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川 ゚ -゚)は地下生命体と戦うようです

1名も無きAAのようです:2012/06/03(日) 21:08:30 ID:aj8uoyAU0
20年前、突如としてロツアに現れた無数の巨大な穴。
人々はそれをホールと名付けた。

各国はこぞって調査団を派遣、研究に取り組みその結果、何らかの空間に繋がっていることがわかった。

それから三ヶ月後、調査団との連絡が途絶え、直後ユーラツアは焼け野原と化した。

これを何らかの生物の侵略行為と判断した世界政府は軍事組織を設立。
各国から選りすぐりの軍人を集め、組織されたそれは、瞬く間に成長し、国家と同等の権力を保持するようになった。

これが対ホール独立軍事組織VIPである。

64名も無きAAのようです:2012/06/05(火) 22:08:10 ID:9LveOT0k0

( ゚∋゚)「しかし、まったく笑わせてくれる」

川 ゚ -゚)「…」

( ゚∋゚)「俺ではないが零式ではある、と言うのか」

川 ゚ -゚)「えぇ、その通りです」

( ゚∋゚)「それがお前にとって不変の事実だと?」

川 ゚ -゚)「えぇ」

フェイドリッチ大尉は指を絡めた。
鈍色に光る右手が、人差し指から順に上下している。
カチャリ、カチャリと時折音がした。

65名も無きAAのようです:2012/06/05(火) 22:11:08 ID:9LveOT0k0

クオリアは沈黙に耐えかねて言った。

川 ゚ -゚)「あの…」

フェイドリッチは、ふっと我に返る。

( ゚∋゚)「すまん、考え込んできた。興味深い話だった。行っていいぞ」

川 ゚ -゚)>「はっ」

扉を二つ抜けて、寝床に倒れこんだ。
気分は晴れやかだった。

考えを言語化する事で、自分の中でさらに現実味が増したとでも言うのか、先ほどまでのような困惑は消え失せていた。

断固たる決意が、新たに固まった気がした。

クオリアの心はなにものにも染まらない。
それは、零式と同じ色。

66名も無きAAのようです:2012/06/05(火) 22:16:29 ID:9LveOT0k0

デスクワークをこなしながら、AA-t1部隊の司令官、ジョルジュ・マクスウェル少佐は物思いに耽っていた。

手早く報告書を書き、まとめた。
  _
( ゚∀゚)「ふぅ…。これをフォックス少将のところに頼む」

「分かりました」

ガチャリと音がして、秘書官は出ていった。
と、入れ替わりに女性が入ってくる。

ζ(゚ー゚*ζ「失礼します」
  _
( ゚∀゚)「デイラントか」

ζ(゚ー゚*ζ「お邪魔でしたでしょうか?」
  _
( ゚∀゚)「いや、それより用件はなんだ?」

デスクから立ち上がり、ジョルジュはソファへと移動した。
対面を指し、デイラント准尉を座らせる。

67名も無きAAのようです:2012/06/05(火) 22:18:53 ID:9LveOT0k0

  _
( ゚∀゚)「昨晩の事か?」

ζ(゚ー゚*ζ「えぇまぁそれもですが…」
  _
( ゚∀゚)「泣いてたろう?」

ζ(゚、゚;ζ「いきなり銃突きつけられたら誰だって怖いですよ!」
  _
( ゚∀゚)「それで上官突き飛ばして猛ダッシュで逃げた訳か」

したり顔でジョルジュは言った。
一部始終を見ていた時は、腹が捩れそうになったものだ。

ζ(゚、゚*ζ「必死だったんですよ!」
  _
( ゚∀゚)「まったく。取り繕ったのは俺だぞ?」

ζ(゚、゚*ζ「申し訳ありません…」

68名も無きAAのようです:2012/06/05(火) 22:20:08 ID:9LveOT0k0

  _
( ゚∀゚)「まぁいいさ。俺としては猛ダッシュはご褒美だったしな」

ζ(゚、゚*ζ「え?」
  _
( ゚∀゚)「いや、こっちの話だ。それで、報告は?」

ζ(゚ー゚*ζ「そうですね…。まず一つ、脳波は着実にリンクしていますね」

ζ(゚ー゚*ζ「恐らく、バグとのコンタクトも今後可能になる可能性はあります」
  _
( ゚∀゚)「!」


厭戦が広まっていた中、この情報は吉報だった。

69名も無きAAのようです:2012/06/05(火) 22:21:38 ID:9LveOT0k0

正直なところ、わけも分からず戦うのは誰もがもううんざりしていた。
徐々に激化する攻撃が、拍車をかける。

しかしそれでも、突如として湧いて出た彼らの行動理念、つまり目的さえ分かれば、バグの恐怖も少しは薄れるだろう。

ジョルジュは頬が自然と綻ぶのを感じた。

ζ(゚ー゚*ζ「ですが…」
  _
( ゚∀゚)「何か問題があるのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「えぇまぁ」
  _
( ゚∀゚)「そんなはずは…。零式と蒼穹だろう?」

どちらも技術の粋を集めたAAだ。
況や故障などあるはずもない。

70名も無きAAのようです:2012/06/05(火) 22:22:20 ID:9LveOT0k0

ζ(゚ー゚*ζ「えぇ、大尉に関しては問題ないのですけど、少尉が少々問題を抱えているようでして」
  _
( ゚∀゚)「勿体ぶらずに言え」

ζ(゚ー゚*ζ「少尉の視覚野に異常が見受けられます」
  _
( ゚∀゚)「それは、つまり正常に物が見えていないということか?」

ζ(゚ー゚*ζ「そこまではちょっと…。ただこれまでの観察から見ても生活や出撃だけならば何ら問題無いようですが…」
  _
( ゚∀゚)「なんとか出来ないのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「外傷なら兎も角、神経ともなると替えは効きませんから」
  _
( ゚∀゚)「そうか…」

71名も無きAAのようです:2012/06/05(火) 22:23:27 ID:9LveOT0k0

ζ(゚ー゚*ζ「ですが、異常というわけではありませんし、乱れた箇所をこちらで随時修正していけば問題ないかと」
  _
( ゚∀゚)「お前に任せる」

ζ(゚ー゚*ζ「了解しました」
  _
( ゚∀゚)「念の為聞くが、視覚野の修繕は不可能なんだな?」

ζ(゚ー゚*ζ「えぇ。申し訳ありません」
  _
( ゚∀゚)「責めてるわけではないんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「では、私はこれで」
  _
( ゚∀゚)「あぁ退出していいぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「失礼しました」

72名も無きAAのようです:2012/06/06(水) 21:55:39 ID:rOnHE2TE0
  _
( ゚∀゚)「チッ…胸糞悪りぃな」

必要な事を必要なだけやる、というのは存外難しいものだ。

救済という大義名分の元に切り捨て、救い、取り零し、挙げ句の果てに滅私する。


それはつまるところ人の命を天秤に掛けるということ。
存在価値や利益を数値化し、コンマ1でも小さければ切り捨てる冷酷な行動。

  _
( ゚∀゚)「ダメだな俺は…」

自分には、向いていない。
そう、ジョルジュは思っていた。

73名も無きAAのようです:2012/06/06(水) 22:02:37 ID:rOnHE2TE0

どうしても私情を挟んでしまう。
感情が邪魔をして、正常な判断を下せなくなる時がある。

司令官としては最もあってはならないことだ。
それでも、自分がこの地位にあり続けるのは、何故だろうか。


少なくとも、自己の為ではないと思う。

これまで、昇格や異動は全て断り続けてきた。
地位や名誉をかなぐり捨てて、今にすがりついてきたのだ。

何故?

ジョルジュはもう一度自身に問うた。

いの一番に浮かんだのは贖罪。
騙り続けてきた彼女への贖罪だ。

74名も無きAAのようです:2012/06/06(水) 22:09:50 ID:rOnHE2TE0
今続けていることは命を弄ぶことと同義だから。
せめてもの償い?
  _
( ゚∀゚)「結局…」

司令官として他者の命を背負い続けることで、自分自身を赦そうとしているというのか。

贖罪と自赦。
一見相反する二つ。

ジョルジュが頭からひねり出したこの結論は、案の定小乗的なもので、彼の深層を更に複雑な物とした。

彼女が聞いたらなんて言うだろう。
  _
( ゚∀゚)「想像したくもねぇな」

思考を途切り、マザーを付けた。
くだらない問答をしているよりは遥かに有意義だろう。
モニタが光源となって顔を照らす。

75名も無きAAのようです:2012/06/06(水) 22:10:55 ID:rOnHE2TE0
明日のブリーフィングをしようと、クオリア少尉とフェイドリッチ大尉を呼び出す。
しかし口をついて出たのは
  _
( ゚∀゚)「俺は、なぜここにいる」

漠然とした、答えようのない疑問だった。


<<you have>>


しかし、機械は律儀だ。
どんな質問でも、能うる限りの答えを出してくれる。

意味の有無は別にしてだ。
  _
( ゚∀゚)「だよなぁ」

モニタに現れた文字を見つめる

76名も無きAAのようです:2012/06/06(水) 22:11:44 ID:rOnHE2TE0

機械とは思えない抽象的な答えだ。
思わずクスリと笑みが零れた。

同時に、吹っ切れる。
いや、自らをも塗り替え、騙った。
  _
( ゚∀゚)「らしくねぇなぁ。らしくねーよ」

VIPにとって善悪とはさほど問題ではなく、課せられた使命はバグの淘汰。

まさに、滅私。

残っていた生ぬるいコーヒーを飲み干し、先程作製した書類をまとめた。
  _
( ゚∀゚)「クオリア少尉とフェイドリッチ大尉を呼び出してくれ」

マザーは何も考えない。
愚直に人間の命令を聞く。
こうして今も二人を呼び出したのだ。
機械になれればどんなに楽だろう。


さぁ仕事だ。
せめて彼女の、クオリアの前でだけは人でいよう。

77名も無きAAのようです:2012/06/06(水) 22:13:24 ID:rOnHE2TE0



第二話「Qualia」終わり

78名も無きAAのようです:2012/06/06(水) 22:15:01 ID:rOnHE2TE0
投下ぶっちんぶっちんで申し訳ない
社畜は辛いねっ☆ミ

79名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 21:51:07 ID:AxObX1wA0

AA部隊官舎が、慌ただしい。
兵士たちが駆け回り、技術者達も例外なく自らの仕事に奔走している。

その中で司令室だけが、必要最低限の会話と、沈黙とで成り立っている。


ただ、喧騒も沈黙も関係なく、皆が等しく抱く感情があった。


それは恐怖。

未だかつてないほどの異常な光景に対する恐怖だった。
モニタに映るバグは、あまりにも強大で、皆が固唾を飲むことしか出来ない。

80名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 21:51:52 ID:AxObX1wA0
  _
(;゚∀゚)「くそっ…。t1ですらこんなにも…」

祈り、念じるしかない。

今すぐにでも、逃げ出したかった。
この狭い、逃げ場の無い、隔離された空間から飛び出してしまいたかった。

同胞が散華し、飛散し、昇華していくその様を黙って見ているだけというのはあまりにも辛かった。
  _
(;゚∀゚)「頼む…!」

閉じてしまいそうになる眼を必死で堪えながら、モニタを見つめる。

上に立つ者の苦辛と葛藤は、戦場に立つ者の恐怖に遠く及ばない。
今自分が逃げれば、志半ばで倒れていった勇士たちに立つ瀬がない。

81名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 21:53:50 ID:AxObX1wA0
突然、通電が入った。

( ゚∋゚)「強攻策に出る」

響いたのは冷静な中にも焦燥の混じった声。
フェイドリッチ大尉のものだ。

( ゚∋゚)「ブリューナクのを打つ」
  _
(;゚∀゚)「!」

確かに、フェイドリッチ大尉の持つ兵装ならば、一撃で仕留めることが出来るかもしれない。
  _
(;゚∀゚)「当てられるのか!?」

(;゚∋゚)「それは分からん」

(;゚∋゚)「だがそれ以外に方法がないだろう」

大火力を持つ蒼穹の特殊兵装「ブリューナク」
その火力は撃つ度に熱放射が必要な程だ。

82名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 21:55:08 ID:AxObX1wA0
  _
(;゚∀゚)「そんなんじゃ許可は…」

川; ゚ -゚)「私がなんとかしよう」

と、親友。
一瞬の迷いのあと、決断。
  _
(;゚∀゚)「くっ…。必ず当てろ、必ずだ」

そしてジョルジュはまた、冷酷な判断を下す。

  _
(;-∀-)「帰投より、撃破を優先せよ」

83名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 21:55:52 ID:AxObX1wA0







第三話「chevalier」







.

84名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 21:58:12 ID:AxObX1wA0

時は数十分前まで遡る。


事件は一つの轟音から始まった。



爆音の直後、事を確かめに行くと、
AA格納庫が炎上、破砕していたのだ。


もちろん遠方から何らかの兵器が飛んできた痕跡は無い。

事態を究明すべく向かった整備士の叫喚からルイ・フォックス少将は危険度フェイズ4を勧告。

そして今に至るのであった。

85名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 21:59:33 ID:AxObX1wA0
  _
(;゚∀゚)「ブリーフィングはナシだ!各自出撃!」

爪;'ー`)y‐ 「少佐、俺は他部隊の総司令にかけあってくる。ここは任せたぞ」
  _
( ゚∀゚)>「了解です!」

  _
(;゚∀゚)「クソッ!何故気付けなかったんだ!」

デスクに乱暴に座り指示を出す。
食べ散らかしたインスタントの容器を弾き飛ばした。
  _
(;゚∀゚)「マザー!AA-t1部隊全員に出撃要請!」


<<done.however,Only three is possible>>



意味は、「完了。しかしながら出撃可能な機は三機のみ」

86名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:01:35 ID:AxObX1wA0
  _
(;゚∀゚)「馬鹿な!?何故だ!」

<<out of order>>
  _
(;゚∀゚)「故障だと…?そんなわけが…」

あるのだ。
主な被害はAA-t3部隊の格納庫であったが、被弾箇所の中にt1が含まれていてもなんら不思議では無い。

  _
(;゚∀゚)「出れるのはどいつだ?」

<<Zero,Blue heavens,splinter>>

零式と蒼穹と荊棘だ。
それぞれ相性は最高と言える。

87名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:03:10 ID:AxObX1wA0
マザーとは別に、管内放送で直接指令を下す。
  _
( ゚∀゚)「フェイドリッチ大尉、アトランテ少尉、クオリア少尉は即時出撃。こちらにくる必要はない」
  _
( ゚∀゚)「兵装は持っていけるだけ持っていけ。必要ならば設備を破壊しても構わん。他に質問があればAAから直接受け付ける。以上だ」


指示は出した。
被害状況も今のところ確認できている。

あと自分達がやるべきことは、敵の捕捉だ。
早急にバグの特徴、戦闘パターン、攻撃法を知る必要がある。
  _
( ゚∀゚)「ヒッキー中尉、バグのデータは?」

(;-_-)σ「それが…」

中尉が指差した先。
モニタにはただ一言、not foundと表示されていた。

88名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:05:51 ID:AxObX1wA0
川 ゚ -゚)「こんなところまで入ってこられるなんて職務怠慢もいいとこだ」

o川*゚ 3゚)o「本当だよね!おかげでキューちゃん休日出勤!」

キュート・アトランテ少尉。
AA-t1部隊所属、当然のことながら専用機持ちである。
パーソナルネームは荊棘。

( ゚∋゚)「喋っている暇があるならさっさとしろ」

そしてこの巨漢、クックル・フェイドリッチ大尉。
専用機のパーソナルネームは蒼穹。

t1の面々は他部隊と組む任務が多いため、こうして三人もの兵が一堂に会するのは珍しいことだった。

o川*゚ー゚)o「そだねー。さっさとやっつけちゃお」

川 ゚ -゚)「了解」

89名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:06:36 ID:AxObX1wA0
川 ゚ -゚)「ジョルジュ、敵情報を」

司令室に繋ぐ。
無策で出るわけにはいかない。
  _
( ゚∀゚)「待て、その前に三人ともこちらとリンクする」

とジョルジュ。
しばらくして、三人の装備が完了する。

  _
( ゚∀゚)「準備はできたか?」

o川*゚ー゚)o「あれー?少佐だ」
  _
( ゚∀゚)「無駄話は無しだ。早速出てくれ」

各々が了解する。
黄白蒼三色の矢が並びたった

90名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:07:19 ID:AxObX1wA0
( ゚∋゚)「聞くべき事がありすぎる。とりあえず概要を話してくれ」
  _
( ゚∀゚)「バグが基地内に侵入した。被害状況はAA格納庫が主だ。観測及び殲滅が任務だ」

川 ゚ -゚)「他に言うべきことがあるだろう」

川 ゚ -゚)「何故中枢を攻撃されるまで気付けなかったんだ」

( ゚∋゚)「…」
  _
( ゚∀゚)「それは、分からん…。いや、正直に言おう。バグに関しての情報が何一つ分かっていないんだ」

マザーの哨戒網をすり抜け、さらには誰にも気づかれることなく格納庫を破壊した。
そして今も視認されていない。

にわかには信じられない話だが、ここに事実としてあるのだ。

91名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:11:58 ID:AxObX1wA0
o川*゚ー゚)o「えーなにそれ、タイプは?アメーバ?」
  _
( ゚∀゚)「恐らく違うだろう。アメーバは爆発系統の兵装は持っていないはずだ」

川 ゚ -゚)「形すら分からないのか?」
  _
( -∀-)「すまん…完全にこちらの不手際だ」

今でこそ破壊行為は一時的に収まっているが、一つ間違えば、VIPが全滅することだってあり得たのだ。

おいそれと済む話ではない。

( ゚∋゚)「謝罪はいい。行くぞ」

川 ゚ -゚)「ですが…何も知らぬままいくというのは…」

( ゚∋゚)「やむを得まい」

川 ゚ -゚)「…了解です」

92名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:20:43 ID:AxObX1wA0
すでに起動状態にあった電子戦術機器を操作し、索敵モードに変更。

川 ゚ -゚)「迎撃および操縦はこちらでやる。零式は索敵のみに専念せよ」

兵装は各々が特殊装備。

「アマノハバキリ」

「ブリューナク」

「ガンナー」


大げさな気もするが、攻撃を受けるまで気付くことすらできなかったところを鑑みるに、備えるに越したことはない。

フェイドリッチ大尉の言葉にクオリアやアトランテ少尉も納得し、皆が抜かりなく待機した。

93名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:25:52 ID:AxObX1wA0

川 ゚ -゚)「発射シークエンスを開始する」

川 ゚ -゚)「ランディング開始」

エンジンが点火し、付近に風が吹き荒れる。
並び立つ三機は順番に飛び上がる。

荊棘、蒼穹、零式。




突如



.

94名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:26:47 ID:AxObX1wA0


川 ゚ -゚)「なっ!?」

操縦がセミオートパイロットに切り替わる。

クオリアが動くより速く、零式は腰の高周波振動ブレードを引き抜き、横薙ぎに切り払う。

( ゚∋゚)「どうしたクオリア」

川;゚ -゚)「零式が…!?」

切り払った先、左アームの直線上で、爆発。
クオリアは即座にセミオートパイロットを遮断。

パネル操作により全方位視覚カメラを確認するが、零式の射程内にはAA-t1もしくはt3しかいない。

まるで暗殺者に命を狙われているような緊張感が立ち込める。

95名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:35:26 ID:AxObX1wA0
o川*゚ー゚)o「ちょっとちょっとー!今の何?」

驚くのも無理はない。
今この場にはAAしかいないのだ。


もしバグがいるのならt3部隊は欺けたとしても蒼穹、荊棘が気づかないはずがない。

( ゚∋゚)「奴さん…どこだ?」

背中合わせに陣を取り、辺りを見回す。
視認できる影は一つもなく、AAですらバグを見つけることが出来ない。

96名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:41:54 ID:AxObX1wA0

o川*゚ー゚)o「うーん…ちょっと待ってね!」

言うが早いか、荊棘の装甲からファンネルが射出される。

これが、キュート・アトランテ少尉の特殊兵装である。

o川*゚ー゚)o「いっけー」

見つからないなら、探せばいい。
射出された数多のファンネルが、偵察機となり周辺を徘徊する。

o川*゚ー゚)o「すぐ見つけるよっ!」

( ゚∋゚)「待てアトランテ、戻すんだ。臨戦体制を崩すな」

有無を言わさぬその声が、普段融通無碍なアトランテ少尉の行動を止めた

97名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:44:41 ID:AxObX1wA0
( ゚∋゚)「マックス。聞こえてるか?」

返事はない。
三人に不穏な空気が漂う。

川 ゚ -゚)「おい!ジョルジュ!」
  _
(;゚∀゚)「すまん、現時点で確保出来た機で部隊を編成していた。もうすぐ援軍をよこせそうだ」

( ゚∋゚)「…!」
  _
(;゚∀゚)「それで、バグが見つかったのか?」

( ゚∋゚)「…いや、もう大丈夫だ。聞きたいことはお前が言ったくれたからな」

98名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:48:42 ID:AxObX1wA0

  _
( ゚∀゚)川 ゚ -゚)「どういうことだ(です)?」

蒼穹は砲を幾重にも構え、そしてフェイドリッチ大尉が言う。

( ゚∋゚)「落ち葉は森に隠せってことさ」

言い切る前に、フェイドリッチ大尉は全砲斉射。

飛びすさる大質量。
そして光学兵器。

川;゚ -゚)「なっ、なにを!?」

狙うはt3部隊。
寸分違わず正確に射抜く。

99名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 22:55:03 ID:AxObX1wA0



爆音。




瓦礫が飛散し、土煙が沸き立つ。

刹那、中から黒い物が飛び出した。

o川;゚ー゚)o「何か来るよっ!」

漆黒のそれは零式と荊棘には眼もくれず、蒼穹の懐へと入り込む。

100名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:07:45 ID:AxObX1wA0


( ゚∋゚)「速いっ!?」

何をするでもない。
ただ懐に潜り込み、ムーンサルト。

蒼穹は上空へと打ち上がる。

追うようにして黒いバグは飛び上がり、迎撃。



o川*゚ー゚)o「させないよっ!」

川 ゚ -゚)「させるかっ!」



二人はバグの突撃をただ眺めていたわけではなかった。

101名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:11:16 ID:AxObX1wA0


バグよりも数瞬早く地を蹴り、飛び上がる。
空中で回転、位置エネルギーと運動エネルギーを全て踵落としへと利用する。

川#゚ -゚)「ハアッ!!」

そこへ、荊棘のファンネル「ガンナー」の追撃。
無数のレーザー光が針の筵のように突き刺さる。

バグは轟音とともに、地面に叩きつけられる。

( ゚∋゚)「すまん。油断した」

o川*゚ー゚)o「もー、しっかり」

102名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:15:21 ID:AxObX1wA0
  _
(;゚∀゚)「おい!何が起こってるんだ!」

( ゚∋゚)「見た方が早い。今モニタに繋いだぞ」
  _
(;゚∀゚)「これは…」

広がるt3の残骸、立ち込める煙。
今度は気を抜かずレーザーライフルを構えたままフェイドリッチが言う。
  _
(;゚∀゚)「なっ!?t3!?何故ここに!」

( ゚∋゚)「恐らく全て襲撃の際に被弾したものだ。トロイの木馬ときたようだ」
  _
(;゚∀゚)「くっ!整備班!カメラの復旧急げ!」

103名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:16:12 ID:AxObX1wA0


o川*゚Д゚)o「うぉら!!!うぉら!!!」

アトランテ少尉は追撃をやめない。
その数16にも及ぶガンナーが、円状にバグの上空を回り、穴を穿ち続ける。

しかし、猛攻も長くは続かない。

煌く嵐を突き破り、バグは飛び出す。

o川*゚Д゚)o「嘘!?」

続いて放たれたガンナーのレーザー光は、全てあらぬ方向へと跳ね返っていく。

( ゚∋゚)「鏡面シールドか…」

104名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:19:26 ID:AxObX1wA0

原型を留めないまでも、感じる殺気。

しかし、此度は奇襲はしてこなかった。

ただ満然と、三人の前に飛び上がり、滞空し、こちらを見つめていた。

蜂の巣のようにガンナーによって穿たれた穴は、みるみるうちに再生、復活していく。

川 ゚ -゚)「これは…」

そして、元の形を取り戻した頃、改めて間近ではっきりと見た姿に、彼らは目を疑った。

105名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:20:49 ID:AxObX1wA0








川;゚ -゚)「馬鹿な…」



.

106名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:21:49 ID:AxObX1wA0


その姿はあまりに威圧的で、心を揺さぶる。




( ゚∋゚)「…」



.

107名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:22:31 ID:AxObX1wA0



微動だにしないその立ち居振る舞いは忠君の騎士。




o川;゚ー゚)o「まじ…?」



.

108名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:23:27 ID:AxObX1wA0


色は、純白と対を為す漆黒。




そしてそのフォルムまでが、零式と瓜二つ。
相対する姿は光と闇そのものだった。


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109名も無きAAのようです:2012/06/10(日) 23:24:10 ID:AxObX1wA0



第三話「chevalier」終わり

110名も無きAAのようです:2012/06/11(月) 00:59:05 ID:CqrLCSd20


111名も無きAAのようです:2012/06/11(月) 01:08:25 ID:GknGveog0

クックルは軍人気質っぽいけどジョルジュにタメ語なのは何か物語あるの?

112名も無きAAのようです:2012/06/11(月) 16:39:11 ID:2oiXvpTA0
>>111
その辺もおいおい出て来るよ

113名も無きAAのようです:2012/06/11(月) 21:12:43 ID:2oiXvpTA0
>>109
あ、これ三話前編で


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