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F世界との交流その6

130名無し三等陸士@F世界:2023/03/03(金) 19:09:25 ID:ElezjSws0
日本とF世界が戦争になる理由を考えてみた


日本国領事館の前で、様々な服装の男たちがマスケット銃や手斧などの武器を手に殺気立った怒声を浴びせる。
「この1年で魚の値段が4割も下がったんだ!」
「商売あがったりだ!」
「日本のお役人はワシらに死ねというのか!」

対して、領事館を警備する領事館警護官の海兵隊員は自動小銃を抱えて“衛兵の如く”静かに佇んでいる。
もう、このような抗議活動が毎日のように、3ヶ月以上も続いている。
領事館へ向けての直接的な発砲こそ無いが、石やら何やらを投げてくるものは大勢居るし、拳銃で自決するものは居た。

日本の民間船舶が多く出入りし、日本軍が錨泊地としても活用する港町であるので、地元住民の日本国や日本人への憎悪は日に日に強くなっている様子だ。

市場では値崩れが問題になっているが、実は日本は“法外に高い”魚介類を主に輸出している。むしろそちらが主力だ。
水産庁や経産省は、日本の高品質な輸出品をブランドとして確立させたいので、安価な製品の輸出には慎重である。
日本の品質管理基準で漁獲から加工までされた新鮮かつ美味な魚介類は、この世界の美食家をして「私は今まで本当の魚の味を知らなかった」と言わしめたほどだ。

一方で高価なブランド製品でないもの。日本国内では商品にならない規格外の魚介類も比較的安値で輸出している。
魚を食べているのか金貨を食べているのかわからないと言われるほどの法外な値段に比べれば安値という意味で、決してこの世界の相場に比べて安値というわけではない。
それに日本国内では商品にならないといっても、冷凍冷蔵設備を備えた近代的な漁船による漁獲だ。この世界の既存の漁船によるものに比べれば品質は段違いに良い。
輸出したもので何かあれば安かろうとブランドに傷つくのだから、基本的な品質管理は当然で、それまでなら缶詰にするようなものを一尾単位で売っているだけだ(缶詰自体は物珍しもあって銀貨や金貨で取引される。鯖缶1個1万円は冗談ではない)。
しかも漁獲量も桁違いに多い。日本側からすれば比較的少量の輸出であっても、現地の物価を乱すには十分すぎる量だ。
日本側としても、水産関係者が今までどおりの収入を維持するには、半分押し付けだろうが売らないわけにはいかないので、自由貿易という名の下に輸出を強行している。
実際日本産の食品は値段の割に高品質なので需要はあり、自由な貿易という意味ならばもっと多く輸出しても買い手はつくだろう。
水産業の場合は内需が主力なので輸出量が元々それほど多くないというだけだ。

現地の市場に並ぶ魚介類の量が急に3割増えて、しかもその3割が今までより少し高いくらいの値段で今までより遥かに高品質となれば、新たな3割の人気と反比例して既存商品が値崩れするのは当然の成り行き。
質で対抗できないから価格で対抗するしかなく、薄利多売の値引き合戦から、遂に赤字確定でも売るという段階まで来ている。
ライバルが廃業して供給が3割4割減れば価格がある程度落ち着くだろうという過酷な消耗戦である。

しかも、困ったことにこのような事態は別に水産関係者だけの話ではない。
ほぼ全領域の産業で似たような事態が起きている。

日本国内での内需が主で輸出品の量が相対的に低い農業や漁業はまだいい方なのだが、それでも自動車や半導体、化学製品などの輸出がほぼ封じられた分を、食品や軽工業製品の輸出で支えようとすらしているのだから、財務省や厚労省まで輸出圧力をかけてくるのは当然と言えた。

転移初期の、燃料が無いから操業できないという苦から、燃料事情が安定してきたら現地への供給過剰で不満噴出という苦へ。

今に……。
この実弾が込められたマスケット銃が領事館に向けて火を噴く日が来るかもしれない。
標的は門番として立つ自分かもしれない。

そんな不安が的中するのは、それから暫く経った日の事だった。


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