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('A`)ビーストのようです( ^ω^)
1
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/06/12(日) 07:17:03 ID:KrAK96.6
◆◇◆◇◆
この小説は、「G線上の魔王」というゲーム作品に影響を受けて書かれたものです。
場合によっては当該作品によく似た展開などが出てくる可能性もあります。ご注意ください。
なお、ストーリーや設定等は本作オリジナルで、当該作品を知らない人でも楽しめるものになっております。
よろしくお願いします。
◆◇◆◇◆
.
128
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:51:34 ID:nYZhV..U
それでもまだ、諦めてはいなかった。
放送が始まっていない今ならきっと、モナーは生きているだろう。
まだ助け出す方法はあるはずだ。
取っ手を回して、鉄の扉を開けた。
鍵は、かけられていなかった。
それはつまり、内側から鍵が開けられていた事を意味するのだという事実に、俺は今更気がついた。
――やはり俺は、遅かったのかもしれない。
扉の向こう側には、三階とはまた違った雰囲気の通路が続いていた。
ここから見える場所には人影もなく、俺は中に入って辺りを散策した。
すぐ近くにある別れ道。その先にどうやら、スタジオへの入り口があるようだ。
しかし俺は、そこで最後の難関に立ち向かうことになる。
入り口の前に立つ、一人の男。どうやら彼もここのスタッフのようで、その扉の奥に入るには彼の許しを得なければならないのだろう。
俺は少し焦ったように、小走りで彼の元へ向かった。
129
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:52:09 ID:nYZhV..U
(;'A`)「すいません」
(-@∀@)「ん?」
メガネをかけ、暇そうに立っているだけの男は、俺の顔を見て、なにやら不思議に思っているような顔を浮かべた。
俺のような学生が、朝早くにこんな所にいるのは少し不自然なのだろう。
(;'A`)「モナーの息子なんですが……ちょっと緊急事態で」
(-@∀@)「えっ、息子さん?」
モナーに、俺と同じくらいの息子がいるという話は知っていた。
このスタッフがその息子の顔を知らなければ、もしかしたらモナーを呼んでもらえるかもしれない。そう考えたのだ。
(-@∀@)「いやいやー、もう放送始まっちゃうから」
(;'A`)「……そこをなんとか……!」
(-@∀@)「そんなに急用なの?」
(;'A`)「母が……母が倒れちゃって……!」
130
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:52:48 ID:nYZhV..U
(-@∀@)「……そりゃまずいね……。でも、放送に穴を空けるわけにはいかないから。モナーさんも、抜け出す訳にはいかないって言うだろうし」
(;'A`)「ッ…………」
まあ、そうだろう。
そんなに上手くいくとは思っていなかった。
ただもしこれが成功していたら、少しは楽だったのだが。
方法を変えるしかない。
('A`)「……ごめんなさい、母が倒れたのは嘘です」
(-@∀@)「……ん?」
(;'A`)「でも今日出演したら、父は殺されてしまうんです!」
(-@∀@)「……どういうこと? 待ってよくわからない」
(;'A`)「ビーストに狙われてるんですよ……!!」
(-@∀@)「……いやいや、今日出演してもしなくてもそれは変わらないでしょ」
(;'A`)「出演中に殺されるんです!!」
(-@∀@)「…………」
131
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:53:23 ID:nYZhV..U
(-@∀@)「君さ、本当にモナーさんの息子なの?」
(;'A`)「……はい」
(-@∀@)「通行証は? ここに来るにはそれがないと入れないはずだけど」
(;'A`)「――ッ!」
通行証。言われてみれば確かに、そういった物が無いと通れないのは当然だ。
予めそれらしいものを自作して用意してくるべきだった。昨日の時点でここのスタッフ達が首から吊り下げている通行証を確認して、そっくりな物を作っておけばよかったのだ。
(-@∀@)「……ちょっと待ってね」
そう言うとスタッフの男は、振り返って鉄の扉を開けた。
(@∀@-)「すいませーん」
(;'A`)「…………」
まずい。これは俺を捕まえようとしているのではないだろうか。
確証はないが、俺は少しばかり焦りを覚えた。
132
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:55:01 ID:nYZhV..U
(-@∀@)「ちょっと僕についてきてもらっていいかな」
間違いない。今更モナーのところへ連れて行く気なんてあるわけがないんだ。
こんなところで捕まって何を言われるかわかったものじゃない。下手したら、学校に連絡されて停学処分を受ける可能性だってある。
(;'A`)「…………クソッ!」ダッ
(;-@∀@)「あっ、待て!!」
考えが纏まるよりも前に、逃げ出していた。
俺は、怖かったのだ。いや、怖いなんて言葉で濁すのは正しくない。人の事など考えている余裕もないほど、“びびって”いたのだ。
この時初めて、俺は自分という人間の小ささに気がついた。
達観したつもりでいた。一人で大人になった気でいた。けれど、目の前に迫る小さな恐怖にすら、立ち向かえなかったのだ。
再び非常階段に出た俺は、そのまま階段を下りて地上に戻るつもりでいた。しかしこの時初めて気がついた。
二階から地上に下りるには、備え付けられた梯子を降ろさなければならないのだと。
セキュリティの都合なのか分からないが、梯子を降ろさなければ地上と非常階段の行き来はできないようになっていた。
133
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:55:35 ID:nYZhV..U
梯子を降ろすような目立った行動は避けたかった。できればこのまま、他のスタッフに怪しまれることなくこの建物を脱出したい。
そう考えた結果、俺は階段を駆け上がっていた。
静かに扉を開け、立ち入り禁止のチェーンをくぐり、元のフロアへ。
そのまま堂々とスタッフの前を通り過ぎて、俺はこの建物から抜け出した。
(;'A`)「……はぁ……はぁ……」
外に出ただけで安心してはいられない。
しかし恐怖と疲れからか、まるでマラソンを終えた後のように心臓が脈打っていて、身体中が酸素を求めている。
そのせいで、再び走ることはできなかった。
振り返っても、追手は来ていない。これなら大丈夫だろう。
気づいた時には俺の尻は地面についていた。
その時。
聞き慣れた音が、俺の耳に届く。
リィン、リィン。
.
134
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:56:12 ID:nYZhV..U
顔を上げると、NBSの建物に貼り付けられた巨大なスクリーンに、モナーの姿が映し出されているのが見えた。
その直後であった。
思わず目を瞑ってしまうほどの、閃光。
肌で感じることのできる熱風。
遅れてやってくる、地鳴りのような轟音。
NBSの二階フロアのガラスは砕け、取り付けられていたスクリーンは俺のもとにも届きそうなほど、吹き飛ばされていた。
粉々になったガラスやコンクリートの欠片が、俺の身体にも降り注ぐ。
傷を負うほどではないが、その爆発の凄まじさを、俺の身体は感じていた。
.
135
:
第4話
:2016/07/17(日) 18:56:45 ID:nYZhV..U
まさかここまでの事態になるだなんて。
俺の推理は当たっていたものの、その規模は桁違いだった。
二階にいた人達は――いや、場合によってはその上下階にいた人達も、命を落としただろう。
俺は、彼らを救えたはずだ。
モナーが出演するのをなんとしてでも阻止していれば――。
(;'A`)「はぁ……はぁ……ッ!」
再び、動悸が激しくなる。胸の奥、みぞおち辺りに、重たい物がのしかかるような感覚を覚える。
肺が酸素を効率よく吸収してくれない。息が、苦しい。
(; A )(俺のせいで……、俺のせいで――――)
――続く。
136
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/17(日) 18:58:11 ID:nYZhV..U
投下中にちょっと居眠りしかけました。
出来る限りがんばりますので、よろしくお願いします…
137
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/17(日) 19:18:38 ID:onTRFVqk
うおおおお面白くなって来たぞ!
いちいちデミタスが怪しいな
乙
138
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/07/18(月) 02:07:38 ID:JwG9h09A
ハラハラする展開おもしろい
139
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/03(水) 11:07:46 ID:cLCgRPWc
続きはまだかね?
140
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/09(火) 19:59:40 ID:eP4W7Bbo
期待
141
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:46:36 ID:orv13PNg
第5話「疑いの目に棘あれば」
.
142
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:47:32 ID:orv13PNg
金曜日の朝。
目を覚ましたのは、スマートフォンのスピーカーから鳴り響く着信音のせいだった。
がなり立てるような歌い方をするボーカルが特徴的なバンドの代表曲。俺がこのバンドの曲の中で、一番好きなものでもあった。
目覚ましに好きな曲を設定するとその曲が嫌いになってしまう、という事があるらしい。
話を聞いただけでは、そんなバカな、むしろいい目覚めだろう、などと思っていたのだが、実際に経験してみるとなかなかうるさいものだ。
今後はマナーモードにしておくのが理想かもしれない。
そんな事を考えながら、画面の受話ボタンを押してスマートフォンを耳に当てた。
(;^ω^)『おっ、出たお』
スピーカーから聞こえた声は、ブーンのものであった。
('A`)】「……何の用だ」
( ^ω^)『何の用、じゃないお。メッセも無視してひどいじゃないかお』
('A`)】「…………」
( ^ω^)『心配してたんだお。でもわざわざ家に押しかけるのも悪いかと思って電話にしたんだお』
143
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:48:26 ID:orv13PNg
('A`)】「……悪かったよ、無視して」
( ^ω^)『……、まあそれはいいお。それで、何で2日も学校を休んでるんだお?』
('A`)】「……もう2日も経ったか」
(;^ω^)『今日で3日目だお』
('A`)】「……気付かなかった」
NBSに忍びこんだあの日。本当ならば、あのまま学校へ行くはずだった。
しかしそれは叶えられなかった。酷い罪悪感に苛まれ、とても学校へ行くような気分にはなれなかったのだ。
度し難い感情が、心を万力のようなものでじわじわと押しつぶす感覚。
苦しかった。そして、悲しかった。
(;^ω^)『気づかないってどういうことだお。ちゃんとご飯食べてるかお?』
('A`)】「うーん、多分」
這うようにしてベッドから起き上がり、そのままリビングへ。
カーペットの上には、デリバリーピザの箱とコーラの空き缶がいくつも転がっていた。
あまり覚えていないが、食事は取っていたのだろう。
144
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:49:00 ID:orv13PNg
( ^ω^)『体調でも悪いのかお?』
('A`)】「……うん、まあ、そんなとこ」
( ^ω^)『それなら仕方ないお』
('A`)】「まあもう割と良くなったよ」
( ^ω^)『おっおっ、だったら午後からでもいいから、顔出せたら出してくれお。ショボンは今日来てないけど』
('A`)】「あー……そうすっかなぁ……」
ブーンと会話をしていたら、少しばかり気分は良くなった。
ゆっくり支度をして、昼休み辺りに学校へ行こう。そう思えた。
流石にこれ以上休んでしまうと成績に影響が出てしまうかもしれない。そんな懸念もあったのだが。
( ^ω^)『おっおっ、じゃあ期待して待ってるおー』
('A`)】「あいよ」
('A`)
っロ゙ピッ
145
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:49:46 ID:orv13PNg
スマートフォンをソファに放り投げて、冷蔵庫を開ける。中には、昨日の晩に残したピザが4切れほどラップに包まれて入っていた。
それを油の引いていないフライパンに乗せて、弱火で加熱した。
冷めてしまったピザを温めるには、電子レンジは好ましくない。
ハンドトスという名称で有名なナポリ風生地は、耳が非常に分厚い。そういう生地の場合、レンジで加熱すると耳が固くなってしまうケースが多いのだ。
さらにラップをしたまま温めると、場合によってはピザに触れていたラップが溶けてしまう事もある。
それでは食べることもままならないので、できるだけ避けたいところだ。
好ましいのは、オーブンで温める事だ。
オーブンで加熱すると、生地の水分を無駄に失くさず、表面から内側までしっかりと加熱できるからだ。
おまけに具材に若干の火が通り、ものによってはより美味しくなる事もある。
しかし昔の俺は、オーブンを持っていなかった。
いかに美味しく温め直すか考えた結果、フライパンに行き着いたのだ。
ピザをそのまま乗せ、弱火で加熱。蓋をして待つこと数分。たったそれだけだ。
当然だが生地の裏面に最も火が通る。そのため、焦げないように注意が必要だ。
しかしそのお陰で生地の表面がさくさくになり、オーブンでは得られない違った美味しさが味わえるのだ。
フライパンによってはピザが張り付いてしまう事もあるが、それはクッキングシートを敷いておく事で防げるだろう。
146
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:50:20 ID:orv13PNg
(*'A`)「くぅ��、いい匂いだ」
蓋を開けると、焼けたチーズの香りが漂う。それは俺の胃を刺激して、胸の奥につっかえていた何かを振り払ってくれた。
皿に乗せたピザを、耳を掴んで持ち上げる。
そのまま先端を一気に頬張った。
('A`)
っΔ゙
サクッ
(*'A`)「����ッ!」
っΔ゙
ああ、俺はなんて幸せなのだろう。
こんなピザ一切れで、俺の心は簡単に満たされてしまう。
なんて単純なのだろうか。いや、美味しいものでしか満たされる事のないこの心は、複雑とも言えるかもしれない。
そんな事はどうだっていい。今は、このピザのことだけを考えていたい。
俺の脳はそう訴え続けていた。
.
147
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:52:35 ID:orv13PNg
あれれちょっと中断
148
:
訂正
:2016/08/11(木) 06:56:54 ID:orv13PNg
(*'A`)「くぅ〜、いい匂いだ」
蓋を開けると、焼けたチーズの香りが漂う。それは俺の胃を刺激して、胸の奥につっかえていた何かを振り払ってくれた。
皿に乗せたピザを、耳を掴んで持ち上げる。
そのまま先端を一気に頬張った。
('A`)
っΔ゙
サクッ
(*'A`)「――ッ!」
っΔ゙
ああ、俺はなんて幸せなのだろう。
こんなピザ一切れで、俺の心は簡単に満たされてしまう。
なんて単純なのだろうか。いや、美味しいものでしか満たされる事のないこの心は、複雑とも言えるかもしれない。
そんな事はどうだっていい。今は、このピザのことだけを考えていたい。
俺の脳はそう訴え続けていた。
.
149
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:58:29 ID:orv13PNg
学校に到着したのは、4限がもうすぐ終わろうというタイミングだった。
教室の前に到着した時にチャイムが鳴り響いたので、俺は安心して教室の扉を開くことができた。
ガララ
('A`)ノ゙「うーっす」
( ^ω^)「おっ、ドクオが来たお!」
ξ゚⊿゚)ξ「何よ久しぶりじゃない」
('A`)「体調崩してたんだよ」
(´・_ゝ・`)「おいドクオ、お前俺の授業が終わったと同時に来るってのはどういうつもりだ」
('A`)「うわっハゲ」
(#´・_ゝ・)「殺されたいのか」
('A`)「死にたくはねーっす」
(´・_ゝ・`)「ふざけた野郎だ、飯を食いに来たようなもんじゃないか」
('A`)「そうですよ、先生も食べてきてくださいよ」
(#´・_ゝ・)「言われなくてもそうするわ!」
ガララ
150
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 06:59:13 ID:orv13PNg
('A`)「なんだあの人……」
( ^ω^)「今日も昨日も一昨日も社会の授業があってドクオが来てないから怒ってるんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「出席が少ないと成績も誤魔化せないからね」
('A`)「えっなに、あの人自分の教科の成績誤魔化してんの?」
( ^ω^)「さっきそう言ってたお」
('A`)「ゴミクズじゃねぇか」
あの教師、ろくでもない男だ。そんなことを考えながら、俺はバッグから取り出した弁当箱を机の上に広げた。
今日は時間があったため、自ら弁当を用意したのだ。
冷凍食品のみで彩られた中身だったが、それでもちゃんとした弁当と言うのは悪くない。
( ^ω^)「おっ、珍しく弁当だお」
('A`)「まあたまにはな」
( ^ω^)「ブーンは相変わらずピザパンだお……」
っ□c
('A`)「いいじゃねぇかピザパン、寄越せよ」
(*^ω^)「やーだおー!!」
っ□c゙ モグモグ
('A`)「なんだこいつ」
151
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:00:05 ID:orv13PNg
ξ゚⊿゚)ξ゙「私も失礼するわね」ガタッ
('A`)「こりゃまた珍しいな、女友達いないのか?」
ξ#゚⊿゚)ξ「いるわよ、失礼な」
('A`)「そうかそうか、心配して損したわ」
(*^ω^)「ツン、ピザパン食べるかお!?」
('A`)「おい、どういうことだ」
ξ*゚⊿゚)ξ「あ、えっ……た、食べかけ……?」
(*^ω^)「違うお、ちゃんともう一個あるんだお」
っ□゙ ガサッ
ξ゚⊿゚)ξ「あっ……そうだよね……」シュン
( ^ω^)「いらなかったかお……?」
ξ*゚⊿゚)ξ「えっ!? べべ、別に貰ってあげてもいいわよ!」
(*^ω^)「おっおっ」
ξ*゚⊿゚)ξ「う、嬉しくなんかないんだから……」
っ□゙ ガサッ
('A`)「やめろお前ら飯が不味くなるだろ」
( ^ω^)「じゃあブーンが貰ってあげるお」
(#'A`)「くれてたまるか!!」
ξ*゚⊿゚)ξ「お、美味しくなんかないんだからね!」
っ□c゙
('A`)「そこは素直になれよ」
.
152
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:00:55 ID:orv13PNg
弁当を食べ終えてからは、トランプで遊んでいた。
スマホゲームではなくトランプを選択する辺りがなんとも俺らしくも感じ、またその特異な感覚に少しばかり格好良さのようなものを見出していた。
中二病というやつだろうか。
('A`)「5」
ξ゚⊿゚)ξ「ダウト」
(#'A`)「はぁー!? なんでわかるんだよ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「5と7は4枚揃ってるわよ。こんな人数でやるからじゃない……。はい6」
('A`)「こいつめ……」ガサガサ
( ^ω^)「7だお」
('A`)「……おいツン、ダウト言えよ」
ξ*゚⊿゚)ξ「…………」
(#'A`)「なんで言わねぇんだよ!! ダウトだダウト!!」
( ^ω^)「おっおっ」
っ[7]゙ ペラリ
('A゚)「はぁー!?」
ξ゚⊿゚)ξ「バカじゃないのあんたwww」
('A`)「何にも信じられねぇよ……敵ばっかりかよ……」
153
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:01:36 ID:orv13PNg
( ^ω^)「まあまあ3枚くらいいいじゃないかお」
('A`)「お前俺が既に何枚抱えてると思ってんだよ」
多くの枚数を抱えたツンよりも更に多く、俺の手札は一杯になっていた。
これを消費しきる前にどちらかに上がられてしまうのは間違いないだろう。
いっそのこと破り捨ててやろうか、なとど考えていた。その時だった。
ピーンポーンパーンポーン
( ^ω^)「おっ?」
『3年2組、ドクオ君。至急第二会議室へ』
('A`)「…………」
( ^ω^)「…………」
('A`)「…………えっ?」
(*^ω^)「何やらかしたんだおww」
(;'A`)「いや知らねーよ、休んでただけじゃねーか。ってか第二会議室ってどこだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「B棟の2階よ。家庭科室の向かいね」
('A`)「あんなとこ滅多に行かないのによく覚えてんな……。仕方ない、行ってくるか」
154
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:02:15 ID:orv13PNg
ξ゚⊿゚)ξ「死なない程度に頑張ってね」
(;'A`)「死なねーよ」
( ^ω^)「留年になってもブーンは友達だお」
(;'A`)「怖いこと言うな」
一体どんな用件なのだろうか。放送で先生に呼び出されたのは、生まれてこの方初めてのことだ。
呼び出し先が職員室ではなく会議室、というところも気になる。
緊張からか脚がもつれそうになりながらも、俺は第二会議室へと向かった。
階段を降り、渡り廊下を歩いて、突き当りを左へ。そのまままっすぐ進んだ奥に、第二会議室はあった。
扉は閉まっている。扉についている小窓は凸凹になっており、中の様子は確認できない。
もうすでに中に人がいるのかは分からないが、俺は扉をノックしてから、ゆっくりと開けた。
('A`)「失礼します……」
っ゙ ガララッ
/ ,' 3「おお、君がドクオ君かな」
( ゚д゚ )「…………」
155
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:02:57 ID:orv13PNg
長机の前に置かれた椅子に座る、二人の男。
俺に声をかけた人は、俺もよく知っている。この学校の校長、荒巻先生だ。
しかし、スーツに身を包むもう一人の男は見覚えがない。
彼は2つの目を大きく広げて、俺の顔を睨みつけるように凝視していた。
(;'A`)「……えと……どんなご用件で……」
/ ,' 3「まあまあ、とりあえずこっちに座りなさい」
(;'A`)「はあ……」
言われたように、机を挟んで二人の対面に置かれた椅子へ腰を下ろした。
一体、何が始まろうというのか。俺には想像もつかなかった。
/ ,' 3「この方はミルナさん。ニイタ警察署の刑事さんだよ」
( ゚д゚ )「ミルナ警部だ。君に話を聞きたい」
っロ゙ パタッ
(;'A`)「け、警察……?」
ミルナという男は、わざわざ警察手帳を目の前に翳してそう言った。
一体なぜ、警察が俺のもとへ。焦りと緊張から溢れ出る汗を拭いながら、俺は考えた。
思い浮かぶ答えは一つしかない。俺がNBSに忍び込んだ一件だ。
焦るな。顔に出してはダメだ。
冷静に、自然な緊張感で挑むんだ。
156
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:03:29 ID:orv13PNg
(;'A`)「なんでしょう……」
( ゚д゚ )「水曜日と木曜日は学校を休んだそうだな。それはどうしてだ?」
(;'A`)「いや……体調が悪くて……」
( ゚д゚ )「……ほう。それは今朝もか?」
(;'A`)「……今朝は寝坊みたいなものです。具合悪くて変な時間に寝たりしてたせいで、昨日は眠れなくて……」
( ゚д゚ )「なるほど」
('A`)「…………」
( ゚д゚ )「NBSがビーストによって爆破されたことは知っているな?」
('A`)「はい、知ってます」
( ゚д゚ )「君はあの日……水曜日は何をしていたんだ?」
(;'A`)「いや、ですから……体調が悪くて」
( ゚д゚ )「これを見ろ」
っロ゙ ペラッ
(;'A`)「……!?」
ミルナ警部がファイルから取り出したのは、一枚の写真。
画質は非常に荒い。しかし俺にはそれがどういうものなのか、すぐに理解できた。
NBSの非常口からスタジオに向かっている俺が写っていたのだ。
157
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:04:20 ID:orv13PNg
( ゚д゚ )「はっきりとは見えないが、この少年が来ている服はここの制服だろう。そしてこの容姿は、君によく似ている。そうは思わないか?」
(;'A`)「…………」ゴクリ
(;'A`)「似ています」
そう答えるしかなかった。似ているか似ていないかの事実だけ取れば、間違いなく似ているのだから。
不自然に答えに詰まる様子を見せてはならない。
( ゚д゚ )「この写真はNBS二階の廊下につけられた監視カメラの映像から切り出したものだ。当然だが、一般人が入れる場所じゃあない」
( ゚д゚ )「非常口の扉に、ピッキングされた痕跡が残っていた。この少年は三階から非常階段で二階まで降り、扉の鍵を開けて侵入したのだ」
――ピッキングだって? いや、俺はそんな事はしていない。元々鍵がかかっていなかったのだ。
あの時は焦っていて不審に思わなかったが、言われてみてればおかしな事だ。鍵が開いているはずが無い。
158
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:05:32 ID:orv13PNg
(;'A`)「……ッ」
そこまで考えて思い出した。
あの時、二階の非常口の扉につけられていた紙のことを。“遅かったな”と書かれた、ビーストからのメッセージを。
ブレザーのポケットの中に手を入れると、まだその紙が残っている事が手触りで確認できた。
そう。俺はこの紙を、持って帰ってきてしまったのだ。本当にビーストの用意した物なのか、果たして俺宛の物なのかもわからないのに、だ。
ただこの紙をあの場所に残しておく事は、ビーストにとっても俺にとっても有益な行為には思えなかったのだ。
( ゚д゚ )「非常階段にはビーストの指紋も残っていた。つまり、この少年がビーストである可能性もあるという事だ」
(;'A`)「……はぁ……」
( ゚д゚ )「ここまで聞いた上で、もう一度確認したい。君はあの日、NBSには行っていないんだな?」
(;'A`)「ッ…………。行ってません……」
( ゚д゚ )「そうか。では次にこれだ」
っロ゙ペラッ
ミルナ警部が再びファイルから取り出した写真。今度のものは先程の物程でもないが、やはり画質は荒く、対象物の輪郭がぼやけている。
しかしすぐに分かった。そこに写っているのが、銀色の電車から降りる俺の姿だと。
159
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:06:04 ID:orv13PNg
( ゚д゚ )「こちらの写真はさっきよりは見やすいだろう。まあ、はっきりと君だとは言い切れないが……、そうなんだろう?」
(;'A`)「ッ……いや……その…………」
( ゚д゚ )「はっきり答えろ……!」
/ ,' 3「ミルナさん、そういう言い方はここではやめていただけませんか」
( ゚д゚ )「ッ…………」
/ ,' 3「ここは学校です。生徒を指導する事も目的ではありますが、それはあなたの役目ではありません。どうか抑えてください」
( ゚д゚ )「……ッ。すみません、仕事柄でして」
/ ,' 3「…………」
その後も俺は、何も言えずにいた。
彼の迫力に気圧されたのも理由の一つではあるが、やはり焦りや緊張による思考回路の混線が与える影響は大きい。
考えることの出来なくなった脳は、自然とこの口を閉ざしてくれたのだ。
( ゚д゚ )「……まあいいさ」
(;'A`)「……えっ?」
( ゚д゚ )「君の指紋を取らせてもらおう」
(;'A`)「――ッ!?」
/ ,' 3「……ドクオ君は容疑者扱いなのですか?」
( ゚д゚ )「いや、あくまで参考人ですよ。しかし、これは協力してもらわなければなりません」
160
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:06:54 ID:orv13PNg
指紋を取られようと、俺はビーストでは無い。しかし問題は別にある。
不法侵入が発覚してしまえば、停学――いや退学処分すらも有り得るのだ。
まずい事態になった。そう思うと、額や首筋が熱くなりじわりと汗が滲み始めていた。
それがやがて雫となり、頬を伝って、膝の上で握りしめられた拳の上にひたりと落ちた。
その時だった。
「ちょっと待ったァ!!」ガララッバンッ
突如として、室内に響き渡る大声。
聞き覚えのある声だ。だがこんなにも張り上げたそれは一度足りとも聞いたことがない。
一体誰が――。そう考えながら振り返ると、そこには見慣れたハゲ頭があった。
(;´・_ゝ・`)「ドクオはNBSには入っていない!!」
(;'A`)「!?」
/; ,' 3「で、デミタス先生、急に困りますよ。あなたの代わりに私がついている約束だったでしょう」
(;´・_ゝ・`)「俺が証人なんですよ!!」
/; ,' 3「なっ……!?」
( ゚д゚ )「…………ほう。良ければ聞かせてもらえますかな」
161
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:07:47 ID:orv13PNg
彼は何を言っているんだ。時間を要するどころか、いくら考えたって彼の言っていることが理解できる気がしなかった。
(´・_ゝ・`)「あの日のあの時間、私とドクオは一緒にいました」
( ゚д゚ )「ッ……あんな時間に一体どこへ……?」
(´・_ゝ・`)「ニイタ公園ですよ」
(;'A`)「え……?」
(;'A`)「――ッ!」
思い出した。あの日、ニイタ駅からデミタス先生の後ろ姿を見かけた事を。
そして、その二日前の放課後、俺達とファイナル公園にいた事を。
(´・_ゝ・`)「月曜日、彼とその友達がファイナル公園に行ったんですよ」
( ゚д゚ )「……公園に爆弾が仕掛けられてるかもしれないのに……ですか」
(´・_ゝ・`)「だからこそですよ。そしてそれを私は止めに行った。しかし今度はニイタ公園に行くと言って聞かないので、仕方なく一緒に行ったわけですよ」
( ゚д゚ )「……それは本当か、ドクオ」
162
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:08:32 ID:orv13PNg
(;'A`)「……はい」
( ゚д゚ )「だったらなぜ最初から言わないんだ」
(;'A`)「ッ……それは……」
/ ,' 3「私の前じゃ、言いづらかったかな」
( ゚д゚ )「…………」
/ ,' 3「デミタス先生。その件についてはまた後でお話があります」
(´・_ゝ・`)「わかっております」
校長と教師の自然なやり取り。一見そう見えるのだが、両者ともに俺を庇うためにそう言っているような気がしてならなかった。
実際にデミタス先生は嘘を付いている。たまたま先生自身がニイタにいたために、俺を庇っているのだ。
( ゚д゚ )「……にわかに信じがたいが、あなたがニイタにいた証拠はすぐに出る。そんな間抜けな嘘をついて教職を辞めるということはないでしょう」
(´・_ゝ・`)「当たり前ですよ」
( ゚д゚ )「出来れば、ファイナル公園に行った友人たちの話も聞きたいんだが……」
(´・_ゝ・`)「廊下で待ってますよ」
( ゚д゚ )「……では、ちょっと聞いてくるとしよう」ガタッ
163
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:09:04 ID:orv13PNg
ガララッ
『……君たちがドクオの友達か』
『そうですお』
(;'A`)「…………」
廊下からは、ブーンやショボンの声が聞こえてくる。二人共デミタス先生が連れてきてくれたのだろう。
一体なぜ、俺のためにそこまでしてくれるのか。その理由は、直接デミタス先生から聞いた方がいいだろう。
(;'A`)「……なんで、あんな嘘を……」
(´・_ゝ・`)「嘘? なんの事だ」
(;'A`)「とぼけないでくたさいよ。一緒にニイタ公園なんか行ってないじゃないですか」
(´・_ゝ・`)「……言ってる事がよくわからんが……まあ仮に嘘を付いていたとしよう。それはなぜか」
/ ,' 3「…………」
(´・_ゝ・`)「大事な生徒をつまらん理由で退学になんかさせられないからだ」
('A`)「――ッ……」
/ ,' 3「……デミタス先生……」
(´・_ゝ・`)「俺の沽券に関わる」
/ ,' 3「…………」
('A`)「…………」
164
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:09:39 ID:orv13PNg
(´・_ゝ・`)「というのは嘘だが……まあなんだ、詳しい話はまた聞かせろよ」
('A`)「……ありがとうございます」
(´・_ゝ・`)「礼なんかいいさ」
('A`)「ゴミクズって言ってすみませんでした」
(´・_ゝ・`)「いいよいいよ。……ってゴミクズ??」
ガララッ
( ゚д゚ )「経緯はわかりました。聞く限りでは、ドクオ君は特に関係は無さそうですね」
/ ,' 3「それなら良かったです」
( ゚д゚ )「しかしこの学校の生徒の中に不法侵入者がいる可能性は変わりません。引き続き捜査を行いますので」
/ ,' 3「そうですね……。よろしくお願いします」
( ゚д゚ )「はい。それでは失礼いたします」
('A`)「……ふぅ……」
( ゚д゚ )「っと、そうだドクオ。ポケットの中身を見せてもらってもいいか?」
(;'A`)「えっ?」
( ゚д゚ )「さっきいじっていただろ。少し気になったんだ」
165
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:10:12 ID:orv13PNg
なんて洞察力だ。素直に感心すらしてしまう。
このポケットの中身を見られてしまっては、何を聞かれるかわからない。少しばかり焦りを覚えてしまった俺は、返事に詰まっていた。
(´・_ゝ・`)「疑いもないんでしょう。今更そんなものを見る必要がありますか」
( ゚д゚ )「やましい事は何もないんですから、見ても問題はないでしょう」
(;´・_ゝ・`)「ぐっ……」
( ゚д゚ )「どうなんだ? 拒否する権利はあるぞ。任意だからな」
(;'A`)「…………」
拒否しては、また怪しまれてしまうかもしれない。そう思うと、答えはひとつしかなかった。
(;'A`)「……いいですよ」
( ゚д゚ )「そうか。じゃあちょっと失礼しよう」
166
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:10:55 ID:orv13PNg
ミルナは俺に歩み寄って、俺の制服に手を伸ばす。あの紙が入った右ポケットへ。
落ち着け、大丈夫だ。何も問題はない。あんな紙一枚で何がわかると言うんだ。ミルナは俺を試しているだけだ。
そう心の中で自らに言い聞かせても、不安に思う気持ちは拭えなかった。
( ゚д゚ )「…………」ゴソゴソ
っ゙
(;'A`)「…………」
( ゚д゚ )「……なんだ……?」
っロ゙ ペラッ
(;'A`)「……そ、それは……」
( ゚д゚ )「ピザのクーポン?」
っロ
(;'A`)「!?」
ミルナ警部が掲げたもの。それは確かにあの時の紙に違いなかった。
しかし、ミルナ警部はその裏面を見ていた。“遅かったな”と書かれている面をこちらに向けて。
正確にはミルナ警部が見ている面が表面なのだろう。
( ゚д゚ )「大したものではなかったか」
っロ゙ スッ
167
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:11:28 ID:orv13PNg
偶然に、救われた。表面がピザのクーポンであったために、裏面まで見る事をしなかったのだろう。
一体どうしてピザのクーポンの裏にメッセージを残したのかは知らないが、そのお陰で変な事を聞かれずに済んだのだ。
変な話ではあるが、少しばかり感謝の気持ちを抱いてしまった。
(;'A`)「……昼休みだったんでお腹空いてて……つい気になっちゃって」
っロ゙ パシッ
( ゚д゚ )「おっとそういえば昼休みだったな……。すまない、時間を取らせてしまって」
(;'A`)「いえいえ! 大丈夫です!」
( ゚д゚ )「今度こそ失礼するとしよう。すみません、ありがとうございました」
/ ,' 3「いえ、こちらこそご迷惑おかけします」
( ゚д゚ )゙「では」コツコツ
開け放されていた扉からミルナ警部が出ていくと、廊下からブーンとショボンが中へと入って来た。
二人とも何故だか申し訳なさそうな表情を浮かべて、俺の顔を見つめていた。
('A`)「なんでそんな顔してるんだよ」
(;´・ω・`)「えっ……いやだって……僕たちのせいでもあるし……」
168
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:12:02 ID:orv13PNg
('A`)「え?」
(;^ω^)「あの日ファイナル公園になんて行かなければ、ドクオと先生がニイタ公園に行く事もなかっただろうし……」
('A`)「ああいや……それは嘘だよ」
(;^ω^)「お?」
(´・_ゝ・`)「俺とドクオはニイタ公園には行ってない。俺はもちろん、ドクオもニイタにいたのは事実のようだが」
(;´・ω・`)「……どういうこと?」
(;^ω^)「まさかドクオ……本当にNBSに侵入したのかお!?」
('A`)「……ああ」
(;´・ω・`)「……わーお……」
(;^ω^)「じゃあデミタス先生は嘘ついたんじゃ……」
(´・_ゝ・`)「そういう事だな」
('A`)「すみませんでした……」
(´・_ゝ・`)「気にするな。だが校長がなんと言うだろうか……」
169
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:12:51 ID:orv13PNg
/ ,' 3「私は何も知りませんし、聞いてません。デミタス先生の受け持つ生徒ですから、あなたのやり方に任せますよ。ただし問題が起きた時は……」
Σ(;´・_ゝ・`)「はっ校長、いたんですか」
/ ,' 3「貴方が現れるずっと前からいましたが」
(´・_ゝ・`)「問題が起きた時には、責任を取る所存です」
/ ,' 3「そうですか」
('A`)「…………」
たった一人の生徒のために、自分の立場すら差し出す。そんな姿勢に、俺は憧れのような感情を抱いていた。
それと同時に、俺の心は申し訳ない気持ちで一杯になった。目頭が熱くなり何処かからこみ上げる涙を抑えるように、俺は顔を両手でぐしゃぐしゃに潰した。
('A`)「今度ピザでも食べましょう。奢ります」
(´・_ゝ・`)「えっ、ピザ? 生徒には奢らせられんなぁ」
('A`)「多分先生の貯金より持ってますよ」
(;´・_ゝ・`)「おいなんでうちの貯金が5万円しかないことを知ってるんだ」
(;'A`)「少ないなおい!! あんた家庭持ちだろ!!」
170
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:13:41 ID:orv13PNg
(´・_ゝ・`)「子供の入学費用なんだよね。来年小学生になるんだ」
(;'A`)「一体どんな学校にぶち込む気ですか」
(´・_ゝ・`)「更生所」
(;'A`)「ほぼ刑務所じゃねーか!!」
(´・_ゝ・`)「Yo! 学校を脱走そのまま勘当! あんよ覚えたてのワンコにしちゃSo coolだろ?」
(;'A`)「どこにツッコめばいいんだよ」
/ ,' 3「“だろ?”でも韻を踏むところがいいと思います」
(;'A`)「校長!!!!!!!」
場の雰囲気は賑やかであったが、俺の心に溜まる雲のようなものは晴れてはくれない。
本当にこのまま、ビーストとの勝負を続けてもいいのだろうか。周りに迷惑をかけてしまっているのではないだろうか。
ふつふつと湧き出る度し難い感情にストップをかけ、俺は会議室を後にした。
――続く。
171
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 07:17:46 ID:orv13PNg
レスありがとうございました。
新作に浮気してて全然書き溜めしてないですごめんなさい。でもまたモチベ出てきたので……。
172
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 12:11:14 ID:zijfwS1g
ハゲさん妻子持ちかぁ
んぬぬどっちだ
173
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 12:57:32 ID:xMnLoltg
きな臭い…きな臭いぞ…
乙
174
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2016/08/11(木) 15:18:27 ID:QEZrPCd2
疑惑溢れる感じいいね、乙
175
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2017/07/28(金) 06:13:30 ID:p6RD5ho6
つづき……気になる……
176
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2017/08/06(日) 01:37:35 ID:XGDeTR72
まだ?
177
:
以下、名無しに変わりまして素直キュートがお送りします
:2018/07/28(土) 16:09:10 ID:uxyd/kJo
p
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