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リゾナントブルーのMVからストーリーを想像するスレ 第159話

1 名無し募集中。。。 :2017/10/16(月) 20:06:02
明日もよろしく。その次の日も。そのまた次の日も。

星が散って、落ちていく。
辿り着いた先でもまた、多くの光に囲まれるだろう。
自分の手と足で集まれ光よ、胸の高鳴る方へ。


第158話 「保全作(愛ガキ・ぽんぽん)」 より


前回のお話はこちら
【小説】リゾナントブルーのMVからストーリーを想像するスレ 第158話
http://matsuri.5ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1506948051/


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119 名無し募集中。。。 :2017/10/31(火) 23:20:55
座間の事件に似てる作品ってあったかな?

120 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:00:56
>>94 続きです。

飯窪から見て、工藤はまだ幼い。
大人の道に片足を突っ込んではいても、まだ17歳といえば子供だ。
リゾナンターは年相応に見えないメンバーも歴代を含めて多い。
彼女もその一人だが、生い立ちを考えると無理もないとは思う。
だが飯窪は、そんな大人びるだけの彼女があまり好きじゃなかった。
幼い子供が鉄の匂いを纏って死体に跨る姿などあってはいけない。
けれどそんな飯窪の想いを知る筈もなく、工藤は部屋の片づけを開始した。

慣れているとでも言いたげに既に首、手、足と切断されていたので
それぞれを市が指定するゴミ袋を二重にして入れて、口を縛る。
飯窪は言われるがままに解体に使った糸鋸や鉈、包丁やナイフに向かう。

指示通りに新聞紙に包んで同様にゴミ袋に入れる。
床の青いビニールシートは端から畳み、これもゴミ袋に入れる。
工藤がこちらを見つめていた。

 「壁の下の方まで広がる大きめのを使うと汚れなくて便利なんだよ」
 「…それ、あんまり役に立つ知恵とは思えないんだけど」
 「まあね。時と場合と人による、考えるとけっこー範囲狭いなこれ」

笑い声。普段通りに会話している事に気付き、ぞっとした。
十二個のゴミ袋が出来たが、下の方に血が溜まって重くなっている。
道具と敷物で数十キロを十二個に分割したものの、それでも一個に
対する重量が大きいのは確かだ。
硬直していた体は時間が経つと慣れてきたのか落ち着いていた。

 「ふう…で、これをどうするの?」
 「ハルが決めてある場所に埋める、はるなんは待っててよ」
 「どこに行くの?」
 「一回で行けるよ、今までもそうしてきた」
 「下、下まで手伝うよ」

飯窪は小さい袋を四つ持てた。工藤は一度に大きな八つの袋をまとめて持つ。
階段を軽やかに駆け下りていく工藤の背中を見る。
飯窪も続いて下りていく。
暑い夜のため、一階まで下りただけで汗が噴き出た。

121 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:02:44
 「工藤さん、こちらです」
 「すみません、また頼めますか」

車のエンジン音が聞こえたかと思うと、そこには見覚えのある
スーツを着た二人の男女がドアから現れる。
後方支援部隊、事前に応援を呼んでいたらしい。
つまりは、工藤の行動を以前から知っていた事になる。
それが少しだけ、悔しかった。

 「一緒に、来る?」


二人は無言のまま、車は夜の街に出る。
コンビニや二十四時間チェーンの店からの灯りを抜けていく。
車は郊外に向かい、当たり前のことだが、そこでようやく死体が
夜の山かどこかに捨てるのだと気付いた。

工藤の横顔に、飯窪は口を開き、悩みながらも聞いてみる事にする。

 「どぅーって本当は力持ちだったんだね」
 「え?」
 「ほら、さっきの私の二倍を運んだのに、この暑さなのに
  汗も出てないし、息も切れてない……いつもなら前髪が引っ付くぐらい
  もっと汗かいてるのに、もしかして隠してた?」
 「あー……うん。隠してた」

考えて、工藤が肯定する。

 「養成所に居た頃によく分からずにチカラを使いまくってたら
  周りの子達に怖がられてさ、それから手を抜くようにした。
  汗はチカラの分泌物でどうとでも見せられたし。
  目立つ事をしてると監視もキツくなるし、自由が少なくなるし。
  その頃から何度も抜け出してたしね」

122 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:04:04
車内にはまた沈黙。気まずい。
一時間ほどで、車は山中に入る。
国道は通っておらず、黎明技研の研究所と公務員の保養施設があるが
別ルートの山道を行けば、誰かに会う事もない。
山道を進み、中腹で停車する。
周囲に人がいない事を確認して、助手席の女はライトを脇に抱えた。
運転席の男は積んであったシャベルを担いで、ゴミ袋を持って外に出る。
工藤もゴミ袋を掴み、ガードレールをまたいでジャンプで越える。
重い荷物を持って飛び越えるなんて、どんな筋力だ。
飯窪はガードレールを跨いでようやく越えていく事がやっとだった。
ライトで照らしながら夜の山中を下っていく。
木々の梢の間から月光が降り注ぐが、森の闇は深い。
ライトで照らしても暗い下生えの雑草が足にまとわりつく坂を下っていく。
土の植物の匂い。
手に触れた枝が折れて、青臭さが鼻に突き刺さる。
飯窪は木の根で転ばない様に慎重に進むが、工藤は闇が見えているかのように
軽快に坂を下っていく。
飯窪は常に彼女の背中を見ながら降りていく。
月光がほとんど差しこまない夜の森を進むなど普通は怖いが、平気だった。

目の前に工藤が居るからだろう。
夜の闇の怪物だの、死者の霊だの、工藤の前では怖くともなんともない。

恐怖が目の前にあるのだから。

木々の間の開けた場所に出ると、雑草が茂る間に進み、工藤達が足を止める。
ゴミ袋を置いて、シャベルを握る。
垂直に下ろして、刃先を地面に深く突き立てた。

 「ここ?」
 「うん。はるなんは周りを見てて、大丈夫だろうけど念のために」
 「う、うん」

刃先で掘り返した土を脇に捨てる。シャベルを突き立て、繰り返す。
機械であるかのように一定のリズムでさくさくと土を掘っていく。
まるでケーキのスポンジでも掘っているかのような速度だ。

123 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:05:25
 「あのさ、穴ってどれぐらい掘るの?」
 「2メートルぐらいかな。浅いと野犬が掘り返して見つかる」
 「……焼いたりは出来ないの?」
 「場所が確保できないし、人をまるまる燃やすのに時間がかかる。
  あとは匂いですぐにバレるんだよ。だから埋めた方が簡単なんだ」
「それも経験から?」
「うん、経験から」

工藤が土を捨て、また地面にシャベルを突き立てる。
大人二人がようやく一回目の土を横に捨てる間に、工藤は三回も往復している。
まるで掘削機だ。
腰の深さまでになった穴に入り、工藤は男と共に本格的に掘っていく。
月光の下で数分ほど、無言で工藤は掘っていた。
男女二人も無言のまま言葉もなく手伝っていく。

胸辺りまで掘って、穴を広げる作業になる。

 「聞いても、いい?」
 「いいよ、なんでも」

工藤の手が止まった。動揺は一切浮かべない。

 「なんでも答えるよ。もう隠す理由もないし」
 「ええっと、工藤遥って名前は本名?」
 「あーていうか、ハルはもう死んだ事になってるから。
  でもこの名前で生きてきたから、この名前で呼んでくれると分かりやすい」

工藤の目は静かだったが必死さが籠る。冗談の表情では、ない。

 「分かったよ、どぅー」

二人の上に不愛想な月光が降り注ぐ。

傍らには土の山。
そして地面に置いたライトと分割された女の死体が詰まったゴミ箱。

124 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:06:54
 「この人は、どんな人間だった?」
 「能力者だよ。だから名前も分からない、分かるのは、今回の依頼を
  してきた人をつけ狙ってたから、返り討ちにした」
 「まさか持って帰ってきたの…?」
 「そのまま放置も出来なくて、せっかくだし」
 「…食べるようになったのって、そのチカラのせい?」
 「人の食べ物が食べられないって訳じゃないよ。
  でも全然食べた気がしないんだ。食べても食べてもすぐに消化する。
  牛肉や豚肉も好きだけど、気持ち的にも満たされるのはこっちなんだよね」

工藤はいつも肉類を美味しいと言って食べていた。
牛肉、豚肉、鶏肉、挽き肉。
彼女が食べて喜んでいる姿に微笑ましく感じていた。
だが人間の抱える飢えは限界を超えると相当、辛い。
意識が朦朧として正気を保てなくなる。それ以上の飢えを飯窪は知らない。
だが彼女はそれ以上なのだろう。
通常の食事では摂取できないほどの飢えを知ってるのだと遠回しに言っている。
彼女の気遣いを思うとかつての自らの愚かさを責めそうになる。
そんな飯窪に工藤は笑ってみせた。

 「普通の人を殺すのは抵抗があるけど、能力者ならまだマシかなって」

飯窪は返答できない。
彼女を妹のように愛しているし、勢いで許容はしたが人を殺すという事を
当たり前の様にしてはいけない。
家族から切り離された天涯孤独でも、ホームレスやカフェ難民でも日雇い派遣労働者でも。
異能者だとしても立場は変わらない。
自分に跳ね返る現実に、飯窪は顔を俯かせる。

 「ごめん」
 「それは、何の謝罪?」
 「黙ってた事、でもいくら皆でもこういうのって気味悪いでしょ、実際。
  この人達はハルと行動するって聞かないから手伝ってもらってるんだけど
  正直言って申し訳ないっていうか、やってほしくないんだよ。
  もうハルのわがままに誰も巻き込みたくない」

125 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:08:02
それでも工藤はリゾナンターとして活動を辞める事はしなかった。
都合が良かったのかもしれない。
だが、工藤遥はそれを容易な事態だと受け入れる事はしない。
どれほどの葛藤があっただろう。
別の意志とは裏腹に、仲間と共に過ごしていた時、彼女の中でどんな思いだったのか。
それでも真っ先に謝罪したのは工藤だった。

 「こんなヤツでも感情があって、普通に人間みたいに振舞うのって
  まともな人間からしたら凄く異常なことだしさ」
 「どぅーは怪物じゃないよ」

飯窪は反射的に言っていた。
本当は目の前の工藤が「悲しい」と言っている事に奇妙な違和感を覚えていた。
昨日までの工藤にだったらこんな感情は抱かなかった。
それでも好きだからと、納得させる。

 「工藤さん、これで良いですか」
 「あ、はい。これぐらいで大丈夫です」

既に穴は見下ろすほどに深く大きくなっている。
深さはすでに2メートル、幅は4メートルぐらいだろうか。
掘った土は小型トラックの荷台分ぐらいありそうだが、雑談をしながら
三人で十分の作業と思えば優秀過ぎるほど早い。
横に置いていた死体入りのビニール袋を運ぶ。重い。
振って投げようとして、工藤が声を上げた。

 「中身出して入れてほしいんだけど」
 「え?そんな事したら…」
 「入れたままだと土と同化するのに時間がかかる。だから出してあげて」

工藤にしてみれば、土に同化していつか証拠が消える方が安心できるのだ。
飯窪の手は迷う。工藤が心配顔になっていた。

 「きついならするよ。後ろ向いてゆっくりしてな」
 「うん……ごめん」

126 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:09:20
結び目を解いた途端、鼻につく血の臭い。
口で呼吸しても血の味が喉に来るようで思わず手で口を塞ぐ。
袋の下を持って、穴に向けて逆さにする。
右か左か分からないが、血に塗れた腕が穴の底へと落下していく。

穴の反対側では男達が同じように袋を逆さにして、女の太腿を落としていく。
三人で黙々と袋の結び目を解いては、手や足や太腿、分割された
胴体を落としていった。動物の肉とは違う、生々しい。

分解に使った道具すらも捨てるらしく、少し気になった。

 「道具も捨てるの?」
 「うん。一回使うと酸でも使わない限り証拠として残る」
 「ああ、ルミノール反応、ね」
 「中古ならそれなりの場所で安く買えるしね。ネット様様だよ」

穴の縁で、工藤が両手を合わせた。睫毛を伏せ、目まで閉じる。

 「ごめんなさい」

死者への礼儀と謝罪で自分の罪を誤魔化すための、偽善。
それでも工藤は手を合わせて、黙祷する。
する必要もないけど、それでもするのが工藤遥なのだ。
飯窪も手を合わせて黙祷する。男達も便乗する。

薄目を開けて前を見ると、工藤はまだ黙祷していた。
彼女は好きこのんで人を殺して、食べてる訳ではない。
もうすぐ死ぬ人に死んだら食べても良いですか、と聞くわけにもいかない。
生きにくい設定を二重に背負う彼女の心はまだ幼い。
どちらかがなければ普通とはいえないまでも、もっと楽に生きられただろう。

 「じゃ、埋めよっか」

工藤の顔はいつもの表情に戻っていた。
目には罪悪感が見えたが、触れない方が良い。
今度は四人で穴に土を被せていく。
工藤は相変わらずとんでもない腕力でシャベルを動かす。
ほんの三分で土が埋まっていき、草原に小さな山が出来る。
土の小山に乗って、工藤は足で固めていく。飯窪も足で踏む。

 「これでいいよ」

127 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:10:05

工藤が止まったので、飯窪も止まる。
まだ少し盛り上がってはいるが、そのうちに雨が降って土が固まり、周囲に
雑草が生えてくればもう見つかる事もないだろう。
こんな山に開発や建設で掘り返される事は、二人が生きている間にはないはずだ。

タオルで土塗れの顔や手を拭う。

終わった。全てが終わったのだ。儀式めいた事柄に、飯窪はようやく息を吐く。

 「じゃ、今までお世話になりました」
 「え」
 「はるなんはこの人達に送ってもらって。ハルはここから山を越えて
  向こうの街に出るよ。宛があるから、荷物はそっちに送ってもらう」

工藤のあの脚力なら山を越えるのに一時間も掛からない。

 「今日の事は、皆には黙っててほしいけど、でも多分誤魔化せないから
  話して良いよ。全部ハルのせいにして良いし」
 「本当に、出ていくの?だってまだどぅーはリゾナンターなんだよ?」
 「依頼は一人でもやれるヤツを連絡してくれたら動くよ。まあちょっと面倒だけどさ」
 「……どぅー」
 「また改めて皆には説明するし。ってどうにもならないか、どうしようかな」

その時にようやく溢れだす寂しさに、飯窪は泣きそうになった。
別れてしまう現実に、ようやく実感が沸いてきたのだ。
誰よりも罪悪を感じていた彼女。
二度と会えないような物悲しさ。手で口を籠らせる。
妹の様に愛しさを感じた彼女との別れがこんなにも辛いものだったなんて。

 「なんだよはるなん。何泣いてるんだよ。二度と会えない訳じゃないんだからさ」
 「……するから」
 「え?」
 「私が、なんとかするから、戻って来てよどぅー」
 「……」

128 名無し募集中。。。 :2017/11/01(水) 04:12:15
 「大丈夫だよ、ちゃんと私も説明するから。だから帰ろう。一緒に」
 「どうにもならないって。話したところで納得できる話じゃないし」
 「それ、あゆみんやまーちゃんにも同じ事言える?」

差し出される手に、工藤の視線が注がれる。
立ち去ろうと足を引くが、再び下がる事はない。
飯窪が一歩進む。進む、手が、工藤の腕を掴んだ。

彼女は肯定も否定もせず、静かに飯窪と共に歩き出す。
鉄錆の匂いが濃度を増し、血の足跡が続いていく。

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