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Ammo→Re!!のようです

61名も無きAAのようです:2013/07/23(火) 21:10:38 ID:ndF7vt0k0
この目標が達成されることによって、ニクラメンは更なる発展を遂げるはずだった。
今日までは。
今日、この日までは。
“黄金の大樹”、ティンバーランドがニューソクに目をつけるまでは。

マリアナ・トンネルに通じる兵舎の影で作業を行っている二人は、作業中に幾つかの打ち合わせを済ませてあった。
一つは、この先の脱出について。
トンネルに通じる厚さ五インチの鋼鉄製の扉は音声認識システムで封鎖されており、爆薬で吹き飛ばす以外に方法はなかった。
突入後は、デレシアが運転、ヒートが十座に付いて障害物を除去するという分担で合意し、各種点検と整備を行った。

二つ目は、ブーンとの合流だ。
デレシアが安全な場所に投げ飛ばした後、再び崩落が起きたことを確認している。
それ以前に、デレシア達と別れた時からブーンの生死に関しては完全に彼自身に一任されている。
オセアンで選んだ生きるという選択に、どれだけの覚悟があったのかは分からないが、心配はしていない。

彼は自分のことを自分で選択できるだけの経験を積み重ね、それだけの素質を持っている。
どこかで死ねばそれまでの人間だし、生きていればまだまだ伸びしろのある人間だということがよく分かる。
デレシアの意見では、ブーンは間違いなく後者だ。
出来れば彼の果てを見届けたいと云うのが、デレシアとヒートの意見が合致した点だった。

兎に角、全てはブーン次第だという結論に至り、時間ギリギリまでは彼を待つということで合意した。
爆薬を持って兵舎に入ったヒートを見送り、デレシアは銃声が聞こえていた方角に視線を向ける。
侵入者の数は一人。
海兵隊の人数の方が明らかに勝っている状況で、棺桶を使用した彼らを全滅させたと云うのは、かなり気になる展開だ。

ティンバーランドがこれまでとは違い、計画的で用意周到な、深く太い根を張り巡らせていることが窺える。
使用された棺桶は多数のジョン・ドゥとジェーン・ドゥを壊滅させるだけの能力を持つ、コンセプト・シリーズ。
記憶が正しければ、障害物除去に特化した“エクスペンダブルズ”。
確か、イルトリアに保管されていたはずの棺桶だが、どうしてそれがティンバーランドの人間の手にあるのだろう。

イルトリアの警備を突破して奪取されたとは考えにくく、内部の人間が協力して手に入れたと考えられる。
いや、内部の人間その物だろう。
まさかイルトリアからそのような愚か者が出るとは意外だったが、それ以外の可能性が浮かばない。
此度のティンバーランドがどのような喜劇を演じるのか、非常に興味深い。

大がかりの劇でなければ、潰し甲斐がない。
これまでティンバーランドが仕掛けてきた劇は、途中で台無しにしてやったために、それが成る瞬間を見ていない。
まぁ、事が成る前に潰してきたのだから、それも当然だ。
今回はどの段階で潰れるか、それもまた楽しみである。

視線を手元に戻して、改めてレンチを使い、無反動砲を台座に固定させる。
この装輪装甲車のタイヤは八つあり、その安定性を生かせば、確実に障害物にこの砲弾を撃ち込める。
手負いの身であるヒートでも、これなら扱える。
ヒート・オロラ・レッドウィングは、デレシアのお気に入りの人間だった。

直情的でありながら、それを押し隠す精神の強さ。
愚直とも言える行動力を支える実力。
猪突猛進な言動が多いが、それでも、それは彼女の愛おしい部分でもある。
時折見かける、ブーンに向けられる愁いを帯びた視線が気になるところだ。


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