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【第三期】ダークファンタジーTRPGスレ【避難所】

85アウラ ◆OmrbZWDMUs:2016/03/07(月) 23:32:19
「ここは僕に任せて逃げろ!」

伯爵が前に進み出る。見たところかなりの使い手だ。
しかしアウラは諦念の表情。悟ってしまったのだ。
この世界の闇の深さは、もはや古き良き伝説の時代のように光で祓えるレベルではなくなってしまったことを。

「駄目だ、君には倒せない……そして私にも。
私達が油断していたばっかりに……この世界の闇はあまりにも深くなり過ぎた。
だからせめて……この悪魔の書だけは滅する!」

<よかろう、今さら我を滅したとて無駄なこと――>

アウラがまさに風の魔法を発動させ本を粉々に切り刻まんとした時だった。
目の端である事に気づき、驚きのあまり一瞬行動を止める。
なんと、怪物の苗床にされもう命はないだろうと諦めていたルーミーが、立ちあがっているのだ。
当然、瀕死の重傷ではあるものの、その瞳の奥には怒りの闘志が燃え盛っている。
それを見たアウラは、ほんの僅かな勝機を見出した。

「伯爵、ルーミーに回復魔法を! 
この街の伯爵なら貿易はするよね? ここから生還できたら私を風使いとして雇って!」

「あ、ああ。そんな頼み生還できればいくらでも……何か作戦でも思いついたのか?」

極限状況でどさくさにまぎれて雇用契約成立。
つい先ほどまで諦めの極致だったアウラが突然生還前提の話を振ってきたのだから無理はない。
伯爵は応える代わりに、アウラは悪魔の書に向かってとんでもない提案をするのであった。

「気が変わった、新しい契約者を紹介してあげよう」

なんと、ルーミーに禁断の書を渡そうというのだ。
高位の神聖魔法の使い手である伯爵ですら長年にわたって操られていたというのに。
だが、逆にも考えらえる。真っ白なものほど、いとも容易く闇に染まってしまう。
人の心の闇を知り尽くしているルーミーならばあるいは――禁断の書の力を制御することができるかもしれない。

「正気か!? 乗っ取られて終わりだ!」

アウラの恐ろしい考えを察した伯爵は、血相を変えて止めようとする。至って常識的な反応である。
それもそのはず、下手をすれば史上最悪の魔女が爆誕してしまうイチかバチかの大博打。

「そうだよね、きっと正気じゃない。でも……賭けてみたくなったんだ。
この時代に英雄に成り得るのはもしかしたら……彼女みたいな人なのかもしれない」

アウラはルーミーの方に向き直り、禁断の書を投げ渡す。

「ルーミー! これを!」

アウラは確信していた。ルーミーは何者にも操られたりしないと。
何故なら、ルーミーは最強のサイキッカー。いつだって”操る側”なのだから!


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