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ミリオンライブ・バトルロワイアル part2
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【Vocal】16/16
天海春香 / 春日未来 / 如月千早 / 木下ひなた / 四条貴音 / ジュリア
高山紗代子 / 田中琴葉 / 天空橋朋花 / 箱崎星梨花 / 松田亜利沙 / 三浦あずさ
水瀬伊織 / 最上静香 / 望月杏奈 / 矢吹可奈
【Dance】17/17
エミリー / 大神環 / 我那覇響 / 菊池真 / 北上麗花 / 高坂海美
佐竹美奈子 / 島原エレナ / 高槻やよい / 永吉昴 / 野々原茜 / 馬場このみ
福田のり子 / 舞浜歩 / 真壁瑞希 / 百瀬莉緒 / 横山奈緒
【Visual】17/17
秋月律子 / 伊吹翼 / 北沢志保 / 篠宮可憐 / 周防桃子 / 徳川まつり
所恵美 / 豊川風花 / 中谷育 / 七尾百合子 / 二階堂千鶴 / 萩原雪歩
伴田路子 / 双海亜美 / 双海真美 / 星井美希 / 宮尾美也
まとめwiki
ttp://www46.atwiki.jp/millionbr/pages/1.html
前スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12648/1403353801/
【書き手向けルール】
1:非リレー企画ではありません。予約していただける方はトリップ付きでお願いします。
2:予約期限は七日(+三日)です、延長は二作投下していただいた方から可能とさせていただきます。
3:予約なしのゲリラ投下は禁止です。
4:自己リレーは現状は禁止ですが、進行次第では解禁する場合があります。
5:キャラの出展は『アイドルマスターミリオンライブ』からです。
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なんとかpart2まで来れました……。
書き手様や感想をくださる方々に感謝しかありません。
今後ともよろしくお願いいたします。
と言う事で改めて投下終了を宣言させていただきます。
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いつも楽しく読ませていただいております。
質問なのですが、千早と亜利紗の「のろい」のお話の時間帯が「夕方」になっているのですが、
これはつまり「のろい」の話は二回目の放送終了後という解釈でいいのでしょうか?
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>>3
ご愛読ありがとうございます。作者様ではありませんがわかる範囲でお答え致します。
第二回放送は夕方の終了と同時に行われます。
その為、夕方の出来事は原則として放送の前に発生していると考えて問題ありません。
感想は後日書かせていただくとして取り急ぎ予約を。
馬場このみ、舞浜歩の二名で予約致します。
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解説ありがとうございます。
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解説ありがとうございます。
自分、この企画に嵌った新参者です。
真壁瑞希、周防桃子、双海真美、北上麗花、島原エレナの5人で予約をお願いします。
宜しくお願いいたします。
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すいませんID上手くいきませんでした
もう一度
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重ね重ねすいません。
↑DIかぶっているのでさらに変更です。何分なれないもので…
今度こそ
真壁瑞希、周防桃子、双海真美、北上麗花、島原エレナの5名で予約お願いします。
宜しくお願いいたします。
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それは煌々と輝く太陽が目に見えて西に片寄り始めた頃、3人の少女が草原に伸び整えられた一本道を、規則正しくただ黙々と真っ直ぐ歩み続けていた。
淡い青髪のポーカーフェイス、真壁瑞希。
双子のお転婆娘、双海真美。
そんな2人の後方からとてとてと俯き表情が読み取れない少女、周防桃子。
そして瑞稀に抱き抱えられているのがその桃子と仲の良かった少女、中谷育――
―――の遺体。
育の遺体を見つけたのは定期放送が放送されたその少し後、キャンプ場のすぐ近くで発見した。
火傷によって爛れた皮膚と爆発物の破片と思わしき無数の破片、その他の外傷、見つけた遺体からはこの殺し合いの過酷さと非情さが醸し出されていた。
放送によって殺害されていた事は知っていながらもその無惨な亡骸を見た時は酷く心を締め付けられる感覚に襲われた。
そんな彼女の遺体に鞭を打つような事をして本当に申し訳ない気持ちになる。
果たして懺悔した位で許されるかどうか……………………
ひょっとしたら、かのキリストの様に十字架に架けられても許してはもらえないかもしれない。
それほどまでにこの無垢だった少女を安眠させないのは罪深い事だと認識している。
ついてきている桃子の反応を見ても明らかだ。
天空橋朋花と別れた後、ずっと俯いて目を伏せてしまっている。道中、心配で何度か話を振ってみたが、返ってくるのは事務的な生返事だけだった。
煩わしい想いをさせてしまったかもしれないと途中で会話を打ち切ったが、その後も何度か気に掛かり後ろを振り向いた。
だから知っている。彼女は時折自分の手の中で眠る育の遺体を一瞥し、何とも形容しがたい表情を浮かべていた事を。
形容しがたいからこそ、この非道とも取れる行いが許されないものだと分かる。
しかし例え許されない行いだとしても、彼女、瑞希はやらなければならない。
この殺し合いに終止符を打つ為に。
現在、瑞希の率いる御一行はこのデスゲームの根本を担っている首輪の爆破解体をするべく、G-8地点にある研究施設へと向かっていた。
そこで、抱き抱えている育のもう恐らく機能していないであろう首輪を解体し、その仕組みと構造を解明し首輪を外す。成功すればもう不毛な殺し合いに身を投じる必要はなくなる。
このデスゲームにピリオドが打てる。
成功しなくてもきっとなんらかの成果は得られる筈。
瑞希はそう信じ、そして育の犠牲を絶対に無駄にしない為に、前を見据えて力強く、足を進めていく。
己が足を動かしているのが例え無謀な渇望だと理解していても。
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瑞希が決意を胸に一歩一歩歩を進めている横で、真美は複雑な表情で瑞稀と桃子の様子を伺っていた。
一向にこちらと会話らしい会話をしない桃子。顔を伏せている所為でその表情からは感情を伺う事は難しい。
初めの内は桃子を気にかけて話を振っていたが、途中から無駄だと思ってしまったのか話かけるのをやめてしまった瑞希。元々ポーカーフェイス気質の彼女からでは横顔が見えていてもその感情は読みとれない。
何が言いたいのか。
有り体に言って真美は大変気まずい状況下にいるのだった。
桃子と瑞希の意見が対立しているのは誰が見ても明らか。桃子が自分の意見を譲歩してくれたから首輪の解体を進められるにしてもこの張りつめた空気は正直勘弁してほしい。
こんなに気まずい板挟みにあうのは生まれて初めてだ。
ライブの意見が対立したってここまでピリピリしないだろう
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ここまで張りつめるのもこの場合は当然と言えば当然だ。
人の命が関わってくるのだから。
だがそもそもの前提として、真美は育の遺体を運ぶことに賛同した訳ではない。
それがこのゲームを終わらせる為の行為なんだと分かっていても遺体を粗末に扱うような真似は、医者の娘である彼女からしたら納得いく理由があってもやってはいけない事だと認識している。
いや、これはただの詭弁だ。本当はこの張りつめた空気を作り出す粗品をこれ以上持っていてほしくないだけだ。
瑞希にとっとと意見を変えてもらってさっさとそれを捨ててほしいのだ。
首輪を外せばゲームが終わるという『先』の事よりも、息苦しい『今』への対応を真美は考えてしまっていた。
それも無理からぬ、真美はまだ中学1年生の子供だ。精神年齢だけで言えばここにいる誰よりも幼い。
ここが殺し合いの場だという事も、育が死んだという事にも、そもそも実感が湧いていない節がある。
故に彼女は目先の事しか見えていない。この空気をなんとかしたい。それだけ。
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いつものようなふざけた悪戯やスキンシップをしても、瑞希はともかくとしても桃子には完全に逆効果になるだろう。
もう何がトリガーになってこの均衡が崩れるか分からないんだ。
均衡が崩れるにしても良い方向に転んでくれなければ気まずさはより一層大きくなってしまう。
気まずくなるにしても、自分を巻き込まないでほしい。2人で勝手に解決してほしい。
故に真美は2人の様子を伺っている。決して自分がトリガーにならないように。
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もうこうして俯いたまま歩くのはどれ位になるんだろう?
そう疑問を覚えたところで、桃子は漸く顔を上げた。
前に見えるのは2人の女性、瑞希と真美。
それと瑞希に抱き抱えられた育。かつて仲の良かった少女。今は物言わぬ遺体へと変わってしまった親友。
その顔は爛れてしまいしっかりと把握出来ないものになっている。
きょとんと間抜けに口が開かれているようにも見えるが、驚愕と恐怖に顔を歪めているようにも見える。
分かる事は、彼女は既に死んでしまったという逃れようのない事実のみ。
瑞希がそんな育を連れて行くなどと言った時、反射的に反撥してしまい、結果この時間まで腫物を触るように彼女に接してしまっていた。
その結果、彼女はこちらに気を遣って話をかけてこなくなった時からずっと考えていた。
話をかけてくる人間もいなかったのだから、葛藤する時間は掃いて捨てる程存在した。
思考して葛藤した……
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自分は大人だ。だから分かっている。
瑞希の行いが、世間的に許されないものでも、少なくともこのゲームにおいては一概に間違いではない事なんて分かっている。
寧ろ彼女がやっている事はこのゲームを終了させるという論点において、酷く合理的かつ賢明な判断だ。
道理に適っている。
しかし、人間とは道理や合理より先にまず感情が優先される。
育を、かつての親友をそんな風に、まるでこのゲームを終わらせる為の道具のように扱われる事が、どうしても我慢出来なかった。
だってそれではまるで、育が死んだ事が良しとされているみたいに思ってならなかった。
瑞希には感謝している。
怯えて蹲っている事しか出来なかった自分をあの旅館から連れ出してくれた。
それからずっと自分を守ってくれて、
要望を聞き入れてくれて、
側にいてくれていた。
そんな彼女に劣悪な感情を抱いてしまっている。
そもそもに対して瑞希が育に粗相を働いていたとしても、
彼女を責めるのはお門違いなんだ。
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薄情かもしれないが、見つかった遺体が育でなければ、
例えば放送で呼ばれた別の誰かだったら、自分はここまで反撥しなかったのではないだろうか。
抵抗はあるかもしれないが、仕方がないとその抵抗を一蹴したのではないだろうか。
我ながら最低だ。
好きな人が使われるのは嫌だけど、自分とそこまで仲の良くなかった仲間は使っても構わない。
自己中心的な我儘。
これでは子供だ。笑えてくる。
いつも大人だ大人だと豪語している自分が、今この瞬間、この島において誰よりも子供なんだから。
肉体的にも。精神的にも。そして何より年齢的にも。
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失笑が口から洩れそうになるのをすんでの所で抑える。
ここで失笑でもしようものなら、前方にいる2人も流石に黙ってはいないだろう。どう考えたって自暴自棄になったようにしか見えない。
これ以上の心配を、瑞希に掛けたくはない。ただでさえ現在進行形で気を遣わせてしまっているのだから、せめてこれ以上迷惑を掛けないようにしよう。
瑞希の決定を受け入れよう。
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漸く、桃子の中で折り合いがついた。
そうと決まればまずはこっちから話を掛けなければ、
取り敢えず育の事についてはもう怒ってない事を言わないと。
そう思い盗聴防止として使っている端末を手に取り謝罪を打ち込もうと画面にタップしたその時、
この殺し合いの場にそぐわない矢鱈耳障りに聞こえる鼻唄が―――
――前方から聞こえてきた。
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後ろの桃子がポケットから端末を手に取る動作をしたその時、瑞稀が目撃したのは前方からこちらに鼻唄まじりにニコニコと笑って歩いてくる北上麗花の姿だった。
楽しそうに、今にもスキップでもしてしまいそうな程の笑顔。
彼女は元々明るい性格で、悪い言い方になってしまうがどこか抜けているところがある女性だ。
ああして愉快でいる事はそんなに珍しい事じゃない。
至極当たり前の等身大の麗花その人だ。
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だがしかし、瑞稀はそんな麗花から何か妙な雰囲気を感じ取った。
いつもと同じなのに、
何故かおかしく見えてしまう。
いや、おかしいのだ。
こんな状況下の中で、『いつもと同じ』でいられるなんて少なくとも正気の沙汰ではないように思える。
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「ふふふ〜ん♪あ、瑞希ちゃんだぁ〜♪」
こちらに気が付きトコトコと浮き足立っていた足取りがより一層軽くなったようにこちらに早足で駆けてくる。
「あぁ!麗花お姉ちゃん!!ヤッホーゥ!」
内心訝しげに麗花を観察している瑞希とは対照的に、
隣で歩いていた真美は嬉しそうに麗花に向かって手を振る。
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今の真美にとって麗花はこの張りつめた現状を有耶無耶にしてくれる救世主に見えた事だろう。
少なくとも麗花から醸し出されている違和感には全く気付いていない。
麗花ならばこんな殺し合いの場でも明るく接してくれるとでも思っているのだろうか?
残念ながら瑞希はそんな楽観的にもの見る事は出来ない。
いや、出来なかった。
ちらりと後ろを振り返ると桃子も瑞希同様、麗花を怪訝そうな瞳で見つめていた。
こちらからの視線に気が付いた桃子は一瞬だけ気まずそうに目を逸らしたが、
すぐにまた目を合わせてアイコンタクトをしてくれた。
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(何か様子がおかしくない?)
(それは私も感じています。まだなんとも言えませんが……取り敢えず、警戒は怠らないでください)
(……わかった)
完璧に分かった訳ではないし、自分の意図が伝わったかも分からないが、大凡こんなやり取りをし、また前方を見やる。
麗花は変わらずニコニコと笑いながら自分達の元に向かって来る。
真美も早く合流しようと足を速める。
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「って、ありゃ?ミズキンどったの?」
「…………」
が、進めるどころか隣で足を止めた瑞希を見て少し前に出た真美も反射的に足を止めた。
そこで遅蒔きながら気が付いた。ポーカーフェイスの瑞稀の表情が少し強張っている事に、後ろの桃子も右ポケットに手を突っ込んで立ち尽くしている事に。
どうしたのだろう?真美は状況を察せないままに小首を傾げる。
「あらぁ?」
前方からの声で真美は再び視線を前に向ける。
先程までこちらに向かっていた麗花の足はもう5メートルもない所で止まった。
さっきまでの笑顔が少しだけ崩れ、瑞稀の手に抱かれている遺体を凝視し、
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「あ〜育ちゃんもいるねぇ〜♪育ちゃんはお昼寝中かなぁ?」
そう変わらぬ笑顔で答えた。
「……………………え?」
ここで、真美も漸く、麗花の違和感に気が付いた。
何を言ってるんだろう?寝てるって言ったのかな?そんな訳ないよね?
麗花の言葉が信じられずに頭の中で先程の言葉をなんとか別解釈しようと脳を働かせる。
だが、結果は変わらない。
「何言ってんの……麗花お姉ちゃん」
誰が見たって分かるじゃん。そんなの一目瞭然じゃん。
育が死んでるなんて事、誰が見たって明らかじゃん。
真美の思考がそこで止まる。いや、思考する事を脳が拒否する。
ボロボロの育の遺体を見ても尚ニコニコと笑う麗花の顔が、えらく不気味に見えてきた。
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「……寝ているんじゃ、ありません」
「ん〜?」
「……死んでいるんです。彼女は」
本当に何も分かってないのであろう麗花に、瑞希は端的に事実のみを伝える。
「え〜そうなの?へ〜残念だねぇ」
「っ……」
事実を知っても変わらずニコニコと笑ったまま、まるでよくある事のような気軽さでそう答えた麗花を後方の桃子が、なんだその物言いは、育が死んだ事に対してなんとも思わないのか、そういう思いを視線に込めながら睨み付ける。
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「あなたは「それで?育ちゃんを■したのは瑞希ちゃん?」!!?」
苛立ちから視線だけでなく言葉も投げかけようとした桃子の言葉を遮断し、
麗花は育殺害の犯人の確認にかかる。
言葉の一部分が何やら聞き取り難かったが、
瑞希が思っている通りだとしたら、それが全くの濡れ衣だ。
このまま黙っていては誤解されてしまう。
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「え、い、いいえ、私では「そういえばこれから皆はどこに行くつもりだったのかなぁ♪」
問いかけにしどろもどろになりかけながら、なんとか口を開いたその言葉も、しかし麗花は遮断する。
もう聞く必要はないと言うように。
「…………これからですか……これからこの先にある研究所に行こうと思っています。そこで「研究所に行くの?」
さっきの問いかけとは関連性のない質問にまた戸惑いながら答え、さっき弁解出来なかった育の事もここで話そうとした時、
不意に麗花の声のトーンがさっきまでの明るい物言いとは違い急激に下がっていく。
顔は俯き瞳は見えず、辛うじて見える口元は、なにやらブツブツと独り言を呟いているように伺える。
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「研究所に行くって事はぁ、伊織ちゃんの笑顔を奪うって事だよね?」
「はい?水瀬さん…………ですか…………」
「伊織ちゃんを傷つけるって事だよね?」
どうして、そこで水瀬伊織の名前が出てくるのだろう。それに笑顔を奪う?傷つける?
浮かび上がった新たな疑問も――――
「じゃあ、■すね♪」
パァン
その渇いた音に掻き消された。
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「レイカァー!!いるなら返事してヨー!!!」
研究所から飛び出して来た島原エレナ。
彼女は行動を共にしていた麗花の探索を行っていた。
殺し合いの場でこんな大声は命取りになるのだが、
しかし、エレナは現在麗花を探し出す以外の事に頭が回っていなかった。
麗花を見つけて伊織と仲直りをさせてあげたい。
その清らかともいえる想いだけが彼女を突き動かしている。
要するにエレナもまた、先の事を考えられるタイプではなかったのだ。
目先の事しか考えていない。視野の狭い短絡的行動だった。
「どこにいったのカナァ・・・」
そもそもこっちの道に向かったかどうかも怪しい。
もしかしたら反対方向に向かってしまっている事だって十二分に考えられる。
でも、そんな彼女の考えも、一瞬で消え去る。
パァン
「!!?」
空に鳴り響く銃声。
それも、自分はこの銃声に聞き覚えがある。
そして、その所有者が誰なのかも。
「!レイカー!!」
エレナは走り出す。
-
桃子は何が起きたのか分からなかった。
突如、空まで響く轟音。
麗花がいつ取り出したのか手に持っていた銃。
そして、その場に崩れ落ちる――――
「あっ…………かぁ……??」
―――真美の姿。
真美の脇腹の辺りからじわじわと尋常じゃない血が滲み地面を赤黒く染め上げていく。
何が起きたのか、真美自身も分からないでいる。
自分の腹から何が出てきているんだ?血?なんで?どうして?
疑問が頭の中を駆け巡る。
……撃たれた?と、やっと脳が自体に追いつき疑問が解けた。
そして最初に溢れてきたのは――
「がぁ……かは………あぁ、ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
味わった事のない激痛。
吐血しながら悲鳴を上げ、苦痛から少しでも逃れようと
うつ伏せの状態から仰向けに反転し身体を仰け反らせる。
彼女の斜め後ろに立っていた瑞希もその光景にただ目を見開いて茫然と立ち尽くしている。
「あれぇ?瑞希ちゃんを狙った筈なんだけどなぁ?」
当たらなかった理由など明らかだ。
麗花は拳銃を横薙ぎに抜刀するようにして発砲したのだ。
漫画じゃあるまいしそんな半端な撃ち方で狙い通りの標的に当たる筈がなかった。
そんな事など気が付かず、狙いが外れた事に小首を傾げる。
その間抜けとも取れる顔に疑問こそ浮かんでいるにしても、
仲間を撃った後悔や罪悪感は見て取れない。
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「まぁいっか♪一緒にいるって事は真美ちゃんも伊織ちゃんの笑顔を奪う悪い子って事なんだから、結果オーライ♪」
「!!周防さん!走って!!」
「!!」
麗花のこちらを完全に悪と決めつける狂気的発言を聞き、
交渉や説得が不可能と断定した瑞希はほぼ反射的に後ろでへたり込んだ桃子に逃走を促す。
しかし、促された桃子は走るどころか立ち上がれずにいた。
(こ、腰が…………)
腰が抜けて動けない。
思えば、ここにいる彼女らは誰もまだ人の殺人殺害を受けた事がなかった。
結果、初めて目の当たりにする殺人という恐怖に桃子は心身ともに震えてしまったのだ。
頭では分かっている。早く逃げないと次に撃たれるのは自分かもしれない。
(お願い、動いて、ねぇ…動いてよ!身体!)
そう願っても身体は動かない。
今迄苦楽をともにしてきた身体がまるで自分のものじゃないような感覚に襲われる。
そしてなにより、身体が動かない以前に目の前の恐怖対象から目を離すのが怖い。
目を離した瞬間、撃たれてしまうのではないかと。
「きゃ!?」
突如桃子の身体が浮き上がる。
いや、抱き抱えられる。
桃子が麗花に目を奪われている間に育を原っぱに寝かせた瑞希が桃子を抱き抱え、
整った一本道を無視して草原へと走り出した。
「あ!もう逃げないでよぉ」
パァン パァン
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「っ!」
二発の弾丸が瑞希達に向かって放たれる。
内一発は見当はずれな方向へいき、もう一発は瑞希の左足を掠める。
痛みに顔を歪める瑞希だったが立ち止まらずに対象から少しでも離れようと原っぱを駆ける。
ただでさえ遮蔽物の少ないこんな所でさらなる追撃を受ければ一溜りもない。
そう冷静に判断した瑞希は、後ろを振り返らずただ一心不乱に走り抜ける。
それとは対照的に冷静さが欠けた桃子は悲鳴を上げる。
発砲された瞬間こそ目を瞑ってしまったが、それでも麗花を目視し続けていた。
桃子達に向けていた銃口は、麗花の近くで死んだように横たわっている真美へと向かう。
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「……エ?」
それと同時に、第三者が介入した。島原エレナ。
銃声を聞きつけ駆けつけた彼女は躊躇なく銃口を真美に向ける麗花を見て固まってしまう。
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激痛により意識が曖昧になって来ていた真美だったが、
眉間に銃口を突き付けられた事に気がつき、
シャットアウトしかかっていた意識が恐怖によって強引に戻される。
殺されてしまう。助けて。
そう思い側にいる瑞希に手を伸ばす。
しかし、そこに瑞希はいない。
近くに目視出来るのは育の遺体のみ。
どこに行ったのかと視線を遺体から更に奥の方へと向けると、こちらに背を向け走り去っていく瑞希の姿を目撃した。
走る瑞希は全く真美を見ていない。
声が上手く出せない真美は抱き抱えられている桃子に助けを求めるよう手を伸ばす。
助けを求めた桃子を恐怖に顔を歪めながら何か大声を出そうと口を開いている。
良かった。気づいてくれた。
真美の中で安堵が生まれる。これで助けてくれる筈だと。
「エレナさーん!!」
えれなっち?
真美が桃子から視線を外す。
今の今迄気づかなかったが、麗花の少し後ろに真美を見下ろすエレナがいる事を確認した。
あ、なるほど。えれなっちに助けてもらえばいいのか。
得心のいった真美はエレナに救いの目を向ける。
「走ってぇー!!!」
しかし、真美の考えは間違っていた。
絶叫とも聞き間違えそうな程声を荒げた桃子の叫びを聞き
我に返ったエレナは桃子の言葉通り真美を置いて瑞希の方に全力疾走する。
(え…………嘘…)
見捨てられた。走り出したエレナに、そして走るように催促した桃子に。
「あぁ………」
感覚が狂ってしまったのか、激痛による痛みは薄れ、等価交換で訪れたのは澱んだ絶望感。
「あぁぁぁ…………」
痛みでは流さなかった涙が、頬を伝って地面に滴る。
「エレナちゃん。あんな悪い子達の言う事聞くんだ…………エレナちゃんも悪い子だったんだね」
麗花は冷たい声と視線をエレナに投げつける。
最も、真美から銃口は決して離さない。
「ふふっ♪エレナちゃん達は後ででもいっか、取り敢えず悪い子の1人をやっつけられる♪伊織ちゃん喜んでくれるかなぁ」
真美の傍にいるのは、もう自分を撃った麗花1人。
その1人も真美の事などまるでお構いなしに自分本位にニコニコと、引き金に指を掛ける。
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「あぁ………やだぁ」
溢れる涙、言いようのない絶望。
真美の、13歳の心を折るには充分過ぎる状況下となった。
「ぐすっ……やだ、やだやだやだぁー!いやだよぉ!たすけてぇー!ごろさないでよれいがおねぇぢゃーん!!」
心が折れた真美がやった行為は命乞い。
さっきは激痛で出なかった声も絶望というスパイスによって出るようになっていた。
当然、目の前の麗花に命乞いなど無駄だろう。
だがもう真美にはそれ以外の選択肢もなかった。
死にたくない。その一心で、真美は自身を撃った仇に懇願する。
最もここで麗花の考えが変わっても既に撃たれた脇腹の出血量は異常値に達しっている。
出血多量で死ぬのは時間の問題だろう。
早く撃たれて楽に逝くか。
ほっとかれて苦しんで逝くか。
どちらにしてももう真美に生きるという選択肢は奪われている。
もしも、銃口を向けられたあの時何も考えず、何も感じずそのまま意識を手放してさえいれば、こんな絶望に身を染める事もなく逝けた事だろう。
死しかない選択肢を選ぶこともなく、楽に逝く方に転べただろう。
もしも真美がこの時、既に生きる事を諦める事が出来ていれば無様に命乞いなどせずに、楽にしてほしいと思っただろう。
しかし、真美は生きる事を簡単に諦めてしまえる程人生に絶望など出来なかった。
楽しかった思い出はまだ綺麗なまま、狂気的な発言を耳にこそしたが、実際に誰かが誰かを殺すところなど見ていなかったし、やはりどこかでやる筈がないと達観してしまっていたのかもしてない。
そんな真美の思い出も達観もくだらないとでも言うように、麗花は真美に告げる。
「ふふ♪だーめ♪」
死刑宣告を。
「やだぁ!やだよぉぉ!たすけてよー!みずき!!ももこ!!えれな!!あみぃたすけてぇぇー!!!」
自分を見捨てた者の名前を叫び。
ついには等々この殺し合いの場で会えなかった双子の片割れにさえ助けを求める。
殺されたくないと。
こんな人を殺す事をなんとも思わなくなってしまった人間に引導を渡されたくないと。
「バイバイ♪真美ちゃん」
パァン
さっき呼んだ双子の片割れも、既にその域に達している事を知らずに逝けたのは――
唯一の救いではないだろうか。
【双海真美 死亡】
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エレナは走っていた。
前方に見える背中を追って。
自分が駆け付けた時、その場にいたのは横たわった真美とそれを見下ろす麗花の姿。
目の前の光景に茫然と立ち尽くし、それから程なくして桃子の声を聞き走り出した。
こちらに助けを求める真美を置いて。
どうして、逃げたりした?
幾ら頭が回っていなかったからと言って、桃子の声が聞こえたからと言って、麗花を止める選択肢だってあった筈だ。
丸腰の自分が麗花に勝てる可能性なんてないに等しいかもしれない。
それでも、止めるべきだったんじゃないのだろうか。
分からない。
でも、今のエレナに渦巻いてるのは、言いようのない罪悪感だけだった。
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敵に遭った。
こちらに殺意を向ける。明らかな敵だ。
敵に遭ったら容赦しない。
あっちがその気ならこっちだってそれ相応の対処をしてやろうと身構えていた。
…………それで?
この結果がこれか。
敵に怯え、動く事も出来ず、迷惑をかけまいと思っていた彼女の足手まといになり、助かるかもしれない少女を置き去りにするよう促した。
逃げる時でさえ、自分が盾になるよう配慮した彼女。
瑞稀の足から血が滴り落ちる。
この傷も、自分の所為だ。
あぁ、
なんだ、
私が抱いた覚悟なんて―――――
―――――――所詮こんな迷惑なものでしかなかったんだ。
【1日目/午後/G-7】
【真壁瑞希】
[状態]健康
[装備]金鎚
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:皆で帰るぞ……えいえいおう
1:周防さんと一緒に他の人を探す
2:とりあえず、北からは離れる。でも本当は止めたい
3:周防さんがおかしい……気のせいなら、いいのですが
4:北上さん、一体……
【周防桃子】
[状態]健康?
[装備] プラスドライバー
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:死にたくない
1:瑞希さん達と一緒に行く
2:『敵』と出会った……でも
【島原エレナ】
[状態]健康
[装備]無線機
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。
1:二人を仲直りさせるヨ!
2:レイカ……なんで。
3:なんだか、かなしいヨ
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■■■■■■■■■■■
みず■ちゃ■■■の後■■■研究■■行く■■■■てたなぁ。
■そこ■■■■織■■ん■いる■■。
私■■■■■守■■■■■■■悪■子■■■■■■やっつけ■■■■■■■■■■■■。
■■■■■♪
【一日目/午後/G-7】
【北上麗花】
[状態] ■■
[装備]レミントン デリンジャー(1/2)、無線機
[所持品]支給品一式、.41shortリムファイア弾(12)、ランダム支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本: ■■■■■■■■■■■■
1:■■■■■■■■■■■■
2:■ちゃんが死 ■■■■■■■■■■■■
3:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
4:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
5:■■■■■■■■
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以上になります。
凄い読みにくいものに・・・・
次はもうちょっと読みやすいものに頑張ります。
後真美Pさんすいません・・・
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>マボロシ
超人同士の戦いは引き分けに終わった模様。
全身に傷を負いながらも活路を見出し、前進するまつりはやはり流石といわざるを得ません。
そしてジョーカーとしての責務を果たすべく殺したはずがかえって足枷となってしまっている志保が見ていて辛い。
彼女らが南町に立ち入ったことでますます混沌を極めるであろう今後の展開に期待してしまいます。
>アノコノエガオノタメダケニ
完全に狂ってしまった麗花さんの一挙手一投足が恐ろしい。
普段と変わらない言動なのに何かが外れてしまっているのが痛いほどに伝わります。
不条理な暴力に沈んだ真美。罪悪感と自己嫌悪に押しつぶされそうな生き残り組。
全く光の見えないこの状況に立ち向かう彼女たちの行く道が明るいことを祈るばかりです。
初投稿ありがとうございます。恐ろしくも目が離せない、刺激的なお話でした。
書きあがりましたので私も投稿させていただきます。
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遠くに海を望みながら、無心で歩いていく。
道連れは、一人と一匹。
まだ大丈夫。
きっと上手くやれる。
そう言い聞かせはするけれど、心の底の弱気な声はちっとも止まってくれなかった。
◆ ◆ ◆
長い長い道のりを歩き続け、歩は巨大な建造物と対面した。
見上げても頂が見えぬほどに高い、大型ホテル。
ようやく辿り着いたという達成感よりも、これでもう歩かなくて済むという安堵の方が勝っている。
最後の力を振り絞り、歩は入口へと足を運んだ。
「うおぉ……豪華なホテルだなぁ……さて、どうやって部屋に入ろうかな」
中に入り、周囲を見渡す。
カウンターはあれど、受付を担当する者は一人もいない。
「うーん、どっかで鍵を探すしかないか……ん?」
どうすれば入室出来るのか悩んでいた矢先、受付に一枚のカードが置かれているのが見えた。
「これ……もしかしてカードキー? ひゃっほう! アタシってばツイてるぅ!」
思いの外早く目当ての物が見つかり、歩は歓喜する。
一刻も早く部屋に入り、体を休めたいものだ。
「……でもなんでこんなとこに置いてあるんだろ」
ふと思い留まる。
部屋の鍵が一枚だけ、それもご丁寧に受付の目立つ場所に置いてある。
改めて考えれば、これは非常に不自然だ。
もしや何者かの罠なのではないか。
歩は思案する。
「……まいっか。いくらなんでも流石に鍵置きっぱなしにしとく人なんていないでしょ」
だが、怪しさよりも疲れの方が勝ったらしい。
罠である可能性を即座に切り捨て、歩一行はカードに記された部屋へと向かった。
……実はこの鍵、かつて千鶴が使っており、退室の際に受付に置いていったものである。
だが、歩には知る由もないのであった。
◆ ◆ ◆
-
コーヒーを淹れて一息ついたところで、だいぶ脳も回復してきたらしい。
現状を整理するくらいなら出来そうだ。
まず真っ先に対処すべきは杏奈。
真偽がどうであれ、彼女を放置するのは間違いなく得策ではない。
一刻も早く見つけ出し、問い質さねばならない。
しかし、これは非常に危険な道だ。
もし歩の想像が正しければ、これから会いに行く相手はかつての仲間を四人も殺した人間ということになる。
そんな相手に話し合いが通じるのかは甚だ疑問だ。
最悪の場合、今度こそ戦うことになる可能性もある。
他の仲間の状況を把握出来ていないが、歩は比較的武装が整っている方なのだろうと考えている。
そうした事情を踏まえても、少しでも戦える可能性がある者が対処するべきだ。
だがその場合、このみはここに置いていかざるを得ないか。
心身ともに疲弊した彼女を連れていったまま勝てる相手とは到底思えない。
幸いなことに、部屋にはオートロックを用いた頑丈な扉が備え付けてある。
よほどのことがない限り、彼女の安全は保障されるだろう。
そうと決まれば、もたもたしている暇はない。
気休め程度だが、ハム蔵にはこのみの傍にいてやるよう指示し、後を任せる。
改めて荷物と装備を確認し、出発の準備を済ませた。
「えっと……じゃあそろそろ行くね。何かあったらまた戻ってくるから」
マグカップを片手にこちらを見上げるこのみの瞳は、依然として虚ろなまま。
「あー……下の階に売店や温泉があるみたいだから、よかったら使ってね」
何も言わず、じっとこちらを見つめてくる。
なんだか居た堪れない。
「じゃ、じゃあ行ってくるよ! 必ず戻ってくるから! それじゃ!」
-
『――だから、他の皆を探して必ず戻ってくるから……それ持ってて』
「…………え?」
別れを告げ、急いでその場を後にしようとしたが、思うように動けない。
不思議に思い、振り返ってみる。
「…………ないで……」
原因はこのみだった。
俯いたまま、服を掴んで離さない。
「……行かないで……」
今にも泣きだしてしまいそうなほどに震える声で、言葉を絞り出す。
「だ、大丈夫だよ。危なくなったらすぐ戻ってくるから……」
「嫌……置いてかないで……」
指に弱々しく力を込めたまま、静かに首を振る。
手を離したら、もう二度と会えなくなってしまう。
そう言わんばかりに。
「お願い……一人に、しないで……」
◆ ◆ ◆
「弱ったなぁ……どうしてこうなった……」
結局、歩が外に出ることはなかった。
手を掴まれたまま、ベッド付近の椅子に腰かけている。
そしてこのみはというと、歩の手を握りながら眠りについていた。
何度言っても、ずっと離してくれなかったのだから仕方がない。
こんな状態の彼女を一人置いていくわけにはいかなかった。
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「ほんと、こうしてみるとまるで子供だなぁ、このみさん」
静かに寝息を立てる彼女の頭を、出来心で撫でてみる。
とても自分より年上の先輩とは思えない姿だ。
「……早く起きてくれないかなぁ」
嫌というわけではないが、ずっと手を握られているのもそれはそれで居心地が悪い。
かといって、起こすのも気が引けるので、彼女が自然と目覚めてくれるのを待つしかないのだ。
「一人にしないで、か……」
先程の言葉を反芻する。
察するに、殺された誰かと一度別れたが最後、帰らぬ人となってしまったのだろうか。
詳しい事情は分からないが、よほど酷い目に遭ったのだろう。
自分が支えてやらねば。
歩は改めて決意する。
まだ何も解決してはいないし、問題は山積みだ。
けれど、少し、ほんの少しだけれど、このみが初めて気持ちを伝えてくれたことが、嬉しかった。
【一日目/夕方/F-1】
【舞浜歩】
[状態]健康
[装備]突っ張り棒、砕石、雑誌(腹部、背部に一冊ずつ) 、トランシーバー
[所持品]基本支給品一式、ショッピングセンターで調達してきた商品(わさび含む)
[思考・行動]
基本:死にたくない。でも、殺し合いにも乗れない。どうするかなぁ
1:このみさんを連れて誰かを探す
2:杏奈を……どうすれば、いいんだろう
※杏奈に対し、奈緒、茜、千鶴、ジュリアを殺したものと誤解しています
【馬場このみ】
[状態]健康、睡眠
[装備]なし
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(1〜2)
[思考・行動]
1:???
2:もう、一人は嫌……
【ハム蔵】
[状態]健康
[装備]なし
[思考・行動]
基本:???
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投稿は以上です。ご指摘等ありましたらご連絡ください。
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皆様お疲れ様です! 新しい人も来てくださって、本当にありがとうございます…!
各々、わくわくする動き方になってきましたね…!
それでは私は、春日未来、永吉昴、福田のり子、高槻やよいで予約します。
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■選んだこのみちを歩いてくから
お疲れ様です。
歩には頑張ってほしいしこのみさんにはなんとか立ち直ってほしいですね。
それでは二本目、星井美希、七尾百合子、萩原雪歩、最上静香で予約お願いします。
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天空橋朋花、高坂海美で予約します!!
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>"のろい"
立ち直り話……かと思ったら、根本的な部分が未だに解決してませんね。これは中々良い塩梅。
強いように見えて、とても不安定。彼女達が本当の意味で前を向ける日はくるのか……
>空見て笑って
ああ無常。終わる時は本当に儚いものですね。MT氏の今際の際の描写はそんな儚さで心撃たれるもので、とても好きでもあり、羨ましいと思うところです。
生き残った環も、かなり追い詰められているようで。彼女に手を差し伸べてあげられる子ははたしているのでしょうか……
>マボロシ
実力はあるのだけど、如何せん成果が出ず心乱されてばかりな志保。
一物抱えた者同士の衝突ではありましたが、何も起きなかったのははたして良かったのか悪かったのか。
彼女もいずれは何かしらのターニングポイントが必要そうですね…
>アノコノエガオノタメダケニ
ひぃぃ怖い…! 何故こんなことに…!
真美の最期もこれはとても良いものですね……悲痛な叫びが痛い程によく伝わってきます。
助ける事もできずに見捨ててしまった三人は相当キツそうですね。果たして立ち直れるか否か……
ただ一つだけ、大したことではないのですが、銃を何発か放った描写がありますのでそれに対応して麗花さんの状態表を更新する必要がありますね。
作中ではおそらく四発放たれていて、なおかつ所持しているデリンジャーは一度に二発までしか装填できません。
「一発放つ」→「弾を込め、逃げる瑞希桃子に二発続けて撃つ」→「銃に弾を込めて真美の眉間に放ち、今銃の中に一発残る」の流れだと思いますので、
逐一弾を込める描写を省略したものとして、所持品の「41shortリムファイア弾(12)」を「41shortリムファイア弾(8)」にすれば問題ないかな、と思います。
もし問題がなければwiki収録の際に手直ししておきますので、返答お願いします。
あと少しアドバイスというかおせっかいではありますが、wiki収録の際はレスによる区切りがなくなりますので、
場面転換や、>>35 〜 >>36 間のように描写対象の中心が変わる場合は他の作者様でいうところの↓
◆ ◆ ◆
↑といったものがあると、見やすくなるかと思います。よろしければ、次の参考にしてください。
何はともあれ、参加と素晴らしい作品ありがとうございます! 次の予約の方も期待が高まりますね!
>選んだこのみちを歩いてくから
このみさんかわいい……歩くんもかわいい……色々な場所でサツバツとしている現状では、貴重な癒し(?)組ですね。
ただ、いつまでもこのままでいてはいけないのも事実。歩はこのみさんを立ち直らせられる事ができるかどうか。
皆様いつもお疲れ様です……! では私も予約分を投下します!
-
「志保ちゃんも紗代子さんも亜美も、どこにいったんだろうね」
大きなコンサート会場の近くにある、四方に道を長く伸ばす十字路。
その中心に三人は立って(一人は横にバイクを引きながら)、考え込んでいた。
「三択か……」
「紗代子さんが、二人の方向に行ったって事は?」
「オレとのり子は見てないけど……なくもないな。紗代子に限って言えば、四択になるのか」
春日未来、永吉昴、福田のり子。
このイベントが始まり、この時に至るまで様々な事があった。
今、確実に一つ共通しているのは、この殺し合いには乗っていないという事。
彼女達は強い決意のもとに、この凄惨なイベントを止めようとしていた。
そんな三人がまず危惧していたのは、危険人物によるこれ以上の被害の拡大だ。
今、彼女達が把握している、殺し合いに乗っている人物は意外と多い。
三人が退けたばかりの少女、北沢志保。
それに加えて、未来が襲われた高山紗代子と、のり子が目撃した双海亜美がいる。
止めなくてはならない。が、どこにいるかはわからない。
彼女達がどこへ行ったのか。どの方向にでも行ける十字路だからこそ、その選択は悩ましかった。
「……そうだなぁ、これは別れて探した方が効率がいいかもしれないね」
「三人だったら、ちょうど右と左とまっすぐで一人ずつか……」
結局のところ、どれだけ悩もうがアテはない。
だったらここで別れて別々に探した方がいいかもしれない。のり子は、そう提案していた。
「……っ、で、でも危険だよ! もしまた襲われたら……!」
未来はその提案に、不安そうな表情を浮かべ、難色を示して声を上げる。
個々に別れてしまうと、いざ危険人物に会って襲われた時に危険だ。
それは、実際に襲われた未来が何よりも分かっていた。
「確かに……オレも未来も、ちょっと万全とはいえないしな」
「ぅ……ごめん」
「だから気にすんなってば」
それに、未来も昴も、相手こそ違えど多くの打撲傷を負っている。
未来の方は、紗代子がそこまで力も技術もなかったが故に引きずっている様子はないが、昴の方はそこそこ重い。
一人では歩くのも難儀するような傷であったのを、すっかり失念していた。のり子は自分の落ち度である事もあって小さな声で詫びる。
「それに……オレは痛いだけだけど、他のみんなはそれどころじゃないかもしれないんだ。止まってられないよ」
ぎゅっと、昴の拳が握られる。
今まで、たくさんの危機があった。救えなかった子もいた。それを強く悔やんだ。悔しかったし、哀しかった。
だからこそ、止まれない。これ以上悔しさを、哀しさを残さない為にも、前を向き、進み続ける。
それが、昴の決意であった。二人も、それに同調するように頷く。
-
「人に会うなら街、だけど。未来はもう行ったんだよね」
「紗代子さんを追って、すぐこっちに来たから……いる、のかなぁ」
「……街にトンボ返りするかどうかだな。それと志保と、亜美も」
彼女達は再合流した際に、軽い状況の整理もしていた。
今までの事を、今度は一切包み隠さず。それ故に危険人物の情報も共有した。
そして、未来が街で行動していた事も、そこで紗代子以外の子に会えていない事も分かっている。
改めて、南の街で捜索をするか。少なくとも、何もないという事はなさそうだが。
悩んでも仕方がない。動かないよりも、とにかく動いて探した方がいい。
昴が、そんな提案をしようと声を出そうとした、瞬間。
「…二人とも、下がって」
不意に、のり子の声のトーンが下がった。
「誰か来る」
「っ……」
一番前にいたのり子が、昴と未来を庇うように手を広げ、様子を伺う。
四つの道の内の一つ、南の街へ続く道に、人影が見えたのだ。
まず間違いなく、同じ事務所の仲間のうちの誰かだろう。
――そして、危険な可能性のある、誰か。
「昴」
「何?」
「バイクの運転、できそう?」
「……………何が言いたいんだよ」
遠くからの人影から目を逸らさず、のり子は昴に声をかける。
要領の得ない問いかけ。イエスかノーかより、昴は何故それを今聞くのかを気にかけていた。
「もし、最悪の時は」
「言っとくけど、俺はもう誰も見捨てないからな」
「……だろうね、言うと思った」
のり子の言いたい事は、分かっていた。
しかし、だ。それではダメだ。そんな事をすれば、昴が心の内に決めていた事が、できなくなってしまう。
綺麗事だからこそ、綺麗事を貫くつもりだからこそ、現実的な事は考えつつも、自分は曲げない。
「じゃあせめて、アタシに守らせてよ。襲ってくるようなら、一番動けるアタシがいくからね」
「分かった、無茶すんなよ」
それでも、最悪の事態に備えて覚悟を決めておくことは必要だった。
相手がこちらを確認し次第襲ってくるような危険人物なら、隠れる場所の少ないこの十字路は危険だ。
もう、現実から逃げはしない。けれど生きる為、死なない為に退く事は必要だろう。
その為に、元々一番身体能力が高い上に負傷も少ないのり子が二人を守るというのは、一番合理的だった。
それに対しては昴も、その横にいる未来も頷き、相手の出方を伺う。
――その少女は、血に濡れた剣を握りしめて、こちらを見ていた。
* * *
-
十字路で合流した少女、高槻やよいは、三人に対し襲い掛かってくるという事はなかった。
声をかければ、普通に反応してくれた。ひどく挙動不審であるという点を除けば、ある程度は三人が知っている『高槻やよい』そのものであった。
精神的に疲弊している彼女を落ち着かせつつ、情報交換を行う。滞りもなく、それは終わった。
三人がやよいから引き出した情報――結論から言えば、彼女は人を殺していた。
会話の中で察したとか、そういう事ではない。やよい自身が素直に、そう告げたのだ。
彼女が話した経緯はこうだ。
この殺し合いが始まって、まず佐竹美奈子と合流し、そしてその後に千早と恵美、さらに亜利沙とも合流した。
皆、この殺し合いを打破するために頑張っていたのだが、そこでやよいは間違いを犯してしまった。
疑心暗鬼と恐怖に苛まれたやよいは、料理に毒を盛ってしまった、と言うのだ。
味見をした美奈子が死に、バレる事を恐れたやよいはそこから逃亡。
だが恵美が追いつかれ、取っ組み合いながらの言い合いとなり、そのさなかで勢い余って。
そして、今に至る。
俯き、何度も何度もごめんなさいを連呼しているやよいを見て、三人は目を合わす。
二人も殺した。それは間違いなく、許されざる罪だろう。
けれど今の彼女は、明らかに錯乱しており正常ではない。
もうそれ以上にやろうとするような雰囲気は感じられない、ように見える。
「そっか……正直に言ってくれてありがとう、やよい」
また、二人の仲間が死んでしまった。
その報告は昴にも、のり子や未来にとっても重くのしかかる事実だ。
けれど、今の彼女達は悔やむ以上にやる事がある。
「なぁ、のり子」
「……あぁ。昴のしたいようにすればいいと思うよ」
同行者の二人に対して、確認を取る。昴一人だけの判断で結論を取るわけにもいかない。
とはいえ、今ののり子がいるのは昴あっての事。
彼女が何か決めたのなら、それについていくし、何を言うつもりなのかも大体わかっていた。
未来も、同意見だとばかりに頷いた。
やよいは俯きがちに、こちらを伺っている。自分がこれからどのように扱われるかが、不安なのだろう。
仲間を殺した、自分が。
「亜利沙と千早は、どこにいるか分かる?」
「っ…分からないです。走るのに夢中で……」
やよいの話を聞く限り、美奈子と恵美は死んでしまったが、千早と亜利沙がまだ生きている。
その所在を……さっきまでやよいがいた場所を聞こうとしたが、錯乱していた彼女は分からない、という。
二人がその後に何をして、どういう思いでいるのかは分からないが。
それでも、まだ生きているのなら、まだ間に合うのなら。
「まだ街にいるかな……とりあえず、二人とも合流したいな」
一刻も早く、二人とも合流したい。
二人も、眼前で仲間をみすみす見殺しにしてしまったというのなら、それはとても辛い事だと思う。
今、二人は何を思っているのか。とにかく放っておくわけにはいかない。
その言葉を聞いて、やよいがびくりと震えた。会い辛いだろうが、ここで甘やかすわけにはいかない。
-
「やよいも、一緒にいくぞ」
「……い、いいんですか? 私、その……」
「許すかどうかは、まだオレには何とも言えない。
まずは、千早と亜利沙に会って、謝って……それからだと、思う」
自分がさして咎められずに話が進んでいる事に対し、やよいは意外そうに言葉をあげた。
もう戻れない存在を許せない、切り捨てるなんて言えば、自分が望む道など到底進めない。
だから、一緒に行こう……そう言いれば良かったのだが、事はそう単純ではない。
やよいの周辺で何が起きたのか、傍から聞いただけではまだ分からない事が多すぎる。
他に当事者のいない状況で、判断を下すわけにもいかない。
「それまでは、悪いけど目を離すわけにもいかない。オレは、信じたいけどな」
「……わかりました」
やよいは控え目に頷き、従う。今の彼女には拒否権なんてない。
そはいえ、その様は至っておとなしく、何か暴れだすといった気配なんてもちろんない。
大丈夫だとは思うけれど……一応。そのぐらいの程度で、昴は釘を刺していた。
「未来、のり子。南の街に行って、二人の事も探そう」
「うんっ」
「分かったよ」
行先は、決まった。探し人も増えた。
止めなきゃいけないのは、志保、紗代子、亜美。そして見つけ出さなきゃいけないのは、千早と亜利沙。
そのうち、千早と亜利沙は南の街にいる可能性が高い。
具体的な場所は分からなかったが、分からないならしらみ潰しに探すだけだ。
「よし、道は決まったな……行こう、三人とも!」
こうして彼女達は十字路のうち、やよいがやってきた方向へと歩を進める。
すぐ向こうに、街と思われる光景は見えている。
あの街に、他の皆はいるだろうか――各々の想いを胸に、歩んでいく。
* * *
―――やよいが三人に話した事は、概ね真実だ。
毒を盛ったのは自分だし、恵美を殺したのも自分だ。一切の言い逃れができないから、素直にそう言った。
だが、その説明の中にたった一つだけ。
広い海に一滴の毒を垂らすかのように、一つだけ嘘を織り交ぜた。
(……私は、間違ってなんかいない)
間違いを、犯した。
やよいは人を殺した今でも、そんな事は全然思っていない。
彼女は未だに、殺し、生き残って最後の一人となる事に肯定的であった。
-
恵美を殺して逃げてきたやよいは、その道の先に見つけた三人に対して冷静に分析していた。
出会った瞬間に、彼女達は殺し合いに乗っておらず――そして今の自分を警戒しているのを察した。
当たり前だ。今の自分は人を殺して、その返り血にまみれているのだから。
次に考えたのは、この状況下を、どうやって切り抜けるか。
武器を持っているとはいえ、やよいは非力である。数でも、身体能力でも劣っている以上、勝ち目は薄い。
ならばまた自分を偽り、集団の中に取り入るか。しかし亜利沙や千早が生きている以上、どこかしらでボロが出る可能性が高い。
逃げる事も考えた。だが逃げ切れるかどうか分からないし、その道中で危険な存在に見つかるかもしれず、危険があった。
どの選択肢も、成功率はあまり高くない。
だからやよいは、ボロが出るかもしれない嘘をつくよりかは、いっそ真実を話す手段に出た。
永吉昴、福田のり子、春日未来。とても切り捨てる非情な決断をするとは思えない。
彼女達ならば、罪を後悔していると告白すれば受け入れる……そう踏んだのだ。
良心につけこむ卑劣な手口。また、自分の心がちくりと痛んだ気がしていた。
ただ、その最中で精神的に落ち着いていなかったそぶりをみせたのは、実のところ演技ではない。
けれど、それはあくまで『もしかしたらバレるかもしれない』と考えていたからだ。
誰かを殺した、それに対して後ろめたい気持ちはともかく、恐怖や動揺なんてもう感じていない。
しかし別の恐怖をわざと隠さない事で、彼女達が誤解するようにしたのである。
その成果もあって、ある程度信じてもらえただろう……やよいは、そう判断する。
(でも……そう上手くもいかないみたいです)
望んでいた流れは、許されて、守ってもらう事だった。
けれど、やはりというべきかそううまくは進まなかった。彼女達は思っていた以上に、冷静だったのである。
千早や亜利沙との合流も、正直反対したかったが、反対したところで聞き入れてもらえる可能性は薄く、警戒が深まるだけ。
二人との合流は避けられそうにもない。今の自分が、それでも受け入れられる事を願うしかなかった。
『いきなりこんな所に放り込まれて……みんな死んで……ずっと不安で……
それでも、諦めきれなくて……生きたくて……精一杯、足掻いて……
なのにアンタは! そんな気持ちを踏み躙った! 仲間のフリして近づいて! 最初から裏切るつもりで!』
また、同じ事を繰り返そうとしている。仲間を欺き、安心の隙を突いて。
それを責め立てるように、脳裏に記憶が浮かび上がってくる。
怒りを隠そうともせずにこちらに詰め寄る、彼女の声が忘れられない。
そして、そんな彼女の体を貫いた感触も。
もし。
もしも仮に、あの時の恵美に対して、今の偽りの自分のような事をしたとしたら。
彼女は、自分を許してくれただろうか。それとも―――
(………関係ない、ですね)
そんな思考を、必要がないとばかりにさっさと切り捨てる。
今更、そんな事を考えたところで意味はない。
もう後に引くことなんて、過去に戻る事なんて、できないのだから。
未来が、控え目な笑顔を浮かべてる。
昴が、しっかりと前を見据えている。
のり子が、後ろで皆を見守っている。
やよいはそんな空間の中で、自分だけがドス黒く、浮いているように思えた。
―――なぜならまだ、彼女は手を掴んでいないのだから。
-
【一日目/午後/E-3】
【永吉昴】
[状態]身体的疲労(大)
[装備]リュックサック(缶詰入り)
[所持品]
[思考・行動]
基本:プロデューサーの真意を知った上で、彼の手を掴む。
1:皆の手を掴んで、プロデューサーの手を掴む。
2:南の街を捜索。志保と亜美、そして紗代子の手も掴む。
【福田のり子】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]バイク
[思考・行動]
基本:昴とともに行動。 昴を信じる
1:昴と共に行動。絶対に守ってみせる。
2:南の街を捜索。
【春日未来】
[状態]健康
[装備]屍人形(半壊状態)
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0〜1)
[思考・行動]
1:皆でまた、楽しくアイドルがしたい
2:皆を探してプロデューサーさんを止める
3:南の街を捜索。
【高槻やよい】
[状態]健康
[装備]きらめく細剣
[所持品]支給品一式(二人分)、ランダム支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:最後の一人になる。
1:焦燥。絶対に死ねない。
2:反省しているフリをして、また皆を欺く。
-
以上で投下終了です。誤字脱字、矛盾やおかしい部分がありましたら指摘お願いします
-
≫48 はいぜひともよろしくお願いします。<(_ _)>
それでは第二作目。
投下します。
-
法、それ即ち秩序を示す。
秩序、それ即ち法を示す。
しかし、そのどちらも機能せず。
されど、諸人の願いは機能し続ける。
♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦
時刻としてはもう夕方近くに差し掛かった頃、百合子と美希は貴音の遭遇場所からそう離れていないカジノ。
所謂大人の遊び場所に佇んでいた。
最も、佇んでいるのは百合子のみ。
共にここまで来た美希は百合子の数歩先、カウンター前に数多の酒瓶とともに横たわるかつての仲間、莉緒に手を合わせ黙祷を捧げている。
煌びやかなネオンライトに照らされながらも、美希と莉緒の周囲だけは淡い光に照らされ静寂と閑散に包まれている。
そんな風に見える。
事に始まりは今より前。
心身ともにダメージを受けた静香の介抱を終えた3人は、これからの行動について意見し合った。
貴音のように殺し合いに乗り、殺しを良しとしてしまっている人間がいる以上、あまり悠長に構えてはいられないのだが、静香がこの状態では動くわけにはいかず、だからと言って見捨てるなどもっての外。
結果、今日はもうここに滞在してしまおうかと言うのが、現時点で3人が出した結論だった。
その際、動けない事へのせめてもの抵抗として周囲の探索位しておこうと、静香雪歩の待機組と美希百合子の探索組に分け行動を開始した。
-
回想は終わり、話しは冒頭へと戻る。
黙祷を終えた美希は百合子とともにカジノ内を物色する。
大量の酒瓶が陳列するバーカウンター、誰もやる者がいないパチンコ台、ビリヤード、カジノに相応しいドレスが並ぶ衣装室、モニターと大量の鍵が吊るされる警備室。
「…うん、じゃ次行こっか」
「…………そうですね」
その全てを物色した美希は、次の探索場所へと向かうべく百合子の横を通り過ぎていく。
それに短く返答した百合子は最後にもう一度莉緒を一瞥し、美希の後を追う。
「……莉緒さん、抵抗とかしなかったのかな……」
「んー、分かんないの」
百合子の独り言に、美希は短く思考し首を傾げる。
莉緒の遺体には争ったような形跡は残っていなかった。
それはつまりなんの抵抗もせずに殺されたという事になる。
「多分だけど……莉緒はきっと諦めちゃったんだと思うな」
「……諦めた」
「生きる事を」
ポツリっと、美希は答える。
美希も百合子は警察や探偵ではないから事実は分からない。
分からないが、黙祷を捧げた莉緒の顔には確かな諦観が表れていた。
「犯人の目星とかつく?」
「……確証は、ないですけど…」
バツが悪く目を伏せる百合子、しかしそれも一瞬ですぐに顔を上げる。
「多分、あずささんです」
「どうしてそう思うの?」
「理由は3つあります。
1つ、鋭利物を持っているので私が知っているのはあずささんだけな事。
2つ、そのあずささんがこの付近にいた事。
3つ、あずささんの武器には美也さんを刺す以前から血が付着していた事。
以上3点です」
百合子大好き推理小説よろしく指を3つたてて理論付けて解説していく。
警察や探偵ではないが、真似事位だったらしてもいいだろう。
「ふーん、ぶっちゃけ3つ目を言えば大体OKだと思うな」
あはっ、と茶化すような笑顔でカジノの扉を開き外へ。
「これからどうしよっか」
「これからですか?そうですね。摩天楼が一番近いですけど、そこは私がいたから調べる事ないでしょうし…映画館行きますか?」
「あっ、そういう意味じゃないの」
端末を取り出し地図を確認した百合子を制止し、美希は一度立ち止まり後ろを振り向き百合子を真っ直ぐと見つめる。
「探索場所じゃなくて、戻ってからどうするかって事」
「…あぁ、そっちですか」
苦笑いをしながら納得する百合子。
当面は取り敢えずあの民家に待機と決定付けたが、それは全く解決になっていない。
一時保留にしただけだ。
貴音やあずさは放置されっぱなしになっており、こうして探索などしている間にも殺し合いは行われているだろう。
多くの人間を救いたいと願っている百合子は歯痒い気持ちがある。
「でも静香ちゃんは動けないですし……」
「…それなんだけど、誰かが言わなきゃって思ってたの」
美希は言葉を区切る。
護身用に持ってきたデストル刀が禍々しく太陽の光を反射する。
百合子にはもう美希が言わんとしている事が分かった。
しかしそれは、思っていても口に出してほしくはない――
「静香、もう置いてってもいいんじゃないかな?」
-
「言いわけありません!!」
美希の言葉に、百合子は反撥し声を荒げる。
それだけはやりたくないと、それだけは何があってもしたくないと。
だってそれは、自分が救いたいと思っている人間をこんな殺し合いの危険地帯に置き去りにするという事だ。
ここには、大丈夫と胸を張って言えるような安全地帯はない。
しかし、
「だって!……それは!」
次の言葉が出てこない。
さっきのようにこの意見を否定する理論が全く口から出てこない。
「分かるよ。見捨てたくないって……美希もそうだもん」
百合子の激昂に当てがられる事もなく、美希は静かに同意した。
「でも現実問題静香は今美希達の足手纏いにしかなってないって思うな」
さっき百合子は言った。静香が動けないからと。
それは逆に言えば静香さえ切り離してしまえば自分達は制限された行動がとれるという事に他ならない。
「最悪あの民家に美希達がゲームを終わらせるまで隠れててもらうって手もあると思うの」
「それは…………駄目です」
そうでしょ、っと視線で同意を求める美希に、百合子は否定を返す。
「どうして?どうして駄目なの?」
「どうしてって……」
「美希ね。聞かせてほしいの。百合子の答え。理論とか効率とか辻褄とか抜きにした。百合子の理想が聞きたいの」
美希は真剣な眼差しで百合子を見据える。
その顔に萎縮してしまいそうになる気持ちを抑え考える。
静香を置いていけない訳を。
「静香ちゃん、今凄く傷ついてる。このままこんな状況下に1人にしたりしたら、きっと耐えられなくて…………」
壊れてしまう。
百合子は知っている。
1人ぼっちでいる恐怖を、そして、そんな自分に手を差し伸べてくれる人の有難さを。
身を持って知っている。
「美也さんは傍にいてくれた時、凄く安心出来たんです。美也さんが傍にいてくれていなかったら、きっと私……不安とか恐怖とかで」
自殺しようとしたかもしれない。
人を殺そうとしたかもしれない。
「実際、美也さんが殺された時、復讐を考えました。でもそれを止めてくれたのは美也さん……の気がするんです」
そうじゃないかもしれない。
ただの偶然かもしてない。
でもそう思わせてくれる何かが、美也と共にいる事で培われていた。
「だから……私も…………」
最早考える前に言葉が出てきていた。
この先自分が何を言ってしまうのか、自分にも分からない。
分からないけど、きっとこれから語る事は私の心からの願いだ。
美希が話してほしいと言った、私の理想。
「だから私も、少しでも苦しんでる人の為になれたらって」
「だって、皆っ、皆とっても優しい人達……だから……」
「貴音さんも、あずささんも……皆…みんな本当にやざじい人だちなんだっで……私も、信じたいから」
「厚かましいかもしれないけど、煩わしいかもしれないけど、私自身がそうしたいと思える人達なんだって……」
「皆の本質は『善』だっで信じたい!」
「だがら救いだい!!」
気が付けば泣いていた。
溢れる涙を拭いながら、百合子は本音を曝け出す。
心からの理想を、曝け出す。
-
語り終えた百合子は我ながら情けないと思った。
自分は一体何時からこんなに語彙力がなくなったんだろう。
培われた小説の知識はこんなものか。
こんな稚拙な物言いでは伝わるものも伝わらないだろう。
だが少なくとも
「…それが百合子の理想なんだ」
そんな稚拙と形容づけた自分の言葉を、美希はニコッと笑い聞き取った。
止まっていた足を動かし、カジノに沿うように移動を開始する。
「だったら静香と一緒にいなくちゃね?」
「……はい」
「でも、貴音やあずさも止めたいんだ」
「………はい」
「欲張りなの」
百合子自身もそう思う、しかし美希は咎めるような口調ではなく、あくまで穏やかな口調のまま移動する足を止め、こっちに来てと手招きしカジノの脇に姿を消す。
百合子はそれに従いカジノの壁を沿い美希の元に。
「そんな欲張り百合子に朗報なの!」
大声と共にポケットから何かを取り出し空に掲げる。
「美希も美希なりに考えてたの。静香から離れないで、出来るだけ早く貴音達を止めに行く方法!!」
それは鍵だ。見慣れた統一されがちなデザインの鍵。
一発でなんの鍵だか分かっても、百合子とは無縁な鍵。
恐らくカジノを物色している最中にでも見つけたのだろう。
それはカジノの脇、ここ『駐車場』にはえらく釣り合っている。
「百合子の願いを叶える最終手段!!」
ババーンっと、効果音でも聞こえそうな程ビンっと『それ』を指差し笑う美希。
「百合子なら『車の運転法』とかも読んだ事あるよね」
『それ』。
即ち『自動車』を。
-
♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦
「………2人ともおそいなぁ」
窓際で護身用として持っているイングラムM10を手持無沙汰に握りしめた雪歩がポツリと呟く。
美希と百合子がここを離れてから約1時間。
何度も外を確認したが一向にその姿を確認出来ない。
「………………」
まさか戦闘に巻き込まれたのではないだろうか。
……………いや、それはない。っと、思いたい。
美希も百合子もそれぞれ自身が所持していた武器を持って行ったのだから。
武器は持ってるだけで相手への牽制になる。
遠目から見ても近距離戦も遠距離戦も可能な2人の武器を見れば、無闇に戦闘に走る輩はそういないだろう。
何にしても待っている事しか出来ない歯痒さを胸にしまい椅子に座る静香の元へ。
「………あっ、流石にちょっとぬるくなってきたね。氷水。待ってて今新しいの汲んでくるから」
静香が現在使っているものとは別の容器に水と氷を流し込む。
「…………あの」
っと俯いていた静香は顔を上げ、作業に勤しんでいた雪歩に声をかける。
2人きりになってから1度も会話をしていなかった為か、雪歩はフェイント気味にきたその声にビクッと驚き戸惑いながら後ろを振り向く。
「……ごめんなさい」
「ふぇ!?ぁ、大丈夫だよこれ位別に!」
突然の謝罪に困惑しながらもなんとかその言葉を解釈し、氷水をぎこちない笑みで指差す。
「………そうじゃなくて、その」
案の定、混乱し誤解釈をした雪歩の言葉と動作を否定して、静香は再び顔を下げる。
「ここから動けないのは……私の所為です」
「……え、えっと?」
「私の治療があるから、私が傷付いたりしたから皆が気を利かせて………」
「…………」
「もとはと言えば、全部私が悪いんです。勝手に飛び出して、雪歩さんに………酷い事を言ってしまいました…………だから、ごめんなさい」
弱々しく謝罪を述べる静香に、雪歩はそっと近付き、
「私の事はもう放って行っていい………!」
静かに抱きしめた。
「静香ちゃんは勘違いしてるよ」
「えっ?」
「いっ、一回しか言わないよ」
「ここに留まってるのは静香ちゃんの所為じゃない。私がここで静香ちゃんを護りたいと思ってるから留まっているの」
「これは私の我儘でもあるの。沢山の人に生きていて欲しい。出来る事なら目の前で苦しんでいる人全てを幸せにしてあげたいって言う私の我儘」
「静香ちゃんが気に病むような事は1つもないんだよ」
「だから、自分を置いて行っていいとか………」
「そんな悲しい事言わないで?」
「…でも………それは」
それは、貴方達が優しいから、私に気を遣わせたくないから出てきた言葉じゃないんですか。
そう言おうと思い、しかし思い留まった。
こちらに向ける雪歩の笑顔は、既に静香の言葉を否定していた。
「それに………出来れば、私は『ごめんなさい』より『ありがとう』が聞きたいなぁ………!?なぁんて図々し過ぎだね!ごめんねっ!」
無意識に呟いた言葉を失言してしまったと高速否定し包容から解放する。
あははと気まずそうに頬を掻き目を逸らす雪歩だったが、室内に漏れ出した嗚咽を聞き再度静香に視線を戻す。
「………ありがとう、ございます」
溢れる涙を片手で拭う静香。
それに微笑んで、雪歩は再度静香をギュッと抱きしめる。
-
♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦
「お待たせなのぁー!」
静香が泣き止みものの数分、待ちわびていた美希が民家の扉を開けてその姿を現した。
「美希ちゃん!良かったぁ、無事だったんだね」
「当然なの。ってあれ?静香泣いたの?」
「っ、泣いてません!!」
雪歩から視線を移し静香の泣き腫らした後を見て疑問を投げかけるが、真っ赤な顔をした静香は気恥ずかしさからか質問を許してくれない。
美希の方もまぁいいかとさして気にもなってなかったらしく会話を打ち切る。
「それにしてもどうしたの?随分遅かったけど……それに百合子ちゃんは?」
会話が切られたタイミングで雪歩は今度はこちらと質問を投げかける。
「百合子は外だよ。遅れたのは鍵と合うの探すのに時間かかったの、あんなにいっぱい停めてあるんだもん」
「??」
「それよりほら、行くの。貴音達を止めに」
「はっ…?え!?でっ、でも」
困惑した雪歩はチラっと心配そうに静香に視線を向ける。
「ふふーん、雪歩が言いたい事は分かるの。でももう安心!外来て」
まだ困惑気味の雪歩の手を引きドアを開け外に。
「何が………えぇ!?」
民家の前には先程まで明らかに存在していなかった自動車が停められていた。
目をパチクリさせ車を凝視していた雪歩はさっきの美希の言葉を思う出しハッと美希の方を見る。
美希はしてやったりと得意げに胸を張って踏ん反り返っている。
その顔をもって雪歩の解釈も確信へと変わった。
「えぇぇぇぇぇぇ!!??」
「いつまで驚いてるの」
「だって自動車だよ!これで移動するって事でしょ!?私達まだ未成年だよ!?駄目だよ無免許運転なんて!」
「えー、殺人はいけないけど無免許なら許されるって思うな。ちょっと悪い事する位がカッコイイの」
「いや駄目だよ!最低限の法律と秩序は守ろう!」
「こんな状況じゃ法律も秩序もねぇの」
-
そう言われてしまい言葉に詰まる。
確かに法律秩序が許さぬ事でも、こんな殺し合いの状況下でいつまでもお利口さんを貫いている必要性があるのかと言われれば正直皆無だ。
実際車で移動出来るというのは相当なアドバンテージ。
移動速度は格段に上がるし車の中に入れば無闇に襲われる事もない。
そもそも雪歩も含めて765プロのメンバーは程度の違いはあれ皆良い子だ。
基本こんな状況下でも無免許運転など考えはしないだろうから車なんて精々風景の一部位にしか捉えていない。
風景に交わる迷彩機能としても自動車は一役買ってくれるだろう。
「だけど………うーん」
上記に記載した考えを得ても、しかしやはり雪歩は無免許運転に乗り気ではない。
それは程度の違いの中でも更に良い子の部類にいるのが雪歩だからだろう。
今度は車の利点よりも欠点を探し始める。
「あ、でもエンジン音が聞こえるのはまずいんじゃ」
思考する事ものの数秒。
明確は欠点を探し出す事に成功した。
それはエンジン音。
さっき上げた移動も、防御も、迷彩も、このエンジン音が台無しにしてしまう。
特に移動と迷彩。
移動中に音を聞きつけた人間に発見され後を付けられ襲撃にあえば一溜りもない。
武器によっては一網打尽にされる。
まぁ迷彩に関して言えばエンジンを止めればいいんだろうけど、結局移動中のエンジン音を聞かれれば車に警戒するだろう。
その欠点を聞き、しかし横にいる美希は不敵に笑う。その欠点を予測していたが如く。
「ねぇ雪歩。それならなんで雪歩は美希が扉を開くまで車がここに来た事に気づかなかったのかな?」
「え?それは………あれ?なんでだろう」
「それに、この車今もエンジンつけっぱなの」
その言葉を聞き驚く雪歩、しかし幾ら自動車関連に疎い雪歩でも答えに辿り付くのにそれ程時間はかからなかった。
「………電気自動車」
「ご明察なのー!」
大喜びの美希とは対照的に雪歩の表情は引きつっていた。
なんという事だ。非の打ち所のない完璧な自動車を持ってきたのか。
こうなってしまうともう否定するのは難しい。
-
「……運転は誰がするの?」
「それは百合子なの!」
美希じゃないんだ、っとツッコミを入れても良かったがよく考えれば美希では危なっかしい。
百合子の方が安心出来そうかなと回り込んでウインドが開かれた運転席を覗き込む。
「ブレーキペダル……………踏んだまま………パーキングブレーキ…………チェンジレバー…入れ………エンジン……停止」
目に映った運転席には操作方法と思わしき言葉を呪いを呟くようにぶつぶつと羅列し全身から冷や汗をかきながら震える手でハンドルを握り一点を切羽詰まった顔で凝視する百合子の姿。
大凡人間としての緊迫が一斉に溢れている。
………何故だろう。
一気に乗りたくなくなってきた。
最悪全員事故死しかねない。
「何やってるの?雪歩も早く乗るの!」
などと思っていればいつの間にやら静香を後部座席に乗せた美希が助手席に座っていた。
行動力が半端ない。
もう幾ら言い聞かせても自動車を使うのは免れないだろう。
ならば、どうか何も起こりませんようにと心の中で祈り、後部座席の扉を開き中に入って静香の横に座る。
横にいる静香の膝には雪歩が新しく汲んできた氷水の入った容器が乗せられており、一応上から静香の手ごとラップで包み更にその上からタオルで包むという二段構成。
だがそれ以上に目を引いたのは、やはり氷水にも負けない青ざめた静香の顔だった。
恐らく考えに賛否する前に強引に乗せられたのだろう。反対してもどうせ乗せられたろうが。
「よーし、しゅっぱー。あっ、シートベルトしてなかったの」
もはやこの車内で不安を持っていないのは美希のみだ。
と言うかなんでこんなにあっけらかんと出来るんだろう。
少しはそのメンタルを分けてほしい。
「さぁ百合子、今度こそ出発進行なの!あっ、でも氷水が毀れない程度の速さでね。後速度も遅めで、電気自動車って一定の速さ超えるとエンジンかかるみたいだから」
「ギアが………入ったの確認して……ブレーキ踏んで……エンジンかける……ペダル…………ギア……パーキングブレーキ解除………アクセル踏む」
結構無茶な要望を聞き入れ?聞き流し百合子は手順を羅列し車を発進させる。
ゆっくりとペダルを踏み、少しずつ踏む力を強くし速度を速めていく。
それは決して速いとは言い難いがそれでも歩くより数段に速い。
「はぁ、良かった」
「わぁ……凄い。本当にちゃんと走ってる」
発進出来た事に一安心と息をついた静香は肩の力を抜いて座席に凭れ掛かる。
雪歩も始めの不安はどこ吹く風と過ぎて行く風景を眺めながら歓喜の声を漏らす。
まだ直進しているだけだから安心するのは早いのかもしれないが、それでも雪歩は少しドキドキして胸を押さえる。
そのドキドキは不安や恐怖からくる負の感情とは違い新しい事にチャレンジする時の高揚感に近かった。普段乗せてもらっている時は感じなかったものだ。
そんな無邪気に目を輝かせた雪歩を見て静香はクスッと笑う。
なんだかんだとまだ雪歩もやんちゃしたい年頃なのかと。
-
「凄いね百合子ちゃん!!」
「徐々に………アクセル……………踏む」
「まだ駄目みたいですね」
「あはは…」
興奮冷めぬと百合子を褒め称えた雪歩の声に、しかし百合子は切羽詰まりっぱなしで答える余裕がない。
まぁただ乗ってるだけの雪歩達とは受けるプレッシャーが違うだろう。
下手したら自分のミスで皆死にかねないのだから。
「むぅ、ゆーりーこ」
「ふひゃあ!!?」
突如脇腹を突かれた百合子はハンドルから手を離しかけたが、ギリギリ持ちこたえ急ブレーキをかける。
「何するんですか!?事故りますよ!死にますよ!これ脅しとかじゃありませんからね!!」
「だって百合子固くなり過ぎなの」
「…そりゃ感じますよ。美希さんは怖くないんですか?普通はお二人みたいに不安がるものでしょ」
溜め息混じりの台詞に後部座席の二人は気まずそうに苦笑いを返す。
「?全然怖くないよ」
「いや…なんでですか」
「百合子が皆を信じてるみたいに、美希も百合子を信じてるの」
ね、っと屈託のない笑顔を向ける美希。
………ずるい。この笑顔は反則だ。
「だから、百合子もそんなにプレッシャー感じる事ないの。もっと気楽に運転すればいいと思うな」
「……もう、それはそれで難しいですよ」
言葉こそ愚痴るように聞こえるが、その顔は笑って前を見据えて再びアクセルを踏む。
「?信じるってなんの話し?」
「んー?…静香が泣いた理由話したらいうの」
「なんでそうなるんですか!?」
「えっ、静香ちゃん泣いたの!?なんで?」
「いっ、言いません」
「えっとねぇ」
「雪歩さん!?」
「あはは、さてとそれじゃあ取り敢えず百合子!適当に前進なのー!」
「分かりました。それじゃあ速度上げて行きますよ!」
こうして4人の少女は新たな望みと足を手に入れ、前に進んで行く。
果たして、その先にあるのは希望か絶望か……………。
「あっ、美希も運転したいから途中で代わって?」
「「「それは駄目!!!」」」
-
【一日目/午後/C-8】
【最上静香】
[状態]車に乗っている、右肩負傷、右指欠損
[装備] なし
[所持品]なし
[思考・行動]
基本:プロデューサーを殺す
1:3人についていく。
2:貴音さんは危険。
【七尾百合子】
[状態]車に乗っている、精神的疲労(軽微)、側頭部負傷
[装備]クロスボウ
[所持品]支給品一式、軍用ナイフ、鍋蓋、べろちょろ、矢(19/20) 、自動車
[思考・行動]
1:幸せをおすそわけ
2:プロデューサーさんを信じたい……?
3:あずささんと貴音さんは危険。早くなんとかしないと……。
4:皆を信じてる。
【萩原雪歩】
[状態]車に乗っている、右肩に傷
[装備] イングラムM10(0/32)
[所持品]支給品一式×2、ランダム支給品(2〜4)
[思考・行動]
基本:プロデューサーを止めて、償ってもらう
1:静香ちゃんの傍にいる。
2:真ちゃんの分も、真っ直ぐに生きたい
3:四条さんを助けてみせる
【星井美希】
[状態]車に乗っている、健康
[装備]デストル刀
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0〜1)、病院備品
[思考・行動]
基本:プロデューサーにじかだんぱん? するの!
1:プロデューサーや貴音を殺そうとする最上静香に警戒する
2:百合子の願いを共に叶える。
【電気自動車】
現地調達品。
カジノ内の鍵の一本により使用可能になった自動車。
-
以上となります。
ご指摘ご指導等ありましたらお願いします
-
予約延長します!
-
すいません、延長したばかりではあるのですが話の展開がまとまらなくなってしまいまして…破棄したいと思います
失礼しました…
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お疲れ様です。
真壁瑞希、周防桃子、島原エレナ、北上麗花で予約お願いします。
-
すいません。
予約して早々ですがやっぱり破棄します。
-
投下お疲れ様です!
感想を投下したいのですがまずは予約だけを先に……。
如月千早、松田亜利沙、望月杏奈で予約します。
-
予約来ましたね!
それでは自分も便乗する形で。
秋月律子、篠宮可憐の二人でお願いします。
感想は作品投下前には
-
感想
♦LIAR LIFE
皆を救おうと足掻く昴達に新たな脅威が……
一体どうなってしまうのでしょう。
今回はそんな昴達の事も兼ねて書きました。
それでは投下していきます。
-
さて、高槻やよいを向かい入れ、街に向かう事となった永吉昴御一行。
しかし実は、彼女達が認識していないところでその御一行の後を付ける者達がいたのです。
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
と言っても別に難しい事はない。
これからどうしようかと思考した結果取り敢えず狂いだす前のルートに戻って改めて行先を考えようと戻る途中、彼女等が進んだ方向に偶々コンサートホールがあり、屡々物色し普通に軌道を修正して戻ろうとしたら昴達の現場を目撃したと言うだけの事。
最も、会話に聞き耳を立てたのは偶々ではなく故意にだ。
昴達の存在に気が付かずコンサートホールから出ようとした可憐の首根っこを掴み、素早く口を塞いで物陰へ隠れた律子は会話を盗み聞きする。
そうして会話が終わり、昴達と距離が離れた後可憐を自由にする。
「ふぁ…はぁー、びっくりしました……」
腑抜けてその場に尻餅をついている可憐を余所に律子は顎に手を当て状況と情報を整理する。
話を聞く限り、あの四人は千早達を探しに行く事になったようだ。
それと、如何やら昴達は殺し合いには乗っていない事、やよいは既に2人の人間を殺している事が分かった。
本人は反省していてもう殺しはしない……ように見えるが……
「…ねぇ、可憐」
「ふぇぇ……」
可憐の名を呼ぶが生憎様とまだ腑抜け状態だったらしく、目を覚まさせてやろうと頭を2,3回玄関の扉を叩くようにコンコン軽く小突く。
「えっ、あっ、はい?何ですか?」
「あんたにはどう見えた?」
「どう見えたって……えっと?」
「…やよいよやよい。そんくらい察しなさい」
要領の悪い可憐に軽く悪態を吐き、腕を組んで可憐からの率直な答えを待つ。
「やよいちゃんですか……聞くところによると2人…その……殺しちゃったんですよね…その事とっても気に病んで反省してる……みたいでしたね」
「へぇ…やっぱりあんたには、あんた等にはそう見えたんだ」
えっ?っと律子の意味ありげな言葉に首を傾げる可憐だったが、自分の考えに裏付けが取れた律子は可憐を無視して思考の海にダイブする。
-
(可憐には、アイドルには少なくともやよいは反省や後悔をしているように見えた。それは昴達も例外じゃないでしょう。さてどうしたものかしら)
律子は考える。
(まぁ、別に放っておいてもいいのかしら?昴達には悪い……とは思わないけど数が減るに越した事はないんだし。あっ……でも昴達みたいなのは生きててくれないと紗代子みたいな子が対処出来なくなる……あれに真っ向から挑むのなんてお人好しのあの子達位なんだから……殺しはしなくともダメージを与えるか戦意喪失させてくれると助かる)
律子は考える。
(あの紗代子を止めるにはやよいみたいに生き残る事を優先してるような無害者を殺すだけの奴は駄目。それこそ昴みたいに誰でも彼でも助けようとするタイプじゃなきゃ……ってこのままだとやよいの所為であの子達が機能しなくなるわね)
律子は考える。
(うーん、昴達が死んだ時のデメリットが大きいわ。特に格闘技をやってるのり子は現時点で生きててもらわないと強者への対処に困る。それに見たところのり子が動くには昴が必要ね。未来は……うん、死んでも生きててもどっちでもいい……やよいが死んだ時のデメリットは……ないか。身体小さいし身体能力もある方じゃない。まぁあの演技力だけは買ってあげるけど、身体の震えを上手く利用したわねぇ。まぁあれでこのゲームを凌ぎ切るのは無理だろうけど、紗代子みたいなのに遭遇したらやよいは死ぬわね。実際、今迄逢った人間の巡りあわせが良かっただけで生き残ってるみたいなものだし)
律子は考え……?
んっ?と服の端をクイクイと引っ張られている感覚がして思考をストップする。
服を引いていたのは言わずもがな、可憐。
尻餅をつきっぱなしの可憐は上目遣いで律子の服を尚クイクイ引っ張り続けている。
「何?」
「あっ、良かったぁ気づいてくれた」
こちらが気づいた事に安堵の表情を浮かべる可憐。
この反応を見るからに結構前から引っ張り続けていたのだろうか。
「何よ構って欲しかっただけ?犬かなんかかあんたは、悪いけど今考え中よ」
「あぁ違いますー!」
再び思考の波にダイブ……する一歩手前で可憐に呼び戻される。
「何?」
「あの、やよいちゃんの事……ほら、さっき律子さん私にはそう見えたんだって言ってましたよね?」
「言ったわね。それで?それが何よ」
「じゃあ…律子さんにはどう見えたんだろうなぁって」
あぁ、成程。と律子は得心がいった。
つまり可憐は私がしたように私と自分との認識の違いを確認したかったのか。
ふむっと、律子は考える。
ここで可憐の意見を聞くのもまぁ良いかもしれない。
-
「率直な意見を言うとね。やよいは嘘をついてる」
「……嘘…ですか?」
「ええ、あんたにはやよいが反省して悔やんでるように見えたみたいだけど、私にはやよいが殺しを悔やんでいるようには見えなかったわ」
「えっ……?」
「それどころかあの子の目は語ってたわよ。自分が生き残る為だったら誰を犠牲にしても何を犠牲にしても構うものかって。あの子は自分がやった事に対して間違いを犯したなんて微塵も思っちゃいないわよ」
「…………」
律子のやよいを見る目を聞いて可憐は律子を怪訝そうな、いっそ歪んだ者を見るような目で睨んできた。
そんな目で見られる筋合いはないとばかりに律子は言葉を続ける。
「あんた……それに昴達にやよいがそう見えたのは、言っちゃえばあんた達の頭がお花畑だからって言う他ないわね。もっと疑ってかからないとこの先生きていけないわよ?この殺し合いでも、社会でも」
律子は知っている。
社会とは疑ってかからなければいけない場所なのだと。
そうじゃなくとも相手方の機嫌を損なっていないかと顔色を伺っていなければならない。
プロデューサーになって律子が身に付けてきたのは何も全て綺麗なものというわけではないのだ。
時には姑息に狡猾な、時には我慢しそれを気取られないように立ち回って来た。
社会とは、そういうところだ。
そして故に、律子の観察眼は本物だ。
社会で培われた姑息で狡猾な技術はこういうところでも役に立つ。
「………でもやよいちゃん、凄く震えて…………」
「その震えも、多分違うわよ」
恐らく、自分の嘘がばれるのではないかという恐怖から来た震えだろう。
ちょっと行き過ぎた悪戯をしたのが自分達だとばれるのを恐れた亜美真美と似たような顔だった。
「それに嘘だってのはすぐに分かるもんよ」
「……どうしてですか」
「だって」
律子の意見を聞いてそれでもまだ納得のしていない表情を見せる可憐に、律子は追い打ちをかけてやる。
「本当に悔やんでる人間が、いつまでも罪の象徴とも言える武器を持ってるわけないじゃない」
その言葉にハッと目を見開き身体を小刻みに震わす可憐。
そうだ、本当に反省してるなら、もしくは悔やんでるなら武器をいつまでも持ち歩くだろうか?
-
可憐は自分に置き換えて考えてみる。
少し前にも考えはしたが、今度は断片的にではなくもっと深く根本的に考える。
本当に自分が…………例えば理由はこの際さて置き、春香を殺したとする。
後悔でいっぱいだ。悔やんでも悔やみきれない。
その場に武器を落として春香を撃ったその穢れた手を眺めその場から逃げる。
…………あぁ、もうこの時点で自分は武器を放り投げてる。
仮に持ち続けても多分それを使って自殺する。だって本当に後悔してるんだから。
じゃあ………それを持ち続けてるやよいは……
殺意を全く見せなかったやよいに恐怖し、再度身体は震えだす。
最も一概に後悔してれば武器を捨てるかと考えると、そうでもない。
その場の瞬間的は事故事件ならそれもあり得るかもしれないが、持続されたこの殺し合いの場なら護身用としても必要だろうからぶっちゃけ持ち続ける可能性の方が高い。
ちょっと脅かすつもりで適当な理由をでっち上げてが、思いの外効果覿面だ。
まずった、と律子は頬を掻き可憐から視線を逸らす。
ただ意見を聞きたかっただけでそんなに深く考えてほしくなかったのだが…………さてどうしたもんか。
ここでまた小1時間も足止めを喰らうのは正直勘弁してもらいたいところ。
そう思ったのも束の間、可憐は勢いよくその場から立ち上がりコンサートホールから外に抜け出そうと走り出す。
「ちょー、ストップ。どこ行く気よあんた」
可憐の突然の奇行にも冷静に対処し腕を掴んで制止する律子。
「だって……だってこのままじゃ昴ちゃん達殺されちゃうかもしれないじゃないですか!助けにいかないと!」
…………こいつ本当に最初殺し合いに乗ってた奴だろうか。
確か自分の記憶にある可憐は殺し合いに乗り気でこそなかったが他の参加者を助けようなんて気兼ねも持ってなかった筈だが。
この数時間で、いや春香の死を知ってから変わり過ぎだ。
せめて片鱗くらいは残しておけ。
頭が痛くなる感覚を抑えて可憐に告げる。
「あのね。仮に昴達にやよいは危険だ逃げろなんて言っても傍にいるやよいを刺激するだけ。それこそ昴達の死に繋がるわよ」
全員が殺されるなんて思わないが、確実に1人は死ぬ。
死ななくともやよいのあの武器なら重症は免れない。
そもそも、そんな事言いに行ったところでやよいを一応は信じてる昴達からすればこっちが嘘ついてるか錯乱してるようにしか見えない。
「そっか…じゃぁ……じゃあどうすれば…うぅ………律子さん…どうしましょう」
可憐はその場で項垂れてしまい挙句の果てに命を握られている律子に図々しくも泣きつく。
そんな可憐にはぁっと1つ溜め息をついた律子は張り付く可憐を強引に引き剥がし、同じ目の高さまで腰を落とす。
-
「いい?今から私達が出来る選択肢は3つ」
「3つ…」
ゴクっと生唾を1つ飲んだ可憐は律子からの選択肢を待つ。
「1つ、このまま予定通り紗代子と遭遇した道まで戻って道を模索する。さっきの事は綺麗さっぱり忘れるの」
「駄目です…………2つ目は?」
「2つ、さっきあんたが言ったように飛び出して昴達に危険を教える。これはさっき言った通り誰かが犠牲になるのが前提ね」
「出来ればそれは…………3つ目は?」
「3つ、あの子達の後をつけてやよいを昴達から離す機を伺う事。まぁ難しいかもしれないけど夜なんかはどうやっても見張りとかで誰か1人になるんだから、それを機と考えて危険を冷静に聞いてもらえばいいわ」
「あっ、これはいけそうかも……これでいきましょう」
方針は決まった。
時間が惜しい、善は急げとばかりにすぐに立ち上がり後を追おうと早足で進む可憐。
「流石律子さんですね。こんなに冷静に案が浮かんでくるなんて」
「あんがと」
皮肉めいた御礼を言い、立ち上がり可憐の後ろを歩く。
早く早くと急かす可憐に従うまでも、しかし律子の考えは別のところにあった。
口に出さなかった4つ目の選択肢。
やよいに協力して昴達を戦闘不能にする。
大体律子と可憐の主従関係は歴然のもの。
情に流されないと決めた律子にはそもそも可憐に選択肢をくれてやる必要性など存在しない。
そしてその与えた選択肢もおかしい。
本当に昴達を助けたいなら、後をつけるなんて回りくどい真似などせず自分達の無害認定を掴み取り合流するのが確実だ。
そうしてやよいを警戒する役割を自分達が担い、やよいへの抑止力にもなり得る。
ならば何故、そうしないのか――――
――――――律子の手に握られた拳銃。
これを使って昴達を発砲すればそれを起爆剤に便乗したやよいは厄介な者を倒そうと昴達に斬りかかる。
やよいが昴達と協力してこっちを攻撃してくる可能性?そんなものはない。
断言出来る。
何故なら、やよいはどこかで必ず昴達を裏切らなければならないから。
律子が何もしなくとも何かを引き金にやよいは昴達に牙を剥く。
だってそうしなくては折角自分を取り繕った後悔の演技が嘘の可能性があると千早達にばらされてしまい兼ねないから。
だからやよいはこっちに乗る。
これ以上自分が危険人物だと周りに晒されない様、口封じの為に。
やよいのこの行動は参加者を減らしたい律子にはプラス。
律子のこの行動は邪魔者を消したいやよいにもプラス。
同盟を結ばずとも双方の利害と利益が合致している。
乗らない手などないのだ。
先に言った事は取り消す。
昴ものり子も未来も、この殺し合いを順当に進めるのには邪魔だ。
のり子などは後々の体力が摩耗してるであろう後半戦まで残られればそれこそ厄介極まりない。
先々に言った事も取り消す。
腰を落ち着かせるつもりでいるのは確かだが、だからってこんな参加者を減らす事が出来る美味しい場面を見逃せる筈もない。
最終的な勝者になるにはある程度の実戦経験もほしいと思っていた。
最も、これらはやはり紗代子への脅威が杞憂になった時実行に移せるものとなる。
故に、律子は考える。
いつでもその心配がなくなった時の為に。
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【一日目/午後/E-3】
【秋月律子】
[状態]健康
[装備]防弾チョッキ、グロック19(12/15)
[所持品]支給品一式、不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本:不信。情にほだされないように、冷静な対応を。
1:現状は様子見。乗るべきと判断したら乗る。
2:とりあえず、後で様子見するために腰を落ち着けられる場所を探す。
3:紗代子と春香、ひいては南の街が危険? 少なくともそっちにはいかない。
4:可憐は……保留。
5:昴達をつける。懸念がなくなったなら打って出ようかしら。
【篠宮可憐】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]支給品一式、予備マガジン×3、ランダム支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:私は……?
1:律子さんについていく
2:武器はとられちゃったけど……律子さんは怖い、のかな?
3:逃がしたロコの事も少し気になる
4:昴ちゃん達を助けないと。
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以上で投下終了です。
ご意見ご指摘ご指導あったらお願いします
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投下お疲れ様です!
すみませんが延長申請だけを……申し訳ないです。
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すみません、間に合わなさそうなので予約を一度破棄させていただきます。
とりあえず直近の感想だけ……。
なんだかんだいって律子は有能な考察要因ですね……。
個人的に気になったのは>>79の律子の「あんがと」という台詞ですかね。
皮肉交じりに言うのなら律子だと「……ありがと」みたいな感じに含みを入れつつの方がいいような気はしました。
内容自体には問題ないとは思いましたので個人的に気になった所だけを……!
改めて投下乙でした。
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徳川まつりで予約します。
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>LIAR LIFE
やよいがここに合流するのは読めませんでした……
真実の中にほんの少しだけ嘘を混ぜる。これをやられると人は弱い。
再び混入した一滴の毒が今後どう響くのか注目してしまいます。
>されど願いを胸に
まさかここで車が登場するとは……憐れ百合子……
皆が皆、失意の中でも決意を新たに抱き、更には思わぬ新兵器を手にした一行。
ここからの快進撃に期待が高まります。
>認識外の同行者
先程の未来一行の続きに当たるお話。
やよいが潜伏を決める中、更にその様子を窺おうとする律子可憐ペアが入り混じり、事態はより一層混沌としたものに。
全く先の読めない状況に恐れつつも、今後の展開が非常に楽しみであります。
予約分が書きあがりましたので投下致します。
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「大事な仲間が引き立つなら、それで充分じゃない」
貴女はいつも口にする。
そうやって、皆の後ろで気を遣ってばかり。
誰にも負けない、強い光を放つことが出来るのに。
貴女の光は、他者を照らす照明で終わるような光じゃない。
仲間を助けながら、自分も輝くことが出来る。
大衆を魅了する、眩い光を放てるのです。
◇ ◇ ◇
「そう……貴女はこんなところで終わっていい子なんかじゃない……」
思わず声が震える。
不意に思い出すのは、平和だった遠い日のこと。
「こんな……ところで……ッ」
握る拳に力が籠る。
今にも血が滲んでしまいそう。
私の足元で、夢の残滓が転がっている。
燦然と輝く星となる素質を秘めながら、それを恐れた少女の夢。
真っ赤な海の中で煌めいている。
わかってる。
わかってるよ。
誰よりも優しい貴女が、誰かを殺そうとするはずなんてない。
きっと誰かの支えになって、導いて、助けてくれたんだよね。
そして、そのまま散っていった。
自らの輝きを消し去ることになっても、それでも誰かの為に生きて、死んだ。
――仲間を助けながら、自分も輝くことが出来る。
かつて貴女に告げた私の言葉は、今や何の意味も持たなくて。
ただ虚しく、私の心に楔となって食い込んでいる。
貴女の想いは決して無駄にはしない。
私が必ずこの戦いに終止符を打って見せる。
だから、どうか今だけは。
私を、姫を、その光で導いて欲しいのです。
これ以上迷いを抱かない為に。
――さようなら、恵美ちゃん。
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◇ ◇ ◇
サーチライトは月の光と共にタイトロープを照らす。
朽ちて尚照射される一筋の光。
照し出された道の先は、活路か、奈落か。
【一日目/夕方/G-4】
【徳川まつり】
[状態]四肢、背中、左腕に傷
[装備]二十六年式拳銃(4/6)
[所持品]基本支給品一式、不明支給品0〜1、二十六年式拳銃実包×24
[思考・行動]
基本:『敵』を演じるのです
1:許さない
2:紗代子ちゃんとロコちゃんを探す……?
3:志保ちゃん……一体何が?
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投稿は以上です。ご意見等ありましたらお伝えくださいませ。
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投下お疲れ様です。
真壁瑞希、周防桃子、島原エレナ、北上麗花で予約します。
感想は投下前に。
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まずは感想。
◆サーチライト
仲間思いな2人のアイドル。
虚無感を感じながらも前に進むまつり姫、素晴らしいです。
それでは投下します。
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青々とした原っぱを、3つの足音が駆けて行く。
ポーカーフェイス、真壁瑞希。
花飾りのヘヤピンが特徴の、周防桃子。
そして、本来このメンバーに属していたお転婆娘に代わって2人の背中を追って走る島原エレナ。
彼女達は走り続けている。
見えなくなった恐怖に怯えながら、見えなくなった後悔に背を向けながら。
しかし、疾走は長く続く筈もなく桃子を抱えた瑞希が徐々に走る速度が減速していく。
それに比例して後ろからついてきていたエレナも減速、瑞希と合流する形で隣に並ぶ。
「…はぁはぁ………すみません…………周防さん……降ろします」
肩で息をする瑞希は桃子に了承を確認する。桃子が小さく頷いたのを確認した瑞希を桃子を地面に降ろすと膝をつき咽る様に咳をする。
隣に並ぶエレナも膝こそつかなかったがその場で2,3回と大きく深呼吸し、肺からなくなった酸素を身体いっぱいに取り入れる。
双方額から溢れ出る汗を拭う事もはらう事もせず、放置した汗はただ重力に従いながら地面に落ちる。
汗は落ち続け誰も口を開かず、否、口を開けど出てくるのは必死に酸素を取り込む呼吸音のみとなる事数分間。
「……はぁ………はぁ…ふぅ…皆さん。ご無事ですか?」
漸く呼吸が整い始めた瑞希が覚束ない足で立ち上がりここにいる者達の安否を確認する。
「はぁはぁ…ワタシ達はダイジョブだよ。でも………マミが」
「っ………」
エレナの言葉に苦い顔をする。
突如襲いかかってきた北上麗花の狂気により脇腹を撃たれ崩れ落ちた真美の姿を思い出し、先程まで走っていた道というにはお粗末な道を振り返る。
もう真美も麗花も見当たらない。当然だ。自分から逃げたのだから。
こちらに助けを求める真美を置いて………
恐らく、もう助けに行ったところで生きてはいないだろう。
逃げ惑う途中で空を切り裂く様に鳴り響いた銃声。
あの銃声の意味は考えなくとも分かる。仮にそうじゃなかったとしても、戻ったところで大量出血で事切れている可能性は高い。
そうでなくても行くべきなのかもしてないが………
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「っ………」
足に走る痛みを認識し屈み込んで見ると血が流れていた。
麗花の発砲した弾丸が掠めて出た出血。少し痛むが我慢出来ない程じゃない。
痛々しく流れる血を拭い、同行者の桃子とエレナの状況を確かめる。
地面に降ろした桃子は青い顔をして地面にペタンと座り込み身体を小刻みに震えさせている。息を吐くペースも疎らだ。
それもその筈。彼女はしっかりと最後まで見ていた。
真美の絶望した顔を、麗花が真美を撃つ瞬間を、人が人でなくなる瞬間を、しっかり見ていたんだ。
そして、真美を置き去りにする様に言ったのは桃子だった。
今はまだ大丈夫だが、後に自生の念に駆られてしまうだろう。後悔に押し潰されない様しっかりフォローしなければ。
エレナは、比較的桃子より落ち着いているがそれでも顔色が良いとは言えず、どこか困惑している。呼吸もまだ落ち着いていない。
「………あの、島原さん」
現段階で話を聞くならエレナだろうと瑞希は遠慮しがちに声をかける。
「聞かせてもらえませんか?北上さん、彼女に一体何があったのかを。それに研究施設の事や水瀬さんの事」
瑞希の質問にエレナは呼吸を整わせ再度ゆっくりと深呼吸し、瞳を閉じて現状の整理をする。
「………島原さん?」
「あっ、ダイジョブ……ちょっとセイリしてただけだから…」
瑞希の心配そうな声を受け止めながら、冷静さを取り戻したエレナは原っぱに座り瑞希もそれに倣ってその場に正座する。
「ちゃんと話すヨ。まずはコノゲームが始まった時からカナ………」
-
♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦
時間は流れ、エレナの話を聞き終えた瑞希は顎に手を当てる。
エレナの話によって数多くの情報が齎された。
エレナのここまでの道のり。
合流し築いた人間関係。
研究施設内の状況・設備。
決別し壊れた人間関係。
その発端、麗花による三浦あずさの殺害。
しどろもどろになりながらも懸命に語ってくれたエレナの話しは、ざっと整理してみるとこう区切られる。
引き込まれ突っ込んで聞きたい細部は多々あれど、一番大きいのは目指していた研究施設内の構造を知れた事か。
エレナ達が探索してくれた事で瑞希にも大方、研究施設の内部構造が想像出来る。
聞くところによれば研究施設は嘗て765プロで行ったイベント、「アイドルヒーローズ」の研究施設をそのまま持ってきた様な構造らしく、撮影に使われた機材や管理室もそのままの物。であるなら自分が求めている工具も、そこに置いてあるだろう。
「ネェ……ホントに出来るノ?首輪の「しーっ、です」」
人差し指を口元に当てエレナの言葉を制止する。
エレナにはこれまでのこちらの道のりも、ここからの道のりも大体話した。当然、首輪の解体の件も含めて。
盗聴の恐れがある以上あまりその話題を大っぴらに口には出せない。
指を離す時耳元で、「工具さえ揃っていれば……おそらく」っと小声で語る。
瑞希の言葉に少なからず希望を持った様に遠慮しがちに安心するエレナ。
遠慮しがちになるのは真美が殺された手前、手放しで喜ぶというのは些か不謹慎だからだろう。
それに首輪の解体だって上手くいくか分からない。正直に言ってしまえば、現段階では失敗の確率の方が圧倒的に高い。
研究施設内の工具ではそこまで精密な物も求められないだろうし。
そうじゃなくても首輪の解体は今から行おうとしている事で、まだ実行に移せる段階にさえ入っていないのだ。
そして今、瑞希がやろうとしている事は妨げられようとしている。
その妨げになって立ちはだかるのは、先に対面した麗花。
彼女は瑞希達が研究施設に行く事を、厳密には『伊織が居る研究施設』に行く事を申告した途端襲いかかってきた。
彼女はどうやら(麗花の認識において)危険人物を伊織に接触させないよう守っている様だ。
だが、それにしてもやはり麗花はおかしい。
あずさに関して言えば殺されそうになったから殺したの過剰防衛で説明がつくが、瑞希達を死体を抱えていただけで危険人物と認定するのは、幾ら一触即発の殺し合いの場でも常軌を逸している。
こちらを殺そうとし、現に真美は殺害されたのだ。早とちりでは許されない。
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エレナの話によれば麗花の様子がおかしくなったのはあずさ殺害の辺りかららしいが、ともにいたエレナもはっきりとは分かっていない。
本当に気づかない内に麗花が壊れていったのか、それともゲームが始まった時点で何かしら壊れてしまったのか。
よもや研究施設に当てられてデストル化した訳ではなかろう。
分かっている事は、麗花の中で何かが故障してしまったという事だけだ。
そんな麗花が、自分達に牙を剥いている。
麗花が追って来なかったのは自分達が研究施設を目指すと知って、戻っていったのだと推測している。
麗花の中での優先事項は飽くまで敵の殲滅より伊織を守る事だ。
敵が向かってくる場所に居れば自分が守りたい人は守れ、仇なす敵は狩れる。
正に一石二鳥。
「……あの島原さん」
「ん……ナニ」
「島原さんはどうしたいですか?北上さんの事」
「私は……止めたいヨ」
瑞希の質問に僅かな思考で答える。
「確かに、おかしくなっちゃったケド!でもレイカ!ただイオリのコト守りたいだけナンダヨ!!」
「それは…私も分かっていますが……」
こちらに牙を剥く麗花ではあったが、しかしそれが悪意からなる物ではないとなれば話は難しくなる。
悪意がある者ならばっさり切り捨てればいいのかもしれない。が、麗花はただ伊織を守りたいだけだ。
そこに悪意はない。
だが害悪ではないかと言われればそうとしか言えない。
今の麗花を形容するなら悪意あるマーダー≪殺人者≫ではなく罪悪感や後悔と言った感情の欠如したバーサーカー≪狂人≫。
どう対処したら良いのか……
「……ミズキ?」
答えなど、とっくに出ていた。それが正解かはともかく、これ以上の答えは瑞希には見つけられない。
立ち上がった瑞希は近くで話しを聞きながらずっと震えていた桃子の元に歩み寄り、屈んで桃子の頭を撫でる。
「周防さん、貴方が双海さんのコトで気に病む事なんて何一つありません。だから気にしないでくださいね」
本当は、すぐにフォローしたかったが、順序を考えるとどうしても後になってしまった。
心に中でその事を謝罪しながら瑞希は桃子の頭を撫で続ける。
「中谷さんの事、すみません。散々連れ回しておいて結局地面に置き去りにしてしまって……ごめんなさい」
盗聴されているかもしれない事を考慮して、小声で桃子に育の事を謝罪する。
桃子は俯きながらも小さく首を横に振り、気にしてないと伝える。
それに安堵した瑞希は言葉を続ける。
「ありがとうございます……では、落ち着いて聞いてください」
瑞希の言葉と手の温もりを感じ、桃子も心は落ち着きを取り戻す。
そして落ち着いたところで、
「周防さん、貴方はエレナさんとこの近くの温泉宿に向かってください」
瑞希は言葉を切り出した。
今迄俯いていた桃子は不安な顔つきで瑞希の顔を見上げる。
顔を上げた桃子は確認したかったんじゃない、否定してほしかったんだ。
その言葉の意味を、桃子の解釈は違うんだと。
でも、瑞希は否定してはくれない。
代わりに柔らかく微笑み、最後に桃子の頭を一撫ですると立ち上がった。
「えっ……ミズキは?」
その言葉を後方で聞いていたエレナに向き直って瑞希は強く、
「私はもう一度だけ、北上さんと対面します」
自分の決意を口にした。
-
♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦
麗花は現時点でどうあっても害悪になりえる存在だ。
伊織を守りたいと言うのが本心だとしても、瑞希には伊織を免罪符に殺しを良しとしてしまった様にしか聞こえない。
エレナには悪いが、自分は彼女に救いようがあると思える程楽観的には考えられない。
このまま麗花を放っておけば必ず被害は拡大していくだろう。
幸い、瑞希達を待ち伏せて研究施設に留まってくれているであろう現状は良し。少なくとも外に出て誰かを傷つける心配はない。
だが、瑞希達が研究施設に来ないと分かればまた彼女曰くの「悪い子狩り」が行われてしまう。
それはなんとしても避けたい。
ならば、彼女曰はくの「悪い子」が、そこに赴けばいいのだ。
自分達はどうあっても研究施設に行く事を諦めない。それを麗花に分からせる。
そうすれば麗花は研究施設から動けなくなる。
っと言うのが瑞希の出した結論だ。
当然穴はある。
伊織が既に研究施設内におらず別の場所に移ってしまっている場合、守るべき伊織を探す為麗花が動く可能性。
しかし、恐らくそれはない。
伊織が研究施設にいなくとも麗花は伊織が戻ってくるものと捉え待つだろう。
確証はないが確信はある。
麗花はもう正常な判断など出来ないから、物事を都合の良い様にしか捉えられないから。
そういう意味では伊織には出来れば研究施設にいてほしくはない。彼女と麗花が対面して、もし伊織が拒絶でもすればそれこそ麗花が研究施設から移動する事になってしまいかねない。
事は迅速に済ませる必要がある。
「これが一番良いと、私は思います」
「それならワタシも行くヨ!もともとレイカとはずっと一緒にいたんダカラ!」
「それは駄目です」
「ナンデ!?」
「人数が多ければ良いと言う訳ではないからです」
必要なのは麗花にこの研究施設を目指す輩が他にもまだいるんだと思い知らせる事。
ここにいるのは3人。
桃子を単体と見做さなくとも2人。
麗花に思い知らせるには、まず必ず瑞希が単体で麗花の元に行く事が重要なのだ。
まだ何か言いたげなエレナが口を開く前に素早く桃子とともに降ろしたバッグの中から支給品の金槌を取り出し、それを右手に持ちながら2人から逃げる様に研究施設に向かおうとする。
っが、それは叶わなかった。
足が前に進まない。
それは精神的は足の竦みではなく物理的な足の重み。
「……周防さん。離してください」
桃子が研究施設に向かおうとしている瑞希の足ががっしりと固定している。
子供の腕力ではその拘束も高が知れているが、瑞希は桃子を傷つけてその拘束を振りほどこうとはしない。
再度屈み込んだ瑞希は桃子を諭す様に拘束を解かせようとするが、桃子は首を横に振り一向に手を離そうとはしない。
-
「瑞希さん……自分が何言ってるのか分かってるの…」
「…………」
「……死んじゃうんだよ?」
瑞希の出した結論は麗花に研究施設を目指す者を警戒させ研究施設付近に留まらせると言うもの。それには必ず、麗花にこちらの存在を認識させる必要がある。
だがそうすれば、今の麗花は確実に標的として自分を殺しにかかるだろう。
相手は遠距離可能の拳銃。対してこちらのめぼしい武器は金槌のみ。
おまけに麗花の身体能力は765プロでも高く、今は狂って遠慮もない。
こちらに勝てる見込みなどないに等しい。
つまり瑞希の作戦では、認識された人間は殺させる。
そんな危険な作戦、認める事など出来ない。
「行かせないから」
「……」
「行ってほしくない」
不安に押しつぶされそうな顔から一変、桃子は瑞希を睨む様に見つめる。
「死にに行くなんて認めない!大体無責任だよ!卑怯だよ!!何?エレナさんと温泉宿に向かってほしいって?おかしいでしょ!?散々人の事連れ回しておいて最後には他の人に全部投げつけるつもり!!」
「ですから……」
「大体首輪の解体はどうするの!瑞希さん以外にそんな事出来る可能性のある人なんているの!!」
「それは……」
黙り込んでしまう瑞希。
実際、懸念している。自分以外にそんな事を出来る人間はいるのか?
自惚れではないが、機械いじりには自信がある。
そんな自分が難しい事を、他の人が出来るのだろうか。
痛い所を突かれた瑞希に桃子は追撃とばかりに感情の全てをぶつける。
これから死地に赴かんとする人間に対して、本来こんな事を言っていけないなど桃子自身、百も承知だ。しかし怒りにも似た胸のもやもやを口に出しでもしないと狂ってしまいそうな桃子の言葉は留まる事はない。
「ずるい!ずるいずるいずるい!!無責任!卑怯者!!」
「……周防さん」
「最初に逢ってずっと一緒にいたんだから!そりゃ、私良い子じゃなかったし!我儘言って迷惑かけてたし!育の事で煙たがったりしたし!瑞希さんは私と一緒にいるメリットなんてないかもしてないけど……だけど……」
「行かないでよぉ…………」
「ずっと一緒にいてよ……」
お願いだから。
良い子にするから。
「……1人ぼっちに…………しないでぇ……」
すり寄る桃子に、瑞希は困った顔でどうしていいのか分からないと、桃子を見つめている。
この言葉が本心である事は分かった。その気持ちを、出来る事なら組んであげたい。
でも現状どうあっても麗花は無視出来ない。
どうあっても彼女に会いに行かなければならない。でも、桃子は連れていけない。
死地に幼い少女を連れては行けない。でも、桃子は離してくれない。
故に、どうしていいか分からない。
どうするのが正解なのか?否、どうすれば桃子は納得してくれるのか。
恐らく、何を言っても納得しない。
大人だと謳った少女は、ここまで支えてくれていた女性が離れて行ってしまう現実に、心が不安定になった。
何とか引き留めたい。
傍にいてほしい。
なにより……見捨てないでほしい。
身勝手な言い分だと分かっていても、構わない。
だって今、大人だった少女は子供になったから。
理論、理屈、効率、確率、そんな物は無視して感情に任せる子供だから。
-
「麗花さんなんてもうほっとけばいいじゃない!瑞希さんが行く必要ない!」
「そういう訳にはいきません。彼女は放っておけば更に犠牲者が」
「他の人なんてどうでもいいでしょ!!」
「っ!よくありません!ずっと一緒にいた仲間達なんですよ!」
「そんなのここじゃ信用出来ないでしょ!もう皆殺し合いに乗ってるかもしれないじゃない!」
「そんな事ありません!諦めないで前に進もうとしている人も必ずいます!」
「そんなの!それこそ可能性的に少ないでしょ!」
「それでも少なからずいるならその人達の為にも北上さんを止めなければなりません!!」
「何よそれ!瑞希さんは!目の前にいる私より、どこにいるかも分からないメンバーの方が大事だっていうの!」
「そうは言ってません!!」
「ふっ、2人ともケンカはやめてヨ!」
怒涛の口喧嘩。
珍しく普段は絶対に声を荒げたりしない瑞希も桃子の激昂に当てられて子供の様に怒鳴り散らしている。
2人の口喧嘩に軽く傍観者になっていたエレナが仲裁に入る。
しかしヒートアップした2人の口喧嘩は止まらず、寧ろ激しさは増すばかり。
仲裁に入った筈のエレナもおろおろするばかりで何も出来ない。
「だったら!!!」
っと怒涛の勢いの矛先と指先を、
「エレナさんに行ってもらえばいいじゃない!!」
エレナに向けた。
「エレナさんは瑞希さんより運動神経良いんだから!そもそもこれから全員が生き残れる可能性考えるんだったら瑞希さんより「!!周防さんっ!!」っ」
感情に任せた、言葉は本人の意思や周りへの気遣いより先に口から発せられた。
己が発言を振り返り、桃子は自身の発言に視線がぶれる程に動揺する。
今、自分は何を思った?今、自分は何を言おうとした?
いや、思ったんじゃない。言おうとしたんじゃない。
言ったんだ。エレナに…………
瑞希の代わりに――――
――――死ねと。
瑞希より―――――
――――エレナが死んだ方がマシだと。
押し寄せる後悔にぶれる視線を地面に落とす。
「あっ…………違…そうじゃなくて……ぐすっ……ごめんなさい…………エレナさん…ぐずっ…………ごめんなざい…………」
「……ううん、ダイジョブ。気にしてないヨ」
自らの失言に涙ながらに謝る桃子をエレナは屈んで慰める。
実際エレナは本当に気にしていなかった。
エレナは桃子から目を離し瑞希へ真っ直ぐ瞳を向ける。
「ミズキ………レイカの所には、ワタシが行くヨ」
「…駄目です。私が行きます」
「ミズキはこれからやる事あるんだからダメだヨ。それに、モモコと一緒にいてあげなきゃ」
「先程の周防さんの言葉なかった事に「モモコが言わなくてもワタシが言ってたヨ」っ……」
-
桃子の言ってる事は正しい。
これからこのゲームの根本を担う首輪の解体を控えている、かつゲームの穴をつけるかもしれない瑞希と。運動神経やテンションだけで何も出来ない、何も出来ていない自分。
これからの事を考えればどちらが生き残った方が良いかなど一目瞭然。
「それに、私ケッコー動けるからレイカの銃なんてヒョイヒョイ避けられるヨ!」
「………駄目です。行かせられません」
「……ナンデ、効率的にワタシに行くホウが」
「効率の問題ではありません。死にに行くなんて許しません」
「……それはミズキにも言えた事だヨ」
「…………っ」
瑞希の制止をエレナは多少厳しく突っ撥ね、黙らせる。
瑞希だって分かっている。
今自分が言ってる事は、さっき桃子が自分に言った事となんら変わらない。
自分が犠牲になるのは良いのにエレナが犠牲になるのは良いのにエレナが犠牲になるのは許せないなど、それこそ理に適っていない。
「…………ダイジョブ!戻ってくれば問題ないんダカラ!それにワタシには強いブキだって」
不安を取り除く様に勢いよく立ち上がり声を張るエレナは少し離れた場所に置きっ放しになった鞄からまだ確認していなかった支給品を確認し固まった。
固まったエレナを不審に思った瑞希は近づいてエレナの後ろから支給品を覗き込む。
本だった。
分厚い本。
否、分厚い魔法書と言う方が正しい。
魔法書のデザインには見覚えがあり、なんだったかと首を傾げた瑞希だったが数秒で思い出した。
嘗てあった「大変身!魔女っ子ファンタジー」にて七尾百合子が持っていた魔法本。
これを百合子が魔道図書館で足を組みながら手に持っていた姿は印象に残っている。
…………が、印象に残っていても、はっきり言ってハズレだ。
まさか魔法書を詠唱すれば魔法が使える訳でもあるまいし。写真で見た魔法書から飛び出していた魔法陣がCGであるなんて流石のエレナも分かっている。
これでどうすれば良いのカナ?
頭をぶっ叩けば良いのカナ?
これだけ分厚ければ結構なダメージとは思うが、それなら瑞希の金槌の方が良い。
強度は魔法書以上、おまけに持ち手があるから持ちやすい。
「あの…………エレナさん。やっぱり私が…………」
「…………ミズキ。そのカナヅチ頂戴!」
「駄目ですよ………渡したら行くでしょ」
「渡さなくてもイってヤルヨ!!」
「………気持ちは分かりますが、自棄にならないでくださいよ………」
「ダッテ、ダッテ…………ウウウウウゥゥゥゥ!!」
―――――こうして、間抜けな支給品のお陰で興奮が冷め、冷静さを取り戻した御一行は漸く落ち着いて話し合いを始める事が出来たのです。
-
【1日目/午後/G-7】
【真壁瑞希】
[状態]健康
[装備]金鎚
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:皆で帰るぞ……えいえいおう
1:周防さんと一緒に他の人を探す
2:とりあえず、北からは離れる。でも本当は止めたい
3:北上さん、一体……
4:誰も犠牲にはしない
【周防桃子】
[状態]健康?
[装備] プラスドライバー
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:死にたくない
1:瑞希さん達と一緒に行く
2:『敵』と出会った……でも
【島原エレナ】
[状態]健康
[装備]無線機 、魔法書
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。
1:二人を仲直りさせるヨ!
2:レイカ……なんで。
【魔法書】
ガチャイベント、「大変身!魔女っ子ファンタジー」で七尾百合子が持っていた魔法書。
当然詠唱しても魔法は使えない。
-
♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦
所変わって。
もう夕方近くに差し掛かった頃、研究施設に1つの人影が姿を現した。
「ふふふ〜ん♪伊織ちゃんただいまぁ」
北上麗花。
三浦あずさと双海真美を殺害した狂気のバーサーカーが、嘗て水瀬伊織と島原エレナとともに籠城していた研究施設へ戻って来ていた。
麗花は元気良く研究施設内に響く声を放つ。
しかし、
「あれぇ?伊織ちゃーん」
その声に答える者は誰もいない。
いるのは、あるのは、あずさの死体が1つだけ。
エレナは麗花曰くの「悪い子」認定されていた為気にも留めてないが、伊織に関して麗花は首を傾げる。どうして伊織は返事を返してくれないのかと。
それもその筈、伊織はこの施設をとっくに去ってしまっていた。
つまるところ麗花の悪行の象徴、あずさの遺体があるこの施設に滞在する事に伊織は絶える事が出来なかったのだ。
そんなの正常な人間ならすぐに看破出来るだろう。
看破出来なくともそれに近い解答を出せるだろう。
「んん〜?お散歩かなぁ?」
そう、正常な人間ならば。
麗花はもう、正常とは言えない。
そもそも麗花はもう、伊織にどこかへ行ってしまえと辛辣な言葉をぶつけられた事すら頭の中にないご様子だ。
「もう、仕方ないなぁ♪でも悪い子が来るんだから伊織ちゃんは安全な場所に行ってた方がいいのかな?」
この殺し合いの場のどこにそんな安全地帯などあるのか。外にいる危険人物と接触するとは思わないのか――――――そんな事、今の麗花にはきっと言うだけ無駄なのだろう。
こうして誰もいない研究施設に、バーサーカーが降り立った。
或いは、ここに伊織が残っていれば運命は変わっていたかもしれない。
そう思うのは―――――――
――――――――――もう少しだけ先になる。
【一日目/午後/G-7】
【北上麗花】
[状態] ■■
[装備]レミントン デリンジャー(1/2)、無線機
[所持品]支給品一式、.41shortリムファイア弾(8)、ランダム支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本: ■■■■■■■■■■■■
1:■■■■■■■■■■■■
2:■ちゃんが死 ■■■■■■■■■■■■
3:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
4:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
5:■■■■■■■■
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以上です。
ご指摘ご指導ご不満があればよろしくお願いします。
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ag
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如月千早、松田亜利沙、北沢志保で予約します。
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投下します。
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「ねえ、松田さん。やっぱり、私には似合わないんじゃ……」
「そんなことありませんよ。とっても、お似合いです」
二人の声だけが響く部屋の中。
千早の髪に一つの装飾が施されていた。
結びつけられたリボンは、真っ赤に存在を主張して。
「でも……やっぱりこれは、松田さんがつけておくべきだわ」
「千早ちゃんは春香さんにとって一番のお友達なんですから、もっと自信持ってください。
きっと……春香さんも、それを望んでいるはずですから」
それは、二人で生き延びようという決意。
あるいは、これから運命を共にする証としての、呪い。
「……わかった。大切にするわね」
一つは千早へ。一つは亜利沙へ。
天海春香の残滓は二つに分かれ、引き継がれた。
「……松田さん、あなたとても綺麗な髪をしているのね。いつも結んでいるから、気付かなかったわ」
「えぇっ、そ、そんなことないですよぅ! 皆さんと比べたら全然……」
髪留めが一つになったことで、亜利沙の髪は、千早のような長く透き通ったものへと姿を変えていた。
亜利沙はいつものように慌てて謙遜する。
「そんなことないわ。松田さんこそ、もっと自信を持つべきよ」
「うぅ……そう言われましても……」
ほんの一時ではあるけれど、二人に訪れた穏やかな時間。
それは、かつて皆で過ごしていた劇場での日々のようで。
「――っ! だ、誰ですか!?」
そう、それは本当に一時だけ。
気紛れに訪れた、偽りの平穏。
「千早さん……亜利沙さん……二人とも一緒だったんですね」
「し、志保……? どうしたの? なんだか、すごく疲れているようだけど……」
「千早ちゃん危な……っ! ああぁっ!!」
モノクロの死神は、そんな平穏すらも許しはしない。
「ッ!? 松田さんっ!?」
「よく今の銃撃に対応できましたね。正直、驚いてます」
「し、志保ちゃん……なんで……」
普段亜利沙から見ていた志保と明らかに違う。
彼女から感じた、どす黒い違和感。
気付くのが遅れていたら、風穴が開いていたのは千早の方だった。
「もう、逃げたくないんです。誰に止められても、私は殺さなきゃいけないんです。それが、約束だから……」
自身に暗示をかけるように、志保が呟く。
見据えるのは、遥か先。
彼女の瞳に、二人の姿など映ってはいない。
「……っ、あぁあぁぁっ!!」
だが、そこに隙があった。
負傷しながらも突っ込んでくる亜利沙を翻せず、壁に抑え付けられる。
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「今のうちに……逃げてください……っ!」
「駄目よ! それじゃあ松田さんが……! 待って、今助けるから……!」
腕を掴まれ、志保は思うように動けない。
その隙に、千早は取っ組み合う二人に近づき、銃を奪おうとする。
「っ!」
「ひゃあっ!?」
だが、志保も黙って無力化されてはいない。
千早を牽制するように、闇雲に銃を乱射する。
近付く隙がない。
「どうすれば……このままじゃ……」
「千早ちゃん……っ、ありさがなんとかしますから……早く逃げて……!」
銃撃の痛みを堪えながら、すんでのところで拮抗している。
けれど、それも時間の問題。
亜利沙の顔は既に青ざめている。
「この……っ、離して……っ!」
「恵美ちゃんとの約束なら、大丈夫ですから……っ! だから、早く……っ!」
亜利沙にはわかっていた。
千早が恵美との約束に……『亜利沙を助けること』に囚われていると。
「っ! だ、だけど……!」
「ぜったいっ! ぜったいに追いつきますから! だからっ、行ってくださいっ!」
ならば、行動で示すしかない。
何としても千早を逃がし、志保を封じ込める。
「――っ! ごめん、なさい……!」
亜利沙の決意を悟り、遂に千早は家を飛び出した。
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「……千早ちゃん……どうか、生きて……あぐぅっ!」
千早の姿を見届けた亜利沙に、とうとう限界が訪れた。
彼女の無事が守られた安心か、無理矢理抑え込んでいた体の痛みか。
志保への力が緩み、反撃を許してしまった。
「この……よくも……っ」
「がぁっ! あぁっ!」
亜利沙の頭を鷲掴みにし、壁に叩き付ける。
「どうしてっ! 私のっ! 邪魔をっ!」
「あぐ……っ、やめ……っ、んあぁ……っ」
何度も何度も、けたたましい音を響かせながら。
「ごふ……っ」
打つ。
「かはっ……」
打つ。
「……」
打つ。
「……」
そして、亜利沙は何も言わなくなった。
壁面には、赤く濁った染みがべっとりと張り付いている。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
破壊衝動のままに亜利沙を壊し、息が上がっている。
興奮を冷ますように、大きく肩で息をしていた。
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「追いかけないと……」
亜利沙から手を離し、扉へと向かう志保。
捨てた物体はもう、何も言わない。
「……さ…………いで…………」
そのはずだった。
「ちは…………ちゃ…………を…………ろさ…………いで…………」
歩き出そうとする志保を、何者かが呼び止める。
その者に、もう意識はなく。
それは、大切な人を守ろうとする執念だけで動いていて。
「……っ! どこにそんな力が……!」
遮る者に、銃弾を放つ。
血塗れで横たわるそれは、今度こそぴくりとも動かなくなった。
本当に死んだのか。
死んだに決まっている。
それなのに。
振り向いた途端、すぐにでも動き出しそうな気配を感じてしまうのは、何故なのか。
◆ ◆ ◆
結局、外に出るまで、亜利沙から目を離すことが出来なかった。
千早の姿はもう、どこにも見当たらない。
やはりまだ本調子でないらしい。
けれど、これで確信した。
誰かを殺している間だけは、あの幻から逃れられる。
誰が邪魔しようとも、それによってどんなに苦悩しようとも。
結局のところ、殺してしまえば同じなのだ。
気付いてしまえば、簡単なこと。
最悪、別の誰かでもいい。
早く、誰か見つけなければ。
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【一日目/夕方/G-4】
【北沢志保】
[状態]健康?
[装備]ベレッタM92(4/15)
[所持品]基本支給品一式、不明支給品0〜1、9x19mmパラベラム弾入りマガジン(2)、タオル、着替え
[思考・行動]
基本:"ジョーカー"として動く
1:とにかく、人を殺していく。殺し続けていれば、きっと迷わない
2:嘘をついてなくちゃ――――
3:可奈の『呪い』を背負い続ける?
4:人に会いたくない、見られたくない
5:発電所に行かなくちゃ
◆ ◆ ◆
走った。
ただひたすらに走り続けた。
何も目に入らぬように。
何も耳に入らぬように。
共に生きる道連れが欲しかった。
けれど、身代わりが欲しかったわけじゃない。
こんな目にあわせる為に、彼女を生き永らえさせたんじゃない。
勝手な我儘で仲間を繋ぎ止め。
危機に陥れば容易く見捨ててしまう。
自身の下劣さに吐き気がする。
死を何度も願っていたはずなのに。
誰かを殺すくらいなら自分が死ぬと、ずっと思い続けていたはずなのに。
恵美に、亜利沙に、明日へ進むことを望まれたこの体は。
生きたいと、願ってしまった。
【一日目/夕方/G-4 民家】
【如月千早】
[状態]健康、虚無
[装備]春香のリボン(1本)
[所持品]なし
[思考・行動]
基本:生きる
1:もう何があっても死ねない
2:激しい自己嫌悪
◆ ◆ ◆
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春香さん。美奈子ちゃん。恵美ちゃん。
見ててくれましたか?
ありさ、やっとアイドルちゃんを守れたんですよ?
こんなドジでダメダメなありさでも、誰かの助けになれたんですよ?
ありさは……残念ですが、ここでお終いです。
後悔してないかと言えば、嘘になっちゃいますけど……。
でも、あの時全部投げ出してたら、きっと今よりももっと後悔してたと思うんです。
頑張ってよかった。
諦めないで、よかった。
千早ちゃん。
ありさからもお願いです。
どうか千早ちゃんも、最後まで諦めないでください。
一秒でも多く、長生きしてください。
ありさのことは……忘れてしまって、構いませんから……。
【松田亜利沙 死亡】
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投稿は以上です。何かありましたらご連絡ください。
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折角の面白いSSなんだからもっと盛り上がって欲しい…
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ミリマス・バトロワ好きにとってはたまらないです。
応援するよ!
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知らんよ
意味不明な自分語りする暇あるなら書きなよ
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そうだよ(便乗)
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いちおう一人の読み手の意見としてマジレス
半年待っても書き手がつきそうにない現状の中で、もし>>114氏が今から書くにしろ
第二回放送前で残り人数もまだまだ多く、全部捌くのは根性がいる
やるなら一人で全部完結させるつもりで
それができないなら時間を割いたことに後悔することになるからやらない方が無難
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ミリシタからミリオン知ってSS漁ってたらこのスレの存在知ってドキドキしながら読んでたのにまさか未完なんて……
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本スレッドは作品投下が長期間途絶えているため、一時削除対象とさせていただきます。
尚、この措置は企画再開に伴う新スレッドの設立を妨げるものではありません。
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