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少女魔王「に、日本だと···?」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 15:55:46 ID:MV3ZfvRE
魔王。それは人の世を支配しようと企む巨悪の存在である。
魔王の圧倒的な魔力、そして魔物達の脅威···人々は一致団結し、これらに対抗してきた。
その中でも神に選ばれた存在と言われる、人類最強の戦士···勇者。彼は時に一人、時に仲間を連れ、魔王を打ち破り、人の世に安寧をもたらしてきた。
だが魔王は何度も現れ、その度に世界を苦しめ、そして勇者達によって倒されていった···。
そして、再び魔王は現れた。それも、天候さえ操る程のかつてない魔力の持ち主であり、歴代最強と魔族達は騒ぎ立てている。
そんな魔王の姿は、青く短い髪と同じ色の透き通る瞳、人の様に白い肌と対称的に黒い衣装、指を出した手袋にジッパー付きブーツ、袖が無く裾が胸下辺りまでの短さの上衣、股上が浅く裾丈もとても短い下衣。
ローブを着ていた歴代魔王どころか魔族達の中でも類を見ない、肌を多く露出させている衣装を着込む、人間の少女にそっくりの姿をした魔王が、そこにいた···。
2
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 15:57:20 ID:MV3ZfvRE
タイトルバグってて涙出そう···。
3
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 16:13:45 ID:2a2RQVY2
てすと
·
4
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 16:19:16 ID:MV3ZfvRE
続けるべきなのか立て直すべきなのか···。
5
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 16:23:43 ID:2a2RQVY2
建て直すなら原因調べなさいよ
専ブラが勝手に特殊記号を変換してるような気がするけどもとはドット?
6
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 16:24:03 ID:QiwAxAYI
無駄スレ立てんな
ここで続けろ
7
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 16:39:56 ID:MV3ZfvRE
>>5
半角ドットです。専ブラは使ってないのになぁ···。
>>6
お言葉に甘えて続けさせて頂きます。
8
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 18:49:55 ID:MV3ZfvRE
魔王の城の一番奥深くにある玉座に座り、魔王は思案していた。サイズの合わない玉座が、魔王の幼さを引き立たせている。
彼女は世界を征服する事に疑問を抱いていなかった。魔族にとっては力こそが全てであり、弱者は支配されるべき存在だからである。
しかし勇者、その存在は支配出来なかった。常に勇者に破れてきた魔王達が、それを証明している。
どうすれば勝つ事が出来るのか。答えは簡単に出た。強くなる前に消せば良いだけの話だ。
今までの魔王は玉座でふんぞり反っているだけで、強くなる勇者を部下に任せ、結局負けてきた。彼女に言わせれば、ただの馬鹿だ。
そしてとうとう、旅に出たばかりだという勇者を、一瞬で消し炭にしようと、魔王は動き出した···。
9
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 19:18:47 ID:MV3ZfvRE
ところ変わって、魔王だの勇者だの全く存在しない、剣も魔法も無い平和な世界にある国、日本。
その国のある街にある、少々外観が古いがしっかりトイレと風呂が別々、洗濯機も部屋の中に置けるアパートが一つ。
そのアパートの住人の一人が、男という青年だ。平々凡々な生活を送る彼にとって、面倒事は避けたい事であった。が···。
10
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 19:27:45 ID:MV3ZfvRE
男(あぁ···今日も平和だ飯が美味いっと···)
バキ
男「ん?」
バキバキ ベキッ
男「な、何の音だ···?」
バギバギメギギギギ
魔王『ぶはぁ!』ボンッ
男「!?」
男(た、畳の下から、子供が···!?)
魔王『ふぅ···。おい人間、ここは何処だ?』
男「······」ブルブル
魔王『何を震えておる。さっさと答えんと――』
男「ふざけんじゃねぇぇぇぇえええええ!!」
魔王『!?』ビクッ
11
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 19:34:31 ID:doV0kXZo
なんで半角ドットつかうの
三点リーダ … これつかえば?
12
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 19:46:18 ID:MV3ZfvRE
男「てめぇよくも畳ぶっ壊してくれたなぁ!大体どっから湧いて来やがった!」
魔王『な、何だ貴様!我を魔王と知っての狼藉か!』
男「日本に居るなら日本語喋れやゴルァァアアア!」
魔王(な、何だ、言葉が通じていないのか?馬鹿な、我が言葉は世界で共通の言語である筈だぞ!)
男「さっさと言えオラァ!」
魔王『ええい、喧しい奴だ···!我が魔法を喰らうが良い!』バッ
ポンッ
魔王『···ん?あれ、魔法が···?強力な爆破魔法だぞ?』
男「何やってんだテメェ!」
魔王(う、嘘だ···!空気中の魔力濃度が薄いとでも言うのか···!?馬鹿なっ、有り得ん!)
13
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 19:52:38 ID:MV3ZfvRE
>>11
PCとスマホならそうするんですがね、私のは一々『きごう』と打って変換しなきゃ出なくて。いちいち打つより楽で早いんで使っております。
14
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 20:10:50 ID:MV3ZfvRE
魔王(お、落ち着け···魔法が使えない訳では無い···が、使っても殆ど意味が無い···どうする)
ドンドン
「ちょっと〜?男く〜ん?」
男「げっ···大家さん···叫び過ぎたか···」
魔王(む、また人が···出来れば言葉が通用すれば良いが、望みは薄いだろうな···)
男「ちっ、お前も来い」グイッ
魔王『ぬおっ!手を引くな!我を誰だと思っているのだ!』グッ
男「暴れんな、来い」
魔王『ぐおぉぉ···』ズルズル
魔王(ち、力でも勝てぬと言うのか、この魔王が···く、屈辱だ···!)
15
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 20:20:23 ID:MV3ZfvRE
男「今出ます」ガチャ
大家「もう、男くん、叫び声が聞こえたけど、何が···」チラッ
魔王『?何を見ておる、無礼な』
大家「男くん···彼女さんと仲直りしなさいね?」
男「違います。彼女じゃないです。そもそも誰か分からないし言葉も分かりません」
大家「あら、そうだったの?手を繋いでたからてっきり···」
男「こうしないと逃げそうなんで」
大家「そんな犬みたいな」
男「てかコイツ、いきなり畳ぶち破って出てきたんですよ!信じられないかもですけど!」
大家「う〜ん···ちょっと部屋、見せてもらえる?」
男「えぇどうぞ」
16
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 21:58:17 ID:doV0kXZo
>>13
なにからかいてるんだ?単語登録もできんのか
17
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 22:29:36 ID:MV3ZfvRE
>>16
PSVITAなんですよ。PCやスマホより文字打ちやすいけど所々単語に穴があって若干不便。
18
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 22:49:49 ID:MV3ZfvRE
大家「···壊れてるわね」
男「壊れてますよ」
大家「ここからこの子が?」
魔王(う〜む、しかし発音的には聞き覚えが···文字さえ分かればどうにかなるか···?)
男「そうですよ。自分でも信じられませんけど、目の前で見たんです」
大家「そう···まあ畳は直せるから良しとして、この子は?」
男「畳の穴に突っ込めば良いでしょう」
大家「塞がってるけど」
男「え。うわ、マジだ。じゃあコイツは···?」
大家「···男くん。君、時々怪我した動物拾っては、治してたわよね?」
男「み、見てたんですか···って、まさか···」
大家「そのまさか!」
男「いやいや、犬とか猫とかじゃ無いんです。人間ですよ?」
大家「頑張ってね♪」
男「いやいやいやいや」
19
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/24(水) 23:04:43 ID:L2gUfDmg
支援
20
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/25(木) 05:17:47 ID:.v2wgff.
支援ぬ
21
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 09:27:48 ID:dAdJsspQ
男「あのですね、俺は動物拾ってはいましたけど、すぐ野生に帰してたんです」
大家「そうなの?」
男「金もそこまで無いし、死ぬまで面倒見れませんから」
魔王(む···何だ、この柔そうな白黒の紙の束は···文字が見えるが···う〜む、見覚えが···)
大家「お金があれば良いのね?」
男「は?いやいや、それに言葉が通じないんですよ?」
魔王(···ああ!思い出したぞ!これは古代語の一つだ!···だが、だとしてここは···古代なのか?)
大家「心で何とか」
男「出来ません」
大家「もう···わがままばっかり!」
男「いきなり人が出てきてそいつ住まわせろっておかしいでしょうが」
魔王『あ、あ〜···違うこうじゃない』
魔王「あ〜···こうだったか?」
男「!?」
魔王「···ふむ、通じたようだな」
22
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 09:47:50 ID:dAdJsspQ
大家「あら、話せたみたいね」
魔王「我ほどの知識があれば造作も無い事」
魔王(魔王たるもの相応の知識が無ければと思い、書物を読み耽っていたのが功を成したか···)
男「おい、話せるなら最初から」
大家「最初は何語か分からなかったんじゃないの?」
魔王「確かに、時間が掛かってしまったな···情けない」
男「あ〜···おい」
魔王「おい、とは何だ無礼者」
男「は?」
魔王「我は魔王である。それ相応の態度を示さぬか」
男(···コイツ、何言ってるんでしょうか)ヒソヒソ
大家(そういうお年頃なんじゃないかしら?)ヒソヒソ
魔王「聞こえておるぞ」
男(み、耳良いなコイツ···)
23
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/25(木) 16:02:43 ID:LZggXZqE
てん→…
にならんかえ?
24
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 16:15:11 ID:dAdJsspQ
魔王「我が魔王である事が分からぬとは、ここは一体何と言う国だ」
男「いやお前言葉喋ってたら」
魔王「お前と呼ぶな。魔王様と呼べ」
男「······」
大家「この国はね、日本、って言うのよ?」
魔王「にほん、だと···?聞いた事も無いな···地図はあるか」
大家「え?え〜っと···」スッ
魔王「!?な、何だその薄い謎の板は···!?」
大家「これ?スマートフォンよ?」
魔王「す、すまあとふぉん?···ぐ、この我が分からぬ物があるとは」
大家「えっと···まあ、これが地図よ」
魔王「すまあとふぉんに地図が···!?···ごほん、見た事も無い大陸ばかりだ。本当にこれしか無いのか」
大家「ええ、そうよ?」
魔王「···そうか」
25
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 16:18:43 ID:dAdJsspQ
>>23
普通にありました…。やはりこちらを使った方が良いですかね。
26
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/25(木) 16:47:17 ID:x0fPtGsI
そりゃあね
読者のブラウザによっては文字化けして見えてるかもしれんよ
27
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/25(木) 16:53:29 ID:1OEi4qm6
エスケープされてるから多分どのブラウザでも半角ドットには見えてないと思うぜよ
グーグル先生に相談して初めてドットかもしれないと思う程度ぽよ
28
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 16:54:24 ID:dAdJsspQ
魔王(これが事実であるならば…異世界に来た、と考えるしかあるまい…にわかには信じがたいが)
男「あ〜…魔王……様」
魔王「何か?」
男「どうやってここにやって来たんだ?」
魔王「知らぬ」
男「は?」
魔王「気付いた時には訳の分からぬ場所に居た。もがいている内にそこから出てきた。それだけだ」
男「はぁ……」
29
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/25(木) 16:56:25 ID:/X6MAibA
はたらく魔王さまかな?
30
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 17:02:43 ID:dAdJsspQ
成程…タイトルの様に文字化けする可能性がある訳ですか。考えてなかった…。
今まで他のSSも半角ドットで書いてきたけども、特に問題が無かったので気にしてませんでした。
教えて下さってありがとうございます。
31
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 17:30:05 ID:dAdJsspQ
大家「じゃあ、帰る方法も分からないのね」
魔王「そうなる、な…困った。魔法が使えるのであれば戻れるかも知れんが…」
男「魔法、ねぇ」
魔王「仕方あるまい。何処か魔力の濃度が高い地を探し、元の世界へ帰還するとしよう」
大家「何処かって…何処にあるの?」
魔王「何処かは何処かだ。もし場所が無ければ…」
大家「幼い女の子一人で何処に行く気なの?危ないわ」
魔王「ふん、舐められた物だ。我は魔王、今までも我一体で何もかもこなしてきたのだ」
大家「…一人だけで?」
魔王「魔王とは孤高たる者、当然の事だ。そして我は魔族であり人間などでは無い。一人という表現は不正確だ」
男「はぁ…もうそういう設定良いから、早く家に帰れよ」
魔王「…」ポウ
男「!?あっつ、熱!」
魔王「これで信用出来たか?」
32
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 17:47:40 ID:dAdJsspQ
男「な、何しやがった!」
魔王「我が扱える最大級の炎魔法を浴びせただけだ。しかし…あまりにも威力が低過ぎるな…」
男「て、テメェ…」
魔王「感謝するが良い、この世界に。これが我が世界であれば消し炭さえ残らんぞ」
男「うるせぇこのコスプレ野郎!」ゴン
魔王「あだっ!き、貴様、我の頭を殴るとは何様のつもりだ!」
男「俺様だよ!」
魔王「減らず口を…!大体何なのだこすぷれ、とやらは!」
男「テメェみてぇな服装してる奴の事だよ!」
大家「はいはい喧嘩はいけません」
男「うっ…ですけど!」
魔王「邪魔をするでな――!」
大家「…」ニッコリ
魔王(な、何だこの笑顔は…何故か寒気を感じる…魔法は使われていない筈なのに…)
33
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 18:51:31 ID:dAdJsspQ
男「…すみません」
大家「分かれば良いのよ♪」
魔王(…人間には、笑顔だけで戦意を奪う者も居るのか…成程、中々支配出来ぬ訳だ)
大家「魔王ちゃんは?」
魔王「ちゃんとは何だちゃんとは。我は謝らんぞ、人間なんぞに頭を下げては魔族の名折れだ」
男「んだと――」
大家「その人間程度に頭も下げれないなんて、随分器が小さいのね」
魔王「な、何だと…!?…ふ、何とでも言うが良い。所詮人間など魔族に踏みにじられる――」
大家「…」コショコショ
魔王「ふはっ!?う、はは、んふふふ、や、止め、あは、はははは!」
大家「謝るまで止めないわよ」コショコショ
魔王「ふひっ、ひはは、分かった、悪かった、我が悪かったぁ!」
大家「はい、止めたげる」
魔王「はーっ、はーっ、はぁ…た、助かった…」
男(大家さん強ぇ…)
34
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 19:16:03 ID:dAdJsspQ
魔王(ぐぬぬ…この世界では、我も人間と同様か弱き存在であるという事か…!)
大家「魔王ちゃん、ここはあなたが住んでた世界とは違うわ。そんな態度だと恐ろしい目に遭うわ」
魔王「だからと言って人間と同じ生活をしろだのと…!」
男「じゃあ続けてろよ。ボコボコに痛みつけられるだろうけどな」
魔王「…生きる為に誇りを捨てろと言うのか」
男「誇りなんか無くても生きていけるし、第一ここはお前の世界じゃない。捨てても分かんねぇよ」
魔王「……断る」
男「あぁ?」
魔王「この誇りが我の生きる意味、生きる理由だ。それを捨てるなどとんでもない」
男(ちっ…考え方がズレてる以上、話しても無駄か…)
魔王「…しかし」
男「ん?」
魔王「魔族の生き方を貫いていても、この世界では意味が無さそうだ」
男「…で?」
魔王「譲歩しよう。長らくこの世界に居る可能性があるならば、そこに則した生き方が必要になる」
35
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 21:01:37 ID:dAdJsspQ
魔王「この世界での生き方とやらを教えては貰えないだろうか?」
男「お、おう…?」
男(な、何か急に素直って言うか、何と言うか…)
魔王(敵を倒すにはまず敵を深く知る事が勝利への近道…我が世界の人間とこの世界の人間、共通する事も多いであろう…ふっふっふ)
大家「じゃあ、いっぱい教えてあげるわ♪」
魔王「宜しく頼む」
男「本気で教わる気あんだろうな?魔王様よぉ?」
魔王「貴様は相手を嘲笑しない術を教わったらどうだ?」
男「あぁ?」
大家「ん?」ニッコリ
男「何でも無いです」
魔王「む、そうだな」
36
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 21:59:51 ID:dAdJsspQ
大家「という訳で…男くん、頼むわね」
男「…。え、俺!?大家さんじゃなく!?」
大家「そうだけど?」
男「いやいや、だから飼えませんって」
大家「そんな犬みたいな」
魔王「誰が犬だと?」
男「大体こんな奴と過ごすなんてまっぴらゴメンです」
魔王「ほう?言ってくれる」
大家「そうは言っても、他の人達は家に居る時間がとても少ないし…」
男「…まぁ」
大家「それに、私も手伝うし、ね?」
男「……はぁ。分かりましたよ…はぁ」
魔王(相当嫌な様だな…無礼な奴よ)
37
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 22:22:08 ID:dAdJsspQ
魔王「では早速教えて貰おうか、その名を。…と言っても、男と大家、と言っていたが」
男「そうだよ。俺が男」
大家「私がここの大家。他の住んでる人は…まあ、紹介は後で良いわ」
魔王「ふむ…そうか」
大家「じゃ、後は男くん、よろしく♪私は戻ってする事あるから」
男「ええ、頑張りますよ…」
魔王「魔王の世話が出来る事を光栄に」
男「そういうのまず止めろ。俺とお前は対等だ。分かったな?」
魔王「ふぅ…要は威張るなただの女だと思えと、そういう事であろう?」
男「そうだ」
魔王「全く…これが我でなく他の魔族であれば、口を利いただけで殺されておる所だ」
男「どんだけ短気なんだよ」
魔王「皆人間など餌か奴隷、ただの弱者としか見ておらぬ」
男「お前もそうだろうが」
魔王「ああ、その通りだが」
38
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 22:39:24 ID:dAdJsspQ
男「けっ、偉そうなこった」
魔王「それが魔族達の頂点、魔王として当然の考えである」
男「はいはい、そりゃよござんでしたね」
魔王「本当に無礼な奴よ…我に高い知能があって良かったな」
男「まるで他の奴が馬鹿みてぇな言い方だな」
魔王「実際大うつけ者が多いのだ。頭を使わず本能で生きている様な下種ばかりでな」
男「は〜ん?」
魔王「知恵もまた強さである事は、人間が証明しているというに。腕っぷしだけが力だと考える愚か者共が」
男「へぇ?案外人間なんかを認めてるんだな?」
魔王「魔王としてでは無く、我個人としてなら、多少はな」
男「ほ〜ん?」
魔王「今まで魔族の侵攻に耐え続け、生き延びてきた力…流石に認めざるを得ん」
39
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 23:00:03 ID:dAdJsspQ
魔王「だが、他の魔族、歴代の魔王でさえそれを認めようとはしなかった。だから敗北するのだ」
男「ふ〜ん?」
魔王「人間には魔族には無い、魔法とも異なる力がある様に思える。その力さえ分かれば…」
男(…コイツが本当に魔王だとして、もし帰したら向こうの人間ヤベェんじゃ…?)
魔王「一つは何者にも屈しない勇気である事は分かったが…他にもありそうでな…」
男(だったら今の内にコイツボコボコにして戦わせない様にした方が…)
魔王「…どうした?」
男「あ?いや、別に。お前が居ない向こうってどうなってんのかってちょっと気になっただけだ」
魔王「新たな魔王でも探しておるのでは無いか?」
男「そんなすぐ探して見つかる物かよ…」
魔王「見付からんだろうな。歴代最強と呼ばれた我を超える者はまず現れぬだろう」
男「お前が?最強?」
魔王「そうだが」
男「全然見えねぇ」
魔王「確かに、我は歴代魔王の中で最も幼いらしいからな。他の魔族も似た様な反応をする」
40
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/25(木) 23:48:42 ID:dAdJsspQ
魔王「まあ、我の話など、貴様にはどうでも良い事だろうがな」
男「まあな」
魔王「ふん」
男「……」
魔王「……」
男「……」
魔王「何か話す事は無いのか」
男「無ぇよ」
魔王「…つまらん奴よ」
男「うるせぇな。テレビでも見てろ」ピッ
魔王「!?な、何だ…!?」
男「は?」
魔王「今、どうやってあの板に色を付けた…!?」
男「どうやって、って言われてもな…」
41
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/26(金) 07:27:47 ID:GpT13JrI
支援
42
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/26(金) 10:03:35 ID:P0dN.b6I
男「こうやってリモコンのボタン押しただけだ」ピッピッ
魔王「!?…?……!?」
男「…驚きすぎだろ。口開いてんぞ」
魔王「な、何故だ!?どういう技だこれは!」
男「技じゃねぇって…ただの電気信号とかそんなのだ」
魔王「で、電気…?」
魔王(勇者の力では無いか…!この世界には無数に居るとでも言うのか…!)
男「…何か良く分かってねぇみてぇだが、電気使った物なんかどこにでもあんぞ」
魔王「何ぃ!?」
男「まずこのテレビがそう。洗濯機がそう。この天井の蛍光灯もそう。このスマホもそう」
魔王「な、な、な……!?」
魔王(い、行き渡り過ぎでは無いのか勇者よ…!はっ、まさか空気中に無数の勇者が…!?)アタフタ
男(反応面白ぇなコイツ)
43
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/26(金) 11:57:31 ID:P0dN.b6I
魔王「その…電気というのはどうやって」
男「ん?あ〜…発電所って所があってな。そこで電気作って、色んな場所に送ってんだよ」
魔王「で、電気を作る…?」
男「色んな方法があんだよ」
魔王(な、何という世界だ…!魔力など無しに電気を編み出せるのか…!)
魔王(…良く見れば、訳の分からぬ物体ばかり…我が世界より魔力が無い分技術が優れているのか…)
男「周りジロジロ見てどうした?」
魔王「…せんたくき、てれびとやらは一概に何と言う?」
男「あ?…金属とか機械、だろ?」
魔王「そうか、金属に機械か。成程」
男「…?」
魔王(魔族の中にも金属で動く者が居た…機械族、だったな。奴等は魔力で動いていたが、ここでは電気か)
44
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/26(金) 12:09:56 ID:P0dN.b6I
魔王「成程。電気の存在がこの世界の人間の生活において重要な立ち位置と言う訳か」
男「ま、そうだな」
魔王「ふむ…面白い世界だ。魔力無しでここまでとは」
男「…お前んとこの人間は、どんな生活なんだ」
魔王「少なくとも電気を使う物は存在せんな。何故なら使える者は勇者と我しか居らん」
男「へぇ」
魔王「と言っても、我は天候を操り雷を落とせるだけで、電気その物を操れるのは勇者だけだ」
男「魔王様でも無理な物がある訳だ」
魔王「…魔力だけでは、電気を操れぬのだろう。勇者にあって我に無い物…未だに誰も分かっておらん」
男「そうかい、不思議なこった」
魔王「…自ら聞いておいて、その態度は何だ」
男「別に?俺はいっつもこんなんだ」
魔王「……そうか」
45
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/26(金) 12:45:02 ID:P0dN.b6I
男「…お前、何か食いたい物あるか?」
魔王「食いたい物、だと?貴様が作るとでも?」
男「作っちゃ悪いか」
魔王「我の口に合う様な物を作れるとは思えんな」
男「あぁ?言ってくれるじゃねぇか…良いぜ、もし美味かったら言う事一つ聞いてもらうからな」
魔王「ふむ、余程自信があるらしいな。良いだろう、作ってみるが良い」
男「はっ、その上から目線出来なくしてやるからな…!」
魔王「精々頑張る事だ」
魔王(そもそも、我ら魔族と人間の食する物が違う時点で、こやつに我を満足させる事など出来る筈も無し…)
男(絶対美味いって言わせてやる…!)
46
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/26(金) 21:53:57 ID:P0dN.b6I
――――
――
―
魔王「…何だ、これは」
男「見りゃ分かるだろ」
魔王「分からぬ。何なのだ、この黄色い物と血の様に赤い物は」
男「血とか言うな。卵とケチャップだ」
魔王「卵は分かるが、けちゃっぷ…聞いた事も無い」
男「トマト無ぇのか」
魔王「トマトで出来ておるのか…魔界には自生しておらんな。人間は育てている様だが」
男「食った事は?」
魔王「魔界の料理者が人間の食材を使いたがらんのでな」
男「じゃあ普段何食って生きてんだよ」
魔王「肉、野菜、虫、茸、卵など…食らう物こそ違えど種類は人間とそう変わらんよ」
47
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/26(金) 22:09:47 ID:P0dN.b6I
男「おい…今、虫とか言ったよな」
魔王「魔族にとっては主食の一つである。人間は食わんのか?」
男「俺は食わねぇよ。他の地方じゃ食ったりする所もあるけどよ」
魔王「ふむ、そうか。少々、楽しみだ」
男「…俺は出さないからな」
魔王「そうか…虫は、魔界では高級な食材なのだが…」
男「そっちと一緒にすんな」
魔王「で、この卵は当然竜の物であるよな?」
男「竜とか居る訳無ぇだろこっちに」
魔王「な…。ならば、何を使っておるのだ!」
男「こっちじゃこういうのは鳥しか無ぇよ!」
魔王「何だと…!?…無いなら、仕方が無いのか…」シュン
男(…どんだけ食いたいんだよ竜の卵)
48
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/26(金) 22:24:52 ID:P0dN.b6I
男「…あぁ、こっちで食べる卵には魚もあるけどよ」
魔王「…魚の卵?」
男「ま、どれも小さい粒だし、鳥の卵と違ってこんな風に出来ねぇけど」
魔王「ふむ、黄色い塊に出来ぬと…」
男「その代わり、キャビアって言う高級食材があるけどな」
魔王「食わせろ」
男「俺じゃ買えねぇよ!」
魔王「捕ってくれば良いだろう」
男「テメェなぁ…!普通は無理なんだよ!」
魔王「何だ、ややこしい世界だな…」
男「良いから食えよ、オムライス」
魔王「おむらいす、というのか。ふむ、食ってやろう」
男(いちいちムカつく野郎だなコイツ…!)
49
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/26(金) 23:59:38 ID:P0dN.b6I
魔王「…む?中に…確かこれは、米だったか」
男「そうだ」
男(スプーンは普通に使うのな、コイツ…手掴みかと一瞬思ったぜ)
魔王「米やパンは人間が良く食う様だが、魔族は食わんな。…しかし、これも赤いな」
男「そっちにもケチャップ使ってるしな」
魔王「そうか、何故赤いか気になったが、ふむ…」カチャ
魔王「…」モグ
魔王「甘っ!?」ピョコン
男「!?」
男(み、耳がっ、犬耳が生えたっ!?どうなってんだ!?)
魔王「こ、これは何だ、甘い、甘いぞ!」ピコピコ
男「お、おう…」
男(耳、動いてんだけどっ!?)
50
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/27(土) 00:02:42 ID:aJzzyrEU
リツコ「そうよ。ですからそこを狙い、目標をセンターに入れてスイッチ。」
誠「、」カチャ ダラララララララララララ ボガーン
リツコ「結構。そのままインダクションモードの練習を続けて。」
誠「はい。」カチャ ダラララララララララララ ボガーン
誠「目標をセンターに入れてスイッチ。」 カチャ ダラララララララララララ ボガーン
51
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/27(土) 00:04:21 ID:aJzzyrEU
↑ すみません、間違いです
52
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 01:43:37 ID:pLlWlLkk
魔王「産まれて初めてだ、こんな物を食べたのは」ピコピコ
男「そ、そうか…けどな、これより甘い物なんかゴロゴロあんぞ」
魔王「これよりもか!?この世界の人間は贅沢なのだな…!」ピコピコ
男(それよりさっきから犬耳動いてんのが気になる…コイツ本当に人間じゃなかったのか…?)
魔王「…先程から、我の何処を見…。…いや、まさかそんな筈は…」サワサワ
魔王「…。あああああああああああ!!?!?」
男「うおっ、うるせぇぞ!」
魔王「耳、耳が、我の耳がっ、誤解だ、違うのだっ、何かの間違いだぁっ!!」
男「そ、そんなに見られたくないのかよ…?」
魔王「…誰にも…見せた覚えの無い物だと…言うのに…」
男「…何か悪かったな」
魔王「……良い。……我の耳が勝手に反応した、それだけなのだからな……」タラン
男(耳が元気無く垂れ下がってるな…)
53
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 18:43:01 ID:pLlWlLkk
魔王「……ふぅ、取り乱してしまった」
男(あ、耳しまいやがった)
魔王「…何だ。そんなに我の耳が気になるか」
男「当たり前だろ」
魔王「…我が一族では、耳と尻尾を見せる時は、服従の意を示す物だとされているのだ…」
男(尻尾もあったのかよ)
男「要は、オムライスに負けた訳だ…。…つまり美味かったんだな?」
魔王「…認めよう。人間の食材など口に合わぬだろうと考えていたが、返上せねばなるまい」
男「食った事もねぇのに不味いだなんだって判断出来る訳ねぇだろ」
魔王「…その通りだな。しかし、人間はこれ程甘い物を食べておるのか。魔界ではあり得ん」モグモグ
男「もっと甘いのあるぞ」
魔王「何だとっ!」
男「チョコレートとかケーキとかな」
魔王「くっ…どの様な物か想像出来ぬが、魅惑的だ…!」
男(甘い物好きか、コイツ。ま、見た目は女の子だしな)
54
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 18:52:51 ID:pLlWlLkk
魔王(くぅ…このまま甘味物を食べれば魔界の料理に満足出来なくなると理解しているのに、抗えぬ…!)
魔王「この世界の人間は恐ろしい物を…!」モグモグ
男(すっげぇ美味そうに食ってるな…そんなに気に入ったのか)
男「…ところで」
魔王「む?」
男「言う事一つ聞いてもらうって言ったよな…」
魔王「…ああ」
魔王(…しまった。今の我は非力。もし襲われでもすれば…)
男「…耳と尻尾、触らせてくれ」
魔王「…は?」
男「触らせてくれ」
魔王「いや、二度言わんでも分かる。分かるが…」
魔王(今まで魔族で見ていないとはいえ我が耳と尻尾を気にする物など居らなんだ…人間は変わっておるな)
55
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 19:07:21 ID:pLlWlLkk
男「何か拍子抜けしたみたいな顔してるが何考えてたんだよ」
魔王「今の我は人間にも負ける程非力だ。故に無理矢理犯されるかも知れぬと」
男「ぶっ!す、する訳ねぇだろ!そもそも犯罪だろうが!」
魔王「はんざい?」
男「犯した罪って書いて犯罪っていうんだよ!人間の中でやっちゃいけないルールって奴だ!」
魔王「るうる?…あぁ、法という意味で合っていたか?」
男「合ってるよ」
魔王「罪を犯せばどうなるのだ」
男「捕まって檻の中に閉じ込められんだよ。長い間な」
魔王「成程、与える罰を示す事で律しておるのか」
男「そんな感じだ。…何だよ、お前んとこはそんなのねぇのか」
魔王「魔界に法など無い。あるとすれば、力だけだ。魔界では力こそ全てだからな」
男「最悪な世界だな」
魔王「人間からすればそう思うか」
56
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 19:22:25 ID:pLlWlLkk
男「で?力があれば何でも手に入る世界って事になる訳か?」
魔王「その通り。故に我は魔王である」
男「そりゃ凄いこった」
魔王「しかし、この容姿故か、我を認めぬ者も多くてな」
男「俺から見たってガキにしか見えねぇしな」
魔王「餓鬼だと…?そこまで餓えている様に」
男「子供って意味だ!」
魔王「む…確かに我はまだ肉体的に成熟しておらぬが…」
男(じゃあその見た目の割には妙にある胸何なんだよ…)
魔王「…自慢に聞こえるやも知れぬが、同族の間では容姿に優れていると言われていた。姫と呼ばれる程にな」
男「姫ねぇ」
男(絶対自慢だろこれ…)
魔王「我が一族は元々外見は人間に近い種であった。その中でも我は最も人間に近い容姿をしていたらしい」
男「ていうか人にしか見えねぇんだけど。耳と尻尾が出なきゃ」
57
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 20:00:15 ID:pLlWlLkk
魔王「一族は外見の事もあるが他の魔族ほど人間を見下してはおらん」
男「けど見下してんだな」
魔王「…我等は人間では無い。しかし他の魔族からは人間と似ているが故に忌み嫌われている」
男「何だそりゃ」
魔王「昔からその扱いは変わらんらしい。…人間さえ居なければ不当な扱いを受ける事も無かった」
男「んなの逆恨みじゃねえか」
魔王「…確かに、逆恨みだ」
男「分かってんのにそんな態度かテメェ」
魔王「言ったであろう、我個人としては少々認めている、と。魔族より強いと歴史が物語っているからな」
男「じゃあ」
魔王「しかしもう我が一族に苦汁を飲ませる訳にはいかん。人間を打ち倒し、全ての魔族の頂点に立つ」
男「…夢ってか」
魔王「そうだ。我は魔王として、一族の上に立つ者として人間を、勇者を倒さねばならぬのだ」
男「あっそ…」
男(コイツ個人の人に対する評価は関係ないってか…)
58
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 20:13:51 ID:pLlWlLkk
魔王「ふっ、安心するが良い。この世界の人間は打ち倒す事などせぬ。そもそも今の我では出来ぬが」
男「そりゃどうも」
魔王「では我はこのおむらいすとやらを」
男「待てや」
魔王「…何か?」
男「耳と尻尾触らせろ」
魔王「…どうしてもか?」
男「別に嫌なら良いぞ。甘い物食えなくなるだけだからな」
魔王「…っ!ぐぬっ…分かった、触るが良い…」ピョコ
男「…嫌そうだな。さっきは拍子抜けした顔してた癖によ」
魔王「だからと言って良いという訳では無かろうが…!」
男「何で嫌なんだよ」
魔王「誰にも見られず…当然触られず…そんな場所を初めて誰かに触らせるのだぞ…?」
男「…何か重い言い方すんなよ」
59
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 21:25:02 ID:pLlWlLkk
魔王「それもだ、初めてが人間など…複雑な思いが胸を駆け巡っておる…」
男(…流石に触りづれぇ)
魔王「が、しかし、約束は約束だ!この耳と尻尾、貴様に差し出そう…!それが力ある者の権利…!」
男「大げさだろ、どう考えても」
魔王「だがその前に一つ、触る理由を聞かせて欲しい」
男「は?お前目の前に獣耳と尻尾あったら触るだろ普通は」
魔王「触らん。そして恐らく普通では無い」
男「…やっぱ変か?」
魔王「少なくともそういう人間だと想像は出来ん」
男「…皆俺が動物好きだって言うと疑うんだよ…。場合によっちゃ虐待出来るから?とか抜かす奴いるし…」
魔王「…我は愛玩動物では無いぞ」
男「知ってるわ」
魔王「しかし、そう思われるのは口が悪いからでは無いのか」
男「…そうかなぁ」ハァ
60
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/27(土) 23:10:26 ID:pLlWlLkk
魔王「しかし、そこまで好きなら手元に置いておけば良いだろう」
男「だから、そこまで面倒見切れねぇんだよ…見たくても金が無いんでね」
魔王「何処でも人間は金銭で取引をしておるのか」
男「お前らは違うんだろうな。全部力で奪えばいいんだから」
魔王「こちらの人間でもそうする奴は居るぞ。盗賊などが当てはまるな」
男「だから犯罪だっての」
魔王「こちらの人間よりも法に縛られておるのか」
男「それでも破る奴はいくらでもいるけどな。中にはちょっと位破った方がカッコいいとか思ってる奴もいる」
魔王「…やはり、思慮深く賢き者も居れば、短絡的で愚かな者も居るか」
男「お前はあれか?魔族にもルールがあった方が良いとか思ってんのか?」
魔王「人間には食物を育てる生産者が居るが、魔界にも当然居る」
男「で?」
魔王「しかし魔族は力を以て生産者の命まで奪う者が居る」
男「そんなんじゃいつか自滅するんじゃねぇのか」
魔王「それが分かっておらぬ者が多すぎるのが、魔界の現在の問題点だ…」
61
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 00:08:13 ID:5I8XmRbs
男「良し、じゃあ触るぞ」クニッ
魔王「ふわっ!?きゅ、急に触るでないっ!」
男「……」クニクニ
魔王(む、無心で触っておる…。…な、何だ、この込み上げる感情は…少し、顔が熱くなる様な…)
男(…これは犬と違うな…人型だからか?…それともコイツ狼なのか?)
魔王「…も、もう良いのではないかっ?うむ、そうだろうっ?」
男「……」グニグニ
魔王「む、無視だと…!?この魔王を…!」
魔王(ぬおぉ…何故だっ、頬が、火照ってくるぞ…!)
男「…よし、次は尻尾だ」モフモフ
魔王「ぐぅぅ……」
魔王(…触られた事は無いが、こやつの触り方は優しい…それは分かった。分かったが…!)
男「ふぅ…良い手触りだ…」モフモフ
魔王(うぅ、こそばゆい…そして顔が熱い、火照る、前を見れぬ…!)
62
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 16:34:16 ID:5I8XmRbs
男「…てお前良く見たら靴履いてんじゃねぇか!」
魔王「…は?な、何だ…靴がどうした」
魔王(ほっ…触るのを止めてくれたか…ふぅ、落ち着いていくのが分か…焦っていたのか?我は…)
男「日本じゃなぁ、部屋の中に居る時ゃ靴脱ぐんだよ」
魔王「…変わった風習だな」
男「日本は世界の中でも独自の文化があるんだよ。和、ってのがな。平和の和って書いてな」
魔王「和…」
男「この畳なんかも、日本が昔考えた和って奴だ」
魔王「ほう…土に木や石の床とは違う床を考えるとは面白い」
男「日本は小さな島国だ。その上海外から人を寄せ付けなかったんだよ。鎖国って言ってな」
魔王「他の国の技術や文化が入り込まなかった為に、独自の文化が発展したと言う訳か」
男「…賢いなお前」
魔王「魔王として様々な知識を独学で学んだのだ。知恵でも負けぬ為にな」
男「へぇ、魔王なんざ城の奥で座りっぱなしかと思ってたな」
63
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 16:50:59 ID:5I8XmRbs
魔王「今までの魔王は大半がそうであったらしい。己の力を過信、そして慢心していた」
男「イメージ通りだな」
魔王「我は慢心も過信もせぬ。…しかし、何故魔王が存在しない世界で…」
男「ゲームがあんだよ。勇者と魔王の戦いを描いた、有名なゲームがな」
魔王「何だと…!?ええと、げえむと言うのは遊戯の事だなっ!ここにもあるのか!」
男「あるけど?」
魔王「どのような物だ!」
男「あれ」
魔王「…何だあの不思議な箱は」
男「あれがゲーム機。ゲームするのに必要な物なんだよ」
魔王「…この世界は驚きの連続だ…」
男「じゃあ外出たらもっと驚くな」
魔王「恐ろしい世界だ…」
64
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 17:11:10 ID:5I8XmRbs
魔王「…一度落ち着こう。まず礼儀として靴を脱がねば」
男「…お前靴下は」
魔王「何だそれは?」
男「これだよこれ」
魔王「何だこの布は」ビヨン バチン
男「痛っ、何すんだテメェ」ゴンッ
魔王「ぬあっ!貴様…!」
男「いきなり引っ張ってんじゃねぇ。そして離すんじゃねぇ」グニィ
魔王「う゛ぬぅ…ほおをひっはるな…!」
65
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 17:45:32 ID:5I8XmRbs
男「全く…」
魔王「ぬぅ…」
男「で?ゲーム見てどうする気だよ」
魔王「…我が世界があるやも知れぬ、そう思ったのでな」
男「じゃあ…お前んとこの世界の一番特徴的な所挙げてみろよ。俺があるか判断する」
魔王「…一つの大きな大陸の周りを大小様々な島国があり、空にも島国が幾つも存在している」
男「無いな。無い無い。そんな設定無い」
魔王「そうか…戻れる切っ掛けになると思ったが…」
男「そんな簡単に見付かる訳ねぇだろ。見付かったら即帰してやる」
魔王「ふん、言われずとも帰ってやる」
男「そうですか」
66
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 18:09:01 ID:5I8XmRbs
魔王「……因みにげえむの内容は…」
男「当然どれも勇者が魔王を倒す話」
魔王「…例え空想でも魔族は忌み嫌われるか」
男「人間と魔物が共存する村が出てきたりするけどな」
魔王「共存…?…ふっ、我が世界ではあり得ぬな」
男「お前は出来そうだけどな」
魔王「それは魔法が使えぬからであり、使えていれば今頃は…」
男「俺を殺してるってか?」
魔王「あぁ」
男「おっそろしいねぇ魔王ってのは」
魔王「もっと我を恐れ、敬うが良い」
男「もっかい頭殴んぞ」ゴンッ
魔王「ぐわっ!い、言う前から殴っておるではないか!」
魔王(くうぅ…この様な屈辱を味わい続けなくてはならんのか…!)
67
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 21:26:55 ID:5I8XmRbs
男「…取り敢えず、その靴玄関に置いてきてやる」
魔王「む」
男「ところで、裸足になった気分はどうだよ」
魔王「入浴時と就寝時にしか脱がんからな…新鮮ではあるが」
男「…手とか足とか、爪伸びてんな」
魔王「む?これでも短いが」
男「俺の見ろよ」
魔王「…そうか、人間は爪で相手を傷付ける必要が無いからか」
男「切ってやろうか」
魔王「結構だ」
男「そうかい」
魔王(…やはり愛玩動物とでも思われているのだろうか…いや、実は世話好きな性格か?)
男(しまった…何言ってんだ俺は…動物じゃあ無いってのに。でもあの耳と尻尾は反則だろ…)
68
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 22:20:33 ID:5I8XmRbs
男「…お前、どうやって爪切ってるんだよ」
魔王「む、それは魔法で…。…この世界ではどうしておるのか」
男「爪切りってのがあんだよ」
魔王「ほう」
男「…確かこの辺…あった、これだ」
魔王「…奇妙な形状だな。使用方法は」
男「まずこの部分をこうしてだな…おら、手貸せ」グイッ
魔王「何をする!」
男「暴れんな切りにくいだろが」
魔王「切らんで良い!」
男「うるせぇな手本だよ手本。…よく見てろ、こうすんだよ」パチ パチ
魔王「あぁ…!我が爪が…。…意外と綺麗に切られていく」
男「そういう風に出来てんだよ。…おら、他の指も自分でやってみろ」
魔王「わ、分かった…」
魔王(ぐぬ…一本だけ短く切り揃えられていると不恰好であるしな…)パチ
69
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 22:47:14 ID:5I8XmRbs
男(…コイツ、結局俺と対等な感じで話してたり、すぐ道具使いこなしてたり…順応性が高いってか?)
魔王「……」パチ
魔王(…切る時の音が心地良いな)フッ
男「何笑ってんだ」
魔王「…我が笑っていたのか?…調子の狂う世界だ」
男「あれか?内心魔王とか関係無くなったの喜んでんのか」
魔王「はっ!あり得んな!」
男「あっそ」
魔王(…だが、我が世界で、魔王となった時から、我は自然と笑った事があっただろうか…)
男「…にしても、初めて使った割には、きれいに切ってるな」
魔王「これもまた魔王としての才能よ」
男「関係ねぇだろ」
魔王「では我の才能と言い直そう」
男「はいはい、凄い凄い」
70
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/28(日) 23:04:32 ID:5I8XmRbs
男「で?結局ゲームすんのか?」
魔王「気にはなる」
男「なら起動しますかねっと…」
魔王「む?てれびとやらの様子が…」
男「…ほらよ」
魔王「な、何だ急に。この妙な物体は」
男「コントローラー。要は操作する機械だな」
魔王「こ、これでどうすれば…?」
男「これをこうやってだな…」
魔王「う、うむ…」
男「分かったか?」
魔王「一度にやる事が多いぞ」
男「そこは頑張れよ」
魔王「む…」
71
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/29(月) 00:21:18 ID:iUU9vHpk
男(さて、魔王様のプレイスタイルを見てみよう)
魔王「ぬおっ、うおっ、おおっ」カチカチ
男(コイツ体動くタイプだ。ヤベッ笑いが)
魔王「くっ、何だこやつは!手こずらせる!」カチャカチャ
男「頑張れ頑張れ」
魔王「頑張っておるわ!」ポチポチ
男「そうかい」
魔王「ぬぐぐ…人間めぇ!この様な機械を生み出してぇ…!面白ぞくそっ!」
男「良いじゃねぇか」
魔王「そうだ!くおぉ…この世界の人間は凄まじい技術を持っているな…!」
男「褒めるのか怒るのかどっちかにしろよ」
魔王「では褒めよう!この世界の人間は素晴らしい!」
男「声でけぇ」
魔王「失礼」
72
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 00:11:51 ID:cFfD8ypA
魔王「ふぅ…この世界はあまりに我が世界と違う…よもや映像を映す機械など…」
男「魔法みたいってか?」
魔王「…そうだな。まるで魔法だ。それも誰もが容易く使える、危険性の無い夢の様な魔法だ」
男「…あんま考えた事ねぇけど、まぁ、魔法みたいな物だよな」
魔王「下手をすれば魔法よりも…げえむなど、魔法では作れんしな」
男「そんな魔法あっても仕方なさそうだけどな」
魔王「それもそうだ」
男「…しっかし、大家さん遅ぇな…何してんだ?」
魔王「確認すれば良かろう」
ピンポーン
魔王「む?」
男「噂をすればってな。…はい」ガチャ
大家「お出掛けしましょう?」
男「…はい?」
73
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 12:12:50 ID:cFfD8ypA
大家「ほら、魔王ちゃんも着替えて着替えて」
魔王「き、着替えるだと?」
大家「そうよ」
魔王「服を用意したと?」
大家「だって、そんな服じゃ…ねぇ、男くん」
男「何で俺に聞くんです」
大家「だって、男の人からすれば、こんなに肌を出してる子ってつい見ちゃう物じゃないの?」
男「女性でも見るでしょこんな服」
魔王「我が服装の何が悪いと言うのか。魔王の装いには魔力の効率を上げる力があるのだぞ」
男「この世界じゃ関係ねぇだろが」
魔王「む」
大家「魔王ちゃん、男くんがコスプレって言ってたでしょ?」
魔王「ああ」
大家「コスプレって言うのは普通は着ない服装なのよ。そのまま外に出たら目立つわ」
魔王「我としては目立つ方が良い。しかし、不都合が出ると言うなら従おう」
74
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 12:35:42 ID:cFfD8ypA
男「従う?随分素直だな」
魔王「逆らったとて意味は無いのだろう?」
男「意味はないって言うか…恥ずかしくないんなら、俺はそのままで良いと思うけどな」
魔王「我が姿に恥じる場所など無い」
大家「まぁ、キレイだものね、肌とか。憧れちゃうわ、若々しくて…」
魔王「ふっ、もっと羨望の目を向けるが良い」
男「て言うか大家さん若いじゃないですか。まだ三十路にもなってないでしょう」
大家「…分かるのよ…もう既に十代の頃の肌が無くなっていくのが…」
男「大家さん…その肌で言っても説得力無いです。十代どんだけ肌キレイだったんですか」
大家「それはもう学校ではアイドル扱いになる位にはね〜♪」
魔王「あいどる?」
大家「歌ったり踊ったりするキレイな人達の事よ」
魔王「ほう?我が世界での踊り子と言った所か」
男「あ〜…大体そんな感じか」
75
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 13:34:44 ID:cFfD8ypA
大家「魔王ちゃんならなれるかもね」
魔王「…歌と踊りは、あまり好きでは無い」
大家「あら残念」
魔王「しかしやれと命令するならば」
大家「しないわよ命令なんて」
魔王「我は魔族として力ある者に従うまで」
大家「そんな考えは駄目よ。私は魔王ちゃんと友達になりたいんだから」
魔王「とも、だち?…何だ、それは」
大家「えっ…?」
男「…人間とか魔族とか立場とかも関係なく、お互い信頼して気兼ねなく話せる対等な関係の事だ」
魔王「…人間は互いを信ずる事が出来るのか。成程、魔族には無い強さだ」
大家「魔王ちゃんは、周りを…」
魔王「信用など出来ぬ。何時隣に居る者に寝首を掻かれるかも分からんのだからな」
男「…息苦しい世界だな」
魔王「貧弱な人間には生活など出来ないだろうな」
76
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 15:45:28 ID:cFfD8ypA
大家「…よぉし!男くん、魔王ちゃん着替えさせるから出てって!」
男「出てってっておかしくないですか。俺の部屋なんですけど」
大家「大家の命令は絶対です」
男「さっき命令しないって」
大家「魔王ちゃんにはね。部屋借りて住んでる男くんには聞いてもらわないと」
男「…へーへー、分かりましたよ。どうぞご自由に」
大家「そうさせてもらうわね〜♪」
魔王「…いや、服さえ用意して貰えるのなら、我だけで着替え――」
大家「裸の付き合いよ!」
魔王「は?」
大家「とりあえず魔王ちゃんには側に居てもいいって思ってもらえる存在になるから!」
魔王「いや…別に…必要無いが」
大家「そう言わずにぃ〜」
77
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 17:26:59 ID:cFfD8ypA
男「…何で俺が外出てんだ…」
「あれ、どうしたんだい」
男「…ん?あ、女さん」
女「歳も近いし呼び捨てで、敬語も使わなくて良い、と言ってるのに」
男「いや、そんな…」
女「モテないよそれじゃ」
男「余計なお世話です」
女「それは失敬したね」
男「で、今帰ってきたんですか」
女「そういう事さ。で、君はお出掛けかい?」
男「いや、大家さんに追い出されまして」
女「君が?大家さんのお気に入りなのに」
男「何故か俺の部屋で、あ〜…俺の知り合い着替えさせてるんです」
女「知り合い?…君の恋人か何かかな」
男「全然違います」
78
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 17:44:24 ID:cFfD8ypA
女「何だ、つまらない…」
男「つまらない、って…」
女「君をからかうネタが出来ると思ったんだけどね」
男「勘弁してください…」
女「君が敬語をやめれば考えない事も無いかな」
男「そう言って結局考えないんでしょう」
女「おや、バレたか」
男「全く…」
女「で、本当はその知り合いとはどんな関係なのかな?」
男「何も無いですって」
女「怪しいなぁ。そんな事言って、あんな事とかこんな事とか」
男「どんな事です?」
女「え?…まぁ、そうだな…うん、意地悪だね、君」
男「嫌ならからかおうとするのやめて下さいよ」
女「善処するよ」
79
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/30(火) 17:46:17 ID:Ytm7DBh.
誤爆かな?
80
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/09/30(火) 17:46:52 ID:Ytm7DBh.
普通に違ったわすまん
81
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 20:05:06 ID:cFfD8ypA
女「しかし、君に女性の影が…」
男「そもそもどうして女性だと思うんです?」
女「おや、違ったかい?」
男「まぁ…合ってますけど」
女「なら良いじゃないか気にしなくても」
男「はぁ」
女「出来れば紹介してほしいね」
男「大家さんが紹介する気なんで」
女「なら、期待せず待っておこうか」
男「ここで?」
女「ここで」
男「部屋で待ってれば」
女「君の隣に居たい、と言ったら?」
男「不気味な冗談だと思います」
女「つれないね、君は」
82
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 20:17:53 ID:cFfD8ypA
大家「終わったわ男くん…て、あら?」
女「やぁ、どうも大家さん。今日も元気そうで何よりです」
大家「女ちゃん、久し振りね!ちょっと、紹介したい子がいるんだけど」
女「待ってました」
大家「男くんから聞いたの?じゃあ話は早いわね!魔王ちゃ〜ん」
魔王「………」
女「おや、美少女だね…君、やるね」
男「あのですね…」
魔王「………」
男「…元気ねぇな」
魔王「………」
男「ちょっと、偉そうな態度とってたコイツがこれって、大家さん何したんです?」
大家「着替えさせただけなんだけど…」
女「この服似合ってますね、流石大家さんだ」
大家「そう?良かったぁ…」
83
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 21:29:18 ID:cFfD8ypA
魔王「…本当に似合っておると?我は我慢ならん!」
大家「な、何が駄目?私のお古なのが?」
男「古着だったんですか…」
魔王「何だこの浮ついた色は!もっと落ち着いた色をだな…!」
男「着てるのに文句言うなよ」
魔王「無理矢理着せられたのだ!有無も言わさず!」
男「従うんじゃなかったのか?ん?あとピンク似合ってんな」
魔王「ぐ、ぐぬ…ぐぬぬぬぬ…」
女「…大家さん。一体彼とはどんな関係で?」
大家「今日出会った仲よ」
女「…今日?それであの仲の良さ?」
大家「そうなの。トムとジェリーみたいな?」
女「ふぅん…」
大家「…嫉妬してる?」
女「まさか」
84
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 21:47:43 ID:cFfD8ypA
女「まぁ、まずは自己紹介からだね。僕は女、宜しく」
魔王「ぐぐ…我は」
男「マオって言うんですよ」
魔王「なっ」
大家「え?」
女「マオちゃんか、覚えとくよ」
魔王「違っ」
男「…おい魔王、俺と大家さんの前以外で魔王とか名乗んなよ。色々面倒だから」ボソ
魔王「な、何ぃ…?」
女「…さっき大家さんがその子を魔王ちゃんと呼んでたけど、渾名かな?」
男「そうです。コイツはそう呼ばれる方が嬉しいみたいですけど」
女「ふふ、ならそう呼ばせてもらいましょうか、魔王様?」
魔王「…うむ、良きに計らえ!」
女(…多分、魔王って名前が本当なんだろうな)
85
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/09/30(火) 23:48:03 ID:cFfD8ypA
男「じゃあ、大家さんと行ってこい」
大家「男くんも行くのよ?」
男「嫌です」
魔王「我もお断りだ」
女「じゃあこうしよう。大家さんと魔王様でお出掛け。僕と君でデートしながら二人に付いて」
男「嫌です」
女「女の子の誘いを断るなんて、君も罪な人だね」
男「ろくな事にならない気がするんで」
女「参ったね、これは。日頃の行いの所為かな?」
男「間違いなくそうです」
女「それは残念」
大家「じゃあ…女ちゃん、一緒に行きましょう」
女「僕で彼の代わりが務まるなら、宜しく頼みます」
86
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/01(水) 12:30:10 ID:5eLRshDE
大家「男くん、大家命令に背いたから私のご飯食べても――」
男「喜んで付いていきます」
大家「…食べたくないの?」
男「はい」
大家「……」
女「君、そんな事言わずにさ」
男「例え食べなければ死ぬという状況でも、食べたくない…!」
大家「…そんなに美味しくない?」
男「味の説明が出来ません」
大家「えぇ…。…美味しいのに、どうして…?」
女(…味音痴なんだろうか、大家さん)
男「とりあえず行きましょう早く行きましょう」
魔王「…それほど嫌か」
魔王(逆に見たくなるな)
87
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/01(水) 12:54:17 ID:5eLRshDE
――――
――
―
魔王「……!?」
魔王(何なのだ、あの走る金属の塊は…!?それに、建物が…まるで塔の様に高い…!?)
女「…彼女、どうしたんだい?」
男「世間知らずなお嬢様みたいなんですよ。箱入り娘って奴です」
女「ビル街に驚いてるみたいだけど…田舎暮らしだったのかな?」
男「さぁ、それは」
大家「魔王ちゃん、ふらふら動いちゃ駄目よ」
魔王「む…」
魔王(あまりに我が世界と違い過ぎる…生活水準が違う…と言うべきなのだろうか…)
男「迷子になんなよ」
魔王「馬鹿にするでない」
大家「魔王ちゃん、手、繋ぐ?」
魔王「要らぬ」
88
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/01(水) 13:57:12 ID:5eLRshDE
魔王(しかし、店、という物か。そこかしこにあるのだな…)チョイチョイ
男「…何だよ」
魔王「…店が多いが、どういう店だ?」ボソ
男「食材売ってる店、料理作って売ってる店、服売ってる店、機械売ってる店、大体そんなのだ」ボソ
魔王「…成程」ボソ
魔王(武器屋は無いのか…)
男「次いでに、あそこにあるのはケーキ屋だ」
魔王「…甘い物か…」
男「おい、ヨダレ出てるぞ」
魔王「ぬおっ、はしたない」
女「甘いの、好きなのかい?」
魔王「む?…まぁ、好きだが」
女「じゃあ、これをあげよう」
魔王「…?これは」
女「飴」
89
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/01(水) 14:47:32 ID:5eLRshDE
男「何で持ってるんです?」
女「良いじゃないか、持ってても」
男「そうですけど」
魔王(…これは、何の味なのだ…?確かに甘いが)
男「何の味なんです?」
女「普通にリンゴだよ。僕がリンゴ好きだからね」
大家「あぁ、そう言えばアップルパイの作り方、教えてもらった事あったわね」
魔王「良く分からんが、それも美味そうだな…」
男「食い意地張ってんな、お前。どんだけ甘いの好きなんだよ」
魔王「好きで何が悪いのか」
女「本当だよ。好きになったらどうしようも無いんだから」
男「はぁ」
大家「でも、食べすぎて太ったり…」
女「それ以上は言っちゃいけないよ大家さん」
90
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/02(木) 22:14:44 ID:sDCDorZ.
魔王(ふむ、人間は太るのか…いや、この世界では魔力変換が出来ないのでは…?なら我も…)
大家「まぁまぁ、まずは食べる前にお買い物よ。魔王ちゃんの服、買ってあげるから」
魔王「…遠慮しておく」
大家「え」
魔王「絶対にこの服装と同じ様な物を選ばせはしない」
女「似合ってるのに、勿体ない事を言うんだね」
魔王「だから、似合っとらん!」
男「じゃあ何色がいいんだよ。黒とか紺とか藍色か?」
魔王「良く分かっておるではないか」
女「暗い色、好きなんだね」
魔王「赤色など警戒色以外の何者でも無い」
大家「…ピンク、駄目かぁ」
女「彼女はお気に召さなかったようですね」
大家「似合ってるのに…」
91
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/03(金) 01:19:09 ID:SZs/zM1U
魔王(…そもそも魔界は常に暗いのだ。何時殺るか殺られるか分からんと言うのに目立つ格好をする者などまず居ないのだがな。我以外に)
男「おい、服屋着いたぞ」
魔王「…ここの人間は派手な服装を好むのだな」
男「ん〜…そうかもな」
魔王(目に悪いのでは無いかと疑ってしまう程、明るく濃い色が揃えられておるな…)
男「さっさと適当に選んでこいよ」
魔王「言われずとも」
男「ちなみにあっちはお前じゃ着れない大人服、お前でも着られるのは向こうの子供服」
魔王「字が読めぬと思って馬鹿にしとるな…?」
男「何だ、読めんのか。じゃああんまり高い物選ぶなよ。大家さんに迷惑掛けたきゃ選べば良いけど」
魔王「…値段は読めても価値が分からん」
男「…そう来たか」
92
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/10/03(金) 13:05:00 ID:jjP8VRMI
④
93
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/03(金) 21:09:44 ID:SZs/zM1U
大家「う〜ん、どれにしましょうか…」
女(…大家さん、明らかにあの子じゃ着られない様なサイズの服を見てるんだけど…)
大家「…あ」
女「どうかしました?」
大家「つい、自分の服、選んでた…」
女(…やっぱりそうだった)
女「…この服とか大家さんに似合ってると思いますよ」
大家「え、そう…?」
女「ええ。折角だから試着してみたらどうです?」
大家「…そうね!折角だから!」
女(ここは初めから仲良しの彼に任せてしまおう。男くん、グッドラック)
女「あぁ、次いでに、僕の服も選んでもらっても…」
大家「えぇ、女ちゃんが良いんだったら、喜んで選ばせてもらうわ」
女「それなら、お願いします」
94
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/04(土) 09:19:48 ID:IDBxJsRU
魔王「…選んでいるのは、どう見ても我の物では無いが」
男「そうだな」
魔王「我の為に衣服を買うと言っていた筈だが」
男「そうだな」
魔王「この魔王を捨て置いて自らの用事を優先させるとは…」
男「そうだな」
魔王「…聞いておらんな」
男「聞いてる」
魔王「なら何を考えておる」
男「お前の服、俺が選ばなきゃならなくなった」
魔王「何故だ」
男「女さんが大家さん止めないって事は、お前の服買い終えるまで恐らくあのままにするって事だ」
魔王「勘違いでは無いのか?」
男「バカ言え女さんは面白そうって思ったら飽きるまでやる性格なんだぞ」
魔王「…それはまた、厄介な事だ」
95
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/04(土) 11:54:21 ID:IDBxJsRU
魔王「しかし詳しいな…長い付き合いなのか?」
男「そりゃあの人の方が先に住んでたしな。それに…何度もその被害受けてるしな…」
魔王「例えば」
男「何で聞きたがるんだよ。俺の弱点でも探そうってか?」
魔王「…じゅ、純粋な興味だっ」
男(図星かコイツ…)
男「…被害ねぇ。一番の被害は女装させられそうになった事だな…」
魔王「じょそう?…幾つか言葉があるが」
男「女性の格好をする方だよ…はぁ…」
魔王「…人間は特殊な性癖を持っておるのだな…」
男「…女さんは俺もよく分かんねぇ。何するか予想出来ねぇし」
魔王「何を考えておるか分からん者と言うのは何処でも厄介な者だな」
男「その上賢いから尚更質が悪いんだよ…」
96
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/04(土) 12:19:19 ID:IDBxJsRU
男「…面倒になってきた。俺やっぱ帰る」
魔王「大家の料理を食らう事になってもか?」
男「…………………」
魔王「膝が震える程嫌か…」
男「…しゃあねぇ…急いでお前の服買って言い訳の準備して俺は逃げる」
魔王「逃げるのか、情けない」
男「うるせぇ、俺は服装なんざ興味ねぇし。別にお前がどんな服着てようがどうでもいい」
魔王「そうか。なら早く我の為に選ぶが良い」
男「はいはい、分かった分かった…」
97
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/04(土) 21:54:27 ID:IDBxJsRU
男(…本当に興味ねぇんだよな、ファッションとか…センスもねぇし)
魔王「…おい」
男「あ?何だよ」
魔王「そう言えば、何故人間は衣服を何着も持っておるのだ?」
男「は?…そりゃ、お洒落とか…」
魔王「我ら魔族は衣服を着ていても一着しか無いのだが」
男「…は?何?服洗わねぇの?」
魔王「洗う?…あぁ、大半の者は汚れても気にはせんからな。そもそも衣服を纏わぬ者も多い」
男「マジかよ…。じゃあ、お前も洗わねぇの?」
魔王「我の衣服は魔力による盾によって汚れなど付かん…が、この世界では効力が無いだろう」
男「だったら結局買わなきゃいけねぇじゃねぇか」
魔王「そうだな」
男「てかどうなってんだ魔界とやらは…」
魔王「まともな水場が無いのでな。基本的に毒の沼に酸の沼、溶岩ばかりだ」
男「人間お断りって世界だな…」
98
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/04(土) 22:19:50 ID:IDBxJsRU
男「お、これとかいいんじゃね?」
魔王「む?……何だこれは。明らかに人間の子供向けの物は」
男「着とけよ」
魔王「余程我を子供扱いしたい様だな…」
男「実際ガキだろ」
魔王「…そうだが、魔王である」
男「知るか」
魔王「そうであろうな、ふん」
男(…見た目はどう頑張って見ても中学生レベルだしな…もしかしたらもっと年取ってるかもだが)
魔王「全く…貴様は、我を幾つだと思っておるのだ」
男「魔族の年齢とか知るかよ」
魔王「我が一族は寿命も人間と近い。ほぼ見た目通りだ」
男「なら」
魔王「但し我は実年齢より幼く見えるらしいが」
男「見た目通りだったんじゃねぇのか」
99
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/04(土) 22:34:20 ID:IDBxJsRU
魔王「我に言われてもな」
男「…幾つなんだよ」
魔王「…齢20程だ」
男「………嘘だろ?」
魔王「事実だ。魔界は人間界と同じ時が過ぎている。暦の数え方も昔から人間と同じだ」
男「人間嫌いなのにか?」
魔王「だから変えようとする者も居るが、殆どが日にちなど気にせんよ」
男「時間とか年齢なんざどうでもいい奴ばっかって事か」
魔王「そういう事だ。暴れる事しか頭に無い者ばかりで困る」
男「…で、お前は何で年齢とか」
魔王「何故人間と同じ数え方をするのか気になって調べた事があるのでな」
男「へぇ。理由は分かったのか?」
魔王「いや。膨大な量の書物を全て見たが、何処にも記述は無かった」
男「…本気で全部見たのかよ?」
魔王「失礼な。しかとこの目で見てきたのだ」
100
:
◆vC.kHTi4RE
:2014/10/04(土) 22:50:37 ID:IDBxJsRU
魔王「しかし、全て読み切るまで長い年月が掛かった…」
男「物好きだな、お前」
魔王「魔王としての教養を深めようとしただけだ。それと…暇を潰す意味も兼ねてな」
男「魔界、何にも無さそうだしな」
魔王「…そう考えれば、やはり人間は豊かな生物なのだろうな」
男「豊か、ねぇ…そうでもないかもな」
魔王「む…?」
男「それより、調べて本当に書いてなかったのか」
魔王「無かった。ただ、遥か昔は人間と魔族に別れては無かったのかも知れぬ、とは考えたがな」
男「どっちも根は一緒ってか。他の魔族とかが聞いたら切れそうだな」
魔王「で、あろうな。…それより、衣服を」
男「あぁ、忘れそうだったのによ…」
魔王「おい」
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