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男「なんで……こうなった……?」
-
鬱展開かな。
グロ注意かな。
あとアダルトもあるかな。
つまり、閲覧注意かな。
"
"
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...ガタンゴトン...ガタンゴトン...ガタガタガタ......
男(満員電車か…ツイてないな……)
男(久し振りに電車乗ったら豪雨で運休、運行再開直後のせいで満員…ね。)
男(バイトの面接なんて行くもんじゃないな……)
男(…………)
女(赤目)「……」ムニュ
男(胸か…ウザいな……これは[最強の呪文]を唱える合図っぽいな。)
男(「この人痴漢です!!」はいはい、チェックメイトチェックメイト。)
男(さて、少し立ち位置変えようかな。)スルッ
女(……前の乗客の間に入った……?嘘痴漢の女の子と間違えられたのかな?)
男(痴漢冤罪作んならそこのハゲ親父リーマンでやれ。その方が”それっぽい”だろ。)
-
女(残念だけど、そう言うのじゃ無いんだよね。アタシ、君を気に入っちゃったから。)
マモナクー,×××ー,×××ー...
男(よし、逃げよう。)スッ
女(待て待て待て。)スッ
ドア「ガー、ガッシャン。」
男(よし電車降りた。改札通ろ。)スタスタスタ
女(逃がさないよ。)スタスタスタ
-
支援かな。
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〜駅前〜
男(待てよ…改札通ってしばらく駅から歩いたぞ……)スタスタスタ
女「…………」スタスタスタ
男(なんで付いてきてるんだ?おかしくね?)スタスタスタ
男(少し撒こうかな。こういうの得意じゃねえけど。)ダッ
女(えっ、嘘。待ってよ。)ダッ
男(クッソ、しつけえな。)ダダダ
女「……」ダダダ
男(何だってんだよ。俺何かしたか?)ダダダダッ
女「……」ダダダダッ
男(完全にメンヘラキチガイストーカー女だろ、あれ。間違いねえよ。)ダッダッダ
女「……」ダッダッダ
男(次の裏路地で今度こそ撒く。)サッ
女(逃がさないよ。)サッ
男(クッソ、付いてきてる。)スタスタスタ
"
"
-
支援
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女「ねえ。待ってよ。」ピタッ
男「……ハァ?」ピタッ
女「なんで逃げるの?」
男「いやいや、そっちこそなんで付いてくんだよ。」
女「君の事、気に入ったから。」
男「ハァ?初対面だろ。」
女「ううん。何回か街で見掛けたよ。アタシは。」
男(コイツ、割りとマジでヤバイな。どうしよ。)「あ、そ。で、どうしたいの?」
女「あのさ、私とセックス、しよ?」
男「……は?確認するけど、今……」
女「セックス。生殖行為。」
男(クッソ、もう早いとこ警察行くか…?)「へー、やっぱそう言ってたんだ。」
-
女「ねー、君に一目惚れって言うかさー、見ただけで好きになっちゃったんだよね。」
男(何なんだよ急に……なんか困るわ……)「んな事言われてもさあ……」
女「あ、じゃあ、今から君の家行こう。」
男「いや、流石にそれはキツイでしょ……」
女「あ、分かった。じゃあ、少しだけ、飲みに行こう。二人で。」
男「はあ……?」
女「ちょっと二人で飲みに行く位良いじゃん。それくらい。」
男「あー、じゃあそれだけな。それで満足な。」
女「うん。じゃ、行こっか。ここら辺に、良い店知ってるんだ。」
-
男(まあ、ちょっと酒飲んでストーカーから逃れられるなら、な。)
女「この居酒屋、手羽先が美味しいの!後、焼き鳥も!」
男「ほ、ほー……じゃ、ちょっとだけな。」
-
〜居酒屋〜
男「じゃあ、とりあえずビールで。」
女「アタシも〜。ツマミは、焼き鳥と手羽先!」
店員「かしこまりました。」スタスタ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
女「それじゃ、乾杯〜!!」カン
男「はいよ、乾杯。」カン
女「…ップハー!!」ドン
男「良い飲みっぷりだな。」
女「まあね。夕方だけど、どんどん飲んじゃう!君は?」
男「あー、酒は好きなんで。夕方でも全然。」
女「ってゆーか、さっきまでの拒絶感が、ちょっと弱くなった?」
男「飲むだけだからな。それなら別に。酒好きだし。」
女「ふーん。」
-
男「大分飲んだな。悪い、ちょっとトイレ。」
女「はーい。あ、もうすぐさっき頼んだカクテル来るよー。」
男「はいよ。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
男「戻ったぞ。」
女「はい。カクテル。」
男「おっ。サンキュ。」
女「グイッと、グイッと♪」
男「チッ、しょうがねーなぁ〜。」グィッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
-
〜カラオケ〜
男「やべー、もう金ねーわー。」
女「大丈夫。私あと三万位あるから!」
男「マジで!?」
女「うん。だからさ、どんどん飲も?」
男「おう!じゃ、俺ウルフルズ歌うわ!」
女「イェーイ!」ピョンピョン
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜バー〜
女「こういう静かなバーも良いでしょ?」
男「あんま慣れないけどな〜。」ヒック
女「大丈夫大丈夫。これは?飲んでみない?」
男「あ〜?これぇ〜?なんかアルコール高そうだ〜。」ヒック
女「大丈夫大丈夫。飲んでみて?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
-
〜ホテル〜
男「ッッ!!!」バッ
男(ヤバい、ここは……)キョロキョロ
男(しまった……)ガクッ
男(!?)ビクッ
男(爪が黒い……手も足も。これは……そうだ。釘を打とうとして
間違って指を金槌で叩いた時………その時の爪を全く同じ……)ジーー
男(だが全部の爪の全体が黒く、痛みも無い……おかしい。)
男(そしてそれに相反するかの如く、異常に肌が白い……何だこれは。)
男(そして、あの、ストーカー女はどこだ……?)
-
男「!」クルッ
???「あ、目、覚めたんだ。ゴメンね。シャワー浴びてて。」
男「お、お前、誰だ!?」
女「やだな。沢山二人で飲んで、さっきまで散々セックスしてたのに。」
男「嘘だろ……」ボーゼン
男(なんだこの女……銀髪になって、ホリが深くなって、目が赤いし、牙が長くて鋭くて、
肌が蝋の様に真っ白、爪が黒くなっ……爪が黒くなって……!?)
男「……!」ダッ
女「あら?」
男(大丈夫だ…!化粧室で鏡を見ても、ちょっと爪が黒くて血色の良くない俺が居るだけ!)
男(あんな……あんな非人間染みた姿になんて……)ガラッ
-
女「あ、鏡見ようとしてたんだ。ね?見違えたでしょ?」
男「うおおおおわあああああああ!!!!ぬうううわあうああああああ!!!!!」ガンガン
男(目が赤い……牙が鋭い……口を閉じていてもハッキリと見える……
そして髪は銀色……髪型は普段の俺と全く変わらない……)ガクッ
男「何だよこれ、何の特殊メイクなんだよ!これじゃ丸っきり吸血鬼じゃねえか!!」ブン
女「危ないよ。」ヒョイ
女「自分でも分かってるんじゃん?君は吸血鬼、ヴァンパイアになったんだよ!」
男「ふざけんな!」ブン
女「わっ!」サッ
男「大体昼間はお前だって普通だっただろ。夜だって俺の記憶がある内は普通だった。」
女「ヴァンパイアはね、常にこうな訳じゃないんだ。昼間は日光のお陰で人間と
姿が全く同じ。でも、日が落ちてくるとそれが維持出来なくなる。
充電みたいな感じで何時間かは日光無しで保つ事が出来るんだけど………
夜になると、ね。この姿になって、血、人間の血液が欲しくなるんだよ。
さっきから、イライラしない?乾いた感じって言うか。」
-
男「そんなものはない!イライラなんて俺はしてねえ!ふざけんな!!」
女「ほら、すぐ怒鳴る。血液が足りてないんだよ。って言っても、三十分程前に、
私が君をヴァンパイアにしたせいなんだけどね。セックスをして♪」
男「う、嘘だろ……」
女「あ、これ飲む?」ゴソゴソ スッ
男「…………」
女「トマトジュースじゃないよ。血液。人間のね。昨日の夜中、パトロール中の
お巡りさんから少し分けて貰ったんだ。美味しいよ。特に今回はゴツい
男の人から採ったから、凄い味が濃いんだ。」
男「ふざけんなよ!!元に戻せよ!!」
女「無理無理。一回ヴァンパイアになったら二度と戻れないよ。」
男「そ、そん…な……」ガクッ
女「大丈夫!朝になったら元に戻ってるし、日常生活には支障無いから!」
-
男「…いしょ……ら……」
女「?」
男「最初から、こうするつもりだったのか?計画してたのか?」
女「……フフフ……そうだよ。君が今日あの駅で降りるのも調べてた事だし、
あの駅の近くで何処に良い居酒屋があるのかも事前に調べてた事だよ。後、
居酒屋でトイレ行ってた時も、カクテルに酔いが回る薬を入れた。
五万近く財布に入れてたのも、君にたっぷり飲ませる為。途中から記憶、
飛んじゃってるでしょ?それも全部計画通りだよ♪」
男「何だよそれ……どういう事だよ……ふざけんなよ!!何で俺なんだよ!!!!」
女「さっきからギャンギャンうるさいなー。」ドカッ
男「グハッ!」ドォオン
女「あ、言い忘れてた。この姿になったら、ヴァンパイアは普段の2.3倍の腕力、
1.8倍の脚力、3.8倍の肺活量、etc...になるらしいから。」
男「ゴホッ!ゴホッ!」
女「痛かった?ゴメンね?許して?アタシ、力加減苦手なんだ。」ナデナデ
-
女「アタシも血飲まないと結構イラついちゃうし、人の事言えないけどね〜。」キュポン ゴクゴク
男「……」
女「飲む?」
男「ふざけんな…俺はそんなもの……んぶっ!」ブチュ
女「ッフ…ン…クッ……ンッ……」チュルチュル
男(こ、コイツ…口移しで無理やり……ふざけんな!)ドン
女「キャッ!」ヒュッドン
男(思いのほか吹っ飛んだ……これがヴァンパイアの力、か…?)
女「レディ相手に、乱暴だね。」
男「スマンな。誰かさんのように、力加減が苦手なのかも知れん。」ペッ
女「あ、せっかく飲ませてあげた血……」
男「ふざけんな。こんなもんわざわざ口移しで飲ませやがって。」
女「随分冷静になったね。それ、血を飲んだからじゃない?」
-
期待
-
男(確かに…そう…だ……)「……」ピク
女「ま、君はまだなって1時間ちょっとだし、まだそんな症状は出ないけど、ヴァンパイアは
血が無いと飢えて死ぬからね?夜は。動物の血でも良いけど、薄いし、マズいし、ね。
夜になって姿が変わっても血を飲まずに居て、禁断症状が出たら、本当にマズいからね。」
男「禁断症状?」
女「薬物みたいな感じ。手がブルブル震えて、膝がガクガクになって、目眩がして。」
男「……そうか。」
女「…フフ、でも、やっぱり君を選んで正解だったよ。」
男「……あ?」
女「凄く良い顔してる。今にも血肉を喰らい尽くしそうな眼で。」
男「意味がさっぱり分からねえな。」
-
女「分からなくて良いよ。とにかくアタシは、君をヴァンパイアに出来ただけで満足。」
男「テメエ…!ふざけんなよ……!」ガッ
女「それじゃあね。」ヒョイ ガラッ
男(ベランダ……?)
女「バイバイ。」ピョン
男(柵を飛び越えた!?)「なっ!」バッ
-
ヒュオオオオオオオオ...ヒュウウゥゥゥゥゥゥ……
男「居ない…?いや、何処かに飛び移ったのか。」
男「クソ……どうすれば良いんだ……」
男(酒に酔って、気付くとホテルで、ヤった女に吸血鬼になりました。って言われて。)
男(なんだそりゃ。訳が分からねえ。どうなってんだ。)
......ピリリリリリリリリ......ピッ
男(声……いつもと変わってねえよな……)「も、もしもし…?」
親友「もしもし?男か?」
-
セックスシーンがなかった
-
男「あ、ああ。親友か。どうしたんだ?」
親友「ああ。あのさ、お前、来週の土日って空いてるか?」
男(よし……いつも通りの俺だ…大丈夫だ……)「ん?ああ、空いてるぞ。」
親友「そうか。良かった。実は、土曜に友の誕生日のパーティーをしようと思うんだ。」
男「友の?ああ、アイツ、今週の日曜が誕生日だったっけ。」
親友「そうそう。それで、ウチのマンションでパーティーをやらないかって。」
男「え?お前のあの城みたいな高級マンションか?」
親友「ああ。最上階の広い所でやりたいんだ。」
男「今や大手企業の敏腕若手社長だもんなー。流石、金持ちは考える事もやる事も違うぜ。」
親友「よせよ。まだ大手なんてランクには入ってないさ。」
男「敏腕若手社長は否定しないんだな。」ハハハ
親友「そりゃま、事実だからな。」ハハハ
-
鳥が消えてた
-
男「で、俺はそれに参加すれば良いのか?」
親友「ああ、頼む。アイツ、お前に会いたがってるんだぞ。」
男「友が?俺に?なんだそりゃ?」プッ
親友「本当だって。またお前とバンドやりたいんだってよ。」
男「アイツ、今何やってんだっけ?」
親友「専門学校で勉強中だとさ。勉強中の奴がチャラチャラ大学生とバンドねえ……」
男「誰がチャラチャラ大学生だ。」
親友「ハハハ、悪い悪い。とにかく来いよ。アイツ、喜ぶぞ。」
男「ああ。分かったよ。空けておく。」
親友「ああ。サンキュ。詳しい事は後で招待状送っとくから、それ見てくれ。」
-
ピッ
男(親友と、友か。)
男(親友の奴、変わって無かったなあ。俺に対する態度とか。)
男(父親の会社高校卒業してすぐ次いで、二年で今や大手企業って……やっぱ天才だよな。)
男(友……女みたいな奴だったよな。暇さえあればセッションしてたっけ。)
男(俺がベース兼ボーカルで、アイツがドラムで、親友がギターで。3ピース。)
男(あれをまたやろうってか……いくらなんでも無茶じゃねえか……?)
男(………吸血鬼だか何だかになっても、俺はまだ人間だ。絶対に。)
-
土曜・夜:11時・某高層マンション
親友「おお!来てくれたか。男。」
男「飯と友目的でな。」
親友「あと、俺に会いたくて、だろ?」
男「飯と友目的でな。」
親友「それプラス、俺に会いたくて、だろ?」
男「飯と友目的でな。」
親友「あれ?ドラクエの村人かな?」
友「あっ、男!!」ダッ
男「おお、久し振りじゃねえか。友。少し早めだが、誕生日、おめでとう。」
友「ありがとう!いや、男が俺の誕生日パーティーに来てくれるなんて、嬉しいな!」
男「大袈裟だな。俺も久し振りにお前に会おうと思ってな。」
親友「おいおい御二方。俺を忘れてもらっちゃあ、困るなあ。分かってるんだろうな?
パーティーのご馳走や、この会場も俺が全部用意したんだぞ!男だって、
俺が呼ばなきゃ絶対来なかったんだから、少しは感謝してくれよなー?」
男「分かってるさ。社長殿。」
-
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
男「おっ、もうすぐ12時か。」
親友「マジか。よし、皆、グラス持ってくれ!あと、ボーイ、”アレ”、用意しといてくれ。」
ボーイ「畏まりました。」スタスタ
高そうな時計「12時だお!日付変わったお!(^_-)」ゴゥンゴゥン
親友「それじゃ、皆!今夜は俺の奢りだからな!朝まで飲み明かそうぜ!乾杯!」
全員 ”おおおおおおおお!乾杯!!”
親友「よし、それじゃ、俺と男で、友に歌をプレゼントしたいと思います!」
男「は?俺聞いてねえけど!?」
親友「楽譜とジャズベース、用意してあるから。俺、アコギな。」
男「いきなりかよ。」
親友「大丈夫だよ。ブランク空いてもHappy Birthday位イケるだろ。」
男「無茶言いやがる。」
-
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
少女「お父さん、止めて!!」
父親「フフフ、落ち着きなさい。これは家族なら皆やってる事なんだよ。」サワサワ
少女「やだ!離して!!」ジタバタ
父親「どうしたんだ?いつもは話せば分かってくれるのになあ……さあ、足を開きなさい。」ガシッ
少女「痛いよ……お父さん……」
父親「大丈夫だよ……優しくするからね……」ズブッ
……………
-
少女「お母さん、あのね、」
母親「母さんなんて呼ばないで。」
少女「え?なんで?」
母親「何でじゃないでしょ!」バチン
少女「いたっ!痛いよ……お母さん……」
母親「また母さんと呼んだ!アンタのせいで!アンタが居たから!
アンタさえ居なければ!!アンタさえ産まなければ!!!」バチン バチン バチン バチン バチン
少女「止めて!痛いよ!お母さん!!」
……………
-
父親「何?母さんに叩かれた?なんで?」
少女「分からない……私がお母さん、って呼んだから……」
父親「そうか……母さんは疲れてるんだよ。今日は父さんと寝よう。」
少女「えっ……」
父親「どうした?嫌なのか?」
少女「でも……」
父親「お前は良い娘だろう?”パパ”の言う事はちゃんと聞くよな?」
少女「いや、おと…”パパ”……」
父親「良い娘だ……私の部屋においで……今夜は可愛がってあげよう……」
……………
-
母親「良いでしょうね。小さな娘は。子供が産まれるリスクが無いから。」
父親「……何が言いたい。」
母親「貴方が仰ったんでしょう?子供は面倒だから、って。避妊する、って。」
父親「だから、どうしたと言うんだ。」
母親「私じゃなくて、あの娘を抱くのは、そう言う事なのでしょう?
綺麗な顔をしていて、妊娠しなくて、何でも言う事を聞いて。
私だって、一度孕んだだけなのに。もうこんな若くない女は、
抱いて下さらないのですか?そんなに、あの娘が良いのですか?」
父親「落ち着け……私は、」
母親「ほら!!自分の事ばかり!私の話は聞いて下さらないのね!!!」
父親「…………文句があるのなら出ていって良いんだぞ!」
母親「出ていってどうする事も出来ないのを知っている癖に!!
私に全てを捨てさせたのは、他でもない貴方なのに!!」
少女(お父さん……お母さん……)グスッグスッ
……………
-
黒服「おや?お嬢ちゃん、迷子かな?」
少女「ううん。”いえで”してきたの?」
黒服「ほう、家出か……クククッ。それは、何でかな?」
少女「お父さんが私に毎晩嫌な事をして、お母さんが私の事を何回もひっぱたいて、
二人とも、いっつもいっつも喧嘩ばかりしてたから、嫌になったの。」
黒服「そうか。だが、君のような小さな女の子がこんな夜中に
街の裏通りを歩いていては、危ないぞ。悪い吸血鬼のオジサンに、
血を吸われてしまうかもしれない。……ほら、この歯を見てごらん?」
少女「オジサンの歯、ライオンみたいだね。」
黒服「そうさ。だから、ずっとこんな所を歩いていては、血を吸われてしまうよ。」
少女「そんなの、怖くないよ。毎晩お父さんに体を触られる方が怖いもん。」
黒服「……………」
-
少女「ねえ、吸血鬼になるにはどうしたら良いの?」
黒服「ん?吸血鬼になりたいのか?お嬢ちゃん、変わってるなあ。」
少女「吸血鬼になったら、強くなれると思うんだ。」
黒服「強くなりたいのか。」
少女「うん。ねえ、どうしたら吸血鬼になれるの?」
黒服「そうだな……それは、オジサンに体を触られなきゃならないんだよ。」
少女「えー。」
黒服「なあ、嫌だろ?お嬢ちゃんのその気持ちが十年、二十年経っても変わらなかったら、」
少女「良いよ。一回だけなら。」
黒服「えっ」
少女「毎晩じゃないなら、良いよ。ちょっとだけだよ?」
黒服「いや、待て、待つんだお嬢ちゃん。とりあえず服を脱ぐのは良くない。」
少女「でも、そうしなきゃ吸血鬼になれないんでしょ?」
黒服「大丈夫だから。他にも方法はあるから。オジサンにはそういう趣味は無いからね。」
-
黒服「ふう、一瞬焦った。」
少女「オジサンの髪、白髪になってきたね。」
黒服「正確には銀髪なんだけどな。なあ、お嬢ちゃん。本当に吸血鬼になりたいのか?」
少女「うん。」
黒服「だがそれには、ちょっと痛い目を見なきゃいけない。手首って所分かるかな?」
少女「胸の、ここら辺でしょ?お父さんが触ってたもん。」
黒服「ちょっと違うな。腕と手の間の、ここだな。」
少女「ここ?」
黒服「そう。そこをちょっと、怪我しなきゃならない。」
少女「なーんだ。良いよ。ちょっとなら。」
黒服「良いのか?本当に良いのか?」
少女「うん。」
黒服「え、でも、あれだ。結構、血が出るんだぞ。」
少女「良いよ。吸血鬼になったら、強くなれるんでしょ?」
黒服「まあ、なれるが……オジサンの血を、そこに流すんだぞ?」
-
少女「うん。良いよ。」
黒服「い、良いのか?」
少女「うん。」
黒服「いや、ダメだ。やっぱりダメだ。俺は、責任持てん。」
少女「え、ダメだよ。もうなるって決めたもん。」
黒服「ダメだ。オジサンもう帰るからな。もうすぐ本当に吸血鬼になっちゃうし。」
少女「え、見たい見たい。」
黒服「めんどくさいな……」
少女「分かった。じゃあ、吸血鬼にしてくれたらお家帰る。」
黒服「それは、もっと大変な事になるからダメ。」
少女「じゃあ、帰らない。」
黒服「…………」
-
黒服「じゃあ、オジサンの言う事何でも聞くか?」
少女「うん。体触っても良いよ。」
黒服「それはいい。後、オジサンが我慢しろって言ったら我慢出来るか?」
少女「うん。」
黒服「悪い事しないな?」
少女「うん。」
黒服「絶対言う事何でも聞くな?」
少女「うん。」
黒服「オジサンが逃げろと言ったら逃げろ。隠れろと言ったら隠れろ。出来るか?」
少女「出来るよ。」
黒服「………………」
少女「………………」
-
黒服「仕方ないな。腕を出しな。少し痛むぞ。」ハァ
少女「うん。」バッ
黒服「子供の手首をナイフで傷付けるってのは少々胸が痛むが……」ピッ
少女「っつ……」チク
黒服「よし。後はここに俺の血液を流すだけだ。傷口を当てな。」ピッ
少女「うん。」ピタッ
黒服「………」
少女「……これで、強くなれるの?」
黒服「体は強くなるだろうな。だがお嬢ちゃん、体ばかり強くしてもダメなんだぞ。
吸血鬼は心も強くしなければ、やがては、本能の赴くままに行動する猛獣に
なってしまう。そうなってはいけない。それはとても哀しい事だ。分かったな。」
少女「う、うん……」
黒服「よし、そろそろ上手く血が入ったろう。」サッ
少女「これからどうしよう。」
黒服「……今日はウチに泊まりなさい。あまり長居は出来ないぞ。」ハァ
-
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
女「やだなあ、昔の事なんて思い出しちゃって。」
女「感傷的になるのって、好きじゃないんだよね。参ったなあ。」
女「…………………!!」ゾワッ
女「なんだろう……今の、ワクワクするような、恐ろしいような予感は………」
女「ま、私には関係ない事っぽいなあ…………」
-
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
父親「よく戻ってきてくれたね……どこに居たんだい?寂しかったよ……”パパ”は。」ナデナデ
少女「やめて……お父さん……」グイ
父親「お父さん……?」ズイィ
少女「やめて……パ……お父さん………」グッ
父親「さあ、もう3時だ……お母さんはもう寝てるよ……」グイッ
少女「止めてってば……お父さん……止めてって……!」グッ ゾワッ
父親「おや?髪が……銀色に……まあ、良いか……もう我慢出来ないな…入れ、」
少女「止めてって言ってるでしょ!!」ドカッ
父親「ぐあっ!?どうしたんだ!?いつもはこんな……それに爪が……黒くなっ、」
少女「っああああ!!」ズバッ
父親「ぎゃああああああ!!腹が、腹がああぁぁぁ!!」
-
父親「」ドサッ
母親「どうしたのですか!?あな…あああ!!」
少女「…………」
母親「アンタがやったのね!?アンタが奪ったのね!?私の全てを!!」ガッ
少女「ガハッ!」
母親「アンタさえいなければ!!アンタさえ産まなければ!!死ね!!死ねぇ!!!」ギュウゥゥ
少女「………クッ…………」ズバッ
母親「あああああああ!!爪で!爪で引っ掻いた!!私の腕をおおおお!!ぬああああ!!」
少女「…………」ズバッ
母親「あああ!!ああ…あ…………」クタァ
少女「私は……私は………私は…………」
少女「私は…何?私はどうなっているの?」
……………………
-
ザワ...ザワ...ザワ...ザワ...
「お父様とお母様が殺されたそうよ……」
「まあ、娘さん可哀想に……」
「でも、それが娘さんとお父様は同じ部屋でほぼ裸だったらしくて……」
「えっ?それって……」
「そう。だから娘さんに殺されたんじゃないかって。」
「まさか。まだ小学生の女の子よ?」
「そうよねー。やっぱり強盗か何かに……」
「恐ろしいわねー。嫌だわ。」
黒服(やってしまったか……やはり家に帰すべきでは無かった……
確かあの子は親戚が居なかったな……よし、大丈夫だ……)
警察「下がってください!下がって!!」
黒服「あの、この家の子の叔父なのですが……あの子は?」
警察「ああ、親戚の方ですか。良かった!こちらへ……」
-
刑事「この方は?」
警察「親戚の方です。」
黒服「どうも。」
刑事「ああ、この度はまことに……」ペコ
黒服「いえ……それで、あの子は?」
刑事「今は眠っています。ショックで気絶したのかもしれません。
それで、ここの御家族について、お聞かせ願えませんか?」
黒服「え、ええ。実は、正確には私は叔父では無いんです。かなり遠い親戚でして、
つい先日、ウチの店で再会したばかりなんです。」
刑事「ああ、そうなんですか。因みに、ウチの店、と言うのは…?」
黒服「バーテンダーをやってるんです。その店ですね。これ、名刺です。」ピラッ
-
黒服「ところで、ご主人や奥さんは……」
刑事「ああ、はい。ご主人は、胸部から腹部にかけてを鋭い刃物で三回程、
切られているように見えています。」
黒服「切られているように見えている?とは?」
刑事「その、胸部から腹部にかけての切り傷が三ヶ所なのですが、その傷の、長さ、深さが
殆ど同じで、また、傷がほぼ平行になっているんです。」
黒服「それは……」
刑事「奥さんの腕と、下腹部にも同様の傷がありました。」
黒服「それは、どういう事なのでしょう?」
刑事「それはまだ詳しく調べない限り分かりませんが、凶器は包丁等の鋭い刃物、
そして、三ヶ所同じ傷が平行に付けられている、と言うのは何かのメッセージ、
または、特別な凶器……そう、例えば、包丁やナイフを三つ束にした物、とか。
そういう物を作って試した、つまり愉快犯の可能性が高いのでは無いかと思います。」
黒服「そうですか……」
刑事「まあ、それは我々にお任せ下さい。それで、あの子は……」
黒服「はい。家に連れて帰ります。」
刑事「それは良かった。引き取り手が居ないと、施設に行かなければなりませんし、
両親が死んですぐそれはあまりにも不憫だ、と思ったもので。」
-
ふむ、おもしろい
-
少女「あ、叔父さん。」ムクッ
黒服「ああ、目を覚ましたか。では、私達はこれで。事件の方は……」
刑事「ええ。我々にお任せ下さい。必ずや、真犯人を捕まえてみせます。」
黒服「ありがとうございます。失礼します。」
-
……………………
黒服「お前が、やってしまったんだな。」
少女「うん。」
黒服「くっ……ああっ…!俺のせいだな……」
少女「?」
黒服「やってはいけなかった……家に返した俺の責任だ……!」
少女「どうしたの?」
黒服「両親を殺した時の感覚を、覚えているか?」
少女「うん。なんか頭がグッと締まってた感じで、凄いイライラして、
気付いたらお父さんを殺してた。その後すぐお母さんも来て、
首を絞められたからお母さんも殺したんだ。」
黒服「良いか!吸血鬼になった以上!戦わなければいけない相手は攻撃してくる人間ではない!
自分の理性を破壊し、本能のままに行動させようとする、欲望なんだ!!分かるか!?」
少女「?」
黒服「吸血鬼になると性格は凶悪で狂暴になる。力だって、人間の大人より強くなる。
例えそれが子供でもな。だから、力をコントロール出来る強い意志を持たなくては
ならないんだ!でなければ、我々はただの化物、殺人鬼になってしまうから!」
少女「……」
-
黒服「今日はもう休め。お前も明日は色々面倒な事を聞かれるだろうし、俺もお前を引き取る
手続きをしなきゃならん。良いか。俺以外の人間の前では俺はお前の親戚の叔父さんだ。
分かったな?」
少女「うん。」
黒服「それと、夜は出歩かない事。学校から帰ってきたら何をしても構わんが、夜までには帰れ。
あと、家事は出来るか?」
少女「うん。」
黒服「じゃあ、家事も少しやってくれると助かる。俺は仕事があるんでな。」
少女「分かった。」
黒服「それだけだ。あとは、お前の部屋だな。一番奥の部屋は使ってない空き部屋だから、
好きに使って構わないぞ。あと、小遣いだな。うーむ………」
黒服(子供の小遣いの額等分からんな……家計の負担にならん程度……うーん……
正直それなら1万5千程渡しても良いが、流石にそれはあげ過ぎだろう……
よし。)
黒服「小遣いは月7千円だ。好きに使って構わん。勉強道具等が壊れた場合は言え。
それは小遣いとは別で買ってやる。本等はその小遣いで買え。これは今月分だ。」ピラッ
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少女「7千円も使えないよ。」
黒服「そうか。じゃあ、お前の口座を作って、俺がそこに貯金しといてやる。使わない分は渡せ。」
少女「はい。」つ6千円
黒服「本当に良いのか?」
少女「あまり欲しいもの無いから。」
黒服「そうか。欲しいものが出来たら言え。金を下ろしてきてやる。」
少女「はい。」
黒服「さて、布団を敷くぞ。もう今日は寝ろ。って、寝れないんだったな、お前は。」
少女「ヴァンパイアだもんね。」
黒服「とにかく休め。血は飲むか?」
少女「うーん。」
黒服「ボトルに入っている保存用を置いておく。飲みたい時に飲め。」
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