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ここだけ禁書世界ロールスレ

10朝馬統亘:2015/07/29(水) 23:05:14 ID:3WxNzPtA
>>9
放り投げられた百円玉を受け取って、手の中に見た。それが詫びだとでも言うのだろうか、そう思いながら、彼女へとまた視線を戻した。
手を振りながら去っていく彼女を見送って、それをポケットの中に突っ込んだ。
笑いたい時は笑えばいい、と彼女は言った。朝馬はその通りだと思っていた。自分が面白いかどうかに関しては、よく分からないが、少なくともそれに関しては頷く事が出来た。
信用するなという方が難しい、という言葉の真意は、よく分からなかった。ただそれはきっと、悪い意味で言っているのではないのだろうな、と都合よく解釈した。
だが―――――――――――― 然しその言葉こそ、都合のいいものに他ならないのだ。朝馬統亘の事を、彼女がどう思おうと。真っ黒に染まった"暗部"の人間だ、その事実は変わらない。
何時だって現実は、何処に至ってにじり寄ってくる。だからこそ、朝馬統亘はほんの僅かにでも、それから目を離すなと、そう誓った。
携帯電話が鳴った。番号は見覚えの無い物で、しかしそれは何時もの事だった。通話を繋げて、それを耳に添えた。

「―――――――――――― 分かった。すぐに……」

電話の向こう側から聞こえてくる声は、何時も通りの物だった。そして何時も通りに、それに頷こうとして。
『警備員』の人間が、こちらへと駆けてくるのを横目で見つけた。それから、言葉を一度切った。


「……いや、少し遅れることになる」

ただ、約束は守らなければならない。そう思っていた。これは朝馬統亘の誓いによるものではなく、ただ単純に、朝馬自身の素の人柄がそうさせた。
結局、この後は面倒臭く時間を取られるだけで終わった。だが、朝馬自身の気分としては、不思議な事に、そう悪いものでは無かった。


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