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ゲーセン題材にしたエロゲないよな?PART3

1名無しさん:2008/06/06(金) 23:26:22
過去スレ

ゲーセン題材にしたエロゲないよな?
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/28897/storage/1203343539.html
ゲーセン題材にしたエロゲないよな?PART2
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/28897/storage/1206281458.html

2名無しさん:2008/06/06(金) 23:27:03

夢ってなんだと思いますか?

人の夢と書いて「儚い」だなんて何かのゲームキャラが言っていたけど
夢という字はそれそのものが逆さ睫毛の生えた目が夜の闇に覆われた様

―――だからきっと、夢が夢である限り、何時かは覚めてしまう美しくも儚い幻なんでしょう。

3名無しさん:2008/06/06(金) 23:27:35

或る日の水曜日、時刻は既に日暮れ時の中、街灯が灯る船橋の町を逸る足を抑えようともせず早足で歩いていく。

―――俺の名前、ゲーセンで名乗っているハンドルネームはNSという
この間大学に入るにあたって千葉県の習志野市―――この船橋に引っ越してきたばかりだ。
これから趣味である格闘ゲーム『ギルティギアXXAC』をやるためにある場所に向かっている。

商店街に入ると、すぐに目的地である少し古びた感じのゲームセンターが目に入ってきた。
『ゲームフジ船橋』このゲーセンが船橋に来てからの俺の新しい行きつけの―――所謂ホームゲーセンというやつだ、早速入り口に駐輪してある自転車の間を縫って入り口に入るという早くも既に板に付いた動作をこなす。

そこからすぐにフロアの中央から堂々と二階に向けて伸びる階段を上り、二階の一隅に有る3セットの筐体の方へと赴く
するとそこで筐体から少し離れて喋りあっているのはやたらに人目を引く長身の長い黒髪の女性と豪快な笑い声を上げる恰幅の良い角刈りの男性、二人は俺の接近に気付くと一旦話を中断してこちらを向いた。

「よお!」

片手を上げて鼓膜に響く大声で挨拶した男性はおざわと言う、常に豪快な大笑いしている、まるで山男みたいなスレイヤー使いだ。
対照的に水面のように静かな微笑をたたえた女性の方は俺はよっしーと呼んでいるが他の人からはメタルダーとか渋川とか呼ばれていたりもする、膨大な知識と精密な操作精度を持つ人でエディ使いにして色んなキャラをサブに持つ多キャラ使いだ。

右の筐体の方に目を移すと、少し暗い赤色のカラーをしたイノが映っている画面の前の椅子に座っている人の後ろで黒づくめの男装をした麗人が怜悧でありながら嘲弄するような笑みを浮かべて

「てんさん死なないでー」

などと、椅子に座ってコンパネと奮闘している帽子を被った眼鏡の女性―――てんさんに呼ばわっている。
某漫画の天さんがこの台詞の直後に死んでしまう、というのを承知の上で言っているのが男装の彼女―――バベさんらしい所だ。

所々コンボをミスって泥沼になりつつも必死にフォローするてんさんの隣に座り、黄色いソルが連勝中の筐体に50円を投入しながら軽く声を掛ける。

「やっ、てんさん」

「やっ、NS……やばっ、またミスった!」

慌てるてんさんを横目に苦笑いしながらスタートボタンを押し、迷わずメインキャラである聖騎士団ソルを選択すると反対側から聞こえていた話し声が止み、筐体越しに見覚えのある茶髪の男がひょっこり顔を出した。

「おい、NSじゃねーか!」

男はMKという、やっぱりかとでも言いたげな響きを込めつつ明るいよく通る声を上げた。

「このソル、MKの知り合いなのか?」

「電脳だよ」

聞き覚えの有る名前を耳にし、ああと納得しながら引き続き対戦を継続する。

電脳さんのソルはコンボこそ今一つ安いがサブキャラの割に立ち回りは中々堂に入っている。
ソルを倒すと向こうの台からにこやかに向かってくる眼鏡の女性が電脳さんだ。

「あはは……やっぱり私ってば不器用ですから、渋川さんみたいに上手くはいきませんねー」

「でも立ち回りは中々上手かったよ」

率直に述べると電脳さんの目が俺を見ず、まるで明後日の方向を見ていることに気付いた。
視線の先を探ると、何時の間にやら階段の方から二人の少女が姿を現している。

「いさ!」

電脳さんが片方の少女に向かって晴れ晴れした笑顔で呼び掛ける。

「キシタカがさー、ポケモンに熱中してた上にラルクの新曲買いに行くとか言いだして遅くなっちゃった」

「いさが補習で遅くなっちゃったからじゃない!」

言い合う二人を皆が微笑ましい視線で見守る―――こんな風景が俺の新たな環境である船橋フジの日常の一コマだ。

4名無しさん:2008/06/06(金) 23:29:50

「……おや、もうこんな時間ですか」

少し経つとよっしーが時計を見つめながら、事前に用意でもしていたかのような台詞を呟く。

「今日はお先に失礼します」

そう言って身を翻し、階段の方に向かって淡々と歩を進めるよっしーの背を見つめていると、いさがその場にいる皆に唐突に疑問を投げ掛けた。

「ねぇ、そういえば渋川って普段何やってるか知ってる?」

ある者は黙って首を横に振り、ある者は「いや」と皆が一様に否定を表す。

「だよね?それにあの人の家に行った事ある人いる?」

再び先程と大差無い反応が返ってくるのを見て

「結構謎だらけだよねー」

と、それに皆が頷くのを確認してから、悪戯好きの子供みたいな表情を隠そうともせずに声をひそめつつ

「…ね、後つけてみない?」

その提案に真っ先に反応したのはMKだ。

「面白そうだな、俺は乗ったぜ!」

そんな乗り気のMKに対し、てんさんが堂々と待ったを掛ける。

「あたしは反対よ、そんな探るようなマネは好かないわ」

「てんさん、そんな格好付けると死亡フラグ立っちゃうよ?」

揶揄するように口を挟んだバベさんに対し、てんさんが少しムッとした感じで「じゃあ、バベさんはどうするの?」と問い返すと

「あたしは面倒だからいーや」

心の底から関心なさげに答えながら、話を打ち切るようにポケットから煙草を取り出し始めた。

「俺もいいよ」

おざわもあっさり断ったのを見て、いさはやきもきしだした様子でいまだ返答の無い皆に声を掛けだした。

「電脳さん、行こうよ!」

「確かに少し興味有るかも…うー……でも、やっぱりよくないわ」


頼みの綱の電脳さんにまで断られたのがよほど意外だったのか

「ちぇー、電脳さんの癖にノリ悪ーい」

そう言うと、今度は不貞腐れた顔でキシタカに目を向ける。

「わたしはどうしよ、確かに気になるよね…」

考え込むキシタカを「じゃ、行こ!」とやや強引に引っ張りこみながら、とうとう俺に目を向けた。

「NSはどうする?」



A後をつける。
Bフジに残る。

5名無しさん:2008/06/06(金) 23:30:29

―――昼には春の兆しこそ有れ、夜風はまだまだ寒さの残る船橋の町の大通りを
長い黒髪を風になびかせながら、一定の歩調を維持したまま淡々と歩み続けるコートを羽織った長身の女性の姿は大いに目立つ。

―――よっしーの姿を目で追いながら、沿道の店先を遮蔽物にして身を隠しつつ
いさ、キシタカ、MKの3人と体を寄せ合って窮屈な体勢で尾行を続ける。

「さーてっと……謎の女、渋川の正体が今日こそ明らかになるのよ」

ワクワクと擬音が聞こえてきそうな程にいさは本当に楽しそう。

「よっしーについては、皆どのくらい知ってるんだ?」

俺の質問にいさは「さあ?」とばかりに両手を広げながら

「全然、だって何聞いてもはぐらかされるし」

「誕生日も…何才かも分かんないね」

いさとキシタカの答えを聞いたMKが腕組みしながら思い出して言うには

「確か、さんまの話ではゼクスからやってるはず…」

その言葉にいさとキシタカが「ええっ!」と露骨に驚きを見せる。

「うっそ!若すぎない!?
 見た感じどう見ても10代後半か20位じゃ…」

そんないさの言い分には流石に「お前が言うな」と突っ込みたくなったが、続くキシタカの疑問で遮られた。

「一体、何してる人なんだろーね?」



A豪邸住まいの良家のお嬢様だとか!
B貧乏アパート住まいの風俗嬢だったりして…
C中国人マフィアという線も有り得る。

6名無しさん:2008/06/06(金) 23:31:03

「豪邸住まいの良家のお嬢様だとか!」

「でも、そうだったら隠す必要は無いんじゃないの?」

キシタカの出した疑問を聞いて、いさがチッチッと指を振りながら得意げな顔をしてみせる。

「甘いわねキッシー、本当にお嬢だったら遠征費とか奢ってもらい放題じゃない!」

「おおっ!それいいな!」

「お前ら…」

ノリノリで皮算用をしだしたいさとMKに呆れていると、真面目な顔で考え込んでいたキシタカが少し深刻さを帯びた声で

「ねぇ…お嬢様はお嬢様でも、和風の屋敷に強面の兄さんが並んで
 『お嬢さん!お帰りなさいませ!』
 とか言ってたり……しないよね?」

「あっはっは!何よキッシー、そんなワケ………」

言い掛けた途中で、難しい顔をして笑いを止めたいさの続きをMKが付け足す。

「………無いとも言いきれないよな」

うーん、と皆で長考していると、何かに店先の照明が遮られ、スッと黒い影が伸びる。

「なかなか面白そうなお話ですね、私も混ぜて頂けないでしょうか?」

突然の衝撃にドキッと心音が跳ね上がる。
その声の主は見て確認するまでもない、いつの間に近付いていたのか、俺達を上から見下す形で立っている影の主―――よっしーの声が確かに耳に入った。

「えーーと、バレてた?」

あはは、と気まずそうに苦笑するいさに呆れた顔で応じる。

「寧ろそんな大騒ぎしながら尾行のつもりですか、貴方達は」

「…ちなみにどの辺から聞いてた?」

「NSさんが私が実は令嬢じゃないかとか言いだした辺りからですね」

やや怯えた様子のキシタカの質問に答えながら、ちらっと俺に視線を送り

「まったくNSさんの想像力……と言いますか、妄想力も大したものですね」

呆れ顔でこそあるが、ただ、どことなく満更でもなさそうな様子に見える。

「それとキシタカさんも、なかなか愉快な発想ですね」

キシタカはまさしく蛇に睨まれたカエルとでも言うべきか、冷や汗を垂らしながら硬直している。

「さあ、それより馬鹿な真似はさっさと止めて、戻っては如何ですか?」

「ちょっと位教えてくれてもいいじゃない!あたし達の事は色々知ってるんだからさー」

「私は教えて欲しいと頼んだ覚えはありませんよ?
 知られたくない事なら、言わなければ良いだけの事です」

いさの最後の食い下がりも、そう言って軽くあしらわれてしまった。

「……ちぇっ!しょうがないしフジに戻ろー」

渋々進行方向を変えたいさに伴われてフジに向かい歩みを進めながら、ふと振り返ってよっしーを見る。

―――こちらを見つめる彼女の目はまるで深海のよう
とても深く、冷たく、それでいて何処か悲しいものに見えた。

7名無しさん:2008/06/06(金) 23:31:43

―――これは夢だ。



そう知覚しながら見る事の出来る夢というのも、そうそう無いだろう。
夢の中の煙草の臭いがしないフジの2階に立ちながら、私はそんな事を考えていた。

内装を確認する迄も無い、だって目前に稼動しているギルティは青リロで、対戦している顔触れも懐かしい人ばかり
この風景は多分ランバトが終わった後だろうか?

あそこで対戦しているのはミリアとブリジット―――カラーと動きを見ると、マツさんとゆきのせさんだろう。

隣でサブキャラ対戦をしているのはkaqnさんとコイチさんか
コイチさんのサブはどうせ勝てないんだから、さっさとメインのミリアを使えば良いのに。

その隣の赤いヴェノムはもぐらさんだろうか?
今度コンボムービーの手伝いをしてあげないと―――ああ、そういえばこれは夢なんだったっけ。

油断すると夢である事さえ忘れそうになってしまう、楽しくも懐かしい過去の夢の中
ポンッと軽く肩を叩く感触に気付いた。

これには覚えがある、この人はきっと―――

「貴方は―――――」

振り向きかけた、その刹那

「―――貴方は誰?」

反響する自分の声に驚き、はっと目を覚ました。



―――どうにも目覚めが悪い、枕元の時計を見ると時刻はまだ深夜の2時だ。

『貴方は誰?』

―――その問いに、かっての何者でもなかった私はなんと答えただろう?
…今の私はなんと答えるんだろう?

モザイクか?
メタルダーか?
渋川か?
杉崎か?

―――どれにせよ些末な事だ。
その名のどれにも此処に居る『私』は居ないんだから。

再び布団を被って、再度眠りに落ちようと強く目を閉じる―――けど凄く、寝苦しい

―――今夜は、このまま寝付けないかもしれない。

8名無しさん:2008/06/06(金) 23:32:31

大学の講義を終えると、弾けんばかりの勢いをもって外に飛び出した。

一昨日、あれからフジに戻った後
てんさんが言うには、さんまさんという聖ソル使いが関西から帰ってくるらしく、八幡で大会ついでに対戦する事になっているらしい
他のみんなも来るようだったので楽しみだ。


―――しかし、駅前まで来たところで一つ問題が発生した。
てんさんは当然知ってるものと思っていたんだろうが、よく考えたら『八幡』って地名以外俺は何も聞いてない
それに考えてみると、千葉に引っ越してきてから船橋から外に出るのは初めてだ。

『船橋駅』というのは京成線の通る京成船橋駅と総武本線の通っているJR船橋駅の二つが在る。
二つの駅の距離はほど近く、構内からビルと陸橋を挟んで繋がっている。

路線図で軽く調べてみたところ、八幡という駅は京成八幡駅とJRの本八幡駅の二つが在る。



AJRかな?
B京成だな!
Cここは落ち着いて、○○と連絡をとろう。

9名無しさん:2008/06/06(金) 23:32:57

電脳さんと連絡をとろう、全く場所が分からないままフラフラする訳にもいかないだろう。
早速携帯電話をポケットから取り出し、慣れない動作ながらもなんとか電話帳から電脳さんの番号を見つけだした。

「―――もしもし、電脳さん」

「NSさん?どうかしましたか?」

電話の向こうからはピロピロとやや大きめの電子音が聞こえている。
多分既に目的地のゲーセンに着いていて電話の為に外に出た、といった所だろうか。

「今日八幡で対戦するって聞いたけど何処のゲーセンでやるのかな?」

俺の質問は相当意外なものだったんだろうか?
一瞬間が空いてから「えっ!?」と素っ頓狂な声を上げるのが聞こえた。

「知らなかったんですか?
 分かりました、じゃあ案内しますよ
 とりあえずJRに乗って本八幡まで来てください」



―――電脳さんの指示通りにJR船橋駅から電車に乗って、本八幡に到着した。
改札を出て周囲を見回すと同じくキョロキョロ改札から出てくる人々を吟味している眼鏡の女性の姿が目に入る。
その人の後ろから接近し、ちょいちょいと指先で背中を突つくとビクッと小さく跳ね上がりながら「ひゃっ!」と意外な程に子供っぽい声を上げた。

「NSさんですか!もー、ビックリしましたよー」

寧ろ驚いたのはこっちの方だ。
けど先に声を掛けなかった俺が悪い、「ゴメン」と軽く頭を下げつつ謝意を示す。

「じゃ、案内します
 エースってゲーセンでここからすぐそこです」

南口の出口へと向かう電脳さんを追う形で歩きだす。

「他のみんなはもう来てるの?」

「バベさんとメタさん以外は来てます、今はいさのエディが連勝してますよ」

そこから徐々に話はいさの事に移っていった。

「いさってばすっごい可愛いんですよ!萌え萌えなんですよ!」

眼鏡の下のつぶらな目を輝かせながら熱弁を振るう電脳さんは本当に生き生きして見える。

「前にロッテリアで何を間違えたんだか『スマイルマックバーガーください!』とか言っちゃって恥ずかしがってる時のいさとか
 青リロの頃にカイに負けちゃって凄い悔しそうに言い訳してるいさとかもう絶品で」

幸せそうに止めどもなく喋り続けるのを見ていると、つい言わざるをえまい。

「電脳さんってば…本当にいさが大好きなんだなぁ」

「それはもう!私が男だったら嫁に貰うどころか婿になっても良い位です」

間髪入れずに即答してから、何かに気付いたようにポンッと手を叩きながら

「………はっ!いっその事、いさが男で私がお嫁さんっていうのもアリかも」

………しかし駅前のど真ん中でそういう話題でこんなにエキサイトされても正直な話居場所に困る。

「両方男だったらどうするのさ?」

冷や水を浴びせる気で言ったつもりだったが、電脳さんは至極真面目な表情で考え込んでから

「………そ、それはそれで…!」

などと力強く答えた。
………初めて会った時から親しみやすい人だとは思っていたが、親しくなった代わりにどんどん残念な人になっちゃった気がしてならない。

「闘劇はやっぱりいさと出るの?」

初めて土曜フジに行った時に聞いた全国大会の名前を持ち出すと
ピタリと周囲の空気が止まったような感覚の後「………いえ」とトーンを落とした暗い声で呟いた。

「えーっと、私が弱いからしょうがないんです!」

深刻そうな雰囲気を消し飛ばすようにすぐに明るい笑顔に戻って、声を励ましつつフォローする。

「それより着きましたよー、ここです!」

クレーンゲームの台が並ぶ中に目的地である『ゲームエース南八幡』の入り口が見えた。

10名無しさん:2008/06/06(金) 23:34:27

対戦格闘ゲームが上の方の階に置いてある、というのは一種の定例なんだろうか?
最上階である3階まで上った所で、大会前の所為かやたらと沢山の人が居る一角の中に二つのギルティの筐体が在るのを確認した。


2台連なっている内の片方を見ると、なるほど確かにいさのエディが連勝中だ。
片一方の筐体では暗緑色の聖ソルとてんさんのイノの対戦が展開されている。

―――この聖ソル上手い、コンボの重さといい連係の幅広さといい、一つ一つの動きが理に適って意図がはっきりしている。

何やらおざわと大声で喋りながら、イノを倒して対戦を終えた聖ソル使いの女性に電脳さんが親しげに近付いていく。

「さんまさん、この人が例のNSさんですよ」

電脳さんが俺の腕を軽く引っ張り寄せながら紹介する。
聖ソル使いの女人は俺より見るからに年上ではあったが全身から漲るような若々しさと活力が有り、童女のように愛嬌の有る笑い方をする。
…この人がさんまか。

「へぇ、私の弟子になりたいっていうのはあんた?」

―――開口一番
…この人はいきなり何を言いだすのか?

「…いや、弟子とは言ってませんよ?」

「よーし、分かったわ!さんまズブートキャンプ入隊試験!
 まずはこのエディを倒してみせなさい!」

そう宣言するや否や隣の筐体で連勝中のいさのエディを指し示す。
人の話を聞いてるのだろうか?そもそも入隊試験がいさのエディってどうだろう?

―――まぁしょうがない……入るか。



―――そして案の定負けた……と言うより処理された。
…エディだ、キャラもプレイヤーもあまりにもエディ過ぎる。

「NSよっわーい!」

明るい声で煽ってくるいさが非常に憎らしい

「すいません、負けました」

入隊試験は失格か、と思いつつ声を掛けるとさんまさんはアッハッハと大笑いしながら

「気にしないで!私も全然勝てないから!」

そう白い歯を見せながらの眩しい笑顔で言い放った。

「……だが、しかし!甘い、甘過ぎるわ!
 今のあんたは言うならばMAXコーヒーね、もっとビターにならなければACは生き残れないわ!」

MAXコーヒーと言うのはこの辺りでは一般的に売ってるやたらと甘い缶コーヒーだ
変な言い方だが、言わんとする所は伝わった。

「具体的に言うとまずコンボが安すぎる!スーパーNS聖ソルは常時大特価セール期間中ですか?って位よ」

このお姉さんの冗談めかした物言いはそこそこ辛辣では有るはずだが不思議と全く不快では無かった。
こういう愛嬌っていうのはきっと天性のものなんだろう。

「それに反応と選択肢の使い分けの嗅覚は大したものだけど、引き出しが少なすぎるわね
 例えば―――――」

そこまで言った所で言葉を切って、俺の背後の階段の方に視線を向ける。
つられて振り向くと、俺も気が付かない内にバベさんとよっしーが来ていたようだ。

「へぇ、久々じゃない?」

バベさんはさんまさんに向けて、平素の彼女よりも少し柔らかめに見える微笑で笑いかけた。

「うおおお!バベじゃん!すっごい久しぶり!」

さんまさんは椅子を立ち、今にも抱きつかんばかりの勢いで熱烈に歓迎している。

「そんなに久しぶりなんですか?」

思わず洩らした疑問に、さんまさんは大きく首を縦に振りながら

「そうよ、かっては二人でモアの双龍と呼ばれた仲で……」

「モアでは二人して一生ネモられてた覚えしかないんだけど
 勝手に変な称号付けないでくれる? 禿、げ、朕」

バベさんお得意の毒舌を食らっても実に慣れた様子で笑い飛ばしている。

「もう!バベってば相変わらずツンデレなんだからー!」

「生きてるうちにデレが見つけられるように頑張れよ」

言い捨てたバベさんから苦笑して目を外しつつ、よっしーの方に視線を移した。

「やっ、よっしーも元気してた?」

よっしーは「ええ」と軽く頷いて早々に話を打ち切ると、さっさと離れていってしまった。

別にさんまさんが苦手という訳ではないんだろう、彼女はフジで見ていてもたまにこんな所がある。
髪の長さから俯いていると顔が半分隠れてしまう、その黒髪の間から覗く目を伏せて寂しげに独りたたずむ姿は俺でなくとも誰もが声を掛けるのが憚られるように映った。

11名無しさん:2008/06/06(金) 23:34:55

時刻はもう夕刻になった頃だろうか。
さんまさんの聖ソル話を聞いていると、てんさんが心配そうに周囲を見渡しているのが目に入った。

「これからランバトのつもりだったけど、人が多過ぎるわね」

確かに、見る限り結構な人数が集まっている。

「あたし前にここで働いてた事もあったし、店員さんに話しつけてランダム3on3のチーム戦にしてもらえるように言ってみようか?」

その話を聞いて、不満げな顔をしたいさが割って入る。

「ランダム3on?それ位なら宝島でも行って対戦しようよ、大会よりそっちの方が数できるし」

「地元勢としては大会が賑わってくれた方が嬉しいんだけどね、NSはどう思う?」

てんさんが手近に居た俺に意見を求めてきた。



Aランダムチーム戦にしてもらおう。
Bいや、いつも通りランバトをやるべきだ。
C別なゲーセンで早く対戦の続きをしよう。

12名無しさん:2008/06/06(金) 23:35:41

確かに、この人数なら3on3の方が効率が良いはずだ、大会も楽しみだし
是非ともやってもらいたいというのが偽らざる本音だろう。

「ランダム3onやりましょう」

それを聞いたてんさんは我が意を得たり、とばかりに笑みを浮かべて

「そーよねー、じゃあ早速言ってみるわ」

と大会の準備を始めようとしている店員に声を掛けに行った。


てんさんの提案はすんなりと通ったようだ。
いさも少し不満は有れど納得してくれたらしい。

早々にエントリーを終えて、チームの決定を待つ
大会の形式は少々特殊で3チームによるリーグ戦を四つ行い、一位の4チームがトーナメントに進出する、というものだ。
一回負けたらすぐ終わり、という事の無いように配慮されているらしい。

しばらく待つと、いよいよチーム及び組み合わせが発表された。

俺の相方は―――と、見ればキシタカにeleven shadowという医者使いらしい、見事に強キャラのいないチーム構成だ。
エディは誰が止めようか、いさかよっしーと当たったらどうしよう、とか思いつつ組み合わせの表を見てみると、同じリーグに知り合いの名前が無いのが確認できた。

「eleven shadowさんってのはどの人?」

店員に混じって準備を手伝っているてんさんに尋ねると

「向こうに居るよ…ほら、こっち来た」

そう言われて、てんさんの視線に合わせて振り向くと同時に「ハーイ」と明るく声を掛けて来たのは、驚いた事に背丈こそ並だが金髪碧眼のスタイルの良い外人の女性だった。

「アナタガNSサンデスカ?ヨロシクオネガイシマース!」

愛想の良い陽気な笑顔と発音こそおかしいが十分に上手な日本語に少し驚かされる。

「えーと、イレブンシャドー……さんですか?」

「NONO!elfen!!」

「エ…エレブン?エルフェン?」

「OKOK!」

グッと親指を立てる彼女にどう話を続けるべきか分からずに困惑していると
組み合わせの表を確認しているキシタカの姿が目に入った。

「なあ、キシタカ、俺らの相方さ…」

「外人医者でしょ?話した事無いけど、知ってるわよ」

俺に対してつっけんどんにそう言ってから、キシタカはエルフェンさん?に「よろしく」と少し挨拶しただけでさっさと身内の方に行ってしまった。
…なんともまぁ、早くもチームの結束に不安が残る所だ。

13名無しさん:2008/06/06(金) 23:36:09

さてと、俺達は最初のリーグだからすぐに試合だ。

最初の試合、先鋒は俺が出て3タテを達成した。
以前に船橋の皆はこの業界では有名なんだと聞いてはいたが、確かにこうして比べてみると、ここの対戦相手は心なしか楽に感じる。

続いての試合で「ワタシ、サキニデタイデス」とエルフェンさんが言いだした。
キシタカに目を向けて対応を伺うと、彼女はコクリと黙って頷いた―――了承したようだし、この人の強さはよく分からないが任せてみてもいいかもしれない。

そしてエルフェンさんは驚いた事に普通に強い、多少割り切ってリターン重視の荒いところもあるが、状況判断も対策もかなりのものだ。

外人女性が筐体に向かってレバーを動かしボタンを押して操作をこなす姿は、普段見慣れないものな所為か見ていて不思議な嬉しさが込み上げてくる。

キシタカは例によって、小さい女の子には少しばかり不似合いな、睨むような難しい顔をしながら黙って試合を見ている。

結果再び3タテ、全勝で文句無しの決勝トーナメント進出を決めた。

14名無しさん:2008/06/06(金) 23:36:38

……のは良いが、相変わらずキシタカは試合が終わるなりいさ達の方に行ってしまった。
手近に居た電脳さんに

「なぁ電脳さん、キシタカはなんで外人医者の人避けてるんだ?」

と尋ねると「うーん」と少し言いづらそうに苦笑いしながら

「もともとキッシーちょっと人見知りですし
 前にあの医者の人に負けた動画が流れて、その所為で大分からかわれたのを根に持ってるのかも…」

―――あいつは子供かと言ってやりたいが、実際子供なんだから仕方ない。
電脳さんとの会話が終わったと共に、エルフェンさんがニコニコと朗らかに笑って近くに寄って来た。

「ハイ!NSサン、ワタシノシアイノウゴキ、ドウオモイマスカ?」

「普通に強いと思うよ、びっくりした」

「OH!Thankyou!」

「エルフェンさんってアメリカ人なの?」

「YES!Chicagoニスンデマシタ」

話している内にふと気付いた。
そういえば今日、彼女が俺以外の人と話しているのを見ていない
それを想うと、なんだか勿体ないというか、なんともいえない感覚に襲われた。

例えば、俺がフジのみんなと知り合う事が無かったとしたら、今こんなに楽しかっただろうか?
だってわざわざシカゴから日本に来て、折角このゲームをやってるんだから
お節介かもしれないけど、もっと楽しんで欲しいような気がしてきた。

「エルフェンさん……ちょっと、こっち来て」

軽く彼女の腕を掴んで引っ張り寄せたまま、いさ達の話している前に出た。

「どしたの?NS?」

しかし、そこまで来て今更のように気付いた。
………どうしよう?と言うか何て言おう?
何となく連れてきちゃったが、幼稚園じゃあるまいし「この子も仲間に入れてあげて」じゃないだろうし………

15名無しさん:2008/06/06(金) 23:37:01

悩んでいると、何時の間にやら集団から前に出ていたキシタカが、おもむろにエルフェンさんを前に押し出しながら

「わたしとNS、今回この人と組んでるんだ」

そう言うと「へぇー」と皆が興味を持って寄り集まってきた。
と、その中からMKが

「待てよ、お前ら英語いけるのか?」

「あたしがやってみるわ!」

高らかに宣言しつつ、いさが一歩前に進み出る。

「えっとアイ…イズイサ!ユーズ…ソルアンドエディ」

どう?と感想を求めるかのように振り返ったいさを皆が憐れむような目で見ている。
その中でも電脳さんは「ええと…」と言葉を詰まらせながら

「私はいさのそういう所、凄く可愛いと思うけど……まだ遅くないから勉強した方が………」

ムッとした顔で何か言い返そうとしたいさを制しながら

「どきなさい、いさ」

さんまさんがいかにも自信有りげに前に出る。

「言葉なんてのはね、細かい事気にせずに魂で伝えるものなのよ!」

そう主張しながら堂々とエルフェンさんと正面から対峙した。

「ワタシの、ネームは、さんまデス」

身振りで自分を指しながら、なんとも堂々と一言ずつハッキリ区切って発声していく

「ノットアカシヤ!ドゥーユーアンダスタン?オーケー?」

………俺が思うに、この人の変な言い回しってのは単に考える前に喋った結果なんじゃなかろうか?
てんさんから初めて名前を聞いた時の『理論派聖ソル使い』で頭の中に構築されたイメージが、今はあまりにも遠い。

「OKOK!Year!」

さんまさんの自己紹介は意外にもエルフェンさんには大いに好評の様子だ。

「イエス!やっぱ魂で伝わるもんでしょ!」


喜ぶさんまさんに湧く一同、その中から

「…ねぇ、外人医者って日本語喋れるんじゃないっけ?」

突如放たれたキシタカの一言は時間を止めたかのように皆の動きを静止させた。
漸く口を開いたMK曰く

「キシタカのKY発言についてお前らの意見が聞きたい」

「さっすがkstkよねー」

いさを初め、皆が「これだからkstkは」と言い募る中でキシタカの顔が軽い赤みを帯びていく

「………当たり前の事言ったのに、KY呼ばわりって何よソレ」

ぶつぶつ文句を言うキシタカにあっはっはと笑い声を上げた一同の中から、エルフェンさんが

「キシタカチャン、トーナメントヨロシクネ」

キシタカは笑い者にされてあまり機嫌が良くないのか、ぶすっと不貞腐れた表情で

「…ちゃんとか言わないでよ」

「Sorry!ヨロシクオネガイシマス、キシタカサン」

そう訂正を加えたエルフェンさんに、少し表情を緩めて無言で頷くキシタカの姿は、なんだかとても微笑ましく感じた。

16名無しさん:2008/06/06(金) 23:37:39

いよいよ決勝トーナメントが開始された。

俺達はまた初戦から出番だ。
相手はさんまさん、てんさん、よっしー………ちょっとクジ偏り過ぎなんじゃないだろうかと思うようなチームだ。

じゃんけんで勝ち、後決めを選択して
相手側の先鋒てんさんに対して、こちらは迷わずキシタカを出す。

すると、対戦が始まると共に後ろの観衆から前に出て来たいさが応援を始めた。

「キシタカ頑張れー!kstk!kstk!」

実に生き生きと楽しそうに、チームメイトである俺達より大きな声を張り上げる。

「グランドキシタカ!」

「ヴォルカニックキシタカー!」

……いや、と言うか応援しているのか煽ってるのか、よく分からない。

そんな中でも、キシタカは真面目そのものの真剣な表情で画面と向き合って黙々と操作を続ける。
少し危ない場面も多かったものの、最後はヴォルカが狂言と噛み合って僅差でキシタカが勝ちを拾った。


続いて中堅にさんまさんの聖ソルが出てきた。
やはり上手い、コンボが重く、対策や連係を見ていると芸が細かい、と思わず感心させられる。

結局終始流れに乗った、さんまさんの勝ち―――さて


Aここで俺が出る!
Bエルフェンさん頼む。

17名無しさん:2008/06/06(金) 23:38:04

ここはやはり、有利キャラの医者を当てるべきだろう。

「エルフェンさん、頼む」

「OK!マカセテクダサイ」


―――強気に牽制を振り回して接近を阻むエルフェンさんの医者に、丁寧な立ち回りの中に随所でチャージでLVを上げてからのぶっぱなしでプレッシャーを掛けるさんまさんの聖ソル。
双方の対策のぶつけ合いの末、さんまさんの聖ソルがJ攻撃から触れる事に成功して、ダッシュから小技とCCを多用して刻む強気な固めに移る。

それを見て、第三者の視点だからだろうか?
不思議な違和感を感じた。

なんとなく直観的に『ここでエルフェンさんは暴れちゃうだろうな』と思うと同時に『ここで暴れちゃ駄目だ』と
そう思った直後に、小技を読んだと思しきドリル暴れにダッシュからのガンブレがCHした。

そうして、続いて俺の出番か、同キャラとはまた微妙な組み合わせになったなぁ…

同キャラ戦においては差し合いが通常と異なり『どの距離』で『どの技』を振るかより『どのタイミング』で振るかが重要視される。
じゃんけん的な読み合いが多い聖ソルは特にそれが顕著だ。

細かい読み合いでリードしてから、判定の外側をうろついて様子見しながら、焦って動いた行動を刈って、立ち回りで体力を徐々に削り勝った。

………けれども、その後の大将戦はよっしーのエディに捕まって、割り込みミスから呆気なく死んだ。


―――そして結局優勝はいさチーム………って言うかいさエディだった。

決勝戦大将戦でのてんさんの
「このエディ、本っ当にツマンナイ!!」
の叫びを聴きながら、ノリノリで6Pを連発するいさの子悪魔の笑みが忘れられない。

―――それにしても、終わっちゃったか…残念だったなあ。

「キョウハ、アリガトーゴザイマシタ」

お辞儀しながら丁寧に挨拶したエルフェンさんとお別れしてから

「さーてっと、あたし達も帰ろっか」

そう言いだしたいさを、さんまさんが呼び止めた。

「ちょい待ち、さんまお姉さんから君らにプレゼントよ」

いさが受け取った便箋を開くと、なにやら何枚かの券が入っているのが目に入る。

「何これ?ららぽーとの商品券じゃん」

「もうすぐ期限切れるけど、関西帰るまで行く暇無いから、あげるわ」

いさはうん、と満足気に頷いて

「じゃあみんな、明日はららぽーとに行ってから土フジね」

「ワリ、俺バイト」

即座にMKがかぶりを振る。
続けておざわも

「俺もRPG予約してる」

…そうして俺に目が向けられて、無言の問い掛けがなされる。

「俺は大丈夫だよ」

そう答えてから、安堵した様子で出口に向かういさと皆の後を追おうとすると
さんまさんが「ちょっと待って」と俺を呼び止め、声を潜めながら。

「師匠として、見所の有るNS君にはこれをあげよう!」

そう言いながら、そっと俺の手元に渡されたのは―――映画の割引券?

「…多くは言わないわ、ギルティだけでなく色々と頑張りたまえよ少年!」

そんな事を言って、ポンッと背中を押したさんまさんと別れて
光と音に満ちたゲームセンターから静かな夜の街に出て、船橋への帰路に着いた。

18名無しさん:2008/06/06(金) 23:38:28

―――――また、夢。



今度はもっと昔の夢、私は今よりずっと小さい少女の姿で、目の前で動いているのはなんとゼクスだ。
FCDとかまだ出来るんだろうか?
………どうせ夢だから関係無いか。


夢の中の幼い私は、あの日のままに時計を見上げて思う
―――そろそろ時間だ、家に帰らないと………あの家に
あの、無駄に物ばかり溢れて無駄に広い、誰も居ない家に―――

(………帰りたくないなぁ)

「―――ねぇ、あんた」

気落ちしていた所で、突然の女性の声に驚かされた。
振り向いて顔を見ようとしたが、何故か聞き覚えの有る声の主である彼女の顔を見る事は出来なかった。

「よく見かけるけど強いよね、名前なんていうの?」

この人は、此処によく居る少し年上のお姉さん達の集団の一人だ。
いつも五月蝿い彼女達には正直あまり良い印象は無かった。

それにこの時私はゲームセンターで話し掛けられる、という経験自体初めてだった筈
いきなり話し掛けられて狼狽しながら、確か―――あの日の私はこう名乗ったんだ。

「わ、私は吉田っていいます」

私の返事にキョトンとしながら、何かに気が付いた様子でズイと身を乗り出しながら

「吉田ちゃんはさ、大会とか出た事ないの?」

それに対して、私は意識して気を落ち着かせながら答えた。

「無い…です」

「勿体ないわねー」と言いながら彼女は順に語ってくれた。

大会ではRNという、言わばあだ名で出るのが慣例になっている事、ゲームセンターでは主にその名で呼び合っている事
そして口元に手を当てながら、考え込んだ様子の後。

「じゃあ、そうね……吉田だから………あんたの名前はよっしーね!」

………そのあだ名は、少しばかり安易にも程があるんじゃないだろうか?
「あの…」と文句を言おうとした私を置き去りにして「みんなー!」と筐体の反対側に居た知り合いに向かって

「船橋ヴェノムの子と話してみたよ!」

そう言って、ぐいっと私の腕を引っ張り寄せながら

「…この子、名前はよっしーね!」

私を自分の知り合いに引き合わせた。

「よっしー、この人達はね…まずこいつがkaqnで」

かきゅんさんは今より、良く言えば若々しく情熱的な人だった。
思えば、今は大人になったものだ。

「こっちがさんま」

この人は今でも変わらない、強いて言うなら今は昔より少し落ち着いたような気もする。

「こいつがバベね」

やる気なさげに挨拶している、この人は見た目も中身も驚く程に変わらない。

「それで私が―――」

漸く彼女の顔を見ようとした―――その瞬間に目が覚めた。



真っ暗な部屋で目覚めて、ぼうっとしながら窓を開ける。
寒気の残る外の大気を胸に納め、体が冷たくなると共に意識がはっきりしてきた。

これでどの道、もう眠れないだろう
コーヒーでも飲もうかな、と台所に向かいながら、心の中ではひたすらに想っていた。

―――早く、日が昇って朝になれば良いのに
―――夜が終われば、良いのに。

19名無しさん:2008/06/06(金) 23:39:01

『ららぽーと』というのは船橋駅から二駅行った先の南船橋駅にほど近い大型のショッピングモールで
同じような種類の店舗が3、4件は存在するんじゃあるまいか?と思う程に沢山のテナントが入っている。

俺達は昼頃に集合して、レストランで昼食を食べ終え、今はバベさんがデザートを食べ終えるのを待ちながら

「これからどこ行くー?」

などと話し合っている。

結局、集まったのは俺の他には、いさ、電脳さん、よっしー、キシタカ、バベさんと女性ばかりだ。
一応喜ぶべき場面なんだろうが、正直ちょっと心細い気もする。

「しかし、凄いなぁ………ここ」

こんな大規模な店は地元では見た事が無かった、素直に感嘆すると

「うっわー、NSってば田舎者丸出しー」

いさがおもいっきり馬鹿にした響きを隠そうともせずに言ってくる。
田舎者で悪いかよ、とでも言い返してやりたいが不毛な言い争いになりそうだ。

向かい側の席に座るキシタカが、俺にちょっとだけ同情するような視線を送ってから
デザートに出てきた大きなパフェを黙々と食べ続けるバベさんに

「……バベさん、前から思ってたけど、ヘビースモーカーの上に甘党とか不健康にも程が有るんじゃ…
 せめて煙草は止めれば?」

「大丈夫、そのうち肺ガンに分からされる予定」

スッパリと、切り捨てるような一言
何が大丈夫なのかはさっぱりだが、ある意味悟りきったバベさんの堂々とした態度は『それなら、いいかな』と錯覚させられそうだ。

「今日のフジは凄い強い人が来るんだよ」

「どんな?誰?」

いかにも興味を引く言い方をした、いさに聞き返すと

「どうせ言っても分かんないだろうし、教えてあげなーい
 ねっ!よっしー!」

「…………えっ?あ…はい、そうですね」

話を振られたよっしーはいさの呼び掛けに対し、なんともお粗末な返事を返す。

最近、と言うかここ数日のよっしーはどこかうわの空だ
いつもなら、こういう面白そうな話の振りには、すかさず乗ってきそうなものだけど…


食事を終え、レストランを出ると「じゃ、フジで再集合ね」と解散して、めいめい好き勝手な方に行ってしまった。
―――俺は何処に行こうか?



A服飾品店
BCDショップ
C本屋
D展望フロア

20名無しさん:2008/06/06(金) 23:55:29

最上階である9階の展望フロアに着くと、思わず声を上げてしまいそうなほどに壮観な景色が目に入った。

周囲のガラス張りの壁面越しに高所からの街を一望出来る。
一つだけ引っ掛かる点があるとすれば、蒼く澄み渡る空の端にちょこんとシミのように存在する暗い色の雲の存在くらいか。

周囲を見渡すと、同じくガラス越しに風景を楽しむ人々がちらほら居る。
その中に目を向けると、独り虚ろな目で眼下を見下ろしながら、静かに佇むよっしーの姿を認めた。

「やっ、よっしー」

「あ…………NSさん」

返された声にはやっぱり活力が無い、元からあんまり騒々しい人ではないが、これはちょっと異質なものを感じる。

「なんか…最近元気無いんじゃないか?」

「……少し寝不足なだけです」

俺に目を合わせようともせずに、型通りの返事を返す機械のように言う。

「………本当に、なんでもないの?」

目を伏せ、一拍置いて、すぅと軽く息を吸い込んだ様子から

「―――余計なお世話です」

明確な拒絶の意志を込めた、冷たく鋭い一言に気圧されて、次に言うべき言葉が見当たらない。

緊張し強ばった沈黙の空気の中―――彼女はふと、何かのスイッチでも入れたみたいにいつもの笑顔に戻って

「それより、ここに居ても退屈ですし……どこか行きませんか?」

「………ああ、それなら」

急な変化に戸惑いながらも、ポケットに入れていた映画の割引券を持ち出した。


―――ららぽーとの3階の端に在る映画館に着き、その場に居る人々の数を大まかに目算すると、土曜の昼間という時間帯にしてはそう多くはなさそうだ。

「では何を見ましょうか?」

よっしーに言われてから、カウンターの上映時間の予定表を確認すると、丁度良い時間の映画は3本有る。

「俺が選んじゃっていいのか?」

「貴方の割引券ですしね、どうぞ好きに選んで下さい」



Aアクション映画『ABEGENvs.PREDATORS』
B恋愛映画『浦板ラブストーリー』
C推理サスペンス映画『た.ぬきちのなく頃に』

21名無しさん:2008/06/06(金) 23:57:59

『浦板ラブストーリー』は昔に大ヒットした大作恋愛映画のリメイク版だ。

劇場の座席に座り、照明が落ち、お定まりの注意事項が流れ終わると、映画が始まった。


『浦板』
この街で彼らは生まれた
あふれかえる池沼
絶え間なく続く派閥争い
白い雪が降り積もる、この季節に…
ふたりは出会った―――――

映画館の一面の闇の中から、大画面に映る明るい光の映像が際立つ。
微かなひそひそ話しの声のみが聞こえる静寂の中から、大きな音声が際立つ。

―――物語は進む、主人公サイコは兵器として利用されようとしていた人外の少女ディズィーを助け
浦板の抗争を収めるべく奮闘する。

隣の席にチラッと目をやるとよっしーも興味深そうに大画面を注視している。

―――そしてサイコは過去に浦板の国王『夜空の神様』を殺し、浦板を混乱に陥れたのが自分のかっての恋人であった由利であると知る。

「いつからだ…ッ!?いつから、お前は西の奴らとッ!?
 ………答えろッ!答えてくれよッ!!!由利ィッ!!!!!!」

サイコの悲痛な叫びが劇場に響く。

「いつから裏切ったか…って?」

女の―――由利の真の名があゆみであったという事が明かされ、彼女はサイコに冷たく非情な宣告を下す。

「出会った時からよ…サイコ」

その台詞を聞き、ピクッと隣の席のよっしーが小さく動いた。

―――さらに映像は流れ、物語はクライマックスに近付いていく。

「―――――笑いあった、喧嘩もした、お互いの背中を預けたこともある、何度も命を助けられた、馬鹿な事もしたし、それを夜空の神様に怒られたこともあった、誰よりも近くにいた、誰よりも信じていた
 ………誰よりも浦板を愛していたッッ!!!」

サイコが涙ながらにあゆみに剣を突き立て

「やっぱりサイコは…人を信じすぎだね……」

「………ありがとう」

あゆみの最後の呟きを背に、ディズィーを抱えて消えゆく城から脱出する。
舞い散る蒼い羽と白い雪が描くコントラストの中、二人の唇が重なる感動のエンディング―――――


一つの物語が終わり、劇場に明かりが戻ると共に、周囲の様子に目を向けると感動して泣いている人もいる。
“いい映画だったなぁ”と余韻に浸りながら劇場から外に出る。

「どうだった、よっしー?」

ほんの少しだけ、よっしーも泣いちゃったりはしてないだろうか?なんて淡い期待を込めての問いだったが
いつもの澄ました顔を崩さないままの彼女はふむ、と小さく頷き

「娯楽作品としては中々でしたが」

言葉を区切り、ピタリと歩みを止めて

「私には主人公の行動が理解できません
 裏切られ、全てを失い、『信じすぎだ』と言われていながら、何を学ぶ事も何も変わる事もなく
 まるで存在しなかった由利のよすがを求めるかのようにディズィーを愛そうとしている…愚かしいとすら思えますね」

「そうかなぁ、俺はあの主人公は好きだけどなぁ」

「何故です?」

「どれだけ悲しんで、傷付いて、裏切られても、人を信じ続ける強さを持っていられるのって、格好いいんじゃないかな?」

俺の感想を聞き、彼女は少しだけ意外そうな顔をして

「………そうですか」

それだけ言って、目を逸らした。

「さっ、時間も丁度良いですし、そろそろフジに行くとしましょうか」

流麗な黒髪をなびかせ、再び歩きだしたよっしーの横顔を見ながら想う。

彼女は映画のヒロインだったディズィーや由利とは違う
笑顔を失ってはいない、共に笑う友達もいる。

―――けど、それでも、その微笑も優雅な所作も、どこか良く出来た作り物のような印象を拭えない。

―――俺は映画のサイコさんみたいになれるんだろうか?
彼女はいつか、心から笑う事が出来るんだろうか?

22名無しさん:2008/06/07(土) 03:01:11
>>1

23名無しさん:2008/06/07(土) 07:38:06
ようやく見つけた…
>>1

24名無しさん:2008/06/07(土) 10:54:13
合流>>1

25名無しさん:2008/06/07(土) 12:49:32
ただいま、うらいたとよ様!

>>1
スレ建て乙です!

旧板住人の皆さんはなんじゃこりゃ?と思うかも知れませんが詳しくはお手数ですが過去ログをお読みください。

では早速続きをどうぞ。

26名無しさん:2008/06/07(土) 12:51:05
船橋に戻り、日が沈みかけた夕刻の駅前の通りを
防御時の各種ファジーの使い分けとか意識配分とか、よっしーとギルティ絡みの雑談をしながら並び歩き。
パチスロ店、書店、ロッテリアと沿道に並ぶ店の前を通り過ぎる。
商店街に入るとゲームフジ船橋はすぐそこだ。

店内に入る、階段を上る。
いくつかの筐体の先にギルティの台が3台並んで存在する。

筐体の周りには十人前後の人々が確認出来る、既にいさ達は到着しているようだ。

「あれれ?渋川さん?」

俺達が到着したのに気付いた電脳さんが俺とよっしーの顔を見比べながら、軽い驚きを込めつつ声を掛けてきた。

「NSさんと二人で何やってたんですか?
 ………ま、まさかの熱愛発覚とか!?」

冗談めかした言い方ながら、興味津々な様子の電脳さんをよっしーは「はいはい」と余裕の微笑であしらう。

ギルティの画面に目を向けると
端の台で動いているのは緑色のエディ―――安定行動で固めきった連係と立ち回りでの常時エディの仕上がりっぷりを観る限り、小川かなと目星を付けつつ
手前の椅子に座る使い手の姿を見て、間違いなく以前にも土曜のフジで会った瓶底眼鏡の少女である事を確認した。

他の2台を見ると、それぞれ赤いテスタメントと、同じく赤い色のポチョムキンが戦況を優勢に進めながら対戦中だ。

A小川に乱入。
B赤いテスタに乱入。
C赤いポチョに乱入。

27名無しさん:2008/06/07(土) 13:28:34
C!C!C!
今こそ前ルートのリベンジを・・・

28名無しさん:2008/06/07(土) 17:41:23
俺もCにしとこう

経験的な意味で

29名無しさん:2008/06/07(土) 17:49:15
んじゃおれBにしとこう

30名無しさん:2008/06/07(土) 18:01:29
まぁCかな。
よっしーの次はおがちゃんだ!

31名無しさん:2008/06/07(土) 20:13:45
お、引越し完了か。遅くなったが1乙

Bかなー

32名無しさん:2008/06/07(土) 23:49:16
Cだな。いさルートでのリベンジも兼ねて

33名無しさん:2008/06/07(土) 23:57:56
引越し乙

Cでリベンジと洒落込もうぜ・・・

34名無しさん:2008/06/08(日) 12:34:09
もえいた民がこのネタパクッっててワロタ

35名無しさん:2008/06/08(日) 15:54:46
引越し乙〜
ここはCで

36名無しさん:2008/06/09(月) 01:57:17
早く続き書けよ冨樫

37名無しさん:2008/06/09(月) 07:53:39
htkt

38名無しさん:2008/06/09(月) 13:31:34
wktk〜Cで〜

39名無しさん:2008/06/09(月) 15:14:30
赤いポチョムキンに乱入しよう
対戦が終わるのを待って、筐体にコインを投入する。

―――強い、強すぎる。
直ガ、スラバからの割り込み、綿密な対策に基づいた状況と距離の判断の的確さ、コンボ、ハメの精度
膨大な経験と深い知識を感じさせる堅実な動きの前に、俺の操る聖ソルの体力はたちまち尽きた。

―――席を立ち、敗因を集中して考える。
先程苦しめられた点―――立ち回りでのJ様子見に対する距離別の対処、相手の割り込みポイントとそれに要する意識配分の比重を考慮した攻めの組み立て。

―――それから再度の乱入
だが今一つだ、寧ろさっきより駄目な試合内容になってしまった感さえある。

(上手くいかないなぁ…)

腕を組みながら悩んでいると、後ろで一連の流れを見ていたよっしーが声を掛けてきた。

「…NSさん、恐らくですが考え方が間違ってます
 確かにFABさんは反応も早いですが、少し意識配分を高く見積もり過ぎでリターンの有る行動を通せてません」

続いて横からいさが

「遠S振る位なら立ちHSで良いんじゃない?どうせポチョは地上で技振りにくいでしょ」

更に電脳さんも

「J様子見に着地狙いってのは良いと思うけど、無理矢理落としに行くプレッシャーが足りないんじゃないですか?」

後ろで見ていた皆が寄り集まって、わいわいと議論しだした。
その意見一つ一つを吟味して組み合わせ、自分の動きを見直す。

「……よし、やってみるよ!」

そう、皆に宣言してから椅子に座る―――三度目の乱入
皆がくれたアドバイスは確かに良く機能した。

なんとか最終ラウンドまで持ち込み
相手の体力は残り僅か、後ろ受け身をとったポチョムキンにダッシュJで近付きながら、これまでの流れを思い出す。

―――このポチョ使いは様子見多めの至極真面目な手堅い思考と十分な対策を積んでいる。
そんな人なら、この状況でコレをガードする危険性は理解している筈―――この状況から逆転を狙うにはバクステするしかない…!
そして意識を集中して、ダッシュJSが空を切ったのを確認し

「サーベイジファング!」

バクステにサーベイジの持続が当たり、SLASHの表示が流れると勝利の充足感が沸き上がる。

「おっ!やったじゃない!」

背後のいさが声をあげた
その直後、反対側から眼鏡を掛けた、豊満なスタイルの大人の女性が両替機に向かうのを見て、さっきのポチョ使いの人だなと直観した。
その女性は途中俺達の方をチラリと見て、俺と目が合うと、おもむろにこちらに近付いて

「君、やるわね」

短い挨拶の中に、静かな大人の余裕を感じさせる。

「FABが相手の事あっさり認めるとか、珍しいじゃん」

バベさんの言葉を聞いて、FABっていうのか、と目の前の女性の名前を確認する。

「あら、私こういう戦い方は好きよ
 …もう少し付き合ってもらえる?」

言われるまでもなく望むところだ。
俺の頷きを確認して、反対側に戻る彼女の後ろ姿を見つめながら、ふと思った事を口にする。

「あの人…立ち回り丁寧だし、真面目そうな人だな」

それを聞き、MKがニヤニヤと

「おやー?胸に釣られたか?」

なんて揶揄してきた。

「押田さんねー…確かに真面目かも知れないけど、あの人愚痴っぽいよ?厨房臭いスタイルの人に負けた時とか特に」

いさの言葉に少し驚いた。
パッと見ではそうは見えなかったが…ちょっと意外だなぁ。

「まぁ、愚痴ぐらい誰でも言うし、いいんじゃない?」

いさがそう付け足したのに対し、よっしーが同意の姿勢を見せながら

「そうですね……大体NSさん、ゲームセンターで対戦しているだけの他人の性格なんて、分かりっこないじゃないですか
 …あまり適当な事を言うのは控えた方が良いと思いますよ」

そう締め括った、まぁ確かにそれが正論だろう
―――それでも確かにあの瞬間、俺と彼女は一瞬互いを理解して、俺はあの人の一端に触れる事が出来た気がしたんだ。

40名無しさん:2008/06/09(月) 15:17:14
その後もFABさんとの対戦はひたすら続いた。

何十戦と対戦を続けていくにつれ、互いに人読みの色を濃くしながらも
相手の対応は一点読みに走る事がない、どこまでもリスクリターンを考慮した的確な対応を続けている。

俺も昨日のさんまさんのアドバイスを元にコンボ面でも努力はしている。
「諦めたらそこで成長は止まる!無理と思うな、やってから考えなさい!」
とか言ってたか、確かに器用じゃないしコンボは安くても仕方ない、と諦めていた部分は有る。

―――あまりの楽しさに時間を忘れた。
小川と赤いテスタを使ってた人が帰り、ふと時計を見るともう9時を回っている。

「遅かったね」

後ろでキシタカの放った声を聞いて、振り返ると濡れ鼠になったおざわが姿を見せている。

「いやー、いきなり雨降ってきてさぁ」

外は雨が降ってたのか、ゲーセンの中に居ると気が付かなかった。

「参ったわね、私傘持ってないし」

「家遠いですしね」

FABさんに補足するようによっしーが声を被せる。

「誰かの家泊まれば?」

いさの提案に対し『俺の家なら近いけど』と言おうとしたら、横から電脳さんが

「私、NSさんにお願いがあるんですけど」

突然そんな事を言いだした。

「いさとキシタカに勉強教えるの手伝ってもらえませんか?」

そこで聞き耳を立てていたらしく

「それなら俺が―――」

などと言いだしたMKに対し、電脳さんはいさの真似みたいに悪戯っぽく笑って

「ジョニー使いはロリコンだからイヤです」

「そのネタいつまで引っ張るの!?ねぇ!?」

MKのいかにも必死そうな言い方に周りの一同が笑う。

「NSさんならついこないだまで受験生だったんだし、中学生に教える位余裕でしょ?お願い!」

こちらをまっすぐ見据えた目を輝かせて頼み込む。
どうもこういう時の電脳さんの提案は断りづらい…うーん、どうしよう?

AFABさんを泊める。
B電脳さんを手伝う。

41名無しさん:2008/06/09(月) 17:18:29
((())))ぁぅお

42名無しさん:2008/06/09(月) 17:21:58
Bかな

43名無しさん:2008/06/09(月) 17:55:48
更新乙


しかしよっしー狙いの俺は悩むな。
FABだけってのは無いだろうからAかな

44名無しさん:2008/06/09(月) 18:59:49
キシタカ狙いの俺は当然B

45名無しさん:2008/06/09(月) 19:09:05
リアルモンクw
つーかおまえら大学生だろwww

46名無しさん:2008/06/09(月) 19:58:40
あー萌子たん帰ってしまった…
困ってる人を放ってはおけないしAで
っていうかみんなで泊まれば幸せになれると思うんだが駄目かな

47名無しさん:2008/06/09(月) 20:20:27
FABさぁん(*´ω`*)

A

48名無しさん:2008/06/09(月) 20:33:20
ごめん逆毛様。
電脳さんのためにB

49名無しさん:2008/06/09(月) 20:43:16
ここはおっぱい支援だろ常識的に考えて……

A

50名無しさん:2008/06/09(月) 22:03:24
キシタカ支援でBだな

51名無しさん:2008/06/10(火) 00:05:00
電脳さんがかわいいからB

52名無しさん:2008/06/10(火) 01:35:26
A

53名無しさん:2008/06/10(火) 02:12:35
b

54名無しさん:2008/06/10(火) 02:32:25


55名無しさん:2008/06/10(火) 02:49:55
A で

56名無しさん:2008/06/10(火) 03:48:19
FABのおっぱいが見たいのでA

57名無しさん:2008/06/10(火) 12:49:31
いさ派の俺はB

58名無しさん:2008/06/10(火) 12:54:50
更新乙
選択肢はAで

59名無しさん:2008/06/10(火) 14:33:28
Aで

60名無しさん:2008/06/10(火) 15:11:04
お前ら自演し過ぎwwwこんなに見てるやついるわけないだろ

61名無しさん:2008/06/10(火) 16:14:56
>>60
確かに前の選択肢よりも人数が圧倒的に増えてて笑うわwwwww


自演されるとどれが自演だか判断が付かなくなるから選択肢の意味合いが薄れるんだよな。
マジ止めて欲しいわ……。

62名無しさん:2008/06/10(火) 16:17:30
全くもって同意だわ。一人一票は常識だろ……

63名無しさん:2008/06/11(水) 01:47:20
ちゃんと読者こっちきてんのかな

kstk諦められない俺はBで

64名無しさん:2008/06/11(水) 01:57:26
中学生・・・だと
Bで

65名無しさん:2008/06/11(水) 02:13:45
FABさんいいなw かっけぇ
しかし、いさ厨房だったのか・・・いいのか?w

・・・贅沢言えば、いっそ皆でお泊りがいい気がするけどw
ここはBで

66名無しさん:2008/06/11(水) 07:16:09
これは流石に「こっち+あっち」で
それなりの人数になったと見るべきだろう

67名無しさん:2008/06/11(水) 14:32:17
1スレ目の頃から自演臭い票レスはあったけどな

68名無しさん:2008/06/11(水) 22:37:19
>>66
自演乙^^

69名無しさん:2008/06/11(水) 23:11:08
まあまあ、皆さん落ち着いて。

自演なんて匿名掲示板ではお約束みたいなもんですし
個人のモラルに任せるという事で…というかそうするより他に手は無いですしね。

続きはもうちょいお待ちを、最初見た時にAのが多そうだったからAで書いてたら気が付いたらBのが多くなってたんで現在書き直し中ですw

70名無しさん:2008/06/12(木) 00:38:46
両方投下すればいいと思うよ!思うよ!

71名無しさん:2008/06/12(木) 01:20:08
NS→大学生
いさ→中学生










うほっw

72名無しさん:2008/06/12(木) 01:33:11
>>69
多くて最初に書き始めたのがAならAでいいんじゃない?大変だろうし。
作者の見た時点で多かった選択肢でいいと思ってたんだがそこまでやってくれているとは……。

まぁA消してB書いちゃってる、またはBのほうが筆進んでるってならBでいいと思うけど。

73名無しさん:2008/06/12(木) 04:18:33
「分かった、手伝うよ電脳さん」

その瞬間、不安げな表情で頼み込んでいたのが一転、まるで花が咲いたような笑顔を浮かべた。
なんとも表情に出やすい電脳さんらしい。

「ありがとうございます!場所は私の家でやりますから、これから案内しますね」

喜ぶ電脳さんを見ながら、ちらっとFABさんに目を向けると

「私、人の家に泊まるのはあんまり好きじゃないしね……止めておくわ」

いさに対し、そう言って返すとその場の一同に別れの挨拶を済ませ、さっさと階段を下りていってしまった。
雨が降る中、遠くまで帰らせるのは少し気が引けるが………仕方ないか。

「さっ、いさ、私たちも勉強に行きましょ」

電脳さんが声を掛けるが、それを聞いたいさは見るからに不満げに

「えー、勉強やだー」

なんて、だだっこみたいに言う。

「ワガママ言わないの」

それを叱り付ける電脳さんはさしずめお母さんか

「だって…あたし教科書とか学校に置きっぱなしだし」

―――いるよな、そういう奴とか思いながら成り行きを見守る。

「キッシーのを借りればいいじゃない」

言い訳に詰まって、いよいよ露骨にだだっこを剥き出しにする。

「やーだー!予選近いし、そんなので時間取られるのやだー!」

「補習でもっと時間取られてもいいの?」

電脳さんは、文句の多いいさをひとまず黙らせる事に成功すると、やや強引めに手を引っ張って外に出ていった。
―――同じく勉強のはずだが、さっきから一言も発しないキシタカに目を向ける。

「キシタカは不満無いのか?」

「わたしだってイヤよ、でもやらなきゃいけないでしょ?」

……至極まともな意見で、なんか安心した。


外に出ると、街灯に照らしだされた商店街の路地に、ざあざあと大粒の雨が降り注いでは地面を激しく打っている。

―――とりあえず“コンビニで傘でも買おう”という事で意見は一致した。
未だ冷たいこの季節の雨を浴びれば、流石に死にはしないだろうが風邪をひいてしまいそうだ。

レジに透明なビニール傘を持って行くと、電脳さんが

「四本買うのも勿体ないですし、二人で一本ずつ買いましょう」

そう言ってきたと共に、突然何者かが横から丁度傘の値段の半分の額の小銭を小さな掌に乗せて、ズイと突き出してきた。
誰かと思えば―――キシタカだ。

「どうせ電脳さんはいさと一緒がいいだろうし……わたしはNSとでいいよ」

照れ隠しみたいに目を逸らし、明後日の方を向きながら、小銭を乗せた手を突き出す。

「ありがとな」とだけ言って、傘を買い
店から外に出て、降りしきる雨の中傘を開き、キシタカを傍に寄せる。

―――が、ここでちょっとした問題が発生した。
身長の関係で俺が傘を持っているが、雨がやたらに強いせいか、傘との高さが合ってないキシタカに横殴りの雨が当たってしまっている。
それとなく少し前かがみになって、傘の位置を低めに調節しながら歩く

「…………ねぇ」

「ん?」

俺にそういった気は無いが、ちょっと馬鹿にされた気がしたのかもしれない「それ、なんかヤダ」と不機嫌そうな声を上げる。
(余計なお世話だったかなぁ?)
と思ったが、目を合わせるのを避けるように下を向きながら

「―――けど、ありがと」

小さく抑えた声で、確かにそう言ったのが聞こえた。

74名無しさん:2008/06/12(木) 04:26:40
しばらく歩くうちに電脳さんの家に辿り着いた。

「濡れましたねー、さっさと風呂入っちゃいましょう」

浴室とおぼしき部屋に入って、しばらく経つと出てきて

「私の家のは狭いから、一人ずつね」

どうやら風呂の準備が出来たようで、そう言いだした。

「俺は最後でいいよ」

レディファーストなんて気はないが、女性の方が髪洗うのとか面倒だろうし、風呂の順番くらい譲って構わないだろう。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

電脳さんが浴室に入る。

いさとキシタカと3人になったリビングで適当に雑談しているうち

「……いさはさ、電脳さんの事はどう思ってるんだ?」

気が付くとそんな質問をしていた。
いさは考える様子も躊躇する様子も見せず、すぐにこう返した。

「尊敬してるよ!便利だし!」

………果たして、普通尊敬と便利という単語は両立しうるんだろうか?

「どうして闘劇組まないんだ?」

「………嫌よ、あの人弱いんだもん」

それを聞いて、なんとなく不愉快な気分になった。
『そんな言い方は無いじゃないか』とか言おうとしたところで、浴室の扉がガラッと開き

「あがりましたー」

電脳さんがリビングに出てきた。
眼鏡を掛けておらず、桜色に上気した肌の彼女は普段と別人のようにさえ見えて―――こうして見ると、素直に綺麗だなぁ、と少しばかり見入ってしまう。

「どーかしましたか?」

「いや、なんでもない」

しかし、一々本人に言うような話じゃないだろう。

「次あたし入るねー」

そう言って、元気良く浴室に入っていくいさの背を見送ってから、再び眼鏡を掛けながら

「いさってば……最近ますます可愛らしくなった気がしません?」

電脳さんが俺達に同意を求めるように向き直る。

「好きな人でも出来たのかもね」

キシタカの放った言葉に目に見えて動揺しながらも、抑えた声で余裕ぶっている。

「キッシーってばー………いさはそういう事にはまだ奥手で……」

「………いや、かもねってだけで」

そう言って抗弁するキシタカの胸ぐらに突然掴みかかった。

「かもねもF式も無いんです!いさにはそういう事は、はーやーいーんーでーすーーー!!」

最後の6文字に合わせて、ブンブンとキシタカを揺さ振る。

「電脳さん落ち着いて下さい!」

俺が慌てて声を掛けるが

「これが落ち着いてられますかー!」

などと取り合って貰えない。
取り急ぎ、この状況を鎮静化させるための言い分を脳の中からサーチする―――検索完了、これならば!

「好きな人って、もしかしたら電脳さんの事かも知れないじゃないですか!」

ピタリと電脳さんの手が止まる。
「………え」と小さく呟いて、キシタカから手を放し、解放すると
まずは真剣に考え込んだ顔、次いでなにやら幸せそうな笑顔を経由して、ポーッと顔を赤くしたかと思うと、慌てて手近にあったティッシュ箱からティッシュを数枚取り出し、鼻に押し当て始めた。

「ふ…ふふ………ふ……………ちょっとお風呂でのぼせちゃったみたいです」

鼻孔に当てられたティッシュが赤く染まっていく
………キシタカがドン引きしてるが、とりあえず危機は脱した。

75名無しさん:2008/06/12(木) 06:19:21
かもねもF式もwwwww

76名無しさん:2008/06/12(木) 08:41:01
残念すぎる……

77名無しさん:2008/06/12(木) 09:14:21
電脳さんwwwいいぞもっとやれwwwww

しかし、電脳ルートに入るとするとここからどう進化していくんだ・・・ゴクリ。

78名無しさん:2008/06/12(木) 12:55:55
いいぞもっとやr…




…そーいやコレ、よっしールートだっけ…

79名無しさん:2008/06/12(木) 13:45:31
>>78
まだだ、まだわかr

80名無しさん:2008/06/12(木) 17:06:52
選択肢を選ぶ毎に電脳さんが残念になっていく気がしてならない

81名無しさん:2008/06/12(木) 17:23:51
kstkは逆にデレていく




堪らんなぁ

82名無しさん:2008/06/12(木) 17:40:43
kstkのがやばすぎるwww
もうkstkルートでよくね?

83名無しさん:2008/06/12(木) 18:21:55
かもねもF式も、が一瞬理解できなかったが、わかったwwwそういうことかwww

kstk可愛い

84名無しさん:2008/06/12(木) 19:03:55
kstkが好きになりました

85名無しさん:2008/06/12(木) 19:08:22
いさ以外みんな可愛い

86名無しさん:2008/06/12(木) 19:08:28
いさ以外みんな可愛い

87名無しさん:2008/06/13(金) 02:11:42
kstkかわいいぜ

88名無しさん:2008/06/13(金) 08:28:12
いさが風呂からあがると、キシタカは待ちわびていたかのようにそそくさと浴室に急いだ。

いさと電脳さんが楽しげに喋っている―――二人の顔を見比べているうちに
やっぱり、言わなければいけない気がしてきた。

「いさ、やっぱり闘劇は電脳さんと組んだ方が良くないか?」

出来るだけ気軽かつ自然に言おうとしたつもりだったが、いさはたちまち表情を曇らせて

「嫌って言ったじゃないよ」

と素っ気ない言い方でツンとそっぽを向いた。

「でもさ………」

なおも食い下がろうとすると、電脳さんが

「いいですよNSさん」

と、どこか苦い顔で制しようとする。

「でも、いさは電脳さんに大分世話になってるみたいだし………弱いから組まないだなんてそんなの―――」

そう続けようとした所で、電脳さんの方から

「いいですってば!何も知らないくせに勝手な事言わないで下さい!」

これまでの彼女からは聞いた事の無い、怒気を孕んだ大声が放たれた。
その直後に当の本人でさえも驚いたようにハッと頬を赤くして

「ご……ごめんなさい私ってば………」

恥じらうように面を伏せ、気まずい沈黙がリビングに流れる。
キシタカが風呂からあがり、そのまま一言も話す事が出来ないうちに俺は浴室に向かった。

やや狭い風呂の少し温めの湯に浸りながら、湯気で揺らぐ浴室の壁を見つめて物思いに耽り
『―――何も知らないくせに勝手な事言わないで下さい!』
―――さっきの電脳さんの言葉の意味を自問していた。

風呂からあがると、簡素ながら食事の準備が出来ている。

「さっ、NSさんもどうぞ!」

ニコッと、先程の気まずい雰囲気を振り払うかのように電脳さんが微笑む。

―――食事が終わり、それから勉強という事になった。
一対一で教えようという事だが、俺は―――


Aいさに教える。
Bキシタカに教える。

89名無しさん:2008/06/13(金) 08:55:59
背後!

Bでkstk支援だ

90名無しさん:2008/06/13(金) 09:33:37
B!
電脳さんの残念っぷりがもっとみt(ry

91名無しさん:2008/06/13(金) 10:53:55
NSさんその地雷の踏み方はぱねぇっすwwwwwwwwwwwwwww

92名無しさん:2008/06/13(金) 12:05:07
Bに決まっとるだろうが!

93名無しさん:2008/06/13(金) 13:30:58
Bだな

94名無しさん:2008/06/13(金) 13:43:34
kstk

B!

95名無しさん:2008/06/13(金) 15:30:55
Bだな!

96名無しさん:2008/06/13(金) 17:25:17
FABさん編は期待してもいいのかしら
しかし電脳さんいいなwww
ここは空気読まずw Aで

97名無しさん:2008/06/13(金) 17:30:45
Bしかない!!

98名無しさん:2008/06/13(金) 18:56:32
電脳さん見てておおきな木の話を思い出した

99名無しさん:2008/06/13(金) 21:51:39
A

いさときっちり話すべきー

100名無しさん:2008/06/13(金) 22:40:15
いさルート思い出したのでA


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