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黒の月―― Lucifer went forth from the presence of Jehovah

54稲葉竜也 ◆3wYYqYON3.:2017/08/20(日) 03:35:09 ID:KWGlvlj60
>>46

「へぇ……よく知ってんじゃねえか。光栄だな」

硝煙が銃口からたなびく機関銃を、ゆっくりと草薙へ向ける竜也。
オメガから与えられた悪魔や退魔師に関する知識はさわり程度のものだ。オメガについての過去も、目の前の人間が何者かも、竜也には知る由もない。
……もっとも、その辺りの話を竜也は気にしないのだが。

「あぁ、悩む間もなくつぶれちまった。お前はもう少し、骨があればいいんだが……な˝っ!?」

引き金を引こうとしたその瞬間、唐突に竜也のそばの瓦礫が爆ぜた。
本物の爆発に勝るとも劣らない不可視の一撃は数十の破片をばらまき、そのいくつかはあっさりと竜也の身体を貫き、赤を無造作にまき散らす。
そして、数十キロ単位の破片のシャワーによる追撃。竜也の肉体は今や原形をとどめたパーツのほうが少なく、自らで作った惨状にあまりに見合ったものとなった。

「……ぁあぁ……いいねぇ……やってくれるじゃねえか」

だが、周囲の電波局や電子機器からの緑色の光により、その身体は見る見るうちに再構築されていく。
「オメガ」によるバックアップの起動。陽動作戦の時、神社で見せたものと同じだ。

「一体どうやってくれたんだか、知らねえが……」

竜也はデータ化され、強度を底上げされてはいるものの、素の戦闘技能においては荒事慣れしたやくざ程度(武器はその都度オメガにより使い方をインストールされている)故に、草薙の攻撃の種を見抜くことはかなわない。
しかし、その手元にはひときわ大きな鉄の棒状の物が形成されていく……。

「お返しだ」

瞬く間に作り上げた、人間の身体で持つにはあまりに不釣り合いなその兵器────戦闘機用のガトリング砲を両手で腰だめで構え、大きく口元を歪ませる。
草薙の先ほどの攻撃が触手によるものであれ爆弾によるものであれ部下によるものであれ、竜也にとっては些末な、実にどうでもいいことに過ぎない。
楽しめ、最終的に潰せれば、それでいいのだから。

それが吐き出す毎分数千発の大口径弾を、竜也幼児がホースで水をばらまいて遊ぶかのように撃ち込む。
草薙だけでなく、その後ろの部下たちも含めた面制圧攻撃。
しかし、戦車の装甲さえ撃ち抜く威力の代償たる数トンの反動を受け、データ人間たる竜也も無事ではない。強化された肉体に守られているはずの臓器はいくつか潰れ、耳も至近距離の発射音のためにもはや機能しない。
それでも、竜也は嗤いながら、引き金を引き続けるだろう。


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