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暫定保管スレ【第105話61レス以降 作品・保全ネタ】

5名無しリゾナント:2015/12/22(火) 20:55:00
「始めは香音だって自分の意思で好きなように透過させることもできなかったんだよ
 だから、失敗ばかりで怪我ばかりして、道重さんのお世話になってばっかりだったし。
 ほら、香音だって運動神経よくないじゃん。でも、いろいろと光井さんに特訓に付き合ってもらって」
そこまでいい、フォークを自分の左手の甲めがけて思いっきり振り下ろした
何も知らない周囲の目があったら、狂気としか思えないその行動だが、飯窪は動かなかった
だって、大丈夫だと信じていたから
「おかげで、ほらこんなこともできる」
フォークが左手を突き抜け、柄の部分が手の甲に、端が掌からとびぬけた

「もともと鈴木の力は不完全やった。ただ、『すりぬける』だけの能力
 それだけでも愛佳は十分やとおもっとったけどな。攪乱や潜入にはもってこいやからな。
 前線におるんがすべてではない、と何回も諭したんやけどな」
光井は鈴木の左手を通り抜けているフォークをつかんだ
「鈴木は自分から、力をつけたい、戦いたいっていうてきたんや
 今でも覚えているで、『りほちゃんのためにも強くなりたい』って泣きながらきたんや」

「そ、そうでしたっけ?」
「なに、とぼけとるんや?鞘師が大怪我して腰痛めて動けなくなって、それでもあきらめなかった姿をみて感化されたやろ?
 フクちゃんと生田と鞘師との4人での何回目かの戦闘でな。なんとか愛ちゃんが間にあったけど、4人ともぼろ雑巾や」
そのときの話を飯窪はしっかりと知らない。4人の誰に聞いても、曖昧にはぐらかされてしまうのだ
その話を当然のように口にしない・・・それほどそのときのことは4人にとって悔しかったはず

「道重さんはまあ、なんというか、当然、いうたらあかんけど、鞘師を一番に治しはったわ
 そんなときでも自分を見失わへん、いうのもすごいなあ」
光井は笑った。
「ハハハ・・・そ、そうですね」
飯窪は笑えなかった。
「ま、あのときの負けっぷりも今日のに近いやろなあ」
「・・・今日はあのときよりもひどいかもしれないです、光井さん
 でも、あの負けがあるから香音は強くなれたんですから、必要な経験でしたよ」
「そやな」


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