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他者救済バトルロワイアル
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【咲-saki-】5/5
○宮永咲/○原村和/○竹井久/○須賀京太郎/○福治美穂子
【テラフォーマーズ】5/5
○小町小吉/○膝丸灯/○ミッシェル・K・デイヴス/○シルヴェスター・アシモフ/○劉翊武
【魔法少女リリカルなのは】5/5
○高町なのは/○フェイト・テスタロッサ/○八神はやて/○シグナム/○ヴィータ
【魔法少女まどか☆マギカ】5/5
○鹿目まどか/○暁美ほむら/○美樹さやか/○佐倉杏子/○巴マミ
【血界戦線】4/4
○クラウス・V・ラインヘルツ/○レオナルド・ウォッチ/○ザップ・レンフロ/○スティーブン・A・スターフェイズ
【ドリフターズ】3/3
○島津豊久/○織田信長/○那須与一
【ラブライブ!】3/3
○高坂穂乃果/○南ことり/○園田海未
【ONE PIECE】3/3
○モンキー・D・ルフィ/○ロロノア・ゾロ/○サンジ
【アベンジャーズ】2/2
○トニー・スターク/○スティーブ・ロジャーズ
【寄生獣】2/2
○泉新一/○後藤
【とある魔術の禁書目録】2/2
○上条当麻/○御坂美琴
【バットマン】2/2
○ブルース・ウェイン/○ジョーカー
【ブラック・ラグーン】2/2
○ロック/○レヴィ
【デビルマン】1/1
○不動明
44/44
※このパロロワは非リレーとなります。
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人は、己を守るためになら何者にもなる。
神にも、悪魔にも―――。
◇
人々が目を覚ました時、全ては一変していた。
漆黒に包まれた空間で、人々の周囲だけが薄ぼんやりと光っていた。
光源は不明。ただ何もない空間、暗闇の只中で人々が立つ場所だけがまるで昼間のように明るかった。
「―――気付いたかい」
声が、響く。
エコーが掛かったように奇妙に揺れる声。
聞いただけで温もりを感じるような声であった。
自然と人々の視線は声が飛んできた方向へと向けられる。
そこに、いた。
人間を超越したモノが、悠然と起立していた。
「わたしは大魔神サタン。今回の催しの主催者さ」
顔貌は現実のものとは思えぬ程に整っている。
姿は全裸であり乳房も乳首も、性器すら外界にさらけ出している。
だが、それを見た人々に低俗な感情など沸き立ちやしない。
崇高な芸術作品を見た時のような、壮大な景色を見た時のような、理性を越えて押し寄せる感動のみがある。
数十の息をのむ音が重なった。
人々は疑惑や不安を忘却し、その姿に見惚れていた。
「君達にはこれから試練が与えられる。過酷で、凄惨な試練が……。
だが、わたしは信じている。君達なら人の持つ業に打ち勝つことができると」
視線を一身に集めながら、サタンは口を動かし続ける。
「君達にして貰うことは単純なことだ。殺し合い、生き延びる……もしくは生き延びさせる事だ」
そして、変わらぬ口調で訥々と吐いた。
多くの人々を歪曲させる運命の一言を容易く零した。
「ここに集まって貰った者は44名いる。この内、生還できる者は3名。つまり41名の参加者の死をもって、この殺し合いは終了となる。
他にルールは存在しない。どんな非道な手段を選択しようと、どんな非情なことを実行をしようとも構わない」
生存者は三名。
生き残るには他の四十一の命を刈り取るしかない。
まるで冗談のような言葉の数々も、眼前の超越者から放たれてしまえば真意でしかなくなる。
「生き残れ。そして、打ち勝つのだ―――」
理解の及ばぬ中で、全てが始まろうとしていた。
勝利の物語、敗北の物語、崩壊の物語、懺悔の物語、懺悔の物語、成長の物語……全てを内包した物語が。
「―――己が内に存在する悪魔に」
徐々に薄くなっていく光。
代わりとして強まるのは人々を囲み、見下ろしていた漆黒の闇。
光が消え、超越者が消え、そこに残るのは漆黒だけ。
そして、物語は始まった。
他者救済・バトルロワイアル―――開催
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OP投下終了です。
>>1にも記した通り、このロワは非リレーとなります。
これから細々と投稿していければと思います。拙い内容、文章となるでしょうが、どうかよろしくお願いします。
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バトルロワイヤルでアメコミは初めて
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>>4
ジャスティスロワ……
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高坂穂乃果、サンジで投下します。
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薄暗闇に包まれた校舎。
その隅にある保健室にてベッドにちょこんと座する少女がいた。
少女の名は高坂穂乃果。
とあるスクールアイドルのリーダー的存在である。
「んん〜……さっきのは、夢?」
高坂穂乃果はぼんやりとした瞳を擦りながら、そんな事を呟いた。
首を傾げ、あまり回転が良いとはいえない頭脳を回す。
思い出されるのは、先程見た光景だ。
目の前に現れた、あまりに現実離れした存在。
暗闇の中で淡く輝きを放っていた、男だか女だかも分からぬ者。
まるで御伽噺の中に出てくるような存在であった。
夢の中の登場人物とするならば納得がいく。
「気味の悪い夢だったなあ」
お世辞にも楽しい夢とは言えなかった。
起きてなおも恐怖の欠片が背筋を刺激する。
「うーん……まだ暗いし、もう一回寝よっかな。それで今度はもっと明るい夢みよう!」
思い直し、穂乃果はベッドへと倒れ込む。
眼を閉じれば睡魔は思ったよりも早くやってくる―――事はなかった。
恐怖によって、ではない。現状、穂乃果は殺し合いのことなど微塵にも信じていない。
ただ単純に人が有する生理現象によるもの……簡潔に言えば尿意によってであった。
「うー、トイレ、トイレ……って」
ベッドを降り、扉を開ける。
そして、トイレへと進まんとしていたが、其処で流石の穂乃果であっても気付いてしまう。
「ここ、どこ……?」
自分が今いる位置が自宅ではない事に。
「う、嘘……」
昨晩は普段と何ら変わらずに、部屋のベッドにて就寝した筈だ。
なのに、何故目を覚ましたらこんな見知らぬ場所にいるのか。
左右を見回すと真っ暗な空間が廊下の奥へと続いている。
廊下に並ぶ扉の数々に、光が灯っている様子はない。
さっ、と顔が青ざめていくのが自身にも分かった。
数分前の薄気味悪さが、更に純度を高くして心を埋め尽くしていく。
(な、何で! 穂乃果、何でこんなところにいるの!? おかしい、おかしいよ!)
尿意など既に何処かへ吹き飛んでいる。
穂乃果は回れ右をし、扉を閉め、ベッドの中へと飛び込んだ。
隠れるように布団に包まり、恐怖に震えそうになる身体を自分自身で抱き締めた。
覚醒とともにいた見知らぬ場所。
あまりに異常すぎる事態は、穂乃果の思考を自然と導いていく。
最悪の方向へと。考えてはいけない方向へと。
(まさか―――)
駄目だ。考えてはいけない。
それを考えては。
(まさか―――)
考えてしまえば、気付いてしまえば、全てが崩れ去る。
(さっきのは夢じゃ、ない―――?)
行き着いた瞬間、穂乃果の思考は沸騰した。
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飛び出しそうになる悲鳴を、両手で口を覆って無理矢理に押し殺す。
ほんの少しだけ残った理性が、ここで音をたてることを拒絶した。
夢としか思っていなかった光景。
それが真実なのだとしたら、本当のことなのだとしたら。
「イヤ……イヤだよう……」
堪え切れず震える身体に、溢れ出る涙。
少女らを引っ張って来た、まるで太陽の如く天真爛漫さは今はもうどこにもない。
恐怖と言う曇天が高坂穂乃果を支配していた。
◇
「……何だったんだ、さっきのは」
麦わら海賊団が料理人・黒足のサンジは、頭を掻きながら当惑の表情を浮かべていた。
何とも特異的なグルグル眉毛にも、今は深い皺が寄っている。
新世界を行く航海の中、何故か気づいたらこの大地に立っていた。
横を見ればそれなりに巨大な建築物が一棟。様相からして学校かなにかであろうか。
煙草を取り出し、マッチで火をつける。
普段と変わらぬ所作。煙草も普段と変わりなく、心地の良い味であった。
紫煙を吸引し、肺を満たすことで、幾分か落ち着きが戻ってくる。
サタンと名乗った謎の生物。
続けてきた冒険の中で様々な生物を見てきたサンジからしても、先の存在は異質であった。
その姿形もそうだが、何よりその存在感。
二年間の修行により身に着けた見分色の覇気。
相手の気配をより強く感じ取り、動きを予知し、達人ともなればその感情すらも読み解くことのできる能力。
その見分色でもって感じた気配は、これまで見てきた如何な者をも上回る気がした。
ともすれば、あの海賊王の右腕、冥王レイリーをも凌ぐ存在感であった。
(これは……厄介なことに巻き込まれたかもな)
あの場にいた仲間は二人。船長であるモンキー・D・ルフィとロロノア・ゾロ。
どちらもこんな殺し合いで死ぬようなタマではないだろうが、一抹の不安は拭い切れない。
(早めに合流しといた方がいいか)
険しい表情でサンジは煙草を投げ捨てる。
踵で火を踏み消し、学校へと顔を向けた。
そう、合流は早くしておいた方が良い。
だが、今から彼がする事は全く別の問題だ。
サンジがサンジという男である限り、これは絶対的に必要な事であった。
「行きますか」
ポツリと呟き、校門を潜り抜ける。
見分色の覇気にて察知した気配。
その恐怖に満ちた気配に、サンジは聞いたのだ。
助けを求める女性の声を。
(……ここか)
暗闇の廊下を歩き、一つの扉の前で足を止める。
サンジは軽い調子で扉をノックした。
「失礼します、マドモアゼル」
ガラリと開けた扉の先、ベッドの上には白い膨らみがあった。
膨らみは唐突な訪問者にビクリと震えている。
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「おぉ、これは可憐な眠り姫。私の名はサンジ。このしがない料理人に貴女の護衛を頼まれてはいただけないでしょうか」
おどけた調子で言いながら、サンジは深々と頭を下げる。
少しでも女性の恐怖を和らげようとしての、少しでも害のないことを伝えようとしての一芝居であった。
「……いや」
女性からの返事は簡潔なものであった。
「いやいやいや! 出てって、出てってよ!」
拒絶。
恐怖に塗り固められた精神は固く固く閉ざされていた。
「それはそれはマドモアゼ―――」
「出てってって言ってるの!!」
尚も声を掛けようとして、それを遮るようにあったのは絶叫であった。
サンジは瞬時に察する。
これ以上何を言っても、逆に女性を怖がらせるだけだと。
軽く目を伏せ、無言で教室を後にした。
◇
ガタリという音とともに、扉は閉められた。
再度の静寂が訪れた保健室。
突然現れた男の人は結局何もせずに去っていった。
危害を加えることなく立ち去ったという事は、男の言葉は本心からのものだったのだろう。
だが、その事実に気が付く事すら今の高坂穂乃果には困難であった。
ひたすらにある恐怖が彼女の本来の姿を消していた。
誰にでも分け隔てなく優しく、明るく接することのできる少女。
そんな穂乃果の姿は、今は何処にもない。
ただひたすらに無言で、震えながら、隠れ続ける。
逃避。
恐怖から逃れるため、ただひたすらに外界を拒絶する。
そうしてどれほどの時間が経過したのだろうか。
もはや涙を出ず、限度を越えた恐怖に思考は疲労し、麻痺している。
布団の中にある両眼は虚ろに染まっていた。
(……どうして、こんな事に……)
ふわふわと漂う思考の中で浮かぶのは、平穏な日常の中であった仲間たちの姿。
皆で笑い、時には怒り、それでも目標に向けて走り続けた日々。
(海未ちゃん……ことりちゃん……)
そして、幼少時からの繋がりがある二人の親友の姿。
どんな時も、どんなことも、二人がいたから乗り越えられた。
「やだよぉ……また二人に会いたいよぉ……」
枯れ果てたと思っていた涙が再び込み上げてくる。
一人きりの部屋に再び啜り泣く音が響き渡る。
泣き続けて、泣き続けて、泣き続けて……そうしてどれほどの時間が経ったのだろうか。
穂乃果はある事に気が付いた。
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(なんだろう、これ……凄い、いい匂い……)
鼻腔をくすぐる香り。
その香りを知覚すると同時に穂乃果の腹が大きく鳴った。
それは食べ物の香りであった。
泣くという動作は中々に疲労を貯蓄させる行動である。
殺し合いに参加してから泣き通し、恐怖に精神をすり減らし続けた穂乃果は、既に相当な疲労が溜まっていた。
それは空腹という形でもって穂乃果に実感をもたらす。
(こんな状況でもお腹って減るんだ……)
当惑の面持ちを布団の間から出すと、匂いの発生源が直ぐに分かった。
扉の向こう側から匂いが流れ込んできている。
ごくりと生唾を呑み込む。
当然、不審はある。この状況で、どうして扉の外側から食べ物の匂いがしてくるのか。
明らかにおかしい状況である。
だが、そんなまどろっこしい思考を押し退けて、その匂いは穂乃果を突き動かす。
まるで運動神経を乗っ取られてしまったかのように、穂乃果は匂いにつられていた。
布団から這い出し、扉を開ける。
そこにあったのは、盆に乗せられたピラフであった。
決して豪華な材料を使用した訳でも、特別な調理法をした訳でもない、それ。
なのに、どうしてだろうか。
その匂いは穂乃果を引き付けて離さない。
思わず盆に手を伸ばし、スプーンを握り、口に運んでしまう。
その一瞬、確かに穂乃果は殺し合いの事を、寸前まで心を巣食っていた恐怖の事を、忘れていた。
そして、一口。
口に、運んだ。
「お―――」
感覚が身体を突き抜けた。
全能感が、幸福感が、口内から全身を駆け巡る。
「……おいしい」
思わず零れた言葉。
それは彼女の本心からのもの。
「おいしい……おいしい、 おいしいよぉ……!」
手は止まらない。
変哲のないピラフをただ口の中へと掻き込んでいく。
同時に両目から零れ落ちるのは熱い熱い液体であった。
先程までの冷たく暗いそれとは真逆の、暖かい感情に染まった涙。
ポロポロと涙を流しながら、穂乃果は手を動かし続ける。
「な? クソうめぇだろ」
声が聞こえた。
聞き覚えのある声。先程、穂乃果が拒絶した声。
「うん……うん……! すごく、すごくおいしい、です……!」
咀嚼しながら、涙を流しながら、穂乃果は答えた。
口から、鼻から、目から様々な液体を零しながら、それでも答えた。
その穂乃果の様子に声の主も、満足げに笑う。
男は優しげな瞳で、食事を終えるまでの間、穂乃果を見守っていた。
「落ち着いたかい?」
「……はい。少し、ですけど」
それから数分後、サンジと穂乃果は再び保健室の中にいた。
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穂乃果はベッドに腰掛け、サンジは少し離れた所で壁に寄りかかって立ち、煙草に火を灯す。
「おれはサンジ。コックをしてる。君は?」
「私は……高坂穂乃果って言います。学生です」
「穂乃果ちゃんか。いい名前だ」
食事を終えて穂乃果は落ち着きを取り戻していた。
現状に対する恐怖が消えた訳ではないが、先程までと比べれば大分マシにはなっている。
サンジに対する警戒心も既に瓦解していた。
「あ、あの、サンジさんはどうして穂乃果を助けてくれたんですか? あんな酷いこと言ったのに……」
問い掛けは当然のものだった。
あれだけ拒絶した自分を見捨てずに手を差し伸べてくれた人。
見ず知らずの人間にどうしてここまでしてくれたのか、穂乃果には分からなかった。
「レディの涙を拭いてあげるのが、男の役割だからさ」
事も無げにサンジはそう答えた。
さもそれが常識だとでも言うかのように、迷いなく告げる。
「で、でも、こんな殺し合いの最中で……」
「そんなの関係ないさ。おれはおれの騎士道を貫く」
迷いのない瞳、力強い口調。
ああ、と穂乃果は思う。
この人はすごい人だと。
「穂乃果ちゃんはどうする? 自分を曲げて生きていくか、自分のやりたいことを貫いていくか」
「私は―――」
まるで引き上げられるようであった。
世界が変わっていく。
真っ暗な世界から、光に満ちた世界に。
「私、やるよ。こんな殺し合いの中で自分に出来ることなんて何もないかもしれない。
でも……それでも、貫きたい。自分を、高坂穂乃果を、貫き通す。だって、だって―――」
「―――だって、可能性感じたんだ」
そうして、唄が紡がれた。
だって可能性感じたんだ。
そうだ、すすめ。
後悔したくない 目の前にぼくらの道がある
ワンフレーズだけの短い短い唄。
突然の歌唱に、だがしかしサンジは聞き惚れてしまった。
その歌声に、何より少女の姿に。
歌い切り、少女は笑った。
「私やるよ、サンジさん! やるったらやる!」
満面の笑顔。
それは彼女本来の表情。
人を惹きつけ、人を笑顔にさせる、太陽のような微笑みが、そこにはあった―――。
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以上で投下終了です。
書き忘れてましたがバットマン、アベンジャーズはどちらも洋画準拠です。バットマンはノーラン版となります。
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続きは来ないのか…
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本スレッドは作品投下が長期間途絶えているため、一時削除対象とさせていただきます。
尚、この措置は企画再開に伴う新スレッドの設立を妨げるものではありません。
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