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実験版企画2〜Wizards in Wonderland〜
6
:
アリス
◆5/2kkxYfkE
:2015/04/18(土) 15:01:57
飛空艇は全速力で王都に向けて飛んでいた。
正確には水空両用艇レヴァナントウィング――ウチらWWの本拠地兼移動手段だ。
WWの面々たちは久々の王都帰還に沸いていた――
思い返すこと数か月前――平和な日常は一瞬にして崩れ去ってしまった。
“白い悪魔”が辞令をもって現れたあの日から。その名はハチべえ。
美しく可愛しい白い犬のような姿をした何かだ。
某首チョンパ系魔法少女アニメですら詐欺とはいえ契約の自由はあったのに
ウチらには選択権すらない、ただ決定事項を告げられるだけ。
逆らうことは許されない、彼はこのワンダーランドの王であるのだから!
この国では王に逆らう者は問答無用でもふもふの刑に処されるのだ。
その刑を受けたものは刑の内容を黙して語らず。
なので詳細は不明だが、筆舌に尽くしがたい恐ろしい刑なのだということは想像に難くない。
話は戻って、ダンジョンが辺鄙なところに出現するので行く場所は必然辺境の地ばかり。
そろそろ文明が恋しくなっていたところに、突然の帰還命令である。嬉しくないはずはない。
「ふふーん、ふふふふ〜ん♪」
ウサミミの少年が鼻歌を歌いながら洗濯物を干している。こいつはラビ。ウチの装備品だ。
「パンツを被るなとは言わない。
だが……パンツを”幸せの黄色いハンカチ”のごとくロープにくくりつけるのはやめようか!」
「申し訳ありません、嬉しくてつい。
マスターがWWに左遷されてしまったお蔭で行きつけのパンツ屋にも通えなくなりましたからね」
「あ・の・なあ、誰のせいで飛ばされたと思ってんだよ」
「私がパンツを被っているせいですね、重々承知しております。
ですが私の創造主はマスターです。それすなわちマスターが原因だと思われます」
「うぐっ……」
それを言われてはぐうの音も出ない。
こいつはウチが長年かけて完成させた魔導機械人形。まあ今流行りのDIYの一種だ。
容姿端麗、頭脳明晰、あらゆる雑務を完璧にこなす執事。
――のはずだったのだが、制作過程のミスか、はたまた素材に何か欠陥があったのか
頭にパンツを被る事に並々ならぬ執着を燃やす性癖を持ってしまった。
パンツネタは置いといて、王都についた途端に浮かれた空気は一変することになる。
一同の前に白い犬のホログラムが現れた。彼こそがワンダーランド国王ハチべえである。
「ついに我がお膝元に魔女が侵略してきやがったワン。というわけでダンジョン攻略を頼むワン!」
甲板に出てスタンバイした一同。近づいてきたダンジョンを見て、場に戦慄が走った――
鬱蒼と雑草が生い茂った庭。周囲には聳え立つゴミの壁――!
「な、なんだありゃ――」
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