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虐厨いじめスレ

1首もぎさん ◆zFD4EmUzCA:2016/05/30(月) 19:31:22 ID:o7SKOSpA0
このスレッドは不快生物「虐厨」をいじめるスレです
AA作品やSSは歓迎しますが、余所からの無断転載・無断改造は厳しくこれを禁止します
このスレに投稿された作品の無断転載・無断改造についても同様です

2虐待厨のルール 1/3  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/03(金) 03:59:57 ID:8mc8NWNU0
あちこちで虐殺が蔓延る中、その町は平和だった
モナーやしぃ、ミニイカ娘に のんたぬ、ごまどかにニラ茶猫と
あらゆる種族が争うことなく平和に暮らしていた
「ひゃっはー!!」
そいつが来るまでは

「やめろって言ってるだろう!!」
ちびギコを踏みつけるそいつへ、モララーはついに声を荒げた
「やめませんw楽しいからwww」
その男は人間に良く似ているが人間ではない
では何かというと、「虐厨」という生き物だ
虐厨の周囲には、虐厨の手にかかった ちびギコや実装石、べびしぃ等の町の住人が倒れている
虐厨曰く、「こいつらは被虐生物」だと
虐厨はその被虐生物を虐待する正当な権利を持っていると主張し
暴力行為を正当化していた
「この町は虐殺の手から逃れてきたみんなの町なんだからな!当然、おまえのやっている
暴力行為は禁止されてるんだからな!」
しかし虐厨は、怒るモララーを、ぷふっwと嘲る
「オレには害獣を虐めて楽しむ権利があるんだよwwwバーカwww」
虐厨は知らぬことではあるが・・・この時モララーは必死に己と戦っていた
目の前のクズを耳もぎ四肢もぎ目つぶしのフルコースでダルマにしたい衝動を
必死でこらえていた
「・・・もうやめるモナ、お前のやっている事はこの町の誰もが迷惑しているモナ」
モララーを見かねたモナーの発言に対して
「あ〜楽しいwあ〜楽しいw」
虐厨は無視を決め込んだ
「いい加減にしろ!!お前のやっている事は町のルールに違反してるんだよ!!今すぐやめろ!!!」
ついにモララーは本気でキレた
「ローカルルールなんてのに頼らずに自分の言葉で説得してみろよwバーカwwwww」
かつて虐殺者時代に何百体ものアフォしぃの血を吸ってきた棍棒を振り上げかけたモララーの前に
一人の少女が割って入る
「ねぇ、あんた・・・やめなよ、みんな迷惑してるんだよ?」
虐厨は自分が命を救われたとも知らず・・・傲慢にふんぞり返る
「オレは迷惑してないからw分かる?www」
少女は虐厨に一歩近づき、さらに続ける
「あんたのやっている事は、あんたが言う被虐生物だけじゃない・・・それ以外の
町の住人たちの心も虐げているんだよ、分からないの?」
対して虐厨は応えた
「オレには愛護をいじめて楽しむ権利があるんだよ!バーカ!!www」

3虐待厨のルール 2/3  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/03(金) 04:02:00 ID:8mc8NWNU0

少女はまた一歩踏み込み・・・虐厨の腹を蹴飛ばして耳障りな笑いを黙らせた
「な・・・なにしやが・・・」
「だって、私には害獣を虐めて楽しむ権利があるんだもん」
今度は右拳を虐厨の顔面にぶち込む
「ひ・・・ひぎぃ!!」
「あ〜たのしいな、たのしいな〜」
蹴り、パンチ、チョップ・・・素手で可能なあらゆる暴力が虐厨を蹂躙する
「こ・・・ここは暴力禁止なんだぞ! オレを虐める事は・・・」
「ローカルルールなんてのに頼らずに自分の言葉で説得してみろよ、ばか」
少女は相変わらずの棒読みの台詞を言いながら暴力をやめない
しかもそれは全て、虐厨が言った言葉だ
ゆえに、虐厨は反論できな
「うるざい!ごごば暴力禁止なんだぞ!ルールで決まっでるんだぞ!!暴力をぶるっだ奴は荒らじだ!!」
否! 虐厨の自分が世界の中心であると信じて疑わない思考は
己の言った言葉すら真っ向から否定した
だがしかし
「今更、あんたと議論しようなんて甘い考えは持ってねぇんだよ」
言いながら少女は虐厨の股間を踏み潰す
「アイゴオオオオオオオオオオ!!」
「第一、あんたがルールを守らねぇのにルールがお前をを守るわけないでしょ、バカ?」
「うるざい!虐厨は ごの世界の帝王様なんだぞ!! ぞんなオレに暴力ぶるっでいいどおもっでんのが!?」
少女は虐厨の顔面を踏みつけた
「ほぉ〜? じゃあ、今すぐ家来どもを呼んでみて、そんで私を排除してみせろ」
「ん〜ん〜!!」
少女は虐厨の顔面に体重をかけていく、やがて虐厨は動かなくなった
「・・・くたばったか」
少女は靴の裏についた鼻水と涎と涙を虐厨の服になすりつけて落とし、モララー達に会釈してそこを立ち去った

4虐待厨のルール 3/3  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/03(金) 04:06:00 ID:8mc8NWNU0
住人たちは二人の様子を見ていたが・・・やがて、虐厨を取り囲んでじっと見つめた
「・・・く・・・っぐ・・・」
虐厨は起き上がる、失神していただけのようだ
そして、周囲の住人に気付くと・・・何事も無かったように下卑た笑みを浮かべた
「ひゃっはー!またいじめてやるぜオブ!」
ちびしぃに飛び掛かろうとした虐厨の顔面にモララーの棍棒がめりこむ
顔面に痛打を受けて虐厨はやっと気付いた、住人たちの目がいつもと違う事に
迷惑そうにゴミを見つめる目ではない
何かを決意した、そんな目だ
「このゴミ、片付けようぜ」
誰かがそう口にした
みんなは頷いた、しぃもモナーもモララーもアヒャも実装石も つーも・・・
ある者はモララーから予備の棍棒を借り、ある者は石を拾い上げ、
ある者はゴミ置き場から角材を持ち出し・・・各々が得物を手にした
そして・・・
「ウギャバゴベゴヤベロォ!オレ様ば虐厨様あんだぞ!ごの世界の王様ダゾギャバアアア!!!」
肉を打つ打撃音が骨を叩く音になり、やがて液体を叩く音になる

その日、一匹の虐厨がいなくなった
最期まで謝罪の言葉も反省もすることなく、この世から消えた
その死体がどうなったのかは町の住人は誰一人としてこれを語らない
そして少女がどこへ去って行ったのかについては、誰も知らない
分かっているのは
今日も町は平和だ、と言う事だけである

(おわり)

5人質と交渉 1/3  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/06(月) 04:02:12 ID:ap6yr1J.0
※虐厨以外の生物虐殺描写あり


「ゆるしてくださぁぁぁぁぁい!!!」
公園の真ん中で、虐厨一匹と一人の筋肉質な男が対峙していた
虐厨の足元には男のペットだった、ベビしぃ3匹が息絶えている
そして虐厨はというと・・・地面に平伏し、土をその額にこすり付けていた

何が起きたか、それはこの30分前に遡る
公園をペットのベビしぃ達と散歩していた筋肉質な男(ベビの飼い主)は
真横(ゴミ箱の影)から現れた虐厨(口に残飯の魚の骨を咥えている)にベビしぃを強奪された
虐厨はベビしぃをさっそく一匹ひねり殺し、残る二匹を人質に飼い主へ
足を磨く、砂場の犬猫の糞を掃除する、顔を拭く、アイスを買ってくるなどの要求をした
そして、当たり付きアイスがハズレだったという理由で、また一匹ベビしぃを殺した
さらに、「腹が減ったな」と、その場で残るベビしぃを捌いて活造りにした
次の瞬間、飼い主の拳によって鼻血を噴きながら倒れた虐厨は気付いた
もう、人質にできるベビはいない
いるのは目の前の・・・怒り心頭で拳をポキポキ鳴らす、屈強な男だけだ



「ごべんなざいごべんなざい!!調子にのっでいばじだあぁぁぁぁ!!」
虐厨はペロペロと飼い主の靴を舐める
鬱陶しげに飼い主は虐厨の顔を軽く蹴飛ばして、告げた
「この街から出て行け、二度と来るな!」
「わがりまじだぁぁぁ!!八丈島にでもアルカトラズにでもどこにでも行ぎまずぅぅぅ!二度と顔を見ぜまぜん!!!」
「約束だぞ、次に見かけたら・・・その顔面に一万発ぶち込むからな!」
飼い主はベビしぃの死骸を抱え、虐厨に背を向けた・・・その直後
「ひゃっはー!!こっち見ろバカアイゴ!」
飼い主は振り返って虐厨を見た
「やれやれだ」
飼い主はベビたちの死骸を、そっと地面に置く
虐厨は、いつの間にか近づいてきていたベビギコ(?)を人質にしていた

6人質と交渉 2/3  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/06(月) 04:04:34 ID:ap6yr1J.0
ベビギコ(?)は首輪をしており、一目で誰かの飼いだと分かる
「動くなよクソアイゴ、動いたらこいつを殺・・・」
「コドオオオオオオオオ!!!!!」
ベビギコは咆哮した、その大声に驚いて虐厨はベビギコから手を離す
そう、虐厨が人質にしたベビギコ、それは「ベビレコ」だった
成長すると「レコ」になり、「ダマレコゾォォォ!」という、独特の鳴き声を出すチビギコの一種だ
「さぁて・・・」
ベビレコが逃げていき、その安全を確認した飼い主は 一歩 虐厨へ近づいた
「ひぃ・・・」
「言ったよな・・・次にその面見かけたら、一万発ぶち込むと」
「ひぎゃああああああ!!ごべんなざい!!ゆるじでぐだざいいいいいいいい!!!」
「許して欲しいか?・・・許しなら、てめぇが殺したオレのベビたちに乞いな」
ベビの飼い主の完全に据わった目を見て虐厨は悟った、自分が「詰んだ」事を
「ま、待ってくれ・・・そ、そうだ、金をやる・・・それで見逃してくれ!」
「はした金で贖える罪だと思っているのか?」
「お、オチツケ、十万円はあるぜ・・・」
飼い主はピクリと反応した、虐厨は続ける
「嘘じゃない本当だ、公園の端にある桜の木の根元に埋めてある!」
「虐厨のクセにずいぶん持ってるな・・・まさか働いて稼いだわけじゃねぇだろ?」
脈ありと思い込んだ虐厨は、調子の乗ってカミングアウトした
「ひゃははは!もちろん、この公園に時々立ち寄る小学生のガキどもからカツアゲしたのさオゴッ!!?」
飼い主はすかさず虐厨の腹を蹴飛ばした
「やれやれ、てめぇって奴は・・・正真正銘、最低最悪の、本物のドクズだな」
虐厨は蹴られた腹を押さえながら地べたに座り込んで懇願した
「ぞうなんでず、殴る価値もないんでずぅ!だから、見逃じで下ざい、ね?ね?ね?」
「・・・ダメだな」
飼い主は虐厨の懇願をバッサリ切り捨てた

7人質と交渉 3/3  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/06(月) 04:07:25 ID:ap6yr1J.0
「ひぃぃぃ!お金はあげるって言ってるじゃないがぁぁぁ!!どぼぢでえええええ!!!」
「てめぇの罪は・・・金じゃあ償えねぇんだよっ!!!!!」
飼い主の右拳が虐厨の顔面の中心にめり込んだ
吹っ飛んだ虐厨は鼻と口から血を噴きながらジャングルジムにぶつかり、背中を強打して一時的に格子にひっかかる
虐厨が地面に落ちるより早く飼い主は間合いを詰め、ボディブローで自分の上半身の高さにまで持ち上げた
そして・・・
「オララララララララララララララララララララララララ・・・!!!」
落下すら許さない左右の拳による猛ラッシュ
みるみる虐厨の顔は、歯が砕け、頬骨が破壊され、顎骨が割れ、鼻が潰れ、元の形から物理的に離れていく
位置調整のために時々ボディへの打撃も忘れない
虐厨は顔面を整形(物理)されるついでに肋骨を全て折られ、内臓もグチャグチャに破壊されていった
「オラァ!!!」
トドメとばかりに一万発目にはアッパーカットを決め、飼い主はジャングルジムに背を向けた
ガッコーン!!
かつて虐厨だった肉塊はジャングルジムの近くに設置してあった公園のゴミ箱に綺麗に入る
後日、その肉塊は生ごみとして公園の清掃業者に回収され廃棄された

その後、飼い主は虐厨の証言の通りに桜の木の根元から十万円の小銭が入ったお菓子箱を発見し
警察に届けた
飼い主はベビしぃを失ったものの、公園に巣食っていた害獣を退治した事と
強奪されていた金銭を奪い返した事によって警察や街から表彰されたという

(おわり)

8悪逆なるもの  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/14(火) 04:23:46 ID:MebbwwSY0
「なんなの、あんたたち・・・!」
少女は飼いネコ(でぃ)を背後に庇いながら目の前の存在へ声をかけた
少女の前には、棍棒を持った人間のようで人間でない汚物---虐厨---がいた
「へへへ、オレはゴミ掃除をしようとしているだけだぜ、大人しくそいつを寄越せ」
「いやよ!ミィちゃんはベビの頃にあんたみたいな虐厨に虐待されて でぃになったんだから!!」
言いつつ少女は両方の拳にメリケンサックを装備した
いざという時のために、通販で仕入れた品物だ
しかし、少女の拳で虐厨が吹っ飛ぶより早く・・・その虐厨はどこからかの投石で
頭を砕かれ倒れ伏した
「え?」
石の飛んで来た方へ、少女は目を向ける
コートを羽織った別の虐厨がそこにいた、その手には石
「助けてくれたの?」「ア・・・アリガ・・・ト・・・」
お礼の言葉を述べた でぃへ・・・容赦なく石が飛び、その頭の右半分を潰す
「オレは愛護派でも無ければ、善良種を守る良識派でもない・・・
そういうことだ、オレはそいつを殺したかった。だから最後にとっておいた、それだけだ」
ブチィ!!
何かが切れる音が少女から鳴り響いた
バゴギ!!
そして少女の右拳がコート虐厨の左頬へめり込み、骨が砕けたような大きな音を響かせる
「いっでえええええええ!!何しやがる!!」
「分かったわ・・・なら・・・往生せぇやぁぁぁ・・・!」
少女は心底見下した目で倒れる虐厨を見下ろす
まさに「生ごみを見る目」だ
「ま、まて、オレはゴミを片付けただけ・・・」
「あ゛? あたしのミィちゃんがゴミ? ざっけんじゃないわよ!!!」
容赦なく虐厨の顔面に少女の右足の靴底がめり込んだ
「ひ・・・ひい・・・」
「痛い? 痛いわよね? でも、あんたに殺されたミィちゃんはもっと痛かったのよ!!」
虐厨は壁際まで追い詰められた
「ゆ・・・ゆるして・・・」
「誰が許すかボケ!!!!」
少女の鉄拳が虐厨の右ほおの骨を砕く
倒れた虐厨に馬乗りのなり、少女は右、左、右と拳を振り下ろす
「どうして!どうして!!ミィちゃんを殺したのよ!!いえよ!!なんとか言え!!くそったれめ!!!」
拳が振り下ろされるたび、バキ!ともゴキャ!とも判別の付かない音が響く
分かっているのは、音が鳴る度に虐厨の頭のどこかの骨がへし折れていると言う事だ
「はぁ、はぁ・・・」
やがて・・・虐厨がピクリとも動かなくなって、少女は立ち上がった
コート虐厨の顔面は、ハンマーを何度も振り下ろされたかのような無惨な有様だ
少女は持っていたゴミ袋に虐厨2匹の死骸を入れると
「生ごみ収集所」と書かれた大きなゴミ箱へそれを放り込んだ
「ミィちゃん・・・」
少女は事切れた でぃを抱え、家路についた

後日、積極的に虐厨を狙って狩る少女が出現した事で
町の虐厨はその数を大幅に減らす事になるが
それはまた別の話

(おわり)

9ゆっくり村の悲劇 1/9  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:14:41 ID:czxDt0l.0
※イライラパート長めです

あるところに、「ゆっくり」という生物と共存する村があった
少女の生首のような饅頭という、変わった生き物である彼女らを村人は可愛がり
ゆっくり達も平和に暮らしていた
やつらが来るまでは・・・・・・

「オレは反対だ!!」
集会所の畳を叩いて抗議の声を上げた男は、かつて「実装村」という
「実装石」という生物と暮らす村にいた者だ
しかし・・・その村は今はない
村に入り込んだ「虐厨」という存在により村の実装石は次々と狩られ、
また、「虐厨」が勝手に攻め込んだ他の村や町からの逆襲に遭い
村人は村を捨てて逃げざるを得なくなったのだ
その村があった所は今、ぺんぺん草一本も生えない荒地と化している
「オチツケ・・・気持ちは分かる」
「分かっていない、あんたたちは、あいつらがどれだけ危険かを!!」
男が声を荒げているのは、他でもない
この「ゆっくり村」に「虐厨」が来たのだ
彼等は人に似るが人では無い
「虐待」という、他の生物を虐げる凶行に無上の喜びを感じる狂った存在だ
その彼等が「共存させてほしい、決して悪さはしない」と頭を下げてきた
彼等は今、村長の屋敷の脇にある小屋にいる
「やつらとて鬼でもない、過去の過ちを繰り返す馬鹿はしないだろう」
「んだんだ、困ってる人は放っては置けね」
村人の大半は虐厨たちを受け入れる事に賛成した
「実装村の二の舞はしない」との話をどうにか取り付けた事で
しぶしぶ、元実装村の男も折れた

しかしそれは、大きな過ちであった事を村人たちは思い知り、この決定を心底後悔する事になる

10ゆっくり村の悲劇 2/9  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:15:48 ID:czxDt0l.0
「おい、何やっとる?」
虐厨が来て3日後、村長が用事で遠出している間に・・・虐厨達は小屋から
屋敷の母屋に移り住んでいた
そして、ゆっくり(虐厨達が持ちこんだ「ゆっくりもどき」)を虐待していた
「お前ら・・・!」
見つけた屋敷の奉公人が怒鳴りつけようとしたのを、村長の妻は制した
「まぁまぁ・・・この方たちは住むところが無いのよ・・・家ができるまでいて貰いましょう、ね?」
妻は村長が帰ってきた時に事情を説明した
村長はそれで納得し、状況を受け入れた
しかし、これは大きな間違いだった
この時点で虐厨達を追い出していれば・・・・・後の惨劇は免れたであろう

やがて家が村に新設されたが、虐厨達は全員がそちらに移ったわけでは無かった
村長の屋敷に残る者もいれば、自宅と屋敷を往復する者もいた

それでも村は、虐厨を追い出さなかった


「嫌なら見るなw嫌なら見るなwww」
虐厨たちは村の人目に付くところで、ゆっくりもどきを虐待して憂さ晴らしをするようになった
虐待対象は虐厨が持ちこんだ ゆっくりとはいえ、ゆっくりを大切にしている
村人たちには不快極まりない光景だ
堪りかねた一人の村人が抗議した結果が、上記の返答である

それでも村は、虐厨を追い出さなかった

11ゆっくり村の悲劇 3/9  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:20:24 ID:czxDt0l.0
やがて虐厨はその数を増した
村で繁殖しただけではない、村の外から他の虐厨を呼び寄せたのだ
そして今度は、村の周囲の野生のゆっくりが狙われた
虐厨曰く、「こいつらは野菜を狙うガイジュウだ」と
「だから駆除してやっているのだ」と
もちろん、村人たちにはそんな話は初耳だった
そして、村の野菜がゆっくりに食われたなどと言う被害も、これまで無かった

それでも村は、虐厨を追い出さなかった


やがて畑に本当に被害が出始めた
畑を荒らしているゆっくりは、明らかに村と村の周囲のゆっくりとは違う
虐厨が持ちこんだ「ゆっくりもどき」だった

「は? オレらが持ちこんだゆっくりがどこで何してるか把握するのも管理するのもできるわけねぇだろ」
村人が「ゆっくりもどき」を持ちこんだ虐厨に問い質した返答は、これだった
「管理もできないのに持ち込んだのかよ?」
「うるせえ!お前らもゆっくりを虐待すりゃいいじゃねぇかよ!帰れ帰れ!!」
虐厨は事件の元凶でありながら全く反省もせず、再発防止にも動かなかった

それでも村は、虐厨を追い出さなかった


やがて、ゆっくりの数も減っていった
虐厨が襲っただけでは無い
「ゆっくりもどき」が村のゆっくりを襲いだしたのだ

「は? お前らが自衛に失敗したのが悪いんだろ? オレらに責任転嫁しないでくれますか?」
再び問い質した村人に虐厨のリーダー格はそう答えた
「あまりにも無責任すぎやしないか?」
とうとう村人の一人が怒りの言葉を口にする
「だからお前らもゆっくりを(ry」
話は平行線、全く噛み合わなかった

それでも村は、虐厨を追い出さなかった

12ゆっくり村の悲劇 4/9  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:28:55 ID:czxDt0l.0
ある日、村に旅姿の若者が訪ねてきた
彼は他の村の代表者で、この村の虐厨が勝手に田畑を荒らし、害獣(ゆっくりもどき)を放して
被害を与えている事を村長に言った
被害は他の村や里にも及んでおり、このままでは国を治める殿様の耳に入るのも時間の問題だと

「良いだろ別に、ゆっくり虐待っつー素晴らしい文化を広めるのは良い事なんだから」
虐厨のリーダー格の男はそう言った
「みんな迷惑してるんだよ!」
「オレらは迷惑していないからwww」
話は平行線、全く噛み合わなかった
「いい加減にしろ!!」
元実装村村民の男は声を荒げる
「実装村の二の舞はしないと、言ったよな? なのにこのザマは何だ!?」
「そんな事言ってたら、活動なんざ何もできねぇよwww」
元実装村村民の男はついに拳を振り上げた
その拳が虐厨の顔面を砕く前に村長が割って入り、虐厨リーダーへ言った
「お前さん方・・・この村に来る時の約束は覚えているか?」
「約束?」
リーダーは問い返す
「そうだ、決して悪さはしない、住み分けをすると、そう約束したはずだ」
村長の言葉に、村人たちは明るさを取り戻す
「そうだ」「オラも聞いた」「その通りだ」
しかし・・・
「は?w別にオレがした約束じゃないしwww文句ならその約束した虐厨に言えwww」
「そんな・・・それはなかろう・・・たしかに交わした約束じゃ・・・」
「ワロス!wwwオレら全員が守る義務はねぇって言ってるんだよwwwwww」

今度こそ村人たちは虐厨を追い出そうと思った
しかし、もう手遅れだ
虐厨の数はすでに村人の総数を大幅に超えていた

13ゆっくり村の悲劇 5/9  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:40:32 ID:czxDt0l.0
ある日、村の子供と子供の育てている ゆっくりまりさが、虐厨に襲われた
「は? 愛護のガキに虐待はどういうものかを教育してやっただけですけどwww」
さすがにその虐厨はその場で大人たちに取り押さえられたが、全く反省しない
村人たちは縄で縛った虐厨を連れて虐厨のリーダーの家に行く
「愛護がでしゃばるな!!wwwwww」
リーダーは村人から事情を聴くと、こう言って仲間の虐厨を奪還した
「ふざけるな・・・村の子供と大事なゆっくりが襲われたんだぞ・・・!」
「住み分けしないお前らが悪いwww」
「てめぇ!この村は元々オレ達の村だぞ!!後からやってきたくせに・・・!」
「は?www村なんざオレたちにはオモチャにすぎねぇんだよwww鼻息荒くしてうぜぇwww」
「そうだそうだwww愛護なんかより虐待するオレらの方が優れてるんだよwwwひっこめ下等生物www」
縛られた虐厨やリーダーの背後にいる虐厨も一緒になって村人たちを罵りだした
もう何を言っても無駄だと悟った村人たちは、リーダーの前から立ち去る
「これからも、ゆっくりを大好きなその気持ちを踏み躙りいたぶり続けてやるからなwww
無力感を味わいながら悶絶してやがれ愛護どもwww」
立ち去る村人たちへ、縛られていた虐厨はそう叫んだ


ついに、村人の家に虐厨が侵入した
食糧を奪った上に飼育していた ゆっくりれいむが犠牲になった
「やめてください、お願いします、れいむは何も悪い事していません!」
「そうだ、何もしてねぇwけどな、オモチャで遊んでいけないなんてルールもねぇもんねwww」
懇願する村人の少女の前で、虐厨はゆっくりを殺した
幼いころから家族同然、姉妹同然に生きてきた無二の存在を目の前で惨殺され
少女はその日のうちに山で首を吊った
れいむを抱きながら事切れた彼女を見つけたのは、事情を知って駆け付けた村長の息子だった

もう村人は何も言えなかった
首を括った少女の両親も同様である
何を言っても煽りで返され、さらなる暴言をぶつけられるだけなのだ
やつらを殺そうにも、増えすぎた虐厨に逆襲されるのは目に見えていた

14ゆっくり村の悲劇 6/9  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:42:57 ID:czxDt0l.0

たった半年
虐厨が侵入してからわずかなこの期間で、ゆっくり村は終わった
「だから、言ったんだ・・・やつらを受け入れるべきじゃないと・・・」
集会所に集まった村人たちの前で
元実装村の男はそう言って力なく項垂れた、彼にはもう怒る気力すら無いのだ
村長も青い顔で項垂れていた
善意は悪意で返され、恩は仇で返された
自分が良かれと思ってやったことが招いた結果に、村長は責任を感じていた

今や、村はメチャメチャだ
あちこちに ゆっくりの死骸が転がり、家の中にいるゆっくり達は震えている
山野のゆっくりは全滅し、家の中のゆっくりも虐厨の侵入と狼藉の危険に晒されていた
農作物は虐厨たちと彼等の持ちこんだ ゆっくりもどきに荒らされ、芋一個の収穫も望めない
今年の年貢を納めるなど、とうてい無理だ
いや、冬を越す蓄えすら、もうない
山野に食糧を求めようにも、そこもまた ゆっくりもどきと虐厨に荒らされていた
草木は引っこ抜かれ斬り倒され、獣は狩られ尽くされた、虫一匹すらもういない
虐厨は食べるためでは無く、ただ嬲って殺すためだけに生き物を襲うのだ
他の村や里に食べ物を分けてもらう事は出来なかった
ゆっくり村から「布教活動」にやってきた虐厨によって村と食糧を荒らされ
虐厨が持ちこんだ ゆっくりもどきによる被害も出ている
さらに悪い事に、虐厨はこの「ゆっくりもどき」こそ正当な「ゆっくり」であると宣伝していたため
他の里や村ではゆっくりの印象は最悪な物になった
当然、それを育てていた ゆっくり村も最悪の誹りを免れない
村にあるのは、虐厨からどうにか守り抜いた村長の倉にある数か月分の保存食しかない
これを食べ尽くせば、あとは餓死が待っている
その上、虐厨達の「布教活動」の結果、ゆっくり村は他の村や里、町から敵意を向けられていた
噂では、国を治める殿様が近々攻め込むための兵を挙げるという・・・
「・・・・・村を捨てよう」
誰かがぽつりとつぶやいた
村長はもう、頷くしかなかった

村人たちは離散した
村長は村人全員に頭を下げ、最後の食糧を配った
ある者は親類を頼って他の村や里へ行き
ある者は商売をしようと私財を抱えて町へ向かった
ある者は世を儚み、出家の道を選んだ
村長は家族と共に殿様に事情を説明するべく、城下町へ向かった
ゆっくり村は虐厨の実質的な支配下になり、ゆっくり虐待は公然化していった
やがて(村人から奪った)食糧が無くなると、虐厨達は他の村に侵入し
平然と食糧や畑の作物を奪っていった

15ゆっくり村の悲劇 7/9  首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:46:51 ID:czxDt0l.0

しかし、それは長く続かなかった
国を治める殿様の軍隊が村に攻め込んだからだ
「年貢も納めぬ、田畑は耕さぬ、その上 他の村に攻め込むとはの・・・許せん!」
普段は温厚な事で知られる殿様自らが陣頭指揮を執った戦が始まった
虐厨たちは逃げ惑い、ゆっくりもどきを盾にして、もどき諸共槍で貫かれ
矢や鉄砲で射殺され、どんどん数を減らしていく
「勘弁してくれええええ!!金ならやる!!」
「金で解決できる段階はとっくに過ぎとるわ、ドアホ!!」
容赦なく侍は虐厨を斬って捨てる
「そ、そうだ、お前らもゆっくり虐待しようぜ、スカッとするぞ・・・」
「おめえかあああ!!オラの故郷の村さ荒らしたのは!!」
農民出身の足軽たちの槍が虐厨を田楽刺しにしていく
リーダー格の虐厨は逃げ回るうち、足軽の小隊長の中に見知った顔を見つけた
「おいお前、村長の息子だろ!」
虐厨リーダーは声をかける
「オレだよオレ!知ってるだろ、ほら、友人のよしみで見逃し・・・」
ヒュ! ドス!!
村長の息子の放った矢が虐厨リーダーの右足に刺さった
「いでええええええ!!」
「こいつ、小隊長どののお知り合いですか?」
足軽の一人が村長の息子に声をかける
「ああ・・・オレの両親の憎い仇だ!!」
虐厨リーダーは知らぬ事だったが・・・
ゆっくり村の村長は殿様に全てを打ち明けた後、
生き残ったわずかなゆっくりと息子を世話役の侍に託し
妻と共に自害して果てた
殿様は村長に責を問う気は全くなく、むしろその境遇に同情していたため
不憫に思い、村長の息子を家来として取り入れた
村長の息子はみるみる才能を開花させ、わずかな期間で足軽の小隊長になった

16ゆっくり村の悲劇 8/9 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:49:36 ID:czxDt0l.0
足を射られた虐厨のリーダーは、他の生き残った5人の虐厨と共に
殿様の前に引き出された
他の虐厨や「ゆっくりもどき」は皆、殺された
「でかした、大義である!」
「はっ、ありがたき幸せにございまする!」
村長の息子は殿様直々にお褒めの言葉を授かり、褒美を貰った
「さて・・・」
殿様は、足軽たちに小突かれながら座らされる虐厨達に目を向ける
「・・・お前が、虐厨の首魁か?」
「誰だ、あんた?」
虐厨リーダーの言葉に、一瞬で場が凍りついた
「ワシはこの国を治める者・・・と言えば分かるか?」
虐厨の無礼な態度に家臣たちが怒声を上げるより早く、殿様は応える
「お前たち、どうしてこんな事をしたんだ?」
「楽しいからに決まってるだろwww」
「無礼な」「敬語も知らんのか」「この場で斬り捨ててやろうか」
しかし、殿様は虐厨の態度に怒りもせず、対話を続けた
「楽しいから、と申したな・・・自分が楽しければ、他の者に迷惑をかけてもいいと申すか?」
「あったりまえじゃんwww愛護どもが泣こうがわめこうが、
ごまめの歯ぎしりwww考慮する必要もねぇよwww」
場は殺意と怒りが渦巻いた
「たかが村の一つや二つでナンセンスwww新しい場所探せと言いたいwwwww」
怒声が周囲から出るより早く、殿様はスッと立ち上がった
声を出しかけた者達は皆、黙って殿様に注目する
殿様は村長の息子を手招きして近寄らせ、静かに言った
「許す!この場で見事に親の仇を討ってみせよ」
「はっ!」

17ゆっくり村の悲劇 9/9 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/06/26(日) 04:53:51 ID:czxDt0l.0
村長の息子は部下の足軽から槍を受け取り、穂先を虐厨たちへ向けた
虐厨達は足を負傷しているリーダーを見捨てて我先に逃げ出そうとしたが
逃げ道を足軽たちに阻まれ、小突かれながら戻された
「えいッ!」「あいごおおおおおおおおお!!」
まず一人の虐厨が背中を一突きにされ倒れた
それを皮切りに村長の息子は槍を振い、次々と虐厨を屠っていく
「おおお」「まるで、舞のようじゃ」「美しい」
生きている虐厨は、ついにリーダー一人となった
「ずびばぜん!!」
リーダーは土下座平伏した
「村を壊じでごべんなざい!!ゆっぐりを殺じでごべんなざい!!命だけは助げで!!!」
「・・・・・・・・」
「もう悪い事じまぜん!!虐待もやめまず!!畑も山も野原も元にもどじまず!約束じまずがら・・・」
「・・・できるか・・・!」
「・・・え?」
「お前ら虐厨の言葉なんか、信用できるか!!!」
槍の穂先がリーダーの足を切断する
「あいぎゃあああああああああああああ!!」
腕、肩、耳、鼻、目・・・すぐには死なない個所を素早く突いて行き
最期に「エイッ!」と気合いで一閃、首を刎ね飛ばした
「うむ、見事だ!!」
殿様は膝をポンと叩いて褒め称えた
家臣たちも侍も足軽たちも、その見事な「舞」に心打たれ、中には落涙する者もいたという

その後、村長の息子は殿様に重く用いられ
虐厨対策にその力を注いだ
彼は二度と故郷の村と両親と・・・少女を失った悲劇が繰り返されないよう尽力した
国内の虐厨の撃滅に成功した彼の功績は、その後も長く語り継がれる事になる

そして・・・村のあった場所には、小さな神社が建てられた
「おはな神社」と名付けられたその神社には
小さいが立派な社と、その傍らに二つの墓が寄り添うように建てられている
村長の息子は出世した後も老いて病に倒れるまで、三日に一度はここに通い墓に花を添えていた
虐厨の身勝手な私利私欲のために儚く消えた彼の恋心を知る者は、今はもういない
ただ、「おはな神社」は現在も残り
出世の御利益のある神社として知られている


(おわり)

18タブンネ誘拐 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/07/14(木) 04:32:50 ID:D95EyDj60
「ひゃあっはあはははははは!!」「ぐへへへへへへへ!!」
男たちは一匹のピンク色のポケモンを囲んで騒いでいた
ポケモンは「タブンネ」、本来は大きな耳が特徴の可愛らしいポケモンだ
しかし、そのタブンネは両手両足両耳を失い、体中が傷だらけだった
男たちー虐厨という種族のならず者ーによって、タブンネは虐げられていたのだ
そしてこのタブンネは野性のものではなく、れっきとした飼いタブンネだった
虐厨たちは身代金目的で家屋の窓を破壊して侵入してタブンネを攫い、
身代金5億円を要求した
そして時間が経過するにつれてタブンネを傷つけ
その写真や動画を飼い主のパソコンへ送り付けて催促していた
誘拐からわずか一日でタブンネは見る影も無く破壊された
かろうじて息があるが、それが絶えるのも時間の問題だろう
「金はまだ届かねぇか?」
「仕方ねぇな、今度は耳をそぎ取ろうぜ」
いくら飼い主が資産家とはいえ、5億などと言う大金がすぐに用意できるはずもない
そもそも相手がまだ金を用意できていないのに人質を殺しては無意味である
しかし虐厨たちにはそんな当たり前の思考が完璧なまでに欠落していた
「おい、こいつもうじき死にそうだぞ」
「かまわん、死んだら死んだで死体を刻んで飼い主に見せつければいいさ」
ポケモンが死んだら身代金が払われる可能性がなくなるかもしれないのだが、
虐厨達はそんな事は微塵も考えなかった
コンコン
その時、虐厨たちのアジトのドアがノックされた
「すいません、運び屋です・・・お金を届けに参りました」「!?」
虐厨の一人が飛びつくようにドアへ近づき、鍵を開ける
次の瞬間、ドアは勢いよく開けられ、バールのような物を大上段に振りかぶった男が現れた
「な、なんだおま・・・」
全てを言い切る前に、その虐厨は頭をスイカのように砕かれ倒れる
「な・・・」
突然の仲間の死に、他の虐厨は一手遅れた
そしてその一手は、虐厨を一人たった今 葬った男には十分すぎる時間だった
一瞬で間合いを詰め、バールのようなものを振い、次々と虐厨を血祭りにあげる
「ま、まて・・・もうすぐ手に入る金をやるから・・・見逃してくれ・・・」
「金? そいつは5億円の事か?」
男は初めて口を開いた
「なんで金額を知って・・・!?」
「オレは、その5億で雇われた駆除屋だ」
そう、全ては虐厨達の「やりすぎ」が招いた事だった
送り付けられる動画や画像で、飼い主はタブンネが生きて帰る事はないと悟った
そして用意した身代金で、裏社会の男を雇ったのだ
「ちくしょう、こうなったらタブンネを殺して・・・」
「できねぇよ、お前はオレに殺されるんだよ今すぐに」
宣言通り男はバールのような物を最後の虐厨の頭に振り下ろした

後日、飼い主の自宅に「お届け物」が届いた
それは、義手義足に義耳を付け傷の手当てがされ回復したタブンネと
4億5000万円の入ったトランクケースだった
トランクケースの中には手紙が一通添えられていた
「5000万円は必要経費とポケモンの治療に使わせていただきました
4億5000万円が余ったため、お返しいたします
今後も害獣駆除の裏業者こと”虐厨バスター”を、よろしくお願いします」

(おわり)

19タブンネ誘拐 (誤植加筆修正版) 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/07/14(木) 04:38:39 ID:D95EyDj60
「ひゃあっはあはははははは」「ぐへへへへへへへ」
男たちは一匹のピンク色のポケモンを囲んで騒いでいた
ポケモンは「タブンネ」、本来は大きな耳が特徴の可愛らしいポケモンだ
しかし、そのタブンネは両手両足両耳を失い、体中が傷だらけだった
「ぎゃはははは!すっかりマランネちゃんでしゅね〜wwwwww」
男たちー虐厨という種族のならず者ーによって、タブンネは虐げられていたのだ
そしてこのタブンネは野性のものではなく、れっきとした飼いタブンネだった
虐厨たちは身代金目的で家屋の窓を破壊して侵入してタブンネを攫い、
身代金5億円を要求した
そして時間が経過するにつれてタブンネを傷つけ、
その画像や痛めつける過程の動画を飼い主のパソコンへ送り付けて催促していた
誘拐からわずか一日でタブンネは見る影も無く破壊された
かろうじて息があるが、それが絶えるのも時間の問題だろう
「金はまだ届かねぇか?」
「仕方ねぇな、今度は鼻をそぎ取ろうぜ」
いくら飼い主が資産家とはいえ、5億などと言う大金がすぐに用意できるはずもない
そもそも相手がまだ金を用意できていないのに人質を殺しては無意味である
しかし虐厨たちにはそんな当たり前の思考が完璧なまでに欠落していた
「おい、こいつもうじき死にそうだぞ」
「かまわん、死んだら死んだで死体を刻んで飼い主に見せつければいいさ」
ポケモンが死んだら身代金が払われる可能性がなくなるかもしれないのだが、
虐厨達はそんな事は微塵も考えなかった
コンコン
その時、虐厨たちのアジトのドアがノックされた
「すいません、運び屋です・・・お金を届けに参りました」「!?」
虐厨の一人が飛びつくようにドアへ近づき、鍵を開ける
次の瞬間、ドアは勢いよく開けられ、バールのような物を大上段に振りかぶった男が現れた
「な、なんだおま・・・」
全てを言い切る前に、その虐厨は頭をスイカのように砕かれ倒れる
「な・・・」
突然の仲間の死に、他の虐厨は一手遅れた
そしてその一手は、虐厨を一人たった今 葬った男には十分すぎる時間だった
一瞬で間合いを詰め、バールのようなものを振い、次々と虐厨は血祭りにあげられる
「ま、まて・・・もうすぐ手に入る金をやるから・・・見逃してくれ・・・」
「金? そいつは5億円の事か?」
男は初めて口を開いた
「なんで金額を知って・・・!?」
「オレは、その5億で雇われた駆除屋だ」
そう、全ては虐厨達の「やりすぎ」が招いた事だった
送り付けられる動画や画像で、飼い主はタブンネが生きて帰る事はないと悟った
そして用意した身代金で、裏社会の男を雇ったのだ
「ちくしょう、こうなったらタブンネを殺して・・・」
「できねぇよ、お前はオレに殺されるんだよ今すぐに」
宣言通り男はバールのような物を最後の虐厨の頭に振り下ろした

後日、飼い主の自宅に「お届け物」が届いた
それは、義手義足に義耳を付け傷の手当てがされ回復したタブンネと
4億5000万円の入ったトランクケースだった

トランクケースの中には手紙が一通添えられていた

「5000万円は必要経費とポケモンの治療に使わせていただきました
4億5000万円が余ったため、お返しいたします
今後も害獣駆除の裏業者こと”虐厨バスター”を、よろしくお願いします」

(おわり)

20銅バッジ飼い主の適切な対応 1/2 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/07/25(月) 05:23:36 ID:yYwi/PlE0
それは、一瞬だった
ゆっくりさなえと散歩している最中、突然虐厨が曲がり角から現れてさなえを虐待し始めたのだ
「おい、何してやがる!?」
「あん?」
青年の声に、ゆっくりさなえを虐めていた虐厨は手を止めた
「おにいさあああああん!!」
青年は必死跳ねて寄ってきたさなえを抱きしめる
そして虐厨を睨みつけた
「お前の目は節穴か? さなえの銅バッジが見えないのかよ?」
「はwワロスwwwたかが銅バッジごとき虐待されたくらいでゴチャゴチャ言うなwww」
青年は虐厨とさなえを交互に見た
さなえの傷は深い、虐厨への制裁を優先すれば手遅れになるだろう・・・
青年は虐厨を撲殺したい(彼は過去に何匹も虐厨を殺している)衝動を抑え、深呼吸した
青年は脳内にゆっくり専門病院への地図を思い浮かべ、その場を後にする
「ぎゃはははははwwwアイゴよわすwwww大勝利wwwwww」
虐厨のヘドロよりも汚い声を背に受けながら

幸い、青年の判断が功を奏し、さなえは一命を取り留めた
「すまん さなえ・・・オレがもっと注意していれば・・・」
意識を回復したさなえに、青年はまず謝罪した
「ううん、おにいさんは悪くないわ・・・」
「そうか?wwwゆっくりを愛護飼いなんてwクズの極みwwwww」
病室のドアを開け、あの虐厨が姿を現す
「ぎゃはははははwww後を付けてみて大正解www」
「貴様・・・!!出て行け!今すぐに!!」
「いいよwww今は出ていくwwwけど、お前がいなくなったころに戻るもんねwww」
「いやあああああああ!!おにいさん!こわいよ!!」
青年はさなえを背に庇い、虐厨へ向き直る
「もう一度言う・・・出て行け、二度と来るな」
「いやだよば〜かw(「オラァ!!!」
青年の右拳が虐厨の左頬に深くめりこんだ
虐厨は壁まで吹っ飛ぶ

21銅バッジ飼い主の適切な対応 2/2 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/07/25(月) 05:29:16 ID:yYwi/PlE0
「てめぇ、手を出したな・・・これは犯罪だぞ!」
虐厨を保護する法律などない、それどころか「虐厨特別措置法」という
有害な虐厨の「駆除」を推奨する法律まである
しかし青年はこう続けた
「そうかもしれねぇな・・・けどな、お前はいずれオレのさなえを殺す、そう確信した
だから・・・ここでてめぇを殺すことに、オレは何の躊躇いもねぇ!!」
「な・・・何言ってやがる・・・」
口から出た言葉とは裏腹に虐厨は震えていた
青年の据わった目は、彼の発言が本気だと言う事を何より明確に告げている
逃げようと立ち上がった虐厨の右足へ、青年はローキックをかました
嫌な音と共に右足は折れ、虐厨は倒れる
「み・・・見てろよ、虐待委員会に洗いざらいぶちまけてやる」
「てめぇにはそんな機会もうねぇんだよ、タコ」
青年は拳を振り上げた

5分後、「お兄さん、もうやめて!」というさなえの制止が入ったころには
虐厨の顔面は綺麗に「整形」されていた
両腕も両足も無惨に折れている、回復したとしても使い物にはならないだろう
「が・・・べ・・・・で・・・・」
「すいません、どうしまし・・・キャ!?」
騒ぎを聞きつけたのか、ナースたちが部屋に入ってきた
「・・・オレが、やりました」
青年は正直に告白する
「ぶ・・・ぶひひひひwwwそうだ、こいつは暴行犯だwww犯罪者だ!!さあ、こいつを捕まえろ!!」
どこにそんな元気があったのか、形勢逆転と感じるやいなや
虐厨は折れた腕で青年を指し嘲笑い始めた
「・・・大変申し訳ありません!」
リーダーらしいナースは頭を下げて謝罪した・・・青年に
「病院が害獣の侵入を許す等、あってはならない失態です・・・!」
「そうだw害獣を殺せwwwゆっくりを殺せwww」
リーダーナースは汚物を見るかのような視線を虐厨に向けて言った
「死ぬのはあんたよ」「・・・へ?」
リーダーナースの一言を合図に
他のナースがゴム手袋をしてズタ袋の中に虐厨を入れ始めた、3人がかりで
「やべろおおおおお!!オデばぎゃぐだいいいんがいのいぢいんだぞおおおおおお!!!」
虐厨は暴れ叫んだが、構わずナースたちはズタ袋に入れ、袋の口をきつく縛った
別のナースは清掃用具を使い、掃除と消毒を始める
「さぞご不快な思いをされたでしょう・・・」
「いえ、大丈夫です。ただ・・・こいつをオレのさなえにもう近づけないで下さい」
「はい、安心してください。コレは焼却処分しますので、二度とここには来られません」
ズタ袋の中で双方の会話を聞いた虐厨は暴れに暴れた
が、ナースたちは構わずズタ袋を抱えて部屋の外へ行く
その動作は手馴れたものだった、虐厨を処分するのは今回が初めてではないのだろう
やがて・・・焼却炉に火が入り、黒煙が空に立ち上った

その後、さなえは無事に退院し、青年と一緒に幸せに暮らしている

(おわり)

22業者に頼もう 1/3 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/08/08(月) 04:32:37 ID:4AJwxCAM0
「・・・・・・・・・」
青年は「やっちまった」と確信した
会社の近くに引っ越すべく安アパートを引き払おうと
引越しの業者に依頼をしたのだが・・・
その格安業者は人間ではなく、虐厨を寄越してきたのだ
「どうかしましたか?」
青年は派遣されてきた虐厨たちを見つつ、考えた
どのみち、もう金は支払った後だ
今から別の業者に頼むには、もう時間も金も無い
仕方なく青年は、この業者に託すことにした
虐厨とはいえ、金を貰う仕事をしているのだから、
まさか一緒に暮らしている れいむに手は出さないだろうと、甘い考えを抱きながら

青年が業者に引っ越しを任せ、会社に出勤して10分後
「すいません、ドアを開けっ放しにしていたら、糞饅頭に逃げられました」
「ばっかもん!!・・・仕方ない、いつも通りにやれ、たしか、れいむだったな?」
「はい、金バッジのれいむです・・・」

引っ越しから5日後、青年はリビングで「れいむ」とくつろいでいた
しかしその内心は不安が何故かぬぐえないでいた
「れいむ」は以前より一回り小さく感じた、そしてバッジの位置も変わった気がした
しかし業者は「気のせいですよ」と違和感を否定した
しかし、虐厨の言う事である、青年の不安がぬぐえるはずも無かった
「はい、もしもし・・・」
青年はかかってきた電話を手に取る・・・電話の主は、保健所の職員だった

引っ越しから一週間後
「おい!!やってくれたなてめぇら!!!」
あの青年は業者の本社に怒鳴り込んできた
青年は、れいむがすり替えられた偽物だと気づいたのだ
理由は簡単である、業者は知らない事だったが
今流通している金バッジには識別チップが埋め込まれているのだ
このチップは最新型で、個体の識別だけでなく、世界のどこにいるのか
健康状態はどんななのか、さらには音声の録音機能まで付いている優れものだ
電話が気になった青年は近所のゆっくりセンターへれいむを持っていった
すると・・・れいむの金バッジにはICチップが無かった

23業者に頼もう 2/3 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/08/08(月) 04:35:56 ID:4AJwxCAM0

そしてペット登録されていた本物の金バッジは保健所の電話であった「れいむの死骸」にあった
れいむの死体は潰れ、音声記録には命乞いと自分が飼いである事を必死で主張する
れいむの声が録音されていた
音声には青年が依頼した引っ越し業者の依頼でれいむを潰しにきたという内容の
虐厨のつぶやきも録音されていた
なお、その虐厨たちは2時間前に青年に殴り殺され、ゴミ集積所のゴミ袋の中だ

青年は止めに入る虐厨たちを殴り飛ばしながら奥へ進み、社長室に入った
「ははは・・・引っ越しはちゃんと済ませたでしょう」
社長は開口一番、下卑た笑みと共にそう言った
「ふざけるんじゃねぇ!!オレのれいむをすり替えた上に殺しやがって!!」
「ふざけちゃいませんよ、うちは引っ越しの会社ですから、糞饅頭の事まで面倒見きれません
あんな糞饅頭なんかより、よほど優秀な良饅頭を無償で差し上げたのですから、
あなたにとっても悪い話ではなかったでしょう?」
「て・・・てめぇら・・・腐りきってやがる・・・」
「今日の所は、これで・・・」
社長は封筒を差し出したが、その札束入りの封筒を青年は払いのけた
「・・・だ、そうです・・・やってください」
青年はスマホを取りだし、そうつぶやいた
スマホは通話はすでにONになっており、社長室での会話を全て通話先の相手に送っていた
直後・・・・・ズン!!
震動が建物を揺らした、そして社長室の外から悲鳴と破壊音が響いていく
「な・・・なにをした!?」
「あんたら虐厨なんだろ? 人のゆっくりを平気で殺す、悪い悪い害獣だろ? 
だから・・・駆除業者に頼んだのさ」
悲鳴と破壊音は社長室まで近づいていく
肉が砕ける音、断末魔が社長室の中にまで聞こえるようになり、そして・・・
バン!!
社長室のドアが蹴破られ、フルフェイスヘルメットの男が入ってくる
その右手には、バールのような物

「ごくろうさまです」
青年はヘルメットの男へ挨拶をした
ヘルメットの男も挨拶を返す
「これはこれは・・・、この度は当社にご依頼いただき、誠にありがとうございます」
「いえ、こちらこそ・・・こいつがここの社長です」
「ひぃ・・・」
社長はデスクの下に隠れようとしたが、青年に引きずり出された
「やめてくれえええええ!!金は、金なら払う!糞饅頭・・・いや、
れいむちゃんの慰謝料も出す!!そうだ・・・望むならこの会社をくれてやったっていい!!
欲しい物は何だってくれてやるから、命だけは・・・!!」

24業者に頼もう 3/3 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/08/08(月) 04:41:54 ID:4AJwxCAM0
「・・・・・・・・・・」
失禁しながらの命乞いをする虐厨を前に、二人の男は顔を見合わせた
「・・・どうします?」
フルフェイスヘルメットは依頼者である青年に問いかけた
「構いません、オレのれいむも命乞いをしましたが、こいつらはやめなかった・・・それが全てです」
「いひゅぎょおおおおおおおおおお!!!!!」
社長は会話を聞いて発狂した
その脳天めがけ、フルフェイスヘルメットのバールのようなものが振り下ろされた

わずか一時間半、青年が怒鳴り込む直前にチームが現地集合し、青年の合図と同時に壁を破壊して突入、
社長を含む全ての虐厨を駆除し、その後始末を終えて
建物の前に再度集合するまでかかった時間だ
「ところで・・・れいむちゃんはどうします?」
駆除屋のリーダーが青年に問うているのは、殺されたれいむの代わりに宛がわれた、あのれいむの事だ
「あの子に罪はありません、これからはあの子と共に生きていきます」
青年はきっぱりと言った
その後、今後の事について話し合った後、両者はそれぞれ帰路についた
虐厨のせいで傷ついた人間の心のケアも駆除屋の仕事なのだ
「アフターケアも怠るべからず」これが駆除屋のモットーだ
暴力を生業とする以上、道を違えば虐厨と何も変わらない
それを駆除屋は心の芯に刻み込んでいた

彼等は今日も虐厨に泣かされる人々のために動き
虐厨を狩りつづけている


(おわり)

25かんたんなおしごと 1/3 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/08/19(金) 04:58:17 ID:ltDj6UPk0
「なに?仕事がしたい?」
「ラル〜」
休日の午後、いつものようにポフィンをラルトスに与えていた青年に
ラルトスは言った
青年は普段、ポケモンセンターの警備員として働いている
その間、ラルトスは家で留守番をしているか、
ポケモンセンターの預かり所で預かってもらっている
「ラルトスもご主人様の役に立ちたい」
「ふむ・・・」
ラルトスの本気を見た青年は断れなくなった、そして
「お手伝いしてくれるラルトスは十分オレの役に立ってるよ」というセリフを飲みこんだ
「よし、待ってろ」
青年はポケモンセンターの同僚に電話をかけた

「参ったな」「ラル〜」
同僚に持ってきてもらった求人広告の山からラルトスでもできる仕事の求人を探したが・・・
「パワーに自信のあるポケモン募集!」「空を飛べる方、歓迎!」といった
一芸に秀でているポケモンばかりが募集されていた
「・・・ん?」
諦めかけた青年の目に、「低レベルポケモン募集!」のお知らせの紙が目に入った
「御主人!これにする!!」
ラルトスは紙をつかむと、青年が今まで見たことも無い速さで外へ飛び出していった


「・・・ラルトス、お前どうしたんだ?」
仕事を始めて一週間、ラルトスの様子は明らかにおかしかった
食欲はなくなり、ポフィンを半分も食べなくなった
また、何かに怯えるように部屋の隅っこで震えている事も多くなった
夜は一人で眠れず、青年の布団に潜り込んでくるようにもなった
おかしい、と思った青年はラルトスに問い質してみた
「ラル・・・大丈夫ラル・・・」
青い顔でラルトスは言った、全然大丈夫そうじゃない
青年はラルトスが不調な原因を推測した
「仕事」だ・・・そういえばどんな仕事なのか、彼は知らなかった

青年は休暇をもらい、仕事に行くラルトスを観察する事にした
「あれは・・・」
ラルトスが入った建物には
「ストレス発散!!ポケモンを殴ってスッキリ!!」という看板がかかっていた
ふと、昨日のジョーイさんのぼやきを思い出す
「酷いわね・・・これは虐厨の仕業よ」
散歩中に重傷を負って飼い主ともども通行人に担ぎ込まれたポチエナを見て
彼女はそう言っていた
そういえば、あの事件の犯人はまだ捕まっていなかった・・・

青年は建物に入った
「いらっしゃいませ〜!」
下卑た醜い笑みを顔には張り付かせた醜悪な人間モドキが出てくる
これが、「虐厨」だ
「あ、すいません、オレのポケモンがここでお世話になってると聞いて来たんすよ」
「はは〜ん、あの緑ナメク・・・ラルトスちゃんの御主人さんですか」
「緑ナメクジ」、目の前のブタヤロウはたしかにそう言いかけたのを青年は聞き逃さなかった
だが、こいつを肉塊に加工するのはまだ早い
ラルトスの様子を確認しなくては・・・

青年は店長に奥の部屋へと案内される
途中、いくつもある部屋の前を通る度にポケモンの悲鳴が聞こえていた
「!?ラルトス〜!!!!!」
ラルトスが助けを求める時に発する思念を感じ取り、青年は駆けだした

26かんたんなおしごと 2/3 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/08/19(金) 05:01:17 ID:ltDj6UPk0
一番奥の部屋へ青年は駆け込んだ
そこで青年はコンクリートで囲まれ天井の粗末な電球一つで照らされた室内で
ぐったり倒れている傷だらけのラルトスに駆け寄った
その傍にはつい先ほどまでラルトスを虐待していたモヒカンヘッドがいる
「大丈夫ですよ、当施設には治療装置があります。死んでない限り
何をしてもポケモンはすぐに元通りですよ」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
青年は慟哭した、ラルトスの境遇を知らなかった自分を責めた
そして・・・ラルトスをこんな事に使った虐厨たちへの怒りと憎悪が涌いてくる
「お前ら・・・どうしてこんな事をする?」
青年の問いかけに、店長は応えた
「何故? ポケモンごときをサンドバックにするのに理由などいりません。
やつらは人間のために虐待の神様がお造りになられたオモチャなのです。」
「オモチャ・・・だと?」
青年の脳裏に傷だらけのポチエナと、自身も頭から出血しているにもかかわらず
ぐったりしたポチエナに必死で呼びかける少女の姿がフラッシュバックした
「そのためなら、ポケモンを傷つけていいのか? その主まで襲っていいのかよ?」
「当然です。ポケモンは皆オモチャ。そんなものを愛する奴はすべからくアイゴです。
アイゴなど生きようが死のうが、オモチャにしようが構わないでしょう?」
店員が金属バットを持って青年の前に来る
「さ、あなたもどうぞ。その緑ナメクジで徹底的にストレス発散なさい。」
「そうそう、ご主人様の役に立ちたいと言っていましたからね。あなたに虐待されるなら、
そのナメクジも本望でしょう。」
青年は金属バットを受けとった
「ふざっけんなぁ!!!!」
青年は金属バットを虐厨店長めがけてフルスイングした
「あぎゃぼ!?」
「店長!?何しやがるクソアイゴ!!」
「やかましい!!」
青年は文句を言った虐厨店員の脳天にバットをめり込ませ黙らせる
「ひ・・・ひぃぃ」
「逃がすか!!」
背を見せたモヒカンに足払いをかけ転倒させると、その首筋に手刀を落とし
モヒカンを気絶させる
「け・・・警察をよぶぞ・・・」
「いいぜ、呼んでも・・・オレの方も用事があるからな。昨日ポケモンとその飼い主を襲った犯人に」
「馬鹿な、あのポチエナとメスガキにはトドメを刺したはずだ!」
店長は口を滑らせた
「・・・やっぱりてめぇか・・・オレはポケモンがポチエナとも飼い主が少女とも言ってねぇぞ・・・」
「何だ今の音は!?」「店長!!」
騒ぎを聞きつけた他の虐厨がやってくる

そこから先は、青年は記憶していない
気が付けば店長虐厨以外の全ての虐厨が頭をスイカのように砕けさせ、
あるいは潰れ、あるいは壁の染みとなって・・・死んでいた
「さて・・・もう大丈夫だぞ、ラルトス」
青年はラルトスを抱えると、ポケモンセンターに電話をした

27かんたんなおしごと 3/3 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/08/19(金) 05:03:08 ID:ltDj6UPk0
「ラル〜」
ラルトスは無事に回復し、今はポケモンセンターの預かり所で
小さいポケモンたちの子守をしている
あの後、青年は逮捕されるどころか逆に害獣を駆除した事と
我が身を省みずラルトスを含む多くのポケモンたちを助けた事で警察から表彰までされた
モヒカンを含むあの店の常連客は皆逮捕された
彼等は他にも傷害や窃盗、違法薬物使用など諸々の罪で検挙された
しばらく外には出て来られないだろう
ただ一人生き残った虐厨店長は人間まで襲ったことで殺処分が確定した
最後は泣きわめきながらガス室送りにされ、最期の瞬間まで
醜悪な声で命乞いを続けたと言う

色々あったが、青年は今もラルトスと暮らしている

(おわり)

28虐厨と おに いさん 1/2 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/09/03(土) 04:17:35 ID:SZp6aJQI0
ここは山の中、動植物が豊富な、現代では貴重な地域だ
しかし・・・
ハイキング用の歩道の脇の獣道には、無理矢理に押し広げられた痕跡があった
痕跡を残した主は木の枝をへし折り、花を咲かせている草を踏み躙り
良識ある人間が見れば思わず目を剥くようなマナー違反を犯していた
何故こんな事をしたのか、その理由は・・・この暴挙の先にあった
主---虐待厨は、右手にゆっくりれいむの頭を鷲掴みにして
そのパートナーである ゆっくりまりさと対峙していた
「なんでこんなことするの・・・? まりさたち何も悪い事してないよ」
虐厨は山に生息する ゆっくりを虐待するため、そのためだけに
行く手を阻む自然を破壊したのだ
「分かっているさ、そんな事くらい」
虐厨はそう言うと、れいむを握る右手に力を込めたまま醜い笑顔を作る
「ただな・・・オレはそんな善良なお前らをただただ叩き潰したいとぉっても悪い虐厨なのさ
ゆっくり理解してね糞饅頭ども」
「ああ、そうかい」
虐厨は声のした方を振り返った、凹凸のある「柱」がそこにあった
いや・・・
「そんなに悪い存在は”退治”しないとな」
柱ではなかった、それは逞しい、割れた腹筋だ
そこにいたのは身の丈3mはある巨体を誇る・・・黒い「鬼」だった
「あ・・・あ・・・」
「おにいさん!!」
”鬼さんだろ!”と虐厨は心の中で突っ込んだ
「あんた、この表示が見えないのか?」
鬼は虐厨に、鉄製の看板を見せた
それはこの山のあちこちにある看板で、こう書いてある
『この山は自然保護区です。動植物の保護と環境の保全にご協力ください。
植物の採取及び狩猟は固く禁じます。』
「・・・ば、バッカじゃねーの!そんな決まり守るなんて約束してねーし!」
「約束を守るという問題じゃない、人間の法律で決まった事だ・・・と、この山の神社の神主が言っていた」
しかし、虐厨は反省などしない
「そんな事知った事かwwwルールとか持ちだ出さねぇで弁舌で論破してみろよwwwばーかwww」
鬼はゆっくりかぶりを振ると・・・虐厨の頭に右手を乗せた
「その、れいむを離せ」
「いやだよバァ〜・・・ぎゃあああばああああああ!?」
虐厨の頭が締め付けられる、メキメキと音を立てて頭蓋が軋んでいく
「・・・離せ」
「ば・・・ばい、ばなじまず!!」
虐厨はれいむを離す
地面に落ちた瀕死のれいむへ、まりさは急いで跳ねて近づいた
「ゆ、れいむ大丈夫?」
「ま・・・まりさ・・・いたいよ・・・」
鬼は れいむの傷を診た・・・これなら神社の神主に治せるだろう
安心した鬼は、しかし、怒りの形相を虐厨に向ける
右手は虐厨の頭を掴んだままだ
「糞饅頭は離しただろ! オレを離せ・・・離して下さい!!」
「駄目だ、お前は罪を犯した・・・だが裁くのはオレではない、人間の法がお前を裁く」
鬼は左手の上に ゆっくり二匹を乗せると、移動を始めた
その巨体に似合わず静かに、草木を傷つけないよう細心の注意をしながら

29虐厨と おに いさん 2/2 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/09/03(土) 04:25:32 ID:SZp6aJQI0
「・・・・・・そうか」
鬼から話を聞いた神主は、傷ついたれいむの手当てをすると
縛られて床に転がされている虐厨に目を向けた
「お前さんは警察に引き渡す・・・まぁ、初犯なら執行猶予はつくだろう、初犯なら、な」
虐厨はしかし、神主に下卑た笑みを向けた
「へ・・・へへ、いいのか? オレはあの、虐待会の一人だぜ?」
「そんな事は分っとる、会員証がお前のポケットから落ちたからな」
「だったら、とっとと解放し・・・」
「それはできん、お前は法を破り ゆっくりたちを傷つけた、これは立派な犯罪だ」
「うるせええええええええ!!!オレが法律だ!!オレのストレス発散の邪魔したお前らこそ愛護だ!!」
神主と鬼は顔を見合わせ、かぶりを振った・・・話が全く通じない
一応、日本語は使える相手ではあるが、意思の疎通ができないのだ
これまでも密猟者と対峙した事はあったが、ここまで話が通じない相手は初めてだった
そこへ
「こんにちは、警察です」「はい、ただいま」
神主は通報を受けて駆け付けた警察官2人を中に招き入れる
鬼の事をすでに知っているのか、二人とも鬼を見ても驚かない
それどころか、会釈し合っている
「ん〜、神主さん、こいつは人間じゃありません。”虐厨”という生き物です」
警察官の一人が虐厨を見て、こう言った
「虐厨、ですか・・・」
「ええ、この前も町の方で幼い子供が犠牲になる事件が起きましてね・・・」
虐厨は双方の話を全く聞いていない・・・
まさか、本当に警察を呼ばれるなどと思っていなかったのだ
神主の指摘は当たっていた、この虐厨の犯行は今回が初犯ではない
しかも何度か警察に見つかり、追いかけられたこともある
警察内部に手配書が出回っていても不思議ではないだろう
警察に追われた事のあるどの事件も、ゆっくりを含む生態系の壊滅と言う
大破壊をやらかしているのだから
どうか、分かりませんように・・・虐厨は生まれて初めて心の底から神に願った
「ん?・・・こいつ、この前の朝礼で署長が言ってた奴じゃないか? ほら、この顔」
「神のばっきゃりおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
虐厨は神を心底呪った、自分のしでかしてきた犯罪を棚に上げて
「お〜、言われてみれば・・・神主さん、こいつは我々が引き受けます」
虐厨は縛られたままパトカーの後部座席に放り込まれた
それは容疑者に対する・・・否、人間に対する扱いでは無い

警察署に連行された虐厨は、コンクリートで囲まれた殺風景な部屋に入れられた
「おい、留置所にしては殺風景すぎるぞ!」
警察官たちは虐厨を無視して部屋の外に出て、ドアに鍵をかけた
虐厨は見落としていたが、その部屋の入り口にはこう書かれている
「害獣殺処分室」
「毒ガスが出ます。使用中及び使用直後の室内への立ち入りは固く禁止します。」
虐厨は部屋に入って初めて死の恐怖に襲われた
心の底から許しを請い、泣き叫んだ
だが、それはもはや遅い・・・ここにはそれを聞く者も許す者すらいないのだ
やがて、警報と共に部屋の電灯が赤く点き、室内を赤色に染め上げる
虐厨が驚く間もなく、天井の穴から侵入したガスがその意識を奪い
命を絶った

(おわり)

30ある日の公園にて 首おいてけ濠 ◆lf6fy6y3ZM:2016/09/21(水) 04:35:50 ID:7EcDWxMw0
※ミニイカ虐待&イライラパートあり注意


「待つでゲショ〜」
午後の公園、太陽がだいぶ傾いて夕日に変わろうとしている時刻
親子のミニイカが走り回っていた
その胸には飼い主御手製のピンクのバッジが輝いている
「おい」
親子は、自分達を呼び止める声にピタリと止まった
声のした方を向くと、人間モドキの虐厨が立っていた
「お前、しゃべれるミニイカか」
「そ・・・そうでゲショ」
「野生か? 野良か?」
「飼いでゲショ、ワンピースのこのバッジはご主人様がつけてくれたんでゲショ」
「そうか、で、ご主人様はどこだ?」
「お仕事に出かけているでゲショ、いつもこの公園でこの子と遊びながら待っているでゲショ」
「そうか・・・じゃあ、蹴ってもいいな?」
「ゲジョ・・・」
グシャリ!!
虐厨の蹴りを浴びた親ミニイカはその小さな体を肉片と墨に変えて四散した
親の背後にいた子ミニイカは肉片の断片を浴びて即死した
「ざまぁみやがれ!!」
「おい」
虐厨は背後を振り返る、2mはある大男がそこにいた
半袖から突き出る腕には男が見たことも無い量の筋肉がついている
「このへんでオレのミニイカが遊んでたんだが・・・知らねぇか?」
「し・・・知らん!」
「嘘をつくな、そのボロいスニーカーの黒いシミは何だ?」
虐厨は一歩後ずさるが、大男は一歩踏み込んだ
「・・・の・・・野良だと思ったんだ・・・!」
「大嘘付きめ、オレはあいつに人に遭ったら飼いだと真っ先に言えと教えてある・・・
それに、馬鹿でも分かるように目立つバッジも付けておいた
つまり、てめぇは他人の飼いだと知りながら殺したわけだな」
大男は両手をポキポキ鳴らした
「へ・・・へ!たかがミニイカごときを殺されたくらいで・・・お、大人げねぇぞ!」
その一言は・・・大男から最後の慈悲の心を消すには十分すぎた
「・・・分かった、死刑にしてやるからそこに立ってろ!」
失言だった、虐厨の言葉で大男の目の色が怒りから殺意へと変わる
「お前、どこの会社の者だ?」
「お・・・オレ・・・いえ、私はリストラされて失職中だ・・・です!」
「で・・・家族は?」
「は・・・はい、私の家族はいません、アイゴのクズどもの一斉駆除で失って私一人です!」
「そうか・・・・・・・・じゃあ、蹴ってもいいな?」
大男は偶然にも虐厨と同じ台詞を口にした
「ヒィ!!金なら払う!いくらだ・・・いくらであいつらを・・・」
虐厨の命乞い(と本人は思っている)は、大男に残っていた最後の理性を蹴飛ばした
「オレのじいさんの代から飼ってるんだよ!!!」
虐厨は勢いよく腹を蹴飛ばされた
吐瀉物と血反吐を吐きながら身体をくの字に曲げて公園の真ん中の噴水まで飛び、噴水の中に突っ込む
ちょうどその時・・・
「パンポー〜ン、午後5時をお知らせします♪」
噴水が噴き上がり、虐厨の体を吹っ飛ばした
噴水に飛ばされた虐厨は回転しながら道路まで飛び、通りがかったガレキや燃えるゴミを運ぶトラックの荷台に落ちた
廃棄物処理場へトラックが着いた時、作業員は虐厨に気付いたが
「どうせ生ゴミだろう」と判断し、生死の確認をしないまま焼却炉に放り込んだ
虐厨が目を覚ました時、周囲は炎と熱気に囲まれていた
声を出そうにも蹴りの一撃で腹の中をズタズタにされていたため・・・
虐厨は這い出す力すらなくそのまま焼却された

(おわり)

31飼いゆっくりを殺した結果 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/10/19(水) 03:10:10 ID:Vjc61BPI0
男は「虐厨」という、人に似るが人とは別種の生物だった
彼の仲間の虐厨たちはいかに被虐生物(と一方的に認定した罪なき生物たち)を
虐待して殺すかがステータスだった
ある日、飼いゆっくりを殺したことを彼の仲間が自慢した
その飼いゆっくり殺しの犯人は後日、飼い主の報復に遭い、
原形をとどめない形で生ごみの日にゴミ袋の中に入れられ捨てられるのだが
彼は仲間をうらやましく思った
どうにかして飼いゆっくりを殺したい、そう思い続けて・・・
ある考えを思いついた
そして・・・

「なぜ殺した!?」
虐厨が考えを実行した翌日、飼い主の老爺が自宅へ怒鳴り込んできた
老爺は妻と二人暮らしで、子供が自立してからゆっくりを飼いはじめ、
わが子同然に可愛がっていた
虐厨はそれを知りながら殺した
むしろ、「だからこそ」、だ
虐厨たちにとって飼い主たち「愛護」の悲憤は虐待で得られる快楽に勝るとも劣らない
甘露だった
「は?wwwオレは野良ゆっくりを駆除しただけですけどwwwwww」
「バッジがついていただろう!あれを剥がして壊したということは、お前はあれを見ていたはずだ!!」
「それがどうしたwwwバッジ付けたまま捨てるバカなんぞ腐るほどいるだろwwwww」
虐厨と老爺の話は全くの平行線だった
それも虐厨の計算のうちだ
「そんなに大事な糞饅頭なら家の中から出すなよwww外に出したお前らが悪いwww
さぁ、帰れ帰れwww」
虐厨は一切詫びることなく、しっしと手を振った
憤怒で発狂するか、憎悪と怒りを堪えて尻尾を巻くか
どっちにしろ彼にはメリットしかない
しかし・・・老爺はス・・・とその表情を顔から消した
そして虐厨が訝しむ間もなく・・・
「・・・・・ワシだ、始めてくれ」
老爺はスマホを取り出すとどこかへ電話をかけ、そう言った
次の瞬間、虐厨の家の裏口が開けられた
外から玄関めがけて誰かが走りこんでくる
「なんだてめぇげぇ!!?」
虐厨の背後に迫っていた者たち
それは黒いガスマスクに黒いヘルメット
黒い野戦服に黒い防弾ベスト・・・と
黒い装備一式で身を固めた男たちだった
先頭の男がすかさず虐厨の腹へ一撃を入れ、その場に組み伏せる
「な・・・なんだてめぇら!?警察呼ぶぞ!!」
「お前にはその時間などない」
老爺は冷たい目で虐厨を見下ろしながら言った
「この者たちはな、ワシの息子の会社の社員じゃよ
”虐厨キラーゼロ”の企業名を知っとるかな?」
虐厨はサァっと青ざめた
その会社の名前は虐厨ならば知らない者はいない企業だ
電話一本で即座に駆けつけ、虐厨を「駆除」する
依頼料は依頼者次第というアバウトな組織で
莫大な金額を払う者がいる一方で、二束三文で済んだ例もある
確実なことはただ一つ、「虐厨を生かしておかない」事だ
虐厨に人権が認められた今となってはよほどのことがない限り
その場で虐厨を駆除することはほとんどなくなったが・・・
「ワシが創始者じゃよ」
虐厨の顔がさらに青くなる
”虐厨キラーゼロ”の創始者、それは虐厨を虐殺するプロとして
その名を知られていた
彼の手にかかった虐厨は例外なく、この世のあらゆる苦痛を味わった上で殺される

32飼いゆっくりを殺した結果 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/10/19(水) 03:11:30 ID:Vjc61BPI0
「ごべんなざい!!」
虐厨は床に額を打ち付けた
「ごべんなざい!!くそ饅頭・・・いえ、まりざを殺じだ事はあやばりばず!!」
「・・・それだけか?」
「砕いたバッジは弁償します!!」
「・・・それだけか?」
「まりさの購入代金と生活費をすべて弁償します!!」
「・・・それだけか?・・・お前は何か大事なことを忘れている」
「これ以上・・・何を・・・」
虐厨は頭を生れてはじめてフル回転させた
何が足りない?
この老爺は何をしたい?
「ワシが取り戻したいもの・・・それは、まりさの命じゃ
お前に理不尽な虐待をされ非業の死を遂げた・・・その命を返してくれ
そうすれば、お前の命だけは助けてやる」
「う・・・む・・・無理でず!!!!」
殺したゆっくりを生き返らせる手段などない
過去に何人の虐厨が永遠に虐待できるゆっくりを求めて禁断の術に手を染めたことか・・・
だがしかし、誰一人として「生き返らせる」事はできなかった
「お願いします!!なんでもいうこと聞きます!!欲しいものは何でもあげます!!」
「そうか・・・なら、聞いてもらおうかの、ワシが欲しいものを」
ビクリ!と虐厨を抑える男の手が反応した
老爺は目で男たちに合図をする
男たちは虐厨の足を結束バンドで拘束し、そっと離れた
「ワシが欲しいもの、それは・・・・・・」
「それは・・・?」
次の瞬間、老爺は「爆ぜた」
「貴様の命じゃ!!!!!」
人間が発したとは思えない叫びを放ち、老爺は一瞬で倒れている虐厨を掴みあげて浮かす
そして殴打と掌底、蹴りを絶え間なく浴びせた
その勢いはとても老爺のものとは思えない
虐厨は宙に浮いたまま、落下を許されず顔に腹に腕に足に
これも老爺の攻撃とは思えない重い一撃一撃を浴びていく
時間にして3分後、老爺は荒い息とともに手足を止めた
思い出したように虐厨は床へ、べちゃりと落ちる
顔は倍に腫れ、親でも判別は不可能だろう
腕と足の骨は言うに及ばず
肋骨はすべて折れて内臓に刺さっていた
それでも虐厨はかろうじて息をしている
「お見事です、会長」
リーダーらしき男が老爺へ声をかけた
「うむ・・・しかしワシも年じゃな・・・若いころは3時間ぶっ続けでも
息も上がらなかったが・・・ふぅ・・・」
老爺は虐厨に背を向けた
「そいつは本社の例の部屋へ運んでくれ、生きたまま、な」
「かしこまりました」
虐厨は死なないように最低限の生命維持装置を付けられて
表に待機していたワゴン車に放り込まれた
「さて・・・隠居の身じゃが老骨に鞭打ってレッスンの講師をしようかの」
「レッスン」とは何を意味するのか、もはやそれは問うまでもないことだ
「おねがいじまず!だずげで!!だずげでえええええええ!!!!」
叫ぶ虐厨の懇願を無視する形でワゴンの扉は閉じられた

その後、虐厨の住んでいた家は業者によって「清掃」され、
虐厨のいた痕跡は跡形もない空き家となった

その後、その虐厨の姿を見た者はいない

(おわり)

33山中の城跡でゆっくり(?)を見た 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/10/29(土) 02:37:20 ID:9uaAEFcE0
※心霊系ホラー注意

とある城跡の残る山の中
「ひひひひ・・・」
男は「この先立ち入り禁止」と書かれた看板をバットで破壊した
男は人間ではない
「虐厨」という、人間とは似て非なる生物だ
男はこの山の中で「生首を見た」という目撃情報が相次いでいることを知り、
「ゆっくりがいるのではないか」と考えてやってきたのだ
もちろん、ゆっくりを愛でるために来たのではない
虐待・虐殺が目的だ

「このへんかな?」
男は城跡近くまでやってきた
日が暮れたが、男は慌てない
こんなこともあろうかと、3,4泊する準備はしてきたのだ
男はテントを張り、火を起こして夕食を食べる
もちろんこの山は火を焚く事は法で厳しく禁じられているが
男の知ったことではない
翌日のゆっくり捜索に向けて男はひと眠りした

その深夜
「何者じゃ?」「どうせ”きもだめし”じゃろ」「懲りぬのう・・・」
物音と話し声で男は目を覚ました
テントの布一枚向こうに、何かの気配がする
スマホで時間を確認する、午前2時を回っていた
男は懐中電灯を手に、外へ出た
目の前には、5個の生首が転がっていた
テントの周囲には、その倍の数の生首がいる
「・・・・・・お前か、我らの地へ踏み入り火を焚いたうつけは?」
5個の生首の中で
髪の長いリーダーらしき女性の生首が男に問いかける
「ひゃっはー!!ゆっくりは虐待だ!!」
男はバットを振りかぶり、女性の生首へ飛びかかった
バタン!
男は突然、足を何かに取られ転倒する
「・・・へ?」
男の足に生首が嚙みついていた
その生首は男で・・・頭にいくつも刀傷があり、そこから赤い血液が流れ続けている
餡子が中身である ゆっくりにはあり得ないことだ
さらに、その真下の断面からは肉が見え骨が見えた
男はそれを見て、ようやくおかしいことに気づいた
よく見れば、通常種とされる「れいむ」「まりさ」は一匹もいない
男の生首もあれば小さい少女の生首もいる
そしていくつかの生首は跳ねるのではなく、宙に浮いていた
「無礼者!!」
女性の生首は一喝した
生首たちは一斉に宙に浮きあがる
「奥方様に、なんということを」「こやつ、よそ者のようじゃ」
「どうする?」「連れて行こう」「お館様にお見せするのじゃ」
生首たちは男の足に腕に腹に噛みつき、一緒に宙に浮きあがる
「やめろ!はなせええええええ!!」
男はそのまま、城跡の方へ運ばれていった

その昔、その山の城では壮絶な戦があった
大軍に囲まれたが城主は降伏を拒否し戦った
しかし多勢に無勢、城は炎上し城主は切腹
大勢の兵士や家臣たち
そして城に避難していた領民の女子供を含む全員が死んだ
以来、その城跡は地元では有名な心霊スポットとなった
物見遊山で行っていい場所ではない
事実、肝試し目的で城跡へ行き
発狂、もしくは廃人、もしくは物言わぬ死体となって帰ってくる者が
毎年必ず現れていた
悪霊退治に向かった若者の一団が
翌朝、山のふもとで首と胴を切り離された姿で発見された事もあるのだ
立ち入り禁止の看板は城が落城した当時から建てられ
近隣の住民たちによって城跡と共に守られてきた
男は知らないことだったが、よく調べれば、
もしくは住民に聞けばすぐに分かることだ
しかし男はそうはしなかった
愛護(住民)とのトラブルと警察への通報を恐れたのだ

翌日、山のふもとで日課の散歩をしていた老人は
「ん?」
首と手足を胴を切り離された男の死体を見つけることになった
その体中には、人間の歯型があちこちに付いていた
「・・・やれやれ、"また"か」
老人は驚きもせず道を引き返した
やがて、男の死体はやってきた村の若者たちの手で片づけられた
警察に届けることはしない
この地域では当たり前のことだ
まして今回死んだのは人間ではなく虐厨である
村の若者たちは山へ入り男の荷物も回収した
そしてその日のうちに、城跡の霊たちを供養する祭りが近隣の村々で行われた

その山は今も、城跡とともにそこにある

(おわり)

34ある山のルール 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/05(土) 03:59:59 ID:w9LP4ZL20

その山は行こうと思って行ける場所ではない
ただ、道に迷った登山者がふらりと迷い込んでしまう
そんな場所だ
迷い込んだ登山者は動物たちに助けられる
動物たちは迷い人を外へ導き
空腹の者には食料を
喉の乾いた者には水を
生きる気力を失った者は年老いたイノシシが
そっと寄り添い、心を癒してくれるという

ある人間が山の中を彷徨っていた
コンパスはどこかに落とし地図は川に流し
右足は挫いてまともに歩けない
その目の前に、一体のゆっくりれいむが現れた
れいむはぴょんぴょん跳ねて迷い人を道へと案内する
途中、サルやシカが木の実を運び、迷い人を助けた
やがて彼は舗装された道へ出ることができた
「助かった、ありがとう」
彼はそう言って深くお辞儀して去っていった
動物たちは喜んだ
「ありがとう」
そう言ってもらえただけで、幸せだ


迷い人は助ける
これが山のルールだった
あいつが来るまでは・・・・・・



ある虐厨が山の中を彷徨っていた
コンパスはどこかに落とし地図は川に流し
右足は挫いてまともに歩けない
その目の前に、一体のゆっくりれいむが現れた
れいむはぴょんぴょん跳ねて迷い人を道へと案内する
サルやシカが木の実を運び、迷い人を助けた
腹を空かした虐厨は遠慮せずそれらを食べ、こう言った
「もっと欲しい」
動物たちは困った、もっと食料を探してこなければ
しかし、れいむは虐厨の前に出てこう言った
「おたべなさい!」
れいむは饅頭と化して真っ二つに割れた
その身をもって迷い人の空腹を癒そうとしたのだ
虐厨は夢中で貪った
虐厨は飢えを満たし満足そうに笑った
やがて彼は舗装された道へ出ることができた
「助かった、また来るぜ!」
動物たちは喜んだ、少なくともその時は
れいむを失ったのは悲しかったが、人の命を救うことができたのだ


しかし、この行いを彼らはのちに後悔することになる


宣言通り、虐厨は再びやってきた
今度は数人の仲間を連れて
誰もが棍棒やバットなどで武装していた
そして・・・・・
「ひゃっはー!!!」


動物たちは住処を追われた
ゆっくり達はつかまり、あるいは殺された
中には殺されるまで酷くわざと痛めつけられる者もいた
木々は切られ折られ、草花は刈られた
そして、一か月としないうち、自然豊かだったその野山は
ゆっくり加工工場がそびえたつ灰色の区画へ変貌した


命からがら逃げ伸びた動物たちは山の中の長老の住処の前で集まった
動物たちは悲しんだ
どうしてこんなことになった?
ゆっくり達が何をしたというのか?
命を助け食料を分け、命すら差し出して助けたのに
その報いがこれだ
一番衝撃を受け、悲しみ憤ったのは長老の真っ白な老イノシシだった
これが人の本性なのかと、今までやってきたことは間違いなのかと
深く悲しみ、強く責任を感じた
そして・・・彼女はルールを変える決意をした

35ある山のルール 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/05(土) 04:09:17 ID:w9LP4ZL20
「あ〜あ、ゆっくりを探していたら道に迷ったぜ」
ある虐厨が山の中を彷徨っていた
コンパスはどこかに落とし地図は川に流し
右足は挫いてまともに歩けない
「ん?」
ふと虐厨は目の前に現れたまりさの帽子に目を止める
「・・・ひゃっはー!!!虐待だぁ!!」
足の痛みは一瞬で失せた
リュックから虐待棍棒を取り出し帽子めがけて走り出す
ボス!
あと一歩というところで、虐厨の足元の地面が陥没した
虐厨は足を取られ転倒する
「いてて・・・?」
虐厨は帽子を見た
それは、丸い石にまりさの帽子が被せてあるだけのものだった
「きー!ききー!!」
「ギャギャギャギャギャ!!!」
にわかに周囲の森が騒がしくなる
虐厨を包んでいた空気は一瞬で変わった
「キタゾ!!テキガ、キタゾ!!」
何かの声がこだまする
やがて・・・虐厨の前に真っ白な年老いたイノシシが現れた
「・・・ブオオオオオオオオオオオオ!!」
イノシシは一声叫ぶように鳴くと
虐厨めがけ突進した
虐厨はたちまちその巨体に吹っ飛ばされる
吹っ飛んだ先は岩があった
虐厨は岩に激突して全身の骨を砕き、口から液状になった血肉を噴き出して倒れ
そして、二度と起き上がることはなかった
イノシシは悲しげに虐厨の死骸を見つめると
ゆっくりかぶりを振って踵を返し、森の奥へと消えていった


その山は行こうと思って行ける場所ではない
ただ、道に迷った登山者がふらりと迷い込んでしまう
そんな場所だ

迷い込んだ登山者は動物たちに試される

「試し」に合格した者は幸いだ
動物たちは迷い人を外へ導き
空腹の者には食料を
喉の乾いた者には水を
生きる気力を失った者は年老いたイノシシが
そっと寄り添い、心を癒してくれるという

ただし、「試し」に不合格だった者は・・・
「敵」とみなされる
山のすべてが敵となり、生きてそこを出ることはできない

たった一人の虐厨のエゴが変えてしまった山のルール
彼一人のためにその後、1000を超える虐厨が
山の中で行方をくらますことになるのだが、
それはまた別の話

(おわり)

36おうち宣言 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/15(火) 00:35:30 ID:XQTf6zQ20
ここは、とある町の一軒家
ある休日、家主の男は日課の筋トレをしていた
20キロはあるバーベルをそれぞれの手に持って腕を上下させていると
「ゆっくりしていってね!!」
開けっ放しだった庭へ通じる窓から生首が入ってきた
男は一応知識として知っていた
これは、「ゆっくりれいむ」という、「ゆっくり」において珍しくもない種類だと
だから驚きはしなかった
「ゆっくりできる場所だね、ここをれいむのゆっくりプレイスにするよ!ここがれいむのおうちだよ!」
「何を言ってるんだお前は?」
家主の男はれいむに声をかけた
「ゆ、おにいさん、れいむに出て行ってほしかったら、お金ちょうだいね」
「へ?・・・金?飯や菓子じゃなくていいのか?」
男は財布を出しながら、訝し気に尋ねる
「うん、お金でいいよ!」


数分後、双眼鏡でその家主の男の家の玄関を見ている男が一人いた
家から無傷のれいむが一万円札をくわえて出てくるのを見て、そいつはつぶやいた
「お〜、まさか本当に貰って戻ってくるとは、あの住人やっぱりアイゴだったか」
「鬼威惨、お金だよ!」
れいむは口にくわえていた一万円札を、双眼鏡片手に様子を見ていた男に渡した
男は人間ではない
虐厨という、虐待が何より好きな人間に似て人間ではない異形の存在だ
外見こそ人間に似るが、弱者を虐げ、時として人に牙を剥く狂ったケダモノの一員である
「やくそくだよ!おちびちゃんたちを返してね!」
「あ〜、悪い・・・まさか成功するとは思わなくて・・・」
虐厨は真っ赤な炭が焚かれた七輪を出した
その金網の上では、饅頭のようなものが黒焦げになっている
「ゆんやああああああああああああああ!!おぢびじゃんんんんんん!!!」
「ぎゃあああああああああああっははははははははは!!!のんたぬといいゆっくりといい
仲のいい家族をいたぶるのは気持ちいいなぁ!!!ぎゃはははははははははは!!!」
「おい」
「・・・は?」
虐厨は笑いを止めた
れいむの後ろに、2mはある巨漢がいた
その半袖から露出した腕は筋肉の束が付き、衣服越しでも胸筋と腹筋は分かるほど盛り上がっている
「お前か? オレの家から金を持って来いって、こいつに命令したのは?」
「い・・・いえいえいえ、めっそうもございません。こいつが勝手にやっただけ・・・」
「本当か? 嘘だったらどうなるか・・・」
「本当です!うそじゃありませんよ・・・」

37おうち宣言 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/15(火) 00:38:09 ID:XQTf6zQ20
しかし、虐厨の必死の弁明を打ち消す一言を、れいむは叫んだ
「うぞづぎいいいいいい!!!!!おうち宣言してお金を貰ってきたらおちびちゃんは返すって
約束したのにいいいいいいいい!!」
「ば、ばか!!ひぃ・・・」
男はれいむと虐厨の間に割って入った
「れいむ、詳しく聞かせてくれ」
ここで正直に謝るか、逃げていれば虐厨はもしかしたら助かったかもしれない
しかし、虐厨が虐厨たる所以か、虐厨は最悪の行動を選択した
勢いよく右足を振り上げ、れいむの脳天めがけ振り下ろしたのだ
しかし、男の筋肉質な左足がその右足を阻んだ
当然、虐厨の蹴りは男の左足を蹴飛ばす形となる
その瞬間、虐厨の時は止まった
振り下ろした右足と、男を交互に見る
男のこめかみには血管が浮かび、その腕にも太い血管がいくつも浮き出た
「おい・・・なにしやがる?」
「ち・・・チガイマヒュ!愛護・・・いえ、あなたを狙ったわけじゃ・・・」
「れいむを狙ったんだろ? 口封じたぁいい度胸だ」
男は虐厨の頭を鷲掴みにして動きを封じる
バタバタ暴れるそいつを無視して、れいむから話を聞いた
番のまりさと山で暮らしていたら、虐厨がやってきてまりさを殺し、
子供たちを人質にして「おうち宣言」と金銭を奪ってくることを要求された
それは悪いことだとお断ろうとしたら、目の前で子供を一人殺され、渋々従った
と、いう事を聞き終わるころには男の手は虐厨の頭蓋骨を今にも潰さんばかりに力を込めていた
顔に浮き出た血管が男の怒りの激しさを物語る
「れいむ、ちょっと待ってろ」
男はそう言うと、まず虐厨の左足をへし折った
「ぎゃああああああああああああ!!」
次に右足、右腕、左腕、と折っていき・・・仕上げに骨盤を蹴り上げて砕く
悶絶する虐厨を地面に放ると、七輪に向かった
合掌して一礼してからそっと崩れぬよう
れいむの子供の残骸を七輪の金網から降ろし・・・
虐厨の頭を掴み上げ、七輪へ近づけていく
男は何をする気なのか、虐厨にも理解できた
虐厨がこれまで何度も何度もやってきたことだ
ゆっくりに、のんたぬに、ちゅんちゅんに、実装石に、ミニイカ娘に・・・
「やべで!!お金は返します!!どうか、命だけは・・・!!」
「金はいい、それより命が惜しいか? お前、そうやって命乞いしてきた奴をどれだけ殺してきたんだ?」
「もうやめまず!!まじめになりばず!!虐殺しまぜん!!」
「そうかそうか、じゃあ、一つだけ願い事をする、それを叶えられたら許してやろう」
「は、はい・・・なんでも聞きます!」
男は深呼吸して、言った
「れいむの番の まりさと てめぇが殺した子供たち・・・今すぐ生き返らせろ!!」
虐厨は青くなった、そんな事が可能なのは神か悪魔くらいだろう
「・・・時間切れだ!」
虐厨が言い訳を考え付くより早く、男は虐厨の顔面を炭火で熱せられた金網に押し付けた
「ぎゃばああああああああああああああああああばばっばばばばばばばば!!!!!」
虐厨は暴れるが、男のすさまじい怪力で押さえつけられ、地獄から抜け出すことはできない
たっぷり10分経った後、虐厨の顔面が黒焦げになったのを確認した男は
家から持ってきていた生ごみ用の大きなゴミ袋に虐厨を入れ、
ゴミ置き場へシュートした
「ちょうど明日が生ごみの日で助かったぜ」
男はれいむへ目を向ける
「ところで、れいむ・・・」
「ゆ・・・?」
男は家族の亡骸を前に涙を流す れいむに声をかけた

翌日から、筋トレに励むれいむと男の姿がその家にあった
ゆっくりに筋肉などない、だから特に意味のない行動ではあるのだが
れいむは飼い主となった男と一緒に筋トレをするという、その行為そのものを楽しんでいた
また、男の家の庭には、4つの石が置かれている
れいむの家族の墓だ
毎朝、仕事の日も休日も、ここに線香を手向けるのが男の新たな日課になった


「だじで!!だずげで!!!」
生ごみ置き場に捨てられた虐厨は、生ごみを捨てに来る住人が来るたびに声を上げた
しかし
「おい、ゴミ袋から声がするぞ」「ほっとけ、どうせ制裁された虐厨だろ」
「この前も隣の家のゆかりちゃんが襲われたらしいわ、怖いわ〜」
虐厨たちに日頃から迷惑行為の数々を受けていた住人たちは
誰一人として袋の中の虐厨を助ける者はいなかった
やがて、ゴミ回収業者が来た
業者は暴れる虐厨にボディブローをかまして黙らせると、車に放り込んだ
虐厨は生きたまま収集車のプレス機に潰されたが、
それでもしぶとく生きていた
その後虐厨は、焼却場で生ごみと一緒に燃やされて
やっと死ぬことができた

(おわり)

38ミニイカの里の惨劇 1/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/22(火) 23:51:32 ID:FyTXEaWE0
※バッドエンド注意
※虐厨が裁かれない、胸糞悪い話です

ここは、海岸に近い村里
ミニイカ娘という、「イカ娘」と呼ばれる存在を
手乗りサイズに小さくしたようなキャラクターが生息する以外は
ごく普通の村里だった
やつらが来るまでは・・・・・・
ある日、一人の住人が里の外でミニイカ娘の死骸を見つけた
野生動物にやられたわけでも病死でもない
明らかに何者かによって意図的に惨殺された死体だった
やがてそれは、近隣にできた「ミニイカ娘虐待の里」の住人の仕業と判明する

自分たちの里にも被害が及ぶのではないか
そう危惧した住人たちは虐待の里へ行き、話し合おうとした
しかし、虐待の里の住人は里の者たちを里の中に入れず、門前払いにした
「バカが出たらオレたちの方でなんとかしてやる、さぁ、帰れ帰れ」
「・・・本当、だな?・・・今の発言、しかと聞いた録音もしたぞ」
「分かったから、帰れ」
里の者たちはしぶしぶながら来た道を引き返した
それを見てニヤリと醜悪な笑いを浮かべる、虐待の里の中からの視線に気づかないまま

「ぎゃっはははははははは!!」
約束から3日後、ミニイカ娘の里は乱入してきた虐厨に襲われた
乱入してきた虐厨は里の住人に取り押さえられたが
少なくない数のミニイカが犠牲になった
怒った里の者たちは虐待の里へ捕らえた虐厨を連れて直談判した

「どういうことだこれは!?」
「はwww個人が勝手にやったことだしwww」
「そうだそうだwww」
「約束はしたはずだ!!バカはお前らがなんとかすると!そういったはずだよな!」
「約束ぅ?www」
「そうだ、お前ら虐待の里の連中と、たしかに約束した!」
住人は録音記録を出し、約束がされた証拠をつきつけた、しかし・・・
「そんな約束俺たちはしらないし〜www」
「そうだそうだwwwww」
「別にオレ個人とした約束じゃないもんねwwwww守る義務ねぇんだよwww」
「な・・・なんだと!?」
「第一、そんな口約束信じたの?wwwバカなの?www」
「ふざけるなてめぇら!!!!」
つかみかかろうとした里の住人を、他の住人は抑えた
多勢に無勢、虐厨の数は里の民よりも多かった
渋々、ミニイカの里の者たちは引き上げた

39ミニイカの里の惨劇 2/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/22(火) 23:54:54 ID:FyTXEaWE0
それから里には毎日虐厨が入り込み悪さをするようになった
しかしどうすることもできない里の者たちは
苦肉の策としてミニイカ娘避難所を作った
万一、里が焼き討ちにされてもミニイカ娘が絶滅しないようにするためだ
しかし・・・
「ぎゃははははwwwこんなとこに逃げてやがったかwwwwww」
虐厨の一人に見つかり、避難所は炎上した
避難していたミニイカ娘はすべて殺され、里の者も死傷者を出した

「もう我慢できねぇ!!」
一人声を上げたのは里の者の一人、「戦争」だ
「やつらを皆殺しにしてやる!!!なぁ!!立ち上がろうぜ!!!」
しかし、里の誰もが首を横に振った
虐厨に暴力を振るってしまっては、虐厨と同じ存在に成り下がったも同じことだと
里の者たちは考えていたのだ
「この里を閉鎖し、ミニイカ娘が自然に数を回復するのを待とう」
会議の末、里はその結論を出した

「おい、この里は閉鎖が決まった、立ち去れ」
やってきた虐厨へ作ったばかりの看板を見せながら、里の者は言った
「いやですwwwww面白いからwwwww」
「・・・このままだと生態系が壊れてミニイカ娘が絶滅するんだよ」
「それがどうかした?wwwオレらは困らないしwww」
「てめぇ・・・!!!」
里の者は虐厨の頭を砕くべく看板を振り上げた
しかし、後ろにいた里の他の住人がその方に右手を置き、首を振って止めた
渋々、里の者は看板を地に降ろした
「ぎゃははははwwww愛護よりオレたち虐待の方が優れているんだwwwww
劣等人種は無力感を味わいながら悶絶してろwwww」
「そうだそうだwwwその”大好きな気持ち”をいたぶり続けてやるwwwww」
「愛護なんかより作品数の多い俺たちの方が優れてるんだよwwwww」

「があああああ!!!!!もう我慢できるか!!!戦争だあああああ!!!!!」
すっかり忘れられていた人物がいた、戦争である
彼は里の閉鎖が決まった後も納得せず一人で鬱憤を貯めていた
そしてそれがついに爆発したのだ!
里の者に協力を取り付けなかったため、戦争は一人で虐厨へ殴りかかる形になった
結果、多勢に無勢、戦争はたちまち取り押さえられた
「うおおおおおおお!!むごおおおおおおおお!!!!」
かくて、一人虐厨へ殴りかかった戦争は逆さ磔にされて
里の真ん中に晒された
戦争はそのまま憤死し、遺体はその日のうちに腐り果てて骨も残らず朽ちた

40ミニイカの里の惨劇 3/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/23(水) 00:08:40 ID:RtJEhvMI0

「もう、里はしまいじゃ」
ミニイカ娘の姿が一体もなくなった閉鎖された里を見て
老いた住人はつぶやいた
どうしてこうなってしまったのか
戦争のように虐待の里の者を殺す気で戦争をするべきだったのか
里が荒れ果て虐厨の第二の巣と化した今、その答えはわからない
ただ一つ確実な事は・・・里の者もミニイカ娘も
二度と里には来ないという事だった

今、ミニイカの里と呼ばれた場所はもうない
正確には、その場所だった里はあるが
ミニイカ娘は一匹もいない
絶滅したのだ
だが、ミニイカ娘がまだいると信じている虐厨たちは
ミニイカ娘をどう虐待するかを楽し気に話し合い
閉鎖されたはずの里に居座り続け
今も二度と帰らないミニイカ娘を求めている

しばらくした後、里の惨状に驚いた旅人が事の次第を尋ねたが
虐厨は
「ミニイカが”大好きなキモチ”だけで生きてゆくことを、
”人間”は絶対に許さないんだよwww」
「それ、お前らの妄想の話だよね? 妄想に頼らない理由を聞きたいんだが・・・
妄想なんかで度々乗っ取りなんかされたら、防ぎようもないしたまらないぞ」
「お前ごとき誰がまともに相手にするかwww
くだらないことをwwwグダグダwwwwww
チマチマAA荒らししてるのがお前にはお似合いだwwwww」
と、旅人を追い返してしまった

「もしもし、本部ですか・・・ミニイカの里の件ですが」

その旅人が戦争クンでも愛護クンでもなく、別のコミュの虐待派であり虐厨の調査をしている者だと発覚したのは

「あそこを占拠した連中は”虐厨”です、間違いありません」

かなり後のことである

(おわり)

41密着!対虐警察24時 2016年夏 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/26(土) 20:30:55 ID:0q4WwA4E0
---------この番組は、2016年8月に撮影されたものです-------

ここは、A町の警察署
そこに勤める一人の警察官がいた
ルール巡査長(29)、正義感あふれる対虐課のベテラン警察官だ
この町にも虐厨が生息しており、一般市民とのトラブルが絶えない
だからこそ彼は今日も町の平和を守るべくパトロールに出かける
「む、これは?」
その眼力が何かを捉えた
どぶ川を流れていく何かを、ルール巡査長は見逃さない
手が汚れるのも構わず川に手を入れてそれを掴み上げる
それは、ゆっくりれいむだった
すでに事切れており、オレンジジュースも効かない様子だ
そのリボンには、金バッジが空しく輝いている
「本部、本部、こちらルール巡査長、3丁目どぶ川にて、虐殺された飼いゆっくりを発見
至急応援を!」
やがて無線の応援要請を受けたパトカー三台が駆け付けた
ルール巡査長は検証を仲間に任せ、駆けつけたもう一人の警察官マナー巡査と共にどぶ川の上流へ行く
まだ犯人は遠くへ入っていないはずだ
ルール巡査長のこれまでの勘がそう告げていた

現場から歩き出して5分後、二人は何かに向かって棍棒を振り下ろし続ける人影を発見した
虐厨だ!
ルール巡査長は駆け寄ると、振りかぶられた棍棒を背後からつかんで止める
「おい、何してる?」
「へ?」
虐厨は棍棒を背後からつかむルール巡査長を振り返った
「そこのどぶ川で金バッジゆっくりの死骸を見つけましてね・・・
それより、あなた何してるんです?」
虐厨が棍棒を振り下ろしていたもの
それは実装石だった
大きなリボンとポシェットからこぼれる金銭が、その個体が野生でなく
飼い実装石であることを物語る
「あなた、これが飼いだと知った上でやってますね?」
「ち・・・違う、オレは野生だと思って・・・」
「嘘言っちゃいけませんよ、こんな目立つ特徴を見落とす人がいますか?」
ルール巡査長は容赦なく虐厨の矛盾を突いていく
「さっき、ゆっくりを殺しましたか?」
「いや、知らない、オレはやってない」
「なら、棍棒を貸してください、殺されたゆっくりの打撃痕と一致するか調べます」
「だから!!オレはれいむを殺してねぇっつってるだろ!!?」
「・・・あなた、どうして殺されたゆっくりが”れいむ”だと分かったのです?」
犯人はついにボロを出した!!
ルール巡査長は一言も「れいむ」など一言も言ってない
「そ・・・それは・・・」
相棒のマナー巡査は倒れる実装石を調べ・・・静かに首を横に振った

CMの後、身勝手な虐厨の言い訳にルール巡査長の怒りが爆発!!
「あなたね、どうして飼いだと分かった上で襲ったんですか!? 」
----密着!対虐警察24時-----

42密着!対虐警察24時 2016年夏 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/26(土) 20:36:07 ID:0q4WwA4E0
----密着、対虐警察24時-----
ルール巡査長の追及に、虐厨はついに本性を出した!
「ああそうだよwww飼いだと知って襲ったんだよwwwオレは飼い専門だからなwww」
「あなたね、どうして飼いだと分かった上で襲ったんですか!? 
この子たちには帰りを待つ家族がいるんですよ・・・自分がしたこと分かってるんですか!?」
次の瞬間、虐厨はとんでもない事を口にした
「うるせえええ!!だからに決まってんだろ!!wwwww
アイゴのペットは愛情受けて甘やかされてるから殺し甲斐あるんだよwwww
オレは楽しめてアイゴどもはペット殺されて憤死wwwざまぁwwwメシウマ!!wwwww」
「本気で言ってるのか? お前がしたことは犯罪だぞ!」
「だから?wwwどうせ器物破損だろwww金払ってすぐ釈放されるだろwww
警察なんざ怖くねぇやwww」
首を振ってルール巡査長はポケットから黒いプラスチック製の板切れを取り出した
それは「ブラックラベル」、更生の余地のない救いがたい虐厨にのみ付けられるタグだ
ルール巡査長はそれを虐厨の左腕の袖に付けた
「午後3時44分、現行犯で逮捕!」
「・・・いいぜwwwとっとと連れていけやwwwどうせすぐ釈放されるからなwww」
通常の虐厨は逮捕されたら取り調べを受け、更生施設へ入れられる
だが、「ブラックラベル」を付けられた虐厨は例外だ
害獣として保健所へ直接送られ、ただちに殺処分される
己の運命を知らない虐厨は、ニヤニヤ笑いながらパトカーに乗せられた
こいつが世に解き放たれることは二度とない

また町に悲しみが生まれてしまった
ゆっくりと実装石の死骸は、ただちにそれぞれの飼い主の元へと返された
身勝手な虐厨がいる限り、この悲しみはなくなることはない
ルール巡査長は今日も明日も
町をパトロールし、少しでも悲しみがなくなるよう努力を続けている

(おわり)

43ブラックラベルの行く先 1/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/26(土) 20:46:00 ID:0q4WwA4E0
※「密着!対虐警察24時」と世界観はリンクしています

道端で虐厨が一人、「ゲルゲ」という名の生命体を虐めていた
そのゲルゲはリボンにポシェット、そしてポシェットの中に現金を入れており
毛並みも整っている、明らかに人間に飼われている個体だった
しかし、虐厨にはそのような事は関係ない
虐待したいときに被虐生物()を虐待する
それが虐厨の信念であり
それで飼い主が虐厨を恨む事すらお門違いだと思っていた
ゲルゲが動かなくなったのを見て一息ついた虐厨は死骸をドブに蹴落とし
道の反対側で先ほど殺したゲルゲのポシェットからこぼれた小銭を拾う
もう一匹のゲルゲを見つけた
しかしこれが、虐厨の未来を決定する判断だった
「おい、何をしている!?」
二匹目を殺し終えた虐厨に背後から声がかけられる
警察だ、いつのまにか警察官が二人そこにいた
「なにってwww駆除ですけどwwwww」
しかし虐厨は一瞬だけ怯んだものの、自身の行動の正当化を始めた
「駆除ね・・・」
警官はゲルゲの死体を見て言った
「明らかに誰かの飼いのようだが・・・お前は他人の飼いを平気で襲うのか?」
「飼いとか関係ないしwww被虐生物は虐待されるべきwwwww」
「貴様!」
今にも飛びかかりそうになる同僚を制して、警官は続けた
「そのゲルゲたちには帰りを待つ人がいる・・・わかってるのか?
この子たちを見た時、その人たちがどれだけ悲しむか」
「メシウマwwwwwwアイゴが苦しむなら本望ですwwwww
第一、他人のゲルゲいじめちゃいけないなんて法律ないですからwwwww」
警察官は首を横に振って同僚を見た
「アレを出してくれ」
「分かった」
同僚は質問をしていた警官へ黒い板を渡す
プラスチック製のそれには端に安全ピンが付いており、
衣服に取り付けられるようになっていた
これは「ブラックラベル」と呼ばれるタグで、
現場の判断で「対象」に付ける事が許されていた
質問役の警官はそれを虐厨の右腕の袖に付けた
「一緒に来てもらおう」
「おwおwおwタイホ?www いいぜwwwやれるもんならやってみろwww
どうせすぐ釈放だからなwwwwww」

44ブラックラベルの行く先 2/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/26(土) 20:50:48 ID:0q4WwA4E0
ゲルゲたちの遺体を同僚に任せ、質問役の警察官は虐厨に手錠をかけて連れて歩き出す
歩いて20分後、とある建物の前に警官と虐厨はやってきた
「・・・・・へ?www」
そこは警察署ではない、保健所だった
さすがに戸惑い始める虐厨を警官は引っ張っていき、保健所の建物の中に入る
「こんにちは、お世話になります」
警官は窓口の保健所職員らしき男に挨拶をした
「こんにちは、これはどうも・・・そいつが今日の”アレ”ですか?」
「はい、いつものようにお願いします」
「分かりました、少々お待ちください」
警官は書類を渡され、それに必要事項を書き込み始めた
ここにきて虐厨はようやく自分が置かれている状況を整理しだした
ここは? 保健所だ
何をするところ? 害獣の処理を行う施設でもある
どうして連れてこられた?  
少なくとも自分は害獣ではない、「虐厨」という人間より優れた種族だ
だからこんな所に来る理由は、虐めるための被虐生物を引き取る以外ない
だが、この警官は自分をここへ連れてきた・・・なんのために?
「お待たせしました」
別の職員がやってきて、警官から虐厨を引き渡される
「毎日ご苦労様です」
「いえいえ、これも本官の務めでありますから、では」
書類を提出した警官は会釈すると、建物から出て行った
「今、何番が空いてましたっけ?」
「12番が空いていますので、そこへどうぞ」
「分かりました」
窓口の同僚に会釈してその職員は奥へ虐厨を引っ張っていった
「処分区画」と書かれたプレートの自動ドアを抜け、
数字の書かれたドアの並ぶ区画へ入る
「なんだここは、独房か? 留置所か?www」
職員は虐厨の質問を無視して歩を進める
「12」と書かれたドアの前へ二人はやってきた
ちょうどその時、奥のドアが開いてストレッチャーと職員が出てくる
「お疲れ様です」「どうも、お疲れ様です」
ストレッチャーを押す同僚とすれ違い、職員は互いに会釈する
そのストレッチャーには・・・苦悶の表情で息絶えた虐厨の死骸が乗せられていた
これでようやく虐厨はここに連れてこられた意味を知った
同時に、腕に付けられた「ブラックラベル」の意味も
「いやだあああああ!!じにだぐないいいいいい!!!!」
虐厨はわめいて暴れ出した
「静かにしろ!!」
職員は腰の警棒で虐厨の左ほおを殴る
折れた歯が数本虐厨の口から飛び出し、床に転がる

45ブラックラベルの行く先 3/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/11/26(土) 20:58:22 ID:0q4WwA4E0
「お・・・おねがいじまず、なんでもじまずがら・・・ごろざないで・・・」
虐厨は正座して命乞いを始めた
「ここに来る奴はみんなそう言うんだよ、自分がどれだけ悪い事したか反省すらしないでな」
「はんぜいじまず!!クソムシ・・・いえ、ゲルゲの、アイゴ・・・飼い主にも謝りまず!!」
「お前、人の飼いを殺したのかよ・・・そりゃブラックラベル判定食らうわけだ」
「ごべんなざい!!もうやりまぜん!!虐待もやめまず!!」
「お前ら虐厨は土壇場になるといつもそう言うよな・・・
そして、それを守る奴をオレは一匹も見たことがない」
職員はドアのカードリーダーへ自分のネームプレートのバーコードをスキャンさせ
12番のドアを開けた
「ここに連れてこられたら道は一つだ、命乞いの続きは閻魔様の前でしろ!」
「いやだああああああああああああああ!!!!!!」
職員は虐厨を部屋の中へ引きずり込んだ
そして奥の金属製のドアを開け、その中へ暴れる虐厨を蹴り入れる
転倒した虐厨が起き上がるより早くドアを閉めて施錠した
「だじで!!だじで!!だじで!!!!!」
職員は懇願とドアを叩く音を無視して操作盤の前に行き、安全装置を解除して「ガス注入」のボタンを押した
「ひぃぃぃぎいいいいい!!!だじで!!あげで!!!じにだぐないいいいいいい!!!!!」
職員はそれを無視して椅子に座り、ポケットから文庫本を取り出す
虐厨がドアを叩く音と叫び声が大きくなる
職員は構わず椅子に座って推理小説の世界へ入っていった
「ガス注入」から20分後、徐々に音が小さくなり、やがて聞こえなくなる
聞こえなくなってさらに30分後、職員は「排気」のボタンを押した
さらに10分ほどしてからドアを開ける
虐厨は死んでいた、ドアに爪を立て反吐と糞尿を垂れ流した状態で
先ほどストレッチャーに乗せられていた死骸と同じ表情で
死ぬまでにいかに苦しんだかが分かるが、職員にこいつへの同情の感情はない
むしろ、殺されたゲルゲの飼い主がどれほど悲しむか・・・という被害者への同情と
そんな悲しみを己のエゴで生み出した目の前のゴミクズへの怒りがあった
職員は虐厨をストレッチャーにのせると、部屋の清掃を始めた
虐厨の反吐や失禁・脱糞を処理した後、職員はストレッチャーを押して部屋の外へ出る
「お疲れ様です」「どうも、お疲れ様です」
別の職員とすれ違い、互いに会釈を交わす
その職員は左腕にブラックラベルを付けた虐厨を連れていた
「ひぃぃやああああだああああああああああああああああ!!!」
ストレッチャーの死骸を見て己の運命を悟った虐厨が叫び声をあげるが
その職員は殴って黙らせた
職員は同僚と虐厨が別の数字のドアの先に消えていくのを背に
「焼却炉こちら」と書かれた案内表示に従ってストレッチャーを押していく

そのころ窓口では、先ほどとは別の警官が
また新たな虐厨を連れて来ていた
「なんだwなんだwwwここが留置所か?wwwお?www」
虐厨の右腕の袖には「ブラックラベル」が蛍光灯の明かりを受けて光っていた


(おわり)

46落下 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/12/15(木) 02:56:18 ID:o23f4aok0
※ジョジョネタ使っていますが、少女は殺人鬼ではありません


「へへへ・・・」
一人の虐厨が小さなタブンネを手にマンションの自室に戻っていた
成体ではない、明らかに生まれて2週間程度の小さな子タブンネだ
しかも、野生ではない
頭にはリボンがつき、ピンクのポシェットを肩から掛け
誰かに可愛がられていると一目で分かる
しかし、虐厨はだからこそこのタブンネを選んだ
虐厨にとって、飼い主の悲憤は何より美味しいご馳走なのだ
虐厨はベランダへ行き、タブンネを手すりの向こうへかざす
「タブ!?タブンネ〜!!」
自分が何をされるのか、恐怖でタブンネは尿を漏らす
「タブちゃん、どこ〜?」
そこへ、飼い主らしき少女と相棒らしきファイアローがベランダの下を通りかかった
虐厨はニヤリと笑い・・・
子タブンネを落とした
「ダブウウウウウウウ!!」
グシャ!
少女たちの目の前で、タブンネは潰れた死体になる
「うそ・・・タブちゃん・・・!!」
「ピィ・・・ピィィィ!!」
少女は茫然と立ち尽くし、ファイアローは
もう動かないピンク色の肉塊をゆすったり温めたりしている
「ギャハハハハ!!ざまぁwwwwww」
虐厨は少女めがけて罵声を浴びせ中指を立てる
そんな事をしなければ、気づかれなかったのに
少女と虐厨の目が合う、ファイアローはそちらを見て・・・堪忍袋の緒を斬った
「ピィィィィィィィィ!!!!!」
一声「吠えた」次の瞬間
ファイアローは飛び立ち、虐厨が体重を預けているベランダの手すりを切断した
「ぎゃは・・・・・・へ?」
飛ぶことなどできない虐厨は当然、重力にされるがまま落下する
「ご!?ばぎょ!?ごべえべ!?」
途中、下の階のベランダや木に激突し、最終的にコンクリートではなく芝生へ虐厨の身体は落下した
それが幸いし、虐厨は両足を骨折したものの、命はあった
「・・・へぇ、ウワサには聞いてたけど、まだ生きてるなんてしぶといわね」
少女は死んだタブンネを抱えて虐厨の傍へ歩み寄る
「だ・・・だのむ・・・救急車を・・・よんでぐで・・・」
「救急車よりもさ、あなたハンカチかティッシュ持ってる?」
少女はそんな事を急に切り出した
何を言っているのか虐厨は理解できない、だから黙って少女の次の言葉を待った
「持ってない?そう・・・じゃあそのへんのゴミの布切れを使うしかないわね」
「なにいっでんだクソアイゴ・・・?」
「だって、これからもっと血が出るから」

47落下 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/12/15(木) 03:19:19 ID:o23f4aok0
バギャ!!
少女は落ちていた手のひらサイズの石を掴み上げ、そのまま虐厨の顔面に叩きつけた
虐厨の口から血液の飛沫と折れた歯が空中に飛び散る
「あぎあああああ!!?」
叫ぶその口に少女のスニーカーが突っ込み、虐厨の歯を全部へし折る
「がひゅ・・ひゅひゅあ・・・」
「痛い?苦しい?でもタブちゃんを見失って途方に暮れて、
あんたに目の前で殺された私はもっと痛いし苦しいわ!
ううん、あんたに殺されたタブちゃんは私よりももっともっともっと
苦しんで死んだのよ!!」
息も絶え絶えな虐厨の髪をひっつかみ
「タブちゃんを見習うんだよ!!!あああああああああああ!!?」
何度も何度も地面に顔面を叩きつける
「ひ・・・ひぎゃ・・・ぼうやべで・・・」
「ピィ!!」
虐厨の後頭部にファイアローの叫びが響く
少女は手を止め、ファイアローの視線を受けた
「そうね、タマゴを温めて孵化させたあなたにとって、あの子は我が子同然だったものね
・・・いいわ、好きにしても」
虐厨は少女の手から解放された
次の瞬間、右耳はファイアローの嘴に噛まれ、そのまま食いちぎられる
「いひいいいぎいいいいい!!!?」
背中に乗っかり、火の粉を虐厨の体にまき散らしながら
ファイアローは虐厨の耳を髪を皮膚を手当たり次第についばみ、食いちぎった
背中を火で焼かれ、さらにじわじわ肉を生きたまま食いちぎられる
虐厨は味わったことのない苦痛に醜い叫びを上げ続けた
しかし、ファイアローはやめない
少女もファイアローを止めない
やがて、背と頭の骨が露出するに至って、ファイアローはようやく止まった
「そこ!何をしている!?」
警察官だ、虐厨の声を聴いて駆けつけたのだろう
虐厨は「助かった」と安堵し、声を上げた
「だずげで!!ごろざれる!!!!」
警察官は少女とファイアロー、そしてタブンネの死体を見て悟った
虐厨が人のポケモンに手を出し、飼い主に報復されるなど珍しくもない
「あっちにゴミ捨て場がありますから、終わったらそこに片づけて下さいね」
「生ごみ用」と書かれたゴミ袋を少女に渡し、警察官は去っていった
「までぐぞげいざづ!!虐厨様をだずげろおおおおお!!!!」
少女は叫ぶ虐厨の頭を掴む、そして背中側に回り、その腰を踏みつけた
「フィニッシュ行くわよ」「ピィ♪」
ファイアローは少女の頭の上に乗った
ヤヤコマだった頃からそこはファイアローの特等席だ
ファイアローは唯一、殺されたタブンネだけをそこにいる事を許していた
少女は「特等席」にファイアローが座った事を感じつつ
頭を掴む腕に力を入れ始めた
メキメキ音を立てながら、虐厨の体は逆ブリッジしていく
「いぇべで!!ごろざないでええええ!!!いぎゃああああ!!!!!」
少女は無様な命乞いをスルーした、虐厨の背は反り続ける
やがて、大きな破壊音を出して虐厨の背骨は折れ
頭と尻がくっついた

(おわり)

48人間には手を出すな 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/12/28(水) 03:54:45 ID:uBI5fHLk0
※虐厨化した生物が殺されます

その街には、カラスの群れが生息していた
彼らは生ごみを漁り、野山の動物を食べ、平和に暮らしていた
ある日・・・カラスのボスは、ふと仲間の死骸を目にした
人間の仕掛けた毒餌を口にして死んだその骸に
野良ゆっくりが群がり、肉を口にしていた
ボスのカラスは不快に思った
理由は分からない、もし犬や猫なら気にも留めなかっただろう
しかしボスカラスは怒り、その死骸に群がるゆっくりに奇襲をかけて全滅させた
ボスの怒りはそれだけでは収まらなかった
彼は群れに通達した
ゆっくりを殺せと
バッジのないゆっくりは野良か野生だから殺しても構わない
バッジ付きでも飼い主がいようと構わず殺せ、と
ただし、金バッジのものは飼い主がいない時を狙え、無理に手を出すな、と
彼のこの知識は、飼い主からの報復で屍を路上に晒した
一匹の虐厨がもっていた「虐待ノート」からのものだ
亡き賢い母から人間の文字についてかつて学んでいた彼は文字を読むことができた
そして苦労して巣に持ち帰ったこの一冊のノートから
彼は見かけるゆっくりが時々つけている「バッジ」について知ることができた

一見完璧に思える彼の作戦には、しかし致命的な穴があった
そもそも、なぜそこまで予防線を張っていた虐厨が路上で殺されたのか
虐厨はどうして、そのような末路を迎える羽目になったのか
そこまで理解が回らなかったのだ
そして・・・そのツケはやがて訪れた
ある日、彼の仲間の一羽が人間に網で捕らえられた
そのカラスに殺された銅バッジまりさの飼い主である人間にその仲間は、動かなくなるまで何度も踏みつけられ殺された
ボスは目撃者である手下の報告を聞いて首を傾げた
何故だ、と
ノートには「銅バッジは人間が所有しているだけの価値ないもの」とあった
どうして銅バッジを殺したくらいで人間がそこまで怒り狂ったのか、彼には理解できなかった
彼は、ノートの記述にある重要な事項「人間が所有している」を完全に見落としていた
ボスが調査を命じる前に、そのうち殺されるカラスの数は急激に増えていった
人間の中には、カラスを執拗に追いかけ捕らえ殺す者も現れ始めた
人間がカラスを「敵」と認識した・・・それが分からぬほどボスは愚かではない
そしてここにきて初めてボスは、自分が何か致命的な過ちをしでかした事に気づき始めた
しかし、その「致命的な過ち」が何なのか、今に至ってもまだ分からない
そして、今更気付き改めるにはすでに遅すぎた

「ここか、飼いゆっくりを狙うカラスどもの生息地は」「一羽も逃すな、絶滅させろ!」
カラスの群れのいる林は今、人間たちに包囲されていた
保健所の職員に加え、自分の飼いゆっくりを傷つけられ、あるいは殺された人間が
その包囲にいた
誰もが手に銃を、あるいはネットランチャーを持っていた
先んじて脱出を試みた仲間たちは猟銃によってすべて落とされ地べたに屍を晒している

49人間には手を出すな 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2016/12/28(水) 04:01:40 ID:uBI5fHLk0
ボスは今更ながら、幼い頃に今は亡き父から聞いた話を思い出していた
父親は強いカラスだった
しかし、人間の家畜の鶏に手を出したため、人間に報復された結果左目を失った
だから、彼は彼の子供たちに言った
「絶対に人間とその持ち物には手を出すな」と
カラスである自分たちに人間の抱く価値観など理解できない
貴重と思えるものに対してあまり執着しない事もあるし
逆に、くだらないと思える物に対して異常に執着していることもある
それが人間だと
だから、手を出さぬことが無難な選択なのだ
触らぬ神に祟りなし
しかし・・・もはや、後の祭りである
ボスも彼の仲間も、人間の持ち物「飼いゆっくり」に手を出してしまった
結果、人間の怒りに火を付けてしまい、今彼らは報いを受けようとしている
「金バッジでないから手を出してもいい」などという理屈は、しょせん虐厨の身勝手な憶測にすぎないのだ
銅バッジだろうと金バッジだろうと、人間にとって愛する対象である事に変わりはない
そして、愛するものを傷つけられれば人間は怒り狂う
そんな簡単な理屈を失念していた、それがボスの最大の失敗だった
こうなったらもう、生き残る道は一つしかない
住み慣れた林を捨て強引に包囲を突破する事だ
ボスは最後の号令を発し、真っ先に飛び立った
彼の仲間も後に続く
「飛んだぞ!」「撃て!撃て!!」
次々に地上から銃弾が飛び、仲間たちが落とされていく
網がまとめて数羽の仲間を絡め取り、死が待つ地上へ引きずり下ろしていく
そして銃弾は、ボスの左の翼を貫いた
ボスは仲間たちが必死に逃げていく様子を視界に収めながら、地上へ墜落した
「でかいな・・・こいつがボスだ!間違いない!」「殺せ!」
ボスは、これまで遭遇したことも無い人間たちの怒りと憎悪を目の当たりにした
これが、人間に手を出した報いか・・・
ボスは心の中で死んだ仲間とあの世の父に詫びながら殺された

今、その街には飼いに手を出すカラスはいない
手を出した群れがどうなったか、それはカラスたちの各グループに伝達され
あるいは生き残りによって広められ
カラスたちにとって「人間の飼いゆっくり」に手を出す事そのものがタブー視されたからだ
「や〜い、せんそーくんwwwせんそ・・・アギャアアアアアアアアアアア!!!」
時々、飼いに手を出して惨殺される虐厨の存在が、その話の信ぴょう性を裏付けていた
「人間に喧嘩を売ってはいけない」
町に住むカラスを含む野生動物たちに共通するルールとしてそれは定着していた
牙もなく爪もないその生物はしかし、道具と知恵で熊すら殺す
敵に回すにはリスクが高すぎる存在
それが人間なのだ

そして、今日も町にカラスは住みつき、自由を謳歌している
人間に気を付けながら
(おわり)

50あるスーパーにおける常時 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/01/13(金) 02:15:51 ID:gL8tyT7I0
ここは、とある町のスーパーの前
「ここでおとなしく待ってるんだぞ」
しぃの飼い主は紐でペット用スペースにつながれたしぃの頭をなでる
しぃは一声鳴いてその場に丸くなった
そして、飼い主がスーパーの中へ消えて数分後
「お、しぃ発見」
何者かの影がしぃの前に立った

20分後、買い物を終えた飼い主の目の前には地獄絵図が広がっていた
「じぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
しぃは背後から虐厨に犯されていた
その両手両足は無残にも切断され、地面に転がっている
「なにしてやがる!?」
「おwwwこいつの飼い主かwww待ってろwもうすぐ終わるからなwwww」
虐厨はフィニッシュを決めると、飼い主の方へしぃを乱暴に蹴飛ばした
「ほらよwww気持ちよかったぜwww」
飼い主の中で、何かが音を立てて切れた
飼い主はスーパーで購入したばかりの包丁のパッケージを外し
虐厨の左肩へ勢いよく振り下ろした
「あぎゃああああああああああああああ!!オレの腕があああああ!!!!」
虐厨の左腕は肩から文字通り「外れた」、皮一枚でかろうじてくっついている状態だ
「そんな痛みがなんだ!!てめぇが傷つけたオレのしぃは、もっと痛かったんだぞ!!!」
飼い主は虐厨へ足払いをかけて転倒させると、その両足の腱を斬った
「あじ!!おでのあじいいいいい!!!」
飼い主はのたうち回る虐厨を見ながら しぃの手当てを始めた
しぃは弱弱しく鳴く
彼女が自分の足で走り回ることはもうできないだろう
飼い主の中に沸々と虐厨への怒りが新たにこみ上げてきた
「そこ!何をしている!?」
そこへ虐厨の叫びを聞いてスーパーの警備員が駆け付ける
「だずげで!!ごろざれる!!!」
「すいません、実は、かくかくしかじかで」
飼い主は警備員に事の次第を説明した
虐厨が何事かわめくが、警備員は飼い主の話しか耳に入らない
警備員は腰のウエストバックからゴミ袋を取り出して飼い主に渡した
「なら、これを使ってください。生ごみはあっちのごみ箱に捨てて下さいね。後で清掃の係が来ますので。」
「分かりました」
警備員は袋を飼い主に渡すと、清掃員を呼ぶべく去っていった
「おい!!だずげろ!!おれざまをばやぐだずげろ!!!ぐぞげいびいん!!いぐなあああ!!!!」
警備員の行動は何の不思議もない、通常の対応である
この場合問題にされるのは、せいぜい虐厨の血肉でスーパーの敷地が汚れる事くらいであり
それも「子供がアイスクリームを敷地内で落っことした」程度のささいな問題だ
虐厨が殺されることは何の問題にもならない
むしろ、「飼いと知りながらその生物に手を出した」事、それこそが大問題であり
「それ」をした瞬間、虐厨は「基本的人権」を含むあらゆる権利を「放棄した」とみなされる
早い話、虐厨は人や人の物に手を出せば「人」ではなく「害獣」とされるのだ
それを「駆除」するのは当然の常識であり、飼い主の行動に何ら咎められる点はない
「さっきからうるせぇよ!!警備員さんが来ちまっただろうが!!!」
飼い主は虐厨を蹴飛ばしてうつぶせにすると、その尻の真ん中へ包丁を突き立てた

51あるスーパーにおける常時 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/01/13(金) 02:19:10 ID:gL8tyT7I0
「いぎいいいいいいいいいいい!!!」
虐厨が絶叫するのも構わず、そのまま包丁を下へと切り下す
「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
虐厨の肛門と性器が破壊され、虐厨はこれまでにない苦痛を味わう
「ちっ、買ったばかりなのにこの包丁はもう使えねぇや・・・どうするんだよ、あ?」
しかし飼い主の怒りは収まらない
飼い主は虐厨の尻の傷を思い切り踏みつけた
「おぎょおおおおおおおおおおおおお!!!」
「うるせえって言ってるだろが!!!」
そしてそのままストンピングを始める
「てめぇがオレのしぃに手出すから悪いんだろが!!なんでだ!!なんでしぃに手を出した!!」
足が振り下ろされる度、虐厨の中ですさまじい痛みが走りまくる
そして、尻の傷口からは腸などの内臓が顔を出し、
ストンピングの度にどんどん体内から露出し始めた
「臆病者めが!!やるならオレを直接殺せよクズが!!!」
虐厨は尻の傷口から内臓を漏らしながら、次第に叫び声を小さくしていく
やがて、腸を尻から漏らしきってビクンビクンと動くだけのモノになり果てた
飼い主は、あまり動かなくなった虐厨を袋に詰める
虐厨が弱弱しく抵抗するが気にしない
「どうもお客様、おまたせしました。そいつが例の奴ですか?」
警備員が呼んだ清掃員が現場に駆け付ける
「はい、すいません大きな声を出してしまって・・・」
「いえいえ、こちらこそ申し訳ありません。このような害獣が
スーパーの敷地内に入っていたなんて、なんとお詫びすれば・・・」
飼い主と清掃員は互いにペコペコしながらやり取りをし・・・
やがて、飼い主はしぃを抱えて愛車へ乗り込み去っていった
清掃員はまだ蠢く生ごみ袋を尻目に黙々と血肉の片づけをする
「だ・・・ずげで・・・たずげでぐだざい・・・」
「ちっ、まだ生きてたのかよ」
清掃員は飼い主への態度とは全く異なる
害虫を見る目でごみ袋(の中の虐厨)を見た
「めんどうくせぇ、このまま焼却炉に放り込むか」
清掃員のつぶやきを聞いた虐厨は弱弱しく暴れたが
苛立った清掃員に地面に一回叩きつけられて痙攣するだけになった
清掃員は焼却炉へ袋を抱えて向かう

「お客様とトラブルを起こした虐厨一匹を焼却処分」
その日の報告書のたった一行の中に存在を残し
その虐厨は永遠に地上から姿を消した

(おわり)

52クズ虐厨の中のクズ 1/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/02/06(月) 04:09:35 ID:98fYlSp.0
「!?・・・ここは・・・?」
虐厨の虐夫は目を覚ました
見知らぬ床の上に彼は転がされていた
すぐ目の前には相棒の虐厨の虐助が転がっている
二人とも衣服を身に着けていて、縛られていない
手錠すら無く、虐夫のズボンのポケットにはスマホまである
「おい、起きろ」
虐夫は虐助を揺さぶり起こした、その時
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ドアを開けて見知らぬ男が部屋に入ってくる
男の顔に表情はなく、長袖シャツとジーパンを着ていた
その手には水がなみなみと入った水差しと
プラスチックのコップが二つ乗っている樹脂製トレイ
虐厨二人は身構えたが、男はトレイを二人の前の床に置くと
ドアから出て行った
「・・・・・・オレたち、捕まったのか?」
「どうやらそうらしい」
虐夫はここに来る直前の事を思い出していた
”三人”で共有する隠れ家に二人ともいた
この隠れ家は、被虐生物を虐待するための家屋だ
おおっぴらに虐待ができないもの----金バッジの飼いゆっくりや
可愛がられている飼いミニイカ娘、飼いゲルゲなど----を
散歩中や飼い主が留守の間の家に侵入するなどして誘拐し、
そこへ連れ込んで遊んだ
遊んだあとは飼い主の家の前に捨て、遺体を発見した飼い主が
絶望と怒りと悲しみが混ぜこぜになった感情を放つのを遠くからこっそり眺め
笑い転げるのが三人の密かな楽しみだった
だから・・・・・・報復される覚えは数えきれないくらいあった
たまたま遠くから飼い主を見ているところを誰かに発見されて、
そいつが飼い主に告げ口したかもしれない
あるいは、散歩中に目の前で蹴り殺した銅バッジまりさの飼い主が
愛護仲間に依頼してさらったかもしれない
いずれにしろ、このままここにいたら何をされるか分かったものではない
虐厨にも人権が認められている社会とはいえ、
刑務所に入るリスクを冒してでも虐厨に報復を行う飼い主は後を絶たないのだ
「・・・ん?」
どうするべきか考えを巡らせている虐夫をよそに、虐助は水差しの水を飲みながらドアノブに手をかけていた
「おい虐夫、ドアのカギ開いてるぞ」
「なんだって!?」
虐夫は虐助がドアノブをひねって易々とドアを開ける様子を見た
「ふん、マヌケな愛護め!www」
二人はドアの外へ出た・・・そこは木造の家屋だった
施設とかではなく、どこにでもある一般的な住居の中だ
二人は玄関を目指した

53クズ虐厨の中のクズ 2/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/02/06(月) 04:13:24 ID:98fYlSp.0
虐夫は外へ出たら真っ先に警察署に駆け込むつもりだった
自分たちを誘拐した愛護を許すつもりなど無い
「・・・・・・・・・・・・・・・」
玄関の前に、さっきの男がいた
男は虐夫たちが来るのを待っていたかのように、腕組みをして直立していた
虐夫たちは立ち止まった
目の前の男は、よくよく見ればかなりガッシリしている
長袖シャツは内側から筋肉で押されてパツパツになっており
肩幅も虐夫たちの倍はある
「通りたければオレを倒せ」と来られたら、勝ち目はない
しかし・・・
「・・・水は、飲んだか?」
男はそう切り出した、虐夫たちは顔を見合わせる
「水は、飲んだか?」
「ああ、それがどうしたクソアイゴ!www」
虐助はそう言った、すると男は無言で虐夫たちの右のドアを指さす
「トイレ」とそこに書かれていた・・・次の瞬間
「おが・・・・・!?」
虐助は猛烈な便意に襲われた、彼は男を無視してトイレへ駆け込む
「虐助!?てめぇ、水に何を入れた!?」
「下剤だよ」
虐夫は虐助と違い、水を飲んでいない
もしかしたら毒が入っているかもしれないと警戒したからだ
もし虐助が倒れたら彼を抱えて脱出する必要がある、だから虐夫は水を飲まなかった
「あんたたち・・・3人でデパートの前のゲルゲを襲ったんだって?」
男は次にそう切り出した
「見た目で誰かの飼いだって、分かった上で襲ったんだって?」
「そ・・・そうだ、それがどうした!?」
虐夫はその時のことを思い出した
3人で獲物を物色中、デパートの駐輪場のペット待機スペースにいたイチゲルゲ
紐でつながれていたそれを・・・
「その場で3人で犯して・・・飼い主が来てもその目の前で犯し続けたんだって・・・?」
「何が言いたいんだよ!?」
虐夫は男の不気味な雰囲気に飲まれつつあった
「ひぎゃあああああああ!!!!」
トイレから、虐助の悲鳴が響く
「どうした虐助!?」
「尻が・・・オレの、オレの尻がああああああ!!!」
バタンとドアを開けて虐助が転がり出る
その尻を見て・・・虐夫は絶句した

54クズ虐厨の中のクズ 3/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/02/06(月) 04:16:28 ID:98fYlSp.0
「お前たちに襲われたゲルゲ・・・死んだんだよ」
虐助の尻は・・・・・・・・
「・・・もう二度と、う●こできないねぇ・・・」
硬く、縫い合わされていた
尻の中心を切り開かれた上でさらに硬く縫われていた
抜糸の必要のない、時間が経てば体に吸収分解される特別な糸で
虐夫は恐る恐るズボンのベルトを外し、自分の尻を手で確認する
「・・・うわあああああああああああああああああああ!!!!」
虐夫は自分の尻も硬く縫い合わされていることを知った
二人の肛門は、もうない
便意が来たとしても、排出する術は永久に失われたのだ
「おご・・・おごごごごごごごごごごごごごぉぉぉぉぉぉ!!!!」
強烈な便意と腹痛に虐助は下半身を露出したまま床をのたうち回った
生き恥を晒す事を覚悟の上でそれを解消しようにも、彼の肛門はもうないのだ
「たのむ!解毒剤をくれ!!」
虐夫は苦しむ虐助を救うため、男に懇願した
「たのむ、ねぇ・・・あんたら、そうやって命乞いしたゲルゲたちを何体殺してきたんだ?」
「クソムシどもの事なんかどうだっていい!!虐助が死にかけてんだぞ!!」
男はピクリとこめかみに血管を浮かせ・・・懐からカプセルを出した
虐夫はろくに確認もせずそれをひったくると虐助を起こしてその口に押し込み飲み込ませる
「あ、おい・・・それは」
「うごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
次の瞬間、虐助はさらなる悲鳴を上げて床に突っ伏した
ビクンビクンと大きく跳ね、尻を上に突き上げる
その尻は縫い目の部分を中心にモコモコと膨張していき・・・そして
ブバアアアアアアアアアアアアアン!!!!
大音響とともに一気に裂け、内臓と汚物と肉片と血液が混じったものを天井と床とトイレのドアにぶちまけた
「・・・オレは一言もあれが”解毒剤”とは言ってないぞ・・・
こいつをお前が飲んだら何とかしてやる、そう言うつもりだったんだけどな」
中身を噴出しながら虐助はみるみる青くなり、痙攣をはじめ・・・やがて噴出が終わると動かなくなった
「効き過ぎだな、この対虐製薬製の特殊駆除剤は・・・後でアンケートに書いておくか」
そう言うと男は虐夫に向かって歩み寄った
「な・・・なにをする気だ?」
「オレも男だ、飲んだのはこいつだが・・・約束は約束だ、なんとかしてやる」
虐夫へ男はそう言った

55クズ虐厨の中のクズ 4/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/02/06(月) 04:23:42 ID:98fYlSp.0
息絶えた虐助を見て虐夫は思った、冗談じゃない・・・と
何しろ彼自身「治療」と称して100%相手が苦しんで死ぬ「手術」を行ってきたのだ
だから・・・男が仕様としていることもそうに違いないと予想した
このままではきっと殺される・・・虐夫は必死に頭を働かせた
そしてふと、ズボンのポケットにスマホがそのままある事を思い出した
そう、彼らは”3人”グループだ
まだ捕まっていない虐太郎がいる・・・あいつに助けを求めようと虐夫は決断した
男をかわし虐助の死体を飛び越えトイレのドアに飛び込み、男が駆け寄る前に鍵を閉める
そしてスマホの電池残量が半分以上残っていることを確認し・・・コールした
「たのむ、出てくれ・・・!」
ヒギャアアアアアア ヒギャアアアアアア 
「・・・・・・・へ?」
ちびギコの悲鳴を録音した、虐太郎のスマホだけの独特の呼び出し音
彼が他の虐待仲間にも自慢していたそれが・・・”トイレのドアのすぐ外”から聞こえた
「・・・おう、もしもし」
そして返って来たのは、あの男の声だった
「もしかしてこのスマホの持ち主、お前の仲間だったか? 悪いが、あいつは二度とこれを使えない」
「お・・・おまえ、虐太郎をどうした・・・!?」
目の前が真っ暗になる感覚に襲われながら、虐夫は聞いた
「先に断っておくがオレじゃねぇ、オレの友の飼いちびギコを目の前で虐待したから、その場で飼い主のそいつに殺されたんだ
なんでよりによってあいつのに手を出すかね・・・オレよりパワーが有り余ってる奴でな、死体はミンチになっちまった
だから後で身元確認しようと思ってスマホを預かってたんだが・・・そうか、あいつが虐太郎って奴だったか」
死んでたならいくら探しても”3人目”は見つからないわけだな、と男はつぶやいた
虐夫は絶望した・・・最後の望みだった虐太郎はもう、この世にはいない
そして男には仲間がいる、その上・・・虐夫は自分の尻を触った
二度と排泄ができなくなった、尻を
「出てこい、なんとかしてやる、約束は守る」
虐夫は観念してドアのカギを開け、外へ出た
男は虐太郎のスマホ---彼が以前に誘拐して殺した飼いゲルゲの毛皮で作ったカバー付きの---を手にしていた
「ついて来い」
男は虐助の死骸をそのままに、虐夫を家の奥へ誘った
虐夫にはもう選択肢はなかった


3日後、ゴミ捨て場で自分の排泄物を喉に詰まらせて死んでいる虐夫が巡回中の警察官に発見された
虐夫の体は肛門(尻そのもの)が硬く縫われており、
大腸が直接食道に接続され、口から汚物を排泄するようにされていた
死体を検分した検察は首を傾げたが、「虐厨だから」ということで深く考えられることなく
遺体は焼かれてごみ焼却灰処理場に捨てられた


プルルルルルル・・・朝早く、男の仕事場兼自宅の電話が鳴る
男は熱いコーヒーで眠気を覚ましつつ電話に出た
「はいもしもし、こちら対虐厨復讐代行業者”ギャクサツ”です」
虐厨が世にはびこる現状、男の仕事に終わりはない

(おわり)

56トレーナーの心得 1/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/02/23(木) 01:40:07 ID:mgxkh5NQ0
「おかしいな・・・?」
「狩り」をするためにピジョットを離した虐厨の虐彦は、いつまで経っても
ピジョットが戻ってこない事を訝しんだ
もうかれこれ3時間ほどになる・・・いつもは1時間か長くても2時間程度で戻ってきたはずなのに
そこへ・・・
「ガウ!!」
「わぁ!?」
虐彦の胸に茂みから飛び出したヘルガーが飛びつき押し倒す
「グオオオオオオオオオ!!!」
虐彦を取り押さえたヘルガーは遠吠えをした
虐彦にはそれが何を意味するか分かっていた・・・仲間を呼んでいるのだ
今、手元にポケモンはいない
頼みのピジョットは行方が知れない
ヘルガーの群れに囲まれたら助かる術はないのだ
「ヘルガーそっちか、今行くぞ!!」
虐彦は人の声にほっとした
このヘルガーはトレーナーのポケモンだったのだ
ほどなくして、草むらをかき分けて屈強な男とサザンドラが姿を現す
「なぁ、あんたに聞きたいことがあるんだが・・・」
男の質問を遮って虐彦は叫んだ
「その前にこのヘルガーをどけろ!」
「人違いだったらすぐどけてやるよ」
男はそう言って、ひん死のピジョットをボールから出した
「これ、あんたのピジョットか?」
「し・・・知らねえ!!」
何か「やばい」雰囲気を感じた虐彦は、とっさに嘘をついた
左ほおに虐彦が付けた火傷がある、明らかに虐彦のピジョットだった
「こいつはこの辺を暴れまわって人のポケモンを襲って食っていたんだ。
数日前もオレの弟の家族の保護していた赤ん坊ポケモンが襲われたんだが・・・」
「知らねぇ!!クソタブなんざ知らねぇよ!!」
「・・・なんで殺されたのがタブンネだって知ってるんだ?」

57トレーナーの心得 2/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/02/23(木) 01:42:38 ID:mgxkh5NQ0
虐彦は己の失言を悟った
そう、虐彦はタブンネを狩っていた
タブンネだけではない、他のポケモンにも手を出していた
ただ、野生のタブンネは警戒心が強い上に、たまに強すぎる個体に出くわすこともあった
そこで虐彦は・・・他人が所持しているタブンネを狙う事にしたのだ
最初は高レベルタブンネを狙って犯行を繰り返していたが、
突然ポケモンを失ったトレーナーたちの悲しみ怒りを見るうち・・・
いつしか、他人のポケモンを無差別に狙うようになった
経験値が少ししか入らないだろう赤ん坊ポケモンにも手を出した
虐彦は逃げ足には自信があったし、何より相棒のピジョットは空を飛ぶポケモンだ
空を飛べる人間などいないし、「こうそくいどう」を覚えたピジョットに追いつける追手は今までいなかった
目の前の男が所有する「すばやさ」極振りサザンドラに会うまでは
「お・・・オレは知らねぇ!ピジョットが勝手にやったんだ!!その糞鳥が悪い!!オレは悪くねぇ!!」
「てめぇ・・・虐厨とはいえ、それでもポケモントレーナーかよ?」
激怒した男はボールを取り出して、中から”左ほおに火傷があるピジョット”を出した
「・・・へ?」
「あんた、虐彦って名前なんだって? 今のポケモンセンターはな、ポケモンの入っているボールから
ポケモンの持ち主を特定できるんだよ」
”瀕死のピジョット”はみるみる溶けていき・・・”メタモン”になった
つまり、瀕死のピジョットはメタモンの変身で・・・本物は男のバッグの中で待機していたのだ
「ピジョット!!このヘルガーとそのクソアイゴを殺せ!!」
虐彦はついさっきまで己のしでかした裏切りを一切顧みることなく、ピジョットに命令した
しかし、ピジョットは男を見て、虐彦を見て・・・フイとそっぽを向いた
「なにしてるんだ!!!早くしろ!!また鳥かごに押し込められて水かけられたいのか!!」
男はピジョットの頭を撫でる、ピジョットは嬉しそうに鳴いた
「こいつはもう、お前のことなんか愛想尽きたってよ」
ピジョットは男のサザンドラに倒された後、ポケモンセンターに運ばれて治療された
そこで虐彦の手持ちであることなどが判明し・・・
男は一計を案じたのだ
結果、ピジョットは虐彦の裏切りをボールの中から聞いた
元々ポッポの時から数々の虐待を受けていたのだ
技を外せば飯を抜かれ、勝負に負ければ鳥かごに押し込められて水をかけられた
当然なつき度は限りなく低く、それでも一応自分のトレーナーだからと渋々従っていた
だが、虐彦の裏切りはその義理を捨ててなお余りあるほどの暴挙だった

58トレーナーの心得 3/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/02/23(木) 02:00:48 ID:mgxkh5NQ0
「ピジョット!!そのクソアイゴを今すぐ殺せぇぇぇぇぇ!!!」
ピジョットはギロリと虐彦を睨む
「な、なんだその目は、いったい誰が役立たずのポッポからここまで育ててやったと思って・・・!」
ピジョットは虐彦を無視して男を見た
「好きにしろ、ただし殺さない程度にな」
男の許可を貰ったピジョットはヘルガーが押さえている虐彦に近づき・・・その顔を羽ではたいた
そして男の所へ戻っていく
「・・・いいのか? 聞いた話じゃその程度のぬるい仕打ちが釣り合うとは思えないが?」
ピジョットは首を振った
これで十分だ、と、その目が語っていた
そして・・・静かに目を閉じた
「分かった」
男は言うと、何も入っていないゴージャスボールを投げ、ピジョットを中に入れる
「こいつの指示とはいえお前がしてきたことが帳消しになるわけじゃねぇ・・・
けどま、どうするかはオレたちと一緒にゆっくり考えて行こうぜ」
男はピジョットを入れたゴージャスボールをしまうと、虐彦を見る
「ひっ」
「さてと、あとはてめぇの始末だけだな」
虐彦は逃げたかった、が、胸の上のヘルガーにしっかり押さえられ身動きが取れない
「なんでだよ!!全部クソドリがやったんだよ!!オレは・・・」
皆まで言わせず男は虐彦の顔を蹴飛ばした
「ポケモンがやったことはトレーナーの責任だ!
勝負に勝ったらポケモンのおかげ、これはどこのポケモンスクールでも最初に習う事だぞ」
「兄さん!!」
少し瘦せ気味の男が新たにやってくる・・・ドサイドンに乗って
「おう、犯人はつかまえといたぜ」
「ありがとう」
「な・・・なぁあんたら、そのピジョットはくれてやるから、ここで手打ちにしねぇか?」
二人は虐彦を見た
「オレを懲らしめたって死んだクソタブどもは生き返えらねぇ、あんたたちには何の得もねぇだろ?」
ヘルガーは虐彦の胸から降りてトレーナーの男へと走り寄る
代わりに、痩せ男のドサイドンが前に出た
「どうする? 兄さん?」
「そうだな、こいつの言う通りだ・・・こいつを叩きのめしても死んだポケモンは帰ってこねぇ」
虐彦はうんうんと頷き、下卑た笑みを顔に浮かべる
「叩きのめした程度じゃ、またこいつは新しいポケモンを奴隷にして同じことを繰り返すだけだ」
うんうん・・・と頷いた虐彦はぴたりと止まった

59トレーナーの心得 4/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/02/23(木) 02:22:11 ID:mgxkh5NQ0
「お、おい、まてよ、何を言って・・・」
虐彦が言うのを無視して屈強な男は続けた
「こいつは、生きてちゃならねぇ!」
兄の決断に弟は頷いた
「ドサイドン、アームハンマーだ・・・潰せ!」
ドサイドンは頷き、虐彦へ接近を開始した
「ひぃ、や、やめろ!わ・・・分かった!弁償する!いくらだ!?いくら欲しい!?
でかい金の玉なら10個でも100個でもくれてやる・・・!」
屈強な男とサザンドラ、痩せ男とヘルガーはかぶりを振った
屈強な男はつぶやいた
「やれやれ・・・てめぇって奴は・・・正真正銘のドクズ野郎だな」
虐彦の背後にサザンドラとヘルガーが回り込む、逃げ場はない
ドサイドンはさらに一歩手前まで近づくと、その両腕を振り上げた
「まて、まてったら!金じゃないなら詫びか!?分かった!わび状を100枚でも1000枚でも書いてやる!
指だって詰めてやるから、命だけは助けt」
ドゴォ!!!!
ドサイドンの両腕が振り下ろされ、虐彦の醜い声は永遠に止まった
「てめぇはそうやって命乞いしたポケモンを何体殺したと思ってやがる・・・ったく」
屈強な男は虐彦だったものを見下ろして言った
ドサイドンは穴を掘り、虐彦だったものを地中へ埋めた
「おじちゃん!パパ!」
小さい少女--3歳くらいの--が二人のところへ駆け寄ってくる
その時、屈強男のポケットからピジョットが飛び出した
「!?」
少女は覚えている、そのポケモンが自分のタブンネを殺した個体であることを
ピジョットは少女を見つめ・・・目を閉じた
さっき少女の叔父に言われた事はピジョットには分かっていた
トレーナーの虐彦に全責任があるとはいえ、ポケモンたちを手にかけてきた
ピジョットの罪が帳消しになるわけではない
この場でその少女は、ピジョットを好きにする権利がある
たとえ殺されても恨まない、そうピジョットは決意していた
しかし・・・少女はそっとその首に腕を回した
「おじちゃん、この子、私にちょうだい」
「ん、ああ、いいぞ・・・っていうか、オレのじゃないし
元の持ち主も所有権を放棄したからな」
「ありがと!これからよろしくね、ピジョット!」
ピジョットは初めて人のぬくもりを知った
ピジョットの目から、涙が流れた

それから十年後、左ほおに火傷のあるピジョットを連れたポケモントレーナーの少女によって
その地方に出現し暴れまわっていたポケモンマフィアが壊滅することになるが・・・
それはまた別の話

(おわり)

60積むは難く崩すは易し 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/03/08(水) 03:33:11 ID:KXhneKMQ0

「へいらっしゃい!安いよ〜!!」
ここは、とある町の老舗の魚屋
親子代々続いて、彼の代で20代目になる
その歴史が彼の自慢だ
その日も魚屋は商売に汗を流していた
「ゴメンクダサイ」
そこへ、名札のついた首輪を付けたちびしぃが来た
「・・・・・・」
20代目は顔をしかめた
彼はしぃが苦手だった
アフォしぃに魚を盗まれたことは一度や二度ではない
そして過去に彼は、勘違いで無実の飼いしぃを捕らえたことがあった
すぐにそのしぃの飼い主が駆け付け、真犯人を捕まえた上で
しぃを奪還されたが・・・もし飼いしぃが死んでいたら
店はつぶれていただろう
だからこそ彼はしぃが嫌いだった
「コレヲクダサイ」
ちびしぃは真鯛を指さして財布から万札を出した
20代目の心に黒い感情が湧いた
「足りないな」
「ゴ、ゴメンアサイ、スグご主人様ニ・・・」
「馬鹿野郎!!」
魚屋はちびしぃの頬を張り飛ばした
「足りない分は働いて稼ぐんだよ!!」
足りないというわけはない
むしろお釣りがくる金額だ
しかし、彼はちびしぃが生意気に思えた
たかがしぃの分際で真鯛などという高級魚に手を出したことが許せなかった
それが彼女の飼い主からの指示である可能性など、彼の頭にはない

3時間後、日はすっかり暮れた
ちびしぃはヘトヘトだった
重い魚の入った箱をいくつも運ばされ、少しでも遅いと
拳骨と蹴りが怒声と共に飛んでくる
それでもちびしぃは、ご主人様を喜ばせたくて
初めてのお使いを成功させたくて、必死だった
「よし、これで今日は店じまいだ」
魚屋の魚はすっかり売れた、ちびしぃが指さした真鯛も含めて
「アノ・・・オサカナ・・・」
「あ〜、待ってろ」
魚屋は店の中に引っ込み・・・痛んで廃棄予定のブリを持ってきた
「ほれ、持って帰れ」
「アノ、コレジャナイデス、御主人様ハ赤イ魚ヲ・・・」
「ごちゃごちゃうるせぇ!!」
魚屋はちびしぃを蹴飛ばした
「これが今日のお前のバイト代なんだよ!黙って持って帰れ!!」
ちびしぃはヨタヨタと大きなブリをかかえ、フラフラと歩きだす
数歩ほど歩いたところでバランスを崩して転倒した
疲労と、魚屋から加えられた暴行が彼女から体力をごっそり奪っていた
それでもちびしぃは地面に落ちた腐ったブリを抱えて持ち帰ろうとした
ご主人様に喜んでもらうために
魚屋はそんなちびしぃの背に右足を乗せ、圧迫した
「ざまぁw」

61積むは難く崩すは易し 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/03/08(水) 03:40:29 ID:KXhneKMQ0
「この野郎!!」
魚屋は急に強い力で前に突き飛ばされ、宙を舞った
「大丈夫か!?しっかりしろ!!」
男は魚屋に踏みつけられていたちびしぃを抱き起す
「てめぇ!!なんでこんな事した!?」
「ご・・・ごは・・・」
魚屋は地面に落ちたはずみで背中を強打してしまい、悶絶して返答どころではない
「なんでやったって聴いてんだよ!!」
男は魚屋の胸倉を掴んで引き起こした
「な・・・なんだよあんた・・・」
「このちびしぃの飼い主に決まってるだろが!!帰りが遅いから来てみれば・・・なにやってんだてめぇ!!?」
魚屋は剣幕におびえつつ、しかし言葉を絞り出す
「そいつの持っていた金じゃあの魚は買えない、だから足りない分を働いてもらって・・・」
しかしその主張は、飼い主の怒りの火に油を注ぐだけだった
「はぁ!? 金が足りないならなんでオレに連絡寄こさなかった!?
こいつの名札に連絡先が書いてあるだろうが!!」
「そ・・・それは・・・」
飼い主の主張はまっとうなものである
ちびしぃを拘束した上にこき使ったのは明らかにやり過ぎだった
「で、一万円より高い魚ってのはどれだ?」
20代目の背筋に冷たい汗が流れた
そんな高級魚など、ない
ちびしぃが買おうとした真鯛も、せいぜい3,000円である
「どれかな〜、オレは”赤くて立派な魚を買ってきて”としか言ってないからな〜
ひょっとしてクロマグロ並みの高値の魚でも見つけたのかな〜」
完全に棒読みの飼い主は、目と口元が全く笑っていない
彼の視界にあるどの値札も、一万円もする高値は皆無だった
「ひょっとしてこれかな〜」
魚屋の顔が青くなる
飼い主の手には、ちびしぃに渡した腐ったブリがあった
「へぇ〜、オレには腐ったブリにしか見えねぇが、一万円以上する高級食材なのか〜」
飼い主は魚屋を睨みつけた
このままでは怒った飼い主にボコボコにされる・・・
魚屋は必死で自己弁護の言葉を出した
「け、けど、これは罪にはならない・・・・・・オレはしぃを痛めつけただけだ・・・」
魚屋の一言は、飼い主に残っていた最後の情けを消し飛ばした
「だろうよ!人のペット傷つけたらせいぜい器物破損だものな!!
けどな、いいか!!てめぇのした事全部洗いざらい町中にぶちまけてやる!!
二度と商売できると思うな!!!!」
飼い主は腐ったブリを魚屋にぶつけると、ちびしぃを抱えて去っていった


翌日の新聞に魚屋が飼いちびしぃを暴行したことが載った
さらに、SNSなどで魚屋のやった事はどんどん拡散していった
三日後には全国ネットのテレビのニュースになり、報道陣が魚屋に詰めかけた
魚屋は終わった
虐待魚屋というレッテルと悪評は
またたくまに町中どころか国中を駆け巡り
ぱったりと客足は途絶えた
事件からわずか一週間後、老舗の魚屋は閉店し、その長い歴史に幕を下ろした
20代目主人の愚かな行動が招いた、愚かな結末
初代から代々積み重ねてきた顧客からの信頼も土地での信用も
たった一つの事件ですべて水泡に帰したのだ
その後、魚屋は町を追われるように去っていった
彼の行方を知る者はいない

(おわり)

62目-eyes- 1/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/03/22(水) 04:18:10 ID:dXLaOkio0
※ホラーゲーム[Eyes – the horror game]とクロスオーバーSSです


「この家か」
虐厨の虐雄と虐次は、とある一軒家の前にいた
2階建てで地下一階まである、大きな屋敷だ
理由は虐雄は知らないが、長い事空き家になっている事と
中に前の主が残した金銭や宝石類があること
そして・・・この館に挑んだ者が行方不明になっている事が分かっていた
行方不明になる理由は虐雄は知らない
「夜中に窓を横切る髪の長い女性がいた」「生首が窓からこっちを見ていた」といった
眉唾物の噂だけが独り歩きし、いつしか心霊スポットとして有名になっていた
そのせいで金銭目的の空き巣だけでなく、肝試しに来た者たちも多くがこの家に飲み込まれていった
が・・・二人はその行方不明を単なるウワサだと結論付けていた
それに何より、屋敷に眠る金目のものと、ここを根城にしているだろう「被虐生物」虐待の欲求が
二人を行動に突き動かした

ドアはすんなりと開いた
もちろんこれは違法行為であり、他人に見つかったら罰せられる
しかし二人は「バレなきゃいい」の一言で考えが一致していた
虐厨二人は手分けして館の探索を開始した
虐雄は1階を虐次は地下を手分けして探索する
「?なんだこれ?」
虐雄は館のあちこちで「目」の落書きを見つけていた
それが何なのか虐雄は分からなかった
侵入者の落書きだろうと結論付けて探索を続ける
しばらくして・・・虐次から連絡が来た
「どうした虐次? お宝でも見つかったか?」
「ひひひ!お化けの正体見たり、アレは”ゆっくり”だ!」
虐次は興奮した様子でそう言った
どうやら、ウワサのモノと遭遇したらしい
「ゆっくりだけじゃねぇ、ついさっきもチュンチュン一家を殺せたぜ・・・ここは天国だ!」
「・・・・・・アアアアアアアアアアアア・・・・・!!」
虐雄はふと、聞こえてきた声に---虐次以外の何ものかの声に--寒気を覚えた
「虐次、そこからすぐ離れろ!なんかヤバイ・・・」
「ちょっと待ってろ、叩き潰してや・・・ひぎ!!腕がぁぁぁ!!」
余裕だった虐次の声が悲鳴に変わった
「た・・・たすけ・・・ぎゃあああああああああああ!!!」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
虐次の悲鳴と・・・何者か分からない、「声」を最後に
虐次からの通話は切れた
そして・・・二度と虐次から連絡がくることはなかった

63目-eyes- 2/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/03/22(水) 04:21:37 ID:dXLaOkio0


虐雄は地下へ向かった
虐次の事が気がかりだったし、彼が何を見たのか少し興味があった
「ヤン?」
虐雄は声のした方を恐る恐る見る
「なんだ・・・のんたぬかよ」
虐雄のライトにのんたぬの親子が照らされた
虐雄は落ちていた鉄パイプを拾うと、親子へ襲い掛かる
わずか5分で親子は殺された
「!!!!」
母のんたぬは最期に声高く叫んだ
虐雄は長年の知識で知っていた、それは断末魔ではない、仲間を呼ぶための「信号」だと
「へへ、いいぜ、返り討ちにしてやる!」
虐雄は火かき棒を握り身構えた
ガタガタガタガタ!!
「!?」
廊下の箱が勝手に震え、音を立てる
箱だけではない、そこら中に落ちている物が勝手に揺れ、振動していた
「なんだ? ゆっくりの仕業か?」
虐雄は己を鼓舞した、これはゆっくりの悪戯だと
ゆっくりの中には、こういった不可思議な力を使うものもいた
だから・・・怖くない!
「・・・・・・アアアアアアアアアアアア・・・・・」
しかし・・・虐次と最後に交わした連絡、その時に聞こえた「声」
それが徐々に近づいていた
虐雄は好奇心で、声のした廊下の先へライトを照らし・・・
次の瞬間、回れ右して全力で駆けた
ライトに照らされたものは「ゆっくり」ではない
内臓を引きずりながら飛ぶ、髪の長い女の「生首」だった
しかも口は耳まで裂け、開け放たれた口には鋭い歯が並んでいた
その目は・・・人間にはあり得ないほど恐ろしいものだった

64目-eyes- 3/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/03/22(水) 04:30:11 ID:dXLaOkio0

「・・・・・・アアアアアアアアアアアア・・・・・!!」
声はまっすぐ、虐雄を追跡している
虐雄はめちゃくちゃに走り回り、階段を上り、部屋の一つに駆け込んで鍵をかけた
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
息を必死で整えながら虐雄はここへ来たことを後悔していた
冗談ではない
聞いていない、あんなバケモノが徘徊しているなど
アレはゆっくりなどではない、そんな生易しいものじゃない
知っていたら、たとえ大金を積まれてもこんな所には来ていない
アレに捕まったらどうなるか・・・虐次の断末魔が思い出された
ガタガタガタガタ!!
室内の調度品が揺れ始める
「・・・・・・アアアアアアアアアアアア・・・・・」
「ひぃ!?」
虐雄は背を預けていたドアから飛びのいた
ドア越しにアレの声が聞こえた
徐々にそれは近づいてくる
そして・・・遠ざかっていった
声が遠ざかると室内の調度品の揺れも収まっていく
虐雄はやっと一息ついた、そして泣いた
もう金目の物などどうでもいい
一刻でも早くこの屋敷から逃げたかった
だがしかし、今出ていく気にはなれなかった
幸い、逃げ込んだのは窓のある部屋だ
このまま朝になるまで待って、朝が来たら脱出しよう
あのバケモノも、まさか日中は出てこないだろう
そう決めると虐雄は息を殺してじっと待った

65目-eyes- 4/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/03/22(水) 04:40:17 ID:dXLaOkio0
時折アレが巡回してきて室内の調度品が揺れ、
「・・・・・・アアアアアアアアアアアア・・・・・」
部屋のすぐ外でアレの声が聞こえる
そんな地獄を何度繰り返しただろう・・・
やがて暗かった空が白くなりはじめ・・・太陽が昇り
日光が室内を照らし出す
「・・・よし!」
虐雄はドアの鍵を開け、部屋の外に出た
バケモノはいない
虐雄は慎重に出口へ向かう
地下へは行かない
虐次の死体は回収したいが、あそこをバケモノがねぐらにしていない保証はない
虐雄は階段をそっと降りて一階の出口へ・・・
あと一歩のところで、出口のすぐ前で子ゲルゲと一緒に朝の体操をしているイチゲルゲを見つけた
そして虐雄は・・・虐厨のサガに逆らえなかった
虐雄はイチゲルゲを蹴飛ばし、子ゲルゲを踏みつぶした
そしてイチゲルゲを右手で握って握りつぶす
「オネエザンンンンンン〜〜〜〜〜!!!!」
断末魔の代わりにイチゲルゲは叫んだ
「・・・・アアアアアアアア・・・」
地下からアレの声がし、徐々にそれは近づいてきた
虐雄は失念していた
虐次はなぜアレに見つかったのか?
オレはどうしてアレと遭遇した?
全ては「被虐生物に手を出した」時、その断末魔がアレを呼んでいた
どうしてアレが被虐生物の声に反応しているのか、
バケモノにとって被虐生物は愛しい対象なのか
それとも侵入者を探るための警報代わりに飼っているのか
虐雄にはもうどうでもいいことだ
鍵のかかった出口からの脱出を諦め1階奥の部屋に駆けこむ
最初の探索の際、そちらに大きな部屋がある事が分かっていた
ドアに駆け込んで鍵をかける
あとはアレをやり過ごすだけ・・・

66目-eyes- 5/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/03/22(水) 05:09:27 ID:dXLaOkio0

「ア?」
虐雄はふと、声を耳にした
ゆっくり声のした方を向く
目の前にアレが浮いていた
後ろ半分を壁に入れたまま
そして思い出す
目の前のアレは化け物だ、壁抜けをしても不思議ではない
さらに、アレを呼びよせる被虐生物をまだ持ったままだと
そして・・・本当にヤバイモノは、昼間でも関係なく出没するという知識を
バケモノはゆっくりと壁をすり抜け、虐雄の体の正面に回り込む
「あ・・・・・・あああああああ・・・」
虐雄の手からイチゲルゲが落ちた
バケモノはそれを見て・・・虐雄を見た
その目は・・・心なしか、怒っているように見えた
確実な事は一つ、虐雄は”詰んだ”のだ
ソレは口を大きく開いた
それが虐雄のこの世で見た最期の景色だった



「ここか、お宝のある屋敷ってのは」
「それだけじゃないぞ、行方不明の虐雄たちを探さねぇと」
三日後、虐雄の知り合いの虐厨三人が屋敷へやってきた
「・・・ん?」
虐厨の一人が視線を感じて上を見上げる
「・・・・・・気のせいか」
三人は屋敷の中へ入っていった



今日も屋敷はそこに建っている
生贄となる侵入者を待ちながら


(おわり)

67実況中継生放送! 1/7 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/04/10(月) 04:08:02 ID:mN3PXEZM0
「起きろオラァ!!!」
男の罵声で虐厨の虐信は目を覚ました
寝ぼけた頭を必死に覚醒させつつ、周囲を確認する
幸い手足は縛られていない
家具も窓もない、天井の蛍光灯だけが照らす部屋だ
壁も天井も床も剥き出しのコンクリートで覆われ・・・
血液らしきものが飛び散った痕があちこちに着いている
置いてあるのは大型犬用の鉄格子でできたケージと
人気動画サイト「ニカニカ動画」の画面が映るノートパソコン、その隣の大きなバッグ・・・
そして、虐信の目の前には「イチゲルゲ」という生物のお面を付けた男がいた
半袖Tシャツにジーパン、スニーカーというラフな格好で、
露出している腕と首は太く、筋肉で覆われていた
胸板は厚く盛り上がり、肩幅は虐信の倍はある大男だ
虐信は状況と、ここに運ばれてきた経緯を必死で思い出す
あれは・・・日課と化していたゲルゲの誘拐と虐殺をしていた時だった
野良や野生のものではない、人が可愛がっている「飼い」を
虐待する事が彼の最大の楽しみだった
「飼い」は人に対する警戒心が薄く、痛みにも弱い
何より可愛がられていたそれを赤の他人の自分が壊す事
その遺体を見た時の飼い主たちの絶望と悲憤が虐信には楽しくて仕方なかった
だがしかし、彼は----こういう趣味を持つ虐厨たちは-----完全に失念していた
「人の物に手を出す」という事は、その人物への「最大級の敵対行為」に他ならないという事を
当然こんな事をして恨みを買わないわけがない
彼らにとっては使い捨てのオモチャでも、飼い主たちにとってはかけがいのない家族の一員
そして飼い主たちは「人間」である、三歩歩いてすべてを忘れる鳥頭でもなければ
全てを知った上でそれでもなお許す聖人君子でもない
孫であり子であり妹であり弟であるゲルゲを失った飼い主たちが
犯人を血眼になって探す事を、お花畑頭の彼らはまず想定しない
「ゲルゲごとき、また買うか拾うかすればいい」と割り切っていたからだ
さらに、彼らは飼い主---「愛護」と虐厨は呼んでいる---を甘く見過ぎていた
虐厨達の”頭の中”では「愛護」は弱く無力でろくに抵抗のできない頭の弱い生物だった
だから、「たとえ恨みを買ったとしても痛くもかゆくもない」「殴りかかってきても返り討ちにできる」
そんな根拠のない自信を彼らは持っていた
当然の帰結として飼い主に報復されたり、あるいは捕まり警察に突き出される虐厨は後を絶たない

68実況中継生放送! 2/7 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/04/10(月) 04:09:55 ID:mN3PXEZM0

話を戻そう、虐信はいつものように大型スーパーの前にあるキッズスペースで遊んでいた飼いゲルゲを誘拐した
彼は知らぬことだが・・・ここで遊ばせていたゲルゲが行方不明になる事件が頻発していたため(もちろん彼の功績である)、
そこには防犯カメラが設置されていた
そして、彼がゲルゲをカバンに入れて立ち去る様子がばっちりと録画されていた
それは、飼い主が店にゲルゲの行方不明を訴え出たことで飼い主と店長に見られることになる
録画には犯人の服装や背格好、顔に至るまで鮮明に映っていた
その翌日、遺体となってスーパーの前に捨てられていたゲルゲを見た飼い主は激怒した
銀行からゲルゲの育成費用として貯めていた2000万円を下ろし、
犯人につながる有力な情報には10万円、犯人を生け捕りにした場合は100万円を支払う事をネットで公表した
その結果、まぬけにもまたキッズスペースで別の飼いゲルゲを誘拐したところを
子供たちの保護者を装って張り込みをしていた賞金稼ぎたちに見られ・・・彼らに追い回された末に捕獲された
虐信の記憶はそこまでである
「どうしてここに連れてこられたか、言わなくても分かるな?」
「うるせぇ!クソムシが殺されたくらいで大騒ぎしやがって!!ここから出せ!!」
次の瞬間、ゲルゲ男の右拳が虐信の顔面にめり込み、虐信は背後の壁際まで吹っ飛んだ
「理由は分かっているし恨まれているのも自覚している、だが反省はしていない・・・と言いたいのか?」
虐信は激痛で床の上に突っ伏した・・・返事のできる状態ではない
ゲルゲ男は虐信に歩み寄ると、その頭を右足で踏みつけた
「ここから出せ、という願いは聞けない。てめぇは二度とここから生きて出る事はない。」
「な・・・なんでだ・・・ごごまでざれるごと・・・じだおぼえ・・・」
「ないとは言わせねぇよ!てめぇは一体どれだけの人間を苦しめた!?
レポートを見た時はオレも驚いたぜ、ここまででかい被害を一人で出した虐厨は見たことがねぇからな!!」
二人の様子を部屋の壁に設置されたカメラがじっと見ていた

69実況中継生放送! 3/7 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/04/10(月) 04:13:49 ID:mN3PXEZM0
と、いうのは・・・話は6日前にさかのぼる
虐信の捕縛はすぐさまネット上を駆け巡った
そして、彼にゲルゲを殺された飼い主たちの知ることになる
長い期間犯行を重ねてきたため、その数は100を超えており・・・
虐信捕縛の主導者となった飼い主のところへは感謝のメールと虐信への怒り、彼への厳罰を望む声が多く届いた
中には大金を振り込む準備をし、「金を払うから虐信を自分に殺させてくれ」と懇願する者も少なくなかった
ネット上での議論の末、みんなで金を出し合い「専門業者」を雇う事にした
ゲルゲ男こそが、その金で雇われた「専門業者」である
依頼を受けたゲルゲ男はレポートを見て思わず真偽を疑った、次に被害者の数に驚き
自身の銀行口座に転がり込む予定の金額に目を剥いた
そして、殺されたゲルゲたちの遺体の写真と飼い主たちの懇願を聴き・・・その怒りは頂点に達した
男はネットにつながるカメラ付きの部屋を用意した
虐信を部屋に転がすと、「ニカニカ動画」の生放送につながるカメラに向かってこう言った
「どうも、虐厨仕置き業者”虐厨バスターズ”通称”ギャクバス”責任者です。
今回はイチゲルゲのお面で失礼します。部屋に転がっている虐厨は・・・」
ゲルゲ男はレポートを読み上げ、虐信の犯行を一部始終カメラに向かって暴露した
男の傍のノートPCの画面には
「ひどい!!」「飼いに手を出すバカは虐待派にあらず!」「殺せ!!」といった
怒りのコメントが流れていく
男は「よし」と小さくつぶやくと・・・
「起きろオラァ!!!」
虐信を起こした
そして、今に至る

「さて、オレはこれからお前を痛めつける、徹底的にな。お前が人の飼いゲルゲにしたことをそっくり返すぜ。」

70実況中継生放送! 4/7 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/04/10(月) 04:18:32 ID:mN3PXEZM0


そして、さらに6時間ほどが経過した
「まぁ初日はこんなもんかな」
男は殴る蹴るの暴行を受けてボロボロになった虐信を見下ろしながらつぶやいた
「こ・・・ごろじでぐで・・・」
「ああ、殺してやるよ。だがそれは今じゃない・・・見ろ」
男は分厚い紙束---「リスト」---をパソコンの横のバッグから取り出した
それには虐信が今まで攫った飼いゲルゲに加えてきた暴行の数々が記されている
そして、リストの1ページ目の1/8くらいが赤い線で覆われていた
それが今日、虐信に加えられた暴力のすべてである
つまり、今日虐信に加えられた暴行は、まだまだ続く拷問メニューのオードブルですらないのだ
「このすべてを消化しきったら地獄へ送ってやる、それまでは絶対に殺さないし死なせねぇ。」
男は虐信の手当てを始めた
乱暴に外れた関節を元に戻し、傷口に消毒液をかけ、痣に湿布を貼る
虐信が痛みで悲鳴を上げようと、男には関係ない
手当てを終えるとバッグから出した栄養剤入りの注射を虐信に打ち、
男は虐信をケージへ放り込んだ
「後で食事を持ってきてやる。糞と小便はケージの中の壺にしろ」

その日、虐信は男への復讐を胸に誓いふて寝した
「起きろオラァ!!!」
彼は翌朝、男の怒声で目を覚ますまで熟睡していた

その日から、睡眠と食事だけが虐信の安らげる時間になった
地獄は続いた
殴る蹴るは当たり前、水槽に沈めたり酸をかけたり火であぶったり高温の鉄板に乗せられたリ・・・
時には致死量にギリギリ満たない程度の毒物を口から流しこまれる事もあった
これらは全て虐信が攫ったゲルゲたちにやってきた事である
しかし、どの暴行も虐信が死なないよう、治療可能な負傷であるように手心が加えられていた
ゲルゲたちは死んだが男はまだ虐信に死んでもらうわけにはいかない
「リストの虐待すべてを虐信に施術すること」が依頼内容の重要事項であるからだ

71実況中継生放送! 5/7 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/04/10(月) 04:21:20 ID:mN3PXEZM0

そして・・・
「さて、お前との付き合いもだいぶ長くなったが・・・今日で終わりだ」
虐信が男に捕まって半年が過ぎていた
と言っても、もはや虐信に時間感覚などない
自分がゲルゲに行った数々の虐待をじっくりと「お返し」された虐信は、ケージの中で震えるだけになった
その体がボロボロなのは言うに及ばず
毛髪は真っ白になり所々ストレスで抜け落ちている
歯は抜き取られて一本もなく、舌も傷だらけだ
少しの物音にも怯え、出された食事(歯がなくても食べられるペースト状のもの)にも手を付けられない
しかし、男の管理は徹底していた
食事をしないならと睡眠薬で眠らせ、その間に必要な栄養の入った点滴や注射を施した
日々の虐待も虐信の精神が完全に壊れてしまわないよう計算し、
絶対に死なないように細心の配慮をしていた
しかし、それも今日まで
リスト最終ページは真っ赤な線で覆われていた・・・最後の一行を除いて
「・・・あ〜・・・なんだ、お前本当にコレやったのか・・・?」
虐信は壊れた人形のように首を横に激しく振った
「嘘つくんじゃねぇよ、往生際悪いぜ」
リストの最後、そこにあったのは・・・「鳥葬」
ただし死体を猛禽類に食わせる葬儀ではない、
生きたゲルゲに鳥が好むジュースを振りかけて台に固定する虐待だ
すると、自然に鳥がやってきてゲルゲをついばむ
虐信はついばまれるゲルゲの悲鳴と、その結果できた無残な死骸
それを飼い主の目につくところへ置き去りにして、飼い主が悲鳴を上げる様を
眺めるのがとても好きだった
しかし、虐信は今それを心底後悔していた
それを今からされるのはゲルゲではなく自分だ
そして、男は「これで最後」と言った
つまり、これで虐信が死のうと男にとってはもうどうでもいいのだ
「・・・ナザイ」
「ん?」
虐信はケージの中で土下座した
「ごめんなざいごめんなざいごめんなざいごめんなざいごめんなざいごめんなざいごめんなざいごめんなざい!!
人様のゲルゲに手を出じでごめんなざい! 飼い主につらい思いをさせてごめんなざい!!
反省じまず!!二度とやりまぜん!!!だがら、命だげは・・・!!」
しかし、そんな虐信を男は冷たい目で見下ろした
「やっと反省したか・・・けどな、信じられねぇよ。どれだけのゲルゲを手にかけて
どれだけの人間の心に傷を負わせたと思ってやがる・・・」
男の返答に虐信は絶望した・・・どれだけ謝罪しようとも男は虐信を許す気はないのだ
「それにな、お前ら虐厨は反省なんてしないんだよ。経験して分かってるんだ。
そうやって命乞いして、見逃してやった虐厨が次の日にはもう同じこと繰り返してた事があってな。
そういうわけでお前らの口約束は信用できねぇんだ。恨むなら人の飼いに手を出したてめぇ自身と
オレとの約束をあっさり反故にした過去のバカ虐厨を恨むんだな。」

72実況中継生放送! 6/7 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/04/10(月) 04:24:32 ID:mN3PXEZM0

その時、コンコン、と部屋のドアがノックされる
「お、来たか」
男は虐信に背を向けて部屋のドアへ向かう
ドアが開き、頭に大きなハゲワシを乗せた・・・・
「子供?」
男の1/4ほどの身長の少女が入ってくる
「ひひひ、あたしの子供たちの助けが必要って聞いたけど・・・こいつがそう?」
「ああ、来てくれて助かる」
男は虐信に少女を紹介した
「虐信、この人はオレの知り合いの”後始末屋”だ」
「ひひひ・・・よろしく、あたしの子供たちの御飯ちゃん♪」
虐信は少女の発言を聞き、男を見た
「この人は主に”死体の始末”をする仕事人なんだが・・・今日はお前のためだけに特別に来てもらった」
「ひひひ・・・」
少女は笑うと口笛を吹いた
すると・・・開け放たれたドアからゾロゾロと少女の頭の個体に比べると小ぶりなハゲワシの群れが入ってくる
「よ・・・よせ」
ハゲワシたちはじっと虐信を見つめていた
そして男はケージ正面に近づき、格子にある出入り口のカギを開けようとしている
「あ、そうだ・・・瀕死にしといた方がいいか?」
「構わないよ、あたしの子供たちは”狩り”も得意だからねぇ」
二人の会話は、虐信に恐怖しか与えなかった
「やめろ・・・やめてくれ・・・なんでもするから・・・」
男は懇願する虐信を見下ろして言った
「そうやって命乞いしたゲルゲを・・・飼い主の名を言いながら、助けを叫んだゲルゲを・・・
てめぇは一体何体殺してきたんだよ!!」
男は出入り口を開けた
虐信とハゲワシを隔てていた唯一の壁である鉄格子がなくなる

73実況中継生放送! 7/7 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/04/10(月) 04:29:44 ID:mN3PXEZM0
「さぁお前たち、食事だよ!」
「ギャー!」
少女の頭の大ハゲワシが鳴いた
子ハゲワシたちは一斉にケージに殺到する
「いぎゅあおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
次々とハゲワシは虐信に群がり、その髪を、鼻を、耳を、目玉をついばんだ
虐信は腕を振り回したが、その腕にもハゲワシは飛びかかり、肉をちぎっていく
性器に肛門に腹にも群がり、内臓を引き出しては仲間同士で奪い合うように
胃の中へ納めていく
「いつ見ても、圧巻だな・・・」
「これ、ケンカするんじゃない、仲良くお食べ!」
「ギャー」
目を失った虐信は、凄まじい苦痛の中で死んだ
その魂は肉体を離れ、やっと苦痛から解放された
が・・・
「おお、出てきた出てきた、さぁお食べ」
少女の頭の上の大ハゲワシはその魂に飛びかかった
虐信の魂は大ハゲワシに飲まれ、その胃袋へと落ちた
「さて、ここは任せたよ・・・あんた、あたしたちも食事にしようじゃないか」
大ハゲワシを頭から降ろし、少女は男を見上げながら言った
「毎回思うんだが・・・コレ見た後でよく飯が喉を通るな」
「? あたしは子供たちにいっぱい食べさせているだけさね?」
男と少女が部屋を出て行った後も饗宴は続いた
虐信は骨すら残さずこの世から消滅した
魂も大ハゲワシに消化され、二度と転生する事はない

虐信の最期はもちろん生中継された
悪逆の限りを尽くしたその虐厨の最期を同情する者はなく
「もっとやれ!」「そこだ食いつけ!」「ざまぁwww」といった
コメントでパソコンの画面は溢れかえった


それから一週間後
「起きろオラァ!!!」
同じ部屋で虐厨の虐太は目を覚ました
彼は「のんたぬ」や「チュンチュン」を襲う「飼い専門の虐待厨」だった
虐太の目の前には、アイドルグループのメンバーの一人のお面をつけた
屈強な男がいた

虐厨がいる限り、虐厨バスターズの仕事はなくならない
今日も彼は虐厨を痛めつける
それが彼の仕事であり、彼はそれに誇りをもって取り組んでいるのである
「どうも、虐厨仕置き業者”虐厨バスターズ”通称”ギャクバス”責任者です。」
彼が始めた実況も「ニカニカ動画」で毎回好評となり、
再生回数もコメント数も毎回記録を更新する有名な動画投稿者になったという


(おわり)

74クソムシたるもの 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/02(火) 20:43:51 ID:lbh0jVec0
※虐厨以外の生命が殺される表現あり

ここは、海辺に近い場所にある公園
ベンチや遊具があり
人々が憩いの場にしている、そんな場所だ

グシャ!
「けっ、オレの弁当取ろうとするからだよ!」
虐厨が一匹、たまたま足元にいたミニイカ娘を踏みつぶしていた
もちろん「弁当を盗もうとした」などというのは言いがかりである
ミニイカ娘はただ虐厨の体に止まったハエを追い払ってあげようとしただけであり
害意など一切ない
『・・・変なのに出くわしちまったな・・・』
そこに居合わせた散歩中の飼い主とミニイカ娘が一匹いた
二人はそっと場を離れようと公園の出口に向かう
「おい!そこのお前ら!」
虐厨はその場を目撃して離れようとしたミニイカ娘たちに声をかけた
「なにしてんだ? あ?」
「なんだよ、オレたちはなにもしてな・・・」
「アイゴは黙ってろ!!www」
虐厨は飼い主を殴り飛ばして黙らせると、ミニイカ娘に詰め寄った
「なにするんでゲショ!ご主人様は何もしていないでゲショ!!」
「お前だよ、お前が不快なんだよ!!www」
「ゲショ!?」
「てめぇらミニイカは、人から弁当を奪う!生ごみを漁る!エビしか食わないわがまま放題の
クソムシなんだよ!wwwwwそういう設定なんだ!!www」
全くの言いがかりだった
この「設定」は、虐厨どもの頭の中で勝手に組みあがった話であり、
一般市民やその飼いミニイカ娘どころか、野生のミニイカ娘ですら与り知らぬものだ
これを知ることができる手段は、エスパーにでもなって虐厨の頭の中を
直接のぞき見する事くらいしかないだろう
「そんな事ないし、しないでゲショ。私はご主人様たちと・・・」
「それが気に入らねぇんだよ!媚びやがって!!」
グシャリ!!
虐厨は完全に言いがかりとしか言えない因縁をつけて、ミニイカ娘を踏みつぶした
「あ〜あ、クソムシのクソ体液で靴が汚れちまった!www」
虐厨は倒れている飼い主の体で靴を拭くと、公園を後にした

75クソムシたるもの 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/02(火) 20:56:37 ID:lbh0jVec0
三日後、その虐厨の身柄は屈強な男たちと共にあった
虐厨は両手を背後で縛られ椅子に座らされている
ここは、虐厨矯正施設の地下に設置された部屋だ
「矯正不可」とされる、どうしようもない虐厨はここに送られる
心の底から反省し心を入れ替える誓いをしない限り、ここからは出られない
なお、今までこの部屋から生きて出られた虐厨は一匹もいない
「さて、どうしてここに連れて来られたか・・・分かるな?」
虐厨が殴り飛ばした飼い主は一命を取り留めたものの、
祖母の代から飼っていたミニイカ娘を失ったショックで自殺した
この事件を受けて対虐厨組織「虐厨バスターズ」が動いたのだ
そして、公園で子供からミニイカ娘を奪って「遊んで」いた犯人虐厨を確保
今に至る
「うるせえwwwクソアイゴが死んだのは奴が豆腐メンタルだったからだろwwwww」
質問役の男は、目の前の汚物を消毒したい衝動を堪えながら続けた
「それだけじゃない。お前、確保された時は子供を襲っていたそうだな?」
「ぎゃはははwww幼い子供に虐厨教育をしてやったんだよwww感謝しろwwwwww」
質問役の男のこめかみに、さらに多くの血管が浮き上がる
「・・・それと、だ、お前は以前からミニイカ娘に自分の頭の中の設定を押し付けて
犯罪を強制させるような事ばかりしていたそうだな?」
「ちがいますwwwオレら優秀な虐厨の設定こそこの世の理なんですwww」
質問役は怒りのあまりめまいを覚えたが、ぐっとこらえて言葉を絞り出した
「・・・最後の質問だ、他人のミニイカ娘に手を出すのは何故だ?」
「えwwwミニイカ娘なんて無差別に殺していいだろwww他人のものだから何?www」
質問役はかぶりを振った
「さてはお前ら、センソークンだなwwwやーいセンソークンwww
AA嵐の分際で自分の事をタナに上げて説教するなwwwww」
「もういい・・・始めよう」
質問役の男は他の男たちの輪の外へ出て行った
そして、それを合図に男たちは手に鞭、棍棒、鉄パイプといった
それぞれが得意とする武器を持って虐厨との距離を詰める
「へ?え?へ?」
虐厨はここでようやく、周囲の雰囲気に気づいた
誰もが憎悪と殺意を放ちながら、虐厨へ近づいていく
「は・・・はは、やってみろよクソアイゴwwwオレは虐待許可証を持って・・・」
「許可証なんざ、ここでは紙切れ以下だドアホ!!」
男の一人が怒鳴りながら虐厨の左足へ鉄パイプを振り下ろした
自分より弱い生物しか相手しない虐厨の左足は一撃でへし折れる
「はぎょおおおぎゃあああああああああ!!!オレの足がああああああ!!!」
続いて釘バットが虐厨の右肩を直撃し、その骨ごと肩を砕いた
男たちはなるべく長く虐厨が苦しむように絶妙な加減をし、決して殺さないように
急所を外しながら的確に苦痛を虐厨へと与えていった

30分後、虐厨は全身の骨を砕かれていたが、まだ生きていた
「さて・・・何を言うべきか、分かってるな?」
質問役の男は男たちを止め、再び声をかける
「ご・・・ごべんあざい・・・」
「・・・そうじゃない」
「暴言でじだ・・・ぜんぞーぐんなんでいっで、ごべんなざい」
「ちがう」
「もうおうぢにがえじで・・・」
「・・・わかってないな、再開」
「どぼぢでえええええ!!!」
再度、虐厨に対する暴力の嵐が吹き荒れる
聞くに堪えない悲鳴を上げて醜い命乞いをする虐厨を見ながら
質問役の男はつぶやいた
「殺したミニイカ娘たちや迷惑かけた飼い主の皆様に謝罪していれば
すぐに楽にしてやったものを」

結局、3日後に敗血症で絶命しても虐厨は被害者たちへの謝罪の言葉は
一言も口にはしなかった
虐厨の遺体は焼却場で燃やされ施設の埋め立て処理地へ廃棄された
だが、「虐厨バスターズ」の仕事は終わらない
すぐまた新たな虐厨が確保され施設に送られてくるからだ
虐厨がいなくならない限り、彼らがヒマになることはないのである

(おわり)

76裏M区 1/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/11(木) 01:03:56 ID:TgU9Fo7k0
ここはS県S市M区海に面した街
ミニイカ娘虐待がはびこる地域だ

数人の少年が一人の少女を足蹴にしていた
やがて、飽きた少年たちは「チくるなよ」と捨て台詞を吐き
去っていく
「・・・・・・もう大丈夫」
少女は体の土を払って茂みに呼びかけた
「ゲショ・・・」
茂みの中から、小さいミニイカ娘が顔を出す
この小さいミニイカ娘は、いじめられていた少女が
一人で海岸で泣いていたところで出会った
小さい体で少女を心配するように覗き込み、触手で涙をぬぐった彼女へ
いつしか少女は心を開いていた
彼女は少女の唯一の話し相手だった
少女の両親は不仲で、いつも喧嘩ばかり
少女の相手などしてはくれない
自宅から離れたこの地域の高校へ一人暮らしをしてまで通う事を決心したのも
その両親から少しでも離れたい一心からだった
学校では少年虐厨グループに「オモチャ」とされ
いじめられる日々、それでも少女は耐えていた
必死に耐えていた
その日、少女はいつものようにミニイカ娘と別れた
その姿を見る、醜い視線に気づくことなく

その次の日、少女はいじめグループに呼び出された
いつものことだ
今日はどんないじめが待っているのか、少女は憂鬱な気持ちで指定された体育館裏へ向かう
「よう、待ってたぜ」
彼らはそこにいた
ピンクのリボンでラッピングされた白い箱を持って
「虐太、ほら、早くしろ」
「男だろリーダー!」
虐太と呼ばれたグループのリーダーはその箱を両手で恭しく持って少女の前に出る
「・・・今まで悪かった」
「え?」
少女は状況が飲み込めない
「俺さ・・・お前の事だけしか考えられなかった、来る日も来る日も・・・
・・・お前を虐めて初めて気づいたんだ、俺の本当の気持ち」
虐太は箱を差し出す
「受け取ってくれ!!」
告白・・・この状況から少女はそう判断した
今までのいじめは、ありがちな「好きな子だからいじめたい」という
恋心が歪に顕現したものだった・・・そう理解した
少女は戸惑いながらも箱を受け取る
「あ・・・ありがと・・・」
「・・・プレゼントだ、開けて感想を言って欲しい」
少女は頷き、箱のリボンを外して蓋を開けた
「い・・・いやああああああああああああ!!!」
「ぎゃははははは♪」
少女は悲鳴を上げて箱を落とし、少年たちは腹を抱えて笑った
箱の中に入っていたもの、それは少女が可愛がっていたミニイカ娘だった
ワンピースは剥がされ帽子は脳ごと抜かれ、腹には爪楊枝が突き立てられていた

少女はどこをどうしていたか覚えていない
いじめグループから走って離れ、気が付けば箱を持って学校の裏山の山奥まで来ていた
「・・・・・・許さない」
少女はぽつりとつぶやいた
少女は生まれて初めて、心の底から相手を憎んだ
殺してやりたいと本気で願った
だが、自分にはその力はない・・・人間のままでは無理だ
ならば・・・・・・人間をやめればいい
少女はミニイカ娘の死骸に接吻をすると、考えを実行するべく山のさらに奥へ向かった

77裏M区 2/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/11(木) 01:11:24 ID:TgU9Fo7k0
翌日から、少女は学校に来なくなった
担任の教師が少女の自宅まで行ったが、誰もいなかった
元々両親と離れて一人で生活していたのだが・・・・・
その両親も少女がどこにいるか知らない様子だった

少女が姿を消して3日後、いじめグループの面々は体育館の裏で顔を見合わせていた
「おい・・・あいつ本当にどっか行っちまったのかよ?」
「クソイカ殺されたのが、よほど堪えたんだろうな」
「まさか、自殺してやしないよな?」
一人の発言に、少年たちは青くなった
もし、少女が自殺していたら事だ
少女の身を心配しているのではない、遺書に自分たちの名前が書かれていた時の事を考えての保身である
「い・・・家出だよ、家出!!」
「そうだよ、きっと今頃オレたちのいないどっかで羽を伸ばしてるって!」
楽観的な観測で不安を押しやることで、少年たちは平静を保っていた

その日、担任教師は警察に少女の行方不明の件で聞かれた帰りだった
彼女の自宅を訪ねて少女の行方不明を知った両親から警察に捜索願が出された
今、教師たちは「いじめはなかったか?」「悩んでいる事はないのか?」といった
教育委員会と警察からの追及を受けていた
担任教師は顔には出さないものの不満だった
彼にとって少女は異分子だった
ミニイカ娘などという害虫を愛でているだけで不快なのだ
いじめグループに少女のミニイカ娘の事をリークしたのも彼である
そもそも彼は少女が虐められていたことを知っていた
知って敢えて放置していた
これまでも似た事はあったが重大事に発展したことはなかったからだ
だから、今回の少女の行方不明は寝耳に水だった
「ったく・・・クズが」
担任教師は少女の事を考え、思わずつぶやいた
たかがミニイカを殺された程度で行方をくらますなと言ってやりたかった
いじめなんてない、自分の教室にはいじめなんて存在しないと面と向かって言いたかった
クズアイゴの分際で・・・
「ゲ〜ショ」
駅のホームの先頭で彼は少女の声を聴いた
すぐ背後に声の主はいる、彼は振り返り・・・見た
「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
彼は思わず後ずさる、当然足元に地面などない
彼はホームから転落した
ちょうどその時、駅のホームに通過予定の貨物列車が入ってくる
貨物列車の鋭い警笛が、彼がこの世で聞いた最後の音だった

78裏M区 3/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/11(木) 01:17:34 ID:TgU9Fo7k0
「おい・・・先公が駅のホームから転落して列車に轢かれたってよ」
「マジかよ」
担任の死で授業が自習になり、クラスメイトが談笑やゲームに興じる中
いじめグループは机を一か所に固めて集まっていた
「ま、ムカつく奴だったしザマァだなw」
「次はあんたたちだよ」
「そうそう、次は・・・・・!?」
いじめグループは声のした方を向いた
誰もいない・・・周囲ではクラスメイトたちがめいめい話をしたりゲームに興じたりしているだけである
彼らは声は空耳だと結論付けた
その日の帰り道
「ところでよ・・・次はどうする?」
「次?」
「次だよ次、次にいい”オモチャ”はないかって言ってんだよ」
グループの面々は思案した
少女が行方不明になって5日・・・彼らは”退屈”していた
いじめる対象が無い日がこんなにつまらないとは思わなかった
退屈をしのぐために、次に遊べる「オモチャ」が欲しかった
「隣のクラスのC子なんかどうだ? あいつ委員長だからってうるさ・・・」
その少年は最期まで言葉を続けられなかった
交差点に差し掛かった時
彼の体はトラックに跳ね飛ばされて宙を舞い、ブロック塀に突っ込んで無残な肉塊と化す
「ゲ〜ショ」
少年たちは声のした方を見た、今度ははっきりと聞こえた「声」のした方を
トラックの上に、首が妙な角度に折れた少女がいた
半透明のその胸には、あの「箱」
少女は一同を折れた首の先端にぶら下がる頭で見回すと・・・姿を消した

トラックは無人だった
サイドブレーキはなぜか錆びついて折れていた
真っ黒な「ミニイカ娘の墨」がべっとりと付いていたそうだ
警察もトラックの持ち主も首をかしげる不可解な事故
しかし、少年たちは見てしまった、そして知った
担任を殺したのは彼女だと
そして・・・彼女は一人ずつ少年たちを殺すつもりだと
「次はあんたたちだよ」
彼女はそう言っていた
その日から少年たちは少女に怯えて生活する事になった
いつ何が襲ってくるか・・・警戒した
しかし・・・その警戒は無駄に終わる
一人は突如切れた電線にからめとられて感電死
一人は建物にぶつかって落ちてきたカラスの嘴に頭を貫かれ、
一人は風で外れた看板に潰され・・・
次々と不運としか言えない事故で命を落としていった
しかし、彼らは知っている
これは事故ではないことを
だが、どうしようもない
「幽霊に殺されました」など、信じる奴がどこにいる?
そして・・・・・・ついにグループは一人になった

79裏M区 4/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/11(木) 01:20:28 ID:TgU9Fo7k0
最後の一人---虐太---は走っていた
明日は学校を休んででも寺か神社か・・・霊媒師でもいい
とにかくアレをなんとかできる人にすがりつく
いじめの件がバレるリスクが高いが、背に腹は代えられない
少なくとも今は自宅に帰れば安全だ
少年たちは皆、帰宅途中か登校中に死んでいた
分かっていても不登校をするわけにはいかなかった
少女を虐めていたことがバレるのが怖かった
今怖いのは親だけではない
連日の死亡事故でマスコミもちょくちょく来ていた
最悪、全国に名前と顔が知れ渡る・・・それだけは避けたかった
だが、もうそんな事を気にする余裕は彼にはない
バレてもいい、死の恐怖から解放されたい
その一心だった
今のところ自宅に逃げ込めばアレは手を出してこない
それに、アレは今まで姿をはっきりと見せる事はなかった
きっと長時間出現している事はできないんだろう
とにかく今日は自宅に帰って、明日の事は明日考えよう
そう思った矢先・・・
「ゲ〜ショ」
自宅の前にソレはいた
待ち構えていたソレを見て、虐太は腰を抜かし失禁した
ソレは、はっきりと姿を現している
出ても半透明だったその姿は・・・はっきりと見えていたのだ
おかしな角度に折れた首の少女の目が虐太を捉える
虐太は絶叫して自宅前から走り出した
「なんで逃げるの? いつもみたいにいじめればいいでしょ?」
虐太は背後を見た
ソレは折れた首をカクカク揺らしながら一定の速度で追いかけてくる
「ひいいいいい!!来るな!!来るな!!!!」
もう仲間はいない
教師や警察に泣きつこうにも、相手は超常の存在である
どうにかできるはずもない
「いやだ!いやだ!助けてくれ!!」
「ゲ〜ショ、そう言った私をあなたたちは許してくれた?」
「許してくれ!代わりのミニイカを持ってきてやるから!!」
「あの子の代わりなんてないわ、あの子はあの子、唯一無二の私の親友だったのよ」
「うああああああ!!どうしたら許してくれるんだよ!!」
「許しなら、あなたたちが殺したあの子にでも請いなさい」

その日、泣きわめきながら”一人で”手を振り回し全力で駆けていく虐太の姿が
多くの人に目撃された
そしてそれが、生きている彼を見た最後だった

80裏M区 5/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/11(木) 01:24:41 ID:TgU9Fo7k0
どこをどう走ったか・・・虐太は気が付けば学校の裏山の山奥にいた
背後にはあの少女はいない
「た・・・助かった・・・」
逃げのびた・・・そう思って虐太は一息ついてへたり込んだ
ブ〜ン・・・
蠅の羽音と腐敗臭がする
思わず虐太は茂みをかき分けてそこへ向かった
「・・・へ?」
あの少女がいた、目の前に
ただし背を向けて浮いていた
その少女がゆっくりと体ごと虐太へ正面を向ける
虐太はそれを見て・・・意識を手放した


その翌日、少女の遺体が発見された
死後14日、裏山の木で彼女は首を吊っていた
その足元にはミニイカ娘の死骸の入った箱があった
そして・・・なぜかその近くで虐太は死んでいた
口には蛆が詰め込まれ・・・否、
なぜか彼の口の中には、蛆と共にミニイカ娘のイカスミが入っていた
司法解剖の結果、蛆とイカスミは胃袋だけでなく肺や気管支にまで詰まっていた
警察は首を傾げた、どうしてこんな死に方をしたのか・・・?
一体何があれば、こんな死に方をできるのか?

「あいつらは”あの子”に殺された」
事件を知る者であり少女の受けていたいじめを見て見ぬふりをしていた生徒らは
一連の事件をそう結論付けるのに大して時間はかからなかった

その後、その街でミニイカ娘を殺す者はいなくなった
「ゲ〜ショ」
ミニイカ娘に危害を加えると、必ずその「声」が聞こえた
それは警告だ
少女から、生者への
声がしてもやめないと・・・必ず「不幸」がその者を襲う
無人の車に轢かれる、看板が落ちてきて直撃する、ブロック塀が倒れる・・・etc
中にははっきりと少女の姿を目撃した者もいた
霊媒師が出張ったが・・・
「この霊は、神に近い存在になっています・・・祓うのは無理です」
「祓うよりも神社を建てて祀るのが得策かと」
誰もが己の力不足を訴え、除霊不可能を述べた
祟りを恐れた者たちによって少女の遺体が発見された裏山に神社が立てられ、
少女と彼女のミニイカ娘は祀られた
しかし・・・それでもミニイカ娘を虐待する者には容赦なく「祟り」は襲い掛かった
いつしかその地区は「裏M区」と呼ばれ、悪霊が徘徊する街として有名になる
面白半分にそこを訪れ、肝試し目的でミニイカ娘を虐殺して
あるいはミニイカ娘の死体を持ち込んで
「祟り」によって死者の列に加わる者、あるいは行方不明になる者は今も後を絶たない

(おわり)

81死のロシアンルーレット 1/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/15(月) 22:28:03 ID:LpvI0W5c0
「主文、被告人を死刑とする!」
目弟裁判官はいつものようにそう断じた
「ふざけんな!!たかが糞饅頭殺したくらいでなんで死刑なんだ!!!」
被告人席の虐厨は絶叫し、裁判官に掴みかかろうとしたが
その場で警官に取り押さえられた
「被告人の退廷を命じる!」
目弟裁判官は毅然とした態度で暴れる被告虐厨へ告げた

ここは最高裁判所、司法の頂点
ここに勤める目弟裁判官は、虐厨に厳しい事で有名だった
彼の下す判決はほとんどが死刑であり、死刑にならずとも一生を刑務所で過ごす事になる判決ばかりだった
「閻魔の目弟」彼がそう呼ばれるのに時間はかからなかった

「枡込、行ってこい」
S社の週刊誌「週刊虐待」の編集長は新人の記者の枡込に命じた
編集長は、ミニイカ娘と実家で暮らしているが、どちらかというと虐待派寄りだ
ミニ子以外のミニイカ娘は虫けら同然に見ているし、
かつてはアフォしぃ駆除活動にボランティアで参加していたこともある
そんな彼に目弟裁判官の行動は過激な愛護厨が暴走しているようにしか見えなかった
枡込は虐待派ではないものの、目弟裁判官の事はやりすぎすぎると思っていた

82死のロシアンルーレット 2/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/15(月) 22:39:26 ID:LpvI0W5c0
枡込は最高裁判所に取材を求めた
するとあっさりOKが出た上、目弟裁判官が直々に部屋に通してくれた
「そうか、まぁ”ヤツラ”をよく知らない君が疑問に思うのも無理からぬことだな」
事情を聴いた目弟裁判官はそう言うと、裁判の時とはまるで別人のように微笑んだ
「そうだな・・・まず、一人の男の昔話から話そう、長くなるがいいかな?」
枡込は頷いた
「昔、一人の裁判官がいた。彼は性善説を信じる男だった。たとえ凶悪犯であっても慈悲の心を忘れず、
更生してやり直せる機会を与えていた・・・まぁ、おかげで被害者側からは厳しい声が上がっていたがね」
目弟裁判官はコーヒーを一口すすり、続けた
「ある日、その裁判官は虐厨という種族の男が犯した犯罪の裁判を担当する事になった。
その虐厨は法廷の場で殺した生物の飼い主たちに土下座し、裁判官に涙声で反省の弁を述べた。
そして・・・その男は死刑判決を破棄され、無期懲役になった」
ここまではよくある話さ、と目弟裁判官は言って続けた
「4年後、その虐厨は出所した、模範囚だったから刑期が短かったんだ・・・しかしそれは、
いや、裁判で見せたそいつの低姿勢もなにもかもが全て演技だった。
そいつは出所してさっそく、犯罪を犯した。」
「まさか・・・!」
「虐厨には不思議じゃない、あいつらの狂った思考は常人には理解不能だよ。
差別とかで言ってるんじゃない、O大学のM教授らの長年の研究の末の結論だ。やつらの再犯率は100%なんだ。
話を戻そう、その虐厨は民家に押し入り、その家の”のんたぬ”を殺した。
邪魔に入った家主の母親を縛って、その目の前で、な。
その家というのが・・・他でもない、その死刑判決を覆した裁判官の家だったんだよ。」
枡込は絶句した
目弟裁判官はコーヒーをすすると、ため息を一つついて続けた
「家に帰った裁判官を待っていたのは惨殺されたのんたぬの死体と・・・心臓発作で息絶えた母の死体だった。
彼女は夫に先立たれ、一人息子は多忙で家を空けていることが多く・・・
だから、のんたぬの世話が生きがいでね、孫同然ののんたぬを殺されたことに心が耐えられなかったんだ。」
ここで目弟裁判官は自嘲気味に笑った
「虐厨は逮捕されて今度こそ死刑になったが、その裁判官は自分が被害を受けて初めて自分がしてきた事に気づいた。
再犯を犯す可能性のある凶悪犯の更生を信じるなど愚の骨頂だと。
そんなやつらをまた野放しにして、一体いくつのこんな悲劇を自分は作ったのか、と。
不安になった裁判官は自分が担当した被告のその後を調べた。
結果は・・・まぁ、再犯率100%は伊達じゃないってことだ。」
目弟裁判官はコーヒーを飲み干して言った
「彼は心の底から後悔した。被害者たちに対してこれ以上ないくらい詫びた。
母が死んでやっと、彼は自分の愚かさに気づいた・・・代償は大きすぎたがね。
そして・・・彼は変わった、再犯の可能性のある被告は決して外に出られないよう、極刑を出すようになった。」
とんだ笑い話さ・・・と目弟裁判官は締めくくった
「だから私は”やつら”を許さない。二度と”死のロシアンルーレット”に罪なき国民を参加させないためにも。
そうさせたのは全て”やつら”だ。」

83死のロシアンルーレット 3/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/05/15(月) 22:43:54 ID:LpvI0W5c0
「ただいま戻りました」
編集室に戻った枡込は、編集長に取材した内容を伝えるべくデスクへ向かう
たとえ反対されてもこれだけは押し切るつもりだった
が・・・デスクに編集長の姿はなかった
「あ、枡込ちゃん、大変だ!」
枡込の姿を見た先輩記者が駆け付ける
「どうしたんですか?」
先輩記者は言った
「編集長の実家が強盗に襲われたんだ」

後日、編集長の実家の事件は新聞に載った
虐厨が民家に押し入り、金品を奪った上に留守番していたミニイカ娘を殺した事件
犯人の虐厨は模範囚だったため短い刑期で釈放されたばかりだった
「うああああああああ!!ミニ子!!ミニ子おおおおおお!!!!」
葬儀の場で編集長は小さい棺に抱き着き、部下たちが見るのも構わず大声で泣いた
ミニイカ娘の寿命は150年と長い
ミニ子は編集長が生まれた時から一緒にいて、兄弟同然に過ごしてきた家族だった

事件後、編集長は変わった
枡込が取材してきた内容は即座にOKされ、全文が掲載された
その後も虐厨に批判的な記事や虐厨が起こした事件・被害が載るようになり
さらに、対虐厨駆除組織の広告や特集も「週刊虐待」に載るようになった
巻末には虐厨への対処方法やそれが載っている本の広告が鎮座した
「週刊虐待」は虐厨から批判されるようになったが、
虐厨の存在を常日頃疎ましく思っていた虐待派からは称賛された
さらに、虐厨に悩む愛護派にも週刊誌は売れるようになり、
S社の看板週刊誌になるのに時間はかからなかった
「私が変わった理由?・・・私じゃない、”奴ら”がそうさせたんですよ」
他社からのインタビューに編集長はそう答えた

今も売り上げNO.1のその雑誌のオフィスで枡込は働いている



(おわり)

84認められたいがために 1/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/06/09(金) 04:35:09 ID:Y686DygU0
虐厨の虐太たち4人はホテルの一室でくつろいでいた
彼らは夕べ、「一仕事」を終えたばかりだ
彼らは虐待愛好会にとって、いわゆる「落ちこぼれ」だった
ちびしぃにすら出し抜かれ、飼いに手を出して飼い主にマウントポジションでボコボコにされたことも
一度や二度ではない
そういうわけで彼らの虐待愛好会でのポジションは限りなく底辺に近かった
そんな彼らは「このままではいけない」と一念発起した
言うまでもなく、彼らが煙たがれているのは「飼い」に手を出すからである
人の物に手を出すことは犯罪であり、当然法で裁かれるだけでなく
虐待愛好会への世間の風あたりも厳しいものになる
ただでさえ、愛護派の集会に虐厨が乗り込んで「飼い」を殺す事件が相次いでいるのだ
事あるごとに虐待愛好会が繰り返した「虐厨が勝手にやったこと、うちは関係ない」という姿勢も
「無責任だ!」と火に油を注ぐ形になっていた
だからいつしか、虐待愛好会は何も言わず、責めを甘受する姿勢に転じた
虐待愛好会としては、これ以上一般市民や愛護派との溝を深くしたくない
警察からの厳しい視線もやわらげたい
しかし、虐太らをはじめとする虐厨は、「愛護派なんざいじめてなんぼ」
「自分たちが底辺扱いなのは、虐待が認められていないせい」と
まったく見当はずれの思考をしていた


そしてそんな彼らの思いついた策は・・・「保護センター」の襲撃であった
そこは、傷ついた「被虐生物」たちが保護される施設だ
飼いはもちろん、保護された野生や野良の生物もそこで治療を受けている
つまり、虐厨たちにとってそこは「愛誤派の拠点」に他ならない
当然、虐厨の襲撃も何度かあった
当初は非武装だった施設はいつしかサブマシンガンで武装した警備を雇うようになり
今では武装した軍人も警戒に当たっている
が、彼らは深夜には基地や自宅に帰投している
その時間は門は固く閉ざされており、夜間外来以外の受け付けはない
よって、襲撃は深夜に決まった
その時間なら軍人や武装警備員と鉢合わせる心配はない
被虐生物の数は日中に比べ少ないが、入院したり夜から朝まで働く人々の飼いが預けてあったりして
それなりの数がいる

飼い専門の虐待厨の虐次郎の元、計画は練られ・・・実行された
彼らはサブマシンガンで武装し、裏から施設に突入
アイゴたちを殴って気絶、あるいは脅して縛り、
被虐生物託児所を含む各部屋を襲った
被虐生物たちを殺し尽くした後、スプリンクラーなどの防火設備を破壊した上で
施設に火を放ち、彼らはアジトのホテルに帰った

85認められたいがために 2/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/06/09(金) 04:38:48 ID:Y686DygU0
そして翌朝、昨日の事件が大々的に取り上げられる事を期待して彼らはテレビをつけた
これで自分たちを見下していた虐待愛好会も見直してくれると、
まったくありえない望みを持ちながら

まずテレビの画面には、炎に包まれる街が映った
どの建物からも煙や炎が上がり、それを消防隊が必死で消火活動をして消し止めようとしている
「なんだ、映画かよ・・・ニュースはどのチャンネルだ?」
虐太はリモコンを操作した・・・が、どのチャンネルも燃える街を映していた
ようやく虐太たちはこれが現実の光景だと悟る
テロップには「S市G町で大規模火災発生」と出ていた
虐太たちが襲撃した、あの施設のある町である
「保護センターを中心に発生した火災は、現在もなお延焼中です!!
付近にお住まいの方々、ただちに身を守る行動をとってください! 
これは映画ではありません!  現実です!!」
「現在、保護センターの職員を含む、300人近い人たちと現在連絡が取れなくなっているとの情報が入っています」
「火災が発生したのは深夜帯という事もあり、多くの人が寝静まったところを・・・」
映像は町の様子を詳細に映していた
虐太達の目の前で逃げ回る車が炎に巻き込まれ動かなくなる
背に炎を背負った人間が燃える家屋から走り出て倒れ、もがきながら炎に包まれていく
火災旋風が巻き起こり、ガレキや火の粉と共に、人の形をした黒ずんだ物体を上空へ舞い上げる・・・
まさに地獄だった
「おい・・・さすがにこれ・・・まずいんじゃないか?」
仲間の一人、虐輔はぼそりと言った
虐待愛好会は常日頃口を酸っぱくしていた
「他人を巻き込むな」「人に危害を加えるな」「愛護派を攻撃するな」と
臆病風に吹かれた老人どもの妄言だと侮って聞き流していた虐太たちだが
やらかせば今度は警察組織や軍が敵に回ることまで分からないほど愚かではない
そして目の前の光景は、明らかにやりすぎすぎだ
ここまでの大規模破壊をするつもりはなかった
ただ愛護たちの鼻の穴を明かし、虐待愛好会を見返せればそれでよかった
「・・・・・・・・・・」
そっと4人目の虐一は荷物をまとめ仲間から離れた
三人を囮に、一人だけ逃げるつもりだった
このままではテロリストとして一生を刑務所で過ごすか、死刑台の露と消えるかだ
そんな事はごめんだった、自分ひとり逃げるために他の仲間に犠牲になってもらう
「動くな!!」
しかし、虐一がドアから出るより早くドアが蹴破られ銃口が虐一に突き付けられる
入って来たのは警察ではなく、軍人たちだった
彼らは事件を報道よりも一早く知り、激怒した
自分たちの留守中に親交のあった施設が襲撃され、顔見知りにも少なくない死傷者が出た
彼らの心と軍人としてのプライドは著しく傷ついた
そして、警察の協力の元で迅速に追跡が行われた
虐太たちはアジトのホテルを変えることなく居座っていたため、追跡は容易だった
マヌケにも虐太たちは武装したままホテルに戻った上に、
移動に使った車はばっちりと軍にバックアップのある防犯カメラに映っていたのだ
「貴様ら・・・オレたちの留守中を狙うとはいい度胸だな?」
「抵抗してみせろよ、地獄の悪魔もドン引きの拷問のフルコースをくれてやるからさ?」
突入チームには、保護施設の警備の任に当たっていた軍人たちも参加していた
彼らの怒り、推して知るべし
「わあああああああああああああああ!!」
大声を上げて怯んだところを逃げようとした虐一だったが、
その場で銃で殴り倒され拘束された
虐輔は窓を壊して外に出ようとしたが、足を狙い撃ちされ転倒する
虐次郎はトイレの個室へ逃げ込んだが、あっさりとドアを蹴破られ捕まった
虐太はバッグの中から武器を出そうとしたが、出す前に腕を撃たれて転がった
かくて、虐太たちは事件発生から24時間以内にスピード逮捕された

86認められたいがために 3/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/06/09(金) 04:44:43 ID:Y686DygU0
死者行方不明者1000人超
それが、虐太たちが起こした事件の結果だった
G町は空襲にでも遭ったかのような無残な焼野原と化した
寝静まった深夜帯だったことに加え、虐太たちが火災報知機や消火設備を軒並み破壊していたこと、
事前に防火水槽などまでもコンクリートで塞いでいたことが被害をさらに拡大させ
未曽有の大災害と化した
住民は家・財産、あるいは家族を失い途方に暮れた
そして、犯人である虐太たちへの怒りと憎しみは頂点に達した
こうなってはもう「虐厨が勝手にやったことだ」などという言い訳は効かない
効かないどころか、幹部の一人がそう釈明したことは
被害住民だけでなく全国民の怒りの火に油を注ぐ結果になった
あちこちで暴動が起き、虐厨が狩られた
虐待愛好会には強制捜査のメスが入り、所属する虐厨だけでなく幹部や会長に至るまで警察に連行された
国からの予算も打ち切りが決まり、その後虐待愛好会は規模を縮小せざるを得なくなった

虐太たちはどうなったか?
保護センターの焼け跡から証拠はたっぷり見つかった
身柄は警察に引き渡され、
さらに虐一が拷問を恐れて(警察はそこまでするつもりはなかったのだが)「自分だけは助けてくれ」と
犯行の一部始終をペラペラしゃべった
虐太たちは最後の望みを虐待愛好会にかけたが・・・もちろん助けられるはずがなかった
事件で大打撃を受けた事もあるが、虐太たちのしたことはただのテロである
テロ組織のレッテルを張られたことと、世間からのバッシングは
虐太たちへの恨みを募らせることこそあれど、助けようなどと言う気が起きるはずもない

「どうしてこんな事をしたんだ?」
警察・検察・司法の問いに対し
「・・・認められたかったんです」
彼らは一様に同じセリフを口にした
4人は全員が死刑になり、刑は即執行された
誰もが絞首刑台の上で無様に泣きわめき、抵抗したために位置がずれ、
首を吊る際に余計に長く苦しむ羽目になったという


(おわり)

87憎しみが芽吹く街 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/06/28(水) 04:33:51 ID:T4zD7x9g0
チチチチチチチチチ・・・・・・・
「おい、何か音がしないか?」
ここは、虐待厨たちの集会所の一つ
今日も虐待厨たちは各々の虐待の自慢話をしていたが・・・
飼いゆっくりを飼い主の目の前で虐待殺害した話の途中で、奇妙な音に気付いた
「これか?」
虐厨の一人が、ソファの近くに置いてある白い箱を手にした
誰も見た覚えのない、その白い箱から音はする
「なんだろう?」
箱を手にした虐厨は箱の蓋を開けた
次の瞬間、轟音と共に集会所の建物は吹き飛んだ
中にいた虐厨たちは一人残らず肉片と化し、建物のガレキと共に周囲へ
その血肉を飛び散らせた

この町は、「被虐生物(と虐厨が一方的に決めた生物)」の愛護派
いや、一般人にとってさえ地獄に等しい場所だ
虐厨の被虐生物ネガティブキャンペーンによって被虐生物は害獣の烙印を押され
さらに、それを保護・飼育する人々「愛護派」は害獣の迷惑行為を助長するとして
差別・迫害されていた
町に引っ越してきた子供が実装石を飼育しているという理由でいじめられ自殺に追い込まれたり
引っ越してきたばかりのしぃと暮らしている主婦が住民の総攻撃に遭って
しぃを殺された上に別の町へ引っ越す事になったりなど、日常茶飯事だった
警察に訴える者もいたが、虐厨からの圧力で動くことはなく・・・
被害者たちは泣き寝入りと忍耐を強いられていた
しかし、忍耐にも限度がある
きっかけは、目の前で飼いしぃを殺された男がやった報復の放火だったかもしれない
あるいは、飼いベビオニーニを食われた少女がその場で虐厨を刺殺したことだったかもしれない
とにかくいつからか、虐厨やそのシンパを狙った事件が起きるようになった
始めは「刃物を持った男が暴れまわり虐厨だけを狙って殺傷事件を起こした」というだけだったが
虐厨たちの日に日にエスカレートする被虐生物迫害と「愛護派狩り」によって
前述の爆破や放火、狙撃などの過激な手段に手を出す者も現れ始めた
そして標的は虐厨だけでなく、彼らに組した人間のクズたちも狙われるようになった

88憎しみが芽吹く街 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/06/28(水) 04:43:21 ID:T4zD7x9g0
別時刻、町内の別の場所
「・・・・死んだか」
ついさっきまで無様に命乞いをしていた虐厨は、うつぶせのままもう動かない
「しっかしボロイ商売だよな、クズを殺すだけでこんな大金が転がり込むなんてよ」
黒いコートの男は今しがた殺したばかりの虐厨の死骸を蹴って仰向けにした
その顔は苦悶で歪んでいる
「できる限り苦しませて殺せ」という依頼人からの希望だ
その証拠写真を持ってくれば、さらに倍の金を払うと言われていた
「ひ・・・ひぃぃぃ・・・」
男は背後で失禁して震えている人間を見た
そいつは虐厨ではない、しかし虐厨に与して他人の飼いを惨殺してきた男だ
「安心しろ、てめぇは殺さねぇよ」
男の職業はあくまで「害獣の駆除」であり、殺人を請け負う殺し屋ではない
クズ人間はそれを聞いてほっと表情を緩める
「そいつはオレの領分だな」
別の男がドアを開けて入ってきた、がっしりした体格の筋肉質な男だ
「おう、久しぶりだな。元気そうじゃないか」
コートの男は入ってきた筋肉男とパンとハイタッチした
「元気元気、さて・・・オレはたぶんお前とは別の依頼人に頼まれた仕事だと思うぜ、なにせ・・・」
筋肉男は拳を振りかぶり、クズ人間を睨む
「このクズを徹底的に痛めつけろと言われてるんでな!!」
「ひぃぃぃ!!金なら倍払う!助けてくれ!!!」
クズ男の発言で筋肉男のこめかみに太い血管が浮き上がる
「金で済む段階はとうに過ぎてんだよクズ!!!!」
筋肉男は拳を振り下ろした、何度も何度も何度も何度も何度も・・・
「あ〜あ、あいつの逆鱗に触れたか・・・ああなったらもうオレでも止められねぇ・・・」
コート男はソファに腰かけ、友の仕事が終わるのを待った

別時刻、町内の別の場所
「ぎゃはははw」「じゃあなw今度ミニイカを飼ったらまたいじめに来てあげるからねwww」
倒れ伏す少女に、虐厨たちは嘲笑を浴びせながら去っていった
「自業自得だ」「ほんと、あ〜くさいくさい、ここまで臭いが漂ってくるぜ」
遠巻きに見ていた人々も去っていく
少女はミニイカ娘の死骸を握りしめた・・・

一週間後、白い衣服に身を包んだ大きなハサミを持った少女により
町の虐厨の大半が殺されることになるが
それはまた別のお話

(おわり)

89C-HAZARD  1/8 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/22(土) 23:28:06 ID:qR12sw6k0
ここは、周囲を海に囲まれた島国M国
海の向こうの周辺国が「アフォしぃ」という生命体に手を焼いている中
数少ない「アフォしぃ」根絶に成功した国だ
この結果に国民たちは喜んだが、一部の者たちは困惑した
それは「虐厨」たちである
この国の法律では通常しぃ、いわゆる「良しぃ」は保護されていた
間違って傷つけただけでも罰金か懲役刑である
「アフォしぃ」が蔓延っていた時は虐厨もこの状況は受け入れていた
ストレスや虐待欲求は「アフォしぃ」で晴らせばいいし
「アフォしぃ」はなぜか「良しぃ」を目の敵にしていたため、
「アフォしぃ」を「良しぃ」保護の大義名分で公の場でも駆除する事が許されていた
しかし、彼らは頑張り過ぎた
アフォしぃの繁殖速度を上回る虐殺に加え、アフォしぃの交尾対象の「ちびギコ」や
餌となる「おにーに」や「わっしぃ」までも手にかけ、
さらにアフォしぃがストレスから子殺しをするようになったため
アフォしぃたちの数はいつの頃からか急激に減っていき・・・
いつしか、虐厨の間ですらその存在を見かけなくなってしまった
週一回に一匹見つかればいい方で、その見つけたアフォしぃもその場で殺すため
当然、増えるはずもなく・・・
ついに一年間アフォしぃは発見すらされなくなり、「絶滅」が公に発表されるに至る
「虐厨」たちはストレスのはけ口を失ったのだ
「ちびギコ」や「おにーに」や「わっしぃ」は野生の物はすでになく、
牧場やペットショップなどで見かけるにとどまるのみである
結果、ストレスのはけ口に犯罪に走ったり
飼いや良しぃに手を出す、牧場を襲撃するなどして逮捕されたり命を落とす虐厨が続発した

この事態を重く見た虐厨議員連盟は国会にある法案を出した
それは・・・「しぃ対策特別法」
今いる「しぃ」の扱いを変えるという法律だ
「アイゴの反対は求めない!よって本案”被虐生物駆除法”は可決!!」
「ふざけるなあああああ!!!」
「そんな事許されるか!!」
虐厨のごり押しと与党への賄賂を含む働きかけ、虐厨議員の委員長就任などの根回しにより
虐厨の虐厨による虐厨のストレス発散のためだけの法律が制定された
成立1か月前から国会周辺で行われたデモなど、ノイズにすぎなかった

90C-HAZARD  2/8 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/22(土) 23:48:03 ID:qR12sw6k0
「いたぞ!」
「やめろ!!この子は”良しぃ”だ!!」
「関係ねぇよば〜かwww」
法案制定後、待ってましたとばかりに虐厨たちは外へ飛び出した
そして、次々と「被虐生物」とされた「しぃ」たちは狩られていった

「どうせしぃとの間の子だろ!こんなもの!」
「ぎゃあああああ!」
「息子おおおおおお!!!!」
法案は「被虐生物」のみならず、「被虐生物の保護者」「被虐生物の子」までも
虐待の対象にして良いとした
そのため、しぃと暮らしていた老人が撲殺されたり、しぃの血を引く子ギコが殺されたりした
やがて、「しぃ対策会」という、表向きは犯罪を犯す「アフォしぃ」へ対処する組織が生まれた
もちろん「表向き」である
その実態は、虐厨の虐厨による虐厨のための組織であることに変わりない
そもそも「アフォしぃ」自体がこの国にはもうすでに存在しないのだ
「しぃ対策会」は「飼い」を虐待する時は飼い主を襲い虐厨の虐待の妨害を防いだり
ドアのカギを破壊して虐厨の家屋への侵入を手助けしたりと言った犯罪まがいの事も行う組織だった
ちびギコやオニーニらは法案制定から一か月で牧場の物も含めて絶滅した
しぃの血を引く国民は殺され、家の表に出る事はなくなった
あちこちで良しぃは虐待され、街にはしぃ対策会に拷問された、
あるいは虐厨に虐待されたため「でぃ」と化したしぃであふれた
でぃを保護するリハビリセンターは、看護士をしていた看護しぃまでも引っ張って行かれたため
人手不足になった
その上、上からの圧力で治療に必要な「ニラ」の確保も困難になった
爆発的に増えた「でぃ」に対応する事も、治療に必要なニラを確保する事もままならなくなり
いつしかリハビリセンターはでぃの溜まり場と化した

そして・・・
「やめろバカ!!でぃに何するんだ!!」
「何ってwwwしぃは虐待されてなんぼでしょwww」
でぃの虐待を始める者も現れ始めた
一般国民にはもはや、でぃを虐待する虐厨やそのシンパは、かつていた「アフォしぃ」と何ら変わりない存在にしか見えない
しかし虐厨たちはそんな視線などどこ吹く風で、でぃを虐めた
しぃ対策会はこの状況を黙認していた
でぃもまたしぃである、というのが彼らの見解だった
しかし・・・これがいかに「危険な事」か・・・彼らはまだ知らなかった
過去に起きた「マターリ虐殺戦争」を知る者なら、あるいは「しぃ」の特徴を詳細に知る者なら
すぐに分かる「危険」、しかしこの国には、それを知る者はおらず
しぃの研究も一部の者たちが行うのみである
そしてしぃ対策会は後にこの時の姿勢を心底後悔する事になる

91C-HAZARD  3/8 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/22(土) 23:52:33 ID:qR12sw6k0
法案制定から3か月後のある日・・・
「会長!!ただちに全国民にでぃの虐待を中止するよう命じてください!!」
しぃの研究をしていた学者の一人が、しぃ対策会にレポートをもって駆けこんだ
「さもないと、この国は終わります!!」
「いきなり何を言い出すんだ・・・?」
会長はその飛躍した意見に当惑したが、学者の鬼気迫る表情に只事ではないと感じた
そして差し出されたレポートを読んで・・・青くなった
「き・・・きみ、このXX化というのは・・・本当なのか!?」
学者は頷いた
「ただちに、でぃの虐待の中止と厳禁を・・・でないと・・・」
学者は続けた
「B級ホラー映画の世界が現実のものになります!」

しかし・・・その警告は遅かった
学者が駆け込む数時間前、とある街の外れ
「お、ずいぶんボロい でぃだなw」
3人の虐厨が街はずれで、目もつぶれ耳もないフラフラした足取りの でぃ(?)を見つけた
3人は町の中に「しぃ」も「でぃ」もいなくなっため、対策会が拷問の結果生じた「でぃ」を投棄している場所へ向かっていたのだ
リハビリセンターはすでに誰もが知るでぃの溜まり場のため、彼らがありつけるのは「おこぼれ」だけ
だが、町の外まで足を運ぶ者は少ない
そこなら確実に自分たちの分の「でぃ」はいる
そして予想通り、「でぃ(?)」はいた
虐厨の一人は「ソレ」に接近して鉄パイプを振り下ろした、しかし・・・
ガン!!
まるでヘルメットを叩いたかのような衝撃が彼を襲った
「硬ぇ!!なんだこい・・・・」
全部言い終わる前に、「ソレ」はアゴが外れんばかりに大きく口を開け・・・
ガブシュ!!
「へ?」「え?」
残る二人はあっけにとられた
ついさっきまで話をしていた仲間の一人が、「ソレ」にあっという間に頭を噛みつかれ噛み砕かれる
「ソレ」は二人の事など目もくれず、食らいついた虐厨をガツガツと貪り食っていた
「な・・・なにしやがる!ゴミムシの分際で!!」
生き残った一人がバールで殴りかかるが、ソレはびくともしない
「ソレ」は構わずどんどん最初の虐厨を食い進めていく
逆に、殴るバールの方が、徐々に歪んでいった
「お・・・おい、あれ・・・」
一人が一方向を指さした
「なんだよ、お前もこいつをどうにかするの手伝・・・」
殴りかかっていた一人がそちらを見る
その手からバールが落ちた
「ぅぅぅぅ・・・」「ぅびぃ・・・ぅびぃ・・・・・・」「びぃ・・・」
一匹や二匹ではない、十匹以上も「ソレ」がフラフラと歩いてきていた
指さした一人は脱兎のごとく駆けだした
バールを持っていた虐厨も後に続こうとしたが、その左足に
最初に襲った虐厨を食べ終えた「ソレ」がしがみつき、かぶりつく
「いぎぃ!や・・・やめろおおおおおおお!!」
「ソレ」を蹴飛ばすが、びくともしない
虐厨の抵抗を無視してそいつは、足の肉を貪り骨を露出させる
そしてその間に、他の「ソレ」は接近していた
たちまち虐厨は他の「ソレ」に包囲され・・・そして・・・
「いぎゃあああああああ!!!!」

92C-HAZARD  4/8 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/22(土) 23:59:48 ID:qR12sw6k0
命からがら逃げだした一人の虐厨の通報で疑い半分に現地へ向かった対策会の会員たちは
その認識を改めた
---「ソレ」には打撃攻撃は効かない
容姿からかろうじて元が「しぃ」であると分かったが、「しぃ」には・・・
否、通常の生物にはあり得ない強固な硬さを「ソレ」は持っていた
---「ソレ」は凄まじい食欲を持つ
彼らが来た時、「ソレ」らはバールの虐厨の死骸を骨まで齧っていた
そして彼らに気づくと、おこぼれを待っていた他の個体がフラフラと歩み寄り始めた
危機感を覚えた会員たちは虐厨の死体の回収を諦め、
でぃをおびき出すのに使うしぃの死骸を車から放り出した
「ソレ」らがしぃの死骸を貪り食っている間に彼らはその場から離脱した
「ソレ」の情報はただちに生還した会員たちによって本部と各支部に伝えられた
しかし・・・

「た・・・助けてくれ〜!!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!」
「おねがいだ!食べないで!食べないでえええええぎゃああああああ!!!」
「ソレ」が発生したのは一つの街だけではなかった
至る所で「ソレ」は出現した
街の外で出現した例はまだ幸いだった
機能停止した街の中のリハビリセンターから、街の中に設置されてしまった「でぃ投棄場所」から・・・
「ソレ」はどんどん出現した
襲われた街は、さながらホラーゲームかゾンビ映画のような地獄絵図を作り出した
虚構のものが現実になったのだ
ボロボロの死体としか思えない「ソレ」が生者の血肉を求め彷徨い
捕まえて貪り食う
「ソレ」を知らぬ国民はただバケモノから逃げ回るしかなかった
反撃に転じる虐厨もいたが、「ソレ」は銃撃を受けても痛覚がないのか
構わず前進して食らいついてきた
そして・・・一度「ソレ」に噛みつかれたら、最後だった
「お・・・おい、大丈夫か?」
「う・・・ご・・・うびぃぃぃぃぃ!!!」
「ソレ」に噛まれた者も「ソレ」になり、血肉を求め周囲の者たちを襲い出した
二次的に発生した「第二のソレ」は幸い、オリジナルが持つ強靭さは持っていないため
発生初期にただちに「処理」された

「配備完了しました!」
「よし・・・全員よく狙え、なるべく無駄玉を出すな・・・!」
発生から2日、ようやく状況を把握して態勢を立て直したM国は
しぃ対策会の私兵の他に軍を派遣し、各都市から「ソレ」を排除しようとした
学者たちの研究と、捕獲班が命がけで捕獲した「ソレ」の調査で詳しい事が分かって来たのだ
「ソレ」は「びぃ」と呼ばれる「でぃ」の変異個体であり、
頭が砕ければ死ぬことも分かっていた
不死の怪物でさえなければ、弱点さえ分かってしまえばどうという事はない
車両でバリケードを築き、マシンガンを構えた彼らは
「びぃ」の群れを迎え撃った
街の中に発生した「びぃ」はバリケードで逆に囲い込んで閉じ込めた

一見すると完璧に見えるこの作戦は・・・しかし
重大な見落としがあった
彼らは「びぃ」が妊娠していても構わず「頭だけ」を狙撃した
そして・・・生き延びた「胎児」は母親の胎内から自力で這い出し
産声を上げて母親の死体を喰らった
それを食べ終えても、まだ周囲に「びぃ」の死骸と「びぃ」が食い残した死骸がある
だから食料に困ることはない
「ソイツ」は誰にも察知される事無く・・・成長した

93C-HAZARD  5/8 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/23(日) 00:08:37 ID:zshVUHqs0
「びぃ」発生から半年
「ソイツ」はついに姿を現した
タタタタタタタタタ
「おい、アレは生存者か?」
「びぃ」の群れの中に、「びぃ」にはあり得ない速度で駆ける個体がいた
辛うじて「びぃ」から逃れた生き残りと誤認したのも無理はない
その個体は虐待の痕跡はなく・・・変わった形の耳をしている以外は
「しぃ」に見えないことも無い
しかし・・・「びぃ」はそれに攻撃をしない
それどころか、「ソイツ」に道を譲るそぶりさえ見せた
迎撃陣が戸惑う間に「ソイツ」はバリケードへ接近する、そして・・・
「ヴィィィィィ!!!!!」
一声吠えると「ソイツ」はバリケードそのものを拳をふるっただけであっさり破壊し、中へ突入した
地獄が生まれた
銃弾をかわし、腕の一薙ぎで会員や兵士の首や胴体を切断する
車の突進すら受け止め、その拳の一撃で軽装甲車の正面が大きく凹んだ
車内の会員が脱出するより早く運転席の正面に上り、
装甲もろとも正面を毟り取ると、中にいた会員に牙を突き立てる
さらに・・・
内部に侵入した「ソイツ」に手を焼いている間に
破壊されたバリケードから「びぃ」たちが侵入してきた
軍としぃ対の合同チームはあっさりと瓦解した
誰もが自分の身を守る事だけで精いっぱいになった
指揮系統どころかチームワークもガタガタだ
「ソイツ」を撃とうとして同士討ちも発生し、混乱が最高潮に達したところで
「撤収!!撤収だ!!各員己の身を守りながら離脱しろ!!」
現場指揮官はこの場の放棄を決定した
街にはバリケード突破を知らせる警報が鳴り響き、住民は命からがら逃げだした


「”ヴィ”・・・だと?」
「はい・・・恐らく新個体はそいつと思われます」
突如出現した悪魔のようなクリーチャーの報告を受け、
開かれた会議で研究者は口を開いた
「通常は、出産直後に母親に食料と認識され喰われてしまうのですが・・・
ごく稀に生き延びる個体もいます」
研究者は続けた
「ネット上に残っていた他の研究施設のデータですが・・・
昔、他国のしぃ研究施設で意図的に母びぃから赤子”ヴィ”を保護し、飼育したことがありました
ですが、この個体は飼育員を食い殺して脱走、その際に同施設で飼育されていた母親のびぃも喰われています
そして・・・この一匹のためだけに駆除に投入された軍隊は全滅、
最後の手段として研究施設の敷地すべてをバリケードで封鎖し、餓死を待つことになりましたが・・・
奴は知能も高く力もあり、バリケードを破壊して包囲を突破、行方不明になりました」
「そんな説明はいい」
会長は口を開いた、強い言葉とは裏腹にその顔は蒼白で今にも倒れそうだ
「我々が聞きたいのは・・・奴に弱点は・・・倒す手段は、殺す方法はないのか、という事だ」
その場の誰もが研究者を注目したが・・・彼はかぶりを振った
「亜成体以上に成長した”ヴィ”を仕留めたという報告は、非公式なものを含めて一例もありません」
「では・・・あれは・・・どうすれば死ぬんだ?」
研究者は会長の、地獄に垂らされたクモの糸を掴む思いのその問いかけに答えた
「奴とて生物です、飢えれば死ぬでしょう
しかし・・・奴は”びぃ”とは違います
ただ餓死を待つほど愚かでもなければ、状況を打開できないほど非力でもありません
何より・・・奴の知能は恐らく”びぃ”・・・いえ、ひょっとすると我々よりも上かもしれないのです」

94C-HAZARD  6/8 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/23(日) 00:14:23 ID:zshVUHqs0
M国の国民にとっての地獄は、「びぃの発生」では終わらなかった
新しく出た「ヴィ」は一体だけではなかった
生き延びた胎児の数だけ、彼女たちは出現した
彼女たちは「びぃ用」のバリケードを積み木でも崩すかのようにあっさり破壊し、
「餌」のある場所へ侵入した
その食欲は「びぃ」以上であり、一匹の侵入を許したため全滅したしぃ対基地もあった
「ヴィ」の出現・侵入した街は放棄され、住民はバリケードに囲まれた別の街へ避難せざるを得なかった
不幸中の幸いと言うべきか、ここ半年の数々の災厄で生存者の数は「びぃ」出現前の1/5まで減っていたため、
生存者が街からあふれる事はなかった
しかしそれでも彼らは、いつ何時バリケードを壊して入ってくるか知れない悪魔に怯える日々を余儀なくされた
もちろん、バリケードはより強固なものに強化された
しかしそれでも安心はできなかった
とある街では三日三晩、「ヴィ」がバリケードの外壁を叩き、壊して中に入ろうと試みた事があった
四日目に彼女は諦めて去っていったが、バリケードの外壁は砲撃でも受けたかのように破損していた
もし「ヴィ」が諦めなかったら・・・もし、複数の個体が同時に侵入を試みていたら・・・
この事件は警備の軍人やしぃ対だけでなく、バリケードの中の市民も恐怖させた

そんな中、ついにM国政府は決定を下した
「S作戦」
住民のいなくなった「びぃ」や「ヴィ」の巣くう街を空爆あるいは高威力のミサイルで焼き払うという作戦だ
作戦は立案後、即座に実行に移された

「・・・以上です、S作戦の成功を祈りましょう・・・」
今はもう放棄されたリハビリセンターの院長室で医師ギコはかぶりを振ってラジオを切った
テレビ局がある街が放棄され、情報を得る手段がネットとラジオだけになって幾日経ったか・・・
彼はもう数える事すら忘れた
「・・・センセイ・・・」
「ワシは逃げんよ」
彼は傍らに立つ でぃに言った
彼女はかつての看護しぃだった
しかし、対策会によって「でぃ」にされてしまった
それでも彼女は使命を忘れなかった
這うように投棄場から逃げ出し、この「リハビリセンター」へ戻って来たのだ
医師ギコはかろうじて残っていたセンターの腕章で彼女を識別できた
だが、彼女はしぃには戻れなかった
いや、戻ることはできなかった
リハビリセンターは彼女一人を治療する事すら不可能な状態だったのだ
その後、「びぃ」がこのリハビリセンターにも発生した
だが彼女たちは医師ギコと元看護しぃのでぃを襲うことなく
センターから出て行った
まるで、今まで世話になった礼だとでも言うように
そして、今に至る
彼らのいる町は「ヴィ」が出現したため、つい3日前に放棄された
そしてあと少しすれば、地図から文字通り消される運命にある
だが、それを知っても彼はセンターから逃げようとは思わなかった
使命感もあったが、それ以上に今の政府には怒りを感じていた
そもそも、こんな事態になったのは誰のせいか?
でぃを保護・治療する手段を奪った上で でぃを増産し続ければ
いずれこうなることは分からなかったのか?
でぃのびぃ化、過去の大戦を、あの「マターリ虐殺戦争」で何が起きたかを
少し調べれば、すぐに分かるはずの危険
だが今の政府は、虐厨は、それを怠り危険予測すらせず、結果この地獄を作り出した
そして今度は自分たちが生み出した被害者たちもろとも全てを焼こうとしている
これが・・・「人」のすることか!
彼は最後の抵抗として自分の考えを書いたテキストプログラムをネット上に上げた
いずれ誰かがこれを見てくれるだろうと信じて
今となってはもう自分にできる事はもうないし、
あの政府の言うとおりに避難するのも癪だった
どうせあいつらは、この元看護しぃのでぃを助けはしない
ならせめて、彼女や自分が助けられなかった「びぃ」たちと運命を共にすることが
自分にできる最後の仕事だと彼は決意していた
「さてと、寝るとするか」
医師ギコは看護でぃと共に仮眠室に向かった

「S作戦」は決行された
放棄された街は空爆の嵐により、たちまち瓦礫と焦土へその姿を変えていった
リハビリセンターやでぃ投棄場は特に念入りに空爆された
医師ギコの睡眠中に、そのリハビリセンターも攻撃を受けた
全てが火の中に消えた
医師ギコは二度と眠りから覚める事はなかった

95C-HAZARD  7/8 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/23(日) 00:20:36 ID:zshVUHqs0
「びぃ」発生から半年と少し、「S作戦」決行から3日後
「さすがに生き残りいないんじゃねぇの?」
空爆で廃墟と化した街の中を、「しぃ対」の腕章を付けた兵士が歩き、相棒に声をかけていた
あちこちに黒焦げの死体が転がり、彼らはそれを一つ一つ調べている
「俺たちの役目は、びぃよりもヴィの死体の確認だろうな」
「けどよ〜・・・ここには死体しかねぇぜ、さすがにあのバケモノでも」ジャ!
その兵士は次の言葉を継げなかった
突然の沈黙に訝しんだ相棒が隣を見ると・・・さっきまで会話をしていた相棒の頭はなかった
その頭は、いつの間にかその近くに出現していた悪魔が抱え、貪っている
「出たぞ!!出たぞおおお!!!」
通信機に叫びながら兵士はサブマシンガンを構え、悪魔を撃った
しかし「ヴィ」は銃撃を上に跳躍して躱し、建物の残骸を足場に焦げたビルの向こうへ姿を消した
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
相棒を失った兵士はふと、地面に開いた穴に気が付いた
「奴は下水道に逃れて空爆をしのいだのか・・・!」
そう思った兵士はしかし、穴を覗いた次の瞬間、事実に打ちのめされた
「ち・・・ちがう!!これは・・・これは!!」
それは下水道でもなければ地下道でもない
ごく最近、作られたばかりの全く新しい穴だった
「ヴィ」が堀ったのだ!!
兵士は慌てて通信機に報告を始めた

兵士の報告で「S作戦」の失敗を政府は知った
「びぃ」はその数をぐっと減らしたものの、肝心の「ヴィ」は生き延びていた
さらに、「穴を掘って逃げていた」という報告が彼らを戦慄させた
地下からの襲撃を想定したバリケードなど、ない
そして空爆でヴィの「餌」はかなり少なくなったはずだ
残ったびぃや死骸を食っている間はいい
それが無くなったら・・・やつらは次にどこへ行く?
答えは言うまでもない

ついに政府は最終手段「P計画」を実行する決意を固めた
政府が移転し機能していた現首都都市、そこの周囲には「びぃ」発生時から
地下数百m、地上百mに渡る巨大な「壁」を建設する工事が行われていた
ここに侵入可能なのは、空を飛べる鳥しかいないだろう
さすがの「ヴィ」も、空を飛ぶ能力はない
ここに生き残った全国民を移動するプランだ
これが潰れれば、次はもうない
「ヴィ」の腹に収まるか自決するかしかない
文字通り「最後の計画」だ

「びぃ」発生から半年と1か月
「うわあああああ!!」「ば・・・バケモノだああああああ!!」
準備が整い計画実行が発表される前に、恐れていた悲劇は起きた
生き残りの避難していた街の一つに、地下を掘り進んでバリケードと警備を突破した「ヴィ」が
バリケードの内側の地下街に出現したのだ
ヴィにとってバリケードの中は「餌の宝庫」だった
わざわざ探す必要などない
どこへ行っても「餌」がいて、しかもよりどりみどりだ
何より彼女は、自分を殺せる相手がいない事を知っていた
対して市民たちには地獄だった
軍人ですらどうしようもない、銃も効かない化け物を一般市民がどうにかする術など・・・ない
「ヴィ」の侵入を許した街はほどなくして「放棄」が決まった
もはや逃走経路を塞ぐ障害物でしかないバリケードを爆破して道を作り
生き残りを乗せた車両が街から次々と脱出していった
外にいるびぃの中には車を追いかける者もいたが、さすがに追いつけないと悟ると
諦めて、たった今開いたばかりのバリケードの穴から街へ入っていった
そして奇しくもこれは市民たちにとって幸運となった
「ヴィ」は逃げた餌を追う事より、街に入ってきたびぃを食う事を選んだのだ
脱出した生存者たちは「ヴィ」の追撃に遭う事無く生き延びる事が出来た

「ヴィ」が地下を掘り進む能力を持っている情報が発表された
バリケードの内側に「ヴィ」が出現し街が一つ放棄されてから3日後のことだった
しかしその間に「ヴィ」に襲撃された街の生き残り達の口から、「ヴィ」のその能力は
国民たちに伝わっていた
国民たちは情報を隠していた政府に激怒した
混乱を招くだろうと敢えて情報を伏せていたことが裏目に出た結果だ
そして国民は絶望した
安全だと、最後の安住の地だと信じたバリケードの中ですら、あの悪魔は侵入するのだ
政府はすかさず「P計画」を発表した
絶望を与えてから希望を見せる、虐厨議員たちが考えたやり方だ

96C-HAZARD  8/8 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/23(日) 00:29:48 ID:zshVUHqs0
しかし・・・・・
「”P計画”だとさ」
「どうせあのバケモノに侵入されるだろ・・・一か所に固まってたらそれこそ一網打尽じゃねぇか」
「どこに逃げたって一緒だ」
「こんな事なら育った街から逃げずにあそこで生涯終えておくんだった!」
ある者は自ら命を絶ち、ある者は山野に逃れる事を選び、
ある者は廃墟となった都市へ生活の糧を求めて行った
彼らのうち幸運な者は、「でぃ」「びぃ」と化した恋人や家族と離れる事ができず共に生きる事を選んだ人々の
小さな村にたどり着き、そこで新たな生活を始める事になる

かくて、政府の想定より圧倒的に少ない国民が最後の砦にやって来た
国民は政府が思っている以上に政府に失望していたのだ
しかし今の政府に国民の事を考える余裕などなかった
募集から一週間、誰も来なくなったことを確認して「壁」の門は閉ざされた
政府は、しぃ対は、虐厨たちは安堵した
虐待したければ、「壁」の中に確保していた「でぃ収容所」がある
完全に殺してしまえば「びぃ」は発生しない事も研究の末分かっていた
だから、彼らはこのひとまずの安寧に逃げ込んだ
やむを得ず逃げ込んだ、家族を友を財を失った国民のケアなどすっかり忘れて

「P計画」実行からしばらくして・・・
「虐厨を殺せ!!」「吊るし上げろ!!」
「告発文書」というタイトルのテキストプログラム
リハビリセンターやでぃ達と運命を共にした、あの医師ギコが遺した文章が、ついに発見された
それを発見したのはフリーの記者で、彼によってそれは拡散した
そして国民は忘れていた怒りを思い出した
「被虐生物駆除法」が制定された時の憤懣を怒りを、虐厨がした暴挙の数々を
目の前で家族を、友を殺された、あの屈辱を
そもそもこんな状況になったのは誰のせいだ?
あんなに反対したのにごり押しして、結果この惨劇を作り出したのは誰だ?
虐厨だ!!
あちこちで市民の怒りの声が上がり、暴動が起きた
虐厨はたちまち群衆に囲まれ、あるいは建物から引きずり出され
その怒りを嫌と言うほど叩き込まれた
その場で殺された虐厨はまだ幸いである
生き延びた虐厨はシートで簀巻きにされて「壁」の外へ放り出された
たちまち「餌」を嗅ぎつけたびぃやヴィによって彼らは食われた

住民の怒りの矛先は法案を成立させた政府にも向いた
もはや法案成立前のデモなどという生易しいものではない
内戦である
びぃ発生時から軍や警察が自衛のためと市民に配ったり、
壊滅した基地から持ち出されたりした武器が市民に行き届いていた
その上、びぃやヴィのおかげで軍も警察も、しぃ対に至るまで
その人数をぐっと減らしていた
もはや彼らに怒りの市民を止める力は残っていなかった
そうでなくても、軍や警察らの中には身内の「しぃ」を殺され、その恨みを外に出すことなく
しかし沸々と圧搾し続けた者が少なくない
彼らに怒る国民を止める気など、さらさらないのである

臨時国会はたちまち包囲され市民の突入を許した
虐厨議員は市民に捕まり、その場で殺されるか壁の外へ「放棄」された
虐厨になびいた与党も例外ではない
与党議員は一人残らず捕縛された
こうして、市民の武装蜂起からわずか3日でM国政府は陥落した

政府陥落後、当然、元凶となった「しぃ対策会」は即時解体された
会長以下、主だった幹部はまとめて「壁」の外へ追放された
街の中の収容所に虐待と研究のため閉じ込められていた「でぃ」たちは解放され、
リハビリを受ける事になった
代わりに、彼女たちの入っていた檻には元与党議員たちが入ることになった
その後、ヘリコプターやVTOLによる空輸という手段と
壁の外の村が発展していったため、新生M国は十年でかつての姿を取り戻す
ただしそこに虐厨はいない

びぃやヴィたちは山野の獣や魚に食料を求めるようになった
心優しい「壁」の外の住人から食料を分けてもらい、
奪う以外の生き方も知った
彼女たちが新しい生態系の一員になるまで時間はかからないだろう

壁の外に追放された「しぃ対策会」はどうなったか・・・
その行方は誰も知らない

(おわり)

97C-HAZARD (おまけ)1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/23(日) 00:36:13 ID:zshVUHqs0
「ったく、なんでオレたちがこんな目に・・・!!」
「しぃ対」だった男は不満を口にした
彼らは「壁」の中から追放された、元しぃ対構成員
虐厨とそれに組する者で構成された、「しぃ」らを虐げていた者たちである
彼らにしてみれば害獣を駆除していたにすぎないが・・・
「しぃ」を同胞として受け入れ、愛し、間に子を為していた住民たちにとっては彼らは狂人でしかない
まして自分の考えを押し付けた挙句、「しぃ」を迫害すればなおさらである
その上、彼らは今の地獄を作り出した張本人どもだ
彼らが軽はずみな、己の欲望を満たすためだけにリスクを考えず他者を虐げる事さえしなければ
今の状況は生まれなかった
実際そうであったし、そう考える生き残りは少なくなかった
しかし、元しぃ対構成員らはそれを受け入れられなかった
「びぃ」の発生は不測の事態であり、自然災害と同じもの
「しぃ」は虐げられて当然の劣等種族
だから自分たちは悪くない、というのが彼らの主張だった
これだけの災害を引き起こした挙句に追放寸前までその意見を声を大にして言ったのだ
命があるだけでも幸いである
「おい、あそこ・・・・・!」
彼らの一人が指さした方向には、民家があった
一つ二つではない、生き残った住人たちの村である
「よし、あそこで食料を分けてもらおう」
こうは言うが、彼らに食料の代償に相手に支払うものなど、ない
しかし彼らは「しぃ対」の制服と腕章を身に着けていた
だから、当然相手が親切にしてくれ、食料も分けてくれるだろうと考えていた
中には、武器弾薬を分けてもらい、いずれ壁の中のアイゴたちに逆襲しようと考える者もいた

「・・・・・ぅぃ・・・」
「しぃ実、どうし・・・・・!?」
しぃ対たちは村の入口付近で花を摘んでいた青年とでぃを殴り倒して村へ入った
「この!この!」「思い知ったかクソアイゴめ!!」「ヒャッハー!」
3人が彼女たちを甚振るためにそこに残り、他のメンバーは村へ入っていく
「おい!しぃ対策会だ!食料を分けてくれ!!」
しかし、彼らを見た村人たちは一斉に屋内へと去った
あっという間に外は誰もいなくなる
「ちっ、そういえばこの村の入り口にアイゴがいたな・・・」
「じゃあ、この村の住人もアイゴか?」
「・・・粛清が必要だな」
彼らの中で、「食料を分けてもらう」という目的は「略奪、強姦、虐待」へと変わった
しかし
タン!
「へ?」
銃声とともに、しぃ対の一人が頭を砕かれて倒れた
音のした方を見ると、いつのまにか銃で武装した村人たちがいた
「貴様らさえいなければ・・・オレたちは平和に暮らせてたんだ・・・!!」
「待ってたぜ、この日をよ・・・オレの娘と妻を殺したてめぇらを殺せる日をな!!!」
村人の誰もが怒りと憎悪をしぃ対へ向けていた
さもありなん、この集落は、しぃ対や虐厨の横暴で家族のしぃを殺された人々の隠れ里なのだ
彼らの怒り、推して知るべし
「逃げろ!!」
さすがのしぃ対のメンバーも、銃で武装した相手に向かっていくほど無謀ではない
それに、彼らは壁から追放された時に武装をすべて解除されていた
勝ち目など無い
生き延びるには、背後から銃を放ちながら迫る村人を振り切り村から脱出する以外ない
だが、あと一歩で村から出られる、そんな時・・・
村の出入り口に、ナイフで武装した赤い「しぃのようなギコ猫」が立ちはだかった

98C-HAZARD (おまけ)2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/07/23(日) 00:49:20 ID:zshVUHqs0
「げ!!?」
その個体は「しぃ」ではない、「つー」だ
常に狂気を孕んだ笑みを浮かべているその赤いギコ猫種族は、戦闘力はAA種族の中でもトップクラス
「しぃ」とは比較にならない
だから、しぃ対ですら彼女たちに敵対しないよう注意をしていた
「しぃ」と間違って攻撃しないように情報伝達を徹底した
それでもうっかり攻撃した馬鹿はその身をもって思い知った上、
つー族全体を敵に回すことを恐れた上層部から見捨てられた
しかし、しぃ対は彼女たちの交友関係にまで頭が行き届いていなかった
結果、友人たちを殺され奪われた「つー」たちはゲリラとなり潜伏活動に入った
結局しぃ対は、つー族全体を敵に回してしまったのである
彼女たちに復讐され全滅した部隊も少なくない
さらに、彼女たちはサバイバルの天才でもあった
自然環境で自給自足など、呼吸をするようなものである
だから、政府が「P計画」を発表した時、それに従うという選択肢は彼女たちには無かった
さらに、彼女たちは数少ない、「びぃ」や「ヴィ」と渡り合える存在である
壁の外で暮らすのに支障など無いのだ
そして、その死神が、今彼らの目の前にいた
「アヒャー・・・てめぇら、ホント懲りねぇのな」
手のナイフを弄びながら、その「つー」は言った
目は笑っていない、おせじにも「友好的」とは言えない態度だ
「ま、待て、オレたちは食料を分けてもらいに来ただけだ」
ついさっきまで略奪する気満々だったことを棚に上げて、しぃ対の一人はそう言った
「あ? だったら素直に頭下げて頼めばいいじゃねぇか」
「つー」は正論を言った
言いつつ「つー」は、ナイフを投げた
無事だったしぃ対メンバーの一人が額にそれを生やして倒れる
「な・・・なにを!?」
「大人しくしてりゃ命は助けてやろうかとも思ってたけどよ・・・・・・・
しぃ実たちに危害加えた以上、てめぇらを生かす理由がねぇ!」
「つー」の背後には、ナイフで切り刻まれた、入り口ででぃたちを虐待していた3人のメンバーの死体があった
そう、「つー」族はその戦闘力や攻撃性、攻撃的な見た目とは裏腹に、意外と友好的で世話好きでもある
敵対さえしなければ、友人として隣人として接してくれる上に
困ったことがあったら親身になって相談に乗ってくれるド親切な性質を持っている
逆に言うと、彼女たちの友人に危害を加えればその瞬間に「敵」とみなされ、
その圧倒的戦闘力で即座に排除される
彼女たちにとって友人や仲間の身の安全は何よりも優先されることなのだ、己の身の安全よりも
なお、「びぃ」発生前にしぃ対が被っていた損害のほとんどは、彼女たちの友人のしぃに手を出したことが原因である
「おい、こいつらはオレが殺していいか?」
「つー」はしぃ対の背後に声をかけた
「おう、つー子のねぇちゃんじゃねぇか!」
「いいぜ、オレたちはこいつらが逃げないようにこっちで見張ってるから」
「サンキュ」
そんなやり取りの後、「つー」は新たなナイフを腰のベルトから抜いた
前には「つー」、背後には「村人」
しぃ対たちはもう逃げられない

3分後、しぃ対の死骸は村の外に捨てられた
やがてヴィやでぃが匂いを嗅ぎつけて食いに来る
だから埋める必要はないし、こんな連中に墓など必要ない

今日も村は何事もなかったかのように営みが続いている

「そのフサ毛刈らせろ〜〜〜〜!!」
「やめて つー子ちゃん!そんなことされたら、ただのギコになっちゃうから〜!!」

(おわり)

99未知とのコミュニケーション 1/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/08/19(土) 23:25:43 ID:9YBXPKIg0
※ある怪獣に対する個人的解釈が入っています
※それでもいいという方は、ゆっくりどうぞ



「ソレ」は、空から突如降ってきた
「ゆ?」
夜中に突如響いた轟音に目を覚ました ゆっくりまりさは、巣の外に出る
人里近くの野原に、大きなオニフスベのような物体が鎮座していた
まりさはとりあえず挨拶をした
「ゆっくりしていってね!!」

翌朝
「ゆっくりしていってね!!」
近隣の人里から来た人々は驚いた
それは、まったく未知の種類のゆっくりだった
大きさはドスゆっくり規模、しかし髪も耳もない
真っ白な体にゆっくりの顔が浮き出ている
そして挨拶「ゆっくりしていってね!!」を繰り返しているのだ
「なんだよこれ・・・?」 「新種のゆっくりか?」 「見た事ねぇな・・・」
人々は口々に囁いた
「まて、皆の衆・・・これに手を出してはならん!」
長老は、古い伝承の中でそれに似たものを知っていた
だから・・・村人たちに言明した
「新しい白いゆっくりには絶対に手を出すな」と
しかし
「ヒャッハー!虐待だぁ!!」
その話を全く聞かない連中がやってきた
虐厨である
彼らは人に似るが人ではない
己の楽しみのためならルールを無視し、平気で人を襲うならず者だ
彼らは人々の制止を振り切り、「ソレ」へ殺到した
幾多のゆっくりを潰してきた金属パイプを振りかざし、「ソレ」へ叩きつける!
「やめろ!!やめるんじゃ!!その御方を怒らせてはならん!!」
「アイゴは黙ってろwwwww」
虐厨たちは暴虐をやめなかった
「ソレ」はやがて挨拶をやめて黙った、しかし虐厨たちはやめない
やがて・・・
ゴキン!!
「ソレ」を攻撃した虐厨の一人は宙を舞って地面に叩きつけられ、汚い染みと化した
「へ・・・・・・?」
「ソレ」は、最初に見た白いマシュマロのようなゆっくりではない
上部に無数の触手を生やした、金属質のものに変化していた
ヒュッ! ヒュッ!
「ゲェ!?」「がべ!?」「ぎゃあ!?」
「ソレ」は触手をふるい、目の前の虐厨たちを手にかけていく
それまでの無抵抗が嘘のように、「ソレ」は「殺す側」へとあっさり回った
「きゃああああ!」「逃げろ!!」
人々は巻き添えになってはたまらないと逃げ出した
茫然と見ていた長老は、息子夫婦に抱えられてその場から離れる
「どけどけ〜!!」
一度逃走に成功した虐厨のうち数人が戻ってきた
手には、火炎放射器
「焼いてやる!くらえ!!」
火炎放射器の炎が「ソレ」に直撃した
「ぎゃははははは!!燃えろ燃えろ燃え・・・ろぎゃあああああああああああ!!?」
悲鳴を上げたのは、火炎放射器の虐厨の一人だった
彼めがけて炎の中から一筋の炎が伸び、彼を絡めとったのだ
突然の出来事に、虐厨たちの攻撃の手が止まる
炎が晴れ・・・「ソレ」が姿を現す
「ソレ」は4本の足と亀のような頭が新たに生じ、背中には火炎放射器のノズルを思わせる金属の筒が新たに出現していた
「ソレ」は赤い目で周囲を見回すと・・・背中の筒を、虐厨たちに向けた
「ひ・・・」
次の瞬間、筒から炎が放たれ、虐厨たちを松明へと変えていく
「逃げるんじゃ・・・里から離れるんじゃ!」
やっと我に返った長老は、住民の里からの避難を指示した
逃げ惑う虐厨たちは里へ向かい、それを追って「ソレ」も里へと歩いていく

100未知とのコミュニケーション 2/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2017/08/19(土) 23:29:00 ID:9YBXPKIg0
「てめぇら!!この始末どうする気だ!!?」
長老の息子は里の前で逃げ込もうとした生き残りの虐厨たちを鉄拳で止め、怒鳴りつけた
伝承では「ソレ」は、なにもしない、放っておけばまたどこかへ消える
しかし一発でも矢を放つなり攻撃を加えれば・・・「ソレ」は攻撃を倍返しする
過去、「ソレ」は何度も人前に姿を現していた
血の気の多い領主がそれを排除しようとしたことがあるが・・・
結果、領主の軍隊と一族は全滅、領土は「ソレ」によって焦土と化したという
だから、長老は止めたのだ、「触らぬ神に祟りなし」と
しかし虐厨たちは聞く耳を持たなかった
彼らが人の話に耳を傾ける理性の持ち主なら、利己的行動を控えていたら、こうはならなかっただろう
「ほざけw臆病風に吹かれたアイゴwwwww」
この期に及んでまだ虐厨は反省すらせず、さらに「ソレ」を殺す気だった
虐厨の一人がそう言い放つと同時に、手のトランクから武器を取り出す
グレネードランチャー、榴弾を放つ武器だ
「もうやめろ!!!これ以上被害をでかくするんじゃない!!!!」
「クソアイゴはそこで無力さを噛みしめながら憤死してろwwww」
グレネードランチャーは一本だけではなかった
多数の虐厨がそれを構え、やってくる「ソレ」を待ち構える
もう付き合っていられない、人ですらない害獣どもの身勝手と心中する義理も義務も長老の息子にはない
長老の息子は里の反対側の出入り口で手を振って避難完了を合図する妻と合流し、
里からできるだけ離れるべく車両を走らせた
そして・・・・・・
「くらえ!!」
グレネードランチャーが火を噴き、「ソレ」に直撃した
次々とグレネードが「ソレ」に着弾し、「ソレ」は動きを止める
「やったか!」
煙が晴れた時・・・虐厨たちは絶句した
そこにいたのは、先ほどの鈍重そうな亀のようなものではない
派手な装飾の鎧を思わせる禍々しい体を持った・・・二足歩行の「怪獣」だ
「・・・キェェェェェ!!」
「ソレ」は一声鳴くと、火炎放射器の時と同じように「お返し」をした
無数のグレネードが怪獣の体の穴と言う穴から一斉に放たれる、虐厨たちめがけて
当然、背後の人里にも榴弾は降り注いだ
田畑は無残に焼かれ砕かれ、収穫間近の農作物は灰へと姿を変えた
里の名物だった古くから続く伝統的家屋も例外なく破壊され、火柱を上げて燃え上がる
長老の指示でいち早く住人は避難していたため、幸い住人たちの犠牲は皆無だった
「親父・・・」
「無駄じゃ・・・ああなったあの御方はもう・・・誰にも止められん・・・奇跡でも、起きぬ限り・・・」
なお、この惨禍から奇跡的に逃げ延び命を拾った虐厨が何人かいた
が、彼らへの里の住人の態度は絶対零度であったことは言うまでもない


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