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空想のコキュートス【設定投下用スレッド】
32
:
魏永琳
:2015/03/09(月) 04:10:45
あたし魏永琳(ウェイ・ヨンリン)! 十八才の肉食系女子!
何してる人かって問われれば、遊侠だって答えるよ。
遊侠って言うのは、他の国で冒険者って呼ばれてる人たちと同じ感じの人種かな。
決まった生業は無いけど、悪吏を退治したり、迷い猫を探したり、色々な事で生計を立ててるんだ。
でも、残念ながら今は囚われの身……。
密貿易で一儲けとしようと思ってリューキューに渡ったら、現地の女武官に捕まって、仲間の皆と数珠繋ぎ。
こんな苦境に陥ったあたしたちだけど、すぐに転機は訪れた。
いきなり……あたしたちの前で戦いが始まってしまったのだ!
丸太みたいな手の大男と、すっごく足の長い大男が、何だか問答無用って感じで女武官に襲い掛かって来る。
うん、これは逃げるなら今ってことだよねっ。
きっと普段の行いが良かったから、天が見かねて助け舟を出してくれたに違いない!
「皆、今だよっ!」
振り返った時、すでにあたしの仲間たちの姿は影も形も消えていた。
ううん、よく見れば霧の中に微かな後姿が見えなくもないような……。
えっ、あ、あれ? もしかして、逃げ遅れてるのあたしだけ?
頭領のあたしは先頭にいたから気付かなかったけど、短刀か何かでとっくに縄も切られてたっぽい。
これは、あたしの十倍頭の良い幼馴染、瑜律(ユーリュ)の仕業に違いない……って感心してる場合じゃない!
「悪いけど、さよならっ!」
跳躍したリューキューの女武官を背にすると、あたしも身を翻して仲間の後に続く。
霧で覆われた悪路な上に胸が……たゆんたゆんと揺れて、とっても走り難い。
大きいと羨ましがられるけど、大きければ大きいで、こういう機敏に動きたい時はちょっと不便。
それでも、少し走ると薄橙の着物を着た瑜律と、散乱した密輸品を回収する人足たちの姿も見えてきた。
「瑜律、積荷の回収は目ぼしい物だけ! すぐに皆を連れて船まで戻って!」
仕方ないよね。
高価な荷物を置いてくのは大損だけど、仲間をリューキューで囚われの身にするわけにはいかないもん。
すごーく不服そうな顔だけど、これには瑜律も納得してくれた。
あの女武官が、あたしたちより遥かに強いのを知っているから。
また戦いになれば、また捕まって、今度は逃げられない。
妖怪二匹が時間を稼いでる間に、あたしたちは一刻も早く遠ざかるべきなのだ……普通に考えるなら。
「この霧なんか変だし、妖怪も出るし、皆はここから離れて! もう積荷は良いから!」
横転してる荷車を直して、ありったけの積荷を乗せて、人足たちが走り始めるのに一分も掛からなかった。
よしっ、とりあえずこれで仲間の安全は確保したね。
「赤兎っ!」
あたしの呼びかけで木々の間から出てきたのは、象ほどの大きさを持つ薄桃色の大兎。
この子の名前は赤兎って言って、あたしの騎獣なんだ。
乗り手のあたしが捕まって、森をさ迷っていたみたいだけど、これで元通りっ!
あたしが武器にしてた重い騎兵槍も……あったあった。まだ近くに転がってる。
赤兎に跨り、槍の柄に付けた鎖を手繰り寄せて大槍を拾うと、あたしは意を決して言う。
「瑜律、それじゃ行って来る!」
赤兎の桃色の耳と、あたしの桃色の髪が、かなり薄くなった霧の中で揺れて百八十度反転する。
『ちょっと永琳、何処に行くの!』って困惑した声を上げる瑜律に、あたしは首だけ振り返って言った。
「きっきの二対一の戦いが、どーしても気に入らない! 戦いは正々堂々一騎打ちで決めるべきでしょっ!」
自分を捕まえた相手、わざわざ加勢に行く必要は無いかもしれない。
だからと言って、多勢に無勢を見過ごすのは強きを挫き、弱きを助ける侠の生き方にそぐわない。
もし、それを貫いて困ったら……それは、その時考える!
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