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【Fate】アースセル「真なる聖杯を手に入れろ」【避難所】

1 ◆XFKJOt0a3Y:2014/03/02(日) 00:17:34 ID:lveRSLdE

                    ―――極めて近く――

                   ―――限りなく遠い世界――

                 ―――誰も彼もが真理を求め――

                 ―――世界に淘汰されていく―――

―――貴方は .                                  ./\貴女は―――
                         ――何を目指す?――    /:::::::::::\
                                     _/:::::::::::::::::::::::\
―――世界は常に修正するのなら               ヽ ̄ !:::::::::::::::::::::::::::::::\
           ┌─――──┐               /|  !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
          `ヽ r―――´                r┐:::::! .!:: ::::::::::::::::::::::::::::_::::::\世界が願いを拒むなら―――
            | |   _         ___     /:l !:::::::|  レ. ̄\::::::::::::/  \::::::\
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―――我々は    ! !        ゙冫'´,. |   ! !:::::::::::::::::|  |:::::!  !::::::::! |\         /::::::/
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              .'ー‐ ′   └―‐    └――. └――
               ―――新たな世界を作りだそう―――

61 ◆K7pqbvuGjs:2014/07/06(日) 22:00:14 ID:nQJjkgfE
 言峰璃正は早速山猫である虚木玲羅に仕事を与えた。

 聖杯戦争の参加者を暗殺せよという、あまりにも単純で至難な仕事を。

 それには条件が付いていた。


 第一に、その存在を遠坂時臣に知られてはいけない。
 第二に、遠坂時臣と言峰綺礼を傷つけてはいけない。
 第三に、聖杯であるアインツベルンの守り手を言峰教会に連れて来い。
 第四に、魔術師殺しの暗殺を重要事項と考えよ。
 第五に、言峰璃正と言峰綺礼の命令は絶対である。


 条件を聞いて、虚木麗羅はコクコクと頷く。

 その姿を見て、綺礼はその少女が心配でたまらなかった。

 それも無理はあるまい。何せ四歳に満たないと思われる幼い少女だ。


 しかし、綺礼が心配しているのはそれだけではない。


 虚木麗羅は、あまりにも無機質なのだ。

 花を見ても笑みを浮かべず、蝶を見ても追いかけようともしない。

 その点だけで見れば、虚木麗羅は自分と変わらない人間だ。

 暗殺者の里では、自分の様な人間が暗殺者に適しているとでも言うのか。

 綺礼にはそれが不思議で堪らなかった。

62 ◆K7pqbvuGjs:2014/07/06(日) 22:01:41 ID:nQJjkgfE

 虚木麗羅はアサシンたちが情報を集めるまで、言峰教会で隠す事となった。

 アサシンの一人にアーチャーを暗殺してくるように命じ(実際はアサシンが落ちたと思わせるための茶番)、虚木麗羅の元へ向かう。


 何でも、暇つぶしの相手になってほしいのだとか。


 綺礼は虚木麗羅のいる部屋の扉を開いて中に入る。

 部屋にはベッドで寝転ぶ虚木麗羅が待っていた。

 それを一瞥すると、綺礼は溜息を吐く。

綺礼「暇つぶしの相手とは……貴様それでも暗殺者か」

麗羅「つまらなくて死んじゃいそうなの」

 虚ろな目で答える少女に、綺礼は戸惑いを覚える。

 彼女の黒い目は、どこまでも深い闇を連想させるのだ。

 山の上の一族というのは、ここまで人間性というモノが無いのか。

綺礼「暇なら聖書でも与えるが?」

 しかし、相手は子供であると同時に暗殺者だ。

 丁重に扱わなくてもいいだろうと、懐から聖書を取り出す。

麗羅「四歳の子供が、文字が読めると思う?」

綺礼「…………それもそうだな」

 それにしては随分と大人びていると思う。

 いや、ただ形式的な物事を真似ているとでもいうのか。

 それすらも、言峰綺礼には理解することができなかった。

63 ◆K7pqbvuGjs:2014/07/06(日) 22:03:27 ID:nQJjkgfE


麗羅「綺礼君は何で聖杯を自分の手にしようと思わないの? アサシンのマスターなんでしょ?」

 質問を投げかけてくる虚木麗羅。

綺礼「生憎、私には叶えようと思う願いが無くてな。聖杯など必要ないのだ」

綺礼「故に、我が師の為にこの聖杯戦争に参加している」

 本当は、それだけではない。

 だがそれは、別に言わずとも良いだろうと綺礼は考えた。

 自分に似通った点があるとはいえ、暗殺者である前に子供。

 そんなモノに自分の苦悩が理解できるとは思えない。

麗羅「その師のお願いってなに?」

綺礼「魔術師であるお前には関係のないことだ。 私は忙しい身でな、今日はこの辺にしておこう」

 そう言い放ち部屋から出ようとする綺礼。

 が、扉が開かない。

 確かにドアノブは反応しているのだが、引く事が出来ない。

 立てつけが悪いのかと思い、力づくで引っ張る。

 鈍い音を立てて、ドアノブだけが取れてしまった。

 仕方がない、ぶち破るかと思っていた所。

麗羅「酷いわ綺礼君。レディ相手に素っ気ない」

 突如、声が自分の下から麗羅の声がした。

綺礼「……どういうことだ」

 麗羅の姿を見ようとする前に、飛び退いて戦闘態勢を整える。

 この時、言峰綺礼という男は驚いていた。

 ――――なぜこの少女は、自分が気付かずにあそこまで近づいたのか?

 言峰綺礼という男は、かつて数多の戦場を潜り抜けていた。

 故に、人の気配というモノには敏感だ。

 だというのに、虚木麗羅が自分の足元にいたにも拘らず、声がするまで気が付かなかったのだ。

 そして、扉が開かなかったのは彼女が押さえていたからだろう。

 単純な力比べで、言峰綺礼という男が四歳の少女に負けるのは、初めてであった。

 恐らく、これが暗殺者たる彼女の力の一端なのだ。

 扉の下で首を傾げている少女を見ながら、綺礼は恐れながらも安心した。

 自分が虚木麗羅の依頼する者で良かったと。

 これが戦場でこの少女と敵対していたら、間違いなく死んでいた。

64 ◆K7pqbvuGjs:2014/07/06(日) 22:06:13 ID:nQJjkgfE

麗羅「そんなに怖がらなくてもいいじゃない。綺礼君ったら怖がりね」

 虚ろな目で、綺礼の目をの目を覗き込む。
 まるで自分を見通す様な黒い瞳に、戸惑いを覚える。

綺礼「……貴様は本当に子供なのか? それとも、山の上の一族は皆こういった者なのか」

麗羅「子供よ? 将来に夢を持つ子供。表情筋は生まれつき」

綺礼「消耗品である暗殺者だというのに、将来に夢を持つだと?」

 麗羅の言葉を鼻で笑いとばす綺礼。

綺礼「下らん、この仕事が終われば貴様は死ぬ運命にある。 だというのに、お前は何を望むというのか?」

 その言葉に、麗羅はいとも簡単に返す。

麗羅「さあ?」

 ただし、疑問形でだ。

綺礼「何だ。自分の事も分からないのか」

麗羅「それは綺礼君も同じでしょ?」

 麗羅は黒い瞳で、まるで魔眼の力でも持っているかのように引き込んでくる。
 吸い込まれてしまいそうな瞳に、綺礼は懸命に眼を逸らす。

綺礼「……一体何のことかわからんな」

麗羅「願いが無いって言ったのは綺礼君でしょ? それとも、別の何かを悩んでいたりするの?」

綺礼「どちらにせよ、お前には関係のないことだ」

 壊れた扉を力づくで外し、部屋から出ようとする綺礼。

麗羅「お願い、見つかるといいね」

 麗羅はそう声をかけたが、綺礼は構わずアサシン達の元へ向かった。

 アーチャーに殺されるようにと、躍らせる為に。

65 ◆K7pqbvuGjs:2014/07/06(日) 22:09:33 ID:nQJjkgfE

――――

―――――――――――

――――――――――――――――――

 ある日の夜、アサシンがアーチャーによって脱落した。

 使い魔によってその光景をみたマスター達は、誰もがそう思った。

 それをまず知ったのは衛宮切嗣。

 夜の道を走り抜けながら、焦っていた。

切嗣「……まさか、もうサーヴァントが一騎落ちてしまうだなんて」

セイバー「落ち着いてください切嗣。まだアイリスフィールに負担はありません。まだお腹の赤ん坊は大丈夫でしょう」

 落ち込んでいる切嗣に、助手席にいるセイバーが慰めの言葉をかける。

 彼女の真名はアルトリア。ブリテンの伝説の英雄・アーサー王その人である。

 そんな英雄が女だとは驚いた切嗣だが、今はそうもいっていられない。

 騎士王なら人情もあると思い、こちらの状況をざっと話した。

 この聖杯戦争を勝ち抜くつもりはあるが、子供が生まれる前にサーヴァントが脱落するとますい、という事を正直に話した。

 自分の娘の為の行動と聞き、この騎士王様は納得してくれたようだ。

セイバー「切嗣、ライダーとキャスターを除けば、他のマスターの拠点は掴めているのですね?」

切嗣「ああ。その二つ陣営がどこにいるか、僕には見当もつかない」

セイバー「……赤子が生まれるまで、停戦をしてもらうように教会に相談してみてはどうでしょう?」

切嗣「いいや無理だね。魔術師っていうのは、僕たちの赤ん坊の命なんざどうとも思わない。それに教会は信用ならないよ。何せ、言峰綺礼がいるからね」

 言峰綺礼や他のマスターの資料をセイバーに渡し、切嗣は溜息を吐く。

切嗣「こいつは誰よりも激しい生き方ばかりを選んできたくせに、この男の人生には、ただの一度も『情熱』がない」

切嗣「こいつは――――きっと、危険なヤツだ」

切嗣「アサシンを失ったからといって、きっと他に何か手があるに違いない。教会で保護してもらうなんて、全くとんだ安全地帯を見つけたもんだ」

切嗣「監督役を殺そうとするヤツがいない限り、奴の安全は保障されたも当然だと言える」

 ここまで居場所も目的も予測できているというのに、殺すことが出来ないのはもどかしいにも程がある。

 いままでのやり方が出来ないとは分かっていたが、まさかここまでとは思わなかった。

セイバー「なるほど。では、赤子が誕生するまで、他のサーヴァントの戦闘する最中に割り込まなければならないという事ですね」

 難しい顔をして、セイバーは資料を読んでいく。

切嗣「ああ、更に生かさず殺さず。……出来るかい?」

セイバー「……流石に難しいでしょうね。しかし、相手も序盤は引き際を理解しているはず」

セイバー「そう考えると……相手にもよりますが、おそらく一週間は何とかなるかと」

切嗣「……一週間か」

 それはキツイ。
 アイリの出産予定日は二週間後だ。
 ここまでマスターが揃えばそうなってしまうのもおかしくはない。

 帝王切開を視野に入れるべきか。
 しかし、それは不味い。
 聖杯であるアイリに手を加えるのは、母体にあまりにも危険すぎるのだ。
 この戦いが始まってしまった今、止めることは叶わない。
 アイリが聖杯になってしまうのなら、そのアイリを元に戻せるのも聖杯だけ。
 そういった意味でも、そんな危ない橋を渡ることは出来ない。

切嗣「でも、まずは――――」

 目的地に着き、セイバーと切嗣は車からに降りる。



切嗣「――――あのサーヴァントを何とかしなければ」


.

66 ◆K7pqbvuGjs:2014/07/06(日) 22:11:47 ID:nQJjkgfE


 ――――その地で待っていたのは、二本の槍を携えたサーヴァントであった。


 槍を持っているという事は、ランサーで違いないだろう。

ランサー「――――よくぞ来た。 今日一日、街を練り歩いて過ごしたモノの、どいつもこいつも穴倉を決め込むばかり」

ランサー「俺の誘いに応じた猛者は、お前だけだ。その闘気、セイバーとお見受けしたが如何に?」

 恐らく、セイバーに対し言ったのだろう。

 だが切嗣は、セイバーの前に出てランサーに問いかける。

切嗣「君、一人かい? マスターはどこにいるのかな?少し、君のマスターとお話がしたいんだけどね」

ランサー「……俺はそこにいる者と話している。割り込まないでもらいたい」

切嗣「それはすまないことをした」

切嗣「けど、君が僕のサーヴァントに用があるように、僕も君のマスターに用があるんだ」

切嗣「君はそんな事を言うんだから、そのマスターも穴倉を決め込んでるわけじゃないと思うんだけどね」

ランサー「話すと思うか?」

 ランサーの言い分はもっともだ。

 敵にこちらの情報を教える等、デメリットでしかない。

切嗣「なるほど。さぞ名高い騎士とお見受けしたが、どうやら外れらしい」

切嗣「正々堂々と公正な手段を取れないなんて、よっぽど蛮族に近い英霊だ」

切嗣「ん? こういう時は、反英霊って言った方がいいのかな、セイバー?」

セイバー「……マスター、私のクラス名を晒してどうするのです」

切嗣「相手は予想がついている様だし、構わないだろう」

切嗣「それに、君がその程度の事を知られただけで、負ける英霊だとは思っていないよ」

セイバー「――――ええ、そうですね」

 少し不機嫌になってしまったなら、 褒めれば/飴 を与えれば いい。

 何ともまあ扱いやすいサーヴァントだ。

ランサー「――――その程度の挑発に、俺が乗ると思っているのか?」

 微かに怒りの感情が籠った声で、槍を切嗣に向けるランサーと思わしきサーヴァント。

切嗣「いやいやすまない。騎士ってそういうモノかと思っていたんだ」

切嗣「人を殺して胸を張るなんて、バカここに極まり、といった所じゃないか」

 ハ、と鼻で笑いながら、やれやれと肩を落とす切嗣。

セイバー「……切嗣、私は分かっていますが、それは全ての英霊を敵に回す発言なので、注意してください」

切嗣「ああ、すまないね。気を付けるよ」

 敵を煽り、冷静な判断を出来るだけ削ろうという魂胆なのだろう、とセイバーは考えている。

 それはそれで事実ではあるが、紛れもない切嗣の本心だ。

 切嗣がセイバーにそんな事を言わないのは、何の得にもならないからである。

セイバー「ともかく、あのサーヴァントは私にお任せを。切嗣は姿の見せないマスターに警戒してください」

切嗣「くれぐれも、あのサーヴァントは落とすなよ。セイバー」

セイバー「承知の上です。しかし切嗣、貴方も出来れば話し合いで解決していただきたい」

セイバー「流石に同じ相手に何度も武器を交えると、こちらの手も予測されてしまう」

切嗣「そうだね」

 できればマスターをねじ伏せて、令呪でランサーに停戦を強制させたい。

 戦いから離れた自分では、些か無理があるかもしれないが。

 舞弥からの情報から目を通せば、相手は生粋の魔術師なので、簡単にねじ伏せられるだろう。

 ……いきなりそんな手段で出ては、他のマスターに警戒されてしまうので、まずは話し合いの交渉にした方がいいかもしれないが。

.

67 ◆K7pqbvuGjs:2014/07/06(日) 22:12:53 ID:nQJjkgfE

 切嗣は詠唱を二つ呟くと、素早い動きで姿を消した。

 あまりにも突然で素早い動きだったので、ランサーは反応に遅れてしまった。

ランサー「先程の会話を聞けば、お前たちは俺を倒さずにマスターを狙う、そう言っているのか?」

 槍使いのサーヴァントの問いかけに、セイバーは苦い笑みを見せる。

 先程の発言からすれば、そう聞こえるだろう。

セイバー「色々と誤解をしていそうだが、まず初めに言っておく。この聖杯戦争の停戦を提案しに来ただけだ」

ランサー「残念だが、それは約束出来ん。我が主は武功を望んでいるからな」

セイバー「……そうか」

 残念そうに顔を伏せるセイバー。

セイバー「ならば――――動けなくなる程度に斬り伏せてくれよう」

ランサー「やれるものならやってみろ。――――セイバーのサーヴァントよ!」



 ――――一本の剣と、二本の槍が、今交わる。


.

68 ◆K7pqbvuGjs:2014/07/06(日) 22:16:41 ID:nQJjkgfE
今日はここまで。
というか、ここから先の展開は原作と大体同じです。
セイバーが手に致命傷を負って、ライダーが勧誘にやってきて、後はなんかごっちゃごちゃ。

ただし、原作切嗣の役割は全部舞弥がやってる。超頑張ってる。
アイリさんにはお城にて、護衛とお世話担当のホムンクルスがいるから大丈夫。


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