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第1回8番(VII)
:2008/03/10(月) 00:47:51
この状況を、私はごく自然に受け入れていた。どれもはじめて聞く話ばかりなのに、心が前もって受け入れる準備をしていたような感覚だ。多分、眠っている間の無意識とかなんとかが、いろいろ気を利かせてくれたのだと思う。そうでなければ、私がまだ寝ぼけ眼のままなのだろう。
最初にじっくり話をしたのは、所長のヘリステラさんとだった。感謝すべき私の養父であるところのマグドール郷は、私が目覚めるのと入れ違うようにして息を引き取ってしまったらしい。結果として、小国くらいなら簡単に傾けたり立て直したりできるお金が、私のような小娘の手元に転がり込んだ。そういった説明を、彼女から聞いた。
「爺さまは、君の国の内乱の遠因を作った一人でもある。会わせる顔がなかったんじゃないかなあ。君が目覚めたという知らせを聞いた途端、慌てて死んだという感じだったよ。いやいやいや、ふしぎふしぎ。そんな慌てて死ななくたってよかったのにねえ?」
「ヘリステラさんって、絶対何か隠してますよね。実はヘリステラさんが遺産目当てで毒殺とかしたんじゃありません?」
「あーあ、いやいや、何のことやら」
この老人に対して、私は態度を決めかねていた。墓前に花を添えるか、それとも墓石を蹴っ飛ばすのか。憎い仇といえばそうだし、恩人と呼ぶのも間違っていない。戸籍上は家族だし、そもそも私は六年前の内乱のことなんて覚えてもいないのだ。こいつが皆の仇です、と言われて実感がわくものでもない。ただ、決断を急ぐ必要もなかった。体感時間二千年に及ぶ夢中生活の中で、私は自分でも驚くほど気の長い性格になっていたのだ。
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