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英国(第二次世界大戦勃発直前)がファンタジー世界召喚されますた。

278HF/DF ◆e1YVADEXuk:2018/03/24(土) 20:07:56 ID:xcVmLF4g0
一方私はそんな二人にまともに言葉を返すことが出来ないでいた。聳え立つ巨木を目の当たりにした瞬間あの時の記憶と様々な感情が一気にこみ上げてきたせいだ。
あの木の下で過ごした間に起こった様々なこと、彼女が見せた様々な表情としぐさ、そして戦いの記憶。激流のようにほとばしる喜びや興奮といった様々な感情。そういった諸々を意志の力で何とか押さえ込み、目の前の風景に意識を向ける。
まず目に入ってきたのは相変わらずの存在感を示している巨木、ただしその威容はかつてのそれを大きく上回り、高さも枝ぶりも一段と増していた。
だが変わっていたのはそれだけではない。その根元には数え切れぬほどの建物が立ち並び、街を形成していたのだ。

高層建築――例えばロンドンのビッグベン――のような際立って高いものこそないが、その面積はなかなかのもの。流石にロンドンやポーツマス、私の故郷スコットランドのグラスゴーやエディンバラといった大都市には及ばないが、明らかにそれは『街』だった。
その街へと続く一筋の道路の上を私たちのトヨタは走り続けた。やがて路面がむき出しの土から石畳になり、それに伴って車体の揺れも穏やかになる。同時に周囲に増え始める建物。
基本的に平屋建てであるがその大きさは様々であり、石造りのものもあれば木造のものもある。そしてその中からこちらを見つめる顔、顔、顔。走る車の上からゆえその表情を仔細に確かめることは出来ないが、考えていることはおおむね予想が付いた。
未知の乱入者に対する警戒心、奇妙な物体に対する興味、そして驚き。
ただ我々の車目掛けて石ころの類が飛んでくることがないあたり、ここの住民はよそ者に対して問答無用で攻撃を仕掛けるような性質の持ち主ではないようだ。それでも我々は周囲を警戒しつつ車を進める。
今はまだ平穏であっても何かの切っ掛けでそれが破られる、という展開は十分ありうるのだから。

そんな我々を取り巻く風景はもはや完全な市街地のものだった。
トヨタが二両並ぶ程度の幅広さの石畳の道路、その両側に立ち並ぶ様々な形の建物。今や住民たちはその建物の中に留まる事を止め、路肩にまで出てきてこちらを観察している。
男に女、若者に老人、大人に子供、身なりもまた多様。唯一つ共通しているのは誰もがこちらを観察し、時に興奮した様子で言葉を交わしているということ。
そんな中、ウールトンがポツリと言葉を漏らす。


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