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Ammo→Re!!のようです

125名も無きAAのようです:2013/08/20(火) 21:55:42 ID:S.muFcjM0
ζ(゚ー゚*ζ「そうね、そのぐらいが妥当かしら」

ようやく一口目を飲み込んだブーンは笑顔で感想を口にした。

(*∪´ω`)「おいしいです!」

点数など関係なく、純粋な味の観点で評価を下すブーンの方が、彼女達よりもよっぽど料理を楽しんでいる。
旅が長くなると、どうもよくない癖がついてしまうことに気付かされ、デレシアとヒートは同時に困った風な笑顔を浮かべた。
子供は大人の教師とはよく言ったもので、彼らから教わることは山のようにある。
それはかつて自分達が知っていた事なのだが、いつしか成長する過程で忘れ去り、あるいは捨て去ってしまった感情だ。

普通の子供よりも過酷な生活を強いられてきたにも関わらず、ブーンはそういった点が全く削れておらず、年相応のまま残っている。
ある意味で奇跡に近い存在で、それが彼の持つ魅力の一つだ。
だからこそデレシアだけでなく、ヒートやペニサス、ギコと云った人間が彼に惹かれるのだ。

ζ(゚ー゚*ζ「じゃ、行きましょう」

デレシアの案内に従って、三人は石畳の坂道を上るにつれ、次第に景色が変わってくる。
建物の前に並ぶ黒板には、色鮮やかなチョークでモーニングセットの内容が書かれている。
観光客向けのレストランやホテルが軒を連ねる通りを抜け、市場全体を見下ろすことの出来るところまでやってきた。
人通りはほとんどなく、崖に打ち寄せる波の音と木々のざわめきが合わさった音に、二人分の跫音が合わさるだけの静かな通り。

その先に、デレシアの目指す店がある。
店の名前は“トラットリア・ペイネシェン”。
美味くて安い窯焼きピザと、新鮮で濃厚なグレープジュースが楽しめる店だ。

ζ(゚、゚*ζ「あら、残念」

しかし、店の前には一枚の張り紙があるだけで、客の姿はなかった。
借家、と汚い字が色あせた紙に書かれている。
以前来た時、店主は三十七歳。
まだ死ぬような時間は経過していないはずだ。

店内の酷い荒れ具合と埃の積り方を見ると、最近借家になったばかりと云う訳ではなさそうだった。
早死にでもして、家族が店を売ったのか。
紙に理由は書かれておらず、ただ、借家としか書かれていない。
あまりにも唐突に、まるで、草を根ごと引っこ抜いたような印象があった。

ノパ⊿゚)「地上げ屋、ってわけでもなさそうだな。
    ただ、あんまり愉快な理由でもなさそうだけど」

何かに追われるようにして店を後にした、といった様子だろうか。
しかしそれなら、借家にする理由は何だ。
売地にするならまだ分かるが、借家と云うことは、戻ってくる予定があるということだ。
不自然な閉店の理由を考えても状況は変わらないと判断し、デレシアはヒートとブーンを見て肩をすくめた。

ここが駄目となると、彼女が知り得る中で二番目に美味いグレープジュースを出す店に行くしかない。
今日は、何が何でもブーンとヒートにグレープジュースを飲ませるのだと決めていた。


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