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ハイライト小品店

4ピースもいいけれど:2015/01/25(日) 23:11:58
来る月もまた来る月も  波のうねりが俺の帆を叩く   ヒステリーの牝牛の群れのように   かのマリア様の輝ける足が   海の脛など蹴飛ばして遊んでいるのさ   いつか俺はフロリダにたどり着いた   人間の皮に虎の目と花が混じりあった土地   虹は引き伸ばされた手綱のように広がり   水平線の下で羊の群れに溶け合った   広大な沼地が沸騰し   網にかかったリバイアサンは腐りかけている   静寂の中を水が渦巻き   深淵に向かって流れ落ちていく   氷河  銀色の太陽  真珠の波  灼熱した石炭色の空   難破船の残骸が湾の底に横たわる   蛆虫の餌食になった大蛇が   死んだ枝から異臭を放ちながら落ちていく   イルカたちを子どもらに見せてやりたい   青い海を歌い泳ぐ黄金の魚たちを   あいつらの立てる水飛沫が俺を揺さぶり   物言わぬ風が俺に翼をくれる   時に極地の旅に飽きたとしても   海のため息が俺の不安をなだめてくれる   海が俺に向かって盛り上がれば   俺はその上に寝そべる  まるで俺に似た悪魔に祈る女のように   あたかも陸地にいるようだ  浜辺にいる俺に向けて   喧しく鳥たちは糞をたらしていく   俺はあてもなく漂流する また溺れた男が船のそばを流れていった   俺は入り江の草むらの中で 迷子になった一隻の船   ハリケーンにより 鳥も飛ばない空中にさまよう   俺の残骸は泥酔して水を被り   海難監視船も悪友の船も 助けてはくれぬだろう   自由に気ままに煙を吐き 紫色の霧から起きた俺は   赤く染まった空の壁を突き抜けてゆく   そこにはランボーさえも 美味だというものがある   海と溶け合った太陽   竜の落とし子をエスコート役にして 星空の電流を浴びて俺は走る   すると七月の大気は棍棒の一撃をもって   群青の空を赤いポットに流し込む   俺はおののき 遠くに怪物のうなり声を聞く   また大渦の暗い深淵   死をつむぎだす永遠の深淵   今の俺には懐かしいのだ  ヨーロッパに それを囲む古びた壁が   だがしかし夜明けが激痛に感じられるまで 俺は十分すぎるほど涙した    月は残忍 太陽は昇るたびに辛辣だ   愛が俺を飲み込んで麻痺させる   船体よ裂けよ! 海の藻屑と消えてしまえ!    俺は散りばめられた無数の星を見る   島々を空が覆いすべての船乗りを迎え入れる   寝ているのかお前たちは   数知れぬ黄金の鳥たちよ  未来を生きるものたちよ この底なしの夜の中で   地上に俺の浮かびたい水面があるなら   それは黒くて冷たい水たまりだ   悲しみに跨った子どもが 香しい黄昏に向かって   五月の蝶のように 壊れやすい船を浮かべる水たまり   波よ お前の倦怠に漬かってしまった俺は   もはや綿を運ぶ航海に出ることはできぬ   旗やペナントをはためかして走ることも   廃船を予言して航海することもできぬ




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