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物語スレッド

54Qlairenose fim te Ers(1):2006/08/06(日) 20:50:21
『鼻晒のクレア』
遠く、天を見上げた。 青に埋め尽くされた空間を綿のような雲が流れも速く通り過ぎて行く。風が強い。ともすれば硬く踏みしめている筈の大地から引き剥がされ、舞い上がる塵と共に飛ばされてしまいそうな程に。陽は中天に昇り地上を燦然と照らし、彼女は眩さに僅かに目を細め、顔を顰めた。
白い肌の片側に落ちるのは、高く連なる山脈の様に鋭い鼻梁から生る陰影であり、紫色に濁った瞳孔が僅かに収縮する。歪めた表情が表象するのは、反射的な動作だけではない。
彼女は―――クレアノーズは、焦っていた。
一寸一刻一節の猶予も無い。燦然と輝く陽光の真下、定められた時、整えた場にて彼女はその時を、それが来るのを待っていた。
何を―――?  決まっている。
神だ。

既にして準備は万端だった。結界の中心点を調整するべく姉妹の位置を指定・配置させ、長姉達には金鎖の新神を抑えてもらっている。そして、この結界の中心点でクレアノーズが迎え撃つ。
上方の守護者、結界の天位を守る七つの風の主がいなくなってから既に二つの月が巡っていた。結界の守りは欠け、彼女を始めとする姉妹達に付け入る致命的な穴が出来ている。そう、『彼』が動き出すのには充分なくらいの時間が経っている。
・・・・・・アルセス。
槍を担う神。最悪の少年神が、その目的を果たすには、充分な程に。


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