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人物に関する記述スレッド

557言理の妖精語りて曰く、:2020/04/30(木) 11:57:23
【彼女】の名前は分からない。
ゆえに【ジェーン・ドウ】と呼ぼう。

そんな彼女は、異世界からの転生者だった。
この【地球】に転生してくることなどありえない、そう言った私たちに対して、彼女は、この世界の様々な神話や伝承を上げて反論してみせた。
そもそも、【転生】という概念自体、そうした過去の伝承に基づくものではないのか、と。
その話には、納得せざるを得なかった。

当時、私たちは、自らの価値観こそ絶対だと信じ、人と人がわかり合うことなどあり得ないと信じていた。
全ての個人の価値観や感性は異なっていて共有できず、それぞれの価値はしょせんは相対的なモノ。
絶対的な他者同士である人間同士の間に、共有できるものなど何も無い、と。

だが、故郷で災厄にあって転生してきたという彼女は、そうでは無かった。
彼女は、人間同士が否応もなく共有してしまうモノを、【言葉の力】を信じていた。
それは、我々がふだん、おとぎ話の魔法の道具のように原理も分からず使っているスマホやパソコン、OSも、その背後にはコンピュータ言語があるように。
言葉は、思考に無くてはならないものであり、【自分】という認識にも欠かせないものなのだと。

そして、彼女は語ったのだ。
「この世界は、私の故郷とよく似ている。正しさにすがり、強大な多数派に集まり、異端を単純な思考しかできない【怪物】(ボット)とみなしている」と。

そして彼女は、この【地球】を変えていった。
暴力を用いず、この世界における主要な力も地位も持たないまま、ただ語ることで。
全てを統べる【言葉の力】で、彼女は、それぞれの価値観に閉じこもる私たちを変えていったのだ。

その全ては、あの一言から始まった。
そう、ジェーン・ドウは、かく語りき――――


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