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ここだけ禁書世界ロールスレ
10
:
朝馬統亘
:2015/07/29(水) 23:05:14 ID:3WxNzPtA
>>9
放り投げられた百円玉を受け取って、手の中に見た。それが詫びだとでも言うのだろうか、そう思いながら、彼女へとまた視線を戻した。
手を振りながら去っていく彼女を見送って、それをポケットの中に突っ込んだ。
笑いたい時は笑えばいい、と彼女は言った。朝馬はその通りだと思っていた。自分が面白いかどうかに関しては、よく分からないが、少なくともそれに関しては頷く事が出来た。
信用するなという方が難しい、という言葉の真意は、よく分からなかった。ただそれはきっと、悪い意味で言っているのではないのだろうな、と都合よく解釈した。
だが―――――――――――― 然しその言葉こそ、都合のいいものに他ならないのだ。朝馬統亘の事を、彼女がどう思おうと。真っ黒に染まった"暗部"の人間だ、その事実は変わらない。
何時だって現実は、何処に至ってにじり寄ってくる。だからこそ、朝馬統亘はほんの僅かにでも、それから目を離すなと、そう誓った。
携帯電話が鳴った。番号は見覚えの無い物で、しかしそれは何時もの事だった。通話を繋げて、それを耳に添えた。
「―――――――――――― 分かった。すぐに……」
電話の向こう側から聞こえてくる声は、何時も通りの物だった。そして何時も通りに、それに頷こうとして。
『警備員』の人間が、こちらへと駆けてくるのを横目で見つけた。それから、言葉を一度切った。
「……いや、少し遅れることになる」
ただ、約束は守らなければならない。そう思っていた。これは朝馬統亘の誓いによるものではなく、ただ単純に、朝馬自身の素の人柄がそうさせた。
結局、この後は面倒臭く時間を取られるだけで終わった。だが、朝馬自身の気分としては、不思議な事に、そう悪いものでは無かった。
11
:
東横友樹
:2015/07/31(金) 22:23:34 ID:VbNseJ16
第一学区、学園都市の行政が集中するそこにある薄暗い『死角』。
一人の少女がいた。小型の電導リニア二輪を脇に止めて、そこに腰かけていた。年齢は16歳ほど、少女の雰囲気も鑑みて、この第一学区に何か用のあるような人間には見えなかった。
片手に携帯電話を持って、通話をしていた。何処かうんざりした表情を見せながらも、少女の顔立ちは明るいもので。
「……はい、はい、いや分かってます分かってますって、ちゃんとやってますよー」
事実、彼女―――――――――――― 東横友樹自身の気分も、比較的明るいものだった。
今の東横の仕事は、第一学区の綿密な"調査"だった。こういう風な裏道なんかを徹底的に調べ上げて、"足がかり"にする為の。
学園都市の技術は凄まじく、家にいながら適当に携帯電話を弄るだけで学園都市の全部の道を調べ上げる事が出来るが、こういう抜け道を見つけるのは難しい。
何せ抜け道と言うくらいなのだから学園都市の監視も少ないものでなければいけないし、こういう道は意図的に、そういうものに載せられてないこともある。
スキルアウトや同じ『暗部』の人間が使うために取っておいてあるのだろう。そういう人間ですら、把握していない道もまたいくつもある。
「はいはい、そうですねぇ、使えそうな道はさっき送ったのと、新たに四カ所……後で送っておきますね」
それらを、全て"知る必要があった"。
東横の気分は、そんな仕事をしている最中でも明るかった。なぜかと言えば、一重に『人殺し』では無いからだった。
人殺しが嫌いだった。他の暗部の人間のように、それらを『割り切って』行う事が出来なかった。
この調査の結果は、何れ大きな殺戮へと発展するかもしれない。だがそれでも、問題の先送りと言われようとも、今は人殺しをしなくていいのだから、気分は余程楽だった。
「ん……はいはい、了解ですー、じゃあ終わったら一回そっちいきますねー。
ああ、それは大丈夫だと思うんですけど……まだ誰にも怪しまれてないと思います、はい、それじゃー」
通話を終えた、東横の表情に『翳り』が見えた。何か抗い難い苦痛に苛まれているようだった。
携帯電話の向こう側で喋る人間は、絶大な力を持っていた。然し学園都市は、それ以上に絶対的であるが故に。
暫しの間東横友樹は、そこで俯いていた。
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