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大規模イベントスレ

734とある世界の冒険者:2017/12/22(金) 00:41:29 ID:Vqu8JFjw
【クラリーノの村 クレファーナ家】
「ただいまー、お姉ちゃん、ご飯できてる?」
「おかえりなさいユリ、ちょうど出来たところだよ」

少女が扉を開けると、そこには少女の姿をさらに成長させ
立ち振舞をたおやかにしたような女性が料理皿を運んでいた。
……やや、胸元が苦しそうなエプロン姿で。


「いただきまーす」
「ごめんね、あんまり大したものが作れなくて」
「いやいや、ご飯が食べられるだけで幸せなんだよ」
菜食を中心としたメニューではあるが、王都では難民が発生するほどの事態だ。
こうして家があり、落ち着いて食事を摂ることができる。
それだけで恵まれた環境にいるのだと少女はスプーンを口元に運びつつ考える。

「…………それでさ、お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「……なんだかね、胸騒ぎが止まらなくてさ……そろそろ、行こうかなって思うんだ」
「……そっか、そろそろそう言うかなって思ってたよ」
「あれ、意外と驚いてない」
静かな食卓で会話を交わす二人。
少女の言葉に対して特に大きな反応もせず、ゆっくりと食事を口元へと運ぶ女性。

「ユリが私とゆっくり話す時、だいたいこんな感じだったよ?で、私が止めても夜に出てくもん」
「あ、あはは、おっしゃる通りで……」
バツが悪そうに苦笑いをする少女。今までも何か騒動があれば首を突っ込み、
そして大怪我をして帰ってくる。そんな破天荒な生活を数年間続けていた。

「……私も、何か感じるの、これをそのままにしたら大変なことになるって……
でも、私じゃ止めることは出来ない……私が行っても、力になれないかな、って
……ユリならきっと力になれる、だから、行っておいで」
「お姉ちゃん……」
「大丈夫、村はみんなで守るから……それにミルちゃんも居るしね」

「……ありがとう、それじゃ、そろそろ行ってくるよ」
「あ、待ってユリ、大切なおまじないっ」
少女の頭へ向けて魔術が放たれる。小さな光が少女の周囲をくるくると周り……

「……ツインテールか、最近してなかったかな」
髪が左右で2つに結われる。光はリボンへと形を変え結った髪を可愛らしく飾る。

「やっぱりユリはその髪型が一番だよ」
「ちょっと子供っぽくない?」
「『いつかのあの日』を取り戻しに行くんでしょ?」
「…………そっか、それもそうだね」
姉と妹の間にそれ以上の言葉は要らなかった。姉はとっくに妹の事を分かっていた。
妹は必要以上に姉の事を心配に思う必要もなかった。


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