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ありす「うーん」文香「……どうかしましたか?」【ドラマデレマス】

1以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:54:20 ID:QXzDDjz.
※この話は前作「ドラマ【アイドルマスターシンデレラガールズ】」と同じ設定ですが、読まなくとも(多分)大丈夫です。
※もしデレマスがドラマでだったら?という独自設定(妄想)です。
※キャストは互いに役名で呼び合っています。



【撮影所:ロビー】

橘ありす(以下ありす)「あ、文香さん。おはようございます」

鷺沢文香(以下文香)「おはようございます」

ありす「その、次の台本を頂いたんですが、ちょっと……」

文香「……読ませていただいても?」

ありす「はい。このラストのシーンなんですけれど」

2以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:55:08 ID:QXzDDjz.
文香「……いちごパスタ、ですね」

ありす「はい。いちごパスタには何の問題も無いのですが」

通りすがりの喜多見柚「え」

ありす「台本では私がいちごパスタを作ってプロデューサーさんがそれを食べて『ニッコリ』と微笑んでエンディング、となってるんです。何故か『ニッコリ』が大文字で書かれていますが」

文香「……既に何度か経験のあるシーンですね」

ありす「それなんです!」

文香「……と、言うと?」

ありす「既にいちごパスタが美味しいという事は周知の事実です」

通りすがりの喜多見柚「え」

3以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:55:46 ID:QXzDDjz.
ありす「なのにどうして何度もそんなシーンを入れる必要があるのかと」

文香「………………ありすちゃん」

ありす「はい」

文香「……その……ですね……」

ありす「はい」

文香「…………あの…………」

ありす「はい」

文香「…………………………明日は雨だそうですね」

通りすがれなくなった喜多見柚(以下柚)(逃げた!)

4以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:56:20 ID:QXzDDjz.
ありす「えぇと、明日の降水確率は80%ですね。雨と言い切ってもいいと思います」

文香「そうですか……」

ありす「はい」

文香「晴れないのは気が滅入りますね……」

ありす「はい………………あの、文香さん?」

文香「は、はいっ!?」

柚(逃げられなかった!)

5以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:56:51 ID:QXzDDjz.
ありす「………………本当は分かっているんです」

文香「え?」

柚(え?)

ありす「いちごパスタ……美味しくないんですよね?」

文香「そ、そんなことは……」

ありす「いいんです。こんなことで文香さんに嘘をつかせるわけにはいきませんから」

文香「ありすちゃん……」

6以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:57:24 ID:QXzDDjz.
ありす「それに私だってあれは美味しくないと思いますし」

文香「……はい?」

柚「えええぇぇぇ!?!?!?」

ありす「っ!?」

文香「っ!?」

柚「どゆコト!?ありすちゃん柚にあんなに自信満々で出してきたじゃん!」

ありす「ゆ、柚さん!?いつからそこに!?」

7以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:57:56 ID:QXzDDjz.
柚「ありすちゃんを悲しませたくない柚のガンバリは無意味だったの!?」

ありす「い、いえ。決してそんな事は」

柚「あのドヤ顔も!柚が躊躇った時の不安げな顔も!食べ切った時のあの満面の笑顔も!全部嘘だったんだぁぁぁ!!!」

ありす「だからあれはですね」

柚「うわぁぁぁん!!!ありすちゃんの小悪魔!カワイイ!ストロベリーフェアリー!」

ありす「罵倒になってませんけど!?」

8以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:58:28 ID:QXzDDjz.
文香「どんな状況でもありすちゃんを讃える事を忘れない……流石A(ありすちゃん)L(ラブリー)C(クラブ)会員No4番の柚さんです」

ありす「初耳ですけど!?いつの間にそんな怪しげな会ができたんですか!?」

文香「会員No1番は発起人である私です」

ありす「文香さん!?」

柚「頑張り屋サン!美少女!妹にして毎日愛でたい!」

文香「至極同感」

ありす「あぁ!もう!話を聞いて下さい!!!」

9以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:59:02 ID:QXzDDjz.

――――――

柚「フゥ……やっと落ち着いたね」

ありす「誰のせいですか。誰の」

文香「全くです……」

ありす「文香さんには後でお話しがあります。変な会の解散ついて」

文香「……え?」

ありす「それで、私がいちごパスタを美味しくないと言うのはですね」

文香「………………え?」

10以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 21:59:38 ID:QXzDDjz.
ありす「私の言った美味しくないというのは、撮影用に作ったいちごパスタの事です」

柚「どゆコト?アレもありすちゃんが作ってるよね?」

ありす「はい。実を言うと、あれはわざと作ってます」

柚「うぇぇ!?な、なんで!?」

ありす「それは私が『橘ありす』だからです」

柚「……ン?ンンン?」

11以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:00:09 ID:QXzDDjz.
ありす「そもそも私がいちごパスタを作っているのは、お芝居のリアリティを高めるためです。だから私は『このいちごパスタは美味しい』と信じている『橘ありす』としてあれを作っています。ですが、実際の私は美味しいとは思っていないんです」

柚「それでそのいちごパスタが柚に直撃した、と」

ありす「それはその……ごめんなさい……」

柚「べ、別にありすちゃんは悪くないよ!」

文香「そうです……寧ろそこまで役に徹するのは立派だと思います」

柚「あ、文香サン復活した」

12以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:00:44 ID:QXzDDjz.
文香「それで……そうまで徹底しているありすちゃんが、それを曲げて私たちに話してくれた理由は何ですか?」

ありす「……嫌なんです」

柚「嫌?いちごパスタが?」

ありす「いえ。美味しくないいちごパスタを皆さんに無理矢理食べさせる事が、です」

文香「……なるほど」

柚「あー……優しいありすちゃんらしいね」

13以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:01:16 ID:QXzDDjz.
ありす「私は『橘ありす』としてあのいちごパスタを変えることは出来ません。でも私自身はこれ以上皆さんに辛い思いをさせたくありません。私はどうすれば……」

柚「うーん……別に良いんじゃない?」

ありす「食べる柚さんが良くても私の気が」

柚「やや、そうじゃなくてさ。ねぇ文香サン?」

文香「はい……そうですね」

ありす「あの……?」

柚「作っちゃおうよ。美味しいいちごパスタ」

14以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:01:50 ID:QXzDDjz.
ありす「で、でもそれは!」

柚「ありすちゃん。『喜多見柚』の趣味、知ってる?」

ありす「え?バドミントン、ですよね?」

柚「それ、実は最初は違ったんだ」

ありす「えぇ!?」

柚「最初の頃、アタシが学校から直接撮影に行った時に機材のトラブルで時間が出来ちゃってね?暇つぶしに持ってきてた部活のラケットでプロデューサーサンと遊んでたんだ。そしたら監督サンが「それだ!」って」

文香「私も……『鷺沢文香』が文学趣味であることは変わりありませんでしたが、本の内容は私が好みで自由に決めさせて頂きました」

15以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:02:23 ID:QXzDDjz.
柚「だからさ!ありすちゃんもありすちゃんの好きにしたら良いんだよ!」

ありす「私の好きに……?」

文香「役に徹するのは立派ですが……役に縛られるのはよくありません。ありすちゃん自身が、『橘ありす』を作り上げていくんですから」

ありす「でも……私に出来るんでしょうか?」

柚「大丈夫!柚に文香サンにプロデューサーサン、ありすちゃんの事が大好きな皆がいるんだから!」

文香「いざという時は……存分に頼ってください」

16以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:03:04 ID:QXzDDjz.
ありす「お二人とも……ありがとうございます!私、やります!私として、『橘ありす』として!美味しいいちごパスタを作ります!」

文香「一件落着……ですね」

柚「うんうん!」

ありす「では次に、先程の怪しげな会について詳しくお話ししてください」

文香「………………え?」

17以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:03:38 ID:QXzDDjz.
――――――

プロデューサー(以下P)「お、柚に文香。今日撮影だったか?」

柚「んーん!柚たちはね!」

文香「ありすちゃんの新しい門出を……見守りに来ました」

P「ありす、かぁ……またあのいちごパスタを食うんだよ……台本にわざわざでっかく『ニッコリ』なんて書かなくてもやってやるさ……」

柚「ふっふっふ」

文香「ふふふ……」

P「……どうした?」

柚「まーまー!撮影ガンバって!」

P「?お、おぉ……?」

18以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:04:16 ID:QXzDDjz.
スタッフ「オッケーでーす本番いきまーす!」

――――――

ありす「プロデューサーさん、新作のいちごパスタです!どうぞ!」

P(新作?台本にあったか?)

P「あぁ、ありがとうありす。そこに置いといて」

ありす「橘です。出来立てが一番なので今すぐどうぞ」

P「お、おぅ。じゃあ頂こうかありす」

ありす「橘です」

――――――

柚「フフフ。プロデューサーサン戸惑ってる」

文香「えぇ……」

19以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:05:38 ID:QXzDDjz.
柚「あ、食べた。イイなー、ありすちゃんの手料理」

文香「先程スタジオ内の厨房にお邪魔したとき……私達の分も用意していると仰っていましたよ?」

柚「ホント!?ヤッター!」

文香「楽しみですね………………あら?」

柚「どしたの文香サン?」

文香「プロデューサーさんが……苦悶の様子で」

柚「おー、プロデューサーサンも演技派だねぇ」

20以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:06:18 ID:QXzDDjz.
文香「ですが……いつもならもう少し余裕のある表情なのですが……」

柚「それはお芝居だからだよ」

文香「……あ……机に突っ伏しましたね」

柚「ただのオーバーリアクションだよ。うんうん」

文香「……カットが掛かりましたね。プロデューサーさんは起きませんが」

柚「うーん、最近お仕事忙しかったのカナ?」

文香「………………スタッフさんが担いで行きましたね」

柚「完食してるあたり流石プロデューサーサンだねぇ」

文香「……柚さん」

柚「文香サン」

文香「……我らA(ありすちゃん)L(ラブリー)C(クラブ)の誓いは……」

柚「いついかなる時もありすちゃんの笑顔を護り、それを愛でるものとする」



ありす「あ、お二人とも。お二人のお言葉のおかげで納得の出来るいちごパスタが完成しました。大盛なのはそのお礼の気持ちです。計算ではいちごの酸味が生クリームの甘さをより引き立てているので、ぬるくなる前にどうぞ」

21以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 22:13:09 ID:QXzDDjz.
以上です。思ったより良い反応をもらえたので続けてみました。
「設定は面白いけど分かりにくい」という声も頂いたので今後の課題です……
次に誰で書くかまだ決めていないので、ご要望があれば頑張ります。
それでは、読んで下さってありがとうございました。

22以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/21(金) 22:57:55 ID:ai/iBrQs

そういえば1作目でもいちごパスタについてサラッと触れられてたな
リクエストということなら荒木先生あるいは浅利七海のを読んでみたい

23以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/22(土) 13:44:28 ID:9guigluo
おつおつ


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