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第五汎用スレ

1835ハクタク ◆/yjHQy.odQ:2018/12/08(土) 04:14:33 ID:KiKkSdaw
>>1833

「それを殺してもまたやり直しになるだけだ、ぬしが出来るとは思わんがな」

『……試したと?』

「馬鹿を言う。それでもし私諸共消え失せたら元も子もあるまいに」

「そうだな……【最期】までここに居れば、分かるだろうさ」

「元より我らは雲外鏡の腹の中の消化不良物。ここの住民たちは奴がこの男を苦しめ貶め、【願い】を思い出させるための箱庭よ」

「いつまでも続くわけではない。だが終わりもない。しばしの安息、ゆるりとしていけ。異邦人」

「くく、ぬしらに学ぶ意志さえあれば、長い時間をかけて此奴の頭の中から安曇の術法の全てを抜き出すこともできような?ふふふ」


立ち上がり、彼らに背を見せ歩み出す少女。
相変わらず、事の真相に及ぶと認識阻害を受ける少年多聞。
肉体の主人も、ここではまったくもって無力であるとまざまざ見せしめられているようでもあった。


『一つ!』

「……何か?」


ハクタクが声を張り上げた。
幾ばくの不快感が少女の返事には籠もっていた。
ハクタクは少女を強く警戒していた。
仮にもし、この精神世界でさえ個を保つ彼女が敵に回れば。
多聞のいない彼らは、少女に勝てる見込みさえないのだから。
にもかかわらず仕掛けたのは、これが数少ない手がかりであるからだ。



『その願いが、理……多聞と妖魔を結ぶ心の有様であると?』

「私の推測が正しければ、ではあるが」

『それは如何に?』

「質問は一つと、ぬしが言ったはずよな」

『…………』


だが、少女は思いの外素直に回答をした。
ハクタクの反応すら意外そうであった。
敵ではない、だが味方でもない。
しかしてその中立という観念に関し、この天女ははっきり【意識して維持しようとしている】ことが、柳には分かるかもしれない。
そう、【彼女のことが不思議と今の柳には分かる】のだ。
まるで、過去に逢っているかのように、漠然とではあるが。

後に分かることだが、これは判明した世界の成り立ちの認識によるものだ。
【形】が分かり、世界の枠がはっきりしたことで、多聞との繋がりが柳に対し有利な干渉をしている。
如何に妖魔が巣食おうと、ここの主人は多聞。その直系の柳が不利になる道理はないのだ。

そして、【少女は一度対応させるまでが本来大変で、一度すると決めた場合やや対応が甘くなる】ことももちろん分かっている。
ハクタクが既に埒を開けている。【追撃するなら今だ、少女に理を直接聞けるチャンスである】。


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