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1 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:21:02 ID:KVk5VHBE0
注意
*オリキャラのみ
*地の文多め
*高校生がために会社の設定とかに不具合あり

時は今から何年も後の話である。
何年も後といえども、決してすぐ訪れるような時ではなく、何十年、何百年も後の話である。
時代は大きく変わった。
暮らし、企業、文化、社会、全てが変わった。
中でも、大きく変わったのはポケモンとの関わりであった。

2 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:23:29 ID:KVk5VHBE0
まず、第一にポケモンバトルがなくなった。
暴力で解決するのは子供達の教育に悪いというのが理由である。
イマサラタウン通り越してニビシティである。
なお、バーチャル上でのゲームももちろん禁止にされている。

次に、ポケモンコンテストやポケモンミュージカルがなくなった。
ポケモンに優越つけるのは社会にも影響が出るというのが理由である。

そして、ポケモンは一人一匹までと決定した。
不法投棄を防ぐというのが理由である。

これで社会が大きく変わると思われたが、驚くことに全く変わらなかった。
人々は上司の言うことをロボットのように従って働き、時計とともに生活する。
学生達も偏差値がどうのこうの言ってるし、教師達も学生達の名門校合格に必死だ。
別になんとも変わらない、それは将来も同じことであろう。

そう、誰もが思っていた。

3 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:24:35 ID:KVk5VHBE0
帰宅の準備をしようとしていたとき、2人の男性が訪ねてきた。
事前に話を聞いたため、誰なのかすぐ理解できた。
目が合うと男達は慌てふためいて、財布から自身達の名刺を取り出した。

カン ミヌ 「どうも私たちこういうものです。」

ケイスケ 「あー、そういうのいいですから。一度顔をみたら覚えれますんで。」

男達は困り顔で「はぁ」と言った。初対面の人は皆こういう対応を見せるので自然と慣れてきた。

ケイスケ 「カン ミヌさんとユウジ ジョウノさんですね?私はご紹介させていただいた通り、ケイスケ ヒトツバシです。」

ケイスケ 「注文されていたものはたった今完成しました。」

そう言って俺は作業服のポケットから小型のチップを取り出した。

ケイスケ 「MA-100です。間違いありませんよね?」

男達は慌てふためいた表情から一転、嬉々とした表情となった。

ユウジ 「ありがとうございます!」

ケイスケ 「いえいえ。今後ともよろしくお願いします。」

4 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:25:24 ID:KVk5VHBE0
ユウジ 「やりましたね!課長!」

カン ミヌ 「ま、当然だろ。むこうとうちの付き合いは長いんだ。」

ユウジ 「そのわりには、相当動揺してましたね。」

カン ミヌ 「いやいや、あんな変人と出会ったら誰だって動揺するよ。」

ユウジ 「そりゃそうですね。」

二人は笑いながら廊下を早歩きで進んでいた。

ユウジ 「にしても、G Cって本当に広いし綺麗ですね…」

カン ミヌ 「当たり前だろ。現在AーEエリアで1番儲かっている会社なんだから。」

カン ミヌ 「その上、世界でもトップ3には入る。国もこの会社に相当な信頼を寄せているしな。」

カン ミヌ 「初めはシルフ、次にデボン、最後に取ったのはG Cってお偉いさんが口にするほどだ。」

二人が通りすぎた後に「何事も一番」と社のスローガンが書かれている紙が会社内の電球からの光を吸収して光ったようにみえた。

二人が見えなくなったのを確認した後、俺も帰宅に向けて廊下を歩き始めた。

5 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:25:55 ID:KVk5VHBE0
帰り道は人通りが良いわけでもなく、悪いわけでもない住宅街の中だった。

子供達が植えたであろう朝顔の花はすっかりしぼんでいた。
花の先は下を向き、ぐっすりと寝ているようだった。
朝顔の上にあるオレンジの光から家族の笑い声や母親の説教、夫婦喧嘩までもがよく聞こえてくる。
昔から人の話はあまり聞かない性格だった自分にとっては、この程度簡単に聞き流せる。
だが、うるさいものはうるさい。
この状況から逃れようと自宅に急いだ。

自宅はこの道からさらに進んだとことにある角を左に曲がって、もう少し進んだ後にある郵便局の隣にある。
会社から近いというのが本当に救いである。
ゆっくり行けるし、帰りはすぐ帰れる。
小学生みたいな考えだが、事実は事実。
事実なら誰も覆すことができない。
そこでの生活が快適だとは言わないが。

6 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:26:28 ID:KVk5VHBE0
自宅に戻ると、買ってきたカップラーメンを夕食として食べ、ラジオを聞いた。
ラジオは昔ながらの音楽をテーマに流していた。
10分ほど聞いた後にラジオを消し、布団をしき、潜り込んだ。
風呂は朝いけばいい。

自分はこんなことでいいのだろうか。
ふと、眠気が襲ってくる前に思った。
何事も変わらず、何事も動じず、レールに従って歩む人生。
それが俺の目指した完成形なのだろうか?
別に不具合なぞ存在しない。
存在するのは謎の違和感だ。

そして、明日、俺の人生はとうとう狂い始める。

7 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:26:58 ID:KVk5VHBE0
次の日は快晴で雲一つ見当たらない天気であった。
それが冬であったら喜ばしいのだが、残念なことに今は真夏。
ただ、暑いだけである。
朝、俺は上司のケンイチ ヤスダから正午に食堂にくるよう言われた。
食堂にくると、食堂の入り口から入って手前の席にケンイチ部長は座っていた。
ケンイチ部長はすでに二人分のざるそばを頼んでいた。

ケンイチ 「いやあ、社食も久々に食べるとうめえな。」

ケイスケ 「いつもは奥さんの手料理でしたよね。」

ケンイチ 「まあな。女房の飯もうまいけど、社食には社食のうまさがあるってもんよ。」

ケンイチ部長は二児の父だ。
小太りで白髪が多いのにもかかわらず、子供の二人がまだ小学生であることから晩婚であったことがわかる。
ついでに、社内屈指の親バカでもある。

8 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:27:50 ID:KVk5VHBE0
ケンイチ 「そろそろ君も結婚したらどうだ?25だろ?ちょうどいいじゃないか。」

ケイスケ 「いやぁ…相手がまったく見つからなくて…」

ケンイチ 「なんなら紹介してやろうか?」

ケイスケ 「いえいえ、自分でじっくりと決めようと思います。」

ケンイチ 「まあまあ、そう言わずにさ聞いてくれよ。」

ケンイチ部長は社内屈指の親バカで社内屈指のお人好しである。
いい意味でも、悪い意味でも。

ケンイチ 「カンナ ムラサキバラって言うんだ」

ケイスケ 「ハーフですか?」

ケンイチ 「いや、れきっとしたJヒューマンだ。」

ケンイチ 「いい女だぜ〜。綺麗だし、仕事もできる。んでもって」

ケンイチ部長から笑みが消えた。

ケンイチ 「レボリューターズだ。」

9 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:28:38 ID:KVk5VHBE0
俺は持っていた箸をポロリと落とした。
周囲に今のことを聞いたものがいないか確認し、囁くこえで言った。

ケイスケ 「レボリューターズって…あの『テロ組織』ですよね?」

ケンイチ 「そうだ。あちこちを襲撃しまくってるあのテロ組織だ。」

レボリューターズとは。
自らを革命軍と名乗るテロ組織である。
これまでG Cの支店や大手のCP会社などを襲撃してきた。
レボリューターズの団員の上層部の全員には懸賞金がかけられている。

ケイスケ 「ちょ…ちょっと待ってください。なぜ、あんなテロ組織の一員と結婚しなければならないのですか?」

ケンイチ 「…レボリューターズのリーダーの名前…分かるか?」

俺はハッとした。

ケイスケ 「…ゲンタ ムラサキバラ。」

10 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:29:11 ID:KVk5VHBE0
ケイスケ 「つまり…」

ケンイチ 「そう。戦略結婚ってやつだ。」

ケンイチ 「お前を利用して、レボリューターズの中を探っていこうっていう話だ。」

ケイスケ 「い…嫌ですよ!テロ組織の一員と結婚だなんて!」

ケンイチ 「そうだろうと思って断りはいれておいた。」

ケイスケ 「…よかったです。」

ケンイチ 「そういうことだ。だから気をつけろよ。他の奴らが色々言ってくるかもしれんが気にすんなよ。」

ケイスケ 「…分かりました。」

ケンイチ 「ソバ早く食べようぜ。伸びちまう。」

11 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:29:43 ID:KVk5VHBE0
ケイスケ 「じゃあ、お先に失礼します。」

ケンイチ 「おうよ。」

ケンイチ部長は俺が去っていくのを最後まで見送った。
ーーーーーーーーーーーーーーーー

ケンイチは足早にある方へと向かった。
カツンカツンと足音が廊下いっぱいに響いた。
リズム良く進めていた足をとある場所で止めた。
彼の目の前のドアにはこう刻まれてあった。

『社長室』

ドアを2回ノックした。

ケンイチ 「失礼します。」

12 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:30:12 ID:KVk5VHBE0
社長 「来ましたか。」

ケンイチ 「タダヒデ オノミチ社長。やはりNOだそうです。」

タダヒデはふうと息をはいてケンイチの方を見た。
後ろでは青々とした空に雲が泳いでいる。
タダヒデの体型はケンイチとは正反対な細身であり、顔には笑っても機嫌が悪そうに見える多量のシワがあり、頭は歳は結構なはずなのに白髪だ。

タダヒデ 「まあ、仕方がありません。こうなることは想定ずみでしたから。」

ケンイチ 「すみません。私の力不足です。」

タダヒデ 「大丈夫です。おそらくこれは私がやっても不可能だったでしょう。」

ケンイチ 「…有り難きお言葉です。」

タダヒデ 「まあ、座りなさい。ゆっくり、話しましょう。」

13 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:30:55 ID:KVk5VHBE0
黒いソファーは柔らかかったが何処か硬さを感じた。

タダヒデ 「いやあ、残念です。うまくいけば、レボリューターズの壊滅も可能でしたが…」

ケンイチ 「誰もテロ組織の一員と結婚しようとは思いませんよ。しかも、奴は少し変わってまして。」

タダヒデ 「だいぶだと思いますよ。」

タダヒデは笑いながら言った。

タダヒデ 「しかし、変わり者と雖も、能力は折り紙つき。15歳の時に数学オリンピックの金メダリストになって、18歳の頃にはリーマン予想の証明を完了。19歳の頃には素数解析プログラムを開発して20歳で大学を卒業。そして我が社に最年少で入社。わずか5年で課長に。…100年に1人の天才でしょうね。」

ケンイチ 「彼のおかげでうちの利益が上がったのも事実です。」

タダヒデ 「ええ。そりゃもちろん。彼は我が社を背負う人材ですからね。」

ケンイチ 「…それって。」

タダヒデ 「ええ。私は彼を次期社長にするつもりです。」

14 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:31:34 ID:KVk5VHBE0
タダヒデ 「そのためにまず、娘と結婚させなければいけませんねえ。」

ケンイチ 「…厳しいと思います。」

タダヒデ 「…なぜ?」

ケンイチ 「少し彼のことを調べてみたんです。」

ケンイチ 「彼の家族は交通事故とメディアは当時報道していましたが、実は…国に殺されたらしいんです。」

タダヒデ 「…国に?」

ケンイチ 「ええ…彼の両親はとある工場を経営してたらしいんです。そこで…『知らなくていいこと』を知ったらしいんです。」

タダヒデ 「…それは何と?」

ケンイチ 「わかりません…調べてはいるんですが、さっぱり。」

タダヒデ 「…」

ケンイチ 「その事件の真相を彼は知っているのでしょう。人を簡単に信頼できなくなっているのではないでしょうか。」

15 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 19:33:06 ID:KVk5VHBE0
タダヒデ 「…」

ケンイチ 「…社長?」

タダヒデ 「あ、ああ。それは…大変ですね。」

ケンイチ 「…ええ。」

タダヒデ 「では、これから彼をしっかりと成長させましょう。」

ケンイチ 「もちろんです!」

これを最後にケンイチは社長室から出ていった。

タダヒデ 「…」

タダヒデ 「…」

タダヒデ 「…まずいですね。」

タダヒデ 「下手したら…」

16 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 20:12:25 ID:KVk5VHBE0
部下 「課長!お疲れ様です!」

ケイスケ 「おう。お前も残業するのはいいけど、ほどほどにな。」

部下 「はい…全然終わらないんで。」

ケイスケ 「それは…?」

部下 「部長から直々に」

ケイスケ 「ああ。それか。はい、サービス。」

ケイスケは部下のデスクに缶コーヒーをおいた。

部下 「いいんですか?」

ケイスケ 「あったりめえよ。」

17 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 20:13:39 ID:KVk5VHBE0
部下 「ありがとうございます。」

ケイスケ 「おう。」

遅くまでご苦労様とケイスケは心の底から思った。
自分には頼れる部下がいる。
人とは信じれないものだと思っていたが、20年過ごすと人の有り難みというのを感じることができた。
自分は知らなすぎた。
知らないのにも関わらず、信頼がどうのこうの言っていた。
本当に幼いんだなと思った。

帰宅したらしきっぱなしにしてた布団に飛び込んだ。
明日は定休日。
少しでもゆっくりできるからありがたい。
何処か行こうか。
相棒のルカリオと。
なら、財布の中を確認せねば。
事前になって気づきましたじゃ遅いからな。
財布の中を開けると、何かがポトンと顔に落ちた。
鼻をおさえながらその物体を確認した。
黒いUSBメモリだった。

18 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 20:15:34 ID:KVk5VHBE0
こんなもの持っていたっけ?
記憶を辿っても買ったような記憶は無い。
しかし、持っていなかった記憶もないのだ。
中を見ればわかるのだが…

俺はノートパソコンの電源をつけ、USBを読み込ませた。
人のであった場合は…その時はその時だ。

ID パスワード入力画面が画面に映った。

ケイスケ 「…会社のか?」

とりあえず、自分のIDとパスワードを入力した。
出てきたのは決算書であった。

ケイスケ 「…俺のじゃないじゃん。」

19名無しのデデンネ:2015/08/10(月) 20:16:42 ID:KVk5VHBE0
仕方なく閉じようとした瞬間であった。
とあるところに目がいった。

ケイスケ 「特別収入…特別支出?」

嫌な予感が脳内に走った。

ケイスケ 「…」

俺は黙ってとあるところにつないだ。
やることはただ一つ。
G Cのサブコンピューターの内部に侵入することだ。
メインコンピューターのセキリティは流石に突破できないが、サブコンピューターならなんとかできる可能性はある。


ケイスケ 「…つながった。」

あれから二時間たった。
俺はとうとう開かずの間を開けることになる。

20 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 20:17:26 ID:KVk5VHBE0
特別支出、特別収入。
この正体は…

兵器であった。

武器や爆弾の種類は少ししか知らないが、そのデータを見ると一目でわかった。

つまり、うちの会社の収入には一部闇に通じている部分があることになる。

そして特別収入にはもう一つ種類があった。

政府からの金だ。

21 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 20:18:11 ID:KVk5VHBE0
つまりここから…政府に兵器を渡していると推測できる。

だが…何のために?

政府は平和主義を全うしている。
使う時が少なすぎるのではないだろうか。

しかし、その時ふと頭にあることがよぎった。
家族のことだ。
家族が政府の役員が置いた爆弾が爆発したから死んだのは百も承知だ。
だが…もし…もしも…

俺は数多いデータから探し始めた。

22 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 20:18:47 ID:KVk5VHBE0
運命とは悪戯である。
不幸にも…そのデータは見つかった。
細かく書いていた。
家族のこと、両親が知ったこと、口止め料まで。
省かれた部分なぞ一切なく。

その時、頭に浮かんだのは家族の温かい笑顔だった。
分かりやすく教えてくれた父、優しかった母、たくさん遊んだ妹。
皆の笑顔や暮らした日々が次々と鮮明に浮かんだ。
算数を教わったり、一緒にオムライスを食べたり、一緒に祭に行ったり…数え切れない思い出が浮かび上がってきた。

そして、自分は泣いていた。

23 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 20:19:28 ID:KVk5VHBE0
ケイスケ 「うわああああぁぁぁぁ!」

声を上げながら、顔をしわくちゃにしながら泣いていた。
自分の愚かさや自分への責め、家族への恋しさ、そして政府とG C への憎しみ、様々な思いが心の中で混ざり込んだ。

空からは太陽がのぼり始めた。
太陽の光が泣きじゃくる男の涙を通り、涙はキラキラと光っていた。

ケイスケは翌日、会社を辞めた。
そして…

24 ◆B3hWaNcEyU:2015/08/10(月) 20:21:34 ID:KVk5VHBE0
今日はここまでです。
ここでのSSは初めてなのでいろいろよろしくお願いします。

25名無しのデデンネ:2015/08/11(火) 21:09:48 ID:exkiMKwU0
面白そう

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