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Ammo→Re!!のようです

58名も無きAAのようです:2013/07/23(火) 21:05:24 ID:ndF7vt0k0
ここを少し進んだ先が、鬼の射程圏内と云う訳だ。
ならばどうすれば進めるのか。
対赤外線装備で身を固めた同期が一瞬で仕留められるとなると、相手は只者ではない。
教官が付け加えるように言った一言を思い出す。

「今回は、未熟な貴様らにはもったいないが、我々の大先輩が協力して下さることとなった。
まぁ、精々足掻いて見せろ」

足掻くどころではない。
たかが缶蹴りで、同期二百四十六名が翻弄されている。
脱落者の人数は不明だが、この状況を見るに、壊滅状態だろう。
しかも、鬼はたった一人。

確かに訓練兵の集まりだが、これまでに積み重ねてきた訓練の過酷さは彼らの自信に直結している。
今、その自信が揺らぎ始めていた。
どうすれば勝てる。
どうすれば、正体不明、武装不明の敵の目を欺き、缶を蹴り飛ばせるのか。

相手のいる方角は分かっている。
北にある峠。
そこに陣取っている。
これまでに脱落させられた友軍の全てが、そこからの攻撃で倒れていることから、それは明らかだ。

今、自分は相手に認知されていないはずだ。
この機を逃しては、他に機はない。
匍匐前進を再開し、距離を縮める。
呼吸が乱れないように、熱源が探知されないように静かに進む。

位置的な有利性は、向こうにある。
一度視認されれば、こちらに機は訪れない。
一瞬たりとも気を抜けない状況に、自然と気分は高揚していた。
この感覚、たまらなく楽しい。

銃声が轟く中、一時間以上時間を掛け、崖沿いに山頂を目指した。
ここまでで鬼の気配は微塵も感じられず、音もなかった。
ゆっくりと這い進み、ついに、缶を見つけた。
周囲に誰もおらず、罠らしき物も見つからない。

缶までの距離、残り、五フィート。
近くに人の気配はしない。
他の友軍を探しに移動したのだろうか?
でなければ、ここまで接近することがあり得るはずがない。

念のため、ライフルを肩付けに構えて周囲をスコープで覗きこむ。
小動物の熱源だけだ。
慎重に、周囲を警戒しながら缶まで距離を詰める。
後三歩で足が届く。

勝った、そう確信した瞬間の事だった。


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