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( ・∀・)オービタル・クーリエのようです川 ゚ -゚)
1
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:22:46 ID:iijY21Mk0
静止軌道を越えた先で――
川 ゚ -゚)「あ」
キラッ
川 ゚ -゚) ジー
川 ゚ -゚)「なあ」
( ・∀・)「んー」
2
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:23:57 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)「あの遠くで光っているのが人工衛星ってやつなんだろう?」
( ・∀・)「そうだよ。静止軌道を回っているんだ」
川 ゚ -゚)「なんで地球に落ちていかないんだ?
見たところ、この宇宙船と違って大きな動力源は見当たらないし」
( ・∀・)「ああ、それね」
( ・∀・)σ「あっちに落ちているんだよ」
川 ゚ -゚)σ「あっちって……あっち? 横?」
( ・∀・)σ「うん」
3
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:25:02 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)σ「あっちへあっちへ落ちて行くんだけど、結局落ち切れないまま、ぐるっと回って元の場所に戻ってきちゃう。
そこからまたあっちへ落ちていく。そうしてずっとずっと落ちているから、いつまでも回っちゃうんだ」
_,
川 ゚ -゚)「ふむむ……」
( ・∀・)「難しいかい?」
_,
川 ゚ -゚)「難しい。しかしイメージがつきにくいだけだ。近いうちには理解したいな」
( ・∀・)「へえ、野心家なんだね」
川 ゚ -゚)「“ヤシンカ”……? そう言うのか、こういうの」
( ・∀・)「あー、どうだろう。知識欲が旺盛と言った方がいいかもしれない」
川 ゚ -゚)「“チシキヨク”……?」
4
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:26:24 ID:iijY21Mk0
ビーッ
( ・∀・)そ
『EVA(脚注1)はもう終りましたヨネ? そろそろ中に入るんデース』
( ・∀・)「了解、ハローさん。エアロックが開いたらクーと一緒に行くよ」
ツツー...
( ・∀・)「よし、そろそろ行こうか。クー」
川 ゚ -゚)「わかった」
脚注1:船外活動のこと。研究のためだったり、宇宙船に音や衝撃などの異常があったときに原因を調査するためだったりする。
5
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:28:12 ID:iijY21Mk0
フワリ
川 ゚ -゚)「よっと」
フラ〜
( ・∀・)「しかしまあ」
川 ゚ -゚)「?」
( ・∀・)「見れば見るほど不思議だ」
川 ゚ -゚)「そうなのか?」
( ・∀・)「そこで僕の声が聴こえているのも不思議なことだよ」
6
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:29:17 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)「自分ではわからないものだな」
( ・∀・)「……僕らとは違うのかねえ」
川 ゚ -゚)「なんと、私は異星人なのか」
( ・∀・)「……君は何も覚えていないのだろう?」
川 ゚ -゚)「ああ」
( ・∀・)「じゃあ否定はできないね」
川 ゚ -゚)「ほうほう、わくわくしてきたぞ」
7
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:30:09 ID:iijY21Mk0
( -∀-) ハァ
( ・∀・)「お、エアロックが開き始めた。早く船の中に戻るぞ」
川 ゚ -゚)「あとで“チシキヨク”や“ヤシンカ”について教えてくれるか?」
( ・∀・) コクリ
川 ゚ー゚) ワクワク
フワ〜
フワ〜
8
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:30:53 ID:iijY21Mk0
彼女の見た目は12,3歳だった。
背は低く、身体つきも少年のそれと変わりない。
ブラウンの色素を帯びた長い髪と、控えめに反れた長い睫毛だけが、果敢にその女性らしさを主張していた。
だけど子供らしくない一面もあった。
僕や他の大人と話しているとき、彼女はまったく物怖じしていなかった。
普通の子どもはそうはできない。無意識に大人を恐れてしまうからだ。
そこを、彼女はまるで同輩と接するように僕らと接していて、僕らもまた彼女がまるで同輩であるかのように錯覚した。
きっと物怖じするという概念すら、彼女は持ち合わせていなかったのだろう。
彼女は変わっていた。
彼女はどんな人間よりも純粋で、どんな子どもよりも何も知らなくて、
どんな生物よりも孤独な、軌道を彷徨う迷子だった。
僕は彼女に『クー』と名づけた。
9
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:32:01 ID:iijY21Mk0
.
( ・∀・)オービタル・クーリエのようです川 ゚ -゚)
.
10
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:34:26 ID:iijY21Mk0
_,,.. -──‐- .、.._.
,. ‐''"´ ``'‐.、
,.‐´ `‐.、
/ \.
,i´ 1st track `:、
/ ヽ.
,i i、
.i i.
.i l
| γ ⌒ヽ |.
| i i |
| ゝ ___,ノ |
. l l.
. i、 ,i
. i、 ,!
. ヽ "Hello, Goodbye" /
. `:、 ,‐'
\ /
`‐、 , ‐´
` '‐.、 _ _, ‐''"
`` ‐-----‐ '"´
11
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:35:23 ID:iijY21Mk0
月面第4都市――
ハハ ロ -ロ)ハ「ようやく着きましたネ!」
( ・∀・)「いろいろあったからね。時間は大丈夫?」
ハハ ロ -ロ)ハ「余裕をもって行動してるヨ! ワタシは荷物チェックしてくるネ、モララーは?」
( ・∀・)「ああ、俺は……」
( ・∀・)チラッ
川;゚ -゚) ホワー
(;・∀・)「クーの世話をしているよ。ゲートの方で待っているから、輸送車運転してきてくれる?」
ハハ ロ -ロ)ハ「ハイハーイ」
タッタッタ
12
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:36:05 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「よう」
川;゚ -゚)「わっ」
( ・∀・)ニヤニヤ「なんだなんだ、随分興奮しているみたいじゃないか」
川;゚ -゚)「あ、ああ。初めてみるものが多すぎるせいでクラクラするんだ」
( ・∀・)「ふーむ、そうか? 船には乗れていたんだし重力酔ではないだろうな。
実は結構疲れているんじゃないか?」
川;゚ -゚)「そうなのか?」
( ・∀・)「ゲートの方にベンチがあるから、そっち行こう」
13
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:36:38 ID:iijY21Mk0
プシュー
( ・∀・)「ほら、外だぞー」
川 ゚ -゚)「外?」
川 ゚ -゚) キョロキョロ
川 ゚ -゚)「天井や壁もあるみたいだけど」
( ・∀・)「ここは月だから、剥き出しにはしておけないんだ。空気もないし、宇宙線がモロにぶつかるからね。
現在月にある都市は4つ、その全てが月面砂を固めて作ったガードに囲まれているんだよ(脚注2)」
川 ゚ -゚)「ふむむ、これを外と呼んでいいのか……」
( -∀-)「疲れているときに考えすぎるなよ。あそこのベンチに座ろう」
脚注2:月の砂を五メートル積み重ねれば宇宙線はほぼ寸断され、地球上と変わりなくなります。
14
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:37:12 ID:iijY21Mk0
テクテクテク
...ペタン
川 ゚ -゚)「ここはどういう街なんだ?」
(;・∀・)「休む気の無い奴だなー」
川 ゚ -゚)「これくらいならいいだろう!」
( ・∀・)「そうだねえ」
( ・∀・)「ここは月で四番目にできた都市だ。今までで一番大きくて、一番庶民が多くて」
( -∀-)「そして一番お金持ち」
15
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:37:53 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)「お金持ち? なんで?」
( ・∀・)「うーん、少し歴史を話すとしよう。ほんの少しだけね」
( ・∀・)「まず月っていうのは、長い間人間にとって未開の地だったわけだ。
そこに最近、ようやくまともに来れる余裕ができた。これが30年くらい前のお話」
( ・∀・)「最初に新しい場所にくるのはどんな人だと思う?」
川 ゚ -゚)「それは……まず政府の役人がいる必要があるだろう。でもこれは少なくていいか。
それよりも、新しい場所を切り開かなきゃいけないから、労働者が来るのかな」
( ・∀・)「その通り。まず来たのは機械を操れる人たちだ。工業に勤める人たちだね。
この人達が月に基地を作り、空気があって人が住める空間を作り上げた。
これが第一の都市になったんだ。ここまでで10年かかった」
( ・∀・)「月にたくさん人が暮らすようになると、食料が必要になる。
それまでは地球から持ってきていたけど、自給自足する必要が生まれる。
それで、農業関係の人たちがやってきた。第二の都市に暮らす人達。ここまでで20年経った」
16
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:38:49 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)「住む場所と、食べ物が手に入るようになったんだな。
月にたくさん人が暮らせるようになったってことか」
( ・∀・)「そうそう。それでね、第三の都市は、第一と第二で専属的だったその二つの要素をくっつけた。
中央に労働者のオフィスがあり、その周りに居住空間があり、郊外に農業の場所があって、都市の外に作業場がある。
地球で最もありふれた機能的都市だよ。月でも地球と変わらない生活が送れることが、ようやく実証されたわけだ」
( -∀-)「ただ、第三の都市はあくまで関係者が作り上げた都市だ。
30年目の節目に、ようやく政府は月への渡航を一般庶民にも認めるようになった。
こっちに来たい人は来てね〜、宇宙を飛ぶからすっごいお金はかかるけどね〜ってね」
川 ゚ -゚)「ははあ、それで第四の都市は、一番庶民が多くて、一番お金持ちが多い都市なのか」
( ・∀・)「一気に話したけど、今のでわかった?」
川 ゚ -゚)「だいたいは……あとは自分でも調べてみる」
17
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:39:27 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)「つまり月で人間はどんどん繁栄してきたってことだな」
( ・∀・)「繁栄か……まあ、数は増えたよね」
川 ゚ -゚)「? それは、良いことなんだろう?」
( ・∀・)「うーん……いいことも悪いことも、あったりして」
川 ゚ -゚)「???」
(;・∀・)「ええと、どう説明しようかな」
スイー
プップー
( ・∀・)「あ、ハローさん来たね」
川 ゚ -゚)「ほおー、あれが“輸送車”というものか」
18
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:40:01 ID:iijY21Mk0
スイー
川;゚ -゚) ホワアアァァァ
川 ゚ -゚)「動いている! 動いているぞ!」
( ・∀・)「宇宙船のあとに車を見ても感動するものなんだな」
川;゚ -゚)「どうなってるんだこれは」
(;・∀・)「ごめん、そろそろ疲れたからまた今度」
川 ゚ -゚) ムスッ
ハハ ロ -ロ)ハ「また難しいことを教えていたんデスカ?」
(;・∀・)「のせられちゃってね」
19
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:41:17 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)「ハローさんは車の運転もできるのかー。宇宙船もできるのにすごいな」
ハハ ロ -ロ)ハ「はい! いろいろな免許を持ってマスヨ〜。
大型宇宙船から工業用のアームまで、時間があればできるものなのデス」
川 ゚ -゚)「モララーは何かできないのか?」
( ・∀・)「え」
川 ゚ -゚)「操縦したり動かしたり」
(;・∀・)「そういうのはないかな……ははは」
川 ゚ -゚)「…………そうか」
川 ゚ -゚) シュン
20
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:41:49 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「この人意外と不器用だから細かいことさせると危ないんデスヨ」
( ・∀・)「へ?」
川 ゚ -゚)そ「なに、そうだったのか」
(;・∀・)「え、いやそんなこと」
ハハ ロ -ロ)ハ ...ゲシッ
(;・∀・) 「痛っ」
ハハ ロ -ロ)ハ「人には向き不向きあるんデス」
川 ゚ -゚)「ふむふむ」
(;・∀・)(なんだ、なんで蹴られたんだ)
21
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:42:47 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚) キョロキョロ
川 ゚ -゚)「お、扉」
川 ゚ -゚)そ「もしかして荷物の方か! 入っていいか?」
(;・∀・)「それはちょっと」
ハハ ロ -ロ)ハ「壊さなければいいデスヨ〜」
( ・∀・)そ「え!?」
川 ゚ -゚) オオォォォ
ヒューン
(;・∀・)「いいのかい」
ハハ ロ -ロ)ハ フフフ
22
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:43:37 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「…………」
ハハ ロ -ロ)ハ「モララーさん」
( ・∀・)「はい?」
ハハ ロ -ロ)ハ「アナタ、ひょっとして子ども苦手?」
(;・∀・)そ「え?」
ハハ ロ -ロ)ハ「とりあえず子育てはしたことなさそうデスネ」
(;・∀・)「はあ、まあ。まだ独り身だし」
23
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:44:07 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「でも、なんで?」
ハハ ロ -ロ)ハ「クーちゃんとの接し方が、普通だからデス」
( ・∀・)「普通?」
ハハ ロ -ロ)ハ「普通の、まるで友達と話すような話し方デス」
( ・∀・)「ああ……」
( ・∀・)「でも、それはしょうがないんじゃないか?」
ハハ ロ -ロ)ハ「?」
(;・∀・)「あいつはなんだか、どことなく大人びているというか……
子どもっぽくないというか……なんとなく、うまく言えないけど」
Σハハ ロ -ロ)ハ
24
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:44:51 ID:iijY21Mk0
ハハ;ロ -ロ)ハ「モララー、アナタまさかあの丸っこいアメリカ人と同じ、ロリコn――」
(;・∀・)「ちっげえよ! なんでだよ!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「愛さえあれば年齢なんて関係ない、そういえば許されると思っている、
抑圧的暴虐欲の隠れ蓑、端的に言って人でなし、ああなんということデショウ」
(;・∀・)「落ち着いてくださいハローさん。俺はあいつとは違います。
というかあいつもそんな犯罪めいた思想の持ち主じゃないです、きっと」
ハハ ロ -ロ)ハ「ほんとデスカ? 信じがたいデス」
( ・∀・)そ
(;・∀・)「今気づいたけど、あいつにクー見せたら……まずいかな」
ハハ;ロ -ロ)ハ「やっぱり危ないんデスカ!?」
25
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:45:36 ID:iijY21Mk0
スイー
(;-∀-) ウーン
ハハ ロ -ロ)ハ「……冗談はさておき、デス」
( ・∀・)そ
ハハ ロ -ロ)ハ「クーちゃんは子どもデスヨ。大人じゃないデス」
( ・∀・)「それはまあ……わかるよ。小さいし」
ハハ ロ -ロ)ハ「見た目の問題だけじゃないデス、中身もデスヨ。
アナタ、さっき大人びているって言いましたけど、それは違いマス」
ハハ ロ -ロ)ハ「不思議な子だけど、中身はとても真っ直ぐ。だから普通の子より浮いて見えるんデス。
ああいう子は、実は一番危なっかしい子なんデスヨ。たとえ道を間違えても、どこまでも真っ直ぐ行ってしまいマスから」
( ・∀・)「…………」
26
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:46:14 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「うん、なんとなくだけどわかる」
ハハ ロ -ロ)ハ「オー、良かった!」
( ・∀・)ゞ「でもさ、じゃあ俺たちはどうしたらいいんだ?
危なっかしい子相手に、どうやって接すれば」
ハハ ロ -ロ)ハ「ハハ、そんなの決まっているじゃないデスカ。
見守ってあげるんデスヨ。とてもとても真剣に、他のどんな子よりも強く、ネ?」
( ・∀・) ホォー
( -∀-)「よく肝に銘じておくよ」
ハハ ロ -ロ)ハ ♪
スイー
27
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:46:54 ID:iijY21Mk0
住宅前――
スウー....
ハハ ロ -ロ)ハ「挨拶してくるヨ。荷物の準備よろしくネ」
( ・∀・)「OK」
ガチャッ
<コンニチハー
( ・∀・)「荷物扉っと」
ガチャッ
28
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:47:27 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)そ クルリ
( ・∀・)「よう、何してるんだ?」
川 ゚ -゚)「通信機で“デンパ”というものを飛ばしているんだ。
物に当てたらどんな変化をきたすのか気になってね」
(;・∀・)「思ったより物騒なことしていやがったな。そんな機械どこにあったんだ」
川 ゚ -゚)「宇宙船から持ってきたよ。しかし残念ながら何も変化が起きなかったんだ。
そもそも見えないし、これはいったいどういうことなのか」
( ・∀・)「電波ってのは物質じゃないから、見えないし、物にぶつかったりもしないんだ」
川 ゚ -゚)「ほう?」
( ・∀・)「そのかわりどんな場所でも届くって利点があるんだけど……
またあとで説明してやるよ。今は荷物運ばなきゃだから」
29
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:48:18 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「こんにちはー!」
ハハ ロ -ロ)ハ ?
ガチャリ
(;゚∋゚)「はいはい」
ハハ ロ -ロ)ハ「オー、出てくれた!
遅かったデスネ! いないのかと思いマシタ!」
(;゚∋゚)「すいません、少し立て込んでいましてね」
ハハ ロ -ロ)ハ「アーそれならいいデスヨ!
これからお荷物運びマス! ちょーっと多いから、時間かかるかもしれないデス!」
( ゚∋゚)「ええ、構わないですよ。どうぞ」
30
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:48:54 ID:iijY21Mk0
<ハローさんそっち頼む
<了解ネー
川;゚ -゚) ホワアァァ
川 ゚ -゚)(ここが住宅地かあ)
川 ゚ -゚)(白くてでっかいなあ)
フラフラ
川 ゚ -゚)(……ん」
川 ゚ -゚)そ(あ、通信機を荷台に置いてきてしまった!)
31
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:49:28 ID:iijY21Mk0
荷台の中
川 ゚ -゚) コソコソ
川 ゚ -゚)「よいしょっと」
<モララーさん、手伝ってクダサイ!
<まったく、大きいの無理して持つから
川 ゚ -゚)(えっと……あ、あの箱の上に)
テクテク
32
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:49:59 ID:iijY21Mk0
<せーの
川 ゚ -゚) ソロ〜
<う、うわ!
<ドゴォッ
川;+ -+) !?
ガラガラ
川;゚ -゚)(あ、箱の中に落ちた)
33
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:50:43 ID:iijY21Mk0
う〜ん
川;゚ -゚)(まいったなあ、結構大きい箱だ。奥まで手が届かん)
<何やってるんデスカ!
<悪い悪い、もう一回
川;゚ -゚)(こう、腹を支点にしてだな、もっとこう体を乗り上げれば、こうなって)
<せーの!
<ガッシャーン!!
グラグラ
川;゚ -゚)「お、おお!?」
34
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:51:21 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)(あ、これは)
...ヒューッ
川 ゚ -゚)(頭の方から、下に引っ張られ)
ガッツーン
ΣΣ 川 + -+) そそ
<同時にあげなきゃ意味ないだろ!!
<ワタシは合わせましたよ!
<合ってないから倒れたんだよ!
川 + -+) クラクラ
くら〜
パタリッ
35
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:51:55 ID:iijY21Mk0
数分後
(;・∀・)「やっと終わった」
(;゚∋゚)「お疲れ様です」
( ・∀・)「まったく、随分な荷物だ。何に使うんですか、こんなに?」
(;゚∋゚)「え!?」
( ・∀・)ゞ「あ、すいません。別に深い意味では無いですよ。
別荘にいる間の荷物とだけ聞いていたのでね、こういう上品な家庭の方々はどういった遊びとかするのかな〜って。
失礼に聞こえてしまったならすいませんでした」
( ゚∋゚)「ああ、いえ。構いませんよ。あれは――」
ハハ ロ -ロ)ハ「すいません、次の用事がありマスから。でしょ? モララーさん」
(;・∀・)「え? あ、ああ」
36
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:53:34 ID:iijY21Mk0
( ゚∋゚)「ありがとうございました」
( ・∀・)「今後の輸送でも、『オービタル・クーリエ』をよろしくおねがいします。それではー」
バタン
ハハ ロ -ロ)ハ ムスッ
ハハ ロ -ロ)ハ「よく笑っていられマスね」
(;・∀・)「だって、仕事だもん。ハローさんもいつまでもむくれてないでさ」
ハハ ロ -ロ)ハ「ワタシはタイミング合わせマシタヨ」
(;・∀・)「だからそれはもういいって! 俺も悪かったって」
37
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:56:43 ID:iijY21Mk0
スイー
( ・∀・)「荷物はあの家で全部配達したし、あとは病院行けばいいんだよね」
ハハ ロ -ロ)ハ「…………」
ハハ ロ -ロ)ハ コクリ
(;・∀・)「…………やー、こう言っちゃなんだけど、二人も欠けての仕事は大変だね」
ハハ ロ -ロ)ハ「……ほんっとデスネ」
(;・∀・)「…………」
38
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:57:26 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「…………」
ハハ ロ -ロ)ハ「なんだか、静かデスネ」
(;・∀・)「……確かに、なんか、誰か足りないような」
・
・
・
( ・∀・)「あ」
ハハ ロ -ロ)ハ「クーちゃん?」
39
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:58:12 ID:iijY21Mk0
街中
タッタッタッタ
ハアハア
(;・∀・)「いたか?」
ハハ;ロ -ロ)ハ 「見つからないデス!」
(;・∀・)「おいおい、まじかよ。こんなところで迷子かよ」
ハハ;ロ -ロ)ハ「荷台に何か痕跡は無かったんデスカ?」
(;-∀-) フルフル
40
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:58:42 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「こうなったら警察に連絡を」
ハハ ロ -ロ)ハ「いや、待ってクダサイ! そうしたらクーちゃんが」
(;・∀・)「あ!! そうだった」
ワイワイ
ガヤガヤ
ハハ ロ -ロ)ハ「? なんだか人々が騒がしいような」
( ・∀・)「ん?」
41
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:59:46 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「ほら、なんだかみんな上を指さして」
( ・∀・)「上って、あのショッピングモールの上かな。街頭テレビがあるようだけど――」
ザワザワザワ
――月へ向かっていたスペースジェット『VIP号』は
航宇宙中での通信機系トラブルにより地球へと引き返していましたが
現在無事地上に着陸できたとの連絡が入りました。何事もなければ一週間遅れで月へ出発するでしょう。
この機体には月面第四都市に休暇を利用して向かう予定だった各国のVIP達が乗り合わせていて――
42
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:00:26 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ
( ・∀・)
ハハ;ロ -ロ)ハ「あれ?」(・∀・;)
ガヤガヤガヤ
43
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:01:02 ID:iijY21Mk0
スイイィィィ---
( ゚∋゚) フゥ
( ゚∋゚)(やれやれ、突然宅配業者が来た時はどうなることかと思ったが)
( ゚∋゚)(無事邪魔されずに仕事を終えることが出来た。むしろ獲物が勝手に増えたようなものだったな)
( ゚∋゚)(拝借したものはあとでゆっくり開けるとしよう。VIPさんのだ、きっといいものに違いない)
( ゚∋゚) クックック
(*゚∋゚) クックルドゥドゥドゥーアーハッハッハッハ
川 ゚ -゚)「変わった笑い方だな」
(;゚∋゚) ハッ!!?
44
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:01:41 ID:iijY21Mk0
(;゚∋゚)「な、なんだこのガキ! どこから入りやがった!?」
川 ゚ -゚)ゞ「いやー、荷物ごと積まれてしまっていてね。目が覚めたらここにいたよ」
(;゚∋゚)「荷物だとお!? スパイみたいなことをしやがって。てめえ降りろこの」
川 ゚ -゚)「おい、ハンドルから手を離していいのか? 事故になるぞ」
(;゚∋゚)「うおっと!……こいつめ」
川 ゚ -゚)「ずいぶん揺れるなあ。ハローさんとは大違いだ」
スイー
45
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:02:29 ID:iijY21Mk0
宇宙船停泊ステーション
( ゚∋゚)「ほら、降りろ」
ポイ
川 + -+)「いて」
( ゚∋゚)「もう会うことも無いだろう。せいぜい元気でな」
川 ゚ -゚)「なんだ、もうどこか行ってしまうのか。せっかく会えたのに」
(;゚∋゚)「会ったってほどでもないだろう。生かしておくだけありがたく思えよ、変なやつだな」
46
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:04:06 ID:iijY21Mk0
( ゚∋゚)「じゃあな」
スイー
川 ゚ -゚)「むう、行ってしまった」
川 ゚ -゚)「私も帰るか……」
テクテク
ん?
川 ゚ -゚)「あ、通信機」
川 ゚ -゚)「忘れていたわ」
47
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:04:52 ID:iijY21Mk0
・
・
・
月面より、100km上空――
宇宙船『フライ・ド・チキン号』――
(;゚∋゚)(……なんだか疲れてしまった)
( ゚∋゚)(軌道にも乗ったし、動力をオートに切り換えるか)
( ゚∋゚)(あとはボスからの連絡を待つのみ)
48
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:05:26 ID:iijY21Mk0
ガツンッ
(;゚∋゚) !?
(;゚∋゚)(今の衝撃は……なんだ。デブリ(脚注3)か?)
(;゚∋゚)(しかしここの軌道での予測では問題なかったはずだが)
ガツンッ
ガツンッ
脚注3:宇宙のゴミのこと。当たると危ないので、宇宙船に乗る際には力学的計算で位置を予測する必要がある。
49
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:06:12 ID:iijY21Mk0
(;゚∋゚)(続いている!?)
ガツンッ
( ゚∋゚)(だんだんと)
ガツンッ
( ゚∋゚)(コックピットに近づいているような)
ガツンッ
(|!゚∋゚)(んなまさか)
50
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:06:45 ID:iijY21Mk0
ガツンッ
川 ゚ -゚)「よっ」
Σ(;゚∋゚)「ええええええええええええ!!?」
51
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:07:34 ID:iijY21Mk0
(;゚∋゚)「な、なんでお前外にいるんだ!? 宇宙服も着てねえじゃねえか!」
川 ゚ -゚)「よくわからんが、できているんだ」
(;゚∋゚)「声、通じているのか? そこには空気がないだろう?」
川 ゚ -゚)「私に質問されても困るんだ。まだ研究中なのでね」
(;゚∋゚)「……ふざけるな」
カツカツカツ
(;゚∋゚)「俺はどんな仕事だってこなしてきたんだ! お前なんかに俺の邪魔をされてたまるか!」
グッ
52
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:08:09 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)「おい、私は忘れ物をとりにきただけで」
グラリッ
川;゚ -゚)「うおお、急に動かすなよ!」
(;゚∋゚)「知るか! 振り落とされろ!」
グググ...
川;゚ -゚)「うおお」
ガシッ
53
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:09:25 ID:iijY21Mk0
(;゚∋゚)「ぬおおおおおおおりゃああああ」
川 ゚ -゚)「おおおおお」
( ∋ )「くおお……おおおぉぉ」
川 ゚ -゚)「おー」
( ;∋;)「うええ、うぇ……うぇぇ」
川*゚ -゚)「うおーーーーーー!!!!」
54
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:10:13 ID:iijY21Mk0
数分後――
宇宙宅配業者『オービタル・クーリエ』、専属第52番宇宙船『ハロー・グッドバイ号』――
ハハ ロ -ロ)ハ「宇宙窃盗団デスカ?」
( ・∀・)「わかりやすく言えばね。人が増えれば犯罪も増える。犯罪者が増えれば犯罪組織ができあがる。
さっきニュースで見た『VIP号』の通信機器異常にも手を加えていた痕跡があったそうだよ。
富豪たちが慌てているうちに、別荘に忍び込んでいいものを分捕るっつー計画だったみたいだ」
ハハ ロ -ロ)ハ「ずいぶん手がこんでいマスネ〜」
( ・∀・)「人が集まれば、それだけ悪いことするやつも出てくるってことさ。都市化の弊害だね」
55
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:10:55 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「で、あのときお家から出てきた人もその組織の人だったと……
クーちゃんもそこにいるんデスか?」
( ・∀・)「きっとね。その証拠が、このレーダー」
ピコーン
ハハ ロ -ロ)ハ「反応はありマスけど、これが何なんデスカ?」
( ・∀・)σ「もう見えているよ」
ハハ ロ -ロ)ハ「え?」
56
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:11:34 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「うちの優秀な新入りクルーは」
ヽ川 ゚ -゚)/ パタパタ
( -∀-)「通信機にご執心だったのさ」
ハハ ロ -ロ)ハ「ハハ、クーちゃん楽しそうデスネ」
57
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:12:13 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「エアロック(脚注4)の減圧が終わるまで外で待っていてクダサイネ」
川 ゚ -゚)「……」
( ・∀・)「ん、どうしたクー?」
川 ゚ο゚) パクパク
( ・∀・)「?」
ハハ ロ -ロ)ハ「聞こえていないんですかね?」
( ・∀・)「……」
|
\ __ /
_ (m) _ピコーン
|ミ|
/ .`´ \
( ・∀・)
脚注4:圧力が低い場所や空気のない場所との通り道になるところ。国際宇宙ステーションではクエストとも呼んでいる。
58
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:12:52 ID:iijY21Mk0
スウ〜
ピタッ
( ・∀・)つ「こうだな」
ハハ ロ -ロ)ハ「んん?」
川 ゚ -゚) ?
( ・∀・) コッチコッチ
川 ゚ -゚) ??
ふら〜
ピタッ
59
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:13:39 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「よっ」
川 ゚ -゚)「おお、聞こえる! なんでだ?」
( ・∀・)「ああ、やっぱり振動か。お前はこれを感知できるから、外でも音が聞こえたんだ」
川 ゚ -゚)「“シンドウ”?」
( ・∀・)「うん。通信機にも通じる現象だよ。振動を理解できればそのうち電波も理解できるようになる」
川 ゚ -゚)「!! そうなのか! ぜひ教えてくれ」
( ・∀・)「後でな。その前に、その宇宙船の話をしてくれないか?」
川 ゚ -゚)「もちろんさ」
60
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:14:10 ID:iijY21Mk0
( +∋+) キューッ
ブブブ...
ブオン
( +∋+)「う……」
( ・∀・)『ハロー』
61
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:14:53 ID:iijY21Mk0
( +∋+)「ああ、あんたか」
( ・∀・)『うちのクルーと遊んでくれてありがとう」
( +∋+)「振り解こうとしただけなんだがな」
( ・∀・)『あのなあ、マスドライバー(脚注5)で射出される船に引っ付いていられるようなやつだぞ?
数回ロールしたくらいで離れてくれると思うか?』
( +∋+)「……その子、本当に人間か?」
( ・∀・)『知らん』
脚注5:宇宙船を含めた物資を宇宙へ送り出す大砲のようなもの。実用化に向けての一番の問題は空気抵抗なので、大気のない月面なら割と作りやすい。
62
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:15:52 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)『さてと、ここでお前を通報してもいいんだが……』
( +∋+) ゴクリ
( ・∀・)『俺はそんなことする気はない』
( +∋+) ?
( ・∀・)『言っておくけど、どうせすぐにあんたら窃盗団は全員捕まるよ。
地球に帰還したスペースジェットから証拠がボロボロ見つかってるんだ』
( ・∀・)『だから、べつに俺が訴えなくてもあんたはすぐに捕まる。
ただ、運がよかったらここで見逃されたおかげで逃げ延びられるかもなあ』
( +∋+)「結局お前は……見逃す、のか?」
63
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:16:27 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)『うん。でな、見逃しついでにひとつ約束してほしいんだ』
( +∋+) ?
( ・∀・)『この子のことを、誰にも言わないでくれ』
( +∋+)「……本気で言っているのか? お前。
俺は未知との遭遇でもしたっていうのか?」
( ・∀・)『言いたくなる気持ちもわかるけど、今はどうでもいいことだ。さあ、どうするよ』
( +∋+)「……いいだろう。誰にも言わないさ」
64
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:16:57 ID:iijY21Mk0
プツンッ
( ・∀・)「これでよしっと」
プシューッ
川 ゚ -゚)「ただいまー」
ハハ ロ -ロ)ハ「おかえりなさいデース」
( ・∀・) !
ツカツカ
川 ゚ -゚)「やあ、モララー。さっきはありがと――」
65
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:17:29 ID:iijY21Mk0
パシッ
ハハ ロ -ロ)ハ(あ……)
川∩-゚)
川∩-゚)「え?」
( ・∀・)「……もう、勝手にどこかに行くのはやめるんだ」
66
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:18:06 ID:iijY21Mk0
川∩-゚)「……」
スッ
川 ゚ -゚)「私は通信機が気になっただけだ」
( ・∀・)「それでも、俺やハローさんに連絡せずに行っちゃうのはダメだ」
川 ゚ -゚)「……どうして?」
( ・∀・)「心配だからだよ」
川 ゚ -゚)「……」
( ・∀・)「…………」
67
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:18:38 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「もし、俺たちが助けに来なかったらどうするつもりだった?」
( ・∀・)「途中で宇宙船から落ちちゃったら?」
川 ゚ -゚)「それは……漂うしかないな」
( ・∀・)「あの広い宇宙を、たった一人で?」
川 ゚ -゚)「うん」
( ・∀・)「……」
『どこまでも真っ直ぐ行ってしまうから』
( -∀-) ハァ
68
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:19:08 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)
ブルッ
川 ; -;) ジワァ
川 ; -;)「あれ?」
( ・∀・)「ん?」
川∩-;)「なんだ、これ。急に……寒気が」
69
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:19:39 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「…………」
グスッ
川∩-;)「さっきまでは、怖くなんてなかったのに。
おかしいな、なんで……今になって」
( ・∀・)「……こっち来な」
川∩-;)「……うん」
テクテク
70
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:20:11 ID:iijY21Mk0
宇宙は孤独な空間だ。
そこには水も、音も、空気もない。生き物の生息できない死の世界だ。
この何もない空間に長時間滞在すれば、人間の精神は簡単に崩壊してしまう。
他人や、他の生物、物体に触れ合うことで得られる、「自分がそこにいる」という認識
それを支えにしなければ、人間は生きてはいけないからだ。
それでは、今までその認識を抱かなかった人はどうだろうか。
そんな人がいれば、宇宙の孤独にも耐え伸びて、虚空をひたすら漂流することも可能なのだろうか。
彼女は、それができる人だろうか。
...ポン
川∩-;)「ん」
71
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:20:54 ID:iijY21Mk0
指に絡まる彼女の髪の毛は、ぞっとするほど冷たかった。
とても細い氷の糸のよう。きっと握りしめたら粉々にくだけてしまうだろう。
それでも、彼女の体には、確かに温もりがあった。
どういう構造かもわからないが、彼女は確かに生きている。俺と同じだ。
彼女は人に違いない。
世界を知らない、とても小さな子どもなんだ。
だから、さっきの質問を、俺ははっきり否定してやる。
軌道に従って落ち続けて、結果回り続けるなんてのは、人工衛星の仕事だ。
科学的に可能だとしても、俺たち人間のやる仕事じゃない。
( ・∀・)「よく帰ってきたね」
川∩-;)「……ごめんなさい」
72
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:21:42 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「休憩室に行ってきな」
川∩-;)「うん……」
テクテク
プシュー
( ・∀・)「……」
(;・∀・)=3
ハハ ロ -ロ)ハ「お疲れ様デス」
(;・∀・)b「お、おお」
73
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:23:16 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「盗まれた荷物の搬入終わりましたネ?」
( ・∀・)「ああ……クーは?」
ハハ ロ -ロ)ハ「寝ちゃってましたヨ」
( ・∀・)「そっか……それじゃ月に入るのはクーが起きてからにしてくれるか?」
ハハ ロ -ロ)ハ「もっちろん」
ハハ ロ -ロ)ハ「あの宇宙船はどうしマス?」
( ・∀・)「放っとけ、あんなやつ」
ハハ ロ -ロ)ハ「了解デス、方向転換だけしておきマスネ」
ハハ ロ -ロ)ハ ♪
( ・∀・) ?
74
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:24:06 ID:iijY21Mk0
ゴォー
( ・∀・)(宇宙船が、遠のいていく)
( ・∀・)(もう二度と会うことも無いだろう)
( ・∀・)(……船乗りはいつもそういうんだっけな)
ふっ
( ・∀・)「グッドバイ」
ゴォー
75
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:24:51 ID:iijY21Mk0
┌───────────────────┐
│ ――『オービタル・クーリエ』 ......│
│ ......│
│ ......│
│ 地球と月の間を駆ける宅配便。 ..│
└───────────────────┘
┌──────────────────────┐
│ 人々がようやく月に住めるようになった頃。 .│
│ │
│ │
│ これはそれぞれの軌道を渡り歩く ...│
│ │
│ │
│ 迷子たちのお話―― .│
└──────────────────────┘
76
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:27:31 ID:iijY21Mk0
1st track "Hello, Goodbye"
→→→2nd track
.
77
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:28:22 ID:iijY21Mk0
今日はおしまい。
全10話です。
それでは。
78
:
同志名無しさん
:2014/02/11(火) 14:38:23 ID:4pthzQK.0
おつ
あんた絶倫過ぎるな
79
:
同志名無しさん
:2014/02/11(火) 14:47:34 ID:NVDfzT3Y0
乙、続きも期待
80
:
同志名無しさん
:2014/02/11(火) 22:17:04 ID:cCeNDuSc0
sfキタ!!!
これを待ってたんだ
しかも面白いし読みやすい
続き!続き!
81
:
同志名無しさん
:2014/02/12(水) 11:43:17 ID:TtmzWieE0
乙
82
:
同志名無しさん
:2014/02/13(木) 01:13:06 ID:9SkAe8koO
あんただったのかよ、他のも頼むぜ
83
:
同志名無しさん
:2015/02/04(水) 04:25:41 ID:z/NV8cSE0
もうちょいで丸一年か…
84
:
同志名無しさん
:2024/07/10(水) 23:30:32 ID:s.QPTBqU0
乙
素晴らしい第一話!ちょっと息苦しさのある舞台がワクワクする
続き書いて書いて
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