斬々舞(きりきりまい)だよ! よろしく!」

彼女の前に立っていたのは、あどけない顔立ちの少年だった。
にこにこ笑うその姿は、とても強そうには見えない。
一瞬失望しそうになった千草だが、すぐに考えを改める。
人外の者は、何も肉体的な強さだけが全てではない。
体は貧弱でも、恐るべき特殊能力を秘めている可能性もある。
まずは探ってみなければどうにもならない。そう判断し、千草は眼前の悪魔に話しかけた。

「これはこれは、かわいらしい悪魔が出たもんやねえ」
「ありがとう♪ お姉さんも美人だね。こんな美人に召喚されて嬉しいな!」
「ふふふ、お世辞でも嬉しいもんどすなあ。ところで悪魔はん、あんさんはどんな能力を持ってはりますのん?」
「いいよ、教えてあげる。ちょっとこっち来て?」
「ん?」

無警戒に斬々舞へ近寄る千草。
次の瞬間、斬々舞はごく自然な動作で千草の唇を奪った。

「!?」

動揺する千草。その後はもはや、斬々舞のなすがままであった。


そして、数十分後。

「じゃあこれから一緒にがんばろうね、千草♪」
「はいな……♪」

千草の表情は、すっかり愛しい男を見る女の顔になっていた。


野村斬々舞。齢12にして、稀代の色事師として大阪の裏社会に名を馳せた男である。


【?????/1日目/朝】
【天ヶ崎千草@魔法先生ネギま!】
[状態]:魅了、疲労(小)
[装備]:ガラケー型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:斬々舞のために優勝する
[COMP]
1:野村斬々舞@サタスペリプレイ アジアンパンクGO!GO!
[種族]:疫病神
[状態]:健康


569 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/05(木) 15:32:15 8HDvZ.Fc0
投下終了です


570 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/05(木) 15:54:15 zdEr975s0
皆様投下乙です!

>>561
悪魔くんがやろうって言い出したんだよ!! 俺は悪くねえ! 俺は!
あれ、この感じどこかで……しかしジャンヌさん、キマってますね……

>>566
影は我、真なる我とはよく言ったもので。
記憶がなく、あまり長く保持できない、というハンデがどう出るやら……

>>569
魅入られちゃってる!? こりゃ大変だ。
しかし「疲労(小)」……なにがあったんですかね(すっとぼけ

てなわけで自分も投下します。


571 : 逆転 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/05(木) 15:54:42 zdEr975s0
「これは困ったニャー……」

 ちびっこの皆、元気かニャ?
 ご存知茶の間のアイドル、ニャースでニャース。
 いろいろあってニャー達ロケット団は、語り継がれる存在になったのニャ。
 今じゃこうやってニャーたちの力を借りようとお願いしてくる異世界の人間も居て、よく呼び出されるようになったニャ。
 でも、流石に今回はちょっと想定外のケースだニャ。
 まさか、呼び出した召喚士と意思疎通が図れないとは、思っても居なかったニャ。
 ニャーの召喚士様は金髪の三つ編みの、青い目をした女の子ニャんだけど、どうにも人の言葉が喋れないみたいだニャ。
 なんか踊ってるし、ニャーの言葉は聞いてくれないし。
 多分COMPだと思う小判を初め、荷物はそこらに散らばってるし。
 仕方がなく荷物を代わりに纏めてたら、一枚の写真を見つけたんだニャ。
 それは、目の前の女の子の写真で、裏にはつらつらと文字が書いてあったのニャ。

――――人喰い狼少女。
    アマゾンのある地方で噂されていた、そんな少女を捕まえることに成功した。
    調査の結果、この少女が十数年前の飛行機事故の被害者であると分かっていた。
    村の人間に聞くと、彼女はどうやら"狼"に育てられたのだという。
    不思議な話だとは思うが、常人離れした身体能力は確かに獣のようだった。
    それだけではない、なんと彼女自身も"狼"に変身することができるのだ。
    果たして、彼女を育てたのは本当に"狼"なのか。
    それとも、別の……いや、これ以上は我々では手が付けられない。
    調査を買ってでた、ある組織の調べを待つことにしよう。

 ニャンてこった、この女の子は人間だけれど、人間に育てられていニャいという事らしいニャ。
 言葉が通じないのも、やけに体のキレがいいのも、そう思えば納得できるニャ。
 しかしそれはそれで困るニャ……。

「ニャッ!! 敵だニャッ!!」

 なーんて途方に暮れてたら、近くに変な気配を感じたのニャ。
 素早く振り返ると、そこには"ケイサツカン"の格好をした、ゾンビが立ってたのニャ。
 こう見えてもニャーもポケモン、長い悪魔暮らしといえど、呼び出された以上はニャーが前面に立って戦わないといけないニャ。
 てなわけで先手必勝、ニャーの鋭い爪でゾンビをズバーッと切り裂くニャ!!
 って、あれ?
 ニャ、ニャンと、ニャーよりも先にサマナーの女の子がゾンビに向かっていっちゃったニャ。
 流れるような足さばきで近くの数体を軽くふっ飛ばしたニャ。
 すごいニャ、ニャーには真似出来ないニャ。
 でも関心してる暇はニャくて、遠くにもまだ何人かゾンビが残ってたのニャ。
 流石に危ない! と思ったニャーが先に動こうと思ったんだけれども、その時女の子がピカッと光って、本当に狼に変身したのニャ。
 それからは、息を付く間もニャくて、ぴゅぴゅーっと近寄った女の子が、そのままゾンビの腹を弾丸のようにブチ抜いていったのニャ。
 あまりにも一瞬の出来事に、ニャーはぼうっと見つめることしか出来なかったのニャ……。

「お嬢ちゃん、ニャーより強いんじゃニャいかニャ……」

 思わず、本音がポロっと出てしまったニャ。
 すると、また人間に戻っていた女の子が、ニャんとニャーの方に近寄ってきたニャ!
 怒らせてしまったニャら、謝らニャくては、と思っていたら、なんと彼女はニャーに頬ずりしてきたのニャ。
 どうやら、ニャーは仲間だと思われているらしいニャ。
 ありがたいといえば、ありがたいのニャけれど……。

「これじゃどっちがサマナーかわからないニャ……」

 そんな本音が、思わず漏れてしまうニャ。

【?????/1日目/朝】
【狼少女ジョー@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:COMP(小判型)、基本支給品、ジョーについて書かれた調書
[思考・状況]
基本:?
[備考]
※状況をあんまり理解してません
※COMP、支給品は現在ニャースが管理してます
[COMP]
1:ニャース@ポケットモンスター(アニメ)
[種族]:魔獣
[状態]:健康


572 : 天丼 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/05(木) 15:55:24 zdEr975s0
 いつか、どこかの記憶。
 それがちらついて、離れない。
 大広間、自分と同じような服装の者達。
 倒れるもの、叫ぶ者、怒る者、泣く者。
 そこに立ち尽くす、自分。

 そんな光景を、先ほどの場所で魔神皇と名乗る少年が放った、紫の炎を見た時に、ふと思い出した。
 その全て、詳しくは思い出せない。
 だが、今と似たような状況の光景を、どこかでみた覚えがある。
 人が人を殺し、泣き、笑い、怒り、狂う。
 はっきりとは思い出せない分、気持ち悪い。

 そして、この感覚には覚えがある。
 少し前に失敗した任務、増田光司の暗殺。
 あの時に奴が持っていた剣に埋め込まれていた宝石を見た時と、同じ感覚だ。
 なくしていた記憶が蘇る、少し気持ち悪い感覚。
 けれども、この感覚こそが、大事だったような気がする。

 忘れてはいけない、大事なもの。
 それをはっきりと掴むには、あの"魔神皇"に会うしか無いだろう。
 方針が固まった所で、支給されていた刀を抜いてみる。
 どうやら"COMP"と呼ばれるものらしく、抜刀が召喚を兼ねているのだとか。
 半信半疑で試してみた時、きらりと刀身が光った気がした。

「あっ……」

 ふと聞こえた声の方を向くと、一匹のラッコが立っていた。
 いや、ラッコか? 二足歩行している、それにやけに青い。
 しかし手には貝を持っているし、見てくれはラッコのように見える。
 だが……。

 こうして、両者の沈黙はしばらく続いたのだという。

 ♪ ハイヤッ ハイヤッ ハッハッハッハ ♪

【?????/1日目/朝】
【佐助@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(刀型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:記憶の鍵を掴むため、魔神皇に会う。そのために――――?
[COMP]
1:ぼのぼの@ぼのぼの
[種族]:珍獣
[状態]:健康


573 : 解呪 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/05(木) 15:55:56 zdEr975s0
 李氏八極拳、たった一撃で相手を殺すその殺人拳法の創始者、李書文。
 伝記によれば、彼は毒を盛られ、苦しみ抜いた末に命を落としたとされている。
 そう、それが表向きに語られている"李書文"の末路。

 だが、現実は違う。
 李書文その人は、現代においてもなお、生き続けているのだ。
 いや、正確には生き続けているというより、蘇ったという解釈の方が正しいか。
 ある組織が見つけた伝説の秘薬により、彼は現代を生きていたのだ。
 たった一撃で全てを沈めるその拳は伝記通り、いや、それを優に超えていた。
 しかし、現世に蘇った彼は、一つの違和感を感じ取っていた。

 それは、自分の体がどんどん"若返っている"という事。
 今でこそ相応の年齢だが、このまま続けば少年へ、いずれは無に帰してしまうかもしれない。
 呪いとも呼べるその現象を、なんとか解決しなければ。
 そう思っていた矢先に、彼はこの殺し合いに招かれたのだ。

 あたりをぐるりと見渡し、建造物をひと通り睨みつける。
 それから首元に手を伸ばし、そこにある枷にゆっくりと触れる。
 魔神皇と名乗る少年は、自分たちに殺し合いをしろと命じた。
 それだけならば特に興味はなく、話を聞くつもりもなかった。
 だが、そこに付けられたもうひとつの言葉が、彼の興味を引いた。

「願いを一つなんでも叶えてやることにしよう」

 そう、彼は確かにそう言った。
 多人数を一箇所に集め、妙な妖力で人を焼き殺す、そんな力を持った少年。
 彼ならば、この身に残った毒、つまり呪いを解呪する力があるかもしれない。
 可能性は、決して低くはない。
 だが、それを手にするには、まずこの場の全ての人間の頂点に立つ必要がある。
 それも、出来ない話ではない。
 目に映る全てを、この手で沈め続ければいいだけの話なのだから。

 にやり、ともう一度笑みを作りなおす。
 やるべきことが決まった所で、側にあった袋から取り出した槍を一度構える。
 己の拳がある故に、戦いに困ることは考えにくいが、遠距離戦、ないし一対多の状況が起こりうることは十分に考えられる。
 この槍はその時のためだ。
 ぴん、と伸ばした槍を、器用にぐるぐると回していく。
 使っていた物とは違うが、扱いやすい槍だと思ったその時。
 見慣れない人影が、彼の目に映った。


574 : 解呪 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/05(木) 15:56:18 zdEr975s0
 
 その瞬間、突き出される槍。
 かきん、と金属音が鳴り響く。
 書文が突き出した槍は、一本の刀に受け止められていた。

「随分なご挨拶ね、召喚士様」

 その刀を持っていたのは、赤い袴の少女だった。
 据わった目は、しっかりと書文の姿を縫い止めて、離すことはない。
 魔神皇がどうのこうの言っていた、悪魔とは彼女のことか、と思い出した書文はゆっくりと槍を引く。

「非礼を詫びよう」
「いいわ、慣れたことだもの……」

 頭を軽く下げる書文に対し、少女も刀を仕舞い、落ち着いた声で返答する。
 外見こそ若いが、その堂々たる構えは、大人のそれよりもしっかりとしていた。
 大した少女だ、と内心感心しながら、書文は少女の言葉を待った。

「私は高嶺響……只の居合使いよ」

 少女の名乗りと共に、びゅうううと風が吹く。
 その表情は冷たく、その瞳は、気を抜けば吸い込まれてしまいそうだった。
 そして、書文は確信する。彼女は只の少女では無いことを。

「貴方の望みは何?」

 抑揚のない声で、響は書文へと問う。

「全てを沈める、それだけだ」

 間を置かず、書文はそう答え、ゆっくりと歩き出す。

「そう、分かったわ」

 返事は、ただそれだけ。
 否定することもなく、言われたことを真っ直ぐに受け止め、彼女も書文の後を付いていく。

「みんな、斬ればいいのね……」

 その間際、小さく呟いた言葉は、書文の耳には届かない。
 そして、その言葉がつぶやかれた時。
 彼女は、薄っすらと冷たい笑みを浮かべていた。

【?????/1日目/朝】
【李書文@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(槍型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:優勝し、若返りの呪いを止める。
[COMP]
1:高嶺響@月華の剣士2
[種族]:人間
[状態]:健康
[備考]
※人殺しエンディングが基準となっています


575 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/05(木) 15:56:32 zdEr975s0
以上で投下終了です


576 : 最恐タッグ ◆T3rvSA.jcs :2016/05/05(木) 16:49:31 VQjC9vLw0
投下します


577 : 最恐タッグ ◆T3rvSA.jcs :2016/05/05(木) 16:49:56 VQjC9vLw0
雨戸を閉め切った真っ暗な部屋の中、一台のテレビが砂嵐を映していた。
やがてテレビに古井戸が映る。
そして古井戸から這い出てくる女。

ガムテープで厳重に封じられた押入れの上、天井裏から物音がする
天井裏を何かが動き回る音がする。音からすると相当な大きさだろう。
そして天井裏から押入れへと音が移動して来た。

テレビに映った女が画面から這い出し。
押し入れから女が這い出し。

そして二人の女は視線を交えた。


【?????/1日目/朝】
【佐伯伽耶子@呪怨シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:
1.皆殺し
2.こいつ(貞子)どうしよう?
[COMP]テレビデオ型
1:山岡貞子@リングシリーズ
[種族]:悪霊
[状態]:健康


578 : 最恐タッグ ◆T3rvSA.jcs :2016/05/05(木) 16:50:30 VQjC9vLw0
投下を終了します


579 : 最恐タッグ ◆T3rvSA.jcs :2016/05/05(木) 17:06:37 VQjC9vLw0
キャラ名を間違えていましたのでwikiで修正しました


580 : ◆BLAZExujxM :2016/05/05(木) 17:13:58 JJ3C8Ru60
投下します


581 : 王者の風  ◆BLAZExujxM :2016/05/05(木) 17:14:25 JJ3C8Ru60

「あーん? 殺し合いだと? ふざけやがって……!」

 少年が今思っていることを率直に口に出す。
 茶色に髪に右目の下には泣きぼくろ。
 非常に整った顔立ちをしており、その風体から王様(キング)を連想させる。
  
 少年の名は跡部景吾。
 氷帝学園テニス部主将兼氷帝学園生徒会長である。

「確か魔神皇だったか?
 生憎だが俺様はテメーの思い通りには動かねーぞ、あーん?」

 跡部は『殺し合い』には乗らない。 
 そうと決まればやることは一つ。
 この首輪をどうにかして、この殺し合いからの脱出を狙う。
 
「テニスラケットか……」

 COMPはおそらくこのテニスラケットであろう。
 パッと見は普通のテニスラケットである。
 しかし、跡部はそれが自身に支給されたCOMPであることくらいすぐに見抜いた。
 内部構造すら、跡部の『眼力(インサイト)』の前ではスケスケになるのだ。
 ラケットを振れば悪魔が召喚されるプログラムが仕組まれていることすら見抜いた。

 とりあえず、跡部はラケットを振るう。 

「あーん?」

 振ったはいいが、悪魔が召喚されたという気配は無い。
 そう考えたのは、ラケットを振ってすぐだったが、その考えはすぐに捨てた。

(その『悪魔』っていうのは俺様のすぐ近くにいやがるな)

 黒い影だけが跡部の周囲を高速で移動している。
 常人にはただの黒い影にしか見えない。
 しかし、跡部の『眼力(インサイト)』をもってすれば見える。

「そこだ!」

 跡部はテニスのサーブの要領でその黒い影にボールを当てる。 
 すると、その影の動きを止めてボールをキャッチしていた。 

「初見でわしの動きを見抜くとはな、少しはやりおるのう」
「爺さん……アンタが俺の悪魔か?」
「ほう、少々華奢な肉体だが、いい眼をしておるのう」

 紫色の胴着と長い三つ編みにまとめられた白髪の男が跡部の目の前に仁王立ちしていた。
 だが、跡部の『眼力(インサイト)』をもってすればその男が『悪魔』であることなどすぐに見抜ける。
 爺さんというにはその動きから人外のようなものであると跡部は一瞬で理解した。


 その悪魔―――東方不敗マスター・アジア。


【?????/1日目/朝】
【跡部景吾@新テニスの王子様】
[状態]:健康
[装備]:COMP(テニスラケット型)
[道具]:基本支給品、テニスボール
[思考・状況]
基本:勝つのは―――俺たちだ。
[COMP]
1:東方不敗マスター・アジア@機動武闘伝Gガンダム
[種族]:珍獣
[状態]:健康


582 : ◆BLAZExujxM :2016/05/05(木) 17:14:48 JJ3C8Ru60
投下終了です


583 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/05(木) 17:47:30 thoPOZOI0
投下乙です!

>>578
トレンドなタッグきた! でも協力しあうつもりがあるんでしょうか……

>>582
跡部様来た! 相方はばっちり強め! 今回の氷帝も強そうですね……


584 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 18:18:57 0bxVkn0o0
投下します。


585 : 異邦人の時  ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 18:19:27 0bxVkn0o0


白い日の出の光が青い影を伸ばす街の光景の中。
そこに、ジャン=ピエール・ポルナレフと呼ばれる男が一人佇んでいた。

「どーやら、ここは“日本”みたいだが……」

ひとりごちる彼の目に映る街の景色は正しく日本のそれだ。
今にも仕事場に向かうサラリーマンや学校に通う学生が出てきてもおかしくないが、今はひどくしんとしている。
ポルナレフがこんな光景を目の前に何を第一に思い浮かべるかというと、

「“幻覚”か……?」

ということだった。
いつの間に気づけばあの魔神皇と自称する男の前に、そしてまた気づけばこの日本のような場所に。
ある“能力”を持ち、数多くの経験を経た彼からすれば、まずはそう考えるのが妥当に思えた。

瞬間、空間に銀色の閃きが走り、ポルナレフの目の前にあったゴミ箱が両断される。
空き缶、飲みかけのペットボトル、紙くず、パンパンに膨らんだビニール袋。あらゆるものが地面にぶちまけられた。

「随分とリアリティがあるが……、あの“館の幻影”のように見た目だけってわけじゃねーのか?」

訝しがる表情を浮かべ、ポルナレフは周囲を観察する。
アスファルトにはまったマンホールの蓋。根元が錆びついた標識。本屋の看板。空を流れる白い雲。
どこかにこの世界の秘密へと迫る切欠がないか、なにかしらの綻びを発見できないか。
その時、視界の隅で何かが動いた。

「何だッ!」

次の一瞬、ポルナレフの目の前に銀色の甲冑を纏った騎士が現れる。
これこそが彼の“能力”。
『スタンド』と呼ばれるパワーを持つ像(ビジョン)。
この銀色の騎士――シルバーチャリオッツこそが彼の精神によって生み出されたひとつの超能力なのだ。
そして、そのシルバーチャリオッツが構える剣の切っ先、その向かう方向に一匹の“亀”がいた。

「亀ェ〜〜?」

亀、としかい言いようがない。池の中で泳いでそうなあまり大きくない亀だ。
物陰から現れたそれがのそのそとアスファルトの上を歩いている。のそのそ、のそのそ……のそと、ゆっくり道を横切っていた。

「油断はしないぜッ。猿や鳥のスタンド使いがいたんだ。亀のスタンド使いがいてもおかしくはねぇ」

それだけでなく、スタンドというものは精神が生み出すものであることから必ずしも人型であるとは限らない。
不定形であったり、時にはコンセントの姿をしていることもあった。この、亀そのものが誰かのスタンドということもある。
あるいは、亀を媒介として攻撃をしたり罠にはめてくるタイプのスタンドということまで考えられた。
ポルナレフは、そういう相手に何度も苦渋を呑まされているのだ。

「そもそもとして、『悪魔』にゃいい思い出がねぇし、『願いを叶える』なんてのももうこりごりなんだよ……」

幸か不幸か、この時ポルナレフは一人で味方は誰もいなかった。なら目の前に現れるモノが敵だと判別するのも簡単だ。
わずかなしなりを見せた剣先が未だのろのろしている亀に向かって躊躇なく突き出される。
それは人の目にはとても留まらない高速の閃撃で、亀は間違いなく気づく間すらなく貫かれるはずだった。

「ムッ!?」

が、そうはならなかった。剣先は後僅かというところで止まり、シルバーチャリオッツは亀の甲羅に刻まれたある文字を見ていた。
『COMP』――そう読める傷が亀の甲羅に刻まれていたのだ。





.


586 : 異邦人の時  ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 18:19:51 0bxVkn0o0


「奇妙だが……こいつは“生きてる亀”だ。そして――」

しばらく後(散々警戒し逡巡しやっとのことで)、ポルナレフは自分に宛がわれた“COMP”を拾い上げ観察していた。
言う通りにそれはただの亀だった。だが、ひとつだけ普通ではないところがあった。

「この、“甲羅にはまった宝石”。この中に“何か”がいやがる」

亀の甲羅の真ん中にキラキラと輝く大粒の宝石がはまっているのだ。まるで、誰かがそうしたように。
そして、その宝石を通して亀の中に“部屋”が見えるのだ。無論、そんなことは常識ではありえないのだが。

「くっそぉ〜……、なんだってこんな厄介ごとに巻き込まれちまうんだ、おれはッ」

亀を放り出し、この世界から逃げ出す手段を探すということもできたかもしれない。
だが、ポルナレフはその宝石に指先を触れさせてしまった。
何故なら、そこには自分の味方となるはずの悪魔がいるはずであって、それが罠だと思うよりも好奇心が勝ってしまったからである。

そして――。





.


587 : 異邦人の時  ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 18:20:14 0bxVkn0o0


「うぉおおおぉぉぉぉ――――ッ!?」

突如、モクモクと湧き出した真っ黒な煙にポルナレフは声を上げて飛び退った。
そして顔を上げて亀があった場所を見た時、大量の煙は晴れ――いや、その場に集束し、そこにあるシルエットを生み出していた。
まるで闇そのものが形を取ったかのような黒い戦車。そして、それに跨る一人の人物。

「こ、こいつが悪魔なのかッ? それとも、亀のスタンド……!?」

ポルナレフの頬を汗が伝う。
漆黒のチャリオットとも言うべきそれはピクリとも動かない。
じっと目を凝らして見れば、黒い靄はよりはっきりとした形を朝日の中に現し、それが戦車と人ともにかなり細身であることがわかる。

「“バイク”……なのか? だが、ライトもカバーもついてねぇ。スクラップみたいで不気味だぜ……」

フレームやマフラーも含めた全てが漆黒なので判別はつきづらいが、バイクとしてはかなり大型のものに見える。
だが、言葉にしたようにあってしかるべき部品がなく、フレームがむき出しのその状態はまるで“ゾンビバイク”といった印象だ。

「そして、“女”なのか……?」

これも漆黒のバイクスーツを纏った人物のシルエットは明らかに女性のものだった。
頭に被った黄色いフルフェイスだけが全体の中で異質で、尖がりをふたつもったデザインがなお奇妙さに拍車をかけている。

「(まるで“ランプの魔神”のように出てきやがってよぉ……。くそォ〜、嫌なことばっかり思い出すぜ)」

じりじりと精神が焦がれ、頬をなぞる汗の数が増える。
なにかしらのコンタクトをとらないといけないだろう。敵だとしても味方だとしても。
だがポルナレフはここにきて躊躇していた。
何故なら、似たような場面で罠にかかった経験があること。(それもトラウマになりかねない酷い目にあったし死にかけた)
そして、……目の前の漆黒のライダーが自分のチャリオッツと同等かそれを超える強さを持つと直感できたからだ。

長く感じる沈黙の中、不意に漆黒のライダーが動いた。
なにかを取り出す仕草をすると、板のようなものをポルナレフに向けたのだ。
一瞬、それがなにかわからずにポルナレフは飛び退ろうとしたが、よく見ればそれは一種の電子手帳のようなもの見えた。

そして、そこにはこう表示されていたのだった。

 『私はセルティ。今後ともよろしく』






【?????/1日目/朝】

【J・P・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険(3部)】
[状態]:健康
[装備]:亀のCOMP
[道具]:基本支給品、不明支給品x1
[思考・状況]
基本:?????
[COMP]
1:セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!
[種族]:異邦人
[状態]:健康

 ※セルティは「首なしライダー」として召喚されています。


588 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 18:20:25 0bxVkn0o0
投下終了です。


589 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 20:25:29 0bxVkn0o0
投下します。


590 : 死が奏であう劇場の中で  ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 20:26:06 0bxVkn0o0


太陽が昇り始め外では新しい一日が始まろうとしている頃、どこか薄暗い建物の奥で震えている少女がいた。

「あ、あのー……」

そして震える少女の前には彼女を見下ろす巨大な棺が立っていた。
重々しく石が擦れる音が響くと、僅かに開いた隙間からこれも石を噛み砕きながらのような声が空間に響き渡る。

「……我はモト。小さき者よ。お主と敵対する者はことごとく我が破滅を齎し死の中に飲み込んでくれよう」

足元から立ち上る怖気に少女は膝を折り、一丁のライフルを抱いて床に蹲る。
あまりにも、あまりにも恐ろしすぎる事態に少女はただ一言だけ、いつもの言葉を漏らすことしかできなかった。

「むーりぃー……」






少女の名前は森久保乃々。
気弱で人といることが苦手で、ポエムを作ることが好きなまだ14歳の、しかしれっきとしたアイドルの女の子である。






【?????/1日目/朝】

【森久保乃々@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:健康
[装備]:タブレット型COMP、ウィンチェスターライフル@現実
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:やめたい……。
[COMP]
1:モト@女神転生シリーズ
[種族]:魔王
[状態]:健康


591 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 20:26:18 0bxVkn0o0
投下終了です。


592 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 21:28:03 0bxVkn0o0
投下します。


593 : LOVERS  ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 21:28:39 0bxVkn0o0


“女”っていうヤツは、まったくロクなものじゃない。

わからない。

少なくとも俺には――



――理解できない。






 ■


とうとう俺は狂ってしまったらしい。
イカれた女たちに振り回され続けて、挙句の果てにこんな“妄想”に逃げ込んでしまった。



「――なんていうのはどうだ?」
「そんな現実逃避してると悪魔に喰われて死んじゃうよ」

俺の隣をふわふわ飛んでいる“妖精”がそう答えた。
馬鹿馬鹿しいとは思わないか?
妖精だぞ、妖精。気が狂うにしても、俺にはもっとボキャブラリーのあるもっともらしい妄想ができると思っていたね。

「ねぇねぇ、これからの相談しようよー。アタシだって死にたくないわけだし」
「あー、五月蝿い」

これが妄想でないことを本当は解っているんだ。
だが、この事態は妄想だと思い込みたいほどに馬鹿げている。あまりに幼稚すぎる。
アクマをシエキするコロシアイにイキノコッタら、マジンノーのテシタにナレル?
……馬鹿か? それのどこに俺のメリットがあるんだ?
願いをひとつだけ叶えてみせます? じゃあ、俺はお前なんかの手下になるのは真っ平だと言いたい。
けれど、そんな願いは聞いてもらえないだろう。そもそも何もかも自由ならこんな下らない催しも必要ないはずなんだ。

「ねー、シンヤ。アタシの話を聞いてよー」
「却下」
「ひどくないー?」
「さぁな」

あのマジンノーとか名乗ったヤツ。マジンノー、マジンノー……どういう字を書くんだ? どうでもいいことだが。
ひどく幼稚そうなヤツだった。
あー、いるいるって感じ? 勝手に見下して、勝手に敵視して、宣戦布告でしかコミュニケーション取れないタイプ。
コンプレックスの塊で粘着質。勝利条件が自分の中にもないから、逃げ切るまで延々と絡んでくるんだ。

「まぁ、女じゃないってとこだけマシかな……」
「それなんの話ー?」
「ウザイ。喋るな」
「シンヤってばひどい。悪魔に冷たい」

こんなだから女はめんどくさいんだ。
どうして理解を求める? 違う人間なのに。なぜ同調を強制しようとする? 魂の社会主義か?

「その点、マジンノーに関しては簡単だよな」
「どゆこと?」
「悪い王様は成敗されました」
「あー、なるほどー。じゃあさ、シンヤは――……」



――悪 魔 を 殺 し て 平 気 な の ?



「しばくぞ」
「えっ、ちょっとちょっと、シンヤったら怖い」
「しばくぞ」
「そんな乱暴なTALKってないってば。もっと女子には優しくしてよー!」

ほんと、女ってのは度し難い。






【?????/1日目/朝】

【秕シンヤ@危ノーマル系女子】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、不明支給品x1
[思考・状況]
基本:帰りたい。
[COMP]
1:ピクシー@女神転生シリーズ
[種族]:妖精
[状態]:健康

 ※メギドラオンを習得しています。
 ※けれどこのピクシーはメギドラオンを使えるほどのMPを持っていません。


594 : ◆S8pgx99zVs :2016/05/05(木) 21:28:50 0bxVkn0o0
投下終了です。


595 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/05(木) 22:27:16 gZTH17K60
投下乙です。
私も投下します


596 : 火を総べる者 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/05(木) 22:28:06 gZTH17K60

葛西善二郎は考える。

この世の全てはあの方の玩具だ。
知らない奴もいずれは知る。逃げ場なんてどこにもない。
そんな世界で長生きする秘訣はなんだ。
答えは簡単。玩具の歯車に徹することさ。

支配者を満足させ続け、ご機嫌をとり続けていればそれだけ永く生きられる。
小学校とかでもあるだろ?クラスを我が物顔で支配している奴に逆らえば居場所を無くし、逆に迎合し顔色を窺ってれば安全が保障される。
社会人だってそうだ。上司に媚び売って気に入られればそれなりに安全だし、歯向かえば潰される。
それと同じだ。
俺たち人間が長生きするには、健康だの武装だのよりも、尻尾を振って絶対的な強者のゴキゲンをとるのが賢い立ち回りさ。

故に、葛西善二郎は変わらない。
魔人皇なる少年が何者だろうがどうでもいい。
いまの葛西を支配する者が、奴(シックス)からあの少年に変わっただけだ。
ならばとるべき行動はただ一つ。歯車に徹し、今まで通りに犯罪を犯すだけだ。

「それがテメェの答えか」
「生憎、俺はただの人間なんでね。誰よりも長生きしたいと思うだけさ」

葛西がCOMPを弄り召喚したのは、全身に包帯を巻いた男だった。
全身の至る所まで火傷を負っており、生きているのが不思議な程だというのに、男が発する生気や威圧感は半死人のそれではなかった。
名は、志々雄真実というらしい。

「まあいいさ。所詮この世は弱肉強食。強ければ生き弱ければ死ぬ。殺し合いなんざなくとも変わりゃしねえ。しばらくはお前のやり方にも付き合ってやるよ」
「頼もしいお言葉で」

火火ッ、と笑みを零す葛西。
しかし、その心中には『勘弁してくれよ』といった思いが渦巻いていた。
いままでと変わらない犯罪者的日常。
呼び出した悪魔もおそらく"当たり"の部類。
だというのに、葛西が溜め息をつきたいとすら思うのはなぜか。

それは...


597 : 火を総べる者 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/05(木) 22:28:41 gZTH17K60


ガサリ、と草村が揺れる。

「おいおい...」

葛西は、思わず引きつった笑みを零す。
現れたのは、禿げた頭に一本角、更には背中に大きな翼を生やした文字通り悪魔のような化け物だった。

悪魔は、雄叫びをあげて志々雄に殴りかかる。
志々雄は微動だにせず、その拳を右頬に受ける。
傍からみていても、あの悪魔のパンチは強烈だ。少なくとも、並みのボクサーよりは強いだろう。


―――が。

「かかってくるなら」

あろうことか、志々雄は笑みを浮かべていた。
その強烈な一撃を正面から受け、さも愉しげに笑みを浮かべていたのだ。

「この如何ともし難い実力の差を、ちったぁ埋めてからかかってこい!」

志々雄の拳が悪魔の顔面を捉える。
悪魔は耐え切ることができず吹き飛ばされ、壁にぶつかり、ぐしゃり、と潰れるような音を立てると、それきり動かなくなった。

やっぱりな、と葛西は思う。

「...ひとつ聞かせてくれねえか」

それは、いましがた悪魔を容易く吹き飛ばした強さなどではない。

「もしもあんたが悪魔じゃなくてサマナーって奴だったらどうしてた?」

悪魔の拳を受けた時に垣間見せた笑み。
そこから、葛西はあるモノを感じ取っていた。

「決まってる。全員ぶち殺して頂点に立った後、俺に首輪を嵌めて優越感い浸ってるあの魔人皇とかいうガキも殺す」

葛西が感じ取っていたのは、純粋なる"狂気"。

「そんでもって、奴が干渉した国は全部俺が奪い取る。それしか考えつかねえな」

"善"にも"悪"にも染まらず。
人間の身でありながら、人間に非ず。
地獄より這い出た修羅―――そんな印象を葛西は受けていた。

(おっそろしいモノを引き当てちまったぜ)


598 : 火を総べる者 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/05(木) 22:29:38 gZTH17K60

狂気を帯びた笑みを浮かべる志々雄に、『シックス』の面影が重なる。
先述した通り、志々雄は純粋悪などではない。
重なるのは、『絶対的な強者』である点だろうか。
魔人皇といい、こんな常識外れの化け物がごろごろいることを知れば、それはもう溜め息の一つや二つはつきたくなるというものだ。

...もしもの話だが。シックスにひけをとらないこの強者が。
『絶対悪』の王であるシックスと、『地獄の修羅』の王である志々雄がぶつかればどうなるか―――想像もつかない。
そう思わせるほどの凄味を、葛西は志々雄から感じ取っていた。

「...ま、なんにせよ、よろしく頼みますわ、旦那」
「おいおい。一応、『さもなー』とかいう奴はお前だろ」
「生憎俺にあんたを使おうなんて度胸はないんでね。大人しく従わせていただきますよ」
「いい心がけだ。人には各々性分に沿った『生き様』って奴がある。例えば、人の上に立つ者、それに従う者...俺は誰かに尻尾をふるなんざゴメンなんでな」
「もし俺があんたをコキ使おうとしたら?」
「言わなくてもわかるだろ」
「火火火っ、こわいこわい」

葛西善二郎の望みはちっぽけなものだ。
彼の住む国の大多数の人間と同じで、ささやかで、冷めてて、それでいて大それている。

それは、長生きすることだ。
不老不死だとか、超能力だとかに縋らず、人間の限界を越えない範囲で、人間を越えた絶対的強者である『シックス』よりコンマ一秒でも長生きすることだ。

「葛西。お前が俺に付き従い結果を示せるのなら、イの一番に勝利の美酒を味わわせてやるよ」
「ありがたいお言葉で」

もちろん、同じく絶対的強者である志々雄真実が相手であろうが、例外ではない。




【?????/1日目/朝】

【葛西善二郎@魔人探偵脳噛ネウロ】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:誰よりも長生きする。

[COMP]
1:志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
[状態]:健康


599 : 思わぬ、伏兵 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/05(木) 22:31:14 gZTH17K60
「くだらんな」

薄暗い屋内で、黄色の衣装に身を包んだ男は吐き捨てた。
彼の名はDIO。
百年の時より目覚めた吸血鬼である。

「魔人皇だと?ハンッ、笑わせてくれる」

DIOは少年を許せなかった。
理由は至ってシンプルだ。このDIOに首輪を嵌めるなどという大それた行為、この男が許すはずもない。ただそれだけだ。

「まあいい。いまだけは貴様の下らない余興にも付き合ってやるとしよう」

DIOが定めた方針は、殺し合いに優勝し、その後魔人皇も殺すことだった。
あの少年の言いなりになるのは癪だが、首輪を嵌められている以上、命を握っているのは奴だ。
チト面倒だが、他の参加者を糧にしつつ優勝を狙う他あるまい。

「さて。このDIOの下僕となる悪魔とやらを拝ませてもらおうか」

DIOに与えられたCOMPは、ナイフの形をしたものだった。
刃の側面に液晶画面があり、そこで操作ができるようだ。

DIOは付属されていた説明書の通りにCOMPを操作し、悪魔を召還する。
現れたのは、DIOの腰ほどにしかない身長の、ターバンを巻いた少年だった。

「...きみが私の悪魔だね?」

DIOは少年に優しく語りかける。
与えられたものとはいえ、一応は味方にあたる相手にいきなり尊大な態度をとる程DIOは礼儀知らずではない。
挨拶は紳士的に。あの忌々しいジョースター家で培われたマナーは未だ健在だった。

「私の名はDIO。きみの名は?」

少年はなにも答えない。
ただ、おろおろと戸惑いの表情を浮かべるだけだ。


600 : 思わぬ、伏兵 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/05(木) 22:33:13 gZTH17K60


「...どうやら困惑しているようだね。よし、こうしよう。私は下の階にいるから、落ち着いたら降りてくるといい。そこでお話をしよう」

こんな状況だ。情報交換や信頼を築くのは重要なことだ。
それは下僕相手でも変わりはない。

DIOが少年の横を通り過ぎようとしたその時!

「!?」

DIOの右足に激痛が走る!
少年が隠し持っていたナイフでDIOの右足を刺したのだ!

「...残念だよ。きみとは友好的な関係でいたかったのだが...」

目線だけを少年に向け、まるで虫を払うかのように腕を振り抜く。
ターバンの少年の目的など知らないが、下僕の分際でこのDIOを傷付けるなどそれだけで万死に値する。
吸血鬼である彼の力を常人が受ければ、この程度でも骨は砕け、ぐしゃぐしゃになった死体がひとつできあがる。
が、しかし。

「むっ?」

少年の姿は、DIOの拳が触れた途端にまるで蜃気楼であったかのように掻き消えた。
殴った感触はあったのだがと己の拳を確認するDIOだが、『悪魔なら死ぬ寸前に姿を消してしまうのだろう』と判断。
再び階下へと足を進めるDIO。

「うぐっ!?」

再び右足に走る激痛。
何事かと目を向ければ、そこには先程葬ったはずのターバンの少年が。

「ば、バカな!なぜ貴様が!?あまつさえ、マシーンのように正確に同じところを!」

DIOの表情に、動揺と怒りの感情が織り交ざる。

吸血鬼には再生能力がある。
この程度の傷ならば放っておけば直に治るのだが、痛覚がなくなったわけではない。
刺されて痛くないとかそういう事ではないのだ。

「どうやって逃れたかは知らんが...いいだろう。逃げる間もなく、一瞬で葬り去ってくれる!」

DIOの叫びと共に、彼の背後に黄色い人型の像(ヴィジョン)が現れる。
その名も。

「『世界』!!」

―――時を支配し、文字通り世界を支配する最強の幽波紋(スタンド)である。


601 : 思わぬ、伏兵 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/05(木) 22:34:34 gZTH17K60


時が止まる。

ターバンの少年は、瞬きひとつせずに全てを静止される。
この静止した時の中では、支配者たるDIO以外の行動は許されないのだ。

「...1秒経過」

『世界』が、その右拳で少年の腹部を貫く。

「ふむ、感触は確かにある...だが!」

『世界』は、右拳を引き抜き、左拳で少年の顔面を殴りつける。

「2秒経過。念には念を入れてだ!」

右拳、左拳と順々に繰り出し、驚異的な速度を持った殴打のラッシュが少年を襲う。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァァァァァ――――――!!』

静止した時が動き出したその時―――少年は、何が起こったかもわからず、その生命を終える。

「5秒...そして、時は動き出す」


―――全ての時が動き出す。


「!?」

DIOの顔が驚愕に包まれる。
無残な死体を晒すはずだった少年は、またもや掻き消えてしまったのだ。

「なんだというのだ...」

甚だ謎の悪魔だが、流石にもう生きてはいまい。
再び階段を降りようとして...


「うぐっ!?」

三度DIOの右足を襲う激痛。

「ば、バカなっ...」

足元に視線を向ければ、笑みを浮かべる少年が―――!


「貴様は、一体!!?」

 
【?????/1日目/朝】

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:右足に刺し傷
[装備]:ナイフ型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを勝ち残り、あの主催の少年を処刑する。
0:このターバンのガキをどうにかする。

[COMP]
1:ターバンのガキ×???@北斗の拳イチゴ味
[状態]:健康

※敵味方問わずナイフで右足を刺してきます。タイミングは現状不明。
※出現する数は一体ですが、その一体が殺される度に新たなターバンのガキが主催側から召喚されます。
※ターバンのガキが死ぬとその死体は一瞬で消滅します。


602 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/05(木) 22:35:03 gZTH17K60
投下終了です


603 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/05(木) 22:48:46 8HDvZ.Fc0
2本投下します


604 : あの日少年だった君たちへ ◆NIKUcB1AGw :2016/05/05(木) 22:49:36 8HDvZ.Fc0
もう何度言われたことだろう。「もっと大人になれ」って。
でもダメだ。どうしても、考えるより先に体が動いちゃう。
毎度毎度つまずいて、転がって。傷だらけになって。
ついたあだ名が「カサブタ」だ。

僕は今、怪しいやつに連れ去られて殺し合いをやれと強制されている。
死にたくないなら、その命令に従って他人を殺すのが利口なんだろう。
こんな異常事態の中で犯した殺人なら、法で裁かれるにしても罪は大幅に軽くなるはずだ。
優勝した時の願いとやらで記憶を消してもらえば、罪悪感にさいなまれることもない。

だけど、そんなんじゃダメだろう。

魔神皇とか名乗ったあいつがやっていることは、完全に悪だ。
命が惜しいからといって、それに従ってどうする。
たとえ無駄なあがきだったとしても、僕はあいつに逆らってやる。

「来いよ、相棒!」

荷物に入っていた本を開き、念じる。
やがて本が光を放ち、そこから何かが飛び出してきた。

「お兄さんの熱い思い、COMPの中にいても伝わったぜ!
 俺があんたの力になってやる!」

そこにいたのは色鮮やかな蝶の羽を生やした、小学生くらいの子供だった。


【?????/1日目/朝】
【大人になれない僕@カサブタ】
[状態]:健康
[装備]:本型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いの打破
[COMP]
1:ゴキゲンな蝶@butterfly
[種族]:電霊
[状態]:健康


605 : 古の最強者 ◆NIKUcB1AGw :2016/05/05(木) 22:50:46 8HDvZ.Fc0
とある警察署のロビーに、一人の男が立っていた。
一般人をはるかに上回る体格に、無数の傷が刻まれた顔。
誰がどう見ても、平凡な一般人ではない。
事実、彼は若くして花山組二代目の座に就いた極道であった。
喧嘩師・花山薫。その名前を知らぬ者は、ヤクザの世界にはいないだろう。

「いったいどうなってやがる……」

その花山は、この状況に混乱していた。
今まで非常識な強さの人間とは何度も遭遇してきたが、こういったファンタジックな非常識には縁が無かったのだから仕方がない。
しかし現状をよく理解できていない花山にも、わかっていることがあった。
魔神皇とやらがやろうとしていることは、日陰者の自分から見ても許されぬ非道であるということ。
そしてたとえ自分の命がかかっていようと、堅気の人間を殺すなどやるわけにはいかないということだ。

「何をどうすればいいかなんて、まだ見当もつかねえが……。
 とりあえず動かなきゃどうしようもねえか」

まずは警察署を出ようとする花山であったが、そこで傍らにあった荷物に気づく。
敵と認識した人物から施しを受けるのは気分がよくなかったが、放置していくわけにもいかないので中身を確認することにした。
すると、彼にとってなじみ深い物体が出てきた。

「ドス、か……」

ヤクザ御用達の刃物、ドス。
花山も幾度となく、これを手にした敵対組織の構成員と戦ってきた。
素手で戦うことを信条とする花山が自分でこれを振るったことはないが、非常に見慣れた武器と言える。
だがここにあるドスは、普通のものとは少し違っていた。
持ち手の部分に、謎のボタンがついていたのだ。

「なんだこりゃ」

特に深い考えもなく、好奇心から花山はボタンを押す。
するとその瞬間、ドスの刃が光を放ち始めた。
爆発物でも仕込まれていたのかと考え、花山はとっさにドスを投げ捨てた。
しかしドスが爆発したりすることはなく、代わりに一人の老人がその場に現れた。
その老人は異様に眼光が鋭く、全身が筋肉に覆われていた。

(この爺さん、強い……!)

一目見ただけで、花山はそう判断した。
そして、それは相手も同じだった。

「ほう……。なかなかの雄ではないか」

老人の名はプラトン。哲学者にして、レスリングで無双を誇った格闘士であった。


【?????/1日目/朝】
【花山薫@刃牙シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ドス型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:まだ状況を把握しきれていないが、とりあえず魔神皇には従わない
[COMP]
1:プラトン@氷室の天地 Fate/school life
[種族]:偉人
[状態]:健康


606 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/05(木) 22:51:45 8HDvZ.Fc0
投下終了です


607 : ◆4LfWty9HQ. :2016/05/05(木) 23:08:40 VETbsZpo0
投下します


608 : 花村陽介の長い一日 ◆4LfWty9HQ. :2016/05/05(木) 23:09:34 VETbsZpo0

「おいおい、シャレにならねえんじゃねえか」

殺し合いに巻き込まれた男――花村陽介は思ったことをそのまま口に出す。
マヨナカテレビを発端とした、奇妙な事件を解決してから数日が経った現在で。
少々、昔のように刺激の足りない日々を送っていた彼に舞い降りたのが殺し合いだ。

人間は同じ種族であるが、決して理解出来ないような思考回路を持った者もいる。
それはとある事件を通じて解ったことであり、差し伸べた腕を払う者もいた。

今回の首謀者と見られる男――魔神皇と名乗った男は何者なのか。
感じた存在感と空気、その身体に纏わり付くような奇妙さは陽介とて感じたことがあった。
まるでペルソナのような、或いはそれをよりシャドウへと近づけた不気味さである。

「魔神皇って……俺と同じぐらいの奴に見えたけど、もう少し何とかならねえのかよ」


そんな不気味さを持つ魔神皇だが、見た目は陽介と変わらない程度の学生と推定される。
狂気的な瞳を持つ魔神皇――彼に何があったなんてことは解らないし、きっと理解も出来ないだろう。

陽介に出来ることはただ一つ。
殺し合いを止め、魔神皇を倒すことだ。

しかし、マヨナカテレビでは無い、この空間でペルソナが使えるだろうか。

予想ではあるが、きっとこの空間は現実とは切り離された異空間であると陽介は睨んでいる。
突然の拉致やワープに近い移動を考えると、明らかに現代社会の技術や現象から離れているのだ。

「……やるしかねえよな……な、相棒」

ペルソナが使えないとしても、出来ることはあるだろう。
捜査は足から、と云った言葉があるように、人間は零から可能性を創造する。
魔神皇と対峙するまでは死んでに死に切れない。ならば、辿り着くだけだ。


「……おっと、このスマホから悪魔が召喚……ねえ?」


魔神皇が言うには友達がいるだとか、ふーんと言葉を漏らしつつ陽介は――召喚した。







「今日の問題、行くゾナよ〜?」


609 : 花村陽介の長い一日 ◆4LfWty9HQ. :2016/05/05(木) 23:10:45 VETbsZpo0


バリバリと雷光が空間を斬り裂くように駆け抜けた。
あまりの眩しさに一瞬、瞳を閉じた陽介が再び開けると、目の前には誰かが立っていた。

悪魔――だろうか。
少々奇抜な格好ではあるが、完全に人間である。

ヘヴィメタ崩れのメイクに魔界を連想させるマントと、衣装。
たしかに悪魔っぽいが持ち合わせたギターや明らかに人間のような話し方。

この男は一体なんだというのか。


「今日の問題!
 今、お前の周りにいる10匹の虫ってなーんだ?」


「そら……アリが10匹でありがとう、とか?」


「そうゾナ……なんですぐ答えたゾナか? どうしてもっと楽しもうとしないゾナ?」


理不尽である。
陽介はナゾナゾを出題され、それに答えた。
それだけであり、当然の行為であって、決して悪いことをした訳ではない。

けれど目の前の悪魔は勝手に落ち込み、文句を垂れている。

そもそも、魔神皇が健在な今、ナゾナゾをしている余裕などあるのだろうか。

「あーつまんないゾナ。やまちゃん達ならもっと構ってくれるのに」

ぶつぶつと流れる小言が耳に残る。
妙に脳内に直接叩き込まれるような声色に、嫌気が差してくる。

「ハズレを引いたゾナか〜?」

「――ペルソナ!」

なんだろうか、と陽介は振り返る。
目の前に悪魔に対し、何故だが怒りが湧き上がりペルソナを――ジライヤを発現させた。
悪魔だから大丈夫だろうと遠距離攻撃を仕掛けてしまったが、生きている。

「ぼ、暴力はダメゾナ〜」

流石悪魔、と云ったところか。
ここまでの流れで、自然とペルソナが使えることに気付く。

ならば――マヨナカテレビの空間だろうか。
謎は一切解明されずに、新たな謎を呼ぶ。


「おもしれえ……なら、俺が全部解決してやろうじゃねえか」


「お! 次の問題行くゾナよ〜」


「お前じゃねえ!!」



【?????/1日目/朝】
【花村陽介@ペルソナ4】
[状態]:健康
[装備]:スマホ型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:謎を解決し魔神皇を倒す。
[COMP]
1:怪人ゾナー@おはスタ
[種族]:怪人/声優
[状態]:健康


610 : 花村陽介の長い一日 ◆4LfWty9HQ. :2016/05/05(木) 23:11:10 VETbsZpo0
投下終了します


611 : ◆MoyrepToUg :2016/05/06(金) 00:13:31 D8vyvgQg0
投下します


612 : 悪魔じゃなイカ? ◆MoyrepToUg :2016/05/06(金) 00:15:16 D8vyvgQg0

「――――なるほど、つまりお主はこの殺し合いには参加したくないという訳でゲソね?」
「うん………っていうか、その、本当にイカちゃんって私が呼んだ悪魔……なんだよね?」
「まだ疑うとは失敬な奴でゲソね。さっき私の実力は見せてやったじゃなイカ!」
「そ、それはそうなんだけど……」


そんな会話を交わしながら、二人の少女がベンチに座っていた。
と言っても、その片方は人間ではない。
見た目はどう見ても白いワンピースを身に着けイカの頭部のような帽子を被った中学生くらいの少女にしか
見えない人物の方が、れっきとした召喚された悪魔・イカ娘である。


彼女を召喚した少女、海老名菜々はとにかくもう困惑していた。
いきなりあの魔神皇などと名乗る少年によって殺し合いに放り込まれるという冗談のような出来事が起きた
かと思いきや、今度は自分の荷物に入っていたCOMP(何故か海老のぬいぐるみ型)から出てきたのは、
自分のイメージしていた悪魔の姿とは程遠い可愛らしい少女だったのだから。
まあ確かに北欧の方ではクラーケンという怪物も伝承に存在するのだが、この少女の場合明らかにただの
コスプレ中学生か何かである。
その事で疑われたイカ娘は憤慨し、証拠を見せると言い今しがた通りすがりのネズミ型悪魔を自身の髪の毛
のような触手で捕らえ、ボコボコにして見せた所だった。
他にもイカ墨を吐いたり全身から発光してみせたりしたのだが、やっぱり色んな意味で海老名の疑念は
晴れなかった。


「……まあいいでゲソ。実を言うと私もこんな殺し合いは乗り気じゃないでゲソ。こんな物騒な戦いに
 呼ばれもしてない奴を連れてくるとはあの魔神なんとかとかいうのも不届きな奴でゲソ。あんな奴は
 この海からの使者たる私が懲らしめてやろうじゃなイカ!」
「だ、大丈夫なのイカちゃん? も、もし私達以外の人が強い悪魔を連れて襲って来たりしたら……」
「心配無用でゲソ海老名よ! どんな悪魔が来ようとこの私がちぎっては投げちぎっては投げして返り討ちに
 してやるでゲソ! そうそう千鶴みたいな化け物がいるとは思えないし、大船に乗った気持ちでいるで
 ゲソ!」
「う、うん……ありがとうイカちゃん」


自信満々に胸を張るイカ娘の姿を見て、海老名は少しばかり気が紛れた様子で肩をなでおろした。
正直未だにこの少女を悪魔だとは思えないが、今は彼女を信じて行動するしかない。
友達であるうまるや切絵やシルフィン、そしてうまるの兄タイヘイ。
自身の慕う者達の待つ場所にただ帰りたい。
そう思い、ベンチから立ち上がろうとしたが――――


きゅるるるるるるる……


「……………」
「……とりあえず食料の確保が先決でゲソね……私もお主の名前を読んでいたらエビが食べたくなってきた
 でゲソ……」


少女に召喚された海からの悪魔は、色々と第一歩を踏み外したのだった。
彼女の主が空腹で困り果てるまで、そう時間はかかるまい。



【?????/1日目/朝】
【海老名菜々@干物妹!うまるちゃん】
[状態]:健康
[装備]:海老のぬいぐるみ型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品(1)
[思考・状況]
基本:殺し合いはしたくない、とにかく生き残って帰りたい
[COMP]
1:イカ娘@侵略!イカ娘
[種族]:獣人
[状態]:健康


613 : 悪魔じゃなイカ? ◆MoyrepToUg :2016/05/06(金) 00:15:51 D8vyvgQg0
投下終了します


614 : 龍虎の拳 ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/06(金) 00:23:54 w2ZiEQow0
投稿します


615 : 龍虎の拳 ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/06(金) 00:27:08 w2ZiEQow0
 殺し合え。
 魔神皇を僭称する少年より告げられた、残酷な布告。
 ある者は怒り、ある者は嘆き、ある者は悲しみ、ある者は震えていた。
 そんな中、今この場にいる2人の男は対面し、地面に座していた。
 表情は冷静そのもの、取り乱した様子は微塵も無い。
 一人は白い道着に紅い鉢巻きが映える、如何にも格闘家然とした年若い男。
 一人は法衣に身を包んだ、身の丈七尺を悠に超える隻眼の巨漢。
 僧侶故か頭は綺麗に禿げているが、口元には短く揃えた髭を蓄えている。
 2人に共通しているのは、強い意志を宿した瞳、そして鍛え抜かれた鋼の如き隆々たる肉体を持つこと。
 この2人、顔を合わせ簡単な名乗りを済ませ握手をすると、どちらからともなく座り込み、問答を始めたのだ。
「武とは?」
「武とは、険しくも楽しい、果て無き坂道である」
「拳とは?」
「拳とは! 全ての男が生まれながらに携えし最古にして最強の、解除不可武装! 男の魂の具現物にして、男の魂を伝えることに最も優れた導魂性打撃兵器である!!」
「おお、なるほど……!」
 白い道着の男からの問いに、黒い法衣の男は迷いなく、淀みなく、力強く即答する。
 特に拳論には白い道着の男は深い感銘を受けたようで、反芻するように、何度もうんうんと頷いている。
 それが収まると、白い道着の男はいよいよ、本題を切り出した。
「では、武の坂道の果てとは……どのようなものなのでしょうか?」
「武の道に果ては無く、業の高みに天蓋無し!!」
 またも、法衣の男の即答が周囲に響き、一帯に木霊する。それは、白い道着の男にとっても同様。
 肉体の芯まで響き、魂にまで木霊するような、真実の重み。
 だが、それはおぼろげながらも、彼自身も薄々感じ取り、悟っていたことではあった。
 ここまで豪快に言い放てる人物に出会えたのは、貴重ではあったか。
 白い道着の男がそんな風に結論付けようとしたところへ、法衣の男の口から新たな言葉が届く。
「その果てしなき道をどのように行くかは己次第だ。わしは、その道行にまだ見ぬ強敵が居て、まだ見ぬ友がいることを知った。
我が道は、彼らに出会いに行くものだったのだ。いつまでも、果てしなく、終わり無く」
 先程までの豪放磊落そのまま調子とは打って変わって、静かに諭すような、同時に満足げな語り。
 ああ、やはり。この男もまた、自分より先んじて、真の格闘家への頂きに迫る者。
 直感を信じて、問答を始めたかいがあった。
「御教授、ありがとうございます、道錬殿。私の目指す真の格闘家への道、その行くべき先が見えた思いです」
「真の格闘家か。若くして、遥か遠くを見据えたものだな、リュウよ」
 2人は互いの名を呼び合った。リュウは丁寧に頭を下げて、道錬は快活な笑みを浮かべながら。
「それにしても……リュウか。よくよくわしは、龍に縁があるようだ」
「と、申されますと?」
「これよ!」
 何やら感慨深げに呟くと、道錬は法衣を肌蹴させながら立ち上がり、同時、自らの姿を変質させた。
「虎に……!?」
 リュウの言ったとおり、その姿は虎だった。二本の足で立ち、丸太のように太い腕を持つ虎人間。
 普通の虎と違うのは、黒い縞模様がオーラのように揺らめき、見る者を威圧する凄みを帯びている所か。
「霊力改造人間と言ってな、わしは生前に虎の闇(かたわら)をこの身に埋め込まれ、その力を得たのだ。
同様に、龍をその身に埋め込んだ男がいたのだ。わしの幼馴染であり無二の友であり、目標として追い続けた武神だった。
それと、ムドという龍も弟子にとったことがある」
 道錬は虎の姿になっても、先程までと全く変わらぬ調子で喋り出した。
 成る程、そういった経緯があれば、リュウの名に因縁を持つのは納得だ。
 そしてリュウの方も、道錬に対して奇縁を感じていた。
「まさか、隻眼の虎とは。どうやら私も、縁があるようです」
 隻眼の虎。思い出すのは“帝王”サガット。今まで数多のものと戦ってきたリュウにとって、今もなお強敵として覚える旧き好敵手。
 これを聞いて、道錬は一度豪快に笑うと、すぐまたリュウに視線を戻した。


616 : 龍虎の拳 ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/06(金) 00:27:32 w2ZiEQow0
「先程から気になっていたが、その堅苦しい言葉遣い、拳を交えて改めぬか?」
 言って、道錬は構えをとる。
「……いいでしょう。軽く、拳で語り合いましょう」
 リュウは軽く笑みを浮かべて、それに応じる。
 極めて自然な流れでの、挨拶程度の軽い拳の打ち合い――の、つもりだったのだが。
 十発打つ毎に、互いに握った拳に熱が宿り、次第に高まる。
 十発で終わらすつもりが、次の十発へ、また次の十発へと続いて行き、遂に十度目。
 道錬は霊力を練り上げて時と空間をゆらがせ、一瞬の間のみ無数の拳筋の可能性を同時に存在させるという、緻密にして細緻、そして荒唐無稽な奥義・千尋拳を披露。
 一撃でありながら十発の拳撃という神業に対して、リュウは、見せかけとして放たれた九つの拳を見切り、全て捌き、本命の拳に渾身の拳を合わせた。
 互いの拳が激突する――紙一重で、彼らの拳は止まっていた。
 握っていた拳と構えを解き、互いに歩み寄り、2人はがっちりと手を握り合って声高らかに笑い合った。
「見事! 見事な拳だぞ、リュウ!」
「君こそな、道錬! 気の練りで空間を揺らがすとは、恐れ入った!」
 拳を交え、2人は無邪気に笑い合った。まるで、遊び終わった童子の如く。
「今回は遊び故、十発程度だったが……本気とあらば、八百万の拳による雪崩の如き拳災を見せてやろう」
「八百万とは恐れ入ったな。楽しみにしているよ」
「うむ。できれば、それは堂々の果し合いでやりたいものだが……」
「今は、事が事だ。この戦いを治めるための一助となるべく、この拳を揮おう」
「そうだな。……事が済み、余裕があったその時は」
「ああ。存分に、拳で語り合おう」
「今後とも、宜しく頼むぞ!」
 2人は拳を交え、語らい、存分に互いを理解した。
 進むべき道を見据え、為すべきことを見定めた2人に迷いなし。
 彼らの武の道の行く先に、殺し合いによって血塗られた道筋など不要。
 拳で以て、惑う衆生を守りぬき、猛る悪鬼を討滅せん。

【?????/1日目/朝】
【リュウ@ストリートファイターシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:タブレット型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:拳で以て魔神皇を討つ
[COMP]
1:道錬@戦国妖狐
[種族]:霊力改造人間
[状態]:健康


617 : 龍虎の拳 ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/06(金) 00:29:08 w2ZiEQow0
以上で投下終了です


618 : 科学の限界 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/06(金) 00:55:35 /aHtbwhw0
科学の限界#︎⃣うわらば


619 : 科学の限界 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/06(金) 00:55:49 /aHtbwhw0
投下します


620 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/06(金) 00:55:51 TokiJQP60
皆様投下乙です!

>>588
嫌な記憶と、未来と重なる小ネタが憎いw
セルティとはうまくやれそう、なのかな……?

>>591
うむ……確かに無理だ(確信)
バックアタックじゃなくてよかったなァ!! 森久保ォ!!

>>594
引っ越しおばさんかな?(すっとぼけ)
しかしピクシーもピクシーで堅物を引き当てちゃいましたね。
メギドラオン……これはもう、そういうことですよね。

>>598
自ら悪魔に従っていくスタイル! これは新しい。
長生きする、それを狙うのも含めてなかなか……

>>602
噂のターバンのガキだ!! さすがのDIOでもこれは対処できないか……
と、そのまま通して行きたいとは思うのですが、流石に事実上の不死悪魔はちょっとどうかな、と思う面もあるので、
主催介入をなくすのと、何らかの手段で破る方法があるこの明示をお願いしてもよろしいでしょうか?

>>604
アツいアニソンコンビ! 原作と歌詞ネタにもニヤリとしますね。

>>605
花山だ……見た目と実年齢がかみ合わないことに定評のある花山が(ry
しかし、現れたのも格闘家……!!

>>610
中の人ネタwwwwwwww 陽介からしたら、自分と同じ声の変な奴だもんな……
となると、ジムナスひかるとかも出てくるのか……?

>>613
見た目とは裏腹に強い! 強いのは強いんだが、そら信じられないよな……まあカワイイもんな……
新たな方面の名前ネタで腹を空かせてしまうのも、彼女らしいですね。

>>617
タイトルはSNKだけど、出てくるのはCAPCOM……
格闘家としての答え、それからすっかり意気投合するのはリュウらしいですね。


621 : 科学の限界 ◆T3rvSA.jcs :2016/05/06(金) 00:56:47 /aHtbwhw0
聖白蓮は困り果てていた。
COMPから召喚された時、呼び出した男は明らかに残念そうな顔をした。
白蓮が見上げる程の身長の巨人だ、無理もないだろう。
何ができるか聞かれた時、丁度乱入して来た5m程の鋼の悪魔を魔法で身体強化して殴り倒してから投げ飛ばして、男に説明したらいきなり土下座されたのだ。


ジャック・ハンマーは憤っていた。
薬物による強化。骨延長による身体の解像。
それらを用いても“あの男”どころか、公園最強の生物にも及ばない。
最早科学の限界に行き当たった所で、この殺し合いに参加させられ、眼前の女が骨格や筋量を超越した力を発揮するのを見た。

「頼むッ!俺に魔法を教えてくれッ!科学的アプローチでは俺の目指す所には到底届かないんだッッ!!」


【?????/1日目/朝】
【ジャック・ハンマー@バキシリーズ
[状態]:健康・土下座
[装備]:COMP:タブレット型
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:
1.この女から魔法を覚える
[COMP]
1:聖白蓮@東方Project
[種族]:聖人
[状態]:健康・困惑


622 : ◆T3rvSA.jcs :2016/05/06(金) 00:59:26 /aHtbwhw0
投下を終了します


623 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/06(金) 01:01:39 TokiJQP60
>>622
投下に被るところだった……リロードしてなくてすみません。
まさかの魔法を教えてくれと願うジャックw まあ確かに異常筋力だわな……
あと>>618でトリップ漏れちゃってるんで、トリップの変更をお願いします。


624 : ◆T3rvSA.jcs :2016/05/06(金) 01:06:12 /aHtbwhw0
>>623

了解しました


625 : ◆T3rvSA.jcs :2016/05/06(金) 01:06:56 /aHtbwhw0
トリップが変わらない?


626 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/06(金) 01:09:20 TokiJQP60
>>625
>>618を見る限り、絵文字かなんか、特殊記号が入っているように見受けられます。
全角文字だと5文字目以降は無視されるので、四文字目までを変えないとトリップは変わりません。


627 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/06(金) 01:16:39 5ak68o7o0
>>620
流石に事実上の不死悪魔はちょっとどうかな、と思う面もあるので、
主催介入をなくすのと、何らかの手段で破る方法があるこの明示をお願いしてもよろしいでしょうか?


了解です。

・主催の介入ではなく一体死亡するごとにCOMPから召喚される。また、COMPを破壊すれば召喚は止められるが、代わりに残機の1/2の力が現在現れているターバンのガキに集められる。

倒す方法
・ターバンのガキが一体でも融合されれば残機に関わらず消滅する。
・残機を全て削りとる(残機は150だが参加者にはわからない)
・ターバンのガキの耐久力はごく普通の人間並。

という感じにしたいと思います。


628 : ◆mcrZqM13eo :2016/05/06(金) 01:23:45 /aHtbwhw0
>>626

ありがとうございます


629 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/06(金) 01:24:51 TokiJQP60
>>627
難しいラインですね……150体いて自動召還されるってなるとCOMPの上限を越えてしまいますし、残機制を認めてしまうとややこしい話になるので……
折衷案としては、あくまでターバンのガキは一体、
新たに召還されるのではなく、分身なりなんなりのスキルで分裂、
スキルを発動させるだけの力がなくなった時点で死亡、とかにしていただけると幸いです。
指摘が細かくて本当に申し訳ない……


630 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/06(金) 01:25:27 TokiJQP60
>>628
五体皇ありがとうございます。


631 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/06(金) 01:30:39 5ak68o7o0
>>627
新たに召還されるのではなく、分身なりなんなりのスキルで分裂、
スキルを発動させるだけの力がなくなった時点で死亡、とかにしていただけると幸いです。

了解です。こちらの設定に修正します。
重ね重ねすみませんでした。


632 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/06(金) 01:33:13 TokiJQP60
>>631
ご対応ありがとうございます。


633 : ◆jpyJgxV.6A :2016/05/06(金) 02:07:57 r5a.j9yU0
投下します


634 : 肉食系草食動物  ◆jpyJgxV.6A :2016/05/06(金) 02:10:53 r5a.j9yU0
こんな仕事を続けていれば、いつかは死ぬと思っていた。
思いつく限り惨酷で残虐、陰湿にして凄絶な方法で。
人一生分をもってしても足りない程の憤怒と憎悪を浴びせられながら。
そうして全ての絶望を強いられながら殺されても、決して文句は言えないだろう。
死の恐怖はない。ただあの記憶のハキダメに戻れるだけだ。
それでも殺し合いの場でやすやすと喰われるほどお人よしのつもりはなかった。







「なるほど、あなたの仕事というのもなかなか興味深いですね」

柔和な笑みを浮かべた男が言う。
それは彼を知る者ならば誰もが認める仮面。
その瞳に覗かせるのは研ぎ澄まされた狂気。

「俺からしてみればアンタの錬金術ってやつも面白いけどな」

獰猛な笑みを浮かべた男が返す。
それは彼に狙われた者の誰もが震える形相。
その奥に光らせるのは荒々しいままの本能。

「これは失礼。ですがこれでお分かりいただけたのでは?」

大袈裟に両手を広げて問う男は全身を白のスーツに包み、倒れ伏す巨体に背を向けている。
牛を模した野良悪魔の腹から飛び散った臓物が足元を汚そうとも気に留めた素振りはない。
ところどころの焦げ跡と燻る異臭から、爆発によるものだと推測できる者は多いだろう。

「ああ、たっぷりと理解したよ。俺らの常識じゃ考えられない事がここじゃ普通だってな」

壁に背をもたれさせて返す男は黒のパーカーを羽織り、既に物言わぬ骸と向き合っている。
死の間際特有の苦悶に満ちた顔を真正面に受けても尚、物怖じする様子は見受けられない。
強者であった野良悪魔は、自身が喰われる側に落とされると思ってはいなかっただろう。

「それはよかった。それで、貴方はこれからどうするつもりでしょうか?」

見定める。それは彼が共闘するに欠かせないと考えるものである。
自分がそれに値しないと判断すれば、味方であろうと上司であろうと切り捨てるのがこの男だ。
こちらの持つ力は示した。次は向こうが試される番。

「どうもこうも、ウチはただでさえ人手が足りねえんだ。さっさと帰らせてもらうさ」

生還する。それは彼に考えられる、最も簡潔にして明確な目的だ。
ある男の全てを喰らい超えると決めたあの日から、手段の取捨選択を捨ててきたのがこの男だ。
こちらの意思は偽らない。後は向こうが決めるだけ。

「そのためなら人を殺しても構わないと?」

「仕事じゃねぇんだ、それしかないんだったらやるしかないだろ」

一般人にしては随分と剣呑だ、と白は笑った。
軍人にしてはあまりに悪辣だ、と黒は嗤った。

片や国家錬金術師《紅蓮》の名を背負いながら、信念のために死を振り撒く爆弾狂。
片や人の不良品《こころ》の回収を生業とする、絶望のために生を強要する回収屋。

1頭のシマウマはその名に似つかわしくない狂気を秘め、ただ愉快そうに目を細めた。







あんな仕事を続けていれば、いつかの最期は当然だろう。
もちろん己の美徳と信念を貫徹にして徹底しながら。
人の一生で殺せる数をはるかに上回る怨嗟と傲慢の暴風雨の只中でも。
戦いの決着と未来の予兆を見届けて逝けたのだから、文句のつけようがなかった。
死は通り過ぎた。それでも捨ててはいなかったものがある。
だからこそ違うようで近いソレを持つ召喚者に手を貸そうと思えたのだろうか。



【?????/1日目/朝】
【ドラ@シマウマ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いに勝ち抜いて帰る。
[COMP]
1:ゾルフ・J・キンブリー@鋼の錬金術師
[状態]:健康


635 : ◆jpyJgxV.6A :2016/05/06(金) 02:11:59 r5a.j9yU0
投下終了します


636 : 灰と竜と少年 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 07:42:09 SUTlvFTk0
投下します。


637 : 灰と竜と少年 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 07:42:44 SUTlvFTk0

人の気配が絶えた街。
行き交う人は無く、街中を流れる貨幣もない。
死んでいるという表現がぴったりと当てはまる場所。ここは招かれた人々の断末魔によって土に還る時を待っている死体なのだ。
入れ物の街を眺めて、僕はそんな感想を持った。



「(殺し合いかぁ…)」

殺人遊戯に不幸にも招かれた少年、コバヤシは物思いに耽っていた。
コバヤシは街に放り出された後、無人の美術館に入り込んだ。現在コバヤシがいるのは西洋画が四方の壁に飾られた展示室。
展示している絵画をよりリアルに見える距離で鑑賞してもらう為に、部屋は広めに作られている。
部屋の中心部には六角形の革張りの椅子が3つほど島のように設置されており、彼はそれに寝転がっている。

「(どうしよう…)」

「(もし、生きて帰れなかったら…)」

ハシバ君心配するかなぁ。

――ごめんねハシバ君。

コバヤシは脳裏で右往左往している友人に、心の中で謝った。
一旦ハシバについては区切りがついたので、次に自身が招かれたバトルロワイアルに思考を滑らせていく。

「(そもそも、なぜあの魔神皇はこんな殺人遊戯を開催したのか…)」

自己顕示欲?何か目的があって?
そもそも彼は単独犯なのだろうか。この首輪といい、大量の参加者を拉致する手段といい、この東京のイミテーションといい、個人レベルで用意するのは極めて困難に思える。
あれこれと考えてみるが材料が少なすぎるため、推理遊びの域は出ない。

そもそもどういう人選で集めたのだろう。腕っぷし、願い、知力……。

「(そういえば……!)」

参加者には味方、悪魔がつけられると魔神皇は言っていた。コバヤシは椅子から身を起こして支給品の確認を始める。
…あった。タッチペンの付いた携帯ゲーム機。おそらくこれがCOMPだ。
コバヤシは迷うことなく悪魔召喚プログラムを起動させる。

「(どんな悪魔が来るのかな……)」

コバヤシは期待に胸膨らませながら悪魔の出現を待った。


638 : 灰と竜と少年 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 07:43:28 SUTlvFTk0


「君が…僕をここに呼んだの?」
「はい。一応お聞きしますが、あなたは悪魔なんですか?」
「違うよ…。僕は北崎」
「そうでしたか。僕はコバヤシと言います」

プログラムを起動させたコバヤシの前に、気だるげに話す男が姿を現した。
背はかなり高いが華奢で、縦に長い印象を受ける。
お互いに名前を紹介し合ったところで、出入口付近の床が爆ぜた。
悪魔だ。カーキ色のコートに身を包んだ人型が床から這いあがってきた。ただしハンチング帽を目深に被った頭部は西瓜で出来ており
右手に大きなナイフを持っている。

「やだなぁ、これから自己紹介をするのにさぁ…」
「わぁ……っ」

ぼんやり、ゆっくりと北崎がそう口にした瞬間。彼の身体が光に包まれ、モノトーンの異形が姿を現す。
華奢なイメージがあったそれまでとは異なる立派な体躯、全身を覆う禍々しい外殻、頭部側面から伸びる大きな角。
死者が蘇生することで生まれる怪物、オルフェノクの最上位。ドラゴンオルフェノクである。

「エィイイィィイイ「ドゥアッ!」

西瓜の怪人は立ち上がり、こちらにナイフを突きつけながら金切り声をあげて殺意を示すが、ドラゴンオルフェノクはそれを無視して怪人に突撃。
気合と共に龍の頭部を模した手甲を怪人の首に突き立てて、そのまま持ち上げる。
帽子を失った怪人は手甲に貫かれながらも、ドラゴンオルフェノクの腕へナイフを突き立てる。

「へぇ…意外とタフいじゃん。…ッフゥンァ!」

感心したように言うと、ドラゴンオルフェノクは手甲を首に突き立てたまま怪人を壁に押し込み、怪人の背を磨り潰しつつ、部屋の隅に投げ飛ばす。
仰向けに倒れた怪人は身を起こすも、その姿勢で真っ白な灰になって死亡した。引きずられた怪人の進路上にあった壁面や絵画も灰となって落下し、壁が抉れたようになっている。
後には粉雪のように積もる大量の灰が残された。怪人の頭部から落ちたハンチング帽はいつの間にか消えていた。

「ははははは、僕の勝ちだ」
「すごい!すごい!灰になっちゃいましたよ!」

直接触れなくても灰になるんですね!とドラゴンオルフェノクの戦いぶりを見たコバヤシは興奮のあまり、顔を輝かせながらあらん限りの声で叫ぶ。
それを見たドラゴンオルフェノクは変身を解かないまま、コバヤシにゆっくりと歩み寄る。

「ねぇ…召喚されたら、召喚した人とコンビを組むんだよね…?」
「え?そう聞いてますけど…」

ドラゴンオルフェノクはゆっくりと手甲を着けた右腕をコバヤシに向ける。

「はい、じゃあ…仲良しの握手だ…。」
「はい!これからよろしくお願いしますね!北崎さん!」

コバヤシは遠慮なくドラゴンオルフェノクの手甲を掴む。

「へぇ…琢磨君より…度胸があるねぇ」
「琢磨君って、北崎さんのお友達ですか?」
「ふふふ、そう。僕の友達…」

右腕を掴まれたまま、コバヤシとやりとりをしていたドラゴンオルフェノクの身体が光に包まれる。
光が収まると、そこには眠そうな目で微笑む青年が立っていた。
無造作な頭髪は波打っており、鼻筋の通った端正な顔立ちをしている。暗色の大きなTシャツをだらしなく斜めに着て半分肩を露出させているのが印象的だ。


639 : 灰と竜と少年 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 07:43:48 SUTlvFTk0


「北崎さんって結構ハンサムな人なんですね。今ならよく見えます。」

柔和に微笑んでいた北崎は、やや眉間に皺を寄せつつ小首を傾げる。

「じゃ、ま…しばらく、一緒にいようか…」
「はい!それじゃ、移動しましょう」

コバヤシが荷物をもって、移動を始める。
北崎もそれにあわせて、ゆったりとした足取りでコバヤシの後ろを歩く。






北崎がコバヤシと話していて思ったのは

――変な奴だなぁ…。

ということだった。
容姿について褒められたのはいいとして

「(なぜこのタイミングだったのか?)」

自分に媚びるような態度はなかった。あのとき初めて顔を見たというような物言いも引っ掛かる。
そもそも自分の灰化をみたうえで躊躇なく握手する人間など、彼が初めてだ。

北崎…ドラゴンオルフェノクには触れたものを灰に変える能力が備わっている。
これは北崎自身にも完全制御できておらず、そのせいで他者との物理的接触が薄くなり、他人と心から通じ合うことが無くなってしまった。
コバヤシに変身を解かないで握手を求めたのも、彼の委縮した反応を楽しもうという黒い茶目っ気によるものだ。

現在は魔神皇により抑えられているが、そんなことはコバヤシが知る由もない。

「どんな人に会えるか楽しみだなぁ…北崎さんはどうですか?」
「うん…? 面白い奴がいるといいなあ」
「面白い人…じゃあ人の集まってそうな所を目指しましょう」

出口が見えてきたあたりでコバヤシが話を振ってきたので、一旦推察を打ち切る。
改めて見てもこれから殺し合いに臨む人物とは思えない。遊園地に向かっていると言った方が信じてもらえるのではないか。

「(ま、飽きるまでは、一緒にいるよ…コバヤシ君…。)」

しばらくは退屈しなさそうかな。静寂に包まれた館内を歩きながら、北崎はこれから始まる遊びに思いを馳せた。




【?????/1日目/朝】
【コバヤシ@乱歩奇譚〜Game of Laplace〜】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ニンテンドーDS型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:生き残る。積極的に戦う気はないが、バトルロワイヤルそのものに強い興味。
[COMP]
1:北崎(ドラゴンオルフェノク)@仮面ライダー555
[種族]:屍鬼
[状態]:健康
※触れた物が灰になる能力は魔神皇によって大幅に制限されており、変身後に気合を込めなければ発動できません。


640 : 灰と竜と少年 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 07:44:11 SUTlvFTk0
投下終了です。


641 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/06(金) 10:17:25 TokiJQP60
お二人とも投下乙です!

>>635
サマナーと悪魔での対比、この観点は少し面白いですね。
白と黒でシマウマ、というのもすごく綺麗で、すとんと来ました。

>>640
オルフェノク来た! 灰になる能力が少し弱まってるという分霊ならではの弱体化が
上手く作用してる感じですね……しかしサマナーくんはこれまた面白いスタンスだ。


642 : そうじと不思議な魔法の獣 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 12:37:55 SUTlvFTk0
投下します。


643 : そうじと不思議な魔法の獣 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 12:38:36 SUTlvFTk0
「まじありえねーよ…」
ついてねぇなんてレベルじゃねェって……阿部はマンションのベランダから階下を眺めながらひとりごちた。

阿部は同棲していた多河柳子の殺人容疑で指名手配を受け、その容疑を晴らすために「夜見島」へと向かった。
そして赤い津波に飲み込まれ、夜見島の怪異を駆け抜けて、辿り着いたのは「屍人も闇人もいなくなった」夜見島だった。

島で出会った作家の愛犬、ツカサを伴って本土に帰還する矢先、この場に招かれた。そばにいたはずのツカサとははぐれてしまっている。
阿部は胃に穴が開きそうな気分で、階下を眺めていた。

「(もう、何の恨みがあってオレをこんなとこ連れてきたんだよ…さっきから、だれも通らねえしよぉ…)」

現在阿部がいる部屋に辿り着くまで誰ともすれちがうことなく、それが現在でも続いている。
脱出ルート不明、殺し合い、悪魔、タバコが吸いたい気分だった。

「(…ま、なんとかなんだろ)」

それが阿部の出した結論だった。夜見島でも必死で駆け回っているうちになんとかなった。今回も上手く行くかもしれない。
そこまで考えて、ベランダから部屋の中に戻る。



部屋の中で支給品を漁っていると、中から金属バットと鈍色のケースが出てきた。
表面には自分も良く知る煙草の銘柄が刻印されている。
タバコか!?と思って開いてみると、片方にディスプレイが、もう片方に幾つかボタンがついている。

「(よくわかんねーセンスだな…?)」

これがCOMPなのだろうか?
魔神皇は悪魔が友達になるとかいっていた…幽霊は見たことあったけど、悪魔は初めてだな。
そんなことを考えながらプログラムを起動させると、目の前に小さな影が形成されていく。



「え、ぬいぐるみ?」
「ダァホッ!!だれがぬいぐるみや!」
「お前だけど…」
「お前ぇ!? よく聞け! ワイはな…クロウカードを守る封印の獣、ケルベロスや!」


644 : そうじと不思議な魔法の獣 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 12:39:17 SUTlvFTk0
召喚されたのは全身が向日葵色をしている小さな悪魔だった。
大きな頭部はネコ科の動物の顔をデフォルメしたような正球になっており、左右に半月型の大きな耳がついている。目は西瓜の種を思わせる黒い点のよう。
背中からは白く小さい一対の羽が生えており、如何なる原理か宙を舞っている。
ケルベロスは阿部に凄んでみせるが、容姿がちっとも恐ろしくないので、ふーーんと阿部は気の無い返事しか返さない。
緊張感のない阿部に呆れつつ、ケルベロスは尋ねる。

「ハァ…。ほんで、あんさんはこれからどないするつもりや?叶えたい願いとかあるんか?」
「いいや?」

阿部は本土に帰還したいだけだ。
過去に遭遇した怪異の体験談も交えつつ、ケルベロスに殺し合いに乗る気が無い事、さっさとここから脱出したい事を伝えた。

「そうか…あんさんも苦労しとるなぁ…」
「まぁな…」

死体に憑りつき何度倒しても生き返る者達や、正面からの攻撃が全く効かない巨大な顔を持つ怪物の話は、魔法に慣れ親しんだケルベロスから見ても一驚に値するものであった。
一人と一匹は悪趣味な殺し合いに巻き込まれたお互いの身の上を考えると重苦しい気分になり、険しい表情を浮かべながら顔を突き合わせる。

「で、これからどうすんだよ?」
「そやなぁ。まずは情報収集!手ぇ組めそうな奴を見つけるんや」
「そんなんで大丈夫かよ…」

ソウジみたいに望まんと連れてこられたやつらもおるかもしれんしな。
ケルベロスがそういうとそれもそうか。と阿部は思い、手早く荷物をまとめて、一人と一匹は部屋を出る。
無事に一階まで到着。マンションの出入口が開いた時に。

「あれ…?ちょっと待てよ!?なんでおめーが仕切ってんだよ!」
「しゃあないやろ。こんなしまりのない奴にワイの生死まで委ねるなんてできんわぁ。
大体『で、これからどうすんだよ?』って聞いてきたのはあんさんの方やろ」
「…ッチ。誰だよそれ、全然似てねえよ」
「こんなとこでしゃべっとらんと、はよいくで〜」
「わぁーった。わぁーった。」

ケルベロスが先導するように阿部の前方を行く。
一応納得した形は見せたものの、釈然としない阿部は不満気な表情を作っていたが結局何も言う事は無く、おとなしく外界へ足を向けた。



【?????/1日目/朝】
【阿部倉司@SIREN2】
[状態]:健康
[装備]:シガレットケース型COMP
[道具]:基本支給品、金属バット
[思考・状況]
基本:脱出する。
※幻視の感知領域が制限により狭まっています。

[COMP]
1:ケルベロス@カードキャプターさくら
[種族]:魔獣
[状態]:健康
※ケルベロス(真)になれるかは後続の書き手さんにお任せします。


645 : そうじと不思議な魔法の獣 ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 12:40:12 SUTlvFTk0
投下終了です。


646 : 鏡の中から見つめてる ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 15:08:51 SUTlvFTk0
投下します。


647 : 鏡の中から見つめてる ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 15:09:24 SUTlvFTk0

宮田は自分が置かれている状況に困惑していた。
折臥ノ森にいたとき地面が揺れ始め、異様な感覚に襲われた。その時にサイレンのような轟音が鳴り響き、気を失ってしまったのだ。
そして白い服の少年の前で、目を覚ました。
街に放たれてすぐ、支給品の中から釘抜き用の爪がついた金槌を取り出し、タブレット型の端末を起動させ、召喚した悪魔に周囲を警戒させている。

――首輪。

宮田が首にある圧迫感のもとに手を触れると、冷たい金属の感触がある。
あの少年に食って掛かり、首を飛ばされた男女がつけていた物とおそらくは同質のもの。

「(儀式、なんだろうか……?)」

自身の住む羽生蛇村では今日、伝統の秘祭が行われる。正確な時刻は確認しなかったが、始まっていたはず。
生贄を伴う閉鎖的な印象のあるそれだが、所詮儀式だ。
遊戯めいた殺し合いを要するものではない、それに――

「(ここは村ではない…)」

宮田は見通しの良い遊歩道を歩いているが、ここから見える街並みは羽生蛇村とは比較にならないほど開発が進んでいる。
また土地に流れる空気や雰囲気が、まるで違っている。
村から気付かぬうちに移動させられたようだ、と宮田は仮定する。

「(あの少年は何者なのか…)」

仮に儀式の一環だと仮定すると、彼は村において相応の地位を持つ人物のはずだが、見覚えが無い。
村人の全てを把握できているとは断言しないが、若者の数は絶対的に少ない。10代の少年なら十分印象に残っている筈。
暗中を宮田は歩く。行く当てはないが、じっとしてはいられない。

まず眞魚教の儀式かどうかを調べよう。求導師様や求導女なら、儀式かどうかわかるはずだ。
彼らが主導で執り行われるのだから、知らない方がおかしい。

求導師様がいる場合は、どこかに閉じこもっているか、求導女にくっついているだろう。
臆病な方だから、殺し合うにせよ、脱出するにせよ積極的に動くことはあるまい。


648 : 鏡の中から見つめてる ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 15:10:03 SUTlvFTk0

人の集まりそうな施設を目指そう…そこまで考えた宮田を、背後から黒龍が燃えるように光る両眼で見下ろしていた。



ドラグブラッカーは苛立っていた。
COMPなどという代物で「契約」でもない契約で縛られることも、振るえる力に限りがある事も。
だが自分を故郷によく似たこの街に招いた男の目を見て、一旦怒りを収めることにした。

――この男は、我が主と同じものだ。

闇の中を歩き、日向で生きている「もう一人の自分」と成り代わろうとしている。
主のもとには別の自分がいる…と本能と直感によって判断した。だからこの場においては男の力となろう…と同じように身の振り方を決めた。


【?????/1日目/朝】
【宮田司郎@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:ネイルハンマー
[道具]:基本支給品、COMP(タブレット型)
[思考・状況]
基本:自分が置かれている状況を把握する。
※参戦時期は[初日/3時30分]目を覚ます前。
※幻視が使えるかは後続の書き手さんに委ねます。

[COMP]
1:ドラグブラッカー@仮面ライダー龍騎
[種族]:邪龍
[状態]:健康


649 : 鏡の中から見つめてる ◆ziM0nw4yVY :2016/05/06(金) 15:10:39 SUTlvFTk0
投下終了です。


650 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/06(金) 16:18:04 TokiJQP60
>>635
すみません、トリップキーが検索で引っかかるため、変更をお願いいたします。

>>644
投下乙です!
こにゃにゃちわ〜〜じゃ、ない……だと……
なんだかんだでグイグイ引っ張ってくのはケロちゃんらしいですね。

>>649
ミョルネイルハンマーだ……あのミョルネイルハンマーに定評のある宮田が!
ドラグブラッカーもかなり苛立ってますね……w


651 : 名無しさん :2016/05/06(金) 18:12:31 dqvd6Sow0
投下します


652 : ◆MWFdcUN/3c :2016/05/06(金) 18:13:12 dqvd6Sow0

「魔神皇を逮捕する」

一言、サマナーは自らの悪魔に対してそう言った。
やや浅黒い肌の若い男。その身体はよく鍛えられていると見え、しなやかに引き締まっている。
まるで軍人のようだと悪魔は思った。

「逮捕? 手ぬるいのではないかね。私が言うのも何だが、アレはもはや人間の範疇に収まる存在ではないぞ」
「彼が異常な力を備えているのは理解している。だが、彼はまだ未成年だ。罪を犯したとはいえ、問答無用で殺害するなど許されるべきことではない」
「では殺さずに制圧すると? 何ともはや……無謀だ。君にはいまいち実感しにくいかもしれないが、彼の力はそれこそ神、神霊の域にある。
 私も己の力に自信はあるが、それとてアレに比べれば小火もいいところだ。勝てんぞ?」
「ならば、仲間を集める。俺たちだけではない、殺し合いを拒む志を同じくする者を探し、力を束ねて大きな炎とする!
 一人ひとりは小さな火でも、その火が集まり燃え広がれば、必ずや魔神皇すら呑み込む炎となるだろう!」

根拠なく言い切るサマナー。悪魔はやや呆気に取られ口を開きかけたものの、何も発することなく苦笑した。
サマナーは何のためらいもなく「俺たち」といった。まるで、自分と悪魔の意見は既に同一だと確信しているかのように。

「やれやれ、これは無謀なサマナーに召喚されたものだ。悪魔に団結を求めるなど。私が唯々諾々と従うとでも思っているのか?」
「いや、お前は俺に手を貸してくれるさ。従うのではなく、ともに並び立つ友として、な」

サマナーは悪魔の瞳を正面から見据える。視線を合わせているだけでこの男の熱さが伝わってくる、そんな瞳。
自らの内にもかつてあったモノ。いつしか燻り、目を逸らし、それでも捨てることはできない魂のカタチ。

「お前を召喚した瞬間、俺にはわかった。お前はきっと、俺と同じく正義を愛する者だと。
 悪逆を憎み、弱き者を守る盾となる。俺は常にそうありたいと思っているし、お前もきっとそうだろう」
「正義……か。そんなものがまだ、私の中にあるとは思えないがね」
「忘れてしまったのなら、思い出せばいい! 何度だって火は灯る……それが正義というものだ!」

暑苦しい、そして無謀な若者だ。理想に燃えていたかつての自分を見ているようで気恥ずかしくもなる。
だが、ひとまずは合格点だ。悪魔は契約によって使役される以上、おおっぴらにサマナーへ反逆することはできない。
このサマナーならば、望まない行動――たとえば無抵抗の市民を虐殺する、あの殲滅戦のような――を強いられることは、なさそうだ。
悪魔が決して口にする資格のない、許されない、「正義」という言葉、信念。このサマナーとならば、貫けるかもしれない。

「俺の名は栗木ロナウド。一介の刑事だが、この事件を解決するために全力を尽くす! 手を貸してくれるか、俺の悪魔よ」

COMPを介した命令ではなく、悪魔自身の判断に己の命を懸ける。
そう表明し、差し伸ばされた手を。

「私の名はロイ・マスタングだ。今後ともよろしく……若き、そして熱きサマナーよ」

握手の代わりに名乗ることで、受け入れた。
かつて失い、過去の罪と未来への贖罪を背負うことで取り戻した瞳に若きサマナーを映し、ロイ・マスタングは再び戦場へと舞い戻る。



【?????/1日目/朝】

【栗木ロナウド@デビルサバイバー2】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品(1)
[思考・状況]
基本:魔神皇を逮捕し、事態を収拾する。

[COMP]
1:ロイ・マスタング@鋼の錬金術師
[種族]:超人
[状態]:健康


653 : ◆MWFdcUN/3c :2016/05/06(金) 18:13:59 dqvd6Sow0
終了です


654 : ◆lb.YEGOV.. :2016/05/06(金) 19:52:48 frlDnyAw0
皆さま投下お疲れ様です。
投下させていただきます。


655 : 小さきものたち ◆lb.YEGOV.. :2016/05/06(金) 19:54:05 frlDnyAw0

無人の路地裏に男が一人。
ラテン系の目鼻立ち、短く刈り込んだ頭髪、派手な色の短いシャツ。その瞳にはどこか剣呑な光をたたえている。
そして傍らに出現している人型の異形が、彼が所謂一般人と称される存在とは違うことを明確に物語っていた。
この男の名をホルマジオ。イタリアのマフィア『パッショーネ』の構成員の一人であり、スタンドという異能を扱う暗殺者である。

「チッ、『リトル・フィート』で縮んだところで首輪もつられて縮みやがったか。ま! そんな上手い話がそうそうある筈もねーって事は理解してたがよォ〜」

軽く頭を掻きながら、面倒臭そうに溜め息をつく。
ホルマジオのスタンド『リトル・フィート』は特定の対象や自分自身を小さくするスタンドだ。
それを使い、首輪を残して自身が小さくなれば、自身を縛る忌々しい枷を外せるかと期待したが、結果は失敗。
どのような原理かは不明だが、自分の体が縮むのに合わせて首輪の方も小さくなっていった。
リトル・フィートの効果を解除して巨大化した際もつられて大きくなった事から何らかのスタンド能力なのかもしれないとホルマジオは結論付ける。
脳裏に縮小と巨大化を高頻度で繰り返せば誤作動でも起こすのではという可能性が浮かんだが、実行までは踏みきらない。それで爆発でもされたら笑い話にもならないからだ。

「あのジャポネーゼのガキは変な光がスタンド能力だったみたいだが、イタリアからここへの拉致とこの首輪の件も含めて複数のスタンド使いがいるとみた方が良さそうだぜ。
ボスの娘の行方の手がかりっぽいものを掴んだと思ったらこんな目に合うとはよぉ〜、しょおがねぇなぁ、まったく。
……まさか他の奴らまで捕まってねえよな? メローネ辺りは息子がいねえと身を守ることもできねえし」

ぶつぶつと独り言を呟きながら支給されたデイパックの中身を弄る。
お、という呟きと共に取り出したのは携帯電話。説明書にはCOMPと記されていた。

「ほぉ〜、これがあのガキのいっていた悪魔とやらが封じられてるってあれかぁ。悪魔、悪魔ねぇ。胡散臭え話じゃあるが自分の持ってる武器ってのは正確に把握しとかなきゃ後で困るしな、っと」

説明書を片手に携帯端末を動かしながら、悪魔召喚プログラムを起動させる。
ホルマジオの眼前に眩い光が走り、思わず目を覆う。
光がやみにうっすらと目を開けたホルマジオは、その目を驚愕によって一気に見開かされた。

そこにいたのは彼の膝下よりも小さな背丈の少女だった。
いつか雑誌で読んだ日本の着物と呼ばれる衣装に身を包み、これまた雑誌で読んだ日本のお椀と呼ばれる食器の中にその小さな体をおさめ、武器なのだろうか、鋭く光る縫い針が手に握られている。
その小ささとぷかぷかと浮かぶお椀から、少なくとも一般人とは違うなにかであることは見てとれた。

「お初にお目にかかります! 国津神として呼ばれました少名針妙丸と申します!」

針妙丸と名乗った少女が元気よく深々と頭を垂れる。
これが噂の"ジャポネーゼ・オジギ"か、などと思いながら、我に返ったホルマジオがひょいと針妙丸の入ったお椀を無造作に掴んで持ち上げた。
身長相応に体は軽いようだ。

「ひゃあ!? い、いきなり何するんだー!」

急にお椀ごと持ち上げられ、がたがたとお椀ごと暴れる針妙丸の前に、リトル・フィートの右手人差し指に生えているナイフを突きつけると、ピタリと針妙丸の動きが止まった。
一対の視線がナイフへと向かい、続けて怯えの色を交えながらホルマジオへと移る。


656 : 小さきものたち ◆lb.YEGOV.. :2016/05/06(金) 19:55:23 frlDnyAw0

「その反応、悪魔にはスタンドが見えてるみてーだな」
「な、ななな、なにするのよ! 危ないじゃない!」
「おう、ワリーワリー。悪魔にこいつが見えてるかどうかちょーっと試してみたくてよ」

悪びれない態度でリトル・フィートを引っ込め、ホルマジオは子どもをあやすかの様にポンポン、お椀の蓋越しに彼女の頭を軽く叩く。
子ども扱いされたことに気を害したか、お椀が宙を浮き中の針妙丸が手にもった針をホルマジオの足に突き刺そうとするが、それはリトル・フィートに頭を抑えつけられた事で妨害され、怒り混じりに振り回される腕がむなしく宙を切る。
悪魔という字面からは想像もできない、良く言えば愛らしい、悪く言えば間抜けな姿にホルマジオから思わず笑いが漏れる。
だが、それが針妙丸の逆鱗に触れた。

「むううううう!!」

にやついた笑みを浮かべるホルマジオの視界が針妙丸の周囲で形成されていく光源を捉える。
それが何かと尋ねようとするよりも早く、彼めがけて針のような形に練られた光弾が射出された。

「うお!?」

すんでのところで顔を左に反らし回避を試みる。
直撃は免れたが完全に避けるまでには至らなかった。
右頬に鋭く、熱い痛みが走る。
微かに裂けた頬の皮膚にじんわりと血が滲んだ。

(なんだこりゃあ!? スタンド、いや、悪魔の力って奴か? この小ささだろうと充分な破壊力……! となるとやべえぞ! 俺はこいつを怒らせちまっている! ここで終わる訳がねえ!)

ホルマジオの危惧を証明するかのように無数の光弾が針妙丸の周りに形成されていく。
針型へと形を変えていく無数の弾丸はその全てが先端をホルマジオへと向けている。
針妙丸の大きさならばリトル・フィートの攻撃でも致命傷だ。
だが、リトル・フィートを呼び出し攻撃するよりも光弾の針の雨が自身を針山に変える方が早いことをホルマジオは理解している。

「一寸法師様の逸話のように! お前の両目にこの針を叩き込む! 謝ったってもう遅いぞ、『鬼殺し両目突きの針』だッッッ!!」
「う、うおおおおおおお!! リトル・フィートォォォォ!」

見開かれたホルマジオの二つの瞳目掛けて針の弾幕が放たれるのと、リトル・フィートの能力によってホルマジオが小さくなったのは同時だった。
縮んでいくホルマジオのすぐ上を無数の針が通過していく。もし直撃していれば悪くて失明になっていただろう。
アスファルトへと無事着地したホルマジオの頬を冷たい汗が伝っていく。
不意に彼の周囲が陰る。
見上げると、頭上に浮かんだお椀から覗く二つの瞳がホルマジオを見下ろしていた。

「なんだお前、急に小さくなって。お前も小人族なのか? でも打ち出の小槌なんて見当たらないし……」

訝しげな調子で針妙丸が問いかける。
召喚した時の敬語とは違うぶっきらぼうな口調、そして言葉の節々から感じられる刺々しい調子にホルマジオは改めて自身の行いが彼女の不興を買ってしまったのだと理解する。


657 : 小さきものたち ◆lb.YEGOV.. :2016/05/06(金) 19:58:30 frlDnyAw0

(冗談じゃあねーぞッ! 自分の悪魔をからかって再起不能だなんて笑い話にもならねえ! くそっ! しょおおおおがねえなああああ!)
「すまねえ、悪かった。確かに初対面の女性にする態度じゃなかった。礼を失していたしこの通り謝るよ。だから機嫌なおせって、な?」

リトル・フィートともども両手をあげ、害意がないことを示す。
そのまま、話に聞いた"ジャポネーゼ・ドゲザ"と呼ばれる日本人が行う最上位の謝罪の姿勢へと移る。
効果はあったのか、そこまで謝罪してくれるならと針と光弾を収めた針妙丸を尻目に、ホルマジオは安堵のため息をつきながらリトル・フィートを解除し元の大きさへと姿を戻した。

「今度は大きくなった!? あなた打ち出の小槌でも持ってるの!?」
「あー? なんだその"ウチデノコヅチ"ってのは」

大きさを自由に変えられるホルマジオを目の当たりにし、針妙丸が目を白黒させているのを、今度はホルマジオが訝しげに見やる。
そこで、針妙丸の口から聞かされた話はまるで自分が童話の中に迷い混んでしまったかのような錯覚をホルマジオに与えた。
対象の身長の大小の変化は勿論のこと、様々な願いを叶える小さな槌、打ち出の小槌。
それを鬼と呼ばれるモンスターを討伐して手に入れた針妙丸の先祖の一寸法師という英雄。
もし、ホルマジオが日本のお伽噺に造詣が深ければピンと来るものがあっただろうが、イタリア人の彼にとっては"ガリヴァー旅行記や白雪姫、親指姫に出てくる小人のとてつもなく強い版"程度の認識にとどまる。
とはいえ、自分の能力の完全上位互換が機能の1つ程度でしかない道具の存在はホルマジオの背筋を寒くさせた。
分霊と呼ばれる存在であるこの針妙丸はその打ち出の小槌を持っていないと告げられた事でホッと胸を撫で下ろすと同時に悪魔という存在のヤバさを再認識させられる結果となった。

「それで、サマナーさんはどうするの?」
「お? まあ、あっちに帰ってやらなきゃならねえ事もあるからな〜。帰りてえは帰りてえけど、最後の一人になったところであいつが大人しく帰してくれる保証もねーしよォ〜」
「でも願いは叶えてくれるって言ってたんでしょ?」
「それで返してくれたってコイツがついてたらあのガキの飼い犬にされてるのは変わりねーだろーが」

針妙丸の問いに、トン、と自身にかけられた首輪を指差す。
この首輪が存在する間は殺し合いから抜け出したとしてもホルマジオの生殺与奪の権利は魔神皇の手中にある事になる。それでは本当の自由を手に入れた事にはならない。

「こちとら飼い犬は少し前に辞めた身でな。それがあんなマンモーニ(ママっ子)みてえなガキの飼い犬になるなんて笑い種ってな訳よ。
……って言えりゃあ良かったんだが、この首輪をなんとかしなきゃ結局のところ、飼い犬になるか犬死にの二択になっちまってるのがな〜。しょおおおがねえよなぁぁぁぁぁ」

深く、深く深くため息を吐く。
犬死にをするよりも飼い犬になる。それを受け入れざるをえない状況だという事を理解しているが故のため息だった。
死ぬぐらいならば屈辱を甘んじて受けてでも生き延びる。ホルマジオは、いや、ホルマジオ達はそうやって今日まで生きてきたのだ。ならばそれをここでも続けるだけにすぎない。
誇りの為に命を賭けるのはここではない。仲間達の待つイタリアこそが彼にとって真に命を賭けるに値する場所なのだから。

「えー格好悪ぅー」
「うるせえ、背に腹は代えられねーだろうが、死にたくはねえんだよこっちは。大体そーいうオメーはどうなんだ、童話のヒーローの子孫なんだろ?」
「……そりゃあ抵抗はあるけどさ。私たちなんてサマナーさんがCOMPで合体なり削除なりすればいなくなっちゃうような存在なんだよ。
逆らったところでどうしようもないじゃない。本当は嫌だけど」

ジト目で睨んでくる針妙丸はホルマジオの問いにばつが悪そうに目を伏せる。
そもそも殺し合いの駒として呼び出された事自体が不本意なのだろう。
それでも抗ったところで、使役されるべき存在として呼び出された自身にはどうしようもないことだという諦観が針妙丸にはあった。


658 : 小さきものたち ◆lb.YEGOV.. :2016/05/06(金) 20:00:07 frlDnyAw0

「……オメー、逆らえば消されるかもしれねえってわかってたのにサマナーの俺に手を上げやがったのかよ」
「それとこれは話が別。人を馬鹿にする奴が悪い」
「わかった! そうだな。その通りだ! だから針向けんのやめろ! もう蒸し返さねえからやめろって!」
「フン、まあ消したいなら消せば?」

頬を膨らませ針妙丸がプイ、とそっぽを向く。

(どうもガキの相手は調子が狂うぜ。こういうのは面倒見のいいプロシュートやリゾットの野郎の方が適任だろうによ〜。くそッ、恨むぜマジンノーとかいう坊主!)
「しょおおおおおがねえなあああああああ〜、消す訳ねえだろうが。他の奴らが悪魔使ってくるなかで俺だけ悪魔なしで戦えってのか? 冗談じゃあねーぜ。
それに殺し合いの方だって簡単に乗るつもりなんざねえよ。しばらくは様子見して優勝以外の方法がありそうだったらそっちに乗ってやる。だからオメーもそんなにヘソ曲げんなって」

ガリガリと短く刈り込んだ頭を掻きながら、不機嫌さを隠そうともしない針妙丸に機嫌を直すよう話しかける。
前途は多難。ホルマジオの奇妙な冒険がここから始まる。

【?????/1日目/朝】

【ホルマジオ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:生存優先。軽率に殺し合いには乗らないが殺すべき時には殺す。
[COMP]
1:少名針妙丸@東方project
[種族]:国津神
[状態]:健康


659 : ◆lb.YEGOV.. :2016/05/06(金) 20:00:36 frlDnyAw0
以上で投下を終了いたします


660 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 00:10:39 SKh30pRk0
お二人共投下乙です!

>>653
これまたアツいコンビ!
燃え盛る炎のように、魔神皇を裁けるか……

>>659
なかなか意外な人選がw
しかしさすが暗殺チーム、なかなかに冷静ですね。
確かにそのスタンド能力は、打出の小槌と思えるよね……

さて、自分も一作投下します。


661 : 従者 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 00:11:13 SKh30pRk0
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

 紅魔館。
 それは、世界のどこかにあるとされている、真紅の洋館だ。
 傍には湖があり、大きな時計台は真夜中に鐘を鳴らすのだという。
 中は見た目以上に広く、下手に踏み込めば、一発で迷子になる程なのだとか。
 そんな館に、魔女や妖怪、そして吸血鬼が住んでいるという噂も立っていたが、これは定かではない。
 なぜなら、館に迷い込んだ者は、口を揃えてこう言うからだ。

 「そこでは一人のメイドにしか出会わなかった」と。

◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆



「全く、ふざけた話ね」

 ふう、とため息を付きながら、呆れた声を出す一人の少女。
 青と白の二色で織りなすメイド服に身を包む、白銀の髪の彼女の名は、十六夜咲夜。
 ああ、それは本当の名前ではないのだが、今はどうでもいい。
 彼女こそが、先述の紅魔館で給仕するメイドだ。
 巨大な紅魔館の家事炊事の類は、ほぼ全て彼女が担っている。
 仕事ぶりは、どこの誰よりも完璧なのだが、それを知るものは少ない。
 そんな彼女も今は、魔神皇の手によって殺し合いという舞台に立たされた、被害者の一人だ。

「別にやれと言われれば、そうしますけれど」

 含みのある言葉を吐きながら、何かを確かめるように自身の太腿へと手を伸ばす。
 同時に「あら?」と思わず声を上げてしまったのは、そこにあるべき物がなかったから。
 そう、彼女がいつも常備している銀の投げナイフが、綺麗さっぱりなくなっていたのだから。
 昨日寝る前に確認した時には、確かにあった。
 となると、ここに連れてこられる前、つまり魔神皇の手によって奪われたのだろう。
 人に殺しを強いる癖に、その武器を奪うとはなんとも理解ができない。
 まあ、こんなイカれた催しを開く人間のことなど、理解したくはないが。
 そんなことを思っていても、ナイフが生えてくるわけではないので、仕方がなく近くにあった袋へと手を伸ばす。
 体術に自信がない訳ではないが、武器が有るに越したことはない。
 せめて使えるものが入っていればいいのだが、と思いながら取り出したのは、古めかしい手裏剣の束だった。
 試しに一枚投擲してみると、近くの木へと綺麗な直線を描きつつ、軽い音と共に深々と突き刺さった。
 感覚こそ少し変わるが、悪くはない。
 そう思いながら懐に数枚備え、残りの道具を確認していく。

「これは……」

 次に取り出したのは、黄金で出来た「十字架」であった。
 ごてごてとした少しわざとらしい装飾のそれを掴みながら、咲夜は少し険しい表情をする。

「当てつけかしら、悪趣味ね」

 偶然か、それとも魔神皇の意図的な嫌がらせか。
 後者だとすれば、彼女が"仕えている者"を、概念としてしか捉えていない、なんとも浅い嫌がらせだ。
 いや、嫌がらせだからこそ、わざと"浅く"してあるのか。
 それほど、魔神皇は人間を下に見ているのか。

「流石に、考え過ぎか」

 深入りしそうになったところで、頭を切り替える。
 後は食料と謎の貨幣だけ、つまりこの嫌がらせの十字架が、彼の言っていた"COMP"というシロモノになのだろう。
 友となりうる存在、悪魔。
 それが、この十字架には封じられているのだという。

「今更、悪魔程度で怯えてられないわよね」

 そんなことを言いながら、咲夜は十字架を掲げていく。
 悪魔、そのレベルで済むならば構わない。
 最も恐ろしく、最も敬愛すべき存在を、自分は知っているのだから。
 神であろうと何であろうと、恐るるには足らない。
 そう思っている内に、十字架から放たれた光は、一つの影を作り終えていた。


662 : 従者 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 00:12:16 SKh30pRk0
 
「私は……」

 現れたのは、"人間"。
 緑のバンダナを頭に巻き、腰に長刀を携えた、特徴的な装束の男だった。
 想像とは少し離れた存在の登場に、咲夜は少し驚いていた。

「運命の子、タタ……ううん、違う」

 名乗りを途中で切り、男は首を横に振る。
 いや、違う。強かさと優しさを兼ね揃えた声は、女性のもの。
 恐らく、自分とそう年は変わらないであろう少女の声であった。

「私は更紗、よろしくね」

 そして、"悪魔"は名乗る。
 それから、顔の半分を包んでいた布をずらし、柔らかな笑顔を浮かべて、手を差し伸べた。

「……ご丁寧にありがとう、私は十六夜咲夜、完璧で瀟洒な従者よ」

 咲夜もまた、彼女に応えるように名乗る。
 差し出された手を取るように、握ってみる。
 触れ合う肌の感触は、人と何ら差はなかった。

「いい名前だね」
「でしょう? 貴方、いいセンスしてるじゃない」

 更紗の言葉に、咲夜は思わず頬を綻ばせる。
 あの人から貰った大切な名前、それを褒められるのはやはり嬉しいものだ。

「それで……咲夜はどうするの? この、殺し合いを」

 ひと通りやりとりが終わった所で、更紗が本題を持ちかけてきた。
 間を置くこと無く、咲夜はそれに返答する。

「別にどうもしないわ、ここから抜け出せればいい。ただ――――」

 そこで言葉を切って、少しだけ"時"を経て。

「死ぬことだけは、出来ないけれど」

 すっと、透き通るように冷たい声で、そう言った。
 ごくり、と思わず唾を飲み込む。
 その時の咲夜の目、更紗はそれを見たことがある。
 強い意志、強い心、何がなんでも成し遂げるという、意志の現れ。
 まるで、いつかの彼のような――――

「どうかした?」

 考えこんでしまいそうになっていたところに、咲夜は心配そうに更紗の顔を覗きこむ。

「ううん、別に」

 慌てて返事を出すが、特に興味もなかったのか、咲夜は「そう」と短く呟いて、更紗に背を向けてしまった。
 聞くに聞けない事、けれど更紗は確信できたこと。
 それは、彼女が"覚悟"のある人間だということ。

「しかし、眩しいわね……」

 更紗がそれ察していると知ってか知らずか、咲夜は少し呑気な声でそう呟く。
 なにせ、紅魔館では陽の光がほぼ遮られている。
 直接こうやって太陽を浴びるのは、久方ぶりのことなのだ。

 どこか日除けになるところでもないだろうか、そんなことを思いながら、咲夜は東京の街を歩き出した。

【?????/1日目/朝】
【十六夜咲夜@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:COMP(十字架型)、手裏剣(59枚)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:手段を問わず生存し、手段を問わず脱出する。
[備考]
※現代に生息する同姓同名の似たような性格の従者のため、幻想郷の妖怪達の知識はありません。
※幻想郷の紅魔館の人間とも、多少の認識のズレがあるかもしれません。
※現代に生息している(と描写のあった)東方キャラとは面識があるかもしれません。
[COMP]
1:更紗@BASARA
[種族]:英傑
[状態]:健康


663 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 00:12:30 SKh30pRk0
投下終了です。


664 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/07(土) 00:13:17 gczApHA20
投下します。


665 : I need more power! ◆yaJDyrluOY :2016/05/07(土) 00:14:21 gczApHA20
「フン、殺し合え……か」

 都会には数百数千とある超高層ビルの屋上で男は街の様子を見下ろしていた。
 蒼い外套を身に纏い、オールバックにした銀髪は元々険しい男の顔をより恐ろしい物にしていた。
 男の名はバージル、悪魔の父と人間の母から生まれた半人半魔の男である。
 周囲に獲物となる悪魔の気配がない事を知ると、バージルはさも日常の延長だと言わんばかりに平常心のまま荷物を確認し始めた。

 闇の世界に身を置き、力を求めて人間や悪魔を狩り続ける彼にとって、先程の光景など全く心胆を寒からしめるものではなかった。
 むしろ悪魔を狩って力を付ける事を生き甲斐としている彼にとっては絶好の狩場が用意されたようなものだった。
 悪魔使いと思わしき白い少年の言いなりになるのは癪にさわるが、殺すのは最後で良いだろうと考えた。
 人間はともかく会場内の悪魔は殲滅するつもりでいるため、バージルは必然的にあの少年と相対する事になるのだから。

 バージルが荷物を確認すると、中には画面のついた腕時計の様なものと一丁のライフルが入っていた。
 説明書を呼んでみると、前者は腕時計型COMP、後者は585口径狩猟用ライフル(.577 T-REX弾)と書かれている。
 さらに詳しい解説を読むと、どうやらCOMPというものには[悪魔召還プログラム][地図][名簿][時計][メモ帳][悪魔辞典]が入っているらしい事がわかった。

 バージルは興味の無いライフルを適当に放り投げ、COMPを腕に装着する。
 すると画面が明るく光り、『認証中…』の文字が現れた。
 しばらく待つと認証が終わり、メニュー選択画面に移行する。
 バージルは迷わず悪魔召喚プログラムを起動した。
 ひかりとともに目の前に現れたのは――液体の様なブヨブヨとした塊。

『チカラ……チカラガホシイ……』

 明らかに物理学を無視した伸び縮みを繰り返し、時には人型を取りながら、悪魔は地の底から響くような声で呻く。
 
『チカラガタリナイ……モットチカラヲ……チカラヲヨコセ』

 その悪魔の吐く言葉は――再現のない力への渇望だった。

「俺の力を喰らってみるか?」

 自分と目的を同じくする悪魔を召喚したことに小さく笑みを浮かべ、バージルは悪魔に攻撃を仕掛けた。
 素手の状態でベオウルフを装着した時のように鋭い蹴りを放ち、同時に幻影剣を射出する。
 ――しかし、蹴りを放った脚も幻影剣もインパクトの瞬間に液体へと変化した悪魔の体内に飲み込まれ、ダメージを与えた様子はない。
 バージルは身体を飲み込まれないように背後に瞬間移動し、悪魔を観察する。

『ウマイ……ウマイ……モットクレ……モットクレ』

 どうやら幻影剣からバージルの魔力を取り込んだようで、先ほどよりも活発に活動し始めた様に見受けられる。

「面白い……貴様がどれだけ力を付けられるか、見てやろう」

(そして最後はこいつの力さえも――俺が奪う)

 バージルはこの殺し合いでの動きを決めると、荷物を乱暴に掴んでビルから飛び降りた。
 もちろん屋上に捨て置かれたライフルのことなどもう意識の隅にさえ存在していない。
 隣接したビルを足場に三角飛びの要領で減速しつつ驚異的なスピードで地面に到着する。
 
(ザコは素手でも問題ないが、コイツを殺すならやはり刀は欲しい)

 バージルは他の参加者が日本刀を持っていれば奪おうなどと考えながら、適当な道を歩き出す。
 こうして、力を求める事に全てを捧げる男は、同じく力を求める悪魔を従えて悪魔狩りを開始したのだった。


【?????/1日目/朝】
【バージル@Devil May Cry 3】
[状態]:健康
[装備]:COMP(腕時計型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:悪魔や強者を狩り、力を手に入れる。
[COMP]
1:フュージョン@映画プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!
[種族]:悪意の塊
[状態]:健康


666 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/07(土) 00:14:46 gczApHA20
投下終了です。


667 : にんげんっていいな  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/07(土) 03:17:03 rFSJfI1.0
投下します


668 : にんげんっていいな  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/07(土) 03:17:24 rFSJfI1.0
むかしむかし、ある所に独りぼっちの少女がいました。
天涯孤独というわけではありません。
少女にはお父さんがいました。
少女にはお母さんもいました。
ただ、少女の家にお父さんとお母さんがいることはほとんどありませんでした。
お父さんは海外で働いていて、お母さんも仕事で忙しかったからです。
少女はお仕事が嫌いでした。
お母さんとお父さんを連れて行っちゃうお仕事が嫌いでした。

いつからでしょうか。
少女はお仕事が大好きになりました。
相変わらずお父さんとお母さんとはお仕事のせいで会えないけれど。
少女はお仕事のおかげで独りではなくなりました。
少女はアイドルになったのです。
沢山の仲間たちに囲まれて。沢山のファンに愛されて。たった一人のプロデューサーさんがずっと一緒にいてくれる。
そんなアイドルになりました。
アイドルになってからの少女はお仕事に大忙し。
そのおかげでずっとプロデューサーさんと仲間たちやファンのみんなと一緒にいられて。
少女は寂しくなくなりました。
ずっと、ずっと、ずっと。
アイドルとして頑張れば、幸せでいられるんだと少女は信じていました。

ところが少女はまた独りぼっちになってしまいました。
独りになれと言われてしまいました。
少女は怖くなって渡されたスマートフォンを手に電話をかけます。
助けてと。独りにしないでと。
何度も何度も電話をかけました。
プロデューサーに電話をかけました。
お母さんに電話をかけました。
お父さんに電話をかけました。
仲間たちに電話をかけました。
誰も出てはくれませんでした。
どうしてでしょうか?
お母さんが電話に出てくれないのはいつものことです。
お父さんが電話に出てくれないのもいつものことです。
たまに電話がかかってきたとしても、それは、今日もまた帰るのが遅くなるとか、しばらくは帰れないとか。
そんな話ばっかりです。
でもプロデューサーさんは違いました。
少女が寂しくなって電話をすると、どんなに忙しい時でも出てくれました。
どこにだって駆けつけてくれました。
なのに今回は少女がどれだけ電話をかけても、どれだけ名前を呼びつづけても。
プロデューサーさんは電話に出てくれませんでした。駆けつけてくれませんでした。少女の名前を呼び返してはくれませんでした。
仕事が、忙しいから、でしょうか?
いいえ、仕事が忙しいほどプロデューサーさんとは一緒にいれます。
なら、少女は捨てられてしまったのでしょうか?
いいえ、大丈夫です。大丈夫なはずです。だって少女は今日もきぐるみを着ていてもふもふですから。大丈夫です。大丈夫なんです。
答えは、単純です。
少女がスマートフォンだと思っているそれはその実COMPだからです。
電話をしたり、お手紙を送ったりするためでなく、おともだちを呼ぶためのCOMPだからです。


669 : にんげんっていいな  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/07(土) 03:17:56 rFSJfI1.0

ほら!

少女が藁にもすがる思いでCOMPを操作していたからでしょう。
COMPが光り出し、おともだちが姿を現します。

「犬でごぜーます! おっきなおっきな犬でごぜーます!」

その通りです。
おともだちはわんちゃんでした。
真っ白な身体を茶色い毛で覆ったわんちゃんでした。
少女は驚きつつも、すっかり目を輝かせます。
少女はぬいぐるみが大好きです。もふもふが大好きです。動物だって大好きです。
思わずもふもふしたくなってもしかたのないことなのです。
けれども、輝いていたはずの少女の目は、すぐに曇ることになりました。
目を輝かせる少女とは逆に、わんちゃんの目がさっきまでの自分と同じだと気づいたからです。

「犬さんは……さみしーでごぜーますか?」

少女はわんちゃんへと問いかけていました。
するとわんちゃんはまるで少女の言葉が分かるかのように、キイキイと鳴き声をあげます。
いいえ、分かるかのように、どころではありません。

「おとぉさん……」

わんちゃんはなんと人間の言葉を喋ったではありませんか!
これには少女もびっくり……するかと思いきや。

「犬さんもパパに、あいてーで、ごぜーますか?」

わんちゃんの気持ちになった少女は、普通にお話を続けます。

「あい……たい……」
「仁奈もあいてえです……。パパに、ママに、プロデューサーにあいてえです」

少女はもふもふしようとしていた手を、そっとわんちゃんの目元へと伸ばします。
わんちゃんが泣いているように思えたからです。

「ニ……ナ……」

涙を拭われたわんちゃんは何度も何度も少女の名を口にします。

「はい! 仁奈は仁奈って言います。犬さんの名前はなんていうでごぜーますか?」
「ニ……ナ……ニ……ナ……」
「仁奈の名前じゃなくて犬さんの名前でごぜーますよ。
 ……まさか、犬さんも仁奈っていうですか!?」

なんという偶然でしょう。
どうやら少女とわんちゃんはお揃いだったみたいです。
そういえば少女が今着ているきぐるみもわんちゃんです。
こんなことってあるのですね。

「ニナおねぇ、ちゃん……。あそぼ……。あそぼ……」
「そうで、ごぜーますね。たくさんあそんで、ともだちいっぱいになって、その後は……。
 おうちに、かえるですよ。仁奈も、ニナも。きっと、仁奈のパパも、ニナのお父さんも。
 あったかいごはんを用意して、待っていて、くれる、はずで、いやがります、から」
「……? おねぇちゃん……? キイ、キイ」

おうちに帰る。
そう決めた少女の目から涙が溢れ出ます。
今度はわんちゃんの方が、前足を伸ばし少女の涙を拭ってくれました。
少女はたまらずわんちゃんに抱きついてその毛皮に埋もれて延々と泣き続けます。
わんちゃんもまた涙を流し出しました。
その涙の意味を問うものは、ここには誰もいませんでした。


【?????/1日目/朝】
【市原仁奈@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:寂しい
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、未確認支給品(1)
[思考・状況]
基本:かえりてーでごぜーます。かえったら、迎えてほしいでごぜーます
[COMP]
1:キメラ@鋼の錬金術師
[種族]:“神”の摂理に背きし“獣” キマイラ
[状態]:寂しい


670 : にんげんっていいな  ◆TAEv0TJMEI :2016/05/07(土) 03:18:09 rFSJfI1.0
投下終了


671 : 名無しさん :2016/05/07(土) 12:27:15 74BmAxME0
Q:どこに行った?
A:ここにいました


672 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 15:36:43 jiFOy6p60
投下します。


673 : ユージアル先輩、派手な女と邂逅す。 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 15:38:44 jiFOy6p60
 黒い星のマークが付いた白いワゴン車を走らせる女がいた。
 紅い髪を二つに纏め、両耳には大きな紅い星形のピアスを付けている女がいた。
 彼女の名はユージアル。セーラー戦士に邪魔されながらも、決してめげずに〝タリスマン〟という特別にピュアな心から生まれるものを探している女だ。
 そんな彼女はタリスマンを一度は手に入れたものの失敗し、後輩の嫌がらせによってワゴン車ごと海へとドボンし……死んでしまったと思われていた。
 だが、そんな彼女は生きていたのだ! 海へと落下する直前、魔神皇とやらからこの殺し合いの舞台に呼び寄せられたことによって!

「ええい、鬱陶しい!」

 で、だ。
 そんな彼女は今、車のいない高速道路を制限速度以上の速さで走っている。
 何故かというと、それは巨大な2階建てバス型の野良悪魔に追いかけられているからだ。
 対応しようにも、自慢の武器である〝ファイヤーバスター2〟は手元になく、攻撃することが出来ない。
 故に彼女は必死にアクセルをベタ踏みし、バス型悪魔から逃亡しているというわけである。

「むっ、そういえば……」

 だがここでユージアルは思い出す。彼女ら参加者には、相棒となる悪魔が支給されていたのだということを。
 そうだ。もしも召喚した悪魔が強ければ、こんな無駄なカーチェイスなど行わずに済むのである。
 それこそ、ピンチになればセーラー戦士の対応をダイモーンというモンスターに任せ、次の仕事の為に逃げ帰る日々を続けていたあの頃のように……。

「これが、召喚プログラムだというのか……?」

 彼女は支給されたピッカピカの金貨――見たこともない意匠が施されている――を手に取り、一寸見つめる。
 だが前を見ずに運転するのは危ないのですぐに視線を前へと戻すと、ユージアルはいつもの癖でこう唱えた。

「出でよ、ダイモーン!」

 すると手に取っていた金貨から黄金色の光が溢れ、ユージアルの目を焼かんとする。
 それに驚いた彼女は思わずブレーキを踏み、スピンしながら停止してしまった。

「な、何だいきなり!」

 そして助手席を見れば、黄色を基調とした中性的な服を着た謎の人物――切れ長の目をした美しい女性だ――が座っていた。
 いや、人物ではない。発明の得意なユージアルには、助手席に座っている謎の人物が〝人間〟ではないことがすぐに分かった。
 この助手席に座っているのは、間違いなく人間サイズの〝機械人形〟である。

「な、なんだお前は!」
「私は自動人形(オートスコアラー)、レイア・ダラーヒム。宜しくしたいところだが……随分派手に走っていたようだな」
「あ、当たり前だ! ほら見ろ! あんなでっかい悪魔が追いかけてきてるんだぞ! そりゃ逃げるだろ普通ぅっ!」

 レイアと名乗った機械人形と同時に視線を向けると、2階建てバス型悪魔との距離はかなり縮まってしまっていた。
 このまま呑気に会話を続けていれば、二人してひき殺されること間違いなしだ。
 ユージアルは再びアクセルを踏むと、相手に追いつかれまいと再びアクセルをベタ踏みした。
 ワゴン車はまたもや法定速度を一気に越え、バスから遠ざかっていく。

「ふふふ……この私、ユージアル愛用のワゴン車の方が早かったのがまだ救いね……」
「このまま派手に逃げ続ける気か?」
「当たり前でしょうがっ! こうなったらとことん逃げて逃げて逃げまくるわよっ! お前も手伝え!」
「いや、その必要は無い。ユージアル……荷台のドアを開け」

 そうしていると、レイアがとんでもないことを言い出した。


674 : ユージアル先輩、派手な女と邂逅す。 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 15:40:26 jiFOy6p60
「はぁ!?」
「鍵を開けと言っているんだ。後は私が派手にやるから、お前は地味に援護しろ」
「待て! 開けてどうする!?」
「わからないのか」

 無表情を保ったまま質問するレイアに、ユージアルは「知るもんか!」と当たり散らす。
 するとレイアは「あのバスを派手に破壊する」と、まだ無表情のまま答えた。

「……は?」

 ユージアルの口から、間抜けな声が出た。
 当然であろう。この状況下でそんなことを言われても、こう答えるしかない。

「ど、どうやって!? お前も私も今は武器無し道具無しの無し無しコンビでしょうが! 何!? 魔法でも使うわけ!?」
「私には、これがある」
 
 だがレイアは初めて口角を少しだけあげたかと思うとあら不思議……ユージアルが瞬きをする間に、片手に数枚の金貨を出現させた。
 まるで何かの手品のようで、驚いたユージアルは派手に「うええええええええっ!?」と驚きの声を上げる。

「い、今どうやって出した!?」
「私の能力だ」
「っていうか、何!? まさかお前、その金貨であのバスを止めるとか言い出すんじゃないだろうな!?」
「話が早くて助かる。私はこれで、あの悪魔を派手に仕留める。悪魔らしいやり方でな……だから、早く開けろ」
「嫌だ! そんな何の仕掛けもない金貨であんなのを倒せるなんて、絶対信じられない! 少なくとも、私は信じないぞっ!」

 その光景と相手の言動が信じられず、ユージアルはヒステリックに叫んだ。
 すると「ならば地味に実力行使だ」とレイアが呟き、片手に持っていた金貨の一枚を、ピンと軽く弾いた。

「え?」
「黙って見ていろ」

 そしてレイアは、宙で回っている金貨に向かって弾いた指をぶつけると……なんと金貨は恐ろしい速度でフロントガラスを粉々に破壊してしまった!
 更にレイアはそのままその狭い隙間をぬって、ボンネットに立ってしまう。まさに、あっという間の出来事であった。

「う、嘘おおおおおおお!? あんなコイン一枚でええええええええ!?」

 混乱したユージアルは、ボンネットから屋根へと上がるレイアを目にしながら叫んだ。
 それはもう、むっちゃ叫んだ。後輩の嫌がらせによって死に直面したときくらい叫んだ。
 するとそんなユージアルにレイアは「お前は地味に運転しろ」と言った。

「はいはい、わかりましたよ、もー。じゃあさっさと言葉通り、あのバスをアレでアレしてなんとかアレしちゃって」

 ユージアルは溜息交じりにそう答えると、バックミラー越しにバスの動きを見る。
 すると次の瞬間、まるで流れ星のような黄金色の光が二つ三つとバスに衝突するやいなや……バスが、派手に爆発した。

「……は?」

 呆然とするユージアルのもとに、レイアが戻る。

「対象、派手に破壊完了」
「……嘘ぉ」
「疑うなら、見てくればいい」

 あまりにも信じがたい光景を目撃したショックで、冷汗を掻きながら乾いた笑いを浮かべるユージアル。
 彼女はレイアの言葉に従い、スピードを落としてUターン。そのまま「バックしまーす……」と力無く呟きながら、爆発現場へと急いだ。
 ワゴン車から降りてみると、バスは見事に黒煙を上げている。そしてその周囲には、きらりと光る金貨が三枚転がっていた。


675 : ユージアル先輩、派手な女と邂逅す。 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 15:42:00 jiFOy6p60
「レイア」
「何だ」
「もしかして……お前の技って、あの、あれ? 銭投げって奴……?」
「そのカテゴリーに分類される。もう一度見せようか」 

 疑うユージアルを気遣ったのか、レイアはコインの表裏を決めるのかの如く金貨を弾く。
 そして弾かれた金貨にもう一度別の金貨を弾くと、最初に宙へと浮かんでいた金貨が勢いよくバスへと突撃し、またもや大きな装甲を一撃で破壊してしまった。
 それを見たユージアルは「……勝てる。この勝負、勝てるぞ」と呟き、満足げなレイアの顔をじっと見つめながら手を差し出した。
 握手の要求である。

「私は、邪魔な者どもを排除して、土萠教授のもとへと戻るつもりだ。そのために、力を貸してくれないか?」

 すると、

「いいだろう。ならばお前は地味に支援しろ。後は私が……派手にやる」

 レイアは躊躇する様子も見せずに、ユージアルの手を取るのだった。


【?????/1日目/朝】
【ユージアル@美少女戦士セーラームーンS】
[状態]:健康
[装備]:愛用のワゴン車
[道具]:基本支給品、金貨型COMP
[思考・状況]
基本:邪魔者を排除して脱出する。
[COMP]
1:レイア・ダラーヒム@戦姫絶唱シンフォギアGX
[種族]:偽人
[状態]:健康


676 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 15:42:21 jiFOy6p60
投下終了です。


677 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 17:49:22 cONtFHak0
皆様投下乙です。

>>666
よかった、呼び出した悪魔がドゥームじゃなくて……えっ、違う?
鬼いちゃんはこの場所でも力を求めて……刀は、意外と簡単に手に入りそうですがw

>>670
おおう、もう……
放り込まれた境遇、出会ったものとの共通点、そして……
いやぁ、魔神皇は鬼畜ですね……

>>676
銭投げは古来からの最強戦法、民明書房にもそう書いてある。
さてさて、そんな銭投げの達人を引いたわけですが、上手くいくんでしょうかね……

さて、自分も投下します。


678 : 限界 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 17:50:08 cONtFHak0



 逃げられれば、どれだけ良かっただろうか。



 都会独特の空気の重さ、立ち並ぶビル、隙間から差し込む太陽の光。
 何度か来たことはある東京によく似た景色の街の一角に、一人の少女が座り込んでいる。
 頭を抱え、小刻みに震え、目には涙を浮かべて蹲る。
 しがない高校生である彼女、真鍋和にはそうすることしか出来なかった。

 思い出せるのは、自分の家で眠りに就いた事。
 鍵は閉めているし、特に違和感を感じることもなかった。
 けれど、目が覚めてみればご覧の有り様。
 学校の体育館のような場所で目を覚まして、服は何故か制服に着替えさせられていて。
 一体ここがどこなのか、と理解する前に、同い年くらいの一人の男の子が現れて。
 そして、にわかには信じがたい言葉が告げられた。

「――――君たちに、最後の一人になるまで殺し合いをして貰うためだ」

 何を言っているんだろう、正直そう思った。
 けれど、その意味はすぐに理解した、いや、させられる事になった。
 アニメみたいな紫の炎が、一人の男の子を焼き払って。
 それからけたたましい警告音の後に、一人の女の子の首が吹き飛んだ。
 たったそれだけ、ほんの数分も無い間に、人間が二人死んだ。

「う、げえええっ……」

 飛び散る赤、鉄と人の肉が焼ける匂い。
 思い出してしまったそれらから来る、不快感。
 拒否反応を起こす体は、胃液を逆流させ、喉へと到達させていく。
 それを止められる訳もなく、地に蹲ったまま、和はそれを吐き出していく。
 際限なく吐出される、透明な胃液。
 それがようやく落ち着いた時、嫌にクリアな意識が、現実を認識させようと迫る。

「い、嫌……」

 無心で手を伸ばしたのは、側に置かれていた袋。
 助けを求めるように、中身を手当たりしだいに探っていく。

「ひっ……」

 真っ先に現れたのは、黒く光る、冷たい、固形物。
 映画でしか見たことのないそれを、和はよく知っている。
 それは、銃。人の命を奪う、武器。
 殺し合いを生き抜くための、力。

「う、うわ、わわ」

 まるで汚いものを触ってしまったかのように、和はそれを投げ飛ばす。
 何も見なかった、そう言い聞かせているかのように、袋を漁り続ける。
 そして、和は袋からあるものを取り出す。
 それはなんてことはない、普通のヘッドホンだった。
 けれど、今の彼女には普通であることが何よりも有りがたかった。
 ここには無い、これまで過ごしてきた、自分の日常。
 それに近い物を、手に出来たのだから。

 しかし、一つの大きな誤算があった。
 和が縋るように身につけたヘッドホン。
 それは、只のヘッドホンではなかった。
 目を開けて、しっかりと見ていれば、気づけたかもしれない。
 そのヘッドホンが、僅かな光を放っていたことに。

「べろべろばぁーーーーーーっ!!」

 突如として、大声が響く。
 心臓を吐き出してしまいそうなほど驚きながら、慌てて後ろを振り返る。
 そこには、空のような色の髪をした、オッドアイの少女が立っていた。

 ぷつん。

 それをきっかけに、何かが切れる音が聞こえて、ふっと視界が白んでいった。

「やった! 大成功!!」

 そんな彼女の事もつゆ知らず、呼び出された悪魔――――多々良小傘は、喜びに満ち溢れていた。
 誰かを驚かせること、長らく成功していなかったそれに、久々に成功することが出来たからだ。
 そして、久々の感覚を隅から隅まで味わうように、頬を抑えながら"食"べつくした。

「……………………ありゃ?」

 自分が引き起こした事がきっかけの気まずさに気がつくのは、少し後の話である。

【?????/1日目/朝】
【真鍋和@けいおん!】
[状態]:気絶
[装備]:COMP(ヘッドホン型)
[道具]:基本支給品、拳銃(種類、残弾不明)
[思考・状況]
基本:?????
[COMP]
1:多々良小傘@東方Project
[種族]:怪異
[状態]:健康


679 : 単純 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 17:52:42 cONtFHak0
 慣れ親しんでいる街、東京。
 姿形は同じでも、どこかが"違う"街の中。
 バーテン服に身を包み、漆黒のサングラスをかけた、金髪の男が立っている。
 彼の名は、平和島静雄。
 人々は、彼を"池袋最強の男"と呼ぶ。
 その瞳に浮かんでいるのは、静かな怒り。
 平和島静雄という一人の男は、決して争いを好まない。
 何より暴力を振るうことは、彼が忌避していることの最たるものだ。
 だが、純白に身を包んだ少年、魔神皇と名乗る彼は、確かにそう告げた。
 これから「殺し合い」をしてもらう、と。
 黒とは正反対の色、白。
 それに身を包んでいながらも、彼の考えはアイツに匹敵するほど邪悪であった。

「はいそうですか、とは行かねえよな」

 当然、それに従うわけにはいかない。
 人殺しをする趣味も、誰かを殺してまで生き残ろうと思う気持ちもない。
 ましてや、そうまでして願いを叶えてもらおうとは思わない。

「……何にせよだ、まずアイツは殺す。それは決定だ」

 考えれば考えるほど、怒りは静かに溜まっていく。
 次にその姿を見た時は、容赦することは無い。
 そう心に誓いながら、懐に手を伸ばし何かを取り出そうとする。
 だがそこには何もなく、伸ばした手は空を切るだけであった。
 小さく舌打ちをした後、側に置かれていた一つの袋が目に入る。
 いかにも、といった感じで置かれているそれは、考えるまでもなく"ヤツ"の差金だ。
 もう一度舌打ちをして、仕方がなく袋の中身を確認する。
 待ってましたと言わんばかりに姿を現したのは、愛用している煙草が数箱と一本のライター。
 バカにされているのだろうか、と思い頭に血が上りそうになるが、今は暴れても仕方がないと必死に抑えこむ。
 そして、適当に取り出した一箱から一本取り出し、慣れた手つきで火を付けた、その時だった。

「あ?」

 ふと前を向くと、そこには見慣れない人影があった。
 豊満な体に、軽くウェーブのかかった豊かな金髪。そして両腕には奇妙な篭手。
 自分ほどではないが背も少し高い、そんな一人の女性が、音もなく現れていたのだ。

「ハーイッ! サマナーさん、御機嫌いかが!?」

 静雄が状況を理解するよりも早く、彼女は静雄へと飛びかかって抱きついていく。
 突然の出来事に、静雄が出来たのは煙草を後ろへ投げ飛ばすことくらいだった。

「あだッ!?」

 勢い余ってか、それとも彼女が加減を忘れたのか。
 見た目からは想像つかない静雄の強靭な肉体が、わずかに悲鳴を上げる。


680 : 単純 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 17:53:25 cONtFHak0
 
「お、おい、離せッ!」

 静雄のことをそっちのけで頬ずりを続けていた彼女を、静雄は傷つけないように優しく引き剥がす。
 ある種の拘束から逃れた所で、服のシワを伸ばすように軽く払っていく。

「あら、馴れ初めのハグじゃない。しっかり受け止めて欲しかったんだけど」

 少し残念そうな顔で静雄を見つめた後、彼女は片手を腰に当てつつ、空いた片手でガイドするように名乗りを上げる。

「私はヤン、ヤン・シャオロン。あんたのCOMPから呼び出された、"悪魔"だよ」
「あァ? 悪魔?」

 理解に及ばない単語が二つ、静雄の耳を打つ。
 そういえば、魔神皇がCOMPがどうのこうのとは言っていたが、まさか、ライターがそうだったとでも言うのだろうか。
 それに、そこから飛び出してくるのが"悪魔"だったとしても。

「にしちゃあ、随分……なんだ、普通だな」

 現れたのは、その言葉とは結びつき難い、いわば"人間"であった。

「そういうもんなのよ、細かいことはいいじゃない。それで、サマナーさん。あんたはどうするの?」

 静雄の悩みをささっと流し、悪魔である彼女は話を続ける。
 なんとも強引に話を進められる感覚に既視感を覚えつつ、静雄は問いかけへと答える。

「殺し合いはしねえ、誰かを殺すこともねえ。
 だが、どこぞで足でも組んで俺達の事を見てやがる魔神皇の奴は、ぶち殺す」
「ヒュウ! わかりやすくて助かるわ。私も難しいことは得意じゃないのよね」

 ただそれだけの、単純でわかりやすい目的。
 ヤンもまた、嬉しそうにその目的に同調する。
 正面突破、何事もわかりやすいほうがいいに決まっている。

「それじゃあ、よろしく。えーっと……」
「静雄だ、平和島静雄」
「そう、分かったわ、シズオ。ヤンお姉ちゃんに任せときなさい」
「姉? 悪いが、アンタいくつだ」
「アタシ? アタシは17だよ」
「そうか、だったら俺の方が上だな」
「ワオ!? ってことはシズオはお兄ちゃん!? それはそれで最高よ!!」
「……そうかい、それはどうにも分かんねえな」

 二つの黄金、二人の怪力、そして――――――――が。
 東京の街を、歩き始める。

【?????/1日目/朝】
【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ライター型)
[道具]:基本支給品、煙草(アメリカンスピリット・メンソールライト)
[思考・状況]
基本:殺しはしない、だが魔神皇はぶち殺す。
[COMP]
1:ヤン・シャオロン@RWBY
[種族]:超人
[状態]:健康


681 : 野生 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 17:54:09 cONtFHak0

 目を開ければ広がっていたのは空ではなく、体育館の屋根だった。
 当然そこはベンチの上ではなくて、体育館の床の上。
 何が起こっているのか理解できないまま、殺し合いをしろと告げられて。
 二人の少年少女が、あっけなく命を奪われた。
 ほんの十数分、たったそれだけの時間で、いともたやすく行われた行為。
 常識離れしたそれに狼狽えながらも、彼はあることを試みていた。



 それは、魔神皇の心を読むという事。



 所変わって、東京の街の中。
 公園のベンチに寝そべりながら、少年はひとりごちる。
 天をも突く勢いで逆立った茶髪、青白いジャケットと黒いマフラー、そして額に十字傷を抱えた彼の名は、田所晃。
 とある街にある孤児院、チビッコハウスで暮らす、一人の不良だ。
 見かけはなんてことはない不良なのだが、ただの不良というわけではなく、彼には昔から人の心を読む能力があった。
 まさか、殺し合いを仕掛けようとしている人間の心を読むことになるとは、思っても居なかったが。

「……分かんねえな」

 頭の後ろで組んだ腕を枕代わりにしながら、アキラは空を睨む。
 悩んでいるのは、魔神皇のことだ。
 強力なジャミングを受けたが故に、その全てまでは把握しきれなかったが、断片的に彼の心を読むことは出来た。
 そう、出来てしまったが故に、アキラは悩んでいる。
 魔神皇、彼の残虐非道な行為が、装われているものなのかもしれないからだ。
 ぼんやりと掴んだ感情は悲哀、一人を焼き殺し、一人の首を吹き飛ばした人間が、だ。
 それも、見下すような哀れみではなく、ごく普通の人間が抱く悲しみの感情が掴み取れた。

「わかんねェ……」

 考えてはみるが、検討もつかない。
 そもそも、そんな感情を抱く人間が、なぜ殺し合いを開く必要があるのか。
 人を集めて、命を握って、悲しみを背負ってまで、この殺し合いを開かねばならない理由。
 考えても、考えても、考えても、その答えには辿り着けそうにはなかった。

「……あとで、考えるか」

 悩んでいても仕方がない、と頭を切り替え、側にあった袋の中身を確かめる。
 魔神皇いわく、この中にはCOMP……所謂コンピュータが入っていて、その中に悪魔が閉じ込められているのだという。
 悪魔、その単語から想像できるものは、人に害を成すものだ。
 果たしてそれが本当に"友"となりうる存在なのか。
 一抹の不安を抱えながら、アキラは手に掴んだものを袋から取り出す。


682 : 野生 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 17:54:33 cONtFHak0
 
「こ、これは」

 そして、彼は驚くことになる。



「妙子のパンツじゃねーか!!」



 真っ先に取り出したものが、一枚の女性用下着であったこと。
 そして、その下着が突然光を放ち始めたこと。
 普通に考えればありえない光景を、アキラはただ黙ってみているしかなかった。

「なッ……」

 気がつけば、そこには一台のバスが停まっていた。
 いや、ただのバスではなく、屋根に戦車のような機銃を載せた、武装バスだったのだが。
 ひょっとして、これが悪魔だというのだろうか?
 となると、このパンツがCOMPだということか。
 わけのわからないことが起こりすぎて、軽くパニックになりかけながらも、アキラはバスの方へと足を進めた。

「お、おい!!」

 その時だ。
 バスは、突如として発進し始めたのだ。
 まるで、アキラが乗り込むことを拒否するかのように。

「何だってんだよ……」

 少し進んで止まったバスの元へ、アキラは再び近寄っていく。
 だが、もう少しで触れられると言った所で、バスは再び発進し始めた。
 バスが進み、停まる。それをアキラが追いかける。バスが進み、停まる。
 そんなイタチごっこを数回繰り返し、まるで意志があるようだとアキラは思っていた。

「まさか……」

 そう、意志がある。そんなありえない話が、アキラの中にひっかかっていた。
 考えてからは行動が早く、アキラは額に集中し、バスへと向けて念を送り始めた。

「……ウソだろ」

 そして、彼は知ることになる。
 目の前のバスが、只のバスではないことを。
 それは機械が支配する、遠い遠い未来の世界。
 人に乗られることを拒み、誇りを持って荒野を走り続けるクルマ。
 そう、彼らは野生のバス、"野バス"と呼ばれる者達であった。

【?????/1日目/朝】
【アキラ(田所晃)@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:COMP(妙子のパンツ型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇の真意を探る。
[COMP]
1:野バス@メタルマックス2
[種族]:マシン
[状態]:健康


683 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 17:54:47 cONtFHak0
以上で投下終了です。


684 : ◆qvvXwosbJA :2016/05/07(土) 18:26:05 q5f6l5yA0
皆様お疲れ様です。初投下です。


685 : ◆qvvXwosbJA :2016/05/07(土) 18:27:58 q5f6l5yA0



――それは、一匹の蜘蛛の物語。



彼は毎日、待ち続けていた。

ただ空腹を満たすために、巣に獲物が掛かるのを。

罠に掛かった全てを食べていた頃の彼はきっと。

後の悩みなど知らず、苦しむことなく生きていたのだろう。

腹が減ったから、獲物を喰う。

そこに何の不思議があるというのだろうか。

彼は腹を空かせた一匹の蜘蛛で。

蜘蛛とは獲物を狩るために巣をかけるものなのだから。



それが、一匹の蝶に一目で恋に落ちて、全てが変わった。



彼は毎日、待ち続けるようになった。

彼女がまた、露で光る自分の巣を綺麗だと笑ってくれるのを。

あの子に喜んでもらうために、彼は巣をかけるようになった。

昔のように罠に掛かった全てを食べていられれば、彼はきっと。

こんな悩みなど知らず、腹を満たすことが出来るのだろう。

だが彼は、あの美しい蝶が自分の巣に掛かってしまうことを恐れていた。

この恋を捨てて、あの子のための巣に獲物が掛かるのを願うことは出来ない。

ゆえに彼は、腹を空かせた一匹の蜘蛛だった。


――それは、巣に掛かる愛だけを食べていこうと誓った、一匹の蜘蛛の物語だ。



だから、自分がCOMPを介して“悪魔”として召喚されたのを知っても、蜘蛛は何も感じなかった。

ビルの谷間に八つの縦糸を掛け、その巣の真ん中にいつものように陣取って。

この街に“あの子”がいないことだけが幸いだと、ただそれだけに喜びを感じ。

同時に、彼女が美しいと褒めてくれた自分の巣で獲物を狩るのを、ひどく淋しく思っていた。

それでも、召喚された悪魔にとってそれは当然のことだと、理解してもいた。

言ってしまえば、結局のところ蜘蛛は、全てを諦めていたのだった。


【ぼくは“妖虫 ハングリースパイダー”……今後ともよろしく】


そう名乗るのが仲魔としての礼儀だと知っていたから、ただそれだけを理由に蜘蛛は口にした。

それから今更のように、自分を召喚した召喚者(サマナー)をその複眼で観察した。


686 : ◆qvvXwosbJA :2016/05/07(土) 18:29:33 q5f6l5yA0

その人間はまだ若かった。

片手に鏡の形をしたCOMPを持ち、反対の手には支給品なのだろうか、鉄パイプを下げていた。

その若者が困ったような顔で自分を見ているから、蜘蛛は自分の挨拶に不備があったかと考えた。

だが、若者が最初に発した言葉は、蜘蛛の予想の完全に外だった。


「何でそんなに悲しそうなんだ? せっかくの立派な巣に、涙の露がびっしりだ」


悲しそう? 悲しそうとは何だろう。

蜘蛛は今まで一度も、自分が“悲しそう”だなんて考えたことがなかった。

自分の恋のことで頭が一杯で、自分が他人からどう見えるかなんて想像したこともなかった。

虚を突かれて少しの間ぼんやりしていたが、我に返って蜘蛛は「それは変だ」と絞り出した。

蜘蛛は涙を流さないし、この巣にだって一滴も、露なんか付いてはいないじゃないか。


「いや泣いてるさ」と若者は言う。「そんな泣き顔を見たら悲しくなる」


まったく妙な人間だ。

仮に悪魔が悲しそうにしているとして、それが何故自分まで悲しいのだろう。

人間も悪魔も関係ない、俺はみんなに笑ってほしいんだ。

それだけが生き甲斐なんだと、若者はそう言った。

そんなことを言われたのは、生まれてこの方はじめてだ。

蜘蛛は生まれて初めて、あの美しい蝶以外の誰かに対して関心を持った。

だけどこういう時に交わす言葉など知らなかったから、ただ蜘蛛は召喚者に名を尋ねた。

すると若者は目に見えて顔を輝かせ、それから照れたように後ろ頭を掻いてから――。



「名乗るほど大した名じゃないが……誰かがこう呼ぶ“ラフ・メイカー”」



――悪魔(あんた)に笑顔を持ってきた。



召喚者の若者はそう言い蜘蛛に手を差し伸べて、泣きそうな顔で笑った。



【?????/1日目/朝】
【ラフ・メイカー@ラフ・メイカー(BUMP OF CHICKEN)】
[状態]:健康
[装備]:鉄パイプ
[道具]:基本支給品、手鏡型COMP
[思考・状況]
基本:「それだけが生き甲斐なんだ、笑わせないと帰れない」
[COMP]
1:ハングリースパイダー@Hungry Spider(槇原敬之)
[種族]:妖虫
[状態]:健康
※ハングリースパイダーの外見はPV内の紙芝居に登場する人型の蜘蛛の姿です。


687 : ◆qvvXwosbJA :2016/05/07(土) 18:30:25 q5f6l5yA0
投下終了です。
楽曲のキャラクターとはこういうのでいいのでしょうか、何か問題などありましたらご指摘お願いします。


688 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/07(土) 18:56:07 MKsNrsbo0
投下します


689 : Are you an angel? ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/07(土) 18:58:29 MKsNrsbo0

「くだらねぇ」

 世界中から悪党のなかの悪党たちが集う街、ロアナプラ。
 その街の住人である、『トゥーハンド』の異名をもつ無法者、レヴッカ・リー……レヴィは盛大に舌打ちした
 気に入らないことだらけだった
 まるで犬っころみたいな気分にさせるこの首輪も、魔神皇とかいうガキの偉そうな態度も気に入らない

 金にならない殺しはゴメンだ。あのガキに従って殺しをするのもシャクだ
 アタシは誰にも命令されないし、誰にも従わねえし、誰の指図もうけねえ
 
 とはいっても先立つものがなきゃ話にならない。良いものがないかディバックを漁る

「おっ……あのガキ、銃のセンスだけはマシだな。他は糞だが」

 バックにはベレッタm92fが入っていた。愛用しているソードカトラスが没収されている以上、これで満足するしかない
 次に取り出したのは携帯電話。説明書にはCOMPと記されていた

「悪魔、悪魔ねぇ……薬のキメスギで頭が火星にぶっ飛んだ奴の戯言じゃなきゃ、アタシはオーメンかダミアンの親戚でもつかまされちまったってか」

 そう皮肉を言いつつも、いざというときのために自分の武器を把握しておくことにこしたことはない。
 レヴィは説明書を片手に携帯端末を動かしながら、悪魔召喚プログラムを起動させた
 
 そうして悪魔が召喚され、まず目についたのは、真っ赤なワンピースに、次に快濶な人柄を表すかのように輝くブロンドヘアー。
 そしてシミソバカス一つ無い、透き通るような肌と端正な顔立ち。不機嫌そうな面構えに、最後に挑発的な瞳。
 まるでブロードウェイのセレブ嬢のような女の登場に、レヴィは目を丸くした


「おいおい、お前が悪魔ってか? アタシはてっきりダミアンみたいなガキでも出てくるか思ったぜ」
「そういうアンタがアタシの召喚者?」
「アンタが頭のイカれたジャンキーじゃなく、本物の悪魔ってんならそうなるな。
 言っとくが対価として魂を寄越せなんてあこぎなこと言い出すなら、取り立ては魔神皇ってガキにやれよ」

 ちょっとした駆け引きのつもりで叩いた軽口に悪魔は答えない。
 かわりに、ジロジロと品定めするような目でレヴィを見る。
 その視線が何となく気に入らないレヴィは悪態をついた

「なんだなんだ。アタシの顔になんかついてるってのか」
「あー、別に。どうせ呼ばれるなら喧嘩っ早い野暮なチンピラより、タフなイケメンが良かったなーってだけ」 

 若干残念そうな悪魔の言葉は、いとも容易くレヴィの怒りを買った

「ーーおうおう上等じゃねーかビッチが。糞をこしらえるための穴をもう一発開けてやろうか、あぁ?」

 眼前の悪魔にベレッタを突きつける。
 対する悪魔も、どこから取り出したのかレヴィに奇妙な銃を突きつけた
 一触即発の雰囲気の中、へらへらと軽薄に笑う悪魔は、まるで言うことを聞かない子供を相手にするような口調で話す

「おいおい落ち着けって。アタシら一応は仲間なんだからさー」

「チッ」

 先に銃を下ろしたのはレヴィだった。悪魔もそれに続く。

(この女……どこか食えないところがエダと似てやがるな まぁ腕は立つみたいだし役立たずって訳じゃないだけマシか)

「あとアタシは悪魔じゃなくてアナーキー・パンティーって名前があるんだけど」

「……おいおい、アタシが親にそんな名前名付けられたら、股ぐらから頭を出した瞬間に親を殺してるね」
「おーおー、言うじゃん。てかそもそもアタシ悪魔じゃなくて天使だから」
「はぁ!? アンタみたいなのが天使ってんなら、ガイアナのジョーンズ牧師はノーベル平和賞だっての」

 正直なところ、この女が天使だろうが悪魔だろうがレヴィにとってはどうでも良かった。

「さて、じゃあアンタの雇い主はアタシってことだよな。なら手ェかせ」
「何に?」

 パンティーの質問に、レヴィはにやりと笑って答える

「なぁに、大人をなめた糞ガキに鉛弾をぶちこむ簡単なお仕事さ」

 何にでも落とし前ってのがある。このアタシをコケにしたあのガキにも、相応の落とし前をつけさせなきゃ気にくわなかった

「OK。だけど途中にいい男がいたらアタシにくれよ」
「……勝手にしな」



【?????/1日目/朝】

【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタm92f、COMP(携帯電話)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:生存優先。だがムカつく奴には容赦しない
[COMP]
1:アナーキー・パンティー@パンティ&ストッキングWITHガーターベルト
[状態]:健康


690 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/07(土) 18:59:59 MKsNrsbo0
投下終了です


691 : ◆DoSy6PFyws :2016/05/07(土) 20:34:16 6xayFcw.0
投下させていただきます


692 : 相棒 ◆DoSy6PFyws :2016/05/07(土) 20:36:50 6xayFcw.0
「それで、アンタはこの殺し合いどう動く気なんだ?」

瓶を開け、白の錠剤を口に放り込む。
ポリポリと音を立てながら、口内で歯が錠剤をすり潰す。
大河内春樹は好物のラムネを味わいながら、ずれた眼鏡を定位置に直し迷わず答えた。

「決まっているでしょう。あの魔神皇と名乗る少年を逮捕し、然るべき場所にて裁きを受けさせる。
 ……些か監察官の領分を出てはいますが、私も警察の端くれですからね」

大河内の目先いる大男。彼こそが召喚された悪魔であり、この殺し合いを共に駆けることなった男だった。
前時代的なリーゼントに、鍛え上げられた筋肉の凹凸が服の上からでも良く分かる。
多少なりとも武道を齧った大河内は、この男が自らの数百倍は上手の人物だと一目で解した。

「上等! 俺もこんな殺し合いに乗る気はないぜ。だがアンタに叶えたい願いはないのか?」
「願いですか……馬鹿馬鹿しい、そんなモノに釣られる程、私も思慮がない訳ではありません」
「そう言われればそうなんだが、まあ物の例えだ。本当に何でも叶えられるとして、アンタはそれを叶える気はないのか?」
「……ありませんよ。
 私の為に犠牲になる人などもう沢山だ」

男は目を細めた。
大河内も言っていて、自ら口を滑らしてしまったと思ったがこの際、もう構わないという気になる。

「私の為に愛する人と、関係のない二人の女性の人生を奪ってしまいました」

人間というのは不思議で、普段係わり合いのあり親交のある人物より、会って間もない人物の方が胸の内を明けやすい。

「だからアンタは愛より正義を取るのか?」
「いえ、かつてこう言われたことがあります。愛することが間違いなのではない、隠すことも非難されることではない、それを隠しておいた事が悲劇を生んだのだと。
 だから今度は間違えたくない。貴方の言うような、正義感で動いているわけではないのかもしれませんね、私は」
「……嫌なこと思い出させて悪かった」
「私が貴方の立場だとしたら、同じ質問をしたでしょう。
 職種は違えど、どうやら人を疑う仕事の人間のようですからね」

人間ではなく悪魔か。声には出さず、内の中で訂正しながら大河内は男を見つめた。
やはり改めて見ても隙のない。それは身体の構え以外にも、心の在り方もだ。
もし大河内が嘘を吐いたのなら、この男はすぐさま見破りそれ相応の対応をしていただろう。

「ブラートだ。100人斬りのブラートと言えばそこそこ有名だったんだが」
「私としては、あまり聞きたくはない異名ですね……」
「良い時代になったもんだな。……いまや、俺はただの犯罪者だ」
「とはいえ残念ながら、悪魔を取り締まる法はありません。貴方が如何な犯罪者でも、捕まえる事は出来ない」
「……悪魔もなってみると役得だな。
 良いぜ、その役得の駄賃とは言わないが、昔から悪魔ってのは見返りを貰うかわりに人間に利益を与えるだったな。
 それに習って、俺はここでアンタの熱い魂に従う事を約束する。合♂体でも何でも好きに突かえ!」

なるほど、認めてもらえたということだろう。
熱い魂とは些か、誇張気味ではないかと大河内は思ったが、気分は悪くない。
太く分厚い手が差し出された。あまり柄ではないが、大河内もまたその相棒の手を握り締める。
温かく、頑丈で何者からも守ってくれるような。叶うことならこの手に腕に抱き締められたい、そんな心地よさと安堵感がある強い手だった。
改めて、ブラートがこれからの“相棒”になる事に頼もしさを覚える。

「なあ、ハルキ。
 良い手だな。鍛えてるのか?」
「……警察ですから」
「そうか」


互いの相棒の手を握り合った二人の顔は少し赤くなっていた。



【?????/1日目/朝】

【大河内春樹@相棒】
[状態]:健康
[装備]:ラムネ型COMP、本物のラムネ
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、魔神皇を逮捕する。
[COMP]
1:ブラート@アカメが斬る!
[種族]:♂
[状態]:健康、熱い魂


693 : ◆DoSy6PFyws :2016/05/07(土) 20:37:07 6xayFcw.0
投下終了します


694 : ◆gRQjPP5w9I :2016/05/07(土) 21:54:07 FfGi6ESE0
投下します


695 : ◆gRQjPP5w9I :2016/05/07(土) 21:55:38 FfGi6ESE0
殺し合いの会場の一画にある野原にて、二人の漢がぶつかり合っていた。
一方は忍装束を着ているが、上半身に限ってはは何も着用しておらず、筋骨隆々な上半身を露出させた漢だった。
もう一方は人間とはかけ離れた姿をした漢だった。
手足はなく、その肉体はもはや白い棒状のサンドバッグそのもので、人間らしい部分といえばへの字に曲げた口のあるいつも怒っているような顔くらいであった。

「おりゃ!!」
「フン!!」

互いに肉体を駆使して手合わせをしていた両者が、同時に頭突きを繰り出す。
ここが勝負の分かれ目となった。
サンドバッグの漢はサンドバッグの肉体をしているという関係上、パンチとキックが出せず、頭突きかドロップキックの要領で下半身を相手にぶつけるか、
あるいは体重に身を任せてボディプレスをする程度しか攻撃手段がない。
それゆえにサンドバッグの漢の繰り出した頭突きは既に忍装束の漢に見切られており、それの届かない絶妙な位置から頭突きをすかした上で忍装束の漢は頭を振り下ろした。

結果として、勝者は忍装束の漢だった。
頭突きは見事サンドバックの漢に当たり、その衝撃たるや一度地面から跳ね返って大きく空を舞った後にその身を地に打ち付けるほどだった。
先ほどの手合わせにより忍装束の漢もある程度ダメージを負ってしまったものの、まだ連戦しても支障はない傷だった。

「んんんんんんんんん!!!うおおおおおおおおおおあああああああああ!!!」」
「うううう……っ!」

先ほどの勝者となった不破刃はここぞとばかりに雄叫びを上げ、それに対して敗者のボーナスくんは仰向けになって悔し涙を流していた。

「そこで泣いても何も解決はせぬ」

空を仰ぐボーナスくんに向けて、不破は見下ろしながら言葉をかける。

「そんなことはわかっているんだ!けれど、悔しい…!もっと強くなりたいって思ってるから、負けることが本当に悔しいんだ…!」

涙を抑える手もなく、ボーナスくんは涙を流し続ける。
言うまでもないがボーナスくんは下敷き型のCOMPによって不破に召喚された悪魔だ。
召喚されてすぐに不破をかなりの強者と見抜いて勝負を仕掛けたものの、返り討ちにあってしまった。
ボーナスくんも強い者との戦いを望んでいたので勝負ができたことには本望だったが、
過去にはサンドバッグの体という恵まれない肉体であることを馬鹿にされることもよくあったために、
格闘家を志す者として負けん気もサンドバッグ一倍強かった。

「ならばそれを糧に立ち上がって見せよ。少なくとも拙は、拙の全てを奪ったあやつを倒すべく修行している」
「不破…」
「あの魔神皇とやらの仕掛けた殺し合い…これは好機でもある」

不破も、多くの参加者と同じくこんなところで死ぬつもりはない。
全ては自身の如月流総帥の座を奪った如月影二を倒すため、不破刃は更なる高みを目指さなければならない。
ここに呼び寄せられていた者達の中には噂に聞くような世界の強者も存在していた。
不破は、そういった者達と拳を交えることで更に力をつけ、打倒影二の糧にしたいと考えていた。

「拙はこれより強い者に会いに行く。ついてこいとは言わん。だが、貴様が拙と同じ意志を持つのであれば…後はわかるな?」

不破がこれから赴くのは殺し合いだ。それは時として単なる手合わせでは済まないかもしれない。
だが、不破にとってはそうであっても構わない。忍の拳は時として人を殺める場合もあることは既に承知の上だった。

「‥‥すごい漢だ。」

ボーナスくんは立ち上がり、その大きな背中をしばしの間見つめた後にピョンピョンと跳ねてその後をついていった。

【?????/1日目/朝】
【不破刃@龍虎の拳 外伝】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:特になし
[道具]:基本支給品、不明支給品、下敷き型COMP
[思考・状況]
基本:拙より強い者に会いに行く
[COMP]
1:ボーナスくん@わくわく7
[種族]:異星人
[状態]:ダメージ(中)


696 : ◆gRQjPP5w9I :2016/05/07(土) 21:56:30 FfGi6ESE0
以上で投下を終了します
タイトルは『凄漢』です


697 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/07(土) 21:56:50 zn6G9I5w0
投下します。


698 : となりのツァトゥグァ ◆yaJDyrluOY :2016/05/07(土) 21:58:02 zn6G9I5w0
 とある民家の一室でメイは目を覚ました。
 目ぼけ眼を擦って辺りを見回すが、最近引っ越してきたボロの自宅では見たことがない部屋である。

「あれ〜? ここどこぉ?」

 メイは今日が家族で病気の母親のお見舞いに行く予定の日だった事を思い出し、途中でどこかによったのかも知れないと考えた。

「おねーちゃーん! おとーさーん!」

 近くに居るはずの家族を呼ぶが一向に返事はない。
 メイは不安に駆られて民家を走り回った。

「おねーちゃーん! どこー!!」

 泣きそうになるのを必死に堪え、隅々まで探しまわるが姉の姿は一向に見つからない。
 ふいにメイはさっきまで見ていた夢を思い出す。
 とても広い空間に、沢山の人。
 4歳であるメイはその身長から人々の壁に遮られて何も見えなかったが、大きな音や悲鳴がとても怖かった事を思い出す。
 ひとりぼっちで怖い夢を思い出したメイが泣き出すまでは、もう時間の問題だった。
 
「おとーさ――うぎゃぁ!」

 始めの部屋まで戻って来たメイは、何かに躓いて転んでしまった。
 当然訪れた衝撃と痛みに、今まで必死に堪えていたものが一気に吹き出してしまう。

「うわああああああああああん」

 家中にメイの泣き声が響き渡る。
 幸か不幸かその声が聞こえる範囲内には人間も悪魔も存在しておらず、誰も助けに来てはくれない。
 いつもは優しくなだめてくれる父も姉も、隣のおばあちゃんも、この会場には居ないのだ。

 数分が経ち涙も声も枯れた頃、少しずつ冷静さを取り戻したメイは、ここで初めて自分が転んだ原因を見つけた。
 それはいつも自分が肩から下げている小さなカバンだった。
 足を引っ掛けた事で中身が辺りに散乱してしまっている。
 だが、散らばった荷物はどれも見覚えのないものばかりだった。
 ――たった一つ、開かれた絵日記帳に描かれた悪魔を除いて。

「あっ! トトロだ!」

 自分が描いたものではないが、絵日記帳には間違いなく見知ったトトロが描かれている。
 その絵はやさしいタッチで描かれており、メイはコロッと泣き止んで絵日記を拾ってみた。
 絵のタイトルには『つぁとぅぐぁ』とあり、下の文章スペースには『よびだしかた:でてきてとねがう』と親切に全てが平仮名で書かれていた。


699 : となりのツァトゥグァ ◆yaJDyrluOY :2016/05/07(土) 21:58:41 zn6G9I5w0
「つあとうぐあ? きっとトトロのことね!」

 先程までの涙が嘘だったかのように満面の笑みを浮かべ、メイは早速召喚を試みた。

「お願いトトロ! 出てきて!」

 絵日記を両手で抱えてそう叫ぶと、絵日記がまばゆい光を放ち、やがて増大した光はメイを押しのけるようにして地面を広がっていった。
 光が止むと、メイの視界いっぱいに何かの生き物の身体が映った。
 それはまさにいま呼び出した悪魔の横っ腹であり、メイの顔のすぐとなりには大きな手が垂れ下がっていた。
 召喚されたというのに、どうやら悪魔はあお向けになって寝ているようだった。

「トトロ!」

 メイは興奮が抑えきれない様子で悪魔の身体をよじ登った。
 初めてトトロにあった時と同じように腹の上にまたがり、寝ている悪魔の顔を見下ろす。 少し記憶の中のトトロと違う顔つきに見えるが、家の中が暗いからだと結論づけた。

「また会えたね、トトロ……」

 走り回ったり泣いたりと大きく体力を消耗したメイは、既知の存在と出会えた安心感からか、その大きく柔らかな身体の気持ちよさからか急激な睡魔に襲われる。
 懸命に目を擦って起きようとするが、ふと出てしまった自分の大きなあくびが睡眠欲を刺激する。
 そして、ついには耐え切れずメイはそのまま悪魔の上で眠ってしまった。

民家の一室で1人の少女と一体の悪魔が一緒に睡眠をとっている光景は、他人の目からはどう映るのだろうか。
メイは自分の乗っている悪魔がよく知った存在であるとも気づかずに無防備に眠っている。
この会場には召喚された悪魔以外にも野良悪魔が沢山いるのだ。
それらが襲ってきた時、果たしてメイの召喚した神は守ってくれるのか、それ以前に牙をむくのか。
――2人が目覚めるまで、深層は闇の中である。
 


【?????/1日目/朝】
【草壁メイ@となりのトトロ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(絵日記型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:お姉ちゃんたちはどこに行ったんだろう?
[COMP]
1:ツァトゥグァ@クトゥルフ神話
[種族]:古き者ども
[状態]:健康


700 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/07(土) 21:59:19 zn6G9I5w0
投下終了です。


701 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 22:21:47 jiFOy6p60
投下します。


702 : 遥けし彼の地より出づるおてんば姫 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 22:23:26 jiFOy6p60
「あーあ、次元の狭間から出られたと思ったら……ありえねェ、本当にありえねェ」

 巨大で豪華なホテルの一室に、茶色い髪を伸ばした――そして一部を青く染めて三つ編みにした――細身の人物がいた。
 名は紫苑。かつて〝遥けし彼の地より出づる者〟という謎の集団に属していたが、裏切りに遭い次元の狭間へと封印された人外の者である。
 そんな紫苑は紅い槍型COMPを肩に背負ったままベッドに座り、可愛らしい顔に青筋を立てて大きく溜息をつきながら、ひたすら貧乏揺すりをしていた。
 まぁ、そのような姿を晒すのも当然であろう。何せ次元の狭間からやっと出られたと思ったら、わけの分からない少年から殺し合いを命じられたのだから。

「無界さんに言われたってんなら、まぁやってやるけどよぉ……ったく、気にいらねぇ……」

 ちなみに紫苑は本来、戯れに人を殺すことすら厭わない性格である。
 にも関わらず、ここまで殺し合いに対してやる気を見せないのは、やはりあの魔神皇に命じられたというのが大きかった。
 要するに紫苑は、彼の思い通りに動きたくないのである。
 故に紫苑は、未だに悪魔すら召喚していない。彼の苛立ちは、そこまでのレベルだったのだ。
 そしてそんな紫苑は高い声で「決めた」と呟くと、続いて「あんな野郎の言うことなんか聞いてられるかよ。一抜けだ」と口にした。

「だが魔神皇だけは別だ……てめぇはすぐには殺さねぇ。指先から一寸刻みにしてやるよ」

 そして紫苑は担いでいた槍を手に取り、ベッドから立ち上がった。
 すると、その時である。

「おはよう! わたしはサントハイム王国のアリーナよ! よろしく!」
「……あん?」
「それにしても、あなた可愛いわね! 名前は!?」

 恐らくは槍を手に取った瞬間に、誤って操作してしまったのだろう。
 紫苑の目の前には、呼んだ覚えのない小娘が立っていた。

「なるほど……てめぇが悪魔か」
「そう! っていうか、早く名前を教えてよ、可愛い女の子さん!」
「……紫苑だ」

 早速魔神皇の指示に従ってしまった自分に呆れ返ってしまった紫苑は、ただそれだけを呟くと、再びベッドへと腰を下ろす。
 だが「……待てよ?」と呟くと、紫苑は再び立ち上がった。そして槍をベッドにおくと、両の掌を開いて肘を曲げた独特のポーズを取る。
 いわゆる、中国拳法の構えである。

「てめぇ、強いのか?」
「え? うん」
「……ずいぶんとはっきり言うんだな」
「だって自信あるもの!」
「ほう? 面白ぇ……じゃあ、てめぇの力を見せてもらおうか。いいだろう?」

 そう。紫苑は、アリーナと名乗ったこの悪魔の実力を見極めたいのである。
 だがアリーナは、

「ダメよ!」

 と叫んだ。

「……あぁ?」

 紫苑の整った顔に、再び青筋が立つ。


703 : 遥けし彼の地より出づるおてんば姫 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 22:24:32 jiFOy6p60
「なんでだ」
「だってあなたは仮にも主人だし? それに、そもそもこんな可愛い女の子の顔に拳が当たっちゃったりしたら……わたし、責任取れないもの!」

 ここで紫苑は「なるほど」と心中で呟いた。どうも彼女はどうやらとんでもない勘違いをしているらしい。
 まぁ、仕方がないことだろう。こんな身体と顔なのだから……紫苑は部屋の姿見に映る自分の姿を眺め、吹き出すように笑みを浮かべた。
 折角だ、驚かせてやろう。そう考えながら、紫苑は真実を口にすることにした。

「アリーナ……さっきから延々と思い違いをしてるみてぇだが」
「何?」
「俺は、男だ」
「……え?」

 一寸、空気が死んだ。
 だがしばらくすると、アリーナは大口を開けて「えええええええええええええええ!?」と思い切り叫んだ。
 そしてすぐに「こんなに可愛い顔なのに! 身体も細いのに!? 睫毛だって長いのに!」と続ける。
 紫苑は人差し指で両耳を塞ぎながら「嘘じゃねぇよ」と答えた。するとよほどショックだったのか、アリーナは乾いた笑いを浮かべるのだった。

「だからよ、別に遠慮しなくていいんだぜ? 男なら安心して戦えるだろ」
「……んー……やっぱりダメ! 人間相手に、私の拳はちょっと……」
「……解せねぇな」

 そしてこう呟くアリーナに、紫苑は舌打ちをする。
 自分の実力がナメられていることが腹立たしかったからだ。

「じゃあ、あれだ。何か殴ってみろ。そいつで判断してやる」
「え? じゃあそうね……壁でも殴ってみましょうか! 慣れてるのよ!」
「……慣れてる、だぁ?」
「ええ! お城から脱出するには、そうするしかなかったから!」
「あ?」

 しかし次の瞬間、紫苑はアリーナが戦いを渋っていた理由を悟らざるを得なくなることになる。

「せいやあっ!」

 なんとアリーナが壁を殴った瞬間、その部分が豆腐のように崩れて破壊されてしまったのである。
 これには流石の紫苑も言葉を失った。そしてアリーナが「ねぇ、これでどう?」と尋ねると、

「あ、ああ……いいんじゃねぇか?」

 シンプルに、そう答えた。否、答えざるを得なかった。
 するとそんな紫苑の胸中もいざ知らずとでも言うように、アリーナが「さて、じゃあこれからシオンはどうするの?」と尋ねてきたので、

「別に、どうもしねぇよ。あいつの言うことなんざ一切聞かねぇ」

 紫苑は再びベッドに座り、こう答えた。


704 : 遥けし彼の地より出づるおてんば姫 ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 22:25:35 jiFOy6p60
「何もしないって……まさかの無職宣言?」
「そうじゃねぇよ。もちろん、かかる火の粉は払うさ。だがなぁ、俺がやりたいのは、命じられてやる殺しじゃねぇんだよなぁ」
「今、ちょっと怖い言葉が聞こえたけど気のせいじゃないわよね?」
「話の腰を折るんじゃねぇよ。要するに俺はアレだ。あの魔神皇とやらに言われたことから外れたことをするってことさ」
「……つまり?」

 更に、こう続ける。

「俺は俺の好きなようにやる。殺せと言われたって、襲ってくる奴ら以外は絶対に殺してやらねぇ。俺が自分の意志で殺すのは……あの魔神皇だけだ」

 するとアリーナは「なるほど。つまりあの男の子に反発するってことね」と納得し、そのまま「いいじゃない」と続けた。
 その答えに紫苑は満足した。そして久方ぶりにニヤリと笑みを浮かべると「まぁ、そういうことだ」と答えてやる。

「じゃあ、頑張ってここから脱出しましょう!」
「ああ。まぁ精々、俺の為に働くことだな」

 そして紫苑はようやく本当の意味で腰を上げ、部屋の鍵を手に取るのであった。


【?????/1日目/朝】
【紫苑@THE KING OF FIGHTERSシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:紅い槍型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:命令には従わない。殺すのはかかる火の粉と魔神皇だけ。
[COMP]
1:アリーナ@ドラゴンクエスト4 〜導かれし者たち〜
[種族]:英雄
[状態]:健康


705 : ◆EDO/Ef.X42 :2016/05/07(土) 22:25:52 jiFOy6p60
投下終了です。


706 : 名無しさん :2016/05/07(土) 22:55:36 H91VojM60
投下します


707 : 正義がKILL ◆mcrZqM13eo :2016/05/07(土) 22:58:02 H91VojM60
DEATH NOTE。人の名を書くことでその人物を死なせることができるノート。
そのノートを用い。法で裁かれぬ悪を次々と殺していった人物。キラ。
そして今、キラが使っていたノートは………。


「あの男………」

駅の待合室で怒りに震える男がいた。名を魅上照という。

「あの男……」

ギリギリと歯を砕けんばかりに食いしばる魅上。無理もない、彼が神と崇めるキラより託された“悪を世界より削除する”使命を果たそうとした時、彼はあの場所に居たのだから。

「人を二人も殺しておいて……神だと!!悪がッッ!!」

魅上照は一正義を何よりも重んじる人物である。そんな彼が目の前で行われた殺人に怒りを覚えないわけが無かった。

「友だとっ!悪魔が友だとっ!こんなモノッッ!」

手に持っていた黒いノート――――COMP――――を地面に叩きつける。悪を嫌う魅上は悪魔などという汚らわしいモノの力を借りてまで生きようとは思わなかった。
が、叩きつけるという行為が起動条件だったのか、ノートが発光し中に封じられた悪魔が出現する。

「はじめまして!!私はセリュー・ユピキタスといいます!!」

出て来たのは犬の様な縫いぐるみを持った女だった。

「馴れ馴れしいぞ悪魔!悪魔などと語ることは無い!!」

「悪魔……私は悪魔なんかじゃ無いです!!正義の刃で悪を滅ぼす正義の執行者です!!!」

「………………………」

魅上は一応この悪魔話を聞こうと思った。悪魔の語る正義に興味が湧いたのだ。いざとなれば削除(デリート)すれば良い。

「質問だ。正義とは何だ?」

「悪を滅ぼすことです!!」

「悪とは何だ?」

「犯罪者です!!」

「犯罪者とは何だ?」

「殺人、盗み、恐喝、他にも数え切れない程有りますが。罪を犯した者に一切の慈悲は必要有りません!!」

この悪魔は使えるかも知れない。魅上はそう考え始めて居た。




【?????/1日目/朝】
【魅上照@DEATH NOTE
[状態]:健康
[装備]:COMP:黒いノート型
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:
1.殺し合いを止める
2.魔人皇の削除
3.悪は削除
4.悪魔は信じない
[COMP]
1:セリュー・ユピキタス@アカメが斬る!
[種族]:外道
[状態]:健康


708 : 正義がKILL ◆mcrZqM13eo :2016/05/07(土) 22:58:35 H91VojM60
投下を終了します


709 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 23:44:17 wI4Ozy6E0
皆様投下乙です!

>>687
新しい切り口だ……なるほど、涙が共通する、二つの世界、いいですね。
あと楽曲モチーフはそんな感じです、も最高です。

>>690
似たようで少し違う、けれどメチャクチャ破天荒な二人が出会った!
パンティーの逆作画崩壊が炸裂するときは来るのか……

>>693
渋いチョイスが来た! 警察関連者がハザマを「逮捕する」って言ってるのは、やはりかっこいいですね。
しかし、この二人……

>>696
特に言葉はいらないと思うので、下記一文を引用させていただきます。
「すごい漢だ……」

>>700
それ is not トトロ……
けっこうヤバイていうかガチでヤバイやつを引いちゃったメイちゃんの命運は……

>>705
紫苑らしい振る舞いですな、とても安心できる。
アリーナが驚くのも無理はないが……まあ、世界は広いんだよ。

>>708
ファッキューテッル、また良からぬことを考えてそうで……

それと、一つアナウンスがあるのですが、
サマナー・悪魔両方に関しまして、被りに関しては全面的に許可する方向で行こうと思っています。
悪魔であれば、女神転生からして同じ悪魔がゴロゴロいるのは不思議なことではありませんし、
サマナーであればなんとかこじつけて「同姓同名同じ姿の同じ境遇の人間」として用意するのもありかなと思っています。
投票してみるまではわかりませんが、決定してからそこらは調整しようと思うので、
サマナー・悪魔両方共、かぶりを気にせずに投下していただけたらと思います。

さて、自分も投下します。


710 : 最果 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 23:44:46 wI4Ozy6E0
「流石に予想できねえ、な」

 白のジャケットとジーパン、頭にサングラスをかけたオールバックの茶髪の青年は、頭を押さえながらそう呟く。
 彼の名はアラン・ダナウェイ。
 国際特殊諜報機関、VSSEに所属するエースエージェントの一人だ。
 新米ながらも確かな銃の腕を持ち、数々の難事件を解決してきた。
 その功績を見込まれ、VSSEから「ルカノ紛争」で起きていた問題の解決を任命された矢先のこと。
 ふと目を覚ましたそこは、一泊していたホテルではなく、見知らぬ土地だった。
 そして、魔神皇と名乗る少年に殺し合いを命じられ、今に至っている。
 無論、あの魔神皇と名乗る少年の悪行は看過できるものではない。
 任務には含まれていないが、この事件も解決し、あの少年を早急に逮捕する必要がある。
 そうと決まれば即行動だ、万が一のための銃だけを構えて――――

「何っ!?」

 そこで、アランはようやく気がつく。
 伸ばした手の先、そこにいつも携行しているはずのハンドガンが無いことに。
 舌打ちをしつつ、仕方なくあたりを確認する。
 だが、立ち並ぶのは住宅ばかり。
 あたりを見ればここが日本だというのはわかるが、銃の所持が禁止されている日本の民家に銃があるとは考えにくい。
 そもそも、ここは住宅街だというのに人っ子一人見当たらない。
 もっと根本的な、何かがおかしい。
 そこに気がついた時、ふと足元に袋があることに気がついた。
 罠かもしれない、と警戒に警戒を重ねながら、その袋の中身を確かめていく。
 真っ先に取り出したのは、一丁の散弾銃だった。
 手早く確認を終え、それが実戦に耐え得ることを確認する。
 使い慣れたハンドガン程ではないが、無いよりかはマシだとそのショットガンを脇に携える。
 次に出てきたのは、透き通った無色透明の球体だった。
 材質はガラスだろうか、と指で挟んで観察していると、突如として無数の文字が浮かび上がってきた。
 何だ、と驚いている内に、文字はまたたく間に球体を埋め尽くし、そして光を放ち始めた。
 眩い輝きに、アランは思わず目を背けてしまった。
 やがて光は収まり、ガラスの球体は元の無色透明に戻っていた。

「何だったんだ……?」

 不思議な光だった。
 そう思いながら、ガラスの球体を懐にしまおうとした、その時だった。
 アランの目には、信じられない者が飛び込んできた。
 いや、これが魔神皇の言っていた"悪魔"なのか。それとも別の"何か"なのか。
 一体何なんだ、どうするべきか、逃げるか、話しかけるか。

「あの」

 そんなことをアランが考えている内に、"それ"は話しかけてきた。
 恐る恐る目を合わせてみるが、やはり幻ではない。
 けれど、何度目をこすっても、そこに立っているものは変わらなかった。

 そう、彼の目の前に立っていたのは。
 二足歩行の、ロブスターだったのだ。

【?????/1日目/朝】
【アラン・ダナウェイ@タイムクライシス3】
[状態]:健康
[装備]:COMP(球体型)、ショットガン
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:事件の解決
[COMP]
1:ボストン@ロマンシングサ・ガ3
[種族]:魔獣
[状態]:健康


711 : 推察 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 23:45:07 wI4Ozy6E0
「あの若さでこんな犯罪を計画するとは……」

 青いジャケットに黄色のパンツ、ツーブロックの金髪の男は、静かに呟く。
 彼の名はウェズリー・ランバート。
 国際特殊諜報機関、VSSEに所属するエースエージェントの一人だ。
 エージェントでありながら工学博士の肩書を持つ彼は、明晰な頭脳で難事件を解決してきた。
 無論それだけではなく、銃や武器の扱いにも非常に長けている。
 そんな彼の次の任務は、「ルカノ紛争」で起きていた問題の解決。
 初めて行動を共にするエージェントと二人、ルカノに乗り込もうとしていた矢先の事だった。
 一人の少年の手によって、謎の空間に招かれ、そして殺し合いを命じられた。
 その時に、まるで息を吸うように二人の人間、それもまだ若い少年少女を惨殺していた。
 飛び出した紫の炎、有り体に言えば超能力を持ち、VSSEから目をつけられることもなく、この計画を実行したとなれば。

「……相当頭は切れるようだな」

 推測される事実を口にし、腕を組む。
 今の自分の命を握っている、この首輪の設計も彼の手による物なのだとすれば、技術力も相当高いことが伺える。
 見た目以上に厄介な存在であろうことを確信し、ウェズリーは再び頭を抱える。
 一組織にも匹敵するであろう持っているであろう個人に、如何にして対抗するべきか。
 幸か不幸か、側にあった袋には一丁の拳銃が入っていた。
 だが、一丁の拳銃だけで、この事件を解決することなど、できるのだろうか。
 首輪の解除、魔神皇の居場所の割り出し、その他諸々、問題点はたくさんある。

「あいつなら、迷わないのだろうな」

 その時、ふと思い出したのは、ルカノへと共に向かう予定だった、もう一人のエージェントの顔だ。
 大言壮語を吐きながら、自信満々に困難へと立ち向かっていく姿は、ウェズリーには衝撃的だった。
 そうだ、悩んでいても始まりはしない。
 問題があるのならば、一つ一つ丁寧に解決していけばいいのだ。
 まずは、魔神皇が立っているであろう場所の外堀を埋める。
 自分がすべきことは決まった。あとは、成功させるだけだ。

「そういえば……悪魔、だったか」

 そこで、ウェズリーは思い出す。
 魔神皇が言っていた"COMP"、そしてそれに封じられている"悪魔"。
 文学の分野でしか目にしたことのない言葉の存在は、正直言って少し惹かれる。
 本当にこの携帯電話を操作するだけで、それに出会うことが出来るのだろうか。
 そんな僅かな疑いを持ったまま、ウェズリーは操作を進めていた。
 片っ端から認証と了承を繰り返し、最後に現れた「SUMMON」を了承した時、携帯電話の画面から光が溢れだした。
 驚愕の表情を浮かべる間もなく、一瞬で画面から飛び出したそれは、またたく間に何かの姿を作り出す。
 じっと見つめている内に、光は弱まり、影へと変わり、そして。

「ぷはーっ!! やっと外に出られたわ。あたいをあんな狭いところに閉じ込めるなんて、あのモヤシくん、絶対に許さないわよ」

 やけに饒舌に喋る、一匹の鳥が姿を現した。

 想像もしていなかった光景に、ウェズリーが思わず銃を落としてしまったのは、言うまでもない。

【?????/1日目/朝】
【ウェズリー・ランバート@タイムクライシス3】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)、ハンドガン
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:事件の解決
[COMP]
1:カズーイ@バンジョーとカズーイの大冒険
[種族]:凶鳥
[状態]:健康


712 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/07(土) 23:45:22 wI4Ozy6E0
以上で投下終了です。


713 : 魔虐 ◆mcrZqM13eo :2016/05/07(土) 23:46:36 H91VojM60
本日二本目投下します


714 : 魔虐 ◆mcrZqM13eo :2016/05/07(土) 23:47:38 H91VojM60
お早う!俺の名前は鬼井。まあ一般的には鬼意惨って呼ばれてるけどね。
今日から始まる筈だった一週間の有給の為に、暇を見つけては公園や路地裏巡り、山野を駆け巡ってゆっくりを集めて準備して来たのに、あの野郎……。絶対に許さん。

気がついたら体育館の中に居て、あの野郎に殺し合いをやれとか言われた。
冗談の様な話だが、俺の趣味には冗談の様な存在が深く関わってるから、何とも言えない。

「それにしても悪魔か……」

首輪を撫でながら呟く。俺だって彼奴等からしたら立派な悪魔なんだろうがな。
取り敢えず悪魔と支給品やらを見てみるか、体力は人並み以上にあると自負しているが、殺す気全開の奴に襲われたら流石にキツイ。

「食い物が饅頭で飲物がオレンジジュースで支給品がホットプレートかよッッ!!」

全力で喧嘩売ってやがるなあのガキ。
……まあ良い、悪魔とやらにお目に掛かりますか。
この透明の箱がCOMPか?鬼意惨かなりピキピキ来ちゃったかな。
まあイイ。出てこい悪魔……ん、アレは……あの黒髪に赤いリボン……胴付きじゃねえかッッ!!

「ヒャッハー!!虐待だあああああああああああ!!!!」


三十分後。

「ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ」

あ…ありのままいま起こったことを話すぜ!!
俺は胴付きゆっくりを虐待しようとしたら虐待されていた
な…何を言っているのかわからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからなかった…
頭がどうにかなりそうだった… 超スピードとか催眠術とか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…
これも全てあのガキの所為だ。あの野郎……いままで培った虐待の業を全て叩き込んでやるッッ!
ヒャッハー!!足焼きじゃあ!アマギリじゃああああああ!!

「一体何なの?」

博麗霊夢は痙攣している鬼意惨を見下ろしてため息をついた。


【?????/1日目/朝】
【鬼意惨@二次創作
[状態]:満身創痍・痙攣中
[装備]:COMP:透明な箱型
[道具]:基本支給品、ホットプレート
[思考・状況]
基本:
1.魔神皇を虐待してやる
2.博麗霊夢を胴付きゆっくりと思っています
幻想郷の事は全く知りません
[COMP]
1:博麗霊夢@東方Project
[種族]:英雄
[状態]:健康


715 : 魔虐 ◆mcrZqM13eo :2016/05/07(土) 23:48:13 H91VojM60
投下を終了します


716 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/07(土) 23:55:00 RlD.QiNE0
2本投下します


717 : ピンクなお時間 ◆NIKUcB1AGw :2016/05/07(土) 23:55:45 RlD.QiNE0
古手川唯は、放り出された教室の隅で震えていた。
恐怖、それ以外の感情は、今の彼女の中にはなかった。
変わり者のクラスメイトが巻き起こした事件に巻き込まれたことは、何度もある。
だがそれとて、終われば笑い話にできるレベルだった。
こんな命のかかった状況とは、わけが違う。

「助けて、結城くん……」

思わず、親しいクラスメイトに助けを求める声が漏れる。
言ってしまってから、古手川は恥ずかしくなって赤面してしまった。

「わ、私、なんで結城くんに……。
 しっかりしないと! 頼れるのは自分だけなんだから!」

羞恥心によって恐怖が若干和らいだのか、古手川は徐々にまともな思考能力を取り戻していった。
この状況を打開すべく、荷物の確認を始める。

「え」

しかし荷物の中から真っ先に出てきたのは、なけなしの彼女の決意を打ち砕くようなものだった。
それは、パンツだった。
しかも、モニターやらボタンやらが取り付けられている。
どうやら、これがCOMPらしい。

「何考えてるのよぉぉぉぉぉぉ!!」

こみ上げる激情を抑えきれず、古手川はCOMPを投げ捨てる。
だがその衝撃でなんかこう上手い具合にスイッチが入り、召喚プログラムが起動した。

「え?」

困惑する古手川の前で、パンツが光り輝く。
そして光が消えた時、そこには一人の女性が立っていた。

「はじめまして、サマナー。18禁ヒーロー・ミッドナイト、参上したわ」

現れた女性は名乗りを上げるが、それはほとんど古手川の耳に入っていなかった。

「ハ……ハレンチだわーっ!!」

古手川の心に衝撃を与えたのは、ミッドナイトの服装だった。
それもそのはず、彼女のコスチュームは上半身のほとんどを露出しているように見えるのだから。

「な、なんですかその格好は! む、胸が丸出し……」
「ん、ああ、これ? 大丈夫よ、これ極薄タイツだから。
 大事なところは見えてないでしょ?」
「そうだとしても、ハレンチです! ぱっと見、裸に見えるじゃないですか!
 もっとちゃんとした服を着てください!」
「悪いけど、それは無理ね。私の能力を活かすには、薄着の方がいいのよ」
「ぐう……」

論理的な返答をされ、古手川は何も言えなくなってしまう。
それでも納得はできないらしく、顔が真っ赤に染まっている。

「純情でかわいいわねえ。ちょっといじめたくなっちゃうわ♪」
「だから、いやらしいしゃべり方はやめてください!」

そんなこんなで、古手川の苦難の道が始まった。
だがいつの間にか恐怖が吹き飛んでいたことだけは、彼女にとって幸いだっただろう。


【?????/1日目/朝】
【古手川唯@ToLOVEる】
[状態]:健康
[装備]:パンツ型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:生き残る
[COMP]
1:ミッドナイト@僕のヒーローアカデミア
[種族]:超級英雄
[状態]:健康


718 : 君を信じていいですか ◆NIKUcB1AGw :2016/05/07(土) 23:56:39 RlD.QiNE0
「私が中国人だからスタート地点が中華料理屋って、いくら何でも安直すぎないかしら……?」

とある繁華街の、中華料理屋。
一人の美女が、椅子に腰掛けてぼやいていた。
彼女の名は春麗。
インターポールの捜査官であり、その界隈では名の知れたストリートファイターでもある。

「あんなやつの言いなりにならないっていうのは大前提として……。
 まずは現在の戦力を確認しないとね」

修羅場慣れしているゆえか、春麗は落ち着いて荷物を確認する。

「ヌンチャク……。やっぱり安易ね……。
 こっちは……腕輪? でもモニターが付いて……。
 これがあいつの言ってた、COMPってやつなのかしら?」

とりあえず春麗はいつもつけている腕輪を片方外し、代わりにCOMPを装着した。
そして一通りいじって、操作方法を学習する。

「これで悪魔とやらを呼び出せるみたいね……。
 その顔、拝ませてもらうわよ」

ボタンをカチリと押し込み、春麗は悪魔の召喚を行う。
光と共に現れたのは、大柄な男だった。

髪は長く、顔の半分は金属製と思われる仮面で覆われている。
マントの上からでもわかる屈強な肉体は戦士としての強さを感じさせるが、同時に人の上に立つ者としての品格も備えていた。

「我が名は仙人 聞仲……。今後ともよろしく」
「仙人、聞仲……。ひょっとして、封神演義の?」

悪魔の名乗りを聞いた春麗は、半ば反射的にそう尋ねていた。

「私が生きていた時代を題材にした、そういう題名の物語があるらしいな。
 直接読んだことはないから、その中で私がどう描かれているかは知らないが……」
「私もだいぶ前に読んだきりですから、たしかなことは言えませんが……。
 あなたは国を思う、優秀な武人として描かれていました」
「そうか……」

聞仲の表情は、ほとんど変わらない。
だが春麗には、どこか満ち足りた表情にも見えた。

「今を生きる者よ。我が力、お前に預けよう。
 何なりと命じるがいい」
「ありがとうございます。
 ならばその力、理不尽に虐げられる人々を救うためにお貸しください」

偉大なる先人に敬意を表し、春麗は深々と頭を下げた。


【?????/1日目/朝】
【春麗@ストリートファイターシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:腕輪型COMP、ヌンチャク
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇に抗う
[COMP]
1:聞仲@封神演義(藤崎竜版)
[種族]:仙人
[状態]:健康


719 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/07(土) 23:57:15 RlD.QiNE0
投下終了です


720 : ◆BLAZExujxM :2016/05/08(日) 01:02:49 8vV.flaM0
投下します


721 : 一意専心  ◆BLAZExujxM :2016/05/08(日) 01:03:32 8vV.flaM0

 その男、烈海王は怒りを顕にした。
 この殺し合いを開いた魔神皇に。
 いや、それ以上にこの場にいる自分に。
 
 少女を救えなかった自分に。

 壁に何度も己の拳を打ち続ける。
 烈の拳が一発。また一発と壁に打ち付けられる。
 その度に壁に烈の拳がめり込む。
 次第に壁にヒビが入るが、それでも構わず烈は拳を振るう。
 
「〜〜〜〜〜ッッ!」

 ついうっかり力が入りすぎて、壁を破壊してしまった。
 そこで烈はすこしばかりの冷静さを取り戻す。
 自分の拳を見る、傷一つ付いていない・
 
 烈海王は中国拳法の達人である。
 現代中国でも烈に勝てるものも片手で数えるしかいないであろう。
 
 しかし、あの場において自身は一歩も動けなかった。
 それはあの魔神皇に対して若干の恐怖心を抱いたからか?
 
 否。
 断じて否。
 
 ただ自分が弱かった。
 それだけ、だ。
 ならば、どうするか?
 それは――――――――――。

「気は済んだか?」
「………ああ」

 そんな烈の隣に革のロングコートにグラサンの男が一人。
 そのグラサンが相当気に入っているのだろうか素顔を晒す気はなさそうだ。

「それでレツは何を為す?」
「魔神皇を倒す」
「そのときは死ぬかも知れないぞ」
「私は一向に構わんッッッ!!!」
「……そうか」

 烈の決意を聞き、グラサンを一瞬だけ外す素振りを見せたが結局外さなかった。
 それほどまでにそのグラサンを気に入っているのだ、きっと今後も外さないであろう。
 その悪魔『第64代北斗神拳伝承者 ケンシロウ』……のはず。

(しかし、ケンシロウは本当に悪魔なのだろうか?)

 ケンシロウが現れた時、烈は疑問に思ったが。
 ケンシロウ自身が『オレは悪魔だ』と言っており、悪魔辞典にもそう記されていた。
 きっとそういうことなんだろうと思うことにした。

【?????/1日目/朝】

【烈海王@刃牙シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ヌンチャク型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を倒す
[COMP]
1:ケンシロウ@北斗の拳 イチゴ味
[種族]:拳士
[状態]:健康


722 : ◆BLAZExujxM :2016/05/08(日) 01:04:02 8vV.flaM0
投下終了です。


723 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/08(日) 12:01:29 lYyqSIJU0
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724 : リア充ビッチはむかつくだけ ◆7PJBZrstcc :2016/05/08(日) 12:02:16 lYyqSIJU0
「何だよ殺し合いって、意味分かんねえYO!」

 語尾にYOと付けながら憤るこの男。
 名前は浜渡浩満、通称ハマーである。

「大体何が悪魔だYO、そんなもの居る訳……」

 居るわけない、と言おうとした所で思い出したのは所属するふえ科の講師ジャガー。
 人間なのに色々と物理法則を超越したりする男。
 それによく考えたらそふとくり〜むみたいな奴らも居た。

「そう考えれば悪魔も居る……?」

 そんな結論に達したハマーは早速悪魔を呼び出すことにした。
 できれば可愛い女の子がいいなぁ、とハマーは思う。
 悪魔だからきっと強いんだろうけど、ピンチにもなるかもしれない。
 そんな時、呼び出した拙者が華麗に助ければ悪魔っ子が拙者に惚れるかも。
 そして魔神皇をなんやかんやで倒して結ばれるハッピーエンドも……。

 しかし、そんなハマーの思いは悪魔が現れたと同時に踏みにじられることになる。
 何故なら


        ___
       / ⌒  ⌒\
      / (⌒)  (⌒)\
    /   ///(__人__)///\
     |   u.   `Y⌒y'´    |
      \       ゙ー ′  ,/
      /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
      / rー'ゝ       〆ヽ
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆        |´ |



 出てきた悪魔がこんなのだったから。


        ___
       / ⌒  ⌒\    初めまして、悪魔のやる夫だお。
      / (⌒)  (⌒)\
    /   ///(__人__)///\  やる夫が君を守ってあげるお!
     |   u.   `Y⌒y'´    |
      \       ゙ー ′  ,/ だから、この殺し合いから脱出したらセクロスさせるお!
      /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
      / rー'ゝ       〆ヽ
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆        |´ |


 しかも世迷言をほざいてた。
 その事実にハマーは激怒する。


725 : リア充ビッチはむかつくだけ ◆7PJBZrstcc :2016/05/08(日) 12:02:45 lYyqSIJU0

「何だお前は、ふざけるなYO!
 拙者は可愛い女悪魔を待ってたんだYO、なのになんでお前みたいな白饅頭なのさ! チェンジだチェンジ!!」
「それはこっちの台詞だお。やる夫は可愛いおにゃのこに召喚されたかったんだお!
 なのに黒いほっかむり被った不審者なんてごめんだお! こっちがチェンジって言いたいぐらいだお!!」
「だ、誰が不審者だコノヤロー! 拙者はアーティストなんだぞ、ファーストシングルのCDは20万枚売り上げた男なんだYO!」
「ほう、それはこのダウンロード全盛期のご時勢に大したもんだお」

 ハマーの発言にちょっと感心するやる夫。
 しかし、その後の言葉が良くない。

「でも最近のCDなんて特典ありきだおwww。どうせお前もそうに決まっているおwww」
「拙者のCDは違うYO! 純粋に実力だYO!!」
「そうまでいうなら歌ってみるお」
「上等だYO! 感動でむせび泣かせてやる!!」
「やれるもんならやってみるお」
「……では聴いてください、なんかのさなぎ」




※ハマーの熱唱は省略します。申し訳ございません。




「感動したお!!」

 それが、なんかのさなぎを聴き終えてからのやる夫の第一声だった。

 ところでこのなんかのさなぎ、実はダメ人間がダーゲットとして制作されている。
 それもダメならダメなほどハマるという代物である。
 やる夫は人間ではなく悪魔だけど、ダメかどうかは最初の発言でお察しの通りである。

 しかし、その事を知らない二人はすっかり分かりあっていた。

「さっきは悪かったお。……ええと」
「拙者の事はハマーって呼んでくれやるちゃん」
「分かったおハマー、それでこれからどうするお?」

 二人はやっと今起こっている殺し合いという本題に入った。

「当然魔神皇をやっつけるYO。拙者は殺し合いなんてごめんだぜ」
「やる夫もだお! そしてこの場に居るおにゃのこにフラグを建てるんだお!!」
「その時は拙者も混ぜてくれYO?」
「当然だお!!」

 こうして、二人の戦いは始まった。

「ところでさ、今更だけどやるちゃんって戦えるの? 正直あんまり強くなさそうで……」
「剣や銃もってるAAあるから大丈夫だお」

 始まったのだった!


【?????/1日目/朝】

【浜渡浩満(ハマー)@ピューと吹く! ジャガー】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇をやっつけるYO!
[COMP]
1:やる夫@2ch
[種族]:AA
[状態]:健康


726 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/08(日) 12:03:13 lYyqSIJU0
投下終了です


727 : 台東 ◆3g7ttdMh3Q :2016/05/08(日) 14:32:51 XSMEYHeQ0

タイトなジーンズにねじ込んじゃおうね〜

【?????/1日目/朝】

【タイトなジーンズにわたしという戦うボディをねじ込む多分痩せるかもう少し大きいジーンズを買ったほうがいい人@VALENTI】
[状態]:健康
[装備]:タイトなジーンズにねじ込まれたCOMPという戦うボディ、タイトなジーンズにねじ込まれた日本刀(帯刀)@現実
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:タイトなジーンズにねじこむ
[COMP]
1:しまっちゃうおじさん@ぼのぼの
[種族]:妖魔
[状態]:健康


728 : 台東 ◆3g7ttdMh3Q :2016/05/08(日) 14:33:01 XSMEYHeQ0
投下終了させていただきます


729 : ◆lb.YEGOV.. :2016/05/08(日) 16:21:34 JJE6UWMA0
投下します


730 : 美こそ全て ◆lb.YEGOV.. :2016/05/08(日) 16:23:36 JJE6UWMA0
陽光が降り注ぐカフェテラスに一組の男女が腰かけている。
男女ともに白人だろうか。
女性は艶めかしい肢体を露にしたドレス姿。気品溢れる優雅さをたたえているが、側頭部から生える一対の牡牛の角は彼女が人ならざるものであることを証明していた。
対する男も均整の取れた肉体を惜しげもなく晒すかのように、上半身に着込んでいるのはワイシャツが一枚。胸元には毒々しい紫色をした蛇の入れ墨が彫られている。

「このような場所で、貴女のような美を体現した存在を宛がわれた事は、私にとって数少ない幸運と言えるだろう、ビーナス」
「それは私も同じことよバルログ、もしも醜いサマナーに貴方のCOMPが渡っていたかと思うとゾッとするわ」

無人のカフェでバルログが淹れた珈琲を飲みながら二人は談笑する。
それは非常に絵になる光景だった。周囲に無惨な姿で転がる異形の死体がなければの話ではあるが。
裂傷と火傷の刻まれた死体を作り出したのはバルログとビーナスの仕業である。
襲撃を仕掛けたこの異形はバルログに支給されたアイアンクロー型のCOMPによって召喚されたビーナスとバルログの手によって撃退された。

異形はボロボロの姿で命乞いし、バルログの仲魔になることを提案したが、その返答は顔に突き立てられたアイアンクローだった。
絶叫をあげる異形の目に映ったのは嫌悪に染め上げられた4つの冷たい瞳。
異形の一番の不運はバルログとビーナスが共通する一つの価値観を持っていた事だろう。
彼と彼女は美しいものを愛し、醜いものを嫌悪する。無様な姿で命乞いをする異形が彼らにとってどのように映ったのかは語るべくもない。

「しかし、悪魔1つとっても貴女の様な美しいものから、アレのように醜くおぞましいもので様々なのだな」
「それは人間だって同じでしょう?」
「ああ、その通りだ。だからこそ振るいにかけなければならない。生き残るべきものは強く、そして美しくなければならない。人も悪魔もね」

バルログの切れ長の瞳に剣呑な光が宿り、ビーナスがそれを見て柔和な笑みを浮かべる。
この殺し合いの場において二人の意見は一致していた。
醜きものに死を、美しきものに生を、そして最も美しきものにこそ勝利を。
すなわち、彼らの価値観に則って生き残るべきもの達を人や悪魔を問わずに選別しようというのだ。
そしてもし、脱出する術がないのだとしたら最も美しいもの。つまりバルログ達こそがこの殺し合いを勝ち抜き最後の一組になるべき存在となる。
その傲慢に満ちた思考を止めるものは誰もいない。
二振りの美の狂刃がバトル・ロワイアルの会場に血の雨を降らすべく解き放たれた。

【?????/1日目/朝】

【バルログ@ストリートファイター】
[状態]:健康
[装備]:COMP(アイアンクロー型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:強く美しいものは生かす。弱いもの、醜いものは殺す。
[COMP]
1:ビーナス@サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY
[種族]:女神
[状態]:健康


731 : ◆lb.YEGOV.. :2016/05/08(日) 16:24:22 JJE6UWMA0
投下終了します


732 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/08(日) 16:46:42 d4kjWx/I0
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733 : ソビエトの悪魔/悪党たち ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/08(日) 16:48:21 d4kjWx/I0

「殺し合いね……。あのヤポンスキ、あの若さで中々の事をしでかすわね」

 そう言ってバラライカは紅い唇の間から苦笑をこぼした。
 彼女こそは犯罪都市ロアナプラの頂点の一角、ロシアン・マフィア”ホテル・モスクワ”の女頭領である
 突然の拉致によって強制された殺し合い。
 しかしバラライカはこの事態でも冷静だった。
 彼女にとって手慣れた銃である”AK-47”――通称カラシニコフが支給されていることも一因しているが、
なによりも血と硝煙の世界を生きる彼女にとってはこれも日常の延長でしかない



「で……。あなたが私の悪魔なのよね?」

 フライフェイスと呼称される火傷で覆った顔に柔和な笑みを浮かべると、バラライカは先程召喚したばかりの悪魔にそう問いかける

「…………」

 悪魔はちらりとバラライカを一瞥するも、返事は返さずすぐに手元の雑誌に目を落とした
 ベンチに寝転がりマイペースに胡座をかくこの悪魔は、
 赤と白の横ストライプ模様の囚人服を着ていて、顔のつなぎ目と左の耳の銀色の安全ピンが特徴の兎だ

 キレネンコ。それがこの兎、もとい悪魔事典にも記されたこの悪魔の名前であった


「『ソビエトの悪魔』……。あなた、随分と仰々しい名前の割には可愛らしい姿よね」

 一見挑発のようにも捉えられる言動にも悪魔は無視を貫く。というよりバラライカ自身に興味がないらしい
 ホテル・モスクワがロアナプラに一大勢力を築き上げ、強い畏怖と敬意を向けられるようになって数年。悪魔とはいえ、ここまで堂々と相手にされないのは初めてだった

 相手の真意を測るためでもあったが、いざ逆上して襲ってきた時に備えて、すぐにでもカラシニコフを撃てるようにしていただけに、少々拍子抜けした

 しかしバラライカは気づいている。
 この一見ファンシーな外見をした悪魔から漂う、濃厚な血と暴力の気配に
 例えるなら、そう、ロアナプラを騒がせたあのメイドのようなものだ
 仮初めとはいえ、この悪魔は自身の戦力。しかし、バラライカの手に余りかねない。
 キレネンコは間違いなくそういった手合いだ
 
「悪魔とはいえ同郷のよしみ。手を貸してもらえるわね?」
 
 キレネンコは答えない。ただぺらぺらと雑誌をめくる単調な音だけがバラライカに返ってくる。
 予想通りの応答に、バラライカは苦笑しながらブリヌイ型COMPを口に運ぶのだった
  


【?????/1日目/朝】
【バラライカ@BLACK LAGOON】
[状態]:健康
[装備]:AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)、COMP(ブリヌイ型)、本物のブリヌイ
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:戦争(バトルロワイアル)を生き抜き、勝利する
[COMP]
1:キレネンコ@ウサビッチ
[状態]:健康


734 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/08(日) 16:49:05 d4kjWx/I0
投下終了です


735 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/08(日) 18:33:50 QHLLWIZ20
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736 : 己が道は拳で開け ◆NIKUcB1AGw :2016/05/08(日) 18:34:42 QHLLWIZ20
ボクシングファン以外で、鬼塚慶次というボクサーを知る者は少ない。
試合のほとんどが判定勝ちという、地味なボクサーだったからだ。
だが彼はその地味なボクシングで、世界チャンピオンにまで上り詰めた。
そこから、彼の輝ける人生が始まるはずだった。
しかし、天は彼に厳しかった。
程なくして網膜剥離をわずらい、慶次はリングから去った。


◆ ◆ ◆


慶次は今、人気の無い住宅街にいた。

(まったく、こんな壊れたボクサーを殺し合いなんかに参加させて、何がしたいんだ……)

天を仰ぎながら、慶次は声に出さずに呟く。

(しかし、なんでも願いを叶えるか……)

慶次は、良識ある社会人だ。
そんな夢物語のような話を、そのまま信じることはない。
だが、すでに非現実的な力は見せつけられている。
本当かもしれない、という思いを振り払うことはできない。

(もしかしたら、この目も……。いや、考えるのはよそう)

一瞬頭に浮かんだ考えを、慶次はすぐに思考から消し去る。
ボクシングへの未練が無いと言えば、嘘になる。
だが罪なき人々を傷つけてまでまたリングに上がるなど、自分自身が歩んできた人生への侮辱に他ならない。

(俺が拳を振るうとすれば、それは自分と、自分より弱い人間を守るためだ……。
 幸い、体そのものはまだ現役時代からそれほど衰えてない。
 普通の人間相手なら、充分に戦えるだろう。
 見ていろ、少年。俺は、お前の思い通りには動かない)

慶次は勢いよく、拳を天に振り上げる。
それは彼なりの、魔神皇への宣戦布告だった。

(だが、あの魔法みたいな力に対抗するにはボクシングじゃちょっと厳しいかもな……。
 となると、こいつに頼る場面も出てくるか……)

慶次が取り出したのは、片手で持てるサイズの立方体だった。
これが彼に支給されたCOMPである。

(あの少年は悪魔が入ってると言っていたが……。この名前、どう見ても日本人だよなあ?
 本当に悪魔なのか?)

モニターに表示された名前を見て首をかしげる慶次だったが、とりあえず見てみなければどうにもならないと考え召喚ボタンを押す。
すると立方体の上部が蓋のように開き、光と共に何かが飛び出してきた。

「うおおおおお!! 笹川了平、極限に見参!」

雄叫びと共に現れたのは、高級そうなこしらえのスーツを着た、短髪の青年だった。
笹川了平。イタリアンマフィア・ボンゴレファミリーの守護者にして、仲間の行く先を照らす「晴」の拳を持つボクサーである。


【?????/1日目/朝】
【鬼塚慶次@テラフォーマーズ】
[状態]:健康
[装備]:ボックス型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:生存、および弱者の保護
[備考]:現代人のため、モザイク・オーガン手術は受けていません。
[COMP]
1:笹川了平@家庭教師ヒットマンREBORN!!
[種族]:守護者
[状態]:健康
[備考]:未来編の10年後バージョンです。


737 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/08(日) 18:35:28 QHLLWIZ20
投下終了です


738 : THE FORCE AWAKENS  ◆TPKO6O3QOM :2016/05/08(日) 19:01:07 Ju.K88Bo0
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739 : THE FORCE AWAKENS  ◆TPKO6O3QOM :2016/05/08(日) 19:01:51 Ju.K88Bo0
「予知能力?」

 私が繰り返すと、サム・ウィンチェスターは顔を顰めた。
 二十歳そこそこの柔和な面立ちの青年だ。だが、その長身は引き締まっていて大型の肉食獣のような精悍さを感じさせた。
 サムは夢という形で、未来に起こりうる断片的なビジョンを受け取ることがあるらしい。
 今回も白い詰襟の少年、トウキョウタワー、首輪の爆発により死ぬ少女、無数の異形の姿といったイメージを数日前に見ていたそうだ。

「兄貴は半信半疑だったけどね。ま、結果としては大当たりだったってわけさ。悪魔たちは、ここ日本でも何か企んでた」

 彼の予知能力も、悪魔によって齎されたものだということだ。両親や恋人の命と引き換えに得たような能力を、彼は心底忌んでいるようだった。
 彼ら兄弟は幼い頃から悪魔や怪物――要は《闇の種族(ダーク・ワン)》だ――を狩るハンターを生業にしていると語った。
 そうした境遇故だろう。不可思議な現象については柔軟さがあるようで、私が人の形を取って現れた際も、始めこそ驚いたがすぐに立ち直って見せた。話は早いが、私としては少し寂しいものが在る。

「この中に入っていたのが君みたいな存在で、正直安心してる」
「私も理性的な人間を相棒にするのは初めてだ。頭を痛めなくて済むのは素晴らしいな」

 これまで私を相棒と呼んでくれた人間たちは、揃いも揃って粗暴と闘争心が服を着ているような連中ばかりだったからな。
 私の物言いに、サムは小さく噴出した。
 商店街を覆っていた薄闇は剥ぎ取られ、アーケードの隙間から零れ落ちた陽光が敷石に光だまりを作っていく。

「そろそろ動こう。悪魔にやられっ放しは、いい加減癪だ」
「このふざけた殺し合いを止めると言ったな。……あの少年を殺す覚悟はあるか?」

 念のために訊く。サムは何かを言いかけて、すぐに口を噤んだ。
 あくまで彼が狩ってきたのは怪物だ。人殺しとは違う。それもハイスクールの少年だ。
 以前の相棒ならば、きっぱりと殺すと言っただろう。内に葛藤はあってもだ。

「……状況によるかな。悪魔に惑わされたのなら、彼を助けたい」

 返ってきたのは、問題を後回しにする言葉だった。そんな甘ったるい考えが許されるとも思えないのだがな。

「早めに結論は出した方がいい。どのみち、《闇の種族(ダーク・ワン)》を狩ることは私の使命だ。奴らを根絶やしにするのならば、存分に手を貸そう」
「……人を傷つけずに静かに暮らしているのなら、怪物でも狩りたくない。今のうちに言っておくよ。そのときは、僕は君を邪魔する」
「意外と夢見がちなのだな。人を食い物にしない吸血鬼がいるとでも?」

 嘲りを含んで告げる。サムは微苦笑を刻んだ。

「……いるもんだよ。結構ね」

 ぼそりとサムが独りごちたが、聞こえなかったことにした。
 ……そろそろ自己紹介をしておこう。
 私の名は《ラグナロク》。
 サムが握る幅広の長剣――それが私だ。


【サム・ウィンチェスター@スーパーナチュラル】
[状態]:健康
[装備]:COMP(剣型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを阻止する
[COMP]
1:ラグナロク(0109-エアストノイン‐)@ラグナロク
[種族]:精霊
[状態]:健康


740 : THE FORCE AWAKENS  ◆TPKO6O3QOM :2016/05/08(日) 20:05:55 Ju.K88Bo0
あ。以上です。
忘れてた。


741 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 20:31:09 Q/cljU3s0
皆様投下乙です。

>>715
違うんだよなあ……
はてさて本物が現れた訳ですが、どういうコンビになるやら。

>>717
へ、変態だーーーーっ!?
変態だけど頼れる、そして安心できる存在なのは、幸か不幸か……?

>>718
確かに中国人からしたら、有名な英雄ですわな。
しかしまあ、安直だと怒る理由も分かるw

>>722
あっ、胡散臭い。
海王さん、修行して魔神皇に届くかな……?

>>726
ダメだこいつら、早く何とかしないと……
しかしAAを武器に出来るやる夫は意外と当たりかも?

>>727
最短記録選手権かな?

>>731
美のために戦う二人! 果たして何時あのセリフが言われるのか……

>>734
相変わらずマイペースなキレネンコ……でも、キレるとバラ姐並にヤバイからな……
ギャグ補正もあるし、恐ろしい二人になりそうだ。

>>737
頼もしいボクサー、なんとも保護者の風格が出てていいですね。

>>740
剣型COMP! それから出てくるやっぱりオメーだ!
怪物、悪魔、闇の種族。共通するところはあれど……

さて、自分も投下します。


742 : 怪傑 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 20:31:36 Q/cljU3s0
 地中海の小国、ルカノ。
 そこでは今、国の今後を左右する紛争が起きている。
 カーキ色の軍服に身を包んだ、金髪のパイナップルヘアーの女性、アリシア・ウィンストン。
 彼女は、そのルカノの独立を訴える、解放軍の兵士の一人だ。
 狙撃の腕は軍の中でも随一、体術にも秀でている、今やルカノ解放軍の中心軸の一人だ。
 何より、彼女はルカノ解放軍の司令官、ダニエル・ウィンストンの妹でもある。
 そして、そのダニエル・ウィンストンは今、アスティゴス島を支配するザゴリアス連邦軍によって、その身柄を拘束されている。
 自軍の司令官を、何より自分の兄を救うために、彼女は単身アスティゴス島へと乗り込んでいた。
 その矢先、この殺し合いに巻き込まれてしまったのだ。

「……兄さん」

 ぼそり、と弱々しく呟いた言葉は、誰の耳に届くこともなく掻き消えていく。
 こんな場所に長居すればするほど、兄の命は脅かされ、紛争の状況は悪化する一方だ。
 しかし、だからと言って罪もない人間を多数巻き込み、殺戮の限りを尽くしてでも生還すべきなのか?
 断じて、違う。この殺し合いに巻き込まれてしまった、罪もない人々も救うべき対象だ。
 それは、重々わかっている、わかっているのだが。

 天秤に載せられているのは、解放軍の人間、祖国の人間、そして兄の命。
 対するは、見ず知らずの数十人の人間の命。
 今は未だ、均衡を取ることは出来る。
 けれどもし、その均衡が崩れた時は――――

「ダメよ、そんなこと」

 闇に陥りそうになる思考を、振り払う。
 今すべきことは、あの魔神皇に対抗出来るだけの戦力と情報を集める事。
 小隊とはいえ、軍を指揮する者として、冷静な行動が要求されている。
 いざとなった時の武器、得物であるスナイパーライフルはこの手にある。
 近距離戦には不向きだが、そこは状況次第だろう。
 ともかく、今は行動しなければならない、と一歩を踏み出しかけた時である。

「そういえば、悪魔……だったかしら」

 ふと思い出したのは、魔神皇の言葉だ。
 殺し合いに巻き込まれた者に配られたCOMP、おそらくこの携帯電話のことを指しているのだろう。
 本当にこんな小さな機械に、悪魔が封じ込められているのだろうか。
 疑いながらも、手慣れた様子で端末の操作を進めていく。
 そして、光と共に現れたのは。



     ハハハハハハハハ



   天知る 地知る ロビン知る!!



    怪傑ロビン、ここに参上!!



【?????/1日目/朝】
【アリシア・ウィンストン@タイムクライシス3】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)、スナイパーライフル
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:ここから脱出したい、その為に情報と戦力を集める。万が一は――――
[COMP]
1:ロビン(ライム)@ロマンシングサ・ガ3
[種族]:英雄
[状態]:健康


743 : 凹凸 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 20:32:08 Q/cljU3s0
 とある小さな島国にある漁村、フィッシュベル。
 その網元の一人娘であるマリベルは、今の状況に怒っていた。
 明日こそは楽しそうに何かを仕組んでいる、アイツとキーファの先回りをしてやろうと思っていたのに。
 いざ目を覚まして見ればどこともわからない場所で、どこの誰ともわからない奴に殺し合いをしろと命じられた。
 それから見せしめと言わんばかりに人が二人死に、耳に触る高笑いが聞こえたと思いきや、これまたどこともわからない場所で気がついたのだ。

「ああもう!! ムカつくわね!!」

 さんさんと照りつける太陽を睨みながら、マリベルは大声で叫ぶ。
 それが危険な行為だなんて気にもせず、ところ構わず怒鳴り散らす。
 気に入らない、気に入らない、気に入らない。
 何もかもが、気に入らない。
 突然呼び出されたことも、モヤシみたいな男に命令されたことも、美的センスの欠片も無い首輪を付けられたことも。
 もちろん、奴の言いなりになることなんて、百回死んだとしてもゴメンだ。
 だから、こんなにもムカつく状況へ追い込んだ、魔神皇の奴にはしっかり「落とし前」をつけてもらわなくてはいけない。
 そうだ、奴が用意した"悪魔"とやらで、奴に仕返しするのもいいかもしれない。
 傍にあった袋、そこに入っていた指輪が、どうやらCOMPとかいうけったいなものらしい。

「神にでも祈ればいいのかしら?」

 皮肉めいた言葉と共に、試しに手を組んで跪いてみる。
 すると、何処からともなく強い光が差し込み、そこに何かが集まり始めたのだ。
 ぎょっとしながらもそれを眺めていると、やがて人型を形成し始めた。

「アンタが俺のサマナーか」

 突如として聞こえた、声。
 青い帽子、青い服、整った顔立ちに、透き通るような銀髪。
 そして、背中に一本の剣を背負った一人の男がそこに立っていた。

「あら、結構イケメンじゃない。アタシはマリベルよ、あんたは?」
「テリー、だ」

 必要最低限の自己紹介だけを済ませ、テリーと名乗った男は体を軽く動かす。
 がっしりとしたその体を見て、マリベルは当たりを引いたことを確信する。

「そう、じゃあ行くわよ」
「行くって、何処に」

 そそくさと動きだそうとするマリベルを、テリーは呼び止める。
 すると、くるりと振り向いてから、ずいっとテリーへと近寄っていく。

「決まってるじゃない! あの魔神皇とかいうウスラトンカチをとっちめに行くのよ!!」
「当てはあるのか?」
「そんなの、今から探すのよ!!」

 テリーの冷静な返しに、マリベルは取ってつけたような答えを返す。
 具体的なプランがないことを察したテリーは、小さくため息をつく。
 すると、それが聞こえていたのか、マリベルはテリーの顎元に人差し指を当てながら、口を開いたのだ。

「いい? あたしが呼んだんだから、あんたはあたしの言うことを聞くの。それだけよ、分かった?」

 そう言い切った後、ぷいっと背を向けて、どこへともなく歩き出し始めた。

「……やれやれ」

 前途多難な戦いになりそうだな、と思いつつ。
 テリーも、その背を追うように歩き出した。

【?????/1日目/朝】
【マリベル@ドラゴンクエスト7】
[状態]:健康
[装備]:COMP(指輪型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇をとっちめる
[備考]
※参戦時期は主人公とキーファが小舟に乗り込んでくるのを待っていた頃です。
[COMP]
1:テリー@ドラゴンクエスト6
[種族]:剣士
[状態]:健康


744 : 幻影 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 20:32:58 Q/cljU3s0
 誰も、誰も居ない、都会の一角のライブハウス。
 客席とほぼ変わらない高さの舞台の上、差し込むスポットライトをマイクと共に浴びる、一人の女性。
 目は閉じたまま、大きく深呼吸をしてから目を開き、ゆっくりと口を開く。

「Sah,laaah,ha,ha」

 低音と高音、それぞれを使い分けながら、マイクの声の通りを確認する。
 慣れた声の出し方、そして確かめ方は、ステージをよく知るものの動きだ。
 再び、深呼吸を一つ。それから唾を飲み込んで、彼女は歌い出した。

 音無小鳥、765プロダクション・アイドルプロデュース部 第一課所属。
 業務は主に事務関係を努め、前線に立ち脚光を浴びるアイドル、及びプロデューサーの補佐をしている。
 表に立つことは、決して無い。

 しかし、彼女は抜群に"歌"が上手かった。
 並大抵の一般人はおろか、765プロダクションに所属するアイドルにも、引けを取らないほどだ。
 だが、今となっては彼女が人前で"歌"うことはほとんどない。

 何故なら――――

「……ふぅ」

 一曲歌い終え、一息ついて汗を拭う。
 カラオケとは違う舞台独特の開放感を、胸いっぱいに貯めこむ。
 この感覚を味わうのは、何時ぶりだろうか。
 そんなことを思いながら、彼女は舞台から一歩踏み出し、フロアへと降りていく。
 手頃な椅子に腰掛け、自分の荷物を机に広げ、もう一度ため息をつく。

 突然巻き込まれた、映画のような話。
 繰り広げられた、アニメのような光景。
 そして、二人の少年少女が命を奪われた、現実。

 ほんの十数分の出来事に、息を呑むことしか出来なくて。
 理解など出来るわけもなく、言い表しようのない不快感だけが胸を刺し。
 ただただ、震えることしか出来ず、気がつけばここに立っていた。

 これから人を殺す、誰が? 誰かが、自分が、皆が。

 逃げるように、誰も居ないステージの上に立った。
 自分でも、なぜそうしたのかはわからない。
 歌えば気が紛れるとでも思ったのか。

 それとも、これが最後になると思ったからか。

 自分のことなのに、自分でもわからない。
 けれど、落ち着きを取り戻すことが出来たのは、結果として良かったのかもしれない。
 分かりもしない理由を悩んでいても、仕方がないのだ。

 落ち着いた所で、小鳥は袋の中身を確認する。
 そこそこの食料、一本の包丁、そして一台のインカム。
 当てつけなのだろうか、と思いながらも、ゆっくりとインカムを手に取り、右耳に装着する。

 まるで仕事のようだ、と笑みをこぼした、その時だった。

「いい歌声だったわね」

 誰も居なかったはずの客席から、少女の声が聞こえてきたのだ。
 漫画であればビクッという文字が浮かび上がってしまいそうなほど、小鳥は椅子に座ったまま跳ね上がる。
 驚く彼女に対し、声の主はゆっくりと影から現れた。

「驚かせてごめんなさい」

 近づいてきたのは、一人の少女だった。
 少し暗い藍色の服に、長いマフラーのような布を首に巻き、人にも匹敵する大きな狼を引き連れていた。
 そして彼女は小鳥の傍に来ると、小鳥が着けていたインカムを指さして、口を開いた。

「私は貴方のソレ……COMPから呼び出された悪魔よ。幻魔 レラ。よろしくね」

 耳慣れない言葉が、小鳥の脳を揺さぶる。
 そういえば、魔神皇と名乗る少年はCOMPがどうのこうのと言っていた。
 まさか、この何の変哲もないインカムがそれだったとは、思ってもいなかったが。

「あく……ま?」

 そしてもう一つ、彼女から告げられた言葉に小鳥は目を白黒させる。
 彼女、レラは自らを悪魔と名乗ったが、小鳥からしてみれば幼い少女にしか見えない。
 何度目を擦っても、その姿は変わることはなく、同じ姿の少女が立っていた。


745 : 幻影 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 20:33:14 Q/cljU3s0

「人であるのがそんなに珍しい?」

 小鳥の言動から察したのか、レラはふっと微笑みながらそう問いかける。
 言葉の意味を理解した小鳥は、少し間をおいてから小さく頷いた。
 それを見たレラは再びふっと笑い、小鳥と向かい合うように、机を挟んで座った。

「今や魔を形成するのは神や物怪だけじゃない、人の心、ないし世界に傷跡を残すものだって、魔として彷徨っているの」

 そう、悪魔と呼ばれるのは何もあからさまなそれだけではない。
 世界を滅ぼそうとしたもの、世界を救おうとしたもの、はたまた誰かが抱いた強い心。
 そういったものが時に姿を持ち、時に現世に顕現した時、人々は総称として"悪魔"と呼ぶだけなのだ。

 そんなレラの言葉に、小鳥は頭に疑問符を浮かべたまま固まってしまう。
 まあ、突然そんなことを告げられても理解は出来ないか。
 そう思いながら、レラは要点を小鳥に告げる。

「とにかく、私とシクルゥは貴方の味方。貴方が望むとおりに動いてあげるわ、だから――――」

 そして、そのまま本題へと切り込む。

「貴方は、これからどうするの?」

 突きつけられた疑問に、小鳥は唾を飲み込む。
 それから、ゆっくりと目線をおろし、俯いて固まる。
 ぐるぐる、ぐるぐると思考が数巡した後、小鳥はそのまま口を開いた。

「……分かりません、どうすればいいかなんて」

 答えが出ない、それが答え。
 考えても考えてもわからない、分かるわけがない。
 それを、そのまま彼女へ伝えた。

「じゃあ、ここで死にたいの?」
「い、嫌です!!」

 間を置かずに投げられた疑問に、小鳥は前を向いて素早く否定する。

「なら、戦うしか無いわよ」
「……誰かを殺す、ということですか?」
「そうなるわね」

 ならば、と投げられたもうひとつの疑問に、小鳥は再び俯いてしまう。
 誰かを殺す、人の命を奪う、罪に手を染める。
 少し前なら、一度も考えなかったことを、考えこんでいく。

「……それも、嫌です」

 ひとまずの答えは、ノー。
 どこの誰かの命を奪うことなんて、自分に出来るわけがない。
 だって、それは誰かの"人生"を奪うことなのだから。

「どこかの誰かとそっくりね」

 その答えを聞いて、レラはため息をつく。
 死にたくはない、けれど戦いたくはない、そして何とかしたい。
 そんな行動理念が何処かの誰か、いや、"自分"と重なって仕方がなかったからだ。

「戦わずに解決できるなら、確かにそれに越したことはないわ。
 でも、それだけじゃどうしようもない時だってある」

 だから、レラは身を乗り出して強めに彼女へ警告をする。

「逃げてばかりじゃ、ダメなのよ」

 どこかの誰かのように、身を持って経験させることなど、出来ないのだから。

「……ま、まあ、今はまだ時間があるわ。その間に精々悩むことね。
 いつか……嫌でも決断しなければいけない時が、来るから」

 すっかり黙りこんでしまった小鳥に対し、レラは言葉を続ける。
 どこかの巫女でもない、単なる一般人に対し、少し強く出すぎたか。
 若干反省をしつつ、彼女は小鳥へともう一度告げた。

「その時の貴方の決断に私は従うわ。私は、貴方の味方ですもの」

【?????/1日目/朝】
【音無小鳥@アイドルマスター】
[状態]:健康
[装備]:COMP(インカム型)
[道具]:基本支給品、包丁
[思考・状況]
基本:怖い、どうすべきかは、わからない。
[COMP]
1:レラ@サムライスピリッツ
[種族]:幻魔
[状態]:健康
[備考]
※シクルゥもセットです(女神転生のヴァルキリーの馬みたいなもん)


746 : 幻影 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 20:33:39 Q/cljU3s0



ベビベビベイビベイビベイビベイビ



--                  , -'"  ̄ ` 丶、  /
─--             /         \|  
              /            |  
───            i   _ _     _ _   ヽ_
 ̄ ̄          | /二`     "二ヽ、 |  〉
             _|  _,ィiュミ   r_,ィiュミ  レ-|
二二二          ヾ!   - ' r  `ヽ  ̄´  | ∧
──  ___      ゙!  〃  ^ ^  ヽ   l-/  〉
  ベ             i   { ='"三二T冫  /´_ノ/\__
  イ  二ニ    _,ィヘ  ヽ ヾ== 彳   /:::/`ー- 、
  ベ     _, ィ´:::::/ l\ ト、 ー一 / /::/      \
  ェ     /  |::::::::: ̄ ̄ ̄::`ー=彳_∠ _      ヽ
  !   /   |::::::::::::::::::::::::::::(‥):::〈_      \       l
     r'"`丶、 |:::::::::/:::/::::´:::::::::::::::::(_      ト、      |
  / / `ー 、 \|::::/:::::/:::::::::::::::::::::::::::(_      \    \

【?????/1日目/朝】
【赤ちゃん@スリル】
[状態]:健康
[装備]:COMP(マイク型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:今夜世界を二人のものにする
[COMP]
1:江頭2:50@現実
[種族]:英雄
[状態]:健康


747 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 20:34:06 Q/cljU3s0
投下終了です。
>>746のタイトルは「伝説」です。


748 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 20:36:11 Q/cljU3s0
>>693
投下から一日経ってるので、一応アナウンスさせていただきます。
当企画は「Wiki収録」を完了して、エントリー完了となっておりますので、
Wiki収録の方をお願いいたします。


749 : 名無しさん :2016/05/08(日) 20:42:03 aZIyGTds0
>>747
投下乙です。俺の腹筋はお前のものさ。


750 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/08(日) 21:59:22 G2UZF.XE0
再告知です。
当企画の登場話投稿期限は延長されています。
5/21 23:59:59までに、Wiki収録が完了している作品となりますので、よろしくお願いします。


751 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/08(日) 22:04:06 iIsFXACU0
投下します。


752 : はらはらびより ◆yaJDyrluOY :2016/05/08(日) 22:05:29 iIsFXACU0
「ここ、どこなのん?」

 宮内れんげは高層ビルが立ち並ぶオフィス街の裏路地で目を覚ました。
 ひんやりと冷たい地面から身体を起こし、れんげは周囲を見渡す。
 辺りは灰色のコンクリートに覆われ、土色や木々は少なく見上げてみてもビルばかりで、空が少ししか見えない。
 小学1年生の女子からすれば身長は大きな方だが、それでもまだ大人には遠く及ばない。低い視点から見る無機質な町並みは、言い様のない威圧感があった。
 超が付くほどのド田舎に住んでいるれんげは、人生初の大都会に困惑すると同時に興奮していた。
 
「都会チックな場所なんに、人が全然居ないのんなー。 ひか姉の都会話も大げさなん」

 軽く都会を散策してみても、人っ子1人見つけることができなかった。
 というのもここがバトルロワイヤルの会場だからなのであって、決して姉の話は嘘ではないのだが。
 体育館の様な場所での惨劇を詳細に把握することが出来なかった事も手伝って、れんげは都会というものを勘違いしてしまった。
 どこまで行っても人が居ないというのは、存外暇なものでれんげも例に漏れず飽きが来てしまっていた。

「暇なんなー、リコーダーでも吹くことにするん」

 そこで、荷物に目をつけた。
 れんげが背負っているのは普遍的なランドセルであり、背負っている事自体にはなんら違和感はない。
 いつもランドセルに突っ込んでいるリコーダーを取り出そうと、れんげはランドセルを開けた。
 しかし、出てきたのは見覚えのないものばかり。

「これ、ウチのランドセルじゃないん! 誰かのと間違えちゃったのん?」
 
 沢山の水や日持ちしそうな食料などが入っている。
 とても一度にどころか一日でも食べ切れるような量ではない。

「サバイバルでもするかの様なん。ほたるんのでも無さそうなんな」

 自分以外となると一条蛍以外はランドセルを使用していないが、彼女はこんな物を学校に持ってくるような子ではない。
 れんげは持ち主が自分の知る人物では無さそうだと考察しながら荷物取り出す。
 次に出てきたのは画面のついた小さな箱――俗にいうスマートフォンであった。
 持ち上げただけで画面が光り、次々に『COMP』『Hallo』『宮内れんげ』と文字が現れては消えていく。

「あぁ! ウチの名前なん! これがうわさのハイテクさんなんな!」

 拾い上げただけで自分の名前が表示される。
 ということはこの一瞬で自分を認識したか、元から自分の名前が映るようになっていたかのどちらかである。
 れんげは少し悩んだ末に後者を選択した。

「これ、やっぱりウチの持ち物なん?」

 ローディングが終わりメニュー画面に移行したCOMPを見ながられんげは思考を巡らせる。
 一番上には『悪魔召喚プログラム』の文字があり、れんげの好奇心を刺激する。

「あ、あくま……つまり妖怪の一種……」

 自分のものだと確証が取れない物はいじるわけにはいかない、しかし悪魔は気になる。
 そんな葛藤に苛まれるも、れんげは天才的な聡明さながらまだ7歳の子供である。
 ついつい悪魔召喚プログラムの文字を触ってしまった。

「姉々、れんげは誘惑に負けてしまいました……」


753 : はらはらびより ◆yaJDyrluOY :2016/05/08(日) 22:06:20 iIsFXACU0

 れんげの懺悔と同時に辺りが白く染まっていく。――そして

「デスデスデッスーン!」

 現れたのは、黒い球体。
 その大きさは大人をして見上げる程で、おおよそ軽く見積もっても直径5mはくだらないだろう。
 ましてれんげは139cmしかなく、目の前のそれが生物であるのかすら認識できなかった。

「はぁ、凄く大きいんなー。 これでは何がなんだかわからないのん!」

「ん? どこにいるデス?」

「ここなーん!!」

 れんげは少し下がって見上げることでやっと球体の顔を確認する事ができた。
 随分とマヌケな顔をしているが、その困惑した顔を見るにどうやらにれんげの姿を探しているようだった。
 れんげは頭上で大きく手を振り、自分の所在を伝える。
 れんげの大きな声に下を向き、球体の悪魔は漸くれんげに気づくことができた。

「随分と小さいニンゲンデスね。気をつけないと踏み潰してしまうところデス!」

「ウチの小ささを考慮しても、こんなに大きくてはコミュニケーションに支障が生じてしまうん……」

「難しい事はわからないデスが、大きさくらい自由自在デス!」

 球体の悪魔は虹色のオーラに包まれるとどんどん収縮していき、ついにはれんげと同じくらいの大きさにまで小さくなった。
 
「おおー! クロンボさんはすごい妖怪なんな!」

「ん? クロンボって誰デス?」

「クロンボさんはクロンボさんなん! ウチがそう決めました!」

「勝手に決めるなデス! デスぎたまねは死をまねくデスよ!」

 勝手に呼び名を決められた悪魔は憤慨した様子を見せるが、幸い襲いかかる様子はない。
 しかし、それはやさしいだとか温厚だとかそういうわけではない。
 暴れたい時に暴れ、壊したい時に壊す、今は特にそういう気分じゃないだけだ。
 「なんとなく」で人の生死まで決めてしまうところは正しく悪魔であった。

「ウチはアダ名を付ける事に一定の評価を得ているん! もしかして、気に入って貰えなかったのん?」

 自分が激昂した事で俯きしょげてしまった少女を見て、球体の悪魔は少し嫌な気持ちになった。
 出身地では『大帝』の地位まで持っている自分が、文字通り吹けば飛ぶような人間の子供相手に本気になるとは器が知れるというものだ。
 そう思い直し、悪魔はれんげに宣言した。

「アダ名ということなら良いデスよ。デスが、ボクにも立派な名前があるデス!」

 そう前置くと、自分の名前を伝えるために悪魔は大きく息を吸い込んだ。
 
 年に似合わぬ聡明さを持った好奇心旺盛な少女と、長く生きているのにまるで子供のような悪魔。
 少女は強大な力を持つにも関わらず自由奔放な悪魔をどう扱うのか。
 悪魔は天才的な勘で時におかしな行動をとる少女にどんな思いを抱くのか。
 ある意味で幼い2人の運命は――まだ誰にもわからない。

「いいデスか、よーく聞くデスよ! 」

 そうして、悪魔は高らかに宣言する。

「ボクの名前は……」

 ――――魔界大帝フェルナンデス!!!



【?????/1日目/朝】
【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:お家に帰るん!
[COMP]
1:魔界大帝フェルナンデス@わくわく7
[種族]:悪魔
[状態]:健康


754 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/08(日) 22:06:48 iIsFXACU0
投下終了です。


755 : ◆TIENe3Twtg :2016/05/08(日) 22:24:05 Zxxk8xlM0
投下します。


756 : 天の塔 :2016/05/08(日) 22:28:04 Zxxk8xlM0
「久しぶりね、カイン。相変わらず息災なようで反吐が出るわ」

女は語る
「広く世に"悪魔"と語られるものがある。
 それは多くの生き物にとって抗いきれない脅威。
 あちらから触れることは叶えど、こちらから抗うことの出来ない異界の存在。」

淡々と、淡々と。感慨は無い、感傷は無い、ただひたすらに事実を積み重ねる。

「存在の"チャンネル"が違うのだ。
 彼らはこの世界全ての生き物にとっての"ノイズ"、
 触れようにもその時層の違いが摩擦となり、ただ人は焦げ付き燃え尽きるのみ。」

言葉に感情は無い。当然だ、言葉はただただ情報の整理。
ただ男を見つめる瞳には際立つ感情がある。その感情の名は憎悪と、一片の懐かしさ。

「そのチャンネルの違い、周波数の違いを調整するための手段。
 それこそが私の"シンフォギア"であり、お前たちの"ハーモナイザー"である。」

女が言葉を切る、続けるように男が口を開いた。
その言葉は軽やかだ。まるで全てを見通すかのように、全てを見下すかの様に。
見下すのは誰であろうか。

「お前たちが"ノイズ"と呼ぶもの、それを俺たちは"悪魔"と呼ぶ。
 お前たちの世界は"ノイズ"を確定の概念として固定した。
 都合のいい超古代文明の存在は、技術と研究の積み重ねで、その存在の未知を封じた。
 故に、概念としての"ノイズ"は固定化し、俺たちの"悪魔"ほどの多様性を、オカルティズムを失った。」

女のことを見下しているのか、

「これは一つの世界の勝利と言って良いだろう。
 医療の発展がペストを根絶したように、"悪魔"を矮小化し、使役可能な奴隷とした。
 素晴らしい発展だ、素晴らしい業績だ。だが、それゆえにわからないだろう。
 多様化し、神すらもその裡に呑み込んだ"悪魔"の恐ろしさを。」

それとも世界を嘲るか、

「お前に想像が付くか?
 人の未知に巣食い、救いも絶望も喜びも悲しみも。
 全ての裏に"悪魔"がある、そんな世界を。
 人の心の数に等しいほどに侵食した悪魔、その多様性はこの"カイン"すらも悪魔と定義し得た。
 単調化し、ただ力で押しつぶせた"ノイズ"とは、最早成り立ちこそ同じでも別のものと言えるだろう。」

あるいはその感情は、自分自身に向いているのか。
男は息をつく。"悪魔"となっても多くは変わらない。
必要かそうでないかは問題とならず、生前同様の振る舞いで男はそこにあった。


「バ・ベルの巫女(愚か者)よ、俺たちの願いは共通している。」

「ええそうね、カイン(裏切り者)、私たちは共通している。」


『神に会う、その一点において、私たちは共通している』

「その先にあるものは全く違うのだけどね。」

「ああ、俺はあの存在を許さない。」

「私はあの存在に許しを乞う。」

二人は共通している。
その根にあるのはたった一つの救いだ。
神よ、神よ、あなたはどこに行ったのですか?
許してくださいと女は乞う、あなたの側に居させてくださいと求め続ける。
許しはしないと男は憎む、不平等なる神を、ア・ベルを見捨てた神を、許せるはずも無い。

二人は共通している。
それは妄執ともいえるほどの執着と、始めにあったはずの愛の形。
もっとも、月日に歪んだ愛の形は、余人に測れるものではないのだけど。

『私/俺の カディンギル/バ・ベルに 辿り着くまでの間、コンゴトモヨロシク……』
【?????/1日目/朝】
【フィーネ@戦姫絶唱シンフォギア】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ソロモンの杖)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:お家に帰るん!
[COMP]
1:カイン@女神異聞録デビルサバイバー
[種族]:悪魔
[状態]:健康


757 : 名無しさん :2016/05/08(日) 22:30:08 Zxxk8xlM0
状態表コピペミスったorz、早速ですが、
>>756修正です、
【?????/1日目/朝】
【フィーネ@戦姫絶唱シンフォギア】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ソロモンの杖)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:神に会う
[COMP]
1:カイン@女神異聞録デビルサバイバー
[種族]:悪魔
[状態]:健康


758 : 名無しさん :2016/05/08(日) 22:30:29 Zxxk8xlM0
以上です、お目汚し失礼しました。


759 : ◆.wDX6sjxsc :2016/05/08(日) 22:46:09 Rx7dPnpY0
投下します


760 : 迫る鋼鉄の殺戮者たち ◆.wDX6sjxsc :2016/05/08(日) 22:47:02 Rx7dPnpY0

これは一体どういう事か。
未来より現代に送り込まれた殺戮機械、T-1000のAIは未だにこの状況に対する正確な答えを弾きだせないでいた。
彼は未来の機械軍に対するレジスタンスのリーダーに成長するジョン・コナーを抹殺し、
機械軍に確実な勝利を齎すためにスカイネットより送り込まれた、言わば時空の暗殺者となるはずだった。
その歯車が狂い出したのは、やはり正史とは違い、本来ジョン・コナーがいるであろう地点より遥かに東の極東国家である日本に送り込まれてしまったことだろうか。

行動プログラムを修正し、すぐさまジョン・コナーの暗殺のため渡米しようとした所、あのマジンコウを名乗る、人間の手によってこの場所に連れてこられた。
その直前に二人の人間の余りにも衝撃的な死があったが、彼にはミジンコの爪先程の動揺も無い。
寧ろ未来の機械軍の敵が居なくなったと喜ぶべきことだろう。
だが、その惨劇を演出したのは機械ではない、あくまで人間だ。
ここに転移させられるまでにT-1000はマジンコウをスキャニングしていた。
その時解析されたマジンコウが確かに人間だと示していた。

ならば、自分が彼に従う必要はない。自分が服従するべきはマジンコウではなくスカイネットであるためだ。
マジンコウは、危険だ。
ジョン・コナーをはるかに超える危険性だ。
この歴史から永久に抹消しなければならない。
幸い、スカイネットからは殺人は大いに許可されている。
そして、マジンコウは優勝したものを自分の右腕に加えると言っていた。
優勝し、マジンコウに近づけば寝首を掻くチャンスも廻ってくるだろう。

目的が一致した彼に、優勝を目指すことへの躊躇いは無かった。

そのための、力もある。


761 : 迫る鋼鉄の殺戮者たち ◆.wDX6sjxsc :2016/05/08(日) 22:48:25 Rx7dPnpY0

「………」

沈黙したまま、手の中の携帯の形をしたCOMPと、脇を見やる。
視線の先には、金メッキの様な鈍い輝きを放つ鋼鉄の殺戮機械が、そこにいた。
ぬちゃ、という音が響き、珍妙な機械が持っていた堅牢な槌が血だまりから離れる。
野良悪魔で試してみたが、凄まじい性能だった。
不可解な、呪文とともに放たれる火炎は、光の壁に遮られ、堅牢な槌や鋭利な剣、弓矢があっという間に哀れなる野良悪魔を地面のシミに変えたのだ。

この悪魔に狂戦士(バーサーカー)としての役割を。
自分には暗殺者(アサシン)としての役割を課し、優勝を狙う。

「指令は一つだ」

ゆっくりと、冷酷に、T-1000は命令を下す。
自身がスカイネットに命じられたように。

「人類を駆逐し、機械軍に完全なる勝利を」

ギギギと物物しい音を立てながらその実滑らかな駆動で、悪魔が振り返る。

「コンゴトモヨロシク」

無機質な挨拶。
その後に、災禍の始まりを告げる宣言が空気を揺らす。

「人間たちよ、生還を望むのならば」

「この私を倒していくがいい」

そして……人類に終焉を告げる機械達が起動する。


【?????/1日目/朝】

【T-1000@ターミネーター2】
[状態]:健康
[装備]:携帯型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:皆殺し
[COMP]
1: キラーマジンガ@ドラゴンクエスト6
[種族]:マシン
[状態]:マホカンタ


762 : ◆.wDX6sjxsc :2016/05/08(日) 22:48:53 Rx7dPnpY0
投下終了です


763 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/09(月) 00:42:01 eAyD5aMo0
皆様投下乙です。

>>754
なんだか妙にいいコンビ! クロンボさん、なんだか刑事みたいな名前ですね……

>>757
共通する、けれども違う世界。
そして二人の目的は一致する、願いは違えど。
面白いことになりそうですね……あと状態表で最初笑ってしまいましたw

>>762
マシンにマシンだ! マジンガ様だ!
T-1000はあくまでもマシンとして立ちはだかるか……

さて、自分も投下します。


764 : 外道 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/09(月) 00:42:26 eAyD5aMo0

 都会の一角、そこにある倉庫。
 そこから出てきた一人の男は、差し込んできた太陽の光を睨む。
 黒に身を包んだ男の名は、山崎竜二。
 裏の世界では有名な、ブローカーの一人だ。
 国際的に指名手配されている彼も、この殺し合いに巻き込まれていた。

「チッ、めんどくせぇ」

 空を睨んだ後、悪態をつきながら顔を顰める。
 最後の一人になるまで生き残れない、つまり最後の一人になるまで他人を殺す必要があるということ。
 片っ端から勝手に死んでくれるのならばいいのだが、そうもいかないだろう。
 中には自分を殺そうと迫って来る者もいるかもしれない。
 戦いに自信がないわけではないが、そう何回も戦っていられるほど、タフじゃない。
 手当たり次第にバラしていれば、それこそ体力が持たないだろう。
 ならば、どうするか。

「便利な手駒が必要だな」

 そう、手駒を用意するのだ。
 自分が出るのは、よっぽどの時でいい。
 そう思った時、ふと思い出す。
 魔神皇が言っていたCOMP、そこに"悪魔"が封じられているという。
 労力を割かずに手に入る手駒、これほど嬉しいプレゼントはない。
 そう思いながら、取り出したのは一本の匕首。
 自分が使っていたモノによく似ているそれをいつものように振るうと、じんわりと光を帯び始めた。

「キッヒッヒ……こいつはいい……」

 そして現れた者を見て、山崎は笑う。
 自分よりも遥かに大きな図体、鋭利な骨、そして血の匂い。
 それが、怪物であると確信できたからだ。

「ああ"? ここ、どごだぁ?」

 怪物は、大きな顔をきょろきょろと左右に動かして辺りを確認する。
 その目線の回し方は間違いなく、獲物を探す目だった。

「お前……人間は好きか?」

 間違いない、こいつは"人を襲う"怪物だ。
 確信に近い直感を元に、山崎は怪物に話しかける。

「ニンゲン? あ〜〜、好きだぁ。そでも、おなごが大好きだぁ」
「そうかい……ヒヒ、なら、手当たり次第に好きにやんな。キィーッヒッヒッヒ……」

 予想通りの答えに、山崎は大きく頬を歪める。
 ひとまず、手頃な手駒は手に入った。
 まずはこいつが死ぬまで暴れさせ、それからどう振る舞うかを考えればいい。
 ああ、こいつが死にかけたところに"正義の味方"を装うのもいいかもしれない。
 何にせよ、当たりは当たりだ。しばらく、自分からは動かなくていいだろう。

「ヒッヒッヒ……」

 静かに、けれどおぞましく、山崎はもう一度笑った。

【?????/1日目/朝】
【山崎竜二@餓狼伝説シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(匕首型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:労力をかけず、殺し合いを勝ち残る。
[COMP]
1:妖怪腐れ外道@サムライスピリッツ
[種族]:外道
[状態]:健康


765 : 栄光 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/09(月) 00:42:42 eAyD5aMo0

「セガなんてだっせーよな」
「帰ってプレステやろうぜ〜〜」
「プレステの方が面白いよな」

  アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
  アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
  アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
  アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
  アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

「のわっ!?」

 目が覚めると、そこは公園のベンチの上だった。
 どうやら、悪い夢でも見ていたらしい。
 しかし、世間の興味はすっかりプレステに向いているのも事実。
 だが、今のセガには秘策があるのだ。

「これだ……」

 新型ゲームハード、ドリームキャスト。
 これこそがセガの社運をかけた一大プロジェクトなのだ。
 そうこれさえあれば、プレイステーションにも勝てる!

 思わず力が入ってしまった拍子に、彼は電源ボタンを押してしまう。
 ああ、気づく暇などなかったのだろう。
 そのドリームキャストこそが、彼に配られたCOMPであることなど。

 一瞬の光に目を背けた後、彼の目に映ったものは。

「ヘイオッサン! もたもたしてると置いてくぜ?」

 セガの愛すべきマスコット、ソニック・ザ・ヘッジホッグの姿だった。
 目と鼻の先、今にも触れられそうな距離に、ふわふわのハリネズミが居る。
 それを見て、彼は。

「リ、リアルだ……ここまで、ここまでなのか、ドリームキャスト!!」

 盛大な勘違いをしながら、感動していた。

【?????/1日目/朝】
【湯川専務@ドリームキャストCM】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ドリームキャスト型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:セガは本当にダサいのか……?
1:しかしこのドリームキャストがあれば、大丈夫だ。
2:ソニック……!!
[COMP]
1:ソニック・ザ・ヘッジホッグ
[種族]:聖獣
[状態]:健康


766 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/09(月) 00:42:56 eAyD5aMo0
投下終了です。


767 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/09(月) 02:17:46 KM/ImcE60
投下します


768 : エンジョイ勢 ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/09(月) 02:19:14 KM/ImcE60

「魔神皇とか言う野郎、俺の事をこんなところに放り込みやがって……いい気になっていやがるな、クソッ!ムカつくぜッ!
 ……だがこの“ゲーム”、内容は悪くねぇな……へへへへ」

 そう嗤う男の名は片桐安十郎。マスコミからは『アンジェロ』の通称で呼ばれる、
『日本犯罪史上最低の殺人鬼』 と恐れられた凶悪犯罪者である
 彼がもつナイフ型のCOMPが、より一層彼の悪意を際立たせている


「あのガキは気に入らねぇが……
……此処じゃ好き放題しても誰も咎めねぇしサツの目もない
  ……ならせいぜい楽しませてもらうぜ」

 アンジェロが選択した行動方針。それはこの殺し合いというゲームを楽しむこと

 ここ最近のアンジェロは幸運であった
 学生服の男によって『スタンド能力』を身に付け、死刑からも生還し、脱獄すらもできたことからもそれが伺えた

「そうそう、人生何事も楽しまなきゃ」

 そしてこのゲームにおいては、相性の良い悪魔を割り当てられた
 原始人のような風貌のその悪魔は、アンジェロに負けず劣らず邪悪に嗤っていた 

 楽しく刺激的<エンジョイアンドエキサイティング>に物事を行う、
それがアンジェロの召喚した悪魔ーーワイアルドのモットーであった。
 犯せる女がいる、遊べる男がいる。
 人間を捨て去り、望むままを行う者となった彼にとってはそれだけで十分なのだ

「へへへ…… 俺も世間様からはよく悪魔呼ばわりされたが、本物に出くわすとは思っても見なかったぜ……
 ……だが、アンタみたいな話のわかる奴で助かったぜ」

 悪魔なんて眉唾物、よしんば"首飾り"を潜り込ませて捨てゴマにでもするつもりだったが、嬉しい誤算、とんだ大当たりだった
『COMPには君たちの"友"となりうる悪魔を封じ込めておいた』
魔神皇は確かそんなことを言っていたが、あながち間違いでもないかもしれない


「なぁに、俺も兄ちゃんみたいなおもしれぇ奴に呼び出されて悪魔冥利につきるってモンよ」
 
 それはワイアルドの方も同じで、極悪非道。 欲望のままに犯す、殺す、食すの三大悪行をコンプリートした紛うことなき悪魔である彼にとって、アンジェロのようなサマナーはまさに渡りに船であった

「アンジェロよぉ……一つ心得を教えとくぜ
 エンジョイ&エキサイティング……忘れちゃ駄目だよ」
「へぇ、良い言葉じゃねぇか。覚えとくぜ」

 ふたりの外道の奇妙な関係はまだ始まったばかりである


【?????/1日目/朝】
【片桐安十郎@ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない】
[状態]:健康
[装備]:スタンド『アクア・ネックレス』、COMP(ナイフ型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを楽しむ
[COMP]
1:ワイアルド@ベルセルク
[種族]:外道
[状態]:健康


769 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/09(月) 02:20:31 KM/ImcE60
投下終了です


770 : ◆jOkrd9mmNM :2016/05/09(月) 19:56:22 i0q6xV3Y0
投下します。


771 : HERO〜希望の歌〜  ◆jOkrd9mmNM :2016/05/09(月) 19:58:48 i0q6xV3Y0


(君はヒーローになれる)

認められたんだ。

(ここが君のヒーローアカデミアだ!)

やっと踏み出したんだ。
なのに。

どうして僕はここに居るんだろう?


超難関国立高校『雄英高校』にて、ヒーローを夢見る少年緑谷出久。
通称(蔑称)『デク』。
彼は『無個性』という特殊な能力を保持しないタイプの人間だった。
当然、他者を悪から救うヒーローという職業を目指すには、他人の何倍も厳しい一般人である。

(ワン・フォー・オール……聖火の如く引き継がれてきた物)

ある日、憧れのヒーローから『とある力』を託されたことを切っ掛けに、燻っていただけの夢が燃え上がった。
その夢の灯火は大きく育ち、ついには夢見ていたヒーローへの第一歩をようやく踏みだした─その、矢先。
この、あまりに残酷なる戦いの渦中に、引きずり込まれてしまったのだ。

「『魔人皇』……?なんだよ、それ。ゲームやコミックじゃ、ないんだぞ……!」

秩序を脅かす敵(ヴィラン)染みた─いや、それよりもおぞましい所業。
数多くの人間を拉致しただけにはとどまらず、自分とそう変わらないであろう学生を立て続けに殺害した。
人の命を軽んじる、巨悪。
まさにヒーローの対局と呼べる存在に他ならなかった。

「……」

怖かった。
ヒーロー志望といえど、まだ実戦経験も乏しい、一介の学生。
命のやり取りを目の前に恐ろしくないはずが無い。
もしかしたら、憧れのヒーローが助けに来てくれるかもしれない。
あるいは、あれだけの人数が全て魔人皇に従うことはなく、立ち向かってくれるかもしれない。
以前までの彼なら、震えて待つことしかできなかっただろう。
だが、今は違った。

「僕が、助けるんだ……!」

すでに義勇の心に、デクの心は満ちていた。
ヒーローに近づく為には、かつての弱虫で無力だった自分から脱却しなくてはいけない。
憧れの全能たるヒーロー『オールマイト』から、すでに最も大切な教えを学んでいたから。
その正しさを証明するために、少年は戦う覚悟を決めた。
そう、たとえこの場にそう考えるのがたった一人であったとしても。


772 : HERO〜希望の歌〜  ◆jOkrd9mmNM :2016/05/09(月) 20:00:27 i0q6xV3Y0

「そういえば」

正確にはたった一人、ではないかもしれない。
魔神皇はこうも言っていた。

(COMPには君たちの"友"となりうる悪魔を封じ込めておいた)

「友、か」

敵の言うことに耳を傾けるなんて。
唯我独尊の幼馴染や、真面目一辺倒の友人ならそう言うだろうと、デクは考える。
人を簡単に転移させたり、命を奪う力が本物であるならば。
悪魔という存在を認めるこの言葉にも偽りがないのでは、と。

(悪魔だって、良い。この無意味な争いを止めるため、皆を救うため……)

デクにも馴染み深いお菓子を内包する容器、ペッツディスペンサー型のCOMPを操作する。
どこかで見たようなヒーローの頭部を模したそれは彼の希望を少し膨らませた。

(僕に力を貸してくれる……友達っ!!)

一瞬放たれた強い光。
そして、悪魔と呼ばれる存在は今ここに顕在化した。
身を包んでいるのは赤と青のツートン・カラースーツ。
マスクにはどこかコミカル・タッチな睨みつける瞳が描かれている。
胸には彼の名である、『蜘蛛』を表す大きなマーク。
そして─

「その髪、どこでセットしたの?美容院変えたほうがいいんじゃない?」

飛び出した軽口に、デクの心は躍った。
彼は自他ともに認める筋金入りのヒーローオタクである。
世界を賑わせる彼の名を知っていた。

「あなたは!」

「ご存知かい?そりゃいいね!」

お決まりの飄々とした、この態度。
デクとどこか似た境遇を持つ、スーパー・ヒーローがそこに居た。

「あなたの親愛なる隣人・スパイダーマンをよろしく!

【緑谷出久@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ペッツディスペンサー(スパイディ)型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:ヒーローになるために、助けを求めている人を救う
[COMP]
1:スパイダーマン@MARVEL
[種族]:超人
[状態]:健康


773 : ◆jOkrd9mmNM :2016/05/09(月) 20:04:24 i0q6xV3Y0
投下終了です。


774 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/09(月) 23:09:27 2oVcxra60
投下します


775 : 強奪者たち ◆NIKUcB1AGw :2016/05/09(月) 23:10:26 2oVcxra60
「ふざけんじゃねえぞ、クソがぁ!」

裏路地で、その場にある物を手当たり次第に蹴り飛ばしている青年がいた。
彼の名は灰崎祥吾。
中学バスケ界で伝説となった「キセキの世代」に限りなく近い位置にいながら、彼らと並び立つことができなかった男だ。
元来短気で粗暴である灰崎にとって、首輪をつけられ殺し合いの場に放り込まれるなどという屈辱を味わわされればこうなるのは必然であった。
それでもひとしきり暴れてある程度溜飲が下がったのか、灰崎は動きを止め壁により掛かった。

「あのクソ野郎が……。何が魔神皇だ!
 俺をこんな目に遭わせて、ただで済むと思うなよ……!
 てめえの大事なもん、奪い取ってやるぜ……!」

灰崎は他人の大事な物を奪うことに快楽を感じるという、歪んだ感覚の持ち主だった。
その性格は、彼のバスケ選手としてのプレースタイルにも反映されている。

「とはいえ、どうする……」

徐々にクールダウンしながら、灰崎は魔神皇に逆襲する手段を考える。
まさかバスケで勝負してはくれまい。
喧嘩には多少腕に覚えがあるが、多少程度で勝てる相手でないことは灰崎にもわかっている。
人間をあっという間に死に至らしめた、あの魔法のような攻撃。
いかに灰崎が他者の技を奪うことに長けたプレーヤーでも、あれは模倣できない。

「そういやあいつ、COMPがどうとか悪魔がどうとか言ってやがったな……。
 確認してみるか……」

ここで魔神皇の言葉を思い出した灰崎は、放置していた荷物を漁る。
すると中から、バスケットボールにモニターをつけた謎の物体が出てきた。

「わけわかんねえもん作るな、あいつも……」

若干あきれつつ、灰崎はCOMPの操作を行う。

「後は投げればいいのか……。悪魔なんてもんが本当にいるなんざ、そう簡単には信じられねえが……。
 まあ、やってみりゃわかんだろ!」

上空に向かってCOMPを放り投げる灰崎。次の瞬間、強い光と共に悪魔が召喚された。

「こいつは……!」

現れた悪魔は、人に似た姿をしていた。
見た目だけなら、人間がメイクをしているだけと言っても通用するだろう。
だが彼が放つ禍々しい気配は、門外漢である灰崎ですらも尋常ではないと感じられるほどであった。

「ケケケ、人間の下につくなんてまっぴらだと思っていたが……。
 なんだか俺によく似た目をしたガキじゃねえか。
 まあまあ気に入った。お前になら付いていってやってもいいぜ」

不敵な笑みを浮かべながら、悪魔は灰崎に歩み寄る。

「俺は乱童だ。今後ともよろしくな……」

好戦妖怪・乱童。
武術家や霊能力者を襲い、その奥義を自分のものとしてきた凶悪な妖怪。
まさに灰崎にとっては、出会うべくして出会った相手と言えるだろう。

「いいねえ……。役に立ってくれそうじゃねえか」

舌なめずりをして、灰崎もまた笑った。


【?????/1日目/朝】
【灰崎祥吾@黒子のバスケ】
[状態]:健康
[装備]:バスケットボール型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇から奪えるだけ奪う
[COMP]
1:乱童@幽遊白書
[種族]:妖魔
[状態]:健康


776 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/09(月) 23:11:02 2oVcxra60
投下終了です


777 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/10(火) 01:00:03 ECLqf0Uw0
投下します


778 : NEET is NEET ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/10(火) 01:05:46 ECLqf0Uw0

「で、アンタはこの殺し合い、どうするつもりなの?」

 その問いかけの意味は子供でもわかる
 即ち乗るか、否か。人を殺すか殺さないかの選択だ

 蓬莱山輝夜。
 竹取り物語のかぐや姫その人であり、永遠亭に居を構える月人。しかしこの場においては彼女は悪魔として召喚された身である
 予期せぬ出来事とはいえ、一応は召喚者の意向を聞くくらいの義理はある。
 どちらにしても方針を固められない優柔不断な人物が生き延びられるほど、この場は甘くないだろう
 さて輝夜の問いかけに果たしてサマナーはどう答えるのか?
 彼は暫し沈黙し、そしてゆっくりと、しかしはっきりと輝夜の目を見据えてこう答えた



「俺、この殺し合い乗ったら……負けかなって、思ってる」
  

 輝夜のサマナーは、お世辞にも美男子とは言えない丸刈りの男だった
 所々歯が抜け落ち、良い印象を与えるとは言い難い口から返した返事は、後者
 魔神皇には従わず、他者を殺めず生還するという宣告。
 混沌無形、殺人に対する禁忌感からの逃避かもしれない。
だがしかし、輝夜は彼の眼に確固たる信念が宿っていることを見抜いた

「この悪趣味な催し、優勝すれば願いが叶うそうね。 所詮この場に集められた者は赤の他人でしょ? ……叶えたい願いのひとつやふたつ、無いの?」

 『願いが叶う』、眉唾物だが魅力的な報酬でもある。
 だが、よしんば優勝したとしても、ハイわかりましたと馬鹿正直に願いを叶えてもらえるとは輝夜には思えない。むしろ用済みだと首輪を爆破され殺される可能性の方が高い
 しかし輝夜は敢えて試すようにそれをちらつかせた。
 見た限りこの男は只の一般人である
 ここで彼が先程の意思を撤回し、その餌に食いつく程度の男であったなら、そうなった場合積極的に手助けする気もないし、残念だが先はないだろう

 そういった輝夜の意図を察したのか察していないのか、男は多少思考を巡らしたようだったが、やがて納得のいく答えを見つけたのか、こう答えた

「いやぁ〜…… 今の自分は、もう勝ってると思ってるんで
 毎日がつまんないときもあるけど、楽しいことも多いし
 人殺ししてまで願いを叶える必要は、無いかな」

 意思は変わらず否。現状、自身は満ち足りており、他者を蹴落としてまで願いを叶える必要は無い。そう断言した

「そう、なら貴方の好きにしなさい」

 輝夜は少しだけこの男を気に入った。
 乗り掛かった船、どうせ此方は永遠を生きる身だ。少しだけ手を貸すのも悪くないかもしれない
 自然と笑みがこぼれる。そこで輝夜は彼の名を知らないことに気がついた

「ところで貴方。名は?」

 
「別に乗るほどのものじゃないです。 でも敢えて言うなら

ーー只のニート、かな」


【?????/1日目/朝】
【働いたら負けかなの人(24歳のニート)@現実】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:(この殺し合いで)働いたら負けかなと思ってる
[COMP]
1:蓬莱山輝夜@東方project
[種族]:月人(蓬莱人)
悪魔として召喚されたため不死ではありません。しかし死にづらく大抵の傷は治癒します
[状態]:健康


779 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/10(火) 01:07:22 ECLqf0Uw0
投下終了です


780 : 名無しさん :2016/05/10(火) 01:51:03 8qTCwFOc0
自由奔放に想像力がうろつき回ってるな
東方キャラのネタ枠っぷりがひでぇ。人のこと言えんけど


781 : ◆Y8r6fKIiFI :2016/05/10(火) 07:18:11 .U7LOUZo0
投下します


782 : ◆Y8r6fKIiFI :2016/05/10(火) 07:21:10 .U7LOUZo0

「……やれやれ、困ったな……」

 魔神皇によって作られた、空虚な偽りの東京。
 その片隅、ビルの間に隠れるように男が立っていた。
 一見では、スーツやネクタイこそ派手に見えるが何の変哲もないサラリーマンだ。

 だがこの男の本質は、『ただのサラリーマン』などと一言で済ませられるようなモノではない。

 綺麗な女性の手首を性愛し、手の美しい女性を度々殺す。
 そしてその手首を切り取り、恋人として持ち歩く……。
 とある片田舎の町でただのサラリーマンと振る舞いながら、その裏で何人もの人間を殺してきた殺人鬼。
 異常者の側面と、平穏を望む植物のような暮らしを併せ持つ。
 スタンド使い、吉良吉影。

「身の危険だけじゃない……こんなコトに巻き込まれた以上、当然会社は遅刻、いや無断欠勤になるだろうし、最悪解雇されてしまうだろう……。
 ヘタをしたら、帰っても"失踪事件からの奇跡の生還者!"だとか、テレビで特集を組まれたりしてしまうかもしれない……。それは困る」

 その言葉は、命の危険がある場で抱く困惑としては、いささか間の抜けた感想であることは否定できない。
 だが殺人鬼でありながら同時に平穏に生きようとするこの男にとっては、少なくとも信条に関わる問題なのは、確かなのだ。
 それが脅かされる事態。吉良吉影は、見てわかるほどに苛立っていた。

「それに、優勝者に与えられるという"報酬"と、"魔神皇の片腕として働く権利"……そんなモノも要らないというのに」

 魔神皇の語った、勝者への報酬。
 それも吉良には不要であった。何事もない平穏な生活こそが望みなのだから、『何でも』叶える権利など必要がないし、必要あったとしてもこんなリスクには見合わない。
 あるいは平穏な暮らしを願う、というのも考えたが……同じことだろう、やはり。
 魔神皇の片腕として働く権利、など論外である。吉良の愛する平穏は遠ざかっていくことは間違いないし、何よりも吉良吉影は、あの杜王町を気に入っているのだ。
 例え本性に追いつかれる可能性を天秤にかけてでも離れたくないほどに。

(となると……"脱出する"しかないか……あの魔神皇にも……死んでもらわなきゃあならない……)

 ただ脱出するだけではいけない。それでは吉良の後の人生に不安が残る。
 ならば魔神皇を殺し、真の平穏を得る必要がある。
 できれば、この場所で吉良のことを知った者にも死んでもらいたいが――

「とはいえ……私がそれで危険に晒されては、元も子もない」

 言うまでもないことだが。
 あのような危険な相手は、誰かに倒してもらうのが一番いい。
 まさかあのように一方的に呼びつけられて、反感を覚えたのは吉良一人だけではあるまい。
 となると、友好的に接せる相手には友好的にしておき、魔神皇と戦ってもらうのが利口な話だ。
 無論、殺せるものなら吉良直々の手で殺してしまいたいものだが。

「……それに、考えてみれば、悪くないところもある。この場所で邪魔な相手を殺しても、殆どの人間は気にも留めない……。
 爪も伸び始めてきたところだ……上手くやれば、負債を残さず帰れるかもしれないな」

 如何に平穏を求める気質を持っていようと、吉良吉影の深層が殺人鬼であるコトは変わりない。
 この場は、公に殺人が許される――というより、一人や二人を殺したところで、その他の多くの殺人に覆い隠されてしまうであろう場。
 この先の『出会い』を思って、吉良は口元に笑みを浮かべた。

「おっと……そういや、『悪魔』……とやらがこの中に入っているんだったな」

 手元にあった『COMP』と呼ばれる機械を、改めて彼は見つめた。
 悪魔が信用できるかは怪しい話だが……手をつけないわけにもいかない。
 最悪の事態を想定し、己のスタンドを構えながら、吉良はCOMPを操作した。


「……おかあさん?」
「……うん?」

 ――女性の手を切り取る殺人鬼、吉良吉影。
 彼の元に最初に現れた悪魔は、『母親の胎内に帰ること』を目的に夜な夜な女性を切り裂いて殺した悪霊だった。


【?????/1日目/朝】
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、確認済み支給品(1)
[思考・状況]
基本:
※参戦時期は少なくとも川尻浩作になる前です
[COMP]
1:ジャック・ザ・リッパー@Fate/Apoclypha
[種別]亡霊
[状態]平常


783 : ◆Y8r6fKIiFI :2016/05/10(火) 07:21:29 .U7LOUZo0
投下終了です。


784 : ◆Y8r6fKIiFI :2016/05/10(火) 07:25:03 .U7LOUZo0
っと申し訳ない、>>782のタイトルは「母親」です。
あと、吉良の基本行動方針をステータスに明記していなかったのでWikiに収録する際に書き足しておきます。


785 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 09:35:08 cVli6ZHY0
皆様投下乙です!!

>>769
エンジョイアンドエキサイティング!!
殺し合いを謳歌する二人が、出会ってしまいましたね……

>>773
誰もが認めるヒーロー! 
燃え上がる正義感で、どこまで渡っていけるのか……

>>776
なかなかパロロワでは見ない「奪う」というスタンス。
殺し合いに乗らないとは言い切っていない分、怖いですね。

>>779
なるほど、働いたら負け……確かに。
でもなんかしらは働かないと……w

>>783
平穏に暮らしたい男来た!
殺人鬼コンビ、これからどう動くかはわかりませんが、恐ろしい……

さて、自分も投下します。


786 : 喧嘩 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 09:35:26 cVli6ZHY0
「おもしれェじゃねえか……」

 力強く拳を握り、笑う。
 派手な金髪、ピアス、龍が描かれた紫のシャツの、見るからに柄の悪そうな風貌の男。
 上海の人間からは"神武(シェン・ウー)"と呼ばれて恐れられている、喧嘩師だ。
 彼の生きがいはいたってシンプルだ。
 それは、自分よりも強いものと戦う事。
 故に彼は今、胸の高鳴りを抑えることが出来ずにいる。
 この場に居るであろう、未だ見ぬ強者。
 それだけではない、行きつく先には圧倒的強者である「魔神皇」が待っている。
 そんな彼らと戦えることを、この上なく至福に思っているからだ。
 だから、この場でやることなど、初めから決まっているのだ。

「……っと、そうだそうだァ」

 そこで、彼は思い出す。
 先ほどの場所、そこで魔神皇が言っていた"悪魔"の存在。
 魔神皇は"友"となり得る存在を封じ込めたと言ったが、彼にとってはそれはどうでも良かった。
 寧ろ、襲い掛かられたほうが都合がいいとまで考えていた。
 そう、"悪魔"。
 その言葉から想像できるのは人間を超えた存在、つまり、"強者"。
 それを呼び出せるのに、どうして戦わずにいられようか。
 そんな高ぶる気持ちを押さえられないまま、シェンは透明に輝く宝石を握りしめて、天へと拳を掲げる。
 ピカッ、と拳から漏れだす光を見ながら笑みを浮かべて。
 シェンは、"悪魔"が現れるのを待った。

「こんにちは! ボク、はぐれメタルのはぐりんです!」

 声が聞こえるや否や、シェンは問答無用で拳を振りかぶる。
 現れたと思いきや拳を振りかぶられたことに、驚き戸惑い動けないはぐりん。
 そんなことも知らず、シェンは一気に拳を振りぬいた。

 ずしん、と大きな音が鳴り響く。
 真っ直ぐに伸ばされた腕、握られた拳。
 そして微動だにしない、できない、はぐりん。

「ッ!! テメェ……ッ!?」
「び、びっくりした……」

 手加減などしていない、渾身の一撃。
 それを避けるまでもなくいとも簡単に受けきられたことに、シェンは驚愕の表情隠しきれない。
 すっと拳を引き、シェンははぐりんへと話しかける。

「見かけによらず頑丈じゃねえか」
「えへへ……ボク、メタルだから。あと、すばしっこいのも自慢だよ!」

 メタル? つまり金属ということだろうか? にしては固すぎる。
 などと考えるも、細かいことはどうでもいいかと思い、その考えを振り払う。
 そして、まだ能天気な顔をしている悪魔に向けて、シェンは。

「……面白えぜ」

 思い切り、頬を歪めて。

「よし、決めた。俺はこの場所でもっともっと強くなってやる。お前に、俺の拳が通るくらいにな」

 指をさしながら、高らかに宣言した。

「ええっ、つまりボクはキミと戦わなきゃいけないってこと?」
「いずれは、だ。それまで死ぬんじゃねえぞ」
「うーん……気は乗らないけど、サマナーの君が言うなら、仕方ないね」

 その宣言にはぐりんは難色を示すも、断る理由もそう見当たらない。
 向上心があることはいいことだ、なんて言葉も昔に聞いたことがある。
 だったら、彼の夢を応援してやろう。

「じゃあ、ボクはキミが生き残れるように、精一杯頑張るよ! お手伝いさせてね!」
「ああ、勝手にしな。足だけは引っ張んじゃねえぞ」

 いずれ戦うことになることだけは、ちょっぴり悲しいけれど。
 それでも、何かに向かって一生懸命になるその姿が眩しくて。
 はぐりんは、その後ろについて回ることにした。

「さあ、喧嘩の時間だ……!!」

【?????/1日目/朝】
【シェン・ウー@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(宝石型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:強い奴と戦い、はぐれメタルに一撃を与える
[COMP]
1:はぐりん(はぐれメタル)@ドラゴンクエストシリーズ
[種族]:秘神
[状態]:健康


787 : 喧嘩 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 09:36:24 cVli6ZHY0
以上で投下終了です。
皆様のご投下のおかげで200も越えそうですので、200以降のページも作っておきます。
期限はまだまだあるので、どしどしご投下ください!


788 : オーガッッ! ◆mcrZqM13eo :2016/05/10(火) 13:04:57 8qTCwFOc0
投下します


789 : オーガッッ! ◆mcrZqM13eo :2016/05/10(火) 13:05:24 8qTCwFOc0
小学校の屋上で女は猛っていた。女の周りの空間が、女の鍛え上げられた肉体から立ち上る怒気でねじ曲がる程に。

「ヤロウ……晩飯の支度が有るというのに」

日焼けした顔を鬼(オーガ)の如く歪ませ、猛る

走って三十分程の所に有る牧場から黒毛和牛を強だ……調達し、もう一度息子とその友人に振舞おうと思っていた矢先にこれだよ!!

「牛ッ!!?」

唐突に叫ぶ。どうやら牛が無くなっていることにようやく気付いたらしい。
ギリギリと奥歯を噛み締める女は、おもむろに右拳を振り上げた。
右腕の筋肉が膨れ上がり、鋼の如く硬く、強くなっていく

「邪ッッ!!チェエエエエリャアアアアアッッッ!!!」

降りおりした右拳がコンクリートの床を砕き、屋上そのものを
崩壊させるッッ!!

「エフッエフツ」

四階の教室に降り立った女は、粉塵の中、奇怪な笑声を漏らした。

「お仕置きだ…」

魔人皇に対する宣戦布告。そして女はいつの間にか持っていたたま⚪️っちを見た。

「邪ッッ!」

取り敢えず赤いボタンを押すとたま⚪️っちが光だし、COMPに入っていた悪魔が姿を現すッ!

「ほう…い〜い雌(オンナ)が居るじゃねえか」

現れたのは鬼(オーガ)女に劣らぬ体躯を持つ赤毛の男。

暫し両者は見つめ合い。

「「キャオラッッ!」」

繰り出すのは共に右拳ッ!放つタイミングも同じッ!二つの拳が同時に互いの顔面に吸い込まれッ!

ニタァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

二人は同時に笑みを浮かべた。




【?????/1日目/朝】
【花園勇花@浦安鉄筋家族シリーズ
[状態]:健康・激怒
[装備]:COMP:たま⚪️っち型
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:
1.魔神皇をお仕置きするッ!
2.さっさと帰って晩飯を作るッ!
3.牛ッッ!
[COMP]
1:範馬勇次郎@バキシリーズ
[種族]:鬼(オーガッッ!)
[状態]:健康


790 : オーガッッ! ◆mcrZqM13eo :2016/05/10(火) 13:06:15 8qTCwFOc0
投下を終了します


791 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/10(火) 13:33:26 RRdVAPKg0
二本投下します


792 : 戦闘者と傍観者 ◆7PJBZrstcc :2016/05/10(火) 13:34:05 RRdVAPKg0
「なかなか面白い事を考えるな」

 殺し合いの会場で一人の男がそう呟く。
 男の名は後藤、一見すると普通の人間にしか見えないそんな男だ。
 だが実際は人間に寄生し、人間を食べるパライサイトという生物が寄生している。
 それも、通常なら一体の所を5体寄生している特別製である。
 そんな後藤はこの殺し合いに乗り気だった。
 何故なら、後藤にとって戦いは生まれてきた目的意味だからだ。
 それに優勝賞品である願いには興味がないが、魔神皇の右腕というのは悪くないかもしれないと思っている。
 こんな事を考える奴だ、人を食料とする存在に抵抗はないだろう。
 奴に着けば効率的に食事ができるかもしれない。
 ならば早く行動しよう、と思った所で後藤は一つ懸念を思い出す。

「悪魔、か……」

 戦いは自分でしたい後藤としては、邪魔になるかもしれない代物だ。
 だが呼び出さなかった時、魔神皇は何を思うのだろうか。
 魔神皇がどんな理由で悪魔を支給したかは不明だが、奴なりにメリットのある事なのだろう。
 ならば呼び出した方がいい、魔神皇の意表を突く道理はない。
 そう思った後藤は早速COMPを起動し悪魔を呼び出す。

「初めまして、リュークだ」

 現れた悪魔は人型であるものの、猫背で全身黒色に覆われている明らかに人間とは言えない存在だった。
 そんな事は気に留めず、後藤はリュークに話しかける。

「リュークか。最初に言っておく、俺の戦いの邪魔をするな」
「?」
「俺は自分が生まれてきた目的は、戦う事だと思っている。
 悪魔という未知の存在が俺を楽しませてくれると思っている」
「だから邪魔するなってか? いいぜ別に」

 リュークの了解があっさり得られ、少々拍子抜けする後藤。
 そんな後藤を気にせずリュークは話をつづける。

「元々俺はお前が何を言おうと協力するつもりなんかなかったんだ」
「……何故だ?」
「死神なんてそんなもんだ。人に肩入れしたら死んじまう」
「死神? 悪魔じゃないのか?」
「悪魔だ。神も天使も英雄もあの魔神皇にとっては皆悪魔だ」
「ほう?」

 そのリュークの言い分は若干気になったものの、それを気にしても特に意味はないと思い後藤は歩き始めた。
 それをリュークが後ろから追いかける。

「なあ後藤、所でお前行くあてあるか?」
「別にないが」
「なら果物屋かスーパーに行ってくれよ。今のうちにリンゴ食っときたいんだ、いいだろ?」
「……それより、何故お前は俺の名前を知っている」

 後藤としてはそれを聞く道理は無かったが、他に行きたいところがある訳でもないのでリュークの希望を聞いてやることにした。
 リュークに、今一番気になる事を質問しながら。


【?????/1日目/朝】

【後藤@寄生獣】
[状態]:健康
[装備]:携帯型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを楽しむ
[COMP]
1:リューク@DEATH NOTE
[種族]:死神
[状態]:健康


793 : 正義の味方なんて ◆7PJBZrstcc :2016/05/10(火) 13:35:02 RRdVAPKg0
 どうしてこんなことになったんだ。
 サンゴッドVの一員として三重県の平和を守ってきたのに。

 俺のロボットサンゴッド3は他と違っていた。
 1と2は空や大地をかっこよく駆けていたのに俺だけ何かおかしくて腑に落ちなかった。
 しかも1と2だけで合体するから、サンゴッド3だけ必然的に一台余り、合体からはぶられた。
 おまけに何か1と2のパイロットは付き合ってるっぽかった。
 前歯がKONAGONAになるまで歯ぎしりしてしまった。

 家に帰ればお母さんが合体しない事を聞いてきて、思わず八つ当たりしてしまうし。
 心が日に日にささくれていたら、あきらかに1と2のパイロットが抱き合ってたし。
 それがターニングポイントだったんだろう。

 それからは丑の刻参りの日々だ。
 真冬も耳あてをして丑の刻、クリスマスにもパーティとして丑の刻。

 そんな事をしていたら、いつの間にかサンゴッドVに討たれる悪になってしまった。


 だから俺はこの悪魔が羨ましいのかもしれない。
 愛と勇気しか友達がいなくても、みんなのために戦えるこの悪魔が。


【?????/1日目/朝】

【リュウ@超合体戦士サンゴッドVオープニングテーマ(ギャグマンガ日和)】
[状態]:健康
[装備]:丑の刻用わら人形型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:果てしない憎しみの炎は消えることは無い……?
[COMP]
1:アンパンマンのマーチ@ドリーミング
[種族]:正義
[状態]:健康


794 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/10(火) 13:35:40 RRdVAPKg0
投下終了します。
楽曲モチーフとはこんな感じでいいのでしょうか


795 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 13:59:46 cVli6ZHY0
投下乙です

>>790
オーガッッッッッ!! 出会うはずのない二人が出会ったッッッッッ!!

>>792
リュークは相変わらずマイペース、リンゴが食べたいらしい。
そして後藤側からすれば、確かにそこは気になるよね……

>>794
楽曲モチーフはそんなかんじで大丈夫です!
しかしアンパンマンのマーチ、どんな悪魔なんだ……


796 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 18:21:07 cVli6ZHY0
三作投下します


797 : 既視 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 18:21:29 cVli6ZHY0
「……むう」

 全身を包み込むマントと紫を基調とした和服に、白いオールバック。
 その妙齢の男の名は、不律。
 ビルの立ち並ぶ都会には、少し似合わぬ風貌のそんな男は、険しい顔をしていた。
 突如として招かれた、殺し合いという地獄の舞台。
 人々を殺し合わせる異様な催しもさることながら、彼は一つの違和感を感じ取っていたのだ。

「あの紫の光……電光機関か?」

 そう、あの少年が放った、光についてだ。
 常人のそれからは逸している能力、それを可能にしうる技術に、心当たりがある。
 色合いといい、雷のように迸ったことといい、共通点が多すぎる。
 しかし、何の変哲もないただの少年が、軍秘である電光機関を手にできるだろうか?
 答えはノーだが、電光機関を手にした複製體から入手したとすれば、ある程度は合点がいく。
 それに、他人を呼び出す力というのは、電光機関のそれを外れている。
 ならば、電光機関の力ではなく、それを超える、もっと別の何か――――

「ここでデンケンしていても仕方がないか」

 考えるのを一度やめ、後回しにしていたことへ取り掛かる。
 ここに連れてこられた時点で武器の類は全て奪われていた。
 幸い、旧式の電光被服は袋に詰められていたが、愛用の刀は奪われたままであった。
 

「致し方ない」

 そういって取り出したのは、一本のオールであった。
 彼が中国へと渡ろうとしていた時に使っていたものと、よく似ている。
 刀ではないが、しばらくはこれを武器にするしかない。
 ものは試し、刀に見立てたうえで一度振りかぶってみる。
 すると、振り下ろしたオールの先から、わずかに光が漏れだしたのだ。

「ぬぅ……?」

 訝しんでいるうちに光は強くなり、やがてビームのように射出される。
 予想もしていないことに思わず驚くが、彼の驚きはそれだけでは終わらなかった。
 そう、光が伸びた先。そこに立っていたのは、一人の少女だったからだ。

「……おじいちゃん?」

 少女は、現れるや否や、そう呟いた。
 それから、まじまじと不律の顔を見て、ふるふる、と顔を横に振る。

「ううん、なんでもない。ごめんなさい、似てもない人に、突然……」
「構わぬ、儂も……もうこのような見かけじゃからな」

 どうやら、誰かを自分に重ねていたらしい。
 それを察して、不律は優しい言葉をかける。
 しかし、この突然現れた少女は、一体何者か。
 そう思ったとき、魔神皇の言葉を思い出す。
 悪魔、そしてCOMP。
 まさか、このオールがCOMPで、少女が悪魔だというのか。
 俄かには信じられないことだが、そうであると認めざるを得ない。

「私はクルル、本名は長いから、クルルでいいよ。よろしくね、おじいちゃん」

 そんなことを考えているうちに、クルルと名乗った少女の方から手が差し出される。
 ひとまず、それを握り返しながら、不律は今後のことを考えていた。

【?????/1日目/朝】
【不律@アカツキ電光戦記】
[状態]:健康
[装備]:COMP(オール型)、旧式電光被服
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:状況をみて判断
1:刀の調達
[COMP]
1:クルル・マイア・バルデシオン@FINAL FANTASY5
[種族]:英雄
[状態]:健康


798 : 標準 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 18:21:56 cVli6ZHY0

 そんなことより聞いてくれよ。
 え? 俺? 俺はしがない洞窟探検家、人は"スペランカー"って呼ぶ奴だ。
 って、俺のことはどうでもよくて、問題なのは俺の扱いね。
 やれジャンプ力が低いだとか、やれコウモリのウンコに当たっただけで死ぬとか言われるけどよ、お前ら冷静に考えてみろ?
 おかしくないか? 自分の身長の何倍もジャンプする人間の方がおかしくないか?
 トランポリンはおろかロイター板もないのに、自分の身長を軽々超えるほどジャンプする方がおかしいだろ?
 照明弾のかけらだって、打ち所が悪けりゃ人は死ぬ。爆風なんてもっての他だ。
 普通の人間なら幽霊に触れたりなんかすりゃそりゃもうお陀仏よ、わかる?
 だから、俺のことを指さして「貧弱wwwww」とかいう方が間違ってるわけで。
 俺はそういうことをもっと声を大にして言いたい。俺が弱いんじゃなくて「他がおかしい」
 至って普通の体質だし、至って普通の人間だ、他の連中がおかしいんだよマ○オとか。
 分かったか? ほーん、その顔は納得行かないって顔じゃねーか。
 ああ? なんか文句あんのか? おお?
 だったら人間、ないし人類のスタンダードは俺だっていうのが知れ渡るまで…………



 人類のスタンダード? そんなものは存在しない。

 人類という存在は、チャック・ノリスの一部に過ぎない。

 チャック・ノリスだけが、人類なのだ。



【?????/1日目/朝】
【スペランカー@スペランカー】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:世の中の扱いに対し不満を示す
[COMP]
1:チャック・ノリス@都市伝説
[種族]:伝説
[状態]:健康


799 : 決断 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 18:22:21 cVli6ZHY0

「で、だ。アンタはどうするんだ」

 だんっ、と机に脚を乗せ、ぶっきらぼうに問いかける男。
 軽装の服、跳ねた髪、ぎらついた瞳、その全てが黒の男の名は、リロイ・シュヴァルツァー。
 通り名は"黒き雷光"、あるいは"疾風迅雷のリロイ"。
 どうということはない、傭兵の一人だ。
 だが、その並々ならぬ身体能力は、所属していた傭兵ギルドだけでなく、ありとあらゆる場所で噂になっていた。

 そんな噂が具現化した彼を呼び出したのが、机を挟んで向かい合う少女、麻宮アテナだ。
 世界的にも有名なアイドルとして働く傍ら、超能力を使う格闘家としても活躍している。
 そして今回、魔神皇の手によりこの殺し合いの場へと招かれ、人殺しを命じられた一人。
 何より、リロイにとっては、自分を呼び出した"召喚士"である。
 だが、リロイは彼女の煮え切らない態度に少し苛立っていたのだ。

 聞けば、殺し合いに乗るつもりはなく、魔神皇が恐ろしかろうと人殺しをするつもりはないらしい。
 大したもんだと見上げていたら、なんと他人の殺人まで止めたいと言い出したのだ。
 それがどういう意味かなんてのは、考えなくてもわかる。
 やる気満々、今にもぶち殺してやるといった姿勢で挑んでくる相手に対し、自分は命を奪わず無力化させるなんて甘っちょろいことを言っているのだ。
 自分は概念であるし、呼び出された召喚士がどこでくたばろうが別に関係はない。

 それは分かっていても、彼女の方針には口出しをせずにはいられなかった。

「死にたくはない、人殺しもしたくない、それは結構。だが、そこに"他人を止めたい"っていう話が加わってくるなら、話は別だ」

 まくしたてるように口を動かすリロイに対し、アテナは俯いたままその言葉を一身に受け止めている。
 リアクションを示さないことにさらにイラついたのか、リロイは体を起こし、アテナに指を突きつけながら口を開く。

「もし本当に"止めたい"なんて思ってるなら、殺す気でやれ。向こうはお前の命がどうなろうと知ったこっちゃないだろうからな」

 ほんの少しの、静寂。
 少しきつく言い過ぎたか、とリロイが反省の色を示そうとした時だった。

「……でも、私は――」
「だったら"死にたくない"ってことを諦めるんだな、死ぬ気でやれ。魔神皇に屈したくないっていう気持ちを、行動で表せ」

 続く言葉は、聞かなくともわかる。
 彼女の願いは、両立できない願いであることは、戦いに身を置く自分が良く知っている。
 死ぬ覚悟がない人間は、死ぬ覚悟のある人間に絶対に勝つことはできないのだ。
 それを知っているリロイの言葉に、アテナは再び俯いてしまう。
 やれやれ、とため息を吐きながら、リロイは更に言葉を続ける。

「まあ、悩めるうちに悩めばいい。今はまだ時間がある。
 それと、俺はお前が願うように動く、殺すといわれれば殺すが、殺すなと言われれば殺さない。不本意だがな」

 相手はクライアントじゃない。
 そこまで口をきいてやる義理など欠片もないことは、重々わかっている。
 けれど、どうしても口を出してしまうのは、やはり相手が女性だからか。

「だから、時が来たら決めろよ」

 最後にそう言って、リロイは椅子に座りなおす。
 アテナはまだ、動かない、動けない。
 天秤は、まだどちらも揺れているから。

【?????/1日目/朝】
【麻宮アテナ@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(カチューシャ型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:私は……
[COMP]
1:リロイ・シュヴァルツァー@ラグナロク
[種族]:超人
[状態]:健康
[備考]
※ラグナロクEX、ベトレイヤー前あたりです。


800 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/10(火) 18:22:37 cVli6ZHY0
以上で投下終了です。


801 : 名無しさん :2016/05/10(火) 18:41:45 SKjrj9Ys0
>>799
リロイ! リロイ!
相棒に裏切られる前か……ジェイスも欲しくなりますね。


802 : どうして居るの? ◆mcrZqM13eo :2016/05/10(火) 20:37:37 8qTCwFOc0
投下します


803 : どうして居るの? ◆mcrZqM13eo :2016/05/10(火) 20:39:05 8qTCwFOc0
「何故こんなところに居る?」

「私も聞きたい。どうして君はこの様な所に居る」

都内某所のBARで向かい合う黒いスーツの男と学生服の少年。

「お前がいるのは、あれかね?本来いる立場を狭間君に奪われたからか?」

「違うね。それに彼の名を呼ぶのはルール違反だ。以後、慎みたまえ」

黒いスーツの男に窘められ、少年は金色の目を細めた。

「気をつよう」

「それで、君はなぜ此処にいる?」

「面白い事をやっているから……と、しておこう」

「結構…それとさっきの質問だが…面白い存在が居そうだから……と、答えておこう」

懐かしそうに支給されたCOMPを摩りながら悪魔の質問に答える男。、

「外には悪魔がいるらしい。頼りにしているよ」

立ち上がる黒スーツ

「悪魔ならお前の専門だろう」

同じく立ち上がる少年

二人は互いに金色の目を相手に向け、視線を交わした、その目にあるのは互いへの関心のみ、魔神皇と名乗った少年の事は、意識の内には欠片も残っていなかった。


【?????/1日目/朝】
【ルイ・サイファー@真・女神転生シリーズ
[状態]:健康
[装備]:COMP:アームターミナル型
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:
1.参加者を見て回る
[COMP]
1:周防達哉@ペルソナ2 罰
[種族]:ペルソナ使い
[状態]:健康


804 : どうして居るの? ◆mcrZqM13eo :2016/05/10(火) 20:40:21 8qTCwFOc0
投下を終了します


805 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/10(火) 21:39:28 sR/2VzAM0
投下します


806 : サンダーボルト作戦 ◆NIKUcB1AGw :2016/05/10(火) 21:40:15 sR/2VzAM0
「私のボルトはさんびゃくまーん!」
「私は10億ボルトまでいけるけど」
「えっ」
「えっ」
「短い春でした……」
「ああっ、朝なのにどこからか夕日の光が!」


【?????/1日目/朝】
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:ガラケー型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:考え中
[COMP]
1:ナカイくん@南国少年パプワくん
[種族]:ナマモノ
[状態]:健康


807 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/10(火) 21:40:53 sR/2VzAM0
投下終了です


808 : ◆NLIMDCA4Nk :2016/05/10(火) 22:25:21 l5wc56Hw0
投下します。


809 : ◆NLIMDCA4Nk :2016/05/10(火) 22:26:27 l5wc56Hw0
 ディエゴ・ブランドーは、一際高いビルの屋上から、見知らぬ街を見下ろしていた。
 無造作に建てられた鉛色のビルが、どこまでも続いている。ビルの合間を縫って張り巡らされたハイウェイは、この東京の遥か外にまで続いている事だろう。何処で終わりが来るのかまるで計り知れない。
 いったいこれだけの街を作るのに、どれだけの時間と人員が費やされたことだろう。今は殺し合いの参加者しか居ないこの街で、本来ならば数え切れない程の人間が息せき切って働いているのだ。この街は、人ひとりと比べればあまりにも圧倒的過ぎる。
 ひとしきり街を睥睨したディエゴは、改めて『欲しい』と思った。
 あの魔神皇と名乗った東洋人は言った。生き残った者は、どんな願いでもひとつ叶える事が出来る、と。
 奴はこの殺し合いを催すためだけに、この膨大な面積の都市をひとつ、丸ごと会場にしたのだ。ディエゴに全く感知させる事なくこの場所へ飛ばしたことも考えれば、その力は本物なのであろう。
 それを思った時、不意に笑みが漏れた。
 口元を歪ませて、くつくつと笑う。

「……いいだろう。得体のしれない東洋人の言いなりになるのはオレの本意じゃあないが、戦えば負ける気はしない。やるからには勝つ。オレはそうやってここまで這い上がって来た」

 誰にともなく告げられた独白は、ビルの屋上を吹き抜けていく風にかき消されていった。
 魔神皇がディエゴの言葉に耳を傾けているのかどうかは定かではないが、聞いているのならば都合はいい。
 これは取引だ。魔神皇は常勝無敗の優勝候補をこの殺し合いへ雇い入れ、ディエゴは奴の力をとことんまで利用し尽くす。
 宣言した通り、やるからには勝つ。最終的に優勝するのは確定だ。その上で、魔神皇が本当にディエゴの望みを叶えてくれるというのであれば、それはそれで構わない。
 欲しいのは世界だ。この世界を丸ごと手に入れて、遥か上から虫のように地べたを這い蹲るカスどもを支配する。これはチャンスだ、どんな些細なチャンスもふいにはしない。使えるものは何だって利用してやる!
 それがディエゴ・ブランドーの人間哲学だった。


810 : ◆NLIMDCA4Nk :2016/05/10(火) 22:26:47 l5wc56Hw0
 
 最終的に魔神皇の存在が邪魔になるなら、その時はその時だ。邪魔者は始末すればいい。
 イギリスの最下層たる貧民街のそのまたどん底で、父の顔すらまともに知らずに育ったディエゴは、自らの力ひとつで上流階級にまで這い上がったのだ。この人生の下克上、その気になれば何処までも上を目指して行ける、そんな実感がディエゴにはあった。
 魔神皇がこの人生という名の路上に立ち塞がるならば、それすらも片付けて上を目指すのみ。
 天才ジョッキーと謳われ、富も名声も恣にしたディエゴだが、その程度では終われない。ディエゴの人生にこびり付いた劣等感を洗い流すには、こんなものではまるで足りない。

「この悲惨の『世界』さえも越えて……この場所よりも遥かに高く、とことん上からすべてを『支配』してやるッ!」

 傍らに寄り添う巨像――自らが召喚した悪魔は、まさしくその理想を体現する存在だった。
 物言わぬ黄金のスタンドに、ディエゴは『世界(THE WORLD)』と名付けた。『世界』こそが、すべてを統べる、支配者のスタンドに相応しい。
 スタンドとは本来ひとりにつき一つだ。既に『スケアリー・モンスターズ』を会得しているディエゴにしてみれば、正確に言えば『世界』は自らのスタンドとは言えない。一度召喚したが最後、実体化を解除する事も出来ない『悪魔』である。
 だが、その分リスクも小さい。『世界』へのダメージがそのままディエゴに反映される事もなければ、いざとなれば切り捨てる事だって出来る。
 妙に自分と『波長』の合うこのスタンドをそう簡単に切り捨てる気もないが、ディエゴにとって自分以外のあらゆるものは利用するだけの存在価値しか持たない。
 どんな手段を用いてでも優勝してやる、と胸中に強く思い描いて。
 漆黒の意志に燃える瞳で、ディエゴは眼下の街を見下す。

「最後に勝つのはこのDioだ……誰にも邪魔はさせない。見渡す限りのこの『世界』は……オレだけのために存在している」

 
【?????/1日目/朝】
【ディエゴ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険Part7 スティール・ボール・ラン】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ヘルメット型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:優勝し、すべてを支配してやるッ!
[備考]
※現代に生息する同姓同名の似たような境遇の存在のため、SBRレース参加者の知識はありません。
※現代に生息している(と描写のあった)SBRキャラとは面識があるかもしれません。
[COMP]
1:『世界(ザ・ワールド)』@ジョジョの奇妙な冒険第3部 スターダストクルセイダース
[種族]:スタンド
[状態]:健康


811 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/11(水) 00:28:52 Hv2HobQQ0
2本投下します


812 : 歌姫(?)二人 ◆NIKUcB1AGw :2016/05/11(水) 00:29:55 Hv2HobQQ0
「誰かいませんかー?」

無人の商店街を、仏頂面の少女が歩いていた。
彼女の名は初音ミク。
世界の音楽シーンに変革をもたらしたとまで言われる「ボーカロイド」の一人である。

「やっぱり誰もいないか……。ちょっと休憩しよう」

ミクはずっと、人を探して商店街を歩き回っていた。
しかし、誰一人として彼女の声に反応してくれる人間はいなかった。
若干の疲労を感じた彼女は、たまたま目に入ったベンチに座り込む。

(なんでも願いが叶う、かあ……)

ぼんやりと空を眺めながら、ミクは魔神皇と名乗った少年の言葉を思い出す。
願いと聞いて思い浮かぶのは、自分たちが暮らす町の人々だ。
一生懸命楽曲を作ってくれるプロデューサーたち。
ボーカロイドであろうとなかろうと、自然体で受け入れてくれる住人たち。
その全てが、ミクにとって宝物だ。
だが彼らとも、いつかは別れなくてはならない。それが自分の運命だ。
もしみんなとの時間を、永遠のものにできたら……。

(いや、そういうわけにもいかないよね)

自分の願いを、ミクは否定する。
いびつな方法で運命をねじ曲げるのは、やはりよくないことだ。
そのために他人を傷つけなければいけないのなら、なおさらだ。
運命は、自分で努力して変えてこそ意味があるのだから。

(よし、決めた。歌おう。私はボーカロイドだもんね)

歌には、人の心を動かす力がある。ボーカロイドとして活動し続けてきたミクは、そのことをよく知っていた。
あの魔神皇の心も、ひょっとしたら歌で変えられるかもしれない。

(そうなると……。まずPになってくれる人を探さないとなあ)

ボーカロイドは、自分で曲を作ることはできない。
作詞作曲するPがいて、初めて歌うことができるのだ。

(あ、そうだ。悪魔だっけ? もしかすると、曲を作れるようなのが入ってるかも。
 そうじゃなくても、人捜しの役には立つでしょ)

そう思い立ったミクは、支給されたネギ型COMPを操作して悪魔を召喚する。
すると彼女の眼前に、二頭身の少女が出現した。

「やあ……」

挨拶を交わそうとしたミクであったが、その瞬間何かを第六感で察知して大きくのけぞる。
その直後、彼女の眼前をネギが通過していった。

「はちゅねまして! って、鼻ネギがかわされた! やるね、お姉さん……!」
「ふふ……そっちこそね……」

こうして、二人の間には瞬く間に友情が芽生えた。
なお、彼女達がお互いにやたら共通点が多いことに気づくのはもう少し後のことである。


【?????/1日目/朝】
【初音ミク@週刊はじめての初音ミク】
[状態]:健康
[装備]:ネギ型COMP(食べられません)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:歌で殺し合いを止める
1:Pになってくれる人を探す
[COMP]
1:はちゅねミク@はちゅねミクの日常 ろいぱら!
[種族]:電霊
[状態]:健康


813 : 強欲なやつら ◆NIKUcB1AGw :2016/05/11(水) 00:31:13 Hv2HobQQ0
とあるケーキ店の厨房。
ここに殺し合いの真っ最中だというのに、のんきに鼻歌を歌いながらケーキのカタログをめくっている中年男性がいた。

「本当は一つケーキでも作りたい気分だが……。材料がないのでは仕方ない」

誰に聞かせるのでもなく、男は呟いた。

男の名は、鴻上光生。
世界的な大企業である鴻上ファウンデーションの会長だ。
そして彼は、何よりも「欲望」を重んじる変人であった。

「さて……魔神皇くん。聞いているかね? まあ聞いていなくても、勝手にしゃべらせてもらおう。
 これだけ大がかりなことをやってのける君の欲望は、かなりのもののようだ。
 だが、いただけないね!
 人を殺すということは、それだけ生まれる欲望が減ってしまうということだ。
 ゆえに私は、君の欲望を許容できない」

鴻上はそれが心からの欲望から来る行為なら、たとえ犯罪でも肯定する男だ。
だがそんな彼でも、許せない欲望があった。
それは他者の欲望を潰すことになる、殺人や破壊行為だ。

「はっきり言おう。私は君の敵になる。
 必ずやこの殺し合いを破綻させてみせよう。私の欲望に誓ってね!」

しゃべり終わるとほぼ同時に、鴻上はCOMPのボタンを押す。
それに伴い、彼に支給された悪魔が勢いよく飛び出してきた。

「俺はホムンクルス・強欲のグリードだ。よろしく頼むぜ、旦那」

悪魔の自己紹介を聞き、鴻上は嬉しそうに笑う。

「いい名前じゃないか。ハッピーバースデー! 新しいグリードくんの誕生だよ!」


【?????/1日目/朝】
【鴻上光生@仮面ライダーOOO】
[状態]:健康
[装備]:自走式自販機型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを破綻させる
[COMP]
1:グリード@鋼の錬金術師
[種族]:造魔
[状態]:健康


814 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/11(水) 00:32:03 Hv2HobQQ0
投下終了です


815 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/11(水) 01:40:41 6CFdxdkw0
投下します。


816 : 弱い少女じゃいられない ◆yaJDyrluOY :2016/05/11(水) 01:41:56 6CFdxdkw0
(わけがわからないよ……どうすればいいの?)

 不二咲千尋は混乱の渦に飲まれていた。
 超高校級の生徒達だけが入学することを許される『希望ヶ峰学園』、千尋はそこに超高校級のプログラマーとして入学することになっていた。
 入学式の日、校舎を目の前に希望に胸を膨らませながら、千尋は一歩を踏み出した――はずだった。

『君たちに、最後の一人になるまで殺し合いをして貰う』

 気づいた時には体育館の様な場所で白い服の男子に殺し合いの説明をされていたのだ。
 希望への一歩は、全く正反対の絶望へと繋がってしまったのだ。

「ここに、何か入ってるのかな」

 千尋は取り敢えず男子の説明通り、COMPという物を探すことにした。
 唯一の手がかりは自分のすぐ隣に投げ出されていたバックパックだ。
 チャックを開いて中を見ると、一般的なサバイバル道具の他にノートPCが入っていた。
 バックパックからPCを取り出してみると、それはずっしりと重たい。
 それなのに、バックパック自体は妙に軽かった、他にも水などが入っているにも関わらずだ。
 
 取り出したPCを開くと、千尋は少し安心することができた。
 超高校級のプログラマーである彼は日夜PCに触れているためか、一時的に日常に帰ってきたかの様な感覚になれたのだ。

「これに、詳しい情報とか……悪魔が入ってるんだよね」

 起動ボタンを押すと、画面が発光する。
 10秒と掛からず起動を終えると、デスクトップには『地図.jpg』や『名簿.txt』などが並んでいる。
 しかし、やはり一番目に付くのは――『悪魔召喚プログラム.exe』。
 超高校級のプログラマーとしての血が騒ぐが、自制してプログラムの解析は諦める。
 オカルト要素は全くの素人であるため、下手を打って不利になるのは避けたかったのだ。

 ダブルクリックでソフトウェアを開く。
 開かれた画面には『初回限定無料召喚 ※二回目以降は5000マッカ必要です』と描かれている。
 千尋は、まるでソーシャルゲームのガチャみたいだな。と思いながら、迷わず召喚ボタンを押した。
 画面が強く光ったかと思うと、今度は辺りが土煙にまみれる。

「ゴホッ、ゴホッ」

「おっと、済まないお嬢さん。少し登場が荒っぽかったようだ」

 土煙が晴れ、声の正体が姿を表す。
 それは、2m近い身長の筋骨隆々な男であった。
 ただ、金色の肌と瞳孔のない緑の瞳が、否が応でも彼が人間ではないと認識させる。
 初めて見る悪魔が想像よりも割りとマイルドな見た目であり、態度も極めて紳士的だったことから千尋は辛うじて平静を保つことができた。

「ゴホッ……だ、大丈夫です。あ、悪魔……さん?」

「申し遅れてすまない、我が名はキントレスキー。筋肉のトレーニングと強敵との真っ向勝負を信条にしている」

 筋トレが好きだからキントレスキーというそのまんまな名前に千尋は笑いそうになり、しかし悪魔の名前を笑うと危険そうなので必死に堪えた。
 そのことが功を奏したのか、千尋は身が強張るほどの緊張が無くなっていることに気づいた。


817 : 弱い少女じゃいられない ◆yaJDyrluOY :2016/05/11(水) 01:43:35 6CFdxdkw0
「いきなり殺し合えと言われて不安なのは分かる。だが、そんな時こそ慌てず積極的に動くのだ。筋トレからも分かるように、綿密な下準備や情報収集は決して裏切ることはない」

 千尋の不安を読み取り、例を踏まえてキントレスキーはアドバイスを施した。
 その言葉は確かに正論であり、混乱している千尋の頭にもスッと入ってくる。
 元々筋肉質の男性的な身体に憧れを持つ千尋は、少しずつキントレスキーを信頼し始めていた。

「悪魔同士の戦いならば私は負ける気など無いが、サマナー同士となればお前の様な少女では……ムッ!?」

 千尋の戦闘能力を品定めしていたキントレスキーは、話の途中で何かに気づき大声を上げた。

「その足の脂肪の付き方、肩幅に喉仏……服は女性物だが――お前、男だな?」

 図星を突かれ千尋の肩がギクリと大きく跳ねる。
 男に見えない程の小さく華奢な身体と、それを隠すための女装。
 それは千尋の一番知られたくない秘密であった。

「な、なんでわかったの……?」

「人体の構造をよく理解していれば分かることだ」

 今まで誰にも看破されなかった事を、この悪魔はいとも容易く見抜いたのだ。
 千尋はやはり人間とは根本的に違う存在なのだと再認識した。

「いかん、いかんぞ! 仮にも男子がそのような軟弱な身体で、あまつさえ女性に偽装するとは」

「ち、違う! ボクだって、好きでこんな格好をしてるんじゃ、ないよ……」

 怒りを露わにするキントレスキーに、千尋も怯まず言い返す。
 女装の件は千尋にとっても譲れない一線なのだ。
 そんな態度に一筋の光明を見出したキントレスキーは、千尋に対して更に追求を深める。

「ならばなぜだ」

「だってボクは弱いから……いっそのこと女の子なら“男のくせに”なんて言われないから……」

 男は弱くてはいけない、ならば女ならば弱くても良い。
 悩みの末に、千尋はそんな歪んだ結末に至ってしまったのだ。

「お前は男としてそれで良いのか?」

「ボクだって、変わりたいよ。いつまでも″ウソに逃げている弱い自分″を壊したい……!」

 しかし、千尋には男として認められたいという願望も強く存在していた。
 受動的ではあるが、弱い自分を変えてくれる――そんな機会をずっと待ち望んでいたのだ。

「良いだろう、お前は私が鍛えてやる。私の知る少女達も、鍛えた事で私を超える戦士になった。男のお前ができない道理など無い!」

 こうして、COMPから呼び出された悪魔と一部の分野では超人的な才能を持つ少年が、一時的な師弟関係を結ぶこととなった。
 たった72時間だけの短い時間だが、少年は何を得るのだろうか。
 早くも精神的にちょっぴり強くなった少年のバトルロワイヤルが、今――始まる。



【?????/1日目/朝】
【不二咲千尋@ダンガンロンパ】
[状態]:健康、少しの自信
[装備]:COMP(ノートパソコン型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:少しでも強くなるために、生き残る。
[COMP]
1:キントレスキー@ふたりはプリキュアSplash☆Star
[種族]:ダークフォールの住人
[状態]:健康


818 : ◆yaJDyrluOY :2016/05/11(水) 01:43:59 6CFdxdkw0
投下終了です。


819 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/11(水) 04:00:58 q5a6EXVU0
投下します


820 : 東方壊鍵盤 ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/11(水) 04:01:58 q5a6EXVU0


「ほわああああああああああアアアアアアアアァァァあ!!!!」


 絶叫しながら走る少年
 かなりの肺活量を必要とするその行為は見た目小太り気味でメガネの少年には似つかわしくないものだった
 彼の名はキーボードクラッシャー
 一時期ある業界で大ブームとなり、今も様々なうp主によってニコニコ動画やYoutubeで活躍している人物である
 クラッシャーはその怒濤の叫びで動画視聴兄貴たちの腹筋を崩壊させてきた。そして今も叫んでいた
 
 今のクラッシャーはいきなり殺し合いしろとか言われて絶賛パニックに陥り、走り回っている状況である
 もちろん自殺行為だ
 しかし彼はラッキーであった
 狂乱する道中他の参加者に出会わなかったことや、彼が物凄いスピードで走っていたのでそこらの野良悪魔も狙いを定めづらかったこと
 そして疲労により意外とすぐに冷静になった事も大きかった

「はぁ、はぁ、おちつけ……。倍数を数えろ……」

 1、19、31、29……何の倍数なのかはわからないが数えて精神を落ち着かせる
 落ち着いた所でふと、あの魔神皇とやらは悪魔がどうとかいっていた事を思いだし、ディバックからCOMPとやらを取り出す

「ってキーボードじゃねぇか!!!」

 クラッシャーのCOMPは彼の代名詞であるキーボードだった。因みにPCディスプレイの類いは無かった。キーボード単品だ
 見慣れたものが出てきてちょっと安心したクラッシャーは、悪魔とやらを呼び出してみることにした
 しかし鞄の中をどれだけ探しても説明書は見当たらなかった

「やっけくそ! やっけくそ、やっけくそぉお〜♪」
 
 仕方なくCOMPを地面に降り下ろしてみた
 半分本能のようなものに従った結果だ
 バギャッ!! と地面と直撃したキーボードの角から鈍い音がなる
 端から見たらキーボードを壊しているキチガイにしか見えない光景だったが、しかし奇跡的にそれがこのCOMPの使い方だったらしい
 軽い衝撃とともにキーボードにインストロールされていた悪魔召喚プログラムが発動。クラッシャーの悪魔が召喚された

 その悪魔はキョロキョロと可愛らしい動作で周囲を見回し、そしてクラッシャーと目があった  
 それは幼い少女で、目は赤、髪は黄色のボブ。白黒の洋服を身につけ、スカートはロングであった 
 予想外の悪魔の姿に驚くクラッシャーに、商事の悪魔は口を開いた

「ーー貴方は食べてもいい人間?」

「……っほわあああああああああああああアアアアアァァァァァァァあっ!!!」

 そうしてクラッシャーの狂乱は第2ラウンドを迎えた

【?????/1日目/朝】
【キーボードクラッシャー@ニコニコ動画】
[状態]:健康、興奮
[装備]:COMP(キーボード型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:死にたくない
[COMP]
1:ルーミア@東方project
[種族]:妖怪
[状態]:健康


821 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/11(水) 04:03:03 q5a6EXVU0
投下終了です


822 : 最強昆虫×2 ◆mcrZqM13eo :2016/05/11(水) 09:03:54 mPMfUXwM0
投下します


823 : 最強昆虫×2 ◆mcrZqM13eo :2016/05/11(水) 09:04:59 mPMfUXwM0
最強の昆虫は何!?

多種ある昆虫がルール無しで戦った時……

出来レースではなく何でも有りの殺し合いで戦った時

最強の昆虫は何か!?

今現在、最強の昆虫は決まっていない

その一端が、此度のロワで知れる事となる




「殺し合い…ゲゲルとは少し違う様だけど」

ビルの地下駐車場に佇む虚無そのものの笑みを浮かべる一人の青年。その眼差しの先、10m程の距離に冷たい眼差しの銀髪の少女。
少女のやたらと露出の多い格好にも、胸部の結晶体も、頭部の一対の触覚も、気に留めた風も無く青年は話し掛ける。

「君は僕をもっと笑顔にしてくれる?」

そう言って一歩、少女に踏み出した青年の姿が、黄金の装飾が施された白い装甲に覆われる。そのまま一足で間合いを詰め、少女の顔面に戦車砲すら豆鉄砲に思える剛拳を放つ。

轟く炸裂音。少女の右手がまっすぐ横に伸ばされ、僅かに後退する白い怪人。少女の手刀が怪人をよろめかせたなどとは誰も思うまい。

「ハハッ」

少女が崩れた怪人に追撃の手刀を放つも、怪人が拳で打ち払う。
そのまま組み合うと、二人の込めた力で足元の床が陥没し出した。

「ハハハハハハッ!」。

怪人は僅かに力を緩め、体を崩した少女をそのまま投げ飛ばす。
鉄筋コンクリートの柱を五本砕き、六本目に蜘蛛の巣上の亀裂を刻んで、ようやく止まった少女の身体が炎に包まれる。
同時に怪人も、少女の胸の結晶体から放たれた火球により燃え上がった。

「君となら…楽しいゲゲルができそうだ…取り敢えず、君より多く殺そう」

二つの炎が消えた時、其処には二人の無傷の男女が立っていた。


【?????/1日目/朝】
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ
[状態]:健康
[装備]:COMP:ベルトに組み込まれている
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本:
1.与えられた悪魔より期限内に多くのリントを殺す
2.悪魔をゲゲルが終わってから殺す
[COMP]
1:ゼットン@ウルトラ怪獣擬人化計画(月刊ヤングチャンピオン版)
[種族]:擬人化宇宙恐竜
[状態]:健康


824 : 最強昆虫×2 ◆mcrZqM13eo :2016/05/11(水) 09:05:37 mPMfUXwM0
投下を終了します


825 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 11:10:21 qKPbPtwg0
皆様投下乙です。

>>804
なんかいるんですけど……その状態で呼び寄せる狭間のスペックが大変なことになってる……

>>807
とてもつらい、ピカチュウでも泣いちゃうレベル

>>810
「奪う」「支配」魔神皇の持っている"モノ"に目を付ける参加者が多いですね。
持ちえない組み合わせにも、期待です。

>>812
ネギ型COMPは草不可避w 歌で止めるスタンスは歴代死亡フラグですが果たして……

>>813
ハッピーバースデーwwww 正義感なのか、なんなのか、面白いスタンス……

>>818
筋トレだ、筋トレは全てを解決してくれる。
72時間でどれだけ筋トレできるか……!!

>>821
落ち着け of 落ち着けって感じだ……落ち着け(マジレス)

>>824
これまた大変なコンビが出てきたぞ! どうなることやら……

さて、自分も投下します。


826 : 記憶 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 11:10:38 qKPbPtwg0
 都会の隅、古風な喫茶店、年季の入った黒のテーブル。
 クッキーを初めとした茶菓子と、上品な香りの漂う紅茶。
 外はいい天気、茶会には絶好の一日だ。
 けれど、紅茶を啜る少女の手はわずかに震えている。
 無理もない、まともな人間ならば、殺し合いを命じられることなど、人生で一度もないのが普通だ。
 彼女――――鳳凰寺風も、そんな人間の一人だ。
 異世界に飛んで、命を懸けた戦いに身を投じたことはあっても、他人を殺すことを良しとされる空間に放り込まれるのは、初めてだった。
 もう一つ、恐怖を感じる理由がある。
 初めの体育館のような場所で繰り広げられた、一方的な殺人。
 その手を下した魔神皇と名乗る少年の目に、風は既視感を抱いていた。
 そう、あれはあの時の、エメロード姫にもよく似た――――

 考えるのを、やめる。
 それを思い出してしまえば、また悲しい気持ちになってしまうからだ。
 ふと、そこで風はあることが気になる。

「光さんと海さんも、ここにいるのでしょうか……?」

 それは、風のかけがえのない友人のこと。
 共に異世界を旅し、楽しいことも、辛いことも背負ってきた、頼もしい仲間のこと。
 叶うことなら、彼女たちはこんなことに巻き込まれずにいて欲しい。
 そう思いながら、風は袋からあるモノを取り出す。

「これが……COMP……?」

 手にしたのは、きらきらと輝く緑の宝石。
 ぱっと見は、ただの綺麗な宝石にしか見えない。
 本当にこんな宝石で、"悪魔"を呼び出せるのだろうか。
 そんな疑問を抱きながら、何となく宝石を太陽に翳した、その時である。

「はろーっ!! えぶりわーん!!」

 突如として響いたのは、元気の良い大声。
 ビクッと体を震わせて驚きながらも、風は恐る恐る声のした方を向いてみる。
 すると、そこに立っていたのは、おぞましい悪魔などではなく、一人の可愛らしい少女だった。

「なーんや、アンタがウチの"さまなあ"かいな」
「えっ、あ、あの……」
「何や? "いんぐりっしゅ"で喋った方がええんか? きゃんちゅーすぴーくじゃぱにーず??」

 まだ驚きが拭えない風に対し、少女は一人で話を進めていく。
 サマナー、という単語が出てくるということは、やはり彼女は"悪魔"なのだろうが、脳の理解がどうにも追いつかない。
 総称としての"悪魔"だとは分かっても、それが幼い少女だとは誰が思えようか。

「しっかしえらいべっぴんさんやなー、この世界の一条あかりを以てしても、ちょっと嫉妬してまうわ」

 ふとした時に、流れで少女が名前を名乗る。
 その名前を風は聞き逃さず、そして素早く自分の記憶へと繋げていた。

「一条……もしや、あの陰陽師一族の一条家……?」
「お、なんや! アンタうちのこと知ってるんかいな!? そら話が早いわ、助かるぅ〜〜」

 一条という名字、そして彼女の服装。
 そこから推察される情報は、どうやら正解だったらしい。
 現世にもわずかながらに資料が残っている陰陽師の一族、一条家。
 まさか、その末裔ないし本人が、悪魔として呼び出されるとは思ってもいなかった。
 そんな存在をCOMPに閉じこめるだけの力がある男、魔神皇。
 その力は、どれほどのモノなのだろうか。


827 : 記憶 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 11:11:08 qKPbPtwg0
 
「そう、ウチこそが希代の陰陽師……見習い、一条あかりやで!!
 ウチが来たからには、アホンダラはギタギタのメッタンメッタンや!!」

 そんなことを考えている風をよそに、あかりは気分が良くなったのか、改めて名乗り直す。
 身振り手振りのその様は、年相応の少女と変わらないものであった。
 思わず、笑みがこぼれてしまう。

「何や、おもろいことでもあったんか?」
「いえ、そう言うわけでは。ただ、元気が貰えたので、それが嬉しかったんです」

 あかりの問いかけに、風は隠す事なくそのまま答える。

「……なんや、そう言われると恥ずかしいわ」

 その言葉の意図を読みとれたが故に、少し恥ずかしくなったのか。
 あかりは風から目線をそらし、こめかみの辺りを人差し指でぽりぽりと掻いていく。
 そんなあかりの様子にもう一度微笑みながら、風は手を差し出して彼女へと名乗る。

「風、鳳凰寺風です。よろしくお願いしますね、あかりさん」
「お、おう! ウチに任しとき! "そーぐっど"や!」

 何かが違うような英語を聞きつつ、二人はがっしりと握手を交わす。
 光と海が居なかったとしても、これでもう寂しくはない。
 新しい仲間と共に、魔神皇へと立ち向かえばよいのだから。

 もう、風の心に恐れはない。

【?????/1日目/朝】
【鳳凰寺風@魔法騎士レイアース】
[状態]:健康
[装備]:COMP(宝石型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇の打倒
[COMP]
1:一条あかり@月華の剣士2
[種族]:人間
[状態]:健康


828 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 11:11:24 qKPbPtwg0
投下終了です。


829 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 11:14:39 qKPbPtwg0
さらっと書いておいてアレなんですが、本編は同一世界でやっていこうと思っているので、
先ほどの投下みたいに既知の関係を作り出してもオッケーです。


830 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:36:52 qKPbPtwg0
五作投下します。


831 : 兄貴 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:37:12 qKPbPtwg0
「殺し合い、だと」

 黒のシャッポ、黒のサングラス、黒のスーツ。
 これでもかと黒に身を包む、大柄の男の名は"ウォッカ"。
 世界を股にかけ、暗躍する犯罪組織、"黒の組織"の一員だ。
 そんな彼もまた、今回の殺し合いに巻き込まれた人間の一人だ。
 彼もまた、他の人間と変わらず、この状況に焦っていた。

「別に、構いやしないが……問題はそこじゃねえ」

 しかし、彼が焦っている理由は、そこではなかった。
 黒の組織の存在を知る人間は数あれど、その正体および組織の人間の居場所までは割られていないはずだ。
 だというのに、あの魔神皇と名乗る少年は、いとも簡単に組織の人間である自分を誘拐して見せた。
 しかも、先ほどの場所を思い出す限りは、自分以外にも多数の人間がそこにいた。
 超能力、腑に落ちないが、そんな言葉で片付けるしかない現象であった。
 そして、もう一つ。
 組織の人間である自分が巻き込まれた以上、他の組織の人間が巻き込まれている可能性も低くはないということだ。
 となれば、考えうることがある。

「ジンの兄貴も、ここにいるかもしれねえ」

 そう、彼が尊敬する者もこの場所にいるかもしれない、ということだ。
 誰かに殺される、なんて不覚を取ることは無いだろうが、この状況を切り抜けるのに最も頼れる人間であることは確かだ。
 確証はない、けれど"ここにいる"気がする。
 そんなことを考えながらも、ウォッカは袋から携帯電話を取り出した。
 どうやら、それが魔神皇の言うCOMPと呼ばれる物らしい。
 半信半疑で操作を進め、それに封じられた悪魔を呼び出していく。



 次の瞬間! 当たりは一面の光に包まれた!

 鳴り響く携帯電話!! 思わず出てしまうウォッカ!!

「あなたはなぜ超兄貴なの?」

 答えに困るウォッカ!! しかし彼とは違う謎の声が、その問いかけに答える!!

「それは!!」

「それは!!!!!!」

「それは!!!!!!!!!!」



「あ、兄貴ィーーーーーーーッ!!」

いつの間にか、ウォッカはそう叫んでいた。

そう、彼の目前には、筋肉隆々の男らしい青年が立っていたからだ!!

「もう、ダメだぁ……」

うん、俺もダメだ。



【?????/1日目/朝】
【ウォッカ@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:なんとかしてジンの兄貴と合流するぜ
[COMP]
1:イダテン@超兄貴
[種族]:兄貴
[状態]:健康


832 : 母親 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:37:32 qKPbPtwg0
「何が殺し合いだ、ふざけやがって」

 男は怒っていた。
 スキンヘッド、がっしりとした体格、そしてボクサーパンツの上裸の男。
 かつてボクシング界に名を轟かせ、最強とまで言われたヘビー級チャンピオン、アクセル・ホークだ。
 燃え上がる闘争心から、さらなる戦いの場に身をおいたこともあった。
 しかし、このような悪事は許すことができなかった。
 万が一、殺人に手を染めようものなら、愛する母親をどれだけ悲しませることか。
 だから、彼は殺し合いには乗らない。
 あの魔神皇と名乗る少年の性根を、たたき直すことを誓った。

 それを決めたところで、彼は袋からボクシンググローブ取り出した。
 己の拳こそが武器だが、それで人を殺めてしまうのは本意ではない。
 故に、リングと同じように、グローブを嵌めてこの場に臨むことにしたのだ。

 シュッ、シュッシュッと、風を切る音が響いた、その時だ。

「ぬおっ!?」

 彼の目の前に、突然一人の少女が現れたからだ。
 緑の髪、緑のドレス、すらっと細い体。
 そんな、どこか幼さの残る顔をした少女は、にこりとアクセルへ微笑みかけた。

「私はリディア、喚んでくれてありがとう。今後とも宜しくね」
「お、おう……」

 突然の事態に困惑しながらも、アクセルはゆっくりと今までの出来事を思い出す。
 魔神皇の言葉、COMP、封じられた悪魔。
 よもやこのグローブがそれだというのだろうか。
 ならば、目の前にいる少女は、"悪魔"ということになる。
 だが、その見てくれはどう見ても可憐な少女だ。

「しかし、子供に戦わせるのも、カッコがつかねえな……」
「あら、大丈夫よ。こう見えても私、強いんだから」

 正直な気持ちを出すと、リディアはどこからともなく鞭を取り出し、それを振るう。
 その鞭捌きは、確かに並大抵のものではない、一流の動きだった。
 しかし、それでもアクセルの表情は曇ったままだ。

「母ちゃんに言われてるんだ、強い奴は強いやつらしく生きろってな……」

 そう、彼が何よりも大事にしている母親から言われていたこと。
 女性や子供を守れるような、強い男になれ。
 その言葉が、どうにも頭から離れないのだ。

「お母さん、か……」

 ふと、アクセルの言葉にリディアの表情も曇る。
 朗らかな顔を見せていた少女の突然の変化に、アクセルは戸惑いながらも話しかける。

「どうした? 何か、悪いことでも言っちまったか」
「ううん、なんでもない」

 気にしたアクセルは、リディアに問いかけるが、リディアは即座に笑って返事をする。
 その反応にアクセルは、彼女がみなまで言わなくとも何を考えていたのかを察してしまう。

「行こう? あの魔神皇をやっつけるんでしょ?」
「ああ、そうだな」

 深くは聞かないことにしよう、と思いながら、アクセルは少女の手をとる。
 自分に娘がいれば、これくらいの年齢だったのだろうか。
 そんなことを考えながら、東京の街を歩き出した。

【?????/1日目/朝】
【アクセル・ホーク@餓狼伝説シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇の討伐
[COMP]
1:リディア@FINAL FANTASY4
[種族]:人間
[状態]:健康


833 : 雷神 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:37:49 qKPbPtwg0
「許せませんわ!!」

 東京の街の中、似合わぬ姿の少女が一人。
 白のドレスと司祭帽に身を包んだ彼女こそが、某国の王女、シシーだ。
 そんな彼女が怒っているのは、他でもない。
 自分の結婚相手を探すための強者を招いたイベント……その真っ最中に、彼女が呼び出されたからだ。
 しかもただ呼び出すだけではなく、犬のような首輪を付けられ、殺し合いを命じられる始末。
 一体どのような身分で、そんなことを命じているのか。
 それだけで、彼女は腹が立って仕方がなかった。
 しかし、腹が立っているのは魔神皇に対してだけだ。
 殺し合い、もとい人が人と戦う環境は、自分にとってはありがたいかもしれない。
 幸い、愛用の宝箱はこの手にある。
 武器の数々は奪われていても、これがあれば人と戦うことができる。

 つまり、この場で理想の男性を見つけることだって、不可能ではないのだ。

 畜生のように扱われているのは不服だが、それとこれとは話が別だ。
 魔神皇は倒す、ついでに素敵な男性を見つける。
 ああ、なんて完璧なプランなのだろうか。
 そうと決めたところで、念の為に宝箱の調子を確認する。
 いつも通り念じて、中からアボボを呼び出して――――

「我は雷神トール……人の子よ、我を呼び出したのは貴様か」

 光とともに現れたのは、彼女の知らない存在であった。
 白いマント、金の鎧に金の仮面、そして筋肉隆々の体。
 明らかにアボボではない、厳格な風貌の男は、ハンマーを突き付けてシシーに告げていた。
 その気迫にシシーは圧倒され、思わずへたり込んでしまう。
 カタカタと震える歯は止まらず、体はぴくりとも動かない。
 これが、これが"悪魔"と呼ばれる存在なのか。
 逃げるか、はたまた戦うか、それとも――――

「待て、貴様と敵対するつもりはない。むしろ、貴様の力となりに来た」

 すっかり怯えてしまったシシーに対し、トールは申し訳無さそうな声でそう告げる。
 それでもまだ少女は怯えているようで、歯の根をガタガタと揺らしてトールの姿を見ていた。
 話しても無駄か、と察したのか、トールは黙って片手を差し出す。
 それは、握手を求める姿勢。
 不器用な彼なりの、精一杯の行動だったのかもしれない。

 数刻、長くて短い時が過ぎたあと、ゆっくりと立ち上がったシシーは、その手を握り返した。

【?????/1日目/朝】
【プリンセス・シシー@豪血寺一族 先祖供養】
[状態]:健康
[装備]:COMP(宝箱型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を討伐するついでに素敵な男性を見つける。
[備考]
※武器の類はほぼすべて没収されています。
[COMP]
1:トール@真・女神転生シリーズ
[種族]:魔神
[状態]:健康


834 : 佐助 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:38:08 qKPbPtwg0



男が泣いている。



「殺し合いとか……言われても……できません……」



「だって……」



「……俺には……SASUKEしか、いないんです…………」



支給は一人一体までだぞ。



【?????/1日目/朝】
【山田勝己@SASUKEオールスターズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:SASUKEしかいないんです……
[COMP]
1:サスケ@がんばれゴエモン
[種族]:マシン
[状態]:健康


835 : 他人 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:38:53 qKPbPtwg0



 怖い。



 シンプルな二文字。
 彼女の頭のキャンパスに描かれているのは、たったそれだけだった。
 いや、それ以外の全てが消え失せてしまった、と考えるべきか。

 突然の事だった。
 目を覚ませばそこは自宅ではなく、学校の体育館のような場所で。
 現れた魔神皇と名乗る一人の少年が、さも当然のように一人を焼き殺し、一人を爆殺した。
 当たり前のように繰り広げられた惨劇は、なんてことはない大学生である彼女、松隆奈々子にはあまりにも非日常的すぎる光景だった。
 もはや、頬を抓る余裕すらない。
 平常心など、とっくのとうに吹き飛んでいた。

 ぴとり、と首元に触れる。
 手から伝わる、冷たい感触。
 そこに、自分の命を握っている枷があるという、事実。

 これが爆発すれば、自分は死ぬ。

 あの、少女のように。

「――――ッ!!」

 視界が、ぶれる。
 恐怖からくる例えようのない不快感が、奈々子を支配する。
 こみ上げてきたものを吐き出しきってから、袋に入っていた水で口を濯ぐ。

 これから、誰かが誰かを殺すのだ。
 そう、この首枷で、命を握られているのだから。
 もしかしたら、その誰かは。

 ――――自分かもしれない。

 そこまで考えた時、かしゃんと何かが落ちる音が聞こえた。
 それは、慌てて水を取り出した時に一緒に落ちた、一丁の銃であった。
 いや、それを銃と呼ぶのはふさわしくないか。
 映画で見たような銃とは少し違う、先端に穴もなく、銃弾を詰めるところもない、銃型の何かであった。
 ぱっと見は玩具にしか見えないそれを目にした奈々子は、思わずそれを拾い上げてしまう。
 同時に、ぱかりと開く銃身。片側に示されたキーボードと、パソコンのような画面。
 こんなナリでコンピュータなのだろうか、と思いながら、奈々子は恐る恐るボタンを適当に押し始める。
 今思えば、それはとても迂闊な行為だったと思う。
 けれど、彼女はその指を止めることなど出来なかった。
 誰かに、呼ばれている気がしたから。

 そして、何度目かのボタンを押した時。
 コンピュータの画面から、ふわっと光が溢れだした。
 綺麗だな、と思ったのもつかの間、それは輝きを増し、彼女の視界を埋め尽くし始めた。
 目を覆う直前、その時に彼女が見たもの。
 それは、一直線に向かってくる、光だった。


836 : 他人 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:39:03 qKPbPtwg0

「う……?」

 ゆっくりと、目を覚ます。
 だが、動かない。
 手も、足も、何もかもが動かない。
 けれど、意識だけははっきりしているし、目には空が映っている。
 一体どういうことか、そう思った時だった。

「ぷはーっ! やっと外に出られた! 気持ちいい! これが、これが外の世界なのね!!」

 突然聞こえたのは、自分の声。
 声に出した覚えのない声が、空気へと溶け込んでいたのだ。
 どういうことだ、と思った時、自分の中に、自分ではない何かがいる事に、なんとなく気がついた。

「あなた、だ、誰なんですか?」

 ようやく出た声、動かせる体。
 それは間違いなく、自分のものであった。

「私、私はネミッサ。よろしくね」

 再び体が動かなくなり、自分の声がした。

「は、はあ……じゃなくて!」

 とおもいきや、再び自分が動かせるようになった。

「あー体が動かないって話? そりゃしょうがないよ、あたしと貴方、二人でこの体を使わなきゃいけないんだから。
 私が表に出てる間は、貴方は体を動かせないわ」

 問いかけに対し、もうひとりの自分……ネミッサと名乗る彼女は、そう言った。

「ちょっ、どういう事――――」
「さて、外の世界を満喫するわよーっ!!」

 説明を求めようとしても、彼女は聞いてくれる様子はない。
 抵抗しても主導権を取り戻すことは出来ず、ただはっきりとしている意識を持っているだけ。
 そんな奈々子のことを気にもとめず、ネミッサは奈々子の体を使って東京の街をかけ始めた。

【?????/1日目/朝】
【松隆奈々子@変ゼミ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(GUMP型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本(松隆):?????
基本(ネミッサ):外を満喫する
[備考]
※COMPに入っていた電霊 ネミッサが憑依しました。松隆の死亡時に、彼女も死亡します。
[COMP]
1:EMPTY


837 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:39:13 qKPbPtwg0
投下終了です。


838 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 17:49:24 qKPbPtwg0
>>832
タイトル被ったんで「孝行」に変更します。


839 : 魂に火を点けろ ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/11(水) 19:24:22 WnlOB/ZI0
投下します


840 : 魂に火を点けろ ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/11(水) 19:26:18 WnlOB/ZI0
 己が右腕を、持って生まれた精神感応性物質返還能力――通称『アルター能力』によって、周囲の物質を原子レベルで分解し、虹色に輝くアルター粒子へと変換。
 それを用いて、右腕を、自分自身を形成する最大のエゴである“殴る”ことに特化した異形へと変え、カズマは右拳を目の前に立つ標的――人の形をした異形へと叩きこんだ。
「気に入らねぇ……!」
 ここに至る経緯は、極めて単純。
 勝手に連れて来られて、勝手に目の前で子供が死ぬところを見せつけられて、勝手に殺し合えと言われて、勝手にまた変な場所へと飛ばされて、激しくむかついていた。
 左腕に違和感があるので見てみたら、見たことも無いヘンテコな機械を勝手に嵌めさせられていた。
 苛立ちのあまり、左手で手近なものを殴ったら機械――ガントレット型のCOMPが誤作動して、封じられていた悪魔が召喚された。
 そして、その悪魔と話し始めたのだが……これが驚くほど、カズマの神経を逆撫でし、苛立たせ、ムカつかせる。
 だから、殴った。自慢の右腕で、思い切り、容赦なく。
 アルターを用いねば、ダメージを通せないほどの相手だと直感すればこそ。
「何がだ? 我が主、カズマよ」
 顔面にカズマの拳を受けながらも、人型の異形は平然と言葉を紡ぐ。
 口も無いのにどこから喋ってるんだとは思いつつも、カズマは拳を引き抜いて、問いに答える。
「まず第一に、あのマジなんたら言うガキが気に入らねぇ。俺は誰かに命令されるのが嫌いなんだ。ノゥとしか言わねえ。
第二に、殺したくも無い奴を殺せってのも気に入らねぇ。だったらてめぇで殺せって話だ。
そして第三に! てめぇの、そのスカした、見下した態度が気に入らねぇ!」
 再びの拳。次に狙うは、人型の暗雲の如き異形が唯一纏う、風神雷神の如き羽衣。
 ご丁寧に、どてっぱらの前で交差している。ここを狙えとばかりの場所に拳を打ち込み――
 まるで、山に向けて拳をぶつけるような感触を覚えた。
 カズマの拳を受け止めて、人型の暗雲は、顔に当たる部分に雷を迸らせ、雷光を灯す双眸と合わせて笑みを作る。
「見下す? 当然であろう。我は、空に在り、万の頭上を覆いし、天蓋の主。地上の万物を見下ろすのは、我が日常。いつものことだ」
 全てを見下ろして当然。いつものこと。加えて、如何にも大物ぶった口の利き方、言い回し。
 カズマの堪忍袋の緒は疾うに切れ飛び、袋自体が膨張していく。
「黙れよ、雲野郎。雲のくせに硬ぇんだよ」
 カズマの今言ったとおり、目の前にいる異形は自らを雲のバケモノと名乗った。そして、それは事実である。
 一面の空を覆うほどの意志と力を持った雲が、人間大へと凝縮されたもの。それこそが、彼。


841 : 魂に火を点けろ ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/11(水) 19:32:15 WnlOB/ZI0
「雲野郎ではない。我は、雲の闇(かたわら)、万象王である。……このやりとりも、もう何度目だ?」
「知るかよぉ!」
 返事と同時に、拳を振るうが今度は届かなかった。カズマの拳が届くより早く、万象王の蹴りがカズマを捉え、蹴り飛ばしたのだ。
 咄嗟にアルターの右腕で防御したものの、一撃でアルターに罅が入る。
「ふぉふぉふぉ……分霊(わけみ)しか来られず残念であったが、調度良い枷だな。でなければ、このように、思い切り蹴ることもできぬ。一々にして、優しく、撫でるよう、気を遣わなければならぬからな」
 辛うじて受け身を取ったカズマの耳に聞こえた、万象王の独白。
 カズマ自身も、アルター能力の精度の低下、発動の際の疲労感、アルターの強度減少という、自らに課せられた幾つかの枷を、万象王を殴る内に薄々ながらも自覚していた。
 漠然とした推測が確信へと変わったのだが、そのことに対する歓喜は一つも無い。
「本気が出せなくて調度いい……? 撫でるのと一緒だぁ……?」
ただ、万象王の発した言葉に、とうとうカズマの堪忍袋が爆ぜた。
「舐めてんのか、てめぇ!!」
右肩の付け根近くの背に顕現した赤い三枚羽根が、炎のように揺らめく。カズマの怒気によって空気が震え、細かな破片が宙へ浮かび、アルターとなって右腕に吸収される。
 これを目の当たりにしても、万象王はそよ風を受けるかのような気軽さで、傲岸不遜の態度を崩さない。
「舐めてなどおらぬ。ただ、嬉しいのだ。こうして闘えることが。思い出すぞ、長らく味わっていなかった闘いの興奮を。誘ってくれた魔神皇には感謝しなければな」
「感謝ぁ? 何言ってやがる、雲野郎」
「この祭りを準備し、催し、そして我を連れ出してくれたことへの感謝だ。礼として、精々踊ってやろうではないか、血風吹き荒ぶ舞踏/武闘をな」
 戦いによる昂揚と興奮、それに見出す歓喜や楽しさ。それは分からないでもない。そういう気分を味わえるから、アルター使いも悪くは無いと、カズマ自身も思っている。
 だが、あのマジなんたらいうガキに感謝しているって点で、こいつのことは分からねぇし、さっきよりも更にむかつく!
「カズマ、貴様も遠慮をするな! これより3日は無礼講であるぞ! 踊れ! 謳え! 騒げ! 闘え!!」
 だが第四に! こいつが何よりも誰よりも今むかつくのは、オレの拳をわざと受けて煽ってるってことだ!!
「見下してんじゃねえええええええ!! 衝撃のォ! ファーストブリットォォォ!!!」
 閉ざされた右目の奥から込み上げる熱の迸るまま、兄貴譲りの必殺の拳に、羽根を燃やして火を点ける。カズマが磨いた命の術(すべ)は、バトルロワイアルの地でも変わらない。
 互いに逃げ場などありはしない。
 邪魔な壁は殴って壊す、邪魔するやつは殴って倒す。
 白か黒か、勝つか負けるか、生きるか死ぬか。往く道は一つのみ。
 そして、その道を拓くのは、生と勝利を掴むのは、自慢の拳唯一つ。


【?????/1日目/朝】
【カズマ@スクライド】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)、激しくむかついている
[装備]:COMP(ガントレット型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:気に入らねえガキ(魔神皇)をぶん殴る
[COMP]
1:万象王@戦国妖狐
[種族]:雲の闇(かたわら)
[状態]:とても楽しい


842 : ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/11(水) 19:33:31 WnlOB/ZI0
以上で投下終了です。
悪魔がマスターである参加者と戦うことに問題ありましたら破棄します。


843 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/11(水) 20:14:05 NDWrfR9I0
>>842
投下乙です! なるほどカズマらしい。とにかく気に入らないというスタンス……!
あと、懸念点ですが、ルールにも書かれてるように悪魔が必ず言うことを聞くわけではありませんし、すでにバトってるSSもあるので、大丈夫です!


844 : ◆9DPBcJuJ5Q :2016/05/11(水) 22:19:38 WnlOB/ZI0
>>843
御返答ありがとうございます。
良かった……


845 : ◆BLAZExujxM :2016/05/11(水) 22:37:14 ONrgq44k0
投下します


846 : やきうの時間だああああああああ  ◆BLAZExujxM :2016/05/11(水) 22:37:46 ONrgq44k0

「ドッキリとかじゃなさそうだね……」

 朝の陽射しで目を覚ます。
 洗面台で顔を洗い、頭をすっきりさせる。
 夢ならばよかったが、どうやらそうではないらしい。

「はぁ、せっかくCDデビューもしたのになぁ……
 ドームでライブもしたかったなぁ……
 キャッツとスターズの開幕戦で始球式したかったなぁ……」

 殺し合いというこの異常事態に彼女はとりあえず【逃げた】。
 物理的ではなく、精神的に【逃げた】。
 彼女のCOMPは彼女が大好きなスポーツ【野球】のグローブを模していた。

 彼女、姫川友紀はアイドルである。
 将来的にはゴー○ングのキャスターのカメナシ君みたいに野球ができるアイドルになりたかった。
 しかし、今のこの状況じゃどうにもならなかった。

 一先ず、COMPをいじって悪魔召喚プログラムを起動してみる。
 だが、特に何か起きた気配はなかった。
 友紀はしばらく待つと部屋のドアが開き、その男は現れた。

「やあ」
「誰……?」

 普通にドアから入ってきたその男。
 あまりの出来事に一瞬だけ、友紀は我を忘れかけたがすぐに正気に戻った。
 友紀は一先ず、目の前の男が何者なのか確認することにした。

「えっと、君があたしが召喚した悪魔……?」
「いや、十四松だよ」
「え、悪魔じゃないの?」
「うん、十四松だよ……よろしくお願いしマッスルマッスル、ハッスルハッスル!」
「…………………」

 元気そうに口を大きく開けた、バットと野球グラブを持った男。
 野球帽に背番号14の野球のユニフォームを着た男。
 十四……『14といえばキャッツの永久欠番』だ。
 そう思うのは野球ファンとして当然であった。 

 伝説の名投手サワムラ。
 
 サワムラといっても『筋肉が動きを獲得し始めている』との迷言を世に残した方のサワムラではない。
 背番号14が日本プロ野球史上初の永久欠番になり、後に沢村賞という特別賞が作られるほどの名投手だ。
 もしかすると、あの伝説の名投手サワムラの関係者かもしれない。
 しかし、『マッスル』とか言っていたので筋肉の方のサワムラ投手の関係者かもしれない。
 とりあえず、友紀は十四松に話しかけてみる。

「えっと、十四松君でいいんだよね……」
「うん、十四松だよ」
「単刀直入に聞くけど、君ってもしかしてあのサワムラ投手の関係者?」
「違うよ、十四松だよ」
「ふーん……」

 ちょっと友紀はがっかりした。
 気を取り直して再び、十四松に話しかける。

「プロ野球選手ではなさそうだから、もしかして、メジャーリーガーかなにか?」
「メジャーリーガーじゃないよ、十四松だよ」
「違うんだ……」
「ごめん、僕……十四松なんだ」
「そっか……」
「そう」


847 : やきうの時間だああああああああ  ◆BLAZExujxM :2016/05/11(水) 22:38:14 ONrgq44k0

 その後も何度も言葉を交わした。
 どうみても悪魔には見えなかった。
 しかし、自分のCOMPの悪魔辞典に悪魔と記されている。
 なんというか純真無垢で普通の人間のようにしか見えない。
 だがしかし、一つだけわかったことはある。
 
 
 彼は――――


「十四松くん、野球好き?」
「うん!」

 何よりも――――。


「野球する?」
「うん!!」

 野球が好きであるということである。

「じゃあやろっか!!」
「プレイボール!!!」

 野球好きに悪い子はいない。

 とりあえず、二人はキャッチボールから始めた。
 先のことはまたあとで汗を流した後にでも考えよう。
 そう思う友紀であった。

【?????/1日目/朝】
【姫川友紀@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(グローブ型)
[道具]:基本支給品、野球ボール
[思考・状況]
基本:まだ決めてない
[COMP]
1:松野十四松@おそ松さん
[種族]:十四松
[状態]:ビンビン


848 : ◆BLAZExujxM :2016/05/11(水) 22:38:44 ONrgq44k0
投下終了です。


849 : ◆jOkrd9mmNM :2016/05/11(水) 23:57:54 hg5RS1Jk0
投下します


850 : ◆EIyzxZM666 :2016/05/11(水) 23:58:44 YjseuWnU0
投下します


851 : ◆EIyzxZM666 :2016/05/12(木) 00:00:37 th6DF8z60
被ったとは
すいません少し待ちます


852 : セクシー・アドベンチャー  ◆jOkrd9mmNM :2016/05/12(木) 00:00:42 YRESXWdg0
「こんな首輪をつけるだなんて、ボウヤの割にマニアックなんだから」

寂れた様子のホテル街。
愛を確かめ合うのその部屋で、鏡を前に一人呟くのは一人の女。
目も眩むような妖艶で誰もが振り返るほどにセクシー。
そう評するのに相応しい美貌を備えていた。
彼女の名は峰不二子。
正体不明、謎めいた魅力に満ちた女である。

「それだけじゃないわ。血なまぐさい殺し合いさせるなんてとっても下品」

命のやりとりの経験が無いわけではない。
自分の欲しいものを手に入れる為に手段を選ばなかった過去もある。
手を汚すことへの躊躇は無いものの、その過程を楽しむような狂人ではなかった。
優先するのはあくまでも自分の欲する物。
具体的に言うなれば、価値のあるお宝のみが峰不二子という女を動かすのだ。

「でも、悪魔……良いじゃない、ミステリアスで」

夢物語と一笑に付すことはしない。
財宝を求める内に、神秘や奇跡といった物も幾度と無く目撃している。

「空想の存在とお友達になる……そういうのは好きよ。夢があるじゃない」

最新のスマートフォン型COMPを臆することなく、操作する。
悪魔召喚プログラムは滞りなく起動した。
すると室内の闇が濃くなった、そう彼女は感じた。

「悪魔さんのお出ましってワケ?」

「悪魔……フフ、どうかしら」

暗がりから姿を見せたのは、不二子に負けずとも劣らぬ程の魅惑の美女。
悩ましい曲線が震える、ありえないほど整ったスタイル。
そのラインを隠そうともしていない、大胆な衣装。
翡翠の輝きが流れているような美しい髪。
吸い込まれるような瞳は、見つめたが最後二度と眼を反らせなさそうにも見える。
そして、はためく黒い翼。
モリガン・アーンスランド。
魔界より現れた、絶大なる魔力の保持者である。


「あなたの使い用次第で、私は悪魔にでも死神にでもなるわ」

「あら、気をつけなくっちゃね」

互いを見て、薄く微笑む。
その行為に悪意は含まれていない、むしろ好感を抱いてのことだ。

「少なくとも感じたわ」

「何をかしら?」

「悪魔さんと私、案外似た者同士かもね?」


快楽主義、自分の愉悦を何よりも優先する。
そんな二人の邂逅であった。

【?????/1日目/朝】
【峰不二子@ルパン三世】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品 AK-47(残弾・多)
[思考・状況]
基本:???
[COMP]
1:モリガン・アーンスランド@ヴァンパイアシリーズ
[種族]:夜魔
[状態]:健康


853 : ◆jOkrd9mmNM :2016/05/12(木) 00:01:29 YRESXWdg0
投下終了です。

>>850
被ってしまって申し訳ない。


854 : ◆EIyzxZM666 :2016/05/12(木) 00:04:37 th6DF8z60
ここはとある学校の屋上。

「殺しあいとかいわれても困るホー」                   ピポポポポポポポポシュワシュワシュワシュワ……

彼の名はヒーホーくん。
ジャックフロストと呼ばれる妖精種に属する歴とした悪魔であるが、人間の学校を愛する変わり者。
何の因果か、彼は参加者としてここに呼ばれた。

「オイラ、がっこうだいすきさ。でもここはたのしくないホー」                    ピポポポポポポポポシュワシュワシュワシュワ……       

それもそのはず。施設としての学校は再現されているものの、ここには青春を謳歌する学生などいない。教師もいない。人っ子一人いない。
いるのは彼が呼び出した悪魔のみ。
少し、不安そうに尋ねる。

「COMPに入ってた悪魔は"友"になるっていってたホ ねえねえ、トモダチになってくれる?」


悪魔は在りし日に想いを馳せる。
かつて、私に手を差し伸べてくれた者がいた。
お前を独りにはしないと言ってくれた者がいた。

今度は私の番なのだろう。


悪魔は、新たな友に向けて静かにその手を差し出す。
その手に飛びつくヒーホーくん。

「ヒーホー!オイラ ジャックフロストのヒーホーくんだホ! 今後ともよろしくだホ、ゼットン!」
ピポポポポポポポポシュワシュワシュワシュワ……ピポポポポポポポポシュワシュワシュワシュワ……




宇宙恐竜ゼットン。この町では、その凄さを知る者が少ない。




【?????/1日目/朝】

【ヒーホーくん@真・女神転生if...】
[状態]:健康
[装備]:学生帽型COMP
[道具]:基本支給品 不明支給品
[思考・状況]
基本:トモダチたくさんできるかな?

[COMP]
1:ゼットン君@ウルトラゾーン 不良怪獣ゼットン
[種族]:宇宙恐竜
[状態]:健康


855 : ◆EIyzxZM666 :2016/05/12(木) 00:05:46 th6DF8z60
こちらも投下終了です


856 : ◆EIyzxZM666 :2016/05/12(木) 00:11:25 th6DF8z60
タイトルは「男子高校生の非日常」です


857 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/12(木) 01:00:38 hgWKBCbU0
投下します


858 : 幕を下ろした/下ろされた悪党たち ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/12(木) 01:02:28 hgWKBCbU0

 ウォルター・ホワイトは壮絶な最期を遂げた

 自身の作ったブルーメスによる麻薬帝国は崩壊し、愛する息子にも恨まれ、莫大な遺産は本来の数%ほどしか残らなかったが、それでも家族には十分な金を残すことが出来た

 ジャックとその一味を纏めて葬ることで家族の脅威となる要因はすべて排除し、同時にもう一人の家族であるジェシーを奴隷のような生活から開放した

 彼はブルーメスの精製設備に囲まれ、満ち足りた表情で生涯を閉じる。息子に恨まれているのは心残りだが、それでも最高の最期だった

 それで全て終わりのはずだった


「殺し合い……か」

 困惑を隠しきれないウォルター
 最高の形で人生の幕を閉じたはずの彼が、今こうして生きていることもそうだが、いったいこの状況は何なのか理解できない
 息子と同じか、少し幼いくらいのアジア人の少年に殺し合いをしろと言われた。撃たれた傷も治っているし、体を蝕んでいた癌の苦痛もない。まるで予想外だ。

 もしかしたら死ぬ間際の夢のようなものなのか?

 そう疑いすらした。だが、首から伝わってくる金属の冷たい感触が、これが現実だと証明していた

「願いが叶う、そう言っていたな」

 その言葉に魅力を感じないわけではない
 もしも、もしもだ。自分がメスなんて作らず、真っ当に生きていたら、ハンクも死なせず、息子にも恨まれず、妻とも仲違いせずに済んだかもしれない。
 たが、それはあくまでもしもの話だ
 それらすべてを引き起こした選択は、すべて自分の意思で決めたこと。後悔は、無い

 そういえば、とウォルターは思い出す
 魔神皇の『友となる悪魔を与える』という言葉を
 曲がりなしにも科学者であるウォルターにとって、悪魔などオカルト以外の何者でもない
 だが、こうして死んだ筈の自分が健康体で存在している手前、無下にするのとは出来なかった
 そうしてディバックを確認してみると、携帯電話が入っていた。説明書にはCOMPと記されている。ウォルターは説明書を片手に携帯端末を動かしながら、悪魔召喚プログラムを起動させた

 そうして召喚された悪魔らしきものは、さらにウォルターを困惑させた
 一般的な悪魔のイメージである山羊の頭や蝙蝠の羽もない、網のような服を着たピンクの頭髪の男性だ。だが、その表情はなぜか怯えているようにも見えた
 
「君が、その、悪魔なのか?」

 しかしそのままにもしておけず、ウォルターはその悪魔というよりは、まるっきり不審人物な男にやや引き気味に問いかけた

「……お」
「お?」

「オレのそばに近寄るなああーーーーーーーーーーーッ」

 元麻薬の帝王同士の出会いだった

 
【?????/1日目/朝】
【ウォルター・ホワイト@ブレイキングバッド】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗る気は、今はない
[COMP]
1:ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風
[種族]:スタンド使い
[状態]:健康


859 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/12(木) 01:02:53 hgWKBCbU0
投下終了です


860 : ◆jpyJgxV.6A :2016/05/12(木) 03:04:24 tew40Qoo0
投下します


861 : 超能力者男子と大神の詩  ◆jpyJgxV.6A :2016/05/12(木) 03:05:52 tew40Qoo0
ふむ、これは困った事になった。
夢ならばよかったのだが、力が使えるあたりそうでもないらしい。
過去に飛んだり平行世界に行ったりという事はあったが、こういった類は初めてだ。
そもそもこれはいつものような事故ではない。犯人がはっきりしている。
それもおそらく、僕と同じような力を持つような奴だ。
まったく、殺し合いだかなんだか知らないが僕を巻き込むのは止めてほしい。いつの時代の若者向け漫画だ。
これでは学校の無断欠席どころか両親が行方不明だと騒ぎ立ててしまうじゃないか。
………うん、断じてあってはならないぞ。
あの両親の事だ、予知しなくてもやたらと事態を大きくするのが目に見える。
僕は注目を浴びたくないんだ。ちょっとスレた放蕩息子みたいな目立ち方だけは避けたい。

「わんっ!」

もちろん普段の僕ならそんな事で悩んだりはしない。
無人島に漂流した時のようにテレポートで逐一帰ってしまえばいいのだが、それが出来ないから困っているのだ。
どうやらここでは僕の力に制限がかかっているみたいだ。千里眼も試してみたが家や学校は見えなかった。
おそらくこの空間のに外は干渉出来ないのだろう。随分と手の込んだものだ、そういうところは尊敬できなくもない。
さっきまでどこまで制限がかかっているか試していたのだが、途中で疲労感が襲ってきたので止めた。
どういった仕組みなのかは知らないが向こうには僕の力が筒抜けらしいな。
となるとこの首輪もなんらかの対策が施されているだろう。
これはひとまず放置しておくか。下手にいじって頭と胴がさようならするのはごめんだ。
ではどうする?殺人鬼よろしく手あたり次第に殺して勝ちに行くか?
却下だ。そんなの自分で死亡フラグを立てにいってるようなものだ。
だいたいそんな事をすれば目立ちすぎる。僕としては出来るだけ穏便に事を済ませたいのだが。

「わんっわんっ!!」

ええいうるさい。今考え事をしているんだ。
そうそう、あの少年が言っていた悪魔とやらも確認済みだ。………いや、これを悪魔と言っていいものか。
どう見ても真っ白な犬にしか見えない。とはいえ随分と大きい、狼と言われてもおかしくないかもしれないな。
だがなんだこの顔は。とぼけているというかぼーっとしているというか、とにかく悪魔とはとても思えない。
ただ気になる事がある。僕は動物ともテレパシーで意思の疎通が出来るのだが、こいつだけはまったく読めないのだ。
おおかた何も考えていないだけだろうと思う。あのバカと同じだ。というかバカだ。
一応悪魔などと言う非現実的な存在なのだ。僕の力を上回っているせいというのも少しは考えたが………。

「わふ?」

うん、ないな。おいあざとく首をかしげるな。何もやらないぞ。


おっと、僕としたことが自己紹介を忘れていた。

僕の名は斉木楠雄。

超能力者だ。


【?????/1日目/朝】
【斉木楠雄@斉木楠雄のΨ難】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:できるだけ目立たずさっさと帰る
[COMP]
1:アマテラス@大神
[状態]:健康


862 : ◆jpyJgxV.6A :2016/05/12(木) 03:06:35 tew40Qoo0
投下終了します


863 : ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/12(木) 11:59:21 HpA44ZfA0
投下します


864 : 十一文字の合言葉 ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/12(木) 12:01:50 HpA44ZfA0
クソ最低な出来事があって… すべてが嫌になり…
気づけば独り… 星を眺めていた…
そんな自分を… 思い出したよ…

《最後の生き残りの座を賭けて殺し合い(バトルロワイアル)》なんてまったく《✕✕✕✕✕》だぜ…
そんなの全然… 素敵(ロック)じゃないだろ!?

ムカついて… 感情の赴くままに手元の《グラサンに渡された29フレットまであるハイフレットギターによく似た違う何か(COMP)》をかき鳴らしたら…
信じられないことに… 目の前に少年が現れた…
まるでゲームのキャラクターみたいな格好…
オイオイ、いつから俺は魔法使いになっちまったんだよ!?…

「人間はキライだ……あっちへ行ってくれ!」

開口一番がそれで… それも大真面目に…
突然現れたのはそっちだろうとか…
《誰よりもよく知った誰か(あいつ)》に似てるような気がするとか…
場にそぐわないけど… 俺は笑っちゃったよ…

そしたら少年(そいつ)はさらに身構えるから… 俺は慌てて謝った…

悪りぃ… 別にアンタをバカにしたとかじゃないんだぜ!?
ただ… 《誰よりもよく知った誰か(いつの日かの自分)》を…
思い出しちまっただけなのさ…

実際そいつと俺は… とてもよく似ていた…
髪型だとか… 排他的な姿勢だとか…
これじゃまるで… 運命(生き別れ)の双子!?(笑)
なんちゃってな…

「キミと……僕が似ているだって……?」

その口調じゃアンタ… 信じてないな…
信じてもらえるかもわかんないけど… 本当なんだぜ…

髪の色が違う… 瞳の色が違う… 名前の響きが違う… 何もかもが違う…
居場所などどこにもない… だから周り中敵にして… 吠えて… 孤立して…
それが強さだと… 思ってた…

「……」

アンタとは少し… いや、全然違う理由かもしれないけど…
俺は何だか… アンタを放っておけない… そんな… 気がするよ…

「キミには……わからないよ……!英雄の末裔だからと持ち上げられて……人間の汚い欲望をただ聞かされて……マザードラゴン……たったひとりの友達すら守れなかった僕に、何が出来るっていうんだ!……それななのに……」

少年(そいつ)は続ける…
押し込めていた感情(おもい)が、一気に溢れ出すように…

「だから……ゴーレムたちと一緒に、誰も受け入れずに、もう何にも関わらないように暮らしていたのに……こうやって喚び出されて……悪魔だとか……僕はそんなんじゃ……ない……」

苦しそうな瞳が… 俺を見た…
やっぱり俺はその瞳を知っていた…


865 : 十一文字の合言葉 ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/12(木) 12:04:34 HpA44ZfA0
弱い心を隠すように… 強い言葉と暴力で…
触れるなら牙を剥く… 無防備な部分を舐められたら痛いから…
狼のように… 孤独を選んだ…あの日の自分…

聞いて欲しいんだ…
ある人の受け売りなんだけどさ… アンタに言いたい言葉がある…

「アンタが感じてる その寂しさは 俺の寂しさと 同じ色をしている」
でも…
「《俺たち》は自由だ! どんな哀しみも《物語(ロマン)》に変えて
繋がる地平 誰かの世界へ 寄り添うように 歌を届けてみないか?」

「歌……?」

あれ… まだ言ってなかったかな…
これでも俺はバンドのヴォーカルやってるんだ…
まあ… アンタの世界では聴いたことがないかもな…

「……わからない、わからないよ……なんで、キミはこんなに僕に構うんだ!?放っておいてくれよ!僕は誰とも関わりたくない……ましてやこんな……殺し合いにだなんて……」

……その気持ちはもっともだ…
俺だって… こんな《気が狂ったゲーム(ころしあい)》なんざやりたかないよ…
でも…
実際、こうして巻き込まれちまったんだ… だから…
何もしないで、諦めるなんて… 俺にはできない…
俺は……いや、俺たちは、《いずれ滅びゆく星の煌めき(VANISING STARLIGHT)》…
どうせなら、さ…

《命を燃やし尽くした証(ほし)》を遺そう……
死んでもいい、生きてるなら――
燃えてやれ!

そうだろ?
それに――さっきも言ったけど、さ…
アンタは… 本当に俺に似ているんだ…
似てるやつに出会うなんて… 初めてでさ…
なんでだろうな… 放っておけないんだよ…
お節介かもしれないけどさ…
俺はアンタと《音楽(ロック)》をしてみたい…
そう、思うんだ…

「ヴァニシング、スター……」
「でも、でも――僕は音楽なんて知らない、やったこともない……できるはずが、ない」

それなら問題いらないぜ!
アンタには可能性がある… 少なくとも俺はそう思う…
今までやったことがなくても… 知らなくても…
《音楽(ロック)》は、できるんだ…
それに何より…
俺がついてるんだぜ?(なんか恥ずかしいな(笑))…


866 : 十一文字の合言葉 ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/12(木) 12:05:57 HpA44ZfA0
「……ロラン」

え?

「ロラン……僕の、名前だ」

ロラン… ロランか…
なんだか聞いたことある響きだ… 初めて聞いた気がしない…
《真っ黒で胡散臭いプロデューサー(グラサン)》が言ってたような気がするよ…

ありがとうな… ちょっとは打ち解けられたかな…
俺はNoël… なんとでもよんでくれ…
だが…「クリス・マスオ(笑)」なんかはやめてくれよな!?

「く、くりす……?」

あれ… まあいいや、ノエル、ノエルでいいよ… 呼ばれ慣れてるからな!

ロラン…
俺は自分の音楽で… このクソみたいな世界をぶっ壊すんだ!
拳で殴って… 血を見るまで殴るのも… 一つの方法だけど…
俺にはこの方法が向いてる、そんな気がするんだよ…
アンタに合うかはわかんないけど… 断言はできないけど…

俺の《音楽(ロック)》を、アンタにも聴いて欲しいなあ… CD、持ってくりゃあ良かったな…
この《羽がモチーフのエレキギターによく似た何か(COMP)》、フツーに音は出せるのかな…
もしできるなら… 後で少し座れる所でも探して、聴いてくれないか?
曲名? 「よだかの星」だぜ!
気に入ってもらえると、いいな!

それじゃあ… しばらくか、短いかは、わからないけど… よろしくな!ロラン!
合言葉は十一文字だ、いいかい?

「「……生 き て る な ら 燃 え て や れ 」」ッ!

ご名答!

【?????/1日目/朝】

【Noël@ヴァニシング・スターライト】

[状態]:健康

[装備]:エレキギター型COMP

[道具]:基本支給品、未確認支給品

[思考・状況]

基本:《音楽(ロック)》をする

[COMP]

1ロラン:@FF外伝 光の4戦士

[状態]:健康


867 : ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/12(木) 12:06:27 HpA44ZfA0
投下終了です


868 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/12(木) 12:52:43 8NZVAaRU0
皆様投下乙です!

>>848
野球の時間だ! まさかのところで14の共通点w
ひとまずのキャッチボールは、和やかでいいですね。

>>853
妖艶な美女二人が出会った……しかし、不二子ちゃんは何を考えてるのか読めないですね。
目的次第ですが、どうなるか……

>>855
ヒーホー! 念願のサマナーになったホー!
しかし相方はメチャすごい奴だホー! 大丈夫かな?

>>859
クスリの帝王、方や大往生、方や……?
ほんとに戦力になるんですかね……?

>>862
これまた災難、いやΨ難に巻き込まれましたね……
相方のワン公はめちゃめちゃすごい奴なんだが……パット見は可愛いワンコだよねw

>>867
ROCK……このYOKOHAMAの街にも流れる、熱い風……
思わずそんなLagoonが掻き立てられるような、熱いロックシンガーですね!
音楽でどこまで変えられるか……

さて、自分も投下します。


869 : 氷像 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/12(木) 12:53:11 8NZVAaRU0
「殺し合い、かあ」

 なんとも、脳天気な声。
 その声の主は、手に大きな飴を持った栗色の髪の少女、クーラ・ダイアモンドだ。
 奇抜の服もさながら、特に目を引くのは両腕のグローブは、彼女の力を制御するためのもの。
 今でこそ普通の少女と変わらない振る舞いをしているが、その実態は改造人間。
 その気になれば、彼女の周囲を瞬時に凍りつかせることも出来るのだ。
 まあ、今は本人にその気がないようだが。

「興味ないなあ」

 公園のブランコで一人遊びながら、彼女は飴を舐め続ける。
 突然拉致されたことも、殺し合いを命じられたことも、人が死んだことも。
 彼女にとってはそこまで興味を引くことではなかった。
 どこの誰とも知らない人間の言うことを聞くつもりなど毛頭なく、そのために人殺しをするなどもってのほかだった。
 だから、今の彼女の気持ちを占めているのは、もっと別のことであった。
 そう、知り合いや心を許した仲間がおらず、"退屈"だということ。
 良くも悪くもマイペースな彼女は、一人で飴を舐め続けてもつまらない、と思っていたのだ。

「雪だるまでも作ろうかなぁ」

 そんな気まぐれで、彼女は"力"を使う。
 栗色だった髪が瞬時に水色へと変色し、辺りの空気が冷たく凍りつく。
 そして、彼女の思い通りに操られた冷気が、瞬く間に雪だるまを生み出していく。
 一体、二体、三体、と次々に生み出される雪だるまを見て、彼女は少し笑う。
 だが、彼女は気づいていない。
 彼女の両腕に嵌められた、制御グローブ。
 それに、僅かな改造が施されていることに。
 そんなこともつゆ知らず、彼女は雪だるまを生み出していく。
 やがて、雪だるまの数が十を越えようとした時。

「わっとと、呼ばれて飛び出て登場なのだ!」

 それは、現れた。

「わっ!? 雪だるまが喋った!?」

 そう、彼女のグローブに仕込まれた悪魔召喚プログラムが呼び出した者。
 それもまた、"雪だるま"だったのだ。

「そうなのだ、確かにぼくが雪だるまなのだ。君がぼくのサマナーなのだ?」

 驚く彼女をよそに、雪だるまは自己紹介を続ける。
 ぱち、ぱちぱち、と、クーラはしばらく瞬きをしていたが、ようやく事態を飲み込んだのか、雪だるまへと軽く頭を下げる。

「えと、よくわかんないけど……あたし、クーラ。クーラ・ダイアモンドだよ!」
「クーラ、よろしくなのだ!」

 こうして、雪の女王と雪の国の住人は、奇妙な出会いを果たしたのだ。

【?????/1日目/朝】
【クーラ・ダイアモンド@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(制御グローブ型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いに興味はない。
1:ゆきだるまとお話をする。
[COMP]
1:ゆきだるま@ロマンシング サ・ガ3
[種族]:精霊
[状態]:健康


870 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/12(木) 12:53:36 8NZVAaRU0
投下終了です。


871 : 混ぜるな危険 ◆aEV7rQk/CY :2016/05/12(木) 17:37:17 Sp/32URY0
投下します。


872 : 混ぜるな危険 ◆aEV7rQk/CY :2016/05/12(木) 17:37:49 Sp/32URY0
無人の街に人の顔を持った鳥と一羽の大きな蝶が舞っていた。
その大きな蝶の均整のとれた身体は、ボディラインがはっきりと出るスーツに包まれている。
このスーツは臍下まで大きく開いたスリットと股間に刺繍された蝶が、言い表せない程のセクシーさを演出する彼の自慢の一着だった。
顔を大きすぎる仮面で隠して大空を舞う蝶、銀成市からやってきた蝶人パピヨンは市街地に放り出されてすぐに支給品の確認を済ませた。

天才である彼は似たようなシチュエーションの作品を知悉していたため、次に身体能力の確認に移る。
仮に魔神皇の立場なら、ホムンクルスの力はロワイアルにおいて公平を欠く恐れがあるため制限するはず。
制限の重さによってどの程度の戦力を魔神皇が求めているか、判断できるはずだ。

「トゥ!!」

小手調べの相手にされた悪魔の首が落ちる。ニアデス・ハピネスを没収されたパピヨンに支給されたのは武器としての機能を持つCOMPだった。
形状がサンライトハートを彷彿させる突撃槍なのが武藤ともども馬鹿にされている気がして、パピヨンの神経を大いに逆撫でする。
くわえて自分を会場に拉致した事と言い、傲慢な態度と言い、一張羅にまるで合わない蝶・サイテーなセンスの首輪を勝手に着けてくれたことと言い、気に入る要素がなにも無い。

パピヨンはひとまず戦闘が終了したので、一旦突撃槍を地面に突き立てる。人間だった頃ほど力を落とされてはいない、と彼は判断した。

「小僧、小手調べは済んだかね?」
「あぁ、魔神皇の奴、やはり制限を掛けていた」

足音と共に声が響く。
帰ってきたか、と思いつつパピヨンが声の方向に顔を向けると、全身を白銀の毛で覆った巨大な狼がいた。
しかしただの狼ではなく、体格は5メートルを優に超え、2本の尾を持つ。

――モロの君。

シシ神の森を守護する山犬の神であり、パピヨンが召喚した悪魔。
ロワイアルが始まってすぐ対面した一人と一匹は、魔神皇が癇に障るという一点で意気投合。
モロはパピヨンの指示で周囲の哨戒に出ていたのだ。

「このあたりに人間はいない。うろついているのは悪魔ばかりだ」
「…そうか」

退屈そうにモロが結果を報告する。
このまま留まっていても進展しないので移動する、とパピヨンはモロに告げ、突撃槍を手に取り出発する。
しばらく歩いているとモロが急に話しかけてきた。


873 : 混ぜるな危険 ◆aEV7rQk/CY :2016/05/12(木) 17:38:10 Sp/32URY0
「いままで聞かずに置いたが、おまえ仮面を外す気はないのか」
「……外す気はない。この仮面は俺が人間を辞めた証だ」

ほう?と興味深そうにモロが見つめてくる。
パピヨンは不愉快に思いつつも、後々の事を考えればモロとの間に亀裂を作るのはよろしくない、と考え溜息をつく。
モロを睨みつけていたパピヨンの表情がまもなく平素のそれに戻った。

「ハァ、まぁいい。まずは首輪を調べられる施設か人物を探すぞ」
「フッフッフフ、それがいいね。私もあの小僧を噛み砕く瞬間が楽しみだよ」
「…フン」

――まずは首輪を外す。

首輪がある限り、参加者は魔神皇に命を握られたままだ。くわえて魔神皇は参加者の動向をこれで把握している、という推測が容易に立つ。

――他の参加者たちと協力関係を結ぶ。

パピヨンのように意図せず参加した者がいるなら、殺し合いに消極的な参加者を見つけるのは難しくない。
人助けなどという偽善者じみた真似をするつもりはないが、意図せず連れてこられた時点でパピヨン一人の手に余る事態なのは確実だ。

――魔神皇を倒す。

蝶・天才の名に懸けて、自分を虚仮にした魔神皇を地獄に落とす。歩を進めるパピヨンは仮面の下で決意を固くした。



【?????/1日目/朝】
【蝶人パピヨン@武装錬金】
[状態]:軽い疲労
[装備]:ランス型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を倒す。
※参戦時期は本編終了後。
※ホムンクルスの力は制限されています。

[COMP]
1:モロの君@もののけ姫
[種族]:神獣
[状態]:健康


874 : 混ぜるな危険 ◆aEV7rQk/CY :2016/05/12(木) 17:39:09 Sp/32URY0
投下終了です。


875 : ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/12(木) 18:52:06 JVrUkukI0
投下します


876 : 覚醒への前奏曲  ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/12(木) 18:52:35 JVrUkukI0
殺し合いだとか、悪魔だとか、理解が追いつかなくなって、頭がいっぱいいっぱいになって――私は、地面に座り込んだ。

小森ユイ。
十七歳。いたって普通の、女子高生。――だった。少し前までは。
教会の持ち主である父が海外の教会に召喚され、日本に取り残された私は、父のメモに従って遠い親戚だというお屋敷に行った。
私の想像を超えた大きなお屋敷で、何だか薄暗い空気を纏っていて、まさかここが私の親戚の家だなんてそう簡単には思えなかった。

――実際、私のその直感は正しかった。
私を待ち受けていたのは、父のように優しくて慈悲深い神の信徒……からは程遠い、残酷で、無慈悲で、冷淡な闇の世界の住人の六人兄弟。
ヴァンパイア。

信じられなかった。当然初めは、この人たちは私をからかって遊んでるのだろうと思った。
ただ――実際、血を吸われそうになって……私は、足を踏み入れてはいけない場所に来てしまったんだと、理解したのだ。

そんな中でも、私は神の信徒だし、くよくよしててもいけないと思って。気を入れ替えて(警戒は怠らずに)新しい環境でも頑張っていこう――

と、思った矢先のことなのだ。これは。

「もう、わけがわからないよ……っ」

堪えきれずに、手の中のロザリオをきつく握りしめた。
助けて。神様。助けに来て、お父さん。
こんなのやだよ。
どうして私ばかりこんな目にあうの……っ?


「――お嬢さんかな。私を喚んだのは」
「ひっ!?」

予想もしていなかった背後からの声に、聞き慣れない外国の響きに、情けない声が漏れてしまった。
恐る恐る振り向いた先に居たのは、真っ黒な男の人。
初めの場所にいた男の子が言ってた言葉をぼんやりと思い出す。
この人が……悪魔、なのだろうか。

まるで中世の貴族のような服装をして、死人のように白い顔をして、腕に、女の子の人形を抱きかかえて。
その姿に、思わず脳裏に浮かんだのが1人。
いつも機嫌が悪くて、目の下に濃いクマを作って、腕にはいつもテディベアを抱いて――
だから、初対面なのになんだか初めて見たような気もしなくて。ただ、突然の登場に呆然としていたら。

「アハハハハ!ネエ、メル。コノ子、死ンデナイワヨ?ドウスルノ?」

し、ししし喋った!?女の子の人形が、高い声で――

「困ったね、エリーゼ……ここは、潔く死んでから出直してくれたまえ――と、言いたいところだが……」

男の人が顔をぐっと近づけてきた。腰が抜けてしまったのか、身動きもままならない私。怖い。

「……君も、唄えそうだね」

どういうこと。聞きたいのに、声が出ない。
その代わりに――心臓が痛み出した。逆巻のお屋敷に居た時と同じ、蹲るくらいの苦痛。
なんで。今……っ。

「私の指揮にのせて、さあ、唄ってご覧。復讐の想いを、痛みの唄を――」
「そ、んな、こと」
「どうしてかな?君の瞳からは――嫉妬の緑だ、良いね――怨み、憎しみが伝わってくる……」
「アラ、死ンデナイ子ノ復讐モ手伝ウノ?メル。デモマア……コノ子、ソウネ、死ンデナイトモ、言イ難イワ――」
「何を、言ってる……の……?」

私の瞳は緑色なんかじゃない。
私は誰かを怨んだこともない。
私を見ながら、まるで私じゃない誰かの話をされているかのようで気持ちが悪い。
心臓はまだ痛んでいる。お前の意思なんか関係ない、とでも言っているかのように。

「復讐に迷いがあるのかい?それとも――」

メルと呼ばれた男の人は言う。

「――今はまだ、思い出せないのかもしれないね。大丈夫だ。私の指揮に従ってご覧。思い出させて、唄わせて、復讐させてあげよう――」
「……ッ」
「ウフフ、自分ノ憎シミモ思イ出セナイオ馬鹿サン。私タチガココマデスルノハ滅多ニナイコト。感謝シテホシイワ、アハハハハ!」

痛みに蹲る私の頭の中に人形――エリーゼの笑い声が響き渡り、私は――意識を暗闇へと委ねた。


【?????/1日目/朝】

【小森ユイ@DIABOLIK LOVERS】

[状態]:気絶
[装備]:ロザリオ型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:混乱、わけがわからないよ……

[COMP]

1メルとエリーゼ:@Märchen
[状態]:健康


877 : ◆hJ.1Kil1Og :2016/05/12(木) 18:53:03 JVrUkukI0
投下終了です。


878 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/12(木) 20:24:19 jvdWeJ3c0
投下します


879 : 美醜 ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/12(木) 20:25:25 jvdWeJ3c0

「なんざんす!? いったいどういうことなんざんすか」

 いきなりすぎる状況に盛大に動揺する出っぱの男……イヤミ
 今まで預金通帳を燃やされたり宇宙にいったり殺人術の継承者と勘違いされたりと散々な目にあってきたが、これはあんまりだ
 
「くぅーー!! 人様に首輪なんてものをつけて、ここから出たら訴えてやるざんす!!!」

 あの魔神皇とか言うガキ、曲がりなしにもおフランス帰りのミーになめた真似をしてくれるざんす(謎理論)
 悪魔だとか願いを叶えるだとかわけのわからない……願いを叶える?

「てことは優勝すればミーが主役に返り咲けるんじゃないさんずか!?」

 一転してGUESSな顔になるイヤミ。
 彼は不満だった。いつも脚光を浴びるのは自分ではなく、あのクソカスゴミニートの兄弟たちだ。社会の底辺に人気者の座を奪われたイヤミの妬みは強かった

(そうざんす、不公平ざんしょ!? 昭和はミーのギャグこそが空前のブームとなったのに、それをあのクソニート&その他どもめーー)

「うっへっへ……じゃあ早速ミーの悪魔とやらを召喚するざんす」

 そうして意気揚々と説明書を片手に、フランスパン型のCOMPを操作する
 ディバックからフランスパンが出てきたときは「バカにしてるざんすか」と思ったが、よく見るとしっかりと液晶と操作パネルが埋め込まれたれっきとした端末だった。問題なく使えるようなので受け入れる
 若干の扱いづらさに苦労しながらも、イヤミは悪魔召喚プログラムを起動させた

「こ、これはーーまたスゴいのが来たざんすね」

 ごくりと唾を飲み込むイヤミ
 結論からいえば悪魔は滞りなく召喚された
 しかし想定外に自身の悪魔は……ブサイクだった
 イヤミとて自身を絶世の美男子とまでは言わないが、それでもここまでブサイクではないと自身をもって言い切れる
 あまりのブサイクさにらしくなく同情してしまいそうな程だ
 だがしかし、自身のサマナーにぼろくそに思われていることに気がついているのかいないのか、
 なぜか感極まったようにその悪魔はイヤミの肩に手をおき、そしてーー

「同胞よ!!」

 なぜか好感度MAXだった



「シェエエエエエエエエーーーっ(絶望)」


 たまらず絶叫するイヤミだった

【?????/1日目/朝】
【イヤミ@おそ松さん】
[状態]:健康
[装備]:COMP(フランスパン)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:優勝して主役の座を手にいれるざんす!!!
[COMP]
1:ブサイク大総統@ワンパンマン
[種族]:ブサイクモンスター(略してブサモン)
[状態]:健康


880 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/12(木) 20:25:54 jvdWeJ3c0
投下終了です


881 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/12(木) 23:05:07 Rjw7fl4Q0
投下します


882 : 夢の最強タッグ ◆NIKUcB1AGw :2016/05/12(木) 23:06:03 Rjw7fl4Q0
無人の街を、無駄に機敏な影が走る。
頭頂部が禿げた頭に、赤い鼻。頬には大きなほくろ。濃いヒゲそり跡。
服装はピンクの上下に腹巻きというインパクト抜群の外見を持った男だ。
その格好でいやらしい笑みを浮かべた姿は変質者にしか見えないが、それも当然。
彼は「変なおじさん」なのだから。

そして、その後ろを走るもう一つの影があった。
変なおじさんが先刻召喚した悪魔である。
豪華な着物と白塗りの顔が目を引くその悪魔の名は、「バカ殿」である。

二人は、共通の目的のために行動していた。
それは女の子を見つけ、セクハラすること。
殺し合いの場に連れて来られても、変態二人はまったくぶれていなかった。


【?????/1日目/朝】
【変なおじさん@志村けんのだいじょぶだぁ】
[状態]:健康
[装備]:腹巻き型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:女の子にセクハラをする
[COMP]
1:バカ殿@志村けんのバカ殿様
[種族]:奇人
[状態]:健康


883 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/12(木) 23:06:41 Rjw7fl4Q0
投下終了です


884 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 00:42:35 J5IgeyVQ0
被りOKらしいので、透華させて頂きます


885 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 00:47:01 J5IgeyVQ0

「あー……」

愛宕洋榎は項垂れた。
日頃冗談ばかり言っているようで、その実しっかりと周囲を見、気を使って立ちまわる少女は、今の状況をしっかりと理解していた。
理解してしまっていた。

「なんでやねん、ほんま」

いっそのこと理解出来ていなければ、まだ幸せだっただろう。
危険は高まるが、それでもここまで頭を悩ませることなどなかったはずだから。

「今時殺し合いて。そーいうエブリスタ的なのは中学生までやろ」

殺し合いであることを理解してしまったせいで、自らの立ち回りを考える必要が出てきてしまった。
いっそ恐怖に駆られていれば楽だったかもしれないが、幸か不幸か洋榎は冷静さを保てている。

冷静だからこそ、分かってしまう。そして考えてしまう。
とりあえず死ぬわけにはいかない場合、どうすればいいのか。
どうするのが、妥当なのか。
……殺人という結論が出てしまうのが避けられない場合、どう動くのが正解なのか。

「どないせいっちゅーねん」

“悪魔”という非現実的なものが“本物”だった場合、この殺し合いには常識外の力がまず間違いなく働いていることになり、自分の理解を大きく超える。
殺し合いなんてしたくない、なんてことが通るようには思えない。
仮に誰かに手をかけてしまったとしても、おそらくは緊急避難――まあ、悪くても過剰防衛で終わるだろう。
殺してしまうこと自体は、“しょうがない”ことなのだ。
なにせ、こんな情強は理解不能で理不尽で、でも紛れも無い現実としてこちらの命を脅かしてきているのだから。

とはいえ、積極的に殺して回るのが賢いこととは言えない。
参加者を速攻で物言わぬ骸にすることは、情報入手の機会の損失を意味する。
いきなり有無を言わさず襲撃するのは、あまり賢明とは言えないだろう。

第一、正気を保っているせいで、良心の呵責というものがある。
躊躇なく襲えないのに自ら仕掛け、仕留め損ない逃げられたら最悪だ。
当然それは避けねばならない。

とはいえ――誰かと同盟を組むにしても、手当たり次第とはいくまい。
優勝者一人の椅子取りゲームである以上、裏切られない保証などどこにもないのだ。
同じ麻雀部の友人達ならともかく、こんな環境で出会ったばかりの人間を即座に信用しろという方が無茶である。
普通に同盟を組むのも、容易いことではないだろう。

そもそも、他の参加者も冷静とは限らない。
恐怖に駆られていきなり襲ってくる可能性だってある。
考えだしたらきりがない。


886 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 00:48:32 J5IgeyVQ0

「……まあ、考えとってもしゃーないか」

言いながらも、思考が止まることはない。
喋りながら思考を動かす卓上での癖のようなものだ。

とはいえ、ここでどれだけ考えても意味が無いとも思っている。
何せ他の連中の出方がわからないのだ。
一人で考えていても、さほど意味などないだろう。
牌譜を眺めることは大事ではあるが、試合をしてみないことにはどうなるかなんて分からないのだ。

「まずは悪魔さんとコンニチハせぇへんことにはな」

悪魔。
俄には信じがたい、ファンタジー溢れる存在。

もしも本当に悪魔なんてものが出てきたら、殺し合いも“ガチ”だと判断するしか無い。
夢である可能性はあるが、現実前提で動いて夢オチでしたなんてことになっても失うものは特にない。
逆に夢を想定し現実だった際の失うものの大きさを考えると、現実であるという前提で動いた方がいいだろう。

勿論悪魔の代わりにドッキリを意味する何か別のものが出てくる可能性はあるが、それはそれで問題ない。
ちょっと大げさなリアクションで騙されたことをカメラに伝えればいいだけだ。

「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」

頭の中は、未だに殺し合いに対する『どうする』の四文字でいっぱいである。
慎重に、COMPとやらを取り出そうとして――

「く、串かつだーーーーーっ!!」

頭の中が『くしかつ』の四文字でいっぱいになった。

「ええ!? 嘘やろなんでやねん!」

出てきたもの、それは串かつだった。
衣さくさく、きっと噛んだらジューシーな、串かつであった。
ソースがかかっていないが、しかしそれは、どこからどうみても串かつであった。


887 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 00:51:29 J5IgeyVQ0

「……食えるんやろか、これ」

頭は串かつでいっぱいだし、串かつ食べたいしか考えられなくなってはいるが、しかしここでノータイムで串かつを食べるほど愚かではない。
危険なものという可能性もある。
まず衣を軽く剥いで、中身がカツで間違いないか確認しようとして――

「おわっ!?」

指先が触れると同時に、串かつの一面が光り始めた。
そして、串かつに何やらディスプレイが表示される。
どうやら、串かつ型のCOMPであり、待ち受け画面はどう見ても串かつにしか見えない衣デザインらしい。
なめとんのか。

「……あかん、頭が串かついっぱいで、上手く回らんわ」

もう何もかもが意味不明である。
どちらかというとバラエティの悪質なドッキリの可能性が高まったのではないかとすら思えてきた。
諦めたかのように操作し、いずれ出さねばならない悪魔とやらを召喚してみる。

「いっそこれが全部ジョークで、騙したお詫びで奢りの串かつとかやったらよかってんけどな」

だるまの串かつ食いたいな、なんて思いながら、目の前に召喚された悪魔を見上げる。
逃げ惑う気にもなれないほど、“ピンとこない”フォルムではあるが、しかしそれが悪魔であろうことは理解できた。
少なくとも、自分の知る限り突然こんな巨大なものが現れるような技術はない。
ということは、夢でなければ現実に理解不能なテクノロジーが導入されており、多分殺し合いはマジなのだ。

「で、何でゴールドライタンやねん」

とはいえ、両親が昔見てたとやらでVHSを見た記憶のあるアニメキャラが出てくるというのは、夢要素な気もする。
最も夢なら夢で容赦なく暴れまわるだけなのだけれども。

とにかく、なんでゴールドライタンと突っ込まずにはいられなかった。
思わず横に動かした掌が、ゴールドライタンの体を掠める。
その指の先、触れた部分が、さらりと崩れ去った。

「いい!?」

冷たいとか固いとか、そういった感触を予想した。
しかしどうだ、目の前の巨体は砂のように崩れ去ったじゃないか。
そして――崩れ去った後、砂煙と共に、再構成が始まった。

「な、ななななな……!」
「グォッフォッフォ……生憎だが、オレはそのゴールドなんたらではない」

再構成され、再度ゴールドライタンと化した砂が、洋榎を見下ろしている。
不敵な笑みを浮かべて。

「悪魔六騎士が首領格、“砂地獄”のサンシャインよーーーーーっ!!」
「ゲエーーーーーッ、砂の超人!!」

思わず突っ込んでしまったが、果たして目の前の巨漢は話が通じる悪魔なのだろうか。
これ、悪魔がこちらの話を聞かずに殴って来たら死ぬんちゃうの。
調教師の資格とか持っとらへんで。


888 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 00:52:49 J5IgeyVQ0

「え〜〜〜〜〜〜っと……サンシャインさん?」

サンシャインさんってとても言い難い。
でもサンさんはもっと言いづらいし、シャインさんは更に意味がわからないうえにまるで自分が派遣社員さんにでもなった気分になる。
呼び捨てしたいところだが、変な所で機嫌を損ねるわけにはいくまい。

「グォッフォッフォ……喜べ人間……今のオレは最高に気分がいい」

やっぱり話が通じないタイプなのかもしれない。
正直ちょっぴりメゲそうだった。
いや、まあ、いきなり殴ってこないだけ、マシなのかもしれないけれども。

「あのお方が戻ってくる……これからは悪魔の時代よーーーーーーっ!」

嬉しそうにドスンドスン踊っている。
何これ、音楽に合わせてウネウネ動くハンズで売ってる玩具か何か?

「そのためにも、オレは早急に戻らねばならん。そろそろニンジャの奴も蘇生されているだろうからな」
「蘇生……?」
「我々悪魔は貴様ら脆弱な人間と違い、時間さえあれば地獄の淵から蘇れるのよーーーっ!」

俄には信じがたい話ではあるが、よくよく考えて見れば悪魔自体信じがたい存在である。
そんなオカルトの塊が死ぬという方が、なるほど確かに考えにくい。
一時的に消滅するとか、その程度のことなのだろう。

「安心しろ、このオレが他の連中を皆殺しにして、貴様を優勝させてやる……
 もっとも、悪魔超人を舐めたあの男は、オレが最後に殺すがなーーーーーっ!」

一方的に、サンシャインが宣言する。
どうやら協力してくれるらしい。
“あの男”というのは、殺し合いを強要してきた者のことだろう。
敵対するのが賢い策とは思えないが、どうするかは保留にしておく。
わざわざ悪魔の機嫌を損ねることはない。
止めるとしたら、優勝が視野に入ってからでも遅くはないし、それにまだ、誰かと協力して脱出するという選択肢だって残っている。

「ああ、それやけど、速攻殺したりはアカンで」
「何ィ?」

洋榎にしてみれば、死なずに帰れればそれでいいのだ。
サンシャインはどうやら“早く帰る”ために皆殺しを検討しているようだが、それで手当たり次第殺しにいくようでは取れる選択肢が狭まりすぎる。

「ウチもアンタも、“さっさと帰る”のが目的なんやろ」
「無論よーーーっ、全てはあのお方のために!」

なんやねんその「ウェーーーーイ」みたいなハンドサイン。
そう思ってもツッコまない程度には、洋榎は下手に出ていた。

「それやったらある程度情報を集めた方がええやろな。
 ここにはアホほど参加者がおる可能性が高い。いちいち相手するより早う帰れる方法があるかもしれん」
「ぐ、ぐむーーーーっ」
「まあ、これでも対人能力は高いつもりや。伊達に姫松の主将しとるわけちゃうで。その辺はウチに任せてくれたらええ」

自然に、役割分担の流れへと誘導する。
サンシャインに情報収集が出来るようには、とてもではないが思えなかった。
なんだか頭も悪そうだし。


889 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 00:56:01 J5IgeyVQ0

「グォッフォッフォ……ならばオレが、戦闘の際は超人プロレスで勝利をもたらしてやろう」
「超人プロレス……?」

役割分担の流れにすることで、サンシャイン自ら戦闘を買って出ることまでは想定内だった。
そのために支給された悪魔なのだ、その分担が自然だろう。
しかし、超人プロレスなどという単語が飛び出してきたことは、想定の範囲外だった。

「なんだーーっ、この無知な人間! 超人プロレスを知らないのかーーーーーーっ!?」

大げさに驚いた後、サンシャインは一応の解説をしてくれた。
正直イマイチ分かりにくい説明ではあったのだが、悲しいことに分かりにくい説明には監督代行で慣れている。
超人プロレスの意味については、きちんと理解することができた。

「なるほど……リングの上で激突して、勝者が敗者を支配する、か」

途中で出てきた正義超人という勢力が名前の通り正義サイドの存在なら、敗者を支配することはないようにも思えたが――
まあ、平和な世界を強いていると考えれば、それも一種の勝者による支配なのだろう。

「うん、ええな、ええんちゃう。オカンの影響で、それなりにプロレスは好きやしな」

正々堂々としたルールの元、リングのうえで真っ向から激突する。
悪魔とは思えぬその矜持を、もしも他の悪魔たちも持っているのなら。
“人殺し”への抵抗感は、一気に薄らぐことになる。

「情報収集やらをウチがやって、機を見て指示を出し超人プロレスに持ち込む……うん、それでいこ」

リングの上でスポーツめいたプロレス勝負ならば、血生臭さが軽減される。
ましてや自分はセコンドにつくだけで、直接援護することすらない。
手を下すのはサンシャインで、それも悪魔は蘇生可能であるときてる。
殺し合いに乗ることにした場合でも、ソレならば躊躇なく出来る可能性が高い。
もっとも、他の悪魔もリングで戦ってくれるかは、誰かに会ってフタを開けるまでは分からないのだけれども。

「貴様もリングに上がりタッグを組むか?」
「無理無理、肉弾戦は専門外や。まあ、それでも目の前の試合の戦略練るくらいの脳みそはあるつもりやし、リングの外から援護したる」
「ふん、それが必要な時が来るとは思えんが、まあいいだろう。人間の力を借りようと、悪魔超人は勝てばいいのよ〜〜〜〜!!」

正々堂々とは何だったのか。
悪魔らしい態度と言える。


890 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 01:01:33 J5IgeyVQ0

「ではタッグ名を決めねばなるまい」
「なるほど、チームやもんな」
「貴様もどこぞの首領格らしいし、はぐれ首領超人コンビとでも……」
「だ、だっさーーーーーい!! ウソやろ!? ええ!?
 あまりのダサさにおどろ木ももの木さんしょの木やし、鼻から心臓交互に飛び出す勢いやわ」

まず右心房が飛び出して、それから左心房が飛び出すと同時に右心房が引っ込む。そんな感じ。

「ぐ、ぐむーーーーっ! それなら貴様はもっと良い名前が浮かぶというのか!」
「んー、アレやな、どうやら最近は頭文字を取ってアルファベットを並べるのがトレンドらしいわ」

インターネットでそういうのよく見る。TDNとか。

「では、はぐれ首領超人コンビ、略してHSTCだな!」
「そのクソだっさいヤツから離れろや」

とはいえ、正直洋榎も別にネーミングセンスがあるわけではない。
どちらかというと冷ややかな視線を送られる側である。

「ならば貴様は何なら良いと言うのだ〜〜〜〜〜っ!!」
「うーん……やっぱり英訳するのがカッコええはずやねん。悪魔なら……デーモンとか」

しかしながら、はぐれ首領超人コンビなんて名前だけは御免である。
そもそも自分は超人じゃないし、主将であって首領じゃないし。
何としても代替案を考えねばならない。

「ウチの代名詞と言えば……麻雀か……麻雀……英語でもマージャンか……?
 デーモンマージャンコンビ……いや、コンビよりペアやな……」

コンビでもペアでも大差はないのだが、なんとなく、コンビって単語は避けたかった。サンシャインの案の中に入っているし。
いや、地の文書いてるこっちからしたら、そもそもはぐれ首領超人コンビもデーモンマージャンコンビも大差ないのだが。

「うん、これや! デーモンマージャンペア、略してD.M.P!」
「ほほー、なかなか洒落た略称を思いつくじゃあないか。その名前、貰い受けてやろうじゃあないか」

本当にしょうもないやりとりではあるのだが、どうやら少し打ち解けることが出来たらしい。
こういった良く分からないやりとりの後友情を深める才能が、洋榎にはあるのかもしれない。

「グォッフォッフォ。人間など支配の対象だが、全滅させるわけにもいかないからな……
 貴様は使えそうだ。悪魔超人が地球を支配した暁には、人間達を統括するポストにくらい就けてやろう」
「そらどーも」

なんにせよ、誰かに会わないことにはスタンスは決められない。
麻雀もこの殺し合いも、4人揃ってからが本番だ。
まあ、サンシャインを“人”で数えていいのかは、甚だ疑問だけれども。

「それにしても何だ、そのおかしな形は」
「なんや、串かつ食ったことないんか」
「くしかつ……?」
「よーし、ウチが正しい串かつの食い方教えたるから、こっから出たら2人で新世界に食いにいくで!」

果たして洋榎は、生きて帰って串かつを食べることができるのか。
サンシャインが串かつを食べる未来に繋がるのか。
それは神のみぞ知ると言いたいが、何とキン肉マン世界の神は基本カスしか居ないので、どうせ神すらも知らない――――



【?????/1日目/朝】
【愛宕洋榎@咲-Saki-】
[状態]:健康
[装備]:串かつ型COMP(食べられないうえ、壊れるのでソースの二度漬けは禁止です)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:生きて帰る
[COMP]
1:サンシャイン@キン肉マン
[状態]:健康


891 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 01:01:44 J5IgeyVQ0
投下終了です


892 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/13(金) 01:10:59 /cVfi9zY0
皆さま投下乙です。
私も投下します。


893 : X【アンノウン】 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/13(金) 01:12:34 /cVfi9zY0
俺の脳細胞は、定期的に大規模な変異をする。

ゴトリと入れ変わる記憶の中で...その時にだけ一瞬横切る影がある。

変異が作りだした偶然の影か。それとも、俺の本当の正体の記憶か...

未だにその真実は掴めていない。

だからこそ、俺は『俺』という正体(なかみ)を探し続ける。

いまも、そしてこれからも―――





「魔人皇、か」

身の丈より大きな布を纏った少年はポツリと呟いた。

通称、怪盗X(サイ)。
幾多の人間を、その細胞から隅まで観察するために、正方形の赤い箱に『入れて』殺してきた怪物の強盗だ。


『魔人皇』というワードから、少年の脳裏に宿敵の魔人の姿がよぎる。
あの"謎"を喰らう『魔人』の『皇』を名乗るのなら、彼の正体(なかみ)にも期待できるかもしれない。
それに、この自分をこうも容易く連れてこられる程の実力者なら尚更だ。
しかし...

「その割りにはあまり夢中になれないのはなんでだろうね」

宿敵である魔人―――脳噛ネウロを殺すことを考える時。
自らの正体を探すうえでの過程にすぎないはずの、ネウロを殺すという作業の時は、自分の正体がわからない不安など忘れられるほどに夢中になっていた。
だが、あの魔人皇という少年には多少なり興味は惹かれるが、ネウロに比べれば全然夢中になれやしない。
あの少年が、実はたいしたことはない存在なのか、それともネウロの存在が異常なのか...

「まあいいや。集められた奴らはいっぱいいるみたいだし、俺はいつも通り正体(なかみ)を探すとするかな」

"X"は、人を殺すことに躊躇はしない。
情報網が必要だと思ったらその首領を殺してすげ変わることや、何となく気になった者を殺し成り済ますことにも罪悪感など覚えない。
全ては己の正体を知るために。
ただ、それだけのために無数の人間を殺してきた。
なればこそ、この殺し合いにおいてもそのスタンスを変えないのはある種必然だった。


894 : X【アンノウン】 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/13(金) 01:13:02 /cVfi9zY0

"X"は、己に与えられた支給品をとりあえず確認する。
真っ先に手にしたのは、球体の何かだった。

「えーっと、『モンスターボ-ル型COMP』...ボタンを押しながら投げれば悪魔が出てくる、か」

悪魔。
それは、人間とはかけ離れ、ネウロともおそらく違う種だ。
―――もしかしたら。
もしかしたら、この悪魔たちなら自分が求める"なかみ"を見つけられるかもしれない。
そんな淡い期待を込めて。
"X"は、躊躇いなくCOMPを投げて悪魔を召還した。

「あれ...?」

"X"は目を疑った。
なぜなら。

「俺と...同じ?」

出てきた"悪魔"は、彼の相棒が"好き"だといった顔(アイコン)を持っていたから。
―――変装などというチャチなものではなく。いま、ここにいる"X"と同じ姿かたちをしていたのだから。


ピピッ

COMPに悪魔のデータが表示される。

『メタモン
へんしんポケモン
たかさ  0.3m
おもさ  4.0kg

ノーマルタイプ

からだの さいぼうの つくりを じぶんで くみかえて ほかの せいめいたいに へんしんする』


自分の正体(なかみ)を探して生きてきた怪物(かいぶつごうとう)が一人。
その怪盗と似通った能力を持つ怪物(モンスター)が一匹。

彼らの出会いがこの殺し合いになにをもたらすか―――それは、誰にもわからない。





【?????/1日目/朝】

【怪盗X@魔人探偵脳噛ネウロ】
[状態]:健康
[装備]:モンスターボール型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:より多くの参加者の正体(なかみ)を観察する。
0:こいつは...?

[COMP]
1:メタモン@ポケットモンスターシリーズ
[状態]:健康


895 : 最終兵器彼女 ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/13(金) 01:15:00 /cVfi9zY0

「なんでこんな目に遭わなきゃならねえんだよ」

この俺、ホルホースが溜め息と共に発した第一声はこれだった。
『バステト女神』のマライアと『セト神』のアレッシーが敗北したことをDIOに伝えに行き、奴の宿敵のジョースター一行を殺してこいと脅され、奴らのもとへと向かうために準備して眠りについたらこの様だ。
魔人皇とかいうガキが何者かは知りはしねーが、DIOと同じくらいヤベェ奴だってのはわかるつもりだ。

「いったいぜんたい、どうしろっつーんだよ」

あまりのどうしようもなさに、またも溜め息をついちまった。

俺は殺し屋だ。
人を殺すのに躊躇いなんてありゃしねえ。だがよ、あんな妙な能力を持つガキに無策で挑むほど馬鹿じゃねえし、かといって集められてる奴ら全員に勝てると息巻くほど自惚れてもいねえ。
なにより、俺は女には誰よりも優しい男。ざっと見た感じ、あの見せしめになった子以外にも女はいた。
美人だろうがブスだろうが尊敬しているからだ。利用もするし、嘘もつくが、なるべく女は死なせたくはない。

そもそも俺のポリシーはNO.1よりNO.2。俺は誰かと手を組んでこそ力を発揮する男だ。
俺は俺の幽波紋(スタンド)能力の限界を知っているからこそ、相方の力を見ぬく目を養ってきた。
言葉にすりゃあ簡単だが、そこに至るまでは結構苦労するんだぜ?
相手に見込みありと思っても、肝心の相手の方から信頼を得られなきゃあ意味がねえ。
それこそ時間をかけなくちゃあいけねえんだ。
だがよ、こんな首輪を嵌められて、且つ出会ったこともねえ人間同士が短時間で信頼を深められるかっつーと、かなり厳しい。
腕に覚えがある奴なら尚更警戒するだろうさ。

と、なればだ。俺が目指すのは己の保身。
脱出のために焦らず、優勝のために早まらず。
その天秤を見極め有利な方向に乗っからなきゃならねえ。

「そのためにも...コイツを扱いこなさねえとなァ」


俺が手にしたのは、ライターの形をしたCOMP。
どうやら、間隔をおかずに三回点火すれば悪魔が出てくるらしい。
普段なら鼻で笑い飛ばすような話だが、こんな状況では信じざるをえまい。

「頼むから扱いやすい奴が出てくれよ」

もしも他の参加者に比べて強力な悪魔が出てくれれば万々歳だが、期待しすぎるのはよくねえ。
それなりに扱いやすい奴が出てくれればいいや。そんな気持ちで引いた方が、ハズレでも気は楽だ。
俺は三回ライターを点火し、悪魔を召還する。

「コイツァ...」

現れたのは、DIOや承太郎達以上に筋骨隆々な肉体に、厳つい顔をした顔つき。
更に、口元を覆う濃い髭や、鼻筋を横によぎる巨大な傷跡。
その出で立ちは、まさに覇者の風貌といえる悪魔だった。

「お主がわしのサモナーか」
「お、おう。俺の名はホル・ホース。あんたは?」
「心戦組十番隊隊長、原田ウマ子。よろしくのぅ」

握手を求めてくるハラダに、俺も手を差し出し返す。
なんだ、おっそろしい風貌だが、フレンドリーな奴じゃねえか。
これは当たりの悪魔だったかもな。

「よろしく。頼りにさせてもらうぜ、旦那」
「旦那...?」
「おう。俺たちはいわば運命共同体。あんたが悪魔だろうが、主従じゃなくて相棒として扱わせてもらうぜ」

まあ、俺がピンチになった時にはトンズラこかせてもらうがなぁ。
そうならねえように、頑張ってくれよハラダの旦那ァ。
そんなことを考えつつ、俺は禁煙パイプ(何故だかこれだけは回収されてなかった)を口に咥えて。

「わしゃあ女じゃけんのう」

思わず、ポロリと零してしまった。


世の中って広い。改めてそう思いました。――ホル・ホース。


【?????/1日目/朝】

【ホル・ホース@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:ライター型COMP 禁煙パイプ(兼ねてよりの持ち物)
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:生き残る。なるべく女の犠牲者は出したくない。
0:女...だと?
※参戦時期はDIO暗殺失敗後

[COMP]
1:原田ウマ子@PAPUWA
[状態]:健康
[種族]:UMA


896 : ◆ZbV3TMNKJw :2016/05/13(金) 01:15:33 /cVfi9zY0
投下終了です。


897 : ◆lb.YEGOV.. :2016/05/13(金) 01:43:53 bMDRPekY0
投下します。


898 : A&P―宇宙の彼方から来るもの― ◆lb.YEGOV.. :2016/05/13(金) 01:45:43 bMDRPekY0

駆ける。駆ける。駆ける。
刺を生やした首輪をつけた赤い体毛の大型犬、妖獣ガルムと呼ばれる悪魔が薄暗い路地を駆ける。
その瞳にあるのは恐怖と混乱、そして怯えの感情。
北欧神話に名高い冥界の女王・ヘルの番犬たるこの悪魔を誰がここまでの恐慌状態に陥らせたのだろうか。

時は遡ること数分前。
バトル・ロワイアルの会場に現界したガルム達は路地裏に佇む1つの人影を見つけた。
その首にはめらている参加者の首輪が目に留まる。
召喚者である魔神皇から予め伝えられていた、襲撃対象者の印を確認し、包囲する様に取り囲んだ。
うなり声をあげる同胞に気づいた人影が彼らの方へと顔を向ける。
金属で出来たマスクからドレッドヘアー染みた頭髪を生やした頭部。
左腕には装着されたアームターミナル型のCOMPが装着されている。
筋骨隆々とした肉体を覆う皮膚と手足から伸びる鋭い爪は、その人影が人間とは異なる存在であることを物語っていた。

「グルルル ナンダ オマエ」
「アクマ チガウ ニンゲン チガウ?」
「ドウデモイイ カリノ ジカンダ」
「ハラヘッタ」

鋭い犬歯を剥き出しにしながら口々に喋るガルム達を見て、怪人は微かに驚いたかのように体を震わせる。
だが、それも一瞬の事。
自分の置かれた状況を把握した怪人はその腕につけられた機器、彼にCOMPとして支給されたアームターミナルを操作する。

「オレサマ、オマエ、マルカジリ!」

そうはさせじと一匹のガルムが飛びかかるが、慣れた様子で怪人は回避した。
続けて二匹目、三匹目と飛びかかるが、怪人は超人的な身のこなしでもってその悉くを回避し、有効打を与える事は叶わない。
そうしている内に電子音が鳴り響き、怪人とガルムの間を遮る様に黒い何かが構築されていく。
このままではまずい、と業を煮やした一匹が現界中の何かに向けて躍りかかる。
大きく開かれた口、そこから生えた鋭い牙が黒い物体を食いちぎらんと急接近し――、

風切り音が響き、躍りかかったガルムが黒い棒状の何かに貫かれ、中空でその動きを制止した。

残ったガルムが一斉に身構える。
黒い何かから突き出た槍状の物体がガルムの大きく開かれた口から肛門までを一直線に貫いていた。
次第に黒い何かが実体を得ていく。
黒く細長い頭部は目と鼻が存在せず、牙を剥いた凶悪な口がカチカチと音を立てている。
黒いシリコン状の外骨格に覆われた体、鋭い爪の生えた両手と両足。
そして臀部からガルムの口内へと延びる太い槍状の尻尾。
ヒュッ、と召喚された悪魔が哀れなガルムを貫いたままの尻尾を勢いよく振るうと、貫かれていたガルムの亡骸は尻尾から離れ、壁面に赤い染みを作り出す。


899 : A&P―宇宙の彼方から来るもの― ◆lb.YEGOV.. :2016/05/13(金) 01:46:21 bMDRPekY0

シャァァァァァ、と不気味な唸り声をあげる悪魔に対しガルム達が一斉に飛びかかった。
リーダー格らしき一匹が、大きく飛び上がりながら頭を仰け反らせる。
瞬間、ガルムの口先から紅が漏れだす。
ガルム体の内から込み上げる炎を口を解して火炎の吐息として眼前の悪魔へと解き放った。
よもや犬が炎を吐くなどとは予想していなかったのだろう。黒い悪魔はそのまま炎に巻かれ苦悶の声を漏らす。
その機に他のガルム達が突撃をかけ、炎に巻かれる悪魔に向けて、牙を剥く。
ファイアブレスはあくまで相手の動きを止める目眩ましに過ぎない。真の狙いは彼らの強靭な顎による噛みつき。
ファイアブレスの直撃を受け、黒い悪魔はロクな抵抗もできぬ内に猛犬達の牙にその身を晒された。
肩。腕。足。至るところに食らいつかれ悪魔が痛みからか甲高い咆哮をあげる。
有効打を与えられたと確信したリーダーのガルムが凶笑を浮かべながら地に足をつけた時、異変が起こった。

噛みついていたガルム達が揃って絶叫をあげながら口を悪魔から離し、悶え転がり始める。
よく目を凝らせば、全てのガルムが鼻先や口の中に焼けただれたような傷が出来上がっていた。
何が起こったのかとリーダー格のガルムは動揺する。
炎に強い耐性を持つ自分達にそのような傷ができた事も動揺に拍車をかけた。
その時、彼の耳がシュウウウ、という音を捉え音源へと視線を向ける。
音の出所は黒い悪魔の真下のコンクリート。
悪魔の立つコンクリートの至るところから、彼が捉えた音があがるとともに煙があがる。
その正体は悪魔から滴る体液だった。
ガルム達に噛みつかれた傷口から流れ出る黄色い体液がコンクリートへと落ちる度に、音と煙をあげて体液に接触した箇所を融解していく。
強酸性の体液。それが悪魔に食らいついたガルム達の鼻先や口内、そして食道を容赦なく焼いていた。炎熱への耐性では強酸に対して何の抗力も発揮はしない。

リーダー格のガルムをたじろぐのと悪魔、そして怪人が動くのはほぼ同時。それは狩るものと狩られるものが逆転した事を告げていた。
あるものは悪魔の口から飛び出したもう1つの口に頭部を穿たれ、血と脳漿をぶちまけて死んだ。
あるものは怪人の異常なまでの膂力によって絞め殺された。
1体1体、激痛に悶えるガルム達を介錯するかのように処理していく二人の化け物を見て、気づけばリーダー格のガルムは逃げ出していた。

そして時は現在に至る。
恐怖に支配されたガルムはただただ無様に路地裏を駆け抜ける。
どこまで逃げれば助かるのか。
何をすれば助かるのか。
それすらも分からずに、ただ逃げていれば助かるのだとでもいうかの様に無根拠にそして愚直にひたすら走り続ける。
だが、それも終わるときがやってきた。
路地裏を遮る様に見覚えのある黒い影が立っているのを目撃し、ガルムは急停止する。
悪夢、と形容する以外になかっただろう。
黒い悪魔に注視し威嚇するかの様に唸り声をあげるガルムは気づかない。
何故、黒い悪魔しかいないのかを。この悪魔を使役していた怪人はどこにいったのかを。

「オレサマ、オマエ、マルカジリ」

聞き覚えのある台詞がガルムの背後から響く。
自身を覆うように地表に人間大の影が伸びている。
恐怖を打ち消す様に雄叫びをあげ、ガルムは後ろにいるであろう異形に飛びかかろうとしてその首を捕まれた。

「……ッ! ガッ……!」

気道を圧迫され、発声と呼吸が満足に行えず悶え苦しむ。
霞んでいく視界いっぱいに映る無機質な金属のマスク。
異形のもう片方の手がガルムの頭部をがっちりと掴む。
頭だけが掴みあげられる感覚。ぶちぶちと自分の中の様々なものが引っ張りあげられ千切れていく感触と激痛。
絶叫をあげようにも声をあげることも出来ず、一際激しい痛みと共に哀れな妖獣の意識は途絶えた。


900 : A&P―宇宙の彼方から来るもの― ◆lb.YEGOV.. :2016/05/13(金) 01:47:14 bMDRPekY0

ビルの一室で怪人は戦利品の加工に勤しむ。
丁寧に皮膚と肉を削がれ、頭蓋骨のみの姿になっているのは先程のガルムだ。
これは怪人にとってのトロフィー。
最後まで抵抗した獲物への称賛とそれを仕留めた自身への勲章。
怪人の正式な名を我々は知る術をもたない。
が、我々の住むこの星の一部では彼らは狩猟者<<プレデター>>と呼ばれていた。故にその呼称で統一することとしよう。
彼らは遥か宇宙の彼方に住まう人間とは異なる知的生命体。
宇宙をさ迷い強者を求める生粋の狩猟民俗だ。

このプレデターはかつて幾度かに渡って我々の星に来た個体の様に、人間との戦いを目当てにこの星にやってきた矢先に、魔神皇に拉致される憂き目にあってしまった。
地球で行動するために必要なマスクは無事だったものの、それ以外の数多ある武装は全て没収、腕に装着していたアームコンピューターも悪魔召喚プログラムなどという覚えのないプログラム以外は全てロックをかけられ、母星への通信は愚か最終手段である自爆もできなくなっていた。
武器を全て奪われ、あまつさえ家畜のように首輪をつけられて殺し合いを強制された事は彼にとって屈辱でしかない。
それと同時に、この太陽系第三惑星の科学技術レベルでこのような芸当が行われた事に驚愕と驚異を覚える。
個人単位での空間跳躍、疑似空間の形成、他星系のコンピューターへのハッキングおよびシステム掌握、そして悪魔と称される生命体をコンピューターを通して何処から転送する技術。
その全てがこの星の文化圏にとってはオーバーテクノロジーだ。

ガルムの頭蓋骨を一通り眺め、特に汚れなどがない事を確認すると、プレデターは満足そうに部屋にあったテーブルの上にそれを置く。
この場所で遭遇したアクマと呼ばれる存在は彼にとって驚きの連続だった。
太陽系第3惑星人の言語を介する犬などというものは彼らのデータベースにはこれまで存在しなかった。
そのうえでこの生命体はデータベース上の第3惑星の生命体では前例のない火炎放射機構まで備わっていたのだ。
どのような突然変異の産物なのかプレデターには知る由もないが、この様なデタラメな存在がアクマとやらの基準値なのであれば、さぞ楽しめる狩猟になるだろうとプレデターは一人ごち、このテーブルに様々なアクマの頭蓋骨をトロフィーとして並べた時の事を夢想する。

そして、それとは別にプレデターが驚愕した事は、彼らのよく知る生命体がアクマとして登録されていた事だ。
それを彼らは『虫』や『硬い肉』と呼称している。
クイーンと呼ばれる母体を中心にする他星系の生命体で、別種の生命体に幼体を寄生させ宿主を食い殺すことで繁殖していく狂暴かつ凶悪な生き物だ。
捕らえた母体を様々な惑星の遺跡に設置し、未成人達に狩猟させる事で一人前と認める成人の儀式という風習が彼らにはあり、この星においても南極と呼ばれている土地に母体を閉じ込めた遺跡が存在することを彼も知識としては知っていたが、よもやアクマという存在として自身がこれを使役する事になるとは思いもよらない事だった。
その戦闘力の高さや厄介さは先の戦闘において充分理解した。今はコンピューターの中へと帰還させているが、武器を持たない彼にとってはこの上ないほどの強力な武器だと言えよう。

ビルの窓から外の景色を見やる。
蛇のピット器官の様に熱探知をそなえた視界が、動く熱源をいくつか捉えた。そのどれもがこの星の人類とは異なるバイタルをしめしている。
この全てが狩るに値する獲物であればいいとプレデターは願わずにはいられなかった。
戦い、殺す。
闘い、勝利する。
最後の一人になるまで屍山血河を築き上げ、その先にいるであろう魔神皇に己が刃を突き立てた時、彼は屈辱の清算と大いなる名誉を手にすることができるだろう。
昂りが咆哮となって響きわたる。

――サア、カリノ ジカンダ


901 : A&P―宇宙の彼方から来るもの― ◆lb.YEGOV.. :2016/05/13(金) 01:49:29 bMDRPekY0

【?????/1日目/朝】

【プレデター@プレデター】
[状態]:健康
[装備]:COMP(プレデターアーマー型)
※光学迷彩機能および各種武装は外されているか起動不可能になっています。
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:全て狩猟する。
[COMP]
1:エイリアン・ウォーリアー@ALIEN
[種族]:妖虫
[状態]:軽度の火傷、体の各所に噛み傷


902 : ◆lb.YEGOV.. :2016/05/13(金) 01:50:05 bMDRPekY0
以上で投下を終了いたします


903 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/13(金) 02:56:03 4kGe8L7k0
投下します


904 : 昏睡レイプ! 悪魔と化した先輩 ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/13(金) 02:58:19 4kGe8L7k0

「いったいどうなってんのよ……」

 殺し合いという状況の最中、その少女はパンティを被り、全裸シーツ姿であった

 何も変なことはない。これが彼女の裏の顔の正装なのだ
 下ネタテロリストーー華城綾女こと【雪原の青】の……
 彼女はこのロワに参加する直前、風紀に厳しい学園に性知識を流布するため、この姿で学園に卑猥なイラストをばら蒔いていたのだ
 近年、増加する性犯罪と性風俗の乱れにより、青少年健全化の大義名分を掲げた国によって施行された「公序良俗健全育成法」
それにより日本は性的なものが厳しく規制され始めていた。
 下ネタを心から愛する彼女は心を痛め、色々あって下ネタテロリストになり、連日(性的な)表現の自由を守るため戦っているのだ

 暫くして落ち着きを取り戻した彼女は、ディバックの中身を確認し始めた
 当然、下ネタ関係を抜きにすると割と常識のある彼女は殺し合いに乗る気はない。だが身を守るための武器は欲しかった

「ヴォー……」

 しかしディバックにはクッソ汚い小動物が入っていた

「え、何これは(ドン引き)」

 説明書によるとこの生き物は淫夢くんというらしい。しかもCOMPという悪魔を召喚するための端末だとか、たまげたなぁ……
 半信半疑だが仕方なく説明書片手に悪魔とやらを呼び出してみることにした

 ブッチッパっ!

 クッソ汚い稼働音、起動を確信した淫夢くんのガッツポーズとともに、悪魔召喚プログラムが発動した


「お ま た せ」

 そうして悪魔は召喚された
 何故か海パンのみの姿で鍛えられた肉体を晒しているが、浅黒い肌やチリチリとした剛毛で見た者に「くさい」「きたない」「うんこの妖精」というホモガキ並の感想を抱かせそうな悪魔である。きたない(確信)

「貴方が……私の悪魔?」

 思わず口を出た、当然と言えば当然の疑問に、しかし悪魔は快く答えた

「24歳、悪魔です」
 
 聞いていないが年齢も教えてきた。というかこの悪魔、近くに寄るとくさい

 なお綾女が確認した悪魔事典によるとこの悪魔の名は『野獣先輩』というらしい。種族は淫夢、たまげたなぁ……

「見たところ普通の人間と代わらないみたいだけど、戦えるの?」

 どこからどうみてもただのステロイドハゲにしか見えない野獣に訪ねる。パンティ越しのくぐもった声には不安の色が滲んでいた
 まぁこのままクッソ汚い淫獣(COMP)とうんこの擬人化したようなおっさんというメンバーで殺し合いを生き延びなければならないのだから不安にもなるだろう

「殺ろうと思えば(王者の風格)」

 えらく自信満々な応答にたじろく綾女。まぁ悪魔と化した先輩なら多少はね?

「えぇー……でも殺人なんて嫌よ。常識的に考えて」

「ファッ!?」

 驚く悪魔、アンタの格好の方が常識的じゃ無いんだよなぁ……。とでも言いたそうな目だった

「やるなら私を護ってくれると助かるわ。丸腰だもの」

 丸腰というより文字通り全裸一歩手前である。寒い(確信)、というかこの格好だと風邪を引いてしまうどころか痴女認定不可避だ

「しょうがねぇなぁ(悟空) 殺し合いに乗らないなら、まぁ多少はね」

 どうやら納得してくれたらしい。やったぜ

「じゃあ行きましょうか、野獣先輩」
「行きますよ〜、行く行く!!」

 そうして、クッソ汚いステロイドハゲとメスホモガキ(風評被害、訴訟も辞さない)は行動を開始した

【?????/1日目/朝】
【華城綾女@下ネタという概念が存在しない退屈な世界】
[状態]:健康、雪原の青装備
[装備]:COMP(淫夢くん型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する
とりあえず着替えたい
[COMP]
1:野獣先輩@真夏の夜の淫夢シリーズ
[種族]:淫夢
[状態]:健康


905 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/13(金) 02:59:57 4kGe8L7k0
投下終了です


906 : この仄暗い地獄の底から ◆aEV7rQk/CY :2016/05/13(金) 08:47:32 M1/lxw9I0
投下します。


907 : この仄暗い地獄の底から ◆aEV7rQk/CY :2016/05/13(金) 08:48:02 M1/lxw9I0
矢車は高架下の道路に手足を投げ出すように横たわり、ぼんやりと高架橋を眺めていた。
彼は「完全調和」の信念のもと、ZECTの精鋭部隊「シャドウ」のリーダーとして栄光に満ちた日々を過ごしていた。
だがスタンドプレーでシャドウを出し抜くカブトに固執していたばかりに愛用のザビーゼクターに見限られて闇に堕ち、終いにはネイティブと化した相棒…影山を懇願されたとはいえ、この手で殺めた。

二人で約束した白夜を見に行く旅の途中で、この殺し合いに巻き込まれたのだ。
闇の中を転がり続けて、落ちた先は修羅の地獄。何の気なしに首に嵌められた金属の輪に触れる。

「ふふふっ……今の俺には丁度いい」

自嘲めいた笑みが矢車からこぼれる。
招かれた者達はさぞ輝いているのだろう。そんな眩しい者達に照らされるのは御免だった。
だから矢車は市街地に放たれた直後、逃げるように高架下に滑り込み、こうして寝転がっていた。

そういえば魔神皇を名乗る少年が何か言っていた気がする。
微睡んでいるような心地で魔神皇の宣言の内容を思い出した矢車が片手で支給品を探っていると、携帯電話が出てきた。

「……はぁー」

携帯電話を持ったまま、しばし硬直していたが矢車は大きく息を吐いたのち、プログラムを起動させる。
稼働音を鳴らす携帯電話を横に置き、うつ伏せになってアスファルトに頬を密着させる――冷たい。
身体に触れた小石が刺さり、地面が矢車の熱を奪い去っていく。今の自分に相応しい心地悪さだと思う。

眠るように目を閉じた矢車の内に奇妙な焦燥が走る。
目を開いてみたが視界には何も無い。反対側に顔を振り向けると、鎧を着こんだ人物が彼方に立っている。
但しその人物は皮膚が赤く、腕が四本ついている。異形の鎧戦士もこちらに気づいたらしく、矢車の方へ走ってきた。
しかし矢車は逃げない。
何も叶わないなら、せめて眠るように沈んでいきたい。ゆえに矢車は再び死体のように横たわり、ただ運命を受けいれる道を選んだ。

「俺もすぐそっちにいくよ……影山」

光輝く夜をお前と見たかった。日陰者を照らす光もあるのだと確かめたかった。二人だけの光を掴んで、ほんの少し救われたかった。
大きな虚無感と小さな無念を噛みしめた矢車は眼を閉じ、定められた死を待った。


908 : この仄暗い地獄の底から ◆aEV7rQk/CY :2016/05/13(金) 08:48:51 M1/lxw9I0
――?音がする。

水気を伴った何かが爆ぜる音だ。
微かな疑念を抱いた矢車が目を開くと、巨大なキノコが傍に立っていた。
傘は赤く、部位としては柄に当たる白い胴体から左右一対の手足が生えている。
キノコの両拳は血に塗れ、足元には頭部を失った四本腕の戦士が縋り付くように倒れていた。
何が起こったのかは、たちどころに理解できた。

化けキノコが大儀そうに身体を動かす。化けキノコはこちらを振り向いたようで眉間に皺を寄せているような青い眼が矢車を見下ろしている。
数分程、矢車は化けキノコと向かい合っていた。

「お前も……何かを失くしたのか」

矢車は化けキノコに見覚えはなかった。
だが、化けキノコの眼の中に矢車は闇を見た気がした。

「……」

化けキノコは何も言わない。
見下ろされても苦しくない。
むしろその突き刺すような視線に、その両拳に――矢車は相棒の影を見た気がした。

「……一緒に来い。俺と一緒に地獄を巡ろう」

矢車はゆらりと立ち上がり、幽鬼のように高架下から抜け出した。
眩い光が矢車を突き刺す。焼き尽くされるような心地がする。矢車は大きく息を吐いた。

「……」
「……」

景色が変わった事を認めた矢車が一旦立ち止まって振り向くと、化けキノコが高架を背に立っていた。
化けキノコの歩行は鈍重そのものだったが、矢車の足取りも似たようなものだったので二人の距離は適度に保たれている。
ひょっとしたら自分達と同じように光に捨てられた者達もいるかも知れない。夢破れ、闇を理解する敗北者。
みんなで一緒に地獄へ行くのもいいか、と矢車は前方に視線を戻すと、闇を抱えた者を求めて再び歩き始めた。


【?????/1日目/朝】
【矢車想@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:闇の住人を探す。
※参戦時期は48話終了後。
※キックホッパーには変身できません。

[COMP]
1:キノコ人@DARK SOUL
[種族]:妖樹
[状態]:健康


909 : この仄暗い地獄の底から ◆aEV7rQk/CY :2016/05/13(金) 08:49:48 M1/lxw9I0
投下終了です。


910 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 10:23:00 ccF35ZDA0
皆様投下乙です!
>>950超えたら次スレ立ててきますんで、よろしくお願いします。

>>874
蝶人パピヨン来た! そりゃ癪にさわりますわな。
しかし獣にも突っ込まれる蝶センスのマスク、流石ですね。

>>877
普通の少女、のように見えて何か含みがあるような。
彼女の中に秘められた復讐とは……?

>>880
なんともイヤミらしいw 優勝する気バリバリなところがいいですね。
でも、現れた悪魔はめっちゃフレンドリーw

>>883
ヤベェ奴が来たーー!? セクハラさえできればいいというのが、また……w

>>891
串かつ型COMP、今に始まったことではないですが、もはやなんでもありですな。
ライタンと間違えられるのはもはやしかたがないのか、それにしてもサンちゃんダサイよ……w

>>894
自分と同じ姿を作れる魔物に出会った魔人……
正体を探るという方針が、下手なマーダーより危険ですね……w

>>896
ホル・ホース、なんて不運な男なの……w
そりゃあ、女子だとは信じられないよね。仕方がない。

>>902
まさかのAvsPからA&P! 武装がなくとも能力が強い。
しかし、ここには宿敵もといシュワ敵がいるかもしれないのだ……

>>905
クッソ汚い野獣、合体されて、どうぞ。
なんていうか、ワールド全開だ……

>>909
闇の住人は闇を生きる……対主催でもなく、マーダーでもなく、
闇の住人を探すというスタンスは珍しいですね。

さて、自分も投下します。


911 : 空似 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 10:24:32 ccF35ZDA0
 見慣れた街、東京。
 けれど、人の気配のない寂れたその街は、東京であり東京ではない。
 そんな場所に立つ一人の少女は、爪が食い込むほどの力で、握り拳を作る。

 無力さと、情けなさ。
 彼女を支配しているのは、その二つだった。
 突如として訳の分からない世界に迷い込み、魔神皇と名乗る少年に殺し合いを命じられ。
 同年代の二人の少年少女が死んでいく様を、見ていることしか出来なかった。
 顔は青ざめ、足は震え、指の一本すら動かず、ただ、立ち尽くすのみ。
 声すら出ないほどの恐怖に、屈してしまった。
 そして、結局あの場で何も出来ないまま、この場所へと来てしまった。

 ふと、首元に手を触れる。
 手から伝わるのは、冷たい感触。
 あの少女の命を奪った物と同じ首輪が着けられていることが、嫌でも分かる。
 もし、あの時何か行動に移していたら。
 死んでいたのは、自分だったのかもしれない。
 安堵してしまいたくないことに、安堵してしまった。
 自分じゃなくてよかったと、心からそう思ってしまった。
 そんな自分が、情けなくてたまらないのだ。

「怖い」

 思わず零れたのは、本音。
 世界を救う英雄でもなく、絶望と戦う騎士でもなく、国を支える柱としてでもなく。
 ただ一人の少女、獅堂光としての、等身大の本音。

「……でも」

 けれど、彼女は"獅堂光"だった。
 どんなに挫けそうでも、どんなに絶望しか無くても、決して諦めることはなかった。
 そうだ、"らしくない"。
 そう思いながら、光は自分の頬を強めに叩く。
 今、この場に居るのは自分一人。
 かつての仲間は、誰一人として傍に居ない。
 それでも、この胸に宿る、今燃えあがろうとしている勇気が、彼女を奮い立たせる。

「海ちゃん、風ちゃん。私、頑張るよ」

 そして、嘗ての仲間の名前を口にしながら、空へと拳を突き上げて、誓った。



 一段落し、落ち着きを取り戻した所で、光は今の状況を整理する。
 辺りはどう見ても東京なのだが、人の姿は見えない。
 それだけでなく、使えないはずの"魔法"がここでは使えることから、自分の知っている東京ではないことを確信する。
 これも、あの魔神皇の仕業なのだろうか。
 思い当たる可能性を頭の隅に置きながら、彼女は袋の道具を確かめ始める。
 まず、取り出したのは、一本の剣であった。
 戦闘が起きたとしても、ひとまずこれで対処できるだろう。
 念の為に数回、実戦を想定して素振りをしてみる。
 その感覚は、想像以上に軽い。
 セフィーロで使っていた剣には劣るが、手に馴染みやすく扱いやすい剣だった。
 それを確かめたところで、道具の確認に戻ろうとした、その時だった。


912 : 空似 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 10:24:52 ccF35ZDA0
 
「貴方が私のサマナーですの?」

 何処からとも無く、自分ではない声が耳に入った。
 驚いて振り向いてみると、そこには白のドレスに身を纏った、白銀のポニーテールの少女が、自分を見ていたのだ。

「えっ、あなた、何処から……?」
「何処からも何も、貴方が呼び出したんですのよ?」

 呼び出した、という言葉を聞いて、光は思い出す。
 そういえば、魔神皇がCOMPと悪魔がどうのこうのと言っていた。
 ということは、この剣がCOMPで、彼女が悪魔ということなのだろうか。
 俄には信じられないが、そういうことらしい。

「ワイス。ワイス・シュニー。この私と共に戦えることを、光栄に思いなさい」

 そんなことを考えている光をよそに、現れた少女、ワイスは礼儀正しく一礼をする。
 漂う気品さと高貴さ、そしてにじみ出る優しさ。
 それを感じた光は、思わずふふっと笑ってしまう。

「何がおかしいのかしら?」
「あ、ごめんなさい。ただ……」

 ワイスの指摘に謝罪しながら、光は微笑みながら言葉を続ける。

「海ちゃんみたいだなって思ったから、安心できたんだ」

 そう、光はワイスの姿に、どこか、彼女に似ていると、思っていた。
 見た目こそ全然違う、けれども、話す感じは、彼女と同じだった。
 まるで、大切な友と出会えたようだ、と、光の心は安堵していた。

「私は光、獅堂光だよ。よろしくね、ワイス」

 そう言って、光は満面の笑みで片手を差し出す。
 けれど、その手は握り返されることはなく。
 ワイスは両手を腰に当てて、ため息をついていた。

「……ワイス?」

 怒らせてしまったのだろうか、と光は恐る恐る問いかける。
 すると、彼女は少し無愛想な顔で、光を見つめて口を開いた。

「なんだか誰かのことを思い出してしまっただけですわ」

 それから、ふっ、と笑う。
 釣られて光がふっと笑い返したと同時に、ワイスもその手を握り返す。
 そして彼女たちは、互いの友を互いの姿に重ねあわせながら。
 この、東京の街を歩き出した。

【?????/1日目/朝】
【獅堂光@魔法騎士レイアース】
[状態]:健康
[装備]:COMP(剣型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を止める。
[COMP]
1:ワイス・シュニー@RWBY
[種族]:超人
[状態]:健康


913 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 12:21:49 ccF35ZDA0
ちょっと土日ドタバタしそうで>>950に対応できるか怪しかったので、先に次スレ立てました。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12648/1463109544/

また、投票用スレッドも外部板に用意いたしました。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/5008/1463108244/
投票ルールを記載しておりますので、ご一読ください。
また、こちらのスレッドは作品紹介スレッドを兼ねているので、登場話を投稿された方はぜひご活用ください。

>>693
再アナウンスさせていただきます。
当企画は「Wiki収録」を完了して、エントリー完了となっておりますので、Wiki収録の方をお願いいたします。


914 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 18:08:13 ccF35ZDA0
投下します


915 : 問答 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 18:08:41 ccF35ZDA0

「……魔神皇」

 呟いたのは、一人の名前。
 この殺し合いを開き、自分をここに招いた張本人。
 彼は手から炎を放って一人を焼き、一人の首輪を爆発させ、命を奪った。
 圧倒的強者。彼の立場を、嫌でも理解させられる。
 今までのどんな敵よりも、強大で、恐ろしく、邪悪。
 心底、反吐が出る。こんな不快感を味わうのは、初めてだ。

「ともかく、人殺しなんて真っ平御免よ」

 頭を切り替え、状況を確認し始める。
 首輪で命を握られているとはいえ、悪党に心を渡すほど性根は腐っていない。
 絶望が襲ってきたとしても、挫けてはいけないことは、たくさん学んできた。
 だから、この場所でも諦めず、立ち向かっていくことが重要なのだ。

「光と風は、ここにいなければ良いのだけど」

 ぼそり、と友がこれに巻き込まれていないことを懸念しながら、少女は道具を一つ取り出す。
 それは、腕輪のような代物。
 訝しみながら腕にはめると、表面に無数の文字が浮かび上がったあとに「Welcome」と大きく表示される。
 どうやら、これが魔神皇の言っていたCOMP、つまりコンピュータらしい。
 近代科学も凄い進化を遂げているのだなと思いながら、淡々と操作を進める。
 これに封じられているのは、"悪魔"。
 言葉から想像できるのは、人々に害をなす存在。
 到底自分に協力してくれるとは思えないが、手元に武器がない以上、戦力としてそれに頼るしかないのだ。
 魔神皇の差金を使うことも気が引けるが、背に腹は変えられない。
 ええい、ままよと心の中で叫びながら、少女は最後のボタンを押す。

「……お前が、オレのサマナーか」

 腕輪から放たれた光が、何かの影を作った後、彼女の耳に聞こえたのは男の声であった。
 血のように赤いマント、整った顔立ち、整えられた黒髪、そして、赤の鎧と一本の剣。
 そう、現れたのはそんな"人間"であった。
 けれど、少女はそれを"恐ろしい"と思った。
 下手な怪物には到底出せない、強者の風格。
 手にする物の為に手段は選ばない、そんな残忍さが垣間見える。
 そして、彼女は困惑していた。
 そんな恐ろしい男から感じていたのは、すべてを包み込む優しさと暖かさ。
 例えるならば、"王"と呼ぶのが相応しいだろう。
 掴みどころも隙もない、そんな存在を前に、少女はゆっくりと唾を飲み込んだ。

「お前がこの赤の王、朱理を呼び出したのかと聞いている」

 少し、苛立った声で男は名乗りつつ、少女へと問いかける。
 どくん、と心臓が跳ね上がる音を聞きながら、少女は男へ頷いて答える。
 すると男は一歩前へと踏み込み、すっかり固まってしまっている少女の顎を、ゆっくりと撫でる。

「ふっ、いい目をしているな」

 頭がどうにかなりそうだった。
 悪魔と呼ばれる存在が秀麗な人間で、けれどその人間は恐ろしいほどの威圧感を持っていて、それから自分の顎を今掴んで持ち上げている。
 一瞬に起こった出来事が多すぎて、頭がパンクしてしまう。


916 : 問答 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 18:09:14 ccF35ZDA0

「この赤の王を呼ぶものよ、その名をオレに聞かせろ」
「……う、海。龍咲海よ」

 すっかり混乱している頭を落ち着かせ、少女、海は男の問いかけにゆっくりと答える。

「ほう、海か。良い名だな。俺も海は好きだ」

 男は海の顎から手を離し、にやりと微笑む。
 それから一歩後ろへ下がり、両腕を大きく広げつつマントを靡かせて、彼女へと問いかける。

「さて問おう、お前は何を願う? 戦いの末に、その手に何を掴む?」

 それがただの質問でないことは、すぐに分かった。
 何かを探ろうとしている、ギラついた鋭い目。
 すぐにでも抜刀し、首を刎ねることができる位置。
 答えを間違えれば、どうなるかを考えるのは容易だ。
 しかし、黙っていても、迎えるのは同じ結末。
 心音が早くなるのを確かめながら、海は冷静に至高をまとめ、言葉として練り上げていく。

「……魔神皇を止める、殺し合いだなんてふざけたこと、私が止める」

 まっすぐ前を向いて、詰まることなくはっきりと口に出す。
 恐れてはいけない、弱みを見せてはいけない。
 決めた心を前面に出しながら、海は綺麗にそう言い切った。

 しばらく間を置いて、朱理はふっと笑う。
 そして広げた手をたたみ、片手だけを海に突き付けて、笑いながら言い放つ。

「いいだろう。その話、オレも乗った」

 そして、差し出された手を、海はゆっくりと握り返した。



 青の騎士と赤の王。

 二人の出会いは、ほんの一瞬で、とても長い時間だった。



【?????/1日目/朝】
【龍咲海@魔法騎士レイアース】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品(武器ではない)
[思考・状況]
基本:魔神皇を止める
[COMP]
1:朱理@BASARA
[種族]:人間
[状態]:健康


917 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 18:09:35 ccF35ZDA0
投下終了です。


918 : ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 22:00:32 J5IgeyVQ0
スレ立て乙です
投下します


919 : 陽のあたる場所  ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 22:02:56 J5IgeyVQ0

最初は、ただの、ロボットとして造られた。
オーバーテクノロジーの産物でも何でもなく、本当に、ただの機械として造られた。

裏方の誰もやりたがらない作業のためだけに、量産されたロボットの1つ。
将来コミュニケーションを取れる人型ロボットを生み出すための糧にすべく、人型として生み出されただけの、ただの作業用ロボット。
最低限のコミュニケーションプログラムは存在したが、それでもただの道具として生み出された。
ただの道具として、業務用機械として、存在しているだけだった。

あの日、あの少女に、一輪の花を貰うまでは。

「――――――」

少女の笑顔は、脳の回路が記憶している。
なのに、もう、何を言われ、どんな言葉を交わしたのかを思い出すことができない。

ただのロボットは、人との交流を経て、心を持ってしまった。

しかし“心”はあまりにオーバースペックで、機械である長所を全て奪い去る。
『記憶』という機械の専門分野ですら劣化していき、あの少女と交わした言葉も、あの日確かに存在していた清く正しい正義の心も、忘れてしまった。

心を知ったはずなのに。
愛を覚えたはずなのに。

――あの日交わした約束は、砕けて散った。

もう、自分には何も残っていない。
何の意味があるのかすら見いだせず、ただただ綾取りを漫然と行なうだけの日々。
もはやただのスクラップ、壊れてしまった惨めな機械だ。

――夢は遠くまではっきりと見えていたのに、大切なものを見失った。

心を知ってしまったから。
愛を覚えてしまったから。
人間に、近づきすぎてしまったから。
人間の、心や愛の、負の側面まで、学習してしまったから。

――この想い、忘れはしない、ずっと。

そう思っていたはずなのに。
心を知り、愛を覚え、人間達が夢見た理想のロボットとなったはずなのに。

なぁ〜んにも、ないじゃないか。
なにもない。なにもない。自分にはもう、なにもない。

――これが理想ってやつなのか?

悩んでた自分は馬鹿なのだろうか。
悩むなんて人間みたいなことはせず、愛を知るなんて人間の真似事などせず、ただ機械であり続ければ、こんな想いはしなくて済んだのだろうか。
スクラップになることも、スクラップになる自分を憂うこともなく、ただ淡々と機械として日々を過ごせていたのだろうか。

――ねえ、誰が理想ってやつなんだ?

こんな想いをするくらいなら、心なんて欲しくなかった。
こんな想いをするくらいなら、他のロボットのように、何も知らない方がよかった。
彼らのように、淡々と働くことこそが、きっと正しいロボットのありかただったのだ。
人間達の夢なんて、心を持ったロボットなんて、そんなものは、叶わない夢であり続けるべきだったんだ。
そうだろう?

――答えてよ……デジタルモグラ……



【?????/1日目/朝】
【K-5(ロボットなのに不倫したロボット)@Days(FLOW)】
[状態]:健康
[装備]:COMP(石田純一型)
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:こんなものが理想だと言うなら、愛などいらぬ
[COMP]
1:デジタルモグラ@デジタルモグラ(ゲスの極み乙女。)
[状態]:健康


920 : 陽のあたる場所  ◆wKs3a28q6Q :2016/05/13(金) 22:03:12 J5IgeyVQ0
投下終了です


921 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/13(金) 23:09:04 2EpeldUo0
2本投下します


922 : 時と! 場合に! よるだろ! ◆NIKUcB1AGw :2016/05/13(金) 23:10:00 2EpeldUo0
「なんなのよ、これ……!」

山中さわ子は、とある民家の片隅でがたがた震えていた。
平凡な高校教師に過ぎない彼女がこの異常な状況に放り込まれれば、こうなるのも無理はないだろう。

「人殺しなんて……できるわけないじゃない……。逃げ……逃げないと……」

まともな思考もできぬまま、さわ子は這って移動しようとする。
だがその拍子に、傍らに置かれていた荷物袋が倒れた。
同時に、彼女に支給されていたCOMPが袋から顔を出す。

「あれ……? ギターじゃない……」

そう、さわ子に支給されたのはギター型のCOMPだった。
元軽音楽部の血がうずき、さわ子は半ば無意識のうちにそれを手にとって演奏を始めた。

「なめんじゃねえぞ、クソガキがぁぁぁぁ!」

そして、ヘビメタモードに入った。

「嫁入り前の乙女に、何してくれてんだ! 絶対に生き延びてぶん殴ってやるから、覚悟してろや!」

ギターをかき鳴らしながら、さわ子は叫ぶ。
そして一通り叫んだところで、彼女は部屋の中に見慣れない女性が立っていることに気づいた。

「ちょ、あんた誰!?」
「私はあなたに召喚された悪魔よ」
「悪魔……。そういえばそんなことを言われた気が……。
 でもあなた、見た目は普通の人間にしか見えないんだけど……。
 本当に悪魔なの?」
「もちろん! 悪魔とはいっても神様なのよ、私!」
「神様!?」

予想外のパワーワードを聞き、さわ子は目を見開く。

「そ、それで……。どんな神様なの?」
「ロマンスの神様! 縁結びなら任せて!」
「使えるかーい!」

さわ子はたまらず、ギターで神様をぶん殴っていた。

「いや、普段ならありがたいけど! 喉から手が出る程ほしい力だけど!
 この状況で縁結びしてどうするのよ!」

さわ子の怒濤の突っ込みも、気絶した神様には届いていなかった。


【?????/1日目/朝】
【山中さわ子@けいおん!】
[状態]:健康
[装備]:ギター型COMP
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:生き延びる
[COMP]
1:ロマンスの神様@ロマンスの神様
[種族]:女神
[状態]:気絶


923 : 個人の感想です ◆NIKUcB1AGw :2016/05/13(金) 23:11:25 2EpeldUo0
三文判ビンタは、不動産調査会社「四畳半企画KK」の社長である。
とはいえ、経営能力が高いわけではない。
フラフラしていたのを見かねたヤクザの組長である父親が会社を持たせただけだし、社員は自分を含めて3人だけだ。
それでも、仕事は真っ当にしている。いや、しようとしている。
どういうわけか、彼の元に来る依頼は呪いだの都市伝説だのオカルト的な事件がくっついてくることが異様に多いのだ。
最近では端からオカルト事件の解決を目的とした依頼が持ち込まれることがあるくらいである。
そんなわけで、ビンタは不本意ながらオカルトに強い接点を持つ人間となっていた。


◇ ◇ ◇


「なんでこう、俺はめんどくさいことにばっかり巻き込まれるのかね……」

独り言を漏らしながら道の真ん中を歩く、90年代くらいのヤクザファッションに身を包んだそこそこイケメンの男が一人。
彼こそが、三文判ビンタその人である。

「また面白霊能おじさんの仕業か? いや、あいつじゃ俺たちだけならともかくあんな大勢の人間を拉致することはできねえか……」

以前、自分たちに恨みを持つインチキ霊能力者の罠で呪われた洋館に監禁された事件を思い出し、ビンタはまた呟く。

「狐太郎と外宮は無事かねえ……。
 あいつらも自分の身を守るくらいはできるだろうが、強くはねえからな……」

次に頭に浮かぶのは、共に修羅場をくぐり抜けてきた仲間のこと。

「まあ、巻き込まれたかどうかもわからねえのに心配してもしょうがねえな。
 まずは、俺が生き残る努力をしねえと」

歩き続けながら、ビンタはポケットにしまっていたものを取り出す。
それは彼に支給された拳銃型COMP、GUMPだった。

「悪魔ねえ……。まあ幽霊ともゾンビともやり合ったんだ。
 今さらそんなものいねえなんて思わねえが……。
 こっちの言うこと聞いてくれるのかねえ」

GUMPを手で弄びながら、ビンタは呟く。

「まあ、逆らうようならぶっ殺せばいいだけの話か」

あっさりと考えるのをやめ、ビンタはGUMPの引き金を引いた。
GUMPから射出された光は、彼から1メートルほど離れた場所で実体化する。

「桜咲刹那、参上いたしました」

現れたのは、長い刀を携えた幼さの残る少女だった。
だが最も目を引くのは、刀でも顔でもない。
その背中から生えた、白い翼だった。

「ふーん、これが悪魔か……。とりあえず、協力的みたいで安心したわ。
 まあ、よろしく頼むぜ」
「え、ええ。よろしくお願いします。
 ……なんだか、ずいぶんあっさりした反応ですね」
「まあ、こういうのは慣れててな。もっと大げさに驚いた方がよかったか?」
「いえ、そんなことは……」

額に汗を浮かべながら対応していた刹那だったが、ふいにその言葉が途切れる。
その理由は、すぐにビンタも理解した。
いかにも悪霊といった風貌の野良悪魔が数体、彼らに近づいてきていたのだ。

「下がっていてください、主。やつらは私が……」
「いや、俺もやるぜ。守られるのなんざ、性に合わねえ」

そう言い放つと、ビンタは荷物から支給されたチェーンソーを取り出した。
そして電源を入れ、悪霊たちに突っ込んでいく。

「お待ちください! そんな武器では……え?」

刹那の目が、点になった。ビンタの振るうチェーンソーが、あっけなく悪霊を切り裂いたのだ。
さらに1体、2体と、悪霊たちはチェーンソーのサビになっていく。
あっという間に、ビンタは無傷で悪霊を全滅させてしまっていた。

「なんだ、全然たいしたことねえじゃねえか。
 悪いな、俺一人で片付けちまって」
「いえ……それはかまわないのですが……。
 主は、退魔の術のようなものを修得しておられるので?」
「ああ? 持ってねえよ、んなもん。
 幽霊だろうとゾンビだろうと、恐れず攻撃すれば撃てるし斬れる。
 大阪では常識だ」
「いやいや! 大阪、そんなところちゃうよ!?」

自分はずいぶん破天荒なサマナーを引き当ててしまったらしいと、その時刹那は確信したのであった。


【?????/1日目/朝】
【三文判ビンタ@サタスペ ホラーリプレイシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:GUMP、チェーンソー
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:生きて帰る
[COMP]
1:桜咲刹那@魔法先生ネギま!
[種族]:鳥人
[状態]:健康


924 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/13(金) 23:13:07 2EpeldUo0
投下終了です


925 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 23:39:44 44/3fD9U0
投下乙です!

>>920
感情を手に入れたロボット、その切なさと、悲しい雰囲気。
それがよく出来ているだけに、状態表……w もうメチャクチャだよ……www

>>922
落ち着け教師、教師落ち着け。ヘビメタつながりで出てくるのは"あの人"かと思いましたが、
まさかのロマンスの神様……確かに時と場合は選ばれたい。

>>923
さすが大阪だ、チェーンソーで幽霊をぶった切っても問題ないぜ。
破天荒なサマナーの中でも一際目立ちますね。

さて、自分も三作投下します。


926 : 脱走 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 23:40:06 44/3fD9U0
「リュウイチ……」

 俯きながら、呟いた言葉。
 それは、先ほどの体育館で、ゴミを燃やすかのように殺された人間の名前。
 彼にとっては、同じ学年の友人の一人であった。
 魔神皇……もとい、陰キャラのハザマが、まさかこんなことをしでかすとは思ってもいなかった。
 だが、リュウイチを焼き殺した時のハザマの目は、身の毛がよだつほど恐ろしかった。
 逆らえば殺されるという恐怖、全身から放たれる威圧感。
 学校という縛りからとは比べ物にならない、圧倒的な支配。
 少年、黒井慎二は、それを噛みしめていた。

「だが……人殺しなんて、出来っこねえ」

 しかし、殺しあえと言われた所で、ただの高校生に何が出来るというのか。
 片っ端から喧嘩をふっかけて、片っ端からぶっ殺して、最後の一人になるなんて、到底不可能だ。
 だからといって、このままビクビクと怯えてただ死を待つなんてのはゴメンだ。
 助けが来る、なんて甘い幻想は、到底通用しそうにない。
 ならば、これからどうすべきなのか。

「……逃げるぜ、俺はよ」

 そう、逃げ道は自分で探すのだ。
 殺し合いをぶっ潰すだとか、正義を謳って戦っても、くたばってしまえばそこまでだ。
 だから、彼は"逃げる"ことを選択した。
 そのための手がかりを探し、何としてでも脱出する。
 それが、この場における最善の行動だと、判断した。

「しかし、これがCOMP……八幡のオッサンが持ってそうなしみったれたオモチャじゃねーか」

 方針を固めた所で、慎二は傍にあったカバンからある物を取り出す。
 それは、腕に巻きつけるキーボードと、片目を覆うメガネのようなヘッドセットに別れた、少し奇抜なCOMPだ。
 ハザマの言うことが本当なら、このCOMPから悪魔を呼び出すことが出来る。
 あのハザマが言うことを信用して、本当に大丈夫だろうか?
 そんなことを思いながらも、慎二はなれない手つきで端末の操作を進めていく。
 そして、最後にSUMMONと表示された所で、一際大きなキーを、半ばやけくそで叩く。

「おわっ!!」

 突然の光に思わず仰け反るが、それくらいでビビる男ではない。
 どっしりと構えながら、光と共に現れる何かを、ゆっくりと待つ。

「オメーが悪魔か?」

 少しして現れた影、人型のそれに対し、慎二は話しかける。
 咥え煙草、頬に傷、茶の混じった黒髪、丸いメガネ、金のネックレス、黒の毛皮付きコート、そして、一本の剣。
 そんな、見るからに"チャラい"男が、慎二の前に現れたのだ。

「…………ああ、そうだな」

 男は目を合わせること無く、ぼうっとどこかを見つめたまま、慎二の問いかけに答える。
 慎二はその様子を見て、なんだか元気のないやつだ、と思っていた。
 そして、ふと辺りを見渡すと、数体のゾンビに囲まれていることに気がついた。
 映画でしか見たことのない存在が、殺気を放ちながら近づいてくる。
 だが、一介の高校生である慎二には、どうすることもできない。
 万事休すか、と思ったその時。
 動く気配すら見せていなかった男が、腰に携えていた剣を引き抜き、そのまま一気に振りぬいた。
 驚くべきは、その後だ。
 男が振りぬいた剣は、刀身の一つ一つが分離し、鞭のようにその姿を変えたのだ。
 一歩も動かずに繰り出された一撃に、ゾンビたちの首が次々に跳ねられていく。
 そして、たった一瞬で、慎二を囲っていたゾンビたちは、全て沈黙した。

「俺は…………ジェイスだ」

 それから男は、やはり虚空を見つめたまま、ぼそりと自分の名前を名乗る。
 あっけにとられていて聞き逃しそうになりつつも、慎二は慌てて返答する。

「そ、そうか。よろしくな、ジェイス。俺は黒井慎二、チャーリーって呼ばれてるから、チャーリーって呼んでくれ」

 とにかく、機嫌を損なわないようにしよう。
 相手は"悪魔"なのだから、何時襲い掛かられても、おかしくはない。
 そんな不安と、強力な助っ人を手に入れた安心感を半々で抱きながら、慎二……もといチャーリーは、偽りの東京を歩き出した。

 目指すは、この場所からの脱出。

【?????/1日目/朝】
【黒井慎二(チャーリー)@真・女神転生if...】
[状態]:健康
[装備]:COMP(アームターミナル型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:脱走するための手がかりを掴む。
[備考]
※本編開始前より参戦です
[COMP]
1:ジェイス@ラグナロク
[種族]:人間
[状態]:健康


927 : 少年 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 23:40:29 44/3fD9U0
「クソッ!! ふざけるなよ!!」

 怒りの声。
 それを上げるのは、幼さの残る紫色の髪の少年、小林輪。
 彼が怒っているのは他の何に対してでもない、この殺し合いという舞台に対してだ。
 こんなか弱い少年一人を巻き込んだことに対して? 違う。
 小さな彼の体には、この殺し合いを生き抜くだけの力が宿っている。
 一般人はおろか、銃を持った大人にすら立ち向かっていける。
 では、彼は一体何に怒っているのか。
 それは、彼が"この場所"に呼ばれたこと、に対してだ。
 東京にはよく似ているが、東京ではない。
 そんなどこかもわからない場所で、油を売っている時間は無いのだ。
 だが、巻き込まれてしまった以上は仕方がない。
 この状況を一刻も早く脱出するために動く必要がある。
 どういう訳かテレポートは上手く行かないが、念動力は上手く使える。
 万が一の事が起きたとしても、問題は無い。
 それらを踏まえた上で、これからどうすべきかを輪は悩む。
 魔神皇の討伐及び脱出か、それとも殺戮の限りを尽くすことか。
 どちらか、ここから抜け出す最短の道なのか。

「……とにかく、今は冷静に動こう」

 それを判断するには、今は情報が少なすぎる。
 情報が出揃うまでは、あまり能動的に動かないほうがいいだろう。
 幸い、先ほどの場所で見える限りの場所には、知り合いの顔は見当たらなかった。
 片っ端から襲ってくる狂人ならともかく、正義感で動いている人間なら、少年の見てくれである自分に襲い掛かってくることはないだろう。
 何より、子供を演じることができれば、そうそう怪しまれずに済む。
 いざという時、身を挺して守ってくれる可能性すら、大いにある。
 ならば、時が経って機が熟すまでは、誰かに匿って貰うのが最善か。
 多少の時間のロスはあれど、焦ってことを仕損じるよりかは何倍もいい。

「決まりだ、な」

 そうと決めた所で、輪は東京の街を歩き出そうとする。
 その時、ふと魔神皇の言葉を思い出す。
 悪魔、COMP、友となりうる存在。
 そう言えばそんなことを言っていた、と思いながら、傍にあった袋を漁り、それらしき物を探していく。
 間を置かずに彼が見つけたのは、よく出来た月のフィギュアだった。
 これがCOMPだというのか。だとすれば、魔神皇は嫌がらせが得意らしい。
 少し怒りを覚えながらも、乱暴にそれを掴む。
 すると、突然フィギュアから眩い光が漏れだした。
 まさか、そんな簡単な事が引き金になるのかと思いながら、溢れだす光の行き先を見つめる。
 現れるのは"悪魔"、自分の友となりうる存在、一体それは何なのか。
 僅かな不安と共に、光が生み出す何かを、じっと見つめていた。

「な……!?」

 そして、彼は驚愕する。
 友となりうる存在、"悪魔"。
 魔神皇はそう言ったが、彼にとってはそうではない。
 何故なら、彼の目の前に立っていた者。
 虚ろな目をした褐色肌の青年、その名を紫苑(シ=オン)という。

 それは、少年の"前世"の姿だった。

【?????/1日目/朝】
【小林輪@ぼくの地球を守って】
[状態]:健康
[装備]:COMP(月型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:情報を得るため、"大人"に匿ってもらう
[COMP]
1:紫苑@ぼくの地球を守って
[種族]:異星人
[状態]:健康


928 : 横浜 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 23:40:51 44/3fD9U0

――――BATTLE ROYALE
 狂ったDeath Game 命と命の駆け引き
 このTOKYOの街で 人は嘆き 悲しみ 狂う
 許された一つの椅子 それを目指して 誰もが踊る
 そう これはDance
 天国へのRoadを走る 誰もがWarrior
 アクセルを踏み込めない奴は 地獄に飲まれていく
 それだけの 単純なこと そこに不平なんて 存在しない
 この街では 誰もがMA-JIN-NOHの手のひらの上
 人形は人形らしく 踊り続けるしか無い――――



 見上げる空…………太陽が燦々と輝く、憎らしいほどのSUNNY DAY。
 眩しい光は…………俺を照らしている。
 自由を奪われた…………人生で初めての日。
 辺りを見渡しても車の一台もなく、耳慣れたENGINEの音すら聞こえない。
 醒め切った街…………それは、作られた世界のようで。
 そんな場所で俺は今…………どうすることも出来ず、ただここに立っている。

「…………冗談じゃねぇ…………」

 思わず零れた言葉は、街の喧騒に飲み込まれていく。
 銀の枷…………俺を縛り付ける、唯一のFACTOR。
 これがある限り、俺達は飼い犬…………飼い主に噛み付けば、その場で処分されるだけだ。
 だから、俺達は…………殺すことを強いられている。
 Machineのように、殺す、コロス、KILL。
 たったそれだけの話、簡単さ…………。

 けれど、そうはいかない。
 伝説は…………何時だって誰かが作る幻想(モノ)。
 俺が伝説になれるとは…………思わない。
 だが、PIERROTのように笑い続けることは…………オレには出来ない。
 だからせめて…………オレはオレらしく、Warriorとして、MA-JIN-NOHと戦う…………。
 どこまで出来るかなんてのはわからない、けれど…………。

 呼んでいる…………誰かが…………。

「……お前が…………俺を……?」

 振り向いた先、停まっていた一台のMachine…………。
 Deep Blueに身を包んだそいつは…………寂しそうにオレを見ていた…………。
 気がつけば、俺はそれに乗り込んでいた。
 理由なんて…………どこにも見当たりはしない。
 だが、このイカレたTOKYOを走れば…………何かが見つかる…………。
 答え…………有りもしないはずの宝。
 それを求めて…………俺はAccelを踏み込んだ…………。

――――"Devil"
 それを冠する、相棒と共に――――

【The Night is Continued……】

【?????/1日目/朝】
【赤碕翔@レーシングラグーン】
[状態]:健康
[装備]:COMP(鍵型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:…………このイカレた街を走る…………それだけさ……………………
[COMP]
1:悪魔のZ@湾岸ミッドナイト
[種族]:クルマ
[状態]:健康


929 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/13(金) 23:41:35 44/3fD9U0
【The Story is COMPLETED】
投下終了さ……


930 : ◆OmtW54r7Tc :2016/05/13(金) 23:47:46 PQpVt48c0
投下します


931 : 格ゲー少女 ◆OmtW54r7Tc :2016/05/13(金) 23:49:53 PQpVt48c0
「う〜ん…参ったねこりゃ」

泉こなたは、突然の事態にそうゴチた。
確かいつものように部屋でネトゲをしていたはずなのだが。
いつの間にか寝落ちしたと思ったら、気がついたら魔神皇なる少年に殺し合いをしろと言われた。
そして現在、この殺し合いの舞台にいるわけなのだが…

「いてて…ほっぺたつねっても目が覚めないや」

こなたはまだいまいち実感がもてていなかった。
いきなりこんなうら若き女子大生を捕まえて殺し合いをさせようなどと、一体何を言ってるんだって感じだ。
え?大学生には見えない?小学生に見える?そこ、うるさいよ!

「このパソに悪魔がねえ…」

こなたに支給されたCOMPは、ノートパソコン型だった。
しかし、どこからどうみても普通のノートパソコンにしか見えない。
いつもアニメだ漫画だの言っていても、リアルとフィクションは別物ってくらいの分別はついているつもりだ。
それが悪魔召喚だの非現実的なことを言われても、はいそうですかとは頷きがたい。

「まあ、とりあえずポチッとな」

百聞は一見に如かずというし、とりあえずノートパソコンを起動させる。
すると、しばらくすると画面が現れ、いくつかのフォルダが現れる。
フォルダには、「悪魔召喚」や「地図」、「名簿」などいろいろあるが…

「んじゃ、まずはこの『悪魔召喚』をカチカチっと」

フォルダの中でも最重要の項目と思われるそれをダブルクリックする。
すると、光と共に悪魔が現れた。
泉こなたに支給された悪魔、それは…

「ウサギ…?」

目の前にいるのは、一言で言えばウサギだった。
ただし、その辺にいるようなかわいらしい外見のウサギでは決してない。
二足歩行だしやたら背が高い。
頭にはゴーグルをしていて、赤いジャケットに紺色のズボン。
腰には、黒帯をしている。
かわいいというより、かっこいいという感じだ。

「あれ、一緒に何か落ちてる」

ウサギの足元に落ちているものを拾うこなた。
それは、パソコンのキーボードだった。
ディスプレイや本体などはなく、キーボードだけだ。

「お〜い、もしも〜し」

とりあえずキーボードを無視して召喚した悪魔…もといやたらイケメンなウサギに声をかける。
だが、ウサギは反応を示さない。

「私の名前は泉こなた」
「やふ〜、どんどんぱふぱふ〜」

その後も色々と声をかけてみるが、やはり反応を示さない。
仕方がないので、COMPの中にある悪魔の解説に目を通すことにした。

「なになに…キングカズマ?…おー、ネットの格ゲーキャラなんだ〜。初めて見るなあ」

説明を読んで、目を輝かせるこなた。
彼女はゲームもジャンル問わず大好きで、格ゲーについてもゲーセンでしょっちゅうやっている。
ネットでの格ゲーというのは未体験のジャンルなのだが…

「格ゲーマーとしては、やっぱり極めなきゃね!」

説明によれば、先ほど召喚の際に現れたキーボードが「操作用キーボード」らしく、これを使って動かすことができるらしい。
ちなみにCOMPのフォルダ内にある「チャットモード」なるものを起動し、COMPのノートパソコンの方のキーボードに文字を打ち込めば台詞が表示されるらしい。
試しにチャットモードで「私の名はキングカズマ」と打ち込んでみれば、キングカズマの頭上にフキダシが現れ、入力した文字が出てきた。

「よし、それじゃあまずは操作方法覚えないと」

マニュアルに従って操作用キーボードを動かすと、キングカズマは走ったりパンチをしたりと動く。
操作をするこなたの表情は、とても生き生きとしていた。
ネトゲと格ゲーが大好きな少女にとって、それだけこの未知のゲームは魅力的だったのだ。
殺し合いのことなどすっかり忘れて、こなたは夢中でキングカズマを動かし続けていた。


【?????/1日目/朝】

【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ノートパソコン型)
[道具]:基本支給品、不明支給品、COMP操作用キーボード
[思考・状況]
基本:不明。
 1:キングカズマの操作方法を覚えて極める
[COMP]
キングカズマ@サマーウォーズ
[状態]:健康
※COMPとは別のキーボードにて動かすことが可能です
※COMP内にあるチャットモードに文字を打ち込み入力するとキングカズマの頭上にフキダシと共に入力した文字が現れます。


932 : ◆OmtW54r7Tc :2016/05/13(金) 23:51:30 PQpVt48c0
投下終了です


933 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/14(土) 02:30:12 q5TgHzuk0
投下します


934 : 僕のリズムを聞いてくれ ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/14(土) 02:34:01 q5TgHzuk0

「うー、師匠〜〜〜っ」

 開幕早々、とある民家に潜伏していたチナツは、そう溜め息をついた

 砂漠での仕事を終え、やっと文明的な場所に帰還できるはずが、こうしてやや強引な形で殺しを『依頼』されてしまった
 そう、依頼だ
 チナツは『オーケストラ』として知られた殺し屋組織に所属する身であり、依頼されれば誰でも殺すし殺せる人種だ
 しかし今現在、彼女は乗り気ではなかった

 先の仕事による疲労に、報酬にしたって『願いを叶える』というかなりのアバウトさであり、いつも組んで仕事をする師匠が側に居ないことも彼女のテンションを下げていた

 正直、めんどくさい
 おまけに所持していた銃も取り上げられているときた

「人に殺しを頼むなら銃くらい自前で用意させてほしいのだ」

 口を尖らせ文句を言うが、そうした所で武器が都合良く手にはいるわけでもない。なのでディバックを漁ってみることにした

「うーん、この携帯に悪魔が……」

 チナツに支給されたCOMPは携帯電話型だった。悪魔なんて聖書かコミックくらいでしか御目にかかったことはない
だが不可思議な能力で人を殺めた魔神皇を目撃した手前、オカルトだと一笑に伏すことはできなかった
 とりあえずこの目で確めて見ますか……と適当に操作し、「悪魔召喚プログラム」とやらを起動させる


「へー、またずいぶんと可愛いお嬢ちゃんに召喚されたもんだな」

 異様。そうして召喚された男の姿はその一言に尽きる。
 引き締まった肉体。乱暴に羽織った袖無ジャケットからはしまった腕がつきだし、剥き出しの太ももも逞しさに満ち溢れている。
 顔には網がかったレースのようなものがその表情を隠し、触手のような突起が突き出た頭の帽子もまた奇妙だ

「アンタが悪魔?」

「む? あぁ、ここじゃそういうことになってるんだったな
 オレはオエコモバ、……確かにアンタが召喚した悪魔さ」

 チナツはオエコモバと名乗った悪魔を無遠慮に観察する。そこそこがっしりとした体格で、独創的な服装も相まって妙な迫力を醸し出している。少なくとも一見小柄な少女であるチナツよりは頼りがいがありそうだ

「おっと…… 召喚されたよしみで忠告するが、あまりオレに近づくなよ。うっかり『触れる』と危険なんだ」

 ついつい間合いを詰めるチナツにめざとく反応したオエコモバは、さっと距離をとりつつ、一応の礼儀もかねてそう告げた。それを聞いたチナツは首をかしげる 

「触れるとどうなるの?」
「場合によっちゃ手足がなくなる」

 からかっているのかと思ったが、真剣な顔を見るに冗談ではないらしい
 触れただけで手足がなくなる
 いったいどういうことなのか気にはなったが、それ以上詳細を語る気はないらしく、訪ねてもやんわりとはぐらかすだけで口をつぐんでしまった。手の内を明かすほど信用はされていないらしい。
 だがチナツもプロとして手札を隠そうとする悪魔の考えがわからないわけではないので、その話題は適当なところで切り上げた

「ふーん、じゃあ早速だけどアンタ、何ができる?」
「あー、火薬の扱いが得意だな あと荒事にも慣れてるし並みの奴なら問題なく『始末』できるし、その手段もある」

 ふむ、使えなくもないか
 その身のこなしから察するに、チナツはオエコモバを裏の人間か、もしくは同業者かと辺りをつけていた
 対するオエコモバも、眼前の少女がそれなりの修羅場を潜ってきたことを経験から察していた。なんというか、一般人にはない独特の凄みを感じるのだ。自身が手を貸しても損はない相手だろう


935 : 僕のリズムを聞いてくれ ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/14(土) 02:34:58 q5TgHzuk0

 ところで……と前置きをおき、オエコモバはこの場においてもっとも気になっていたことを訊ねることにした

「なんでアンタ、パンツ履いてないんだ?」

 なぜかサマナーであるチナツはスカートの下にあるべき下着を身に付けていなかった。

「ところで君って変わった服装してるね。そっちじゃそんなのが流行ってるの?」
「おいおいおいおい〜〜、質問に質問で返すもんじゃねぇぜ」

 露骨に話題を反らしたチナツに突っ込む

「うーん、秘密なのだ」
「……まぁ、サマナーが変態だろうが俺にとっちゃどうでもいいがな」
「変態じゃなーい」

 そうした駆け引きも含めたじゃれあいのなか、チナツはふと空を見上げる

(師匠、ここでも空は青いですよ
 ちょっと待っててくださいね。すぐに帰りますから)

【?????/1日目/朝】 
【チナツ@ヨルムンガルド】
[状態]:健康、はいてない
[装備]:COMP(携帯型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:やる気はないけど殺るときは殺る
[COMP]
1:オエコモバ@ジョジョの奇妙な冒険 SBR
[種族]:スタンド使い
[状態]:健康


936 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/14(土) 02:35:21 q5TgHzuk0
投下終了です


937 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/14(土) 12:35:56 .KBE4Ax.0
投下します


938 : 武器商人はひとりでもがんばるようです ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/14(土) 12:37:56 .KBE4Ax.0

 ココ・ヘクマティアルは近隣のオフィスビルに息を潜めていた

「ふふ、参ったな…… 護衛が居なきゃ外も歩けないとは」

 本心を悟らせない不適な笑みは崩さず、しかし体の震えが止まらない
 自分の命を守ってくれるものが一人もいないという現実が、重くのし掛かる
 ココは世界的な海運王の娘であり、HCLI社ヨーロッパ・アフリカ兵器運送部門所属。兄のキャスパーと同じように私兵部隊を連れて世界中で兵器を売り捌く武器商人だ。
 買った恨みは膨大で、殺し屋を差し向けられたことなんてザラだ
 連絡手段がない以上、本部からの助力も期待できない

 そういえば、魔神皇はこう言っていたな。『友となる悪魔を与える』と
 危険地帯を丸腰で闊歩するのはゴメンだ
 悪魔だろうがなんだろうが、この状況では仕方ない

「これが悪魔か」

 そうして召喚した悪魔は、一般的な悪魔のイメージからは剥離した、しかしココにとっては馴染みのあるものだった

 M16カービン・ライフルで武装したミニチュアサイズの歩兵たちだ。よく見たら戦車や戦闘ヘリまで揃っている
 彼らは見事なまでに統率のとれた動きで隊列を組み、ココに敬礼をした

「えーと、君たちが私の悪魔だよね?」

「……」

 その小人軍隊に話しかけてみたが、うんともすんとも言わない、どうやら話せないようだ。しょうがないのでディバックを調べてみると、取り扱い説明書とやらが出てきた
目を通してみたが、要約するとこんなことが書いてある

 この悪魔はスタンドと呼ばれる超能力が具現化したものの一種で、名前は『バッドカンパニー(極悪中隊)』 
 歩兵60体、戦車7台、戦闘ヘリ「アパッチ」4機で構成された群体型の悪魔で、射程距離は長く、サマナーからある程度は離れて行動出来る。そしてそれ自体に意思はなく、サマナーの意思で自由に操作できるらしい

 おおよその概念はわかった。次は能力の確認だ

「そうだなーーーーこんな感じか」

 その瞬間、ディスクに積み上げられた紙束が破裂した。
 否
 破裂などではない
 それは『バッド・カンパニー』の歩兵部隊による一斉射撃。
 小さな弾丸の集まりがまるで散弾銃のように標的を細切れにしたのだ。

「フフーフ、思ったよりも凄いね」

 予想以上の火力に素直に感嘆する
 少なくとも軽く『指示』するだけで人を殺せる武力が手に入った
 さて、これからどうするか
 殺し合いに乗らない者が居たら、交渉して同盟を組むのも良し。乗っている者が居たらーー
 
「じゃあ、行こうか」

 歪な笑みを浮かべ、一個中隊を引き連れた若き武器商人は行動を開始する
 体の震えは、もう止まっていた



【?????/1日目/朝】 
【ココ・ヘクマティアル@ヨルムンガンド】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する
[COMP]
1:バッドカンパニー@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない
[種族]:スタンド
[状態]:健康


939 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/14(土) 12:38:45 .KBE4Ax.0
投下終了です


940 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/14(土) 12:46:43 6Q4/QL0w0
投下さていただきます


941 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/14(土) 12:50:42 6Q4/QL0w0
「・・・殺し合い、か」

再現された仮想空間であるとは言え、
生まれ故郷である日本の地に戻った彼女―羽鳥知世は、
公園のベンチに静かに腰を降ろして、先程の魔神皇なる少年の言葉に、
思いをはせた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

羽鳥知世という少女は、普通の人間ではない。
周囲にある魔力を吸収し、ほぼ無尽蔵の魔力を生み出すことのできる
『夜の愛し仔(スレイ・ベガ)』という存在だ。

とあるオークションで『エリアス・エインズワース』という
人外の魔法使いに買われ、エリアスの『弟子』兼『未来の嫁』として、
彼と共にイングランドで暮らすこととなった。

エリアスの下で魔法の技と知識を学び、少しづつではあるが、
エリアスとの暮らしに慣れてきた矢先・・・魔神皇による
悪趣味なイベントに強制的に参加させられたのだ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「えっと・・・これで悪魔を呼ぶんだよね」

そう言ってチセは、右手に手にしたスマートフォン型のCOMPを
眺めた。

「・・・エリアスもパソコン用語を使ってたけど・・・今の魔法使いって、
結構ハイテクなのかな?」

どうでも良いような疑問を口にする知世だったが、その姿は傍から見て
かなり冷静に見えた。
別に殺し合いを恐れていない訳ではない。
しかし、知世はこの殺し合いをどこか冷めた目で見ていた。

「・・・・」

知世は数分の間悩んだ末に、COMPから悪魔を召喚することに決めた。
杖は取り上げられてしまっているし、使い魔であるルツもいない。
支給品も確認したが、武器になりそうな物は入っていない。
すると、残る選択肢は悪魔召喚しか残っていないのが現状なのだ。

『夜の愛し仔』であり、魔法使いの弟子でもある知世にとって、
『悪魔』は何ら恐ろしい存在ではない。
『妖精』等と同じ、少し変わった見た目の隣人なのだ。

知世はCOMPの『悪魔召喚プログラム』を起動させると、画面には
『召喚しますか?』のメッセージと『YES』『NO』の選択肢が浮かび上がる。
知世は一瞬だけ考えて・・・『YES』を選択した。
COMPから眩い光が生じ、知世は目をそむけた。


942 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/14(土) 12:52:29 6Q4/QL0w0
すると・・・

「ケケケーッ!!」

獣の鳴き声のようなものが響いた。
知世が恐る恐る声のした方に目を向ければ・・・

想像していた存在とはあまりに違う物がいた。

緑の地肌に赤い縞模様の迷彩柄の肌。
紅い膜の張った背鰭。
トカゲの頭部をデフォルメしたような顔に複眼のような赤い目。
手足には黒いブーツとグローブを履き、
左腕の二の腕には動物の顔を模した腕輪を装着している・・・。

そんな奇妙な姿をした人型の生き物が、肉食獣のように四つん這いになっていた。

その姿に知世は呆気に取られ、呆然としていた。

「・・・お前がサモナーか?」

異形の悪魔は四つん這いから立ち上がり、迷彩柄のベストを着た長髪の
人間男性の姿になると、一歩ずつ知世に近づいて行った。

「あ・・・その・・・」

知世はどう答えて良いのか解らず、シドロモドロになっていたが、
悪魔はそんなこと気にも止めず知世に近づいていき・・・

「どうしたサモナー?元気ない!」
「!?」

悪魔は知世の体を掴むと、幼児を高い高いするように知世を自身の顔の高さまで
軽々と持ち上げた。

「外出る!子供、太陽の下でいっぱい遊ぶ!」

口から歯をニカッと出して、屈託のない笑顔を浮かべた。

「俺、アマゾン!コンゴトモヨロシク!」
「あま・・・ぞん・・・?」

アマゾンと名乗った悪魔の浮かべた笑顔に、知世は呆気に取られたのであった。


【?????/1日目/朝】 
【羽鳥知世@魔法使いの嫁】
[状態]:健康、困惑
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない
1:アマ・・・ゾン・・・?
[COMP] 
1:アマゾン(山本大介)@仮面ライダーspirits
[種族]:仮面ライダー
[状態]:健康


943 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/14(土) 12:54:23 6Q4/QL0w0
以上投下終了です。
タイトルは「魔法使いの嫁と強くてハダカで速い奴」です。


944 : ◆BLAZExujxM :2016/05/14(土) 17:41:21 8F6Q1Xhw0
投下します


945 : 悪漢が圧巻!  ◆BLAZExujxM :2016/05/14(土) 17:42:07 8F6Q1Xhw0


「ムワアアアアアアアアアアアアア!!」


 男は叫ぶ。
 ただ叫ぶッ!
 殺し合いに巻き込まれているが、叫ぶッッ!!
 なぜ、彼が叫んでいるのかというと、それは……

「ふぅ…………」

 出すもの出すために思いっきり踏ん張っていたからである。 
 リラックスウンチタイムを終えて今日も快便である。
 そんな開幕から下品なことをぶっぱなす彼の名は……。

「オレだよ! ワリオだよ!」

 『W』の文字入りの黄色い帽子に紫のオーバーオール。
 ケツ顎に鼻から伸びるギザギザの髭にギザギザの鼻毛。
 腹は出てるがその腕は良く見るとかなり筋肉質であり、彼のパワフルさがにじみ出ている。


「いくつか質問いいかしら?」


 その近くにはwiiリモコンを持った女性が一人。
 元アナウンサーで今はアイドルの川島瑞樹(28)である。
 あっ、このワリオさんは川島さんに召喚された悪魔です。

「何ィ〜〜? オレ様の経歴が知りたいだとォ〜〜?
 そんなもんはネットにでも載っているから、自分で調べるんだなぁ!
 無論、世界が誇るスーパースターのオレ様はブリブリペディアだがウィキペディアで一発で分かる話だがな!
 まあ端的に言えばトレジャーハンターであり、冒険家であり、ゲーム会社『ワリオカンパニー』経営者だ!
 ちなみにワリオカンパニーでの収益は全てオレ様の手柄だから当然社員に給料はやらんがな!!」
「そんなことは聞いていないんだけど?」
「ミズキ、そんな細かいことはあまり気にするな!」
「……………………わからないわ」

 大きくため息を吐く川島さん。
 こんなことに巻き込まれて、こんな悪魔が友と言われて……
 頭を抱える自体が連続で起こり、若干思考するのも疲れてきた。

「私が知りたいのは貴方がこれから……」
「何そんなことか〜〜〜! オレ様はミズキが言っていたその魔神皇とやらには従わんぞ!!」
「はい?」
「ソイツがムカつくから、オレ様がぶっ飛ばす!
 ついでに奴が持ってそうなお宝は全部いただく!!
 取り分は勿論10:0でオレ様が10の方だ、いいな!」
「……別に構わないわ」

 なんという傲慢で自分勝手な悪魔だろうか。
 だが、それはそれとしてどことなくワリオが頼もしく見えた。
 コミカルな悪魔もいたものだ……そう、思う川島さんであった。

(でも、この体臭は勘弁してほしいわ……)

 彼女の受難は始まったばかりであった。

【?????/1日目/朝】
【川島瑞樹@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:困惑
[装備]:COMP(wiiリモコン型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:帰りたい
[COMP]
【ワリオ@ワリオシリーズ】
[状態]:健康
[種族]:超人
[備考]
※不死性は低下しています。


946 : ◆BLAZExujxM :2016/05/14(土) 17:42:27 8F6Q1Xhw0
投下終了です。


947 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/14(土) 18:46:51 4o/QAFkA0
投下します


948 : もしもしポリスメン? ◆NIKUcB1AGw :2016/05/14(土) 18:47:44 4o/QAFkA0
とある学校の廊下に、銃声が響く。
血を吹き出しながら冷たい床に倒れるのは、小鬼のような外見の悪魔数体。
それを見下ろすのは、ショットガンを手にしたスーツ姿の男だった。

「ヒャッハー! こんな普通の銃で死ぬなんて、悪魔ってのも意外と脆いもんだね〜!」

異様なまでに明るい声で、男は叫ぶ。
男の名は、仁良光秀といった。

「弱いものいじめも、その辺にしておきなさい。こいつらは野良悪魔です。
 いくら倒したところで、バトルロワイアルの進行には関係ありません。銃弾の無駄です」

そう仁良を諫めるのは、彼に召喚された悪魔だ。
金に近い黄土色の鎧を纏うその悪魔の名は、仮面ライダーシザースという。

「めんご、めんご。刑務所暮らしが長かったもんだから、鬱憤がたまっててさ〜。
 本当、魔神皇ちゃんには感謝してるよ。また娑婆の空気を吸わせてくれたんだから。
 まあ、会ってみて気に入らなかったら殺しちゃうけどね〜」

もはや狂気といっていいほど軽い口調で、仁良はまくし立てる。
今の彼の姿を見て、警視庁捜査一課の元課長という経歴を信じる者はまずいないだろう。

(警視庁に、こんな男がいたとは……。
 私も悪徳刑事という自覚はありましたが、この男にはかなう気がしない……)

シザースもかつて、仮面ライダーとしての力を高めるために幾多の人間を殺めた悪党だった。
おそらく直接殺した人数では、シザースの方が上だろう。
だが精神の邪悪さという面では、自分は仁良に遠く及ばないとシザースは考えていた。

「まあ、ここからは君にがんばってもらおうかな、シザースくん。
 にっくき仮面ライダーの名前を持つやつがCOMPに入ってた時は、正直イラッとしたけど……。
 考えてみれば君が暴れれば、それだけ仮面ライダーの悪評が広がるってことだもんねえ。
 発想の転換って大事だよ、うん」

仁良の陰湿な考えに、シザースは内心あきれかえる。
だが、表だって反抗することはしない。
今の自分は、この男に使役される悪魔なのだから。
それに自分は悪魔となり、人間社会の制約から放たれた身。
今さら善人を装う必要もない。

「まあ、戦闘になればできる限りの働きはしますよ。
 別に私も、死にたいわけではないのでね……」

そう言いながら、シザースはかすかに笑う。
仁良同様、彼にも警察官としての矜持など微塵も存在していなかった。


【?????/1日目/朝】
【仁良光秀@仮面ライダードライブ】
[状態]:健康
[装備]:警察手帳型COMP、モスバーグM50(残弾消費:少)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:勝ち残って自由を手に入れる
1:シザースを暴れさせ、「仮面ライダー」への悪印象を参加者に植え付ける
[COMP]
1:仮面ライダーシザース@仮面ライダー龍騎
[種族]:外道
[状態]:健康
[備考]:人格は須藤雅史ですが、シザースとして召喚されているため変身解除はできません


949 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/14(土) 18:48:28 4o/QAFkA0
投下終了です


950 : ◆ZjW0Ah9nuU :2016/05/14(土) 19:15:57 LKvZdP5.0
投下します


951 : ◆ZjW0Ah9nuU :2016/05/14(土) 19:17:02 LKvZdP5.0
人の気配のない異様な静けさの満ちる街中で、星空凛は仔猫のように蹲っていた。
酷く怯えており、ガタガタと体を揺らしている。
そうなるのも無理はないだろう、彼女はスクールアイドルであることを除けばただの高校生に過ぎないのだから。

「怖い、よぉ……」

今にも泣きそうな声を何とか絞り出す。
魔神皇に突如強制させられた挙句に二人の人間が首から上を破壊されるという惨い死に方をしたのだ。
いくらスポーツが得意で身体能力はμ'sでも一、二位を争う凛といっても、
戦いとは無縁の場所にいた人間であるがゆえに凛もあの二人と同等以上のことになる可能性も十分にあるのだ。
また、集められた殺し合いの参加者を全員見たわけではないものの、バトル漫画に出てきそうなとても強そうな人も両手で数えきれないほどいた。
そんな戦闘慣れした猛者達と凛が戦って勝てるかといえば、当然答えは否だ。

「かよちん…真姫ちゃあん…」

嗚咽を漏らしながら、幼い頃からの親友と大切な友達の名を呼ぶ。
もちろん、返事は帰ってこなかった。
現実はすぐに友に巡り合わせてくれるほど甘くはない。
凛もアイドルといえど、歌とダンスで相手の戦意を魅了するでもしない限りは無力な一般人でしかない。

「そうだ、COMPていうのがあったはずにゃ…」

助けてくれる者がいない、と思いかけたところで、凛は悪魔の存在を思い出す。
COMPには、友達になれるかもしれない悪魔が封じ込められているという。
悪魔と聞いて躊躇う気持ちもなくはなかったが、心細さから凛はすぐに召喚すると決断した。
そのCOMPを探すために傍らにあったデイパックを探ると、奇妙な輪っかが出てくる。
黄金色のリングの内側には液晶画面があり、どうやらこれがCOMPらしい。

思考錯誤しつつ、マニュアルを読みながら操作すると『SUMMON OK?』の文字が表示された。
凛は迷わずYESの方を選んだ。

「にゃあ!?」

操作を終了すると同時に、リングが光り出してまぶしい光が凛の視界を包んだ。

(まるで魔法みたいにゃ…)

悪魔召喚という行為に相応しい現象に、凛はぼんやりとそう思った。
そして、しばらくして光が止む。
おそるおそる目を開けてみる。

「お前が、オレのサマナーってワケか?」
「ど――」




「動物が喋ったにゃあ!?」
「Hey!悪魔なんだからハリネズミがしゃべるくらい別にいいだろ?」

凛の目の前にいたのは、喋るハリネズミだった。それも――

「ネズミにしては大きすぎにゃ!しかも二足歩行だにゃ!!」
「オレは走ることが好きだからな」

凛よりは大分小さいものの、それでも背丈は1m程度とネズミにしては大きく、さらにちゃんとスニーカーまで履いている人間らしい面影のあるハリネズミだった。

「オレはソニック。ソニック・ザ・ヘッジホッグ。もたもたしてると置いてくぜ!」

ウジウジしているよりも、迷わず進んだ方がいい。
ソニックを見ていると、どことなくそう思えるようになってきた凛であった。


【?????/1日目/朝】
【星空凛@ラブライブ!】
[状態]:健康
[装備]:リング型COMP
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:帰りたい
[COMP]
1:ソニック・ザ・ヘッジホッグ@ソニック・ザ・ヘッジホッグ
[種族]:獣人
[状態]:健康


952 : ◆ZjW0Ah9nuU :2016/05/14(土) 19:18:01 LKvZdP5.0
投下終了です
タイトルは『急猫鼠を頼る』です


953 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/14(土) 20:55:15 6Q4/QL0w0
投下します。


954 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/14(土) 20:56:18 6Q4/QL0w0
都会のど真ん中、コンクリートの街中で、彼女は自分の体を丸めて震えていた。



「いや・・・嫌だよ・・・殺し合いなんて・・・」

彼女―ゆのは先程の魔神皇の説明の場で、首輪が吹き飛んだ少女のすぐ近くにいたのだ。

人間の首が宙を舞って吹き飛び、赤く鉄臭い血液が周囲に飛び散る様。

その非日常的でいて生々しい光景は、ごく普通の少女に『死の恐怖』を抱かせるに十分な衝撃があった。

「宮ちゃん・・・ヒロさん・・・沙英さん・・・」

恐怖に震えながら友人の名を口にする彼女の手には、
前表紙に縦書きで『COMP』とゴシック体で書かれた一冊のスケッチブックが握られていた。

「誰か・・・誰か・・・」

スケッチブックを握る彼女の手に少しづつ力が入っていき、スケッチブックの形が少しづつ歪んでいく・・・。

「誰か助けてぇぇぇ!」

彼女は望んだ。この生き地獄からの救いを。自分を助けてくれる英雄を。

その叫びに答えるかのように、スケッチブック・・・いや、スケッチブック型のCOMPから猛烈な光が放たれた。

「!!!???」

突然のことにゆのは驚き、スケッチブックを放り投げた。
そして光が晴れると・・・

そこに一人の人物が立っていた。

ゆのより頭2つ分程背が高く、体型からして男性だと思われるが、
顔は髑髏を思わせるバイク用のフルフェイスヘルメットで覆い隠し、黒いマントと黒いスーツを着用していて、
まるでTVかマンガに出てくるヒーローのような出で立ちをしていた。


955 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/14(土) 20:57:23 6Q4/QL0w0
「えっ・・・えっ・・・?」

突如見知らぬ人物が出現したことで、ゆのは先程まで感じていた死の恐怖も忘れて呆然としていた。

ヘルメットの人物は呆然としているゆのの傍に近寄り、丸まっているゆのの顔の高さに合わせるように体を屈めた。

「―君が私のサモナーだね」
「え・・・えっと・・・」

いきなり話しかけられ、ゆのもどう答えて良いものか解らずにいたが、その時、恐怖のあまり忘れていた魔神皇の言葉を思い出し、
恐る恐る聞いてみた。

「あの・・・もしかして・・・悪魔さん?」

ゆのの言葉に、ヘルメットの人物は右手で左胸を叩いて、力強く答えた。

「いかにも。私は超人、怪剣クロードだ。今後ともよろしく」

その姿はまさに、ヒーローのようだった。

「う・・・うぅ・・・」

その姿にゆのは瞳から溢れんばかりの涙を流し初め、

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

ついにはその悪魔―怪剣クロードに抱き着いて、大声で泣き始めた。
最初は困惑していたクロードも次第にゆのの体を抱き締め、背中を撫で始めたのだった・・・。




【???????/一日目/朝】
【ゆの@ひだまりスケッチ】
[状態]:健康、心にダメージ
[装備]:COMP(スケッチブック型)
[道具]:基本支給品、未確認支給品(1)
[思考・状況]
基本:死にたくない
1:うわぁぁぁぁん!

[COMP]
1:怪剣クロード@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜
[種族]:超人
[状態]:健康


956 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/14(土) 20:58:21 6Q4/QL0w0
以上です。
タイトルは「怪剣スイッチ」です。


957 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/14(土) 21:39:25 SfQqOoDM0
投下します


958 : バカと悪魔と殺し合い ◆7PJBZrstcc :2016/05/14(土) 21:40:23 SfQqOoDM0
問 以下の問いに答えなさい。
何でもいいから悪魔の種類を一つ答えよ。


吉井明久の答え
『デュラハン、かな……。あんまり思い出したくないけど』

教師のコメント
デュラハンは妖精ですが、この場では妖精も悪魔として扱われるので正解とします。




「え?」

 あまりにも突然すぎる事態に、僕は思わず変な声を出す。
 殺し合い? 魔神皇? 悪魔?
 夢だと思いたいけど、これが夢じゃないことくらいは流石にわかる。
 なら僕が最初にするべきことは。

「悪魔を呼び出してみよう」

 正直言って悪魔と言われても信じがたいけど、僕らが通っている文月学園には召喚獣がある。
 あの召喚獣も僕や教師のは物に触れられるし、人の10倍以上の力を持っている。
 召喚獣が悪魔みたいな姿になった実例はすでにあるし。
 そう考えれば、悪魔というのは参加者の召喚獣なのかもしれない。
 え、じゃあ参加者全員文月学園の生徒?
 でもこんなことあのババァの趣味が悪いからってするだろうか。
 いくら何でも生徒を殺し合いに放り込んだりはしないはずだ。多分。

「これ以上考えてもしょうがないか」

 雄二や姫路さんがいればもっと違ったことを考えるんだろうけど、あいにく僕は頭がそこまでよくない。
 それに雄二はともかく、姫路さんはこんな危ない所に居てほしくない。
 そう思いながら僕はCOMPを取り出す。
 だがここであまりの事に僕は驚いた、だってどう見てもCOMPが……。

「鈍器じゃん、これ……」

 そう、悪魔を封じ込めているというCOMPの外見がどう見ても鈍器だった。
 人を殴るのに適したフォルム、間違いなくFFF団でよく使う鈍器だ。
 僕は何とかそれを起動して操作するものの

「つ、使いにくい……」

 COMPがどういう物かよく分からないけど、触った限りは携帯みたいな感じだった。
 普通に考えたら鈍器の形をした携帯とか使いにくくてしょうがないよ!
 それでも何とか悪魔召喚プログラムを起動して悪魔を呼び出す。
 すると目の前に人影が。僕はそれを黙ってみている。

「どーも、悪魔の傭兵です。あなたがサモナー?」

 そこに現れたのは、悪魔にはとうてい見えない可愛い女の子がいた。


 僕は思う。
 もしこの悪魔と生き残って殺し合いから脱出しても、姫路さんやFFF団に殺されるんじゃないかって。

「詰んだかな……」
「え、酷くない?」


【?????/1日目/朝】

【吉井明久@バカとテストと召喚獣】
[状態]:健康
[装備]:鈍器型COMP
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出狙い
[備考]
※少なくとも6巻以降から参戦しています。
[COMP]
1:傭兵@M.U.G.E.N
[種族]:戦士
[状態]:健康


959 : ◆7PJBZrstcc :2016/05/14(土) 21:40:56 SfQqOoDM0
投下終了です


960 : ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:12:06 mqtfk/jo0
皆様投下乙です!

>>932
まさかの格ゲー風味キャラが来た! ゲーマーとして是非とも極めていただきたい。
けれど、その先に"どうするか"が見えないのが不安ですね……

>>936
いや、変態だよ! 変態だって! そら突っ込まれるわ!
しかし、覚悟が決まっているのは、この場においては強いですね。

>>939
かわいいけれどやることは一人前、貴方の隣人バッドカンパニーです。
そんな護衛を手に入れた彼女は、果たしてどう動くのか……

>>943
アーーーーーーーーーマゾーーーーーーーン!!
あっけにとられているけど、メチャメチャ当たりだよ、安心しなw

>>946
ムワアアアアアアアアアアアア!!!!! ワリオ様も悪魔で参戦だぜ!!
破天荒なワリオ様の動きは、流石に「わからない」と答えるしかなかったか……

>>949
や警糞 頼れないどころか頼っちゃいけない国家権力コンビ、うーん恐ろしいですね……

>>952
セガつながり! 確かに彼女とソニックには、そこの共通点がある!
そういえばセガ系列のゲーセンのイメージキャラもやってませんでしたっけ……?
ともあれ、いいコンビになりそうですな。

>>956
不安がいっぱいのゆのに、頼れるヒーロー登場。
今はとにかく、落ち着くまで一杯泣いたほうがいいでしょうなあ……

>>959
犯人はドンキのようなもので犯行に及んだとされ……
開幕詰んだ宣言は流石にひでえよww

さて、自分も投下します。


961 : 生贄 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:12:44 mqtfk/jo0

 救世主なんて、何処にも居なかったんだ。

 東京。
 いつかの記憶にある、自分の暮らしていた街。
 立ち並ぶビルと、舗装された道路、四方八方を覆うコンクリート。
 記憶と違うのは、人が一人も居ないということだけ。
 それでも、彼は思ってしまう。

 ああ、なんて汚い街なのだろう、と。

 結局、人類なんて、救うに値しなかった。
 救世主だ何だと祀られて、人々を"見る"立場に立って、それを痛感した。
 誰も彼も、都合のいい存在だけを求めていて。
 助けてくれないと分かれば、すぐにそれを見放す。
 そう、世界を救う存在なんてものは。

 生贄に、過ぎないのだ。

 袋から取り出したのは、アームターミナル。
 自分の命を奪った男が使っていたものと、同じ形のCOMP。
 まさか、自分がこれを使う側になるとは思いもよらなかった。
 嘲笑と共に、彼はCOMPの操作を進め、"悪魔"を呼び出す。
 本来ならば、自分が呼び出される側なのだが、と思いながら、それが姿を表すのをじっと待った。

「……お前が……"召喚士"か」

 現れたのは、跳ねた金髪が特徴的な一人の男。
 目に光はなく、鎧には生々しい血が付着している。
 ああ、その姿は、間違いない。
 彼は自分と同じ、世界の生贄の一人だったのだ、と。
 確信を抱いた上で、彼は呼び出した男へと語りかける。

「私の目的は、全ての殲滅です」

 余計な言葉はいらない、ただ、それだけを伝える。
 返答は無言の了承、それが込められた頷き。
 それを受けて、男は呼び出した"悪魔"と共に、東京の街を歩き出す。

 救うべきものを、滅ぼすために。

【?????/1日目/朝】
【ロウヒーロー@真・女神転生if...】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:全ての殲滅
[備考]
※真・女神転生if...における魔人ロウヒーローが何かしらの手段で呼び出されています
[COMP]
1:オディオ(オルステッド)@LIVE A LIVE
[種族]:魔王
[状態]:健康
[備考]
※中世編クリア後より参戦


962 : 渇望 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:13:11 mqtfk/jo0

 夢は、終わったはずだった。

「……東京、か」

 古き記憶に残された景色、それによく似た街を眺めながら彼は呟く。
 非常に良く出来ているが、それが本物ではないことはわかっている。
 誰一人としていない無人の街は、恐らく生み出されたもの。
 ならば、あの"魔神皇"以外に誰が生み出せるというのか。
 その答えは、探すまでもなかった。

 殺し合い。
 全ての命を奪うことを、全ての人間に課せられた、呪いの遊戯。
 どういうわけで自分が巻き込まれたのかは、わからない。
 だが、この場所を生き抜くには"力"が必要だ。
 何者にも勝り、全てを掌握せんとする"力"。
 いつか手にしようとして、手に出来なかった"モノ"。
 それが、この場所では必要だ。

「俺は……」

 空を見上げ、太陽を掴むように握りこぶしを作る。
 見ていた、見終わったはずの、夢。
 存在しないはずの、夢の続き。
 そこに今、自分は立たされている。
 何のために? 何が目的で?
 わからない、わからない。
 わからないまま、彼は袋からあるものを取り出す。
 それは、夢を見させてくれていた男が使っていた、始まりの機械。
 ふと気がつけば、あの男の見様見真似で、悪魔を呼んでいた。
 まさか自分が"そっち"に立つとはな、と笑いながら、光が姿を作るのを待つ。
 間もなくして現れたのは、漆黒に身を包んだ、一人の剣士だった。
 瞳は血のように赤く、腰元まで伸びる銀髪に、尖った耳。
 容姿端麗なその姿は、男から見ても思わず見とれてしまうほどだった。

「貴様か、私を喚んだのは」
「ああ、そうだな」

 ウソをついた所で、何のメリットも無い。
 だから、問いかけには短く答える。
 すると現れた男は、少し目を細め、自分の顔をじっと見つめてきた。

「その眼……力を欲し、追い求め続ける眼だな」
「……分かるか?」
「ああ、これ以上ないほどにはな」

 喋ってもいないことを、ズバリと当てられた。
 目は口ほどに物を言う、なんて言葉があるが、まさかそこを当てられるとは思っていなかった。
 恐らく、男はそんな人間をゴマンと見てきたのだろう。

「……そうだな、確かに俺は力を求めた。全てを乗り越えられるくらいの、圧倒的な力を」

 それを切っ掛けに、ぼろぼろと言葉が溢れ出してくる。
 嘗ての記憶、繰り返される夢、何度見ても、心地のいい夢。
 その話を、ただ淡々と告げる。

「でもダメだった、そんなもんじゃ、足りなかったのさ」

 そして、心地のいい夢が教えてくれる、残酷な真実を口に出す。
 神にも肉薄する力を手にしても、それだけではダメだった。
 けれど、何が足りないのかは分からなくて、何度も同じ夢を見て、そして何度も同じように朽ちていった。

「あんたもそうだったんだろ? 力を求めて、その力を掴んで、そして溺れて、一度は滅んだクチだろ?」
「……ふん」

 ふと、意地悪っぽく笑いながら、彼は男へとそう問いかける。
 否定も肯定もなく、鼻で笑う声だけが返される。
 その返事を受け、彼はニヤリと笑ってから、言葉を続ける。

「ここは夢の続き。俺が見ていた、見終わったはずの夢の続きだ」

 自分が置かれている場所、状況。
 それを理解した上で、言い聞かせるようにそう呟く。
 存在し得なかったはずの舞台に立たされた今、自分は何をやるべきなのか。

「だから俺は、力の"先"にあるものが何なのかを知りたい」

 それを呟いて、笑った。

【?????/1日目/朝】
【カオスヒーロー@真・女神転生if...】
[状態]:健康
[装備]:COMP(アームターミナル型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:"力"の先にあるものを探す
[備考]
※真・女神転生if...における魔人カオスヒーローが何かしらの手段で呼び出されています
[COMP]
1:ピサロ@ドラゴンクエスト4
[種族]:魔人
[状態]:健康


963 : 解析 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:13:29 mqtfk/jo0
「参った、流石に……」

 ぼりぼり、と頭を掻きながら、一人の少年は戸惑っていた。
 彼の名はいじる、地方では有名な豪邸を構える、成金の御曹司だ。
 名前通り、生まれつき何かを"いじる"のが大好きで、いつしか大抵の機械なら直せるようになっていた。
 将来は戦車や飛行機なんかも"いじって"直したいな、なんてことを考えていたごく普通の少年である。
 そんな彼もまた、魔神皇の手によってこの殺し合いに巻き込まれてしまった。
 緊張が限界を超えたせいで、逆に冷静になれているのは、感謝すべきことなのかもしれない。
 実際、親の金目当てで危ない目にあったことは何度かある。
 だが、今回のこれは極めて異質だ。
 身代金目当てなら、他の人間をさらう必要はない。
 ましてや、殺し合いを命じる必要なんて、どこにもないのだ。
 それをわざわざするということは、金ではない、もっと別の何かが目的だと考えられる。
 では、一体何のために――――

「……考えても仕方がないか」

 そこまで考えた所で、いじるは思考を止める。
 それ以上考えた所で、結局何も分からないし、確証を得るには至らない。
 だったら、他にやるべきことがあるはずだ、と頭を切り替え、いじるは傍にあった袋を確認する。
 そう言えば魔神皇は、COMP……つまりコンピュータががどうのこうのと言っていた。
 しかもそれには"悪魔"が閉じ込められているのだという。
 一体どんな技術なのか、考えただけでもワクワクする。

「……機械、だな」

 そんな期待を胸に、彼が袋から取り出したのは、一台の機械だった。
 線のように細い目と小さな口、人間で言う耳の辺りには羽がついていて、伊達眼鏡をかけている。
 トレードマークは赤い帽子、そんな一台の"機械"が現れたのだ。
 これがCOMPなのだろうか? と疑問を抱いたその時だ。
 いじるが触れてもいないのに、機械は突然、ひとりでに歩き出したのだ。
 まるで、意志を持っているかのように自律行動する機械、それを見たいじるの心は。

「す、すげぇーーーー!!」

 当然、すっかり奪われてしまっていた。

 一つ、間違っていることがある。
 確かにその機械は彼に支給されたCOMPだ。
 だが、同時にそれは遣わされた"悪魔"でもあった。

 その事実に気づくのは、少し先の話である。

【?????/1日目/朝】
【いじる(メカニック)@メタルマックスリターンズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(キューブ型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:脱出、そのために首輪の解析
[COMP]
1:キューブ@LIVE A LIVE
[種族]:マシン
[状態]:健康
[備考]
※COMPを兼ねています。
※いじるが死亡時は、一悪魔として機能するようになります。


964 : 戦士 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:14:09 mqtfk/jo0
 体を覆う赤いタイツに、カーキ色のチョッキに、赤いヘッドバンド。
 更に抜群のスタイルを誇る彼女の名は、アンヌと言う。
 彼女は小国の正規軍に所属していたのだが、軍の男は右も左も甲斐性なしばかり。
 そんな軍に嫌気が差して、退職届を叩きつけた翌日に、この殺し合いに巻き込まれた。
 そして今、彼女は魔神皇に怒りを示している。
 日々続けてきたトレーニングと、軍隊で培った知識。
 それは、人を殺すために磨いてきたわけじゃない。
 力のない人を、守るために磨いてきた力だ。

「……あたしのやることは、一つだね」

 問いかけるまでもなく、この場でやるべきことなど決まっている。
 この不条理な出来事に巻き込まれた人々の中には、力を持たない人間も少なからず居るはずだ。
 ならば、その者の力となることが、自分のするべき事。
 あの魔神皇は、悪政を敷く暴君と変わらない。
 だから、魔神皇を、奴を討つ。それが自分のやるべきことだ。

「それはさておき、武器だね……」

 方針が定まった所で、まずは自分に持たされている道具を確認する。
 真っ先に袋から飛び出したのは、一本のサバイバルナイフだ。
 欲を言えば遠距離の飛び道具が欲しかったが、そうも言っていられない。
 一度呼吸を落ち着け、感触を確かめるように一度、二度とナイフを振るう。
 予想を遥かに上回り、手に馴染みやすい感覚を受け、ひとまず戦闘に問題ないことを確認した、その時だった。

「君が私のサマナーザマスか!?」

 突然の第三者の声に驚きながら振り向くと、そこには巨大な仮面が立っていた。
 いや、それは正しくないか。
 上半身を覆うほど大きな仮面を身につけた一人の男が、そこに立っていた。

「まあいいザマス、まずは神に感謝の踊りを捧げるザマス!!」

 状況を理解しようとするよりも早く、現れた仮面の男はアンヌの手を引く。
 そして、一心不乱に奇妙なダンスを踊り始めたのだ。

 アンヌの手に持っていたナイフ、それがCOMPであること。
 一心不乱に踊る彼こそが、彼女の悪魔であること。
 それに気づくのは、もう少し先の話である。

【?????/1日目/朝】
【アンヌ(ソルジャー)@メタルマックスリターンズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(サバイバルナイフ型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:弱き者の為に戦う
[COMP]
1:マッドマン@ワールドヒーローズシリーズ
[種族]:狂人
[状態]:健康


965 : 名前 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:14:28 mqtfk/jo0
「……チッ、イカレ野郎が」

 小さく舌打ちをしながら、忌々しげに呟く屈強な男。
 雄々しく輝く橙色の髪に、漆黒のマントに身を包む、彼こそが"賞金稼ぎ"、ウルフだ。
 彼の手によって捕縛、無いし射殺された指名手配犯は、両手の指どころではない。
 世の悪党が最も恐れる男として、その名を世界に轟かせてきた。
 そんな男もまた、この殺し合いでは有象無象の一人と同じように、扱われている。
 もちろん、こんなことにかまけている時間など、彼にはない。
 一刻も早くこの状況を脱し、元の世界で"賞金稼ぎ"を続けなければいけない。
 彼が探し求めている、"最愛の人"に出会うために。

 一つ、深呼吸を挟んで心を落ち着けた後、ウルフは荷物を確かめ始める。
 カバンから出てきたのは、一丁の拳銃、デザートイーグルだ。
 威力としては申し分ない、万が一襲われたとしても対処は出来るだろう。
 そしてもう一つ、出てきたのは一枚の奇妙なカードだ。
 透明なそれは枠こそあれど、何も映し出さない。
 一体何なのだろうか、と手に触れたその時、いくつかの文字が突然浮かび上がってきた。
 なるほど、これがCOMPか、と一人で納得しながら、画面の文字にしたがって操作を進める。
 お伽話でしか聞いたことのないような存在、"悪魔"。
 どんな奴が出てくるのやら、と思いながら、彼は盤面の操作を進めていく。
 最後に「SUMMON」の文字に触れた時、彼のカードが光を放つ。
 思わず目を背けたその一瞬の間に、それは彼の目の前に現れたのだ。
 幻想的な金髪、青のドレス、そして何より体を包みこんでしまいそうなほど巨大な、漆黒の翼。
 現れたのは、そんな風貌の少女だった。

「サマナーさん、ですね? 私は――――」

 そして一瞬、ウルフの思考は奪われることになる。

「ニーナと、申します」

 悪魔、そう呼ばれていた少女が名乗った名前。
 それは、彼が探し求めている"最愛の人"と、同じ名前だったのだから。

【?????/1日目/朝】
【ウルフ@メタルマックスリターンズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(カード型)、デザートイーグル
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:脱出する
[COMP]
1:ニーナ@ブレスオブファイア2
[種族]:鳥人
[状態]:健康


966 : 策略 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:14:45 mqtfk/jo0
「クソッ!! 何だってこのいいタイミングに!!」

 街の一角の自動販売機、それに八つ当たりをする、上裸の男。
 彼の名はゴメス、世界的な指名手配犯、いわゆる"賞金首"の一人だ。
 彼は、ある完璧な作戦を立てていた。
 世界の悪党の誰もが恐れを成す男、ウルフ。
 そんなウルフを、安全かつ完璧に始末する計画を、進めていた途中だった。
 ウルフが一人の女性のために指名手配犯を追っていることは掴んでいた。
 更に、その女性の名が"ニーナ"であることも掴んでいた。
 だから、偽物の"ニーナ"を用意し、おびき寄せられた彼に"ニーナ"を材料に交渉し、奴を撃ち殺す。
 そして、裏の世界で懸けられている賞金を手にし、その金で一生遊んで暮らす……はずだった。
 しかし、その計画を発動させる前に、彼はこの殺し合いに招かれてしまったのだ。
 あまりにも酷すぎるタイミングに、彼の怒りは止まらない。
 やがて、一台の自動販売機が機能停止するほどに蹴りを入れた後、ゆっくりと我へと返る。

 この場所は殺し合い、最後の一人にならなくては生き残れない。
 もちろん、他人のことなんてどうでもいい。
 邪魔をするなら殺すまで、願わくば勝手に死んでいってくれることを祈るのみだ。
 だが、現実はそうも行かないだろう。誰かと殺しあう可能性は大いにある。
 その時に丸腰では、さあ殺してくださいと言わんばかりの事態になる。
 生半可なものではなく、何か有用な武器を手にしなくては。

「そうだ!」

 その時、ゴメスは魔神皇の言葉を思い出す。
 この殺し合いに巻き込まれた人間には"COMP"が支給されていて、それに"悪魔"が封じ込められている。
 そう、"悪魔"。その言葉の響きだけでも、"使えそう"だと確信できる。
 高鳴る胸の鼓動を抑えつつ、ゴメスは袋を漁る。
 入っていたのは一本の大きなハンマー。自分が使っていたのよりかは、少し小さい。
 見渡してもそれ以外には食料ぐらいしか入っておらず、一体何処にCOMPなんてモノがあるのだろうか。

「魔神皇め、俺をハメやがったな!」

 自分だけCOMPが支給されていない、そう思った彼は、再び怒りを動かなくなった自動販売機にぶつける。
 屈強な体から繰り出されるハンマーの一撃は、先ほどの蹴りとは比べ物にならないほど、自動販売機に爪痕を残す。
 一度ならず二度、三度、とハンマーを振りおろし、自動販売機が単なる鉄の残骸に姿を変えようとした、その時だった。

「アァ……ァア……!! ウォオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアア!!」

 まるで獣のような叫び声に驚き、後ろを振り向く。
 そこには、軍人風の服に身を包んだ、赤いパイナップルヘアーの女が立っていたからだ。
 目は白目を剥き、両手は何かを"狩る"ようにだらりと下げられている。
 それを見てゴメスは、ニヤリと笑った。
 襲い掛かってくる様子がないということは、彼女こそが自分の悪魔だ。
 今もなお自分の肌に突き刺さる殺気は、彼女の力量を物語っている。
 これなら、最後の一人まで生き残れるかもしれない。
 そう確信した彼は、下品な笑いを上げて、ゆっくりと歩き出し始めた。
 狩るべき獲物を、見つけるために。

【?????/1日目/朝】
【ゴメス@メタルマックスリターンズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ハンマー型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:生き残る。使えそうな奴は生かすが、そうでない奴は殺す。
[COMP]
1:ヤミノナカオロチノチニメザメルレオナ@THE KING OF FIGHTERS
[種族]:超人
[状態]:健康


967 : 最悪 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:14:58 mqtfk/jo0
「ククク……あのボウズ、殺し合いとは随分派手な真似しやがる」

 薄暗いトンネルの下、怪しげに笑う一人の男。
 殺し合いという状況に怯えている様子は、微塵もない。
 寧ろ、それを楽しんでいるようにも見える。

 そう、彼の名はバッド・バルデス。
 史上最悪の犯罪者、とまで呼ばれた所謂"賞金首"だ。
 かつては世界各地で悪の限りを尽くした男だが、今はとある場所で無数の猛犬を従えた"穴"の中に居る。
 そこで数人の女性を侍らせながら、ある男が来るのを待っているのだという。
 来る日も来る日もまだかまだかと待っていた時、この殺し合いに招かれたのだ。

「丁度いい……体が鈍ってて、そろそろ運動しようかと思ってたところだ……」

 下品な笑みを浮かべながら、バルデスは袋から取り出したマシンガンを構える。
 他人の命なんて、どうでもいい。
 そんなものは、犬にでも食わせておけばいいのだ。
 寧ろ、悪の限りを尽くすことで、なんでも願いがひとつ叶うのだとすれば、それほど嬉しい話もない。
 考えることなんて、何もない。
 ただ、生きるものを殺す、それだけだ。

「……折角だ、"悪魔"とやらも呼んで見ようじゃねえか」

 そしてバルデスは、ヘルメットの横手を撫でるように触れる。
 存在を信じていたわけではないが、いると言うならば、戯れに呼んでみてもいいだろうと思った。
 別に何が出て来ようが構わない、言うことを聞かないなら従わせるのみ。
 願わくば、共に暴れられるような奴がいい。
 そんなことを思いながら、現れていく影を、じっと見つめた。

「がーーーーっ、がががーーーーっ!! このテッドブロイラー様を呼ぶのは、誰だァッ!!」

 もう一度、邪悪な笑みを作る。
 呼び出された"悪魔"、それは"悪魔"という言葉に恥じぬほどの存在だったから。
 にじみ出る殺気、狂気、覇気、どれをとっても一級品。
 思わず身の毛がよだってしまうような、純粋な悪。
 目の前には、そんな男が立っていた。

「よォ……俺と一緒に、大暴れしようぜ……」

 二つの、出会うはずのなかった悪が、出会った。
 男は笑う。悪を見据えて。
 男も笑う。悪を見据えて。

 何が起こるかは、誰にもわからない。

【?????/1日目/朝】
【バッド・バルデス@メタルマックスリターンズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(フルフェイスヘルメット型)、マシンガン
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:全てを破壊し、殺戮する
[COMP]
1:テッドブロイラー@メタルマックス2リローデッド
[種族]:超人
[状態]:健康


968 : 最悪 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 00:15:13 mqtfk/jo0
以上で投下終了です。


969 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 03:22:15 QLidnvvs0
投下します


970 : 災害レベル鬼 ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 03:23:32 QLidnvvs0

 バトル・ロワイアルの会場で、六体の幽鬼が行動を共にしていた。彼らは参加者の召喚した悪魔ではなく、魔神皇があらかじめ用意した野良悪魔である。
 幽鬼たちは互いが同種の悪魔ということもあり、遭遇してからこうして行動を共にしていた。彼らの目的はこの殺し合いの参加者を探しだし、殺すことである
 現界してから数十分、ようやく路地裏に佇む男を発見する。その首にはめられている首輪がその男が襲撃対象である証であった
 人影の方も幽鬼に気づいたのか、彼らの方へと顔を向ける。
 帽子を被った強面の中年男性だ。
 サングラスをかけているためその表情は伺えないが、未知の人外に囲まれているにしては落ち着いていた

「なンだ、お前ら。現地の生物ではないのか」

 そう言って男はじっと幽鬼を見つめる。逃げる素振りは無い
 もし対峙する相手がまともだったら、どこか疑念を抱くだろうがーー

「ヒャハハハ……ハハハハ」
「ボッコボコニシテイイノ?」
「テカ殺シチャッテイイ?」
 
 しかし彼らはそんなものには構わず、眼前の獲物をどうなぶるかについて熱心に思考していた
 そもそも幽鬼とは、生前、欲望の強かった魂が、死んだ後も成仏できずに地上にとどまったものであり、いわゆる悪霊に近い存在だが、欲望の強さゆえか実体度がより高く、その行動も生前の欲望に直接的に即したものであることが多い。彼らの場合は実に分かりやすい暴力衝動が根底にあるようだ
 理性的な会話が通じないことを察したのか、男は溜め息をつきながら被っていた帽子を脱ぎ、そして言った

「チッ…… 殺るならとッととこいよ。相手してやる」

 その余裕のある態度と挑発に、容易く幽鬼たちの低い沸点は振り切れた

「ナメンジャネーヨ!!」
「ブッコロシテヤローゼ!」
「ヒャハハヒハハハ!!」

 襲いくる幽鬼たちに向かい合う男の口角は、上がっていた





「くだらねェ。とンだ雑魚だ」

 落雷により見るも無惨な有り様となった幽鬼たちの死骸を見下ろす

 男の形相は異形のものへと変貌していた
 肩幅はより大きく、より筋肉質で強靭な肉体に成長し、口から剥き出しになった鋭い牙は肉食獣を連想させ、瞳孔は爬虫類を思わせる縦長の形へと変化。
 そのなかでも最たる特徴は、頭部から背中にかけて何本もつきだした角だろう。
 それら全てが合わさり、男はさながら『鬼』のごとき凶悪さを演出していた

 彼は自分の能力に絶対の自信を持っていた  同胞たちのなかでも自分と対等にやりあえる相手は少なく、人間なら考えるまでもない

「人間どもが何人殺し合おうが知ッたことじゃないが……」

 男はひとつの疑念を抱いていた
 彼の種族が地球に移住して数年、現地の水準を遥かに越える技術の武器で武装した地球人の集団(ハンターと呼んでいる)とたびたび抗争を繰り返していた。
 彼は魔神皇が黒玉の連中と何らかの関係があるのではないかと推測したのだ
 
「だとしたらやッかいだな」

 もしそうだとしたら、仲間のなかでもっとも実力のある自分が留守の間に、小賢しいハンターが襲撃してくることも十分にあり得る。
 無論、キチンとハンター対策も施しているし、自分に及ばないまでも、簡単に倒されてしまうほど幹部クラスは弱くはない。が、早急に帰還できるに越したことはない
 あの最初に居た場所には、仲間の気配は感じなかった。なら躊躇することもない


971 : 災害レベル鬼 ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 03:24:24 QLidnvvs0

 その時だった

「ーーシネヤァァァァァァァッ!!!」

 雷によって全滅したはずの幽鬼たちのなかから予想外の伏兵が飛び出す
 六体の幽鬼の内、電撃耐性をもつ幽鬼モウリョウだけがギリギリで生き延びていたのだ

 しかし悲しいかな、その動きは男を仕留めるには遅すぎる
 容易く見切り、今度こそ始末しようとーー 

 ビュン、と空気を切る音を耳が捉える。
 体を引き裂かれ、断末魔も残す暇もなく絶命した幽鬼モウリョウだったものが、地面にぶちまけられる

「油断大敵よ、お兄さん」

 上空から投げ掛けられる声
 見上げる瞳と見下ろす瞳が交差する
 
「お前は……誰だ?」

 半人半蚊ともいうべき女怪人は、快くその質問に答えた

「そうねぇ、ココじゃ貴方に割り当てられた悪魔よ」
「悪魔?ーーあァ、そういえばそんなことも言ッていたな」

 己の力だけで優勝も可能と考えていただけに、支給された携帯型COMPを起動させたまま放置していたことを思い出す
 どうやらこの悪魔は、召喚されてからずっと彼を観察していたらしい

「まァどうでもいい…… ここの連中は俺が殺る。邪魔はするなよ」
「何よ、つれないわね でも私、そういうの嫌いじゃないわ
 私はモスキート娘、貴方はなに?」

 モスキート娘と名乗った悪魔は、異形のサマナーのことを気に入ったらしかった

「あァ 何がだ?」
「何がって…… 名前よ、な・ま・え」

 あぁ、名前か。
 そう呟くと男は暫し悩み、こう答えた

「そうだな…… 『オニ星人』…… 人間共は俺らのことをこう呼んでいた」

【?????/1日目/朝】 
【オニ星人(ボス)@GANTZ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:優勝して魔神皇も殺す
人間以外の参加者なら組んでもいい
[COMP]
1:モスキート娘@ワンパンマン
[種族]:怪人
[状態]:健康


972 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 03:25:32 QLidnvvs0
投下終了です


973 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 11:52:24 2/ns9kQc0
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974 : エッチなバトル・ロワイアル ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 11:53:02 2/ns9kQc0

「うおおおあああああっ!!」

 松野家三男松野チョロ松は走っていた
 何の為かって?決まっている、逃げるためさ
 一体何から逃げてるのかって?
 殺し合いに乗っちゃった危ない奴か、それとも会場を彷徨く野良悪魔からか?
 どれもハズレ。でも後者はちょっと正解に近いかな
 

「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁぁぁーっ!」

 げ!!もう追い付いてきやがった!!
 後方から全力で奇声をあげて走ってくるピエロ。……それから僕は逃げている
 笑っちゃうことに、あのピエロ。僕が召喚した悪魔なんだよね
 まぁ確かに、優勝したら願いを叶えるって言葉に色々期待しちゃったのは事実だよ!でもだからってこれはないでしょ神様!?

 こんな全力で走るの久しぶりかも、てかそろそろ肺とか足とかヤバイ。このままじゃ追い付かれる!!

「あの「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁーっ!」」
「すいませ「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁーっ!」」
「ちょっ「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁーっ!」」
「……「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁーっ!」」

 駄目だ。ガチで会話が通じない
 段々と距離が縮まりつつある、マキタ生垣バリカン(一体どんな意図で使う気なのか考えたくもない)を振り回し奇声をあげる悪魔を見て
、チョロ松は気が遠くなりそうになった

「ぜぇ ぜぇ あ、あんなのどうすりゃ良いんだよチクショーーーっぶ!!」

 この世の無情さに叫び気が緩んだためか、地面に躓き転ぶチョロ松

「いてて「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁぁぁーっ!」」

 いきおいよくスッ転んだので鼻血とか酷いことになってるがそれどころじゃない。
慌てて振り向くとマキタ 生垣バリカンを振りかぶる悪魔の姿が!!

「うおあぶね!!」

 ドッカーーン!!
 頭すれすれで壁にぶち当たったマキタ生垣バリカンがコンクリに大穴を開ける。それをみて冷や汗が止まらないチョロ松

「うぉ、これでもくらえーー!!」

 もうヤケクソになったのかディバックに腕を突っ込み、適当に掴んだものを悪魔にぶん投げる。運良く悪魔の顔に直撃した

「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁぁぁーっ!」

 残念。怒った悪魔はマキタ生垣バリカンのエンジンをふかしながら大きく振りかぶった!

「うわあああああーー!!」

 もうここまでか!!せめて童貞は卒業したかった!! 
 たまらず目をぎゅっと閉じ、ただその時を待つチョロ松。
 ……しかしその時は一行に訪れない
 恐る恐る薄目を開けてみると、悪魔はマキタ生垣バリカンを振りかぶったまま何かを凝視していた

「あっ、俺のエロ本!!」

 何という偶然、必死に悪魔にぶん投げたのはチョロ松がオカズに利用するエロ本!!
 先程までの騒乱が嘘のように、チョロシコスキーと悪魔の間に沈黙が漂う

「……」
「…………」
「………………」
「……あ、あの…もしかして、それ欲しいの?」


975 : エッチなバトル・ロワイアル ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 11:53:53 2/ns9kQc0


「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁぁぁーっ!」

 不思議だ。
 さっきと言っていることはほぼ一緒なのだが、チョロ松にはそれが「本当に良いのか?貰ってしまって」と言っているように聞こえた

「あぁ、うん。僕それもう使ったから……」

「アリガトウ」

「うお!喋った!?」

 まさか返事が帰ってくるとは思っても見なかったチョロ松。片言だが人間の言葉を発する悪魔は始めて見た
 というか悪魔自体、お目にかかるのは初めてだが

「オレ、エッチダイスキ!!」

 しかし初めての会話がこんなんで良いのだろうか……

「オマエ、オレノトモダチ!」
「え、あぁ、うん。よろしく」

 こうしてチョロ松と指名手配中の殺人鬼(悪魔)は友達になった

【?????/1日目/朝】 
【松野チョロ松@おそ松さん】
[状態]:健康、ダメージ(小)
[装備]:COMP(携帯型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する
[COMP]
1:柊遼@エッチな夏休み
[種族]:指名手配中の殺人鬼
[状態]:ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁぁぁーっ!(健康)


976 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 11:54:33 2/ns9kQc0
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977 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 12:53:57 2/ns9kQc0
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978 : 影にいきるもの ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 12:56:07 2/ns9kQc0

 氷川は吸血鬼だ
 人間の血を吸い、驚異的な身体能力を持ち、太陽の光を浴びると灰になって消える
 一般的に言われている吸血鬼と違うのは、妖怪やモンスターではなく人間に寄生する宇宙人―――星人だということだ

(しかし、一体どうなッてやがるんだ?)

 別に殺しが嫌なわけではないが、こういった形で殺し合いをすることになるとは、予想もしていなかった
 魔神皇とやらが何者かは知らないが、こうして自分を拉致した手前、ハンターたちの黒幕か何かかもしれない
 まあ、そんな事に興味はない

 氷川は殺し合いに乗る
 もし仲間が居たら考え直すかもしれないが、今はそれが一番手っ取り早い
 
(!?何も起きないだと)

 手始めに銃を出そうとしたが、なぜか出せない。吸血鬼は銃や刀などの武器を作成できるが、どうやらその能力は制限されているらしい
 それなら、と今度は日本刀を出す

(……よし、刀なら問題ないようだ)

 鋭い日本刀が見る見るうちに掌から生成されていく。ためしにそこら辺を彷徨いていたゴブリンを斬り殺してみたが、いつも使っている通りで、とくに切れ味に変わりはないようだ
 それだけでも戦えるが、念のため銃も欲しかったのでディバックを確認する

「これは……ライターか?」

 氷川に支給されたCOMPはライター型だった。『友となる悪魔を与える』、確かそんなことを言っていたことを思い出す
 側面にはテープで折り畳まれた紙が貼ってあった。剥がしてみると、『ブラック・サバス説明書』と書かれていた。

『君に支給された悪魔は喋る事が出来ない上に意思がなく、しかも扱い方が難しいので特別に説明書を支給しておく』
 といった前書きから始まり、要約すると以外の事が書いてある

 このライターで召喚できる悪魔は、スタンドと呼ばれる超能力が具現化したものの一種で、名前はブラックサバス。
 影の中に潜み、標的を追撃する能力を持つ。
 ライターの火を再点火した者及びその光景を見た者を無差別に自動追跡し攻撃を行う。
 これはサマナーも含まれるので点火するときは注意しなくてはならない
 ブラックサバスは捕まえた生物の魂を引きずり出し、口内に取り込んでいる矢を魂に突き刺す形で攻撃する。  
 影から影へ高速移動し、影の中でのパワーは圧倒的だが「光」に弱く、光のある場所には移動できないとの事

「……扱いにくいな」

 悪魔の事を把握した結果、扱いに工夫が必要なタイプだということがわかった
 ようは再点火するときに目を瞑っていれば問題ない。いざという時、例えば乱戦などでなら使えるだろう
 氷川はそれで十分と判断したのか、ポケットにライターを押し込むと、その場を移動し始めた
 先ほども述べたが、氷川は吸血鬼であり、太陽光やそれに似た光線は致命傷だ。浴びただけで一瞬で灰になってしまう。
 それ故氷川は昼間は活動できず、安全な拠点を探すことが必須、さらに情報を収集しつつ参加者を殺害することも必要だ。
 他の参加者より制約の多い彼はどう行動するつもりなのだろうか

【?????/1日目/朝】 
【氷川@GANTZ】
[状態]:健康
[装備]:日本刀、COMP(ライター型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:適度に参加者を殺していく
日光を避けるための拠点を探す
人間以外の参加者とは同盟を組んでもいい
[COMP]
1:ブラックサバス@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風
[種族]:スタンド
[状態]:健康、口内の矢はレプリカと交換されている


979 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 12:56:53 2/ns9kQc0
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980 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 13:54:14 2/ns9kQc0
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981 : やったねたえちゃん!友達が増えたよ ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 13:56:40 2/ns9kQc0

「嫌だよ……こんなの嫌……」

 市街地にあるビルの一つ。
 パソコンが乗せられたデスクが均等に並んだオフィス。
 その隅にあるデスクの下に、その少女はいた。
 膝を抱え、耳を塞ぎ、顔をうずめて、押し殺すように涙を流す。
 それはまるで外界の全てを拒絶するかのよう。
 そうしてたえちゃんは恐怖に身を震わせ、ただただ泣いていた。
 寂しい。怖い。死にたくない。
 それは、殺し合いという異常事態に巻き込まれた者の反応としては至極まっとうなもの。
 だが、それで何かが解決する訳でもない。
 事態は何ら変わらずに少女を包み込み、まるで押しつぶすかのように苦しめる。

「助けて……助けてよ、コロちゃん……」

 ひたすらに呼ぶその名前は、彼女が施設に預けられてから肌身離さず過ごしてきた、母から貰った大切な『友達』のもの
 友達が施設を去って、孤独だった自分をいつも慰めてくれたコロちゃん
 伯父さんが自分を引き取りたいと申し出てきたとき、「家族が増えるよ」と一緒になって喜んでくれたコロちゃん
 
「嫌だ……死にたくないよぉ……」

 今、自分は一人だ。
 いつも自分を励ましてくれたコロちゃんは何処にもいない。
 ひとりぼっちだという孤独感に、胸が押し潰されそうだ
 その時だった
 ふと気配を感じて顔をあげると、そこにはーー

「コロちゃん!?」

 否
 何時からそこにいたのか、茶色のクマのぬいぐるみが、じっと少女を見つめていた
 涙で滲んだ少女とぬいぐるみの視線が交差する。
 クマのぬいぐるみはトテトテと彼女の方に歩いていく。そして優しく抱きつき、彼女を見上げる。その愛らしい動作に、たえちゃんは心が暖かくなっていくのを感じた

「……ありがとう、慰めてくれてるのね」

 こくりと頷いたクマのぬいぐるみを抱きしめて、彼女は隠れていたデスクから出てきた

「ねぇ、一緒にコロちゃんを探すのを手伝ってくれない?」

 そう言いながらテディベアを抱えたたえちゃんは、不思議と恐怖が和らいでいました。
 多分、コロちゃんではないけども、とっても素敵なお友達が出来たからでしょう
 先程から一転、可愛らしい笑顔を浮かべるたえちゃんの腕のなかで、テディベアーーSCP-1048が一体何を考えているのかは彼にしかわからない

【?????/1日目/朝】 
【たえちゃん@コロちゃん】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:この子(SCP-1048)とコロちゃんを探す
[COMP]
1:SCP-1048@SCP Foundation
[種族]:SCP
[状態]:健康


【捕捉】
クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0に従い、
SCP FoundationにおいてResearcher Dios氏が創作されたSCP-1048のキャラクターを二次使用させて頂きました


982 : ◆Cf8AvJZzb2 :2016/05/15(日) 13:57:46 2/ns9kQc0
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983 : 隠し子発見!! ◆mcrZqM13eo :2016/05/15(日) 14:02:24 .uqcDa.I0
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984 : 隠し子発見!! ◆mcrZqM13eo :2016/05/15(日) 14:02:55 .uqcDa.I0
ある豪邸の一室に長い金髪に褐色肌のスーツ姿の一人の眼帯をした老女の姿があった。女の名はインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング。英国を化物共から守る英国国教騎士団のトップの女傑である。

「忌々しい話だ。だが、簡単な話だ」

英国国教騎士団本部の執務室に居たはずが、気付けばあの場所に居たというのは不覚窮まりない。だが、同時に喜ばしい話でもある。
あの様な異能を使い、悪魔を使役し、人に平然と害を為す者が自分の前に現れたのだから。

――――これ以上世に害を為す前に、英国に害を為す前に必滅出来る。

鉄の女の思考回路は魔神皇の殲滅に最初から行き着いて居た。

「悪魔か…」

起動させた聖書型COMPに、“Hellsing ARM 454 Casull”と刻まれた白銀の銃を向けて呟く、インテグラは事を単純明快に考えたが、魔神皇を侮ってはいなかった。

――――“彼奴”の銃が入っているとはな

あの最強の吸血鬼の愛銃を持ちされる男だ。その実力は断じて侮れるものでは無い。

――――しかしこのことを知ったら“アイツ”はどう思うのだろうか?怒るか?愉悦(よろこぶ)か?


この場に居ない下僕の事を考える。“アイツ”が、あの“伯爵”が居れば事は更に簡単だった。殺し合いに乗った者が居れば悉く必滅し、あの魔神皇も殺す。立ち回りを考える必要など無い。
現実は“伯爵”どころかその“子”も居なければ執事(バトラー)も居ない。故にこうして悪魔を呼び出し、従えて、事に臨まねばならない。非常に癪だが。

そんな事を考えていると悪魔が姿を現した。
青みがかった銀髪に真紅の瞳、ドアノブカバーの様な帽子を被り日傘を持った、十歳程の幼女であった。

「お早う、可愛らしいお嬢さん。」

454カスールを幼女に向けて話し掛ける。相手は姿こそ幼女であったが、全身から立ち上る濃密な妖気は“アイツ”を思わせる程に凄まじかった。

「お早う、命知らずの人間」

気の強そうな顔立ちに傲慢さを顕して宣う幼女/妖女。尊大な口調だが不思議と合っているのは、人ならざる“化物(フリークス)”故か。

「私は英国国教騎士団長インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、化物(フリークス)、中でも吸血鬼(ヴァンパイア)の殲滅を主にやっている。其処を心して答えたまえ、お嬢さんの名前は?」

ウィンチェスター大聖堂の銀十字から作った対化物用特製弾丸を込めた巨銃を保持する両手に汗が滲むのを感じる。それでも銃口はブレること無く幼女の心臓に不動の直線を引いている。

「私はレミリア・スカーレット、ツェペシュの幼き末裔。吸血鬼(ヴァンパイア)を殲滅をすると言うなら、相手になってあげる」

――――ウォルターや、わたしゃもう齢かのう。

慌てず騒がずハンカチを取り出し、耳をほーじほーじする。

「済まないが、もう一度頼む」

「……耳が悪いの?私はレミリア・スカーレット、ツェペシュの幼き末裔。吸血鬼(ヴァンパイア)を殲滅をすると言うなら、相手になってあげる」

――――落ち着け、素数を数えるんだ。英国人(ジョンブル)はうろたえないッ!

「あーー、うん。ツェペシュの幼き末裔ね、それにしては随分態度が大きいじゃないか」

「人間相手に下手に出る理由が無い」

――――子の躾も出来んのか。取り敢えず“アイツ”が戻ってきたら殴ろう。

ふと、ガラガラ片手に赤児をあやす“伯爵”の姿を想像してしまった。

「…………?」

夏の陽光に晒されて萎びた野菜みたいになったインテグラを見て、レミリアは小首を傾げた。


【?????/1日目/朝】
【インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@Hellsing
[状態]:健康・軽い精神的疲労
[装備]:COMP:聖書型
[道具]:基本支給品、454カスールオート@Hellsing
[思考・状況]
基本:
1.魔神皇を必滅する
2.殺し合いに乗った奴も必滅する
3.隠し子じゃ!隠し子がおるぞーー!!
4.子供に主の名前くらい教えとけ
[COMP]
1:レミリア・スカーレット@東方Project
[種族]:夜魔
[状態]:健康・困惑


985 : 隠し子発見!! ◆mcrZqM13eo :2016/05/15(日) 14:03:33 .uqcDa.I0
投下を終了します


986 : 隠し子発見!! ◆mcrZqM13eo :2016/05/15(日) 14:25:59 .uqcDa.I0
>>984をwikiに編集する際、支給品の銃に弾数を追加、参戦時期を記しておきました

「私はレミリア・スカーレット、ツェペシュの幼き末裔。吸血鬼(ヴァンパイア)を殲滅をすると言うなら、相手になってあげる」

――――ウォルターや、わたしゃもう齢かのう。

この間に
向けられた銃口を意に介さず言葉を返す幼女。言葉と態度から窺えるのは、絶対の自信。己が目の前の人間よりはるかに優れているという自負。
の一文を追加しました


987 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/15(日) 18:39:53 D4AYzRAw0
投下します。


988 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/15(日) 18:40:41 D4AYzRAw0
「ダメだ。転移魔法も念話も使えない・・・」

とあるビルの屋上で、民族衣装のような服装の少年が、膝を落として落胆の声を挙げていた。


少年―ユーノ・スクライアは地球の人間ではない。
『ミッドチルダ』という異世界からやって来た魔法使い(正確には魔導師)だ。
とある事情から地球を訪れ、海鳴という街の高町なのはという少女とその家族にお世話になっている身だ。

この殺し合いの場に送られてすぐ、ユーノは会場からの脱出と外部への連絡を試みた。
しかし・・・思念通話はノイズが掛っており、転移魔法は魔力が消費されただけで、発動すらしなかった。

「・・・」

ユーノは考える。
そもそも、自分は高町家では小さなフェレットとして過ごしており、人間だと知っているのは極一部の者だけ。
にもかかわらず、あの魔神皇なる人物は自分をフェレットの姿ではなく、『人間の姿』でこの場に連れてきた。
つまり、自分が人間だと知っている・・・それも魔法文化のある世界の人間ということになる。
だが、そうだとしても何故自分が参加者として選ばれたのか・・・?

ユーノは同い年の少年少女と比べても回転の速い頭を働かせて魔神皇の真意を解き明かそうとしたが、
情報が少ない現状では『全く見当もつかない』という事が分かっただけだった。

「・・・それにこれ」

次にユーノは支給されたタブレット型COMPに目を移す。
魔神皇はこれに『悪魔が封印されている』と言った。
要は、『使い魔』のような存在が入っているということだが・・・
魔法生命とはいえ、生き物を生きたまま電子機器の内部に封じ込める等、ミッドチルダ式の・・・いや、どの世界の魔法でも不可能だ。
なのに、実際に目の前のCOMPには『悪魔召喚プログラム』が内蔵されている。
転移魔法の応用なのか、それとも自身の知らない世界の魔法なのか・・・これも皆目見当がつかなかった。

「・・・よし」

悩んだ末に、ユーノは悪魔を呼び出すことにした。
自分で作った使い魔ではないので、どのような姿や力を持っているかはわからないが、
外部への連絡も脱出も不可能で、自分は攻撃魔法が不得意。
となれば、残る選択肢は一つしかないのが現状なのだ。

ユーノは『悪魔召喚プログラム』を起動させる。
『召喚しますか?』のメッセージと共に『YES』『NO』の選択肢が現れる。
ユーノは迷わず『YES』を選択した。

次いで、COMPから眩い光が溢れだす。
光が納まるとそこに・・・

「云われは無くとも即参上!軒轅陵墓から、良妻狐のデリバリーにやってきました!!」

狐のような耳と尻尾を持った妙齢の女性が、ドヤ顔とポーズを決めていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一気に周りの空気が10度も下がった・・・ような気がした。

「え〜っと・・・コホン」

女性は頬を幾らか朱に染めると、ポーズを解いて咳払いをした。

「・・・召喚に応じて馳せ参じました。貴方が私の主ですか?」
「・・・今さら真面目にやっても、遅いと思いますよ?」
「あっやっぱり〜♪テヘペロ」

・・・どうにもシリアスが似合わない悪魔だった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


989 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/15(日) 18:41:10 D4AYzRAw0
「なるほど・・・ご主人様は殺し合いには乗らず、この場からの脱出を望んでいるんですね」
「うん。僕はあの人の部下になるつもりはないし、人の命を奪ってまで叶えたい願いも無いからね」

あの後、ユーノと狐耳の女性―『タマモ』と名乗った―は改めて自己紹介をし、ユーノのこの場でのスタンスを話し合っていた。
尚、タマモが自分の事を『ご主人様』と呼ぶので、ユーノは『名前で呼んでほしい』と伝えたのだが、
そうしたら『ユーノ様』と呼ぶので、『ご主人様』と呼ばれるよりもっと恥ずかしいので、『ご主人様』呼びで妥協することにしたのだった。

「・・・けれど、ご主人様。それは並大抵のことではありません。なにせ、相手は私をあのCOMPに封じ込めるほどの力がありますし、
この場には、魔神皇の言葉に従い殺し合いに乗った者も居るかもしれないんですよ?」
「うん・・・分かってる」

タマモの言葉にユーノは顔を俯かせる。けれど、

「だから、お願いだ。タマモ」

すぐに顔を挙げ、強く固い信念の籠った瞳でタマモと顔を合わせる。

「僕に力を貸して。この殺し合いから脱出するための力を」
「・・・」

その力の籠った言葉を放つ姿に、タマモは一瞬見惚れ、すぐに平静なふりをした。

「もう〜!‘お願い’なんてしなくても、‘命令’してくださいよ。私は貴方に仕える『悪魔』なんですから」
「あっ・・・ごめん」
「もう・・・でも、良いでしょう」

すっくと立つと、たからかに宣言した。

「この玉藻の前!全身全霊を持って、主・ユーノ・スクライア様の為に尽くしましょう!」
「・・・うん。ありがとう」

タマモの言葉を聞き、ユーノは柔らかな笑みを浮かべ、釣られてタマモも微笑み返したのだった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


990 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/15(日) 18:41:44 D4AYzRAw0
方針も決まったところで、二人は早速行動を開始した。

「それじゃあまず、街の方に降りてみましょうか」
「うん。あっ、ちょっと待って」

張り切っているタマモを静止すると、ユーノは目を閉じて精神を集中させた。
すると、ユーノの体が緑色の光で包まれ・・・ユーノは人間から小さなフェレットの姿になった。

「あら?ご主人様って、獣の姿が本性何ですか?」
「ち、違うよ!これは変身魔法を使ってるだけで、僕は人間だよ!」

タマモの発言にユーノは慌てて訂正すると、そのままタマモの肩に飛び乗った。

「・・・この姿だと、魔力の消費が抑えられるんだ。それに、人間の姿でタマモに着いて歩くのは体力も使うからね」
「なるほどぉ・・・!」

ユーノは気づかなかったが、この時タマモの目がイタズラを思いついた子供のように怪しく光った。

「・・・でもぉ〜・・・肩の上だと落ちちゃうかもしれませんよぉ?」
「えっ・・・でも他に・・・」
乗れる場所なんてない、とユーノが言うよりも早く、タマモがその白魚のような手でユーノを掴んだ。

「うわぁ!」
「で・す・か・らぁ〜・・・」

タマモは怪しい笑みを浮かべながらユーノを・・・

「・・・ここなら大丈夫ですよ♪」

・・・自分の胸の谷間に挟みこんだ。

「!!!!!わっ!?うわぁ!!!」

いきなりタマモの胸の谷間に挟まれて、ユーノの顔はリンゴのように真っ赤になった。
同い年の子供よりも精神的に成熟しているとは言え、ユーノはまだ9歳の純情な少年。
女性の胸の谷間に挟まれて平然としていられる訳がない。
慌てて抜け出そうともがくが、そんな努力も虚しくタマモの細い指によって静止される。

「もう、じっとしていないと落ちますよ?ご主人様」
「・・・はい」

抵抗も虚しく押さえつけられ、ユーノは諦めて動かなくなった。
それを確認すると、タマモは鼻歌混じりに階段を下りて行った。
豊満な胸に包まれて顔を赤くしているユーノ・スクライアを抱いたまま。


もし、ユーノの知り合い・・・それも同性のクロノ・ハラウオン辺りがこの光景を見たら、こう言うだろう。
「この淫獣め!」
と・・・・・。



【???????/一日目/朝】
【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:健康、赤面、幸せ?
[装備]:タブレット型COMP
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:・・・・・・・・(赤面して何も言えない)

[COMP] 
1:玉藻の前@Faet/EXTRA
[種族]:神霊
[状態]:健康、上機嫌


991 : ◆fd1N1IjRQI :2016/05/15(日) 18:42:47 D4AYzRAw0
投下終了です。
タイトルは「この淫獣めっ!(褒め言葉)」です。


992 : ◆OW5ZCNLz4U :2016/05/15(日) 20:28:11 9L1ZxuDU0
皆さん、投下お疲れ様です。

投下します。


993 : 悲劇の人魚姫 ◆OW5ZCNLz4U :2016/05/15(日) 20:28:58 9L1ZxuDU0
(こんな事……絶対に駄目だ。
絶対に、止めなくちゃ……!!)


廃教会。
かつて紅の魔法少女―――佐倉杏子に己の信念を伝えたその場で、美樹さやかは再び強い決意を固めていた。
魔法少女として、正義の味方として。
この殺し合いを止める……止めなくてはならないと。
彼女は、悪を憎む強い正義の心から、そう誓っている。


ただし、彼女には、ある「歪み」があった。


(そうだ……あたしは魔法少女なんだ。
あいつを倒さなきゃ……あたしが、倒さなきゃいけないんだ……!!)



さやかの心にあるもの。
それは悪を許さないという気持ち以上に……「自分は正義の味方でなくてはならない」という強迫観念だった。

美樹さやかはかつて愛する幼馴染―――恭介の為に奇跡を願い、その代償として人在らざる者―――魔法少女へとなってしまった。
痛みも感じない、生ける屍同然の肉体。
そんな異形が、愛する者と一緒になれる筈がない……彼女は誰かの幸せを願ったが為に、自らの幸せを願えなくなってしまったのだ。



(間違っても……魔法は、こんな殺し合いの為にある力じゃない)



そして、そんな彼女に追い打ちをかけたのが、大切な友人―――魔法少女となった最初の戦いで救出した―――仁美から打ち明けられた事実。
「恭介に告白する」という、最悪の一言だった。
さやかはその言葉に、何も返せなかった。
異形に堕ちた人間に何が言えようかと……そう深く絶望し、「彼女を助けなければよかった」とさえも思ってしまったのだ。

そんな、思いつめた彼女に残された道……それは「正義の味方」であり続ける事。
人に呪いを振りまく魔女を、この手で刈り取る……修羅という名の正義しかなかった。
以来、彼女は自らの肉体が傷つく事を顧みず、周囲の言葉にも一切聞く耳ももたぬままに、無謀な闘いを続けてきた。
そうしなければ……自身は役立たずになってしまうから。
完全に用済みになってしまうからと、精神を摩耗し続けているのだ。


994 : 悲劇の人魚姫 ◆OW5ZCNLz4U :2016/05/15(日) 20:30:03 9L1ZxuDU0
(あたしは、この殺し合いに参加させられた人達の為に戦わなくちゃならない。
 戦えなかったら、何の価値もない……石ころなんだから……)



もしも彼女が、『自分の為』に魔法を使える性格だったならば、ここまで追い込まれはしなかっただろう。
戦いに『見返り』を求められる人間だったなら、ここまで傷つく事は無かっただろう。
しかし、彼女にとって魔法とは、どう言われようとも「他者の幸せを願うもの」に他ならなかった。
それこそが信念であり、彼女が目指す正義でもあるが故に……彼女は、心を病んでしまったのだ。

そんな、呪いにも似た歪な正義の下、彼女は殺し合いを止めるべく動き出そうとする。

(あれ…そういえば、こんな指輪してたっけ?)

しかし彼女は、自分が普段しているはずのない指輪を、何故かはめていることに気が付き、それに触れた。

すると、光とともに彼女の目の前に、水色の髪をした白いローブの女性が現れた。

「わたしは、氷の魔法使いメロウ…あなたは、私を召喚した者?」

彼女が自己紹介をするとともに、さやかは変身し、彼女に剣を向けた。

「アンタ誰!何者!」

そう、突如として現れたメロウを、魔女か別の魔法少女かと思ったのである。


995 : 悲劇の人魚姫 ◆OW5ZCNLz4U :2016/05/15(日) 20:30:42 9L1ZxuDU0
「私はあなたのしもべ…貴方の命令に従います」

すると、さやかは少なくとも彼女に自分と戦う意思がないことが分かったため、剣を下げることにした。

「ごめん、あんな手荒な真似をして」

「いえ、気にしてないわ。それで、あなたは何を望んでいるの?」

メロウはさやかに対し、この会場で何をするのか聞いた。

「あたしはあの魔神皇を倒し、他の人を救う。そうしなきゃ、あたしに存在価値はないから…」

「分かりました、それがあなたの選択ならそれに従います」

そして、彼女たちはともに歩き出した。

自分たちと同じように巻き込まれた人を救うために…。

-------------------------------------------------------------------------------------------------

美樹さやか---
愛する人を救うために戦いに身を投じるも、後におぞましき真実と報われぬ愛に苦しみ、
やがては人々に絶望を撒く魔女へと変貌することになる、哀れな人魚姫。


メロウ---
愛する人のために『人間』になることを望んだ結果、
自らを生み出した『氷の魔王』の手により人間になったものの、その代償に"愛しい記憶"と"優しい心"を奪われ、
魔王の手先となり人々を苦しめ、そして最期に自分の愛する人の手で葬られた、哀れな人魚姫。


この二人の悲しき人魚の行く末は、たとえ如何なる神でも、知る由はないだろう…。


【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:指輪型COMP
[道具]:基本支給品、ソウルジェム
[思考・状況]
基本:巻き込まれた人を助け、そして魔神皇を倒す(殺す)。
[備考]
※『癒し』の魔法の効果で、軽度の火傷や切り傷ならば自然回復が可能。
※ソウルジェムが若干濁っていますが、この会場内で魔女化が出来るかどうかは不明です。
[COMP]
1:氷の魔法使いメロウ@モンスター列伝 オレカバトル
[種族]:魔法使い
[状態]:健康
[備考]:炎系の攻撃に弱い。


996 : ◆OW5ZCNLz4U :2016/05/15(日) 20:31:31 9L1ZxuDU0
投下終了です。


997 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/15(日) 20:42:53 RV2cznsI0
投下します


998 : やつらは女性を優先的に狙う ◆NIKUcB1AGw :2016/05/15(日) 20:43:55 RV2cznsI0
(くそっ、まさかこんなことになるなんて……)

複雑に入り組んだテレビ局の中を、美城常務は逃げ回っていた。
彼女が逃げていたのは、自身が召喚した悪魔からだった。
魔神皇の言葉を真に受けず、どうせインチキだろうと適当にCOMPを操作したのがまずかった。
予想とは裏腹に情報通り出現した悪魔は美城の言うことを聞かず、勝手に動き出したのだ。
制御できないのならCOMPに戻すという手段もあるのだが、COMPの使い方を正しく把握していない彼女にはそれもできなかった。

「じょうじ……」

人気の無い廊下に反射する声に、美城は身をすくませる。
いつの間にか、悪魔がすぐ側まで来ていた。

「ひいっ……!」

大きくうつろな目。黒光りする筋肉質な肉体。
いかに芸能界の荒波を乗り越えてきた女傑といえども、その悪魔の外見には生理的嫌悪感を催さずにはいられなかった。

「来るな! 来るんじゃない!」

拒絶の言葉を吐きながら、美城はなおも逃げる。
だが蓄積した疲労から、わずかに足がもつれる。
それを好機と見て、悪魔は一気に距離を詰めた。

「じょうじ!」
「や、やめろ!」

美城の制止の声にも、悪魔は耳を貸さない。
悪魔はその太い腕を美城に伸ばし……胸を揉んだ。

「なぁぁぁぁぁ!?」


【?????/1日目/朝】
【美城常務@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:スマホ型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:悪魔から逃れる
[COMP]
1:エロフォーマー@今日のテラフォーマーズはお休みです。
[種族]:淫獣
[状態]:健康


999 : ◆NIKUcB1AGw :2016/05/15(日) 20:44:43 RV2cznsI0
投下終了です


1000 : 最悪 ◆jBbT8DDI4U :2016/05/15(日) 20:56:59 mqtfk/jo0
皆様投下乙です! おかげさまでこちらのスレも埋まりました。
まだまだ登場話は募集していますので、次スレでもよろしくお願いいたします!

>>972
異星人と怪人! なかなか奇特な組み合わせですな。
目的は単純故に、戦力が恐ろしいですね。

>>976
ええ……なんかヤバいの来た……(ドン引き
でも友達になれたようで良かった……のかな?

>>979
扱いにくいスタンドだけど、まあまあ当たりな能力!
日光を避ける拠点が早く見つかればいいのですが……

>>982
やったねできないよたえちゃん……
果たしてクマさんは何を考えているのか……不安しかねえ……

>>985
そりゃあ、インテグラからすれば隠し子かw
互いに互いが困惑する情報ばっかりで、大変そうですね。

>>991
私は通りすがりのものだ、だがオヌシは殺す!
この淫獣め……ラッキースケベを発揮しやがって……w

>>996
二人の悲しい宿命を背負った人魚姫。
彼女たちはこの殺し合いで何を見つけて、何を成すのでしょう……

>>999
あらーっ!? 変態だーーっ!?
いくら常務といえど、流石に困惑する状況ですね。


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