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( ^ω^)千年の夢のようです

333 ◆3sLRFBYImM:2015/01/22(木) 18:56:12 ID:NIpLrbB.0
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ブーンが街にたどり着いたのは昨日のこと。


見渡す限りの草原を有した丘と、街を仕切るようぐるりと囲む白い壁が、もうすぐ終わりを告げる晴れた秋空によく映えた。
壁の背丈はブーンが見上げても首が痛くなる程に高い。

それにひきかえ、まるで猫が入るためとでも揶揄できそうな…
だが単体で見ればそれでも巨大な門扉を正面にして、入国を求める人々が集っていた。


「おやあんたはあの時の…もうオアシスから戻ってきたんですか?」


声がする方にブーンは振り返り──それが自身に向けられたものではないことを知る。


「ええ、売り物が無くなっちまったんでね。
なにせ運べる量はどうしたって限られてるでしょう?
そもそもの供給が足りなきゃ親父の代にあった荷を運ぶ車も、今じゃお役御免です」

「ハハッ違いない! おっとと、すみません」


商人同士の語らい。
ブーンを挟んで行われるも、頭ひとつ飛び抜ける彼の視線に気付いたことで間もなく止んだ。


「では、またあとで」


仲間に別れを告げると、商人はこちらにも愛想を振り撒いた。
咎めるつもりは毛頭無かったが、余計な気を遣わせてしまっただろうか。
ブーンも軽く手を挙げ会釈をしつつ、ゆるく笑おうとして……しかし表情筋がうまく動かなかった。




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