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おんJ艦これ部SSの会

361名無しのおんJ提督:2022/01/29(土) 00:42:25 ID:CGUG4iBM
「久しぶりーお兄ちゃん!」
中央線の駅の改札の向こうに僕の妹、早波が現れこちらにあ手を振っているのを見つけた。
半袖の薄い橙色のか生地に丸で模様が描かれたワンピースを着ていて見ていて涼しげでよく似合っていた。
久しぶりに兄と出会えた喜びからか、早波は手に持っていたキャリーケースを改札機にひっかけて台の上の玉が転がるように躓きそうになっていた。
僕が慌てて近付く頃には無事改札を通って、子供のようにこちらに飛び込んで来た。少し恥ずかしかったが、久しぶりに妹の笑顔を見てこちらも顔が綻んでしまう。
早波も公衆の面前で躓きそうになったことが恥ずかしかったのか頬を少し紅く染めていた。

「久しぶり。元気してたか?」
「元気だったよ!早波ね、高校生になったの!それからね!」
可愛い妹が続けようとするも、僕はここが改札前であることを思い出し邪魔にならないよう早波を出口へと促した。歩き始めた僕は以前会った時はまだ中学生であったことを思い出し、時間の流れを感じた。しかし、さっきみたいな早波のおっちょこちょいは高校生になった今も変わらないらしかった。

静岡から東京への大冒険を果たした早波はタピオカドリンクを所望したので、僕がよく行く喫茶店に行くことにした。そこは少し古い店だったがブームに乗じて最近取り扱いを始めていた。
「ここまで遠かっただろ?迷子にならなかったか?」
「えっとね。途中までお母さんに送ってもらったの」
早波の話を要約すると新幹線を乗り過ごさないよう母が熱海駅まで車で送って改札まで着いて行ったそうだ。早波が今回の旅行を心待ちにしていたのは両親にもありありと伝わったらしく、慌てんぼうの早波が無事新幹線に乗れるよう気を配ってくれたらしい。

高校生の妹である早波が東京に行きたいと言い出したのは夏休み前のことだった。なんでも好きなアイドルグループのライブチケットが当たったらしい。こういう場合は親と東京に行くのが通常であろうが、そうもいかなかった。運輸業の会社で働く母と父は繁忙期を迎えておりとても休むことなどできなかったのである。
東京観光には賛成であるが女子高校生一人で東京は危険である、そう両親は判断したため東京で一人暮らししている僕に白羽の矢が立った。また、両親とも都内の大学を卒業しており娘を東京に送ることには抵抗がなかったらしかった。

「母さんと父さんは元気か?」
早波の話を聞いている間に母と父のことが気になった。最後に帰省したのは年末年始で、春休みはゼミの合宿やら課題やらでそれどころではなかった。もう半年以上会っていない。
「お母さんもお父さんも元気だよ!ちょっとお仕事忙しそうだけど…」
早波は少し寂しそうに言うと、僕も母と父が恋しくなってきた。僕は改めて両親からの学費や一人暮らしの援助に感謝しつつ夏休み中には必ず帰ろうと決心したのだった。


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