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王道時々鬱でカオスなバトルロワイアル
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6/6【惑星のさみだれ】
○朝日奈さみだれ/○雨宮夕日/○東雲半月/○東雲三日月/○南雲宗一郎/○白道八宵
5/5【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・ズタンピード/○ミリオンズ・ナイブズ/○ニコラス・D・ウルフウッド/○レガート・ブルーサマーズ/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
5/5【魔法少女まどか☆マギカ】
○鹿目まどか/○暁美ほむら/○美樹さやか/○鹿目詢子/○鹿目タツヤ
4/4【アベンジャーズ】
○スティーブ・ロジャーズ/○トニー・スターク/○マイティ・ソー/○ブルース・バナー
4/4【魔法少女リリカルなのはViVid】
○高町なのは/○フェイト・T・ハラオウン/○高町ヴィヴィオ/○アインハルト・ストラトス
3/3【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/○御坂美琴/○土御門元春
3/3【ヘルシング】
○アーカード/○セラス・ヴィクトリア/○アレクサンド・アンデルセン
3/3【ドリフターズ】
○島津豊久/○織田信長/○那須与一
3/3【燃えよ剣】
○土方歳三/○近藤勇/○沖田総司
2/2【寄生獣】
○泉新一/○後藤
2/2【天使の囀り】
○北条早苗/○依田健二
2/2【バットマン】
○ブルース・ウェイン/○ジョーカー
2/2【魔法少女まどか☆マギカ〜The different story〜】
○巴マミ/○佐倉杏子
2/2【魔法少女リリカルなのはThe MOVIE 1st】
○プレシア・テスタロッサ/○フェイト・テスタロッサ
2/2【ONE PIECE】
○モンキー・D・ルフィ/○ポートガス・D・エース
1/1【アメイジング・スパイダーマン】
○ピーター・パーカー
1/1【クズなまどかシリーズ】
○鹿目まどか
1/1【魔法少女リリカルなのはThe MOVIE 2nd A's】
○闇の書の意志
52/52
※当ロワは非リレーとなります。
まとめwiki:ttp://www61.atwiki.jp/oudoutokidoki/pages/1.html
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OP投下します
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「やぁ、お早う。みんな目が覚めたかな」
底抜けに暗い空があった。
天井も、壁もない空間。あるのはただっ広い床だけ。
上を見れば漆黒がある。漆黒の中には数えきれない程の星々が散りばめられている。
前を見ても漆黒と星たちがある。左を見ても漆黒と星たちがある。
右を見ても漆黒と星たちが―――ない。
そこに並べられた人々から見て右手側。そこだけ漆黒も星もない。
あるのは青。
よくよくテレビやら本やらで見かける青色のアレがある。
そう、我らが母なる星・地球だ。
それも写真やCGではなく、実物が。
丸丸と人々の視界の中にあった。
人々の大半は自身の頬を抓ったり、目を擦ったりしている。
だが、どれだけ頬を抓ろうと痛いものは痛く、どれだけ目を擦ろうと在るものはそこに在った。
「あー、驚くのは良いけどね。僕の話も聞いてもらって良い?」
誰もが景色に気を取られる中、精一杯自己アピールをする者がいる。
痩せこけた頬に、目の下にしっかりと刻まれたクマ、それを覆うようにあるメガネ。そして無精ひげ。とてもじゃないが健康とは映らぬ姿。
服装は寝間着そのもので、人前に出る恰好ではない。
人々の中から、アニムスという声が数人分上がる。
「紹介ありがと。僕はアニムス。まぁ、俗な言い方をすれば神様みたいなものかな」
気だるげに言いながら、アニムスと名乗った男は人々を見渡す。
口には張り付いたような微笑みがあった。
神という物言いに過敏に反応するものもいるが、それらの殺気すらアニムスはスルーする。
「それで君達に集まって貰ったのは他でもない。一つゲームをしたいんだ」
ゲーム。
平穏に生きた者は何か楽しいものを想像する。
「ルールは簡単。最後の一人になるまで殺し合い、生き残ること」
だが、自称神のいう事は格が違った。
殺し合え、と言うのだ。
見ず知らずの人や、親友・仲間たちと。
「制限時間は72時間ね。それを過ぎると―――こうだから」
そして、振り上げられたアニムスの右手に光が宿る。
人々の視線が集まる中、それは現れた。
ハンマーだ。巨大なというにも憚れるような、km単位は易々とあるであろうハンマーだ。
それが地球の上側に出現する。
宙空にあったハンマーがアニムスの手の動きに伴って振るわれて、人々の眼下にあった地球を粉砕する。
声を上げるものは存在しなかった。
それこそまるでアニメや漫画の中のギャグシーンのようであった。
余りの現象に人々の理性はそれを呑み込むことをしない。
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「まぁ、こんな感じだからよろしくね」
パチンとアニムスが指を鳴らす。
すると、粉々になった筈の地球が元の姿を取り戻した。
地球を砕いたハンマーも同じ位置に戻っている。
「勿論、殺し合いの会場は地球上に設置する予定だよ。会場の四方は海にするけど、逃げ出そうとする人がいれば同じ目にあうから」
全てが冗談のような出来事であった。
空間も、現象も、強要の内容さえ、現実味の欠片としてない。
「特例を除いてゲームが終了した時―――つまりは、生存者が最後の一人となった時、ハンマーは消滅する。
それともう一つ。僕を殺害する事が出来ても、ハンマーは消滅するようになっている。死んで自動的に作動するなんて事はないよ。
あ、心配はしなくて大丈夫だよ。僕が死んだら勿論だけど、無事にゲームが終ったとしても、僕はもう二度と地球を破壊しようなどとはしない。約束しよう。
それと優勝者にはどんな願い事でも叶える権利を進呈するよ。お金でも、命でも、組織でも何でもありだ。やったね」
口約束とするには余りに重大すぎる内容を告げ、更にアニムスは続ける。
「僕にもう大義名分なんてものはない。ただ楽しませて欲しいんだ。君たちの命でもって。退屈で退屈で仕方がないからね。
だから、君たちが反抗しようと、従順しようと、正直どちらでも構わないんだ。ゲームを面白くさえしてくれれば」
薄い微笑みはあれど、目はまるで笑ってなどいない。
昆虫のような感情を感じさせぬ無機質な瞳で周囲を見やった。
「それと一つ、重要な情報を教えてあげるよ。パラサイトには気を付ける事だ。ここにいるのは特別性だからね。瞬く間に囀りを聞く事となる」
パラサイトという言葉に数人の人間が表情を曇らせるが、殆どは当惑するだけであった。
だが、アニムスはそれ以上話を広げる事無く、最後にぐるりと参加者の一人一人の顔を見回す。
そして、一層に笑みを深くし―――だが、やはりながら目は少しとして笑っていない―――両手を広げながら、告げた。
「じゃ、バトルロワイアル、はーじまーるよーーー」
殺し合いの開始を。
神が、無機質に、告げた。
【王道時々鬱とカオスなバトルロワイアル 開催】
【主催者:アニムス@惑星のさみだれ】
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投下終了です。
非リレーかつ稚拙な内容となってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします!
感想・ご指摘バンバンいただけると幸いです
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東雲半月、鹿目まどか、キャプテン・アメリカで投下します。
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東雲半月は困惑の中にあった。
何故だろうという気持ちが強い。
彼は覚えていた。
決して人間には成し得ぬ威力の打撃。自分の腹部にめり込む拳。何かが破裂するような音。
動かぬ体。霞む視界。脳裏を巡る様々な人たち。
寒い。寒い。寒い。
遂には人々すら視界から消えていった。
(おれにもできたよ)
最期にあったのは、かつて自分の前で子どもを助けて死んでいったヒーローの姿。
あの時できなかったこと、今できたこと。
死ぬというのに恐怖は余りなかった。達成感が身を包んでいた。
そして、全てがブラックアウトしていき―――、
「おれは何で生きてんだろうなあ?」
何故だか、彼は今ピンピンとした姿で立っていた。
軽く走り回り、跳びまわるが何の支障もない。
全くの健康体。むしろ絶好調とすら言える体調であった。
「ふーむ、不思議だ。凄いな人体……」
呑気に呟きながら半月は空を見上げる。
回想されるは、数瞬前にあった光景だ。
宇宙のような空間にあった白色の床。
告げられた殺し合いに、破壊され再生した地球。
空を見上げれば満天の星空がある。
それと一緒に巨大なハンマーも。
自分が死ぬ直前にあった夜天とそう変わらない。
ここは地球で間違いなさそうだが……。
「あいつが魔法使いかあ」
ハンマーを創造した、という事はあいつが騎士の宿敵たる魔法使いなのだろう。
確かに底知れぬ雰囲気はあった。
魔法使いがハンマーを振り下ろそうとした瞬間、半月は無意識に駆け出そうとしていた。
だが、意志に反して身体が動かない。
竦んでしまった、という訳ではなかった。
底知れぬ雰囲気に少なからず恐怖はあったが、半月はそういった感情を振り切って行動のできる人間である。
恐らくは、あの魔法使いが何らかの術を使用したのであろう。
半月の周りにいた何人かの人間も動こうとしていたが、身体は静止させられていた。
「……スゲえな」
感嘆は自然と漏れていた。
未知数の敵だ。
心底から勝てる気がしないと感じたのは、何時以来だろうか。
「これでこそ地球を守ってるって気がするな」
身体が昂揚に震える。
半月の意志は一寸として陰りはなかった。
戦意がめらめらと燃え盛る。
これでこそ正義の味方の仕事だ。
俄然としてやる気が込み上げてくるのが、半月にも分かる。
「お、何だこりゃ。学校?」
気付けば半月は学校の門前に辿り着いていた。
半月には見おぼえのない学校。どうにも真新しい印象を受ける。
「誰かいるかな」
殺し合いの会場に何故学校があるのかは分からないが、特に深くは考えなかった。
校門も開いている。誰かが忍び込んだり、逃げ込んでる可能性は十分にありえた。
ともかく、と他の参加者を探すために学校の中へ侵入していく。
「うお、夜の学校怖ぇ……」
中は真っ暗であった。
灯の一つと付いていない校内は、特別怖いものが苦手でない半月にすら圧迫感を与える。
とはいえ、その足は縮こまる様子もなく一定の速度で前へ進んでいく。
教室の一つ一つを見て回るが、人の気配はない。
念入りに調べている訳ではないが、もし隠れている者がいても半月には気付ける自信があった。
古武術の達人である彼の知覚は並ではない。
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「あ」
と、進んでいく内に彼は発見する。
場所は地上三階の廊下。
暗い暗い廊下の先にて立ち尽くす少女の姿。
闇に浮かぶ体格線からは華奢な印象を受ける。
「おーい。そこの君ー」
殺し合いという場にはそぐわぬ、偉くすっとぼけた声を掛けながら半月は少女へと手を振った。
表情には笑顔。まるで警戒というものは存在しない。
対する少女も首を傾げるだけであった。反応としてはこちらも鈍いものだ。
「いやあ、参っちゃうねえ。大変なことに巻き込まれちゃてさ。あ、初めまして。俺は東雲半月。正義の味方やってます」
少女の側へと駆け寄った半月は続けざまに声を飛ばす。
そんな半月に少女も柔和な微笑みを携えながら、しかし一言と返さない。
「君は何ていう名前?」
そう、半月が問い掛けた瞬間であった。
前触れもなく光が発生した。
少女の肉体そのものが閃光手りゅう弾と化したかのように、強烈な光を発したのだ。
半月は驚愕しながらも、目を細め、右腕を掲げて光を遮る。
そして、光が止むと同時に見た。
先程までとまるで服装を変えた少女の姿を。
「マ、マジカルマリー!?」
思わず口から飛び出た言葉は、最近彼が知った深夜アニメのキャラクターだった。
その服装が似ている訳ではない。少女のそれはゴシックロリータ調の、ふわふわしたピンク色だ。
だが、彼の頭を過ぎった『魔法少女』というキーワードと最も近く連想された言葉が、それだった。
「違うよお。私の名前は鹿目まどかだよお」
少女は半月の発言を否定するように名乗り出た。
口を動かしながらも鹿目まどかは澱みなく動いている。
手にある武装は弓矢。ただ本来のそれと異なる部分があった。
矢と弦が、ピンク色の光で形成されているのだ。
まるでファンタジーの中から出てきたようなそれを、まどかは半月へと向けて引き絞り、何の躊躇いもなく―――放った。
矢は進行上にある一切合財を消滅させる。
いや、その余波ですら建物を砕き散らし、塵とするのには充分すぎた。
減速する様子もなく弓矢は破壊を引き起こして、空の彼方へと消えていった。
破壊の全てを引き受けた校舎は、まどかが立つその位置を区切りとして半分が消滅していた。
瓦礫の一つすら存在は許されず、まるで最初から無かったかのように消え去った。
「へえ、凄いなあ。半月さん」
広々と開けた前方を見詰めながら、まどかは口を開いた。
その相手は東雲半月。
半月はあれだけの破壊現象を前にして生存せしめた。
回避したのではない。
まどかが矢を放つ刹那、彼の合気がまどかの身体を―――投げ飛ばしたのだ。
弓を支える右手を軸に投げ飛ばし、まどかを床へと叩き付けた。
そう、まどかが吹き飛ばした校舎の半分とは『横半分』ではなく『上半分』であった。
まどかは受け身すらとれずに叩きつけられながら、まるで堪えた様子はなかった。
変わらぬ笑みをたたえて、寝転がりながら半月を見詰めている。
「そりゃ、どうも。びっくりしたよ、俺も」
矛先を逸らして尚も、まどかの放った弓矢は強大であった。
破壊現象の余波ですら半月を吹き飛ばすには充分すぎ、彼は元立っていた位置から十数メートルは放れた位置で転げていた。
冷や汗と共に引き攣った笑みを浮かべ、衣服の埃を叩きながら立ち上がる。
(ヤバい、なんてもんじゃないよなあ……)
機先を制してまどかを投げ飛ばしたまでは良い。
弓矢が向けられるよりも早く、身体は無意識化で動いていた。
命拾いしたのは確かだ。
だが、だからこそ、一瞬とはいえ攻防を交えたからこそ、半月は理解してしまう。
鹿目まどかと、自身との間にある絶望的なまでの戦力差を。
(勝ち目はない、か……)
まどかの撃ち放った弓矢は桁外れの威力を秘めていた。
魔法使いから地球を守護する戦いに参加し、それなりに人知の及ばぬものを見て尚も、これ程のものは存在しなかった。
彼の知る最強の精霊(プリンセス)も、人間離れした身体能力を有していたものの、眼前の少女に匹敵するかと言われれば自信はない。
例え、東雲半月であってしても勝利は不可能であった。
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(でも―――逃げるのはもっとないよな)
それでも逃亡という選択肢は半月の中にはない。
正義の味方を望む以上、決して引けぬものが彼の中には存在する。
たん、と地面を蹴り、走り出す。
魔法使いとの戦いが始まって以降。常に傍らに付き添っていた犬の精霊は今、いない。
それでも念動力は使えた。彼の有する必殺技『掌握領域・方天戟』。
槍状に変動させた力場で敵を穿つ技である。
合気でダメージを与えられない以上、最大火力の技を見舞うしかない。
それでも、魔法使いの手先たる泥人形を僅かに削る程度の威力。
眼前の少女に通用するかは不明。だが―――引けない。
ここで引いたら正義の味方を目指す事すらできなくなる。
「うおおおおお!」
視界の中では少女が再び弓を引き絞っている。
全力で暗闇の廊下を駆けるも距離が開き過ぎていた。
届かない。
半月も凄まじい速力で疾走しているが、それでも十数メートルという距離は大きすぎる。
至近であれば、先程同様に合気でいなす事も出来たかもしれない。
しかし、間合いの開いた現状では不可能。
必死の走行も虚しく、弓矢が放たれた。
極光が視界を包み込む。
(無理か……情けねえなあ)
そして、彼は二度目の死を覚悟する。
一度目とは対照的に、無念に満ちた死であった。
正義の味方として息巻いておきながら、何も残せてはいない。
あの時のように託す者もいない。救えた者もいない。
自分は、何も、出来てはいない。
(すまない、ノコ。おれには出来なかったよ)
二度目の死に、走馬灯はなかった。
ただ白色に埋め尽くされた世界を見る。
天地すらも閃光に隠されて分からない。
まるで夢の中のような光景がそこにある。
ふと、半月は気付いた。
向かって右手側。
閃光の中で動くものがあった。
円形の物体。閃光の渦中で円形の影が動いている。
飛び込むような動作で円形の影が、半月の目に躍り出た。
思わず半月は身を縮込ませていた。
光から逃げるように、影の中に逃げ込むように、身体を丸める。
一瞬後、世界が―――炸裂した。
◇
「これであとは50人かあ。ウェヒヒ、楽勝だね!」
そして、誰もいなくなった場に鹿目まどか(クズ)が残された。
校舎はもはや存在しない。まどかの放った弓矢により完全に消滅してしまった。
「うーん。ほむらちゃんやマミさん(笑)もいたなあ。それに……さやかちゃんも」
まどかは一人、夜空にそびえるビスケットハンマーを見上げながら記憶を辿っていた。
先程の宇宙空間。そこにあった見知った顔の数々。
魔法少女のみならず、母親や弟の姿もあったが対して気には留めていなかった。
でぇじょうぶだ、死んでも願い事がある(笑)
それよりもまどかが注目するのは、元親友であり現仇敵である美樹さやかについてであった。
自分の願い事を阻止し、あまつさえ横取りさえした少女。
実力すらも自分以上となった彼女を許す訳にはいかなかった。
「殺してあげるよ。どんな手を使っても……ウェヒ」
天使のような微笑みで、悪魔のような思考を回す。
笑顔の仮面の裏で、灼熱の憤怒を滾らせながら鹿目まどかは進んでいく。
災厄の魔法少女が、バトルロワイアルに君臨する。
【B-4学校跡地・1日目 深夜】
【鹿目まどか@クズなまどかシリーズ】
[状態]健康、魔法少女(クズ)
[装備]まどかのソウルジェム@クズなまどかシリーズ
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本:優勝を目指す。
1:さやかを殺す。絶対に殺す
2:魔法少女の皆は場合によっては殺さなくてもいいかなー
3:ママとたっくんは後で蘇生させる
※B-4にあった見滝原中学校@魔法少女まどか☆マギカが消滅しました。
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◇
鹿目まどかから1キロほど離れた森林にて、彼等はいた。
数本となぎ倒された木々。数メートルに渡って抉れた地面。
地面の窪みの中に、二人の男が折り重なるようにして倒れていた。
「お、重い……」
下側の男は東雲半月。
鹿目まどかに抹消された筈の青年が五体満足の姿で、地面と男とにサンドイッチにされていた。
「生きてる……みたいだな」
上側の男は、先程の鹿目まどか以上に奇妙な恰好していた。
全身を青タイツで包み、顔面すらも青色の覆面で覆っている。
体付きは半月よりも二回りは大きく、大木の如く力強かった。
「すみません。助けられました」
「いいや。間に合って良かったよ」
青タイツ男は立ち上がると、半月に手を貸した。
その手を掴んで半月は目を見張る。
手から伝わる力強さは、これまで半月が出会ったどんな『人間』よりも強い。
「凄まじかったな。何だったんだ、あの少女は」
青タイツの男が自分達が飛んできた方角を見ながら、呟く。
そんな青タイルを視界の端に捉えながら、半月は抉らた地面を見やる。
そこには円形のシールドが、地面に埋もれていた。
見覚えのある円形だ。
「このシールド……」
「ああ、これは特別性でね。雷神のハンマーを受けたって、傷一つ付かない代物さ」
青タイツはそう言うと、シールドを拾い上げ慣れた動作で己の左手に装着する。
あの鹿目まどかの弓矢を受け切り、地面の激突への衝撃も受け切ったシールド。
確かに土埃に汚れているが、シールド本体には小さな傷すら付いてはいない。
シールドの中央を飾る白色の星が、半月の目を引く。
「本当にありがとうございます。あのままじゃ確実に死んでました、おれ。あなたは命の恩人です」
「そんな畏まらなくたっていいさ。感服したよ。君は、あの少女に果敢に向かっていった。普通できることじゃない。素晴らしいスピリッツの持ち主だ」
頭を下げる半月に、男は尊敬を返す。
上辺だけではない、心底からの言葉に聞こえた。
青タイツの男とて、見ず知らずの半月を救うためだけにあの弓矢を前にして、割って入ったのだ。
シールドがあるとはいえ、校舎の半分すら一撃で吹き飛ばすほどの弓矢だ。
破壊される可能性だってゼロではなかったであろうし、間に合わなければ確実に死亡していた。
命を賭けたのだ。
見ず知らずの半月を救うために、己の命を。
「おれ、東雲半月って言います。あなたは?」
死地に飛び込む恐怖は、幼いころに知っていた。
だからこそ、半月は惹かれた。
あれだけの脅威を前に竦みの欠片も見せずに飛び込んできた男に、その悠然たる姿に、惹かれる。
「僕はキャプテン・アメリカ。自由の戦士だ」
「キャプテン・アメリカ……」
どう見ても偽名でしかないそれ、どう見ても変人でしかない見た目。
だが、心臓が痛い程に胸の裏側を叩いている。
これは、この人は―――、
「ヒーロー……?」
呟きは、キャプテン・アメリカにすら届かずに宙に消える。
半月は呆然と立ち尽くしながら、キャプテン・アメリカを見詰めていた。
「よろしくな、ハンゲツ」
「は、はい!」
差し出された手を、半月は受け取った。
そこには確かに存在した。
物語の中でしかなかった者が、小さな頃から憧れていた者が―――ヒーローが、そこにいた。
「まずは先程の学校に戻るか。あの少女を放っておく訳にはいかない」
「同感です。あの子は絶対に止めなくちゃ」
そして、二人の男が歩き始める。
片やヒーローを目指し、そうならんと邁進を続けた青年。
片や紆余曲折を経ながらも自由の国旗を背負うヒーローとなった青年。
二つの正義が、ここに交わった。
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【A-4森林・1日目 深夜】
【東雲半月@惑星のさみだれ】
[状態]全身にダメージ(小)
[装備]なし
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本:正義の味方としてアニムスを止める
1:キャプテン・アメリカと行動
2:学校へ向かい、鹿目まどかを止める
【キャプテン・アメリカ@アベンジャーズ】
[状態]全身にダメージ(小)
[装備]キャプテン・アメリカのシールド@アベンジャーズ
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
1:ハンゲツと行動
2:学校へ向かい、鹿目まどかを止める
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投下終了です。
予定としてはアベンジャーズは実写版準拠。バットマン、スパイダーマンはアメコミ準拠でいきたいと思います
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投下乙です
クズまどかは相変わらずの外道だなぁ…
キャップにはブレないヒーローとしての活躍が期待されるな
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投下乙
どうみても全盛期並のサイキックを持つアニムスがヤバい
半月とキャップの王道コンビに期待大
半月は原作では大人の立ち位置だったけどこのロワでは違う役割が持てそうだな
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略称は鬱カオスロワ?
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長らく放置してしまい申し訳ありません。
参加者を大きく変更したいと思います。
6/6【惑星のさみだれ】
○朝日奈さみだれ/○雨宮夕日/○東雲半月/○東雲三日月/○南雲宗一郎/○白道八宵
5/5【咲-saki-】
○宮永咲/○原村和/○竹井久/○天江衣/○福路美穂子
5/5【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・ズタンピード/○ミリオンズ・ナイブズ/○ニコラス・D・ウルフウッド/○レガート・ブルーサマーズ/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
5/5【魔法少女まどか☆マギカ】
○鹿目まどか/○暁美ほむら/○美樹さやか/○鹿目詢子/○鹿目タツヤ
4/4【アベンジャーズ】
○スティーブ・ロジャーズ/○トニー・スターク/○マイティ・ソー/○ブルース・バナー
4/4【魔法少女リリカルなのはViVid】
○高町なのは/○フェイト・T・ハラオウン/○高町ヴィヴィオ/○アインハルト・ストラトス
4/4【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/○御坂美琴/○一方通行/○打ち止め
3/3【ヘルシング】
○アーカード/○セラス・ヴィクトリア/○アレクサンド・アンデルセン
3/3【燃えよ剣】
○土方歳三/○近藤勇/○沖田総司
2/2【アカギ〜闇に舞い降りた天才〜】
○赤木しげる/○鷲巣巌
2/2【寄生獣】
○泉新一/○後藤
2/2【天使の囀り】
○北条早苗/○依田健二
2/2【賭博黙示録カイジ】
○伊藤開示/○石田
2/2【バットマン】
○ブルース・ウェイン/○ジョーカー
2/2【魔法少女まどか☆マギカ〜The different story〜】
○巴マミ/○佐倉杏子
2/2【ONE PIECE】
○モンキー・D・ルフィ/○ポートガス・D・エース
1/1【アメイジング・スパイダーマン】
○ピーター・パーカー
1/1【クズなまどかシリーズ】
○鹿目まどか
54/54
以上の通りに参加者を変更。
次回は(いつ書きあがるか不明ですが)伊藤開示、後藤で書いていきたいと思います
-
伊藤開司、後藤で投下します
-
◇
それは『地球』が破壊された瞬間にあったものであった。
振り下ろされる鉄槌。眼下にある青色の星が無惨にもひび割れ、砕ける。
まるで現実味のない光景の中で、私は……私達は聞いた。
―――この者を止めろ―――
―――この者を殺せ――――
二つの声を、聞いたのだ。
◇
伊藤開司は焦燥の中に立っていた。
理解不能だ。何もかもが理解の外にある。
『沼』を攻略し、自由を手に入れた矢先にあった謎の事象。
宇宙空間に謎の男、破壊される地球に殺し合い。
空を見ればあの巨大鉄槌が彼方で鎮座している。
何度目を擦っても、それは悠然としてそこに存在しているのだ。
ありえない。
そんな事は物語の中だけのものだ。
だが、そこに在るのだ。それはれっきとして。
「なんなんだ……なんなんだよ、一体っ……!」
噛み締めた歯の間から洩れたのは、憤りと戸惑いに満ちた声。
矢先だ。
あのどうしようもない借金地獄から解放され、ようやく未来を己が手中にとった矢先なのだ。
こんな訳の分からないゲームが待っていた。
もう沢山だ。ゲームなど、命を何とも思っていない狂気など、もうこりごりなのに、
「なのに、なんでっ……! なんで、こうなる……!」
手で顔を覆い、カイジは俯く。
みっともないと思いながらも、涙が流れるのを我慢できない。
己の因果、運命に感情が迸る。
「なんでなんだ、畜生っ……!」
遂にはその場にへたり込み、嗚咽を零して肩を揺らす。
涙は止まらない。
分かっている。やらねばならないのだと。
先程の出来事は夢なんかではない。
命懸けのゲームがこの場では既に進んでいる。
アニムスと名乗った男の瞳は、狂っていた。
カイジが対峙した事のある兵頭和尊。
あの人を人と思わない悪鬼の瞳と同種のそれだ。
だが、カイジの脳裏にあるアニムスの瞳は、信じられない事に兵頭のそれをも遥かに上回る程の狂気に染まっている。
人の死ですら愉悦を満たせない、まるで虫けらを見るかのような瞳。
あの瞳をするものが、本当に五体満足で人々を解放するとは到底思えない。
真実を、そのままにして語ったのだろう。
自分を愉しませて欲しいと。
本能と狂気を剥き出しにして殺し合う姿を見せることで、この渇きを埋めて欲しいと。
(狂ってやがる……これを狂っていると言わずに何と言うっ……!)
ボロボロと泣き崩れてどれほどの時間が経過しただろうか。
オーバーヒートした感情はようやく落ち着き、僅かながらに冷静な思考を取り戻す。
再び見上げた空には、やはりあのハンマーが鎮座している。
まるで夢の中の光景。
だが、カイジを包む感覚群は余りにリアル。知覚の全ては正常に働いていて、夢のような澱みは欠片と存在しない。
とはいえ、それでも尚に受け止めきれるものではない。
コンピューターグラフィックスを何らかの映写装置でどのようにかすれば、こんな光景も創りだせるのではないか。
先程の出来事も同様のCGや……他にも催眠術のようなオカルティックな何かが作用した可能性もある。
そう、目の前で地球が破壊されるという光景と比較すれば、これらの例の方が遥かにマトモ……まだ現実味がある。
全てが作り物であったとして、ならば、今この場は何なのか?
何故、あのしけた繁華街から、右も左も分からぬこんな暗闇の森林にいる?
頬を抓る。痛みはある。
左手を見れば敗北の証たる傷痕も刻まれていて、ともすれば微細な疼痛を放っている。
木々に触れれば固い質感のそれが神経を刺激する。
湿り気のある地面も、肌寒くも暑くもない気温も感じられる。
(現実……今ここにある全ては、現実……ならば……)
現状が夢でも幻でもないのだとすれば、拉致され見知らぬ土地で放置されているというは現実だということ。
十分に異常事態。ならば、殺し合いとやらは……。
(現実……現実なのかっ……!)
結局、思考はそこに行き着く。
此処に辿り着くまでの道程が虚偽であったとしても、現在の状況まで否定する事はできないのだ。
拉致され、放置されているこの現状は、否定できない。
-
(ふざけるなっ……ふざけるなよ、アニムスっ……人を、人間を、何だと思ってやがる……!)
内から込み上げてくる熱いもので、再び視界が滲んでいく。
考えれど、考えれど抜け出す事のできない迷宮に、感情の暴走は止まらない。
理性では分かっている。行動を起こさねばいけないのだと。
それでも人間とは簡単なものではない。
受け止めきれぬ現実に直面した時、思考を止めて立ち尽くしてしまう。
それは数多の賭博地獄を潜り抜けてきたカイジとて例外ではない。
もし、この場において寸分の迷いなしに動く事のできるものがいれば、それは人間ではないと言っても良いだろう。
「くそっ……くそっ……くそっ……!」
泣き声は止まらない。
そして更に十分、二十分と時間が経過した。
彼は気付けない。
その十分、二十分が彼を窮地に追い込んだ事実を。
彼は気付けないままに、全ては進行していく。
既に伊藤カイジの命は彼の手中にはなく、他者のによって与奪の権利が握られる事となる。
絶対的強者に、彼は見つかってしまったからだ。
森林の中で泣き崩れるという赤子のように無防備な姿を、発見された。
パラサイト。
世界でミンチ事件と恐れられた怪事件の、その首謀たる種族が一員。
中でも恐らくは最強とされる者にカイジは発見されてしまったのだ。
それは普通の人間と同じ様に暗闇の中から現れた。
スーツ姿を纏った男。表情は仮面のように無表情、殺し合いの場だというのに寸分の恐怖も存在しない。
それは、カイジの姿を認めると同時に立ち止り、無言で視線を向け続ける。
観察。
まさにそうなのだろう。男は、蹲り泣きじゃくるカイジを見詰め続けた。
男が動き出したのは数分後。
何の前触れもなく男は歩みを再開し、カイジの側に立つ。
それだけ接近されればさしものカイジも気が付かない訳がない。
人の気配に顔を上げ、同時にカイジは驚愕する。
直ぐ傍にて立つ見知らぬ男。
見下ろしてくる、まるで感情を感じさせぬ表情。
「な、なんだっ、お前……」
震える声を零しながら、わたわたと不器用に四肢を動かし、距離を取ろうとするカイジ。
驚愕し、恐怖するカイジは気付かない。
男の右腕、それがまるで刀剣のように形を変えている事に。
その切っ先がカイジの胴体へと向けられている事実に。
気付かない。
数多の窮地を乗り越えてきたカイジであるが、彼の真骨頂はまだ発揮の切っ掛けすら掴んでいない。
エンジンがまだ掛かってすらいない状態。
そんな腑抜けた状況でカイジが気付ける訳がない。
己を狙う死神の鎌に。
「人を見世物か何かのようにジロジロと見てるんじゃねぇっ……! 離れねえとぶん殴るぞっ……!」
カイジの脅しも滑稽でしかなかった。
凶器を向けられた人間の取る行動ではない。
遜るか、反逆するか。
そのどちらもに命懸けという言葉が掛からなければ意味がない。
そして、至極あっさりと男の右腕が振るわれた。
「―――あ……?」
カイジには呆然しかなかった。
全てがカイジにとって知覚外のことだった。
気付いた時には全てが終わっていた。
カイジは―――男に引き上げられる形で、立ち上がっていた。
「お前は殺し合いに乗ってるのか?」
右腕が動いたかと思えば、凄まじい力で胸倉を掴まれ立たされていた。
(な、なにが起きた……!? 何て力……何て早さ……コイツ、何ものっ……!?)
反応も、抵抗もできなかった。
一瞬で立たされ、その無感情な両目に射すくめられている。
カイジ愕然……圧倒的愕然……!
「の、乗ってない……人殺しなんて俺はしない……です……!」
知らず、変化する言葉じり。
へりくだる……彼我の戦力差を理解すると同時に掌を返すカイジ。
それは情けないとも映るが、殺し合いという現状を思慮すれば良手。
-
泣き声は止まらない。
そして更に十分、二十分と時間が経過した。
彼は気付けない。
その十分、二十分が彼を窮地に追い込んだ事実を。
彼は気付けないままに、全ては進行していく。
既に伊藤カイジの命は彼の手中にはなく、他者のによって与奪の権利が握られる事となる。
絶対的強者に、彼は見つかってしまったからだ。
森林の中で泣き崩れるという赤子のように無防備な姿を、発見された。
パラサイト。
世界でミンチ事件と恐れられた怪事件の、その首謀たる種族が一員。
中でも恐らくは最強とされる者にカイジは発見されてしまったのだ。
それは普通の人間と同じ様に暗闇の中から現れた。
スーツ姿を纏った男。表情は仮面のように無表情、殺し合いの場だというのに寸分の恐怖も存在しない。
それは、カイジの姿を認めると同時に立ち止り、無言で視線を向け続ける。
観察。
まさにそうなのだろう。男は、蹲り泣きじゃくるカイジを見詰め続けた。
男が動き出したのは数分後。
何の前触れもなく男は歩みを再開し、カイジの側に立つ。
それだけ接近されればさしものカイジも気が付かない訳がない。
人の気配に顔を上げ、同時にカイジは驚愕する。
直ぐ傍にて立つ見知らぬ男。
見下ろしてくる、まるで感情を感じさせぬ表情。
「な、なんだっ、お前……」
震える声を零しながら、わたわたと不器用に四肢を動かし、距離を取ろうとするカイジ。
驚愕し、恐怖するカイジは気付かない。
男の右腕、それがまるで刀剣のように形を変えている事に。
その切っ先がカイジの胴体へと向けられている事実に。
気付かない。
数多の窮地を乗り越えてきたカイジであるが、彼の真骨頂はまだ発揮の切っ掛けすら掴んでいない。
エンジンがまだ掛かってすらいない状態。
そんな腑抜けた状況でカイジが気付ける訳がない。
己を狙う死神の鎌に。
「人を見世物か何かのようにジロジロと見てるんじゃねぇっ……! 離れねえとぶん殴るぞっ……!」
カイジの脅しも滑稽でしかなかった。
凶器を向けられた人間の取る行動ではない。
遜るか、反逆するか。
そのどちらもに命懸けという言葉が掛からなければ意味がない。
そして、至極あっさりと男の右腕が振るわれた。
「―――あ……?」
カイジには呆然しかなかった。
全てがカイジにとって知覚外のことだった。
気付いた時には全てが終わっていた。
カイジは―――男に引き上げられる形で、立ち上がっていた。
「お前は殺し合いに乗ってるのか?」
右腕が動いたかと思えば、凄まじい力で胸倉を掴まれ立たされていた。
(な、なにが起きた……!? 何て力……何て早さ……コイツ、何ものっ……!?)
反応も、抵抗もできなかった。
一瞬で立たされ、その無感情な両目に射すくめられている。
カイジ愕然……圧倒的愕然……!
「の、乗ってない……人殺しなんて俺はしない……です……!」
知らず、変化する言葉じり。
へりくだる……彼我の戦力差を理解すると同時に掌を返すカイジ。
それは情けないとも映るが、殺し合いという現状を思慮すれば良手。
「そうか。なら、おれに協力しろ」
開かれる男の右手。
同時に重力に引かれて落下するカイジの身体。
受け身も取れずにカイジ、尻から落下する。
「っっ〜〜〜〜〜〜〜!!」
臀部を襲う鈍痛に声に鳴らぬ悲鳴を上げる。
涙が滲む瞼を開ければ、そこには既にカイジに背を向け、歩き去っていく男がいる。
-
追いかけるか、否か。
逡巡するカイジであったが、結局はその後を追った。
あれだけの瞬発力を見せた相手だ。逃げたとしても直ぐに追い付かれるだろう。
(なら、今は従う……幸い、この男も殺し合いに乗ってる訳ではない……むしろこれは僥倖っ……!
どこかおかしな男だが、強力……強力無比な仲間……! これは幸運だっ……!)
あまりに唐突で社交性の欠片とない邂逅に面を喰らったものの、これは幸先の良いスタートと言えた。
不意の遭遇であっても敵意を見せなかった事実、自ら背を向けた事実。
あれだけの力があるのだ。殺し合いに乗っているなら有無を言わせずに襲撃すれば良いだけのこと。
男が殺し合いに乗っていることは十中八九ありえない。
ならば、ここは乗る。
勝ち馬……ツキに乗るっ……!
「なぁ、あんた名前は……?」
進み続ける背中へと飛ばした問い。
一瞬、無視されるかとも思ったが、男は存外素直に返事をした。
「後藤だ」
たった、それだけを、まるでどうでも良い事かのように吐き捨てた。
「後藤さんか……よろしくな、俺はカイジ……伊藤カイジだっ……!」
そうして終わる短い会話。
結局のところ、カイジは気付けないで終わったのだ。
本当の僥倖は、彼が思考したものとはまるで違った箇所にあるということに。
そして、それが彼の命を救うほどに強大な幸運であったことに。
カイジが出会った男・『後藤』の正体はパラサイトである。
人間社会に唐突に現れた人間に寄生し、人間を食する生物。
どのように生まれたのか、何のために生まれたのか、そのどれもが不明。
ただ一つ言うならば、『後藤』はパラサイトの中でも最強の存在であり、他のパラサイトよりも一層の『人間に対する殺意』を有している。
『この種を食い殺せ』―――それが人の脳に寄生したパラサイトが最初に聞く言葉。
記憶にすら残らぬ啓示だが、それは彼等の根幹をなす。
中には共存とも云える道を行くものもいるが、それは例外中の例外。
大抵は人間を食し、生存していく。
『後藤』とは五匹のパラサイトが統合された肉体の『統率者』である。
だからこそ、感情が寄り集まることで増幅し『殺意』が増大し、『戦い』を求める。
本来の彼であれば、この場に於いても戦い、喰らい尽しただろう。
カイジなど己が死んだ事にすら気づかずに、胃袋の中に納まっていたことだろう。
だが、ここに僥倖があった。
アニムスが見せたデモンストレーション。
『地球』が破壊された瞬間、『後藤』は聞いた。
―――この者を止めろ―――
―――この者を殺せ――――
二つの声を、聞いたのだ。
この者とはアニムスのこと。
アニムスを止め、殺害する。
それは原初の啓示の如く、彼を根底に響き、浸透した。
全ての優先順位が切り替わったのだ。
『この種を食い殺せ』から『アニムスを止め、殺せ』に。
-
まるで大いなる意志からの天啓であった。
そうして、新たな使命を得た『後藤』は伊藤カイジと出会う。
天啓は、やはり彼の記憶に留まることはない。
だが、確実に変化をもたらし、それは『後藤』自身に戸惑いを覚えさせた。
人間を目の当たりにしても殺意が湧かず、むしろ手を組もうという想いすら浮かぶ。
あの広川と組んだ時は打算があったが、初対面かつ何ら変哲のない男と手を組む謂れなどない。
『後藤』は己を確かめるように、臨戦態勢のままカイジに接近した。
それでも、それでも尚、『殺意』はない。
協力を求める。
『後藤』自身きづいていたのだ。
単体では、例え最強のパラサイトたる『後藤』であっても、『神』を名乗ったあの男に勝利することはない。
つまり、協力せねばいけない。
相手が人間であろうと、何の力も感じぬ凡人であろうと、少しでも蓄えねばならない。
戦力を。アニムスを止める『力』を。
パラサイトに舞い降りた啓示。
カイジが得た真の僥倖とはまさにそれだ。
バトルロワイアルの展開にすら影響を与えかねない程の僥倖。
それを知らずに、彼は最強の味方を手に入れたのだ。
踏んだり蹴ったりな人生を行く男のコロシアイは、最大の幸運とともに開始した。
【B-5森林・1日目 深夜】
【伊藤開司@賭博破戒録カイジ】
[状態]なし
[装備]なし
[道具]支給品一式 、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない
1:後藤と行動
【後藤@寄生獣】
[状態]なし
[装備]なし
[道具]支給品一式 、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:アニムスを殺す
1:協力者を獲得する
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投下終了です。
更に参加者変更一方通行@とある魔術の禁書目録、打ち止め@とある魔術の禁書目録を削除し
エレクトロ@アメイジングスパイダーマンを追加。
またアメイジングスパイダーマンを映画準拠とします
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投下乙です
カイジ絶対死ぬと思ってたが、まさかの後藤対主催者かw
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スパイダーマン2も面白かったな
キャップの映画も楽しみだ
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やっぱりカイジはどこまでもヘタレかわいいなぁ
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