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吸血鬼「妾の僕になりたいじゃと?」
-
女「はい、私を貴女の僕にして下さい」
吸血鬼「お主、妾がどういう存在か分かっておるのか?」
女「吸血鬼…ですよね?」
吸血鬼「そうじゃ、妾は人間の生き血で生き続ける化け物じゃ」
吸血鬼「その化け物の僕になりたいのか、お主」
女「はい」
"
"
-
吸血鬼「僕と言うが…正確に言えば眷属になるということは理解しているのか?」
女「眷属?」
吸血鬼「やはり理解していなかったか」
吸血鬼「眷属というのは妾の血を分け与えお主を半吸血鬼にすることじゃ」
女「半吸血鬼…」
吸血鬼「そうじゃ、つまり半分人間を止めるということじゃ」
吸血鬼「それでも妾の眷属になりたいか?」ジッ
女「………はい」
-
吸血鬼「分からぬな、どうしてそこまで吸血鬼になりたがる?」
吸血鬼「伝説の化け物に憧れたのか、小娘」クス
女「………………」
吸血鬼「妾の眷属になりたいなら、理由を述べよ」
吸血鬼「お主は何故、吸血鬼になりたい?」
女「………好きな人がいるんです」
吸血鬼「ほぅ、それで?」
女「その人は人間ではなく吸血鬼が好きなそうです」
女「だから、なりたいんです」
吸血鬼「………………………」
-
吸血鬼「くく、くくく…あっはははは!」
吸血鬼「お、お主…本気で言っているのか?」
吸血鬼「そんな理由で人間を止める?…あっはははは!」
女「私は本気です!」
吸血鬼「あぁー、すまんすまん」
吸血鬼「確かにお主の眼を見る限り本気のよんじゃな」クス
女「それで、私を眷属にしてくれるんですか?」
-
吸血鬼「ふむ、そうじゃのう」
吸血鬼「妾も良い加減生き血を吸い続けるのにも飽きてきたところじゃ」
吸血鬼「たまには眷属でも作って遊ぶとするかのう」
女「してくれるんですね?」
吸血鬼「そう焦るな、まずはお主の血を味わってみなければ始まらん」
女「私の血を味わう?」
吸血鬼「妾の血を分け与えても相性が良くなければお主は眷属にはなれん」
吸血鬼「その相性を見極める」
"
"
-
吸血鬼「さぁ、こっちへ来い」
女「はい」スタスタ
吸血鬼「怖いか?」
女「いいえ」
吸血鬼「くく、大したものだ」クス
吸血鬼「痛みはないし、直ぐに終わる」
女「首筋を噛むんですか?」
吸血鬼「まぁ、どこでも良いのじゃが…伝承にならうとするかのう」スッ
ペロッ
女「っ?!」ゾク
-
吸血鬼「今ので首筋の神経を麻痺させた」
吸血鬼「では、いただくぞ」カプッ
女「………………………」
女(本当に痛くない)
吸血鬼「………………………」ゴク
吸血鬼「ふむふむ………」ペロ
女「どうですか?」
吸血鬼「相性に問題はなさそうじゃのう」
女「それじゃあ!」
吸血鬼「うむ、お主の望みを叶えよう」
-
吸血鬼「眷属にする行為は主従の儀式とも言われておる」
吸血鬼「主従の関係を受け入れるな?」
女「はい、私は貴女にこの身を捧げます」
吸血鬼(まったく、この小娘…嘘をつけない人種なのか)
吸血鬼「さぁ、手をこちらに…今からお主に妾の血を分け与える」
───
──
─
-
吸血鬼「儀式は終わった、どうじゃ半吸血鬼になった感想は?」
女「よく分からないです」
吸血鬼「くく、では感じさせてやろう」スパ
女「っ?!」ポタポタ
吸血鬼「傷口を見ておれ」
ズズズッ
女「傷口が塞がっていく?!」
吸血鬼「妾は治癒力の高い吸血鬼だからのう、大抵の傷は数秒で治る」
女「凄い、本当に吸血鬼になったんだ…」
吸血鬼「暫くは吸血鬼の加減になれることじゃ」
吸血鬼「いずれは慣れて力を使いこなせるようになる」
女「わかりました」
-
乙期待はよ
-
流れがダレンシャンぽくなりそう
-
───
──
─
学校 屋上
女「こんにちは、男くん」
男「また来たの…?」
女「男くんはいつもいるね」
男「僕はここが好きだからね」
女「私も好きだよ、屋上」
男「ふーん………」
-
吸血鬼「ふむ、死の日差しを避けながら眷属の様子を見に来たが…」
吸血鬼「あのヒョロイ男が眷属の好きな者とはな」
吸血鬼「あんな細いだけの男…何がいいのやら」ハァ
吸血鬼「まったく人間は分からない」
吸血鬼「つまらぬし、もう少し様子を見たら帰るかのう」
-
しえん
-
女「男くん、前に吸血鬼が好きって言ってたけど…どうして好きなの?」
男「格好いいからだよ」
女「格好いい?」
男「吸血鬼は奪い取る側の生物」
男「僕も奪い取る側になりたい…憧れなんだ吸血鬼は」
女「そう…なんだ」
-
女「私が吸血鬼になったら男くんは好きになってくれる?」
男「そうだね、本当に君が吸血鬼になれたら僕は君に恋をすると思うよ」
女「………私、吸血鬼になったよ」
男「なら見せてよ、吸血鬼の力を」
女「うん、見てて」スッ
スパン
女「………………」ポタポタ
ズズズッ
男「………………………」
-
女「ね?こんなに早く傷口を治せるのは吸血鬼の力だよ」
男「確かに、吸血鬼の力だね」
男「でも、君は完全じゃない」
女「え?」
男「半吸血鬼なんでしょ?」
女「う、うん…でもどうして?」
男「完全な吸血鬼は瞳が赤いんだよ」
男「君は赤くない…吸血鬼の眷属になったんだね」
女「良く分かるね、男くん」
男「好きだから詳しいんだよ」
-
男「完全じゃないけど僕は君に興味がわいたよ」
女「興味?」
男「うん、僕も君が好きになるかもしれない」
女「ほ、ほんと…!?」
男「いくつか聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
女「うん、何でも答えるよ」
男「そう…じゃあ君の主の特徴と居場所を教えて」
女「えっ…?」
男「教えてくれるよね?」ニコ
-
───
──
─
路地裏
吸血鬼「あの男は『吸血鬼殺し』じゃな」
女「えっ、吸血鬼殺し?」
吸血鬼「その名の通り吸血鬼を狩る者たち」
女「どうして、男くんが吸血鬼殺しだと思うんですか?」
女「男くんは純粋に吸血鬼が好きなだけです!」
吸血鬼「阿呆か、お主」ハァ
吸血鬼「あの男はお主の力を見た時なんの反応も示さなかった」
吸血鬼「普通の人間ならありえん」
吸血鬼「何よりあやつの瞳には輝きがない」
吸血鬼「かなりの数の吸血鬼を殺しておるよ、あの男は」
女「そ、そんな…」
-
吸血鬼「この町には妾以外にも吸血鬼がいた」
吸血鬼「だが、皆吸血鬼殺し狩られ今じゃお主と妾しか吸血鬼はいない」
女「この町にいた吸血鬼は男くんが殺した…?」
吸血鬼「もし、そうならあやつはかなり危険じゃ」
吸血鬼「その危険な奴にお主は妾の居場所や特徴を話おって」ハァ
女「そ、それは吸血鬼殺しなんて私知らなくて!」
吸血鬼(まぁ、それは妾が説明するのを忘れていたんじゃがな)
-
支援
-
吸血鬼「あの男は妾を殺した後に眷属であるお主も殺すじゃろうな」
女「どうすればいいんですか」
吸血鬼「そうじゃのう、あやつを殺すしかないかのう」クス
女「っ!そんなこと…私がさせません!」
吸血鬼「………させない?」ヒュン
女「───────」ゾク
吸血鬼「お主、自分の立場を忘れておるのか」
女(いつの間に後ろに…?!体が動かない)
吸血鬼「主に発言に反発するとは、少し仕置きが必要かのう」スル
-
吸血鬼「今回は麻酔は無しじゃ」ガブ
女「っっっっっ?!!」ズキン
ブシュゥ
吸血鬼「んくっ…ごく………」
女「あぁぁっっ!!」ガクガク
吸血鬼「っく…ぷはぁ」
女「──────」ドサ
吸血鬼「吸血鬼から受けた傷は治癒しにくい」
吸血鬼「この間は浅く切ったからのう、あれくらいなら治癒力を集結させれば一瞬じゃが」
吸血鬼「肉をえぐった今の傷は治癒するまで時間が掛かるぞ」クス
女「はぁ…はぁ…」
-
吸血鬼「さて、妾の眷属よ」
吸血鬼「主として命じる、明日の夜に学校とやらにあの男に来るよう伝えよ」
女「男くんを殺すんですか?」
吸血鬼「ふむ、普通ならそうするが」
吸血鬼「可愛い妾の眷属の恋する相手」
吸血鬼「殺すには忍びないからのう」
吸血鬼「妾の絶対的な力を見せつけ吸血鬼殺しの心をへし折るとするかのう」
女「じゃあ、男くんは殺さないんですね」
吸血鬼「あぁ、約束しよう…妾はあの男を殺さない」
女「…信じますよ?」
吸血鬼「くく、信じよ…お主の主を」ニコ
-
女「でも、大丈夫なんですか?」
吸血鬼「何がじゃ?」キョトン
女「さっきの話なら男くんって相当強いんですよね」
女「貴女…いえ、主様も無事では済まないんじゃ」
吸血鬼「この町にいた吸血鬼と妾を一緒にするな」
吸血鬼「妾からしたら他の吸血鬼など雑魚じゃ」
女「雑魚って…」
吸血鬼「吸血鬼殺しの男など、どうということもない」
吸血鬼「それにようやく見つけ出せたのたまからのう」ボソ
女「えっ?」
吸血鬼「とにかく、お主は妾の命をしっかりこなすように」
女「─────はい」
-
───
──
─
翌日 学校 グラウンド
男「本当に来たんだね」
吸血鬼「それはこちらの台詞じゃ」
男「あの子はどうしたの?」
吸血鬼「近くで見ておるよ」
吸血鬼「妾を殺した後にでも殺せば良かろう」
男「ふーん、僕が吸血鬼殺しなのは知ってるんだ」
吸血鬼「バレバレじゃよ…隠すならちゃんと隠せ」
男「隠す?」
吸血鬼「殺気じゃよ、お主吸血鬼の話題になると途端に殺気が溢れ出す」
男「そっか…あはは、つい興奮しちゃってね」
-
吸血鬼「妾の眷属はお主を本気で好いておる」
吸血鬼「その気持ちに応える気はないのか」
男「応えるよ、だって僕も好きだもの」
男「殺したいほどにね」ニコ
吸血鬼「……そうか」
男「さぁ、始めよう…吸血鬼狩りを」スッ
吸血鬼「学生が銃なんて持つものじゃないのう」
男「学生である前に僕は狩人なんだよ」カチャ
バン
吸血鬼「………………」ヒュン
-
吸血鬼「こんなものは瞳を閉じてても避けられる」
男「じゃあ、避け続けてみなよ!」タッタッ
吸血鬼(近づいて命中率を上げるか……)
バン バン バン
吸血鬼(これでは素人の吸血鬼殺し…この町の吸血鬼を殺したのはこやつではなかったのか?)ヒュン
男「……………………」バン バン
吸血鬼「ふん、ちゃんと狙え素人」ヒュン
ピン
吸血鬼「んっ?」
男「これはどうかな」ブン
吸血鬼「なんじゃその塊は?」
男「……………………」バン
ドォォォォォン
-
期待
-
乙
-
ザザッ
男「吸血鬼じゃ手榴弾なんて知らないでしょ」
男「直撃だったし跡形もな──」
吸血鬼「爆発するとはのう、まったく人間は面白いものを開発する」ズズズ
男(傷が塞がっていく…)
男「随分と治癒力が高いんだね」
吸血鬼「妾は特別じゃからな」クス
-
吸血鬼「吸血鬼殺しなら知っておるじゃろう」
吸血鬼「吸血鬼には外皮が硬い者と柔らかい者がおる」
吸血鬼「外皮が柔らかい吸血鬼は傷を負いやすいが治癒力が高い」
吸血鬼「逆に硬い吸血鬼は傷を負いにくいが治癒力が低い」
吸血鬼「妾は柔らかい、もちもちの肌なのじゃよ」
男(それにしたって、早すぎる)
吸血鬼「くくく、言ったであろう」
男「……………………」
吸血鬼「妾は特別じゃ」
-
吸血鬼「さて、そろそろ遊びは終わりじゃ」ググッ
ブチィ ブシャ ズズズ
吸血鬼「今度は妾からいかせてもらうぞ」キン
男(左腕を引きちぎって血の刀に変化させた)
男「血流操作なんて本当に君は特別なんだね!」バンバン
吸血鬼「もうかわす必要もない」ヒュン
キンッ キンッ
吸血鬼「……………………」ダンッ
男(速い…!)バン
-
ガキンッ
吸血鬼「命懸けで避けろよ」ヒュンヒュン
男「くっ…」バッ
吸血鬼「ほれほれ、遅いぞ」シュッ
男(背後をとられた…)グイッ
バンバン
吸血鬼「良い反応じゃ」ヒュン
ガキンッ ガキンッ
吸血鬼「これは、どうじゃ!」ビュン
男(刃が伸びた?!)
ガキンッ
-
吸血鬼「武器は破壊した、これで…」
男「……………………」カチャ
吸血鬼「…なんじゃ、まだ持っておったのか」ハァ
吸血鬼「じゃが、それでは妾は殺せない」
吸血鬼「お主ももう分かっておるじゃろ?」
男「……………」
吸血鬼「まぁ…いい、妾がやることは同じじゃ」ダンッ
-
男「終わりだよ、吸血鬼」バン
吸血鬼「効かぬと言っておる!」ヒュン
グニャリ
吸血鬼(血の刀が歪んだ?!)
ドシュ ブシャァ
吸血鬼「がふっ…ごほっ?!」ドサッ
ドバッ
吸血鬼「な…んじゃ…今のは…?」
男「対吸血弾、この銃の弾丸は特殊でね」
男「吸血鬼の血を歪め貫いた対象の血を吹き飛ばすのさ」
男「君の胸にも大きな風穴があいたでしょ」ニコ
吸血鬼「ぐふ…げほっ…ごぼっ…!」ドロッ
-
男「対吸血弾で貫かれた箇所は一定時間治癒が遅くなる」
男「かなり血も失ってるし君を殺すには十分すぎる時間だよ」
吸血鬼「く…くく、何か隠しておる…とは思っておったが…」
男「奥の手は隠しておくものだよ、吸血鬼」カチャ
-
吸血鬼「一つ…聞いていいかのう…げほっ!」
男「…なに?」
キィィィィィィン
『──────殺せ』
ダンッ タッタッタッタッ
吸血鬼「なぜ吸血鬼殺しになった…」
男「…………………………」
タッタッタッタッタッタッ
吸血鬼「吸血鬼を憎むのは、何故じゃ……?」
男「これから死ぬ相手に話したって意味ないでしょ」
タッタッタッタッタッタッ
-
吸血鬼「まったく冷たいのう……くく」
男「さようなら」カチッ
タッタッタッタッタッタッ
吸血鬼「あぁ……またのぅ」
ドスッ!!
男「…………ごふっ」ドバッ
男(背中から貫かれた……これは人の手…………?)ググッ
男「き……みは……」
女「ちがっ、私は……か、体が勝手に……!」ガタガタ
男「がふっ!!!」ポタポタ
-
男「し、主従の契り……絶対服従か……」
吸血鬼「これから死ぬ相手に話しても意味がなかろう」クスッ
ズズズ
男「なっ……?!」
男(対吸血弾で貫いた風穴がもう治りきってる?!)
吸血鬼「奥の手は隠しておくものじゃろ?」
男「はぁ……はぁ……ぐっ」ズキッ
吸血鬼「残念じゃが妾はお主を殺せぬ」
吸血鬼「妾の眷属と約束してしまったからのう」スッ
吸血鬼『止めをさせ、我が眷属よ』キィィィィィィン
女「?!」ドクン
ブシャァ!!
-
男「─────」ドサッ
女「はぁはぁはぁ……」
吸血鬼「よくやった、妾の眷属よ」
女「今のは…何ですか…?絶対服従?体を操るなんて聞いてません!」
吸血鬼「話したところで何も変わらんよ」
女「貴女は最初から私に男くんを殺させるつもりだったんですか!!」
吸血鬼「どうじゃろうな」クスッ
女「っっっっ!!」グッ
ドクン
女(体が動かない?!)
"
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