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少年「テスト勉強した?」友「してない」
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少年「今日いよいよテストだな」
友「うん」
少年「テスト勉強した?」
友「してない」
少年「とかなんとかいって絶対してるんだよな〜」
友「してないって」
"
"
-
少年「どうだ、100点!」サッ
友「100点」サッ
少年「ほらな、絶対勉強してるだろ、お前!」
友「してないってば」
-
少年「今日はマラソン大会だな」
友「そうだね」
少年「どうせマラソンの特訓してきたんだろ?」
友「してない」
少年「絶対してるだろ〜」
友「してないよ」
-
少年「ハァ、ハァ、ハァ……同時に一位フィニッシュか……」
友「うん」
少年「余裕こいてるけど、お前絶対特訓してただろ! 分かってるんだからな!」
友「してないよ」
少年「ウソくせえ〜」
やがて二人は成長していく――
-
男「目指せ壱竜大学!」バリバリ
男「おい、お前も壱竜大学が志望校なんだろ?」
友「一応ね」
男「んで、俺みたくバリバリ勉強してるってわけだ」
友「してない」
男「ウソつけ!」
"
"
-
男「よっしゃーっ! 壱竜大学合格! お前はどうだった?」
友「合格したよ」
男「ほら! やっぱり勉強してたんじゃん!」
友「してないけどね」
男「いやいや、勉強しないで受かるわけねーだろ!」
-
男「よ〜し、絶対ノーベル賞取ってやるぜ!」
男「お前もノーベル賞に向けて、勉強やら研究やらやってるんだろ?」
友「いや、別に目指してない」
男「あっそ!」
男「だったら俺一人で、ノーベル賞ゲットさせてもらうぜ!」
-
記者「今年は日本人からノーベル賞受賞者が二人誕生しました! おめでとうございます!」
男「ありがとうございます!」
友「どうも」
記者「お二人とも、やはりノーベル賞を目標にされていたんでしょうか?」
男「当然です! ノーベル賞は私の目標……いや、夢でしたから!」
友「ぼくは特に意識はしてなかったんですけど」
男「ウソおっしゃい!」ビシッ
-
男「よおし、次は政界進出だ!」
男「ありとあらゆる手を使って選挙に勝って、この国をよりよくしてやるぜ!」
男「そういやお前も選挙出るんだって? なにか選挙活動してるのか?」
友「特になにも」
男「おいおいお〜い、どうやら次は俺だけ当選することになりそうだな!」
-
男「当選だぁーっ! やったぁーっ! ダルマさんに目を入れてやる!」マルッ
友「ぼくも当選した」
男「やっぱりか!」
男「なぁ……影で努力してるんだろ? 頼む、そういってくれ」
友「いや、何もしてないよ」
男「ううう……マジかよぉ……」
-
記者「お二人の出した政策が、それぞれ大成功を収める結果となりましたが……」
男「ありがとうございます!」
男「我が国と国民のことを血眼になって分析したかいがありました!」
記者「ということは、やはりあなたも分析を?」
友「いえ、ぼくはなんとなく頭に浮かんだ政策を実行しただけです」
男「……」
-
――
男「なあ、親友よ」
友「ん?」
男「この年になって、俺はようやく気づいたよ」
男「俺とお前は今までほぼ互角の結果を出してきた……多分世間もそう思ってる」
男「だけど実際は全然互角じゃない……」
男「お前が何もしなくても出しちまう100という結果に」
男「俺は死に物狂いで98か99ぐらいを出して、食らいついてたに過ぎないってな」
男「お前は真の天才だ。一方、俺はただの凡人に過ぎない」
-
男「いや、本当は気づいてたけど、認めたくなかっただけかもしれないな」
男「俺は……お前よりずっと格下だって」
男「お前もさぞかしうっとうしかったことだろう」
男「圧倒的に格下のはずの俺が、いつまでもお前と同格みたいなツラしてるんだもんな」
男「今まで……すまなかった」
友「いや、そんなことないよ」
男「……え?」
-
友「ぼくは君に感謝している」
男「え? なにを? 引き立て役になったことを?」
友「そうじゃない」
友「だってぼくは……君がいなければ、多分死んでいただろうから」
男「! ――ど、どういうことだよ!?」
-
友「今からいうことは嫌味になってしまうかもしれないけど、正直に話させてもらう」
友「ぼくは幼い頃からなんでもできた」
友「何もしなくても知識がどんどん入ってきて、運動では適当にやっても結果を出せた」
友「そんなぼくを、みんな恐れたり褒め称えたりしてくれた」
友「ぼくは……子供心に思った」
友「ぼくはきっと世界のバランスを崩す存在なんだって」
友「いっそ消えてしまった方がいいんじゃないかって」
-
友「だけどそんな時、君がぼくの目の前に現れた」
友「君はぼくのいる位置に必死についてきてくれた」
友「もし、ぼくが“影で努力している”とウソをつけば、君は多分ホッとしただろう」
友「だけどやらなかった。君の必死さにウソをつきたくなかったから」
友「だからぼくは“何もしてない”と正直に答え続けた」
友「にもかかわらず、君はついてきてくれた」
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友「もし君がどこかでぼくを追うのを諦めてたら、ぼくは死を選んでいただろう」
友「今日この時までぼくが生きてこられたのは君のおかげだ。どうもありがとう」
男「……」
男「やれやれ、本当にイヤミな話だぜ」
男「俺は自分自身の手で、目の上のたんこぶを生かしてたってことになるんだからな」
男「それなら……!」
-
男「さっきの言葉は全面撤回だ! これからも俺はお前に追いすがってやる!」
男「んでもって、いつか必ずお前を負かしてやるからな!」
友「……ありがとう」
男「いいってことよ。俺もお前のおかげでここまでやってこれたって一面もあるしな」
男「よーし、だったら……景気づけに今から飲みに行くか!」
友「いいけど、ぼくビール一杯で酔っちゃうよ」
男「いよし! やっと一つ勝てた!」
終わり
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乙
良い落ちだった
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乙
奇妙な友情物語だった
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乙
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こいつら仲良いなwと思いながら読んでたから、ラストにホッコリしたわ
乙
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良いオチだな
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爽やかエンド乙
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