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二次キャラ聖杯戦争・聖杯大戦

1 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:07:25 ucqw0StE0


――月が/地球が、見ている。




                   Λ     Λ     Λ


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2 : オープニング――『月』と『地球』の聖杯戦争 ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:08:38 ucqw0StE0
・Side Earth


――月。
それは度々、神秘の象徴として扱われる。
月の満ち欠けは人間に度々影響を与え、満月は人を狂わせてきた。
魔術師にとっても、儀式などを行う日時を自分にとって調子にいい月齢に合わせるというのはよくある話だ。

――太古から地球と共にあった月は同時に、地球をずっと見てきた監視装置でもある。
そのような言説は、長くから魔術師達の間では取り沙汰されていた。

――ムーンセル・オートマトン。
月で発見された、太陽系最古の遺物。神の自動書記装置。七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)。
その情報改竄能力だけで現実世界の書き換えを可能にする観測機。

その起源は定かではない。
異星の文明による地球の記録装置であるという噂もあれば、神による聖遺物であるという説、あるいは並行世界から現出した、全ての並行世界の観測機であるという話。
噂には枚挙が暇無く、どの噂が真実なのか、――あるいは、どの噂も真実なのかは判然としない。


『あなた』がそのムーンセルに興味を持ったのは、ある噂からだった。

――ムーンセルは周期的に地上の人間をその内に迎え入れ、『聖杯戦争』を行わせる。

聖杯戦争。『聖杯』を奪い合う、英雄達とそのマスターによる殺し合い。
――その勝者は、万能の願望機である聖杯の使用権が与えられる。

ムーンセルが何故そのような催しを行うのかは、はっきりとしない。
その存在理由から考えれば幾らかの推測は立つが――
推測はあくまで推測であり、確固とした結論としては程遠い。


――さて。
『あなた』は聖杯戦争に挑もうとする者の一人だ。
その目的は聖杯を手に入れるためか、あるいはムーンセルの目的を知るためか、はたまたまったく別の理由か。
ともあれ、確固たる目的を持って月へと向かおうとしているか――あるいは、ただ単に『条件』を満たした故に巻き込まれただけかもしれない。

参加条件は二つ。
『月の石』。
これが聖杯戦争への片道切符であり、願いを手に入れるための半券。

そして――その裡に『願い』を抱いていること。


奇跡を欲するならば、汝――


                   Λ     Λ     Λ


3 : オープニング――『月』と『地球』の聖杯戦争 ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:09:30 ucqw0StE0


・Side Moon


――そして、『あなた』は目を覚ます。

ムーンセルによって参加者を選別するための『予選』。
記憶を奪われた偽りの生活の中で、『あなた』はその才能か、若しくは願いか――或いはその両方かで、自らの記憶を取り戻して予選を突破した。

「――ようこそ」
「貴様が新たなマスターか」

取り戻したばかりの意識に、誰かの声が聞こえてくる。一人――いや、二人だろうか。
とてもよく似た声だから、一瞬同じ人物と錯覚したが――よくよく聴けば、声のトーンはかけ離れている。

霞む目を凝らして、前方へと目を向ければ――
二人の英霊が、そこに立っていた。

右に立つのは白の姫騎士。
白い鎧姿に金髪のポニーテールの彼女は、ややもすれば目を奪われそうな美貌と、凛とした正統な英霊足る気配を同時に兼ね備えている。

左に構えるのは黒の暴君。
漆黒の鎧兜から垣間見える青白い顔は、隣に佇む白の姫騎士と同じ貌を讃えながら――その空気は、全ての生きるモノを凍えさせるような、圧迫感を放っていた。

どちらも、最高位のサーヴァント。
だが――『あなた』のサーヴァント、ではない。

「私は『管理者』の役目をムーンセルから任されたサーヴァント――“白”のルーラーです」
「同じく、“黒”のルーラーだ」

ルーラー。裁定者の英霊。
聖杯戦争を管理する審判者――
だが、それが二人存在するとはどういうことか。

「それについても、あなたに話しておくべきことがあります」
「率直に言おう。今回の聖杯戦争には異常事態が発生した」

――異常事態。
おそらく、ルーラーが二人も存在する理由に起因するものだろうが――

「月の聖杯――ムーンセルは地球、その事象の全てを監視し、記録しています」
「そう。全てを記録し、今回の聖杯戦争に当たってそれをムーンセル内部に再現した。
 ――それがよくなかった。今回ムーンセルに記録されていた情報の中には、“地球の聖杯”が含まれていた」

地球の聖杯? と問いかけたあなたに、白のルーラーは話を続ける。

「冬木の聖杯戦争、その聖杯です――あなたが知っているかは知りませんが。
 ムーンセルは記録してしまったそれを再現しようとしました。その結果――」
「ムーンセルに、“月の聖杯”と“地上の聖杯”が同時に存在する事態が発生した」

それだけなら単にお得、にも思えるが――ことはそう単純ではないようだ。
そもそもここはムーンセルのリソースを使って再現された空間。そこに冬木の聖杯が顕現したということは――


4 : オープニング――『月』と『地球』の聖杯戦争 ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:10:38 ucqw0StE0

「冬木の聖杯はムーンセルのリソースを大量に消費して、再現された冬木に居座っています。
 ――いえ、そればかりか、月の聖杯の代わりに願望機として成り代わろうとしてさえしている」
「ゆえに月の聖杯は地上の聖杯を排除しようとし、地上の聖杯はそれを妨げようとした。
 ――どちらも、サーヴァントを召喚してな。
 この聖杯戦争は、月の聖杯と地上の聖杯の代理戦争だ」

――なるほど、合点がいった。
ルーラーが二人存在している理由――それは月と地上の聖杯、それぞれがルーラーを呼び出した故か。

「その通りです。
 ――誤解があってはいけないので先に説明しますが、私たちがどちらの陣営に肩入れするようなことはありません」
「我々の使命はあくまで聖杯戦争の管理だ。
 ルール違反の処罰以外で、恣意的に戦争に干渉することはない」

“白”の陣営と、“黒”の陣営の聖杯大戦。
そこに管理役が積極的に干渉することはない、ということだろう。

「勝利した陣営には、通常通り聖杯の所有権が与えられる。
 ――とはいえ、聖杯が一つしかないことは留意すべきだろうがな」

黒のルーラーは、そう『あなた』を挑発するように宣告する。
そう。聖杯は万能の願望機――どちらかの陣営が勝利したとして、その後それを争ってまた戦争が起きないとは限らない。
故に、敵陣営だけではなく、味方陣営も潜在的な敵となり得る。
それがこの聖杯大戦の本質か。

「個人的には、そのようなことはあって欲しくありませんが――」

白のルーラーは、そこで言葉を切った。
それ以上は自分の言うべきことではない、と理解しているからだろうか。

「貴方を歓迎します、新たなマスター。
 ――この戦いで、あなたが答えを見つけられますよう」

代わりにそう言って。
――白のルーラーは、黒のルーラーと共に身を翻し闇の中へと消えていった。

そして『あなた』は、その場に一人取り残された――いや。
もう一人。『あなた』の傍らに、立つ者の気配がする。
それは人類の枠を越えた存在。逸話に語られ、認められた者。
過去・現在・未来――あるいは平行世界においてムーンセルに記録された者。
――サーヴァント。
これより『あなた』は、月と地球――その二つの陣営が争う聖杯大戦へと、足を踏み入れるのだ。

そう。

奇跡を欲するならば、汝。自らの力を以て、最強を証明せよ。


5 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:11:07 ucqw0StE0
OPの投下が終わったのでルール説明を行います。


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6 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:11:32 ucqw0StE0

【ルール】
・版権キャラによる聖杯戦争を行うリレー小説です。
・参加者は『白(月)』の陣営と『黒(地球)』の陣営に分かれて対抗戦を行います。
・最終的にどちらかの陣営の主従のみが残った場合に勝利陣営の判定が行われ、聖杯がその姿を現します。
・各陣営については【8騎VS8騎】で行います。候補作によっては枠を拡張するかもしれませんが期待はしないでください。
・基本的に両陣営基本クラス一騎ずつですが、【8騎目】については、エクストラクラスサーヴァントの投下を許可します。ただしエクストラクラスが来なかったりした場合は通常の7騎から選びます。
・サーヴァントが投下されない場合、>>1がちまちま登場話を書いて投下するスレになります。

【設定】
・舞台はムーンセル・オートマトン内に再現された冬木市です。ですが、再現の際に(あるいはもっと前から)『冬木の聖杯』を再現してしまったことにより、冬木の聖杯による侵食状態にあります。
・聖杯戦争への参加資格は『月の石』を所持していることですが、割とその辺は適当でいいと思います。
・『黒』の陣営と名前がついてはいますが、サーヴァントが反英霊である必要はありません。
・『教会』は非戦闘ゾーンとして存在し、中には管理用NPCが存在しています。
・『黒』のルーラーはセイバーオルタ@Fate/stay night、『白』のルーラーはセイバーリリィ@Fate/unlimited codeです。
・ルーラーからの通告は昼の0時に行います。
・味方陣営への攻撃を行ってもペナルティなどはありません。

<時刻について>
未明(0〜4)
早朝(4〜8)
午前(8〜12)
午後(12〜16)
夕方(16〜20)
夜(20〜24)

<登場話候補の募集について>
とりあえず現状で明確な期限は設けません。
一応設定してある期限としては1が8騎投下し終わるまでですが、投下し終わっても十分な数が集まってなかったり、
あるいは8騎投下する前に十分な数が揃った場合はその限りではないです。
登場話でどちらの陣営かを確定する必要はありません。参加者の決定時に陣営分けを決めます。
別にOPへと繋がらない形の登場話でも構いません。
他の聖杯戦争スレからの流用もある程度許可します。

その他細かいルールや質問があったら随時対応し、最終的なルールは参加者決定時に決めようと思います。


7 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:12:34 ucqw0StE0
続いて参加者候補を一騎投下します。
これは第二次二次キャラ聖杯戦争スレからの流用・改変になります。


8 : セレス・アーチャー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:13:20 ucqw0StE0

「それでは皆さん、また来世でお会いしましょう」

そう言って西洋かぶれの賭け事師は、処刑台にかけられました。
演目は彼女が愛した西洋貴族式。

    Versailles style Witch Hunt Stake
〜   ベルサイユ産火あぶり魔女仕立て   〜

火あぶりにかけられた魔女は、それでも満足気に死への階段を登ります。
足から焼かれる痛みと巻き上がる煙を吸いこんでの一酸化炭素中毒が彼女を苛みますが、それでも湧き上がる高揚感にはかないません。
だって、憧れのマリー・アントワネットのように死ねるのですから。
本当はマリー・アントワネットの処刑はギロチンですが、そんなことは関係ありません。
死なせることには慣れていましたし、夢を叶えられないのは死ぬよりもごめん。
だからこの結末にも後悔はありません。
ひとつやり残したことがあるとすれば、やはり夢を叶えられなかったことでしょうか。

ですがこの死に方を選べるのならば、幾らか満足で、それを報酬として諦めることを選択しました。
そもそも彼女は賭け事師。そのプライドにかけて、既に決まったゲームの結末に我が侭を言うようなことはありません。
故に彼女は、悲劇的な死を前にしたヒロインの気分で死に臨みます。
自分に酔った魔女にとって、死は自分の物語を完成させるピリオドでしかないのです。


そこに消防車が真正面から突っ込んできて、あっさりと耽美で悲劇的な処刑は、滑稽で喜劇的な事故に終わりました。



残ったのはセットの残骸と、散った炎だけ。
それを片付ける白黒に彩られたクマが漏らした独り言を聞いた者は、誰もいませんでした。


「……あれ? 死体がないな。
 ま、消防車がぶつかったんだしミンチよりひどいことになっててもおかしくはないんだけどさ。
 ……ま、いいや! どうせこの世にはもういないだろうしね!」


9 : セレス・アーチャー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:14:38 ucqw0StE0
┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━
┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━


「コール」
「コール」

暖色のモダンな照明が、赤を基調に彩られた部屋の中を照らしている。
その中央、ポーカーテーブルで二人の男女が対面していた。

少女は黒を基調とした白いフリルのあしらわれたドレスを纏っている。
それだけでも人目を惹く風貌だが、巨大なツインドリルがその印象を上回るインパクトを見せていた。

男は長い銀髪を肩の下まで伸ばし、海賊のようなコートを着込んでいる。
それだけならば一種の道楽者で済んだかもしれないが、しかし彼の顔に付いた幾つもの傷がその印象を霧散させている。

一見しただけでは、両者の共通点はその洒脱な雰囲気だけに見える。
けれどこの二人は、そんなものよりももっと確たる共通点でこの場所――再現された冬木市にひっそりと設えられた、地下カジノ場にいるのだった。

部屋の中にはディーラーもいなければ、係員もいない。当然、他の客もいなかった。
全ての者が、彼女と彼の餌食になったからだ。

ただしそれは『この世界』の常識である魂食いではなく、その全ての人間をこの二人が賭けで打ち負かしたという意味だった。
客から係員、そしてカジノの所有者にまで勝利し、一敗もせずにカジノの権利書を奪い取ったのだ。

そして、お互いはお互いを最後の相手として認めて――勝負は始まった。

「――フラッシュ」

男が並べたのはスペードの4、8、J、Q、K。

「こちらもフラッシュですわ」

対して少女が並べたのは、2、5、10、Q、K。

――引き分け。

いや、ただの引き分けではない。
ここまで、少女と男は50戦して――

「……10勝10敗、30引き分け。やるねぇ、レディ。俺と互角のギャンブラーなんて初めて見たよ」
「わたくしもあなたのような人と出会ったのは初めてです。名前をお聞きしても宜しいですか?」

こんな状況を彼女と彼が成し遂げたのは、ひとえに二人の『生き方』が理由だった。

少女の名はセレスティア・ルーデンベルク――“超高校級のギャンブラー”。
そして、男の名は――

「アーチャーのサーヴァント……セッツァー・ギャッビアーニ。“世界最速の男”さ」
「あら、先程ギャンブラーと仰られましたが?」
「わかってないな。俺は世界最速の男で、最高のギャンブラーなのさ」
気取った――悪意的な言い方をすれば、“酔った”物言いをするアーチャー。
それに対しても、セレスはその瀟洒な態度を崩さない。


10 : セレス・アーチャー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:14:54 ucqw0StE0

「聖杯戦争……ですか。命を賭けたゲームには何度も参加しましたが、これはまた違った趣がありますわね」
「驚いたぜ。召喚されたと思ったら、マスターが目の前でお楽しみなさってるんだからな。
 中々に趣味の合うマスターみたいで嬉しい話だ」
そう。セレスが予選を突破する鍵となったのは『ギャンブル』だった。
月海原学園に通う内に耳にした、『地下賭博場』の噂。
自分でもわからない内にそれに引き寄せられた彼女は、件の賭博場でその才能と記憶を思い出した。

聖杯戦争。
文字通りの命を賭けたゲームだが、その本質は彼女が今まで参加した賭けよりも、彼女にとっての最後の記憶――「コロシアイ学園生活」の方が近い。
違うのは一人を殺してその犯行を隠蔽する、言わば推理ゲームのような内容ではなく、最後の陣営となるまで生き残る――サバイバルゲームであり、協力のゲームであること。

(どうしたものですかね……)
正直言って、迷う。
別に人を殺すことに躊躇いが存在する訳ではない。
叶えたい願いがない訳ではない。
しかし、どうしても頭に引っかかるものが残っている。
それがしこりになって、どうにも積極的にやろうという気になれない。

「あんたに夢はあるかい、マスター」
悩むセレスに、アーチャーが問いかけた。
はっと顔を上げたセレスは、しかしきっぱりと言い放つ。
そうだ。それだけは――違わない。

「ありますわ。私の全てを使って叶えたい夢が」
「そうか」
セッツァーは一旦、何かを思い出すように天井を見つめる。
そして一言、呟くように吐き出した。

「今考えていることの逆が正解だ。でもそれは大きなミステイク」
「……は?」
何を言っているんだ、このサーヴァントは?
呆然とするセレスが見つめる間にも、セッツァーは語る。

「俺の知り合いの口癖さ。……俺にも夢がある。
 かつてのライバルから受け継いだ夢がな。
 その為なら、手段を選ぶ気はない」
それだけは。
その言葉だけは、軽薄な口調だったセッツァーの言葉に、真剣な色が宿った。
その真剣さに射抜かれたセレスは、身動ぎもできずにセッツァーを見つめる。
――そして、口を吊り上げて笑った。

「そうですわね。
 決まった敗北を前に悪足掻きをする趣味はありませんが、目の前にぶら下がったチャンスを見逃すのは主義ではありませんでした。
 ですから……敗者復活戦と参りましょう」
「俺は敗者ってわけじゃないんだがな。
 ――ま、美人と一緒にギャンブルができるなら大歓迎だ」

そう言うアーチャーを眼前に見ながら、セレスはポケットの中に入った『月の石』――ひいては、それを自分にプレゼントしてきた人物を思い返していた。
(このようなチャンスを与えてくれるとは、やはり貴方は『幸運』だったのでしょうか。ねえ、苗木君。
 もしそうであるならば――このギャンブルに勝った時、また貴方に勝負を挑みたいものです)

――かくして、賽は再び振られる。
今度こそ、その夢を叶えるために。


11 : セレス・アーチャー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:15:22 ucqw0StE0
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【クラス】
アーチャー
【真名】
セッツァー・ギャッビアーニ
【出典】
ファイナルファンタジーVI
【パラメーター】
筋力D 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運A+ 宝具C
【属性】
中立・中庸
【クラススキル】
対魔力:D
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
単独行動:C
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。
【保有スキル】
黄金律:C
 人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
 金銭には困らぬ人生を約束されているが、本人は金銭に執着がなく湯水のように使う。
ぜになげ:B
 金銭を消費し攻撃に使い、使った金銭に比例するダメージを敵に与えるスキル。
 このスキルによって発生したダメージは、スキルによって回避・無効化することができない。
 金銭という概念を攻撃に転化することによる一種の呪殺。
心眼(偽):B
 直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。
 ギャンブラーとしての天性のカン。
直感:D(A)
 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。
 ギャンブルに関連する事柄ではランクが上昇する。
魔術:-
 本来ならば装備した魔石によって魔術を行使できるが、アーチャーのクラスとして現界した為このスキルを失っている。
【宝具】
『運命は廻る(スロット)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:不定 最大補足:不定
 スロットを召喚し、揃った出目によって異なる事象を起こす。
 そのランダム性ゆえか魔力消費は他のサーヴァントの扱う宝具に比べ少ないが、目押しを狙っても運次第で出目がズレる為運の要素も強い。
 また、どのような事象が起こっても魔力消費が変動することはない。
【ミシディアうさぎ】(下記以外)
ミシディアうさぎを召喚する。
ミシディアうさぎは味方全体を小回復し、毒・暗闇・睡眠の治療を行って消える。
【セブンフラッシュ】(ダイヤ×3)
七色の光が地面から発生し、敵全員に無属性の魔法によるダメージを与える。
【チョコボラッシュ】(チョコボ×3)
チョコボの群れの突進で敵全員にダメージを与える。ただし、空中の敵には効果がない。
また、この攻撃は防御力を無視する。
【ダイビング・ボム】(飛空艇×3)
飛空艇で敵の頭上から爆撃を行い、敵全員に無属性ダメージを与える。
【ランダム召喚】(BAR×3)
ランダムに幻獣を召喚し、一度だけ技を使わせる。
召喚される幻獣は指定できず、味方に被害を及ぼす幻獣が呼ばれる可能性がある。
【メガフレア】(ドラゴン×3)
バハムートを召喚し、メガフレアを使わせる。
対魔力及び反射系のスキルを無効化する。
【ジョーカーデス】(7・7・BAR→味方全体にかかる、7×3→敵全体にかかる)
対象を即死させる。
――が、サーヴァントとして呼ばれていることにより生前より弱体化しており、そのままではこの効果が発動することはない。
揃った時に令呪を二画使いでもしなければ、揃ったとしても発動することはないだろう。

『神はサイコロを振らない(イカサマのダイス)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜8 最大補足:1人
 セッツァー最強の武装。
 ターゲットに向かって3つのダイスを投げつけ、出た目に関係して上昇するダメージを与える。
 このダメージは必中かつ同ランクまでの防御系の宝具・スキルを無視する。
 魂、あるいは霊核を直接傷つける呪殺武装。
 出目によっては非常に高いダメージを弾き出すが、運次第では魔力を無駄遣いしただけにも終わりかねない宝具。
【weapon】
「カード」
 セッツァーにとっての基本武器。
 これを投げることで戦う。
「死神のカード」
 一揃いのタロットカード。
 『死神』のカードを命中させることにより一定の確率で『デス』の魔術を発生させ、相手を即死させる。
 魔術によって『魂を抜き取る』ことで即死を起こすため、サーヴァントには即死効果が通用しない。
 また、マスター相手であっても電子空間であるというムーンセルの特性からか効きが悪く、
 同じ相手に複数回デスの効果が発動しないと即死の効果が表れない。
「ラストリゾート」
 『最後の切り札』の名が冠された最強のカード。
 魔力を消費することでクリティカルヒットを起こす効果を持つ。


12 : セレス・アーチャー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:15:45 ucqw0StE0
【人物背景】
FF6におけるパーティキャラの一人。
帝国にもリターナーにも属すことなく、「賭け」と「大空」を生きがいとする自由な男。
傷だらけのギャンブラーで、空飛ぶカジノ・飛空艇ブラックジャックのオーナー。
何よりも「賭け事」と「女性」が好きであり、オペラ歌手のマリアに惚れてオペラ座に彼女の誘拐予告状を送りつけたところから、
帝国本土への移動手段を探すロックやセリス達と出会うこととなる。

ベクタ潜入時は脱出に備えて飛空艇に残っていたが、ロック達の脱出を迎えた所からパーティに正式加入。
魔大陸脱出の際、ブラックジャックからティナを落っことしてしまい、自分も墜落。
さらに衝撃でブラックジャックが大破、愛機を失ってしまう。

世界崩壊後は気力を失い、コーリンゲンの酒場で酒に溺れ、失意の日々を過ごしていた所を、
フィガロ城を浮上させたセリス達に見つけられる。
世界を救うと言うセリス達の叱咤と説得にまたしても感服、
夢を追い求めて空に散った友ダリルが遺したもうひとつの翼である、世界最速の飛空艇ファルコンを蘇らせ、
世界を取り戻す夢を追いかけることを決意し、友の眠るダリルの墓へセリス達を案内する。
無事、墓に眠るファルコンを復活させ、再び空へと飛びたつことに成功し、各地に散らばった仲間を探す。

「ギャンブラー」であるが「金銭そのもの」には関心が無い。
セッツァーが求めているのは「命を賭ける価値のある夢やロマン」であり、
ギャンブルに身を投じたり、飛空艇を乗り回すのも、
そのスリルや爽快感が彼にとってのロマンだからのようである。
【サーヴァントとしての願い】
世界最速の男として、飛空挺ファルコンを全ての平行世界で最速の船にする。

【方針】
マスターと組んでの優勝狙い。

【基本戦術、運用法】
魔力消費が少ない(宝具についても)サーヴァントであるため、マスターであるセレスが魔術師ではなくてもある程度は戦闘できる。
ただし基本的に戦闘向きのサーヴァントではないため、強力なサーヴァントと一騎打ちすることは避けたい。
偵察に徹し、他の主従が弱まったところを強襲する動きを狙った方がいいだろう。

ぜになげはこの主従にとって唯一に近い安定して有力な攻撃を行えるスキルである。
お金を溜めて戦闘でガンガン使おう。

宝具の性能が幸運に依存するため、安定しないのも欠点のひとつである。
ギャンブラーとしての幸運に期待しよう。


13 : セレス・アーチャー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:16:00 ucqw0StE0
【マスター】
セレスティア・ルーデンベルク
【出典】
ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生
【参加方法】
苗木誠にプレゼントされた月の石によってムーンセルへと召喚された。
【マスターとしての願い】
ヨーロッパの古城を買い取り、吸血鬼の扮装をさせた美形をはべらせて暮らしたい。
もし帰れた場合は、苗木誠にまた勝負を挑む。
【weapon】
無し。
【能力・技能】
“超高校級のギャンブラー”
高校生でありながらギャンブルの業界で名を馳せる超高校級のギャンブラー。
ウソとポーカーフェイスの天才。
その類稀なる才能のため、麻雀やポーカーなどの対人式の賭博勝負では生まれながらにして負けることはないのだと語る。
彼女との対戦で全財産を失い、人生が破綻した人間も数多く存在するという。
本人曰く、剛運の老人や銀髪の青年、ぽっちゃり系のメイドさん、正直者と詐欺師のコンビ等とも勝負を交わし軽くひねったらしいが真偽は不明。
【人物背景】
希望ヶ峰学園に入学した生徒の一人。
所持する才能は“超高校級のギャンブラー”。

名前を含めて全ての経歴が自称。外国人のような名前であるが生粋の日本人で、本名は「ヤスヒロタエコ」。
両サイドの巻き毛はウィッグであり、場面によっては(ゴスロリ服を着ていない際は?)本来の髪型であるおかっぱの姿になっていることもある。

かつて「キングオブライアー」と呼ばれる相手の資産を奪い合う大会に参加したなど、どこかで聞いたような過去を多く持つ。
ウソかどうかは彼女の言動からは判別できない。

十神と同様に学級裁判にはゲーム感覚で参加しているため、校内でどんな事件が起きようともほとんど動じない。ただし、十神と違って幾らかは協力的。
会話の際は、常に人を食った態度と言動で自分のペースに持ち込もうとする。
普段は常に微笑を浮かべ丁寧な言葉遣いをしているが、怒ると豹変し人差し指を立てて口汚く相手を罵倒する。

学園からの脱出を望む他の人物たちと異なり、学園生活に満足を見出し順応しようと発言している。
――が、これは自分の本来の望みを他人から隠す為のブラフであり、自身の犯行が露見した際には「本当は一番学園から出たいと願っていた」と語っていた。

フランス貴族とドイツ人音楽家を両親に持つと自称するが、出身は栃木県宇都宮市であり、本人曰く「下品で臭い」餃子が大好物。
【方針】
優勝狙い。
アーチャーの性能と自身の性能を鑑み、積極的に仕掛けるつもりはない。
地下カジノを拠点とし、両陣営の消耗を観察し、好機を待つ。


14 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 04:17:27 ucqw0StE0
以上、投下終了です。
登場話候補をお待ちしています。


15 : 名無しさん :2014/09/03(水) 12:06:48 0IvrAN9o0
期限はいかほどでしょうか?


16 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 12:32:08 Ev5w9rkwO
聖杯大戦なので考えてたルールを書き忘れていたのでひとつ追記。

・サーヴァントを撃破されたマスターは、その後一時間程度まで残ります。
その際にマスターのいないサーヴァントがいた場合は再契約が可能です。

>>15
大体>>6に書いてある通りですが、具体的に挙げるなら長くても二〜三週間くらいで投下し終わるかと。
投下期間が足りないようなら、言ってくれたらある程度延長します。


17 : 名無しさん :2014/09/03(水) 12:39:29 p.2/cJd20
投下時に陣営を決める必要はありますか?
ある場合、セレス組の陣営はどちらでしょう?見落としてたら申し訳ない


18 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 12:57:40 Ev5w9rkwO
>>17
>>6に書いてある通り、投下時に陣営を指定する必要はありません。
もちろん陣営を指定して投下すること自体は自由で構いません。


19 : サイバーゴースト名無しさん :2014/09/03(水) 19:11:01 CV1VP05c0
質問です。同じクラスを連続で投下するのは可能ですか?
それとも同じ書き手はクラスが一巡しなければダメですか?


20 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/03(水) 21:32:45 Ev5w9rkwO
>>19
んー、可能ということで。


21 : ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:25:25 ATZA.tYo0
登場話投下させていただきます


22 : エロポップ ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:28:50 ATZA.tYo0

「もうまったく嫌になっちゃう!!」

ロザリンド・スターリング
今年16歳の彼女がムーンセルにて『予選』、すなわち記憶消去の洗礼を脱したときに最初に語った言葉がそれだ

「ジュリエット姉ちゃんの誕生日も近いのにこんな訳のわからない事になるなんて!!
車の免許もとれたし、最近ラッキーだったのがもうズット昔みたい
こないだ車を壊しちゃった時みたいに最悪だわ
いやアレはだってロザリンドのせいじゃないよ!!車にオイルが必要だったなんて知らなかったもん」

やたらハイテンションな一人言だった
変人が多いスターリング家の中でもロザリンドの性格はかなりキていた
そのトラブルメーカーぶりや姉を引き殺しそうになるほどの運転センスは家族にも呆れられている

「なんか白いのと黒いのが……ルーレット?ルーラーだったっけ?
なんかセーハイがふたつとか冬木がドーノコーノ言ってたけどーー」


ロザリンドは聖杯戦争に参加する気もなかったし、そもそもその存在すら知らなかった
そんな彼女がなぜムーンセルに要るのか?
ロザリンドの趣味は雪男の骨をコレクションすること
雪男が本当に存在するかどうかは疑問だが、彼女が集めた骨の中に『月の石』があったことはアンラッキーだった
もっとも、本人はそれに気づいていないが

「てか肝心のアタシのサーヴァントってこの子なわけ?あり得なくない?」

ロザリンドの視線の先には、スヤスヤと眠る赤子の姿
周囲を見渡すも他にそれらしい姿は無かった。素で騒がしいロザリンドが注目を集めなかったことはラッキーだった

愛らしい仕草で熟睡する赤ん坊は、ロザリンドの目から見ても可愛らしかった

「つかれて寝ちゃってるのかな?」


23 : エロポップ ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:29:44 ATZA.tYo0







「それは違う!!聖杯を手にするために力を蓄えていたのだ!!」


24 : エロポップ ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:30:40 ATZA.tYo0

赤ん坊が突然叫んだ

「ぎゃあぁぁぁぁーーー!!」

ロザリンドも叫んだ
まだハイハイをするかもわからない赤ん坊が流暢に喋る光景は予想していなかったらしい

「この子喋ったんですけどチョーウケる!!えっえっ赤ちゃんって喋るの?なにそれスゴすぎ!キャアアアアア!!」

いやなんか喜び始めた
別に怖がってはいないようだ

「お前が俺のマスターか?」
「また喋ったーーー!!すっげキモ可愛いいんですけどーー!!ウケるーー!!」

赤ん坊……バーサーカーは珍獣を見るような視線をロザリンドに向けた

生前のバーサーカーは、魔神から一転勇者に殺されて人間に転生したり、いの一番に母親もぶち殺したり、雑魚な魔王を奴隷にしたり、アメリカ軍に核攻撃されたりなど色々な経験を積んできたが、ロザリンドのようなタイプには出会ったことがなかった
ぶっちゃけそのテンションに魔神とはいえ引いていた

「……俺は魔神ザウーガ。クラスはバーサーカーだ」

しばし思考を巡回した結果、バーサーカーはスルースキルを発揮した
この手の相手は絡んだら絡むだけ疲れそうな気がしたのだ

(ていうかこの小娘、あの魔王よりも弱そうだ。しかもウザいし戦えるのか?いや騒がしいから囮とかには使えるかもしれないな)

愛らしい外見からは想像も出来ないブラックな本音。さすが魔神

「えええええ!あんたがアタシのサーヴァント?ってヤツなの!!てかサーヴァントって赤ちゃんでも成れちゃうんだ!!なにそれマジブッ飛んでるよねーー!!キャハハ」
「此方にも事情がある」

全盛期の魔神の姿ではなく、なぜか転生したときの赤ん坊の姿での現界。
バーサーカーもなぜこうなったのかは今一わからなかったが、これでも十分戦えるので問題はなかった。


25 : エロポップ ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:33:40 ATZA.tYo0

「てか今神って言ったよね!!アンタ神なの?スッゲーアタシ初めてだよ生の神様見るのなんて!!
しかもキモ可愛いしマジヤバじゃね!!
やっべジュリ姉にも見せたくなってきたっつーか!!あーでも皆いないしなー残念じゃねマジで!!」

「ええい煩い!!少し黙ってろ!!」

「怒った顔もお猿サンみたいで可愛いいんですけどォォォ!!キャハハハハハハハハ!!」

「……」

しかし赤ん坊の姿で凄んでもまるで効果がない。寧ろマイナスだった

(やばいぶち殺したくなってきた)

だがそれは駄目だ。ウザッたいがこの女と俺は一蓮托生。
せっかく手に入れた世界征服の千載一遇のチャンスを不意にしてしまうなんて馬鹿のすることだ
バーサーカーは苛立ちをなんとか押さえた。
しかしそのしぐさも外見補修でなんか可愛く見えてしまう。
ロザリンドは唐突にバーサーカーを抱き上げた。好奇心旺盛な瞳がバーサーカーを見上げる。

「な、何をする!!」

ポーンポーン

ロザリンドはバーサーカーを上空に放り投げた。まるでボールか何かのように。
幼児、とりわけ赤ん坊をそのように扱うことは、俗にタカイタカイと名称される。

「キャアァァァァァァ!!カッわいいんですけどマジでゲキヤバって感じ!!ママとか絶対気に入りそうだよもう!!」

「グォオオオオ!!やめろォォォォ!!俺はボールじゃないぞォォォォ!!」

当たり前だが猛抗議するバーサーカー。
魔神としてのプライドがあるのだ。
なにも知らぬ第三者から見たら、児童虐待にしか見えかねない
しかしロザリンドは全く気にしない

「そんなことわかってるけどォ!!なんかホッとけないしぃ!!つーか持ちやすいんだもん!!キャハハハハハハハハ」

「ふざけんなぁぁぁぁぁッ!!」

バーサーカーは決めた
聖杯を手に入れたら、自分ごと性戦士に核を撃ち込みやがったアメリカ大統領。
そしてこのガキをかならずぶち殺すと


26 : エロポップ ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:35:41 ATZA.tYo0


【クラス】
バーサーカー
【真名】
魔神ザウーガ
【出典】
エロタワー
【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷C 魔力B 幸運A+ 宝具C
【属性】
中立・悪
【クラススキル】
狂化:D
【保有スキル】
直感:D
戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。
神性:−
このスキルは失われている
精神汚染:B
赤ん坊:EX
赤ん坊であるスキル。よくネムネムしたりする
反英霊:B
けっして英霊ではない

【宝具】
『黙ってろバカ!!』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:99 最大補足:1
敵サーヴァントの一部のスキルと宝具の使用を完全に封じる宝具。
対魔力:B以上のスキルをもつサーヴァントには高確率で防がれてしまう

『赤ちゃん超乱舞』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:255 最大補足:1〜8
エロタワーのロリータバブで詐欺にあったザウーガが発狂したときの逸話が宝具まで昇華したもの。
「キェェェェェェェェェェッ!!」という叫びとともに、発狂したバーサーカーが繰り出す拳の嵐。

『寝る子は育つ』
ランク:C 種別:対自分宝具 レンジ:1 最大補足:1
「寝る子は育つ
俺は寝て育ったのだ
とてつもなく」
バーサーカーの筋力、耐久、俊敏のスキルを二段階レベルアップする宝具だが、一度発動すると20時間の睡眠を必要とし、その間バーサーカーは完全に無防備になるため、使いどころの難しい諸刃の剣。一回しか使用できない

『ンゴェャッヨ砲』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:255 最大補足:1人
強力な砲撃。

【weapon】
「超強力ドーピング薬」
飲むと老いた勇者とガキ一人を倒せるくらいには強くなる薬

【人物背景】
世界征服を狙う魔神。そこらの魔王より断然強い。
勇者メギラスに魔剣ツヨイケンで殺されたが人間に転生し、赤ん坊の身でありながら母を殺害。
続けて襲ってきた魔王ヴェギラスを返り討ちにし奴隷とし、勇者メギラスとその孫を殺害する
しかしその際、18禁施設のエロタワーのチケットを入手。
エロパワーを集めて世界を焼き尽くし、焼畑農業を初めて大儲けしようとするスペルマンと対立し、結果的に世界滅亡を阻止した。
しかしザウーガ本人は性戦士宣言し、エロタワーのすべてのエロパワーを吸収し急激にパワーアップしたスペルマンに敗北。
エロパワーを越える地上最強のパワーとしてアメリカ軍を頼り、大統領に電話して軍隊の派遣を頼むも、性戦士の力に驚異を感じたアメリカによってスペルマンもろとも核攻撃を受けて消滅してしまった

【方針】
優勝して世界征服する。あとアメリカ大統領殺す
使えるやつは半殺しにして奴隷。それ以外は殺す

【基本戦術、運用法】
宝具の使用を制限すればある程度は戦闘が可能。
幼い外見を利用し偵察に徹するのが吉か?


27 : エロポップ ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:37:51 ATZA.tYo0
【マスター】
ロザリンド・スターリング
【出典】
ロリポップチェーンソー
【参加方法】
コレクションしていた雪男の骨に月の石が紛れていた
【マスターとしての願い】
未定。家に帰りたいけどなんか面白そう
【weapo】
無し。
【能力・技能】
殺人級の運転センスの持ち主。
姉をうっかり轢き殺しそうになったり潰しそうになったりするが、クレーン車を動かせたりできる程度は技術力はある
しかし車にオイルが必要なことを知らず、修理に出すハメになるなど知識は乏しい。
下手に大型車の運転を任せたりしたらたちまち暴走して手がつけられなくなる
【人物背景】
ゾンビハンターファミリー『スターリング家』の三女で、パンキッシュな衣装を纏った、天真爛漫なトラブルメーカーの見習いゾンビハンター。
16歳。得意技は車を暴走させることで、好きな物は骨。
趣味はスクラップブックを作る事と歩行者を危険な目にあわせる事と雪男の骸骨を集める事である
【方針】
現状をキチンと把握しているかは不明だが、優勝は狙っていない。
破天荒すぎて何を考えているかよくわからない


28 : エロポップ ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:38:17 ATZA.tYo0
以上です


29 : ◆VYr1mStbOc :2014/09/03(水) 22:39:05 ATZA.tYo0
スキル、及び宝具やその他に不備や不自然な点があればご指摘よろしくおねがいします


30 : 『僕と協力して同盟相手になって欲しいんだ』 ◆lb.YEGOV.. :2014/09/03(水) 23:37:06 EA8szz/20
「随分と破天荒なサーヴァントを持って君も大変なようだな」

警察官から発せられた言葉にまどかは先程までとは別の理由で硬直する事になった。
サーヴァント。
NPCであれば決して口にする筈のない単語。
その単語を口にし、あまつさえライダーをサーヴァントだと認識しているのであれば、導きだされる結論は1つ。

「なんだ、お前マスターなのか」
「ああ、生憎と君が倒そうとしている白髪のサーヴァントとやらのマスターではないけどね」

ライダーの問いに、事も無げに答えた警察官。
いや、アーチャーのマスターであるタダノ・ヒトナリは、視線をライダーから、緊張した表情を浮かべているまどかへと向けた。

「君達を襲った白髪のサーヴァントについて話を聞きたい。了承してくれるのであれば、学校側には事故に巻き込まれてやむを得ず欠席したという旨で便宜をとりはかろう。学校で今のような状況に陥るリスクは取り除けるだろうし、悪い提案ではないと思うけど、どうかな?」

一言一言、落ち着かせるようにタダノは目線を合わせてまどかへと語りかける。
結論を急がず、恫喝する事もなく、ただ彼女が落ち着くのを待つように、じっと二つの瞳がまどかを見つめる。

「理由は……」
「ん?」
「理由はなんですか? なんで敵の私にそんな風に尋ねるんですか」

キッと、まどかの瞳がタダノを見返す。
逃げた所で状況が好転する訳でもない。まどかは覚悟を決めていた。

「君を襲ったサーヴァントを僕はできるだけ優先的に排除したい。だからそのサーヴァントの力を知っている君と手を組みたい」

単純でわかりやすいだろう?と、タダノは続ける。

「白昼堂々、周りの被害を気にせずに戦闘を仕掛けるなんてのは、暴れたいだけの危険人物か、既に後のない人間のどちらかだ。そして、そういう人間は何をしでかすかわからない。だから今の内に倒せる準備はしておきたいのさ」
「おい、さっきも言ったけど、白髪は俺が倒すんだぞ」
「もちろん、そちらのサーヴァントの意見は尊重しよう。君が決着を望むというなら、情報収集に横やりの防止、幸いにも僕のサーヴァントはその辺りは万能に動けるからね」

沈黙。
タダノの提案理由自体はまどか自身も理解できるものではあった。
だが、信用をできるかと言えば話は変わる。

「僕は強制も強要もしない。君が断るというのであれば、まあ仕方は無い。『白昼堂々暴れる白髪の危険なサーヴァントがいる』という情報だけでもそれなりのアドバンテージにはなる。別の同盟相手を探すさ」

一通り話を終えた上で、改めてタダノはまどかを見据える。
その視線は言外にまどかに対して「さあ、どうする?」と語っていた。
乗るか、蹴るか。
与えられた選択に対してまどかは――


31 : ◆lb.YEGOV.. :2014/09/03(水) 23:43:44 EA8szz/20
誤爆してしまい大変申し訳ありません


32 : 名無しさん :2014/09/04(木) 00:34:12 fckvD6G20
質問です
選出は8+8=16組出揃うまでの早い者勝ちですか?
それとも投下されたものの中から1さんが選ぶかたち?


33 : 名無しさん :2014/09/04(木) 00:38:03 hJndgiQQ0
私からも質問です。

1.舞台は再現された冬木市とのことですが、施設等は冬木氏にあるもののみですか?
  それとも参加者に由来する施設等の設置も可能ですか?

2.舞台に住人NPCは存在しますか? また魂食い等は可能ですか?


34 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/04(木) 00:48:58 1EWNnoXAO
投下お疲れさまです。

>>32
基本的に>>1が選出する形になると思います。
明記してなくて申し訳ない。

>>33
1.ある程度までなら可能とします。
2.存在します。魂喰いも可能ですが、大規模になりすぎればルーラーが取り締まるでしょう。
小規模で見つからない範囲ならば、ルーラーがなにか言う可能性は低いです。


35 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/05(金) 23:39:11 IVpKMhyI0
一騎投下します。


36 : カレン・オルテンシア&ライダー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/05(金) 23:40:20 IVpKMhyI0

「ライダー、周囲の様子はどうでしたか」

カレン・オルテンシアは自らの居室へと戻ってきたサーヴァントにそう確認した。
先刻このサーヴァント――ライダーには、周囲の索敵を命じた筈だ。
カレンの所見では、未だ聖杯戦争が本格的に始まった様子は無い。
しかし同時に、『予選期間』が始まってからそれなりの時間が経っているのも感じていた。

「問題ない……と言いたいところだけど、少し街が騒がしくなってきたようだ。
 ――そろそろ、本格的に始まるのかもしれない」

霊体化を解き、居室の隅に実体化したライダー――紫のターバンを巻いた粗末な格好の男は、そうカレンに告げた。

「そうですか」

そう言うと、先程までと同じようにカレンはオルガンへと向き直る。

――カレン・オルテンシアにとって、予選期間は退屈な期間でしかなかった。
『繰り返す四日間』――正確にはそれへの情報を潜り込ませる形での介入の経験は、同じように『参加者の情報』を読み取って招待するムーンセルの予選に対して耐性として作用したらしい。
結果としてカレンは、参加者の中でもかなりの速さで覚醒することとなった。
聖堂教会が悪魔祓いに過ぎないカレンを『月の聖杯』の調査及び確保役として指名したのも、そのあたりが理由であったらしい。

唯一面白かったことといえば、カレンの役職として用意された『月海原学園の保険教諭』という肩書程度だろうか。


「……マスター。君には願いは、本当にないのかい?」
「ありません」

オルガンを演奏するカレンに、ライダーは問いを投げた。
その問いに躊躇い無くカレンは即答する。

「いや、だが……」
「もちろん、方舟が私を選定した以上願いが存在しないというのは嘘になるでしょう。
 その願いも、実のところある程度推測はついています。
 ――ですが、それを叶えようというつもりはありません。
 あくまで私のなすべきことは聖杯の調査と確保であり、それ以上をするつもりはありません」

言い淀むライダーに、カレンは正面から言い放った。
――カレンがこの聖杯戦争に参加したのは、聖堂教会からの指名に基づく任務でしかない。
それ以上の行動は認められていないし、しようとも思っていない。

「……君は、それでいいのか?」
「どういう意味ですか」

尚も食い下がるライダーに、彼女は顔を向けて問いかける。
ライダーは悩むように頭を振った後、意を決したように言葉を続けた。

「……君が。今まで苦難に遭った君が……願いを叶えることも許されないとしたら。
 ……それは、報われなさ過ぎる」

――ライダーが見たカレン・オルテンシアの記憶の中で彼女が報われた場面は、ほとんどなかったように思えた。
母とは死別し、父を知らず、その出自から教会と修道院をたらい回しにされた。
その聖痕を見出され代行者となった後も、その能力故に彼女は傷つき続けた。
だから――彼女が一度くらい、報われてもいいと思った。


37 : カレン・オルテンシア&ライダー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/05(金) 23:40:55 IVpKMhyI0


「――問い返しますが。貴方は、聖杯への望みはないのですか」

そんなライダーに。カレンは、ひとつの問いを返した。

「……、ッ」
「記憶の共有を行ったのはあなただけではない、ということです。
 報われないと言うのならば、あなたの人生だってそうでしょう、ライダー。
 いえ――グランバニアの王よ」

グランバニア王――伝説の魔物使い。
苦難と言うならば。彼の人生もまた、苦難の連続であっただろう。
母は無く、父と二人で当てもなく旅をして。
その父を失い、奴隷としての労働の日々を送った。
友と奴隷の身から逃げだす時にも、他人を犠牲にしなければならなかった。
そして、父の使命――天空の武具と勇者の探索を知り、それを受け継ごうとした。
その使命の途中、天空の盾にまつわる出来事で結婚。
更に旅を続けている内に妻が妊娠し、その次に訪れた城塞都市で――父がその国の王であったと知った。
妻が双子を出産し、家族を得たと思った直後に、父と同じように妻を攫われ。
助けに向かった先で罠に落ち、石像として10年近くを過ごした。
結果として、子供には自分と同じ寂しい思いをさせてしまったし――子供が自分を助ける為にした冒険を思えば、その思いは更に強まる。
妻を助け、天空の勇者であった自らの子供と共に魔界に攻め込んだ。
母との再会。そして、目の前での死。
妻を得た。子を得た。友人を得た。仇は討った。
報われはしたかもしれない。――けれど、失ったものが多すぎた。

だから。聖杯にかける願いが無いと言えば、そんな筈はなかった。

「あなたがするべきは、マスターに願いを考えさせることではなく。己の願いの為にどうするかを思考することでしょう。
 ――あるいは、私を自分か――あるいは子供と重ねましたか、ライダー」

それがなかった、とは断言できない。
親も無く、苦難に苛まれた彼女を、同じように親の無い人生を送った自分――あるいは子供達と重ねて、彼女に同情しなかったとは、言い切れない。
彼女が報われることがあれば、自分も同じように報われるのではないか、と思ったことは否定しない。
だが――

「そうかもしれない。
 でも――僕は、できるだけ多くの人が幸せになってほしいと。そう思うんだ」

それも真実。
いかな苦難に出会おうとも決して折れず、高潔な人物として生きた彼の、心からの願いだった。

「――では貴方は。この聖杯戦争に参加した人々を蹴落として幸せを願うのですか。
 彼らとて、彼らなりの幸せを願っている筈ですが」

けれども、それもまた矛盾だった。
この聖杯戦争は願いの為の蹴落とし合いだ。どれだけ少なくとも、8騎の犠牲は免れない。

「わかっているさ。
 ……だけど、誰も幸せにならない結末よりは……一人でも多く、幸せになる結末を願っても、いいはずだろう」
「綺麗事ですね」
「それでもいいさ。何もしないよりは、きっとマシな筈だから」

望むと、望まざるに関わらず――苦難は、試練として彼を強くした。心も、体も。
だから、今更この程度のことで動けなくなるほど柔ではない。
進む道に苦難があるならば、それもまた人生と背負ってみせる。
そう、ライダーは宣言した。

「……常人とは比べ物にならぬ苦難を受け、尚その道を望み、そして折れませんか。
 本当に――面白い人」

――幼少から負った苦難。それに潰されぬ生き方。
そして、“父”という存在。

カレン・オルテンシアにとって、このライダーはあまりにも興味深い人物で――とても面白い玩具だった。


38 : カレン・オルテンシア&ライダー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/05(金) 23:41:26 IVpKMhyI0
【クラス】ライダー
【真名】リュカ(DQV主人公)@ドラゴンクエストV
【パラメーター】
筋力C 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運E 宝具A
【属性】
中立・善
【クラススキル】
対魔力:D
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
騎乗:A+
 魔物使役の一環としての騎乗能力。
 その才能は魔獣だけではなく、幻獣や神獣への騎乗さえ可能にさせる。
【保有スキル】
魔物使役:A+
 ある程度の意志の疎通を伴う魔物種への支配・使役。
 A+ともなれば竜種さえも使役を可能にするレベル。
カリスマ:B
 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
 ライダーの生前の冒険の逸話により、戦闘に参加しているのが2人程度であってもその効力を受けることが可能。
 また、そのカリスマは人間だけではなく魔物にも及ぶ。
魔術:B
 風の魔術と治癒の魔術、そして補助魔術を扱う。
【宝具】
『馬車よ、我が友と共にあれ』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:10人
 ライダーが生前の冒険で愛用した馬車。
 本来なんの変哲もない馬と馬車ではあるが、ライダーの「この馬車を用いて地上と魔界を走破した」という逸話、そして別世界の勇者達の「馬車を用いた冒険」の逸話により宝具と化した。
 ライダーの冒険、あるいは他の世界の勇者達の旅による『馬車からは仲間が飛び出すもの』という概念により、彼が生前従えた魔物を中から一体のみ呼び出すことができる。
 ただし呼び出す種類については『空を飛ぶ魔物』などの緩い指定は効くものの、なにが呼び出されるかを完全にコントロールすることはできない。
 ――しかし、彼が生前幼少から絆を結び、青年となってから運命的な再会を果たした『地獄の殺し屋』のみは、正確に指定して呼び出すことが可能である。
【weapon】
『パパスの剣』
 ライダーの父親が生前愛用した剣。
 特異な効果は一切存在しない。
【人物背景】
ドラゴンクエストVの主人公。
主要な来歴は本編で語ったのでカット。

余談ではあるが、キャスターとしての召喚であれば自身を竜種へと変身させる杖や“城”を築く高い陣地作成スキルを所持して現界していた筈である。
その場合馬車の宝具は失っていたので単純にそちらの方が強いとは言い切れないが。
【サーヴァントとしての願い】
無し。出来るだけ多くの人を助けたい(あるいは死んだ父と母の蘇生?)
【方針】
マスターを助ける。
【基本戦術、運用法】
偵察・戦闘・その他諸々を全てこなせる宝具を持つものの、マスターであるカレンは魔力回路を持たないため魔力供給には不安が残る。
必然的に宝具の使用は制限し、使いどころを見極める必要がある。
とはいえ単体での戦闘能力はそこまで高くない以上、単身での戦闘となれば宝具の解放を行わざるを得ないジレンマが付きまとっている。
如何にそこをカバーするかが問題であろう。
カレンの目的からしても、同盟相手を見つけるのが手っ取り早いか。


39 : カレン・オルテンシア&ライダー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/05(金) 23:43:56 IVpKMhyI0

【マスター】カレン・オルテンシア@Fate/Hollow ataraxia
【参加方法】
教会から指令により、月の石を入手して参加。
【マスターとしての願い】
聖杯の確保。あるいは、危険な願いを持たない人物が聖杯の使用権を得ること。
【weapon】
「マグダラの聖骸布」
 カレンが所有する赤い布で、「男性を拘束する」という特性を持った聖遺物。
 「我に触れぬ(ノリ・メ・タンゲレ)」という言葉と共にその力を発動。主不在でも機能し続ける。
【能力・技能】
「被虐霊媒体質」
 『悪魔』にに反応し、その被憑依者と同じ霊障を体現する。悪魔祓いにおいて初手、そして最大の難関とされる「隠れた悪魔を見つけ出す」段階において、自らの傷を持って悪魔を探知するのである(いわば鉱山のカナリア)。
 このため、常に生傷が絶えず、右目の視力はほぼ喪失。すでに走ることもできず、味覚は激辛・激甘など非常に極端なものでなければわからないほどに利かなくなっている。更に暴走した被憑依者に自身の身体を差し出す事で暴走を抑える役目も担っており、性的暴行を受けた事も少なからずある。
【人物背景】
「繰り返される四日間」にて、言峰綺礼の後任として冬木教会に派遣されてきた代理司祭。ただし本編の彼女は「言峰綺礼」の位置にカレン・オルテンシアの情報をもぐりこませた存在であり、本体ではない。
言峰綺礼の娘。
「他人の幸福は無性に潰したくなる」程のサディスト。さらに毒舌で、人使いも荒い。
しかし壊れているとはいえ、その信仰心は本物。その能力から傷ついていく体を、ただ在るがままに受け入れることが出来る程に無心の祈りを体現する。
その他の主な来歴は作中である程度語ったのでカット。
【方針】
月の聖杯を単独、あるいは使用しても世界に累を及ぼさない人物と確保する。
その為にまずは協力者を探す。


40 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/05(金) 23:44:17 IVpKMhyI0
投下終了です。


41 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/05(金) 23:47:39 IVpKMhyI0
それと、陣営についてのルールを更新します。
ちょっと不明瞭な点があったので。

【陣営の移動について】
陣営の移動は、その陣営の対応するサーヴァントが既に脱落しており(要するに、黒のランサーならば白のランサーが死んでいなければ白の陣営には移動できない)
その陣営のルーラーが同意した場合に陣営を移ることが可能。
また、サーヴァントが脱落したマスターが他のサーヴァントと契約した場合、陣営はサーヴァントの方に依存する。


42 : 名無しさん :2014/09/06(土) 10:30:36 umMnBNkgO
サーヴァントを失ったマスターは、同じ陣営から狙われるのか。


43 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/06(土) 15:25:15 SIJe9kTc0
登場話を投下します。


44 : 神原駿河&アサシン ◆QNxvmG91pc :2014/09/06(土) 15:25:53 SIJe9kTc0
月というものは魔術的象徴として扱われることは多々ある。
事実、ムーンセル、月と地球の聖杯戦争、月の石。
この時点で月との関係は切っても切れないに値していた。
勿論、月の関係は聖杯戦争だけにはあらず、サーヴァントとして召喚された
彼にも深く関係があった。

「これは想定外だな。…………まぁいい」

アサシンは全てを理解し、呟いた。
彼は計画を立てていた。
それは月を用いた計画。
簡潔に言えば月を媒体に世界全土に幻術をかけ、自身の思うがままの世界を作り上げる。
この計画の上で、アサシンは一度死に、再び復活を遂げるその日を待ち構えていた……が。
死者であるのには変わりない。
『英霊』と判断された彼は、こうしてサーヴァントの召喚を遂げていた。

「ここで俺が復活してしまうのは悪くはない……が
 聖杯戦争で敗れたとしても、オビトが俺を復活させるのに変わりはない」

アサシンにとって聖杯戦争は息抜きに過ぎないのだ。
それはそうとアサシンは動く。

「さて、問題は俺のマスターだ。
 俺を使役しようなど言うからには対等な相手でなくては。
 とはいっても俺が納得できる相手と言えば――柱間くらいしかおらんがな」

枯山水の日本庭園にいたアサシンが
向かいにあった屋敷の縁側にいる女を見つける。
他に人間の姿はない。

「女か…」

アサシンが目線を合わせようとした瞬間。

「『私に幻術をかけるな』っ!!」
「!」

令呪の一画が消失した。
沈黙が広がる。
彼女は冷や汗を浮かべながら、恐る恐るアサシンの様子を伺っていた。

「まさか本気でやろうとしていたのか……?
 危ない危ない……ちゃんとゲームの攻略本は読んでおくように
 サーヴァントの情報もよく見ておいて正解だな」
「…大した奴だ。少しは褒めてやろう。柱間には及ばんが多少は俺を使役するに値する」
「いやいやいや!警戒せずとも良い。私は寛大な心を持っている。
 ただ、たまーにあんな事やこんな事を要求するだけだ!」

と、彼女は攻撃をしかけたアサシンに対してとは思えぬ対応をしてくる。

「まずは自己紹介だ。私は神原駿河だ。得意技は二段ジャンプとBダッシュだ。
 聖杯戦争とやらには何故か参加してしまったのだ。
 そして何故、お前を召喚してしまったのかは分からない。
 こういうのは相性とかそういう諸々が含まれるとしても
 お前の情報を何度見ても私と繋がる接点が皆目見当がつかない。
 召喚方法だって曖昧だ。月の石が同人誌の予約特典に付属されていたコレだとして
 召喚の儀式のようなものは全く――」
「うちはマダラだ。アサシンのサーヴァントとして召喚された」
「……うむ!これからよろしく頼む!まぁ、立ち話もアレだ。私の部屋に入ってくれ!!」

ガラリと駿河が襖を解放すると、本の山――よりか本のビルがいくつも立ち並んでいた。
それら全てがR-18の同性愛同人誌であることは知らずとも
マダラもこの部屋を前にして立ち入ろうとはしなかった。

「場所を変えるか」


45 : 神原駿河&アサシン ◆QNxvmG91pc :2014/09/06(土) 15:27:01 SIJe9kTc0
※ ※ ※


「マダラ。これは私個人の興味なのだが聞いてもいいか?」

二人は地獄の本タワーの間から移動して客室で会話をしていた。

「柱間というのは誰だ?」

アサシンはここがかつて自身のいた忍世界ではないことは承知していた。
駿河が初代火影・柱間、うちはマダラに関する知識がないのは当然であると受け止めている。
しかし、あえて駿河自ら問いただすのは予想外のことであった。
思わずアサシンが問う。

「何故聞く?」
「むしろあの短い間に二回も名前が挙がった人物を気にならない方がどうかしていると思うのだが?」
「フム…」
「柱間は男なのか!?」
「男だ」
「よし!よし!!男か!そうか!!」

何がよしで、何故男であることが重要なのかはマダラには理解できない。

「柱間の話を聞きたいか、物好きな奴だ」
「出会いから頼む」
「…俺と柱間とのか?」
「あったら頼む!」


〜〜三時間後〜〜


「つまり柱間のことが好きなんだな!」
「違う」

話した結果、訳の分からない解釈をされてしまった。
話の途中でも「兄弟がいるだと!?三角関係のもつれか…」や
「確かに世界は残酷だ!二人の愛を認めないのだからな!!」といった
理解不能な呟きを繰り返す駿河に、マダラは話が噛み合わない奴に召喚されたと思っている。
ここまでの話で何をどう理解すれば、そのような解釈へ発展するか
本当のところ写輪眼で彼女の思考を探りたいところであった。

「心配するなマダラ!少し待っててくれ」

心配も何もマダラは心底呆れているだけである。
駿河が持ってきたのは一枚の写真。

「私には好きな人がいる。戦場ヶ原先輩だ」

一応、写真に目を通すマダラ。
そこにいたのは長髪の少女である。
しかし、駿河も女性である。

「そうだ!私はレズだ」
「……」
「古典的な表現ならば百合か。つまり同性愛者だ」
「……」
「だから、マダラ。お前の気持ち…分かるってばよ……」
「柱間の話はもう終わりにするぞ」
「そうだな!ところでマダラの願いはなんだ?柱間と一緒に地図を描き変えることか?」

唐突に話を切り替えた駿河。
内容としては本題だ。アサシンは気に留めず答える。


46 : 神原駿河&アサシン ◆QNxvmG91pc :2014/09/06(土) 15:28:50 SIJe9kTc0
「俺は聖杯とやらを信用しない」
「ん?何故だ?」
「まさかとは思うが俺の計画を把握しているとも断言できん。それに――
 『英霊』と称するのは俺よりも柱間の方が相応しい」

そう。
アサシンも月と地球の聖杯戦争。
それと『月の目計画』に繋がりがあるのではと慎重であった。
千手柱間ではなく、うちはマダラを『英霊』として選んだ理由。
良からぬ企みがあり得そうな状況で
易々と望みの為に聖杯戦争を行うのは気乗りではない。
第一、焦る必要もないのだ。

「聖杯など要らん。なくとも俺は自らの手で望みを叶える。
 その算段はすでに終えた。あとは時を待つだけだ」

計画が完遂されればどうとでもなる。
世界の支配も、望むがままの世界も、再び柱間と対峙することすら――
想像しただけでアサシンは笑みを浮かべた。
ポカンとしてから駿河は呟く。

「…愛が重い……」

相変わらず訳の分からない戯言だとアサシンは受け流した。

「貴様はどうだ。神原駿河」
「む、私か。しいていうならば――この呪われし左腕には化物が取り憑いている…
 たまに疼くのだ……くっ!静まれ!私の左腕!!」
「………」
「突っ込まないのか!?」
「何をだ」

事実、アサシンの瞳は駿河の包帯で巻かれた左腕から
ただならぬ魔力が帯びているのを捉えていた。
あながち駿河は冗談を述べている訳ではない。

「この左腕を治したいという願いはあるが
 私にとっては戦場ヶ原先輩の方が重要なのだ。私は先輩の悩みを解決させたい」
「そうか」
「結局、マダラはどうするつもりだ?」
「俺の願いは勝手に使うがいい」

アサシンはこれ以上の対話の必要はないと判断し、姿を消した。
残された駿河は少し考える。
アサシンの話を聞いて駿河も引っ掛かりを覚えた。

聖杯を信用しても良いのか?

果たして聖杯はあらゆる望みを叶えるのか?

かつて願いを乞いた『猿の手』は『悪魔の手』であったように
駿河もアサシンと同じく聖杯を信用出来ないのは当然だった。
不安があるが、聖杯が正常な願望機であればいいのだ。
そうでない場合は、アサシンのように願いを乞わなければいい。
ふっきれた駿河は宣言する。

「フッ…私が左腕を治すと思ったか?大間違いだ!私は決めた!
 私はマダラと柱間の恋を成就させる!!」
『………』

霊体化しているアサシンがそこにいるとは知らない駿河であった。


47 : 神原駿河&アサシン ◆QNxvmG91pc :2014/09/06(土) 15:29:52 SIJe9kTc0
【クラス】アサシン
【真名】うちはマダラ@NARUTO
【性別】男性
【属性】秩序・悪

【パラメーター】
筋力:C 耐久:C 敏捷:A++ 魔力:B 幸運:C 宝具:A+

【クラススキル】
気配遮断:D-
 自身の気配を消す能力。
 アサシンの世界では忍ばない事が多い。その為ランクは低い。

【保有スキル】
忍び耐える者:A
 優れた身体能力と魔力(チャクラ)を保有するスキル。
 幸運以外のパラメーターを全て1ランク上昇させる。

心眼(真):A
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

忍術:A
 基本的な術(影分身など)、炎の術(火遁)を使うスキル。
 (漫画本編で使用した技は全て使用可。ただし『輪廻眼』ありきの技は使用不可)

カリスマ:-
 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。
 一族を統一したカリスマ性を持ち合わせていたが
 アサシン自らそれを捨てた。

【宝具】
『万華鏡写輪眼』
ランク:B  種別:対人(自身) レンジ:-
アサシンの瞳そのものが宝具。
写輪眼には幾多の能力が秘められているが
使用可能なのは幻術、相手の動きの読み取り、魔力感知、須佐能乎(後述)である。

『須佐能乎』 (スサノオ)
ランク:A+  種別:対人(自身) レンジ:-
術者を中心に展開される異形による防御壁。
太刀や勾玉などの武器を生成する他、ランクCの対魔力のスキルを発揮させる。
注ぐ魔力により形態が変化する。『万華鏡写輪眼』が封じられると使用不可になる。

『柱間細胞』
千手柱間の特殊な細胞。
柱間細胞があれば『万華鏡写輪眼』は『輪廻眼』へ開眼できるが
召喚されたアサシンは「忍びの世界で語り継がれている英雄・うちはマダラ」である為
歴史の裏側で入手した柱間細胞は再現されていない。よって現在この宝具は使用不可能である。

【weapon】
なし


48 : 神原駿河&アサシン ◆QNxvmG91pc :2014/09/06(土) 15:31:06 SIJe9kTc0
【人物背景】
話題にも挙げられている柱間と共に木ノ葉隠れの里を創設。
里を抜け、柱間と地図を描き直す程度の闘いを繰り広げ、敗北。
だが柱間細胞を奪い『輪廻眼』を開眼させる。
うちはオビトに『月の目計画』を託し死亡する。
のちに復活する手筈だったが、それより先にサーヴァントとして召喚されたのが今回。
復活後の話はあまり関係ない為、明記はしない。

誤解を招くかもしれないので説明するとマダラは柱間のことは好きではない。
事あるごとに柱間の名前を呟き、例えに柱間を挙げ、
柱間の血筋に対して屁理屈を吹っ掛け、手に入れた柱間細胞を自慢し、
柱間のチャクラを察知するや否や狂気の笑みと歓喜を覚えるが
決して好きではない。多分。

【サーヴァントとしての願い】
なし。
聖杯に不信感を抱いている為、願わない。
自らの望みは自らの手によって叶える。その準備は整っている。
聖杯戦争は暇つぶしにする。

【方針】
これといってなし。
基本は自由にする。駿河を生かし、聖杯戦争を楽しむ。

【基本戦術、運用法】
アサシンだが忍ばない。真っ向勝負で戦える珍しいアサシン?
全ての術や宝具は優秀だがその分、魔力消費が懸念される。
マスターの神原駿河は幸いにも『レイニーデビル』が取りついており
それの魔力を吸収する手段がある。吸収しすぎると『レイニーデビル』が死ぬ。
何にせよ一番の難点は性格である。


[捕捉]
『神原駿河に幻術をかけてはならない』との令呪がかけられている。


49 : 神原駿河&アサシン ◆QNxvmG91pc :2014/09/06(土) 15:32:09 SIJe9kTc0
【マスター】神原駿河@化物語

【参加方法】
同人誌の予約特典の付属品にあった月の石で召喚

【マスターとしての願い】
聖杯が正しい願望機であるか不安。
もし願望機として機能しているのならば
戦場ヶ原ひたぎの苦しみを解決させる事、マダラと柱間の幸せを願う。

【能力・技能】
運動神経が良い。

彼女の左腕には『レイニーデビル』が取りついている。
噂話にあるような『猿の手』を真似た悪魔である。
3つの願いを叶え終えた時、その人間の生命と肉体を乗っ取る。
彼女はすでに2つの願いを叶えた。つまり――

【人物背景】
猿に願った少女。
レズでBL好きな腐女子でネコで受けでロリコンでマゾで露出狂で欲求不満な女子。
要するに変態である。
あのマダラの前でもBLネタを話すくらいの変態であることはご理解いただけたと思う。
本当にマゾなので毛嫌いされたら逆に喜ぶ。

先輩である戦場ヶ原ひたぎに好意を抱いている。
怪異に苦しむ彼女の手助けになろうとした矢先の参加となる。

【方針】
運動神経が良いとはいえ肉弾戦が出来る訳ではない。
それらは逃げに徹底する技術である。
『レイニーデビル』に身をまかせ、人ならざる力を発揮することは可能だが
もはやそれは人ではない。

いつも通り趣味の方面へ走るだろう。


50 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/06(土) 15:33:28 SIJe9kTc0
投下終了します。ご指摘があればお願いします。


51 : 名無しさん :2014/09/06(土) 21:19:09 6mp.ystk0
投下乙ですww
ここら辺で全話感想を

>>1
おお、一瞬ルルーシュかと思ったけど、黒セイバーと白セイバーでしたか
確かに対照的な二人だ
8対8の陣営戦とは新しい試みですね

>>8
セラスとセッツァー来たー!
二次二次の時から気になってたギャンブラーコンビ
この二人は聖杯戦を引っ掻き回しそうなだなー、同陣営での腹芸も巧そう

>>22
不覚にも未把握だけど、どっちもテンションたっかいなーww
赤ちゃんがサーヴァントってけっこう新鮮、他の参加者も油断しそうだね

>>36
カレンとリュカのコンビ
ここでのカレンはマスター側か、これも新鮮な感じ
不幸な二人は幸せになって欲しいけど、カレンは難しそうだな

>>44
神原ファインプレー
あともうちょっとでただの魔力補給装置になるとこでしたね、危ない危ない
でも言動が別の意味で危ない、マダラさん軽く引いてるし願いが余計なお世話すぎるww


52 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/06(土) 23:49:32 3xRZoub.0
では自分も投下しようと思います。


53 : 正吉&アサシン  ◆g33OtL8Coc :2014/09/06(土) 23:50:41 3xRZoub.0





 たぬきさん たぬきさん 遊ぼじゃないか?♪


                         今ご飯の真っ最中♪


        おかずはなぁに?♪


                           梅干しこうこ♪


         一切れ頂戴♪


                      あら、あんたちょっとがっつきね♪





.


54 : 正吉&アサシン  ◆g33OtL8Coc :2014/09/06(土) 23:51:04 3xRZoub.0

冬木市には寺がある。
一つは柳洞寺といい、五十名もの修行僧が日々精進している。
この地でも随一の霊地であり、知らぬ者はいない屈指の名所であろう。

だが、もう一つの寺、万福寺については知る者は少ない。
万福寺は今や僧の一人もいない荒寺であり、森の中ともあって
夜ともなれば明かり一つないこの場所は、人の寄り付かぬ「魔地」と言っても過言でもない。





「正吉よ。おぬしはこの戦、どう打って出るつもりじゃ?」
万福寺の中、煙管を持ちながらそう問いかけたのは、赤みがかった茶の長い髪の女だ。
眼鏡を掛け黄緑色の紋付羽織、黒の長着という装いは、この荒寺には似つかわしくないだろう。
だが、それよりも驚くべきは女が向かう人物……いや人物とも言えない。
なにせ目の前にいるのは、器用に正座している二足歩行の「タヌキ」だからだ。

「正直に言えば、僕もこの戦争には勝ち進みたいと考えています。
 どんな願いも叶うというなら、僕たちのいた森を取り戻したい。
 けれどそれは同時に、皆の今までを無碍にしてしまうんじゃないかと」
正吉と呼ばれたそのタヌキは、俯いたまま、されど静かに力強く答える。
彼とて望みがあるからこそ聖杯戦争に呼ばれた身だ。何も欲しくないと言えば真っ赤なウソだ。
あの人間たちに奪われた山や森が戻ってくるなら、そう考えてしまうのだ。

「そうか。まぁ、儂はおぬしに呼ばれた身じゃからな。おぬしの意志にどうこう言うつもりはない。」

そう、実はこの女性こそ目の前のタヌキ「影森の正吉」に召喚されたサーヴァント。
記憶を失い人間のサラリーマンとしてこの街で暮らしていた正吉が、なにかの拍子か月明かりのままに
獣道を進んだ先にこの万福寺を見つけ、タヌキとしての過去を全て思い出したときに現れたのだ。


55 : 正吉&アサシン  ◆g33OtL8Coc :2014/09/06(土) 23:51:14 3xRZoub.0

「此方もお伺いしたいのですが、団三郎先生はどんな願いを?」
ふと顔をあげた正吉が、今度は女性に尋ねる。
目の前で胡坐をかいている彼女は、何を望むのか純粋に疑問だった。

「儂か? 儂は特には無いかのぉ。
 友人に呼ばれて隠れ里に行ったことも、宗教戦争に巻き込まれたのもいい思い出じゃ。
 ……それとな正吉、儂の事は”アサシン”と呼べ。
 真名は儂らサーヴァントにとって弁慶の泣き所どころではない」
煙管を銜え、静かに煙を吐く女性――二ッ岩マミゾウはそう忠告する。

「済みません。先ほどお名前を伺った時、よもや団ざ……いやアサシンさんの正体があの大先生かと驚きまして」
名前を言いかけて、頭を掻きながら即座に言い直した。
二ッ岩団三郎と言えば、タヌキ世界ではその名知らぬ者はいないとさえ言われる大化け狸である。
余談だが、彼のいた世界の当人には色々あるのだが、ここでは割愛する。

「まあ良い。ひとまずは情報収集じゃろうな。夜が明けたら、街に出て偵察といこう。」


人には暗くとも、タヌキには十分明るい月の光に照らされて、
影森の正吉とそのサーヴァント、アサシンの二ッ岩マミゾウの会議は進行していった。


56 : 正吉&アサシン  ◆g33OtL8Coc :2014/09/06(土) 23:51:26 3xRZoub.0

【クラス】
アサシン
【真名】
二ッ岩マミゾウ
【出典】
東方project
【パラメータ】
筋力D 耐久C 敏捷B 魔力B+ 幸運B 宝具B
【属性】
中立・中庸
【クラス別スキル】
気配遮断:A+
下記保有スキルにより変化している。変化時に正体がばれにくい。
アサシンの場合、例え未来予知レベルの直観でも初見では全く見抜けない。ただし本物より年老いた感じはするらしい。
また、単純に気配を絶つことも出来る。

【保有スキル】
変化(へんげ):A+
化け狸の必須スキル。
アサシンは自分や所有物のみならず、他者でさえも様々なものに変えられる。
元となる物質が無い状態から何かを作り出すことはできず、性質を変えられないので元に近い物でないと見破られてる。
また自分のマスターを除く他者の場合、下記宝具の様にBランク相当として計算し、
ランク以上の魔力、または対魔力を持つ場合は無効化される。

妖獣:A
人あらざる者。妖怪と獣が持つ特徴を纏めた複合スキル。
物理ダメージの低減、体力回復に掛かる魔力量の軽減、精神干渉のダメージ化、およびその軽減等。
また化け狸であるため、満月時は幸運、宝具を除いてパラメータが1ランクアップする。
ただし魔、ないし獣に対して効果的な攻撃ではダメージが増加してしまう。

人間観察:C
金貸しをしていたという団三郎狸の逸話から発生したスキル。
眼前にいる相手の本質を見抜く事を可能とする。

【宝具】
『狸穴の大将』
ランク:E 種別:対軍宝具 レンジ:1〜255 最大捕捉:20
木の葉を媒介に、手下の化け狸達を計20体召還できる。
手下狸は短時間しか化けられず、その精度も低い(尻尾が出ている等)。
ただし消費魔力は少なく、斥候としては十分。
消費魔力を多くすれば変化の時間、精度も向上し戦闘にも転用できる。

『二ッ岩家の裁き』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1
煙管の煙を吹きかけ、相手を無力な動物に変えてしまう。
成功すれば相手は一定時間、宝具を含めた全ての能力を封印されてしまう。
回避するにはランク以上の魔力、対魔力、または運が必要。呪いを無効化する宝具、スキルでもよい。

【Weapon】
「木の葉」「白徳利」「帳簿」「メガネ」
マミゾウの持ち物。特に効果はない。

【人物背景】
東方神霊廟EXステージのボスとして登場。
元は佐渡島に住んでいたが、幻想郷にいる旧友の封獣ぬえが呼び寄せた、由緒正しき化け狸。
ちなみに元ネタである団三郎狸同様、狐が嫌いで幻想郷でもひと悶着を起こしたという。

幻想郷に来てからは、命蓮寺で妖怪たちの相談に乗るなど頼りにされる一方、
狸を使って堆肥ビジネスを始めたり、付喪神を一級の妖怪の手下に育て上げようと抜け目がない一面もある。
また心綺楼では秦こころの成長に一役買うなど、総合的には幻想郷でもなかなかのいい人(狸)。

一人称は「儂(わし)」で全体的に老人口調。
本人としては口癖のようなものでさほど年寄りのつもりはないらしいが、やはり相応に歳は重ねている。
ちなみに最近まで外の世界にいたので、人間社会の常識などにも精通している。
例として、ヘリコプターが飛ぶ原理などを知っている。

【サーヴァントとしての願い】
特にはなし。自分の生涯はいいものだったと振り返れる程度に後悔がない。
ただしタヌキのよしみとして正吉に手を貸す。

【方針】
基本的にマスターの方針に従う。

【基本戦術、運用法】
手下のタヌキによる斥候、および自身の変化による偵察能力はなかなかのものである。
ただし化かしに特化しているため火力が不足しがちである。
情報収集からのマスター狙いが鉄則である。


57 : 正吉&アサシン  ◆g33OtL8Coc :2014/09/06(土) 23:51:37 3xRZoub.0

【マスター】
影森の正吉(しょうきち)
【出典】
平成狸合戦ぽんぽこ
【参加方法】
不明。何らかの方法で月の石を入手したはず。
【マスターとしての願い】
基本的に人間たちによって奪われた森や山を取り戻したいと考えている。
しかし、それが今まで犠牲になった仲間たちを無碍にしないかと心配もしている。

【weapon】
なし。

【能力・技能】
化け術:
精神集中の極点で体の全細胞・全組織を一瞬のうちに組み換える自然界最高の驚異。自身を生物や無機物に変化させる。
ただし疲労で「タヌキ隈」という目の周りに特徴的な隈が現れ、最終的には変化が解けてしまう。
ちなみに人間に化けるのが一番疲れるらしい。栄養剤などで時間延長は可能。
なおマミゾウと違い、対象は自身か一部道具までである。

【人物背景】
多摩丘陵ニュータウン計画により、住んでいた森を追われたタヌキの一頭。
冷静な性格で思考が人間臭い。子供のころより父親の影響で、人間の生活をよく学んでいる。
実質的なタヌキたちのリーダー的存在である。
最終的にはタヌキ達の抵抗むなしくニュータウンは完成し、正吉は人間社会でサラリーマンとして暮らすことを決めた。

【方針】
基本的に優勝狙い。まずはマミゾウの提案通り情報収集に徹する。
ちなみに魂食いにはそこまで抵抗はない。


58 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/06(土) 23:52:12 3xRZoub.0
投下終了です。
何か問題点がございましたらご指摘ねがいます。


59 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/07(日) 02:05:04 gqi3mcU2O
投下と感想ありがとうございます。

>>42
相手陣営に移る可能性を考えたらそうなるかもしれませんね。
同じ陣営に同じクラスが複数いることになった場合はまた考えます。


60 : 名無しさん :2014/09/07(日) 13:02:05 zQ3VDfAE0
たぬき来た!
変身能力持ちのマスターってけっこう強いかも


61 : ◆yy7mpGr1KA :2014/09/07(日) 21:05:04 oG2hZTh60
投下します


62 : ◆yy7mpGr1KA :2014/09/07(日) 21:05:58 oG2hZTh60
「ファイナルライジングサン!!!!!」

神盲牌による勝打の炸裂により20世紀最大の独裁者、アドルフ・ヒトラーは打倒した。
しかしその代償は小さなものではない。全身の負傷、宮殿の崩壊、なによりも帰りの燃料を積んでいないロケット。
そこは不退転の戦場であった。

「美しい…」

覚悟の上ではあった。納得して闘牌に来た。この老いぼれの命ひとつで世界平和が買えるなら安いものだと。
だがそれでも……

「美しいな、この星は」

一抹の悔しさは残る。あの青い星を見て望郷の念を覚えるなと言う方が無理と言うもの。
その思いゆえか、最後に残された力で大地に転がる石を強く握りしめたとき、彼は新たなる戦場へと赴くことになった。


◇ ◇ ◇

「ここが…あの月だというのか」

先ほどまで自分がいたのは月面であり、第四帝国の面々はあの建物をヴァルハラと呼んでいた。
月と地球によって選ばれた英霊が集い鎬を削る地…今いるココは正しく月に座すヴァルハラと言える。

「そうだ。そしてきさまもまた選ばれた戦士…このワムウのマスターと言うわけだ」

ともに立つのは古式の戦闘装束に身を包んだ筋骨隆々の大男、ライダーのサーヴァント。

「ライダー、君はこの聖杯戦争をどう思う?」

自らを省みれば傷は癒え、万全の状態になっている。
優れた博徒である自信はあるが、それだけで月と地球の代理戦争に招かれるほどの者であるかには疑問を覚える。

「どうもこうも、おれにとってはただの戦場でしかない。おれがここにいる理由も、聖杯も、月だの地球だのもどうでもいい。
ただ、強者との闘いを望む。しいて言うならばそれこそが願いよ」

そもそも英雄とはこの世に固執する者に非ず、ただ果たせなかった未練に固執するのみ。
自らの生には一片の悔いもないが、闘いこそがこの男にとっての存在意義。ならばどこに在ろうと闘いを求めて当然と言えよう。
疑問など抱くまでもなくただ己が在り方を貫く……その様に感銘を受けるマスター。

「感動したッ!ライダー、君には礼を言わねばならん。おかげで私もやるべきことが決まったよ」

彼はそれを受けて自らの抱いた故郷への思いを捨て、新たな信念でその内を満たす。
一人で帰るのではない。元日本国総理大臣として多くの民を守り地球に帰還するのだ。
堂々と所信表明を行い、サーヴァントの反応を見極めんとする。

「ほう…鋭い…いい目をするようになった。だがそれだけではあるまい?お前の目はおれと同じく闘いを求める者特有の気配を纏っているぞ」

それを見たライダーは、覚悟を決めた戦士の目に賞賛の念を覚え、さらにその内にある願望も同じ戦士として見抜いて見せる。
ジュンイチローの内にある博徒としての思い。想起するのは多くの雀士たち…ウラジーミル・プーチンとは再戦の約束もした。リヒャルト・ワーグナーやハンス・ルーデル、パパ・ブッシュなど英霊の座にいてもおかしくない者も知っている。
記録上のカール大帝は30000Adhを超える凄まじい麻雀力を誇ったという。彼らとの闘牌を望む思いは確かに存在した。

「私も一人の博徒だ。政治家として国民を守る使命を帯びてはいるが、欲がないわけではないよ」

それを隠すでもなく、しかし優先順位を誤ることはなく。護国の信念を貫く英雄がそこにいた。

「…いいだろう。お前を我がマスターとして認めよう、ジュンイチロー。おれの在り方を邪魔しない限りは力を貸してやる」

かつての主君にも届き得るカリスマ。紛れもなき戦士としての信念。
マスターとしての地位以上に彼の『強さ』に思うところあり、ともに行く決意を固めるサーヴァント。
そしてそれを受け、目的意識を高めるマスター。
民を守る…どんなマニフェストも言うには易く、行うは難い…まずは支持者を増やすために、外交や交渉を行うべきだろう。
形は異なれど闘いを生業とする二人の聖杯戦争がここから始まる。


63 : 小泉ジュンイチロー&ライダー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/07(日) 21:08:05 oG2hZTh60
【クラス】ライダー
【真名】ワムウ@ジョジョの奇妙な冒険
【パラメーター】
筋力A 耐久B 敏捷C+ 魔力D 幸運B 宝具B+
【属性】
混沌・中庸
【クラススキル】
騎乗:B++
騎乗の才能。野獣クラスならば乗りこなせるが、魔獣クラスなら力づくで無理やり従える程度、それ以上となると厳しい。
ただし、後述するスキルにより乗機と一体化すれば幻獣種とて乗りこなす可能性を秘める。

対魔力:A
A以下の魔術はすべてキャンセル。事実上現代の魔術師で彼を傷つけるのは不可能である。
一万年以上の長きにわたり生きつづけ、積み上げたその神秘はライダーとしては破格のランクを誇る。

【保有スキル】
原初の一(偽):D
偽りのアルティメット・ワン、アルティメット・シイングに至る進化の過程。生まれついての吸血種が宝具による肉体改造で変異したたった4人の柱の闇の一族、その一人。
英霊の座においてもその4人しか持ちえないスキルであり、Dランクでも破格のもの。
本来の原初の一のように星のバックアップは受けられないが、関節を無視した柔軟な動き、卓越した身体能力、肉体の再生、全身の細胞からの捕食、他の生物との一体化など様々な能力を持つ。
とある二つの宝具を用いればこのスキルは最高ランクとなるが彼はそのうちのいずれも持ち合わせていない。

戦闘の天才:A
天性の才能に加え、長年の闘いによる経験で磨かれた戦闘技能。心眼(真)、戦闘続行、無窮の武練の複合スキル。
負傷や苦境すらも自らの武器とし、窮地に追い込まれようと即座に戦意を奮い立たせ、視力を失おうと首だけになろうと十全の戦闘能力を発揮する。
スイッチング・ウィンバックにより精神干渉から解き放たれることも可能。

単独行動:E
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクEならば、マスターを失っても数時間は現界可能。


【宝具】
『太陽拒む疾風の走り(アンチ・アポロン)』
ランク:B+ 種別:対軍 レンジ:5〜10 最大捕捉:100人
四頭の吸血馬と二機のチャリオット。通常は二頭の吸血馬にチャリオット一機を引かせるが吸血馬のみの運用や相手に貸し与えての戦車戦なども可能である。
なお吸血馬は魔獣ランクであるため、ライダー自身も一体化しなければ完全には乗りこなすことはできず、力づくで従えているだけである。
それでもその力と速さは圧倒的であり並の英霊ならば跳ね飛ばす。
吸血馬も多くの死徒と同様に太陽を弱点とする。
その生の果て、ワムウの認めた戦友と競い合った何よりの思い出であり、誇りともいえる逸品。

『風の流法(モード・オブ・ウインド)』
ランク:C 種別:対人 レンジ:0〜20 最大捕捉:10人
原初の一(偽)による肉体操作の極みにより彼らは固有の流法を持ち、ワムウのそれは『風』である。
空気による光の屈折現象を利用した透明化(太陽光の回避)、空気の流れの感知、両腕の高速回転による放つ神砂嵐、圧縮した空気の刃渾楔颯など多彩かつ強力な技法を持つ。


【weapon】

『死の結婚指輪(ウェディング・リング)』
リングの中に毒薬がしこんであり、スキルによる肉体の一体化を応用して敵体内に埋め込む。
一定時間がたつか無理に取り出そうとすると殻が破れ毒が回って死に至る。解毒剤はワムウの口のピアスの中に仕込まれており、闘って奪い取るしかない。
まさに死が二人を別つまでのウェディングリング。
魔力による生成が可能であり、籠めた魔力量により殻が破れるまでの制限時間を調節できるようになっている。


64 : 小泉ジュンイチロー&ライダー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/07(日) 21:08:42 oG2hZTh60


【人物背景】
はるか昔、地球に出現した太陽光に当たると消滅してしまう生き物の一族、その一人。
その一族の多くは穏やかに過ごしていたが、突如生まれた一人の天才がより強い力を求めたため争いが起き、その天才と協力者一人、何も知らぬ赤子二人を残して一族は滅んだ。
その赤子がワムウであり、その四人が石仮面をかぶり、原初の一(偽)となった柱の闇の一族である。
柱の闇の一族は多くの動物を殺し喰らわなければ生きられないため当然戦争が起こり、宿敵として波紋使いの一族とは幾度も争った。
戦いの中でワムウは優れた武人として心身ともに成長していく。
そして一万年以上が過ぎた西暦1939年、波紋使いジョセフ・ジョースターとの堂々たる戦車戦に敗れ、戦友たる男との出会いに悔いなく生涯を終えた。


【サーヴァントの願い】
闘い。カーズのためでもマスターのためでもなくただ己がためだけに闘う。

【基本戦術、方針、運用法】
三騎士をもしのぎ得るステータス、強靭な肉体と戦闘技能を生かした肉弾・近接戦。
徒手格闘及び『風の流法』が中心だが、大型スレッジハンマーや鉄球ボーガンなど多彩な武器を使いこなす才もあり、必要ならば柱をへし折って武器とする発想の大きさもある。
吸血馬及び戦車は追い込みに使えば強力だが、真っ向勝負を好むため相応の強者相手にしか使うことはないだろう。
逆に遠距離への対応は苦しい。神砂嵐ならば対軍宝具との打ち合いには対応できるが、対城宝具以上相手にはパワー不足にもなるかもしれない。
体質上昼の戦闘は屋内に限られる。一応短時間なら透明化により日光の下でも活動はできるが消耗が激しいので昼は籠城、夜間に戦闘の形をとることになるだろう。
また強者以外には関心を抱かず、成長の可能性があるものには再戦の機会を与えたりすることもある。くわえて興味を抱けば同陣営の相手にも勝負を挑みかねないので優勝狙いは厳しいかもしれない。
注意点として影を踏まれるのを極端に嫌い、反射的に攻撃してしまう癖がある。燃費も体質的によくはなく魂喰いはおろか肉体ごとNPCを喰らうことも本人はやろうとするだろう。
総じて実力は確かだが扱いにくいサーヴァント。彼のマスターは肩を並べる強者か、泰然と構える指揮官でなければ務まらないだろう。


【マスター】
小泉ジュンイチロー@ムダヅモ無き改革

【参加方法】

月面で月の石に触れる

【マスターとしての願い】

地球に帰還したいと思っていた。根幹のその思いは変わらずより多くの人物と共に帰還する

【能力・技能】

日本国の総理大臣に相応しい決断力、求心力、そして10000Adhを超える圧倒的な麻雀力を持つ。くわえて麻雀だけでなくあらゆる博打に精通している。
その闘牌気は雷も引き起こす膨大なオーラであり、魔力供給も可能となっている。
また牌の表面を抉るほどの握力など、身体能力にも優れ、戦闘機の操縦もできる。

【人物背景】
第89代日本国内閣総理大臣。護国と世界平和のためなら己の犠牲すら厭わない熱き魂と豪運をもつ。
元帝国議会副議長、通称「刺青大臣」小泉マタジローの孫であり、生粋の博徒として成長、パパ・ブッシュ、金将軍、プーチンなどを下すその麻雀力は地球で三指に入る。
第四帝国との戦争においては大将としてアドルフ・ヒトラーと月面で対峙、第二魔法の顕現ともいえる奥義「ハイゼンベルクストライク」を破り、「ファイナルライジングサン」を和了し勝利する。
しかし覚悟の上とはいえ、そこは帰りの手段などない戦場であった。
月面から見える地球の青さに感動して生涯を終えた…かと思われたが月の石を掴み聖杯戦争に挑むこととなった。

【方針】
基本的には専守防衛だが、集団的自衛権は行使するつもりである。ワムウにも侵略的戦争は避けさせるつもりだが…
ヒトラーのような男が宣戦布告してきたなら戦争状態に移行せざるを得ないだろう。
一博徒としては歴史に残る英霊やそれに匹敵する雀士と打ってみたくはある。


65 : ◆yy7mpGr1KA :2014/09/07(日) 21:09:34 oG2hZTh60
投下完了です。
誤字、他指摘などあればお願いします


66 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/09(火) 03:50:09 3suFBbZA0
投下ありがとうございます。
一騎投下します。
今回は一部を除いて二次二次聖杯戦争からの流用です。


67 : 遠野四季・バーサーカー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/09(火) 03:50:46 3suFBbZA0

――坂の上のお屋敷には、二人の魔女が住んでいる。

なんてことはない。丘の上の屋敷には、一人の若者が住んでいた。
月海原学園に通う高校生。
気のいい彼は、同級生や後輩の兄貴分として充実した日々を過ごしている。

――そう、その筈だった。
何時からだろう――いや、最初からだったかもしれない。
どこか満たされない、空虚な予感が胸の中にわだかまっている。

「遠野君、放課後時間ある? 皆でカラオケ行くんだけど――」

休み時間。
隣に座った■■■から、放課後の誘いをかけられた。
肯定の返事を返して、次の授業の準備に戻る。

屋敷には自分の他に誰もいない。
別にどれだけ帰りが遅くなっても、どやす人間は――、

――誰も、いない?
そんな筈はない。あの家には■■も、■■も、■■も、■■もいた筈だ――。

――だめだ。あたまが、くらくらする。
結局その日の授業は、まともに受けられなかった。



夜の街を、ふらふらと歩く。
クラスと周囲の生徒を巻き込んだカラオケ大会は、予想通り日が落ちるまで続いた。
自分の住んでいる屋敷は街外れにあるので、こんな時には帰るのに大分時間がかかってしまう。

案の定、屋敷への石段に辿り着く頃には夜もとっぷりと更けてしまっていた。
凪いだ風が木々を揺らし、木の葉の揺れる音だけが響いている。

こんな雰囲気だと本当に幽霊でも出そうだなと思って、思わず笑いがこぼれた。
笑わせる――【そもそも、自分が幽霊みたいなもんじゃねぇか】――

――?
なんだ、今の思考は。
自分が幽霊って一体なんのことだ。
自分は――
――自分?

――自分はいったい、誰だったのだ?


68 : 遠野四季・バーサーカー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/09(火) 03:51:42 3suFBbZA0


石段の途中で立ち止まって、しばし考える。
遠野■■とは、いったいどのような人間だった?
遠野家の長男――長男?
馬鹿を言え、あの家には自分しかいない、自分にきょうだいなんている筈が――

【いつまで呆けている? それは本当のお前ではない】

――また、頭の中で声がした。
明らかな異常事態。だというのに、その声はするりと自分の裡へ入り込んでくる。

【そうだ。俺はお前だ。今のお前の生活は偽りだ。お前には欲しいものがあっただろう?】

――そうだ。
自分は、願いがあってこの聖■■争に参加したのだ。
■杯を以って――■■を、取り戻すために。

【ああ、そうとも。だから――いい加減、そんなマトモな感性は捨ててしまえ。】

世界が/反転/する。

千切れた雲の切れ間からは、丸い――そう、真っ青な月が見える。

ああ。今夜はこんなにも――月が綺麗だ。



――今夜は酷く、月が綺麗だ。

こんな場所なのに――あるいは、こんな場所だからこそか。
中天に輝く月は、ヒトを魅了する輝きに満ちている。

そんなにも月が綺麗だから、しばし見惚れてしまっていた。

ぼけっと――自分でも無防備すぎると思えるほどに、頭上の月を眺める。
少し視点を下に落とせば、山――というよりは丘か。
そしてその上に立った屋敷が一緒に視界に入る。

――ここからあの屋敷が見えた偶然を、方舟とやらには感謝しなければならない。
あの月と屋敷のおかげで、自分は記憶(メモリー)と――その奥底にあるなんとしてでも叶えなければならない願い、そして煮えたぎるような熱を再び手に入れたのだから。

――そう。自分にとって一番大事な記憶は、屋敷での生活だった。

勿論ここは、あの屋敷のあった街ではない。
記憶の中にある屋敷と視界の中の屋敷では、遠目にも違いは明らかだ。
それでも、あの屋敷を見る度に思い起こされる記憶が――自分がなにであるかを、改めて魂に刻みつけさせる。

そうだ。今でも昨日のことのように覚えている。
三人で屋敷の裏山を駆け回った。陣取りゲームで屋敷や裏山の東屋、小屋に名前を書いて回った。
幼き日の、兄妹、そして友人との思い出。

――それを奪われた。
自分がそこにいた記録は消し去られ、殺され、全てを奪われて地下牢に押し込められた。
今、自分がいた場所――いるべき場所には、かつて友人だった男が座っている。
それを許せなくて、かつての友人を恨んだ。
どうしても取り戻したくて――頭の中から断片的に聞こえる声の誘いに乗った。

『ゴフェルの木片』。
聖杯戦争へと自分を導く切符。
この戦争で勝ち抜けば――願いを叶えることができる。
遠野シキを、遠野四季に戻すことができる。

ふと、右手に違和感を覚えた。灼けつくような、肉に刻まれる痛み。
それさえも、今の気分なら愉しくて仕方がない。
記憶と憎しみ、渇望を思い出した快感が、令呪を刻まれる痛みと混じってハイになってきた。
なんだか無性に笑いたくなってくる。
こみ上げてくる衝動に従って、げらげらと笑った。

とても綺麗な月。
そう――【私は、その月にこそ恋をした】。


69 : 遠野四季・バーサーカー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/09(火) 03:52:37 3suFBbZA0


瞬間。
ぞくりとする気配を感じて、無意識の内に飛びずさった。


――眼前の夜の闇の中。ただでさえ暗いその中に、一際暗い、禍々しささえも感じるモノがいる。
ソレから放たれるのは殺意。
全ての人間へと向けた、絶対の殺害宣言。
四季がバケモノでなければ――きっとそいつは、マスターとサーヴァントの主従関係なんて関係なく、こちらを殺しにかかってきただろう。

黒い鎧――のようなモノの頭から、赤い光がぎらりと覗く。
その輪郭は黒いナニカでぼやけてよく見えない――いや。鼓動の度に、その姿は霞んで別のモノへと変わっているから理解できないのだ。

――サーヴァントとは、正統な、英雄譚に語られる英雄のみを指す言葉ではない。
ここに召喚されたのは、史上最も多くの人命を奪った個人。

その所業のみ語られ、それが誰であったかは誰も知らない、反英雄――人類種の天敵。
その呼び名だけが語られ、畏怖され、人類を殺す天敵、その側面だけと成り果てたモノ。
『首輪付き』がどのような答えの元、どのような思考の元、1億――そしてそれ以上の人類を虐殺したのか。
誰も知らず――そして、『天敵』も語ることはない。

今そこにあるのは――人類への殺意、それだけだった。

その“殺意”に、全てを焼き尽くす“暴力”に浮かされたように、四季は叫び――そして、夜の中へと溶けていった。

「――喰い足りねぇ、飲み足りねぇ、殺り足りねぇじゃねえかッ!」


70 : 遠野四季・バーサーカー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/09(火) 03:53:18 3suFBbZA0
------------------

【クラス】バーサーカー
【真名】人類種の天敵@ARMORED CORE for Answer
【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷A+ 魔力D 幸運C 宝具B(狂化適用済)
【属性】
混沌・狂
【クラススキル】
バーサーカー化:B
 全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。
 理性を失い、何も語らず、ただ戦闘機械として振舞うその姿は、彼(あるいは彼女)がかつてどのような人間であったかの判別を不可能にしている。
【保有スキル】
単独行動:B
 「史上最も多くの人命を奪った個人」。
 正確にはそう呼ばれる前の彼にはオペレーターや同僚も存在したが、そのような記録は殆ど消え去っている。
 ――そもそも、その同僚もオペレーターも一人を除いて皆殺しにしているのだが。
リンクス:A++
 「ネクストAC」へと搭乗するために調整された人間。
 その卓越した操縦技術は、どのような精神・肉体的状態であってもその戦闘力を保つ。
無辜の怪物:A
 人類種の天敵。
 本来ならば風評によって真相をねじ曲げられ、能力・姿が変貌してしまうスキルであるのだが、
 このバーサーカーの場合その『呼び名』のみが流布され、その他の情報が殆どないことから逆に「バーサーカーの姿、ステータスをうまく認識できない」スキルと化している。
 また、後述の宝具との組み合わせによりバーサーカーが呼び出すパーツや武装のサイズを変更する効果を持つ。
【宝具】
『人類種の天敵(イレギュラー)』
ランク:B 種別:対人類宝具 レンジ:- 最大補足:-
 数十億存在した人類をたった一人で殲滅し、絶滅寸前まで追いやったバーサーカーの存在そのもの。
 人類への強力な殺害権。
 人間に分類される存在(サーヴァントが生前人間であればそれも含む)との戦闘時に、対象の全てのパラメータを減少させる。
『迷い子(ストレイド)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
 バーサーカーが生前多様なパーツや武装を使いこなし、戦場ごとに武装のみならず機体すらも変えたことに由来する宝具。
 バーサーカーは戦場ごとにそのパーツ・武装を変更し、適したアセンブルで戦闘することができる。
 またスキル『無辜の怪物』の効果によってパーツや武装はサイズすらも変更可能であり、
 大きさは人間大のパワードスーツ、あるいはネクスト本来のサイズである約10m程度まで自在とある。
 ただし大きさによって当然魔力消費は甚大になり、本来のサイズで出現させれば魔力は一瞬で枯渇し死に至る。
【weapon】
 『迷い子(ストレイド)』によって出現させる様々な武装を使いこなす。

【人物背景】
『ARMORED CORE for Answer』の主人公の、『虐殺ルート』と呼ばれるルートにおける末路。

リンクス、「オールドキング」の誘いに乗った主人公は巨大な空中プラットフォーム「クレイドル」5機を破壊し1億人を虐殺。
企業連は暴挙に出た主人公(とオールドキング)の排除を計画。偽の依頼を用いてイレギュラー2機をおびき寄せるも、主人公は現れた4機のトップエース+オペレーターを全て殲滅して逃亡した。
虐殺ルートはこのミッションで終了するため主人公の最終的な行方は知れないが、ナレーションから察するに残りのクレイドルへの攻撃を続け、人類の過半数を殺害したものと思われる。

主人公に台詞は無く、オールドキングも行動に及んだ詳細な理由を話すことはないため彼らがなにを思い、なにを感じてこのような虐殺に及んだのかは不明。
そもそも主人公が虐殺を行った理由がオールドキングと同じかもわからない。
そこにはただ、人類種の天敵という結果が残るのみである。

【サーヴァントとしての願い】
不明。

【基本戦術、方針、運用法】
バーサーカーとしては破格に近い『単独行動スキルを所持したバーサーカー』。
爆弾のように敵地に単独で放り込む、高い戦闘能力を持つ四季と同時に襲いかかるなどバーサーカーとしては運用に応用が利くのが特徴。
ただしそれでもマスターに強いる魔力負担は低くはなく、通常の魔術師程度の魔力量しかない四季には扱いづらいサーヴァントには変わりはない。

魂喰い、あるいはロアの魔術を用いての霊脈からの魔力吸収などを行わなければ遠からず魔力不足に陥ることは想像に難くない。
そもそもこのバーサーカーは人間相手であれば見境なく襲いかかるため、集団戦にも向かない。


71 : 遠野四季・バーサーカー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/09(火) 03:54:00 3suFBbZA0
【マスター】
遠野四季@真月譚月姫(漫画版)
【参加方法】
ロアの記憶から「月の石」の隠し場所と、聖杯戦争についての知識を得て参加。
【マスターとしての願い】
遠野家における自分の居場所を取り戻し、遠野志貴に復讐すること。
――ただし、彼の中のロアの願いは違う可能性がある。
【weapon】
「血刀」
四季の「自身の肉体を自在に動かす」という性質を応用し、血液を硬質化・変形させて作る武器。

「ナイフ」
何の変哲もないナイフ。
短刀・七夜と何度も斬り合えるくらいには頑丈。
【能力・技能】
18代目の死徒(吸血鬼)『アカシャの蛇』の転生体であり、遠野四季の意識とロアの意識が混在し、二重人格のような状態になっている。

混血の四季としての能力は「不死」と「共融」。
この『不死』は不死身ではなく、正確には「簡単には死なない体質」。
傷ついた肉体を再生させるのではなく、その部分が欠損しても生きていけるように肉体を作り替える『拒死性肉体』。
さらに四季の混血としての能力の究極とも言える能力に、接触融合呪詛「蝕離」がある。
「蝕離」は他人の肉体を摂取し、自身の肉体に還元する。端的に言えば臓器移植の何でもありバージョン。
この能力で、槙久に殺されかけたもののその前に志貴から命を奪っていた四季は生きながらえた。

また、彼の中に巣食うミハイル・ロア・バルダムヨォンの魔術知識を持つ。
平均的な魔術師と同等程度の魔術回路を持っており、四季の人格でもロアの扱うカバラ魔術をある程度扱える(無論ロア本人には及ばないが)。
作中で使っているのは雷属性の魔術と一種の結界。

「直死の魔眼・偽」
直死の魔眼に似て非なる「物を生かしている部分(=命)」を視覚情報として捉える魔眼に目覚めている。通称「偽直死の魔眼」。
当然、生物に対してしか力を発揮しない。代わりに脳への負荷はなく、平然と命の源である「線」を視て、生命力を消すことが出来る。
なお、「生命力を消す」ため、線・点を攻撃してから死ぬまでには若干のタイムラグが存在する。
この間に生命力を回復すると死を免れることができる。

【人物背景】
遠野秋葉の実の兄で、幼少時の遠野志貴の友人。
本来の遠野家の当主である。――だった。

混血である彼は、第十八代目のロアの転生体として選ばれたことで反転。
その場で遠野志貴を殺害し、当時の当主である遠野槙久に幽閉される。
本来ならば反転が落ち着いた後に再び志貴と入れ替わる筈であったが、長男扱いになった(自分の居場所を奪った)志貴の存在、反転シキに襲われて壊れてしまっていた琥珀の嘘で遠野家への憎悪を募らせ、槙久を殺害して脱走した。

反転とロアの影響により本来の性格に比べ壊れているが、元々社会不適合者的な面はあった。
天才肌で突飛な発想や歯に衣かけぬ言葉を用い、おしゃべりで図々しく、よほど優れた相手しか記憶しない我儘さを持つ、という非常に敵を作りやすい性格。
だが志貴とはとても気が合い、お互い相手を親友と思っていた。

吸血鬼ではあるが、四季の人格が濃い状態では混血としての特徴が強くなるため日中でも出歩けるようだ。

原作では四季の人格が濃い状態では白髪に和服、ロアの人格が四季を完全に乗っ取った状態では長い黒髪にカッターシャツ、と容姿が異なる。

しかし漫画版では四季の顔にロアに近い服装の状態で登場した。
これは「四季がロアに変わっていく最中」として扱われており、四季の人格が消滅するまでは四季とロアの人格が混じり、二重人格のような状態になっていた。
原作ではロアの能力を使えない筈の四季の人格がロアの能力である魔術と偽・直死の魔眼を使用しており、ロアの人格も吸血鬼としての特徴が色濃く出るまでは血刀を使用している。

以上の事情や把握の関係から、漫画版を出典として扱う。

【方針】
聖杯を手に入れる。


72 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/09(火) 03:54:45 3suFBbZA0
投下終了です。
二次二次からの流用はこれで終了予定。


73 : 名無しさん :2014/09/09(火) 07:09:03 EHY5fs820
ワムウ鯖いいな
主従ともに豪快で真正面な感じ


74 : ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:34:39 kKEMSGlk0
投下します


75 : 鳴上悠&ランサー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:35:49 kKEMSGlk0

その小さな目はもう開く事はない。
その小さな口はもう名前を呼んではくれない。
その小さな手はもうこの手を握り返してはくれない。
夢でも幻でもなく、この現実で堂島菜々子は死んでいた。
鳴上悠は、動かなくなった菜々子の骸を前に呆然と立ち尽くすのみ。



彼が――悠が、母方の叔父が住む田舎町である稲羽市八十稲羽に引っ越してきて、半年と少し。
この静かで穏やかな――言い換えれば変化のない退屈な街は、連続殺人事件という波に揺れていた。
本来であれば物騒と思えど深く関わることなどなかっただろう事件。
ひょんな事からその事件に首を突っ込む事になり、結果として悠は多くの繋がりを得た。

同じ高校に通う、殺人事件の捜査という秘密を共有する友人たち。
同じ高校に通う、秘密を共有しないが気の置けない友人、後輩、教師たち。
キツネや看護師、家庭教師の教え子など、八十稲羽の街で出会った人たち。
稲羽に来てできた新しい家族――叔父と、その娘。

母の妹にあたる叔父、堂島遼太郎は先日交通事故に遭い、今も入院している。
そして菜々子は――悠が妹同然に可愛がっていた少女は、いま、息を引き取った。
悠の目の前で、菜々子は静かに、眠るように、息を引き取った。
懸命に治療を続けていた医師と看護師が、沈痛な面持ちで首を振る。
もう、蘇生の見込みはないと。これ以上は菜々子を余計に苦しめるだけだと、その瞳は告げている。
この場に菜々子の父親である堂島はいない。
彼らは唯一の家族である悠に、同意を求めている――菜々子が命を落としたという、その事実に対して。
視界の端に映る心電図は平坦な直線を示している。
数十秒前までたしかに呼吸していた細い喉は、もう動いていない。
瞼に焼き付いていた菜々子の表情は、とても苦しそうなものだった――いまは、力も抜けて眠っているように見える。
それでも、菜々子は。
もう、生きていないのだ。

「……ぁ……」

固く握り締めていた菜々子の小さな手を放す。
体に力が入らなかった。立ち上がろうとして尻餅をつく。
すぐさま看護師が支えようとしてくれたが、悠はその手を振り払って走り出していた。
病室を飛び出る。
廊下で待ってくれていた仲間たちが駆け寄ってくる。

「悠! 菜々子ちゃんは、」

しかし、目に入らない。
何も考えられず、足を投げ出し続ける。
後ろから仲間たちの声が追ってくる。

どうして何もできなかった?
なんで菜々子が死ななきゃならない?
誰が殺した?
誰のせいだ?
何を間違えた?

「……ペルソナ! ペルソナ!」

何度叫んでも、悠の力であるもう一人の自分――ペルソナはその姿を表す事はない。
彼が得たペルソナは、冒険の舞台であるテレビの中でしか発現しない。
何度も試し、とうに理解していたからこそ、菜々子を病院の医師に預け、快復を待っていたのだ。
傷を癒やす魔法も、異常を取り除く力も、この現実の世界では何ら意味を成さない。
足を止める。
無意識に向かっていたのは、菜々子を殺害した犯人である生田目の病室だった。
連続殺人事件の被疑者たる生田目には監視の警官がつく。
だがその時、病室の前には誰もいなかった。
本来の悠であればその違和感に気付いただろうが、いまはそうもいかなかった。
言語化できない激情を抑えもせず、病室のドアをこじ開ける。


76 : 鳴上悠&ランサー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:36:36 kKEMSGlk0


「――ようこそ、ベルベットルームへ」

病院の一室であるべきそこは、ところが全く違うものだった。
リムジンのように長く伸びた車の最奥に、鼻の長い老人と金髪の美女が座っている。

「あなたたちは……どうして?」
「本日は、あなた様に一つの道を提示するためやって参りました」

老人――この部屋の主であるイゴールが、着席するように薦める。
ベルベットルームには何度も訪れたことがある。
人々との交流で生み出されたペルソナを記録し、合体させ、また新たなペルソナとして創造する場所だ。
友人と違い、ペルソナを付け替えられる自分だけが入れるこの部屋は、現実世界やテレビの中とはまた違った別種の異空間なのである。

「あなた様の妹君――正確には違うのでしょうが――お悔やみを申し上げます」
「っ、それを知っているんだったら!」
「ですが、この先にいる者を殺めたとしても何も変わりますまい。無駄にその手を血で汚すだけですぞ」

悠が何をしようとしていたか、イゴールはわかっている。
彼らは悠を止めに来たのだ。

「だったら――だったら、どうすればいい! ペルソナは役に立たない!
 菜々子は死んだ。生田目が殺したんだ!
 なのにあいつが生きてる――そんなのはおかしいだろう!」
「心中、お察しします。ですが――」
「それとも、あんたたちが菜々子を生き返らせてくれるのか!?」

邪魔をするイゴールを疎ましく思い衝動的に出た言葉だったが、すぐにその手があったかと悠は思い至る。
悠には無理でも、ペルソナという事象に深く精通している彼らであればあるいは。

「残念ながら、できません。それは人の身を超えた、神々の領分ゆえ」

返答は迅速だった。
期待を持たせる事はしない。事実のみを簡潔に伝えられ、今度こそ希望の芽は潰えた。
すとん、と膝から力が抜けて椅子に崩れ落ちた。

「じゃあ、なんで出てきたんだ。本当に、お悔やみを言うためだけか?」
「いいえ――私は、『私どもには』不可能と申し上げたのです。」

イゴールは隣の女性に目配せした。
挨拶以来黙っていた金髪の美女――マーガレットが、懐から奇妙な物体を取り出す。

「堂島菜々子様を蘇らせたい――それがあなたの望み。
 私どもにはその願いを叶える手段はありません――が」

テーブルの上に静かに置かれた、それは石。

「『聖杯』ならば、あるいは――可能かもしれないわ」
「――聖、杯?」
「これは『月の石』。あなたを月の戦場へと誘う片道切符。
 月では、ある戦いが行われているわ。『聖杯』という奇跡を巡り、魔術師たちの命を賭けた殺し合い」

月の石――暗い光沢を放つその石は、奇妙な引力を持って悠の目を引きつける。
思わず手を伸ばす。その手がマーガレットに押さえられる。


77 : 鳴上悠&ランサー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:37:15 kKEMSGlk0

「慌てないで。よく考えて選びなさい。
 この石を手にすれば、あなたは聖杯戦争へ参加する事になる。
 その戦いは、あなたがこれまで経験してきたシャドウとの戦いとは根本的に違う――人間同士の殺し合いよ。
 生半な覚悟では生き残る事さえ難しい」

抑揚のない口調で、マーガレットが聖杯戦争とやらの概要を告げてくる。
いつもの彼女らしくない、茶目っ気やおふざけのない、掛け値なしの本気の忠告だった。
これが他の誰かに言われた事なら、如何に冷静さを欠いた悠でも信じなかっただろう。
しかし、告げているのはイゴールとマーガレット。
今まで何度も悠に手を貸してくれた、謂わば恩人とも呼べる人たちだ。
なにか意図があっての事かもしれないが――少なくとも、彼らの言葉に嘘はないと確信できる。

「あなたは命を落とすかもしれない。あるいは誰かの命を奪うかもしれない。
 でも、最後の一人になる事ができたなら――あなたの願いは、叶うわ」
「菜々子を――生きかえらせる事も?」
「可能よ。間違いなく、それは保証してあげる。
 ペルソナですら成し得ない、本当の奇跡。聖杯はそれを成す。数多の命と願いを代償に――ね」

人を殺す。
人に殺される。
本物の殺し合い。

人を――殺す。
シャドウとは違う、生きている生身の人間を。この手で――

「――そんな事、大した事じゃない」

迷うまでも、なかった。
誰かを殺して菜々子が生き返るなら、選ばない理由はなかった。
菜々子はまだ小学一年生だ。悠の半分の時間も生きてはいない。
こんなところで死んでいいはずがない。奪われていいはずがない。
そんな理不尽を――許せるはずがない。

「俺は、行きます。月の聖杯戦争へ」
「そう――やはりね。あなたなら多分そう言うのではないかと思っていたわ」
「本当に、構いませんかな? たとえ勝利したとて、あなた様は二度と元の生活に戻れぬやも知れませんが」

元々生田目の病室に来たのは、菜々子を殺したあいつを殺そうと思ったからだ。
その対象が、生田目から別の誰かに変わるだけだ。大した事ではない。
たとえその結果、堂島に――刑事を務めている菜々子の父親に逮捕されるのだとしても、後悔などしない。
菜々子は法では救えない。ならば法を犯す事など躊躇わない。
いまある全てを引き換えにしてでも、必ず成し遂げる。

「構わない。他に方法がないなら、俺はどうなったっていい」
「左様ですか――致し方ありませぬな。
 私としてはできれば辞退していただきたかったのですが、仕方ありますまい。マーガレット」
「あなたが保有するペルソナは、聖杯戦争の管理者たるムーンセルが認識できるデータに変換すれば、膨大な量になる。
 そのままではムーンセルはあなたをマスターとしては受け入れない。
 だからお客様、あなたが月に持っていけるペルソナは一つだけ。あなたが最も信頼できるペルソナを選びなさい」
「一つだけ――」


78 : 鳴上悠&ランサー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:38:17 kKEMSGlk0

マーガレットが手を振ると、悠が今までに手に入れた全てのペルソナカードが目前に並べられた。
数十に及ぶ力の結晶たち。どれもが強力で、また信頼の置けるものであるが――熟考の末、悠は一枚のペルソナカードを摘み上げた。

「なら、このペルソナにする」
「『正義』……スラオシャ。あの子との絆が生んだペルソナね」

天使スラオシャ。一年にも満たない短い日々の中、菜々子と育んだ絆から生まれたペルソナだ。
このペルソナと共にある限り、悠は菜々子との繋がりを感じられる。その想いは、イザナギを始めとする数々の強力なペルソナにも劣らない力を生むだろう。

「ああ、それともう一つ、あなたには、他のペルソナ使いにはない力があるわね。
 『ワイルド』という――ペルソナを自在に変更する力。月では、恐らくその力も陰りを見せる。忘れないで」

「ワイルド」は、人と人とが紡ぎだす絆からペルソナを生み出す力だ。
シャドウに立ち向かう特別捜査隊や、高校の友人達とは事情が違う。
たとえ誰かと一時的な同盟を組んだとしても、最後にはその誰かを殺すという結末を避けられない以上、絆など生まれるはずもない。
何より悠自身が、殺す相手と絆を結べる訳などがないと強く意識している。
マーガレットに言われるまでもなく、新たなペルソナなど当てにする気はさらさらなかった。
菜々子がくれたスラオシャのみで戦い抜く――その決意を固める。

「では、あなたを月へと送り出します。覚悟はよろしいですね?」
「あ――待ってくれ、陽介たちに事情を説明しないと」
「その必要はございません。仮にあなたが生き残ろうと果てようと、この世における時間に変化はないのですから。
 いえ、ご家族やお友達に遺言を残しておきたいというなら多少は待ちますが――?」

遺言を、と言われても、なんと説明したものか。
人を殺しに行くのだから友人たちには間違いなく止められるだろう。両親には、ショックで気が触れたとさえ思われるかもしれない。
しかし、もしかすればこれが今生の別れになるかもしれない。何も言わずに行って、結果負けてしまえば、悠も命を落とす事になる。

「――いや、いい。言っても何かが変わる訳じゃない。
 俺は生き残って聖杯を手に入れて、菜々子を生き返らせる。それで何の問題もないはずだ。
 みんなは何があったかなんて知る必要はない――」

結局、悠は仲間たちには会わない事にした。
言葉にしなかったが、このとき悠はこれから戦う事になる未だ見ぬ敵対者たちを思い描いていた。
自分が参加するくらいなのだ、同じくらいの年齢――悪くすればもっと年下の子どももいるのかもしれない。
そのとき、悠は躊躇なく手を下さなければならない。その覚悟をせねばならない。
ならば――ここで少しでも未練と感傷を断ち切っておくべきだ。
今の悠に求められているのは、殺人事件の犯人と同じかそれ以上の冷酷さなのだから。

「わかりました。では、目を閉じなさい。
 次にあなたが目覚める場所は、月の戦場――」
「良い旅を。そして願わくば、無事のご帰還をお祈りしておりますぞ――」

テレビに入る時の浮遊感にも似た、不思議な感覚。
落下していくような、浮き上がっていくような。
地に足がついていないことが不安になり、闇雲に手を振り回す。

その手を――しっかりと、握り締められる。



――――――。


79 : 鳴上悠&ランサー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:38:38 kKEMSGlk0

目を覚ます。
そこはすっかり見慣れた、堂島家の自室だ。
全て、思い出した。
ここに来た理由も、ここにいる意味も、これから成すべき事も。
白と黒のルーラーに通達されたルールも記憶している。
万事、不備はない。そして、必要な力も――

「――ランサー。いるか?」
「あいよ。ようやくだな、待たせやがってよ」
「済まない」

傍らに立っていたのは、悠がこの聖杯戦争においてコンビを組む――あるいは武器として使う、サーヴァントと呼ばれる超常の存在だ。
神話に名を残す英霊を現世に呼び出したという、ペルソナとは比べ物にならない力を秘めた怪物。
これから悠とランサーは、敵対する陣営八組と味方の陣営七組、計三十人を鏖殺してのけねばならない。
味方は七組いても、獲れる聖杯は一つだけ。つまり、味方といえども「味方ではない」。

皆殺しに向けてどこまでも冷たく冴えていく思考を、とりあえずランサーに伝える。
どれほど気張ったところでそれを実行するのはランサーであり、悠一人ではたたかいにすらならないのだから。

「団体戦であっても、自分たち以外はみんな敵、か。まあ咎めるこっちゃねえ。戦争ってのは裏切り同士討ちが常ってモンだ」

ランサーはあっさりと、悠の方針に同意した。
身構えていた悠は、逆に肩透かしを食らった気分だ。
もしランサーが難色を示せば、サーヴァントへの絶対命令権――令呪を使う事も考えていただけに。
ランサーはしかし、反論の代わりに鋭い槍の如き悠に突き刺してきた。

「だが小僧、わかってんな? それは茨の――いや、修羅の道だぜ。
 いくらなんでも俺一人で全員始末する事はさすがにできねえ。現実的には、他の奴らとも少しは慣れ合う必要があるだろう。
 そいつらを――背中から斬りつける。卑怯たあ言わねえが、畜生にも劣る行為だってのは理解してるんだな?」
「ああ。わかってる――それでもだ。誰に恨まれても、憎まれても構わない。
 俺は俺の勝手な願いのために、何の恨みも憎しみもない人たちを殺す。
 そして、聖杯を手に入れる。誰にも邪魔はさせない――あんたにもだ」

震え出しそうになる体を叱咤し、あらん限りの意思を込めてその視線を受け止める――弾き返す。
俺がマスターだ。だからお前は、俺に従え。俺の剣となって、敵を切り伏せろ。
じっとりと汗の滲んできた額を拭う余裕もない、数秒が数十分にも感じられる睨み合い。

「ふっ……くく、いいぜ。お前は中々骨がありそうだ。その戦い、乗ってやろうじゃねえか」

ランサー――青いタイツのような衣装をまとった異国の騎士は、にやりと剣士を剥き出しにして笑う。
人の形をした獰猛な獣。それが、悠がランサーに抱いた第一印象だ。
だが獣と決定的に違うのは、野性を律する理性がその瞳に光っている事。
ランサーから吹き出していた圧力が霞のように消え去り、次いで現れたのは陽気で豪快な男の顔だ。

「ランサーのサーヴァント、クー・フーリン。いまからお前が、俺の槍の主だ」
「クー・フーリン――?」

共闘を約束したサーヴァントから告げられた名――英霊の真名に、聞き覚えがあった。
それは、悠もかつて宿した事のあるペルソナ。
無双の槍を振るう、勇猛な騎士の影。
その姿を思い描いた瞬間、悠の眼前に光り輝く一枚のカードが現れる。


80 : 鳴上悠&ランサー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:40:10 kKEMSGlk0

「――ほう」
「これは――ペルソナ?」

紛れもなくそれは、慣れ親しんだペルソナのカードだ。
マーガレットの言葉通り、いまの悠が帯びるペルソナは菜々子とのペルソナ――スラオシャ以外にない。
だというのにこれはどうしたことか。目の前のカードに刻まれた名は――

「――クー・フーリン」
「くくくっ――そうか、なるほど。どうもお前から流れてくる魔力がやたらと馴染むと思ったら、お前の中に元々俺の力が入っていやがったか」

ペルソナのクー・フーリンと、サーヴァントのクー・フーリン。
在り方は違えど、その起源は同じ。
だからこそ、ムーンセルの目を掻い潜るために手放さざるを得なかったペルソナの残り香に引き寄せられ、クー・フーリンは鳴上悠に召喚されたのだ。
前言は、撤回せざるを得ない。
スラオシャと、クー・フーリン。
これが、悠が宿す悠自身の力だ。本来の彼からすればあまりにも小さく、また頼りない力。
しかしいまは、その欠落を補って余りあるほどの大英雄が、悠の力となる。

「ほんじゃま――行こうぜ、マスター。一世一代の大戦に、よ!」
「ああ――行こう、ランサー!」

ランサーに導かれ、悠は愛すべき我が家を出る。
いまはもう悠しかいないこの小さな家に、かつての笑顔を取り戻すために。
日常へ帰るために――非日常へと、飛び込んでいく。


戦いが、始まった。


81 : 鳴上悠&ランサー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:40:43 kKEMSGlk0

【クラス】
 ランサー
【真名】
 クー・フーリン@Fate/EXTRA CCC
【パラメーター】
 筋力:B 耐久:B 敏捷:A 魔力:C 幸運:E 宝具:B
【属性】
 秩序・中庸
【クラススキル】
 対魔力:C…魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。
【保有スキル】
 戦闘続行:A…往生際が悪い。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、致命的な傷を受けない限り生き延びる。
 仕切り直し:C…戦闘から離脱する能力。不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。  
 神性:B…神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。 
 ルーン:B…北欧の魔術刻印・ルーンの所持。
 矢よけの加護:B…飛び道具に対する防御。狙撃手を視界に納めている限り、どのような投擲武装だろうと肉眼で捉え、対処できる。ただし超遠距離からの直接攻撃は該当せず、広範囲の全体攻撃にも該当しない。
 不眠の加護:A…師スカアハに盛られた睡眠薬を物ともせず救援に馳せ参じた逸話より。睡眠をもたらす魔術・宝具を無効化する。

【宝具】
『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』
ランク:B(A) 種別:対人宝具 レンジ:2〜4 最大捕捉:1人
 槍を放つ前に槍が『心臓に命中した』結果の後に槍を放つ、因果を逆転させる魔槍。運命そのものに対する攻撃を行う宝具。
 宝具発動に必要とする魔力量が少なく、しかも一撃一殺という、最も効率の良い宝具
 回避に必要なのは敏捷性ではなく幸運の高さだが、その回避難易度は幸運のランクが高くて、ようやく稀に外れるとされる程。
 なお、因果操作の判定を回避しても、槍を完全に避けなければ負傷と回復阻害の呪いを残される。
 因果を逆転させる「原因の槍」であるため、余程の幸運が無ければこの世にこの槍が存在する限り、これによる傷を癒す事は出来ない。
『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)』
ランク:B+(A+) 種別:対軍宝具 レンジ:5〜40 最大捕捉:50人
 魔槍ゲイ・ボルクの本来の使用方法。渾身の魔力と力を籠めた槍を投擲する。
 槍はマッハ2の速度で飛んでいく。「刺し穿つ死棘の槍」よりも単純に高い威力を持つが、確実な命中率は失われている。
 人一人を刺し貫いていくのではなく、炸裂弾のように一撃で一軍を吹っ飛ばす。
 因果を歪ませる呪い及び必中効果は健在であるものの概念的な特性や運命干渉などは無く、あくまで単純威力系宝具に分類される。
『赤枝の車輪(ゲイル・チャリオッツ)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:10〜50 最大補足:30人
 クーフーリンが王から賜った、彼が使っても壊れない様な馬と戦車。
 この戦車は「灰色のマハ」、「黒色のセングレン」という馬が引き、御者の王とも呼ばれた「レーグ」という人物が御者をしていた。
 ただしクー・フーリンは騎兵のクラスではなく、また召喚されるのも御者レーグを除いた戦車本体と二頭の馬のため、この戦車の真価を引き出すことはできない。
 そのため突撃の威力は『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)』に劣るが、疾走の勢いを槍撃に加算するため二つの『ゲイ・ボルク』の威力をそれぞれ1ランク引き上げることが可能。
 しかし同時に二つの宝具を行使した場合、魔力消費は加法ではなく乗法で計算され莫大なものとなる。
『影の城塞(シタデル・オブ・スカアハ)』
ランク:B 種別:対城宝具 レンジ:1〜5 最大補足:10人
 クー・フーリンの師、影の国の女王スカアハの居城。
 七つの城壁を備え、一つずつに首がある九つの柵によって守られて、城壁の内側は魔物が放たれ侵入者を迎撃する。
 城壁内は自身の領地として扱われ、パラメータの上昇と戦闘ダメージの自然回復速度が向上する効果を得る。
 しかし「ゲイ・ボルク」と違い、この宝具の正当な所有者はクー・フーリンではないため、城壁以外の機能は削除されている。
 城壁は対軍・対城宝具に対し強力な防御効果を発揮するが、対人宝具には発動しない。


82 : 鳴上悠&ランサー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:41:15 kKEMSGlk0


【weapon】
 魔槍ゲイ・ボルク…クー・フーリンが師スカアハより賜った朱槍。真名解放をせずとも回復阻害の呪いを対象に与える。
【人物背景】
 アイルランドの大英雄。アルスター神話で登場する。光の神ルーとアルスターの王コノールの娘デヒテラとの間に産まれた半神半人の英雄。
 クー・フーリンは、フォルガルの娘エメルに求婚するが断られたため、影の国を訪れ女王スカアハの下で修行を行う。
 修行中、影の国ではスカアハと対立するアイフェ(一説には双子の姉妹)との間に戦争が起こった。
 スカアハはクー・フーリンが戦場に出ることのないように睡眠薬を与えるが、クー・フーリンには効き目が薄く彼を止めることができなかった。
 戦いは膠着し、アイフェは一騎打ちで決着を付けようとするがスカアハは負傷していたため、代わりにクー・フーリンがアイフェと一騎打ちを行い生け捕りにした。
 スカアハの下には彼以外にも修行を行う仲間がいたが、その中でただ一人ゲイボルグを授かる。
 ゲッシュ(誓約)を破り半身が痺れたところを敵に奪われたゲイボルグに刺し貫かれて命を落とすが、その際、こぼれ落ちた内臓を水で洗って腹におさめ、石柱に己の体を縛りつけ、最後まで倒れることがなかったという。

 このクー・フーリンは知名度補正の関係ない月の聖杯戦争に召喚されたため、城と戦車の宝具、スキル・不眠の加護が追加されている。
【サーヴァントとしての願い】
 死力を尽くしての強者との戦い。
【基本戦術、方針、運用法】
 パラメーターは平均的に高く、戦闘向きのスキルも充実。また冬木の聖杯戦争では封印されていた城・戦車の宝具も解禁されており、防御力と機動力が大幅に向上している。
 これにより走攻守に於いてほぼ隙のない万能型のサーヴァントとなっている。槍と戦車を同時に解放しなければ魔力消費も抑え目であり、マスターへの負担も軽い方である。
 マスターにも基本的には忠実であり、欠点らしい欠点もないが強いていうなら、その優秀さ故に警戒され集団戦に於いては標的になりやすい。
 戦闘続行・仕切り直しのスキルにより撤退は難しくないが、時間が経てば経つほど味方陣営にさえも危険視されていくだろう。
 序盤は可能な限り手の内を見せず、自分たちのみで勝利を狙える状況になるまで雌伏するのが安全策。
 あるいは最初から味方の陣営を当てにせず、必殺必中の槍と機動力に優れた戦車を駆使してアサシンのように敵対者を暗殺していく方法でも、十分に勝利を狙えるだろう。


【マスター】
 鳴上悠@ペルソナ4
【参加方法】
 マーガレットより月の石を受け取る。
【マスターとしての願い】
 聖杯を手に入れて、菜々子を生き返らせる。
【weapon】
 ペルソナ「スラオシャ」…「正義」のアルカナに属するペルソナ。手にした巻物を用いて強力な光・万能系のスキルを使う。
 ペルソナ「クー・フーリン」…「塔」のアルカナに属するペルソナ。師より皆伝の証に譲られた魔槍と、疾風系の魔法を操る。
 「ワイルド」…本来は「一人に一つ」であるペルソナを自在に付け替える能力。また、絆を深めた相手との間に新たなペルソナを創造する事も可能。
         ただし、悠が心の奥底で「殺す」と考えている相手とは何をどうしたところで絆を築くことはできない。
  ※現在の覚醒コミュは「塔」のみ。「正義」コミュはすでにスラオシャが覚醒しているので、これ以上の発展はない。
【人物背景】
 両親が海外出張の為、1年間、母方の叔父が住む田舎町である稲羽市八十稲羽(いなばしやそいなば)に越してきた。
 引越し早々発生した連続殺人事件に身近な人達が巻き込まれるのを防ぐために、陽介と特別捜査隊を結成し、事件解決に挑んでゆく。
 クールな風貌と、時折見せるくだけた言動から人気を集めていくカリスマ性を持つ。
【方針】
 同じ陣営といえども木は許さない。最終的には自分だけが勝ち残ることを目指す。
 まずは他サーヴァントの情報を可能な限り集める。


83 : ◆3btUfHUhu6 :2014/09/09(火) 23:42:30 kKEMSGlk0
投下終了です


84 : 名無しさん :2014/09/09(火) 23:47:33 UMWrXhrY0
初代二次聖杯のコンビが来たか


85 : 名無しさん :2014/09/10(水) 01:36:40 sPRWP3Ys0
誰か陽介とキース・シルバー呼んで来いw


86 : ◆aWSXUOcrjU :2014/09/10(水) 03:37:17 cvatjM9c0
登場話を投下させていただきます


87 : 雅緋&セイバー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/10(水) 03:38:12 cvatjM9c0
「美しい月だと思わないか」
 闇に浮かんだ光を見上げ。
 黒いセーラー服に夜風を受けながら、冬木大橋の歩道に立った女性は、囁くようにしてそう言った。
「夏目漱石は知っている」
 それに応えられるかは別問題だが、と。
 背後に立った黒ジャケットの男は、女の様子とは対照的に、硬い返答を寄越した。
「つれないな。運命を共にする同士だというのに」
 ふっと笑みを浮かべながら、女は振り返り男に言う。
 その手に浮かんだのはマスターの証――赤い三角の令呪だ。
 背の高さと、短い白髪が印象的な女性だった。
 黒服から覗くむっちりとした四肢は、脂肪の産物というよりも、内なる筋肉の存在を感じさせる。
 涼やかで中性的な顔立ちは、まるで戯曲から飛び出したような、麗しき美青年のようだ。
 しかし両胸にせり出した、弾けるようなサイズのバストが、彼女が男性などではなく、れっきとした女性であることを物語っている。
 秘立蛇女子学園3年、雅緋。
 請け負う任務の善悪を問わず、違法行為にすらも及ぶ忍――悪忍を養成する学園の生徒である。
 あくまで候補生の身でありながらも、しかしその余裕を纏った姿は、男に静かな迫力を放っていた。
「ある程度だが、マスターの素性は知っている。悪忍だとかいう通り名を名乗っているようだな」
 尋ねる黒ジャケットの男もまた、雅緋よりいくつか年上程度の若者だった。
 その鋭い双眸には、年齢に似合わぬ覇気がある。この女の本質を見極める――その強い意識が込められている。
「悪行はあくまで手段の1つだ。生きるための手立てであり、目的の全てというわけではない」
 言い訳じみてはいるがなと、事も無げに雅緋は言う。
 悪党を名乗っている割には、堂々とした物言いだ。後ろめたさが感じられないが、かといって開き直っているわけでもない。
 その言動から読み取れるのは、自らの行いに対する、愚直なまでのプライドだった。
(奴と似たような手合いか)
 かつて戦った槍騎士を思い、男――貴虎は思考する。
 呉島貴虎。それが剣騎士(セイバー)のクラスを得て召喚された、雅緋のサーヴァントの真名だった。
「では、この戦いを生き残った時、お前は聖杯をどう使う?」
「さてな。チームメイトにやってもいいさ。私の願いは他人に委ねて、叶えてもらうような物ではない」
「ならば聖杯戦争に、何を望む?」
「勝ち抜いたという事実そのものだ。英霊達と切り結び、その果てに勝ち残ったとあれば、この名に箔も付くからな」
 我が目的はただ1つ――蛇女の栄華を取り戻すこと。
 そのために自らが強くなり、その名を轟かすことこそが、何よりの願いなのだと言った。
 何のてらいも躊躇いもなく、堂々と言ってのけたのだ。
 さながら鴉のくちばしか。闇を纏ってなおも輝く、意志のこもった眼光だった。
「……分かった。そういうことなら構わない。マスターに従わせてもらおう」
 ややあって後、セイバーが出した答えが、それだ。
 元々セイバー自身、人の心を読み解くことに、それほど長けているわけではない。
 騙されやすい性分なのか、酷い裏切り行為を受け、命を落としかけたこともある。
 そんな自分ではあったが、それでもこの時この場面くらいは、己の判断を信じてもいいと思った。
「それでいい」
 白いボーイッシュを揺らして、雅緋が頷く。
 こいつは分かりやすすぎるのだ。
 あまりにも堂々としすぎて、裏を勘ぐる余地もない。
 こうした人間は己を偽り、隠れて本心を通そうとすることを、むしろ恥と思うタイプだ。
 いくら鈍いセイバーといえど、それくらいのことは理解できる。故に雅緋を信用した。
 聖杯の力を悪用し、世界を乱すことは決してしないと、彼女を認めることにしたのだ。
「頼りにさせてもらうぞ、我がサーヴァント」
 そんな考えを知ってか知らずか、忍の女は笑みを浮かべて、信頼の言葉を口にした。


88 : 雅緋&セイバー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/10(水) 03:40:05 cvatjM9c0
「では、マスター。聖杯が要らないというのなら……私に譲ってはくれないだろうか?」
 そのマスターへと、問いかける。
 恥ずかしい話ではあるがと、最後に付け足してセイバーは言う。
「うん? 構わんが、何に使うつもりだ?」
「やり直したいことがある……再び現世へと戻り、この手でなすべきことがある」
 思い返すのは弟の顔だ。
 自分に弓と矢を向けた、呉島光実の憤怒の顔だ。
 セイバーが谷底へ落ちた時、彼はその任を引き継いだ。
 人類種を存続するという使命を、敵対者に恭順し家畜になるという、最悪の形で目指したのだ。
 それしか選べないほどに、光実は追い詰められていた。
 嘘とごまかしで塗り固められた、一方通行の道を走り、戻れぬ袋小路へと立たされていた。
 止められなかったのは自分のせいだ。
 救えなかったのは自分の責任だ。
 途中でそのことに気付いて、道を正してやることのできなかった、呉島貴虎の落ち度だった。
「お前がなさねばならないことか?」
「道を正せる希望ならある。だがそれとこれとは別問題だ」
 これは身内の不始末だ。
 赤の他人である葛葉紘汰に、丸投げしていいことではない。
「……分かった。事情は分からんが、問題はない。聖杯は好きに使わせてやる」
 雅緋の判断も素早かった。
 少し目線を合わせた後に、ほとんど直感に近い速度で、セイバーの要求を認めたのだった。
「本当にいいんだな?」
「ああ。蛇女の誇りを取り戻し、再び高く掲げること……それが偽らざる私の願いだ」
 高潔なまでの愚直さだった。そこには確かな矜持があった。
 そのために必要なのは聖杯ではなく、己自身の力なのだと、雅緋は改めて言い切った。
 月を仰ぎ拳を突き出す、その芝居の一幕のような動作に、セイバーは静かに頭を下げた。
(光実)
 そして頭を上げると同時に、再び弟のことを思う。
 恐らくは歴史となった過去に、取り残されているであろう、呉島光実へと語りかける。
 自分は必ずそこへと帰る。聖杯の力で時をさかのぼり、お前をそこから救ってみせる。
 いいや、戻るのはもっと前だ。
 取り返しのつく時間まで、この身の時を巻き戻し、本当の意味で光実を救うのだ。
 秩序の守護者、呉島貴虎。
 無双の剣(セイバー)を掲げし、白き鎧のアーマードライダー。
 流れ着いた時の果てで、たった1つのみを助けるために、彼は力を握り締めた。
 敗北の間際に破壊された、メロンを象ったロックシードを、再び強く握ったのだった。


89 : 雅緋&セイバー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/10(水) 03:40:37 cvatjM9c0


(少し、勿体なかった、かな)
 そしてそれから少し経ち、仮の家路へ帰ろうとする頃。
 冬木大橋を渡りながら、雅緋は先ほど発した言葉に、僅かな未練を感じていた。
 万能の願望器、聖杯。
 それにかける願いはないと、サーヴァントにくれてやったことに、若干の後悔を覚えていたのだ。
 彼女も願いがないわけではない。解消したい悩みだってある。
 いわゆる「イケメン」じみている彼女は、同性から非常にモテるのだ。
 恋文は山のように送られてくるし、追っかけはどこにでも付いてくる。
 自分の幼馴染に至っては、こちらが心配になるほどに……否、それは別にいいだろう。
 とにかくも大勢に付きまとわれ、きゃあきゃあと囃し立てられるのは、なかなかに煩わしいものだった。
 雅緋は女だ。同性なのだ。
 同性愛というものもこの世にはあるが、自分にその素養はない。
 だからこそ何とかできないかと、常に頭を悩ませている。
 どうせ要らない聖杯であるなら、それをどうにか黙らせることを、ちょちょいとやってもらうのも、悪くなかったのではないかと思う。
(……いや、駄目だ駄目だ! さすがに格好がつかんだろうが!)
 だがそれも一瞬の誘惑だった。
 はっと我に返った雅緋は、頭を強くぶんぶんと振って、己が雑念を振り払った。
「どうした?」
「いや、何でもない。何でもないんだ」
 気遣うセイバーの声に、応える。
 同時に先ほど彼が浮かべた、真剣な表情を思い出す。
 細かな理由までは聞かなかったが、彼は極めて大真面目に、聖杯の力を欲してるのだ。
 自分ごときのチンケな悩みが、その妨げになることなど、決してあってはならないのだ。
 今更なかったことにするなど、かっこ悪すぎるし不誠実すぎる。
 やはりここはさっぱりと諦め、蛇女の復権の道だけを、まっすぐ歩いて行くべきだ。
(そうだ。そうあるべきなのだ)
 己に強く言い聞かせ、自分自身を律しながら、雅緋は夜道を進んでいった。
 悪を掲げし忍の戦士と、義に生涯を賭した剣士。
 正反対の黒と白は、今は1組の協力者として、闇の奥へと消えていった。


90 : 雅緋&セイバー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/10(水) 03:41:14 cvatjM9c0
【マスター】雅緋
【出典】閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-
【性別】女性

【参加方法】
『月の石』による召喚。学園の購買部で買ったものに混ざっていた。

【マスターとしての願い】
不要。聖杯戦争を勝ち残ったという名声が欲しい

【weapon】
妖刀
 妖気を帯びた刀。雅緋が抜刀した時、黒い妖気は刃と化し、七支刀の形を取る。

【能力・技能】

 日本に古来から存在する、諜報や暗殺を主任務とした工作員。
 蛇女子学園の元選抜メンバーとして、ひと通りの忍術をマスターしている。
 雅緋は得意技として、黒い炎を操ることができる。

忍転身
 現代の忍の戦闘装束。この術を発動した雅緋は、マントを羽織った白装束を纏う。

忍結界
 忍同士の決闘時に発動される結界術。自身と対戦相手を一定空間内に閉じ込めることができる。
 本聖杯戦争では弱体化しており、バスケットコート程度の範囲にしか展開できない。

命駆
 命懸けの覚悟で臨む、決死の戦闘形態。
 防御力が半分以下になるが、追い詰められたことで潜在能力が解放され、攻撃力が大幅に向上する。
 なおこの状態になった瞬間、雅緋の衣服は全て弾け飛び、下着姿になる。

深淵血塊
 禁術の1つ。
 忍結界の中に染み込んだ者達の血を、自らの体内に取り込むことで、絶大な力を得ることができる。
 反面心身にかかる負担が大きく、暴走及び廃人化のリスクを孕んでいる。
 この術を発動した雅緋の力は、低級のサーヴァントにも対抗しうるほどに向上されるが、
 彼女はかつてこの術を使い暴走したことがあるため、二度と使うことはないと思われる。

【人物背景】
非合法な任務であろうと遂行する忍・悪忍を養成する機関である、秘立蛇女子学園の生徒。
21歳の3年生で、スリーサイズはB90・W56・H87。学園長の娘でもある。
母親を妖魔に殺されており、妖魔狩りに臨む最高位の忍・カグラを目指している。
かつては1年生にして選抜メンバーに名を連ねるほどの実力者だったが、妖魔との戦いにおいて暴走、記憶を喪失してしまう。
その後は休学していたが、蛇女の壊滅に呼応するかのように復活。地に落ちた学園の権威を取り戻すべく奔走する。

武人のような喋り方をする、硬派な性格の人物。
中性的な顔立ちと相まって、女性でありながら非常に男らしい印象を与えている。
このため女子人気が非常に高いのだが、本人は女を捨てているつもりはないため、悩みの種となっているらしい。
厳しいが度量も大きく、成果を上げた者には正当な評価を下す人物。

忍法の性質を表す秘伝動物は鴉と蛇。カグラの称号を目指すだけのことはあり、戦闘能力は非常に高い。
上記の性格と相まって、そのカリスマ性は元選抜メンバー筆頭・焔を凌ぐほどのものを持っている。
七支刀に変化した妖刀と、左の拳に纏う黒炎は、特に一撃の破壊力に優れている。
また、鴉を象った片翼を生じることができ、飛行こそできないものの、攻撃や防御に用いることができる。
必殺の秘伝忍法は、黒炎を纏わせた剣で切り裂く「悦ばしきInferno(インフェルノ)」、
蛇を象った黒炎を、渦を巻くように周囲に展開する「善悪のPurgatorio(プルガトリオ)」。
また現時点では未習得だが、自らの大切な何かを自覚した時には、更なる奥義である絶・秘伝忍法を発現することができる。
雅緋の絶・秘伝忍法は、6枚の翼で飛翔し敵を剣で切り刻む「深淵のParadiso(パラディーゾ)」。

原作には合計4つの勢力ごとのルートが存在するのだが、対戦の勝敗などの違いから、全てがパラレルワールドとして設定されている。
このため雅緋の参戦時期は、ルートの影響を受けない、蛇女の選抜メンバー候補が全員揃った時期からとする。

【方針】
優勝狙い。向かってくる敵は全て叩き潰す。


91 : 雅緋&セイバー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/10(水) 03:41:55 cvatjM9c0
【クラス】セイバー
【真名】呉島貴虎
【出典】仮面ライダー鎧武
【性別】男性
【属性】秩序・善

【パラメーター】
筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:D 宝具:C

【クラススキル】
対魔力:E(C)
 魔術に対する守り。
 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
 『天下御免の緑壁(メロンアームズ)』発動時にはCランクに変化し、二工程以下の魔術行使を無効化する。
 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:E
 騎乗の才能。大抵の乗り物なら何とか乗りこなせる。

【保有スキル】
真のアーマードライダー:A
 異界の果実の力を封じたアイテム・ロックシードを用いた戦い方を、完璧に理解し極めたことを示すスキル。
 このスキルの保有者は、セイバーただ1人をおいて他にいない。
 ロックシード由来の宝具を用いる際には、その能力にプラス補正がかかる。

心眼(真):C
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
 逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

戦闘続行:C
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、死の間際まで戦うことを止めない。

人物眼:E
 相対した人物の善悪・思惑を見抜く力。このランクの場合バッドステータススキルとなる。
 表面的な言動を鵜呑みにしやすいため、隠された本心に気付かないことが多い。
 一番信じてはいけない相手を信用してしまうタイプ。

【宝具】
『天下御免の緑壁(メロンアームズ)』
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人
筋力:C+ 耐久:B+ 敏捷:C+ 魔力:D+ 幸運:D 宝具:C
(スキル「真のアーマードライダー」による補正値込み)
 異界の果実の力を封じたアイテム・ロックシードにより、鎧の戦士「アーマードライダー・斬月」へと変身する。
 メロンロックシードにより発動するこの姿は、盾型の武器・メロンディフェンダーを使った、攻防一体の戦いを得意とする。
 攻撃時には汎用装備である銃剣・無双セイバーを用いるが、メロンディフェンターにも刃物が備わっており、投擲攻撃が可能。


92 : 雅緋&セイバー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/10(水) 03:42:19 cvatjM9c0
【weapon】
戦極ドライバー
 アーマードライダーに変身するためのベルト。

【人物背景】
実験都市・沢芽市を管理する、巨大企業に偽装した研究機関・ユグドラシルコーポレーションの主任。
同組織日本支部の重鎮の息子であり、自らも実力によって、26歳にして研究部門のプロジェクトリーダーについている。

社会的規範を重視する人物であり、ダンスにうつつを抜かしたビートライダーズに対する視線は冷ややか。
しかしそれは責任意識の強さの表れでもあり、必ず人類を守り抜くという、強い決意を持って職務に臨んでいる。
人格・能力・家柄の全てに恵まれていたが、人との縁にだけは恵まれておらず、
本当の仲間と信頼関係を結ぶまでに随分な回り道を要したり、本当に危険な人物の思惑を見抜けず踊らされたりしている。
上記のような脇の甘さにも繋がっているのだが、本質的にはお人好しな気質の持ち主。

「ヘルヘイムの森」の侵食に対応するため、非情な人類管理計画「プロジェクト・アーク」を推進していたが、
森の侵食を抑制できる可能性を持った怪人・オーバーロードインベスと遭遇した際に、方針を転換。より犠牲を出さずに済む方法を模索しようとした。
しかしこれをよしとしない者達の襲撃を受け、崖から転落し死亡したものと思われた。
それでも生存していた貴虎は、オーバーロードに恭順しようとする弟・光実を止めるため決闘を挑んだのだが、これに敗北し海中へと沈んでいる。
本聖杯戦争においては、この直後から召喚されている。死亡前の生霊であるため、霊体化を行うことはできない。

アーマードライダー(仮面ライダー)の運用に関しては、初期段階から自ら被験体を買って出ている。
そのためロックシードを用いた戦い方への理解は深く、他のライダー達とは一線を画した戦闘能力を誇る。
同格のライダー2人がかりでも仕留め切れず3人目が加勢したことで撃破できた、
旧型のライダーで上級のライダー相手に優位に戦闘を運んだなど、その逸話は枚挙にいとまがない。
敵の攻撃を的確に見切り、確実な一撃を叩き込むことで、無駄のない戦闘を行うことを可能としている。
本来は『天下御免の緑壁(メロンアームズ)』の他に、より強力な『真なる天下無双(メロンエナジーアームズ)』も所有していたのだが、
この宝具発動のためにはアーチャーのクラスで召喚されている必要があるため、本聖杯戦争では発動することができない。

【サーヴァントとしての願い】
光実が道を誤らないようやり直したい

【基本戦術、方針、運用法】
『真なる天下無双(メロンエナジーアームズ)』を発動できないため、3騎士クラスにしてはパラメーターが低い。
しかし本人の戦闘スキルが高いため、数値以上の活躍が見込めるだろう。
マスターの雅緋も優秀な戦闘能力の持ち主であるため、ガンガン攻勢に出ることができる。
反面、マスターがやや大雑把な傾向にあることと、セイバーが人を見る目に欠けていることもあり、裏切りに対する警戒能力は最低辺に位置している。
このため組織立った行動を取る際には、信用できる参謀役に出会えるかどうかが、その後の命運を左右することになるだろう。
一応統率力・カリスマ性には秀でた組み合わせであるため、単純な指揮官役としての適性は高い。


93 : ◆aWSXUOcrjU :2014/09/10(水) 03:42:46 cvatjM9c0
投下は以上です
問題などありましたらご指摘お願いします


94 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/10(水) 04:55:19 9qZHFJs.0
某所で投下したものを改稿して投下します


95 : 星空凛&プロシュート ◆VUBZx4BclE :2014/09/10(水) 04:56:47 9qZHFJs.0
どうしてこんなところにいるんだろう。
彼女は記憶を取り戻した瞬間そう思った。
仮初めの記憶が与えられ、仮初めの存在として過ごす間は、『それ』に憧れを抱いていたただの女子学生だった。
しかしその在り様が偽りだと気づいたとき、彼女は思い出したのだ。
既に『それ』になっていたんだ、と。

「どうして凛、こんなところにいるの・・・?」

音ノ木坂学院の統廃合を防ぐために結成されたスクールアイドルグループμ's。
彼女―――星空凛はスクールアイドルであった。
凛が記憶を取り戻すきっかけとなったのは、μ'sが結成されたころから人気ナンバーワンであったスクールアイドル『A-RISE』の映像。
ビルのスクリーンの中で華々しく曲を披露している『A-RISE』は凛の目にはとても輝いて見えていて。
凛の今までのスクールアイドルとしての思い出を甦らせた。
周りが見えなくなることもあるけれど自分達を引っ張ってくれるリーダー。
昔からアイドルに憧れていてお互いに支え合ってきた親友。
個性的ながらも一緒にいて楽しい仲間達。
皆がいたから前に進むことができた。


そんな奇跡のような時は聖杯戦争にはない。
なぜ自分はアイドルではなく普通の女子学生ということになっているのか。
なぜ自分の通う学校は音ノ木坂学院ではないのか。
今まで植えつけられていた記憶と本来の正しい記憶が混ぜこぜになり、凛の頭は混乱していた。

次に凛を襲ったのは、これから自分はどうなってしまうのかという不安。
それに押しつぶされそうになり、目から何かがこみ上げてくる。

凛はとにかく心を落ち着かせるために裏路地に駆け込む。
心臓は未だに猛スピードで揺れ動いており、息をするたびに肩が上下する。
それに疲れたのか、狭い路地の壁にもたれ、その場にぺたんとへたり込んでしまう。




「オメーが俺のマスターか」
「・・・にゃアア!?」

突然すぐ隣から発された声が、しばらくしてようやく冷静さを取り戻そうとしていた凛を再度混乱の渦中へと引きずり込む。
声のした方へ顔を向けると、そこにいたのは見知らぬ男。
いかにも裏社会に通じていそうなスーツ姿で、外国人であるとわかる。

「え、ええと・・・あ、あいあむ・・・凛――」
「安心しろ、言葉は通じる。俺の名は『プロシュート』。アサシンのサーヴァントだ」

英語で話しかけようとしたところ普通に日本語で返された。
そこで凛は改めて話そうと思ったが、その前に外国人の男が口を開いた。

「なぁ、マスター・・・聖杯戦争の場にいるってことはわかってるよな?」
「聖杯戦争・・・?戦うのにゃ?」

アサシンはきょとんとしている凛に対し、確認の意味も込めて発現したのだが、帰ってきたのはオウム返しだった。
凛は二人のルーラーに会ったことはうろ覚え程度には記憶している。
が、そもそも凛は聖杯どんなものなのかすら知らず、故に聖杯戦争そのものについて理解していないようであった。
アサシンはそれを悟ったのか、聖杯戦争が何なのか、マスターとサーヴァントの関係についての説明を始めた。


96 : 星空凛&プロシュート ◆VUBZx4BclE :2014/09/10(水) 04:59:09 9qZHFJs.0
「これで聖杯戦争について俺が知っている情報は全部だ。・・・オイ、聞いてんのか?」
「うっ・・・ひっぐ・・・」

聖杯戦争という殺し合いに凛は参加している。
その事実を認識した瞬間、思わず目から涙を溢れさせてしまう。もう皆と一緒にアイドルのステージに立てないかもしれないと思うと、泣き虫なきらいがある凛は涙を抑えられないのだ。

「・・・どうやったら元の世界に戻れるの?」

凛はこんな世界から早く帰りたかった。
早くμ'sのみんなに会いたい。早く皆に会って安心したいという気持ちが凛を支配していた。
その心には、いつ他の参加者が襲ってきてもおかしくないという恐怖もあった。

「この聖杯戦争を生き残っていくしかねえな。さっき言ったみてーにこれはチーム戦だ。俺達のチームが勝てばひとまず聖杯戦争は終わると考えていい。・・・その先は知らねーがな」              

やはりそんなに甘くはない。
このまま生き残って元の場所へ帰るには、この殺し合いを生き残るしかないことを凛は悟った。
しかし、せいぜい小さいころにしていたごっこ遊びくらいしかチーム戦の経験がない凛にはどうすればいいのか全くわからない。

「・・・アサシンならどうするの?」

そのため、凛はアサシンに頼るしかなかった。

「・・・とりあえず、オメーの家に行ってから考える。まずはオメーが記憶をなくしてる間どんな生活をしていたかを知りたい。とにかく情報が必要だ」

その言葉に対し、凛は無言で頷く。が、しばらく裏路地出ようとせず何か考えごとをしているようであった。

「オイ、どうした?家に帰らねーと不審がられるぜ?ちょっと普段と違う動きをしただけで感づかれることもあり得るからな」
「家に帰る前に・・・聞きたいことがあるにゃ」
「なんだ?」
「聖杯って願い事がなんでも叶うって言ってたけど・・・アサシンは何を叶えたいの?」

アサシンはしばらく黙りこんでいたが、やがて口を開いた。

「復讐だ」
「復讐・・・?」
「あまりオレ自身のことはいいたくはねーんだが・・・オレはギャングの暗殺チームに入っていた。が・・・そのギャングのボスを探っていた仲間が殺された。その復讐だ」

凛は、あまりの生々しさに何も言えなかった。ただ、『絶対に負けるわけにはいかない』。そんなアサシンの持つ覚悟を感じることができた。

「逆に聞くがマスターはどんな願いがあるんだ?」
「願い・・・」

凛は確かに夢がある。μ'sの仲間と一緒にラブライブで優勝するという夢が。
しかし、凛はそれを叶えようとは思わなかった。この願いは自分で叶えてこそかけがえのない価値があるのだから。

「ないにゃ」
「・・・まぁ予想はしていたがな。ギャングでもなけりゃあスタンド使いでもねーみてーだからな」
「でも・・・『今願いができた』――。アサシンと一緒に生き残って元の世界に帰りたい。聖杯戦争に参加する!」

今の凛の顔に先ほどの怯えは見えない。

「それはいいが・・・お前自身、どんな能力がある?あまり期待はしねーがな。もう一度言うがこれは聖杯戦争・・・つまり、殺し合いだ。生半可な強さじゃあ勝てねーぞ」
「う・・・た、体力に自信があるにゃ!自分でいうのも恥ずかしいけど・・・運動神経がいいにゃ!」
「他には?」
「そ、それだけにゃ」

アサシンは目を閉じてため息をつく。それを失望と見たのか、凛は心配そうにアサシンを見ていた。

「そもそも、オメーはなぜ『アサシンと一緒に』と言った?『かわいそうだから願いを叶えてあげよう』っていうんなら願い下げだぞ?」

その言葉を聞いた凛は、先ほどのアサシンのように目を閉じた。しかしため息をつくことはなく、静かに歌いだす。



だって可能性感じたんだ
そうだ・・・ススメ!
後悔したくない 目の前に僕らの道がある



凛が歌いだしたのは、かつて自分達のリーダーが口ずさんでいた曲であり、前に進むことができずにいたリーダーの背中を押した曲。


97 : 星空凛&プロシュート ◆VUBZx4BclE :2014/09/10(水) 05:00:25 9qZHFJs.0
「オイ・・・なんなんだ急に歌いだしやが――」
「凛はスクールアイドルっていう、学校の部活でアイドル活動をしていてね。μ'sっていうアイドルグループにいるにゃ。凛も入れて9人いるんだけど、みんないろんな個性を持ってて、いろんな悩みを持ってて――そんな9人が集まったのは凛たちにとって奇跡なんだにゃ」
「・・・・・・・・」
「だからね、凛とアサシンがこうやって契約して、仲間になったのも奇跡なんだって思うことにしたにゃ!
奇跡のような仲間なら、一緒に生き残りたいって思うよね?
さっきの曲は誰かが一歩を踏み出せない時に歌ったことがあるの。
また歌えば、凛もアサシンも前へ進むことができるような気がして・・・」

凛はμ'sができたことが奇跡であるように、アサシンと出会えたことも奇跡と思うことにした。
μ'sにいる皆がいて、支え合ってきた。
そんな奇跡があるからこそ前に進むことができた。
アサシンと出会えたことが奇跡ならば・・・例え聖杯戦争の中でも、前に進むことができると思った。

アサシンは凛を無言で見据えていた。
前に進む。聖杯戦争において、それは簡単なことではないであろうとアサシンは思った。
この殴り合いすらしたこともないような少女にとっては辺り一帯が暗闇の荒野であり、一歩を踏み出すことすら難しいであろう。
しかし、そんな荒野でも進むべき道を切り開く鍵をアサシン――プロシュートは知っている。
それは・・・『覚悟』ッ!!

「マスター、オメーに聖杯戦争を勝ち抜く覚悟はあるか」
「覚悟・・・」
「聖杯戦争に関わることは『そういうこと』・・・オメーにも危険が及ぶ可能性だって十分にある。
傷ついたり人を殺したりすることだってあるだろーな・・・その覚悟はあるかって聞いてんだ」
「で、できてる!凛、頑張るから!」

凛は真剣な顔つきでアサシンを見た。

(・・・こいつはできてねーな)
表情こそ真剣だがいざ実戦となると怯えてしまうだろう。
アサシンは生前、マンモーニ(ママっ子)と呼んでいた弟分を持っていた経験から容易に判断がついた。

アサシンは何も言わずに凛を見つめていたが・・・やがて、

「わかった・・・これからよろしくな、マスター」

と短く答えた。それを聞いた凛の表情が明るくなり、「うん!」と大きく首を縦に振った。

なぜアサシンは凛が覚悟できていないことを知りながらも凛を認めたのか。
それは、凛が自分を『仲間』と言ったことであった。
彼は生前からどの行動も躊躇うことはない。
実のところ、アサシンは『暗殺チーム』のために願いを叶えるつもりであった。
おそらく、凛でなければ他のマスターに『乗り換える』ことも考えていたかもしれない。
しかし、彼女の言った『仲間』の言葉が、マスターと共に戦うことを決断させた。

アサシンの所属していた『暗殺チーム』メンバー達も大切な『仲間』であった。
多少イカれた面子もいたが、お互いの仲間意識は強かった。
それだけに、ソルベが輪切りにされた時の怒りと屈辱は今でも忘れることはできない。

凛は、そんな自分をμ'sのメンバーと同等の『仲間』とした。
そのような先のやり取りからプロシュートは凛の可能性を信じ、
彼も凛を暗殺チームのメンバーと同等の『仲間』として行動することにしたのだ。
たとえ覚悟ができていなくてもかつてペッシというマンモーニ(ママっ子)を持った経験だってある。
頼りない妹分を持つのも特に問題はない。

(俺達も『9人』だったな・・・)

裏路地から出る際、プロシュートは仲間のことを想っていた。


98 : 星空凛&プロシュート ◆VUBZx4BclE :2014/09/10(水) 05:02:33 9qZHFJs.0
そして時は経ち、この世界における凛の家へ向かう最中のこと。アサシンは霊体化しており、他のNPCには見えない。

「アサシン...『アサシン』ってなんだか呼びにくいにゃ。やっぱり『プロシュート』って呼んだ方が――」
『バカ言うな。真名を呼ばれることは弱点をさらけ出すのと同じって言っただろ』
「でもこっちの世界からすると物騒で呼びにくいにゃ〜。じゃああだ名にする?『プロシュー』?『潰シュー』?『相手のゴールにシュー』?あまりしっくりこないにゃ〜」

凛がなにやら馬鹿げたあだ名をつけようとしているらしい。確かに真名がばれなければ特に問題はないが...「潰シュー」みたいな潰れたシュークリームみたいなあだ名で呼ばれたらこっちの調子が狂ってしまう。
そのため、アサシンはかつての弟分が自分を呼ぶ際に使っていた名前を差し出した。

『兄貴...そうだ、俺のことは兄貴って呼べばいい』
「『兄貴』...うん、わかったにゃ、『兄貴』!それと、凛の名前は『マスター』じゃなくて『星空 凛』て名前があるんだから、凛って呼ぶにゃ!」
『・・・凛でいいんだな?』

こうして、戦いを知らぬ仔猫同然の少女と、その少女の『兄貴』となった暗殺者の奇妙な主従が誕生した。

さて、これからどう戦うか。マスターの魔力も少ない、自分はアサシンだから直接対決は不得手、さらに戦うためには宝具のスタンド『ザ・グレイトフル・デッド』の使用が必要。問題は山積みだ。だが・・・『栄光』を掴んでみせる。アサシンは静かに決意した。



【クラス】
アサシン

【真名】
プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険

【パラメータ】
筋力C 耐久C+ 敏捷A- 魔力C 幸運C 宝具B+

【属性】
秩序・悪

【クラス別スキル】
気配遮断:C+
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てばサーヴァントでも発見することは難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】
 
兄貴:C+
共に行動する者の能力を向上させる。スキル『カリスマ』に似たスキル。
弟分(妹分)に対しては厳しくも面倒見がいいプロシュートの一面。
その人物の持つ弱さを指摘しつつも、強い部分を評価して
「お前ならできる」と鼓舞する姿はよき兄貴分であり、師匠でもある。
彼と行動を共にし、彼の「覚悟の強さ」を見た者はどんなマンモーニ(ママっ子)でさえも
その弱さを捨て、驚異的な成長を遂げる。

戦闘続行:B
覚悟の強さ。決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の重傷を負ってなお戦闘可能。
瀕死の状態でもスキル・宝具を平常時と同等以上のレベルで使える。
目的を達成するためならば、腕をとばされようと脚をもがれようと行動を続ける(能力を解除しない)。
耐久力:C+のプラス補正は生前に瀕死の重傷を負いながらも能力を使い続けたことに由来しており、
どれだけ致命傷を負わせても彼を死に至らしめるのは難しくなっている。

心の中の行動:C
プロシュートがかつて弟分に暗殺者として教えていた言葉がそのままスキルに昇華したもの。
心の中で思った行動を反射的に実行することができる。
そのスピードは心の中で思ったと同時にその行動がスデに終わっているほど速い。
俊敏:Aはこのスキルに由来するものであり、移動速度的な意味合いでの俊敏はC相当である。

心眼(真):B
暗殺チームの一員として数々の戦闘の経験で培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

直感:C
戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。
スタンド同士での戦いの経験から、特にお互いの能力の相性の良し悪しを鋭く感じ取れる。


99 : 星空凛&プロシュート ◆VUBZx4BclE :2014/09/10(水) 05:12:51 9qZHFJs.0
【宝具】

『偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド)』
 ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:1〜200 最大捕捉:1000
生命が持つ精神エネルギーが具現化した存在。聖なるビジョン『スタンド』。
目が全身のあちこちにあり、巨大な2本の腕だけで身体を支えている下半身のないスタンド。
全身の目玉から広範囲に周囲の生物を老化させるガスを噴射する。植物や果物にも効果がある。
マスターはアサシンと魔力供給のパスが通っているため、老化しない。
その老化ガスを浴びた者は肉体のみならず精神力、記憶力、魔力までも減衰してしまう。
本体であるプロシュートが直接対象に触ることにより、老化スピードを急激に上昇させることが可能。
極限まで老化させられた場合、自力で動くのが困難なレベルになってしまい、寿命が尽きて死ぬ。
ただし、体温が低ければ老化のスピードが遅くなる。そのため、若干体温が低い女性には効果が薄い。
さらに無差別にガスをまき散らすためマスター以外の味方を区別することができず、
あらかじめ氷で体を冷やすなど対策を取っておく必要がある。
また、この能力を応用して、自分を老化させて老人に変装することができる。
『気配遮断』と組み合せばサーヴァントとして気づかれずに容易に接近することができる。
スタンドビジョンのダメージは本体にフィードバックされる。


『偉大なる栄光(ザ・グレイトフル・グローリー)』
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:――
 死ぬ直前まで、たとえ瀕死のダメージを負おうとも
 スタンドを解除せず戦ったエピソードから生まれた宝具。
 アサシンは例え霊骸を破壊されようと、十数ターンの間『偉大なる死』を発動し続け、
 さらにマスターが消滅するまでの時間を6時間まで延長する。


【weapon】
・ミスタ愛用のリボルバー式拳銃
『偉大なる死』により戦闘不能にしたグイード・ミスタから奪った拳銃。威力はそこそこ。

・宝具『偉大なる死』のスタンドビジョン
ステータスは破壊力:B スピード:E(B) 持続力:A 精密動作性:E 成長性:C相当。
スタンドで格闘戦を行うことが可能。
ただしスピードがBになるのは移動を伴わない動作をしているときのみ。
直接戦闘では相手が老化していることが前提となるため、
たとえ能力ランクA以上の相手でも老化の進行次第で互角以上に戦える。

【人物背景】
イタリアのギャング組織「パッショーネ」の暗殺チームに所属するイタリアンギャング。
目的のためならばたとえ無関係の人を巻き込もうとも躊躇しない強い覚悟の持ち主である。
しかし面倒見がいい一面があり、弟分のペッシが恐怖でスタンド能力を解除した時は
ペッシの精神の弱さを厳しく指摘しつつも、ペッシが自分の勘に自信を持てない時は「自信を持て」
「お前の能力はその気になればだれにも負けない」「ここが正念場だ」と鼓舞していた。
生前はペッシとともにフィレンツェ行の特急列車にて乗客ごとブチャラティ一行を襲撃。
その目的はパッショーネのボスに仲間のソルベを惨殺されたことへの復讐をするために、
ボスの情報を得る手がかりとなるボスの娘・トリッシュの身柄を確保することだった。
しかし、ブチャラティとの戦闘の末、列車の外へ放り出されスタンド能力が解除されたため死亡した・・・
かに見えたが、列車の車輪の間に入り込み、致命傷を受けながらも生き延びていた。
以降は、スタンド能力を再発動し、列車に残ったペッシのブチャラティとの戦闘を援護。
そのスタンド能力はプロシュートが死ぬまで解除されることはなく、
ペッシはプロシュートの覚悟の強さを見て成長を遂げ、
「10年の修羅場を潜り抜けたスゴ味と冷静さをもつギャング」へと変貌、ブチャラティを震撼させた。


100 : 星空凛&プロシュート ◆VUBZx4BclE :2014/09/10(水) 05:13:28 9qZHFJs.0
【サーヴァントとしての願い】
 仲間のソルベとジェラートを殺したボスに復讐する。

【基本戦術、方針、運用法】
 ステータスは全体的に平均的だが、単純なステータスにおいては
 近距離戦では筋力・耐久で劣るセイバーやライダーなどに、
 遠距離戦では宝具が直接攻撃に向いておらずアーチャーやキャスターに劣り、
 さらにマスターの魔力が少なめということもあって
 他のサーヴァントとの正面対決ではどうしても不利になりがちである。
 しかし、アサシンらしく気配を消すことで近づき、
 最大で半径約200mにも及ぶ範囲の老化ガスをまき散らし、相手を弱体化させることで全クラスに優位に立てる。
 そのため、相手を老化させ、戦力を弱めるのが基本戦術。
 アサシン自身が老人に扮して相手のマスターを数秒で老人にし、魔力を枯渇させて再起不能にするという芸当も可能である。
 たとえ氷などで対策を打たれても体温さえ上がれば誰にでも効くので、
 持ち前の直感・心眼や戦闘続行を駆使して何としても老化させたい。
 
 今回の聖杯戦争はチーム戦のため、味方の体温を下げた上でサポート役に徹するのもいい。

【マスター】
 星空凛

【出展】
 ラブライブ!

【参加方法】
 部室に置いてあったスピリチュアルなムーンストーンが月の石でそれに触れた

【マスターとしての願い】
 兄貴(アサシン)を見捨てずにこの聖杯戦争を生き残る

【weapon】
 特になし

【能力・技能】
 運動神経が優れていて体力がかなり高いくらいしかない。
 アイドルとして歌ったり踊ったりできる。

【人物背景】
 音ノ木坂学院一年生で、μ'sに所属。高坂穂乃果の後輩にあたる。
 趣味はスポーツ全般、特に陸上系。バスケのシュートが特技で本人曰く、「鼻もきく」とのこと。
 μ'sの中では比較的小柄で、胸の大きさもワーストクラス。
 好きな食べ物はラーメン。だが、料理は苦手なのでカップラーメンくらいしか作れない。
 体育会系で明るく、面倒見がいいが、泣き虫なところも。
 小学生のころによく女の子っぽくないとからかわれていたためか、
 ライブでセンターを務めるときは自信を持ちきれないという弱気な面がある。
 また、「〜にゃ」という語尾を付ける癖がある。
 魔術師でもなくただの人間のため魔力はかなり低いが、
 アイドルとして活動していたことにより、
 ファンからの信仰が魔力になっていて、少しはマシなようである。
 本人の希望で、アサシンのことを「兄貴」と呼んでいる。
 聖杯戦争のルールは理解したが、実際にどんな人たちが参加しているかわかっていない。
 
【方針】
 兄貴(アサシン)と共にこの聖杯戦争を生き残る。
 ただし、本人は気づいていないが覚悟はできていない。
 人を殺す場面になると躊躇してしまうだろう。


101 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/10(水) 05:14:45 9qZHFJs.0
以上で投下を終了します
何かおかしいところがあれば指摘してください


102 : 横島&ライダー  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 09:59:44 6sxPSY8M0
投下乙です
自分も投下させてもらいます
二次二次投下を改編したものです


103 : 横島&ライダー  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 10:01:01 6sxPSY8M0




「ちょっと美神さーーーん!!!」


街の真ん中で叫んでる男がいた。
青年というよりもまだ少年と言ったほうがいい年齢ではある。

赤いバンダナに青のジーンズ。どこか軽薄そうな雰囲気を漂わせる。
少年の名は横島忠夫。美神令子除霊事務所の超薄給かつ奴隷同然の待遇で、彼女の助手(アルバイト)である。
普段の彼は所長の美神令子と同僚のおキヌちゃんと一緒に悪霊退治に精を出しているはずなのになぜこんな所にいるのか。
彼がこの戦争に参加した経緯を説明しよう。

横島はいつものように上司である美神に命じられ厄珍堂へ破魔札や吸魂札の買出しに出かけた。
それだけならいつもの仕事の一つだったのだが、帰り際に店主の厄珍に声をかけられた事が全ての始まりであった。


「坊主、ちょっと待つネ。いい話があるアルよ」
「はぁ?また碌でもないこと企んでんのか厄珍」
「お前私のこと何だと思ってるアルか!?いいから聴くよろし!」

厄珍が棚から取り出したのが手のひら大くらいの大きさの石だった。
一見どこにでもありそうな形の石だが、GSとしての経験を積んだ横島は、石からとんでもない霊力を感じ取った。

「それは月の石と呼ばれる呪具ネ。持ち主の願いを叶えると言われているアルよ」
「月?これは月神族の道具なのか?」
「それは判らんアル。数多くの霊能力者が解析しようと試みたが誰も分からなかったアル。ただ言えるのは其れが『月の石』と呼ばれていること。そして持ち主の願いを叶えるという伝説があるということアルネ」
「胡散くせぇ…」
「ええい、いいから持つよろし!手っ取り早く効果を見て売りつけるネ!」
「てめえそれが本音か!?あちょ待っ……」

ドタバタと取っ組み合いをする中、偶然手の中に入った月の石が光ったかと思うと、そのまま横島の姿は掻き消えた。
あとに残った厄珍は呆然としながら

「れ…冷子ちゃんに殺されるネっ……!?」

これから起こりうる惨劇に身を震わせた。


104 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 10:01:48 6sxPSY8M0



そうして経緯を経て聖杯戦争に参加した横島。
内容は参加した時点で頭に流れ込んできたが…

「死ぬのはこわいんじゃあーーー!!」

肝心の中身がダメダメだった。例え英霊とやらを使役できても自分なんかじゃ歴戦の魔術師に勝てるとは思わない。
こうなったら最後の方まで隠れていようと画策していると―――

「おーい、君が僕のマスター?」

後ろからかけられた声にばっと振り向く。

(どうか強いサーヴァントでありますように!)

藁にも縋る思いで振り返った先にいたのは、胸元に獅子のエンブレムが施された鎧に、ファーの付いたマントを上から羽織っている。
小手や鎧の一部、マントとブーツは白く色取られており、白騎士としての名残りが感じられた。
ピンク髪を三編みにし、黒いリボンの髪飾りを付け、太股をちらりと見せるガーターベルトがフェミニンな雰囲気を醸し出している。
極めつけは口元からちらりと見えるチャームポイントの八重歯。
どう見ても美少女です。ありがとうございます!!

「ずっと前から愛してましたー!!」
「初対面だよっ!?」

全力で飛びつく横島をなんとか受け止めながら改めて自己紹介をする。

「それで?君が僕のマスターかい?」
「ハイ!あなたのマスターの横島忠夫です!」

どこからか取り出したバラを捧げながら跪く横島を面白そうに眺めながらも、情報交換を続ける二人。

「それでマスターの望みは一体なんなんだい?」
「俺の場合は巻き込まれただけだから元の場所に戻るのが最優先なんだが…願いか…」

頭に浮かんだのは蛍の化身たる少女。
聖杯を手にすれば彼女にまた会えるかもしれない。
横島は願いを叶える決意を…

(無いな、胡散臭すぎる。厄珍絡みの事は碌な事が無い。大体願いを叶える聖杯が本当にあるなら神族も魔族も何か手を打ってるだろうしな)

仮にココが本当に月の中なら月神族が何もしないはずが無い。
係わった時間は短いが彼女たちがそんな物を使うことも放置することも考えにくかった。
いや、そもそもそれ以前の問題だ

(人殺して願い叶えても、ルシオラは喜ばないしな…)

「マスター?」
「あ…悪い、なんでもない。ところでえっと……」                       
「ライダーだよ」
「ライダーの願いは無いのか?サーヴァントは願いが有るから召喚に応じるんだよな?」
「一概には言えないんだけどね。暇つぶしで参加する英霊もいれば、生前果たせなかった忠義を貫きたいって騎士もいるし。
僕もそこまで叶えたい願いは無いよ。しいて言うなら受肉して現世をうろつきたいかな」

だからさ…っと横島に手を差し出すライダー。

「とりあえずはタダオが無事に帰ることを手伝うよ。一緒に頑張ろうね」
「ああ、宜しくなライダー!」

お互いに硬い握手をかわすと、ライダーは黄金の槍を掲げ

「我が名はシャルルマーニュが十二勇士アストルフォ!我が名に賭けて主に勝利を献上すると宣言する!……なーんてね。気楽に行こうタダオ」
「うむ!では早速英気を養うために一緒に風呂にでも入るか!」
「男同士の裸の付き合いだね!了解だよ!」
「……え、…男?、嘘だろっ!!?」
「ホンとだよ」

クルリと後ろを向き近くにあった木に近づくと何所からか藁人形を取り出し―――


「神も仏もいないんじゃぁーーーーー!!!」

全力で釘を打ち続けたのだった。


105 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 10:02:15 6sxPSY8M0


【クラス:ライダー】
【真名:アストルフォ@Fate Apocrypha】
【パラメーター】
筋力D耐久C敏捷A魔力B幸運A+宝具C
【属性】
 混沌・善 
【性別】
???
【スリーサイズ:B71/W59/H73】
【クラススキル】

対魔力:A A以下の魔術はすべてキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではアストルフォに傷をつけられない。
宝具である「本」によってランクが大きく向上しており、通常はDランクである。

騎乗:A+ 騎乗の才能。獣であるならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。
ただし、竜種は該当しない。

【保有スキル】

理性蒸発:D 理性が蒸発しており、あらゆる秘密を堪えることができない。
味方側の真名や弱点をうっかり喋る、大切なものを忘れるなど
最早呪いの類。このスキルは「直感」も兼ねており、戦闘時は
自身にとって最適な展開をある程度感じ取ることが可能。

怪力:C- 筋力を1ランクアップさせることが可能。
ただし、このスキルが発動している場合は1ターンごとにダメージを負う。

単独行動:B マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能


【宝具】

恐慌呼起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)
 ランク:C
 種別:対軍宝具
 レンジ:1〜50
 最大捕捉:100人
竜の咆哮や神馬の嘶きにも似た魔音を発する角笛。
レンジ内に存在するものに、爆音の衝撃を叩きつける。
対象のHPがダメージ以下だった場合、塵になって四散する。
善の魔女・ロゲスティラがアストルフォに与え、ハルピュイアの大群を追い払うのに使用された。
通常時は腰に下げられるサイズだが、使用時はアストルフォを囲うほどの大きさになる。

触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)
 ランク:D
 種別:対人宝具
 レンジ:2〜4
 最大捕捉:1人
騎士アルガリアの馬上槍。金の穂先を持つ。
殺傷能力こそ低いものの、傷をつけただけで相手の足を霊体化、
または転倒させることが可能。
この転倒から復帰するためにはLUC判定が必要なため、失敗すれば
バットステータス「転倒」が残り続ける。ただし、1ターンごとにLUCの上方修正があるため、成功はしやすくなる。

魔術万能攻略書(ルナ・ブレイクマニュアル)
 ランク:C
 種別:対人(自身)宝具
 レンジ:-
 最大捕捉:1人
さる魔女から譲り受けた、全ての魔術を打ち破る手段が記載されている書物。
所有しているだけで、自動的にAランク以下の魔術をキャンセルすることが可能。
固有結界か、それに極めて近い大魔術となるとその限りではないが、その場合も真名を開放して、
書を読み解くことで打破する可能性をつかめる。
・・・が、アストルフォはその真名を完全に忘却している。
魔術万能攻略書も適当につけた名である。
また、ステータスの一部が落書きされて読み取れなくなっているのも、この宝具の効果らしい。
ステータス確認も一種の魔術のようなものであるため、少しだけなら干渉できるとのこと

この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)
 ランク:B+
 種別:対軍宝具
 レンジ:2〜50
 最大捕捉:100人
上半身がグリフォン、下半身が馬という本来「有り得ない」存在の幻獣。
神代の獣であるグリフォンよりランクは劣るものの、その突進による粉砕攻撃はAランクの物理攻撃に匹敵する。
かなりの速度で飛行することが可能らしく、ライダーによれば、「びゅーん」って感じ。
飛ぶだけなら魔力消費も大したことはないらしい。
「ある場面」において絶大な効果を発揮するらしく、能力の一部が伏せられている。


106 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 10:03:11 6sxPSY8M0

【weapon】
剣・チェインメイル・角笛
【人物背景】
フランク国王に仕える武勇に秀でた12人の配下『シャルルマーニュ十二勇士』の騎士(パラディン)の一人。
設定ではイングランド王の子にしてリナルドの従弟となっていたので、恐らくオットーに嫁いだ母親がシャルルマーニュの親族であると云われている。

この世に並ぶもの無き美形ながら、「理性が蒸発している」と例えられるほどのお調子者。
冒険好きのトラブルメーカーで、どこにでも顔を出し、トラブルに巻き込まれ時には巻き起こす。
悪事を働くという概念がなく好き放題暴れまわるが、最悪の事態には踏み込まないというお得な性格。

『狂えるオルランド』では、失恋で失われたオルランドの理性を取り戻すため、月にまで探索行に赴いている(月には地上で失われたすべてのものがある)。
ここで彼(彼女)はオルランドの理性と自分の理性を取り戻して帰還。
だが時間が経つと、彼(彼女)の理性はまた蒸発してしまった。
最後にはローランや他の大勢の騎士とともにロンスヴォー峠の戦いで戦死する。


【サーヴァントとしての願い】
特になし、しいて言えば受肉して現世を遊びまわりたい。
【基本戦術、方針、運用法】
基本行動はほぼマスターに一任する。ただし英雄としての誇りは忘れない。
能力値は幸運が突出するのみで比較的低水準であり、宝具に関しても特筆して強力と言う訳ではない。
自身も言うように「弱いサーヴァント」の部類に入り、一対一の戦いで勝利を掴むのは難しい。
かといって性格的には到底謀略に向いておらず、通常の聖杯戦争においては開始時点で詰んでいるレベルの厳しい戦いを強いられる。
しかしながらサポート役として見た場合、「命中すれば抵抗出来ない致命的な状態異常宝具」
「高速飛行乗騎と騎乗A+による高い移動力」「雑魚散らし用の対軍宝具」「対魔力Aと幸運A+で致命的状況に陥りにくい」
「理性蒸発により臆する事がない」と、チートと言っても良いレベルの高い能力を誇る。
他の英霊の補助として運用する事でその真価を発揮する、「聖杯大戦向けのサーヴァント」の一騎と言えるだろう。
【マスター】
横島忠夫@GS美神 極楽大作戦!!
【参加方法】
厄珍堂にあった月の石より聖杯にアクセス
【マスターとしての願い】
無事に元の場所に帰る


107 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 10:04:57 6sxPSY8M0
【weapon】
厄珍堂で買っていた破魔札や神通根など霊具一式
【能力・技能】
サイキック・ソーサー
横島が自身の能力(霊力の形状変化)を最初に発現した技。
小竜姫のバンダナによって引き出された力の一遍を六角形の盾状にした物で、掌に霊力を一点集中する防御主体型。
広げた掌大の大きさしかないが、その分霊力が圧縮されはじかれはしたものの破壊された事は無い。
非常に強靱な防御力を誇るが霊力のコントロールを一点に集めすぎた為、
肉体は霊的にもまったくの無防備となる(ただし、完全にそうなるのは当初の横島くらい)。
フリスビーのように投擲することで攻撃にも使用でき、使い手によっては投擲後の遠隔操作も可能。
威力はそこそこの破魔札クラス。GS試験では横島と雪之丞が使用し、ダブルKOとなった。二人の能力向上と変化に伴い使用されなくなる。

栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)
香港編で横島が身に付けた霊力で作る武器。
魔装術の様に右手に霊力を集中させる事で作られる霊波刀の一種。
初期発現時はパーツ状の装甲が手を覆っている形だったが、
最終的には手首全体を覆うグローブ状の籠手となった。
応用力が広く、マジックハンドの様に伸ばすなど様々な形状になるが、
刀剣状の形で使われる事が多かった。
当初は斬れ味の方は今ひとつで斬るというより殴るのに使われた
(横島自身のイメージにもよるが、本来の力を発揮するのは刺した時)。

サイキック猫だまし
美衣、ケイの猫又母子の事件で美神と対立した際に見せた「栄光の手」の応用技。
相撲の猫だましを霊力を込めて打つだけだが、霊的な閃光が発生し、霊的視覚を持つ存在には多大な効果を発揮する。

文珠(もんじゅ)
霊力をビー玉程度の大きさに凝縮したもので、漢字一文字の念を込めることで様々な効果を起こす事ができる
(例:対象を爆破する「爆」、攻撃から守る「防」等)。
ヒャクメによると「力の方向を完全にコントロールする能力」。
これを作り出せるのは後に神となった菅原道真を除いて人間は作中では横島のみ。
攻撃、防御、治癒、撹乱とその能力は多岐にわたる。
また、一度作り出した文珠は意識下にストック出来る他、念を込めて漢字が書かれた後でも、
その文殊を使用しなければ後から別の文字を上書きする事も可能、さらに横島本人以外にも使用できる。
使われなければ消滅せず残るので一種の霊具ともいえる。
複数の文珠を組み合わせることでより強力な効果を生み出すこともできるが、
そのコントロールには超人的霊力が必要となり、誰でもたやすく出来るものではない。
27歳の横島は修行により最高14文字をコントロールできるようになった。17歳の横島でも2文字までなら可能。
使い手以外の人間に可能かは不明。
「模」の一文字でアシュタロスの強大な能力や思考・記憶をコピーしたり、「蘇」で消滅しかけたグーラーを回復させたり、
霊力とはまったく関係ない能力(西条談)を発揮できる一方で制限や弱点も多い。
効果は術者のイマジネーションも関係するため、必ずしも本人の意図に沿うものではない。
たとえば、敵を倒すために「倒」と字を込めても文字通り「倒れる(転倒する)」だけに留まる、など
「具体的な効果」をイメージしないと無駄遣いになる他、対象の状態が不適当だと能力は発揮されない事もある
(崩壊した美神の魂を「復」「活」させようとしたが、崩壊が進みすぎていたため不可能であった、など)。
また持続時間と持続能力には限界がある(防御に使った場合には一定以上のダメージを受けると壊れる)。
一度作った文殊は横島の意識下にストック出来、必要に応じて呼び出せるが、一個作成するのに当初は一週間 - 数日の時間が掛かるため、
連続使用をするとストックがなくなる(ただし生成速度は横島の成長や精神状態にも左右される)。


108 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 10:05:22 6sxPSY8M0

【人物背景】
17歳の高校2年生。身長175cm。
1976年6月24日生まれ。血液型O型。
海外赴任中の両親と離れ、アパートで下宿中に偶然見かけた美神の色香に迷い、
超薄給かつ奴隷同然の待遇で、彼女の助手(アルバイト)を始める。
頭に巻いているバンダナがトレードマーク。
好きなものはハンバーグ、嫌いなものはタマネギとヤモリ
(美神にヤモリを食わされそうになってタマネギとヤモリは嫌いと泣き叫ぶのがお約束)。
女性の姿形をしていれば神も人外もなく欲情する煩悩のカタマリ。
見境無くアタックやセクハラを繰り返し、しばしば美神の着替えや入浴を覗いては半殺しの目に遭う。
一度激怒した美神に通報され、チカンで警察に逮捕されている。
女性が原因で散々な目に遭い続けるが全く懲りない。一方でロリコンは否定している。
また口では過激なことを要求する割に奥手で、相手がOKだと言うと急に腰がひける臆病者。
また、自分に向けられた純粋な好意に対しては超が付くほど鈍感。
劣等感の塊で、ひがみ根性が強く、ピートのようなイケメンや大樹、
西条のようにデキる男に対しては敵意を抱き、隙あらば容赦がない。
また女好きだが女性を蔑視した発言も多い上、おキヌやルシオラ(場合によっては美神も)
のように自分に恋愛感情を持つ女性に対してカッコつけたがる反面、思った事をすぐ口に出してしまうため肝心なところでどつきたおされる。
父母の血ゆえか商才に恵まれ、オカルトGメン参加のため不在だった美神に代わって所長代理となった際には、
食いはぐれていた仲間のGSたちに協力を呼びかけ大幅な黒字を計上している。
遊びに関しても天才的な才覚と情熱を持っており、小学生時代はミニ四駆の全国大会で3年連続優勝を飾るほどの伝説的な腕前を持ち、
「浪速のペガサス」の異名を持つ。呪われたクレーンゲームにおいても美神たちが囚われたときは一人で全員を救助した。
小竜姫の指摘でかなりの霊能力を持つことが示唆されていたが、魔族との戦いが本格化した劇中中盤以降で全GS中最高の潜在能力を開花させる。
身体能力・反射神経ともに異常に高く、至近距離から撃たれた銃弾を見切り、「ゴキブリ並みの生命力」といわれるほど打たれ強い
(普段から美神に折檻されているせいでもある)。
ただ横島にとって霊力以上の武器が「機転」であり、
絶体絶命のピンチを発想の転換で乗り切る場面は初期からみられる。
文珠習得後は咄嗟のアイデアを実現させる機会が広がり、アシュタロスさえも手玉にとった。
絶大な力を秘めているものの、その力を引き出せるかどうかは煩悩に左右される。
“人間的に成長したがため煩悩がなくなり逆に霊力が落ちる”といったあまり例のない事態にも遭遇する。
【方針】
聖杯が願いを叶えるという事に対してかなり懐疑的。よって自身とライダーの生存を第一に考えて行動する。
積極的に戦わずに基本は逃げの方針。
拠点に篭るのではなく機動力を活かし一撃離脱や情報収集を取る。
戦闘は出来る限り避け序盤は準備と情報収集にあてる。
敵に遭遇した場合は宝具を使って離脱。
ただし助けを求める声が聞こえたらなんだかんだで助けると思う。
でもやっぱり自分たちの安全を最優先にしたい。
可能であれば誰かと手を組みサポート役に回る。
(そもそも主従揃って一対一で戦うような能力ではない、サポート役に回ってこそ真価を発揮する)


109 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 10:07:13 6sxPSY8M0
投下完了です。よく見たらライダー三騎目でしたがとりあえず投下させてもらいました
駄目だったら申し訳ございません


110 : 名無しさん :2014/09/10(水) 16:53:06 XeXcB8zc0
質問です
召喚の条件とマスター側が召喚できた理由を明確に説明すれば、原作で使われていないEXクラスでも参戦はありですか?


111 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/10(水) 23:53:30 6sxPSY8M0
二回連続ですが投下します



私は化け物だ。
人を嫌い、人に恐れられて生きてきた。
そんな私を、ずっと見ていたいと言う変な奴と出会った。
私のためなら何だってすると言ったその男…ツキヒコは、家を造れという私の無茶な要求にも笑顔で応じた。
やがてツキヒコと夫婦になり、娘のシオンも産まれた。

ツキヒコによく似た白い髪に、私に似た赤い瞳。
この思いを何に喩えればいいのか……

本当に幸せなんだ。
自分にこんな感情が生まれるなんて想像もできなかった。

伴侶が愛しい
我が子が愛しい
家族で過ごすこの日々が何よりも愛しい

ずっといたいんだ
ずっとずっと家族で過ごしたいんだ
だけど、幸せな日々が終わってしまう


私は化け物で、あいつは人間だから
ずっと一緒にはいられないと解っているんだ
けれどあいつを、ツキヒコを失うことは耐えられない!


ずっと家族3人で暮らしていたい
ずっと家族で笑いあっていたい
そのためなら…私は――――







「なるほど、それが君の願いか」

男が声をかける。
旅装束のような格好で背に大剣を背負い、どこか面白そうに微笑んでいる。
唯の人間のくせに生意気な。
気に食わない笑みだが、この戦いを勝ち抜くには必要な存在だ。

「お前が私のサーヴァントか」
「その通り。イースレイ、アーチャーのクラスで現界した君のパートナーだ」
「パートナーだと?図に乗るなよ人間。お前は邪魔にならない様に引っ込んでいろ」
「……ほう?」

瞬間、凄まじいプレッシャーが私に牙をむく。
いっそ暴力的ともいえる威圧感に私は―――


112 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/11(木) 00:02:30 DIDqzyLQ0


「目を『合わせる』」

蛇の能力をぶつけることで答えた。
目を合わせた者を石に変えるメデューサの魔眼。
赤く輝いた私の眼に男は一瞬硬直し直ぐ様飛びのく。
一方の私も自身の変化に驚いていた。


(能力が弱まっている?違う、不調な感じはしない。
自力で石化をレジストしたのか…)


「驚いたな。対魔力込みでもこの有様とは…
大口を叩くだけはある」

見ると男の右腕の部分が石になっていた。
全力では無かったとはいえ本来なら暫くは石になっている筈なのに。

さらに驚くことに男は石化した腕を自分で砕くと、次の瞬間には砕かれた腕が再生していた。

「なっ!?」
「このとおりだ。君の能力は大した物だが、それだけではこの戦争は勝ち抜けない。
私の力が必要だと思うがどうかな?」
「……確かにそのようだな。それにしても、私と同じ化け物とはな」
「確かに俺たちは似ているが真逆でもある。
おれは人から化け物に。君は化け物から人間に為ろうとしている」
「ふんっ…『盗む』」

対象の記憶と考えを読み取る「目」を発動し、アーチャーの略歴を覗く。

「なるほどな……目を『かける』」
「っ!?これは……」
「こうすればお互いの事が理解できるだろう?
もっとも、あまり使って気持ちのいい物ではないがな」
「現存する幻想種?いや、ある種の意思を持った観測機見たいなものか?
つくづく規格外なマスターだな。純粋な神秘なら英霊よりもよっぽど各上だ。

だがお互いの事は理解できた。俺たちは仲間…いや、『共犯者』かな?」


先ほどとは違い賞賛を含めた笑みを浮かべるアーチャー、イースレイ。
どこか芸術品を思わせるその姿よりも、私はあいつの願いに内心驚いていた。

(あいつも家族と過ごしたかったのか…自分から別れておきながら……ばか者め)

けれども真っ当な純英霊を当てられるよりもかなりやり易いのは確かだ。
この男の願いにも共感できる部分も多く、能力も申し分ない。


「さっきの言葉を取り消そう。お互いの願いの為にもよろしく頼むぞイースレイ」
「こちらこそ、君の能力は当てにしているぞマスター」

化け物は手を取り合う。
失いたくない者達のため、もう一度手にしたい者達のために。
本物の/仮初の家族と生きるために―――――


113 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/11(木) 00:03:06 DIDqzyLQ0


【クラス:アーチャー】
【真名:イースレイ@クレイモア】
【パラメーター】
筋力B+ 耐久C+ 敏捷A+ 魔力A 幸運E 宝具B
【属性】 混沌・悪 
【クラススキル】

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。

対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。


【保有スキル】

覚醒者:A+
その身に妖魔の血肉を取り入れた半人半妖の戦士が、完全な妖魔と化してしまった者の総称。
単独行動:Bに加えて実体化に必要な魔力が他のサーヴァントより少なくて済む効果を持つ。
さらに妖魔の成り立ちから、対竜宝具の攻撃により受けるダメージが多少追加される。
以下のスキルは全てこのスキルに基づく。

気配遮断:D
サーヴァントの気配を絶つ。魔力とその漏洩を極限まで抑える能力。

再生能力:A
魔力を消費し、肉体を復元するスキル。有害な毒素を体外に弾くこともできる。
Aランクなら魔力が有る限り半身を砕かれようとも首を刎ねられない限り瞬時の再生が可能。

武器生成:C
両腕を槍、斧、盾、弓矢、鉤爪など様々な武具に変形させる事ができる。
また覚醒した場合威力、速度共に跳ね上がり任意でコントロールも可能。
ちなみに戦士時代の経験から大剣が一番扱いやすいらしい。

捕食:C
人間の肉体(特に臓物)を捕食する事によって通常の魂食いよりも多くの魔力を補給できる。
マスターやサーヴァント相手だと特に効果が高い。

気配探知:B
妖気の大きさで相手の強さや位置を測るスキル。
妖気の特徴は1人1人違いその質や大きさである程度どのような人物か知ることが可能。
同ランク以下の気配遮断能力を無効化できる。
範囲はおよそ山一つ分の距離でも測れるが、あまりに小さすぎる妖気は分かりにくい。
聖杯戦争時は魔力を計るスキルに変えられており、サーヴァントと魔術師の位置を探れるが、
魔術師ではない(一般人や神秘に触れた経験の無い)マスターは探知できない制限がある。
なお生前妖気を完全に絶ったヘレンたちを一目見た瞬間に戦士だと気づいたのはこのスキル
による物なのか単純な観察力なのかは不明。

【宝具】
白銀の王(イースレイ)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大補足:―
自身の肉体を覚醒体へと変化させる。
幸運以外のステータスを1ランクアップさせるが単独行動、気配遮断のスキルは失われる。

覚醒体はギリシア神話のケンタウロスを彷彿させる半人半馬の姿。目測でおよそ15mから30m程と思われる。
両腕を槍、斧、盾、弓矢、鉤爪など様々な武具に変形させる事ができ、
大剣や矢等の武器を生成することも可能。矢は任意でコントロールも可能になる。
また、かなりの巨躯であるにも拘らず、スピード特化のリガルドを上回る素早さを有する。
ただし魔力の消費が激しいと覚醒体を維持できなくなる。

覚醒体ステータス
筋力A+ 耐久B+ 敏捷A++ 魔力A+ 幸運E


114 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/11(木) 00:03:52 DIDqzyLQ0

【weapon】
無銘の剣…戦士時代に使っていたクレイモアとは違う普通の剣。マスターでも使うことができる。
【人物背景】
かつての男時代のクレイモアNo.1で「白銀の王」の二つ名を持っていた最初の「深淵の者」。
極寒の北の地アルフォンスを支配していることから「北のイースレイ」と呼ばれていた。
プリシラと行動を共にし、プリシラに懐かれたラキを引き取り剣術を教えている。
当初はプリシラを利用するための打算だったが、長年過ごすうちに本気で二人を家族と考えるようになり、
深淵食いに襲われてからは実質的に自分がおとりになって二人を逃がしている。人間の姿では長髪の美形の青年。

元々は北の地で好き放題に暴れていたプリシラの元へ向かうが、その時の一戦でプリシラには勝てないことを悟りプリシラの軍門に降る。
プリシラの軍門に降った時期から行動が活発になり、手駒の覚醒者を使って南下を開始する。
プリシラが倒される僅かな可能性を絶つべく南下しルシエラと激突、地形が変わるほどの激戦の末、敗走に追いやる。
ルシエラとの戦いで組織が彼の肉片を手に入れた為、以降深淵喰いに付きまとわれることとなる。
その頃からラキにプリシラを託し、南の地で単独行動をしていた。
深淵喰いとの対決を避ける為、人間体で町に潜んでいた時に現れたヘレン達と戦闘になり深淵喰いに居場所を気付かれてしまう。
その後深淵喰いと闘い、11体中5体を倒すが奮戦虚しく体の各所を少しずつ削り取られる形で倒された。
最後はラキとプリシラとの過ごした旅の日々を噛み締め、偽りとはいえ家族で過ごせて幸せだったこと。
死にたくないと思いながら生を終えた。

【サーヴァントとしての願い】
生き返ってラキとプリシラと家族になり過ごすこと。
【基本戦術、方針、運用法】
基本は陣地に篭もり情報収集に専念し作戦を立てる。
序盤はあまり目立たず他の参加者の脱落を待つ。
戦闘以外ではあまり役に立たない能力なのは自覚しているので
マスターの能力に期待している。
戦闘は剣による接近戦、矢による遠距離など遠近供に死角が少ないが、
押し付け宝具が無いため相性が悪いと感じたら即離脱。
また一撃必殺の宝具は首を落とすか頭部を破壊されない限りは恐らく耐えられる。
弱点は一定ランク以下の攻撃を無効化する宝具を使う相手には何もできなくなること。
その場合はマスターを狙うか離脱しよう。
勝率の低い戦いはせず確実に勝てる相手と戦う。
また必要と感じれば他者と手を組むこともやむおえないと考えている。
(ただしマスターは嫌がっている)
マスターの魔力量は規格外(世界を創れるほど)なので宝具の出し惜しみはしない。


【マスター】
アザミ@カゲロウプロジェクト
【参加方法】
旅をしている時に手に入れた月の石から参加。
【マスターとしての願い】
家族3人で永遠に過ごす。
【weapon】
無し
【能力・技能】
アザミによって生み出された蛇に宿る「目にまつわる力」
発動すると目が赤く光る。
アザミが作り出した能力は全部で10種類存在する。
なお、メデューサが生来から持つ「目を合わせる能力」はその中にカウントされていない。
対魔力C以上で防御可能。


115 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/11(木) 00:04:18 DIDqzyLQ0


【人物背景】
メデューサの女性であり、髪の毛の蛇1匹1匹が「目にまつわる能力」を持っている。
外見は少女のように幼くて非常に小柄。完全な不老不死のため肉体が成長することもない。
長い黒髪に紛れて黒い蛇が混じり、顔には両頬の付近に蛇の鱗らしきものがある。

元々からメデューサという存在だったわけではなく、
人類が誕生する遥か以前、地球上に生命そのものが誕生した太古の時代から既に存在し、
生物の進化と衰退、誕生と絶滅を幾度も見つめひたすらに観察し続ける意識のみの存在だった。

しかしある時、ふと自分が何者なのかという疑問を持ち、そこで初めて実体を得ることになる。

その後も自分の正体を探る為に積極的に人間に干渉していくが、
出会う人間からは恐れられて迫害され、成果も得られなかった。
最終的に人間に失望し、自分自身の答えを見つける事は不可能と結論付け、
今後一切人間に関わらず誰にも邪魔されず一人で暮らすことを決める。

世界で最も人目に付かない場所を探り当て、そこを自分の居場所にしようと決めたが、
向かい最中を偶然目撃した人間の青年・ツキヒコが着いてきてしまう。

追い払うために材料も機材もない素人のツキヒコに「此処に家一軒を一から造れ」と
無理難題を言うが、彼女に一目惚れをしていたツキヒコも一歩も引かずに快諾し、
逃げ出さないよう監視も含めて二人の同棲に近い生活が始まった。

当初は自分に尽くすツキヒコの事を理解出来ずにいたが、無意識ながらも少しずつ気にかけていく。
その後ツキヒコが村で迫害を受けている事実を知り、
出会った当初の「家が完成したら消えろ」という約束も忘れ、
村に戻らずにずっと此処にいろと言ってしまう。
しかし、ツキヒコが約束は決して破らないと考えていた為に、
自分でも自覚した彼への想いを隠し、再び一人になる孤独を決め撤回した。が・・・・・

結果的に、家が完成するまでの関係という約束は双方で破り、晴れて夫婦として結ばれた。

家族との幸せな生活の中、ある日から不死である自分と寿命のあるツキヒコとのいずれ必ず来る別れを考えるようになる。
掛け替えのない大切なものを得たが故に、それを失う恐怖をどれだけ頭で納得しようとしても出来ず、
不安に泣き疲れていたその時、『夢』の中に現れた「目が冴える」蛇に「終わらないセカイを作れば良い」と助言を受ける。
幸せな日々を手放したくない一心でその言葉に従い、全ての蛇の力を使いカゲロウデイズを創造した。

そこで永遠に家族と暮らそうとしたが、その直前に村人たちの襲撃を受けてしまう。
この事で自分の存在自体が家族を不幸にすると考えるようになってしまい、
カゲロウデイズには自分だけが入り、永遠に独りで生きる道を選んだ。

このアザミは「目が冴える」蛇に会う前にムーンセルにアクセスしたためカゲロウデイズは創っておらず
「目が冴える」蛇の存在を知らない。

【方針】
戦いに関してはアーチャーに一任する。
不死身の肉体ではあるが、体力が無いので拠点から移動しない所詮引きこもりマスターの方針で行く。
(物理なら子供に負けるほど弱い。旅に耐えられたのも不死身の肉体と気合
と根性によるものという情けない事情がある。成長しないので鍛えても意味が無い)
サーヴァント相手には能力が通じにくいので可能ならマスター狙い。
自身の能力をフルに利用し、自身は情報収集、暗殺の方向で戦う。
殺人には躊躇しない。また他者と馴れ合うこともしない。


116 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/11(木) 00:04:44 DIDqzyLQ0
投下終了です。


117 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/11(木) 01:40:02 EKexRlxw0
皆様、投下ありがとうございます。

>>110
可能とします。


118 : 名無しさん :2014/09/11(木) 18:10:46 fW/7T0qo0
セイバー1
アーチャー2
ランサー1
ライダー3
アサシン3
キャスター0
バーサーカー2
エクストラ0

アサシンはこっちでも人気だね


119 : 名無しさん :2014/09/11(木) 19:01:15 etRVGMA20
エクストラ無しはともかくキャスター無しはまずいか?


120 : ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:32:41 1CoER1Wg0
投下します


121 : あの青春(イマ)を取り戻せ ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:33:48 1CoER1Wg0

 炎を、覚えている。
 閃光を、覚えている。
 叫ぶ声を、覚えている。
 漸く抜けだした虚構の一学期の先。
 僕は――何一つ叶えられず、『運命』に敗北した。



 
 「――――ッ!」
 
 ベッドから、跳ね起きる。
 悪夢に魘された後特有の、まるで長距離走でも走ったような息切れと動悸が身体を苛んでいた。
 シャツは汗でぐっしょりと濡れ、肌に張り付いて毛穴が震えるような冷たさを訴えている。
 暫くそうした後に、取り敢えず着替えだけでも済ませようと思い立ち、上体を散らかった寝台より起こす。
 思わず欠伸が出た。窓から差し込む日光が心地よく、胃袋は朝食を求めて情けなく鳴いている。
 ぼうっと袖から腕を抜き、白い布地を身体から引き剥がす。
 そこで――僕、直枝理樹はやっと、自分が〝何をしたのか〟を思い出すのだった。

 男にしては細くて色の白い右手。
 その手の甲に、刺青のような刻印が刻まれている。
 一画、二画、――三画。ともすれば倒錯的な程赤々と煌めくそれは、僕にとって文字通り最後の望みに違いなかった。
 
 「ああ……」

 漏れる声は後悔ではない。
 恐怖などとは断じて違い、しかし願いに向けて猛進する意気込みを秘めてもいない。
 称すなら、空虚とでも形容するのが一番正しいだろうか。
 別段何か深い感慨を抱くわけでもなく、ただ何処か客観的な目線から、火の灯された導火線を見つめている気分。
 実感が沸かない。
 昨夜、月の綺麗な真夜中に……自分は、地獄の釜の蓋を開け放ってしまったというのに。
 想起する、想起する。
 ――僕にとっての始まりは、酷く早急だった。



 学園生活があった。
 勉強道具を鞄に詰めて登校し、何となくで授業を受けてクラスメイトと談笑して、それから惰性で帰途に着く。
 そんな当たり前をほんの一日行っただけで、違和感を抱いた。
 既知感(デジャヴ)の反対、未知感(ジャメヴ)。
 おかしい。
 おかしいおかしいおかしい、僕はこんなものは知らない。
 こんな、普通の学生みたいな毎日を、僕は知らないはずだ。
 僕の周りには、毎日を惰性で過ごしているような人間は一人もいなかった。
 誰もが馬鹿馬鹿しく必死に生きていて、その心に悩みを抱えていて、そんな人達が集まって――
 僕は、そんな日々を……長い人生の中では刹那程でしかない高校生活を、愛したのではなかったか?


122 : あの青春(イマ)を取り戻せ ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:34:11 1CoER1Wg0

 瞬間、記憶にかけられたフィルタが決壊した。
 雪崩れ込むのはあの虚構世界での記憶。
 仲間との思い出、そして別れ。
 自身の無謀が招いた破滅という結末――――、
 
 その果てに、この手が掴み取った一個の石槫。

 
 聖杯戦争。
 魔術師達による血塗られた戦いの参加者に、僕は選ばれた。
 そして僕自身も、願いを叶える権利へ手を伸ばすことの出来るその切符を拒みはしなかった。
 叶えたい願いが――取り戻したい刹那があるから。
 
 勝ち抜こう。
 この戦争を、全身全霊を懸けて踏破しよう。
 『あの子』を一人にしない為にも、僕らには『彼ら』が必要なんだ。
 
 そこからは、あっという間だった。
 無我夢中と言い換えてもいい。
 気が付けば草木も眠る丑三つ時、僕は月の石を手に、自分のアパートの居間で佇んでいた。
 聖杯戦争を勝ち抜く為には、己の武器となる英霊(サーヴァント)を召喚しなくては話にならない。
 曰く、サーヴァントは英雄豪傑揃いと聞く。
 人間の力で倒すなど到底不可能な力へ対抗するには、此方も同じだけの力をもって応戦するより他にあるまい。

 手を、握る。
 暗闇の中石を握り締め、祈る、祈る。
 脳裏に過るは友の顔。
 もういない、彼の顔。
 泣き腫らした、彼女の顔。
 
 僕らは、リトルバスターズだ。
 
 遠い過去、直枝理樹にとっての『はじまり』の記憶が網膜の裏に再生された時――


 「グーテン・アーベント(こんばんは)」

 
 目の前には、赤い魔女が居た。
 背丈こそ小さいものの、その総身からは余すところなく色気が迸る。


123 : あの青春(イマ)を取り戻せ ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:34:44 1CoER1Wg0
 纏っているのは――軍服だろうか? 腕章の徴には見覚えがあった。これは確か、ドイツ第三帝国の……

 
 「貴方が、わたしのマスター……でいいのよね?」
 

 口元に指を一本当てて、いたずらっぽく微笑む魔女。
 その姿を前に、僕は召喚の疲労からかぐらりと目眩に襲われ――

 「そう、だ」

 どうにか、返事だけは紡ぎだし。

 「そ。可愛い坊やに召喚されちゃったわね♪」

 そんな緊張感のない声を聞きながら、意識を暗転させてしまった。



 「あら、起きた? いきなり倒れちゃったもんだから、わたしがベッドまで運んであげたのよ?」
 「そっか……ごめん、ありがとう。キャスター」

 回想を終えた僕の前には、件の魔女――キャスターのサーヴァントが居る。
 マスターとしての能力でそのステータスを見るが、実に魔術師らしいステータスだと感じた。
 筋力や敏捷などの位こそ低いが、魔力だけはずば抜けている。
 奇策や絡め手に訴えてこそ真価を発揮する……成程、これは一筋縄ではいかなそうだ。

 「キャスターなんて仰々しく呼ばなくてもいいわよ。
  人前じゃなければ、そうね……ルサルカ、はまんますぎるから……マレウスとでも呼んで。
  わたしの仲間達は、みんなわたしをこう呼んでいたから」

 ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム。
 彼女は自身のことをそう名乗った。
 厳密には些か異なるらしいけれど、本人曰く気にするほどの事じゃないとのこと。
 なんだか触れて欲しくないようなニュアンスだったので、僕はそれ以上踏み込むのをやめた。
 
 「分かった。改めてよろしく、マレウス」
 「此方こそ宜しく、理樹くん。――あ、そうそう。昨日は結局聞きそびれちゃったんだけどさ」

 髪の毛をくるくると弄びながら、マレウスは僕へ一つの問いを投げた。

 「理樹くんは結局、何の為に戦うの?」


124 : あの青春(イマ)を取り戻せ ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:35:09 1CoER1Wg0
 「――――僕は」

 何の為に戦うのか。
 そんなことは、決まっている。
 何の為に殺すのか。
 そんなこと、とっくのとうに決まっている。
 でも、これはきっと最後の一線だったのだろう。
 この質問に対して、この答えを返してしまえば、その時は本当に戻れなくなってしまう。
 ――嗚呼、何を今更、僕は女々しい迷いを抱いているんだ。
 自分に嫌悪すら覚えつつ、――そんな自分と決別する意味合いも含めて。
 直枝理樹は、水底の魔女へと真っ向から己の真を吐露した。

 「僕は、取り戻したい」

 ある筈だった青春(イマ)を。
 約束されていた明日(ミライ)を。
 
 「僕は大切なものを、理不尽な運命に奪い取られた。根こそぎ、何もかも――でも、なくなったものは仕方ない、なくしてしまったものは還らない……そんな言葉じゃ、絶対納得なんか出来っこない」
 「……そう」

 マレウスはそれを聞くと、その顔から表情を消した。
 ――地雷。そんな単語が脳裏を過る。
 恐る恐る顔色を窺っている僕を見て、マレウスはくすっと笑う。
 
 「貴方、面白い人ね――」

 何が、彼女の感情を動かしたのか。
 それが『刹那』という単語であると、僕は遂に知らないまま。
 寝台の上へ僕を押し倒す、赤い少女の姿をただぼうっと見つめていた。
 思えばこの時、僕は彼女に催眠術か何かをかけられていたのかもしれない。

 「――――聖槍十三騎士団第八位、ルサルカ・シュヴェーゲリン=マレウス・マレフィカルム。短い間だけど、貴方の為に戦ってあげる。だからその前に……ちょっとだけ、遊んであげる」

 口許を、彼女の唇で塞がれた。
 悪戯に微笑む顔は扇情的で、視線を逸らさせない魔力がある。
 甘い唾液を流し込まれ、されるがままに口内を征服される。
 ぷはっ――互いの口の間に唾液の橋をかけ、それを口端から妖しく糸引かせながら僕のサーヴァントは微笑んだ。


125 : あの青春(イマ)を取り戻せ ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:35:40 1CoER1Wg0
 「ジークハイル・ヴィクトーリア(我に勝利を与え給え)」

 その秘裂は、迷うこと無く僕の■■に宛てがわれ――
 意識が快楽に満たされる刹那、脳裏に浮かんだのは……

 (ごめんね……鈴)

 大好きだったはずの、茶髪の幼なじみの泣き顔だった。


【クラス】
キャスター
【真名】
ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム
【出典】
Dies irae-Amantes amentes-
【パラメーター】
筋力D 耐久C 敏捷D 魔力A+ 幸運D 宝具B
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
陣地作成:A
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
 “工房”を上回る“神殿”を形成することが可能。
道具作成:A
 魔力を帯びた器具を作成できる。魔術を行使出来る魔術書(グリモア)さえ作り上げられる。
【保有スキル】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
地星:A
 「誰にも追いつけない」という呪い。
 それはかつて淡い恋心を抱いた男に対してもそうであったし、彼女の人生の所々で介入をするジンクスである。
魔術:B
 その昔、『影』より授かった魔術。
 一流魔術師の扱う魔術程度ならばほぼ再現できる天賦の才。
 作中で確認されたものは以下の通り。


126 : あの青春(イマ)を取り戻せ ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:36:14 1CoER1Wg0
Noli me tangere(ノリ・メ・テンゲレ)
誓約を誓わせ、それらを守らせる呪い。

Pied Piper(パイド・バイパー)
人を任意の場所へ行きたくなるように暗示し、無性にその場所へ行きたくて仕方ない精神状態に変える。
対魔力のスキルでも持たない限り、常人が正気を取り戻すことは不可能とされる。

食人影(ナハツェーラー)
影の怪物。己の影に他者の魂を込めることで影を怪物と化しそれを操作する魔術。
影が生まれない完全な暗闇の中では使用できない欠点がある。

【宝具】
『血の伯爵夫人(エリザベート・バートリー)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:5〜20 最大捕捉:1〜15
ハンガリーはチェイテ城に居を構えていた、悪名高き血の伯爵夫人『エリザベート・バートリー』が、獄中で書き記したとされる拷問日記。生前のバートリーが為した数々の凄惨たる非道が書き連ねられているこの日記の能力は「日記に記された数々の『拷問器具』を何らかの形で現界させ利用する」 というもの。
聖遺物の性質上サディストや自壊的な人間と相性がよく、前者とは良く同調し後者には一方的なラブコールを送る。
ルサルカ・シュヴェーゲリンが扱う場合、発現形態は事象展開型となる。
形成位階においては、日記に記された『拷問器具』の数々を自在に召喚・使役する、という能力を持つ。
この能力によって呼び出された拷問具は聖遺物の一部としてカウントされるため、拷問具へのダメージは術者であるルサルカに直接フィードバックされる。が、あくまで一部分なので帰ってくるダメージ自体は大それたものではなく、例え拷問具が完全に破壊されたとしてもルサルカが致命的なダメージを受けることはない。
また、このダメージフィードバックはルサルカが創造位階(後述)に到達した時点で完全に解消される。

『拷問城の食人影(チェイテ・ハンガリア・ナハツェーラー)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1〜10 最大捕捉:1〜30
ルサルカ・シュヴェーゲリンの創造位階。
「他人の足を引っ張りたい」という渇望をもとに顕現した能力は「自分の影に触れた者の動きを止める」こと。
発動中のルサルカの影に触れた人間はその間一切の身動きが取れなくなる。この宝具自体の効果はそれだけであり、いわば蜘蛛の巣とでもいうべきもの。地味にみえるが、本人曰く、シンプルゆえに応用が容易とのこと。
しかし影を使ったものであるため、完全な暗闇など、影ができない環境下では効果を発揮しなくなってしまう。


【weapon】
宝具により生成した拷問具など。
 
【人物背景】
聖槍十三騎士団黒円卓第八位、ルサルカ・シュヴェーゲリン=マレウス・マレフィカルム。見た目はかわいらしい少女だが、実際は副首領のメルクリウスを除いた団員で最年長であり、騎士団所属前から魔道に踏み込んでいた本物の魔女。気まぐれで自分の快楽のために他者を弄ぶことが大好きというサディスト。騎士団内は「マレウス」で通っているが、シュライバーだけは「アンナ」と呼ぶ。魔術により延命措置を施し数百年という長い時を生きているにも関わらず、自らよりも遥かな高みにいるメルクリウスの存在に激しく劣等感を抱くなど俗物的な面が抜けず、彼からは「誰にも追いつけない」という呪いの言葉を受けていることもあり激しく憎悪している。
だが、自らに自壊衝動の兆候が出てきているために完全な不老不死を求めて騎士団に参加している。
本名はアンナ・マリーア・シュヴェーゲリン。元はとある普通の村に生まれた普通の娘であり、普通に暮らし普通に結婚もしていた。だが、着飾るのが大好きで村娘としては似つかわしくないほどの妖艶な美貌を持っていたがために村の女たちから嫉妬を受け魔女であると密告されてしまう。魔女ではないと訴えるも認められず夫からも見放され絶望する中、獄中で告解師を名乗る謎の「影」によって影を操る魔術を授けられ脱獄、その後はその「影」の姿を追いかけて真正の魔女として魔道に生きるようになった。その人生はラインハルトにすら「幸が薄い」と言われ、天に輝くことのない地星と称される。
第2次世界大戦末期では、ドイツで遺産管理局アーネンエルベに所属していた。その際に同僚であったロートスに本人も自覚しないまま淡い想いを寄せていたが、その後彼は戦死してしまう。
彼の語った「刹那を愛する」という言葉を追いかけ、自らが彼の愛する永遠の刹那になりたいという気持ちが彼女が不老不死を求める原動力の1つになっているが、その事には自分でも気づいていない。


127 : あの青春(イマ)を取り戻せ ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:36:30 1CoER1Wg0
【サーヴァントとしての願い】
完全なる不老不死を手に入れる。
【方針】
暗躍、謀殺。真っ向勝負は柄ではない。

【基本戦術、運用法】
なるだけ力比べのような勝負を避け、影に忍びつつ漁夫の利を狙うこと。
魔術の才覚は卓越している為、同盟者を見つけて只管盤石の体勢を作り上げるのも一つの手か。


【マスター】
直枝理樹
【出典】
リトルバスターズ!
【参加方法】
バス事故で爆発に巻き込まれる瞬間、月の石を偶然手にする
【マスターとしての願い】
事故が起こり、リトルバスターズが崩壊する運命の破壊。
【weapon】
なし
【能力・技能】
運動能力などは平均。ただし磨けば光る。
長年リトルバスターズの仲間達と様々な遊びを行ってきたため、相手の予想もつかないようなトラップや戦略を工面することも場合によってはありえると思われる。
【人物背景】
幼いときに両親を亡くし塞ぎ込んでいたところを、棗恭介少年率いるリトルバスターズに手を差し伸べられメンバーに加わった。それ以来恭介に強い憧れを抱いている。
ナルコレプシーという持病を患っており、日中でも突然意識を失うように倒れて昏睡してしまうことがある。この病気がハンデとなり悩まされている。何故か女の子からモテモテ…なのだが、加えて何よりも男どもからもモテモテ。全方位から頼られすぎの愛され主人公。
本来、彼らリトルバスターズは修学旅行の道中にバス事故に遭って崖下へ転落する。
作中様々なルートなどを制覇していくが、それはあくまで棗恭介の作り出した虚構の世界であり、彼の本来の目的は『自分達なしでも自立して、鈴を守れる男にすること』であった。
ナルコレプシーに関しては、キャスターの魔術を用いて調整可能と思われる。

【方針】
キャスターと共に聖杯戦争を勝ち抜く。


128 : ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/12(金) 21:36:47 1CoER1Wg0
投下終了です。


129 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:30:56 2evluJXI0
>>117
ありがとうございます

それでは、タバサ(主人公の娘)@ドラゴンクエストⅤ&エクストラクラス・ビースト
投下します


130 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:32:50 2evluJXI0
バルコニーから夜空を見上げ、二人で語らう。
生まれたときから続き、永遠のように感じた悲劇の終わりを。

「お父さん、驚くかな?」

「驚くさ。だって、この歳でようやく『はじめまして』なんだから」

明日、私たちはついに『父』に会う。
とても強い人だと聞く。とても素敵な人だと聞く。
しかし、私も、兄も、その人のことは知らない。
人づてに聞いた話ばかりで、声も、姿も、何も知らない。

二人の間に、沈黙が流れる。
いつもはたわいのない話で笑いあうばかりの私たちも、さすがに今日ばかりは、すこし繊細な心持になっていた。
もし、父が私たちの思うような父じゃなかったらどうしよう。
彼を知るものは口をそろえてそれを否定したが、それでも、やっぱり少し怖い。

気まずい沈黙を破ったのは、兄の一言。

「そうだ、タバサ」

「なに?」

「ピピンからもらった『雲の果ての石』。不思議な石で、願いをかなえる力があるんだってさ。
 これ、タバサにやるよ。お守り。サンチョには内緒だからな」

ぽいと投げて渡し、そのまままた夜空に視線を戻す。
ぶっきらぼうだが、私にはそれで十分伝わった。
ああ、兄は私を心配しているんだ。
私が明日を怖がっているだろうと思って。自分だって怖くて仕方ないだろうに。
そんな兄の強がりに、自然と笑みがこぼれる。

「ありがとう、お兄ちゃん」

どた、どた、どた。
特徴的な足音。
大きなお腹を揺らしながら父の使用人が駆け寄ってくる。

「おや、やっぱりここでしたか。さあさあお二人とも、もう寝る時間です。明日は早いですよ」

「はぁい」「はい」

使用人の優しい微笑み。二人だけの密会を見つかった、照れくさそうな兄の笑み。
絶対内緒だぞ、と兄がはにかみ使用人に連れられて部屋を後にする。


そうして、兄と使用人が部屋を出た後で。
私は一人、もう一度空を見上げた。

(どうか)

兄からもらった『雲の果ての石』を握り締め

(ああ、どうか)

煌々と輝く雲の上、そこに隠れた『月』を見上げ、願いを綴る。

(どうか、お父様とお母様が、無事に帰ってきてくれますように)
(そしてどうか、私と、お兄ちゃんと、サンチョと、ピピンと、モンスターのみんなと、仲良く、いつまでも仲良く、暮らせますように)

その願いは果たして、聞き届けられることになる
月の願望器、『ムーンセル』に




―――そして、少女の永らく待っていた『明日』は、またしても彼女の手元から離れることになった


131 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:33:42 2evluJXI0
*  *  *


大事な人が居た。
居たはずだ。
私を構成するパズルのピースがすっぽりと抜け落ちたような。
あるいは私の奥に存在する何かを靄が隠しているような。
時々そんな感覚に苛まれる。

ただの小学生である私にそんなことがあるはずがないのに。
わかってはいるが、納得ができない。
何かがあるはずだ。
どこかに落としてきたはずの何かが。

右手がちりちりと痛む。
これもだ。
思い出そうとすると必ず右手が痛む。
まるで忘れないように、自分の中に印を打つように。
なんとも都合のいい話だ。
どれだけ考えても思い出せないのに、忘れるなと体が言うなんて。

きっと■■■■■が聞いたら笑うだろう。

なぜか、自分と同じ青髪の少年の顔が思い浮かぶ。
とても懐かしい顔。でも、誰かはわからない。
見覚えがあるとすれば、今朝の鏡の中。その少年は、自分によく似ていた。

もしも、自分に兄か弟が居たら、そんな感じになるだろう。

「兄、弟……?」

違うはずだ。
■■■■■は、兄でも、弟でもない。
じゃあ、何? ■■■■■とは、一体……
そんな彼女の思考は、突如現れた『闇』によってさえぎられる。


「まだ覚醒していないのか」


ふらりと目の前に現れた『闇』。
『闇』としか形容できないその姿。
どこまでも深い闇のような瞳。
黒く塗りつぶされたような体。
そして唯一煌く光は、闇を作り上げる白刃。


「都合がいい」


黒尽くめの男が白刃を私に向ける。
よく見知ったものだ。
命を刈り取るための武器。


「お前はここで死ね」


132 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:35:19 2evluJXI0
*  *  *


なぜ追われている?
―――わからない。

なぜ命を狙われている?
―――わからない。

必死に避け、すかし、逃げる。
ただ、死なないために、息が上がり、わき腹が痛み、それでもなお走り続ける。
しかしそれも長くは続かない。
目がくらみ、息も絶え絶え、視界はだんだん黒く染まり。
ついには足をもつれさせ、前っとびに転んでしまう。

「てこずらせてくれるな」

なんとか体勢を建て直し振り返れば、そこには息ひとつ乱さずにこちらを見下ろす『影』

「安心しろ、殺すのは得意だ。一瞬で終わらせてやる」

『殺すのが得意』。
その一言から彼が『アサシンのクラス』だと想像できる。

だが。
アサシンとはなんだ。
なぜ私はこいつがアサシンだと知っている。
頭の奥と、右腕が疼く。
この窮地を切り抜けるため、生きるための力を取り戻そうとするように。
抜け落ちてしまったパズルのピース。
それを急速に完成までくみ上げていくように。
頭にこびりついている靄。
その靄の奥にある真実を取り出さんとするように。
記憶の奥底に沈んでいる、喉まで上がってきている名前を探す。


(助けて、■■■■■)


―――違う、その名じゃない


(助けて、■■■さん、■■■さん)


―――違う、その名じゃない


(■ンチ■、ピ■ン)

(ピエ■■、ス■ス、■■ラン、ドラ■ち、皆、皆、皆!)


この地には、彼らは居ない。
私の友は居ない。

―――だが、私の友となる運命にある者は居る

この地には、彼らは居ない。
私を守る者は居ない。

―――だが、私と共に戦う宿命にある者は居る


―――誰を呼ぶ。
―――誰を呼ぶ。

心に任せて音声を上げる。

―――声を上げ、呼べ。
―――彼の名を、呼べ。

私が呼ぶべきその名は―――


133 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:37:00 2evluJXI0












        「助けて……助けて、ビーストぉぉぉ―――――!!!!」












力強く呼ぶ名は、大地を揺るがし、空を駆け、彼をこの地へ誘う。
私だけの仲間、私の『英霊』を。

右手の甲が強く光を放ち、辺りに示す。
私の居る場所を。
『彼』の向かうべき場所を。


激しい光に導かれ。
空を裂き、何かが落ちてくる。
地を割り、何かが立ち上がる。


舞い上がる砂埃越しに、やっと確認できたのは。
私と襲撃者の間に立ちはだかる、大きな壁。
逞しくて、頼もしい、『誰か』の背中。















                   「    お   ま   た   せ    」


134 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:39:05 2evluJXI0
いきなり間に割って入ってきた男。
中肉中背より少し筋肉質で。
ボクサータイプのブリーフのみを身に付け、あとは余すところなく浅黒い肌を晒している。

彼の背が揺れ――――消える。
逃げる私よりも速く。
追うアサシンよりももっと『疾』く。
アサシンへと肉薄して左手で彼の頭を掴み、持ち上げる。

「貴様ァ……一体……」


右腕を振りかぶり、吐き捨てるように叩きつけるのは、返答とも独り言ともつかない短い言葉。


「出ぇ、出……出ますよ……!」


滾る力を拳に込めて繰り出すのは。


―――鍛え上げられた技もなく。
―――積み上げられた理屈もなく。
―――研ぎ澄まされた効率もない。


原初より変わらぬ『暴力』、その具現。


「ンンンンアァァァァァァアァァアアアアアアッ―――――――――!!!!」


咆哮。同時にアサシンの顔に右の拳がめり込む。
風を、音を、光すらも置き去りにせんばかりの速さで振りぬかれる拳。
吹き飛ぶアサシン。魔力と暴力の余波でヒビが走る道・壁・そして『空間』。

渾身による一撃、愚直なまでのその一撃。
この時、彼女は自身が口走った彼の名前の意味を理解した。



彼は人だ。
だが人ではない。
その本質は『野獣』。
人と歩み。
人に抗い。
時に人に寄り添い。
時に人を脅かす。
旧き時代より『人』の相棒であり、それゆえに決して英霊にはなれぬはずの『隣人』。
全ての敵をその本能に従い屠り続ける、人の身に、人の心に、抗いがたき『獣の宿命』を宿した者。

                  エクストラ
彼こそが、聖杯戦争における『異端』にして、グランパニア皇女タバサの血に応えこの地に顕現した―――

「あなたが……私の、サーヴァント?」

「んにゃぴ」
                                                                  ビースト
                                                             ―――『野獣』の英霊。


135 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:40:46 2evluJXI0
*  *  *

「面倒なことに巻き込まれちゃったね、ビースト」

「やめたくなりますよー……復活ぅー……」

聖杯戦争。
人と人が争う戦い。
得られるものは、『願い』。
タバサが呼び出されたのもまた、『願い』が聖杯を引き寄せたから。

「やんなっちゃうね。こんなところに呼び出さなくても、きっと、明日には願いがかなってたのに」

「†悔い改めて†」

自身がNPCとして過ごしていた部屋。
窓際に沿うように置いてあるベッドにランドセルを放り投げ、愚痴を垂れながら服を脱ぐ。

全ての記憶を取り戻し、タバサが真っ先に思ったことはひとつ。
怖がっていた自分が馬鹿みたい、だ。
もしこうなるとわかっていたら、決して怖がらず、石などに頼らず、立派に父に向かい合っただろう。

ぽいぽいとデニムのスカートとピンクのキャミソールと可愛らしい靴下を放り投げ、箪笥にしまってあった『それ』を取り出して着替える。

「そういえばさ、ビースト。あなた、真名はなんていうの?」

「学生です」

「ガクセイ? それが真名?」

「カンノミホ……(判別不能)」
「ふたいたいは(判別不能)」
「イキソイクッ!!(判別不能)」
「ヌッ!!」

彼の言葉の意味はわからない。
ただ、彼の優しさと心の強さは伝わってくる。
『心がつながっている』、それだけでタバサには、十分信頼に値する英霊だといえる。

「ふふ、名前がいっぱいあるのね。だったらあなたは、やっぱりビーストだわ。よろしくね、ビースト!」

「オッスお願いしまーす!」

「よし、と! やっぱり、この格好が一番ね!」

まふうじのつえ。
やすらぎのローブ。
うろこのたて。
けがわのフード。
来るべき『明日』のためにサンチョが用意してくれた装備。
これが、彼女の聖杯戦争に対する意思表示だ。
彼女は戦う。
手放してしまった『明日』を再び掴むために。


「さあ行きましょう、ビースト」

「行きますよ〜、行く行く!! ヌッ!」


これはきっと、少女一人とクッソ汚い英霊一匹が『明日』を手繰り寄せる物語。



【無名のアサシン 予選敗退】
【無名のマスター 予選敗退】


136 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:43:19 2evluJXI0
【クラス】ビースト

【真名】野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ

【パラメーター】
筋力D(B)(EX) 耐久D(EX) 敏捷D(EX) 魔力E 幸運A+(E-) 宝具BB

【属性】中立・混沌

【クラススキル】
野獣の本能:C
獣としての本能を曝け出し、人ならざる力を発動できる。
戦闘時に『きっかけ』を得ることで理性を犠牲にひとつのパラメーターを向上させることができる
野獣先輩がこのスキルを発動できるのは宝具で昏睡させた相手を蹂躙する時だけである
このスキルの発動に成功した場合、彼は原初の欲求に支配されるかわりに筋力のパラメーターが二段階上昇する


【保有スキル】

【ギャグキャラ補正:A】
ガーゴイル座りで脱糞、バットマンから手コキ、無課金アバター、他残された逸話における彼の立ち回りからきたスキル
言動・行動が常軌を逸する可能性が高くなる代わりに、どれほど強大なダメージを受けても次のターンに95%の確率で完治している
ただし連続三回このスキルが発動したら次の一回は確実に発動しない


【ステロイドボディ:A】
作り物の肉体として蔑まれ、語られ続けた伝説からきたスキル
一戦闘中一度だけ筋力・耐久・敏捷を『相手のステータスを上回るまで』強化できる。ただしその代わりに幸運値がE-まで落ちる
このスキルは発動後10ターンで強制解除され、強化・弱化されていたステータスは標準値に戻る
そして副作用として以後10ターン強化ステータスにはマイナス補正が付く
ちなみにこれを含めた今後の説明における1ターンは30秒、なので10ターンならば最長5分となる


【無勲の英雄:B】
『ホモビに出ただけで地球を救う男』
この一文が彼のすべてを物語っている
彼自身にはこれといった武勲はないはずが、後世の信者によって次々の武勲が付け足されていき、最後には世界規模の影響を及ぼすほどとなる。
その英霊としての出自によりマスターを除く他者には野獣先輩の姿が「とても頼りになる人物」に見え、敵対する人物には「一番の要注意人物」に見える
そしてたとえ一度会っただけでも彼の『英雄としての存在感』を忘れない
さらに偽りであるが英雄としての格の高さも付与され、パラメーターの上昇・窮地における幸運値の+補正・魔力消費量の削減効果も発動する
『無辜の怪物』の真逆に存在するスキルでもある


【一生ネットの晒し者:A】
野獣先輩唯一のバッドスキル
死ぬまで、いやおそらく死んでからも悪意を持って醜態が拡散され続ける宿命がスキルと化したもの。
彼の『スキル』『宝具』『真名』は一度誰かに暴かれた瞬間、その場所から爆発的にその『暴かれた情報』の拡散が開始。
Aランクともなれば12時間を待たずして舞台中のすべての人物が拡散された情報を得ることになる。


137 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:45:17 2evluJXI0
【宝具】
『静かの海より深き欲(サッー!)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1

彼自身が生まれながらにして持っていた唯一の、そしてまさに彼のお家芸とも言うべき宝具
微量の魔力の性質を変化させて昏睡効果を持つ粉末を生み出すことができる
液体に溶ければ無色透明、経口摂取させることで効果を発揮する
飲んだ相手は10ターン以内に『昏睡』(≒自律行動不能)状態に陥り、しばらくの間眠り続ける
Eランク以上の攻撃もしくは20ターン以上の時間経過で『昏睡』状態は解除される
この宝具の効果は薬物への耐性・毒物克服・不眠効果を持つスキル、もしくは慢性的に自身にダメージを与え続けるスキル(頭痛持ちなど)によって無効化・効果軽減ができる

『永劫へと続く真理の究明(しんせつやじゅうせんぱいしりーず)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1

彼の持つ『角度によって別人と化した』伝説。
彼の伝説の語り部たちから彼にかけられた『不特定多数の人物へと成り替わることができる呪い』。
その二つが合わさって生まれた宝具。この宝具を発動するためにはマスターが『仮説』を立てていることが条件となる。
野獣先輩はこの宝具とマスターの『仮説』に従い、自身の存在を変化させることができる。
木星程度の惑星規模からインフルエンザウィルス程度の目には見えない存在まで変化可能。
さらに宝具を続けて発動することですぐに別の何かに変化することが出来、新説の数が増えればそれだけ強力な存在と成っていく。
変身の精度や時間などは立てた仮説の数によって上下する、仮説が多ければ多いほど完璧な立証となる

ただし、条件として『仮説を立てられるもの=マスターが直接出会ったことのあるもの』に限定される。
タバサの場合、自身の仲間や周辺のモンスターとしての仮説は立てられても、会っていないゲマやミルドラース・エスタークなどの立証は不可能
さらに彼女の世界に存在しない生物や概念(ニョロボンや惑星)は情報を教えたとしても立証は不可能

『我が往く道こそが王道(BBやじゅうせんぱいげきじょう)』
ランク:BB 種別:固有結界 レンジ:1〜99 最大補足:1000人

彼の座右の銘としても知られる『王道を往く』精神。
彼の伝説の語り部たちから彼にかけられた『全ての世界に干渉し、自身の世界へと引きずり込む呪い』。
その二つが合わさることによって生まれた『世界を彼の舞台にする』固有結界。
彼の持つ性質は中立・混沌。そのため、この固有結界が存在する限り全ての不可能は否定され、世界は『普遍的展開』よりも『劇的展開』を常とする。
99%失敗する作戦は必ず成功し、絶対に発動できない必殺技はなぜか発動できる限定条件が全て揃い、心臓に打ち込まれた必殺の一撃は偶然コインで阻まれる。
全てのキャラクターが『劇的展開』の餌食となり、不条理を上回る『創作の世界のごとき奇跡』を連発することができる。
この固有結界の持つ『劇的展開』を否定するには野獣先輩を上回る『王道を往く力』が必要である。
ここでいう『王道を往く力』とはメタ的な主人公補正ではなく、『無勲の英雄:B』を超える英雄としての資質や真実を暴く力(B以上の英雄スキルもしくは無勲の英雄を打ち消すスキル)が必要である。

『真夏の夜の夢の欠片たち(おいでよ!ドおぶつのもり)』
ランク:BB 種別:固有結界 レンジ:1〜99 最大補足:1000人

宝具『我が往く道こそが王道』発動中にのみ使える固有結界
この宝具を発動すると、固有結界内に『下北沢』を再現
彼を取り巻いていた無数のクッソ汚いNPC(真夏の夜の淫夢派生作品登場キャラクター)を召喚する
木を隠すなら森の中、糞を隠すなら肥溜めの中
NPCが現れ始めると野獣先輩はこの固有結界の中でのみスキル『気配遮断;A』と同等の能力を得て、NPCに溶け込む
また、召喚されたNPCには特殊技能を持った上位NPCも存在し、攻撃や特殊行動を行ってくることもある

【weapon】
ステロイドまみれの肉体ただひとつ
ビーストが使えるのは技も型もないただの暴力のみ
ちなみに海パンやTシャツではなくボクサータイプのブリーフ姿

【人物背景】
世界一有名なホモビ男優にして世界一イキ顔を見られた男。
世界一脱糞音を聞かれた男であり、世界一視聴者に笑いを届けたホモビ男優。
それ以外の情報は不明であり、世界中に散らばっている断片的な『伝説』だけが語り継がれている。
我々が知ることが出来るのは、背びれ尾びれが付いた伝説の中の彼だけである。
英霊として召喚された彼も『作られた英雄』の性質を大きく受け継いでいる。
特にその性質が顕著に出るのが会話であり、彼は自分の言葉を用いず、ほとんどの場合伝説として語り継がれる『語録』やそれに近いものを用いる。


138 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:47:14 2evluJXI0
【サーヴァントとしての願い】
ひとまずはタバサを父・母の元へつれて帰る
聖杯戦争中に自身の願いが決まるならばそれを願う

【基本戦術、方針、運用法】
補助全振りの宝具・類を見ないスキルで敵味方問わず煙に巻き、決定打が入るチャンスを待ち続けるサーヴァント
ステロイドボディで敵を圧倒し、アイスティーで敵を無力化
ステロイドの効果が切れたら新説シリーズで立ち回ってアイスティーで敵を無力化
無勲の英雄のおかげで魔力消費が大幅削減されているのでガンガン宝具をぶっ放せるのが彼の数少ない魅力でもある
しかし、宝具を使いすぎればその能力を見破られて一生ネットの晒し者ですべての参加者に拡散されてしまう
特に『ギャグキャラ補正』『ステロイドボディ』『永劫へと続く真理の証明』はそのからくりがバレると一気に劣勢にたたされる可能性がある
どれも決定打に欠ける野獣先輩にとって戦闘の要となるスキルであるためなんとか隠し通したい
追い込まれたら野獣先輩劇場で周囲を『劇的空間』に変え、自身の幸運値で奇跡的な展開を連発する
それでも駄目ならド汚物の森で気配遮断して逃走

今回はタバサがヒャド・マヌーサ、そして杖の効果でマホトーンを使えるのでそれも戦力として
『小細工で翻弄して敵の消耗を謀り、機を見て叩く』『敵わないならすぐ逃げる』
これが基本の方針であり運用の方法になるだろう


【マスター】タバサ(娘)@ドラゴンクエストⅤ―天空の花嫁―
【参加方法】レックス(息子)が拾ってきた綺麗な石(月の欠片)に願いを込める
【マスターとしての願い】明日(父との再会)にたどり着く
【weapon】
・まふうじのつえ(アイテムとして使用すればマホトーンの効果)
・やすらぎのローブ
・うろこのたて
・けがわのフード

【能力・技能】
レベル   5
ちから   8
すばやさ 60
まもり   .18
かしこさ  30
うん    31
HP    .67
MP    24

まほう
ヒャド(敵単体に凍結攻撃、MP3)
マヌーサ(敵単体に幻惑攻撃、MP4)
ルーラ(自分と英霊を一度行ったことのある場所にワープ、MP5)
(+マホトーン、敵単体の魔法攻撃を5ターン封じる。宝具は対象外。MP0)


139 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:50:16 2evluJXI0
【人物背景】
ドラクエⅤ主人公の娘。8歳。
髪が青色であるため、母はフローラだとわかる。
生まれてすぐに両親と離別、その後父の付き人であったサンチョに兄ともども面倒を見られて8年間すごす。
そしてついに、サンチョが主人公の石像のありかを発見。早速兄と二人で見に行くことに……
その前日、初めて会う父親と行方の知れぬ母親の無事を月に祈ったところでムーンセルに召喚された
参戦時期が「主人公の石像回収に行く前日」であるため我々が知る彼女の物語はまだ始まってすらいない
なのでレベルは初期値、戦闘経験はゼロ
身体能力は普通の小学生に毛が生えた程度であり知略も同じくらい
さらに勇者が兄だが妹はただの人
はっきり言って産廃レベルのマスターであるが、彼女は三つの『長所』がある

ひとつは『魔力』
彼女はマーサ・パパス→主人公・フローラ→タバサという血統書付きのハイブリッド魔法戦士である
型月での魔術回路ともいえる潜在MPは510と天空の勇者(息子)以上
8歳の時点で一流の魔術師に引け劣らない魔力を持っており、ビーストのスキルもあわせて宝具は撃ち放題になる
ただし、表出MPは24でるため自身のまほうは限られた回数しか使えない

つぎに『心を通わせる力』
小説版の設定を流用するのであれば、リュカよりも高い魔物使いとしての素質を持っている
というよりも人語を話せないモンスターとも会話ができる、これによってビースト召喚の条件をクリアした
姿なき者、声なき者、意思なき者とも心を通わせ会話が出来るため、条件がそろえば狂化持ちのバーサーカーの声を聞くことも可能……かもしれない

最後が『RPGシステム』
彼女は戦闘を重ねることで成長し、新しい術を覚える
そしてベッドで一晩寝ることでHPとMPを完全回復できる
ゲーム中から召喚されたためそのシステムはこのムーンセルでもだいたい同じである
ただ違うのは、体力(スタミナ)は回復しても大怪我は完治しないためダメージを負う度に最大HPやすばやさが減っていく、というところか

【令呪】
≧д≦ ← これが右手の甲にある
手袋を付けているのでまず見えない

【方針】ビースト(真名は知らない)とともに聖杯戦争を生き抜き、父と母と兄の元へ帰る




【クラス補足】

クラス:ビースト

野獣としての本能と姿を持つヒトが英霊になった際に与えられるクラス。
史実ならば妲己(玉藻の前)、創作ならば幼少期孫悟空(ドラゴンボール)や乾巧(仮面ライダー555)や橋沢育朗(バオー来訪者)に与えられる可能性があるクラス

クラススキルは【野獣の本能】
戦闘中何かの『きっかけ』を経て獣化、理性を犠牲にひとつのパラメータが跳ね上がる
ランクが高いほどパラメーター上昇値が増えるが、『きっかけ』が複雑であったり失う理性が多くなったりする
ランクが低いほど『きっかけ』は単純であったり理性も残りやすかったりするが、上昇値は低くなる
バーサーカーより使いやすいが火力は低く、クラスランクAなら瞬間的に三騎士にも負けないが一時的に理性を失う

また、召喚にあたってマスター側にも条件が定められており、野獣と心を交わすことができなければならない
該当者としてはタランダ・リーゼロッテ・橘(からくりサーカス)、ナウシカ(風の谷のナウシカ)、小美人(モスラシリーズ)など
もしも該当者以外が彼らを呼び出そうとした場合、ビーストではなく別クラスとしての召喚となる

そして召喚に必要な聖遺物は英霊と関連を持つ『形を持たぬもの』。
血、遺伝子、記憶、そういった人によって手を加えることのできない『自身の内側にあるもの』、『内に秘めた野獣』が呼び出したい英霊とつながっている必要がある。

今回はタバサの持つ「すべての魔物と心を通わせ、仲間にできる血」が「すべてのモノへと姿を変える宝具」を持つ野獣先輩を引き寄せる聖遺物になったと思われる。


140 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/13(土) 07:51:14 2evluJXI0
以上で投下終了です
ビーストのステータスは一部某所に落ちていたものを再利用させていただきました


141 : 名無しさん :2014/09/13(土) 08:30:39 hI8tMCqo0
やったぜ。


142 : 名無しさん :2014/09/13(土) 12:37:09 YO4h/TA.0
くっせえサーヴァントだなお前…


143 : 名無しさん :2014/09/13(土) 18:28:45 9ZjPMtgQ0
穴掘ってる……穴掘ってるよォ〜


144 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/14(日) 06:05:29 63W8A3u.0
投下ありがとうございます。
こちらも投下します。


145 : ディオ&ランサー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/14(日) 06:06:15 63W8A3u.0


――1888年、イギリス。

昔から続くある名門貴族の邸宅に、多くの人間が集まっていた。
と言っても、集まった者達の目的は華々しい晩餐会や祝いの宴ではない。
集まっている者の大勢は警官であり、彼らの目的はこの館に帰って来るであろう人物を逮捕することだった。

容疑は殺人未遂。
養子として育てられていた家の当主を病死に見せかけて毒殺し、家を乗っ取ろうとした疑いがかけられていた。
証拠と証人も揃っている。本人の帰宅次第、逮捕は執行される予定であった。

そして。
夜も更けた頃、容疑者――ディオ・ブランドーは帰宅した。



「ジョジョ……人間ってのは、能力に限界があるなぁ」

――数刻の後。
ジョナサン・ジョースターやスピードワゴンに犯行を暴露され、追い詰められたディオは、しかし余裕を隠さずこう宣言する。

「おれが短い人生で学んだことは……人間は策を弄すれば弄するほど予期せぬ事態で策がくずされるってことだ!
 ……故に……『完全』な『成功』を得たいなら……『人間』を『超越』したモノを手に入れなければな……」
「なんのことだ? なにを言っているッ!」

訝しげに叫ぶジョナサンを正面から見据え、ディオは懐のソレを取り出し――掲げた。

「い……石仮面、君がなぜ持っている!?」

「俺は月の聖杯を手に入れるぞ、ジョジョーーッ!」


146 : ディオ&ランサー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/14(日) 06:06:46 63W8A3u.0


「フン……『思い出した』ぞ。
 そう……『全て』をな……」

薄暗い一室で、ディオ・ブランドーはそう呟く。
手に掴んでいるのは石仮面――そう、

「『月の石』でできた『石仮面』……これの正体に、ジョナサンよりも先に気付くことができたのは幸運だった」

喰屍鬼街(オウガー・ストリート)の毒薬売り・ワンチェンから聞き出した『月の石』と『聖杯戦争』の噂。
それが真実であったことに、ディオは上機嫌で笑う。

(この『聖杯戦争』に勝利すれば、ジョースター家になど拘らなくても世界一の金持ちに……
 いや、それどころか『世界』を『支配』することすらできる)

「『団体戦』とあの女は言っていたが……くだらん。
 優勝商品がひとつの団体戦など、成り立つはずがなかろう?
 『聖杯』はトロフィーでもなんでもないのだからなァ」

『万能の願望機』という性質を考えれば、『聖杯』を分け合うことは難しい。
『願い』という商品は分け合えない――『聖杯』がどれだけ願いを叶えられるかわからない以上、競い合う相手は少ない方がいい。
いや、そもそもこの『戦争』の後も『聖杯』を確保できれば――それはまさに『神』にも近い存在に至れるのではないか?

そう考えれば、団体戦の後に待っているのは醜い仲間割れ以外には考えられない。

(ならばどう勝ち抜く? 魔術師が蠢くこの戦いで、人間の体はあまりにも脆い……。
 『石仮面』はまだ手元にある……これを使えば吸血鬼となれるが……)

『石仮面』の作用は、単なる『月の石』としての聖杯戦争への参加権だけではない。
その骨針を脳に打ち込むことによって被験者を人間を超えた存在――吸血鬼へと変えるのだ。

(吸血鬼の体が、このちっぽけな人間の体とは比べ物にならぬ力を持っているのは確かめるまでもない……。
 だが、先走って吸血鬼となるのは考え物かもしれんな。
 吸血鬼は日光に弱い……これは聖杯戦争を戦う上では大きな弱点になるかもしれん。
 血を吸うためにNPCを大量に襲ってもルーラーの不興を買うだろう。
 いや。そもそも、NPCとやらから血を吸うことはできるのか……?)

簡単な思索の後、ディオは石仮面はすぐには使わないことを決めた。
あまりにも不確定要素が多すぎる――そもそも、吸血鬼と化したところで、あのサーヴァントには勝てはしないのだ。

(忌々しい……このディオのサーヴァントがあんな女とは!
 そのような女に手も足も出ないのも忌々しい!)

サーヴァント召喚の直後、女と侮ってかかった結果は思い出すだけでも忌々しい。
なによりも忌々しいのは、頼れる相手はその女のみ――いや、頼って十分な戦力だということだ。

「偵察、終わったわよ。
 単独行動もないから、ちょっと近くを見回ってきただけだけど」

思い切り顔をしかめ、座っていた椅子に八つ当たりしていたディオは、不意に部屋の入り口に新たな気配が現れたのに気がついた。
栗色の髪に軍服、手にはドリルのような手甲を装備した女性。
ディオのサーヴァント――ランサー。

(もう帰って来たか)

なにもディオとて、本気で自らのサーヴァントを嫌っているわけではない。自らのサーヴァントと不仲では勝ち残るのは難しいだろう。
そもそもランサー――『総統・タケ』の掲げる「弱肉強食。民族や生まれを問わず優秀な者がそうでない者を支配し、管理・統制するのは当然の事である」という思想はディオにとっても同意できる。
だがそれ故に、ランサーの存在は癪に障る。
周囲の偵察命令を出したのも、なるべくその顔を見ないようにするため遠ざけたかったのが理由のひとつだ。
またなにか命令を考えなければ――、

「――ま、ベタベタされるのも鬱陶しいからいいんだけど。
 アンタ、嫌な顔するならするでもう少し隠せないの?」
「……チィッ」

顔に出ていたのを気取られたか、とディオは努めて平常心を保とうと心がけ、ランサーを見据えた。
対するランサーはディオに視線を合わせ、睨みつけこう宣告する。

「別にアンタがあたしにどんな感情抱いてようと気にはしないけど。
 間抜けに指揮されるのだけはゴメンよ。
 それだけ理解していれば――『勝利』を与えてあげるわ」

圧倒的な威圧感を備えた、英霊の眼光がディオを射抜く。
魂の存在量から違う、ただの人間と英霊の差。
それを実感し、歯噛みしながらも――
ディオ・ブランドーの内心は野望の炎に燃え上がっていた。

(『勝利』! そう! 『勝利』して『成功』するのだッ!
 このサーヴァントも! 他の参加者も……全てを利用して! 勝ち残ってやるぞッ!)


147 : ディオ&ランサー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/14(日) 06:06:58 63W8A3u.0
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【クラス】ランサー
【真名】タケ@きのこたけのこ戦争if
【パラメーター】
筋力B 耐久C 敏捷A 魔力E 幸運C 宝具B
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
対魔力:E
 魔術に対する守り。
 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
 ランサーは近代に近い世界観の英霊であるため、魔術に対する知識は持っていても耐性が低い。
【保有スキル】
仕切り直し:C
 戦闘から離脱する能力。
 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。
カリスマ:B
 独裁者に従う兵士、邪教の教祖にあこがれる信者のような気持。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
 カリスマは稀有な才能で、一国の王としてはBランクで十分と言える。
電撃戦・浸透戦術:A
 ランサーの率いた国の得意戦術。
 ランサーが侵攻・襲撃を行っている場合ランサーの筋力及び敏捷パラメータを1ランク上昇させ、同時に耐久パラメータを1ランク低下させる。
その血の運命:B
 もはや呪いの域に近い、争いの血統。
 「きのこ」「ハンマー」のいずれかの属性を持つ者と戦闘する際、判定にプラスの効果を得る。
【宝具】
『大★突★貫』
ランク:E 種別:対軍宝具 レンジ:1〜45 最大補足:100人
 爆薬や推進剤を用いての敵陣への中央突破突撃。
 突撃の勢いはすさまじく無双とすら言える勢いではあるが、完全に近代兵器に頼った突撃であるため神秘としてのレベルも宝具としてのランクも低い。
『徹底された蹂躙爆撃』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大補足:1000人
 800mm皇帝砲及びロケット砲、空軍部隊による敵対存在への徹底爆撃。
 破壊力・攻撃範囲・射程全てに優れる絨毯爆撃。
 当然周囲も一緒に焦土と化す。街中で使えばルーラーの激昂を買うことは間違いない。
【weapon】
「ラジュム射突ブレード」
二本杭形式の杭打機構を搭載した最新式小手です
威力が高く、若干の貫通効果があります
【人物背景】
ドウリル民族戦線第五代総統。歴代最強の天才
単純で快活な烈女。思想的にはアレだが、好感を持つ者も多い
民族主義の複雑な理論は面倒で意味がないとバッサリ切り捨てており
民族を問わず優秀な者がそうでない者を支配し、管理・統制するのは当然の事と考え、常に人は進歩し強くあらねばならないという弱肉強食的進化論の信奉者である
スーギ・ノウコ自治区の設立に対しては民族戦線を挙げての軍事介入を表明。今回の動乱の激化に火を着ける形となった
【サーヴァントとしての願い】
なし。
自らがもっとも優れたサーヴァントであると、この聖杯戦争を通じて証明する。
【基本戦術、方針、運用法】
基本的に攻性のサーヴァントであり、防衛には色々な意味で向いていない。
スキルや宝具もそれを助長する。
基本的な燃費自体は悪くない(宝具を使わなければ)ので、戦闘を選ぶ際は遊撃と襲撃を繰り返したい。

『徹底された蹂躙爆撃』は火力こそ凄まじいが、同時に周辺被害や魔力消費も凄まじい『切れない切り札』の類。
キャスターなどが構築した陣地を破壊する際には有効だが、場所によっては周囲の市外も巻き込むためやはり使用には注意が必要。

三騎士ではあるが、キャスター相手はその対魔力の低さのせいで『先に攻撃を差した方が勝つ』というレベル。
陣地相手の攻撃性能は(宝具を含めて)悪くないのだが……


148 : ディオ&ランサー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/14(日) 06:07:16 63W8A3u.0

【マスター】ディオ@ジョジョの奇妙な冒険(第一部)
【参加方法】「石仮面」は「月の石」でできていたッ!
【マスターとしての願い】
『世界』を『支配』するッ!
【weapon】
「ナイフ」
なんの変哲もないナイフ。

「石仮面」
1万年以上前に生きていた「柱の男」、そしてアステカ文明から遺されていた未知のアイテム。
血を浴びせると骨針が飛び出して脳を刺激し、人間の未知なるパワーを引き出して吸血鬼にする道具。
【能力・技能】
運動や勉学で高い能力を見せるが、吸血鬼となる前であるため基本的に一般人。
【人物背景】
ジョジョの奇妙な冒険(第一部)のディオ・ブランドー。
時系列的に吸血鬼となる前からの参戦となる。
実父であるダリオ・ブランドーを毒薬によって病気に見せかけて毒殺。
養父であったジョージ・ジョースターⅠ世をも毒殺しようと企むが、ジョナサン・ジョースターにその陰謀を暴かれた。
上昇志向の強い野心家であり、「世界一の金持ちになる」「誰にも負けない男になる」という野望を抱いている。
【方針】
『勝利』する。
そのためには何もかもを利用し、一人で勝ち残る。


149 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/14(日) 06:08:33 63W8A3u.0
以上で投下終了です。

懸念されている方がいましたが、三騎目以降の同じクラスのサーヴァントの投下も問題はありません。
その場合は>>1の選考となります。


150 : 名無しさん :2014/09/14(日) 12:05:13 YAChoE4I0
投下乙です
1部のディオが参戦とは


151 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/14(日) 16:48:16 kGhEBluA0
投下します


152 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/14(日) 16:48:58 kGhEBluA0
なんなんだよ…聖杯戦争って……

この言葉を一体何度繰り返したのだろうか。
しかし、直保はその回数はとっくに忘れてしまったし
溜息の数も両手では収まり切れなかった。
何よりもここは彼がかつていた場所――農大ではないのだから……

沢木惣右衛門直保――
長いので沢木直保と省略する。
彼は聖杯戦争に巻き込まれてしまったのである。
何故?かと言えば思い出せない。
月の石とやらにも心当たりない。
もしかしたら、彼の先輩たちがうさんくさい高価な石だと紹介したあの石…だったかもしれない。
何にしても故意ではないのだ。

彼は魔術師じゃない。
かといってタダの人間でもなかった。
直保には「肉眼で菌の姿を捉える」能力がある。
掴むことも出来るし、少々くらいは操ることも出来る。
だけどもそれだけ。
もしかしたら、自分の能力が魔術的なものなのかもしれないが
逆に嬉しくも何ともない。むしろ迷惑だ。
何故、このような戦争に巻き込まれてしまったのだろう。

さらに巻き込まれただけならともかく
農大ではない、全く見知らぬ地に移されてしまったのも迷惑極まりなかった。
直保は友人たちや先生たちの心配もそうだが
果たして自分は元の場所へ帰ることができるのだろうか…?

「大丈夫大丈夫!なんとかなるってー」

そう呑気に声をかけてくるのは直保のサーヴァント・キャスターである。
戦争に参加するのに何が大丈夫で、なんとかなるのか。
直保は困り果てていた。

「そんな顔すんなよ、提督ぅ〜これでもあたし、結構活躍できるんだぜー!」
「違う……俺は好きで参加した訳じゃないんだ…」

悲壮に溢れる言葉を漏らすが
キャスターはヘラヘラとした態度で軽く受け流した。

「そりゃあ、仕方ないね〜」
「仕方ないって―――」
「たまーにそういうのあるんだよ。聖杯戦争ってさー
 それに今回はあたしらだけじゃないんだ。皆と頑張ればなんとかなるなる!!」

確かに今回の聖杯戦争は
月と地球
二つの陣営に分かれ戦うのだ。仲間がすでにいる状況だ。
ルールを聞いている直保は分かっているものの、また溜息をつく。

「それよりさー提督、酒作ってるんだろ?
 あたし、それ飲みたいなぁ〜今度飲ませてくれよ〜」
「酒だって、農大に帰らなきゃないだろ…」
「じゃあ一緒に帰って飲もうぜー!」

ノリで話している気がしなくもないが
キャスターの提案に直保は少し間を開けてから

「……そうだな。皆のところへ帰ろう」

少しだけ頬笑み答えた。

ちゃんと生きて帰ろう。
そんでもって宴でも何でもいい、皆で酒を飲み明かそう。


153 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/14(日) 16:50:08 kGhEBluA0
【クラス】キャスター
【真名】隼鷹@艦隊これくしょん
【性別】女性
【属性】中立・善

【パラメーター】
筋力:E 耐久:C 敏捷:D 魔力:B 幸運:B 宝具:E+

【クラススキル】
航空戦(陣地作成):B
 制空権を確保するスキル。
 時間をかけ作成する陣地とは違い、直接戦闘機を送り込み上空を掌握する。
 対抗するにはキャスターとの航空戦に勝利しなければならない。
 制空権確保した場合、戦闘終了まで戦闘機を出現させられる。

道具作成:B
 戦闘機の作成をする。
 精密かつ優秀な戦闘機であるがキャスターが蓄えられる戦闘機数制作すると
 それなりの魔力消費をしてしまう。


【保有スキル】
艦娘:A
 実在した艦隊を擬人化した存在が持つスキル。
 水面に立ち、水上移動が可能。
 強大な一撃を食らっても、重傷にダメージを抑える。
 戦闘から離脱したのちに追撃を食らうと確実に消滅する。
 
近代改修:D
 鉄や燃料などの資材を消費し
 耐久のパラメーターを1ランク上昇させる。
 また燃料で魔力を補うことが可能。

索敵:C
 偵察機により敵の位置を把握するスキル。
 敵の数、サーヴァントクラスを把握できる。

酒:C
 酒を飲むと魔力回復できる。しかし酔うので注意。


【宝具】
『飛鷹型2番艦 軽空母・隼鷹改』
ランク:E+ 種別:自身 レンジ:1〜99 最大補足:1000人
キャスター自身が宝具そのもの。彼女の存在そのものがかつて歴史で活躍した軽空母。
航空戦(陣地作成)と道具作成が備わっている他、戦闘機を思うがまま自在に操る。
航空戦においては戦闘開始時に先制攻撃が可能。
ただし、彼女が中くらいほどの負傷をするとこれらの機能が全て停止してしまう。
マスターとの相性の影響で、改装された姿で召喚された。

【weapon】
『零式艦戦52型』
『彗星』
『九七式艦攻』
キャスターが制作可能な戦闘機。

『航空式鬼神召喚法陣隼鷹 大符』
巻物。これで戦闘機を飛ばす。


【人物背景】
気さくでノリのいい奴。荒い口調に対して女らしい恥じらいはちゃんとある。
ヒャッハーと雄たけびをあげる。

橿原丸という豪華客船を軽空母に改造したもの。
解体される最後まで生き残り、活躍した。

【サーヴァントとしての願い】
とくにない。
直保の作ってる酒が飲みたい。

【方針】
ぶっちゃけ一人じゃ心もとない!
同陣営のサーヴァントたちと行動する。

【基本戦術、運用法】
離れた位置から攻撃をする。真っ向勝負は不可能。
航空戦を妨害させないよう、キャスターの安全を確保させるべきである。
また魔力確保の為、酒や燃料が必要。


154 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/14(日) 16:50:51 kGhEBluA0
【マスター】
沢木直保@もやしもん

【参加方法】
不運にも月の石に触れ召喚された

【マスターとしての願い】
元の世界へ帰りたい

【weapon】
なし

【能力・技能】
菌が見える、操れる。
直保自身、菌の知識がないのが残念。
ただ酒蔵の菌やカビなどある程度、日常生活で見られる菌や
危険な菌は「かもして殺す」と呟くので判断は可能。
聖杯戦争で役立つかは不明。

【人物背景】
某農大一年生。能力のせいで少々コミュ障気味になっている。
優柔不断な性格。身長が低いのを気にしている。
自称160cmだが、明らかにそれ以下。

【方針】
まだわからない。
ただ、菌を使った偵察は可能か?


155 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/14(日) 16:52:30 kGhEBluA0
投下終了です。
遅れましたがみなさん投下乙です。


156 : ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 20:51:54 pfDG0Yt20
皆様投下乙です
自分も投下します


157 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 20:54:14 pfDG0Yt20






ーーここは英霊と聖杯の世界
ーー物語はここから始まる


158 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 20:55:13 pfDG0Yt20




雨生龍之介。彼は殺人鬼。
求めるものは死の実感。そのために殺した人間の数は知れず。
されど殺しても殺しても龍之介の納得するものは得られず。しかし止められず。
なので新たに殺人に取り入れてみた趣向。それは儀式殺人。

偶然にも実家の蔵から発見した『月の石』により招かれたのが、現在異常事態発生中のムーンセル。
龍之介は記憶を取り戻す


手には血まみれのメス
床に転がるNPCの死体
あぁ、彼は記憶を失っても変わらなかったらしい。

「あんたって……悪魔?」

期待感、いや、多少の恐れもあるか
眼前の存在に龍之介の胸が高鳴った
流血が蔓延する地獄絵図。凄惨なその場で悠然と佇む骸骨。
死者。いや悪魔か
髑髏から覗く瞳は、値踏みするように龍之介を見つめていた。

「クックック……そう簡単に教えてやると思っているのか?」


悪魔は答えを与えない
やはり対価か何かが必要なのか?
ちらりと、縛り付けていた子供に視線を向ける。


159 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 20:56:32 pfDG0Yt20



「キャスターの位で現界したガミジンです。よろしくね☆君の名前は?」

簡単に教えてくれた
龍之介はそのフランクなノリに驚きながらも、慌てて答えた

「え?え……えーっと、雨生龍之介ッス。職業フリーター、趣味は人殺し全般。子供とか若い女とか好きです」

「うむ、なかなかいい若者じゃないか。考えも合いそうだし」



「あのー。お近づきの印にこれ、食べませんか?」

子供のNPCをガミジンに差し出す
猿轡を噛まされながらも、子供は恐怖の悲鳴をあげる
瞬間、空気が変わった。

「なんだと貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

突然ガミジンは激昂した!!

「えっ?気に入らなかったの?」
戸惑う龍之介

「その考え!!人格が悪魔に支配されている!」

「このキ○ガイが!クソガキを殺すならまだしも食わせようとするとは!!
今から貴様にとりついた悪魔を祓ってくれる!!」

友好的な雰囲気はどこかに消し飛んだ
ガミジンは凄まじい殺意を龍之介にむける

「いやいや俺は別に悪魔にとりつかれてなんかいないよ?」

「悪魔は皆そう言うんだ!」

困惑する龍之介の返答に、答えたのは第三者
リーゼントが眩しい、ギターを抱えたもう一人の骸骨。

ー悪魔か?
ー天使か?

いや神父だ
宝具によって召喚されたガミジンの相方。ジェイコブ神父。


160 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 20:57:39 pfDG0Yt20


「ガミジン殿!こんな糞マスターに手加減は不要です!消し炭にしてやりましょう!」

激しく唸るジェイコブのギター

「うむ、フルパワーでいくぞ!!悪魔というものがどんなものなのかきっちりと指導してやる!!」



「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


新たな血の宴(除霊)が始まった


−30分後



「超COOOOOOOOOOLッ!!!」

龍之介は生まれ変わった
パールで殴られ、ハンマーで叩き伏せられることで邪念が払われたのだ

「そうだったのかァ……これが俺の求めていたことなのか!まさかこんな近くにあるなんて……
こんな気持ち、初めてだ!」

全治49週間ほどの怪我を負ってしまった龍之介。
しかし心に悲観はない。むしろ『答えを得られた』という謎の充実感のみが満たされる。
探さなくてもあったのだ。『死』は自分の中に

「君にとりついていた悪魔が祓われたのだ」
「悪霊の旦那!ありがとう!」
「はは、わかれば良いんだよわかれば」

些か異質な感謝をする龍之介を尻目に、ガミジンは満足そうに頷いた
また一人悪魔にとりつかれていた若者を救えたのだ。武力で

ガミジンは隅に転がっていた少年に目を止める。

「おーい君、こんなところで寝ていたら風を……し、死んでる!!」

ピクリとも動かない肉塊になってしまっていた少年。怒るガミジンの余波に巻き込まれてしまったらしい

「ま、いっか☆」

ガミジンはめちゃくちゃ割り切っていた

「対して知りませんしねその子」

相変わらず現界したままのジェイコブ神父がそれに続く

「犠牲って出るものなんだから仕方ないよね☆」
「ねぇー☆」

「やっぱこの二人超COOOOOOOLッ!!」

外道すぎる二人の発言に興奮する龍之介


「じゃあここの死体を処分してから次の悪魔祓いに向かおうか」


優しい悪魔!聖杯戦争に参戦!!


161 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 20:59:18 pfDG0Yt20
【クラス】
キャスター
【真名】
ガミジン
【出典】
妹が作った痛いRPG
【パラメーター】
筋力C(A) 耐久C(A) 敏捷C(A) 魔力B 幸運C 宝具B
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
陣地作成:B
魔術師として有利な陣地を作り上げる技能。ガミジンの場合は"決戦のバトルフィールド"が作成可能
道具作成:A
魔力を帯びた道具を作成できる。
ガミジンの場合は対サーヴァントにも効果的な、魔力を帯びたパールやハンマーなどの凶器の作成に長けている

【保有スキル】
精神汚染:A
混濁・錯乱した精神構造のため、第三者による精神干渉系の魔術を遮断する事が可能。ただし、他者との意思疎通を行う場合、相手が同程度の『精神汚染』スキルを保有していないと成立しない

【宝具】
『その考え!!悪魔に人格を支配されている!』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
反英霊、もしくはそれに属する敵と対峙した場合、筋力、敏捷、耐久のスキルが二段階レベルアップする宝具


『召喚せしめしジェイコブ神父』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
エクソシストとして働いていた時の相方『ジェイコブ神父』をサーヴァントとして召喚する
召喚されたジェイコブ神父は単独行動:Eのスキルを保有しているため、魔力を自主的に補給すれば現界しつづけることができる
ジェイコブ神父のステータスは以下

筋力C+ 耐久C+ 敏捷B+ 魔力B 幸運C

なお宝具は所持していないが、「ホーリーウォーター(硫酸)」と「ジーザスフラッシュ(神の加護)」は魔力を消費するが問題なく使用できる


162 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 21:00:07 pfDG0Yt20

『邦子節』
ランク:Ex 種別:対界宝具 レンジ:?? 最大補足:??

自動的に発動する宝具
ムーンセル内の冬木市を固有結界で徐々に侵食していく
具体的には『川越市ではよくあること』がキャスターの周辺でよく起こるようになる

例)
米軍の総攻撃を受ける「川越ではよくあること」
武士と悪魔が油田を制圧する「川越ではよくあること」
下校中に指名手配中の殺人鬼に襲われる「川越ではよくあること」
道端に核ロケット砲が落ちている「川越ではよくあること」
お見合いの失敗でレストランが爆破される「川越ではよくあること」
天体観測していると隕石が直撃する「川越ではよくあること」
異星人に食われた上に勝手にサイボーグに改造される「川越ではよくあること」
その異星人の駆除は保健所が担当する「川越ではよくあること」
さらにサイボーグは市の平和のために自爆する「川越ファイナル・アタック!」
川越で発射された核ロケット砲は15km離れた高坂を消滅させる「でも、まぁいいか…高坂は何もないし。」
悪魔が悪魔祓いを請け負う会社がある「川越ではよくあること」
悪魔祓いを受けた人間が全治49週間の怪我を負う「川越ではよくあること」
普通の剣と魔法のファンタジー世界と紹介される「川越ではよくあること」
課外授業で魔法を教える「川越ではよくあること」
宇宙空間に地盤ごと放り出される「川越ではよくあること」
食用ゾンビ肉が売られている「川越ではよくあること」
台所に硫酸が置いてある「川越ではよくあること」

というように、常識ではありえないような超展開が極自然に、当たり前のように起きるようにする宝具である

【weapon】
「パール」
悪魔祓いに使用する。使用方は主に殴るのみ。魔力を帯びているのでサーヴァントにも有効

「ハンマー」
悪魔祓いに使用する。使用方は人を叩き伏せるのみ。魔力を帯びているのでサーヴァントにも有効

「サブマシンガン」
ダンジョンキーパーをしていた頃に所持していた武装
ダンジョンに蔓延る魔獣を容易く撃破できる高性能。弾数は無限


163 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 21:00:53 pfDG0Yt20

【人物背景】
ゾンビのような醜悪な外見とした悪魔。しかし割と真面目で善人なキャラクター。
江戸時代に日本でキリシタンが弾圧され数を減らし悪魔にとって住みやすくなった為、わざわざ海外から引っ越して来たらしい。
この頃は友人の武士と油田を襲ってガソリンを強奪しようとしたりしていたが、未成年だったため武器の入手に苦労していた。
その後はKマートの店員として働いたり、悪魔ではあるが、悪魔祓いを行う会社の社員として働いていたりしていた。
(彼の悪魔祓いの方法は、いわゆる物理的な意味での悪魔祓いである)
地獄市役所の市民課の受付をしていたこともあり、相手の置かれた状況を突き付け、今までの行為を後悔させるまで脅す。その脅しぶりは、強気のアビゲイルさえも半泣きにさせる程。
しかし、散々脅かした上で、手続きの事務手数料をツケてくれたり、良い仕事を斡旋したりと、救いの手を差し伸べてくれる好人物である。
そのため、窓口の行列はなかなか消化されなかった
近年ではダンジョン・キーパーのひとりとして就職。
悪者のような喋り方だが、ダンジョンに落とされた圭二郎にアドバイスや装備提供をしていた。
しかしこの時に射殺されたため、英霊?となった。

【方針】
聖杯戦争に乗り気なマスター=悪魔にとりつかれている!
サーヴァント=死人は大人しく墓に戻ってろ!
それ以外=普通に対応する

【基本戦術、運用法】
現状龍之介が完全に御していないため、勝手に行動する


164 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 21:02:02 pfDG0Yt20
【マスター】
雨生龍之介
【出典】
Fate/zero
【参加方法】
実家の蔵に月の石があった
【マスターとしての願い】
本当の死を知りたい(もう満足している)
【weapo】
「メス」
人体を切り刻む刃物
【能力・技能】
その血脈は魔術師の因子を持つが、彼自身に魔術的な能力は何もない。サーヴァントの召喚には成功しているものの、魔術回路も知識も、一般人のそれと大して変わらないレベル。

魔術以外の特技として、天才的な証拠隠滅・捜査撹乱の技術を持つ。30人以上もの人間を場当たり的に殺してきたにもかかわらず、この特技のおかげで一度も彼に捜査の手が及んでいない
【人物背景】
人の「死」の意味を知るために殺人を繰り返すうちにそこに快楽を見出し、連続殺人犯となった青年。
聖杯戦争に参加する5年前に姉を殺害し、以来地方を転々としながら殺人を繰り返してきたが、その周到さから未だ法の裁きを受けていない。
普段は話すことも億劫だと感じるほど無気力な人物だが、殺人の最中はひょうきん者となり、饒舌を奮う(聖杯戦争中はほぼこの性格)。
洒脱でひょうきんな面もあり、夜の街では女の子にももてる。龍之介もその蠱惑の結果を酒の肴の感覚で楽しみ、本当に気に入った女性は血みどろの肉塊にするまで楽しんだ。
道徳や倫理観が生まれながらに破綻しており、自分の所業の芸術性や哲学性が世間に認められないことを不思議に思っているフシもある。
彼にとって殺人は芸術であるため、被害者の金品には全く興味を示さない。これが警察の捜査を逃れる一因にもなっている。普段はフリーター。
【方針】
旦那(ガミジン)についていく
ルーラーの説明を把握しているかは不明


165 : 変態えろえろデイモンズ ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 21:02:42 pfDG0Yt20
投下以上です


166 : 名無しさん :2014/09/14(日) 21:15:09 e59K1.mE0
投下乙です
ですが計算が合っていれば、沢木&隼鷹で8×2=16枠が埋まっているのですが……
間違っていたら申し訳ありません


167 : ◆VYr1mStbOc :2014/09/14(日) 21:24:32 pfDG0Yt20
>>166
この企画では投下された案から>>1氏が選別するタイプだと思っていましたが、規定を満たしたら締め切りということでしたら把握していませんでした。すいません


168 : 名無しさん :2014/09/14(日) 21:24:49 yx9VPSH60
>>166
>>6の記述によると
>基本的に両陣営基本クラス一騎ずつです

>一応設定してある期限としては1が8騎投下し終わるまでですが、投下し終わっても十分な数が集まってなかったり、
>あるいは8騎投下する前に十分な数が揃った場合はその限りではないです。

とのことなので、16枠投下=投票終了ではないと思います。
それと人数過多の場合は候補作の中から企画者様が選出するようです。


169 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 03:17:44 77BVjnPY0
エクストラクラスでアヴェンジャーを投下します


170 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 03:18:58 77BVjnPY0
私は、今まで夢を見ていたのかもしれないな。


皆、私に憧れを抱いているらしい。トニーはそういっていたな。


しかし、私とて憧れを抱いたことがある。


北極から救出されて間もない頃・・・ナチスは滅び、格段に過ごしやすくなった時代で。


ヒーローではなく、アメリカの一市民として暮らしてみたいと思ったことだってあるさ。


だから、ムーンセルでの今までは夢だったんだ。


傷つき、助けを求める者がいる限り、ヒーローが休むことは許されない。


さあ、この夢から醒めよう。――ベッドの上で寝ている暇はない!


171 : キャプテン・アメリカ&アヴェンジャー ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 03:20:28 77BVjnPY0
彼――スティーブ・ロジャースが記憶に目覚めたのは英語教師としての一仕事を終えて帰宅した時のこと。
ふと思い立って部屋の片づけをしようとして出てきたあるものがファクターとなった。

それは青いコスチュームと、丸い盾。そこにはアメリカの星条旗をモチーフとした星が描かれていた。
彼の記憶の中に守り続けていたアメリカの魂が浮かび上がった。
自由・平等・博愛・・・そのために休むことなく戦ってきた記憶が花火のように広がり、
スティーブの白く塗りつぶされていた記憶を鮮明に彩ってゆく。

「これは・・・私の記憶。本当の私。ヒーローとして・・・理想のために戦っていた」

スティーブこと、キャプテン・アメリカは今までの記憶が頭の中に流れ込んでくる感覚に戸惑いを覚えながらも、
かつて平和を乱すヴィランが現れた際、ヒーローを召集するときに使っていた言葉を思い出し、
無我夢中でそれを口にした。



「Avengers・・・Assemble!」



そしてその声に呼応するように、一体の黒いハリネズミが姿を現した。

「・・・貴方が僕のマスターか?」

無表情な顔からは何を考えているか読み取れない。
目つきは悪く、まるでこの世のすべてを憎んでいるようだった。



◇ ◇ ◇



「私はこの聖杯戦争を止めたいと思っている。アヴェンジャー、君に正義の心があるならば、私に力を貸してくれないだろうか?」

スティーブは聖杯戦争に参加する気はなかった。
それよりも、他の参加者やNPCを保護して生存者を増やすことを望んでいた。
記憶を取り戻すまで外国人の英語教師として働いていた彼には、ある程度の参加者像が分かっていた。
それは、自分が教え子として大切に思っている生徒。
教師であるスティーブが参加者であるならば、より数が多い生徒であった参加者も決して少なくはないだろうと踏んでいたのだ。
それが無力で戦う意思もない可能性だってある。
そんな守るべきものを守るために、スティーブ――キャプテン・アメリカはアヴェンジャーに協力を頼んだのである。

「正義の心など関係ない。僕はマスターのサーヴァントだ。マスターについていくしか道はない」
「本当にそれでいいのかい?聖杯は万能の願望器だと聞く。君にもそれにかける願いはあるはずだ」
「答える義理はないな」

アヴェンジャーは一応肯定ととれる意思を示したが、多くを語らなかった。

「・・・わかった。とにかく礼を言おう、ありがとう」
「・・・フン」

それに対してキャプテン・アメリカは深く詮索せずに退き下がり、聖杯戦争でどうすれば少しでも多くの者を救えるかを考えることにした。

果たして向かってきた相手を叩きのめすことは正しいのだろうか?
その相手が本来は優しい人物で聖杯戦争に踊らされているだけだとしたら?

(イヤ・・・それは今考えても仕方がない)

今考えるべきことは強敵・・・優勝を狙い殺めんとする者から無力な人々を守る術だ。
それを実行するためにはサーヴァントとの協力が不可欠。
まずはアヴェンジャーの能力を聞くことにした。


◇ ◇ ◇


(この世界にいる僕は何者なんだ・・・?)

召喚されてから、アヴェンジャー――シャドウは自分のサーヴァントとしての存在について苦悩していた。

サーヴァントの正体は『英霊の情報を使用して作られた分身』である。
サーヴァントは聖杯の力により霊核を魔力でできた仮初めの肉体で包むことで現界することができ、
霊核が"人型(カタチ)"を与えられることで初めて人間性を取り戻すことができる。

シャドウはその事実に恐怖していた。
サーヴァントとしての自分は偽物で、聖杯にいいように使われる人形ではないか、と思えてしまうのだ。
聖杯の魔力で作りあげられた仮初めの肉体。本物のコピーでしかない魂と精神。

(・・・まるで複製品じゃないか)

シャドウの苦しみを知る者は、まだいない。


172 : キャプテン・アメリカ&アヴェンジャー ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 03:22:10 77BVjnPY0
【クラス】
アヴェンジャー

【マスター】
キャプテン・アメリカ@アベンジャーズ

【真名】
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ@ソニックシリーズ

【パラメータ】
筋力C 耐久A 敏捷A++ 魔力A+ 幸運D 宝具A

【属性】
混沌・悪

【クラス別スキル】
復讐:B
サーヴァント自身の大切なものを無くした時や傷ついた時に一時的にパラメーターが上昇する。

【保有スキル】
 
究極生命体:A
プロフェッサー・ジェラルド・ロボトニックによって作られた彼の不滅の肉体。
実体化していても物理攻撃によるダメージを10%に軽減し、毒や神経ガスなどの状態異常攻撃を完全に防ぐ。

精神的脆弱:D
クールで冷静な一方で、純粋かつ内向的で繊細なアヴェンジャーの精神的な弱さ。
精神が無防備になっており、精神攻撃に弱い。
アヴェンジャーは他人にはその弱さはみせないものの、
誰も見ていないところでは英霊としての自分の存在について考え事をしていることが多い。

プライド:D
アヴェンジャーが持つ、究極生命体としての誇り。
彼は自分のプライドを傷つけた相手を絶対に許すことはなく、
令呪でも用いない限り、マスターの意向を無視してでもその相手を返り討ちにしないと気が済まない。

魔力制御不能:A
アヴェンジャーは自分の力を制御しきれていないため、力の瞬間的な放出により体力切れで昏倒してしまったエピソードからくるデメリットスキル。
通常のサーヴァントに比べてあらゆる行動で消費する魔力が3倍になる。
スキル:魔力放出も兼ねれば、なんと消費魔力は約6倍。
彼の力は非常に強大でどのサーヴァントにとっても脅威となりうるものだが、
過度な能力の使用はマスターに多大な負担を強いることになる。

魔力放出:A
両手足についている金色のリングを外すことにより、能力を向上させるスキル。
絶大な能力向上を得られる反面、魔力消費は通常の比ではないため、さらに燃費が悪くなる。

騎乗:D
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせる。
本来のランクはもっと高いが、ライダーではなくアヴェンジャーとして召喚されたためランクダウンしている。

カオスエメラルドの知恵:A
後述のカオスエメラルドを応用する知恵。
アヴェンジャーは他のサーヴァントよりも効率的にカオスエメラルドから魔力を抽出でき、
カオスエメラルドを利用した多彩な能力を使用できる。
スキル:魔力制御不能を克服するには、カオスエメラルドが少なくとも2個必要。


173 : キャプテン・アメリカ&アヴェンジャー ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 03:23:28 77BVjnPY0
【宝具】

『混沌を呼ぶ七つの宝石(カオスエメラルド)』
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:自分
アヴェンジャーが現界すると同時に、聖杯戦争の舞台にばら撒かれる7つの宝石。
1つ1つに膨大な魔力が宿っており、魔力のステータスが上昇するとともに、
マスターからの魔力供給をカオスエメラルドで補うことも可能。
手にしたサーヴァントはマスターから離れても半日程度の単独行動もできる。
ちなみにアヴェンジャーの宝具だが、他のサーヴァントが手にしても同様に恩恵を受けることができる。
下手をすると敵を強化してしまいかねない、玄人向けの宝具。


『時空歪める混沌の支配(カオスコントロール)』
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:∞ 最大捕捉:自分
 カオスエメラルドを1個以上所持していることで使用可能。
 時空をゆがめて自分以外の時の流れを遅くする。
 消費魔力を多くすれば完全に時を止めることも可能であり、
 その間、相対的に速く移動でき、物質の質量や耐久値を無視してすり抜けることができる。
 
 客観的に見れば尋常でないスピードで移動しているように見え、
 時を止めた場合は動きを認識することは不可能。テレポートしたように見える。

 攻撃や回避、密室からの脱出などに使える万能かつ強力な宝具。
 ただし、発動中は魔力を常に消費するため、長時間の使用は厳禁。


『覚醒する金色の究極生命体(スーパーシャドウ)』
 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:自分
 カオスエメラルドを7つ集めた状態で発動可能な宝具。
 金色に光る姿に変身し、パラメータが5ランク上昇するとともに、空を飛ぶ事が出来るようになる。
 この姿になったアヴェンジャーを止められるサーヴァントはおそらくこの世に存在しないであろう。
 しかし、マスターの魔力も容赦なく消費するので、長くて3分以内に相手を倒さなければならないという、玄人向けの宝具でもある。

【weapon】
・ホバーシューズ
 シューズの裏に穴が開いており、そこから噴射される空気の力で地面を滑走するように走ることができる。
 そのスピードは彼のよく知る青いハリネズミと勝るとも劣らない。
 他にも空中でホバリングをしたり、急上昇・急下降したり、ジェットから吹き出る炎で攻撃できるなど応用も効く。

【能力・技能】
・銃火器の扱いに長け、徒手格闘もそこそこ出来る。

・カオススピア/カオスランス
 カオスエメラルドを1個以上所持していることで使用可能。
 エネルギーを光の矢に変えて相手を貫く。
 魔力をより多く消費することでカオスランスに強化される。
 
・カオスブラスト
 カオスエメラルドを1個以上所持していることで使用可能。
 カオスエメラルドのエネルギーを蓄積し、一気に放出することにより発生する爆発攻撃。
 周囲一帯の全てのものを吹き飛ばす。
 威力は非常に高いが、その分消費魔力も膨大になるので、カオスエメラルドがある程度集まってから使うのが吉。
 対魔力:B以上である程度ダメージを軽減できる。


174 : キャプテン・アメリカ&アヴェンジャー ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 03:23:52 77BVjnPY0
【人物背景】
プロフェッサージェラルドによって生み出された究極生命体で、ハリネズミを擬人化したような容姿をしている。
世界最速の青いハリネズミ・ソニックと酷似した外見をしており、違いは胸毛があることと黒いことくらい。

究極生命体というだけあってその戦闘能力はずば抜けており、銃弾を受けても弾いてしまうし、神経ガスの中でも平然と動ける。
普段からカオスエメラルド頼みの戦法を使うが、上記のように格闘関連は結構何でも卒なく出来る。
普段履いているのは靴底に4筒のジェットを仕込んでいるホバーシューズ(エアシューズ)。
高速移動はこの靴から噴出されるジェットの力でスケートの要領で滑走している。
そのスピードは高速移動中のソニックに追いつくほど。

一人称は『僕』。クールで冷静、とても無口で必要最低限の発言しかしない。
怜悧な頭脳を持ち、冷徹な態度を取り、強気でプライドが高く、周囲の人々を見下すような態度をとることがある。
プライドを傷付けられると当初の目的を無視して傷付けた相手を返り討ちにしないと気が済まない。
出来るだけ早く確実に目的を達成しようとする傾向があり、目的のためなら手段を問わない危ういまでの純粋さがある。
誰にも従わず、誰の意見も取り入れようとしないなどやや協調性に欠けており、人の話を無視する傾向も多々見られる。
その一方で、行動を共にしているルージュを助けたりするなど、不器用な優しさも持っていたり、
自分の存在意義に悩んだりと内向的で繊細な面もある。
実際、聖杯に仮初めの肉体と精神を与えられたことで、
サーヴァントとしての自分の存在について悩んでいる。

【サーヴァントとしての願い】
 不明。

【基本戦術、方針、運用法】
 潜在能力が非常に高く、その気になればどんなサーヴァントでも無双できる力を持つ。
 
 が、実はとても癖があり、まともな運用は困難。
 8つもあるスキルのうち3つがデメリットしかない時点でお察しである。

 序盤はカオスエメラルドを集めることが急務。
 味方陣営の主従に頼ってでも探し出すべきであろう。
 主な戦闘はマスターに任せてみるのもいい。

 とにかく燃費が悪い。悪すぎる。
 カオスエメラルドがなければ、
 ・アヴェンジャーは協調性が乏しい上、プライドを傷つけられたらマスターを無視して攻撃を開始する
 ・能力の一部・宝具を使えない
 ・消費魔力のせいでそもそも現界すること自体にリスクがある
 という三重苦を抱えることになる。

 さらに、カオスエメラルドは奪われると敵を強化してしまう。

 さらにさらに、カオスエメラルドが集まっても、
 アヴェンジャーは精神攻撃に弱く、対魔力を持っていないため、一瞬の隙を突かれる可能性がある。
 カオスブラストは対魔力をある程度貫通できるが、それでも対魔力:B以上には効果が薄目なので分が悪い。
 
 というような、力に見合った膨大なリスクが常に付きまとう。
 味方陣営の主従と協力してアヴェンジャーの力を最大限に発揮させよう。
 それが功を奏した時、アヴェンジャーは心強い味方となる。
 ある意味、努力に応えてくれるサーヴァントといえよう。


175 : キャプテン・アメリカ&アヴェンジャー ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 03:24:46 77BVjnPY0
【マスター】
 キャプテン・アメリカ

【出展】
 アベンジャーズ

【参加方法】
 ヴィランから奪還したコズミック・キューブが月の石であった。

【マスターとしての願い】
 聖杯戦争には乗らない。
 NPCを含めできるだけ多くの人々を救う。

【weapon】
・希少金属ヴィブラニウムを用いた超合金の盾
 星条旗をモチーフにしたデザインの丸い盾。
 その強度は尋常ではなく、神クラスの攻撃でも傷一つ付かない――というより事実上破壊不可能。
 防御だけではなく打撃や投擲にも用いられる、キャプテン・アメリカのシンボル。
 余談だが、材質には銀も含まれているため、吸血鬼にも有効である。
 
・難燃素材でできたコスチューム
 こちらも星条旗をモチーフにしたデザイン。
 所謂全身タイツであり、ハッキリ言ってダサい。
 ミズ・マーベル曰く「理想を口にすれば誰かに批判をされる現代で、あえて国旗を纏う象徴」もしくは、
 「本来ならば大勢の人間が担うべき国家をたった一人が背負う滑稽さ」としての意味合いであるとされる。


【能力・技能】
・超人的な肉体とその身体能力
 彼は人間として望みうる最高の肉体を持っており、マーシャルアーツを主体とした肉弾戦で戦う。
 あくまでも人間の限界にとどまっている・・・はずなのだが、
 超人血清は身体能力以上に代謝機能や持久力を極端に強化するため、
 500㎏のペンチプレスを持ち上げたり、1マイル走の記録が1分切ったり、雪中行軍も楽々こなすなど、
 明らかに限界突破している点も多かったりする。

・戦略、戦術的知識
 サーヴァントのスキルにおける『カリスマ』『心眼』にあたる能力。
 団体戦闘においては的確な指示を出すことができる優秀な指揮官としても活躍できる。
 白兵戦においても、身体能力で上回るスパイダーマンに勝利した実績もある。
 

【人物背景】
第二次世界大戦中、軍のスーパーソルジャー製造計画に参加し、無敵の肉体を手に入れたヒーロー。
第二次世界大戦の後半、凍結した北極海に落ちたがそこから仮死状態で何十年も生き続けて蘇生された。
現代に甦ったキャプテン・アメリカは時代のギャップに戸惑いながらも、
アベンジャーズの一員としてヒーロー活動を開始する。

超硬度の盾を用い、肉弾戦を行う。
戦士ではあるが、彼の肉体はあくまで人間としての限界であるため、サーヴァント程強くない。
が、持ち前のタフネスな体と精神で、どんな巨悪にも立ち向かう高潔な精神の持ち主。
戦闘技術においても非常に優れており、指揮官としても非常に優秀である。

名前だけを読むと「キャプテン・アメリカ」とまるで政府の忠犬のように思えてしまうが、
そうではなく、彼が忠義を誓っているのは「アメリカ国民が信じる崇高な自由の精神」である。
そのため、政府が暴走した際には政府に対して反旗を翻す時もある。
 
【方針】
NPCを含めできるだけ多くの人々を救う。
そのためにはサーヴァントの協力も必要であるため、
アヴェンジャーから能力の詳細を聞く。


176 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 03:27:24 77BVjnPY0
以上で投下を終了します

ただ、ある程度弱点を設けましたがシャドウがそれでも強すぎるのと、
聖杯戦争がカオスエメラルド争奪戦になってしまう可能性も孕んでますので
ダメだったら言ってください

その他、不自然なところがあったら指摘してください


177 : ◆QyqHxdxfPY :2014/09/15(月) 04:49:11 QOKwpDCU0
皆様投下乙です。
自分も投下させて頂きます


178 : ジョセフ・ジョースター&アーチャー ◆QyqHxdxfPY :2014/09/15(月) 04:50:34 QOKwpDCU0


深夜――――とある家屋の一室。
大きめのベッドに腰掛けているのは屈強な体格の老人。
部屋には僅かな明かりが付けられているのみ。
光によって微かに照らされる老人の表情は、どこか億劫な様子に見えた。
そんな老人の前に立つのは、眼帯で片目を覆っている少女。

「へぇ、まさかアンタみたいなジイさんがオレのパートナーだなんてな」

少女は不敵な笑みを浮かべながら語り掛ける。
その表情から読み取れるものは己への確固たる自信。
自らの力が優秀であると信じて疑わない慢心。
老人は、そんな少女の顔をゆっくりと見上げる。

「俺はアーチャー、アンタのサーヴァントだ」

眼帯の少女。彼女こそが『アーチャー』のサーヴァント。
そしてベッドの腰掛ける老人は、彼女のマスター。
この聖杯大戦の参加者として会場に誘われたされた主従達の一人である。

「…フフ、怖くて声も出ねぇか?」

アーチャーはそう呟きながら、沈黙を貫く自らのマスターの顔を覗き込む。
老人は何一つ話そうとしない。
どこか気難しそうな表情で考え事をしているようだ。
アーチャーはどこかつまらなそうに彼をまじまじと見ていた。
聖杯戦争の実感を掴み切れていないのか。
既に戦いの為の方針を練っているのか。
或は、ただシカトしてるだけなのか。
兎に角口を開かぬ老人に、アーチャーは近づけていた顔を遠ざけ更に話し掛ける。

「まッ、喜びな。アンタが引いたのは『大当たり』だぜ。何せオレは世界水準なんだから―――――――」
「…お嬢ちゃん、一つ聞きたいんじゃが」

自信満々に語ろうとしたアーチャーの言葉が唐突に遮られた。
黙りこくっていた老人がようやく口を開いたのだ。
一瞬やや不服そうな表情を浮かべたものの、すぐに老人を真っ直ぐに見つめる。
聞きたいことがある、とのことだ。
そのままアーチャーは老人の言葉に耳を傾ける――――


「ワシは帰りたいんだが」


アーチャーは己の耳を疑った。
予想もしなかった老人の一言を聞き、眉間をピクリと顰めた。

「…か、帰りたいって?」
「はっきり言わせて貰うが、ワシは聖杯とかいう胡散臭いモンに興味は無い」
「は?」
「というわけで、とっとと帰る方法を教えてくれ」

老人はきっぱりとそう言った。
聖杯に興味無し。戦う気無し。
ムーンセルに誘われておきながら、老人は当たり前のようにその意思を伝えたのだ。
無論、老人のサーヴァントが黙っている筈が無い。

「はァ!?おま、ジジイ何言ってんだ!?じゃ、じゃあオレの戦いは――――」
「知るかッ!ワシは長旅を終わらせて娘の所に帰る所だったっつーのにッ!
 サーヴァントだか何だか知らんが、聖杯なんて知ったことじゃあない!!」
「だったら何で此処にいるんだよ!?」
「むしろワシが聞きたい所だっつーのッ!!」
「テメェこのクソジジイ、ナメてんのかッ!?」

―――――そんなこんなで、言い争いが始まった。

二人は互いに胸倉を掴み、ああだこうだと言い争う。
当初は現状や相手への不満を吐き出していた。
しかしそれは段々罵倒や悪口を交えた口論へとシフトし始めている。
はっきり言ってしまうと、子供レベルの微笑ましい喧嘩だった。

そして、いつまで経っても終わらぬ言い争いに痺れを切らしたアーチャーが吐き捨てる。

「おいジジイ!一つ言わせて貰うがなッ!!」
「何じゃ!」
「聖杯戦争で勝ち残らない限り、アンタは生きて帰れないんだよ!!」
「ニャニィーーーーーーッ!!?」


179 : ジョセフ・ジョースター&アーチャー ◆QyqHxdxfPY :2014/09/15(月) 04:53:31 QOKwpDCU0
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「Oh my god…」
「観念したかい、ジジイ」

数分後、ようやく現状を受け入れた老人は頭を抱えていた。
彼はアーチャーの口から様々なことを聞かされた。
この聖杯戦争、そしてムーンセルのこと。
戦いに勝ち残らなければ脱出は出来ないということ。
そう、戦わなければ生き残れないという現実をまざまざと突きつけられた。

「ま、この戦いは言わば陣営戦。
 何も全員と相手取れってワケじゃないんだから、それだけでもマシだろ?」

ざっくばらんにそう言ってのける少女。
はっはっは、と笑い飛ばしながら老人の肩をポンポンと叩く。
そんな余計な気遣いを他所に、老人は暫く頭を抱えていた。
しかしその直後、何かに気付いた様子で口を開いた。
その問いかけの矛先は無論、アーチャー。

「…えーと、お嬢ちゃん」
「ンだよ」
「その…聖杯戦争っつーのは、願いを叶える為の戦いなんじゃろ?
 お嬢ちゃんにも聖杯に託す願いがあるってことなのか?」

アーチャーから生い立ちを聞いていたジョセフは問いかけた。
彼女は聖杯戦争に関することのついでに、己の素性も語ったのだ。

アーチャーの真名は『天龍』。
軍艦が少女として転生した存在――――艦娘。
天龍は戦前の日本海軍に於いて運用された軽巡洋艦の生まれ変わりである。

ジョセフの問いかけを聞いた天龍は、少しの間を置くように沈黙。
そのまま静かに一息吐き、窓辺に腰掛けて口を紡いだ。

「二度目の生とかには興味は無い。だけど、未練はある」

英霊はゆっくりと語り始める。
己がこの聖杯戦争の召還に応じた理由を。


「オレはかつて、駆逐艦のひよっこ共を前線で率いる指揮官の役割を期待されていた。
 実際にオレは旗艦の座を任せられていた時期もあったさ」

―――少女の戦場は、海だった。

時に穏やかに、時に激しく鳴り響く波の音色。
少しだけしょっぱい潮の匂い。
吹き抜ける爽やかな風。
それらは英霊となって尚、彼女の記憶に染み込まれている。

そんな戦場で、軽巡洋艦「天龍」は戦いを望んでいた。
水雷戦隊の旗艦として駆逐艦達を率い、前線に躍り出て全力で戦う。
それこそがが彼女にとっての歓びだった。
戦う為の軍艦として生み出された少女の、生きる価値を実感出来る瞬間だった。
しかし、至福の時がいつまでも続くことなど無かった。

「だけど、オレは結局第二線に回された。要するに二軍落ちさ。
 オレは世界水準の高性能機だっつうのに、やれ時代遅れだの旧式だの…「力不足」の烙印を押さた。
 それからは警備や支援みたいな地味な任務ばかり寄越されたのさ」

ある時を境に天龍は旗艦の座を下ろされ、第二線に回された。
建造当時は「世界水準」と謳われた彼女も時代の荒波には勝てなかった。
続々と完成する新型の軍艦。更なる性能の向上を実現した数々の兵器。
それらに劣っていた天龍は、旗艦として力不足であると認識されたのだ。
以来、彼女は前線に出ることも出来ず――――――もどかしい日々を繰り返していた。

「まあ、戦場で散ることが出来ただけ幸福なんだろうけどよ…
 どうにも腑に落ちなかった。だからオレは此処に来た」

そう、彼女には未練があった。
世界水準と称されながら、結局は冷遇され第二線に回された事実。
さしたる戦果を挙げることも出来ず、周囲の波に取り残されたという結果。
己が望み続けていた『戦い』を続けることが出来なかったという悔い。
故に彼女は願う。


「――――――――思う存分戦いたい。それがオレの望みだ」


不敵に笑う少女の目は、老人を見据えていた。
その瞳はどこまでも真っ直ぐであり、純粋だった。
己の願いに対し、只管に従順であることを瞳が物語っていた。


180 : ジョセフ・ジョースター&アーチャー ◆QyqHxdxfPY :2014/09/15(月) 04:55:03 QOKwpDCU0
「オレは聖杯そのものに託す願いがない。
 だからこそ、アンタを此処から生きて帰す為に戦うことだって出来る」

どうするよ、と天龍は老人に問いかける。
老人は彼女の話を黙って聞き続けていた。
彼女の来歴を、経緯を、願いを。
全ての瑣末を静かに耳にしていた。
何か悩むような素振りを見せる老人。
進むべき道を選んでいた。
暫しの沈黙がその場を包む。
少女は黙って老人の返答を待ち続けていた。

「やれやれ、じゃのう」

そして、老人はその場で溜め息をつく。
面倒なことに巻き込まれてしまったな、と言わんばかりに顔に手を当てる。
天龍は、無言で老人の『答え』を待つ。
そのまま、少しの間を経て。
老人は、答えた。


「…仕方ない、付き合うとしよう」


―――一先ず、戦いを受け入れることにしたのだ。
最早観念したような様子で彼はそう言い放った。
老人の返答を聞いた瞬間、ニヤッとアーチャーが笑みを浮かべる。
「そうこなくっちゃな」と呟く彼女の表情は不敵であり、どこか晴れやかだった。

「ジジイ、名前は?」
「…ジョセフ・ジョースター」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



承諾してしまった。



本当ならばこんな戦いに興味は無い。
アーチャーというお嬢ちゃんの事情もどうだっていい。
だが、彼女と戦うことを受け入れてしまったのだ。
それは何故か。

(あんな真っ直ぐな目をされたら、断るにも断れんのう)

彼女の目を見てしまったからだ。
生前に果たし切れなかった願い。
どこまでも純粋な望み。
あの目からそんな想いを感じ取ってしまった以上、無下にすることなど出来なかった。
尤も、それがこの老人の持つ優しさであるということに彼自身気付いていないが。

それに、老人はかつて彼女と似たような目を持つ男と戦ったことがある。
どこまでも純粋な武人。戦場で存分に力を振るうことを望んだ戦士。
敵でありながら、高潔な意志を以て戦っていた『人ならざる者』。
彼の目とアーチャーの目が無意識の内に重なって見えたのも共闘を受け入れてしまった一因だった。

(さーて、どうするか…)

アーチャーの望みを叶える。
聖杯戦争から生還する。
その為には戦わなくてはならない。
願いのない自分に出来ることと言えば、それくらいだ。
何もしないままでは始まらないのだ。

成り行きで戦争に巻き込まれてしまった老兵は静かに己の従者を見上げる。
サーヴァントの少女は相も変わらず笑みを浮かべていた。
やれやれと静かにごちりながら、彼は今後の方針を練ることにした。
この聖杯戦争を生き残る為の術。それを考えなくてはならない。

彼の名はジョセフ・ジョースター。
かつて人間を超越する『闇の一族』を打ち倒した波紋戦士。
そして現代において、空条承太郎らと共に邪悪の化身を撃破したスタンド使い。

ジョセフ・ジョースターの奇妙な冒険が、再び幕を開ける。


181 : ジョセフ・ジョースター&アーチャー ◆QyqHxdxfPY :2014/09/15(月) 04:55:41 QOKwpDCU0

【クラス】
アーチャー

【真名】
天龍@艦隊これくしょん

【パラメーター】
筋力D 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運D 宝具E

【属性】
秩序・中庸

【クラススキル】
対魔力:E
魔力に対する守り。
無効化はせず、ダメージ数値を多少軽減する。

単独行動:D
マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界していられる能力。
Dランクなら半日程度の現界が可能。

【保有スキル】
艦娘:A
少女として転生した軍艦であることを表すスキル。
水上戦では全パラメーターにプラス補正がかかる。
また、鉄や燃料などの資材を取り込むことで魔力回復、肉体修復を行うことが可能。
資材消費によって基礎能力を上昇させることも出来る。
ただしアーチャーの場合拡張性が低く、劇的な強化は期待出来ない。

旗艦:D
海鮮で司令塔として指令を発する軍艦であることを表すスキル。
生前に水雷戦隊の旗艦として建造された経歴を由来とする。
集団戦において自軍の能力をある程度上昇させる。

遠征:D
生前に秀でていた航続距離に基づく遠征能力。
単独行動時、アーチャーが負担する魔力消費が軽減される。

戦闘続行:E
往生際が悪い。
例え負傷しようと意地を見せ、しぶとく戦い続ける。

【宝具】
『軽巡洋艦 天龍』
ランク:E 種別:対艦宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:100
軽巡洋艦としての武装そのものが宝具。戦闘時、背中のタンクに装備される。
使用可能な武装は中距離砲『14cm単装砲』、対空機銃『7.7mm機銃』。
元は通常兵器に過ぎなかったため神秘こそ最低ランクだが、宝具でありながら燃費は概ね良好。
14cm単装砲はそこそこの威力と射程を誇り、魔力消費もそこまで高くは無い。
ただし対空能力は劣悪なので空中の敵を狙い打つことは苦手。
7.7mm機銃は性能こそ控えめだが非常に低燃費であり、最低限度の殺傷能力は備えているので扱いやすい。
単装砲と違い対空機銃である為、空中の敵に対しては有利な補正が与えられる。

【weapon】
『刀』
近接戦闘用の刀。
アーチャーは白兵戦に優れているとは言い難く、専ら護身武器としての要素が強い。

【人物背景】
日本海軍の小型軽巡洋艦、天龍型の一番艦。姉妹艦として龍田がいる。
水雷戦隊で駆逐艦を率いる旗艦としての運用を期待されていた軍艦である。
1928年まで水雷戦隊の旗艦を務めた後、太平洋戦線の各地攻略を支援。
1942年のマダン上陸作戦支援中、米軍の潜水艦アルバコアの雷撃を受けて沈没した。
第一次世界大戦直後に建造され、完成当時は文字通り世界最高水準のスペックだった天龍。
しかし拡張性が皆無であることが災いとなり、太平洋戦争時には既に旧式艦となっていた。

艦娘となった天龍は完成当初世界最高水準であった影響か、自信過剰で不敵な性格。
「オレ」という一人称が特徴的。好戦的・挑発的な言動が目立つ武闘派。
旧型であるためその性能は高いとは言い難いが、燃費の良さから遠征艦隊の一員としては優秀。

【サーヴァントの願い】
聖杯戦争で思う存分戦いたい。

【基本戦術、方針、運用法】
生前に旧式艦として散った為かパラメーターは総じて低く、無策の正面対決ではまず打ち負ける可能性が高い。
しかし宝具の魔力消費が低く、資材による魔力回復も見込める為に燃費は良好である。
低ランクではあるものの、単独行動・遠征の両スキルの恩恵でマスターへの負担も小さい。
低燃費と単独行動スキルを活かし、中距離からの砲撃・射撃戦に徹するのが基本。
近接戦闘に持ち込まれたら距離を取るか撤退を選んだ方が良い。
ただし好戦的かつ自信過剰な性格が目立ち、戦術面で秀でているとは言い難い。
突撃しがちなアーチャーを適度に宥め、効果的に運用する戦術を練るのは老練な策士であるジョセフの仕事だろう。


182 : ジョセフ・ジョースター&アーチャー ◆QyqHxdxfPY :2014/09/15(月) 04:56:22 QOKwpDCU0

【マスター】
ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 第3部「スターダストクルセイダース」

【参加方法】
DIOの館から回収した物品の中に『月の石』があった。

【マスターの願い】
特になし。生きて帰りたい。

【weapon】
なし

【能力・技能】
『隠者の紫(ハーミットパープル)』
精神の具現『スタンド』。ジョセフの腕に絡み付く茨のようなビジョンを持つ。
主な能力は探知と遠隔視。カメラを叩くことで遠方の念写が出来る。
砂を媒体に街の地図を作り出したり、機械や電線の内部を調べたりと非常に応用が利く。
茨を伸ばして何かを掴むことも可能である他、後述の波紋を流し込める。
本来スタンドはスタンド使いにしか視認出来ないが、ムーンセルではマスターやサーヴァントならば視認・干渉が可能。
ただし神秘の無い攻撃でスタンドを傷付けることは難しい。

『波紋法』
特殊な呼吸が生み出す能力。
生物に対して効果を発揮し、特に吸血鬼といった太陽を弱点とする種族には強力な有効打となる。
波紋使いは波紋の呼吸によって生命力が齎される為、呼吸を乱さぬ限り高いスタミナを保つことが出来る。
通常の生物も波紋で痺れさせることが可能であり、また肉体の治癒や回復にも使える。
波紋は液体に伝導するので、武器に油などを塗り込むことで波紋を帯びさせた武器を作り出すことも可能。
ただし波紋は破壊の為の力ではなく、鉄などの堅牢な物質を直接破壊することは出来ない。
前述の通り呼吸がエネルギーを生み出す為、呼吸が出来なくなれば波紋が練れなくなる。

【人物背景】
ジョジョ第2部の主人公であり、第3部の主人公「空条承太郎」の祖父。
本企画のジョセフはスタンドに目覚めて以降、第3部の老人ジョセフである。
老人らしからぬ軽い性格であり飄々としているが、策士としての機転と頭脳は健在。
作中では全盛期程の活躍は見せないが、ジョースター一行の纏め役としてチームを引っ張っている。
左手の手首から先は第2部の戦いで失われており、義手となっている。
本企画では第3部終了後間もなくからの参戦。

【令呪】
右手の甲に存在。二つの茨が絡み付く星の形状。
消費は二つの茨が一角目と二画目、星が三角目。

【方針】
聖杯なんてものに興味は無い。
生きて帰る為に、アーチャーの望みの為にとりあえず戦う。
脱出の手段が見つかればそちらを優先したい…のだが、その場合アーチャーをどうするかは未定。


183 : ◆QyqHxdxfPY :2014/09/15(月) 04:56:49 QOKwpDCU0
投下終了です。


184 : 名無しさん :2014/09/15(月) 12:22:00 MrUe78jQO
>>176
サーヴァントだからマスターがいて、魔力をどうにかしなきゃいけないのとカオスエメラルド探しに精神的弱さがあるから強すぎではないと思います。(CCCの漫画だと視界に納めた空間の時間停止持っている(高ステータス)やいずれは星を破壊する宇宙レベルの災害になるチートスキルを持ってる奴がいるから大丈夫かと)


185 : 名無しさん :2014/09/15(月) 13:05:10 YfZJxks.0
実際シャドウは見た感じポテンシャルの高さの分燃費が極悪だし、大丈夫じゃないかな
むしろ聖杯大戦の情勢に大きく影響及ぼしそうなカオスエメラルドの存在がかなり厄介になりそう
氏が触れてる通り流れがカオスエメラルド争奪戦になりかねないし


186 : 名無しさん :2014/09/15(月) 14:28:38 X2LZ.sV.0
それ、あえて大戦形式の聖杯戦争でやらなきゃいけないのかな>カオスエメラルド争奪戦


187 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 16:37:45 L1fcYCjA0
キャップ&シャドウを書いた者です
一応カオスエメラルドを排除してステ調整したやつを用意してあります
自分でも聖杯戦争揺るがすような宝具持たせるのはどうかと思ってましたので
カオスエメラルド関連を排除した方がいいのでしたら
今日の夜にカオスエメラルド無しverのステ表を投下しようと考えております


188 : 名無しさん :2014/09/15(月) 17:15:45 pyxp8lyM0
これまでに出た組み合わせ

【セイバー】
呉島貴虎@仮面ライダー鎧武 & 雅緋@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-

【アーチャー】
セッツァー・ギャッビアーニ@ファイナルファンタジーVI & セレスティア・ルーデンベルク@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生
天龍@艦隊これくしょん & ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 第3部「スターダストクルセイダース」
イースレイ@クレイモア & アザミ@カゲロウプロジェクト

【ランサー】
クー・フーリン@Fate/EXTRA CCC & 鳴上悠@ペルソナ4
タケ@きのこたけのこ戦争if & ディオ@ジョジョの奇妙な冒険(第一部)

【ライダー】
リュカ(DQV主人公)@ドラゴンクエストV & カレン・オルテンシア@Fate/Hollow ataraxia
ワムウ@ジョジョの奇妙な冒険 & 小泉ジュンイチロー@ムダヅモ無き改革
アストルフォ@Fate Apocrypha & 横島忠夫@GS美神 極楽大作戦!!

【アサシン】
うちはマダラ@NARUTO & 神原駿河@化物語
二ッ岩マミゾウ@東方project & 影森の正吉(しょうきち)@平成狸合戦ぽんぽこ
プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険 & 星空凛@ラブライブ!

【キャスター】
隼鷹@艦隊これくしょん & 沢木直保@もやしもん
ガミジン@妹が作った痛いRPG & 雨生龍之介@Fate/zero
ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム & 直枝理樹@リトルバスターズ!

【バーサーカー】
魔神ザウーガ@エロタワー & ロザリンド・スターリング@ロリポップチェーンソー
人類種の天敵@ARMORED CORE for Answer & 遠野四季@真月譚月姫(漫画版)

【ビースト】
野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ & タバサ(娘)@ドラゴンクエストⅤ―天空の花嫁―
【アヴェンジャー】
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ@ソニックシリーズ & キャプテン・アメリカ@アベンジャーズ


189 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/15(月) 18:49:25 vnHM4FTAO
投下とまとめありがとうございます。
エクストラクラスのクラススキルについては「常識の範囲内で適度に」決めてくれればいいかなと思っています。
元よりエクストラクラスですし、違うサーヴァントが同じクラスでクラススキルが違っても問題にはしません。

>>187
できれば排除した方が扱いやすいかな、とは思います。
ただまあ、好みで構いません。


190 : 名無しさん :2014/09/15(月) 19:31:23 R1wdfBN.0
>>1氏からは現状どのコンビが"良い"と感じておられますか?
また締め切りは具体的にはあとどのくらいで……


191 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 20:12:54 77BVjnPY0
>>189
お答えいただきありがとうございます
カオスエメラルド関連ではご迷惑をおかけして申し訳ありません
当たり前ですけど宝具に全書き手が合わせるなんて無理がありますよね・・・


では、シャドウのカオスエメラルドをなくしたステ表を投下します

ただ、消費魔力はカオスエメラルドありきだったのでそれに伴い一部変更してます


192 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 20:13:49 77BVjnPY0
【クラス】
アヴェンジャー

【マスター】
キャプテン・アメリカ@アベンジャーズ

【真名】
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ@ソニックシリーズ

【パラメータ】
筋力D 耐久A 敏捷A++ 魔力A+ 幸運D 宝具A

【属性】
混沌・悪

【クラス別スキル】

対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

復讐:B
サーヴァント自身の大切なものを無くした時や傷ついた時に一時的にパラメーターが上昇する。

【保有スキル】
 
究極生命体:A
プロフェッサー・ジェラルド・ロボトニックによって作られた彼の不滅の肉体。
実体化していても物理攻撃によるダメージを10%に軽減し、毒や神経ガスなどの状態異常攻撃を完全に防ぐ。

精神的脆弱:D
クールで冷静な一方で、純粋かつ内向的で繊細なアヴェンジャーの精神的な弱さ。
精神が無防備になっており、精神攻撃に弱い。
アヴェンジャーは他人にはその弱さはみせないものの、
誰も見ていないところでは英霊としての自分の存在について考え事をしていることが多い。

プライド:D
アヴェンジャーが持つ、究極生命体としての誇り。
彼は自分のプライドを傷つけた相手を絶対に許すことはなく、
令呪でも用いない限り、マスターの意向を無視してでもその相手を返り討ちにしないと気が済まない。

魔力制御不能:A
アヴェンジャーは自分の力を制御しきれていないため、力の瞬間的な放出により体力切れで昏倒してしまったエピソードからくるデメリットスキル。
通常のサーヴァントに比べてあらゆる行動で消費する魔力が2倍になる。
スキル:魔力放出も兼ねれば、なんと消費魔力は約4倍。
彼の力は非常に強大でどのサーヴァントにとっても脅威となりうるものだが、
過度な能力の使用はマスターに多大な負担を強いることになる。

魔力放出:A
両手足についている金色のリングを外すことにより、能力を向上させるスキル。
絶大な能力向上を得られる反面、魔力消費は通常の比ではないため、さらに燃費が悪くなる。

騎乗:D
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせる。
本来のランクはもっと高いが、ライダーではなくアヴェンジャーとして召喚されたためランクダウンしている。

カオスエメラルドの知恵:A
生前、カオスエメラルドを応用することに長けていたことからくるスキル。
アヴェンジャーはカオスエメラルドがなくとも下記の多彩な能力を使用できる。

【宝具】

『時空歪める混沌の支配(カオスコントロール)』
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:∞ 最大捕捉:自分
 時空をゆがめて自分以外の時の流れを遅くする。
 消費魔力を多くすれば完全に時を止めることも可能であり、
 その間、相対的に速く移動でき、物質の質量や耐久値を無視してすり抜けることができる。
 
 客観的に見れば尋常でないスピードで移動しているように見え、
 時を止めた場合は動きを認識することは不可能。テレポートしたように見える。

 攻撃や回避、密室からの脱出などに使える万能かつ強力な宝具。
 ただし、発動中は魔力を常に消費するため、長時間の使用は厳禁。


『覚醒する金色の究極生命体(スーパーシャドウ)』
 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:自分
 かつて、世界を救う際に金色に光る姿に覚醒したエピソードからくる宝具。
 金色に光る姿に変身し、パラメータが5ランク上昇するとともに、空を飛ぶ事が出来るようになる。
 この姿になったアヴェンジャーを止められるサーヴァントはおそらくこの世に存在しないであろう。
 しかし、マスターの魔力も容赦なく消費するので、長くて3分以内に相手を倒さなければならないという、玄人向けの宝具でもある。
 膨大な魔力を消費するため、消耗した分の魔力を回復するのは数日かかる。
 長時間まともに戦えなくなることを考慮すると、使用できるのは1回限りと割り切った方がよい。
 この姿で魔力が尽きた場合、アヴェンジャーは元の黒いハリネズミに戻り、数秒後に消滅する。


193 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 20:14:29 77BVjnPY0
【weapon】
・ホバーシューズ
 シューズの裏に穴が開いており、そこから噴射される空気の力で地面を滑走するように走ることができる。
 そのスピードは彼のよく知る青いハリネズミと勝るとも劣らない。
 他にも空中でホバリングをしたり、急上昇・急下降したり、ジェットから吹き出る炎で攻撃できるなど応用も効く。

【能力・技能】
・銃火器の扱いに長け、徒手格闘もそこそこ出来る。

・カオススピア/カオスランス
 エネルギーを光の矢に変えて相手を貫く。
 魔力をより多く消費することでカオスランスに強化される。
 
・カオスブラスト
 カオスエメラルドのエネルギーを蓄積し、一気に放出することにより発生する爆発攻撃。
 周囲一帯の全てのものを吹き飛ばす。
 威力は非常に高いが、その分消費魔力も大きくなるので、魔力に余裕があるときに使うのが吉。
 対魔力:A以上である程度ダメージを軽減できる。

【人物背景】
プロフェッサージェラルドによって生み出された究極生命体で、ハリネズミを擬人化したような容姿をしている。
世界最速の青いハリネズミ・ソニックと酷似した外見をしており、違いは胸毛があることと黒いことくらい。

究極生命体というだけあってその戦闘能力はずば抜けており、銃弾を受けても弾いてしまうし、神経ガスの中でも平然と動ける。
普段からカオスエメラルド頼みの戦法を使うが、上記のように格闘関連は結構何でも卒なく出来る。
普段履いているのは靴底に4筒のジェットを仕込んでいるホバーシューズ(エアシューズ)。
高速移動はこの靴から噴出されるジェットの力でスケートの要領で滑走している。
そのスピードは高速移動中のソニックに追いつくほど。

一人称は『僕』。クールで冷静、とても無口で必要最低限の発言しかしない。
怜悧な頭脳を持ち、冷徹な態度を取り、強気でプライドが高く、周囲の人々を見下すような態度をとることがある。
プライドを傷付けられると当初の目的を無視して傷付けた相手を返り討ちにしないと気が済まない。
出来るだけ早く確実に目的を達成しようとする傾向があり、目的のためなら手段を問わない危ういまでの純粋さがある。
誰にも従わず、誰の意見も取り入れようとしないなどやや協調性に欠けており、人の話を無視する傾向も多々見られる。
その一方で、行動を共にしているルージュを助けたりするなど、不器用な優しさも持っていたり、
自分の存在意義に悩んだりと内向的で繊細な面もある。
実際、聖杯に仮初めの肉体と精神を与えられたことで、
サーヴァントとしての自分の存在について悩んでいる。

【サーヴァントとしての願い】
 不明。

【基本戦術、方針、運用法】
 潜在能力が非常に高く、その気になればどんなサーヴァントでも無双できる力を持つ。
 
 が、実はとても癖があり、まともな運用は困難。
 9つもあるスキルのうち3つがデメリットしかない時点でお察しである。

 とにかく燃費が悪い。悪すぎる。
 消費魔力を抑えるために能力を使わず肉弾戦で挑もうにも、筋力が低いため銃火器を使った方がダメージ効率が良く、
 アヴェンジャー自身の肉体のみでは決め手に欠ける。主な戦闘はマスターに任せてみるのもいい。
 相手に大ダメージを与えるためには、魔力を大きく消耗するカオスランスやカオスブラストに頼らねばならない。
 
 弱点も多い。アヴェンジャーは精神攻撃に弱く、対魔力スキルはあるものの申し分程度であるため、
 一瞬の隙を突かれる可能性がある。
 カオスブラストは対魔力をある程度貫通できるが、それでも対魔力:A持ちには効果が薄目なので分が悪い。
 
 というような、力に見合ったリスクが常に付きまとう。
 消費魔力に細心の注意を払い、残りの魔力と相手の状況に合わせて適切な手段を取ろう。
 それが功を奏した時、アヴェンジャーは心強い味方となる。
 ある意味、努力に応えてくれるサーヴァントといえよう。


194 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/15(月) 20:20:10 77BVjnPY0
投下を終了します

変更点は
筋力C→D
魔力制御不能による消費魔力増加を3倍(6倍)→2倍(4倍)
対魔力:D追加
カオスブラストに抵抗可能な対魔力のランクをB以上→A以上
カオスエメラルドの知恵の内容変更

くらいです


195 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/15(月) 21:12:12 S630ZSqM0
三騎目になりますが投下します


196 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/15(月) 21:12:55 S630ZSqM0
全く知らない異国の地。
右も左も分からない。
そこで戦争に巻き込まれ両親が死んでしまった。
帰る術も分からない。
ここかどこだか分からない。
泣いた、必死に泣いた。
だけど誰も構ってくれない。
どうしたの?と心配してくれない。
みんながみんな、戦争に夢中だったからだ。
『神』の為に血を流すのに必死だったからだ。

誰も『アタシ』に見向きもしなかった。

それからどうやって生きたのか、途方に暮れた。
何とか必死に生きた。
食べ物を盗んだ。
その中で、死んだ奴、殺された奴、いくらでも見てきた。
互いが互いに罵り合い。
憎み合う。
恨み、殺し合う。
ここは地獄だ。

昔の夢を見るのは珍しいことではない。
男女の死体を傍らに健気に泣く一人の少女。
周囲には銃弾と死体、砂ほこりが舞い上がり、銃声が泣き声をかき消す。

あぁ……アレはあたしだ…

溜息のように呟いた。
そして、夢が醒める――その繰り返し……
だけど今日は違う。
向こうから宵闇が現れたのだ。
その宵闇に気づき、振り返ると宵闇はすぐ傍にいる。
そして囁いた。

「成る程……それで君は取り残された訳だね?
 君の望む復讐は永遠に終わる事はない、永遠に復讐を遂げなくてはらない
 それが君にとっての幸福なのかな?」

どこの誰かは知らない。だけどあたしは答えた。

「アタシは両親の復讐なんかしたくねぇよ。殺した奴の顔すら覚えていないんだからな!
 アタシが殺したいのは『神』さ!!この世に存在するありとあらゆる『神』!!!
 一人だろうが何人いようが構わない!『神』を殺す!」

「宜しい、ならば神への復讐劇を始めようか」


197 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/15(月) 21:13:42 S630ZSqM0
◇  ◇  ◇


「っ!?」

雨流みねねは起床と共に記憶を取り戻していた。
いや、違う。そうではない。
アレはなんだ?

一瞬パニックになってしまったが、冷静に彼女は整理していく。
聖杯戦争…二人のルーラー……月と地球が、どうだっけ?
だが、サーヴァントを召喚したマスターが参加の権利を持つ証――令呪。
それがみねねには刻まれていた。
ということは――脳裏に浮かぶコレやあの夢は――……
恐る恐るみねねは呼びかけた。

「アヴェンジャー…」

すると、あの宵闇が姿を現す。

「少し落ち着いたかな」
「まったく…このみねね様にお気楽な日常生活を送らせるとは――聖杯もやってくれるじゃない」
「仕方ない。そういう仕組みなのだから」
「はぁ……それより、こっから色々準備しねぇとな。
 まずは爆弾でも……あ、そうだ。真名っていうか、どういう英霊なんだ?」

なんとなく話題の種にでもなるかもしれないとみねねは問いかけただけだ。
真名なんて興味はないし、英霊にも興味はない。
むしろ敵に知られれば不味いものだから、聞きださない方がいいのかも――
対して宵闇のアヴェンジャーは少しだけ間を開けてから

「記憶が欠如してしまっているらしい。思い出せないんだ」
「……はぁあぁーーーーーーーっ!?」
「本当だよ」
「い、いや、そんなのアリ……別にいっか…」

そこのところは納得できなかった。
訳の分からぬ企画外のサーヴァントであろうことはみねねも承知しているのだが。
記憶がないとはいかに?

「私は君の『憾み』と『復讐』により召喚された。
 ならばその『復讐』に手を貸そう。それだけで十分じゃないか」
「え、あ、まぁ…そうだけど」
「それとも君の『憾み』は晴れてしまったのかな?」
「……冗談じゃない」

ある種、みねねの『憾み』こそ企画外だ。
神の殺害。
神への復讐。

復讐劇の幕が上がったに過ぎない。
復讐者たちの劇が今、開幕する―――


198 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/15(月) 21:14:42 S630ZSqM0
【クラス】アヴェンジャー
【真名】メルヒェン・フォン・フリートホーフ@Sound Horizon
【性別】男性
【属性】秩序・悪

【パラメーター】
筋力:E 耐久:E 敏捷:C 魔力:A++ 幸運:D 宝具:??


【クラススキル】
欠如:A
 何かを失う事により何かを得る。
 今回は自身の記憶と真名を失うことにより
 魔力のパラメーターを最大限まで引き上げた。


【保有スキル】
気配遮断:C
 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

気配察知:A
 『憾み』を持つものを察知するのに特化している。
 『憾み』の強さも判別可能である。

反魂:A
 死者の魂を呼び起こせる。
 『憾み』を持つものが生きているとは限らない。

宵闇:C
 敵の逃げ場を奪うスキル。
 仕切り直しなど戦線離脱の妨害。


【宝具】
『宵闇の唄』
ランク:E〜A 種別:??? レンジ:??? 最大補足:???
対象を『憾み』の傀儡にし発動させる。『憾み』を持つものであれば何でもよい。
NPCもサーヴァントもマスターも、生者も死者も全てが対象となる。
抱く『憾み』が強いほどアヴェンジャーの支配から逃れるのは困難。
アヴェンジャーの支配から逃れるには強靭な精神が必要。

アヴェンジャー自らが手を下す訳ではなく
復讐対象に報復を下す為に因果律を操る高度な宝具。
『憾み』の度合い、『憾み』に対する復讐によってランクと内容が変動する。
(子供の恨みは子供による復讐、死の復讐は死による復讐、嫉妬の復讐は焼き爛れる復讐のように)
『憾み』の復讐対象のみ復讐劇を行う。復讐を果たせば復讐劇は終わる。
復讐対象がサーヴァントの場合はパラメーターの幸運を1ランク下げる。

またこの宝具を発動させ、因果律を操る際には魔力を必要としない。
魔力を必要とするのは『憾み』の傀儡を繋ぎとめる時。(死者の場合は魂を繋ぎとめる為に)
傀儡がサーヴァントやマスターならばそれなりの魔力が必要だろう。


【人物背景】
井戸で死んだ少年の魂。
『イド』の影響により力を得ただけで英霊でもなんでもない。
クラススキルにより自身の真名と記憶を忘れている。

【サーヴァントとしての願い】
みねねの復讐に手を貸す

【基本戦術、運用法】
真正面の戦闘は不可能である。
『憾み』が強いものを探し、傀儡にし復讐劇を運用する戦法しかない。
復讐対象の位置によってはかなり広範囲まで攻撃が届く。
直接対峙することなく相手を倒す事は可能かもしれない。
しかし、必ずしも死へ繋がる攻撃とも限らないことから決定打には難しい。
サーヴァントかマスターを傀儡にすれば一発逆転の可能性もある。
令呪を使ってでもやる価値は十分ある。

天敵となりうるのは理性のないバーサーカーかもしれないが
狂化の内容が憎しみや恨みならば無条件にアヴェンジャーの支配下へおけるだろう。


199 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/15(月) 21:15:07 S630ZSqM0
【マスター】雨流みねね@未来日記

【参加方法】
何らかの方法で月の石と接触

【マスターとしての願い】
『神』を殺す

【能力・技能】
爆弾の作成。
エキスパートと称しても過言ではない。
ある程度のもので小型爆弾などは容易に作成できるだろう。

変装も得意

【weapon】
爆弾
変装道具

【人物背景】
幼い頃、異国の宗教紛争で両親を亡くし『取り残されて』しまった。
それ以降『神』を恨み、テロリストとして宗教関係の施設を襲うようになる。
あるサバイバルゲームに巻き込まれる運命にあったが
彼女はそれに参加する以前の彼女。『未来日記』なんてものは所持していない。

【方針】
アヴェンジャー同じく真っ向勝負はできない。
爆弾を使い、撹乱やマスター狙いに絞った方がいいだろう。


200 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/15(月) 21:15:51 S630ZSqM0
投下終了します。エキストラクラスなのでご指摘あればお願いします。


201 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/15(月) 23:59:51 B6VvrG620
皆様、投下乙です。
ランサー組、投下させていただきますね。


202 : 鵺野鳴介&ランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/16(火) 00:02:00 4/8D0EOk0



 ――この小学校には、ささやかな怪談がある。



 6年1組の担任である鵺野鳴介がそれを知ったのは、生徒達の他愛ない噂話からだった。

 “クラスの席が知らないうちに一つ増えている。そこには誰も知らない女の子が座っている――”

 なんてことのない、よくある怪談。鳴介にとってはあまりにありふれた、そんな噂話。

 日本でただひとりの霊能力教師、『ぬ〜べ〜』こと鵺野鳴介にとっては。



「……ぜんぶ思い出したんですね、先生」


 誰もいない教室が、夕焼けの光で茜色に染まる。
 開けっ放しの窓から吹き込む涼やかな風がカーテンと、彼女の切り揃えられた黒髪を揺らす。
 どこか幻想的なその光景、その真ん中に佇む少女を前に、鳴介は答えた。

「ああ。何もかも思い出した。そして、“聖杯大戦”のことも」

 聖杯大戦。
 願いを持つ魔術師達がふたつの陣営に分かれて万能の願望機を巡って殺し合う、月と地球の聖杯戦争。
 その記憶を与えられたということは、自分が『予選』を勝ち抜いたと見なされたということだろう。

 なぜ自分がその戦いに巻き込まれたのかも、何となくだが察しがついていた。
 おそらくは『月の石』。霊能アイテムとの触れ込みで持ち込まれたそれに『鬼の手』で触れてしまったのが原因だろう。
 しかしさっきまでの自分はその記憶も、それどころか自身が霊能力者であることすら忘れていた。
 自分達が担当していないはずの生徒達を、何の疑問も持たずに指導する日々。
 しかしあの他愛ない怪談が、自分の中に眠っていた記憶を、『地獄先生ぬ〜べ〜』としての自覚を呼び覚ましたのだ。

「それじゃ、君が怪談に語られる、いないはずの生徒なのか?」

 ぬ〜べ〜の問いに、黒髪の少女はくすりと口元だけで笑った。

「いえ、噂の真相は、きっと網霊(サイバーゴースト)の欠片だと思います。ムーンセルのデータのバグが、NPCの子達の噂になったんでしょう」
「すると、君はいったい……?」
「もう分かっているでしょ、先生? ――私、先生のサーヴァントです」


203 : 鵺野鳴介&ランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/16(火) 00:02:44 4/8D0EOk0

「……信じていませんね、先生?」
「あ、いや……すまん」
「いえ、いいんです。本当は戦う時だけにしたいんですけど……特別に、私の本当の姿を先生にお見せします」

 本当の姿ってなんだ、と聞き返すよりも早く、少女は懐から小さなスティックを取り出した。
 先端に球状の意匠の付いた、ペンかリップスティックのようにも見えるそれを、手の中でくるくると回す。
 そして。
 彼女は叫ぶ。
 真の姿、戦士としての本当の姿を取り戻すための、その言葉を。



「――サターン・プラネットパワー! メーイクアーップ!」


 教室内の茜色が、彼女を中心に放たれた紫色の光に塗り替えられた。
 溢れ出す魔力が、風のように吹き荒れてカーテンをはためかせた。
 しかしその変化は一瞬。劇的に起こり、劇的に収まる、そんなスペクタクル。
 そして元通りになった教室で、ぬ〜べ〜の視線の先に立っていたのは、前と同じ、しかし前とは違う少女。
 同じ少女だというのは感覚で分かる。しかし纏う空気は一変していた。無力な小学生ではなく、戦士としてのそれだった。

 彼女が凛とした声で告げる。


「沈黙の星、土星を守護に持つ、破滅と誕生の戦士『セーラーサターン』。
 此度の聖杯戦争では、『槍兵(ランサー)』のクラスを得て現界しました」


 ランサーのクラス名が象徴する武器、彼女の身の丈を優に凌ぐ鎌矛(グレイブ)を掲げ、彼女はその真名を口にした。
 文字通り『変身』した彼女は、マスターたるぬ〜べ〜の目から見ても、押しも押されぬ英雄であるといえる。
 身体的にこそ屈強とは言い難いものの、その溢れんばかりの魔力と、手にした宝具が並大抵のものでないのは一目瞭然だ。

「先生……いえ、マスター。私はサーヴァントとしての使命を全うするため、この身を捨てて戦うつもりです。
 差し支えなければ、マスターが聖杯に託す願いを教えていただけますか? 私、その願いのためにこの生命を使いますから」

 そう言って微かに微笑む彼女の表情は、儚げで、そして胸が締め付けられるぐらいに健気だ。
 ぬ〜べ〜はそんな彼女の瞳から目を逸らさずに、言葉を選びながらも真っ直ぐに自分の気持ちを伝えることにした。

「……ランサー。俺には、聖杯に託す願いはない」

 予想外の答だったのだろう、きょとんとしたランサーが口を開く前に、ぬ〜べ〜は言葉を続ける。

「俺だって人間だ。欲のひとつやふたつ、叶えたい願いのひとつやふたつだってあるさ。
 だけどな、俺は同時に教師なんだ。人の命を奪って願いを叶えたなんて、どの面下げて俺の生徒達に言えばいいんだ?
 だから、俺の聖杯大戦での願いは……そうだな。出来る限り犠牲者を出さずに、この戦いを終わらせることだ。
 犠牲者を出さずにっていうのは、もちろん君もだ。たとえ英霊だって、子供が命を投げ出すのを見過ごすようじゃ教師失格だからな」


204 : 鵺野鳴介&ランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/16(火) 00:03:30 4/8D0EOk0

 ランサーはぱちぱちと瞬きをして、それからふっと表情を曇らせた。

「マスターの言うことは、御立派だと思います。それでも、この聖杯戦争に参加するマスター達が、マスターの言葉を聞くかどうか……。
 それぞれが違う願いを持って戦いに望んでいるわけですし……それに、いくら生還者を増やそうとしても、どちらにしろ半分の7組は……」
「理想通りにいかなくても、やれることを探すさ。ランサー、そのために力を貸してくれ。決して俺の願いを叶えるためじゃなく」

 そう言ってぬ〜べ〜は手を差し伸べる。ランサーは僅かに迷い、それでもおずおずとその手を取った。

「自己紹介がまだだったな。俺は鵺野鳴介。生徒達には『ぬ〜べ〜』って呼ばれている。君の名前は?」
「え、ええと……私の名前は、既に名乗りましたよね?」
「セーラーサターンは、戦士の名前だろう? 俺は、君の人間としての名前が知りたい」

 ランサーの頬に僅かに赤みが差した。はにかみながら、躊躇いながら、彼女は名前を口にする。

「……土萠ほたる、です」
「よろしくな、ほたる。俺のことはマスターじゃなくてさっきみたいに先生でいい。なんなら、ぬ〜べ〜でもいいぞ」
「……よろしくお願いします、鵺野先生」

 そう言って恥ずかしげに目を逸らす彼女を見て、ぬ〜べ〜は決意を新たにする。

(ほたるは死なせない。他のマスター達も極力死なせたくない。そして、絶対に堂守小学校のあいつらの元に戻らなきゃいけない。
 この俺にどこまでやれるのか……それでも、今の俺は一人じゃない。そして、何もせずに諦めるのは、それこそ俺らしくないな)

 左手にランサーの手のひらの感触を感じ、右腕の鬼の手を固く握りながら、ぬ〜べ〜は窓の外に目をやった。
 いつの間にか夕日は完全に落ち、代わりに輝く月がその姿を現していた。
 月を守護する戦士であるランサーの、あるいはこの月と地球の聖杯大戦の、そしてまだ見ぬマスター達の運命を象徴する光。



 ――月の光に導かれ、何度も巡り合う。


.


205 : 鵺野鳴介&ランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/16(火) 00:05:50 4/8D0EOk0
【クラス】
ランサー

【真名】
セーラーサターン(十萠ほたる)@美少女戦士セーラームーンS

【パラメーター】
筋力C 耐久D 敏捷B 魔力A+ 幸運E 宝具A

【属性】
混沌・善


【クラススキル】
対魔力:A
魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつけることは出来ない。

【保有スキル】
変身(メイクアップ):A
セーラー戦士に変身するスキル。変身には専用のリップロッドを使用する。
後述の病弱スキルとの関係で、ランサーは変身してはじめて本来の力を発揮できる。
また非戦闘時は変身を解除することで、クラス名の隠匿および魔力消費の抑制が可能。

自己犠牲:A
使命のためならば己の命も省みない精神。
ランサーが自分の身を投げ打つような行動を取る場合、その成功判定にプラスの修正が加わる。

病弱:C
天性の打たれ弱さ、虚弱体質。ランサーは変身していない時に限り、稀に行動不能のリスクを伴うようになる。
またこのスキルの影響により、非変身時のランサーのステータスは全てE相当となってしまっている。

癒しの力:D
魔力を行使し初歩の治癒が可能。非変身時のみ使えるが、重傷以上のダメージの完治は出来ない。


【宝具】
『沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2〜5 最大捕捉:1人
ランサーの身の丈を越える長さを持つグレイブ。鎌というよりも矛に近い形状を持つ。
死と再生を司るセーラーサターンを象徴する武器であり、ランサーはこれを軽々と振るって戦う。
魔力やエネルギーを吸収する能力を持ち、雷光状の衝撃波を放つことが出来る(媒体によって描写は異なる)。
また魔力の放出により強固なバリア『サイレント・ウォール』を展開することも可能な攻防一体の武器。

『世界変革の鎌(サイレンス・グレイブ・サプライズ)』
ランク:A 種別:対軍〜対界宝具 レンジ:10〜??? 最大捕捉:???人
「沈黙の鎌」から放出した魔力で空中に光球を作り出し、それを拡散させることで周囲の環境を光と共に破壊するランサーの最終宝具。
この宝具の最大出力は規格外そのものであり、本来は太陽系そのものを滅ぼし、世界をリセットさせるほどの力を持つ。
ムーンセル内でサーヴァントの枠を得て召喚されたランサーはその力の全てを発揮することは不可能だが、それでも絶大な威力には違いない。
当然のことながらマスターに要求される魔力もまた膨大であり、また力を完全に解き放ってしまうとランサー自身がその力に耐えられない。
生前のランサーは敵の内部でこれを使用し、我が身もろとも敵を滅ぼして戦死している。


【weapon】
「リップロッド」
外部太陽系戦士が持つ変身アイテム。短いスティック状で、ランサーのものは紫色。
「サターンプラネットパワー・メイクアップ!」の掛け声で変身する。
余談だがサターンの変身シーンはアニメには登場せず、ゲーム版で初披露となった。

【人物背景】
沈黙の星・土星を守護に持つ、破滅と誕生を司るセーラー戦士。
その使命はセーラー戦士が守るべき幻の銀水晶の持ち主が死に瀕した時、世界そのものを破滅させて新生させることにある。

変身者の土萠ほたるは病弱でミステリアスな12歳の少女。
幼少期に事故に巻き込まれた際に外宇宙の存在「沈黙のメシア」に憑依され、その依代となる。
最終的にその体を乗っ取られるも、目覚めた彼女の精神力によって打ち勝ち、自身を取り戻す。
そしてセーラーサターンとして覚醒した彼女は敵の首魁であるエネルギー生命体の内部で自爆、刺し違えて命を落とす。
その後セーラームーンの力で赤子へ転生した彼女は父の元で育てられるが、新たな危機に際して8歳の姿に急成長、再覚醒することとなる。

なお聖杯戦争では英霊は全盛期の肉体で召喚されるため、初覚醒時の12歳の姿となっている。


【サーヴァントの願い】
なし。ただ己の使命に殉ずるだけ。

【基本戦術、方針、運用法】
肉体的スペックこそ強力なサーヴァントには及ばないものの、豊富な魔力と攻防に優れた宝具で安定した戦いが可能。
最終宝具は文字通りの切り札だが、良くも悪くも破壊力が高過ぎるため、使いどころを選ばなければ自らを滅ぼしかねない。
もっともそれを抜きにしても十分優秀なサーヴァントであるため、無理に戦略を限定しなくとも立ち回ることは可能だろう。


206 : 鵺野鳴介&ランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/16(火) 00:06:33 4/8D0EOk0
【マスター】
鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜

【参加方法】
霊的なアイテムとして接触した月の石により召喚。

【マスターとしての願い】
偶然巻き込まれたため、聖杯に掛ける願いはなし。

【weapon】
「白衣観音経」「霊水晶」「念珠」
霊能力を行使するときに使用する。

【能力・技能】
「鬼の手」
鬼を封じ込めた左手。霊体に接触することが可能であり、妖怪や悪霊に対しては絶大な威力を発揮する。
他にも読心や治癒、探知など多彩な能力を持つ。

【人物背景】
童守小学校5年3組担任の霊能力教師。25歳。
責任感が強く慈愛に満ちた性格である反面ドジやスケベな抜けたところもある二枚目半。
霊能力者として高い能力を持つだけでなく運動神経も抜群だが、機械の操作は苦手で金銭管理能力は壊滅的。
しかし他人のために命を掛けられる人間であり、生徒達を始めとしてそんな彼を慕う者は多い。

【方針】
同陣営のマスターと協力しつつ、極力犠牲者を出さずに聖杯大戦を終結させたい。
ランサーが英霊であることは理解しているが、それでも教師として、子供を前線に出すことへのジレンマがある。


207 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/16(火) 00:06:56 4/8D0EOk0
投下終了しました。何かあればよろしくお願いします。


208 : ◆3btUfHUhu6 :2014/09/16(火) 00:22:03 VgOe3o1.0
投下乙です。続けて投下します
エクストラクラスですが、捏造クラスです


209 : ルナマリア・ホーク&トマホーク ◆3btUfHUhu6 :2014/09/16(火) 00:22:42 VgOe3o1.0

宇宙要塞メサイアが燃えている。
コーディネイターの軍――ザフトの本陣であり、総指揮官であるギルバート・デュランダルの居城が、崩れ落ちていく。
ルナマリア・ホークは、その光景をまんじりともせずに見つめ続けていた。

巨大な要塞の周囲を彗星の如く飛び回るのは、青き自由の翼。
パイロットの間でまことしやかに囁かれる噂は何一つ間違っていなかった。
曰く、戦場の死神。曰く、一騎当千の化け物。曰く、無敗のスーパーエース。
憎きフリーダムの意匠を再現したそのモビルスーツは、ただ一機でメサイアを陥落せしめたのだ。

膝の上で、シンが泣いている。
アスラン・ザラ。敵となった元同僚。前大戦のエースの一人。フリーダムと対になる、ジャスティスの名を冠するモビルスーツを駆る男。
シン――シン・アスカとルナマリアは、彼に撃墜されたのだ。
アスランは強かった。技量、経験、そして何よりも、彼には迷いがなかった。
デュランダル議長の方針に心底から同意することができず、本当にこれでいいのだろうかと疑念を隠しながら戦っていたルナマリアでは、到底相手にならなかった。
シンはなんとかアスランと渡り合っていたものの、元々不安定だった彼の精神は戦意を失ったルナマリアの静止によって、一線を超えてしまった。
結果、二人ともに撃墜され、こうして月面でメサイアの陥落を――ザフトの敗北を見せつけられている。

「――これで良かったのよ、シン――」

しかし――撃墜され、自軍が敗北したというのに、ルナマリアの心は不思議と穏やかだった。
妹であるメイリンが生きていたこと、そして何よりシンとルナマリアがお互い生き延びられたこと――それで十分だった。
ザフトはこれから厳しい状況に立たされることだろう。敗戦国に待つ運命はいつだって過酷だ。
だが、そもそもこの戦争に勝者などいるのだろうか。
地球連合は、実質的な指導者だった死の商人――ロゴスの摘発により、瓦解寸前だ。
それはプラントも同じ。強力なリーダーだったデュランダル議長は死亡し、死後も大量破壊兵器を使用した戦争責任を負わされ、名誉が回復することはないだろう。
残るはこの宙域を制圧した第三軍、オーブ連合首長国だ。
戦術的には彼らの勝利で疑いないが、彼らは彼らで決して正義とは言えない立場にいる。
プラントからの亡命者、ラクス・クラインを首魁に据えた独立武装勢力との結託や、プラントから強奪されたフリーダム・ジャスティス・エターナルの秘匿など、叩けば埃はいくらでも出る。
おそらく、議論という名の泥沼の殴り合いが始まるだろう。誰がこの戦争の責任を取るのか、どこに責任を押し付けるのか。

未来は暗い。が、その未来はルナマリアら一介のパイロットにはもはや遠い世界の出来事だった。
敗戦したとはいえ、末端のパイロットにそこまで重い責任は問われまい。
懸念はザフトの中でも独自の作戦行動権を持つFAITHであるシンの扱いだが、これについてもさほど心配はいらないだろう。
なぜなら、彼らを撃墜した当の本人であるアスランは、オーブのトップであるカガリ・ユラ・アスハと近しい関係だからだ。
彼ならば、シンとルナマリアが極刑に処されるような事態を見過ごしはしまい。楽観ではあるが、おそらく間違ってはいない。

ともあれ、戦争は終わった。
慟哭するシンを強く抱きしめ、ルナマリアもまた涙を流し――


210 : ルナマリア・ホーク&トマホーク ◆3btUfHUhu6 :2014/09/16(火) 00:23:15 VgOe3o1.0

「――目が覚めたか?」

――夢から醒めた。
開いた視界に飛び込んできたのは、燃え落ちるメサイアでも泣きじゃくるシンでもない。
厚手のコートに真っ赤なマフラーを巻いた大柄な男だ。
その瞳は野獣のように爛々と輝きを放ち、ルナマリアを刺し貫いている。

「ええ――できれば、覚めないでほしかったけどね」

この男こそ、ルナマリア・ホークに与えられたサーヴァント。
聖杯戦争――否、聖杯大戦を共に駆け抜ける相棒である。
彼のクラスは斧を扱う戦士『トマホーク』――俗にエクストラクラスとされる、正道から外れた希少なクラスだった。

「しっかりしな。どう足掻いたってこの悪夢からは抜け出せねえんだ――戦って、勝ち取るしかねえ。たった一つしかない聖杯をな」
「わかってるわよ――わかってる。あたしだって、こんなところで死ぬ気なんかないんだから」

冷静に、いまの自分の状況を推察する。
何が起こったか。何故ここにいるのか。この男は何なのか。いまの自分のコンディションは。武器は。このサーヴァントの実力は。

一つ。ルナマリアはいま、聖杯大戦へと参加している。白と黒の二人のルーラーの言葉も思い出せる。
二つ。聖杯大戦に参加するには月の石とやらが必要だ。そしてルナマリアは、まさに月の上にいた。
三つ。この男も月とは縁が深いらしい。何故か名前も気に入られた。ホークとトマホーク。ダジャレか。
四つ。体調は悪くない。格好はザフトの軍服である赤服だ。パイロットスーツでないのは目立たなくてよかった。
五つ。拳銃とナイフがある。どちらもザフトの訓練学校でよく使ったものだ。実際にこれで人を殺したことはないが、手には馴染む。
六つ。

「ねえ、それであなたは――その、強いの?」

マスターはサーヴァントのステータスを視覚化できる。
筋力、耐久、敏捷とおよそ戦闘に関係ありそうな項目はB、B、Cと平均よりは上といったところ。魔力と幸運とは何だと疑問に思うが、どのみちどちらも低い。
それに、『トマホーク』というクラスはサーヴァント全体でもあまり存在しないらしい。斧という武器を得意とする英雄があまりいないからだとか。
ルナマリアがインパルス以前に乗っていたザクウォーリアにはヒートホークという斧が装備されていて、ルナマリア自身砲撃よりも斧の方が扱いやすかったため少し凹んだ。
そんなサーヴァントが、名だたるセイバー・ランサーといった強者と戦えるのか?

「ま、殴り合いならそんじょそこらのやつには負けやしねえよ。大船に乗れ――とまでは言わねえが、少なくともお前を危険に晒すような真似はしねえさ」

トマホークは静かに言う。
その佇まいから、彼がある種の達人であることは容易に察せられる。シンやルナマリアとは、潜った修羅場が段違いのようだ。
触れば噛み付かれてしまいそうな野生を完璧に閉じ込めている。いざ戦いとなれば、まさに悪鬼のように荒れ狂うのだろう。

「が、そもそもお前はどうしたいんだ? それ次第で俺のできること、するべきことも変わってくるぜ」
「私は――」

サーヴァントに問われ、考える。
脳裏に浮かんだのは敵とも味方とも言えない微妙な関係のアスラン、生きていたメイリン、そして――恋人のシンだ。
どうするもこうするも、考えるまでもない。
彼らの元へ帰還する。求めることはそれだけだ。
連合とザフトの戦争は終わった。悔いこそあれど、聖杯でどうにかしようなどとは思わない。
今はただ、生きてシンと再び会えることを願うのみだ。

「へえ――惚れた男と再会したい、ねえ」
「なによ、何か文句あるの」
「いや。いい理由だ。少なくとも、てめえの欲望のために人を殺して聖杯を求めるよりはずっといい。それなら俺も、心置きなく手を貸せるってもんだ」

『トマホーク』は組んでいた腕をルナマリアへと伸ばす。
ルナマリアは一瞬鼻白むが、すぐに微笑んでその手を握る。
ここにはシンもアスランもメイリンもいないが、少なくともこのサーヴァントだけはルナマリアの味方なのだから。

「俺の名は『流竜馬』。まあここでは『トマホーク』と呼んでくれ。よろしくな、ルナマリア・ホーク――俺のマスターさんよ」
「よろしく、あたしのサーヴァントさん」

こうして、二人のホークはともに戦いを始める。
運命を、自らの手で切り開くために。


211 : ルナマリア・ホーク&トマホーク ◆3btUfHUhu6 :2014/09/16(火) 00:24:40 VgOe3o1.0

【クラス】
 トマホーク
【真名】
 『流竜馬』@ゲッターロボシリーズ
【パラメーター】
 筋力:B(B++) 耐久:B+ 敏捷:C(C++) 魔力:E 幸運:D 宝具:C
【属性】
 混沌・中庸
【クラススキル】
 対魔力:C…魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。
 薙ぎ払い:A…超重武器を手足のように振り回すスキル。攻撃が連続して防御されるたび、疲労を蓄積させ、僅かずつ敵の防御成功率が下がっていく。

【保有スキル】
 ゲッター線:D…宇宙から降り注ぐ意思を持ったエネルギー。生命体に進化を促す。同ランクの『魔力放出』と同じ効果を持ち、さらに魔力を消費することで再生能力を強化する。
 勇猛:A…威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。

【宝具】
『オープンゲット』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:自身
 ゲッターロボは三機の戦闘機(ゲットマシン)が特定の順序で合体することで形を成す。
 この合体状態から戦闘機へと分離する際、たとえ敵に拘束されていても衝撃波で弾き飛ばし強引に分離する事が可能である。
 オープンゲットはこの一連の回避動作が宝具として昇華したものであり、真名開放中はあらゆる攻撃の回避率にプラス30%の補正を得る。

『ゲッターストラングル』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜10 最大補足:1人
 『流竜馬』の戦技を最大限に活かす、格闘戦のコンビネーション攻撃宝具。
 筋力と敏捷のパラメータへ一時的に++補正、さらにのけぞり無視(スーパーアーマー)効果を付加し、敵を殴って蹴って斬り刻む。
 初撃が命中しさえすれば、反撃に遭おうとも途中で連撃が中断することはない(ダメージはそのまま受ける)。

『ファイナルゲッタートマホーク』
ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1〜60 最大補足:600人
 ある世界での敵性宇宙生命体インベーダーとの最終決戦の際、木星ごとインベーダーを斬り裂いた超大型のゲッタートマホーク。
 本来は真ゲッターロボと真ゲッタードラゴンという二機のゲッターロボが協力して放つ技であるが、斧のサーヴァント・トマホークとして召喚された『流竜馬』であれば負担は軽く、単体で使用することが可能。
 星を両断とまでは行かないものの、最大出力ならば、星が鍛えたとされる神造兵装と同等以上の威力を叩き出す。

【weapon】
 ゲッタートマホーク…両刃のロングトマホーク。
 トマホークブーメラン…投擲にも使用可能な片手用の手斧。

【人物背景】
 『流竜馬』という男はあらゆる次元に幾人も存在するが、必ず一つ、共通項がある。
 それはどの世界の彼であろうと例外なく、常に『ゲッター線』に選ばれ永遠の闘争へ身を投じる運命にあるということだ。
 ある者はゲッター線を戦う力とし、ある者はゲッター線と戦い続ける道を選び、ある者はゲッター線の導くままに終わりなき戦いへと漕ぎ出して行った。
 ここに召喚された『流竜馬』は、そんな無数の流竜馬の存在・在り方が統合されて誕生したものであり、正確に言うならどの次元の流竜馬でもない、実在しない流竜馬である。
 『流竜馬』とは、あらゆる世界の流竜馬の技と経験を己のものとし、命ある限り敵を倒し続ける殲滅者なのだ。
 『トマホーク』のクラスとして召喚されたのは、どの次元の流竜馬も例外なく斧の扱いに熟達していたため。

 ――ただし、本来の流竜馬に相応しいクラスとは『ゲッター』、すなわち彼が駆るゲッターロボそのものに他ならない。
 『トマホーク』として召喚された彼は、無限に存在する流竜馬の力を全て我が物とする代わりに、『ゲッター』のクラスの時ほどはゲッター線の加護を得ることができない。
 仮に『ゲッター』のクラスで召喚された場合、彼は陸海地の三界を制覇し、宝具『ゲッタービーム』で山すら吹き飛ばす、無限に進化し続けるゲッターロボそのものとして猛威を振るうだろう。

【サーヴァントの願い】
 特にない。戦い続けることこそが存在意義。強いて言うなら、マスターを元の世界に帰してやりたい
【基本戦術、方針、運用法】
 接近戦に特化したサーヴァント。近寄って殴って蹴って斬る、できるのはそれだけである。
 トマホークをブーメランとして投擲し中距離の敵にも対応できるが、アーチャーのように狙撃することは不可能。
 切り札である『ファイナルゲッタートマホーク』は名高い騎士王の聖剣に勝るとも劣らない威力を誇る。
 相応に魔力消費も大きいので、使いどころを見極めることが必要となる。


212 : ルナマリア・ホーク&トマホーク ◆3btUfHUhu6 :2014/09/16(火) 00:25:22 VgOe3o1.0

【マスター】
 ルナマリア・ホーク@機動戦士ガンダムSEED DESTINY

【参加方法】
 メサイア攻略戦で撃墜され、月の上で終戦を迎えたため。

【マスターの願い】
 生きて帰る。

【weapon】
 オートマチック拳銃、コンバットナイフ

【能力・技能】
 運動能力に優れ、戦闘訓練を受けているため格闘戦も可能。
 主に砲撃機に登場していたが、本人曰く「射撃は苦手」であり、実際砲撃が命中したシーンは数少ない。
 代わりに格闘戦の技量はやたらと高く、あらゆる性能で自機を上回る敵機と格闘戦で渡り合う場面もあった(砲撃機で)。

【人物背景】
 ザフトの最新鋭艦ミネルバに所属するMSパイロットの1人で、「赤服」を着用するエリート軍人。赤い髪をショートにした快活な美少女。
 遺伝子調整を受けて誕生したコーディネイターであり、堅牢な肉体、優れた運動能力、優秀な頭脳を持つ。また、過酷な環境や重篤疾病に対する抵抗力も高い。
 本編開始当初は前大戦の英雄であるアスラン・ザラにアプローチをかけるが、彼が妹であるメイリンを連れて脱走した後は、同じ赤服であるシン・アスカと距離を縮めていく。
 徐々に精神の安定を欠いていくシンに不安を抱きつつも傍に寄り添い、お互いにかけがえのない存在へとなっていく。
 それは信頼している者に裏切られた者同士の傷の舐め合いであったかもしれないが、ルナマリアの存在がシンを支えていたことは紛れもない事実。
 最終局面でシンとともにアスランへと挑むも、メイリンが生きていたことを知り戦意を喪失。激戦の末、シンともどもアスランに撃墜される。
 なんとか戦死を免れ月面に降り立ったた二人は、ザフトの本陣・メサイアが燃え落ちる光景を見て涙するのであった。

【方針】
 殺し合いには消極的だが、黙って殺されてやる気はない。
 とにもかくにもまずは生き残ることを目指す。


213 : 名無しさん :2014/09/16(火) 00:26:33 VgOe3o1.0
投下終了です
オリジナルのエクストラクラスが大丈夫なのかわかりませんが、とりあえず書いてみたかったので


214 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/16(火) 00:33:52 CB.RgPhAO
投下ありがとうございます。

>>190
色々あって具体的に締め切りを決めるのは避けていましたが、やはり明確に締め切りを切った方がわかりやすいと思うので
26日が終わるまでを期限とさせていただきます
また、前半の質問には答えられません
主従の選出については「面白い組、あるいは>>1の書きやすい組」を選ばせていただきます
面白い、と感じれば把握外の組についても把握して選出するつもりです


215 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/16(火) 22:58:11 IXr9TL3g0
投下乙です。自分も投下させてもらいます。
一部のステータスを◆VUBZx4BclE氏から引用させていただきましたが、不快に思われましたら訂正します。


216 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/16(火) 22:59:33 IXr9TL3g0


腐川冬子がそれを目撃したのは偶然だった。
執筆中の作品が手詰まりになったので気分転換に深夜にコンビニに言ったのが全ての始まりだった。
帰宅途中の公園で、偶然マスターとサーヴァントの姿を目撃した。
それだけの理由で彼女は自分たちの情報が漏れることを恐れたマスターにより、命を狙われる事となった。

辺りに人気は無く、助けも呼べない。
走り回ったせいで今にも足が崩れそうになるのを必死に押さえ走り続ける。
止まったときが死ぬときだと理解しているからだ。


「あっ……!」

だが、目の前に現れたサーヴァントによってその目論見は断たれた。
あわてて来た道を戻るよりも早く、槍兵の放った蹴りによって壁に叩きつけられる。
そして息を切らしたマスターの男が、苛立ちながらも近づいてきた。


「くそっ!余計な手間取らせやがって…」

朦朧とする意識の中視界の一部が赤く染まる。
手を当てると、額から夥しい量の血が流れていた。

「ひいいいぃぃ!血がっ……!もう駄目――――」

パニックに陥ったかと思うと後ろ向きに倒れこんで気絶した少女に呆気に取られながらも、下手に騒がれる事が無くなったと安心し止めを刺すべく近づく。


「これで終わり―――」


217 : 腐川冬子&アサシン  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/16(火) 23:00:33 IXr9TL3g0




ザクっ


「………は?」


男は何が起こったか分からなかった。
今自分は目撃者の少女を殺そうとしていた。
ひょっとしたらこの女はマスター候補だったかもいれない。
しかし目覚めておらずサーヴァントを連れてない者など簡単に殺せるはずだった。


なのになぜだ。


なぜ自分の喉に鋏が突き刺さっているのだ―――!


「ごふっ―――き、貴様…!」

異変に気づいたランサーが駆け寄るよりも早く


「血みどろフィーバーーーーー!!!!」

突き刺していた鋏と新たに取り出した鋏を交差させ、冬子は男の喉を引き裂き絶命させた。

「マスター!?貴様っ…!」
「パンパカパーン!どうも初めまして!ていうかあんた誰よ?」


真っ赤な目に異常に伸びた舌。エキセントリックな口調。
その少女は、先ほどの怯えた様子が嘘だったかのようにマスターを惨殺してのけた。
彼女の名はジェノサイダー翔。腐川冬子のもう一つ人格、超高校級の殺人鬼!
その変貌振りにランサーは時間にして一秒にも満たない時間、確かに動揺した。
そして、その一瞬は攻撃を気づかせる致命的な遅れとなる。


「うごぁぁぁああああああ!!」

メリメリと、ランサーの体中から鋏やメスが飛び出そうとしていた。
常識では考えられない攻撃に思考が乱され、行動を停止してしまう。

「なんだこれはあああ!!?」

叫ぶその間にも鋏やメスは体を突き出そうとしている。

「おのれ!せめてマスターの仇だけは―――」
「いいや、お前はもうお仕舞いだ」


背後から突如現れた大量のメスがランサーの背に突き刺さる。
驚愕し目を見開くランサーが最後にみたのは、黒衣の暗殺者。
マスターの敵を討つことも叶わず、ランサーは全身から刃物を出し絶命した。






「いやーどうもありがとねおじやちん、助かっちった!」
「…何度もいうがそのおじやちんはやめろマスター」
「ええーだってアサシンの名前って訳せばイカ墨のリゾットじゃん!リゾットだからおじやちん!」

ゲラゲラと笑うマスターにため息をつきながら、半ば諦めていた。
このマスター、性格と魔力量こそ難点だがその能力と体質は悪くない。

普段は内気で気弱な文学少女だが、その裏に殺人鬼の人格を抱えた人間。
身体能力や鋏の扱いによる技術もさることながら、何よりも優れているのは殺人に対し一切の躊躇いが無いことだ。
無力で何も知らない腐川冬子が日常を過ごし、殺人鬼たるジェノサイダー翔が戦場に出る。
幸いにも知識は共有しても記憶は共有しないらしく、腐川冬子は聖杯戦争の知識はあれど、なぜそんな知識があるのか理解できないだろう。
ゆえに、彼女は自分がマスターだと知ることも無く、マスターだとぼろを出さずに過ごすことが出来る。

「ああ〜でも残念だわ。イケメンを殺してもすぐ消えちゃうのよねえ…磔に出来ないじゃない!あたしのポリシーがっ!!」
「言っても仕方の無いことだろうマスター。幸い令呪は確保できた、さっさとこの場を離れるぞ」
「了解おじやちん!健全なる殺人は健全なる肉体と精神に宿る。早く帰って寝るとしましょう!……ぶえくしょん!!」

散々走り回ってかいた汗が冷えたのか、盛大にくしゃみをする翔。
それをスイッチに再び腐川冬子の人格に切り替わる。

「あれ……ここどこ?」

自分がなぜ無事でいるのか疑問に思いながらも、急いで帰路につく。
その背後を気配を消し霊体化したアサシンが護衛する。

(しかし二重人格のマスターとは…なんとも皮肉なものだな―――)

宿敵たるボスも二重人格のスタンド使いだった。
あるいは其れが縁で召喚されたのかもしれなかった。
だが今はそんな事は関係ない。
必ず聖杯を手に入れ復讐を果たす。


復讐の炎を胸に宿しながら、黒衣の暗殺者は歩き出す。
漆黒の意思をその目に灯しながら――――――――――


218 : 腐川冬子&アサシン  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/16(火) 23:02:00 IXr9TL3g0


【クラス】
アサシン

【真名】
リゾット・ネエロ@ジョジョの奇妙な冒険・黄金の旋風

【パラメーター】
筋力D 耐久D+ 敏捷D 魔力B 幸運C+ 宝具B+

【属性】
秩序・悪

【クラス別スキル】
気配遮断:A+(C+)
サーヴァントとして気配を断つ。
下記の宝具の力によりランクが大きく上がっている。

【保有スキル】


戦闘続行:B
覚悟の強さ。決定的な傷を受けない限り生き延び、瀕死の重傷を負ってもなお戦闘可能。
瀕死の状態でもスキル・宝具を通常時と同等以上のレベルで使える。
目的を達成するためならば、腕をとばされようと脚をもがれようと行動を続ける(能力を解除しない)
生前に致命傷を負ってもなお誇りを捨てずに戦い続けた覚悟の表れ。

観察眼:A
スタンド使いとして培ってきた観察力。
少ない手がかりで相手のスキルや宝具の能力を看破できる。

心眼(真):B
暗殺チームのリーダーとして数々の戦闘の経験で培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘理論。

真名看破:D
生前誰にも分からなかったボスの正体にたどり着いた逸話に元ずくスキル。
低確率で相手の真名を看破できる。

カリスマ:C
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。
一つのチームを纏め上げるならCランクは破格といえる。


【宝具】
『メタリカ』
ランク:B+ 種別:対人 レンジ:5〜10M 最大補足人数1〜30

生命がもつ精神エネルギーが具現化した存在。生命エネルギーのヴィジョン『スタンド』。
メタリカは珍しく体内に潜む群体型に分類されるスタンドである。
磁力を操る能力で相手の体内の鉄分を操り鋏や釘、カミソリなどを体外に放出して致命傷を負わせる。
また地表の鉄分を操り大量のメスを作り出し射出できる他、砂鉄を纏い周囲と同化する。
自身の鉄分を操り切れた体を繋げるなど応用も広い。
体内から攻撃するため対魔力では防ぐことが出来ない。また予知などのスキルが無い限り初見では絶対に防ぐことができない。

この能力の恐ろしい点はターゲットの体内の鉄分を減らすことにある。
つまり早く鉄分を補給しないと、サーヴァントであろうと血液中の赤血球が酸素を運ばなくなり酸素欠乏症になってしまうのだ。
まさに暗殺に適した能力であるといえよう。


219 : 腐川冬子&アサシン  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/16(火) 23:02:24 IXr9TL3g0

『朽ちえぬ誇り』
ランクA 種別:対人 レンジ:− 最大補足人数:1

例え自分が死のうとも復讐を成し遂げようとした逸話を元に出来た宝具。
自分の血液が付着した生物を操作する事が出来る。
ただし意思を完全に乗っ取るわけではなくあくまで肉体を操作する能力である。
また操れる範囲は付着した血液の量に比例するため血液が付着してない部分は操ることはできない。
長時間の操作は出来ない。
そもそも付着させるにはかなりの量の血液が必要なため死ぬ間際くらいしか使い道がないと穴が多く存在する。

【人物背景】
イタリアのギャング組織「パッショーネ」に所属していた暗殺専門部隊のリーダー。28歳。
白目と黒目が逆転した目が特徴。

14歳の時、いとこの子供が酒酔い運転の自動車にひかれ死亡。
社会はドライバーを数年の刑で済ませたが、彼は決して許さず、18歳の時そのドライバーを暗殺。
以後裏の世界で生きることとなる。
21歳の時スタンド使いとなり、暗殺チームの一員となった。任務の失敗は一度もない。

暗殺専門部隊の冷遇に苛立っていたある日、ボスの秘密を調べていた部下が死亡。
チームの誇りを侮辱されたと考えたリゾットは、ボスの秘密を探るため、そして復讐のために他のメンバーと共に組織に反逆。
ボスを暗殺して「麻薬ルート」を横取りするためにボスの娘「トリッシュ・ウナ」を狙う。
サルディニア島でブチャラティらを追跡していたが、そこでヴィネガー・ドッピオと遭遇。
激しい死闘を繰り広げるもあと一歩のところでドッピオの正体であるボスに敗北。


【サーヴァントとしての願い】
ボスを殺し仲間たちの誇りを取り戻す。
奴らは決して無駄死になどではない。

【基本戦術、方針、運用法】
ステータスは全体的に低めなので正面対決ではどうしても不利となる。
基本どうり気配を消しての偵察や暗殺をメインに戦おう。
背景と同化することによる気配遮断A+により相手に気づかれず攻撃するもよし、接近戦で戦える仲間のサポートをするもよい。
また暗殺向きの宝具なのであえて単独で行動し、敵マスターを暗殺するのもよい。
スキルの効果で相手の能力がほぼ丸裸になるのでチーム戦において多いに役立つだろう。

マスターも魔力は低いが戦闘能力は高く、ある程度の無茶な作戦も可能なのも大きなポイントだろう。



【マスター】
腐川冬子@ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生
【参加方法】
不明。参加時期は少なくとも第二裁判終了後
【マスターとしての願い】
聖杯を持ち帰り白夜様に褒めてもらう。
【weapon】
自前の鋏とアサシンが作った鋏
【能力・技能】
“超高校級の文学少女”
若い女性に圧倒的人気を誇る新人女流作家。
自分の妄想をもとに練り上げた恋愛小説でいくつもの賞を総なめにしている経歴を持つが、被害妄想が強く自分にひどいコンプレックスを抱いている。

“超高校級の殺人鬼”
腐川冬子のもう一つの人格、ジェノサイダー翔の肩書き。ちなみに自称である。

世間を騒がしている謎の連続殺人鬼。
被害者は主に10〜20代の男性で共通しており、凶器の鋏で相手を滅多刺しにした上で磔にし、現場に被害者の血で「チミドロフィーバー」の血文字を残すなど、猟奇的な殺人方法を用いる。

これまでに多くの男性が全く同じ手段で被害にあっているにもかかわらず、警察では未だにその正体をつかめずにいる。
ちなみに「ジェノサイダー翔」という呼称はネット上などで付けられた渾名で、本人は気に入ったのかそのまま名乗っている。
殺人に対し躊躇いなどは一切ないが殺し方に美学を持っているため自分の命がかかっていてもポリシーを変える気は無い。


220 : 腐川冬子&アサシン  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/16(火) 23:03:11 IXr9TL3g0

【人物背景】
希望ヶ丘峰学園に入学した生徒の一人。

長いおさげ髪に眼鏡、脚が隠れるロングスカートと地味な格好が特徴的。
非常に自虐的な性格で、被害妄想が人並み外れて強く、おまけに陰気で根暗、トドメに卑屈。
初対面の人間ですら自分のことを蛇蝎の如く嫌っていると思い込んでおり、しかもそれに対して威嚇的・攻撃的なのでなお始末が悪い。

面倒臭い性格であるが、本心では人との触れ合いを求めているそぶりを見せる。

彼女の大きな特徴は二重人格である事である。
もう一つの人格は世間を騒がせる殺人鬼で、ジェノサイダー翔の名で呼ばれている。

普段の根暗でネガティブな彼女とは対照的に、色んな意味で感情豊かでかなりハっちゃけた性格をしている。
趣味嗜好も真逆で、純文学しか認めない腐川に対しジェノサイダー翔は自らを「貴腐人」と称するほどの腐女子で、発言もかなりギリギリなエログロ要素が含まれた台詞が多い。
そのため、両者共にお互いを毛嫌いしている。
ただし、十神白夜に対して好意を抱いていることは共通している。
ちなみに、両者の人格は「知識は共有していても、記憶は共有していない」らしい。
大神さくらほどではないが、出てくるゲームを間違えているキャラともいえる。
ちなみに「気絶する」「くしゃみをする」を行うことで人格を入れ替えるスイッチとなる。

【方針】
優勝狙い。
ジェノサイダー翔自体は楽しければどっちでもいいが、相方のリゾットが聖杯を狙っているので手伝っても良いと考えている。
自分にも聖杯を使う権利を得たらその時は持ち帰って白夜様にほめて貰いたい。

作戦や方針などは主にアサシンが決める。序盤は情報を集めることに専念し、数が減るのを待つ。
昼間は腐川冬子の人格で日常を過ごさせ夜に動き出す構え。
基本は単独だが、必要に迫られれば手を組むことを視野に入れられる冷静さも持っている。

霊呪の位置は太もも。




投下終了です。


221 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/16(火) 23:58:12 tQiphsm20
投下乙です
引用は大丈夫です
むしろ嬉しいです

まさかの暗チ二人目とは


222 : 名無しさん :2014/09/17(水) 16:09:01 GGlsrEFk0
質問ですが原作にないオリジナルのエクストラクラスってありなんですか?


223 : 名無しさん :2014/09/17(水) 16:12:22 FK/Be3AM0
>>222
既にトマホークってオリジナルクラス出てるんやで


224 : 名無しさん :2014/09/17(水) 16:18:07 GGlsrEFk0
だからそれがスレ主さん的にはありなのかなって


225 : 名無しさん :2014/09/17(水) 16:46:19 RQLyLb5Y0
それが無しだったらスレ主さんが既に指摘してるんじゃないかなって気も


226 : 名無しさん :2014/09/17(水) 21:18:40 WLyaJg6.O
>>117


227 :   ◆HUcCB15i0Y :2014/09/19(金) 00:50:15 5oX8.11g0
投下します


228 : 不二咲千尋&キャスター  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/19(金) 00:51:49 5oX8.11g0




「うっうっ…グスッ…うう……」

マイルームの一室で床に座り込んで泣く参加者がいた。
栗色の髪に小学生にも見えるほど小柄で華奢な体型。
深緑色の上着とパラソルのように広がったこげ茶のパンプキンスカートを穿いた少女。
いや、正確には少女ではなく、少女の格好をした少年である。

少年の名は不二咲千尋。
気弱な性格とは裏腹に、超高校級のプログラマーの称号を持つ天才である。


そんな彼がなぜこの戦争に参加したのか―――
時間は少し巻き戻る。


希望溢れる才能を持った若者を集める「希望ヶ峰学園」の中で、希望同士が殺しあう
「コロシアイ学園生活」を強いられ、最初の殺人と最初の学級裁判が起こった翌日のこと。

購買のモノモノマシーンの景品で手に入れた月の石。
ただのお守りだろうと特に考えずポケットに入れ、就寝した。
そしてその翌日にモノクマに呼び出され知らされた新しい動機によってすっかり月の石の存在が頭から抜け落ちていた。

誰かを殺さなければ自分の知られたくない秘密を世間に公表するとのモノクマの脅しに、
彼は絶望ではなく変わろうとする意思を持ち始めた。



今こそ…今だからこそ強くなろう。
弱い自分を脱ぎ捨てて強くなろう。


そう決意した彼は、変わる切欠としてトレーニングを決意した。
そしてその日の夜に、憧れている大和田紋土にトレーニングの相手を頼み…


そして―――――





「―――ッ!!」


ブルリ…っと背筋が粟立つ。

なぜ彼が自分を殺したのか
いったい何が彼の琴線にふれてしまったのか分からなかった

ただ泣いて蹲る自分に、差し出された一本のペットボトル。
視線を向けるとそこには自分の契約したサーヴァントが立っていた。

「泣かないでお姉ちゃん」


229 : 不二咲千尋&キャスター  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/19(金) 00:52:17 5oX8.11g0


こちらを心配そうに見下ろすキャスター。
彼は互いに自己紹介をしてからただ泣いてばかりだった自分に呆れることなくずっとそばに居てくれた。

「えっと、僕はお姉ちゃんになにがあったのか分からないけど…
その…えっと、一人で泣いたりしないで。どうか元気を出して」


「ふっぅ…ぐすっ…ごめんねぇ、もう大丈夫だよぉ」


差し出されたペットボトルを受け取って立ち上がる。


大きなとんがり帽子に隠された真っ黒な顔
背丈は自分と同じくらい小さくどこか内気な印象を受ける。
最初は本当に英霊なのかと疑いを持ったが、泣いてばかりの自分を見限ることなくそばに居て
慰めてくれた彼のお陰で、まだ怖さは残るけれど、これからの事を考える余裕はできた。

「ありがとねキャスター。それと…聞いてほしい事があるんだ」

目元には涙の後がある。
足元は震えている。
顔にはいまだ怯えの色が強く出ている。
けれどその瞳は確かな強さの欠片があった。

キャスターは何も言わずに続きを促した。
呆れられるかもしれない。嫌悪されるかもしれない。拒絶されるかもしれない。
けれど、キャスターの信頼を裏切る行為はしたくないと思った。
せめてありのままに話そう。
覚悟を決め口を開く。


「僕ね…本当は男なんだ」




もちろん一悶着あった。
驚きのひっくり返ったキャスターに、嫌われたと思い再び泣き出す千尋。
それを見て半ばパニックに陥るキャスターと混迷を極めた。
二人が落ち着いて話し出せたのは、最初の告白から10分は立った頃だった。

そして千尋は語り始める。
自分自身が抱いているコンプレックスのこと
男らしく在りたいと願っているのにも拘らず女装をして弱さへと逃げたこと
心の中では変わりたいと願っていたこと

「だからこの戦争に参加したの?」
「ううん、強くなりたいとは思っていたけど…それは自分の力で変わらなきゃ意味無いと思うから…」

それから…っと少し怯えながら話を続ける。

「あのね、ここから先は信じられないかもしれない話なんだけど…」

そうして俯きながらポツポツと今までに起こった経緯を伝えた。
希望ヶ峰学園のこと。閉じ込められた超高校級の生徒のこと。
悪意の塊モノクマのこと。起こってしまった殺人と学級裁判のこと。
そうして最後の…自分を殺す大和田君の―――

「お兄ちゃん!」

ハッと顔を上げれば心配そうに見つめるキャスター。
顔を真っ青に染め口元を押さえるその様を見れば無理からぬ事であろう。

「あ…あれ…ごめんね、やっぱりまだ怖いみたい……」

無理しないでと、言葉にせずとも伝わるその様子に気弱に微笑めば、何かを言いたそうにしながらも沈黙するキャスター。

「それでね、僕を殺そうとした大和田君だけど、泣いてたんだ。
きっと彼も殺そうとしてやったことじゃないんだと思う。でもその切欠が僕にあるなら謝りたいんだ」

元の世界に戻ること、そして大和田をクロになる運命を変えたい。
そして生き残ってる仲間たちを助けたい。
だって彼らは…大切なクラスメイトなのだから。

「僕は殺し合いには乗らない。生きて皆の所にところに帰りたい。
誰も殺さずに、誰も殺させずに、ここに呼ばれた皆と一緒に帰りたい…おかしいかなぁ」
「―――『誰かを助けるのに理由なんているかい』、僕の大好きな仲間ならそう言うと思う。
僕はお兄ちゃんの願いを笑わない。僕の記憶は空に預けたけれど、
僕はおにいちゃんを『いつか帰る場所』まで必ず送るよ。それが僕の願いだ」

そして差し出された手を握り返し、どちらかともなく笑いあった。

「これからよろしくねお兄ちゃん」
「うん、よろしくねぇ。えっと…」

さんざん助けられておきながら、肝心の名前を聞いてなかったことを思い出し顔を赤らめる。
キャスターも名乗ってないのに気づいたのか、とんがり帽子をきゅっと直して名乗った。

「ビビ。ビビ・オルニティア。よろしくねお兄ちゃん」


命を作った少年と作られた命の少年。
強さを手に入れたいマスターと強さを知ったサーヴァント。
とてもよく似た心優しき主従は、帰る場所のために戦う。


230 : 不二咲千尋&キャスター  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/19(金) 00:53:14 5oX8.11g0



【クラス】
キャスター
【真名】
ビビ・オルニティア(ファイナルファンタジーIX)
【パラメーター】
筋力D 耐久E 敏捷C 魔力A+ 幸運B 宝具A++
【属性】
 秩序・善 

【クラススキル】
陣地作成‐C 生前そういった逸話を持たなかったためキャスタークラスにしてはあるまじき低さ。
陣地内の魔法の威力をほんの少し底上げしたり、消費魔力抑える効果を持つ。
道具政策‐D 簡単なポーションやエーテルなどの魔法薬を作れる。ただしあまり複雑なものは作れない    

【保有スキル】
黒魔法−A++ 黒魔法を扱うスキル。A++ランクなら極めたといっていい。一般的な黒魔道士は大体Cランク程度。
ためる−A 魔力をためて次に放つ魔術の威力を底上げする。溜める回数に上限はなく溜めれば溜めただけ上昇する
リフレク倍返し−C こちらに撃たれた魔法をそのまま相手に倍の威力で跳ね返す。
          跳ね返された相手はこれを返すことは不可能だが、耐性などによりレジスト可能。
魔法剣−B 魔法を刀身に宿らせ威力の底上げをする。消費魔力はなぜか相方が負担する。
     敵の防御スキルを貫通するがビビ一人では発動できず騎士系クラスの協力が必須である。
     
【宝具】
奮えよ我が心(トランス)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大補足:―
強く感情が高まると自動で発動する宝具。自身のステータスを1ランク引き上げる。
また黒魔法を下記のW黒魔法に変える。
発動時には自身のバットステータスを全て解除する力があり以後はゾンビ化を無効化できる。
サーヴァント化に伴い持続時間は魔力に依存する。
発動と同時に衣装が変わり帽子の先が立つ。

W黒魔法
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:― 最大補足:―
「震える我が心」発動時のみ使用可能。
消費魔力半減、ノータイムで二回連続発動できる。

最後の審判の日(ジハード) 
ランク:A++ 種別:大国宝具 レンジ:1〜100 最大補足1〜500
正確には宝具ではなく最高クラスの魔法である。
発動時の効果は「巨大な隕石が敵味方全体を押しつぶし闇属性の大ダメージを与える」というもの
闇属性を持ってないものは例え味方であろうとダメージを負うので「最強の攻撃」であると同時に
「最悪の味方殺し」の宝具と言える。
ただし闇属性を持っている者には優秀な回復技になる。

【weapon】
メイスオブゼウス……その昔に大魔道士が使っていたといわれる『カミノチカラガヤドル(神の力が宿る)』杖。
          ダメージの追加効果に「ミニマム」が発動する。
ふゆう石のかけら……聖属性と闇属性を吸収し、力と魔力の補正が得られる便利なアクセサリ。
          外した場合筋力と魔力が1ランク低下する。

【人物背景】
とんがり帽子の内気な少年で、黒魔法の才能がありながら、いまいち自分に自信を持つことができない。
しかし、ジタンとの出会いで徐々に「自分らしく生きる」意味を知り、ときには誰よりも勇敢にたち揺るまえる
『心の強さ』を持つようになっていく。本作の「もう一人の主人公」とも言える位置にいる。
何もないところでコケたり、コケた反動でものを散らかしたりと、ドジな面もある。
幼く世間知らずな面もあるが、好奇心は旺盛であり、また『カードゲーム』が趣味なので、
そこに関してはあまり人見知りをすることはない。
正体は「霧」によって生み出された戦争用兵器「黒魔道士兵」のプロトタイプ。
つまり「人の手で造られしモノ」、それも世界中で忌まれた「霧」から造られた兵士という現実に苦悩する。
旅の中ビビとは「型番」が違う意思を得た量産型魔道士兵たちとの交流の中で死について考え、自分の存在の意味を見つけていく。
そして旅の終わり、自分がもうすぐ「止まって」しまうことを悟りながらも子供たちに冒険譚を語り仲間のことを想いながら空に記憶を預けにいった。 

【サーヴァントとしての願い】
自分の人生には納得しているので自分の願いは無い。
マスターや他の参加者を「いつか帰る場所」に送り届けたい。

【基本戦術、方針、運用法】
後衛で真価を発揮する典型的なキャスタータイプ。
ただしクラススキルが低いので陣地に篭らずとも戦える。
騎士系クラスの前衛を援護する形で戦い自分はサポート役に回るのがベスト。
ただし宝具の「最後の審判の日」は味方も殺しかねないので使うときは注意が必要。
また全体攻撃が出来るので大量の使い魔や雑魚敵には相性最高。


231 : 不二咲千尋&キャスター  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/19(金) 00:53:35 5oX8.11g0


【マスター】
不二咲千尋
【出展】
ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生
【参加方法】
モノモノマシーンの景品になってた「月の石」から召喚された。
【マスターとしての願い】
殺し合いに乗らず皆と一緒に帰りたい
もし帰れた場合は大和田がクロになる運命を変えたい
【weapon】
無し
【能力・技能】
超高校級のプログラミングの技術。また高度なハッキングのスキルもある。

【人物背景】
本文参考

【方針】
殺し合いには乗らない。
他のマスターと積極的に手を組んでいきたい。
戦闘はキャスターに任せ自分は聖杯にハッキングなど自分に出来ることをやる。


232 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/19(金) 00:54:27 5oX8.11g0
短いですが投下終了です


233 : ◆hfUo/cdNjE :2014/09/19(金) 19:09:45 xIAnLlTY0
投下します。


234 : ◆hfUo/cdNjE :2014/09/19(金) 19:10:32 xIAnLlTY0
なぜ、こうなったのか。
どこで、間違ったのか。
何度その問いを繰り返してみても答えは出ない。
ただ結果だけがある。

彼は……鳴上悠は、堕ちた英霊である。

生前、彼は一年ほど滞在した町である事件を解決した。
連続殺人事件。
ペルソナという超常の力でしか解決できない非日常。
心を通わせた仲間たち。
あの輝かしい日々……

しかし、違う可能性もあった。
妹のように思っていた従姉妹の死。
その犯人への復讐。
殺人。
バラバラになった仲間たち。
あの暗黒の日々……

それだけではない。
いつか、どこかの世界で、望まない可能性を否定するために彼は戦った。
その戦いには仲間がいた。
たった一人だけだが、 彼と同じ道を行く仲間が。
しかし、彼と仲間は敗北した。
憎しみと悲しみをまき散らし、最後はただ利用されて死んだ。
あの絶望の日々……

いまここにいる自分がどの可能性をたどったのか、自分でもよくわからない。
はっきりしているのは、鳴上悠という存在は「反英雄」として世界に認識されているということだけだ。
清く正しい正義の味方ではなく。
卑怯で残忍な悪の手先として。
鳴上悠という名そのものが忌むべき異端だと決めつけられている。

英霊となったからには、元の自分はもう死んでいるのかもしれない。
しかしそれでも、反英雄となった自分を認める訳にはいかない。
それは陽■や■■ら仲間たちと、■島、■■子ら家族と、そして■ンサ■――■■・■■リ ■とともに生きた日々を全て否定することになる……
思考にノイズが走る。うまく名前が思い出せない。
こぼれ落ちたとても大切な記憶……

取り戻さなければならない。
どうやってか。
その方法は知っている。

聖杯を……手に入れるのだ。

聖杯とは、万能の願望機。
たとえ死したサーヴァントの願いといえども不可能はない。
ならば願う。
鳴上悠が、反英雄ではなく本来あるべき正しい英雄として名を残すように。
そのためならば、今一度あの戦いに……聖杯戦争に挑むことにためらいはない。


235 : ◆hfUo/cdNjE :2014/09/19(金) 19:11:07 xIAnLlTY0

「……これはどうしたことか。よもや二度目の生などがあろうとはな。まったく余計なものを持っていたものだ」

いま、目の前には鳴上悠のマスターが立ってい る。
黒衣を着た長身の男だ。
不思議と見覚えがある……やはり名前は思い出せないが、たしか神父だったはずだ。
神父はつるりとした石を懐へ収め、彼を見る。

「お前が私のサーヴァント、ということになるのかな。やれやれ……さきほど死んだばかりだというのに、もう一度聖杯戦争を戦えというのか」

この男は自分のマスター、それは間違いない。
しかし……自分の中の「力」が、強く警告している。
この男は危険だ。
絶対に信用してはいけない。
しかし同時に、この男と自分を結びつけるのもその「力」であることがわかる。
どうやらこのマスターとラ■■■には何らかの関係があるようだ。

「ならば私は確信する。聖杯は……『この世全ての悪』は、やはり生まれな ければならないのだ。私はそれを見届けなければならない」

信仰に全てを捧げた者特有の、狂信的な眼差し。
鳴上悠にもわかる。
この男を信頼することはできない。
絆を結ぶことはできない。
だがそれでも……この男とともに戦わなければならない。
それもまた事実。

「どうやらお前にも譲れぬ願いがあるようだな。利害は一致しているということか」

同意せざるを得ない。
そもそもこのチャンスを得られたのが奇跡なのだ。
次の機会などない。
だからこそ、危険だとわかっていてもこの男をマスターに選ぶしかない。

「安心するがいい、見知らぬサーヴァントよ。私の願いは聖杯がどう顕現するか見届けることだ。その使い道になど興味はない」

鳴上悠とこの男 の願いは競合しない。
それだけ知っておけば十分だ。
絆ではなく契約を結ぶため、彼はマスターに右手を差し出した。

「契約成立だな。では君の名を聞いておこうか、我がサーヴァントよ」

手を握り返される。
鳴上悠は、漆黒の意思とともに答えた。

「アヴェンジャー。鳴上悠だ」


236 : ◆hfUo/cdNjE :2014/09/19(金) 19:12:38 xIAnLlTY0
【クラス】
アヴェンジャー

【真名】
鳴上悠

【出典】
ペルソナ4

【パラメーター】
筋力:B 耐久:B 敏捷:B+ 魔力:A+ 幸運:E- 宝具:A++

【属性】
混沌・影
【クラススキル】
対英雄:C……相手サーヴァントの全パラメータを1、戦国武将の場合は2ランクダウンさせる。

【保有スキル】
無辜の怪物:EX……生前のイメージによって、後に過 去の在り方を捻じ曲げられ生まれた怪物。能力・姿が変貌してしまう。このスキルを外すことは出来ない。
 「鳴上悠」という存在が抱える全ての可能性を収束させたため、かつて存在した全ての「鳴上悠」の力を継承している。
 しかし平行世界の全ての汚名をも背負い込んでしまったため、通常の英雄ではなく反英雄として名を残すことになった。
対魔力:B〜A……魔術に対する抵抗力。ヒートライザを使うことで一時的に1ランクアップする。
 (Bランク) 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。
 (Aランク) Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつけることは出来ない。

【宝具 】
『源義経(ハッソウ・ビート)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1〜5 最大補足:1人
鳴上悠が生前所有していた最も強力なペルソナ。「塔」のコミュと深い縁を持つため召喚が可能となった。武器は「薄緑」の銘を持つ日本刀。
 八艘飛び……物理属性の8回攻撃。衝撃波を伴った斬撃を半径20メートル以内に8回発生させる。
 チャージ……次回の物理攻撃の威力を2倍にする。
 ヒートライザ……自分とクー・フーリンの筋力・耐久・敏捷・魔力を1ランクアップさせ、対魔力を1アップさせる。
 ランダマイザ……敵サーヴァントの筋力・耐久・敏捷・魔力を1ランク低下させる。対魔力B以上で無効化可能。
『伊邪那岐P4(ペルソナ・フォース)』
ランク:A 種別: 対軍宝具 レンジ:5〜30 最大補足:50人
「イザナギ」「マガツイザナギ」「伊邪那岐大神」「伊邪那岐禍津大神」、これら四つのペルソナを合体させ生まれた究極にして至高のイザナギ。武器は身の丈ほどもある大刀を四本所持する。
 アギダイン・ブフダイン・ガルダイン・ジオダイン……火炎・氷結・疾風・電撃、四属性魔法。
 メギドラオン……万能属性の特大範囲魔法。
 コンセントレイト……次回の魔法攻撃の威力を2倍にする。
 テトラカーン……一度だけ物理攻撃を反射する。
 メディラマ……複数の対象のHPを中回復する。
『召喚され炸裂する蒼い槍兵(メギドランサー)』
ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:5〜50 最大補足:100人
生前に絆を結んだ 戦友、ケルト神話の大英雄クー・フーリンを瞬間的に独立サーヴァントとして召喚し、魔槍ゲイ・ボルクを渾身の魔力と力で投擲させる。
因果を歪ませる呪いと必中効果は健在であるものの、概念的な特性や運命干渉などは無い。それでも何度かわされようと標的を捕捉し続け、炸裂弾のように一撃で一軍を吹き飛ばす。
また、星が鍛えたセイバーの神造兵装を2本同時に激突し打ち勝った逸話から、セイバーと宝具の打ち合いになった際には必ずこちらが先に命中する。
このときクー・フーリンはルーンで強化された状態であり、攻撃時は下記のステータスとなる。
 筋力:B+ 耐久:B+ 敏捷:B+ 魔力:B+ 幸運:E
 筋力:A+ 耐久:A+ 敏捷:A+ 魔力:A+ 幸運:E(ヒートライザで強化時)
『 影の仮面(ジョーカー)』
ランク:E- 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:自分1人
反英雄として召喚されたため、鳴上悠が本来持つ「ワイルド」能力の正負の属性が反転した宝具。
本来の「ワイルド」は他者と絆を結び新たなペルソナを生み出す力だが、反英雄に堕ちた彼はマスター以外の誰とも絆を結ぶことができない。
この宝具はアヴェンジャーを視認した者の本能へと強制的に「脅威」そのものを刻み込む。
アヴェンジャーの真名を知らずともただ「危険である」という認識を与え、無制限かつ確実に敵を増やす呪われた宝具である。
鳴上悠がアヴェンジャーとして存在する由縁でもあり、魔力消費は一切ないが真名開放せずとも常に発動していて解除することができない。


237 : ◆hfUo/cdNjE :2014/09/19(金) 19:13:16 xIAnLlTY0

【weapo n】
十握剣(とつかのつるぎ)…高いクリティカル率を持つ剣。
神衣(かむい)…学生服の下に着込んだ防具。
ソーマ…HP・MPを30%回復させる。一度だけ使用可能。

【人物背景】
両親が海外出張の為、1年間、母方の叔父が住む田舎町である稲羽市八十稲羽(いなばしやそいなば)に越してきた高校生。
引越し早々発生した連続殺人事件に身近な人達が巻き込まれるのを防ぐために、陽介と特別捜査隊を結成。
誰しも持っている、心に秘めた「もう一人の自分」ペルソナを覚醒させ、事件解決に挑んでゆく。
やがて彼は並行世界でとある戦いに参加する。そこで数多くの悲劇に見舞われ、その名は一つの禁忌とされた。
彼自身に罪はないものの、その後も彼の汚名は雪がれるどころか積み 重なるばかり。
望まずして反英雄となった彼は、聖杯の力を使って「鳴上悠」という存在の汚名を返上、名誉を回復するため、聖杯戦争に挑む。

【サーヴァントの願い】
「鳴上悠」の汚名を払拭する。

【基本戦術、方針、運用法】
物理攻撃特化のヨシツネ、魔法攻撃に特化したイザナギP4を状況に応じてつけかえ戦う。
ヒートライザはペルソナを付け替えても効果が持続する上、対英雄とランダマイザで敵サーヴァントのパラメーターを最大2ランク弱体化させることが可能。
スペックに大幅な開きがあれば強化した八艘飛びやメギドラオン、あるいはクー・フーリン召喚でどんな強敵が相手でも一気に勝負を決められるだろう。
ただしアヴェンジャーは宝具『ジョーカー』の影響でマス ター以外のあらゆる者全てに敵意を持たれてしまう。
単体の戦力は全サーヴァント中でも屈指の存在だが常に孤独であることを強いられるため、対外交渉はマスターに一任されることになる。


238 : ◆hfUo/cdNjE :2014/09/19(金) 19:13:58 xIAnLlTY0

【マスター】
言峰綺礼

【出典】
Fate/stay night

【参加方法】
原作で死亡直後、教会から入手していた月の石が発動して参加。

【マスターの願い】
聖杯の中にある「この世全ての悪」を誕生させ、祝福する。

【weapon】
投擲剣「黒鍵」……聖堂境界の代行者が使用する投擲用の剣。霊的な干渉力に特化している為、霊体のサーヴァントにも多少の効果はある。

【能力・技能】
八極拳……中国武術の一種。一撃で敵を倒すことを主眼にした拳法であり、極めれば人体を軽々と破壊する。
治癒魔術……魔術師としては平凡だが、「傷を開く」ことに特化した魔術特性であるため、治癒魔術についてのみ師・遠坂時臣をも凌駕する。

【人物背景】
第五次聖杯戦争の監督役を務める冬木教会の神父。
第四次聖杯戦争にも参加しており、そのとき契約し受肉したギルガメッシュとともに第五次聖杯戦争の裏側で暗躍する。
元は聖堂教会の代行者であり、悪魔祓いのエキスパート。八極拳の達人でもある。
生まれながらにして善よりも悪を愛し、他者の苦痛に愉悦を感じる破綻者。

【方針】
ランサーの代わりにアヴェンジャーを弄びつつサポートする。


239 : ◆hfUo/cdNjE :2014/09/19(金) 19:14:35 xIAnLlTY0
投下終了です。


240 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/20(土) 23:16:35 5bQFC4ug0
投下します


241 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/20(土) 23:24:06 5bQFC4ug0
「た、助けてくれぇ〜!」
 それが男の第一声だった。
 「予選」を勝ち残ろうとした相手のサーヴァントは、この厳めしい面の、緑の皮ジャンをクールに着こなした男は自分を前にして恐怖のあまり命乞いをしようとしてるのだと嘲った。
 だが違う。
 この恐慌状態は、一般人として生活していた彼にいきなり元の記憶がフラッシュバックしたことによるものだ。

 そもそもこの男は人ではない。
 グリード。800年前にある王と、錬金術師によって作られた欲望の結晶。
コアメダルと呼ばれる中核と、セルメダルと呼ばれる人の欲望の具現化したそれの集合体。
 それがドクター真木の策略により三十枚以上のコアメダルを放り込まれ、半日以上苦しみながらも耐えてきたがそれも限界になり。
 誰か助けてくれと手を伸ばしても誰も居ない。とうとう暴走しようとし……その寸前の時間から呼ばれたのだ。

 実際はウヴァの身体は今のところ9枚のコアメダル以外はない。完全体ではあるが、それだけだ。
 だがいきなり戻ってきた記憶の、しかもよりにもよって暴走しかかっているという内容から混乱が生じたのだ。
 人間の姿を捨て、グリード体を露わにするウヴァ。

「人間じゃないマスターだと……!?」
 敵マスターは驚きつつも、サーヴァントに攻撃を命令する。
 だが効かない。
 ウヴァの完全体の装甲強度はコアメダルを破壊する力を持った超兵器、メダガブリューの一撃を無防備な正面から受け止めるほどだ。
 予選でまごついている凡百のマスターとサーヴァントの攻撃など、一切ダメージを与えられない。
 むしろ意味のわからない攻撃を受けたと、余計に混乱が増す。
 のた打ち回りそこらへんの地面を爪で抉り飛ばす駄々っ子のようなウヴァに、手を出せないでいた。
そしてウヴァの混乱が頂点に達した瞬間。


242 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/20(土) 23:32:27 5bQFC4ug0
「そうれっとっ!」
 蹴りが飛んできた。
 敵サーヴァント、ついでにマスターはなす術もなく一緒にふっ飛ばされる。
 ウヴァはその状況に、思わずうおっと驚き。振り向くと。
 そこには拘束衣を来た、笑いころげる女がいた。

「いやぁ僕も長い間殺し屋やってきたけど、こんな特撮番組に出てきそうなヒーローチックな外見を雇い主に持つとはねえ。何、職業は仮面ライダー? ぎゃははっ」
 確かにウヴァのグリード体はパッと見てヒーローの様なデザインの、緑色で昆虫を合わせたような姿をしている。
 モチーフが昆虫であり虫を統べるグリードなのだから当たり前ではあるが。
 仮面ライダー。そのどこか聞き覚えのある言葉に、思わず身体が反応した。
 咄嗟にウヴァは、手首辺りからクローのような鉤爪の付いた、緑色の腕を差し伸べ。
「助けてくれ!」
 と言う。
 キョトン、とした雰囲気で女――匂宮出夢は。
「わかったわかった。僕はアンタのサーヴァントだ。助けてやるよ、だから安心しな、虫のおにーさん」
 拘束衣の姿から、革のような服へと切り替え、手を握る。
 その腕は、背丈に反して長かった。
「……あらら、頑丈っつーか丈夫だね。僕がかなり力入れて握ってんのにビクともしねーや。なーんかこう言った力込めた握手ってのも新鮮な感覚。昆虫ってすごい。僕はそう思いましたマルっ!」
「よく、わからんが。お前は、味方なんだな」
 段々とウヴァも落ち着いてきた。記憶と状況の混乱から立ち返ると、別段これは悪い状況ではなさそうだという事が解ったのだ。

 その時、蹴り飛ばされた敵主従が起き上がってきた。
 何やらもう許さんぞ、宝具を使ってやると騒いでいるが……
よく見ると、大した敵に見えない。
 ウヴァは軽く緑の雷を発生させ、敵の宝具――剣だか槍だかはわからないがそれらしきものを弾き飛ばした。
 800年の時を経たコアメダル。そして人間の欲望のエネルギーが凝縮されたセルメダルの肉体は、サーヴァントに充分すぎるほど通じる神秘を有していた。
 ヒュー、と口笛がウヴァの傍で鳴る。
 ゆっくりと浮き上がると、急降下したウヴァはサーヴァントを爪で引き裂いた。一閃、それだけで霧散する。ついでに敵マスターも死んだ。
「虫ケラどもが……こんな奴らに良いようにされていたとはな」
「いやよりにもよってアンタがその外見で虫ケラとか言うのかよっ!」
 即興にしては良いツッコミだった。


243 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/20(土) 23:37:03 5bQFC4ug0

◎◆

「……殺し名で第一位の匂宮、そして聖杯戦争にサーヴァント、マスターだったな」
「グリード、ねぇ。むしろ敵怪人枠だったってか。なんかライダーっぽいけどなぁ」
 人の姿へと戻ったウヴァと情報交換をした出夢。同じ現代社会に生きる身ながらも、その環境はお互いにあまりにも異質という事が解った。
「オーズの事だとしたら、アイツは俺のメダルもよく使うからな。似てて当然だろう」
 オーズ? と首をひねる。大して特撮好きでもない出夢のイメージ内の仮面ライダー像は精々が1号2号V3であって、オーズなどというのは思い浮かばない。
 まあ最近のライダーかなと適当に考えて済ませる。

「でもなんとなくわかったぜ。アンタが僕のマスターの理由。アンタ不思議の塊だもんな」
 匂宮出夢は強力な身体能力と、凄まじい殺戮技術を持ったサーヴァントではある。
 だが裏を返せばそれだけだ。
「僕は別にマホーとか超能力とか使えたり、何かスッゲー効果の伝説の武器があるわけじゃねえもん。ま、エクスペリアームス! なんて必要ないけどさ」
 だからバランス取りのために、そっち系の不思議なパワーが満載のアンタがマスターに選ばれたんだろうぜ。ということだ。
 まあ、出夢の力や宝具が既にに不条理じみてはいるのだが。

「で、どうするよ。こちとら死んで幽霊だか英霊だかB級妖怪だかしらねーけど、まあそんなになったが……聖杯になんか求める大した理由なんてねえ」
 まあ死に際に屈辱はあったが、死んじまったしなぁ。またちょっとくらい暴れて戦って殺してみてぇなってくらいだ。
まったくの完全な反英霊はそう言った。強いて言うのなら雇い主のウヴァさんがどうしてえかだなと。
 それに対しウヴァは。
「俺は、もうこの手の上手い話は信用しない」
 もう誰かに乗せられて戦うのはこりごりだ。そうウヴァはしみじみと言う。
「うんうん。まあわからんでもないわな。誰かの下で殺し続けてきた身としちゃあよ。じゃあこっそり腹の内じゃ対主催アーンドとんずら目論む組ってことで?」


244 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/20(土) 23:42:01 5bQFC4ug0

「ああ。それでいい。お前は殺し屋らしく、戦い慣れていて心強いが、殺戮は一日一時間とかいう決まりなんだろう?」
「なら他を利用しつつ、避けられる戦いは避けた方が良い」
 安心したように目つきの悪い顔で笑って見せたウヴァの言葉に、出夢は変な顔をする。

 殺し屋だから慣れてて心強い。殺戮は拘りによって制限されているのだから積極的に戦いに乗る必要はない。まあ理屈としてはおかしくはない。
 むしろこちらの在り方を曲解もせず、凄く理解してくれる雇い主だ。出会った時のカオスな状況とは裏腹に話がトントン拍子に進むにも程が合る。
 だがなんというか、あっけらかんとしすぎではないだろうか。
 人外のせいなのだろうか、こちらの殺し名としての存在に全く忌避感がない。
 なんだか新聞配達してるのなら足腰は強いのだろうと褒められたような、そんなアッサリ加減。
 調子が狂うというか、ちょっと照れる。

 だがそれも無理はないのだ。ウヴァが今まで相対してきた人間と言えば、欲望で世界を塗り替えようとした、鴻上光生を邪悪にしたような性格の800年前の王。
 一科学者でありながら世界を終わらせようとした人形肩に乗せた紫の人間グリード
 人を救うためにと様々な限界をその抜け目の無さと執念で超えていた今代のオーズ。
 ちゃっかりとこちらに付いたり戻ったり出鱈目な戦闘でグリードを圧倒して見せたバースども。
 そこそこ知っている人間はほぼぶっ飛んだ連中ばかりなのだ。

 出夢の爆発的な身体能力とて、今まで見た女性と言えばガメルを叩いてフラフラにさせ鉄球でヤミーをお空の星にし岩をも持ち上げジェネラルシャドウの子供である……いや最後のは何か違うが。
 まあとにかく女性としての比較対象は泉比奈くらいである。
「人間の女にはたまに凄まじい身体能力の持ち主が居るなあ」くらいにしか思えない。
 閑話休題。


「戦力的には僕とウヴァさんって隙はない気もするんだがねえ。ヤミーって銀のメダルと人の欲望で作る怪物だっけ? 僕の欲望で作ったらどうなるのかとか気になるしー」
「心配しなくてもその内作る。お前の欲望がどう表れるとしても、強力なものができそうだ」
「ボク、はじめてなの……優しくしてねっなーんつって! ぎゃははは」
「メダル一個を入れるのに優しくも何もないだろ」
 実際、ウヴァがセルメダルを人間に入れようとすれば対象の肉体に自然と投入口が出現する。
 そこにセルメダルを投入すればヤミーが出てくるだけなのだから優しくしようもない。
「まあそれはそれとしてさ。問題が一つある……ぶっちゃけさ」

つま先で時折ビートを刻む緑の皮ジャン着こなす目つきの悪い……もといクールガイな男と。
拘束衣を着ている狂笑癖のついた腕の長い殺し屋。
「周りを利用するにしても、この面子じゃあんまりにも他に信用してもらいにくいんじゃねえの?」
「…………」
 確かに。


245 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/20(土) 23:47:47 5bQFC4ug0



つーわけで、宝具を使う事にしようそうしようと宣言し。
「出夢」はウヴァの前から……消えた。
そして。
「ややっ、お兄さんが私のマスターだねっ!」
「あ、ああ」

「私は匂宮理澄。名探偵をやってるよっ」
 出てきたのは出夢の妹、匂宮理澄。マントを羽織った拘束衣の姿は、印象としてはチグハグだ。
 出夢は通常時は皆を油断させ、スムーズに事を運ぶためにやはり必要だと判断し。
生前からやってきたそれが昇華された、兄妹としてお互いの人格を切り替える宝具「人喰い(カーニバル)」により生前の何時ものスタイルである「理澄に表を任せる」を実行したのだ。

「……そうか理澄ちゃんは名探偵か。凄いな!」
 ウヴァはニコリと――なんだか通常時の調子を踏まえるといっそ異常なほど爽やかに笑い、一緒にガンバって行こうなと理澄の頭を撫でる。
 正直出夢を相手にしていた方がマシだったと思いつつも、この手合いは子供を相手にする気でやった方が良いとのウヴァの考えだった。
「わーい、褒められた! ウヴァさん、大好きっ!」
「はは。そうかそうか」

 なんだか怖いくらい噛みあった。何かのちびっ子か、いやそれ以上にこちらに懐いてくる。
サーヴァントとして得た特性かこちらの様子は見えているようで
念話で器用にうわー爽やかすぎ、似合わねーぎゃはぎゃはと大笑いしてる出夢を(何が可笑しい)とたしなめつつ。
なんだか肉体よりむしろ精神的にドッと疲れそうなウヴァさんと匂宮兄妹の聖杯大戦は始まった。


246 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/20(土) 23:52:56 5bQFC4ug0
【クラス】
アサシン
【真名】
 匂宮出夢/理澄@戯言シリーズ

【パラメーター】
 筋力A(D) 耐久B(C) 敏捷A(D) 魔力D 幸運C 宝具B

【クラス別スキル】
気配遮断:C−
自身の殺気等の気配を断つ。
その気になれば山中に張り巡らされた糸の警戒線に悟られず侵入してみせ、殺気を感じる事に長けた一族のトップがなんとか感じられるくらいの優れた遮断能力。
しかし殺意悪意には欠けているのだが、戦意は凄まじいのでそれを感じようとすればアッサリばれる。
また後述の宝具の特性上、あまり気配を断つ必要がなくまた本人もそこまで気配遮断をしようとしないので意味がない。

【保有スキル】
 戦闘続行:B
 肉体欠損などを負っても戦い尽くすという殺し名としての矜持。致命傷を受けてもなお戦いまくるキリングジャンキー。
 ただし殺戮行為が1日につき1時間を超えるとその恩恵はなくなる。
心眼(真):A
 殺しを続けた事で出来た独自の戦闘論理。独特の価値観で勝利を手繰り寄せる。
直感:B
敵に染みついた血の臭いを嗅ぎ分け殺気を感じとり、殺すための優位性を保ち続ける鍛え抜かれた感性。
着替え:C
霊体化の要領で拘束衣と他の衣服を必要に応じて切り替えられる。
名探偵:C
優れた情報調査能力。ただし宝具『人喰い』が発動した状態でなければ発動しない。

【宝具】
『一喰い(イーティングワン)』
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
 掌が接したあらゆる対象をごっそりと消し尽くす出夢の決め技にして最高の体術。
タメは大きく当たらなければ意味がないが、対人としての単純な威力は極限の域にある。
また欠点としてこの技と暴飲暴食は手加減ができない。全力によるただの平手打ちでこそ一喰いとなりえる。
『暴飲暴食』
 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
 両側から一喰いを放つ。一撃の威力は少し下がるが両手による2撃同時の一喰いは物理的な逃げ場をなくしてしまう。

『人喰い(カーニバル)』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:-最大補足:-
 肉体を共有する妹と人格を入れ替える能力。弱さを担当しているためステータスは下がるものの、探索スキルなどが付く。
 またスキルや宝具などで理澄から出夢の存在を、出夢から理澄の存在を見破ることはできない。ただし推察や実際に入れ替わる事を見ることにより知る事は可能。
 更に理澄の人格が身代わりになることにより、致命傷を受け死んでも1度のみ死んだ事実をなかったものとして行動が可能となる。


247 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/20(土) 23:56:32 5bQFC4ug0

【人物背景】
 殺し名第一位「匂宮」の秘密兵器とでも言うべき殺し屋。
 弱さの担当として妹としてフィールドワークと表用の別人格「理澄」と
 強さの担当として1日1時間の限定縛りを持った殺人仕事中毒(ただし無暗に人を苦しめる事を楽しんでいるわけでもないようだ)の「出夢」
を併せ持つ最強の殺し屋(より厳密には2つの人格を共有する双子らしい)

 ひたすらハイテンションなのは妹に弱さをおっ被せてる分強さが有り余ってどこか歪だからだそうで。
 シグナルイエローと呼ばれる糸使いとの戦いで妹を失って尚、作中最強である人類最強と戦い清水の舞台を壊滅させるという戦闘力を誇ったが
人類最終との戦いで死亡する。割と熱くなる性格なのも災いした。

【サーヴァントとしての願い】
 特に無いが強いて言うならとりあえず殺し屋として仕事を全うする。ウヴァが面白いから見届けてはみたい。
 助けてくれと言われちゃあしょうがねーな

【方針】
 マスターに従う。

【基本戦術、運用法】
 バーサーカーとしての適性もあるが、出たとしても言語能力は失わないがエキセントリックになる。
アサシンとしては一応敵に悟らせないスキルはあるが派手。プレイヤーとしては静かな強さではなく華やか系。
策次第だがとりあえずは理澄に表を任せて、敵ができたら自分が出てウヴァと一緒に殺しに行く。
考えなしではないものの、よく見ると割と行き当たりばったりなコンビ(トリオ?)


248 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/21(日) 00:01:37 F3ooD/6s0

【マスター】ウヴァ@仮面ライダーOOO
 
【参加方法】
 暴走しかかったところを廃駐車場にあった月の石で自分のコアメダルとセルだけボッシュート

【マスターとしての願い】
 あからさまに怪しいこんな戦いなんぞ信じない。もう元の世界のドクター真木と関わり合いになりたくない。
 味方になってくれそうな出夢を連れて仮面ライダーオーズを倒しに戻る?
 とりあえず今後の状況によるかも。

【能力・技能】
 完全体の姿であるため、世界を飲み込む(あらゆる物質をセルメダルに分解して吸収できる)事ができる。
 が、同じく欲望の力を持ったオーズやバースは分解できなかったため神秘を持つサーヴァントや令呪のあるマスター相手には多分不可能。
 唯一自身のコアを破壊して見せるエネルギーを有したメダガブリューを無防備に弾く強い外殻。緑色の雷を操り、浮遊能力をも持つ。
オーズのように分身はできるかどうかわからないが、どちらにせよ聖杯大戦のコンディションではできないと思われる。
人の欲望とセルメダル1枚を原材料にそれに即した能力を持った怪人、ヤミーを作れる。
またセルメダルを割ればザコ戦闘員とでも言うべきクズヤミーを複数作れる。
 人間に擬態することができ、設定上その姿は自在だが中身はメダルの塊のままで、あくまで表面的なものに過ぎない。
 また意志が弱かったり気絶するほど負傷して弱った人間には憑依できる。
 ウヴァのみ、意識を持った中核のコアメダル1枚のみでも無理やり動き人間に憑りついて操作してみせる、執念とも言える行動能力を持つ。

【人物背景】
 800年前に錬金術師に作られた怪物、グリードの一角にして虫の王。身長208cm 体重115kg 年齢832歳。(800年封印されてたから実質32歳)
頭は悪くはないのだがそれ以上に短気。
 己の肉体を強化するために人の欲望の結晶体であるセルメダルを増やし、魂とでも言うべき9枚のコアメダルを全て回収しようと、奔走する。
 空気を読んだり周りに気遣いができないわけでもないのだがツキの悪さと短気な面がそれを完全に帳消しにしている。
 バイトで雇った人間にまともに給料を払うなど変なところで律儀でもある。またコミカルかつシュールな面も多い。
 現在召喚された姿は暴走寸前のところで引きはがされた完全体。
 
【方針】
 周りと協力しつつヤミーでこつこつセルメダルを集める。場合によっては被害を出さず大事にならないヤミー金融再開。出夢の存在はとりあえず隠しておく。
 裏切るのも裏切られるのも、もうこりごり。
 まともに敵と戦いたくはないが必要なら戦う。聖杯なんて信用できないので可能なら機を見てサーヴァントを連れて逃げ出したい。


249 : コテハン ◆ruUfluZk5M :2014/09/21(日) 00:03:34 F3ooD/6s0
投下終了です


250 : ◆QyqHxdxfPY :2014/09/21(日) 17:04:08 qHCP8Ssc0
投下します。


251 : 神長香子&アサシン ◆QyqHxdxfPY :2014/09/21(日) 17:07:38 qHCP8Ssc0


空を、見上げていた。

場所は町外れの廃教会、その敷地内。
放置されて久しい庭園で一人の少女が立ち尽くしていた。
両側で結んだ黒髪に眼鏡を掛けたその少女――――神長香子は、ぼんやりとした表情で宙を眺める。
彼女の視界が映しているのは夜空だ。
夜闇に瞬くは無数の星々。
一欠片の光達は天の海から世界を見下ろす。

(こんなに、綺麗だったんだな)

こうして静かに空を眺めたのは何年振りだろう。
組織の暗殺者として活動して以来、静かに星を眺める暇なんて無くなっていた。

幼い頃、級友達にからかわれた時のことを思い出す。
私は昔から『落第生』だった。
周りからはからかわれて、馬鹿にされて、いつだって独りぼっちだった。
そんな私をいつも支えていてくれたのは、イレーナ先輩。
落ちこぼれの私を常に気に掛けてくれて、何度も慰めてくれた優しい人。
――――こんな星空を眺めながら、二人で色々語らった時もあったかな。

だけど、もうその人はいない。
自分が死なせてしまったのだから。

(…聖杯、か。夢のようだな)

最後の晩餐に用いられた杯。
イエスの血を受けたとされる聖遺物。
それと同じ名を冠する奇跡の願望機こそが、この戦いにおける報酬だという。
まるで御伽話のような話だ。
だが、自らの望みを思い出し、サーヴァントを召還した時点から確信していた。
全て現実であるということを。

物心ついた頃には、孤児院を装った暗殺者の組織で育てられていた。
来る日も来る日も、殺しの為の技術を磨いていた。
拒否権は無い。逃げ出すことも出来る筈が無い。
そんな組織の中で、私は落ちこぼれだった。

人殺しなんてしたくなかった。
だから私は実力を伸ばすことが出来なかった。
それ故に、優しかったイレーナ先輩を不手際で死なせてしまった。

『暗殺なんて本当は向いてない方がいい』。
かつてイレーナ先輩が口にしていた言葉が脳裏を過る。
始めから、人殺しの技術なんて磨かない方が良い。
誰かを殺す為の人生なんて、捨て去りたい。
一度は黒組というチャンスがあったというのに、私はそれを掴み取ることが出来なかった。

もう誰も殺したくはない。
その為にも『聖杯』が必要だ。

――――人を殺して足を洗うなんて、矛盾していないか?

(…お前の言う通りだろうな、東。
 だけど、今の私にはそれしか手段が無いんだ)

かつて相対した『一人の暗殺者』の言葉もまた、脳裏に蘇る。
暗殺から足を洗うべく、私は組織を抜け出した。
だが、組織の追手は変わらず私を攻め立てる。
過去は蛇のように私を追い立ててくる。
遅かれ早かれ、いずれ刈り取られるのが関の山だ。
たった一人で生き延びることなど、到底無理だろう。

しかし、聖杯の力さえあれば全てを終わらせられる。
私の生涯を築いてきた『過去』を振り払える。


「主よ、御気分は如何ですか」


252 : 神長香子&アサシン ◆QyqHxdxfPY :2014/09/21(日) 17:09:17 qHCP8Ssc0

思考の最中、背後から聞こえてきたのは男の声。
突然の呼びかけに少し驚いてしまったが、すぐに冷静な判断を取り戻す。
声が耳に入るまでその気配に全く気付けなかった。
―――――これがサーヴァント、暗殺者“アサシン”の隠密能力か。
そのまま私はすぐに振り返る。

視線の先には、白い髪を靡かせる長身の男が立っていた。
その両手には死神を彷彿とさせる二本の鎌が握られている。

「大丈夫だ…もう落ち着いてきた」
「それは安心致しました」

会釈をするサーヴァントを見据えつつ、私は右手の甲をゆっくりと撫でる。
そこに浮かぶのは痣のような十字架の紋様。
この聖杯大戦における、マスターとしての証。

「戦う覚悟も…お決めになられましたね?」
「無論だ。私は、私の為に聖杯を勝ち取る」
「フフフ…それならば良かった。この姫橘もまた聖杯を求める所存。
 貴女が決断しなければ此方も困り果てていた所でした」

慇懃無礼に笑みを浮かべる男を見据える私の表情は、冷ややかなものだっただろう。
この男の願い、そして真名は聞いた。
日本において知名度が高いと言える英雄だった。
そして男の抱える『歪み』を知った私が感じたのは、哀れみ。
殺意を切り捨てたいのに、人を殺すことでしか生きられないサガ。
ただ普通の人間として生きたいのに、狂気から逃れられない感情。
ある意味私と同じなのかもしれない。
だからこそ、私のサーヴァントとして召還されたのだと思う。
しかし、私はこの男を心から信用することが出来ないらしい。

(こいつは、油断出来ない)

暗殺者として劣っている私でさえ、この男は危険だと理解することが出来た。
こいつは単なる狂気に犯された破綻者じゃない。
歪な精神の中に狡猾さを隠し持つ、毒蛇のような殺戮者だ。
それに――――――この男は、裏切りを促進する保有スキルを備えている。
暗殺者としての特性を生かせば、私を抹殺することさえ容易いかもしれない。
故に、決して油断しない。場合によっては令呪の使用も辞さない。

(だけど、決して失敗はするものか。私はこの男を――――アサシンを使い、勝ち残る)

不敵な笑みと共に霊体化した男を尻目に、私は首にぶら下げるロザリオを握り締める。
イレーナ先輩の唯一の形見。そして、私をこの月に召還したモノ。

これが最後のチャンス。
誰も殺さない人生を得る為の、最後の戦い。
過去と決別する為に行う、最後の殺人。


(この戦いが、最後の『暗殺』だ)


――――拙き暗殺者“アサシン”は望む。
――――この戦いを以て過去を断ち切り、人として生きることを。


253 : 神長香子&アサシン ◆QyqHxdxfPY :2014/09/21(日) 17:10:37 qHCP8Ssc0
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



アサシンのサーヴァント、明智光秀。
天下統一に最も近いとされていた戦国大名「織田信長」の重臣。
本能寺の変を起こし、志半ばの信長を討ち取った謀反人。
香子に限らず、日本人ならば殆どの者がその名を知っているだろう。
尤も、香子らが知る『明智光秀』とは少々異なる存在ではあるが。

彼は、殺戮と加虐に快楽を見出す狂人。
愛を求め、普通の人間としての生を渇望する狂人。
相反する欲望を同時に抱えてしまった、破綻者。

(私は…人間になれなかった…慈悲深き僧侶『天海』としての道を歩んでも…
 結局、あの御方への執着を捨てられなかった…狂気を断ち切れなかった…)

彼は過去を追憶する。
織田信長の忠臣として、殺戮の限りを尽くした。
数え切れぬ程の血肉を。殺戮を。死を。
常に間近で眺め、その身で味わってきた。
常に主の手足となる残忍な処刑人として戦場を駆け回っていた。

そして、その果てに主を裏切った。
主が苦痛と屈辱に悶える姿をこの目で見る為に。
血塗れた殺戮の日々と決別する為に。


―――――だが、矛盾を抱える彼が変わることは出来なかった。
―――――最期の最期まで、信長への執着を捨てられなかった。


この狂気から逃れたい。
この苦悩から逃れたい。
真っ当な人間に、成りたい。
それが彼が聖杯に託す望み。

(この戦が、最後の晩餐です)

願望機を手に入れれば、望みは完全に果たされる。
ならば最後の宴は心行くまで楽しまなくてはならない。
そう、快楽の限りを尽くさなくては。
見納めとして、全ての欲望を吐き出す。

切って。
貫いて。
引き裂いて。
嬲って。
踏み躙って。
殺して。
殺して。
殺して。
殺して。

――――――存分に、殺し尽くす。


(天の海の彼方にて照覧あれ、信長公。
 この姫橘、奇跡の願望機を手にし、人と成ります――――――!)


――――歪な殺戮者“アサシン”は望む。
――――この宴を以て狂気を断ち切り、人として生きることを。


254 : 神長香子&アサシン ◆QyqHxdxfPY :2014/09/21(日) 17:11:57 qHCP8Ssc0

【クラス】
アサシン

【真名】
明智光秀@戦国BASARA

【パラメーター】
筋力B+ 耐久C 敏捷B+ 魔力D 幸運E 宝具B

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てばサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】
精神汚染:A
相反する衝動を抱える異常者。
『殺戮』への快楽を見出しながら、ごく普通の『人間』としての生を望む。
二律背反による渇望と苦悩は時としてアサシンの精神そのものを苛む。
他者の本質を見抜く才が無ければ彼の真意を理解できない。

心眼(真):B
戦場で培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

軍略:C
多人数を動員した戦場における戦術的直感。
自らの対軍宝具行使や、虐に相手の対軍宝具への対処に有利な補正が与えられる。
生前、アサシンは将として一軍を率いていた。

逆臣:A++
生前に主君を謀反によって殺めた来歴を由来とするスキル。
乱世の魔王を討ち取り、天下の情勢を転覆させたことで最高格のランクに達している。
自身のマスターおよび自陣営に対する敵対行動・反抗的行動を取った際、
ステータス面で強力なプラス補正が与えられる。
またマスターを自身の手で殺害した場合、再度の契約を行うまでAランク相当の単独行動スキルを獲得する。

【宝具】
『恍惚的吸収』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:2
他者に鎌を突き刺し、魔力と生命力を直接吸収する。
魂喰い以上に魔力回収の効率が良く、サーヴァントやマスターから大量に吸収すれば
低ランクの単独行動スキルに等しい貯蓄を得ることも可能。
生命力も吸収する為、戦闘時の負傷をその場で治癒することが出来る。
ただし吸収中は隙が大きく、周囲の攻撃に対して無防備に近い状態になるという欠点を持つ。

『快楽的衝動』
ランク:B 種別:対人/対軍宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
戦闘開始と共に自動発動する宝具。
アサシンの抱える猟奇性が宝具として昇華されたもの。
殺戮や加虐、苦痛などで得た快楽に応じてパラメーターとクリティカル率を上昇させる。
上昇率はアサシンの昂りに比例して変動し、戦闘終了まで効果が継続する。
また宝具が機能すればするほど敵の攻撃で怯みにくくなり、最終的にはダメージすら厭わず戦うことが可能になる。
前述の通り自動発動である為、マスターの魔力負担を無視して効果を発揮し続けることが欠点。
場合によっては『恍惚的吸収』による魔力回収が必要となるだろう。


255 : 神長香子&アサシン ◆QyqHxdxfPY :2014/09/21(日) 17:12:09 qHCP8Ssc0

【weapon】
『桜舞』
アサシンが扱う二本の大鎌。
宝具とも打ち合える程の強度を持つ。

【人物背景】
戦国乱世の魔王・織田信長の配下である武将。
真名は『明智光秀』ではあるものの、史実の明智光秀とは異なる存在。
表向きは礼儀正しく物腰柔らかだが、その本性は殺人に快楽を見出す狂人。
信長の配下に着く理由も「彼の下ではより多くの人間を殺せるから」というもの。
信長に対しては殺意や敬愛の入り交じった複雑な感情を抱えており、その想いは何よりも強い。
一方で「真っ当な人間」として人々に慕われながら生きることを渇望している節もある。
時には自らの内面の二律背反に苦悩し葛藤することもあり、その精神は一筋縄では理解出来ない。
優れた慧眼と洞察力を持ち、将としても優れている。

聖杯大戦においての明智光秀は主に「戦国BASARA3」「戦国BASARA3 宴」からの出典。
本能寺で敬愛する信長を殺害した彼は普通の『人間』として生きることを決意するも、
自らの狂気を捨てられぬまま織田残党や追手に対する殺戮を繰り返し精神を摩耗させる。
戦いの果てに唯一の支えであった信長の首級を失ってしまい、人としての心を得ることが出来ない自分の性に絶望。
松永久秀に本質を見抜かれた光秀は『名前』を奪われ、失意のまま彷徨った末に小早川軍に流れ着く。
以降は『天海』と名乗り、人々から慕われる慈悲深い僧侶として小早川秀秋に仕えていた。
しかし結局は信長への執着を捨てられず、織田家のお市を利用し冥府より信長を復活させる。
もう一度信長と殺し合うことを望んだ天海(光秀)だったが、真の魔王と化した彼の手で殺害された。

【サーヴァントの願い】
自らの狂気と決別し、「普通の人間」として生まれ変わる。
その過程で最後の殺戮を楽しむ。

【方針】
どんな手段を使ってでも勝ち残る。
暗殺、闇討ち、魂喰い等、あらゆる戦術を駆使する。
その過程で最後の殺戮を大いに楽しむ。

【基本戦術、運用法】
アサシンとしては破格の白兵戦能力持ち。その技量は三騎士に匹敵する域に達している。
その反面で貫徹力や火力に欠け、所謂一撃必殺の攻撃は皆無である。
軍略スキルの恩恵で集団戦もこなせなるが、どちらかと言えば一騎打ちを得意とするタイプ。
マスターである香子は魔術師ではないが、『恍惚的吸収』の効果により魔力回収に関しては優秀。
宝具『快楽的衝動』は自動発動型の宝具であり、その性質上戦闘が長引けば長引くほどアサシンの能力が上昇する。
これに加え、魂喰いによる魔力貯蓄と『恍惚的吸収』を効果的に運用することで長期戦においても優位に立ち回れる。

マスターにとって最大の不安となるのは保有スキル『逆臣』の存在か。
アサシン自身は今のところ反逆の意思を持たないが、マスターや自陣営の仲間が如何に彼を信用できるかどうかが鍵となる。


256 : 神長香子&アサシン ◆QyqHxdxfPY :2014/09/21(日) 17:12:56 qHCP8Ssc0

【マスター】
神長香子@悪魔のリドル(アニメ版)

【参加方法】
イレーナの形見として月の石で作られたロザリオを持ち出していた。

【マスターの願い】
暗殺者としての過去を断ち切り、ごく普通の人生を手に入れる。

【weapon】
主に自作の爆弾を使用。
その他にも拳銃、ナイフ、毒薬などを状況に応じて使用する。

【能力・技能】
孤児院を装った暗殺者の組織で訓練を受けており、殺しの技術を身に付けている。
爆弾作成の技能も備えるが、実戦においては落第生。
弾倉の装填に手間取る、手負いの相手に接近戦で押し負ける等技量の低さが目立つ。
ただし最終話では組織の追手を返り討ちにしており、全く才能がないという訳ではない模様。

【人物背景】
ミョウジョウ学園10年黒組に参加した暗殺者の一人。
性格は生真面目であり、成績優秀な優等生タイプの少女。
孤児院を装った暗殺者養成機関「クローバー・ホーム」で育つ。
暗殺者としては完全に落第生であり、過去に自らのミスで先輩のイレーナを死なせてしまったことがトラウマになっている。
黒組における望みの暗殺報酬は「暗殺者を辞めること」。
アニメ4話で標的の一ノ瀬晴の暗殺を決行。晴を護る東兎角と交戦するも、暗殺者としての技量の差で敗北。
そのまま強制退学となり、黒組で2番目の脱落者になった。
アニメ最終話では自らの意志でクローバー・ホームから抜け出し、組織の追手を撃退しながら逃走を続ける姿が描かれている。

【令呪】
位置は右手の甲。
鎌のような翼が生えた十字架の紋章。
翼がそれぞれ一画目と二画目、十字架が三画目。

【方針】
どんな手段を使ってでも勝ち残る。
その為には同じ陣営の仲間を利用することも辞さない。
可能な限りアサシンに注意を払い、制御する。


257 : ◆QyqHxdxfPY :2014/09/21(日) 17:13:11 qHCP8Ssc0
投下終了です。


258 : ◆yy7mpGr1KA :2014/09/21(日) 21:16:22 mRqeD0mk0
投下します。


259 : ◆yy7mpGr1KA :2014/09/21(日) 21:17:14 mRqeD0mk0
月とはなんだろうか。
ある古代の民族で、月は最初の死人の魂が天に昇ったものだと言われている。
ある神話では月は死んだ人間がいく地……いわゆる死の世界だと言われている。
また別の神話では制御できない不死身の怪物を隔離、封印した牢獄とも言われている。
満月を目にして人として死に、新たな怪物として生まれる狼男(ワーウルフ)。
月の光を浴び、力を増す半死人(アンデッド)。

月はその妖しさゆえか美しさゆえか、生を終えたもの、超えたものと深い関わりある存在と世界中で考えられている。

今もこうして、英霊が集い殺し合っている。
自分のような死にぞこないが殺し合おうとしている。

セブルス・スネイプは『蘇りの石』の欠片を弄びながらぼんやりとそんなことを考えていた。

黄泉戸契、というものがある。死後の世界の物を口にしたものは自身もまた死者になるという。
死後の世界の物は、死後の世界と深い結びつきがあるのだ。
ならば死後の世界より死者の魂を呼び出す『蘇りの石』とはなんだろうか。
死後の世界である月、そこに繋がる石。それは冥界の石……すなわち『月の石』なのではないか。

セブルス・スネイプは己がサーヴァントに向き合いながら教師の性かそんな考察を進めていた。

「ふうん、おもろい道具持ってんな。けどそれだけじゃ聖杯戦争には招かれん。マスターの願いは何?」

死に際に見たものを思い出す。愛した女性の目があった。憎き恋敵の姿があった。
だがそれはリリーではなく、ジェームズでもない。ハリー・ポッターという一人の教え子だった。
嫌悪する生徒だが、愛しい人の忘れ形見だ。守ると誓った少年だ。

死に際に聞いたものを思い出す。愛しい女性の声がした。幻聴だったかもしれない。
だが確信がある。自分の持つ欠片ではなく、『蘇りの石』の本体をポッターは持っている。
勇敢なるグリフィンドールの一員なら、あの男の息子なら、自らの犠牲を可能にするためだけに家族の声を求めてもおかしくはない。
闘いに赴く男を止める無粋な真似を彼女はしないだろう。だが、闇の帝王にすら息子の助命を願った母親がかつての友人に援助を求めて何がおかしかろうか。

『ハリーを助けてほしい』と我輩に……僕に言っていた。幻聴でも構わない。助けると、彼女の遺志を汲むと決めたのだから。
リリーを愛している。彼女ともう一度会いたい。
それでも、ゴーストという存在にならずにいた彼女の意思を曲げることは、『蘇りの石』という宝具でもなせぬ奇跡を望むことは彼女の願いではないだろう。
もし彼女が聖杯を手にしたならば、自身や夫との第二の生ではなく、息子の幸福を願うだろう。

ならばすることは決まっている。聖杯をとり、彼女の願いを叶える。ハリー・ポッターの命を救う。そのためには

「不死へ近づいたある男の魂を、ひとつ残らず消失させることだ」

闇の帝王の魂の欠片を宿すが故、ハリーが死なねばあの男も死なぬ。
だが聖杯の奇跡でもって、分霊箱に宿るものも含めてすべての魂が消失すればハリーは死なずとも闇の帝王を滅ぼすことが出来る。

「へえ…」

願いを聞き、細めた眼を僅かに開くサーヴァント。マスターを見極めるように、その内心を見透かすようにねめつける。
心を閉ざすのに長けたスネイプもその眼には不気味なものを覚えた。


260 : セブルス・スネイプ&セイバー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/21(日) 21:18:18 mRqeD0mk0

「キミ、僕と似てるなあ。名前聞いとらんかったから教えてくれる?」
「セブルス…セブルス・スネイプ」
「スネイプかあ、蛇みたいな名前やね。ボクはセイバーのサーヴァント、市丸ギンや。よろしゅう」

蛇。それは邪悪な魔術師の象徴とされ褒め言葉とは言い難い。
それを口にしても不快に思わぬのは清浄とは言い難い魔術師であるが故か、のらりくらりとした、まさしく蛇のようなセイバーの態度ゆえか。

「ボクもね、キミとおんなじ。不死身になった男を完全に殺す。それがボクの願いや」

死の間際、藍染の殺害は少年に託してきた。座より得た知識によると確かに勝利はしたが、殺害には至らず今もなお牢獄内で生きているという。
許せない。乱菊を傷つけて得た力で今も生き続けるなど許せない。
あの男が生きていてはまたいつか災いをもたらすだろう。彼女が生きる世界を乱す原因には消えてもらう。そのために

「勝とうな、マスター。黒も白もあらへん。聖杯をとるために、みんな殺す」

一人は蛇の如き魔術師。心を閉ざし、敵を騙し、味方を欺く半純血のプリンス。
一人は蛇の如き剣士。甘言に毒を混ぜ、二枚の舌があるかと思える堕ちた死神。

彼らはいつか蛇となり、人を喰らい始めるだろう。
人を喰らったその口で彼女を愛すと咆えるだろう。
彼女を愛すと咆えた口で、己を偽り続けるだろう。
偽りと血に塗れたその口は、愛でもって拭おうと、聖なる杯に口付けるに相応しいものだろうか。





【クラス】セイバー
【真名】市丸ギン@BLEACH
【パラメーター】
筋力B 耐久C 敏捷A+ 魔力C 幸運E 宝具A
【属性】
中立・中庸
 
【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
死神として100年以上活動し、積み上げた神秘はなかなかのものである。

騎乗:C+
騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせる。
偽りとはいえ虚の軍に身を置いていたため、悪霊などに類する魔獣の類ならば乗りこなす可能性はある。

【保有スキル】
埋伏の毒:A-
ただ一人の男を殺すためだけに雌伏を続け、果てに裏切った逸話の再現。
同ランクの破壊工作、気配遮断、反骨の相の複合スキル。
同じ陣営に所属するマスターとサーヴァント、市丸ギンとそのマスターに好感情を抱くものや協力者にはAランク相当の効果を発揮するが、それ以外のものに対しては半減する。

弁舌:B
優れた観察眼と話術により、交渉や駆け引きにおいて有利な判定を得る。
またのらりくらりと人を喰ったような態度で真意を隠し、逆に相手の真意を見抜くため言語を通じた暗示や催眠、読心に耐性を持つ。

死神:C
霊力を持つ魂魄が斬魄刀を持ち、修練を重ねることで至る域。属性:悪の霊的存在に対してダメージが向上する。
護邸隊の隊長にまでなった彼は本来なら最高位のこのスキルを保持するのだが、死神になったのは藍染を殺害するための足掛かりでしかなく、離反して虚の側についたためランクダウンしている。


261 : セブルス・スネイプ&セイバー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/21(日) 21:21:17 mRqeD0mk0

【宝具】
『浅打』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1〜3 最大捕捉:5人
王族特務の零番隊、二枚屋王悦が死神となる者の魂を元に鍛え上げた刀。
全ての死神が持つ斬魄刀の原型。
これと寝食を共にし、己が霊力を込めることで各人の斬魄刀固有の能力を獲得、真名解放に至る。
虚を切り、浄化する刀であるため悪霊殺しの概念を持つ。

『神槍』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ1〜40 最大捕捉:100人
斬魄刀の真名解放、その第一段階で始解と呼ばれる状態。
宝具、『浅打』は脇差へと姿をかえ、伸縮自在となる。
長さは刀百本分(60〜70メートルほどか)まで伸び、敵めがけて伸ばすことで強力な一撃を放てる。
浅打の持つ概念に加え、巨人の片腕を切り落とした逸話より巨人殺しの概念を持つ。

『神殺槍』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
斬魄刀の真名解放、その第二段階で卍解と呼ばれる状態。
形状の変化はないが、マッハ500で13km延びるようになる。その長さ以上に伸縮の速度が脅威である……
すいません、嘘言いました。
言うたほど長く伸びません、言うたほど迅く伸びません。
それでもビル群を一刀で切り裂き、一瞬で手元に戻るくらいの速度とリーチはある。
しかしその真価は刃の内側にある細胞を溶かし崩す猛毒である。伸縮の際に一瞬刀身が塵になり、刺し貫いてなお倒せない強敵の体内に欠片を置いてくることで体の内側から崩壊させる。
浅打、神槍の持つ概念に加え、不死に近づいた藍染に死を覚悟させた逸話から不死殺しの概念を持つ。

【weapon】
『鬼道』
真央霊術学院を一年で卒業する実力者であり、それなりに使える…がセイバーとして現界したため五十番代の使用が限度である。



【人物背景】
幼少時代は流魂街で幼馴染の松本乱菊と共に過ごす。この時乱菊の魂魄の一部を藍染の部下が奪っているのを目撃し、復讐を決意、力を付けるために死神になる。
死神としては真央霊術学院を一年で卒業、入隊と共に藍染の部下の席官を殺害してその座になり替わる。後に副隊長、最終的には三番隊隊長にまで上り詰める。
その間百年以上藍染の右腕として暗躍、尸魂界を離反するときも共に行く忠臣の如く振る舞った。これにより長い時をかけて唯一鏡花水月の弱点を知る者となり、復讐の期を窺がうばかりとなった。
そして空座町襲撃の際に藍染を裏切り、一瞬の隙を狙い『神殺鎗』の能力を以って藍染殺害を実行に移すが、藍染のさらなる覚醒を促し、彼の凶刃に倒れる。
今際の際は心中で黒崎一護に藍染を倒すことを託し息絶えた。

戦場においても朽木ルキアの死への覚悟を揺さぶったり、回廊を操作して敵(組織上は敵だが、藍染の敵という意味では敵対する必要性は薄い)の動きを操ったりと思うがまま飄々と振る舞う。
その内心は誰にも図ることはできなかったが、ただ松本乱菊のために他者のみならず自身も犠牲にできる、100年以上敵の下に潜伏するなど、歪んではいるが強固な愛情と忍耐心の持ち主。

【サーヴァントの願い】

地下監獄最下層・第8監獄「無間」に今もなお存在する藍染惣右介を完全に消失させる。

【基本戦術、方針、運用法】
スキル構成的に暗躍、裏切り、騙し討ちに高い適性を持つ。
特に同陣営のサーヴァントに対してはスキル:埋伏の毒が十全に機能するので優位に立てる。
正面戦闘にも優れ、またリーチある宝具での不意打ちなども可能なサーヴァント。
必要に応じて同盟者を増やし、最終的に裏切るのが最もスキルを生かした戦い方だろうが、真っ向から闘うのも選択肢としては大いにあり得る。
伸縮自在の宝具を利用しての狙撃なども考えられ、謀略にも真っ向勝負にも暗殺にも使える優秀なサーヴァント。
ただしスキル:埋伏の毒は自身のマスターに対しても効果を発揮する。
今のところ自身と似たようなものをマスターには感じているため裏切る様子はないが、このスキルの存在は主従の信頼関係を築くのに障害となるかもしれない。

【マスター】

セブルス・スネイプ@ハリポッターシリーズ

【参加方法】

ダンブルドアの形見として持っていた蘇りの石の欠片、それが月の石だった。

【マスターとしての願い】

現世に帰還し、ハリーを助けるために闇の帝王の魂をすべて消し去る。
己がためでなくあくまでリリーのために。

【weapon】

『杖』
魔術を用いるのに必要な礼装。原作中で素材などは明らかにされていないが、樺の木製で長さは34cmと推察される。
長年闇の魔術含む多くの術を行使してきた強力な杖。


262 : セブルス・スネイプ&セイバー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/21(日) 21:21:48 mRqeD0mk0

【能力・技能】

優れた魔術師であり、特に魔法薬の作成と闇の魔術に長ける。原典世界において杖のみでの飛行を可能とするのはスネイプとヴォルデモートの二人のみ。
闇の陣営に属しながらも『守護霊の呪文』を扱え、原典世界のほぼすべての呪文を網羅していると考えられる。
呪文の開発者としても優れており、学生時代に逆さづりの呪いや出血の呪いなど後世多くの者が使う呪文を開発していた。
また心を閉ざすことにかけては並ぶ者なく、ヴォルデモートであってもその真意は読み取れず二重スパイの重荷をこなしていた。
当然戦闘者としても優れ、ホグワーツの教師二人を同時に互角に渡り合う実力者。

【人物背景】
スピナーズ・エンドという町の険悪な家庭に生まれ育つ。両親の仲が悪かったために人間不信になり感情を人前で晒すことを避けようと、幼くして強力な閉心術師となった。
近所に住んでいたリリー・エバンズに惹かれ、彼女の目を引くために優れた魔術師になろうとする。そのために強力な闇の魔術と純血思想に傾倒することとなった。
11歳でホグワーツ魔法魔術学校にリリーと共に入学することになるが、登校時に汽車内でジェームズ・ポッターと遭遇し、後年まで引きずる因縁の仲となる。
リリーとは友人ではあったが、7年間の学生生活の中で彼女はジェームズに惹かれていき、それに対する互いの嫉妬や個人的憎悪からジェームズとは度々トラブルを起こし、5年生の時にリリーと決定的に断絶する羽目になる。
再びリリーの心を取り戻すには優れた闇の魔術師である死喰い人になるしかないと考えるが、闇の魔術を嫌うリリーにそれは逆効果であった。
結果リリーはジェームズと結婚、息子ハリー・ポッターを授かる。
卒業後死喰い人となったスネイプは主君ヴォルデモートがリリーを殺そうとしているのを知り、離反。ダンブルドアの下二重スパイとなる。
しかしダンブルドアの策は失敗し、ポッター家はハリーを遺してヴォルデモートに殺されてしまう。
以後はリリーの忘れ形見であるハリーを守るために動くも、恋敵であるジェームズと瓜二つの姿にきつく当たることも度々あった。
ヴォルデモートが本格的に活動を再開すると、味方である「不死鳥の騎士団」にも内密でダンブルドアと共謀し、死の杖を封印するために死期間近となったダンブルドアを裏切って殺したように見せて介錯、ヴォルデモートの右腕となる。
その後も不死に近い存在となったヴォルデモートを殺すために陰ながらハリーをサポート。
ヴォルデモートに殺されかけた今際の際、最後の分霊箱のありかを教えやるせない怒りに囚われながらも破壊を命じ、ハリーの中にリリーの面影を見て息絶える…その瞬間に月と地球の聖杯戦争に招かれた。

悪辣な性格でハリーにきつく当たり、リリーの思いを考えることをあまりしない身勝手な人物だったのは事実。
だが生涯を通じて一人の女性を想い、自身の過ちや強大な敵と向き合う強さと勇気を持ち合わせた人物であるのも事実であり、ダンブルドアやルーピンと言った相手に義理を果たす責任感も持っている。

【方針】
自身とサーヴァントの秘匿性を生かし立ち回る。
必要ならば服従の呪文により手駒を作ることも、サーヴァントに足止めさせた隙にマスターを殺害することも手段を問わず行う。
令呪というアドバンテージはあるが、自身と似通ったところのあるサーヴァントにはあまり気を許すつもりはない。

【令呪】
上腕部にある闇の印、それを否定するようにバツ印がしてあり、上部には雌鹿の顔のようなものがある。
バツ印で二画、雌鹿の顔で三画。


263 : セブルス・スネイプ&セイバー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/21(日) 21:22:14 mRqeD0mk0
投下完了です


264 : 名無しさん :2014/09/21(日) 21:45:16 oyvfSeWs0
投下乙です


265 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 22:47:28 SaRSzWeA0
では私も投下します


266 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 22:49:57 SaRSzWeA0
───今回の聖杯を巡る大騒動についてまず語らなければいけないのは多分、八九寺真宵のことだろう。
今はもう会うことはできない、僕の親愛なる話相手である彼女と出会ったのは───出遭ったのは、名前も読めない公園で、大袈裟に言えば知らない場所だった訳で、それでも彼女と遭遇したというのは運命と呼ぶ他ないだろう。
運命。
創作ではよく聞くそんな言葉だけれど、自分で言っておいてなんだけれど、現実で運命を信じている人間がどれだけいるかと聞かれれば僕としては首を傾げずにはいられない。
例えば目の前に現れた人が「あなたの運命は決められているのです───あなたは明日死ぬ」と言われたとして、それを信じる人はいるだろうか?
大半の人は胡散臭い、と一蹴してしまうだろう。
それぐらいあやふやで、不確かなものなのだ───しかしこれは僕の個人的な見解であって他の人、敷いては世界が運命に対しどんな考えを抱いているかはわからない。
だからこそ僕はあの時、暇潰し程度にこう話題にしたのだ。
八九寺真宵に、運命ってどんなものだと思う?と。
今となれば、そんなたわいもない話も大切だったように思える。
そんな僕の一時的なロマンチストな問いに、八九寺はどう答えたかというと、

「───運命、ですか。案外そんなもの、そこらへんにコロコロ転がってるかもしれませんよ?」

と。
そんな適当な答えを返してきたのである。
おいおい、そんな運命とか大袈裟に表されたイベントが簡単に評されても困るだろう。

「いえいえ、運命というのは極論を言ってしまえば何かに遭遇する、何かが起こるということですから」

僕のツッコミを軽く受け流し、自論を展開する八九寺。
こういう時の八九寺の言葉は、案外頼りになるものだ。

「例えば───ほら、今阿良々木さんと出会った私ですが、もしかするとここに来る前に阿良々木さんが車に轢かれて病院へ運ばれる可能性も多いにあった訳ですし」

恐ろしい例えをするな。
もうちょっと・・・こう、行き違いになったとかそういう例えにしてほしかった。

「そうですね、じゃあこの石なんてどうでしょう」

そう言う八九寺は、ヒョイと足元の小さな石を拾い上げた。
石?

「阿良々木さん、この石をよく見てください」

手渡された石を眼球に近づけ、よく観察してみる。
・・・石だ。どう見ても石コロだ。

「知ってます。それは完全なるなんの変哲もない石です。
ですが───阿良々木さんからしたら、それが『ただの石』だとは限りませんよね?」


267 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 22:52:52 SaRSzWeA0

何が言いたいのかわからない。

「もしかしたらそれ、隕石かもしれませんよ?もしかしたら火星の石とか土星の石、はたまた金星───月の石だって可能性もあります」

そう言われて、手に持った石を空に掲げてみる。
どう見ても普通の石にしか見えないが・・・。
これが、隕石とか、月の石だなんて、とてもじゃないが思えない。

「そうです。運命とはそういうものなんです───気付いていないだけで、見えていないだけで、その正体に気付いていないだけで、案外近くにあるものなのかもしれません。
朝通りすがった人が実はこの物語のラスボスだったとか、昼何気無く食べたご飯が実は伏線だったとか・・・重大なイベントは、いつも日常に隠れているものですからね」

そんなことを得意げに話ながら、八九寺はニコニコと笑顔だった。
かわいい。
ツインテールをぴょこぴょこ揺らしながら、愛すべき話相手は言う。

「もしかすると───そう、今阿良々木さんがその手に持ってる石も、気付いていないだけで何かの運命的な出会いという可能性も、あるかもしれませんよ?」













▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

「あ・・・阿笹木さん」
「いや、待て八九寺。このまま自然な内容で場面が移り変わろうとしていたのに『あ、忘れてた』みたいな感じで僕の名前をパンダの主食っぽく間違えるのはやめろ。僕の名前は阿良々木だ」
「失礼、噛みました」
「違う、わざとだ・・・!」
「噛みまみた」
「わざとじゃない!?」
「私・・・噛みましたっけ・・・?」
「八九寺、お前まさか記憶が・・・!?」

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


268 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 22:54:50 SaRSzWeA0
そうして今。
僕は、見るからに知らない土地にいる。
───おいおい、待ってくれ。
いくら色々と怪異絡みの事件に巻き込まれてきた僕だけど、さすがに拾った石が事件の発端とは少し何でもありすぎないか?
『猫も歩けば棒に当たる』とはよく言うけれど、これじゃ『阿良々木も拾えば怪異に当たる』なんて諺ができてしまうぜ。
後世に語り継がれてしまう。
僕もそろそろ語り疲れてきた頃なのに。
歴史に名を残したいとは思わないけれど、そんなトラブルメーカー的な意味で僕の存在が語り継がれてしまうのはゴメンだ。
できればカッコいい方向で頼みたい。
そのためにも一刻も早く元の場所に帰りたいところだけれど───周りを見回しても知っていそうな建造物が一つもない。
ビルだらけだ。
僕の中に眠っている男の子的な感性から言わせてもらうと、知らない場所というのはとてもワクワクすることもあるのだが、如何せん僕ももう高校生だ。
大人にならなければいけない時もある───大人になってしまう時もあるのだ。

「おーい、忍。忍?」

自分の影に呼びかけるが、返事はない。
周りは闇だが、よく見えるから、ペアリングは切れてないと思うんだけど・・・

「───あー、あんたがおれのマスターか?」

そんな声が、聞こえた。
忍のものではない、男の声だ。
悪いが忍の声は僕の鼓膜に焼き付けているから、聞き間違えるはずがないのだ。
だからこそ。
僕は、いきなり話しかけられた人間としては至極当然の、簡単に言えばテンプレートな答えを返してしまった。

「───え?」

ああ、全く。
僕ってやつは、厄介なことに巻き込まれる体質のようだ───



▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


269 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 22:56:08 SaRSzWeA0
「・・・えーと、ここは月ってことになんですよね・・・?」
「ああ、そうなるな」
「で、えーと、あなたはセイバーっていう剣士のクラスで」
「正確にはおれは刀だけどな」
「相手の陣営が全滅になるまで、殺し合うと・・・」
「おれとあんたでな」
「そうすれば何でも願いが叶う」
「したいことは大体生きてる頃にしちまったから、おれは大した願いはないけどな」
「・・・」
「おれはただの刀だ。あんたの言うことに従うよ」

阿良々木暦、人生最大のピンチだった。
幼い頃は仮面ライダー龍騎に憧れたことはあったけれど、残念ながら変身することは叶わなかったけれど───願いを叶えるためのバトルロワイアルに参加したいと思ったことは、ないはずだ。

「とりあえず脱出するか、誰かと連絡とらなくちゃな───」

恐らく、いや確実に、僕一人の力ではここから抜け出すのは不可能だろう。
夜でもちゃんと周りがよく見える───つまり、忍とペアリングは繋がっているみたいだけれど、忍の存在が見えないのも気になる。
ここのどこかにいるのか、それとも僕と離れたところにいるのかはわからないが・・・それでも、動かなければ。
そのために、是非ともこのセイバーにも手伝って───ん?

「セイバーって本名じゃないですよね・・・?」
「ああ、くらすってやつだ」
「えーと、じゃあ、本名は?」

僕の恐る恐るの問いに目の前の上半身裸の大男は───気怠そうに、答える。

「存在そのものが居ながらにして一本の日本刀───真名・鑢七花だ」

それが。
僕とサーヴァント・セイバーの、聖杯戦争の、始まりだった。






▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


270 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 22:57:19 SaRSzWeA0
後日談というか、当日談というか、その後のお話。
気付いたら朝で二人の妹に起こされていた、なんて夢オチもなく、その場で聖杯戦争やらなんやらの説明を聴き終えた僕は、更にセイバーから宝具やらなんやらの説明を受けていた。
それだけ。
語り部として僕もなるべく多くのことをお届けしたいけれど、今回ばかりは当事者で、僕も困惑しているので、許して欲しい。
とりあえずの行動としては、まず手がかりが欲しい。
忍もいない、羽川も忍野メメと誰も彼もいない状況だけれど・・・何かしら、行動しなくてはならないのだ。
吸血鬼もどきが月で死ぬ、なんて冗談じゃない。
残念ながら、僕はロマンに命を賭けられるほどのロマンチストではないのだ───吸血鬼もどきと月なんて、運命的なものを感じないと言えば嘘になるけれど。
ああ───やっぱり、八九寺の言う通りだ。
運命なんて、やはり気づかないだけでそこら辺に散らばっているらしい。


271 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 22:58:48 SaRSzWeA0

【クラス】
セイバー
【真名】
鑢七花@刀語
【パラメーター】
 筋力B 耐久B 敏捷A 魔力C 幸運C 宝具A

【クラス別スキル】
対魔力:C
魔術詠唱が二説以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:E-
乗れて動物程度。
車などの近代的なものは、不可となる。

【保有スキル】
対刀剣:B
セイバーの生前身につけた、剣を全く使わない一子相伝の剣術。
これにより刀剣類、他武具の類において、回避・防御に関して有利な判定を得る。

心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

日本刀の精神:A
彼は人間であり、一振りの刀である。
思考するのは刀を持つ者の役目───故に、同ランクまでの精神干渉を無効化する。

【宝具】
『虚刀流』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
剣を使わない一族相伝の剣術。
手刀や足刀、打撃など様々な種類があり、その一撃一撃が強力な威力を秘めている。
虚刀流には七つの構えがあり、それぞれに対応した七つの奥義があり───そして八つ目に、最終奥義として「七花八裂」が存在する。
しかし、この宝具のおかげでセイバーは剣を振るうことすらまともにできない。

『完了形変体刀・虚刀「鑢」』 (かんりょうがたへんたいとう・きょとう「やすり」)
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
無刀の彼をセイバーたらしめている宝具。
鑢一族の虚刀流そのものである。
虚刀流こそが「四季崎記紀の遺品」であり「記紀の血刀」。
この宝具を発動した場合、同ランクまでの刀剣類、他防具などを破壊できる。


272 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 22:59:53 SaRSzWeA0
【weapon】
『なし』
彼の武器は己が肉体のみである。
刀として、他の武器は所持していない。

【人物背景】
刀語の主人公。虚刀流七代目当主。島育ちのため世間知らずで、考えることが苦手な面倒くさがりだが、常識に囚われない発想が敵を倒す糸口を発見することもある。かなりの長身で、鋼のように鍛えられた肉体を持つ。動きやすいということで上半身裸でいることが多いが、豪寒的な寒さには弱い。虚刀流の血統のせいで刀剣を扱う才能が全く無く、刀を振りかぶれば後ろに落とし、振り下ろせば前に零す。
面倒がりな性格で、口癖はとがめに禁止される前まで「面倒だ」だった。その後とがめに強引に勧められ済し崩し的に決定した「ただしその頃には、あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」が決め台詞。
人間としてではなく、一本の刀となるよう育てられたため、対峙する相手に全く拘りを持たない。
とがめと行動を共にするようになってからは、最低限とがめの望みを可能な限り叶える方針を採るようにはなったものの、人間社会の細かい事情は全く理解出来ないままであった。
戦闘に於いては勝敗以外の配慮は出来ず、実力差から言えばわざわざ殺すまでもない相手の命をも奪おうとしていた。
よく言えば無垢で善悪に頓着が無く、悪く言えば人間性に乏しく残酷だったものの、刀集めの旅に出てから、人間らしい感情や感性が育っていく。とがめの刀として付き添いつつ「愛している」などと度々口にしていたが、物語中盤以降は他の男のことを褒めるとがめに嫉妬心から意地悪をするなど、次第に彼女への好意が本物になって行き、最後には彼女にはっきりと好意を自覚しそれを伝えるまでに至った。とがめの刀になりたいがために、七実と戦う直前まで実は七実の方が強いということを黙っていた。
元々、どちらかと言えば思慮深い性格であり、乏しいながらも知識の及ぶ範囲内では物語序盤から細かい配慮を見せている。戦闘では冷静に相手を観察して作戦を考えるタイプ。

12話では、とがめを殺されたことで旅に出る前の性分に戻ったような言動を取った上で、自らの死に場所を求め、血に染まって赤くなった彼女の装束を着て腰に彼女の遺髪を提げ、尾張城を襲撃。最後は否定姫の計略に乗せられた形で「とがめの人生を滅茶苦茶にした」と将軍を殺害した。物語が終わった後は地図を作りながら全国を巡り、その後の消息は不明とされている。
【サーヴァントの願い】
ない。
生きてる内にやりたいことは全部やった───あるとすれば、「ちぇりお」を広めること。

【基本戦術、方針、運用法】
基本的に、一対一で戦うサーヴァント。
宝具の性質上、三騎士相手に有利に立ち回ることができるので、狙うならそちらを。
基本的に善悪を考えず、殺す必要があれば躊躇いはしない。
同陣営のサーヴァントと協力し、一対一に持ち込もう。


273 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 23:01:17 SaRSzWeA0
【マスター】
阿良々木暦@物語シリーズ
【参加方法】
八九寺真宵が運命の例えに拾った石が月の石だった。
【マスターとしての願い】
脱出。
【weapon】
なし
【能力・技能】
吸血鬼化
・吸血鬼としてのある程度のポテンシャルを得る。
夜目が効いたり、再生能力の大幅向上、身体能力アップなどの効果を得ている。
ここに呼ばれる前に忍野忍に血を吸わせたことで今はかなり高い能力を得ているが、時間が過ぎるごとに徐々に弱まっていくだろう。
【人物背景】
物語シリーズ、主人公。
語り部ではない話を含めシリーズ全作品に登場。「こよみヴァンプ」の当事者である。私立直江津高校3年生。
瀕死の吸血鬼・キスショットを救うべく己の血液を献上した結果、自身も吸血鬼になってしまう。その後、曲折を経てメメの提案により、吸血専属に於ける能力の連動性を利用し、キスショットの血を限界まで吸うことで吸血鬼もどきの人間となる。
髪は長めで片目が髪で隠れており、感情に合わせて生き物のように動く大きなアホ毛がある。
身長:165cm。ちょっと気にしている。
シリアスパートでは、怪異の災難を被った少女達を救済するために日々腐心し、ギャグパート(各ヒロインとの会話)においては基本的にツッコミ役である。
中学生までは成績優秀だったが、高校に進学後は数が以外は落第点をとることが恒例の落ちこぼれとなった。
お人好しで困っている人を見捨てられない。
「化物語」開始時点ではクールでニヒルな皮肉屋だったが(高校1年の時のある出来事をきっかけにそのような性格になったらしい)、話が進むごとに軟派なキャラクターになっていき、ニヒルで皮肉屋だった頃を「貯金」と称するようになるなど性格上の凋落が見られる。
また特殊性癖持ち。しかも物語が進むにつれてそれがエスカレートしている。
度々知識のなさを周りから指摘され自覚もしているが、語彙に関しては豊富で、常用でない四字熟語や単語を多用する。
友達が少なく、よくネタにされる。ただし、目立たない生徒だったというわけではなかったようで、翼によれば「悪目立ち」していたらしい。また駿河とのつながりができて以降は、校内有数の有名人である駿河から崇め奉られているということで後輩女子の間で有名になっている模様。
怪異絡みの事件解決に協力した女子達からは総じて好意を寄せられているが、ほとんど気付いていない。それが更なる怪異絡みの事件の原因になったこともあり、周囲の人間や怪異からはよく鈍感と言われている。メメに対する対応は皮肉っぽいが信頼の裏返しとされ、ひたぎや翼にはツンデレの扱いを受ける。
「まよいマイマイ」でひたぎに告白され交際を始める。
火憐と月火という中学生の妹がおり、毎朝起こされている。子供の頃からの癖が抜けず妹を「ちゃん」付けで呼んでいるのが恥ずかしいため、かつては人前で妹2人を名前で呼ばないように気をつけていたが、「つばさファミリー」からは、ウザいから とその縛りを無くした。
妹達に対して過保護気味に接することが多く、彼女達からも強く慕われている。ひたぎ達からは「異常なまでに仲が良い」と評されている。
さらに、真宵に出会い頭によくセクハラをしたりするためにロリコンとも囁かれている。というかロリコン。
上述のように暦の持つ吸血鬼の力は眷属の階層的に上位である忍の力と連動しているため、吸血鬼となった当初は身体能力・治癒力が超凡であったが、キスショットが忍の姿でいる間は、人並み外れた回復力がある程度に留まっている。しかし、忍が暦を吸血することで力を取り戻し、暦の身体能力も上昇する。
一方がもう片方を殺せばすぐにでも元の姿に戻れるのだが、本人達にそのつもりはない。力だけではなく内面や精神的な部分も共有しており、暦のクールキャラが崩れたのは忍(当初のキスショット)の影響であるらしい。
現在はその逆で、暦が忍に性格や好きな人、漫画等の影響を与えている。
今回は「恋物語」始まり前より参戦。
そのため千石撫子に挑む前だったため、吸血鬼能力を上昇させていた時に参戦することとなった
忍とのペアリングは切れていないが、忍はここにはいない模様。
【方針】
脱出狙い。
積極的に仕掛けるつもりはない。


274 : 阿良々木暦&セイバー ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/21(日) 23:01:46 SaRSzWeA0
投下終了です


275 : ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/23(火) 01:54:02 Ka.GSM8A0
それでは私も鬼龍院皐月&ランサーで投下します。


276 : 鬼龍院皐月&ランサー ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/23(火) 01:54:43 Ka.GSM8A0

 天窓から差し込む月明かり。
 照らさるはカップの中の美遊学――もとい紅茶。
 月の聖杯に招かれようが普段と変わりなくゆっくりと口に含む。

 日常ならば紅茶は執事に用意してもらっているが此処にはいない。
 故に久方振りに自分で用意してみたが……不味くはない、美味の部類に入るだろう。
 しかし慣れ親しんだ味とは違う、やはり彼に紅茶が一番口に合うらしい。
 そのような事を考えながら彼女はカップを置くと笑みを浮かべた。

 月の聖杯戦争。この時になるまで一度も聞いたことが無い響き、争い。
 優勝すれば願いが聖杯に満たされる……このような話が存在するのだろうか。
 実際に今置かれている状況と事情を照らし合わせれば真の真実なのはたしかだろう。

「まさか神話と対面する事になるとはな……やはりこの世界はわけのわからない事に満ち溢れている、か」

 世界には自分の想像を上回るものが存在している。
 勝手に自分の中で一定の線を引き『こんな物、者など存在するはずがない。このような出来事など有り得ない』。
 しかしそれは世界を知らないだけである。この世を全て知り尽くした者など存在しない。
 アカシック・レコードや太極……それこそ神話級の創作でなければ世界をシルものなど無いだろう。

「周辺一帯を探索しましたが特に他のサーヴァントの気配は感じられませんでした」
 
 彼女が月に照らされているならば。
 同じ空間に現れた彼も照らされることになる。闇から出てきたのは美しい顔立ちをした男。
 言葉から察するに命令されたか自主的な行動かは不明だが偵察をしていたようだ。

「神話の英雄にわざわざ偵察を行わせるのも可笑しな話だが……ご苦労、ランサー」

 労いの言葉を掛ける。椅子に腰掛けている彼女は凛とした空気を漂わせている。
 しかし口から出てくる言葉には重みの中に何処か優しさを含んでいる。

「いえ……これが我が役目であり使命。貴方は俺を……私を一人の兵士として見ればいい」

 腕を払い目上の存在に頭を垂れるように。
 今宵の聖杯にランサーとして召された英霊はマスターに言葉を告げた。


277 : 鬼龍院皐月&ランサー ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/23(火) 01:55:48 Ka.GSM8A0

 英霊、その存在は世界各地に伝えられてきた伝承、神話、偉業、伝説……数々の話に座を維持させている。
 誰もが知っている伝説の英雄でもあれば、ひっそりと語られる影の英雄も存在する。
 彼らに共通しているのは伝説の存在であること、故にマスターと云えど英霊が頭を下げるのは珍しい状況といえるだろう。

「表を上げろランサー。たしかに私はお前のマスターだ……だが私の下に付けとは言わん。
 お前も……貴方も一人の『人間』として力を貸して欲しい。この鬼龍院皐月の覇道を進む力となって貰いたい」

 鬼龍院皐月、それがランサーの主の名前である。
 黒い長髪で凛々しい眉毛、その姿から発せられる覇気は女性と云えど侮れない。
 余談だがこの聖杯に召される寸前までは髪は今よりも短かったらしい。

「有難きお言葉……ですが私は聖杯に懸ける願いは持ち合わせていません。 
 故にこの槍兵の使命は主に忠義を果たすこと、隣に立つなど烏滸がましい……だが」

 主に歯向かうなど忠義の欠片も無い。
 彼の生前が影響しているのだろうか。この槍兵には願いなど無くその使命は主への忠義だと言う。
 鬼龍院皐月にとっては相性が良いのかもしれない、だがそれは何故か。
 彼に一体何があったのか、それは彼自身にしか解らない。

「……そう言うのならそうさせてもらう。
 だがこの鬼龍院皐月には聖杯に縋る道理も無ければ他者に悲願する願いも持っておらん」

「――ッ!? それは本当ですか我が主よ、貴女は何の願いも無い状態でこの聖杯戦争に臨まれている……?」

 英霊は主の言葉に困惑を示した。
 主は自らの意志で聖杯戦争に臨んでいない事は予め聞いてあった。
 だが願いを持ち合わせていない、と言うのは初めて聞いた事である。

「願いも無しに貴女は一体何と戦うつもりですか、俺は思想無き亡者の槍になるつもりはないが?」

 ランサーの言葉に重みが伸し掛かり一人称も強くなっていく。
 主と云えど気力を持たない者の下に付くと言うのは如何なものか。
 巻き込まれたその身は同情しよう、しかし願いを持たないで何を行うと言うのか。


278 : 鬼龍院皐月&ランサー ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/23(火) 01:56:41 Ka.GSM8A0


「ふん、この鬼龍院皐月、聖杯などと言う偶像に縋る気など毛頭ないわッ!
 願いを叶えたければ己の腕で運命を手繰り寄せろ、甘えるなッッ!!」

 
 彼女の強い言葉は静かな部屋に響き渡り空気が震えていた。
 発せられた言霊は演説に野次を飛ばす群衆を黙らせるかの如く強く、輝いていた。
 この言葉を受けランサーも一瞬『無』になるが、声を絞り出す。

「ならば我が主よ、貴女はこの聖杯戦争で何をすると仰られる……そして俺にどうしろと」

「言った筈だ英霊よ、お前の力を貸して欲しい」

「一体何のためにッ」

「聖杯を破壊するためだ、あのような塊はこの世界に必要ない。
 この世界にはそんな物に縋らなくても生きていける程強く、美しい」

 目の前の女は今何と言った、この耳は穢れているのだろうか。
 聖杯を破壊する、そのような発想は常人には出来ない代物だろう。
 口にするのは誰にだって出来る、だがこの女、鬼龍院皐月は――覚悟の瞳をしていた。

「摩耶香しなどこの鬼龍院皐月が叩き斬るだけの話だ。
 そのためにお前の力が必要だランサー……ディルムッド・オディナよ。
 私一人の力では無理だろう、私は小さな人間だ。だがお前は違う。
 英霊、その力を手にする槍となりてこの鬼龍院皐月の覇道を抉じ開けてもらいたい」

 言葉を紡ぎながら鬼龍院皐月は立ち上がりディルムッドの傍に歩み寄る。
 闇夜を照らす月明かりと重なり彼女は輝いていた。
 そしてディルムッドの目の前に立つと腕を彼の元へ差し伸べる。

「我がサーヴァント、ディルムッド・オディナよ、その力を私のために振るってくれるか」


279 : 鬼龍院皐月&ランサー ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/23(火) 01:57:45 Ka.GSM8A0

 差し伸べられた腕は細い、女性の腕だ、当然のことであろう。
 だがその覚悟はどうだ? 性別など関係なく一人の人間として尊敬に値するのだろうか。

『貴様らはそんなにも……そんなにも勝ちたいか!? そうまでして聖杯が欲しいか!?』

 鬼龍院皐月は忠義を尽くすべき存在なのだろうか。
 願いが無いならばその分聖杯戦争に懸ける思いが薄いと取れるのではないだろうか。

『この俺がたったひとつ懐いた祈りさえ踏みにじって、貴様らは何一つ恥じることもないのか!?』

 彼女の言葉から感じ取れる覚悟とその瞳に偽りは感じられない。
 決して薄い物ではなく本気で彼女は聖杯戦争を、聖杯を破壊しようとしているのであろう。

『赦さん……断じて貴様らを赦さん、名利に憑かれ、騎士の誇りを貶めた亡者ども』

 だがその道は険しいだろう。
 この聖杯戦争は陣営戦だ、己の軍が生き残ればいい。
 けれど聖杯を破壊しようとしている者が同じ仲間ならば、願いを叶えたい者は鬼龍院皐月を殺すだろう。
 つまり敵が増える、好ましくない展開だ。

『その夢を我が血で穢すがいい! 聖杯に呪いあれ! その願いに災いあれ! いつか地獄の釜に落ちながら、このディルムッドの怒りを思い出せ!』

 ――ディルムッド・オディナの願いを思い出して欲しい。
 彼は聖杯に懸ける願いは持ち合わせていない、彼の願いは――

「鬼龍院皐月……その道は困難だ、聖杯戦争を勝ち抜くよりも険しくて危険な選択だ。
 それでも貴女は……何て聞く必要は無いだろう、その覚悟は伝わった。
 最初に言った通り俺の願いは主に忠義を果たすことだ、それは今回も変わりはない、故に――。
 鬼龍院皐月、貴女を我が主と認めこのディルムッド・オディナ、貴女の槍として聖杯を破壊することを此処に誓わせてもらう」


280 : 鬼龍院皐月&ランサー ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/23(火) 01:59:11 Ka.GSM8A0


 主に忠義を果たす、彼の願いであり今宵の求める解である。
 その手をを取り膝を付く。手の甲に誓いの印を起てると彼は立ち上がり主を見つめる。

「鬼龍院皐月、その思想と生き様に誉れあれ」

「私に誉れなど要らんさランサーよ、讃えられるほど美しく進むつもりはない。誰も赦してくれないだろう」

 鬼龍院皐月はディルムッドの言葉を受け入れない。
 英霊から賛辞を受けるのはこの世に置いて最上級の名誉であろう。
 だがこれから彼女が進む道は綺麗事だけでは片付かない茨で覆われた道だ。
 光の道ではない、闇だ、闇。歩む道は修羅も恐れる闇の道。

 彼女はそのヒールを大きく床に叩きつけるように踏み込み音を奏でる。
 その気迫はまるで後光に照らされるが如く闇の空間を支配していた。


「この鬼龍院皐月は此処に宣言する! 聖杯などと言うくだらん偶像はこの手で破壊する!
 人間はそんな物に縋らなくても己の力で夢を叶える事が出来る、故に必要など無い、無駄だ!
 牙がある限り私は何度でも立ち上がりその醜い欲望を正面から叩き斬らせてくれようではないか。
 我が剣は全てを斬り裂き、我がサーヴァントの槍は全てを貫くだろう。
 願いなどと言う甘い妄言で惑わせると思うな、貧弱者共、この闘志、覚悟……再び起こしてやろうではないか。
 此処が何処だろうが関係ない、この鬼龍院皐月、泥に塗れようが悪に染まろうが己を貫き通し聖杯を破壊するッ!!」
 
 
 月夜に交わされた一つの誓い、宣言。
 この聖杯戦争は簡単に終わらない、それは始まる前から解っている。
 だがこの鬼龍院皐月と呼ばれる女性、簡単には解れない。


 ディルムッドは『流石は我が主』、言葉には出さないが視線を送る。
 

 この強き言葉から発せられる覚悟は尋常ではない。
 世が世ならば英霊並と言っても過言はないだろう、故に。
 今宵の聖杯戦争にに彼は主に忠義を尽くす、今度こそ――。


281 : 鬼龍院皐月&ランサー ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/23(火) 02:00:44 Ka.GSM8A0

【マスター】
 鬼龍院皐月@キルラキル

【参加方法】
 縛斬の抗生物質に月の石が紛れていた。

【マスターとしての願い】
 聖杯を破壊する。

【weapon】
 縛斬・餓虎、縛斬・蛟竜
 神衣純潔

【能力・技能】
 身体能力は人間の領域を超えている可能性があり、その能力は強い。
 神衣を着こなすことにより圧倒的な力を手にする。英霊として呼ばれるならばセイバーの素質はあるだろう。

【人物背景】
 本能寺学園を恐怖政治で制圧していたが……それは仮の姿であり真の狙いは世界を守ること。
 肉親である鬼龍院羅暁の目を欺き、彼女と四天王は世界を守るため敢えて悪に染まり戦力を蓄えた。
 対立していた纒流子とは姉妹であり共に呪われた運命を持っていた。
 最終決戦、全てを妹に託した彼女は宇宙から落ちてくる妹を一番に走りだし全裸で受け止めた。

【方針】
 まずは敵の陣営を倒す、勝つためならばどんな手段でも使う。
 そして最後には聖杯をこの手で破界する。


【クラス】
 ランサー

【真名】
 ディルムッド・オディナ(Fate/zero)

【パラメーター】
 筋力B 耐久C 敏捷A+ 魔力D 幸運D 宝具B

【属性】
 秩序・中庸 

【クラススキル】
 対魔力:B 詠唱が三節以下の魔術の無効化。それ以上の魔術でも傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
 心眼(真):B 
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す"戦闘論理゙。
 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

 愛の黒子:C 
 異性にディルムッドへの強烈な恋愛感情を懷かせる魅惑。対魔力や抗魔力で回避可能。

【宝具】
 
 破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2〜4 最大補足:1人
 ――魔力による防御を無効化する長槍。
 魔力によって編まれた防具はこの槍の攻撃に対し効果を持たず、
 また武具に施された魔術的な強化、能力付加もゲイ・ジャルグと打ち合う場合には
 一切発揮されなくなる。
 事実上、物理手段によってしか防御できない《宝具殺しの槍》。
 ただし、過去に交わされた契約や呪い、すでに完了した魔術の効果を覆すことはできない。

 必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2〜4 最大補足:1人
 ――回復不能の傷を負わせる呪いの槍。
 この槍によるダメージはHPの上限そのものが削減されるため、  
 いかなる治癒魔術、再生能力をもってしても『傷を負った状態』にまでしか回復することができない。
 ディスペルは不可能で、呪いを破棄するためにはゲイ・ボウを破壊するか、
 使い手であるディルムッドを滅ぼすしかない。

【weapon】
 宝具に依存。

【人物背景】
 ケルト神話に伝わるフィオナ騎士団の一員。
 かつてケイネスと呼ばれる魔術師に召され冬木の聖杯に参戦したことがある。
 その時はマスターの魔力もあり優勢、に見られたが彼とマスターを取り巻く環境は好ましくなかった。
 その仲は最後まで歩み寄ること無くディルムッドは全てを呪い聖杯戦争から脱落した。

【サーヴァントとしての願い】
 マスターである鬼龍院皐月に忠義を尽くすのみ。

【基本戦術、方針、運用法】
 基本は正面から挑む白兵戦を中心にする。
 鬼龍院皐月の力も相まって単純な近接戦闘ではかなりの部類に入るだろう。
 彼女の意思を受け取り型にはまらない柔軟な思考も取る予定である。
 なお、ランサーとして召されたため、剣はない。


282 : ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/23(火) 02:01:30 Ka.GSM8A0
以上で終了です。
何かありましたらよろしくお願いします。


283 : ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:41:31 BGfnKRhQ0
投下します。


284 : ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:42:56 BGfnKRhQ0
平和な学園生活だった。朝起きて登校し、授業を受け、友人と言葉を交わし、遊びに繰り出して家に帰る。
変わらない日常……変わらない毎日。
ライナー・ブラウンがそんな日常に感じていたのはある種の閉塞感と、開放感、何よりも違和感。

変わらない日々を過ごすことに対する、誰もが持ちえるある種の不満。
しかし、そんなに日常を過ごせることにどこか喜びを覚えてもいた。
そしてこんな状況に身を置いていること自体をおかしいと考える自分もいた。

「痛ってえな、くそ」

負傷した右腕を抑えてうめく。包帯を巻いて処置しているが骨折していた…気がする。
少し前から追っていた怪我だが…いったいいつからこんな状態になっていたのか?なぜこんな傷を負ったのか?
考えれば考えるほどに疑問が湧いてくる。

疑問に耐えかね、包帯をとってみると

「なんだこりゃ?」

明らかに間に合わせの添え木。酒でもぶっかけたのかアルコールの僅かな匂い。何かを裂いたような薄汚れた布で固定している。
どうみても病院で処置したようには見えない。
なぜ?自分は確かに病院で処置したはずだと己が記憶を疑う。

汚れた布を取り払い、患部を見てみると何か巨大な生き物に噛まれたかのような傷跡。そして傷の周り一部に何か石ころ…鎧のように結晶状の何かがついていた。
こんな噛み跡の生物が街中に存在するのか?なぜ患部にこんなものが付着している?

様々な疑問がぐるぐると頭の中を駆け回り、その重さに耐えかね心が削られてしまいそうだったが

(ああ…そう、だったな)

傷口から蒸気が上がり、みるみる癒えていく。傷の痛みが薄れるとともに別の痛み…令呪の痛みが右手に走る。
すべて思い出した。
ヌルイ学園生活なんて送るのは初めてだ。だからおかしいと思ったんだ、喜びを感じたんだ。
この傷だって戦場のど真ん中であれだけの処置が出来ていたら上出来だろう。
帰らねば、やらねばならないことがある。ベルトルトたちだけにやらせるわけにはいかない、奴らを皆殺しにしてやる。だって俺は


285 : ライナー・ブラウン&バーサーカー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:43:40 BGfnKRhQ0

(兵士…なんだから)

ベルトルトを放っては置けない。ユミルもコニ―も大切な仲間だ。塔の中で必死に戦っているはずだ。
クリスタなんか自分の服を裂いてまで、こんなにも丁寧に傷の治療をしてくれたじゃないか。結婚しよ

仲間の思いのこもった布きれを手にし、この聖杯戦争について考える。

(急いで皆の下に帰らなければ…だが、聖杯とかいうもので巨人の殲滅が可能なら、それも考えてみるか?)

決断に至るには材料が足りない。少なくとも自らのサーヴァントとやらを視認し、戦力を把握してからの方がいいだろうと考えてだ。
その結果如何では脱出も考えるべきだろう。
そしてついに邂逅の時が訪れた。

「貴様が俺のマスターだな?ったく長々と待たせてくれやがって。記憶力が悪すぎるんじゃないのか?」

現れたのは逆立った黒髪に、横柄な態度、そして猿のような尾を生やした屈強な男だった。

「バーサーカーだ。まあ、よろしく頼むぜ」

バーサーカー。それは確か理性と引き換えに力を得るクラスではないのか。
目の前の男はそれなりのステータスだが、言葉を発しているではないか。まさか虚言を?
新たな疑惑にまた頭を悩ませることになるかと思うが

「フン、真名や宝具ならいざ知らず、クラスなんざどうでもいいだろう。
大体偽るにしても、よりによってバーサーカーなんざ名乗らん。アーチャーとか言った方が信憑性はあるだろう。
俺がまともに喋っているのは宝具のおかげだ。感謝するんだな、真っ当に意思疎通できるバーサーカーなんざそうはいないぜ」

などともっともなことを言う。宝具の効果だと、己が手の内の一つだいうなら…言外に一応信用をしてくれたということなのだろうか。
これがさらに狂化により力を増すならば、聖杯を狙ってもいいだろう。そう思えるくらいには悪くないステータスだ。

「俺は故郷に帰って、人類のために聖杯の力で巨人を殲滅するつもりだ。協力してほしい、バーサーカー」
「ほう、その巨人とやらは強いのか?」

こちらの願いを言い、協力を求める。
その答えや彼の願いを返答としては求めたつもりだったが、バーサーカーはよく分からない質問をしてきた。

「人間があれを退治するのは一苦労だ、それくらい知ってるだろう」
「いや。おれはお前の居た星とは違う所の英霊でね。こうして月にいるんだ、他の星に人が住んでたっておかしくはないだろう?
だから俺はお前の星のことはよく知らないし、巨人とやらの強さも知らない。
だから勿体ねぇことすんじゃねぇよ。そんなに強いなら俺にやらせろ。巨人とやら、この俺が片づけてやるよ」

次々と新しいことを語るバーサーカーに、終えたと思えばまた疑問の種が増える。
しかしそんなことよりも許しがたい発言があった。

「巨人の脅威も知らないくせに、デカい口叩くんじゃねぇ!そもそもお前、何しに聖杯戦争に来たんだ!」

当然の怒り、当然の疑問。
人類が長年かけて対抗するのがやっとの存在を容易く片付けるなどできるものか。
願いを託すために戦場に来たのではないのか、好きこのんで戦場に身を置こうなど何を考えているんだ。
殺しあわねばならないという現状に僅かなりとも罪悪感はあるというのに、好んで闘おうとするサーヴァントに思わず声を荒げてしまう。

「闘いだよ。俺はただやり合いに来たのさ。強い奴とやり合えればそれでいい。だから巨人とやらにも興味がある。
フン、確かに巨人のことを俺は知らない。だがお前は英霊も、サイヤ人も、俺のことも何も知らない。
この聖杯戦争で証明してやるよ、俺の力を。どのみち聖杯はとるのだろう?」
「…本当にやれるんだろうな?」
「闘いになったら見せてやるさ。戦闘民族サイヤ人、その中でも伝説とされた超サイヤ人……このバーダックの力をな」

マスターの怒りなどどこ吹く風、とばかりに好戦的にニヤリと笑ってみせた。
常人には理解できないイカれた感性。正しくバーサーカー。
そしてそのマスターもまた己の秘めた歪みと、超常たる力は狂人と呼ぶに相応しいもの。
闘争という畑の中でいつか狂気は芽吹くだろう。


286 : ライナー・ブラウン&バーサーカー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:46:43 BGfnKRhQ0
【クラス】

バーサーカー

【真名】

バーダック@ドラゴンボール

【パラメータ】

筋力A 耐久B 敏捷C 魔力C 幸運D− 宝具A++
(狂化による上昇を除く)

【属性】

混沌・中庸(狂)

【クラス別スキル】
狂化:E+++
理性と引き換えにステータスを上昇させる。
全開時では闘争本能にのまれ、かろうじて味方の判別ができるかどうか。微弱なら意思疎通に問題はないが、ステータス上昇の恩恵はほとんどなく、また戦闘に夢中になりそれ以外のことはおざなりになる。いわゆる軽い興奮状態。
ただし、宝具『月が真円を描くとき』によって限定的にしか効果を発揮せず、通常の意思疎通および魔力消費も可能としている。

【保有スキル】
異形:E+++
尻尾が生えている、地球の人類とは異なる姿。
数多の星を蹂躙したサイヤ人の逸話より、敵の陣地や拠点、工房などの攻略時に有利な判定を得られるが、英雄として召喚されたためその効果は小さい。
宝具『月が真円を描くとき』発動中は大猿に変身するためランクが上昇、獣性が解放されるためその本来の性能が発揮される。

戦闘続行:A
不屈の闘志と頑健な肉体。
瀕死の傷であっても戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り勝利を諦めることはない。
その精神性にも影響を受けているため、狂化のランクに応じてランクダウンする。狂化を全開してもそれなりに効果を発揮する。

勇猛:B
威圧・混乱・幻惑などの精神干渉を無効化する能力。また格闘ダメージを向上させる効果もある。
精神的なもののため、狂化のランクに応じてランクダウンする。狂化を全開するともはや効果を発揮しない。

心眼(真):C
実戦経験によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
知性が必要になるため、狂化のランクに応じてランクダウンする。狂化を全開するともはや効果を発揮しない。

魔力放出(気):C+
魔力ではなく気を扱う技術。そのため対魔力の影響は受けない。
通常の魔力放出のように肉体に纏う他、エネルギー弾として放つ、バリアの展開、舞空術などが可能。
戦闘力(ステータス)のコントロールや探知など精密な技術は習得していないが、戦闘手段としては十分な技能である。
ある程度の戦闘技術が必要なため、高ランクの狂化中は一部の技が使えない。

【宝具】

『月が真円を描くとき(トゥルース・サイヤパワー)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:1人
全てのサイヤ人が共通して持つ宝具。サイヤ人の獣性、凶暴性を開放する。生前から通常時は人間態で消耗を抑え、文明の利器を扱う為に闘争本能を抑えていたため、狂化を無効化できる。
真名解放の必要はない、というより制御不能であり、満月を目にすると尻尾に反応して大猿へと姿を変える、変えてしまう。そのため尻尾がなければ発動しない、いうなれば尻尾こそがこの宝具といえる。
尻尾を切られた場合大猿化はできなくなるが、狂化を抑えることは可能。そのうちまた生えてくる=治るので、マスターからの魔力供給や回復魔術などによって再生は容易。
発動中は狂化による敏捷と幸運を除くステータス1ランク上昇に加え、さらに筋力と耐久を1ランク上昇させるが、巨体のため敏捷は3ランクダウンする。
大猿の姿で他の宝具を扱うことはできず、また魔力放出(気)も口からのエネルギー波と舞空術程度しか使えない。
発動に必要なのは正確には1700万ゼノを超えるブルーツ波という特殊な光であり、これを目にできるなら三日月でも月以外の星でも何らかの装置や魔術、宝具でも構わない。


287 : ライナー・ブラウン&バーサーカー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:47:13 BGfnKRhQ0

『はじけて混ざれ!(ライクアフルムーン)』
ランク:E 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
サイヤ人の中でも一部の戦士のみが放つ、酸素とパワーボールを混ぜて擬似満月を作る宝具。
本来はエリートや王族のみが扱う技だが、『サイヤ人』といえば満月に応じて姿を変えるものであるとされているため、英霊として召喚されたサイヤ人の大多数がこの宝具をもつ。
この宝具自体に攻撃性能や実害はないが、昼日中でも新月の夜でも擬似的に満月を呼び出し『月が真円を描くとき』を発動できる。
維持時間は込めた魔力量にもよるが、通常1〜2時間程度。人口満月が破壊されても大猿の姿を数分は保つことが可能。

『たったひとりの最終決戦(ファイナルスピリッツキャノン)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:100人
魔力放出(気)を極めたバーダック究極の一。生前フリーザに向けて放った自身の奥義。右掌にエネルギーを収束させ、青い弾丸として放つ。
発射時には受けた敵の攻撃や移動阻害、能力減退に対する抵抗判定において有利な補正を受けさらに攻撃判定回数を+1できる。

『1000年に一人の黄金戦士(超サイヤ人)』
ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人
穏やかで純粋な心を持つサイヤ人が強い怒りや悲しみによって覚醒した姿。
頭髪は黄金に瞳は碧眼に染まり、膨大な気が意識せずとも濃霧のように体を覆っている。
幸運と魔力を除くステータスを4ランク上昇させ、また最低ランクになるが狂化を併用することも可能となる。
魔力放出(気)と『たったひとりの最終必殺』の威力も2ランク上昇するが、当然魔力消費もそれに応じて増す。

【weapon】
『戦闘服』
ツフル人の優れた科学技術によって作られたバトルジャケット。
彼が身に着けているのは旧式の肩当てがないタイプだが、防御性能は最新のものに劣らない。物理攻撃のダメージを減少させる。
また伸展性にも富んでおり、大猿になっても破れない。魔力消費で修復可能。

『血染めのバンダナ』
戦友トーマと己の血によって染まったバンダナ。誇りと友情、なにより決意の証である。
平常時は当然頭に巻いているが、大猿になると破れてしまうのでいったん送還するか、戦闘服の懐にしまうことになる。
特に神秘的加護などはないが、これさえあれば狂化しても仲間を見失うことはない……はず。
もしかするとブロリーが地球人に培養されたように、何らかの科学や魔術に利用できるかもしれない。

【人物背景】
サイヤ人のひとり。その勇猛さは同族の中でも知られていた。
家族構成は妻ギネ、長男ラディッツ、二男カカロットとなっている。鋭い目つきに純血サイヤ人特有の黒髪が四方八方にはねた容姿。振る舞いは粗暴で息子に対する愛情も薄いが、仲間思いではある。
下級戦士の出だが、後述するサイヤ人の特性とそれに伴う戦闘経験により大きく力を増し、一部のエリート戦士をしのぐ力を手にした。
仲間たち4人が全く敵わなかったフリーザ軍兵士を一撃で葬るパワフルさ、数十人のフリーザ軍兵士の攻撃をいなしたり同士討ちを誘発したりするなどテクニカルな戦闘スタイル、瀕死の重傷を負った状態でも阿修羅のごとき拳を振るう精神力など、戦歴に裏付けられた高い戦闘能力を持つ。
生前はフリーザに雇われ星の地上げを行っていたが、仲間とともに侵略していた惑星カナッサの民によって予知夢の能力を得て、フリーザが故郷惑星ベジータを破壊するビジョンを予見する。
そのためフリーザに疑心を持ち、仲間の死をきっかけに反旗を翻す。この時に同族たちに説得を試みるも真に受けてもらえず、単身決戦に臨む。
満身創痍になりながらもフリーザ軍を振り払い、決死の一撃を放つもフリーザに敗れ、惑星ベジータは滅びた。その時に受けた星をも砕くエネルギーの余波で1000年前の惑星ベジータ(当時の惑星プラント)に跳ぶ。
惑星プラントの先住民族、ベリーと接するうちに次第に穏やかになっていった。
そんな惑星プラントを襲撃したフリーザの祖先チルドをフリーザと勘違いして戦うも歯が立たず、無力な自分への怒り、故郷と仲間を滅ぼしたフリーザへの復讐心、ベリーを傷つけられた怒りによって超サイヤ人に覚醒。チルドを撃退し、去っていった。
死に際のチルドは一族に「金色に変化するサイヤ人に気をつけろ」と遺しており、それが超サイヤ人伝説始まりのきっかけとなった。
このバーダックは多くの星を攻撃した反英雄でなく、惑星プラントを救った戦士であり、フリーザ一族や一部のサイヤ人に語り継がれる英雄、超サイヤ人である。


288 : ライナー・ブラウン&バーサーカー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:48:03 BGfnKRhQ0
【キーワード】

サイヤ人
惑星ベジータを故郷に、宇宙を駆け巡る戦闘民族。その恐ろしさは宇宙でも有名な侵略者にして略奪者。他の惑星の民族を絶滅させて星を売ることを生業としている。
階級社会であり、王ベジータをトップに生まれた時の戦闘力によってエリート、下級戦士に区別される。下級戦士の中でも弱い者は戦闘力の低い星に追いやられそこの民を滅ぼす任を与えられる。
外観は尻尾が生えている、純血のサイヤ人は黒髪しかいないという点以外地球人類と大きな相違はないが、様々な面で戦闘のために頑健に進化している。
-40℃でも50℃でも、4分の1気圧でも、10Gでも活動し、異星人を喰らう、7日間完徹で鍛錬をする、四肢を砕かれ胸に穴が開いても戦い続けるなど並外れた環境適応力、タフさがそれにあたる。
尻尾を握られると力が抜ける、瀕死の状態から復活すると大きく力を増すという体質もあるが、バーダック含む大多数のサイヤ人は鍛錬により弱点を克服しているし、またすでに死んで英霊となっているため傷を癒しても力を増すことはない。ちなみに尻尾は自らの意思で切り離すことも可能。
最大の特徴は尻尾のある状態で満月を見ると大猿に変身することだろう。その姿になると戦闘力は十倍になり、凶暴性を増す。一説にサイヤ人は大猿が人に進化したものとも言われる。
種族として知能はそこまで優れているわけではなく、用いている様々な技術は先住民族から奪ったもので、侵略や売買する惑星はフリーザの指示で決めていた。
一部で1000年に一度現れる最強の戦士超サイヤ人の伝説があり、おとぎ話程度の疑念と畏敬を集めていた。
その伝説を警戒したフリーザによって数人の男子を除いて故郷ごと滅ぼされた。

余談だが、バーダックをはじめとするサイヤ人の下級戦士は顔の種類が少なくターレス、カカロット、また孫悟天など似通ったものが多い。
そのため外観や振る舞いから真名を看破するのは難しいかもしれない。

ツフル人
惑星ベジータの先住民族で、サイヤ人と逆を行く知的民族。恐らくバーダックが惑星プラントで出会ったベリー達はその祖先。
サイヤ人にその技術、住む星、そして命も奪われ絶滅した。
サイヤ人たちの用いるスカウター、メディカルマシーン、戦闘服などは彼らの技術がベースになっている。
これらのオーバーテクノロジーを一応は使いこなすサイヤ人は、技術や物を作る面はイマイチだが、既存の技術への順応は優れているのだろう。
バーダックもスカウターは愛用していたが、道具=知性の真逆をいくバーサーカーとして召喚されたためか今回は装備していない。
アーチャーやライダーなど別のクラスでなら持ち込めたかもしれないが、それでもそれらを扱った知識は健在である。
惑星間の通信もできない携帯電話程度、彼にとってはローテク過ぎて簡単に使いこなせる代物だろう。

フリーザ
自称宇宙最強の一族、その筆頭。父にコルド、兄にクウラ、祖先にチルドがいて、容姿も似通っている。
自らの欲望に従い数多の星や種族を支配下、指揮下に置いており、サイヤ人もその一つ。
一族の障害になり得ると判断したなら忠節に尽くしたサイヤ人も星ごと滅ぼす残虐さと戦闘力をもつ。
後にバーダックの息子孫悟空ことカカロットが超サイヤ人に目覚めたことで、打倒される。
バーダックは息子とフリーザが対峙する未来も見ており、カカロットに一族の敵を討ってほしかったようだ。
バーダック、そして息子カカロットの宿敵と言える存在。


289 : ライナー・ブラウン&バーサーカー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:49:12 BGfnKRhQ0

【サーヴァントとしての願い】
なし。サイヤ人らしく、英雄らしくただ純粋に強者との闘いを求めてきた。
終わったらライナーの世界の巨人とやらの相手をしてやるのもいい。

【基本戦術、方針、運用法】
人間態でのインファイトが中心となる。魔力放出(気)による中〜遠距離戦も可能だが、魔力消耗が大きくなるためなるべく殴り合いで行くのが賢い。が、本人は加減する気などない。
宝具はバーサーカーらしくすべて燃費が悪い。『月が真円を描くとき(トゥルース・サイヤパワー)』はキャスターが神殿クラスの陣地を作成していたなら有効だろうが、それ以外では使用は避けたい。巨大化して目立ち、敵を引き寄せてしまうのに加えルーラーにも目をつけられかねない。
むろん、人間態で勝てない相手に発動するのはやむなしだが。満月の下歩いて誤発動なんて馬鹿な真似は絶対に避ける。
『はじけて混ざれ!(ライクアフルムーン)』は地味な効果のくせに消耗が激しい。これを撃ち、さらに大猿化などマスターが魔力消費でヤバイ。10分持てばいいところ。先述のとおり使用もやむなしということもあるだろうが。
『1000年に一人の黄金戦士(超サイヤ人)』はそれをさらに上回る消耗。接近戦でも、魔力放出(気)による中〜遠距離戦も敵なしになるだろうが全力戦闘すれば1分でマスターが枯れる、最悪死ぬ。
『たったひとりの最終決戦(ファイナルスピリッツキャノン)』も一度の戦闘で2〜3発が限界。ビームの打ち合いになったらこれで対抗する、一応切り札。
近〜遠距離、空中戦、陣地攻略など戦闘で不得意分野は存在せず、宇宙船などのオーバーテクノロジーも容易く扱う、性能だけ見れば当たりの部類。
ただ理性を保っていても、それが知的な振る舞いにつながるかと言えば否で、戦闘狂がたたって勝手に戦闘に飛び込んだり、勝てそうにない相手に挑んだりとなまじ意思疎通ができるだけたちが悪い。
燃費最悪、言うことあまり聞かないと喋れるけど普通にバーサーカー。マスターが文明的知識に疎いので、高度な宇宙文明でそこをサポートできるのは一応メリット。
魂喰いどころか肉体まで食って魔力補給しかねない悪食を生かし、魔力を蓄えれば優勝候補に躍り出るはずだ。
何度でもいうが、燃費は最悪なので脱落原因の筆頭候補はマスターが枯れて死ぬことだろう。

【マスターステータス】

【名前】ライナー・ブラウン@進撃の巨人

【参加方法】
詳細不明。どこかで月の石に触れたはずだが…

【マスターとしての願い】
巨人の絶滅。バーダックの発言は聖杯戦争の中で信じられるかどうか見極める。これが兵士としてのライナーの願い。
戦士としてのライナーの願いは……

【能力・技能】
巨人化
負傷をきっかけに強い目的意識があれば15m級の鎧の巨人に変身できる。
ただし巨人化のエネルギーを魔力として供給しているためバーダックを従えている限り、消耗の激しい巨人化はできない。副産物の治癒能力も一応は行使可能だが、魔力はサーヴァントに持ってかれるだろう。
巨人討伐のための訓練を積んでおり、一端の軍人として申し分ない格闘技能や砲術、サバイバル技術などは習得している。特に立体起動装置およびブレードの使用は出身世界特有のものであり、擬似的な空中戦を可能とする。
加えて壁の外でも相応の訓練はしていたらしく、手の内を隠した結果でも訓練校で二番目の成績を修める。
殺人経験もあり、仲間を失ってもいるため敵マスターとの戦闘および殺害に躊躇はあっても必要ならば実行は可能と思われる。
ただしスパイとしての生活で精神崩壊し、擬似的な多重人格状態になってしまうなど精神的な脆さもある。

【weapon】
立体起動装置
人類が巨人を討伐するために開発した戦闘兵器。
召喚された際には手元になかったはずだがなぜか戻ってきていた。ガスも満タン、ブレードも十分。


290 : ライナー・ブラウン&バーサーカー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:49:32 BGfnKRhQ0

【人物背景】
冷静かつ気のいい性格で責任感も強く、面倒見も良いので仲間から厚く信頼される104期訓練兵団のリーダー的存在。
巨人に襲撃されたウォール・マリア南東に在った山村の生き残りで、故郷に帰るという一心で生きている。
訓練課程を次席で修了後は調査兵団に入団した。
ミカサ・アッカーマンの図抜けた才能の前に隠れがちなものの、前述の通りその実力は極めて高い。
常に自分より仲間を優先し、危険な役割は率先して引き受ける。ウトガルド城跡での窮地においては、身を呈してコニーを巨人から守り、右腕を負傷しながらも生き延びることに成功。
ここまでが兵士としてのライナー。

その正体は、5年前に人類を襲撃した「鎧の巨人」。
人類の殲滅を目的として壁内に侵入していたが、訓練兵団に潜入して機密情報を探るうち、同期の面々に対して殲滅対象でありながら友人であるという複雑な感情を抱く。
本来は壁の破壊を目的とする「戦士」だったが、罪の意識に耐え切れず、心の均衡を保つために自分は壁を守る「兵士」だと思い込むことで現実から逃避。
そのうちにどちらが本来の自分なのか分からなくなって人格が分裂してしまった。
戦士としても同期の仲間への情や罪悪感は持ち続けている、本来なら責任感あふれる心やさしい男。
兵士としての人格も決して演技ではなく、故郷を同じくする仲間と同じように同期生に触れている。
こちらが戦士としてのライナー。

基本的には兵士としての人格が表に出るが、何らかのきっかけで己が戦士である自覚すれば目的を思い出す。
しかしその心の闇は深く、長くは戦士としての己を保てない強くも脆い男。

【方針】
他マスター及びサーヴァントを駆逐する。
戦闘は基本バーサーカーに任せ、マスターの不意を打てるようならブレードで削ぐ。
軍人の端くれとして補給の大切さは学んでいるので定期的に休みを入れるつもり……サーヴァントが従うかは別だが。
死んだら元も子もないので立体起動及び舞空術での戦略的撤退も視野に入れる……やっぱりサーヴァントが従うかは別だが。


291 : ライナー・ブラウン&バーサーカー ◆yy7mpGr1KA :2014/09/23(火) 17:49:59 BGfnKRhQ0
以上で投下を終了します


292 : 名無しさん :2014/09/24(水) 19:33:39 FAKz0mmY0
【セイバー】
呉島貴虎@仮面ライダー鎧武 & 雅緋@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明- ◆aWSXUOcrjU
市丸ギン@BLEACH & セブルス・スネイプ@ハリポッターシリーズ ◆yy7mpGr1KA

【アーチャー】
セッツァー・ギャッビアーニ@ファイナルファンタジーVI & セレスティア・ルーデンベルク@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ◆ACfa2i33Dc
天龍@艦隊これくしょん & ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 第3部「スターダストクルセイダース」 ◆QyqHxdxfPY
イースレイ@クレイモア & アザミ@カゲロウプロジェクト ◆HUcCB15i0Y

【ランサー】
クー・フーリン@Fate/EXTRA CCC & 鳴上悠@ペルソナ4 ◆3btUfHUhu6
タケ@きのこたけのこ戦争if & ディオ@ジョジョの奇妙な冒険(第一部) ◆ACfa2i33Dc
セーラーサターン(十萠ほたる)@美少女戦士セーラームーンS & 鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜 ◆eBE8HIR9fs
ディルムッド・オディナ@Fate/zero & 鬼龍院皐月@キルラキル ◆zKmN6Unyy2
 
【ライダー】
リュカ(DQV主人公)@ドラゴンクエストV & カレン・オルテンシア@Fate/Hollow ataraxia ◆ACfa2i33Dc
ワムウ@ジョジョの奇妙な冒険 & 小泉ジュンイチロー@ムダヅモ無き改革 ◆yy7mpGr1KA
アストルフォ@Fate Apocrypha & 横島忠夫@GS美神 極楽大作戦!! ◆HUcCB15i0Y

【アサシン】
うちはマダラ@NARUTO & 神原駿河@化物語 ◆QNxvmG91pc
二ッ岩マミゾウ@東方project & 影森の正吉(しょうきち)@平成狸合戦ぽんぽこ ◆g33OtL8Coc
プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険 & 星空凛@ラブライブ! ◆VUBZx4BclE
リゾット・ネエロ@ジョジョの奇妙な冒険・黄金の旋風 & 腐川冬子@ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生 ◆HUcCB15i0Y
明智光秀@戦国BASARA & 神長香子@悪魔のリドル(アニメ版) ◆QyqHxdxfPY

【キャスター】
隼鷹@艦隊これくしょん & 沢木直保@もやしもん ◆QNxvmG91pc
ガミジン@妹が作った痛いRPG & 雨生龍之介@Fate/zero ◆VYr1mStbOc
ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム & 直枝理樹@リトルバスターズ! ◆2ZrgUeUnpM
ビビ・オルニティア(ファイナルファンタジーIX) & 不二咲千尋@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ◆HUcCB15i0Y

【バーサーカー】
魔神ザウーガ@エロタワー & ロザリンド・スターリング@ロリポップチェーンソー ◆VYr1mStbOc
人類種の天敵@ARMORED CORE for Answer & 遠野四季@真月譚月姫(漫画版) ◆ACfa2i33Dc
バーダック@ドラゴンボール & ライナー・ブラウン@進撃の巨人 ◆yy7mpGr1KA

【ビースト】
野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ & タバサ(娘)@ドラゴンクエストⅤ―天空の花嫁― ◆vBWhRkzGXs
【アヴェンジャー】
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ@ソニックシリーズ & キャプテン・アメリカ@アベンジャーズ ◆VUBZx4BclE
メルヒェン・フォン・フリートホーフ@Sound Horizon & 雨流みねね@未来日記 ◆QNxvmG91pc
鳴上悠@ペルソナ4 & 言峰綺礼@Fate/stay night ◆hfUo/cdNjE
【トマホーク】
『流竜馬』@ゲッターロボシリーズ & ルナマリア・ホーク@機動戦士ガンダムSEED DESTINY ◆3btUfHUhu6


293 : ◆OSPfO9RMfA :2014/09/24(水) 20:04:43 vQITGLHQ0
投下します。


294 : ◆OSPfO9RMfA :2014/09/24(水) 20:05:20 vQITGLHQ0

 光の当たらぬ路地裏で、間桐雁夜はサーヴァントを召喚する。
 クラスはバーサーカー。魔力の消費が激しいが、狂化によりステータスが強化されたクラスだ。

 召喚に成功する。しかし、バーサーカーの姿は現れない。
 霊体化したままなのか。そう訝しんでいると、どこからともなく声がした。

 ――お前が、マスターか。

「(念話? いや、何か違う。それに、バーサーカーは狂化で言語や理性が失われてるはずじゃなかったのか)」

 雁夜は不思議に思いながらも、言葉を返す。

「そうだ、私がマスター。間桐雁夜だ」

 ――お前は何を望む?

「私は桜ちゃんを、間桐桜を助けたい」

 間桐桜は、間桐雁夜にとって義理の姪にあたる。
 彼女は雁夜の思いの人、遠坂葵の娘だ。
 だが、彼女の特殊体質を間桐臓硯に目を付けられ、間桐家に養子に出される。
 そして、身を蟲に食われながら体質を変えられている。

 雁夜は間桐臓硯に詰め寄った。桜を解放しろ、と。葵の元に返してやれ、と。
 その結果、『聖杯戦争に参加し、聖杯を勝ち取ること』を条件に桜を解放するという約束を取り付けた。
 聖杯戦争を勝ち残る為、忌み嫌った魔術も会得した。
 その為に短期間に無理な魔術鍛錬を行い、魔術回路を補う刻印虫をその身に宿した。
 そんな無茶をしたため、既に余命幾ばくもない半死半生の身だが、桜を解放できれば、それでよかった。

 ――覚悟があるのだな。

「……わからない。けど、この身を削ってでも、助けたい」

 あくまで葵の幸福の為の手段ではあるが、桜の幸福を祈っているのもまた真意だった。

 ――ならば、我が友がお前の助けをするだろう。

 声の主の存在感が消え、目の前にサーヴァントが実体化する。
 人型だが、頭部に角、腕部に爪と鱗、背中に翼――まるで絵に描いたような竜人。

 そして、パラメーターに一つ、不思議な数字があった。

 『D-カウンター 01.05%』

 その数字を見た瞬間、知識が脳裏を走り、理解する。


 この数値が100%に達したとき、限界を超え、死に至る。


 そして、こうしている合間も、0.01%刻みだが、少しずつ上昇していく。

 なるほど、彼もリミットがあると言うことか。
 雁夜は自嘲する。自身も魔力消費が激しいバーサーカーをそう何日も限界させることは出来ない。
 主従揃って、後戻りはできないということだ。
 ならば、短期決戦に挑むしかない。

「頼むぞ、リュウ」

 雁夜は決意を新たに、身体を引きずるようにだが、前に一歩歩き出した。


295 : 間桐雁夜@バーサーカー ◆OSPfO9RMfA :2014/09/24(水) 20:06:31 vQITGLHQ0
【CLASS】
 バーサーカー

【真名】
 リュウ=1/8192@ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター

【パラメーター】
 筋力A+ 耐久A+ 敏捷C 魔力D 幸運D 宝具EX

【属性】
 中庸・狂

【クラススキル】
狂化:A
 全パラメータを1ランク上昇させ、筋力と耐久をさらに1ランクアップさせている(ステータスに反映済み)。
 代わりに言語能力と理性の全てを喪失している。

【保有スキル】
戦闘続行:A
 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。

不屈:A
 『世界を変え、誰かを救おう』という、強い想い。
 決して諦めることは無い。

適合者:E
 ドラゴン「アジーン」と「リンク」するための能力。
 最初の適格者はD値が1/4であり、D値が1/8192のリュウは低いと言わざるを得ない。

【宝具】
『D-ダイブ』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
 竜変身し、ドラゴンの力を引き出す。
 Aランク以下の攻撃を全て無効化する。
ただし、対竜属性を持つ攻撃に対しては、Cランク以下の攻撃のみ無効化する。
 また、筋力と耐久の値を1ランク上げる(ステータスに反映済み)。
 原作では“クールダウン”を行うことで竜変身を解くことが出来たが、バーサーカーとして現界したため、常に発動。

『D-カウンター』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
 リュウの体内のドラゴン侵食率。
 『Dーダイブ』を使用中のあらゆる行動をする度に、『D-カウンター』の数値が上がっていく。
 0%から始まり、100%を超えると内側からドラゴンの力が食い破り、死ぬ。
 この数値は如何なる方法を持ってしても、下げることも、停滞させることも出来ない。
 ただし、霊体化することにより、上昇をある程度抑えることが出来る。

以下は上昇例
 ・実体化する度に1%
 ・攻撃一回につき1%
 ・力を溜める行動で2%
 ・『Dーブレス』(後述)で1秒につき3%
 ・ターン終了毎に2%
 ・霊体化で歩くだけでも、数十歩につき0.01%
 ・ただし、D-カウンターが上昇するのは能動的な行動に限り、攻撃を弾く、攻撃を喰らうなどの受動的な行動では上昇しない。

『D-ブレス(○ボタンをはなすな!)』
ランク:B 種別:対人宝具、大軍宝具 レンジ:1〜10 最大補足:1〜10
 直線上に竜属性のエネルギーを照射する。

【weapon】
素手。

【人物背景】
 『ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター』の主人公。
 大昔に発生した災厄により、地上は汚染され、地下世界に住むようになった。
 それから幾世代が過ぎ、地下世界の大気汚染、D値による格差、その他諸々の弊害が存在した。
 リュウ=1/8192はその低いD値により、下層区域の警備として生涯を過ごす……はずだった。

 アジーン、ニーナと出会い、その運命は変わっていく。
 ニーナは大気が汚れている地下世界では生きてはいけない。
 だから、地上を目指す。そらをみにいく。
 リュウはアジーンの力、すなわちドラゴンの力を引き出し、地上へ駆け上る。
 だが、強力無比なドラゴンの力の代償は大きい。
 力を使えば使うほど、限界が近づいてしまう。
 それでも諦めずに、ただ前だけを向いて走り、そして、空を――

【サーヴァントとしての願い】
 桜を救おうとする間桐雁夜を助ける。

【基本戦術、方針、運用法】
 脅威的な攻撃力と防御力を持っているので、三騎士相手に正面からぶつかっても、余裕で競り勝てるものと思われる。
 だが、魔力補給や令呪などでフォローできない『D−カウンター』を持っている。
 一番困るのは、相手に「逃げられる」こと。
 時間のない主従にとって、仕切り直しされるのはなによりの悪手だ。
 その為、逃げ道を封じてからの直接戦闘がメインにするのが良いだろう。

 なお、アジーン(リュウの変わりに喋っていた)が出てくるのは今回だけである。


296 : 間桐雁夜@バーサーカー ◆OSPfO9RMfA :2014/09/24(水) 20:07:00 vQITGLHQ0


【マスター】
 間桐雁夜@Fate/Zero

【出典】
 Fate/Zero

【参加方法】
 間桐臓硯より月の石を入手する。

【マスターとしての願い】
 聖杯を手に入れ、桜を解放させる。

【能力・技能】
 蟲を使役する魔術。
 切り札は牛骨すら噛み砕く肉食虫「翅刃虫」の大群使役。

【weapon】
 魔術

【人物背景】
 第四次聖杯戦争当時の間桐家当主・間桐鶴野の弟。
 間桐の魔術を嫌って家を出奔し、フリーのルポライターとして生計を立てていた。
 遠坂時臣の妻、葵とは幼馴染であり、彼女の幸福を祈っていた。

 しかし、葵の子、桜が間桐家に養子に出されたことを知り、家に戻る。
 桜は魔術により、身を蟲に食われながら体質を変えられていた。
 聖杯を入手した暁には桜を解放することを条件に、聖杯戦争に挑む。

【方針】
 他のマスター、サーヴァントを倒す。
 索敵などはマスターが行い、戦闘はサーヴァントに依存。


297 : ◆OSPfO9RMfA :2014/09/24(水) 20:07:50 vQITGLHQ0
以上です。
何かあれば指摘お願いします。


298 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/25(木) 01:05:38 zhBXBUOE0
投下します。


299 : 堂島奈々子&ランサー  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/25(木) 01:06:58 zhBXBUOE0


いっぱい歩いた


どれだけ歩いたか分からなくくらいたくさん歩いた


ここは暗くて…寒くて……


とっても怖かった


しらないおじさんに連れられて見た天国とは違う


周りはきりにおおわれてて、進んでいるのかどうかもわかんなかった


このままきりのなかに消えていっちゃう気がして、泣きそうになった


奈々子、どうしちゃったんだろう


ひょっとして死んじゃったのかな


このまま行けばお母さんに会えるのかな


ああ……でも――――


かみさま、どうかおねがいします


さいごにもういちどだけ



おとうさんとおにいちゃんにあわせてください






少女のただ家族を思う純粋な願いを、月の石は聞き届ける


こうして、幼い少女は聖杯戦争へと招かれた


300 : 堂島奈々子&ランサー  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/25(木) 01:08:09 zhBXBUOE0




おいしそうなスープの匂いと、朝の日差しを浴びて奈々子は目を覚ます。
寝ぼけた頭でリビングに進むと、朝食を作って待っていたサーヴァントが挨拶をした。


「おはよう奈々子。体の調子は大丈夫か?」
「おはようランサー。うん。奈々子大丈夫だよ」
「そうか、顔を洗ってきなさい。もうすぐ出来上がるから」
「はーい!」

顔を洗い着替え、ランサーと一緒に食卓につく。

「「いただきます」」

トーストに目玉焼き、トマトのスープと簡単ながらも手の込んだ料理に奈々子は顔を綻ばせる。

「美味しいよランサー」
「そうか、おかわりあるから沢山食べろよ」
「うん!」

そして食事を済ませ、学校に向かう準備をする。
その時お弁当を詰めていたランサーが、少しだけ真剣な顔でこういった。

「奈々子、最近物騒な事件が続いているから、学校が終わったらまっすぐ帰るんだぞ」
「わかった!行ってきまーす」

元気に返事を返して学校に行った奈々子を玄関で見送りながら、ランサーはマスターと出会った当初のことを思い出していた。


マスターは聖杯戦争について理解していなかった。
それどころか聖杯戦争自体を知らず、ここを天国だと思っていたそうだ。
ただ、納得できる話でもある。
なぜなら彼女は、おそらく死ぬ間際にココに来てしまったからだ。

自分の体がどんどん冷たくなっていく感覚も、意識が闇に沈んでいく様も奈々子は覚えていた。
泣きながら父と兄にもう一度だけ会いたいと願う幼いマスターを抱きしめながら、なぜ自分が奈々子のサーヴァントに選ばれたのか理解した。


かつてランサーは、世界と少女の命を天秤にかけ、どちらも選ぶことができずに大切な少女を死なせてしまった。
時が経ち、結婚して我が子を授かり天寿を迎えても、胸の中にはいつだって後悔が残っていた。
そして英霊の座についた時でも、その思いは決して消えることは無かった。



もしも次があるのなら
もしもやり直せる機会があるのなら
その時はあの子を守ろう
例え自分がどうなろうとも、今度こそ大切なあの子を守り抜こう


こうして、ランサー―――ルドガー・ウィル・クルスニクは聖杯戦争に参戦する。

マスターを家族のもとに送り返すため。
そして、守れなかった少女を、今度こそ守り抜くために。





【クラス】
ランサー

【真名】
ルドガー・ウィル・クルスニク@テイルズ・オブ・エリクシア2

【マスター】
堂島奈々子

【属性】
秩序・中庸

【ステータス】
筋力:B 耐久:C 敏捷:B+ 魔力:C 幸運:E 宝具:A+

【クラススキル】
対魔力:C
魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀式呪法など大掛かりな魔術は防げない。


301 : 堂島奈々子&ランサー  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/25(木) 01:08:38 zhBXBUOE0

【固有スキル】
変身:A+
クルスニク一族が時空を司る大精霊クロノスに与えられた力。
最高ランクのフル外殻に変身できる。

共鳴(リンク):B
戦闘時に魔力の波長を共鳴させ、動きをリンクさせる技術。
互いの動きが把握できるようになりより高度な連携が可能になる。
また能力補正も共有できるがバットステータスも共有してしまう。

料理:B
料理の才能。
通常よりも効率的に魔力を回復出来る他、一部のバットステータスを解除できる。
店を開くならBランクで十分である。

薄幸:A
人生における運の悪さ。
本人は何も悪くないのに気づいたら人生詰んでるレベルの幸薄さ。
ラック判定の攻撃が必ず効いてしまうバットスキル。

【宝具】
世界の破壊者
ランク:A+ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:− 最大補足人数:1
時空の大精霊クロノスによって与えられたクルスニク一族に伝わる変身能力。
外殻を発動した者は分子世界の侵入が可能になり、時歪の因子(タイムファクター)を破壊する力を得る。
発動後は幸運を除くステータスが2ランク向上。
また自分と敵を異空間に引きずり込み攻撃する能力も得る。
非常に強力な力だが、代償として時歪の因子となるリスクを負うことになる。
一定以上時歪の因子化が進めば全パラメーター低下、限度を超えると時歪の因子となり消滅する。

クルースニクの槍
ランク:B+ 種別:対界宝具 レンジ:− 最大補足人数:−
分子世界を破壊するクルスニク一族の槍。正確にはその逸話によって生まれた宝具。
外殻発動中のみ使用可能となり固有結界や工房を破壊することが出来る。
Bランク以下は無条件で破壊。Aランク相当の結界でもフルパワーなら破壊可能だが、多量の魔力を消費するリスクをはらむ。

【人物背景】
エレンピオスの都市にある『トリグラフ』で、兄ユリウス・ウィル・クルスニクと一緒に生活しているごく普通の青年。
ユリウスの仕事が忙しいため、愛猫ルルの世話を含め、家事のほとんどはルドガーが請け負っている。
どんなものを作っても、ユリウスが美味いと言ってたくさん食べてくれるため、気づけば相当数の品数を作れるようになっており、料理の腕前はかなりのもの。

憧れの大企業クランスピア社への就職に失敗し、苦労の末トリグラフ駅食堂への就職が決まった。
出勤初日、駅へと向かった矢先に見知らぬ少女エルと共に事件に巻き込まれ、 とある事件で自分と仲間達が負った大怪我の治療費として2000万の借金と世界の運命を背負う事になってしまう。
おまけにこの事件のせいでせっかく決まった仕事もクビになってしまうなど序盤から苦労が絶えない主人公。

そんな旅の途中、ルドガーはグランスピア社の社長、ビズリー・カルシ・バクーからある真実を告げられる。
今まで自分達が迷い込んでいた「変な世界」は自分達の暮らしている世界=正史世界から分岐したパラレルワールド「分史世界」であり、正史世界を破滅に導く存在であり、その核である時歪の因子(タイムファクター)を破壊できるのは自身が持つ「変身の力=骸殻」のみであると。
ビズリーによってエージェントにスカウトされたルドガーは様々な分史世界を探索し破壊していくが、その途中では様々な出会いと別れを経験し、時に厳しい決断を迫られることとなる。

そして、旅路の果てに明かされる分史世界の真実とクルスニク一族の悲劇。
彼が選んだ選択は―――

【サーヴァントとしての願い】
奈々子を父と兄のもとに送り返す。
エルを生き返らせる。


302 : 堂島奈々子&ランサー  ◆HUcCB15i0Y :2014/09/25(木) 01:09:23 zhBXBUOE0


【マスター】
堂島奈々子@ペルソナ4

【参加方法】
不明。
病院で息を引き取り霧の中を彷徨っていたら何時の間にか参加していた。

【マスターとしての願い】
お父さんとお兄ちゃんにもう一度会いたい。

【能力・技能】
無し。
あえて言うなら小学一年生にしてはしっかりしている精神性。
あと一通りの家事は出来る。

【人物背景】
稲羽市に住む小学一年生。
主人公の従妹にあたり、居候する堂島家で多忙な仕事に振り回される父親の代わりに家を預かる一人娘。
本編から1年前に母親を亡くしていて、小学一年生ながら炊事・洗濯・掃除・買い物を一手に引き受けている。
そんな子供らしさを感じさせない彼女だが、たまに遼太郎が早く帰ってくると連れて行ってもらえるジュネスへのお買い物をとても楽しみにしている。

非常に愛らしい容姿と、子供離れした聡明さを兼ね備える少女。
ともすれば、自称特別捜査隊の仲間たち以上に大人びた精神力の持ち主であり、主人公も含めて感心しきりなことも多い。

その一方でちゃんと子供らしい部分もまだまだ残しており、そうした面が現れた時に見せる純真で屈託のない微笑みはキャラたちはおろかプレイヤーさえも夢中にさせる天然マリンカリンである。

決して表では出さないが、幼さゆえに母親への想いは未だ強く、それゆえに孤独を恐れる寂しがり屋な部分を隠し持っている。


決して流言や風評に流されず、自分の思ったこと・考えたことに従って行動を起こす純粋さは『正義』コミュの担い手に相応しい心の持ち主と言える。

【方針】
明確な方針は決まっていない。
そもそも聖杯戦争をキチンと理解しているかは不明。


303 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/25(木) 01:09:57 zhBXBUOE0
投下完了です。


304 : 名無しさん :2014/09/25(木) 08:22:22 dbLswim2O
菜々子とランサーのコンビいいな乙!


305 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 13:45:28 ej2CNZq.0
>>292
その、ウヴァ&匂宮出夢を投下した者ですがひょっとしたら何か見落としがありましたでしょうか
投下としては初投稿ですが規約やルール違反などの間違い
あるいは内容の問題で組み合わせ表から除外されたのであれば教えてくださると助かります


306 : 名無しさん :2014/09/25(木) 14:09:44 TtoThuN.O
特にミスとかはないと思うので普通に数え抜けではないでしょうか
阿良々木さんも抜けてるし


307 : 名無しさん :2014/09/25(木) 15:58:51 Jqq8zTvk0
大人はうそつきではありません
間違いをするだけなのです…


308 : 名無しさん :2014/09/25(木) 16:06:35 Jqq8zTvk0
上の奴の修正+追加版

【セイバー】3組
呉島貴虎@仮面ライダー鎧武 & 雅緋@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明- ◆aWSXUOcrjU
市丸ギン@BLEACH & セブルス・スネイプ@ハリポッターシリーズ ◆yy7mpGr1KA
鑢七花@刀語 & 阿良々木暦@物語シリーズ ◆LvHaBDkQwQ

【アーチャー】3組
セッツァー・ギャッビアーニ@ファイナルファンタジーVI & セレスティア・ルーデンベルク@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ◆ACfa2i33Dc
天龍@艦隊これくしょん & ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 第3部「スターダストクルセイダース」 ◆QyqHxdxfPY
イースレイ@クレイモア & アザミ@カゲロウプロジェクト ◆HUcCB15i0Y

【ランサー】5組
クー・フーリン@Fate/EXTRA CCC & 鳴上悠@ペルソナ4 ◆3btUfHUhu6
タケ@きのこたけのこ戦争if & ディオ@ジョジョの奇妙な冒険(第一部) ◆ACfa2i33Dc
セーラーサターン(十萠ほたる)@美少女戦士セーラームーンS & 鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜 ◆eBE8HIR9fs
ディルムッド・オディナ@Fate/zero & 鬼龍院皐月@キルラキル ◆zKmN6Unyy2
堂島奈々子@ペルソナ4 & ルドガー・ウィル・クルスニク@テイルズ・オブ・エリクシア2 ◆HUcCB15i0Y
 
【ライダー】3組
リュカ(DQV主人公)@ドラゴンクエストV & カレン・オルテンシア@Fate/Hollow ataraxia ◆ACfa2i33Dc
ワムウ@ジョジョの奇妙な冒険 & 小泉ジュンイチロー@ムダヅモ無き改革 ◆yy7mpGr1KA
アストルフォ@Fate Apocrypha & 横島忠夫@GS美神 極楽大作戦!! ◆HUcCB15i0Y

【アサシン】6組
うちはマダラ@NARUTO & 神原駿河@化物語 ◆QNxvmG91pc
二ッ岩マミゾウ@東方project & 影森の正吉(しょうきち)@平成狸合戦ぽんぽこ ◆g33OtL8Coc
プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険 & 星空凛@ラブライブ! ◆VUBZx4BclE
リゾット・ネエロ@ジョジョの奇妙な冒険・黄金の旋風 & 腐川冬子@ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生 ◆HUcCB15i0Y
明智光秀@戦国BASARA & 神長香子@悪魔のリドル(アニメ版) ◆QyqHxdxfPY
匂宮出夢/理澄@戯言シリーズ & ウヴァ@仮面ライダーOOO ◆ruUfluZk5M

【キャスター】4組
隼鷹@艦隊これくしょん & 沢木直保@もやしもん ◆QNxvmG91pc
ガミジン@妹が作った痛いRPG & 雨生龍之介@Fate/zero ◆VYr1mStbOc
ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム & 直枝理樹@リトルバスターズ! ◆2ZrgUeUnpM
ビビ・オルニティア(ファイナルファンタジーIX) & 不二咲千尋@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ◆HUcCB15i0Y

【バーサーカー】4組
魔神ザウーガ@エロタワー & ロザリンド・スターリング@ロリポップチェーンソー ◆VYr1mStbOc
人類種の天敵@ARMORED CORE for Answer & 遠野四季@真月譚月姫(漫画版) ◆ACfa2i33Dc
バーダック@ドラゴンボール & ライナー・ブラウン@進撃の巨人 ◆yy7mpGr1KA
間桐雁夜@Fate/Zero & リュウ=1/8192@ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター ◆OSPfO9RMfA

<エクストラクラス>5組
【ビースト】
野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ & タバサ(娘)@ドラゴンクエスト�―天空の花嫁― ◆vBWhRkzGXs
【アヴェンジャー】
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ@ソニックシリーズ & キャプテン・アメリカ@アベンジャーズ ◆VUBZx4BclE
メルヒェン・フォン・フリートホーフ@Sound Horizon & 雨流みねね@未来日記 ◆QNxvmG91pc
鳴上悠@ペルソナ4 & 言峰綺礼@Fate/stay night ◆hfUo/cdNjE
【トマホーク】
『流竜馬』@ゲッターロボシリーズ & ルナマリア・ホーク@機動戦士ガンダムSEED DESTINY ◆3btUfHUhu6


309 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:29:36 ej2CNZq.0
>>306
良かった
>>307>>308
ありがとうございます

あ、じゃあ最後にもう一組投下してみます


310 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:33:05 ej2CNZq.0

「どうしよう……ネロ……シャロ……コーデリアさん……」
 何気ない日常の中。自宅で少女、エルキュール・バートン。通称エリーは記憶を取り戻した。
 どうということのない日常で弱気ながらも朗らかに過ごしていたが、どうにも違和感がぬぐえなかったからだ。
 何せこの日常では飯が普通に出てくる。
 自分が働いて得た給料を全てFXにつぎ込む友人も
 お花畑と妄想に全てを費やす友人も
 底抜けに明るく騒乱を巻き起こす友人も居なかったのだから。

 ……こうしてみると、元の世界は濃い面子との濃い日常であった。しかしそれらと切り離された彼女は余計に不安を抱えている。
 彼女は弱気な女学生である。まあ、人より体力はある。元はいつも自給自足の生活をしていたからむしろ大人より健康なくらいだ。
 しかしそれでも、こんな恐ろしい戦いで生き残るとは到底思えなかった。
 言いようのない不安があった。何せ己の持つ本来の「力」すら全くないのだ。
 緑色の探偵服だけがいつものままだった。
「ん〜エリーちゃん」

 するとそこに心配するような声が。
「少しは落ち着きなって、今かるぅく分身を放って周りは確認しておいたからサ。安全だよ、少なくとも今は」
「ピエロ……さん(分身……??)」
 自分のサーヴァントらしきものの名を、呼ぶ。そこには確かにピエロと言わざるを得ない怪人物が立っていた。
 トランプのマークをあしらった化粧。派手な服装に、鍛えられた体格。
 付け鼻の類はなく、むしろ滑稽さというより強さを感じさせる男だが、これを誰かと聞けばだれもがピエロと答えるだろう。そんな男だった。

「その通り。ボクはイレギュラークラスのピエロのサーヴァント。真名はピエロ・ボルネーゼさ」
「ピエロの、サーヴァントで……名前もピエロ?」
「そうサ。僕はピエロだからね」
 真名とクラスが同じ。そんなこともあるのだろうか。隠す意味がないということは、果たして不利なのか有利なのか。
 あまりにも型破りなその名はエリーには計りかねた。


311 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:35:58 ej2CNZq.0
「でも、今の私は……できることが……」
 なるほど。ピエロはジッとエリーを見つめる。エリーはそのまなざしに赤面し、目をそむけた。
「君は……何か人にはない凄いものを持っている。でも今はそれが無くて困ってるみたいだね。超能力者みたいなものかな?」
「ど」
 どうして、わかるのだろう。そうおっかなびっくり不思議がると。
「ピエロだからサ!!」
 答えはすぐにかえってきた。
「はぅっ……!?」
 急に高らかに叫ぶものだから思わずエリーはビクッとする。
 
「ああ、驚かせちゃったみたいだねメンゴメンゴ」
 オーバーなアクションで涙目のエリーをあやすピエロ。
「ボクみたいな世界レベ〜ルのピエロともなれば、一万人のお客が何を考えてるか、無意識の領域まで測り取れるものサ」
「そうなん、ですか……(ピエロって、すごい)」
 何か間違った知識が植え付けられようとしていた。

「その、ピエロさんは。ひょっとしたら個人じゃなくて……ピエロの概念とか。なんですか?」
 英霊は伝承や人々の想いに影響を受けると聞く。そして個人ではなく伝承や概念自体がサーヴァントとなるケースも珍しくはない、付け焼刃だがそう、知識を得た。
 だが。
「ブッブーはずれー。ボクは普通にピエロ・ボルネーゼという名前のピエロとしてケダム・サーカスで団長をしていたんだよ」


312 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:39:07 ej2CNZq.0
 腕をバッテンに交差させてピエロが言う。
 ピエロ・ボルネーゼはピエロという名前であるだけで確固たる人生を持つ個人なのだ。むしろその経歴は唯一無二の濃く異常なものだ。
 それこそミルキィホームズとタメをはるくらいに。
 少し自信があった推察だが、外れてしまい、ガッカリしたエリー。この勘働きの悪さは探偵としてどうなのだろうと少しショックを受ける。
 と、憔悴した雰囲気を感じとったのかピエロ・ボルネーゼは誤魔化すように過去を軽く語り出した。

「まあボクの産まれは孤児でね。ピエロってのも拾ってくれた前団長の命名サ。色々あって生き別れたモナコの両親とは再開したし今は良いことだよ」
 モナコ人だったのか。
 しかしピエロをやって孤児で英霊となる……一体どんな人生を歩んできたのだろう。
 これが剣士や王様、魔法使いならなんとなくわかる。悪人や独裁者の類も反英霊となる……らしい。
 理屈の上ではエリーが元の世界で戦ってきた怪盗帝国の面々もなってもおかしくはないようだ。
 しかし、ピエロである。しかも結構強そうだ。ステータスも中々、スキルに変なのが見えるが強いと言えば強い。
 見れば見るほど不思議なサーヴァントだ。見たまんまピエロでありながら、それが逆に不思議。

 しかしそのように不思議がっているエリーにピエロは問いかける。
「さて。キミの願いを聞こうじゃないか、ピエロはお客さんが第一だ。ボク自身はキミのような子の願いを叶えてあげるのが願いみたいなもんでね」
 いや、どちらかと言えば仕事……本業かな。子どもが笑えるようにしないとサ。とピエロは言う。

 何せピエロにとってこの手の荒事は慣れっこである。
 前にもパンの世界コンテストに審査員として呼ばれた時
 数十日のあいだ暗殺者の放つ無数の銃弾やナイフを全て関係者に気取られず避けたりして対処したことがあるくらいだ。
 世界レベルのピエロともなれば敵も多く暗殺者の1人や2人や10人や20人に秘密裏に襲われて当然、らしい。
 さすがに最後辺りは背中にナイフを刺されてしまったが。
(まあボクは丈夫だから暫くは持ったけどね〜)

 ピエロのマイペースな言葉と思考に、エリーは生真面目に答える。
「私は、探偵学校の生徒で。その、トイズという、力を持ってたんです……でもある日ショックで無くしてしまって……」
 その力を取り戻したい。それはまあ、まだ普通の願いの部類には入るだろう。
 本来ありえない何かをありえることにするのではなく。自分が元から持っているものを取り戻す。


313 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:42:05 ej2CNZq.0
「でも、誰かを倒して……奪うのも、好きじゃありません……」
 そこは譲れない意思表示だった。聖杯を争って戦争とかまでするのはちょっとおかしい。
 そりゃあミルキィホームズは今まで割とダーティかつ迷走したこともしてきたけど。
 そんなここまで恐ろしいことで取り戻しても友や先生は喜ばず、自分も素直に喜べる気がしないのだ。

「まあ、そうだろうね。ボクもその願いには正直、この戦いのような手段はキミ向きじゃない気がするサ。でもまあ」
 意味深に言葉を切って、指を立てる。
「そのトイズとかいう力を取り戻すのにこの戦いは役立ちそうな予感もするのサ。この戦い、かなり色んな時代や時系列から呼ばれてるっぽいしね」
 ピエロは勘も鋭いんだよと笑う。
「一万人の観客がその日ツイてるかツイてないかくらいは解る感性サ〜」
「すごい」
 どうにもツッコミ不在の会話である。



「ところで君の使う「トイズ」ってどんな力なの?」
「えっと。私のトイズは、固有名は『トライアセンド』です。皮膚の硬化と、怪力と、重量増加……」
「随分とマッチョというか、パワフルだねぇ」
 エリーはそれを聞いて、この日一番の赤面をした。
 あらら、セクハラだったかなぁ、とピエロは苦笑した。


314 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:47:14 ej2CNZq.0
【クラス】
ピエロ
【真名】
 ピエロ・ボルネーゼ/レオール・レオンハルト/ピエロ・レオンハルト(全て本名)
 @焼き立て!!ジャぱん(アニメ)

【パラメータ】
 筋力B 耐久A 敏捷A+ 魔力B 幸運D 宝具A+

【クラス別スキル】
 ピエロ:A++
 世界レベルのピエロであるという理由だけで通常ではありえない豊富かつ国際的な知識、特技、戦闘技術などを持つ。
 これは同等の専科百般スキルに匹敵する。
 ただしピエロ自身は現代人であったため、神代の知識や技能などを持ち合わせているわけではない。

【保有スキル】
 戦闘続行:A
 致命傷を受ける、命の危険に晒されるなどの苦難に合っても平然と仕事を続けるプロ根性。ダメージ自体は受けるがそれを全く表に出さない。

 リアクション:EX
 美味い食物を食べた時に起こすリアクション芸。
 ただの自分の過去語りから、エラ呼吸、魂の離脱、時間転移と過去の改変etc‥‥ほぼいかなる現象でも起こしうる。
 が、起こる事象の詳細は「摂取した食物の美味しさ」「摂取した食物の性質」「本人の表現力」によって大きく左右され
 ある程度は当人の意志で内容を変えられるが、いかなる現象をも自在に起こせるというわけではない。
 また当たり前のことだが普通より美味い食物を摂取しない限りこのスキルは全く発動しない。

 回想汚染:C
 物の例えや過去の回想などに何故か「キッド」という名前の金髪でカメラ目線の外国人がしれっと混じっている。
 特に悪い事が起こったり大幅に過去の記憶が変わるわけでもなく精神に異常もないが、その分防ぎようも気付きようもない過去の改変。
 なおこの汚染はピエロ限定ではなくマスターたちや他サーヴァントにまで広がる恐れがある。ピエロ自身も回想汚染の感染者に過ぎない。


315 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:49:27 ej2CNZq.0
【宝具】

『分身の術』
 ランク:A+
 対人宝具
 レンジ1〜?
 最大補足10000人(の観客)
 一流サーカス団、ケダムの看板ピエロとして作り出した技が象徴の域にまで達したモノ。最大150人まで分身する。
 なお分身は戦闘力などが落ちる事は特にないが本体と感覚は共有しているためダメージを受けると相応の苦痛を負ってしまう。
 さらに一種の体技による宝具なので使っている間だけ体力を一定消費する。

『勇者の証(ピエロン・リング)』
 ランク:C
 対人(自分)宝具
 レンジ:∞
 最大補足:-
 モナコ王家に伝わる指輪。モナコ王家における伝説の勇者、つまりピエロを呼び出す。
 これをマスターが持っている限りいかなる場所、局面だろうがマスターが念じればほぼ消費なしにピエロを呼び寄せることができる。
 あくまで呼び出すことのみで別の空間に送り出したりすることはできない。

【人物背景】
 世界最高峰のピエロ。元はモナコ王国の皇太子の血筋だが赤子の時期に事件で行方不明になり孤児に。
 そこからサーカスに拾われ超人的な技能や異常じみた分身の術を身に着け
 本編に登場した大人の時系列では良く言えばピエロらしい、相当派手でオーバーな性格になっていた。
(ただしこれは目立つような事をすれば赤子の頃に生き別れになった両親に見つけてもらえると思ったからという理由もある)
 その卓越した感覚と能力からパン職人の世界大会の審査員として選ばれ、分身などを活用しつつ厳正だが非常にマイペースな審査を繰り広げる。
 
 やがて審査の途中で大量失血をし、臨死状態に至るがその際の治療で自分の希少なボンベイ血液型が国王と一致することから出生が周りに判明する。
 ボルネーゼは自身に過度の輸血をして死んでしまった国王である父を助けようと最終的にパンに対するリアクションの力で過去に飛ぶ。
 その行動力でそもそもの発端である自身が孤児となる事件を消し時空を改変。国王も助かり
 ボルネーゼはモナコ王家の皇太子兼、世界レベルのピエロとして経歴が再構成された世界で再スタートすることになった。

【サーヴァントとしての願い】
 お客が笑えるようにすること。ピエロだから。
 
【方針】
 マスターをサポートしつつ戦闘はこっちが主体でアドバイスを重点的に。

【基本戦術、運用法】
 ピエロンリングで手早く戻れるとは言え放っておくのはちょっと不安だからピエロ本体はエリーに付いておく。
 基本は分身を放って周りを注意し、安全地帯に籠る状態。


316 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:54:26 ej2CNZq.0
【マスター】
 エルキュール・バートン@探偵オペラミルキィホームズ(アニメ)

【参加方法】
 何か生活の足しになるものか無いかみんなで探していたら月の石を拾った

【マスターとしての願い】
 自分の能力を取り戻したい。せめて切欠でもほしい。

【能力・技能】
 トイズ。いわゆる超能力の一種。エルキュールが持っているのは極めて強い肉体強化系のトイズだが落雷によるショックで一切使えなくなっている。
 再度の落雷ショックでまた使えるようになったが大気圏突破の衝撃でまたダメになった。
 後は色んなショックで付いたり消えたりと、真空管テレビか君は。能力抜きでもタフと言えばタフ。
 トイズを失い落ちぶれてからは農業などで自給自足の生活をしている。
 ハングリーな生活で鍛えられたせいか自分の農作物を破壊されるなど食べ物の恨みで怒るとトイズ関係なしに爆発的な強さを発揮する。
 完全に百姓一揆状態。

【人物背景】
 トイズと呼ばれる超常能力を行使する探偵と怪盗が争う町、ヨコハマ。
 そのヨコハマにある探偵学園の元ホープ、ミルキィホームズの一員がエルキュール・バートンである。
 ただし能力をある戦いで偶然起こったショックで失ってから転落。以降ミルキィホームズはカオスなサバイバル落ちこぼれ少女集団と化す。
 内気で弱気でよく赤面する文学が好きな少女(ただしフランス書院の本である疑いがある)だが、考える内容にモザイクがかかっていたり
 喋ってる内容が何気ないことでも卑猥に聞こえたり誤解されるというある意味では凄く危ない16歳。
 でもそれを加味してもメンバー内ではまともな方。
 彼のエルキュール・ポアロの子孫。この世界では名だたる探偵は全員トイズの使い手っぽい。

【方針】
 なるべく他の人とも戦わずに済ませたい。というか接触が怖いから最初はちょっと隠れておく。


317 : ◆ruUfluZk5M :2014/09/25(木) 18:55:27 ej2CNZq.0
投下終了です


318 : ◆OSPfO9RMfA :2014/09/25(木) 19:31:04 1lIj3qak0
>>308
纏めお疲れ様です。
拙作のサーヴァント&マスターが逆なので、次の更新時でいいので直していただけると幸いです。

× 間桐雁夜@Fate/Zero & リュウ=1/8192@ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター ◆OSPfO9RMfA

○ リュウ=1/8192@ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター & 間桐雁夜@Fate/Zero ◆OSPfO9RMfA


319 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/25(木) 23:27:04 O0LT948U0
投下します。


320 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/25(木) 23:27:57 O0LT948U0
聖杯戦争は通称に過ぎない。
ハッキリと鮮明かつ正確に、簡略し単純化した言葉でたとえるのならば――
殺し合い。
死をもって、死で償う戦争でしかない。
楽しくも愉快でもない。
たとえ、奇跡を代弁する願望機であろうが、神から与えられた聖遺物であろうとも。

「こんなの間違っている!」

彼女はそう叫んだ。
聖杯戦争のマスターの一人して選ばれ、記憶を取り戻した彼女――常守朱は聖杯戦争を『悪』であると判断する。
サーヴァント?
マスター?
何もかも関係なく、これは間違っているのだ。
いかなる願いが叶えられるとしても、人が人を殺す理由にはならない。

「どうして私が……」

ならば、何故彼女は聖杯戦争に参加したのか?
『悪』であると分かっていながらも、何かとてつもない願望が奥に潜んでいるのかもしれない。
それでも朱は首を振る。

「確かに願い事くらいあるかもしれない…だけど、人を殺したくない。
 人を殺すことは……間違っている。そうよ。そう…だったらどうして私は……」

朱は自分自身を疑い始めた。
しかし、彼女自身の願いに心当たりはなく途方に暮れる。
普通に、ごく普通に生きて、友達と遊んだりして
同期生の中で自分だけが公安局監視官としての適性が高かったから、何となく
それで自分らしい生き方が出来ると思い。
彼女は『正しい生き方』をしてきたのだ。なのに――

「朋(とも)よ。何を迷う。時が来たのだ」
「だ、誰……」

気配なく出現した男に朱は驚くが、すぐに思い出す。
いつの間にか朱が召喚したサーヴァント――セイバーの存在を。
彼が彼女のサーヴァント…
困惑する朱を差し置いて、セイバーは饒舌に語る。

「選ばれし輩による一世一代の聖杯戦争が幕を上げる。朋よ、望むものを申せ」
「わ……私は戦争なんてしたくないです!」
「しかし、望みはあるはずだ」
「……それが分からないんです」

こんな自分に失望するのだろうか、朱はそうネガティブな思考を浮かべる。
だが、セイバーは軽快に笑う。

「良い!それで良いのだ。朋よ」
「…え?」
「深く考えずとも良い。戦に理由はない。
 それはいかなる時代、どの世界、あらゆる森羅万象とてそうなのだ」
「どういう…ことですか?」

フムとセイバーは改めた。


321 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/25(木) 23:28:52 O0LT948U0
「予(よ)は平和を知った。かつての日ノ本は争いもなく平和な世であった。
 しかし、平和というものは――怠惰に過ぎなかった」
「怠惰……」
「日ノ本から熱く燃えたぎる息吹や活気が失われてしまったのだ」

セイバーがいかなる歴史を刻んだのかは彼女は知らない。
しかし、公安局監視官として社会の闇を除き見てきた彼女に、平和が怠惰であるという言葉は到底理解できなかった。
セイバーは気にとどめず、言葉を続ける。

「予は王を座を降りた。すなわち、天政奉還という。
 誰もが王となり、誰もが王となれる。その運命を賭ける場を設けたのだ」
「つまり…あなたは自ら争いを引き起こしたんですか……!?」
「結果、日ノ本は活気に満ちた。
 そして――聖杯戦争!聖杯を求め、誰も彼もが命を賭ける。
 聖杯は活気を求めている。魔術師たちの息吹を感じるべく、聖杯を天に還した。
 朋よ、理由などなくともよい。聖杯を求め合う!これぞ、聖杯戦争だ!!」
「それは――」

違うのか。
そうなのか。
そもそも、朱の世界とセイバーの世界は全く異なるものだ。
価値観も生き様も全てが食い違う。
朱は問う。

「あなたは人を殺す事が正しいと仰るんですか」
「そうではない。これは善悪を問う戦ではないのだ。
 予はその生き様を見届けたい。自らの望みを求め、散る。それこそ人の道!
 朋よ、どうする?」
「私は――」

常守朱は魔術師ではない。
ただの人。
人であっても、彼女は――

「私は――『刑事』です。『刑事』として、この聖杯戦争を止めます」

朱の答えに対してセイバーはまた軽快に笑う。

「成程!予は理解した。
 朋よ、それこそ聖杯に選ばれた理由だ。
 聖杯戦争に命運を賭ける者は多くいよう。
 だが、それでもなお『間違い』であると覚悟する其之方の息吹を聖杯は欲しているのだ!」

セイバーの考えはかなり無茶苦茶に近い。
果たして、朱が『選ばれた』理由がソレなのかも答えは見えない。
だが、これが彼女が出来る最大限のことだった。

「朋よ。その息吹を見せてくれ!」


322 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/25(木) 23:29:29 O0LT948U0
【クラス】セイバー
【真名】足利義輝@戦国BASARA
【性別】男性
【属性】中庸・中立

【パラメーター】
筋力:B 耐久:A 敏捷:B+ 魔力:C 幸運:A 宝具:EX

【クラススキル】
対魔力:B
 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:EX
 なんでも乗りこなしてしまう。
 宝具『見様見真似』に昇華されたスキル。

【保有スキル】
カリスマ:A
 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。
 団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
 忠義にしろ、権力にしろ、財力にしろ、なんらかの理由をつけ
 いかなる人間も彼の元に集った。

孤高:A
 セイバーに対する精神攻撃を無力化させるスキル。
 同ランクの人間観察も含まれていると同時に精神汚染にも匹敵する。
 この為、精神汚染のあるサーヴァントとの対話が可能。
 ただし、敵味方関係なく彼の存在が理解に苦しまれ、自然と彼は孤独になる。
 このスキルを無力化するにはカリスマを保有している必要がある。


【宝具】
『見様見真似』
ランク:EX 種別:対人(自身)
あらゆる才能に恵まれたセイバーの逸話による宝具。文字通り相手の技を見てコピーしてしまう。
この宝具が適用されるのは、保有スキルと宝具に含まれない技術。
発動に特別な媒体や条件が必要とするスキルはコピーすることは不可能。
コピーする対象がその場に居合わせること、技術やスキルを目視する必要がある。
また、このスキルにより手にした武器等のものの使い方などを瞬時に理解してしまう。

『天政奉還』
ランク:A 種別:対人(自身)
特殊なオーラを身に纏う。オーラは赤、黒、金の三種類。
赤は接近戦向けの効果を発揮。
黒は間接攻撃が主体となり。
金は赤と黒の複合である。
オーラを纏うと瞬間移動が可能、敏捷に+補正が入る。

【weapon】
「笏」
普通は打撃のためのものだが
刀・槍・弓などの武器が仕込まれており、臨機応変に変化させる。
笏の回転によって巻き起こす風で体に点いた火を消したり……

【人物背景】
かつての日ノ本の王。
王の座を放棄し、只の人となり日ノ本に熱い息吹を求めた。
彼の行為に非難の声はあり、彼もそれをしかと受け止めている。

あらゆる才能に恵まれ、あらゆる人間と通うことが出来るが故に孤独になってしまう。
その為、真の『友』なる人物はいない。
普段の一人称は『予』だが、心を許した者には『我』となり
その『友』の名前をしっかりと呼ぶ。


【サーヴァントとしての願い】
常守朱を、全てのマスターを見届ける。

【運用法】
『見様見真似』は、敵の技を真似できるか否かにより
宝具の能力であるかを判断することが可能な為、相手の手の内を理解する要因になれる。
『天政奉還』は使用し続けることによる魔力消費を懸念しなくてはならない。
カリスマと孤高を用いて同陣営のまとめ役に立つのが自然か。
孤高による孤独の定義は、共感や理解のズレなのでカリスマには影響しない。
セイバーが誰からも理解されないだけに終わる。


323 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/25(木) 23:30:29 O0LT948U0
【マスター】常守 朱@PSYCHO-PASS

【参加方法】
不明
聖杯に願う事がないことから彼女自身疑問を抱いている。

【マスターとしての願い】
刑事として聖杯戦争を止める

【能力・技能】
メンタルが強い。
ある程度の身体能力と射撃技術は身につけている。

【人物背景】
公安局刑事課一係所属の20歳の新人監視官。
「自分にしかできない生き方」を求めて監視官の職業を選択した。
彼女のいる世界はシビュラシステムというもので社会が管理されているが
この舞台にはそのシステムはない。

【方針】
聖杯戦争を止める方法を探す
まずは同陣営の行動を止める事から?


324 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/25(木) 23:30:59 O0LT948U0
投下終了します。
皆さま、投下お疲れ様です。


325 : 名無しさん :2014/09/26(金) 00:54:35 Tex76u/Q0
【セイバー】4組
呉島貴虎@仮面ライダー鎧武 & 雅緋@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明- ◆aWSXUOcrjU
市丸ギン@BLEACH & セブルス・スネイプ@ハリポッターシリーズ ◆yy7mpGr1KA
鑢七花@刀語 & 阿良々木暦@物語シリーズ ◆LvHaBDkQwQ
足利義輝@戦国BASARA & 常守 朱@PSYCHO-PASS ◆QNxvmG91pc

【アーチャー】3組
セッツァー・ギャッビアーニ@ファイナルファンタジーVI & セレスティア・ルーデンベルク@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ◆ACfa2i33Dc
天龍@艦隊これくしょん & ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 第3部「スターダストクルセイダース」 ◆QyqHxdxfPY
イースレイ@クレイモア & アザミ@カゲロウプロジェクト ◆HUcCB15i0Y

【ランサー】5組
クー・フーリン@Fate/EXTRA CCC & 鳴上悠@ペルソナ4 ◆3btUfHUhu6
タケ@きのこたけのこ戦争if & ディオ@ジョジョの奇妙な冒険(第一部) ◆ACfa2i33Dc
セーラーサターン(十萠ほたる)@美少女戦士セーラームーンS & 鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜 ◆eBE8HIR9fs
ディルムッド・オディナ@Fate/zero & 鬼龍院皐月@キルラキル ◆zKmN6Unyy2
堂島奈々子@ペルソナ4 & ルドガー・ウィル・クルスニク@テイルズ・オブ・エリクシア2 ◆HUcCB15i0Y
 
【ライダー】3組
リュカ(DQV主人公)@ドラゴンクエストV & カレン・オルテンシア@Fate/Hollow ataraxia ◆ACfa2i33Dc
ワムウ@ジョジョの奇妙な冒険 & 小泉ジュンイチロー@ムダヅモ無き改革 ◆yy7mpGr1KA
アストルフォ@Fate Apocrypha & 横島忠夫@GS美神 極楽大作戦!! ◆HUcCB15i0Y

【アサシン】6組
うちはマダラ@NARUTO & 神原駿河@化物語 ◆QNxvmG91pc
二ッ岩マミゾウ@東方project & 影森の正吉(しょうきち)@平成狸合戦ぽんぽこ ◆g33OtL8Coc
プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険 & 星空凛@ラブライブ! ◆VUBZx4BclE
リゾット・ネエロ@ジョジョの奇妙な冒険・黄金の旋風 & 腐川冬子@ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生 ◆HUcCB15i0Y
明智光秀@戦国BASARA & 神長香子@悪魔のリドル(アニメ版) ◆QyqHxdxfPY
匂宮出夢/理澄@戯言シリーズ & ウヴァ@仮面ライダーOOO ◆ruUfluZk5M

【キャスター】4組
隼鷹@艦隊これくしょん & 沢木直保@もやしもん ◆QNxvmG91pc
ガミジン@妹が作った痛いRPG & 雨生龍之介@Fate/zero ◆VYr1mStbOc
ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム & 直枝理樹@リトルバスターズ! ◆2ZrgUeUnpM
ビビ・オルニティア(ファイナルファンタジーIX) & 不二咲千尋@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ◆HUcCB15i0Y

【バーサーカー】4組
魔神ザウーガ@エロタワー & ロザリンド・スターリング@ロリポップチェーンソー ◆VYr1mStbOc
人類種の天敵@ARMORED CORE for Answer & 遠野四季@真月譚月姫(漫画版) ◆ACfa2i33Dc
バーダック@ドラゴンボール & ライナー・ブラウン@進撃の巨人 ◆yy7mpGr1KA
リュウ=1/8192@ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター & 間桐雁夜@Fate/Zero ◆OSPfO9RMfA

<エクストラクラス>6組
【ビースト】
野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ & タバサ(娘)@ドラゴンクエスト�―天空の花嫁― ◆vBWhRkzGXs
【アヴェンジャー】
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ@ソニックシリーズ & キャプテン・アメリカ@アベンジャーズ ◆VUBZx4BclE
メルヒェン・フォン・フリートホーフ@Sound Horizon & 雨流みねね@未来日記 ◆QNxvmG91pc
鳴上悠@ペルソナ4 & 言峰綺礼@Fate/stay night ◆hfUo/cdNjE
【トマホーク】
『流竜馬』@ゲッターロボシリーズ & ルナマリア・ホーク@機動戦士ガンダムSEED DESTINY ◆3btUfHUhu6
【ピエロ】
ピエロ・ボルネーゼ@焼き立て!!ジャぱん(アニメ) & エルキュール・バートン@探偵オペラミルキィホームズ(アニメ) ◆ruUfluZk5M


326 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/26(金) 04:00:21 v3asPRyA0
皆様、多くの投下ありがとうございます。
あと一日足らずとなってしまいましたが、一組投下します。


327 : トゥーサン・ネシンバラ&セイバー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/26(金) 04:02:17 v3asPRyA0

願いを叶えるのに正統な代価とは
いったいなんなのだろうか


配点(聖杯戦争)
―――――――――――――――――――


328 : トゥーサン・ネシンバラ&セイバー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/26(金) 04:02:58 v3asPRyA0


 ネシンバラが状況を把握した時、真っ先に口から零れたのは一言だった。

「……すごい事に巻き込まれたなあ」

 口から出て認識となると同時に、思考も同様のものとなる。

 ……本当、すごい事に巻き込まれたなあ。

 切っ掛けはわかる。
 今もネシンバラの手の中に握りこまれている月の石だ。
 ネシンバラの世界において、月とは特別な意味を持つ。なにしろ宇宙への道は閉ざされており、今でも宇宙への路を付ける為の歴史再現の真っ最中だ。そもそもネシンバラ達の時代にとっては月は一つではなく、実体のある月と流体(エーテル)によって構成された月の二つが空に浮かんでいる。
 今見える月は一つ。それはこのムーンセルに再現された世界が神代の時代よりも更に前、前地球時代であることの証明だ。
 その再現された歴史の中でネシンバラに突きつけられた役目は一つ。

 ……古今東西の英雄を呼び出して戦いに挑むって、草子や同人だったら「一周回って新しい」って言われるレベルだよね。

 聖杯戦争。
 万能の願望機、聖杯を奪い合う争い。
 それもただの争いではない。聖杯を手に入れるための剣として、聖杯を求めるマスターは過去に生きた英霊、サーヴァントを召喚し戦いに望む。
 英雄を題材にした創作物はそれこそ枚挙に暇がない。過去生きた英雄が現世に復活するという内容も同様で、

 ……最近始まったアニメ、献堂の協力を得て仏道題材なのはいいけど最後は悪人相手に覚者召喚して「悟りビーム!」はトガりすぎじゃないのかなあ。

 まあ、それはいい。
 創作に対して何を言っても、今現実に直面している事象は解決しない。
 問題は今その創作のような状況に今自分が放り込まれているという事で、

 ……不謹慎なのはわかるけどテンション上がっちゃうなあもう!

 創作的な状況に直面しているのもそうだが、なによりも素晴らしいのは『歴史上の英雄を召喚する』というところだ。
 歴史にその名を残されている英雄。
 それも襲名者ではなく本人と出会えるのだ。これで興奮しない者がいるだろうか。いやいない。

 ……生きて帰れたら皆に自慢するべきだよねこれ!


329 : トゥーサン・ネシンバラ&セイバー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/26(金) 04:03:55 v3asPRyA0
 意識せずとも口角が上がるのをネシンバラは自覚する。
 対面には自らが召喚したサーヴァントであるセイバーが座っているが、

「ふ、余の登場をそのように貌を輝かせて出迎えるとは! 善いぞ、そなたはわかっているな!」

 喜色満面の様子なので問題ない。
 そもそもこのセイバーもネシンバラにとってはテンション上がる対象で、

 ……だって本物の暴君ネロだよ!? サイン求めたら素直に応じてくれたし! ああもうこのサイン今すぐ自慢したいなあ!

 ネロ・クラウディウス。
 一般的にはローマの“暴君ネロ”として有名な人物だ。
 国内に流入したTsirhc教徒への激しい弾圧、そしてその激しい気性と自由すぎる振る舞い故に暴君の呼称が後の世に定着してしまった人物だが、その治世は善政と悪政どちらとも言い難く、後世の評価も一定しない。
 元老院や宗教勢力には厳しく接したが市民には人気のある皇帝だったという説も昨今の歴史研究家の中では挙がっているし、ネロに反旗を翻した政治家達も、政治よりもむしろその振る舞いを糾弾したと言われており、

 ……要するにまあ、自分ルールが他人に通じなかった感じの人だよね。

 自分ルールが他人に受け入れられるかは大事だ。
 武蔵の連中は大概狂人揃いなのでその辺気にはしないが、余所でそれが通じるかは難しいだろう。

 ……いやまあ、他国の教導院も大概狂人揃いだった気はしないでもないけど。

 それは置いておくにしても、しかし彼女がその性格であってなお後世に語られる事を成し遂げたのは事実だ。
 傍から見れば迷惑で身勝手極まりなくとも、その身勝手さで大業を為す。
 その在り方は正しく英雄だ。

「それで奏者(マスター)よ。そなたはこの聖杯戦争、どうするつもりなのだ?」

 その英雄が、こちらを真っ直ぐに見つめている。
 既にこちらの事情は伝えてある。自分がやって来たのは事故に近く、聖杯に願うべき願いも思いつかない、と。
 その上でどうするかを問うということは、

「聖杯戦争に勝ち抜き、生き残る以外にここから出る術はない。
 たとえ願いがなくとも、戦う以外に道はないのだ」

 覚悟だ。
 
「余はこの世でもっとも美しい剣だ。だが、振るう意思がなければどのような剣であれその刃は腐っていく。
 奏者(マスター)よ。そなたは、余を振るうのに相応しくあってくれるか?」

 セイバーは覚悟を問うている。
 聖杯戦争に望むのに、一番の始まりであり、重要な動機(りゆう)を。
 動機は重要だ。創作であっても、動機のない行動は読者には共感されないし、薄っぺらくなる。
 武蔵であっても、梅組のクラスメイト達はそれぞれの動機があって戦争に参加していた。勿論、自分もそうだった。
 だから、動機は重要だ。それを自分は見つけることができるのか。


330 : トゥーサン・ネシンバラ&セイバー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/26(金) 04:04:39 v3asPRyA0

 ……聖杯、なあ。

 聖杯。それは確かに、もっとも簡単な動機だ。
 万能の願望機、それはどんな人間であっても欲するものではあるだろう。
 願いが思いつかないとは言ったが、考えれば欲はいくらでも沸いてくる。

 ……ただ、僕が一番叶えたい願いって、そうだよね。

 思考をクリアにすれば、答えは案外簡単に見つかった。
 それは、

「――僕の叶えたい願いは、聖杯なんかじゃ叶わないんだ」
「……なに?」

 セイバーが息を詰める音が聞こえる。
 だが事実で、

 ……僕のやりたい事は、書く事だ。

 つまり創作だ。
 創作とは、他人に仮託して作るような物ではない。
 自分の書きたい境界線は自分にしか作れない。
 そして彼女に境界線に行くと約束したし、

「敵対者を殺し尽くした程度で願いが叶うほど、僕の願いは軽くないんだよ」

 何より、それでは面白くない。
 だから、

「この物語にも、なるべく面白い結末を付けたいと思っているよ」

 そうだ。聖杯戦争の結末が一つしかないと言うならば、別の結末を創作する。
 誰もが幸せとはいかないかもしれないが、

 ……それでも、できる限りはグッドエンドを目指しても構わない筈だ。

 無論、簡単には思っていない。
 自分のように巻き込まれた形の参加者などごく少数だ。
 そのような相手に対しては、積極的に戦う必要があるだろう。

 ……本多君の戦争癖が移ったかなあ。

 元々はここまで好戦的なつもりはなかったが、やはり周囲の人間に影響された結果だろうか。
 ともあれ、

「僕はこの動機(りゆう)で聖杯戦争に参加しようと思う。
 都合のいい、強欲な考え方かもしれないけれどね」

 覚悟を告げ、セイバーを見る。
 激昂される事も覚悟した言葉だったが、
 
「いや、好い。
 そのような考え方は、余も好みだ」

 セイバーは、満面の笑みを浮かべて言葉を返した。

「“色々あったが、神が出てきて解決した(デウス・エクス・マキナ)”。
 うむ。いい言葉だ。愛憎絡まり、もはや解き解せぬ人間の嘆きを、機械の神が解決する。
 人間が託した、最後の希望だ。
 その神の役割を余と奏者(マスター)が代行するというなら、幾らか愉快な劇になろう」

 英雄とは、歴史の勝利者であると同時に敗北者だ。
 どのような英雄譚にも終わりはある。華々しい活躍の後に待っているのはほとんどが没落であり、悲劇的な最後を迎えずにいられた者は稀少にすぎる。
 セイバーもそれに例外ではなく、その最後は、

 ……反乱を起こされ、市民に裏切られての自刃。

 自らが愛した市民に追い立てられ、愛されることなく暴君は自らの刃で命を絶った。
 その最後は、確かに二度目の生を得て尚希望を夢見るには十分だ。

「奏者よ。そなたが作家として書き上げる物語が余を楽しませるなら、余は至上の剣にして至高の名器としてそなたに仕えようではないか!
 ――うむ。そなたに勝利を!」

「ありがとう、セイバー。
 ただ、生憎未熟者だからね。暴君を楽しませられるように努力するよ」


331 : トゥーサン・ネシンバラ&セイバー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/26(金) 04:05:25 v3asPRyA0

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【CLASS】セイバー
【真名】ネロ・クラウディウス
【性別】女性
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷A 魔力B 幸運A 宝具B
【クラス別スキル】
 対魔力:C
  二工程以下の詠唱による魔術を無効化する。
  大魔術、儀礼呪法等、大がかりな魔術は防げない。
  彼女自身に対魔力が皆無なため、セイバーのクラスにあるまじき低さを誇る。

【固有スキル】
 皇帝特権:EX
  本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。
  該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、等。
  ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。

 頭痛持ち:B
  生前の出自から受け継いだ呪い。
  慢性的な頭痛持ちのため、精神スキルの成功率を著しく低下させてしまう。
  せっかくの芸術の才能も、このスキルがあるため十全には発揮されにくい。

【宝具】
『招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)』
 ランク:B 種別:対陣宝具 レンジ:30,60,90 最大捕捉:100人、500人、1000人
 生前、彼女がローマに建設した劇場を、魔力によって形成・再現したもの。
 彼女が自ら設計した劇場はドムス・アウレアと名付けられた。

 しかし。この劇場を開いた時、一度目は多くの観客が途中で去ってしまった。
 それに憤慨した彼女は、二度目の公演時に出入り口をすべて封鎖し、舞台の幕が
 下りるまで一人たりとも外に出さなかったという。

 皇帝である前に自分を「楽神アポロンに匹敵する芸術家」「太陽神ソルに匹敵する戦車御者」
 と信じて疑わなかった彼女のみがなせる、固有結界とは似て非なる大魔術。
 自己の願望を達成させる絶対皇帝圏。

【Weapon】
 『隕鉄の鞴「原初の火(アエストゥス エストゥス)」』
  セイバーが持つ深紅の大剣。
  彼女がクラス・セイバーとして召還される時に持ち込む、お手製の武器……らしい。
  銘には
  regnum caelorum et gehenna(レグナム カエロラム エト ジェヘナ)
  と刻まれている。

【人物背景】
本名、ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス。
 帝政ローマの第5代皇帝。
 生涯を謀略と毒とに彩られた悪名高き暴君。

 父は第4代皇帝クラウディウスのいとこである、
 淫蕩なグナエウス・ドミティウス・アヘノバルブス。
 母は暴帝カリギュラの妹であるユリア・アウグスタ・アグリッピナ。
 出自を考えると皇帝になるのは非常に難しいが、
 母アグリッピナが第4代皇帝クラウディウスと再婚。
 母の奸計によって、54年のクラウディウスの死後、
 ネロは義父からの相続として皇帝となった。

 もっとも、皇帝になる前からその才能を発揮し、非常に有能な裁判官として慕われていた。
 その公正さ、有能さから、重要な訴訟をいくつも持ち込まれていたという。
 (まだ若いため、重要な訴訟の持ち込みを
 義父クラウディウスが禁じていたにもかかわらず、である。)

             ◆

 ネロは17歳にして皇帝に即位し、
 その気前の良い政策で市民からは絶大な人気を誇った。
 外交にも気を使い、イギリス(ブリタニア)における
 後年のローマに対する人気は彼女の政策に起因する。
 ある意味では、アーサー王伝説を誕生させたきっかけを作った人物ですらある。
 加えてペルシャはネロを絶賛することおびただしく、
 ペルシャはネロの死後も
 「ネロの国だったので」
 とローマに大きく配慮したという。

 59年(60年説も)には、ギリシャのオリンピックに
 あやかって5年に一度開かれる競技会「ネロ祭」を設立。
 音楽、体育、騎馬と三つの部門を開き、

 そのいくつかには自分も出場している。

 69年に起きた反乱で皇帝の座を追われ、ローマから逃亡。
 その最中で逃げ切れないと悟り、自決を決意した。
 ……が、その最期は潔いものではなかったらしい。
 「この世から何と素晴らしい芸術家が消えることか」
 と何度も泣きこぼしては手を止めたものの、
 最後には短剣で自らの喉を突いたという。

【サーヴァントとしての願い】
 マスターの願いを果たす。

【基本戦術、方針、運用法】
 セイバーのクラスでこそあるが、ステータス自体はそこまで高くはない。(一応剣術の才覚自体はかなり高いレベルにある)
 『皇帝特権』による能力の多彩さを生かす方向性で戦った方がいいだろう。
 マスターであるネシンバラの能力もそれを助長している。


332 : トゥーサン・ネシンバラ&セイバー ◆ACfa2i33Dc :2014/09/26(金) 04:09:44 v3asPRyA0
【マスター】トゥーサン・ネシンバラ@境界線上のホライゾン
【参加方法】
 資料として取り寄せた月の石によって呼び寄せられた。
【マスターとしての願い】
 特になし。
【weapon】
 ミチザネ
  ネシンバラの走狗(マウス)。喋らない。
  主の術式を補佐する人型デバイスであり、後述の「幾重言葉」を発動する際にもサポートを行っている。
  ムーンセルによる再現により自身のサーヴァントや、相応の術や道具を持った相手になら各種通神が可能。

【能力・技能】
 「幾重言葉」
  文章の神であるスガワラ系イツルに文章を奉納することで、奉納した文章を願掛けとして再現する術式。
  高い文章能力を必要とする上に状況に合わせて的確な文章を記述する必要こそあるが、記述さえできれば攻撃や防御のみならず幅広い効果を及ぼせるかなり強力な術式ではある。
  その分文章の選択や入力を行うための時間がかかるため、発動自体は遅い。

【人物背景】
 武蔵アリアダスト教導院に所属する生徒会書記の少年。

 「ネシンバラ」という名前は「榊原」の榊の文字から木へんを除いて読み替えたもの。 この時代の人間としては珍しくはないあやかりである。
 また、トゥーサンとは「十三」の意味がある。

 歴史オタクで、説明に入るまでの前置きが長いため周囲からの扱いは割とぞんざい。
 そもそも本人も有事にわざわざ格好良く登場しようと時間のかかる道を選んで移動したり等、多分に自己陶酔的な言動に出る事がある為自業自得ではある。
 登場話内では常識人っぽいモノローグをしているが、間違いなく梅組の狂人の一人。

 歴史系の知識に優れるため、戦闘においては指揮を執る事も多い。
 ただし軍師としては優秀だがかなり好戦的で、多少無謀であっても見栄えのいい作戦を好む傾向にある。
 その辺の事情もあり、自動人形達からの評価はブービー賞に近い。

【方針】
 “聖杯戦争”に、なるべく面白い、救われる結末を。
 グッドエンドに近付くためならばできるだけの行動を取るつもりではある。


333 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/26(金) 04:10:07 v3asPRyA0
投下終了です。


334 : ◆4/zx7QxxUU :2014/09/26(金) 05:44:00 1XwBuU160
お疲れ様です。自分も投下させていただきます。


335 : 古猟琥依&ライダー ◆4/zx7QxxUU :2014/09/26(金) 05:45:03 1XwBuU160
『……ヤークト・ティーガーは当時の最大の戦車砲である十二・八センチPaK44を搭載される事が当初からの予定であったが、
 本来はフェルディナント・ポルシェ博士の設計になる超々重戦車マウスに搭載される事を前提に造られたこの砲はあまりにも巨大で重量過多であったため、
 同型シャシーの搭載機ティーガーIIでは必要とされなかった移動時のための固定砲架を装備する必要が後から生じた。
 戦闘の際はいちいち車内から搭乗員が車外に出てこれを外さねばならず、騎士十字賞の英雄オットー・カリウス中尉もその危険性と即応性の欠如を指摘し……』

     Ⅰ

「では、始めるとしよう。駆動装甲を展開せよ」
黒いダーク・ブラウンの髪をしている、端正な美貌の青年が、十代後半ほどの外見の少女に向かって淡々とした口調で命令した。
「装甲を展開します」
その命令を、少女は青年と同じように淡々と復唱する。
それとほとんど同時に、彼女の周囲の空気が渦を巻き、ごうごうと唸りを上げるつむじ風となって彼女の周囲を覆ってしまう。
身体の皮膚表面を微細に振動させ、共鳴現象で空気に流れを生み出しているのだ。
青年と少女がいる場所は真夜中の闇に包まれた人気のない広場であり、その異様な光景を見ても声を上げる者は誰もいない。
むろん、青年にも一切の動揺はなかった。
しばらくの間、その金銀妖瞳〈ヘテロクロミア〉の両目をもって彼女の観察を行っていた青年が再び命令する。

「前進せよ」
「――はい」
彼女はゆっくりと、ゆっくりと前進していく。
その動きは亀の如く鈍重なスピードで、おまけに身体が上下にがくがくと揺れている――欠陥品の戦車の足回りのように。

「……安定性、隠密性、機動性、即応性、全てが欠けている。市街戦では使いものにならんな」
わずかに顔を歪ませて首を振った青年は、すぐさま次の命令を下した。

「停止。砲撃、装填」
「はい――砲撃、装填」

ぼんやりとした、力のない表情のまま、彼女は前方十数メートルに存在するぼろぼろの小屋……これが“標的”である……を見つめた。
しばしの間、沈黙があった。
少女が纏う風の鎧によって引き起こされる騒音だけが周囲に響いていた。
ただひとつ……空気の渦の中、かげろうのようにブレて見える少女の口からは、小さな音が発せられていた。それは、
「……ためらわない、ためらわない、ためらわない……」
という、言葉の反芻であった。

「……撃て〈ファイエル〉!」

青年の鋭い声が飛んだ。
その直後に、

ぼっ、

という鈍い破裂音が少女の口から漏れ出した。
次の瞬間、彼女の標的は一瞬で木っ端微塵に粉砕されていた。大きな土煙が上がった。
ただ、その標的は攻撃目標としては脆すぎるものであったので、彼女が発した衝撃波による砲撃はそのまま土地を抉っていき、巨大な爆撃痕を作り出してからようやくその威力を喪失させた。

もしも事情の知らない者がこの光景を見ていたら、この少女は魔術やそれに類する神秘を行使したのかと思うしれない。
だが、彼女……特別製陸戦型戦闘用合成人間、重駆逐戦車ヤークト・ティーガーこと古猟琥依を知る者ならば、そんな事は考えもしないだろう。
琥依の〈ブリットヘッド〉は全身の生体波動を収束して衝撃波として発射する能力なのである。
これは純粋に物理的な現象のみで構成された事態であり、そこにはなんら神秘的な事象は存在していなかった。

神秘という言葉を与えられる権利ならば、むしろ琥依に指示を出した青年の方にあった。
黒を基調として各所に銀を配した軍服に身を固めたその美丈夫もまた、軍人、武人としての風格はあれども、特殊な能力は持ちあわせていないように見える。
しかし彼は英霊……サーヴァントであり、その存在そのものが最大級の神秘と言える存在なのだった。

そのサーヴァント、ライダーは、その場に座り込んだ琥依を、渋い顔のまま静かに見つめていた。


336 : 古猟琥依&ライダー ◆4/zx7QxxUU :2014/09/26(金) 05:46:22 1XwBuU160
     Ⅱ

……数刻前。
自分の置かれた状況を把握出来ているのかどうか、それさえも曖昧な様子だった琥依に対して、ライダーはこう言った。

「……おれが忠誠を尽くすのはただひとり、わが皇帝〈マイン・カイザー〉のみ。お前とは、単に令呪によって繋がれた関係にすぎぬ。
 吾々の主従関係は、あくまでかりそめのもの……それをよく心得ておくのだな」

不遜と、そう表現してもよい態度である。
英雄を現世に呼び出し、使い魔にしようというのだから、その誇りを傷付けるという事は想像に難くない。
だが、それを考慮したとしても、ライダーの声にはとげがあった。

その原因は、ライダーの召喚者である琥依にあった。
と言っても、彼女の頼りなさげな外見を侮っている訳ではない。
それよりも、もっと単純で根本的なこと……時代を越えた英雄たちが全知全能をかけて争うこの戦いで、自分の召喚者が女性であるということが、彼の癪にさわったのだった。

彼は猛烈な差別主義者というわけではなかったが、世の家庭とか人妻とかいうものを、はなはだしい偏見のサングラス越しにみているのもまた事実だった。
それは彼の生まれ育った環境に起因しているものなのだが、もちろんそんなことを彼が自らのマスターに語ることはなかった。
個人的な感情で戦いの手を抜くほど彼は青臭い人物ではないが、内心の不満を全く表に出さないでいられるほど完成された人格の持ち主でもなかったのである。

「…………」

琥依は、特に返事をするでもなく、黙り続けていた。
その顔はライダーの方を向いてはいたが、眼に映っているのは虚空だった。
そんな琥依に対して、ライダーも変わらぬ調子で言葉を続けた。

「おれは歴史を変える事にも、二度目の生にも興味はない。最期に思う事はあったが、時間の意味のない天上〈ヴァルハラ〉に至ったいまとなっては、詮なきことだ。
 勝利の暁にもたらされるものは、フロイラインの手に渡る事になるだろう。だが……」

ライダーは、そこで一度口を閉じた。
そしてその黒と青の色をした、どこまでも冷たい氷の柱のような、しかしその中で真っ赤なバラが燃えているような、二面性を感じさせる瞳から発せられる視線で琥依を射抜いた。

「……お前の望みがあまりにもくだらぬものであるのなら、早々に降りさせてもらう。あいにく、おれは下種のために振るう剣は持っていないのでな」

堂々と告げられたライダーの言葉に、琥依がびくんと反応した。

「あ――わ、私……私は……」

……彼女には、聖杯に望む願いなどなかった。
そもそも、琥依が今ここにいる事それ自体が、完全な異常事態なのである。
とある機構によって造りだされた合成人間である彼女には、自由などなかった。
彼女は、常に命令を受け、それを実行するだけの存在だったのだ――そう、ある人物に出逢うまでは。

「私は、邦夫さんのところに帰らないといけないから、だから――」

きっかけは、些細なことだった。
琥依は、世界を根本から変える事ができる能力を持つ危険人物……しかし本人にその自覚は殆どない男、古猟邦夫の監視任務に就いていた。
そうして、琥依と邦夫がお互いの顔を見た、その瞬間に――二人は、恋に落ちていたのである。
……その一年後、薬指に嵌められた結婚指輪を見つめながら、琥依はふと思ったのだ――
『ずっと、この人の傍にいたい』
と。

今現在のこの状況は、『異なる世界から来た』という邦夫の〈アウトランドス・ダムール〉の力の一端によるものなのか、
それとも全く別のMPLSによる影響を受けているのか、琥依には判別することができなかった。
それでも、一つだけはっきりしていることがある。
自らの夫を守る――それが今の琥依の、彼女自身が定めた存在意義であった。

「……ここにいるのが疾風ウォルフ〈ウォルフ・デア・シュトルム〉であったならば、あるいは心を動かしていたかもしれんがな」

ほんの少しの沈黙の後に訪れたライダーの言葉は、あくまでも冷ややかなものだった。
しかしながら、その表情には関心と嫌悪が入り混じったわずかな光彩がゆらめいていた。

「お前の事情などには全く興味はない。が……少なくとも、おのれの為ならば、どんな相手であろうとも立ち向かうという意思はあるようだ。
 後方でちぢこまり、策を弄することしか考えぬような輩よりはましだと考えるべきか」
「え――えと……」
「あとはお前次第ということだ――戦いたくないと言うのであれば、好きにしろ。勝利を得ねば、帰還することも叶わぬということを踏まえた上でな」
「……私、は――」


337 : 古猟琥依&ライダー ◆4/zx7QxxUU :2014/09/26(金) 05:47:36 1XwBuU160
     Ⅲ

琥依とライダーが行っていたのは、琥依の“性能”を測るためのテストであった。
それはあたかも主従が逆転しているようだったが、ある意味では自然でもあった。

直接的な戦闘能力だけを見るならば、ライダーのそれは神話に登場するような超人よりも劣っている。
が、彼の本領はそこにはない。戦闘における司令官としての統率力と分析力、戦略眼こそがライダーの武器である。
その点で彼に匹敵する能力を持つ者は、少なくとも彼の生きた時代には片手で数えられるほどしか存在しない。

銀河の歴史にその伝説を残す英雄、オスカー・フォン・ロイエンタール――それがライダーの真名だった。

そして、その誇り高き金銀妖瞳の提督の現在の主は、地面に手をつけて、胃の内容物を吐いている。

「――うぼ、げぼぼっ……」

第二次大戦中最強クラスのスペックを持つ重駆逐戦車ヤークト・ティーガーにも喩えられる彼女の戦闘能力は非常に高い。
しかし安定性は最悪で、意識できない振動とストレスに極度に弱く、つまりは――とても乗り物に酔いやすい。
それでも、初めて邦夫と出会った時のように、ショックによる心停止〈エンスト〉を起こしてしまわないだけ上出来ではあっただろう。

「――おい」

ライダーが声をかけると、琥依は、はっとした表情で顔を上げた。
「あ……大丈夫、です。いつものことですから――」
のろのろとした動きで琥依は立ち上がり、声を発する。

「……私は、ポルシェで、ポルシェ式の、みたいなもので、だからどんなことでも、平気だから――私は、邦夫さんのためなら……」

ぶつぶつと呟かれているその言葉は自身に向けられたものであり、ライダーに伝えようとしているものではなかった。
琥依の顔には、狂気や自己暗示の色はない……純粋な強い意思と、愛する者を想う気持ちだけがそこにあった。

その光景から、ライダーは目をそらす。
架空の空を見上げれば、千億の星々が千億の光を放っている。

虚空に夜を、虚無を月に。

何を求めるでもなく、ライダーは、宇宙へと向けてその腕を伸ばしていた。


          *


ギャラルホルンは鳴らされた。
ひとたび開かれた天上の門扉は、勇者の魂を迎え入れぬ限り閉じることはない。
新たな戦いの場に立ったロイエンタールは何を思い、何を見るのか。
勝利の女神が微笑むのは、月か地球か、あるいは。

銀河の歴史が、また1ページ。


          *

この戦車を倒せる敵は少ないが
頼りとなる同胞もまた数少ない
よってこの戦車を猛獣とするも
屑鉄とするも諸君の選択次第だ

――ハインツ・グデーリアン監修〈ティーガー・フィーベル〉より抜粋


338 : 古猟琥依&ライダー ◆4/zx7QxxUU :2014/09/26(金) 05:48:59 1XwBuU160
【マスター】
古猟琥依

【出典】
戦車のような彼女たち

【参加方法】
婚約指輪の素材に月の石が使われていた。
他にも何らかの理由がある可能性もある。

【マスターとしての願い】
夫の下に帰りたい。

【weapon】
無し。

【能力・技能】
〈ブリットヘッド〉
全身の生体波動を収束しての砲撃、及び躯動装甲を展開する能力。
砲撃の威力は土地を抉るほどに高く、戦闘用の合成人間であっても対策無しに直撃を受ければ即死する。
駆動装甲は重機関銃の連射などまるで意に介さず、背後から対戦車砲に匹敵する威力を持つ衝撃波を受けても揺れを感じる程度に押さえ、魔術によって発生した雷の直撃にすら耐える。
装甲は物理的な強度を持っているため、直接押し潰すことも可能となっている。

その代償として、機動性は最悪。
また、砲撃の威力の調整は効かず、速射も連射も不可能。
駆動装甲は直径六メートルの円を描くことになるため、市街では少し方向を変えようとするだけで常にどこかに引っかかって移動が困難となる。
皮膚の振動にカロリーを使いすぎるため、内臓機能は食事もまともに出来ないほどに貧弱。

なお、砲撃は口を開けて行われるが、これは単なる排熱動作である。

能力を一切使用しない場合でも、骨折を数秒で元通りにする回復力や、常人ならば筋肉が引きちぎられて心臓が破裂するほど肉体を酷使してもびくともしない程度の戦闘能力はある。

【人物背景】
“統和機構”と呼ばれるシステムによって造られた戦闘用合成人間。コードネームはブリットヘッド。
外見は十代後半の少女にしか見えないが、実年齢は数歳程度。
攻撃性と防御性を極限まで追求するために生み出された試作品であり、
「性能表の数値だけ見れば最強だが、鈍重すぎて実戦では使いものにならない」として第二次大戦期の戦車、ポルシェ式ヤークト・ティーガーに喩えられる。
自分が何をしているのかも分からないまま、任務だけをこなす日常が続いていたが、一人の男性と出会い、お互いに一目惚れしてしまう。

後にその男性、古猟邦夫と結婚するがそれも監視任務の一環であり、指令を受ければ即座に殺害するように命令されている。
しかし琥依はその命令に従う気はなく、万が一の際には統和機構を敵に回してでも邦夫を守ろうとする強い意思を持つ。

【方針】
基本的にはライダーの指示に従う。
聖杯戦争に勝利して帰還するつもりだが、他に手段があるならば勝利にこだわるつもりはない。


339 : 古猟琥依&ライダー ◆4/zx7QxxUU :2014/09/26(金) 05:50:00 1XwBuU160
【クラス】
ライダー

【真名】
オスカー・フォン・ロイエンタール

【出典】
銀河英雄伝説

【パラメーター】
筋力:D 耐久:D 敏捷:C 魔力:E 幸運:D- 宝具:E

【属性】
混沌・中康

【クラススキル】
対魔力:E
魔術に対する守り。
無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。

騎乗:-
艦隊の統率者である彼はライダーのクラスでありながら騎乗スキルを有していない。
スキルによる恩恵は受けられないが、車などの元々運転が可能なものならば騎乗は可能。
クラススキルとしての『騎乗』は、後述するスキルに統合されている。

【保有スキル】
星海の航海者:A-
船と認識されるものを駆る才能。
集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル。
ただし『カリスマ』の効果はE〜Dランク相当となっている。
『嵐の航海者』と似たスキルだが、無重力や宇宙空間における戦闘時にプラス補正が働く効果が加わっている。

心眼(偽):C
直感・第六感による危険回避。
士官学校を卒業してからの一三年間、大小二〇〇回を越す戦闘に参加し、三〇回にわたる私的決闘を行いながら、最後の戦いまで重傷を負う事は一度としてなかった。
中佐時代に参加した惑星カプチェンカの戦いでは酷寒、高重力、水銀性ガスという悪環境に苦しめながらも一〇人以上の敵兵を殺害。
自由惑星同盟最強の陸上・白兵戦能力を持つ「薔薇の騎士」連隊隊長、ワルター・フォン・シェーンコップに乗艦に乗り込まれた際にも互角の戦闘を繰り広げた。
ライダーの顔面に拳を叩き込む事に成功したのは、彼の親友である「疾風ウォルフ」ことウォルフガング・ミッターマイヤーのみである。

戦闘続行:D
戦闘から離脱する能力。また、敗戦において自軍領地まで生きて辿り着く能力。
命に関わる傷を受けても長時間の戦闘を可能とする。
生前の彼は致命的な傷を負った後も手術を拒み、定期的に鎮痛剤と止血剤を投与するのみで、表情すら変えないまま的確な指揮を行い続けた。

【宝具】
『黄金獅子旗(ゴールデン・ルーヴェ)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大補足:1000人
ライダーが所属する銀河帝国、ローエングラム王朝で採用された帝国軍旗。
麾下の艦隊の召喚を行っての一斉砲撃を行う。
神秘性自体は殆ど無いが、ワープ、超光速通信、レーザー水爆といった遥か未来の超技術を再現するために魔力消費は極めて深刻。
また、艦艇の数は数千規模であるため、まず間違いなく聖杯戦争の舞台そのものが壊滅的な被害を負うものと思われる。
更にライダー本人の意思による封印が行われているため、使用はほぼ不可能となっている。

『剣に生き、剣に斃れ』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
生前のライダーが最期に放った一撃の再現。
死が避けられない極限状態でのみ発動でき、あらゆる制約を無視し、更に相手の不死性を無効化しての攻撃が可能となる。

元自由惑星同盟最高評議会議長にして銀河帝国の新領土高等参事官、ヨブ・トリューニヒトを殺害した逸話に由来する宝具。
「エゴイズムの怪物」とも言われるトリューニヒトは国家に寄生し、あらゆる勢力を利用して自己保身を図っていた。
全く法に抵触していない故に正当な方法で裁く事ができず、一種の政治的不死性すら持っていたトリューニヒトであったが、
ライダーの眼前で彼の敬愛する皇帝ラインハルトを侮辱したことで、激昂したライダーによってその場で射殺された。
この行為は一切の正当性のない理不尽なものであったが、帝国の乗っ取りまでも可能な状況にあったトリューニヒトの目論見を結果的に破綻させ、後の歴史に影響を与えることとなった。


340 : 古猟琥依&ライダー ◆4/zx7QxxUU :2014/09/26(金) 05:51:24 1XwBuU160
【weapon】
装甲服を貫通する威力の光線を放つブラスター銃を携帯。
白兵戦の際には炭素クリスタル製の戦斧(トマホーク)や戦闘用ナイフ、粒子ビーム・ライフルなども用いる。

【人物背景】
銀河帝国に所属する軍人。
ダークブラウンの髪と女性を魅了する美貌、そして左目が青色で右眼が黒色の「金銀妖瞳(ヘテロクロミア)」が特徴。
少将時代、謀殺されかけていた親友ウォルフガング・ミッターマイヤーを救うため、後に皇帝となるラインハルト・フォン・ローエングラム(当時はミューゼル)に協力を仰ぎ、忠誠を誓う。
その後はミッターマイヤーと共に主要な戦役の殆どに参戦。数々の戦功をあげ「帝国軍の双璧」と称された。
ラインハルトの皇帝即位後は元帥となり、統帥本部総長に就任。
自由惑星同盟征服後は新領土総督としてその統治を任され、実質帝国№2の地位に就くこととなる。

自ら最前線に立つ勇猛さと、不利と見れば戦術的勝利に拘らず撤退することの出来る柔軟さを併せ持つ。
さらに新領土総督として赴任して以降は公務員の綱紀粛正を図るなど、為政者としても優秀な手腕を発揮した。
加えて武人としての誇りや礼節を重んじる性格でもあり、ミッターマイヤーほどではないが帝国軍の将兵からの人気も高い。

その一方で私生活は荒んでおり、特に若い頃から漁色家として知られ、言い寄ってきた女性と一時的に関係し、それを捨てることを繰り返している。
しかし本人はむしろ女性を蔑視しており、ミッターマイヤーの愛妻家ぶりにも理解を示さなかった(ミッターマイヤー宅に出向く際には花束を持参するなど、最低限の礼儀は保ってはいる)。
これは幼少期に浮気を疑われることを恐れた実の母に右目を抉られかけ、父から「お前は生まれてくるべきではなかった」と罵倒され続けて育った事が原因である。
この経験から「女は男を裏切る為に生きている」という強い女性不信を抱いており、女性には好かれたものの終始冷たい態度をとっていた。
また、一家臣としては過ぎるほどの能力と生来の野心家という二つの面を持ち合わせている事から、軍務尚書オーベルシュタインをはじめとする一部の者から「何時かは反逆するのではないか」との疑念を抱かれていた。

新帝国暦2年、策謀により起こされた事件によって、皇帝暗殺未遂の嫌疑をかけられる。
そのプライドの高さ故に冤罪によって屈辱を味わう事に耐えられず、自ら反逆者の汚名を着ることを選び、忠誠心を抱いたままラインハルトに対して反乱を起こす。
同年に行われた第二次ランテマリオ会戦では、激戦の末にミッターマイヤーとその連合軍を前に敗北。
軍勢の大半を失ったにも関わらず一矢乱れぬ行軍で惑星ハイネセンへ帰還する手腕を見せるも、戦闘中に負った傷により、最期に親友の姿を見る事が叶わぬまま息を引き取る。33歳であった。
その遺体を見たミッターマイヤーは、遺体に黄金獅子旗をかけ、涙を流して親友の死を弔った。

【サーヴァントの願い】
聖杯への望みはない。強いて言うならば、英雄の集う戦いに勝利する事による栄誉。

【基本戦術、方針、運用法】
サーヴァントがマスターに指示を出す変則主従。
真正面からの戦いを挑むのは無謀の上に市街戦では全力を出せないため、まずは何とかして野戦に持ち込む必要がある。
その上で敵のサーヴァントとマスターを分断し、琥依のブリットヘッドをマスターに撃ち込んで即座に勝負を決めるのが理想。
とは言うものの、それが簡単に実行できるならば苦労はない。
まずは情報収集や拠点の確保なども兼ね、同陣営の主従と接触して協力態勢を結ぶのが急務である。


341 : ◆4/zx7QxxUU :2014/09/26(金) 05:52:39 1XwBuU160
投下を終了します。


342 : ◆3btUfHUhu6 :2014/09/26(金) 07:43:28 8KEgj9U20
投下します


343 : アリー・アル・サーシェス&バーサーカー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/26(金) 07:44:09 8KEgj9U20

(畜生、まだ殺し足りねえってのによ……)

男は死んだ。
次にまばたきをすれば確実に、目の前の銃弾は間違いなくこの眉間に突き刺さるはずだ。
そして実際、突き刺さった。
鋼が脳を抉る痛みを感じるより先に死ねたのは幸運だっただろうか。

――漠たる死に安らぎなし

しかし、声が聞こえた。
どこまでも深く暗い、まるで奈落の底から響いてくるような、声。
男はその声を頼りに意識を覚醒させていった。

(なんだ、この声は。走馬灯ってやつか?)

男は、思考が続いていること……まだ死んでいないことに気づく。
同時に記憶が弾けた。
膨大な情報が一気に脳内を駆け巡り、男は自らの置かれたた状況を一瞬で把握した。
男はまだ、生きている。
そして新たな戦場へと招かれている。

(聖杯戦争……なんてこった! まだまだ俺は遊べるんじゃねえか!)

歓喜とともに今の状況を受け入れる。
どうやってここに来たのか、はどうでもいい。
重要なのはまず戦争が目の前にあることであり、生き残ればさらにボーナスが出る。
いいことづくめだ。拒む理由が何一つない。

――曲折の果てに其は訪れん

かつて、男を「人だが人の域を超えている」と称した者がいた。
そいつは人間ではなかった。
人間ではない者が、人間を指して、人間を超えている、と言ったのだ。

――人に非ずとも 悪魔に非ずとも

人の姿をした、人でないもの。
人ではなく、悪魔でもなく。
ただ血と鉄を求めて現世を彷徨う戦いの徒……修羅。
それが彼であり、彼らだった。
他人の都合など構いはしない。
好き勝手に生き、好き勝手に死ぬ。
闘争こそが生きる糧。
お互いに理解している。
目前の者は自分の同類なのだと。

――我が意思の逝くまま

故に、男は破壊の意思を漲らせるその声の主を受け入れる。
マスターの名は、アリー・アル・サーシェス。
サーヴァントの名は、人修羅。
契約は滞りなく。
引き寄せ合った二つの修羅は、破壊の限りを尽くすのみ。


344 : アリー・アル・サーシェス&バーサーカー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/26(金) 07:45:40 8KEgj9U20
【クラス】
 バーサーカー
【真名】
 人修羅@デジタルデビルサーガ アバタールチューナー
【パラメーター】
 筋力:A 耐久:A 敏捷:A+ 魔力:A 幸運:D 宝具:EX
【属性】
 混沌・狂
【クラススキル】
 狂化:A…バーサーカーのクラス特性。あらゆるパラメーターを上昇させるが、代償として理性や言語能力を失う。
       このスキルが発動した人修羅は常に悪魔の本能が剥き出しになる「煌天」状態であるため、令呪を使っても理性は回復しない。
【保有スキル】
 悪魔交渉:-…バーサーカーのクラスで召喚されたため、悪魔と交渉する技能を失っている。
 悪魔召喚:-…バーサーカーのクラスで召喚されたため、悪魔を召喚する技能を失っている。
 貫通:B…敵の防御を貫通してダメージを与えるスキル。物理攻撃に耐性(削減・無効・吸収)を持つ相手にも通常通りのダメージを与えられるが、反射には無効化される。
 魔性:A…悪魔適性を持つかどうか。ランクが高いほど、より物質的な悪魔との混血とされる。人修羅は半人半魔のため、人間としてはほぼ最高のAランクを保持する。
       魂喰いを行う際の魔力回復効率が上昇し、さらに「菩提樹の悟り」「信仰の加護」スキルを無効化する。
【宝具】
『マサカドゥス』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:- 防御対象:1人
 悪魔の力が結晶化した物質であり、その中でも究極とされるマガタマ。
 東京の守護神である「平将門」公の力を秘めており、人修羅の身体能力を底上げし、攻撃・防御に霊的な加護を付加する。
 Bランク以下の物理攻撃と魔術を完全に無効化し、更にAランク以上の攻撃でもその威力を大幅に減少させ、Bランク分の防御数値を差し引いたダメージとして計上する。
 ただし、銃撃、地変(地属性)攻撃、万能(メギド系魔法)攻撃には無効化される。
『地母の晩餐』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:5〜300 最大捕捉:100人
 地母神の権能を顕現させて、地割れとともに凄まじいエネルギーの奔流を引き起こす。
 地割れによる震動と天を衝く衝撃波のそれぞれ二回、命中判定が行われる。
 強力な防御無視効果の特性を備えた「防御殺しの宝具」であり、攻撃対象が防御系の宝具・スキル・魔術を使用した場合、その防御を貫通した上で威力が増加する。
 この効果は戦闘ダメージに関係するあらゆる宝具・スキル・魔術に適用され、下記の倍率のプラス補正を得る。
  ・ガード効果(熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)、悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)、呪層・黒天洞(じゅそう・こくてんどう)など)→1,5倍
  ・ノーダメージ効果(全て遠き理想郷(アヴァロン)、勇者の不凋花(アンドレアス・アマラントス)など)→2倍
  ・カウンター効果(斬り抉る戦神の剣(フラガラック)など)→3倍
 ただし、回避と攻撃系宝具での相殺はこれに該当しない。
【weapon】
 状態異常を引き起こす体術…ゼロスビート(麻痺)、ジャベリンレイン(魔封)、ヒートウェーブ(全体攻撃)


345 : アリー・アル・サーシェス&バーサーカー ◆3btUfHUhu6 :2014/09/26(金) 07:46:05 8KEgj9U20
【人物背景】
 PS2ゲーム「真・女神転生III-NOCTURNE」の主人公であり、同じくPS2ゲーム「デジタルデビルサーガ アバタールチューナー」の隠しボス。今回は後者からの出典。
 元は何の変哲もないごく普通の高校生だったが、それまであった世界が異界「ボルテクス界」に変異する現象「東京受胎」に巻き込まれ、半人半魔の魔人となる。
 「人間」でも「悪魔」でもない、故に「人修羅」。人間であった頃には当然名前を持っていたが、もはやその名を覚えている者は本人を含めて皆無である。
 ボルテクス界はコトワリ――世界のあり方を端的に示す理念――を示すことにより新たな世界へ生まれ変わらせるが、人修羅はいかなるコトワリも持ち合わせていなかった。
 それでいて彼は存在する全てのコトワリを討ち滅ぼし、創世の神カグツチをも滅ぼして新たな世界の可能性を摘み取った。
 その後の彼は、何にも縛られない自由を得たとも、神と悪魔の最終決戦に参加したとも、別世界に赴いたとも言われる。
 「アバタールチューナー」にはストーリーに絡まない隠しボスとして登場。ラスボスなど比較にならない強烈な強さを有し、RPG史上最強のボスは?という話題だとまず名前が挙がる。
 強烈な耐性、攻撃力もさることながら、彼が最強として恐れられる由縁は一切の容赦もなく全力でプレイヤーを殺しにかかる戦略である。
 人修羅は、元は自分も女神転生シリーズの主人公であったためか、敵でありながら悪魔召喚を駆使して仲間の悪魔――仲魔を召喚する。
 彼が使役する悪魔たちはみな極限まで鍛え上げられており、ステータス補助魔法・全体即死魔法・復活魔法・全体完全回復魔法など、敵が使ってはいけないレベルの魔法を遠慮なく使ってくる。
 さらにプレイヤーが一つでもダメージを無効にする・反射する・吸収するスキルを使用しようものなら、人修羅は「地母の晩餐」を連発するモードに入る。
 プレイヤーのHPの上限が999なのに対し、「地母の晩餐」のダメージ量は9999固定である。そして別にスキルを使わなくても「地母の晩餐」を普通に撃ってくる。
 レベルを最大まで上げても攻略にはかなり運が絡むため、発売から十年以上たってもなお全RPG最強クラスのボスとして認知されている。
【サーヴァントの願い】
 破壊衝動に従うのみ。
【基本戦術、方針、運用法】
 仲魔を使役できないとはいえ単体でも破格のステータスと宝具を誇り、直接戦闘ではほぼ無敵に近い。
 その強力さに比例して魔力消費も甚大であり、マスターは常に莫大な魔力供給を求められる。
 ルーラーの監視をどうにかしてやり過ごし、NPCの魂を食ってバーサーカーを駆動させるに足る魔力を確保しなければならない。


【マスター】
 アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダム00
【参加方法】
 アルケーガンダムに月の石からできた素材が使用されていたため。
【マスターの願い】
 戦争を愉しむ。
【weapon】
 拳銃、ナイフ
【能力・技能】
 生身・機動兵器操縦、ともに極めて高い戦闘技術を持つ。特に刃物を使った格闘戦を得意とするが、射撃の腕前も達人級。
 頭の回転も早く勘も鋭いが、戦闘や虐殺行為を愉しむという悪癖がある。
【人物背景】
 どこの国にも属さず戦場を彷徨い歩く腕利きの傭兵。戦闘・戦争という行為を何よりも愛し、「何かのために」戦うのではなく、「戦うために」戦う。
 戦場でただ暴れるだけの鉄砲玉ではなく、年若い子どもを言葉巧みに洗脳しテロリストに仕立て上げる弁才も持ち合わせる多芸な男。
 突如全世界に宣戦布告した私設武装組織ソレスタルビーイング、そしてその尖兵であるモビルスーツ・ガンダムに興味を持ち、何度となく激突する。
 やがて彼自身もガンダムという規格外の暴力を得てさらなる破壊と混沌を撒き散らすが、最期は自分が過去に殺した人間の身内に撃たれて死んだ。
【方針】
 病的な戦闘愛好者であるサーシェスは民間人(NPC)の犠牲を忌避しない。とりあえずは魂喰いをして魔力を調達する。
 用意が整えば敵の陣営と戦うが、隙があるなら味方の陣営にも随時襲い掛かるつもり。


346 : 名無しさん :2014/09/26(金) 07:46:20 8KEgj9U20
投下終了です


347 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 08:52:28 R2QhCdn60
坂本ジュリエッタ@エアマスター&捏造エクストラクラス『破壊者(デストロイヤー)』
投下します


348 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 08:53:05 R2QhCdn60















                           愛してる













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349 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 08:54:52 R2QhCdn60
「愛してる」

サーヴァントとして覚醒した『彼女』の目の前に居たのは、ひたすらに同じ言葉をつぶやき続ける男。
ボサボサの髪。着崩した高価なスーツ。綺麗な革靴。
上空を見つめ、ただ同じ言葉を繰り返す。

「愛してる、愛してる」

「……どうして」

あと少しで届いたはずの手。
愛するあの人を掴めたはずの手。
なのに、どうして……どうして邪魔をする。

「愛してる、愛してる、愛してる」


少女の腕が振るわれる。
そこになんの感情もない。
目の間を飛んでいた羽虫を払うように振るわれた腕。
男がまるで亡霊のように体をかわすと、男の居た場所が轟音を立てて崩壊する。
残された巨大な爪痕。破壊と蹂躙の痕。
少女は忌々しげにもう一度、力を込めて拳を振るう。
男はその腕を、脚の一撃で止めた。

「不思議だ」

男は続ける。
命を奪おうとした腕を足蹴にし、夢遊病のように続ける。

「たったの五文字で、世界はひっくり返った」

振るわれる腕、打ち落とす脚。
二撃、三撃とまるで事も無げに受け止め、払ってみせる。

「口ずさむたびに、俺の心が俺以外の何かで満たされていく」

手はポケットから抜かず、脚のみで少女の攻撃を御し続ける。

「心地いい」

少女は彼を『壊す』ためにその拳を振るい続け。

「そのまま、俺の全てになってくれ……摩季」

男はそれを気にも留めずに愛を紡ぎ続けた。


350 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 08:56:13 R2QhCdn60
「愛してる」

少女は戸惑っていた。
蹴られた腕が痛かったわけではない。
男の言葉が。
そしてその奥にある男の心が。
少女の心の奥にある、何かを揺らしていたから。

なぜか分かる。
分かってしまう。
男がなぜ、ここまで言うのか。
拳を交えたせいか。それとも、英霊として呼び出されたからか。
男の心が流れ込み、少女の心に波を起こす。

「愛してる」

少女の腕を押さえたまま再び空を見上げて、男が呟く。
何を見てるか分からない目で。
何に向かってかも分からない言葉を。
男の姿に、電子の海、サクラ迷宮で一人ぼっちだったとある少女の姿が重なる。
だからこそ、少女には男の『その行動』が何を意味するのかが理解できた。

「愛してる」

ああ、そうか。
この人も誰かが大好きなんだ。
誰かが大好きだけど、誰かに受け入れてもらえない。

真っ暗な世界。
自分と敵しか居なかった世界。
一人ぼっちだった世界。
そんな世界を終えてくれた愛する人を、ひたすらに想い続けている。

でも、分かってもらえない。
皆自分から逃げていく。
愛するあの人も逃げていく。

悲しい姿。一人ぼっちの姿。
鏡写しのような男の姿。
少女はたまらず座り込み、涙声になりながら己の心の内を吐露した。

「……私も、です……好きで……好きで……心の底から大好き……でも……私の愛は伝わらない……」

男の心に重ねるのも、やはり少女の心。
誰にも受け入れられず、誰にも認められなかった、ようやく見つけたはずのたった一つの幼い『自分』。

「みんなが否定しました……私の愛を……」

「『あの人』も、そうでした……私を拒絶して、傷つけてきた……」

「……それでも……好き……」

「好き、好きなんです……」


351 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 08:57:32 R2QhCdn60
男は少し黙り、宙を大きく仰いで答えた。
たった今少女の口から放たれた言葉ではなく、少女の心の奥底にずっと潜んでいた本当の問いに。


「誰かに言われたからじゃない」

「俺が摩季を好きだから、この気持ちは『愛』だ」


まるで雷が落ちたような衝撃が、少女の心を包み込む。


「たとえ摩季が俺を否定しようと、俺からの愛を否定しようと」

「俺の心は否定できない。俺の心の中にある愛は否定できない」

「それが、愛だろ」


そうだ。
確かに『あの人』は私を恐れた。
こんなに愛しているのに、あの人は私から離れようとした。
でも、たとえ『あの人』が否定したとしても、私の中にあるその思いは消えない。

確かに『あの人』のサーヴァントや、他の人たちは皆私を貶した。
私の愛を否定して、あの人を私から遠ざけようとした。
でも、なぜ他人の価値観でこの『愛』を否定される必要がある。

少女の愛は、少女だけの愛だ。
『あの人』にも、他人にも、それを否定することはできない。
誰かの許可など入る余地もなく、いっぺんの曇りもなく。
少女がそうであると想い、『あの人』を欲するなら、その気持ちこそまさしく――――――愛だ。


「愛してる」

五文字。

「好きだ」

三文字。

「お前がいればそれでいい」

十二文字。


男の口からは、なおも愛が綴られる。
少女は我慢できなかった。
口から出た言葉は、今は遠い『あの人』への想い。
目の前の男の言葉を繰り返すように、その一言が口を突いて出る。


愛しています、と。


352 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 08:58:40 R2QhCdn60
「愛してる」

「愛しています」

「愛してる」

「愛しています」

「好きだ」

「大好きです」

「お前以外は何もいらない」

「あなたがいてくれればそれでいい」

「俺の全てになってくれ」

「あなたの全てを私にください」

「愛してる」

「愛してる」

「愛してる」

「愛してる」

「愛してる」

「愛してる」

二人で続ける。
見つめる先に人は居ない。
ただ、己の心の中にいる『誰か』に向かって言葉を紡ぐ。

「愛してるぞ、摩季」

「愛しています、『■■■■さん』」


353 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 09:00:42 R2QhCdn60
そしてようやく、二人は遭遇する。

「……お前、誰だ」

初めて目が合った。
胡乱な瞳。
何を見ているか分からない瞳。
愛する人しか映っていない瞳。
鏡写しのような、瞳と瞳。

「私は……パッションリップ……あなたのサーヴァントです。よろしくお願いします……えっと……マスター」

可愛らしく両手を腰の前で合わせて、頭を下げる。
マスターは何も言わない。
ただ、二人で見つめあい、分かり合う。
言葉ではなく、心で通じて分かり合う。

「……行くか」

「……はい、行きましょう」

爆殺シューター、激烈たる愛の奴隷、坂本ジュリエッタ。
エクストラクラス『デストロイヤー』、盲目で一途な恋する破壊者、パッションリップ。

目指すは都心。
誰よりも愛おしき人を求め。
己の愛を再び確かめるように。
自分たちの間に立ちはだかる壁を破壊するため。

敵対する『地球側』のマスターたち。
自身を愛する人から引き離した何者かの意思。
頼んでも居ないのに願いをかなえるといい呼びつけた願望器、聖杯。
それらによって構築されている聖杯戦争というシステムすら破壊するために歩き出す。




ちりちり、ぢりぢり。
パッションリップの手が地面を擦る。
二人の後を追うように残される小さな溝。
数百キロという超重量の刃を引き摺る事でアスファルトに刻まれていく黒く深い傷痕。

まるで車のエンジンがかかったことを知らせる水滴のように。
まるで抑えられず零れ出した気持ちのように。
まるで激烈な破壊の前触れのように。

しかし、その痕がもし本当に何かを表すというなら。
それはまぎれもなく、『愛』という爆弾への導火線。


354 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 09:03:23 R2QhCdn60
【クラス】デストロイヤー
【真名】パッションリップ
【陣営】月
【パラメーター】
筋力A++ 耐久C 敏捷E 魔力B 幸運D 宝具C
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
『破壊の権化』:A+
彼女のその逸話(初見殺しぶっぱ)とスキル『トラッシュ&クラッシュ』が複合してクラススキルにまで昇華された。
Aクラスなら耐久が3ランク・敏捷が2ランク下がり、気配遮断のような存在隠蔽スキルが消滅するかわりに攻撃全てに『即死』の状態異常を加えることができる。
攻撃対象が攻撃に対して防御行動を取れなかった場合、または攻撃を受けた瞬間に状態異常無効化系アミュレットを持っていなかった場合、追加効果によって敵を一撃で葬ることができる。
ちなみに、ここでいう『即死』は厳密には『死亡という状態異常』に相手を陥らせるため、攻撃による傷を癒せる再生やダメージによる死亡状態を回避できる不死のスキルなどでも防ぐことは不可能である。
さらに宝具『死が二人を分断つまで』によってバフ・デバフ効果が発動する。
これによって全ての命中率低下や回避率上昇などの攻撃無力化系スキルを全て無効化。
パションリップは確実に攻撃を対象に当てることができ、攻撃が防御されなかった場合は確実に一撃で敵を殺す。

【保有スキル】
『被虐体質』:A
集団戦で標的になりやすくなるスキル。
また、高ランクのこのスキル所持者を攻撃すると、攻撃するほどに冷静さを欠き、周りが見えなくなる。
Aランクならば若干の耐久向上が見られる。

『トラッシュ&クラッシュ』:EX
id_es(イデス)と呼ばれる、アルターエゴたちが生まれながらに持つ特殊能力。
スキル「怪力」が進化して生まれた能力で『手に包んでしまえるもの』ならありとあらゆる物を圧縮可能。
圧縮されたものは手のひらサイズまで情報を圧縮されたキューブになり、同一の性質は保持されるが二度と元には戻れない。
この「包んでしまえる」とは「【パッションリップの視界内で】手に収まれば」対象となるため、「遠距離の高台から半径数kmにも及ぶアリーナを、NPCごと圧縮」等という芸当も可能。
本聖杯大戦でもこのスキルは問題なく使えるが、例外として参加者には効果をなさないようにデータが改竄されている

『ブレストバレー』:−
彼女の胸の谷間に存在する虚数空間を利用した廃棄場。
前述のトラッシュ&クラッシュでキューブにしたものなら、容量を問わず収納できる(パッションリップの容量を超えていても可能)。
収納された生物は自力では這い上がれない一種のブラックホールである。

『愛の虜』:A
綺麗な言葉で飾っているが、本質的には精神汚染と同等のスキル。
行動・言動の基点が『あの人への想い』になり、他の全てを軽視する。
たとえ誰であろうと彼女と『あの人』の関係を邪魔するものは敵と判断され、破壊対象となる。
そして全ての精神系状態異常を無効化する。

『空腹』:A
魔力の燃費が悪く、エネルギー不足を空腹という形で察知することができる。
空腹が一定以上に達するとお腹が鳴って知らせてくれる。
そして、魔力の補充を食事で行うことができる。が、常人よりも驚くほど多量の食料を必要とする。
そのため、マスターからの魔力補充以外にも度々食事を行う必要がある。


355 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 09:05:43 R2QhCdn60
【宝具】
『死がふたりを分断つまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
対象への愛情が深ければ深いほどダメージと命中精度を増していく宝具。
たとえそれが一方通行のものであっても、狙った相手は決して逃さない。
ドゥルガーの神剣を元に作られた両腕を射出し、相手を完膚なきまでに打ちのめした後、戻ってきた両爪を咢のように構えて相手を飲み込むように圧縮粉砕する。
もともとは『あの人』にしか向かうはずのない能力。
しかし、作中でも『あの人』への愛を邪魔する英霊に対してこの宝具を発動できていたため、『愛を遂行するための宝具』としての一面を持っていると言える。
今回は『あの人』への愛のために障害を全て撃ち滅ぼすと決めたため、この地にいるすべての人物が対象となる。

元々の所有者は戦乙女ブリュンヒルデ。自分を裏切り、その名誉を傷つけたシグルズへの復讐のために振るわれた愛憎の槍。
厳密にはブリュンヒルデの夫に対する深い愛情と憎悪の念が槍の形をとったもの。
BBに違法改造されたことによって、元のものからは名称も性質も少し乖離している。
だがその破壊力は絶大で、無防備な状態で受ければ確実にミンチになる。即死効果は元からあった効果ではなく、イデス『トラッシュ&クラッシュ』によって付加されたもの。
ゲーム的には強力な物理ダメージ+即死効果で、ラニ特製の礼装「オシリスの砂塵」での即死効果の防御が必須となる。
そのため今回の聖杯戦争でも状態異常回避能力を持つアミュレットで即死判定を回避することができる。

【weapon】
ドゥルガーの神剣を元に作られた両腕。
上記のとおり射出も可能。

【人物背景】
出展はfate/extra ccc。
BBの求愛欲求・愛憎から生まれたアルターエゴ「M」。無垢であるが故に残虐な少女の貌。
容姿はBB達と同じく桜に似ているが、体形は大きく異なり、その異形の両手から人外の存在であることは一目でわかる。
三人の中では話し方は穏やか、かつ丁寧だが、感情の揺れ幅が非常に大きく、その情緒は極めて不安定。
サクラ迷宮で出会った『あの人』を強く慕っている。BB達は皆、『あの人』に妙に執着しているが、彼女の想いは頭一つ抜けていて、「わたしの王子様」と呼ぶ。
真面目そうな容姿に反して結構モノグサで、『あの人』のストーキングで忙しいという理由から、衛士にも関わらずかなりサボタージュしている。
また、注意されたらすぐ分かるようなウソをつく、勝手な判断で備品(対サーヴァント用防壁やBB特製ロボ・BBB)を壊す、怒られると「ああ言えばこう言う」を地で行く発言をしてしまうなど、本人に悪気がないだけにタチの悪い、非常に困った性格をしている。
しかし、メルトリリスと異なりある理由(後述)から味方に虐められても、その相手を攻撃しない程度には敵・味方の分別をわきまえている一面もある。
家事全般が苦手で、得意なことは殴ること・潰すこと。座右の銘も一撃必殺と外見に似合わず武道家精神の持ち主。
生まれた時から「認識障害」を患っており、自らの異形の腕を認識できず、「普通の少女の腕」にしか見えていない。
そのため、自分がなぜ怖がられるのか理由が分かっていない。ただし、頭では認識出来ていなくても、常に重い腕を動かしている為空腹を感じるというかたちでエネルギーの消耗を身体が伝えたり、追い詰められ精神・肉体ともに疲弊すると腕が重いという所謂違和感とも言える感覚を覚えたりする。

SG内での決戦中、『あの人』に対して『死がふたりを分断つまで』を放った瞬間から召喚。
その後救われる運命を知らない彼女は自身の愛に絶望し、自身の愛によって立ち直った。
月の裏側で生まれたAIであるためか、月側の陣営として呼び出された。

【サーヴァントとしての願い】
『あの人』(CCC主人公)に会いに行く。そして愛を伝える。

【基本戦術、方針、運用法】
戦術は単純に『見敵必殺』。
敵陣営だろうが味方陣営だろうが見つけ次第一撃を叩き込み、葬り去る。
『トラッシュ&クラッシュ』による『圧縮』でアーチャーの遠距離攻撃やキャスターの構築した陣地を無力化。
近接では『破壊の権化』の効果で三騎士クラスすら圧倒できる素質持ち。
特に理性の無いバーサーカーに対してはそのクラススキルの性質上優位に立てるだろう。
弱点らしい弱点といえばデストロイヤーで召喚されたため『気配遮断:A+』が無いことと、敏捷が最低ランクであることか。


356 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 09:09:01 R2QhCdn60
【マスター】坂本ジュリエッタ@エアマスター
【参加方法】不明
【マスターとしての願い】
摩季に会いに行く。そして愛を伝える。
【weapon】
足技のみ。それ以外は使わない。
【能力・技能】
潜在的に天才レベルの気と戦闘センス。
『アドレナリン』『エンドルフィン』の操作による痛覚遮断。
売れっ子ゴーストライターとしての筆力。そして数千万規模の財力。

なお、ここでいう『気』は魔力回路・魔力と同義である。
そのため、マスターとしての適正は高い。
また、気を最高まで練る事ができれば、それは莫大な魔力を纏っているといっても過言ではない。
気を消費することで一時的にサーヴァントの攻撃を防ぐことも可能である。
ただし、サーヴァント相手に攻撃用として使えば莫大な魔力を与えることになるため転用することはできない。

【人物背景】
超売れっ子ゴーストライターで、相川摩季に偏執的な愛情を注ぐ謎多き男。
年齢は27から28歳(?)。沢田研二の歌をよく口ずさんでいる。
基本的にハンドポケットの姿勢を崩さず、両手をズボンのポケットに突っ込んだまま強烈な蹴りを放つという戦い方が多い。
予備動作なしで最大の威力の蹴りを放つことができる。「エンドルフィン」「アドレナリン」を自由に操作できると発言している。
独特の哲学を語りつつ、ただの通行人でも容赦なく蹴り飛ばす。
摩季に一目惚れし、自分の理想の女性ジェニーと重ね、愛情の全てをぶつけきって敗北。
その後、当人のあずかり知らぬうちに深道ランキングに登録され、7位の深道信彦を瞬殺、3位の小西と引き分ける。
内海美加・野々楽子・石毛まさみという3人の女性と半同棲しているが、その扱いはかなり冷淡である。
実は高度な「気」の使い手で、深道ランキング3位の小西と戦った際には両足の靭帯と右腕の関節を破壊された状態で立ちあがり小西を圧倒する。その気の錬成は、摩季を目の前にした場合は、普段の2倍は力が出るらしい。
その言動の印象から摩季以外の人物が見えていないようであるが、その実他者との交流も程ほどに行っている。
ルチャマスター達のような取り巻きや上記のとおり彼女もおり、特に摩季の父親である佐伯四郎とは仲がよく酒を飲むなど、人間らしい姿を見せる一面もある。

参戦時期は小西戦以降から少なくとも深道ロワイヤルで摩季と戦う以前。

【方針】
見敵必壊。
全ての障害をブッ壊して愛する人のもとへ。
この場合の『障害』は月陣営・地球陣営どころかNPC・建築物すら関係なく、聖杯戦争を含めた『愛の邪魔をする全てのもの』。





【クラス補足】

クラス:デストロイヤー

『破壊者』のクラス。
何らかの物体・状態を破壊する『破壊という現象の象徴』であることがクラス適正となる。
同一クラスとして呼ばれる可能性がある人物としては門矢士(仮面ライダーディケイド)、デストロイア(ゴジラvsデストロイア)のような慄然とした世界の破壊者から
上条当麻(とある魔術の禁書目録)や球磨川禊(めだかボックス)のような限定的な状態の破壊者も含める。
クラススキルは『破壊の権化』。
ただし、英霊が『何を破壊したか』でスキルの内容が大幅に変わってくる。
だいたいは宝具やスキル・逸話にたがわぬものを破壊できる能力になる。

召喚に聖遺物は必要なく、必要となるのは唯一つ。
マスターとサーヴァントの本能レベルでの精神性の相似である。
今回は、坂本ジュリエッタとパッションリップの、ともに二人の根幹を構成する『歪な愛』がお互いを引き寄せた。


357 : 坂本ジュリエッタ&デストロイヤー ◆vBWhRkzGXs :2014/09/26(金) 09:10:31 R2QhCdn60
以上です
この作品を国家ロワのチェリーの登場話に捧げます


358 : 名無しさん :2014/09/26(金) 14:38:42 1ef.dKW60
皆様投下乙です
そういえば今日で締め切りだったかな


359 : 名無しさん :2014/09/26(金) 16:58:40 Tex76u/Q0
【セイバー】5組
呉島貴虎@仮面ライダー鎧武 & 雅緋@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明- ◆aWSXUOcrjU
市丸ギン@BLEACH & セブルス・スネイプ@ハリポッターシリーズ ◆yy7mpGr1KA
鑢七花@刀語 & 阿良々木暦@物語シリーズ ◆LvHaBDkQwQ
足利義輝@戦国BASARA & 常守 朱@PSYCHO-PASS ◆QNxvmG91pc
トゥーサン・ネシンバラ@境界線上のホライゾン & ネロ・クラウディウス@Fate/Extra ◆ACfa2i33Dc

【アーチャー】3組
セッツァー・ギャッビアーニ@ファイナルファンタジーVI & セレスティア・ルーデンベルク@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ◆ACfa2i33Dc
天龍@艦隊これくしょん & ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 第3部「スターダストクルセイダース」 ◆QyqHxdxfPY
イースレイ@クレイモア & アザミ@カゲロウプロジェクト ◆HUcCB15i0Y

【ランサー】5組
クー・フーリン@Fate/EXTRA CCC & 鳴上悠@ペルソナ4 ◆3btUfHUhu6
タケ@きのこたけのこ戦争if & ディオ@ジョジョの奇妙な冒険(第一部) ◆ACfa2i33Dc
セーラーサターン(十萠ほたる)@美少女戦士セーラームーンS & 鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜 ◆eBE8HIR9fs
ディルムッド・オディナ@Fate/zero & 鬼龍院皐月@キルラキル ◆zKmN6Unyy2
堂島奈々子@ペルソナ4 & ルドガー・ウィル・クルスニク@テイルズ・オブ・エリクシア2 ◆HUcCB15i0Y
 
【ライダー】4組
リュカ(DQV主人公)@ドラゴンクエストV & カレン・オルテンシア@Fate/Hollow ataraxia ◆ACfa2i33Dc
ワムウ@ジョジョの奇妙な冒険 & 小泉ジュンイチロー@ムダヅモ無き改革 ◆yy7mpGr1KA
アストルフォ@Fate Apocrypha & 横島忠夫@GS美神 極楽大作戦!! ◆HUcCB15i0Y
オスカー・フォン・ロイエンタール@銀河英雄伝説 & 古猟琥依@戦車のような彼女たち ◆4/zx7QxxUU

【アサシン】6組
うちはマダラ@NARUTO & 神原駿河@化物語 ◆QNxvmG91pc
二ッ岩マミゾウ@東方project & 影森の正吉(しょうきち)@平成狸合戦ぽんぽこ ◆g33OtL8Coc
プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険 & 星空凛@ラブライブ! ◆VUBZx4BclE
リゾット・ネエロ@ジョジョの奇妙な冒険・黄金の旋風 & 腐川冬子@ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生 ◆HUcCB15i0Y
明智光秀@戦国BASARA & 神長香子@悪魔のリドル(アニメ版) ◆QyqHxdxfPY
匂宮出夢/理澄@戯言シリーズ & ウヴァ@仮面ライダーOOO ◆ruUfluZk5M

【キャスター】4組
隼鷹@艦隊これくしょん & 沢木直保@もやしもん ◆QNxvmG91pc
ガミジン@妹が作った痛いRPG & 雨生龍之介@Fate/zero ◆VYr1mStbOc
ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム & 直枝理樹@リトルバスターズ! ◆2ZrgUeUnpM
ビビ・オルニティア(ファイナルファンタジーIX) & 不二咲千尋@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ◆HUcCB15i0Y

【バーサーカー】5組
魔神ザウーガ@エロタワー & ロザリンド・スターリング@ロリポップチェーンソー ◆VYr1mStbOc
人類種の天敵@ARMORED CORE for Answer & 遠野四季@真月譚月姫(漫画版) ◆ACfa2i33Dc
バーダック@ドラゴンボール & ライナー・ブラウン@進撃の巨人 ◆yy7mpGr1KA
リュウ=1/8192@ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター & 間桐雁夜@Fate/Zero ◆OSPfO9RMfA
人修羅@デジタルデビルサーガ アバタールチューナー & アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダム00 ◆3btUfHUhu6

<エクストラクラス>7組
【ビースト】
野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ & タバサ(娘)@ドラゴンクエスト�―天空の花嫁― ◆vBWhRkzGXs
【アヴェンジャー】
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ@ソニックシリーズ & キャプテン・アメリカ@アベンジャーズ ◆VUBZx4BclE
メルヒェン・フォン・フリートホーフ@Sound Horizon & 雨流みねね@未来日記 ◆QNxvmG91pc
鳴上悠@ペルソナ4 & 言峰綺礼@Fate/stay night ◆hfUo/cdNjE
【トマホーク】
『流竜馬』@ゲッターロボシリーズ & ルナマリア・ホーク@機動戦士ガンダムSEED DESTINY ◆3btUfHUhu6
【ピエロ】
ピエロ・ボルネーゼ/レオール・レオンハルト/ピエロ・レオンハルト@焼き立て!!ジャぱん(アニメ) & エルキュール・バートン@探偵オペラミルキィホームズ(アニメ) ◆ruUfluZk5M
【デストロイヤー】
パッションリップ@Fate/Extra CCC & 坂本ジュリエッタ@エアマスター ◆vBWhRkzGXs


360 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/26(金) 20:58:25 BExsorZQ0
今日で募集は最終日ですね。
鹿目まどか&エクストラクラス、投下します。


361 : 鹿目まどか&バランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/26(金) 21:00:29 BExsorZQ0

 灰色の雲が咽ぶ。廃墟の街が震える。逆さ吊りの魔女が嗤う。

 舞台装置の名を持つものが――ワルプルギスの夜が、見滝原という舞台を壊していく。

 瓦礫が舞い、人々が怯え、使い魔達の場違いな踊りがこの街を日常から遠ざける。

 すべてが終わる。

 願いも、希望も、明日も何もかもを飲み込んで、舞台が終わる。



 でも、そんなことはさせない。 



 希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、そんなのは違うって何度でも言い返せるから。

 きっといつまでも、そう言い張れるから。

 だから、あとは一歩を踏み出す勇気さえあれば、世界は変えられる。



 これが、鹿目まどかの決断。

「私、すべての魔女を生まれる前に消し去りたい。すべての宇宙、過去と未来のすべての魔女をこの手で」

 これが、鹿目まどかの願い。

「今日まで魔女と戦ってきたみんなを希望を信じた魔法少女を泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい」

 これが、鹿目まどかの祈り。

「それを邪魔するルールなんて壊してみせる。変えてみせる。これが私の祈り、私の願い」

 これが鹿目まどかの――



「さあ、叶えてよ……『ムーンセル』!」



   ▼  ▼  ▼


362 : 鹿目まどか&バランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/26(金) 21:03:14 BExsorZQ0


 がばり、とまどかは自室のベッドの上で跳ね起きた。

「……………………夢オチ?」

 寝ぼけ眼をこすり、あくびをひとつして、両手で自分の頬を軽くはたき、

「……じゃないよね。大丈夫、思い出せる」

 すぐにその柔和な顔つきが真剣なものへと変わる。

 あの時――ワルプルギスの夜が襲来したあの時、魔法少女になって世界を改変するという決意を胸に、
 ただひとり戦い続ける暁美ほむらの元へと急いでいたところまでは覚えている。

 何故、その自分がこの月の内側へと召喚され、造られた街で今まで通りの生活をしていたのか。
 その理由は杳として知れないし、きっと途方も無い偶然か必然が働いたものだとしか考えられない。
 きっと理解も出来ないだろう。しかし、まどかは理解する必要はないと、漠然と感じていた。

 聖杯戦争。

 与えられたその知識が、おぼろげながらも自分がこれから進むだろう道を照らす。
 万能の願望器が、無数の因果を束ねたまどか自身の魂と同じ働きを示すのならば。

「……私は、まだ魔法少女にはなってない」

 自分の魂の具現たる宝石――『ソウルジェム』を所持していないことを確認し、それからパジャマの胸元を覗きこむ。
 年齢から考えてもやや膨らみの薄い胸、その少し上に、焼けるような疼きの残滓が感じられる。

「だけど、まだ何もかも駄目になっちゃったわけじゃない。私がマスターになったのなら、きっと……!」

 胸に刻まれた三画の刻印。
 令呪。聖杯戦争を戦うマスターたる証。
 たとえ魔法少女になる対価として世界を救うことが出来なくても、聖杯に手が届くのならば。

 すべての魔法少女の願いを、絶望に変えないで済む。

「……行こう」

 上ってきたばかりの朝日が眩しい。時計を見れば、家族は起き出していないような時間帯だ。
 ねぼすけの自分が一番に起きるなんて不思議な感じだけど、そんな感傷に浸っている場合ではない。
 まどかは制服に着替え、お気に入りのリボンで髪を括って、誰にも気付かれないように家を出た。


   ▽  ▽  ▽


363 : 鹿目まどか&バランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/26(金) 21:04:35 BExsorZQ0

 丘の上でまどかは大きく息をついた。ここまで真っ直ぐに走ってきたから相当に呼吸が乱れている。
 深呼吸を繰り返し、ようやくまともに話せることを確信してから、周囲に誰もいないか左右に視線をやる。
 幸いというか、まだ夜明けから間もない時間帯では人通りはなく、ここにいるのはまどか一人……いや、『二人』か。

 まどかはもう一度深呼吸をした。今度は息を整えるためではなく、心を落ち着かせるための。
 そして口を開く。呼びかける。そこにいる誰か……ずっと一緒にいたはずの誰かへと。
 聖杯戦争の知識は、漠然としたものではあるものの全て頭に入っている。


「私、鹿目まどか。お願い、あなたの名前を教えて。姿を見せて、私の『サーヴァント』!」


 しかし、まどかが真っ直ぐに据えた視線の先に、望む英霊の姿は一向に現れない。
 気配は確かに感じていたはずなのにと訝しんで、僅かに顔を上げ、その時ようやく気付いた。
 そして、見上げた。まどかのサーヴァントは、文字通り『宙に浮いていた』のだから。

 墨を流したような黒髪。赤と白の二色が鮮やかに映える巫女服とリボン。
 片手にはお祓いに使うような御幣を握り、紅白の少女は重力を無視して虚空に浮かんでいた。


「……ふぅん。鹿目まどか、ね」


 彼女が口を開く。やる気のない口調だが、我が道を行くタイプであるようにも感じられる。
 仲良く出来るかな、と真っ先に考えて、まどかは彼女と友達になりに来たわけではないことを思い出した。
 もうただの中学生ではないのだ。聖杯戦争のマスターらしいことを考えないと。

 そうだ、クラス。サーヴァントは7つのクラスに振り分けられて召喚される、と記憶にある。
 見たところ巫女さんのようだから、キャスターなんだろうか。
 しかし彼女の言葉は、まどかの予想を完全に裏切った。

「本当は霊体化してずっと一緒にいたんだけど、確かに自己紹介はまだだったわね。
 私は霊夢。『博麗霊夢』。此度の聖杯大戦では、『バランサー』のクラスとして現界したわ」

 覚えのない単語に、まどかはぱちぱちと瞬きした。

「……ランサー?」
「槍兵(ランサー)じゃなくて調整者(バランサー)。本来ならば存在しない、第八のエクストラクラスってわけ」

 聞き間違えではなかったらしい。調整者の英霊、博麗霊夢。
 彼女の話すところによると、バランサーとは世界を安定へと導く逸話を残した英霊が該当するクラスらしい。
 本来はこのクラスとして召喚されるほど強い適性を持つ英霊は少なく、霊夢もキャスターかアーチャーが本来のクラスだと言った。
 それがこうしてバランサーとして召喚されたのは、よほどマスター側に引き寄せる因果があったのだろう、とも。

「もしかして、私の願いが引き寄せたのかな……?」

 まどかは、霊夢に話した。魔法少女のこと、その願いを救うための願いのことを。
 理(ことわり)を安定させるのがバランサーの役目なら、確かにまどかの願いは、調整者の英霊と縁を創るに足るものだろう。


364 : 鹿目まどか&バランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/26(金) 21:06:59 BExsorZQ0
 霊夢は興味なさげに聞いていたが、かといって聞き流していたわけではないようで、話が一段落するとおもむろに口を開いた。

「……で。マスターは、その願いのために人を殺せる?」

 そこが一番大事なんだけど、と淡々と口にする霊夢の言葉に、まどかは僅かに口をつぐんだ。
 分かっている。聖杯大戦で聖杯を手にするには最低でも7組、もしかしたらそれ以上を排除しなければならない。
 必ずしも自分の手に掛ける必要はないとはいえ、それでも死を黙認するのであれば殺すのと同じだ。

 殺せるわけがない、と思う。

 まどかはただの中学生だった。
 温かい愛の中で育った。
 人の生き死にと無縁の生活を送ってきた。
 幸せだった。
 その幸せが誰かに守られていると知らず、それでも幸せだった。
 だけど、それでも。
 
「叶えたい願いがあるの。譲れない願いがあるの。この願いのために、私の命を全部使ってもいいと思えるの。
 だから私、戦うよ。残酷なこと全部、受け入れられないこと全部、この願いの強さで無理やり塗り潰してでも」

 霊夢が僅かに眉をしかめ、まどかの心臓が小さく跳ねる。

「……その矛盾はいつかあんたの心を砕くわよ」

 だけど、怯んではいられない。ここで怯むわけにはいかない。

「それでも構わない。どんなに辛くっても、苦しくっても、絶望しても、私、行かなきゃいけないから」

 まどかがもしも魔法少女なら罪悪感でソウルジェムが真っ黒に染まるほどの絶望を抱えることになったとしても。
 これが、死んでいった魔法少女達の、今も戦う魔法少女達の、これから生まれる魔法少女達の、願いに報いる唯一つの方法なら。
 悲鳴を上げそうな優しい心を抑え込み、その意志の視線だけを向けるまどかを見て、霊夢はやれやれと溜息を付いた。

「……ま、私は別にどうでもいいんだけどね。面倒事は御免だし。どのみち呼ばれたからには戦うだけだし。
 この聖杯大戦も、聖杯戦争の理からすれば立派な異変なんだから、博麗の巫女らしくちゃっちゃと解決してお茶にしましょ」

 つかみ所のない口調でそう言って霊夢が霊体化するのを見届け、まどかは大きく息を吐いた。
 霊夢に言ったとおり、殺し合いに身を投じる覚悟が出来ているとは言い切れない。
 それでも、たとえ覚悟が伴わなくても、願いのために進まなきゃいけないから。


 ――目覚めた心は走り出した。もう何があっても、挫けない。


365 : 鹿目まどか&バランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/26(金) 21:08:02 BExsorZQ0
【クラス】バランサー

【真名】博麗霊夢@東方Project

【パラメーター】
 筋力C 耐久C 敏捷B 魔力A 幸運A 宝具B

【属性】
 中立・中庸


【クラススキル】
不変の理:A
 バランサーのクラススキル。自分自身を理の中心に置く調整者の英雄としての在り方。
 バランサーは自身の精神への干渉に対して、それが魔術によるものか否かに関わらず強固な抵抗力を持つ。
 宝具やスキル、能力に留まらず話術のようなものにも有効だが、令呪による命令だけは完全に対象外である。

対魔力:B
 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
飛行:A
 主に空を飛ぶ程度の能力。
 重力を無視した移動が可能だが、その間は魔力を消費する。

霊力:A
 巫女としての不思議な力。厳密には魔術と異なる体系であるため、対魔力の影響をある程度軽減できる。
 敵を追尾する極彩色の光弾「夢想封印」が代表的な技で、それ以外にも多彩な術を持つ。

心眼(偽):B
 直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。
 視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。

気まぐれ:C
 呑気であるかと思えば短気、好戦的であるかと思えば厭戦的。
 その時々の気分で戦意にムラが生じてしまうデメリットスキル。


【宝具】
『博麗大結界』
ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:10〜100 最大捕捉:-
 幻想郷を幻想郷たらしめる認識結界。「常識」と「非常識」を切り離す概念の壁。
 自身を中心に「非常識=幻想を帯びたもの」を閉じ込める不可視の結界を展開する。
 この宝具が解除されない限り、魔術やその他の神秘に関わる者は結界の外側へ出ることは極めて困難になる。
 概念結界であるため、正常に展開されている限り物理的な攻撃で破壊することは基本的には出来ない。
 ただしこの宝具の効力は結界に供給されている魔力量とバランサー自身の意志の強さに依存する。

『夢想天生』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:自身
 博麗の最終奥義。
 ありとあらゆる概念から宙に浮くことで、何者もバランサーに触れることは出来なくなる。
 具体的には物理・魔術両面に対して完全無敵となり、避けることすらせずあらゆる干渉を無効化する。
 発動中のバランサーは常に目を閉じた状態だが、弾幕攻撃は全て無意識により自動的に行われ相手を襲う。
 本来ならば何者も破ることが出来ない反則的な能力だが、サーヴァントは魔力によってその神秘を再現している以上、
 この宝具を発動している限り魔力の供給者であるマスターには負担が掛かり続ける。
 聖杯戦争においては、時間無限の耐久スペルなど不可能なのだ。
 なおランクという概念に対しても文字通り宙に浮いた宝具であり、宝具ランクは測定不能。

【weapon】
「陰陽玉」
 博麗神社の神体とされる不思議な珠。
 霊力発揮の媒介として使うほか、撃ち出して物理攻撃に使用することも。

「御札」「針」
 ほぼ無尽蔵に隠し持つ霊験あらたかな飛び道具。
 弾幕を形成して攻撃するだけでなく、御札は相手を追尾させることも可能。

「御幣」
 通称お祓い棒。近接攻撃にも用いる。


【人物背景】
 楽園の素敵な巫女。幻想郷の管理と異変の解決を生業とする博麗神社の巫女である。
 単純かつ裏表のない性格で、感情もまっすぐ表に出るため喜怒哀楽が激しく気まぐれに感じられる。
 人を引きつける魅力を持つが、霊夢自身は誰に対しても平等に接し、総じて良くも悪くも思っていない。
 努力嫌いで巫女としての修行も最近までは殆ど行っていなかったが、有り余る才能でそれを補っている。
 
【サーヴァントとしての願い】
 大して聖杯に興味はない。呼ばれたから片付ける、ただそれだけ。

【方針、基本戦術、運用法】
 エクストラクラス『調整者(バランサー)』はどちらかと言えば防性のサーヴァントである。
 「勝つ」よりも「負けない」、「激動」よりも「不変」に重きを置いた異質なクラスだ。
 また宝具はどちらも直接攻撃系ではないため力押しには向かず、運用には工夫が求められる。
 ただし優秀なスキルや独自のルールを敷く宝具を使いこなせば一気に優位に立ち得るだろう。


366 : 鹿目まどか&バランサー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/26(金) 21:09:26 BExsorZQ0
【マスター】鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ

【参加方法】
 ワルプルギスの夜のもたらした災厄の中、暁美ほむらの元へ走る途中で召喚された(『月の石』に接触?)

【マスターとしての願い】
 全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を生まれる前に消し去り、魔法少女達の願いを救う。

【weapon】
 なし。

【能力・技能】
 暁美ほむらが行った時間遡行の繰り返しにより膨大な因果を抱え込んだ結果、
 一般人としては規格外ともいえる潜在的な魔力量を有している。
 しかし(魔法少女契約前に召喚されたため)彼女自身は魔術師ではなく、自力での魔力行使は一切不可能。

【人物背景】
 見滝原中学校に通う中学二年生。ある日キュゥべえの『声』を聞いたことで、魔法少女の戦いに巻き込まれる。
 (この時間軸の)まどか自身は知らなかったが、魔法少女暁美ほむらの時間遡行の影響で膨大な因果を抱え込んでいる。
 心優しいが臆病で一歩を踏み出すことの出来ない性格であり、周囲の魔法少女達の破滅を前にしても何も出来ないでいた。
 しかしほむらの戦う理由、この世界の魔法少女達の歴史と運命を知り、世界の理を変えるためにひとつの決断をする。

【方針】
 聖杯狙い。
 人殺しの覚悟など無いも同然だが、それを凌駕するほどに大きな「願い」を叶えるために戦う決意をしている。




※エクストラクラス解説『バランサー』

『調整者』のクラス。
社会や世界そのもののバランスを調整することをもって名を残した英霊が該当する。
多くの英霊は世界の抑止力との関係で微弱な適性を持つため、逆に明確な逸話がなければ該当しない希少なクラス。
固有スキルは『対魔力』と自身への干渉を退ける『不変の理』で、同様に他のスキルも守備的であることが多い。
宝具もまた、このクラスとして召喚された場合は、ほぼ直接攻撃ではなく周囲か自身に特殊なルールを敷くものとなる。
総じて簡単には倒されにくいが勝利を拾うには一筋縄ではいかない、玄人向けのクラスである。

なお今回召喚されたのは博麗霊夢だが、マスターの鹿目まどかもまた本来の時間軸では『調整者の英雄』の適正を持つ。


367 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/26(金) 21:09:42 BExsorZQ0
投下完了しました。


368 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/26(金) 21:12:36 3i9k9a0M0
乙です。では自分も投下します。
先に言いますが、サーヴァントについては某所に投下されたものをだいぶ借りています。
申し訳ありません。


369 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/26(金) 21:12:55 3i9k9a0M0

あぁ、全部、全部思い出した。
何てことはない。私は今まで忘れていただけだった。
それも、最後まで覚えていなければならない親友の事を。
そして、ここはその親友のいない、戦場なのだという事を。

私の持っていた伊弉諾物質が月の石で出来ていたなんて知らなかった。
これが偶然にも聖杯戦争への片道切符の役割を持ったらしい。

私にだって望みはある。
親友―――蓮子と共に不思議なものを見つける冒険を繰り広げたいという夢が。
けれど、だからと言ってこんな殺し合いの場にいたいなんて思わなかった。
私が見たいのは「神の時代の風景」なんだ。こんな「地獄絵図」なんかじゃない。
それに、人を殺さなければいけないなんて、そんなのゴメンだ。

帰りたい。蓮子のいるあの世界に帰りたい。
彼女のいないここは、サナトリウムよりも寒い。トリフネのキメラよりも怖い。

蓮子に、会いたい。









「ワンッ!」


370 : マエリベリー・ハーン&アーチャー ◆g33OtL8Coc :2014/09/26(金) 21:13:31 3i9k9a0M0

犬? 何で犬の鳴き声が?
近くには誰も居なかったはずなのに……


白い、犬……
あなたがさっき鳴いていたの?

「クゥン……」

撫でて欲しいの? 人懐っこいのね

……あったかい。とってもあったかいのね、アナタ。
まるでお日様の光みたい。
それに赤い隈取。背中には鏡も……



あぁ、そうなのね。アナタがわたしの「サーヴァント」なのね。


「ワンッ!」

慰めてくれたのね。優しいのね、「アーチャー」は。
ありがとう。なんだか落ち着けたみたいね。

そうね。ここでクヨクヨしていてもしょうがないわ。
こんな所は真っ平御免よ! 互いに殺しあうなんて、やりたい誰かに任せときましょ!
そうと決まれば行動あるのみね。蓮子がいなくたって、私だってやってやるわ。

……待っててね、蓮子。すぐに帰るからね。


371 : マエリベリー・ハーン&アーチャー ◆g33OtL8Coc :2014/09/26(金) 21:13:56 3i9k9a0M0
【クラス】
アーチャー
【真名】
アマテラス
【出典】
大神
【パラメータ】
筋力D 耐久C+ 敏捷A 魔力A+ 幸運A 宝具A
【属性】
秩序・善

【クラス別スキル】
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。事実上、現代の魔術師ではアーチャーに傷をつけられない。
ただしこのスキルの発動には下記スキルが関係し、下記スキルを失うとこのスキルはEランク相当まで落ちる。

騎乗:―
狼の姿で召喚されたので現在は使えない。ただし、誰かを「乗せて」走るのは得意。

【保有スキル】
神性:A
狼の姿の為本来よりダウンしているが、まごう事なき太陽神である。

神格:A
自動防御が展開され、この防御障壁はどんな攻撃でも3回まで防ぐことが出来る。
一定時間の経過、もしくは戦闘でのダメージ0を継続中に攻撃成功10回で神格が一段階上昇。最大三段回。

魂食い禁止
マイナススキル。アーチャーは例え何があろうとも魂食いが出来ない。ただし、下記スキルで代用可能。

魔力変換(信仰):A+
NPC、他マスター、他サーヴァントからの信仰心を魔力に変換するスキル。
信仰心の基準はアーチャーに対し、心の底から「ありがとう」と思う事。
魂食いに比べ効率は落ちるが、繰り返し補給可能であり、何人対象にしようとルーラーの制裁を受けないメリットがある。

【宝具】
『筆しらべ(流るる筆は五箇のしらべが如く)』
ランク:A- 種別:対界宝具 レンジ:1〜50 最大補足:20
アーチャーの従える十二の筆神の力。魔力を墨に変え、「世界に描く」事で奇跡を生み出す。
筆神はアーチャーを含めた干支、そして猫の姿を持つ。

『八咫の鏡』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1〜15 最大補足:5
太陽と火炎の力を宿す神器。武器として用いれば太陽の特性で攻撃できる。
更にこれを起点として『筆しらべ』を用いれば、炎により攻撃できる。また盾として用いることも可能。

『天叢雲剣』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1〜5 最大補足:5
雷の力を宿す神器。これを起点として『筆しらべ』を用いれば、雷により攻撃できる。

『八尺瓊勾玉』
ランク:A- 種別:対人宝具 レンジ:1〜30 最大補足:5
氷の力を宿す神器。これを起点として『筆しらべ』を用いれば、氷により攻撃できる。
更に弾として撃ちだし攻撃できる。その様はさながらレーザーである。

【Weapon】
火避けの石簡:
未知の文明の技術が施された赤き石簡。炎によるダメージを無効化。

水避けの石簡:
未知の文明の技術が施された青き石簡。水の上に立てるようになる。

【人物背景】
ナカツクニを諸国漫遊していたとされる白狼。その正体は正真正銘太陽神である。
百年前のヤマタノオロチとの戦いで体が傷つき肉体を失ったと言われており、
ナカツクニの危機を感じた御神木「コノハナ様」の精霊サクヤの力で、神木村の白野威像に宿り復活。
ヤマタノオロチ、そして妖怪の総大将「常闇ノ皇」を退治し、ナカツクニに平安を齎しタカマガハラで旅立ったとされる。
「ポアッとしてる(ボーっとしてる)」と言われ、一般人とのやり取り、敵との相対時もとぼけた態度を取るが、
実際は思慮深く、ある妖怪を倒すためひそかに女王ヒミコと密約を交わすなど、ある意味人知の及ぶ存在ではない。

【サーヴァントとしての願い】
特になし。アーチャーは人殺しを望まないだろう。

【方針】
マスターの願い通り、聖杯戦争からの脱出を図る。
襲われれば反撃はするが、命まで奪うつもりはない。

【基本戦術、運用法】
まず魂食いが絶対に出来ないサーヴァントなので、基本はNPCの信仰心を集めるのが吉。
十分な魔力さえあれば、近接、中距離戦闘に秀でるためまず負けなし。
ただし、マスターが肉体的に一般人なためそこに注意。


372 : マエリベリー・ハーン&アーチャー ◆g33OtL8Coc :2014/09/26(金) 21:14:15 3i9k9a0M0
【マスター】
マエリベリー・ハーン

【出典】
東方project

【参加方法】
伊弉諾物質が月の石で出来ていた。

【マスターとしての願い】
特になし。聖杯戦争からの脱出を考えている。

【weapon】

【能力・技能】
『結界の境目が見える程度の能力』
「結界」や「境界」の境目を観測することができる能力。
更に夢を通して、幻想郷に迷い込んだり、地球から遠く離れた衛星などに移動できる。
ただし、夢の中で受けたダメージは現実にフィードバックする。

【人物背景】
上海アリス幻樂団による音楽CD内のブックレットにのみ登場するキャラクター。
幻想郷ではなく、外の世界のただの人間である。
登場する世界観は他の『東方project』と同じだが時間は異なる(未来世界?)。

京都の大学で相対性精神学を専攻している。
宇佐見蓮子と2人でオカルトサークル「秘封倶楽部」を結成している。
マエリベリーは呼び辛いので、あだ名は縮めてメリー。蓮子とは互いの能力を酷評し合っている仲だが、基本的に仲は良い。
蓮子に比べて積極性は低め。化け物に驚いたり不安を感じたり、ある意味東方キャラでは珍しい反応を見せる。

地元(出身国)は不明。日本に身寄りはいないらしい。
蓮子と日本語で会話している他、むしろ日本人臭い思考が見られるので、日本に長く住んでいるのかもしれない。

【方針】
殺し合いには積極的に参加せず、聖杯戦争からの脱出方法を探す。
もし同盟を組める存在がいるのならば、協力していくことも考え中。


373 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/26(金) 21:14:33 3i9k9a0M0
投下終了です。


374 : ◆ElCMSAxvE6 :2014/09/26(金) 21:24:39 ATkA0w7w0
投下します


375 : ◆ElCMSAxvE6 :2014/09/26(金) 21:25:29 ATkA0w7w0
ムーンセルが用意した一軒家に二人の少女がいる。
片方の西欧人風の少女は普通の椅子に座り、片方の東洋人風の少女は車椅子。
家の居間のテーブルの上には所狭しと料理が並べられている。
共に現代的な服に身を包む二人の少女は、各々料理をつまみながらこの聖杯戦争の一件について話し合っていた。

「でもまさかこんな事になるなんてなあ。いきなり私がいなくなってきっとみんな心配してるわあ」
「ご家族ですか?」
「うん、と言っても親はもういないんやけどな」
「では、ご兄弟が?」
「うーん…そうやなあ……一言で言うなら……騎士………かなあ………?」
「騎士…?はやて、貴女は王族や貴族の家系の人間なのですか?」

一見現代的な目の前の少女に似つかわしくない単語を聞き、
サーヴァントがより幼い方の少女──自身のマスターである八神はやてに疑問を尋ねる。
しかしそんな御大層な物とは全く無縁なはやて本人は当然のように否定を返す。

「あーいやいや全然、私がどこかの王様とかと関係あるなんてまさかそんな。
 ただ、まあ…あえて言うならこれが一番適当なのかなーと、本人達がそう言ってたし」
「…そうですか。あとは私としては貴女に月の石を送ってきたという人物について気になりますね。
 それがもし意図的に行われたものなら、貴女をここへ送り込もうと考えていた者がいる可能性が高いという事になる」

はやては自宅に送られてきた差出人不明の月の石に触れた事でムーンセルへとやってきていた。
これが何かの間違いなのか、それとも明確にはやてを聖杯戦争に参加させたがっている何者が存在するのか。

「うーん…そう言われてもそんな事しそうな人の心当たりなんて何も無いしなあ…
 それから気になると言えば…もちろん自分がいきなりこんな所にいるのも驚きなんやけど…
 自分のサーヴァントさんがあのルーラーさん達と同じ人っていうのも驚いたなあ。
 というか本当にあの人達ってセイバーと同じ人なん?」
「はい、おそらくは……私もあのルーラー達を見た時は驚きましたが、理屈の上では有り得ない話ではありません。
 サーヴァントとは私を含めてムーンセルに記録された情報…データのような存在ですから。
 それこそ聖杯がやろうと思えば何人でも私をサーヴァントとしてこの戦いの場に用意出来るでしょう」

はやてのサーヴァントは金髪の少女のセイバー──真名をアルトリア・ペンドラゴン。
奇しくもあのルーラー達とその名や顔貌を同じくするサーヴァントである。

サーヴァントという存在がムーンセルのデータベースに記録された英霊のデータから引っ張ってくるものだからこそ起き得る現象。
彼女は自身と同じ外見の人間が他に存在する事を知っているが、その人間がこの手の戦いの裁定者に向いた気性ではない事も理解している。
ルーラーとして選ばれるなら自分の方がまだ可能性は高いだろうという当たりをセイバーは付けていた。

「そうなんや…でもそれにしてもここにいるセイバーだけじゃなくて、審判の人達までセイバーと同じ人を選ぶなんて…
 聖杯いうんはよっぽどセイバーの事が気に入ってるんかなあ」
「…いえ、私は今までに二度ほどこの手で聖杯を破壊した事があります。
 それを考えればむしろ私ほど聖杯に嫌われているであろう英霊も他にいないと言っていいでしょう」

セイバーの聖杯戦争はいずれも自身による聖杯の破壊で幕を閉じている。
一度目は冬木──汚染された聖杯を訳も分からないまま無理矢理破壊させられた。
二度目も冬木──汚染された聖杯を全てを理解した上で自らの意思で破壊した。

「聖杯が仕返しにセイバーに審判役をやらせる嫌がらせをしてるいう事?
 もしそうだとしたら聖杯も飛んだへそ曲がりさんやなあ」
「へそを曲げているというのはあながち間違いではないかもしれません。
 かつて私が破壊した聖杯は悪意の塊と言ってもいい程に汚染され、歪んでいました。
 そしてその聖杯はムーンセルが再現したという冬木の…地球の聖杯です。
 再現された聖杯がどのような状態にあるかは不明ですが、かつての物と同様に歪んでいるという可能性は否定しきれません。
 もしかしたら月の聖杯を乗っ取ろうとしているのも歪みによる影響かもしれませんね」

この世全ての悪───願いを曲解し、悪意、破壊、絶望しかもたらさない物への変質。
聖杯は最終的には望む物は何も齎さない。だからセイバーは聖杯を壊した。

「何だか危なそうな感じやなあ」
「まあ、実際に危険な物でしたからね」
「でもまあそれなら私もセイバーも別に願い何て無いっていうし、
 出来れば早く家に帰りたいんやけど……どうやったら帰れるんかなあ?」
「ルーラーなら何か方法を知っているかもしれませんが…」


376 : ◆ElCMSAxvE6 :2014/09/26(金) 21:25:54 ATkA0w7w0
セイバーにも求める願いはあった。今は無い。
セイバーはもはや聖杯を欲しない。
今まで自分がやってきた事を無かった事にするのは間違っていると教えてくれた人がいるから。
しかし、あくまでそれはセイバー個人の話。
マスターはどうなのか、このマスターには聖杯は必要な物なのではないのか、セイバーは疑問に思う。

「…ですが、確かに私には願いはありませんが……はやて、貴女はそれでもよいのですか?」
「えっ?何が?」
「貴女の病気の事です。地球の物はともかく、月の聖杯ならばまだ真っ当に願いを叶えられる可能性は残っているはずです。
 貴女は自分の足で歩きたいと思った事は無いのでしょうか?」

心配げな表情でセイバーが尋ねる。
聖杯が汚染されていたといってもあくまで冬木での話。
そして今回のセイバーは白──月陣営に所属するサーヴァント。
月の聖杯が正常な物ならはやての体を治すことなど造作もないだろう。
だがはやては首を横に振って答える。

「まあ、それは歩けないよりは歩けた方がええんやろうけど…せやけどそれだと人様に沢山ご迷惑をおかけする事になるんやろ?
 そんなのはあかん。私はみんながいて、今までみたいな生活が出来ればそれで十分幸せや」

かつて地球でも訊かれた問いに同じように返答する。
自分に力は必要無いと、今のままで十分だと。

「……そうですか…分かりました。ならば私も微力ながら、あなたが無事にご家族の元に帰れるように力を尽くしましょう」
「ありがとう、セイバー」

笑いながら、しかしどこか諦め混じりにも聞こえる答え──しかしその優しい心にセイバーもまた誠意も持って応える。
どうあれはやてが本心から聖杯を求めないのなら、騎士として、サーヴァントとしてもその意に沿うべきだと考える。
願わくばこの少女が平穏に暮らせるよう、そしてこの笑顔や優しさが消えないようにと思いながら。





「───ところで…すみませんはやて、ご飯のお代わりをいただけないでしょうか」
「はーい…でもセイバーもよく食べるなー、これでもうおかわり5杯目やよ?」
「すみません、はやての料理が美味しかったものですから…これ以上はまずかったでしょうか?」
「ううん全然、むしろちょっと張り切って作り過ぎちゃったかなーってくらい思ってたから。
 というか料理はセイバーも手伝ってくれたやないか」
「手伝ったと言っても私ははやての指示を聞いて物を取ったり運んだりしたに過ぎません」
「いやいや本当に助かったよーって…あーおかわりやね、ちょっと待ってなー」

嬉しそうにご飯をよそうはやてを見ながら、セイバーはこのような気持ちで食事をするなどいつ以来だろうかと考える。
士郎達と一緒にいた時ですらここまで穏やかな気持ちになれた事は無かった。何故だろうか。
いや、理由は分かっている。故国を救う、王の選定をやり直すという重圧を背負う事をやめたからだろう。
思えば選定の剣を抜いて以降は常に王としての使命、そして戦いに追われていた。
その長い戦いの果てにセイバーは衛宮士郎により救われた。そして聖剣を妖精に返し自身の終わりを決めた。

だがどうやらまだ本当に何もかもが終わったというわけではなかったらしい。
王の役目から解放されていても、騎士の誇りは捨ててはいない。
士郎との出会いを運命とするなら、この出会いも一種の運命と言えるのかもしれない。
そして間違いなくこの少女はこのような戦いでその命を散らせるべき存在ではない。
だからこそ彼女はただ、目の前の無辜の民を守るために今一度剣を取ろうと、そう決めた。


377 : 名無しさん :2014/09/26(金) 21:26:12 ATkA0w7w0
【マスター】
八神はやて@魔法少女リリカルなのはA's

【参加方法】
誰かから送られてきた月の石に触れて参加。

【マスターとしての願い】
無し

【能力・技能】
魔導師として非常に高い才能を持つが現時点では魔法に関する知識はほぼなく魔法は一切使えない。
また、8歳にして下半身不随ながら一人暮らしをするという凄まじく高い生活能力を持つ。

【人物背景】
『A's』から登場する主人公の1人。小学校は足の障害のため休学中。
幼いころに身寄りを無くし、足に原因不明の障害を抱えながらも「父の友人」を名乗る人物の庇護を受けながら1人で生活していた。(『The MOVIE 2nd A's』では、庇護もなく一人で暮らしていた)
彼女の9歳の誕生日である6月4日の午前0時(『The MOVIE 2nd A's』では、その前日に車にはねられそうになった時)、闇の書の守護騎士プログラムが起動。守護騎士「ヴォルケンリッター」が姿を現す。
はやては騎士達に「家族」として仲良く暮らすことを望み、闇の書がもたらすとされる強大な力を理解した上でその完成を望まず、守護騎士リーダーのシグナムと「闇の書の頁蒐集は行わない」との約束を交わす。

【方針】
聖杯はいらない。無事に家に帰りたい。


378 : 名無しさん :2014/09/26(金) 21:26:29 ATkA0w7w0
【クラス】
セイバー

【真名】
アルトリア・ペンドラゴン@Fate/stay night

【属性】
秩序・善

【ステータス】
筋力:A 耐久:A 敏捷:B 魔力:A 幸運:B+ 宝具:EX

【クラススキル】
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。

騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

【固有スキル】
直感:A
戦闘時に常に自身にとって最適な展開を“感じ取る”能力。
研ぎ澄まされた第六感はもはや未来予知に近い。視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。

魔力放出:A
武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。
いわば魔力によるジェット噴射。
強力な加護のない通常の武器では一撃の下に破壊されるだろう。

カリスマ:B
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上させる。稀有な才能。
カリスマは稀有な才能で、一国の王としてはBランクで十分と言える。

【宝具】
『風王結界(インビジブル・エア)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜2 最大捕捉:1個
不可視の剣。敵に武器の間合いを把握させない。
シンプルではあるが、白兵戦において絶大な効果を発揮する。
強力な魔術によって守護された宝具で、剣自体が透明という訳ではない。
風を纏った刀身は光の屈折率を変化させ、元から有る剣の形状を不可視にしている。

『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』
ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
光の剣。人造による武器ではなく、星に鍛えられた神造兵装。
聖剣というカテゴリーの中では頂点に立つ宝具である。
所有者の魔力を光に変換し、収束・加速させる事により運動量を増大させ、
神霊レベルの魔術行使を可能とする聖剣。

『全て遠き理想郷(アヴァロン)』
ランク:EX 種別:結界宝具 防御対象:1人
エクスカリバーの鞘の能力。
所有者の傷を癒し老化を停滞させる能力があるが、
実際は個人を対象とした移動要塞といえるもの。
鞘を展開し、自身を妖精卿に置くことであらゆる物理干渉をシャットアウトする。
魔法の一つ、平行世界からの干渉でさえ防ぎきる。

【人物背景】
Fateルート終了後からの召喚。
通常のサーヴァントとして召喚されているため霊体化が可能になっている。

【サーヴァントとしての願い】
無し

【基本戦術、方針、運用法】
マスターのために戦う。
マスターの適性、サーヴァントの魔力量共に優れているが、あまり大量に魔力を吸い上げ過ぎるとマスターの体調悪化を招く可能性がある。
そのため宝具の乱発のし過ぎには注意が必要。


379 : ◆ElCMSAxvE6 :2014/09/26(金) 21:26:50 ATkA0w7w0
投下終了です


380 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:23:16 Lqw2Ynac0
投下します


381 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:24:07 Lqw2Ynac0
「───私には全くの理解の外ですね」

カツ、カツ、カツ、と。
コンクリートの地面を靴底が叩く、音がする。

「聖杯戦争。月と地球。サーヴァント。マスター。魔力。ルーラー」

白いスーツに同色のコート、ハットを身に纏い。
ペースを乱すことなく、宵闇に包まれた道を歩く。

「そして私は既に死んだ身。後は消費されて消えるだけだと思っていたのですが」

目の前を一人の老人が横切る。
軽く会釈を交わすが、歩くペースは落とさない。

「そしてもしかするとあの老人がマスター、ということもあり得る、と。
ただジョギングしていただけかもしれませんが」

カツ、と。
音を鳴らし、足を止める。
白いスーツを風で揺らしながら───その男は、夜空を見上げる。
満月だった。
ここが月だとするなら、上空に見えるあの月も再現されたものなのだろうか。

「いやはや、本当に理解の外だ。
理解・分解・再構築が基本の錬金術師がこの有様では情けないですね」

ああ、本当に情けない。
自分の仕事に、能力にある程度の自信は持っていたはずなのだが───自分もまだまだだということなのかもしれない、と男は自嘲する。

「でも、興味深い」

右手で被ったハットを取り、夜空の月明かりに照らされる。
その男の顔の口角は歪に歪み、狂気に飲まれたような、笑顔だった。

「月と地球。白と黒。覚悟と覚悟。願いと願い。意思と意思。英雄と英雄。信念と信念───人間とサーヴァントが築き上げる戦争の中で、誰が勝者となるのか」

するり、と。
男は両掌の手袋を脱ぎ捨てる。
右手には逆三角形に太陽を。
左手には三角形に月を。
それぞれを刻んだ掌を外気に晒す。
パン!と。
両掌が小気味良い音を立て───光を発する。
コンクリートの地面はみるみる内にその姿を崩し、別の存在へと姿を変える。
平面のコンクリートから。
球体のボールへと。

「あなたもそう思いませんか───キラー」

男・・・ゾルフ・J・キンブリーがそう問いかけた時。
背後からキラー───『殺人者』のサーヴァントが、その問いに答える。

「知らないな。誰が勝つとか負けるとか、そういうのは俺の知ったコトじゃない。
俺が出来るのは───ただ”殺す”コトだけだ」


▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


382 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:25:12 Lqw2Ynac0
「錬成は問題なく行えるようですね───地面が私の知るコンクリート製なのか、『コンクリート製の地面』というデータなのかはわかりませんが」

場所は変わり、屋内。
鍵のかかっていた扉を先ほど錬成した球体───爆弾で扉自体を吹き飛ばし、浸入し、今はその中で寛いでいる。
休息を得たキンブリーの脳は、己の状況について考察を始める。
錬金術師の基本は理解・分解・再構築。
構成材質、構造を『理解』し、その材質を『分解』し、新しい形へと『再構築』する。
それこそが、錬金術。

「さて、キラー。今後の話をしましょうか」
「・・・今後?」
「ええ、今後です。───聖杯戦争にて、我々が何をすべきなのか」

ニィ、と笑みを浮かべたその顔は、常人ならば尻尾を巻いて逃げ出すほどの狂気を孕んでいた。
今後。
聖杯戦争にて自分たちの行動方針を決めよう、と。

「残念だが、アンタは大当たりだよマスター。
キラーのクラスを引くなんてさ、不運極まりない、選ばれし者の証だ」

掌でクルクルと、己の獲物を廻しながらキラーは発言する。
アンタの引いたサーヴァントはハズレだと。
言外に、そう伝えている。

「キラー・・・”殺人者”のクラス。
ああ、納得だ。アサシンでもあり得たがこれ以上ないくらいの、俺に合ったクラスじゃないか」

その眼光は魔を殺す。
死を視ることこそ出来ないが───その瞳には、人を殺し潰し引き裂く、それだけの殺戮衝動が宿っている。

「ほう、”殺人者”のクラス。では貴方、具体的に何ができるんですか?」
「名前の通り、聞いて通りさ。
”殺す”こと───暗殺・惨殺・撲殺・刺殺圧殺斬殺殴殺絞殺───なんでもござれだ」

その言葉を聞き、キンブリーは思案する。
生憎と、自分は願いなんてものは持ち合わせていない。
月と地球のどちらが勝者となるのかは見届けたいという思いは確かにあるが───仮に聖杯、なんて物を取ったとしても叶えたい願いがないのだ。
今更生き返りたい、自分が元いた場所に帰りたいとも思わない。
あれはあれで、確かに満足した死に様だったのだ───賢者の石に変わり、怨嗟の声に酔いしれながら消滅を待つのも中々乙なものだった。
”傲慢”と鋼の錬金術師、エドワード・エルリックの戦いの結末。
『進化した人間』と名乗るホムンクルスと人間の勝負。
その中で見事”傲慢”に勝利して見せたエドワード・エルリック───つまり、人間がホムンクルスに勝利した瞬間を、キンブリーはその目で見たのだ。
世界の行く末を、戦争の行く末を見届けた。
ならば、その人生に心残りなどあろうはずがない。
この場ならば国家錬金術師としての仕事を行う必要もない。
言うなれば、何者にも縛られていない、自由なのだ。

「───では、私も趣味に走らせていただくとしましょうか」


383 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:26:56 Lqw2Ynac0
「趣味?」
「ええ、趣味です。貴方も御自分のやりたいことを───”殺人者”としての本分を貫き通して貰いたいものです」

ジャキン、と。
キラーの掌で廻されていた獲物から、白銀の刃が飛び出す。
その刃は月光に照らされ、妖しく光る。

「ああ───俺はいいマスターを引いたらしい。
アンタのような人間がマスターで良かったよ、やっぱりマスターとサーヴァントはこういう関係でなくっちゃな」
「関係・・・それは、お互いを尊重するという意味で?」
「勿論。それと後一つ───趣味に理解があるってトコかな」

白い爆弾魔はニヤリと笑う。
視線の先に存在する───学生服を纏ったサーヴァント、キラーも返すようにニヤリと笑う。
言うならば、獣。
爆弾/殺意に魅入られた己の欲求のみを求めて彷徨う、獣。
血の香りを、爆音の地響きを求めて他者の命を毟り取る、異常者。
己のことを異常者と理解しているからこそ───互いの異常性が、手に取るように理解できる。
ああ、こいつは同類だと。
こいつとなら楽しめそうだ、と。
心の底で、本能から理解する。

「・・・真名を聞いても?」

そしてキンブリーは口を開く。
問いかけは、共に戦況を楽しみ歩くサーヴァントの真名。
知っておかねばなるまい。
互いの名を。
それを聞いたキラーは、キンブリーを見据え、言い放った。

「志貴」

ギラリ、と手元の獲物が───七ツ夜が、光を反射する。

「七夜志貴───ただの、殺人鬼だ」


384 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:27:41 Lqw2Ynac0
【クラス】
キラー
【真名】
七夜志貴@MELTY BLOOD Actress Again
【パラメーター】
 筋力D 耐久C 敏捷A 魔力D 幸運D 宝具C
【クラス別スキル】
対人間:B
人間に対する殺戮性能。
このランクが高ければ高い程、「人間」の英霊とマスター相手に有利な補正を得る。

気配遮断:B
自身の気配を消す能力。
完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

【保有スキル】
七夜:B
七夜の血統が持つ「魔に対し半ば自動的に作用する滅衝動」。
人外等の生物を見ると発動するが、自分の意思で抑えることは可能。

戦闘続行:C
名称通り戦闘を続行する為の能力。決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。
生前、キラーの死の間際まで戦い続け、充実した時間を過ごしたことにより付与されたスキル。

情報抹消(偽):B
対戦が終了した瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から、能力、真名、外見特徴などの情報が消失する。
例え戦闘が白昼堂々でも効果は変わらない。
これに対抗するには、現場に残った証拠から論理と分析により正体を導きださねばならない。
キラーである七夜志貴は本来存在しないもの、不確かな水月である。
すべきことが終われば、消えるのが常識。
そのため(偽)となるが情報抹消のスキルが付与された。

【宝具】
『素晴らしき極死・惨殺空間』(なななやのたいじゅつ)
 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
常時発動タイプの宝具。
壁を、天井を、あらゆる場所を足場とし走り静止状態から一瞬で最高速度に達する、七夜の一族に伝わる体術。
人として外れた力を持ち、人間として身体能力を限界以上にまで昇華させた七夜の一族だからこそ使用できる体術。


『首を刈り奪りし極死・七夜』 (きょくし・ななや)
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
七夜一族の最秘技。
七ツ夜を相手の首に刺すことで発動する。
七ツ夜が相手の首に刺さった瞬間、キラーの体は相手の頭上に移動。
そのまま相手の首を斬り落とす。
発動したら最後、相手の首と胴体は泣き別れするだろう。


385 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:30:40 Lqw2Ynac0
【weapon】
・七ツ夜
月姫本編で遠野志貴が使用していた七夜家の宝刀。飛び出し式ナイフ。
異常なほどまでの硬度を持ち、吸血鬼の攻撃を受けても壊れるどころか刃こぼれすらしないほどの頑丈さを持つ。

【人物背景】
白レンの力で「遠野志貴の普段使われない部分」が七夜として呼び起こされたものでありその七夜が白レンと契約し、マスターとなったことで彼女の夢魔の力で悪夢として残留したもの。
殺人嗜好を持ち、人を殺すことに躊躇いは持たない。
しかしActress Againでは白レンの活躍によるものか比較的丸くなっている(殺人鬼なことには変わりはないが)
Actress Againでは、七夜としての誇りを精算するため、軋間紅摩との戦闘に向かう。
その時、白レンに止められるが制止を振り切り、白レンを殺害。
軋間紅摩との殺し合いに臨み、二分間という短い間の勝負だったが、自らも死の淵まで追いやられるほどの重体を負いながらも軋間紅摩の喉を切り裂く。
その時の二分間の戦いを七夜は「十何年の人生なんて話にならない。今の二分間の充実には到底及ばない」「なんかどうでもよくなるくらい最高の時間だった」と称している。
その後、世界から七夜の存在は消滅した。

【サーヴァントの願い】
なし。
満足して消えたため、願いはないがここで燃え尽きるような戦闘を楽しめる相手を探すのも一興か。

【基本戦術、方針、運用法】
基本的に、暗殺を主とするサーヴァント。
正面での戦いの場合、森や屋内、路地裏などの場所で戦おう。
七夜の体術は壁、天井等を足場にして行うもの、故に障害物がある場所で最大の効果を発揮す 。
更地などの障害物がない場所での戦いは控えよう。
彼の戦い方は、持ち前の速さで惑わせ首を刈り奪ることにあるのだ。
キャスターなどのクラスによる援護を受けて正面から殺すのも可能。

【クラス補正】
キラー、”殺人者(殺人鬼)”のサーヴァント。
人間に対する殺戮性能───『殺戮衝動・性能の高さ』がこのキラーのクラス適正となる。
アサシンと似たような固有スキルがあるが、最大の特徴は固有スキルの”対人間”。
殺人者(殺人鬼)としてのクラスで召喚されたサーヴァントは『人間に対しての殺戮性能』を表すこのスキルを持ち、このスキルが高いほど人間の英霊相手に有利な補正を得る。
人間相手に持つ絶対的な殺戮性能───それが、キラーの最大な特徴である。


386 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:33:30 Lqw2Ynac0
【マスター】
ゾルフ・J・キンブリー@鋼の錬金術師
【参加方法】
”傲慢”の賢者の石のエネルギーとしてゆくゆくは消え去る運命だったが、気づいたらここに(参加方法不明)
【マスターとしての願い】
月と地球、どちらが勝利を手にするか、この聖杯大戦の行く末を見たい。
自分は一度死んだ身のため自分の生死については興味なし。
【weapon】
・錬成陣
両掌に刻まれた紋様を使用し、既存の物質の姿を変えることが可能。
しかし無から有を生み出すことは不可能であり、使用するには同質量の元の物質が必要となる。
【能力・技能】
紅蓮の錬金術師
・等価交換に基づく錬金術を扱う錬金術師の中でもこと『爆破』に特化した錬金術。
時計から爆弾を精製したり、地面をそのまま爆発させることも可能。
賢者の石を所持していれば町の一角を破壊するほどの性能を持つが、今回は賢者の石は所持していないため不可能。
爆発物の精製だけでなく、石柱なども精製可能。


387 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:34:04 Lqw2Ynac0

【人物背景】
階級は中佐。
「紅蓮」の二つ名を持つ国家錬金術師。
白いスーツとコート、帽子を愛用する総髪・吊り目の男。
紳士然として慇懃無礼にも似た言動の人物だが、殺人に美意識を見出す重度のサイコキラー。
しかし単なる快楽殺人鬼とは異なり、その本質は「自らの意志に基づいて美しく生きる」事であり、殺人もその独自の理念の一部であり、「死から目を背けず忘れない」という考えから殺害した相手の顔は逐一記憶するといった行いも見せる。
自身はこの世界にとって異端の存在であると自覚しており、紳士を演じているのもその為。また異端であるが故に、感情論に左右されない、合理的な考えを示すこともある。
イシュヴァール戦で「傷の男」に瀕死の重傷を負わせ、彼の家族を死に至らしめた張本人であり、「傷の男」に最も怨まれている国家錬金術師である。
ウィンリィ・ロックベルはエルリック兄弟に対するホムンクルス側の牽制材料になっており、キンブリーもブリッグズ滞在中にエルリック兄弟への牽制を行っているが、ウィンリィに対しては、ロックベル夫妻の娘であることに加え、現在置かれている状況に対して彼女が前向きな姿勢を見せていることから気に入ったと発言している。
彼の錬金術は、掌に刻まれた錬成陣(右手に下向きの三角と太陽の記号、左手に上向きの三角と月の記号)を合わせて対象物に触れ、爆発性のある物質へ作り変えるというもの(エドはキンブリーの錬金術について、陰と陽の概念に基づくものと推測している)。
錬金術の特性に加え、爆発に対する造詣も深いことから「爆弾狂のキンブリー」の異名を持つ。
イシュヴァール殲滅戦では上官から賢者の石を貸与され、喜々として戦い大きな戦果を上げるが、終戦後賢者の石の返還を渋り、返還を迫った上官を爆殺。この一連の行動によりエンヴィーに気に入られ、自らの特性を最大限にバックアップしてくれることからホムンクルスの協力者となる。その後、上官殺しを建前に中央刑務所で服役生活を送っていたが、「傷の男」の抹殺と逃亡の疑いのあるマルコーの捕獲、それに伴う報復として村の抹消(マルコーの逃亡に関しては「傷の男」が行った偽装工作の為にホムンクルス側は確信に至っているわけではなく、捕獲の任務はあくまで逃亡が事実ならばという条件付き)のため出所する。ホムンクルスの協力者の中では、「大きな世界の流れの中で(人間とホムンクルスの)どちらが生き残る力を持つのか(観てみたい)」と述べたり、己の存在の是非を賭けたりと、レイブンら通常の人間の協力者とは一線を画している。
エドやブリッグズ兵の妨害により「傷の男」の始末には失敗するも、その後プライドの指示により狙いをブリッグズに「血の紋」を刻む事に変更、ドラクマ軍を騙してブリッグズ兵に壊滅させる事で達成した。
その後はイシュヴァール人の生き残りを殺して回っていたが、「約束の日」にはホーエンハイムによってカナマスラム付近に幽閉されたプライドの救出を命じられ、見張りを引き受けていたハインケルを撃退し、救出したプライドとともにアルと交戦。
その末にアルの作戦によって回復したハインケルの奇襲を受け致命傷を負い、最期はプライド”傲慢”に取り込まれるが、それがプライド”傲慢”の運命を左右するものとなった。
エドワード・エルリックとの戦闘でピンチに陥ったプライド”傲慢”は今まで散々下等生物と罵ってきたエドワード・エルリックの身体を奪おうと動く。
人が自分の信念や本分を全うすることを良しとするキンブリーはその行動を『貴方、美しくない』との一言で邪魔をする。
賢者の石に内蔵された大量の魂の悲鳴、その奔流などキンブリーにとっては子守唄のようなもので───最後には、エドワード・エルリックの勝利を見届けてから、また賢者の石の内部に帰っていった。
【方針】
キラーに”殺人者”としての本分を果たしてもらう。
聖杯大戦の行く末を見届けたいが、別に生き残ること自体はどうでもいいらしい。


388 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/26(金) 22:35:19 Lqw2Ynac0
投下終了です。
マスター:ゾルフ・J・キンブリー
サーヴァント:キラー(七夜志貴)でした


389 : ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:40:12 JKq9Kbt60
皆様投下お疲れ様です
自分ももう1組だけ、投下させていただきます


390 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:40:51 JKq9Kbt60
 「正義の味方」を名乗れるほど、美樹さやかは純真ではない。
 気高い理想を求めた彼女は、しかし現実の痛みに直面し、流され潰され消え果てていった。
 絵に描いただけの英雄像など、たかだか恋煩いのためだけに、呆気なく破かれてしまうのだと、彼女は思い知らされたのだ。
 それは幾多の世界を乗り越え、神々の位に辿り着いてなお、忘れようもない自戒だった。

 それでもたった1つだけ、変わらず持ち続けた想いがある。
 これだけは決して許せないと、ただ1つだけ貫き続けた、最後の一線がその胸にある。
 悪を許せないという心だ。
 他者をいたずらに傷つけるものを、決して見過ごせないという意志だ。
 それは悲嘆に我を忘れ、多くを傷つけた自分であり。
 そして自らの神を害し、世界を意のままに塗り替えんとした、あのおぞましき悪魔でもある。

 暁美ほむら。
 かつてあった世界の中で、幾度となく巡り会った少女。
 時にぶつかったこともあった。時に手を取り合ったこともあった。
 そしてその果てに迎えた世界で、神を裂き我が物にせんとした、魔法少女の成れの果てだ。
 今のさやかにはそのことについて、正確な記憶は存在しない。
 世界を塗り替えた悪魔は、そこに堕ろされた彼女の記憶も、世界の一部に取り込み書き換えんとした。
 故に神の騎士たるさやかは、自らが信奉すべき神を知らない。
 神を只人へと貶めた世界に、ただの女子学生として住む彼女は、神の名前すら覚えていない。

 それでもたった1つだけ、彼女が忘れずにいることがある。
 それはかつて仕えた何者かが、彼女に害されたということ。
 この世界を滅ぼしてもいいと、彼女がそう口にしたこと。

 暁美ほむらが悪魔であること――それだけは確実に記憶していた。


391 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:41:38 JKq9Kbt60


「――がぁっ!」
 口に溜め込んでいた息を、悲鳴じみた声と共に吐き出す。
 びっしりと汗の噴き出た額を、痛む左手で押さえる。
 連続して二度の記憶改竄となると、いい加減神経がどうにかなりそうだ。
 人間の記憶とは、テレビゲームのセーブデータのように、好き勝手いじり倒せるようには出来ていないのに。
 目まいと嘔吐感に耐えながら、中学校の屋上で、さやかはそう思考していた。
(あたしは……)
 絡んだ記憶の糸をほどく。
 ぐちゃぐちゃに混線したメモリーを、一歩一歩と振り返っていく。
 明確に思い出せた情報は、さほど多いとは言えない。暁美ほむらの改竄によって、かなりの記憶が抜け落ちているようだ。
 彼女はさやかが仕えていた、何か大きな存在を傷つけた。
 そのためにかつて存在した世界は、かなり危うい形で変貌を遂げた。
 更に帰る道を見失い、人間の世界へ戻されたさやかは、かつて持っていたはずの力を奪われてしまった。
 その大きな存在とは何なのか、奪われた力とは何だったのか――ぱっと挙げられるだけでも、既にこれらが思い出せない。
 そしてそうした出来事があり、ほむらが目の前から消えた後、気付いたら自分はこの場所にいた。
 記憶を更に上書きされて、冬木市なる町で生活する、魔法少女ですらない一般人を演じていたのだ。
(聖杯戦争)
 全てはその資格を問われるために。
 あらゆる願いを叶える器――聖杯を奪い合う戦いに、参加する権利を確かめるために。
「――随分と堪えたみてぇだな」
 そして記憶を取り戻した彼女の傍から、声をかける人影がある。
 随分と馴れ馴れしい口調で、大丈夫かと問いかける者がいる。
「まぁね……で、あんたがあたしのサーヴァントってやつ?」
 額の汗を拭いながら、さやかは声のする方を向いた。
 そこに立っている人間の素性を、さやかは既に知っていたのだ。
 赤いジャケットを羽織った、日本人風の若い男――これが自分に与えられた、サーヴァントという手駒である。
 聖杯戦争の参加者は、このサーヴァントの主人(マスター)となり、互いに戦わせるのが決まりなのだ。
「おうとも。アーチャーのサーヴァント、桐生ダイゴだ。
 弓兵(アーチャー)って呼び方が気になるんなら、キングって呼んでくれてもいいぜ」
 王様というアダ名を自称するとは、随分と偉そうな奴が来たな。
 にっかと笑う男を前に、さやかは一瞬たじろいだ。
 いかにも人の話を聞かず、周りを強引に引っ張りそうなタイプだ。悪い奴ではなさそうだが、そういう暑苦しさを感じる。
 もっとも、瞳に宿ったぎらついた光は、どうやら只人のそれではない。
 さながら旧世界の盟友――佐倉杏子のそれのような、野性味を感じる眼光だ。
 否、野生児そのものか。そこに宿された気配は、杏子の持っていたものよりも、濃い。
「その左手に浮かんだ令呪が、俺のマスターであることの証だ。
 今日から俺はサーヴァントとして、マスター・さやかの力になる。こうしてここに呼ばれたからには、喜んで協力してやるぜ」
「協力ね……素直に従うってわけじゃないんだ?」
「?」
 向けられた笑顔は眩しかった。一見して裏があるようには見えなかった。
 それでもどうしてもさやかには、彼を信じきることができなかった。
 必然、探るような口調になってしまう。そんなさやかの様子を見て、アーチャーがきょとんとした顔を返す。


392 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:42:45 JKq9Kbt60
「ねぇアーチャー、あんたには叶えたい願いってないの?
 聖杯の力を使う権利は、マスターにしかないとは言われなかった……ということはサーヴァントにも、使う権利があるんじゃないの?」
 引っかかるのはルーラーの言葉だ。
 つい先程まで目にしていた、2人の少女の説明だった。
 聖杯に願いをかける権利は、ただ1人だけに与えられる。
 そしてその1人という単位は、全てのマスターのみならず、サーヴァントすらも含めた中での、たった1人ということを意味している。
 つまるところその権利は、サーヴァントにもあるということだ。
 己がマスターの願いを潰し、裏切ってでも聖杯を求める――そういう奴がいることを、否定していないということだ。
「まぁ、確かにその通りだよな……ルールで禁止されてないってことは、俺だって聖杯を使えるってことだ。
 でも基本的にあの聖杯は、マスターに使わせるために用意されてるんだぜ?」
「そんな単純に割り切れると、信じられるような問題じゃない。
 願いを叶えるっていうことが、どれほど魅力的なことか……どれほど恐ろしいことなのか、あたしは痛いほど知ってるから」
 それは時として人を狂わせ、取り返しのつかない結末を招くものだと。
 魔法少女である美樹さやかは、それを知っているのだと、言った。
 誰しも叶えたいものがある。たとえ全てを犠牲にしてでも――そう言い切れるだけの願望がある。
 もしも比喩でも何でもなく、それができる機会に巡り会ったなら、果たしてその人はどうするか。
 本当に周囲を犠牲にすれば、それで願いを叶えられるなら――その誘惑を断ち切れるほど、人間は強い生き物か。
 願いを対価にちらつかされて、願いに狂った魔法少女。
 聖杯戦争に近しい体験を、既に経験したさやかだからこそ、予期できる危険性だった。
 故に自らの手駒ですら、その心の奥底を、確かめずにはいられないのだ。
「面白ぇ。これから願いを叶えようっていう奴の言葉じゃねえな」
 されど弓兵は不敵に笑う。
 否定も肯定もすることなく、ふふんと笑って感想だけを述べる。
「どうしても気になっちゃうのよ、こればっかりは」
「気になるっていうんだったら、それは俺も同じだな。
 さやかはあの聖杯に、一体何を願うつもりだ? 俺だけ質問されるのも、それはそれでフェアじゃねえだろ」
 そちらが先に答えるのなら、こちらも答えようじゃないかと。
 さやかの質問に対して、アーチャーは更に質問を重ねた。
「あたしは……」
 一瞬、さやかは言葉に詰まる。
 叶えたい願いなら確かにある。魔法少女の奇跡ですら、恐らく叶えられない願いを、確かに胸に抱えてはいる。
 だがそれをどう表現していいのか、判断に迷ってしまったのだ。
 言うまでもなく、彼女の願いは、暁美ほむらに関することだ。
 無理やりに世界を改変し、魔法少女の希望である、何らかの存在を穢した――その悪魔をどうにかすることだ。
 でなければ彼女が元いた世界に、どのような影響があるか分からない。
 均衡を崩された世界は、あるいは彼女が言ったように、崩壊へと向かうかもしれない。
 それを未然に防ぎたいとは思う。そのためにあの恐ろしき悪魔を、どうにかしたいとは思う。
(だけど)
 しかしそれは、暁美ほむらを、この手で倒したいというわけではない。
 誰のためかは覚えていないが、誰かのために幾多の世界を、懸命に駆け抜けてきた彼女を、無碍に殺したいとは思えない。
 かつて自分がそうなったように、想いの強さ故に人の身を喪い、魔女へと変貌した彼女だ。
 いかな悪行を犯したとはいえ、そのほむらを殺してしまいたいとは、どうしても思えなくなってしまっていた。


393 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:44:28 JKq9Kbt60
「あたしは……あたしの仲間を止めたい。
 世界を滅ぼそうとする、あいつを引き止めるための力が欲しい……同じ魔法少女として」
 殺すのではない。止めるのだ。
 彼女の野望をくじくことで、誤った道から引き戻し、もう一度全てをやり直すのだ。
 それこそが考え抜いた末に、さやかの出した答えだった。
 たとえ命を懸けてでも、決死の戦いに臨んででも、辿り着きたいと願う結末だった。
 美樹さやかは何のてらいもなく、真っ向からアーチャーの目を見据え、己が願いを宣言したのだった。
「そうだ! それが俺の望みだ。俺が聖杯の呼びかけに答えて、ここまでやって来た理由だ」
 対するアーチャーの言葉が、それだ。
 一拍ほどの間すらもなく、最初から知っていたと言わんばかりに、さやかへと言い放ったのだった。
「今のうちに答えとくが、俺には聖杯に望む願いが無ぇ。人生色々あったけどな……それでも後悔はしねぇように、全力で生き抜いたつもりだ」
 だからこそ生涯に未練はなく、やり直したいと思うこともない。
 死して聖杯に託すような、そんな想いは残していないと、アーチャーは大真面目に言い切った。
「だから最初はこの戦いも、別に付き合うつもりはなかった。興味も関心もなかったから、聞かなかったことにしようとした。
 ……そしたらそこにお前がいたんだ。かつての仲間をこの手で止めたい――そう本気で願うさやかがいたんだ」
「それだけ……? ホントにそんなことだけで、ここまでやって来たっていうの?」
「ああ、そうだ。たったそれだけで十分だと思った。
 その強い願いと覚悟を……その背中をこの手で押してやりたい。そう思っちまったのさ」
 偽りなどは何一つなかった。
 本当にただそれだけのために、この男はここまでやって来たのだ。
 いつしかさやかの心から、それを疑うという考えは消え失せていた。
 きっとこれが、そうなのだ。
 自分や巴マミが憧れ、そして叶わずに挫けてしまった、「正義の味方」の姿なのだ。
 伝説の英雄、桐生ダイゴ。彼の生涯に関する逸話を、さやかは未だ全く知らない。
 それでもその生き様は、かつてさやかが在りたいと願った、そういうものだったのではないかと、自然とそう感じていたのだ。
「……分かった。あんたのこと、信じてみる。だからこれからよろしくね、アーチャー」
 いつしか、笑みがこぼれていた。
 ふっと緩んだその顔は、己がパートナーに対する信頼の証だ。
 アーチャー風に言うのなら、彼の語ったその言葉だけで、信じるに値するものがあったのだ。
 さやかは笑顔を浮かべながら、自らのサーヴァントへと言った。
「おう! さやかのブレイブ、見せてもらうぜ!」
 ブレイブとは勇気を示す言葉だ。
 立ちはだかる困難へと挑み、想いを貫き通す覚悟を、人は勇気という名で呼んだ。
 そのブレイブ・スピリッツを胸に、戦い続けた地球の守護者。
 強き竜の力を受け継ぎ、戦隊を組織して戦った、伝説の勇者達の一角。
 牙の勇者・キョウリュウレッド――かつてそう呼ばれた男、ダイゴ。
 地球全ての生命ではなく、たった1つの願いのために、彼が長き時を超え、再び立ち上がった瞬間だった。


394 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:44:57 JKq9Kbt60
【マスター】美樹さやか
【出典】[新編]魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語
【性別】女性

【参加方法】
『月の石』による召喚。通学路の石畳に、月の石が使われていた

【マスターとしての願い】
同じ魔法少女の仲間として、ほむらを止めたい

【weapon】
ソウルジェム
 魂を物質化した第三魔法の顕現。
 さやかを始めとする魔法少女の本体。肉体から離れれば操作はできなくなるし、砕ければ死ぬ。
 濁りがたまると魔法(魔術)が使えなくなり、濁りきると魔女になる。聖杯戦争内では魔女化するかどうかは不明。

【能力・技能】
魔法少女
 ソウルジェムに込められた魔力を使い、戦う力。
 武器として剣を持っており、直接斬撃や投擲に用いられる。
 簡易的な刀身射出ギミックが搭載されており、近距離なら突きの補助として使用することも可能。
 固有魔法は治癒。自身の傷を癒やす魔法を得意としており、全治数週間の傷であっても、一瞬で完治させることができる。
 素早い身のこなしを活かした近距離戦が得意。また、魔法の力で足場を作り、限定空戦を行うこともできる。

【人物背景】
見滝原中学校に通う2年生の少女。
かつて存在した世界において、想い人の腕を治すために魔法少女となり、恋に敗れて自滅していった。
その後級友・鹿目まどかが概念存在・円環の理となった際、その魂は彼女の元へ召され、共に戦う同志となった。
しかし暁美ほむらが悪魔となり、世界を改変した際の余波によって、さやかは人間界へと取り残されてしまう。
彼女の力によって円環の理との繋がりを断たれ、その力を失ったさやかは、意図せぬ形で人間としての蘇生を果たしたのだった。

明るく人当たりのいい性格。友情に厚く、困っている人を積極的に助けようとするタイプ。
一方冷静さに欠けるのが欠点で、まどかからは「思い込みが激しくて喧嘩もよくしちゃう」と評されている。
かつて契約した世界においては、恋愛と友情の狭間で苦悩し、自暴自棄になって周囲を振り回したこともあった。

契約してからすぐに死亡したため、かつては戦闘経験も浅く、他の魔法少女達相手に遅れを取ることも多かった。
しかし円環の理に召された後は、平行世界の記憶・経験を得たことで、戦闘スキルが大幅に向上。本来の伸びしろを見せる活躍を果たしている。
本来は魔女の力を使役するなど、魔法少女の枠を大きく超えた能力を発揮できるのだが、
ほむらによってその力は失われており、通常の魔法少女なりの能力しか持てないようになっている。
改変後の世界に合わせて、記憶にも改竄が施されており、まどか及び円環の理に関する記憶を喪失している。
現在の彼女が円環の理絡みで覚えているのは、自身が何か大きな力の下で戦っていたことと、ほむらが悪魔となりその存在を害したことの2点である。

【方針】
あまり他人を傷つけたくはないが、聖杯はなんとしても欲しい


395 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:45:32 JKq9Kbt60
【クラス】アーチャー
【真名】桐生ダイゴ@獣電戦隊キョウリュウジャー
【性別】男性
【属性】中庸・善

【パラメーター】
筋力:E+ 耐久:E 敏捷:D 魔力:A 幸運:B 宝具:EX

【クラススキル】
対魔力:-(C〜B)
 宝具『GABURINCHO!牙の勇者(キョウリュウチェンジ)』発動時にのみ機能する。
 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
 宝具『AMIGO!!世紀の大祭典(キョウリュウレッド・カーニバル)』発動時には、ランクがBに向上する。

単独行動:C
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。

【保有スキル】
勇猛:A
 困難に立ち向かう勇敢なる意志・ブレイブの具現。
 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

戦闘続行:B
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

直感:D
 戦闘時、つねに自身にとって有利な展開を”感じ取る”能力。
 攻撃をある程度は予見することができる。

カリスマ:D
 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
 カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である。


396 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:46:35 JKq9Kbt60
【宝具】
『GABURINCHO!牙の勇者(キョウリュウチェンジ)』
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:− 最大補足人数:1人
筋力:C+ 耐久:C 敏捷:C+ 魔力:A 幸運:B
 機械の恐竜・獣電竜に認められ、その力を与えられた「強き竜の者」。
 アーチャーはガブティラ獣電池およびガブリボルバーを使用することで、キョウリュウレッドに変身することができる。
 あらゆる戦況に適応できる、バランス型の能力を持った戦士。

『AMIGO!!世紀の大祭典(キョウリュウレッド・カーニバル)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:− 最大補足人数:1人
筋力:B+ 耐久:B 敏捷:B+ 魔力:A 幸運:B
 ティラノサウルス一族の「強くあれ」という意志により、キョウリュウレッドが進化を遂げた姿。
 カーニバル獣電池およびガブティラ・デ・カーニバルを使用することで変身できる。
 更にアンキドン獣電池・ブンパッキー獣電池を用いることで、
 ハンマーと鉄球を装備したキョウリュウレッド・カンフーカーニバルへとカミツキチェンジすることができる。

『VAMOLA!!!史上最強のブレイブチーム(じゅうでんせんたいキョウリュウジャー)』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大補足人数:1000人
 アーチャーの持つ最大宝具は、単なる武器や暴力ではない。
 彼と並び立ち支え合ってきた、仲間達との絆こそが、最も頼れる切り札となるのだ。
 この宝具を発動した瞬間、伝説に語られた9人の仲間達が召喚され、史上最強のブレイブチーム・獣電戦隊キョウリュウジャーが集結する。
 9人のうちキョウリュウゴールド・キョウリュウシルバーはキョウリュウレッドと同等の、
 残り7人はワンランク下の能力を持った状態で召喚され、それぞれがサーヴァントとしての特性を持つ。
 しかしこの宝具のランクは、そうした数値上の強さに起因するものではない。
 互いに共鳴し高め合う、熱きブレイブ・スピリッツこそが、この宝具の真価である。
 召喚されるキョウリュウジャーは以下の通り。
 ・キョウリュウブラック
  パラサウロロフスの力を有した「弾丸の勇者」。イアン・ヨークランドが変身する。
 ・キョウリュウブルー
  ステゴサウルスの力を有した「鎧の勇者」。有働ノブハルが変身する。愛称はノッさん。
 ・キョウリュウグリーン
  ヴェロキラプトルの力を有した「斬撃の勇者」。立風館ソウジが変身する。
 ・キョウリュウピンク
  トリケラトプスの力を有した「角の勇者」。アミィ結月が変身する。
 ・キョウリュウゴールド
  プテラノドンの力を有した「雷鳴の勇者」。空蝉丸が変身する。愛称はウッチー。
 ・キョウリュウシアン
  アンキロサウルスの力を有した「鋼の勇者」。ラミレスが変身する。
 ・キョウリュウグレー
  パキケファロサウルスの力を有した「激突の勇者」。鉄砕が変身する。
 ・キョウリュウバイオレット
  プレシオサウルスの力を有した「海の勇者」。弥生ウルシェードが変身する。
 ・キョウリュウシルバー
  ブラキオサウルスの力を有した「閃光の勇者」。賢神トリンが変身する。


397 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:47:28 JKq9Kbt60
【weapon】
獣電池
 太古の恐竜の魂・キョウリュウスピリットをインプットした、乾電池型のチャージアイテム。
 使用した獣電池のエネルギーは、当然充電し直さなければならない。
 本聖杯戦争においては、魔力によって充電することが可能である。
 内訳は以下の通り。
 ・ガブティラ獣電池
  ティラノサウルスの獣電竜・ガブティラの魂をインプットした獣電池。
  キョウリュウレッドへの変身のほか、戦闘時の補助に用いられる。6本所有。
 ・アンキドン獣電池
  アンキロサウルスの獣電竜・アンキドンの魂をインプットした獣電池。
  本聖杯戦争においては、キョウリュウレッド・カンフーカーニバルへのカミツキチェンジに用いられる。1本所有。
 ・ブンパッキー獣電池
  パキケファロサウルスの獣電竜・ブンパッキーの魂をインプットした獣電池。
  本聖杯戦争においては、キョウリュウレッド・カンフーカーニバルへのカミツキチェンジに用いられる。1本所有。
 ・アロメラス獣電池
  アロサウルスの獣電竜・アロメラスの魂をインプットした獣電池。
  火炎攻撃を行うことができる。1本所有。
 ・オビラップー獣電池
  オヴィラプトルの獣電竜・オビラップーの魂をインプットした獣電池。
  ガブリボルバーを介して発動することで、催涙ガスを噴射できる。1本所有。
 ・プクプトル獣電池
  フクイラプトルの獣電竜・プクプトルの魂をインプットした獣電池。
  ガブリボルバーで発動し銃撃することで、対象を風船のように膨らませることができる。1本所有。
 ・カーニバル獣電池
  現代において新たに開発された獣電池。
  ガブティラ・デ・カーニバルを召喚し、宝具『AMIGO!!世紀の大祭典(キョウリュウレッド・カーニバル)』の発動を可能とする。1本所有。

ガブリボルバー
 キョウリュウジャーの基本装備。
 単純に拳銃として使えるほか、獣電池の発動やキョウリュウジャーへの変身に用いられる。

ガブリカリバー
 キョウリュウジャーの基本装備。こちらは剣の形をしている。
 ガブリボルバーと組み合わせた際には、より強力な砲撃を放つガブルキャノンとして運用できる。

ガブティラファング
 キョウリュウレッドの専用武器・獣電アームズ。ティラノサウルスの頭部を模した打撃武器である。
 ガブティラ獣電池を1本使用することで装備(アームド・オン)することができる。

ガブティラ・デ・カーニバル
 カーニバル獣電池の力によって、獣電竜ガブティラが小型化した、ガブティラ・オーバーチャージモードの武器形態。
 ダイゴをアーチャーたらしめているアイテム。
 この獣電竜の力によって、宝具『AMIGO!!世紀の大祭典(キョウリュウレッド・カーニバル)』の発動が可能になる。
 本聖杯戦争においては、この形態でしか使用することができない。


398 : 美樹さやか&アーチャー ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:48:38 JKq9Kbt60
【人物背景】
獣電戦隊キョウリュウジャーのリーダー・キョウリュウレッド。
かつて父・ダンテツに連れられたことをきっかけに、以来世界中を旅して回っていた冒険家である。
周囲の人間を惹きつける行動力と頼もしさの持ち主で、それ故に自然と「キング」と呼ばれるようになった。
この呼び名はダイゴ自身も気に入っており、自ら愛称として自称している。

直感型の熱血漢で、思い立ったら即行動に移すタイプの人物。野生の勘にも似た洞察力の持ち主でもある。
戦隊というチームの在り方について、度々持論を語っており、チームワークやリーダーシップに対する意識の強さが伺える。
最初は馴れ馴れしさとマイペースさから、戸惑われることも多いが、最後にはどんな相手とも仲良くなれる。
どんなことでもソツなくこなせるものの、知識労働と色恋にだけは向かない。

戦いの天才とでも呼ぶべき人物であり、あらゆる戦況に対応することが可能。
中でも必殺の「岩烈パンチ」に代表される、肉弾戦に秀でている。
キョウリュウグレーこと鉄砕の教えを受けた際には、「鉄砕拳・激烈突破」という技を継承した。

実は彼にはアーチャーの他に、ライダーの適性も存在する。
仮にライダーのクラスで召喚された際には、キョウリュウレッド・カーニバルへの変身は不可能となるが、
代わりに獣電竜ガブティラを本来の姿で召喚し、宝具として使役することが可能となる。

【サーヴァントとしての願い】
無ぇ! マスターの背中を押してやるだけだ!

【運用法】
一応アーチャーとして召喚されているものの、対応する武器は中距離戦用の拳銃である。
そのため距離を置いた戦いではなく、正面切った白兵戦に重点を置いた運用が要求される。
素の能力はさほど高くはないため、『AMIGO!!世紀の大祭典(キョウリュウレッド・カーニバル)』の発動タイミングが重要となるだろう。
『VAMOLA!!!史上最強のブレイブ(じゅうでんせんたいキョウリュウジャー)』は、文字通り絶大な威力を誇るが、
総勢10騎分のサーヴァントを使役することになるので、当然発動のコストも高い。
魔術師適性を持つさやかであっても、決して無視できる消費量ではないので、発動には相応の覚悟が必要となる。


399 : ◆aWSXUOcrjU :2014/09/26(金) 22:49:45 JKq9Kbt60
投下は以上です
そしていきなりですが、1個だけ修正
【運用法】欄における『VAMOLA!!!史上最強のブレイブ(じゅうでんせんたいキョウリュウジャー)』は、
『VAMOLA!!!史上最強のブレイブチーム(じゅうでんせんたいキョウリュウジャー)』の誤りです。申し訳ない


400 : 井之頭五郎&セイバー ◆bi4ho.tYN. :2014/09/26(金) 22:57:26 BBANSqYM0
投下させていただきます。


401 : 名無しさん :2014/09/26(金) 22:58:00 BBANSqYM0
日本人というのは不思議なもので、調度品の趣味というのは大体決まっている。
昔ながらの名家ならば純和風や中国など歴史ある名品を欲しがる奴もいるだろうが、ちょっと小金が出来た中年なんてのは、
雰囲気というか、オシャレというか、どういった訳かヨーロッパの家具やインテリアを置きたがる。
輸入雑貨を取り扱う仕事柄、そういう趣味にケチを付けたくはないが、にしてももっと、と思う事はある。

「実際ヨーロッパが悪いなんて思わないが、長居すると、やっぱり米がなあ」

昨今の観光事情なのか、探してみればどこの国でも日本食を食べられんことは無いが……。
なんというか違う。

「作ってる奴が悪いのか、水なのか、環境なのか……いや」

案外、俺が国の雰囲気に当てられてるだけなのかもな。
実際、ヨーロッパは来慣れてる方ではあるのだが、大陸続きとは言え国が変われば文化も変わる。
ましてや海を挟んだイギリスなんてのは、結構独特だ。

「飛行機一本で色んな国から人間が来るようになったからか場所を選べば言われているほど変なものはでないが……
 まあ、格別に良くも無い。日本というのは恵まれています、いっそ残酷だ」

海外に行くのが嫌ならこんな仕事などしていないが、それでも急に日本食が恋しくなる事はある。
家に帰りたい、親の顔が恋しいなんて事はまずないが、だがやはり、人間は物を食べて動くのだから、胃には逆らえないのだろう。
買付けのアテもつけ、もうすぐ帰国ということで気が緩んでいるのかもしれない。

「帰ったら……銀座でステーキ、は違うか。駅からちょっとした定食屋を探して……いや」

まだ帰る訳でもないのに気が早い。
ああ、駄目だ、駄目だ。日本のことなんか考えたから頭が米でいっぱいだ。
米、米、米。もう気分がすっかり炊いたご飯だ。我ながら浅はかだった。






―― 私は、また間違えた。

彼に、答えを貰ったというのに。ようやく、全てを受け入れることが出来たというのに。
だというのに、また、この聖杯を求め殺し合う舞台に、私はいる。
理由は明白だ。夢の続きを望んだからだ。ならば、夢など願うべきではなかった。
私が再び願いに弄ばれようなど、彼は知ったらどう思うだろうか。
いや、この場にきっと彼はいない。
ならば、英雄は英雄であるべきだ。偶像でも、贋者でも、人々がそう願うならば。
ならば、今一度、この戦にて、私は問おう。

「貴方が私のマスターか」


402 : 名無しさん :2014/09/26(金) 22:58:52 BBANSqYM0

「参ったな。なんでも願いが叶う石だと聞いて、面白半分で手を出したんだが」
「参ったという規模の話ではありません。貴方は今、命の危機に晒されています」
「あー、セイバーさん……で、失礼はありませんか?」
「そうかしこまらなくても結構です、マスター。今は貴方が主なのですから、どうか、話しやすいように」
「とは言ってもなあ」

当然だがイギリスには金髪さんは多い。
だが、日本語を流暢に話す金髪さんというのはかなり珍しい――というよりこのレベルの日本語は初めてだといっても過言ではない。
と、言っても、ビジネスにせよ日本旅行者というのは特徴的ではあるから、日本語ほ話せるなら話しかけてくるのはさほど珍しい訳では無い。
ならば何が珍しいのか。

「故有って、貴方の生活している時代に近しいと思われる時代の知識はそれなりにはあるのですが……
 ですから、正直な所、貴方にこうも簡単に話を理解してもらえるものとは思ってなかった」
「ええ、まあ。ルーラー、でしたか、も見ましたし、なにより、アナタの体裁きが尋常ではないですから」

見た所、十代の少女と言った所か。
一応、仕事柄で身に付けている物の質からある程度出自が見て取れたのだが、それ以上に違和感を覚えたのはその所作だ。
なんというか……熟達しすぎている。
古武道の館長をやっていた祖父や、連れられて見に行った他の熟練者達。それらと比べても、尚、洗練されているように見える。
もちろん日本の古武道なんかとは全く違うのだが。
彼女は、一線から身を退ている俺でも分かるくらいに道を修めている。はっきり言って、少女の身のこなしではない。

「それに、私は仕事でイギリスにいたはずなのですがここは……」
「イギリス、ですか!?」
「うわッ!?」
「あ……」
「いや、大丈夫です」

急に大声で迫られると驚かされる。……彼女が過去の英雄というのが本当ならば、イギリスの出自なのだろうか。

「なんというか、ここはまるで神戸ですね。日本の。空気の感じがちょっと違いますが」
「いえ、ここは冬木市です。日本は間違っていませんが」
「え? 聞いた事無い町ですね。これくらい大きな都市ならば行った事がなくても俺が知らないってことはなさそうだが……」
「一応聖杯に再現された都市なので厳密には実際の冬木市とは違いますが……
 あるいは、マスターの住んでいた日本が冬木市の存在する日本とは違う歴史を歩んできたのかもしれません」


403 : 名無しさん :2014/09/26(金) 22:59:30 BBANSqYM0
ああ、もう、なんかSFみたいな話までしだして……本当になんなんだか……。
俺はただ、飯を食いたかっただけなのに。
そうだ、俺は飯が食いたいんだ。飯が食いたいだけなんです!

「そうだよ、飯だ。腹が減ってちゃまとまる物もまとまらないセ。イバーさん。もう話は後にして飯にしましょう、飯に」
「飯……えーと、食事、ですか?」
「そうだ、それがいい。イギリスにいたが幸いもうすぐ帰る心積りで日本円は用意していたし。
 ああ、この時間なら別にユーロでも日本円にできたか。いや、ATMだってある」
「あ……あの、マスターそのですね、サーヴァントというのは食事をする必要が無く、そのマスターからの魔力供給も微弱ですが出来ていますので……」
「よく分からないが、セイバーさんは物を食べないのですか?」
「いや、食べられない訳ではないのですが、なんというか……」
「食べたくない、と」
「いえ、そんなことは決してありえませんが……その……」

なんだろう? 彼女が何を言いたいかは分かるが表情と言ってることがちぐはぐだな。
なんというか、親戚に食事に連れて行かれたのに遠慮して食べたいものを注文できない子供のようだ。

「とにかく俺はもう飯を食べる。決めました。セイバーさんはどうされますか?」
「マスターを一人にすることはできません。もちろんつき従います」
「なら、一緒に食べてください。自分が食べてるのをただ見られているだけじゃあ、気になって美味いものも美味くなくなってしまう」
「分かりました。マスターがそう言うならば私としても依存はありませ。同席させていただきます」

よし、話はまとまった。店を探すとしましょうか!

「あー、それともう一つ、セイバーさん」
「なんですか?」
「そのマスターってのはなんというか……喫茶店や飲み屋の亭主みたいで……」
「気に入らないならばなんとでも変えますが」
「役職や敬称じゃなく……うん、名前なら好きに呼んでもらって構わない。どっちの方がいい」
「なら、ゴロウ、と。これでよろしいですか」
「フフッ」
「何かおかしかったですか?」
「いや、日本語は流暢だがしっかり外国の方なのだな、と」
「どういう意味なのでしょうか?」
「国が違えば相手をおどう呼ぶかや、発音なども違います。そういう意味です」
「そうですね、成程。納得しました。ふむ、ゴロウ……ゴロウですか」

呼び方が気に入ったのだろうか。名前に覚えでもあるのだろうか。
彼女が本当は何処の誰か、などは分からないが、五郎、などという名前には縁は無さそうに見えるが。
まあ、少し嬉しそうに見える彼女を見て、決して悪い気はしない。
悪い気はしないが、ああ、それにしても腹が減った。


404 : 名無しさん :2014/09/26(金) 23:00:19 BBANSqYM0
【クラス】セイバー

【真名】アルトリア

【パラメーター】
 筋力B 耐久B 敏捷C 魔力B 幸運A 宝具A++

【属性】
 秩序・善 

【クラススキル】
 対魔力:A
  A以下の魔術は全てキャンセル。
  事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない

 騎乗:A
  幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

【保有スキル】
 直感:A
  戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。
  研ぎ澄まされた第六感はもはや未来予知に近い。

 魔力放出:A
  武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせる。
  瞬間的に放出する事によって、能力を向上させる。

 カリスマ:B
  軍団を指揮する天性の才能。
  カリスマは稀有な才能で、一国の王としてはBランクで十分と言える。

【宝具】
『 風王結界(インビジブル・エア)』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜2 最大捕捉:1個
  セイバーの剣を幾重にも覆う風で光を屈折させて不可視とする宝具。
  基本的には有名すぎる後述の宝具に纏わせ、正体を隠すのにしようしている。
  他にも原作では解放することで風を攻撃に使用したり、暴風で拠点を覆い結界として使用された。


『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』
 ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
  人々の「こうであって欲しい」という想念が星の内部で結晶・精製された、最強の幻想(ラスト・ファンタズム)。
  神造兵器であり、聖剣というカテゴリーの中において頂点に立つ最強の聖剣。
  元々は星の触覚である精霊「湖の乙女」の手で管理されていたが、一時的にアーサー王に委ねられた。
  莫大な魔力と引き換えに強力な光と熱を帯びた斬撃を飛ばし放つ。
  相手は多分死ぬ。


『全て遠き理想郷(アヴァロン)』
 ランク:EX 種別:結界宝具 防御対象:1人
  『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』の鞘。
  本来失われた宝具であったが、セイバーの大事な人に埋まってたのを返してもらった。
  バラバラになってよく分からないバリアーを貼ってセイバーを異相次元に隠してくれる。
  あと持っているだけで不老になり傷もものすごい勢いで治癒してくれるとかなんとか。
  

【weapon】
『エクスカリバー』
  かの有名なアーサー王の剣。
  見られるとあっという間に身バレするので風王結界で隠している。
  宝具として真名を解放しなくても赤い弓兵がスッパリ斬れちゃうくらいにはよく斬れる。


【人物背景】
  かの聖杯戦争で有名な「Fate/stay night」のヒロインの一人。
  Fateルートのエンディングで夢の続きを願ったら聖杯に揚げ足を取られた。
 
【サーヴァントとしての願い】
  「英雄」としてマスターを守る。
  夢の続きを見たかったが……
 
【基本戦術、方針、運用法】
  一応魔力供給はされているので、エクスカリバーも連射とはいかないものの使えないことはない。
  神秘とは無縁のマスターを守るために他のマスターのバックアップを受けたいところ。


405 : 名無しさん :2014/09/26(金) 23:01:14 BBANSqYM0
【マスター】
 井之頭 五郎(いのがしら ごろう)

【参加方法】
 たまたま海外で月の石を発見、興味本位で購入した。

【マスターとしての願い】
 米を食べたいと強く願ったため呼ばれたが、食事さえ済んでしまえば多分そんなものは無い。

【weapon】
 無し

【能力・技能】
 海外の輸入品を取り扱うため、ある程度の審美眼がある。
 商談の交渉から経営、経理、倉庫の管理まで個人で執り行っている模様。
 また、嗜む程度に肉体を鍛えており、一般人ならば容易く制する程度には古武術が扱える。

【人物背景】
 漫画、「孤独のグルメ」の主人公。
 個人経営の輸入雑貨商を営むいつもスーツ姿のハードボイルドな中年。
 商売は上手くいっているようで、結構良い車に乗り、しかも度々乗り換えており、昼間から焼き肉食ったり、
 夜食にコンビニで2000円近く買い物していたり、経済状況からその手腕がうかがえる。
 基本的に物腰は柔らかく、周囲に合わせようとする良識人だが、半端に決断力があるのか結構思い切った行動にもでる。
 そし大体ほろ苦い思いをする。作中は基本一人のためボッチに見えるが、友人にお弁当のアドバイスを貰ったり、
 商談の相手に甘味所を紹介してもらったり、女優と付き合ったことがあったり、別に人間関係が苦手ということは無いと思われる。

【方針】
 飯を食う。


406 : ◆bi4ho.tYN. :2014/09/26(金) 23:02:09 BBANSqYM0
投下は以上です。ありがとうございました。


407 : ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:17:51 s8dX.iBQ0
皆様投下お疲れ様です!
二次二次聖杯の改稿となりますが、自分も二組投下させていただきますね。


408 : 凰鈴音&アサシン  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:19:24 s8dX.iBQ0


「どうしたの凰さん、また一組に用事?」
「え、えーと……用事ってほどのことでもないんだけど、あ、あはは」


 A組の生徒からの当然の問いを笑って誤魔化しながら、凰鈴音(ファン・リンイン)は自身に当惑していた。
 月海原学園の一年二組に転入してきてから、ここのところ毎日である。
 どうも放課後になるごとに隣のクラスを訪れるのが、体に染み付いた習慣になっているようだ。
 実際のところ一組には特に親しい友人がいるわけでもないので、そのたびに鈴音は気まずい思いをしている。


「おっかしいなぁ……誰に会いに来たんだっけ」


 茶色のツインテールの後ろで両手を組んで、中空に視線を泳がせながら、鈴音はぼんやりと廊下を歩いた。
 どうもこの学園に来てから、妙に噛み合わないことが続いているような気がする。

 この間も校庭で授業があるというのでウェアを着ていったら、みんなは体操服を着ていて笑われた。
 今考えてみれば、校庭で授業といえば体育に決まっているのだ。
 それなのになぜ間違えたのか……それと、あの体に密着するウェアは、何のために持っていたんだっけ?


「あーあ、せっかく猛勉強してこの学園に入ったっていうのに」


 自分のクラスに戻り、机に突っ伏したまま、更なる溜息をつきながら独り言をぼやく。
 そしてその独り言にまた違和感を感じて、鈴音は一層眉間の皺を深くした。

 確かに中三の頃から猛勉強した記憶はある。でもそれは、この学園に入るためだっただろうか。
 そもそもこの学園の編入試験とは、そこまでレベルの高いものだったろうか。

 どうもここ最近の記憶がぼんやりしている。
 まだ編入してからあまり日が経っていないはずなのに、試験の事が思い出せない。
 わざわざ中国から海を渡ってきてこれでは、いよいよ戻ってきた甲斐が――。


「――あれ? あたし、なんで日本に戻ってきたんだっけ……?」


 ……直感的に、それは気付いてはいけないことだったような気がした。
 気付きさえしなければこのまま、何も知らず、何も思い出さず、ただ平凡にこの学園で生きていけたかも知れない。
 この疑問は分水嶺だ。
 そして気付いてしまったからには、きっともう引き返せない。


 だって鈴音が日本に戻ってきた目的はただひとつ、ただひとりの少年のためで。
 なんで今まで忘れていたのだろう。わざわざ軍部に脅しを掛けてまで転入してきたのに。
 軍部? どこの? それを覚えていないことにも違和感があるが、今はそれどころじゃない。

 跳ね上がるように立ち上がるとその勢いで椅子がひっくり返り、級友の視線が一斉に集まったが、
 鈴音はそんなことなど歯牙にも掛けずに教室を飛び出し、さっき来た道のりを逆に進んだ。
 逸る心のままに一組に飛び込み、驚く生徒達の顔を見渡し、そして叫ぶ。


409 : 凰鈴音&アサシン  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:19:57 s8dX.iBQ0

「――っ、一夏!!」

 いない。いや、『いなくて当然なのだ』。
 おぼろげに、しかし着実に、実感が本来の記憶として沸き上がってくる。
 それから目を逸らすように、認めないように、鈴音は近くで目を丸くしていた少女を捕まえた。

「ねえ! 一組に、織斑一夏って男子いるでしょ? 今どこいるか知らない?」
「お、織斑……? そんな人、うちのクラスにはいないよ?」
「いないわけない! だってあたし、あいつに会うためにIS学園に……!」
「あいえす学園……? ここ、月海原学園だよ? 凰さんの前の学校の話?」
「っ……!!」
「……ねえ、凰さん大丈夫? 保健室まで、一緒についてってあげようか?」

 気遣わしげに手を貸そうとする彼女を振り払い、鈴音はキッとクラス中を睨みつけた。
 このクラスには一夏がいない。
 箒も、セシリアも、シャルロットも、ラウラもいない。
 ここは何処だ。
 この作り物の学校は何だ。どうして自分は、こんなハリボテの中で学園生活を……!

「……っ!? な、何……!?」

 突然手の甲に走った、焼けつくような痛み。
 目をやれば、刺青か焼き印のようにゆっくりと浮かび上がってくる、三画の印章。
 そしてそれが切っ掛けだとでもいうかのように、頭のなかに流れ込む自分のものではない知識。

 ムーンセル。
 英霊。
 サーヴァント。
 令呪。
 万能の願望器。
 

 ――聖杯戦争。



「凰さん!?」


 一組の生徒の制止の声も振り切って、鈴音は窓へ向かって走る。
 もどかしさを感じながら鍵を開け、そのままガラス戸を開け放って、空中に体を躍らせる。
 そして右腕を掲げ、その手首にはまった黒いブレスレットを見つめ、鈴音は叫んだ。


「――“甲龍(シェンロン)”!!!」


 量子展開されたパワードスーツ――第三世代インフィニット・ストラトス甲龍をその身に纏い、
 凰鈴音はあっけにとられるNPC達を置き去りにして月海原学園から姿を消した。



   ▼  ▼  ▼


410 : 凰鈴音&アサシン  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:21:00 s8dX.iBQ0


「――まあ結論から言っちゃうと、手違いっていうか、その、思い違いだったのよ」


 日は暮れて、夜。不気味なくらい大きく輝く月が、鈴音ともうひとりを照らす。

 もうひとり。その影は、奇妙なシルエットをしていた。
 年格好は鈴音と同じぐらいの少女のものだが、その両袖は引きずるくらいに長い。
 そしてその袖口からは、人間のものでは明らかにない、鋼鉄の鉤爪がはみ出していた。

 その影に向かって、鈴音は愚痴をこぼし続ける。

「あたしが知ってたのは、願いが叶う石、っていうウワサだけ。
 それもどんな願いでも叶うっていうからさ。その、恋愛成就とかでもいいのかなって思うじゃない?
 だからちょーっと、その、軍部を脅してみたりなんかして、手に入れたわけよ。
 そして意気揚々と願いを掛けてみたらこのザマだわ。殺し合いなんて聞いてないし、もう散々ね」
「聞いてると、マスターの自業自得じゃん」
「うるさいっ! それはあたしも分かってんの!」


 文字通り気炎を吐く勢いで噛み付く鈴音に、奇妙な影はまるで動じない。
 それどころか飄々とした態度で、マスターと呼ぶ鈴音のことをからかっていた。


「たぶんその『月の石』の入手場所とかが、生前のアタシ達と縁があったんだろうけどねー。
 でもさー、呼ばれて飛び出ていきなり愚痴られるのは、流石にアタシとしても釈然としないワケ」
「なによ、中国の英霊なら武将か何かが出てきなさいよ。なんでよりにもよって『キョンシー』なのよ」
「あーっ、キョンシー差別! そういうの、アタシ達すっごい傷つくんですけど!」


 憤慨する彼女の表情は、月光の下とはいえ、生者とは思えないほどに青い。
 青ざめている、ではなく、青いのだ。人の領域からはみ出した者である証明といえる色。
 彼女が大袈裟に動くたびに、額に貼られた「勅令陏身保命」の御札が揺れる。


「この際だから言っちゃうと、キョンシーだけじゃなくて『暗殺者』のサーヴァントっていうのも不本意なのよねー。
 なんていうか、あたしっぽくないっていうの? どうせ召喚するなら真っ向勝負の騎士クラスが良かったわ」
「暗殺者扱いが不本意なのはアタシ達の方だから! 確かに夜に蠢く闇の狩人だし? 暗器使うの得意だし?
 そもそも死人なんだから気配遮断なんてお手のものだし? でもさぁ、アサシンってキャラじゃなくないアタシ?」
「あーもーうるさい! そんだけ軽い英霊はアサシンじゃなくてもキャラじゃないわよ!」
「軽いとは失礼な! アタシ達、マジメに死人やってます!」


 ――暗殺者(アサシン)のサーヴァント。真名は『レイレイ』。


 生前は(正確には死後は?)ダークハンターとして闇の者を狩り続け、宇宙人や冥王とも戦ったそうだ。
 しかし彼女のテンションにはどうにも英雄っぽさがない。ついでに言うと、中国にいた頃もそんな伝説は聞いたことがない。
 もっとも表の歴史に名を残すアサシンがいるとしたら、そいつはろくなものではないだろうが。

 だが、こんな英霊に、自分がわざわざ頼る必要があるんだろうか?
 自分は代表候補生だ。血の滲むという言葉では足りないほど、努力に努力を重ねてきた。
 鈴音は思う。別に、コイツがいなくてもなんとかできるんじゃないだろうか?

「一応確認なんだけどさ、アンタほんとに強いわけ?」
「アサシンのサーヴァントに強いかって聞くのって、なーんか違うと思うんだけど」
「言っとくけど、あたしには甲龍があるの。もしも弱いんなら、別にアンタの手を借りなくても……」

 鈴音がそう言った瞬間、アサシンの姿が『消えた』。

 それが気配遮断でも霊体化でもなく、ただ『肉眼で追えない速度のダッシュ』だったことに鈴音が気付いた時には、
 アサシンは既に背後に回り込んでいて、その袖の鉤爪の一本を鈴音の肩に乗せていた。


411 : 凰鈴音&アサシン  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:21:31 s8dX.iBQ0

「――これはいちおー忠告なんだけどさ。マスターのそのアイエスとかシェンロンとかっていうのがどんなに強くても、
 ここではあくまで『すごい礼装』ってカンジだよ。サーヴァントはサーヴァントでしか倒せない、これ基本ね」

 アサシン、レイレイの言葉に、鈴音はただ頷くしか出来ない。
 おそらく予めISを展開していても、こちらの反応速度が間に合わなかっただろう。
 代表候補生としてのプライドが地に落ちた気分だが、聖杯戦争が自分の常識外の世界だというのは認めるしかなかった。


 鈴音はその場で、ぺたんと腰を落とした。

「……アンタよりも強い奴らが、この街にはいっぱいいるのね」
「んー、ま、そうなるかな。アタシ達も弱くはないって思うケド、なにせアサシンだからね」
「それで、あたしかアンタが負けたら……死んじゃうんだ」
「うん、そうだね」

 躊躇わないアサシンの返事に、鈴音の肩がぴくりと震える。
 
「……あたしは死ねない。死んでたまるもんですか。生きて一夏のところに帰るの。まだ伝えてないこと、いっぱいあるんだから」
「だったら、きっと戦うしかないよ。マスターの生きるっていう願いで、他のマスターの願いを蹴落としながらね」
「イヤな言い方するんじゃないわよ、性格悪いわね!」
「でも、そーゆーことでしょ? 死にたくないっていうのも願いだし」

 アサシンの言葉に、鈴音は言い返せない。
 実際、そのとおりなのだ。戦わなければ生き残れない。生きるためには、殺すしか。
 負けるのも、ナメられるのも、馬鹿にされるのも嫌いだ。死ぬのは、もっともっと嫌だ。
 それでも、相手の生命を奪って平然としていられるような神経はしていない。

「……とにかく、当分は『暗殺』させる気はないわ。アンタはあたしを守ることだけ考えなさい」
「当分、ねぇ。まあ、お姉ちゃんも『考える時間は必要』って言ってるし、まあいっか」

 アサシンは鉤爪の先で、姉が変身しているという額に貼られた御札をひらひらと動かしてみせた。

「ま、マスターが危なっかしくて見てらんないってのはアタシもお姉ちゃんと同意見だからね。力貸したげよっと」
「あたしが危なっかしいぃ!?」
「強がっちゃってー。アタシ達がいなかったら、怖くて泣いちゃうくらい心細いんじゃありませんかな?」
「ぐっ……! だ、だいたいアンタ、見たところ同じくらいの歳でしょ? あんまり上から物言うのやめなさいよ」
「あのね、アタシ達は転生した後も含めて三回死んでるの。まだ死んだことないマスターよりよっぽど先輩なんだから」
「さ、三回……!?」

 いよいよもって常識外だと呻く鈴音に、アサシンはふと真面目な顔をして口を開く。

「アタシ達は一回死んでキョンシーになって、一回死んで生まれ変わって、それから三度目の命でもまた戦った。
 だけどさ、マスターは一回死んだら終わりなんだから。生きたいって願いは、それだけ大事ってことだよ」

 そのひたむきな視線を前にして言葉に詰まった鈴音は、「そう思うなら頑張りなさいよ」と強がることしか出来なかった。
 それでも、暗殺者でキョンシーでこんな性格の困ったサーヴァントだけど、いてくれてよかったと、そう思った。

 腰を下ろしたまま、ふと、鈴音は空を見上げた。
 夜空に輝くあの大きな大きな月の中に、誰もが目指す聖杯があるという。
 『月と地球の聖杯大戦』――その言葉通りに地上から月を望み、鈴音は胸の中だけで、想い人へと言葉を送る。


(一夏……ねえ、一夏。あたし、ほんとはあの石に『一夏と両想いになりたい』って祈ったの。
 だけど、聖杯にはそんな願いは託さない。だって、聖杯で叶えたら、あたしのこれまでの想いが全部台無しになっちゃう。
 だからね、待ってて一夏……必ず戻るから。戻って、あたしの恋はあたしの力だけで叶えるから!)

 頭をぶんぶんと振って、そのまま勢い付けて立ち上がる。
 そうだ。たとえ命を奪う覚悟がないとしても、それは立ち止まる理由にはならない。
 とことんまで立ち向かってやる。あの場所へ帰ることだけは、絶対に諦めるわけにはいかない。
 それに……凰鈴音に、絶望という言葉は似合わないのだ。

 一瞬だけ驚いた顔をしたアサシンが鈴音の表情を覗き込んで、「そうこなくっちゃ」と笑った。


412 : 凰鈴音&アサシン  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:22:05 s8dX.iBQ0
【CLASS】アサシン

【真名】レイレイ@ヴァンパイアシリーズ

【パラメーター】
筋力C 耐久C 敏捷A 魔力B 幸運E 宝具C

【属性】
混沌・善


【クラススキル】
気配遮断:A
自身の気配を消す能力。
完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。


【保有スキル】
暗器収納術:A
地面に届くほど長い袖の中に、物理的に有り得ない質量の暗器を隠し持つ術。
アサシンはこの暗器を袖から取り出し投擲する戦術を得意とする。その際喪失した暗器は魔力によって補充可能。
またAランクでは、人間大までの大きさならば自身の暗器以外の物体も収納出来る。

投擲(暗器):B
暗器を投擲武器として放つ能力。
アサシンが隠し持てる武器であれば基本的に何でもこのスキルの対象となる。

闇の住人:B
ダークストーカーズ。人間界の理から外れた者達。
ランクが高いほど日光の下での行動が不得手となる反面、夜間の行動にボーナス修正が加わる。

仙術:C
中国に伝わる秘法。西洋魔術とは異なる神秘大系。
アサシンの攻撃への相手の耐魔力の効果は減少し、また魔力に影響を及ぼす行動での妨害は困難となる。



【宝具】

『地霊刀・勅令昇龍剣(ちれいとう・ちょくれいしょうりゅうけん)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1〜50 最大捕捉:20人
 両爪を地面に突き刺して霊力を流し込み、「来来剣神!」の詠唱とともに発動する宝具。
 レイレイを中心として、大地から無数の身の丈を超える剣が垂直に突き立ち範囲内の敵を攻撃する。
 最初に霊力を注入した時点で地霊刀の召喚は完了しており、本体を攻撃しても発動は止まらない。
 仙術スキルで相手の対魔力が有効に機能しないため地上の敵相手には強力だが、基本的に空中への攻撃は不可能。


『勅令陏身保命札・少鈴鈴(ちょくれいずいしんほめいさつ・しゃおりんりん)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人
 レイレイの姉・リンリンが姿を変えた霊符。普段はレイレイの帽子の額部分に張り付き、その能力を制御している。
 この宝具がレイレイの体から離れた場合、レイレイは気配遮断スキルを失い、同時にBランクの狂化スキルを獲得する。
 この狂化により全ステータスが1ランクずつ上昇し、更に消費魔力も相応に増加。いわば擬似バーサーカーと化す。
 その場合レイレイは暴走状態となるが、マスターがこの宝具を手に持っていれば『離猛魂(りもうこん)』の術により制御が可能。
 本来ならば狂化によって有効に使えないであろう暗器も、マスターの遠隔制御下であれば使用させることが出来る。
 
 なおリンリンは宝具の形を取ってレイレイに力を貸しているため人間の姿に戻ることは出来ないが、レイレイとは会話できるようだ。


413 : 凰鈴音&アサシン  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:22:31 s8dX.iBQ0

【weapon】
袖の中に隠し持つ大量の暗器。
鉤爪、斧、ナイフ、手裏剣、ハンマー、ブーメラン、苦無、分銅、鉄球など、明らかに袖の容量を越える武器を持つ。
変わったところでは相手の飛び道具を反射する音波を発する銅鑼『返響器』など。


【人物背景】
仙術により自ら人間を捨てたキョンシーの少女。享年16歳。
青い肌に中華服、引きずるほどに長い袖には大量の暗器を隠している。
なお、名前は漢字で少泪泪(シャオ・レイレイ)と書く。

中国の代々仙術を受け継ぐ少(シャオ)家に生まれるが、16歳の誕生日を目前にして村に闇の住人の大軍が襲来。
村と娘たちを守るため、彼女の仙術の師匠でもある母親は禁術「異形転身の術」により敵を撃退し、結果命を落とす。
この禁術を使用した人間の魂は死後も永遠に救われずに闇を彷徨い続けることとなってしまう。
レイレイと双子の姉リンリンは母の魂を救うため、自分達も救われないと知りながら自身に「異形転身の術」を使用。
人間の体を捨て闇の住人ダークストーカーとなって、母の安らぎのために闇の住人たちとの戦いに身を投じる。
最後の戦いを終え力尽きる姉妹であったが、救われた母の魂が彼女達を転生させるのであった。(〜ヴァンパイアハンター)

現代人として転生した二人は、前世の記憶を持たないまま幸せに育つ。
しかし16歳の誕生日に霊力を取り戻したことをきっかけに、冥王ジェダ・ドーマにより魔次元に召喚されてしまう。
前世の姿であるキョンシーの体を得たレイレイ達は、何も分からないままに脱出のため戦う。
最後は前世の母の魂が再び彼女達に力を貸し、二人は無事に元の世界に戻ることが出来たのだった。(〜ヴァンパイアセイヴァー)

なお、サーヴァントとして召喚されたレイレイは転生前と転生後、両方の記憶を持っている。


【サーヴァントとしての願い】
かつて母の魂を救い、また自らも転生して幸せに生きたので、聖杯に託す願いはない。
鈴音に召喚されたのは中国という土地による縁だが、「ほっとけないから」という理由で力を貸す。


【基本戦術、方針、運用法】
 闇の住人らしく夜間の行動を得意とするアサシン。
 多彩な暗器と広範囲を攻撃する宝具により、奇襲においてはかなりの実力を発揮する。
 あくまで暗殺者のクラスであるためステータスは中途半端だが、うまく術中に嵌めていこう。
 なお、もうひとつの宝具による擬似バーサーカー化はあくまで最後の切り札。
 使用はどうしてもアサシンで正面対決をさせなければならない時に限定するべきだろう。

 最大の不安要素は、このアサシンの理想的な運用法がマスターの性格や方針と噛み合わないことである。


414 : 凰鈴音&アサシン  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:23:02 s8dX.iBQ0
【マスター】
凰鈴音@IS〈インフィニット・ストラトス〉


【参加方法】
中国軍部を経由して入手した『月の石』を使用。
しかし聖杯戦争の詳細は知らなかったため、脱出不能のデスゲームに困惑している。


【マスターとしての願い】
生還ただひとつ。
一夏と両想いになりたいという願いはあるが、万能の聖杯で叶ってしまうことはむしろ恐れている。


【weapon】
「第三世代IS(インフィニット・ストラトス)“甲龍”」
任意で量子展開できる一種のパワードスーツで、飛行能力とバリアーを有し、不可視の衝撃弾と巨大な半月刀を武器とする。
マスター個人の礼装としては十二分に強力なのだが、流石に英霊たるサーヴァントとの戦闘は困難。


【能力・技能】
高いISへの適性を持ち、軍部である程度の訓練は受けているが、基本的には一般人。
マスター適性も本来は一般人レベルのはずだが、魔力パスがISコアを介して繋がっているため、
ブラックボックスである動力部からある程度の魔力が供給されている状態のようだ。


【人物背景】
IS学園一年生で、中国出身の代表候補生。
小柄な体格にツインテール、八重歯がチャームポイントの可愛らしい外見。
しかし外見に反して気性が激しくキレやすく、また思ったことをまっすぐ口にするサバサバした性格。
ただし思いを寄せる織斑一夏に対してだけは不器用な意思表現しか出来ないでいる。
なお中学三年からわずか一年で中国代表候補生へと上り詰めた、人並み外れた努力家である。

日本で暮らしていた頃に想いを寄せていた一夏に会いに行くため、半ば軍部を脅す形でIS学園に編入。
念願の学園生活をスタートするが、他のヒロインの登場や数々のアクシデントにより想いは届かないまま。
不遇ヒロインの道をひた走りながらも、健気に一途なアプローチを続けている。

特技は料理。実家が料理店だったため中華が専門だが、それ以外も見た目はともかく味としては十分なものが作れる。


【方針】
死ぬのは御免だし舐められるのは性に合わない。やられたらやり返す。
しかしアサシンのクラスは専守防衛よりも攻め込む方に特化しているため、どこかで「決断」しないといけないとは思っている。


415 : ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:23:36 s8dX.iBQ0
アサシン組の投下完了しました。
続いてバーサーカー組、投下させていただきますね。


416 : ルナティック&バーサーカー  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:24:32 s8dX.iBQ0


 ――曰く、“狂気(Lunatic)”の語源は“月(Luna)”であるという。



「社会にはその社会にふさわしい法があり、それは最もふさわしい正義によって運用されるべきだ」


 仮初の世界を見下ろす形で立ち並ぶ高層ビルの屋上に、下界を睥睨する影が一つ。
 しかしその姿は奇妙という他なかった。たなびくマントに包まれるは、白・青・緑の全身に密着したスーツ。
 まるでコミックブックから抜け出してきたかのようなその姿。
 しかしその顔を覆う仮面には不気味な表情と手形のマークが描かれ、とても『ヒーロー』のそれとは思えなかった。


 ――男の名はユーリ・ペトロフ。この姿においては、『ルナティック』の名で知られている。


 表の顔は都市シュテルンビルトのヒーロー審査官兼裁判官。
 しかしその真の姿は、闇から闇へと暗躍し悪人を己の正義で処刑する、謎の怪人。
 HERO TVのヒーロー達とは別の正義によって動く、ヒーローであり殺人者であった。

 そんな彼が、願いを叶えるという「月の石」の噂を耳にしたのは限りなく偶然に近い。
 その日処刑した罪人の一人が、そんな根も葉もない与太話としか聞こえない世迷言を口にしただけだ。
 命乞いの取引として罪人が震える手で手渡した、そのただの石ころにしか見えないガラクタは受け取り、
 それはそれとしてその罪人はその場で消し炭にして、それですべては片付いたはずだった。

 しかし頭のどこかで引っかかっていた。万能の願望機。あらゆる願いを叶える聖杯。
 だから調査した。月。ムーンセル。そして、聖杯戦争。
 やはり馬鹿げている、というのが最初の印象だった。しかし、それがもし本当だったら?
 あの罪人が、青の炎で焼かれることなく月へと導かれ、まかり間違って万能の聖杯を手にしていたら?
 あの男でなくてもいい。何らかの邪な願いを掲げ、聖杯戦争へ挑む輩がいるとしたら――。

 与太話なら無駄骨を折るだけで済む。真実ならば、それは『ルナティック』が命を懸けるに値する。
 もはや行動しない理由は、なかった。



 そして、今。

 何もかも忘れてこの街の裁判官としての生活を送り、しかし記憶を取り戻しこうしてヒーロースーツに身を包んだ彼は、
 おそらく何十人ものマスターやサーヴァントが存在するであろう街を見下ろし、考える。


417 : ルナティック&バーサーカー  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:24:57 s8dX.iBQ0
(本来ならば、私が為すべきは悪の断罪。殺人者を探し出し、自らの手で裁きを与えること。
 つまり聖杯戦争に加担するすべての存在の排除。この殺人儀式に関わったあらゆる罪人の断罪……)

 そう内心で呟きながらも、それは「違う」とルナティックは確信していた。

(違う。そう、違うのだ。それは私の、『シュテルンビルトにおける正義』に過ぎん。
 月には『月の法』があり、ゆえに『月における私の正義』を掲げねばならない)

 記憶を取り戻し、ルナティックとしての使命を思い出し、ジレンマに煩悶しながらも導きだした、それが結論だった。
 そしてユーリ・ペトロフの、怪人ルナティックの、タナトスの代行者としての、正義とは。

(私がこの世界へと足を踏み入れたのは、これが悪しき願いを叶えようとする者の手に渡るのを防ぐためだ。
 ならば、それを裏返せば、聖杯は正しき願いを叶える者の手に渡らねばならない。
 そのための儀式こそが聖杯戦争。そしてそれを正しく運行するのが『月の法』。ならば――)

 ルナティックは、新たに獲得した知識から「監督役」と「ルーラー」の存在を想起する。
 本来ならば、彼女達こそが正しい法の執行者となるべき存在なのだろう。しかし、だ。

(公平にあらゆるマスターの存在を許す『監督役』も『ルーラー』も、正しき執行者とは呼べん。
 悪しき願いを掲げる者は断罪する。願いなき力を振るう者は処断する。それが月の法、それが月の正義!)

 ルナティックの仮面の両目に、青い炎が燃え上がる。

(そして、正しき願いを妨げる者……この聖杯戦争を下らぬ殺し合いと断じ、願いを無自覚に踏み躙る者。
 それもまたこの世界においては悪だ。己を悪と自覚せぬ邪悪だ。このルナティックが裁くべき者だ)

 正義の執行者として、ユーリ・ペトロフが己に課した使命。
 それは、無能なる監督役やルーラーに代わり、ルナティック自身が聖杯戦争を正しい形で取り仕切ることだ。
 純粋なる願いを持つ者だけが生き残り、互いの存在を懸けて戦うならばそれも良し。
 すべてが邪悪な願いだとすれば、ルナティック自身が勝者となって腐った社会を救済するまでだ。




「――バーサーカー。感じるか、この街に潜む『邪悪のにおい』を」


 ルナティックは己のサーヴァントに呼び掛ける。

 呼びかけに応えるように実体化した『それ』は、遠目には少年のような姿に見えた。
 しかしその肌は青い硬質に覆われ、額には謎の触角機関が出現し、振り乱す髪もまた青い。
 彼は人間であって人間でない。秘密結社によって開発された、生物兵器なのだから。

 ルナティックは自らが召喚したサーヴァントに満足していた。
 理性を持たぬバーサーカーながら、己の法に従って邪悪と判断する者を排除するその在り方。
 そして、その内に秘められた「正義」……それは自分にとって大きな力となるだろうと確信していた。

 バーサーカーが、独特の唸り声をあげる。


418 : ルナティック&バーサーカー  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:25:26 s8dX.iBQ0

「……バル」

 そう。

「バル、バル」

 これが!

「バルバル、バル」

 これが!

「バルバルバルバルバル」

 これがッ!

「バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル!!」

 こ れ が 『 バ オ ー 』 だ ッ !

「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォム!」


 そ い つ に 触 れ る こ と は 死 を 意 味 す る !


「ゆくぞバーサーカー! この街の腐った罪人達にとって、我々は脅威の『来訪者』となるだろう!」


 ふたつの影が、ビルの屋上から跳躍する。
 行く先は闇の中……そして『狂気』を孕む『月』の光の中。


「さあ、魔術師どもよ――タナトスの声を聞け!」



【CLASS】
バーサーカー
【真名】
バオー(橋沢育郎)@バオー来訪者

【パラメーター】
筋力A 耐久B 敏捷A+ 魔力C 幸運C 宝具B


【属性】
混沌・狂 

【クラススキル】
狂化:B
「狂戦士」のクラス特性。理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
Bランクだと全能力が上昇するが、理性の大半を奪われる。
またバオーはこのスキルの影響で人間態へと戻ることができない。

【保有スキル】
変化:E-
人間から戦闘形態へと変化するスキル。
狂化の影響で武装現象を解除できず事実上失われているが、令呪を用いればその限りではない。

気配感知:A+
気配を感じ取ることで、効果範囲内の状況・環境を認識する。
バオーは範囲内の「感情のにおい」を読み取り、敵味方の判断すら可能。

自己再生:B
通常の自然治癒を遥かに超える再生力。
Bランクでは切断された四肢を繋ぎ合わせて元通りにすることも可能。

戦闘本能:A
宝具によって付加された、狂化していながら的確な戦闘判断を可能とする特殊スキル(後述)。


419 : ルナティック&バーサーカー  ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:25:47 s8dX.iBQ0

【宝具】
『武装現象(アームド・フェノメノン)』
ランク:C 種別:対人法具 レンジ:- 最大補足:1人
 生物兵器バオーが宿主と自分自身を守るため、肉体を変質・強化させる現象。
 発動中は各パラメータおよびスキルのランクに上昇修正が加わり、各種戦闘能力を得る。
 さらに、特殊スキル「戦闘本能」をAランクで獲得する。
 このスキルを所持している限り、バオーは「理性」ではなく「本能」で高度な戦術判断が可能となる。
 あくまで生物兵器バオーの本能に従うとはいえ、これにより狂化の「理性の大半を奪われる」デメリットは相殺される。
 なお、バオーは狂化の影響によりこの宝具を解除することができない。
 そのため各ステータスのパラメータは武装現象発現時のものとなっている。

『その名は来訪者(ハシザワイクロウ)』
ランク:B 種別:対人法具 レンジ:- 最大補足:1人
 バオーの肉体に眠る、育郎の自我であり魂こそが「来訪者」の真の宝具。
 以下の条件が満たされた時、バオーの「本能」と育郎の「理性」が同時に発現する。
 《1:激しい戦闘の中など、肉体にアドレナリンが極限まで分泌された状態であること》
 《2:育郎の理性と、戦闘兵器バオーの本能が一致した状態であること》
 《3:何かを「守る」「助ける」「悪に立ち向かう」など、育郎にとって正義と呼べる行動であること》
 発動時はバオーの両目に「瞳」が出現し、狂化のデメリットは言語能力の喪失と膨大な魔力消費のみとなる。
 のちの「黄金の精神」へと繋がってゆく気高き人間の「生命への讃歌」。



【weapon】
各種武装現象(アームドフェノメノン)が武器。
バオーはバーサーカーでありながら、「戦闘本能」スキルにより臨機応変に使い分けることが可能。


【人物背景】
「橋沢育郎」は、研究機関ドレスの実験体として寄生虫バオーを寄生させられた少年である。
 家族とともにドライブ旅行中に交通事故にあい、仮死体としてドレスに拉致され、仮死状態で研究所に移送される途中、
 偶然予知能力を持つ少女スミレによって目覚め、以降スミレと共に「ドレス」の刺客から追われることとなる。
 真面目で物静かだが、強い正義感と黄金の精神を持ち、最終的にバオーの力を制御下に置くまで至る。

「バオー」は、育郎に寄生した寄生虫バオーが育郎の体を「武装現象」により変質させた生物兵器である。
 宿主の危機に対応して武装現象が発現、様々な特殊能力により嫌いな「感情のにおい」を発する者を葬り去る。
 しかしその力は日々人間的に成長し、やがて育郎とバオーは同一の存在、脅威の来訪者となっていくのだ。


【サーヴァントとしての願い】
不明。

【基本戦術、方針、運用法】
理性を喪失しながらも高度な判断が可能なバーサーカー。
さらに一定の条件を満たすことにより、原作終盤の脅威の来訪者として覚醒する。
正面から切り込ませるだけでも十二分に活躍が可能だが、ネックはやはり多大な魔力消費。
通常の狂戦士よりも遥かに柔軟に戦えることを考慮し、逆に力押しを避けるのも手か。



【マスター】
ルナティック(ユーリ・ペトロフ)@TIGER & BUNNY

【参加方法】
 自ら月の石を見つけ出し、自身の意思で参加。

【マスターとしての願い】
 悪が正しく裁きを受ける世界。

【weapon】
 炎の矢を射出可能なクロスボウ。
 また戦闘時はルナティックとしてのヒーロースーツを身に纏う。

【能力・技能】
 「青い炎を放つ」NEXT能力。
 単純に焼き払うだけでなく、炎の矢の射出、また噴射しての飛行など能力は非常に強力かつ多彩。
 とはいえ、実体化したバーサーカーに魔力供給しながらの能力使用にはかなりの制限が加わるだろう。

【人物背景】
 シュテルンビルトの法務局ヒーロー審査官兼裁判官。
 その裏の顔は、悪人を青い炎で処刑していく謎のダークヒーローである。
 独自の正義感に則り行動する彼は、ヒーローたちにとって敵でも味方でもある存在。
 しかし、伝説のヒーローだった父を自らの手で殺害した過去は今なお彼を苦しめている。
 決め台詞は「タナトスの声を聞け」。


【方針】
 自らが見出した「月の法」に従い、聖杯戦争を正しく運行する。
 生き残らせるべきは「正しい願いを持つ者」、「あくまで戦う意思を持たない弱者」。
 裁きを与えるべきは「邪悪な願いを持つ者」、「願いもないのに力を振るう者」、
 そして「殺し合いを止め、聖杯戦争を妨害することで他人の願いを破壊する悪」である。
 なお聖杯大戦はチーム戦ではあるが、ルナティックは味方であろうとこの法の適応外とするつもりはない。


420 : ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/26(金) 23:26:18 s8dX.iBQ0
二組目の投下も完了しました。


421 : ◆UUn.BEaX4M :2014/09/26(金) 23:37:57 cfTbe6BE0
投下します。


422 : ◆UUn.BEaX4M :2014/09/26(金) 23:38:32 cfTbe6BE0
 燃える……燃える……国が燃える――――――

 燃える……燃える……家が燃える――――――

 男が、女が、老人が、子供が、木材が、鉄が、国土が。生物と無機物が一緒くたに焼ける臭いが絶えず鼻腔を刺激し、熱波が肌を伝っていく。

 父が、母が、長年住んだ家が消し炭と化していく。目の前の光景を自分が着けた火が起こしたのかと思うと、興奮のあまり達してしまいそうだった。


 男たちは、半世紀近い年月を隔てているにもかかわらず、赤黒い炎が起こす熱と臭いに同種の高揚感を味わっていた。

 ■  ■  ■

 野球場。それは文字通り野球をするための場所である。
 時々は他のイベントの為に使用されることもあるが、それでも主な用途が野球なのは変わらない。
 この冬木市をベースにして作られた街にも、一つの野球場がある。
 ドーム球場ほど大型な物ではなく、両翼が百メートルにも満たない、どこにでもある地方球場である。
 そして、今この球場には四つの影があった。
 中心であるマウンドには男が仁王立ちしており、その周囲を三体の生物が取り囲んでいる。
 男の正面では六メートルを超える大蛇が身を起こし、真下の獲物を見下ろしていた。
 並外れた巨体のせいもあるが紫色の体表と口元から覗かせる真紅の舌、そして金色に光る爬虫類独特の無機質目がより一層見るものの恐怖を煽り立ててくる。
 右側である一塁側に目をやれば、そこには三メートル近い巨体を誇るサイが、全身を覆うメタリックな装甲に月明かりをギラギラと反射させていた。
 サイが二足歩行しているだけでも驚くべきことだが、時折苛立たしげに起こす地響きを感じれば、そのような疑問は吹き飛んでしまうだろう。
 更に上空では赤紫色のエイがゆらりと旋回しながらこちらをうかがっている。
 時折その身が男と重なるせいで、まるで切れかけの蛍光灯のような明滅が男を照らす。
 猛獣どころか怪物と形容したほうが的確な三匹の生物に囲まれ、一歩でも逃げようものなら今にも襲われ喰い散らかれそうな現状。
 お手本のような絶体絶命である。
 常人にとっては、の話だが。

「……」

 周囲を怪物に取り囲まれた男は、笑っていた。
 それは決して恐怖に引きつった笑みではない。
 まるで新しい玩具を見つけた子供のように歯を剥き出しにした口元と、獲物を見つけた猛禽類のように鋭い目つき。
 明らかにこの状況を楽しんでいる。
 男の表情が異常なものであると感じ取っているからこそ、彼の周りの怪物たちは動かないのだ。
 だが、いつまでも膠着状態を続けられるほど、気長でもない。
 何よりも彼らには我慢できない理由もある。
 それは食欲。生物ならば決して避けて通れない本能。
 加えて獲物は一匹しか居らず、空腹を満たせるのは一体だけとなれば、悠長にしてはいられない。
 故に、まずは空中をゆったりと遊泳していたエイが急に速度を上げながら弧を描き、男目掛けて突進を開始し、口火を切った。
 完全な不意打ちだった。エイが人語を喋られるならば「もらった!」とでも口にしていただろう。


423 : ◆UUn.BEaX4M :2014/09/26(金) 23:39:37 cfTbe6BE0
 しかし、男はふわっと後ろに跳ぶとあっさりエイの突撃を避け、

「エイの分際で空を飛ぶなッ!」

 あまつさえ正面に降下してきた瞬間に右の拳を思いっきり叩き込んできた。
 予想だにしない一撃を無防備な背中に叩き込まれたエイは、勢いのままにマウンド上のプレートに衝突。
 衝撃で土埃が起こり、そのまま激痛にのたうち回りそうになるエイは、その前に尾の違和感に気付く。
 状況を認識したときにはすでに手遅れだった。
 その時点で男はエイの尾を掴み、持ち上げようとしていたのだから。
 通常ならあり得ない事態に混乱したエイは思わず身を固くしたが、これがよくなかった。

「ウム、それでいい」

 一言発した男は、エイを垂直に持ち上げると右足をフラミンゴのように上げていく。
 ピタリと九十度に上げられて形作られたフォームは、大半の日本人は知っていると思われる伝説の一本足打法そのもの。
 向けられる男の眼光の先には、エイから一足遅れながらも間近に迫るサイの姿があった。
 迫り来る巨体が一歩踏み出すたびに地響きが鳴るが、男の体は一本足のまま身じろぎもしない。
 そして、鋭い風切り音と共にバット代わりにされたエイが振り抜かれ、鈍い金属音と二匹の怪物の悲鳴、更に火花が球場に散った。
 相手がよろめいた隙を逃さず、男は今度は逆方向にエイを振るう。
 二度、三度、四度、五度。繰り返されるたびに火花が散り、サイの巨体が仰け反る。

「さっさと……倒れんかァ!!」

 いくど目かのこん身の一撃を受け、遂にサイの体が大きくグラリと揺れると、そのまま横倒れしていった。
 敵の沈黙を確認すると、男はもう用はないとばかりに手に持つエイから手を放す。
 こちらも得物代わりに散々に振り回されたせいか、地面に放り捨てられてもピクピクと身じろぎするだけだった。

「あとは貴様だけか?」

 二匹の怪物を黙らせた男は、軽く手の汚れを打ち払うと残る大蛇へと目を向けた。
 目の前で同類が倒されていく姿を見せつけられた蛇は、しかし少しも怯む様子は見られず、むしろ益々身を起こし男を威嚇していた。
 次の瞬間には両者共に相手へと飛びかかろうかという間際、

「待て!」

 新たな男の声が球場に響いた。
 男と蛇の目が声の発生源――――三塁側ベンチに向けられる。 

「ふん、手下のふがいなさに業を煮やしたか? バーサーカーよ」

 ちょうどグラウンドに足を踏み入れてきた自らのサーヴァントに、男は嘲り半分の笑みを浮かべる。
 バーサーカーと呼ばれた男は、返事はせずにつかつかと男の元に歩み寄っていく。
 ボサボサの金髪にヘビ柄のジャケットを纏った格好は、漆黒のスーツを着ている男とは対照的な姿だった。
 そして、僅か数メートルの距離まで近づいたところで両者は対峙する。

「ハハッ、やるなぁお前。こいつらと生身で張り合う奴なんて初めて見たぜ」
「生憎とデカブツの相手には慣れておってな」

 男の周りで倒れている二匹を目の端に捉えながら、バーサーカーは笑う。

「それで……まだワシに従うのは不満か?」
「ああ、俺は誰にも従わない。イライラするからな」

 そう。今更だが男が三匹の怪物に囲まれていた原因はバーサーカーにある。


424 : ◆UUn.BEaX4M :2014/09/26(金) 23:42:30 cfTbe6BE0
 召喚された直後、彼は自らのマスターに配下であるモンスターたちを差し向けたのだ。
 単独行動のスキルを持つ彼からすれば、マスターなど邪魔者以外の何ものでもなかった。
 邪魔者を処理したあとは適当にNPCから魂食いをしながら戦うつもりだったのだが、結果はご覧の通りである。

「どうして令呪を使わなかった? それを使えばお前が戦う必要なんてなかっただろう」
「下らん。こんなものに頼らねば亡霊一匹も言いなりにできぬ輩にどのみち先などないわ。
 貴様こそこれを使われる危険性を知りながらなぜワシを襲った」
「同じだ。そんなものに頼る奴に従うぐらいなら、さっさと消えたほうがマシだろ」
「なるほど。ならば、これからどうする。まだやるというならワシは一向に構わんが」
「そうだな……」

 ひとつ間を置くと、バーサーカーはおもむろにズボンのポケットに手を入れ、

「なら、あんたがこれを喰うなら、一緒に戦ってやってもいい」

 ニヤニヤと笑いながら、取りだした物を相手の鼻先に突きつけた。
 その手に握られていたのは――――バーサーカーの手中でじたばたと暴れるトカゲだった。
 恐らく男が戦っている間に捕まえてきたのだろう。
 そして、いくらなんでもこれはできないだろうと完全に相手を侮っている。

「要らんならそっちも寄越せ」

 しかし、次の瞬間にはトカゲの前部はちぎり取られ、男の口内に消えていた。
 もぐもぐと口を動かす男と、後部の断面から溢れる体液で汚れる自分の手をしばし見つめたバーサーカーは、自分も残されたトカゲを口に放り込んだ。

「ハッ……ハハハハハハハハハハハッ!! お前は本当に面白いな! いいぜ、約束だ。一緒に戦ってやるよ」
「最初からそう言え。して、バーサーカーよ。お前は聖杯に何を願う」

 狂ったかのように笑い続けるバーサーカーを意に返さず、男は問い掛けた。

「決まってるだろう。俺はずっと戦いたいんだ。そうしないとイライラするからな」
「自分から修羅道に墜ちたがるか。まあ、狂戦士にはふさわしいのかもしれんな」
「そういうお前はどうしたいんだ?」
「それこそ決まっておるわ」

 そう言うと男は先ほどのバーサーカーと同じようにポケットに手を入れ、中にある物を取りだした。
 取り出されたのは、麻雀にて使われる牌のひとつである一筒(イーピン)だった。

「聖杯なぞに用はない。それよりも偶然にしろ何にしろ、こんなものを使いワシをこんな下らない催しに巻き込んだ連中に身の程を教え込んでやるのよ」

 男の宣言に対し、バーサーカーは益々楽しげに笑みを深める。

「いいな。あの黒いのや白いのとも戦うのか。そのときは俺も混ぜろよ」
「当たり前のことをいちいち言うな。今のところ貴様はこの場での唯一の手駒。精々働いて貰うぞ」
「任せろよ……ああ、そういえば、お前名前は?」

 ここでようやく、二人はまだ名乗っていないと気付いた。 

「鷲巣。鷲巣巌」
「浅倉威だ」

 それで終り。
 互いに名乗り終わると、二人の狂人は黙って球場の出口に足を向けた。


425 : 鷲巣巌&バーサーカー  ◆UUn.BEaX4M :2014/09/26(金) 23:43:06 cfTbe6BE0
【クラス】バーサーカー
【真名】浅倉威@仮面ライダー龍騎

【パラメーター】
 筋力:D 耐久:D 敏捷:E 魔力:E 幸運:C 宝具:C

【属性】
 混沌・悪

【クラススキル】
 狂化:D
 筋力と耐久のスキルをワンランクアップさせる。
 本来なら理性を奪われるが、バーサーカーは元から理性を残しながら狂っているので効果はない。

【保有スキル】

 悪食:A
 生前あらゆるものを食して生き延びた伝承に由来するスキル。
 何を食べても魂喰いを行ったときと同量の魔力を回復できる。

 イライラ:A
 もはや呪いともいえるバーサーカーが生まれつき抱える衝動。
 戦っている間だけこのスキルの効果は弱まる。

 戦闘続行:B
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

 単独行動:D
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクDならば、マスターを失っても半日間は現界可能。

【宝具】

『怪物の王(王蛇のデッキ)』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:− 最大補足:一人
 筋力:B 耐久:B 敏捷:C 魔力:D 幸運:C 宝具:C
 カードデッキを使い仮面ライダー王蛇に変身する。
 戦闘方法は主にデッキに差し込んだSTRIKE VENTのカードなどで呼び出した剣や鞭を使っての格闘戦。
 必殺技であるFINAL VENTは他の仮面ライダーが一枚しかないにも関わらず、三体のミラーモンスターと契約した彼は三枚のFINAL VENTのカードを有する。
 更に契約モンスターたちを合体させて出現させるジェノサイダーの物も合わせて、合計で四種類の切り札を持つ。

【weapon】
『カードデッキ』
 仮面ライダー王蛇に変身するためのカードデッキ。
 反射物にかざすことで腰部にベルトが出現し、中央部にデッキをセットすることで変身する。
 契約モンスターはベノスネーカー、エビルダイバー、メタルゲラスの三体。
 モンスターたちは基本的に浅倉から供給される魔力をエネルギー源としている。

【人物背景】
 仮面ライダー同士のバトルロワイヤルであるライダーバトルの参加者の一人。
 主催者である神崎士郎が戦いを活性化させるために参加させたので、通常は一枚しかないCONTACTのカードを三枚与えられるなど優遇措置を受けている。
 イライラするからという他者からは理解しがたい理由で実の家族を含めた何人もの人間を殺してきた殺人犯。
 幼少時から常に暴力と隣り合わせの生活をしてきた為に、「殴るか殴られるか」の暴力に身を置いていないと生きていけない体質。
 その一方で、騙し討ち・近くにいた奴をとっさに壁にする・変身ポーズ中に鉄パイプで奇襲などこの手のキャラでは珍しく頭も非常に回る。

【サーヴァントとしての願い】
 永遠に続く戦い。


【マスター】鷲巣巌@ワシズ――閻魔の闘牌
【参加方法】月の石で作られた麻雀牌(一筒)に触れたため。
【マスターとしての願い】
 聖杯で叶える願いはない。主催者に身の程を教え込む。

【weapon】
 なし。強いてあげるならばその肉体と豪運が最大の武器。

【能力・技能】

 豪運
 人類としては最高ランクに位置する幸運。
 契約したサーヴァントの幸運を2ランクアップさせる。

 カリスマ
 その豪腕と豪運で道を切り開く姿は良くも悪くも周囲の人間を惹き付け、あるいは畏怖させる。

【人物背景】
『アカギ』においての赤木しげるの宿敵にして『ワシズ――閻魔の闘牌』の主人公。ワシズでの年齢は五十代後半。
 戦前は帝大を主席で卒業し、特高警察に所属する警察官僚だったが、ミッドウェー海戦での敗北を機に日本の敗戦を予見し太平洋戦争中に退職。
 戦後は経営コンサルタント会社「共生」を設立し、巨財を築き上げていく。
 本編においてはとてもアカギでの彼とは同一人物とは思えない筋骨隆々の肉体を誇り、時には米兵、時には巨大亀、時には巨大ロボットとも戦ったりする。(麻雀漫画の話です)
 性格は天上天下唯我独尊そのものであり、自分に敵対するものは徹底的に打ち負かす。
 付け加えるならば上流階級の嗜みとして絶対音感を持っており、東洋医学の経絡の知識で自らの三半規管の内二つを破壊するなど様々な知識に精通している。
 ちなみにアカギでは閻魔大王と戦ったりもしている。(麻雀漫画の話です)


426 : ◆UUn.BEaX4M :2014/09/26(金) 23:43:27 cfTbe6BE0
投下終了です


427 : ◆rhFJh.Bm02 :2014/09/26(金) 23:56:59 y9vP8M2Q0
もう少しで完成するのですが時間オーバーはやっぱり駄目ですか?
駄目でしたら申し訳ございません。


428 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 00:06:29 NpPke/6wO
皆様投下お疲れ様です

申し訳ありませんが、投下作を現在じっくり検討できない&最後の投下作がまだ完成していないので締め切りを少しだけ延長させて頂きます
誠意のない対応で申し訳ありません
最後の投下作自体は土曜日内に完成させるので、締め切りは土曜日の18:00までにするつもりです

完全に滑り込みになってしまうことのお詫びと、ここまでの投下数から検討して参戦枠を1枠程度増やすことを検討しています

>>527
そういうわけなので18:00までに投下するのなら問題ありません


429 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/27(土) 01:32:24 CElZ3zmY0
ありがとうございます。
投下します


430 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/27(土) 01:33:47 CElZ3zmY0


高台に立つ公園が夕焼けの光で茜色に染まる。
ほかに誰もいないその公園に少年たちはいた。
青いパーカーを着た黒髪の少年と茶色がかった髪にまだ幼さを残したフード付のコートのような服を羽織った少年。
彼らは何を語るわけでもなく、ただ沈み行く夕日を見ていた。
やがてポツリと、パーカーを着た少年が声を漏らした。

「夕日の色はどの世界も変らねえんだな」
「そうだな。まったく違う世界に行っても、空の青さも夕日の美しさも、月の輝きもどの世界でも変らない」

返事を返した少年を振り向くことなく、夕日を見ながら言葉を続けた。

「ずっとさ、帰りたいって思ってたんだ。いきなり分けのわからない世界に呼ばれたと思ったら使い魔にされて犬呼ばわりされて、ふざけんなって思ったことも一度じゃなかった」

本当なら、いつものように学校に行ってダチと遊んで、テストにうんざりしながら家に帰って、母さんのハンバーグ食べて―――
そんな日常を繰り返すんだと思ってた。
そんな日々が突然終わって、帰れなくなって。
それでも必死にその世界で生きてきた。

「元の世界に帰りたいのか?」
「もちろん帰りてえさ」
「じゃあそれが聖杯に託す願い?」
「いや…」

そう言って空を仰ぐ少年―――平賀才人は、桃色の髪の主人を想う。
ここに来る前、アルビオンで七万の兵を相手に戦う前、金髪のいけ好かない男との会話を思い出した。

「言っちまったからなあ」 
「何を?」 
「好きだって、言っちまった」 
「あっはっは!直球だなサイトは!」 
「いや、好きな女のためというよりは自分のためのような気がする」 
「よかったらその意味を教えてくれ」 
「ここで行かなかったら、好きって言ったその言葉が嘘になるような気がするんだよ。
自分の言葉が嘘になるのは許せない。自分の気持ちが、嘘になるのはたまらない
俺、おかしいこと言ってるか?」 
「そうだな、まあ普通の人ならきっと怒るだろうけど」 
「うん」 
「その考えかたはとってもサイトらしいと思うよ」 
「褒めてんのか?それ」
「もちろん」 

そしてサイトは立ち上がり、一歩進んだ。


431 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/27(土) 01:36:19 CElZ3zmY0



「だから俺はハルケドニアに戻らねえといけねえ。このままじゃあいつ―――ルイスが、殿引き受けて死んじまう。そんな事絶対させねえ!」
「俺の力を使えば、もしかしらサイトの世界に帰れるかもしれない。それでもか?」

パートナーの最後の問いかけに首肯でかえす。
その決意は固いと理解し、ならば自分はそんなマスターを死なさないようにしなければならない。
この自分と良く似た境遇のマスターの為に、力になろうと決意する。
「誓約者」としてでなく、ただの新堂勇人として!

「おーい相棒、いい加減帰ろうぜー!」
「ハヤト、そろそろご飯だよ!」

帰りが遅い自分たちを心配し迎えに来た相棒たち。
インテリジェンスソード、「デルフリンガー」
御界召喚師、「キール・セルボルト」
この四人ならどんな苦難も切り抜けられる。
そんな根拠の無い、けれど確固とした想いを胸に抱いて。

「行こう、サイト!」
「おう、ハヤト!」



【クラス】
セイバー

【真名】
新堂勇人@サモンナイトシリーズ

【マスター】
平賀才人

【属性】
秩序・善

【ステータス】
筋力:A+ 耐久:B+ 敏捷:B 魔力:A+ 幸運:B 宝具:A+

【クラススキル】
対魔力:B

【固有スキル】
召喚術:EX
異世界リインバウムに伝わる本来の召喚術。
対象の【真名】を知り、共鳴することでポテンシャル以上の実力を発揮できる。
EXランクなら5界全ての召喚獣がセイバーに力を与えるだろう。

高速詠唱:A
魔術による詠唱を簡略化するスキル。
本来儀式と詠唱が必要な召喚術を呼びかけるだけで発動できる。
ただしAランク以上の召喚獣は発動までに若干のタイムラグが発生する。

魔力放出:A
魔力を武器や肉体から放出することが可能なスキル。
セイバーの場合刀剣から魔力を放出しての攻撃の他、魔力による結界をはることが可能。

勇猛:B…威圧やカリスマなどによる精神干渉を妨げるスキル。


432 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/27(土) 01:37:15 CElZ3zmY0


【宝具】
サモナイトソード
ランク:A+ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:− 最大補足人数:1
魔剣鍛冶師ウィゼル・カリバーンの最高傑作。
サモナイト鉱石で作られたこの剣は持ち主の心の強さによって威力が変わる。
持ち主の精神が高ぶるほど威力を発揮するが、精神が弱ると途端に脆さを発揮する諸刃の武器である。
本来は虹色の輝きを放つが心が怒りや憎しみに染まるとどす黒く変色する。
召喚術の媒体にもなり、ハヤトはこれを使い様々な世界からの召喚を可能とする。

並び立つ最高の相棒(キール)
ランク:A 種別:対界?宝具 レンジ:− 最大補足人数:−
ハヤトを召喚した召喚師、キール・セルボルトを呼び出す宝具。
常にハヤトの隣に立ち、彼を支え続けた逸話から生み出された宝具である。
単独行動:Aに加え、シルターンとサプレスの召喚術に強い適正を持つ。
豊富な知識と冷静な判断力でハヤトをサポートする参謀の使い道も強い。
一度死ねば再召喚は不可能で、この宝具が消滅した場合セイバーのクラスはアヴェンジャーに変更され、全ステータスが2ランクアップするが、マスターの制御を受け付けなくなる。

【人物背景】
サモンナイト1の主人公。
名も無き世界のニッポンの高校生。どんな時にも前向きで「悩むくらいならまず行動」というタイプ。
ある日下校途中に誰もいない公園で何者かが助けを求める声を聞いた直後、まばゆい光に包まれ意識を失う。

目を覚ますとそこは荒野のど真ん中、地面に描かれた奇妙な模様。
そして周りには沢山の死体が転がっていた。
あわててその場から逃げ出し、偶然出会った剣士の案内に助けられサイジェントにたどり着く。

その時から、主人公を中心にリインバウム全土を脅かす戦いが動き出す。

【サーヴァントの願い】
サイトをハルケドニアに無事に送る。
可能なら受肉して現世を旅するのもいい。

【基本戦術、方針、運用法】
遠近共に戦える万能型のサーヴァント。
剣による白兵戦や召喚術での高火力、回復、補助などあらゆる場面で活躍できる最優にはじない性能を誇る。
成功法では無類の強さを発揮するが反面強さの幅が感情によって揺れ動き安いので精神攻撃や絡め手に注意すべきだろう。
また召喚術も低ランクなら負担は少ないがAランク以上の召喚術はマスターの負担も大きいので使用は最低限に留めるべき。
『キール』は独立した宝具なので魔力負担はないが、彼が死ねば一気に制御を受け付けなくなるのでその点も注意が必要だろう。
総じてアサシンやキャスターのクラスに特に注意を払わなければならない。


【マスター】
平賀才人@ゼロの使い魔
【参加方法】
不明
【マスターとしての願い】
ハルケドニアに戻りルイズを守る。
【weapon】
デルフリンガー
魔法吸収能力のあるインテリジェンスソード。
また吸収した分だけ使い手の体を操ることも可能。
【能力・技能】
ガンダールウ
「武器であればどんな物でも自由自在に扱える」伝説の使い魔「神の左手・ガンダールヴ」の印。
具体的には、武器に触れることで構造・作動方法が瞬時に理解でき、零戦や戦車でさえも何不自由無く操縦することができた。

【人物背景】
ルイズに召還されたいと願う、全L型釘宮病患者にとって憧れの人物。

17歳の高校生であったが、ルイズに召還され使い魔となる。
あらゆる武器を使いこなす、ガンダールヴの印を持つ。身長172cm、好きな食べ物は照り焼きバーガー。
秋葉原出身の現代の若者である為か、いいかげんでスケベ、そして大の巨乳好き。
それゆえ、よくルイズにシゴかれているが、自分の帰る方法を真剣に探そうとしたり、仲間の為に戦ったり、前に進まなければならない状況に対しては腹をくくるなど、だんだん男としての成長をみせている。

【方針】
所詮脱出派。
積極的に戦う気はないが、襲ってきたなら戦う気概はある。
ただし現代の若者なので殺人に対する忌避感や、一般的な倫理観は持ち合わせている。
ガンダールヴのルーンの他、召喚術によるバフスキルによって英霊相手でも身を守ることは可能だが、倒すのはさすがに不可能。
また主従そろって頭を使うことに向いていないので具体的な方針はキール頼りになるだろう。


433 : ◆HUcCB15i0Y :2014/09/27(土) 01:38:13 CElZ3zmY0
投下完了です


434 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/27(土) 12:12:04 aN15QGbw0
申し訳ないのですが、>>371のクラス別スキルで修正させてください。
騎乗を削除して、以下のスキルを追加します。

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 マスターを失っても二日間現界可能。


435 : ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:38:21 X4cIzz/.0
夜神月、セイヴァーで投下させて頂きます


436 : ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:39:25 X4cIzz/.0


「汝が私のマスターか」

開口一番、そのサーヴァントは呟いた。
問いではなく、ただ事実を述べるかのような口調には熱がない。決して威圧するような素振りもない。
しかしサーヴァントを召喚したマスターには、その存在が発する圧倒的な力が伝わっていた。

「僕は*鼹鼹鯥訖牲遏*"月"の陣営に所属する、"白"のマスターだ」
「私の名は葉隠覚悟。クラスはセイヴァーと認識している」

マスターが差し出した手が、サーヴァントの手に握り返された。
冷たい手と、微かな線香の香りはマスターに「死」を連想させる。
申告されたクラス名は、マスターがルーラーから聞き及んだ知識の中にはないものだった。

「セイヴァーには、聖杯にかける願いはあるのか?」
「聖杯は勝利への道標に過ぎぬ。私の望みは貴方と同じ涙を流し、貴方と同じ哀しみを知り、貴方と同じ過ちを正し、貴方を救うことである」

救う*鼹鼹顥機璽凜.鵐箸呂修Ω世辰拭*マスターは彼の全てを見透かすような瞳を見て、それが嘘偽りではない事を悟った。
だが同時に、このサーヴァントがセイヴァーたる義務としてのみその言葉を語っている、そのような印象も受けていた。
このサーヴァントには、何か重大な欠落を感じる。
…………だがそれはマスターとて同じことだ。その欠落を埋めるために、ムーンセルを求めてここに来たのだ。

「貴方の望みは?」

「…………」

マスターとして、この問いには誠実に答えなければならない。
故にサーヴァントの問いに、マスターは一呼吸おいて己の心の裡を再確認した。

「僕の、願いは*鼹鼹顗*


437 : 夜神月・セイヴァー ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:42:03 X4cIzz/.0


かって、キラ事件と呼ばれる連続殺人事件があった。
世界中の重罪人を心臓麻痺によって殺害する、神の裁きを思わせるような犯行。犯人はネット世界で「キラ」と名付けられ、神格化する動きすらあった。
しかしその事件はあっけない幕切れを遂げる。
伝説的な探偵、Lによってその元凶は日本の一都市にまで絞りこまれ、確たる理由は語られないものの、犯行自体がやがて自然消滅したのだ。
「キラはLに負けたのだ」「ただ手を休めているだけだ」…………様々な憶測が飛び交うが、もう裁きは起こらない。

夜神月はその渦中の都市に住み、事件にもワズカナガラ関わっていた。
彼の父親が警察の重職に付き、キラが警察から情報を得ていた節があるために、Lから容疑者として見られていたのだ。
Lは思いきった行動に出た。容疑者の家の至るところに監視カメラを取り付けようとしたのだ。
そこで、事件は起きた。
捜査員がカメラを取り付ける際に夜神家の一室の机の引き出しに不審な仕組み、二重底があることに気付いた。


438 : 夜神月・セイヴァー ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:43:11 X4cIzz/.0
引き出しを抜き出して調べようとした時…………その部屋の主、夜神月が仕掛けた装置が機能して引き出しが炎上したのだ。
今となっては何故そんな仕組みを作ってまで只の日記を隠匿していたのか、月本人にもわからない。若気の至りという他ない。
小火騒ぎとなり、当然月にも自分の部屋に監視カメラが設置されようとしていたこと、キラ事件の容疑者として疑われていることは伝えられた。
月は拘留され尋問すら受けた。とはいえ、成分すら特定できないほど完全に焼けた冊子以外に何も部屋から見つからなかった事からすぐに解放された。
家に帰った月を待っていたのは、自分の部屋で小火を起こすような装置を作成していた長男への疑いの目。
そして家中に監視カメラを仕掛けようとしていた父親と、母と妹の関係の悪化だった。
居たたまれなくなった月は数年後、大学を卒業して家を出た。
大学で知己を得た竜崎という自分とは毛色の違う天才からは警察や探偵の仕事も勧められたが、何故かそれらに就く気にはなれなかった。
月自身は父が強硬な捜査を認めたのは過ちだとは思っていないし、自分を冤罪に陥れたキラへの怒りも燻ってはいたが、肝心のキラは既にいない。一度だけ偽物が出たと聞くが、それもすぐに姿を消した。
月は世界中を回り、自分が今やりたいことを見つめ直そうとした。


439 : 夜神月・セイヴァー ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:45:41 X4cIzz/.0


どれだけ世界をさ迷っても、月のやりたいことは見つからなかった。
学生時代には実態を知らず、伝聞だけで知ったつもりになっていた世界の暗部も覗き、数々の理不尽に虐げられる弱者の姿も見た。
法で裁けない者がのさばり、それがまかり通る腐った世界。月は当然ながらそれを許せない。怒りを覚える。だが…………。
その怒りが正義感から来るものであれば、理不尽を正し、弱者を救うことこそが月のやりたいことになっていただろう。
だがその怒りは、義務を果たしていない自分への怒りだと、そう月は理解していた。
本来やるべき事を為せていない、そんな怒り。月にはその怒りの理由がわからない。
何の力も持たない自分が、何故これほどまでに責務に腹を焼かれるのか。自分に、腐った世界を変えられるはずだという何の根拠があるのか。
ならば、と力を求めた。自分の未来をかなぐり捨てて、なりふり構わず奇跡を求めた。
魔術の存在を知り、老獪な魔術師と運よく巡り会え、どういうわけか月の体には神秘を通した痕跡があると教わり、相手側の興味本意で魔術を学んだ。
しかし超常の力を得てなお、月は己の裡にある願いを見付けられない。
まるで融けてなくなってしまったかのような願いの残骸に、永遠に苛まれ続けるのか。
苦しむ月に、魔術師は語る。

「人が空想できること全ては、起こり得る魔法事象」

故に空想すらできない、だが確かにあると信じる願いならば、まずはそれを知りたいと願え。空想する準備をしろ。全てはそれからだ。
そう言った魔術師から渡された一欠片の石。万能の聖杯への足掛かり。
魔術師は去り、月はその石を、夜空に輝く天体・月にかざした。


440 : 夜神月・セイヴァー ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:49:00 X4cIzz/.0


「僕の、願いは。"それ"を知ることだ」

「…………」

本心を語ったマスターに、サーヴァントが苛烈な視線を向ける。
マスターは一瞬、死を覚悟した。
"それ"は認められる物ではない。そう、セイヴァーの目が告げているように見えたのだ。
だが、サーヴァントの力が振るわれることはなかった。

「汝の敵を必殺し、汝の道を切り開こう。我が刃は、汝の心の行く末を見届けるためにある」

マスターは、サーヴァントが放つ慈悲の気(オド)に、初めて熱を感じた。
同時に、冷めていた心に火が燃えはじめる感覚を覚える。
必ず、心の裡の欠落を埋めるという覚悟が、いま完了したのだ。
…………例えそれが、いかなる未来に繋がったとしても。

【クラス】
セイヴァー

【真名】
葉隠覚悟@エクゾスカル零

【属性】
秩序・善

【パラメータ】
筋力:C+ 耐久:A+ 敏捷:C+
魔力:D  幸運:E  宝具:EX

【クラス別スキル】
対英雄:E 相手のパラメータの一部をランダムで1ランクダウンさせる。ただし、反英雄には効果を発揮しない。
自己のスキルと宝具により著しく削減され、セイヴァーとしては最低ランクと化している。

対魔力:B 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:D 軍用の獣、車両を乗りこなすことが出来る。


441 : 夜神月・セイヴァー ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:50:47 X4cIzz/.0
【保有スキル】
闘鬼の見識 C 他者の本質を理解する、認識の同調。戦闘においては、同ランクの直感と心眼(真)スキルを内包する。
記憶喪失 A 零式防衛術の倫理と、戦闘経験以外の全ての記憶を失っている。本来ならばセイヴァーとしての慈悲の心より自己の正義を優先して行動するが、このスキルによってマスターに対してのみ、その行く末を見届けた上で正義を遂行する。
零式防衛術 A+ 正義を行う者が身に付ける戦闘技術。認識を制御し、正当なる迎撃を行う。同ランクまでの精神干渉、及び知名度補正による影響を無効化する。
殺し得ぬ罪花 - 身に染み付いた零式防衛術の教えさえ凌駕する熱い思い。
零式防衛術のスキルを2ランクダウンさせる代価として、自身の全てのパラメータを1~3ランクアップさせ、特定状況下においては新たな零式を生み出す。記憶の損壊により喪失。
正義失格者 EX 正義が絶え、己が守るべきものがいない時代に目覚めたヒーロー。このスキルのランクが高くなればなるほど、正純の英雄からは遠ざかる。
牙なき者の呪怨 A+ 滅びゆく人類種から寄せられた救世の希望を粉砕した逸話によるスキル。零式防衛術がなければ、セイヴァーは身の毛もよだつ死神として召喚されていただろう。

【宝具】
月狼(モーントヴォルフ)
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大捕捉:30
意思を持つ軍用機械犬。複数の武装を搭載し、主に付き従う。
実体化とあらゆる行使にセイヴァーとマスターの魔力を消費せず、内燃機関から魔力を作り出して賄う。

強化外骨格"零"
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:自分
いかなる攻撃もはね返す“盾”と、いかなる防御も突破する“矛”が、同時に存在する奇跡の解答とされる鎧。
装着者にはこの鎧以上の神秘(常軌を超える鍛練と武勲)が求められるが、着こなす者には目視した対象のいかなる防御手段をも攻略して任務を遂行することが可能である。

救世反駁・傲慢輪廻(アウトセイヴァー・ヒュブリース)
ランク:EX 種別:対願宝具 レンジ:0~999 最大捕捉:1
地獄と化した未来に、牙持たぬ人々の願い(滅びゆく人間という種の器を捨て、魂だけを留めたい)により呼び戻されたセイヴァーが辿り着いた悟り。
人間は散り逝く為に咲く花であるから尊く、永遠に飾られるならばそれは造花でしかないという彼の信念……在り方が歪んで宝具化した。
敵対サーヴァントに対し、セイヴァーがその存在を完全に認めない場合にのみ判定が行われる。
敵対サーヴァントの行動・思考にそのマスターの肯定的感情が寄せられている場合、敵対者が起こすあらゆるスキル・宝具等の規模や効能を肯定的感情の大きさに比例して減衰させる。
仮に敵対サーヴァントが己のマスターから肯定的感情を向けられていた場合には30%、令呪全画を躊躇なく用いるほどの信頼を寄せられていた場合には100%減衰される。
セイヴァーは本心では自分を含む英霊の存在も認めておらず、この宝具により減衰させた神秘の規模の合計がEXランクの宝具相当に達した場合、自身の霊核を完全破壊してサーヴァントとして消滅する。
なお、この宝具は誓願を絶たれた人々の呪いにより変質しており、本来はセイヴァーとして相応しい物だったとムーンセルは語る。


442 : 夜神月・セイヴァー ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:52:27 X4cIzz/.0
【サーヴァントとしての願い】
 なし。

【方針】
 マスターの行く末を見届ける。

【人物背景】
「牙を持たぬ人」を守るため、世界征服を企む超能力者や科学者、カルト教団を相手に人知れず戦ってきた一族の末裔。
山口作品『覚悟のススメ』の主人公と同名だが、基本設定をはじめ、性格や武装など若干異なる。
記憶喪失の影響か、必要と判断すれば容赦ない攻撃を躊躇なく行う冷酷非情な死神となっている。
同士であるはずのエクゾスカル戦士とさえ絶望の未来では相容れることができない程の確固たる正義を持ち、悪く言えば(作中では悪い意味で描写されている事が多い)融通が利かない堅物。
救世主の末路というにも余りに悲惨な経歴も守るべき者と仲間を失った孤独も、彼の正義を曲げることは能わない。

【マスター】
夜神月@DEATH NOTE

【参加方法】
月の石をとある魔術師から授かった。

【マスターとしての願い】
 自分の裡にある、かってあったはずの願いを知る。

【方針】
 聖杯を得る。

【能力・技能】
 最低レベルの魔術知識。
 かって神造宝具に関わった際に肉体が死神の世界のルールに触れたため、魔術回路が構築された。

【人物背景】
彼は、キラ事件の犯人である。
死神という概念からデスノートと呼ばれる神造宝具を与えられ、心が綺麗な人間だけの世界を作るために犯罪者の大量殺戮を行っていた。
「力を得たために歪んでいった」存在の典型であり、本来ならば、賢く善良だがそれゆえに妥協もしてしまう、普通の範疇に収まる人間。
DEATH NOTE本編とは違う来歴を辿り、デスノートを焼失した後に何らかの理由で所有権を放棄してデスノートにかかわる記憶を失い、現在に至る。


443 : ◆yMwpfAFXyg :2014/09/27(土) 17:53:05 X4cIzz/.0
以上で投下終了です。


444 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 17:58:00 KhoS5w8U0
投下します


445 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/27(土) 17:58:01 87WEco4o0
投下お疲れ様です。
滑り込みになりますが、こちらもセイバー組投下させていただきます。


446 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/27(土) 17:58:21 87WEco4o0
おっと、お先にどうぞ


447 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 17:59:13 KhoS5w8U0
いえ、実はマスター表があとちょっとで完成してないのでそちらがお先にどうぞ


448 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/27(土) 18:04:50 87WEco4o0
了解です。では先に投下させていただきます


449 : クラピカ&セイバー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/27(土) 18:07:57 87WEco4o0

 例えば、どうしても変えたい過去があったとして。

 仮にそれを本当に変える手段があったとして。

 引き換えにこれまで得た何もかもを手放さなければならないとして。

 それでも、引けるのか。

 時の銃爪を、引くことができるのか。

「……無論だ」

 見た目では性別はわからないが、彼、と便宜上定義しておこう。
 金髪痩身を漆黒のスーツに身を包んだ中性的な容貌の彼――クラピカは、そう自分に言い聞かせるように独りごちた。

 深夜のオフィス。窓から差し込む月光が照らす室内は、しかしまともな職場とは言い難い。
 もっと具体的に言えば、明らかにカタギの職場ではない、と言い換えてもいい。
 ここは冬木市に密かに巣食う海外系のマフィア、その隠れ蓑として使われている偽装企業のオフィスということになる。
 クラピカは用心棒という『役割』を得てこの街で生きてきた、ということになっている。
 オフィス机に軽く腰掛けながら、クラピカは真剣な面持ちで小さく息をついた。

 クラピカが右手を動かすと、それぞれの指に繋がった鎖がじゃらりと音を立てた。
 念能力で具現化されたそれには大して興味を向けず、手のひらに乗った小さな石に目をやる。

 月の石。

 クラピカが「ここ」に来る前、マフィアンコミュニティで秘密裏に売りに出されていた謎の石。
 入手ランクは最低のGランク。聖杯などという途方も無い噂に、まるで裏付けがなかったゆえの評価だ。
 何より、この石自体には一切念能力が込められていなかったことがその評価を後押ししている。

 クラピカが属するノストラードファミリーがそれを入手することになったのはほんの気まぐれと少しの打算によるもので、
 実際にその石で何かを叶えようなどとは誰一人思ってはいなかった。

 クラピカがその石を実際に手にした時も、大それた願いを抱いていたわけではない。
 せいぜい「旅団の情報が欲しい」とか「緋の目の在処が知りたい」とか、自分の努力で叶えられるようなものだ。

 しかし結果としてこの空間に転送され、そして確信せざるを得なくなった。
 聖杯の奇跡の真実を。これが個人の念能力とはスケールの違う神秘を秘めた存在なのだということを。
 万能の願望器。それが本物ならば、魔法の域にあるような願いだって叶う。


450 : クラピカ&セイバー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/27(土) 18:14:25 87WEco4o0

「幻影旅団をクルタ族襲撃以前の段階で抹殺し、歴史を変えて仲間達を救う。そういう願いだって叶うことになる……!」

 鎖に繋がれた指で月の石を血が滲まんばかりに強く強く握り込む。
 全ての始まりを改変することが出来るなら、それはクラピカにとって最大の奇跡だ。

「だが、マスター。過去の改変は様々な変化を生む。マスターの生きる目的そのものに根ざす過去を変えれば、
 それは今のマスターにとっての全てを手放すことになるかもしれない。時の引鉄は、軽くはない」

 傍に控える存在が、重い口を開く。
 英霊。サーヴァント。その中世的な装備に身を包んだ姿は、この時代においてひどく奇妙だ。
 腰に大剣を携えているのを見れば、聖杯戦争を知る誰もが最優のクラス『セイバー』のサーヴァントだと気付くだろう。

 しかし、真に奇妙なのはその容貌だった。
 人間離れしている、という次元ではない。そもそも、人間のものではない。
 端的に言えば、両生類……『カエル』だ。人間のように二本足で立ったカエルが、剣士の装備に身を包んでいる。
 クラピカは、彼が歴史に名を残す勇者の英霊であり、かつて掛けられた呪いによってこの姿になっているということしか知らなかった。
 その話に同僚センリツを思い出したが、過去を話したくないのであれば聞く必要はないと考えていた。
 とはいえ、復讐を目的に戦う自分には眩しすぎる真っ当な英霊であるのは間違いない。

「構わない。たとえ……ゴン達との出会いが全て無に帰るとしても、仲間達の無念を晴らせるなら」

 そういう自分の声はひどく空回りしているようで、クラピカは自身に苛立った。

「……俺は何も聞かない。俺の願いはただ祖国ハイディア王国の未来へ続く繁栄だけだからな」

 その奇妙な姿に見合わない重みを持った口調でカエルは言う。
 相互理解はまるで乏しいと言わざるをえないが、少なくとも目的だけは一致している。
 今はそれでよしとするしかない。

「互いを知るのは後だ。私達で、聖杯を取りに行くぞ」

 カエルが頷くのを見て、まずは他の同陣営のマスターと接触すべく行動を起こすため、クラピカは立ち上がった。

 窓から差す月光は、不気味なくらいに澄んで二人を照らしている。



【クラス】セイバー

【真名】カエル@クロノトリガー

【パラメーター】
 筋力B 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具A

【属性】
 中庸・善 

【クラススキル】
 対魔力:B
  魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

 騎乗:C
 騎乗の才能。幻想種を除く大抵の乗り物、動物ならそれなりに乗りこなせる。


【保有スキル】
 直感:B
  戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。
  研ぎ澄まされた第六感はもはや未来予知に近い。

 魔術:C
  セイバーは主に水系統の魔術と治癒魔術を得意とするが、その効果は専門の魔術師によるものよりも劣る。

 勇者バッジ:A
  英雄の証。愛剣によるクリティカルヒットの発生率に上昇補正がかかる。

 無辜の怪物:E-
  生前のイメージによって、後に過去の在り方を捻じ曲げられなった怪物。能力・姿が変貌してしまう。
  セイバーは一時期カエルの姿でいたため、その伝承によりこの聖杯戦争においてもカエルになってしまっている。
  ただし外見の変化以外のデメリットはない。


451 : クラピカ&セイバー  ◆eBE8HIR9fs :2014/09/27(土) 18:14:51 87WEco4o0
【宝具】
 「時が定めし勇者の剣(グランドリオン)」
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1〜3 最大捕捉:1人
  かつて勇者ライナスが使い、数奇な運命を経てカエルへと引き継がれた伝説の剣。
  対魔力や結界、防御術式やスキルなどを無効化して斬りつけることが出来るという能力を持つ。
  また真名開放を行うことで、自身の精神力を剣の威力に上乗せすることが可能。
  消費魔力も相応に大きくなるが、勇者バッジスキルのクリティカルと合わせて致命的一撃を引き出せる。


【weapon】
 無し。
 生前は複数の武器を所持していたこともあったが、今回の聖杯戦争では宝具のみ。

【人物背景】
 中世のガルディア王国に仕えた騎士。本名はグレン。
 かつて勇者サイラスの盟友であったが、二人で挑んだ魔王討伐に失敗しサイラスは戦死。
 怖気づいたグレンは、その臆病さを揶揄するかのようなカエルの姿に変えられてしまう。
 失意に沈んだ彼はその後十年に渡り隠遁生活を送るが、ある日未来からやってきたクロノ(主人公)達に出会い、
 かつての志を取り戻して魔王と、そして全ての時代を滅ぼす存在ラヴォスとの戦いに身を投じていく。

【サーヴァントとしての願い】
 ガルディア王国の未来へと続く繁栄。


【マスター】クラピカ@HUNTER×HUNTER

【参加方法】マフィアの闇マーケットで取引されていた月の石を入手。

【マスターとしての願い】
 参戦時は幻影旅団への復讐か、「緋の目」の回収を願うつもりだったが、
 聖杯の力の大きさを確信し「クルタ族の壊滅自体を阻止できるのでは」と迷っている。

【weapon】
 念能力を使用しない場合は二本の刀で戦う。
 常に右腕に鎖を装備しているが、これは実体ではなく念により具現化しているもの。

【能力・技能】
 念能力者。生命エネルギーのオーラを操り、具現化させて戦う。
 右手の五指にそれぞれ具現化した鎖を装着しており、それぞれ別の能力を持つ。

『癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)』
 親指の鎖。鎖を巻きつけた部分の自己治癒力を強化し傷を癒す。
 平常時にはあまり大きな効果は見込めないが、『絶対時間』中は複雑骨折すら数秒で完治させてしまう程の効果がある。

『束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)』
 中指の鎖。相手に巻きつけ、強制的にオーラを遮断して捕縛する。
 幻影旅団以外に使用すると死亡するという誓約が掛けてあるため、聖杯戦争では使用不可能。

『導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)』
 薬指の鎖。ダウジング効果のある能力で、探し物を発見したり相手の嘘を見抜いたりと多彩な使用法がある。
 飛んでくる銃弾を察知し受け止めるなど、戦闘にも応用できる。

『律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)』
 小指の鎖。『絶対時間』中にしか使えない。
 対象者の体内に鎖を打ち込んで心臓に鎖を巻きつけ、設定したルールを対象者に宣告。
 対象者がルールを破った場合、鎖が心臓を握り潰し対象者を殺害する。

 ※人差し指の鎖の能力は現時点では不明で、攻撃用ではないと示唆されているのみ。

『絶対時間(エンペラータイム)』
 クルタ族特有の『緋の目』が発動している時のみクラピカのオーラ量は激増し、具現化系以外の能力も使いこなせるようになる。
 緋の目は感情が高ぶることで発動するが、瞬間的に変えることは出来ず、また使用中は激しく体力を消耗する。


【人物背景】
 幻影旅団によって滅ぼされた少数民族クルタ族の生き残り。性別は公式では言及されていない。
 旅団襲撃時に奪われた仲間達の「緋の目」を回収し、幻影旅団に復讐するためにハンターとなる。
 性格は真面目で冷静沈着だが、旅団を前にすると無意識に緋の目が発現するほど感情を高ぶらせてしまう面もある。
 また非常に頑固で融通が利かず、プライドの高さゆえ余計なことを言うため敵を作ることが多い。
 目的のためならば冷徹に振る舞うことが出来る人間だが、一方で使命よりも仲間を取るところがあり、弱点として指摘されている。
 ヨークシンシティでの戦いで幻影旅団に重大な打撃を与えた後は復讐から一旦距離を置き、緋の目の回収を優先している。

【方針】
 聖杯狙い。
 同陣営のマスターとは打算を含めて協調し、確実に勝利を目指す。
 対旅団に特化した中指の鎖が使えないため、自身は戦闘よりも指揮と駆け引きに徹する。


452 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/27(土) 18:15:13 87WEco4o0
投下終了しました。お待たせしました、お次どうぞ。


453 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 18:16:38 KhoS5w8U0
投下乙です。
では私もセイバーですが投下します


454 : 蟇郡苛&セイバー ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 18:17:04 KhoS5w8U0
絶望的な状況であった。敵である鬼龍院羅暁の計画を阻止するために仲間が集結し、立ち向かったところまではよかった。
しかし鬼龍院羅暁の放った「絶対服従」により身体能力を強化する生命繊維の活動を止められ、こちら側の戦力はほぼゼロ。圧倒的不利な立場に置かれていた。
それでも屈しなかったある生徒に、敵の刃が迫る。
彼はその刃を決死の覚悟で受け止めた。

「本能字学園風紀部委員長・蟇郡苛!!鬼龍院皐月と本能字学園生徒を守る生きた盾と知れぇぇぇぇ!!」

その生徒を庇った蟇郡苛はその場に倒れた。
誰もが彼の死を確信したが、実のところ蟇郡はまだ生きていた。
しかし、敵が彼の腹部に突き刺した一撃は少なくはないダメージを与えており、仰向けに倒れた蟇郡の意識は失われつつあった。

(ぬ・・・ぐ・・・流石に痛いな。うめき声を上げることもできん。伯父に頼んでいたチタン鋼腹巻のおかげで死ぬことは免れたか)
(満艦飾は無事だったが・・・皐月様はどうなっている?纏はともかく、猿投山、蛇崩、犬牟田も無事だといいが・・・)

朦朧とする意識の中、蟇郡は自身の忠誠を誓った鬼龍院皐月や同じ生徒会四天王に属する仲間を探すが、
蟇郡が最後に見た光景は鬼龍院皐月をはじめとする仲間達が無残にも生命繊維に取り込まれてゆく光景であった。

(さ、皐月様・・・!)
(皐月様の盾となったはずなのに・・・もう意識を保てん・・・。無様なり・・・蟇郡・・・い・・・ら――)

蟇郡は皐月を救いに向かえない自分を呪いながら意識を失った。
蟇郡の記憶はここで途切れている。


455 : 蟇郡苛&セイバー ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 18:17:53 KhoS5w8U0
「無様なり蟇郡苛!!」

誰もいない生徒会室に叫び声が響く。しかし学校にはもう人はいないであろう時間帯であるため、その声量に反して聞く者はいない。
そこにいたのは他ならぬ蟇郡であった。その体躯は天井に頭が届きそうなくらいには高い。
どうやら記憶をなくしている間は遅くまで残って仕事をしていたようだ。
記憶を取り戻し、生命繊維に飲み込まれてゆく様を反芻するたびに涙を流しそうになるが、必死に耐える。
あの時立ち上がることができればという思いが蟇郡の自責の念を駆り立てていた。

「何が皐月様を・・・本能字学園の生徒を守る生きた盾だ!俺だけ生き延びて別世界に呼ばれようとは!纏だけでは心もとない!今すぐ本能字学園へ急いで助太刀に行かねば!」

しかし、ここはムーンセル・オートマトンにて再現された冬木市。
騒いだところでどうにもならないのは蟇郡もわかっていた。

聖杯。万能の願望機。
これに願いをかければ皐月の悲願である生命繊維の駆逐――さらには取り込まれた皐月を救出できるのではないか?
そんな思考が蟇郡の頭をよぎる。

(・・・皐月様は聖杯による勝利を認めてくださるのだろうか)

皐月の『人類は服のために生きるのではない』という言葉が思い返される。
聖杯戦争に乗ることは、人が聖杯のために生きることにつながるのではないだろうか。
聖杯に惑わされて人を殺めることすら躊躇わない者などまさにそうだ。
きっと聖杯に願いをかけて勝利しても皐月はその勝利を偽りの勝利として記憶に刻むだろう。
その勝利は蟇郡が聖杯のために生きた結果なのだから。

しかし、どうすれば生命繊維に取り込まれた皐月を救うことができる?
あの場で唯一戦えた纏に希望を託し、その助太刀に元の世界へ帰るか?
それとも皐月から後ろ指を指されること承知の上で聖杯を取りに行くか?
蟇郡の心はそのジレンマのせいで揺れ動いていた。

「・・・このままでは自分の涙も自分で拭うことはできん!」



「お前の信じた道を歩めばいい」

突然かけられた言葉に驚き、振り返った蟇郡の目に映ったのはシルバーブロンドの髪が円柱状に固まっている一人の男だった。

「こんな話を聞いたことがある。ある男は一人の少女を守るために組織を裏切った。その男は最後には死んじまったが、彼の仲間が少女を守りきり、組織のボスも倒した。その男はこう言っていたそうだ。『こんな世界とはいえ俺は自分の信じられる道を歩いていたい』ってな」
「お、お前は一体・・・」
「俺か?俺の名はジャン=ピエール・ポルナレフ!セイバーのサーヴァントだ。お前に勝利を授けるために来た!」



◇   ◇   ◇



セイバーと出会ってからしばらくして、蟇郡は今までの経緯を、
そして自分が聖杯による勝利により皆を救うか、この世界を脱出し一抹の希望に賭けるかで迷いが生じていることを告白した。

「自分の信じた道を進めばいい・・・とセイバーは言っていたな」
「ああ。お前は『正しいことの白』の中にいる。お前の話から確かな覚悟を感じた」
「俺は皐月様の盾になることを誓った。・・・しかし!最後はその役目を全うできずにこの地に来てしまった!だから皐月様や仲間をなんとしてでも・・・聖杯を奪取してでも救い出したいと思う!」

「だが・・・俺は聖杯へ願いをかけずに本能字学園へ戻ろうと思う。皐月様の信じた道が俺の道なのだ。聖杯に縋ることは・・・皐月様を裏切ることと同じなのだ!たとえ圧倒的に不利だとしても!少しでも多く仲間を守って死ぬのならそれで本望だ!」

蟇郡の下した決断は聖杯を取るよりも生命繊維に取り込まれた仲間を助けに行くことだった。
セイバーには心なしか蟇郡の背丈が腰を曲げないと天井を突き破ってしまうほど大きく見えた。

(うおっ!?急に大きくなりやがった!?)

セイバーは若干大きさの変化に困惑しつつも、明確に彼のサーヴァントとして戦う意思を示す。

「・・・わかった。そのために全力で手伝おう!俺と『戦車』の暗示を持つスタンド『シルバー・チャリオッツ』がな!」


456 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 18:18:44 KhoS5w8U0
【クラス】
セイバー

【真名】
ジャン・ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険

【マスター】
蟇郡苛@キルラキル

【パラメータ】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力D 幸運B 宝具B

【属性】
秩序・中庸

【クラス別スキル】
対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

騎乗:C
騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
 
勇猛:A
セイバーが持つ、邪悪の化身に立ち向かえるほどの勇気。
威圧、混乱、幻惑、狂気といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。

心眼(真):A-
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。
ただし、油断しているときには効果がないので注意。

油断:D
ノリの軽い性格が顔を出しやすい。
この状態に陥った場合、三十代半ばまで重ねた経験・強さも十分に発揮されにくい。

助言:B
新生パッショーネの新たなボスを導いた、セイバーの経験や知識によるサポート。
味方に的確なアドバイスを与え、それに基づいた行動に有利な補正がつく。

【宝具】

『銀の戦車(シルバー・チャリオッツ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1〜5 最大捕捉:10人
生命が持つ精神エネルギーが具現化した存在。所有者の意思で動かせるビジョン『スタンド』。
顔を覆う仮面、中世騎士のような甲冑に、レイピアを武器として携えた人型のスタンド。
スピードに優れている。パワーはそこそこだがレイピアによる剣閃を持ち、殺傷力は非常に高い。
また、耐久を2ランク下げてスタンドの甲冑を脱ぎ捨てることができ、
その場合敏捷が2ランク上がるとともに、残像による分身と同時攻撃ができるほど素早くなる。
甲冑を除くスタンドビジョンのダメージは本体にフィードバックされる。


『鎮魂歌奏でる銀の戦車(シルバー・チャリオッツ・レクイエム)』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:99 最大捕捉:1000人
セイバーが瀕死になる度に幸運判定を行い、成功すると自動で発動する。
敵に矢を奪われそうになった際に矢をスタンドに刺して暴走させることで守りきった逸話に由来する宝具。
矢の秘める真の力により「進化」したスタンドが持つ、全ての生物の魂を支配する能力の片鱗。
どこからともなく飛んできた矢が『銀の戦車』に刺さると、
スタンドビジョンが黒く染まった別のビジョンへと変貌する。

この『鎮魂歌奏でる銀の戦車』のスタンドビジョンが現れた時、レンジ内にいるセイバーとそのマスター以外の全ての生物を眠らせ、二十ターンの間、魂を入れ替える。
NPCならば近くにいる者と入れ替わるが、例外的にマスターとサーヴァントは魔力供給のパスが繋がっているため、必ずお互いの魂が入れ替わる。
どちらかが消滅している場合は近くのNPCと入れ替わる。
眠った者は第三要素(精神)に由来する神秘の位が高められ、それに対応した能力・宝具が強化される。

『鎮魂歌奏でる銀の戦車』が発動し、全ての生物が眠ったと同時にスタンドビジョンは『銀の戦車』のものに戻る。


457 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 18:19:31 KhoS5w8U0
【weapon】
・宝具『銀の戦車』のスタンドビジョン
ステータスは破壊力:C スピード:A 持続力:B 精密動作性:B 成長性:C相当。
スタンドで格闘戦を行うことが可能。
前述のように、剣を持っているため殺傷力自体は高い。
射程は短く、長くて5m程度。スタンドは本体から離れているほどパワーは低くなるが、数mでの変動は微々たるもの。
スタンドビジョンが纏う甲冑の防御力はそこそこ。ある程度の攻撃を防ぐことができる。

【人物背景】
フランス人のスタンド使い。「戦車」のカードの暗示を持つスタンド『シルバー・チャリオッツ』を操る。
垂直に逆立てられた柱のような髪型をしており、
ハートマークを左右で二つに割った形のピアスを常に両耳に着けている。
髪の毛はシルバーブロンド、眼の色はブルー。
性格はどこか抜けているような感じだが、正義感が強く、仲間想い。
肉の芽に乗っ取られても騎士道精神を宿していた。
だが女好きで軽い性格、トイレでの受難に事欠かないなど基本は三枚目。

妹のシェリーの無念を晴らす為に両右手のスタンド使いを探すも、
DIOに復讐心に付け込まれて肉の芽によって洗脳され、ジョースター一行を襲撃する。
承太郎に肉の芽を抜き取られた後はDIO討伐の旅に同行、
道中にて両右手の男J・ガイルに復讐を果たし、
ついには多くの仲間を失うもエジプトにてDIO討伐を果たす。

その後は故郷に流通する麻薬ルートを追ってギャングのボス・ディアボロに辿り着くも、
無敵の『キング・クリムゾン』によって返り討ちに逢い、不具の肉体となる。
二度目の逢着では血の雫による能力突破を試みて、なんとか一撃を入れることに成功するも敗北、
絶命寸前の中で矢の力を解放させる。
レクイエムの力による混乱の中で亀と入れ替わったポルナレフは、
ディアボロと敵対するジョルノをサポートし、
矢の新たな担い手となったジョルノはディアボロを永遠に死に続けるという業を背負わせる。
魂が元に戻った後も亀のココ・ジャンボのスタンドの中にしがみつくことで
幽霊として生き延びることができ、以後は新生パッショーネの助言役となる。

所謂全盛期の人間性と晩年の記憶を持ったサーヴァントであり、若い頃のお調子者の性格が復活している。

【サーヴァントとしての願い】
 特になし。マスターのために戦う。

【基本戦術、方針、運用法】
 ステータスは全体的に高く、正面対決では強い。
 さらにマスターの魔力も高いため、多少の無茶は効く。
 しかし、常用の宝具である『銀の戦車』は良くも悪くもスタンダードな性能で特殊効果などは一切ないため、
 スキル『油断』もあって敵の得意分野に引き込まれると不利な状況に追い込まれがち。
 なんとかして正面対決に持ち込んで戦いたいところ。
 
 マスターの戦闘力も非常に高いため、戦闘は残り魔力によってどちらが担当するかを決めることもできる。

 宝具『鎮魂歌奏でる銀の戦車』はピンチに陥った時に起死回生のチャンスを与えてくれる。
 原作よりもジョジョ3部の格闘ゲームにおけるポルナレフの3ゲージ技『レクイエムの片鱗』の方がイメージは近い。


458 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 18:20:11 KhoS5w8U0
【マスター】
 蟇郡苛

【出展】
 キルラキル

【参加方法】
 チタン鋼製腹巻の中に月の石が入っていた

【マスターとしての願い】
 戦場となっている本能字学園へ帰還し、生命繊維に取り込まれつつあった皐月を救出する

【weapon】
・鞭
両腕の腕甲の中に仕込まれている。
風紀を乱す生徒のお仕置きに使う。

・チタン鋼製腹巻
制服の下に仕込んである。非常に強固で、並大抵の攻撃では貫くことはできない。

・三つ星極制服『縛の装』
変身した際の基本形態にして絶対防御形態。
並みの攻撃ではビクともしない頑強さを持ち、
更に攻撃のエネルギーを蓄積することでその威力を相手に全て返す「死縛の装」へと変形する。
なお、たとえ「縛の装」において敵が攻撃してこなくても自分で自分を鞭でしばいて力を溜め込むと言う自家発電も可能。

・三つ星極制服『死縛の装』
「縛の装」で一定の攻撃のエネルギーを吸収した際に変身可能となる攻撃特化型形態。
体を覆っていた布が全て鞭となり、広範囲に縦横無尽の攻撃を繰り出す。
「縛の装」で受けたエネルギーが多ければ多いほど攻撃力が上がり、この形態の変身時間の長さもそのエネルギーに比例する。
そして鞭を防いでくる場合は背中の棘付のリングで拘束し、両腕の腕甲を変形させた巨大な型に挟み込むプレス攻撃で「型にはまった生徒」にしてくる。


【能力・技能】
・極制服を装備し、『縛の装』『死縛の装』へ2段階変身できる。

・身長が場面によって安定しない。2m前後から最大で巨大ロボ並にでかくなることもある。

【人物背景】
 本能字学園生徒会長・鬼龍院皐月が率いる生徒会四天王の一人。ランクは三つ星。
 学園の風紀を取り締まる厳格な風紀部委員長。
 金髪のオールバックに褐色肌、筋骨隆々な巨体が特徴で、生徒会の中では最も大柄な体格を持つ。
 風紀部委員長らしく学園の規則に対しては厳格であり、鬼龍院皐月に仇なす者に容赦なく制裁を加える。
 また、困っている生徒を助けるのも風紀委員の役目であるとという考えも持ち合わせており、
 原付きのガス欠で立ち往生していた流子と満艦飾マコを見つけた時は、二人を自分の車に乗せてやるなど紳士的な一面もある。
 基本的に無益な戦闘は好まないため、塔首頂上決戦の折は身に振りかかる火の粉を払ったのみの結果として、一般生徒を倒した数が四天王の中で一番少なかった。
 至極真面目ではあるのだが、常に怒声のような大声を張り上げて喋る、わざわざ周囲の建物を破壊して登場するなど、
 どこか勢い任せなところもある。
 
 今回は、最終決戦にて満艦飾マコを庇い、気絶した時点からの参戦。
 極制服は制限により、初期の縛の装が再現されたものが支給されている。
 
【方針】
 無益な戦闘は行わず、倒すべき敵のみを倒してゆく。


459 : ◆VUBZx4BclE :2014/09/27(土) 18:22:12 KhoS5w8U0
以上で投下を終了します


460 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 18:45:16 3L99G2eg0
申し訳ない、今から投下します。


461 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 18:49:23 3L99G2eg0

 デリートされる。

 電脳は死を迎え、侵食され、ノイズの中に意識は堕ちていく。

 ゲーム感覚で、命を競う場にやって来た代償。

 ムーンセルが敗者に課したペナルティ。電脳死。

 間桐シンジはバラバラにされ、そのデータはムーンセルの中へと飲み込まれていく。

 その間際に――誰かの声を聞いた気がした。

       &       &       &


462 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 18:53:09 3L99G2eg0


「いやぁ、死んだかと思ったよ! っていうか実際生き返ったのかな?
 脱落かと思ったらこうして復活できるなんて、ホント、僕ってばついてるよねぇ!」

 だんだんと暮れていく日が、街を照らしている。
 それを遠くから眺められる学園の屋上で、間桐シンジは高笑いを上げていた。

「ま、そうかもね。
 戦場では、負けたらそのまま死んでしまう人も多かったから。本当に多かった。
 だから、負けた癖にこうして生きている間桐は幸運だよ」
「……ま、負けたってのをそんなに強調するなよ。
 あんなのマグレだからな、マグレ!」
「まぐれであっても、負けは負けだよ。
 実力がいくらあっても、運が悪ければ負けて、そのまま死んでしまう。
 ……だから、こうして生きている幸運は誇っていいと思うよ」
「オマエそう言ったら僕に幸運しか取り柄がないみたいじゃないか!
 僕は天才なんだからな!」

 そんなシンジに茶々を入れているのか、それとも励ましているのか。
 彼のサーヴァントは、隣でぽややんと佇んでいた。
 手にはサンドイッチを入れたバスケット。

「まあまあ。サンドイッチ、食べる?
 確かマスター、昼食食べてなかったよね」
「食べ物で釣るつもりかよ!?
 そんなもんいらな……!」

 そのまま、ずいと突き出されたバスケットを拒むように、シンジは手を突き出して――ぐぅ、と腹の音が大きく鳴った。
 沈黙。

「……ま、まあ、少しくらいなら食べてやってもいいけど」


463 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 19:00:15 3L99G2eg0
           ◆

「……美味しいな」
「でしょ? これは得意なんだよね」

 結局バスケットの中に入っていたサンドイッチを全て消費したシンジは、しかしどこか不満げな顔で賛辞を口にした。
 サーヴァントの方は、賛辞を素直に受け取ってにこにことしている。

「……言っとくけど、こんなもので懐柔されたりはしないからな。
 確かにサンドイッチは美味しかったけど、それはそれだ。
 オマエはサーヴァントなんだから、僕をちゃんと敬えよ」
「はいはい。
 そうだね、一蓮托生である以上君のことは尊重するよ」

 続けての悪態も、サーヴァントはにっこりとしながら受け流す。

「……なんか調子狂うな」

 このサーヴァントは、召喚されてからずっとこんな調子だった。
 シンジが悪態を吐く度にそれを受け流し、宥め、時には同意される。
 正直な話、頻繁にこちらを袖にしてくるライダーよりもやりにくくてしょうがない。

「そういえば、まだ聞いてなかったんだけど」

 そんなサーヴァントの顔が、気がつけば近くにある。

「間桐の願いは何なの?」

 それは今までの表情とは違う、真剣な表情だった。
 ぽややんとした雰囲気はいつの間にか消え、一本の剣のような、研ぎ澄まされた威圧感を纏う。
 それに気圧されて、我知らずシンジは後ずさっていた。

「ぼ、僕の願い? そりゃ決まってるだろ、前回負けた屈辱を今回は晴らして――」
「それは勝つことそのものだろう? 願いとは違う」

 言い訳のように出てきた言葉を、しかしサーヴァントは一刀両断する。
 確かにそうだ。勝利はあくまでも過程のはず。
 その勝利によって得たい願いが、確かに間桐シンジにもあったはずなのだ。

 ――“それ”を自覚したシンジは口ごもって、しかし、ぽつりと言葉を漏らす。


464 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 19:41:29 3L99G2eg0
「……記録を残したかったんだよ。
 それもできれば、誰にも越えられない記録。そうなれば、僕がここに居たんだってみんながずっとわかってくれるだろ。
 聖杯戦争に参加したのもそのためさ。優勝できれば、世界に僕が居たって記録が残るんだ。
 ――バカみたいだよね。その挙句ゲーム気分で死んでるんだからさ」

 でもさ、とシンジは前置きして、

「あいつ、泣いたんだ……と思うんだよね。
 デリートされるデータの中で見た……ような気がするだけだから、ホントかはわからないんだけどさ。
 僕が死んで……っていうか対戦相手だからあいつが殺したんだけどさ。その後、泣いたんだよね」

「いや、ホントはすごくむかつくし、悔しいけどさ。
 でもさ、それはそれで、いいかなとも思ったんだよね。
 あいつが僕のことを覚えててくれるなら、それはそれで――記憶に残ったってことなんだし」

「……だから、そうだな。ありがとうくらいは言ってやってもいいかもね」

 と。
 今までの態度がウソのようなしおらしさで、シンジはそう告白した。

「――」
「……な、なんだよ」

 ぽかん、と。
 その言葉を聞いたサーヴァントは、まさしく虚を突かれたかのように硬直した後、

「……いや。存外と、かわいい願いだなあって」

 そう言ってくすくすと笑いだした。

「う、うるさいな! 当然ソレは二の次だぞ、一番は僕の名前をネット中に知れ渡らせることなんだからな!」

 こんなコト聞かせるんじゃなかった、とシンジは真っ赤な顔で激昂する。
 はいはい、とそれを宥めるような態度のサーヴァントは、しかし、

「でも、そうだね。
 安心した。
 それなら――僕も君の願いのために、君の言う誰かの為に、全力で頑張ろうと思う」

 と、シンジに向かって手を差し出した。

「ならば僕は君の手を取ろう。戦場を駆ける青となって!」

 かくして。
 間桐シンジと、そのサーヴァント――速水厚志の戦いは、ここに幕を開ける。

 夜の闇を、払うために。


465 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 19:42:26 3L99G2eg0

【クラス】ウォーダンサー
【真名】速水厚志@ガンパレード・マーチ
【パラメーター】
筋力D 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運A+ 宝具A++
【属性】
中立・中庸
【クラススキル】
対魔力:C
 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
心眼(真):A+
 実戦によって培われた洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
 逆転の可能性が1%にも満たなくても、その作戦を実行に移すチャンスを手繰り寄せ、実行してみせる。
【保有スキル】
絢爛舞踏:EX
 世界の危機に対応して出現し、世界の危機を消滅させて、また消えていく存在。ありうざるべきそこにある者。夜明けを呼ぶ騒々しい足音。人が目を閉じるときに現れて、人が目を開く時に姿を消す最も新しき伝説。世界の最終防衛機構。ゴージャスタンゴ。
 世界を変えるほどの力を持った存在であり、その力を以ってして世界の敵と戦うもの。戦場にあって、歌うように、舞踏のように敵に死をもたらす。
 ウォーダンサーの行為は、例え不可能であろうとも“不可能なまま”“実現可能な出来事”になる。
軍略:B
 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
 自らの対軍宝具の行使や、
 逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
精霊の加護:A
 精霊からの祝福により、危機的な局面において優先的に幸運を呼び寄せる能力。
 猫神ブータの加護。
戦闘続行:B
 卓越した生き汚さ。
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
騎乗(近代):A
 近代的な乗り物に限り何でも乗りこなすことができる。
 生前のウォーダンサーは戦車兵だが、その騎乗物は車から戦闘ヘリ、人型戦車にまで及ぶ。
【宝具】
『突撃行軍歌(ガンパレード・マーチ)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大補足:1000人
 速水厚志が生前生きた戦場、そしてその戦友達の意思が宿る「突撃行軍歌」を歌い上げることによる固有結界。
 この結界内ではウォーダンサーとその友軍のパラメータを全体的に向上させる。
 その代償として、結界が展開し終わった場合は敵味方全てが撤退が不可能となる。
『精霊手』
ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:1〜90 最大補足:1人
 リューンをぶつけることで、相手を情報分解する絶技。
 とはいえムーンセル内にはリューンの量が少ないため、必然的に威力は低下し、必殺とは呼べなくなっている。
 さらに自分の従えるリューンを呼び出す行為にも魔力を絶大に消費するため、元と違って非常に燃費が悪い。


466 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 19:43:03 3L99G2eg0
【weapon】
「超硬度カトラス」
 戦車兵の標準装備の一つで、軍刀の代わりに持っている。刃渡りは40cm。
 ゆっくりと湾曲している。超金属ヒヒイロカネの鍛造製品である。形はカトラスだが製法は日本刀そのものであり、優秀な使い手なら鉄を紙の様に切り裂くことが出来る。 
「アサルトライフル」
 スカウト用のアサルトライフル。
「ウォードレス」
 強化プラスチックと人工筋肉により構成され、筋力や装甲性、霊的対応力を強化する力翼強化服。
 要するにパワードスーツ。

更に、『突撃行軍歌(ガンパレード・マーチ)』展開時は生前熊本で使用した兵器及び武装を使用することができる。
ただしその際は追加で魔力が必要。
【人物背景】
 幻獣との絶望的な戦争が続く中、日本は遂に子どもすら戦場に送り込まなくてはならなくなった。
 速水厚志も多くの子どもたちと同じく徴兵され、5121部隊に配属。人型戦車「士魂号」のパイロット候補となった。

 ……というのは本物の『速水厚志』の境遇。ライダーは速水厚志の名を奪った全くの別人である。
 その実態は幼くしてラボに入れられた哀れな実験体。それはキイクニと名付けられ、後付の改造手術を受けつつも、研究員たちに過酷な凌辱を受けた。
 だが廃棄される直前、研究員及び他の実験体を皆殺しにして逃亡。その先で本来の『速水厚志』が死亡する現場にたまたま立ち会ったことで、それは速水厚志に成り代わる。
 そして配属された部隊で『芝村』一族の末姫、芝村舞と出会うことになる。。
 彼は外見的にはぽややんとした温厚な少年だが、それは日常に適応する為の仮面に過ぎず、過酷な幼年期を経て培われた内面は非常に現実的かつ計算高い。
 当初は舞のことも生きる為に利用するつもりだったが、彼女の生き様に触れるうちに徐々に心情に変化が訪れる。
 舞を守ること。いつしかそれが彼の生きる目的になっていた。舞の為に戦場を駆け、舞の敵を葬り、舞と共に生きようとする。
 結果彼は多大な戦果を上げ五番目の『絢爛舞踏』となる。

 その想いも戦果も実際には世界を越えた陰謀の一端であった。
 が、彼はそれを退け魔王となることなく、決戦存在HEROとして『竜』を討ち果たした。
 のちにその素性を明かし、『青の厚志』として活躍することになる。

 基本的に設定の多いゲームであるため、設定は大体ゲーム版準拠とする。
【サーヴァントとしての願い】
 特になし?
【基本戦術、方針、運用法】
 パラメータこそ大したことはないが、その豊富なスキルと戦術により戦い抜く強靭なサーヴァント。
 反面標準時の火力はそこまで高くない。『精霊手』は非常に強力な宝具ではあるが燃費が悪い。
 そのため、粘り強い長期戦に向いたサーヴァントではある。

 生前駆った人型戦車は、『突撃行軍歌(ガンパレード・マーチ)』を展開した状態でなければ出すことができない。
 それも合わせて『突撃行軍歌(ガンパレード・マーチ)』自体は強力な固有結界ではあるが、反面「撤退不可」が大きな代償となる。

 間桐シンジの憎まれ口や自慢話を受け流すことができるため、相性はいい。
 というか、彼の態度は速水にとっては昔のクラスメイトを思い出してどこか懐かしくなるらしい。
 シンジにとっても、どこか毒気が抜かれる相手である。


467 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 19:43:20 3L99G2eg0

【マスター】間桐シンジ@Fate/Extra
【参加方法】
 ムーンセルにデリートされた後、データが何らかの形で復元された?
【マスターとしての願い】
 ■■■■にありがとう、と言う。
【weapon】
 コードキャストを用いる。
【能力・技能】
 優れた霊子ハッカー。
 散々馬鹿にはされているがハッカーとしての腕前は天才的なものである。
【人物背景】
 『Fate/EXTRA』における慎二。『Stay Night』の慎二とは別人。主人公の第一回戦の対戦相手。
 アジア圏屈指のゲームチャンプとして知られる名うてのクラッカーであり、確かな実力を持つウィザード。

 没落した貴族が西欧財閥から優良遺伝子を買い取り、跡取りとして生み出したデザインベビー。「物心ついた頃から部屋を与えられて勉強をしていた」と語っており、どうやらネット世界ではともかく、現実世界では友人がいなかったらしい。自身の境遇については「ドライなの好きだし」と悲観していないが、寂しさは感じていた。

 自分の名前を記録に残したいという願望から聖杯戦争に参加したため、「命の奪い合い」という意識はなく、ゲーム感覚だった。
 予選では主人公の旧くからの友人、かつ間桐桜の兄としてのロールを与えられており、予選突破後も主人公には友達として接する。また、遠坂凛をライバルとして、そして異性として意識している描写があるが、当の凛には「強いけどやりやすい敵」くらいの認識しか持たれていない。
 結局EXTRA本編ではその認識のまま聖杯戦争を戦い、主人公に敗北して死亡した。

 彼の願い云々はCCCでのエピソードだが、この間桐慎二はEXTRAで敗北した後の間桐慎二であり、CCCでの主人公とのエピソードは体験していない。

 なお、セラフでの彼の姿はムーンセルが予選用に用意したアバターであり、実年齢は8歳。

【方針】
 とりあえず優勝狙い。ゲーム感覚は生前懲りた。


468 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 19:45:03 3L99G2eg0
以上で投下終了です。
途中回線トラブルにより長い間投下が途切れたのをお詫び申し上げます。

また、サーヴァントのステータスは二次二次聖杯の「カズミ=シュリーレンツァウアー・ライダー」を個人的に参考にさせていただきました。
ここで感謝を申し上げます。


469 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 19:49:29 3L99G2eg0
滑り込みの投下などがない場合、以上で登場話投下を締め切ります。


470 : 名無しさん :2014/09/27(土) 19:49:53 pN1NEyOM0
皆様投下乙です。
これから>>1氏による選出かな…?


471 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 20:07:40 3L99G2eg0
今日中に投下作から選出して発表したいと思っています。

その後はマップと予約についての話をしたいと考えています。
マップについては最悪自作しますが、予約開始日などに要望があるならば話してくれると受け入れやすいです。


472 : ◆vBWhRkzGXs :2014/09/27(土) 22:14:47 Ug4k5Blo0
俺ロワなので>>1さんが「始められる」と思ったタイミングがスタートに最適かと
発表から周知まで間を取って翌々日からすぐスタートでもかまわないし、把握期間として少し間をおいてもいいのでは


473 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 23:01:44 3L99G2eg0
お待たせしました、選考が終了しました。
最終的にバランスなどを考えて、両陣営10騎、合計20騎で開始しようと思います。

【月】
セイバー:ネロ・クラウディウス&トゥーサン・ネシンバラ
ランサー:タケ&ディオ
アーチャー:天龍&ジョセフ・ジョースター
アサシン:二ッ岩マミゾウ&影森の正吉(しょうきち)
キャスター:ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム&直枝理樹
バーサーカー:バオー&ルナティック
ライダー:リュカ&カレン・オルテンシア
セイヴァー:葉隠覚悟&夜神月
デストロイヤー:パッションリップ・坂本ジュリエッタ
セイバー(2騎目):市丸ギン&セブルス・スネイプ

【地球】
セイバー:呉島貴虎&雅緋
ランサー:ディルムッド&鬼柳院皐月
アーチャー:セッツァー・ギャッビアーニ&セレスティア・ルーデンベルク
アサシン:明智光秀&神長香子
キャスター:隼鷹&沢木直保
バーサーカー:人類種の天敵&遠野四季
ライダー:ワムウ&小泉ジュンイチロー
ウォーダンサー:速水厚志&間桐シンジ
バランサー:博麗霊夢&鹿目まどか
セイバー(2騎目):鑢七花&阿良々木暦

多数の登場話候補、真にありがとうございました。
こちらの一存で落選とさせて頂いた方にはお詫び申し上げます。


474 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/27(土) 23:03:32 3L99G2eg0
また、今日から30日までを把握及び準備の期間として、予約開始は10月1日からにしようと思います
それまでにこちらもマップと最終的なルールを完成させてきます

それでは皆様、本当にありがとうございました。


475 : 名無しさん :2014/09/28(日) 01:27:20 3u3DIbVU0
【月】
トゥーサン・ネシンバラ&セイバー(ネロ・クラウディウス)       @境界線上のホライゾン&Fate/Extra
セブルス・スネイプ&セイバー(市丸ギン)                @ハリポッターシリーズ&BLEACH
ジョセフ・ジョースター&アーチャー(天龍)                @ジョジョの奇妙な冒険(第三部)&艦隊これくしょん
ディオ・ブランドー&ランサー(タケ)                    @ジョジョの奇妙な冒険(第一部)&きのこたけのこ戦争if
カレン・オルテンシア&ライダー(リュカ/DQV主人公)         @Fate/Hollow ataraxia&ドラゴンクエストV 
影森の正吉&アサシン(二ッ岩マミゾウ)                 @平成狸合戦ぽんぽこ&東方project
直枝理樹&キャスター(ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム)@リトルバスターズ!&Dies irae-Amantes amentes-
ルナティック(ユーリ・ペトロフ)&バーサーカー(バオー/橋沢育郎) @TIGER & BUNNY&バオー来訪者
夜神月&セイヴァー(葉隠覚悟)                      @DEATH NOTE&エクゾスカル零
坂本ジュリエッタ&デストロイヤー(パッションリップ)          @エアマスター&Fate/Extra CCC


【地球】
雅緋&セイバー(呉島貴虎)                         @閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証&仮面ライダー鎧武
阿良々木暦&セイバー(鑢七花)                      @物語シリーズ&刀語
セレスティア・ルーデンベルク&アーチャー(セッツァー・ギャッビアーニ)@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生&ファイナルファンタジーVI
鬼龍院皐月&ランサー(ディルムッド・オディナ)             @キルラキル&Fate/zero
小泉ジュンイチロー&ライダー(ワムウ)                  @ムダヅモ無き改革&ジョジョの奇妙な冒険(第二部) 
神長香子&アサシン(明智光秀)                      @悪魔のリドル(アニメ版)&戦国BASARA
沢木直保&キャスター(隼鷹)                        @もやしもん&艦隊これくしょん 
遠野四季&バーサーカー(人類種の天敵)                 @真月譚月姫(漫画版)& ARMORED CORE for Answer
鹿目まどか&バランサー(博麗霊夢)                    @魔法少女まどか☆マギカ&東方Project
間桐シンジ&ウォーダンサー(速水厚志)                  @Fate/Extra&ガンパレード・マーチ


476 : 名無しさん :2014/09/28(日) 01:49:46 T8JQGrUI0
選定乙です。ついでに陣営ごとの属性まとめ
鑢七花は属性書かれてなかったので未記載

【月陣営】
<秩序・善>
セイヴァー(葉隠覚悟)

<秩序・中庸>
アーチャー(天龍)

<中立・善>
ライダー(リュカ)

<中立・中庸>
セイバー(市丸ギン)
アサシン(二ツ岩マミゾウ)

<混沌・善>
セイバー(ネロ・クラウディウス)
ランサー(タケ)

<混沌・悪>
キャスター(ルサルカ・シュヴェーゲリン=マレウス・マレフィカルム)
デストロイヤー(パッションリップ)

<混沌・狂>
バーサーカー(橋沢育郎)


【地球陣営】
<秩序・善>
セイバー(呉島貴虎)

<秩序・中庸>
ランサー(ディルムッド・オディナ)

<中立・善>
キャスター(隼鷹)

<中立・中庸>
アーチャー(セッツァー・ギャッビアーニ)
バランサー(博麗霊夢)
ウォーダンサー(速水厚志)

<混沌・中庸>
ライダー(ワムウ)

<混沌・悪>
アサシン(明智光秀)

<混沌・狂>
バーサーカー(人類種の敵)


477 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/28(日) 03:52:53 6ZABL5sA0
属性忘れてました

鑢七花【中立・中庸】でお願いします


478 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:39:48 DTA/e55M0
選定乙です!
簡易サーヴァント能力まとめ

<月>
セイバー1(ネロ) >>327
筋力D 耐久D 敏捷A 魔力B 幸運A 宝具B(B×1)
対魔力C 皇帝特権EX(スキル模倣) 頭痛持ちB(精神系スキル成功率↓)

セイバー2(ギン) >>259
筋力B 耐久C 敏捷A+ 魔力C 幸運E 宝具A(E×1→C×1→A×1)
対魔力C 騎乗C+ 埋伏の毒A-(敵戦力低下、気配遮断、同位カリスマ無効) 弁舌B(交渉判定↑、言語干渉・読心耐性↑) 死神C(属性悪に対するダメージ↑)

アーチャー(天龍) >>178
筋力D 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運D 宝具E(E×1)
対魔力E 単独行動D 艦娘A(水上全パラ↑、特殊回復、特殊強化) 
旗艦D(自軍能力↑) 遠征D(単独行動補助) 戦闘続行

ランサー(タケ)  >>145
筋力B 耐久C 敏捷A 魔力E 幸運C 宝具B(E×1、B×1)
対魔力E 仕切り直しC カリスマB 
電撃戦・浸透戦術A(攻戦時筋力・敏捷↑、耐久↓) その血の運命B(特定敵に対し全判定↑)

ライダー(リュカ) >>36
筋力C 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運E 宝具A(B×1)
対魔力D 騎乗A+ 魔物使役A+ カリスマB 魔術B

アサシン(二ッ岩マミゾウ) >>53
筋力D 耐久C 敏捷B 魔力B+ 幸運B 宝具B(E×1、B×1)
気配遮断A+ 変化A+ 妖獣A(物理ダメージ↓、魔力消費・精神干渉↓、満月時パラメータ↑・弱点追加) 人間観察C

キャスター(ルサルカ) >>121
筋力D 耐久C 敏捷D 魔力A+ 幸運D 宝具B(C×1、B×1)
陣地作成A 道具作成A 対魔力B 地星A(ジンクス) 魔術B

バーサーカー(バオー) >>416
筋力A 耐久B 敏捷A+ 魔力C 幸運C 宝具B(C×1、B×1)

狂化B 変化E- 気配察知A+ 自己再生B 戦闘本能A
 
セイヴァー(葉隠覚悟) >>437
筋力:C+ 耐久:A+ 敏捷:C+ 魔力:D  幸運:E 宝具:EX(C×1、B×1、EX×1)
対英雄E 対魔力B 騎乗D 闘鬼の見識C(他者理解、直感+心眼(真)) 
記憶喪失A 零式防衛術A+(同位精神干渉無効、知名度補正無効) 殺し得ぬ罪花-(喪失) 正義失格者EX 牙なき者の呪怨(知名度補正)

デストロイヤー(パッションリップ) >>348
筋力A++ 耐久C 敏捷E 魔力B 幸運D 宝具C(C×1)
破壊の権化A+(耐久↑、敏捷↓、全攻撃に即死追加(状態異常無効化or防御しなければ必殺)) 被虐体質A
トラッシュ&クラッシュEX ブレストバレー- 愛の虜A(精神系状態異常無効) 空腹A(魔力消費↑)

地球側はまたのちほど


479 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/28(日) 16:52:09 ZjadB6m.0
皆様、まとめありがとうございます。

把握期間ですし、各キャラ把握しやすい媒体を教えて頂けるとありがたいです。
私の投下した主従は、

ネロ、シンジ:
PSPゲームの『Fate/Extra』。外伝的作品である『Fate/Extra CCC』にも登場しますが、そちらの内容は経験していない設定です。
漫画版も出ているのでそちらでもいいかもしれません。

ディオ・ブランドー:
参戦時期は第一部、吸血鬼化する前。単行本だと2巻で吸血鬼化する直前、アニメでは三話のあたりとなります。

タケ:
原作はフリーゲームです。
戦闘時台詞は有志の方が攻略Wikiに載せてくれているので、そちらを参考に。
その他については勢力「ドウリル民族戦線」のOPで大体把握できるかと。

リュカ:
原作はゲームです。
無口主人公ですし、ストーリーなどについて調べる程度でも構わないかもしれません。

カレン:
原作はゲームですが、PC版は18禁&割と昔のゲームなので入手しづらいかもしれません。
PSPの「タイガーころしあむ」や漫画の「プリズマ☆イリヤ」にも登場しますが、設定が設定なので参考にするならば口調の把握くらいに。
Hollowそのものも11月27日にPSVita版が発売されるので、そちらを待つのも手かと。

セッツァー:
原作はゲームです。
SFC、PS、GBA、バーチャルコンソール、ゲームアーカイブスなど割と移植などは多岐に渡るので(PS版はロードが長かったり、GBA版は少し高いですが)どれかでプレイするか、プレイ動画を見るかで把握すればいいかと。

セレス:
原作はゲームです。
PSP、スマートフォンアプリ版、Vitaへの2の一緒の移植版が存在します。
公式で第2章以降のプレイ動画配信が禁止されているため、第二章以降の行動はプレイ動画では確認できません。
ただし通信簿(個人コミュ)の動画は上がっているので、そちらを見てもいいかもしれません。

遠野四季:
出展は漫画版です。
それなりに昔の漫画ではあるので、古本屋に売ってる可能性はそれなりに。
四季/ロアの本格的な登場は6巻辺りから。

人類種の天敵:
原作はゲームですが、バーサーカーですし、無口主人公なので性格的な把握は一切要らないと思います。
戦闘描写的な把握は、
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm7947758
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm2704959
などのOPやプロモーションムービーで把握できるかと。

速水厚志:
原作はゲーム。PS版は割とプレミアに近いですが、ゲームアーカイブスで販売してます。
裏設定が色々あるゲームですが、ゲームの範囲を基本設定とします。
下記のサイトに台詞が載っているので、把握の一助に使えるかと。
ttp://www.ne.jp/asahi/home/textnerd/gpm/words/


480 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/28(日) 17:08:34 ZjadB6m.0
いかん一人忘れた。

ネシンバラ:
原作はライトノベルです。
メインの話は2巻上下。アニメ化された範囲でもあるので、解説を読みながらアニメを見るのもいいかもしれません。

あとタケの攻略Wiki項目でのを貼っておきます
ttp://kinotakeif.wiki.えふしーつー.com/wiki/%E3%82%BF%E3%82%B1


481 : ◆aWSXUOcrjU :2014/09/28(日) 17:11:13 eLijPv5E0
拙作「雅緋&セイバー組」分を採用していただき、ありがとうございます
把握媒体については以下の通りです。ご確認ください

マスター:雅緋
PS Vitaゲーム「閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-」のプレイアブルキャラクターです。
原作ゲームは合計4つのルートがありますが、本聖杯戦争においては、蛇女子学園ルートの1章から参戦させています。
どのルートにも登場するので表面的な性格・口調は把握できますが、他の学園の代表キャラに比べると、描写は薄めです。
よって蛇女ルートを攻略するのが、一番参考になると思います。
アニメには登場していない上新しいハードのゲームなので、ややハードルは高いかもしれません。申し訳ありません。
ソフトを購入される場合は、ベスト版が出ているので、そちらをおすすめします。去年発売されたゲームなので、中古価格も抑えめにはなっているはず。

サーヴァント:呉島貴虎
テレビ朝日の特撮番組「仮面ライダー鎧武」の登場人物です。ちょうど今朝に放送が終了しました。
第36話で水没したところからの参戦となります。出番はその後も続きますが、把握だけならそこまででOKです。
該当話の収録されたDVD・第9巻は、10月17日発売になります。レンタルビデオでの把握がオススメです。


482 : ◆2ZrgUeUnpM :2014/09/28(日) 17:29:34 1JVXmxlA0
理樹&ルサルカ組の採用光栄です。

直枝理樹:PSVita用ソフト「リトルバスターズ! Converted Edition」またはアニメ一期と二期の全39話により把握できます。

ルサルカ・シュヴェーゲリン:PSP用ソフト「Dies irae-Amantes amentes-」により把握可能です。一話の内容的には、氷室玲愛ルート(所謂グランドルート)を参考にしていただければ良いかと。

以上、把握媒体についての軽い説明でした。


483 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/28(日) 17:33:23 3/OSmFxs0
それでは自分も報告いたします。採用感謝いたします。

二ッ岩マミゾウ:
東方projectのキャラクターです。初登場は『東方神霊廟』ですがExボスなのでややハードルが高いです。
『東方心綺楼』は実際にプレイする以外にも、ネット上で対戦動画を参照できます。
また、原作内の口調は『イザヨイネット』などのwebページでも把握できます。
『東方鈴奈庵』『東方茨歌仙』は漫画作品です。現在『東方鈴奈庵』は二巻まで、
『東方茨歌仙』は四巻まで単行本が発売中です。『東方茨歌仙』では第二巻に登場しています。
その他設定はニコニコ大百科なども参考に出来るかと思います。

正吉:
ジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』のキャラクターです。
なので把握には、ビデオレンタルが最も有効だと思います。


484 : ◆QyqHxdxfPY :2014/09/28(日) 17:49:03 T8JQGrUI0
拙作の採用ありがとう御座います。
では自分も。

ジョセフ・ジョースター:
ジョジョ第3部(単行本で12~18巻、文庫本で8~17巻)終了直後が参戦時期、つまり3部の老ジョセフです。
キャラ把握だけなら3部アニメ放映分の範囲のみでも大丈夫です。
因みに全盛期の若きジョセフが見れるのは第2部(単行本5巻〜12巻、文庫本4~7巻、アニメ一期10~26話)、
サーヴァント枠で出演しているワムウとの決戦は同じく第2部の単行本11巻、文庫本7巻、アニメ22~23話で。

アーチャー(天龍):
ソーシャルゲームが原作ですが、基本的にストーリーが希薄なのでキャラ把握そのものは台詞のみで大丈夫です。
「艦隊これくしょん-艦これ- 攻略Wiki」の天龍のページで台詞一覧を参考にして頂ければ。


神長香子:
アニメ版最終話後の出演ですが、キャラ自体は基本的に4話だけで把握出来ます。
アニメ版最終話は後日談的なごく短い時間の出演なので、wikiなどの情報による把握のみで十分かもしれません。
漫画版2巻でもアニメ4話と概ね同じ流れで把握できますが、敗北後の香子の選択がアニメ最終話と真逆なので注意。

アサシン(明智光秀):
原作はゲーム、アニメ。
光秀の願いの根底に触れているので「戦国BASARA3 宴」の天海ストーリーモードの把握推奨です。
動画サイト等にプレイ動画が挙げられているのでそちらを参考に。
明智光秀としての基本的なキャラに関してはアニメ版1期が解りやすいと思います。
ゲーム版での把握はBASARA1〜2(明智光秀としての登場)、3(天海としての登場)。
BASARA4でも出演していますが、聖杯大戦の光秀は基本的に3宴までのイメージで。


485 : 名無しさん :2014/09/28(日) 17:49:28 DTA/e55M0
<地球>

セイバー1(貴虎) >>87
筋力:E(C+) 耐久:E(B+) 敏捷:E(C+) 魔力:E(D+) 幸運:D 宝具:C(C×1)
対魔力E(C) 騎乗E 真のロックシードA(宝具能力↑) 心眼(真)C 戦闘続行C 人物眼E(対人観察力↓)

セイバー2(七花) >>266
筋力B 耐久B 敏捷A 魔力C 幸運C 宝具A(C×1、B×1)
対魔力C 騎乗E- 対刀剣C(対武具攻防判定↑) 心眼(真)B 日本刀の精神A(同位精神干渉無効)

アーチャー(セッツァー) >>9
筋力D 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運A+ 宝具C(C×2)
対魔力D 単独行動C 黄金率C ぜになげB(金銭消費攻撃、スキルによる回避及び無効化不可) 
心眼(偽)B 直感D(A) 魔術 -

ランサー(ディルムッド) >>276
筋力B 耐久C 敏捷A+ 魔力D 幸運D 宝具B(B×2)
対魔力B 心眼(真)B 愛の黒子C(異性陥落)

ライダー(ワムウ) >>62
筋力A 耐久B 敏捷C+ 魔力D 幸運B 宝具B+(B+×1、C×1)
騎乗B++ 対魔力A 原初の一(偽)D(肉体の特異な特徴) 
戦闘の天才A(心眼(真)+戦闘続行+無窮の武練+精神干渉耐性) 単独行動E

アサシン(明智光秀) >>251
筋力B+ 耐久C 敏捷B+ 魔力D 幸運E 宝具B(C×1、B×1)
気配遮断B 精神汚染A 心眼(真)B 軍略C 逆臣A++(マスター及び自陣営を裏切った時ステータス↑)

キャスター(隼鷹) >>152
筋力:E 耐久:C 敏捷:D 魔力:B 幸運:B 宝具:E+(E+×1)
航空戦(陣地作成)B 道具作成B 艦娘A(水上移動可、ダメージ軽減)
近代改修D(特殊消費・耐久↑、魔力補給) 索敵C 酒(特殊消費・魔力回復)

バーサーカー(人類種の天敵) >>67
筋力B 耐久B 敏捷A+ 魔力D 幸運C 宝具B(B×1、A×1)(狂化適用済)
バーサーカー化B 単独行動B リンクスA++(状態に関わらず戦闘可能) 無辜の怪物A(姿、ステータス隠蔽)

バランサー(博麗霊夢) >>361
筋力C 耐久C 敏捷B 魔力A 幸運A 宝具B(B×1、EX×1)
不変の理A(精神干渉無効) 対魔力B 飛行A 霊力A(対魔力削減) 心眼(偽)B 気まぐれC(戦意↑↓)

ウォーダンサー(速水) >>461
筋力D 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運A+ 宝具A++(A×1、A++×1)
対魔力C 心眼(真)A+ 絢爛舞踏EX 軍略B
精霊の加護A 戦闘続行B 騎乗(近代)A


486 : ◆eBE8HIR9fs :2014/09/28(日) 18:38:47 BiR9wm/60
バランサー組、採用ありがとうございます。こちらも把握媒体を。

マスター:鹿目まどか
 TV版第11話のラスト直前(まどかがほむらの元に到着し、キュゥべえと契約する前)からの参戦です。
 ただし彼女の「願い」は次の最終話で明らかになるので、普通に全12話通して観るのが一番かと。
 なお劇場版「叛逆の物語」は世界改変後の話なので観なくても支障は無いと思います。

バランサー:博麗霊夢
 東方Project通しての主人公なので、各種漫画版を含むほぼ全作品に登場しています。
 口調はいずれかのゲームか漫画、あるいは「イザヨイネット」等の台詞集で足りるはず。
 設定はネット上にも色々纏められていますが、公式書籍「東方求聞史紀」を読むのがベストですね。
 なお宝具「夢想天生」の設定は東方永夜抄のものを元にしています。プレイ動画を観るのもいいかも。


487 : ◆zKmN6Unyy2 :2014/09/28(日) 19:43:44 nw8Ho6.I0
ランサーの採用、ありがとうございます。

マスター:鬼龍院皐月@キルラキル
TV版24話ED前〜25話終了辺りからの参戦です。
簡単に書くと「羅暁を倒して全裸ダッシュした後から髪を切るまでの間から」です。
漫画版も原作とシナリオの差異はあまり感じられませんがまだ物語が進んでいないのでアニメ視聴が一番かと思います。

ランサー:ディルムッド・オディナ@Fate/zero
これはそのまま原作を読むor見るのが一番だと思います。


488 : ◆LvHaBDkQwQ :2014/09/28(日) 20:03:33 6ZABL5sA0
すいません、どうやら勘違いしていたようです
鑢七花の宝具はAではなくBに修正することを忘れていました
申し訳ありません
そしてセイバー組、採用ありがとうございます!

・阿良々木暦
阿良々木さんの把握は恋物語手前の参戦なので、時系列順に並べると
傷物語→猫物語(黒)→化物語(上下)→偽物語(上下)→傾物語→鬼物事→猫物語(白)→終物語(中)→終物語(上)→囮物語(ここまで)
となります。

・鑢七花
全12巻となっており、サーヴァントなので死後参戦となるので12巻以降の参戦となります。
こちらは完全に全12巻分アニメ化しているので、把握ならばそちらの方が簡単だと思われます。


489 : ◆QNxvmG91pc :2014/09/28(日) 20:28:19 1auEDteo0
沢木直保&隼鷹の採用ありがとうございます。

隼鷹
天龍と同じく攻略サイトのセリフ集を参考にすればいよいと思います。

沢木直保
参加時期は単行本の2巻以降です。
原作の漫画からアニメ、実写。把握はどれからでも良いと思います。
能力が最終的に他人にも見えるように進化するので
それを把握したい場合は漫画の13巻で。原作は全13巻で完結しています。


490 : ◆yy7mpGr1KA :2014/09/28(日) 23:41:33 40w5/pP.0
ジュンイチロー組、スネイプ組の採用ありがとうございます。

・小泉ジュンイチロー
手元にコミックスがないので間違ってる可能性があるのですが、原作コミックス1〜多分6巻における主人公です。
参戦時期は6巻における最終決戦直後。基本ギャグ漫画なので6巻だけ読めば十分です。

・ワムウ
>>684で触れて頂いているところが中心になるかと思います。
登場巻は7〜11巻、結婚指輪を使っているのが8巻、戦闘描写が7、8、10、11巻にあります。
アニメは何話か思い出せないのですが、シーザーとの闘いがすごい補完されていたので戦闘描写にはいいかもしれません。

・セブルス・スネイプ
参戦時期は最終巻終盤。
全ての伏線が積もったキャラ+時間軸なので出来れば賢者の石から死の秘宝まで読んでほしいですが、死の秘宝の後半だけでも書くことはできるかと思われます
映画でも問題ないです
完全に余談ですが、「おじぎするのだ」「僕を見てくれ」「俺様」「我輩」などネタ翻訳に事欠かない松岡女史のよりも原語に触れて頂ければキャラの印象は変わるんじゃないかなーと思います

・市丸ギン
9巻で巨人の片腕を切り落とし、始解
46巻で一護相手に卍解、偽りの能力を披露
48巻で藍染を裏切り卍解、真の能力を披露
全体的につかみどころのないキャラですが、15〜17巻、28、30巻で日番谷やルキア相手の振る舞いが参考になるかと。
過去描写は卍解したところで少し入ります。


491 : ◆QyqHxdxfPY :2014/09/28(日) 23:48:12 T8JQGrUI0
申し訳ございません、>>484のジョセフ・ジョースターの記述に誤りがありました
ジョジョ3部の単行本の範囲が「12~18巻」と書かれていましたが、正しくは『12~28巻』です


492 : ◆Y4Dzm5QLvo :2014/09/28(日) 23:51:43 GhhqS6SY0
ルナティック&バオー、採用ありがとうございます。


・ルナティック@TIGER & BUNNY
原作TVシリーズを見るのが一番だと思います。
初登場は6話ですが、背景設定が語られるのはしばらく後の16話になります。
見なくとも把握に支障は出ないですが、続編の劇場版タイバニRISINGでも出番がありますね。

・バオー(橋沢育郎)@バオー来訪者
集英社文庫コミック版・全1巻。これが全てです。
他の書籍で明かされている設定なども一切無いので、把握難度は非常に低いと思います。
一応OVAも存在するけれど、DVDはプレミア価格なのでわざわざ見る必要は……。


493 : ◆ACfa2i33Dc :2014/09/29(月) 18:20:39 F0yXbfBEO
皆様、ステータスと把握のまとめをありがとうございます。
そして申し訳ない、ライダー(リュカ)の宝具ランクはB、バーサーカー(人類種の天敵)の宝具ランクもBです。

続けて申し訳ないのですが、把握期間が短すぎる、と感じたため把握期間を10/3まで延長し、10/4の土曜日に予約の開始とさせていただいてよろしいでしょうか。
それまでにWikiを借りてきますので、サーヴァントのステータスの調整がしたい場合ここで話をしてもらって構いません。

それとマップについてですが、二次聖杯のものを借りてもいいものなのでしょうか。


494 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/29(月) 19:53:13 dy1MmN6w0
調整可能とのことでしたら、お言葉に甘えます
>>53のアサシン(二ッ岩マミゾウ)の宝具『二ッ岩家の裁き』についてなのですが
現在「回避するにはランク以上の魔力、対魔力、または運が必要。」となっているところを
「回避するにはランク以上の魔力、または対魔力が必要。」に修正してもよろしいでしょうか?


495 : ◆g33OtL8Coc :2014/09/29(月) 20:03:04 dy1MmN6w0
申し訳ないのですが>>494の修正はなかった事に致します
ご迷惑をおかけました


496 : 名無しさん :2014/09/29(月) 22:30:50 2IzdQIFc0
二次聖杯のマップ自体原作ゲームの流用ですし、大丈夫だと思います
たぶん


497 : 名無しさん :2014/10/01(水) 21:01:47 kp.XNisQ0
そういえば自分以外の組の陣営把握ってどうするんだろ
鯖のステに地球or月陣営の情報が表記されるのか、ルーラーに聞けば解るのか
あるいは口頭で判断するしかないのか


498 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/01(水) 22:00:05 lYBVlgh6O
>>497
その辺もルールにまとめてるので、明日辺りに発表して問題ないか確認してもらおうかと。


499 : 名無しさん :2014/10/01(水) 22:09:03 kp.XNisQ0
>>498
そうでしたか、了解です。


500 : ◆vBWhRkzGXs :2014/10/02(木) 05:23:48 V46HON4Q0
遅くなりました
ジュリエッタ&デストロイヤー把握媒体、訂正や解説です

坂本ジュリエッタ@エアマスター
・訂正 深道ロワイヤル→深道バトルロイヤル
・把握は同名漫画もしくはアニメ、基本的にはアニメ版だけでも十分です
 第五話『唄え!坂本ジュリエッタ』から本格登場
 ステータスに書かれている小西戦は第二十五話『壊せ!小西対ジュリエッタ』、これ以降の怪我が完治した状態からの参戦になります
 戦闘シーンがあるのは
 五話・六話・七話(vs相川摩季)
 十一話(vs長戸)
 二十一話(vs深道弟たち、vs屋敷)
 二十五話(vs小西)       くらいだったと思います
・原作版では小西戦以降も戦闘描写がありますが、深道バトルロイヤル編に入るのでまあだいたいここまでになります


デストロイヤー(パッションリップ)@fate/extra CCC

・把握は同名PSP版ソフト、サクラ迷宮七・八・九階層で行えます
 戦闘シーンのみなら動画サイトなどにも上がっていますが、彼女の愛を確認するためぜひともプレイしてみてください
・参戦時期はSG(シークレットガーデン)を全て集められ、レリーフ(心の中)に入ってきた主人公と対面
 その後、開幕一発目の「死が二人を分断つまで」を放った直後となります
・属性 もともとは「秩序・中立」ですが、参戦時期や召喚クラス、スキル『愛の虜』のせいで「混沌・悪」に変化しています
・『破壊の権化』の防御判定について
 防御判定は敵対した者の意思に関係なく「攻撃がクリーンヒットしてないかどうか」に限ります
 防ぐことができればどれだけ莫大なダメージが通っても即死判定はなく、逆にそれほどダメージがなかろうと防がなければ即死です
 つまり、「たまたま出してた剣が運よく彼女の拳を遮ってダメージ軽減」ならばこれは防御判定ありとして状態異常付加なしのダメージのみになりますが
 「右腕で攻撃を受けきり、左腕で反撃」のような「肉を切らせて骨を断つ戦法」の場合、当人の防御の意思に関係なく攻撃が右腕に直撃しているので死亡します
 ただし、右腕までダメージが貫通しなかった場合(右腕をA++攻撃に耐えきれる耐久のガントレットや魔力結界などで保護していた場合)
 また、右腕で攻撃を受け止めた場合(登場話中ジュリエッタがやっていたように同クラスの力で迎撃する)は防御判定となります
 回避行動に関しては回避の結果ダメージ中未満(かすり傷〜傷痕が残る程度)ならば回避成功ですが、中以上ならば直撃判定ありとして死亡します

・『空腹』説明文訂正
『空腹』:A
魔力の燃費が悪く、実体化していると移動だけでも魔力を消費してしまう。
これは彼女が宝具の象徴である『腕』の常時顕現とトン近い重量の『腕』を運ぶために魔力を使用しているために付いたバッドスキルである。
このためデストロイヤーはマスターからの魔力供給では実体化で消費している分以上の魔力回復が追いつかず、戦闘やスキル発動によって魔力不足に陥りやすい。
ただし、『空腹』が示すとおり彼女は魔力消費を『空腹』という形で察知・対処が可能である。
そのため魔力消費が一定以上に達するとお腹が鳴って知らせてくれる。さらに魔力の補充を食事で行うことができる。
が、食事にも腕を動かす必要があるのでその魔力回復には常人よりも驚くほど多量の食料を必要とする。


今のところは以上です
またなにかありましたら訂正や追記させていただきます


501 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/02(木) 21:50:54 dh9sFuX.0
修正したルールを再掲します。
なにか問題や指摘したい点があるならば言ってもらえると嬉しいです。


【ルール】
・版権キャラによる聖杯戦争を行うリレー小説です。
・参加者は『白(月)』の陣営と『黒(地球)』の陣営に分かれて10騎VS10騎での団体戦を行います。
・最終的にどちらかの陣営のサーヴァントが全滅した場合に勝利陣営の判定が行われ、聖杯がその姿を現します。

【設定】
・舞台はムーンセル・オートマトン内に再現された冬木市です。ですが、再現の際に(あるいはもっと前から)『冬木の聖杯』を再現してしまったことにより、冬木の聖杯による侵食状態にあります。
・冬木市内には参加者の記憶から再現された施設なども存在しています。また、日常生活を送るNPCが居住しています。
・聖杯戦争への参加資格は『月の石』を所持していることですが、割とその辺は適当でいいと思います。
・『教会』は非戦闘ゾーンとして存在し、中には管理用NPCが存在しています。
・サーヴァントを撃破されたマスターは、その後一時間程度までムーンセルに残ります。その際にマスターのいないサーヴァントと出会った場合は再契約が可能です。
・令呪を全て失ってもマスターが排除されることはありませんが、サーヴァントを失った場合の再契約は令呪が残っていないと行えません。
・全ての参加者は、サーヴァントが召喚された時にムーンセルから携帯端末を渡されています。
・昼の0時及び夜の0時に、携帯端末にデータを流す形で放送を行います。
・携帯端末からサーヴァントの真名の検索を行うことができます。ただし精度は悪く、かなり詳細なキーワードを入力しなければ(要するに、Fate/EXTRAレベルの考察が必要)真名は出ず、エラーだけを返します。

【陣営戦のルール】
・マスターとサーヴァントがどちらの陣営であるかは令呪あるいはサーヴァントを視認することで確認可能。ただし、偽装に長けたマスターあるいはサーヴァントならば隠蔽あるいは偽装ができる可能性がある。
・味方陣営への攻撃を行ってもペナルティなどはありません。

【陣営の移動について】
 以下の条件が満たされている場合、陣営の移動が可能。
・相手陣営の対応するサーヴァントが脱落している。(セイバーの場合脱落しているのは一騎でよい。エクストラクラスの場合も同様)
・両陣営のルーラーと、移動する陣営のマスターが最低でも一人その場で同意した場合。

 また、サーヴァントが脱落したマスターが他のサーヴァントと契約した場合、所属はサーヴァントの陣営となる。

【ルーラーについて】
・『黒』のルーラーはセイバーオルタ@Fate/stay night、『白』のルーラーはセイバーリリィ@Fate/unlimited code。
・ルーラーは原作通り全ての組への令呪を二つ所持している。
・ルーラーが参加者にペナルティを与える要因は、「ルール違反」、「NPCを一度に大量に殺害する」、「冬木市の治安を著しく乱す行為を行う」です。最後については魔術やサーヴァントに関する事柄だと一般に関知させない限りはビル爆破くらいはやっても一度は警告はないかもしれません(NPCに被害を出さなければ)。
・ルーラーのステータスは原作のものに準じます(リリィのステータスは凛セイバーのものを使用する)。
 ただし、【直感】のスキルを以下のものに変更します。

直感:EX
 ムーンセルからのバックアップにより未来予測のレベルに達した直感。
 戦闘時のみならず、平常時においてもある程度機能する。
 これによりルーラーはルール違反の発生をある程度までは察知できる。


【時刻表記】
未明(0〜4)
早朝(4〜8)
午前(8〜12)
午後(12〜16)
夕方(16〜20)
夜(20〜24)

【予約について】
・予約期間は1週間。
・延長は3日、最長で10日。


502 : 名無しさん :2014/10/02(木) 22:39:32 LMrMb/cI0
ルーラーは全て遠き理想郷は持ってますか?


503 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/02(木) 22:45:10 dh9sFuX.0
Wiki作成しました。現在ほとんど項目入ってませんが、今後入れます。

ttp://www46.atwiki.jp/nijiseihaitaisen/pages/1.html

>>502
あ。
そういや忘れてましたね……オルタがアヴァロン持ってないのは確定なので、両方持ってないという扱いで。


504 : 名無しさん :2014/10/02(木) 23:00:36 P.LN0J/.0
ルール作成およびWiki作成乙です。
質問ですが、登場話の時刻に関するルールはあるでしょうか?
二次二次聖杯だと「キャラの登場話は未明〜早朝の間で書く」といった感じでしたので


505 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/03(金) 01:11:48 7jBACkvs0
Wikiの参加者名簿を更新してきました。
それと同時にバーサーカーのステータスに調整を加えました。
具体的な内容は
・単独行動をBからDに
・魔力放出(コジマ):A を追加
・心眼(真):D を追加
です。

>>504
特にその辺りに制限は設けません。
流石に第一放送まで(午前まで)に登場してもらわないと困りますが。


506 : ◆QyqHxdxfPY :2014/10/03(金) 02:02:29 uu6iPAhQ0
wiki作成およびルール作成おつかれさまです。
そしてwikiのジョセフ・ジョースター、天龍、神長香子、明智光秀の項目に細かな修正をさせて頂きました。

殆どは軽い加筆ですが、大きな変更点は以下の通りです。
・アーチャー(天龍)のスキル『艦娘』に水上移動に関する表記を追加
・ジョセフの能力・技能に『頭脳』を追加
・アサシン(明智光秀)の宝具『恍惚的吸収』でもう一つの宝具『快楽的衝動』の効果を助長することが可能に


507 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/03(金) 02:52:24 7jBACkvs0
暫定的なマップを作成しました。
ちょっと色々と問題はあるかと思うのですが、自分の技術力ではこれが限界でした。

参加者に学生が多いので、マップに学園を二個作ってみたいと思います。
学生の参加者がどちらの学生かは登場話で決めてもらって構いません。

ttp://cdn46.atwikiimg.com/nijiseihaitaisen/?plugin=ref&serial=1


508 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/03(金) 19:18:09 8UfkIABUO
明日の0時から予約を開始させて頂きます。
また、キャラ配置の予約時は場所についても予約をお願いします。


509 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/03(金) 22:38:57 8UfkIABUO
状態表のテンプレ張るのを忘れてました、申し訳ない。

≪状態票テンプレ≫

【X-0/場所名/○日目 時間帯】

【名前@出典】
[状態]
[陣営]
[令呪]残り◯画
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:
1.
2.
[備考]

【クラス(真名)@出典】
[状態]
[陣営]
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:
1.
2.
[備考]


510 : ◆aWSXUOcrjU :2014/10/03(金) 22:43:01 kur4fhV20
Wiki作成お疲れ様です
自分もキャラクターについて、いくつか変更を加えさせていただきました

・雅緋の概要
絶・秘伝忍法について、もう少し詳細に記述しました。その他も若干修正しています

・貴虎のステータス
全体的に他の鯖のステータスが、予想以上に高かったので、若干数値を変更しました
宝具発動時の対魔力をB、敏捷をBに上昇させてあります


511 : ◆g33OtL8Coc :2014/10/03(金) 23:26:53 7JcAwfH.0
wiki作成ありがとうございます。
自分もキャラクターについて少し修正しました。

・正吉の能力・技能覧を修正。
・マミゾウの気配遮断に追記。
・マミゾウの宝具に追記。


512 : ◆aWSXUOcrjU :2014/10/04(土) 00:00:00 9R7rssbc0
雅緋組、セブルス・スネイプ組、鬼龍院皐月組で予約させていただきます
場所はC-8を予約します

こんな感じでよかったでしょうか?


513 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/04(土) 00:05:35 F1tb8o62O
はい、問題ありません。
できれば組の内訳(キャラ)まで書いて頂けると助かりますが。
ではセレス、アーチャー(セッツァー)をB-9で予約します。


514 : ◆QNxvmG91pc :2014/10/04(土) 00:07:00 vB.ZwYSQ0
ルナティック(ユーリ・ペトロフ)&バオー、沢木直保&隼鷹
場所はB-8で予約します


515 : ◆2WXo28bDSI :2014/10/04(土) 00:08:18 oZs2R4sE0
ジョセフ&アーチャー、正吉&アサシンをA-10で予約します


516 : ◆0Ee114qkyI :2014/10/04(土) 00:35:54 Voc/Y6360
直枝理樹&キャスター、阿良々木暦&セイバーを、D-1で予約します


517 : 名無しさん :2014/10/05(日) 14:58:16 XrXu.YVg0
質問遅くて申し訳ないのですが、アルトリアたちはルーラーのクラススキルである真名看破は保持していないのでしょうか?


518 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/05(日) 15:46:17 rL6NP.7EO
>>517
忘れてました、持ってることにします。


519 : 名無しさん :2014/10/05(日) 17:27:06 .6DpJlhE0
>>518
回答ありがとうございます。
支援がてらルーラーのステ投下、修正点あったらご指摘ください

【クラス】ルーラー

【所属陣営】黒

【真名】アルトリア・ペンドラゴン(セイバーオルタ)

【パラメーター】
筋力A 耐久A 敏捷D 魔力A++ 幸運C 宝具A++

【属性】
秩序・悪

【クラススキル】
真名看破:?
認識したサーヴァントの真名・スキル・宝具などの全情報を即座に把握する。
あくまで把握できるのはサーヴァントとしての情報のみで、対象となったサーヴァントの思想信条や個人的な事情は対象外。
また、真名を秘匿する効果がある宝具を持っていれば、このスキルの効果を防ぐことが出来る。

対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
……闇属性に染まっている為、対魔力が低下している。

【保有スキル】
騎乗:−
騎乗スキルは失われている。

直感:EX
ムーンセルからのバックアップにより未来予測のレベルに達した直感。
戦闘時のみならず、平常時においてもある程度機能する。
これによりルーラーはルール違反の発生をある程度までは察知できる。
本来ならば自身の凶暴性を抑えるために大きくランクダウンするはずだったが……

魔力放出:A
膨大な魔力はルーラーが意識せずとも、濃霧となって体を覆う。
黒い甲冑と魔力の余波によって、防御力が格段に向上している。

カリスマ:E
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上させる。
統率力こそ上がるものの、士気は極度に減少する。

【宝具】
『風王結界(インビジブル・エア)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜2 最大捕捉:1人
不可視の剣。敵に武器の間合いを把握させない。 シンプルではあるが、白兵戦において絶大な効果を発揮する。
強力な魔術によって守護された宝具で、剣自体が透明という訳ではない。
風を纏った刀身は光の屈折率を変化させ、元から有る剣の形状を不可視にしている。 

『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』
ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
光の剣。人造による武器ではなく、星に鍛えられた神造兵装。 聖剣というカテゴリーの中では頂点に立つ宝具である。
所有者の魔力を光に変換し、収束・加速させる事により運動量を増大させ、 神霊レベルの魔術行使を可能とする聖剣。

【人物背景】
ブリテンの伝説的君主・アーサー王その人である。選定の剣を引き抜き、不老の王となった。
第四次聖杯戦争で、切嗣により召喚。切嗣の勝利至上の戦闘方針と、彼女の騎士としての誇りは相容れることなく、結果反目し合う。
当時、彼に直接声をかけられたのは3回のみ(つまり令呪の命令)という徹底ぶり。
第五次聖杯戦争の折、士郎の体内にある聖剣の鞘が触媒となって召喚される。士郎に剣の誓いを立て、彼とともに聖杯戦争を戦う。
今の彼女の姿は第五次聖杯戦争において、『この世全ての悪』に囚われ、性質が反転した時と同一のものだが詳細は不明。

【サーヴァントの願い】
調停者のクラスとして現界するサーヴァントは「現世に何の望みも持たない」はずだが、現時点では詳細不明。


520 : 名無しさん :2014/10/05(日) 17:28:29 .6DpJlhE0
【クラス】ルーラー

【所属陣営】白

【真名】アルトリア・ペンドラゴン(セイバーリリィ)

【パラメーター】
筋力A 耐久B 敏捷B 魔力A 幸運A+ 宝具A++

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
真名看破:?
認識したサーヴァントの真名・スキル・宝具などの全情報を即座に把握する。
あくまで把握できるのはサーヴァントとしての情報のみで、対象となったサーヴァントの思想信条や個人的な事情は対象外。
また、真名を秘匿する効果がある宝具を持っていれば、このスキルの効果を防ぐことが出来る。

対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。事実上、現代の魔術師ではルーラーに傷をつけられない。

【保有スキル】
騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

直感:EX
ムーンセルからのバックアップにより未来予測のレベルに達した直感。
戦闘時のみならず、平常時においてもある程度機能する。
これによりルーラーはルール違反の発生をある程度までは察知できる。

魔力放出:A
武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。
いわば魔力によるジェット噴射。強力な加護のない通常の武器では一撃の下に破壊されるだろう。

カリスマ:B
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上させる。
カリスマは稀有な才能で、一国の王としてはBランクで十分と言える。

【宝具】
『風王結界(インビジブル・エア)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜2 最大捕捉:1人
不可視の剣。敵に武器の間合いを把握させない。 シンプルではあるが、白兵戦において絶大な効果を発揮する。
強力な魔術によって守護された宝具で、剣自体が透明という訳ではない。
風を纏った刀身は光の屈折率を変化させ、元から有る剣の形状を不可視にしている。 

『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』
ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
光の剣。人造による武器ではなく、星に鍛えられた神造兵装。 聖剣というカテゴリーの中では頂点に立つ宝具である。
所有者の魔力を光に変換し、収束・加速させる事により運動量を増大させ、 神霊レベルの魔術行使を可能とする聖剣。

【人物背景、サーヴァントの願い】
黒のルーラーとほぼ共通。
装いは第五次聖杯戦争でおいてキャスターのサーヴァントに纏わされた騎士姫の衣装に近似している。







以上になります。


521 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/05(日) 23:02:07 rL6NP.7EO
そのステータスで問題はないと思います。
ありがとうございました。


522 : ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:28:35 WtlxwHs60
雅緋&呉島貴虎、セブルス・スネイプ&市丸ギン、鬼龍院皐月&ディルムッド・オディナ分を投下させていただきます


523 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:29:16 WtlxwHs60
 新鮮な牡蠣を食べられるということは、ある意味で贅沢なことだと言える。
 二枚貝は食中毒のリスクが高く、特に生食が有名な牡蠣は、槍玉に上がりやすいからだ。
 故にスーパーマーケットなどでは、加熱調理専用の食材と銘打って売られている場合がほとんどである。
 殺菌処理自体はどうとでもなるが、鮮度の方は産地に近い場所に行くか、然るべき流通ルートを確保するしかない。
 牡蠣が日本の家庭において、マイナーな貝の座に甘んじているのは、こうした事情が存在していた。
「なるほど、なかなか美味いものだな。牡蠣というのは、フライでしか食べたことがなかったが」
 その牡蠣を箸でつまみながら、感心した様子で雅緋が言った。
 蛇女の黒い制服ではなく、マニッシュな私服を身につけている。21歳のセーラー服というのは、さすがに学外で着るには無理があった。
 彼女が黒のセイバー・貴虎を伴い、腰を下ろしている場所は、新都のオイスターバーの席だ。
 この冬木市内で所持している資金が、元の世界での私財と別物だと気付いた雅緋は、どうせなら前祝いに美味いものでも食おうと提案し、目についたこの店に入ったのである。
 冬木の港で水揚げされるか、あるいはどこぞの産地との繋がりがあるのか。いずれにせよ珍しい店だと思い、こうして入店したのだった。
「フランスやオーストラリアでは、牡蠣は日常的に親しまれている。そうした国の数だけ、様々な調理法があるということだ」
 対する貴虎はというと、慣れた様子で語りながら、アヒージョを口に運んでいた。
 自身の宝具の開発主任であったというこの男は、かつては所属する研究機関において、高い地位にいたのだそうだ。
 世間の目を欺くために、表向きには企業として振舞っていたという機関である。恐らくは金持ちのパーティーなどで、色んな料理を食ってきたのだろう。
「日本だとそれこそフライか、鍋か? ああ、炊き込みご飯なんていうものもあったな」
「マスターの食べているタプナードは、火加減としては生焼けに近いだろう。古来より流通が限られていた日本では、なかなか発想し得ないものだ」
 野菜と牡蠣を油で絡めたそれは、明らかに日本の家庭料理ではない。
 オリーブ由来の調味料・タプナードは、イタリアで親しまれているものだ。
 それを用いた牡蠣料理は、水分を絶妙なバランスで保った、肉で言うミディアムレアといった塩梅の状態で出されていた。
「日本人では思いつかないということなら、お前のそれもそうだな」
 貴虎の料理を指して、雅緋が言う。
 アヒージョとはニンニク風味という意味のスペイン語で、ニンニクとオリーブオイルで食材を煮込んだ料理だ。
 それだけを聞けば、日本人なら、くどそうだと拒否反応を示すかもしれない。
「確かにそうだな。醤油であれ味噌であれ、日本の味覚といえば塩だ。
 素材の味を尊び、さっぱりとした味付けで育ってきた日本人には、油そのものを味わう風習はない」
「和菓子の甘さの上限は、果物の柿の味とされていた……という話も聞いたな」
「味の濃さといえば、こういうものもある」
 言いながら、貴虎はつい先程運ばれてきた、別の皿の料理を示した。
 彼が注文したオーブン焼きだ。いくつかあるうちの真ん中には、焼いたチーズが載っている。
「牡蠣に、チーズか?」
「フランスではポピュラーな食べ方だそうだ。食べてみるといい」
 これもまた意外な組み合わせだ。味の濃い牡蠣にチーズなどを載せては、味が喧嘩してしまうのではないか。
 そんなことを思いながら、殻を手に取り、恐る恐る口に運ぶ。
「! ……美味いな、これは」
 しかしそれは杞憂であったと、すぐに雅緋は思い知った。
 意外にも、よく合う組み合わせだったのだ。
 味は直接の理由ではないが、牡蠣は海のミルクとも呼ばれている。
 その味わいがチーズと絡み、同じベクトルのまろやかさ同士、絶妙に引き立て合っていたのだった。
 なるほど、あちらの家庭料理として、生活に根付いているのも頷ける。これならこの店に来る機会があれば、何度でも食べたくなる味だ。


524 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:29:38 WtlxwHs60
「ハンバーガーやピザのように、今ではチーズという食材は、日本でも広く親しまれている。
 だが、あくまでそれらは洋食文化だ。和食という観点に限れば、そうした例はないだろうな」
 言いながら、貴虎はマヨネーズの載ったものを手に取り、上品な動作で口へと運んだ。
「……いや、そうでもないぞ。チーズやマヨネーズのような具材が、思いつく限り1つある」
「ほう?」
「卵だよ。それこそマヨネーズの原料でもある食材だ。これが載っていない親子丼など、考えられん」
「なるほど……その通りだな」
 感心した顔つきの貴虎を見て、雅緋は得意気に笑った。
 彼女の好物の親子丼は、明治に生まれた歴史の浅い料理だが、れっきとした日本食に数えられるものだ。
 白く光る白米の上では、出汁のきいた濃厚な卵が、鶏肉と絡み合っている。
 そして親子丼以外にも、茶碗蒸しや卵とじなど、卵を使った和食は多い。日本人が好むものは、薄味ばかりではないということだ。
「しかし、いいのか? 私がこんな風に出歩いても」
 目を細めながら貴虎がいう。
 和気あいあいとした雑学トークは、一旦打ち切るということだ。
 元より雅緋と貴虎は、グルメ観光をするために、冬木市にやって来たわけではない。
 この仮初の町に飛ばされたのは、聖杯戦争を戦うためだ。
 死ぬ前に召喚された貴虎は、霊ではないので、霊体化ができない。
 身を隠せないということは、町に潜んだ他のマスター達に、正体が丸分かりであるということを意味する。
 そんな状態で出歩いては、敵陣営に捕捉され、不用意な争いを招くのではないか――貴虎はそういうことを言っているのだ。
「構わんよ。私にも考えというものがある。まぁ、こうしている理由はじきに分かるさ」
 それでも雅緋はどこ吹く風だ。
 あっけらかんとした様子で言い放ち、グラスに注がれたシャンパンを飲む。
 気付いた時には成人して、酒も飲めるようになっていた。未成年の学び舎にいる手前、普段は無意識に避けていたが、久々に味わうと美味いものだ。
「とりあえずは食っておけ。他人の金で飲み食いできるなど、そうそう滅多にない機会だぞ」
 そう言って貴虎の警戒をよそに、雅緋は食事を勧めたのだった。



 家を出たのが遅かったからか、すっかり帰りも遅くなった。
 前夜祭のつもりだったが、既に0時を過ぎており、聖杯戦争も開幕してしまっている。
 故に呑気なマスターの後について、線路沿いの道を歩く貴虎は、気が気でない様子で周囲を見回していた。
「帰ったら風呂に入って、すぐに寝よう。明日は早いぞ」
 明日と言っても今日だがな、と雅緋が言う。
 一応戦いが始まったという認識はあるようだ。それでも安心できるとは言いがたいのだが。
(やはり無理にでも止めるべきだったか)
 後悔先に立たず、とはこのことだ。
 召喚されるサーヴァントの中には、自らの気配を絶つことのできるクラスも存在する。
 もしもそうした連中が、こちらの動きに気付いていたならば、今まさにこの瞬間にも、物陰から襲ってきてもおかしくはないのだ。
 むしろその手のリスクについては、忍者であるマスター自身の方が、よく分かっているはずではないのか。
(そうだと信じたい)
 大見得を切ったマスターが、そういうことにも気付かない、馬鹿な女であってほしくはない。
 そんなことを考えながら、どこかに人影がいないかと、周囲を探っていた、その時だ。

「――射殺せ、『神槍』」

 空を裂く音を伴って、鋭い風が吹き荒れたのは。


525 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:31:03 WtlxwHs60
「!」
 息を呑む貴虎が見たのは、一筋に光る銀色の線だ。
 僅かな街灯の明かりを反射し、光沢を放つ金属の刃だ。
 それが飛来し――否、猛烈な勢いで長く伸びて、己がマスターに迫ったのだった。
「っ!」
 されど、狙われた雅緋も素早い。
 一瞬驚愕の表情を見せるも、即座に飛び退り、刃をかわす。
 買ったばかりのジャケットに、微かな切り傷が刻まれるも、肉体にはダメージはなかった。
「そちらの方からか」
 そう呟いた彼女の言葉に、どういった意味が込められていたのかは、定かではない。
 されどその口元は、笑っていた。食事の時とはまた違う、獰猛な笑みを浮かべていたのだ。
「マスター――」
「行くぞ、セイバー! 襲撃者を迎え撃つ!」
 バックステップからの行動は素早かった。
 飛び退いた雅緋は、着地と同時に、前進のための右足を踏み込む。
 そのままびゅんっと音を立て、刃の伸びてきた方へと、果敢に飛び込んでいったのだ。
「無茶をしてくれる……!」
 苛立たしげに吐き捨てながら、取り出したのは黒いプレートだった。
 それを腰に当てた瞬間、光と共にベルトへと変わり、貴虎の腰へと巻き付いていく。
 伸縮自在な金属など、常識ではまずあり得ない。であれば攻撃を仕掛けてきたのは、条理を超えたサーヴァントのはずだ。
 いかに腕が立つと言っても、人間にかなう相手ではない。なればこのまま彼女1人を、敵に挑ませるわけにはいかない。
『メロン!』
 新たに手にした物体が光る。
 異界・ヘルヘイムの果実――その力を宿したロックシードが、機械のギミックと共に音声を発する。
「変身!」
 短く叫んだその言葉こそが、宝具発動のトリガーだ。
 頭上にロックシードを放り投げ、再び手元にキャッチすると、それをベルトへとセットした。
 変身ベルト・戦極ドライバー。ロックシードの力を引き出すそれは、セイバー・呉島貴虎の宝具を、異界の彼方より呼び寄せる。
『ロック・オン!』
 空間に穴が空いた瞬間、現れたのは巨大なメロンだ。
 先ほど飛び出した刃のように、金属の光沢を放っているそれが、宝具『天下御免の緑壁(メロンアームズ)』だ。
 駆け出す貴虎に追随し、果実を模した鉄塊が、それに追随して飛来する。
『メロンアームズ! 天・下・御・免!!』
 頭から貴虎にかぶさったそれは、同時に展開され姿を変えた。
 さながらフルーツの輪切りだ。しかし一様に開かれたそれは、半月型になることなく、鎧の形へと変形していた。
 同時に貴虎の全身を、白一色のスーツが覆う。純白に染まった体の上に、緑碧の鎧が装着される。
 これぞ、アーマードライダー・斬月。
 かつて沢芽市の若者達を恐怖させた、最強のアーマードライダー。
 剣を引き抜き盾を持ち、一挙に駆けるその雄姿こそ、貴虎の英雄たる所以だ。
 呉島貴虎は宝具によって、その姿を変身させることで、初めて本領を発揮するサーヴァントなのである。


526 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:31:48 WtlxwHs60
「おお、それがお前の宝具か! なかなかカッコいいじゃないか!」
 追いついてきたサーヴァントを前に、マスターが呑気な感想を述べた。
「無駄口を叩いている場合か!」
「そうだな。では私も行くぞ! 忍――転身ッ!」
 叱責するアーマードライダーに応じ、雅緋もまた何かを取り出す。
 いかにも忍者といった様子の、緑色の巻物だ。そして雅緋は手にしたそれを、叫びと共に前方へと投げた。
 瞬間、封を切られた巻物が、彼女の周囲を覆い隠す。
 漏れ出す光の向こうから、現れたのは白と黒だ。
 さながら陣羽織のような、ド派手な白い装束に、漆黒のマントを羽織った姿だ。
 これこそ、忍法・忍転身。自らの忍装束を纏い、戦闘態勢を整える術だ。
 鎧がないことを除けば、忍というよりは武将のような、そうした類の豪壮さを感じる。
 しかし彼女は現代の忍だ。武者の時代の忍とは、色々と常識も違うのだろう。その場ではそう解釈し、貴虎は彼女の転身を見送った。
「いやぁ、凄いな、お嬢ちゃん。さっきのをかわしてしまうなんてなぁ」
 進む先から声が響く。
 否、上だ。立ち並ぶ背の低いビルの上だ。
月の光を背負いながら。
 見上げた五階建ての屋上に、襲撃者は悠然と構えていた。
 ぱちぱちと拍手の音を立てながら、薄笑いを浮かべてこちらを見下ろす、若い男の姿があった。
 身に纏った和装は、白い。期せずして白装束ばかりが、3人揃う形となったわけだ。
「せやけどあかんよ。油断はあかん。もうちょっと周りに気を使わんと、悪い人に攫われてまうよ」
「お前のような悪人に、か?」
 ニヤリと笑みを浮かべながら、雅緋は懐に手を伸ばす。
 取り出したのは大仰な鞘だ。抜き放つのは漆黒の刃だ。
 瞬間、ごうっと炎が唸った。
 月光を飲み込むかのような、黒く猛る不気味な炎だ。
「安心しろ。お前が婦女子をつけ狙う悪党ならば、私とて蛇女の御旗のもとに、誇りを掲げる悪忍だ。
 お前に取って食われるほど、ヤワな鍛え方はしていないぞ」
 剣呑なる殺意に当てられるように、炎は剣の姿を成した。
 燃え盛る雅緋の闘志に呼応し、漆黒の炎は彼女の刀を、七支刀のシルエットへと変化させた。
 灼熱の刃を持ち上げて、切っ先を標的へと向ける。
 不意打ち奇襲、望むところ――そう言わんばかりの態度で、黒炎の女忍者は宣言する。
 それら一切合切を、真正面から受けて立ち、全てを断ち切ってみせようと。
「へぇ、キミも蛇か。つくづく縁があるんやな、ボクは」
 くつくつと笑う男の真意は、言葉だけでは窺い知れない。
 この男の態度も闇だ。底の見えない深い暗黒だ。そんな印象を覚えた。
「油断はいけないと言ったな。その言葉、そのままお前に返させてもらうぞ」
 そんな訳の分からない奴に、長々と付き合う義理はない。
 これ以上戯言は吐かせないと、己が刃に意志を込め、貴虎もまた構えを取る。
「せやな。ちょっとボクもおしゃべりが過ぎたわ」
 反省、反省と言いながら、敵が構えた物は、剣だ。
 貴虎や雅緋が構えたのと同じ、反った片刃の日本刀だ。恐らくはあの刀こそが、雅緋を襲った武器の正体だろう。
「月の聖杯のセイバーや。同じクラスのもん同士、こっからは仲良く死合おうやないか」
 月夜の下に、影が3つ。
 星の大地に、刃が3つ。
 これより繰り広げられるのは、英霊達の剣風乱舞。
 超常の力を携えた、剣の英雄達の決戦。
 勝った者が聖杯に迫る。勝利した者の陣営が、万能の器へと一歩近づく。
 月下に冴える3つの影が、それぞれの意志と願いの下に、戦いに臨む時が来たのだ。


527 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:32:30 WtlxwHs60


「ふん!」
 白と緑の甲冑が、刃を構えて斬りかかる。
 鋭く無駄のない動作だ。余計な力みも振りもない。
 きん、と。
 相対する敵対者の剣を、白のセイバー――市丸ギンは、こちらも最小限の動作でいなした。
 そのままするりと抜けて、回り込む。
 すれ違いざまに身を翻し、背後から黒のセイバーを狙わんとする。
「させん!」
 そこに飛び込んできたのが、敵サーヴァントのマスターだ。
 黒く燃え盛る剣を振り上げ、轟然と飛びかかってきた。
 大上段のジャンプ斬りを、ギンは飛び退ってかわす。
 腕力に物を言わせた強引な一撃だ。だが人間の斬撃としては、破格の破壊力と言えるだろう。
 聖杯で強化されたサーヴァントとは、比べるべくもないものだったが、一撃でアスファルトを砕いたそれは、人間を超え死神の域に達している。
 高速機動・瞬歩にて、ビルの屋上へと登りながら、ギンは敵マスターの力量を測った。
「善悪の――Purgatorioォッ!!」
 瞬間、襲いかかったのは無数の蛇だ。
 マスターの左腕が黒炎を生じ、蛇の形をなして放ったのだ。
 屋上に着地した瞬間を、大蛇の大群が追撃する。
 まさしく足元から絡みつくように、獰猛な炎がまとわりつく。
(どうにもやりにくいなぁ、これは)
 初撃で殺せなかったのは、やはりまずかったかもしれないと。
 迫る攻撃を回避しながら、ギンは笑顔の裏で思考していた。
 彼の斬魄刀・『神槍』は、刀100本分の射程を持つ。当然射程も剣速も、普通に戦う上でなら十分な脅威だ。
 しかしどうやら、思ったよりも、狙撃には不足する得物だったらしい。
 現に60メートルほどのレンジは、一度攻撃をかわされただけで、あっさりと詰められてしまった。
「はぁっ!」
 その結果が現状だ。
 飛び降り着地した瞬間を狙い、白い鎧が突っ込んできた。
 剣とピストルが一体化したような、独特な武器を正面に構え、牽制射撃と共に駆け寄ってくる。
 銃弾を斬魄刀で弾けば、そこに迫るのは刃の一打だ。
 姿勢が崩れた隙間を狙い、的確な斬撃を打ち込んできた。
 刃による防御は間に合わない。瞬歩を発動し、回避を選択。
 敵のサーヴァントの力と硬さは、恐らくは自分と同程度だ。速力でこちらが勝っているからには、優位は自分にあるようにも思える。
(せやけどこの人、かなり器用や)
 薄目を開きながら、敵を睨んだ。
 こいつは力に物を言わせて、強引に攻め込んでくる相手ではない。
 戦況を冷静に見極め、こちらの隙を掻い潜り、的確な一打を叩き込んでくるタイプだ。
 この手の人間に対して、速度による撹乱戦法は、さほど有用とは言えない。
 見切りの目を持った敵に必要なのは、100発の小技で削ることよりも、まぐれの1発で瞬殺することだ。
 スピードの利点を活かせない以上、彼我の戦力は互角と言ってよかった。


528 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:33:50 WtlxwHs60
「逃さん!」
 そして敵は1人ではない。
 サーヴァントほどの力はないが、マスターも相当な実力者である。
 鎧のサーヴァントとは対照的な、豪快な戦闘スタイルだ。
 アクロバティックな挙動で飛びかかり、強力な一打を叩き込んでくる。
 もちろん、力任せなだけではない。攻撃のタイミングも的確だ。
 単独では大したことはないが、彼女が割り込むことによって、黒のセイバーの攻撃に繋げている。
 拮抗した戦況においては、バランスを崩しうる十分なファクターだった。
(しゃーない。アレ、使うか)
 このままでは状況はこちらに不利だ。
 であれば取るべき道は1つ――もう一度宝具を解放することだ。
 攻撃に応じ路地裏を駆けながら、ギンは次なる手を決断する。
 誤解のないように言っておくが、市丸ギンそのもののスペックが、彼らに劣っているというわけではない。
 このまま手を抜いて戦っていては、勝てないというだけの話だ。
 彼の宝具――『神槍』は、段階的に解放される宝具なのである。
(ホンマなら最初の1戦目くらいは、使わずに片付けたかったんやけどなぁ)
 今ギンが振るっている刀は、能力を一切解放しない『浅打』という姿だ。
 そしてアウトレンジから、雅緋の命を狙った『神槍』こそが、第一段階の解放形態だった。
 その力を常用していなかったのは、ひとえに最終解放段階――『神殺槍』の存在を秘匿するためである。
 聖杯戦争に参加したマスターは、敵サーヴァントの情報を知れば知るほど、そのサーヴァントの正体に近づく。
 不用意にこちらの情報を明かせば、『神殺槍』の持つ能力も、芋づる式に明かされてしまうということだ。
 それだけは避けなければならない。あの斬魄刀の能力は、本当に「当たらなければ意味が無い」。
 事前にその正体を知られ、残らず回避されてしまうようでは、その力を完全に失ってしまうのだ。
(とはいえ、そうこう言っとれる状況でも無し。ま、何とかしましょ)
 それでも、ここは使わなければならない。
 先のことばかりを考えて、目の前の現実から目を逸らしていては、待ち受けるのは現在の死だ。
 元より自らのマスターには、『神槍』は使うと宣言してある。
 初撃の奇襲のために得た許可だが、事情を説明すれば、問題はあるまい。
「やるぞ、セイバー!」
「応!」
 敵は双方向から来る。
 右と左からの挟撃だ。
 市丸ギンの得物は1つ。同時に受け止めることは不可能。
 であれば、懐へは寄らせない。奴らが接近する前に、攻撃が命中する前に、まとめて吹き飛ばしてやるまでだ。
「射殺せ『神槍』」
 力の名前を口にした。
 それが解放の合図だ。
 刀に封じられた力を、現世に解き放つためのトリガーだ。
 斬魄刀・『神槍』の力――それは自在に伸縮し、文字通り標的を射殺す力。
「!?」
 ギンの斬魄刀が伸びた。
 日本刀の刃渡りが、数十メートルにまで伸びたのだ。
 常識を超えた光景に、一瞬、敵の顔が驚愕に染まる。
 それだけには留まらない。この『神槍』の特性は、ただ長さを増やすだけではない。
 それほどの大質量の刀を、平時と変わらず扱えるのが、『神槍』の最大のメリットだ。
「そうれっ」
 ぎゅんっと風が渦を巻く。
 さながら竜巻を生じるかのように、長大な刀を振り回した。
 剣風は刃となり壁となり、襲撃者を同時に迎え撃つ。
 それぞれの得物の守りごと、標的を一挙に弾き飛ばす。


529 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:34:40 WtlxwHs60
「これが奇襲の正体か!」
「あれだけの長さを振り回すとは……!」
 それぞれに驚きも露わな様子で、マスターとサーヴァントが受け身を取る。
 それでいい。それくらいに驚いてくれなければ、こちらも本気を出した意味がない。
 これでこちらの攻撃能力は、大幅に上昇したことになった。
 もはや100発の小技は必要ない。この手には一撃でも当たれば、標的を倒せる1発がある。
「さぁ、行こか。ここから反撃スタートや」
 ニィ――と笑みを浮かべながら、ギンは『神槍』の刃を戻した。
 狙うは当然マスターだ。死ねば一瞬で片がつく。向こうから身を晒してくれるなら、攻めにいかないという手はない。
 再び『神槍』の力を使い、伸びる刃先で標的を狙う。
「させるか!」
 そこに飛び込んできたのが、白い鎧だ。
 緑の盾を構えながら、攻撃に割り込んできたのだ。
 マスターを右手で押して庇い、自身は『神槍』を盾で防ぐ。
 接触面を最低限に抑え、後方へと受け流す構えだ。さすがの対応力と言ったところだろう。
「おおぉっ!」
 そしてその勢いのまま、サーヴァントがこちらに突っ込んできた。
 こちらが刃を引っ込めるより早く、距離を詰めようという魂胆か。なるほど、確かにいいアイデアだ。
 刃の伸縮自体は一瞬でできるが、構え直しも含めればタイムラグは大きい。
 『神槍』の対処法として、最初に思いつくものとしては、及第点と言えるだろう。
「縛道の八・『斥』」
 しかしそれは、ギンの盾が、刃だけだった時の話だ。
 『神槍』を解放したことで、いくらか吹っ切れたセイバーには、次の手を躊躇うという選択肢はなかった。
 死神の用いる霊術・鬼道――その中でも手の甲に壁を生じる、防御を目的とした術だ。
 直撃に耐えるほどの強度はないが、先ほど敵がそうしたように、1人をいなすだけならば十分。
「!?」
「ほっ」
 やはりこれまで見せてこなかった技には、黒のセイバーも対応できなかったようだ。
 面白いように引っかかり、斬撃を払いのけられてくれる。
 その隙に反撃準備も完了した。これだけ密着した状態なら、むしろ脇差しとなった『神槍』の方が、取り回しの利があるというものだ。
「がはっ!」
「セイバー!」
 ゼロ距離から切っ先を接触させ、一気に力を解放する。
 伸縮スピードと増加質量が、そのまま強烈な刺突へと変わる。
 防御もできない一撃だ。胸に直撃を受けた黒のセイバーは、そのまま建物の壁へと叩きつけられた。
「おのれ!」
 今度は左の拳を構え、マスターが飛びかかってくる。
 剣に纏ったものと同じ、黒い炎を発する拳だ。なるほど、剣と拳の二段構えが、奴の戦闘スタイルということか。
 恐らく縛道は読まれている。左手で防がせてはくれないだろう。
 故に『神槍』を引っ込めると同時に、自身は飛び上がって拳を回避。
「まだだ!」
 しかしそこに飛んできたのが、白と緑の鎧姿だ。
 もう立ち直ってきたのか。感心に値するタフネスだ。
 ひゅう、と口笛を軽く吹いて、ギンは対戦相手を賞賛した。


530 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:35:32 WtlxwHs60
「そんなら、これで」
 驚かせてくれたお礼に、こちらも更に驚かせるとしよう。
 ギンは空中で身を捻ると、天地逆転した姿勢を取る。
 そのまま地面に『神槍』を向けると、一挙に伸縮能力を解放した。
 地に刺さったまま刀が伸びれば、当然持ち手は天へと昇る。着地のプロセスを挟まず、再度の上昇を果たしたというわけだ。
 無論それだけが目的なら、こんなことをする必要はない。まずは驚かせることで、相手の反応を鈍らせるため。
「そぉれ」
 そしてその隙を突いて、移動を攻撃へと転じるためだ。
 『神槍』の射程を僅かに縮め、先端を地面より解放。
 そのまま腕に力を込め、ぐるりと勢いをつけて回転させる。
 初撃の回転斬りと同じ、円形になぎ払う広範囲攻撃だ。
「うあぁっ!」
 事前に大振りな攻撃をしてくれたのは、こちらにとっても都合がよかった。
 態勢の崩れていたマスターは、攻撃の勢いを完璧に殺せず、ガードごと吹き飛ばされる形になった。
「マスター!」
 主人を気遣う従者を尻目に、ギンは伸縮の勢いのまま、後方へと飛び退っていった。
 クラクションの音が聞こえる。がたごとという音が近づいてくる。どうやら電車が来るらしい。
 ちょうど着地点もそこだった。パンタグラフを避けるようにして、電車の屋上へと降りた。
 瞬歩に比べれば遅いが、乗り物に乗って感じる風は、生身の時とは別の心地よさだ。
 戦闘中であるにもかかわらず、ギンは夜風の涼しさに口元を緩めた。
「………」
 程なくして、敵も追いついてくる。
 道路から飛び上がるセイバーが、ビルから飛び降りるマスターが、同じく電車の屋根に乗る。
 先ほどの攻撃を受けてか、マスターの服の胸元が破れ、少しばかり露出が増えていた。
 男っぽい態度の女性だが、幼なじみの乱菊と同じで、男好きするいい乳房をしている――この時ばかりは市丸ギンも、そんな俗っぽいことを考えていた。
(ここまでは、上々)
 しかし、そうも言ってはいられない。
 細い瞳を更に細めて、ギンは敵の様子を見やる。
 これまでは敵の無知につけ込み、『神槍』で好き放題暴れてきた。
 しかしそろそろターゲット達も、その能力に慣れてきたはずだ。
 何よりあの強かなセイバーが、このまま何の抵抗もなしに、やられてくれるとは思えない。
 本当の戦いはこれからだ。こちらの手の内を知られた上で、いかに立ち回るべきかというのが重要なのだ。
 当然、『神殺槍』は使えない。序盤から使っていいものではない。
 ならばどうする。ここからどうする。
 これ以上の情報を与えることなく、一気にケリをつけるには、ここからどのように立ち回るべきか――
「――ッ!?」
 と、その時だ。
 どぉん――と響く爆音と共に、突如電車が振動した。
「何だ!?」
 黒のセイバーが戸惑い叫ぶ。白のセイバーもさすがにビビッた。
 見れば電車の先頭車両が、もうもうと煙を上げていた。何かに激突したことで、急ブレーキがかかったというのか。
 何かとは何だ? 自動車か?
 こんな踏切もない所に、車が現れるものなのか?

「――静まれ、者共ッ!!!」

 その時である。
 雷鳴のような雄叫びが、立ち込める煙の向こうから、突然響き渡ってきたのは。


531 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:36:12 WtlxwHs60
「そこのセイバー! 貴様が相手をしている者は、我が黒の陣営の同志! ならば私の目の届く範囲で、好きに嬲らせるわけにはいかん!」
 怒号と共に、足音が聞こえる。
 煙の奥から何者かが、爆発にも乗客の悲鳴にも負けない勢いで、怒鳴りながら歩み寄ってくる。
「どうしても止まらぬというのなら――この鬼龍院皐月が相手だッ!!」
 鬼龍院皐月。
 鬼龍院皐月か。
 これまた強烈な名前の相手が、強烈なインパクトと共に現れたものだ。
 叫んだ名前が形をなして、黒煙を突き破るかのような、そんな錯覚さえ覚えた。
 闇の奥から現れたのは、これまた白装束の女性だった。
 長い黒髪をたなびかせ、眉を力強く吊り上げながら、威勢よく現れた少女だった。
 サーヴァントではない。マスターだ。
 しかしその手に握られたのは、恐らくは戦うための双刀――セイバーを引き連れるマスター同様、自ら戦うタイプの相手か。
「その通り。それがマスターの意志とあらば、このランサー、戦列へと加えさせてもらおう」
 涼やかだが、力のある声だ。
 その傍らで霊体化していたのか――新たなマスターのすぐ傍に、新たなサーヴァントが現れる。
 深緑の装束は、これまでこの場にはなかった色だ。その手には布に包まれた、2本の槍を携えている。
 ランサー。速力に秀でた3騎士の一角。
 どうやら手にした得物を見るに、その自称に偽りはないようだ。
「4対か……」
 ぽつりと、ギンは呟いていた。
 セイバー組は手傷を負っているものの、戦えないというわけではない。
 加えて出現状況から見て、電車を止めたのはランサーではなく、皐月だ。
 その戦闘能力は、黒のセイバーのマスターと同様、かなりのものと見ていいだろう。
 更にランサーも3騎士である。最優のセイバーにこそ劣るものの、優れたクラスであることは間違いない。
「……やめや、やめ。初っ端からこれはきっついわ」
 導き出した結論が、それだった。
 斬魄刀を鞘へ納めると、参ったと言わんばかりの様子で、おどけて両手を挙げてみせる。
 『神槍』を知られたのは痛かったが、先ほどとは状況が変わってしまった。更木剣八じゃあるまいし、4対1など割に合わない。
 であれば、取る道は退散だ。現状の手札でしんどいようなら、いっそ逃げてしまった方がいい。
「今日はこの辺で退かせてもらいます。んじゃ、今後共よろしゅうに」
 短くそれだけを告げると、ギンは瞬歩を行使して、電車の上から立ち去った。
「待たれよ!」
「よせ! 無理に追うことはない!」
 背後からランサーの制止の声と、それを更に止めるセイバーのマスターの声がする。
 それでいい。どうせ自分には追いつけない。「埋伏の毒」のスキルには、気配遮断の効果もある。
 霊体化した上で最大まで加速すれば、連中では捕捉することもできなくなる。
 これで今夜の戦いは終わりだ。
 しかし此度のこの失態、マスターにどう言い訳すべきか。
 切り替えの早い市丸ギンは、戦いのことなどすぐに忘れ、そんなことを考えていた。


532 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:37:06 WtlxwHs60


「全く、マスターは無茶が過ぎる」
 宝具を解いた貴虎から、雅緋はくどくどと叱られていた。
 結局あの戦いの後、騒ぎ出した市民の目から逃れるために、4人は路地裏へと身を隠した。
 そこでようやく貴虎に対して、今夜の行動の目的を話したのだが、彼はそれが気に入らなかったようだ。
「セイバーの言うとおりだな。我々の目に留まったからいいものの、そうならなければどうなっていたことか」
「ああ、それは反省している。結局無傷では済まなかったからな」
 ランサーのサーヴァントが咎めるのに、応じた。
 元々霊体化のできない貴虎を連れて、夜道を歩き回ったのには、仲間に存在を悟らせるためという目的があった。
 雅緋とて敵サーヴァント10騎を相手に、単騎で喧嘩を売ろうというつもりはない。
 そのような状況にならないためには、町に潜んでいるはずの、仲間のマスターと合流する必要がある。
 しかし敵から身を隠すため、目立った行動をしたくないというのが、他のマスター達の本音であるはずだ。
 だからこそ自らが率先して目立つことで、存在を周囲へと知らしめ、合流をスムーズにする必要がある――それが雅緋の真意だったのだ。
「まぁしかし、発想自体は間違ってはいない。褒められた行動ではなかったが」
 意外にも、皐月なる少女のリアクションは、そんな感じのものだった。
 最初に出てきたのを見た時には、これはまたひどく気難しそうな奴が出てきたものだと、身構えていたりしたのだが。
「つまり仲間を探すということには、お前も異存はなかったと?」
「もう少し頭を使えということだ」
 リスクを抑えた探し方は他にもあるだろう、と皐月は言った。
「なるほど」
 何だかんだ言って、腹を立てていることには変わりないということか。
 肩を竦めながら、雅緋は苦笑した。
 何にせよ、自分の認識が甘かったのは確かだ。
 油断をしたつもりはなかったが、実際に刃を合わせたことで、自分の不用心さが身に沁みて理解できた。
 聖杯戦争の苛烈さは、忍学生の戦いの比ではない。
 さすが英霊ということか。特に宝具を解放したセイバーの力は、文字通り桁外れのものだった。
 今後はより用心を深めなければ――素直にそう思えるだけの戦いだった。
「……何にせよ、手間をかけさせたことの詫びだ。私の部屋に寄っていくといい」
 そう言って、雅緋は忍転身を解く。
 勇壮な戦闘装束は姿を消し、元の私服姿へと戻った。
 安アパートの一室だが、こんな所で立ち話を続けるよりはマシだろう。現在地からもそう遠くない。
「そうさせてもらおう」
 皐月がそれに同意したことで、雅緋の部屋へと移動することが決まった。
「そういえば、自己紹介が遅れたな。蛇女子学園筆頭、雅緋だ。忍の身ゆえ、忍名で失礼する」
「本能字学園生徒会長、鬼龍院皐月だ。戦力として、期待させてもらうぞ」
 なんと、生徒会長ときたか。
 この娘も自分と同じ、学園の名を背負うものだったか。
 意外なところで親近感を感じ、雅緋はふっと笑みを浮かべた。


533 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:37:29 WtlxwHs60

【C-8/新都・線路近くの路地裏/1日目 深夜】

【雅緋@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-】
[状態]ダメージ(小)、疲労(小)、魔力消費1割
[陣営]地球(黒)
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]妖刀、忍転身用の巻物、外出鞄
[所持金]普通(一人暮らしを維持できるレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。勝ち残って武勲を立てる
1.聖杯に興味はない。貴虎が欲しているので、彼にくれてやるつもり
2.皐月達を連れて自宅へと帰る
3.まず仲間探しを優先して行い、陣営内での連携を強固にしたい
[備考]
セイバー(市丸ギン)の宝具『神槍』を確認しました

【セイバー(呉島貴虎)@仮面ライダー鎧武】
[状態]ダメージ(小)
[陣営]地球(黒)
[装備]なし
[道具]戦極ドライバー、メロンロックシード
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。聖杯の力で元の世界へ戻り、光実との関係をやり直す
1.マスターと共に自宅へと帰る
2.今後はマスターが無茶をしないよう、自分が手綱を握らなければならない
[備考]
セイバー(市丸ギン)の宝具『神槍』を確認しました

【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態]健康
[陣営]地球(黒)
[令呪]残り三画
[装備]神衣純潔
[道具]縛斬・餓虎、縛斬・蛟竜、外出鞄
[所持金]そこそこ裕福
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。聖杯のもとへ辿り着き、破壊する
1.雅緋の家へとついて行く
2.仲間集めという方針には同意。戦力は確保しておきたい
[備考]
セイバー(市丸ギン)の宝具『神槍』を確認しました

【ランサー(ディルムッド・オディナ)@Fate/Zero】
[状態]健康
[陣営]地球(黒)
[装備]なし
[道具]『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ) 』、『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ) 』
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターへの忠義を尽くす
1.マスターと共に雅緋の家へとついて行く
2.雅緋の行動に対する苛立ち
[備考]
セイバー(市丸ギン)の宝具『神槍』を確認しました


534 : 月下の剣閃 ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:37:50 WtlxwHs60


「それでお前は誰一人殺せず、おめおめと逃げ帰ってきたわけか」
「いやぁ、面目ありませんわ」
 へらへらとした顔つきで謝るギンに、マスター――セブルス・スネイプは、静かにため息をついて応じた。
 気配遮断のスキルと、長射程の宝具を活かし、物陰から敵マスターを闇討ちするという発想は悪くなかった。
 しかし結果を出すことはできず、むしろ2人ものマスターに、宝具を晒す結果を招いてしまった。
 これはギンの――ひいては、的確な指示を出さなかったスネイプの失態であると言えるだろう。
 安全性を確保するため、戦場から離れた場所に身を置いていたが、結局はそれが仇となったわけだ。
(それにしても……)
 ギンの報告を回想する。
 黒のセイバーを引き連れていたという、マント姿の女性とやらを、頭の中に思い描く。
 ギンが言うには、その女性は、魔法とは明らかに様子の異なる、異様な戦闘術を用いていたようだ。
 黒い炎を剣へと纏わせ、身体能力のみで飛び跳ね回るなど、明らかに魔法使いの戦い方ではない。
 しかし単なるマグルには、そのような戦い方などできるはずもない。
 魔法とも異なる未知の闘技を、その女性が身につけていたということか。
 あるいは他のマスターも、自分の知らぬ闘技を用いて、立ちはだかってくる可能性があるということか。
(興味はある)
 スネイプとて学者だ。未知の存在に対して、興味が湧かないと言えば嘘になる。
 同時にそれらの存在に対する、警戒の念も抱かずにはいられない。
 どうやらこの聖杯戦争、一筋縄ではいかないようだ。
 そう認識しながら、スネイプは、夜の町へと消えていった。


【C-8/新都・路地裏/1日目 深夜】

【セブルス・スネイプ@ハリー・ポッターシリーズ】
[状態]魔力消費1割以下
[陣営]月(白)
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]杖、外出鞄
[所持金]そこそこ裕福
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。聖杯の力で蘇り、闇の帝王の魂を全て消し去る
1.2組ものサーヴァントを相手にするつもりはない。セイバー(呉島貴虎)達は放置する
2.セイバーのマスター(雅緋)らの持つ、未知の戦闘技術への興味と警戒
[備考]
セイバー(呉島貴虎)の宝具を確認しました

【セイバー(市丸ギン)@BLEACH】
[状態]健康
[陣営]月(白)
[装備]なし
[道具]斬魄刀
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。聖杯の力で藍染を殺す
1.今日はマスターと共に引き下がる
2.『神殺槍』の能力を明かしたくない。真名看破の危険性には、極力気を使う
[備考]
セイバー(呉島貴虎)の宝具を確認しました


535 : ◆aWSXUOcrjU :2014/10/06(月) 01:38:17 WtlxwHs60
投下は以上です
各マスターの細かい身分については、後続の書き手さんにお任せします


536 : 名無しさん :2014/10/06(月) 03:09:41 bjEiS.a.0
投下乙です!開幕後の記念すべき第一話
早速セイバー同士の熾烈な戦いが繰り広げられたか…
ギン中々強いなぁ。二対一でも宝具をフル活用して互角に張り合うとは
しかしほぼ白兵戦オンリーでありながら張り合い続けた主任も流石に強い
雅緋も戦闘力持ちマスターだし、直接戦闘においては強力なチームだな
早速同陣営の皐月様たちと合流出来たのは幸先が良さそう


537 : ◆QNxvmG91pc :2014/10/06(月) 21:35:40 0c44zzJY0
投下乙です。私も予約分を投下させていただきます。


538 : 開幕!聖杯大戦 ◆QNxvmG91pc :2014/10/06(月) 21:36:23 0c44zzJY0

「うーん……やっぱないかぁ」


深夜、こそこそと提督ことマスターである沢木直保の住むマンション周辺で
キャスターはいかにも怪しくうろついていたが、不満げに溜息を漏らしているところだった。
彼女が探しているのは燃料や鋼材。
キャスターとしては特殊な部類に入る彼女には必要なもの。
鋼材があれば耐久が上げられ、燃料があれば魔力回復が可能となる。
それは彼女が『艦娘』という艦隊を擬人化した存在であり
艦隊そのものであるが故の能力だからだ。

艦隊とはいっても種類は様々。
駆逐艦。
軽巡洋艦。
戦艦。
潜水艦。
補給艦。
重巡洋艦。
空母。
軽空母。
キャスターもとい隼鷹は軽空母に部類される。
文字通り、空母には様々な面において劣化したものだが、多少速さが保障されている。
防御力は劣化している――のが本来の軽空母なのだが
キャスターの場合、艦隊としての逸話によって、さらには『地球』のキャスターとして召喚されたこともあり
耐久性はかなり上昇されてある。
折角だから自慢の耐久性を伸ばしたいところ。
だが、肝心な鋼材のある加工所らしきものは一切なかった。


「仕方ないなぁ……そこんとこはまた今度ってことで。お酒でも探すかー!」


もう一つの魔力確保である酒。
キャスターの魔力確保がそれなりに優れているが、彼女のマスターが魔術師でもなんでもないことを考慮すると。
プラスマイナス0という具合だろう。

キャスター。
なのだが、これまた変な話。このキャスターは陣地作成はしない。
航空戦により上空を掌握する。
手間暇をかけない点ではかなり優れている。
しかし、航空戦をするにあたって必要なのが戦闘機。
戦闘機を作成するのに、これまた魔力を必要とするのだ。


539 : 開幕!聖杯大戦 ◆QNxvmG91pc :2014/10/06(月) 21:37:14 0c44zzJY0
つまり何がなんでも魔力の確保をしなくてはならない。
どうせここは聖杯が作り上げた空間に過ぎない。
サーヴァントの前では人の法は適応されない。サーヴァントには『聖杯の法』が適応されるのだ。
それを裁定するのがルーラー。
即ち、『地球』の、『黒』のキャスターの場合。
彼女を裁くのは『黒』のルーラーである。
本来、それが正式なルールだ。


「――バル」


だが


「バル――バル――」


それでは駄目なのだ。


「バル――バルバル――」


それはサーヴァントを裁くだけであり、マスターを裁く『法』ではない


「バルバルバルバルバルバルバル」


だからこそ!故に!!


「バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル!!」


『月』から来訪者が現れた!
白のバーサーカー!そして月のバーサーカー!!
彼は『地球』でもなく『月』でもない――第三の裁定者なのだ!!

慢心していたキャスターの背後から狂気を帯びた声を流し、バーサーカーは向かう。
バーサーカーの吠え声にキャスターは慌てた。


「えっ、え!?ちょ、ちょっと待った!タンマタンマ!!」


止まれと言って止まれるバーサーカーではない。
バーサーカーがキャスターの前に着地したその衝撃だけでキャスターは吹き飛ばされた。
改心の一撃を吹き飛ばされたことにより回避したのは、キャスターの俊敏ではなくもはや運だろう。


540 : 開幕!聖杯大戦 ◆QNxvmG91pc :2014/10/06(月) 21:38:00 0c44zzJY0


「よりによってバーサーカーじゃん!運悪いな、もー!!」


キャスターが愚痴を漏らしながら立ち上がった矢先、上空からもう一人。
青き断罪の炎を灯した存在が出現した。


「ひー!もう一体!?……ってこっちはマスター?」
「まずはその意思から問おう」


奇抜な恰好をしたマスターとバーサーカーに板挟みされ、キャスターは危機的状況にある。
まさかこんなタイミングに同陣営が助けに現れる奇跡もないだろう。
にしても、キャスターは危機感を煽るどころか非常に申し訳なさそうな表情で


「えっと……ごめん。もう降参していい?」


彼女の言葉に双方目立った反応は見せなかったが、実はひっかけでも何でもない。
キャスターは自衛する手段をまったく持ち合わせていないのだ。
軽空母らしく遠距離から戦闘機を送り込み、指示する。それだけしかできない。
攻撃手段としてはそれだけでも十分なのだが、それ以上のことができない。
つまり、直接攻撃されたら何もできないのだ。


「そのー……なんていうの?肩すかし食らわせるつもりはないんだけどさぁ……
 あたし、マジで殴り合いとかそういうのできないんだよ。キャスターだから」


そうとも限らないのである意味キャスターに偏見を与えてしまうような言葉を漏らす彼女に
バーサーカーのマスターが口を開く。


「強固たる望みはないと主張するか。主の渇望すら犠牲とすると」


「ん?う、うーん?えっとーそうだなー??
 あたしに願いはないし、提督も元の世界帰りたいってだけだぜ」


難しい言いまわしをするそのマスターにキャスターが返事をした。


「他と比べたらそりゃふざけんなって感じだけど、あたしの提督――じゃなくってマスターは巻き込まれ型でさぁ
 聖杯って数合わせの都合で無関係の奴巻き込むこともあるじゃん?それだよ、それ!
 あたし?まーあたしは適当に酒呑めたらなーって奴だから」


「成程。意思は理解した。バーサーカー」


マスターの言葉にバーサーカーは音もなく霊体化を遂げた。
キャスターはこの行動の意図が理解できずに、ポカンとしている。


「どういうこと?」


「汝の主張が偽りであれば断罪を下すまで。『月の法』に従い『正しき聖杯戦争』を行うがよい」


「????」


541 : 開幕!聖杯大戦 ◆QNxvmG91pc :2014/10/06(月) 21:38:50 0c44zzJY0

謎めいた言葉だけを残し、マスターの方も立ち去ってしまったのだ。
キャスターにはさっぱり理解できない。
白のバーサーカーのマスター・ルナティックだけが理解する。
彼女には戦う意思がなく、マスターも同じであると。
ここにキャスターのマスターは同席していなかったものの。
あっさりと降参するほどのキャスターの態度を見て、冗談半分ではないことは彼にも察せた。
キャスターがいかなる方法で戦うのかも不明確のままだが
嘘であればその時はその時だ。

取り残されたキャスターは釈然としないものの。
何故か見逃されたという結果だけが残されていた。


「よくわかんないなー。なんだったんだろ、アイツら」


実際パラメーターを見ている。
間違いなくあれは『月』陣営のマスターとサーヴァント。
なのに、のちのち面倒なりうるキャスターを放置するのは何故か?
難しく考えないキャスターは、なんか事情があったのだろうと判断する。


「もしかして、こっちの陣営に行きたいってのもある?んーまぁいっか!!見逃してくれてラッキーだぜ!」


◆ ◆ ◆


「朝っぱらから飲んでる奴がいるかー!!!」


直保は空の缶ビールを並べ、ぐでんぐでんになっているキャスターに怒声をあげずにはいられなかった。
しかも、このビールは勝手に金を使われて購入したものらしい。
それなりの金が消費されているのに、直保は溜息をつく。
周囲に漂う菌たちは呑気に直保へ声をかけてきた。


『おはよーただやす〜』


『お前起きるのおせーぞ〜』


「あぁ……おはよう。……そうだ。なぁ、キャスターの奴、なにしてたんだ?」


こういう掴めない状況に対しては彼らから情報を仕入れるのが良い。
すると、菌たちは口々に話す。


『なんか作ってたぞ〜』


『女に働かせて何もしないなんて、駄目な男だなー』


『お前もなにかしろよ、ただやすー』


「一言余計だ!」


しかし、何か作っていた。というのは恐らく戦闘機だ。
彼女なりに戦う準備をしている、ということ。
それを聞いて、確かに菌たちも主張も一理あった。


542 : 開幕!聖杯大戦 ◆QNxvmG91pc :2014/10/06(月) 21:39:51 0c44zzJY0

でも俺に出来る事ってなんだ?

真っ先に浮かんだのは菌たちだ。
魔術師の中には菌を操るものがいる――のかも分からない。
だが、やってみないことには始まらない。彼らを使えばもしかしたら

……こいつらを利用するなんて言い方は、やっぱり後気味悪いよな。

直保自身、菌が肉眼で見える能力に悩まされた事はあるし、無くしたいとすら思ったこともある。
だけども彼らに罪はないのだ。
彼らによって世界が成り立っているところもある。
半ば友のような存在。

聖杯戦争なんて――巻き込ませたくないんだけどな。

直保は最後に踏みとどまって決心することは出来ずに終わった。
だけどなるべくそうしたくはない。
せめて最低限のことだけしようと菌たちに言葉を告げた。


「この辺りで変わった事があったら俺に知らせてくれ」


『なんだ?なにかあるのかー?』


『おもしろそうだな』


『わかったぞ〜!』


俺にできることはこのくらいだ。あとは――

爆睡しているキャスターに再び溜息をつくと、直保は静かに毛布をかぶせてやった。
取りあえず学校には行って。
それからどうするか考えようと直保はいつも通りの日常を始めた。
刻一刻と聖杯戦争の影が蝕もうとも関係なく。


【B-8/マンション/1日目 早朝】

【沢木直保@もやしもん】
[状態]健康
[陣営]地球
[令呪]残り3画
[装備]なし
[道具]鞄(筆記用具類)、携帯端末
[所持金]大学生としては普通(キャスターが使用しある程度減っている)
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界へ帰りたい
1.いつも通り通学。これからどうするかは大学で考える。
2.今のところ菌たちには調査だけさせる。
[備考]
※自宅マンションがあるB-8周辺、直保の周辺で発生した事件を菌たちに調査させています。
※通う大学がどこにあるかは後の書き手様におまかせします。

【キャスター(隼鷹)@艦隊これくしょん】
[状態]爆睡、泥酔、魔力回復済み
[陣営]地球
[装備]戦闘機(全搭載)
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:まーできるだけ頑張るよ!
0.もう飲めない、寝る!
1.同陣営と誰でもいいから合流したい。
2.アイツら(バーサーカー組)なんなんだろ。いい奴ってことでいっか!
3.できれば鋼材が欲しい
[備考]
※戦闘機を全搭載まで作成しました。これ以上作成しても予備の戦闘機を確保できません。
※白(月)のバーサーカーのパラメーターを確認しました。
※白(月)のバーサーカー組は敵ではないと判断しています。


543 : 開幕!聖杯大戦 ◆QNxvmG91pc :2014/10/06(月) 21:40:58 0c44zzJY0

◆ ◆ ◆


「あれが黒のキャスターのマスターか」


それを監視しているのは一人の男、ルナティックの表の顔――ユーリ・ペトロフ。
念の為、キャスターには手出ししなかったものの、彼女を追跡していた。
間抜けなことに彼女は霊体化もせず、あのマンションに帰宅していた。
ある意味ではちゃんと金を払って酒を入手していたから、律儀とも言えるかもしれない。
確認したところ『沢木』という名が表札としてつけられている。
この時間帯でラフな恰好で外出したところを見ると、大学生辺りだと察せられた。
これだけでも十分な収穫だ。

ユーリは腕時計で確認する。
そろそろ職場へ向かわなくてはならない。
沢木直保に大学生としての役割があるのならば、ユーリ・ペトロフにもまた裁判官としての職務がある。
聖杯戦争があろうがなかろうが。
それを変える事はしない。

正直、この状況で他のマスターと出くわすことはそうそう叶いはしない。
また『月』が浮かぶ夜。
ルナティックとして闇に身を溶け込ませ、動くべきだろう。

もちろん、マスターである沢木直保に話をするのも悪くはないが
ユーリとしては一刻も早く多くのマスターと接触することを優先させた。


「私は全てをマスターを見定めなくてはらない。そしてタナトスの声を聞かせるのだ」


弱者は生かし、悪しき者を殺す。
第三の裁定者として彼自身が架した使命の名の基に。




【B-8/マンション前/1日目 早朝】

【ユーリ・ペトロフ(ルナティック)@TIGER & BUNNY】
[状態]健康、ユーリ・ペトロフとしての姿
[陣営]月
[令呪]残り3画
[装備]なし
[道具]携帯端末
[所持金]不明
[思考・状況]
基本行動方針:『月の法』に従い、聖杯戦争を正しく運行する。
1.昼間は職務を行う。
2.戦闘よりも全てのマスターの見定めを優先させる
[備考]
※黒(地球)のキャスターのパラメーターを確認しました。
※黒(地球)のキャスターのマスターが『沢木』という名であることを確認。
 またその所在地であるマンションを把握しました。
※現在の段階では黒(地球)のキャスター組を生き残らせる方針にしています。

【バーサーカー(バオー/橋沢育郎)@バオー来訪者】
[状態]霊体化
[陣営]月
[装備]
[道具]
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:???
1.???


544 : ◆QNxvmG91pc :2014/10/06(月) 21:42:47 0c44zzJY0
投下終了します。ご指摘等あればお願いします。


545 : 名無しさん :2014/10/07(火) 01:28:48 yJiN.vuw0
投下乙です。
いきなりルナティック先生とバオーの襲撃喰らった隼鷹だけど、何とかやり過ごせたか
自分の正義次第では敵陣営の主従ですら助けるルナ先生達はなかなか厄介な立ち位置になりそうだ

一つ気になった部分を指摘すると、隼鷹がバオーのパラメーターを確認している描写がありましたが
サーヴァントは他のサーヴァントのパラメーターを視認出来ない筈ですね
ただ陣営の確認自体はサーヴァントでも行えそうかな…?


546 : ◆QNxvmG91pc :2014/10/07(火) 08:17:59 CahPX8/Y0
ご指摘ありがとうございます。
陣営やパラメーターに関する部分の修正はwikiで行います。


547 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/07(火) 21:12:39 37tO8VO2O
投下お疲れさまです

>月下の剣閃
開幕にふさわしく、初回から激しい戦闘となりましたね
雅緋と皐月でノリノリなマスター同士が合流しましたか……
手札を幾らか見せましたがギンとスネイプも底知れなさがありますね

>開幕!聖杯大戦
隼鷹とバオーの戦いは避けられましたか
直保はまだ微妙に覚悟決まってない感じですが、実際に戦うまでに覚悟を決められるのか
サーヴァントがサーヴァントを視認した際については「パラメーターは見えないが陣営は確認できる」でいいと思います


548 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/08(水) 23:45:34 MLz9p9c.0
セレス、セッツァー
投下します


549 : 『勝利条件の確認』 ◆ACfa2i33Dc :2014/10/08(水) 23:46:29 MLz9p9c.0

 カードは配られた。
 手札の確認は終わり、他のプレイヤーの動向は読めない。
 ――さて、まずはどのような一手を打つべきか?


「まずは勝利条件から確認しましょう」

 新都に建てられたホテルの一室。
 手元のトランプを弄びながら、セレスは思考を巡らせる。

「ルールは団体戦、勝利条件は相手チームの全滅。ただし――」
「それだけじゃあ意味が無いな」

 確認のように言葉を紡ぐセレスに、アーチャー――セッツァーが口を挟む。

「ゲームの報酬はたった一つだ。聖杯、それを手に入れられるのはチームの中でも一人だけ」

 実のところ、聖杯がどこまでの願いを叶えられるのかは定かではない。
 一つだけしか願いを叶えられないのか、それとも複数人のそれなりの願いならば叶えられる程度の容量はあるのか、それとも本当に全ての願いを無制限に叶えられるのか。
 だがそれは実のところ、『見ず知らずの人間達が聖杯を分け合えるか』という議題に対しては重要ではない。
 叶えられる願いに限りがあるならば――いや、むしろ限りがなければ更に、聖杯を独占するという選択肢は魅力的となる。
 そして例え聖杯を独占しようとは思わない人物であっても、そういった人物が存在すると考えるのなら他人を信用するのは難しい。
 故に結局のところ、最終的な仲間割れは必然である――と、セレスとセッツァーの見解はそう一致していた。

「ですがわたくし達には、その『最終的な仲間割れ』を正面から勝ち残る能力がありません」

 それもまた、セレスとセッツァーの共通見解である。
 三騎士を冠するアーチャーだけあり、セッツァーとて真っ当なキャスターやアサシンと比べれば正面戦闘には分があるだろうが、しかし他の三騎士と比べれば幾らか劣る面があるのは否定できない。
 一般的なアーチャー――『射手』のサーヴァントが持つような狙撃能力も存在しない。
 武装と宝具による運試しには自信があるが、それだけに頼るようでは三流だ。

「ですから、仲間割れの前に勝ちます」

 故に、それが始まる前に戦力を削ぎにかかるしかない。
 陣営戦の間に自らは戦力を温存し、逆に同じ陣営の主従には消耗し、脱落してもらう。
 無論、それで負けては本末転倒だ。盤面のコントロールは慎重に行わなければならない。最終的に、自分一人が生き残れるように。

「だが、レディ。皮算用はいいが、その為に本戦はどのように戦うつもりだい?」

 そうセッツァーが問いかける。
 それもまた道理、セレスが話しているのはあくまで本戦が終わった後のことだ。
 結局のところ、その本戦を戦う術が無いならば皮算用に過ぎない。

「ええ。……まずわたくし達は積極的には戦闘しません。正面戦闘は避け、味方の援護と奇襲に徹します」

 そもそも戦力の温存を考えなくとも、前述したようにセッツァーはサーヴァントとの正面戦闘においては他の三騎士と比べれば一段劣るだろう。
 表立って戦闘するのは下策というのは正しい。
 そしてセッツァーの能力を鑑みて、一番有効な戦術はおそらく奇襲だ。
 セッツァーの扱う武装・宝具は、そのギャンブルという特性上非常に防ぎにくい。
 故に奇襲の一撃は、どのような相手にでも強烈な一撃となり得る。
 無論大した効果が出ず、反撃を受ければ一気に危険に陥るだろう。
 当然だ。それがギャンブルなのだから。


550 : 『勝利条件の確認』 ◆ACfa2i33Dc :2014/10/08(水) 23:47:17 MLz9p9c.0

「その為にも、早いところ同陣営のマスターと合流したいところですわね。
 奇襲も援護も、仲間がいてこそ効果のある行動ですから」

 直接的な戦闘力に悩みを抱える以上、仲間との合流は急務だ。
 とはいえ、市街を二つ抱える冬木の街から都合良く自陣営のマスターだけを探し出すことができるか、と言われれば答えはノーだろう。
 下手を打てば、敵陣営マスターと鉢合わせ、という可能性もある。

「ま、その辺りは考えてあるさ」

 そう言いながら、セッツァーはアタッシェケースをテーブルに載せた。
 勢い良く乗せた衝撃で中に入った札束が零れ落ちるのを、セッツァーは手で押し止めて詰め込み直す。

「こいつで人を雇って、不審な出来事を報告させる。
 地下ギャンブル場の経営のコネを使えば、それなりの情報屋なりが見つかるだろうよ」

 アタッシェケースの中身である札束は、先程違法な地下ギャンブル場から客から従業員、経営者までそっくりギャンブルで剥ぎ取り権利書ごと奪って来た金の一部である。
 ことギャンブルにおいて、NPCに超高校級のギャンブラーであるセレスとギャンブルに特化したサーヴァントであるセッツァーを負かすことなどできる筈がないのだ。
 無論武力行使に出ようとするNPCもいたが、腕ずくでサーヴァントに勝てるNPCなどやはりいるはずも無い。
 結果的に、セレスとセッツァーは地下ギャンブル場の経営者にそっくりそのまま成り代わったことになる。
 その従業員や、あるいは繋がっている暴力団などのコネに金を払えば、調査員なり情報屋を雇うことも難しくはないはずだ。

「暴力団に接触するなら、拳銃も入手しておきたいですわね。
 サーヴァントは論外ですが、マスターが人間ならば撃てば死ぬでしょう」

 拳銃。一般的な人間が扱える、懐に収められる武器としてはとても優秀な部類だ。
 無論ギャンブル以外はただの素人であるセレスにまともに狙って命中させるような腕前はないが、それでも役に立たないと言い切るには過ぎた品である。
 あるいは他にも数丁調達して味方陣営のマスターに渡すのも面白いかもしれない。
 渡した銃口がこちらに向いてくる可能性は、常に考慮しなければならないだろうが。

「ふふ、夢が膨らみますわ。お金の力は偉大です」

 他の主従に無く、今の自分達に存在するモノ。それは金である、とセレスは直感している。
 セレスとセッツァーがギャンブルで稼いだ金額をもってすれば、金で手に入る品はそのほとんどが調達できる。
 それは自分達だけでなく、陣営戦においても有利に活用できる筈である。

「今日の高校は休みましょう。朝からやっておかないとならないことが多くあります。
 ……そういうワケですので、今からわたくしは睡眠を摂ります。近くでなにかあったら知らせてくださいませんか?」

 月海原学園。
 私服OKであるこの学園が、セレスティア・ルーデンベルクがNPC時代に通っていた高校である。
 ただし、今日は休むつもりだ。
 今日の内にやってしまいたいことは沢山ある。下校時刻になってからでは少し時間が足りないだろう。
 単独行動のスキルを持つアーチャーを一人で動かしてもいいが、やはりサーヴァントが近くにいない状況というのは不安がある。
 そう判断したセレスは、早めに睡眠を取り、朝から街に出る支度を始めていた。

「了解。出かける時のエスコートは任せて貰おうか、レディ?」

 セッツァーはその様子を見て取ると肩を竦めて、そのまま気障な動作で外の見回りに出るために部屋のドアに手をかけた。
 そのままドアを開きながら、ベッドへ向かうセレスへと背中越しに語りかける。

「ま、俺としては報酬もそうだが、ギャンブルのスリルも魅力的だ。
 精々楽しもうじゃないか」
「そうですか? わたくしとしては、負けた相手が顔をベコベコにへこませるのを見るのが素敵だと思いますが」
「そこは見解の相違だな。
 だが、ギャンブルを楽しもう、ってのは同じだろ?」
「――ふふ、そうですわね?」


551 : 『勝利条件の確認』 ◆ACfa2i33Dc :2014/10/08(水) 23:47:54 MLz9p9c.0

【B-9/新都・ホテル/1日目 未明】

【セレスティア・ルーデンベルク@ダンガンロンパ 絶望の学園と希望の高校生】
[状態]健康、睡眠
[陣営]黒(地球)
[令呪]残り三画
[装備]特に無し
[道具]携帯端末、札束の詰まったアタッシェケース
[所持金]非常に多い
[思考・状況]
基本行動方針:最終的に、自分だけが聖杯を得られるように立ち回り、勝ち残る。
1.睡眠中。
2.朝からは情報屋と拳銃、或いは他に役立ちそうなモノを調達する。
3.今日は高校は休む。
[備考]
月海原学園の生徒です。
現在ホテルに住居を取っていますが、他に住居があるのかは不明です。

【アーチャー(セッツァー・ギャッビアーニ)@ファイナルファンタジーVI】
[状態]健康
[陣営]黒(地球)
[装備]カード
[道具]特に無し
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れ、夢を叶える。
1.セレスが泊まっているホテルの周りを見回る。サーヴァントとの接触は味方陣営でないならば避ける。
2.朝からはセレスに付き添って行動する。
[備考]


552 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/08(水) 23:48:22 MLz9p9c.0
投下終了です。


553 : 名無しさん :2014/10/09(木) 21:52:54 p/xWsxwo0
投下乙です。
聖杯の力の範疇が不確かな以上、独占を考える組は出てくるよなぁ。
そうでなくとも抜け駆けや裏切りを恐れる組もいるだろうし、味方にも油断出来ない状況。
ギャンブラー組は地下カジノ買収で地盤固められたけど、戦闘面ではトリッキーで厳しい方か。
とはいえ策を練って虎視眈々と機を伺うこの二人は油断ならぬチームになりそうだ


554 : ◆FLEVDsQ1jU :2014/10/10(金) 17:54:40 PbVr8hTY0
延長します。


555 : ◆2WXo28bDSI :2014/10/10(金) 17:56:00 PbVr8hTY0
ミス


556 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/12(日) 00:13:24 oum1oJ6UO
ディオ&ランサー、間桐シンジ&ウォーダンサー、神長香子&アサシン
予約します


557 : ◆2WXo28bDSI :2014/10/13(月) 19:08:07 JL5X1v1k0
間に合いそうにないので一旦予約破棄します、すいません


558 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/14(火) 00:21:19 IjuL1ZNkO
了解しました。
……そういえば、再予約についてはどうしましょうか。
ルールを設けてませんでしたが。


559 : 名無しさん :2014/10/14(火) 00:25:16 CR.g0uus0
破棄から24時間後に再予約可能とか…?


560 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/14(火) 16:17:35 IjuL1ZNkO
それで問題はないと思うのでそうしましょうか。

・予約破棄及び予約超過後の同じ書き手が同じキャラを再予約するのは大体24時間後から可能。

こんな感じで。


561 : ◆QNxvmG91pc :2014/10/14(火) 22:28:04 ePOYGbOY0
まどか&バランサー
位置はB−2で予約します。


562 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/14(火) 22:51:57 IjuL1ZNkO
……位置の予約忘れてました。
【B-4】でお願いします。


563 : ◆QNxvmG91pc :2014/10/15(水) 22:28:17 YgJVkyZY0
まどか&バランサー 投下します。


564 : 偽物語 ◆QNxvmG91pc :2014/10/15(水) 22:29:10 YgJVkyZY0
朝の弱い母親を起こし、料理の上手い父親の朝食を口にし、かわいらしい弟に見送られ
鹿目まどかは登校した。

あまりにも平凡な、ありきたりな日常。そして通学路を走り抜けると
先輩である巴マミやクラスメイトの美樹さやかと挨拶を交わした。

だが。
マミはお菓子の魔女に食われ、無残にも遺体すら拝めることも叶わず。
さやかは呪いを振りまく人魚の魔女となり、ある魔法少女の手により滅ぼされた。

所詮はNPCに過ぎない彼ら。
家族も顔見知りの友人たちも、偽物でしかない。本物になりきれない、本物を演じ続ける虚しい存在。
まどかも十分承知している。
しかし、仮初とはいえこの幸福を噛みしめたい。
平凡な日常という幸福を―――


『呑気に学校行ってる場合?』


霊体化しているバランサーから厳しい言葉をかけられた。
念話である。
似たようなことを経験しているまどかは、普段通りの態度のまま冷静に返答した。


(学校にもマスターはいると思うし……聖杯戦争が始まった途端に欠席したら怪しまれるかなって)
『ふぅん、何も考えてない訳じゃないのね』
(ごめんね。ちゃんと話してなくて……)
『別に?こうして念話だって出来るから。急な用件はちゃっちゃと伝えてくれれば十分』


バランサーもまどかと同意であったのも一つ。
確かな話ではないものの、学園にマスターがいないとは断言できない。
生徒であれ教師であれ、なんであろうとも可能性を否定はしなかった。
逆に、マスターが学園にいたとしてもNPCが多くいる場所で戦闘はルーラーの監視に接触するだろう。
比較的安全な場所ではないか。
とはいえデメリットもある。


565 : 偽物語 ◆QNxvmG91pc :2014/10/15(水) 22:29:48 YgJVkyZY0


『夕方くらいまでは学園にいるってことでしょ?』
(うん、そうなっちゃうのかな)
『真昼間から派手にやらかす奴がいるかは分からないけど。そこんところは面倒ね』


マスターであるまどかの立場――学生の行動制限を前提にすると深夜に行動するしかない。
家族に関してはNPC故に厄介な存在ではないが、まどかとしてはどうなのか。
それを考慮するとバランサーは一息つく。


『今日のところはソレでいいけど。白陣営に目をつけられたら家も狙われるわよ。そこは理解している?』
(だよね。その時はここから離れたい、かな。それまでには黒陣営の人と会えればいいんだけど……)
『それは同意見ね』


幸いにもサーヴァントと出くわせれば白か黒か、その程度の区別はつける。
聖杯戦争とまどかも口にしてしまっているものの。
これは『聖杯戦争』ではない。
『聖杯大戦』なのだ。
複数のサーヴァントに囲われる可能性を最も警戒するべきことである。


『ま、何かあったら念話でも令呪でもいいから呼びなさい』
(わかった。ありがとう)


「まどかー?早くしないと遅刻しちゃうよ〜!」
「あ、待ってー!」


さやかの後を追うまどか。

ともあれ、鹿目まどかはまだ戦わない。
彼女の聖杯大戦はまだ開幕を告げていなかった。


566 : 偽物語 ◆QNxvmG91pc :2014/10/15(水) 22:30:27 YgJVkyZY0
◆ ◆ ◆


やれやれと念話を終えたバランサーは霊体化したまま、ふとあることを考える。
彼女自身の行動方針であった。
いや、バランサーなりの流儀を付き通すだけなのだが……

今回の聖杯戦争が聖杯大戦となった『異変』を解決させる。
どれだけマスターであるまどかが聖杯を望んでいようが、バランサーの意思は揺るぎない。
彼女は気まぐれで気性も荒いが、ありとあらゆる『異変』を解決させてきた『英霊』には違いなかった。


――えぇっと、なんだったかしら。ルーラーの話を聞く限りじゃ。
  『地球』の聖杯が余計なことをしたみたいな言い分に聞こえるのよね。


『地球』の聖杯。または冬木の聖杯と称するべきか。
それが『月』の聖杯に代わり、本物の聖杯に成ろうとしている。
ハタから聞けば『地球』の聖杯が異変を起こしたようにしか聞こえない。
断じて自身の陣営が悪であると、そこまで傲慢なバランサーではない。
しかし、だからこそバランサーは一つの考察をした。


――誰かが意図的にムーンセルへ『地球』の聖杯を投げ込んだ?


故意に、こうなることを想定してムーンセルへ冬木の聖杯を混入させた第三者がいるとしたら?
ちっぽけな考察だが、仮にそうだとして。
それが出来る――否、聖杯そのものを知っているであろう存在がいるではないか。
ルーラーだ。
二人のルーラー。
彼女たちは果たして聖杯に選ばれたものか?
それとも――第三者の手によって召喚されたものなのか?
そもそも、ムーンセルに聖杯を混入させることで何を起こそうとしているのか??


――ぐだぐだ考えても分からないものは分からないわ。まずはルーラーとの接触ね。


紅白の巫女は『異変』解決への第一歩を踏み入れた。


567 : 偽物語 ◆QNxvmG91pc :2014/10/15(水) 22:30:52 YgJVkyZY0
【B-2/住宅街(穂群原学園へ通学中)/1日目 早朝】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[陣営]黒(地球)
[令呪]残り3画
[装備]制服
[道具]指定鞄
[所持金]大体中学生のおこづかい程度
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れる
1.普段通りに学園へ
2.同陣営と合流したい
3.敵陣営に見つかった場合はB-2周辺から離れる
[備考]
※穂群原学園の生徒です。
※自宅はB-2の住宅街にあります。
※学園内にマスターがいる可能性を考慮しています。

【バランサー(博麗霊夢)@東方Project】
[状態]霊体化
[陣営]黒(地球)
[装備]サーヴァントの装備
[道具]
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯大戦という異変を解決させる
1.まどかが学校を終えるまで待機
2.ルーラーへ聖杯に関する事情を問い詰めたい
3.同陣営との合流
[備考]
※ムーンセルへ冬木の聖杯を混入させた第三者の考察をしました。
 考察に過ぎないので事実であるかは不明です。


568 : ◆QNxvmG91pc :2014/10/15(水) 22:32:14 YgJVkyZY0
投下終了します。ご指摘等あればお願いします。


569 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/17(金) 01:39:43 jfvoCIGA0
投下お疲れ様です。
流石にバランサーだけあって霊夢の思考も独特ですね。
最終的にどのような判断を下すのか。

とりあえず現状の予約と現在位置のまとめをしておきます。

《予約中》
【B-4】ディオ&ランサー、間桐シンジ&ウォーダンサー、神長香子&アサシン

《現在位置》
・未明
【C-8/新都・路地裏】セブルス・スネイプ&セイバー(市丸ギン)
【C-8/新都・線路近くの路地裏】 雅緋&セイバー(呉島貴虎)
                    鬼龍院皐月&ランサー(ディルムッド・オディナ)
【B-9/新都・ホテル】セレス&アーチャー(セッツァー)

・早朝
【B-8/マンション】沢木直保&キャスター(隼鷹)
【B-8/マンション前】ルナティック(ユーリ・ペトロフ)&バーサーカー(バオー/橋沢育郎)
【B-2/住宅街(穂群原学園へ通学中)】鹿目まどか&バランサー(博麗霊夢)

《未予約》
トゥーサン・ネシンバラ&セイバー(ネロ・クラウディウス)
ジョセフ&アーチャー(天龍)
カレン&ライダー(リュカ)
影森の正吉&アサシン(マミゾウ)
理樹&キャスター(ルサルカ)
夜神月&セイヴァー(覚悟)
坂本ジュリエッタ&デストロイヤー(パッションリップ)
阿良々木暦&セイバー(鑢七花)
小泉ジュンイチロー&ライダー(ワムウ)
遠野四季&バーサーカー(人類種の天敵)
白のルーラー
黒のルーラー

>>515>>516の予約は予約期限を切れたので未予約扱いとしています。
再予約の場合は宣言をしていただければ。
あと、Wikiのマップが見づらかったので更新しました。


570 : ◆tHX1a.clL. :2014/10/18(土) 19:32:44 AT41.LKE0
影森の正吉&アサシン(二ッ岩マミゾウ)
坂本ジュリエッタ&デストロイヤー(パッションリップ)
月陣営・白のルーラー(セイバーリリィ)

予約します


571 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/19(日) 18:30:26 1UIaqWY.0
予約延長します。

それとなんとなく参加者の画像一覧作ってみました。
ttp://www46.atwiki.jp/nijiseihaitaisen/pages/87.html


572 : 名無しさん :2014/10/19(日) 20:00:19 k1.wRthE0
画像一覧作成乙です。
人類の中にしれっと混ざる狸マスターの存在感


573 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/23(木) 00:33:55 /D8Xm3ScO
申し訳ない、ちょっと期限過ぎてるので予約破棄します。
予約されなければその内投下します。


574 : ◆tHX1a.clL. :2014/10/25(土) 12:41:06 e0Rh1P3.0
延長お願いします


575 : ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:26:33 qjCejTUg0
影森の正吉&アサシン(二ッ岩マミゾウ)
坂本ジュリエッタ&デストロイヤー(パッションリップ)
白のルーラー(セイバーリリィ)

投下します


576 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:28:52 qjCejTUg0
  がりがりがりがり。
  がりがりがりがり。

  それはまるで、採掘音だった。
  緑豊かな我らの山を、人間の住処に変えるために切り崩していく重機の数々。
  あれが動く音によく似ていた。
  だからかもしれない。
  正吉が彼らに対して『嫌な感覚』を覚えたのは。

  庄吉は、この舞台ではサラリーマンの役割を担い毎日をすごしていた。
  記憶を取り戻してからこっち、昔のようにフーテンの狸生活に戻ろうかとも思ったが、いまさらそれもままならぬ。
  きっと自分は特別で、聖杯戦争の主役はやはり人間だ。
  人間社会で行われる勝負についての情報を集めるというのであれば、人間社会に溶け込む必要がある。
  何より、彼には今、家族が居た。
  優しい妻と、かわいい子どもたち。ちょうど正吉がこの舞台に呼ばれる前に養っていたのと同じ人数の家族が。
  彼女らの生活のためにも、彼は勝手に『人間』をやめるわけにはいかなかった。
  これについてはアサシンも承諾済みだ。
  『タヌキのくせに随分お人よしじゃな』などと笑っていたが。

  そんなこんなで万福寺のある山を抜け、会社に向かう途中。
  果たして庄吉は、出会った。
  出会ってしまった。一組の男女に。

  ざんばら髪をゆらゆら揺らし歩く、幽鬼のようなたたずまいの男。
  彼に付き従うように、大きな『手』を引き摺り歩く女。


  がりがりがりがり。
  がりがりがり、がり。

  女の爪の音がやむ。
  立ち止まり、見つめあう。
  正吉の目には、確かに見えていた。男達が『参加者』だということを示す文字が。
  自身の英霊と比べてもずば抜けて高いパラメータ。陣営をあらわす『白』の文字。
  それが見えているのは相手も一緒だ。
  一目見て、こちらが同じ『白』の陣営のマスターだと理解したはずだ。


「あの……月側の人、ですよね」


  ぼうっと立ち尽くす男に声をかける。
  返事は無い。

「僕、正吉と言います」

  また、返事は無い。  
  その代わりに、自身の傍に居る(らしいが、姿は見えない)アサシンが念話で声を張り上げた。

(おい、やめとけ『主(マスター)』。そいつらはヤバい。向かってくる前にさっさと逃げるぞ)

(いえ、見つかってしまった以上接触は仕方がないかと……陣営まで見えているのに、無視して歩くわけにもいかないでしょう。
 それに、同じ陣営なら協力することができるかもしれません。
 団三郎先生……『アサシン』にとっても協力者が居るのは願ってもみないことでしょう)

(そういうわけじゃない! そいつらはヤバいと言うとるんじゃ!! いいから早う逃げろ!!!)

  驕っていたわけではない。
  侮っていたわけではない。
  正吉はただ、慣れていなかったのだ。知らなかっただけなのだ。

「やるか」

「はい、マスター」

  合理性などでは捉えきれない、人間という生き物だけが孕む狂気を。


577 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:30:19 qjCejTUg0
  短い返事の後に、デストロイヤーが右手をやおら振りかぶる。
  考えるまでもない、攻撃だ。
  とっさに後ろへ飛び退ると、正吉が先ほどまで立っていた場所に見事なクレーターが出来ていた。
  
「な、なにを」

  言葉は続かない。
  避けた正吉のすぐ傍に、件の男が居た。

「邪魔だ」

  振りぬかれる脚。
  今までに味わったことのない程の激痛が、正吉の腹部に叩き込まれる。
  そのまま後ろに倒れるように道路に叩きつけられ、それでも勢いは死なずにすぐ傍にあった建物の壁にぶち当たる。
  何事かと問う暇も無い。
  さらに追い打ちが、今度は爪のサーヴァントから繰り出されていた。
  先ほどと同じ、地面をたやすく砕き壊すほどの、ただの殴打。
  その圧倒的な『脅威』に気おされて、勝手に狸変化が解ける。

  変化が解けたのが幸いした。
  爪のサーヴァントの『人間』を狙った殴打は『狸』のすぐ隣をすり抜け、コンクリートを再び粉々に砕くだけに終わった。

  あれは、『殺意』だ。
  あの瞬間、確かに『殺意の塊』が振り下ろされた。
  あの女は、あの二人は、正吉を殺すつもりだ。
  しかし、何故? 何故殺す? 同じ月の陣営同士、仲間じゃないのか?

  考えがまとまるよりも早く、身体が動いた。
  正吉はその頼りない四足で細い路地裏に飛び込み、乱雑に物の詰まれた路地を縫うように駆けていく。
  正吉の身体は、ついこの間までサラリーマンだった理性なんかでは到底及ばないほどに野生を取り戻し、生存本能を取り戻していた。

  そのまま路地裏を走り、跳躍する。
  そこで『影森の正吉』の姿は完全に消え果た。


578 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:31:18 qjCejTUg0
  数秒遅れで追跡者二人が路地裏に飛び込むが、その場に追っていた者の姿は無い。

「……どこ行った?」

「……走ってたにしては早すぎますよね……どこかに隠れてるのかな……」

  問いかけに対して、しばしの沈黙の後にデストロイヤーが真面目な顔つきでそう答える。
  そして、真面目くさった顔でジュリエッタが繰り返す。

「隠れてる、か」

「隠れてる……のかな?」

  二人してまた少しだけ押し黙ると、今度はジュリエッタが、考えるのも面倒だといわんばかりにこう言った。

「知るか。やれ」

「はい」

  その言葉を待っていた、とばかりに右手を突き出した。
  手間睨みの要領で、デストロイヤーの視界に入る『路地の全て』を手中に収める。
  刹那、周囲が恐ろしいまでの濃度の『殺意』で満たされた。

  まるで知らないうちに背後まで迫ってきていたトラックのように。
  まるで餌を吊るして敵を待つ害獣駆除の檻のように。
  無機質で、絶対的な死を運んでくる『殺意』に。

  そして、デストロイヤーが右手を握りつぶすと――――――全てが消えた。

「……」

  壁が消える、建物が消える。
  道路が消える、草が消える、看板が消える。
  路地裏に散乱していたゴミ袋をあしらったオブジェクトが消える。ダンボールやプラケースといったオブジェクトも消える。
  建築物、自然物。大、小。重要、不要の区別なく、全てが消える。
  ただ一つ、なぜか消えないポリエステルのゴミバケツのみを除いて。
  不思議と消えないそのゴミバケツが、周囲の全てが消えた状況を理解して少し震え上がったような気がした。

  デストロイヤーが少しだけ不思議そうに顔をしかめる。
  まるで意味が分からないとでも言うように。
  ジュリエッタがゴミバケツに駆け寄り、蹴り上げる。
  青いバケツが、二転、三転と転がるうちに、毛が生え、色が付き、足や尻尾が生えていく。
  回転が止まる頃には、化けの皮は全て引っぺがされていた。

「なんだ、タヌキは潰れないのか」

「……参加者に対してプロテクトがかかってるのかもしれません」

「どうでもいい、やるぞ」

  二発目の脚が突き刺さる。
  再び地面を転がされ、痛みでのた打ち回る。
  ゆっくり、ゆっくりと、横たわる正吉に足音を立てて『死』が迫ってくる。

「ま、待って……僕、僕は……」

「じゃあ、死ね」

  懇願むなしく、死刑宣告が下されたその瞬間。
  ジュリエッタの上空から信楽焼きの狸の置物が降り注いできた。

「走れ、マスター!!」

  ジュリエッタが正吉から距離を取って狸の置物を避けたのを確認し。
  地面に狸の置物が突き刺さる音をBGMに、聞きなれた声が正吉の耳に届いた。

「さっさと走れ、本当に死ぬぞ!!!」

  言われるまでもない。
  正吉は既に走り出していた。傷ついた身体に全力で鞭打って。


579 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:33:35 qjCejTUg0
  痛む身体を押して、路地を奥へ奥へと走る狸。
  彼の後方には、詰め寄る二人の追跡者。

「だからヤバいと言うたんじゃ!」

  横を走るアサシンが声を上げる。

「いいか、『あれ』は敵でもなけりゃ、ましてや味方でもない!! 『あれ』は人の形をした災害、それそのものよ!
 こっちが祈り縋ろうがなだめすかそうが怒鳴り散らそうが関係ない! 『あれ』はその場の全てを破壊して、破壊しつくして通りすがるだけの奴らなんだからな!!」

  『災害』。
  言いえて妙だ。
  あれは大嵐だ。あれは大時化だ。あれは人型の災害だ。
  こちらに対する害意があるだけ災害よりはまだ分かりやすい。
  立ち向かいようがない程に強く、対処しようがないほどに無慈悲。

  今更ながらに正吉は悔いた。
  なんて馬鹿なことをしたんだろう。
  あの時アサシンの言うことを聞いてなりふり構わず逃げていれば、こんなことにはならなかっただろうに。

  アサシンが正吉に背を向け、今しがた走ってきた路地を塞ぐように立ちどまる。
  つられて正吉の足も止まる。

「儂が足止めしてきてやる。逃げて、逃げて、さらに逃げて、無事に逃げおおせて見せろよ、マスター」

「そんな、団三郎先生!?」

「その名で呼ぶなと言うとろうが……今の儂ぁ、お主憑きの英霊(サーヴァント)、アサシンじゃ。
 なぁに、こちとら化かしあいで数百年生き延びてきた大長老。昨日今日生まれたようなひよっこにゃあ負けんさ」 

  そう言ってアサシンは不適に笑って見せた。
  彼女は正吉の数十倍、いや数百倍は強い狸だ。そんな彼女がそういうからには、なにか勝算あってのことなのだろう。

「ほれ、急げ! 『あれ』が来る前に!」

  その言葉に背を押されながら、正吉はまた細い路地に潜り込み、逃げ続ける。
  自身の英霊の無事を、心の底から願いながら。


580 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:36:03 qjCejTUg0
  *  *  *

「いよう」

  姿をあらわしたアサシンと、逃れようのない破壊の象徴どもが相見える。

「邪魔だ、どけ」

「そう言われても腰がのう。年寄りはいたわるもんじゃぞ」

「……煩わしい……貴女、邪魔です……」

「そういいなさんな。儂とちょっとばかし遊ぼうじゃないか」

  アサシンが二人に向かって木の葉をばら撒く。
  重力に逆らい、まっすぐに二人の方に、まるで弾丸のように放たれた木の葉。
  煩わしそうに振るわれた右手に木の葉が触れるその瞬間、アサシンは宝具を開放した。

  宝具『狸穴の大将』。

  ばら撒かれた計二十枚の木の葉の全てが魔力を帯び、宝具を発動する媒体として機能し、間もなく立派な狸へと変化した。
  突然のことに、デストロイヤーの腕の動きがほんの少しだけ鈍る。
  その瞬間をアサシンは見逃さなかった。

「ほうれ、行けぇ!!!」

  アサシンの号令に従い、十九体の狸がそれぞれにデストロイヤーを、ジュリエッタを目指して駆け出した。

  軌道は無い、全員が不規則に、思い思いに目の前の敵に向かって駆け回り。
  その内の一体が、処理不能のダメージを負って木の葉に戻った。
  見れば、奥に控えていたジュリエッタが狸の一匹を踏み潰している。
  さらにデストロイヤーに飛び掛ろうとしていた狸を蹴り飛ばし、彼女に命令を下した。

「捻り潰せ」

「はい」

  簡素な命令。
  その一言でデストロイヤーは全てを理解し、来た道を駆け戻った。

  ジュリエッタの身体に、十五体に減った狸が纏わりつく。
  その姿を、デストロイヤーが『手中』に納め、ぎゅっと空間ごと『握りつぶす』。
  ビルが、道路が、電柱が。そしてアサシンのばら撒いた20の狸の全てが空間とともに圧縮され、ちっぽけなキューブに成り果てる。
  再び虚無のような空間が生み出された。

「……」

「……」

  そこで、二人は気づいた。

  気配遮断をしたのか。
  それとも霊体化したのか。
  アサシンが居ない。

  先ほどまで狸たちをけしかけていたアサシンの姿は影も形もなく。
  そこには二人と不自然にごっそりと抉られた空間だけが残っていた。


581 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:38:19 qjCejTUg0
  *  *  *

「……タヌキが走ってったのはあっちだったな、確か」

「……ですね。行きますか?」

  アサシンに煙に巻かれて数秒後。
  思い出したように一言二言と言葉を交わし、再び逃げた獲物を追おうと歩みだそうとする。
  そんな二人に、後ろから突然声がかけられた。

「警告します」

  ジュリエッタとデストロイヤーが、ともに胡乱な瞳で振り返る。
  白いドレスにポニーテールの少女が、大通りの方から歩み寄ってきていた。
  先ほどまとめて圧縮した奴らとよく似た一匹の狸に導かれて。

「あなた方の行為はルールに抵触しています。これ以上続けるようなら」

  言葉の続きは待たない。
  二人の行動はとっくに決まっている。

「やるぞ」

「はい」

  いつもどおりの単調なやり取り。
  その二言だけで二人には十分だった。

「令呪によって貴方達の行動を……なっ!?」

  居丈高に『警告』を行うルーラーに対してジュリエッタが駆け寄り、正吉に対してもそうしたように脚の一撃を叩き込んだ。
  しかし、英霊に対して神秘性のない攻撃は通用しない。
  当然振るわれた脚は止まる。しかし、ルーラーへの攻撃はやまない。
  ジュリエッタの身体の影から、腕を引き摺りながら飛びだした。
  勢いそのままに右腕が薙ぎ払われる。
  その一撃の重さ、いや『破壊力』はルーラーもよく知るところである。受けるわけにはいかない。

「何を……っ!?」

  ルーラーは自身の武器である長剣を取り出し、デストロイヤーのドゥルガーの神剣製の『右手』を受け止めた。
  しかし、それでも攻撃は止まらない。
  先に攻撃を繰り出していたジュリエッタの、差し出されていた右足の踵が『手』を受け止めている長剣の峯に叩き落される。
  英霊に攻撃は当たらない、しかし気を纏っていればデストロイヤーの宝具すら足蹴に出来た。
  ならば当然、今度は当たる。宝具を踏みつけ、押さえ込み、動きを制限する。
  『剣の動きが止まる』。
  それこそデストロイヤーの狙うところであった。
  機械仕掛けの右手を広げ、指の間からルーラーの剣に睨みを利かせる。
  狙うは圧縮を用いた無力化、からの蹂躙。先ほどと変わらず、それ一つ。
  デストロイヤーの目が、すっと細まる。

「くっ……『令呪を持って命じます』!!!」

  ルーラーの腕に刻まれた令呪が輝き、その存在を際立たせた。
  その光が示すのは、絶対不可避の緊急命令。

「『デストロイヤー、貴女の参加者との戦闘外で攻撃スキル・宝具の使用を禁止します』!!!」

  ぐっ、とデストロイヤーが拳を握る。
  しかしなにも起こらない。
  顔を少しだけしかめ、もう一度握りなおす。
  しかしやはり、何も起こらない。
  攻めの波が止まり、分水嶺が訪れる。その瞬間をルーラーは見逃さなかった。


582 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:40:37 qjCejTUg0
  剣を元あった『空間』へと返し、そのまま軽やかな跳躍で二人から距離を取る。

「警告の無視並びに聖杯戦争の恙ない進行に害を及ぼすと判断したため、令呪の一画を使用しました。
 貴方達はこの聖杯戦争において、他参加者との戦闘が始まらない限り、スキル『トラッシュ&クラッシュ』と宝具『死が二人を分断つまで』を使えません」

  デストロイヤーの脅威は攻撃に付与される『即死』もさることながら、近・中・遠距離の区別なく空間を圧縮できる『トラッシュ&クラッシュ』にもある。
  その能力は参加者以外の全てを―――彼らの自慢の宝具すらも容易く『捻り潰す』。
  その気になれば高台から町をその『手中に収め』、圧縮することすらできるだろう。
  NPCを全て潰し、彼らの生活を蹂躙し、聖杯戦争の機能をそのクラス名が示すとおり『破壊』する力の持ち主。だからこそ、ルーラーはその能力に枷をつけた。

  これ以降、デストロイヤーたちは参加者との戦闘が始まらない限り攻撃スキル・宝具を発動できない。
  少なくとも、二人が別の参加者を見つけて臨戦態勢に移るまでは。
  さらに言えば、この令呪で監視者たるルーラー二人の安全も『ある程度』守ることが可能になる。

「そして、私は参加者に含まれていません。彼同様、貴女も私を傷つけることは不可能です」

  それが、無理やり『何も無い空間』を二箇所作り上げたデストロイヤーへのペナルティ。
  彼女らの行動を大きく制限する『一度目の警告』だ。

「この令呪の使用をもって警告とします。もしもこれ以降、ルールを著しく侵す行為を行った場合、令呪を持って貴女の自害を命じます」

  『自害』。
  その単語を耳にしても、二人の顔色は変わらない。
  その様子と、その裏にある意志を気にした風もなく、ルーラーは付け加える。

「ただし、貴女のその腕で『何も壊すな』というのはいささか無理があるでしょう。
 なので貴女に関しては特例として、『日常生活を行う際に生じる破壊』は見逃します」

  デストロイヤーにとっては生きることがすなわち『破壊』だ。
  それを否定されては遠まわしに『自害しろ』と令を下すようなもの。
  これに関しては、特例としてルーラー側が譲歩せざるを得ない部分だろう。

「それでは、くれぐれも自害などせずに済むよう、気をつけて行動してください。警告は以上です」

  ルーラーはそう言い残すと、そのまま来た道を戻り大通りの人ごみに消えていった。
  いつの間にやら彼女の道案内をしていた狸も消えている。
  突然の初戦をこなし。
  振って湧いた二戦目を終え。
  再び訪れるしばらくの静寂。
  二人はまた、少しの間ぼうっと立ち尽くした。


【C-9/不明/一日目 早朝】

【白のルーラー(セイバーリリィ)@@Fate/unlimited code】
[状態]健康
[陣営]月
[装備]
[道具]
[思考・状況]
基本行動方針:月の陣営の取り締まり
1.???
[備考]
※デストロイヤー(パッションリップ)に対して令呪を一画使用しました。


583 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:43:16 qjCejTUg0
  *  *  *

「それで、お前。さっきのあれ使えるか?」

「……それが、使えないみたいです……さっきの人が言ってたみたいに、使えなくなったのかな……
 でも、他の人と一緒なら、使える……んじゃないかな……? ……と、思います……」

  ジュリエッタの顔が、いつもより少しだけ険しくなる。
  広いフィールド内に散らばる数人の参加者、無為無策で探し回って見つかるものではない。
  『トラッシュ&クラッシュ』で参加者が圧縮できないというのであれば周囲を無差別に圧縮し続ければいい。
  消えたらNPC、はずれ。消えなかったなら参加者、あたり。
  魔力をそこそこに回復しつつこれを繰り返すつもりだったが、そうそうにアテが外れてしまった。

「……」

「……えっと、どうしましょうか……タヌキの人、追いますか?」

「……」

  方針は特に決めては居なかった。
  今からあの白いのを追ってあれから片付けてもいいし、別の参加者を探してもいい。
  ただ、『トラッシュ&クラッシュ』での索敵が出来なくなったとなると状況が違う。
  こうなってしまったからには目先に迫っていた参加者を追うほうがあてどもなく歩くよりは効率もいいだろう。

「まずは、タヌキだな」

「そうですか、じゃあ……」  

  じゃあ、と少女が言ったあとに、ぐう、と大きな音が続く。
  ジュリエッタの視線が、音の発生源へと落ちる。
  彼の視線が発生源にたどり着くより早く、デストロイヤーがその厳しい両手で発生源たる自身の腹を押さえ込んだ。
  先ほどまでは普通に話していた顔が、みるみるうちに耳まで真っ赤に染まっていく。

「……」

「……」


  二人の間に、今までとは違った沈黙が流れる。


584 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:44:23 qjCejTUg0


  *  *  *


  ドアをぶっ壊し。
  パーテーションボードをぶち抜き。
  ソファをなぎ倒し。
  テーブルをかち割り。
  そうしてようやく席に着く。

  C-9地区、ファミリーレストラン。
  店に入ってすぐの所にある手近な空いている席に腰を下ろした。
  続けてデストロイヤーも、彼の正面の椅子に腰掛ける。

「あ、あの!」

  水を運んできたウェイトレスにペコペコと頭を下げてから、少し興奮した様子でデストロイヤーが声を上げた。

「わ、私……こういうところ、初めてで……その……」

  『デストロイヤー』―――パッションリップはもともと月の裏側で生まれたAIの一部、『アルターエゴ』だ。
  ファミリーレストランも初めてなら、人間としての食生活も初めて。さらに言えば人間が普段何気なく行っている『売買』も初めてだ。
  そういう背景があったからか。
  『ファミリーレストランに向かう』とジュリエッタが言ったときのデストロイヤーの反応は、今まで見てきた中でもことさら楽しげに見えた。
  店に入る時や入ってからもひと悶着あったが、それでもまだ、始めて来た『面白い場所』にらんらんと目を輝かせている。

  ウェイトレスを目で追い、他の客の話に聞き耳を立て、漂ってくる料理の匂いであれこれ楽しげな妄想をする。
  これではいつまでたっても進まない、と。ジュリエッタは彼女の変わりにメニューを取り出して、目の前に広げて見せた。

「それから選べ」

「は、はい……!!」
  
  デストロイヤーは少しだけメニューを眺めると、少し難しそうな顔をして。

「じゃあ、この……『パンケーキ』……」

  再び、大きな腹の音が鳴る。
  まったく足りない、と主に代わって催促するように。

「……他は」

  その問いかけに、デストロイヤーは何故か恥ずかしげにもじもじとしているだけだった。
  最初はジュリエッタも何事か、と不思議に思ったが、すぐにその理由にたどり着いた。

  デストロイヤーの両腕は、メニューを捲るには大きすぎる。
  手が自由に動かせないデストロイヤーに代わって、ジュリエッタがページを捲ってやる。
  するとデストロイヤーは、身を乗り出して、今までで一番瞳を輝かせながらメニューに踊る料理たちを眺め始めた。

「……あ、その……じゃあ、えっと、右上にあるハンバーグ……」

  ジュリエッタがページを捲る。

「と洋食セット……」

  ジュリエッタがページを捲る。捲る。捲る。

「に、イタリアンサラダと、ピザと、チキンドリアと、フライドポテト。
 それと、洋風グリルセットと、大盛ミートソーススパゲティ、あと、フライドチキンと、きのこ雑炊」

「……」

  最後のページを捲り終わって、注文用の電子チャイムを鳴らそうと手を伸ばす。
  興味深そうにその仕草を目で追っていたデストロイヤーの視線が、一点でぴたりと止まった。
  それは注文用のチャイムの傍においてある立てポップ。

「あ……そのパフェも……」

「……」


  デストロイヤーの長い長い朝食が始まった。


585 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:46:08 qjCejTUg0
【C-9 ファーストフード店/一日目/早朝】

【坂本ジュリエッタ@エアマスター】
[状態]健康
[陣営]月
[令呪]残り三画
[装備]
[道具]
[所持金]数千万規模
[思考・状況]
基本行動方針:邪魔者を破壊して愛する者の下へ
1.朝食を済ませる
2.タヌキを追う
[備考]
※影森の正吉組のパラメーター・容姿・宝具『狸穴の大将』を確認しました
※白のルーラー(セイバーリリィ)を確認しました。
※『トラッシュ&クラッシュ』の発動に対してルーラーから厳重注意を受けました。
 次に目立ったルール違反を行えば自害が命じられます。が、対して気にしていません。

【デストロイヤー(パッションリップ)@Fate/extra CCC】
[状態]魔力消費(中)、腹ペコ、ファミレスに興奮
[陣営]月
[装備]ドゥルガーの神剣を元に作られた両腕(着脱不可能)
[令呪]『他参加者との戦闘以外での攻撃スキル・宝具の発動を禁ずる(ルーラー)』
[道具]
[思考・状況]
基本行動方針:邪魔者を破壊すして愛する彼の元へ
1.ご飯を食べる
2.タヌキを追う
[備考]
※影森の正吉組、白のルーラーを確認しました。
※ご飯を食べて魔力を回復します。満腹になれば魔力は充実状態になります
※『クラッシュ&トラッシュ』の『参加者は圧縮できない』という能力制限を知りました
※ルーラーから令呪を用いて『他参加者との戦闘以外でのスキル・宝具の発動』を禁止されました。
 ルーラー権限の令呪であるためマスターであるジュリエッタが令呪を用いても解除は難しいです。
 さらにこの『他参加者』に観測者は含まれていないのでルーラー相手にはスキル・宝具を用いられません。


※C-9にデストロイヤーが圧縮したキューブが落ちています。
 情報処理に長けた人物ならそれを調べると『圧縮された空間』『圧縮されたアサシン(二ッ岩マミゾウ)の宝具』だと判断できます。


586 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:49:30 qjCejTUg0
  *  *  *

「なんだよあれ、なんだよあれぇっ!!」

「あんなの、僕達よりもずっとバケモノじゃないか!!」

  遮二無二走りながらつい泣き言を吐いてしまう。
  確かに正吉は願いを叶えたいと望み、聖杯が欲しいと言った。
  そしてそのために戦う決意もした。
  ただ、開幕早々あんなバケモノとはち合うのはまったくの想定外だ。

「木の葉を二十枚損した程度で済んだんだ。そう気を落としなさんな」
「『あれ』と当たっちまったってのがそもそも不運だっただけじゃ。生きてるだけで僥倖、僥倖!」

  からからと笑う古狸。
  死地から生還したばかりとは思えない、あっけらかんとした素振りだ。
  怖くないのか、と正吉が問えば、『怖かったさ、そりゃあのう』と笑いながら答えた。

「運がよかった。近場に『違反』を察知して寄ってたルーラーがおったからのう。
 奴めをけしかけて、それでようやく、なんとか逃げおおせられた」

  令呪に感じていた魔力反応が消えたのを確認して、ようやくせわしく動かしていた足を止める。
  だいぶ距離を取れた。取れたはずだ。取れたと信じたい。
  取れたということにして、アサシンに声をかける。

「アサシン。とりあえず、今後のことを話したいんですが……特に、あの人たちと次出会った時のことについて」

「そうじゃなあ」

  全てを握りつぶした拳。
  砂山を崩すように建物を壊した拳。
  恐ろしい災害の権化のような者たち。
  アサシンは唸るような声をあげて、こう言った。、

「『あれ』はもう、会わんようにするしかないじゃろう。それがお互いのためじゃ。
 放っておいたら黒の陣営を潰して回ってくれるかもしれん。
 聖杯戦争が終わるまで二度と会わない。それがまあ、最善か」

  その言葉を聴いて、正吉は心の底から自身が『白陣営』であることに感謝した。
  もし自分達が黒陣営だったら、『あれ』と対立して勝つ必要があったのだ。
  もちろん黒陣営にも『あれ』と同じようなサーヴァントが居る可能性もある。

「……いや、『あれ』は正規のサーヴァントではない。あのクラスはまず複数存在せん。
 万に一つ、あれと同等やあれ以上が居るなら……まあ、なんとか後ろで手を引いて、上手いこと共倒れしてもらうしかないだろうな」

  後ろで手を引く。
  つまり、あれを間接的に操る必要がある、ということだ。
  直接的な方法で打って出れない限り、作戦が必要だ。
  いつか仲間の狸たちとやったように、人を騙し、人を動かす作戦が。
  アサシンの宝具を利用してうまく立ち回る方法はあるか、と正吉が思考をめぐらせていると、アサシンからの茶々が入った。

「それより、お主。会社はいいのか?」

  聖杯戦争一日目。
  変わることなく続く日常、平日の朝。
  先にも述べたように正吉はサラリーマンだ。
  正吉には、偽者では在るが家族が居る。
  家族のためにも働く必要がある。

「とはいっても、この状況ではいくらお人よしなお主でも、悠長に『じゃあ会社に行きます』とは言えんよなぁ。
 まぁ、任せろ。必要とあらば、儂の宝具のうちの一匹を、お主に化けさせて働かせることも出来る。
 そっちの方が都合がいいじゃろう?」

  アサシンの提案に、しばらく考えてから頷く。
  先の戦闘を経て分かった。聖杯戦争と私生活はまったく両立できない。
  これからは生活を聖杯戦争主体に切り替えていく必要がある。
  そう考えるのであれば、そのアサシンの案は願ってもみない提案だった。

「それじゃあ、お願いします。アサシン」

「ああ。なにかあったら儂に知らせるように伝えておくよ」

  そう言うと、アサシンは再び霊体化した。
  これで任せておけば大丈夫だろう。団三郎狸は幻術の大家だ。人を化かすのなんてお手の物だろう。

  それから正吉は、再び歩き始めた。
  知ってか知らずか、少しでもあの『破壊者』たちの居るC-9から距離をとるように。


587 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:51:48 qjCejTUg0
【C-8/早朝】

【影森の正吉@平成狸合戦ぽんぽこ】
[状態]腹部に痛み、坂本ジュリエッタ組への強い恐怖、魔力消費(小)、狸隈(極薄)
[陣営]月
[令呪]残り三画
[装備]
[道具]
[所持金]木の葉、サラリーマンのお小遣いくらいの金額が入ったサイフ
[思考・状況]
1.とにかく今は人間たち(坂本ジュリエッタ組)から離れる
2.アサシン(二ッ岩マミゾウ)と作戦を練る
[備考]
※坂本ジュリエッタ組のパラメーター・容姿・宝具を確認しました。
※『トラッシュ&クラッシュ』を確認しました。

【二ッ岩マミゾウ@出典】
[状態]魔力消費(小)
[陣営]月
[装備]木の葉
[道具]
[思考・状況]
基本行動方針:正吉に聖杯を渡してやりたいが……さて
1..正吉の代わりに会社へ宝具『狸穴の対象』で呼び出した狸を変化させて向かわせる
2.バケモノ(パッションリップ)を警戒。あれは最早災害の類なので争わずに済む道を探す
[備考]
※宝具『狸穴の大将』の狸をデストロイヤーに圧縮されましたが、媒体の木の葉があれば再び呼び出せます


588 : 踊れポンポコリン  ◆tHX1a.clL. :2014/10/28(火) 06:52:54 qjCejTUg0
以上です
延長失礼しました
矛盾点、修正箇所、その他指摘などありましたらよろしくお願いします


589 : 名無しさん :2014/10/28(火) 11:38:51 zYO.BfZUO
投下乙です。

人間に化ける狸と、人間の皮を被った災害。
似てるけど、正反対だな。
狸は隠れる為に化けるけど、災害は人間の姿をしてるから余計に破壊が目立つ。


590 : 名無しさん :2014/10/28(火) 12:51:00 X0Yjvl.M0
投下乙です。
デストロイヤー組はまさに暴風だなぁ。
理屈も交渉も通じず、敵味方の区別なく叩き潰しに掛かるか。
宝具やスキルは強力だし、両陣営にとっての脅威になりそうだ
というか腹空かせてるリップかわいいなw
しかしマミゾウもマミゾウでやっぱり優秀というかしたたか
真っ先にデストロイヤーの危険性を察知してルーラーを誘導させる辺り中々抜け目が無い


591 : 名無しさん :2014/10/28(火) 17:48:26 X0Yjvl.M0
第二次二次キャラ聖杯戦争みたく宝具の数値抜きでの鯖のパラメーター総合値纏め(ひとまず月陣営)
E=10、D=20、C=30、B=40、A=50、EX=α、+は倍加(括弧内が倍加時の数値)

【月陣営】平均152(192)
セイバー1(ネロ):180
セイバー2(ギン):160(210)
アーチャー(天龍):90
ランサー(タケ):160
ライダー(リュカ):130
アサシン(マミゾウ):170(210)
キャスター(ルサルカ):140(190)
バーサーカー(バオー):200(250)
セイヴァー(覚悟):140(250)
デストロイヤー(パッションリップ):150(250)


592 : 名無しさん :2014/10/28(火) 18:08:51 X0Yjvl.M0
【地球陣営】平均157(188)
セイバー1(貴虎):60
セイバー2(七花):190
アーチャー(セッツァー):150(200)
ランサー(ディルムッド):160(210)
ライダー(ワムウ):180(210)
アサシン(明智光秀):140(220)
キャスター(隼鷹):140
バーサーカー(人類種の天敵):180(230)
バランサー(博麗霊夢):200
ウォーダンサー(速水):170(220)

宝具考慮していないので一応斬月のパラメーターは未換算
ミスがあったら申し訳ない…


593 : 名無しさん :2014/10/28(火) 22:10:43 KIKrxKto0
ちなみに
貴虎(斬月):140(260)


594 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:46:31 1wJfOe7.0
投下お疲れ様です。
また、まとめもありがとうございます。

ちょっと急いでいるので投下の方の感想はまたの機会にします、すいません。

破棄した予約から「間桐シンジ&ウォーダンサー」組を除き、「ディオ&ランサー、神長香子&アサシン」で投下します。
予約破棄の上に予定を変更して申し訳ありません。


595 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:47:23 1wJfOe7.0
    ◆

 夜の闇が住宅街を覆う。
 昼ならばそれなりに人の姿が行きかうであろう町中は、しかしひっそりと静まり返り、生の気配は感じられない。

「夜は聖杯戦争の時間、ということか」

 その闇の中を、神長香子は自らのサーヴァントであるアサシンと共に歩んでいた。

(「冬木市の治安を著しく乱してはならない」……このルール上、NPCの人目を避けた戦闘がルーラーからは推奨されていると思っていいだろう。
 となれば、夜にNPCが外に出る割合は下げられていると考えていい、と思う)

 もちろんこれは香子の推測に過ぎない。
 たまたまこの住宅街に人通りが少ないだけで、新都側は深夜でも人通りが絶えていない可能性はある。
 だがどちらにしろ、今この場所が聖杯戦争にとって都合のいいロケーションであることは確かだった。
 『気配遮断』のスキルを持つアサシンにとって、闇が姿を隠してくれる夜間は行動しやすい環境である。

(……できれば、こちらが警戒されていない内に一、二組は仕留めたいがな)

 『マスター殺し』であるアサシンのクラスは、その特性上ある種セイバーやランサーといった三騎士のクラスよりも警戒を招きやすい。
 姿や位置を捕捉されれば執拗なマークを受ける可能性は非常に高いと考えられた。
 そうなる前に動いておきたい――というのが、香子の考えだった。

『主よ』

 不意のアサシンからの念話が、香子の脳内に響く。
 即座に立ち止まり、声に意識を集中する。

『……どうしたんだ?』
『敵サーヴァントを発見致しました』

 一拍置いて聞き返す。

『……マスターは?』
『見当たりません。サーヴァントのみが実体化しています。身を隠す様子もありません』

 傍に仕えるべきマスターもなく、霊体化して人目を避ける様子も、そしてサーヴァントやマスターから身を隠すつもりもない。
 ならば考えられるのは――

(……誘いの札か?)

 囮か。
 サーヴァントを表に立たせ、敵であれ味方であれ、サーヴァントと接触するつもりなのか――あるいは、誘われて出てきた敵を殲滅する心構えか。

『どう致します、主よ』

 しかしどちらにしろ、香子の結論は決まっていた。

『仕掛けるぞ、アサシン』


596 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:48:02 1wJfOe7.0

    ◆

 闇夜に紛れ、物陰から香子は敵サーヴァントを視認する。
 クラスは――ランサー。
 三騎士のひとつ、『槍兵』のクラス――確かになるほど、隠れてランサーを見ている香子の目に映るパラメーターにおいて、あのランサーは殆どの値でアサシンに優越している。
 香子のアサシンとて『暗殺者』にそぐわぬ高いステータスと戦闘技術を持っているが、正面戦闘においてはあのランサーに対し優位に立てるとは考えにくいだろう。
 しかし、それは問題ではない。神長香子も、そのサーヴァントも、騎士などではないのだから。

『……そこから奇襲できるか?』
『御意に。問題なく御座います』

 そう。
 『気配遮断』のスキルを持つアサシンならば、気配を消して闇に紛れ奇襲することができる。
 そこからの撤退も、気配を消せば難しくはない。

 既にアサシンはその気配を消し、ランサーの背後へと忍び寄っている。
 双鎌は振り上げられ、ランサーの首を刈り取ろうと一直線に振り下ろされ――


「――ッ!」

 甲高い金属音。

 それと共にアサシンの操る大鎌、その双つ共が弾かれ――同時、暴風が吹き荒れた。
 否、違う。確かに突風は吹き荒れた。しかし、その本体は決して風などではない。

「……それなりに気は張ってたつもりなんだけど。こうもあっさり背後から仕掛けてこれるなんて、アサシンかなにか?」

 アサシンの背後。腕半分以上を覆う、奇妙な手甲を構えるランサーの姿がある。

 ランサー――『槍兵』の本領。それは一般的に考えて、刺突である、と考えて間違いはない。
 薙ぎ、払い、あるいは投擲といった技術も確かに槍技ではあるがそれは本質ではなく、槍という武器が最も破壊力を発揮するのはやはり刺突である。
 白のランサーは、『刺突』に特化したサーヴァントだ。
 その武器は槍というよりも騎兵槍、もっと言うならば穂先の機能だけを備えた、射突杭に極めて近い。
 それを構えたランサーの突撃は、人の身でありながら騎馬よりも早く駆け――騎兵突撃にも勝る威力を実現する。

 隠すまでもない。先程の暴風を起こしたのは、ランサーのたった一度の突撃であった。

「それを語る義理は御座いますまい?」

 対するアサシンは突風に動ずる事も無く、体を回しながらランサーへと戦闘の構えを取る。
 サーヴァントには敵サーヴァントのパラメーター――そのクラスさえもを見ることはできない。
 如何にして相手が自らの背後を取ったのか、ランサーには詳細を把握することはできないのだ。

「ま、それもそうか。――どうせ、すぐに見る事の無くなる相手なんだし」

 ランサーの興味を無くしたような声と同時。――また暴風が吹いた。

 マトモな人間には初動さえも視認できない――否、サーヴァントであっても、生半可な実力では一撃でその霊核を貫かれる。
 徹底した、それだけに特化された突撃(ランスチャージ)。

 それが路上に仁王立ちする黒のアサシンを目標に一直線に奔る――!
 
 ――しかし、対する黒のアサシンもただの暗殺者ではない。
 いや、そもそも暗殺者のクラスに押し込められていたとて、彼の本質は暗殺者などでは決してない。
 戦乱の時代を矢面に立って生きた、戦国の武将である。

 故に交錯は一瞬。しかし、その刹那こそがサーヴァントの戦闘における生死の最小単位。
 刹那の内に、ランサーとアサシンは互いの命をかけた一撃を放つ――!


597 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:48:45 1wJfOe7.0

 
「……当てるつもりだったんだけど。アサシンにしちゃ、大分気合の入った避け方ね」

 暴風が駆け抜け、視界が開ける。
 黒のアサシンは、変わらずそこに立っていた。
 対して突撃を仕掛けた筈の白のランサーは、その身体に浅くはあるが傷痕を残している。

 一瞬の交錯は、黒のアサシンに軍配が上がった。
 黒のアサシンは突撃をかける白のランサーに対して最小限の動きを以て回避し、その上で反撃を行ったのだ。

 目にも止まらぬ、当たればそれだけで致命傷となる突撃をいなしながらも反撃を行う。
 その心眼は、三騎士であるランサーをして舌を巻くモノに他ならない。

「其方も中々ですよ……ただの猪武者ならば先程で首を?っ切りましたが、貴女は素晴らしい……」

 険を深めるランサーに対して、アサシンは恍惚を深めた様子で返答する。
 その様子に、ランサーはますます機嫌悪げに顔を顰めた。

「話の通じそうにない手合いね。味方なら使えるんだけど、敵だと厄介だわ」

 左腕の手甲を構え、またもランサーは突撃態勢を取る。
 対するアサシンは、笑みを浮かべながらそれを迎え撃つ構えを取り――

 爆発音のような音が響く。
 それがランサーの踏み込みの音であると香子が気が付いたのは、ランサーの姿が掻き消えて後であった。
 暴風がアサシンへと一直線に突撃し――しかし、先程の再現のように、いなされ、そして反撃と共に血煙が上がる。

 そして突風は失速――しない。

 次いでの爆音。コンクリートを踏み砕き、方向を180度転換したランサーが再度アサシンへと襲い掛かる――!

「ぬ、っ……!」

 再度の突撃も、アサシンは直撃を避けての回避に成功する。
 そこに再度爆音。そして突撃。
 暴風は止まない。今やアサシンを中心として、圧倒的な暴力の嵐が吹き荒んでいる。

 ――その嵐の中、アサシンは鎌を振りかざしランサーを迎撃する。
 突き出された手甲が寸前でかわされ、応ずるように振りかざされた鎌は空を切った。
 息吐く暇も無く逆方向から突っ込んでくる杭が右の鎌で軸線を反らされ、反撃の左の鎌は浅くランサーの身体を切るに留まる。

 ランサーの杭先は一直線にアサシンの霊核を狙い、アサシンの刃はランサーの首を?き切ろうと閃く。
 どちらも一つ行動を違えれば、その命はないだろう。


(これが、サーヴァントの戦いだというのか……?)

 サーヴァント同士の人智を超えた戦い。それを香子は、茫然と眺めていた。
 黒組でのゲームとは比べ物にならない、英雄同士の決戦。
 そこに香子が入り込む余地など、端から存在していないようにさえ見える。

(……いや、それではいけないんだな)

 アサシンは信用できない――という話は、この際には関係がない。
 聖杯戦争が『マスターとサーヴァントの戦い』だと言うならば。
 マスターのみで勝ち上がることが不可能なら、サーヴァントのみで戦う事もまた不可能なのだろう。
 だからこそ、神長香子もできる事をしなければならない。それはやはり――

(暗殺、か……)

 自信はない。神長香子がこうしてここにいる理由が、そもそも暗殺の失敗に端を発していた。
 神長香子の自覚には、東兎角の前で発した「私は劣等生だ」という言葉が今も刻み込まれている。

(だが、やらなければ……覚悟を決めなければ、勝機はないんだ)


598 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:50:33 1wJfOe7.0

    ◆


 不意に、嵐が止んだ。
 大振りに薙ぎ払われた鎌を避ける為に、ランサーが後方へと跳躍したのだ。

 砕かれたコンクリートの地面に着地したランサーは先程までの暴風のような突撃とは打って変わり、構えを取ったまま動かない。
 アサシンも同様。二騎のサーヴァントは距離を離し、しかし今までよりも強い緊張を持って睨み合う。
 少し距離を取ったところで、そこは互いにとっての射程距離。
 どちらかが動けば、また死線をくぐる血闘が――

「……やめたわ」

 ランサーはふいと視線を外し、同時に更に高く跳躍。そのまま付近の住宅の屋根へと着地した。
 張り詰めた構えは解かれ、武装も既に霊体化させている。

「……何のおつもりですか?」

 興が削がれたという様子のアサシンに、もはや殺気すら見せないランサーは吐き捨てる。

「わかってんでしょ、あんたとあたしは相性が悪いってことくらい。
 こんな序盤から消耗戦をやるつもりなんかないわよ」

 相性が悪い。それはどちらかが、一方的に相性が悪い――ということではない。
 白のランサーと黒のアサシンの戦闘スタイルは、致命的に『噛み合わない』。

 白のランサーの戦闘スタイルは、先程までに見せた通りあからさますぎる程に攻勢に特化している。
 突撃でガードを弾き、射突杭で霊核を撃ち抜く。
 一撃必殺、そうでなくとも短期決戦が信条である。

 対して黒のアサシンは、『暗殺』の能力こそ有するものの奇襲からの戦闘スタイルは長期戦に近い。
 宝具の一つである『快楽的衝動』は『殺戮や加虐、苦痛などで得た快楽に応じてパラメーターとクリティカル率を上昇させる』という効果の都合上、長く続く戦いでこそ真価を発揮する。
 そして敵の攻撃を自らの力とできる利点でもあるが、ランサーの一撃はそれ自体が致命打と成り得る。
 必然的にアサシンは普段よりも防御に主を置きながら戦闘せざるを得ず、『快楽的衝動』によるブースト率は低下されてしまう。
 ランサー側としても、速度でこそ勝ってはいるが、こちらの突撃をいなしちまちまと傷を与えながら長期戦に持ち込んでくるアサシンに対しては相性が悪い。

 噛み合わない戦闘で余力を浪費するよりも、今は撤退することをランサーを選択した。

『……追えるか?』
「気配を追うことは不可能ではありませんが……あの足に追いつくのは難しいですね」

 彼方へと跳躍するランサーの姿を見つめながら、アサシンは香子の念話に残念そうに返答した。
 今はまだ霊体化していないため気配を追うことはできる。
 だが、アサシンの足ではランサーに追いつくことができない。
 例え追いかけたとて霊体化するまでに十分な距離を稼がれ、撒かれてしまうだろう。
 実際、見事な引き際ではあった。

『そうか……』

 アサシンの返答に軽い落胆を覚えながら、香子は呟く。
 初戦は失敗。
 否が応にも、黒組での失敗を想起してしまう。

(……いや。まだ、失敗ではない。この『暗殺』が失敗するのは、私が倒れた時だけだ。
 だから、そう。今度は、成功するまで続けてみせる)

 そうだ。
 聖杯戦争は、これからも続いていく。敵が全て倒れるか――自分が命を失うまで。
 “失敗”は、自らが命を失う時。
 覚悟を新たに、暗殺者は夜を往く。


【B-4/住宅街/一日目 未明】

【神長香子@悪魔のリドル(アニメ版)】
[状態]魔力消費(小)
[陣営]地球
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]暗殺者としての武器(何を持っているかは後続に任せる)
[所持金]普通(学生としてはそれなり)
[思考・状況]
基本行動方針:どんな手段を使ってでも勝ち残る。その為には同じ陣営の仲間を利用することも辞さない。
1.聖杯戦争における自らの役割を模索する。
2.自らやアサシンの情報についてはできるだけ隠匿したい。
3.アサシンへの警戒。
[備考]
ランサー(タケ)のパラメータ、陣営を確認しました。
生活や住居については次回にお任せします。
令呪の位置は右手の甲。鎌のような翼が生えた十字架の紋章。

【アサシン(明智光秀)@戦国BASARA】
[状態]健康
[陣営]地球
[装備]『桜舞』
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:どんな手段を使ってでも勝ち残り、最後の殺戮を楽しむ。
1.香子と共に夜の町を行く。
2.ランサーとの戦いを中座され多少欲求不満。
[備考]


599 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:51:27 1wJfOe7.0

    ◆


 明け方。
 眠りから覚めたディオ・ブランドーはベッドから起き上がると、近くに自らのサーヴァントの気配がないことを発見した。

(……ランサーは何処だ? 「寝ている間は自由に動け」とは言ってあるが……)

 サーヴァントには睡眠は必要ない。
 ということは、マスターが眠っている間はサーヴァントは手持ちぶさたになる。
 無論寝込みを狙って襲ってくる相手が居ないわけではないだろうが、まだ聖杯戦争も序盤だ。この段階でディオの住処を突き止めている主従など存在するまい。
 明日からはともあれ、今日の睡眠中はランサーを自由に動かして索敵と哨戒をさせると決めていた。

(……体が少しばかり重い。魔力とやらを消費されているのか?)

 起きたばかりだというのに、身体には軽い倦怠感がある。
 パスは繋がっているようだ。であるならば、ランサーはそう遠くには行っていない……更に言えば、実体化している?

『……おい、ランサー』
『あら、起きたの』

 頭の中で念じれば、ランサーからの応答はすぐに返って来た。
 念話。マスターとサーヴァントのラインを利用した、思念による通信手段である。

『何があった? 報告しろ』
『了解……いや、丁度今帰ってる最中だし、報告はそれからにしとくわ。現状に切迫した大事は今は無し。安心していいわよ』

 それだけ言うと、ランサーからの応答は一方的に途切れた。
 ――癪には障るが、こちらにもやっておくことがあるのは確かだ。時間ができたと思えば丁度いい。

 部屋の中央に置かれた机へと歩み寄りながら、ディオは自らの右手首に刻まれた令呪を確認した。
 聖杯戦争への参加権利であり、サーヴァントとの繋がりを示す三角形を模る紋章。

(こいつを人に見られれば不審を招く……更にそいつがマスターならば、情報をみすみすくれてやるのと同じこと。
 隠しておかねばな……)

 机の引き出しから取り出したのは包帯。それを手首に軽く巻き付け、令呪を隠す。

(手首だから袖に隠れて目立ちはしないだろう。万一聞かれれば、手首を軽く痛めたとでも言い訳すればいい)

 そう確認する。
 問題なし、と結論したディオは、自室の扉を開け、二階の廊下から玄関ホールへと出た。

「おはよう、ディオ。使用人が朝食を作っているよ」
「おはようございます、ジョースター卿」

 挨拶してくるホールの中に立っていた壮年の男性に挨拶を返す。
 彼の名はジョージ・ジョースター卿。イギリスに居を置く、古くからの名家の当主であり、現在のディオの身元引受人である――という設定のNPCだ。
 現実におけるディオにとっても養父『であった』が、本人ではない。

 そもそも、病に伏せっている――実際は、ディオの毒薬によりじわじわと弱らされていたのだが――ジョースター卿がこのように元気な姿を見せられるはずがないのだ。
 だからこれは、ムーンセルが日常生活を送らせるために都合よくディオの記憶から再現した作り物に過ぎない。

 『養父と共にイギリスから別荘で休養中の貴族の養子』がムーンセルにおけるディオ・ブランドーに用意された役割だった。

(忌々しいが、この立場は使える)

 貴族の養子だけあり、ディオ個人に使える資産は一般人に比べればそれなりにある。
 大学や仕事に縛られることも無い以上、一日の行動も自由だ。
 宿敵であるジョナサン・ジョースターはイギリスでジョースター卿不在のジョースター家を仕切っているという設定らしく、ここにはいない。
 聖杯戦争を戦うには非常に有利な立場である筈だ。

(だが、自由故に難しい……打って出るべきか、それとも内に籠もるべきか……)

 それを考えながらジョースター卿との朝食を済ませたディオは、階段を昇り自室へと戻る。


600 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:52:21 1wJfOe7.0

「これ、美味しいわね。形も私の好みだし」

 ランサーが机の上で菓子を食っていた。筍を模したチョコ菓子を口に投げ込み、噛み砕く。
 
「……おい」
「戻って来るのが遅いからくつろがせてもらってる。なにか問題が?」

 サーヴァントは食事をしなくても飢えることは基本的に無い。
 だがマスターと同様に、食事を行うことで魔力を自らの身体に精製することが可能だ。
 ――ではあるが、余程の量を食べるか、あるいはそれに特化したスキルを所持していない限り基本的に効率は非常に悪い。
 そもそも、今ランサーが食べているチョコ菓子が魔力の足しになるかは非常に疑問である。

「その菓子はなんだ?」
「買ってきた。コンビニって便利よね」

 なにか問題が? とばかりに言ってくる。
 霊体化せず、実体化しながら帰って来たのはそれが理由らしい。

「尾行はされなかったと思うから安心していいわよ」

 そういう問題ではない。が、突っ込んでも仕方がないだろう。
 ディオ自身この英霊の実力は理解している。それが問題無いと言うならばディオが口出ししたところで仕方がないのは事実だ。非常に面白くないが。

「チッ……報告はどうした?」
「戦った。相手はアサシン……だと思うけど確証はないわね。仕留めるのには失敗したわ」
「……なにぃッ!?」

 戦った。それもアサシンを相手に。それが真実ならばかなり重大だ。

(この序盤にアサシンが周囲を嗅ぎ回るようなことがあれば、非常に危険!
 どうにか追い払うなりせねばならんが、下手に動けばそれだけ勘付かれる確率も上がってしまうッ!)
「……ま、なに考えてるかは大体わかるわ。
 あたしはそうは思わないけど……警戒はしといた方がいいでしょうね」

 一気に顔色を変えるディオ。
 その様子を見ながらも、しかしランサーはその傲岸な態度を崩さない。

(この女……なにかを知っている?
 それとも、何らかの腹案を抱えているのか?)

「……ランサー、何か作戦はあるか」

 しばしの思考の後、ディオはランサーにそう切り出した。
 その言葉を聞いたランサーは軽い驚きをその顔に表した後、薄く微笑んで答える。

「ええ、あるわ。それもとびっきりのがね」
「そうか……ならばそれを俺に教えてくれ」

 ――ディオ・ブランドーを知る者であるならば、この行動に驚く者もいるかもしれない。
 彼が誰かの指示を聞くなど、滅多に有り得ないことだ。
 しかしそれは、逆に言えばディオがそれほどまでに追い詰められた心地であったということ――更に言えば、彼自身このムーンセルへやって来る直前、ジョナサン・ジョースターに追い詰められていたのが原因であった。

(この女に――いや、相手が誰であろうと、なにかを懇願しようと頭を下げるのはこのディオのプライドに関わる行為!
 だが……そうも言っていられぬッ! アサシンに狙われれば……いや、傍観すればするほど状況は悪くなっていく!
 となれば、動くならば今しかないッ!)

 その内心を知ってか知らずか――ランサーは筍を模したチョコ菓子を口の中に放り込み、にやりと笑った。
 ガリッという音と共にチョコ菓子が砕かれ、ゴクリ、という音で嚥下される。
 口内に残ったチョコの味を舌で楽しみながら、ランサーは己の作戦を語りだした。


601 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:52:37 1wJfOe7.0
「まずはここを出ましょう。できる範囲でお金も持ち出しておきたいわね」
「家を出るか……それでどうする?
 下手に動いて敵マスターに知られれば厄介だぞ」
「霊体化していればサーヴァントの気配は滅多なことでは察知されないし、たとえマスターであることを気付かれても昼の内に仕掛けてくるような相手はほとんどいないわ。
 心配なら人通りの多い場所を選んで歩けばもっと安心でしょうね」
「……なるほど。このような序盤から、NPCを騒ぎに巻き込むような馬鹿はいない、というわけか?」

 聖杯戦争もまだ序盤も序盤。
 この時点から目立つような行動を取るマスターはほとんど存在するまい。
 そう考えれば、少なくとも今からNPCの前で仕掛けてくるようなマスターはほぼいないと考えていいだろう。
 となれば、敵が仕掛けてくるのはおのずと夜になる。

「居場所を知られたくないなら、動き回って拠点を一つに定めなければいい。
 状況が好転したら拠点を定めて、じっくりと攻めればいいわ」

 現状の孤立が不利ならば有利となる場所まで移動すればいい。
 拠点を守ることが難しいならば拠点を守らず敵拠点を奪って使えばいい。
 確かにそれは、一種の真理ではある。

「そういうワケだから、宿は外で取ることになるでしょうね。家人には適当に言い訳しときなさい」

 そう言い残して、ランサーは霊体化する。
 その頃にはディオ・ブランドーも、ジョースター卿にどう言い訳するか、そして何処に向かうかを考え始めていた。


【B-4/ジョースター家別荘/一日目 早朝】

【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険(第一部)】
[状態]魔力消費(小)
[陣営]月
[令呪]残り一画
[装備]ナイフ
[道具]石仮面、包帯
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:『勝利』する。そのためには何もかもを利用し、一人で勝ち残る。
1.昼の内は街中を移動し、調査を行う。夜はどこかへと泊まり、拠点を定めない。
2.アサシンへの警戒。
[備考]
ムーンセルでの身分は旅行中の貴族の養子です。
令呪の位置は右手首。三角形を模った紋章。

【ランサー(タケ)@きのこたけのこ戦争if】
[状態]ダメージ(小)
[陣営]月
[装備]ラジュム射突ブレード
[道具]チョコ菓子
[所持金]ちょっとある
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に勝利する。その為の手段は選ばない。
1.マスターに従って街を調査する。
2.アサシン(明智光秀)は相手にしたくない。
[備考]
アサシン(明智光秀)のクラスを確認できていませんが、気配を消して現れたことからアサシンかそれに近いなにかだろうと推定しています。


602 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:52:52 1wJfOe7.0
投下終了です。重ねて申し訳ありませんでした。


603 : ◆ACfa2i33Dc :2014/10/29(水) 05:53:49 1wJfOe7.0
すみません、修正です。
ディオの残り令呪は残り三画でした。度々申し訳ない。


604 : 名無しさん :2014/10/29(水) 16:21:37 6p2sfUf.0
投下乙です。
タケVS光秀はひとまず引き分けか
かたや長期戦型、かたや一撃重視型で互いに得手不得手が噛み合わないのは痛かった
そりゃタケも撤退を選ぶよなぁ、あのままいけばどっちか落ちてそうだったな
しかし光秀はアサシンだけど中々強いな 三騎士とタイマン張って渡り合うとは


605 : 名無しさん :2014/10/31(金) 18:53:41 /vXp5cUY0
投下乙です
ディオはまさかのジョースター邸住まいか
ジョセフは何を思うだろう…
タケと光秀、ランサー対アサシンとは思えない派手なバトルで興奮しました!
所持金、ちょこっとにはクスリと来ました


伺いたいのですが、四季は日光大丈夫なのでしょうか?
真月譚読むに夜に活動してますが、登場話見るに学園に通ってたみたいですし
17代目の時はパンを焼いている=恐らく朝に父親を殺してますが、室内ですし、体質が体変わっても同じじゃないかもしれないし…
お答え頂ければ幸いです


606 : ◆Y8r6fKIiFI :2014/10/31(金) 21:32:35 J7Z3r/VYO
感想ありがとうございます

>踊れポンポコリン
デストロイヤー組はまさに災害ですね……
パッションリップも可愛らしさに反比例した禍々しさが素晴らしい。
正吉は初めから災難としか言いようがありませんねぇ。

>>605
四季については、原作の描写的に「四季の人格が強い間は吸血鬼としての特徴が弱っている」ものとして扱います。
要するに、ロアの人格が強くなるまでは日光の下でもある程度は活動できるものとします。
現在の状態としては、ロアが混じりつつも混血としての特徴である血刀や不死を使ってるシエル戦(か、それよりロアが弱い程度)あたりを想定しています。


607 : ◆yy7mpGr1KA :2014/10/31(金) 23:33:12 XB9MIWrs0
>>606
回答ありがとうございます。
では小泉ジュンイチロー、ワムウ、遠野四季、人類種の天敵で予約します。
場所はC-7で


608 : ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:24:48 ex688PRk0
投下します


609 : あなたといると、月/太陽が綺麗ですね ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:27:53 ex688PRk0





ああ、今夜は本当に月が綺麗だ。






月を横目に、歩む。
まだ暗い街の中を、まるで亡霊のように進んでいく。

夜を安穏と過ごせる館もあるのに。
夜明けは近く、朝には学校もあるのに。

いや、そこに在るのは紛いモノだけ。
妹と名を刻んだ痕跡も、妹自身も、幼馴染の侍女も、何もない館に居たいとは思わない。
偽りの学園生活……もし俺が遠野の長男として過ごしていたのなら送れたかもしれないモノ。憧憬は…ある。
しかしそれよりも

(喰いたりねぇ、飲み足りねぇ、殺りたりねぇ…!)

在り得ない紛いモノの生活。在るべきものがない紛いモノの館。そして地球にいる、在ってはならない紛いモノの遠野シキ。
吐き気がする。憎たらしくて堪らない。許せるわけがない。
一刻も早く敵を殺し、聖杯を手にする。そしてすべてを在るべき形に戻す。そして『彼女』を……
脳裏を『朱』がよぎる。

(ッ、ああ、そうだ。私…俺が遠野四季だ。そうであるために、全員殺してやる)

煌めくナイフを片手に、敵を探す。
川面に映る月を眺め、霊を従え散策する。

「■■■■■ーーー!」

そこへ突如実体化するバーサーカー。
サーヴァントは近くにいるサーヴァントの気配を感知する。
陣営関係なく全てを敵とみなす主従ゆえ、サーヴァントの気配を感じたならば交渉の余地などなく即座に臨戦態勢に入る。

(……どこだ?)

しかし前後左右、いずれを見渡しても敵どころか猫の子一匹いない。気配を隠すアサシンならばそもそも感知も出来ないだろう。
バーサーカーも敵の気配は感じても視認はできていないのか、ライフルを武装とし、どんな距離にも対応できる態勢だ。
と、なると姿を隠す能力か、それともまさか

(下…か?)

もう少し下ったところに排水路があるのが視界に入った。恐らくこの道下辺りには下水道が走っているはずだ。
下水道や貯水槽のような、石で密閉され水の流れる空間なら工房の敷設にも適している。マスターが拠点としようとする可能性も十分に考慮できる。
いや、マスターならまだいい。キャスターのクラスに陣地を作られては厄介だ。月の陣営にしろ地球の陣営にしろ早期に潰しておきたい。

「来い、バーサーカー」

川を下り、排水口に入る。この先に敵がいるはずだ。


610 : あなたといると、月/太陽が綺麗ですね ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:28:31 ex688PRk0


◇ ◇ ◇


高らかに水煙を上げながらチャリオットが駆ける。そこに座するはライダーのサーヴァントとそのマスター。
ライダーのサーヴァント、ワムウは柱の闇の一族という吸血種だ。進化の途上であるが故未だ太陽への耐性は勝ち得ておらず、昼日中の活動には大きく制限が課される。
とはいえ引き籠っているのはマスター、小泉ジュンイチローの方針には適さない。

彼の月における役割は地球にいた頃と概ね同じ、元政治家で今は隠居の身。
恵まれた財政状況も家も再現されており生活には困らなそうだったが、元総理で少し調べただけで容貌が知れてしまうのは少なからず影響するだろう。
日中自由がきくのだから他マスターの捜索をしたいところだが、顔を調べられアサシンなどの襲撃を突然受けたとき、ワムウが実体化できなくては間違いなく脱落する。
そのために二人が目を付けたのが街の地下に走っているだろう下水道だ。
陽光そそぐ昼の道を実体化して歩くことはライダーはできないが、いざというときに地下に突入できるのならば霊体化した状態で襲撃を受けても手の打ちようはある。
風のプロテクターを纏って初撃を凌ぎ、即座に地面を砕き光の無い空間での戦闘に持ちこめば安定した交戦が出来る。

今こうしてチャリオットに二人して乗り、下水道を走査しているのもそのため。
全域を駆けてはいないが、政治家として街のインフラを考えたこともあるのだから凡そどのように張り巡らされているかは想像がつく。
どのあたりに排水口があるかなどは確認しておきたかったため、川を目指して進み、下水道のマッピングを夜のうちに念入りに行ったうえで活動を本格化しようとしていたのだが……

「ジュンイチロー、どうやらこの上にサーヴァントがいる」
「ほう。それではすぐに向かおう」

通過した瞬間にサーヴァントの気配を感じそれを報告するライダー。
受けて交渉に向かおうと足を速めるようマスターが目線で告げる。
その意を汲んで騎兵は手綱を繰り、吸血馬を加速させていく。少しそうして進むと

「…どうやら入って来たようだな、それも禍々しい魔力を纏って」

そう言っていったん戦車を停めジュンイチローを降ろして、送還。壁に手を当て風と熱を読む。

「照明器具がいくつか消えている…天井が一つ、壁が二つ、いや三つか…排水口から入ってきた者がいる。こちらの方にまっすぐでは無いが向かってきている…水路のすぐ側に一人、その後ろにもう一人。
全部で二名、どちらもおそらく人間ではない…平和的に交渉とはいかなそうだ…ここにいろ、先行して探りを入れる」
「む、仕方ないな。分かっていると思うが無差別の戦闘行為は御法度だ」
「フム。向こうがその気でなければな…!」

ニヤリ、と好戦的な笑みを浮かべ走り出す。
『熱』でおおよその体格や数は分かる。加えて『風』は『光』よりも正直に、雄弁に物を語る。
目で見ずとも分かるのだ。この先で会う者は血生臭い空気を纏っていると。
おそらくは相当な殺戮者と…吸血鬼。強者か弱者かは不明だが、少なくとも闘争は避けられないだろう。
ビリビリと肌で戦場の気配を感じ、足を進めていく。



……見えてきた。
白髪に和装の男と…なにやら姿を明確にとらえることのできないサーヴァントらしき者。
視覚はおろか風ですら捉えられないことを受け認識阻害系のスキル、もしくは宝具持ちと推察。

「小僧、そこで止まれ!おれはライダー。我がマスターは交渉を求めている。こちらに戦闘の意思は――」

ない、と続けようとしたが言葉は途切れる。
和装の男が短刀でもって切りかかってきたためだ。
それを軽く回避し、拳を見舞おうとするがさすがに牽制程度に当たるほど愚鈍ではなかった。

「ぬるいこと言うんじゃねえよ。そんなギラついた眼で、俺を殺したくて殺したくて堪らないんだろ?」

殺戮、闘争、いずれを望んでの物か定かでないが四季の顔に喜悦が浮かぶ。
鏡合わせのようにワムウも隠しきれない愉悦を表情に出す。

『ジュンイチロー、残念ながら交渉は失敗…いや交渉にすらならなかったぞ』

自らの望む結果ではあるが、それでも敬意に値するマスターの意思を無碍にすることはしない。
念話と感覚の共有で現状を一応知らせる。


611 : あなたといると、月/太陽が綺麗ですね ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:29:21 ex688PRk0


「■■■■■ーーー!」
「SYAAAHHH!」

次の瞬間には唸り声をあげ、装備を展開して襲い来る詳細不明のサーヴァント、バーサーカーのクラスたる人類種の天敵。
対するライダーのクラス、ワムウも雄叫びを上げそれを迎撃する。

『迷い子(ストレイド)』展開……人類種の天敵はブレードを中心に、他の装備も速度に重きを置いたものを用意した。
マシンガンやショットガンなどの方が遠近の対応には優れるが、近くにマスターがいることを考えるとそうもいかない。
跳弾や天井の倒壊などでマスターが負傷しては元も子もない。加えてレーザーブレードではなく通常のブレードにすることで魔力の倹約を、速度を上げることで威力の向上を狙う。
狂化してなお僅かに残る戦術論理が長期の戦闘とマスターの適性、周囲の地形を感じ取り導き出した、現状で最善と考える装備だ。

「死…ネェ!」

さらにそこに参戦する四季。ナイフを振るい、ワムウに見える『点』を突き、『線』を裂かんと躍りかかる。

バーサーカーのブレードは回避し、四季のナイフは受けて反撃に転じようとする…サーヴァントとマスターの戦力差を考えれば当然と言える判断だ。
だが卓越した戦闘への冴えが警鐘を鳴らし、急遽ナイフも回避しようと動く。
初動が遅れたため僅かにその一撃がかすめ、僅かとはいえ確かな傷をワムウに刻んだ。

「ヌゥ!」

神秘を宿さぬ唯のナイフでサーヴァント、ましてや柱の一族たるワムウの肉体に傷をつけるなどまず不可能。
だが四季の眼ならば生命を見切り、断ち切ることを可能とする。
ケルト神話の神、バロールの魔眼には劣るが生きているものに死をもたらすには十分な代物だ。

本来ならスキル:原初の一(偽)により損傷ならばさほどの労なく回復するはずだが、この魔眼によりもたらされた損傷は大きく生命力を削ぐ。
自前の魔力以上にマスターの魔力を使い、傷を癒すざるを得ない。
負傷の原因となった一閃、そして回復の難解さに疑問は抱くも回避すれば問題ないと判断し、戦闘を続行。

速度を乗せたバーサーカーの一撃をブレードの側面を叩いていなし、拳を振るう。
ガギン!とまるで鍔迫り合いのような音を鳴らし、パワードスーツに一撃が入った。
背後から四季が切りかかるが、関節を無視した尋常ならざる動きでそれを回避し、蹴りを入れる。
後退して回避した四季、さらに体勢を立て直すバーサーカー。
交錯によるダメージはほぼなく再び切りかかるバーサーカーと、追撃を狙う四季、そしてそれに対応してみせるワムウ。



そんな光景を小泉ジュンイチローは、ワムウの視覚を通じて見ていた。
平和と護国を信条に掲げているが、一切の闘争を許さないというわけではない。
北の将軍や第四帝国の面々など闘うべきと判断したならば容赦してはならない相手がいることを彼は知っている。
ライダーの対峙する二人は間違いなくその類だ。出来るのならば自身もまた戦場に赴き、己がサーヴァントの助けになりたいと思う。
だが、その目に映る戦場は明らかに手に余るもの。
せめて情報を掴もうと目を凝らすが……サーヴァントのステータスは視認できず、かろうじて同じ地球の陣営に属することが分かった程度。
戦闘においてもワムウ以上に手出し口出しが出来るとは思えず、苦い顔をして見守ることしかできなかった。


612 : あなたといると、月/太陽が綺麗ですね ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:30:00 ex688PRk0


「■■■■■ーーー!」

ジュンイチローが苦悩を続ける最中も戦闘は続く。
戦局はおおむね五分…いや僅かにワムウ優位に進んでいた。

ステータスに加え装備の底上げもあり、圧倒的な速度を見せる人類種の天敵。
戦場を駆け、その速度を載せた強力な斬撃を見舞う。
対するワムウは速度で劣るも敵の動きを目以上に風で感じ、攻撃を濫りに受けることは無い。
先ほどのように刃をいなしたり回避したりして的確に反撃を入れていく。時折躱しきれずダメージを負うが、即座にスキルでもって回復する。
互いに決定打はなく、ワムウは多少のダメージなら回復し人類種の天敵は装備への損傷は自身には響かない。
それでも消耗の度合いは当然バーサーカーのクラスの方が大きく、このまま時間をかけては恐らく四季の方が魔力の消費に耐え切れなくなるだろう。

「ちょこまかとッ!」

その四季の一撃ならば、『点』を突くことができればワムウにも無視できないダメージとなり得るのだが……
四季にとってワムウは相性最悪の相手であった。

ワムウの肉体は変幻自在、先ほどまで『点』のあった位置に今は線すら残っていない、などということもざらにある。
当てたところで魔眼の恩恵を得られず、ダメージのないことが多々あった。
四季も安穏とはせず、血刀まで振るい殺そうとする。しかし血の扱いも刃の扱いもワムウにとってはかつての主の流法で見慣れたもので回避は容易い。
魔術で雷を放ってもワムウの対魔力は最高ランクでかすり傷一つ負わない。
混血としての能力も、司祭としての魔術も、17度の死を超え身に付けた魔眼さえ効かない化物にして戦闘の天才。

「どけいィ!おまえの如き吸血鬼など相手にならんわッ!」
「ぐぅっあぅ…」

加えてサーヴァントとしての逸話もある。
化物退治の逸話を持つクランの猛犬が怪物に対して有利であるように、堕ちた真祖や死徒を狩る真祖の姫が吸血種に有利であるように。
吸血鬼を主食とする柱の闇の一族が吸血鬼である四季に優位に立つのはある意味で必然。
加えて言うなら人類種の天敵は宝具によって全ての人類に優位に立つが、人外であるワムウにそれは機能しない。そういう意味でも相性がよくはないと言える。

「キ…キサ…ま」

もっともサーヴァント相手に勝負を成立させ、有利不利の土俵にまで持っていくのは容易ではない。
そこはさすがに魔の名家、遠野の長兄にして二十七祖の番外位を宿すものと言えよう。
弱ったとはいえ真祖の姫と張り合い、埋葬機関の7位とわたり合う実力者だ。
今もワムウの猿臂を受けて吹き飛ばされても立ち上がるだけのタフネスは持ち合わせている。

「小僧、今度逢う時はもっと強くなってから向かって来い…二度目におまえに逢うときこのおれが…おまえの強さを尊敬して、打ち砕き殺すためにな」

そう言って人類種の天敵に向き合う。
マスターが打ち倒され激昂したか、魔力放出によって以前にも増した速度で切りかかる。
そうして古代と未来の戦士の激突は再び一進一退の攻防を繰り広げたが、やはりこのままでは消耗でバーサーカーのクラスが不利。
そう判断して四季は好機を窺がうが

「やめだ」

人類種の天敵を弾き飛ばし、追撃するかと思いきや排水口から遠のいて距離を置き、何らかの構えをとる。
両足を肩幅に広げ、腕の筋肉にパワーある緊張を走らせ、腰を落とす。
それを機と見たか四季は追撃を試みようとするも

「■■■■■ーーー!」

止めるように人類種の天敵がマスターの前に出る。
『迷い子(ストレイド)』も先ほどまでの速度特化にブレード装備ではなく、耐久特化に両腕にシールド装備と水も漏らさぬ構えだ。

「『風の流法(モード・オブ・ウインド)』…『神砂嵐』」

対するワムウはついに自身の宝具、その一端を開放ッ!
左腕を関節ごと右回転!右腕をひじの関節ごと左回転!
そのふたつの拳の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間が、戦場となった下水道の一角を崩落させ、人類種の天敵にも襲い掛かる。
パイルバンカーの直撃にも堪え得るシールドも一つ破壊され、崩落もあって戦闘続行は不可能となる。


613 : あなたといると、月/太陽が綺麗ですね ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:30:33 ex688PRk0



「今宵、港にてきさまらを待つぞ…」

姿は粉塵で見えず、風に乗ってワムウの声だけが遠くから響き渡る。

「そこのサーヴァントはお前を気遣い、くわえて密閉空間であるがゆえ全力を出せていないと見た。でなければこんな結果とはなっておるまい。
となれば外でやりたいところだが、じき日が昇る。吸血鬼であるおまえ同様おれも日光の下では活動できん。再戦は夜、港でだ」

その言葉を最後に何の気配も感じられなくなった。
敵が遠ざかるのを感じ、人類種の天敵もまた姿を消す。
狂化して判断の効かないサーヴァントに代わって思考を進める四季。
吸血鬼と言う存在を下に見ているあの態度。最強の魔眼を舐めきったあの振る舞い……実に苛立たしい。

(殺してやりたいねえ…!となると手の内や能力も知りたいところだ。蜘蛛や犬のような死徒とは異なる吸血種か?
地球の陣営に属するということは私と同じく星の触覚と何らかの関わりがあるのか……)

感情的にはやり合いに行きたいところ。しかしバーサーカーを駆る消耗は軽くはなく連戦には耐え難い。
そして今いる場所は、その消耗を補う可能性がある。

(館よりもココの方が結界を敷設するには適しているな。やはりマナが水流と共に流れ込み、それを閉じ込めることも出来そうだ。
さて、城を作って篭るか、奴の挑戦を受けるか、それとも……)


【C-7/下水道、排水口付近/一日目 早朝】

【遠野四季@真月譚 月姫(漫画版)】
[状態]魔力消費(中)、ダメージ(小)
[令呪]残り三画
[装備]ナイフ
[道具]なし
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手にし、遠野家を在るべき形に戻す。そして『彼女』ともう一度…
1.結界の敷設か、闘争に赴くか、それとも…

[備考]
※高台に位置する館に住んでいることになっています。同居人などはいません。
※令呪は右手に刻まれています。
※ライダー(ワムウ)と交戦、宝具『風の流法(モード・オブ・ウインド)』を確認。二十七祖の一部のような死徒と異なる吸血種と推察しています。

【バーサーカー(人類種の天敵)@ARMORED CORE for Answer 】
[状態]ダメージ(微小)
[陣営]地球
[装備]『迷い子(ストレイド)』
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:人類は、殺す
1.■■■■■ーーー!

[備考]
※宝具『迷い子(ストレイド)』のシールドが一つ破損しました。


614 : あなたといると、月/太陽が綺麗ですね ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:31:42 ex688PRk0


「戻ったぞ、ジュンイチロー」

戦闘を終え、マスターの下に帰還する。
いきなり好戦的な参加者と遭遇、交戦と幸先の良くないスタートとなりどんな表情をしているかと思ったが

「ああ、苦労をかけたな、ライダー」

不足を責めることも、当たリ散らすようなこともなく、へこんだ様子もない。
なるほど、一時は国の頂点に立ったというだけのことはある。
一度の失敗で悔やむことも、自分にできないことをやろうとすることも、人の扱いを誤ることもない。
領土を侵略するような国家と一歩目から平和的な交渉をするのは難しいし、戦場においては自分のような素人が口出しするべきではないとわかっているのだ。

「慣れないなりに視覚の共有というのをやってはみたが、敵サーヴァントのステータスは見えなかったな。そういうものなのか?」
「いや、アレはそういう能力だろう。対峙したおれ自身ヤツの姿自体捉えきれず、ただ殺戮者であるということしかわからなかった」

長い生の中で世界中を巡った戦士、ワムウにすら捉えきれない…かなり上位の認識阻害能力と予測。

「横にいた白髪の男はマスターのようだったが……」
「あの男は吸血鬼、人類とは異なる存在だ。おれには劣るがそれでも並の人類で太刀打ちできるものではない」

戦力になれなかった自分と違い、サーヴァントとわたり合っていた男。要警戒対象としてマークする。

「キミはかつて人との闘いに敗れたというが、この聖杯戦争にはそのくらいの強さを持つマスターが多数いるのだろうか?」

だとすれば、まさしく老いぼれの自分など戦力外…最悪の想像にらしくなく僅かに表情を歪めるが

「『戦士』の強さは『精神』の強さだ。人間はあっという間に成長し、そして短い寿命を終える…おれに勝利した男は一月足らずの鍛錬でおれを超え、そして100年足らずで老い、生を終えたのだろう。
だが老いてなおあの男は強かったはずだッ!誇り高き『太陽』のような『精神』を、切れ味鋭い『剃刀』のような『知略』を持つあの男ならばッ!
肉体に囚われぬ強さ…おまえはどうだ、ジュンイチロー?おれを召喚した時に見せた覚悟はどうした?」

友を誇示し、主君を鼓舞する。生前この男を部下とした者も、彼をサーヴァントとする私も幸せ者だな、などと一抹の感動を覚える。

「その通りだ。私の戦場は別にある…交渉のテーブルか麻雀卓があれば君にも負けんさ」

だからこそ、自分の戦場が邪魔立てされるのが我慢ならないというのも分かる。
麻雀の最中に狙撃されそうになりカウンタースナイプを決める盟友の気持ちもわかるし、テポドンなど打ち込まれようものなら戦闘機で吹き飛ばしてしまいたくなるというものだ。
交渉の余地などないあの主従はライダーに任せたほうが良いだろう。

「では予定通り地上に出てマスターを探そう。あれが吸血鬼だというなら、下水道に居続けて宵の決闘の前に鉢合わせてはバツが悪いだろう」
「フ、そうだな」

カンカンと音を立てて梯子を上り、マンホールから地上に出る。
50kg以上ある蓋だが、握力だけで牌の表面を抉り取るだけの身体能力を持ったジュンイチローならばさほど労なく開閉可能だ。

「ライダー、君を打ち倒したという戦士の名……よければ聞かせてくれないか」
「JOJO…ジョセフ・ジョースターと言う男だ」

白み始めた空を横目に、歩む。
まだ誰もいない街中を二人進んでいく。

「ジョースター、か。会ってみたいものだな」
「おまえも英霊の座まで来い、ジュンイチロー。そうすればいずこかの聖杯戦争であの男にまみえることが出来るやもしれんぞ」
「はは、それは面白そうだ。む、そろそろ日が昇るな。実体化して話すのもここまでか」

互いの過去や友について語らい、無聊の慰めとする。
そして言葉が終えないうちに霊体化して姿を消すワムウ。

『やはり美しいな…おっとすまない、君は太陽は苦手だったか』
『いや…苦手だが嫌ってはいない』

人間相手にはまずする必要のない気遣いだけに話題を誤ったかと些か慌てるジュンイチローだが、ワムウは特に気にした様子はない。
むしろ…

(なるほど…何と言う輝き…こうして見るのは初めてだ。カーズ様が太陽を克服しようとしたのも理解できる)





ああ、日の出とは、太陽とはかくも美しいものか。


615 : あなたといると、月/太陽が綺麗ですね ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:32:23 ex688PRk0


【C-7/街中/一日目 早朝】

【小泉ジュンイチロー@ムダヅモ無き改革】
[状態]魔力消費(中)
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:より多くの人物と脱出する
1.街を散策しマスターを探す。襲撃を受けた場合下水道に退避する。
2.先の主従(四季&バーサーカー)についてはライダーに一任する

[備考]
※ムーンセルにおける地位は隠居した元政治家。家も再現されていますが具体的なことは後続の方にお任せします。

【ライダー(ワムウ)@ジョジョの奇妙な冒険(第二部) 】
[状態]健康
[陣営]地球
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:闘う。ただしジュンイチローの方針も無碍に扱うつもりはない
1.ジュンイチローと共にマスターを探す。襲撃を受けた場合下水道に退避する。
2.夜になったら先の主従(四季&バーサーカー)との再戦のため港に向かう


[共通備考]
※四季&バーサーカー(人類種の天敵)と交戦、四季を吸血鬼と看破しました。スキル:無辜の怪物によって陣営以外は分かっていません。



[地域備考]
C-7、川に繋がる排水口を少し遡ったところの一部が神砂嵐によって崩落しました。
あくまで一部のため排水には影響はありません。


616 : ◆yy7mpGr1KA :2014/11/03(月) 15:33:13 ex688PRk0
投下完了です。
何か指摘等あればお願いします


617 : 名無しさん :2014/11/04(火) 12:39:42 0EEMkXP.0
投下乙です。
ワムウはやっぱり強いなぁ。相性もあるとはいえ二人がかり相手で優勢とは
ジュンイチローも自分の領分をしっかり理解してるし、やっぱりいいコンビだな
今でも友として胸に刻んでいるジョセフとは再会するかどうか
今回は撤退したとはいえ、四季と人類種の天敵もかなり厄介な主従だな
マスターとサーヴァントも戦闘力高いしデストロイヤー組同様の暴風じみてる


618 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/05(水) 00:43:51 C/75paCIO
投稿お疲れ様です。
ワムウ格好いいな……
戦闘においてはワムウに任せる姿勢のジュンイチローもいい主従ですね
麻雀は……やる機会あるんでしょうかね?
四季組のクレイジーさもよく表れていると思います
指摘というほどではないですが、実体型ブレードとシールドはAC4系列ではなくV系列の装備ですね
ただまあ、4系列のみの装備とは指定していませんでしたし、ムーンセル内ですし問題はないと思います


619 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/10(月) 00:27:37 jYrSPZiIO
間桐慎二&ウォーダンサーで予約します。
長いこと間を空けて申し訳ない。


620 : 名無しさん :2014/11/10(月) 00:31:48 jYrSPZiIO
位置はC-4で


621 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/18(火) 03:30:43 9dk4WIss0
投下します。


622 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/18(火) 03:30:57 9dk4WIss0

 日が昇る。屋敷の窓から朝陽が差し込み、部屋の中を照らす。そうしてやっと、間桐慎二は朝が来た事を自覚した。

「……眠……」

 思わず呟きが漏れる。薄暗い部屋の中数時間光る画面と向き合い酷使された目が、太陽の光に悲鳴を上げていた。
 間桐慎二はそれに耐えながら、空間に浮かび上がるキーボードを叩きコンソールに紡がれる構文(スペル)を凝視する。

 プログラミング。

 魔術師(ウィザード)――霊子ハッカーにとって、プログラミングとハッキングは基本スキルに等しい。
 電脳空間であるならば例えそれがムーンセルによって精緻に再現された霊子虚構世界においても例外無く、ウィザードはコードキャスト、或いはプログラムを行使可能である。
 故に凄腕のハッカーである間桐慎二からすれば、己のサーヴァントであるウォーダンサーに「自らの知識にあるプログラムをその能力で活用できないか」と提案された時も、そのプログラムの構築自体は簡単な仕事だと考えていた。
 結果はこの状況を見れば言うまでもない。プログラミングにはほぼ夜通しかかり、突貫作業で仕上げている最中である。

「ああクソ、ホント眠いな……!」
『……大丈夫かい、間桐? 睡眠不足で作業能力が鈍るなら一度休んだ方がいいと思うけれど』
『……チッ、この程度でボクのプログラミング能力が鈍るワケないだろ? 邪魔するなよ、もう少しなんだ』

 唸るような呟きを聞き留めたか、外で警戒している筈のウォーダンサーが心配するような気配の念話を投げてくる。
 それに舌打ち混じりに返答する間も、間桐慎二の視線は中空に浮かぶコンソールへ注がれていた。
 幸い突貫作業の甲斐あって、プログラミングはムーンセルで使用する為のチューニングまで合わせてほぼ終わりを見せている。
 完璧主義の慎二にとって、ここで作業を中断して放置するのは耐えられない事だった。

 ――かくして、十数分後。

「……動作テスト終了。これで多分完璧だろ……ハハッ、僕の才能に惚れ直しちゃうね」

 自らの『完璧な仕事』に満足気な笑みを浮かべながら、慎二はコンソールに浮かぶプログラムへと『命令』を下す。
 それで仕事を終えた、とばかりに、そのまま慎二は部屋の片隅のベッドへと倒れ込んだ。

「僕は寝る……このまま寝るからな……」
『お疲れ、間桐。今日一日くらいは学校を休んでも何も言われないだろう、安心して眠るといい』

 長時間の労働に耐えられなかった瞼が、抗いきれない力によって降りていく。
 ウォーダンサーの声を意識の片隅に聞きながら、間桐慎二は眠りへ落ちた。


623 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/18(火) 03:31:40 9dk4WIss0

   ◆

 霊体化し間桐邸の上に陣取ったウォーダンサーは、徐々に明るくなっていく町の様子を眺めていた。
 冬木市。深山町と新都で構成されるこの街は、そう広くはない。
 しかしやはり、都市という人ごみに紛れて隠れる敵味方合わせて十数人のマスター達を探すのには難儀するのには違いはないだろう。

「……まあ、それについては間桐に作って貰ったアレに期待しておくかな」

 ウォーダンサーが間桐慎二に依頼したプログラムは、まさにそこを補うためのモノだった。

『自動情報収集セル』、及び『電子妖精』。

 どちらも、ウォーダンサーの生きた世界において情報技能を所持する者が作成できたプログラムである。
 その用途はどちらも情報収集。『自動情報収集セル』ならばネットワークの巡回で、『電子妖精』は攻撃型電脳巡回兵器により機密情報を探り出す事で情報を得る。
 有用な情報を得る事で、軍における発言力の増強を目的として使用するプログラムだ。

 これをウォーダンサーは他マスターとの情報戦に使う事を考えた。
 単純な話、自動情報収集セルにニュースサイトなどを巡回させるだけでも不審な出来事の情報を集める事は非常に容易になるだろう。
 そしてもう一方の電子妖精には、このムーンセルだからこそできる利用法がある。

 電脳魔。
 魔術師(ウィザード)が電子空間で操る、2030年の使い魔である。
 ムーンセルによって作られた、霊子虚構世界――電脳の中ならば。元はネット上の電子兵器に過ぎない電子妖精は、確かに使い魔(ファミリア)としての機能を持つ。
 それはあたかも、本物の妖精(フェアリー)のように。

 慎二が寝る直前に下した、二つのプログラムへの『巡回』命令。
 その効果は、徐々に、しかし確実に出るだろうとウォーダンサーは考えていた。

「とりあえず、間桐が起きたら成果を確認して……何か気になることがあったら確認しに行こう」

 それによって得られる情報は、今のところなんでもいい。
 味方であろうと、敵であろうと、最序盤だからこそ重要な情報だ。

「……その情報を集め回る為にも足が欲しいな。できればバイクよりも自動車がいい。
 最悪、見つからないように盗むのも考慮に入れるか」

 慎二が起きた後の行動を吟味し終えたウォーダンサーは、ふと登りくる太陽へと目を向けた。

 夜の闇へと偽物の陽が差し込み、仮初の朝がやってくる。
 仮初。この朝は、ウォーダンサーにとっては仮初のそれだ。ウォーダンサー――速水厚志にとって、例え陽が登ろうと、その予感を拭い去る事はできない。

「……戦いがきそうだよ、舞」

 人類決戦存在HERO。世界が選んだ、世界の守護者にして英雄――この世界の世界観に拠るならば、抑止の輪の英霊。
 その戦いへの嗅覚は、確かに己の働くべき『世界の危機』を嗅ぎ分けている。
 それが何なのかは、まだわかっていない。
 『聖杯』なのか。『参加者』なのか。あるいは、この場に呼ばれた『英霊』に世界の敵が存在するのか――

 しかしその中のどれであるにしろ、今の速水厚志のやる事は一つしかない。

「約束はしたからね。勝って、夜明けを見るとしようか」

 陽が登る。
 しかし夜はまだ、明けていない。


624 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/18(火) 03:32:03 9dk4WIss0
【C-4/間桐邸/1日目 早朝】

【間桐慎二@Fate/EXTRA】
[状態]睡眠
[陣営]黒(地球)
[令呪]残り三画
[装備]
[道具]電子妖精、自動情報収集セル
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、■■にまた会う。
1.――。
[備考]
住居はC-4間桐邸。身分は穂群原学園の学生です。
自動情報収集セルによりネットワークを巡回しての情報収集、電子妖精による


【ウォーダンサー(速水厚志)@高機動幻想ガンパレード・マーチ】
[状態]健常、霊体化
[陣営]黒(地球)
[装備]霊体化中
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:慎二に従い、勝利する。
1.慎二が起きるのを待ち、情報収集に向かう。
2.できれば自動車を調達したい。
[備考]
『人類決戦存在HERO』(型月的に言うなら抑止の守護者)として、漠然と『世界の危機がある』という直感を認識しています。
しかしそれが何であるのかは理解していません。


625 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/18(火) 03:32:18 9dk4WIss0
投下終了です。


626 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/26(水) 01:33:56 wMrMOIT.O
夜神月&セイヴァー(葉隠覚悟)
阿良々木暦&セイバー(鑢七花)
黒のルーラー
で予約します。


627 : ◆QyqHxdxfPY :2014/11/26(水) 21:45:43 y5rWtLp20
投下乙です。
流石にプログラミングにおいてはシンジのスキルが光りますね。
電子妖精、自動情報収集セルは今後どう活用されるのかが気になります。
そして霊夢に続いて厚志も感じている現状への違和感
今回のムーンセルは冬木聖杯再現以前にやはり異常を来しているのか、それとも…

直枝理樹&キャスター(ルサルカ・シュヴェーゲリン)
ジョセフ・ジョースター&アーチャー(天龍)
予約します


628 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/27(木) 20:18:50 v9W2u15o0
現在位置&予約まとめ

《予約中》
夜神月&セイヴァー(葉隠覚悟)、阿良々木暦&セイバー(鑢七花)、黒のルーラー 【◆ACfa2i33Dc】
直枝理樹&キャスター(ルサルカ・シュヴェーゲリン)、ジョセフ・ジョースター&アーチャー(天龍)【◆QyqHxdxfPY】

《現在位置》
・未明
【B-4/住宅街】神長香子&アサシン(明智光秀)
【B-9/新都・ホテル】セレス&アーチャー(セッツァー)
【C-8/新都・路地裏】セブルス・スネイプ&セイバー(市丸ギン)
【C-8/新都・線路近くの路地裏】 雅緋&セイバー(呉島貴虎)、鬼龍院皐月&ランサー(ディルムッド・オディナ)

・早朝
【B-2/住宅街(穂群原学園へ通学中)】鹿目まどか&バランサー(博麗霊夢)
【B-4/ジョースター家別荘】ディオ&ランサー(タケ)
【B-8/マンション】沢木直保&キャスター(隼鷹)
【B-8/マンション前】ルナティック(ユーリ・ペトロフ)&バーサーカー(バオー/橋沢育郎)
【C-4/間桐邸】間桐慎二&ウォーダンサー(速水厚志)
【C-7/街中】小泉ジュンイチロー、ライダー(ワムウ)
【C-7/下水道、排水口付近】遠野四季、バーサーカー(人類種の天敵)
【C-8】影森の正吉&アサシン(二ッ岩マミゾウ)
【C-9/ファーストフード店】坂本ジュリエッタ&デストロイヤー(パッションリップ)
【C-9/不明】白のルーラー

《未予約》
トゥーサン・ネシンバラ&セイバー(ネロ・クラウディウス)
カレン&ライダー(リュカ)


629 : ◆ACfa2i33Dc :2014/11/30(日) 21:04:41 hB5I1EAw0
ちょっと厳しいかもしれないので今の内に延長しておきます。


630 : ◆QyqHxdxfPY :2014/12/04(木) 00:03:52 bPteNga60
予約延長します


631 : ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:39:28 8Bc2jH8s0
投下します。


632 : 刀と剣 ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:39:53 8Bc2jH8s0

 ――白と黒の着物姿のサーヴァントが、甲冑姿を模した騎士のサーヴァントと激突する。
 刀と剣が交錯し、白の戦装束を纏ったマスターが飛び回る。
 奇しくも最優、剣の騎士(セイバー)同士の交錯。しかしてその戦闘スタイルは真逆、刀のセイバーが搦め手を交えた多彩な攻め手を見せれば、甲冑のセイバーはそれに正面から対応してくる。
 開幕の鐘楼にはあまりにも派手なカード。その一戦は、二槍のランサーとそのマスターの登場で幕を打った。

     ‡


「……クソッ、厄介だな」

 使い魔の視覚からそれを知覚した夜神月は、我知らずの内に舌を打っていた。
 街中で突如感じた戦闘の気配。丁度近くに飛ばしていた使い魔を使って途中から観戦していたが、そこから得られた情報は決して芳しいものではない。

 敵陣営のセイバー、そしてランサーが合流した。
 戦闘に長けるこの2クラスの合流は、今後の戦いに影響を与える事は想像に難くない。

 甲冑姿のセイバー。あのサーヴァントの弱点は、一目瞭然ではある。
 あのセイバーは、武装を解除した状態から戦闘態勢に入るためにワンテンポ置く必要があるようだ。
 霊体化を行わない理由は不明だが、そこを突き非武装時にサーヴァントを狙っての奇襲を行えば倒せないまでも有利を得られる可能性は高い。
 奇襲を行うのは、気配遮断のスキルを持つアサシンならば最適だろう。
 撤退を始めてすぐに気配が消えた事から、襲撃を行った“白”のセイバーも類似のスキルを持っていた――しかし奇襲は失敗したようだが、暗殺が本業であるアサシンならば或いは。

 しかし、その弱点はあのランサーがいる限り埋まってしまう。
 攻撃の気配を感じれば、あのランサーは即座に実体化しセイバーのカバーに入るだろう。
 その間にセイバーは戦闘態勢に入れる。

 その傍に立つマスターも問題だ。
 セイバーとランサーどちらのマスターも、サーヴァントには劣るだろうが人間としては高い戦闘能力を持っている。
 如何に魔術を修めたと言えど、夜神月の魔術は最低階位に近い。マスター同士の戦闘になれば勝ち目は薄いだろう。

「戦力はさておくとしても、手が足りない……。
 あちらが二騎ならば、こちらも二騎以上を以て対処するしかないか。
 戦術は多数による正面押し……あるいはあのセイバーとどこかにいるだろうアサシン、気配遮断を持ったサーヴァントによる同時の奇襲か……?」

 敵よりも多くの戦力を用意しての正面勝負、あるいは背後からの奇襲。
 どちらを選ぶにしろ、あの“白”のセイバーは黒のセイバーとランサーの二騎を相手にするに当たって有用なピースとなるのは間違いない。
 問題は、“白”のセイバーが気配遮断を行って逃走してしまったせいで、敵だけではなくこちらからも追いかけて接触する事が不可能だった事。
 接触するならば、もう一度探し出すしかないだろう。

 とはいえ気配遮断を持つサーヴァントを街の中から探し出すのも、中々に骨が折れる難行なのは間違いない。
 既に黒のセイバー・ランサー組に気取られるのを避ける為に、使い魔による追尾は解いている。
 これを再度放ち、白のセイバーを探させるべきか――

「――マスター」

 己のサーヴァントの声が耳に届き、月は即座に思索を中断した。思念による念話ではなく、肉声。それはサーヴァントがその霊体化を解き、実体化した事を意味する。
 声の方向を見れば、既に白い軍服の少年――セイヴァーは、油断無く戦闘態勢に入っていた。

「……どうした?」

 聞きながらも、月も既にセイヴァーの意図を半ば理解していた。
 このサーヴァントが自ら――それも、このような殺気を放ちながら実体化する理由など、一つしかないからだ。


633 : ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:40:22 8Bc2jH8s0

     ◆


 いくら知識として理解はしていても、それでも理屈として納得できない事柄というのは確かに存在する。
 丁度数年前の僕に怪異やそれに関係する人々の存在を教えたところで信じはしないだろうというように。たとえそれが現実に存在する事だろうと、それまでその人物が持っていた常識を覆すような知識は、そうすんなりと受け入れられはしない。
 それと同じように、この街が月――正確には月に再現された都市であり、行き交う人間もゲームのNPCさながらの架空の存在である事に、僕は未だに半信半疑でいた。
 無論令呪とサーヴァントというこの上ない物証がある以上、それを否定する論証もまた存在しないのだが――そしてこれまでの経験から、こういう時に現実をきちんと認識しないと痛い目に遭う事はよくわかっている筈なのだけど。
 悪癖というのは治せないから悪癖なのであって。

「殺し合いは分かったけどさ、やっぱりここが仮想空間ってのは無理があるような……」

 コンビニで地図を立ち読みしながらの独り言――というわけでもない。
 セイバー――鑢七花は今は霊体化という奴をして姿は見えないが、それでも近くにいる筈である。

『おれにはよくわからんが、規則とやらでそうだっていうんならそうなんじゃないのか?』
「うーむ……」

 さして頼りにならない返答を頂いてしまった。自分で考えるしかないようだ。
 地図とレジで迷惑そうな顔をしているコンビニの店員によれば、ここは冬木市というところらしい。

「まあ聞いた事のない地名だな……」

 そもそも自分の住んでいる地域から遠く離れた都市の名前など、そう細かく覚えている人間の方が少ないと思う。せいぜいが県庁所在地か観光スポットくらいだろう。僕の場合はそのどちらも怪しいわけなのだが。
 自分の心当たりのある地名は、見当たらなかった。探し方が悪いのか、あるいはそもそも地図に載っていないのか。
 ううむ。そもそも自分の知ってる地名や人がいたとして、それが作られた物じゃないとは証明できないわけだしな。知り合いに連絡を取るならその辺も考慮しなきゃならんし、なにかいい方法はないものか――

『……ちょっと待った。それを見てて気が付いた事があるんだが』

 と。
 先程『よくわからん』と言ったセイバーが、あっさりと前言を翻した。
 ――まあ、別に他にあてがあるわけでもなし。聞かない理由も、ないのだが。

「なんです、気がついた事って」
『その地図と同じで、作り物だって言うならこの世界もどこまでも作ってるわけじゃないだろう。なら、端があると思うんだが』

 ――あ。
 言われてみればそれはまさにその通り、の事だった。
 ここが月に作られた仮想空間というなら無駄な空間を作る事はそれこそ容量の無駄だし、ここで殺し合いをするのが目的ならば広すぎる会場は目的の妨げにしかならないだろう。
 であるならば、この街にも端が存在するはずである。

「この世界の端っこを確認できれば、ここから脱出する手掛かりにもなるかもしれないしな……」

 であるならば善は急げだ。今なら夜目も利くし、ちょっと走るくらいなら軽くこなせる。
 まずは、冬木市とやらの外れまで行ってみるとしよう。


634 : ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:40:51 8Bc2jH8s0

     ‡


「何者かを確認した」

 やはりか、と月は嘆息する。

「……敵か? それらしい姿は見えないが」
「不明だ。だが近くを移動している……サーヴァントかマスターかはわからないが、普通の人間ではありえない身体能力だ」
「……どちらに向かっているかわかるか?」
「問題無し。――来い、月狼(モーントヴォルフ)よ」

 月の問いに応じセイヴァーが虚空に合図を送る。それに応え夜の闇より一騎の装甲された二輪が姿を現した。

 これこそ機械化軍用犬・月狼(モーントヴォルフ)。セイヴァーに付き従う忠実な従者。

 搭載された武装・機能は多岐に渡る――セイヴァーはその中の一つである動体センサーを起動するように指示した。

「ここより南西。東へと一直線に進んでいる」
「追えるか?」
「子細無く。後ろへ」

 モーントヴォルフへ乗り込み、セイヴァーは後ろを示す。
 バイクの二人乗りなんて交通法違反は初めてだな、とどうでもいい感想を抱きながら、月はそれに従った。


     ◆


『――おい』

 住宅街を走り抜ける最中。不意に頭の中に、セイバーの声が響いた。
 ううむ。やはり、いきなり頭の中に声が響くのは慣れない。まあ、それはともかく。

「ええと、どうしたんです?」
『誰か追いかけて来てるぞ。この音……ばいくって奴か?』
「追いかけられてる? どんな奴に?」
『そりゃわからないが、音と気配からして近いと思う。さぁばんとの気配もするから、聖杯戦争の関係者なのは間違いない』

 ふむ。つまりこっちが聖杯戦争の関係者だ、と当たりを付けて追いかけられてるわけか。実際ちょっと無茶な移動の仕方をしたから、カンのいい相手なら気付かれてもおかしくはない。この辺については、少し自覚が足りなかったと言える。いきなりの事だったから、思慮を回す暇がなかったのだ――というのは、やはり言い訳か。
 それよりも今現在の問題は、

「……撒けそう?」
『無理だな』

 バッサリと切られてしまった。まああちらも追いつけそうだから追いかけて来てるんだろうし、期待はしていなかったけど。
 となると――あちらから追いつかれるよりは、こっちが追いつく場所を選んだ方が都合がいい、か。

 願わくば、追いかけて来ているのが味方陣営のマスターとサーヴァントだといいのだが――そんな都合のいい願い事が叶う事は、当然無いのだった。


635 : ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:41:10 8Bc2jH8s0

     ‡

 住宅街に添うように作られた自然公園。そこで夜神月は、先程から追いかけていた相手と遭遇した。

(途中で追われているのに気が付いて、戦い易い場所に誘導したか)

 バイクなど使って追いかけた以上、相手に気付かれるのは計算の内だ。むしろこの配慮自体は、月にとっても有り難い。

 相手マスターは学生服の少年。一見魔術とは無縁にも見えるが、外見で相手を判断する事の無意味さを月はよく知っている。常人離れした身体能力で移動していた、となれば尚更だ。
 その前に出るように、既に相手サーヴァントは実体化していた。視認したサーヴァントから確認できる陣営は――黒。
 そしてクラスは――

「――セイバー?」

 その名を見た瞬間、月の頭に混乱の感情が入り込む。
 有り得ない。何故ならば、

(黒の陣営のセイバーはあの甲冑武装のセイバーの筈だ……! 二騎目だとでも言うのか!?)

 各クラスは両陣営に一騎ずつ。月は疑う事もなくそう認識していたが、その前提は容易く崩された。

(……こちらのサーヴァントがイレギュラーなクラスである以上、陣営毎のクラスの構成も疑ってかかるべきだったか……!)

 これは大きな情報であり、同時に大きな誤算だ。
 クラス構成が通常の聖杯戦争の常識に従わないというならば、ここまで考えていた作戦は大きく瓦解する可能性がある。
 先程の月はこちらの陣営にアサシンが存在するのを前提に作戦を立てていたが、この場合最悪こちらの陣営にアサシンのサーヴァントが居ない可能性もある。
 そうでなくとも、陣営毎にクラスの不均等が起こっていればどちらかが不利になる公算は少なくない。
 月の当初考えていた以上に、情報は大きな力となり得る。

「ええと――あんた、マスターでいいんだよな」

 大きく狼狽した月の様子を見て取ったか。向こうに陣取る学生服のマスターが、月へと声をかける。
 月はなんとか動揺を収め、気取られぬように努力しながらそれに応えようとした。

「あ――ああ。どうしたんだ。聖杯戦争を戦うマスター――それも敵対陣営同士が出会ったんだろう。
 やる事は一つだと思うが」
「それについてなんだけれど――僕は別に望んで聖杯戦争とやらに参加したわけじゃないんだよ」
「……は?」

 学生服のマスターが語るには。
 自分は事故でここに呼ばれたマスターであり、聖杯戦争と願いに興味は無い。脱出できる手段があるならばそれを探したい、と。

 月はそれを必要以上に疑ったりはしなかった。
 月の石が触媒であり、聖杯戦争への参加に確たる儀式を必要としない以上、その可能性は確かにあり得る。
 だが――

「諦めてくれ」

 それでも月は、その申し出を切って捨てた。
 既に覚悟は完了している。犠牲にする相手が誰だろうと――たとえ無辜の人々だろうと。その屍の上に、願いを叶えるのだ。
 その為に、立ち止まる時間は無い。

「……そう、か」

 既に幾らか覚悟していた事だったのか。学生服のマスターは、その返答を聞き後ろへと下がる。
 それを庇うように、二騎目の黒のセイバーは前へ出た。
 姿は半裸に無手。おおよそ剣を扱う英霊とは思えない姿だが――しかし、その覇気は月にもはっきりと分かる。

「あんたが相手か。俺はせいばー――剣の英霊って奴らしい」

 名乗りと共に構えを取るセイバー。その前へと、セイヴァーは進み出た。

「私の名はセイヴァー。主が命により、汝を必殺しよう。――零」

 言葉と同時。
 虚空より生じた高分子筋繊維、そして装甲によりセイヴァーは鎧われていく。

 これこそ強化外骨格"零"。
 正義失格者に与えられし、最強の矛と最強の盾を併せ持つ究極の鎧である――!

 武装したセイヴァーは、死の気配を今までよりも更に強く滲ませている。その姿は死神と呼ぶに相応しい――いや、死神以上に死神らしい。理由もわからず、そう月は直感する。
 そして、その死の気配をも恐れず、セイバーは前に進み出た。

「いいぜ。――ただしその頃には、あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」
「その言葉、宣戦布告と判断する――当方に迎撃の用意あり」

 それが戦端の合図。セイバーとセイヴァーの纏う魔力が弾け、二騎は今ここで激突する――!


636 : ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:41:55 8Bc2jH8s0

    >>>

 先手を取ったのはセイヴァー。
 己の強化外骨格より抜き取った拳銃を構え、セイバーへと発砲する。
 一発、二発、三発の銃弾がセイバーを目掛けて飛び、しかし虚空を捉えるのみ。
 既にセイバーはその場から跳び、セイヴァーへと躍りかかっている。 

「せ、ッ――!」

 飛び蹴りの体勢からの足刀。それをセイヴァーは腕で防ぎ、捌く。鋭い足技だろうと、強化外骨格を抜く事はできない。
 いなされ着地するセイバーに、セイヴァーは“斬魔挺身刀”を抜刀し斬りかかる。
 横薙ぎの斬撃、直撃すれば胴を一文字に断たれるのは必至。
 それをセイバーは、

「虚刀流『桜』」

 正面から受け、そのまま斬魔挺身刀を圧し折った。
 刀を振り切った姿勢で隙を晒すセイヴァー。
 対するセイバーは不自然なまでに身体を捻った構えからの――

「四の構え『朝顔』――」
「四の奥義『柳緑花紅』!」

 “鎧通し”。
 本来ならば、それ専用に作られた鎧の間隙から刺突する刀の名称である。
 だが刀そのものであるセイバーのそれは、防具、更には筋肉さえにも損傷を与えず、望んだ位置への打撃を可能とする。
 身体そのものに響く打撃に、さしものセイヴァーもよろめきを隠せない。

「こいつは効いてるか――『鎧』の時みたいにやらなくても大丈夫みたいだな」

 ――ここまではセイバー、鑢七花の優位である。
 これには大きな理由が一つあった。
 強化外骨格"零"はその豊富な内蔵武器にて敵を攻略する武装だが――鑢七花には、完成形変体刀の蒐集の旅による豊富なタイプの敵との戦闘経験がある。
 その戦闘の経験が、零に搭載された武装に対応し、有効な打撃を与える手段を見つける手助けとなっていた。
 しかしセイヴァー――葉隠覚悟の真価は、決して強化外骨格“零”ただ一つだけ等ではない。
 鑢七花と同じように、数多の戦闘経験により磨き上げられた技術――零式防衛術である。


「ち、ッ――!」

 刀を破壊し、流れるように攻撃に移った手腕から武装による攻撃が悪手と判断したセイヴァーは、零式防衛術を用いた格闘に闘法を切り替える。
 拳と拳が交錯し、ハイキックとストレートが重なる打撃戦。
 こうなれば、やはり有利は鎧を纏ったセイヴァーにある。セイバーの肉体もそれ自体が鍛えられた鎧にも匹敵するが、強化外骨格“零”の硬度はそれを上回る。
 セイバーがこれを抜いて一度に有効なダメージを与えるには――やはり、“鎧通し”の奥義である『柳緑花紅』しかない。
 その為に――その“溜め”に、必要な隙を何処で見出すか。あるいは、どう隙を隠すか。
 セイバーとセイヴァーの格闘戦は、最終的に其処に収束している――と、思われた。


「――埒が明かんな」

 幾度目かの交錯。
 大きく飛び退ったセイヴァーが、小さくそう呟いた。
 格闘戦に限ればセイヴァーが有利とはいえ、セイバーの反撃は決して油断できるものではない。
 このまま繰り返せば、決着までには十合、いや百合とかかっておかしくない。

「ふうん? じゃ、どうするんだ。そのまま帰るのか?」

 挑発か、あるいは本心かもわからぬ言葉を吐くセイバーに、しかしセイヴァーはどちらでもない、と首を振った。
 突き出した左手首に、腰部の化学兵器調合装置から金属管が装着される。

 これこそ化学兵器『戦術神風』。人体の神経伝達機関を破壊する透明にして無味無臭のガス兵器。
 霊体であるサーヴァントには通用しないが、マスターに対しては無音瞬殺の効果を発揮する。

 不穏を察したセイバーが動く様子を見せるが、既に遅い。
 もはや左手からガスが放たれれば、その背後に控える学生服のマスターは即死せざるを――

「“セイヴァーよ。貴様の武装、戦術神風の使用を禁ずる”」


637 : ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:42:33 8Bc2jH8s0

    <<<

 突然の声が、セイヴァーとセイバー、その戦う上空より舞い降りた。
 声の主は黒の鎧兜――月にとっても見覚えある、青白い肌の少女暴君。
 ――黒のルーラー。

「セイヴァー。ここでその武装を使えば何が起きるか、わかっていない貴様ではあるまい」

 そう語りかけながら、黒のルーラーはセイヴァーへと近寄る。
 その左手には、未だ魔力の輝きを失っていない令呪がある。

 ――無音瞬殺兵器・戦術神風。
 その効果範囲はガス兵器故に非常に広い。閉鎖空間ならばともかく、開放された公園――それも住宅街の近くで使えば、何人の被害が出るか定かではない。
 最悪、風上から風下へガスを流し続ければ、冬木の街はそれだけで死の街と化すだろう。

「この都市の民は、私が守るべき“人間”ではない」

 そして、そう言い切ったセイヴァーは、それを何の躊躇いも無く実行するだろう。
 ムーンセルの上に再現されただけの電子生命であるNPCは、セイヴァーにとって守護すべき対象であった人間の在り方とはかけ離れている。
 ならばこそ、セイヴァーはそれを殺戮する事に躊躇しない。そのもたらす被害は、聖杯戦争をそれだけで終わらせ得る。

「セイヴァーのマスターも同じだ。貴様が手綱を握らぬならば、その男は聖杯戦争にとって多大な被害をもたらすだろう。これは警告だ」

 黒のルーラーの瞳が、月を射抜く。

「“白”のルーラーがどう言うかは知らないが――私の統治の基準は明確だ。
 私に――ひいてはムーンセルに弓引く者は許さぬ」

 ――それはまさしく、“警告”だった。
 『次は無いぞ』という、それだけの意味を持った、しかしシンプル故に単純な脅し。

「……後退するぞ、セイヴァー」
「了解した。――モーントヴォルフよ」

 それだけ言って、夜神月はセイヴァーに後退を指示する。
 セイヴァーもまたそれに従い己の乗騎を呼び寄せ、主と共に走り去った。


    ◆


 ――そして後には僕とセイバー、そして黒のルーラーが残された。

「――命拾いしたな、黒のセイバーの主よ。さて、なにもないならば行かせてもらうが?」

 ――さて、どうしたものかなあ。


【C-10/自然公園/1日目 未明】

【阿良々木暦@化物語】
[状態]魔力消費(小)
[陣営]黒
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]不明
[所持金]不明
[思考・状況]
基本行動方針:ここから脱出する。
1.この世界の端を確認したい。
2.黒のルーラーに何か質問するべきか?
[備考]
セイヴァー(葉隠覚悟)のパラメーター及び一部スキルを確認しました。
生活などの身分は後続の書き手にお任せします。

【セイバー(鑢七花)@刀語】
[状態]ダメージ小
[陣営]黒
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:ただ、刀として在る。
1.: 阿良々木暦に従う。
[備考]

【ルーラー(セイバーオルタ)@Fate/stay night】
[状態]健康
[陣営]黒
[装備]?
[道具]?
[所持金]?
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争における違反・あるいは崩壊に繋がる行為の取り締まり。
1.阿良々木暦に何か質問があるならば、それまでは待つ。
[備考]


638 : ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:43:07 8Bc2jH8s0
     ‡

 セイヴァーと共にモーントヴォルフで走りながら、夜神月は先程の出来事について考えていた。
 セイヴァーが戦術神風を開放しようとした途端、黒のルーラーはあの場に現れた。
 あまりにもタイミングが良過ぎる。これを疑わない、というのは無理がある。

 つまり、黒のルーラーはこちらを最初から見張っていたのだ。
 何故、というのは愚問だろう。実際、セイヴァーは甚大なルール違反被害を作り出すところだった。

 ――自分達は、目を付けられている。
 それはあの黒のルーラーの態度からでも、はっきりとわかる。

 そこに存在するだけで、全てのモノを委縮させるような存在感。
 あれがこの“黒”のルーラーの本質なのだろう、と月は理解する。
 徹底した統治、自由無き自由。なるほど、“裁定者”、ひいては“弾圧者”としてはもって来いのサーヴァントだろう。
 この暴君の統治の元では、それこそ“反逆”、更には“悪”など発生し得ないに違いあるまい――

(……なんだ、この感情は?)

 そう。あの暴君ならば、悪をこの世から絶やす力が――

(まさか――僕は、あの暴君に、羨望を抱いているのか?
 まさか――いくら悪を誅する存在だろうと、あれは暴君だ。そんな事は、許されてはならない)

「――マスターよ」

 セイヴァーの言葉に、月は不意に我に返った。
 先程までの思考を強引に頭の隅へと追いやり、話に耳を傾ける。

「……どうした?」
「あのセイバーの事だ」
「……あの、無手のセイバーか?」

 あのセイバーの事については、月も非常に疑問に思っていた。
 二騎目のセイバーである事もそうだが、セイバーでありながら無手の戦闘スタイル。
 あまりにも異端の英霊である事は間違いあるまい。

「ああ。――おそらくあのセイバーは、存在そのものが『剣』である英霊だ」

 剣の英霊、転じて『剣そのものの英霊』。
 それがあの無手のセイバーの本質である、と、セイヴァーは語る。

 ――そんな馬鹿な、という思いはある。が、このセイヴァーの語る事ならば、それは真実なのだろうと月は直感した。

「だが……何故、それがわかった?」
「私も同じ剣であるからだ」

 零式防衛術は牙無き人の剣。故に、『存在そのものが居ながらにして一本の日本刀』であるセイバーとはある種の共感が発生したのだろう、とセイヴァーは言った。

「……そうか」

 セイヴァーは無手のセイバーとの共通点ゆえに、その正体に関して共感した。
 ならば――黒のルーラーに在り方に共感した自分は、彼女と何らかの共通点があるのか?
 そして――それは、自らの欠落と関係があるのだろうか?


【B-10/田園/1日目 未明】

【夜神月@DEATH NOTE】
[状態]健康、魔力消費(小)
[陣営]白
[令呪]残り三画
[装備]不明
[道具]使い魔
[所持金]不明
[思考・状況]
基本行動方針:勝利し、願いを叶える。
1.まずは情報収集に徹する。
2.ルーラーには警戒する。
[備考]
白のセイバー(市丸ギン)、黒のセイバー二騎(呉島貴虎・鑢七花)のパラメーター及び一部スキルを把握しました。
ルーラー達が自分とセイヴァーに目につけている、と推測していますが、実際のところは不明です。

【セイヴァー(葉隠覚悟)@エクゾスカル零】
[状態]ダメージ(小)
[陣営]白
[装備]強化外骨格“零”、モーントヴォルフ
[道具]零とモーントヴォルフに搭載された武装
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:夜神月の行く末を見届ける。
1.夜神月の行く末を見届ける。
[備考]
スキル『闘鬼の見識』及び自らの経験から、セイバー(鑢七花)を『刀としての在り方を持つ英霊』だと看破しています。
また、その在り方故に『救世反駁・傲慢輪廻』の使用条件である『敵対サーヴァントに対し、セイヴァーがその存在を完全に認めない』が発生しないと考えられます。


639 : ◆ACfa2i33Dc :2014/12/06(土) 21:44:01 8Bc2jH8s0
以上で投下終了です。


640 : 名無しさん :2014/12/12(金) 16:39:47 aF/F0LdM0
今さらですが、投下乙です!
セイヴァーvsセイバー お互い小手調べでしたけど、十分面白かったです
覚悟も七花もやっぱり肉弾戦強いですね
個人的に魔術を使う月はけっこう新鮮かも


641 : 名無しさん :2014/12/14(日) 14:29:53 wkPSQ5Sk0
投下乙です


642 : ◆ACfa2i33Dc :2015/01/11(日) 04:49:03 anM5VfdgO
カレン・オルテンシア&ライダーで予約


643 : ◆ACfa2i33Dc :2015/01/18(日) 01:39:20 pNblBXjI0
投下します。


644 : 『主よ、人の望みの喜びよ』 ◆ACfa2i33Dc :2015/01/18(日) 01:40:28 pNblBXjI0


 月海原学園の朝は早い。
 授業の準備を行う教師は言うに及ばず、部活の練習を行う生徒の姿の姿が校庭を行き交っている。
 その内の一人、校庭の隅でストレッチをしていたとある男子生徒は、ふと気がかりなものに気が付いた。

「……なんだ、あれ?」

 校庭の片隅を飛ぶ、黒いなにか。
 その造形は蝙蝠に似ている、ように思える。
 が、

「……蝙蝠って、あんなに大きくないよな? っていうか、もう朝だし、蝙蝠が外飛ぶ時間じゃないよな」

 違和感を覚えた。
 じっくりと確認しようとした矢先に影はすぐに校舎の影に隠れてしまって、今はもう見えない。

「……ちょっと見てくるだけ、見てくるだけ」

 好奇心に駆られて、生徒や教師の視線を避けながら影が消えていった校舎の裏へと滑り込む。
 黒い影の姿を探して、視線を彷徨わせ――見つけた。見つけてしまった。

 蝙蝠のような姿をした、しかし明らかに違うイキモノ。
 ぱたぱたとはためく蝙蝠の翼。しかし胴体は、牙を剥いた顔面にそのほとんどを占められていた。

「ばっ、バケモっ……!」
「ラリホー」


 ――校庭の片隅で、彼はふと目を覚ました。

「……あれ?」

 怪物の姿はない。
 いつの間にか、彼は地面に寝転がっていた。

「……夢かなにかか?」

 こんなところで眠っていた理由は記憶にないが、それが常識的な答えだろう。
 そう結論付けた彼は、また人目を忍びながら部活の練習へと戻っていった。


645 : 『主よ、人の望みの喜びよ』 ◆ACfa2i33Dc :2015/01/18(日) 01:40:56 pNblBXjI0


  ◆

 月海原学園の本校舎の片隅に、『保健室』と刻まれているプレートが提げられた一室がある。
 文字通りの役目を果たすその部屋は、しかし高校という場所柄にも関わらず、本当に必要な時以外は人の――生徒のみならず、教師も――寄り付かない一室として扱われている。
 その理由はたった一つ。この部屋の主である、カレン・オルテンシアである。

 月海原学園の敷地内に建てられた教会のシスターを兼任する彼女は、保健室をサボタージュに利用しようとする人間に対して容赦しない。
 その『いい性格』と、本当に保健室が必要な者への献身的な介護という二つの面から、月海原学園の保健室を利用するのは本当の怪我人か体調を悪くした者、あるいは幾らかの特殊な趣味の持ち主のみとなっていた。

「……まあ、僕としては活動しやすいからありがたいんだけどね」

 実体化したライダーは、シーツのカーテンで入口からは一応見えないようになっているベッドに腰掛けながらそう呟いた。
 その目の前にいるのは、ライダーが己の宝具によって呼び出した魔物だ。

 黒い体、蝙蝠の翼、牙を剥いてはいるがよくよく見ると愛嬌のある顔。
 彼のいた世界では『ドラキー』と呼ばれた魔物種である。

「ありがとう、ドラきち。引き続き頼む」

 そう言われた『ドラきち』は、やって来た時と同じように保健室の窓から飛んでいく。
 それを見送ってから、ライダーはカーテンの向こうにいる自らのマスター――保険室の主であるカレン・オルテンシアへと顔を向けた。

「なにか情報はありましたか、ライダー」
「いや。特に気になるものは見つけていない……らしい。深夜に起きた電車の事故の現場も見てきたけど、そちらも手掛かりなしのようだ」
「そうですか。そちらにはそれほど期待はしていませんでしたが……便利な才能ですね。人語を話せぬ魔物と意思を疎通するとは」

 序盤はライダーの宝具を用いての偵察に徹する。それはカレンとライダーが大体において合意した方針であった。
 カレンの魔力は、ライダー達が表立って行動するには心もとない。
 である以上、ライダーが『偵察に適した魔物』を飛ばし、味方か敵陣営の主従を捕捉してから行動に出る他はない。

「……マスター、大丈夫かい? 宝具を使った直後から、あまり顔色が良くない。やはり魔力消費が……」
「問題ありません。一度休息はしましたし、行動に支障は出ないでしょう」
「……なら、いいんだが」

 ライダーの気がかりは、その上でもカレンの調子があまりよくないことである。
 ドラキーを現界させ続ける魔力そのものはライダーの魔力で賄っているが、呼び出した際の宝具の魔力消費はカレンから少なくない魔力を奪っていた。

(保険室で休息して、幾らかは回復したようだけど……やはり、負担が厳しすぎる。
 なにか魔力を効率よく回復する手段を手に入れるか、あるいは極力魔力を消費しないように立ち回らないとまずい)

 魔力を回復させる手段について手掛かりすらない現状では、取るべき方策は自然と後者、魔力を消耗しない立ち回りになる。
 しかしそれにも限度がある。今戦闘になれば、ドラキーよりも強い――もっと言えば、魔力を消費する魔物を呼ばざるを得ないだろう。

(……やはり、味方を探すのが最優先か)

 味方が見つかれば、戦闘の際に彼等に前衛を任せることもできる。
 武器こそ剣だが、魔術を扱えるライダーにしてみれば前衛よりもそちらの方が戦い易いし、カレンの魔力消費も抑えられる。
 『聖杯を託せる者を探す』というカレンの目的からしても理に適った選択だ。

(……聖杯を託せる者、か)

 聖杯を自らのために使おうとしないカレンの事に、折り合いを付けたわけではない。
 彼女にもできれば願いを持って欲しい、そう思っている。

(だが……彼女に自分からそう思って貰わないと、意味はないだろう。
 ……彼女は、どう思っているんだろうか)

 カーテンの向こうにいる、己の主。
 不幸を不幸と思わず、そして今もなお『試練』の中にある少女。
 彼女のことを思いながら、ライダーは霊体化し保健室の周囲の警戒へと入った。


646 : 『主よ、人の望みの喜びよ』 ◆ACfa2i33Dc :2015/01/18(日) 01:41:20 pNblBXjI0
  ◆

 ライダーと同じように、カレン・オルテンシアも一つの懸念を抱いていた。

 『冬木の聖杯』。
 記録に残っているそれは、『この世全ての悪(アンリマユ)』に汚染された、『人を殺す事でしか願いを叶えられない』聖杯だった。

(この月に現れた『黒の聖杯』も同一の存在ならば。それが起こすのは、破滅……)

 ムーンセルの象徴である『白の聖杯』を『黒の聖杯』が駆逐したとして。
 その『黒の聖杯』が『この世全ての悪(アンリマユ)』に汚染されていたのならば――

 その破滅は、全ての並行世界に及びかねない。

(もし、そうであるならば……“黒”の陣営に勝たせるわけにはいかない、となりますが)

 幸い、カレンの陣営は“白”の陣営だ。自らの陣営をサポートすれば良い以上、これは大きな障害ではないが。

(……それに、本当に聖杯が汚染されているのならば、という仮定の話です。そう、仮定ですが……調べてみる必要はありそうですね)


 もし、“黒”の聖杯の内に『この世全ての悪(アンリマユ)』があるならば――『暗黒の聖者』も、またそこにいるのだろうか。


 “彼”の事を記憶の片隅に留めながら、カレン・オルテンシアは日々の仕事へと没入していった。


 主と従者。それぞれの思惑を載せ、時は流れている。


【A-8/月海原学園・保健室/一日目 早朝】

【カレン・オルテンシア@Fate/Hollow ataraxia】
[状態]魔力消費(小)
[陣営]白(月)
[令呪]残り三画
[装備]マグダラの聖骸布
[道具]不明
[所持金]不明
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を託せる者を探す。
1.日々の仕事をこなしながら、情報収集に徹する。
2.聖杯について調べる。
[備考]

【ライダー(リュカ)@ドラゴンクエストV】
[状態]魔力消費(小)
[陣営]白(月)
[装備]パパスの剣
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:カレンを助ける。
1.ドラきちによる情報収集を行う。
2.カレンを助けたい(願いを持たせたい)。
[備考]
宝具『馬車よ、我が友と共にあれ』によりドラキー(ドラきち)を召喚し、冬木市を偵察させています。
現在は新都を中心に偵察させているようです。


647 : ◆ACfa2i33Dc :2015/01/18(日) 01:41:47 pNblBXjI0
投下終了です。


648 : ◆QNxvmG91pc :2015/01/30(金) 08:09:39 NMHYPMz60
ルーラー(セイバーオルタ)阿良々木暦&セイバー
予約します。


649 : ◆QNxvmG91pc :2015/02/04(水) 07:41:50 z/k9FobQ0
投下します


650 : 遥かなる旅路 ◆QNxvmG91pc :2015/02/04(水) 07:42:31 z/k9FobQ0


「じゃあ、幾つか質問させて下さい」


とはいえ、阿良々木も現段階において確証を持った情報は何一つない。
つまり、聖杯戦争からの脱出・聖杯戦争の停止を行おうにも術どころか隙すら検討がつかなかった。
情報がない。ヒントがない。
質問しようにも質問を考えていない。

だからといってルーラーを見過ごすわけにはいかなかった。
何か聞くべきだ。
阿良々木はまず最初の問いを出す。


「この世界の端ってどうなっているんですか? 地図で確認して気になったもので」


それはセイバーが提唱した疑念。
阿良々木たちが実際確認するのも良いが、ここは一番詳しいであろうルーラーに問いかけて見るべきだろう。
漆黒に呑まれた少女は格別目立った表情を浮かべる事なく、ただ淡々と答えた。


「仮想空間に再現されている場所はその地図の範囲のみだ。
 風景が申し訳程度に再現されているだけで、何もない。無限に続いている」


無限回廊。
まさに永遠の地獄であり、永久の世界線と呼ぶべきものだろう。
無駄な行為だからこそ意味もなく。
無駄で終わるからこそルーラーたちもそれを告げなかった。


「でも、それって伝えるべき事だと思うんですが……」


阿良々木のように僅かな疑念と希望を抱くものが存在するかもしれない。
無駄であるならば、無駄であると残酷ではあるが全てに伝えるべきだ。
それでもルーラーは冷淡に返答する。


「必要のないことだ」


必要ない?

まるで『通達せずとも引き返せる強制力』が働くことを認知しているかのような……
否、もしかしたら、そういう事なのだ。
何らかの力が働き、聖杯戦争からの離脱を阻止する力が常にある。
即ち……それが聖杯の力。


651 : 遥かなる旅路 ◆QNxvmG91pc :2015/02/04(水) 07:43:18 z/k9FobQ0
他に何か聞くべき事はないだろうか。
何とか一つ、阿良々木は問いを絞り出す事ができた。


「こんな事を聞くのはあれなんですけど。陣営を移動する事は可能なんですか?」
「可能だ。ただし『月』側のセイバーが脱落し、向こうのルーラーの承諾が必要となる」


陣営の移動が可能……?
少々眉をひそめたが、阿良々木は思いついたもう一つの問いをする。


「僕たちの……ええと、つまり『地球』の聖杯についてなんですけど
 それが出現する場所っていうのは決まっているんですか? ルーラーさんは知っているんじゃないかと思って」


阿良々木は、聖杯を取る気などはない。
ただし、聖杯に関心がない訳ではなかった。
『月』と『地球』の聖杯が何たるかを尤も理解しているのはルーラー。
一つでも情報が入ればいいと彼はルーラーに問いかけた。

『地球』が勝利した際、出現する『地球』の聖杯とは――


「こちら側の聖杯が出現した際、例外があれば通達するつもりだ」
「例外?」
「『地球』の聖杯が出現時、『地球』陣営の組が一組であった場合だ」
「……それって聖杯は一組の願いしか叶えられないってことですか」
「一組の場合は陣営内での抗争が発生しない。故に通達するだけだ」


もしもの場合、聖杯が複数の願いを叶えられるのならば――
そう、一人占めをしてしまおうと内部分裂が発生しかねない。
仲良く分け合うなど出来るのだろうか。

ルーラーはそれを考慮している。
強奪を目論む可能性が生じない状況下であれば、聖杯の場所を教えない理由はないのだ。
しかし、阿良々木はどこか釈然としなかった。


「他にないか。お前ばかりに気をかけるほど暇ではない」
「あ……でしたら。普段はどこにいるか教えていただけますか」
「ここにある教会だ。必ずしもそこにいるとは限らない」


素っ気なく返答して黒のルーラーは、またどこかへ移動してしまう。
すっかり、彼女はまだ陰りのある町の闇へ飲み込まれてしまった。


652 : 遥かなる旅路 ◆QNxvmG91pc :2015/02/04(水) 07:44:21 z/k9FobQ0
阿良々木は唸ってからセイバーに聞く。


「さっきの話、どう思いますか?」
「んー、まぁ。そういうもんじゃないか? 要するに必要最低限の町だけ作っただけで
 それ以外は必要ない無駄なもんだから作らなかった。ってのがるーらーの言い分なんだろ」
「でも結局、答えになってないんですよ。この仮想空間の果てがどうなっているのかの解答には」
「……あぁ。なるほど」


話の流れに合わせていたが、阿良々木も気づいていた。
ルーラーは、地図上にある場所以外では強制力が働く――そう遠まわしに告げてくれたものの。
彼女は世界の端がどうなっているのかを明確にしなかった。
もしかすると、彼女自身それを知らない可能性もある。


「じゃあ………どうする?」
「さっき僕がルーラーにした聖杯についての質問のこと、覚えていますか」


とにかく、二人は移動を始めていた。
この空間全体の調査。あるいは、聖杯についての調査。
何にせよ居てもたってもいられない。
幸い、まだ人の少ない早朝なのでセイバーの姿を注目するNPCも登場していなかった。


「引っ掛かるんですよ。まるで、あの言い方だと『出現するまで聖杯がどこにあるか分からない』
 『今、「地球」の聖杯がどこにあるかルーラーにも分からない』ってことになりません?」
「確かに。けど、それがなんなんだ?」
「少なくとも『地球』の聖杯が存在しない可能性が生じるんです」


突拍子もない発想だ。
しかし、現時点でそれを肯定するものも否定するものもいない。
セイバーは困惑する。


「そいつは無茶苦茶だろ。なら、俺や黒のルーラーはどこから召喚されたんだ?」
「『月』の聖杯……いや、どうなんだろう。ハッキリとしないけど……
 『月』と『地球』の戦争で、それぞれ折角サーヴァントとマスターを選出したのに
 それの陣営の移動を了承してるって、なんだか変すぎるんだよなぁ」


……僕は、公平なんだと思う


阿良々木は、ルーラー・裁定者は公平なのだと理解している。
白のセイヴァーに対する処罰も公平だと実感した。
しかし、どの陣営に加担することもないルーラーが、自らの陣営の不利有利による陣営移動の拒否をするのだろうか?

それは公平ではない。
つまり、陣営の不利有利に関係なく陣営移動は承諾される可能性が高い。

公平だからこそ。
公平故に。

しかし、月と地球の戦争において、その『公平』は果たして必要なのか?


「……ん?」


阿良々木は気付く。
謎の穴。
何かに抉られたような。
破壊されたような、破壊するだけの痕跡を見せびらかすような不自然な抉り。

どういう訳かいたるところにあった。
これは聖杯のバグ?

いや違う。これは明らかに―――………


653 : 遥かなる旅路 ◆QNxvmG91pc :2015/02/04(水) 07:44:44 z/k9FobQ0
【C-9/ファーストフード店周辺/一日目/早朝】

【阿良々木暦@化物語】
[状態]魔力消費(微)
[陣営]黒
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]不明
[所持金]不明
[思考・状況]
基本行動方針:ここから脱出する。
0.これは……?
1.町全体の調査をする
2.この戦争のルールに疑念
[備考]
※セイヴァー(葉隠覚悟)のパラメーター及び一部スキルを確認しました。
※生活などの身分は後続の書き手にお任せします。


【セイバー(鑢七花)@刀語】
[状態]ダメージ小
[陣営]黒
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:ただ、刀として在る。
1.: 阿良々木暦に従う。
[備考]


[捕捉]
C-9/ファーストフード店周辺にデストロイヤーによる破壊痕跡があります。


【???/一日目/早朝】

【ルーラー(セイバーオルタ)@Fate/stay night】
[状態]健康
[陣営]黒
[装備]?
[道具]?
[所持金]?
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争における違反・あるいは崩壊に繋がる行為の取り締まり。
0.???
[備考]
※C-10周辺から移動しました。どこへ向かうかは後続の書き手様に任せます。


654 : ◆QNxvmG91pc :2015/02/04(水) 07:45:49 z/k9FobQ0
投下終了です。ご指摘等ありましたらお願いします。


655 : 名無しさん :2015/02/05(木) 00:20:31 jx6j8IJ.0
投下乙
阿良々木さん、そっち危ないですよー!?
しかし謎が謎を呼ぶな……


656 : ◆ACfa2i33Dc :2015/02/05(木) 22:54:46 rDRKUDlI0
投下お疲れさまです
この聖杯戦争随一の危険人物と阿良々木さんが接触しかけている……果たして出会ってしまったら無事に済むのか
そして阿良々木さんの考察は当たっているのか?

というわけで
トゥーサン・ネシンバラ&セイバー、
直枝理樹&キャスター、
神長香子&アサシン、
鹿目まどか&バランサーで予約します。


657 : ◆ACfa2i33Dc :2015/02/12(木) 22:18:32 6TyM9vGkO
延長します


658 : ◆aWSXUOcrjU :2015/02/15(日) 16:16:15 6bh00ICA0
拙作「月下の剣閃」および雅緋のキャラクター情報について、一部修正させていただきました
具体的に言うと、秘伝忍法書という道具について記述してあります


659 : ◆ACfa2i33Dc :2015/02/22(日) 15:16:13 Y.gvZ.ZEO
>>656の予約内容を破棄して、新しく
トゥーサン・ネシンバラ&セイバー、
直枝理樹&キャスター、
神長香子&アサシン
で予約し直します
長い期間予約を超過していて申し訳ありません


660 : ◆ACfa2i33Dc :2015/03/11(水) 01:34:30 i6iAJaBI0
予約の期限を大幅に過ぎてしまいましたが、
トゥーサン・ネシンバラ&セイバー、神長香子&アサシン
で投下します。
予約期限の超過並びに予約内容を守れず申し訳ありません。


661 : 探す者、手繰る者 ◆ACfa2i33Dc :2015/03/11(水) 01:35:05 i6iAJaBI0

 †神長香子――(非)日常風景


 午前七時丁度。
 カーテンの隙間から差し込む日差しと目覚ましのアラーム音で、神長香子は目を覚ました。

「……朝、か」

 ランサーとの戦いの後、結局香子は数十分で夜の徘徊を打ち切って家で睡眠を取っていた。
 聖杯戦争こそ始まったが、香子は学校を休むつもりはない。
 あまり休息を怠れば、学校での生活に支障をきたしてしまうという判断だった。

(わたしには長の役割がある……いきなり学校を休めば、不審がられるのは確実。だから、序盤は学校生活を続けてマスターである事は極力悟られないようにしたい)

 朝の準備は、昨夜の内に既に済ませている。
 テーブルに着き、用意しておいた朝食を摂りながら香子は今朝のテレビのニュースを確認した。

(……目ぼしいニュースはない。電車事故は気になるけど、今から調べに行くわけにもいかないわ)

 結局のところ。
 聖杯戦争が隠匿された戦いである以上、新聞やテレビで情報を得るという行為は難しい、と香子は結論する。

「ごちそうさま」

 自分一人の他には、聞く者のいない挨拶。香子は朝食を片付けた。
 用意しておいた学生鞄を肩にかけ、黒地のグローブを嵌める。

「行くぞ、アサシン」
『御意に』

 そのまま支度を終えて、普段通りの時刻に香子は家を出た。
 徒歩10分。香子の家からはそれなりの近場に、穂群原学園はある。
 目が覚めた時間から考えればもっと遅く出ても時間的な余裕はあったが、香子は普段通りの予定を外す事で学校内に居るかもしれないマスターに異変を悟られる事を嫌い、なるべくいつも通りの時間に登校するよう心がけていた。

「よっ。おはよう、香子ちゃん」

 通学路の途中。聞き慣れた声に呼びかけられて、香子は振り返った。

「……ああ。おはよう、首藤」

 首藤涼。
 神長香子の『黒組』でのクラスメイトで、寮の同室だった少女。
 そして、神長と同じ、一之瀬晴を暗殺する為に集められた暗殺者である。

 ……無論それは、この首藤涼が本物ならば、の話だ。
 彼女が香子の記憶から作り出された偽物ではない、という保証はないし、普通ならばその可能性の方が高く思える。

(でも、本物の首藤が持っていた願いを、わたしは知らない)

 黒組に参加していた以上、首藤涼にも欲していた『報酬』――願いはある。
 そして、それが黒組で叶う事が無かったのならば。願いとして感知され、ムーンセルに呼ばれるということが有り得ないわけではない……というのは、他ならぬ香子自身がよくわかっていることだった。

(……この首藤は、本物? そして……本物だったとして、どうする?)

『何故迷うのです?』

 内心で苦悩する香子に、彼女の従僕が囁く。

『殺してしまえば良いではないですか、疑わしきは』

 ――【殺してしまえ】と。

『鳴かぬ不如帰は、殺す他にないでしょう。ですから、この姫橘に命じてください。……「殺せ」、と』

 友人の形をしたモノを――あるいは、友人そのものを、殺せと命令しろと。香子のサーヴァント……【暗殺者(アサシン)】、明智光秀はそう言っている。

『……やめろ、アサシン』

 その誘惑を、香子は振り切った。

『まだマスターとも、NPCとも……マスターであったとしても、敵とも味方ともつかない。それに今の段階から攻撃するのは、リスクが大き過ぎる』
『ふふ……そうですね。今は、そういうことにしておきましょう』

 残念そうな響きを残して、アサシンからの念話が途切れる。
 少し先を行く首藤涼の背中を追いながら、香子は溜め息を吐いた。


662 : 探す者、手繰る者 ◆ACfa2i33Dc :2015/03/11(水) 01:36:45 i6iAJaBI0

 ◆

 穂群原学園……正確にはその校門前に到着した香子と涼は、しかし普段にはない光景を目の前に立ち止まっていた。

「やけに人が多いな。これは……持ち物検査って奴かの?」
「そんな連絡はなかった筈だが……」

 校門の前に立ちふさがった生徒会の役員らしき生徒が、登校してきたらしい生徒達の鞄の中を検めている。
 古式ゆかしい持ち物検査……にしか見えないが、しかし香子の記憶にそんな連絡はない。

「ん、そこにいるのは神長と……首藤女史か」

 丁度手近にいた顔見知りの生徒会長が、こちらの姿を認めて駆け寄ってくる。
 これ幸いと、香子は質問を浴びせることにした。

「柳洞生徒会長。持ち物検査の知らせなど受けていないが、これはどういうことだろうか」
「む……抜き打ちの持ち物検査だ。試験が近いからな、生徒会役員からの提案で実行することになった。
 既に教師からの許可も得ているぞ」
「……役員からの提案?」
「うむ。まあ、お前達が妙な物を持ち込んでいるとは思わんが……規則だからな。時間を取らせるが、悪く思うなよ」

 そう言いつつも、生徒会長は香子と涼に鞄を差し出すように促す。
 二人は素直にそれに従った。

(爆薬や拳銃を持って来なくて正解だった)

 いくらNPC相手でも、銃器や爆発物を目の前にすればリアクションを起こす事は間違いない。
 もしそのような状況になっていたら、香子は持ち物検査を断固拒否するか、この場で逃亡するしかなかっただろう。

(……つまり、そういう『作戦』?)

 NPCが、いきなり抜き打ちの『持ち物検査』などという行動を自発的に起こすとは考えにくい。
 となれば、これは他のマスターが、学校内にいるかもしれないマスターを炙り出すために行った行動である可能性は高い、と香子は判断する。

「ところでだが。こんなことをいきなり提案したのは誰なんだ、柳洞生徒会長?」
「書記のネシンバラだ。先程も言った通り、試験の時期も近いから気を引き締める意味で、と言っていたが」
「……そうか。首藤、知っているか?」
「む? そりゃまあ伝聞ぐらいでならな。三年のスペインからの留学生で、世界史日本史問わず歴史に強いって話じゃな……あと、文芸部で出してる同人誌が評判だと聞いたぞ。ワシも読んではみたが……まあ、才能は感じたな」
「……ふむ」

 頷きながら、香子は内心でアサシンに問いかける。

『……アサシン。この学園の中に、サーヴァントの気配は?』
『感じます……ええ、感じますよ、主よ。何処に隠れているかは解りませんが……間違いなく、ここに英霊が潜んでいます』

 個人差はあれど、お互いがサーヴァント同士であるならばその気配を察知すること自体は難しくない。
 つまりアサシンがそう言うのなら、やはりこの学園にサーヴァントが……引いてはマスターがいる事は間違いないのだろう。
 現状の香子にとって一番疑わしいのは、トゥーサン・ネシンバラだが――

(接触する……あるいは襲撃する? どちらにしても、下手を打てばこちらの正体を明かす事になる)

 もしトゥーサン・ネシンバラがマスターだったとして、香子とネシンバラという二人のマスターが同じ学園に在籍している以上、更に他のマスターが同じく穂群原学園にいる可能性も無いとは言い切れない。
 迂闊な行動を取れば、そういったマスターにこちらの情報を渡してしまう危険がある。

(アサシンの特性を考えれば、そういった事態は避けないと駄目)

 ならば傍観し、ネシンバラの行動を探るか。
 『気配遮断』の特性(スキル)を持つアサシンのマスターとして採るべき選択はそちらだろうが……後手になる事による不利が発生する可能性は否めない。

(……どちらにする?)


663 : 探す者、手繰る者 ◆ACfa2i33Dc :2015/03/11(水) 01:37:18 i6iAJaBI0

【C-2/穂群原学園/一日目 早朝】

【神長香子@悪魔のリドル(アニメ版)】
[状態]魔力消費(小)
[陣営]黒(地球)
[令呪]残り三画(令呪の位置は右手の甲。鎌のような翼が生えた十字架の紋章)
[装備]薄手の黒いグローブ、学生服(穂群原学園)
[道具]暗殺者としての武器(何を持っているかは後続に任せる。現在は家に置いてきている)、学生鞄、各種学業用品
[所持金]普通(学生としてはそれなり)
[思考・状況]
基本行動方針:どんな手段を使ってでも勝ち残る。その為には同じ陣営の仲間を利用することも辞さない。
1.トゥーサン・ネシンバラに対する警戒。
2.自らやアサシンの情報についてはできるだけ隠匿したい。
3.アサシンへの警戒。
[備考]
ランサー(タケ)のパラメータ、陣営を確認しました。

【アサシン(明智光秀)@戦国BASARA】
[状態]正常、霊体化
[陣営]黒(地球)
[装備]『桜舞』
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:どんな手段を使ってでも勝ち残り、最後の殺戮を楽しむ。
1.ランサーとの戦いを中座され多少欲求不満。
[備考]


664 : 探す者、手繰る者 ◆ACfa2i33Dc :2015/03/11(水) 01:37:54 i6iAJaBI0

  ●


●余  :『不審な輩は見つかっておらぬようだな、軍師よ』
●未熟者:『まあ、魔術師なら妙な物を持ち込まなくてもその身一つで術式を行使できておかしくはないからね。そうでなくとも、魔術で一般人の目を誤魔化す方法程度は心得ているだろう。
 だから、この検査の趣旨としては、一般人寄りのマスターが危険物を持ち込むのをできるだけ阻止するのと、……後は、撒き餌に近いかな』
●余  :『撒き餌?』
●未熟者:『うん。聖杯戦争が始まってすぐに、抜き打ちの持ち物検査が行われた……となれば、マスターの関与を疑うのが普通だと思う。提案者が僕である事も、少し調べればわかる事だ』
●余  :『成る程な。そこで学園内にマスターがいるならば、何らかの行動を起こす筈、という事か』
●未熟者:『そうだね。この場合一番怖いのは暗殺だから、そこはセイバーに頼らせてもらうしかないかな』
●余  :『うむ! 存分に頼るがよいぞ!』
●未熟者:『期待しているよ。……サーヴァントの気配は感じるかい?』
●余  :『いや。暗殺者(アサシン)のように気配を絶っておるのか……そもそも居ないのか、どちらかはわからぬが、この近辺にはサーヴァントの気配はないな』
●未熟者:『了解。一応、警戒は続けてくれ』
●余  :『うむ!』


  ●


665 : 探す者、手繰る者 ◆ACfa2i33Dc :2015/03/11(水) 01:38:06 i6iAJaBI0


 †トゥーサン・ネシンバラ――日常風景


 つい先程までセイバーとの実況通神(チャット)を映していた表示枠(サインフレーム)を消すと、ネシンバラは一息を吐いた。

 現在ネシンバラのサーヴァントであるセイバーは、その特性(スキル)である『皇帝特権』で、『直感』の特性を取得している。
 その『直感』に引っかかる出来事があれば、それはすぐさまネシンバラの知るところとなるだろう。
 そうして発見した……あるいは接触してきたマスターと交渉するのが、ネシンバラの役目だ。

 ……交渉は本来、本多君の役割なんだけどなあ。

 だが、ここにいるのは自分と、そしてセイバーだ。
 ならばこの二人で問題に立ち向かわなければならない。
 幸い、交渉の材料はある。

 ……『聖杯戦争』に望んだ者全てが欲しがっていて、そして同時に僕が望んでいないモノ。

 聖杯だ。
 この聖杯大戦を戦争と置き換えるならば、戦争の後には必ずついて来るものがある。
 戦後の交渉だ。
 たとえ戦争が片方の陣営の完全な勝利で終わったとしても、その陣営の中で報酬や獲得した物の分配が必要となる。
 そして聖杯大戦において、それは聖杯一つしかない。
 である以上、戦後の交渉……あるいは決裂は避けられない。

 ……でも、僕は聖杯を望んでいない。

 聖杯を欲して争うマスター達の中で、しかしネシンバラは聖杯を必要としていない。
 それは他のマスターに対する交渉材料と成り得る。

 ……まあ、すんなりと信用されるかはわからないけどね。

 都合のいい話だ。素直に信用されるかどうかは疑わしい。
 だが、それでもこれは今の自分達に切れるカードの一つだ。
 勝利に近付くには、今切れるカードを着実に使っていくしかない。

 ……そして、僕が望むのはただの勝利じゃない。

 聖杯戦争に、出来るだけ多くの人間が救われる結末を。
 現状では、その結末に何が必要なのか、どれだけの困難があるのかもわかっていない。
 だからこそ、他のマスターの認識や願いを知り、望む結末に必要な道筋への足がかりとする。
 その為には、聖杯戦争に対する知識も必要だろう。
 ルーラーやその他聖杯戦争について詳しい主従と接触した際に、聞いてみる価値はある。

 そこまで仮方針を決定したところで、近くに生徒会長の姿を見かけてネシンバラは彼に近寄った。

「ああ、柳洞君。今のところ収穫は?」
「特筆するような物はないな。幾らか校則違反の品を取り上げた程度だ。……時にネシンバラ。その手袋はどうした?」

 生徒会長が、こちらが装着している手袋を指差し問いかけてくる。
 手袋自体は、ネシンバラが令呪を隠す為に用意しただけの、特筆する所はない品だ。
 ただし、あまり突っ込まれて隠している令呪の存在に気付かれれば面倒な事になるのは間違いない。
 だからネシンバラは、予め用意していた答えを放った。

「格好いいだろう?」
「……ああ、うむ……そうだな」

 微妙な顔をして、生徒会長は校門の方へと戻っていく。
 首を傾げながら、ネシンバラも同じく生徒会の業務へと移った。


【C-2/穂群原学園/一日目 早朝】

【トゥーサン・ネシンバラ@境界線上のホライゾン】
[状態]健康
[陣営]白(月)
[令呪]残り三画
[装備]学生服(穂群原学園)、ミチザネ、黒地のハーフフィンガーグローブ
[道具]学生鞄、各種学業用品
[所持金]それなり
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を、出来る限り面白い形で終結させる。
1.学園内部、あるいは周辺のマスターを警戒。接触できた場合は交渉する。
[備考]

【セイバー(ネロ・クラウディウス)@Fate/Extra】
[状態]正常、霊体化
[陣営]白(月)
[装備]隕鉄の鞴「原初の火(アエストゥス エストゥス)」
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:軍師(マスター)の命に従う。
1.直感のスキルを用いて周囲を警戒する。
[備考]


666 : 名無しさん :2015/03/11(水) 01:38:37 i6iAJaBI0
投下終了です。


667 : ◆yy7mpGr1KA :2015/03/11(水) 22:25:24 FEhTtKOY0
投下乙です
皇帝特権しかり、生徒会役員しかり地位を利用するってのは強いな…
そして学園で仄かに戦争の香りがしてきてどっきどきのワックワクですね

ジョセフ・ジョースター&天龍、B-9で予約したいと思います


668 : ◆yy7mpGr1KA :2015/03/11(水) 22:54:29 .0P26COA0
現在地を確認したらセレスとセッツァーが近所にいたのでそこも予約に加えます


669 : ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 18:52:51 wvXtv/0o0
投下します


670 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 18:54:18 wvXtv/0o0
日が昇って少ししか経っていない、まだうすら寒い朝方。
立派な日本家屋の玄関で大柄な白人男性が荷物を纏め出かけようとしていた。

『ジイさん、準備はいいんだな?』
『ああ。旅の支度は最低限に、現地で買い込むのが基本じゃよ』

ここは冬木の町中に再現された空条邸。
ジョセフ・ジョースターは仕事の休暇で娘の嫁ぎ先にオフで来ていることになっていた。
家の再現自体はほぼ完璧と言えた。
家主、空条貞夫はミュージシャンとして留守にしがちなところまで再現されておりしばらく帰ってこない。
ジョセフの孫、空条承太郎はここではアメリカに留学中なのだそうだ。
そして娘、ホリィ。彼女は冬木の空条邸に存在していた。存在してしまっていた。

これは本物ではない。
そう言い聞かせても、元気に振る舞う娘の姿には目頭が熱くなった。
これはNPCにすぎない。
そう分かっていても、彼女を戦闘に巻き込みかねない状況には耐え難かった。

(もうここに戻ることはない。わしが帰るべき家は……ここではないッ!)

偽りとはいえ娘を危険に巻き込むことはしない。
そして偽りの平穏に安んじるつもりもない。

仕事のために離れるとホリィには昨晩すでに伝えてある。
ジョースター不動産の社長としての地位、財産も再現されていたため働こうと思えば働くことも出来るが一応オフ。離れるための口実に過ぎない。
少なくとも聖杯戦争の期間中に仕事に苛まれることはないだろう。
ここからは聖杯戦争の、そしてそこから脱出するための時間だ。

玄関の戸をあけ、呼んでおいたタクシーに乗り込む。
スピードワゴン財団が存在していればそちらに頼りたいところだが、残念ながらそこまで恵まれてはいなかった。

「ホテルまで頼む。なるべく大きいところがいい」
「はい」

後部座席に軽い手荷物を持って乗り込む。
カメラに愛用の帽子、身分証や財布など最低限の物だけでトランクにしまう必要もない。
アーチャー、天龍も霊体化したままそれに続く。

『家に家族を残して戦場へ、か。本気が見えていいじゃんか。その覚悟にはオレも応えなきゃな!』
『少し落ち着いてくれ。まだすぐに戦いはじめると決まったわけじゃあない』
『わかってるよ、条例とかは詳しくねーけど戦争にだってルールはあるんだろ?ルーラーに余計な口挟まれたくはないしな』

周りの景色に目を配りながらも念話で言葉を交わす。
始めは違和感があったが、スタンドでの会話と思えば自然と慣れた。

『まずは改めて拠点の確保といく。戦場に赴く前の準備っていうのは必要になる。
 武装、食料、その他生活用品や医療用品といったものを保管し、なにより体を休める場所は重要だ』
『ん。オレも錨を下ろす場所は欲しいな。改修するにも落ち着いた港に入りたいとこだ』
『でかいホテルにしたのは人に会う為じゃな。すでに言ったが、わしの目的は脱出。それには情報と、場合によっては誰かの協力が必要になる。
 同じ陣営のマスターに会えれば同盟も組めるかもしれん。直接会えずとも人の流れの中にこそ情報はある』
『敵に会ったらオレの出番ってわけだ!っしゃあ!』
『……………………さて。拠点確保後、流れ次第では当て所なく彷徨うことになりかねん。コンパスは必要じゃ。
 船頭多くして船山に上るとも言う。方針を選んでもらうと思うから考えておいてくれ。
 一つは水上戦闘のために海や川を見に行き、その近くで戦闘ができるよう準備をする。
 もう一つは基礎能力の上昇のために資材確保に動くこと。幸い資金は潤沢じゃ。どちらに重きを置く?
 水辺に行くなら小回りの利く車がでも調達した方がいいじゃろうし、資材を確保するなら小型のトラックでも必要かもしれん』

車内で話を詰めていく。
万能の願望器を前にしてそれを求めない者と闘争のみを望む者。
二人の謙虚な、しかし本心からの願いを叶えるため。


671 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 18:55:42 wvXtv/0o0
◇ ◇ ◇

ホテルのシャワールーム。
一人の少女が体を清めている。

ザーっと音を立てながら彼女の肢体にお湯が降り注ぐ。
湯気がまるで纏わりつくように立ち込めて、まるでまだ夢の中にいるかのように、熱に浮かされる。
白い肌を水滴が伝い、黒い髪から泡が流れ落ちる。
それと共に夢うつつの感覚も、僅かに残った眠気も洗い流されていく。

キュッキュッ、とシャワーハンドルを捻りお湯を止める。
備え付けのバスタオルをとり、水気を丹念に拭う。
化粧水を付け、皮膚に浸透するのを待つ間に髪も拭き、ドライヤーで根元から乾かしていく。
3、4分もかけて乾かし、今度は美容液を塗布する。
そして下着、ゴシックロリータ、メイク、ウィッグと身に付けて鏡を覗けば

そこにいるのは『超高校級のギャンブラー』
安広多恵子は仮面(メイク)と鎧(ゴスロリ)と嘘を纏ってセレスティア・ルーデンベルクになる。
ここは命を懸けた聖杯戦争(ギャンブル)の会場なのだから、戦闘準備(ドレスコード)は万全に。

「済んだかい、レディ」

何度か見回りに出ていたアーチャーも戻ってきた。

「ええ。まずは朝食を済ませてしまいましょうか」

腹が減ってはなんとやら。
従者(サーヴァント)を引き連れ階下のレストランへ。


◇ ◇ ◇

「納得いきませんわ」
「そう膨れなさんな、レディ。旅だの戦場だのはそういうガマンを強いられる。河岸が変わればなおさらだ。
 アンタほどの貴女(ヒト)が押す逸品だ。俺もご相伴に与りたい、これはその絶好の機会を得たということ。
 つまり、この賭けは俺の勝ち、ということで呑んじゃあもらえないかね?」

食事を一応済ませ、レストランを出るセレス。
サーヴァントに食事は必要としないが、セレスは魔力潤沢とは言い難いため朝食を共にしていた。

「……なるほど。このレストランにロイヤルミルクティーが『ある』か『ない』か。
 昨日の時点で確認を怠ったのは確かにミスです。結果ここにロイヤルミルクティーはなかった。
 いいでしょう。『賭け』はわたくしの負けです。次の機会にはキチンとメニューを確認することにしましょう」

小声で怒りを抑えるように呟くセレスの様にはホテルの従業員も恐々としている。
さっきまで突っかかっていたのだから当然と言えば当然だ。
それでもその呟きの内容が耳に届いたか仄かに安心したような空気を醸し出す。
セレスの纏う空気も僅かに苛立ったものから大きく質を変える。


警戒心を露わにした緊迫したものに。


ホテルのロビーの前にいつの間にやらタクシーが止まっていた。
そこから降りてきた老紳士が扉をくぐり、フロントを歩み、セレスたちの前に立つ。

「初めまして、お若いレディ。わしはジョセフ・ジョースターという者じゃ。きみがマスターだね?」
「ボンジュール、ムシュー。そういうあなたも聖杯戦争の参加者。わたくしはセレスティア・ルーデンベルク、セレスと呼んでいただければ結構ですわ」

帽子を取り、胸にあてて礼をするジョセフ。
スカートをつまみ、小さく右脚を引いて屈むセレス。

「申し訳ないね、マスター。サーヴァントはお互いの気配が分かると言ってもそこまで長距離な訳じゃない。
 乗り物で来られちゃ、警告よりも邂逅の方が早い」

心底すまなそうな顔で佇むセッツァー。
考えあってとは言え不用意に姿を晒してしまったのも手痛い。
対するジョセフは一人。サーヴァントの気配はするが、姿は見せていない。
単独でセッツァーとわたり合う自信があるのか、人の多いここでは戦闘にならないと読んでか。
セレスの前にサーヴァントを見せ、陣営とステータスを晒すことはしない、大胆かつ慎重な采配に感心する。

「早速ですまんが…わしは聖杯なんざ必要ないのに呼び出されてしまってな。
 脱出のための情報と同士を探しておる。セレスさんとやら、生還のために協力してはもらえんか?」
「まあ、それは大変ですわね。わたくしも意図せず呼び出されてしまったのでお気持ちは分かりますわ。
 まったく『月の石』というのも勝手がきかないものですこと。
 ……ですがわたくしは、万能の願望器を前に手ぶらで帰るつもりはありません」
「無論願いを否定するつもりはない。だが相手を無理に倒す必要もない、という選択肢があればどうじゃ?
 君もわしと同じく偶然ここに来たというなら、脱出を望む者はもっといてもおかしくない。
 陣営をまたいだ同盟の可能性や、将来のライバルとなる者の減少というのは悪くないじゃろ?」


672 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 18:56:34 wvXtv/0o0

(ふむ……)

陣営をまたいだ同盟者。
戦闘に長けているとは言い難いためそれは魅力的ではある。
だが脱出という餌がなくとも、将来の内輪もめの可能性を考えれば交渉は可能。
また敵陣営と組んでは、寧ろ組しやすい同陣営内の味方に余計な軋轢を生む可能性大。
論破。

将来の競争者の減少。
都合よく消えてくれればよし。
だが彼に協力しては敵ではなく同盟者ばかりが脱出して不利になりかねない。
ある程度は敵味方共に損害を与えてくれなければ困るのだからやたらと脱出されるのも困りもの。
そもそも脱出の手段などあるのか?
この意見には同意しかねる。

「勝ち抜くことを考えた協力関係というならあなたが月の陣営でも一考しましょう。
 ですが方針の不一致は軋轢を生みます。その影響は命のかかった状況で僅かに、しかし確実に敗北へと歩を進めるでしょう。
 残念ですが今回は縁がなかったということで。そちらがすでに脱出に有用な情報を握っているなら…また話は別ですが」

交渉の余地はある、と含ませているがつれない態度で横を抜け部屋に戻ろうとする。
すれ違いざま表情を覗くと…案の定諦めてはいない。

そうだ、こちらは陣営とサーヴァントのステータスを晒した以上なにかリターンを得ねば。
ここからの脱出を考え、堂々と敵マスターと向き合う翁がこの程度で退くはずがない。少なくとも、超高校級の幸運ならコトダマをぶつけてくる。
さあ、どんな条件を提示する。



「賭け事(ギャンブル)は好きかね?セレスさん」



「…………なにをおっしゃているのでしょう?」

投げられたのは問い。
こうした条件ではどうか、という交渉ではなく趣味でも問うような的外れのもの。
しかし同時に明かしていない本質を突かれ、僅かとはいえ当惑する。

「このホテル、ティーンエイジの少女が止まるには手ごろとは言い難い。戦場で余計な散財は避けるもんじゃ。
 にもかかわらずあんたはここに泊まっている。ポケットの膨らみは部屋のキーじゃな。
 その宿泊客オンリーのレストランで朝食も済ませたようじゃな。そこで焼いてるベーコンエッグの匂いが髪からする。
 つまりこれくらいの宿泊料なら軽く払える金銭的な余裕がある。では裕福な令嬢か?
 いやぁ、それならここに家も再現されとるじゃろ。そこを出てここに泊るより金と人のある家の方が基本的には便利なはず。
 それにその恰好は確かにそれらしいが……それらしすぎる。日本人がニンジャ見たような気分と言えばいいのかね。イギリス貴族が見たら首を傾げるぞ。
 家の金以外にデカい稼ぎがある。ならそれはなんだ?
 体を売ってるようにゃ見えん。化粧の質が違うし、独特のオンナ臭さがない。
 その細腕に綺麗な爪じゃ殺しに慣れとるようでもなし。硝煙やクスリの気配もない。
 にもかかわらず、金があり、聖杯戦争なんて状況で平然としとる。
 それにその人さし指の洒落た指輪……パームにもスクィーズにも使えそうなイイもんじゃな。
 命も金も『賭け』るのは日常茶飯事かい、ミス・ルーデンベルク……いや、日本人の少女よ」

滔々とセレス、いや安広多恵子を分析してみせる。
最後に付け加えられた言葉にはひくり、と頬を引き攣らされた。

「…驚きが少々、感心も少し、残りははっきり言って気持ち悪いですね。ホームズにでもなったおつもり?
 確かにギャンブルはわたくしにとって日常ですが。だからと言って今ここでポーカーなどに『無意味』に時間をかけるつもりはありませんよ」
「なにもカードやコインだけがギャンブルじゃないさ。例えば……」

傍らのウォーターサーバーに向かい、置かれた紙コップの中を水でギリギリまで満たすと

「このコップの中の水があふれないように――」
「却下です。ゲームの内容を問うているのではなくその見返りを要求しているのですから」
「気難しいのォーッ」

コップの水をこぼれない程度にゴクリと一口飲みその後、はああーとやたら大きくため息をつくジョセフ。
呆れたいのはこっちだと言わんばかりのセレス。


673 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 18:57:21 wvXtv/0o0

「次にロビーに降りてくるのはどんなひとだと思うね?下らないがこれもまたギャンブル」
「ですから…」
「わしが勝ったら交渉のために時間を割いてほしい。負けたなら見返りとしてこちらも君たちのために時間を割こう。
 パシリにでも護衛にでも使うといい」

願いを聞け、ではなく交渉のテーブルにつけという些細な要求。
対価はまあそれなり。
ゲーム自体も賭けというほどのものでもないが手間も時間もさほどかからないという意味では手ごろか。

「どう思います?」
「さて、ね。面白そうだとは思うよ。俺なら乗るかな」

勝利という結果よりも過程を楽しむ傾向のあるサーヴァントではこの回答も当然か。
持ちかけられたゲームにそのまま挑むというのは警戒した方がいいとは思うが……
ロビーに入ってすぐのこの男が根回しをするのはまず無理だろう。
普通ならロビーに入る前に下準備をしていた可能性も考慮するが、サーヴァントの気配を今の今まで感じなかったのだからその可能性は薄い。
賭けの内容的に人を使わないならイカサマはまず無理。
万一負けたとしても失うものは大きくない……安っぽすぎてここにさらにレイズ要求はできそうにないのは少々口惜しいけれども。

(となると勝負すべき、ですね。時刻は…そろそろ本格的に人が起き始める頃合い。
 昨晩リネン室に入っていった従業員は確か女性が殆ど。そしてそれらしき人は今朝はまだ宿泊フロアでは見かけなかった。
 レストランは上階や地下にもいくつかある。そちらに宿泊客がいく可能性も考えるなら……)

「いいでしょう。『女性』の『従業員』に賭けます(ベットイン)」
「ほう、さすがやると決めたらやる、の。ではわしはそうじゃの〜」

手に持った水をまたくい、と一口煽り

「わしも『女性』じゃな。『左目に眼帯』して『帯刀』した、『スタイルグンバツ』の従業員でも宿泊客でもない者が来る」

やけに具体的な指定に判断を誤ったかと声を荒げようとした瞬間

「アーチャー様の登場だ!うっしゃぁっ!……おいジイさん、ホントにこれだけでいいのか!?
 奇襲作戦だってしつこく言うからずっと黙ってたがよ、なんか色々聞き逃せない事態になってた気がするぞ!」

現れたのは『左目に眼帯』をして『帯刀』した、『スタイルグンバツ』の、まだチェックインしてないので宿泊客ではない『女性』。
ジョセフのパートナーにしてアーチャーのサーヴァント、天龍。
今まで沈黙を守っていたのは、姿を露わさなかったのはこの一手のため……無論ジョセフのアドリブが大きいが。

「『賭け』はわしの勝ちじゃな」

セレスの目には天龍のステータスと陣営が―自身と異なる月の陣営に所属することまで―分かるにもかかわらずしれっと言ってのける。
仲間が入って来るのを予期どころか利用した、イカサマともいえない児戯。
それを目の当たりにしたセレスは顔を伏せ、肩を震わせ……


674 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 18:58:08 wvXtv/0o0

「ビアン…!目の前にわたくしのサーヴァントがいるにも関わらず一時とは言え己が従僕から距離を置くとは。
 実体化しない時点でそれなりのリスクを払っていたでしょう、にもかかわらずその大胆な駆け引き。
 結果、こちらにステータスと陣営を晒すちっぽけな礼儀も好感を覚えます…!
 ステータスが予想以上、いえ以下なのは残念ですが」

そういって踵を返そうとするが

「おいおい、適当言って逃げるのか!?ビビってんのか?」
「あら、待ても出来ないのですか?僕のしつけはキチンとしないと主人の品格が問われますよ、ムッシュ・ジョースター?」
「っんだとぉ!」
「こらこらよさないか二人とも」

天龍に挑発され煽りかえす、それをジョセフが呆れながらも止めに入る。
セレスも改めて向き直り、きちんと『待て』をした己が従僕(サーヴァント)にポケットのキーを投げてよこす。

「代わりにあなたがとってきてください。デックとチップ、それにキャッシュもね」
「アイアイ、マム」

部屋の鍵を受け取り指示に従い部屋に向かう。
そして今度はセレスが単身、敵の前に堂々と向き合う。
そして場所を僅かに移し、ロビー待合室のテーブルの一角を占拠し手招き。

「『交渉』を始めましょう。わたくしに賭けで勝てばそちらの協力要請を受けましょう。負けたらこちらに今後いくつか情報提供をしてもらいます」
「……結局ゲームは続行、か。こちらが新しい条件を出しても気は変わらんかね?」
「そちらにこれ以上切れる手札もないでしょう?ご安心を。あなたはすでにCランク、もしもう少し若ければBランクも考えたお人です。無為に優秀な手駒を捨て駒にはしません。
 それにすでに釣り合わない対価で一度は負けた身、にもかかわらず理不尽な要求を改めて突き付けるほど恥知らずではありません。
 ただ、それも含めて今日は少々負けがこんでいまして……そろそろあなたほどの人を負かして、蹂躙して、地べたを舐めさせたいと思っただけですから」

伏せられた手札、サーヴァントは見た。
未だ序盤、価値ある情報を握ってもいまい。
金銭には不足していない。あって困るものではないのだから、少し稼がせてもらうつもりだが。

この勝負の目的は、ただ勝つことだ。

「さぁ、賭け狂いましょう……『ブラックジャック』は当然御存じですよね?」

美しい笑みを浮かべる。とても扇情的で、威嚇的なものを。
相手が従って当然と考えている、女王のような笑みで、獲物を前に舌舐めずりをする、百獣の王のような笑み。

『おい、もしかしてオレの出番これだけか?戦えるわけじゃないのか?』
『すまんがそうなるな。安心せい、わしはギャンブルなら恐らく君より強い。餅は餅屋じゃ、ここは任せてくれ』

すわ戦闘開始かと構えていたのにどうやら自分の出番ではないらしいとむくれる天龍。
正直待機というのはごめんなのだが、ブラックジャックが得意とは言えないし、待機命令も聞かずに勝手に戦場に出るなど軍属としてあるまじきこと。
先に釘を刺されたのもありしぶしぶ勝負の場をジョセフに譲る。

「もちろん知っとるとも。だがブラックジャックにはほぼ必勝法が決まっておる。駆け引きが少なく面白くないのではないかね?」
「その通りです。ただのブラックジャックでは決まりきった動きになって面白味が薄い。
 そこで二枚のジョーカーを加えましょう。赤はオールマイティー、黒は強制スタンドというのはいかが?
 それにチップのやり取りを加えれば十分駆け引きの要素は加えられるでしょう」
「…ひょっとして金賭けんのォ!?」

この小娘調子乗ってんじゃねーの、と意外とは思わないまでもまさかな提案に仰天。
肝心の小娘は涼しい顔だ。

「うふふ。レートは円?それともドルかユーロになさいます?」
「……言っても聞かなそうじゃのぉ。ってかユーロってどこの通貨じゃよ……そもそもこの街円以外使えるのかの?
 円にするざるを得んじゃろ。最低限しか賭けんぞ」

話の最中に場を離れていたセッツァーが帰還する。
その手に大きなアタッシュケース、それにカードデッキとチップケースを持っている。
セレスがそのチップの中からいくつか取出し

「白を五千、青を一万、黄を十万、赤を百万としましょう。ミニマムは青一枚、白は端数計算用です。天井は…」
「十枚がいいとこじゃろ」
「…仕方ありませんね」


675 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 18:58:32 wvXtv/0o0

(あのケース全部賭けで稼いだ札束なら大したもんじゃが、チップを過多に見せるブラフかもしれん。
 実力を見くびるつもりはないが、さすがにこの子から金毟るわけにもいかんじゃろ。そこそこに勝って賭け金は受け取らないか、飯とかホテル代でも奢ればいいじゃろ)
(まあ稼ぎはモノのついで。なかなかいい身なりをしていますがここにどれだけ財産があるかは分かりませんし。
 それよりも、今回は勝つことの方が重要ですから。負けっぱなしはごめんなので)

「そのカードでやる気かね?すまんがそこまでは信用できんぞ。配るのも無関係の者に任せたい」
「ゲームには同意しておいてそれはないでしょう」
「そこの売店にトランプくらいあるじゃろ」
「はぁ〜、わかりました。ではわたくしが人を捕まえておくのであなたが買ってきてください。まったく、黒服の立会人でも呼べればいいのですが」

呆れ気味に息をつきぞんざいに手を振る。
これ以上カードを買っても意味はないし、パシリなどゴメンだと。
ロビーに降りてきた従業員に声をかけ、用事を述べる。
当然色よい返事は得られないがカッと眼を見開き威圧的にもうひと押し。
従業員は助けを求めるようにフロントを見るが他の皆は一様に目を合わせない。
先のレストランでのひと騒動が尾を引いているというかなんというか、明日にでもこのホテルではロイヤルミルクティーが常備されるかもしれない。
そんなドナドナが聞こえてきそうな場景を背に、まだ僅かに中身の残った紙コップを置いて売店へ行き目的のものをささっと買ってくるジョセフ。

「…安っぽい。しかも紙のカードですか」
「ジョーカーは赤と黒で入っとる。ゲームには問題ないじゃろ…ところでその指輪、ゲーム開始前に外してもらえんかね」
「まるで猫のシェフですね、わたくしを食べてしまいそう。構いませんがそちらも手袋をとって頂けます?」
「五十年ほど前の闘いでの名誉の負傷でね。右は構わんが左は許してもらいたい」
「まあ、これは失礼しました」

指輪を外すセレス。
機械の義手を一時見せ、そちらにだけ手袋をはめなおすジョセフ。
その手でセキュリティーシールを裂き、中のカードを広げる。
新品なので当然スーツの数字順に並んでおり、合計54枚。日本ならどこにでもあるトランプだ。
それを二人軽く混ぜてからランダムにめくる。

「クラブのQ」
「ダイヤのK……では先にプレイヤーをどうぞ、ムッシュ・ジョースター」
「残念」

改めてそれらをデックに収め、従業員に渡してシャッフルさせる。

「ではルールを詰めましょうか。ディーラーのソフト17はどうします?」
「……ヒットにしようか。わしの行ったカジノは大抵そうじゃった」
「ではそのように。ブラックジャックは1.5倍、プレイヤーカードはオープンフェイス、レイトサレンダーで構いませんね?」
「問題ない」
「お好きなプレミアムはありますか?」
「ピュアブラックジャック、スリーセブンにシックス、セブンアンダーあたりを」
「ナチュラルとスリーセブンは3倍、シックスアンダーは4倍、セブンは、そうですね…7倍あたりでどうでしょう?」
「セブンアンダーに10倍くれ。他は構わん」
「好きなのですね。ではクイーンジャックを3倍、シックスカーズとセブンカーズを5倍、15倍で加えても?」
「うむ」
「ペアベットはなさいますか?」
「いちいち面倒じゃ。なしなし」

概ね決まった。そこでシャッフルを止めさせテーブル中央にデッキを置かせる。

「カットをしてもかまわんね?」
「…そこまで疑わなくてもわざわざ彼女に仕込みなどしてませんよ。お好きにどうぞ」

「「OK!OPEN THE GAME!」」

ブラックジャック!
カードの合計点数を21点にするか、21点により近くした人が勝ちになるゲーム。
点数はAが1点または11点(どちらが都合のいい方にすることができる)、J、Q、Kが10点、その他(2〜10)は数字通りの点数。
Aと10点のカードで「ブラックジャック」となる。「ブラックジャック」は3枚以上のカードで21点になったハンドに勝つ。
今回は特別ルールとして赤のジョーカーをオールマイティカード、黒のジョーカーを強制スタンドとする。
カジノで行われるギャンブルの多くは最終的にディーラー…胴元が統計的に有利になっている。
しかしブラックジャックは最適な行動をとることによりディーラーの優位をおおいに縮小することが出来るゲームなのだ。
今回は1対1のゲームのためディーラーは1ゲームごとに交代で行う。


676 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 18:59:56 wvXtv/0o0


まずはセレスがディーラー。
ジョセフが青チップを一枚置く。

「控え目ですね。様子見ですか?ではNo more bet」

カードが配られる。
セレスのオープンカードはハートのA。
プレイヤーのジョセフのカードはクラブのKとダイヤの2。

「『インシュランス』は…いい。『ヒット』」

テーブルを二度叩き、追加のカードを要求する。新たなカードはスペードの6。

「『スタンド』」
「私はこの時点で『スタンド』。セットはダイヤの6。ソフト17ですね」

二人とも手のひらを下に向け左右に振る。
そしてセレスは青のチップを一枚差し出し、次のゲームへ。

次はジョセフがディーラーでセレスがプレイヤー。
セレスは青を三枚賭ける。
ジョセフのオープンカード、クラブの5に対し、セレスはスペードとダイヤの8。

「『スプリット』」

二枚の8を指さす。そして賭けたチップと同額を上乗せし、カードを二手に分岐。
新たなカードを引く。スペードの4とダイヤの10。

「ふむ…ダブル、いえ『ヒット』。これで『スタンド』」

片方はダイヤの8、スペードの4、7と連ね19点、もう一つはスペードの8とダイヤの10で18点。

「『ヒット』…もう一度『ヒット』。『バスト』、今度はわしの負けじゃな」

ジョセフは追加で二枚引き、その結果手札を明かす。
順にクラブの5、クラブの2、スペードの5、スペードのK。
二つのカードへの負け分を渡すジョセフ。

(ふうん、本格的なブラックジャックはこんな感じなのか。
 『ヒット』で追加、いらないなら『スタンド』。ディーラーは一定以上の数、多分17になるまでヒットしなきゃいけなくて逆にそうなったらスタンドしなきゃいけない。
 スプリットは…同じカードが二枚きたら分けられんのかな。インシュランスってのはなんだろ)

乗組員もたまにカード遊びをしていたがここまで本格的だったかは定かでない。
やっぱりこれはしゃしゃり出なくてよかったか、と思う天龍。

そして次のゲーム。
ジョセフはダイヤのQとスペードの10で即座にスタンド。チップは大きく青十枚相当の黄色を一つ。
対するセレスのオープンカードはクラブの6。一度だけヒットを宣言。
セットカードはダイヤの7で、追加カードはハートのKでバスト。
チップがジョセフへ大きく移動する。

しかしセレスもまた次のゲームで黄色のチップを張る。
ジョセフのオープンはクラブのジャック。
対するセレスはハートの5と6。

「ふう…『ダブルダウン』」

再びチップを同額上乗せしそれを指さす。
新たに引いたカードはスペードのQ。

「イイ引きじゃな。わしは『スタンド』。クラブの7じゃ」

今度はセレスが大きく勝つ。

ネクストゲーム。
ジョセフが敵サーヴァントにちらりと目線をやったのちに青を一枚だけ賭ける。
配られたカードはクラブの9ダイヤの3、セレスのオープンはクラブの10。
ジョセフが『サレンダー』、賭け分の半分を払って勝負を降りると、セレスは称賛の声と共にセットをめくる。
そこにあったのはダイヤのK。

そして次のゲーム。
チップは控えめに三枚。
セレスのカードはスペードのAとハートのJ。ブラックジャックだ。
対するジョセフのカードはクラブの8とハートの9。ディーラーであるため強制スタンド。

「運がねえな、おい」

ぼやく天龍。
手札がばれるような発言は慎んできたが、結末が分かりきっているからか口に出てしまう。
さすがにそれを咎めることはジョセフもしない。
対するセレスは

「運がない?そんなことはありませんよ。だって……『ヒット』」

コンコン、と机を叩き追加のカードを要求する。

「なんじゃと!?ブラックジャックなのになぜヒットする!?」
「21を超えた場合、『バスト』となりますが…まだ私の手札は21を『超えて』いません……『ヒット』は…当然の権利でしょう」

そう、当然のことのように言ってのける。
ルール上の問題はない……それだけ確認すると、新たなカードを受け取る。そのカードは……

「黒のジョーカー、強制スタンド。カードが3枚であるためブラックジャックではありません。
 ああ、もしこれがナンバーカードだったら『ヒット』なんてせずに、ブラックジャックでしたのに……
 それにこれでピュアブラックジャックの可能性も消えてしまいました。まったく『幸運』でしたね、あなた方は」
「……Oh my god. なぜそれがジョーカーだとわかった?」


677 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 19:00:35 wvXtv/0o0

デッキに触れた様子もない。
ガンも通しもない。
イカサマではないはずだ。なら、どうやって…?
彼女か、あるいはサーヴァントの能力か?

「ギャンブラーとしての直勘といいますか、女のカンといいますか。なにか、ここは『ヒット』すべきという予感がしましたので」

ここでジョーカーを引いてこなければ、これは次のゲームで自分の一枚目。
つまり、次のセレスは最大でAを引いての11点で強制スタンド。結果だけを見るならまさしく最善の一手。

「NEXT GAMEです。Please your bet」

(技術的なイカサマはないと断言できる。
 ならば本当にカンか、証明しようのない能力か。
 いずれにしろ抗議しても水掛け論にしかならん……)
『ちなみに魔力は感じなかったぜ。サーヴァントの方も妙な動きもしていないと思う』

苦い顔をするジョセフに情報を提供。
賭け金が小さかったのが不幸中の幸いか。だからこそセレスもヒットしたのだろうが。
そしてジョセフもこれはイカサマではないと感じていた。
青のチップを一枚だけ投げ次のゲームに移る。

「あら?それだけですか?『運』はそちらに回っていると思いますよ」

くすり、と笑いジョセフを煽る。

(落ち着け……今はハイカードの方が出やすい。ディーラーが有利。彼女もそれをカウントしてわかっているはずだ)
「青、一枚じゃ」
「そうですか。No more bet」

だがこの負けで流れを失ったかジョセフには苦境が続いた。
セレスのオープン、クラブの3に対してジョセフはダイヤの4とハートの10。
二度ヒットしてクラブのAと4を引き込み19点とするも、セレスは一度だけ『ヒット』、セットしていたハートの8と引いてきたダイヤのJを見せチップを奪う。
その勢いでセレスは天井いっぱいにチップを賭ける。
そして見事にダイヤのAとスペードのJで『ブラックジャック』。
対してジョセフはダイヤの9に『ヒット』してきたスペードの3と9、セットしたスペードの2も含めて『バスト』、及ばない勝負が続く。

そしてデッキも残り少なくなった終盤のゲーム。
チップは6枚置かれている。
ディーラー、セレスのオープンカードはハートのQ。
ジョセフのカードはハートの7とダイヤの5。
カードとセレスをねめつけ、ジョセフが重い口を開く。

「一つ確認したいんじゃが……赤のジョーカーは『オールマイティ』じゃったな」
「ええ。もし私のセットカードがジョーカーなら『ブラックジャック』です。ああ、『インシュランス』ですか?10カードですし、認めてさしあげてもいいですよ」
「いや、そうじゃあない。わしは先ほど君に『ブラックジャック』の状態での『ヒット』を認めた……見返りと言っては何じゃが、聞いてもらいたいことがある」
「なんでしょう?」

最後のあがき?
枚数的にこれが恐らくラストゲーム。
どんな条件を要求してくるのか。
対するジョセフは置かれていた水をとり、一瞬おいてから呷り言葉を放つ。

「このターンわしが引いたジョーカーを『0』として扱いたい」
「『0』、ですか」


678 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 19:01:08 wvXtv/0o0

(見えていないカードはジョーカーと…10カードが一枚。それから2、3、4の三枚。これらのうち一つがわたくしのセット。
 もし10がセットにあるならこのターン彼は確実に21が成り立つ。しかしなければ『バスト』の可能性有。
 しかしジョーカーを0として扱い残りのカードが全てローカードなら『シックスカーズ』、配当は五倍。リスクもリターンもそれなり)

それを狙ってのギャンブルか。はたまたそれを確信しての

(イカサマ…?このセットカード、もしくはデッキの残りを完全に把握している?
 最初のシャッフルで彼はジョーカーには触れていないからガンは難しい。シャッフル中はルールを詰めていてデックの確認はしていなかった。
 …しくじりましたね。10カードの括りでカウントしていたから残りの一つが何だったか正確には思い出せない。そちらには何らかのガンがきいている可能性は否定できない)

とはいえ傷や匂い、マークなどの可能性はまずない。
『超高校級のギャンブラー』と『ギャンブラーの英霊』を前にそうした単純なイカサマが通じるわけがない。
むしろ警戒するのは

(魔術、透視、読心、未来視などわたくし達の感知・対処できない異能。少しでもその影響を減らそうと行動選択肢が少なく、またその優位も薄いブラックジャックを提案しました。
 定石を乱すためジョーカーの投入もしましたが……
 アベレージでは勝ててもここぞという場面で活用されれば手痛い。現に今その可能性に悩まされている)

セットカードを確認すれば可能性は絞れる。
ディーラーのターンまで確認しないのがマナーだし、また確認しても意味がない。
だが逆を言えば確認しても進行上の問題はない。特殊な質問を投げてきたこの状況、確認しても文句は出まい。
だがそれが狙いかもしれないのだ。
単純に瞳に映るカードを覗くという技法もある。読心によりセットを把握しようとしているのかもしれない。
義手を明かしたのはわざとだろうか?時折セッツァーや指輪の方を気にするような素振りをしているのはミスディレクション?あのサーヴァントを利用する可能性もある?

(落ち着きなさい。無為に分かりもしない異能の可能性など想定したところでドツボに嵌るだけ。
 見るべきは現状、信じるべきは勝負師のカン。許可した場合としない場合、どちらが有利?)

見えていないカードは五枚。内訳は2、3、4、10、ジョーカー。
こちらのオープンはQで得点は10。現時点では『バスト』の可能性がおよそ30%。彼の引き次第で変遷するが『スタンド』選択するには一考する数字。
彼の得点は12。定石ならヒットだが20%の確率で初手、二手目なら48%、シックスカーズを狙うなら80%『バスト』。
異能への拭えない不安はあるが、技術的なイカサマはないと直感が告げている。
チップの移動、サレンダーやインシュランスの可能性も考えると……

「いいでしょう。ラストゲーム、華やかにお願いしますよ」


679 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 19:02:13 wvXtv/0o0
「それでは…『ヒット』」

テーブルを二度叩くジョセフ。
今までと同様にセットカードを検めようとはしないセレス。
そしてジョセフの引き当てたカードは……

「『ジョーカー』!宣言通りわしはこれを『0』点とするッ!そしてさらに『ヒット』!」

追加のカードを要求……ハートの2。
続けてヒット……ハートの3。
さらに……ハートの4。

「カードが6枚、合計は21点。プレミアム、『シックスカーズ』で5倍付じゃ」

高らかに宣言。
セレスのセットカードはクラブのQでスタンド。
デックも使い切りゲームは終了となる。

「おめでとうございます。最後に見事なプレミアムで……賭けは、わたくしの勝利ですね」

だが、チップの移り変わりはセレスが+4.5。
華々しい一打も心臓に届く刃にはならなかった。

「負け分はそちらの方にチップとして支払っておいてください。
 このホテルに泊まるのですよね?今後何度かこちらから情報を求めるでしょう。
 あなたの手の内について知りたくはありますが……教えてはくださらないでしょうし」

そう言ってチップを纏め、指輪を嵌めなおし席を立つ。
ここに留まっていればまた話す機会はある、と言い残しつつ。

「一応言っておきますとあくまでそれだけの仲。今後の展開次第で敵対しても恨まないでくださいね。
 ですがもし有用な情報を手に入れたり、手を組みたくなったというなら……改めて『交渉』も『勝負』もお受けいたしますから。
 ……ああ、そうそう。忘れるところでした。いくつか聞きたいことがあったんでした。ムッシュ・ジョースター、希望ヶ峰学園をご存知ですか?」

立ち去ろうとしていたがふと思い出したように問いを投げる。
希望ヶ峰学園……覚えのない単語に天龍にも目くばせするが首を横に振る。日本で有名なところというわけでもないのか?

「いや、すまんが知らんな」
「そうですか。それでは十神財閥は?」
「それも知らん。日本では有名なのか?」
「まあ多少の知名度はある、といったところでしょうか。では最後に……『モノクマ』を知っていますか?」
「モノクマぁ?なんじゃそりゃ、シロクマの親戚か何かか?」
「いえ、ご存じないなら結構です。それでは、機会があればまたいずれ」

ちょこん、とスカートをつまみ軽くしゃがむ。
礼をしたら即座にその場を去る。
あちらから聞きたいこともあるかもしれないが、勝ったのはこっちなのだから好きにさせてもらう。
ロビーを出て、本来の予定通りに動こうと昨日暴れた跡地にまずは向かう。
アーチャーもアタッシュケースを持って続く。


680 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 19:02:35 wvXtv/0o0

(ユーロを知らない。十神財閥や希望ヶ峰学園も。念のため確認したがモノクマも知らない。
 モノクマに関しては嘘を言うメリットも考え得るし、実際に知らない可能性も大。希望ヶ峰学園を知らない外国人もいるかもしれない。
 しかしあの十神財閥やましてやユーロを知らないなど、まず在り得ない。虚言としてもそれを口にする意味がまずない。
 義手の技術もあそこまで進んでいるか、詳しくはないけれど少なくともどこにでもあるようなモノではない)

「アーチャー、あなたを含めわたくしとは異なる平行世界の英霊も召喚されることがあるのですよね?」
「ああ。とはいえ英霊に関しちゃある程度は『座』の知識で分かるし、その端末で調べれば問題はない、だろ」
「マスターが平行世界の存在である可能性はありますか?」
「さてな。コインの表裏なら当ててみせるが、材料とかを聞かれても専門外だ。端的にいえば、俺にはさっぱりわからない」
「なるほど。それから…そう、『今考えていることの逆が正解、しかしそれは大きなミステイク』でしたわね」
「? ああ」

あの男は私とは異なる平行世界の存在。
だが、『常識』で考えればそんなことはありえない。
しかし、この聖杯戦争でちっぽけな常識など通用しない。

「最後のゲーム、どう思いますか?」
「ただのチートじゃないね、何をやらかしたのやら。最後に残ったカードがハートの2、3、4の連番と赤のジョーカー。
 セットカードのクラブのQは最初のビッグオアスモールで触れたカード。仕込がないって言われて信じるやつはギャンブルには向いてない」
「『異能』による、イカサマ。まあ終わったことですし今更潔くない真似はしませんが」

(他のマスターがアーチャーの常識でも測れない平行世界の異能者の可能性がある……一応頭の片隅にとどめておくべきですね。拳銃では仕留められない怪物もいるかもしれません。
 彼の能力を聞いたところで誤魔化されるでしょうし、今は窓口程度にとどめておくべきでしょう。こちらも戦力が足りません)

超常の力に自分より馴染みのあるアーチャーの意見がそうならまず確実。
方針にも否はないらしいが

「そうそう、少しばかり見直したというか、読み違えたというか。最後の勝負は安定した勝ちを狙うなら要求は突っぱねるべきだった。
 あの方がスリルのある勝負になるから、俺好みではあるけど、ね」

どうにも少しずれている気がする。さほど大きなものではないが。
……別にああした方が得られる金額の期待値が大きかっただけだ。短期戦では負けたがブラックジャックとはそういうもの。金額としてはちゃんと勝った。

「まあいいです。気を取り直して予定通りに動きましょう。
 人手を確保して情報収集。それが済んだらわたくしたちも車の確保を。
 感知外からの急速な接近、逃亡手段というのは持っておいて損はないでしょう」


【B-9/新都・ホテル前/1日目 早朝】

【セレスティア・ルーデンベルク@ダンガンロンパ 絶望の学園と希望の高校生】
[状態]健康
[陣営]黒(地球)
[令呪]残り三画
[装備]特に無し
[道具]携帯端末、札束の詰まったアタッシェケース
[所持金]非常に多い
[思考・状況]
基本行動方針:最終的に、自分だけが聖杯を得られるように立ち回り、勝ち残る。
1.情報屋、拳銃に車、或いは他にも役立ちそうなモノを調達する。
2.今日は高校は休む。
3.ジョセフは情報窓口や交渉相手としては使えそう。戦力としては未定。
4.余裕があったら今度こそロイヤルミルクティーを置いてる店も探す。

[備考]
※月海原学園の生徒です。
※現在ホテルに住居を取っていますが、他に住居があるのかは不明です。
※ジョセフ、アーチャー(天龍)を確認しました。パラメータと陣営を把握、ジョセフは何らかの異能者と予想しています。
※マスターにも平行世界の存在がいて、常識や技能、科学技術が大きく異なることを警戒しています。

【アーチャー(セッツァー・ギャッビアーニ)@ファイナルファンタジーVI】
[状態]健康
[陣営]黒(地球)
[装備]カード
[道具]特に無し
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れ、夢を叶える。
1.セレスに付き添って行動する。サーヴァントとの接触は味方陣営でないならばなるべく避ける。

[備考]
※ジョセフ、アーチャー(天龍)を確認しました。ジョセフは何らかの異能者と予想しています。
※セレスが就寝中にホテル周囲を見回っていました。
 何らかの異変に気付いていたけれどまだ報告していないだけかもしれませんし、特に何も気づいていないかもしれません。


681 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 19:03:27 wvXtv/0o0



◇ ◇ ◇

立ち去るセレスを見送り、負け分をチップとしてカードを配らせていた従業員に渡そうとする……が固辞される。
当然と言えば当然だが、後でセレスに何か言われても面倒なのでルームサービスでも適当に頼むから部屋預かりにしておいてくれ、ということに。
そのままばっくれればチップと変わらないしそれでいいだろう。
時間になったらチェックインするから預かっていてくれ、ということで従業員に持たせ、仕事に戻らせる。

「まあ、なんだ。負けはしたが最後のは悪くなかったぜ」
「一手及ばなかったの。中盤の負けがこみ過ぎた」
「あれは狙った手なのか?」
「無論じゃ。仕込は他にもいろいろしてたが機能はしなかったの」
「へえ……どんな策があったのか聴かせろよ」

敵陣営のマスターとわたり合ったのは大したものだ。
しかし年の功というかあの少女との経験の差を考えればそのくらいはできてほしい。
水面下でどんなことを考え実行していたのか、この男を計りたい。

「まず一つ、単純にもう一つ同じトランプを買ってある。すりかえを考えたが、さすがにできなかったの。
 あっちのサーヴァントの方も結構な、おそらくギャンブラーのサーヴァント」

両手から茨と共にばらばらとカードが出てくる。
義手での扱いはぎこちないが、右手での扱いは巧みなものだった。
最初にやったようにカードをスーツごとに並べる。

「こうして広げた際にクラブのQ、K、ハートのA、2、3、4と並んでいるな?これを『波紋』でくっつけた。
 紙のトランプは繊維質じゃからな、通常カジノやマジックで用いられるプラスチックのカードより摩擦や繊維の絡みでくっつきやすい。
 さらに汲んできたコップの水で少し手が湿っていたからの。くっつきやすく、また『波紋』も維持できるようにした。
 紙のトランプは折り目が付きやすいため、ガンカードにならないようリフルシャッフルは敬遠されるから解かれる心配も薄い。
 それにデッキを触れば位置が分かるよう、ハートのAは少しずらして固定しておいた。最初の大小でQを選び、その後のカットでKとAをトップへ、他のローカードをボトムへ移すためにな」
「へえ、その意は?」
「KとAを一枚固定している以上Qを上回るカードはかなり少ない。先手はディーラーの方が有利じゃからできればとりたかったがそこまで固執するものでもないからQを提示。
 KやAを見せるよりはサマの気配が薄い……ばれとるじゃろうしディーラーも取られちまったが、そのゲームはプレイヤーで勝ったから結果オーライ。
 そしてブラックジャックというのはカードの残り枚数、次に出る得点の期待値で勝負する要素が大きい。一般的にハイカードが多ければディーラー有利、少なければプレイヤー有利と言われる。
 特にわしのサマで初手のディーラーの一枚はA固定じゃ。10は他のカードより多いから警戒したわ。
 その後もボトムにローカードが固まっとるのを知ってれば情報量で有利。賭けどころは間違えなかったしラストでプレミアムを狙うよう枚数調整して動きはしたが……」

少々表情をゆがめ苦々しげに語るジョセフ。

「あの黒のジョーカー、マックスベットでのブラックジャックやダブルダウンでの21。
 ……それにロビーに降りてくる者の賭けを覚えとるか?そしてさっきまでカードを配っていた従業員は?
 紙コップの『波紋』で近くに人がいないことを確認して提案した賭けじゃったが、あの後来たのは彼女の予想通り女性従業員じゃった。
 『ツキ』では完全に負けていた……小細工でくらいついただけじゃ」

思えば肝心なところは承太郎に頼りきりだったエジプトへの旅。
老兵はもはや去りゆくのが運命か、と弱々しく呟く。

「……最後の最後、ジョーカーがあったのも、最初にくっつけたクラブのQがまた出たのも仕込みか?」
「いや、あれは偶然じゃ」
「ふうん。Qはともかくそこにジョーカーがない可能性もある、賭けだったと?」
「いや、あの段階ではジョーカーだと分かっていた。コップの水面にセットカードを念写してあれだと確認していたからの」
「そうかよ。それなら、胸を張っていい」

ギラリと隻眼を光らせ、ジョセフの正面に立つ。


682 : 賭ケグルイ ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 19:04:07 wvXtv/0o0

「策は完璧じゃなかったってのは何となく分かった。でも明確にヘマやった初手でも勝ったんだろ?
 必勝法は外さずにいったんだろ?最後の最後まで人事を尽くしたんだろ?
 人事を尽くしたら、天命はあそこにジョーカーを置いてくれたんだ。
 それにQがあったせいであいつら、そこも策だと思ってるかもしれない……いや、それがきっかけで疑われたかもしれないのか。
 と、とにかくあそこまでの追い上げをやったのは大した腕と天運だ。負け分を減らした局地的な勝ちも、最後に提案を呑ませた駆け引きも見事な『戦い』だったよ。
 勝たなきゃ意味がないって言う奴もいるかもしれないけど、戦争には負け方ってやつがある。
 船が沈む時でも諦めず乗組員の被害を減らせる提督は、いい提督だ。
 ……諦めるやつよりも、戦ってないやつよりも、な」
 
最後には彼女もまた悔しそうに声を漏らす。
だがその実力を認め、己には為せない駆け引きをなせる男だと司令塔の端くれとして実感する。

「その知略になら、判断になら命を預けられる。立派な提督になれるよ。
 だからオレを兵器として思う存分に戦わせてくれ……マスター」
「…よしてくれ、提督なんて柄じゃない。他の用事とかこの腕を理由に兵役もフケとるんじゃよ、嬢ちゃん」
「戦いでの名誉の負傷、なんだろ?そういう嘘つくタマには見えないな。
 あと嬢ちゃんとか老兵は去りゆくのみなんて戯言はよせ。これでも年上なんだぜ、マスター?」
「…………やれやれ、じゃな」

シャッポを脱いでいたのが、妙に口惜しくなった。

(やはり放っとけんのォ〜。案外気の利くとこあるじゃあないか。
 ……マスターの交代やら脱出のことやら改めてルーラーに確認もせねば。
 やることは多い、こんなとこでへこんでる暇はないな)




【B-9/新都・ホテル/1日目 早朝】

【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険(第3部)】
[状態]健康
[陣営]白(月)
[令呪]残り三画(右手の甲に存在。二つの茨が絡み付く星の形状)
[装備]義手
[道具]携帯端末、カメラ、最低限の旅支度(義手の整備用具、キャッシュカードなど他)、トランプ×2
[所持金]大富豪級
[思考・状況]
基本行動方針:脱出し、娘の待つ家に帰る。
1.とりあえずホテルの部屋をとる。
2.脱出のための情報や仲間を集める。陣営に拘るつもりはない。
3.天龍の意見しだいで川や海の確認、もしくは資材の確保。
4.マスター交代や聖杯についてルーラーに確認したい。
5.機会があれば改めてセレスとの情報交換も考える。

[備考]
※B-9近くのどこかに空条邸@ジョジョの奇妙な冒険 が再現されています。そこに休暇で来ている設定ですが戻るつもりはありません。
 具体的な場所は後続の方にお任せします。またSPW財団は再現されていませんでした。
※セレス、アーチャー(セッツァー)を確認しました。パラメータと陣営を把握、セレスは偽名で日本人と看破。


【アーチャー(天龍)@艦隊これくしょん】
[状態]健康
[陣営]白(月)
[装備]刀
[道具]特に無し
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:マスターの指揮の下、存分に闘う。
1.とりあえずジョセフに従う。
2.水場に行くか、資材調達か考えておく。

[備考]
※帯刀していますがNPCは特にそのことに触れていません。
 怖がって聞けないのか、気付いていないのか、仕様なのかは後続の方にお任せします。


683 : ◆yy7mpGr1KA :2015/03/18(水) 19:06:47 wvXtv/0o0
投下終了です。
誤字等指摘あればお願いします。
ただブラックジャックでカードダブってたよ、とかはご容赦ください。
チェックはしましたが、それでもミスがあったら調整は正直つらいので、そういうエラーデッキだったと思ってください……
もしそうだったらセレスもジョセフもそれを戦術に取り込もうとしただけです、きっと


684 : 名無しさん :2015/03/19(木) 00:26:53 jztUTxKUO
投下お疲れ様です
まさかのギャンブル対決……!
剛運のセレスと細かい技が光るジョセフで違いがよくわかって素晴らしい
凄い作品でした


685 : 名無しさん :2015/04/05(日) 13:52:55 qtC6y/1w0
投下乙です
ギャンブル対決! ギャンブラー組の活躍を誤魔化すことなく描いていて、展開も波紋を取り込むなどひねりが効いていて面白かったです


686 : ◆yy7mpGr1KA :2015/04/06(月) 14:20:43 UHY.eWkg0
話の大筋に変化はありませんが、少々ゲームの流れがおかしいところがwikiであったので修正してきました。
一部内容が変わっているので一応報告をば。
どれと収録してくださった方に感謝を、ありがとうございました。


687 : ◆ACfa2i33Dc :2015/05/24(日) 20:10:33 Hop9f2qM0
セブルス・スネイプ&セイバー
鹿目まどか&バランサー
神長香子&アサシン
トゥーサン・ネシンバラ&セイバー
で予約します


688 : ◆ACfa2i33Dc :2015/05/31(日) 21:43:31 AFzr2ihoO
予約を延長します


689 : ◆ACfa2i33Dc :2015/06/20(土) 03:52:58 eiIYQjn20
まだ予定の分量を全て書き上げていないのですが、あまりにも期限を超過しすぎているためキリのいいところで投下します。
申し訳ございません。


690 : searching... ◆ACfa2i33Dc :2015/06/20(土) 03:54:07 eiIYQjn20

 1:


 ――暗い。
 窓を閉め切られた室内には、月の光すら射しこまない。壁に備え付けられたランプのみが、この部屋の照明。
 そして、そのランプの光に、セブルス・スネイプの影が照らされていた。
 ここはスネイプが事前に幾つか用意していた、冬木市内の『隠れ家』の一つ。
 初戦の後、連戦を嫌ったスネイプは手近な隠れ家へと身を隠していた。

「……ふむ」

 その目で見ているのは、掌の中の携帯端末だ。
 魔法の世界で生きてきたスネイプにとって、マグルの科学技術によって作られた携帯端末は馴染みのないモノだった。
 が、聖杯に与えられた知識とここ数日間での慣れもあり、ぎこちなくも意図する操作を行えるようにはなっていた。
 スネイプの指が携帯端末の液晶を滑り、それに応じて端末が反応を返す。
 画面に映し出されているのは、この冬木市の市街地図だった。

「で、どうするん?」

 スネイプの背後。実体化したセイバー・市丸ギンが、端末の画面を覗き込みながら問う。
 先程は聖杯戦争の序盤ゆえに各個撃破を狙い攻めに出たが、スネイプとセイバーの取れる選択肢は単純な攻めだけではない。
 いやむしろ、その真価は搦め手にこそある。
 “気配遮断”に相当する特性(スキル)を持つギンの気配を探ることは、並大抵のサーヴァントには難しい。
 そしてスネイプの使える魔術を駆使すれば、マスターの痕跡さえもほぼ消し去ることができる。
 故に、『その気になった』スネイプとセイバーを他人が追う事は非常に困難だ。

「ボクとしては、マスターはお仕事に行かずに聖杯戦争に専念するのも手やと思うんやけどね」

 聖杯戦争の参加者達が未覚醒であった頃にムーンセルから与えられた、聖杯戦争における表の役割(ロール)。
 マスターとして覚醒して尚彼らがNPCであった時と同じようにそれを遂行する大きな理由の一つが、聖杯戦争における自分の正体の隠蔽だ。
 ならば。それをせずとも尻尾を掴まれる事がなければ、役割をこなす必要性はない。

「……いや。仕事は行うつもりだ」
「へぇ、そりゃどういうつもりで?」
「気にかかることがあるのだ」

 スネイプが携帯端末の画面に映された地図を指差す。
 まずは西、学校を示す標へ。

「これが穂群原学園だ」
「マスターのお勤めしてるところやね」

 この聖杯戦争においてスネイプに割り当てられた配役は、穂群原学園の化学教師。
 ホグワーツの魔法薬学を教えていたスネイプのことを考えれば、当たらずとも遠からずといったところか。
 それはさておいて、続けてスネイプの指は地図の北を指し示す。
 指差した先は、先程と同じ学校を示す標だ。

「そして、ここに月海原学園がある」
「ふむ?」
「マグルの学舎の事情はよくはわからないが、距離が近すぎるとは思わないか」
「ああ、なるほどな」

 冬木の河を隔てて西の深山町に穂群原学園、東の新都に月海原学園。
 それほど大きな都市でもない冬木に、普通ならばこの規模の学校は二つも必要ではない。

「これがムーンセルの配慮によるものだとすれば、学校に関連する素性を持つマスターはそれなりの数がいると考えられる」
「一つの学校にマスターが集まりすぎないように、学校を二つ作ったって考えてるちゅうわけやね」
「そうだ。故に、教師として探りを入れる機会があるならば逃したくない」
「そんなら異論はあらへんよ、気配を絶っておけばボクん方は誤魔化せるしな。気配の察知も任しとき。霊圧探るくらいならわけない」

 スネイプの懸念と提案を、セイバーは肯定する。
 その反応を確認した後、スネイプは寝台へ向かった。

「ならば仮眠を取った後、穂群原学園へと向かう。セイバー、仮眠の間は見張りを頼む」
「任されようか」


691 : searching... ◆ACfa2i33Dc :2015/06/20(土) 03:54:35 eiIYQjn20

 2:


 鹿目まどかが通う穂群原学園は、幾つもの登り坂を上がった、さらにその上にある。

「他は文句ないんだけどさ。この登り坂地獄だけはどーにかなんないかなー」
「まあまあ。こういうのも風情はあっていいじゃない? 確かにちょっと、大変だけれど」

 そんな風にさやかが愚痴ったり、マミがいさめたりするのを聞きながら。
 三人は、最後の登り坂を上がって校門前まで辿り着く。
 通い慣れた/見知らぬ 通学路。けれどこの日三人の目に飛び込んだのは、普段とは違う人混みだった。

「……何があったのかしら?」

 校門前。普段ならば生徒達が素通りしていくそこは、しかし今は二つの流れを作りながら混雑していた。
 一つは何事もなく抜けてゆく列。そのほとんどが、中等部の制服を着ている。
 そしてもう一つが、せき止められる流れ。高等部の制服を着た生徒達は、門の前で一度呼び止められ、鞄を検められている。

「えーと……持ち物検査、かな?」
「んー、ちょっと聞いてくる」

 戸惑うまどかとマミを置き去りに、さやかが校門前の人混みの列まで走っていく。
 迷いなく列の中の一人に声をかけて。数分後、さやかは生徒に頭を下げてからこちらに戻ってきた。

「んー、やっぱり持ち物検査みたい。高等部対象に抜き打ちだって」
「抜き打ち? 高等部はテストが近いみたいだし、そういう関係かしら……。でも、今まで抜き打ちの持ち物検査なんて聞いたこともなかったけど」

 報告して来るさやかと疑問顔のマミの姿を見ながら、まどかは考える。
 聖杯戦争が始まってすぐの、前例のない持ち物検査。

(……もしかして、聖杯戦争と関係があるのかな?)

『そうかもね』

 思考を読み取ったのか、あるいはまどかの挙動から察したのか。
 バランサーの念話が、突然まどかの思考に波紋を作る。

『……バランサー?』
『サーヴァントの気配がするわ』
『……そう、なんだ』

 学校に、サーヴァントがいる。それはつまり、この学校にマスターがいるかもしれない、ということ。
 聖杯戦争。それは日常の影に潜む戦い。たとえそれが日常の象徴である学校であっても、その例外ではない。
 それを改めて、まどかは実感する。

『バランサー。サーヴァントがどこにいるか、わかるかな?』
『そこまではわかんないわね。……あと、多分今“見られてる”わよ』
『……えっ?』

 ――見られている。誰に? 聖杯戦争の参加者?
 ――なんで? 気付かれた?

 混乱がまどかの頭を覆う。
 思わず頭を振り、周囲に怪しい人物がいないか確認してしまう。

『そんなに慌てない。余計怪しいでしょうが』

「……どうかしたの、鹿目さん?」
「あ、だ、大丈夫です。ちょっと虫が近くにいたから慌てちゃって」
「なんだとー? あたしのまどかに手を出すなんてふてぇ虫だ! 今度見つけたら成敗してやる!」

 突然の行動に訝しがるさやかとマミへと言い訳しながら。
 まどかは、バランサーとの念話を続ける。

『……ごめん。でも、見られてるって……誰に? どこから?』
『その辺はわからないわね。でも、こっちの存在を……見てるってほど正確かはわからないけど、感じてる奴がいるのは確かよ』
『それは、なんでわかるの?』
『勘よ』
『か、カン?』
『勘。……なにか文句あるの?』

 勘。普通なら、ふざけているのかと思ってしまうような理由。

『ううん、……信じる』

 しかしまどかは、それを信じることに決めた。
 歴戦の英霊の勘。それはきっと、まどかが考えるよりも重いもの。だったら、それを信じなければ始まらない。

『そ。一応、あんたが授業受けてる間に探っておくわ。あと、危険になったらすぐに呼ぶこと』
『うん、わかった』

 念話が切れる。同時に、傍にいたバランサーの気配が遠ざかっていくのを、まどかは感じた。
 少し先を行っているさやかとマミを、小走りに追いかける。

 戦いの時は近い。
 だから今はまだ、許されるうちは。

 ――この日常に浸っていたい。
 ――忘れないために。


692 : searching... ◆ACfa2i33Dc :2015/06/20(土) 03:54:53 eiIYQjn20
3:


『マスターの読みは当たりやね。サーヴァントの気配、確かに感じるわ』

 朝の職員室は、授業の準備を行う教師達の慌ただしい気配で混み合っている。
 その中で、一人机に就き静かに準備を行うスネイプは、むしろ喧騒の中では際立って見えた。

 ――もっとも。本人に言わせれば、教師としての準備が足りないのだ、ということになるだろうが。

『……何騎だ?』
『今のとこ感じられてるのは二騎。ボクみたいに気配絶ってる奴がいるかもしれんから、断言はできんけどな』

 セイバー、市丸ギン。
 死神。
 故に魂を――霊圧を探る能力は、他のサーヴァントに比較して高い。
 それこそ、魂そのものであるサーヴァント相手ならば。気配を意図して絶っていない限り、探知するのはそう難しいことではなかった。

『それと、ちょっと気になる霊圧を感じるんやけど』
『ふむ?』
『他のサーヴァントとは違う、特徴的な霊圧……ボクらに近いかな。そういう気配や』

 死神であるセイバーに近い霊圧。
 それはつまり、

『……死神か?』
『多分違うかな。こんな霊圧は感じたコトあらへん。たとえ死神だったとして、ボクとは違う時代の死神や。
 ……どっちかというと、霊に関係する力を持つサーヴァントってとこやと思うけどな』
『ふむ。……探せるか?』
『いけるかな。特徴的な分、他のサーヴァントよりも探すのに手間はかからんと思うわ』
『ならば探せ』

 セイバーと同質の力を持つ存在。
 敵であるならば、思わぬところで足を掬われることになる可能性もある。
 スネイプとしては、早めに存在を把握――あるいは、排除しておきたい。

『了解。仕掛けよか?』
『……いや。目立ちそうならば、観察に留めろ。仕掛けるならば、生徒や教師の目が他を向いている授業中が良い』
『わかった』

 念話越しにセイバーの気配が遠ざかるのを感じながら、スネイプは机から立ち上がった。
 授業の時間だ。


693 : searching... ◆ACfa2i33Dc :2015/06/20(土) 03:55:21 eiIYQjn20
【C-2/穂群原学園/一日目 早朝】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[陣営]黒(地球)
[令呪]残り3画
[装備]制服
[道具]指定鞄
[所持金]大体中学生のおこづかい程度
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れる
1.授業を受ける。
2.学園内のマスターを警戒。
3.同陣営と合流したい。
4.敵陣営に見つかった場合はB-2周辺から離れる。
[備考]
※穂群原学園中等部の生徒です。
※自宅はB-2の住宅街にあります。
※学園内にマスターがいる可能性を考慮しています。

【バランサー(博麗霊夢)@東方Project】
[状態]霊体化
[陣営]黒(地球)
[装備]サーヴァントの装備
[道具]
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯大戦という異変を解決させる
1.まどかが授業を受けている間、こちらを見ていたサーヴァント(セイバー:市丸ギン)を探す。
2.ルーラーへ聖杯に関する事情を問い詰めたい。
3.同陣営との合流。
[備考]
※ムーンセルへ冬木の聖杯を混入させた第三者の考察をしました。
 考察に過ぎないので事実であるかは不明です。
※セイバー(市丸ギン)に己の霊力を感知されたのを、『見られた』という感覚で察知しています。
 具体的にどこの誰からどのように見られたかまではまだわかっていません。


【セブルス・スネイプ@ハリー・ポッターシリーズ】
[状態]魔力消費1割以下
[陣営]月(白)
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]杖、外出鞄
[所持金]そこそこ裕福
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。聖杯の力で蘇り、闇の帝王の魂を全て消し去る
1.校内の主従を探る。
2.2組ものサーヴァントを相手にするつもりはない。セイバー(呉島貴虎)達は放置する。
3.セイバーのマスター(雅緋)らの持つ、未知の戦闘技術への興味と警戒。
[備考]
セイバー(呉島貴虎)の宝具を確認しました。

【セイバー(市丸ギン)@BLEACH】
[状態]健康
[陣営]月(白)
[装備]なし
[道具]斬魄刀
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。聖杯の力で藍染を殺す
1.校内の『死神に似た気配を持つサーヴァント』(バランサー:博麗霊夢)を探す。
2.学校内で戦う場合はできるだけ授業中に行う。また、目立つ戦いは避ける。
3.『神殺槍』の能力を明かしたくない。真名看破の危険性には、極力気を使う。
[備考]
セイバー(呉島貴虎)の宝具を確認しました。
バランサー(博麗霊夢)の持つ霊力を、『死神とよく似た霊圧』という認識で感知しています。


694 : ◆ACfa2i33Dc :2015/06/20(土) 03:55:40 eiIYQjn20
以上で投下終了です。


695 : ◆ACfa2i33Dc :2015/09/03(木) 20:34:34 kJeJ6mDEO
長らく間を開けて申し訳ありません。
直枝理樹&キャスターで予約します。


696 : 名無しさん :2015/09/03(木) 21:09:38 zLOnJoms0
おお、予約が
ご自分のペースでゆるりとやられてください


697 : ◆ACfa2i33Dc :2015/10/29(木) 04:45:48 e8zt1UIQ0
長い間を空けて申し訳ありません。
お待たせした期間には程遠い量ですが、投下します。


698 : ◆ACfa2i33Dc :2015/10/29(木) 04:46:06 e8zt1UIQ0

 柳洞寺。
 深山町の外れ、円蔵山の中腹に建つ五十人からなる修行僧が生活する山寺である。

 その山門前。石段の最上より、キャスター、ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルムは、冬木の街を見下ろしていた。

「こうしてみると、とんでもなく平和で平凡な街よね」

 彼女が高台から見渡す冬木の街は、早朝の静けさに包まれ、身動きもしない。
 あと数十分もすれば、起き出した人々によって街は目を覚まし、その営みを始めるだろうが、それもまた聖杯戦争のざわめきからは程遠い。
 しかし確実に、聖杯戦争は、この街で始まっている。故にルサルカは、この異国の街に呼ばれたのだから。

(……またこの島国、っていうのは業腹だけどね)

 彼女のマスターである直枝理樹は、この寺に住む修行僧たちに付き添われ、寺の離れの中で眠りについている。
 魔術暗示によって彼らは理樹を"柳洞寺の跡取りである柳洞一成の親戚"と思いこみ、そして『家を火事で焼き出された』理樹を寺で保護しているということになっているのだ。
 無論、魔術暗示をかけたのも、理樹を運びこんだのも、あまつさえ火事を起こしたのもルサルカである。火事については、万一にもルーラーに警告されないようにNPCに被害を出さない注意はしたが。

 このような芝居を打ってまでルサルカが柳洞寺に入り込もうとしたのは、ひとえに柳洞寺という土地の特異性が大きい。

 柳洞寺はこの冬木の霊脈の要所。
 ここを押さえ陣地にするということは、供給される魔力において大きなアドバンテージを得ることに等しい。
 さらに柳洞寺に張られた"結界"は、正門の石段以外からのサーヴァントや霊体の侵入を阻む。
 こと聖杯戦争においては、まさに柳洞寺は城塞に等しい。
 無論それ故に他のサーヴァントに目を付けられる事態も考えられるが、ルサルカからすればそのような危険を冒してでも柳洞寺を手に入れる価値はあると踏んでいた。

 もしも敵陣営のキャスターにこの要所が敵陣営の陣地とされるようなことがあれば、こちらの陣営は著しく不利となる。
 無論、それは逆も然り。
 だからこそ現在ルサルカに必要なのは、柳洞寺を守る衛視である。
 同じ陣営のサーヴァントを引き込み、前衛にすることができれば守備は十分に盤石だろうが、今現在のルサルカにはそのサーヴァントの居場所の情報がない。
 魔術による使い魔と、暗示をかけた柳洞寺の関係者を街に放ってはいるが、今のところ成果はなしのつぶてだ。

 とはいえ、聖杯戦争の開始の号令があってそれほど時間も経っていない以上、それ自体は仕方のないことではあった。
 当のルサルカも、今のところはそこまで切迫して問題視はしていない。いくら敵の存在を感知しようと、白昼堂々とNPCが住んでいる人寺に攻め込んでくるような輩などそうそういる筈もないと考えているし、いざとなれば一般人を盾にするなりしてもよい、と高をくくっていた。
 今のところ考えたい問題は、それよりも別のところにある。


699 : ◆ACfa2i33Dc :2015/10/29(木) 04:46:59 e8zt1UIQ0

(満足な陣地を刻むにはまだ魔力が足りなかったから、試しに一人"食べて"みたけど……)

 そこでようやくルサルカは、自らの足下に転がり、今まさに0と1に分解されていく肉塊に目を向けた。

 魂喰い。
 その犠牲となった被害者は、最近円蔵山の周辺に住みつき柳洞寺から食料品などを盗んでいた浮浪者だった。
 柳洞寺に住む人間が行方不明になれば、柳洞寺に隠れることは難しくなる。
 それを危惧していたルサルカにとって、いなくなっても誰も騒ぐことのない浮浪者は、都合のよい生贄に他ならない。

(ま、それは置いておくとして。……気のせいじゃないわよね。この浮浪者の魂を喰った瞬間、わたしの魂の総量が"増えた")

 サーヴァントでなかった頃の、生前のルサルカ・シュヴェーゲリンも、人の魂を喰らう存在、その類型であった。
 ならばこそわかる。魔力ではなく、自らの魂が、確かに人間一人分肥大化したことが。

 ムーンセルに召喚されたサーヴァントというのはつまり、ムーンセルの計算領域(メモリ)を占めて再現された存在。
 偽りの冬木に生きるNPCも同じく、ムーンセルのメモリを利用して存在している。
 それを魂喰いするということは、NPCが使っていたメモリをサーヴァントに取りこむということだ。
 そして"英霊の座"の本体の再現であるサーヴァントを『再現する』容量が増すということはつまり、NPCを喰らう度に、サーヴァントはその本体の霊格へと近付いていく。
 無論英霊の具現であるサーヴァントと、単なる人間を模しただけのNPCではデータ使用量にも大きな違いがある。
 NPCの一人や二人、あるいは十人も喰らったところで、大した強化にはならないだろう。
 ならば、それ以上の数を喰らえば?

 可能性はある。だが、それはルーラーに禁止されている。

(……大がかりな魂食いの禁止っていうのは、むしろそっちを阻止する方がメインなのかしら)

 先ほどの理論が正しければ。
 NPCを魂喰らいし続ければ、そのサーヴァントは本来決められた枠よりも強大に成長することができる。
 強く。そう、聖杯戦争の枠組みを破壊しかねないほどに。

 実際にそれが可能かはともかく、ルーラーが禁止する理由としては十分に過ぎる、とルサルカには思われた。

(だとしても、これを利用しない手はないわ。上手くルーラーや同陣営のサーヴァントを出し抜ければ、わたしが聖杯を手に入れるための大きなアドバンテージになる)

 聖杯大戦が終わった時。その時生きていた同陣営が、仲良く聖杯を分け合うことができるとなどと、ルサルカは信じていない。
 『その時』が来た時のために、ルサルカには元仲間を『引き摺り落とす』ための切り札が必要なのだ。

(そう。わたしは今度こそ、不老不死を手に入れてみせる)

 サーヴァント。英霊の座に座する、ある種永遠の存在。
 そして聖杯。生前求めた不老不死は、此度こそルサルカの手の届く場所にある。

 数百年と、そして現世での死を経てもなお燃え上がる渇望を抱えて、ルサルカの姿は山門の中へと戻っていった。


700 : ◆ACfa2i33Dc :2015/10/29(木) 04:47:18 e8zt1UIQ0
【B-1/柳洞寺/一日目 早朝】

【直枝理樹@リトルバスターズ!】
[状態]健康、睡眠中?
[陣営]白
[令呪]残り三画
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:―――。
1.―――。
[備考]
キャスター(ルサルカ)の暗示によって、柳洞寺の僧たちに『柳洞一成の親戚である』と思い込まれています。

【キャスター(ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム)@Dies irae-Amantes amentes-】
[状態]通常、陣地作成中
[陣営]白
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れ、不死の永遠をこの手に。
1.柳洞寺に陣地を築く。
2.味方陣営のサーアヴァントと合流したい。
3.『魂喰いの副次作用』に興味。
[備考]
魂喰いによって『自らの霊格を上げることができる』ことに気がつきました。


701 : ◆ACfa2i33Dc :2015/10/29(木) 04:48:44 e8zt1UIQ0
投下終了です

全員の登場話を終えたため、次の投下は放送の予定です

また、放送と同時に、『ルールの一部変更』と『参加者の追加』を行う予定です
ご了承ください


702 : 名無しさん :2015/10/29(木) 22:55:17 AgwTtahA0
投下乙です
ルサルカが感づいた、魂食いの先にあるものか…その辺が明らかになっていけばこの聖杯戦争の局面も大きく動きそうだ
そして次回放送に追加枠!楽しみにしてます


703 : ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 05:35:06 QvKl512U0
投下します


704 : ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 05:35:25 QvKl512U0

 正午。聖杯大戦、その全ての参加者たちの懐の中で、端末は甲高い電子音を響かせた。
 聖杯、その管理者からの定時報告。その一回目。

 聖杯を手に入れんと野望する者も、逆に聖杯を破壊しようと反抗する者も、あるいは未だに立ち位置を決めていない者の元にも。
 等しく、その報告は届けられた。


『現在ムーンセル内に各陣営11組、全22の主従を確認。
 "聖杯大戦"の開始を確認。
 同時に現時刻より各陣営のみに開示される掲示板を生成。各自の端末からアクセス可能』

 業務的な、たった三行の文章。
 それが聖杯大戦の参加者たちには、戦争への徴兵令のようにも感じられた。
 いや。事実、これは彼らへの《聖杯戦争》への徴兵に他ならなかったのだが。



   ◆


705 : First material ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 05:36:24 QvKl512U0


「全部で22組、ですか。存外に多いですね。
 事前に頭に入っていた説明から考えれば、14……多くても16組だと思っていましたが」

 太陽が中天に登る時刻であろうと、それでもなお昏い場所はある。
 例えば。冬木郊外の森の中、チンピラたちが根城にする廃墟であるとか。

「俺みたいな亡霊以下が呼び出されるんだ。イレギュラーなんて、最初から起こっていると見るべきだよマスター」

 あるいは、昏く思えるのは。
 死の気配が、深く纏わりついているからか。

 普段其処此処を根城にしていた無頼漢達の姿は、最早この場には存在し得ない。
 彼らがこの世に残した痕跡は、廃墟の壁や床の赤黒い染み、そして広間、その中央に敷かれた、"染みと同じ液体で描かれた幾何学模様の陣"、それだけだ。

「ウォーミングアップには丁度いい運動だったよ。おまけに後処理までやってくれるなんてサーヴィスがいい」
「こちらとしても目的はありましたのでね。容量は屑石ですが、賢者の石が手に入ればこの先の動きにも幅が出ます」

 此処に居るのは、二人の死人。
 人造人間に取り込まれ、賢者の石、人の魂から生まれ、人の怨嗟の声という"情報"の中へと消えていく運命にあった錬金術師。
 あるいは一夜の夢、人の噂という"情報"から生まれた殺人鬼。

 ゾルフ・J・キンブリーと、そのサーヴァント、七夜志貴であった。

「しかし掲示板とは。この情報端末とやらもですが、文明が進歩すると便利なモノもあったものですね。
 これだけの通信設備があれば、聖杯戦争の関係のない、現実の戦争でも大層役に立つでしょう」
「実際、元は戦争で生み出された技術の転用らしいよ? 俺が習ったわけじゃないがね」

 割れたガラス、欠けた石壁から野外の空気が入ってくる。
 しかしそれでも血腥い臭いが色濃く残る室内で、殺人鬼の主従は事もなげに世間話に興じる。

「成程。この世界の法則にも、ある程度の興味はありますが……やはりそのような横道に逸れている時間はなさそうですね」
「当然。さてどうするマスター? 好きにやれとは言われたが」

 この"通達"を境に、間違いなく戦争は激化する。
 彼らには、その確信があるのだ。ならば、それに乗り遅れるわけにはいかない。

「ふむ、そうですね……まずは、この聖杯戦争の参加者と会ってみたい。この戦争に放り込まれた彼らが、何を考え、目的とするのか知ってみたい。貴方には、いくらか我慢を強いるかもしれませんが」
「それくらいなら構わないさ。雇い主の趣味に合わせられないくらい、無理解な従者じゃないつもりでね。それに――最後はやるんだろ?」

 風を切る音と共に、七夜が手にした短刀を弄ぶように空に振る。
 刃に滴っていた血液が飛び散り、幾らかキンブリーが顔を顰めさせた。

「ええ。この聖杯戦争に参加した者達がどのような信念を持ち、そしてそれを貫けるのか。そして聖杯は最後に何を選ぶのか。同じように、貴方にも貴方らしく動いてもらわなければ。
 ……それと、そういう真似は控えてもらえますか? 一応このスーツは気に入っていましてね。返り血がつくと気分がよくないのですよ」
「おっと、そりゃ失礼マスター。
 ……しかし、マスター……マスターね。まさか二度もマスターができるとは思わなかった」
「おや、以前にもサーヴァントをやったことが?」
「そういうわけじゃないさ、夢みたいなもんだ。
 ……しかしおかしな身の上だな。まさか俺が英霊とは。こんな殺人鬼、亡霊もいいところだろうに」

 なにかを思い出すような眼で、七夜は自嘲の笑みを浮かべる。
 キンブリーはその様子を見、帽子を目深に被り直してから今まで座っていた椅子から立ち上がった。

「なに、亡霊と言えば私も似たようなものです」

「だからこそ、今度は趣味に走るとしましょう。ねえ?」


   ◆


706 : First material ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 05:36:50 QvKl512U0

      ***


 ――夢の始まりは、その背中だった。


      ***


707 : First material ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 05:39:09 QvKl512U0

 掌の中で電子音を鳴らす端末を、二、三の操作で黙らせて、男は溜息を吐いた。

「ファック。失敗した」

 男は魔術師だった。魔術師達の学舎、時計塔の講師。
 その"特殊な来歴"から、彼は、偶然耳に入った月の聖杯戦争の噂を調査しようと、月の石を知り合いの伝手で取り寄せ、自らの手元置いた。
 それがいけなかったのだ。
 届いてすぐに、他の者の手で管理させるべきだった。
 願いを持つ者を月へと呼び寄せる。その効力を正しく理解していなかった。
 いや――あるいは、理解していて、心の底では望んでしまっていたのか。
 あの王と、再び出会う事を。

「……くだらないな」

 結論から言えば、その目論見を内心で男が持っていたとしても、これは失敗したと言う他ない。
 召喚された英霊は弓兵《アーチャー》。何の因縁か、かの王を打ち倒した英雄王と同じクラス。
 結局、男はあのライダーに出会うことは叶わなかった。
 夢想の代償は、再びの聖杯戦争。今度も生きて帰れる保証はない。
 だが、生きて帰らなければならない。約束を守るために。

「随分と不満気な顔だな、マスター。
 ――まあ、こんな英霊くずれを召喚したとなれば仕方がないか」

 傍らに待機していた英霊が、皮肉気に語りかけてくる。
 ――召喚されて早々に、「出番のない事を望んでいたのだが」などと言って来たサーヴァントだ。皮肉は性分らしい。

「そういうつもりはない。君とはいい関係でいたいからな。
 ……それよりもだ。本当に聖杯は必要ないのか?」
「理由はマスターが言ったと思うが? 黒の陣営の聖杯が汚染されている可能性があるならば、それを使おうとするサーヴァントなどそうはいまい。
 聖杯の魔力のみを抽出し、直接願望を実現できるレベルのキャスターならばともかくだが、私はそういったサーヴァントではないのでね。
 一応魔術は嗜んでいるが、余技程度に過ぎん。得意分野以外では、マスターと大して差はあるまい」
「……それは皮肉か? いや、話を逸らすな。何故私の話をそうもすんなりと信じるんだ?
 虚偽の可能性について考えないのは何故だ?」
「嘘を言ったとして、マスターが得をするわけではあるまい。
 敵陣営の聖杯が汚染されている、という虚報ならば意味があるが、しかし味方陣営の聖杯が汚染されているなどと嘘を吐いても味方の士気を下げるだけだ」

 アーチャーの理屈は、筋は通っている。
 だが、同時に妙な違和感を男は覚えた。
 言うなれば、"答えを予め知っている問題"に対して、もっともらしい答えを返しているような。

(……考えすぎか?
 どちらにせよ、聖杯が汚染されていること自体は納得しているのだから深く突っ込むまでもないか……?)

 その不審さに、突っ込むべきか、あるいはそっとしておくべきか。
 考え込む男の耳に、

「しかしイスカンダル、か。
 かの征服王の元マスターがマスターとは、光栄と言っていいものか」

 不意打ちじみて、アーチャーの言葉が飛び込んだ。

「……なんだと?」
「失敬。おそらくは休息時に、パスからマスターの記憶が流れ込んだらしい。
 ほんの一部、それこそかの征服王にまつわる記憶だけだが」
「……あまり品のいい所業ではないな、アーチャー」
「見たくて見たわけではないのだがね」
「だとしてもだ。わざわざ人の記憶に口を出されるのは、正直いい気分ではない」
「それは失礼した」

 悪びれる様子もなく、肩を竦めるアーチャー。
 その様子が気に障ったからか。
 ――あるいは、記憶の裡に触れられたからか。
 つい、踏み込んでしまった。

「あの二騎の裁定者《ルーラー》。因縁のある英霊か、アーチャー」

 二騎の裁定者《ルーラー》の英霊。彼女たち自体は、男も見たことがある。
 選定の剣を抜いた、ブリテンの騎士王。
 男が第四次聖杯戦争で戦うこともあった、セイバーのサーヴァント。
 その側面が彼女たちだ。
 ――あれを見た時、アーチャーは明らかに動揺した。
 この赤い弓兵に、かの英霊とどのような因縁があるというのか。

「……いや、そんなことはないさ」

 しかしアーチャーは、その疑問を一言で否定した。
 嘘だ、と男は直感する。理由のない、しかし確信。

「……そうか」

 けれど男は、それに触れるのを避けた。
 その傷を抉れば、きっと自らにも返ってくる。そう理解できたから。


708 : First material ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 05:39:22 QvKl512U0

      ***


 かつて喚んだ英霊に憧れた、それが始まり。

 ウェイバー・ベルベット。それがかつての男の名で、
 ■■■■■■。それがかつての彼の名。

 そして、その憧れた背中を追った者。

 ロード・エルメロイII世。それが今の男の名で、
 無銘。それが彼の名だった。


709 : First material ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 05:39:40 QvKl512U0

---

【クラス】
 アーチャー
【真名】
 無銘
【パラメーター】
 筋力D 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運E 宝具E-〜A++
【属性】
 中立・中庸
【クラススキル】
対魔力:D
 一工程による魔術を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
単独行動:B
 マスターからの魔力供給が無くなったとしても現界していられる能力。
【保有スキル】
心眼(真):B
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
千里眼:C
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
魔術:C-
 オーソドックスな魔術を習得。
 得意なカテゴリは不明。
【宝具】
 無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)
 ランク:E-〜A++ 種別:対人宝具 レンジ:30〜60 最大補足:???
 錬鉄の固有結界。
 一度目視した剣を登録し複製することができる。
【weapon】
干将・莫耶
赤原猟犬(フルンディング)
偽・螺旋剣(カラドボルグII)
熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)
永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)

 自身の投影魔術によって模倣した武具の数々を使用する。
【人物背景】
無銘の正義の味方。
【サーヴァントとしての願い】???



【マスター】ロード・エルメロイII世@Fateシリーズ
【参加方法】月の石を取り寄せ、それに引かれて月へと召喚された。
【マスターとしての願い】ない。あるいは――
【weapon】簡易魔術礼装である葉巻
【能力・技能】
魔術師としての腕は平凡。
しかし、その講師としての才能は非凡極まるものである。
【人物背景】
かつて征服王の背中に誓いを立てた、現代にただ一人の彼の家臣。
【方針】
聖杯の調査。


710 : First material ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 05:41:14 QvKl512U0
投下を終了します。

というわけで、
◆LvHaBDkQwQ氏の【キンブリー&七夜志貴】、
自作の【ロード・エルメロイII世&無銘】を新規に追加します。

また、ルール変更についてですが、
・セイバーリリィのステータスをFate/GOに準ずるものに変更
・サーヴァントを撃破された後のマスターに関するルールを下記に変更
サーヴァントを撃破されたマスターは、その後もムーンセルに残ります。その際にマスターのいないサーヴァントと出会った場合は再契約が可能です。ただし、聖杯戦争終了後にサーヴァントのいないマスターがどうなるかは不明です。

以上とします。


711 : ◆ACfa2i33Dc :2015/11/09(月) 06:31:08 fJGV0JoQO
申し訳ない、
陣営は
・白(月)
【キンブリー&七夜志貴】
・黒(地球)
【ロード・エルメロイII世&無銘】
とします


712 : ◆ACfa2i33Dc :2015/12/06(日) 02:44:55 bFvVq8iM0
遠野四季&バーサーカー
ゾルフ・J・キンブリー&キラー
予約します


713 : ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:20:50 1VcOd3uM0
投下します。


714 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:21:47 1VcOd3uM0


「……フム。今のところは結界の敷設に力を裂くか」

 下水道での吸血種のライダーとの戦いの後、遠野四季――あるいはその裡の【彼】――が下した判断とは、それだった。
 どちらにせよあの吸血種のライダーと戦うのは夜、それも開けた場所が良いというのは事実。
 ライダー《騎手》のサーヴァントという事はあちらも開けた場所で効果を発揮するであろう『騎乗』の宝具を所持している可能性は高いが、こちらのバーサーカーも開けた場所で真価を発揮するのは同等だ。
 わざわざ戦う場所を指定してくれたのだから、追いかける必要もない。
 罠の可能性もあるが、相手が吸血種である以上昼の内から仕掛けをすることは難しいだろう。

 要するに、準備の時間は十分にあるということだ。

 下水一帯に魔力を吸い上げるための結界を巡らせるのは難しいだろうが、場所を限定し即席の結界とするだけならば数時間でもそこまで難くはない。
 無論、最終的な目標は魔術による"城"を築くことであるが、それをするには時間が足りていない。
 だが逆に言うならば、当座の戦いにおいてバーサーカーの魔力供給を補うだけなら即席の陣でもどうにかなる。

「楽しみだねぇ……あいつを殺すのがよぉ」

「■■■■――」

 四季の頭の中に、吸血種のライダーとの戦いを避けて結界を築くのに専念するという思考は無い。
 どうせ居所が割れている以上、戦いを避けるというのは究極的には無意味だというのもあるが――なによりも。
 本能が、流血を求めている。
 本来、遠野四季も――そして【彼】も――誰彼構わず噛みつくほど、短絡的な人物ではない。むしろ天才肌だ、と言ってもよい。
 だが、それでもこの心の内より湧き上がる衝動を堪えることはできない。

 人殺しの鬼と殺戮者は、昏い下水道の中を往く。


715 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:22:20 1VcOd3uM0

  †


 ―― Pi Pi Pi.
  Pi Pi Pi ――.

 下水道の中を徘徊し、地脈から魔力を吸い上げるための陣を設置していく途中。
 自らの胸元から不意に聞こえた電子音に、四季は立ち止まった。

(……端末からの連絡か)

 何分、陽の光も射さない下水でのことだ。外界の時刻など作業の間には掴むことはできない。
 現在時刻が正午であることを、四季自身今はじめて知った。

 聖杯戦争のルールに大きな興味はなかったが、それでも有益な情報が載っている可能性はある。
 シャツのポケットから端末を取り出し、通達の内容を確認する。

「……この程度か」

 通達の内容は大したものではなかった。
 内容はたったの三行。
 せいぜいが、殺すべき相手の数がはっきりしたくらいか。
 後は――、

 若干の失望を覚えながらも、四季は掌の端末を操作して通達で伝えられた連絡板を表示。
 無機質なクリップボードに、一つの文章を書き込んだ。

【深山町の下水道はこちらのバーサーカーが根城にしている。
 侵入した場合は味方でも容赦無く殺す】

 同じ陣営の連中と仲良くするつもりなど、四季にはない。
 だが連絡板は使える、と判断した。
 21組。今更怯むような数ではないが、勝手に潰し合ってくれる分にはその方が手間がかからないというのは自明の理だ。
 この警告で下水道に立ち入らないならばそれで良し。
 それでも入って来るならば、殺してやればいいだけのこと。

 陣の準備も上々。最初こそ邪魔が入ったが、状況は四季にとっては悪くない。
 理性的に計画を進めることもできていた。

 ――その時までは。


716 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:23:02 1VcOd3uM0

「おや? またあんたか。鬼退治の時といい、最初はあんたってジンクスでもあるのかね」

 突如下水道の暗闇から聞こえてきたその声に、四季はその動きを止める。
 いや。つい先ほどまで、利害の計算を果たしていたその思考さえも。感情が、ある一点へと集中されていく。

 目を剥き、四季は闇の中を睨みつける。
 姿は見えない。だが、その声を聞き間違える筈はない。
 その憎しみを忘れたことはない。
 地下の闇の中、ずっと待ち望んでいた復讐の相手なのだから。

「ナナヤぁ……!」

 七夜志貴。少年期の親友。
 そして自分から、遠野シキの座を奪った男。
 聞こえた声は、間違いなくあの男のものだ。

「おっと、今度は覚えててくれたか。久し振りだね四季。
 もう一人の方は……ああ、混ざってるのか。できればできるだけ純粋に会いたかったんだが、まあ仕方ないか」
「何処だ! どこにいる!?」

 夜の闇を射抜く死徒のものである四季の目にも、暗闇の中にいる筈の志貴の姿は写らない。
 実体化させているバーサーカーも、自らの敵を未だ見つけられていないのか、ただ立ち尽くすばかり。

「コーヒーでもどうかと思ったんだが、その様子じゃ無理そうだ。
 代わりに――」

 背筋を冷たい手で撫で上げられるかのような感覚。
 直感的に四季は上体を反らし――そしてそれが正しかったことを、すぐさま知った。
 目の前を、黒いナニカが通り過ぎる。

「――ああ、下手だね本当。できれば一度で終わらせたかったんだが」

 受けていれば、頭から先が泣き別れしかねない下方からの蹴り上げ。
 下手人など、今更考えるまでもない。

「――死、ネェ!」

 視界の端に残る残影に叩き込むように、四季の放った魔術による雷が下水の闇を薙ぎ払う。
 同時、頭上に気配を感じてバックステップ。
 脳天を狙い落ちてきた影を躱す。
 反撃を仕掛けようとした時には既に、影は視界の端へと消え去っている。

「……殺せ、バーサーカー!」

 サーヴァントの気配に反応し、マスターの命令を受けてバーサーカーが起動。
 瞬時にアームにハンドガンとショットガンをアセンブル。
 面制圧のショットガン、小回り重視のハンドガン。
 閉所の戦闘ならば、最適とはいかないまでも間違いではない組み合わせ。


717 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:24:01 1VcOd3uM0

 ……ただしそれも、対象を照準(サイト)に捉えていればの話だ。


 ――敵影を探してクィックターンしたバーサーカーの横面を、跳び蹴りが叩きつける。
 大したダメージはない。が、反撃に移ろうとするバーサーカーの視界には、しかしすでに七夜の姿はない。


「■■■■■――!」

 現実には、バーサーカーは七夜の動きに翻弄されていた。

 七夜志貴の動きは、決して速くはない。
 無論、常人と比べれば比較するまでもない。
 だが文字通り音速近くの速度域での戦いを経験したこともあるバーサーカーからすれば、それでも対応できない速度ではない。

 それが今こうまで翻弄されているのは、ひとえに七夜の体術の特性と、そして地下下水道という環境ゆえに他ならない。
 七夜の体術は、空間を立体的に扱うことを主とする。単なる速さではなく、巣を縫うように走る蜘蛛の如く。
 緩急を織り交ぜ、視界を逸れ、どこに現れるかもわからぬ足捌き。そして戦闘の場は、薄暗く段差や陰の場所の多い地下下水。
 例え戦闘技術をそのまま残していても、捉え切ることは難しい。

 ……一方で、七夜の有利かと言えば、これも違った。


 ――七夜の短刀が閃き、バーサーカーの首筋を狙い――弾かれる。
 既に六度目。
 それだけの交錯を経ているが、七夜はバーサーカーに有効打を与えられていない。


「ちぃッ……やっぱり、割に合わないな!」

 いくら体術で翻弄しようと、バーサーカーの持つ、プライマル・アーマーという限りこそあるが万能に近い防御と、鋼鉄の装甲は、一夜限りの殺人鬼の刃に貫けるものではなかった。
 刃が通らなくとも、蹴りや体当たりの衝撃は通る。だが、やはりその程度では有効打には程遠い。

 故に、七夜志貴ではバーサーカーを殺し切るのは困難だ。

 ならば、マスターはどうか。
 元より七夜志貴は暗殺者。アサシンのクラスのサーヴァントと同じように、マスター殺しで戦闘を終わらせる選択肢がないわけはない。

 だがこれもまた、現時点では困難だ――と、言わざるを得なかった。


 ――四季が薙ぎ払うように放った雷撃を跳び上がってかわし、天井を蹴ってバーサーカーのハンドガンを回避する。
 そのまま壁を蹴って陰へと飛び込み、反対側から飛び出す。
 四季の首を狙った飛び込み。しかしそれは、四季の血刀によって阻まれる。反撃の隙も残さず、七夜は跳び離れた。


「どうした! 逃げるばかりか!?」

 七夜には、人間種相手の戦闘を有利にする対人間の特性《スキル》がある。如何にその正体が不明であろうと、人類種の天敵が人間であることに変わりはない。
 これがステータスで劣るバーサーカーを相手に戦えている理由の一つに他ならない。

 だが、相手マスターである遠野四季は人間ではない。混血であり、吸血鬼だ。
 退魔の一族である七夜が、人外相手にその特性《スキル》を振るえないのは、皮肉というべきか。

 一対一ならば、それでも互角か有利には持っていける。
 だが、ここにはサーヴァントであるバーサーカーがいる。

 七夜志貴も、また人間。バーサーカーの宝具、『人類種の天敵(イレギュラー)』 による人類種への威圧は、確かに七夜の動きを鈍らせている。

 だから七夜には、決定打を放つことができない。


718 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:24:40 1VcOd3uM0

 ――十数度目の交錯。首を狙った蹴りはかわされ、七夜はそのまま天井に張り付くように疾駆。
 が、急停止。その鼻先にショットガンの散弾が叩き込まれるのを確認したかしないかのタイミングで、七夜は反転し壁を蹴る。


 ……そしてまた、バーサーカーも七夜の動きを学習し始めている。
 軌道を大雑把に予測し、その進行方向へとショットガンを手当たり次第に叩き込んで動きを制限する。
 読み切られる――とまではいかなくとも。
 『運よく』直撃する可能性は、増加していく。そして、そのラッキーヒットだけで相手には十分だ。

 状況は七夜に不利だ。
 このままならば。……そう、このままならば。

 だが。四季とバーサーカーが、マスターとサーヴァントという組であるように。
 サーヴァントである七夜にも、組となるべきマスターが存在する。
 それは今、どこで何をしているのか。


 それに四季が思い至った瞬間、閃光が走った。


 爆音。
 なにかが崩れていく音。
 煙に遮られ、視界が確保できない。
 それでも四季の五感には、気配が遠ざかっていくのがはっきりとわかる。

「逃がすか……、ッ!?」

 追撃しようとした足を、四季は止める。いや、止めざるを得なかった。
 日光。
 吸血鬼にとって死毒となる、忌々しい光が、崩落した天上から差し込んでいる。
 七夜志貴は、この穴から逃げたのか。
 それがわかっていても、四季に追うことはできない。

(バーサーカーを追撃させるか? ……いや、バーサーカーを単独行動させるのは制御が効かない。
 危険すぎる……)

 打つ手はない。
 遠野四季には、逃げた七夜志貴を追うことはできない。
 ……それが理解できてなお、四季は下水の天井に空いた穴を睨み続けていた。


【B-7/港付近の下水道/一日目 午後】

【遠野四季@真月譚 月姫(漫画版)】
[状態]魔力消費(中)、ダメージ(小)
[令呪]残り三画
[装備]ナイフ
[道具]なし
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手にし、遠野家を在るべき形に戻す。そして『彼女』ともう一度…
1.結界を敷きながら、夜を待つ。
2.次に七夜志貴を見つけたら、その時は――
[備考]
※高台に位置する館に住んでいることになっています。同居人などはいません。
※令呪は右手に刻まれています。
※ライダー(ワムウ)と交戦、宝具『風の流法(モード・オブ・ウインド)』を確認。二十七祖の一部のような死徒と異なる吸血種と推察しています。
※キラー(七夜志貴)と交戦しました。彼が志貴であることを理解しています。

【バーサーカー(人類種の天敵)@ARMORED CORE for Answer 】
[状態]ダメージ(微小)
[陣営]地球
[装備]『迷い子(ストレイド)』
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:人類は、殺す
1.■■■■■――!

[備考]
※宝具『迷い子(ストレイド)』のシールドが一つ破損しました。


719 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:25:25 1VcOd3uM0

  ◆


 白昼の住宅街。その閑静を引き裂き揺るがせた、突然の爆発。
 時間帯柄、留守にしている住民も多かったが、それでもいきなりの"事故"に騒然としている者たちは多い。
 その人混みの中を逆に、現場から悠然と離れていく者がいる。

 白いコート、白い帽子、そして白いスーツ。
 人目を引くであろうその衣装も、混乱する市民の目には背景の一つとしてしか映るまい。
 そもそもの混乱を生みだしたのがこの男とは、誰一人気付かない。

 ゾルフ・J・キンブリー。かつて賢者の石の中へと消滅し、そして今何の因果か蘇り、七夜志貴のマスターとなった男。
 下水道を爆破し、七夜の逃げ道を作ったのも、彼の錬金術によるものだった。


【どうしたのです? 予定では、偵察だけで戻って来る筈でしたが】

【いや、古い知り合いを見つけてね。ちょっと挨拶するつもりだったんだが、つい】

【つい、ですか。好きにしていいと言ったのは私なので、構いはしませんが】

【いや、十分に有意義だったよ。なんでここに俺がいるのか、その理由も大方わかった】

【ほう?】

【どうやら、俺はあいつに呼ばれたらしい】


 霊体化したままの念話でもわかる、皮肉った笑みの気配を滲ませながら、七夜志貴は考える。

 ……七夜志貴は、本来サーヴァントとして呼ばれるような人物ではない。
 英霊としての格の問題ではない。
 そもそも"七夜志貴"という人物は存在しないのだから、人類史に彼の名前は刻まれない。
 ゆえに英霊の座、あるいは人類史から呼び出されるサーヴァントとして、不確かな水月でしかない七夜志貴が選ばれる筈がないのだ。
 それは、七夜本人も自覚している。

 ならば、ここに存在する七夜志貴とは何なのか?
 それは殺人鬼だ、と七夜は思考する。
 キラー《殺人鬼》のサーヴァント。
 殺人鬼という概念がサーヴァントとして召喚された時。七夜志貴という殺人鬼の噂が、そのテクスチャとして選択された。

 無論、これは単なる偶然ではない。
 おそらくは最も有名なジャック・ザ・リッパーにのみならず、殺人鬼の噂、情報など、世界にはありふれている。
 その中から、一夜の幻に過ぎない七夜志貴が、何故選ばれたのか?

 遠野四季が原因なのだろう、と七夜は結論していた。

 ――聖杯に関わる戦いでサーヴァントが召喚された際に、その存在を触媒としてか、関連したサーヴァントが続けて召喚される、という事例が起きたことがある、という。
 それと似たことが起きたのだ、と考えれば筋は通る。

 おそらく、遠野四季が記憶を取り戻すのと、キンブリーの元にサーヴァントを召喚されるのはほぼ同時だったのだろう。
 目覚めた遠野四季に連鎖する形で、殺人鬼のサーヴァントは、七夜志貴というカタチを得たのだ。


【……ところで、知り合いとはどのような方でしょうか?
 マスター? それともサーヴァント?】

【マスターだよ。吸血鬼、ってヤツさ】

【ほう、そのような存在もいるのですか――興味深い。できれば、一度お会いしたいものです】

【あいつには目の敵にされてるし、ちょっとそいつは難しいかもしれないな。それに敵の陣営だ】

【それは残念】


 おそらくは本気で、吸血鬼と話す機会がないであろうことを残念がるキンブリー。
 その後を追う七夜の気配が、不意に遠ざかる。


【それじゃ、もう一度行ってくるとするか】

【今度はきちんと報告を頼みますよ、キラー。
 あなたの趣味もいいですが、私の趣味も慮ってください】

【わかっているさ。じゃあな】


 ……元々七夜がキンブリーに命じられていた役割は、その気配遮断を生かした周囲の索敵だった。
 キンブリーの目的は、この聖杯大戦の行く末を観測すること。
 そのためには、聖杯大戦に参加するマスターと接触するのが効率がよい。
 気配遮断を行える七夜を偵察に出し、サーヴァントの気配を察したらその周囲にいるであろうマスターに接触をかける――という予定だったのだが、いきなり七夜が自分の趣味を優先した結果、逆にキンブリーが七夜の離脱を手助けする羽目になった、というのが先程の真相である。

 そしてその予定外も、キンブリーは楽しんでいた。
 元より死人であるし――生前も、自らの生死を気にかけるような生き方はしていない。

 純粋に、キンブリーに――そして七夜の頭の中にあるのは、どのようにこの聖杯大戦を楽しむか、ということのみだった。


720 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:27:19 1VcOd3uM0

【B-7/港付近の住宅街/一日目 午後】

【ゾルフ・J・キンブリー@鋼の錬金術師】
[状態]健康、魔力消費(小)
[陣営]白
[令呪]残り三画
[装備]
[道具]賢者の石(容量は一人分にも満たない)
[所持金]それなりに裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を通し、マスター達の信念、そして行く末を観測する。
1.同陣営のマスターと接触し、信念を探る。
2.できれば黒の陣営のマスターとも接触してみたい。
[備考]

【キラー(七夜志貴)@MELTY BLOOD Actress Again】
[状態]魔力消費(中)
[陣営]白
[装備]七夜の短刀
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:キンブリーに付き合いながら、自分の趣味の欲を満たす。
1.周囲の偵察を行い、サーヴァントとマスターを見つけたらキンブリーに報告する。
2.次に遠野四季に出会ったら、その時は――
[備考]
※遠野四季(ロア)、バーサーカー(人類種の天敵)と交戦しました。


721 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2015/12/24(木) 21:27:38 1VcOd3uM0
投下終了です。


722 : 名無しさん :2015/12/26(土) 10:47:36 5pGRI5EM0
投下乙
キンブリー・七夜組いいなぁ


723 : ◆ACfa2i33Dc :2016/01/06(水) 22:47:18 7H5jpmqMO
ジョセフ・ジョースター&(天龍)
ロード・エルメロイII世&アーチャー(エミヤ)
予約します


724 : ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:09:12 XtUyyHXs0
まだ完成していませんが、流石に時期を開けすぎていると考えたためキリがいいところまで投下します
申し訳ございません


725 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:09:25 XtUyyHXs0

 冬木教会。
 その名の通り、冬木の郊外、新都の丘の上に広い敷地を持つ大規模な教会である。
 極東の地方都市に過ぎない冬木市にここまで本格的な教会が存在するのは、外来人居留者の多い環境に由来する。
 歴史も比較的古く、前身となる教会は戦前に建てられたという記録が残っている。

 ……無論、"聖杯"戦争の地に建つ教会が、ただの教会である筈がない。
 この冬木教会は、かの宗教の一側面である『聖堂教会』と呼ばれる組織が冬木の地に建てた拠点である。
 実際のところ、かつて冬木に降臨した聖杯自体は、神の子の杯そのものではないとの確証は取れている。
 だが、聖杯戦争の熾す火を民衆の前に晒すわけにはいかないという目的の前に、魔術師との密約の下この教会は『聖杯戦争の監視役・監督者』の住処として作られた。

 今回の電子の海での聖杯戦争においても、非戦闘ゾーンとしてこの建物は再現され、内部には管理者が存在する。
 これ自体は、マスターたちには最初から公表されている事実である。

 ところでこの建物。
 現実の冬木市では、管理者の名前を取って『言峰教会』とも呼ばれていたのだが――


726 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:10:48 XtUyyHXs0

  ◆


 セレスティア・ルーデンベルクとの一線を終え、フロントに戻ってチェックインし、部屋を取った後。
 ホテルの一室で一息を吐いたジョセフ・ジョースターは、途中の売店で購入した品を確認していた。

 まずは冬木の市街地図。
 隅から隅まで読み込み、ジョセフの頭脳へと叩きこんでおく。
 都市部での戦いである以上、これから戦う土地の地図は非常に重要なものだ。
 実際DIO打倒の旅においても、DIOの送り込んで来たスタンド使いの刺客、"女帝《エンプレス》"との戦いにおいては地図が重要な役目を担った。
 更に言えば、ジョセフのサーヴァントである天龍の本質は軽巡洋艦だ。
 水場を戦場に選びたいこと……そして後々河川や海を見に行きたいことを考えると、やはり地図の確認は急務と言ってもよかった。

「とはいえ、ウ〜〜〜ム……やっぱ海の面積なんて限られとるの」

 冬木市は海に面する都市である。
 それは吉事ではあるが、やはり一都市における海が面する割合など限られている。
 常に海辺で行動することなど難しい以上、全ての戦いで海を戦場に選ぶのは無理だと考えていい。
 幸い、冬木は南北を河によって横切られ、東西に区切られている。
 この河を戦場に選ぶのも考えれば、選択肢は広がってくる。

「……つーかよぉ。オレが海で戦うのはいいけど、ジイさんは大丈夫なのかよ?」
「うん? どういうコトじゃ?」
「オレが海に陣取っても、ジイさんはそうはいかないだろ。
 孤立したところを襲われてたら仕方ない」
「ああ、なるほど。
 心配せんでいい。波紋を用いて水面の上を歩くのは、波紋の修業では初歩に教わることじゃ。
 流石に若い頃みたいにはいかんが、逃げるくらいならなんとでもなるわい」
「そいつはスゲぇな。も一つ見直したぜ、ジイさん」

 地図の確認を終えると、ジョセフは次に新聞を取り出す。
 買ったのは地方紙の朝刊。
 この都市で何らかの変事が起こっていないかの確認のためだった。
 が、しかし、新聞に載っている限りの記事では、そういった明らかに異常な事件はほぼ確認できない。
 あるいは事故記事の幾つかは聖杯戦争絡みのものなのかもしれないが、それを確認する手段などなかった。

(聖杯戦争が始まらんうちは、派手な事件はない……ってとこかの)

 ただし、事件などよりも、余程ジョセフの意識を引いたことが、一つある。
 それはそもそも記事などではなく。

 『新聞の発行された日付』。

「……2015年、か」

 2015年の冬。
 それが新聞の示す、『今日』である。
 最初は新聞の誤字をジョセフは疑った。
 だが携帯端末やTVニュースを確認し、そして先程のセレスとのやり取りを思い返すことで、ジョセフはある確信へと至る。


727 : Fearless ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:11:43 XtUyyHXs0

(妙なところはあった。あの嬢ちゃんがわしとのギャンブルで使おうとした『ユーロ』という通貨。
 そしてギャンブルの後に聞いてきた質問……どれもわしの知らん話だった。最初は単にわしが日本に疎いだけかと思っとったが……。
 『未来』じゃ……あれは『未来について知っているか』の質問ッ!)

 エジプトで戦った、DIOの操るスタンドの能力をジョセフは思い返す。
 『時を止める能力』。
 時を操るスタンドがあるのだから、時を未来に進めたり、あるいは過去にする能力があってもおかしくはない。

(……つまりわしは、タイムトラベルしちまったってワケか?
 いや違う、ムーンセルとやらについての説明を信じるならここは『未来を再現した世界』……、
 あの嬢ちゃんはわしにとって未来にあたる世界からやってきたマスターってコトかッ!?)

 完全に違う文明に放り込まれたわけではないのだから普段に問題はないだろうが、しかし『自分の知らないことがあるかもしれない』というのは、情報戦ではやはり不利となる。
 ジョセフの世界は1989年。26年分の誤差は、そう意識してしまうと小さくない。

(現に電話やテレビは結構進歩しとるみたいじゃしの……今じゃ音楽聴くのもウォークマン要らずってワケかい。
 この携帯端末とやらも、今の時代じゃ普通に使われとるみたいじゃしな)

 慣れない手つきで、ムーンセルに渡された携帯端末を操作するジョセフ。
 インターネットやメールなどの機能を完全に把握したわけではないが、『情報のネットワークがかなり発達している』ということはそれでもわかる。
 流石にこれ一つでなんでも把握できるわけではないだろうとは考えたが、それでも慣れないジョセフと慣れているセレスでは情報の入りは違ってくるということは自明の理だ。

(とはいえ……無理して差を埋めようとしても仕方あるまい。
 やはりわしのやり方でやるしかないか)

 聖杯戦争を積極的に戦うつもりはジョセフにはないが、しかしそれは聖杯戦争に対して無策でいることを意味しない。
 戦わなければならなくなった時、無策のままであることは愚者の行い。
 なにより、戦いに際しては策を以て望む、それが『ジョセフ・ジョースター』の流儀だった。


「……聖杯戦争の情報も集めておきたいな。
 あとで情報屋と接触しよう」
「情報屋? いるのかよそんなモン」
「あのお嬢ちゃんがギャンブルで稼いだ、と考えるならば、それは違法な賭博場でと考えるのが自然じゃ。
 この国じゃカジノは違法のようだし、そもそも彼女は成年しとるかも怪しいからな。
 となると、この市には違法ギャンブル場を生かすだけの裏社会の基盤があることになる。
 情報屋の類がいてもおかしくはない」
「成る程。スジは通ってる」
「ま、それはあくまでも後でじゃな。まずは出発しよう」

 納得した様子のアーチャーを尻目にしながら、ジョセフは再び外出の準備を整えた。
 出先で買った荷物は置いていく。これは再びこの部屋に戻って来ることになった場合のものだ。

「ああ。水場の確認と準備か、資材の確保か、だっけ?」
「いや……その前にひとつ確認しておきたいことができてな。
 まずは教会に行くとしよう、車を借りんとな」
「教会? 戦いの前にお祈りでもするのか?」
「教会には管理役が常駐している、って話だったろう?
 少し話を聞いてみたくなったんじゃよ」


728 : ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:12:57 XtUyyHXs0

  ◆


 太陽が中天を僅かに離れた頃、ジョセフ・ジョースターとそのサーヴァント・アーチャーの姿は冬木教会へと続く坂道にあった。
 所持品の準備を整えた後に昼食や車の調達に時間を取り、出発したのは12時を過ぎた頃。
 一度目の通達を受けた後だった。
 そして今、教会へ向けて車を運転するジョセフが考えているのも、その放送の事である。
 たった三行の連絡事項。
 誰でも感じることであろうが、通達された情報が少な過ぎる。
 参加しているマスターとサーヴァントの数の情報だけでもそうだ。
 陣営ごとのサーヴァントのクラスすら明らかになっていない。何なら陣営を限定して味方陣営のサーヴァントだけでも教えるという手段もあっただろうに。
 "連絡路"についてもそうだ。
 本当に団体戦をやらせたいのなら、このようなまだるっこしいやり方より、一度陣営のマスターを一同に集めるか、あるいはマスターの情報を渡すなりしてもいいはずだ。
 まるで……そう、まるで意図的に情報を絞っているかのようだった。
 もしも本当にこれが意図的だとしたら、狙いはなにか。それを次にジョセフは思考する。
 団体戦を円滑に進めるならば味方陣営の情報は絞らずに積極的に公開するべき……ならば逆に、団体戦を円滑に進めさせたくない、という可能性。
 そして団体戦が上手くいかない場合、どうなるか。

(同士討ち……そして残った主従は消耗するじゃろうな)

 本当にそれが狙いならば、何故ムーンセルはマスター達を消耗させようとするのか。
 いや、そもそも。これはムーンセルが課したルールなのかさえも、ジョセフは疑った。
 この月の聖杯戦争は、ムーンセルが地上の参加者を観測するための実験だという。
 そこに黒幕がいるという可能性もないとはいえない。

(もっとも、事態がそこまで深刻に絡んでいるなら安全に抜けるのなんて不可能じゃろうし、
 できれば遠慮したいがね……)


【……おい、ジイさん】

 実体化したまま後部座席に座っていたアーチャーが、不意に運転中のジョセフに念話を飛ばした。
 それに反応し、ジョセフはすぐに路肩に車を停めた。
 アーチャーを実体化させたままにしているのは、何も不注意からではない。
 その索敵範囲を買ってのことである。
 元よりアーチャーのサーヴァントには、クラスの特徴として、スキルとして備わっていなくともある程度の千里眼があることが多い。
 ましてや天龍は元は軽巡洋艦の逸話から形造られたモノ。
 電探こそ装備していないが、その索敵範囲はけして狭くはない。

 そのアーチャーがジョセフに声をかけた、――それも他人に聞かれることのない念話で――、というのはつまり、何らかの異常が発生したということだ、とジョセフはすぐに察した。

【……新手のサーヴァントかの?】

【みたいだな。この道の先にいる。
 ……動かねえな。こっちには気付かれてるかもしれない】

【ふむ……】

 念話の相槌を返しながら、ジョセフは対応を思考する。
 この道路は教会へと続く一本道だ。迂回することはできない。
 となると待ち伏せだろうか、とまずは考えたが、わざわざ教会という管理役の目の前で待ち伏せなどしたいだろうか、と言われると難しい。
 仮令待ち伏せが目的だとしても、いきなりの遠距離攻撃や攻撃的な接近を受けていない以上、手当たり見境なく襲いかかる輩ではないだろうと推測する。
 あるいは希望的な観測をすれば、ジョセフと同じように教会の管理役に話を聞きたいマスターという可能性もある。

 最悪敵対的な接触を受けたとしても、相手の向こうを突破すれば教会だ。
 非戦闘区域まで辿り着ければ、追撃を受ける可能性はなくなる。
 賭けではあるが、有利な賭けであるようにジョセフには思われた。


729 : ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:14:06 XtUyyHXs0

【接触してみるか。警戒を頼む】

 そうアーチャーに指示して、ジョセフは車を再発進させた。
 少し進んだ先、地平線の向こうに、おそらくはアーチャーが感知したのだろうサーヴァントの姿が見える。
 紅い外套を纏い、弓を構えた浅黒い肌の男。
 陣営は黒。クラスは改めて確認するまでもないだろう。

(天龍もアーチャー、セレスと名乗ったお嬢ちゃんのサーヴァントもアーチャー。
 そしてここでもアーチャーか。アーチャーに縁でもあるのかね、わしは)


「止まりたまえ。止まらないならば、敵対の意思有りと見て攻撃に移らせてもらう」

 赤衣のアーチャーが、ジョセフ達の乗る車両へと警告を飛ばす。
 ジョセフは素直に車を停めて、アーチャーと共に外へ出た。
 交渉しようというのならば車からは外に出るのが礼儀だろうし、サーヴァント相手に乗用車が役に立つとも思えない。

「まずは敵対陣営でありながら、問答無用にその矢を撃って来なかったことに礼を言おう。
 そして。出会い頭に攻撃してこないなら、交渉の余地があるということでよろしいのかね?」

 そう問いかけながら、ジョセフは赤衣のアーチャーを観察する。
 サーヴァントに年齢など関係なかろうが(実際、ジョセフのサーヴァントである天龍は彼女の話が本当ならばジョセフよりも年上だ)、年は思ったよりも若い。
 肌色から中東人かとも思ったが、遠くから顔立ちを見る限りではむしろ東洋人、孫である空条承太郎や旅の仲間だった花京院典明に近い。
 もしも本当に東洋出身の英霊ならば、日本の文化に疎いジョセフの知識では正体を推測するのは難しい。

「そちらの目的次第だな。こちらの方向に何の用事だ?」
「何の用事と言われても、教会に行きたいだけなんじゃがね。そっちの方向にはそれくらいしかないじゃろう?」

 弓を構えたまま問う赤衣のアーチャーに、ジョセフは平静を保ったまま答える。

「問い直そう。何が目的だ? 今この段階で教会に行ったとして、聖杯戦争の役には立たないと思うが」
「その聖杯戦争から抜けたいんじゃよ。わしゃ聖杯には興味もないのに巻き込まれてな。他にも色々と聞きたいこともある」

 更なる問いに、これもまた冷静にジョセフは回答。

「――巻き込まれた? ……いや、月の石のみが基準ならば確かにその可能性はあるか。
 だが、私の知る限りでは月の聖杯戦争に中途で離脱する方法はないぞ。敗者はムーンセルに消去されるルールだ。
 この聖杯大戦ではサーヴァントが敗北しても残留を許されるようだが、やはり自らの陣営が敗北すれば帰還は不可能だろう」

 その答えに赤衣のアーチャーは一瞬思考し、しかし現実的な答えを返した。

「悪いが、そう言われてハイそうですかと言えるほど素直じゃあないんでの。
 勿論降りかかる火の粉は払わせてもらうし、脱出の手だてが勝利以外にないならば戦うがね」
「最終的に敵となるならば、ここでその芽を潰しておくのもいい手だろう?」
「本気でそう思っとるなら、待ち伏せしておいてこちらに話しかける理由はないのう。
 その弓で車ごと狙撃すればいい。陣営を確認する手間をかけたにしろ、敵陣営とはっきりしたなら言葉を交わす必要はない。
 ここまで悠長に話をしているのは、最初から交渉をするつもりだからではないかね?」


730 : ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:14:41 XtUyyHXs0

 確認を兼ねた質問に、赤衣のアーチャーの否定は無い。
 それを確認してから、ジョセフは続けた。

「そしてわしも、そちらと話をしたいと思っておる。どうやら君……あるいは君のマスターは、聖杯戦争に詳しいようじゃからな」

 赤衣のアーチャーが、動きを止める。
 ジョセフはその表情から思考を読み取ろうと試みたが、失敗した。

(カマかけてはみたが反応がわからんのォ〜〜……失敗じゃったか?)

 『目の前のサーヴァントは、ムーンセルから与えられたもの以外の聖杯戦争に関する知識を持っている』。
 無論、ジョセフも何の根拠もなくカマかけなどしたわけではない。
 それなりの理由があっての行為だが、賭けには違いない。
 外していればマヌケにしか見えないだろうし、そうでなくとも悪印象を与えかねない行為だ。

 だが、それを押してでも、聖杯戦争に関する知識を持った主従と接触できる機会は貴重だとジョセフは判断した。
 それ故に、ここまで話を早く進めたのだが――

「……いいだろう」

 その結果は、不意に沈黙を破った、――あるいは、沈黙している間マスターとの念話を行っていたのか――、赤衣のアーチャーからの返答となって表れた。

「ついてくるといい」

 赤衣のアーチャーが弓を降ろし、ジョセフと天龍に背を向ける。
 それを許可と取ったジョセフは、離れていく赤衣のアーチャーを追う。

「またオレの出番はなしかよ」

 愚痴っぽく独り言してから、天龍もそれに倣った。


731 : ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:15:07 XtUyyHXs0

    ◆


 赤衣のアーチャーのマスター――ロード・エルメロイII世は、自らのサーヴァントが連れてきた主従を観察した。
 マスターは白人の男性。既に老人と言っていい域の年齢に入っていることは外見から窺えるが、体格のよさ、そして立ち振る舞いの隙のなさからして只人でないことは一目でわかる。
 時代錯誤なアクション映画じみた服装も、この男が着ているならばむしろ当然。現代に生きるインディ・ジョーンズにすら見えてくる。
 おそらくは魔術師ではない。が、油断ならない相手だ、とエルメロイII世は判断する。

 サーヴァントである"白"陣営のアーチャーは、ある意味それとは真逆。
 少女の姿にハイスクールの制服のような衣装は年相応のそれにしか見えないし、装備しているヘッドパーツや帯刀も、コスチューム・プレイの一種と言われたら納得してしまう可能性もある。
 さらに目視で確認できる限りでは、ステータス・パラメータも低い。エルメロイII世のサーヴァントである赤衣のアーチャーもパラメータのスペックだけを見るならば低い方に位置するが、それよりも尚低い。
 冬木における第四次聖杯戦争にも参加したことのあるエルメロイII世ではあるが、それでも彼女より低いパラメータのサーヴァントは見たことがない。
 だがやはり、サーヴァントとはパラメータひとつで判断していい相手ではない。

「こうして話す機会をくれてありがたい。わしの名はジョセフ・ジョースター」
「私は……、ロード・エルメロイII世、と。今はそのように呼ばれている」
「II世? 貴族には見えんが……ああいや、失礼」
「構わない。過ぎた名だとは、自分でも思っている」

 帽子を脱ぎ礼の姿勢を取るジョセフに、エルメロイII世もまた同じく礼を取る。

「ここまで足労させてすまないが、まずはこちらから質問させていただく。
 何故我々が聖杯戦争に対する知識を持っている、と判断したのか。お聞かせ願いたい」
「フム」

 機先を制する形で発された、エルメロイII世の質問。
 それに、ジョセフは軽く考える姿勢を取り、答える。

「まず第一に、教会前で待ちの姿勢を見せていたこと。
 わかっておると思うが、教会の付近は待ち伏せに適してはおらんな。もしも教会側に逃げられれば非戦闘エリアで取り逃がす可能性もあるし、戦闘の余波が教会の敷地にまで及べばルーラーに目をつけられかねん。
 確実に仕留めたいならば――そうじゃな。ビルの上にでも陣取って、橋を渡ろうとするサーヴァントを狙い撃つくらいした方が効率はいいじゃろう」
「アーチャーを擁するならば効率が悪い、と」
「そう。そこでもしかするとわしらと同じ目的かもしれん、と考えた。
 二つ目は、その赤衣のアーチャーの口ぶりじゃ。先程の会話で、そのアーチャーは『"月の"聖杯戦争』、そして『"この"聖杯大戦』と言った。
 まるで"この""月の"聖杯戦争以外の聖杯戦争を知っているかのような口ぶりじゃった」

 赤衣のアーチャーが肩を竦める。

「失言だったか」
「ともあれ……あと幾つかの態度も小さな根拠ではあったが、それで、『何らかの事情がある』『聖杯戦争について、この月で得られる以外の情報を持っている』
 と推測した。わしたちにそれを聞かせてもらいたい。交換条件は……『君達の陣営に属するマスターとサーヴァントひと組の情報』でどうかね」


732 : ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:15:53 XtUyyHXs0

 ジョセフ老人が切り出したその条件に、エルメロイII世は目を細める。
 味方陣営の主従の情報。それは確かに魅力的な条件だ。
 この聖杯大戦、陣営戦とは言っているが、味方陣営に関して与えられる情報は少なくなっている。
 それがII世がこの聖杯大戦に不信を抱く理由のひとつでもあるのだが、今はそれは重要ではない。

 昼の通達の後に連絡路も確認してはみたが、今のところ他マスターと接触できそうな情報は皆無だった。
 同じ陣営と接触できる機会がある、となれば、興味はある。

「そちらにとっては敵陣営の情報を持っていると?」
「昼前に接触した相手じゃ。情報収集を優先していたらしく、一時的に交渉相手として認めてくれた。
 同盟とまではいかんがな。……これ以上はそちらが取引に応じるならば話そう」
「ふむ」

 虚偽ではあるまい、とII世は判断する。
 ここまで来て虚偽を話して情報を引き出そうとするほど、目の前の老人は短絡的ではないだろう、と。
 ならば、交渉に応じても問題は無い。
 聖杯戦争から脱出することが目的ならば、こちらの目的にも協力してくれる可能性はある。

「了解した。こちらの知っていることを話そう。
 ……まずお聞きしたいが、魔術について知っていることは?」
「ない」

 先ずの質問に、ジョセフ老人は断言しての否定を返した。
 これはII世にも予想できた答えではある。

「だろうな。私は魔術師だ。そして、聖杯戦争とは本来魔術師の参加する魔術儀式である、とまず承知いただきたい」
「……オイオイ。わしゃあ魔法使いの知り合いなんかおらんぞ。せいぜい占い師の知己が……いた、くらいじゃが」
「あなたが魔術師ではないだろう、というのはわかっている」

 II世のこの言葉は嘘ではない。
 目の前の老人には、魔術の気配を感じない。
 場慣れした雰囲気から、何らかの戦闘者、あるいは異能者である可能性はあるが。間違いなく魔術師ではない。

「場合によっては"素養がある"というだけでもマスターとして選ばれることはあるが……。この聖杯大戦のような事例は、私も聞いたことがない。
 その他にも、この聖杯大戦には私の知る聖杯戦争との差異が多々ある。この聖杯戦争は、魔術師から見れば明らかに異常な要素が多すぎる。私の目的はその調査となる」
「……なるほど。で、わしらが脱出する手立てはあるのか? まずはそこを聞きたい」
「本来聖杯戦争に、マスターの命を奪う必要はない。戦争である以上、殺し合いは常ではあったが」

 そう。聖杯戦争にマスターの命は必要ない。
 第四次聖杯戦争は、マスターの内4人が死亡する(そして、最終的には一人しか残らなかった)殺し合いではあったが、勝者以外は死ぬということはない。
 もしもそうであれば、II世はこの場には生きていない。


733 : ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:16:31 XtUyyHXs0

「この聖杯大戦がマスターの死を確定させているのは、ムーンセルから出ることができるのは勝者のみだからだ。
 故に、この聖杯戦争から脱出するならば、まずムーンセルから脱出する手段が必要となる」
「フム。その方法は?」
「……調査中だ」
「……Oh,my god.」
「元々ムーンセル自体、謎の多い構築物だ。このような聖杯戦争を開く理由自体、はっきりしていない」
「つまりは何にもわからんってコトか? ……よくそれでここまで来たもんじゃな」

 悪態を吐くジョセフに、II世も同じく溜息を吐きそうになる。
 元より、II世がここに来てしまったのも事故のようなものだ。事前の調査が足りないと責められれば、それを否定することはできない。
 話題を転換する必要があった。

「……。ところで、黒陣営のマスターの情報だが」
「名前はセレスティア・ルーデンベルク……と名乗っとったが、ありゃ偽名じゃな。多分日本人じゃ。
 ゴスじゃったか? コッテコテな服装したお嬢さんじゃよ。サーヴァントはアーチャー。
 おそらく、聖杯を手に入れるのを目的にしている主従じゃろう」
「ふむ……」

 顎に手を当てる姿勢を取りながら、II世は情報を吟味する。
 もしも現実の冬木と同じく、黒の陣営の聖杯も"この世全ての悪"に汚染されていたならば、黒の陣営に聖杯大戦を勝利させるわけにはいかない。
 ゆえにII世は、『真面目に聖杯戦争を戦うつもりの』『同じ陣営の』主従と組むことはできない、という普通のマスターならば有り得ない十字架を抱えている。
 ジョセフ老人が情報を持っているマスターとも、本来の目的まで交えての協力関係は望めない。
 それを考えると、目の前の老人と陣営を越えた協力関係を築くことは有益だとII世は判断した。

「脱出の手がかりはなくとも、調査の手がかりくらいはあるんじゃろう? わしらはそれに同道か、協力させてほしい。
 その途中で脱出の手段がわかれば万々歳じゃからな」
「……こちらからも頼みたい。こちらにも事情がある、おいそれと協力を頼めることではない。
 敵対陣営であっても、こちらの事情をある程度汲んでくれる同盟相手は歓迎しよう」
「ありがたい」

 無論、陣営を越えた同盟関係にはリスクもある。
 裏切り者と見なされれば、敵陣営のみならず味方陣営からも追われる身となるだろう。
 だがやはり、ここで機会を逃すというのは、II世も、そしてジョセフにも考えられないことではあったのだった。

「このまま教会へ?」
「そうしよう。元々私達もその予定だった。そちらもそうだろう?」


734 : ◆ACfa2i33Dc :2016/02/18(木) 02:17:13 XtUyyHXs0
以上で前半部の投下を終了します、後半の投下は書きあがってからになります、お待ちください


735 : 名無しさん :2016/02/19(金) 09:14:00 6zTMhr2w0

天龍ちゃん可愛い


736 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/26(土) 23:45:07 6rxNb1g20
初めまして。
雅緋&セイバー、鬼龍院皐月&ランサーで予約します。


737 : ◆lkOcs49yLc :2016/04/08(金) 18:03:37 ocSHv/6I0
すいません、予約を破棄します。


738 : ◆ACfa2i33Dc :2016/04/13(水) 05:39:47 I5Y59rqQ0
かなり遅れてしまいましたが、投下します。


739 : ◆ACfa2i33Dc :2016/04/13(水) 05:40:11 I5Y59rqQ0

    ◆


「こんにちは。監督役の"間桐サクラ"です」
「同じく。監督役の……"エンリコ・プッチ"、だ」

 冬木、聖堂教会。ステンドグラスから差し込む光が、ある程度の広さを持つ教会堂と、その中に並べられた席を照らす。
 祭壇前に運び込まれた椅子に座った"二人の監督役"は、昼間からの訪問者――エルメロイII世とジョセフ――へと向けて、そう挨拶した。

 片方は、黒衣の少女。むらさきの髪を長く伸ばした、整った美貌。
 もう片方は、黒人の神父。剃り込みの入った白髪に、落ち着いた風貌。

(教会に神父……ってのはわかるが、隣の女子はなんじゃ?
 ズイブン刺激的なカッコしとるがのォ〜〜)

 いぶかしむジョセフの横。エルメロイII世は、顔を顰め動きを止めている。口を開く様子はない。
 黙っていても仕方ない、と溜息し、ジョセフは先に質問することにした。

「わしはジョセフ・ジョースター。今回は聞きたいコトがあってここまで来た。
 この聖杯戦争から、戦わずに抜ける方法は?」
「ありません。貴方のサーヴァントも、そう答えたはずですよね?
 このムーンセルから抜け出す方法は、聖杯戦争に勝利することだけ」

 にべもない否定。
 もっとも、ジョセフにも予想できたコトではある。
 ここで"ハイ、抜けられます"などと言われたら、そちらの方が拍子抜けだし、疑わしい話だ。

「ムーンセルの管理とは、そんなに厳しいモンなのか?
 正直適当に呼び付けられたとしか思えない身としては、疑わしい話なんじゃがね」
「ムーンセルは真性管理の怪物。その演算能から逃れ得るモノは、同じくムーンセル由来のモノのみです。
 月の石に呼び寄せられてしまったことには、同情しますけど……」
「いや、そもそもわしは、アレが月の石とは……」

 そこまで言って、ジョセフは言葉を止めた。
 そもそもあの月の石は、どのように入手したものだったか。
 苦難の連続であったエジプトへの旅、その最後、DIOの館から押収した……そう。
 あのDIOが、月の石を持っていた。

 その事実に、今更ながら、ジョセフは符合を感じずにはいられない。

(偶然……いや、DIOが"たまたま"月の石を持っていて、それが"たまたま"聖杯戦争への切符だった?
 そんな都合の悪い偶然が、たまたまあるものか?)

 無論、すでにDIOは消滅した。
 そこに何らかの企みがあったとして、ジョセフにそれを知ることはできないし、企みを持つ本人が消滅したのだから意味は無いかもしれない。
 しかしそれでも、何らかの不気味さを感じるのは、事実だった。


740 : ◆ACfa2i33Dc :2016/04/13(水) 05:40:44 I5Y59rqQ0

「……ジョセフさん?」
「あ、ああ失敬。わしの質問は終わり……いや、もうひとつあった」

 いきなり言葉を止めたのを首を傾げるサクラに、ジョセフが動揺を取り繕うように次の質問へと移る。

「マスターがいなくなったサーヴァントのコトじゃ。
 マスターが先に殺されたり、あるいは――それが可能なら、じゃが――聖杯戦争から離脱したりしたとして……マスターを失ったサーヴァントはどうなる?
 あるいは、サーヴァントのマスター権の受け渡しなどはできるのか?」
「マスターがいなくなり魔力の供給を受けられなくなったサーヴァントは、魔力を使い果たし次第消滅します。
 令呪を持ったマスターならば、マスターなきサーヴァントと契約するコトも可能でしょう。
 ただし、聖杯からマスターへと行われるサーヴァントへの魔力供給の補助は一騎まで。魔力の素養がないマスターがサーヴァントを二騎従えるのは危険です。
 そして、マスターが他のマスターにサーヴァントの所持権を譲り渡すコトですが、令呪を持ったマスター間ならばこれも可能です」
「わかった。ありがとう」

 一見不可解な質問に、首を傾げる素振りでサクラは返答する。
 それに礼を言って、ジョセフは隣に譲るように一歩下がった。

「では、私から質問させてもらってもいいだろうか」

 入れ替わるように、エルメロイII世が前に出る。

「どうぞ。ですが、あなたが聖杯戦争について質問することは特にないのでは?」
「ああ。私が質問したいことは、聖杯戦争そのものについてではない。
 ……この教会の管理者は、言峰綺礼、あるいは言峰璃正ではないのか?」

 教会に入った途端にエルメロイII世が顔を顰めた理由。
 それは、予想とは違う人物が教会の監督役を務めていたからに他ならない。
 ここに来るまでII世は、ムーンセルはおそらく、冬木の聖杯戦争を極力再現して聖杯大戦を行おうとしているのだろう、という仮説を立てていたのだ。
 となれば当然、教会で待っているのは第五次冬木聖杯戦争の監督役、言峰綺礼……そうでなくとも、その親である言峰璃正と予想していた。
 しかし現実には、教会の監督役は見知らぬ神父と、そして間桐桜――第五次聖杯戦争当時の冬木にいた関係者ではあるが、教会とは何の関係もない――だった。
 違和感がある。言葉には上手く出せないが、頭の隅に引っかかるタイプのそれだ。
 そしてこういった違和感は往々にして、後々災難として降りかかってくる。

「そうは言われても、私達が監督役なのは事実でね」

 椅子に座ったまま、プッチ神父が応じる。
 その表情は淡々として、内になにを秘めているかどうか推し量れない。

「私は記録を見ただけだが……元々のこの教会の管理者であったというコトミネキレイは、不正を行っていたそうだ。
 その前代も、聖杯戦争の裏で特定の陣営と協力関係にあったと記録にある。
 たとえNPCとはいえ、そういった人物を管理者側に置きたくないという推測はできないかな?」
「……ふ、む」

 確かに、言峰綺礼は第五次聖杯戦争、その黒幕と言ってもいい人物の一人ではあった。
 第四次の監督役であった言峰璃正にしても、遠坂のマスターと裏で支援関係にあったコトは記録からはっきりしている。
 ムーンセルの重んじる、公平さ、とは確かに離れた人物ではあろう。


741 : ◆ACfa2i33Dc :2016/04/13(水) 05:42:15 I5Y59rqQ0

(であるならば、監督役から外されるのは道理には適っているのか……?)

 違和感は完全には拭えないが、一応の答えが示され、そしてそれに対する反論は今のII世にはできない。
 これ以上の追及は無理か、とエルメロイII世は判断した。

「……了解した。今回はこれだけにしておく。すまない、時間を取らせた。行くとしよう、ジョースター氏」
「ああ」

 質問を済ませたならば、ここに用は無い。
 ジョセフもエルメロイII世も、教会に長く留まる気分にはなれなかった。
 陽が当たっている癖に、ここはやけに昏い。

「……ジョセフ・ジョースターさん」

 監督役の二人に背を向け、教会堂の扉に手をかけたジョセフに、黒人の神父――プッチ神父が声をかける。
 怪訝な目をして振り返るジョセフに、プッチ神父はこう言い放つ。

「あなたは"引力"を信じるか?」
「……は?」

 唐突すぎる言葉と、意味深すぎる質問。
 呆気に取られたジョセフに、プッチは首を振った。

「いや……無用な質問だった。忘れてくれていい」


742 : ◆ACfa2i33Dc :2016/04/13(水) 05:43:17 I5Y59rqQ0
 ◆


【……おい、ジイさん】
【なんじゃ】

 教会堂を離れ、住宅街の坂道をエルメロイII世に少し遅れて下るジョセフ。
 そこに、霊体化して追走する艦のアーチャー、天龍が念話をかけた。

【オレにあんまり気を遣わなくてもいいんだぜ。オレはジイさんのサーヴァントで、艦だ。道具なんだからな】

 教会にてジョセフが行った、第二の質問。それは、ジョセフが天龍を慮ってのコトに他ならないというのは、当人にもわかった。
 脱出を目的とするジョセフがムーンセルからの脱出に成功すれば、サーヴァントである天龍は取り残される。
 もしその時に天龍が脱落するしかないならば、天龍の願い――戦うこと――は果たせなくなっていた。
 無論、ジョセフの質問によって、そのようなコトが起きないのは確認できたわけだが――

 マスターであるジョセフを守るのは己の役目。それをマスターに気を遣われるのは、正直天龍にすればむず痒く、そして不甲斐無い気分だった。

【そうかい。じゃが、なあに。できる範囲でやれるコトをやっとるだけじゃよ。このままだと、最後には覚悟を決めて戦わねばならんようじゃしな】

 だというのにはぐらかされる。
 実際の年齢で言えばどっこい、あるいは天龍の方が年上だろうに、まるで子供のように扱われている気がしてならない。

【……そうかよ。じゃあ、その時こそ、この天龍サマの出番だな】

 ならば。天龍の役目――アーチャーのサーヴァントとしての役割を、十全と果たしてやるしかあるまい。
 元より軍艦として、戦うコトこそが彼女の存在意義なのだから。
 マスターの配慮には、サーヴァントとしての奮戦で返そう。

「すまない、ミスター・ジョースター」

 艦のアーチャーの決意の外、エルメロイII世が、ジョセフへと声をかける。

「この後は一旦別行動を取りたいが、どうだろうか。現状で敵陣営同士で行動しているのを見られても、あまりいいことにはならないと思う」
「フム。確かにそうじゃな……」

 敵陣営の者と一緒に行動しているのが知られれば、不審、疑惑の的となりかねない。
 連絡先だけを交換し、適宜連絡を取り合う形にした方が、揉め事は少なく済むだろう、というのはジョセフとII世の共通の結論となった。

「では、私はホテルへと向かいセレスティア・ルーデンベルク嬢に接触する。そちらは……」
「ちと事情があってな、実際に目で確かめたいコトがあるのでそちらに向かう。ホテルには後で戻る予定じゃから、直接話したいコトがあればその時にしよう」
「了解した。車には乗せてもらわなくて結構、徒歩で向かおう」

 そう言って、II世とその後に続く赤衣のアーチャーは北――ホテルの方向へと歩き去る。
 それを見届けてから、ジョセフは海へと向けてハンドルを切った。


743 : ◆ACfa2i33Dc :2016/04/13(水) 05:44:20 I5Y59rqQ0
[C-10/教会近くの住宅街/一日目 午後]

【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険(第3部)】
[状態]健康
[陣営]白(月)
[令呪]残り三画(右手の甲に存在。二つの茨が絡み付く星の形状)
[装備]義手
[道具]携帯端末、カメラ、最低限の旅支度(義手の整備用具、キャッシュカードなど他)、トランプ×2、レンタカー
[所持金]大富豪級
[思考・状況]
基本行動方針:脱出し、娘の待つ家に帰る。
1.海や河川の下見をしておく。
2.脱出のための情報や仲間を集める。陣営に拘るつもりはない。
3.資材の確保もどこかで行いたい。
4.機会があれば改めてセレスとの情報交換も考える。
5.聖杯についての情報を集めたい。
[備考]
※B-9近くのどこかに空条邸@ジョジョの奇妙な冒険 が再現されています。そこに休暇で来ている設定ですが戻るつもりはありません。
 具体的な場所は後続の方にお任せします。またSPW財団は再現されていませんでした。
※セレス、アーチャー(セッツァー)を確認しました。パラメータと陣営を把握、セレスは偽名で日本人と看破。
※アーチャー(無銘)のパラメータ、陣営を把握しました。
※B-9のホテルにチェックインして部屋をとりました。
※エルメロイII世と連絡先を交換しました。

【アーチャー(天龍)@艦隊これくしょん】
[状態]健康
[陣営]白(月)
[装備]刀
[道具]特に無し
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:マスターの指揮の下、存分に闘う。
1.とりあえずジョセフに従う。
[備考]
※帯刀していますがNPCは特にそのことに触れていません。
 怖がって聞けないのか、気付いていないのか、仕様なのかは後続の方にお任せします。


[C-10/教会近くの住宅街/一日目 午後]

【ロード・エルメロイII世@Fateシリーズ】
[状態]健康
[陣営]黒
[令呪]残り三画
[装備]魔術礼装の葉巻をいくつか所持
[道具]
[所持金]不明
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の調査及び、ムーンセルからの脱出。
1.ホテルへ向かい、セレスティア・ルーデンベルクに接触する。
2.聖杯に関連する調査を行う。できれば仲間を増やしたいが、黒の陣営に事情を明かしていいかは思考中。
[備考]
※ジョセフと連絡先を交換しました。
※アーチャー(天龍)のパラメータ、陣営を把握しました。
※住居や冬木市における役割については後続にお任せします。

【アーチャー(無銘)@Fate/Extra】
[状態]
[陣営]黒
[装備]『無限の剣製』
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:現状はマスターに従う。
1.マスターに従い行動する。
2.黒と白のルーラーに対しては……?
[備考]
※黒、白のルーラーが、アルトリアの別の姿であることを把握しています。


744 : ◆ACfa2i33Dc :2016/04/13(水) 05:44:36 I5Y59rqQ0
以上で投下終了です。


745 : 名無しさん :2016/04/13(水) 15:02:46 TcE2DIag0

エルメロイとジョセフは渋くて落ち着いてていいコンビだね


746 : ◆ACfa2i33Dc :2016/04/18(月) 13:56:13 3QT6aDcUO
白のセイバー(市丸ギン)、バランサー(博麗霊夢)
白のセイバー(ネロ・クラウディウス)、黒のアサシン(明智光秀)
予約します


747 : 名無しさん :2016/04/25(月) 23:04:45 7S26o9E60
投下乙ー
エルメロイまじえてとりあえずは考えうるところを埋めて行ってるのね
3部ジョセフは2部とは違った老獪さと安心感があっていいな
天龍との関係、好きです


748 : ◆lkOcs49yLc :2016/05/29(日) 21:40:59 PXgQBv7o0
投下乙です、それでは私も。
ディオ&タケ、夜神月&葉隠覚悟、雅緋&呉島貴虎、鬼龍院皐月&ディルムッド、
小泉ジュンイチロー&ワムウで予約させていただきます。先日予約を破棄したことを、お詫び申し上げます。


749 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:02:04 MUQVEasA0
投下します。


750 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:05:10 MUQVEasA0
「それでは、行って来る。」

「ああ、気を付けろよ。」


何気ない挨拶を交わし、それ程汚れてもいないアパートの真下で鬼龍院皐月と雅緋は、
男とも見間違える様なその風格を靡かせながら、全く違う方向に向けて歩き出す。
だが二人は、それとは対照的に同じ道を進んでいた、「勝利」という道に向けて。


◆  ◆  ◆


夜の街にて白装束の剣士と戦った後、雅緋は、皐月をアパートに招き入れ、今後の方針について話し合った。

結局、味方を集めるという方針は変わらずにあった。

実際、皐月がランサーを引き連れて外を回ったのも、
雅緋があの「白」のセイバー相手にあんな派手な真似をしたのも、そもそもは仲間を集めるためであった。
幾ら雅緋と皐月が単独で戦う力を持っているとはいえ、セイバーとランサーは技能こそ高けれど火力には乏しく、
その上雅緋のセイバーは戦闘状態に入る際に時間が掛かる、足止め役が必要だ。

そこで、雅緋と皐月は、互いに別れて歩きまわり、仲間を集める方針に出た。

雅緋は街を、皐月は外を回ることにした。


◆  ◆  ◆

いつもは騒がしい廊下も、この瞬間だけは静まり返っている。

それもそうだ、あの鬼龍院皐月が中心を歩いているのだから。

光を遮るように目を覆う者もいる、呆然と見つめている者もいる、
最も、この鬼龍院皐月の輝きにひれ伏している、と一言で纏められることに変わりはないが。

此処らではPTA会長間桐臓硯の実家である間桐家に並ぶ旧家の長女であるというその知名度、
圧倒的なそのオーラ、そして彼女が着ている軍服に似たデザインの独特なセーラー服。
まだまだ言い足りないが、彼女の異様さを示すには、これでも十分過ぎる。


そんな周りの視線も気にせず、皐月は落ち着いた表情で周りを歩きながら、周囲の人間を見回していた。



(やはり、態々令呪をさらけ出す者はいないか…)

殺し合いに参加している以上、そんな余裕じみた真似をする連中はそうそういない事を皐月は重々理解している。
だが、それで敵を見逃すこともある、こうして近くの目立った敵を探すことが、魔力感知も出来ない皐月に出来ることだった。



皐月のロールは、高校生、それは以前の世界とは変わらない、「通っている高校が違う」「生徒会長では無い事」
を除けば、の話ではあるが。
ムーンセルが与えたロールにおける鬼龍院皐月は、カバーズとも、生命戦維とも無縁の生活を送ってきていた。
此処は嘗ての彼女の牙城であった本能字学園ではない、それに彼女はプライドにおいては他の追随を許さぬが、
決して自己顕示欲が高いわけでも無い、ならばそんな役割に就く理由も無かった。

しかし、学生がマスターという可能性も無くはない。それに下手に欠席すれば睨まれる可能性もある。

だから皐月は、何時も通り学校に通うことにした。


751 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:06:29 MUQVEasA0

(主よ)

不意に、ランサーの声が響く。

(サーヴァントの気配を感知しました、それも多数、マスターの予想通りです)

当たったか。

(引き続き他のサーヴァントを探せ、味方であった場合は雅緋に連絡する)

(了解しました)

念話を返し、ランサーの返事を受け取った後、皐月は自分の肩に手を掛ける。

彼女が纏っているセーラー服は、只のセーラー服ではない、其の名を「神衣・純潔」

鬼龍院皐月が父から受け取った「花嫁衣装」にして、彼女が纏った鎧。
流子や羅暁の様に完全に物にできることは叶わなかったものの、その尋常ならざる彼女の体力と精神力で辛うじて手綱を握れた強力な神衣だ。
これに神秘性があるのかどうかは分からないが、ちょっとやそっとの攻撃で傷付くようなヤワな代物ではない、其の上縛斬もある、
対象が生命戦維でないとはいえ、常人を遥かに凌駕する力を手にしているという事は確かな事実だ。
だが、原初生命戦維が流子に破壊された今、この地球に残った生命戦維は活動能力を低下させている。
この純潔の寿命も長くはない、それにヌーディスト・ビーチの調査によると無理に動かせば更に綻びやすくなるという話だ。


劣化した服を着続けていれれば、何れかは破けて使えなくなってしまう、増して腐り始めている繊維だけで編まれたこの神衣だと、
何時かはボロ雑巾になってしまうに違いない、この状況だと、何度人衣一体が必要となるかは知れたことではない。
下手をすれば数日で駄目になってしまう危険性もある。


だが…

(済まないな…今は持ってくれ…)

今は、この純潔が必要な時だ。
雅緋や自分が参加している以上、高い戦闘力を持つマスターが潜んでいる可能性は高い。
無防備に縛斬を振るっても勝機が来る訳ではない。
それに、サーヴァントだってどれ程強い者が待ち受けているかは知れたことではない。
自分のランサーより遥かに強いサーヴァントがいる可能性も十分にある。

今、己が生きるために、人々を踊らせる願望機を破壊するために、この服は必要だ。

肩から手を離し、再び姿勢を正した皐月は、上の階へと続く階段に足を運ぶ。

そのような事を考えた所で何も変わりはしない。
考えるのは、この状況で、何が出来るか、だ。

「ワケがわからない」?
ああ、そうさ、だがワケがわからないからこそ、この世界は美しい。



【A-8/月海原学園/早朝】


【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備] 神衣純潔
[道具] 縛斬・餓虎、縛斬・蛇竜
[所持金] そこそこ裕福
[思考・状況]
基本行動方針: 優勝し、聖杯を壊す。
1. この学園に潜むマスターを探し、白なら倒し、黒なら手を結ぶ。
2. 純潔がいつまで持つか心配
[備考]
・ムーンセルでの身分は冬木でも指折りの名家の令嬢です。
・学園に複数サーヴァントがいることを知りました。
・雅緋と同盟を結びました。
・純潔がこの聖杯戦争中に持つかなどは各書き手様にお任せします。



【ランサー(ディルムッド・オディナ)@Fate/Zero】
[状態] 健康
[装備] 破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)、必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針: マスターを守る。
1. サーヴァントが姿を見せたらマスターに連絡する。
2. 無謀に敵に突っ込む雅緋が少し心配。
[備考]
・セイバー(市丸ギン)の宝具『神槍』を確認しました
・敵サーヴァントの気配を複数感知しました。



◆  ◆  ◆


752 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:07:05 MUQVEasA0


「上手く眠れたか。」

「まあ、悪くはなかったな。」


早朝、街中といえば通勤ラッシュが多いイメージが通るが、此処らは近くに駅がなく、
人通りも無い。そんな街を、雅緋、そしてセイバーは歩いていた。

皐月との作戦会議が終わった直後、二人は仮眠に就いた。
セイバーとランサーが宝具を取り出した状態で見張ってくれたお陰で、
多少は緊張を和らげて横になることは出来た。本来、数多もの死線を潜り抜けた二人は、
たかが数分戦った所で倒れることはないが、今は殺し合いだ、いつ敵が襲って来るかは分からない。

それに重なりマスターの体力で動くサーヴァントを擁する今、体力という物は
更に重要性を増していった、だから6時間程、二人は仮眠に就いた。

ナポレオンは一日三時間しか寝なかったというのは有名な話であるが、
人間は3の倍数の時間で寝るとスッキリ目が覚める、という話だ。


本来、雅緋は大学の考古学科で忍の勉強をしている、というロールに置かれている筈であった。
実の忍が忍の研究をする、というのは今思えば滑稽な話だが、まあ其処は置いておこう。
大学でマスターを探すという手もある、だが自分のセイバーはこの通り霊体化が出来ない。
その上宝具を使用していないと戦闘状態に入れないという致命的な弱点が存在する、
隣に歩くセイバーを見てみれば、この通り「E」の文字が大量に浮かんでくる。
大学に連れて行く、という手もあるが、セイバーはいつだって自分の側に控えていられるわけではない、

その上怪しまれる可能性も十分あるし、恐らくは外に潜んでいる可能性もある、という事で、

二人は今街中を歩いている。

「確か此処を通れば、駅に行ける筈だがな。」

スマートフォンの地図を眺めながら、雅緋はそう言う。

「成る程…多くの人間がいるだろう駅でマスターを炙りだすのか?」

「察しが良いな。」

セイバーの推察に、雅緋が答える。

此処らの人っ子一人歩いていないような路上でマスターを見つけ出すことなど、無理な話だ。
しかし、駅というものは、仕事や学業等を行うために多くの人間が行き交う、もしかしたら
マスターがいるかもしれない、というのが雅緋の考えであった。
決して効率が良くなるとは言えんが、少なくとも今よりはマシになるだろう、と。

仲間が見つかったら、授業が終わった頃には「鬼龍院邸」に仲間を集めろ、というのが皐月の提案だ。
話によれば皐月は由緒ある家柄で、且つ世界のシェアの大半を占めている巨大アパレル企業の令嬢でもあるという。
鬼龍院邸がどれ程の物かは聞かされていないが、少なくとも7人以上の人間が集められる場所であるという事は雅緋も察せた。
屋敷といえば蛇女の学園長たる父もそこそこの物は持っていたが、あれでもそれくらいの人数は十分寝かせられる。


「唐突だがセイバー、確かお前の屋敷はどれ程の人間が暮らせる?」

冗談交じりに雅緋が聞いてみる。

「基本的には私と弟、そして両親の部屋は用意してあった、しかし寝泊まりする使用人も存在する、それを含めると15人程の寝床はあるな。」

「随分な数字だな。」

これで拠点は本当に決まりだな、と雅緋が笑って返したその時。


753 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:07:37 MUQVEasA0


「へえ、二人仲良く逢引き…か。この戦場でそれは、ちょっと呑気過ぎるんじゃないの?」



上から声が響いた。


ハッと驚いた二人が声の方向に目を傾けると、ビルの上に軍服を着た1人の少女がいた。

若々しく顔立ちも整っているが、何より目を引くのは左手にある籠手だ。
盾の様な形状こそしているものの、それには何かしらの杭の様な物が付いている。

「セイバー、気を付けろ。」

雅緋が、苦々しい表情でセイバーに問いかけ、懐から秘伝忍法帳を取り出す。

「ああ、分かっている。」

セイバーもまた、戦極ドライバーを腰に当て、メロンロックシードを取り出す。

(成る程…宝具を使う気?)

「ま、いいや、どの道死ぬんだし。」

そう考えた少女…「白」のランサーは、その籠手を二人の戦士に照準を定めようと左手を動かす。

「忍…」「変身!」

雅緋は秘伝忍法帳を、セイバーはメロンロックシードを構える。

「転身!」『メロン!』


巻物と錠前が宙に放り投げられたかと思えば、片や螺旋の光となり、片やセイバーの手元に戻っていった。

螺旋の光は雅緋を包み、南京錠はセイバーの手でドライバーのドライブベイに装着され、カッティングブレードで切られた。

『ロック・オン!ソイヤッ!』

ランサーが、淡々とした表情で、左手の籠手をこちらに向けて来る。

先端にある杭が離れ、ミサイルの如く此方に向かってくる。

果たしてそれは、大爆発を起こし、周囲を大きな煙で覆い、且つ強大な衝撃を与えた…かと思われた。
ミサイルに匹敵する代物であるこの杭だが、それは容易く防がれた。

『メロンアームズ!天下・御免!』

突如鳴り響いたフザけた電子音声が、それを示す第一声だ。

辺りをモクモクと覆うその煙が突然刀で切り裂かれた事で、それは顕になった。

見てみると、煙を斬ったマスターらしき女の服装は、いつの間にか和風の白装束へと変わり、

一方、セイバーへのダメージは彼の頭部に被さった巨大なメロンが防いだ。

其のメロンは突如形を変形させ、鎧となった、顕になった頭部は既に和風の甲冑を基盤とし、
且つメロンを象ったデザインとなっている甲に覆われていた。
そして、派手な琴のメロディと共に盾が出現した、それもやはりメロンを意識している。

そして、更に驚くのがそのマスターだ。
サーヴァントでないにも関わらず、巻物を投げてこの白装束に姿を変える、という素晴らしい芸当を見せていた。

「マスター、お前は後ろに下がっているんだ、分かっているな!?」

「安心しろ、説教なら鬼龍院から散々聞いた。」

そんな事を語りながら、雅緋はセイバーの背後に回り、「黒」のセイバー…呉島貴虎はベルトに嵌められた刀…無双セイバーを引き抜く。


754 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:08:08 MUQVEasA0

「まさかまたこの籠手が跳ね返されるなんてね。」


これが跳ね返されるのは、あの狂った暗殺者以来だ、しかしまさか一日に二度もこの杭をやられるとは。
避けられたことなら何度もあるが、まさか弾き飛ばす者までもがいたとは、それに少し驚きながらも、
ランサーは再び籠手をセイバーに向ける…だがその時。


左側から、激しい駆動音がする。


激しいブレーキ音と共に、二人の剣士と1人の兵士の間を横切ったのは、
1人の「鎧戦士」だった。

その時、雅緋の脳内にクラス名、陣営の色等は映りだす。

「マスター、このライダーの陣営の色は?」

「生憎だがセイバー、此奴の色は『白』、それと、此奴のクラスはライダーじゃない、『セイヴァー』だ。」

「何?」

それを聞いてセイバーは驚きを隠せない。まさか7クラス以外にもクラスがあるとは。

(セイヴァー…Saver…『救世主』だと!?)

セイヴァーといえば、セイバーには聞き覚えのある名称ではある、嘗て、死んだはずのユグドラシルの研究者が、
特殊な錠前をばら撒きあるカルト的宗教を作り出した事がある。その男が変身した謎のアーマードライダーの名称を、
アーマードライダーを作り出した戦極凌馬が付けた名が「セイヴァー」、どうやらその特殊な錠前の識別番号がその由来らしいが。

そう、この鎧戦士のクラスは「セイヴァー」、世界を救い「救世主」と認識された英雄が選定されるクラス。
この葉隠覚悟は、鎧を纏い荒廃した世界を救うために戦った「救世主」だ。


セイヴァーはそのバイクから降りたかと思えば、そのバイクの後部座席にあるトランクに手を掛ける。
自動的に開かれたその中に手を伸ばし、取り出したのは一本の日本刀。

「神武挺身刀」

セイヴァーはそう呟き、刀をセイバーに向けて構える。

「月狼(モーントヴォルフ)、お前は後ろで待機していろ。」

その時、バイクは自動的に何処かへと走り去って行った。

それを確認すると、正義を執行する無慈悲な救世主は、救世を目指す1人の剣士にその刀を向ける。


「それじゃ、アナタの相手は私で十分ってわけ?」

一方、雅緋にはランサーが視線を向ける。

「そういう事になるな、済まないなセイバー、やはり私は後ろで立ちすくむのは性に合わないらしい!!」

雅緋は左手の平から黒い炎を発し、右手にある妖刀を構える。

「雅緋、悪の誇りを舞い掲げよう!」

其の名を叫んだ直後、やはりあの杭が飛んで来る。
雅緋はそれを即座にジャンプして避け、背後にある建物を壁にして蹴り、そのままランサーに斬りかかる。

「マスターに斬られるだなんて、私も舐められたものだわ、まあ、どうでもいいけど。」

軽口を叩きながらもランサーは再び籠手を構え、杭を雅緋に発射する。
ドリルの如き竜巻を起こし再び放たれたその杭は、真逆の方向に飛びかかる雅緋を穿つ…かと思われたが…

元悪忍のエリート筆頭だったこの女、只で終わるはずがない。
手の平から発される黒炎を刀に翳し、そのまま刀身に火を伝導させてパワーアップさせ、そのまま杭を斬り裂いてしまった。

「なっ…!?」

ランサーの飄々とした態度が崩れ、驚きを隠せぬ表情が顕になった、だが冷静さが完全に失われた訳ではない。
そのまま籠手を盾代わりにして、近づいてきた雅緋の妖刀をガードした。

ガキィン!と音が鳴り、辛うじてランサーは雅緋の刀を防いだ。

刀をギチギチと鳴らせながら、雅緋は少し辛酸を嘗めた様な表情をした。

(秘伝忍法として此奴を使っていないとはいえ、ダメージを減らされ過ぎたか…)

やはりあの杭の爆発を跳ね返したのが原因か、と雅緋は悟った、そして瞬時に後ろにジャンプして後ろ側に立つ。


◆  ◆  ◆


755 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:09:16 MUQVEasA0
雅緋とランサーが戦っている間、セイバーとセイヴァーは今だに斬り合っていた。

だが、今はセイバーの方が疲労を見せていた。
若干ながらもヨロケながら、それでも刀と盾を手に取り眼の前の敵と戦っている。
漸く敵の剣の動きが見えてきた、セイバーはそれを捉えすかさずブレード付きの盾、メロンディフェンダーでガードする。

電磁バリアを張ったメロンディフェンダーは、無双セイバーでも斬れぬ固い装甲を持ったインベスをぶち破ったメイスを、
いとも容易くガードしてしまった強力な代物だ。「攻守共に優れた装備を」、と言う事で攻撃を無双セイバーで補うという条件付きで
セイバー…貴虎が選んだロックシードがこのメロンだ。だが、それでも、この鎧戦士を倒すことはままならない。貴虎の鑑識眼では、
少なくともこの鎧のスペックはゲネシスと同等、或いはそれ以上だ。いや、下手をすればあの試作型のリンゴや、葛葉紘汰が使った
謎のロックシードにだって匹敵するかもしれない、今の自分では成し遂げられなかった「世界の救済」を行ったということは伊達ではない、
ということか、と貴虎は悟った。


「黒」のセイバー、呉島貴虎は決して弱くはない。
いや、寧ろ数々のアーマードライダー達の中では、「最強」の名に相応しき部類に入るだろう。
まだ戦極ドライバーが人の手に余る代物だった頃から開発に関わっており、且つ高い戦闘技術を持つ彼は、
このメロンより先をゆくクラスSのロックシードから、未知のロックシードに至るまで、殆ど完全敗北を喫したことはない。

問題は、この眼の前にいる救世主、葉隠覚悟が、貴虎をとうに上回る程の剛と宝具を兼ね備えていた、と言う事だ。

人々を救うべく生み出された究極の武術「零式防衛術」は、貴虎が受けていたスポーツ教育やジムで伸ばせるようなそれとは一線を画す。
増して呉島貴虎が相手取ったアーマードライダー達は、ドライバーの性能を完全には知り尽くしていない、若しくは腕の振るい方のいろはも知らない
連中だ、葛葉紘汰と駆紋戒斗は他人より運動神経こそ良かったが、前者の理由で貴虎には手も足も出なかった。工作員であった朱月藤果との戦いは、
彼女の度重なる疲労とウォーターメロンロックシードの火力があっての勝利であった、だがウォーターメロンは持って来られない、あったとしても
デメリットが高すぎる。本来なら貴虎が手足にも及ばないほどに訓練された者といえば元傭兵の凰蓮・ピエール・アルフォンゾがいたが、
あちらは碌に戦ってもすらいなかった、論外だ。


その上覚悟の宝具「強化外骨格“零"」は、「最強と矛と最凶の盾を併せ持った奇跡の回答」とすら言われるほどの代物である。
度重なるチューンアップや仲間の助けがあったとはいえ、このアーマードライダー・斬月が為せなかった事、無かった物を、
このエクゾスカル零は持っていた。勝ち目は、無いのだろうか。

ふとセイバーは、横で戦っている雅緋を一瞥する。

(マスター…相変わらず無茶をしてくれる…!)

やはり葛葉や駆紋戒斗と同じタイプの人間なのか、自分から突っ込んでいかないと気が済まない気質らしい。
昨夜の白装束のセイバーとの戦いにおいてもそうだったが、自分が戦わずにはいられない部分がある。

後で説教だな、と考えセイヴァーに目を向け直したその時、彼は既に片手を刀から離していた。

そして手の平をセイバーに向ける。セイヴァーは、自らの最大の火器「プラズマ昇華弾」を放つつもりでいた。
エクゾスカルの鎧を持つ者にも大ダメージを与えるそれは、撃たれれば只では済まない。
ルーラーからは大規模での攻撃を禁じられてはいる、ならばどうする?簡単だ。

周りに危害が及ばない程度に撃てばいい、と、葉隠覚悟は判断した。

(マズい…!)

セイバーはそれを直感的に理解した、「何かが来る」と。

そしてすかさずドライバーのカッティングブレードを落とす、それも二回連続で。

『ソイヤッ!メロンオーレ!』

またまた電子音声が鳴り響き、セイバーが構えていたメロンディフェンダーが光を放つ。
同じくセイヴァーの手の平からも光が放たれようとしたその時、メロンを模した翡翠色のフィールドがセイバーを包み込んだ。
セイバーは、専用のプロセスを行うことで、ロックシードが生み出すエネルギーをメロンディフェンダーにチャージしたのだ。


756 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:09:49 MUQVEasA0
しかし爆発に耐えるには至らず、そのフィールドは爆発と同時にパリーンと破壊されてしまう。
だが、それでもセイバーへのダメージを大幅に軽減するには十分であった。

しかしセイバーは強烈な爆風には耐え切れず、盾を構えたまま後ろに仰け反ってしまう。

だがセイヴァーは、ゆっくりと、セイバーに向かって歩いて来る。
素顔を隠す仮面が、その動作をより一層不気味に仕立てていた。

(このままだと埒が明かない…)

とセイバーが考えたその時。

「!?」

横から吹いた強い暴風が、救世主を襲った。
セイヴァーは両腕で顔を覆うも直ぐに吹き飛ばされ、蹴飛ばされたサッカーボールの様に遠くに飛ばされ、倒れる。

暴風が収まり、驚いたセイバーが風が吹いてきた右側に顔を向けると、其処には…

「危ない所だったな。」

片方には、両手の拳を此方に向けていた、民族風の衣装を纏った男が。
もう片方には…

(…何故…この人が…)

そう、セイバーが驚くのも無理は無い。

其処にいたのは小泉ジュンイチロー、仮にも現代の日本人であったセイバーが知らないはずがない。

「まさかまたもや同陣営のサーヴァントと相見えるとはな、驚いたよ。」

「小泉元総理…まさか…貴方までもがマスターとして参加していたとは…。」

「?まさか、君も日本人だったのかね?見た所、サーヴァントの様ではあるが…
まあいい、話は後だ、君、あそこのマンホールを斬ってはくれないか。」

(マンホールを!?まさか、引き返すつもりなのか!?)

だが、今この救世主と槍兵と戦った所では間違いなくジリ貧だ、なら、さっさと退却した方がいい。
一度ならず二度までも同陣営に助けられるとは奇妙な話だが、とにかく逃げる。

セイヴァーはまだ倒れている、セイバーは、すかさず雅緋に念話を送る。

(マスター、退却だ!偶然出会ったマスターが逃げ道を教えてくれた!)

(…分かった!)

其の頃屋根と屋根をランサーと飛び回っていた雅緋は、今度こそ叫ぶ、己の奥義を。

「秘伝忍法!」

左手の黒炎が歪み初め、渦を引き起こす。

「善悪の…Purgatorio!!」

渦は無数の蛇となり、ランサーに向かい、噛み付き、包み込む。

「さらばだ。」

雅緋はその隙を付いて後方へと飛び上がり、建物の壁を高速で蹴っては飛び、蹴っては飛びを繰り返してセイバーの元へと向かう。

「はぁっ!」

セイバーは其の瞬間、無双セイバーでマンホールの蓋を斬り裂き、飛び込もうとするが…セイバーは目にした。
先程までのびていたセイヴァーが、また目を覚まし、追って来る。

「!!…マズいぞ!!」

だがその時、丁度雅緋が其処にまで来ていた。

「悪いがやらせはしない。」

雅緋はそのまま通り掛かるように黒い翼の様なオーラを出現させ、セイヴァーを死角である後ろから突然切り裂くと、そのままセイバー達の元へと向かう。

「!!」

セイヴァーはその攻撃に一時仰け反った、今がチャンスだ。


757 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:10:09 MUQVEasA0
「済まない!遅くなった!」

「此方こそ助かった、だがもう時間がない!」

互いに礼を言い合いながらもセイバーと雅緋はマンホールを飛び降りようとする。
しかし、其処にはいつの間にかランサーが近づいていた。

「逃げる気?まあ、戦には引きどきって物もあるけどさぁ、背を向けた相手をみすみす見逃す程私は甘く無いわよ。」

饒舌に語りながらも、ランサーはあの籠手をセイバー達の前に構え、暴風の如きドリルを撃ってきた。
だが「黒」のライダーがそれを許さなかった。

「闘技(モード)・神砂嵐ッ!」

柱の男が持つ複雑な関節運動により、左手首を回転させ旋風を起こす。果たして、杭はそれに破壊された、神秘においても、純粋な力にしても、
一万の時を生きた戦闘の天才にとっては、この杭など玩具も同然であった。

「今だ!」セイバーはそう叫ぶと、カッティングブレードを一回振り落とす。

『ソイヤッ!メロンスカッシュ!』

そして、そのメロンディフェンダーをランサー、そしてセイヴァーがいる範囲に向けて、手裏剣の如く投擲する。
翡翠色の光を纏い回転していく盾は、二人に向かってその刃を光らせる。

「舐められたものだわ。」

ランサーはそう言って、再び籠手を構える。そしてメロンディフェンダーが此方に近づいてきた瞬間、
すかさず杭を発射し、其の直後にジャンプ。

杭とぶつかり合った盾は爆発を引き起こした後、パワーを消耗されてしまったが尚も回り続ける。
しかし、立ち上がったセイヴァーがそれを許さなかった。

再び斬魔挺身刀を手にとった救世主は、此方に突っ込んでくる盾に向かい左手を伸ばす。
左手からは強烈な光が発せられ、盾はその赤い閃光に呑まれ爆散した。

「見事な物ね。」

煙が漸く晴れてきた所で、ランサーは、その様を達観していた。
あんな強い男が、この陣営にいるとは、少し驚いた物だ、頼もしくもある。
最も、だからと言って自分の弱さに頭を抱えるような事でもないが。
ランサーには、あの銀色の鎧戦士は少なくともそう映った。

(しかし…)

そして蓋のないマンホールを見つめる。

(見事に逃げれられた物ね、全く)

盾を囮にしてすかさず姿を消すなど、全くもって小賢しい真似事だが、
しかしその小賢しさと囮の攻撃力のお陰で獲物を取り逃がしてしまった、
歴代総統一の天才が呆れたもんだわ、とランサーは自分を笑った。



◆  ◆  ◆


758 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:10:45 MUQVEasA0

(…また逃したか…クソォッ!!)

物陰で戦いを見ていたディオは、先程のセイバーとライダーを見逃した事で唇をワナワナと震わせた。
何故、こうも先が読めないものか、だがディオはその答えを先程のアサシンとの戦いで既に知っていた。

ディオはこと頭脳戦においては恐らくマスターの中でもかなりの物といえるだろう。
だが、それはチェスの様な戦略においての話だ、駒の一つ一つの動き方等を把握して初めて遊べるチェスと違い、
聖杯戦争、もとい聖杯大戦という物は駒の動かし方という物がバラバラで、かつ「全部の駒を取れば勝てますよ」とだけ
教えられて遊ぶようなゲームだ。これでは対処の仕様が無い。

(こうして…サーヴァントの能力を一々把握していかなければならないのか…これが聖杯戦争かッ!これがサーヴァントかッ!)

だが、自分が唯一動かし方を知っている(性格云々は置いといて)ランサーのいるマスを変えて、こうして他の敵と戦っていく事で、
相手の陣営のサーヴァントの能力等も掴めていた。

だが今の所、相手の陣営で分かるのは、特殊な甲冑を身に纏って戦うセイバー、両腕から暴風を引き起こすライダー、カタナと鎌を組み合わせたような武器で
戦うアサシン、それだけだ。その上此方の陣営は自分のランサーと、あの「セイヴァー」とかという訳のわからないクラスのサーヴァントぐらいしか分からない。

しかし、このままランサー一騎だけでは勝ち進んでいくのは難しいのかもしれない、とディオは考えた。

(少なくとも、俺のランサーではあまりにも火力が足りなさ過ぎる…あのセイバーやアサシン相手に持ちこたえられるかも疑問だ…)

同盟を組む必要がある、と考えたその時。
背後から不意にバイクの音がしたので振り返ってみれば、その機会は直ぐに訪れた。

東洋人の青年が、セイヴァーの乗っていたバイクに跨っているのが、ディオの視界に映った。

(成る程…此奴がセイヴァーのマスターか…)


そしてまた…

(使い魔から共有した情報が正しければ…此奴が『白』のランサーか…)

セイヴァーを擁する青年、夜神月もまた、聖杯戦争を勝ち残るための仲間…いや、「駒」を必要としていた。
奇妙かつ運命的な出会いが、今昇る朝に続いてまた一つ、始まった。


759 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:11:10 MUQVEasA0

【C-7/住宅街/早朝】


【夜神月@DEATH NOTE】
[状態]健康、魔力消費(小)
[陣営]白
[令呪]残り三画
[装備]不明
[道具]使い魔
[所持金]不明
[思考・状況]
基本行動方針:勝利し、願いを叶える。
1.まずは情報収集に徹する。
2.ルーラーには警戒する。
3.このランサーのマスターと交渉する。
[備考]
・白のセイバー(市丸ギン)、白のランサー(タケ)、黒のセイバー二騎(呉島貴虎・鑢七花)のパラメーター及び一部スキルを把握しました。
・ルーラー達が自分とセイヴァーに目につけている、と推測していますが、実際のところは不明です。
・ディオ・ブランドーと接近しました、同盟関係を結ぶための交渉をするつもりです。
・周囲に使い魔を放っています、ディオの居場所もそれらから知りました。



【セイヴァー(葉隠覚悟)@エクゾスカル零】
[状態]ダメージ(小)
[令呪]
1,『貴様の武装、戦術神風の使用を禁ずる』
[陣営]白
[装備]強化外骨格“零”、モーントヴォルフ
[道具]零とモーントヴォルフに搭載された武装
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:夜神月の行く末を見届ける。
1.夜神月の行く末を見届ける。
[備考]




【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険(第一部)】
[状態]魔力消費(小)
[陣営]月
[令呪]残り三画
[装備]ナイフ
[道具]石仮面、包帯
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:『勝利』する。そのためには何もかもを利用し、一人で勝ち残る。
1.昼の内は街中を移動し、調査を行う。夜はどこかへと泊まり、拠点を定めない。
2.アサシンへの警戒。
3.勝ち残るための「駒」を手にするために、同盟相手を探し出す。
4. その為にも目の前にいるセイヴァーのマスターと交渉する。
[備考]
・セイバー(呉島貴虎)の宝具を確認しました、ライダー(ワムウ)は戦闘スタイルのみ把握しています。



【ランサー(タケ)@きのこたけのこ戦争if】
[状態]ダメージ(小)
[陣営]月
[装備]ラジュム射突ブレード
[道具]
[所持金]ちょっとある
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に勝利する。その為の手段は選ばない。
1.マスターに従って街を調査する。
2.アサシン(明智光秀)は相手にしたくない。
3.セイヴァー(葉隠覚悟)の実力に少し驚いている。
[備考]
・アサシン(明智光秀)のクラスを確認できていませんが、気配を消して現れたことからアサシンかそれに近いなにかだろうと推定しています。
・セイバー(呉島貴虎)、セイヴァー(葉隠覚悟)の宝具を確認しました。




◆  ◆  ◆


760 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:11:31 MUQVEasA0
パカラッ、パカラッ、パカラッ…

地上とは対照的に暗くなっている下水道を、ライダーの戦車は走る。
ライダーと下半身を融合させた、骨針で才能を開花された吸血馬は、通常の馬を遥かに凌駕したスピードで戦車を動かす。

そして競技用である故に一人用であるその戦車には、ジュンイチローの他に、
元の私服姿に戻っていた雅緋、そしてセイバーも座っていた。中々の無理をしている。

先程セイバーが盾を囮とした事で、4人が下水道に潜り込む隙が出来た。
そして4人は飛び降りた直後に、真下に召喚してあったチャリオットに乗り凄まじいスピードで走り去った、そういう事だ。

そこで、雅緋、ジュンイチロー、セイバー、そしてライダーは、今後の方針や、互いの状況などについて話し合っていた。

「成る程、そちらは同盟相手が見つかったのか。」

「ああ、ランサーのマスターだ、今は穂群原学園にいるはずだ。」

雅緋はジュンイチローと、発見した同陣営のマスターの情報について交換し合っていた。

「そちらは見つかったか?」

「ああ、バーサーカーを従えていた…だが…奴は我々と手を結ぶ気は無いそうだ。」

「何?」

ジュンイチローとワムウが遭遇したマスターは、吸血鬼であった、
そして彼が侍らせるバーサーカーは、何やらロボットらしき物に姿を変えられる正体不明の英雄。
しかし彼等はワムウの敵ではなかった、幾ら最強のリンクスと、死徒の亡霊に取り憑かれし者が
纏めてかかってこようと、柱の男の中でも「戦闘の天才」と言われる程の闘士には勝てなかったということか。


761 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:11:53 MUQVEasA0

「奴とは今宵、港にて決着をつけることを約束している、手出しは無用だ。」

かのケンタウロスのごとく馬の背中に下半身を溶けこませたライダーは、前だけを見ながらそう言った。

「ああ、分かった、だが死ぬなよ。」

「死ぬな、か、愚かな、この俺と全力で戦った者に敗れ、死ぬなら、それもまた本望だ。
俺は、その様にして逝った、思い残す事は無い。」

心配を掛けたセイバーに対して、ライダーはそれを侮るかとでも言うように返す。
やはり、彼も戦う為にこの聖杯戦争に参加しているのか、とセイバーは悟った。

ジュンイチローは、そう言いながらも馬と共に闇を駆けるライダーの背中を感慨深い表情で見つめていたが、
表情を直し、雅緋との話し合いを再開する。

「それで、我々が出会った他の『黒』のマスターは、ランサーとバーサーカーのみか…。」

「そういう事になるな、だがたった今ランサーのマスター…鬼龍院から連絡が入った、
サーヴァントの反応が、穂群原学園に複数あるそうだ。」

「ほう、それは朗報だな…、しかし、我々の様に学生ではないマスターも決して少なくはないはずだ、
まずは彼等を探すのが先決だな、しかし、バーサーカーを手繰るあの吸血鬼の様に話が通じない者もいる可能性はあるな。」

「安心しろ。」

指を顎に置いて考えるジュンイチローに対し、妖刀を引き抜き掲げた雅緋は口元を歪め堂々と言う。

「その時は、私が力づくで言う事を聞かせる、歯向かう者には容赦はしない。」

それを見てジュンイチローは、やはり「ほう」という表情を見せた。
セイバーが頭を抱えている、確かにそれはあまりにも無茶な発言かもしれない。
だが、ジュンイチローにはそれが只の猪のそれとは段違いであることは見えていた。
彼女には、ジュンイチローが今まで共に雀卓越しに目を合わせた数々の首脳達のそれに近い、
大胆さと威圧感、そして風格を兼ね備えていた事が、彼には分かっていた。

そして、ジュンイチローもニヤリと笑い、それに答える。
「フッ、だが向こうが話の聞く勝負師であった時は此方に任せておけ、麻雀においては誰にも負けんよ。」


「「フフ…フハハハ!!」」

二人の王者の愉快な笑い声が、下水道中にこだます。
それを聞き、セイバー、ライダーも思わず表情を崩した。

この暗い場所と引き換えに明るい笑い声を上げる彼等を乗せ、戦車は疾走り続ける。


762 : 白い手には白い手を、黒い手には黒い手を ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:12:13 MUQVEasA0






【A-7/下水道/早朝】


【雅緋@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-】
[状態]ダメージ(小)、疲労(小)、魔力消費1割
[陣営]地球(黒)
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]妖刀、秘伝忍法書、外出鞄
[所持金]普通(一人暮らしを維持できるレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。勝ち残って武勲を立てる
1.聖杯に興味はない。貴虎が欲しているので、彼にくれてやるつもり
2.まず仲間探しを優先して行い、陣営内での連携を強固にしたい
3.取り敢えずはジュンイチロー達と行動を共にする。
[備考]
・鬼龍院皐月、小泉ジュンイチローと同盟関係を結びました。
・セイヴァー(葉隠覚悟)の宝具を確認しました。
・鬼龍院皐月と連絡先を交換しました、穂群原学園にサーヴァントがいることも聞いています。




【セイバー(呉島貴虎)@仮面ライダー鎧武】
[状態]ダメージ(小) 、魔力消費(小)
[陣営]地球(黒)
[装備]なし
[道具]戦極ドライバー、メロンロックシード
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。聖杯の力で元の世界へ戻り、光実との関係をやり直す
1.他のマスターを探す。
2.今後はマスターが無茶をしないよう、自分が手綱を握らなければならない
[備考]
・セイヴァー(葉隠覚悟)の宝具を確認しました。



【小泉ジュンイチロー@ムダヅモ無き改革】
[状態]魔力消費(中)
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:より多くの人物と脱出する
1.街を散策しマスターを探す。襲撃を受けた場合下水道に退避する。
2.先の主従(四季&バーサーカー)についてはライダーに一任する
3.雅緋達と行動を共にする。

[備考]
※ムーンセルにおける地位は隠居した元政治家。家も再現されていますが具体的なことは後続の方にお任せします。

【ライダー(ワムウ)@ジョジョの奇妙な冒険(第二部) 】
[状態]健康
[陣営]地球
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:闘う。ただしジュンイチローの方針も無碍に扱うつもりはない
1.ジュンイチローと共にマスターを探す。襲撃を受けた場合下水道に退避する。
2.夜になったら先の主従(四季&バーサーカー)との再戦のため港に向かう



[共通備考]
※四季&バーサーカー(人類種の天敵)と交戦、四季を吸血鬼と看破しました。スキル:無辜の怪物によって陣営以外は分かっていません。


763 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/04(土) 20:12:40 MUQVEasA0
以上で、投下を終了します。


764 : ◆ACfa2i33Dc :2016/06/05(日) 16:23:48 m7lLOiPwO
投下お疲れ様です
陣営入り乱れての戦いはやはり派手でいいですね
この先の展開に期待したいところです

……と言いたいところなのですが、指摘が
タケの武器はミサイルではなくパイルバンカーです
修正をお願いします
あと、早朝に柱の男であるワムウは太陽が苦手であるため戦闘できません
風の流法による透明化によだとしても視認されているため矛盾します
こちらも修正をお願いします(こっちは戦場が建物で影になっていた、程度で問題はないと思います)


765 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/05(日) 17:03:05 RvIw5HAk0
>>764
申し訳ございません、成る程、あの装備はそういう名称の装備だったのですか、
それとワムウに関しては、一瞬とはいえ太陽をある程度浴びていたので、
「長時間浴びていると危ないけれどサーヴァント化した影響である程度は耐性が出来た」
と強引に解釈していましたが、よくよくステータス表見てみたらやはりそうでもありませんでしたね、
ご指摘ありがとうございます、訂正します。


766 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/05(日) 17:37:05 RvIw5HAk0
訂正が終了しました、


ランサーが、淡々とした表情で、左手の籠手をこちらに向けて来る。

先端にある杭が離れ、ミサイルの如く此方に向かってくる。

果たしてそれは、大爆発を起こし、周囲を大きな煙で覆い、且つ強大な衝撃を与えた…かと思われた。
ミサイルに匹敵する代物であるこの杭だが、それは容易く防がれた。

『メロンアームズ!天下・御免!』

突如鳴り響いたフザけた電子音声が、それを示す第一声だ。

辺りをモクモクと覆うその煙が突然刀で切り裂かれた事で、それは顕になった。

見てみると、煙を斬ったマスターらしき女の服装は、いつの間にか和風の白装束へと変わり、

一方、セイバーへのダメージは彼の頭部に被さった巨大なメロンが防いだ。

其のメロンは突如形を変形させ、鎧となった、顕になった頭部は既に和風の甲冑を基盤とし、
且つメロンを象ったデザインとなっている甲に覆われていた。
そして、派手な琴のメロディと共に盾が出現した、それもやはりメロンを意識している。

そして、更に驚くのがそのマスターだ。
サーヴァントでないにも関わらず、巻物を投げてこの白装束に姿を変える、という素晴らしい芸当を見せていた。

「マスター、お前は後ろに下がっているんだ、分かっているな!?」

「安心しろ、説教なら鬼龍院から散々聞いた。」

そんな事を語りながら、雅緋はセイバーの背後に回り、「黒」のセイバー…呉島貴虎はベルトに嵌められた刀…無双セイバーを引き抜く。


767 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/05(日) 17:38:35 RvIw5HAk0
→先端にある杭が離れ、ボガンという爆発音と共に此方に向かって来る。
だがそれは容易く防がれてしまった。

『メロンアームズ!天下・御免!』

突如鳴り響いたフザけた電子音声が、それを示す第一声だ。

見てみると、杭を真っ二つに斬ったマスターらしき女の服装は、いつの間にか和風の白装束へと変わり、
セイバーの頭部にはメロンが被さり、複雑に形を変えていき、首から下は光とともに純白のスーツに包まれた。

二人は其の中で互いに刀を引き抜き、息を合わせ襲いかかる杭を引き裂いた。

「「ハァッ!!」」

尚も変形を続けるメロンは遂に鎧となった、顕になった頭部は既に和風の甲冑を基盤とし、
且つメロンを象ったデザインとなっている甲に覆われていた。
そして、派手な琴のメロディと共に盾が出現した、それもやはりメロンを意識している。

そして、更に驚くのがそのマスターだ。
サーヴァントでないにも関わらず、巻物を投げてこの白装束に姿を変える、という素晴らしい芸当を見せていた。

「マスター、お前は後ろに下がっているんだ、分かっているな!?」

「安心しろ、説教なら鬼龍院から散々聞いた。」

そんな事を語りながら、雅緋はセイバーの背後に回り、「黒」のセイバー…呉島貴虎はベルトに嵌められた刀…無双セイバーを構える。


768 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/05(日) 17:41:05 RvIw5HAk0
更に更に訂正。
杭を真っ二つに斬ったマスターらしき女の服装は→×

巻物を投げたマスターらしき女の服装は→○


769 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/05(日) 17:42:53 RvIw5HAk0
横から吹いた強い暴風が、救世主を襲った。
セイヴァーは両腕で顔を覆うも直ぐに吹き飛ばされ、蹴飛ばされたサッカーボールの様に遠くに飛ばされ、倒れる。

暴風が収まり、驚いたセイバーが風が吹いてきた右側に顔を向けると、其処には…

「危ない所だったな。」

片方には、両手の拳を此方に向けていた、民族風の衣装を纏った男が。
もう片方には…

(…何故…この人が…)



「こんな所でまたマスターに会えるとは、縁があるな、私は。」

ふと右側に目を向けると、其処には彫りの深い顔をした、白髪の男性が立っていた。

「!?」

(…何故…この人が…)


770 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/05(日) 17:50:58 RvIw5HAk0

だが「黒」のライダーがそれを許さなかった。

「闘技(モード)・神砂嵐ッ!」


だが、その時民族衣装を着た男性が、杭を眼の前にして実体化、両手の拳を伸ばす。
彼こそが「黒」のライダー、騎乗兵のクラスで現界した、「風」を操る誇り高き闘士。

『行けるか?ライダー。』

『ああ、僅かな時間だがな、だが俺には十分過ぎる!闘技(モード)・神砂嵐ッ!」

念話を取ったライダーは、柱の男が持つ複雑な関節運動により、左手首を回転させ巨大な旋風を起こす。果たして、杭はそれに破壊された、神秘においても、純粋な力にしても、
一万の時を生きた戦闘の天才にとっては、この杭など玩具も同然であった。
だが、幾ら住居が日光を防いでいようと、太陽を天敵とする柱の男がこんな時間帯に長く戦っていられる保証はない。

その為、ライダーは直ぐに再び霊体化した。


771 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/05(日) 17:52:01 RvIw5HAk0
以上で、訂正の投下は終わりです。

「建物を影にして」というアドバイスが参考になりました、ありがとうございます。


772 : ◆ACfa2i33Dc :2016/06/05(日) 20:41:29 m7lLOiPwO
あの、だからパイルバンカーは射撃武器じゃないです……


773 : 名無しさん :2016/06/06(月) 02:13:23 D9FQRLJ.0
>>771
パイルバンカーは至近距離で大型の杭を高速で打ち込んで敵を貫く近接武器なので、まず「杭を飛び道具として放つ」こと自体が無理かと


774 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/06(月) 05:57:49 2ZbUtzLY0
(成る程…宝具を使う気?)

「ま、いいや、どの道死ぬんだし。」

そう考えた少女…「白」のランサーは、その籠手を二人の戦士に照準を定めようと左手を動かす。

「忍…」「変身!」

雅緋は秘伝忍法帳を、セイバーはメロンロックシードを構える。

「転身!」『メロン!』


→(成る程…宝具を使う気?)

「それじゃ、一旦お手並み拝見と行こうかしら。」

「忍…」「変身!」

雅緋は秘伝忍法帳を、セイバーはメロンロックシードを構える。


775 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/06(月) 06:00:11 2ZbUtzLY0
先端にある杭が離れ、ボガンという爆発音と共に此方に向かって来る。
だがそれは容易く防がれてしまった。

『メロンアームズ!天下・御免!』

突如鳴り響いたフザけた電子音声が、それを示す第一声だ。

見てみると、杭を真っ二つに斬ったマスターらしき女の服装は、いつの間にか和風の白装束へと変わり、
セイバーの頭部にはメロンが被さり、複雑に形を変えていき、首から下は光とともに純白のスーツに包まれた。

二人は其の中で互いに刀を引き抜き、息を合わせ襲いかかる杭を引き裂いた。

「「ハァッ!!」」

尚も変形を続けるメロンは遂に鎧となった、顕になった頭部は既に和風の甲冑を基盤とし、
且つメロンを象ったデザインとなっている甲に覆われていた。
そして、派手な琴のメロディと共に盾が出現した、それもやはりメロンを意識している。


→『メロンアームズ!天下・御免!』

突如、和風の名乗りを意識したフザけた電子音声が鳴り響く。

見てみると、マスターらしき女の服装は、いつの間にか和風の白装束へと変わり、
セイバーの頭部には上空から出てきたメロンが被さり、複雑に形を変えていき、首から下は光とともに純白のスーツに包まれた。

変形を続けるメロンは遂に鎧となった、顕になった頭部は既に和風の甲冑を基盤とし、
且つメロンを象ったデザインとなっている甲に覆われていた。
そして、派手な琴のメロディと共に盾が出現した、それもやはりメロンを意識している。


776 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/06(月) 06:02:51 2ZbUtzLY0
其の名を叫んだ直後、やはりあの杭が飛んで来る。
雅緋はそれを即座にジャンプして避け、背後にある建物を壁にして蹴り、そのままランサーに斬りかかる。

「マスターに斬られるだなんて、私も舐められたものだわ、まあ、どうでもいいけど。」

軽口を叩きながらもランサーは再び籠手を構え、杭を雅緋に発射する。
ドリルの如き竜巻を起こし再び放たれたその杭は、真逆の方向に飛びかかる雅緋を穿つ…かと思われたが…

元悪忍のエリート筆頭だったこの女、只で終わるはずがない。
手の平から発される黒炎を刀に翳し、そのまま刀身に火を伝導させてパワーアップさせ、そのまま杭を斬り裂いてしまった。

「なっ…!?」

ランサーの飄々とした態度が崩れ、驚きを隠せぬ表情が顕になった、だが冷静さが完全に失われた訳ではない。
そのまま籠手を盾代わりにして、近づいてきた雅緋の妖刀をガードした。

ガキィン!と音が鳴り、辛うじてランサーは雅緋の刀を防いだ。

刀をギチギチと鳴らせながら、雅緋は少し辛酸を嘗めた様な表情をした。

(秘伝忍法として此奴を使っていないとはいえ、ダメージを減らされ過ぎたか…)

やはりあの杭の爆発を跳ね返したのが原因か、と雅緋は悟った、そして瞬時に後ろにジャンプして後ろ側に立つ。



→其の名を叫んだ直後、ランサーが籠手を構えてきた。
雅緋は即座にジャンプして、背後にある建物を壁にして蹴り、そのまま屋根にいるランサーに斬りかかる。

「サーヴァントにむざむざ突っ込んでいくだなんて、こんなマスター初めてだわ。」

ランサーはそれに対し籠手の付いた手をぶつけて来た。
籠手はドリルを思わせる爆風を伴いながらも、杭を雅緋の妖刀に当て、その刃に大穴を開けんとばかりに杭を打ち込む。

「うっ!」

雅緋はそれに弾き飛ばされ、辛うじて地面で姿勢を取り戻し足をついた。
未だ屋根の上にいるランサーは、再び雅緋に杭の付いた籠手を向ける。

「マスターでも、容赦してくれるほど私は甘く無いわよ。」

そう言うと、殴りつけるようなフォームで籠手を構え、飛び降りると同時に雅緋に向かって飛びかかる。

「…来い!」

雅緋はそう叫ぶと、左手の平で燃えている黒炎を、妖刀の刃に翳して構えた。


777 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/06(月) 06:04:09 2ZbUtzLY0
其の名を叫んだ直後、やはりあの杭が飛んで来る。
雅緋はそれを即座にジャンプして避け、背後にある建物を壁にして蹴り、そのままランサーに斬りかかる。

「マスターに斬られるだなんて、私も舐められたものだわ、まあ、どうでもいいけど。」

軽口を叩きながらもランサーは再び籠手を構え、杭を雅緋に発射する。
ドリルの如き竜巻を起こし再び放たれたその杭は、真逆の方向に飛びかかる雅緋を穿つ…かと思われたが…

元悪忍のエリート筆頭だったこの女、只で終わるはずがない。
手の平から発される黒炎を刀に翳し、そのまま刀身に火を伝導させてパワーアップさせ、そのまま杭を斬り裂いてしまった。

「なっ…!?」

ランサーの飄々とした態度が崩れ、驚きを隠せぬ表情が顕になった、だが冷静さが完全に失われた訳ではない。
そのまま籠手を盾代わりにして、近づいてきた雅緋の妖刀をガードした。

ガキィン!と音が鳴り、辛うじてランサーは雅緋の刀を防いだ。

刀をギチギチと鳴らせながら、雅緋は少し辛酸を嘗めた様な表情をした。

(秘伝忍法として此奴を使っていないとはいえ、ダメージを減らされ過ぎたか…)

やはりあの杭の爆発を跳ね返したのが原因か、と雅緋は悟った、そして瞬時に後ろにジャンプして後ろ側に立つ。



→其の名を叫んだ直後、ランサーが籠手を構えてきた。
雅緋は即座にジャンプして、背後にある建物を壁にして蹴り、そのまま屋根にいるランサーに斬りかかる。

「サーヴァントにむざむざ突っ込んでいくだなんて、こんなマスター初めてだわ。」

ランサーはそれに対し籠手の付いた手をぶつけて来た。
籠手はドリルを思わせる爆風を伴いながらも、杭を雅緋の妖刀に当て、その刃に大穴を開けんとばかりに杭を打ち込む。

「うっ!」

雅緋はそれに弾き飛ばされ、辛うじて地面で姿勢を取り戻し足をついた。
未だ屋根の上にいるランサーは、再び雅緋に杭の付いた籠手を向ける。

「マスターでも、容赦してくれるほど私は甘く無いわよ。」

そう言うと、殴りつけるようなフォームで籠手を構え、飛び降りると同時に雅緋に向かって飛びかかる。

「…来い!」

雅緋はそう叫ぶと、左手の平で燃えている黒炎を、妖刀の刃に翳して構えた。


778 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/06(月) 06:06:35 2ZbUtzLY0
だが、その時民族衣装を着た男性が、杭を眼の前にして実体化、両手の拳を伸ばす。
彼こそが「黒」のライダー、騎乗兵のクラスで現界した、「風」を操る誇り高き闘士。

『行けるか?ライダー。』

『ああ、僅かな時間だがな、だが俺には十分過ぎる!闘技(モード)・神砂嵐ッ!」

念話を取ったライダーは、柱の男が持つ複雑な関節運動により、左手首を回転させ巨大な旋風を起こす。果たして、杭はそれに破壊された、神秘においても、純粋な力にしても、
一万の時を生きた戦闘の天才にとっては、この杭など玩具も同然であった。
だが、幾ら住居が日光を防いでいようと、太陽を天敵とする柱の男がこんな時間帯に長く戦っていられる保証はない。

その為、ライダーは直ぐに再び霊体化した。
「今だ!」セイバーはそう叫ぶと、カッティングブレードを一回振り落とす。

『ソイヤッ!メロンスカッシュ!』




しかし、彼等を守るように立ち塞がっていたセイバーの眼の前にはいつの間にかランサーが近づいていた。

「逃げる気?まあ、戦には引きどきって物もあるけどさぁ、背を向けた相手をみすみす見逃す程私は甘く無いわよ。」

饒舌に語りながらも、ランサーはあの籠手をセイバーの前に構え、凄まじいスピードで飛びかかって来る。

「させるか!」セイバーはそう叫ぶと、カッティングブレードを一回振り落とす。


779 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/06(月) 06:07:45 2ZbUtzLY0
間違えました。

だが、その時民族衣装を着た男性が、杭を眼の前にして実体化、両手の拳を伸ばす。
彼こそが「黒」のライダー、騎乗兵のクラスで現界した、「風」を操る誇り高き闘士。

『行けるか?ライダー。』

『ああ、僅かな時間だがな、だが俺には十分過ぎる!闘技(モード)・神砂嵐ッ!」

念話を取ったライダーは、柱の男が持つ複雑な関節運動により、左手首を回転させ巨大な旋風を起こす。果たして、杭はそれに破壊された、神秘においても、純粋な力にしても、
一万の時を生きた戦闘の天才にとっては、この杭など玩具も同然であった。
だが、幾ら住居が日光を防いでいようと、太陽を天敵とする柱の男がこんな時間帯に長く戦っていられる保証はない。

その為、ライダーは直ぐに再び霊体化した。
「今だ!」セイバーはそう叫ぶと、カッティングブレードを一回振り落とす。

『ソイヤッ!メロンスカッシュ!』


→しかし、彼等を守るように立ち塞がっていたセイバーの眼の前にはいつの間にかランサーが近づいていた。

「逃げる気?まあ、戦には引きどきって物もあるけどさぁ、背を向けた相手をみすみす見逃す程私は甘く無いわよ。」

饒舌に語りながらも、ランサーはあの籠手をセイバーの前に構え、凄まじいスピードで飛びかかって来る。

「させるか!」セイバーはそう叫ぶと、カッティングブレードを一回振り落とす。

『ソイヤッ!メロンスカッシュ!』


780 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/06(月) 06:10:47 2ZbUtzLY0
特殊な甲冑を身に纏って戦うセイバー、両腕から暴風を引き起こすライダー、カタナと鎌を組み合わせたような武器で
戦うアサシン、それだけだ。その上此方の陣営は自分のランサーと、あの「セイヴァー」とかという訳のわからないクラスのサーヴァントぐらいしか分からない。


→特殊な甲冑を身に纏って戦うセイバー、カタナと鎌を組み合わせたような武器で
戦うアサシン、それだけだ。一方此方の陣営も自分のランサーと、あの「セイヴァー」とかという訳のわからないクラスのサーヴァントぐらいしか分からない。


781 : ◆lkOcs49yLc :2016/06/06(月) 06:13:21 2ZbUtzLY0
申し訳ございません、訂正投下の合図を忘れてしまいました。
パイルバンカーが近接武器だとは知りませんでした(汗)
私の知識不足を呪うばかりです、申し訳ございません。

訂正の投下は終了です。


782 : ◆ACfa2i33Dc :2016/06/08(水) 18:44:35 NytbiT6sO
修正お疲れさまです。
これで問題はないと思います、ありがとうございました。


783 : ◆ACfa2i33Dc :2016/07/29(金) 18:55:14 lcB3aZVUO
長い間お待たせしていて大変申し訳ございません
執筆用のPCが壊れて現在執筆速度が著しく落ちています

神長香子を追加予約して、もう少しお時間を頂ければと思います


784 : ◆ACfa2i33Dc :2016/08/16(火) 05:08:08 C44h9YbY0
生存報告代わりに前半部を投下します


785 : ◆ACfa2i33Dc :2016/08/16(火) 05:08:27 C44h9YbY0

 穂群原学園の屋上に、一人の少女が佇んでいた。

 それだけならば、特段として奇妙なことはない。
 穂群原の屋上は普段から生徒の立ち入りが許可されているため、休み時間には生徒が屯していることもある。
 だが生憎と今現在、穂群原学園は授業の時間だ。
 穂群原学園の生徒が授業を抜け出しここにいるのなら、それは不良生徒と言う他はない。
 序でに言っておくならば、その少女の見た目からして生徒と言うには学園という空間から浮きすぎていた。
 正確な年の頃は掴めないが、少女であることだけはハッキリとしているから年代としては不自然ではない。
 しかし服装は違和感の塊だった。
 神社の巫女服に似た、しかし脇や二の腕を露出した装束に、握った御幣、そして手挟んだ数枚の御札。
 もしもそういった趣味の人間が目撃したならば、コスプレ会場はここではない、などと忠告するのは想像に難くないだろう。
 しかしこれは断じてコスチューム・プレイの衣装などではなく、彼女にとっての普段着であり、そして戦闘服でもある。

 調停者《バランサー》のサーヴァント、博麗霊夢であった。

「で、いつまで見てるつもり。出てこないのならこっちから手あたり次第行くけど」

 不意に、あるいは自然すぎるほど徐に。彼女は何者かへと向けて宣告した。

 視界を遮る障害物のない校舎の屋上。
 彼女を除けば、何者かの姿も、そして気配もそこにはない。
 だが博麗の巫女の勘は、ここに確かに異変のカタチを察知している。

「……やー、敵わんなあ。気配は完全に消しとった筈なんやけどねえ」

 不意に、あるいは自然すぎるほど徐に。
 彼女の目前、異変の片鱗がその姿を見せた。

「コソコソ隠れたところで、近付いてるのは同じでしょ。で、アンタ何」
「ナニって、また酷い言い方やなあ」

 現れたモノ、それは和装の男。手には短い刀。
 気配だけで十分に、その正体は窺い知れる。

「成る程、あんたがサーヴァントとやらか。……人間じゃないわね。何? 死神?」
「……驚いたな。キミこそ何者や?」
「見ればわかるわ、見たことあるし。あんたは三途の河の船頭に比べると働き者みたいだけど」

 博麗の巫女。人間とそれ以外の調整者であるバランサーの眼は、それが人外の存在であるコトを捉えた。
 死神。幻想郷では地獄の民であり閻魔の手足となって働く労働者のことで、現代向きに悪い言い方をしてしまえば地獄に務める公務員だ。
 生前にバランサーが見たことのある幻想郷の死神は、サボタージュが趣味で、上司に叱られるのが常態の有り様であった。

 だが目の前のサーヴァントは、同じ死神とはいえそれとはまったく毛色が違う。
 構えたその刀は、魂魄を斬るために研ぎ澄まされている。
 その主も。糸のように細めた眼と飄々とした佇まいに気を取られ優男のような印象も受けるが、本質はこれもまた研ぎ澄まされた刀。
 それも、鋭い懐刀の類。無防備に喉許を晒すようなことがあれば、蛇のように喰らい付かれ、そして食い破られるだろう。

「ふーん……ま、一応名乗っておこか。ボクはセイバーのサーヴァント。ほら、名乗ったんやからキミも名乗らなアカンで」
「バランサー。で? やるんでしょ?」

 長々とした会話は趣味ではない。特にこんな相手とは。
 バランサーが、無表情のまま剣のように御幣をセイバーに突きつける。
 セイバーもまた、嗤いながら刀の切っ先をバランサーへと向けた。


786 : ◆ACfa2i33Dc :2016/08/16(火) 05:09:29 C44h9YbY0

       ☯


 白刃煌く。
 弾丸のように放たれた突きを、しかしバランサーはふわり、と――ものを避ける擬音には不似合いな表現ではあるが本当に、ふわり、としか言いようがない――回避する。
 宙へと浮かんだバランサーは握った御幣を横殴りの軌道でスイング。
 頭狙いの一撃。これをセイバーはバックステップ回避、しかし距離が離れた。
 すかさずバランサーが弾幕飛ばして追撃。手挟んでいた御札――ホーミングアミュレットによる誘導弾、それを八発。
 鋭い弧を描きながら、白の弾幕がセイバーを追う。
 セイバーは慌てずに右の掌を翳し。

「破道の三十一・『赤火砲』」

 赫が八枚の札全てを焼き払った。
 その勢いのまま、バランサー目掛けて向けて火球が飛ぶ。
 あれは呪術の一種か。ただの魔術ならば対魔力の特徴《スキル》によって弾かれるが、呪術によって発現する、物理現象としての側面を持った炎を弾くことはできない。

「面倒ね」

 火球を左に躱しながら、如何にも面倒臭そうに呟いて。
 追撃せんと刺突の構えでこちらへ跳び掛かって来るセイバーへ向けて、バランサーが力ある言葉《スペル》を解放する。

「夢符・『封魔陣』」

 下から突き上げるように生まれた結界が、セイバーの突きを阻み、その体を弾き飛ばした。
 体勢を崩したセイバーを追撃するべくバランサーが跳ぶ。零時間移動(テレポート)。無防備に晒された後頭部に思い切り跳び蹴りを叩き込んだ。
 つんのめるように転がるセイバーへ向けて、蹴りの反動で宙を舞うバランサーが自らの顔よりも大きな陰陽玉を蹴っ飛ばす。
 即座にセイバーは跳ね起きるように体勢を立て直し、飛んでくる陰陽玉を刀を振るい斬り払う。

(……やりにくぅてかなわんなぁ)

 内心、セイバー――市丸ギンは、嘆息する。
 当然ではあるが、やりにくいとは、心情的なことではない。戦法の話だ。
 相性が悪い。
 どう相性が悪いか端的に言えば、セイバーの読みが半分近く通じない。
 虚実を織り交ぜた心理の戦いはセイバーの得意分野ではあるが、そこを飛び越えた動きをされては、駆け引きも何もない。
 おそらく対手は、その行動選択の半分以上を勘で決めている。
 カンと言えば印象こそ悪くなる。が、歴戦の英霊の直観とは、即ちその英霊の経験値から生み出された境地。けして馬鹿にできたものではない。

 ましてや――目の前の英霊の直観は、『鋭すぎる』。

(まったく……こないなバケモン、呼んでくるなや、聖杯も)

 尸魂界と現世の調整者の役割を持っていた死神である、市丸ギンだからこそ理解できる。
 アレは、抑止の守護と同じ質のモノだ。
 人類とそれ以外のバランスを調整する、世界の後押しを受けた守護者。
 それがバランサー(調整者)というクラスを器に、『守護としての役割、後押しを受けたまま召喚されている』。
 むろん、抑止力そのものを召喚することは聖杯戦争では不可能だ。
 おそらくは目の前の少女も、守護者としての活動範囲は極狭い英霊であり、サーヴァントとして召喚されている分本物の守護者と比べればその性能は劣る。
 だとしても、その脅威は並の英霊とは比べ物になるまい。


787 : ◆ACfa2i33Dc :2016/08/16(火) 05:09:54 C44h9YbY0

(……ま、負ける気もあらへんけどねぇ)

 確かに、相性が幾らか悪い相手ではある。
 が、相性が悪いだけの相手ならば、生前にも幾らでもやりあってきたのがセイバーだ。
 護廷十三隊、三番隊隊長としての経験と実力は伊達ではない。

(宝具の隠匿とか、言っとる相手でもあらへんね)

 立ち上がったままの棒立ちに近い姿勢から、しかし刀の切っ先を向けて。

「――射殺せ『神槍』」

 解号。
 金属が弾けるような音。
 一瞬でバランサーの身体が吹き飛び、屋上、金属の手摺に叩きつけられた。
 そのまま、呻き声すら上げずに、地面に落ちる。
 踏み込んで追撃――は、しない。
 地面に落ちる直前、少女英霊の瞳が死んでいないのを、セイバーは見た。

「……怖い怖い。まさかボクの宝具を紙一重とはいえ防ぐとはなあ」

 セイバーの宝具の一、始解である『神槍』の真名解放。
 脇差の如くの短さだった刀が、突如として伸び、その名の通り、槍のようにバランサーの喉頚を狙って突っ走った。
 予備動作のない奇襲刺突。
 例えサーヴァントであっても、それが弱卒であるならば、一撃の元に貫かれ、百舌鳥の早贄のように屍を晒していただろう。
 それを防いだのは、バランサーの結界。
 咄嗟に首筋を守った勘が、バランサーの命を守った。
 むろん。セイバーの宝具を弾き、衝撃に吹き飛ばされながらも致命の傷を防いだだけでも、バランサーは称賛されて然るべきだ。
 バランサーは、セイバーの切り札を凌いだ余裕に顔を歪めるべきだ。

「……あんた」

 だというのに、バランサーは、セイバーを睨む。
 当然だ。バランサーは、セイバーの狙いを見抜いていたのだから。
 セイバーの『神槍』が狙った先。それは、バランサーの喉首――いや、さらにその先。
 バランサーの背後の位置する、穂群原学園の教室。
 もしも彼女が『神槍』を回避すれば。標的を失った刃は、無辜の生徒たちを薙ぎ払っていた。

「あかんなぁ、女のコがそんなカオしちゃあ。……ま、ボクも二度目はやらんよ。あんまり派手をすれば、マスターに怒られてしまうさかい」
「……どうだか」

 言うは易い。あるいは、マスターに言い含められているのは事実なのかもしれないが、それで生徒に被害が出ないと信用しようとは、バランサーには思えなかった。
 一度行ってしまえば、どのような非道であっても、二度目に踏み切らない保証はない。

 バランサーの勘からしても――この男は、それが必要になれば躊躇いなくやる。
 そして、それをバランサーが庇ってしまうことも、承知の上で。

 バランサー(調整者)とは、世界や社会そのものに対する調整者。
 中でも博麗霊夢は、人間と妖怪の均衡を保つ博麗の巫女。その生前の生業は、人里の守護者とほぼ同意であった。
 ならばこそ。咄嗟の天秤は、どうしても人間を守護る方向へと傾く。

 白衣のセイバーが、脇差のように縮んだ刀を再び構える。

「守り固めるのが上手なのはわかったさかい、今度は……どこまで防げるか、試してみよか」


788 : ◆ACfa2i33Dc :2016/08/16(火) 05:10:38 C44h9YbY0
前半部の投下を終了します
お待たせしていてまことに申し訳ありません


789 : ◆ACfa2i33Dc :2016/10/16(日) 04:05:52 EleYpqCI0
生きています
申し訳ありませんが、>>785-787までを破棄します
そして改めて
白のセイバー(市丸ギン)、バランサー(博麗霊夢)
白のセイバー(ネロ・クラウディウス)、黒のアサシン(明智光秀)
神長香子、トゥーサン・ネシンバラ、セブルス・スネイプ、鹿目まどか
で予約します


790 : 管理人★ :2017/07/01(土) 21:58:42 ???0
本スレッドは作品投下が長期間途絶えているため、一時削除対象とさせていただきます。
尚、この措置は企画再開に伴う新スレッドの設立を妨げるものではありません。


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