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【小説】よしけんが死んでいました。
9
:
課長
:2009/04/27(月) 05:42:40
数人は初めて顔を会わせた、そうは言ってもネットのチャットや音声通話でさんざん会話を交わした仲。
最初こそ戸惑ったものの、あれやこれやと話が膨らむ。
「そういえば、あの時さー…」
「…そうそう、そうでしたよね〜。」
「…ざっけんな、お前!あれは…」
よしけんはその会話に入る事がどんどん減っていった。
眠気が猛烈に催してきたのだった。
今更になってバイクでの長距離移動とバスの中での睡眠不足がたたったらしい。
ダメだ…眠い…だけど、初めて会ったのに寝ちゃうとか失礼…課長にも何言われるかわからないし…。
会話するみんなの声が眠りを尚更連れて来る。雑踏の中で意識が飛ぶような感覚。
そんな眠そうなよしけんをさておき、相変わらず会話は弾む。
ん……寝ても平気かな……。
………。
いつしか、よしけんは会話さえ耳から遠くなり眠りこけていた。
「ん…あれ…よしけん…。」
「寝ちゃったみたいですね〜。」
「ふむ…眠かったみたいだし、寝かせておくか。しかし初対面で初めて入る部屋だってのに、こいつも肝が据わってるなあ?」
「ま、ちょうど良かったんじゃないですか?」
「だなぁ。コレ、いらなかったな。」
そう言いながら課長はデニムのポケットから小瓶を取り出す。
「なるべくなら使いたくなかったしな。」
「無理に寝かせつけなくても、いくらでも他に場所を移す事は出来たでしょう。」
「まあなー。万が一ってヤツさ。」
「じゃあ、さてボクらはっと…。」大倉がおもむろに席を立つ。
「業務に戻りますね。ロボも、行こうか。」
「ウン、ソウネ。」
「そうだね、じゃあ、よろしく頼むよ。」
仁の言葉に「あいあいさ〜」と軽くふざけた挨拶をして、大倉とロボは部屋を出る。
「ふむー。」
課長がタバコに火をつけながら言葉を続ける。
「大倉やロボまでいるって事は、総動員ってヤツ?」
「ですね…。上はもう尻に火がついてるようです。」
「カーッ!」苦虫を噛んだ様な顔をしながら、「結局現場が全部やるっつーのに。まったく、上の人間共は…。」
「そんな事言わないでください。課長もちょっとは上の立場のはずですが?」
「そういうお前もだろ。喜ばしい昇進なのかねぇ?この施設の責任者ってのは。」
「あはは。喜ばしい事にしておいてくださいよ。…って、いくら寝てるとはいえ、彼の前でこんな話は…。」
「おっと、そうだったな。場所を移すか。」
「そうですね。」
灰皿にタバコを押し付け消し、二人は部屋の出口へ向かう。
よしけんに悟られないような声、普通の声でも反応はしないと思うが、念のため小さめな声で「開けてくれ」と仁が言うと外からドアが開けられた。
「おつとめごくろーさん。」
外にいたベルボーイに課長が一声かける。ベルボーイは無表情のままドアを開けながら立っていた。
ホテルの廊下を歩きながら、進行方向の後ろを親指で指しながら、
「なんだよ、さっきまでずいぶんにこやかだったのに、あいつ。」
「今愛想振舞う必要ないじゃないですか。」
「だけど、もうちょっとこう…少しぐらい愛想笑いしても良いと思わね?」
「…課長ぐらいですよ、そんな事を言うのは。」
「はいはい、そうね。そうかもねー。みんなカタいんだから、ったく。」
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