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ホーリーグレイル・オンライン
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《聖杯》――その夢は、人を殺す。
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人は夢を見る。
いつ如何なる時代も、人間の歴史と夢幻は切り離せない。
古くは天下布武の夢。富国強兵の夢。新しくは将来の夢、恋の夢。
だが、レム睡眠の只中で見た幻想風景を殆どの人が忘れてしまうように、人は成長する上で、抱いた夢を忘れ、或いは諦め、某かの形で捨てていく。それは糾弾されるようなことでは断じてなく、ごく普通の道理だろう。
では、夢を見続けた者はどうなるのか?
――そのことは、悠久の人類史が証明している。
夢を追い、狂おしいほどの情念で縋り付いた人間は……時に現実の条理を凌駕する。世界を、変える。
「私は、所謂異世界というものに強く憧れていた」
帳の墜ちた電脳世界。
0と1で構成され、それ以外の要素の介入し得ない領域で、独りごちるは白衣の男。
理路整然とした印象を与える整った風貌の彼は、しかし未だ幼少期よりの夢を変わらず抱き続けている。
「空へ浮かぶ鋼鉄の城。剣と魔法の世界。魔物が跋扈し、それを討伐し生計を立てる。現実とはまったく趣の異なった幻想世界を。私はいつ如何なる時も渇望してやまなかった」
今や全世界に、彼の名前を知らぬ者など居はしない。
それは英雄としてでなく、大半が彼を悪人と見做す評であったが、この男が一つの世界へ名を残したということだけは疑うべくもない真実だ。
幼い憧れは狂気を生み。狂気の世界は英雄を生み。英雄は、新たなる物語を生んだ。
無駄ではなかったのだ。おとぎ話にも似た空想が現実の理屈を打破した、それは紛れもない事実。
たとえゲームの世界であろうとも。電子が構築する嘘で塗り固められた《ごっこ遊び》だったとしても。
――鋼鉄の城の空想は、世界を変えた。
「世界の仇敵(ボス)として君臨し、破られ、全てに満足した。
もう一度あのゲームを繰り返すつもりは……正直なところ、なかったのだがね。
しかし君は、どうやら私が再起することを願っているらしい」
その狂的な情熱は黒の剣士という英雄を生み出したが、それだけには留まらなかった。
プログラムの限度すらも凌駕する、真に《奇跡》と呼ぶ他ない理屈の存在には彼も気が付いていたが、現在彼の眼前にある人物は――存在の根本からしてそういう存在(モノ)であるのだ。
夢が夢を生み、そして魔王を引き寄せた。
異界の彼方より現れて、こうして電子の海へ上陸し、夢の残滓でしかない男へ接触している。
もう一度おまえの熱を見せてくれ。おまえの熱と俺の熱で、素晴らしき■■を作り出そう。悪魔の甘言と呼ぶには熱の籠りすぎた言葉。残滓の男は思う。成程、どうやらこいつは己と限りなく同類らしい。
形は違えど、本質的な面では違わない。
夢を渇望し、時に常識では考えられない行いさえも厭わない。
要するに――《莫迦》だ。
「願望(ユメ)の争奪戦。古今東西の英雄・蛮雄を呼び寄せ、最後の一組になるまで延々戦い合わせる――
当然、敗北者は淘汰される。死者は世界より排斥され、その生命は二度と戻らない。
優勝(クリア)を遂げた主従には奇跡の権化、リアルをフィクションで塗り潰す《聖なる杯》を献上する。
――名を与えるならば……《聖杯戦争(ホーリーグレイル・ウォー)》と言ったところかな」
斯くして、現実を侵食する悪夢の戦争は幕を開ける。
「ああ……そうだ。そういえば、聞いておきたいことがあった」
新たなる世界と新たなるプレイヤーで繰り広げるデス・ゲーム。
敗者は消されて勝者のみが生き残る、生物体系の縮図とすら言える原始的な潰し合い。
悪魔じみた発想だ。だが、理には適っている。
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そして彼――仮想世界の支配者は、夢の王へと問いを投げるのだ。
《救世主(セイヴァー)》のクラスを経て現界したサーヴァント。正しく全ての元凶と呼ぶに相応しい大莫迦者へ。
「問おう、甘粕正彦。君は聖杯へ何を願う」
「知れたこと。
――君臨だよ。おまえ風に言うならば、遊戯の盤面には魔王の存在が不可欠なのだろう? 茅場晶彦」
紫電にも似た眼光を走らせ、《大尉》は静かに微笑んだ。
● ◯
その日、一つの噂話が巷へ流れた。
道理では成らぬ願いを持つ者の元へ、一枚のゲームディスクが届くのだという。
何ら目立った装飾のない無地の面にタイトルだけが綴られているそれを手にした者は、どういうわけか皆消えてしまう。
証拠を残さず。誰に何を伝え残すこともなく。最初からそこにいなかったかのように空蝉する。
奇怪だが有りがちな噂話。出処の知れないそれは、匿名の書き込みに始まり、やがてネットの海へと流布されていった。
だが不思議なことに、肝心のタイトルを知る者はいない。
現実に行方不明になっている知り合いがおり、ゲームのことについて相談を受けたと豪語する者さえも、誰一人としてそのタイトルを記憶してはいなかった。“何故か”忘れてしまっていたのだ。
改めてその理由など語る必要もないだろう。
彼らは所詮選ばれなかった者。
戦の舞台へ登る資格さえ得られなかった“願いなき者”に用はない――つまりはそういうこと。
常世へ流れ出した幻想の噂話もいずれ薄れ、人々の記憶から消えていく。
彼らにとっては所詮その程度のことでしかない。
だが――戦場への《門》となるディスクを手にし、異世界へ旅立った者にとってはそうではない。
◯ ●
今日もまた、願いを手にして迷い込んだプレイヤーが居る。
見慣れたコンクリートジャングルの街並みは何処にもなく、眼前へ広がるのは中世風の石畳の広場。
夜を照らす街灯なんて近代的な物も勿論ありはしない。頼りになるのは精々が月明かり程度だ。
ごくりと生唾を呑み込む。自分以外誰もいない夜闇の中で、その音は厭に大きく聞こえた。
「ようこそ、聖杯戦争の世界へ」
背後からの声に、心臓が縮み上がるような錯覚を覚える。
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叫び声をあげそうになるのを必死に堪えて振り返ると、そこに居るのは一人の騎士。
赤い金属鎧に身を包んだその齢は初老程度だろうか。重厚そうな剣を片手で担っているのもさることながら、赤十字を連想させる文様の描かれた大きな盾が印象的だった。
そして彼はゆっくりとその手に嵌めた白い手袋を外す。
手袋の下にあるのは、幾つもの赤き刻印。《令呪》――思わず声が漏れる。ここへ来る前にあった《事前説明(チュートリアル)》を聞いたから、それがどれほど重大な意味を持っているのかはよく知っていた。
一人につき三画のみ与えられる、自身の傀儡に対しての絶対命令権。
人智を超えた英雄を一介の人間風情が従えるなどという、冒涜にも等しい理屈を成立させたのがこのシステムの存在だ。
三度限り、《マスター》は《サーヴァント》へ絶対に拒否の出来ない命令を下すことができる。
故に必然、これがある限り謀反はされない。逆に言えば、これを失えば安全性は確約されないことになる。
「チュートリアルで受けた説明については覚えているね?」
ひとつ、頷く。
「良し。ではこれより君はこの世界――《アインクラッド・プラス》で、聖杯を巡る戦いに興じてもらう。
私はヒースクリフ、この聖杯戦争を監督する役目を担わされたサーヴァントだ。
便宜上、クラス名を宛がうとすれば……《裁定者(ルーラー)》といったところかな」
真名を躊躇うこともなく明かす姿勢が、彼のイレギュラー性を物語っていた。
ルーラーは聖杯戦争を取り仕切る者。敵対者ではなく、一つの舞台装置として見るのが正しい――だったか。
「チュートリアルを終え、此処に居るということは……自分のサーヴァントとの対面ももう済ませている筈だ。
つまり君はもう、このゲームから逃れられないのだよ。
私が君の前を立ち去ったその瞬間から、夢を懸けた戦争は始まる。
プレイヤーの総数は都合百五十――時を、世界線を、あらゆる概念を越えて集められた強き願いの持ち主達。
そしてその中から本戦へ勝ち上がれるのはたったの十四名……決して簡単ではない。戻り道の存在しない、一方通行の道のりがあるだけだ」
ルーラーの役割は、平等なる裁定者。
機械的な采配を下し続ける舞台装置にあるまじき芝居がかった口調で、ルーラーのサーヴァントが煽り立てる。
「さあ、君は――その剣ヶ峰を登り切られるかな?」
答えは返せなかった。
ルーラーから視線を外し、逃げるように町並みの中へと《プレイヤー》は消えていく。
或いは、それが間違いだったのかもしれない。
空元気でも虚勢でも、せめて何か一つでも言い返せていれば、彼の未来はもう少し違ったのかもしれない。
全ては既に遅し。
予選開幕より四日が経過した頃、このプレイヤーはアサシンのサーヴァントにより抹殺された。
彼だけではない。
予選期間が終わる迄に、百三十六組の主従が電子の藻屑と消えた。
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ある者は戦いの末に満足して死に。
ある者は絶望の末に絶叫死を遂げ。
またある者は自身のサーヴァントと良好な関係を築けず、謀反を受け。
中には最後の最後まで利用され続け、一縷の救いもなき最期を迎えた者さえあった。
散り、塵となり積もった願いは、より力強き輝きを引き立てる踏み石となる。
杯が微笑むのは一つの主従のみ。
他を廃し、己こそが一であると押し通した者にだけ、それを手にする権利が与えられる。
鋼鉄の聖杯戦争、此処に開幕。
これはゲームであるが、しかし遊びではない。
《Holy Grail Online》―― 幻想を夢見た一人の男と、輝きを愛した魔王が綴る物語。
【クラス】
ルーラー
【真名】
ヒースクリフ@ソードアート・オンライン
【パラメーター】
筋力B 耐久EX 敏捷C 魔力A 幸運?? 宝具A
【属性】
混沌・中庸
【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
真名看破:A
ルーラーとして召喚されると、直接遭遇した全てのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。
また、彼はこのゲームのシステムそのものであるため、真名の隠蔽は一切通用しない。
神明裁決:-
彼はこのスキルを持たない。
【固有スキル】
絶対防御:EX
彼が大きな傷を負っている所は誰も見たことがない――
そう言わしめる程に逸脱した防御力を持ち、基本的にサーヴァントの攻撃では宝具を用いても痛打を与えられない。
【宝具】
『神聖剣』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1〜5 最大捕捉:10
ヒースクリフが有する、SAO世界で彼以外に習得者のいないとされるユニークスキル。
彼の持つ片手剣と盾がセットで神聖剣となっているため、盾にも攻撃判定が存在する。
故に盾も含めた上でのソードスキルを使用可能。
【weapon】
片手剣と盾
【人物背景】
《Holy Grail Online》のルーラー(裁定者)を勤める騎士の英霊。
ゲーム中で最上の権限を持ち、令呪の譲渡を行う為に三十近い数の令呪を保有している。
しかし舞台装置としてのルーラーでありながらこの聖杯戦争を観客としての目線で見ている節があり、「神明裁決」のスキルを持たないなど謎の多いサーヴァント。
また彼の防御力は最早常軌を逸した域へ達しており、本人曰くEXランクの宝具でさえも自分を削り切ることは不可能であるという。現に予選では複数のサーヴァントに徒党を組んで襲撃されたが、彼らの宝具による一斉攻撃を受けて尚、かすり傷程度のダメージすら負っていなかったとされる。
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【ルール】
・版権キャラによる聖杯戦争を行うリレー小説企画です。
・主従は全14組で、エクストラクラスは存在しません。
・各クラス二組ずつの構成を予定しています。
・登場話候補を皆さんからも募らせていただきますが、もしも投下がなかった場合、私が頑張って投下していきます。
・また、枠を超過してしまった場合は>>1の選出で決めさせていただきます。ご容赦ください。
・聖杯戦争参加者は何らかのきっかけで「Holy Grail Online」(以下HGO)のディスクを入手し、ディスクを通じて舞台となるアインクラッド・プラスへとログインしてきました。
・OPでは強い願望を持つのが参加の条件となっていますが、何かの間違いで迷い込んでしまったようなイレギュラーマスターがいてもいいと思います。
・ログイン後、全ての参加者はチュートリアルによって聖杯戦争の説明を受けます。また、ここで相棒となるサーヴァントとの対面をすることになります。
・ヒースクリフとその後に出会ったかどうかについてはお任せします。
・本編で描かれる聖杯戦争は「本戦」で、その前に百五十組での「予選」が行われています。この予選中の描写は自由にしていただいて構いませんが、本戦参加者同士で面識がある設定はご遠慮ください。
・アインクラッド・プラスにはNPCも生活しています。魂食いなども可能です。
・候補話投下時の時間軸は「チュートリアル」時から予選終了時までの間でお願いします。
・登場話候補の受け付けは4月下旬辺りまでを目処に考えています。
但し場合によっては変更される場合がありますので、ご了承願います。
・マスターを失ったサーヴァントは一時間後に消滅します。
・が、サーヴァントのいないマスターと再契約を結んだ場合はその限りではありません。
・同様に、サーヴァントを失ったマスターも一時間後に消滅します。
・優勝者へ与えられる聖杯はマスターとサーヴァントの願いをそれぞれ一つ叶える、という代物です。このことは各主従にも告知されています。
■時間表記
未明(0〜4)
早朝(4〜8)
午前(8〜12)
午後(12〜16)
夕方(16〜20)
夜間(20〜24)
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舞台設定
《アインクラッド・プラス》
遙かの天空に存在する、全八層から成り立つ聖杯戦争用に作成された《城塞》。
層の移動は各層にそれぞれ二箇所ある転移門を経由して行うことが出来る。
但し一層ごとに転送していく必要があり、一気に第一層から第八層まで、といった芸当は不可。
第一層:花の都
花々が所々に咲き誇っている町。
第二層:水の都
噴水や水路が多く通っている町。
第三層:火の都
町の装飾に松明が多用され、常にどこかで火が燃えている町。
第四層:湿地帯
足元が泥濘んだ薄暗い湿地帯が広がっている。
第五層:廃墟群
廃墟と化した町並みが広がっている。
第六層:石の都
家や城が全て石で出来た町。
第七層:森林地帯
深い、出口のない森。視界が悪く、隠密行動には最適。
第八層:荒野
一面の荒野。視界は開けているが、裏を返せば逃げ場がない。
また、アインクラッド・プラスには第八層よりも上の階層があるようだが、現時点では立ち入ることは不可能。
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これにてOP、ルールなどの投下を終了します。
続いて、候補作を二話ほど投下させていただきます。
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聖杯はあらゆる奇跡を可能とする。
その効能は常世の理を優に凌駕する。
既に失われ、戻らない魂を蘇らせることさえ造作もない。
その響きに魅せられ、誘蛾灯へ集う羽虫の如く、偽りの鋼鉄城へとヒトは足を踏み入れる。
夢は、紡ぎ上げられていく。
繭を紡ぐ蚕宛らにゆっくりと、しかし確実に夢想の奇跡を作り上げていく。
光陰を併せ持った人間の渇望だけが、幻想を現実とする最大の道具となり得るのだ。
そしてまた、一人の少女が異界の門を潜った。
心優しい少女が抱く望みが呼び寄せる英霊は、果たして如何なる存在であるのか――
● ◯
「……来ちゃったな」
門を潜った先の世界には、海がなかった。
世界全域を視たのならいざ知らず、少なくとも聖杯戦争の舞台となる鋼鉄の城には、蒼色の塩水は存在していなかった。
空。海原で戦い続けてきた彼女にとっては何とも順応し難い領域。其処が、此度の争乱の舞台だ。
上空数千メートルの天空に浮遊する城塞《アインクラッド・プラス》――今自分がいる場所は、その第一層。
可憐な花々がそこかしこに咲き誇り、甘い芳香を漂わせている美しくのどかな花の都である。
ここが鉄火場と化すとは到底思えないような福音に満ちた光景。そこに一人佇む少女もまた、戦いという単語とは無縁そうな可愛らしさを窶していた。齢は丁度十代半ばほどであろうか。
どちらにせよ、身命を賭してでも成就させたい願いを抱くには若すぎる。
だが、生憎と彼女は普通の少女ではない。
見てくれこそ虫の一匹も殺せないようなそれであるが、彼女は立派な一個の《兵器》だった。
――艦娘。
人類から制海権を奪い去り、世界中の海に蹂躙跋扈する怨霊・深海棲艦に対抗し得る唯一の存在。
少女の姿をしてこそいるが、彼女たちは皆海上で勇ましく闘う軍艦に等しい戦闘能力を有している。
睦月型駆逐艦の一番艦、睦月……彼女もまた、生まれながらに戦いの宿命を背負わされた一人だ。
「なんだか嘘みたい。こんな平和な町の中にも、睦月みたいな子達がいっぱいいるなんて」
現地で調達した懐中時計は、深夜二時を差していた。
草木も眠る丑三つ時にも関わらず、意識は奇妙に冴えている。
それはきっと、これから始まる《予選》を前にしての緊張から来る覚醒だろう。
睦月が聖杯戦争へ参加した理由は、彼女たち艦娘を統率する司令官、提督の命令によるものではない。
それどころか、同じ鎮守府で過ごしている仲間の誰にも、此処へ来ることは漏らしていなかった。
勝算の方が低く、報酬がちゃんと与えられる確証もない。
そんな戦いに赴くと告げたなら、心優しい彼女達は止めるだろう。それが、心苦しかった。自分の勝手な都合で、彼女達に何かを背負わせてしまうことだけは……我儘だと分かっていても、どうしても避けたかったのだ。
振り切ったつもりだった。
なくしたものは、どれだけ嘆いても帰ってこない。
そう自分に言い聞かせ、前へ進もうと思っていた。
そんなある日の事だった。――自分の枕元に、一枚の円盤が置かれていたのは。
《Holy Grail Online》……そう題された円盤を手に取った時、鎮守府にてまことしやかに囁かれている怪談話を思い出した。道理では叶えられない願いを持つ者の下に届けられる、一枚の円盤。
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それを手にした者は消えてしまう。背筋に薄ら寒いものを感じながら、だが睦月は確信を得ていた。
どういった原理なのかは今でも分からない。
もしかすると聖杯戦争を主催した人物が、何かしらの細工をしていたのかもしれない。
――睦月は感じ、そして信じた。この円盤は人を消す道具なんかじゃない。願いを叶えるために導く道具なのだと。
それからどうなったのかは想像に難くないだろう。
噂話の通りに、睦月は円盤と共に失踪した。
誰にも告げることなく、ひっそりと。
鋼鉄の城へと、旅立った。
「――帰ってきてほしい人がいるの」
ぽつり、沈痛な面持ちで呟く。
睦月の願いとは、つまるところそれだった。
在り来りといえばそれまで。しかし本人にとっては重大極まる願い。
「睦月がここに来たのも、それが理由。……如月ちゃんを、助けたいの」
W島攻略作戦。
彼女の姉妹艦、建造順で言えば妹にあたる駆逐艦娘が、そこで犠牲となった。
名を如月。
睦月の大切な友人だった彼女は敵艦載機の爆撃を前に轟沈し、海の底へと沈んだ。
――忘れられるわけがない。再会を願わずにいられるわけがない。
「でも、今更だけどね……少し怖いの。これでいいのかなって――もう全部遅いのに、そんなことを思っちゃう」
戦いの経験があったとしても、その内面は歳相応の少女だ。
恐怖しないわけがない。しかしその感情はこの先の戦いにおいて、間違いなく彼女自身の首を絞めるだろう。
英霊同士の戦いは熾烈だ。それはあのルーラーからも聞いている。
日頃繰り広げている深海棲艦との激戦が生温く思えるような死線が予想される。
妙な迷いを抱えているようでは生き延びることは出来ないだろう。睦月にも、その自覚はあった。
「恐怖という感情を抱くことは、間違いではない」
そんな彼女の自嘲にも似た発言を否定したのは、彼女と契約を結んだライダーのサーヴァントだった。
「恐れるものなどないと慢心し、結果的に破滅を招いた奴を俺は何人も見てきた。
俺自身の手で倒した奴から人伝に聞いたものまで様々だ。
そんな連中に比べれば、恐怖している奴の方が余程現実を理解しているものだ。――それに」
睦月よりは年上だろうが、彼もまた青年期程度の見た目をしていた。
屈強というイメージとはかけ離れた、絵に描いたような長身痩躯の体つき。
顔立ちは端正で、さぞかし女受けするであろうそれだ。
しかし、其処らの浮いた男とはかけ離れた“凄味”とでも言うべきものがその双眸には宿っている。
只者ではないと、見る者が見れば即座に判断できるだろう。
尤も、彼が本気で自分を偽ろうと思えば……その本性を見抜くことは容易なことではないだろうが。
「俺にも願いがある。そしてそれを叶える為に俺もここへ来た――俺達の利害は一致している。
だから、お前は死なせないよマスター。どんな手を駆使してでも、俺達は聖杯を獲らなくちゃならない。そうだろう」
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片や、失った友の為に。
片や、望む世界の為に。
交わることのない二つの世界は、願いを標に交差した。
「そう、だね……そうだよね。始まる前から弱気でいたら、勝てるものも勝てなくなっちゃうね」
ゆっくりとしゃがみ込んだその場から立ち上がれば、自らのサーヴァントへと向き直る。
「改めまして。今回はよろしくお願いします、ライダーさん――いえ、ルルーシュさん!」
「……おいおい、真名でみだりに呼ぶなと言ったろう」
苦笑しながら、ライダー……ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは律儀に頭を垂れて礼をする少女へと応じた。
◯ ●
(――“外れ”か)
友好的なやり取りを交わす裏側で。
ライダー・ルルーシュは一転して冷徹な評を自身のマスターへと下していた。
睦月型一番艦、睦月。
曰く、駆逐艦の兵装を保有した存在であるそうだが……戦争向きの性格かと問われれば間違いなく否だ。
少なくとも彼が真に望んでいた人種ではない。ライダーがマスターへ望むのは、的確な采配と判断能力。そして必要とあらば倫理観すらも捨て去ることの出来る冷酷さ。この三つである。
その点、睦月に備わっているのは精々が実戦で培った判断能力程度であると睨んでいた。
(マスター同士の戦闘が行われることを考慮すれば、それなりのアドバンテージを得ていることになるのだろうが……いざとなれば、マスターを乗り換えることも視野に入れておくべきだな)
聖杯戦争のルールには、マスターを鞍替え出来るというものがある。
限定的な状況でしか行使のできない権利であるのは確かだし、失敗すれば破滅が待っている危険な賭けだが、それが現状唯一主従関係を意図的に操作できる手段だ。
序盤から早々にそんな暴挙へ打って出る気は今のところないが、最悪の事態を想定した上で、選択肢の一つとして頭の片隅に置いておくには上等な策と言えよう。
友との再会に焦がれる少女の想いを利用してでも、彼には聖杯を手に入れなければならない理由があった。
それは友の為、妹の為、未来の為。
利用できるものは全て利用する――たとえそれが、聖杯の奇跡などという胡乱げなものであってもだ。
――そこで、ふと先ほどの会話を思い出す。
『如月ちゃんを……助けたいの』
(…………友、か――)
自分にも、そういう存在がいる。
結果的に袂を分かつ事になってしまったが、今でも大切に思う親友がいる。
利用できるものは全て利用する、その宣言に偽りはない。
このアインクラッド・プラスに無数に存在するNPCさえ利用し尽くし、非道の策を切る算段さえ既についている。
そして、その対象はマスター・睦月であろうと例外ではない。
例外ではない、が。
さながら返しのついた棘が如く、悲痛な面持ちから吐き出された少女の願いは、ライダーへと僅かな引っ掛かりを生んでいた。それしきのことに足を止める彼ではなかったが、彼もまた、人の心を捨て切れていない。それが、事実だった。
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【クラス】ライダー
【真名】ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
【出典】コードギアス 反逆のルルーシュ
【性別】男性
【属性】混沌・善
【パラメーター】
筋力:E 耐久:E 敏捷:D 魔力:A 幸運:B 宝具:A
【クラススキル】
対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
騎乗:C
騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、
野獣ランクの獣は乗りこなせない。
【保有スキル】
軍略:A+
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具や対城宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具、対城宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
話術:B
言論にて人を動かせる才。
敵対者の警戒を解きほぐす手腕に長け、口頭での交渉に有利な補正が与えられる。
【宝具】
『黒き革命者(ゼロ)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
彼が謎のテロリスト「ゼロ」となる際に使用した仮面とマント。
仮面は眼にあたる部分が開く仕組みになっており、これを用いることで「ゼロ」として行動しながらであっても後述のギアスを使用することが可能となっている。
この宝具を装備している限り、マスター以外の存在から正体を推測されない。所謂「真名隠蔽」の効果を持つ。
但し、一度でも自身の真名を知られた相手には効果がなく、人伝や口頭でそれを又聞きした相手に対しても隠蔽効果は働かない。当然、ルーラーのサーヴァントにも同様である。
『群存せし騎人兵装(サザーランド)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1〜30 最大補足:1人/1〜50人
ブリタニアの主力KMF(ナイトメアフレーム)。コックピットの居住性の向上やランドスピナーの改良などによって、グラスゴー以上のスペックを有するが、武装はグラスゴーと同等程度。
黒の騎士団のトウキョウ租界侵攻の際に多数の機体が鹵獲され、緑色にリペイントのうえ同陣営側の戦力として使用された逸話より、彼の宝具として与えられた。
量産機である為戦闘能力はKMFにしてはそう高くないが、マスターから他のサーヴァント、果てにはNPCにまでライダーが許可した相手ならば誰にでも自在に操縦させることができる。
『絶対遵守の魔眼(ギアス)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:1〜1000人
C.C.によって発現した「絶対遵守の力」で、ルルーシュの「思い通りにならない世界を思い通りにしたい」という願いが具現化したもの。根本には「人と繋がりたい」という絆を求める思いも込められている。
発動の際には左目に紋様が浮かび上がる。特殊な光情報により、いかなる命令にも従わせることができる。
成功すればたとえ相手の身にどんなリスクがあろうと命令に沿った行動を強制できるが、一方で使用条件や性質に基づく幾つかの制限もある。
ギアスを使うには、対象と直接目を合わせなければならない。眼鏡程度の透過率なら問題はないが、直接左目の光情報を認識させなくてはならないため、バイザーなどの透過率の低いレンズでは効果がない。多数の対象に同時に行使する事も可能。
同じ対象にギアスを使用できるのは1回だけで、命令のキャンセルは不可能である。
ギアスを行使した相手に対しては再度命令を下すことができないが、ジェレミア・ゴットバルトのギアスキャンセラーでギアスを解除された場合には、再度ギアスを行使することが可能である。また、複数の行動を含む命令や、長期間に亘る行動を命令する事も可能。
意識的には実行できない行為も命令可能。「特定の出来事を忘れろ」など、普通は意図して行えない行為であっても命令する事ができる。しかし、瀕死の人物に対して「死ぬな」や、対象が知らない事を「答えろ」など、対象がそれを行う能力を持たない命令を下した場合は無効である。
ギアスを受けた対象は、行使された前後の記憶に欠損が生じる。ルルーシュの分析によれば、ギアスの力が大脳に介入したために起こる一種の副作用であるとのこと。
聖杯戦争に於いては、基本的に対魔力スキルのあるサーヴァント相手には効きが悪い。
マスター相手には遺憾なく使用可能であるが、「死ね」などの命令のみ通じないようになっている模様。
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『聖銘冠す砲塔騎人(ガウェイン)』
ランク:A、 種別:対城宝具 レンジ:1~50 最大補足:1人/1〜300人
どの世代にも属さない試作KMF。
全高はサザーランドの1.5倍ほどの大型KMFでKMFとしては最大級の火力を誇る。
ただし、巨体故に小回りが利かず格闘戦は不得意。電子解析システムの「ドルイドシステム」を搭載し、両肩に加粒子砲の一種「ハドロン砲」を装備する。その破壊力は1射で多数の目標を同時撃破可能。
また集束率の変更によって広範囲をなぎ払うなども可能であり、対地対空双方に秀でた使い勝手の良い兵器として猛威を振るった。また指先はスラッシュハーケンになっており、ワイヤー部分には切断能力を有する。
6枚の翼を持つフロートシステムによる飛行と、脚部に収納された大型のランドスピナーでの陸上移動が可能。
この機体のフロートシステムは、他機体のフロートユニットとは異なり、中空にホバリングした状態での高射砲台・指揮官機としての運用を前提に設計されている。
なおゲフィオンディスターバーの応用によりオリジナルにはないステルス機能も獲得した。
複雑なシステムを搭載しているため、1人だけでも操縦は可能だが、全性能を発揮することは困難な複座式のKMFとなっており、故に使用する際には指揮を行うルルーシュの他に操縦を行う存在を用意することが望ましい。
【weapon】
ニードルガン
竹とセラミックで作られた短針銃。
【人物背景】
黒髪と紫の瞳を持ち、容姿端麗。頭脳明晰で非常に優れた才覚を有する。神聖ブリタニア帝国の第11皇子・第17皇位継承者として生まれる。謎の少女C.C.から、他人に自分の命令を強制出来る、絶対遵守の力「ギアス」を与えられることになり、ルルーシュは仮面で素顔を隠して「ゼロ」と名乗り、自称正義の味方「黒の騎士団」を結成し日本の独立のため、ブリタニア帝国に対して戦いを挑み始めた。
【サーヴァントとしての願い】
どんな手段を使ってでも聖杯を手に入れる。
【基本戦術、方針、運用法】
真っ向切っての戦闘はなるだけ避け、最初の内はNPCやギアスで操った敵マスターを利用していく。
時と場合に応じて漁夫の利を狙うなど、あくまでも堅実に、しかし確実に戦果を挙げていくつもり。
【マスター】睦月@艦隊これくしょん(アニメ版)
【マスターとしての願い】
轟沈した如月の蘇生。
【weapon】
12cm単装砲、7.7mm機銃といった艦娘としての武装。
【能力・技能】
深海棲艦との戦闘経験。
【人物背景】
深海棲艦と唯一闘うことの出来る少女達、「艦娘」の一人。
睦月型一番艦で、軍艦としての種別は「駆逐艦」にあたる。
「W島攻略作戦」にて姉妹艦・如月を失っており、彼女にもう一度会いたいという願いから聖杯戦争へ招かれた。
【方針】
ルルーシュと共に勝ち上がっていく。戦術は彼に一存するが、自分も彼の役に立てるよう頑張りたい。
-
――嘘だ。
――嘘だ。
――嘘だ。
――――嘘だ!
少年――紫雲院素良は、光のみが満たす視界の中叫び続けていた。
そんな筈はない。そんなことはあってはならないのだと、見苦しい程に喚き、叫び散らしていた。
黙っていれば可愛らしい中性的な顔立ちは邪悪な色合いに染められ、最早見る影もない。
「嘘だ――……この、僕がッ!」
本来なら今頃、彼はいつも通りの飄々とした態度で仲間へ勝利を報告していた筈だった。
舞網チャンピオンシップの一回戦。敵はエクシーズ召喚の使い手だというが、所詮はスタンダード。ましてやその召喚法はかつて踏み潰し、蹂躙してやったものだ。負けるわけがない――そう高を括っていた。
デュエルが開始してすぐに、敵はその過去に蹂躙した次元世界の残党であることが判明したが、だからと言ってどうなるわけでもない。所詮は負け犬。狩られるだけの獲物であると信じていたのだ。
「僕が……エクシーズの負け犬なんかにッ!」
しかし、結果はどうだ。
大勢の観客が見守る前で、奴は自分の繰り出すモンスターを悉く撃破していった。
魔玩具の大熊も、獰猛な獅子も、鎖の羊も――奥の手であった結合魔獣さえも例外ではない。
なまじデュエルに対して深い知識があったことが、更に彼のプライドを傷つけた。
彼には分かってしまったのだ。自分は終始、あの男に手玉に取られていたのだと。
攻撃を仕掛けては躱され、返しの手でモンスターを破壊され。それを繰り返し、どんどん追い込まれていく屈辱感。
挙句自身の動揺さえ看破され、渾身の一手をも同じように破られ、敗北を喫した。
「もう一回だ……もう一回やれば、必ず僕が勝つ…………!!」
敗北後に意識を失い、気が付けばこの真っ白な空間にいた。
これが夢であると思い当たるのに時間はかからなかったが、彼の怒りと敗北感は未だ消えてなどいない。
どす黒い復讐の炎が燃えるのを感じる。そうだ。もう一度、もう一度戦えば必ず自分が勝つ筈なのだ。
「黒咲――――隼ッ…………!!」
自分に敗北の屈辱を与えた忌まわしき男。
エクシーズの残党。取るに足らない負け犬。
絶対に許すものかと息が荒くなる。噛み締めた奥歯が欠けそうだった。
目が覚めたら、もう一度黒咲隼を探そう。
そして奴と再戦し、――今度こそ、奴へ勝利して、物言わぬカードへ変えてやる!
激昂する素良。
だが、彼はやがてあることに気付く。
自分がいる一面真っ白の世界に、何か円盤状の物体が落ちているのだ。
所詮夢。なのに、どうしてか異様にそれが気になった。
「…………《Holy Grail Online》…………」
-
拾い上げ、ラベルに綴られたワードを呟いた途端。
彼の脳裏へと、天啓めいたものが流れ込んでくる。
――これだ。何故かは分からないが、しかし確かに“分かる”。
これが、自分に与えられた再起の機会であると。
誇り高きアカデミアの……融合次元の威光を知らしめ、猪口才な生き残りを完全に淘汰する為の鍵であると!
「く、ふふふ……あははははは!!
嬉しいなあ……僕はツイてるみたいだ! こんなに早く、奴らへ借りを返すことが出来るなんて!」
狂ったように叫ぶ姿に、少年期の面影などありはしない。
他者をゲーム感覚で狩猟する、そんな残酷な本性を曝け出しながら、彼は嗤う.
そして自分へこれを与えた何者かへと、大声で吼えた。
「――――いいよ、乗ってあげる……さあ、僕を導け! エクシーズの奴らを! 負け犬を! 一匹残らず狩り尽くす力を寄越せ! 僕は二度と負けないッ! お楽しみはァ、これからだ――――!!!」
◯ ●
チュートリアル。
そう名乗った機械的な音声から説明を受け、紫雲院素良は自分がこれから何をさせられるのかを理解した。
聖杯戦争。最後の一組まで勝ち残った主従のみが、あらゆる願いを叶える願望器・聖杯を手に入れられる――なるほど、なかなかどうして面白い趣向だ。勝ち上がることは容易ではないだろうが、今の自分ならば出来るという自信があった。
「――それで。君が僕のサーヴァントなんだね」
そこに居た“ソイツ”は、人間の姿形をしてはいなかった。
戦闘服のようなものへ身を包み、肌の色は白や桃色が所々に混在している。
極めつけが頭の角と尻尾だろう。人間では有り得ない特徴を二つも持っている――そして、素良にはすぐに分かった。
「ホッホッホ……そういうことになりますね。もっともこのわたしは、誰かに礼を尽くすつもりなどありませんが」
「構わないよ。堅苦しいのは好きじゃないし。……それに君を怒らせたら、幾ら僕でも手に負えなそうだ」
このサーヴァントは、間違いなく最強クラスの力を秘めている。
ただそこにいるだけでも伝わってくる猛烈な強者の気……強靭なデュエリストと相対した時のそれにも似ている。
もしも彼の逆鱗に触れるようなことがあればマスターの自分であれど只では済まないだろうが、手綱を引けている内は絶対に他のサーヴァントに遅れは取らないだろうと確信できた。
「なるほど。あなたは思ったよりも面白い方のようだ……宇宙の帝王たるわたしの実力を理解しながらもへりくだらないその態度、わたしの周りにはいなかったタイプですよ」
慇懃に笑うと、アーチャーのサーヴァント――フリーザはそう言って素良を評価した。
「ところで一つ聞いておきましょう。あなたは何を願ってこの聖杯戦争に参加したのです?
……ああ、心配しなくてもよろしいですよ。聖杯はサーヴァントとマスターがそれぞれ一度ずつ使用できる。
わたしの願いを叶えた後で、あなたの願いもしっかり叶えさせてあげましょう」
「そりゃどうも。僕の願いは――」
ポケットから棒付きのキャンディを取り出せば、それを口へ咥え――バリッ、と音を立てて噛み砕く。
-
表情の端々に邪悪さを滲ませて、己の願いを帝王へと吐露する。
「聖杯を元の世界へ持ち帰って、その力でちょこまか動き回る負け犬共を根絶やしにしてやること」
アカデミアの勢力は強大だ。
そこに聖杯の、あらゆる願いを叶える力が合わされば最早敵はないといっても過言ではないだろう。
持ち帰った聖杯をプロフェッサーへ献上し、盤石の体勢を整えた上で、……改めて黒咲と相対する。
絶対の力の差を見せつけた上で絶望させ、完膚なきまでに打ちのめした後で奴もカードへ変えてやるのだ。
それでエクシーズ次元は今度こそ滅亡。融合次元は一層強固になり、プロフェッサーの目的とやらの成就にも近付く。良いことづくめだ。多少のリスクを冒してでも、この戦争には挑んでやるだけの価値がある。
「それは良い願いですね」
「でしょ? 雑魚を狩るハンティングゲームってのはやめられないよね」
「ええ。わたしにも経験がありますよ。用済みになった連中を一網打尽にする、美しい花火をあげたことがね……」
紫雲院素良とアーチャー・フリーザ。
彼らには一つの共通点が存在した。
それは、過去に敵を虐殺にも等しい武力で制圧した経験があること。
そして、その行為に悦楽にも似た感情を覚えていること。
冷酷・残忍。にも関わらず真っ当な実力をも備えた二人。
名実ともに――紛れもなく、“最悪”の名に相応しいであろう契約が、ここに成った。
【クラス】アーチャー
【真名】フリーザ
【出典】ドラゴンボールZ
【性別】男性
【属性】混沌・悪
【パラメーター】
筋力:B+ 耐久:B+ 敏捷:B+ 魔力:A+ 幸運:C 宝具:A
【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
単独行動:E-
マスターからの魔力供給を断ってもわずかなら自立できる能力。
ランクE-ならば、マスターを失っても最大30ターン現界可能。
【保有スキル】
異星人:A
異星人としての常識離れした戦闘能力。
紫色のエネルギー弾を自在に操ることが出来る。
もしも聖杯戦争の舞台でなければ一個の惑星を消し飛ばす程の芸当すら可能である。
カリスマ:D
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である。
【宝具】
『形態変化』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
魔力を消費することで変身を行い、ステータスの底上げされた形態へと姿を変える宝具。
その戦闘力は天井知らずの勢いで上昇していき、最終形態ともなればそこなサーヴァントでは最早太刀打ちできない域に達する。しかし、その分マスターである素良の魔力を大量に消費するため、そうなった場合長期戦は得策ではない。
【weapon】
前述した「異星人」スキルによるエネルギー弾や自身の肉体。
【人物背景】
宇宙の帝王と恐れられる宇宙人。
数多くの部下を従えて環境の良い惑星の生命体を絶滅させ、自らのコレクションとしたり、他の異星人に売り飛ばす星の地上げ行為などの悪事を行っていた。破壊し尽くした星を除いても、支配している惑星は数百を越える。
サイヤ人を含め、支配下に置いた惑星の住人は部下として徹底的に働かせ、星を攻める際には傭兵のように使っていた。ただし乱暴な力によって支配しているだけで、特に会社のような組織というわけではない。
ナメック星での戦闘によって孫悟空に敗北、死亡したと思われていたがサイボーグ化して再登場。しかしトランクスに体を一刀両断された挙句切り刻まれ、エネルギー波で完全に消滅させられた。
【サーヴァントとしての願い】
現実世界へ再臨し、孫悟空及びトランクスを抹殺する。
【基本戦術、方針、運用法】
敵サーヴァントとマスターを倒し、潰していく。
同盟関係などについては一考するが、利用価値がなくなればその場で切る。
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【マスター】紫雲院素良@遊戯王ARC-V
【マスターとしての願い】
聖杯を融合次元へ持ち帰り、黒咲隼への雪辱を果たす
【weapon】
デュエリストの魂たるデッキ。
『ファーニマル』『デストーイ』と名の付くモンスターを召喚して戦闘を行う。
【能力・技能】
デュエリストとしてのスキル、またデュエリスト特有の優れた身体能力。
【人物背景】
青い髪が特徴の少年で、その愛らしい容姿から女性陣に人気。
甘いお菓子が好きで、常に飴やチョコレートといった菓子類を食べている。基本的には無邪気な性格だが、時折鋭い洞察力を見せる他、人を見下すような発言をして周囲の反感を買うこともある。
LDS入塾を考えていたが、たまたま訪れていた榊遊矢がペンデュラム召喚を披露して沢渡シンゴを破ったことで、「面白い方がいい」という理由から遊矢が属する遊勝塾に入塾する。遊矢を師匠にしようとしてその度にあしらわれてもしつこく追い回し、遊矢とのデュエルに勝ったら弟子として認めてもらうという条件でデュエル。
そのデュエルには敗れたものの、「師弟がダメなら友達で」と切り替えて今に至る。それまでは遊矢のことを「師匠」と呼んでいたが、この時から「遊矢」と呼ぶようになった。
彼の正体は融合次元・デュエルアカデミアのデュエリスト。
エクシーズ次元の残党である黒咲隼と舞網チャンピオンシップ一回戦にて激突するが、RR-ライズ・ファルコンと魔法・罠を巧みに使う戦法に翻弄され、動揺を看破されたことで本性を露わにする。
【方針】
敵を倒す。
臨機応変に立ち回り、場合によっては誰かへ取り入るのも視野。
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投下終了です。
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新企画立て乙です
いくつか窺いたいのですが
まず召喚するサーヴァントもデータ上の存在(英霊の座による知識を持たない)のでしょうか?
つぎに優れたウィザードや、電脳限定でMPを保持している者などは魔力面で優れるマスターと書いても大丈夫でしょうか?
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質問ありがとうございます。
召喚するサーヴァントについては版権作品の知識を持っているというのもアレですので、データ上の存在と認識でOKです。
後者のご質問については問題ありません。
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投下します。
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青い空に白い雲、青い海に白い波。これぞまさに南の島!という楽園のような光景が広がっている。
ここは世界的なリゾート地、ジャバウォック島。ウサミというぬいぐるみ?に突然連れてこられて参加者同士絆を深めろという企画……どっきどき修学旅行。
船も飛行機も迎えも連絡手段もなく、生活に必要な物資はあるけど……殆ど娯楽のないこの島で数少ない楽しみといえば
「お、育ちきったね。今回は……ゴリミかぁ」
歩数に応じて成長する電子ペットと
「それじゃあ回してみようか」
育てたペットの種類に応じて手に入るメダルで回せるガチャガチャ、モノモノヤシーンくらい。さて、今回は何が出るか……
「あれ、これは初めて見るな」
出てきたのは文字の刻まれたディスク。
用途もわからぬものが出てきて、どうせならもっと強い希望を感じさせてくれる物がよかった、などと考え弄んでいると
「……ディスクが、光っ――――?」
◇ ◇ ◇
「狛枝のアバタ―が消失した?おいどういうことだ説明しろ苗木」
「モノモノヤシーンをやっていたところまではログが残っているけど……どうなったかわかる?アルターエゴ」
「えっと、モノモノヤシーンで引いた端末を操作して偶然どこかにハッキングしちゃったみたい……そんなもの入っているはずないし、ジャバウォック島の外に回線は繋がってないはずなのに……どこに行ったかはわからないや……ごめんねぇ」
◇ ◇ ◇
「聖杯戦争、ねぇ」
わけのわからないところに飛ばされて意味不明な説明を受けた。
あのヒースクリフという男もウサミの仲間なのかと最初は思ったが、どうやら別の催しに巻き込まれてしまったらしいことには納得するざるを得ない。
そのルールの一つ、刻まれ始めた令呪を眺め一人ごちる。
「しかしこのデザインはいただけないなぁ」
左手の甲に描かれた666という三画の文字……獣の数字、悪魔の暗示。
「まるでボクの左手が絶望を宿しているみたいじゃないか」
いくらボクが劣等生でも絶望呼ばわりは勘弁してほしいなぁ、などとぼやく。
「オレが普通に勝負できるんだ。魔力量に関しちゃ胸張っていいぜ」
「そんな!僕なんて幸運には自信があるけど、それ以外は誇るようなものは何もないゴミクズだよ?魔力なんて……」
森の中で座り込み、話す二人。
自虐的な台詞を吐く狛枝の向かいに座る、猿のような尾を生やした男……バーサーカーのサーヴァントはニヤリと笑みを返す。
燃費の悪い自分を容易く行使しておいて、面白い冗談だとでも捉えたか。
それでも狂戦士のクラスと己の特性上、少しでもマスターの負荷を減らそうとしたか、はたまた己が趣向か並んで食事を摂っている。
狛枝はモノモノヤシーンで当て、ポケットに入っていた希望の乾パンを。
バーサーカーは、先ほど襲撃してきた敵マスターの亡骸を。
魂喰いどころではない所業を目前にしてなお狛枝は平然としている。
それは間接的にとは言え自分如きに敗れたものに関心を持てないのか。はたまた殺人も人食いも必要ならば罪と見ることはないのか。
当然と言うべくか、僅かながらサーヴァントの残骸も喰われている。
彼のサーヴァントによる襲撃は悪いものではなかった。
狛枝が殺し合いに巻き込まれるという不運をその身に受けた直後でなければ、その刃は首筋を貫いていたかもしれない。
だが、現実は幸運にも狛枝凪斗は木の根に躓いて投げられた短剣を躱し、直後にバーサーカーの一撃で敵は戦闘不能に、そして糧となった。
-
「ふう、ご馳走さん。腹と魔力の足しにはなった。さて、マスターよ。
早速の戦闘で碌に話もできてねえ、改めてだ。オレはバーダック、バーサーカーのサーヴァントだ」
「よろしく、ボクは狛枝凪斗だよ。幸運以外何の取り柄もない一高校生さ。
いきなりで申し訳ないんだけど、キミがどんな英霊か教えてもらえないかな?
無学で蒙昧な僕はキミの真名に聞き覚えがなくて……バーサーカーなのにこうして話しているのもキミの才能なのかな?」
超高校級をも超えうる伝説の英霊。マスターとしての眼力で垣間見えるスキル、そして宝具、才覚。
先の戦闘では僅かとはいえ飛行能力や光弾など多彩な才も見せた男に胸躍らせる。
「オレはお前の居た星とは違う所の英霊でね。そりゃ知らないのも当然だ。
生まれは惑星ベジータ、闘争を生業にする戦闘民族サイヤ人。技は……まあ説明するより見せた方が早いだろう、闘いの中で順繰りに見せてやるさ。
生前なら、その気になれば星の一つくらいなら吹き飛ばせたろうが、サーヴァントにオミットされた以上そこまではいかんな。
意思疎通も能力と言えば能力だ。宇宙人の中にはエネルギーの消費を避けるために戦闘時にのみ変身して全力を出す種族がいる。
俺たちサイヤ人もそうだ。変身した場合にバーサーカーとして全力を発揮することになる」
「へえ、つまりキミはまだ本気を見せてはいないんだね…?」
見えるステータスは決して低いものではない。
先のサーヴァントも三下というほど劣悪なものには見えなかったが、それを容易く撃退した。
……にも関わらずこのサーヴァントは全力を出していない。
「すばらしいよ!!」
嬌声染みた感嘆の声を上げる才能マニア。
「キミはとても優れたサーヴァントだね。狂化抜きで十分に秀でたステータス、遠近に優れた技能、圧倒的な自信、魔力消費もボク程度でも十分なくらいだ。
一体何を願って聖杯戦争に?それだけの力を持ちながらいったいどんな未練があるのか?
ボクのような愚鈍な存在には英霊の願いなんて想像もつかないや」
「ねえよ、願いなんざ。聖杯もどうでもいい。やり損ねた奴はいるが今更昔の事なんざ拘るようなことでもねえ。
……闘い。俺はただやり合いに来たのさ。強い奴とやり合えればそれでいい」
互いに狂気じみた笑みを交わす。
闘争という手段のためなら、目的など何でもいいというサーヴァント。
対するは…
「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!
万能の願望器を手にできるだけの力と機会を手にして何も願わない!なんて謙虚で無欲なんだ!
……それもまた素晴らしいね。でも個人的には、聖杯という希望のために全力で鎬を削る希望の姿も見てみたいかな。それなら、踏み台になり甲斐もある」
希望を目にするという目的のためなら、手段など何でもいいというマスター。
「フン、お前も聖杯なんてどうでもいいクチか。しかし踏み台だと?オレの邪魔をするなら容赦はせんぞ?」
「ああ、安心してよ。キミもまたボクにとっては大いなる希望の一つだ。ただ、より輝く希望をボクは見たいだけなんだからさ」
紛れもない、狂戦士と狂信者のやりとり。
きっと彼らはこの聖杯戦争における最狂の主従の一角だろう。
-
【クラス】
バーサーカー
【真名】
バーダック@ドラゴンボール
【パラメータ】
筋力A 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運D- 宝具A++
(狂化による上昇を除く)
【属性】
混沌・中庸(狂)
【クラス別スキル】
狂化:E+++
理性と引き換えにステータスを上昇させる。
全開時では闘争本能にのまれ、かろうじて味方の判別ができるかどうか。微弱なら意思疎通に問題はないが、ステータス上昇の恩恵はほとんどなく、また戦闘に夢中になりそれ以外のことはおざなりになる。いわゆる軽い興奮状態。
ただし、宝具『月が真円を描くとき』によって限定的にしか効果を発揮せず、通常の意思疎通および魔力消費も可能としている。
【保有スキル】
異形:E++
尻尾が生えている、地球の人類とは異なる姿。
数多の星を蹂躙したサイヤ人の逸話より、敵の陣地や拠点、工房などの攻略時に有利な判定を得られるが、英雄として召喚されたためその効果は小さい。
宝具『月が真円を描くとき』発動中は大猿に変身するためランクが上昇、獣性が解放されるためその本来の性能が発揮される。
戦闘続行:A
不屈の闘志と頑健な肉体。
瀕死の傷であっても戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り勝利を諦めることはない。
その精神性にも影響を受けているため、狂化のランクに応じてランクダウンする。狂化を全開してもそれなりに効果を発揮する。
勇猛:B
威圧・混乱・幻惑などの精神干渉を無効化する能力。また格闘ダメージを向上させる効果もある。
精神的なもののため、狂化のランクに応じてランクダウンする。狂化を全開するともはや効果を発揮しない。
心眼(真):C
実戦経験によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
知性が必要になるため、狂化のランクに応じてランクダウンする。狂化を全開するともはや効果を発揮しない。
魔力放出(気):C+
魔力ではなく気を扱う技術。そのため対魔力の影響は受けない。
通常の魔力放出のように肉体に纏う他、エネルギー弾として放つ、バリアの展開、舞空術などが可能。
戦闘力(ステータス)のコントロールや探知など精密な技術は習得していないが、戦闘手段としては十分な技能である。
ある程度の戦闘技術が必要なため、高ランクの狂化中は一部の技が使えない。
未来視:―
カノッサ星人により与えられた予知夢の能力。
滅びの未来に抗おうとしていたが、その未来を我が子に託したことでこのスキルは失われた。
【宝具】
『月が真円を描くとき(トゥルース・サイヤパワー)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:1人
全てのサイヤ人が共通して持つ宝具。サイヤ人の獣性、凶暴性を開放する。
生前から通常時は人間態で消耗を抑え、文明の利器を扱う為に闘争本能を抑えていたため、狂化を無効化できる。
真名解放の必要はない、というより制御不能であり、満月を目にすると尻尾に反応して大猿へと姿を変える、変えてしまう。
そのため尻尾がなければ発動しない、いうなれば尻尾こそがこの宝具といえる。
尻尾を切られた場合大猿化はできなくなるが、狂化を抑えることは可能。そのうちまた生えてくる=治るので、マスターからの魔力供給や回復魔術などによって再生は容易。
発動中は狂化によるものも含めて筋力、耐久を2ランク、魔力と幸運を1ランク上昇させるが、巨体のため敏捷は3ランクダウンする。
大猿の姿で他の宝具を扱うことはできず、また魔力放出(気)も口からのエネルギー波と舞空術程度しか使えない。
発動に必要なのは正確には1700万ゼノを超えるブルーツ波という特殊な光であり、これを目にできるなら三日月でも月以外の星でも何らかの装置や魔術、宝具でも構わない。
『はじけて混ざれ!(ライクアフルムーン)』
ランク:E 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
サイヤ人の中でも一部の戦士のみが放つ、酸素とパワーボールを混ぜて擬似満月を作る宝具。
本来はエリートや王族のみが扱う技だが、『サイヤ人』といえば満月に応じて姿を変えるものであるとされているため、英霊となったサイヤ人の大多数がこの宝具を持つ。
この宝具自体に攻撃性能や実害はないが、昼日中でも新月の夜でも擬似的に満月を呼び出し『月が真円を描くとき』を発動できる。
維持時間は込めた魔力量にもよるが、通常1〜2時間程度。人口満月が破壊されても大猿の姿を数分は保つことが可能。
-
『たったひとりの最終決戦(ファイナルスピリッツキャノン)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:100人
魔力放出(気)を極めたバーダック究極の一。生前フリーザに向けて放った自身の奥義。右掌にエネルギーを収束させ、青い弾丸として放つ。
発射時には受けた敵の攻撃や移動阻害、能力減退に対する抵抗判定において有利な補正を受け、さらに攻撃判定回数を+1できる。
『1000年に一人の黄金戦士(超サイヤ人)』
ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人
穏やかで純粋な心を持つサイヤ人が強い怒りや悲しみによって覚醒した姿。
頭髪は黄金に瞳は碧眼に染まり、膨大な気が意識せずとも濃霧のように体を覆っている。
最低ランクだが狂化も効果を発揮し、幸運と魔力を除くステータスを4ランク上昇させる。
魔力放出(気)と『たったひとりの最終決戦』の威力も2ランク上昇するが、当然魔力消費もそれに応じて大きく増す。
【weapon】
『戦闘服』
ツフル人の優れた科学技術によって作られたバトルジャケット。
彼が身に着けているのは旧式の肩当てがないタイプだが、防御性能は最新のものに劣らない。物理攻撃のダメージを減少させる。
また伸展性にも富んでおり、大猿になっても破れない。魔力消費で修復可能。
『血染めのバンダナ』
戦友トーマと己の血によって染まったバンダナ。誇りと友情、なにより決意の証である。
平常時は当然頭に巻いているが、大猿になると破れてしまうのでいったん送還するか、戦闘服の懐にしまうことになる。
特に神秘的加護などはないが、これさえあれば狂化しても仲間を見失うことはない……はず。
もしかするとブロリーが地球人に培養されたように、何らかの科学や魔術に利用できるかもしれない。
【人物背景】
サイヤ人のひとり。その勇猛さは同族の中でも知られていた。
家族構成は妻ギネ、長男ラディッツ、二男カカロットとなっている。
鋭い目つきに純血サイヤ人特有の黒髪が四方八方にはねた容姿。振る舞いは粗暴で息子に対する愛情も薄いが、仲間思いではある。
下級戦士の出だが、後述するサイヤ人の特性とそれに伴う戦闘経験により大きく力を増し、一部のエリート戦士をしのぐ力を手にした。
仲間たち4人が全く敵わなかったフリーザ軍兵士を一撃で葬るパワフルさ、数十人のフリーザ軍兵士の攻撃をいなしたり同士討ちを誘発したりするなどテクニカルな戦闘スタイル、瀕死の重傷を負った状態でも阿修羅のごとき拳を振るう精神力など、戦歴に裏付けられた高い戦闘能力を持つ。
生前はフリーザに雇われ星の地上げを行っていたが、仲間とともに侵略していた惑星カナッサの民によって予知夢の能力を得て、フリーザが故郷惑星ベジータを破壊するビジョンを予見する。
そのためフリーザに疑心を持ち、仲間の死をきっかけに反旗を翻す。この時に同族たちに説得を試みるも真に受けてもらえず、単身決戦に臨む。
満身創痍になりながらもフリーザ軍を振り払い、決死の一撃を放つもフリーザに敗れ、惑星ベジータは滅びた。
その時に受けた星をも砕くエネルギーの余波で1000年前の惑星ベジータ(当時の惑星プラント)に跳ぶ。
惑星プラントの先住民族、ベリーと接するうちに次第に穏やかになっていった。
そんな惑星プラントを襲撃したフリーザの祖先チルドをフリーザと勘違いして戦うも歯が立たず、無力な自分への怒り、故郷と仲間を滅ぼしたフリーザへの復讐心、ベリーを傷つけられた怒りによって超サイヤ人に覚醒。チルドを撃退し、去っていった。
死に際のチルドは一族に「金色に変化するサイヤ人に気をつけろ」と遺しており、それが超サイヤ人伝説始まりのきっかけとなった。
-
【キーワード】
・サイヤ人
惑星ベジータを故郷に、宇宙を駆け巡る戦闘民族。その恐ろしさは宇宙でも有名な侵略者にして略奪者。他の惑星の民族を絶滅させて星を売ることを生業としている。
階級社会であり、王ベジータをトップに生まれた時の戦闘力によってエリート、下級戦士に区別される。
下級戦士の中でも弱い者は戦闘力の低い星に追いやられそこの民を滅ぼす任を与えられる。
外観は尻尾が生えている、純血のサイヤ人は黒髪しかいないという点以外地球人類と大きな相違はないが、様々な面で戦闘のために頑健に進化している。
-40℃でも50℃でも、4分の1気圧でも、10Gでも活動し、異星人を喰らう、7日間完徹で鍛錬をする、四肢を砕かれ胸に穴が開いても戦い続けるなど並外れた環境適応力、タフさがそれにあたる。
尻尾を握られると力が抜ける、瀕死の状態から復活すると大きく力を増すという体質もあるが、バーダック含む大多数のサイヤ人は鍛錬により弱点を克服しているし、またすでに死んで英霊となっているため傷を癒しても力を増すことはない。ちなみに尻尾は自らの意思で切り離すことも可能。
種族として知能はそこまで優れているわけではなく、用いている様々な技術は先住民族から奪ったもので、侵略や売買する惑星はフリーザの指示で決めていた。
一部で1000年に一度現れる最強の戦士超サイヤ人の伝説があり、おとぎ話程度の疑念と畏敬を集めていた。
その伝説を警戒したフリーザによって数人の男子を除いて故郷ごと滅ぼされた。
余談だが、バーダックをはじめとするサイヤ人の下級戦士は顔の種類が少なくターレス、カカロット、また孫悟天など似通ったものが多い。
そのため外観や振る舞いから真名を看破するのは難しいかもしれない。
・ツフル人
惑星ベジータの先住民族で、サイヤ人と逆を行く知的民族。恐らくバーダックが惑星プラントで出会ったベリー達はその祖先。
サイヤ人にその技術、住む星、そして命も奪われ絶滅した。
サイヤ人たちの用いるスカウター、メディカルマシーン、戦闘服などは彼らの技術がベースになっている。
これらのオーバーテクノロジーを一応は使いこなすサイヤ人は、技術や物を作る面はイマイチだが、既存の技術への順応は優れているのだろう。
バーダックもスカウターは愛用していたが、道具=知性の真逆をいくバーサーカーとして召喚されたためか今回は装備していない。
アーチャーやライダーなど別のクラスでなら持ち込めたかもしれないが、それでもそれらを扱った知識は健在である。
惑星間の通信もできない携帯電話程度、彼にとってはローテク過ぎて簡単に使いこなせる代物だろう。
【サーヴァントとしての願い】
なし。サイヤ人らしく、英雄らしくただ純粋に強者との闘いを求めてきた。
【基本戦術、方針、運用法】
人間態でのインファイトが中心となる。魔力放出(気)による中〜遠距離戦も可能だが、魔力消耗が大きくなるためなるべく殴り合いで行くのが賢い。が、本人は加減する気などない。
宝具はバーサーカーらしくすべて燃費が悪い。
『月が真円を描くとき(トゥルース・サイヤパワー)』はキャスターが神殿クラスの陣地を作成していたなら有効だろうが、それ以外では使用は避けたい。
巨大化して目立ち、敵を引き寄せてしまうのに加えルーラーにも目をつけられかねない。
むろん、人間態で勝てない相手に発動するのはやむなしだが。満月の下歩いて誤発動なんて馬鹿な真似は絶対に避ける。
『はじけて混ざれ!(ライクアフルムーン)』は地味な効果のくせに消耗が激しい。これを撃ち、さらに大猿化などマスターが魔力消費でヤバイ。十数分持てばいいところ。先述のとおり使用もやむなしということもあるだろうが。
『1000年に一人の黄金戦士(超サイヤ人)』はそれをさらに上回る消耗。接近戦でも、魔力放出(気)による中〜遠距離戦も敵なしになるだろうが全力戦闘すれば数分でマスターが枯れる、最悪死ぬ。
『たったひとりの最終決戦(ファイナルスピリッツキャノン)』も一度の戦闘で2〜3発が限界。ビームの打ち合いになったらこれで対抗する、一応切り札。
近〜遠距離、空中戦、陣地攻略など戦闘で不得意分野は存在せず、宇宙船などのオーバーテクノロジーも容易く扱う、性能だけ見れば当たりの部類。
ただ理性を保っていても、それが知的な振る舞いにつながるかと言えば否で、戦闘狂がたたって勝手に戦闘に飛び込んだり、勝てそうにない相手に挑んだりとなまじ意思疎通ができるだけたちが悪い。
燃費最悪、言うことあまり聞かないと喋れるけど普通にバーサーカー。
魂喰いどころか肉体まで食って魔力補給するレベルの悪食を生かし、魔力を蓄えれば優勝候補に躍り出るはずだ。
何度でもいうが、燃費は最悪なので脱落原因の筆頭候補はマスターが枯れて死ぬことだろう。
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【マスターステータス】
【名前】
狛枝凪斗@スーパーダンガンロンパ2
【参加方法】
モノモノヤシーンからHGOのディスクが出てきて参戦してしまった。
【マスターとしての願い】
聖杯戦争の過程でより強く輝く希望を見る。聖杯にはあまり興味がないつもり。
【能力・技能】
自身を幸運以外誇るところのないゴミクズと自虐するが、推理力・洞察力に優れている。
知識も豊富であり、作中ではとんでもない仕掛けのブービートラップを作り、多くの登場人物およびゲームをプレイした者を絶望させた。
・幸運EX
超高校級の幸運。不運の引き換えに幸運が、幸運の引き換えに不運が訪れるプラマイゼロの幸運。
不運が大きいほど幸運も大きなものが訪れる。逆もまたしかり。幸運だが、幸福とは限らない。いつか必ず訪れる揺り戻しは良くも悪くも幸運EX
・新世界■■■■■
超高校級の■■のために作られた■■■■■
狛枝はそこにいた、いわゆるアイランドモードからの参戦。
アルターエゴという優れたウィザードのバックアップを受けている状態のため、電脳上に限り相応の魔力供給が可能。
・左手
超高校級の■■、■■■■■の■■を■■したと言われる。
真偽は不明だが、彼の左手は■■■だった。
令呪はこの左手に浮かんでおり、666という数字を象っている。
【weapon】
なし。しいて言うならゴミクズのような自身の唯一の才能、幸運。
【人物背景】
超高校級の才能の持ち主のみが入学を許可される希望ヶ峰学園に抽選枠である「超高校級の幸運」として招待された少年。
これは他の候補生と違い才能が買われたためでなく、完全にランダムの枠に幸運にも選ばれたものである。
性格はのんきでマイペース。驚異的なポジティブシンキングで、どんな状況でも「絶対的な希望」を信じ、自身の持つ「超高校級の幸運」に関しては絶対の自信を持つ。
その反面、自身のことは優れた才能を持つ者と比べると「所詮ただの幸運」とネガティブに低く評価し、極めて自虐的で卑屈な態度をとる。
しかしその幸運はバカにできたものではなく、生まれついてすさまじい強運をもつ。
不運にも飛行機テロに合った。しかし幸運にも隕石が落ちてきてテロリストは死んだ。
しかし不運にも隕石のせいで飛行機は墜落し、両親含む乗客は自分以外全滅した。
しかし幸運にも両親の遺産が一生食うには困らないだけ転がり込んだ。
しかし不運にも遺産目当ての誘拐にあった。
幸運にも逃げ出せたが、不運にも逃げついた先はゴミ箱の中。
そのゴミ箱の中で握りしめていたゴミが幸運にも当たりの宝くじであり、さらに金銭面には困らなくなった。
制御の難しい自らの才能に翻弄され続ける人生を過ごしていたため、「絶対的な希望」に対して異様な執着を見せるなどその価値観には少なからぬ歪みがある。
どんな不運も乗り越えれば幸運が必ず待っている=絶望を乗り越えた先にはより強い希望があると信じ、また生まれ持った才覚である幸運を乗り越えられるのは同じく生まれ持った才覚のみであると信仰するようになっており、いわゆる才能至上主義者、本人風にいうなら「超高校級の超高校級マニア」である。
そのため才能を持ち合わせない者には冷たく当たり、才能ある者に対しては極めて自虐的に接する。そしてより強い希望を見るためなら一切の犠牲を考慮しない。自身の命はもちろん他者の命の犠牲にすることもいとわない狂信者。
彼が召喚されたのは希望ヶ峰の卒業生が企画したどっきどき修学旅行の最中。
HGOのディスクを引き当て、聖杯戦争に参加し、バーダックという超高校級ならぬ超人類と出会ったのは幸運かはたまた不運か。
【方針】
希望の踏み台になるためなら手段は選ばない。
戦闘は完全にサーヴァントに任せ、希望の踏み台になってもらう。
なお、より強い希望を感じるものがあるなら他のサーヴァントに乗り換えることも当然厭わないだろう。
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以上で投下終了となります。
別企画からの再投下になりますので、何らかの形でここのルールとの齟齬などありましたら指摘お願いします。
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アトラス神に代わり天空を支えたヘラクレスが筋力A+ 耐久A 敏捷A 魔力A 幸運B なのに
宝具使えばそれを数ランクぶち抜くってバランスおかしくない?
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・タイプ・マァキュリー、タイプ・マーズなどの別の惑星の最強の存在があり、それは地球の成り立ちとは別の存在
・ガイアとしかり地球には意思が存在し、それは生命意思とも他の惑星の意思とも別物である
以上より、型月では地球の神話の存在であるヘラクレスの支えた天空とは宇宙全域ではなく地球のものである可能性が高い
・戦闘力約150の亀仙人がそれなりに消耗して、400のピッコロが容易く月を破壊。18000のベジータが地球を破壊できると豪語し、20000になれる悟空がそれを否定しなかった。戦闘力53万のフリーザは容易くに惑星ベジータを破壊している
・バーダックの戦闘力は10000越え、その後瀕死からの復活を遂げ大きく力を増している
・本編にて悟空は瀕死からの復活で戦闘力9万から300万まで上昇するなど、パワーアップの幅は凄まじいことがある
・超サイヤ人になるにはかなりの戦闘力(ベジータや悟飯の20万では不十分)が必要
以上より、バーダックは戦闘力2万は確実に超え、数十万に至る可能性もある(惑星を破壊できる)と推察できる
さらに大猿化すれば戦闘力は10倍、超サイヤ人なら50倍になるので、その形態なら間違いなく惑星を破壊できる
よってバーダックはパラメータだけならばヘラクレスと拮抗してもおかしくはないと考えます
加えて
・バーダックの物語はエイジ-1800の物語(本編のおよそ2000年前)である
・この時代にはサイヤ人は未だ存在せず、バーダックは惑星プラント最強の存在であり、また多くのオーバーテクノロジーの知識を持つ最知の存在でもある
・超サイヤ人というのはサイヤ人のみならず、宇宙に大きく根を広げたフリーザ一味なら多く知っている。地獄や大界王星(やっていることは英霊の座にかなり近い)での知名度はかなりのもの
以上より宇宙規模で知名度の高い神話級の英霊、またかつての惑星プラントにおけるアルティメット・ワン(タイプ・プラント)であるとも解釈できます
地球での霊格ならヘラクレスが圧倒的に勝るでしょうが、宇宙全域なら超サイヤ人が勝り、ここの舞台の電脳世界でならその差異はないはずです
そもそもサーヴァントとは英霊から大きく弱体化するものであり、サーヴァントとしてのパラメータで勝ったところで英霊としての優劣が決まるものではないと考えます
原作においてはガウェインがスキル聖者の数字により限定的とはいえパラメータを3倍にできる(宝具どころかスキルでヘラクレスを大きく超える)など、前例もあります
またパラメータで大きく劣るエミヤが技巧でヘラクレスとわたり合う等、パラメータなんて飾りです
流石にメディアみたいな近接戦の専門家じゃないサーヴァントに殴り負けたら首を傾げますが、エミヤやネロと互角に殴り合うくらいなら私は気にしません
採用の可否を決めるのは私ではないので、1氏がこれで駄目だというなら不採用になるだけでしょう
もちろん、当選にするけどバランス調整してくれと1氏からお達しがあれば従いますが
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お疲れ様です。投下します。
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あの日少年は兄を救う事が出来ず己の無力を痛感してしまった。
全ての電脳を支配し世界を闇に染める犯罪者達と戦いを続けてきた少年と兄。
一度は彼らの野望を打ち砕き世界から脅威は去り、彼らは英雄として讃えられた。
平和な生活を送ってきたが犯罪者達は再度結集し世界と電脳を手中に収めようとしていたのだ。
少年達は再び仲間と共に立ち上がり犯罪者達と世界のために戦ってきた。
そして犯罪者達のアジトを突き止め少年達は決着のために乗り込んだ。
電脳世界だけではなく現実世界にも危害を加えてくる犯罪者達、孤立する少年達。
一人、また一人数が減っていきながらも少年と兄は親玉の元へ辿り着いたのだ。
決着を着けるために少年は電脳世界に意識をリンクし――彼らは世界を救うことに成功した。
崩壊を始める電脳、意識を現実世界に戻すためには始まりの場所に元へ戻らなければならなかった。
道中を引き返す少年と兄、目の前に辿り着いた時、電脳のバグが少年を引きずり込まんと足掻き始める。
救ったのは兄、囚われたのは兄だった。
兄は少年を助けるためにその身を犠牲にしたのだ、そして告げる『ありがとう』と。
少年は拒んだ。嫌だ、別れたくない。『また』別れたくない、と。
されど現実は非常。バグは兄を飲み込み少年は現実世界へ意識を戻した。
救われたはずの少年の心には永遠の闇が蔓り太陽が昇ることはなく、深く深く……否。
少年は兄の分も生きなくてはならないのだ。
兄は二度目の死を迎えたが少年は生きている、託された者は夢を描く権利がある。
彼は変わった。一人で朝起きるようになり、宿題も毎日こなし……立派に成長していた。
だが……心に空いた穴は塞がらず……その時電脳世界でひとつの噂を手に入れた。
『願望の器『聖杯』を争う一つの噂』を。
最初は信じることが出来なかった、願いが叶う軌跡なんて存在しない、と。
ホーリーグレイル・ウォー……裏の世界≪インターネット≫にも書き込まれていた言葉。
とあるディスクを手にした者はこの世界から存在を消される都市伝説。
裏の掲示板で確信した、これは存在するゲーム。触れてはいけない禁忌の遊びだ。
少年は闇から世界を救った少年だ。こんな闇のゲームを潰す……普段ならそうしていた。
『願いが叶う』この言葉は少年の心に空いた穴を塞ぐように浸透し彼は決意した、参加すると。
参加の資格を得るために少年は必死に情報を集めた。
ネットナビがいない今、ハッキングを行うには自力で突破するしか無い。
彼の父親は世界を代表する科学者だが頼めば確実に止められるため頼ることは出来ない。
かつて悪の犯罪者だったとある店長に情報を求めるも拒まれた。
君が闇に染まる必要はない、考え直せ、止める。全てを拒まれた少年は店を後にする。
最後に辿り着いたのは好敵手とも呼べる存在の元だった。
彼は同じ小学生でありながら世界を守る国際組織に身を置いている、設備や情報なら一般人の遥か上をいく。
必死に頼み込むも少年は彼を拒んだ、『俺の知っているお前はこんな奴じゃない』無常にも言葉を吐き捨てる。
それでも彼は諦めずに頼み込むが少年は彼を殴り……それから彼らが言葉を交わす事は無かった。
少年は全ての可能性を絶たれ聖杯を諦めざるを得なかった。
元々在りもしない奇跡に縋るのが間違いであり少年は心を入れ替える、開いた穴を放置したまま。
そして少年が小学六年生に進学する前日。一つの荷物が送られてきた。
送り主は不明だが少年宛に送られた、何かのサプライズだと思い少年は箱を開ける。
そこには見たこともないノートパソコンが一つ。
もう一つが――聖杯戦争に参加する資格である『ディスク』が少年に送られていた。
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このディスクこそが聖杯戦争への片道切符。願いへの一方通行路線。
帰り道の保証は存在せず、そもそも列車が出発するかも怪しい都市伝説の聖遺物。
存在が消える――願いが叶う可能性があるなら賭けてみる価値は大いにある。
願いを叶える奇跡の戦争、その存在自体が奇跡であり参加の資格を得た時点で彼は幸福である。
言葉を変えれば選ばれた人間とも言えよう。世界を救った英雄に送られた賛辞かもしれない。
この資格を得るために少年は裏の世界を垣間見たのだ、今更退ける事も無ければ道理も理由も存在せずに。
ただ、ただ。思いを馳せ彼は聖杯戦争に臨むだろう。
ウラインターネットの掲示板には興味深い一文が書き込まれていた。
誰が書き込んだかは不明だがその書き振りはまるで総てを把握しているかのような振る舞い。
『聖杯戦争はパルストランスミッションのように現実世界ではなく電脳世界で行われる』
この一文が真なる事実であれば少年はこれから電脳世界に座を位置することになる。
それがどうした。
とある血戦の時、パルストランスミッションを行った科学者が少年の前で死んだ。
電脳世界での死は現実世界での死とリンクし仮初の理は真なる理と同化する。
聖杯戦争がパルストランスミッションと同じく電脳世界で行われるならば。
その空間で死ぬことは少年本来の人生に幕を降ろすことになるのだ。
彼はまだ幼い。それでもディスクを手に取る。逢いたいのだ、少年は逢いたい。
兄に。
そして彼は電脳の神に愛されたかは運命のみぞ知る。
招かれた聖杯戦争、参加した聖杯戦争。
彼の元にディスクを送りつけた存在の詳細は不明のままだ。
解ることは唯一つ。一人の少年が願いを叶えるために電脳世界へと消えた。
「……ん、ここは……?」
見知らな公園のベンチ、少年が気付いた時辺りは暗い夜の野外だった。
何故自分が寝ていた事も覚えておらず、それまでの行動も思い出せない。
場所も分からなければ時間も分からず少年は少し考え込む。
けれど答えは出て来なく、悩んでいてもしょうがないため歩き出す。
行き先は分からない。まずは人と出会い場所を聞く、それから後の先を考えればいい。
「……っ…………と…………」
声が聞こえる、それも聞いた事のある懐かしい声。
場所は見知らなぬが声は知っている。しかし何故この声が今聞こえてくるのか。
「……ね……っ……」
この声の持ち主を知っている、それも確実にだ。聞き間違える筈がないのだ。
だが理由が解らない、何故だ、何故この声が、この持ち主が此処に居るのか。
腕を見れば令呪と呼ばれる紋章が描かれている、奇跡が起きた。
「と……っ……ねっと」
そんな事は問題ない、少年はこの声が聞ければそれでいい。
もう一度。二度と名前を呼んで貰えるとは思ってもいなかった、奇跡に涙腺が緩む。
振り向けば君が居る。会いたかった彼が。聖杯に懸ける願いが叶ってしまう。
「熱斗!!」
「兄さん……彩斗兄さんッ!!」
そこには永遠の別れを告げた兄が確かに存在していた。
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全速力で熱斗は走る、その先には二度目の死を迎えた自分の兄である彩斗。
ロックマンと呼ばれるネットナビに再度転生を果たした兄が再び自分を迎えてくれた。
そのまま抱きついた熱斗は涙を流しながらその感覚を、彩斗の存在を感じていた。
ネットナビとして長い時間を共に過ごしていたが生の実体として触れ合うのはとても久しい。
この感覚を忘れたくない、永久に――熱斗の願いはこの瞬間叶っていた。
「僕も会えて嬉しい……嬉しいよ熱斗」
「うぅ……兄さん、俺……辛かった……」
「ごめんね熱斗……でも聖杯戦争に参加何て君は何をしているんだい?
パパやママには言ってないよね? ……僕が熱斗を守るよ、でもこれ以上無茶は駄目だからね」
聖杯戦争は遊びなどではない。『戦争』。その文字通りである。
参加をした熱斗に途中退場何て存在しなくこれから待っているのは血を流す戦争だけ。
彩斗は熱斗に辛い想いを味あわせたくは無く再び彼を守るために戦う決意をする。
「ごめんなさい兄さん……でも俺も戦う……俺だって兄さんのマスターだ……逃げるわけにはいかない!」
「熱斗……分かった。なら僕も再びロックマンとして君と一緒に戦う……よろしくね! 熱斗くん!!」
この言葉が熱斗を再びネットバトラーとして覚醒させる。
この電脳は自分も一緒だ、もうロックマン一人を危険に遭わせる必要がない。
出来る、今度は一緒に。もう一度兄さんと一緒に戦える。
「よろしくなロックマン! やるからには頂点を目指そうぜ!」
「もちろんだよ熱斗くん! ルールは解るよね?」
「ああ! 誰も死なせないし悲しませない。生きてみんなで帰ろうぜ!」
願いが叶った少年は前を向く。
その行き先は頂点、兄さんとなら何処までだって進める、誰にも止められない。
この思い――兄弟の絆は誰にも断ち切れない。
不殺全員生存生還大円団。
彼らが目指す道は闇に覆われているだろう。
参加者の多くは願いを求めているのだ。それを止める?
みんなで帰る? 誰も死なせない?
夢だけ見た小僧共が笑わせる、此処は有り得ない夢を求めた愚者が集まる聖杯戦争。
遊びは帰れ、邪魔だ、死ね。
血が流れるは常識、笑いは不可思議、理想は駄弁。
力こそが総て、最後の一人こそが理であり現実。
その理想――追い求める方が愚者である。
【マスター】
光熱斗@ロックマンエグゼ3
【参加方法】
ハッキングを行い自らの意思で参加(ディスクは何処からか送られてきた)
【マスターとしての願い】ロックマンと共に優勝を目指す。願いはそれまでに決める。
【weapon】
ペット
PErsonal Terminal(パーソナルターミナル)の略で、いわゆる携帯情報端末。
普段はネットナビが入っているのだが聖杯戦争ではロックマンがサーヴァントのため中にナビはいない。
宝具の連携でバトルチップの転送やナビカスを起動することにより戦闘をサポートする。
【能力・技能】
小学六年生の少年に特別な力はない。だが人一倍の勇気と類稀なるバスティング能力を持っている。
少年ながらロックマン共に何度も電脳世界と現実世界を救ってきた。
【人物背景】
科学者の父を持ち双子の兄がいたが心臓病で他界してしまう。後にネットナビであるロックマンが兄の人格データを受け継いでいると知る。
悪の組織であるWWWや秘密結社ゴスペルと戦いながら何度も世界を救い、その存在は英雄として讃えられている。
【方針】
ロックマンと共に優勝(ゲームの意味合い)を目指す。
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【クラス】
アーチャー
【真名】
光彩斗@ロックマンエグゼシリーズ
【パラメータ】
筋力D+ 耐久D 敏捷C+ 魔力C 幸運C 宝具A+
【属性】
秩序・善
【クラス別スキル】
対魔力:E
魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。
【保有スキル】
連携攻撃:C
複数人による攻撃に長けていることを示す能力。他の人物と同時に行う攻撃判定に有利な修正を得る。
魔力放出:C
武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。
心眼(真):D
修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
ラーニング:EX
戦闘において撃破した相手の有用なスキル及び技を自分の物にする。その媒体はバトルチップ。また、共鳴を超す場合もある。
【宝具】
『永遠に断ち切れぬ兄弟の絆(バトルオペレーション)』
ランク:E〜A+ 種別:対軍宝具 レンジ:??? 最大捕捉:???
兄弟の絆を限界まで同調させた宝具。
その能力はマスターの持つPETを通してサーヴァントに武器や癒やしを供給する。
バトルチップの種類によってランクが変わり攻撃、回復、守りなど多様な戦術を可能にする。
宝具のランクが上がる程実体にラグが発生する。
またマスターとフルシンクロと呼ばれる同調状態になってしまった場合は受けたダメージがマスターにも連動する危険がある。
『電脳にて培った戦闘の記憶(スタイルチェンジ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
戦闘の積み重ねで得た経験を元に己の姿を具現化する宝具。
変身するスタイルは以下の通り派生する。
『ヒートガッツ』…攻撃に特化したスタイル。筋力のランクが一段階上昇し炎の属性を操ることが出来る。
『アクアカスタム』…戦術に特化したスタイル。宝具による魔力減少を普段よりも少くする事が可能となり直感:Dを得る。水属性の力を得る。
『エレキブラザー』…思い出に馳せるスタイル。幸運のランクが一段階上昇し電気属性を帯びた攻撃が可能になる。
『ウッドシールド』…防衛に特化したスタイル。耐久が一段階上昇。シールドで相手の攻撃を軽減、無効、跳ね返すことが可能。木枯らしを発生させることも可能。
『エレキグラウンド』…大地の恩恵を受けるスタイル。耐久が一段階上昇。全ての地形で全力を出し切ることが可能となる。電気属性を帯びた攻撃が可能になる。
『ヒートシャドー』…暗殺に特化したスタイル。敏捷が一段階上昇し気配遮断:Dを得る。空中を蹴ること、カワリミが可能になり炎の力を得る。
『戦場の果てに共鳴する魂(ソウルユニゾン)』
ランク:B 種別:共鳴宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
心の優しい兄弟の愛を体現した宝具。
マスター、サーヴァント問わず戦いを通して共鳴した相手の力を自分の物にする力。
共鳴すると己の姿も相手を意識した姿になり一部力が開放される。
その名称は共鳴を果たした存在の名前となる。(例:エミヤソウルなど)
ただし、真名を堂々と宣言するためクラス名で名乗りを上げた方が安全だろう。(例:アーチャーソウルなど)
戦士は共鳴の果てに眠れる獣を開放する可能性もある。
【weapon】
『ロックバスター』
ロックマンと呼ばれる英雄の代名詞。溜める事で強力な一撃を放つ事も可能。
【人物背景】
熱斗と共に双子の兄として生まれるが心臓病により幼いまま他界してしまった。
その後科学者である父の尽力もあり人格データをネットナビに移植し世界初の心を持ったナビとしてロックマンに転生を果たす。
その後はネットナビとして弟である熱斗のサポートを行ってきた。
【サーヴァントとしての願い】
熱斗を安全に現実世界へ生還させる。
【基本戦術、方針、運用法】
マスターの指示に従うか兄として弟を守る。戦闘では熱斗から供給されるバトルチップを中心に戦う。
バトルチップは基本全シリーズの物を使えるが、総て所持している訳ではない。
【備考】
イメージとしてはロックマンエグゼ3終了後である。
ただし、英霊の特性上、光彩斗はシリーズ総ての記憶を所持しており、力も使用可能である。
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以上で投下を終了します
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本スレッドは作品投下が長期間途絶えているため、一時削除対象とさせていただきます。
尚、この措置は企画再開に伴う新スレッドの設立を妨げるものではありません。
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